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平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月02日-03号

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  1. 滋賀県議会 2015-07-02
    平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月02日-03号


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    平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月02日-03号平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)                平成27年6月定例会議会議録(第4号)                                       平成27年7月2日(木曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         平成27年7月2日(木)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第101号から議第115号まで(平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       30番   小  寺  裕  雄    31番   奥  村  芳  正       32番   野  田  藤  雄    33番   西  村  久  子       34番   佐  野  高  典    35番   家  森  茂  樹       36番   吉  田  清  一    37番   粉  川  清  美       38番   蔦  田  恵  子    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事                  三 日 月  大  造               教育委員会委員長代理          河  上  ひ と み               選挙管理委員会委員長          伊  藤  正  明               人事委員会委員長代理          桂        賢               公安委員会委員長            宮  川  孝  昭               代表監査委員              北  川  正  雄               副知事                 西  嶋  栄  治               知事公室長               宮  川  正  和               総合政策部長              堺  井     拡               総務部長                青  木     洋               琵琶湖環境部長             拾  井  泰  彦               健康医療福祉部長            藤  本  武  司               商工観光労働部長            福  永  忠  克               農政水産部長              安  田  全  男               土木交通部長              桑  山  勝  則               会計管理者               田  端  克  行               企業庁長                森  野  才  治               病院事業庁長              笹  田  昌  孝               教育長                 河  原     恵               警察本部長               笠  間  伸  一            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長                日  爪  泰  則               議事課長                太  田  喜  之               議事課課長補佐             吉  田     亮            ──────────────────────────────   午前10時 開議 ○議長(西村久子) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(西村久子) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  地方自治法の規定に基づき、出納検査報告書が提出されましたので、別途送付いたしておきました。  次に、教育委員会藤田義嗣委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として河上ひとみ委員が、また人事委員会益教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(西村久子) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第101号から議第115号まで(平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(西村久子) 日程第1、議第101号議案から議第115号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。  本日は、質疑ならびに一般質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、17番冨波義明議員の発言を許します。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇、拍手)去る4月に行われました統一地方選挙後、初めて開催されております今6月定例県議会での一般質問のトップバッターを仰せつかりました。私は、チームしが 県議団の冨波義明でございます。  それでは、通告に従いまして、改正公職選挙法の成立に伴う諸問題について、以下6つの観点から、知事ならびに教育長に質問をいたします。  それでは、まず、1点目として、改正公職選挙法が成立したことについて、知事に伺います。  去る6月17日、参議院本会議において、選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が全会一致で可決され、成立をいたしました。今回成立した改正公職選挙法が適用されるのは、衆参両議院の国政選挙のほか、地方自治体の首長と議会議員選挙最高裁判所裁判官の国民審査などが対象となります。これに伴い、1年間の周知期間を経て、来年7月の参議院選挙から18歳選挙権が行使されることとなり、投票日翌日に18歳の誕生日を迎える高校生を含む10代の若者約240万人が新たに有権者となります。この人数は、全有権者の2%程度とはいえ、18歳、19歳の若者たちが選挙に参加するということは、10代の若者の意見が国政や地方自治に反映することとなり、日本の社会に大きな変化を及ぼす可能性があります。  さて、このたびの法改正に向けての審議の過程では、日本の若者の投票率が極めて低いことが論点となり、若者の政治への参加意識をさらに高める必要性が求められました。そこで、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法の成立を受け、県政を預かる知事としての率直な御感想をお聞かせください。  2点目に、選挙年齢18歳に達する高校生につけようとする力について、教育長に伺います。  平成26年現在、選挙権年齢のデータのある世界192カ国のうち、18歳以上に選挙権が与えられている国は170カ国を数え、1969年に英国が初めて選挙年齢を18歳に引き下げて以来、約9割の国々で18歳選挙権が認められております。もはや18歳選挙権は世界の標準となっております。  しかし、我が国の18歳選挙権成立までの過程で最も意見の分かれた議論は、果たして18歳は大人なのかというそもそも論だったようです。18歳、19歳の若者が果たして政策などを理解し、政党や候補者を選ぶことができるのか、そもそも政治や選挙に興味、関心はあるのかなどをめぐり、さまざまな意見が交わされたと仄聞しています。  高校生というのは子供から大人になる過渡期の段階であり、また、大人でもない、子供でもないという中途半端な時期であり、精神的に極めて不安定な時期である。これは私がかつて高校で教鞭をとっておりましたとき、生徒たちを前にして常に自分に言い聞かせていた思春期の発達論の一説でございます。  生徒たちが身体的には既に成熟していて大人を超える能力を持っていても、まだ大人として認められないのは、自我の形成が発達途上であり、精神的にも揺れ動く時期であり、社会的、人格的な成熟がまだまだ十分に達成されていないことを言いあらわしています。  また、高校生は実社会に出ていないため社会経験は薄く、社会的な適応能力も未熟なことから、政治などの社会活動にみずから進んで参加する行動力や、自分一人で考える思考力も未発達であり、その結果、選挙では友達と一緒に投票し、周りに言われるがままに同じ候補者に投票することになるのではないかとの懸念も示されております。私は、このような懸念を払拭するためにも、高校では18歳を大人にする教育や授業が今まで以上に必要であると強く感じているところです。そこで、選挙権年齢は18歳以上と定められましたが、18歳の高校生にどのような力をつけようとしているのか、教育長に伺います。  3点目に、18歳高校生の選挙権が行使されることに伴う諸問題について、教育長に伺います。  このたびの公職選挙法の改正は、国民からの要求により年齢が引き下げられてきた過去の経緯とは違い、国会の主導で瞬く間に決まってしまった感がございます。その最大の理由として、2007年5月に成立した日本国憲法の改正手続に関する法律、いわゆる国民投票法の投票年齢18歳に、公職選挙法の選挙年齢を合わせなければならないという事情があったようです。  改正国民投票法の第3条では、国民投票の対象は日本国民で年齢18歳以上と定められており、同法の附則でも、「国は、この法律の施行後、速やかに年齢満18歳以上満20歳未満の者が国政選挙に参加することができることとなるよう、公職選挙法、民法、その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるもの」とされております。  さらに、改正公職選挙法の附則でも、成人年齢を20歳以上と定める民法での成人年齢や、20歳未満を保護の対象としている少年法などの規定がこれから検討され、法制上の措置を講じることが盛り込まれております。  18歳で選挙権を持つということは、18歳で主権者となるということですが、一方、民法第4条では「20歳をもって成年とする」とされております。また、少年法で裁かれる満18歳以上20歳未満の者は保護対象者として扱われ、犯罪を犯しても保護処分とされることが原則であり、実名で報道されることもありません。若者の政治参加という点では、18歳選挙権は大きな意味を持ちますが、一方では保護対象者なのに主権者というのは、権利と責任において極めて不均衡であるとの指摘も寄せられているところです。  総務省は、公職選挙法の選挙年齢と民法の成人年齢は一致するべしとしていますが、法務省は少年法に関しては、法の理念に反するとして認められないという観点から、年齢改正には慎重な立場だと仄聞をしております。このため、18歳、19歳の若者が国民投票権や選挙権という権利の裏で果たすべき責任と義務について、今後、法令が整備され整合性が図られるまでは、学校や社会のさまざまな場所、場面でさまざまな混乱が生じることが懸念されております。  私は、これらの法制が整備され整合性が図られるまでには相当時間がかかるのではないかと感じているところですが、来年の7月には18歳の選挙権が行使されます。そこで、民法や少年法の成人年齢が20歳のままで、18歳、高校生の選挙権が行使されるに当たり、学校ではこれをどのように指導されるのか、教育長に伺います。  4点目に、学校での主権者教育の推進について、教育長に伺います。  このたびの法改正の審議過程では、若者の投票率が極めて低いことから、若者の政治への参加意識を高めることが議論の中心になったことは先ほども述べました。直近の国政選挙における投票率を見てみますと、平成26年に行われた第47回衆議院議員選挙では、戦後最低の投票率52.66%を記録した中で、20歳代は32.58%、また平成25年に行われた第23回衆議院議員選挙では、戦後ワースト3となった投票率52.61%の中で、20代は33.37%という結果でした。  若者層の人たちにこそ、投票所に積極的に足を運び、政府や地方自治体の政策に影響を与えることの大切さを自覚してもらいたいと思うところですが、各選挙における50歳代、60歳代の投票率が平均して60%であるのに対し、20歳代では大体30%というのが実態です。このような若者層における選挙権の不行使は、深刻な政治離れが原因とされていますが、若者の民意が国政や県政などに反映されていない状況は、深刻な国民的課題だと言えます。  そこで、20歳代の投票率を上げ、若者の民意を政治に反映させるための一つとして、このたびの法改正がなされたわけですが、私は、18歳、19歳の若者に選挙権を与えるのであれば、彼らが政治に関心を寄せるような主権者教育が教育の場で早急に適切に確実に行われ、よき市民、公民をつくるための引き金にならなければ意味がないと考えております。  政治に関する教育は、現在、中学校では社会科の公民的分野、高校では現代社会や政治・経済などの授業を通して行われており、高校では近年、議会や選挙の制度を体験する模擬投票なども行われているようですが、今まさに動いている生の政治を考える機会は十分に確保されているとは言いがたいのではないでしょうか。  主権者教育は主権者になるための教育であり、いわば自分たちで自分たちが属している社会のあり方を決める大切な訓練でもあります。現代社会、政治・経済などのいわゆる教科を通しての政治に関する教育はもちろん、これらと並行して主権者教育を充実強化させていくことは、来年夏の選挙を控え、喫緊の課題だと考えています。このため、文部科学省は総務省と連携し、年内にも選挙制度や選挙違反などを解説する副教材を全高校生に配布する予定だと仄聞していますが、高校教育の場で来年の選挙までに十分な指導が図れるのかどうか、大変危惧されるところでございます。  そこで、学校で主権者教育を行うことは大変重要と考えますが、この主権者教育をどのように推進しようとしているのか、教育長に伺います。  5点目に、選挙に関する教育の副読本の活用について、教育長に伺います。  高校生が投票権を持つということは、政治に関する基本的な知識を習得するだけでなく、政党や候補者の公約や政策をより正しく理解する能力を身につけていくことでもあります。しかし、18歳高校生がしっかりとした自己判断ができるのか、望ましい集団性や社会性が育っているのか、公正性は身についているのかなど、投票権を行使する生徒たちの資質、能力が問われることになります。  このたびの法案の中には、未成年が連座制の対象となる買収などの悪質な選挙違反をした場合、原則として検察庁に送り返して起訴し、成人と同様に裁判を受けさせる制度を適用する内容が盛り込まれています。このため、生徒の選挙活動や選挙違反行為に対する指導も重要となってまいりますが、選挙権を持つ生徒と持たない生徒が混在する中での指導は困難をきわめるのではないでしょうか。  例えば、部活動の仲間や級友を巻き込んでの違法な選挙活動や、LINE、フェイスブックなどSNSを使った選挙妨害活動は起きないのか。さらには、周囲の人々からのさまざまな誘惑に安易に引き込まれるようなことはないのかなどなど、選挙にかかわる問題行動の発生が懸念されています。  このため、選挙制度や選挙違反に関する事項を学ぶ選挙に関する教育の実施も大変重要となっており、このたび、全高校生を対象に年内までに配布される副教材では、選挙の意識や制度の解説、学校内での政治活動の制限や選挙違反の注意などが内容として記載されていると伺っております。そこで、文部科学省が配布する副教材をどのように活用していくのか、教育長に伺います。  最後、6点目として、教員の資質の向上と指導能力の育成について、教育長に伺います。  教育基本法第14条には、「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない」と明記されています。しかし、これまでは教育基本法で示された政治的教養の範囲が、政治の仕組みに関する知識の学習のみに偏りがちになっていたのではないでしょうか。これは、生徒たちにとって最も影響を受けるのは学校の担当教師の政治的な考え方であるという、公務員としての教員の政治的介入を心配する結果にほかなりません。  これまでも教員の政治活動については厳しく制限され、教育の場における政治的中立性は厳守されてきたと私は確信をしておりますが、今後は、授業の対象となる生徒の中に、選挙権を持ち、また、その生徒の身近な人々が候補者であったりする場合も十分に考えられることから、教員は今まで以上に厳しく授業の内容やその発言の公正性が問われ、政治的中立性を遵守することが求められることとなります。  そこで、主権者教育を進めるに際して、教科を担う教員はもとより、学校の全教員が政治的中立性を守る資質を高め、指導能力を養うための手だてについて、教育長にお伺いします。 ○議長(西村久子) 17番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)冨波議員、どうぞ今期もよろしくお願いいたします。お言葉をかりれば、子供から大人になる過渡期に、子供でもなく大人でもなく中途半端な時期に、精神的に不安定な時期である高校時代に、私は冨波先生にお世話になりました。しっかり役割を果たしてまいりたいと存じます。  今般、国会の法改正、選挙権年齢の18歳以上への引き下げによりまして、若者の意思をより一層県政に反映させることができるようになり、私は極めて意義深いものと考えております。  一方で、御指摘もいただきましたが、若年層の投票率は低い状況にありますことから、新たに有権者となる若者に、民主主義の根幹である選挙の意義等を十分理解し、地域社会の問題をみずからの問題として捉えてもらい、みずから判断し、投票行動につなげてもらうことが重要であると考えております。このため、県政についてこれまで以上に丁寧でわかりやすい説明に努めるなど、若者の県政に対する関心を高めるための工夫が必要であると考えております。
     後ほど教育長からも御答弁があると思いますが、教育機関等とも連携し、さまざまな機会を捉え、機材等を生かし主権者教育を充実させるとともに、将来を担う若者たちにみずからが主権者であるという自覚を持ってもらい、積極的に政治に参画してもらうことを期待いたしております。 ◎教育長(河原恵) (登壇)おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、冨波議員の改正公職選挙法の成立に伴う諸問題についての5点の質問にお答えをいたします。  まず、2点目の18歳の高校生にどのような力をつけさせようとするのかについてでございますが、高校生という時期は、自分の人生をどう生きればよいかや、生きることの意味は何かということについて考える時期であります。また、自分自身や自己と他者との関係、さらには広く国家や社会について関心を持ち、人間や社会のあるべき姿について考えを深める時期でもあります。  このような中、今回の法改正により選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことから、高校生には、まずは基本的人権の一つである参政権を得ることの重要性を理解させるとともに、政治や社会の問題を自分の問題として捉え、主権者としての自覚を育み、社会に参画する力を育てることが重要であると考えております。  次に、3点目の民法や少年法等の成人年齢が20歳のままで18歳高校生の選挙権が行使されるに当たり、学校ではどのように指導するかについてでございますが、若者の積極的な社会参加が期待される中、今回の法改正で選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたことにより、若者の意思をより一層政治に反映させることができるようになりました。  また、平成19年──2007年に国民投票法投票権年齢が18歳に引き下げられたり、平成21年──2009年に法制審議会で民法における成年年齢を18歳に引き下げる議論がなされたりするなど、現在も選挙年齢と成年年齢を一致するべきかどうか等についての議論がなされているところでございます。  今回、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことにより、社会における意思決定に参画する権利を得ることになったところでありますが、あわせて、社会的に負うべき責任があることを理解させることも重要でございます。高校生に対して選挙制度等の学習を行う際には、選挙権を得ることの重要性を指導するとともに、それに伴う責任や義務を自覚できるよう指導してまいりたいと考えております。  次に、4点目の学校で主権者教育をどのように進めていくかについてでございますが、代表質問でもお答えさせていただきましたとおり、まずは生徒たちに、若者の意思を政治に反映させることの意義や、政治や社会の問題を自分の問題として捉え、投票することの重要性を指導することが大切です。そのためには、選挙管理委員会を初めとする関係機関と連携し、模擬選挙等を実施したり、政治や選挙等の指導を充実するための副教材を活用することなどに取り組んでまいりたいと考えております。  こうした取り組みを行うことにより、次代を担う高校生一人一人が政治参加の自覚を深め、主体的に判断し行動できるよう、主権者教育を進めてまいります。  次に、5点目の副教材をどのように活用していくかについてでございますが、今回の法改正を受け、現在、文部科学省と総務省が連携して、模擬選挙などの実践例やワークシート等を盛り込んだ政治や選挙に関する副教材を作成しているところでございます。  来年は、新たに投票権を得る現在の高校2年生、3年生の多くは、既に1年生のときに現代社会の履修を終えているため、政治や選挙に関する学習を改めてロングホームルームや総合的な学習の時間などを活用して指導することになります。  また、指導に当たっては、選挙管理委員会を初めとする関係機関と連携しながら、副教材を使った指導や参加型、体験型の学習を実施してまいりたいと考えております。  次に、6点目の全教員の資質を高め、指導能力を養うための手だてについてでございますが、教育基本法第14条第2項では、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と示しております。県教育委員会ではこれらの法令を踏まえ、これまでから機会を捉えて、教職員等の服務規律の確保の徹底について通知しているところであり、学校教育に対する県民の信頼を損なうことのないよう、職場研修等を通じて服務規律の確保に努めてまいったところでございます。  今回、法改正を受け、教員はこれまで以上に授業やロングホームルーム、総合的な学習の時間などの中で、選挙権を持つ生徒等に対して主権者教育を行うことになることから、教育の政治的中立の原則に基づきながら適切に指導できるよう、全ての教員を対象にした研修の充実を図ってまいる所存でございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。知事の希望あふれる御答弁、本当にありがとうございました。知事におかれましては、日々、八面六臂の御活躍をいただいておりまして、その知事の元気が県民の元気、さらには少年たちの元気を生むものだと思っております。これからもひとつ積極的に元気を発信していただきますようお願いいたします。  再質問でございます。幾つか再質問させていただきます。  まず、2点目の18歳の高校生にどのような力をつけるのかという観点で、今の御答弁では、基本的人権を中心として、参政権、積極的な参政権について指導していくということでございました。それはそのことで、私、異存はないんですけど、一方、そうしますと参政権、選挙に深くかかわって学びなさいということは、ある意味、またさまざまな選挙活動も可能になるということになってきますよね。選挙権のない生徒はだめですよ。選挙権が生じた、投票ができるという子たちは、逆に言うと、それを積極的にしなさいということは、一方では積極的に政治活動にもかかわっていくということになるわけですね。その辺の指導について私は心配しておりますので、その辺について、もう一度お願いしたいというふうに思います。  3点目の民法と少年法の年齢が二十歳のままで18歳の高校生の選挙権が行使されるということについての、これもまた1つの大きな、私、学校での課題だというふうに思うんです。私もかつて高校で生徒指導をしておりましたときに、16歳のバイクの免許取得、取得してもいいのは16歳ですけれども、これは全国高P連のほうの自主規制を受けて、学校でそれを指導してきていたわけでございます。しかし、今では神奈川県を初め幾つかの県でそれを外しまして、法律で認められている16歳になったらバイクの免許は取ってもいいんだということで指導されているところもございます。そういう物すごく薄氷を踏むような中で、子供たちの命を守るためにバイクの規制もしているということですね。  今回は、民法には例えば飲酒や喫煙などは当然二十歳以上ということに決まっておりますので、それはいいんですけど、一方、選挙権が18歳になり、国民としての自覚を持てと言いながら、ここが二十歳以上、飲酒の制限があるということは、これは子供たちにとっても大きなジレンマなんですね。それを指導するのはなかなか難しい。一方では大人やない言うときながら、それはあかんのかいというふうな、理屈には合いませんよ。現在のこの法令の中では守っていかなければならないんですけども、実際の教育現場ではなかなか難しい。いろんな理屈も言っていかなければいけない、親御さんたちにも説明しなければならないということが出てくると思います。その点についてお願いをしたいというふうに思います。  それから、4点目の学校での主権者教育の推進に関連してでございますけれども、今も言いましたように、中学校社会科の公民的な分野、それから高校での現代社会や政治・経済などで教えていくということですけれども、これ、例えば来年選挙した、ある学校でたくさん芋づる式に違反者が出てきた、どうなっているんだといったときに、その指導をした、教育をしたのは誰や、いや、社会の先生に頼んどいたでということは、これ、その先生に責任を持っていくようなことになりはしないかということを心配しているわけなんです。  やはり主権者教育は社会全体、あるいはそれにかわってやる学校が責任を持ってやっていかなければならないわけで、そういう意味では、文科省から配られるこの副教材を、どのような場所で、場面で、どのような者がどのようにして教えるかというのは、これまた違反などの問題が起こってきたときに重要な問題となるわけです。教育長は、これ、教育、特に主権者教育は担当教科の教員の責任だというふうにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。  以上です。 ○議長(西村久子) 冨波議員にお願いします。再質問に際しては、答弁者を最初に御指名いただくようにお願いしたいと思います。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)失礼いたしました。以上、全て教育長にお伺いします。 ◎教育長(河原恵) 私のほうに、ただいま、再質問3点をいただきました。  最初に、高校生が選挙運動等をするということも含めながら、この指導についてどのようにするかということを質問いただきましたので、お答えをさせていただきたいと思います。  今回、18歳以上に参政権が与えられ投票することができるようになりました。当然このことにつきましては、高校生が主体的に政治や国の進む方向について国民の意思を表明するということで、このことで高校生自身が大変大きく成長することとなるものだというぐあいに考えております。  特に、あわせまして、そういう権利を与えられるということだけではなくて、責任が伴うということがありますので、選挙運動等についての指導につきましてはしっかりと進めていくこととともに、生徒自身がそのことも含め主体的にみずから判断し行動できるよう、そういう力を指導していきたいと考えております。  次に、18歳高校生の選挙権が行使されるということで、それぞれいろんな形で選挙違反等起こるのではないかという、そういうことに対しての対応、どのように指導するかということでございます。  これにつきましても、今ほど申し上げましたように、参政権の権利を行使することは、それに見合う責任を果たすということ、そしてその責任を自覚させるということが大変重要であります。高校生の中で、先ほども申し上げました副読本等の中にもそういうワークシートがあるというぐあいに聞いておりますし、そのあたりをしっかりと使いながら対応できるよう、そういう力がつけられるよう指導してまいりたいと考えているところでございます。  最後の3点目でございます、社会科や公民科の担当者だけの責任になるのかという御質問でございますけども、教育基本法の第1条、教育の目的のところには、国家および社会の形成者としての必要な資質を備えた心身ともに健康な国民を育成するというのが教育の最大目標でございます。そして、これは公民科や社会科の教員だけではなくて、全ての教員が教育の目標として掲げなければならない事柄でございます。  そして、先ほど申し上げましたように、この指導は社会科の中だけではなくて、ロングホームルームや総合的な学習の時間など、あらゆる機会を通して、教員全体で指導していくべきものであろうかと思っております。もちろん公民科中心になることもあろうかと思いますが、そういう意味では、教員が全体で指導するという責任があるものと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  私、この質問原稿を執筆するに当たり、さまざまな観点からいろんなことを勉強させていただいたんです。最初は、18歳に下がるんだな、いいことだなと思って案外気楽に考えていたんですけども、勉強させていただきますと意外に大きな問題も含んでおりまして、特に私も学校のほうにおりましたので、これは私が今、高校の生徒指導主任をしておったり、あるいは管理職の先生だったら、これ大変な問題になるな、夜も寝られないんじゃないかなと思うぐらい大きな問題だなというふうに思うようになってまいりました。  選挙権18歳が行使されるということは、そんなに生易しい、簡単に制度だけぽんと来た、文科省のほうから副読本が来た、それを、おい、社会の先生やってくれ、そんなことではおさまらないというふうに思いました。そこで、諸外国の例を見てみますと、イギリスやドイツを中心として、やっぱり主権者教育、シチズンシップ教育というんですかね、そういうようなものがきちっと行われる土壌があって、18歳投票権が行われているんだということがよくわかってきたわけです。  今のような形で18歳投票権が行使されますと、例えば、私、家庭菜園が趣味なんですけど、土づくりも何にもせずに、ほら種をまいた、苗を植えた、そして早く芽を出せ、成長しろ、実をならせと言っているようなもので、その土壌、これは県議会の責任ではないのかもわかりませんけど、その土壌がなかなか十分に行き届いていないんじゃないかというふうな思いを強くしたところでございます。それだけに、学校教育できちっとこれをやっていくというのは、これ、今までどおりではありませんので、私、来年の7月いうことで焦ってるんです。とてもこれ喫緊な課題であり、できるだけ早く対応してもらわないといけないと思うんです。  そこで、先ほど、選挙管理委員会や警察と連携してというようなこともございましたけども、連携するのはもちろんですけども、できるだけ早く具体的に考える一つの、プロジェクトチームというんですかね、選挙管理委員会や警察等を含めたプロジェクトチーム、どういう課題があるのか、問題があるのか、いま一度掘り返してやってみると、意外にたくさん出てくると思うんです。そのようなプロジェクトをつくって取り組むんだというようなお考えについて、最後、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) 再々質問ということで、いわゆる学校現場の中でどういう体制を整えながら進めていくのかということで、先ほども申し上げましたし、今、議員のほうからもございましたように、1つは、やはり関係機関等からの御支援を仰ぎながら、しっかりと指導していかなければならないというぐあいに考えております。  ただ、今回、この選挙権、18歳以上に引き下げられたということ、これは大変重要な、子供の主体性、また政治に参画する、また国のことに対してしっかりと方向性を自分で判断をしていく大変重要なことであります。この指導、新たに入ってきていることもありまして、学校内でやはり組織的に取り組むということが非常に重要だというふうに考えております。関係する教員で組織を組み、先ほどのいわゆる選挙違反等のことも含めまして、しっかりと指導できるような体制を整えていきたいというふう考えているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  このたび、公職選挙法が改正されました、この今を捉まえまして、私たち一人一人、これは18歳、19歳の子供たちだけじゃなしに、私たちも含めて一人一人が自立した国民として選挙権を行使できるようになるため、その第一歩として、18歳、19歳に対する主権者教育、あるいは高校、中学校での主権者教育が適切に実施されるように願っております。  果たして来年の7月に間に合うんだろうかという心配をしているわけですけれども、教育委員会のほうとしましても危機感を持ち、早急に、今申しましたように選挙管理委員会や警察、その他の関係機関と連携をとっていただきまして、生徒指導の部分や人権教育の部分も含めて適切に対応されることを切に望みまして、以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、17番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、27番高木健三議員の発言を許します。 ◆27番(高木健三議員) (登壇、拍手)おはようございます。自民党議員団の高木でございます。議長の許可をいただきましたので、一般質問を行います。  私は、去る6月23日、沖縄県糸満市の摩文仁の丘平和祈念公園で、戦後70年沖縄全戦没者追悼式に、滋賀県遺族会を代表して國松元知事とともに参加をしてまいりました。気温が33度の中で約10キロをリレー行進して、その行程の中で、沖縄で史上まれに見る熾烈な地上戦が行われ、20万人余りのとうとい命が犠牲となられたと聞き及んでおり、戦争の犠牲になられた方々の安らかならんことを心から願い、平和への思いを願いながら行進をしてまいりました。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず、第1点目として、日本遺産と観光振興についてでございますけども、ことしの平成27年の4月21日、文化庁が申請した日本遺産は、東京五輪・パラリンピックを念頭に地域の魅力の発信強化を目指す新事業で、建造物や遺跡、景観など複数の要素を一つにつなぐストーリーを重視したのが特徴で、今回聞きますところ、全国から83件の応募があったということでございますが、18件が認定された中で、この29日、代表質問の日ですけども、認定書が文部大臣から交付されたというようなことでございまして、その中で、滋賀の6市が水遺産として提案、各地に伝わる文化財や伝統行事で構成し、水と人の営みが調和した文化的景観の魅力を伝えるもので、信仰にかかわるものでは、湖中に大鳥居が建つ白髭神社、琵琶湖を望む延暦寺、また生活にかかわるものでは、八幡堀で知られる重要文化的景観、近江八幡市の水郷や高島市の針江、霜降の水辺景観や文化財のほかにも、人が暮らす国内唯一の淡水湖の沖島や、また、ふなずしの食文化も加えられています。日本遺産となれば世界の発信力が強まると思う中で、次の7点についてお尋ねをいたします。  まず1点目として、今回設定を受けた18カ所の日本遺産の中に、滋賀県の琵琶湖とその水辺景観、祈りと暮らしの水遺産が選ばれたが、どういったところが評価されたと分析をしておられるのか。  また、2点目として、この認定を受けて、本年度から事業を推進していくことになるんですけども、事業実施主体はどうなるのか。  3点目、今回の申請は滋賀県と大津市、彦根市、近江八幡市、高島市、東近江市、米原市の6市となっております。各市との緊密な連携が不可欠でありますが、特に連携を密にするための工夫を何か考えておられるのか。  4点目、訪日外国人への多言語対応やおもてなしについては、どのように取り組もうとしておられるのか。  5点目、構成要素の中には琵琶湖の伝統漁法やふなずしがありますが、これをどういう形でPRし観光に生かしていかれるのか。  6点目、こうした取り組みは決して単年度で終わることなく、継続して取り組むことが大切でありますが、来年度以降の見通しはどうなのでしょうか。  最後、7点目でございますが、これは個々の課題かもしれませんが、認定された八幡堀は景観としてすばらしいものでありますが、堀水の流れがないためヘドロが堆積し、この点は市民の力ではいかんともしがたいので、一級河川であります流れを取り戻していただきたいと考えておりますけども、いかがでしょうか、見解をお聞きいたします。 ○議長(西村久子) 27番高木健三議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)高木議員、どうぞよろしくお願いいたします。  日本遺産と観光振興について、7点御質問をいただきました。  まず、日本遺産の認定でございますが、高木議員初め御尽力、御指導いただきました皆様方に心から感謝を申し上げたいと存じます。18件の第1次認定の1件に指定をいただきました。  その認定はどのようなところが評価されたのかということについてでございますが、文化庁が示しました認定基準では、ほかの地域では見られない希少性でありますとか、地域特有の文化としての地域性などが挙げられていたところでございます。本県といたしましては、唯一の存在であり、豊富な歴史資産の源でもある琵琶湖をストーリーの中核に据えて、日々の暮らしにより育まれてきた文化を取り上げたいと考えたところでございます。  文化庁からは、琵琶湖を中心に連綿と営まれてきた人々の暮らしでありますとか祈りの姿が今もなお息づいていること、また、それをあらわしますタイトルが非常にわかりやすいこと、さらには、認定後の事業計画や実施体制等についても高い評価をいただいたと聞いているところでございます。  2点目の事業実施主体につきましては、日本遺産の事業実施に当たりましては、観光や文化財にかかわる地方公共団体や関係団体などで構成いたします協議会を設立いたしまして、この協議会が国等の支援を受けて取り組むこととされているところです。  本県では、県、関係6市、びわこビジターズビューローおよび県文化財保護協会からなります、仮称でありますけれども、日本遺産水の文化ツーリズム推進協議会の設立に向けて調整をさせていただいておりまして、今月中にも協議会を立ち上げ、事業を展開してまいりたいと考えております。  3点目に、今回含まれました6市との連携についてでございますが、関係6市とは申請に向けました準備の段階から緊密に連携をいたしまして、提案も県と6市が連名で提出することを通じて認定に至ったものでございます。  事業の展開に当たりましては、日本遺産として統一的なストーリー性を打ち出していくこととあわせまして、それぞれの地域での受け入れ態勢の整備や多様な関係者間の調整が重要でありますことから、各市域に市や関係団体、事業者からなります地域協議会を設置していただくこととなっております。  先ほど申し上げました(仮称)日本遺産水の文化ツーリズム推進協議会に、観光まちづくりの専門家をコーディネーターやアドバイザーとして配置をいたしまして、各地域協議会へ派遣いたしましてワークショップを開催するなど、緊密な連携のもとで進めてまいりたいと考えております。  4点目に、多言語対応やおもてなしについてでございます。  多言語対応といたしましては、中国、台湾、韓国から本県を訪れていただく外国人観光客が多いことから、ウエブサイトやパンフレットを、まず英語、中国語、これは繁体字と簡体字両方でつくる、また韓国語、この3語で作成をしたいと考えています。  おもてなしに関しましては、現地での案内板や解説看板を多言語対応のものも含めまして整備いたしますほか、ワークショップの開催などにより、地域での案内ガイドの養成にも取り組んでまいりたいと思います。  5点目に、伝統漁法やふなずしをどのように生かしていくのかということでございますが、ヤナやオイサデ、エリといった琵琶湖の伝統漁法や、この湖の幸を生かしました食文化は、まさに琵琶湖にまつわる水の文化であります。例えば、沖島には琵琶湖とともに漁業をなりわいとする人々の暮らしや、ふなずしを初めとする湖魚を中心とした食文化が色濃く残っているところでございます。そうした魅力をウエブサイトやパンフレットなどで発信いたしますほか、モニターツアーの中でも琵琶湖の伝統漁法や食を取り入れるなどいたしまして、その魅力を伝えてまいりたいと考えています。  また、湖魚や湖魚料理をブランド化いたします「琵琶湖八珍」ブランド化事業と連動させまして、来訪客のおもてなし体制をつくり、琵琶湖の食文化を楽しんでいただくことを通じまして、水産振興や地域のにぎわいに結びつけてまいりたいと考えております。  6点目、来年度以降の見通しについてでございますが、県といたしましては、今後3カ年でプロモーションや受け入れ態勢整備などに集中的に取り組むこととしておりまして、国に対しましては継続的な支援について、これは文化庁、文部科学省を初め関係箇所に提案をしているところでございます。3年目には、日本遺産をめぐり楽しんでいただくパビリオンのない博覧会であります「水の文化ぐるっと博」といった形にまで磨き上げてまいりたいと考えております。  7点目に、八幡堀に流れを取り戻すことについてでございます。  昭和48年度から、ヘドロのしゅんせつや景観に配慮した護岸整備、浄化用水の導水などを実施してまいったところです。現在におきましても常時、水中ポンプの稼働により浄化用水を導水し、緩やかな流れを創出しております。こうした取り組みにより八幡堀の良好な水辺景観が形成され、多くの観光客が訪れるなど、観光振興にも大きく貢献しているところです。  日本遺産にも指定されました。ますます八幡堀の水辺の重要性が評価される中、今後は、市民の力ではいかんともしがたいと議員は表現されましたが、いや、そんなことはない、市民のお力も十分御協力いただいて、また、ヘドロの堆積状況を調査するなど、引き続き良好な環境の保全に努めてまいりたいと考えております。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)ありがとうございました。  八幡堀につきましては今言われたのでありがたいんですけども、本当に年間約300万人ぐらいが来られて、リピーターの方も非常に多いんですけども、ヘドロといいますと、あそこは運河みたいなところで琵琶湖との水位との絡みがございまして、今、ポンプアップされていますけども、こんなぐらいの高さですから、なかなか能力は弱いんですわ。そういう中では、やはりヘドロのしゅんせつをしていかないとなかなか流れが戻せないんですけども、これは一級河川の中でなかなか急にはできないと思いますが、ある程度時間をかけた中でやっていただきたいなという思いを持っておりまして、その辺はお願いというようなことでさせていただきたいと思っています。(「言わなあかん」)いや、それはそれで要望ですので。  それでは、次に2点目として、農業農村整備事業についてお伺いしたいと思います。  本県の農業基盤の整備は、昭和47年から平成8年まで実施された琵琶湖総合開発事業により集中的に整備が進みました。これらの施設が整備されることにより農業用水が安定的に確保され、機械化による農作業の効率化、農地の集積などが飛躍的に進みました。しかし、近年、これらの施設が更新時期を迎え、老朽化による故障や突発的な事故が発生しているとお聞きをしております。  県や市町、土地改良区が参画する推進協議会において、農業水利施設の長寿命化や更新に関する農業水利施設アセットマネジメント中長期計画を策定されておりますが、この計画では、従来の壊れてから直すというのではなく、施設の機能診断を行い適時適切な対策を予防的に実施することにより、20%のコスト削減が見込まれるということでございます。  こうした対策について、計画的に実施していくことが必要だということで、今年度県当初予算を計上されていると思いますが、今の国の予算割り当ての状況では、とてもそれもままならないものではないかと考えております。こうした状況を克服するためには、非常に難しいことではありますが、対策コストの縮減とあわせて、必要な予算の確保が大変重要であると思っております。  しかしながら、さきの環境・農水常任委員会では、平成27年度の農業農村整備に係る公共事業予算の現状について説明がありました。非常に厳しい状況であります。平成27年度予算に対する充足率は約63%ということでございます。また、本県では、市町や土地改良区が県を通さずに国から直接補助を受けている農業基盤整備促進事業についても、約3分の1しか予算がついていないということでございます。そこで、知事にお伺いします。  まず、県は国に対してどのような考え方で予算要求を行ってきたのかについてお伺いします。  また、なぜこのような厳しい状況になったのか、原因は何なのか、県が把握されていることについてあわせてお答えください。  先般、土地改良区からの要望をお聞きする機会がありました。土地改良区の皆さんからは、今年度予定していた事業に予算がついてこない、地元にどのように説明したらよいのかわからない、混乱していると切実なお話を伺いました。県は、国の予算割り当てが少ないと判明した後、どのような対応を行ってきたのか、お伺いします。  また、さらに、国の予算状況は依然として厳しいと思いますが、内示が少なかったので何もしていないでは済まされません。今後、県として国の予算をどのようにして確保していくのか。29日の代表質問の折、「滋賀ならの農業は、農業水利施設などの生産基盤を良好な状態で維持保全していくことも重要であると考えております」と答弁されておられますが、県予算の確保についての考え方とあわせてお聞かせいただきたいと思います。  次に、個々の問題かもしれませんが、農業水利施設の老朽化対策に関連してお聞きします。  現在、近江八幡市常楽寺地先の農道がびわこ揚水土地改良区が管理する用水管の破損事故に伴い、平成19年度から通行どめとなっています。この道路は約2キロで、地域にとっては生活道路としても重要であり、混雑する県道のバイパスとしての利用もあり、交通開放を待ち望む住民も多く、私もそのような声をよく聞いております。  そこで、知事にお伺いします。この道路を通行どめにしている理由についてお伺いします。  また、この道路の通行規制は平成19年からですが、通行どめの予定期間が当初予定から何度か延長されております。なぜこのような長期間にわたっているのか、お聞きします。  以上です。 ◎知事(三日月大造) 農業農村整備事業について、6点御質問いただきました。  まず、1点目の国に対する予算要求の考え方についてでございますが、国の農業農村整備事業関係予算は、農業の競争力強化、国土強靱化を重点事項として、1、農地の大区画化、汎用化のための基盤整備、2、老朽化した農業水利施設の長寿命化・耐震化対策、3、農山漁村の防災・減災を推進するため、平成26年度比124%を概算要求されました。  こうした国の概算要求の考え方と整合を図りつつ、本県の重要課題や地域のニーズに応えるため、県といたしましては、1、水田農業を支える農業水利施設のアセットマネジメント、2、県民生活の安全安心を確保する農村地域の防災・減災対策を進めるよう、県予算ベースで対26年度比110.1%の増額予算を要求させていただいたところでございます。  2点目、しかるにこの厳しい状況になった原因についてでございますが、1つ目、国の農業農村整備事業予算については、対26年度比124%の概算要求をされたんですけれども、最終的には予算が104.8%にとどまったこと、2つ目、昨年度までは補正予算が一定確保されて、当初予算と合わせて地域のニーズにおおむね応えることができたんですけれども、26年度の補正予算は非常に少なかったということ、3点目は、全国からの要望額が増加し、国として全ての要望に応え切れない事態になってしまったことなどが、国からの情報等から考えられます。  また、国から市町等へ直接補助されております農業基盤整備促進事業につきましても、担い手への農地集積を図るための区画拡大でありますとか、暗渠排水工事等のニーズがふえ、要望額が26年度割当額の約3倍に及んだことから、全国的に多くの要望もあり、結果として、本県市町等にとっては厳しい状況になったものと推察いたしております。  3点目、そういう中で県の対応についてでございます。  国の予算割り当てが少なかったことは、農業水利施設の老朽化対策や農村地域の防災・減災対策が喫緊の課題となっている本県にとって、非常に厳しい状況であると認識いたしております。  先般、国に対して行いました政策提案におきましては、私も、農業農村整備事業の補正予算や全体予算枠の拡大について、補正予算をつけていただくことと全体予算枠を拡大していただくことについて、しっかりと要請をさせていただいたところでございます。
     また、担当部長を初め担当課長からも、農林水産省や県選出の国会議員の皆さんに対し、予算の確保を積極的に要望させていただいているところです。  さらに、厳しい割り当てとなりました農業基盤整備促進事業については、農地中間管理事業と連携することで同様の整備が実施可能であります農地耕作条件改善事業を活用することといたしております。この事業は年度途中からの採択が可能であることから、7月採択に向けまして、県内4地区について国や関係団体と現在調整を重ねているところでございます。  4点目に、今後、国の予算をどのように確保していくのかということについてでございます。  まずは、今回割り当てられた、厳しい状況ですけれども割り当てられた予算を早期に執行いたしまして、追加予算や補正予算があれば直ちに執行できるよう準備を整えてまいります。  その上で、農業の競争力強化や国土強靱化を推進するため、補正予算の獲得や国の農業農村整備事業予算全体をふやしていただき、その中で県として必要な予算が確保できるよう、国に対してしっかり訴えてまいりたいと考えております。  また、今日まで築かれてまいりました農業水利施設などの生産基盤が将来にわたって健全であり続けることは、本県の基幹産業である農業にとって重要不可欠であると考えております。そのため、国の予算確保とあわせて、県予算についても、限られた予算の中でありますけれども、議会の御理解もいただいて、必要な予算について確保できるよう努めてまいりたいと考えております。  5つ目、近江八幡市常楽寺地先の農道の通行どめについて、その理由についてでございます。  御質問の農道には、びわこ揚水土地改良区が管理していただいております直径1メートル20センチの用水管が埋設されております。この用水管は、県営かんがい排水事業により、昭和58年度から昭和60年度にかけて造成されたものでございます。用水管の老朽化に加えまして、想定以上の一般交通の通行があったことから、管のたわみや沈下などを引き起こし、漏水事故が発生したと考えられます。農道の中央部に埋設されております用水管を更新するため、やむを得ず通行どめをお願いしたものでございます。  最後、この通行どめが長期にわたっている理由についてです。  1つ目、当初、更新工事区間を限定して実施する予定であったんですけれども、既設管、既に設置している管と新設管との接合部からの漏水が確認され、追加工事が必要となったことが1つ目、2つ目は、漏水事故発生以後、更新が必要な箇所を特定するべく、通行どめ区間全線にわたって用水管の機能診断調査を実施する必要があったこと、3つ目、用水管は約600ヘクタールの水田に用水供給を行う施設であり、かんがい期間中は水が流れるために工事が実施できないこと、4つ目、舗装工事は管埋設後、地盤の安定を待って施工しなければならないことなど、段階的な工事が必要であったことが主な理由でございます。  大変御迷惑をおかけいたしておりましたが、公安委員会から、ことし8月中に、来月中に信号機の整備と制限標識の設置を行うとの連絡もございますので、整備確認後、交通開放する予定で現在準備中であると土地改良区から伺っております。しっかりと整えてまいりたいと存じます。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)どうもありがとうございました。再問を知事にさせていただきたいと思っております。  1つは、今、国の補正予算も本当に頑張っていただいているんですけれども、見込みがあるんかどうか。今、答えをいただいていますけども、もう一つはっきりしないところもありまして、その辺の、特に3分の1を直接いただいているところにつきましては、大中あたりは本当に困っておられる中で混乱をされておるわけでございますので、その辺の補正をしっかりと取っていただきたいと思いますけども、その辺の決意というんか、見込みをお願いしたいというのと、もう1点は、安土の常楽寺の道路ですけど、この幅は県道と同じような幅がございまして本当にすばらしい道路でございまして、そういう中でお金と時間を要するのは当然わかるわけでございますけども、しばらくの間辛抱するのは当たり前ですけども、そういう中で、やはり8年間もとめたというのは、表示が最初23年とか25年とか、もうできますよ、もうできますよという大きな看板を立てた中で、市民の方々は、ああもう通れるんやなという思いの中で、またあかんのやというようなことで再三繰り返されているわけですけども、その辺の中で、行政の指導力、一体どうなっているんかなというような思いを持っていまして、なぜ集中的にできないかというようなことで、その辺、もう一度、知事の見解を求めたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 2点御質問いただきました。  この農業農村整備事業、非常に厳しい予算の状況になっております。先ほども答弁させていただいたように、その厳しい状況の中での措置いただいた予算をやっぱりしっかりと執行して、私どもは先般も国に対して補正予算の必要性についてお願いをさせていただきましたので、その補正予算をつけていただくべく、さらに要望要請を重ねるとともに、その情報が得られ次第といいますか、得に行って、しっかりと措置していただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。また御協力を賜れればと存じます。  また、この農道で、今も御指摘いただいたように、もうこれぐらいにできると言いながら、それがずるずる延びてしまっている現状、これは大変申しわけないことだと思います。私もこの御質問通告いただいてこの間の経過を調べましたところ、先ほど答弁させていただいたように、非常に長い管を調べたり、また、たくさんのところに多くの水を供給しているがゆえに、そのかんがい期間中の工事ができなかったり等々の難しいことがあったということがわかり、今般の事態に至っているということでございます。  間もなく開通をするべく今準備をさせていただいているところでありますが、県内各地に同様のこういった問題が発生することも想定されますので、今回の事態を受けて、しっかりと今後に生かしてまいるべく、関係部局と教訓とさせていただきたいと存じます。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)今、知事から答弁いただきました。確かに最初に設計が私甘かったんじゃないかなと思っていますけども、そういう中で8年間とまった中で、これからも8月ぐらいには信号がついた中で通行というようなことを聞いておりますので、頑張っていただきたいと思っております。  それでは、3点目といたしまして、次に、河川改修整備に関しての質問をさせていただきたいと思います。  県民の皆さんの声としては、安全、安心の滋賀県を築くため、社会資本整備の充実を望む声が圧倒的多数を占めているのが現状でございます。その一つに、県民の命と財産を守るための河川の改修整備があります。  豪雨時に氾濫の危険性の大きな日野川改修の早期完成については、地域住民の長年の懸案事項でもございます。竜王地域では、蛇行部分が多い上、川幅が狭く、川床が極端に高い典型的な天井川となっております。平成25年9月の台風18号では、堤防裏側方面の崩壊など、付近住民を不安に陥れたところであります。  平成27年度において、竜王町弓削と近江八幡市の倉橋部においては堤防の補強工事が行われると聞いておりますが、現在、日野川改修につきましては、大畑橋から竜王町西横関地先の善光寺川合流地点までの約7.4キロの整備が計画をされております。そこで、まず、現在の進捗状況をお尋ねいたします。  また、河川の掘削、拡幅に当たっては、今、古川橋から上流の区間には桐原橋とかJRの橋、また新幹線の橋が存在し、これらの橋の対策が大きな課題であり、対応の仕方によっては工事の進捗を妨げる事態になることが予想されますが、この点についていかが考えておられるのか、お尋ねします。  また、竜王町までの改修を急ぐため、国の直轄化の進展についてもお聞きいたします。  次に、日野川以外にも東近江圏域には蛇砂川、白鳥川、八幡川、黒橋川、山本川など整備を必要とする河川が数多くあります。再三の要望活動を行ってはいるものの、ごく一部わずかな進捗が見られる程度であり、流域治水条例が成立した中で、遅々として進まないことに首をかしげる次第であります。  近年の大雨で毎年、JRより南北において床下浸水が発生している三明川ですけども、昨年10月に地元自治会の皆さんと県庁を訪れ要望活動を行ったところです。流域治水条例の制定に当たり河川整備5カ年計画が策定されましたが、こうした状況において、特に三明川を含め、東近江圏域の現在の河川整備状況をお尋ねいたします。  次に、河川愛護活動についてでありますが、長い距離を有する日野川堤防沿いの各自治会の皆さん、善光寺川約4.7キロを守る竜王町の清流会の皆さんの活動に敬意を表しますとともに、深く感謝申し上げるものでございます。  特に、河川愛護活動に伴って使用される機械類の補助申請に対して、県の手厚い対応を望むものですが、住民の河川愛護活動に対する県の支援策についてお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 河川改修整備について5問いただきました。  1点目の日野川の河川改修の進捗状況でございますが、日野川、大変難しい河川でございます。おかげさまで、これは先人の皆様初め関係者の皆様方のおかげさまで、広域河川改修事業によりまして県内でも特に重点的に整備を行っておりまして、現在、古川橋の下流400メートル付近の約5.1キロメートル区間まで改修を進めているところでございます。  2点目、今後、対策が必要となる橋梁についてでございます。  今、御指摘いただいたとおり、桐原橋、JR橋、新幹線橋につきましては、管理者との協議、調整にも時間を要しますとともに、短期間に多大な事業費が必要となってまいりますことから、事業進捗を図る上で大きな課題であると認識しております。  そうした中で、3点目、日野川の直轄化についてでございます。  平成25年度の国の権限移譲の調査以降、繰り返し直轄化の要望を行っております。今年度も先般6月18日に政府提案を実施いたしまして、また、事務レベルでも国に対しまして具体に直轄事業の必要性について説明を行っております。  現在、国では地方への権限移譲を先行して実施すると伺っております。このため、国の動向を注視しつつ、今後も引き続き状況をしっかり説明するなど、機会あるごとに国に対して要望してまいりたいと思います。  4点目に、東近江圏域の河川整備5カ年計画の進捗状況について御質問いただきました。  当該計画では、平成26年度から30年度までに、蛇砂川、八日市新川、三明川などの改修を実施することといたしております。  進捗の状況ですが、蛇砂川は現在、国道8号より約260メートル上流の市道橋の整備を進めております。八日市新川は、今年度内に国道421号までの約2.4キロメートルの暫定通水を目指して事業を進めております。三明川は、平成23年度から平成26年度の4カ年で、国道8号の横過部の改修が完了したところでございます。東近江圏域全体の河川整備5カ年計画の進捗は、計画区間4.8キロメートルのうち約1.1キロメートル、初年度として約23%を完了したところです。  さらに、議員御指摘のとおり、三明川は、一昨年の台風18号と昨年8月の集中豪雨などにより浸水が発生しておりますことから、昨年度に堆積土砂や流木の撤去を行いまして、河川の流下能力を確保したところでございます。  今後も適宜パトロールを実施いたしまして、土砂の堆積状況に注意するなど、適切な維持管理に努めてまいります。  最後、5点目に、河川愛護活動の県の支援策について御質問をいただきました。  まずは、毎年こうした河川愛護活動に10万人を超える県民の皆様が取り組んでいただいております。昨日はびわ湖の日でございましたし、先般、私も竜王町清流会のこの清掃活動に参加をさせていただきました。改めて敬意を表し、感謝申し上げたいと存じます。  御質問の河川愛護活動に伴いまして使用されます機械類の補助につきましては、従来、肩かけ式の草刈り機に加えまして、自走式の除草機械の損料やバックホウ取りつけ型草刈り機のリース料を追加させていただくなど、順次、助成の対象範囲を広げてきたところです。  また、県では河川愛護活動をサポートするため、地域活動支援事業といたしまして、川へおりるための階段の設置でありますとか、伐採していただいた竹木の処分などを実施させていただいております。  今後は、地域の皆様からの御意見を踏まえまして、必要に応じて助成対象となる機種を追加いたしますとともに、より効率的な機械施工が行われるよう、先般の清流会もそうだったんですけど、河川への搬入路が整備されれば自走式で入っていけるという、こういう整備など、地域活動支援事業のより積極的な運用に努めてまいりたいと存じます。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)どうもありがとうございました。  1点だけ知事に再問させていただきますけども、確かに河川整備というのは、八幡の川いろいろ見ていてもなかなか厳しい状況だと思っておるわけでございますけども、そういう中で、今、三明川の対策につきましては、平成23年から26年までの間、国道の付近でやられたというようなことですけども、今、三明川で洪水が起きているのは、ちょうど八幡駅から下のほうでございまして、そういう中では、あそこは市役所の横の川ですのやわ。市役所の横。今度、市役所は3年以内には新しく新築をされる予定でございます。そういう中では、ちょうど市役所と公民館のところの真ん中に川があるわけでございますね。その川も当然、3年後には大きな改修をしないことには全然だめなんですわ。  そういう中で、3年間の中でしっかりと今の三明川につきましては、上のほうじゃなくて下のほうについての対策は非常に難しいと思いますけども、いわゆる都市型の川ですので難しいけども、そういう中で何とか手を打ってもらわないと大変なことになると思いますので、今から3年間の中で計画していただきたいと私は思っていますけども、その辺の見解があればお聞きしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) お許しいただけますれば、答弁を土木交通部長に委任したいと存じます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) 三明川の下流部の改修についてでございますけれども、昨年度に緊急の対策として、下流区間の流量の低減を図るために、白鳥川への横水路分流部分付近の堆積土砂や、あるいは流木等の撤去を行ったところでございます。  今のこの浸水箇所でございますが、議員御指摘のとおり密集市街地でございまして、そういったことから、河川改修など抜本的な改修が非常に難しいところでございます。当面の対策としましては、今後も適切な維持管理により少しでも浸水被害の低減を図ってまいりたいと、このように考えております。 ◆27番(高木健三議員) 終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、27番高木健三議員の質問を終了いたします。  次に、19番木沢成人議員の発言を許します。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇、拍手)良知会の木沢でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  発言通告に従いまして、大きく2項目につきまして質問をさせていただきます。  初めに、がん対策につきまして、一問一答方式で、全て知事にお伺いをいたします。  最初の質問に入らせていただきます。  本年2月8日、「がんになっても安心して働くことができる滋賀県をめざして」と題して、平成26年度滋賀県がん対策推進イベント・がん医療フォーラムが草津市のクレアホールで開催をされました。当日、私も参加をさせていただいたところでございますが、会場ホールの定員に比して、参加者が非常に少なかったように思います。そこで、どのように参加者募集をし、働きかけをされたのか、県の取り組みにつきまして、まずお伺いをいたします。 ○議長(西村久子) 19番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)木沢議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。  大切な職員を1人、がんで失い、きょう、今この時刻に葬儀が行われております。思いをいたしながら、大切な問題、取り上げていただきましてありがとうございます。  御質問のありました平成26年度滋賀県がん対策推進イベント、このがん医療フォーラムについてでございます。私も参加いたしましたが、会場キャパに比して参加者が少なかったということは私も感じました。どのように働きかけをしたのかということについてでございますが、広く県民の皆様方に向けましては、びわ湖放送およびNHKによる開催告知、コンビニ、スーパーマーケットにチラシを備えつけ、各戸配布の情報誌によります告知記事の掲載と折り込みチラシ、医療機関など関係団体を通じたチラシの配布が行われたと承知いたしております。  とりわけ、事業所関係者に向けましては、滋賀労働局の協力により、公共職業安定所へ通知すること、労働局ホームページに掲載すること、また事業所が集まります研修会の場でチラシを配布すること、企業情報サイト「WORKしが」に掲載することなどにより、参加者の募集を行ったところでございます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今、知事のほうから職員の方に言及いただきましたので、お亡くなりになられましたその職員の方の御冥福をお祈りしたいと思います。  そういう中で、私ども、がん対策推進議員連盟を組織いたしまして、その中でがん対策を進めていこうという中で条例を制定させていただいたんですけども、その中で、第5章のがん患者およびその家族の安心を支える社会の構築という中で就労等の支援、それから事業者の措置ということで第20条、第21条を入れさせていただきました。ここががん対策の条例制定のときにも大きくみんなで議論して、健康医療福祉部だけではなかなか進めることができないそういう部分を、商工観光労働部さんもある意味縛ってしっかりやっていただくという意味で入れさせていただいたんですけども。  当日のこのフォーラム、この後触れますが、基本的には就労支援に関することがメーンだったと思うんですけれども、今、知事も答弁いただいたように、募集の段階で各機関に働きかけてはいただいたということはそのとおりだと思うんですけどもね。やはりどうしても健康医療福祉部サイドで全て仕事が進んでいるのかなと。もともとそこが担当部署なんでそれは構わないんですけれども、今回、この条例を制定し、ここに今申し上げた条項を入れたそこの意味を考えていただくと、もう少し商工観光労働部サイド、労働政策のところの部分がしっかりと出てきていただくような事前の調整なりをやっぱり進めていただきたかったなと。  当日、行ってまして、会場の中でも、来場者どういう方々が来られていますかというような問いかけもあったと思うんですけども、そのときに、事業所系の方ですとかそういう労働界の方というのは非常に少なかって、医療関係の方が多かったんですけど、内容がすごく大切な内容だっただけに、やっぱりそこの部分については、年に1回しかやらないようなイベントで、この機会をどう捉まえて有効に生かすかということが大事なので、その辺については、今後の同種の施策の取り組みを進められるときにもしっかりと進めていただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきますけれども、今申し上げたフォーラムにおきましては、国立がん研究センターの高橋都さんから、「がん患者に対する就労支援について」と題する基調講演がなされました。講演の中で高橋さんが御指摘をしていただきましたように、就労相談を受ける主治医等の医療関係者、お医者さんの側、そういう医療関係者がそもそも多種多様な患者さんの労働実態でありますとか就労の実態、労働の現場についての認識について、やはり知識、経験ともに乏しく、うまく相談に乗れないという問題が大きく指摘されていたと思います。そのような中で、いかにして患者さんの就労相談に乗れる体制をつくっていこうとされているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 滋賀県がん対策の推進に関する条例、今も議員が御指摘いただきましたが、第20条に就労等の支援が定められております。2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるというこういう時代ですので、非常に大切な私は項目であり取り組みであると存じます。  具体的には、県は、がん患者の就労相談等に努めることが明記されておりまして、患者の就労相談体制については大変重要であると。医師を初め医療従事者が就労相談を行うためには、今も御指摘いただきましたが、その労働の現場を知ることが欠かせないということから、平成26年度には、県および県がん診療連携協議会におきまして、産業医や社会保険労務士を講師といたしまして、医療従事者の資質向上を図るための研修会を2回開催いたしまして、約50人が参加をされました。  また、県では、昨年度──平成26年度に、会社と主治医が患者の病状と仕事の情報を共有することで、がん患者が円滑に働き続けられるよう、新たに働けるよう支援することを目的に、会社と主治医間の情報連絡シートを作成いたしました。今年度はこのシートを活用いたしまして、それぞれ患者の皆様方の多様な職場環境に合った支援を行っていく予定であります。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今の質問に関連してなんですけれども、これから医療従事者を目指す学生の皆さん含めて、医療関係者には医療の現場で働くということはよくよく御存じだと思うんですけども、先ほども申し上げました多種多様な働くという現場がどのようなものであるかを知るために、本来の医業ではない部分のさまざまな職種の実際の労働体験とか現場体験をするような研修も必要かと思います。産業界の協力も得ながらこのような取り組みを進めるべきと考えるところですが、このことについての御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  滋賀医科大学では、平成25年度に県が委託しましたがん患者就労実態調査をきっかけといたしまして、医学生が働く世代の患者の悩みや職場の現状を知るため、患者の就労状況の実態を学ぶカリキュラムが加えられました。  県といたしましては、大変有意義な取り組みであることから、医学生にがん患者の就労への思いや相談窓口について情報提供などを行っておりまして、今後も継続的に協力してまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今まで、がんという病気に限らずですけども、大きな疾病をしますと、抱えますと、病院に入院して、そこで長期に療養するというようなことだったと思うんです。その間は、患者もその病院というところに、ある意味ふだんの生活から離れてということの中で、その中でお医者さんと向き合う、お医者さんもその限りにおいては医療の現場の中で向き合っているだけでよかったのかもしれませんけれども、がんに限らず、病気が治る時代、それから入院等も含めて、通院ということが主になってきて、積極的にふだんの生活の場に患者さんがいるとなりますと、お医者さんに求められるものも今後ますます変わってくるのかと思います。  県では、がん対策だけではないですけれども、総合診療医の養成などもされていると思いますけど、そういう方でも同じだと思うんですよ。病気だけを診るのではなくて、患者さんの総合的な家庭の環境ですとか、そういう生活実態等、そういうことを見て初めて適切な治療行為ができるということにもなってきますので、ちょっと今までの考え方からよりシフトしていかないとという思いを県全体としても持っていただいて、医療従事者の養成は第一義的には教育機関になると思いますけれども、その辺の協力のところについては、できることをさらに進めていただきたいなと思います。  そういう中で次の質問なんですが、今、お医者さん側の問題について指摘をさせていただいたんですけれども、一方で労働者、働く人の側、就労希望者側の本来的な相談に乗るべき既設の機関や組織につきましても、今度は、こちらががんという病気について理解がまだまだ不十分であり、その理解の一層の促進が必要だということ、これも高橋先生もおっしゃっていました、当日。  先ほども知事おっしゃっていただきましたが、ハローワークですとか、それから社会保険労務士、企業団体、そしてまた労働組合など、これら事業、労働者にかかわる機関や組織に対して、どのようにがんという病気についての理解を深めていくのか、お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  新たにことし8月に、滋賀労働局や社会保険労務士会などの関係団体を含めまして、がん患者就労支援専門部会を設置することといたしております。  この部会では、がん患者の皆様の就労実態調査を踏まえた支援策の検討、また会社と主治医間の情報連絡シートの普及、効果的な研修方法などについて検討いたしまして、がんについて事業所の理解を深めていただき、円滑な受け入れが促進されるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。  また、多くの事業所が参加される研修会でありますとか、企業向け広報誌、企業情報サイトのイベント情報欄等も活用しながら、がん患者の就労に関する情報提供を行いまして、事業者の理解をさらに深めていきたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)ただいまの質問に関連してなんですけれども、大きな事業所とかそういうところは産業医さんなどもお持ちですし、先ほども言及した例えば労働者側にも組合もあったりして、今おっしゃっていただいたことなどを進めるときに進みやすいのかと思うんですが、そういう産業医さんとかを持たない事業所や、中小零細事業者およびその従業員に対するがん理解に対する取り組みについて、今答弁いただいたことに加えて、一層どう取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  今年度は、がん患者の生活と療養の両立支援に係る施策を検討するため、従業員数50人以下の小規模事業所から1,000カ所を抽出いたしまして、現在、がん患者就労実態調査を行っております。  この調査結果をもとに、がん患者の就労に関するニーズや課題を明らかにいたしまして、職場でのがんの正しい理解の普及でありますとか相談支援策を関係機関とともに検討してまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今答弁いただきました特に50人以下というような中小規模のところの事業所というのは、冒頭のがんフォーラムのああいう告知1つとっても、そういう県なりの情報、それから、今いろんなことで医療界で動いていただいている取り組みとか、基本的な情報がこのことに限らずやっぱり届きにくいという実態もございますので、そういうところの部分にやはり注力をいただくようにお願い申し上げておきます。  この項の最後の質問に入らせていただきますけれども、近年、農業と福祉、あるいは農業と医療の連携ということが特に叫ばれるようになってまいりました。がん患者の皆様の抱えるさまざまな課題や悩みの解決を考えた場合に、その課題解決に向けての農業の持つ可能性に期待をするところでございます。  既に既存の研究機関などによって、転地療法、療養する場所を変えることによって体をよくするというような療法ですとか、文字どおり、農に触れ合うということの中の園芸療法、こういったところの分野の研究も進められてきております。が、その根源的なやっぱり命とか食、それから自然というものと向き合える農業の直接的、また間接的な効果の可能性について、特に滋賀県は農業県でございますので、本県としても追求し、まさにがんになっても安心して暮らせる社会づくりを進めるべきと考えるところでございます。  患者さんのピアサポートの観点からの体験農業や体験農園、それから、自分の体調に合わせて働ける場としての、今も就労ということを取り上げてきたんですけども、その働く場としての一つの場としての就農、また県内の農業系大学あるいは高校等におけるがん患者さんの体験農業プログラム等、一方で、条例にもこれうたわさせていただいているんですが、がん教育の推進ということがございますので、今申し上げたプログラムと合わせた形の患者さんや体験者さんによるがん教育の実施等、さまざまな事業構築が本県では可能でないかと考えるところでございます。  がん対策を初めといたしまして、こうした農業と福祉、農業と医療の連携についての知事の思いをお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 御質問でございます、がん対策を初めとする農業と福祉、医療と農業の連携についてでございますが、私は使命と可能性があると、先般のソーシャルファームのシンポジウムでも表現させていただきました。現在策定を進めております新たな農業・水産業基本計画におきまして、福祉・医療分野との連携についても施策を盛り込みたいと考えております。  この中で、医農連携、医療と農業の連携、また農福連携、これ、国でも今取り組みが始まっておりますが、農福連携による高齢者の健康づくりのための農園の設置促進でありますとか、また、障害のある方、いろんな働きづらさを抱えていらっしゃる方の農業の場での就労促進、滋賀の食材の持つ機能性や健康面での効用の活用について検討しているところでございます。  農業は、今も御指摘いただいたように、多面的機能を有しております。その一つとして、自然の中で土や生き物と触れ合うことにより人々のいやしや安らぎをもたらす働き、これは保健休養機能と表現されることも多いんですが、こういうものが挙げられます。  今後、がん対策を進める方策の一つとして、議員から御提案になった取り組みを参考にさせていただき、農業分野においても、こうした取り組みに貢献できるよう連携を図ってまいります。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございました。  農業を取り巻く環境というのも1つ厳しいものがあるんですけれども、やはりいろんな可能性を探るということが重要ですし、一方で、今申し上げたがん対策初めとした医療の分野、まさに医食同源、それから「病は気から」というような言葉もございますけれども、やはりその辺の長年言われてきたところの真理というのがあるのかなと思いますので、そういう意味で、滋賀県というのは近畿の府県の中でもそういう可能性について大きなポテンシャルを秘めていると思いますので、ぜひとも取り組みをよろしくお願い申し上げます。  それでは、2項目めの質問に移らせていただきます。
     次に、滋賀県平和祈念館に係る諸課題につきまして、同じく一問一答方式で、全て知事にお伺いをいたします。  まず初めに、戦後70周年を迎える本年でございますが、70周年を迎えまして、現三日月知事、まさに私と同世代で、若い世代の知事ということでございますが、そういう若い世代の知事という立場での戦争と平和の思いについて、まずお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 去る6月7日、沖縄県糸満市摩文仁の丘にあります近江の塔において開催されました沖縄戦没者追悼式に参列をさせていただきました。沖縄本島初め近海で亡くなられた多くの方々に思いをいたしますとともに、不戦の誓いと平和ヘの思いを、私自身、胸に刻んで帰ったところでございます。  私自身も戦争を体験しておりません。私の親も戦争を知らない世代であります。そういう世代の者がこういう職をいただく、そういう時代に入ってまいりました。そういう世代が国全体でも8割を占めます今、悲惨な戦禍を二度と繰り返さないために、その記憶を風化させることなく私たちも学び、そして次の世代に伝えていく、こういう取り組みが私は極めて重要であると考えておりまして、私自身の使命と捉えて、大事にしていきたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)私は祖父が昭和19年にフィリピン方面で戦死をしております。なので、父は遺児という立場なんですけれども、昔から旧の蒲生町に住まいをさせていただいていますので、集落の中にも、それこそ小さいころには周りの年配の方々から多数そういう戦争の体験を実際に聞くこともございましたし、地域的に、後ほど触れますけれども、旧の八日市にも近いということもございましたので、昭和20年あたりの体験談というのをずっと聞かされて育ちました。そういう私なんかも最後の世代なのかなというふうに思っていまして、そういう思いの中で質問をさせていただくんですけれども、本年3月、滋賀県平和祈念館が開館3周年を迎えることとなりました。この3年間における同祈念館の果たした具体的な成果につきまして、館の利用状況にも触れながらお答えをお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  まず、この設置に当たりましては、関係者の皆さんの多くの御努力、お思いのおかげさまでございます。この設置に、またその後の運営に御尽力いただいている方に、私は感謝を申し上げたいと存じます。  その開館以来、平成27年3月末までの3年余りの間に8万7,000人以上の来館者があり、学校、地域などへの出前授業、出前講座等を加えますと10万9,000人近い利用者がありました。  平和祈念館では、企画展示のほかにも、子供向けのピースメッセージコンクール、大人向けの平和学習講座、戦争体験者のお話を聞く会など、普及啓発活動なども行っていただいております。こうした事業を通じまして、県民の皆様方が受けられた戦争の体験、その悲惨さや平和のとうとさを語り継ぎ学ぶことで、平和を願う豊かな心の醸成に一定多大な貢献をしてきたと捉えております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今、3年間で8万7,000余りの来館者があったというふうに答弁いただきましたけれども、単年度で見ると、初年度の4万1,000人弱から、25年度が2万6,000人、それから26年度が1万9,000人強と、やっぱり年々ちょっと減ってきているというような状況もございます。出前授業はそこそこ増加といいますか、一定の数をどんどんふやしていただいているというところがあるんですけれども、実態として、今、そういう3カ年状態があるということでございます。  そういう中で、祈念館の開設に当たりましては多くの県民の方から戦争に関する資料を提出いただきまして、県として収集も進めてきたところでございます。資料を提出された県民の皆様はこれらの資料の十分な活用を願っておられるところですが、収集品の活用につきまして、県としての基本的な考え方をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えをいたします。  県では、平成5年から県民の戦争体験とそれにまつわる資料の収集活動を始めまして、現在では1,800人以上の方の体験談をお聞きいたしますとともに、寄贈していただく資料も3万点以上がございまして、現在、平和祈念館に保管をされております。  この平和祈念館では、毎年3回から4回の企画展示を行わせていただいておりますが、展示で用いる資料はほとんどこうした寄贈資料によるものでございます。こうした資料につきましては、今後とも企画展示などに活用させていただきながら、大切に保管をいたしまして、次の世代に引き継いでまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)収集されております資料の中でも、平成17年に県民の方から寄贈をされました旧日本軍の実物の戦闘機につきましては、現在、一般展示をされることもなく、分割された状態で東近江市所有の施設に文字どおりお蔵入りをしている状態でございます。(資料掲示)ちょっとパネルで状況を示させていただきますけれども、今申し上げた東近江市所有の施設でございまして、非常に老朽化しているんですけれども、その中に分割された状態で飛行機が収蔵されているという状態になっております。  東近江市さんといたしましても、今保管している倉庫、老朽化もしている中で、その辺の対応をどうするかということが上がっているんですが、今申し上げたこの飛行機につきましては、東近江市に、後ほど触れますけれども、現存するこういう飛行機を当時入れていた掩体ごうがあるんですけれども、その掩体ごう自体は持ってこられないとしても、そういう何らかの掩体ごうのレプリカの作製とともに、ぜひ平和祈念館のところに展示してほしいとの要望が、寄贈者を含めました戦没者遺族の皆様から、あるいは同館を今支えていただいている数多くのボランティアスタッフの皆様からも出ているところなのですが、このことについての御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  御指摘の戦闘機の展示の問題でございますが、この戦闘機、資料価値について正確な情報が得られていない中で、展示に向けた鑑定評価に多額の費用を要することでございますとか、その展示の経費、展示場所の課題等もございまして、現在の平和祈念館の運営の中では展示を見送ってきたものでございます。  今後、私たち県民にとって大切な平和祈念館の運営に係る基本方針を考える中で、当該資料の活用等、慎重に検討してまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)(資料掲示)これ、今の戦闘機なんですが、ちょうど10年前の平成17年の8月13日に県への贈呈式が行われているんですが、10年前、そのことを報道した新聞の記事の中に、まずは新聞記事のタイトル、リードが「戦争の惨禍を実際に見て」というタイトルになっているんですけれども、その中で、「平和祈念館を担当している県健康福祉政策課は、戦争の惨禍を目に見える形で伝えることのできる貴重な資料としている」という記載もあるんです。  そういう中で、もう既に活用をどうするかということとか今の評価も含めての中で10年が経過してしまっているんですね。この問題というのは、やはり時間とのいろんな意味で戦いであるということがさまざまあるわけなんですよ。戦後70周年迎える中で、先ほど来出ている記憶、記録の保存ということになりますと。  今申し上げた、片方で東近江市の市としての保管をするに当たっても、もうそろそろ本当に結論を出してもらわないといけないという声も出ている中で、展示しないならしないで、どこかにまた保管していくということを考えないといけませんし、せっかく寄贈していただいているものをどうするかということがありますので、慎重にというのはわかるんですけども、やはり早急に何らかの方向性だけは出していただかないといけないと思いますね。その辺について、もう一度、知事の御決意についてお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) この御質問をいただいて、私自身も改めてこの間の経過を調べ、そして関係部局とも協議をさせていただきました。  それで、県の平和祈念館で行う展示は、その展示内容等の説明もそうですし、やはり発するメッセージ等々、そういうものをしっかりと整理をして、県民の皆様方にも来館者にもお伝えするということがあろうかと思います。  当時、その報道がどういう発表によって記載されたものかというのは存じ上げませんが、また、この寄贈と戦闘機そのものに思いを抱いていただいている関係者の皆様方には、この10年というのは大変申しわけなくも思うんですけれども、少し先ほど申し上げたように慎重に検討させていただきたいというのが今の現状でございます。そのものの持つ価値や、そのものを展示することの意味等々も含めて、検討してまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今の戦闘機のこととあわせまして、平和祈念館に慰霊のための何かしらのシンボルを設置いただきたいというような要望も戦没者遺族の皆様から上がっているところなんですが、このことについての御所見もお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 平和祈念館ですから、いろんな思いを持って来館される方がいらっしゃるんだと思います。私も伺いましたが、この平和祈念館には、戦没者遺族の方が21世紀が平和の世紀となることを願っていただきながら2000年の大みそかに集められた火と、県内の子供たちが平和の願いを込めて開館を記念して起こした火というものを集めてともされた「平和の燈火」というものが、入口右側のシンボルとして既に設置されておりまして、戦没者の遺族の皆様の思いも一定受けとめているものと認識いたしております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)知事も先ほど沖縄に行っていただいたお話をいただきましたけども、例えば広島にしてもそうなんですけども、沖縄あたりもそうなんですけど、こういう平和なり戦争に関する資料なりそういう展示をするというような施設と慰霊をするような場というものが、ある意味、一体に全部整備されていると思うんです、沖縄にしても広島あたりにしてもですね。そういうところでいくと、ある意味ワンストップで、そこに行けば行為が全部できるというようなことの中での完結性があるんですけれども、もともとやはり滋賀県の場合は、東近江のあそこにつくるというような経緯の中で、もともと膳所であったりするところの慰霊の鐘のものと場所が分かれていると。  そういうところの部分でいろいろ不都合もあるのかもしれないんですけれども、冒頭申し上げた来館者が減ってきているというような内容の中でも、やはりいろんな話を聞いていますと、ちょっと展示にしても全体の祈念館というコンセプトも含めてのところも含めて、ある意味、極端なことができない中庸をとったというような中で、どっちつかずのそういう施設になっているんじゃないかという意見もございます。  ですから、きのうも実は館のほうに行きまして、端館長が来られていたので実際お話をちょっとさせていただいたんですけども、3年間、がむしゃらにいろんなことを走ってきたんだけれども、いろんな課題があるのは理解しているということの中で、それをやっぱりきっちり今後整理していきたいということはおっしゃっていましたので、それぞれいろんな意見はあると思うんですけれども、今申し上げたことも含めて、全体の中でちょっと再考いただけたらと思います。  それに関して次の質問なんですが、滋賀県平和祈念館は、立地する東近江市内を含め、県内の戦争に関する遺跡との関連づけが弱いのではないかと思います。やってはいただいているんですけども。そもそも旧八日市、現東近江市に立地が決定された理由の一つといたしまして、旧の陸軍八日市飛行場の歴史と、その戦争遺跡を後世に伝え残していくという目的が挙げられていたかと思います。平和祈念館と県内戦争遺跡との関連づけにつきまして、ここについてはより強化をすべきと考えるところですが、このことについて知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  今、御指摘いただきました県内の戦争遺跡は、平和祈念館にとっても大変重要な資料であると認識いたしておりまして、これらを活用した事業を展開しております。具体的には、八日市飛行場の掩体ごう、また米原の蒸気機関車避難ごう、大津第九連隊関係の戦争遺跡などを対象といたしました現地学習会を毎年実施させていただいておりますとともに、館内におきましてもパネル展示を行っております。  今後とも、こうした戦争遺跡をより積極的に活用しながら、平和祈念館の事業に取り組んでまいります。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今の質問に関連してなんですが、県外の関連施設との連携、先ほど来、沖縄の話がずっと出ているわけですけれども、例えば八日市飛行場と関係のあります鹿児島県の知覧特攻平和会館や、同じく八日市飛行場、その辺の歴史と関係する調布市に立地する都立武蔵野の森公園などと、そういう連携に基づいた常設あるいは企画の展示、相互の学習プログラムの実施など、展示するものの貸借も進めながら取り組むべきと考えますが、このことに関する知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 平和祈念館では、議員も御案内のとおり、開館以来、滋賀県ゆかりの資料や体験談の収集、展示を中心に行ってまいりましたが、県外の関係施設との連携も必要だと考えております。こうした考え方に立ちまして、これまでにも東京の平和祈念展示資料館との交流展示を行い、シベリア強制抑留をテーマにした展示を開催した実績もございます。  今後とも、県外の関係施設との連携を深めまして、県民に幅広い平和学習に機会を提供できるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)平和祈念館の、今、「県民の15年戦争」企画展を実施していただいているところですけども、そこの展示の中にも、知覧から特攻機で飛び立たれた県内出身のパイロットの方のそういう資料なんかも展示されていますけれども、もともと、先ほど来、沖縄の話が出て、今、現代においてもさまざまな課題を抱えている中の、そういうことと過去の歴史なり戦争をどう考えるかというときに、やっぱり八日市の陸軍飛行場というのがございまして、そこが決して沖縄と遠い関係にあったかというと、実は飛行場では特攻隊の中継基地であったり、特攻隊員の訓練も行われていましたし、実際に今申し上げた知覧から本県出身の特攻隊員も飛び立たれてまさにされているというようなこともございます。  一方で、先ほど冒頭に来館者の数を申し上げましたけど、知覧の特攻平和会館なんか、年間やっぱり60万人から70万人が訪れられる施設なんですね。場所的にいうと非常に、知事、行かれたかどうかわからないんですけども、不便なとこですよ、なかなか、行くにしても。今は多少便利になりましたけどれも。そういうところでもそれだけのやっぱり来館者数があって、あそこも行けば、特定の自分の思想とか考えに限らず、行けば行ったで何らか返ってくる、感じてしまうという施設じゃないですか。そういうところの部分と、向こうに行けば、知覧の特攻平和会館には八日市飛行場の写真も展示されていますし、私も以前行ったときに学芸員の方としゃべりましたけど、八日市飛行場のこともよくよく御存じでした。  やはりそういうとことの連携なり、滋賀県というのが全く沖縄戦1つとってもそういう関係がないということではなくて、今、平和に暮らして、当時も比較的被害が少なかったかもしれませんが、そういう滋賀県においても、そういうところとはしっかりいろんなことでつながっていると。そういうことを、現在、子供さんも含めて教えていくということも大事なのかなと思いますので、やはりそういう関連づけ、しっかりしていただきたい。昨日、端館長ともお話ししていましたけど、そういう取り組み、本当に大事だということをまさに館長自身がおっしゃっていましたので、そのことについてはしっかりと進めていただきたいと思います。  今の申し上げていることと関連して、最後の質問なんですが、旧陸軍の八日市飛行場に近い東近江市の平林町地先、旧の蒲生町と旧の八日市市の境界ぐらいのところになるんですが、それの平林町という地先で、地元の歴史研究家の皆様によりまして、戦争遺跡としての旧陸軍の射撃演習場の実態調査に関する取り組みが進められているところでございまして、このことにつきましては、3月ごろでしたか、新聞等でも報道もされ話題となっているところでございます。  (資料掲示)ちょっとパネル掲示させていただきますけども、これ、1947年に米軍が撮った航空写真なんですが、ちょっと知事見にくいのでまた裏で見せますけど、ここに横に細長い施設が写っているんですが、これが今申し上げた射撃演習場の上空から見た写真なんですけども、こういう形でしっかりと写っている資料があるんですけれども。こういう資料がある中で、実際、これ、防衛省等の記録を見ても記録として残ってないということなんです。でも当時の戦中から地域の方々が、実際に兵隊さんが来た、そういう演習をしていたということをおっしゃっていまして、それで今回、当時を知る人らを訪ねて再度調査をされているんですが。  戦後70年を迎え、ますます当時の記憶とか記録をお持ちの方も減少していく中、また遺跡自体の風化、劣化も進んでいく中で、今申し上げた戦争遺跡も含めまして、県内の戦争遺跡の保存、活用、それからまた伝承につきまして、平和祈念館を主体として、例えば滋賀県独自の戦争遺跡・平和遺産の認定制度などつくりながら取り組みを一層進めるべきと考えますが、このことにつきまして知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 今、大事な視点で御質問、また御指摘いただきました。県内の戦争遺跡の保存、活用、伝承は大変重要な取り組みと考えます。  平和祈念館が主体となってというお言葉がございましたが、県民の皆様から提供していただく資料の収集、保管を主な活動といたしております。平和祈念館だけでは、正直、こうした取り組みには限界がありまして、文化財保護の観点からの検討など、関係者による協力連携が必要と考えております。  したがいまして、平和祈念館としては県内の戦争遺跡をより積極的に活用していくべきと考えておりまして、そのためにも、まずは県内にどういった戦争遺跡があるのかなどについて調査を行っていく必要があると考えております。  こうした調査を踏まえまして、例えば、守山には戦闘機から攻撃されて傷ついたお地蔵様がある、また、野洲地区にはオランダ兵の方が捕虜として捉えられ収容されていた場所がある、比叡山には飛行訓練で使われたものがある、また滋賀県には、各地の農村、お寺などに疎開されてきた子供たちが過ごしたそういう記録等もある、そういうこと等々調査を踏まえて、県としては、どう残し、どう活用していくのかについて、少し取り組みを検討させていただきたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)先ほど紹介しました平林の射撃場の跡地だとされるところ、(資料掲示)今、こういうコンクリートの、ここから兵士がここに潜って射撃をしていたであろうという、こういう射撃ごうというのが6カ所ほど残っています、2つはちょっと破損しているんですけれども。周囲のところ、周りのところの山を探しますと、陸軍という記載のある境界ぐいとされていた石のくいが幾つも見つかっています。  ただ、今、この平林町さんでも、ここの土地、縦200メートル、幅が70メートルぐらいの場所なんですけども、場所がいいので事業者さんが開発したいというようなことが来ていまして、そういう中で、じゃ、どうやって利活用していくのかというのが課題になっているんです。事業者さんもこういう調査の結果を受けて、残せるものは残しますというような方向で今、自治会とも話をいただいているんですけども、そういうものが、ここに限らず、恐らく県内にまだまだもしかしたらたくさんあるのかもしれない。  館長もきのうおっしゃっていましたけども、現況で祈念館で戦争関連の遺跡ということで表記をされている、展示をいただいているところにつきましても、まだまだ悉皆調査ができてませんと、これをやらなければいけないということをおっしゃっています。  今の平林町も、先ほど申し上げている八日市飛行場から近いところなんですけども、あの辺の布引丘陵一帯というもの、飛行場の関連施設も含めて、まだまだわからないものがたくさんあるんではないかということを地元の歴史の研究家さんもおっしゃっているわけなんですね。そういったものがまさに70年を迎えている中で、もう時間がなくて、これ、10年もしたら完全に風化してしまいますし、今回のことでも、地元の方が必死にここまでやらなかったら、もしかすると事業開発のときに全部なくなってしまったかもしれない。そういうこともございますので、今、検討したいということで進めたいということだったんですけど、館長もおっしゃってましたが、戦争遺跡に関しての悉皆調査などについて、来年度以降等でも結構なので、より今やっていることより具体的にさらに取り組みを進めていただくということでよろしいのか、その点だけちら確認をさせていただきます。 ◎知事(三日月大造) それはよろしくないと思います。といいますか、少しそういうことを確約せずに検討させていただきたいと存じます。  といいますのも、おっしゃったように、これまで過去の史跡や遺跡というものを今後次世代にどう残していくのかというのは、今を生きる私たちにとって大切な課題であると思います。世界的に見ても、明治の時代の産業史跡が今ようやく次世代に保存して残すべきということで認められている。そういう時代にある中、戦争にまつわる史跡等々をどう残していくのかということについては、これ、戦争にかかわられた、戦争で犠牲になられた方々のいろんなお思いもあることも重々踏まえながら、やはり慎重なる検討が要るんだと思うんです。  したがいまして、きょう御指摘いただいた大事ないろんな御提案も含めて、皆さん関係者と議論をし、検討をさせていただきたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)県でいろいろ進めていただく部分はあるんですけれど、市町さんがそれぞれで今申し上げたことなんかを、それこそ70周年なので、やっぱりしっかりやっていかないといけないと、そういう思いを持っていただいているとこもございますので、そういう部分については、しっかりと取り組みに対してまた県も後押しをいただきたいと思いますので、その点だけお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、19番木沢成人議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時6分 休憩    ────────────────   午後1時 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、9番塚本茂樹議員の発言を許します。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇、拍手)それでは、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めたいと思います。チームしが 県議団、新人議員の塚本でございます。  それでは、今回のテーマ、物流による滋賀の産業振興と地方創生について質問します。  滋賀県は、古来、東西の要衝にあり、近畿、東海、北陸の3経済圏に接する地の利と、それに伴うインフラ整備により、産業の基盤として非常に大きな役割を果たしてきました。しかしながら、近年はその恵まれた条件に安住して、地理的優位性を生かす施策が展開されていないのが現状であります。  本年3月に、滋賀経済同友会が「際立つ滋賀へ」と題した提言書をまとめられました。際立つ滋賀とは、滋賀の持つ地域資源を最大限生かして、すぐれたもの、よいものが見える滋賀県にしていこうというものでございます。  提言をまとめた5つの研究会の一つである産業基盤強化戦略研究会がまとめた「滋賀産業基盤MIRAI化戦略について」の中に、インランドデポ等、グローバルな「もの」の移動を取り込んだ物流施設の整備という提案がなされています。地域特性、地理的優位性を活用し、また、有事における物資のストックヤードとしての観点からも、滋賀に内陸ならではの国際物流拠点を整備して、より物流機能の高度化を推進していこうという提案内容です。  そこで、今回の質問テーマでもあります物流による滋賀の産業振興と地方創生について、現在、湖南市で検討されております内陸型国際総合物流ターミナル構想について、経過の説明と質問をさせていただきます。  平成21年10月に設置された国土交通省成長戦略会議において、検討課題の一つである海洋国家日本の復権の一貫として、大型化が進むコンテナ船に対応し、アジア主要国と遜色のないコスト・サービスの実現を目指すため、選択と集中に基づいた国際コンテナ戦略港湾の選定を行うとし、平成22年2月に国際コンテナ戦略港湾政策を打ち出し、その候補者の募集を行ったところ、阪神港がこれに応募しました。  平成22年8月、民の視点の港湾運営、コスト低減策、国内貨物の集荷策などの具体性、計画性、実現性など今後の伸びしろを重視する選定基準により、国際コンテナ戦略港湾として阪神港と京浜港が選定されました。その応募の際に阪神港が提出した計画書に、滋賀県湖東地域にインランドポートの設置計画が記載されていました。  平成22年10月、新聞報道によりこの情報を察知した湖南市は、国、滋賀県、港湾関係者等に対し誘致に向けたロビー活動を開始し、平成23年2月以降、国土交通省、大阪市、大阪港埠頭株式会社などと協議を実施するなど精力的な活動を展開し、平成24年11月には湖南市内陸型国際総合物流ターミナル研究会を設置し、幅広い視点からの意見、助言を求め、検討を行うこととしました。  同研究会は、立命館大学の春名名誉教授を会長とし、物流、倉庫、製造などの県内、市内の経済関係団体と滋賀県の総合政策部、商工観光労働部から参画をいただき、産官学によるメンバー構成で設立されました。  研究会では、平成25年2月の先進地事例調査を初め、平成24年11月から計6回の審議を経て答申が取りまとめられ、平成26年11月に春名会長から谷畑市長へ提出されました。  湖南市では、研究会からの答申を基本とし、平成27年──本年3月に、湖南市内陸型国際総合物流ターミナル基本計画を策定し、現在、ウエブ上にて公表しているところであります。基本計画では、物流ターミナルの整備目的や役割、整備コンセプトとビジョン、整備効果、整備計画概要などをまとめています。  また、研究会答申における委員からの提言、意見では、今後、事業化を図るに当たって、地域間競争の強化、事業化の促進、事業主体等の選定、関係機関との連携などについて、留意事項、実現に向けた努力事項などが示されており、今後においては、実現に向け計画のさらなる深化と研究が必要との答申内容となっております。  実現に向けた課題の一つに、連携パートナーの確保が必要となるため、平成27年1月には三日月知事に対し、現在、国が進めている、まち・ひと・しごと創生戦略に合致し、滋賀県の政策の方向性にも沿っている提案であることから、総合戦略として滋賀県がその中核として、国や周辺府県、港湾立地自治体、業界団体等と連携協力をしていただきたいとの要請を行い、現在策定中の(仮称)滋賀県まち・ひと・しごと創生総合戦略への位置づけと、県庁内に物流戦略、物流政策を担う担当部署の新設などを提言しました。  また、ステークホルダー──陸運、海運、倉庫、地域経済界、金融、関係行政機関などを集め、(仮称)滋賀物流懇話会といった検討組織を設置し、各主体が有機的に連携できるような地域体制づくりを主導していただきたいとの要請を行いました。  また、知事要請と、同月には、まち・ひと・しごと創生総合戦略の実現に向けた内陸型国際総合物流ターミナル整備構想の提案として、石破地方創生担当大臣および滋賀県選出国会議員9人および内閣府、国土交通省に対し、グローバル化傾向にある経済活動において欠かすことのできない海上・航空輸送に着目した内陸地における国際貨物の効果的な集配荷や、近隣港湾、空港の戦略的活用を行うための国際物流基盤整備に対し、法規制の緩和や新たな制度の創設について支援いただくよう提案をいたしました。  当整備の実現により、湖南市のみならず、滋賀県を初め、周辺府県を含む関西、中部および北陸などの広域エリアに経済活性化効果や雇用促進効果を波及させることができるものであり、地域経済の再興による地域活力の回復や人口減少の克服を目指すものであり、まさしく地方創生に合致した取り組みであると考えています。  以上、これまでの経過を踏まえて、質問をいたします。  アベノミクスによる経済対策が講じられてきましたが、円安傾向により利益が出ている分野は主に自動車業界などの輸出品製造業であり、依然として地方の中小零細企業や輸入企業などはダメージを受けた状態から回復できていない状況でございます。ものづくり県である滋賀県として、大きく変化する世界経済動向を最小限に吸収できる仕組みづくりを、ソフト、ハードの両面から実施する必要があるのではないでしょうか。  そのハード面として、国際物流に欠かすことのできない港と同等機能を有する物流拠点をインフラ整備として内陸部に設けることにより、臨港地域との地域格差を解消し、県内への企業進出を増強していくことにつながると考えます。  また、これらは人口減少抑制にもつながる、まさしく滋賀県版地方創生になり得る仕組みであると考えます。また、昨年の知事選における三日月知事の政策提案集の中に、国際物流拠点、物流網の整備が挙げられていました。  先ほど申し上げました滋賀経済同友会の産業基盤強化戦略研究会からの提言にもありますように、内陸県である滋賀県が産業振興を図る上で、内陸型国際総合物流ターミナル整備構想について、知事はどのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いします。  また、この内陸型国際総合物流ターミナル整備構想を具現化するためには、国際物流基盤整備に対し、法規制の緩和や新たな制度の創設が必要となり、到底一つの市町で事業を進めることは困難で、国および県の支援は不可欠であると考えます。例えば県の支援として、5点ばかり質問します。  1つ目、国際物流拠点の整備効果は県域に波及するものであるため、県内経済産業界や運送業界、トラック協会や倉庫協会、保税会など、また、国や近隣府県との事業協力の観点から、県の主体的な参画について。  2つ目、整備に関する法手続のスピーディー化や用地取得、造成、分譲に係る滋賀県土地開発公社等の協力について。  3つ目、整備資金の捻出のため、滋賀県版産業振興特区の指定等、県の支援制度の創設について。  4つ目、整備手法、運営手法など、整備に向けた課題の検討を関係市や関係団体等と連携して実施するために、(仮称)滋賀物流懇話会を県主導の下で創設することについて。  5つ目、物流に関しての専門部署の設置についてなど、以上5点の支援策について、知事のお考えをお伺いします。  また、今後、各市町から地域の特性を生かした地方創生の提案があると思います。提案内容によっては、各部局が横断的にかかわらなければならない内容もあることが予想されます。県の対応として、窓口を一元化する等、市町の地方創生事業をフォローする新たな窓口、担当部署を設ける必要があると考えますが、その対応について、知事はどのようにお考えでしょうか。 ○議長(西村久子) 9番塚本茂樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)塚本議員、御当選おめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  物流による滋賀の産業振興と地方創生について、大きく3問いただきました。  1点目の内陸型国際総合物流ターミナル整備構想についての考えでありますが、御指摘のように、本県は恵まれた地理的優位性を有することから、大手輸出型企業の生産拠点が多く集積し、ものづくり県として発展してきたところです。今後、これらの地域資源を最大限生かして、物流により滋賀の産業をさらに元気にしようという議員の御指摘について、私も大いに共感するところです。政策提案集にも、物流拠点、また物流網の整備について掲載をさせていただいております。  内陸型国際総合物流ターミナルは、輸送の効率化や物流コストの削減、また二酸化炭素排出量の削減、渋滞の緩和などに資するものであり、ひいては企業における輸出入製品の県内取扱量の増加や関連産業の立地など、地域の経済基盤強化にも寄与するものと考えます。  一方、本事業は、輸出入量の推移や為替変動による影響を大きく受けるものでもございます。また、県内企業の物流に対するニーズは多様でありますことから、安定的に需要があって軌道に乗せられるものであるか、現状分析を確実に行い、長期的な展望をしっかり持った上で、その有益性を判断すべきものと考えております。  2点目に、県の支援について、5点御質問をいただきました。  構想の具体化につきましては、先ほど申し上げたとおり、課題は幾つかあると考えますが、その上で推進するとした場合、私としては、民間主導で進めることが望ましいと考えております。  1つ目の県の参画につきましては、県も入り、事業者や利用者側の経済界、市町とともに連携して進めるべきものと思っております。
     2つ目の法手続のスピーディー化につきましては、これまでの企業誘致に当たりましても庁内のワンストップサービス体制をとっておりまして、市町との連携体制も設けておりますことから、この体制の中で手続がスムーズになるよう対応いたします。なお、滋賀県土地開発公社の協力につきましては、今後の事業フレームを明確にする過程で検討、判断してまいりたいと考えます。  3つ目の県の特区など支援制度の創設および4つ目の物流懇話会につきましては、先ほど来申し上げております民間主導での具体化や方向性を見出す過程で検討すべきものと考えます。  また、5つ目の物流の専門部署につきましては、他の内陸県の実情も踏まえつつ、今後の体制のあり方について研究してまいります。なお、企業誘致等にも大きく深く関連しますことから、当面は商工観光労働部を窓口といたします。  3点目に、市町の地方創生事業をフォローする窓口の設置についてお答えいたします。  地方創生の真の主役は、住民の皆さんに最も身近な市町であり、各市町において地域の状況をしっかりと分析され、それぞれの実情に応じた取り組みを講じられることが重要であると考えます。  県では、県・市町人口減少問題研究会において意見交換や情報共有を行いますほか、総務部を市町との連携調整の窓口として、現場でそれぞれの課題や実情を伺い、地域特性に応じた総合戦略が策定されるよう、助言、支援に努めているところでございます。  市町の総合戦略に基づきます提案につきましても、それぞれの課題や思いを総務部を初め関係部局においてしっかりと受けとめ、十分に連携を図りながら支援をしてまいりたいと存じます。  以上です。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇)大きな3つの質問の最初の質問でございます。知事に再質問でございます。  今の回答で、国際総合物流ターミナルの構想に関しては大いに共感するということですけれども、当然、輸出、輸入に関しては為替の動向も含めて長期的に有益性を判断していくということで、ちょっと私も緊張しててよく意味がわからないんですけれども、前向きに進めていこうとするのか、いやいや、これは民間主導でやってもらわないと、民間主導で進めて、県がするものではないというふうにもとれるんですけれども、もう一度、そこの部分をちょっと説明いただけますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 先ほど答弁させていただいたように、私は、議員が指摘をされ、また湖南市からもこの基本計画、お示しいただいているこのテーマ、非常に可能性のある、滋賀の地の利、発展の歴史にも沿ったテーマであるというふうに受けとめ、そして大いに共感もしております。  その基本計画を誰が主体となって進めていくのかということについては、いま一度、今しばらく時間をいただきながら、これは私は県がむしろ旗を振って前面に出てやるよりも、先ほど私も答え、議員からも御指摘いただいたように、長期的にそういう変動のリスクに備えてどうファイナンスするのかという視点でありますとか、世界の物流の流れの中で、日本海、中京、京阪神、どういったところにどういうモードで運ぶ、運び出す、運び入れる、そういう物流がふさわしいのか。  また、滋賀県、とりわけ湖南市にはトラックを初めとする物流会社がたくさん立地をしておりますが、そういった皆様方のさまざまな経営の可能性やリスクの問題、こういうことをむしろ民間の中で分析もしていただいて、そしてそこに市であるとか県がサポートするという、こういう体制をつくっていくことが、中長期的に見て発展するプロジェクトになるのではないかと考えておりますことから、先ほどの答弁をさせていただいた次第であります。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇)わかりました。計画書の中も見てますと、公が公設で公が経営するとかというような手法ではなくて、公設民営というのが一番ベストという。その国際物流ターミナル自体の単体での収支というと、大変それは厳しいものがあるのかなというふうに思っていますし、ただ、それを民間の主導でという部分までの、例えば懇話会にしても音頭をとって、議論を検討を始めていくということの音頭取りをやはり県がすべきかなというふうに思いますので、そこら辺含めて可能性のあることなので、国際物流ターミナルからその先の、例えば産業団地、工業団地を含めて企業誘致のことにもつながっていくと思いますので、長期的なことを含めまして、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。  それと、細かい提案につきましては同じなんですけれども、物流に関しての専門の部署の設置という部分では、当面、商工労働部の企業誘致のとこになると思うんですけど、そこでよろしいということですね。  それでは、もう再質問の最後の質問なんですけれども……。 ○議長(西村久子) おわかりいただけますか。分割質問ですので、最初に再質問していただきました。新たな課題に移ることはできません。それを引き下げて、続けて質問してください。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇)そうですか。ちょっと勘違い。となると、1回で終わりということですか、再質問は。 ○議長(西村久子) そういうことになります。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇)今のは再質問ではございません。もういいです。先ほどの、商工労働部ということで回答ありましたので。  市町の地方創生事業をフォローする新たな窓口という部分が総務部ということで先ほど回答がありました。それぞれ、これから総合戦略というものが市町から上がってきたときに、多分それは事業という形で上がってくると思うので、そこのさばきを総務部が……。 ○議長(西村久子) もう一度申し上げます。質問を継続してやられる分は再質問の再々続くわけですけれども、これは分割方式で取り上げられた質問ですので、前段にお尋ねになって、お答えがありました。それとかかわりのない話に入ることはできません。 ◆9番(塚本茂樹議員) (登壇)はい。だから、最後の総務部ということでの回答があった部分の再質問なんですけれども、それは違うということなんですか。(発言する者あり)はい、わかりました。  そしたら、さっき回答がございましたので、これで終わります。どうもありがとうございます。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、9番塚本茂樹議員の質問を終了いたします。  次に、3番竹村健議員の発言を許します。 ◆3番(竹村健議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団、竹村健でございます。大きく2点、一問一答方式にて質問させていただきます。  まず最初に、森林資源を活用した新産業の創出について質問させていただきます。  私たちの暮らす滋賀県は、四方を緑豊かな森林で囲まれており、そこでは日々、水が育まれ、豊かな実りを与えてくれるとともに、河川の流れを通じて琵琶湖に豊富な栄養分を供給してくれる、まさに命の源であります。  一方、時には牙をむき、土砂災害などで生命財産を奪う側面も持ち合わせていますが、私たち県民にとっては切っても切れない、共生していくことが宿命づけられた場所、それが山、森林ではないでしょうか。  そのような大切な場所に、今日、さまざまな課題が顕在化し、かなりの年月が経過していますが、まず、国内全般にわたる森林、林業を取り巻く環境について、琵琶湖環境部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(西村久子) 3番竹村健議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) (登壇)森林資源を活用した新産業の創出についての御質問のうち、国内全般にわたる森林、林業を取り巻く環境についてでございますけれども、国内の森林につきましては、戦後植栽されました人工林を中心に成熟期を迎えておりまして、本格的な利用段階に達してきていると認識をいたしております。  しかしながら、新設住宅着工戸数は減少傾向で推移いたしておりまして、従来の建築用材としての木材需要は頭打ちとなることが予想されますことから、新たな製品、技術の開発、実用化の動きも見られるところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)本県における森林、林業を取り巻く環境についてはいかがでしょうか。琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  本県におきましても、国と同様、人工林が成熟期を迎えております。森林資源の有効活用を進める必要があるものと認識をいたしております。  また、本県におきまして、木材需要の大宗を占めます新設住宅の着工戸数、これが減少傾向で推移しておりまして厳しい状況にありますことから、新たな県産材の需要拡大に向けた取り組みが必要と考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  先人たちが育て守ってきた森林を、どう守り、そしていかに利用していくかということが、今を生きる我々に課せられた大きなテーマであろうかというふうに思います。そして、県土の50%を森林で覆われている滋賀県におきましても、解決していかなければならない課題があるということであります。  そのような中、森林、林業を取り巻く環境が大変厳しいわけでございますが、国がCLTという技術に注目をしておりますけれども、CLTとはどのようなものなのか、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  CLT──クロス・ラミネイティド・ティンバーでございますけれども、これは加工した板を繊維方向が直行するように積み重ねた厚型パネルのことでございまして、平成26年の1月に直交集成板として、日本農林規格──JASが施行されたところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)CLTのよいところ、長所はどんなところなのか、琵琶湖環境部長にお尋ねをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  CLTの長所としましては、今も申し上げましたが、厚みのある木製のパネルでございますことから、耐震性、耐熱性、耐火性にすぐれております。  また、鉄筋コンクリートづくりに比べまして、軽くて扱いやすく、シンプルな構造で強度がありますことから、中高層建築物の木造化が可能であること。このため、共同住宅やオフィスビルなど、新たな木材需要の拡大が期待できることなどが挙げられます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  このCLTが普及していくためにはどのような課題があるか、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  CLTが普及しますための課題としましては、1点目として、建築基準が未整備でございまして、個々の建築物について国土交通大臣の認定が必要であること。2点目としまして、全国で現在、生産工場が3工場しかございません。生産体制が未整備であること。それから3点目として、製品価格が鉄筋コンクリートづくりの場合の2倍と高いこと。4点目として、施工事例が少なく、建築ノウハウの蓄積が必要であること等が挙げられると考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)そのような中、国はCLTをどのように普及させていかれようとしているのか、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  ただいま申し上げましたような課題を踏まえまして、林野庁と国土交通省が連携をいたしまして、CLTの普及に向けたロードマップを作成されたところでございます。  このロードマップでは、CLTの普及に向けた具体的な取り組み内容と目標達成に向けましたスケジュール等が示されておりまして、このロードマップに基づきまして、関係者の取り組みを促進することとされております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)先ほど価格面のお話が出ましたけれども、いろんな課題もあろうかと思います。ただ、国のほうもロードマップが示され、国がレールを敷いていくと。そこにどのようにレールに乗っかって走っていくのかというようなことが課題なのかなというふうに思っております。  国では、CLT関連の補助金も整備をされていると聞きますが、琵琶湖環境部長にお尋ねをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  林野庁のCLT関連事業としまして、CLT等新たな製品、技術を活用した建築物の実証事業については、これはCLTを活用した建築実績の積み重ねによりまして、そういう実習データの収集に必要な設計費、建築費等に対して支援をするものでございますけれども、これは新たな木材需要創出総合プロジェクト事業、ここに位置づけられております。  また、CLTの加工・流通施設の整備につきましては、森林・林業再生基盤づくり交付金があるものと承知をいたしているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今日まで、林業の補助金というのは間伐や枝打ちなどの施業が中心であったわけでありますけれども、いよいよ国もこのCLTを推し進めていこうとすることが国の私は姿勢、本気ではないかなというふうに思っております。  先ほどもありましたように、木造の住宅というのは2階建てぐらいがせいぜいポピュラーな状況でありますが、これからは中高層住宅、中高層マンション、こういうようなこともこのCLTの技術を使って普及をしていこう、あるいは普及をしていかねばならないというようなことであろうかと思います。  オリンピックもよく話を聞いていますと、そのような建物をこれからこのCLTの技術を使ってつくっていく。そういう中で、やはり、ここで知事に伺いたいんですけれども、課題もいろいろあります。そんな中、滋賀のCLTを成長産業として、行政がリーダーシップを発揮していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) (登壇)竹村議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。可能性のあるテーマをお取り上げいただきまして、ありがとうございます。  先ほど来、御指摘、また質疑応答していただいておりますように、CLTには、これは平成22年に公共建築物木材利用促進法が制定されたこともあり、今おっしゃったように、これまで2階が通例であった木造建築物が、例えば学校の校舎等、3階建て以上でもつくれる可能性が大いに広がってきているということでございまして、新たな木材利用の分野に滋賀県に広くございます森林を生かした県産材が導入できる可能性がございまして、本県林業の成長産業化の実現に向けて大きな役割が期待されていると考えております。  このため、全国レベルの情報収集に積極的に取り組み、CLTを通じました林業の成長産業化の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。大変前向きな答弁、ありがとうございます。  京都では、実は今度、宇治のほうでお茶の新しい研究施設がつくられる予定でありまして、実はそこ、今、入札のいろんな状況が明らかになってきておるんですが、そこでは本体工事はCLTを使うことというようなことが具体的に明記をされているような状況でございまして、滋賀もおくれることなく、どうか、先ほど申しましたように、滋賀の新しい成長産業だということを位置づけて、前向きに走っていただけたらなというふうに思います。  この項の最後に、CLT協会というものが発足しております。滋賀県もぜひともそこに加盟されてはいかがでしょうか、琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  日本CLT協会につきましては、CLTの開発と普及および発展を図るために平成24年の1月に設立されてございまして、関連企業や大学あるいは行政機関等で構成されているものと承知しております。  本県におきましても、CLTに関します最新の情報を入手して、これに適切に取り組んでいきますために、協会への加盟につきましても前向きに検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。他府県、三重とかあるいは岐阜とか、近隣府県でもう既に関係の部局がそういうようなとこに入られて勉強されているということもお伺いをしておりますので、また滋賀のほうでも積極的によろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、2問目に移らせていただきます。  湖国滋賀の観光振興についてということで、引き続き、一問一答方式にて質問させていただきます。  まず、改めて、県内における観光を通じた経済効果はどの程度あるのかを、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 ◎商工観光労働部長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  御質問にございました観光を通じた経済効果でございますが、滋賀県観光入込客統計調査に基づきまして算定いたしました観光消費額につきましては、平成25年は1,545億円となってございまして、平成24年に比較いたしますと35億円の増、対前年比2.3%の増となっているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  そのうち、インバウンドはどの程度あるのかを把握されていますでしょうか、再度、商工観光労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工観光労働部長(福永忠克) お答えいたします。  先ほどお答えいたしました滋賀県観光入込客統計調査につきましては、インバウンドに限定したデータというのはございませんけれども、国の観光庁の調査によりますと、平成25年の滋賀県における訪日外国人の観光消費額、こちらはおよそ54億円となっているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)現在、国内の観光産業というのは大変にぎわっているようでありますし、今もありましたように、本県においても外国人も含めて宿泊者数も伸びている、大変喜ばしいことであるというふうに思います。  また、先日、我が会派の代表質問においても少し話題となりました観光喚起への購入支援事業、こちらも今後さらに観光産業への寄与が期待をされるというふうに考えているところであります。  その中で、今の宿泊のところなんですけれども、県内に宿泊をされているお客様はどこへ観光に行かれているのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 ◎商工観光労働部長(福永忠克) お答えいたします。  宿泊客に限った観光先のデータというのはございませんのですけれども、平成22年に実施いたしました滋賀県の観光動向調査におきまして、観光目的について聞き取りを行いました。そこによりますと、自然の風景を見る、あるいは神社仏閣、旧跡など、こういったものを目的に来られる方が大半を占めておるということでございます。  また、県外からの観光客の訪問先といたしましては、比叡山延暦寺あるいは彦根城、これが人気のスポットとなってございます。  また、平成25年の先ほどの滋賀県観光入込客統計調査におきましては、多賀大社、黒壁ガラス館、そして藤樹の里あどがわ、これがベスト3の観光地となっているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)先日、大津市内のホテルで、何十台となくタクシーが入ってきて、そこから学生さんがどんどんどんどんおりてくるというような光景を目撃しまして、職員の方に、「これ、ちなみに修学旅行生ですよね。これ、皆さんどこに行ってはるんですか」と聞きますと、実は京都からでございまして、今回の場合ですと京都ですけども、奈良も実はホテルが少ないというようなこともあって、京都から奈良、滋賀から奈良、あんまり距離が変わらないということで、たくさん一気に滋賀で泊まったほうがコスト的にも安いというようなことで、ある意味、ほかの県ではなかなかキャパがいっぱいで滋賀に流れてくる、あるいは滋賀はホテルが安いから、よその他府県にそうやって見に行くよというようなことで、実は宿泊されているお客様というのは案外、滋賀で観光を楽しんでいただいているというような状況がちょっとどうなのかなということを思っているようなところであります。  せっかく滋賀に泊まっていただくなら、滋賀の今おっしゃったようなとこ、今、いろんないいところがありますので訪れていただきたいと思うんですが、そんな中、我が県ではビワイチをキャッチコピーとして誘客を進められていますけれども、観光ブランドのビワイチの効果はいかがでしょうか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工観光労働部長(福永忠克) お答えいたします。  平成25年、そして26年度の2カ年間で、ビワイチの観光素材、これを43件発掘したところでございまして、これを県内各市町の観光協会で取り扱っていただいております。また、首都圏、中部圏、そして関西圏、こういったところの旅行代理店では、この2年間で8,800名のこのビワイチ観光素材を使った実績がございます。  また、滋賀らしい旅行商品を認定いたします制度として、ビワイチ認定制度というのを設けておりますが、こちらのほう、平成24年度から平成26年度までの3年間で20件の認定をさせていただきました。この20件の認定をさせていただき、本年5月末までに延べ1万1,045名のツアー参加をいただいたところでございます。  さらに、市町と連携をいたしまして、首都圏で滋賀の魅力を発信いたしますビワイチ観光素材開発プロジェクトを開催しておりますが、例えば、本年2月から3月には滋賀の戦国武将石田三成、これに関する講座を開催いたしまして、110名の方に参加をいただいたところでございます。  また、この講座を受けまして、本年、石田三成にまつわる着地型ツアー、これを3回開催していただきました。定員150名のところ、135名の参加をいただいたところでございます。こうした取り組みを通じまして滋賀の魅力を発信して、着実に観光客の誘客を図っていきたいと考えているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)滋賀県はよく言われますのは、素材はいいんだけれども、料理の仕方あるいは陳列の仕方、あるいは店員さんの接客がどうなのかというようなことが言われております。大変中身がやっぱり重要になってきますので、ぜひともそういう視点でこれからもお取り組みをいただけたらなというふうに思います。  ところで、先日、新聞を読んでいましたら、三日月知事が自転車に乗っておられる写真が掲載された記事を拝見しました。彦根を少し走られたようでしたが、知事、どうでしたですか。 ◎知事(三日月大造) とても気持ちよかったです。ただ、あいにく雨でしたので、湖岸のきれいな景色が十分見られませんでした。それが残念だったと思ってます。  また、きちんとそういうスポーツサイクル自転車に乗ったのが初めての経験でしたので、肩に体に力が入り過ぎていて柔軟な運転でなかったというお話もありましたし、歩道を走らせていただいたときもあったんですけど、主に車道等走らせていただいて、後ろから車が来ます。バックミラーございませんので、不安を感じることがございました。
     ただ、非常に貴重な体験でしたので、この体験を生かして、自転車を活用した例えばビワイチのサイクリング等々、観光誘客でありますとか交通の改善というものに取り組んでまいりたいと思います。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  実は、私も先月、自転車を買いまして、一度、県庁へも栗東から走らせていただいたことがあります。きょうはちょっと質問があるので、何かあったらあかんということで家族に制止をされまして、きょうは車で参ったわけですが、今、知事おっしゃったように、乗ってみると大変気持ちのいいものでございまして、また、先ほどおっしゃった交通、今の実態にそぐっているか、前回のうちの代表質問でも少しありましたけれども、そんなことも自分自身やってみるとやっぱりわかることが多々あるなというふうに思ってます。今回走られたことは県内のニュースとして取り上げたわけですけれども、ぜひとも県外にもトップセールス、知事がこんなことをやっているよというようなことも大いに発信をしていただければなというふうに思ってます。  そんな滋賀の観光を考える上で、自転車のように琵琶湖の風を感じながら湖周を走ることもあるでしょうし、琵琶湖から少し離れた町にある寺社仏閣も観光資源というふうに言われております。また、琵琶湖から少し離れますけれども、緑豊かな山のトレッキングや登山も観光資源であるというふうに思います。  しかしながら、ほかの府県にないもの、京都や奈良にないものといえば、やはり私は琵琶湖ではないかなというふうに思います。そこで、琵琶湖における観光をどのように考えておられるのかを、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(福永忠克) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、滋賀ならではのセールスポイントといいますと、やはり琵琶湖であるというふうに私も思っております。先日認定を受けました日本遺産でも、そのことが認められたのではないかというふうに考えておるところでございます。  琵琶湖での湖上遊覧あるいはマリンスポーツ、景観、これはいずれも非常に魅力のあるものであり、日本遺産でも認められました水にかかわります人々の祈りや暮らし、さらには食文化、こういったものを琵琶湖に絡めてトータルで発信していくというのが今後大切ではないかというふうに考えておるところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  私は、県の6分の1を抱えている琵琶湖、6分の1を占めている琵琶湖、広大な琵琶湖、私、ここにもっと誘客をする必要があるのではないかなということをかねがね考えております。  (資料掲示)皆様のお手元にも配付をさせていただいたと思うんですけれども、琵琶湖でできるマリンスポーツを掲載させていただきましたが、知事は、この中でどの程度知っておられますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) Aの写真がプレジャーボートですかね。Bの写真がバナナボートですかね。あとは、Dがカヌーですか。失礼いたしました。セーリングですね。あと、すいません、Cはボードというんですか。あと、EとFはちょっと、見たことはありますけれども、存じ上げません。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)知事は、この中で実際に体験されたものはありますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖ではないんですけれども、Bのボートは体験したことがあります。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  Aはプレジャーボートと今お答えになったんですが、広義な意味ではプレジャーボートになるんですが、水上バイクですね。水上オートバイというようなことが言われております。Bは、今、バナナボートですね。Cはウェイクボードですね。Dはウインドサーフィンですね。それから、Eはフライボートということですね。Fがフォバーボートということで、EがフライボートでFがフォバーボート。私もE、Fはあんまり知らないんですけれども、実は私、海技免許を所有しておりまして、ライセンスを実は2級船舶を持っております。実はA、B、C、Dは、日々とは言いませんけれども、なかなか議員職になってからできないんですけれども、琵琶湖でこういう遊びを実はやっておりました。やはり乗らないと楽しさというのはわからないというふうに思うんですよね。  先ほどの自転車の話と一緒で、琵琶湖の観光について、私、職員さんがこういうことをどんどんどんどん琵琶湖で遊ぶことによって、これ、おもろいなと、あるいは知事も実際体験されて、これ、ひとつおもしろいなというようなことがあればもっと発信できるんではないかなと思うんですが、今度、一緒にどうですか、知事。 ◎知事(三日月大造) ぜひ御指導ください。よろしくお願いします。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)そうですね。これからシーズンインになりますので、またぜひことしの夏、御一緒に、もしよかったらさせていだいと思います。  ただし、琵琶湖におきましては、プレジャーボート等につきましては規制があります。当然のことながら、エンジンつきのものについてはライセンス等が必要になってまいります。実は、私の友人が野洲のほうでボートの預かり業務をやっているんですが、「みんなどこのお客さんがこれ置いてはんの」と聞くと、もちろん県内のお客さんも多いんですが、長野県とか結構遠方からこれ置かれてて、しょっちゅう来られているわけではないんですけれども、特に一定のお金のある方なんかは、年に何度かの楽しみでも琵琶湖に船を置くと。その船を置くと置き賃というのが当然これ発生しますので、そういう意味では、琵琶湖でそういう観光産業がそういう民間のところに回っていくというようなことであろうかなというふうに思います。  私は、1つここで提案をしたいんですけれども、琵琶湖は今申しましたように、規制であるとか、免状があるようなものも必要なんですけれども、例えば琵琶湖の一定エリアで特区を設けたり、あるいは1時間程度指導を受けたら、その日のうちに限定の仮ライセンスがもらえるような仕組みをつくってはどうかなと。  特に、東南アジア、中国とか台湾の方というのは、エンジンつきのマリンスポーツ、大変興味をお持ちでして、結構一日遊ばれるようなことも私自身も身近で体験もしてますので、そのような1つ規制の緩和みたいなところは、知事、どうでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 前段御指摘いただいたように、いろんなスポーツがあって、やってみないとその楽しさがわからない、ぜひ多くの、私を含め職員も、そして多くの方に楽しんでいただいて、その楽しさを自覚して発信するということは私は大事だと思いますし、琵琶湖というこういうフィールドがそういうマリンスポーツにも適したそういう場所であるということは、例えばフィッシングですとかボート、ヨット等々、カヌー等々、体験しながら楽しんでいただけるような、そういう楽しみ方もたくさんあることは存じ上げておりますので、私は大いに可能性があると思ってます。  ただ、今おっしゃったライセンスが必要なものについて、簡単に取得できるようになったりするということについては、私は消極的です。  昨日も、佐野先生、組合長をされている堅田漁協の皆さんにお世話になって、その漁港の清掃活動の一端を担わせていただいたりしたんですけど、やっぱり漁業を営まれている方や琵琶湖岸にお住まいの方々、また、そういう動くものではない楽しみ方で琵琶湖を楽しまれている方々もいらっしゃいますので、そういうエンジンを使って短期間で簡単に楽しめるスポーツをお楽しみいただく方が大勢いらっしゃることも重々自覚しつつも、しかし、琵琶湖の楽しみ方として、そういう楽しみ方ではないのではないかなという観点から、私はより安全に配慮した琵琶湖の楽しみ方を提唱、PRしていきたいというふうに考えています。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  きょう、琵琶湖での観光というのを議論させていただいたんですけれども、今おっしゃったように、いろんな規制があります。ただ、一方、観光も呼び込まなくちゃいけないということで、この辺はさじ加減やと思うんですね。これからやはり観光客というのは日本の成長産業の一役を担う、もちろん県内でもこれは大きな課題であろうと思いますし、進めていかなくちゃいけないというふうに思います。  先ほど申し上げた一つの議論の例でございますので、琵琶湖など、寒い時期とかは無理ですけれど、これからはシーズンに入ってまいります。日本一の琵琶湖は日本一の遊び場やと。琵琶湖大橋にウオータースライダーをつけて遊ぶ、こんなことまでは言いませんけれども、大阪は食い倒れ、京都は着倒れと言いますね。滋賀は遊び倒れやというようなこともおもしろいんではないかなというふうに思います。  そして観光、先ほども重ね重ね申し上げますけども、観光を考えていただく職員さんはもっと現場に足を運んでいただいて、自分自身がやってみて体験して遊んでみる、そんなことをぜひとも今後ともお願い申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、3番竹村健議員の質問を終了いたします。  次に、24番山本進一議員の発言を許します。 ◆24番(山本進一議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、分割にて質問をさせていただきます。  まず初めに、滋賀県の県都にふさわしい県庁周辺の整備についてお尋ねいたします。  このことにつきましては、たびたび本会議において質問させていただいておりますので、経過等につきましては省略をさせていただきますが、今、建屋の解体工事が進められている滋賀会館跡地のNHK大津放送局は、当初の案であればマンションに転売されるところでありました。それが滋賀県の情報発信の拠点として、あるいは催し物などを通じて大津市の中心市街地におけるイベント施設として、さまざまな活用も期待されるものになりました。結果的には、文化と情報発信の拠点としての滋賀会館の伝統を新たな形で受け継ぐものになったと考えております。これも本会議における議論により、県当局が従来の方針にこだわることなく、さまざまなアイデアを広く求められた結果によるものであります。  現在、県庁周辺では、さまざまな工事が進められたり着手されようとしております。県危機管理センターの新築、JAビル滋賀の改築、台風18号により周辺地域に甚大な被害をもたらした吾妻川の改修工事、少し離れますが、大津市でも、大津駅西地区において再開発事業が完了し、区画整理事業も順調に事業が進められていると聞いております。  大津駅西地区区画整理事業が完成すれば、国道161号から大津駅前、県庁を結ぶ道路が完成することにより、県都にふさわしい県庁周辺の整備が進むことになり、危機管理センターの意味合いも一層高まるものと期待されています。  こうした中、問題になるのは、県庁と大津駅の結節点とも言うべき、教育会館と旧体育文化会館敷地の活用であります。  旧体育文化館の利活用方針につきましては、平成24年10月の本会議におきまして、民間事業者との対話を通して土地建物の多様な利活用のアイデアを調査し、その上で、県として一定の活用の方向性を示し、現実的かつ最適の方向について、再度、民間事業者から提案を受けたいとされてきました。  ところが、その後、その答弁とは裏腹に、全く唐突に、旧体育文化館は医療関係機関など医療機能を集積したものとするという提案が県から示されました。民間事業者からの提案を求めないばかりか、中心市街地の活性化や県都にふさわしい県庁周辺整備の方向も示されず、その場しのぎの提案であった印象を持ちました。しかも、その提案はあくまでも旧体育文化館敷地だけであり、以前に地元関係者から要望のあったいわゆる武徳殿の姿を残すとか生かしていくかということにも触れず、ましてや隣接する教育会館の土地建物は一切検討もしないものでした。  先ほども申し上げましたように、教育会館の角地は県庁と大津駅の結節点であります。吾妻川の改修に合わせて、あるいは梅林の県庁駐車場の整備とうまく組み合わせて、旧体育文化館と教育会館を一体整備すれば、駅だけではなく周辺官公庁との有機的結合も、安全で美しい歩道の整備も可能ですし、県庁周辺は見違えるような都市空間になるものと推察いたします。  平成25年11月議会で、教育会館は大津駅と県庁をつなぐ顔とも言うべき位置にあり、県庁周辺エリアの価値を全体として高める上で大変重要であると認識していることを表明され、また、高度利用を初め県庁周辺地域の価値を高める上で、よりよい使い方の方向性を検討する考えを示されました。あれから何の進展もないままに今日に至っています。  以前にも申し上げましたが、教育会館には教育関係機関が入居しておられます。それらの入居者に一方的に退去を求めることなく、いわば再開発の手法でその権利と場所を守ることも十分可能なはずであります。  改めてお伺いいたします。旧体育文化館の整備計画はその後どうなっているのでしょうか。  さらに、県都にふさわしい県庁周辺の整備について、教育会館との一体整備も含めて、知事はどのようなお考えをお持ちなのかお聞かせください。  大津市の中心市街地の商店街では、株式会社大津百町物語が商店街の空き店舗に10数店の店舗誘致を図られ、同じく株式会社まちづくり大津では、大津駅前や浜大津での新たな誘客イベントに取り組んでおられます。民間の力に頼るだけでなく、行政自身もできる努力を重ねることがまちに元気に取り戻していくものと考えます。前向きな御答弁を期待して、最初の質問を終わります。 ○議長(西村久子) 24番山本進一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)山本議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。  県都にふさわしい県庁周辺地域の整備に関する2点の御質問にお答えをいたします。  1点目の旧体育文化館の整備計画についてでございますが、旧体育文化館を含めました県有地の利活用につきましては、昨年度、医療福祉拠点の整備に関する調査検討を進めさせていただくことといたしまして、医師会や看護協会等の関係団体、大津市などの地元関係者からなります検討会議を設置して調査、検討を行いました。  県といたしましては、現在、この検討結果も踏まえながら、その拠点が備えるべき具体的機能について検討を進めているところでございまして、旧体育文化館の扱いにつきましても、その過程において整理していく必要があると考えております。  今後、できる限り早期に旧体育文化館を含めました県庁周辺の利活用の方針案を作成いたしまして、県議会を初め大津市など関係者の御意見も伺いながら、最終的な方針を決定してまいりたいと存じます。  2点目に、県都にふさわしい県庁周辺の整備についての考えでありますが、県庁周辺エリアは、官庁街としての機能だけでなく、本県の発展において非常に重要な場所であると認識しています。  現在、御指摘もいただきましたが、旧滋賀会館については、本年9月末のNHKへの引き渡しに向けまして解体工事を行っていただいておりまして、危機管理センターにつきましても、おかげさまで年度内の供用開始を予定しているところであります。  また、大津駅も今年度中の改修が予定されておりまして、県庁周辺のにぎわい創出に向けた取り組みが進みつつあります。  このような中、議員御指摘のとおり、旧体育文化館、県庁別館、第二別館および教育会館などが立地いたします県有地は、大津駅と県庁を結ぶ重要な位置にあると認識しております。そのため、これら県有地の利活用につきましては、医療福祉拠点の整備に向けて一体のものとして検討を進める必要があり、大津市や大津市中心市街地活性化協議会とも連携し、さらなる県庁周辺のにぎわい創出および機能向上を図ってまいりたいと存じます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今、知事からお言葉をいただきまして、教育会館も含めて一体的に整備をするということをお聞きしたんですけど、これは間違いございませんか。 ◎知事(三日月大造) 一体のものとして検討を進めていきたいとお答えをさせていただきました。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今まで、この教育会館についても、「これまで、その重要性を認識し、建物所有者とも意見交換しながら、さまざまな可能性を検討したい」という答弁をいただいて、もう2年にもなりますけども、いまだに何の進展もございません。片や、お隣の武徳殿は、25年6月議会ですか、そのときに一般質問で保存する意向を示されました。  ところが、昨年後半、9月議会でしたっけ、白紙に戻されて素早く検討されておりますけども、教育会館に関しては全くやる気がないのか、組合に格段の配慮をされているのか、何かわかりませんけども、検討されたようには思えません。  いつも検討する検討するということで逃げておられますけども、この滋賀会館の跡地などの整備が進む中で、機を逃したらやっぱり整備は進んでいかないと思うんですよ。ここは一緒になってやっていかんと、せっかくの機会ですので。何も僕は組合さんに出ていけとは言ってませんので、一緒になって開発しようやと言っておりますので、それで一体的な整備について、再度、知事のお考えをお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) この間の経過はよくよく御存じの議員でありますので、多くを申し上げません。  繰り返しになりますが、先ほど答弁させていただきましたとおり、大変重要な位置であります。大津駅と県庁を結ぶ大変重要な位置であると認識しておりますことから、これら県有地の利活用につきましては、医療福祉拠点の整備に向けて、一体のものとして検討を進めるというふうに答弁させていただいております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)医療機関の一体的な検討はそれはもちろんいいんですけども、教育会館を含めての検討なんですかということを聞いてるんです。再度お伺いします。 ◎知事(三日月大造) 医療福祉拠点の整備に向けて、一体のものとして検討いたします。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)僕が言っているのは、要するに旧体育文化館、別館も含めて、教育会館も含めて、それを一体にされるということですね。それをちょっとお聞きしたいんです。 ◎知事(三日月大造) 今、御質問いただきました旧の体育文化館、そして御質問の中にもありました教育会館、これらを一体のものとして検討いたします。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)何か意見が食い違っている。僕、一体というのは、その範囲、敷地、教育会館も含めてのあの一帯の範囲を思って整備するのかということを聞いているんですけれども。再度お聞きします。 ◎知事(三日月大造) 私は食い違っているとは思っておりません。先ほど御質問の中にも言っていただいたように、いろいろと入居されている方々やこれまでの経過がございます。そういうものも十分踏まえて、医療福祉拠点の整備に向けて、一体のものとして検討を進めていくということでございますので、今、御指摘のあった建物、施設等も全て含んだ形で、今後の方向性について検討させていただくということでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)わかりました。これまでも2年間検討する言うて待たされました。できましたら早く検討されて、よりよい方向性の整備ができますようにお願いして、次の質問に移ります。  それでは、2つ目の質問に移ります。  次も、これまでからたびたびお尋ねしている琵琶湖文化館の活用についてであります。  琵琶湖文化館は昭和36年に開館し、平成20年まで文化財の展示や保存・修復施設として、あるいは水族館やプール、レストラン、展望台としても活用されてまいりました。私も建設時に募金活動に協力した思い出がありますが、大津市を初めとする県内市町、経済団体、企業、そして大勢の県民の浄財をもとに建設されたものであります。  しかしながら、御承知のとおり、施設の老朽化、バリアフリーへの対応や耐震診断ができていないことなど、現用途のままでの施設の維持、活用には多くの問題があり、閉館されているのは御承知のとおりであります。しかし一方では、長年にわたり琵琶湖観光のシンボルとして、あるいは仏教美術の展示場として活躍してきた琵琶湖文化館には、多くの皆さんの思い出も詰まっております。  大津市中心市街地活性化協議会では、昨年度、滋賀県立大学と成安造形大学の学生さんたちとともに研究会を立ち上げ、琵琶湖文化館を中心とする湖岸エリアの整備について、本年2月に幾つかの提案をされました。その中で、琵琶湖文化館については、大津港側とびわ湖ホール側を浮き橋を渡し、文化館の周囲に木製デッキや桟橋を設置して湖上を散策できるようにしたり、現状では湖上にあることから法的に新たな増築や改築が困難であることから、琵琶湖文化館の上部を撤去し、下部を土台にして、そこに子供向け図書館やカフェの設置、展望デッキなどの提案をしておられます。  また、外壁や屋根の改修、空調設備などの問題もありますが、若い人たちにとって昭和30年代の建物が非常におもしろいものであるようで、リニューアルして活用することに共感される若い方もおられました。  学生さんたちの研究会に当たり、主催者は、難しい問題はたくさんあるが、そのことで何もできないということではなく、どうしたらこの県民に愛された施設を活用できるかを考えてほしいとお願いされました。  河川法上は県の判断ですが、都市計画法上の課題や建築確認、消防法上の問題については大津市の権限のことですし、ぜひとも大津市と真剣に話し合いの場を持っていただき、琵琶湖文化館の活用について検討を進めていただきたいと願っております。  つきましては、次の点についてお尋ねいたします。  現在、琵琶湖文化館の活用については、公共、民間それぞれどのような利用可能性があると考えておられるのか。  また、今後の活用策検討に当たり、滋賀会館で行われたのと同様に、大津市や地元関係者、経済団体を含めた活用検討委員会の設置のお考えはないのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖文化館の活用について、御質問にお答えいたします。  その前に、今、御質問でも触れていただきましたけれども、山本議員御本人も大津市中心市街地活性化協議会におきまして、この琵琶湖文化館の活用策を関係者の思いを酌み取りながら熱心に御議論いただいていることについて、敬意を表し感謝申し上げたいと思います。  この琵琶湖文化館の活用に当たりましては、議員も御指摘のとおり、幾つかの課題がございます。少しせっかくの機会ですので申し上げますと、河川法や港湾法上では現在の場所を他の目的で占用してはならないことから、博物館としての機能を廃止した後は原状回復が基本となってございます。また、現在の施設を活用させていただくとすれば、建築基準法上の耐震性や消防法上の非常階段の設置、さらにはバリアフリー化等の課題を解決する必要がございまして、そのためには多額の改修費用を要することが見込まれております。現在は、寄託を受けました大切な仏像等々、今、収蔵させていただいております。  こうした課題を踏まえますと、県として活用していくことは大変難しいと考えておりまして、今後は、御質問にもありましたように、まずは早急に当該市、地元の大津市と、民間活用も含め、そのあり方について意見交換を進めてまいりたいと考えております。  また、御提案のありました活用検討委員会の設置につきましても、地元大津市と意見交換する中で考えてまいりたいと思います。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ありがとうございます。  我々も今、湖岸エリアの活性化ということで、今、中心市街地の区域がちょうど大津港からびわ湖ホールまでの湖岸エリアが入っていますので、そこの集客を含めて、にぎわいの創出、交流機能の強化をうたっているわけなんですけども、どうも琵琶湖文化館が活性化の取り組みから逆行しておりまして、どうも事業展開の足を引っ張っているというのが現状であるんです。そのことについて、今、いろんな制約はあると思うんです、河川法上の。それをやっぱり工夫して、何とかうまくここの一体整備、ここも含めてですけれども、していけたらなと思ってますので。  やっぱり河川法上これはだめやからというてそれで終わりますので、やっぱりもう少し前向きに工夫をして、どうしたらいいのかというような捉え方で、何とかあの地域、せっかくびわ湖ホールいう立派な施設があって、横に我々なぎさのテラスもつくりました。どうもあそこがちょっと足かせになってますので、長年の課題ですけども、何とかそういう前向きな検討をお願いしてほしいなと思います。それお願いして、次の質問に移ります。  次に、最後の質問であります。びわ湖フローティングスクールの学習船「うみのこ」についてお伺いいたします。  うみのこは、昭和58年の就航以来、50万人の児童が乗船し、琵琶湖の自然や歴史文化と直接触れ合う機会をつくってまいりました。また、宿泊を通じて児童同士が交流する体験は、その後の学生生活にもよい影響をもたらしていると聞いております。しかしながら、就航から31年を経て老朽化が著しく、2年後の平成29年には新船の就航を目指しているところでありますが、そこで、新旧の船についてお尋ねいたします。  まず、1点目は新船についてであります。  新船は、環境負荷の少ない船にすることはもとより、災害時の被災者支援にも活用できるようにするとしておられます。環境に配慮するため、新たな機能としてCO2やNOXなどの排出が削減できる電気推進システムを採用されていますが、船の推進力や船内の電力供給など、新船では太陽光や風力発電の自然エネルギーの活用をどの程度まで考えておられるのか。また、水の浄化や再利用にはどのようなアイデアが生かされているのか。エコシップとしての取り組みについて、教育長にお伺いいたします。  また、災害時用に防災倉庫を設け、被災者や救援物資の輸送力を高める方針を示し、大災害発生時には学習船航海を中断して緊急輸送に活用できるようにされています。そのことから、新船は総トン数928トンから、約1.3倍の1,210トンへと大きくなりました。  その一方で、1回当たり544人を乗せられるようになりましたが、児童の定員数は240人から25%減の180人に大幅に減らされておられます。これでは、児童の宿泊スペースよりも災害支援のためのスペースを確保することに努められた印象を持ってしまいます。少子化を大義にされていますが、知事も要望されています淀川流域などの他府県の子供たちにも乗ってもらうことを考えると、今なぜ少なくしなければならないのか、疑問に思わざるを得ません。  県外の多くの子供たちに乗ってもらうことは、滋賀県や琵琶湖を知ってもらうことにもつながります。あくまでも主たる目的は、琵琶湖フローティングスクールの学習船であると思います。  そこで、教育長にお伺いいたします。なぜ児童定員数を4分の1も大幅に減らすことにしたのか、お聞かせください。  また、喫水が1メートルから1.5メートル深くなりましたが、災害時など停泊できる港に支障はないものかもお伺いします。  また、新船建造に関して、乗船した児童や教員の声、ボランティアのうみのこサポーターの感想、フローティングスクールに寄せられた意見を参考にするとともに、専門家や保護者等で構成する運営懇話会や庁内組織でつくる新船建造協議会を開催するなど、多彩な意見を反映し基本設計されたと推察いたします。  このような大きなプロジェクトには、たくさんの知恵やアイデアを集める必要があると思います。そこで、詳細設計の開始が本年10月となっていますが、今後の設計作業において、広く意見を聞いて改良していくつもりはあるのか、教育長にお伺いいたします。  2点目の質問は、現在のうみのこのその後の使用についてであります。
     現在のうみのこは、解体撤去に1億1,000万円もの経費がかかることから、廃船せずに、その利活用を望む声もあると聞いておりますが、船として使用を続けようとすれば、維持費だけで年間1億2,000万円、改造費に24億円もかかることであり、船舶としての使用は困難な問題が多いかと思います。  しかしながら、現在のうみのこを船舶として使用せず、琵琶湖に浮かぶ湖上ステージや物産館として、あるいは、うみのこ記念館などに活用すれば、かなり維持費は節減できると思います。もちろん河川占用上の問題や湖岸の景観上の問題、維持費の負担も課題としては残るでしょうが、少なくとも十分な議論を経て、50万人の児童の思い出が残る現在のうみのこをどうするのか。将来を見据えた判断をしていただきたいと願っております。知事のご見解をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) まず、私のほうから、2点目にいただきましたうみのこ現船の、今のうみのこの取り扱いについてお答えいたします。  今も御質問の中で触れていただきましたが、答える前に、昭和58年8月以来、約50万人の子供たちの学習のために運航していただいております。関係者の御努力に私は敬意を表したいと思います。  昨年度実施しましたコンサルタントによります有姿評価、姿ある状態での評価におきまして、現船をリニューアルして活用する場合、24億1,000万円の経費が必要になり、工事期間も11カ月かかることが判明いたしております。また、船を係留して資料館など学習船とは異なる活用をする場合でも、リニューアルのために必要な改修費に加えまして、船舶として検査修繕費や維持費および人件費として年間約1億2,000万が必要であると見込まれております。  なお、解体撤去する場合は、解体に係ります費用が1億2,900万円であり、スクラップ買い取り価格が約1,200万円見込まれるため、差し引き1億1,700万円の経費が見込まれるということでございます。これらにつきましては、昨年12月に県議会常任委員会で報告をさせていただきますとともに、新船建造協議会や運営懇話会で議論をさせていただいたところです。  現船は、今の船は、新しい新船ができ上がる平成28年度末までは、これまでと同様、子供たちが乗船し、学習航海を行うこととなっております。  先ほど申し上げた課題を踏まえながら、引き続き新船建造協議会や運営懇話会で御意見をお伺いしながら、十分議論を重ね、検討し、判断をしてまいりたいと存じます。 ◎教育長(河原恵) (登壇)学習船「うみのこ」についての4つの質問にお答えをいたします。  まず、1点目のエコシップとしての取り扱いについてです。  新学習船「うみのこ」につきましては、さまざまな工夫をすることで、省エネ、省資源、CO2削減を行い、エコシップと呼ばれる船にすることを目指しているところです。具体的には、効率のよいエンジンを使用することやバイオディーゼル燃料を使用すること、また、電気推進システムを導入しバウスラスタを動かすことで、二酸化炭素排出量を約25%削減することができるとしているところでございます。  また、10キロワットのソーラーパネルを設置し、天井灯にLEDを使用するとともに、600リットルの容量を持つ太陽熱温水器を設置し、浴室等の温水に使用することで、年間約10トンの二酸化炭素削減を見込んでいるところです。  さらに、琵琶湖の水を浄化する装置を設置することで、災害時には1時間に約2トンの飲料水をつくることが可能となります。子供たちが学習航海中にこれらの装置に身近に触れ体験することで、環境学習を深めていきたいと考えているところです。  次に、2点目の児童定員数についてですが、現船就航当時には約2万人だった乗船児童数が、新船就航予定の平成29年には約1万4,000人と約3割減少することとなっており、現船でも定員240人いっぱいに乗船することはほとんどなく、おおむね180人までで航海をしております。  また、新船では児童が活発に議論したり発表したりする場を設け、環境学習を探究的に学ぶこととしております。そのため、240人では多過ぎるという現場の声もお聞きし、定員を180人といたしたところでございます。  さらに、宿泊室を2階に上げ、宿泊定員を180人にすることで、子供たちが部屋から琵琶湖を見渡すことができる、ゆとりある居住空間を設けることといたしました。  次に、3点目の停泊できる港に支障はないのかについてでございますが、新船では強風下においても船を安定して着岸させるため、喫水を1.5メートルにするとともに、船を横方向に動かすための装置であるバウスラスタを2台にふやし、操縦性を向上させたところでございます。  現船では、港に停泊する際には、可動式のバウスラスタを下におろし、1.8メートルの深さで操作しておりますが、新船の場合は、船首に直接取りつけた固定式のバウスラスタを採用しており、現船よりも港に入りやすくなり、喫水が1.5メートルであっても支障がないものと判断しているところでございます。  最後に、4点目の今後の詳細設計において、広く意見を聞いて改良していくかについてですが、学習船「うみのこ」の新船建造については、これまで専門家や保護者等で構成する運営懇話会や庁内の組織を横断した新船建造協議会を開催するなど、多様な意見を反映してきたところでございます。  今後は、入札を経て詳細設計および建造に入っていきますが、引き続き運営懇話会や新船建造協議会の意見を聞きながら、現船のよさをしっかりと継承し、詳細な部分を詰めて、さらに滋賀県の環境学習のシンボルとして充実した船にしていく所存でございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ありがとうございます。再問、教育長に2点と、最後に知事に1点、お伺いいたします。  今、お答えいただきました2点目の定員数ですけども、少子化で少なくなるのはわかっておりますので、それはわかっているんです。ただ、他府県の人にも乗ってもらおうと思ったら、今のよりよい数があったほうがいいと思います。だから、その点で僕は今、減らすことは別にする必要ないんじゃないかなという思いがあります。その点、1点。  それと、4点目のこれから詳細設計に入る。できましたら、今のエコシップの船を見てもらったら、外洋船見てもらったらわかりますけども、未来船みたいな形で、風の抵抗を少なくしたりとか風を利用するとか、見た感じが本当にすばらしい。夢を持てるような感じのデザインになっています。新幹線もだんだんだんだんああいう形になってきて。そういう形で、やっぱり新しい船は見た目もやっぱり、そういう子供が夢を持てるようなデザインにしてほしいなと。同じような、怒られますけど、旧態依然の船の形ではなく、新しい形。  太陽パネルでもそうですけども、皆さん、かたい四角の固定物やと思っている。それを、そんなんじゃなくて布みたいな形もありますし、風力も羽根じゃなくて横に回転するやつもありますから、そういうような工夫して、やっぱり見た目だけでもすごいなと、誇れるような、夢の持てるようなデザインにしてほしいと。これは要望として言っておきます。  最後になりますけども、知事のほうに、琵琶湖文化館と同様に、このうみのこの係留場所の大津港も中心市街地活性化区域の湖岸エリアにあります。琵琶湖岸を活用して観光振興を図って、我々、まちに元気を取り戻すためにいろいろとやっておるんですけども、先ほど申し上げましたけども、海に浮かぶ施設として、民間に委託し、船を利活用して湖岸エリアの活性化に取り組むことについて、知事、再度お考えお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) 私にいただいた再問についてお答えいたします。  今お話しいただいたことも含めて、文化館のあの場所を、またうみのこの現船も含めて、どう活用していくのか。もちろんそれだけではありません。湖岸の問題はさまざまございますが、この間、協議会等々で民間の方を入れて御検討をしていただいている、そういった御意見を十分お聞きしながら、踏まえて検討させていただきたいと存じます。 ◎教育長(河原恵) 再質問を2点いただきました。お答えをいたします。  まず、下流域の小学生等の乗船をできるだけふやすようにということでございます。  これにつきましては、先ほど、定員を減らしましたけれども、全体の航海数等につきまして、下流域の生徒たち、また、下流域だけではなく近隣の府県等からも乗船ができるような形で、より一層多くの子供たちが一緒に乗船できるような形で計画をしているところでございます。  次に、新しい船の形をできるだけいい形にということでございます。  例えば、船首の形が今回の船につきましては球状をしまして、水の抵抗を極力少なくするような、そういう構造をしているとか、また、5層構造にすることで、上層から周りを見ることができるような形もとっております。大きさ等の限定もありますが、そのような工夫をさらに進めていきたいと思っておりますし、先ほど言っていただきました太陽パネル等の形状等につきましても、先ほど申し上げました、今後詳細を詰める中で、そのあたりについては十分議論ができるのではないかというように考えております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ありがとうございました。子供たちが喜んで夢の持てるような船にしていただきたいと願っております。  また、知事のほう、できましたら、そういう元気になる、まちの活性化になるような手だてを考えていただけたらありがたいなと思います。よろしくお願いいたします。これで終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、24番山本進一議員の質問を終了いたします。  次に、7番田中松太郎議員の発言を許します。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団の田中松太郎でございます。新人でございまして、議員として初めての一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、2つの項目について、分割方式で質問をさせていただきます。  IC乗車券を活用した公共交通の利便性向上について、いわゆるJR西日本のICOCAやスルっとKANSAI、PiTaPaなどの交通系非接触型フェリカカードを活用した公共交通の利便性の向上について質問をさせていただきます。  まず初めに、滋賀県内のJRのICカード乗車券に対応していない駅への今後の対応について質問をさせていただきます。具体的には、JR草津線の貴生川駅から柘植駅までの区間の駅についてですが、これはこの区間の各駅の1日当たりの乗降者数が、ICカード乗車券に対応している駅と比較してその数が少ないために対応されていないということは容易に想像できます。  しかし、観光やビジネスで滋賀県に来られた方が、乗車駅でICカード乗車券で乗車されたにもかかわらず、これらの区間において下車される際に、ICカード乗車券が使えずに困っておられるという場面をよく見かけます。窓口が閉まっている時間帯においてはなおさらです。  さて、先月、観光庁の広域観光周遊ルート形成促進事業で、中部広域観光推進協議会が申請をされました昇龍道プロジェクトが国土交通大臣に認定されました。中華圏、東南アジアおよび韓国をターゲットに昇龍道という名称と昇龍伝説というテーマを、また、これらの地域とアメリカを主なターゲットに、山岳、サムライ、ものづくりをテーマに展開されるこのプロジェクトは、甲賀忍者や信楽焼も観光資源に含まれ、今後、多くの外国人観光客が来られるものと予想されます。  また、来年の5月には伊勢・志摩サミットが開催され、その経済波及効果として、三重県からJR草津線を利用しての滋賀県への観光客の増加が見込まれます。  甲賀忍者や信楽焼のそれぞれの観光スポットへのアクセスについては、甲賀流忍者屋敷の最寄り駅である甲南駅、寺庄駅、甲賀流忍術村の最寄り駅でもあり、駅舎に忍者の複数のトリックアートが描かれている甲賀駅、また忍者をイメージしてつくられた独創的なデザインの駅舎でもある油日駅、そして信楽焼の信楽行きのアクセスは信楽高原鐵道も含まれます。しかし、これらの駅は全てICカード乗車券に対応できておりません。  JR西日本管内では、2015年に8月から和歌山県のきのくに線で4駅、2016年3月からは兵庫県の加古川線で12駅、播但線で11駅、姫新線で6駅が新たにICカード乗車券が使えるエリアとして拡大する予定で、姫新線においては、JR西日本管内で電化されていない路線で初のICカード乗車券に対応されます。それぞれ、和歌山県では9月から開催される紀の国わかやま国体の開催に合わせ県の働きかけで、また兵庫県内の各路線においても、県の働きかけによりICカード乗車券に対応されています。  これらを踏まえ、観光客へのおもてなしの観点から、また人口減少対策の観点からも、京阪神の通勤圏である滋賀県内の移住・交流人口を増加させるためにも、JR草津線の貴生川駅、柘植駅間のICカード乗車券への対応は不可欠であると考えます。今後の県の対応について、土木交通部長にお伺いします。  次に、JR、私鉄、バス、各市町の巡回バス等の公共機関のICカード乗車券の相互利用の促進について質問をさせていただきます。  先ほど申し上げましたとおり、滋賀県内の観光客の増加はもとより、今後、高齢化が加速していく中で、運転免許証を返納される高齢者も増加し、生活の足としてさまざまな公共交通機関の充実が必要となってまいります。  そのような中で、高齢者が切符の自動販売機の前で小銭を探しながら手間取っておられる場面、バスの料金箱の前で同様に手間取っておられる場面をよく目にします。かつて、公衆電話に多くの方々がテレホンカードを利用したのと同様に、さまざまな公共交通機関においてもICカード乗車券の相互利用が実現されることが望ましいと考えます。  さまざまな記念テレホンカードなども発売され、テレホンカードの利用促進につながった例も踏まえ、記念ICカード乗車券の販売なども視野に入れ、ICカード乗車券の相互利用の促進について、県としてのお考えを土木交通部長にお伺いします。  次に、ICカード乗車券を活用したパークアンドライドの促進について質問をさせていただきます。  既にJR琵琶湖線沿線において、ICカード乗車券を活用したパークアンドライドを実施されている民間駐車場が幾つかありますが、県として、自動車の排気ガスによるCO2の削減、またJR草津線、JR湖西線の利用促進につなげていくために、車で直接目的地に向かうのではなく、最寄りの駅のパーキングに車をとめて、そこから電車で移動するパークアンドライドにICカード乗車券を活用し、駐車料金の優遇措置などを行う取り組みを積極的に進めていくべきであると考えますが、土木交通部長のお考えをお伺いします。  この項の最後に、観光施策による観光入込客数と人口減少対策施策による移住・交流人口増加と公共交通の今後の取り組み策について、知事に質問をさせていただきます。  今年度の滋賀県の観光入込客数目標だけでも過去最高の5,000万人と大幅な増加となっており、また、将来の人口減少社会を視野に入れ、今から積極的な移住・交流人口を増加させる対策をとっておられますが、これに伴い、公共交通の利用者は短期的に見て確実に増加するものと考えます。そのため、ICカード化を初め、草津線の利便性向上への積極的な投資もあわせて必要と考えますが、知事の所見についてお伺いをいたします。 ○議長(西村久子) 7番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)田中松太郎議員、御当選おめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私には、草津線利便性向上について御質問をいただきました。  今後、人口が減少する局面の中で、おっしゃった観光誘客等による交流人口の増加を図って地域を元気にしていくことは大切な視点であり、そのためにも、鉄道やバスなどの公共交通網の改善を図ることは大変重要なテーマであると認識しております。  こうした中、草津線は、県内各地や京阪神へのアクセスなど県内鉄道幹線網を形成いたします重要な路線であり、ダイヤの改善や施設改良などについて、鉄道事業者であるJR西日本とともに、県と地元市町が連携して、草津線複線化促進期成同盟会を中心に積極的に取り組んでいるところです。  具体的に申し上げますと、1つ目、輸送施設改善につきましては、甲西行き違い設備の用地を確保いたしますため、長年の懸案事項でありました旧由良谷川水路橋撤去工事がおかげさまで昨年12月に完了いたしました。これによりまして、周辺の圃場整備事業が進捗できる見込みでございます。  2つ目、駅施設改良につきましては、本年3月18日に甲西駅でバリアフリー化工事が完成いたしました。今後、三雲駅、甲南駅での駅整備や駅周辺整備計画が進展してまいります。  3点目、観光面では、湖南市の善水寺が平成27年春のJR西日本の「ちょこっと関西歴史たび」で取り上げられまして、大規模なキャンペーンが展開され、大変御好評であったと、多くの方が来られたと聞いております。  4点目、ICカード未設置駅に対する取り組みにおきましては、甲南、寺庄、甲賀、油日の4駅でのICOCA改札機の設置を目指しまして、さまざまな機会を通じてJR西日本に働きかけを行っているところです。  今後とも議員各位のお力添えもいただきながら、とりわけ、沿線区の田中議員のお力もいただきながら、沿線市町、そしてJR西日本とともに対話を重ね、連携協力を図り、粘り強く一つ一つ、利便性の向上に向け改善を図ってまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)それでは、1点目のJR草津線でのICカード未設置駅への対応でございますけれども、滋賀県内ではJR西日本のICOCAが、平成15年に琵琶湖線、湖西線、草津線など37駅で設置されたところでございます。  その後、平成18年の琵琶湖環状線の開業に合わせまして、地元からの熱心な要望を受けまして、北陸本線虎姫駅、近江塩津駅間の6駅、それと湖西線の北小松駅、永原駅間の8駅に拡大設置されたところでございます。  現在、県内のJR駅では、JR西日本の草津線の甲南、寺庄、甲賀、油日の4駅と、JR東海の3駅のみがICカード未設置駅となっているところでございます。こうした未設置駅につきましては、利用者利便の観点からも、人がスムーズに移動する交通ネットワーク構築の観点からも、早急なICカード化対応が必要と認識しているところでございます。  こうしたことから、議員御指摘の草津線4駅につきましては、県と甲賀市などが連携して、草津線複線化促進期成同盟会による草津線利用者増に向けた利用促進活動、運転免許返納高齢者やエコ通勤に取り組む企業従業員に対するICOCAの交付など、ICOCA改札機設置に向け機運醸成を図っているところでございます。  今後とも、同盟会や地方6団体による要望、包括的連携協定のテーブルなど、あらゆる機会を活用し、未設置の4駅についてICカード対応改札機が早期に設置されますよう、地元甲賀市と連携してJRに働きかけてまいりたいと思っております。  2点目のICカード乗車券の相互利用の促進についてでございますが、議員御指摘のとおり、ICカード乗車券の相互利用の促進は、観光誘客の側面や、みんなが利用しやすいユニバーサルデザインの考え方からも、大切な取り組みであると思っているところでございます。  こうした中、ことし2月に作成されました国の交通政策基本計画では、公共交通機関の利用者利便の向上のため、交通系ICカードの利用エリアの拡大や利用者間での共通利用、エリア間での相互利用の推進を図ることとされており、現在、交通系ICカードの普及、利便性拡大に向けた検討会が設置され、検討が行われているところでございます。  この検討会におきましては、ICカード活用の効果や意義はあるものの、導入に当たりましては交通事業者に多くの費用負担が必要となることや、導入によって得られるメリットを整理して明確にすることといったことが検討されているところでございます。  今後、こうした国の議論の動向を注視しながら、まずは草津線の未設置駅の解消など、本県の幹線交通であるJR駅での普及に努めるとともに、私鉄やバスなどの相互利用の普及促進に向けて、交通事業者や国、市町とも意見交換を進めてまいりたいと思っております。  3点目のICカード乗車券を活用したパークアンドライドの促進についてでございますが、パークアンドライドは、自宅から最寄りの駅近くの駐車場に車をとめて、鉄道やバスなどの公共交通に乗りかえ移動することを促す取り組みで、交通渋滞対策や温室効果ガス等の削減に効果があると認識をしております。  ICカード乗車券を活用した取り組みとしては、JR西日本が駅周辺の駐車場と連携して、駐車料金の優待サービスが受けられるパーク&ICOCAを実施されているところでございます。県内では膳所、石山駅など9駅で実施されているところであり、例えば膳所駅では、駐車料金をICOCAで支払った場合、1日最大1,000円の駐車料金に対しまして300円の割引となり、700円の支払いで済むことになってございます。  本県とJR西日本は、平成23年2月に包括的連携協定を締結し、毎月、具体的な課題を解決する協議の場を設けており、議員御指摘のICカード乗車券を活用したパークアンドライドの促進についても、こういった場を活用し議論をしてまいりたいと思っております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)まずは、知事のほうからJR草津線促進に関して非常に前向きな御答弁いただきまして、ありがとうございます。  そして、今ほど土木交通部長のほうから御答弁いただきました。その中で、土木交通部長に再度御質問をさせていただきます。  このICカード活用の問題に関しては、いずれにしましても、県独自で展開できる事業でもございませんし、当然、交通事業者さん、そして地元の甲賀市、市町との連携が必要になってくるわけでございますが、冒頭申し上げましたとおり、今、ICカードそのものが普及してきている中で、そしてまた、観光客あるいは外国人の方がたくさんいらっしゃる中で、冒頭にも申し上げましたとおり、ICカード乗車券で乗車されて、下車される際にICカード乗車券で下車できないという事例が今後ますますふえる可能性が考えられます。  恐らく、皆さん方もそうですし、県民の皆さん、あるいは県外の方もそうだと思うんですが、ICカード乗車券で乗車して、おりる駅に端末がなかった場合のその後の手続をどのようにしたらいいのかということも、恐らく一般の方々というのは認識ないと思いますし、それで、なおかつ窓口が無人あるいは閉まっているという場合に、観光客の方も含めて外国人の方でしたら、その後の手続というのは恐らくどうしていいのかわからないというようなケースが今後ますますふえることが予想されますが、そういったことに対しての対策について、どういったお考えを持っておられるのか、土木交通部長に再度質問をさせていただきます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) ただいま、議員のほうから、今後ふえる観光客等々のおりる際の、あるいは利用の際の不便な手続等のお問い合わせでございますけれども、こういった内容につきまして詳細なやはりその実態がどうであるかということも含めまして、皆さんからそういったことをお聞きした上で、またJRのほうにも、どういった手続で簡素化が図れるのか、そういった場合の対応等につきましてもJRのほうに申し入れを行いまして、改善を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。  であるから、すぐICカードを設置、対応できるようにしろという話ではなく、現実的にこういったケースが非常にふえてくる中で、例えば電車の車内アナウンスで、貴生川を越えたあたりから柘植駅で、貴生川を越えたあたりから、この先ICOCAが使えません、そういった方は車掌にお問い合わせくださいとか、あと、おりた駅でそういった使えない場合の案内看板を設置するとか、アナウンスだけでしたら費用的な負担もさほどないかと思いますし、観光も含めたおもてなしの観点から、お越しいただいた方々にも気持ちよく観光していただけるような環境づくりに配慮いただきたいということで、意見とさせていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、情報セキュリティー対策について質問をさせていただきます。  5月の末に日本年金機構の個人情報約125万件が流出した事件は記憶に新しいところですが、その後も同様の被害が、病院、市役所、研究所、特殊法人や公共団体など10数組織より随時報告されております。これは何らかの目的を持ってサイバー攻撃を繰り返す犯罪者により個人情報を窃取されるというもので、攻撃は執拗かつ巧妙であると見られ、その手法は標的型サイバー攻撃という、限られた攻撃対象に対して特化された電子メールやウイルスを仕込んで行われたものです。  本来は情報系システムから切り離された基幹系システムで管理されているはずの個人情報が窃取された原因は、日本年金機構内で行われていた業務手順により、情報系システムに個人情報がコピーされていたためです。情報を守るために切り離された2つのネットワークの使いにくさが、逆にセキュリティーの弱さにつながったとも言えます。  つまり、巧妙化する攻撃に対して、システム上はパッチを当てることである一定のセキュリティーの確保は可能ですが、今回のケースからは、システムの脆弱性よりも人の脆弱性が浮き彫りになったとも言えます。基幹系システムと情報系システムとを切り離しておけば安全であるという考え方が崩れた事例でもありました。そこで、これまで県におけるセキュリティー対策はどのようにされてきたのかを、知事にお伺いいたします。  次に、民間企業を初めさまざまな組織において、標的型サイバー攻撃を想定し、実際に訓練用のウイルスメールを組織内に送信し、各担当者が実際にウイルスメールの実行ファイルを開かないかどうか、また、開いてしまった場合、その後の対応、上層部への連絡やネットワークの切断などが適切に行えるかなど、実際に訓練を行っておられるところがふえており、もはや標的型サイバー攻撃からは逃れられないもの、情報漏えいは起こり得るものという前提で有事に備えておられます。  県において、標的型サイバー攻撃を想定した訓練、万一パソコンがウイルスに感染した場合のその後の行動マニュアルなど、有事に備えた対応をどのようにされているのか。また、今回の日本年金機構の事件を教訓に、県として新たに対策等をとられた点などがあるのか、知事にお伺いいたします。  最後に、マイナンバー制度導入に当たり、県のシステムも今後これに対応することになると思いますが、これらの個人情報保護をどのようにされていくのか。また、県内民間企業においてもマイナンバーに対応するためシステムの変更等を検討されていますが、今後ますます官公庁や民間企業への外部からの攻撃が増すと同時に、外部からの情報漏えいのリスクも高まってまいります。県における取り組みと県内企業への啓発等の取り組みについてを知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 民間のビジネスのフィールドでいろいろと御経験されたその知見をもとに、このカードの問題も、この情報セキュリティーについても、また議会で積極的なる御提案をいただければと思います。今回は情報セキュリティー対策について、3点御質問いただきました。  まず、1点目の本県における情報セキュリティー対策についてでございますが、技術的対策と人的対策の両面からその充実に努めておりまして、これまでのところ、標的型攻撃による情報流出等の事故は発生しておりません。  まず、技術的対策といたしましては、外部からの不正な侵入、データ破壊や県内部から情報を流出させようとする不正な通信があれば、これを遮断または検知するようにしております。そのほか、ウイルス感染の危険性が高いホームページの閲覧規制、脆弱性が公表されたソフトウエアの速やかなバージョンアップ、各端末へのウイルス対策ソフトの導入などを行っております。  人的対策といたしましては、副知事をCIO──最高情報責任者といたします情報セキュリティー対策の推進体制を構築いたしまして、職員向けの情報セキュリティー対策セミナー等によります意識向上や自己点検、内部監査などを実施しております。  なお、万が一セキュリティー事故が発生した際は、滋賀県緊急時対応計画に基づきまして、確実な応急対応と速やかな情報伝達による被害拡大の防止を図ることとしております。  2点目に、本県におけるサイバー攻撃に対する訓練等についてでございますが、標的型攻撃への対策といたしまして、これまで不審なメールは開かないなどの注意喚起を行っており、万が一、職員が使用する端末パソコンにおいてウイルスを検知した場合には、その端末を即座に庁内のネットワークから外すとともに、その端末から不正な通信が行われた形跡はないか確認を行っております。  しかしながら、日本年金機構の情報流出事件でも明らかになりましたように、標的型メールは巧妙化しておりますことから、これらの対策に加えまして、今回、新たに次の2つの対策を行うこととしたところです。  1つ目は、議員御指摘の擬似的な標的型メールを職員に送り適切な対応を求める訓練については、実体験を通じた職員の一層の注意力向上に資することから、本県においても近く実施を予定いたしております。  2つ目は、今回、日本年金機構の事件を機に、不正な通信が見つかったとき、または標的型と思われるメールの添付ファイルを開いたなどの報告があったときに、情報流出等の被害を防止するため、危険度のレベルに応じて全端末のインターネット接続を遮断することといたしました。  最後に、マイナンバー制度導入に伴います取り組みについてでございますが、マイナンバー制度には制度、システムの両面からさまざまな安全管理措置が講じられているところでありますが、今回の流出事件の原因の究明を受けまして、国において、ネットワークやシステムに関するセキュリティー対策の強化が検討されております。
     本県におきましても、関係課長で構成いたします社会保障・税番号制度庁内連絡会議におきまして情報共有をいたしますとともに、今定例会議で個人情報保護条例の改正案を提案させていただいているところでありますが、今回の事件を受けた国の動向も踏まえて、セキュリティー対策のさらなる強化に努めてまいります。  一方、議員御指摘のとおり、民間事業者におきましても、県と同様、マイナンバーの取り扱いについて、社内規定の見直しやシステム改修など十分な対応が求められているところでございます。  国におきましては、民間事業者に対し、ガイドラインなどを用いてマイナンバーの適正な管理、利用について周知されております。  県といたしましても、県内経済6団体を通じた情報提供やマイナンバー制度事業者向けセミナーを開催するなど、国のガイドラインの周知を含めたマイナンバー制度の広報、啓発を行っております。  マイナンバー制度の導入に向けまして、国における対策の状況も踏まえまして、これは市町とも緊密に連携を図りながら、県民の個人情報が適切に保護されるよう、対策に万全を期してまいりたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。今の答弁を受けまして、2点、再度質問をさせていただきます。  まず、1点目に関してですが、1つ目で御回答いただきました分で、日本年金機構のこの問題が発覚するきっかけとなりましたのが、内閣サイバーセキュリティーセンターが監視を行っている中で、年金機構に対する不正な動きがあるということを即座に検知して年金機構に連絡を入れた。その後の対応が遅かったがために被害が拡大したという部分があるのですが、最初にそれを発見したのが内閣サイバーセキュリティーセンターであるということで、これは昨年11月に成立したサイバーセキュリティー基本法に基づき、国、自治体、官民が一体となって連携を行っていくというふうにうたわれておりますけれども、滋賀県において、これを外部、あるいはそういった滋賀県の今のサーバーに対する状況を監視している機関があるのかないのか、そのあたりについての御説明をいただきたいのが1点。  それから、2点目、今後の取り組みに関して、人的な部分で、テスト擬似メールによる訓練を実施されるということで、これ、大変重要なことであると思います。ただ、この訓練におきましても、どの程度のレベルでされるかによっても結果は大きく変わってくるとは思うのですが、いずれにしましても、その訓練の取り組みとその結果に関して、これを広く公開されていくのかどうかというところも含めて、2点、御質問させていただきます。 ◎知事(三日月大造) 議長、確認のため時間をいただきたいと思います。 ○議長(西村久子) このままで、しばらく休憩します。   午後3時6分 休憩    ────────────────   午後3時10分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 大変失礼いたしました。  1つ目のそういうサイバーアタック等、県のシステムに攻撃をする、そういうものを監視するセンターなりシステムはあるのかということについては、県のサーバー等を監視する機関は現在ありません。  したがって、今、国において、今回の事態等も踏まえて検討中だということでございます。  なお、2点目の訓練の結果については、公表できること等々、また差し支えのあること等々、検討をさせていただきたいと存じます。  いつ訓練するのかということについても、それを知らせたら訓練になりませんので、そういうことも含め、今、詳細調整中でございますので、公表については検討させていただきます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。  今、2点、いずれにしてもそうですけれども、今後、マイナンバー制度の導入に関して、単純に県民の皆さんが不安に抱えておられる部分というのは、やっぱり情報セキュリティーの個人情報流出に関する部分でございますので、県としてもそのあたり、より安心できる形の情報発信と、あと、先ほど申し上げた訓練の結果につきましては、今後、マイナンバーを扱う中小企業においても一部参考にできる部分もあろうかと思いますので、ぜひ、事後で結構でございますので、またそういった部分もしっかり報告として発表していただきたいということをお願い申し上げまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、7番田中松太郎議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時12分 休憩    ────────────────   午後3時30分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、12番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)日本共産党県会議員団の杉本でございます。  最初に、滋賀県基本構想について質問をいたします。  基本構想は、県政の総合的な推進のための指針となるものであり、各分野の部門別計画、ビジョンの基本となるものとされています。これから県政の問題について知事との論戦や政策提案をする際に、この県の最上位計画である基本構想が必ず前提となってきますので、まず、基本構想の大もとのところでの知事の所見を4点伺いたいと思います。  知事は、基本構想の前文で、「本格的な人口減少社会の到来と少子高齢化の進行、経済・社会が成熟し、今後、かつてのような経済成長が望めなくなる」としています。構想の中でも、超高齢化社会、経済活動の低下、過疎化の進行、地域コミュニティの弱体化などが進行するとされています。私はこれを読んで、未来への閉塞感、暗いイメージを持たざるを得ません。  マルクスは、これまでの歴史について、経済的社会構成体を前進していく諸時代として、原始共同体、古代奴隷制、封建制、資本主義を挙げ、「資本主義は社会的生産過程の最後の敵対的形態である。しかし、この社会の胎内で発展しつつある生産諸力は、同時にこの敵対の解決のための物質的諸条件をもつくり出す。したがって、この社会構成体でもって、人間社会の前史は終わる」と指摘しました。  社会が生産手段の全体を握って生産を進める社会主義的変革によって、利潤第一主義から社会のための生産に変わることは、今日の資本主義の際立った浪費型の経済、繰り返される恐慌、大量生産、大量消費、大量廃棄、金融経済の異常な肥大化などを一掃し、貧困の解決、地球温暖化への抜本的な対応などを可能とするとともに、人による人の搾取をなくし、労働時間を抜本的に短縮し、社会の全ての構成員の人間的発達を保障する土台を築き、社会と経済と人間の飛躍的発展の道を開く壮大な可能性があることを示しました。私は、この方向に人間社会の発展の壮大な可能性があると見ています。  人類の未来社会についての展望を持つことは、目の前で解決が迫られている問題の打開の道筋と、その意義をより大きな視野で明らかにするものだと思います。知事は、基本構想に掲げられる時代認識の先の人間社会の未来について、どのような展望を持っておられますか、知事の世界観をお尋ねいたします。  基本構想では、本県でも人口減少局面に入ったと推測されるとし、少子化の要因として、子育ての経済負担が重いこと、若者が定職につけないこと、子育てと仕事の両立が困難、子育ての社会環境の整備が不十分なことを挙げ、晩婚化の進行、未婚率の上昇を指摘しています。また、知事は2月議会で、「人口減少は、同じ県内におきましても地域によって実情は大きく異なっている」と答弁されています。  今日、少子化や人口減少は先進国に共通の現象となっていますが、日本の現状は、基本構想でも、「これまで世界に例がない速度で高齢化が進行する人口減少・超高齢社会が到来している」としています。この日本の特異性は、異常な大企業中心のルールなき社会、異常な対米従属に根本的な要因があると思います。  賃金が長期にわたって連続的に減り続けている国は、先進国の中でも日本だけです。1997年からの14年間に、働く人の所得が88%に減少しました。同時期に欧米諸国では、アメリカ178%、イギリス190%、フランス163%、ドイツ129%となっています。日本の最低賃金は全国平均時給780円にすぎず、先進国で最低水準です。日本の非正規雇用は今や38%にまでなっています。これもヨーロッパ諸国の2.5から6倍という異常な多さです。EUでは、低賃金と低技能を利用して国際競争力の維持をすることはできないとしています。無法な解雇がまかり通っているのも日本だけです。  大規模小売店舗法の廃止が身近な商店街を潰すなど、大企業優先の政治が地域経済を破壊してきました。アメリカの圧力による輸入自由化政策が、地方の主要産業である農林水産業に打撃を与えてきました。平成の大合併の押しつけは、住民自治と自治体の機能を大きく後退させ、周辺部となった地域の衰退を加速しています。  今、安倍政権は地方創生を声高に言っていますが、TPPは地域経済に大打撃をもたらし、労働者派遣法改悪は非正規労働者の増加を加速し、ますます地方を疲弊させ、人口減少にも拍車をかけるものです。少子化や人口減少については、大もとでこういう国の政治のあり方が大きく影響しています。人口減少は、自然法則ではなく社会的要因によるものだと思いますが、滋賀県における人口減少について、その要因をどのように分析、整理しているのかをお尋ねいたします。  基本構想では、人口減少と少子高齢化を前提とした経済・社会システムに見直していくことが必要になっているとしていますが、人口減少をもたらしている社会的要因そのものを克服するために、どのような対策をとっているのかお尋ねします。  そして4つ目に、基本構想で、新しい豊かさとはみんなが将来も持続的に実感できる心の豊かさだとされ、25年先の5つの目指す姿と当面の4年間の7つの重点政策を掲げておられます。いずれも、それぞれの分野で熱意を持って検討、計画されたもので、その努力を評価するものです。  しかし、私が特別に強調したいのは、今日の人口減少という現象をもたらしている原因、社会のひずみ、地域的な実情などを的確に分析し、これに対する戦略、政策、解決策を講じなければ、豊かさの実感は絵に描いた餅になりかねないと思います。  例えば農業問題を見ても、農業、農村を疲弊させる米の大暴落やTPPに対する対処がなければ、25年後の姿、「農山漁村の地域資源が維持、保全されることで多面的機能が発揮され、誰もが暮らしやすく、魅力と活力あふれる農山漁村が次世代に引き継がれています」とはならないでしょう。現状に対するしっかりとした分析に基づく的確な対策が必要です。基本構想実施計画において、そこのところが不十分である場合はしっかりと修正、補強をし、県民の期待に応える基本構想と県政になることを強く求めるものですが、所見をお尋ねいたします。 ○議長(西村久子) 12番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)杉本議員、御当選おめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  滋賀県の基本構想について、4点御質問をいただきました。  まず1点目、人間社会の未来への展望と世界観という大きな視点から御質問をいただきました。具体、お答えをいたす前に、私の人間観と経済観から申し上げたいと思います。  まず、人間観という意味で申し上げれば、有限で無情の人間の人生、一人一人の人生、多様な価値観、そして一人一人の人生を大事にしたい、全ての人に居場所と出番のある社会をつくろう、そして人と人、人と自然との共生社会を大切につくっていこう、平和、人権、民主主義を大事にしたい、そういう人間観を持って県政に当たらせていただいております。  そういう中で、経済観で申し上げれば、アダム・スミスの主張する見えざる手に基づく市場経済の効率性に期待をしつつ、公害でありますとか、この市場経済の中では解決し得ない配分の問題、ここに市場経済の限界と問題点を見出し、私は公共政策の必要性、適正な政府の関与というものが必要だと考えております。  そういう意味でいえば、宇沢弘文先生が主張された社会的共通資本というものに、これからの21世紀の経済はもっともっと学ぶべきところがあるのではないかという視点を持ちながら、経済を見させていただいております。  そういう中にあって、滋賀県の基本構想の時代の潮流と課題では、本格的な人口減少社会の到来など時代の大きな転換期を迎え、今後、かつてのような経済成長が見込めない中、将来に対する不安や閉塞感が広がっているという課題をまさに御指摘のとおりお示しをいたしました。このような中にあっても、決して悲観に陥ることなく、将来に対する不安を安心に変え、夢や希望を抱くことができる豊かな社会を築くことが求められております。  これまでの価値観を見直し、自分だけでなく、今だけでなく、物の豊かさだけでもない、将来も持続的に実感できる心の豊かさを、未来に向けて、滋賀らしくみんなでつくっていこうということで、新しい豊かさを追求してまいりたいという基本理念を示させていただきました。  こうしたことから、基本構想におきましても、「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」を基本理念として位置づけました。この基本理念は、100年、200年先の時代にも色あせることのない、私は普遍的な価値観を有するものとして、私の世界観を投影させていただいたものだと考えております。  2点目の人口減少の要因について、どのように分析、整理しているのかということについてでございますが、人口減少には、少子化などによる自然増減と転出、転入による社会増減がございます。  まず、自然増減についてでございますが、滋賀県の合計特殊出生率は1972年の2.34をピークに低下し、近年はやや上昇しつつあるものの、2014年は1.53にとどまり、人口維持に必要とされる2.07には遠く及ばない状況となっております。  この背景には、まず、子育て世代の経済的負担や若者の非正規雇用の増加などにより、希望する子供の数を持ちにくくなっていることなどが挙げられると存じます。一方、高齢者の増加によりまして、長生きできるようになったこともあり死亡数は近年ふえつつあり、自然増が徐々に減少しております。  次に、社会増減に目を転じますれば、1960年代後半から企業の進出や県南部地域を中心とした京阪神のベッドタウン化などにより、転入超過が続いておりました。一方、1990年代には滋賀県内においても、中山間部、農村部では都市部への人口流出により人口減に転じております。  県全体で見ますと、近年の経済情勢などにより転出数と転入数の差は年々縮小し、2013年には転出数が転入数を上回る社会減となったところでございます。また、年齢別に見ますと、特に20から24歳を中心に転出超過が続いており、大学生のニーズに対応する職場が少ないことなどが考えられると存じます。こうした分析に加えまして、現在、人口減少の要因についての調査、分析を民間の専門機関にも委託をしておりまして、一層詳細な分析を進めてまいりたいと存じます。  3点目の人口減少をもたらしております社会的要因を克服するための対策についてでございますが、基本構想では、人口減少への対策として、重点政策編において、「子どもの生きる力を育み、若者や女性が輝く社会の実現」等を掲げさせていただいております。その中で、少子化対策として、保育所等の量と質の拡充、周産期医療の充実など、子供を安心して育てるための切れ目のない支援を進めております。  また、雇用対策といたしましては、おうみ若者未来サポートセンターやマザーズジョブステーションによる就労支援など、若者や女性が働き、活躍できる社会づくりを進めております。  さらに、現在、10月末を目途に、(仮称)人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略の策定を進めているところでありまして、若者や子育て世代の雇用確保や仕事と家庭の両立支援など、人口減少対策に一層力を入れて取り組んでまいりたいと存じます。  4点目に、基本構想実施計画の修正、補強についてでございます。  基本構想につきましては、重点政策編に掲げます指標や実施計画の進捗度、さらには外部環境の変化等をもとに、進行状況を毎年度把握することといたしております。こうした進行管理の結果を県議会や基本構想審議会、県民の皆さんへ報告させていただきますとともに、その後の施策展開に的確に反映することにより、目標管理型行政運営の一層の推進を図ることといたしております。  この中で、実施計画を見直す必要が生じた場合は、弾力的に対応するとともに、次年度の施策や予算に反映させながら、基本構想に掲げます「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」の実現に向けて県政を進めてまいる所存でございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)再問いたします。  最初に、未来社会の展望について聞いたのは、中でも述べましたように、そこに至る今抱えている課題の打開の道筋とその意義をより明らかにする意味で聞きました。またこれから長いつき合いですので、4年間ありますので、またゆっくりお聞きしたいと思います。  そこで、人口減少の要因の問題なんですけども、さまざまあるんですけども、私は大きく言って、非正規雇用の増大、低賃金いう問題が1つあると思います。  それからもう一つ、滋賀県の場合、人口が減っているのはやっぱり北部の地域であって、とりわけ、農業、水産業、林業、第1次産業が大きく後退していると。高齢者もほとんどないような状況になっておって、働く場がなかなかそういう田舎にはないという実態が非常に大きいと思うんです。これが滋賀県の人口減少をもたらしている一つの大きな要因だと思うんですけども、そこら辺のことについてどういう認識を持たれているのか、お尋ねしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 人口減少をさらに深くえぐった御質問だと思うんですけれども、おっしゃるように、そういう働き方、働かされ方、そういうことによる影響もあると思いますし、最後に御指摘いただいた、古来、私たちがなりわいや職を得ていた農業、林業、水産業、滋賀県では多く適性の地がある、こういうものが軽んじられたり廃れたり、また比較対照してその他の産業に人が移っていったりというようなこと、そのことが結果的に、北部だけではないと思うんですけども、山間部や農村部の力を衰弱させることにつながっている、こういう見方は私は一部あると思います。  ただ、そういう現状を今、それぞれの市町もそうですし、私たち県でもつぶさに見ながら、課題をどう克服していくのかという議論をさせていただいているところでありますので、ぜひ、この過程の中でさらに詳細に分析をして、対策を構築、実施してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)そういう第1次産業の衰退については、やっぱり深刻な問題ですので、しっかり分析をして、対策をとってほしいというふうに思います。  それから、基本計画の実施計画の修正、補強についても、どうしてもやっぱりこれから出てくると思いますので、ぜひ県民の生活を守る立場で、弾力的な対応をお願いしたいということで、次、移りたいと思います。  次に、原発問題について、3点質問をいたします。  日本共産党は、2012年9月、即時原発ゼロの提言を発表し、時の政府に申し入れました。その要点は、全ての原発から直ちに撤退する政治決断を行うこと、原発再稼働方針を撤回し、全ての原発を停止させたままで廃炉のプロセスに入ること、青森県六ヶ所村の再処理施設を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること、原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止することの4点です。  財界など原発推進勢力は、原発をやめると電気が不足する、経済活動に支障を来すなどと、原発ゼロによって起こる問題を強調していますが、原発事故のリスクは余りに巨大であり、原発ゼロに伴って起こる問題を、原発事故の巨大な危険とてんびんにかけることは許されるものではありません。  提言では、即時原発ゼロを実現しつつ、電力やエネルギー、日本経済などにかかわる国民的な課題の解決に当たることこそ、国民の安全と生活に責任を持つ政治がとるべき姿勢であり、政治の姿勢を変えれば、即時原発ゼロに踏み切っても、エネルギーと日本経済の未来を切り開くことは可能であることを明らかにしました。  安倍政権は、財界の意向を受けて原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発は再稼働を進めるとしています。しかし、原発ゼロを求める国民世論が大きく広がるとともに、福島原発事故の現実が、原発再稼働を急ぐ安倍内閣の前に立ちふさがっています。  たまり続ける汚染水や手をつけるめどが立たない溶融燃料など、福島第一原発は事故の収束を見通すことができずにいます。12万人に近い住民が避難したまま戻れずにいます。この現実を棚上げして、原発を再稼働させるのは論外です。  昨年5月、福井地裁が大飯原発運転差しどめを命じる判決を出しました。判決は、福島原発事故で明らかになった原発技術の危険性と被害の大きさを考慮すれば、生存を基礎とする人格権が極めて広範に奪われるという事態を招く可能性があること、地震に対する備えが脆弱なものであることなど、原発の抱える危険性を明確に指摘しました。  また、電力生産という経済活動よりも人格権が優先されることを宣言し、化石燃料輸入による国富喪失論に対して、豊かな国土と、そこに国民が根をおろして生活していることが国富であると喝破しました。国民常識にかなう理性的な判決であり、原発ゼロを求める国民の世論と運動を反映したのです。安倍内閣の再稼働推進は、原発ゼロを求める国民多数の声に背を向けるものです。  今年度の国の予算でも、原発再稼働や核燃料サイクルを進めるとして、3,800億円余りの原子力対策費が盛り込まれています。他方、再生可能エネルギー対策費は1,000億円で、前年比2割以上も削減しました。太陽光発電の急増に対する電力各社の抵抗などが反映しています。  知事は今定例会議の提案説明の中で、(仮称)新しいエネルギー社会の実現に向けた道筋の策定について、2030年を展望した基本理念を掲げ、今後5年間に重点的に取り組む施策として、再生可能エネルギーの導入促進など4つの観点から検討していくとされています。この方向について私は支持するものであり、努力を促したいと思います。  問題は、その速度と規模にあると思います。それには政治の姿勢が大きくかかわってきます。知事は、卒原発を掲げ、一日も早く原発に依存しない新しいエネルギー社会づくりを進めていく必要があるとしていますが、なぜ卒原発なのか、その根拠をお尋ねします。  なぜ即時原発ゼロでないのか。昨年5月の大飯原発再稼働差しどめの福井地裁判決の論旨をどのように受けとめているか、あわせて答弁を求めます。  2点目に、原発再稼働についてですが、知事は高浜原発再稼働について、「多重防護体制の確立はいまだ道半ばであり、現時点では原発の再稼働を容認できる環境にはないと考えている」とされています。昨年7月の定例会議でも、「実効性ある多重防護体制の確立、新規制基準の厳格な適用による原発の安全性確保などを求める」と答弁されています。  元原子力安全委員会委員長の佐藤一男氏は、多重防護の考え方は7つの思想によって構成されているとしています。その第1は、施設立地に当たっての防護であり、異常や事故を誘発するような事象が少ない地点に立地することとされています。世界で大地震が起こるのは、太平洋を囲む一帯と中国から地中海に抜ける一帯に集中しています。アメリカには100基を超える原発がありますが、その多くは東海岸で、大地震が起こる可能性のある地域はきれいに避けて建てられています。150基の原発があるヨーロッパは非常に地盤の強い場所で、ほとんど地震が起こりません。  そもそも地震大国である日本に、異常や事故を誘発する事象がないところがあるのか。多重防護はその第一から成り立たないのではないでしょうか。多重防護の第7番目は防災対策の整備ですが、放射能が時間的にも空間的にも広がり続ける原子力大災害に対して、実効性ある防災避難対策も困難をきわめています。  4月14日に出された福井地裁の高浜原発3、4号機の運転を禁じる仮処分決定は、新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば、深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないと言えるような厳格な内容を備えていると解すべきであるとし、原子力規制委員長の「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」という発言は、文字どおり、基準に適合しても安全性が確保されているわけではないことを認めたにほかならないとしています。  高浜原発で見ると、原発の耐震設計の前提となる基準地震動は、建設当時360ガル、東日本大震災時550ガル、現在700ガルと、当初の2倍近くに設定されています。東芝で原子炉格納容器を設定していた後藤政志さんは、「基準地震動は原発設計の大もと、当初の設計から何倍にもなることは構造設計の技術の常識に反する。本来なら一から設計をやり直し、抜本的な改造をすべきだ」と語っています。  また、判決では、使用済み核燃料プールが原子炉のように堅固な施設に囲われていないことも指摘し、万が一の危険という領域をはるかに超える、現実的で切迫した危険があると認定しています。昨年知事が言われた新規制基準の厳格な適用による原発の安全性確保はできないのではないでしょうか。高浜原発再稼働差しどめの仮処分決定を踏まえた現時点での原発再稼働についての知事の所見をお尋ねします。  3点目は、避難計画についてですが、昨年3月に作成された原子力災害に係る滋賀県広域避難計画は、滋賀県版UPZ内に居住する長浜市および高島市の5万7,000人余りを対象とするものですが、避難先の確保、避難車両の手配、人員配置、避難ルートなどさまざまな問題があると思いますが、広域避難計画における困難な課題や今後検討を要する課題について、具体的な説明を求めます。  また、要配慮者の避難計画についてですが、滋賀県保険医協会は、ことし3月、高島市、長浜市、米原市、大津市の病院や老人保健施設などの入院、入所機能を持つ168施設に対して、原発過酷事故における避難計画アンケートを実施し、48施設から回答を得たとされています。それによると、避難計画を作成済みは2施設、作成予定6施設で、83%の40施設が作成していないとしています。  回答を得た全施設のうち、県などから説明を受けたと答えたのは3施設のみで、ほとんどの施設には説明がされていません。避難計画を作成していない理由について、「作成方法がわからない」70%、「計画が無意味だと思う」12.5%となっています。要配慮者の避難計画について、今後の対策をお尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) 原発政策について、大きく3点御質問をいただきました。  1点目の卒原発に向けた取り組みでございますが、原子力発電を初めエネルギー政策につきましては、国が中長期的な展望を持って検討、実施されることが基本であり、10年単位、20年単位といった視点が必要であると考えております。  現存する原発の防災対策に万全を期しながら、そうした中で、一日も早く原発に依存しない新しいエネルギー社会の実現に向け、原発の依存度をできるだけ早く引き下げていくべきであると考えております。そのために、御質問の中にも触れていただきました道筋を現在検討中でございます。  福井地裁の大飯原発3、4号機運転差しとめ請求判決につきましては、原発の安全性に重きを置いた司法の判断があったものと受けとめております。
     2点目に、原発再稼働に関する所見についてでございます。  本県といたしましては、その原発プラントの安全対策などオンサイトの安全性確保のみならず、防災対策の構築などオフサイトの対策も含め、万が一の事故が発生した場合の実効性ある多重防護体制が十分でないと認識しております。  また、使用済み核燃料の処理など、いわゆる原子力の静脈部分が整っていないという深刻な問題を抱えていることから、未来世代の安全、安心に責任を持つべき立場にある一人としては、再稼働を容認できる環境にはないと考えております。  広域避難計画における課題で、2点御質問をいただきました。  バスおよび運転手の確保、スクリーニング体制の確立および要配慮者の避難体制の充実等が主なものであると認識しております。  このことから、昨日、内閣府や滋賀県バス協会とも連携しながら、原子力災害時に必要な知識を習得していただくことを目的といたしまして、バス等運転業務者研修会を開催したところでございます。また、7月12日には、約600人の住民の方の御参加、御協力を得て、大規模な住民避難やスクリーニング実働訓練を計画いたしております。  あわせまして、これら課題の解決には国による広域的な支援が欠かせないことから、福井エリア地域原子力防災協議会でありますとか関西広域連合等の場を活用いたしまして、連携をさらに進めてまいります。  さらに、万が一の事故の際には、県民の皆さんに適切な行動をとっていただくことが重要でありまして、原子力防災講習会でありますとか、出前講座の実施によるリスクコミュニケーションを一層推進してまいります。  次に、病院や社会福祉施設に入院、入所されている要配慮者の避難計画についてでございます。  地域防災計画におきまして、病院や社会福祉施設に対して避難計画の作成が求められておりますが、御指摘のとおり、各施設におきましては計画の作成がなかなか進んでいない状況にございます。施設からは、作成方法がわからないといった御意見があることも認識しておりまして、県といたしましては、本年度中に避難計画のひな形を作成いたしまして、提供させていただくこととしております。  また、避難先の確保につきましては、関係団体の御協力を得ながら、滋賀県版UPZ圏内にあります施設の避難先となります施設の調整を行っているところであります。  加えまして、計画どおりに避難が実施できない場合に備えまして、県として、13の社会福祉施設との間で広域福祉避難所の指定も締結させていただいているところであり、これらの取り組みによりまして、避難先の確保に万全を期してまいりたいと存じます。  このほか、避難に当たりましては、移送に要する車両や人員の確保といった課題もあることから、本年3月には、滋賀県老人福祉施設協議会との間で、避難先の確保に加えて、移送車両の提供や職員派遣等について包括的な協定を締結させていただきました。  今後とも、要配慮者の避難計画の作成を促すとともに、その計画が実効性のあるものとなるよう、関係団体とも連携しながら、避難体制の充実に努めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)再問いたします。  政治の姿勢が再生可能エネルギーなどの本格的な前進に大きく影響するように思うんです。知事は卒原発というのを掲げておられるんですけども、これはこれとして、原発に依存しない社会をできるだけ早くつくるということで評価できるものでありますけれども、もっと早く、今、実際に原発がとまっているんだから、このまま廃炉に向かって原発なしでもやっていくんだという、そういう姿勢を確立するということが再生可能エネルギーを本格的に普及させる上で必要ではないかと思うんですけども、そこの所見を伺いたいと思います。  それから、2つ目に、多重防護の問題なんですけども、前段でも指摘しましたように、日本において、地震と津波の大国である日本で、本当に安全な原発いうのは有り得るのかと。多重防護は幾重にも防護するということなんですけども、その第1番目の立地している場所が下から地震や大きな津波が来るところであって、そういうところに多重防護は成り立つのかという問題があると思うんですけども、そこら辺の考えについてお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 2問いただきましたが、一括して答弁させていただければ、おっしゃるように、そういういろんな御懸念やいろんな方の御指摘がある中、原発の立地があり、その原発由来の電力も使わせていただきながら、私たちは生活をしたり、また生産活動をしておりました。  現にその地域に今原発があり、そういうものを廃炉する、また処分する、そういう使用済み核燃料の処分先地もまだ選定できてないというのが我が国の現状だと思います。加えて、いろんな地震のリスクやさまざまなリスクが指摘をされているという状況にございます。  いずれにしても、3・11を教訓に、一日も早く原発に依存しない新しいエネルギー社会をつくると、そのことにはもちろん国の政策や方向性もございますが、滋賀県でできることをしっかりと積み重ねていくんだということから、そのことを単なるスローガンではなくて、具体的な施策に落とし込んでいくという、そういう今道筋づくりをさせていただいているところでありまして、この議会でも多くの方からの御知見や御提案をいただければと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)目指す方向は共通するものがあると思うんですけども、いかに速度と規模を早めるかいう点で、やっぱり原発ゼロの政治決断いうのが非常に大事だということを強調しておきたいと思います。  次に移ります。南高北低の問題について質問をいたします。  県はこれまで、公の施設の見直し計画を策定し、施設の廃止、移管などに取り組んできました。極めて厳しい財政状況を理由に、一律に県施設の廃止、閉鎖、民間移譲を進めたことは、南高北低と言われる地域間格差をますます広げています。  高島市の朽木いきものふれあいの里廃止などにも住民の批判が上がっていますが、長浜市で見るならば、木之本保健所の廃止、木之本土木事務所の支所化、2つの特別養護老人ホームの民間移譲、奥びわスポーツの森のプールの閉鎖、虎御前山キャンプ場の廃止、県総合事務所の廃止、さらに統廃合により高校が1校減らされました。地元では、長浜市に残る県施設は高校と長浜ドームぐらいと言われています。こうした県政のあり方が地域の衰退に拍車をかけています。このことについて、知事はどのような認識を持っておられますか。  次に、長浜市内にある数少ない県施設、奥びわスポーツの森と長浜ドームについて、県民の要望に沿う改善、充実を強く求めたいと思います。  まず、奥びわスポーツの森について、土木交通部長に3点お尋ねします。  3年前に閉鎖されたレジャープールは、毎シーズン2万人の利用があり、近くの子供や帰省客に大きな人気がありました。耐用年数がまだあるプールを閉鎖した詳細な根拠を問います。  地元早崎町の人は、県政100年の事業ということで土地の提供に協力したが、一方的なプールの閉鎖は納得いかないと怒っておられます。プール再開を求める声が広がっていますが、再開できないか、お尋ねをいたします。  施設内にあるグラウンドゴルフ場の管理について、利用者から不満の声が上がっています。びわグラウンドゴルフクラブからも改善の要望が出されていますが、利用者の願いに応える改善ができるかどうか、お尋ねします。  施設内を流れる水路の管理がなされていないため、早崎町の農家から、農業排水が流れず耕作ができないと苦情が出されています。管理についての所見と対策を問います。  県立長浜ドームについて、教育長にお尋ねします。  長浜ドームの出入口は湖岸道路への1カ所しかなく、イベント終了時の車の渋滞が常態化しています。長浜ドームの利用状況、利用者の苦情把握について問います。  長浜ドームは第79回国体の相撲競技会場に予定され、また、原子力災害に係る広域避難計画において避難中継所とされています。出入口の増設などの整備が必要だと考えますが、所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 私にいただきました、いわゆる議員御指摘の南高北低問題についてでございますが、県有施設の見直しに関する認識でございます。  公の施設や地方行政機関等の見直しは、厳しい財政状況のほか、県民ニーズの変化、民間や市町の類似施設の整備状況、市町村合併や地方分権改革の進展など、県を取り巻く環境の変化を踏まえて、全県的に取り組んできたものでございます。  見直しを進めるに当たりましては、市町や関係団体とも協議しながら、地域における県民サービスが低下しないよう、十分配慮して実施してきたものであると認識いたしております。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)2つ目の奥びわスポーツの森について、3点の御質問のうち、まず、1点目のプールを閉鎖した根拠およびプールの再開についてでございますが、本県の厳しい財政状況を踏まえ、平成21年12月に策定しました外郭団体および公の施設見直し計画において、プールの閉鎖を行うよう位置づけられたところでございます。  プールの利用者の強い要望もございますし、そういったことから、長浜市への移管協議などいろいろと模索をしてまいりましたが、市との協議が成立せず、やむなく休止せざるを得ませんでした。  プールの再開につきましては、依然として財政状況が厳しいことから、現時点では再開することが困難であると考えております。  次に、2点目のグラウンドゴルフ利用者の願いに応える改善ができるかどうかについてでございます。  利便性向上のために、以前から利用者からの御意見、御要望を踏まえ、雑草、害虫対策や、また平成26年には18ホールから24ホールへとコースの増設などを実施してきたところでございます。さらによいコースとして維持管理していくためには、引き続き利用者の方々の声を伺いながら、できる限り対応してまいりたいというふうに考えてございます。  次に、3点目の公園内水路の管理についての所見と対策についてでございます。  公園を通る河川は、地形的に琵琶湖の水位による影響を受けやすく、その流水が良好でないことから、構造上の課題が大きいと考えております。このような状況でありますが、公園内における河川の通水に支障となる樹木や堆積土砂などの課題解決に向けて、関係機関との協議を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◎教育長(河原恵) (登壇)県立長浜ドームについての御質問にお答えをいたします。  長浜ドームは、県下初の屋根つきグラウンドとして平成4年に設置され、各種スポーツ競技の開催はもとより、びわ湖環境ビジネスメッセなど多くのイベントに活用されています。  その利用状況については、平成26年度の年間稼働日数は347日で、月1回のメンテナンスのためや年末年始の閉館日を除くと100%の稼働率となっており、年間利用者数は22万人を超えている状況でございます。  こうした利用者の方々に安全、安心で快適に利用していただくため、指定管理者である公益財団法人滋賀県体育協会グループでは「みなさんの声BOX」を設置するなど、施設に対する御意見、要望、提案を伺いながら、サービスの向上に努めているところでございます。  利用者の方からは、車で出るときの渋滞をなくしてほしいという御意見があることから、大規模イベントの際には、主催者に対し、あらかじめ警備員の配置による車の誘導や来場者への公共交通機関利用の呼びかけを依頼しているところでございます。  長浜ドームは国体会場としての活用が想定されるとともに、原子力災害に係る広域避難計画における避難中継所に指定されていますが、いずれも現状の施設を前提として活用することを想定しており、現在のところ、出入口の増設までは考えておりません。  今後とも、イベントの主催者とも十分協議し、利用者の利便性向上につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)余り時間がないんでゆっくりできないんですけども、厳しい財政状況だからプールの再開が困難だいうことなんですけども、どのくらい再開するのにお金がかかるのか、お尋ねします。  さらに、お金の問題では、先ほど、県庁周辺整備にこれから検討していくとか、それから、私がこちらへ来てからいろいろ聞きましたら、危機管理センターに60億円使うとか、あるいは琵琶湖博物館のリニューアルに30億円、また美術館をつくるとか、要するに南のほう、ほとんど南部で巨大な財政を投資するという、そういう状況になっているんですけども、湖北の長浜市に残されている唯一の、唯一というか、数少ない長浜ドームとか奥びわスポーツの森のプールとか、本当に利用者が改善してほしい、再開してほしいという願いに、これ、恐らく数百万円あったら対応できると思うんですよ。南高北低と言われるこういう現状に対して、そういう対策をきちっととってほしいというのが私の質問の趣旨なんですけども、再度答弁を求めます。知事と、それから土木交通部長と。 ◎知事(三日月大造) 議員の思い、また議員に思いを届けていらっしゃる県民の皆様方の思いは、しっかりと受けとめたいと存じます。県庁周辺のプロジェクトの問題や美術館の問題や琵琶湖博物館や、それ全部南部じゃないかと、北部にある施設のことも考えてほしいということについては、そういう思いもしっかりと承りながら、今後、いろんな施設のそういう配置の問題でありますとか運営についても、意を用いてまいりたいと存じます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) プールの再開についての費用でございますけれども、プールにつきましては23年8月から休止をしているところでございます。こういったこと等から、浄化施設、ポンプ等々につきましては、その損傷程度、十分に現在のところ把握してない状況でございます。こういったことで、このようなそれぞれの施設の状況を把握しないと、具体の数字というものは上がってこないところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)奥びわスポーツの森のプールにつきましては、閉鎖された当時に、大体1,500万円ぐらいの維持管理費がかかると。他方で利用料金の収入が700万、800万くらいで、大体600万、700万くらいの赤字があるいうふうに聞いていました。そういうくらいのお金は、今のいろんな施設の新しい建設とかに比べたらごくわずかなものであって、例えば、近くに湖北水辺ステーションという道の駅があるんですけども、そこから4キロぐらい離れているんですけど、あそこのプールを閉めたら、夏休みにソフトクリームの売り上げががた落ちになってしまったと。要するに、それだけ小さい子供を連れてプールを利用されていたということなんですよね。  だから、こういう県の施設のあり方が地域の衰退に拍車をかけていると。そういうところにあらわれていると思うんです。ぜひ、県土の均衡ある発展いうことについて、知事は意を用いて県政に当たっていただきたいということを強くお願いしたいと思います。  最後に、消費税と社会保障削減について、知事の所見を3点伺います。  消費税が導入されてから26年間の間に、消費税収入は304兆円、他方で、同じ時期に法人三税の収入減が262兆円。消費税はほとんどが法人税の減税に充てられているという状況になっています。消費税は低所得者ほど負担が思い不公平税制だと、逆進性の不公平税制だいうことが指摘されていますけれども、日本共産党は消費税に頼らない別の道を提唱しています。  大型開発や軍拡などの浪費の一掃をし、応能負担の原則に立った税制の改革で財源を確保する、国民の所得をふやす経済改革で日本経済を健全な成長の軌道に乗せて税収増を図る、こういう道に経済、財政、社会保障の危機を一体的に打開する道があると考えますが、消費税についての知事の所見を伺いたいと思います。  それから2点目に、消費税10%についてなんですけれども、消費税増税路線がいかに道理を持たないかが、社会保障の切り捨て、大企業減税、大軍拡の企てなど、いよいよ明瞭になっています。2017年4月からの10%への増税実施は中止すべきだと考えますが、知事の所見を伺います。  最後に、社会保障のためといって消費税率が8%に引き上げられてから1年、政府は増収分を全額社会保障の充実、安定化に使うと説明してきましたが、実際には増収分の16%にしかすぎません。充実どころか、社会保障の負担増、給付減が続いています。  さらに、2015年度は3,900億円も削減をしました。今後、75歳以上の後期高齢者の特例軽減を廃止して2倍から10倍の負担増をもたらすとか、入院患者の食事代を1食260円から460円に引き上げる。また、年金を今まで支給してきましたが、ことしからマクロ経済スライドを導入して、さらに年金を引き下げていくと、こういう社会保障の削減に対して、どのような認識を知事は持っておられるか。  また、こういう悪政から県民の福祉、暮らしを守るためにどのような対策をとられるのか、お尋ねしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 消費税についての所見でございますが、消費税は、景気変動や人口構成などによる税収の変動が比較的小さく、安定性があり、勤労世帯など特定の者への負担が集中しない特性があり、社会保障などの財源として私は望ましいと考えております。  その消費税率10%への引き上げについてでございますが、引き上げ分につきましては全て社会保障施策に要する経費に充てるものとされているところでございまして、負担を将来世代に先送りしない観点から、また、社会保障の安定財源の確保と財政の健全化を同時に達成することを目指す観点からも、もちろん国会議員の定数の削減、さらには社会保障の効率化、これが前提でありましたけれども、こういうことからも消費税率10%への引き上げは私は必要であると考えております。  次に、社会保障費に対する認識と県民を守るための対策についてでございますが、私は、今日の長寿社会を実現できたのは、皆保険、皆年金で象徴されます世界トップレベルの充実した社会保障制度のおかげであると認識しておりまして、このすぐれた制度を次世代に受け継いでいくことが大切であると考えております。  急速な高齢化によりまして、この社会保障費が増大していく中で、制度を持続可能なものとして次世代の皆さんにも享受していただくためには、消費増税に加えまして、給付の重点化や負担の公平化により、給付と負担のバランスを確保することが不可欠であると認識しております。  こうした中、県といたしましては、県民の生活を守るため、必要な人が必要なサービスを受け続けることができるよう、県民の皆様の声をしっかりと受けとめながら、県の施策において、きめ細かに対応してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)消費税の問題についてはかなり見解が違いますので、また次の機会でじっくりやりたいと思います。  私、選挙中に演説していましたら、街頭で、乳母車を押したおばあさんがとことこやってきて、私は国民年金が最低の月3万円だと。消費税が上がって、社会保障の給付がどんどんふえて、もうやっていけないと、涙を流して訴えられました。こういう県民が滋賀県内にたくさんおられるんです。こういう人に思いを寄せて、社会保障をしっかり守る、福祉を守る政治に切りかえてほしいということをお願いしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、12番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  最後に、5番目片信悟議員の発言を許します。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)皆さん、大変お疲れさんでございます。今議会は最大の質問者の数ということで、本日、9番目の登場ということで、テレビに映るかなと思うて心配しとったんですけれども、何とか間に合いそうでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。自由民主党滋賀県会議員団の一員として、今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。早速ですが、もうしばらくの間、おつき合いをお願いいたします。  発言通告書に従いまして、大きく2つの項目、知事、それから関係部局長に伺ってまいりたいと存じます。  まず初めに、子供の安全、安心と生きる力をつけるということについてお伺いをいたします。  昨年来より、子供の学力、特に全国学力・学習状況調査の結果について、本県議会でもさまざまな議論がございました。当然、学力は低いよりは高いほうがいいということは、誰しもが思うことであります。残念なことに本県の結果が非常に悪かったことから、その対策が急がれるということは言うに及ばずであります。  その一方で、学力だけが上がればよいというものでないと私は思っております。将来、子供たちが社会に出たとき、確かに学力、いわゆる知識がないよりはあるにこしたことはありません。しかしながら、それだけでは今の世の中を生き抜くことが大変難しくなっているように思います。  あらゆる知識を習得し、またその知識をもとに経験を積んで知恵を出し、さらには人とのコミュニケーションをしっかりとることができてこそ、生きる力になっていくと私は考えております。  そして、生きる力、その根幹はやはり家庭教育にあると考えます。さまざまな支援をもって家庭教育を充実させることで、子供たちの未来が明るいものとなっていくのではないでしょうか。  そこで、本県基本構想の中で、重点施策として子どものたくましく生きる力を育む教育の推進を掲げられておりますが、具体的にどのようなことを考えておられるのか、教育長に伺います。  次に、全国では家庭教育支援条例が制定、またその議論が盛んに行われております。条例制定そのものの是非についてここで申し上げるつもりはございません。ただ、私自身が小中学校で9年間、PTA会長をさまざまな形で務めてまいりましたけれども、そうした事業を通じて、子供たちや保護者に情報を提供し、また体験してもらい、また地域社会でも同様に、コミュニケーションを図るための事業を展開、活動を行っております。ただ、それがどのように家庭教育にもつながっているのか。企画した事業において参加者が非常に少ない中で、限界を感じているのも事実であります。  子供たちが生まれて、まず集団生活として認識するのは家庭、家族であると思います。まだ記憶にも残らないときから、さまざまなことを見聞きし、認識し、成長していく過程において最も影響を受けるのが、これまた家庭、家族であると思います。その基盤となる家庭環境を整えていくことで、子供たちの生きる力を育むことができる大きな要因の一つであると考えます。  また、単にこれは教育だけの問題でなく、貧困、経済的格差の意味合いも強く、経済的支援や就労支援が不可欠との指摘もあります。そうした中で、子供の生きる力を養うために、今後の家庭教育のあり方や、それを行う環境整備をどう考えていかれるのか、子育て真っ最中の知事にお伺いをいたします。  次に、子供を対象とした熱中症対策について伺います。  ことし1月、兵庫県において、部活動中の女子生徒が熱中症で重い障害が残ったとして、県を相手取り損害賠償請求を行った控訴審判決で、兵庫県に対し2億円超の支払い命令が出されたというニュースは記憶に新しいところであります。これからの季節、学校管理下におけるこうした事故を未然に防がなければなりません。  あるデータによりますと、学校管理下における熱中症の発生件数は、平成23年度に4,600件余り、24年度では4,900件余り、25年度では5,200件余りと、年々増加傾向にあります。その中で、特に中学校、高等学校ではともに2,000件を超えるなど、教職員ならびに生徒の意識と具体的な対策が急務とも言えます。  また、学校管理下のみならず、子供たちの安全のために、全ての子供たちについて、その命を守る対策を講じなければなりません。そこで、まず初めに、本県における学校管理下での熱中症発生件数はどのようになっているのか、教育長に伺います。  次に、これまでに熱中症に対する具体的な対策についてどのようにされてきたのか、また、今後どのようにされるのか、教育長に伺います。  私立学校については、それぞれ学校設置者の責任において、さまざまな対策が講じられているとは思いますが、その実態を把握することは大変重要であると考えます。同様に、私立学校についても、熱中症の発生状況およびその具体的対策について、どのような状況か、総務部長に伺います。  また、保育所等についての発生状況および具体的対策についてはどうなっているのか、健康医療福祉部長に伺います。  次に、部活動においては、十分な指導管理が現実としてできない状況とも伺っております。こうした部活動においての対策についてはいかがでしょうか、教育長に伺います。  次に、学校における空調設備の整備について伺います。  平成22年9月定例会で粉川議員の質問に対し、当時、末松教育長が、「本年8月の調査で、幼稚園では約21%の保育室において、小中学校では約12%の普通教室においてエアコンが設置され、また昨年──平成21年の調査によりますと、扇風機も約4割の小中学校に設置されております」と答弁されておりますが、そのときから約5年たっております。幼小中学校では現在どのような状況か伺います。  また、「県立学校については、エアコンは高等学校ではコンピューター教室等の一部の教室に、特別支援学校ではランチルームや体温調節が困難な児童生徒が学習する普通教室に設置しているところですが、極めて厳しい財政状況の中で、耐震改修や老朽改修工事であっても事業内容等を十分精査しつつ実施している状況から、全ての教室にエアコンを整備することは困難であると考えている」とのお答えがありました。  聞くところによりますと、県下の高等学校では、保護者や後援会などの独自の財源でもって教室に空調設備を設置していると仄聞しております。県立学校においてそうした事例はどのくらいあるのか、教育長に伺います。  さきの答弁で、当時の財政状況を考えるとそういう判断があったことは致し方ないかと一定の理解をいたしますが、あれから5年、経済状況も本県の財政状況も変わってまいりました。今後、県立学校における空調設備の整備についてどのように考えていかれるのか、教育長の見解を伺います。  次に、アスベスト問題について伺います。  先月、県立膳所高校において、体育館天井裏屋根金属板の吹き付け材に、国の基準を超えるアスベストが使用されているとの報道がありました。県は、現状において特段の問題はない、その対策、対応については順次進めるとのことでプレス発表されましたけれども、この事実を教育委員会が把握されたのはいつの時点だったのか、教育長に伺います。  私は平成25年6月定例会で、県有施設におけるアスベスト対策について知事に対し質問をいたしました。その際の質問で、県が所有、また管理する施設において、その数をただした際、平成18年度に基準の変更、つまり、アスベストの含有率が1%から0.1%に、また、新たに3種類のアスベストが対象に加えられたことから再調査をした結果、当時24施設、33カ所において使用が確認され、その後、除去等の措置を行った結果、当時の最新情報では13施設20カ所でアスベストの残存を確認しているとの知事答弁でありました。その中に今回の膳所高等学校の体育館は把握されていたのでしょうか、知事に伺います。  もし、今回の膳所高校アスベスト問題を平成25年に把握されていなかったとしたら、当時の知事答弁はまことに不誠実なものでありますし、県の対応にも問題があると言わざるを得ません。また、もし把握されていて何の対応もしてこられなかったとしたら、これは全くもって許しがたいことだと思います。
     いずれにしても、私は、アスベストのような危険物質が2年間も、しかも教育施設において放置されていたことに、まことに残念に思います。ほかにもあるのではないか、まだ公表されていない事例もあるのではないか、何のために2年前に問いただしたのか、非常にやり切れない気持ちであります。このことについて知事はどのように感じ、また今後どのようにされるのか伺います。  この項の最後に、2年前に答弁いただいた県有施設13施設20カ所の中に、教育施設は含まれているのか、また、残存するアスベストの処理はその後どうされたのか、知事にお伺いをいたします。 ○議長(西村久子) 5番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)目片議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。  子供の安全、安心と生きる力をつけるためにということで、私には4点御質問をいただきました。  まず、1点目の今後の家庭教育のあり方やそれを行う環境整備をどう考えていくべきか、いるのかということについてでございますが、私自身も3人の子供の子育てに日々懊悩しながら奮闘しているところでございます。目片議員におかれては、PTA活動を長年にわたって中核として担っていただいております。敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。  家庭教育は、議員も御指摘いただいたように、人の育ちの原点でありますし、家庭において基本的な生活習慣を身につけさせることや、自発的に学習する力を培うことは極めて重要であると考えております。  私も、連れ合いともども、例えば、子供の前ではなるべく携帯、スマートフォンを使わないようにしようとか、学校であった出来事を子供と話し合ったり、時間を見つけて一緒に勉強したり読書したり、少しでも子供と過ごす時間を大切にしようと。子供の生きる力を育む根幹は家庭教育にあるということで、親として実践しているつもりであります。  同時に、もっと夢と生きる力というんだったら、私たち自身が夢を語ろうということであるとか、いいことばっかり言うんじゃなくて、不足しているところとか足りないとことか、悩んでいることとか失敗したこととかを、むしろ積極的に子供たちに話してやろうとこを考えながら、なかなかできないんですけど、頑張ってやろうと努めているところでございます。そういう意味で、親と子供がかかわる時間を少しでも多く持つことが、子供に安心感も与え、成長につながると考えております。  そのためにワーク・ライフ・バランスを意識しながら、働き方を改革して、県民の皆様の仕事と家庭の両立を応援したいと考え、県庁内でのイクボス宣言を行いますとともに、このような取り組みを企業や団体にも働きかけながら、県全体で家庭教育がより一層進むような機運を高めたいと考えています。  一方で、さまざまな家庭状況により、親が子育てについて1人で悩みを抱えてしまったり、生活のために仕事に追われ、子供になかなか向き合えない御家庭やお父さん、お母さんもいらっしゃるところでございます。  そのため、全ての保護者が安心して子育てができるよう、行政として可能な限り就業支援や経済的支援、生活支援を初め、関係部局が連携しながら、個々の家庭の実情に応じた、また子供たちの状況に応じたきめ細かな家庭教育支援に総合的に取り組み、子供たちの安全安心と生きる力を育んでまいりたいと考えております。  次に、2点目に、アスベスト問題について、平成25年6月県議会定例会において、膳所高等学校体育館におけるアスベスト使用の事実を把握していたのかいなかったのかという御質問についてでございますが、今回使用が判明いたしましたアスベストの一種でありますトレモライトにつきましては、平成20年度に文部科学省の指示により全国一斉調査が行われました。膳所高等学校体育館においても、厚生労働省により示された分析方法に基づき調査を実施いたしましたが、トレモライトは検出されなかったことから、平成25年6月県議会定例会の時点においては、アスベスト使用の事実を把握しておりませんでした。  調査機関によりますれば、アスベストの含有量が極めて少なかったこと、サンプル調査であったことなどから、前回調査ではアスベストが検出されなかったと推測されるということでございました。  3点目に、こういうアスベストが教育施設に放置されたことに対して、どう感じ、今後どうするのかということでございます。  今般、県立学校において基準を超えるアスベストが検出され、生徒や保護者の皆様に御心配をおかけしたことは大変遺憾なことであり、申しわけなく思っております。教育施設につきましては、今回の事案を踏まえ、教育委員会において、どのような対応が必要なのか、早急に検討するように求めたところでございます。  4点目に、2年前に答弁いたしました県有施設に教育施設は含まれているのか、また、残存するアスベストの処理についてということでございますが、御質問の13施設20カ所には教育施設は含まれておりませんでした。その後、5カ所において建物の解体や除去などよりアスベストを処理しており、残り9施設15カ所でアスベストの残存を確認いたしております。  これらアスベストを除去していない施設につきましては、これまでの調査で空気中の粉じん測定を行っておりまして、全てにおいて大気汚染防止法施行規則で定められております敷地境界基準値以下という結果でありましたことから、飛散による暴露の心配はないものと考えております。  今後とも目視による観察を行い、変化が見られた際には改めて粉じん測定を実施いたしますなど、施設の適切な維持管理に努め、解体、改修時期に確実に除去を行ってまいります。 ◎総務部長(青木洋) (登壇)3点目の熱中症に関する御質問のうち、私立学校における状況についてお答えいたします。  県内の私立学校における熱中症の発生状況は、独立行政法人日本スポーツ振興センターの集計によりますと、平成23年度から26年度までの4年間で18件の報告がなされており、その内訳は、中学校が3件、高等学校が15件で、幼稚園と小学校は発生をしておりません。  私立学校の熱中症対策につきましては、文部科学省の通知を踏まえ、熱中症事故防止のための適切な措置を講じるようお願いをしているところであり、施設面では、県内私立の小中高校学校全ての普通教室とほとんどの幼稚園の保育室において、エアコンが整備をされております。  また、適切な水分補給や帽子着用等の注意喚起、熱中症の疑いのある症状が見られた場合に適切な処理を行うことについて教職員の共通理解を図るよう、職員会議等で周知するなどが行われております。  今後とも、各私立学校に対しまして、熱中症予防の取り組みを推進していただくよう働きかけてまいりたいと思っております。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)保育所等における熱中症の発生状況および具体的対策についてお答えをします。  まず、熱中症の発生状況ですが、重篤な症例につきましては県に報告を求めることになっておりますが、これまで該当事例はございません。  また、保育所等に限定したデータではございませんが、防災危機管理局が取りまとめた熱中症による救急搬送状況では、満7歳未満の乳幼児については、過去5年間、5件から13件となっております。なお、本年度はこれまでのところございません。  次に、具体的対策でございますが、県では毎年、市町を通じて保育所等に対し、こまめな水分補給や室内の温度調節など、熱中症予防対策に係る注意喚起を行っていただくようお願いするとともに、保育指導員が保育所等を訪問した際に助言、指導などを行っているところでございます。 ◎教育長(河原恵) (登壇)子供の安全、安心と生きる力をつくるための8点の御質問にお答えをいたします。  1点目の子供のたくましく生きる力を育む教育の推進については、本県基本構想の中で、知徳体を身につけた人間力の育成やインクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組み、また、幼小中高それぞれの年代に応じた継続的なキャリア教育などに取り組んでいくこととしております。  具体的には、学ぶ力向上滋賀プランに基づき学ぶ力を育むことや、すこやかタイムや自尊感情を高める取り組みを通して、体力向上や豊かな心を育む取り組みを進めていきたいと考えております。  また、中学生チャレンジウイークなどを通して、社会的、職業的自立を目指したキャリア教育を推進してまいります。  特に、いじめや不登校の問題を初め、児童虐待や子供の貧困の問題など子供を取り巻く環境にさまざまな課題がある中、子供が安心して健やかに育つ社会づくりや教育環境を整備する必要があると考えております。  こうした教育を進めるためには、議員御指摘のとおり、子供の教育について第一義的責任を有する保護者が行う家庭教育が何よりも大切でありますことから、教育しがなどの広報活動の充実やPTAの皆様との連携を深めることなどで、家庭の教育力を高めるための取り組みを進めるとともに、家庭や地域、市町や関係機関と連携協力して、子供たちのたくましく生きる力を育んでまいる所存でございます。  次に、2点目の子供の熱中症対策についてお答えをいたします。  本県の熱中症発生件数についてでありますが、平成23年度は47件、平成24年度は57件、平成25年度は69件と、先ほど議員が御質問の中で申されました全国の件数と同様の傾向となっているところであります。直近の平成26年度につきましては、全体で52件となっており、その内訳は、小学校で6件、中学校で32件、高等学校で14件であります。  本県の特徴といたしましては、全国では中学校と高等学校はほぼ同数で発生しているのに対し、本県の場合は、中学校での発生が高等学校の倍以上の高い件数となっているところでございます。  次に、3点目、これまでの熱中症に対する具体的な対策でございますが、学校では運動場、体育館、プール、校外学習等さまざまな場所での活動があるため、熱中症対策備品を簡単に持ち運べるようセットにして用意するとともに、効果的な冷房の方法を図で示すなど、誰が対応しても正しく救護できるよう工夫しております。  また、毎年早い時期に注意喚起の文書を発出したり、学校保健関係者を対象に研修会を開催したりすることで、共通理解を図っております。研修会では、予防の方法に加え、熱中症対策備品の準備や、熱中症が発生したときは日陰へ運び、衣服を緩め冷却するなどの救急処置について具体的に説明を行い、さらに各学校での効果的な対策事例を共有しているところです。  今後は、これまでに起こった熱中症の事故報告から課題を分析し、養護教諭だけでなく、市町教育委員会担当者、管理職、部活動指導者等に具体的に説明し、改善を図ってまいりたいと考えております。  あわせて、熱中症計を活用した暑さ指数の把握による具体的な対策を提示しながら、教職員の意識向上を図るとともに、児童生徒らが熱中症を予防できる、そういう力をつけるための指導も行い、安心、安全な学校づくりを推進していきたいと考えております。  次に、4点目の部活動における熱中症対策についてですが、先ほど申し上げました県内の発生状況から見ましても、中学校、高等学校での発生件数のうちの半数以上は運動部活動によるものとなっております。また、月別の発生状況を見ると7月、8月に集中していることから、夏休み期間における運動部活動に注意が必要であると認識しております。  特に、部活動前に子供たちの疲労や睡眠の状況を把握し、部活中の体調には細心の注意を持って健康観察を行いながら指導することや、天候や気温の状況に応じて、活動時間の短縮や時間帯の調整など活動計画を変更することが必要だと考えております。  また、練習の際には、水分、塩分補給や休憩をこまめにとることや、夏季にはグラウンドにテントを設置し日陰を確保することや、帽子をかぶることなどの対策をとるよう指導しているところでございます。  さらに、万が一に備え、経口補水液や冷水パックなどを常備し、生徒に異常が見られた場合は迅速に応急処置を行い、症状が重い場合にはためらわずに救急車を要請するなど、初動体制についても周知を図っているところでございます。  県教育委員会といたしましては、運動部活動の指導に係る冊子の中に熱中症予防の対応を載せ、保健体育科主任研修会や部活動指導者研修会において、熱中症対策についての注意喚起を図っているところです。  このような取り組みを今後も中体連や高体連を通じて継続させ、熱中症対策に万全を期してまいりたいと考えております。  次に、5点目の学校における空調設備に係る質問でございます。  県下の幼小中学校の空調設備の整備状況についてでございますが、公立学校の空調設備状況につきましては、3年に一度の文部科学省の全国調査が平成26年4月1日に行われているところであります。その結果によると、幼稚園では52.8%の保育室に、小中学校では全設置室数のうち普通教室で50.3%、特別教室で50.7%、計50.5%について空調設備が整備されているところでございます。  次に、6点目の県立学校で保護者や後援会などが教室に空調設備を設置している事例はどれくらいあるかとの御質問ですが、平成25年度より夏季休業中に補習などで使用する教室については、PTA等の費用負担による設置の申し出がある場合に設置することを許可しているところであり、現在、49校ある高等学校のうち10校で設置しており、1校で設置準備を行っているという状況でございます。  次に、7点目、今後の県立学校における空調設備の整備についてでございますが、特別支援学校については、体温調節が困難な児童や生徒が使用する普通教室に順次設置を進めているところでございます。  県立高等学校については、現在、生徒や教職員の安全を確保するための耐震改修に継続して取り組んでいるところでございます。その後は老朽化改修工事が控えていることから、現時点では公費による空調設備の整備については非常に厳しい状況にあり、扇風機等の設置などで対応を行っているところでございますが、県教育委員会といたしましても、学校現場の実情や状況を踏まえ、対策を研究してまいりたいと考えております。  最後に、8点目の膳所高校におけるアスベストの使用の事実を把握した時期についてでございます。  膳所高等学校においては、平成27年度──今年度ですが、体育館の天井落下防止工事を実施する予定であり、この工事の中で屋根裏の吹き付け材除去という工程が含まれていることから、当該吹き付け材について平成27年3月に調査を行ったところ、国の基準値である0.1%を超えるアスベストが使用されていることが判明したものでございます。  ただいま、知事からも答弁がありましたように、今般、県立学校において基準を超えるアスベストが検出され、生徒や保護者など県民の皆様方に御心配をおかけし、大変申しわけなく思っているところでございます。今回の事案を踏まえ、教育施設について今後どのような対策が必要かを検討してまいりたいと考えているところでございます。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございました。再質問はいたしません。それぞれ今答弁をいただいた、子供の安全、安心、生きる力というのをなぜ取り上げたかというと、先月、私の身近な高校生が亡くなりました。それもよく知っている子供さん。そういうことを思うと、当然、自分が生きる力、それと周りがそうやって育てていく力というのをやはり双方で一体となってやらないと、なかなか子供の力だけで生きていくということも難しいですし、当然家庭教育だけで物事が進むとも思いませんし、これはみんなが寄ってたかってやっていかんとあかんのかなという思いがございましたので、ちょっと今回、そんな思いもあって質問をさせていただきました。  今後とも、やっぱり子供が健全に育っていく環境をつくっていただくと同時に、今度は我々保護者も、保護者としての役割というのをどうしたらいいのかということを考えていかないと、ややもすると、いつぞやの新聞に載っていましたけど、PTAは要るのか要らんのかみたいな話になっていまして、先ほど教育長から答弁いただきましたけど、PTAと協力するはあるけど、PTAがなくなったら協力も何もできへんというような状況にもなると、こういうことのないように我々保護者も考えていかなきゃいけないなという思いを強く持って、家庭教育をどう支援していくのかということについてお伺いさせていただきました。  それでは、次の項目に移らせていただきます。  県民財産の管理とその活用についてお伺いをいたします。  あえて県民財産と申し上げたのは、県が所有、管理するものはやはり県民の皆さん一人一人の財産であるということを改めて認識をしてほしかったからであります。そうした認識が欠如することで、万が一にでも県民が不利益をこうむることがあってはなりません。  当然のことながら、公の立場にいる者は、自身の財産と同様にその県民の財産を守ること、また活用することが使命であるとも思っています。そして、一口に県民財産と申しましてもさまざまなものがあります。公費をもって取得したもの、例えば知的財産や土地などの資産、あえて言うなら、公の立場に携わっている人もそうでありましょう。そうした県民財産がしっかりと有益に活用されてこそ、県民福祉の向上につながると思います。今回は、県が公費で取得した、また県が所有、管理する県有地について伺ってまいります。  先日、道路用地の取得とその管理について、県民の方から御指摘がありました。半世紀、つまり50年以上前に県が用地を取得し、道路を通されたことは大変結構なことでありますけれども、当時の用地取得においては、道路用地に必要な部分のみの買収ではなくて、道路の部分も含めてその1筆を買い上げていたことから、残地がそのまま県有地として放置されている状況であるとの指摘でした。  また、道路区域指定もされておらず、そのため管理が十分に行われていなかったため、県有地の上に第三者が私的に建物を建て占有しているということでありました。その第三者の関係者が県職員であったということから指摘を受けたものであります。  最近では、用地買収をする場合には必要な道路用地のみを対象に取得をして、1筆の中で残存する場合は補償をもって対応すると伺っておりますけれども、こうした事例は県下にもまだまだ存在すると思います。  そこで、こうした事例のものがほかに存在するのか、把握されているものがあるのか、土木交通部長にお伺いをいたします。  次に、こうした土地の境界や所有権については、以前からさまざまなトラブルのもととなっております。私は平成23年11月議会において、地籍調査について、西嶋副知事、当時総合政策部長でありましたけれども、質問をさせていただきました。その際の御答弁でも、地籍調査の重要性は十分に認識していただいていると理解しております。土地の戸籍と言われる地籍を確定させることで先ほどのような事案は起こらないのではないかと考えますが、地籍調査の現状ならびに今後の取り組みについて、改めて総合政策部長に伺います。  特に、この道路の残存地に関していえば、先ほど申し上げたように県民の財産であります。これが有効に活用できれば県民利益になると考えますが、万が一でも所有権がはっきりしないものについて、第三者が自己所有地に取り込むようなことがあれば、まさしく県民の損失であります。時間がたてばたつほど解決が遠のくように思いますけれども、今後の対応をどういうふうにされるのか、知事に伺います。  次に、県有地ならびに県が管理する建物等について、第三者に対する賃貸借について伺います。  この県有地および県管理の建築物について、市町など自治体を除く団体等への賃貸借の数はどのくらいあるのか、知事に伺います。それらの賃貸借料は年間どのくらいの収入でしょうか。同じく知事に伺います。  こうした第三者への賃貸借について、減免制度というものがございます。県政推進のために、その目的を勘案し費用を免除するという制度と理解しておりますが、現在、その減免措置を受けていることについて、その目的に合致するものであるのか、実態調査を行われているのか、知事に伺います。  次に、大津市の県有地である中之島について伺います。  ここは瀬田の唐橋がかかる、大変歴史と趣のある場所でございます。私も近くに住まいをしておりますけれども、非常に観光面でも人気のあるところであり、知事も昨年、大綱引き大会にお越しになって、よく御存じだと思います。その中之島は、現在、ある団体が借地をされ、さまざまな事業展開をしておられるところでありますけれども、この県有地である中之島が減免措置されるその目的に沿った事業がなされているか、非常に疑問であるとの声もあります。  加えて、観光の地でもある唐橋周辺の事業者からは、観光バスもとめられない、一般の駐車スペースもないことから、駐車スペースの確保など観光面での支援も求められております。  県有地の利用、また活用の仕方として考えなければならないのは、県民や地域にとって有益となるか損失となるか、総合的な考察が必要ということであります。それぞれの目的によって、県民の財産が有効に活用されることが非常に重要な要素であると考えますが、中之島の利活用について、知事のお考えを伺います。  これからは地方の時代と言われます。それはとりもなおさず、地域がいかに活性化していけるかによって大きく変わります。歴史や文化、そして地域に生きる人たち、また、新たな活力が融合していくことで地方創生がなされるものだと私は思います。特に財政的に考えても、県有財産の利活用は大変重要であると考えます。  私も以前からネーミングライツの問題を初め、県管理施設、また事業の民営化などを含め、県所有の財産を単に売却するだけでなく、有効に活用しようということを申し上げてきました。きょうの本会議でも、さまざまな県有地のあり方についての議論もございました。従来の考え方だけでなく、見直すべきものは見直しながら、新しいものをつくり上げていくことこそ県政発展のために必要でないかと思いますが、知事の見解をお聞きし、私の質問を終わります。 ◎知事(三日月大造) 県民財産の管理と活用について、私には5点御質問をいただきました。  3点目の県有地について所有権がはっきりせず第三者の所有地に取り込まれることがないよう、今後どのように対応するのかということについてでございます。  詳細については後ほど土木交通部長が答弁させていただきますが、今回、道路用地として取得された土地について、管理が適切でない事案があったことは遺憾であります。議員御指摘のとおり、県の所有する財産は県民の財産であり、有効活用が図れるよう、適切な財産管理を徹底してまいります。  2つ目に、4項目めに、県有地および県管理建物について、市町などの自治体を除く団体等への賃貸借に関する御質問をいただきました。  平成26年度の行政財産の使用許可および普通財産の貸し付けについて該当するもののうち、NTTや関西電力等の電柱に係るものを除いて整理いたしますと、件数は874件となっています。また、それらについて年間の使用料、貸付料収入は約2億3,100万円となっています。  3つ目に、5項目めに、県有地等の使用料、貸付料の減免措置について、目的に合致するかの実態調査等についてでございますが、使用許可や貸付契約締結の手続において、減免の要件を満たしていることが確認できる資料の提出を求めるとともに、必要に応じて相手方からの聞き取りを実施しているところです。あわせて、使用許可、貸付契約の更新手続においても、同様に減免の要件について確認を行っております。  今後、実態調査については、その具体的な方法等について研究してまいります。  4点目に、大きな6項目め、その中之島の利活用についてでございます。  現在、中之島県有地の一部につきましては、特定の団体の建物敷地および駐車場に、本県の青少年の健全な育成に関する施策を補完する事業の用に供するものとして、行政財産の使用許可を行っておりますとともに、県の施策を補完、代行する事務、事業の用に供することから、使用料を減免いたしております。  一方で、瀬田川中之島地区重要景観地は、瀬田川と中之島の自然環境を保全するため県有地としているところでありまして、議員の御意見も踏まえ、瀬田の唐橋に来ていただく方および地域の皆さんにも親しんでいただける場所として、使用許可の範囲、管理や利用のあり方について研究してまいります。  7点目の県有財産の有効活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、県の経営資源の一つであります県有財産の、県民財産の有効活用を図ることは、大変重要な視点であると考えております。県有施設につきましては、昨年5月に策定いたしました県有施設利活用基本指針において、保有施設の質、量、費用の最適化に向け、施設総量の適正化や長寿命化等とともに、有効活用を柱の一つと掲げ、取り組みを進めているところでございます。  具体的には、例えば、施設を活用いたしました歳入確保として広告事業に積極的に取り組んでおりますほか、ネーミングライツについて、企業側から対象施設等の提案をいただく提案型募集制度の導入といった拡充を検討しているところでございます。  今後とも、未利用財産の売却にとどまらず、民間のノウハウを活用いたしましたサービス向上など、さまざまな観点から検討いたしまして、今まで以上に、県有財産の、県民財産の有効活用に取り組んでまいる所存でございます。 ◎総合政策部長(堺井拡) (登壇)地籍調査の現状ならびに今後の取り組みについてお答えをします。  まず、地籍調査の現状ですが、平成26年度末の実施済み面積は376平方キロメートルです。県全体の面積から琵琶湖、国有林などを除く調査対象面積2,810平方キロに対する進捗率は13.4%でございます。  地籍調査を実施する市町ですが、議員から前回御質問のあった平成23年度は13市町でありましたが、今年度は18市町に拡大をしております。また、土木事務所管内ごとに設けた地籍調査推進会議などで市町と協議して、事業量の拡大を図ってまいりました。  県内の総事業費につきましては、平成23年度の約1億円から、今年度は1億7,700万円と約1.8倍に拡大いたしました。進捗率は、平成23年度の12.9%から、先ほどお答えしたとおり、13.4%ということになっております。  次に、今後の取り組みですが、平成26年3月に庁内関係部局でまとめた地籍調査推進プランに沿いまして、地籍調査を県や市町の地域防災計画に位置づけまして、防災対策として緊急度を高め、事業の推進を図ってまいります。また、自治会などへの出前講座、大型商業施設でのパネル展等、地籍調査の理解を促進してまいります。  また、本年6月に実施いたしました市町に対するアンケート調査ですが、人員の不足が最大の課題ということになっておりますので、民間委託の活用など効率的な事業執行手法を市町と一緒になって検討いたしまして、災害の復旧、土地トラブルの防止など多くのメリットを有し、重要な地籍調査の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)用地を取得し道路区域指定されていない県有地があるか、ほかに存在するのか、把握しているものがあるかについてでございますけれども、現在、同じ路線において数件把握しており、調査を進めているところでございます。こういった事案につきましては、迅速かつ適切に処理してまいりたいと考えております。  今後、道路用地の取得とその管理につきましては、細心の注意を払いながら、このようなことがないよう適正な管理を行ってまいりたいと考えております。 ◆5番(目片信悟議員) 終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、5番目片信悟議員の質問を終了いたします。  以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。
     明3日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時12分 散会    ────────────────...