滋賀県議会 2013-12-03
平成25年11月定例会(第25号~第31号)-12月03日-02号
平成25年11月定例会(第25号~第31号)-12月03日-02号平成25年11月定例会(第25号~第31号)
平成25年11
月滋賀県議会定例会会議録(第26号)
平成25年12月3日(火曜日)
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議事日程 第2号
平成25年12月3日(火)
午 前 10 時 開 議
第1 諮第1号(
退職手当支給制限処分に係る審査請求の諮問について)(知事提出)
第2 議第186号から議第265号までおよび諮問第1号(平成25年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)ほか80件)の各議案に対する質疑ならびに質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
第2 日程第2の件
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会議に出席した議員(46名)
1番 佐 藤 健 司 2番 有 村 國 俊
3番 大 野 和 三 郎 4番 岩 佐 弘 明
5番 山 本 進 一 6番 富 田 博 明
7番 目 片 信 悟 8番 青 木 甚 浩
9番 山 本 正 10番 大 橋 通 伸
11番 駒 井 千 代 12番 冨 波 義 明
13番 井 阪 尚 司 14番 清 水 鉄 次
15番 成 田 政 隆 16番 九 里 学
17番 柴 田 智 恵 美 18番 江 畑 弥 八 郎
19番 今 江 政 彦 20番 木 沢 成 人
21番 粉 川 清 美 22番 宇 野 太 佳 司
23番 細 江 正 人 24番 高 木 健 三
25番 川 島 隆 二 26番 小 寺 裕 雄
27番 奥 村 芳 正 29番 野 田 藤 雄
30番 西 村 久 子 31番 石 田 祐 介
32番 宇 賀 武 33番 佐 野 高 典
34番 赤 堀 義 次 35番 家 森 茂 樹
36番 吉 田 清 一 37番 辻 村 克
38番 三 浦 治 雄 39番 蔦 田 恵 子
40番 梅 村 正 41番 山 田 和 廣
43番 山 田 実 44番 西 川 勝 彦
45番 大 井 豊 46番 谷 康 彦
47番 中 沢 啓 子 48番 沢 田 享 子
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 嘉 田 由 紀 子
教育委員会委員長 藤 田 義 嗣
選挙管理委員会委員長 伊 藤 正 明
人事委員会委員長 宮 崎 君 武
公安委員会委員長代理 宮 川 孝 昭
代表監査委員 谷 口 日 出 夫
副知事 西 嶋 栄 治
知事公室長 東 清 信
総合政策部長 北 川 正 雄
総務部長 北 村 朋 生
琵琶湖環境部長 堺 井 拡
健康福祉部長 那 須 安 穂
商工観光労働部長 羽 泉 博 史
農政水産部長 青 木 洋
土木交通部長 美 濃 部 博
会計管理者 谷 口 孝 男
企業庁長 南 史 朗
病院事業庁長職務代理者 多 胡 豊 章
教育長 河 原 恵
警察本部長 山 本 仁
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議場に出席した事務局職員
事務局長 安 田 全 男
議事調査課長 丸 尾 勉
議事調査課課長補佐 松 本 勉
午前10時39分 開議
○議長(宇賀武) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(宇賀武) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
議第189号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。
次に、
公安委員会堀井とよみ委員長が、都合により本日の会議に出席できませんので、代理として、宮川孝昭委員が出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(宇賀武) これより日程に入ります。
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△諮第1号(
退職手当支給制限処分に係る審査請求の諮問について)(知事提出)
○議長(宇賀武) 日程第1、諮第1
号退職手当支給制限処分に係る審査請求の諮問についてを議題といたします。
これより上程議案に対する提出者の説明を求めます。
◎知事(嘉田由紀子) (登壇)皆さん、おはようございます。本日、よろしくお願いいたします。
ただいま提出いたしました議案の概要について御説明申し上げます。
諮第1号は、滋賀県警察本部長が行った退職手当の
支給制限処分について、被処分者から処分の取り消しを求める審査請求書が提出されましたので、裁決を行うに当たり、議会に諮問を行おうとするものでございます。
以上、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
○議長(宇賀武) 以上で、提出者の説明は終わりました。
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△議第186号から議第265号までおよび諮第1号(平成25年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)ほか80件)の各議案に対する質疑ならびに質問
○議長(宇賀武) 日程第2、議第186号から議第265号までおよび諮第1号の各議案に対する質疑ならびに質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、26番
小寺裕雄議員の発言を許します。
◆26番(
小寺裕雄議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
月日がたつのは早いもので、ことしも残すところあと一月となりました。年末の恒例行事といえば、ことしの世相をあらわす清水寺での漢字一文字や、昨日発表されました「お・も・て・な・し」や「今でしょ!」に代表される流行語大賞が有名ですが、私などは、昨年の今ごろはと、ついつい思い出してみたくなります。
昨年の今ごろを思い出してみますと、当時の野田総理が衆議院を解散されたのが11月の16日、選挙は、きのうのあした、つまり12月4日に公示され、衆議院選挙が始まりました。
一方、我が県議会では当時どのような状況であったかを振り返りますと、昨年は11月29日に開会いたしましたが、その直前の27日には日本未来の党が結成され、嘉田知事が飯田哲也氏とともに、夕方、びわこ宣言を華々しく発表をされました。たしか、その日の午前中が我が会派との政策懇談会で、何を質問してもまともに答えてもらえずに決裂したことを覚えております。
また、開会日の全員協議会では、党首でもある嘉田知事に対して厳しい批判が続出しました。あの小沢さんと手を組まれたことには、ことしの流行語であらわすならば、県民そろって、まさに「じぇじぇじぇ」でした。
そして、昨年のきょう、12月3日は、本当に偶然とは恐ろしいもので、本日と同じく、会派代表質問が行われておりました。まさに昨年のこの時刻に、我が会派からは三浦治雄議員が、知事の政治姿勢について20項目にわたる質問を行われました。
答弁の会議録を改めて読ませていただきましたけれども、嘉田知事がまばゆいばかりのスポットライトを浴びて、頬を紅潮させながら、木で鼻をくくったようなそっけない答弁をしておられたことが、まるできのうのことのように思い出されます。知事にとっては、既に終わったことで、単なる苦い思い出の一つなのかもしれませんが、私たち滋賀県民は、知事の軽率な行動によって大きく傷つけられました。
私たちはわずか1年前に知事がとられた行動や発言を決して忘れているわけではないということを改めて申し上げまして、通告に従い、
自由民主党県議団の代表質問をさせていただきますので、知事におかれましては、本日の代表質問に対しては誠実な御答弁をお願いいたします。
まず、平成26年度予算編成方針について、知事に伺います。
民主党の政権時代に自由民主党は、円高、デフレ対策について、最優先で取り組むべきであると提起していましたが、何ら対策が講じられなかったために変化が見られず、為替レートは1ドル70円台、
日経平均株価も8,000円台と、経済は低迷しておりました。そして、昨年の12月末に政権交代が起き、安倍晋三
自由民主党総裁が再度内閣総理大臣に就任されました。
安倍政権は、1つ、大胆な金融緩和、2つ、機動的な財政政策、3つ、成長戦略のいわゆる3本の矢の政策を実行し、わずか1年間で
日経平均株価は75%も上昇し、景気の先行きに明るさが見えるようになってきました。復興も経済も外交も日本はまさにこれからが正念場、生活が変わったという実感を一人一人の手に届けるまで、歩みをとめるわけにはいかないとの思いを強く語っておられます。
そして、安倍首相の経済ブレーンの
エール大学名誉教授でもある
浜田宏一内閣官房参与は、アベノミクスの成果を、「この1年、日本は世界で一番株価が上がった。国民の皆さんは正しい経済政策を実行すると経済も上向くということを実感されたことでしょう」と述べておられます。
また、経済指標から見る県経済の動向では、「県内景気は一部に弱い動きがあるものの、緩やかに持ち直している」となっており、新聞では、県担当者のコメントとして、判断は据え置いたものの、「アベノミクスの効果などで全体的に景気は上昇傾向にある」と報道されていました。そして現在、こうした先行きが明るい状況下において、平成26年度の予算編成作業が進められていると承知をしております。
滋賀県
行財政改革方針策定時の
財政収支見通しでは、一般財源の不足額があり、毎年、予算編成においては
財政収支見通しを上回る不足額が発生しています。例えば平成26年度では、
一般財源不足額を175億円と見込んでいますが、一方で、地方交付税の特別加算額を廃止しようとする動きもあり、実行された場合には100億円程度の一般財源の不足額が上積みされることとなります。来年度の予算編成において、これら一般財源の不足額をどのようにして賄おうとしておられるのか、御所見をお伺いします。
次に、今後の投資計画ですが、もうすぐ建設が始まる
危機管理センターを皮切りに、新生美術館や琵琶湖博物館のリニューアル、県立高等学校の再編による新校舎建築、新学習船の建造、警察関連施設の建てかえ、さらに国体関係なども合わせると、今後は多額の財政負担が発生することが予測されています。そして、これらの大型事業の多くがこの五、六年の間に行われるものであり、この間の県財政を危惧しているところでもあります。
こうした大型事業のことなどを考えますと、公務員給与を抑制する動きがある中では、今日まで行ってきた独自カットは当分の間継続されても、いたし方がない状況でもあります。また、財源確保に向けた基金の積み立てや県債発行の動向、さらには、国会でカジノを解禁するための法案を提出しようとする動きもあり、新たな財源確保に向けた事業を検討していくことも必要と考えます。
そこで、今後の財政計画をどのように見通しておられるのか、御所見をお伺いいたします。
近年の県税収入においては、当初予算より増額となる決算が続いており、平成22年度は163億円、23年度は83億円、24年度は79億円でありました。県内外の経済情勢の把握に対して、甘さがあると言わざるを得ません。県税収入の適切な算定は、計画的なよりよい予算執行につながります。さきにも述べましたが、緩やかに持ち直しつつある県内景気を見据えた県税収入の見通しについてお伺いします。
さらに、台風18号の復旧対応等による財政出動をもとに、積極的に国に働きかけられた結果、今年度は特別交付税の増額を期待するものですが、災害復旧対応は単年度で終わるものではありません。今後もしっかりと国に働きかける必要があると考えます。
また、「次世代に向けた持続可能な地方税の財政基盤の確立について」として、地方交付税の算定、地方税制度の改善を国に要望してこられましたが、これらの取り組みと成果についてはどのようなものだったのでしょうか、お伺いをいたします。
去る9月定例会における流域治水の推進に関する条例案の審議過程において、河川改修等を積極的に行う旨の発言が知事からたびたびあり、今まで以上に積極的な予算を見込もうとする覚悟のあらわれであると理解をさせていただきました。
そこで、当初予算に対して投資的経費をどの程度の割合で確保されようとしておられるのか、これまでの発言を踏まえた御所見を伺い、次の項に移らせていただきます。
次に、滋賀県
危機管理センターについて、知事に伺います。
危機管理センターの建設に伴う
危機管理機能の強化に向け、これまでの課題であった防災情報機能の不足を補うために、映像情報や地図作成機能を盛り込むとともに、現在の情報入力操作が難しいことや
バックアップ機能への課題等にも対応できる
防災情報システムの再構築を目指して、実施設計業務を現在委託しております。迅速かつ的確に被害情報を把握するための仕組みの具体化、大地震や風水害に対する危機事案発生のもとで情報共有と連携が可能な仕組みの具体化、多様化する通信手段への対応の具体化の3つの要件を満たすシステム構築を求めていますが、職員はじめ警察、消防等、
防災関係団体などがシステムの構築過程にどのようにかかわっておられるのかをまずお伺いいたします。
次に、
防災情報システムを運用、活用するのは人であり、その検証は防災関係者みずからが行う必要があると考えます。また、数々の防災情報を重ね合わせ的確に分析していく職員には、防災に係る知見と経験が求められるものと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いをいたします。
そして、日常の業務において、迅速かつ的確な情報把握を行っているのが警察のシステムです。12の警察署、162の駐在所や交番、241台のパトカー、そして約2,500人の警察官と警察職員、さらに、
警察ヘリコプターのテレビ中継などが県下に緻密に張りついています。こうした警察が収集した情報と雨量や河川の水位、ダムの貯水量などの各種観測情報や定点カメラによる映像情報をリアルタイムで重ね合わせれば、災害対応方針の速やかな立案や、より的確な判断が下せるものと考えます。さらには、災害対策の最前線基地である市町や現地、あるいは自衛隊、消防などの情報の共有も必要だと考えます。
そこで、これら
防災関係団体との情報の共有化をどのように図られるのか、見通しをお伺いいたします。
また、これまで数々の危機事案に対する訓練が行われてきました。こうした訓練から得られた経験や情報を日常的に分析し、シミュレーションをしておくことが必要と考えますが、センターが建設されるとどのような改善が図られ、どのような効果があるのか、御所見をお伺いいたします。
センターの1階では、行政職員や防災関係機関、さらには関係機関などの職員の危機管理能力を高める研修や訓練を行うとともに、専門家を養成するための研修の場としても活用し、人材の育成を図るとされていますが、果たして、それだけの体制を整え、実際に活用できるか心配でもあります。平時の際、各フロアが稼働率の悪い空間とならないために、平常時の施設の有効な活用と工夫についてお伺いをいたします。
台風18号は、県下に甚大な被害をもたらすとともに、県行政の
危機管理体制の脆弱さに気づかせてくれました。そこで、今回の反省から、河川の水位観測やカメラによる定点観察の箇所を拡充させ、洪水予報や土砂災害警戒などの防災情報を市町へ提供し、防災体制の確立や避難準備、勧告、指示の発令への判断に生かし、住民の早期警戒避難、人的災害の軽減が図られることを願っています。
加えて、現在、台風18号における市町との意見交換が実施されるそうですが、お互いが情報を共有する中で、県と市町が一体となった
危機管理体制になるよう期待をしています。
最後に、
危機管理センターの目指すべき姿についてのお考えを伺い、この項の質問といたします。
次に、第4次滋賀県
環境総合計画について、知事にお伺いします。
本県は琵琶湖を擁し、琵琶湖のもたらす恵みのもとで、固有の文化を築き上げてまいりました。私たち県民には、湖国滋賀の豊かな自然を守り、将来の世代へ引き継いでいかなければならない責任があるものと考えます。
滋賀県
環境総合計画は、
環境基本条例第12条の規定に基づき、本県の環境の保全に関する各種施策を総合的かつ計画的に推進するための計画であり、琵琶湖の総合保全、
地球温暖化対策、廃棄物対策など、環境に関するさまざまな計画の指針となる重要な計画であります。
現行の第3次滋賀県総合計画では、大量生産、大量消費型のライフスタイルや
ビジネススタイルのあり方を見直し、持続可能な社会を構築していくことが重要であるとの認識に立ち、持続可能な滋賀社会を目指すべき将来の姿と位置づけています。そして、この将来の姿の実現に向けて、低炭素社会の実現と琵琶湖環境の再生の2つの長期的な目標を置いています。
第3次計画の計画期間は平成21年度から25年度までの5年間となっているため、来年度には、第4次の
環境基本計画に基づき環境施策の推進に取り組むこととなります。今後、新しい計画を進めていくためには、現状をしっかりと認識することが必要であると考えますが、本年度が最終年度となる現在の第3次滋賀県
環境総合計画をどのように総括し、次期計画の基本目標を設定されるのか、お伺いをいたします。
本年9月に発表された気候変動に関する政府間パネル──IPCC第5次評価報告書では、「地球温暖化については疑う余地がない。最近30年の各10年間の
世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温である。また、地球温暖化の影響で今世紀末、2081年から2100年には気温は最大で4.8度上がる」と予測をしており、
地球温暖化対策は待ったなしの状況にあります。
本年9月15日から16日未明にかけて台風18号のもたらした集中豪雨は、本県に甚大な被害をもたらし、今なお復旧の途上にあります。近年の台風の大型化については、その一因として地球温暖化の影響も指摘されております。
その一方で、国においては、2020年度の
温室効果ガス削減目標を、ポーランドで開催された
気候変動枠組み条約第19回締約国会議、いわゆるCOP19の閣僚級会合において、新たな目標として、2005年度比で3.8%減と表明をしたところです。
現行の第3次
環境総合計画では、2030年における滋賀県の
温室効果ガス排出量を1990年比で50%削減された低炭素社会の実現を長期的目標の一つに掲げ、滋賀県低
炭素社会づくりの推進に関する条例や滋賀県低
炭素社会づくり推進計画などに基づき、
温室効果ガス削減に向けた取り組みを進めているところです。
そこで、本県における温室効果ガスの削減状況など、現状をどのように分析し、第4次
環境総合計画では
地球温暖化対策にどのように取り組んでいくのかをお伺いします。
琵琶湖の総合的な保全に向けては、2050年ごろの琵琶湖のあるべき姿を念頭に置き、健全な琵琶湖を次世代に引き継ぐための指針として策定されたマザーレイク21計画を中心として、
ヨシ群落保全基本計画、内湖再生全体ビジョンなどに基づき、総合的に進められているものと承知しております。
現在、琵琶湖の水質は横ばいの状況にあると認識しておりますが、その一方で、アユなどの在来魚は減少し、ナガエツルノゲイトウやオオバナミズキンバイなどの外来水生植物の生息域の拡大、あるいはプランクトンの量的、質的な変化など、憂慮すべき問題が生じており、これもまた待ったなしの状況にあります。
冒頭にも申し上げましたように、琵琶湖を健全な姿で次の世代に引き継ぐことは私たちの責務であり、現在を生きる私たちは、過去から豊かな琵琶湖を受け継いできたように、未来へ豊かな琵琶湖を引き継がなければならないものと考えます。
第4次計画の素案では、活力ある営みの中で琵琶湖の健全性を確保し、琵琶湖と人が共生する社会を次世代に継承するとの目標を掲げられていますが、琵琶湖の健全性確保に向け、どのように取り組みを進めて行かれるのかお伺いします。
次に、水源地の森林保全について、知事にお伺いします。
本県における森林の面積は、県土の約半分、琵琶湖の3倍を占めています。これらの森林にはさまざまな機能がありますが、とりわけ、近畿1,400万人の水源でもある琵琶湖に豊かな水を供給するという水源林としての機能は重要であり、水源林を保全することは琵琶湖を抱える本県にとって極めて重要な課題であると考えています。
県では、このような森林を健全な姿で未来に引き継ぐために、平成16年に
琵琶湖森林づくり条例を制定し、環境重視と県民協働の視点に立った森林づくりを展開するため、
琵琶湖森林づくり県民税を活用した事業を展開しています。今回、県は、水源地保全のためとして、この
琵琶湖森林づくり条例を改正して、森林の土地売買を監視する制度などを導入されようとしています。
そこで、まず、この条例が制定されてから今日までの琵琶湖森林づくり事業の成果と課題についてお伺いします。
次に、森林の土地売買を監視する制度を導入することは、既に11の道県で導入されていると仄聞しており、水源地保全のためには意義があるものと思いますが、加えて、県下全域における獣害や手入れ不足の森林は深刻な状況にあり、健全な森林の整備、育成と林業の振興こそが水源を守る大きな力になると考えています。
そこで、水源地の森林保全に向けた知事の思いと、今後、条例改正をどのように進めていかれるのでしょうか、御所見を伺います。
次に、がん対策について、知事にお伺いします。
がん対策については、ことし6月定例会の代表質問でも、がん検診の受診率向上のロードマップについてお伺いしているところですが、2人に1人ががんになる時代を迎え、がんの予防、早期発見、適切な治療などの総合的ながん対策がますます重要になっています。
特に、今年度は第2期目の滋賀県がん対策推進計画の初年度を迎える一方、県議会においても、我が会派の吉田清一代表が会長を務め、超党派の議員36人でつくるがん対策推進議員連盟で、滋賀県がん対策の推進に関する条例の制定に向けて取り組みが進められてきました。条例案は今定例会に提出されることになっていますが、初めに、がんの医療提供体制に関して、現在のがん診療拠点病院を中心とした診療連携体制の整備についてお伺いします。
がん対策推進計画においても療養生活の質の向上がうたわれているものの、患者やその家族など、当事者に実感していただくまでには至っていないというのが実情であり、がんと診断されたときからの緩和ケアをさらに推進していかなければならないと考えます。特に、医師や看護師などの医療従事者の専門性を高める取り組みが求められていますが、緩和ケアの推進に向けた考え方をお伺いします。
一方で、条例案作成の過程では、療養情報を得ることなど、患者自身の力、いわゆる患者力の向上の重要性について御意見をいただきました。こうした患者自身の取り組みを県としてどのように支援していこうとされるのか、お伺いします。
また、がん患者とその家族の安心を支える社会の構築のためには、これまで以上に官民一体となった施策が必要となるとともに、県においても、より一層の部局横断の取り組みが求められます。
しかしながら、教育委員会におけるがん教育の取り組みはまだまだおくれており、商工観光労働部においても、がん患者の就労などが大きな問題となっているにもかかわらず、県内の具体的な状況は把握すらされていないのが実態です。官民一体どころか、県庁一体にもほど遠い状況でありますが、がん患者とその家族を支える社会の構築に向けた今後の取り組みについてお伺いします。
最後に、議員提案を予定している滋賀県がん対策の推進に関する条例の趣旨を踏まえ、がん対策に係る執行体制の充実、強化についての考え方をお伺いして、この項の質問を終わります。
次に、福祉滋賀の提案について、知事にお伺いします。
障害福祉の父と呼ばれる糸賀一雄氏の生誕100周年を来年3月に迎えるのを前にして、今年度は県内各地でさまざまな100周年記念事業が行われています。戦後間もなく創設された知的障害のための療育施設近江学園から始まった糸賀一雄氏の取り組みは、「自覚者が責任者」の言葉どおり、常に現場の課題に基づき実践され、法制度が整備されていない状況を乗り越え、関係者の熱意や支援の広がりとともに今日まで発展してきました。
しかしながら、こうした先人の取り組みにもかかわらず、近年、社会問題が多様化、複雑化し、まさに誰もが暮らしやすい福祉滋賀づくりには終わりがないのだと考えさせられます。
現在、国では社会保障制度改革国民会議での議論を踏まえ、臨時国会においても、社会保障制度改革プログラム法案や生活困窮者自立支援法案などが審議されていますが、社会問題が多様化、複雑化する中で、制度のはざまにあるために支援を得られないなど、行政の縦割りによる福祉行政だけでは対応に限界があるのではないかと考えます。これまでの施策や事業を踏まえた県としての認識をお伺いします。
こうした中、滋賀県社会福祉協議会および滋賀県地域福祉施策検討委員会から、誕生前からみとりまで地域で暮らすことを支える仕組みづくりとする施策提案が提出されました。我が会派としても、先月、各種団体からの要望の聞き取りの中で、滋賀県社会福祉協議会の皆さんから直接提案について説明をいただいたところです。
提案では、高齢者や障害者、児童といった制度の枠に縛られることなく、支援を必要とする人を地域の中で丸ごと支えるトータルサポートの実現に向け、事業を推進するセンターの設置をはじめ、制度のはざまにある人々への支援、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年──平成37年に向けた福祉人材の確保など、今後の社会保障制度改革にも示されている多くの課題に向けた取り組みが盛り込まれています。
さらには、こうした取り組みの原資は社会福祉協議会や県内の社会福祉法人が拠出する基金などで賄おうとされています。現在のところ、学習支援ネットワークづくりや若者の社会的自立支援事業、在宅みとりを推進するためのエンディングノート普及活動などの事業を計画しているということで、県にも支援を求めていると仄聞しています。
そこで、現在の社会福祉を取り巻く県内の状況を踏まえ、社会福祉制度のあるべき姿の構築に向け、滋賀県社会福祉協議会などからの提案をどのように受けとめ、今後のよりよい官民協働の実践についてどのように考えているのかお伺いして、この項の質問を終わります。
次に、聴覚・コミュニケーション医療センター構想に関して、知事にお伺いします。
先月行われた国に対する政策提言に、新たに聴覚・コミュニケーション医療の確立に向けた取り組みが盛り込まれました。政策提案では、内耳再生医療の確立や新型人工内耳の開発を柱に、難聴などの治療に関する検査機器の開発、リハビリ方法の研究や人材育成などを産官学連携で総合的に行うとされています。iPS細胞を活用した内耳の再生も計画されており、さらには、医療技術、人材、医療機器の一体的な海外への輸出を目指すなど、大変意欲的な内容となっています。
これまでの県や病院事業庁の取り組みからすれば、唐突な、そして壮大な提案にも思えますが、先天性高度難聴の子供たちに加え、県によれば、65歳以上の30%から40%が中等度以上の難聴者になるなど、聴覚障害の高齢者が増加する一方で、いまだに内耳組織の治療法や検査方法は確立されておらず、医療ニーズの高い分野であることは間違いがありません。
まず、今回の政策提案に至った背景や意義についてお伺いします。
今回の提案についての発表に当たって、成人病センターの笹田総長は、「医療、研究、リハビリ、人材育成の施設が既に整っている地の利を生かしたい。また、人材確保や企業誘致の見通しは立っている」と述べられたということですが、センター構想への県としてのかかわり方がはっきりと見えてこないのも正直なところです。
聴覚器医療を確立し、滋賀県から国内外に展開とうたう中で、本県として何を目指し、どのような役割を果たしていこうとされているのかお伺いします。
構想では、来年度からおおむね5年間をめどとして具体的な取り組みを始めるとされています。国への政策提案に対して、健康医療に関する成長戦略を担当する和泉洋人首相補佐官も前向きな感触を示したとの新聞報道もありましたが、想定している国の支援の内容を含めて、構想実現に向けた今後の取り組みについてお伺いして、この項の質問を終わります。
次に、中小企業の活性化に向けた取り組みについて、知事にお伺いします。
復興も経済も外交も日本はまさにこれから正念場、生活が変わったという実感を一人一人の手に届けるまで歩みをとめるわけにはいかない。安倍政権においては、長期にわたるデフレと景気低迷からの脱却を最優先課題として日本経済を再生させるため、再びになりますけれども、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢、いわゆるアベノミクスによる経済財政政策を推進されており、最新の月例報告によりますと、景気は緩やかに回復しつつあり、物価についてもデフレ状況ではなくなりつつあるなど、その対策が確実に効果を上げてきているところです。
一方で、これを中小企業について見てみますと、中小企業の業況判断については、改善が見られるもののいまだにマイナスとなっており、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい面が残っているものと認識をしております。今後、景気回復を中小企業の業績にも確実に波及させていくためには、中小企業対策のさらなる実施が必要ではないでしょうか。
このような中、本県においても、県内企業の99%を占め、地域経済に重要な役割を果たしている中小企業の活性化を一層推進し、地域経済を活性化していくことが求められており、県では、こうした観点から滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例を制定し、本年度は条例施行の初年度として、積極的にさまざまな取り組みを推進されてきたものと承知をしています。
特に、この条例は、中小企業者の関係者の声を施策に反映させるよう努めることとされているのが大きな特徴であり、このため、県ではこれまでの条例の周知を図り、関係団体との意見交換会や職員による企業訪問を通じて、中小企業者等のさまざまな声を聞くとともに、滋賀県中小企業活性化審議会を設置し、去る10月29日には第2回目の審議会を開催し、審議会委員からも意見を聞かれたと仄聞をしています。
そこで、これら中小企業者や関係者との意見交換会を重ねてきた中で、どのような意見が寄せられているのかお伺いします。
一方、我が自由民主党会派においても、中小企業者の皆さんの声を幅広く聞くことにも努めており、特に商工会議所や商工会、中小企業団体中央会など、中小企業と関係の深い経済団体からは、共通して中小企業の中でも特に小規模事業者の活性化が大変重要であるとの要望を伺っているところです。
そこで、この小規模事業者の活性化についてどのような認識を持っておられるのかお伺いします。
また、このような中小企業者や関係者の意見を踏まえて、来年度に向けてどのような方向性で取り組みを進めていこうと考えておられるのでしょうか、あわせてお伺いします。
次に、台風18号に伴う県内農水産業の災害復旧について、知事にお伺いします。
去る9月の15日、16日に滋賀県を襲来した台風18号は、本県にも大きな爪跡を残しました。土砂崩れや河川の決壊など、私たちの暮らしにも影響するさまざまな被害が発生しましたが、農水産業についても、農作物被害あるいは農業・水産業施設被害など、約46億円という甚大な被害をもたらしました。想像以上の降雨や瀬田川洗堰の全閉により、被害は拡大したと申し上げても決して過言ではありません。
また、国においては、地元選出の自由民主党国会議員や関係者の迅速な要望を受け、激甚災害の指定をされたところです。
おおむね刈り取りを終えていた水稲でありますが、水稲被害の面積は約691ヘクタール、金額にして約1億円余り、その他、大豆や野菜、お茶など農作物被害にあわせ、施設においても、ビニールハウスや農地、水路、農道など大きな被害が発生し、水産関係では、琵琶湖特有のエリ、ヤナにおいても壊滅的な被害を及ぼしました。米などはある程度共済制度などにより救済をされますが、露地野菜や茶園あるいは水産関係のエリ、ヤナなどについては共済の適用は受けられず、関係者はそれぞれに難渋しておられるのが現状です。
そこで、今後の農水産業の災害復旧について、知事にお伺いします。
緊急性の被害については9月議会で対応いただきましたが、農産物の被害については、共済制度で救済される水稲などは別にいたしましても、申し上げましたように、露地野菜やお茶なども大きな被害が生じているところです。9月補正で対応した対策の効果およびそれ以外の対策について、県はどのように考えておられるのかお伺いいたします。
鴨川が決壊した高島市鴨や大津市北小松にある滝川周辺の農地では、流れ出した流木や土砂で、もとの農地に戻すには相当な時間がかかると思われます。また、大戸川流域の穀倉地帯の水路は、見る影もなく、ことごとく損壊しています。地元の皆さんからは、大戸川ダムなどができていれば被害は防げたのにという声をよく聞かせていただきます。ここでダムについての議論は避けますが、水没した水田では来春の作付などが心配されています。さらには、さきに申し上げました大きく崩落した茶園の復旧も急がれます。
そこで、これら県下全域の農地や水路などの農業用施設の損壊に対する今後の対応についてお伺いをいたします。
あわせて、水産業についても大きな被害が発生しました。流木などがエリに押し寄せ、この12月からの稚アユ漁はもちろんのこと、エリの構築そのものができないという再起不能の状況です。水産業に関しては、施設そのものへの補償はできないということで、融資制度の利子補給289万円を補正予算に計上いただきましたが、体力のない漁業者たちが新たに借入金を起こしてまで再起を目指す意欲があるのか、大変危惧しているところです。
有為転変は世の習いではありますが、流れ着いた間伐材や流木をはじめとする大量の漂着物は、河川管理者が平常時から河川管理ができていないということの証明でもあります。申し上げました琵琶湖のエリ、ヤナ被害への復旧についての考え方をお伺いし、次の項に参ります。
次に、滋賀県流域治水の推進に関する条例案について、知事にお伺いします。
去る9月議会において、本条例案は、住民やその他該当地元への説明が不十分であること、条例案の中に住民への罰則規定が盛り込まれていること、そして、条例案と並行して具体的に河川整備を作成することなどを主な理由として、継続審議となったところです。
我が会派では、本条例案は建築制限や住民に対する罰則規定を盛り込み、私権制限を伴うことから、県民の理解を得ながら進めていくことが必要かつ重要であると考えています。それゆえに、平成24年2月議会において、基本方針では、条例案の制定に当たって市町との協議調整および県民への十分な説明を行うことを追記するよう求めたところでもありました。
しかしながら、9月議会に上程されるまでの間、関係地域の住民に対する説明はなされず、関係市町の首長からも、建築制限、罰則規定に対する疑問の声が上がるなど、この条例が真に県民の安全安心を守る条例となるのか、また、条例が制定されたとしても実効性のない、言うならば絵に描いた餅に終わるのではないかと危惧しています。
さきの18号台風においては、床上・床下浸水、一級河川の堤防決壊など、県内各地で甚大な被害が発生したことから、河川の改修や維持管理は、水害から県民の生命や財産を守るための基幹的な治水対策であることを改めて認識をしました。
しかしながら、県内の河川整備状況は決して十分なものであるとは言えず、例えば長浜市虎姫地区や甲賀市信楽地域などの河川沿いには、地先の安全度マップによるところの浸水危険性が高いとされている区域が集中しているにもかかわらず、現状においても十分な河川整備が行われてはおりません。そうした状況の中で、かさ上げや避難場所を整備することなどにより水害に対する安全度を確保しようとしても、当該地域の住民の皆さんの理解は得られないのではないでしょうか。
そこで、まず、9月議会で継続審査を受けて、県内各地で住民説明会を開催いただいておりますが、住民説明会について、これまでの状況と見通し、ならびにそれぞれの説明会における住民の皆さんの受けとめ方はどのような状況でしょうか。
あわせて、最大の課題でもある建築制限と罰則に対する住民の皆さんから出されている意見はどのようなものなのでしょうか、お伺いします。
また、9月議会では、「建築制限を伴う浸水危険区域の指定に当たっては、水害に強い地域づくり協議会において、地域の住民と十分議論し、水害に強い地域づくり計画を策定するなど、住民の合意形成を図りながら区域指定を行う」と答弁をしておられますが、この水害に強い地域づくり協議会については、浸水被害の回避または軽減に向けた具体的な取り組みに関し、地元住民が合意形成を図る場として大変重要な役割を担うものと認識しているところです。
そこで、この区域指定に当たって、水害に強い地域づくり協議会においての具体的な手続、手順はどのようなものなのでしょうか、お伺いをいたします。
そして、既に申し上げましたが、河川整備は治水安全度を高める基幹的な対策です。本条例案でも河川整備を流域治水の基幹的な対策として位置づけ、計画的かつ効果的に実施するとされてありますが、我が会派は、河川整備計画がされていない地域の計画を早期に策定するとともに、条例を策定する前に具体的に目に見える河川整備の実行計画を示すことで、条例を制定することにより河川整備がなおざりになってしまうのではないかという県民や当該地域の住民の不安を払拭することが必要であると考えています。
そこで、多くの県民の声を受けて我が会派が求めている河川整備の実行計画について、現在の検討状況と策定の見通しについてお伺いし、次の項に移ります。
次に、国民体育大会開催の諸課題について、知事ならびに教育長にお伺いします。
滋賀県において2巡目の国体開催が決定し、先日、大津プリンスホテルにおいて、第79回国民体育大会滋賀県開催準備委員会が設立されました。滋賀県内の各種団体、各界各層から大きな期待を寄せられ、ここ数年減らされ続けているスポーツ関連予算の中で、選手強化や施設整備に弾みがつくものと多くの団体が期待を寄せられています。
加えて、地元で開催されることで、滋賀県の子供たちが夢と希望の持てる国体というものが求められています。我が党においても、2巡目国体開催に向けて幾度となくその意義を強調し、滋賀県内のスポーツ振興が将来的には県民の社会福祉にも貢献し、県にとっても、ふえ続ける社会保障費の負担軽減にも効果があることを訴えてきましたが、知事はなかなか重い腰を上げてはくれませんでした。むしろ消極的な発言を繰り返してこられましたが、ようやく腰を上げていただき、やっと今日を迎えたことは、常に国体開催を主張してきた我が党としても感慨深いものがあります。
しかしながら、国体開催に向けては今まで予算づけに消極的であったために、ハード、ソフト両面において問題が山積しています。
そこでまず、「滋賀らしい国体を目指す」とありますが、この意味するところは何なのか。滋賀らしいという定義と、何をもって他県との差別化を図ろうとしておられるのでしょうか。
加えて、昭和56年に行われた滋賀県にとって初めての国体は、県民一体となって行われ、今でも当時の国体運営に携わった方々は本当に楽しそうに思い出を語られます。そうした点から見ても、びわこ国体は大成功でありましたが、当時と比較して、今回はどのような姿勢で臨まれようとしているのか、知事にお伺いします。
次に、ハード面についてお伺いします。
当時、国体に向けて整備された施設は、今回の国体ではほとんどの施設が建てかえや修繕の必要があり、その整備費は多額になることが予想されています。この課題に関しては、市町ともその負担について話し合いが持たれるわけですが、財政的に見ても弾力的に考えることが必要となるでしょう。
予算編成方針の項でも申し上げましたように、最近の知事は多額の財政負担を伴う事業を計画しておられますが、この国体向けの施設整備こそ、十分に予算が確保されなければなりません。今後のスケジュールから、こうした施設の整備費をどのようにしようと考えておられるのでしょうか、知事にお伺いします。
また、スポーツ強化費も嘉田知事になってから加速度的に減っていきました。このことは各種団体からも強い口調で県のスポーツ振興に対する姿勢に疑問が呈されています。19年度から予算を圧縮し、桐生選手のようなこれからを担うジュニア世代の他府県への流出を招き、全体的な競技力の低下を余儀なくされている中で、今後の競技力向上は滋賀県においては優先されるべき課題です。そもそも、2巡目に開催する国体では、優勝を目指して、その競技力の向上を図るつもりがあるのでしょうか、知事にお伺いいたします。
また、今後、ジュニア世代の育成にどのような道筋をつけていこうとされているのでしょうか、あわせて御答弁願います。
最後に、指導者の育成ですが、これも先ほどスポーツ強化費と同様、予算が削られ、指導者の担い手不足は深刻な状況となっています。指導者がいないことによるスポーツ少年団や部活動の縮小は、地域の問題ともなっているのです。子供のうちから心身ともに健康にと願うならば、その基盤となる指導者の育成は欠くべからざる重要なポイントです。近隣他府県に比べて極端に低いこの指導者育成の予算は、今後の足かせとなってきます。基本的なところを支えるこれら指導者の育成強化を今後どのようにされようとしているのか、知事にお伺いします。
そして、この2巡目の国体を成功させるためにも大事になってくるのは、県民一体となって取り組めるかどうかという視点です。その仕組みづくりをどのように行っていくのか。あわせて、この国体は東京オリンピックの次のオリンピックの開催年でもありますので、全国的にも大いに盛り上がることが予想をされます。そうした意味でも、今から十分な準備体制をしていかなければならないのは当然のことであります。
そこで、最後に教育長にお伺いしますが、県民一体となった取り組みとはどのような体制が必要と考えるのか。また、これからのスポーツ強化費や指導者育成費などはどの程度まで伸ばしていかなければいけないと考えるのか。そして、教育で日本の1番を目指しているからこそ、この国体でも1番を目指すものとの思いとともにお答えを願います。
最後に、警察施設の整備と人員確保について、警察本部長にお伺いします。
東日本大震災以来、警察施設が地域防災の拠点として改めてクローズアップされてきたことは周知の事実です。それまではなかなか進まなかった警察署や駐在所、交番といった警察施設の整備でしたが、我が会派の度重なる指摘と要望を踏まえ、交番や警察署の建てかえも5カ年計画で進められることとなり、また、特に問題のあった近江八幡署と甲賀署も、平成24年度から移転新築でようやく計画に乗ったところと認識をしています。
しかしながら、それ以外にもまだまだ昭和56年の新耐震基準以前に建てられ、耐震基準を満たしていない建物が実に5警察署も残っており、あわせて、交通機動隊庁舎や運転免許センターなど、建てかえが必要な施設が多数存在しているのが現状です。
地震防災プログラムに防災上特に重要な施設と位置づけられているにもかかわらず、財政の厳しさから、知事みずからが5年の延長を決定したこうした警察施設の整備は、今後も滋賀県の安心安全の観点から喫緊の課題と言えます。
さきの決算特別委員会でも我が会派の質問を受けて、これら施設の計画的な整備方針をお示しいただいたところですが、ほかにも署長の公舎や待機宿舎の整備など、必要に迫られている施設整備の計画を改めてお示しいただければと思いますが、今後の警察関連の施設整備に係る計画について、警察本部長にお伺いします。
また、こうした施設整備がおくれることによって、滋賀県の治安維持や防災上の観点からどのような影響が考えられるでしょうか、あわせて、警察本部長にお伺いをします。
また、同時に問題になるのが、以前から言われている警察官定員の不足です。警察官一人当たりの人口負担率が全国ワースト2位の滋賀県は、警察官の増員による体制強化が叫ばれておりますが、なかなか増員にはつながりません。そうしているうちにも、犯罪発生件数や交通事故の発生件数、また110番の受理件数など、警察官一人当たりの負担率は全国でワースト10以内に全てが入っています。
施設整備のおくれもさることながら、こうしたマンパワーの不足も滋賀県の治安維持において大きな懸念材料となっています。これは山本本部長が滋賀県警に着任した際に我が会派から質問をさせていただきましたが、特にふえている女性や子供を対象にした犯罪の増加を抑止するためにも、警察官の増員は最優先事項として取り組まなければいけないと考えています。滋賀県は人口増加県であり、また、近年では地域のつながりが薄くなってきている状況から考えますと、今後も犯罪がふえていく要素が高いことは容易に想像ができます。
そうした中、少ない人員にもかかわらず、犯罪発生件数の減少に向けて、大いなる決意を持って取り組んでいただけることは承知していますが、現体制下で犯罪と向き合わなければいけない現状と今後の課題はいかなるものでしょうか。
また、犯罪多発による負担の増加を警察官の増員により減少させることで、それぞれの能力を最大限発揮できるような体制をいかに構築されようとしておられるのでしょうか、あわせて、県警本部長にお伺いをいたします。
2008年度に県警本部は立派な建物に生まれ変わりましたが、地域それぞれの警察署がその地域の拠点施設として機能を果たそうとするためには、現状では満足のいく体制がとれない地域もあります。これら建物を建てかえるにも税金が使われますが、我々は、警察施設の整備というのは滋賀県の治安維持と県民の安全と安心のためには必要なことだと考えています。
警察官がその能力を十分に発揮してもらえる体制づくりは、施設整備と警察官の意識の高さをどう確保するかです。我々は、劣悪な環境下にありながらも、県民の安心と安全のために日夜活動していただいている警察官に、感謝の気持ちを忘れてはいけません。
県民が安心して暮らせる地域を維持するためにも、これらの予算の必要性については今後も訴え続けていくことを申し添え、自由民主党を代表しての質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(宇賀武) 26番
小寺裕雄議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子) (登壇)小寺議員の代表質問に対する答弁をさせていただきます。
まず、1問目の平成26年度予算編成方針についての5点の御質問にお答えいたします。
1点目の一般財源の不足額をどのように賄おうとしているのかでございます。
議員御指摘のとおり、現在、行財政改革方針の策定に当たり試算した収支見通しにおいて、平成26年度は175億円の財源不足を見込んでおります。現在、国においては来年度における地方財政対策についても議論されておりますが、仮に歳出特別枠が廃止されるようなこととなれば、本県においても多大な影響が生じることから、全国知事会を通じ、国に対して歳出特別枠の堅持を強く要請しております。
こうしたことから、来年度の予算編成に当たっては、歳入の動向に十分留意しつつ、歳出については選択と集中を徹底することとし、それでもなお生じる財源不足については、財源調整的な基金などの活用も視野に入れながら、予算編成過程において適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、2点目の今後の財政計画をどう見通しているのかという御質問でございます。
議員御指摘のとおり、今後、多額の事業費を要する大規模事業が多く計画されております。財政を圧迫することが懸念されることから、その実施に当たっては、今後の歳入の状況など財源見通しを確実に立てながら進める必要があるものと考えております。
これまでから、大規模事業の実施に当たっては、事業の緊急性や必要性を見きわめつつ計画的に進めてまいりましたが、今後においても、事業の実施時期や規模等について十分精査し、必要な場合には一時的な財政負担を軽減するため基金積み立てを行うなど、将来の財政運営に支障を来すことのないよう進めてまいりたいと考えております。
次に、3点目の県税収入の見通しについてであります。
税収の見積もりに当たっては、法人二税では、主要法人500社へのアンケート調査を行うとともに、それぞれの税目ごとに直近の統計データの諸情報を活用するなど、的確な見積もりになるよう努めております。
しかしながら、税収は経済状況の変化や見積もり時点では把握できない個別要因により大きく変動することもあり、的確に見通すことはなかなか難しい面もあります。
現在作業中であります平成26年度の税収見込みについては、法人県民税の一部国税化が議論されているなど、税制改正による不透明な要素もございますものの、税率の引き上げに伴う地方消費税の増収に加え、緩やかに回復しつつある景気を反映した企業収益の改善などの状況も一定考慮しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、4点目の国への要望の取り組みと成果についてであります。
本県では、平成25年国の施策・予算に関する提案の中で、本県の財政需要を適切に反映した地方交付税の算定、地方税制度の改善について、この秋にも提案をいたしました。
具体的な成果としては、例えば、平成25年度に係る普通交付税の地域の元気づくり推進費の算定に当たり、人口が増加している自治体の特性に応じた算定となるよう要望した結果、本県の提案が一定考慮され、普通交付税額が増加することとなりました。
また、県税においても、現行4.3%となっている県税の還付加算金について算定率の改善を要望してきたところ、現在の金利に合わせて、平成26年1月から引き下げられることとなり、県の負担が一部軽減する見込みとなっております。引き続き、国へしっかりと本県の状況を説明し、財源の確保に努めてまいります。
5点目の投資的経費をどの程度の割合で確保されるのかとの御質問でございます。
河川改修をはじめ、県民の皆さんの命を守る安全安心への取り組みについては、最優先に取り組むべき課題であると考えております。
来年度当初予算における投資的経費の規模については、今後における歳入の状況を十分踏まえ、事業の緊急性、必要性を十分見きわめつつ、予算編成過程において適切に判断してまいりたいと考えております。
次に、2問目の滋賀県
危機管理センターについての6点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の
防災情報システムの構築過程に、職員をはじめ、警察、消防、
防災関係団体等がどのようにかかわっているのかとの御質問でございます。
まず、今年度の実施設計に際し、庁内関係部局と県内各市町にアンケートおよびヒアリングを実施し、現行システムの個別情報項目ごとに意見を聞くとともに、システム全体の問題点の洗い出しを行っております。
次に、市町、消防および庁内関係部局によるワーキンググループを設置し、システムの詳細について検討を進めております。
また、警察については、
警察ヘリコプターからの映像など、災害対応に必要な情報の提供について協議を行っているところでございます。
次に、
防災情報システムを運用、活用するのは人であり、今後どのように取り組んでいくのかとの2点目の御質問でございます。
システムの整備はもちろん大切ですが、それをいかに効果的に活用するかという人の面が重要だという議員の御指摘、そのとおりと考えております。
このため、新システムにおいては、まずは、情報が入力しやすいよう、操作性の向上を図るとともに、的確な災害対策ができるよう、地図情報の活用や映像情報の充実を図るなど、使いやすいシステムの構築に向け検討を進めております。
あわせて、システムを利用する消防、市町、県等の職員に対しては、情報入力やその活用方法といった技術面の周知徹底はもとより、得られた情報を迅速、的確に分析し、災害対応に十分生かせるよう、必要な研修や訓練を実施してまいりたいと考えております。
次に、3点目の
防災関係団体との情報の共有化をどう図るのか、その見通しについてであります。
災害対応に当たっては、被災地の情報を正確に、かつリアルタイムで収集し、防災関係機関がそれを迅速、確実に共有することが必要不可欠であります。このため、災害対応の最前線となる市町や土木事務所、また議員が御指摘のように、県内に緻密に張りついております警察あるいは消防が収集した映像情報や、雨量、河川水位等の観測情報も取り込みながら、
防災情報システムと防災行政無線をフルに活用して、確実な情報共有を図ってまいります。
また、自衛隊、警察、消防等の
防災関係団体とは、
危機管理センターでの災害対策本部員会議やオペレーション会議等において密接に情報交換しながら、的確な意思決定を行ってまいります。
次に、4点目の危機事案に対する訓練について、センター建設によりどのような改善が図れるのかとの御質問でございます。
これまで、総合防災訓練をはじめ、緊急消防援助隊訓練、原子力防災訓練、テロ事案に対応する国民保護訓練など、各種の実践的な訓練を実施してまいりました。
センター整備後は、防災関係機関が集合した大規模なオペレーション会議や、映像情報と地図情報を最大限活用した図上訓練など、センターの機能を十分に発揮できるような訓練を実施してまいりたいと考えております。
次に、5点目の平時における
危機管理センターの有効な活用、工夫でございます。
センターの平常時の利用については、昨年3月に策定した基本計画に基づき、次の3つの機能を中心に活用することを考えております。
1つ目は、自助、共助につながる地域防災力を高める研修の実施でございます。2つ目は、ボランティアや自主防災組織、支援団体、また教育機関など、関係団体等が情報交換、交流できる場としての活用でございます。3つ目は、日常生活と防災が結びつくような生活防災が具体的に分かりやすい形で展示でき、また交流できる場としての活用でございます。
具体的な研修、交流機能の内容については、先行府県の事例を参考にするとともに、有識者等の意見も聞きながら、来年度、具体的なプログラムを策定いたします。そのプログラムに基づき、センターの各フロアやそれぞれの部屋を活用することとしておりまして、日常的に行っていないことはいざ災害時にできないという理念のもと、県民の暮らしの中に生活防災の観点を広く浸透させるための拠点となるよう、最大限活用してまいりたいと考えております。
また、今回の東日本大震災でも、子供たちの命が失われることにより、地域社会、また家族の皆様など、大変力を落とし、生きる希望を失っているという現実をまざまざと見ております。そのような中で、何よりも子供たちの命が守れるよう、教育機関、保育・幼稚園などとも協力をしながら、防災教育の拠点としての活用も図ってまいりたいと考えております。
次に、6点目の
危機管理センターの目指すべき姿でございます。
東日本大震災や今回の台風18号などをきっかけとして、県民の皆さんの間にも、防災や危機管理に対する関心が非常に高まっております。このため、
危機管理センターは、危機事案発生時には自衛隊や消防、警察、DMATなどの医療機関、災害ボランティアなどの防災関係機関や団体が一堂に集結し、情報を共有しながら、迅速、的確な災害応急対策を展開していくための県の拠点とならなければなりません。
先ほど申し上げましたように、平常時の生活防災のための活用とあわせ、幼い子供からお年寄りまで、老若男女、県民が総参加で安全安心の拠点となり、かつ、情報の発信だけでなく、受信もできる情報受発信の拠点となるよう、ハード、ソフトの両面から充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、大きな3問目の第4次
環境総合計画についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の第3次
環境総合計画の総括と次期計画の基本目標でございます。
第3次
環境総合計画では、低炭素社会の実現と琵琶湖環境の再生を長期的な目標として取り組みを進めてまいりました。低炭素社会の実現については、平成23年3月に滋賀県低
炭素社会づくりの推進に関する条例を制定し、2030年CO2半減を目指して、創エネや省エネの製品等を通じた貢献量評価をスタートさせるなど、環境と経済の両立を目指し取り組んでまいりました。また、本年3月には滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プランも策定をしております。
さらに、今回の東日本大震災以降のエネルギー不足の中で、県民、事業者の間での省エネの確実な推進も進めてまいったところでございます。
次に、琵琶湖環境の再生ですが、琵琶湖への流入負荷が削減され、富栄養化は抑制されてまいりましたが、在来魚介類の漁獲量の減少や外来水生植物の繁茂、ニホンジカの食害による山林荒廃など、新たな生態的、また広域にわたる課題も生じております。
さらに、湖の栄養塩バランスの変化が生物の生息に影響を及ぼすなど、環境課題は複雑化、多様化、そして広域化しております。
こうした課題と向き合い対応していくためには、行政の対策とともに、県民一人一人が環境への関心を高め、自分事として、まさに問題を自分化できるような形で環境保全活動を実践することが何よりも重要であると考えております。
このため、第4次計画においては、現行の2つの長期的目標を継承するとともに、新たに環境保全行動を実践できる人材育成を目標に加え、環境の未来を開く人、地域の創造、琵琶湖環境の再生と継承、低炭素化など、環境への負荷が少ない安全で快適な社会の実現という3つの基本目標のもとで、総合的に施策を推進していきたいと考えております。
2点目の温室効果ガスの現状分析と第4次
環境総合計画での
地球温暖化対策の取り組みについてお答えいたします。
滋賀県における
温室効果ガス排出量は、1995年度以降、減少基調で推移し、2010年度には1990年度比でマイナス13.8%まで減少したものの、2011年度は東日本大震災後の火力発電の増加等により、マイナス1.5%となっております。
このような状況の中で、地球温暖化が一方で進行することによりまして、琵琶湖への影響は既にあらわれており、また、議員御指摘のように、今回の台風18号のように災害の多発が懸念されるなど、地球温暖化は待ったなしの状況と認識しております。
国においては、本年11月の
地球温暖化対策推進本部で了承された攻めの地球温暖化外交戦略においても、長期的な目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を引き続き掲げております。
また、電気のCO2排出係数の影響を除いた
温室効果ガス排出量は、2010年度比2.7%の減少となり、県域でのエネルギー使用量の削減の取り組みは進みつつあります。
こうした状況も踏まえ、第4次
環境総合計画においても、第3次計画の目標である2030年の
温室効果ガス排出量が1990年比で50%削減されている低炭素社会の実現を目指し、近年、大幅に発電容量が増加をしている太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を一層進めるとともに、CO2削減余地の大きい生活、家庭領域や、まちと建物分野などにおける省エネ、節電の推進に一層力を入れていきたいと考えております。
次に、3点目の琵琶湖の健全性確保に向けての取り組みでございます。
これまでの対策の推進により富栄養化は抑制されてまいりました。その一方で、議員御指摘のとおり、新たな課題が生じており、琵琶湖をめぐる環境課題は複雑化、多様化、広域化しております。
このような課題に対応するためには、これまでの水質保全の対策に加え、森から川、川から里、里から琵琶湖までの地理的なつながりの視点で捉えるとともに、個別の事象に着目するだけでなく、相互の要素、課題がどのように関連し合っているのかを把握し、社会的視点も含めた形での多面的、複合的な新たな政策の枠組を構築する必要がございます。目指すべき将来の姿として、恵み豊かな環境と命への共感を育む社会の実現こそが今求める目標でございます。
そのため、第4次
環境総合計画では、行政部局と県立試験研究機関が一堂に会して運営いたします(仮称)琵琶湖環境研究推進機構を創設しまして、総合的な観点から課題を加え、研究成果に確実に基づいた形での効果的な政策を、分野横断的な手法で推進する仕組みを考えているところでございます。
もとより、琵琶湖の健全性確保は本県行政の最重要課題の一つでございます。また、国際的に見ましても、滋賀県における研究、行政、また住民の複合的な取り組みは評価をされているものでございます。健全で質の高い琵琶湖を次世代に引き継いでいくためにも、行政、研究、住民、三位一体の取り組みを改めて強めていくという覚悟で臨んでまいりたいと考えております。
次に、大きな4問目の水源地の森林保全についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の琵琶湖森林づくり事業の成果と課題についてでございます。
本県の森林は、琵琶湖の水源として清らかな水を育み、県土を保全するとともに、多様な生態系の場でもあり、さらに、人々に安らぎと潤いを与えております。
県では、森林を健全な姿で未来に引き継ぐため、平成16年に
琵琶湖森林づくり条例を制定し、琵琶湖森林づくり事業を推進してまいりました。
この成果として、奥山などの手入れが進まない人工林において、間伐を実施するため、森林所有者と市町、森林組合が連携する仕組みが構築できたこと、CO2吸収源対策として、平成18年度に1,475立米であった間伐材の搬出量が、平成24年度には約15倍の2万2,660立米まで増加をしております。
さらに、県産材の利用を推進するために、新たに558軒の木造住宅建設や県下26校で木の学習机を導入したこと、さらには、やまのこ事業によりまして県下の小学校で森林環境学習を実施するなど、森林の重要性を広く県民に知っていただくきっかけになったと考えております。
このように、水源地の森林保全のために一定の成果を上げてまいりましたが、他道県で現在問題となっております目的不明な森林の所有や取得、ニホンジカ被害の増加による山林荒廃、文化的、学術的価値の高い巨樹、巨木の保護や、山村の過疎化に伴い林地境界が不明確となっていることなど、新たな課題への対応が喫緊に必要でございます。
次に、2点目の水源林保全に向けた思いと、今後、条例改正をどのように進めていくのかについての御質問でございます。
先日、高時川上流にあります日本最大級のトチノキ巨木林を訪問をいたしました。そこで水が湧き出す様子、まさに淀川源流水の一滴が木の間から流れ出る姿を見て、改めて感激いたしました。
琵琶湖を取り巻く森林は、水源林として重要な役割を果たしてまいりましたが、生物多様性という観点からも、何ものにもかえがたい貴重な財産と認識しております。特に、琵琶湖周辺の森林は、北日本型の植生と南日本型の植生の遷移地帯にございまして、生物多様性の宝庫ともなっております。
こうした琵琶湖の水源であり生物多様性の宝庫でもある森林を保全し、健全な姿で次代に引き継ぐことが極めて重要であります。そのためには、本県の林業の再生を視野に、新たな課題に的確に対応するために、現行条例の改正が必要であります。
条例改正に向けては、幅広い観点から審議していただくため、今月中にも県森林審議会に諮問するとともに、県民の皆様からの御意見、また、市町や関係団体との意見交換を踏まえ検討してまいります。水源地の森林保全のために、土地取引の規制に加えて、命の水源琵琶湖を預かる本県にふさわしい総合的な条例となるよう、来年度中の議会提案を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大きな5問目のがん対策についての5点の御質問にお答えいたします。
1点目のがん診療連携拠点病院を中心とした診療連携体制の整備でございます。
県内のどこでも質の高いがん医療を受けることができるよう、圏域ごとに国が指定するがん診療連携拠点病院の整備とともに、本県独自のがん診療連携支援病院などの指定を行い、専門的ながん医療の充実を図ってまいりました。
今後は、各病院の診療の強みを生かした役割分担と連携を推進するとともに、国の整備方針に基づき、がん診療拠点病院のない医療圏に、新たに、仮称ではございますが、地域がん診療病院を設置してまいりたいと考えております。
また、専門医療から在宅医療に至るまで、県内統一の地域連携クリティカルパスの充実などにより、切れ目のないがん医療を提供し、誰もが安心して診療できるよう、体制の整備を図ってまいります。
2点目のがんと診断されたときからの緩和ケアの推進に向けた考え方でございます。
本県のがん対策推進計画では、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進を重点課題と位置づけております。全ての拠点病院では緩和ケア外来と緩和ケアチームが設置され、緩和ケア提供体制の充実を図っております。
さらに、がん医療に携わる全ての医療従事者が緩和ケアについての知識と技術を習得し、緩和ケアの提供や相談支援体制の一層の充実を図るため、引き続き、研修会などを通して専門的な人材の育成を進めております。
また、がんになっても住みなれた地域で療養生活が送れるよう、県内統一で緩和ケアの地域連携クリティカルパスを整備し、病院から在宅医療への円滑な移行を進めてまいります。
3点目の患者自身の取り組みを県としてどう支援していくかとの御質問でございます。
現在、滋賀県がん患者団体連絡協議会によりまして、患者、家族が相談員、いわばピアカウンセラーを養成をし、各圏域でがん診療連携拠点病院を中心に、患者が集うがん患者サロンを開催しております。患者自身がピアカウンセラー、つまり、がんを経験した仲間のカウンセラーとして、当事者の立場でつらさ、苦しみを分かち合い助言することは、サロンを利用した患者、家族にとって有益な情報を得るとともに、療養上の大きな支えになっております。
県では、この取り組みを大変重要と捉え、活動を支援するため、ピアカウンセラー養成事業を支援しております。いわゆる患者力は、御指摘のとおり、患者が自分に合った治療をよく理解して選び、必要な医療や相談を利用することで、納得して療養生活を送るために必要でございます。
今後とも、患者力の向上のため、患者同士の相互学習の機会の提供が重要と考えております。こうした学習の実施に当たっては、当事者である滋賀県がん患者団体連絡協議会の主体性と、当事者ならではの経験に根差した意見を尊重しながら、効果的な取り組みが推進されるよう支援してまいります。
いささか個人的な意見ではございますが、私自身もがん経験者として、ピアカウンセラーの皆さんの御支援もさせていただきたいと、シンポジウムあるいはさまざまな会合などで発信をさせていただいております。
4点目のがん患者とその家族を支える社会の構築に向けた今後の取り組みでございます。
がんになっても安心して生活できる社会を実現するため、滋賀県がん対策推進計画では、がん患者と家族が仕事、家庭生活と治療とを両立できるよう支援を進めております。今年度、新たにがん患者の就労実態調査、がん教育のあり方の検討や、がんやがん患者についての理解を深めるために、普及啓発に取り組んでおります。
また、広く県民にがんの啓発とがん対策をアピールするため、がん対策議員連盟や患者団体、報道機関、民間企業などと県による実行委員会を立ち上げ、去る10月27日、がん対策推進イベントを開催いたしました。
今後の取り組みについては、がん患者とその家族を支える社会の構築のため、医療、産業、教育、市町など、多様な分野と協働することが欠かせません。議員御指摘のように、がん患者となって仕事を失うことがないよう、経済界との協力も必要でございます。関係各分野、官民一体となって、患者と家族の不安の解消や生活と治療の両立ができるよう、施策を進めてまいりたいと考えております。
5点目の議員提案による滋賀県がん対策の推進に関する条例の提案を踏まえた、がん対策に係る執行体制の充実、強化についての考え方でございます。
滋賀県がん対策の推進に関する条例の制定により、がん対策推進計画が大きく前進すると期待をし、感謝を申し上げます。計画の実現のためには、医療、産業、教育など、さまざまな観点からのアプローチが必要であることから、議員御指摘のとおり、全庁的に連携して施策を進めることが重要であります。
また、県は、がん対策を総合的に推進していくための裾野を広げること、特に本県はがん検診の受診率が十分高くないという実態がございます。そのような中で、医療機関だけでなく、民間企業、関連団体における取り組みを幅広くコーディネートしていくための体制の充実、強化もこれまで以上に重要と考えております。
次に、6問目の福祉滋賀の提案についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の福祉行政だけの対応の限界と県の認識でございます。
社会問題が多様化、複雑化する中で、これまでの福祉施策では支援の難しい事例がふえてきていること、議員御指摘のとおりでございます。これまで以上に福祉分野以外との連携や、国や市町、各種団体との連携した取り組みの重要性が増しているものと認識しております。
これまでから、本県においても、健康福祉部と商工労働観光部の連携による働き・暮らし応援センター事業による障害者就労への取り組みや、法務省との連携による地域生活定着支援センター事業による刑務所等からの出所者への支援など、福祉部局以外との連携に積極的に取り組んでまいりました。
さらに、県内では、福祉部局と消費生活部局を中心とした、全庁でハローワークとも連携しながら、生活困窮者の支援に取り組んでおる自治体もございます。これが生活困窮者自立支援法に先駆けたものとして、全国的にも評価を受けているという事例もございます。
このように、制度のはざまや組織の縦割りにより支援が届かないということがないよう、今後とも先進的な事例も参考としながら、部局間連携にとどまらず、国や市町、関係団体とも連携を強化してまいりたいと考えております。
次に、2点目の滋賀県社会福祉協議会等からの提案の受けとめと今後のよりよい官民協働の実践についてでございます。
社会福祉基礎構造改革以降、さまざまな福祉サービスが住民に近いものとなるとともに、多様なサービスメニューやサービス提供事業者を選択できるようになり、これに伴い、民間法人はこうしたサービス提供に欠かすことのできないものとなっております。
その中で、地域での福祉を取り巻く問題は多様化、複雑化しておりまして、トータルな解決策が求められていることから、今回の提案はまさに時宜を得たものと評価しております。
提案にもあるように、誕生前からみとりまで、言いかえたら、おめでとうからありがとうまでという大変わかりやすい、人生に切れ目のない対策ということで、民間ならではの柔軟さと生活現場の視点を大切にした実践の強化は、社会福祉法人をはじめとする民間法人の皆さんがこれからの福祉滋賀を主体的に進めていこうとされる、大変心強い決意表明と受けとめております。
県としましても、提案の趣旨を踏まえ、生活困窮者自立支援法、子供の貧困対策推進法などの新たな制度の枠組みも活用しながら、また、これまで進めております在宅みとりなどの成果も活用しながら、民間法人の取り組みや官民協働の取り組みがさらに広がるよう、県として必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、大きな7問目の聴覚・コミュニケーション医療センター構想についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の背景や意義についてでございます。
現在、日本では、新生児の1,000人に1人が高度の難聴障害を持って生まれてくると言われております。また、議員御指摘のとおり、65歳以上の高齢者についても30から40%が中等度以上の難聴障害を持ち、加えて、いわゆる2025年問題と言われるように、今後ますます難聴を抱える高齢者が増大することが見込まれます。こうしたことを考えますと、聴覚・コミュニケーション医療の確立は緊急かつ重要な課題と認識しております。
そのような中で、成人病センターを中心とした滋賀県南部地域は、この課題解決に向けた診療、研究、開発を推進する上で必要な医療、研究所、リハビリ、人材育成等といった医療資源体制が既に一定程度整っている、潜在的な力の強いところであります。
さらに、これまでのアクティビティーをこのような中で一層上げることで、本県が医療貢献を果たす取り組みとして、今回、この分野で先進的な取り組みを進めておられる京都大学等からの支援が得られる等の目途がついたため、国に対して政策提案をさせていただいたものでございます。
このプロジェクトに取り組むことは、本県の高度難聴児や高齢者が社会の中で日々健康的に生活することに大いに貢献するものであります。同時に、医療機器の開発や創薬開発は、日本経済の中でも今後大きな成長分野として期待をされるところでもございます。
先日の立地フォーラムでも、泉谷氏が、この医療分野こそ、日本国内だけでなく国際的に大いに期待される、日本が貢献できる分野であると力説をされておられました。そのような中で、医療産業の分野に本県が展開していく大きな機会の一つとして、今回の聴覚・コミュニケーション医療センター構想については期待をしているところでございます。こうした点で、滋賀県としてプロジェクトに取り組む意義は大変大きいものと考えております。
次に、2点目の何を目指し、どのような役割を果たそうとしているのかでございます。
県民の皆さんが日々健康的に生活することができる、また、さまざまな障害、課題を乗り越えて生活できることが県政の大きな目標でございます。そのためには、高度難聴児の聴覚を回復すること、そして、高齢者の自立した生活に不可欠な聴力の回復は極めて重要でございます。そこで、このたび、聴覚器医療の先駆的な研究と開発、加えて、その最終目的である聴覚・コミュニケーション医療の確立を目指すこととしたものでございます。
既にその途上にあります聴覚検査機器、人工内耳の機器開発や創薬開発を病産学官連携して推進し、最終的には4つの目的を目指しております。
まず1点目は、開発した機器等を用いた国内外の患者を対象とした医療実践でございます。2点目は、確立した医療の普及のための国内外の医療スタッフの育成です。3点目は、開発した機器等を活用した医療産業分野での新規市場の開拓でございます。そして4点目は、医療人材、医療機器を一体的なものとして国内外へ提供することでございます。これらの目的を目指し、そのための先導的な役割を官民連携のもと、県として果たしていくことが重要であると考えております。
次に、3点目の今後の取り組みについてでございます。
国において本年6月に健康・医療戦略がまとめられ、健康、医療分野の成長戦略の実現に向けた積極的な取り組みが行われております。我が国のみならず、世界をも先導する聴覚医療の確立、実践、医療機器開発、人材育成等の国際システム構築の実現に向けた聴覚・コミュニケーション医療センター構想は、まさに国の取り組みに合致するものでございます。
また、関西広域連合といたしましても、広域経済活性化の面で、この医療分野を大事な特区として申請をしているところでもございます。
そこで、ハード、ソフトをあわせ、実際の運営に当たっての国の積極的な支援を得るため、先日の政策提案において、積極的に関係省庁に働きかけを行ってまいりました。その際の面談の中で、審議官から大変心強い御意見をいただいております。
既に構想着手に向けた準備として、病院事業庁では、医師を新たに採用し、また、医療専門職の採用を予定しております。さらに、組織体制の整備を含め、国内外の聴覚器医療の状況や構想実現のためのノウハウなど、具体的な検討を進めていると聞いております。
今後、医工連携を推進している商工観光労働部をはじめ、庁内横つなぎを確実に行いながら、この構想の実現へ向け取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大きな8問目の中小企業の活性化に向けた平成26年度の方向性でございます。
3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目ですが、中小企業者や関係者との意見交換の中で寄せられた意見についてであります。
御質問にもありましたように、県では、関係団体との意見交換会や職員による企業訪問、さらには滋賀県中小企業活性化審議会などを通じて、中小企業者等の御意見をお聞きしております。私自身もさまざまな機会を捉えて直接お話を伺っており、去る11月26日には県内商工会の、また27日には商工会議所の皆様と意見交換をさせていただきました。
このような中で、県の実施計画や施策をより分かりやすく周知していく必要があるとの御意見や、また、事業者側だけではなく消費者側の関心と理解を深めるため、条例の内容について広く県民の皆さんへの周知にも取り組んでもらいたいなどの御意見をいただいております。
私自身、常々申し上げておりますように、サービスや商品の買い手である、お財布を握っている女性も含めた形でのマーケットインの感覚も強めるよう常々申し上げ、この分野での政策も盛り込んでいきたいと考えております。
さらに、小規模事業者へ配慮した取り組みを推進することについての御意見も多く頂戴いたしました。小規模事業者へは、そもそも施策の情報が届きにくいといった声や、施策がどのような企業を対象としているのかイメージすることが難しい、あるいは、女性や若者になかなか声が届きにくいといった声も寄せられております。
このほかにも、海外展開への支援の強化や技術者の人材確保が難しいなどの意見も寄せられております。
次に、大きな2点目の小規模事業者の活性化についての認識でございます。
小規模事業者は、県内企業数の99.8%を占める中小企業の中でもその90%近くを占めており、経済や雇用を支える存在として重要な役割を果たすとともに、地域の安全安心やコミュニティーの維持など、社会・文化的な面でも大変重要な役割を果たしていただいております。
地域に根差した多くの小規模事業者は、地元の食材や原料を使用し、身近な消費者に製品やサービスを提供することにより、お金を地域内で循環させる担い手ともなっております。小規模事業者の皆さんに元気に事業活動を営んでもらうことが、地域経済、地域社会の持続的な発展のためには不可欠であります。
こうした考えから、小規模な事業者に配慮することを条例の基本理念として明記したところであり、中小企業の活性化を推進する上で、小規模事業者の活性化に取り組んでいくことは大変重要なことであると認識しております。
次に、3点目の来年度の中小企業の活性化の取り組みの方向性でございます。
まず、先ほど来申し上げておりますように、小規模事業者に配慮した取り組みの推進が大きな柱と考えております。商工会議所、商工会や中小企業団体中央会さんなどと連携をし、規模の小さな事業者を対象とした集中的な強化期間を設けて周知を行うことや、ものづくりを担う小規模事業者の競争力向上に向けて販路開拓等の取り組みを支援するなど、新たな取り組みを検討しております。
また、中小企業者の希望が多い人材育成、資金繰り支援のための制度融資といった経営基盤の強化や海外展開など、中小企業の意欲的な取り組みに対する支援についても確実に実施してまいります。
さらに、県の施策を利用者目線でわかりやすく整理した冊子を作成するなど、中小企業者や県民向けの周知にも一層積極的に取り組んでまいります。
去る10月24日に開催されました中小企業団体全国大会においても、滋賀の中小企業の持つすぐれたものづくり技術や魅力あふれる食や商品を大いに全国に発信していただきました。滋賀の中小企業が生き生きと活躍されるよう、来年度に向けて、中小企業の皆様や関係団体の御意見を今後も十分お聞きしながら、確実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大きな9問目の台風18号に伴う県内農水産業の災害復旧についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の9月補正で対応した対策の効果と、それ以外の対策でございます。
露地野菜は、浸水など約270ヘクタールの被害があり、一部植えつけた苗が枯れて、余儀なくすき込みをされたところもございました。このため、9月補正において、病害防除や追肥など露地栽培の早期回復を図る取り組みや、種のまき直しにかかる費用の一部補助を実施することとし、活用いただいております。
取り組み面積は現在集計中ですが、キャベツや大かぶなど、最も被害面積が大きかった大中の湖地域では、本事業を活用し、薬剤散布や肥料を施すなど懸命な対策をされた結果、一定の回復が見られ、現時点では平年作の7割程度の収穫量が見込まれております。
また、甲賀市信楽町において、茶園の崩落など甚大な被害を受けました。このため、茶の苗木の植えつけから収穫できるまでの3カ年分を支援する国の改植事業を活用するとともに、気候が冷涼で収穫までに国の標準よりも年数を要する本県産地の特性を踏まえ、さらに2カ年分の補助をすることとし、本議会に補正予算をお願いいたしました。
次に、2点目の県下全域の農地や農業用施設の損壊に対する今後の復旧対応でございます。
台風18号に伴う農地や農業用施設の被害は甚大であり、県下全域に及んでおります。国の災害復旧事業は、激甚災害に指定されたことから補助率がかさ上げされる見込みであり、県単独災害復旧事業についても補助率を5%かさ上げし、補助対象地域を県下全域に拡大をいたしました。こうした対策の中で、国会議員はじめ多くの皆様の御助力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。
こうした制度を有効に活用していただくとともに、県としても、引き続き市町、土地改良区に対して技術指導や職員派遣を行い、来春の作付作業に間に合うよう精いっぱい支援してまいる考えでございます。
次に、3点目のエリ、ヤナ被害の復旧についてでございます。
エリ、ヤナは施設ではなく漁具として扱われておりまして、災害復旧事業の対象とならないということでございます。そのような中で、その再建には多額な費用を要すること、漁業者の皆様からの悲鳴も重く受けとめております。滋賀県水産振興資金の活用を働きかけるとともに、利子および保証料を助成するための補正予算もお願いしております。
また、エリ、ヤナの周辺に堆積した竹木の除去などには、国の水産多面的機能発揮対策事業の活用が可能で、漁業者を中心とした活動団体の一部でこれを活用した取り組みを展開をしていただいております。
このほか、エリの設置場所を変えて操業しようとする場合の手続に一定の配慮を行うなどにより、早期の操業の再開に向けて支援をしてまいる考えでございます。
言うまでもなく、エリ、ヤナは琵琶湖漁業の生産、プラス文化的、歴史的にも大変重要な漁法でございます。災害によってこれらの伝統が途切れることのないよう、県としても前向きに支援をしてまいりたいと考えております。
次に、大きな10問目の滋賀県流域治水の推進に関する条例案についての3問の御質問にお答えさせていただきます。
まず、1点目の住民説明について、これまでの状況と見通し、説明会における住民の受けとめ方、建築規制と罰則に対する意見でございます。
住民説明会では、条例の基本的な考え方に加え、主に河川整備と建築制限と罰則の2点について、丁寧に説明させていただいております。
少し長くなりますけれども、状況を御説明させていただきます。
まず、河川整備では、対象地域の地先の安全度マップによる水害リスクの状況と比較しながら、それぞれの地域ごとに、関連する河川改修と維持管理の実績や計画について、丁寧に地図などとともに説明をさせていただいております。
地先の安全度マップで明らかとなった水害リスクの高い地域に対しては、関連する河川の重点的な維持管理を含めた整備を進めるとし、新たに、具体的な河川改修や維持管理を内容とした河川整備の5カ年計画を策定し、河川整備を一層充実させていくことについても説明させていただいております。
建築制限と罰則については、議員御指摘のとおり、条例による建築制限により河川整備がなおざりにされるのではないかとの不安をお持ちの方が多いことから、まずはその誤解を解き、不安を解消することを主眼に置いた説明をさせていただいております。
1つは、区域指定に伴う建築制限は、河川整備等のハード対策の着実な実施に上乗せして同時に行うこと、ハード対策では対処し切れない異常豪雨の際にも命を守るためのソフト対策であり、いざというときに2階への垂直避難、あるいは近くの避難場所への水平避難が確実にできるようにするための方策であることを正しく認識していただくこと。
そして、このような異常豪雨は、ことしの8月から気象庁で運用が始まった特別警報の例のように、気候変動の影響もあり、ますます今後滋賀県内でも発生頻度が高まるおそれがあることも説明させていただいております。
もう一つは、区域指定は、地域の合意形成のもとで策定される水害に強い地域づくり計画を前提としたものであり、条例制定により県が一方的に指定するものではないことも説明いたしております。
罰則については、地域で決めたルールを破って勝手に危険な住宅開発をするなどの悪質な行為が行われる場合への備えであり、地域のルールが守られている限り、罰則が適用されることは極めて少ないことも説明させていただいております。
9月議会以降、これまでに対象となる37の自治会のうち、32自治会の住民の皆さん、延べ人数でいえば約510人の方に対して説明を終えたところであります。残る5自治会についても、この8日までに説明を終える予定であります。
少し長くなりますが、説明会でいただいた主な意見を紹介をいたします。
まず、河川整備についてですが、9月の台風18号の被災直後でもあり、どの会場においても、河川改修のほか、河川のしゅんせつや樹木の伐採など、目に見える日常的な維持管理、また堤防強化についての要望をたくさんいただきました。
条例案では河川の整備を基幹的な治水対策として位置づけており、要望にお応えできるよう、計画的かつ効率的に取り組んでいくことを説明させていただきました。
今回、台風18号で浸水被害を受けられた大戸川下流部の沿川地域の住民の皆様からは、ダム整備の促進に対する要望をお伺いいたしました。大戸川ダムは現在、国でダム事業の検証中であり、まずは県が行う河川整備を実施し、着実に責任を持って安全度の向上を図っていくことを説明いたしました。
次に、琵琶湖周辺の干拓地にお住まいの皆様からは、内水排除ポンプの強化などについて要望をいただき、関係部局との調整をお願いをいたしました。
建築制限と罰則については、地域により受けとめ方はさまざまでございます。
台風18号で浸水被害を受けて、避難場所整備や住宅のかさ上げにすぐにでも取り組みたいので、早く支援制度を制定してほしいといった声をお聞きしました。
また、水害リスクを知らずに新たに住宅を建ててしまった方からは、水害リスクを知った上で安全な住まい方を工夫したり避難体制を整えることは、大変よい取り組みであるとの御意見もいただきました。
一方で、既に水害に対する認識が高く、従来より住宅のかさ上げなどの住まい方の工夫をされているところでは、今さら区域指定による建築制限は不要であるとの声もいただきました。
また、区域指定により地域のイメージが悪くなり、子や孫が帰ってこなくなるのが心配という御意見、あるいは、自分の身は自分で守るから放っておいてほしいという御意見もいただきました。
5自治会の説明がまだ残っておりますが、県としては、今回の説明会を通していただいた多くの現場の生の声を真摯に受けとめ、今後、それぞれの地域特性に応じた流域治水政策を責任を持って推進していく中で生かしてまいりたいと考えております。
次に、2点目の水害に強い地域づくり協議会での具体的な手続はどのようなものになるかでございます。
この協議会は、平成24年3月に議決いただいた滋賀県流域治水基本方針に定めているとおり、地域住民、市町、滋賀県、国、関係機関等が協働して流域治水対策を推進するための組織であります。
この協議会では、水害を着実に回避、軽減するため、地域の特性に応じた課題を整理し、地域の特性に応じた対応策を取りまとめた水害に強い地域づくり計画を策定することとしており、特に浸水危険区域指定の対象地域では、早急に計画の策定、実施を進めていくこととしております。
条例に基づく区域指定を行うに当たっての前提となる地域の合意形成を図る大変重要な議論の場であります。
この協議会は、国の主導もあり、既に平成16年度に湖南圏域、野洲川の湖南圏域を皮切りに、湖北、東近江、甲賀、高島の5圏域で組織され、現在も活動中でございます。これまで、主に地先の安全度マップを活用した地域の避難計画づくりや避難訓練、啓発活動など、ソフト対策を中心とした自助、共助の対策を検討してまいりました。
条例に基づく区域指定に当たっては、まず、対象地域の住民、関係市町、県、学識者などで組織した協議会のワーキングを活用し、その中で、①県が行う河川整備の内容、②地域の避難計画、③地先の安全度マップに基づく区域指定の考え方と指定方法、④改築時の耐水化、建築の耐水化手法、⑤避難場所の設置計画などについて具体的に議論を重ね、合意形成を図った上で、水害に強い地域づくり計画を策定することとしております。
特に避難場所は、市町の防災会議の承認を経て、地域防災計画に位置づけられることによって、国の補助と県の補助が同時に活用できる仕組みにしたいと考えております。
浸水危険区域の指定は、このような地域の合意形成のもとで策定された水害に強い地域づくり計画に基づいて行うこととなります。具体的には、現地立ち会いにより境界等が確定した図面を作成し、公告と縦覧の手続を行い、さらに、市町の首長への意見照会を実施した後、区域図と区域内の想定水位を告示することによって区域指定は完了します。
このように、水害に強い地域づくり協議会は、まずは区域指定の前提となる水害に強い地域づくり計画の策定を当面の使命としますが、それで役目が終わるものではございません。区域指定後も、実際に各地域で展開される流域治水の取り組みが地域の自助、共助のもとでうまく機能し、水害に強い地域づくりが万一実際に水害が起きたときにも着実に実現し、継承され、命を守るという仕組みが発動されるよう、住民目線でしっかりフォローアップしていくという重要な使命を担う組織であると認識をしております。
次に、3点目の具体的な河川整備の実行計画について、現在の検討状況と策定の見通しについてであります。
本県の河川整備の基本としている中長期整備実施河川の検討結果や河川法による河川整備計画は、おおむね20年間の計画であります。これらの計画のうち、平成26年度から平成30年度の5年間で実施する予定の具体的な河川事業を抽出し、新たに、土木事務所ごとに河川整備5カ年計画として策定することとしております。
実施すべき内容や区間については、地先の安全度マップによる水害リスク、台風18号による被災状況、地域からの要望や合意の状況などを踏まえ、河川ごとに設定することとしております。現在、設定作業を進めているところでありまして、今議会でその策定状況について説明してまいりたいと考えております。
次に、大きな11問目の国民体育大会の開催の諸課題について4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の滋賀らしい国体についてでございます。
本県では、昭和56年に「水と緑にあふれる若さ」をスローガンに、びわこ国体を開催いたしました。県民総参加による質素な中にも内容豊かな運営や、本県選手団の活躍を通した大会の成功は、県民に自信と誇りをもたらし、本県スポーツの振興やその後の県勢発展にもつながったものと考えております。
それ以来、43年ぶりとなる第79回国体でございます。県民総参加による国体開催というびわこ国体の遺産と、またその成果を継承しつつ、時代の変化を踏まえながら、次の3点を滋賀らしさとして念頭に置き、準備を進めてまいりたいと考えております。
1つは、準備の過程から子供や若者、女性の参画を意識的に埋め込み、滋賀の未来を担う人育てにつながるとともに、高齢者も含む世代間の交流をも促進をし、県民総参加の大会としていくことでございます。
2つ目は、滋賀を訪れる多くの人に滋賀の魅力を発信することはもちろん、選手、監督の受け入れやおもてなしの経験を通し、地域の活性化や経済的貢献をも含め、コミュニティービジネスにもつなげていくことでございます。
3点目は、滋賀の特性である大学や企業の集積、特に昭和56年以降、滋賀に立地をしたスポーツ系の大学あるいはスポーツ系の学部を持つ大学、さらには企業の集積を生かしながら、多様な主体との連携、協働による国体準備やスポーツ振興を進めていくことが大切でございます。
こうした他府県にない滋賀の底力を発揮をし、県民総参加での国体成功と、全ての人がスポーツに親しみ、生涯を健康で暮らすことのできる活力に満ちた滋賀を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2点目の施設整備に関する質問でございますが、県立社会体育施設の多くは建設から既に相当の年月が経過しており、老朽化への対応を早急に検討する必要があります。
今後、国体の競技会場の選定作業を進める中で、会場としての利用が想定される施設については、国体終了後の最適な施設管理のあり方も視野に入れながら、改修等の対応を検討してまいります。
また、市町立の体育施設についても、国体会場としての使用に際し必要となる改修や修繕に当たり、県として支援を行う必要があると認識をしております。
来年度以降、競技会場を決定していく過程において、施設の課題や国体開催に向け必要となる施設改修等の規模や内容が明らかになってくるものと考えております。できる限り早い時期に、先催県の事例も参考にしながら、支援の内容を詰めてまいります。
次に、3点目の国体で優勝を目指して競技力の向上を図るつもりであるかとの御質問でございます。
ロンドンオリンピックのフェンシング競技の準決勝で、滋賀県出身の太田雄貴選手は残り1秒で追いつき、さらに延長線で逆転勝利をおさめ、日本中が感動に包まれました。このように、スポーツには人々に感動を与え、また、勇気を届ける力があります。桐生君の100メートルの成果も、県民の多くに勇気を与えてくれております。
人間の可能性を追求するトップアスリートの技術や経験、人間的な魅力は社会的な財産でもあります。その活動を身近に感じることは、県民の皆さんのスポーツへの関心を高めるという意味でも意義深いものであります。
滋賀で開催される国体における郷土の代表選手の活躍を通じ、県民の皆さんの一体感、連帯感を生み出すためにも、本県の優勝を目指して競技力向上を図ってまいりたいと考えております。
特にジュニア世代の育成については、「滋賀の子が、滋賀で育ち、滋賀で活躍する」を合い言葉に、滋賀で育った選手が指導者となって次の世代を育てる好循環の創出を目指してまいりたいと考えております。
4点目の指導者の育成強化に関する質問であります。
選手や子供たちの能力を引き出し、大きく伸ばすことのできる指導者の力は、競技力向上を図る上で重要であります。本県にもすぐれたスポーツ指導者の方々がおられますが、競技団体の中には、高齢化や後継者不足により、指導者が十分確保できていないところもあるとお伺いしております。
今後、国体での優勝を目指し、国体を成功させるためには、全国大会で選手やチームを上位に導けるすぐれた指導者を確保する必要があると認識をしております。
一方、運動部活動やスポーツ少年団においても、指導者の確保が課題でございます。スポーツにかかわる子供たちの育成を図り、国体に向けて、裾野を広げる意味からも、地域や学校など身近な場における指導者の育成が必要と考えております。
今後、国体を視野に入れた競技力向上に向けての計画を策定する必要があると考えており、指導者の確保、育成や資質向上に向けた方策を具体的に盛り込み、確実に実施できるよう、県として努めてまいりたいと考えております。
以上、小寺議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。少々長くなりまして、申しわけございませんでした。
◎教育長(河原恵) (登壇)国民体育大会についての御質問のうち、県民一体の取り組み体制と、強化費、育成費についての御質問にお答えをいたします。
本県における2巡目国体を成功させるためには、県民一人一人が一体となってかかわり、国体を盛り上げようとする機運を高めることと、指導者の層を厚くし、優秀な選手を強化育成することが何よりも重要であると考えます。
大きな大会になればなるほど、選手や競技をサポートする方の協力が必要であり、ボランティアの皆様の参加は国体の成功には欠かせませんが、より一層の盛り上がりを生み出し、県民が一体となるためには、本県選手の活躍が重要であると考えます。
特に、本県出身のアスリートがオリンピックやパラリンピックに出場することや本県開催の国体で活躍することは、県民の皆さんに夢や希望を与えます。また、そのことが子供や若者にスポーツのすばらしさを実感させ、みずからの可能性に挑戦しようとするきっかけにもなります。
こうしたことから、県教育委員会といたしましては、まず、これまでの競技力向上のあり方を抜本的に見直し、本県での国体を見据え、競技力向上に戦略的に取り組むための基本計画を来年度新たに策定し、できる限り早期から強化育成に取り組む必要があると認識しております。
特に、本県における2巡目国体で中心的な活躍が期待できるジュニア層に対し、早くからその才能を見出し、育成する仕組みの構築や、ジュニアの育ちを的確にサポートし、可能性を最大限に引き出す優秀な指導者の確保が喫緊の課題であると考えております。
さらに、基本計画に基づく具体的な取り組みを着実に推進するための組織として、選手強化のための対策本部を設置し、県体育協会や各競技団体、大学、企業等のスポーツ関係者と密接な連携を図りながら、本県のスポーツ界を挙げて、強化育成に取り組んでまいりたいと考えております。
また、そのためにも大きな予算の確保が必要となってまいりますが、今後、先催県の事例も参考とし、県民の皆様方の御理解をいただきながら、必要な額の確保に努めてまいりたいと存じます。
競技力向上のための強化育成に速やかに着手することで確実に順位を上げていき、本県で開催する第79回国民体育大会では、天皇杯、皇后杯が獲得できるよう、全力で取り組んでまいる所存でございます。
◎警察本部長(山本仁) (登壇)警察施設の整備と人員確保につきましてお答えいたします。
まず、今後の警察関連の施設整備に係る計画につきましてお答えいたします。
防災上特に重要な施設に位置づけられている施設のうち、耐震性に問題がある警察署および交通機動隊庁舎につきましては、建てかえを予定している2署を含めて、平成29年度までに新築または耐震補強工事を進めてまいります。
なお、耐震補強工事を予定している草津警察署につきましては、先日、草津市から署に隣接の市有地を活用する建てかえ案を御提案いただきましたので、建てかえができないかとの具体的な検討をさらに行ってまいります。
また、運転免許センターにつきましても、移転新築せず、現在地で建てかえることで事業費を数分の1に圧縮できると考えており、その実現に向けて具体的に検討してまいります。
御指摘の警察署長公舎および待機宿舎についてでありますが、署長公舎につきましては耐震性に問題があり、さらに老朽化が進んでいるものが数多くあるため、署長の指揮命令機能を喪失させないためにも、早急に建てかえる必要があると考えており、既に具体的な検討を始めております。
待機宿舎につきましては、現在、事件、事故や災害への対応のため、警察官は原則として勤務する警察署などに近接して居住しなければならないとしているため、持ち家がありながら待機宿舎に入居している者もかなりおります。県下には75棟の待機宿舎がありますが、この半数以上の45棟は耐震性に問題があります。しかし、厳しい財政事情のもとで、それらを建てかえることは困難であります。
そこで、県警察といたしましては、このような状況を踏まえて、警察官が真っ先に負傷する事態を避けるべく、やむを得ず、警察署の最低限の指揮能力と執行力を担う警察官を除いて、居住地制限を大幅に緩和し、その上で、老朽化が著しく維持困難な待機宿舎を順次廃止していく方向で検討を始めております。
一方で、管内に耐震基準を満たす待機宿舎が一つもない警察署も存在しております。そのようなところについては、最低1つは待機宿舎を備える必要があると考えております。
次に、施設整備のおくれによってどのような影響が考えられるかにつきましてお答えいたします。
警察署や待機宿舎などは、いずれも事件、事故対応や災害対策のかなめとなる施設であり、こうした施設の防災上の観点での整備がおくれることは、県警察として、治安維持や防災に十分な責任が果たせなくなる事態が生じ得ると考えております。
次に、現体制の現状と今後の課題についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、京阪神の受け皿などとして人口増加が続く本県は、似た状況の埼玉県と並び、特に警察官の負担率が高い状況にあります。
さらに、県警察の一般職員の定員も鳥取県に次いで全国で2番目に少なく、その業務の一部も警察官が行わざるを得ないことや、犯罪の抑止や検挙活動のみならず、県の中央に琵琶湖が位置する条件の中、検挙した犯人を護送するため、多くの警察官が一時的に本来の任務を離れて従事していることなどもあって、現状の体制は治安維持の限界に達していると考えております。
このような中で、本県の治安情勢が全国の趨勢とは逆に急激に悪化し始めたことについては、強い危機感を抱くとともに、県民の皆様に大変申しわけなく思っております。
そこで、県警察といたしましては、この春より、県民に身近な犯罪の抑止や検挙活動、街頭活動にとにかく集中するとともに、より積極的な職務執行に努めており、ここ最近の数カ月を見ますと、治安情勢の悪化には何とか歯どめがかかってきたようにも思えます。
さらに、この12月には、治安回復の機運を社会や県民の心に定着させるべく、全警察官や全警察車両が街頭で活動するような人海戦術的な歳末警戒活動に、県警察を挙げて取り組んでいるところであります。
しかしながら、このような取り組みを永続的に行うことは困難でありますので、警察官や一般職員などの増員による体制強化が必要と考えております。
最後に、警察官の増員による体制の構築方策についてお答えいたします。
永続的な治安回復を図るための増員を、具体的に何人、どのような形で行うのかにつきましては、警察官の定員が原則として政令で定められる基準に従うこととされておりますので、本県独自の考えをお答えすることは残念ながら困難であります。ただし、一つの目安として、警察官一人当たりの負担人口を全国平均と同水準にするためには、今後、約600人を増員する必要があると言えます。
一方で、大量退職が続き、また、私生活を拘束する厳しい仕事を敬遠する若者が多い中で、採用者の質的低下を招かない一定の競争倍率を確保すべきであることや、採用後に教育訓練を行う警察学校の受け入れ可能数に限りがあることにも配意する必要があります。
こうした点を考慮し試算すると、現実的には毎年40人程度の増員が可能と考えられます。仮に毎年40人の増員を5年間いただければ、警察官一人当たりの負担人口は、全国ワースト2位の現状から第18位程度にまで改善する見込みであります。
いずれにしましても、警察官の増員は本県の安定的な治安維持の前提条件でありますので、今後とも関係部局と連携して、警察庁などへの増員要望を強めてまいります。
○議長(宇賀武) しばらく休憩いたします。
午後0時53分 休憩
────────────────
午後2時 開議
○議長(宇賀武) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、15番成田政隆議員の発言を許します。
◆15番(成田政隆議員) (登壇、拍手)それでは、午後からも引き続きよろしくお願いいたします。
さて、先日、JICAの特別顧問であり、元国連難民高等弁務官であった緒方貞子さんの講演を伺う機会がありました。そこでは、新しい平和のつくり方、国際協力のあり方がだんだん広がっており、貧困による区別、差別をなくして対立を少なくしていくという、日本の考え方に基づく国際協力のあり方が広げられる時代になったこと、難民に対する上で大きな役割を果たしてきたのは日本だったことなど、これまでの難民高等弁務官としての話を伺うとともに、少子高齢化の日本にあって、人口の減少が始まっている中、子供を産み育てやすい社会をどうやってつくり直せるか、社会進出と同時に、出産、育児との両立をどう遂げていったらいいかといった課題についてもお話を伺いました。
また、緒方さんは、民主党政権下で国家戦略会議がまとめた日本再生戦略において、経済的な指標の伸びを求める意見が相次ぐ中で、成長も大事だが、インクルーシブな成長でなければならない、誰かを取り残すような成長であってはならないと一貫して主張され、民主党政権では、全ての人のために居場所と出番がある普遍的な日本再生戦略をその指摘に基づきまとめられました。しかし、現在の安倍政権の目指す方向を見ると、格差が拡大し、取り残される人がどんどんふえていくのではないでしょうか。
さらに、現在国会審議がなされている特定秘密保護法案においても、安倍政権の強権的姿勢は許されるものではありません。福島市で行った地方公聴会では、廃案や慎重審議を求める声ばかりであり、国会においても、審議をすればするほど法案の欠陥があらわになったにもかかわらず、11月26日に衆議院で強行採決がなされました。
秘密の範囲が曖昧なままで、さらには、国会や司法のチェックも及ばない情報公開や公文書管理のルールも後回しにされ、国民の知る権利も報道の自由も十分に保障がされないままで本当にいいのでしょうか。
また、安倍首相は昨年11月14日の党首討論において、野田前首相と、消費税率を上げる前に国会議員の定数削減を次期通常国会までに必ずやり切ると約束しました。しかし、現在、その約束はどうなっているのでしょうか。国民の暮らしを守る役割である政治が、みずからの身を切る約束を守らないままに、国民に対して負担と不安ばかりを与えています。誰も取り残さない、全ての人のために居場所と出番がある、そんな政治の実現のために、滋賀県においては県民の暮らしを守り支える施策を講じる必要があると言えます。
それでは、以下9項目にわたり、民主党・県民ネットワークを代表して質問をいたします。
まず初めに、新年度予算編成について、知事にお伺いします。
いよいよ政府の新年度予算編成作業も本格化してきました。今回の新年度予算は、民主党政権における中期財政フレームで71兆円という歳出面の上限ルールを定めたものとは異なる考え方で策定されています。これは、3本の矢によって名目成長率が引き上がることにより歳入増が見込まれる一方で、高齢化等に伴う社会保障費用の増大などにより歳出もふえていくことを予見されており、歳入歳出の拡大を織り込んだ上で、その収支を改善していくという考えであります。
今回の概算要求基準は、このような仕組みにより、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指し、めり張りのある平成26年度予算としていくことを基本的な考え方としております。
さらに、中期財政計画と平成26年度予算の概算要求基準の策定は、その姿勢を示す機会となるはずでありますが、実際には、歳出削減の具体策に踏み込めず、本来あるべき歳出総額の上限すら示されていない状況です。
しかも、8月に閣議決定された中期財政計画からは明確な道筋が見えてきません。今わかっているのは、社会保障費全体の水準の抑制、診療報酬の削減、地方交付税の国費負担上乗せの廃止、教育予算の削減等の方向のみであり、国民の暮らしに影響を与える内容ばかりであると言えます。
また、政府が既に国際公約している、国と地方の基礎的収支の赤字幅を、22年度の水準から対国内総生産──GDP比で27年度までに削減させ、32年度までに黒字化するとの目標をいかに達成していくかも、大いに疑問が残るところです。
加えて、景気の好循環を目的とした国家による賃上げ要請においては、一律に講じるべき要請を大企業のみに限るなど、偏った政策、介入になっています。
本来、経済の好循環をつくる消費動向は生涯所得で決まるものであり、一、二年、政府が介入しても将来的な安定につながるものとは到底思えません。中期的な政策の実行や雇用の質まで踏み込んだ議論が今必要であります。
いずれにしても、行き過ぎたグローバル化の是正と国民生活の安定、都市と地方、正規雇用と非正規雇用の格差縮小が不可欠であり、そのためには内需の底上げが求められています。
そこで、安倍政権が推し進めているこのような財政・経済政策についての知事の所見をお伺いします。
また、現在5%の消費税率は、平成26年4月に8%、平成27年10月には10%へと、2段階で引き上げられることになります。消費税率の引き上げにより、駆け込み需要や、その反動による消費の冷え込みなど、滋賀県経済への影響も懸念されていると言えます。
そこで、この消費税率の引き上げによる県財政への影響、特に歳入歳出についての影響についてお伺いいたします。あわせて、滋賀県経済への影響についての所見をお伺いします。
一方、この国の動向の中で、滋賀県では、去る10月24日、見える県政を推進する一環として、平成26年度に向けた重点テーマについての協議状況が公表されました。今回の予算編成は、知事2期目の最後の予算編成であり、基本構想、行財政改革方針に基づく計画期間の最終年度、目標達成を見据えた仕上げとなる予算編成であります。
そこで、平成24年度決算報告、平成25年度の予算の執行状況と税収見込みをどのように捉え、平成26年度予算編成に反映されようとしているのかお伺いいたします。あわせて、知事の基本的な予算編成に対する考え方について伺います。
また、現在の予算編成に向けた庁内および市町との協議状況についてもお伺いいたします。
また、先ほども触れましたが、内需の拡大のためには雇用確保の安定が不可欠です。現在、国の経済政策によって、全国的に有効求人倍率は一定の改善の傾向が見られているところです。滋賀県でも全国の傾向と相まって、改善の傾向にあることは認識しています。
しかしながら、依然として有効求人倍率は平成25年10月の0.87倍であり、0.8倍台でいまだ推移しております。近畿において低位の有効求人倍率から脱していないのが現実であり、0.95の京都、0.99の大阪への雇用の流動化に歯どめがかかっているとは言えません。
いずれにしても、滋賀県における雇用の量的確保と質の確保の両面が必要であると言えます。国の雇用対策のさらなる推進はもちろん必要ですが、滋賀県において、さらに踏み込んだ雇用対策が必要であります。
そこで、来年度予算編成に向けた雇用対策の決意をお伺いいたします。
次に、台風18号による災害復旧について、知事にお伺いします。
去る9月15日から16日にかけて滋賀県などに大きな爪跡を残したあの台風18号の襲来から、早くも2カ月余りがたとうとしています。県当局におかれましては激甚災害指定を要望するなど、迅速に対応していただいたとの認識をしています。また、被災が9月定例会直前であったこともあり、災害復旧のための補正予算が編成され、早い時期に可決、成立させることができました。それを受けて、被害を受けたそれぞれの現場では復旧に向けての工事が鋭意進められています。
ただ、補正予算については、ある意味、早い時期の成立であったために、被害状況が十分に把握し切れていない面もあったように聞いております。
そこで、9月補正予算以降に調査され判明した分も含め、土木関係災害の全容とその復旧状況、今後の対応予定についてお伺いします。
また、同様に、農業・水産業関係災害の全容とその復旧状況、今後の対応予定について、特に農業関係に関しては激甚災害の指定を受けましたが、そのことによる影響などについてお伺いします。
2年半前に起こった3・11東日本大震災の対応もあり、加えて安倍政権による国土強靱化政策の実施によって、台風18号襲来以前から、建設関係の技術者や労働者、資材が不足していると言われております。そのことに追い打ちをかけるような状況となっているのではと危惧をしております。
そこで、土木関係ならびに農業関係の災害復旧に対する技術者、施工業者の確保、資材の調達状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
今回の台風18号による被害は非常に大きく、土砂災害により避難を余儀なくされた方々がおられます。また、浸水により自宅が壊れたり、一時期使えなくなったりした方々もおられます。県として、さきの補正予算で、今回の台風被害者に対して、生活再建支援金2億4,000万円が創設されました。時宜を得た施策だと評価しておりますが、そこで、県生活再建支援金の実施状況についてお伺いいたします。
台風18号による被害の中でマスコミ等に大きく取り上げられたものの一つが、SKR──信楽高原鐵道杣川鉄橋の流出です。知事は、第三セクター、とりわけ上下分離方式での運営となっているSKRへの国の補助率アップを要望されましたが、いろいろな経過の後、国が支援拡充に難色を示すと、直ちに県費投入を表明されました。
そこで、知事が存続するとの思いに至った根拠、今後の対応についてお伺いいたします。
この項の最後に、台風18号に対する災害復旧において、大きな力となりました災害ボランティアについて伺います。
滋賀県では、滋賀県社会福祉協議会に滋賀県災害ボランティアセンターが平成25年4月に設置されました。そこでは、滋賀県地域防災計画に基づき、地震、風水害等の災害発生時におけるボランティア活動の重要性に鑑み、災害ボランティアに関する情報提供、相談、連絡調整等を行い、災害ボランティア活動の支援を行うことを目的として運営されており、平常時から人材育成や訓練を行い、また、災害発生時には非常事態体制に移行されます。
このたびの台風18号において、災害ボランティア活動の支援を行うため、滋賀県災害ボランティアセンターは9月17日に非常時体制に移行され、滋賀県内の災害ボランティアに関する情報提供、相談、連絡調整等を行われたところであります。
さて、この台風においては、3,000人を超える多くの災害ボランティアが活動に参加されました。非常に熱意を持ったボランティアの参加は非常に心強いと言え、参加されました皆様に感謝申し上げます。
しかし、滋賀県において、これだけの大規模な災害ボランティアの参加はこれまでになかったと言え、現場においては多くの混乱が生じたと仄聞しております。せっかく来ていただいた災害ボランティアの皆様がスムーズに活動に参加できるようにコーディネートしていくことは非常に重要であり、地域の災害ボランティアセンターを支える滋賀県災害ボランティアセンターの役割は大きいものと言えます。
そこで、今回の災害ボランティアにおいてどのような課題があったと把握しているのか、お伺いいたします。あわせて、滋賀県
危機管理センターにおいて、研修、交流事業を行われることとなっておりますが、災害ボランティアコーディネーターの育成等、災害ボランティアの環境整備について、知事に伺います。
次に、環境政策について、知事にお伺いいたします。
このたび、環境保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、滋賀県
環境基本条例に基づき滋賀県
環境総合計画が策定されておりますが、社会、経済等のさまざまな情勢の変化や、現行計画の点検、評価を踏まえ改定が行われます。
まず、これまでに平成21年より第三次滋賀県
環境総合計画が策定され、持続可能な滋賀社会の実現を図るため、低炭素社会の実現と琵琶湖環境の再生という2つの長期的な目標と、施策の基本方向を定めてこられましたが、第三次滋賀県
環境総合計画の評価について、まず伺います。
あわせて、現在、第四次
環境総合計画の素案が策定され、県民政策コメントを募集しておりますが、第四次
環境総合計画の特長について伺います。
第四次
環境総合計画の素案の中では、基本目標において、新たに、「環境の未来を拓く『人』・『地域』の創造」を掲げ、「主体性を持った人育ち・人育てにより、その先の社会づくりを進めます。」「環境保全の視点が社会・経済活動に織り込まれた地域社会づくりを進めます。」とされております。
滋賀県の歴史を見ても、琵琶湖で大規模な赤潮が発生した際には、琵琶湖を守るため、県民が主体となってせっけん運動を行うなど、環境問題に対して行動を起こしたのは人であり地域でありました。
それ以降も、環境への意識を高めるために、小学校5年生を対象としたうみのこ、小学校4年生を対象としたやまのこをはじめ、環境学習の機会が提供され、さらに、琵琶湖博物館が平成8年に開館し、環境学習の拠点として重要な役割を果たしてきました。今後、時代を担う人が育つ拠点となる博物館へとリニューアルを予定されております。
しかしながら、環境学習の一連の流れの中で、中高生へのアプローチが弱いように感じられます。小学生で育まれた意識をより高めていき、大人になってからも継続して社会全体へ働きかけていく主体的な行動に結びつけていく必要があると考えます。
そこで、滋賀県において、環境学習のさらなる推進に向けて、どのようにして環境保全行動を実践できる人を育てる仕組みを構築していくのか伺います。
次に、
琵琶湖森林づくり条例の改定について伺います。
滋賀県において、全ての県民が森林づくりに主体的に参画し、長期的な展望に立ち、その多面的機能が持続的に発揮されるよう、緑豊かな森林を守り育て、琵琶湖と人々の暮らしを支えるかけがえのない滋賀の森林を健全な姿で未来に引き継ぐことを決意し、平成16年4月に
琵琶湖森林づくり条例を施行しました。
しかし、現状の森林の状態を見ると、鳥獣被害の深刻化、森林所有者の高齢化や不在村化、森林への関心の低下、林業の衰退等、条例制定時に比べ悪化の一途をたどっていると言えます。いま一度、県土の約2分の1もあり琵琶湖の水源として重要な役割を果たす森林に対して、未来に健全な姿で引き継ぐために、方向性を定めていかなければなりません。
そこで、現在の森林の状況を見ながら、新たな課題への対応を検討し、より効果的な条例にしていく必要があると考えますが、所見を伺います。
また、他府県では目的不明な土地の取得など新たな問題も生じており、水源を守るために水源地域保全条例を制定する自治体もふえてきております。加えて、水源林の保全のための取り組みとして、土地取引の問題だけでなく、水源林の無秩序伐採の懸念も解消していく必要があり、開発行為に対しても注視が必要であると考えます。
香川県においては、県土の計画的な緑化と土地利用の適切な調整を行うため、開発区域に含まれる地域森林計画の対象民有林面積が0.1ヘクタール以上の土地開発行為に対して、事前協議を行うことを義務づけております。また、国の開発許可基準よりも厳しい森林における開発行為に係る規制は、現在、5府県が行っております。
そこで、森林を健全な姿で未来に引き継ぐためにも、土地取引だけでなく、開発行為に関しても注視していく必要があると考えますが、土地取引ならびに小規模林地開発行為に対する事前届け出制度についての考えを知事にお伺いいたします。
次に、農業政策について、知事にお伺いします。
まず、国の農業政策変更に係る本県への影響について伺います。
安倍政権は、米の段階的生産調整──減反政策と農家の経営所得安定対策を見直すこととしました。この見直しは、これまで農林水産省が毎年、翌年の生産調整をするため目標数量を決定し、地方の農家に配分された枠内を目標として、農業に従事してきた根拠を覆すことにつながる内容であります。それにより、農家の経営所得の安定化に直結する国からの補助金の平準化が崩れることになるのではないかと我々は危惧しております。
1970年以来、半世紀近く米価の安定と小規模農家を守ってきた減反政策、経営所得の変更が本県農業にどのような影響を及ぼすことになるのか、お伺いいたします。
次に、この小規模農家から大規模農家に国の補助が偏重する新たな政策が進められることで、これまで農業規模の大小に関係なく等しく減反政策に参加した農家を守る公平な仕組みが、大規模農家のみに集中し支える仕組みに変わらないのかと大変心配をしております。
政府は、地方の都道府県ごとに農地中間管理機構を新設、農地を借り受け、意欲ある農業者や企業に貸し出す仲介役を担わせるとしています。この新機構による農地の利用集積と同時に、減反と経営所得安定対策を一体的に見直し進めることで、我が国農業の体質を強化しようとしております。大規模の農家優遇のこれらの政策は、農業を取り巻く環境を一変し、小規模零細農家にとって魅力に乏しく、本県農業の新規就農者減少や耕作放棄地増加につながらないかと心配しております。
そこで、農地中間管理機構の創設により、本県中小零細農家にどのような影響を及ぼすことが想定されているのでしょうか伺います。
現政権は、民主党政権時に行ってきた戸別所得補償制度に基づく定額補助金を見直し、農業の持つ多面的機能保全を図る日本型直接支払交付金を導入しようとしています。このことが本県農業集落にどのような影響を及ぼすことが考えられるのか、お伺いいたします。
次に、政府は現在、2013年度補正予算案に農業強化策の一環として農産物輸出促進を候補に挙げ、「農林水産業・地域活力の創造プラン」の事業化を来年度から目指しています。減反廃止や補助金見直しに加え、年内妥結に向けて交渉中の環太平洋連携協定、いわゆるTPPによる市場開放に多くの県内農家の皆さんが不安を募らせておられます。
こうした現状を鑑み、本県農業を守り強化するために、本年度以降、滋賀県独自の新たな施策構築や重点的予算投入をするべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
最後に、地産地消に関して伺います。
先般、団体との意見交換会において、滋賀県産の小麦にこだわり、地元の小麦でつくった食パンを子供たちに食べさせたいとの思いで取り組みを行っている事例をお聞きしました。県内には、このように地産地消に積極的に取り組んでおられる農業者も多いことと思います。
一方、県では、「おいしが うれしが」キャンペーンや、おいしい食の情報発信サイト「滋賀のおいしいコレクション」を立ち上げ、県内の食材の特徴や販売場所等、消費者の知りたい情報を蓄積し、インターネットで発信するなど、食の地産地消を拡大する取り組みを推進しておられますが、滋賀の食材の消費拡大に向けどのような取り組みを行っているのか、滋賀の地産地消の動向も含め、お伺いいたします。
次に、食の安全について、知事にお伺いいたします。
有名ホテルのレストランや料理店などがメニューと違う食材を使っていたことが明るみに出て、消費者の信頼をなくしました。食べ物の表示は4つの法律に基づいています。JAS法では、どんな材料を使っているか、中身の量など、品質を正しく表示すること。食品衛生法では、アレルギーが出るおそれがある材料など、体に危険がないかを確認できること。健康増進法では、カロリーがどれくらいかなど、健康に役立つ栄養表示をする。景品表示法では、実際より著しくよいものに見せかけている表示はないか、大げさな表示を取り締まる。これらの法律は、それぞれの省庁によって所管されています。
まず、さまざまな食品の表示について、滋賀としての権限と取り組みについてお伺いいたします。
滋賀では、食の安全や食のブランド化も推進されている中で、先日、サービスエリアでの表示の違いの報道は非常に残念に思います。
そこで、滋賀県内でのメニューの誤表示や偽装などの状況と、県としての対応をお伺いいたします。
次に、食物アレルギーについて伺います。
昨年12月、調布市の小学校で、給食中に粉チーズ入りのチヂミを誤って食べた女の子が死亡した悲しい事故が起きました。食物アレルギーは、乳児で約5から10%、幼児で約5%、学童期で約1.5から3%と推測されています。また、即時型食物アレルギー患者の最も頻度の高い症状は、じんま疹やかゆみ、皮膚が赤くなるなどの皮膚症状ですが、重症となると、血圧が下がって意識がなくなる、ぐったりなるなどのショック症状も10.9%存在します。
これらの状況を踏まえれば、食の安全として、調味料も含め、原材料表示の正確さはとても重要であり、また、学校や保育所などで提供される食品についても、食物アレルギーへの丁寧な対応が求められます。子供のアレルギーの把握の徹底や、先生や関係者の知識、子供たちへの理解も必要であります。
そこで、食品の原材料表示、保育園、幼稚園や学校等での食物アレルギーに対して、県としての対応を知事にお伺いいたします。
食の安全についての経過は、平成13年に国内初のBSEの発生、平成14年の大手食品メーカーによる牛肉産地偽装が起こり、国では平成15年に食品衛生法の大改正がなされるとともに、食品安全基本法が制定されました。それを受け、県では滋賀県食の安全・安心に関する基本方針を、平成16年には滋賀県食の安全・安心アクションプランを策定しました。そして、平成21年にはアクションプランが食の安全・安心推進計画として改定されるとともに、滋賀県食の安全・安心推進条例が制定されました。
そこで、今年度は推進計画の5年間の最終年度になります。そこで、これまでの食の安全、安心に向けた取り組みについての総括をお伺いいたします。
食の安全に対する関心は県民にとってまだまだ大きく、残留農薬や放射性物質、添加物等に対しても不安を持っています。しかしながら、予算や人員に限りがあり、これらの監視や測定に十分に取り組める状況にありません。さらに、今回の偽装表示について、都道府県にも措置命令が出せるような方向が消費者庁で検討が始まっているとの報道もありました。
このような食の安全に対する信頼をなくす事件が起きている中で、食の安全に向けた取り組みを前進させていくことが求められていると考えますが、今後の食の安全・安心推進計画の改定の方向性、盛り込むべき項目についての考えをお伺いいたします。
次に、2025年問題に向けて人材の確保について、知事にお伺いいたします。
日本は超少子高齢化に向かっており、2015年には団塊の世代が65歳となり、社会を支える側から、前期高齢者になり支えられる側になります。平成37年である2025年には、65歳以上が3,657万人、全人口の30%を超え、団塊の世代は75歳になることにより、75歳以上は2,179万人で、約18%と推計されています。
また、要介護者の半分がなるとも言われている認知症の高齢者の将来推計は、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者が470万人と推計されており、65歳以上高齢者の12.8%を占めると言われております。平成22年──2010年度は280万人で、その半分は自宅で過ごされております。約800万人の団塊の世代は人口構成に大きな変化を与え、今後の医療や介護に対する影響が危惧され、2025年問題と言われております。
2025年の滋賀の予測と、その変化によって危惧されることをお伺いいたします。
これらの大きな変化に伴って、日本の医療費は2011年33兆6,000億から2,025年53兆3,000億に、介護費は7兆9,000億円から19兆7,000億円になると予測がされております。
15歳から65歳の人口は、約8,200万人から約7,100万人へと減少すると推計されており、社会を支える人の割合が減ることを考えれば、若者の雇用が安定すること、女性の就労機会がふえること、シルバー世代の力を発揮いただける環境づくりなど、多様な雇用の場の確保と働くための環境整備が必要です。
また、社会保障費用の増大に関しては、高齢者も含め、社会全体で支えるシステムを構築すること、喫緊の課題であり、消費税の増税分は全額社会保障に使われるのが国民の将来の安心につながると考えます。費用だけでなく、これらを支える医療、福祉等の人材の育成も大きな課題であります。全国では2025年に向けて、看護職員では40から50万人の増員が、介護職員はさらに100万人の増員が必要と推計されています。
現在、看護師不足に関しては、県として、基金をつくり計画性を持って取り組まれている最中です。また、この11月には、全国3番目となるハローワークと県との協定もなされ、マッチングに看護協会の出張コーナーもハローワークに設けられ、成果を上げていると伺っております。今後、各ハローワークにも出張コーナーを設けることで、さらにマッチングにつながるのではないでしょうか。
一方、介護職員は、今までも仕事の大変さに比べ収入が低く、家庭生活の維持が難しく、離職が多く人材不足が言われております。さらに、施設入所の待機が約9,000人とも仄聞しております。介護職員の確保は喫緊の課題です。介護の現場に待ったはありません。潜在介護職員の発掘や、研修、マッチングなど、コーディネーターを置いて、介護職員など福祉人材の確保に潜在看護師の復職の取り組みと同様の仕組みを構築し、さらに取り組むべきと考えます。
加えて、離職防止や復職のため、育児や介護の負担を減らすことも望まれています。しかしながら、待機児童解消のための保育士も不足している現状を見ると、人材確保のためには環境の整備が必要であると言えます。
そこで、看護師について、2025年に向けて必要となる看護師の推計と、それに向けてどのように確保の取り組みを進めていくかを、離職の要因分析とその対応も含め、知事にお伺いいたします。
次に、介護職員についても同様に、2025年に向けて必要となる介護職員の推計と、それに向けてどのように確保の取り組みを進めていくかを、離職の要因分析とその対応も含め、知事にお伺いいたします。
また、今後、単身世帯が増加することも大きな課題と言われております。安心して地域で暮らすためには、地域での支え合いが重要であります。さらには、認知症の人や介護や医療を必要とする人がふえることや、施設ではなく在宅での方向性が出されていることを考えれば、本人や家族を社会で支えるつながりやシステムが大切になってきます。
滋賀県社会福祉協議会や多様な主体の方々が立ち上げられた滋賀県地域福祉施策検討委員会では、2025年を見据えて、「自覚者が責任者」となった福祉実践が立ち上がることを支援する官民協働の仕組みが必要であるとの認識のもと、「誕生前(おめでとう)から看取り(ありがとう)まで、地域で暮らすことを支える仕組みづくりと実践-みんなの思いをつながりの力に-」と、福祉滋賀への御提案をいただきました。
関係者が主体となって、「滋賀の縁創造実践センター」を設置し、生活の課題に即した制度内、制度外のさまざまな事業を関係団体との協働で実施することにより、滋賀の地域福祉の底上げを図る取り組みは非常にすばらしい取り組みであると考えます。
そこで、県としても全面的な協力が必要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、難病対策について、知事に伺います。
本年10月に、難病にかかわる新たな医療費助成の制度案が厚生労働省の難病対策委員会から出されました。その内容は、医療費助成の対象を56疾患から300以上の疾患に広げる一方、重度の患者にも自己負担を求め、病名ごとに重症度分類を導入し、軽症者は助成対象から外すという見直し案になっています。11月に入って患者団体などから反対の声が上がり、自己負担を抑制する見直しに厚生労働省が入ったとのニュースが流れていますが、月4万円自己負担アップにする予定だったのを、反対が激しいので月2万円に下げるだけであり、小手先の見直しのようです。
そもそも、来年4月に8%に引き上げられる消費税は、民主、自民、公明の3党合意で社会保障と税の一体改革で確認されているとおり、増税分は社会保障の充実に活用されることは公党間の約束であり、国民への公約でもありました。
また、これまでは消費税が導入または増税されるタイミングで、介護や難病対策の制度改善が図られてきた歴史もあります。しかし、現政権が行おうとしているのは、消費税増税による5兆円の増収に対し、景気対策として、公共事業に2兆円、復興特別法人税の廃止前倒しで9,000億円を支出であり、世の中で苦しんでいる小児がん、心臓病等の小児慢性疾患や難病患者の自己負担、月2万円アップであります。
そこで、この難病に係る制度の見直しと消費税の使途について、知事の所見を伺います。
また、県内の患者団体から、今回の見直しに対し悲痛の声が届いています。介護タクシーやヘルパー派遣などの負担がある中で、医療費の新たな負担などにより、自己負担が10倍にもなるケースもあると聞き及んでいます。そもそも、難病対策は患者数が少ないことから創薬なども市場原理になじまず、社会全体で支える必要があるという考え方から発想すべきであり、制度間の均衡を根拠に、生活苦にあえぐ患者を比較、分断する発想は許せないと言えます。
そこで、この見直しの方向から想定される影響と、その対応についての考え方をお伺いいたします。
次に、滋賀県基本構想の中でも、医療と福祉の連携、在宅で療養できる体制の整備の方向性が示されておりますが、とりわけ訪問看護ステーションの整備は待ったなしであり、特に24時間体制の整備は喫緊の課題です。幾ら制度が充実されても、受け入れ体制が整っていない現状では、支える家族は崩壊状態であると言えます。在宅医療のサービス提供体制の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
また、滋賀県が目指す「地域を支える医療福祉・在宅看取り」の具体的な施策の展開には、平成37年──2025年度には現在の1.5倍のサービス提供体制が必要になります。
この項の最後に、滋賀県のその体制確保に向けた知事の決意をお伺いいたします。
次に、国民体育大会について、知事にお伺いいたします。
ことしの2月定例会冒頭での知事の第79回平成36年国民体育大会の招致表明後、県議会としても3月に全会一致で招致決議を行い、4月に、知事、県教育委員会および県体育協会会長から、文部科学大臣および日本体育協会会長へ開催要望書を提出、そして7月24日に開催の内々定を受けました。そして、10月31日には国体開催準備委員会が設立され、国体開催5年前の内定、3年前の決定、そして本国体の開催に向けて、ハード、ソフト両面にわたっての整備など、今後10年かけての準備がスタートすることになりました。
この国体は、昭和56年のびわこ国体開催から、43年ぶりの本県での開催となります。その要望趣意書に、「スポーツを通じて、人びとに夢と感動を与え、県民の一体感を醸成することにつながるとともに、次世代を担う人育てはもとより、健康、福祉、教育、観光および経済への総合的効果を通し、滋賀の活力をさらに高め、将来にわたり持続可能な共生社会の実現につながるものと確信しております。」と記載されております。この期待と思いを今後、県民の皆様と共有し、国体開催へ向けて機運を高めていきたいと考えます。
しかし、昭和56年のびわこ国体以降、毎年開催の国体に際し選手を派遣してきましたが、その成績もびわこ国体開催前後の年が上位で、その後は厳しい状況であり、最近の成績も30位以下であります。これまで、県として、国体出場に際してどのようなかかわりを持って支援をしてきたのか伺います。
次に、選手の発掘に始まり、普及、育成、強化、そして指導者人材の養成、確保について、県体育協会、市町、関係団体などとの協働のもと、今後、県として主体性のある取り組みが求められております。
滋賀県での国体開催の平成36年に活躍できる選手の発掘を考えると、子供時代からの体力、運動能力に注視する必要があります。その中で、本県の児童生徒全体の体力、運動能力を見ると、昭和56年度びわこ国体開催年度を100とした場合、全体指数で93.91と、体力、運動能力が低下しているとの結果が出ておりました。
これらの原因分析と、平成20年度から行われている全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果の動向、今後の体力、運動能力の回復に向けた取り組みについて伺います。
次に、本県の代表選手として世界や全国の場で活躍できる競技者の育成を図るとした県のスポーツ強化対策についてですが、県体育協会が管理しておりました競技力向上推進基金は、平成20年度に全て取り崩しが終了し、現在は残高がゼロであります。また、平成22年からはスポーツ振興基金を取り崩し、県の予算とあわせて選手強化の事業の取り組みがなされてきておりましたが、その基金についても残りが少なくなってきております。今後、選手育成、普及、強化を推進するために、県としての基本計画を早急に立てる必要があるのではないかと考えますし、それを支える予算の確保も重要であります。
これまで、県の財政状況から、スポーツ強化費については削減が続いてきましたが、この現状をどのように捉え、今後どのように拡充するのか伺います。
また、今後の基金のあり方についての考えを伺います。
次に、平成25年3月に滋賀県スポーツ推進計画が作成されたところでありますが、選手の育成、普及、強化を進めていくためには、指導者の存在は重要であります。既に学校におきましては指導者不足よるクラブ活動への影響も出ておりますし、県内の企業においても、昭和56年のびわこ国体以降の社会経済情勢等により企業スポーツが激減し、指導者として期待できる選手層の減少など、優秀な指導者の確保にも影響があるのではないかと危惧しております。
そこで、地域に潜在する指導者を含め、今後の指導者の養成、確保に向けた方策についてどのように考えておられるのかをお伺いいたします。
最後に、教育問題について、知事および教育長にお伺いいたします。
これまでも、子供の基礎学力の向上は教育活動の重要な要素の一つであることから、県、市町の教育委員会はもとより、全ての学校現場において、現状を分析し、傾向を捉え、対応策を講じて、学力向上に向けた取り組みを行ってきております。しかし、平成25年度全国学力・学習状況調査の結果を見ると、その取り組みの成果が出ていないのではないでしょうか。
また、それだけではなく、「将来の夢や目標を持っていますか」「将来の夢や目標を実現するために努力をしていますか」「将来、何かの職業や仕事について働きたいと思いますか」「将来なりたい職業はありますか」などの未来に希望を持った質問事項に対し、肯定的な答えをした子供が、いずれにおいても全国平均を下回っておりました。また、小学生から中学生になると、その割合は全国平均をさらに下回る結果となっております。未来に希望を持ち、将来への方向性が定まることにより子供たち自身の目標ができ、それによって学習への意欲が高まるのではないでしょうか。子供が社会に出て活躍していくために、さまざまな能力を得られる機会を滋賀県においてもつくっていかなければならないと言えます。
そこで、子供たちが学べる場をさらに提供していくことが重要であり、取り残される子供がなくなれば、それにより全体的な学力も向上し、底上げがなされるのではないかと考えます。そのためにも、将来への目標に向かって学習ができる環境をつくっていくことや、放課後のサポートをはじめ、学びの習慣をつけていく仕組みをつくっていかなければならないと言えます。
そこで、今回の全国学力・学習状況調査の結果を受け、どのように分析し、来年度どのように施策に反映していくのか、教育長に伺います。
次に、子供が安心して学習できる環境を確保していくためには、いじめの対策も重要であると言えます。国において、児童生徒の尊厳を保持する目的で策定されたいじめ防止対策推進法の規定に基づき、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、いじめの防止等のための基本的な方針が策定され、公表されました。
滋賀県においても、昨年の10月以降、いじめ問題の原因と背景および具体的な対策についての提言を中心に、滋賀県いじめ対策研究チーム会議において議論を重ねてこられました。
具体的な提言の中にも、以前質問の中で取り上げさせていただいた、教員の子供と向き合う時間の確保や子供のSOSを読み取る感性と力量のアップ、ソーシャルスクールワーカー、スクールカウンセラーなど専門家等との連携などが取り上げておられますが、今後、いじめ問題に対して、県としてどのように施策を拡充していくのか、教育長に伺います。
次に、少人数学級について伺います。
国においては、現在、小学校1、2年生において35人以下学級が実施され、それにより、子供たちの学習意欲の向上、欠席率や不登校出現率の減少など、評価がなされております。さきの議会においても、少人数学級の推進を求める意見書が可決したものの、少人数学級の拡充のめどはなく、教育予算についても自民党政権は削減しようとしております。
一方、県として、少人数学級の重要性を鑑み、今年度、中学校2、3年生において少人数教育を実施し、残すところ小学校の2学年のみとなりました。その2学年だけが少人数学級の空白となるのは、学びの過程においても問題があると言えます。
そこで、国を待つだけではなく、県としても早急に小中学校全てにおいて少人数学級を推進すべきだと考えますが、知事に伺います。
この項の最後に、人材確保について伺います。
子供と学びを支えるためには、人材の確保が重要であると言えます。現在、滋賀県の採用試験の倍率は低率であります。その原因には、講師経験の優遇措置が不十分であるため、採用試験を受けようとする講師も滋賀県にとどまらず、人材は通勤圏である京都、大阪などに流れる状況にあると言えます。
そこで、人材を確保するために、実務経験に対する講師の優遇措置を行うとともに、教員の受験を現状の40歳未満から上げていく必要があると言えますが、滋賀県で教師をしたいと思えるような取り組みについて教育長にお伺いし、質問を終わります。(拍手)
○議長(宇賀武) 15番成田政隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子) (登壇)成田議員の代表質問に対する答弁をさせていただきます。
まず、第1問目の新年度予算編成についての7点の御質問にお答えいたします。
1点目の安倍政権が進める財政経済政策についての所見であります。
国においては、長引く円高、デフレ不況から脱却し、雇用や所得を拡大させ、強い日本経済を取り戻すため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢を一体的かつ強力に実行していくこととし、日本経済再生に向けた総合戦略を実施されております。その成果として、最近における景気についても緩やかに回復していることから、一定の評価をしております。
しかしながら、本県では、県税収入など、まだまだリーマンショック以前の水準には回復していない中、経済財政諮問会議などにおいては地方交付税の上乗せを廃止する議論が行われていることから、地方を取り巻く状況が確実に好転するまでの間は、地方が責任を持って地域の活性化の取り組みを実施できるよう、必要な財政措置が講じられるべきと考えております。
次に、2点目の消費税引き上げによる県財政への影響についてであります。
現在、国においては、来年4月から実施される消費税および地方消費税の引き上げに伴う対応について議論されている段階であります。消費税率等の引き上げ後における地方
財政対策等の制度設計については、詳細がいまだ示されておりません。
仮に、現時点の情報により、平成25年度当初予算をもとに県税について試算をしますと、消費税等の税率が5%から8%へ引き上げられた場合における県税の増収見込みは、地方消費税の精算や市町への交付後において約78億円の増、また、10%への引き上げ後においては約136億円の増になるものと見込んでおります。
また、歳出については、消費税率等の引き上げによる歳出増や社会保障の充実、強化が見込まれるところでありますが、現時点においては、県財政への影響額を試算することは困難であります。引き続き、国の動向に留意しながら、予算編成過程において適切に対応してまいります。
3点目の消費税率引き上げによる県経済への影響についてであります。
政府の経済財政諮問会議では、消費税率の引き上げによる駆け込み需要が見込まれるとする一方、その後の反動減や家計の実質可処分所得の減少などによる景気の下振れリスクが指摘されております。県内でも景気が緩やかに持ち直しつつある中、企業からは駆け込み需要を期待する声がある一方、引き上げ後の買い控えや先行きの不透明感を懸念する声も聞かれ、国と同様の状況であると考えております。
これに対して、国では、投資減税や新たな経済対策などを含む経済政策パッケージを予定されていることから、県としても、その動向を注視し、適切に対応するとともに、消費税率引き上げによる中小企業へのしわ寄せがないよう、転嫁対策についても確実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、4点目の決算や予算執行等をどのように捉え、新年度予算に反映するのかとの御質問でございます。
さきに御審議いただいた決算特別委員会においては、委員の皆様から、中小企業施策や安定的な雇用の確保などの御意見、また、繰越事業が多くなっていることに対する御指摘などをいただきました。これらいただいた御意見等を十分踏まえるとともに、平成25年度における執行状況についても十分勘案しながら、新年度の予算編成を行ってまいります。
また、県税収入の状況については、平成25年度は直近の調定の実態から、当初予算額は確保できるものと見込んでおります。新年度においても、今後の税制改正による不透明な要素はあるものの、地方消費税の増収に加え、企業収益の改善などの状況も一定考慮しながら、適切に対応してまいります。
次に、5点目の基本的な予算編成に対する考え方でございます。
平成26年度当初予算は、現行の行財政改革方針および基本構想の計画期間の最終年度であることから、事業化に当たっては、県民の皆さんの願いや思いに沿った施策構築の仕上げの年にするためにも、施策の選択と集中を徹底してまいりたいと考えております。
このため、基本構想に基づく未来戦略プロジェクトについては、8つの重点テーマについて重点化特別枠を設け、関連施策を強力に推進することにより、これまでの成果がしっかりと実を結ぶよう、また、県民の皆さんにとってわかりやすい成果となるよう、各種施策の構築に努めてまいりたいと考えております。
また、県税収入や地方
財政対策等の状況を勘案し、財政の健全化も確保しつつ、部局横つなぎでの取り組みや市町との連携を図りながら、職員一丸となって、滋賀に住んでよかった、滋賀をついの住みかにと言っていただけるよう、「住み心地日本一の滋賀」の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、6点目の予算編成に向けた庁内および市町との現在の協議状況についてであります。
平成26年度は、今ほど申し上げましたように、基本構想の目標達成を見据えた仕上げの年となります。去る7月に来年度に向けた施策構築方針を示し、未来戦略プロジェクトを強力に推進するよう県庁内に指示をしたところであります。
この方針に沿って、部局連携で施策を練り上げ、女性の活躍推進や子供の安全安心、また教育力の向上、再生可能エネルギーの推進、県内中小企業等の活性化、流域治水をはじめとする安全なまちづくりなど、145の新規・拡充施策の提案がありました。それらの提案について政策課題協議を行い、その結果を踏まえ、予算の重点化特別枠を設定し、予算見積もりにつなげてまいります。
また、市長会、町村会、さらに、それぞれの市町から来年度の予算、施策について御要望をいただいております。政策課題協議では、こうした要望内容も念頭に置いて進めてまいりました。去る11月1日には町村会、11月7日には市長会と、私自身、直接意見交換会も行ってまいりました。さらに、市町と県の企画担当職員により、政策課題協議の施策や事業について意見交換会を行ったところです。
こうした協議を踏まえ、基本構想の所期の目標達成に向け全庁挙げて予算編成に取り組み、「住み心地日本一の滋賀」の実現につなげてまいります。
次に、第7点目の来年度予算に向けた雇用対策の決意についてでございます。
本県の10月における有効求人倍率は0.87倍と、前月に比べ0.07ポイント上昇したものの、全国平均の0.98倍に比べていまだ低位であり、近畿府県の中でも第4位となっております。
県としては、とりわけ、若年者の非正規就業者率の増加や、女性の労働力率が30代で深いM字カーブを示しているなど、両者を取り巻く就労環境には、依然として全国平均と比べても厳しいものがあると認識をしております。
このため、若年者の安定した就労に向けて支援をするおうみ若者未来サポートセンターを設置するとともに、女性の子育てと仕事を両立させるための支援策として滋賀マザーズジョブステーションを設置し、求職者へのカウンセリングや人材育成、丁寧なマッチングに努めております。
また、起業支援型地域雇用創造事業を実施いたしまして、活力ある地域産業の基盤を築くとともに、継続した雇用機会の創出を図っております。
来年度もこれらの施策をはじめ、働く場への橋架けプロジェクトの総仕上げとして、滋賀労働局との雇用対策協定に基づき、国ともしっかり連携し、また、中小企業や県内企業とも連携をしながら、働きたい人誰もがそれぞれの力を発揮できる全員参加型社会を目指し、一層の努力をしてまいる所存でございます。
次に、大きな2問目の台風18号による災害復旧についての7点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の土木関係の災害についてであります。
道路災害は、法面の崩落や路面の欠損等が約310カ所、復旧費用は約15億円です。河川災害は、栗東市の金勝川や高島市の鴨川の堤防決壊など、堤防や護岸の損壊等が約550カ所、復旧費用は約78億円です。土砂災害は、栗東市の安養寺山での崖崩れや大津市北小松の滝川の土石流など約40カ所、復旧費用は約6億円です。合計約900カ所の被害となっております。復旧費用は、本議会に追加をお願いをしております補正予算と合わせ、約100億円の見込みでございます。
次に、その復旧状況ですが、道路は、49路線の通行どめを行っていましたが、流出土砂の撤去など応急対応を行った結果、現在の通行どめは、大津信楽線、大津市牧から上田上大鳥居町、また葛籠尾崎塩津線、長浜市西浅井町岩熊から高月町片山まで、さらに市場野田鴨線、高島市武曽横山から朽木宮前坊の3路線となっております。
このうち、大津信楽線は12月8日に、葛籠尾崎塩津線と市場野田鴨線は冬季通行どめの解除時期に合わせ、来春開通予定でございます。
河川は、堤防が決壊した金勝川および鴨川や護岸の崩壊箇所等の緊急を要する箇所では、大型土のうを設置するなどの応急対応を完了しております。
土砂災害は、土石流が発生した大津市北小松の滝川で、河川を閉塞、閉じていた土砂や流木を撤去するなど、応急対応を完了したところであります。
今後の対応、予定でございますが、11月25日から29日および12月16日から20日の2度にわたる国の災害査定を受けた後、1月から本格的に復旧工事に着手することとし、大規模な工事を除き、ほとんどの工事は来年度末の完了を目指し取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2点目の農業・水産業関係でございます。
まず、被害の全容ですが、冠水等による農作物の被害面積は1,553ヘクタール、被害額6億2,000万円余となっております。ビニールハウスなどの施設は653カ所、被害額4億円余、農地や水路などで1,528カ所、被害額35億6,000万円余、水産施設で36カ所、被害額7,000万円余、合計で46億6,000万円余の被害を確認しております。
次に、復旧状況と今後の対応予定ですが、とりわけ被害の大きかった農地や水路などについては、現在、一部の大規模な農業用水施設では既に工事に着手されるとともに、その他の施設についても順次発注準備が進められております。県としても、引き続き、市町、土地改良区に対して技術指導や職員派遣を行い、来春の作付作業に間に合うよう、精いっぱい支援をしてまいる考えでございます。
なお、激甚災害に指定されたことから、国の災害復旧事業では補助率がかさ上げされる見込みであり、また、県の災害復旧事業においても補助率を5%かさ上げし、あわせて、補助対象地域も県下全域に拡大をいたしました。
また、茶園への被害やエリ、ヤナへの被害についても必要な対策を講じるため、本議会に補正予算をお願いをしております。
次に、3点目の災害復旧に対する技術者、施工業者の確保、資材の調達状況と今後の見通しについてです。
今年度、本県の土木、農業、林業に係る工事の入札は、11月末時点で340件あります。このうち、全ての入札参加者の入札金額が予定価格を超え不成立となったもの、いわゆる不落となったものは6件、全体の2%となっております。これらは主に治山事業や砂防事業など、現場条件の厳しいものに限られております。
また、資材の調達状況と今後の見通しは、国土交通省が公表している最新の主要建設資材需要・価格動向調査結果によりますと、滋賀県内の資材在庫状況は普通となっております。このように、現時点では、本県において技術者、施工業者の確保や資材の調達に大きな支障を来す状況とはなっていないと思われます。
しかし、今後、議員御指摘のような懸念もありますので、国や他府県の資材価格の動向や入札の状況に注視をして、不測の事態に備えてまいりたいと考えております。
次に、4点目の滋賀県被災者生活再建支援金の実施状況についてであります。
台風18号による住宅被害は、12月2日現在で、全壊8棟、半壊が265棟、一部損壊と床上浸水が61棟、合計で334棟となっております。
被災者生活再建支援金は10月15日から受付を開始し、12月2日現在で、基礎支援金が196件、7,012万円、件数ベースでおおむね約6割弱の執行、加算支援金が25件、1,531万円で、同じく約1割弱の執行となっております。
今後も、支援金について一層の広報に努め、市町に協力いただき、被災者にできる限り早く支援金をお渡しできるような体制にしてまいりたいと考えております。
次に、5点目の信楽高原鐵道を存続するとの思いに至った根拠と今後の対応についてであります。
まず、私の存続への思いですが、信楽高原鐵道は地域住民の生活の足として、また県民の通勤や通学の手段として必要不可欠でございます。また、本県の観光地を代表する信楽焼の里を支える重要な交通機関でもあり、80年の長い時間の中で地域になじみ、なくすことができない路線と認識をしております。
本県選出の国会議員の皆様、また県議会の各会派の皆様には、こうした復旧の必要性を御理解いただき、国に対して繰り返し御支援要望をいただいているところであります。深く感謝を申し上げます。
地元の甲賀市や甲賀市議会からも国や県に存続に向けた要望活動をいただいており、地域の皆様も運行の再開を願い、駅周辺の清掃活動の継続や、高校生たちが署名活動に取り組まれております。1日の利用者約1,400人のうち、高校生を中心とする通学が約65%を占めており、多くの在校生が利用している県立の信楽高校の生徒さんも、存続に向け自分たちに協力できることはないかと、署名や募金の活動に取り組まれております。
また、第三セクター鉄道を所管する29府県で構成される第三セクター鉄道等府県協議会からも国への要望活動をいただいたところであり、こうした復旧を待ち望む皆さん、復旧を応援いただいている皆様とともに、存続に向けた積極的な応援、支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、今後の対応ですが、上下分離した鉄道事業者が被災を受けた事例は全国でも初めてのことでございます。先日の全国知事会でも、この情勢について訴えさせていただいたところであります。
国において前向きに検討いただいた結果、今回の災害復旧事業が鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助金制度の適用対象になることを、先月28日に国土交通省に確認をいたしました。この補助制度は、国が4分の1、地方公共団体が4分の1、鉄道事業者である甲賀市が2分の1を負担するスキームであり、県は地方公共団体分について一定の支援を検討してまいりたいと考えております。
また、今後も国の補助事業に係る連絡調整やJR西日本に対する技術的支援の継続要請、甲賀市や信楽高原鐵道株式会社に対する助言などの支援も引き続き行ってまいりたいと考えております。
次に、6点目の災害ボランティアにおける課題の把握についてでございます。
まず、今回の台風18号に対する災害復旧に際して、県内外から3,240名もの多数のボランティアの方々に御支援をいただきました。改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。
御質問の今回の災害ボランティア活動における課題の把握については、4点ございます。
まず1点目は、ボランティア活動を支える災害ボランティアセンターの立ち上がり時期に、地域による差が生じたことでございます。2点目は、資機材、スコップ、土のう袋、一輪車の準備が整わず、活動当初に資機材不足の生じた地域があったことです。3点目は、支援のニーズとボランティアとのマッチングが不十分であった地域や、期日があったことです。4点目は、災害ボランティア活動に関する協力団体との連絡、連携に一部不十分な点があり、御迷惑をおかけしたことの課題があったと把握しております。
これらの課題の原因、要因究明をいたしながら、県としても、災害ボランティア活動の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、7点目の災害ボランティアコーディネーターの育成と災害ボランティアの環境整備についてでございます。
平成19年度より、災害ボランティアコーディネーターを育成する研修や、既に活動されている方へのリカレント研修を実施するとともに、災害ボランティアセンターの運営の中心となるマネジャー研修を、滋賀県社会福祉協議会と連携しながら行ってまいりました。
今回の台風18号での災害ボランティア活動の課題を踏まえるとともに、現在、計画、建設の準備をしております
危機管理センターの拠点機能の活用も視野に入れながら、引き続き、災害ボランティアの活動を支える人材の育成も含めた全体的な環境整備を進めてまいります。これにより、今後、滋賀県における災害時のボランティア活動がより円滑に行われるよう、県としても努めてまいりたいと考えております。
次に、大きな3問目の環境政策についての5点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の第三次滋賀県
環境総合計画の評価についてであります。
第三次
環境総合計画では、低炭素社会の実現と琵琶湖環境の再生を長期的な目標として取り組みを進めてまいりました。低炭素社会の実現については、本県における
温室効果ガス排出量の状況は、1995年度以降、減少基調で推移し、2010年度には90年度比でマイナス13.8%まで減少したものの、2011年度は東日本大震災後の火力発電の増加等により、マイナス1.5%となっております。
こうした状況の中で、国においては長期的な目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を引き続き掲げており、本県の第四次
環境総合計画においても、第三次計画の目標である2030年の
温室効果ガス排出量が90年比で50%削減されている低炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーの導入を一層進めるとともに、CO2削減余地の大きい生活、家庭での部門や、まちと建物分野などにおける省エネ、節電の推進に一層力を入れていきたいと考えております。
一方、琵琶湖環境の再生では、琵琶湖への流入負荷がこれまでの30年以上にわたる取り組みによりまして削減をされ、富栄養化は抑制をされてきました。その一方で、在来魚介類の漁獲量の減少、あるいは外来水生植物の繁茂、ニホンジカやイノシシなどの食害による山林崩壊など、新たな課題も生じております。琵琶湖の再生は本県環境行政における最重要のテーマであり、こうした新たな課題にも確実に対応してまいりたいと考えております。
次に、2点目の第四次滋賀県
環境総合計画の特長についてでございます。
4点ございます。
まず1点目は、目指すべき将来の姿として、「めぐみ豊かな環境といのちへの共感を育む社会の実現」を掲げております。キーワードは「いのち」でございます。環境は全ての命の基盤であるとの思いを込めて設定いたしました。
2点目は、3つの基本目標であります。環境の未来を拓く「人」・「地域」の創造、2つ目は琵琶湖環境の再生と継承、そして、低炭素化など環境への負荷が少ない安全で快適な社会の実現の3つの目標を設けております。新目標には、現行計画の低炭素社会の実現と琵琶湖環境の再生の2つの目標を継承しながら、人、地域、安全という新たな視点を追加をしております。
本県の第四次環境計画の3点目の特長でございます。環境施策の方向性についてです。
第四次計画の素案では、現行計画の期間中に生じた新たな課題や今後5年間で取り組んでいくべき施策の大きな方向性を示しております。新しく盛り込んだものとしては、仮称ですが、仮称、滋賀県生物多様性地域戦略の策定や、ニホンジカの食害による山林荒廃への対策、新たに課題となってきた放射性物質の情報提供などがございます。
大きな4点目の特長ですが、環境課題に対応する横断的仕組みでございます。
今日、環境問題はさまざまな要因が互いに関係し影響し合うことにより、複雑化、多様化、広域化しております。課題解決に向け総合的な視点から問題を捉え、分野横断的な手法で取り組みを進めることが不可欠でございます。このため、行政部局と試験研究機関が連携をした仮称、琵琶湖環境研究推進機構の創設や、環境保全行動を担う人育ち、人育ての仕組みの構築を図ることとしております。
次に、大きな3点目の人を育てる仕組みの構築についてでございます。
環境保全行動を実践する人を育てるためには、議員も御指摘のように、人や環境課題相互のつながりを意識するなど、環境問題を総合的に捉え、みずから課題を発見する姿勢を育むことが重要でございます。
環境学習のあり方については、滋賀県環境審議会において約1年をかけて議論をし、多様な主体が協働、連携し、課題解決型の学習を進めていくことが必要との力強い答申を受けたところでございます。
これを踏まえ、第四次計画では、人育ち、人育ての仕組みとして、県民や学校関係者、民間団体等で構成する仮称、環境学習推進協議会を新たに設置し、その中で地域に根差した住民参加型の環境学習推進計画を検討するなど、滋賀らしい課題解決型の環境学習を展開していくことを考えております。
さらに、県の環境学習拠点である琵琶湖博物館環境学習センターを中心として、協議会をはじめ多様な主体と協働しながら、学校と地域が連携し、乳幼児期から始め、ライフステージに応じた継ぎ目のない切れ目のない環境学習を充実させるなど、大人になってからも継続して環境保全行動を実践する人を育ててまいりたいと考えております。
次に、4点目の効果的な条例としていくための考えについてお答えいたします。
本県の森林は琵琶湖の水源として重要な役割を担っていることから、平成16年に
琵琶湖森林づくり条例を制定し、琵琶湖森林づくり事業を推進してまいりました。しかしながら、近年では、目的不明な森林取得、ニホンジカ被害の増加、巨樹、巨木の保護、森林所有者の高齢化などによる林地境界の不明瞭化や森林への関心の低下など、新たな課題が生じております。
これらの課題に的確に対応するため、本県林業の再生を視野に現行条例の改正が必要であり、土地取引の規制に加えて、琵琶湖を預かる本県にふさわしい総合的な条例となるよう、検討してまいりたいと考えております。
5点目の土地取引ならびに小規模林地開発に対する事前届け出についてでございます。
他道県で問題になっております目的不明な森林の取得は、本県では今のところ確認されていないものの、水源林の保全、確保を図る上で、事前に取引を監視、牽制する仕組みが必要と考えております。このため、先行して条例が制定されている11道県の運用状況を確認するとともに、対象範囲や規模などの詳細について検討の上、現行条例の改正により対処したいと考えております。
森林における開発行為については、森林法により、1ヘクタールを超える場合には知事の許可が、また、1ヘクタール以下の場合には、伐採後の土地利用を明記した伐採届を事前に市町に提出することが義務づけられているため、まずは市町との連携を密にし、状況の把握に努めるとともに、先行府県の運用状況についても調査研究してまいりたいと考えております。
次に、大きな4問目の農業政策についての5点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の減反政策、経営所得安定対策の変更が本県にどのような影響を及ぼすかについてであります。
今回の米の生産調整、いわゆる減反政策の見直しについては、5年後を目途に、国からの米の生産数量目標の配分に頼らずとも、国の需要見通し等を踏まえつつ、生産者や集荷業者等が中心となって、円滑に需要に応じた生産が行える状況にしていくこととされております。
その影響として、本県の場合には、昭和45年──1970年の生産調整以降、地域でのさまざまな独自の工夫により、集落において効率的で効果的な取り組みとして行われてきた集団転作が崩れるおそれがあります。この集団転作の中で守られてきた麦、大豆の生産基盤の弱体化も懸念され、担い手の経営の悪化や集落コミュニティー機能の低下につながるのではないかとの懸念もしております。
また、経営所得安定対策の見直しについては今後の動向を見きわめていく必要がありますが、このうち、米の直接支払交付金については減額が見込まれており、この場合、経営規模の大小にかかわらず農業所得に直接影響することから、農家の営農意欲が減退するのではないかと懸念もしております。
次に、2点目の農地中間管理機構の創設により、本県中小零細農家にどのような影響を及ぼすことが想定されるかについてでございます。
農地中間管理機構は、農家から申し出があった農地を規模拡大や集積を図ろうとする担い手等に結びつけ、効率的な農業生産を図ることを目的とし、次年度からの創設を国において進められております。
しかしながら、現時点では、機構の運用に当たって重要となる借り受けや貸し付けの基準等の詳細が明らかにされていないことから、本県農家への影響については想定が難しい状況にございます。農家にとって、土地所有、また土地利用という問題は歴史的にも大変重要であり、地権そのものにもかかわる課題でもございます。今後、情報収集に努め、確実に見きわめてまいりたいと考えております。
次に、3点目の日本型直接支払交付金の導入による本県の農業集落への影響についてであります。
本県では、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策と名づけた集落ぐるみの共同活動等により、農地や農業用施設が保全され、農業、農村の持つ多面的機能が維持されてきております。
新たな日本型直接支払については、農地や農業用施設の保全に対する農地維持支払と、農村景観や環境の保全等に対する資源向上支払というアウトラインが、現在、国のほうから示されたところであります。本県がこれまで要望してきた農村、農業の持つ多面的機能に対する直接支払が創設されることは評価できるところでございます。
ただ、現段階では制度の詳細が示されていないことから、具体的にどのような影響が出るのか明確でないため、今後、国の動きを注視してまいりたいと考えております。
次に、4点目の本県農業を守り強化するための県独自の新たな施策構築や重点的予算投入についてであります。
本県では、これまでから、集落ぐるみでの水田農業の効率化を図る集落営農、これは減反政策に伴うものですけれども、この集落営農や、琵琶湖をはじめ、環境と調和のとれた農業生産を目指した環境こだわり農業に、全国に先駆けて取り組み、実績を積んでまいりました。
本県の特性を生かしたこうした特色ある取り組みを今後もさらに強化するとともに、農業の安定経営と農村の活性化を図るため、担い手の育成や生産から消費までの6次産業化、農産物のブランド化、そして集落ぐるみによる農地等保全のための共同活動などを、引き続き積極的に推進してまいりたいと考えております。
今後、国の動向の把握に努め、本県への影響を見きわめるとともに、必要に応じて適切な施策を講じてまいりたいと考えております。
次に、5点目の滋賀の食材の消費拡大に向けた地産地消の取り組みとその動向についてです。
議員のお話の事例にもありますように、各地域で生産者や関係者の皆さんが地産地消の取り組みに御尽力いただいていること、大変心強く感じております。
そもそも、滋賀県の農業は、消費者が近いところにおられるということで、地産地消の大変有利な地理的条件の中にもあります。そういうところから、平成20年から「おいしが うれしが」キャンペーンを始め、その推進店は、平成25年11月末現在、1,138店舗に増加をしております。ことしは「おいしが うれしが」キャンペーンの5周年であることから、県産食材を使った物産フェアを開催しております。8月から11月まで毎月1回、県内4カ所を巡回し、延べ70事業者が参加をいたしました。
また、今年度の県政モニター調査によりますと、約5割の方が「できるだけ滋賀県産農水産物に関係のある商品を選んでいる」と回答され、滋賀の食材を選んで購入いただいている状況でございます。この背景には、既に県内80カ所にも及んだ農産物直売所の効果もあるものと考えております。
県としては、生産量の少ない野菜の供給拡大のため、水田における野菜の生産拡大の取り組みを支援をし、あわせて、インターネットやテレビ、ラジオ等のメディアを通じて、滋賀の食材の魅力を消費者へ継続的に発信しております。
今後も、生産者、学校給食、農産物直売所、卸売市場、行政等の関係者と連携し、引き続き地産地消の推進、近い食の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大きな5問目の食の安全についての5点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の食品の表示についての権限と取り組みです。
JAS法における権限は、県内の製造業者や小売店に対する立入検査の実施、および品質表示に係る違反が認められた場合、改善指示し、それを公表することとなっております。なお、府県をまたがる広域業者については、国が行っております。
実際の取り組みとしては、直通電話、食品表示110番を設置をし、県民や事業者からの問い合わせに対応するとともに、違反の疑いが強い案件に対しては立入検査等を実施しております。
また、食品衛生法における権限は、県内の加工食品の製造販売と事業者に対する立入検査の実施および表示に係る違反が認められた場合の回収命令や、営業の取り消し等およびその公表でございます。
健康増進法における権限は、県内の特定保健用食品などの特別用途食品製造販売業者に対する立入検査の実施、および表示に係る違反が認められた場合に、改善を事業者に指示することができます。
この2つの法律に対する取り組みとしては、保健所と食品安全監視センターで相談に応じるとともに、食品衛生監視員により、店頭や製造施設において表示内容のチェック、指導を行っております。
また、景品表示法における権限は、消費者が著しく優良であると誤認する表示を行っている事業者に対し、表示の取りやめなど、必要な事項の指示がございます。
取り組みとしては、消費者などからの情報提供の中で、法令違反が疑われる事業者に対しては立入検査を行い、メニューが実際の食材と異なるなど不適切な表示があった場合には、事業者に対して指導を行っております。
次に、2点目のメニューの誤表示や偽装などの状況と、県としての対応でございます。
県において、10月22日に阪急阪神ホテルズがメニュー表示の誤りを発表して以降、これまでに把握している景品表示法に違反する疑いのある事案は10件ございます。
主な事案としては、県内で販売をしていた近江牛しぐれ煮や近江牛みそ等において、「近江牛100%使用」と表示をしておりましたが、実際には他県産の牛肉が含まれていたケース。また、レストランにおいて、「芝エビのチリソース」と表示していたが、実際にはバナメイエビを使用していたなどの例がございます。
県では、問題発生後いち早く、11月6日に、県旅館ホテル生活衛生同業組合など、県内の約5,800のホテルや飲食店などが加盟する4つの業界団体に対して要請書を手渡し、メニュー表示などの再点検と適切な表示の徹底について、加盟する施設への周知をお願いいたしました。
また、県のホームページにおいても、景品表示法に定める品質、内容に関する不当表示禁止の重要性について掲載し、広く事業者に対して啓発を行っております。
県としては、今後とも、景品表示法、食品衛生法、JAS法の関係部局、さらには消費者庁や近隣の府県とも連携を図りながら、適切な表示が行われるよう、違反者に対する指導や関係法令の遵守についての啓発など、必要な措置を行ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の食品の原材料表示と保育園、幼稚園や学校等での食物アレルギーに対する県としての対応でございます。
食品の原材料表示は、食品衛生法においてアレルギー物質を表示することとなっております。エビ、カニ、小麦、ソバ、卵、乳、落花生の7品目が義務表示、その他、アワビ、イカ、イクラ、オレンジなど20品目が推奨表示することになっております。これらのアレルギー物質については、あらゆる講習会の場や立入検査を通じて適正表示を食品事業者に指導するとともに、必要に応じて含有の有無を検査をしております。
次に、保育園、幼稚園や学校等での食物アレルギーに対する県の対応についてです。
アレルギー疾患のある子供たちの症状を正しく把握することと、給食にかかわる関係者が食材を十分にチェックし、アレルギーの原因となる食物が混在しないようにすることが何よりも重要であります。そのため、保育所に対しては、平成23年3月に厚生労働省が策定した保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを市町を通じて周知徹底するとともに、指導監査においても、その対応状況を確認をしております。
また、学校においては、各学校が個々の児童生徒に応じて対応を行えるよう、主治医により記載された学校生活管理指導表をもとに、一人一人の状況を正確に把握し、アレルギー食品を除いた除去食の提供や、家庭から代替食を持参してもらうなどの丁寧な対応をしております。
さらに、公益財団法人日本学校保健会により策定された学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインをもとに、各学校では、全ての教職員に対し研修を行うとともに、組織的な対応を図れるよう努めております。
こうした取り組みとともに、アレルギー疾患のある子供たちの学校生活を安心安全なものとするために、事故の未然防止を教育委員会に指示しているところでございます。
次に、4点目のこれまでの食の安全安心に向けた取り組みについての総括でございます。
現在の食の安全・安心アクションプランでは、18の個別施策を定め、関係機関との横つなぎの連携のもと取り組んでまいりました。
主な成果としては、滋賀県独自の制度である滋賀県自主衛生管理認証制度、愛称「セーフードしが」について平成18年度から開始し、平成24年度までに123施設を認証いたしました。また、県内全16農協が農業生産工程管理──GAPの指標を取り入れました。
また、平成16年度からは、食品衛生監視指導計画を毎年策定し、年間の監視指導件数を1万5,000件、試験検査数2,000検体を目標に計画的に実施し、食の安全安心の確保に努めてまいりました。
県民、関係事業者および行政の相互理解を深めるため、毎年、食の安全・安心シンポジウムを開催するとともに、消費者へのセミナーや講演会を開催いたしました。
さらに、食に関する迅速な情報提供の一つとして、ホームページを充実したことにより、毎年、約4万から5万件のアクセスがございました。
推進目標に掲げた37の事業の成果については、おおむね計画どおりに進展したものと考えておりますが、主な課題としては、3点が顕在化しております。
まず1点目は、健康危機の発生を想定した処理体制の整備、2点目は、小規模食品営業施設での自主衛生管理の向上、3点目は、県民の食品への不安感の払拭でございます。これらの課題について、今後、前向きに対応してまいる所存でございます。
5点目の食の安全・安心推進計画の策定の方向性と盛り込むべき項目についてでございます。
これまで申し上げましたように、これまでの成果と見えてきた課題を踏まえながら、O157による食中毒死亡事件や食材偽装など、最近の食を取り巻く環境、県政モニターアンケートの結果を踏まえ、3つの視点で整理をしております。
まず1点目は、生産から消費段階における健康被害の未然防止や拡大防止です。2点目は、関係事業者の責任による食品の安全確保です。3点目は、県民、関係事業者、行政の3者による相互理解と信頼の向上でございます。
この3つの視点に即した新たな個別の施策としては、①大規模健康被害の発生に備えた模擬訓練の実施、②として、小規模食品事業者における自主的衛生管理を促進するためのマニュアルの作成、③として、県民のさまざまな不安に応えるための検査の実施などを考えております。
また、引き続き、食品衛生監視指導や試験検査、セーフードしが促進事業に重点的に取り組んでまいります。
今後、食品表示に対する国の動向にも注視しながら関係機関とも連携し、こうした施策を通じて、さらに県民の食の安全安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、大きな6問目の2025年問題に向けての人材確保についての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の2025年の滋賀の予測と、その変化によって危惧されることでございます。
国の推計によりますと、本県の高齢者人口は、2025年で65歳以上が約38万5,000人、全人口に占める割合は27.5%で、現在の1.2倍、75歳以上人口は約22万4,000人、全人口に占める割合は16%で、現在の約1.5倍と予想されております。このうち、65歳以上の単身世帯が約5万5,000世帯で、現在の1.6倍、認知症高齢者は要介護認定に基づく推計によりますと4万9,000人で、現在の約1.8倍となり、支援が必要な高齢者が大きく増加することが予想されます。
こうした変化により、在宅医療や在宅介護、住民同士の支え合いを充実していく必要がある一方で、若年人口の減少も影響し、医療や介護を担う人材が不足するほか、地域で支え合う機能が低下するなど、住みなれた地域で最期まで暮らしたいという県民の願いの実現が難しくなることを危惧しております。
こうしたことから、医療や介護、生活支援などが切れ目なく提供される地域包括ケアシステム構築の取り組みを、高齢者も含め、県民の皆さんやさまざまな関係者とともに、一層推進していく必要があると考えております。
2点目の看護師数の推計、確保の取り組み、離職の要因分析とその対応でございます。
県は、これまでから必要な看護師の需要数と供給数を見込み、5年ごとの受給見通し計画を策定してまいりました。次期第八次計画では、平成28年から5年間の必要数を見込むこととしております。
次に離職の要因分析とその対応についてですが、今年度実施しました離職した看護師に対する調査によると、離職原因の第1位は、「出産や育児のため」と「賃金への不満」がともに8.4%、3位は、「人間関係」が8.0%となっております。このように、賃金への不満を除けば、職場環境の改善が必要と分析していることから、これまでより病院内保育所の運営支援やワーク・ライフ・バランス、仕事と家庭の両立ができるよう、さまざまな支援の事業を実施をしてきております。
さらに、離職した看護師の再就業を促進するため、昨年度より潜在看護師の確保として3点を重点的に取り組んでおります。
まず1点目は、コーディネーターをハローワーク等に配置し、再就業の相談を実施することです。2点目として、最新の看護技術や知識を習得するための職場復帰研修の実施です。3点目は、子育て環境支援事業の実施でございます。こうした取り組みにより、離職防止を図るとともに、離職した看護師の再就業を促進し、県内の看護師の確保に一層努めてまいりたいと考えております。
3点目の介護職員の推計と確保の取り組み、離職の要因分析とその対応についてであります。
まず、2025年に必要となる介護職員数については、平成26年度に行う第6期介護保険事業支援計画策定過程の中で、2025年を見据えたサービス量を考慮して推計することとしております。
次に、離職の要因の分析と対応については、介護労働安定センターによる平成24年度介護労働実態調査によりますと、滋賀県での離職理由の1位は、「法人や施設の理念、運営に不満があった」および「他によい仕事、職場があった」がそれぞれ27.4%、次いで、「将来の見込みが立たなかった」の16.1%となっております。
しかし、また別の調査では、例えば、資格試験を実施する公益財団法人社会福祉振興試験センターの調査では、これは全国データでございますけれども、「結婚、出産、育児」が離職理由の19.5%と最も多くなっております。次いで「心身の不調」「高齢」が8.8%、「職場の人間関係に問題があった」が6.0%と、つまり、調査の質問項目の限定などによって、大きくこの離職理由は分かれているというのが実態でございます。
働く上での不満等については、先ほどの介護労働安定センターによる調査では、1位が「人手が足りない」の39.2%、次いで「賃金が安い」の38.7%と、介護報酬に起因すると思われるものが働く上での不満の上位を占めております。
また、仕事の満足度では、「仕事の内容、やりがい」が59.3%と高い一方で、「教育訓練、能力開発のあり方」が21.6%と低くなっております。
このように、報酬起因のものを除けば、やりがいはあるが、法人の運営、キャリア支援に不満があることが人員確保に影響を及ぼしているものと分析できます。同時に、子育てあるいは出産に伴う離職もあることから、両立支援も必要であると考えております。
このため、これまでから滋賀県として実施してまいりました定着支援事業に加え、今年度から取り組んでおります介護職員人材育成指針策定事業の中で、魅力ある職場づくりの支援方策を検討するとともに、職能団体と取り組む介護従事者メンタルヘルス相談事業等を進め、離職要因や職場復帰の不安要因を取り除くとともに、相談拠点もふやしながら、同時に、マザーズジョブステーションのようなところで、育児と仕事の両立の支援も含め、介護人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、4点目の「滋賀の縁創造実践センター」への協力についてでございます。
地域の理解とネットワークをつくっていく取り組みは、民間法人の皆さんがこれからの福祉滋賀を主体的に進めていこうとされる、大変心強い決意表明と受けとめております。
県としましても、提案の趣旨を踏まえ、生活困窮者自立支援法や子どもの貧困対策推進法などの新たな制度の枠組みも活用しながら、民間法人の取り組みがさらに広がるよう、県として必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、大きな7問目の難病対策についての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の難病に係る制度の見直しと消費税の使い道についてでございます。
制度の見直しについては、医療費助成を法定給付として位置づけ、消費税増税分を活用すること、対象疾患を拡大すること、対象患者の認定基準の見直しおよび自己負担を見直すことにより、公平で安定的な医療費助成の制度を確立することとされております。国において、消費税引き上げに伴う増収分のうち300億円程度を新たな医療費助成制度に手当てされる予定であり、これを着実に実施していただきたいと考えております。
このような制度の見直しにより、対象疾患が大幅にふえ、今まで対象とされていなかった希少疾患の患者に対しても医療費の助成対象となること、また、現在、医療費の自己負担がある方についても、3割負担が2割負担に負担軽減が図られる予定であり、患者支援の拡大として歓迎をしております。しかしながら、一部の自己負担がない方々に負担が生じる場合があり、それらの方々の生活に影響が出ないか、懸念をしております。
現在、医療給付を受けている方については、自己負担額が大きく変わることのないよう、3年間の経過措置期間を設けるべく検討されておりますが、県としても、患者負担が少しでも軽減されるよう、国の動向を注視しつつ、必要に応じ、さまざまな機会を捉え国に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。
2点目の見直しの方向から想定される影響とその対応についてであります。
想定される影響としては、難病患者に対する医療費助成のあり方が変わることにより、重症の方への負担がふえることが懸念されております。
しかしながら、障害者手帳を所持されている方については、障害者施策の中で県と市町の負担で対応しているところであります。また、障害者手帳がなくても働く意欲のある難病患者については、難病相談・支援センターなどにおいて、その能力と意欲に応じて就労できる環境整備に引き続き努めてまいります。
さらに、保健所や難病相談・支援センターにおいては、相談者に対し、介護保険制度や障害福祉サービスに関する情報を提供し、関係機関との連絡調整を行い、患者家族の生活水準の維持向上を目指して、必要な支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の在宅医療サービス提供体制の現状と今後の見通しでございます。
在宅療養には、医師や訪問看護師などの多職種のチーム医療で支える仕組みが必要となります。中でも、訪問看護ステーションによる24時間の提供体制を整備することが大変重要であります。
まず、訪問看護サービス提供体制の現状ですが、県内では、小規模な訪問看護ステーションが大半を占め、24時間看護ニーズへの対応が難しい状況にあり、湖南保健医療圏域において1カ所のみが整備されている状況です。このことから、本年度より地域医療再生基金を活用いたしましてモデル事業を実施し、圏域の複数の訪問看護ステーションなどが連携を図ることにより、24時間の定期的な訪問看護提供体制の整備を進めております。
今後は、このモデル事業などを通じて、平成29年までに順次、各保健医療圏域に1カ所の整備を目指し、支援をしてまいりたいと考えております。
次に、4点目の在宅医療サービス提供体制確保に向けた決意についてであります。
昨年度改定した滋賀県保健医療計画において、「地域を支える医療福祉・在宅看取りの推進」を重点事項に位置づけ、在宅療養を支援する医療資源の整備充実とネットワークの推進や、在宅医療を担う人材の養成などに取り組んでいくこととしております。
また、「医療福祉・在宅看取りの地域創造会議」を2年前に設立し、さらに、東近江医療圏の三方よし研究会などの過去数年にわたる取り組み、さらに、多職種の医療福祉関係者や住民などによる民間主導の取り組みの中で、お互いに顔の見える関係をつくりながら、地域の支え合いによる医療福祉の体制づくりを前向きに進めております。
こうした取り組みにより、医療依存度が高くても、住みなれた地域で生活したいという希望や、在宅で最期を迎えたいという願いがかなえられるよう、医療や福祉のサービスを総合的に受けられる体制を、滋賀県としては県民の皆様とともに目指していきたいと考えております。
次に、大きな8点目の国民体育大会についての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の国体出場に際してどのような支援をしてきたのかについてであります。
本県代表チームや選手が互いの技術を磨き、チームワークを高めることで予選を突破し、本大会で優秀な成績をおさめられるよう、県外遠征や強化合宿等に要する強化費を体育協会を通じて援助してまいりました。また、特に有望な選手やチームに対しては、全国の強豪チームと試合や練習ができるよう、重点的に強化費を配分してまいりました。
こうした選手がことしの東京大会において優秀な成績をおさめていただいたことを喜ばしく思う一方で、県全体の成績としての天皇杯順位が近年振るわないことから、必ずしも十分な対応ができているとは言えない状況にあります。国体をはじめとした全国大会において本県選手が活躍されるよう、今後策定する競技力向上に向けた計画の中に、具体的な支援策についても盛り込んでいきたいと考えております。
次に、2点目の体力・運動能力低下の原因分析と平成20年度以降の傾向、今後の回復に向けた取り組みについてであります。
まず、体力・運動能力低下の原因については、生活の利便性が高まり体を動かす機会が減少したことや、子供たち自身が外で遊ぶ機会が減り、遊びの質が変化したことによるものと考えております。
平成20年度以降の本県の調査結果の傾向については、小学生の体力は多くの種目で全国平均を下回り、握力については全国平均を上回るようになってきたものの、投力、投げる力は全国と同様に下がり続けております。これは、日常の中で体全体を使って広い場所で投げることを経験していない子供がふえたことによるものと考えております。
一方、中学生の体力は多くの種目で全国平均を上回っており、特に本県の男子の柔軟性は極めて高いが、投力については小学生同様に低下傾向が見られます。
今後の体力、運動能力の回復に向けた取り組みについては、運動する時間をふやすことと、子供たちの運動に対する興味、関心を持たせることが重要であると考えております。子供たちの運動時間を確保するため、授業の合間や放課後などを利用し、さまざまな運動プログラムに取り組んでいただくことが重要だと考えております。
また、運動に対する興味、関心を持たせるためには、高校生アスリートを小学校に派遣し、子供の前で実演することでスポーツに対する憧れを持たせ、積極的に運動にチャレンジできるような取り組みなども進めていただくことが大切であると考えております。
今後も、教育委員会においては、子供たちの発達段階に合わせた体育授業の改善や運動機会の充実を図り、国体に向けて、子供たちの体力が向上するよう取り組んでいただきたいと考えております。
3点目のスポーツ強化費と基金のあり方についてでございます。
選手や指導者の育成強化については、厳しい財政事情の中、県からの補助金等とあわせて、県体育協会が管理するスポーツ振興基金を取り崩しながら財源を確保し、県体育協会や各競技団体において創意工夫のもと行われてきたものと認識をしております。
今後、国体を視野に入れ、「滋賀の子が、滋賀で育ち、滋賀で活躍する国体」を目指し、着実に競技力向上を図る必要があると考えておりまして、県民の皆さんの御理解をいただきながら、必要な予算額の確保に向け精いっぱいの努力をしてまいります。
また、先催県においては、基金を造成し財政支出の平準化を行うとともに、企業や県民の皆さんからも寄附金等を受け入れて、競技力向上対策を含む国体開催経費に充当する取り組みも行われております。本県においてもこうした事例を参考に、競技力向上やスポーツ振興に向けた基金の仕組みを検討してまいりたいと考えております。
次に、4点目の指導者の養成、確保に向けた方策についてでございます。
本県の競技力向上を図る上で、優秀な指導者の確保は大変大きな課題であります。県内には、企業のスポーツチームで選手として活躍されていた方や、長年運動部活動の指導をしてこられた教員の方など、指導者として活躍いただける方々が地域におられます。さらに、スポーツ系の大学やスポーツ系の学部を有する大学には、スポーツにかかわる専門的な知識や技能を持つ教員や学生、選手が多数在籍されておられます。
今後、競技力向上に向けた計画を策定していく中で、こうした地域におられる方々の力をおかりする方法も含め、指導者の養成、確保に向けた方策を検討し、具体化してまいりたいと考えております。
次に、大きな9問目の教育問題についての3問目の御質問にお答えいたします。
少人数学級の推進についてでございます。
これまで本県では、少人数学級の強みを生かし、指導方法の工夫改善など、一人一人に応じたきめ細やかな指導に努め、児童生徒の学習意欲の向上を図ってまいりました。
今年度から、中学校2年生、3年生で少人数学級編制と少人数指導との選択制も新たに導入いたしました。学校現場からは、生徒一人一人にかかわる機会がふえ、いじめや不登校等の課題に適切に対応できるようになったとの評価の声をいただいております。
今後の少人数学級については、義務教育における教育水準の維持や教育機会の均等といった教育の根幹をなす施策は、基本的には自治体負担ではなく、国が責任を持って実施すべきであると考えております。
去る11月18日には文部科学省へ出向き、小中学校の全学年で学級編制の標準を35人以下とするよう、政策提案をしてまいりました。今後、文部科学省の少人数教育に係る国の予算がしっかり確保されるよう、期待をしてまいりたいと考えております。
以上、成田議員の代表質問に対する答弁とさせていただきます。
◎教育長(河原恵) (登壇)教育問題についての3点の質問にお答えをいたします。
1点目の全国学力・学習状況調査の結果を受け、どのように分析し、来年度どのように施策を反映していくのかについてでございますが、まず、全国学力・学習状況調査の「将来の夢や目標を持っていますか」という質問に対しましては、滋賀県の児童のうち87.3%が肯定的に答えており、その割合は全国平均より0.4ポイント低いものの、ほぼ同じ状況にありますことなどから、必ずしも本県の児童生徒が将来の夢や目標、またそれを実現するための努力について課題があるとは考えておりません。
しかしながら、今回の学力・学習状況調査の結果から、本県の児童生徒は、問題を読む力や文章で解答する力など国語力に大きな課題があるほか、授業を受ける姿勢や態度、家庭での学習習慣なども課題があることがわかりました。
県教育委員会といたしましては、これらの分析結果を踏まえ、来年度、言語活動を充実し、発問を工夫した授業への改善や、記述式の問題を作成し活用するための研究、放課後の補充学習への支援など、県内の小中学校で重点的に行い、その成果を全ての学校に普及することによって、教員の指導力の向上を図り、子供の学びを改善できるように取り組んでまいりたいと考えております。
次に、今後、いじめ問題に対して県としてどのように施策を拡充させていくのかについてお答えをいたします。
いじめ問題に対する施策の方向といたしましては、滋賀県いじめ対策研究チーム会議の最終報告にも示されておりますように、1つには、教員の感性と力量アップを図ること、2つには、専門家や関係機関と連携した取り組みを進めること、3つには、地域、家庭、学校が一体となり、いじめから子供を守る環境づくりを進めることにあります。
このうち、専門家や関係機関との連携につきましては、これまでから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用、弁護士や医師などによる緊急支援、警察と教員のOBによる巡回指導などにより、いじめの早期発見、早期対応に努めてまいりましたが、今後もこれらの施策に取り組んでまいりたいと考えております。
今後、新たに取り組むものといたしましては、教員の生徒指導力と学校の組織力を向上させることで教員の感性と力量アップを図るとともに、児童生徒が児童会や生徒会を通し主体となった活動をすることで、学校が子供にとって安心安全な居場所となるように取り組んでいきたいと考えております。
また、国において、いじめ防止対策推進法が制定されたことから、国や県、学校がそれぞれ基本方針を策定するとともに、いじめ対策委員会などの組織をつくることや学校支援地域本部を設置することで、地域の方々と連携するなど、いじめ問題に対し、地域、家庭、学校が一体となって、系統的、体系的に対応できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、人材確保の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
本県の教員採用試験における受験者数は、10年前の約1,200人に比べ、平成25年度は1.5倍の約1,800人であり、全国平均の1.1倍に比べても突出した値となっており、この10年間、ほぼ毎年、受験者数が増加している状況にあります。
その一方で、子供の数が減少しない中、10年前の約2倍の採用者を確保していることが採用倍率の低下を招いていると分析しており、必ずしも他府県へ受験者が逃げている状況にあるとは考えておりません。
採用に当たっては、本県においても受験年齢の上限を平成19年度から40歳未満まで引き上げていることや、前年度の1次試験に合格した臨時講師には、試験の負担軽減のための優遇措置を図っているところでもあります。
しかしながら、本県教育の将来を考えたとき、教員の人材確保および教育の質を高めることは本県教育の最大の課題であり、本県の教員を目指す人たちを対象とした滋賀の教師塾の取り組みに加え、今後は、滋賀の教員は滋賀で育てるとの強い思いを持って取り組んでまいりたいと考えております。
このため、県内の高校生や中学生を対象に、教えることの楽しさや喜びが感じられる新たな取り組みを行うなどして、教師という仕事のやりがいや魅力を伝え、将来の滋賀の教育を担う人材育成のため、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(宇賀武) しばらく休憩をいたします。
午後4時5分 休憩
────────────────
午後4時20分 開議
○議長(宇賀武) 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
最後に、13番井阪尚司議員の発言を許します。
◆13番(井阪尚司議員) (登壇、拍手)最後ですので、御協力をよろしくお願いします。
社会が大きく変わろうとする中で、滋賀県では住み心地日本一を実感できる施策が次年度予算に反映されるように願って、以下6項目について、会派を代表して質問をいたします。誠意ある御答弁をよろしくお願いします。
1項目めとして、平成26年度予算編成と政策方針について質問します。
平成26年度は、滋賀県基本構想の計画期間の最終年度でもあり、4年間の目標達成を見据えた予算編成と政策方針にしなければなりません。
本年度、滋賀県は台風18号で大きな被害を受けましたが、この災害復興に対して、国の支援を受けながら、来年度以降も災害対策に予算を確保していかなければなりません。また、高齢化による人口の構造的な変化により、医療や福祉など社会保障費の負担増額が予想されます。さらに、今後、国体への取り組みや文化施設などの整備がめじろ押しであります。
このような状況の中で、去る10月21に平成26年度の滋賀県予算編成方針を示されました。知事の提案説明によりますと、「滋賀県は平成10年度以来、6次にわたる財政構造改革の取り組みにより、臨時財政対策債を除く県債残高については一定の成果があらわれております。しかし、平成26年度は175億円の財源不足が見込まれており、より一層の選択と集中を徹底することが求められ、未来に向けて安心を埋め込み、夢と希望の持てる社会を県民の皆様とともに実現していくことが県政に求められている大きな課題であります」と述べられました。
そこで、以下の4点についてお伺いします。
1点目に、基本構想実施計画期間の仕上げの年に当たる平成26年度の予算編成に際して、「住み心地日本一の滋賀」の実現に向けて、特にどのようなことに力点を置いてお取り組みをされようとするのか、知事の所見を伺います。
2点目に、これまで県においては、投資的経費の厳選に努め、臨時財政対策債を除く県債残高を減らしてこられましたが、平成26年度以降、向こう10年内には、
危機管理センターの新設、2警察署の新改築、新環境学習船うみのこの建造、新生美術館の整備、琵琶湖博物館のリニューアル、びわ湖ホールの改修、県立学校の耐震構造化改築、そして国民体育大会など、多くの大型プロジェクトが控えています。これらはいずれも中長期の大型予算であり、単年度予算でも毎年数十億円が必要となってきます。
そこで、これらの事業実施に伴い、今まで行財政改革方針に基づいて進めてきた財政の健全化の推進が大変厳しくなると思われますが、中長期を見通した次年度予算について、知事の所見を伺います。
3点目に、安定的な財政運営を進めるに当たっては、歳出の精査のみならず、歳入の確保が重要となってまいります。そうした中、国においては、地方交付税についてリーマンショック以前の平時モードに戻し、歳出特別枠や別枠加算を廃止すべきといった議論がなされており、滋賀県が受ける影響について懸念しているところです。こうした国の動きに対する知事の所見を伺います。
4点目に、部門別のことになりますが、以下6つのことについて、全て知事に伺います。
まず、琵琶湖の環境保全について伺います。
県では、第2期マザーレイク21計画において、琵琶湖流域生態系の保全・再生と暮らしと湖の関わりの再生を2本柱とし施策を展開されていますが、この2つの柱について、県民目線からはまだ十分な施策の効果を実感できないのが実情であります。また、ことし3月に内湖再生全体ビジョンを策定されましたが、個々の内湖再生への道筋がようやく示されたという段階です。
こうした実情を踏まえ、来年度に向けてどのような方針で、内湖再生を含め、琵琶湖の総合的な保全に向けた予算と施策を進めようとされるのか伺います。
次に、森林政策について伺います。
琵琶湖を保全、再生するためには、森林を適切に保全、整備し、水源としての機能を維持、向上させる必要があります。森林所有者の山離れが進み、森林の適切な管理が難しくなっている中、現在、
琵琶湖森林づくり条例の改正を検討しておられます。論点の中心は、水資源涵養地域の乱開発を防ぐため、土地取引の事前届け出制度、外国資本による森林の買収を防ぐなどと仄聞しておりますが、条例の改正によって、森林の保全、整備を進め、森林の荒廃をどのように防止していくのかお伺いします。
3つ目に、中小企業の支援について伺います。
県においては、4月に滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例を施行され、本年度は施行初年度として、中小企業活性化推進基金を設置するなど、必要な財源も確保しながら施策を実施し、また、中小企業や関係者の皆さんの声を施策に反映させるため、意見交換を精力的に実施するなど、強力な施策を推進されてきたところであります。
このような中、県が発表された経済指標から見る県経済の動向によりますと、県内景気は一部に弱い動きがあるものの、穏やかに持ち直しているとされております。しかし、地域の皆さんの声を実際にお聞きしますと、県内の中小企業の皆さんには、まだ景気が持ち直しているという実感が沸かない状況ではないかと感じております。中小企業の皆さんが景気の回復を実感できるよう、条例に基づき、中小企業の皆さんの声を十分に踏まえた中小企業活性化策を行う必要があると考えますが、来年度の取り組みについて、どのような考えで予算確保と政策推進をされるのか、お伺いします。
4つ目に、再生可能エネルギーの振興について伺います。
県では、ことし3月に滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プランを策定し、地域レベルで取り組み可能な再生エネルギーの導入を推進するとしています。
県の取り組みとして、家庭部門においては、住宅用太陽光発電の導入支援策として、個人用既築住宅太陽光発電システム設置推進補助金を実施し、今年度は約1,000件の補助金の登録申し込みがあったと聞いております。また、産業部門においては、メガソーラーの設置の動きが活発化しており、県のホームページによりますと、県内21カ所で計約30メガワットの太陽光発電が施工、計画されています。このようなことから、県民、県内事業者の再生可能エネルギーの導入への意識は高いものと考えております。
一方、国においては、11月5日に資源エネルギー庁が住宅用太陽光発電の補助金をことし限りで終了することを発表いたしました。また、固定価格買い取り制度の買い取り価格は、賦課金の負担が電気の使用者に対して過重なものとならないよう配慮しつつ、毎年価格を見直すこととされております。
このような国の後退した制度の見直しにより、再生可能エネルギーの導入が失速するのではないかと懸念していますが、県として、再生可能エネルギー推進の積極的な予算確保と産業用の節電、省エネに対する企業支援施策についても、どのようなお考えなのか伺います。
5つ目に、信楽高原鐵道について伺います。
台風18号で橋脚が流された信楽高原鐵道の運行再開のめどが立っていない状況です。地元では、80年の歴史がある鉄道に対する住民の愛着が強く、復旧できる日が一日でも早く来てほしいと、定期的に駅周辺を清掃して運転再開を待っておられ、署名活動も活発にされておられます。
甲賀市としても、早期の復旧を図り、市民生活の安定化を取り戻すことが急務であると考えておられますが、多額の経費と労力が必要なため、県に対して信楽高原鐵道信楽線の支援に向けた要望をされておられます。県は国に対して要望しておられますが、県としてどのような考えをお持ちなのか、お伺いします。
6つ目に、教育について伺います。
滋賀の将来を開いていく次の世代が、人口的には少なくなっていくと予想されている一方で、世界的な規模の膨大な情報社会にあっても、日常生活が物心ともに豊かに営めるような滋賀を維持発展させていくことが望まれています。
そして、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と福祉の向上に貢献することのできる人格を育むことが大切であります。第2期滋賀県教育振興基本計画の具体化に向けて、学力の向上を図るとともに、社会で役立つコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などを育むキャリア教育のための教育予算をどう充実していくのか、お伺いします。
大きな2項目めとして、2025年の超高齢社会について質問いたします。
全国的に少子高齢化が進む中、滋賀県でも、平成12年を境に、65歳以上の老年人口が15歳未満の年少人口を上回り、今後もその差が拡大していくことが予測されています。
高齢者の一般的な定義は65歳以上ですが、高齢者対策を考えるに当たって重要になるのは、要介護発生率が高くなる75歳以上の後期高齢者です。特に、2025年は65歳以上の人口が全国で3,600万人と、人口の30%を超え、戦後の団塊の世代が75歳以上に到達する年であることから、2025年問題と言われています。
また、老年人口の増加もさることながら、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、2005年と比較すると、2025年には65歳以上の高齢者夫婦のみの世帯は460万世帯から640万世帯へ、また、高齢者独居世帯は2005年の380万世帯から700万世帯へと増加し、75歳以上の高齢者がいる世帯のうち、何と69%が高齢者独居、または高齢者夫婦のみの世帯となると推定されております。生活環境の大きな変化が予測されます。
このような高齢者が増加する一方で、同時に少子化も進行しており、担い手不足も否めない状況のもとで、限りある資源を有効かつ効果的に生かしていくためには、医療福祉提供者、患者、利用者、行政等が協力して、各種施策を着実に推進していかなければなりません。
そこで、以下、7点について伺います。
1つ目に、介護予防について伺います。
まず、高齢者が可能な限り自立した日常生活を送り続けていけるには、今後も地域包括ケアシステムのもと、地域包括支援センターが核となり、地域ぐるみの支援体制構築が必要であります。独居世帯の増加が推定される中、特に男性独居世帯の閉じこもりも課題であると仄聞していますが、介護を必要とする以前から地域でのつながりをつくることが、介護を受ける立場になった場合でも、また介護予防としても重要です。多世代交流ができる居場所づくりは介護予防にもなると言われておりますけれども、地域の中での居場所づくりをより推進してはどうでしょうか、知事にお伺いします。
また、健康寿命を伸ばすためには、若いころからの介護予防に向けた健康づくりが必要ですが、壮年期からの介護予防を今後どのように県として進めていくのか、あわせて伺います。
2点目に、がん対策について伺います。
誰もが健康で安心して暮らしていくことを願う中、我が国および滋賀県の死因の第1位はがんであり、生涯のうち、2人に1人はがんに罹患する可能性があると推定されています。本県でも、がんの対策のさまざまな取り組みを進めてきましたが、いまだにがんは全死亡の約3割を占め、平成24年度滋賀の医療福祉に関する県民意識調査でも、県民が今後充実を希望する医療分野の第1位は、がん医療となっています。
このように、がんが県民の生命、健康および生命にとって重大な問題になっていることに鑑み、がん対策は、がんの予防および早期発見のための自主的な取り組みを促進するとともに、がん患者が居住する地域にかかわらず、等しく適切ながん医療が提供されていくものでなければなりません。
このような背景もあり、今議会では、がん対策推進条例を議員提案として上程しようとしているところであります。特にがんの罹患率を減少させ、がんによる死亡を防ぐために最も重要なのは、がんの早期発見ですが、その前提であるがん検診の受診率は高いとは言えません。
本県の平成22年のがんによる死亡者数は3,448人であり、気管支および肺が最も多く、胃、大腸、肝臓の順になっていますが、受診率は、肺がんが16.3%、胃がんが27.9%、大腸がんが24%であり、いずれも全国平均より低く、目標の50%に及んでいないのが現状であります。特に肺がんは死亡者数の上位ですが、検診を実施しているものは、平成24年19市町のうち15市町にとどまっていることから、その主な原因と課題解決に向けた県の取り組みについて、知事に伺います。
また、がん検診は、がん診療連携拠点病院を中心に整備が進められておりますが、滋賀県におけるがんの専門的な医師や認定看護師などの実態についてはどのように捉え、取り組みを進めていかれるのか、知事に伺います。
3点目に、認知症対策について伺います。
厚生労働省の要介護認定に基づく予測調査によりますと、滋賀県では、認知患者数が2025年には4万9,241人、介護保険未申請者も含めた数は6万397人と推計されています。もっとも、初期に対応すれば進行もおくらせることができるため、早期診断、早期対応を行い、症状が悪化したときには専門治療を行うことが重要となっています。
そこで、認知症医療に係る体制をどのように整備し、今後どのように早期発見、治療へと結びつけていこうとされているのか、知事に伺います。
また、現在、介護における要支援事業は市町の管轄へと移管が検討されており、早期発見、早期対応が重要である認知症の場合でも、幅広く地域での理解、対応が必要となってきます。認知症サポーターもふえてきていると仄聞していますが、地域で支える認知症対策の課題についてはどのように捉えて、どのように進めていかれるのか、知事に伺います。
4点目に、高齢者の権利擁護について伺います。
人口動態の推移を考えますと、病院での入院治療は厳しい状況でもあり、また、住みなれた家で生活したいという要望でもあります。一方、高齢者の虐待が今年度の調査によれば滋賀県で298件発生したと仄聞しておりますが、一般に子夫婦と同居や未婚の子と同居の高齢者が多く、虐待する側もされる側も虐待の事実を隠す傾向が強いことが原因で、潜在的なケースはかなりの件数に上ると推定されています。
また、慢性化した虐待の場合、当人が何も反応しなくなることや、高齢者の肉体、精神に固有の加齢に伴う普遍的な変化もあって、露見しがたい、当事者が言い逃れしやすいという問題も見られます。そのほとんどが在宅介護によるものと言われています。
毎日接していると思わず手を上げてしまう、自分ではとめられない、まだ自分は手を上げたことはないが、上げてしまいそうな衝動に駆られるときがある、誰も愚痴をこぼす相手がいないなどの声を聞きます。統計的に見ますと、特に家族の介護をしている息子からの虐待が4割近くと多く、これは誰にも相談できないという背景もあるようであります。
そこで、介護をしている男性同士の話せる場が必要と思われますが、滋賀県内の状況を伺うとともに、地域包括センターの相談センターとしての役割をどう捉え、今後、高齢者の尊厳を保つための虐待防止対策をどのようにしようとされているのか、知事に伺います。
また、振り込み詐欺やマルチ商法などによる高齢者の被害が後を絶たず、特に認知症患者の増加に伴い、適切な財産管理をして権利擁護する成年後見制度が機能することが求められています。しかし、法定後見については裁判所の手続が煩雑なことや、後見人の権限乱用なども課題があるとされ、必ずしも十分に活用されてきたとは言えないのが現状であります。
このような状況の中、ことし5月、公職選挙法等の一部を改正する法律が改正、公布され、成年被後見人の選挙権が回復したことや、各団体で適正な執行がされているかチェックする体制も進んできています。判断能力が不十分になる前に、本人が万が一に備えた財産管理等について契約する任意後見制度の活用など、今後、成年後見制度の活用をより進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
5点目に、医療を支える人材確保について伺います。
医療を支える人材としては、その中心である医師、看護師確保も重要ですが、看護師は事務的な作業なども多く、より本来の専門性を発揮できる職場環境の改善も必要であります。また、近年、多くの病院が管理栄養士をチーム医療の一員に加えることで、患者の栄養状態が改善され、きめ細かい食事提案によって患者の早期回復が実現された事例や、薬剤師と管理栄養士が連携して、食事と薬剤の相互作用を確認するといった取り組みがされており、連携医療のよさを実感しました。
そこで、滋賀県では多職種連携によるチーム医療の重要性をどのように認識しているのか、知事に伺います。
また、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えたとき、地域でリハビリテーションを行うチーム医療が求められると考えますが、そのために、理学療法士、作業療法士等の人材確保に向けた県の対応について、知事に伺います。
6点目に、滋賀県地域医療再生計画の達成状況と成果について伺います。
平成23年に策定された滋賀県地域医療再生計画は、県内の医療施設が人口10万人当たりの病院数、一般診療所数、歯科診療所数、病床数のいずれもが全国平均を大きく下回っている状況のもと、地域医療機関の機能分化と連携を進め、県全域、三次医療圏に係る医療提供体制の基盤強化を図ることにより、安全安心のセーフティネットを医療面から支え、「住み心地日本一の滋賀」を目指して、今年度25年度を一区切りとして現在進めていただいているところです。
この間、地域医療再生基金どのように活用されたのか、県全域における地域医療再生計画の達成状況とその事業成果について、知事に伺います。
7点目に、在宅医療の充実について伺います。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えたとき、在宅医療を充実していくことが重要ですが、とりわけ、医療連携体制を整備していくことが大変重要と考えます。
そこで、例えば、病・病・診をはじめとした医療連携をどのように推進していこうとしているのか、知事にお伺いします。
大きな3項目めとして、滋賀県流域治水の推進に関する条例案について質問いたします。
9月に議会に上程されたこの条例の採決に当たり、私たちは以下2点を申しました。
1つは、台風18号に伴う数十年に1度の豪雨に遭い、甚大な被害をこうむり、自然災害の威力を痛感している今だからこそ、一日も早い条例制定で安全対策が進められることが、県民の皆さんへの安心に応えるものであることを申しました。
流域治水推進条例を制定し、水害に強い地域づくり協議会などが各地につくられることによって、河川整備で川の中の対策を推進し、川の外の対策を合わせた多重防護によって、生命が守られる仕組みを早く構築することが河川整備への県の責務であります。
2つには、条例案の内容説明は県民の皆さんに丁寧に行うことが大事であると申しました。特に浸水危険区域指定と罰則に関する規定は、イメージの相違が見受けられることから、流域の特性に応じた減災対策を組み合わせた総合的な治水対策を県民とともに推進できるよう、わかりやすく説明いただくことが大事だと思います。
知事は、今議会開会日に、流域治水推進条例案について、「住民や地域への説明が不十分であること、住民への罰則規定が問題であること、具体的な河川整備計画をつくることの3点を理由として継続審査となったことから、執行部一丸となって日夜対処してきた」と述べられました。
そこで、以下4点、知事に伺います。
1点目に、区域指定予定地域の住民の皆さんへの説明をどのように実施し、どのような意見が出て、どのように対処されてきたのか、問題点として特に浮上したことはあるかなどについてお伺いいたします。
2点目に、県内の台風18号の被害現場に立ってみますと、いかに大量の雨が降り、水のエネルギーが猛威を振るったか、また、川の本流だけではなく大小の支流から流入したおびただしい土砂などの問題もあり、川の中の維持管理や改修など、河川整備を計画的、着実に推進しなければならないと痛感しました。
県が河川整備の責務を明らかにする上で、平成20年に中長期整備実施河川の検討結果を公表されていますが、より具体的な河川整備の実施計画を取りまとめ中とのことであります。県民の皆さんは、目の前の川の整備ができるかどうかが最大の関心で、一日でも早い施工を望んでおられることから、河川整備に当たっての優先度をどのように考えておられるのか伺います。
3点目に、条例案では、浸水に備えるための対策として、県は流域治水に関する最新の知見の把握に努め、成果の普及に努めることなどが上げられています。雨量や流量の観測、調査情報の正確で迅速な把握と伝達体制、それを受けとめて的確に避難できる地域の体制を、県と市町、住民が車の両輪のように動く仕組みをつくる必要があります。
このことを踏まえて、今回の豪雨を教訓として、さらなる河川情報の収集と伝達体制の拡充が急がれますが、所見を伺います。
4点目に、師走に入って慌ただしい中を、関係住民の皆さんへの説明をこれからも予定されているとのことであります。流域治水の推進に関する条例の制定に向けての知事の決意を改めて伺います。
次に、大きな4項目めとして、今後10年間の滋賀のスポーツ振興の取り組みについて質問します。
2020年の東京オリンピック、2021年の関西ワールドマスターズゲームズ、そして2024年の2巡目滋賀国体と、今後10年間、本県を取り巻く大きなスポーツの祭典が続きます。この千載一遇の機会を、本県のスポーツの推進、地域スポーツの振興はもとより、産業、経済、観光、環境、福祉、教育など、諸施策活性化の好機と捉まえて、オール滋賀の力を合わせて取り組むことは極めて重要であり、時宜を逸することなく的確に、力強く、スポーツ施策を推進していかなければなりません。
さて、最近、スポーツの力という言葉がよく使われます。記憶に新しいところでは、ことし日本中を沸かせてくれましたプロ野球東北楽天ゴールデンイーグルス選手会長の嶋基宏捕手が、東日本大震災の直後、被災者に向かい、「見せましょう、野球の底力を」と挨拶し、今シーズン、見事に野球の底力を見せて日本一を達成しました。この快進撃は、被災地の人々だけでなく、日本中に元気と勇気と希望を与えてくれました。
また、東日本大震災直後の7月には、なでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝したときも、重苦しい雰囲気に包まれた日本をスポーツの底力で元気づけてくれたことも、いまだに忘れられない出来事であります。
このように、スポーツの力、アスリートの活躍がもたらす喜びや希望が人々や社会を励ます場面を、私たちは数多く経験してきています。スポーツが果たす社会への無限の影響力を考えるとき、明年2014年から2024年までの10年間は、本県にとって極めて重要なスポーツ振興重点期間であり、この期間を最大限有効に生かし、スポーツ立県滋賀を構築していかなければなりません。
そこで、今後10年間の期間にスポーツ立県滋賀を構築するための基本的な方策については、以下、オリンピック、ワールドマスターズゲームズ、国民体育大会の3大会を中心に、知事の考えを伺います。
まず、2020年の東京オリンピックに関する本県の取り組みについて伺います。
東京オリンピックの開催が日本のスポーツ振興はもとより、青少年の健全育成や国内産業、経済、観光の振興など、国民生活全般にわたり多大な影響を及ぼすことは論を待たないところであります。今、オリンピックは、東京都を中心としたコンパクトな大会とされていますが、昨今の日本の文化、和食ブームと相まって、京都、奈良の古都を含む関西方面へも、相当数の外国人観光客の入り込みが見込まれると考えます。
本県としても、今後、東京オリンピック、関西ワールドマスターズゲームズ、滋賀国体と続くスポーツイベントに向けて、スポーツと観光が融合したスポーツツーリズムを推進するためにも、地域の集客、マーケティングを行う推進母体として、スポーツコミッションなどの構想も必要と考えます。
そこで、東京オリンピックの開催に際して、東京方面への訪日客をどのように関西および本県へ集客しようとされているのか。また、各種競技団体、選手の練習地を本県の施設へ誘致してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、2021年の関西ワールドマスターズゲームズへの取り組みについて伺います。
生涯スポーツの祭典と言われるワールドマスターズゲームズ──WMGの第10回大会が、2021年に関西地域の関係各府県で開催されることが決定し、去る9月26日には、官民連携組織である関西ワールドマスターズゲームズ2021の第1回準備委員会が開催されました。
そこで、この準備委員会の一員として参加をしている本県がこの大会に取り組む基本的な姿勢について、以下3点から知事に伺います。
1点目に、この大会には大阪府と大阪市が本大会への不参加を表明され、大都市の開催資金と人員の派遣が見込めない中、大会開催に係る運営経費や組織体制づくりに懸念が持たれます。本県では、かつて2009年の第7回大会の開催招致に取り組み、シドニー、ミュンヘン等4カ国と招致合戦を行われた経験があります。
そこで、本県がかつて誘致合戦に携わったときの経験や総括をこのたびの大会にどのように反映させていこうとされているのか、本県の基本的な参加姿勢について、知事に伺います。
2点目に、国際マスターズゲームズ協会──IMGAの最大の使命は、世界中の国々で人口高齢化が進む中、健康的なライフスタイルや健康のよい状況であるウィルビーイングを求める機運の高まりを背景として、30歳以上の成年、中高年世代のスポーツ意識の高まり、いわゆるムーブメントの強化と振興に寄与することとされています。
今後、関西版マスターズ大会の新規開催、既存のマスターズ大会や生涯スポーツ大会の充実を図ることなどで、幅広くマスターズ世代の競技大会を展開していかなければならないと考えますが、果たしてどの程度、生涯スポーツの普及振興に寄与できるのかと感じています。
そこで、ワールドマスターズゲームズの競技大会の開催が本県の生涯スポーツの振興にどのような効果をもたらすのかとお考えなのかを、知事の所見を伺います。
3点目に、本年8月に行われました第8回トリノ大会の参加者数は、参加107カ国で約1万9,000人と報告されています。これは、第7回シドニー大会の約2万8,000人よりも大幅に減少しております。1994年の第3回大会以降、常に約2万人以上を記録していたことを勘案しますと、かなり気がかりな状況と言えるのではないでしょうか。
さきにも述べましたが、関西広域連合の一員である大阪府と大阪市が不参加を表明されている中で、本大会開催に係る運営経費ならびに人材派遣に関する協力が得られない状況下での開催となれば、関西経済産業界、本県の経済産業界は言うに及ばず、本県の負担すべき経費、人材面も多くなることは避けられない状況となり、事前の綿密な運営計画と収支計画が不可欠と考えます。
そこで、本県として、どの程度の競技種目を引き受け、また、どの程度の経費負担を見積もられ、これが本県にどのような経済効果をもたらすと考えておられるのか、知事に伺います。
次に、2024年の2巡目滋賀国体に向けた取り組みについて伺います。
2024年の2巡目滋賀国体の開催に向けた準備委員会が去る10月31日に立ち上げられ、いよいよ具体的な活動が始まりました。東京オリンピックで盛り上がったスポーツへの関心を4年後の滋賀国体につなげるためには、2巡目滋賀国体を一過性のイベント事業とすることなく、本県の持てる行政力、民間活力、産業経済力など、県民の総力を挙げて取り組み、滋賀に住む人々の暮らしの質を高めて、きずなを深める契機となる大会にしていかなければなりません。
そこで、滋賀国体の基本的な取り組みである競技力向上と施設確保について、以下2点について伺います。
1点目に、国体開催に向けて競技力向上の基本計画策定とその実施が急がれていますが、その中心となる子供たちのスポーツ環境の充実および競技力の育成対策、ならびに次世代のスポーツ指導者育成は喫緊の課題となっています。
ことし3月に策定された平成25年度版滋賀県スポーツ推進計画では、方針2の次代を担う子供の運動、スポーツ活動の充実の中で、すぐれた能力を有するジュニア世代の発掘、育成を位置づけていることや、方針3のスポーツ環境の充実の中で、スポーツ指導者の育成がうたわれています。
そこで、これらの課題をどのように具体化されていかれるのかなど、本県の競技力向上への意気込みについて、知事の所見を伺います。
2点目に、主会場を含めた競技施設の割り振りや整備については、現在、多方面からさまざまな意見を聞かれて、主会場選定委員会で慎重な協議が行われているところであります。これらの施設については、滋賀の未来に負担を残さない国体の観点からも、地域間の誘致合戦にならないような県当局の的確なリーダーシップを発揮していただきたいと考えます。
そこで、特に主会場の選定については、単なるスポーツ競技施設というだけではなく、広域防災の拠点という県民本意の視点から早急に結論を出されることを期待していますが、改めて、主会場選定の基本的な考え方について、知事に伺います。
大きな項目の第5項目めとして、滋賀の農業政策と農畜水産物のブランド化について質問します。
まず、国の減反政策廃止等と滋賀の農業政策について伺います。
先行き不透明なTPP交渉により米価が維持できない農家の不安に追い打ちをかけるように、減反への補助金の大幅な減額と将来の廃止が打ち出されました。このことで、40年以上続いた日本の農業政策が大きく変わろうとしており、多くの農家が動揺しています。
国が生産目標を定め、価格維持も図っている農産物は実は米だけであり、これにより自給率の安定化を図ってきました。国は、この米の生産調整、いわゆる減反政策を5年後の平成30年をめどに廃止する方向であるとのことです。
この減反政策は、昭和40年代前半に米の過剰が問題となったことで、緊急的な生産抑制策として昭和46年度から本格実施されてまいりました。平成16年度からは、減反面積の配分を国が毎年定めた米の生産数量の目標に変更し、都道府県および市町を通じて各農家に配分しているものです。この減反政策により、コストが高い農家でも経営を維持できる反面、規模拡大を目指す意欲的な生産者が育たず、世界的に見ても競争力が低くなり、生産者も高い米を買うことになっていることから、米が特別扱いされているとの声があります。
一方、TPP──環太平洋パートナーシップ協定など貿易自由化交渉が本格化する中、日本政府の思いに反して、アメリカは農産品5項目について猶予期間を設けるものの、関税全廃を要求しているとの報道であります。
国は、農業の大規模化を進め、経営感覚のある生産者の育成により農業の生産現場を強化し、農業を成長産業とする改革を急いでいます。また、農林水産省は、米の生産コストは、作付面積が10ヘクタール以上になると0.5ヘクタール未満の農家に比べて半分以下であるとの統計調査を出しています。そこで、農林水産省は、農家の貸し借りを仲立ちする農地バンクを各都道府県に設け、大規模化を支援する計画を立てています。
減反を廃止することで米の作付が自由化され、これで米も普通の農作物となるとの意見がある一方、今回の措置で小規模農家の切り捨てになるという批判も根強いものがあります。このため、水源の保全機能や生物多様性の場の確保、環境の維持など、農業、農村の多面的機能を発揮している農地を維持するために、新たな交付金で影響を緩和したいとの考えもあると仄聞しています。
さらに、2010年農林業センサス統計によりますと、米農家の平均年齢は69.9歳であり、今後、担い手不足で耕作のできない農地がふえることが懸念されます。産業としての農業は、今後の先行きに危機感が強まっており、農業の競争力強化は待ったなしの課題でもあります。
そこで、こうした国の農政の大転換、とりわけ減反政策の廃止の方向を踏まえた知事の所感と、滋賀県としてどのような農業政策を展開するのかについて、知事に伺います。
次に、新品種「みずかがみ」の評価について伺います。
県農業の期待を背負って滋賀県が独自に開発した「みずかがみ」が本年から作付され、今秋、出荷されました。県広報によると、「みずかがみ」は、高温登熟性にすぐれ、極良食味、早生熟期とあり、コシヒカリやキヌヒカリと同程度の食味で、草丈が短く、栽培しやすいとされています。
農林水産省が11月20日に公表しました平成25年産米の農産物検査結果速報値によりますと、本年10月末における本県の水稲うるち玄米の1等米比率は61.7%であり、全国平均の80.2%、また、本県における昨年同期の比率80.8%より大きく下回っています。
コシヒカリ、キヌヒカリや日本晴など、本県の主力となる品種の1等米比率が高温などの影響により60%前後と低迷する中で、「みずかがみ」は90%と高い結果であり、今後、滋賀県の米の主流になっていくことを期待しています。
そこで、「みずかがみ」が生産者と消費者にどのように評価されているのかについて、知事に伺います。
また、次年度以降の作付面積の計画、この品種をどのように滋賀の農産物のブランドに育てようとされているのかについても、あわせて伺います。
次に、農畜水産物のブランド化について伺います。
ホテルや飲食店におけるメニューの誤表示や食材の偽装が社会問題となっており、ブランドの信頼性や私たちの食に対する品質保証がぐらついているのは大変残念なことであります。
ブランドとは、「品質などものの価値を備え、他と差別化することを意図した名称やデザイン等がある商品やサービスであり、ものの価値と商品やサービスの情報の組み合わせについて、消費者がよいイメージを持ち、かつ信頼を持つものである」と、滋賀の農畜水産物マーケティング戦略の中で定義されています。滋賀県内には、米、牛肉、湖魚、野菜などがあり、それらを使った滋賀ならではの食の文化が根づいています。
そこでお尋ねしますが、これらの農畜水産物ではどのようにブランド化が進められているのでしょうか、現状を知事に伺います。
また、県内各地ではさまざまなブランド化を図る取り組みを進めている農業者や生産者団体等がありますが、これらの方々とどのように連携を図り、ブランドの広がりを持たせようとされるのか、今後の考えを知事に伺います。
大きな第6項目めとして、防災対策について質問します。
神戸淡路大震災、東日本大震災を経験した私たちは、防災に対する意識を大きく変えました。また、さきの台風18号では、50年の1度と言われる豪雨により県内各地に甚大な被害が出ましたが、近年の災害を私たちは教訓として、新たな視点で防災に臨まなければなりません。
そこで、地震や水害の対策と原子力防災対策について、知事に伺います。
初めに、地震や豪雨による災害対策について伺います。
さきの台風18号では、山間部で土砂災害、平野部で水害による被害が顕著でした。豪雨では、地盤の緩みが次の災害を引き起こす可能性が大きいと言われています。過去の災害状況を調べ、現状の強度と将来予測を加えて、着実に防災工事を進めることが重要であります。
このような状況を把握するために、会派で高島の鴨川の決壊場所と被害を受けられた南鴨地区を調査しました。破堤した箇所は、川が蛇行する水表に当たり、過去にもこの付近が決壊したことがあると地元区長にお聞きしました。河川工事は、こうした箇所をはじめ、天井川など決壊により甚大な被害が想定される河川の改修を優先しなければなりません。
さらに、中山間地域の急傾斜地指定になっているところは早くから対策が講じられており、強固な擁壁で人命は守られました。しかし、今回の災害では、対策がされていないところの人家付近の土砂崩れが目立ちました。地盤が緩んでいることから、早急に調査を行い、次回に災害を誘発しないように対策を講じる必要があります。また、今後、さまざまな広域災害が心配されており、県内の安全対策に加え、県外からの避難者の受け入れ対策も課題に上ってきます。
このようなことを踏まえて、災害に対して今後どのような対策を講じようとされているのか、知事に伺います。
次に、原子力防災について、避難等の対策と不法投棄チップの問題について伺います。
福島原子力発電所の事故から2年8カ月が経過しましたが、さまざまな努力がされているにもかかわらず、放射能汚染問題は解決に至っていません。この事故で、今まで予想できなかった科学の限界と、私たちの社会が経済優先の負の部分をあわせ持っていることを知ることとなりました。しかし、その放射能汚染対策はいまだに収束せず、福島の方々はじめ、国民の皆さんの不安は増すばかりです。
滋賀県では、国に先んじ、防災計画原子力対策編を作成し、原子力災害に対する施策が講じられてきました。原子力防災は、正しい情報を早く知らせ、健康安全への確保と正しい避難が重要であります。まず、避難対策について伺います。
滋賀県内に、低線量計8基、高線量計5基のモニタリングポストが設置され、正しい情報を得るための監視体制が整えられました。さらに、万が一、放射能漏れ等の原発事故が起こった場合の県内拡散シミュレーションが発表されました。また、市民団体による風船飛ばしで短時間で県外にまで達することが証明され、私たちが予想していた以上に広範囲に放射能が飛散することがわかりました。
正しい情報を知らせることは、許認可者や設置管理者、事業者の責務であり、こうした情報をもとに、事故があった場合に住民がどのように避難するかの訓練が重要です。このことを踏まえて、昨年に続いて本年、県と関係市と共同して原子力防災訓練が行われましたが、目に見えない放射線に対する避難行動だけに、住民の皆さんは緊張感を持って参加されたことと思います。
そこで、この訓練の成果を他地域にどう生かすのか、訓練から見えてきた課題は何かについて、知事にお伺いします。
また、住民の皆さんがどこに計測機器が設置されているかを知るとともに、住民みずからが計測できることも重要であります。会派で福島県に視察に行ったときに、市役所の掲示板に、保育園や幼稚園、小中高等学校の毎日の計測データが張り出されており、保護者の方がそのデータを見て安心しておられました。
そこで、滋賀県でも、県内の学校、園に簡易放射線測定器を設置し、学校職員が毎日計測して、そのデータを公表してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、不法投棄された放射能汚染チップの問題についての分析データと除去方法について伺います。
高島市鴨川河口堤に投棄された福島原発事故で汚染された木材チップについて、予想外の出来事と処理方法について住民が不安を募らせています。一刻も早い除去に向けて努力いただいているところです。私ども会派では、現地に赴き、空間1メートル、50センチメートル、1センチメートルの線量を、県が所有するサーベイメーターで計測しました。その結果、広範囲にまかれたチップの中には高濃度のものが存在する可能性があることや、対岸の住宅団地にも高い線量があることがわかりました。
この件に関して驚いたことは、滋賀県が発表した木材チップの放射能濃度が当初最大3,000ベクレル・パーキログラムと、再検査では3,900ベクレル・パーキログラムのことでありましたが、京都のNPOとが発表した計測結果は4倍近くの数値でありました。県データとは大きくかけ離れていることであります。県は、平成25年3月に出された環境省の汚染状況調査方法ガイドラインと環境省の指導により分析しているとのことでしたが、採取方法と分析方法について専門家や環境省に問い合わせても、よくわかりません。
汚染状況調査方法ガイドラインの第3章には、廃棄物の汚染状況調査方法が記載されています。この中の表3-2法第16条に基づき調査義務の対象となる廃棄物の種類の一覧に上げられている廃棄物の種類は、脱水汚泥、乾燥汚泥、ばいじん、焼却灰その他の燃え殻となっており、欄外の注釈に、「管理者から廃棄物として排出される形態において調査を実施することとする」の文言があります。これが現地のありのままの水分量で木材チップを計測した根拠だと思われますが、雨上がりの日と乾燥した時期や夏場と冬場では数値が大きく変わります。
放射線量の厳密な測定には、試料を自然乾燥させてベクレル測定するとの専門家の多くの意見ですが、県が発表した第1回目も2回目も試料の水分量が60%から70%含まれているものでした。環境省の指導のもとにこの方法で検査したとのことでありますが、環境省からどのような指導があったのか、検査には乾燥状態のものは行わなかったのか等について、また、水分量を除去したときの放射線濃度ベクレルはどれほどになるのかについて、知事に伺います。
次に、除去方法ですが、廃棄物対策法や河川法など、法的な規制によりすぐに除去できないとのことのようで、新たなブルーシートをかけたり、立て看板を設置するなど、大変苦慮されていることと思います。本件の原因者は東京電力であり、国の責任も大きなものがあります。鴨川の不法投棄チップすら処理できないとなると、万が一、若狭で原発事故があった場合、どうしようもなく、放置されかねない懸念と不安が持たれます。汚染チップの除去の見通しについて、知事に伺います。
以上で代表質問を終わります。(拍手)
○議長(宇賀武) 13番井阪尚司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子) (登壇)井阪議員の代表質問に対する答弁として、まず、第1問目の26年度予算編成と政策方針についての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の平成26年度の予算編成に際し、「住み心地日本一の滋賀」の実現に向けて、特にどのような点に力点を置いているのかとの御質問でございます。
議員御指摘のとおり、平成26年度は基本構想の計画期間の最終年度に当たり、目標達成への仕上げの年となることから、未来戦略プロジェクトを強力に推進してまいります。具体的には、基本構想の進行管理の結果や、東日本大震災、いじめの社会問題化等、外部要因の変化なども踏まえ、大きく4つの分野で取り組んでまいります。
まず1点目としては、子供の命を守り、学びの充実を図る施策や、滋賀の“三方よし”人づくり事業などの若者の雇用拡大、マザーズジョブステーションなど女性の活躍の推進、在宅みとり体制づくりなど、県民の生まれてから見送りするまでの暮らしを守る施策でございます。
2点目としては、再生可能エネルギー関連施策や県内の試験研究機関が連携した琵琶湖の生態系の解明などの滋賀の環境を守る施策でございます。
3点目としては、県内中小企業の活性化に向けた施策や、「みずかがみ」など農畜水産物のブランド化や近い食の一層の推進、大河ドラマを契機とした観光誘客の拡大など、また、さらに企業誘致なども含めて、活力ある滋賀を実現する施策です。
そして4点目としては、
危機管理センターの整備や防災教育、流域治水、原子力対策などの安全安心に向けた施策でございます。
こうした施策に特に力点を置きながら、基本構想の所期の目標達成に向けて、効果的な施策構築、予算編成に向けて全力で取り組んでいるところであります。
次に、2点目の大型プロジェクトを控え、財政健全化が厳しくなるのではないのかとの御質問でございます。
今後、多額の事業費を要する大規模事業が多く計画されており、その実施に当たっては、歳入の状況など、財源見通しをしっかりと立てながら進める必要があると考えております。
大規模事業の実施に当たりましては、実施時期、規模等について十分精査し、必要な場合には一時的な財政負担を軽減するための基金積み立てを行うなど、将来の財政運営に支障を来すことのないよう進めてまいりたいと考えております。
次に、3点目の地方交付税に係る最近の議論についてでございます。
経済財政諮問会議などにおいては、リーマンショック後に創設された地域経済の活性化や雇用対策のための歳出特別枠などについては、経済再生に合わせ削減する必要があるとし、その解消に向けた議論がなされております。
内閣府における11月の月例経済報告では、景気は緩やかに回復しつつあるとされているものの、地方の中小企業を取り巻く経済環境は依然として厳しく、安定的な雇用も十分確保されてないことから、これらの財政需要については、引き続き、地方財政計画に十分措置されるべきものと考えております。
地方を取り巻く状況が確実に好転するまでの間については、地方が責任を持って地域の活性化を実施できるよう、そのための財政措置については、来年度においても確実に堅持されるよう、国に強く要請をしております。
次に、4点目の部門別の御質問についての最初の琵琶湖環境の保全についてでございます。
琵琶湖の課題は、その要因が互いに関係し合い、複雑多様化、広域化しております。このため、マザーレイク21計画に示したとおり、流域全体を視野に入れて施策を推進する必要があります。
内湖再生については、琵琶湖全体の内湖再生ビジョンをもとに、まずは早崎内湖において今年度の用地取得に引き続き、来年度は実施設計に着手するとともに、現在、モデル地域を募集し、取り戻せ!つながり再生モデル構築事業を進めてまいりたいと考えております。
また、南湖における水草の異常繁茂など喫緊の課題に対応するとともに、内湖を含め、琵琶湖流域の生態系の変化によって減少している在来魚介類のにぎわいを復活させるため、関係機関が連携し、その原因を科学的に明らかにしながら、森から川、川から里、里から琵琶湖までをつながりの視点で捉えた総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の
琵琶湖森林づくり条例の改正についてでございます。
まず、他道県で問題となっている目的不明な森林の取得は、事前に取引を監視、牽制する仕組みを用意して、水源林の保全、確保を図る必要があります。また、近年のニホンジカ被害の増加による山林荒廃、文化的、学術的価値の高い巨樹、巨木の保護や、山村の過疎化、高齢化に伴い不明瞭となっている林地境界の明確化など、新たな課題への対応が必要となっております。
このため、本県林業の再生を視野に、新たな課題に的確に対応できるよう、今月中に県森林審議会に条例改正に向けて諮問するとともに、今後、県民や市町、関係団体などとの意見交換を踏まえ、水源地の森林保全を進めるための総合的な条例となるよう取り組んでまいります。
次に、3点目の中小企業の声を十分に踏まえた中小企業活性化の来年度の取り組みでございます。
中小企業や関係者の皆さんの意見が十分に反映されたものとするため、関係団体との意見交換会やその場でのアンケート調査、また職員による企業訪問を積み重ね、そこでいただいた御意見をもとにして、中小企業活性化審議会でも御議論いただきながら、取り組み方向性を検討しております。
そうした中で、小規模事業者に配慮した取り組み推進に多くの御意見をいただいておりまして、来年度に向けては、規模の小さな事業者に焦点を当て、集中的な強化月間を設けて周知を行うことや、ものづくりを担う小規模事業者の競争力向上に向けて、販路開拓等の取り組み支援などを検討しております。
また、人材育成、資金繰り支援のための制度融資といった経営基盤の強化や海外展開など、中小企業の意欲的な取り組みに対する支援も引き続き実施してまいります。
さらに、県の施策を利用者目線でわかりやすく整理した冊子を作成するなど、中小企業者や広く県民向けの周知にも一層積極的に取り組み、中小企業の活性化に着実に取り組んでいきたいと考えております。
次に、4点目の再生可能エネルギー推進の積極的な予算確保と産業用の節電、省エネに対する企業支援施策でございます。
再生可能エネルギーについては、議員御指摘のように、県内ではメガソーラー設置の動きが活発化しているほか、市民共同発電や小水力発電など、地域に根差した取り組みも県内各地で急速に広がりつつあります。
また、先月開催した再生可能エネルギー県民シンポジウムでは定員を大幅に上回る参加者があるなど、地域主導によるエネルギーシフトへの県民の関心の高さを肌で感じさせていただきました。こうした流れを失速させることがないよう、再生可能エネルギーの創出に向けた機運の醸成や取り組み環境を図っていくことが大変重要であると認識しております。
滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プランに基づき、人材育成やエネルギーにかかわる産業振興をはじめとする施策の推進を図り、成果を着実に積み上げてまいります。
また、産業用の節電、省エネに対する支援については、現在、中小企業者を対象に省エネ診断や省エネ設備整備に対して支援をしているところですが、中小企業者の計画的な省エネや事業活動の効率化を図る観点から、引き続き、節電、省エネ施策の推進に努めてまいります。
次に、5点目の信楽高原鐵道の復旧支援に向けた甲賀市の要望に対する県の考え方であります。
信楽高原鐵道は、地域住民の生活の足として、また県民の通勤や通学手段として必要不可欠でございます。また、本県の観光地を代表する信楽焼の里を支える重要な交通機関でもあり、なくすことのできない路線と認識しております。
議員御指摘のとおり、鉄道施設を保有する甲賀市にとっては、復旧のために多額の経費と労力が必要となり、甲賀市長や甲賀市議会からも復旧に向けた支援要望をいただいております。
また、地域の皆様も運行の再開を願い、駅周辺の清掃活動を続け、さらに署名活動に取り組まれ、在校生の多くが利用者である県立信楽高校の生徒さんも、存続に向け自分たちにも協力できることはないかと、署名や募金活動に取り組んでおられます。こうした復旧を待ち望む皆さんのためにも、県として、存続に向けた積極的な応援、支援が必要と認識しております。
先月28日には、今回の災害復旧事業が鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助金制度の適用対象になることを国土交通省に確認をいたしました。国に対して御要望、御支援をいただきました皆様に、改めて感謝を申し上げます。
この補助制度は、国が4分の1、地方公共団体が4分の1、鉄道事業者である甲賀市が2分の1を負担するスキームであり、現在、甲賀市が実施中の橋梁調査により算出される概算工事費をもとに、県は、地方公共団体分について一定の支援を検討してまいりたいと考えております。
また、今後も、国の補助事業に係る連携調整やJR西日本に対する技術的支援の継続要請、甲賀市や信楽高原鐵道株式会社に対する助言などの支援も引き続き行ってまいりたいと考えております。
次に、6点目の第2期滋賀県教育振興基本計画の具体化に向けた教育予算の充実についてでございます。
教育振興基本計画原案の中に、まず学力向上については、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、子供たちの言語活動の充実を図ることや、みずから課題を見つけ、探求し、解決するといった学習の充実を図ること、また、小学校からの系統的な英語教育を進めることや、先進的な理数教育の充実を図ることを示しております。
次に、キャリア教育については、社会的、職業的自立に向けて、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスの視点も意識しながら、小中高等学校を通じた体系的、系統的なキャリア教育の充実を図ること、また、社会人、職業人に必要とされる基礎的な能力の向上を図るなど、キャリア形成を支援すること。さらに、勤労観、職業観等の必要な価値観を育成するため、体験等を重視した活動を推進することを示しております。
これらを実効あるものとするため、第2期滋賀県教育振興基本計画原案には、財政上の措置や体制づくりの必要性について明記をしたところでありまして、学力向上やキャリア教育の充実に向けて、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、大きな2点目の2025年の超高齢社会についての大きく7問の質問にお答えさせていただきます。
細問がたくさんございますので、大きな問題と細問と、それぞれにお答えさせていただきます。
まず、介護予防についての、その中での1点目の居場所づくりについてであります。
仕事やボランティア活動、趣味や稽古事を行っている高齢者の自立率は、活動していない高齢者に比べて高いと言われており、高齢者が身近な場所で人と人とのつながりを持つ、いわば社会参加は効果的な介護予防対策であります。
現在、各市町において、体操教室やサロン活動として居場所づくりが進められており、こうした活動の参加者からは、活動を通じて参加者同士のコミュニケーションが深まった、あるいは活動範囲が広がったとの前向きの声が聞かれております。
県では、昨年度から介護予防推進交付金を創設し、主体的に介護予防を実践する団体に助成を行っており、居場所づくりを促進をしております。
今後は、市町が中心となり、元気な高齢者が現役時代の能力を生かし、ボランティアとして活躍できる拠点づくりも求められております。そのため、県としては、市町においてボランティアの発掘、養成組織化や、生活支援、介護予防の立ち上げといった地域資源の開発の企画立案ができるよう、研修等を通じて支援を行うとともに、介護予防フォーラムなどを通じて、地域住民が互いに支え合い、交流できる居場所づくりを進めてまいります。
次に、2点目の壮年期からの介護予防でございます。
要介護状態になる原因は、老化による身体機能の低下と生活習慣病であり、これらを予防することが介護予防につながります。
老化による身体機能の低下の予防には、運動機能の向上、口腔機能向上、栄養改善、鬱閉じこもり予防の4つの取り組みが重要です。県では、市町や地域の団体が実施しているこれらの事業の評価や担い手づくりを支援しております。
一方、生活習慣病予防は、若いころから食事や運動等、よりよい生活習慣を定着させ、健康を増進することが重要です。壮年期から、これらに加え、生活習慣病の重症化予防が重要であります。生活習慣病を早期に発見し、治療が必要となった方が、確実に医療機関で治療できるシステムづくりも必要です。
今後は、加齢や生活習慣が原因で足腰の機能が衰えるロコモティブシンドロームを予防するため、県民への啓発や予防プログラムなどの普及にも努めてまいるとともに、健康に無関心な方も健康づくりに取り組めるよう、健康情報の発信や健康づくりに取り組む団体活動の紹介等、その「見える化」に努めてまいります。
次に、大きな2点目のがん対策の中の1点目の肺がん検診の未実施の主な原因と課題解決に向けた取り組みでございます。
肺がん検診を実施する市町の数は、平成22年度の3市から今年度は16市町と広がってまいりました。
検診の課題は、X線写真を判定する読影医の不足や、検診の質を高めるための精度を管理する体制の整備にあります。そこで、医師に対しては、平成22年度から読影医をふやすため、毎年、読影講習会と症例検討会を開催しております。精度管理については、がん検診検討会を開催し、検診機関や市町を支援しております。
今後も、精度の高い検診が広がるよう支援を進めてまいります。
次に、2点目のがんの専門的な医師や認定看護師などの実態と取り組みであります。
専門的医師の一つがん治療認定医は、県内で平成19年度末の36人から、25年4月には138人にと大幅に増加いたしました。しかし、放射線治療や病理診断などの分野では、常勤医が不足の圏域があり、専門的な医師の配置は十分とは言えません。
そこで、病理診断医の不足に対しては、平成24年度から県立成人病センターを中心に、全県型遠隔病理診断事業を開始し、病理診断医がいない病院の検体を遠隔で診断し、支援をしております。これは全国に先駆けた画期的な成果でございます。
認定看護師については、緩和ケア、がん科学療法看護など、がんに関係する5分野で合計47人が登録されております。その取り組みについては、増加を図るため、平成22年度から、がん認定看護師育成補助事業を実施し、24年度までの3年間で13人を養成いたしました。
今後、専門的な看護師の安定的な確保、養成のため、がん診療連携拠点病院、がん診療連携支援病院における専門的な看護師の増加のため、支援を継続してまいります。
次に、大きな3点目の認知症対策の中で、まず、1点目の体制整備と早期発見、早期治療でございます。
認知症を早期発見し、治療へと結びつけていくには、まず入口の部分として、高齢者が日ごろ受診されるかかりつけ医の認知症対応力の向上が必要です。このため、県では、平成18年度に滋賀県医師会と協働で認知症相談医制度を創設し、認知症を早期の段階で発見し、専門医療機関に受診誘導できるよう、養成研修を実施しております。平成25年7月現在、300人の医師を認知症相談医として認定しております。
次に、相談医に対する専門的なサポートができる体制づくりですが、国の養成機関へ派遣して、診断等に関する相談・アドバイザー役となる認知症サポート医を養成しており、現在、44人が認定されております。
さらに、相談医等からの受診誘導を受けて専門医療機関が必要であり、現在、県内41病院において、認知症の診断、治療を行っております。このほか、病院や診療所における看護師等の認知症対応力向上も重要であり、現在、11名の認知症認定看護師が、病院等で水準の高い認知症看護を実施しております。
今後も引き続き、病院医療従事者や診療所の看護師に対する認知症研修を実施し、体制の強化を図ってまいります。
次に、認知症対策の2点目の地域で支える対策でございます。
認知症の人とその家族を地域で支えるため、地域住民の認知症に対する理解促進と、本人、家族への相談・支援体制を充実することが大きな課題でございます。
認知症について正しく理解し、見守り支援をする認知症サポーターは、県内でも平成17年度から養成しており、この1年間で約1万8,000人増加し、平成25年9月末で約9万8,000人となっており、全国的にも先駆的な取り組みとなっております。引き続き、認知症サポーターの増加を図るため、養成講座の実施を支援してまいります。
また、東近江市では、複数の自治会が集まって、認知症徘回高齢者の早期発見、保護訓練を実施しております。こうした地域での見守り取り組みがふえるよう、市町の情報交換の場を設けるなど、働きかけてまいります。
また、本人、家族への支援については、相談窓口として、もの忘れサポートセンター・しがを設置し、介護相談等に応じているほか、地域で認知症高齢者とかかわることの多い通所・訪問介護職員に対して、認知症疾患の理解や利用者本意のケアに関する研修を実施しております。
認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指し、今後も滋賀県として取り組みを進めてまいります。
次に、大きな4点目の高齢者の権利擁護についての、1点目の介護している男性同士の話せる場が必要との御質問に対するお答えでございます。
認知症の人と家族の会滋賀県支部では、平成21年度から取り組みを進め、平成25年度からは、男のつどい中北の家として、既に野洲市内で毎月1回開催をしております。現在、県内一円から毎回十数人の方が集まり、介護経験を語り、交流していると伺っております。このほか、大津市でも国の補助制度を活用し、男性介護者の集いを実施しております。
男性にとって、特に生活経験の少ない中で突然家族介護に直面する男性にとって大変大きな課題であることを認識し、県としては、男性介護者を含む、認知症の人やその家族が気軽にいつでも相談できる窓口として、もの忘れサポートセンター・しがの設置や、公益社団法人認知症の人と家族の会滋賀県支部が実施する電話、面接相談等に対する支援を行っております。
今後も相談窓口の充実を図り、介護をしている男性同士の話せる場が身近な場所で開催されるよう、市町に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、2点目の地域包括支援センターの相談センターとしての役割と虐待防止対策でございます。
地域包括支援センターは、地域の高齢者に関するさまざまな相談を受けとめる総合相談窓口であるとともに、高齢者本人や介護者を訪問し、個別に支援をしていく重要な役割を担っております。
このため、虐待防止対策の一環として、地域包括支援センター職員や高齢者と日々かかわる現場の市町職員等に対し、初心者向け、中堅職員向けの具体的な虐待対応研修のほか、虐待対応の初動期に重要な役割を担う市町管理職向けの研修を実施しております。
このほか、高齢者の尊厳を保つための虐待防止対策として、訪問介護員に対する人権研修や県民向けの高齢者虐待防止セミナーを行っており、今後も関係機関や団体と意見交換を行い、連携を図りながら、総合的な高齢者虐待防止対策の推進を図ってまいります。
次に、3点目の任意後見制度の活用など、成年後見制度についてであります。
成年後見制度のうち任意後見制度は、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、誰にどのような支援をしてもらうかを、あらかじめ契約によりみずからが決めておくものであり、自己決定権の尊重に適した制度と考えております。
滋賀県下での任意後見契約の登記件数については、平成23年度44件、24年度74件と増加傾向にあります。
一方で、全国的には任意後見制度を悪用した財産侵害等の被害も発生しており、その制度の内容やメリット、デメリットについて十分理解を深めた上で、本人が納得して利用することが重要です。
任意後見を含む成年後見制度については、県では高齢者成年後見支援センターを設置し、NPO法人あさがおにその運営を委託して、専門相談、技術的助言、普及啓発等を行っており、今後もこれらの活動を通じて、県民への啓発や市町等への支援を行ってまいります。
次に、大きな5点目の医療を支える人材確保について、まず、そのうちの1点目の多職種連携によるチーム医療の重要性についてです。
多種多様な専門の職種が互いに連携、補完し合うチーム医療は、患者の状況に応じて的確な医療サービスを提供するものであり、医療体制の基本となりつつあります。一方、国では、2012年度の診療報酬改定でチーム医療を促す取り組みが評価されており、こうした体制は時代の趨勢でもあります。
今後、病院の機能分化と重点化が進む中で、病院役割の明確化や、患者が必要とするサポートを踏まえながらチーム医療を推進することは、より一層重要性を増していくと認識をしております。
次に、大きな5問目の2点目、理学療法士、作業療法士の人材確保に向けた県の対応でございます。
本県における理学療法士、作業療法士は、その多くが病院などの医療施設において業務に従事しており、地域の施設で従事することが少ない状況にあります。
このため、県では今年度、有識者による検討会を設置し、地域リハビリテーションの中核を担うことのできる理学療法士や作業療法士の養成のあり方などについて議論いただいております。こうした検討会の結果を踏まえ、今後は、誰もが自立した生活を目指す地域リハビリテーションの分野において、保健、医療、福祉など複合的な知識を持ち、多職種連携の中核を担える理学療法士や作業療法士を育成し、確保してまいります。
次に、大きな6問目の滋賀県地域医療再生計画の達成状況と成果についてであります。
平成23年に作成した地域医療再生計画では、3本柱で取り組みを進めてまいりました。1点目は、高齢者急増に対応した医療提供体制の構築、2点目は、災害・周産期等医療提供体制の充実、および3点目が地域医療を守る人材育成でございます。
まず、1点目の高齢者急増に対応した医療提供体制の構築については、がん対策として、診療所、病院等における機器整備や人材育成、また、先ほど御紹介いたしました遠隔病理診断システムの構築により、検診や診断、治療体制の充実が図られました。
また、救命救急センターの機能充実や回復期病棟の整備など、各圏域に必要な医療機能を強化することにより、病状に応じた適切な医療が提供できる体制の充実が図れたものと考えております。
2点目の災害・周産期等医療提供体制の充実については、原子力災害に対応するため、災害拠点病院や保健所等に放射線測定機器と除染の機器の整備を行うなど、県民の安全安心の確保に取り組むとともに、周産期母子医療センターにおけるNICUの設備整備により、周産期医療の充実が図られました。
また、3点目の地域医療を守る人材育成としては、地域において多職種連携によるチーム医療が実践できる質の高い人材育成や幅広い診療ができる家庭医の養成など、病院完結型から地域完結型医療の実現に向け、国に先駆けて取り組んでまいりました。
地域医療再生計画は、本年度末に一つの区切りを迎えますが、引き続き、今年度新たに作成した地域医療再生計画を着実に推進するなど、県全体の医療提供体制の充実が図れるよう取り組んでまいります。
次に、7点目の病・病・診をはじめとする医療連携をどう推進しているのかとの御質問でございます。
議員御指摘のように、在宅医療の充実のためには、団塊の世代が75歳になる2025年に向けて、患者のさまざまな生活場面において、医師、訪問看護師、薬剤師などの多職種が、お互い顔の見える関係をつくりながら連携できる体制整備が必要です。そのため、退院時においては、病院や診療所などの関係機関が患者の情報を共有するためのツールである地域連携クリティカルパスの活用促進を図ってまいります。
また、日常の療養においては、ICTを活用した医療情報連携ネットワークを整備し、病・病・診で患者の診療情報などの共有化を進めるとともに、在宅療養を支える多職種が連携する仕組みをつくってまいります。
さらに、本人が望む場所でのみとりが可能な体制を整備するため、既に市販されているエンディングノートの活用など、意識啓発に主体的に取り組んでいる医療福祉・在宅看取りの地域創造会議への支援などを通じて、在宅みとりにかかわる医療福祉の人材連携も図ってまいります。
県としては、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせるよう、切れ目のない人的、物的な医療連携のネットワークづくりに向けて取り組みを進めてまいります。
次に、大きな3つ目の滋賀県流域治水の推進に関する条例案について、4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の区域指定予定地域の住民の皆さんへの説明がどのように実施され、どのような意見が出てどう対応したか、いかなる問題点が浮上したかについてであります。
9月議会以降これまでに、対象となる37の自治会のうち32自治会の住民の皆さんに、延べ人数で約510人の方に対して説明を終え、残る5自治会についても、この12月8日までに説明を終える予定であります。
住民説明会では、条例の基本的な考え方に加え、主に河川整備と建築制限と罰則の2点について丁寧に説明させていただいております。
河川整備では、対象地域の地先の安全度マップによる水害リスクの状況と対比しながら、関連する河川改修と維持管理の実績や計画について、地域別に丁寧に説明させていただいております。
地先の安全度マップで明らかとなった水害リスクの高い地域に対しては、関連する河川の重点的な維持管理を含めた整備を進めることとし、新たに、具体的な河川改修や維持管理を内容とした河川整備5カ年計画を策定し、河川整備を一層充実させていくことについても説明させていただいております。
建築制限と罰則については、条例による建築制限により河川整備がなおざりにされるのではないかとの不安をお持ちの方が多いことから、まずはその誤解を解き、不安を解消することを主眼に置いた説明をさせていただいております。
1つは、区域指定に伴う建築制限は、河川整備等のハード対策の着実な実施に上乗せして、同時並行的に、ハード対策では対処し切れない異常豪雨の際にも命を守るためのソフト対策であり、いざというときに2階への垂直避難、あるいは近くの避難場所への水平避難が確実にできるようにするための方策であることを正しく認識していただくこと、そして、このような異常豪雨は、ことしの8月から気象庁で運用が始まった特別警報の例のように、気候変動の影響もあり、ますます発生頻度が高まるおそれがあることなど、説明させていただいております。
もう一つは、区域指定は、地域の合意形成のもとで策定される水害に強い地域づくり計画を前提としたものであり、条例制定により直ちに県が一方的に指定するものではないこと、罰則については、地域で決めたルールを破って勝手に危険な住宅開発をするなどの悪質な行為が行われる場合への備えであり、地域のルールが守られている限り、罰則が適用される事例は少ないことなど、説明させていただいております。
少し長くなりますが、説明会でいただいた主な意見を紹介いたします。
まず、河川整備については、9月の台風18号の被災直後でもあり、どの会場においても、河川改修のほか、河川のしゅんせつや樹木の伐採など、目に見える日常的な維持管理、堤防強化についての要望をたくさんいただきました。
条例案では河川の整備を基幹的な治水対策として位置づけており、要望にお応えできるよう、計画的かつ効率的に取り組んでいくことを説明させていただいております。
今回、台風18号で浸水被害を受けられた大戸川下流部の沿川地域の住民の皆様からは、ダム整備の促進に対する要望をお聞きしました。
大戸川ダムは現在、国でダム事業の検証中であり、まずは県が行う河川整備を実施し、着実に安全度の向上を図っていくことを説明いたしました。
琵琶湖周辺の干拓地にお住まいの皆様からは、内水排除ポンプの強化などについて御要望いただき、関係部局との調整をお願いいたしました。
建築制限と罰則については、地域により受けとめ方はさまざまでございました。台風18号で浸水被害を受けて、避難場所整備や住宅のかさ上げにすぐにでも取り組みたいので、早く支援制度を制定してほしいといった声をお聞きいたしました。
また、水害リスクを知らずに住宅を建ててしまった人からは、水害リスクを知った上で安全な住まい方を工夫したり、避難体制を整えるこの取り組みは大変望ましいという御意見もいただきました。
一方で、既に水害に対する認識が高く、従来より住宅のかさ上げなどの住まい方の工夫をされているところでは、今さら区域指定などによる建築制限は不要であるとの声もございました。
また、区域指定により地域のイメージが悪くなり、子や孫が帰ってこなくなるのが心配という御意見、自分の身は自分で守るから放っておいてほしいという御意見もいただきました。
建築制限に関連して、避難場所についても意見をいただきました。浸水被害を受けられた地域の中には、しっかりした避難体制が整っているところもあり、台風18号の際も自助、共助の仕組みがうまく機能し、事なきを得たというお話も伺いました。
一方で、避難勧告があったにもかかわらず逃げおくれ、かろうじて自宅の2階へ逃れて、難を免れたといったこともお聞かせいただきました。
地域で指定された避難所が浸水によって利用できない事態に陥ることが判明した集落もあります。改めて、地先の安全度マップによる水害リスクを地域で共有していただき、水害に強い地域づくり協議会において、予期しない豪雨の際にも本当に安全な避難場所の選定、整備を検討することが大事であることを確認していただきました。
条例の建築制限による一時的な避難場所と広域避難所とを混同されておられる場合もあり、条例による避難場所は、個人あるいは自治会単位で洪水氾濫による浸水に巻き込まれないように一時的に避難するための施設であり、広域避難所とは性質の異なる施設であることなども説明させていただきました。
説明会を通じて、問題点として特に浮上したことについてですが、建築制限により確実な避難空間の確保によりまして、水害から命を守るという新しい取り組みが、従来の河川整備等のハード対策の代替案と勘違いされる方が多かったということが一番の問題点であると考えております。
先月、NHKで放映されたフィリピンを襲ったようなスーパー台風の特集で、中央防災会議の副座長である関西大学の河田教授は、大規模水害対策に関する専門調査会の中で、「もうハードは間に合わない。住民一人一人が情報でしか命を救えない時代が来ていると覚悟しないと、命を失うことにつながる」とコメントされておりました。いざというときにいかに確実に避難するかが、災害から命を守る鍵でもあります。区域指定に当たっては、改めてこのことを丁寧に説明し、関係する住民の皆さんの理解が得られるよう努めてまいります。
住民説明は5自治会の説明が残っておりますが、県としては、今回の説明会を通していただいた多くの現場の生の声を真摯に受けとめ、今後、それぞれの地域特性に応じた流域治水政策を推進していく中で、いただいた声を生かしてまいりたいと考えております。
次に、2点目の河川整備に当たっての優先度でございます。
本県の河川整備の基本としている中長期整備実施河川の検討結果や、河川法による河川整備計画はおおむね20年間の計画であることから、これらの計画のうち、平成26年度から平成30年度の5年間で実施する予定の具体的な河川整備を抽出し、新たに土木事務所ごとに河川整備5カ年計画として策定することとしております。
5カ年計画に盛り込む河川整備の内容や区間については、地先の安全度マップによる水害リスク、台風18号による被災状況、地域からの要望や合意の状況などを踏まえ、優先度を判断してまいります。
また、今回の台風18号で被災した施設については最優先で復旧することとしており、年内に国の災害査定を受け、年明けから速やかに復旧工事に着手し、大規模な工事を除いて、ほとんどの工事は来年度末の完了を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
議長、ここでお願いでございますけれども、答弁中は議長のほうで議場についての整理をお願いできますでしょうか。議長からお願いできますか。
○議長(宇賀武) 発言中は私語を慎むようにしてください。
以上。
◎知事(嘉田由紀子) (登壇)それでは、次に、3点目の今後のさらなる河川情報の収集と伝達体制の拡充でございます。
議員御指摘のとおり、水害時の自助、共助や水防活動が十分に行われるよう、河川情報の提供と伝達は極めて重要なものと認識しております。
現在、県では、県内に100カ所の雨量観測局、80カ所の水位観測局を設置しており、これらの観測データをもとに、洪水予報や水防警報等、水防法に基づく防災上重要な情報を発表することとしております。
この観測データや発表情報をわかりやすく伝えるために、滋賀県土木
防災情報システムにより、広く県民に情報提供しております。また、NHKデータ放送においても、県内各地の雨量や主要河川の水位状況をごらんいただくことができます。より確実、より正確に防災情報を提供できるよう、さらにシステムの増強、拡充に努めてまいります。
その具体的取り組みとして、1点目は、主要河川においてリアルタイムに河川の状況を見られるよう、河川防災カメラの設置を推進しております。今年度末までに日野川ほか6河川に設置し、平成29年度までに16河川で整備を予定しております。
2点目は、土木
防災情報システムの配信能力の増強でございます。台風18号時にアクセスが集中して一時的にアクセスしづらい状況になったことから、これを今年度末までに現在の5倍以上の配信能力を確保するよう改修いたします。
3点目は、ことし8月から運用が開始された特別警報を土木
防災情報システムにてごらんいただけるよう改修を実施し、一層の充実を図ってまいります。
4点目は、現在設計段階である滋賀県
危機管理センターのシステムにも、雨量、河川水位等の河川情報や土砂災害情報を取り込み、災害対策本部で有効に活用できるよう、防災力の一層の向上に努めてまいります。
次に、4点目の条例制定に向けての知事の決意でございます。
9月議会の審議で明らかになりましたように、住民や地元への説明が不十分であること、住民への罰則規定が問題であること、具体的な河川整備計画をつくることの3点の課題については、1点目、2点目の質問で詳しくお答えしたとおりの状況であり、一定の方向が見えてきたものと認識をしております。
一方、平成23年7月の新潟・福島豪雨や9月の紀伊半島を襲った台風12号豪雨、平成24年7月の九州北部豪雨、また、今回の滋賀県を襲った台風18号豪雨も、本県の河川整備目標を上回る降雨量を観測し、今後も温暖化の進行により、施設整備だけでは対処し切れないような異常豪雨が頻発するおそれがあると言われております。
このような異常豪雨によっても、人命にかかわるような壊滅的被害を回避するためには、「ながす」対策に加えて、「ためる」「とどめる」「そなえる」対策を同時に、多重に実施することが重要であります。
9月議会でも紹介させていただきましたが、日本を代表する治水政策の大家である高橋裕先生は、治水の要諦として、「我が国のような土地や水文条件、人口と産業配置の現状では、全ての河川の全流域の氾濫浸水を完全にとめることは到底できない。治水事業の価値は、未曽有と言われる大出水時にいかに流域住民の生命、財産を保護したか否かによって判断される」と述べられております。
「ながす」対策を基幹的対策とし、「ためる」「とどめる」「そなえる」対策をあわせて行う流域治水こそ、この高橋先生の言われる要諦を実現するための確かな方策であると確信をしております。水害から県民の皆さんの命を守るため、一日も早く流域治水条例のもとで県内各地域の特性に応じた流域治水政策を推進し、安全な地域づくりに知事としての責任を果たしてまいりたいと考えております。
次に、大きな4問目の滋賀のスポーツ振興についての6点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の2020年東京オリンピック開催に係る本県の取り組みでございます。
東京オリンピックの開催を機に、訪日客の大きな増加が見込まれます。本県においても外国人観光客誘致に向けた絶好の機会と考えられますことから、これを見据えた戦略的な取り組みが必要であり、現在策定を進めております滋賀県「観光交流」振興指針においても、取り組むべき課題として位置づけるよう指示をしたところでございます。
関西や中部における連携の枠組みも生かしながら、観光事業者をはじめ、関係者等が一体となって、豊かな自然環境、奥深い近江の歴史、地域に根差した生活文化など、滋賀ならではの豊富な観光資源の魅力を多言語でより一層発信するなど、東京オリンピック開催という好機を最大限生かせるよう取り組みを始めたいと考えております。
また、各国オリンピック選手団の事前の練習会場を本県に誘致することは、広く県民がトップアスリートの高いパフォーマンスを間近に目にすることとなり、本県のスポーツ振興や国体開催に向けた機運の醸成にもつながることと期待されます。その効果や課題を整理し、ぜひとも誘致できるよう検討を進めてまいります。
あわせて、11月8日に開催された政府主催全国知事会での下村文部科学大臣の発言の中に、オリンピックの機会に文化芸術の国際的イベントについても考えていきたいという発言がございました。これを受けまして、本県においても、現在展開している「美の滋賀」の取り組みを発展させるなど、滋賀の文化を発信できるよう検討してまいりたいと考えております。
このようなことから、部局連携のスポーツと文化の10年に向けたワーキンググループを立ち上げ、時期を逸せず国等への働きかけを行うなど、取り組みを展開してまいりたいと考えております。
次に、2点目のワールドマスターズのかつての招致活動の総括と本県の基本姿勢についてであります。
2009年大会の招致活動は、健康で豊かな人生をみずから構築するというマスターズスポーツの理念に基づき、健康長寿社会の実現を目指して取り組んだものと理解をしております。
招致活動の結果は、オリンピックの開催実績を持つシドニーが選定されましたが、本県の目指した理念や志は国内外に発信され、世界の大都市と最後まで互角に競い合ったことは大きな自信につながったものと、平成16年の県議会の答弁の中で総括されております。
今回は、関西を中心とする広域開催となり、質の高いスポーツ施設や魅力ある歴史文化、観光資源を数多く擁する地域であることから、円滑に招致が進んだものと理解をしております。
マスターズの種目を招致するには、既存施設の活用が原則であることから、本県で開催できる競技は限られております。関西での開催は、中高年の方々が長くスポーツに親しむ契機となり、意義があるものと考えます。県議会をはじめ、市町や経済団体、競技団体などの意見を伺いながら、費用対効果を十分に見きわめ、県として今後の対応を判断してまいります。
次に、3点目に、ワールドマスターズの大会開催が本県生涯スポーツの振興に与える効果についてでございます。
ワールドマスターズゲームズをきっかけに、中高年の参加選手の競技に取り組む姿を間近に見ることで、みずからスポーツに取り組む人がふえるなど、生涯スポーツに対する関心や意欲が高まるものと考え、また、健康寿命の増大にも貢献するものと期待がされます。
また、今後、大会を見据えて各府県市で取り組まれる予定の関西版マスターズを通じて、地域でスポーツに親しむ人の増加や中高年の健康づくりにつながるものと考えられます。
さらに、県民が大会の役員や運営、ボランティアとして参画する機会にもなり、そのワールドマスターズの3年後、2024年の国体の際にもかかわってもらえることが期待できます。
このように、みずからスポーツに取り組んだり親しんでもらうことで、生涯スポーツの振興に大きな効果があるものと期待をしております。
4点目の御質問ですが、ワールドマスターズにおいて、本県として引き受ける競技種目と経費負担、経済効果についてでございます。
どのような競技がどこで開催されるかについては、準備委員会等の議論を経て、今後調整していくと伺っております。今の段階では明確にお答えすることはできませんが、本県で引き受けるとするならば、滋賀の特性を生かした競技などが想定されます。
経費負担については、全体の事業規模が28億円程度と見込まれる中で、7億円程度が開催府県市の負担とされております。その負担割合は、開催する競技の規模等に応じて開催地が負担することを基本に、今後、準備委員会において具体的なルールが検討される予定であります。
経済効果については、国内外からの参加選手やその家族等の滞在による宿泊収入や、大会後の旅行による観光収入等が見込まれます。また、大会開催は、滋賀の魅力の発信や、近江牛、近江米など本県特産品を広く国内外にPRする機会ともなり、その後の誘客につながるとも期待されます。
今後、準備委員会の中で競技種目や経費負担、経済効果などが議論されることから、その都度、県議会をはじめ、市町や経済団体、競技団体などの意見を伺いながら、県として対応を判断してまいりたいと考えております。
次に、5点目の国体開催に向けた競技力向上への意気込みについてであります。
子供たちのスポーツ環境の充実および競技力の向上に当たっては、子供たちがスポーツに触れる機会をふやし、裾野を広げる中で才能ある子を見出し、個々の子供の特性や発達段階を踏まえた一貫した理念に基づく指導がなされることが重要であります。
また、指導者については、選手や子供たちに適切な指導を行うとともに、スポーツの持つ楽しさや魅力等を伝えるという重要な役割を担っているため、その確保や資質向上を図る必要があります。これらを積極的に行うためにも、今後策定する競技力向上のための基本計画の中に実効性の高い方策を具体的に盛り込み、確実に実施していく必要があります。
「滋賀の子が、滋賀で育ち、滋賀で活躍する国体」という目標のもと、現在の子供や若者の滋賀国体での活躍につながる競技力向上を目指してまいります。
次に、6点目の主会場選定のあり方と決定時期でございます。
選定に当たっては、交通手段の確保や開会式等で必要となる仮設施設の設置スペースの確保、さらには防災等多目的に使用できる施設として、大会後も有効に活用できることなどが重要な要素になると認識しております。現在、開催準備委員会に設けた主会場選定専門委員会において、候補地ごとの現状分析や課題の整理を行っていただいております。
今後、候補地ごとの配置計画や概算整備費等も踏まえながら、防災の観点も踏まえ比較検討を行っていただき、一定の方向性をお示しいただきます。こうした主会場選定専門委員会の議論を踏まえながら、今年度末をめどに、県としての判断を行ってまいります。
次に、大きく第5問目の滋賀の農業政策と農畜水産物のブランド化についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の国の農政の大転換、とりわけ減反政策の廃止の方向を踏まえた所感と、県としての農業政策についてであります。
議員御指摘のとおり、国において米の生産調整の見直しについて議論がなされており、5年後をめどに、国からの生産数量目標の配分に頼らずとも、国の需給見通し等を踏まえ、生産者や集荷業者等が中心となって、円滑に需要に応じた生産が行える状況にしていくこととされております。
水田農業を中心とする本県農業にとっては、この見直しにより、本県で独自に生み出してきた集団転作の仕組みが崩れるおそれがあり、この場合、麦、大豆の生産基盤が弱体化し、担い手の経営の悪化や集落コミュニティー機能の低下につながるのではないのかと懸念をしております。
私は、これまで先人たちによって営まれてきた農業生産と、豊かで美しい農村を次の世代に確実に引き継いでいかなければならないと強く考えております。このため、担い手への農地集積や経営体質の強化など、足腰の強い農業を確立するための産業政策を進めると同時に、農業農村の持つ景観保全や農村文化の伝承といった多面的機能が損なわれることのないよう、地域政策についても、車の両輪として推進してまいりたいと考えております。
あわせて、国の動向について情報収集に努め、本県への影響を見きわめるとともに、必要に応じて適切な施策を講じてまいりたいと考えております。
次に、2点目の新品種「みずかがみ」の評価についてであります。
まず、議員御指摘のとおり、本年は高温の影響により、コシヒカリなど本県の主力品種の1等米比率が低迷する中で、「みずかがみ」については90%と、当初の期待どおりの結果を得ることができました。
生産者と消費者の評価については、生産者からは、品質がよく、くず米も少ないなど、高い評価をいただいております。一方、消費者からも、御飯でつやつやで、もちもちしている、甘くておいしいなどの感想をいただいており、好評でございます。
次に、次年度以降の作付計画ですが、市場における存在感を早期に確保するため、加速的に拡大を図る必要があります。具体的には、平成26年度は1,000ヘクタール、27年度には2,000ヘクタールを目標としております。
また、今後どのように滋賀の農産物のブランドに育て上げていくかでございますが、26年産米から県外にも販路を拡大することとしており、関係団体と連携しながら、積極的なPRを展開してまいります。その際、食味のよさにあわせて、環境こだわり技術で栽培された安全安心なお米であることを特に強調していきたいと考えております。
次に、3点目の農畜水産物のブランド化についてであります。
滋賀を代表する農畜水産物である近江米や近江牛、近江の茶、湖魚のブランド化の現状については、近江米では、環境こだわり農産物を基本とし、「みずかがみ」など県育成品種の生産拡大。2点目、近江牛では、地域団体商標の登録や、特に高品質なものへの認定書の発行。3点目の近江の茶では、統一銘柄商品「琵琶湖かぶせ」、あるいは「極煎茶最澄」の開発。4点目の湖魚では、細心の冷凍技術を用いたビワマス、ホンモロコの高品質で安定的な供給。また、5点目として、日野菜をはじめとした伝統野菜などでも、生産者団体等が中心となった販路開拓や加工品の開発が進められております。
今後の取り組みについてですが、生産者団体の取り組みを積極的に支援するとともに、お財布を握っている消費者目線を生かしながら、「おいしが うれしが」などを通じて、より一層のブランド力向上を図るため、滋賀の食材として一体的な広報宣伝や、商談機会の提供などを行ってまいりたいと考えております。
最後に、6点目の防災対策についての御質問にお答えいたします。
まず、1項目の3点の御質問にお答えいたします。
1点目の天井川などの決壊により甚大な被害が想定される河川改修とその対策でございます。
台風18号号豪雨による金勝川、鴨川の決壊、安曇川、日野川での堤防の欠損を踏まえ、学識者による技術検討会により被災原因を検証し、今後の対策について検討してまいります。この検討結果を踏まえ、天井川など破堤により大きな被害が想定される河川について、重点的に改修事業に取り組んでまいります。
また、改修事業の着手までに一定の期間を要する中上流部においても、Tランク河川として、ドレーン工や遮水矢板工などの堤防強化対策を一層推進してまいります。
次に、2点目の急傾斜地の対策です。
今回の台風18号による豪雨で崖崩れが発生した地域や地盤が弱っていると考えられる人家周辺箇所については、関係市町と連携して現地状況を確認し、壊れた土のうの撤去や大型土のうによる土砂どめなどの応急対策は完了しました。今後は、急傾斜地崩壊対策事業による恒久対策の実施を推進してまいります。
これらのハード対策とあわせて、警戒避難体制の整備の基本となる土砂災害防止法に基づく警戒区域の指定について、現在、平成13年から13年たった現在においても、まだ71%の指定率にとどまっております。今回の被害状況を踏まえ、一日も早く100%の指定となりますよう、一層推進をしてまいります。
また、市町長が発令する避難勧告等が的確に行えるよう、土砂災害警戒情報の提供にもタイムリーに、確実に県として取り組んでまいります。
3点目の広域災害発生時の県外からの避難者の受け入れ対策であります。
被害が広域に広がる大規模な災害に対しては、広域的に連携した対応が重要です。関西広域連合では、大規模広域災害、例えば東南海・南海地震などの発生を想定し、関西防災・減災プランを策定し、数多くの避難者が発生した際には、各府県間の調整を行い、広域的な受け入れを進めることとしております。
本県といたしましても、県外からの避難者を一定期間受け入れられるよう、公営住宅や民間賃貸住宅等の利用についての備えを行うなど、市町や関西広域連合と連携しながら、広域避難の対策を行ってまいります。
また、国体主会場の選定に当たっても、広域防災拠点となるよう、その活用についてもあわせて考慮してまいりたいと考えております。
次に、原子力防災対策についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の訓練の成果を他地域にどう生かすかとの課題でございます。
原子力防災訓練は、長浜市、高島市等関係機関と連携して、防災対策の実施手順の確認と課題の抽出を主な目的として実施しております。訓練で判明した課題の改善を重ねることによって、地域防災計画の実効性を確保することができるものと考えております。
去る11月10日に実施した訓練では、昨年度、地域防災計画(原子力災害対策編)に盛り込んだ市の区域を超えての避難を取り込み、長浜市から東近江市へ、高島市から大津市へという形で、広域避難訓練を初めて実施いたしました。
訓練では、長浜市と高島市の住民をバスでそれぞれの避難先まで移送し、避難先自治体で避難住民の受け入れを行っていただきました。
広域避難は、東日本大震災以降クローズアップされた新しいテーマでありますが、一定規模の避難者を効率的に安全に移送するためのバスの運用方法や、避難先自治体との連絡調整、スクリーニングの実施、避難所の立ち上げなど、訓練を通じて改めて課題が多いことが認識されました。
今回の避難訓練を一つのモデルケースとして、今後、県内市町と広域避難に対する認識を共有しながら、一つ一つの課題を解決してまいります。
次に、2点目の県内の学校、保育園、幼稚園に簡易放射線測定器を設置し、計測データを公表することについてでございます。
原子力災害に対して、県民の安全と安心を確保していくためには、行政としての対策強化や体制の整備とあわせて、日ごろから県民の皆さん自身に、原子力や放射線に関する正しい知識と情報の提供を行っていくことが極めて重要であります。
このため、今年度、県では、長浜市および高島市と連携し、国の交付金を活用して、県版UPZ、すなわち原子力災害対策を重点的に実施すべき地域であるが、この圏内の小中学校、保育園および市役所の支所等に簡易放射線測定器40台を配備いたしました。
あわせて、長浜市北部振興局、高島市役所ほか計6カ所に、周辺の放射線量を測定し表示するデータパネルを設置するなど、一人でも多くの県民の皆さんが身近に放射線の測定値を知ることができる環境づくりを進めております。
御提案の学校職員が毎日計測し、データを公表していくことについては、長浜市や高島市および教育委員会と相談しながら、今回配備した簡易放射線測定器の活用のあり方について、前向きに検討を進めてまいります。
次に、不法投棄された放射線汚染チップの問題についての汚染状況、調査方法ガイドラインについてのはかり方についての御質問でございます。
県では、事前に今回、環境庁に確認をした上で、ガイドラインに基づき、木材チップの放射能濃度の測定を実施いたしました。
その後、京都のNPO法人による放射能調査結果が公表されたことから、住民の方々に不安が広がらないよう、再調査を行い、結果を11月26日に公表いたしました。再調査の際にも、事前に環境省へ確認を行っております。
放射能調査については、対象によりさまざまな調査手法が示されておりますが、この調査は、放射能を帯びた廃棄物による環境影響を把握するものであるため、廃棄物が置かれている状態で調査することが適切であり、あえて廃棄物を乾燥させて調査する必要はないものと考えております。
なお、1回目の放射能調査の際は、2日前に台風による降雨がありましたが、2回目の調査では、調査前の1週間、降雨はございませんでした。いずれの場合も、木材チップの水分率が60%から70%台であり、気象による影響はほとんどなかったものと考えております。
水分量を除去したときの放射能濃度についてですが、ここでの放射能濃度は、試料1キログラム当たりの放射性物質を調査するものであり、試料中の水分率を下げた場合、計算の上では濃度が高くなるのは当然でございます。先ほどお答えしたように、ありのままの状態で調査すべきものであり、水分率は県のほうでは参考値として併記をしております。
次に、汚染チップの除去の見通しについてでございます。
去る11月25日、高島市長からの要請書に回答させていただいたとおり、現在、撤去を申し出ている関係者と折衝中であり、地元の方々の切実な思いを踏まえて、年内に撤去するよう関係者に強く求めております。
早急に具体的な撤去計画をお示しできるよう折衝を進め、地域の皆さんの不安の払拭につながるよう、最善を尽くしてまいりたいと考えております。
以上、井阪議員への代表質問へのお答えとさせていただきます。答弁が長くなりまして、申しわけございませんでした。
○議長(宇賀武) 以上で、会派代表による質疑ならびに質問は終わりました。
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△休会の議決
○議長(宇賀武) お諮りをいたします。
明4日および5日は、議案調査のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
────────────────
○議長(宇賀武) 来る6日は、定刻より本会議を開き、上程議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時24分 散会
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