滋賀県議会 2012-02-27
平成24年 2月定例会(第1号〜第9号)−02月27日-04号
平成24年 2月定例会(第1号〜第9号)−02月27日-04号平成24年 2月定例会(第1号〜第9号)
平成24年2月
滋賀県議会定例会会議録(第4号)
平成24年2月27日(月曜日)
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議事日程 第4号
平成24年2月27日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第71号まで(平成24年度滋賀県一般会計予算ほか70件)(質疑、質問)
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(47名)
1番 佐 藤 健 司 君 2番 目 片 信 悟 君
3番 有 村 國 俊 君 4番 青 木 甚 浩 君
5番 大 野 和 三 郎 君 6番 岩 佐 弘 明 君
7番 山 本 進 一 君 8番 富 田 博 明 君
9番 山 本 正 君 10番 大 橋 通 伸 君
11番 駒 井 千 代 さん 12番 冨 波 義 明 君
13番 井 阪 尚 司 君 14番 清 水 鉄 次 君
15番 成 田 政 隆 君 16番 九 里 学 君
17番 柴 田 智 恵 美 さん 18番 江 畑 弥 八 郎 君
19番 今 江 政 彦 君 20番 木 沢 成 人 君
21番 粉 川 清 美 さん 22番 宇 野 太 佳 司 君
23番 細 江 正 人 君 24番 高 木 健 三 君
25番 川 島 隆 二 君 26番 小 寺 裕 雄 君
27番 奥 村 芳 正 君 28番 生 田 邦 夫 君
29番 野 田 藤 雄 君 30番 西 村 久 子 さん
31番 石 田 祐 介 君 32番 宇 賀 武 君
33番 山 田 和 廣 君 34番 佐 野 高 典 君
35番 赤 堀 義 次 君 36番 家 森 茂 樹 君
37番 吉 田 清 一 君 38番 辻 村 克 君
39番 三 浦 治 雄 君 40番 蔦 田 恵 子 さん
41番 梅 村 正 君 43番 山 田 実 君
44番 西 川 勝 彦 君 45番 大 井 豊 君
46番 谷 康 彦 君 47番 中 沢 啓 子 さん
48番 沢 田 享 子 さん
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 嘉 田 由 紀 子 さん
教育委員会委員長代理 西 田 淑 美 さん
選挙管理委員会委員長代理 三 宅 忠 義 君
人事委員会委員長代理 田 中 雅 代 さん
公安委員会委員長 宮 川 孝 昭 君
代表監査委員 谷 口 日 出 夫 君
副知事 荒 川 敦 君
知事公室長 北 川 正 雄 君
総合政策部長 西 嶋 栄 治 君
総務部長 漣 藤 寿 君
琵琶湖環境部長 正 木 仙 治 郎 君
健康福祉部長 渡 邉 光 春 君
商工観光労働部長 堺 井 拡 君
農政水産部長 福 井 正 明 君
土木交通部長 竹 中 喜 彦 君
会計管理者 吉 田 正 子 さん
企業庁長 和 田 慶 三 君
病院事業庁長 村 木 安 雄 君
教育長 末 松 史 彦 君
警察本部長 福 本 茂 伸 君
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議場に出席した事務局職員
事務局長 加 藤 誠 一
議事調査課長 丸 尾 勉
議事調査課課長補佐 澤 村 治 男
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午前10時 開議
○議長(家森茂樹君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(家森茂樹君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
教育委員会委員長高橋政之君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員西田淑美さんが、また、
選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員三宅忠義君が、また、
人事委員会委員長市木重夫君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員田中雅代さんが、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(家森茂樹君) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第71号まで(平成24年度滋賀県一般会計予算ほか70件)(質疑、質問)
○議長(家森茂樹君) 日程第1、議第1号から議第71号までの各議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、18番江畑弥八郎君の発言を許します。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇、拍手)おはようございます。民主党・
県民ネットワークの江畑でございます。朝一でございますので、さわやかに務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、滋賀県の農政関係について3点、質問させていただきます。
まずは、
地域農業マスタープランについてお伺いをいたします。
民主党政権は、これまで
戸別所得補償制度の導入、食の安全、安心の確保、農山漁村の6次産業化を3本柱として、食料・農業・農村基本計画、これは平成22年3月30日閣議決定でありますが、それに基づき諸施策を推進をしてまいりました。
しかしながら、依然として所得の減少、担い手不足の深刻化、高齢化の進展、農山漁村の活力の低下等に歯どめがかからず、日本の農業の将来展望はいまだ見えない状況であります。TPPの是非にかかわらず、まさに食と農林漁業の再生は待ったなしの課題となっております。
このような中、食と農林漁業の再生を早急に図るため、政府全体として、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針、行動計画、平成23年10月25日本部決定、のまとめられたところであります。
農林水産省は今後、本取り組み方針をもとに地域との意見交換等を行いつつ、施策を着実に実施をし、食料自給率の向上を初めとする食料・農業・
農村基本計画等に定める目標の達成を目指していくものと思われます。
そこで、以下、
農政水産部長にお伺いをいたします。
まずは、滋賀県の農業の現況についてお伺いをいたします。
次に、農業再生、農業改革の柱である人・農地プラン、いわゆる
地域農業マスタープランについて、その概要と目的についてお伺いをいたします。
次に、先般、彦根市薩摩町の
農業経営法人フクハラファームでお話を聞く機会がありました。御承知のとおり、
フクハラファームの福原昭一代表は、滋賀県農業法人協会の会長もされており、ITなども駆使をし、極めて意欲的に農業経営を進めておられる方であります。特に若者の雇用の拡大や海外への販路の開拓など、精力的に活動を展開をされておられます。その福原代表ですら、農業の将来展望が見えない中で後継者づくりや先行投資は厳しいと言われております。まさに多くの土地利用型の大
規模農業経営者の実態ではないかと考えます。この人・農地プラン、いわゆる
地域農業マスタープランがいかに実効性のあるものになるかにかかっていると考えます。
地域農業マスタープランを推進する上で滋賀県の役割、使命をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
また、農地の集積など、一筋縄ではいかない課題にどういう効果が期待をされるのか、あわせてお伺いをいたします。
この項の最後に、この計画の策定は今後一、二年を目安として進められますが、全国各地の農村集落で話し合いが行われることになりますが、農業改革が待ったなしまで追い込まれた状態の中で、即効性のある政策も必要であると考えます。
例えば、JAが保有をする農舎や設備を安価で活用することはできないのかどうか。これからの農業は間違いなく兼業から専業へと移行いたします。したがって、当然、JA保有の農舎や設備の稼働率は減少の方向であります。このままだと宝の持ちぐされになります。このJAの余力の設備を活用することは極めて有効な手段だと考えますが、滋賀県が仲立ちとなって安価で活用する方向での調整はできないものかどうか、お伺いをいたします。
いずれにしても、農業再生は課題山積であります。国、県、市町、JA、地域、農業者の連携がかぎとなることは言うまでもありません。そのためにも、人・農地プラン、いわゆる
地域農業マスタープランを着実に推進していかなければなりません。
知事の農業再生に向けた決意を最後にお伺いして、次の質問に移ります。
次に、滋賀県
畜産技術振興センターについてお伺いをいたします。
先日、滋賀県
畜産技術振興センターを訪問させていただき、滋賀県の畜産技術の発信基地として日夜を問わず努力をされている様子を調査をさせていただきました。まさに畜産技術のたゆまぬ研究と、同時に、県民の食の安心、安全はしっかりと守られていることを実感をいたしました。
また、新たな取り組みとして、知恵だし汗だしプロジェクトとして、人と家畜の心の触れ合いを通じて子供たちに命の大切さと感謝の気持ちの醸成や、家畜を通してのいやし、いわゆるセラピー効果の試み、牛や羊による除草や河川愛護運動など、人と家畜の新たな関係も模索をされておられました。
まずは、
畜産技術振興センターの現況とその役割について、
農政水産部長にお伺いをいたします。
次に、3・11東日本大震災後の日本社会にとって、いやしやきずなの大切さがクローズアップされております。人と家畜との新たな関係は、まさに時宜を得た取り組みだと評価をいたしているところであります。
3月2日にロードショーが予定をされている、
ハリウッド映画の巨匠、スティーブン・
スピルバーグ監督の「戦火の馬」、ぜひ観劇をしたいと考えておりますが、第一次世界大戦の激動のヨーロッパの中で少年と馬との物語であります。彼の名はジョーイ。生きることで心をつないだ奇跡の馬のストーリーであります。戦場でのきずなと希望を紡ぐジョーイ。まさに
アニマルセラピーの世界であります。スティーブン・
スピルバーグ監督も、今の日本にはこの映画は恐らく広く受け入れられるだろうということもコメントをされております。
そもそも
アニマルセラピーとは、動物と触れ合わせることで、その人に内在するストレスを軽減をさせたり、あるいは当人に自信を持たせたりといったことを通じて精神的な健康を回復させることができると考えられております。
また、不登校や引きこもりといった問題、あるいは、小児がんなどの治癒力強化を目指す技術の一つとして知られ、馬やイルカなど情緒水準が高度と言われる哺乳類との交流を通じて他者を信頼できるようになると言われております。ほかにも、認知症を初めとする高齢者医療や難病などの長期間の入院を余儀なくされた患者のいやしにも効果があると言われております。
情緒面での好作用によるクオリティー・オブ・ライフ──生活の質の改善といった期待も持たれております。人と人との間の潤滑油となり、間に動物がいると見知らぬ人でも無意識に警戒心を解いてしまいます。私は、この
アニマルセラピーの取り組みは産業振興としての役割に加え、滋賀県
畜産技術振興センターの新たな役割ではないかと考えております。
また、先日、福知山動物園での、高校生が猿山に花火を投げた事件がございました。高校生は後に深く反省をしたようでありますが、動物が動くおもちゃでおもしろかったと動機を言ったそうでございます。命の教育の大切さを思わずにおられない出来事でございました。
この項の最後に、今後の
アニマルセラピーの可能性と、命の大切さを肌で知る動物たちとの触れ合い教育について、知事の所見をお伺いをいたします。
次に、小水力発電についてお伺いをいたします。
いよいよ関西電力管内の原発は全停止しました。4月には全国で全停止すると聞いております。
東日本大震災や福島第一原発の事故は私たちに多くのメッセージと教訓を与えてくれました。特に、生活のあり方を含めた限りあるエネルギーをどうしていくのかが問われております。
そこで、滋賀ならではの
再生エネルギーの可能性についてお伺いをいたします。
日本は、古来から山紫水明の国として、身近に絶えることのない清流が多く流れている国であります。その流れを利用して、ダムのような大がかりで環境の変化をもたらすものではなく、あくまで自然と共存共栄できる発電技術が地方の田舎ではぐくまれつつあることに大きな感動を覚えるものであります。地域全体の電力をすべて賄うまでにはまだまだ時間はかかりますけれども、ただ、この小水力発電で電力を生み出そうとする空想力や努力が地域おこしの原動力となり、それが地域の人間活力の育成につながる可能性があることも注目すべきであります。
そこで、
農政水産部長にお伺いをいたします。
農業用水路を利用した小水力発電の現状と今後の可能性について、賦存量調査の結果も含めてお伺いをいたします。
次に、具体的課題についてお伺いいたします。
アクセス、送電線、電力会社の買い取り基準などのハードルも高いものがありますが、特に水利権の課題がチャレンジの入り口の課題ではないかと考えます。
河川の流水は公共のものであり、利用に当たっては農業用水、水道用水、工業用水、水力発電などの目的ごとに河川管理者の許可が必要になります。この許可を水利使用の許可と呼びます。水力発電は、河川から取水し、利用後は全水量が河川に戻ることが一般的でありますが、小水力発電のように流水を消費しない場合においても水利使用の許可は必要となっております。県下の小水力発電の可能性がある農業用水の慣行水利権のケースも少なくないと聞いております。米原市の企画も、慣行水利権がネックとなり、中断されたと仄聞をいたしております。
この水利権の抱える課題についての認識を
農政水産部長にお伺いをいたします。
いずれにしても、一部、提出書類の簡素化が実施をされておりますが、抜本的な国の法律の規制緩和が必要であります。
愛媛県西条市では、総合特区の指定を受けて、農業ダムを活用し、小水力発電を本格的に取り組むこととされています。
国際戦略総合特区と
地域活性化総合特区のうち、西条市は
地域活性化総合特区の指定を受けてのことであります。
提案ですけれども、滋賀県も現行制度の中での特区申請等は検討されてはどうか、お伺いをいたします。
最後に、知事に、この小水力発電の普及、促進に向けた決意をお伺いをして、この項の質問を終えます。
○議長(家森茂樹君) 18番江畑弥八郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
江畑議員の御質問、農政課題についての、まず最初に1点目の農業再生についての決意、6問目でございますが、お答えいたします。
水田農業が中心で兼業農家が大半を占める本県におきましては、これまでから全国に先駆けてコミュニティーの紐帯の強さを生かした集落営農の育成に取り組んでまいりました。特に水田を中心に、大規模な経営を行う認定農業者の確保などにも努めてまいりました。
この結果、集落営農数としては全国的にもトップクラスに位置づけられておりますが、一方、議員御指摘のように、高齢化に伴う農業従事者の減少、農産物価格の長期下落による所得の減少など、解決すべき課題は多いと認識をしております。そういう中で、議員御指摘のような、
フクハラファームのような個人の法人化の経営も今後の新しい方向であろうと期待をしております。
これからの地域の農業の課題解決のためには、まず、
地域農業マスタープランを策定をしまして、そこで地域の課題、あるいは今後の方向について問題意識を共有することが大切であると考えております。特に農業においてはそれぞれの地域ごとの特性が大変強くなっております。農協との協力なども含め、具体的に県としてどういう役割を果たすべきか、
農政水産部長のほうから具体のところはお話しさせていただきますけれども、いずれにしましても、滋賀県にとって農業のプラン、大変大事な政策でございます。知事としてもしっかり責任を果たしていきたいと考えております。
次に、2点目の
アニマルセラピーについての今後の可能性、特に命の大切さを肌で知る動物たちとの触れ合い教育についての所見でございます。
議員御指摘のとおり、動物には人の心をいやし、和ませる効果があります。国内外で、
子供たち情操教育、あるいは神経症の治療や症状の改善のために導入されていることは承知をしております。
今回、
畜産技術振興センターは、知恵だし汗かき、ゼロ予算事業の中で、
認知症対応型グループホームで一定期間、羊を放牧した事例がございました。高齢者の方が屋外で動物に触れ合うことでよい刺激となり、精神的に安定する、あるいは、いらいらが減少して熟睡できるようになったというような効果も伺っております。
また、
畜産技術振興センターに併設しておりますふれあい広場には年間1万人を超える家族連れの皆さんが来場されております。私も何度か行ったことがありますけど、子供たちが直接、羊やヤギなどに触れ合う、そのような場面は大変和やかで、また、命のにぎわい、その意味を学ぶ情操教育にもつながるものと期待をしております。
都市化、文明化、機械化が一層進む中にあっても、私たち人間は、内なる自然は昔のままでございます。その内なる自然をうまく活性化をするためには、外なる自然との触れ合いが必要だと、私自身、常々思っております。
そういう中で、外なる自然、大変大事な動物たちとの触れ合い、交流を通じて人間としての内なる自然を活性化しながら、今後も医療福祉現場、NPOなどからの要請に基づきまして、家畜の貸し出し、飼育管理の指導など、支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の小水力発電の普及、促進に向けた決意の中で、3問目の4点目でございます。
滋賀県では、実はかつて、江戸、明治、大正、昭和40年代まで、各地に水車がございました。この水車は、米つきだったり粉ひきだったり、あるいは、明治期には電線を伸ばす工業用の水車なども活躍をしておりました。そういう場面において、今改めて水力の持っている価値というのは、私たち、見直さなければいけないと考えております。特に、豊かな水に恵まれました本県では河川そのもの、あるいは農業水利施設などさまざまな場所で導入の可能性が考えられます。
ただ、一方で、議員御指摘のような水利権の問題、あるいは、遠隔地の場合には送電する送電線の設置経費などもございます。
来年度予定しております
再生可能エネルギー振興戦略プランの策定に当たりましては、小水力発電の特性あるいは課題を踏まえて、その導入促進策についても検討していきたいと考えております。
あわせて、農業水利施設を利用した小水力発電について、地域と共同して検討、調査を行うほか、小水力発電に取り組もうとしております県民、企業の皆さんに対して技術面でのアドバイス、あるいは開発経費の補助、あるいは、地域で導入される場合の補助など、その普及、促進を図ってまいりたいと考えております。
細部、具体的には
農政水産部長のほうからお話をさせていただきます。
◎
農政水産部長(福井正明君) (登壇)江畑議員の農政課題についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、大きな項目の1点目の
地域農業マスタープランに関します5点の御質問のうち1点目の本件の農業就業者などの現況についてでございますが、2010年の調査結果によりますと、本県の農業就業人口は2万9,495人であり、そのうち、主に農業に従事されております、いわゆる
基幹的農業従事者の数は1万210人となっており、いずれも、毎年、減少傾向をたどっております。
また、農業就業人口の平均年齢は68.4歳となっておりまして、全国平均の65.8歳を上回り、さらに、65歳以上の就業人口の割合は全農業就業者のうち72.2%を占め、高齢化が顕著に進んでいるところでございます。
次に、2点目の
地域農業マスタープランの概要と目的についてでございますが、こうした本県の担い手の高齢化への対応でありますとか、あるいは、農地集積の促進を図るため、それぞれの集落ごとの話し合いを通じ、今後の地域農業のあり方や取り組み方針などを検討していただくこととなります。
具体的な項目は、例えば今後の地域農業の担い手をどうするのかや、あるいは、その中心となる担い手に対しどのようにして農地を集積するのか、さらには、生産品目の選定、あるいは、6次産業化への取り組みはどのように展開するのかなどをお決めいただき、その話し合いの結果を受けまして、各市町がそれぞれ地域の
マスタープランを策定することとなっております。
国の来年度、新年度予算の中に新たに創設されました、農地の出し手に対する
農地集積協力金でありますとか、あるいは青年就農者に対する就農給付金の交付は、この
地域農業マスタープランの策定が要件とされており、これらの支援制度を活用し、集落単位での効率的な規模拡大や新規就農者の確保につなげていこうとするものでございます。
次に、3点目の
地域農業マスタープランを推進する上での県の役割と使命についてでありますが、地域におけます農業の将来の姿を描いていただく主体は、まずは農家や、あるいは関係者の皆様でございます。それぞれが責任を持って、そして十分に議論を尽くした上で合意形成を図っていくことが何より重要であると考えております。そのためにも、県といたしましては、
地域農業マスタープランがすべての市町において、また、できる限り多くの集落で取り組まれますよう、関係団体との連携はもとよりでございますが、各農業農村振興事務所の普及指導員を中心に、より地域に密着しながら、きめ細かな助言など、積極的に支援してまいりたいと考えております。
4点目の農地の集積などの課題にどういう効果が期待されるのかについてでございますが、昨年度、策定いたしました本県しがの農業・水産業新戦略プランでは、平成27年度を目途に、県内全農地のうち70%を担い手に集積する目標を掲げてございますが、現状では五十数%台を推移しているところでございます。
議員御指摘のように、目標達成はなかなか難しい状況と認識しておりますものの、
地域農業マスタープランは中心となる担い手へ農地を集積する具体的な計画を盛り込むこととなっておりますことから、今後の農地集積が今まで以上に促進されるものと期待しているところでございます。
1問目の最後に、JA等が保有する設備の有効利用についてでございますが、JAが保有する、例えばカントリーエレベーターなどの施設につきましては、これは私有財産でありますことから、その利活用について、県が直接介入し、調整することは難しいものと考えております。
しかしながら、
地域農業マスタープランにおきまして、地域の中心となる担い手のより効率的な経営の実現に向けまして、低コスト化などの取り組みについてもあわせて検討されることとなってございます。このため、今後、各集落の話し合いの結果をもとに、各市町で設置をされます検討会にJAなどの参加を得た上で、例えば議員御提案の、施設の有効活用も含めた検討を行っていただくよう、県といたしましても必要な助言に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、大きな項目の2問目の
畜産技術振興センターの現況とその役割についてでございますが、
畜産技術振興センターでは、現在、近江牛の繁殖基盤となる黒毛和種の雌牛を117頭飼育をしておりまして、これから年間約90頭の子牛を生産し、県内の肉用牛飼育農家に対し、繁殖用あるいは肥育用素牛として譲渡をしてございます。
また、乳用牛につきましては、県内の酪農家からすぐれた能力を持つ子牛を毎年約20頭買い上げをし、センターの放牧地で育成した上で、人工授精をした後に県内の酪農家に譲渡をしてございます。
そして、本県特産の近江シャモの生産振興につきましては、親鳥を約900羽飼育をしてございまして、年間約1万8,000個の有精卵を生産し、県内の養鶏農家の皆さんに供給しているところでございます。
このように、より高品質な肉質やすぐれた乳製品を生産するための家畜の改良に取り組んでおりまして、県内各畜産農家の生産基盤を支えるため、肥育技術の開発や、あるいは効率的な生産技術の普及、指導など、本県の畜産振興の役割を担っているところでございます。
最後に、小水力発電についての3点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の現状と今後の可能性についてでございますが、県といたしましては、平成20年度より3カ年にわたり、県土地改良事業団体連合会と連携しながら、国の100%補助金などを活用し、県内6地点を抽出し、その可能性調査などを実施してまいりましたが、調査結果からは、初期投資や維持管理費用などの課題が検証されましたことから、現時点では具体的な導入には至ってございません。
しかしながら、議員御指摘のように、滋賀ならではの
再生エネルギーの可能性を検討し、農村に存在する身近なエネルギーを活用することで地域の活性化や、あるいは農業水利施設の維持管理コストの低減を図ることは、今日、極めて重要なテーマであると考えておりますことから、来年度予算では、地域住民との協働による検討や、あるいは、緊急雇用制度も活用しながら、県内の農業用水路におけるすべての発電可能適地の把握に努めたいと考えているところでございます。
次に、2点目の農業用水を利用して小水力発電を行う場合の水利権の課題についてでございますが、県内の農業用水の多くは、かんがい排水事業などを実施した時点で既にその水利権を取得しておりますことから、その権利の範囲内で行う小水力発電につきましては、その手続に一定の簡素化は図られているものと認識しているところでございます。
しかし、一方、旧河川法施行時に既に取水を行っていたものでありますとか、普通河川のときに取水を開始した後に河川法に基づく河川となった場合は、いわゆる慣行水利権とみなされ、新たに農業用水を活用する場合にあっては、改めて河川の流量観測や他の水利使用者との調整などの諸手続が必要となります。この場合は、議員御指摘のように、相当な時間や、あるいは労力が必要となりますことから、県といたしましては、既に、国に対しまして許可申請等の手続が簡素化されるよう、これまで要請、提案をしているところでございます。
最後に、3点目の特区申請についてでございますが、議員に御紹介いただきました愛媛県の西条農業革新都市総合特区の取り組みは、農業分野におけます生産性の高いビジネスモデルを構築するため、例えば国の支援制度の補助対象者の拡充や、あるいは、農業生産の低コスト化などに向けた規制緩和や財政支援を柱に、総合特区の指定がなされたものと承知してございます。
そうした提案による規制緩和の中に、議員御指摘の農業水利施設を活用した小水力発電設置の許可手続の簡素化が含まれておりますことは承知はしてございますが、まずは地域に身近なエネルギーの活用を図るための調査、検討を開始する現時点では、本県におきましては特区申請についての具体的な検討はしてございませんが、今後の調査実施に際しましては、そうした先進事例もぜひとも参考にしてまいりたいと考えているところでございます。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇)それでは、何点か、再質問させていただきます。
農政水産部長にお伺いをいたします。
先ほどのJAの施設の有効利用の件ですが、当然これは、所有はJAのものですので直接手を入れることは難しいとは思いますけども、まさに人と農業のプランの中で、これから連携を強めて進めていくという、こういう体制を構築するということでございますので、そういう中でも、当然きちっとそこらは対応していただきたいと思います。
恐らくJAも施設をつくるときには国の助成金を使われておりまして、逆に言えば、そのことが一つの規制の枠にはめられているということも思うわけでありますけども、いずれにしましても、目の前がどんどんどんどん、稼働率が低いと。この福原さん、
フクハラファームも、一応JAの組合員ということなんですが、なかなかJAとの話し合いが、コストの面も含めて前に進まないということで、そういうことが、やっぱり全体の農業を担う担い手の皆さんにビジョンが描けない。本来ですと、ビジョンが描けていると自己投資で設備投資をしてもいいんですけども、そこまでまだまだ先が見えないということなので、県として、助言ということよりももう少し突っ込んで、JAとの間に入って、特に地域
マスタープランをこれから推進するということですので、ぜひその中で役割、使命を果たしていただきたい。もう一度、部長にその思いをお聞きをしたいと、このように思います。
それから、小水力発電で、今の答弁を聞きますと、昨年、賦存量、可能性を調査したけども、実際のところ、3カ所、初期投資も含めてなかなか前に行っていないと。これからもう一度、調査をするということですが、本当にこれ、前に行くものかどうか。今、聞いていると、かなり前向きな、知事も先ほど答弁されましたけども、何とか可能性を探り、滋賀県らしいということを言われておりますので、やっぱり一番、僕、可能性があるのはこの農業の分野かなとは思っておるんです。そういう意味では、もう少し初期投資の問題も課題もクリアできるような形で、部長として進めようという思いがないのかどうか、もう一度お聞きをしたいと思います。
以上2点です。
◎
農政水産部長(福井正明君) 2点の再問にお答えいたします。
まず、1点目のJAの施設の有効活用についてでございますけれども、確かに議員御指摘いただいておりますように、県内のJAが有します、例えばカントリーエレベーターの稼働率は年々低下をしてございます。例えば平成22年度で県全体で見ますと、その稼働率は34%でございます。そういう中で、施設の有効活用という観点は極めて重要であるということは認識をしておりますし、個別のJAではそれぞれ、JAと、例えば大規模農家との個別の協議の中で一定の利用料の割引制度を導入しているところもございます。そういう中で、今後の利用拡大についてでございますけれども、そのような割引を導入している一方で、例えばJA側にとりますと、必要な収益性、あるいは、他の農家の利用料金との兼ね合いもあり、現在、その対応を個別に協議されているというふうに理解はしてございます。
そういう中で、先ほど御答弁申し上げましたように、この
地域農業マスタープランの策定に向けた話し合い、あるいは各市町での検討会が、今後一、二年の間に実施をされるということもございますので、そういう中で、ぜひともこうしたJAの有する施設の有効活用という観点から検討していただくよう、県としても、先ほど御答弁申し上げましたように、必要な助言に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
それから、2点目の小水力発電について、さらに今後の対応について踏み込んだ対応をということでございます。
先ほど御答弁申し上げましたように、これまで3カ年にわたりまして調査を実施してまいりましたが、その調査結果からは、やはり初期投資や維持管理費用などの課題が検証されたところでございます。いわゆる電力の買い取り価格を踏まえて十分な採算がとれないということの結果に至ったところでございます。
先ほど御答弁申し上げましたように、しかし、今後のエネルギーの将来の姿を考えました場合に、身近にございます農業水利施設の利活用ということを考えた場合に、まさに採算という部分、あるいは電力の買い取り価格を踏まえた十分な採算ということももちろん重要な観点ではございますけれども、可能な限り、
再生エネルギーを利用して、そのことで地域の活性化、あるいは、維持管理コストの低減を図るという観点からは極めて重要であるというふうに考えておりますことから、来年度予算で、先ほど御答弁申し上げましたように、まずは県内全域の農業水利施設における発電可能適地の把握をしていきたいということでございまして、その結果を踏まえまして、今後、必要な施策に反映していきたいと考えているところでございます。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇)ありがとうございます。
今のJAの施設、当然これはJA保有の施設ですので、でも、今、私も改めて数字を聞いて、稼働率が34%と。これ、どんどん、恐らく専業化が進むにつれてその率は下がると思うんですね。国の補助金で、さっきも言いましたように、適正化法で恐らく一定の縛りがあるとは思いますが、いずれにしても税金が投入されている施設でもあるし、滋賀県農業の将来を見たときには、やっぱりかなり大きなそこのファクターに私はなるのではないかと、このように思いますので、若干、JAには怒られるかもしれませんけども、県として、積極的にその活用を図るように動いていただきたいなと、このように思います。
それから、小水力発電ですが、今言いましたように、確かに売電とか、法律の整備もこれから進んでいくということですが、既にそこの売電した余力の利益は土地改良区の施設に充当してもよろしいという、そういう規制緩和をされておりますので、そういうことから考えると、これ、先般されたようですが、また、部長が述べられたコストの問題も変わってくると思うんですよね、考え方が。今答弁されたのは、今僕の言った規制緩和を既にされている部分も含めて答弁されたのかどうか、ちょっと最後、確認の意味でもう一度、答弁をお願いしたいと、このように思います。
◎
農政水産部長(福井正明君) お答えいたします。
これまで実施をいたしました調査結果に基づく検証の結果は、繰り返しになりますが、初期投資あるいは維持管理費用が必要な結果が出たということで、現時点では県内では具体的な小水力発電の施設の設置には至っていないというのがこれまでの状況でございます。
東日本大震災のいわゆる原発事故を踏まえた、状況が変わりました今日におきましては、そうした、例えば施設の初期投資でありますとか維持管理費用だけの観点で小水力発電の設置をするのかどうかという議論よりも、繰り返しになりますけれども、今後の再生可能エネルギーのあり方も含めて議論をしていく必要があろうというふうに考えているところでございます。
そのためには、もちろん投資経費の観点も必要でございますけれども、もう少し違う角度からの議論が必要になろうと。ただ、そのための適地が県内に果たしてどの程度存在するのかということから手始めに、来年度、新規予算で御提案させていただいている中で把握をさせていただき、その調査結果をもとに、今後の農業水利施設を使った小水力発電の可能性について、改めて議論、検討が必要であろうというふうに認識しているところでございます。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇)ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次に、遠い水、近い水についてお伺いをいたします。
知事は昨年、アメリカ南部のテキサス州オースティンで開催されました第14回世界湖沼会議において、琵琶湖の経験として、近い水、遠い水という考え方の歴史的、国際的意味について講演をされました。その講演内容のポイントでありますけども、東日本大震災において水やトイレなど基本的な生活インフラが失われて、改めて日本人は近い水の重要性を発見したこと、琵琶湖辺での近い水を利用したし尿の肥料利用とセットで衛生に徹底的に配慮したシステムがあり、今、し尿汚染で苦しんでいるアフリカなど途上国にとっても意味のある仕組みであること、遠い水として、高度経済成長に伴う水需要の増大にこたえるよう進められてきた琵琶湖総合開発は、利水や治水の面で大きな成果があったものの、生態系破壊や人々の水とのつながりの疎遠化など、思わぬ影響があらわれたこと、滋賀県として、生態系再生や、水と人とのかかわりの再生を求めるマザーレイク21計画を策定をし、同時に、琵琶湖、淀川の上下流が協力して生態系サービスや文化的かかわりを取り戻すことができるような統合的流域管理が求められていることを訴えられました。
まさに私も同感であります。そのことを踏まえて、知事および土木交通部長にお伺いをいたします。
内容でありますけども、愛知川右岸の彦根市田附町、湯の花井の水位低下の課題です。
この課題は、平成19年に西村久子議員も質問をされておられます。この間、東日本大震災などのさまざまな大きな変化があったこと、そして、その際の調査結果もまとまったということも聞いておりますので、改めてここで質問をさせていただきます。
この湯の花井の歴史は古くございまして、1617年に堤防を築くことに伴い、つくられたと言われております。湯の花井、さんずいへんの湯と平仮名のの、花と書いて井と書いて、ゆのはなのゆと言いますが、その語源は、近隣のみこしが集まり、そこの水をみこしに献湯、湯の花をあげるということからその名がついたと仄聞をいたしております。
以降、何回かさまざまな工事のたびに愛知川に底樋、といですね、といを施し、伏流水を歴代、町の生活水、防火用水などに活用されてきたものであります。最近では、近くの小学校の野外勉強の題材にもなっていると聞いております。
しかし、近年、水位が低下をし、特に水量が減少し、町内の水路に供給ができない状況が続いております。最近ではポンプアップや、ほかの湧水池では、直接、井戸を掘り、対応されている状況であります。
このような昔の知恵で歴史ある湧水池はこの湯の花井だけではなく、愛知川沿い、さらには、滋賀県下河川の沿川でかなり多くあると考えております。
そこで、まずは土木交通部長にお伺いをいたします。
平成19年に答弁をされました愛知川の湧水池水位調査の結果をお伺いをいたします。また、その調査結果を踏まえての、この水理量の減少についての原因について、どのように判断をされているのか、あわせてお伺いをいたします。
次に、湧水池の保全制度についてお伺いをいたします。
滋賀県では、わき水というと高島の川端、そして、日本百名水に選ばれた米原の泉神社わき水、彦根市の十王村の水が有名であります。それぞれ地域住民の方の努力で守られています。ほかにも多くのわき水が存在をいたします。
まずは、この湧水池の保護、保全についての県における、まず、所管はどこなのか、また、今後の保護と保全についての考え方についてお伺いをいたします。
言うまでもなく、水は人が生きていく上で欠かすことのできない限りある資源であります。人々の生活と密接なかかわりを持ち、産業や文化をはぐくんできました。また、動植物の生息環境を維持し、生態系を保全する上でも大きな役割を果たしています。中でも地下水は良質で安価な水源として生活用水、農業用水などとして古くから活用をされてきております。しかしながら、都市化の進展や産業構造の変化等の影響により、近年、地下水位の低下や水質の悪化が問題となってきております。
まさに知事の言われる人に近い水、遠い水であります。特に近い水は、先ほど触れましたが、東日本大震災以降の防災意識の向上の中で関心が高くなってきております。湯の花井のわき水に関する関心も地域では非常に高くなってきております。
わき水は、ふだん見ることができない地下水が地表に姿をあらわしたものであり、わき水を保全することは、その源である地下水を保全することにつながります。また、わき水は地域の生活や文化、生態系と深いかかわりを持っており、身近な水源や生活、安らぎの場として親しまれてきておりました。何とか復活をしたいと願われておられます。この気持ちこそが大切ではないかと考えます。
一方、東日本大震災以降の防災対策の視点から、平成24年度予算にも非常災害用井戸の推進が計上をされております。災害時などの手押しポンプ式井戸は、必要な量の地下水を容易にくみ上げることができる方法として昔から利用されてきました。現在では、水と触れ合える親水施設として、また、動力を必要としないことから、震災などの災害時の水源として活用することが考えられております。地下水を豊かにした上で、水との触れ合いの場や災害用井戸として手押しポンプ式井戸の設置を検討していく必要があります。
このような歴史的な近い水を活用した湧水池の復活や災害時用の井戸の設置等も含めて、助成制度の制度化は検討をされているのかどうか、その考え方を伺います。
最後に、知事に伺います。
地域の貴重な共有財産であるわき水の保全、復活活動の広がりは地域づくりやまちづくり、環境学習の進展へと発展していくことが期待できます。これからの政策の方向性として、湧水池の保全、保護の問題について知事の所見を最後にお伺いし、私の質問を終わります。
◎知事(嘉田由紀子さん) 遠い水、近い水についての質問のうち2点目をまず答えさせていただきます。
湧水池の保全制度とその所管でございます。
湧水の保護、保全については、県における所管は、御質問にあります名水百選や平成の名水百選に選ばれた水を初め多くの湧水がありますが、県外からも注目をされております。
こうした湧水は、私自身、常々申し上げておりますように、暮らしに身近な近い水として、それこそ縄文、弥生の時代からこの地域に御先祖様が住みついてきて以来ずっと使い続けてきた水であろうと思います。その典型が高島市針江地区の川端であろうと思います。飲み水、あるいは生活の炊事に使うだけではなく、生き物も放ち、そこで大変身近な水の世界が繰り広げられております。
このような地域の生活文化に息づいたわき水ですけれども、水質保全、水源涵養の観点からの取り組みはもちろん、観光、文化資源としても保護、保全していくことが重要であると考えております。また、さまざまな工事、河川改修工事や、あるいは道路工事などの影響もございます。そういうところで、現在のところは琵琶湖環境部を中心にしながら、例えば水質でしたら生活衛生にかかわる健康福祉部、あるいは、観光でしたら観光交流局ということになりますけれども、実は、数年前にも地下水保全についての検討をいたしましたが、結局、余りにも関係部局が多いので、そのままになっております。
今、国のほうでは水循環基本法をつくろうという動きがありますので、改めて、県として地下水保全、どうしていったらいいのかということで、所管についても仕組みを考えていくべきだと思います。その根本のところには、日本は地下水を私水としておりますが、地下水の公水化ということも含めて、かなり本質的な議論が必要だと思いますので、県としても今後取り組んでいきたいと思っております。
次に、2つ目の水との触れ合いの場あるいは災害用井戸として各種の助成制度を考えたらどうかとの御質問でございます。
改めて、今回の災害で身近な井戸、わき水などの重要性が認識されました。その中でも、議員御指摘のような手押しポンプ、例えば昔のがちゃこんポンプのようなものですね、そういうものも実際に水を使う場面での利用とともに、子供たちの教育上も重要だと思っております。
そういう中で、既存の民間井戸を、まず、今回は非常災害用井戸として認定するガイドラインを平成24年度予算案に計上しております。この助成制度の制度化というところは、まず、既存の井戸の調査をして、その活用、あるいは、わき水、ため池、河川水など身近なところにありながら、今、顧みられなくなっております水をもう一度見詰め直すことから広めるという観点で対応していきたいと思っております。
3点目のこれからの政策の方向性でございます。
言うまでもなく、私たちの暮らしに水はなくてはならないものです。そういう中で、特に昭和30年代、40年代以降、滋賀においては上水道、下水道が普及することによって、これはこれで大変便利でありがたい改革ではございましたけれども、同時に、身近な水への関心が低くなってしまい、その利用がなくなってしまったということがあります。
そういう中で、マザーレイク21計画では、暮らしと湖のかかわりの再生を柱に、近い水のある暮らしの再生を重点プロジェクトの一つとして位置づけまして、マザーレイクフォーラム、あるいはエコツーリズムの推進など、県民の皆さんが主体的に参画していただける、また同時に、次の世代の子供たち、環境学習の進展にもつながるような取り組みを部局横断的に展開をしていきたいと考えております。
この際、何よりも重要なのは、実は平成一けたのときに、琵琶湖博物館の準備室で水環境カルテという600集落の水の調査をさせていただきました。そのときに私たちが学んだことは、何よりも地域の住民の皆さんが身近なところの水の価値を認めていただく、そして、その価値を認める中で、どのようにして保全をしていくのかということを地域の方たち自身が考えていただける、その応援を県としてもしていくことが何よりも重要であろうと考えております。
来年度、予算的には決して大きいものではございませんが、非常用災害井戸推進事業を進める中で、改めて、水道プラス地下水、わき水、そのようなものの水の利用制度、多重な水の利用制度があることによる安心、また未来への、子供たちへの教育にも取り組んでいきたいと考えております。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) (登壇)愛知川沿いの湧水池水位調査の結果とその判断についてお答えいたします。
愛知川沿いには伏流水を取水されている施設が複数ありますことから、河川工事に当たりましては、みお筋を切り下げずに川幅を広げる、そういう工夫で伏流水への影響が出ないように工事を実施してまいりました。また、この工事の影響を把握し、評価するために、平成14年度から現在まで、湯の花井でも水位観測などの調査を実施してきております。平成19年度の工事完了後も4年間調査を行ってまいりましたが、水量、水位に大きな変化は見られません。このことから、少なくとも河川工事による影響はなかったものというふうに考えております。
しかしながら、長期的な水量の減少は雨の量や河川水、伏流水の利用状況の変化などが複合的に影響しているものと推測されますので、原因を一つのものに特定するというのが非常に難しいというふうに考えているところでございます。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇)2点ほど再質問させていただきます。
まず、部長の今の答弁でございますが、複合的な要因があると、こういうことです。恐らく、私も地元の人たちと話をすると、永源寺ダムができたことやとか、近隣に企業が立地されたこととか、いろんな要素があったり、恐らくそれは19年以降も、河川の改修工事には直接はかかわっていないかなとは思いますけども、それでも、一つの、要は先ほど言いましたように、何百年という歴史がありますので、そういう中で徐々に環境が変わることによって、水位というよりも水量なんですね、水量が落ちてきたと。多分、水量をはかられているのかどうかわかりませんが、水位だけかな、多分、はかられている、水量も。
でも、平成14年以降からそういう状況が多分続いていたのかなと、このように思いますので、その辺は、直接、土木交通にはかかわりませんけども、ほかのところも何カ所かあると思いますので、湯の花井ということもそうですが、例えばといということで、もう一度、河川の下にといをし直すとか、そんなことはちょっと無理かなとは思いますけども、その見解をもう一度聞いておきたいと思います。
あと、知事が言われました、いわゆる湧水池、地下水の所管が多岐にわたっていると。私も、当初、いろんな話を聞こうと思っていろんな所管課に説明を聞いたんですが、たくさんありましたですね。だから、そういう中で、私も知事が言われる近い水、それと、震災以降のこういう状況の中で、やっぱり地下水、湧水池の関係については、滋賀県としてもその課題とか対策についてきちっと持つ所管が僕は絶対必要かなと、このように思います。
今、検討していくということでございましたので、それは私も期待をしたいと、このように思いますが、いずれにしましても、知事が最後に言われましたように、地域の人がその水の価値をと。まさに湯の花井のあの地域の皆さんは、その価値を知っていて何とかならないのかなということで西村さんなり私なりにも話を多分されているのかなと、このように思いますので、ぜひ早急に、所管の課題も含め、そして、助成制度の問題も含めて進めていただきたいと思います。
もう一度、知事の思いをお聞きをしておきたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) 再問にお答えさせていただきます。
実は愛知川の右岸、新海、田附、本庄というのは伏流水が多いところで、生活用水の活用をしてきました。琵琶湖博物館の富江家の展示も、実は本庄の地下水、愛知川の伏流水をもとにあの家の水が成り立っているわけです。また、以前も申し上げましたように、昭和49年に初めて、私、滋賀県調査を始めさせていただいたときに、西村議員の甲崎の地域では各家にわき水がわいておりました。大変印象的で、それが滋賀の水の調査をさせていただいた私の原点でもございます。
その後、議員御指摘のように、地下水をくみ上げる大規模な工場ができたり、ダムができたり、また、さまざまな改修などをして、あるいは、街ができるとコンクリートになりますから、地下水が涵養されにくくなります。そういうところで、大変大きな水量、構造的な流域変化というのもきいているのではないのかと思っております。
その中で、県としては、ぜひとも地下水を保全する仕組みというのを考えていきたい。ただ、先ほど申し上げましたように、国のほうの水にかかわる法律自身が変わらないと、なかなか県としてだけではやりにくい部分があります。
というところで、国の水循環基本法の制定を期待をしながら、地下水保全、井戸水保全についてはこれから前向きに方法を探っていきたいと考えております。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) 愛知川の伏流水につきましては、先ほど申しました湯の花井以外にも前田、落尾、宮川という3カ所を合わせて合計4カ所の井を水位測量しております。
この結果につきまして言えることは、水位につきましてはほとんど変化がないということでございます。したがいまして、水位高はあるんですが、水量が確保できているかということに関しましては、これは、いずれの井につきましても水位が季節変動を伴いますし、必ずしも一定の答えは導き出せないということでございます。
御質問にありましたように、あくまでも平成14年度以降の結果でございます。複合的な要素につきましては、少し大きな範囲での調査をしないと、この経過は出てこないというふうに考えているところでございます。
◆18番(江畑弥八郎君) (登壇)ありがとうございました。
いずれにしましても、知事の前向きな姿勢と、そして、部長、どこまで継続して調査されるかどうかわかりませんけども、その辺はまた検討していただきたいなと、このように思います。そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(家森茂樹君) 以上で、18番江畑弥八郎君の質問を終了いたします。
次に、21番粉川清美さんの発言を許します。
◆21番(粉川清美さん) (登壇、拍手)あらかじめ通告をいたしております4項目について質問をさせていただきます。
まず、1項目、介護予防について質問をいたします。
政府の2011年版高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者は2,958万人と過去最高を記録いたしました。世界に類を見ない高齢化に伴い、介護費は10年度の7.9兆円に対し、25年度は約3倍の23兆円に膨らむと予想されております。国においての介護対策が待ったなしの緊急課題であるゆえんです。
一方、滋賀県の状況を見ますと、全人口に占める65歳以上の人口は、平成23年度推計約29万3,200人となり、総人口に占める割合は20.5%で、20年後には28%を超えるのではないかと予測されています。
現在、要介護認定者は4万6,245人と、65歳以上のうち約16%の方は介護を受けておられます。残りの約84%の人は介護を受けないで生活をしておられます。
言うまでもなく、介護予防とは介護を必要とする状態になることを未然に防ぎ、また、介護が必要になっても、できるだけ体の機能を改善することで、いつまでも自分らしく生き生きとした豊かな日常生活を送れるようにするために重要な施策です。
まず、これまでの介護予防の取り組みや成果、課題についてお聞きします。
また、県は、新年度、介護保険制度の安定的な運営のため、要介護状態にならない、あるいは、要介護状態になっても、その悪化を防ぐための介護予防に介護予防基盤強化基金を造成し、取り組むとしています。
また、レイカディア滋賀プランの改定で、特に介護予防重点3カ年プロジェクトを実施される計画ですが、介護予防の具体的な取り組みと、期待する効果などについて、健康福祉部長にお聞きします。
次に、元気な高齢者への支援についてです。
介護保険制度を守り支えていくためには、元気な高齢者がふえるということが重要であり、高齢者がやりがいを持って介護予防に励めるような新たな支援システムを導入する必要があると考えます。
東京都稲城市は、平成19年度から高齢者の介護支援ボランティア活動に対し、その実績を評価した上で、評価ポイントを付与する事業を実施しており、高齢者の地域貢献と健康維持を図る取り組みとして全国の自治体から注目を集めてきました。これに対して、厚生労働省も地域支援事業交付金の活用による介護支援ボランティア活動への支援を行っております。
高齢者のボランティア活動支援は、高齢者の孤立防止や所在把握にも有効と言われています。また、知事が今議会の提案説明の中で述べられたように、長期的な日本の人口動向を予測した将来推計人口について、平成72年度までの50年間で人口は4,132万人減少し、8,674万人になり、65歳以上の人口割合は39.9%となる見込みで、少子高齢化の急速な進展や人口減少社会の到来は重要な課題です。
将来を視野に入れて今から対応していくことが政治や行政の責任です。人の活用で住み心地のよい地域、ひいては、「住み心地日本一の滋賀」を実現できる大きな力となると考えます。
そこで、滋賀県において、高齢者の健康保持、介護予防へのインセンティブを高め、介護保険の負担に対する理解を得るためにも高齢者のボランティア活動支援が重要と考えますが、知事の見解をお聞きします。
次に、具体策についてです。
例えば、介護報酬の改定が3年ごとに行われていますけれども、この3年間、介護保険を利用せず元気に暮らした65歳以上の高齢者本人に対して、介護予防に取り組んでいることを評価し、お元気ポイントのような、介護保険料やサービス利用料の負担を軽減するポイントシステムの導入について検討していただきたいと考えております。このような、みずから努力して元気で暮らすことの評価も介護予防への意欲につながるのではないでしょうか。健康福祉部長の見解を伺います。
さらに、介護ボランティアに参加した元気な高齢者には介護支援ボランティアポイントとして負担軽減システムを導入するべきだと考えています。
介護支援ボランティア制度は、御承知のとおり、厚生労働省の認可を受けた有償ボランティア制度で、2007年9月より運用が開始されました。介護保険料を実質的に軽減する制度です。この仕組みの背景には、介護予防効果への期待だけでなく、地域の活性化や住民同士のつながりの強化を図り、高齢社会を乗り切る地域づくりにつなげたいとの思いがあることがうかがえます。
さきにも述べましたが、この制度を考案し、最初に採用した東京都稲城市は、高齢者の保険料が月額で11.1円程度の抑制効果があったと言われています。現在は全国で制度が実施をされ、登録者数も2010年には1万人を超えたということです。
私が大津市内のデイサービス施設を伺った折に、さまざまな年齢の無償のボランティアの方がおられました。介護を受けておられる方の話し相手をしている80歳の地域の方は、「うん、うん、そうなのとうなずいているだけなのだけれども、帰り際に、また来てねと言われると、うれしくてうれしくて、こんな私でも待っていてくれる人がいると思うと、あの人のためにまた元気で来ようと思う」とおっしゃっておられました。支援する人もされるほうも、地域で温かなきずなが生まれ、それがまた生きがいや元気につながっていく。このような活動を評価することは介護保険を守り支えていく大きな施策となり、少子高齢化の将来に向けた重要な取り組みと考えますが、介護支援ボランティアポイントの導入について、健康福祉部長の見解をお聞きします。
○議長(家森茂樹君) 21番粉川清美さんの質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)粉川議員の介護予防についての3問目の御質問、高齢者のボランティア活動支援について、お答えをいたします。
現在、策定を進めておりますレイカディア滋賀プランは、元気で活動的な85歳の仕組みづくりを基本目標としまして、元気な高齢者のマンパワーの社会参加の促進や、健康づくり、生きがいづくりを重要課題としております。議員が大津市内のデイサービス施設の例を御紹介くださいましたけれども、本人にもよし、家族や施設にもよし、そして、結果として社会にもよしという、まさに介護三方よしの一翼を担うものであると考えます。
具体的には、地域の高齢者が他の高齢者のために、例えば今御紹介くださいましたような介護支援ボランティア活動を行うことなどによりまして、高齢者の社会参加、地域貢献が、結果として介護保険財政によい効果をもたらすことになるとも考えております。
具体の施策につきましては、健康福祉部長からお答えをさせていただきます。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) (登壇)介護予防について5点の御質問のうち4点についてお答えいたします。
まず、1点目のこれまでの介護予防の取り組みについてでございます。
介護予防事業は、市町が実施主体として行う地域支援事業におきまして、介護予防プログラムへの参加が望ましい特定高齢者を把握し、二次予防事業への参加を呼びかけ、介護予防プログラムの実施に取り組まれてきました。
県は、県民啓発を行い、市町職員の研修、先進事例などの情報共有、また、事業評価などを行い、人材育成と質の向上に取り組んできたところでございます。
本県におきましては、平成22年度、約1万5,600人が特定高齢者と把握され、運動機能向上、栄養改善、口腔機能の向上、認知症・うつ予防など介護予防プログラムに約1,550人が参加され、その成果として、生活機能の維持が図られ、要介護状態の発生を一定防止できたと聞いております。
主な課題は、特定高齢者と市町で把握されても、介護予防プログラムへの参加がまだまだ少ないこと。2つ目は、介護予防プログラムのさらなる効果的実施と考えております。
2点目の新年度から実施します介護予防の具体的な取り組みと期待する効果などについてでございますが、新年度から実施しようとする介護予防3カ年プロジェクトの目的は、市町が実施主体となり、国の交付要綱で規定されている地域支援事業の枠にとらわれず、これまで介護予防活動を行ってきたが余り評価されてこなかった団体や事業所を実施主体とする介護予防の量と質を向上させる取り組み、また、社会参加、社会貢献なども介護予防と広くとらえ、市町や団体の意欲的な取り組みを支援する3カ年のモデル事業でございます。
具体的には、デイサービスセンターにおいて要支援状態の軽減、悪化の防止が図られた場合、介護保険制度では評価されない取り組みを、県単独により評価交付金を交付しようとするもの、また、地域の老人クラブが主体となり介護予防サポーターの養成支援、そして、市町や団体等における要介護度を改善する意欲的な取り組みを支援する介護予防推進交付金です。
期待する効果としましては、これらさまざまなモデル事業の中で生み出された成果が国の地域支援事業の交付対象となり、一般化し、市町が実施する地域支援事業に取り入れられることと考えております。
4点目の、介護保険を利用せずに元気に暮らした高齢者本人に対するポイントシステムの導入検討でございます。
介護保険制度創設時におきまして議論がありました家族介護に対する現金給付と同様に、例えば介護リスクへの対応という保険機構という制度上の整理、一方、介護予防へのインセンティブを高めるという積極的評価など、さまざまな観点からの議論が必要と考えております。
また、施策化に向けては、保険者である市町の理解が重要とも考えております。県としましては、市町や関係団体においてさまざまな議論がされることは介護予防や介護保険制度のありように県民の関心が高まり、県民主導の介護予防の地域づくりに資するものと考えておりますことから、先ほど申し上げました、新年度から実施しようとする介護予防推進交付金の活用として、議員御提案のポイントシステムの導入検討経費を市町や関係団体の助成対象とすることについて検討していきたいと考えております。
最後に、介護支援ボランティアの導入についてですが、保険者である市町が地域支援事業を活用してボランティア活動の実績に応じたポイントを換金できる仕組みは、平成19年度に厚生労働省通知により示され、全国でも数十カ所、県内では甲賀市が実施しております。
こうした取り組みは、介護保険の保険者である市町の裁量により、地域支援事業を活用した介護予防施策であり、地域づくりの観点からも評価できるものと考えております。今後、県介護予防市町支援委員会などで先進事例の情報提供などを行い、県下各地で取り組みが行われるよう支援してまいりたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)介護保険制度が必要な人にしっかりと使っていただけるように、しっかりと継続できますように、さまざまな御支援をよろしくお願いいたします。
それでは、2項目に、県の審議会等への女性委員の登用について質問させていただきます。
東日本大震災以降、防災・減災活動などに生活者の視点、女性の視点の重要性が指摘され、男女共同参画の視点も踏まえた対応が重要とされています。
県では、滋賀県男女共同参画推進条例のもと、滋賀県男女共同参画計画の重点課題の一つとして、政策方針決定過程への女性の参画を進めることを掲げ、地域や団体活動、事業者、行政等における女性の参画拡大に努めておられます。
中でも、県の審議会等における女性の登用は県が率先して取り組むこととし、計画の目標として掲げ、その取り組み状況について毎年公表されています。
昨年3月31日現在の県の審議会等における女性の登用状況が公表されていますが、1,579人いる委員のうち女性は516人で、登用率は32.7%。40%の目標は達成できなかったが、県がつくる111の審議会や協議会のうち全体の56.8%を占める63の審議会などが目標値を達成。一方、女性委員がゼロの審議会が4、女性委員が1人が2という状況です。
県は、平成23年度からスタートさせた新パートナーしがプランで、登用率40%の目標を継続していますが、目標達成のための取り組みについて、また、特に女性の委員がゼロや1人といった会議や審議会について、例えば任期の関係で改正が可能な審議会や、法令に基づき指定された職に女性が少ない審議会においても知事が指定する委員があるなど、県の取り組みで女性の登用は促進されると思いますが、目標達成のための取り組みについて、知事にお聞きします。
次に、滋賀県防災会議委員の女性の登用についてお聞きします。
災害に対する取り組みには女性の視点、生活者目線が重要です。特に昨年3月11日の東日本大震災を教訓に、防災・減災対策を決定する機関に女性の登用を進めるべきと考え、私は昨年6月議会において、女性の登用を推進している岐阜県、60人中女性が12人、徳島県、53人中女性が10人、の取り組み例を紹介させていただき、滋賀県防災会議委員に女性の登用を要望し、知事は「ヒントをいただきました。研究させていただいて前向きに対応していきたい」と答弁をされました。また、昨年12月議会で、防災会議に女性の視点を取り入れることを求める意見書を採択し、災害対策基本法の改正を速やかに行うことを求めていますが、残念ながら、いまだ実現はできていません。
しかし、法改正を待つ間にも、現状の中で女性の登用を推進するために各県で工夫や努力がされています。
例えば神奈川県では、法に規定されている知事の部内の職員の枠を活用して、本年1月1日付で県防災会議委員に5人の女性職員の登用を実施されました。
平成23年6月議会で、知事は防災会議委員の女性の登用に前向きに対応すると答弁されましたが、防災会議委員の女性の登用について、知事の見解をお伺いします。
◎知事(嘉田由紀子さん) 県の審議会等への女性委員の登用についての2問の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の新パートナーしがプランに掲げる登用率40%の目標達成に向けての取り組みでございます。
県では、御指摘のように、審議会等の委員の改選時期をとらえて女性の積極的な登用に取り組むよう、男女共同参画推進本部長から各所属に対して年2回の通知を出すとともに、全庁各所属に設置している男女共同参画推進委員の研修においても女性の登用について徹底をしております。また、登用率がアップした機関が行った工夫についても、その内容を周知して、取り組みの波及に努めております。
登用率アップのための具体的な方策、4点ございます。1つは、職指定の充て職を見直すということです。2つ目は、所属長が指定する者等で裁量を発揮すること。3点目が公募制を導入すること。また、4点目が各種団体、業界等へ日常的な役員の構成の中に女性をふやしていただくというような働きかけがございます。
このような取り組みの結果、例えば昨年度末時点で女性委員がゼロであった教職員の初任者研修および10年経験者研修実施協議会については、4月1日の改正に伴い、17人の委員のうち4人が女性となり、23.5%に改善をいたしました。こういう中で、今後も政策方針決定過程に女性の参画が進むよう、個別事例を1つずつチェックをしながら、強く、各部局に対して指導をしていきたいと考えております。
次に、これまでの災害、とりわけ大震災の教訓から、滋賀県防災会議委員の女性の登用を進めるべきとの御意見でございますが、私もそのとおりだとずっと思っております。
特に防災・減災対策を決定する過程においては、女性の視点は大変重要です。と申しますのは、災害というのは、まさに暮らし、命が直接、侵されることになりますので、そういう視点において女性の参画を推進するために生活防災というような考え方も入れております。
22年の5月には、県として防災会議の法令等により審議会等の職務指定の緩和を全国知事会としても提言をしております。私自身もこの全国知事会の委員長でありますので、まず、「隗より始めよ」ということで努力をしております。
しかし、現状では、防災会議の委員の要件が法定されておりまして、なかなか自由度が発揮されない中で、昨年7月、防災会議の委員の推薦を依頼した際には、女性の推薦に配慮していただくようお願いをいたしました。また、昨年12月に開催された中央防災会議、防災対策推進検討会議においては、地方防災会議の委員に女性等が参画すべきということが災害対策法制の見直しに関する論点の一つとしても示されました。これは、当県の防災危機管理局のほうから具体的に提案もしたものでございます。
そういう中で、災害対策基本法の改正も見据えながら、どうやったら女性委員の割合を高められるのか、私、就任以来、丸5年間、一つ一つの委員会について一つ一つチェックをして意見をしてきても、まだここのレベルにしか達していないということは大変根深い問題があるということを改めて自覚をしながら、一つ一つの、まずは日常的なさまざまな組織の女性参画の土台を、ベースを進める中で、この審議会、委員会の女性参画を一層高めていきたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)知事がまず、「隗より始めよ」とおっしゃったとおり、そのことは滋賀県の防災会議に女性委員が少ないという、まずそこのところから何とか打破できないかというふうに考えております。大切なのは、県が先頭に立って取り組むという意識や熱意の問題だと考えています。
例えば3・11大震災を教訓として県の防災計画の見直しが今行われています。滋賀県防災会議のホームページを見てみますと、ホームページの更新は平成22年5月31日、その中の防災会議の委員名簿は平成22年5月1日現在となっています。したがって、県組織の見直しによって部の廃止、新設がされましたけれども、それが対応できていません。このこと自体は大きな問題ではないかもしれませんけれども、ほかの団体に女性の登用を働きかける県の立場としては、まず、県の努力や熱意を広く示すべきだと考えています。県の女性の登用を早急に推進していただきたいと思っております。
今、ホームページ、紹介しましたが、先ほど、女性の委員が知事の部内の職員として5人登用された神奈川県の例を紹介しましたけれども、神奈川県のホームページは、同じように防災会議と開けば、本年の2月1日が更新日となっています。何度も申し上げて恐縮ですが、これは大きな問題ではないかもしれませんが、そういう姿勢が大切なのだと思っています。県の女性の登用を早急に推進していただくように要望するものですが、再度、知事の見解をお聞きしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) 改めて具体的に他府県の事例、今、内部ではできないできないとずっと言われてきたんですけど、御指摘のように、神奈川あるいは岐阜でやっているところを踏まえて、事務的なところも詰めて、方針を明確にして結果を出したいと思っております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)人事の問題とも絡むとは思いますけれども、ぜひ早急に、よろしくお願いいたします。
それでは、3項目め、うつ病対策について一問一答方式でお聞きします。
国の自殺対策基本法および自殺総合対策大綱に基づき、平成22年7月に滋賀県自殺対策基本方針が策定されました。その中で、うつ病等の自殺の危険性の高い人の早期発見に努め、確実に精神科医療につなぐ取り組みにあわせて、これらの人々が適切な精神科医療を受けられるよう、精神科医療体制を充実させるための具体的な取り組みが掲げられています。また、平成21年度以降、滋賀県地域自殺対策緊急強化基金を活用して緊急に対策の強化を図ってきました。
まず、滋賀県自殺対策基本方針の取り組みについてです。
滋賀県自殺対策基本方針の中で、自殺対策の基本的な考え方の1項目に、うつ病の早期発見、早期治療を掲げていますが、その取り組みについて、健康福祉部長にお聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
うつ病対策についての取り組みについてですが、滋賀県自殺対策基本方針に基づき、早期発見については、かかりつけ医を対象としたうつ病患者の早期発見と、専門医につなぐための研修による精神科医につなぐ取り組み、早期医療につきましては、精神科医を対象としたうつ病治療の質の向上を図るための診断や、認知行動療法等に関する研修により適切な治療の質の向上、こうした早期発見、早期治療が円滑に行われるよう、かかりつけ医などと精神科医との連携を一層強化するためのネットワークづくりなどに取り組んでいるところでございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)うつ病などの取り組み、認知行動療法について伺います。
うつ病の治療は薬物療法と精神療法の併用を普及することが重要として、精神療法として認知行動療法が平成22年4月から保険適用になり、また、その取り組みがマスコミで特集され、患者や家族の方々から大きな期待を集めていますが、精神療法としての認知行動療法について、県内の状況を健康福祉部長にお聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
県内での実施状況は、精神科病院13病院のうち1カ所で実施、もう1カ所は準備中と聞いております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今、1カ所と御説明がございましたが、認知行動療法については多くの患者や家族が期待されているにもかかわらず、1カ所ということでございます。滋賀医大だと聞いております。大変残念に思っています。
次に、県立精神医療センターの取り組みについてです。
平成22年4月に認知行動療法が保険適用になり、多くの方から認知行動療法を望む要望が寄せられ、私は平成22年6月議会で、県立精神医療センターで県民が望む認知行動療法を実施していただくように要望いたしましたが、病院事業庁長は、「うつ治療における精神療法は専門的研修を受けたスタッフにより認知行動療法も取り入れて行っているが、外来患者が多く、予約待ちも多いことから、医師が1人毎回30分以上の時間をかけることが難しく、認知行動療法の診療報酬ではなく、一般精神療法の診療報酬としている」との御答弁をいただきました。
県立精神医療センターの精神療法を受けた患者数、また、そのうち職場復帰された人数などについて、病院事業庁長にお聞きします。
◎病院事業庁長(村木安雄君) (登壇)うつ病で精神医療センターにおきまして精神療法を受けられました患者数と、そのうち、職場復帰されました人数につきましてお答えいたします。
精神医療センターにおきまして、今年度4月1日より1月31日までの間にうつ病で入院されました患者数は86名、通院患者数は456名で、すべての患者さんに精神療法を実施しているところでございます。
次に、職場復帰された方の人数についてでございますが、最終的に職場復帰されているかどうかといった追跡調査は行っておりませんので、正確には把握できておりませんけれども、職場復帰を可能として診断書を交付させていただきました件数で申し上げますと、33名でございました。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)多くの方々から職場復帰などの社会復帰を求める声を聞いているところでございます。
全国で100万人を突破したうつ病患者、このうつ病について、これまでの常識だった薬による治療を根本から見直し、画期的な効果を上げている取り組みとして、今、注目されている集団認知行動療法があります。沖縄県立総合精神医療福祉センターで実施している集団認知行動療法がNHKの番組で特集をされ、職場復帰など、多くの患者が社会復帰などを果たされた、その大きな効果が注目されています。また、多くの方が期待をされています。
まず、希望する人が受けられる県内の体制整備が必要だと考えますが、そのためには多くの病院で取り組まれるように支援することが重要と考えます。
社会復帰など大きな効果が注目されています集団認知行動療法について、健康福祉部長の見解を伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
集団での認知行動療法は診療報酬にまだ評価されてなく、全国的にも取り組んでいるところはまだ少ない状況がございます。こうした療法は病院や医師の治療方針によるわけでございますが、県としましては、県自殺対策連絡協議会うつ病対策調整部会において病院関係者の意見をお聞きし、県としての取り組みのありようを考えていきたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)ぜひ県内で協議をして、推進をしていただきたい。よろしくお願いいたします。
社会復帰など大きな効果が注目されています。今御説明していただきましたが、集団認知行動療法に多くの患者や家族の方が期待を寄せられておりますけれども、県立精神医療センターで実施することについての見解を病院事業庁長にお聞きします。
◎病院事業庁長(村木安雄君) お答えいたします。
集団認知行動療法は、自分の物のとらえ方、対応の仕方を変えるために、ほかの人と一緒に取り組みたいと思っている方には有効であるとされているところでございます。
御質問にございますように、昨年12月にNHKで放送されました沖縄県立総合精神保健福祉センターでは、うつ病患者を対象として、デイケアにおきまして集団認知行動療法が実施されており、一定の効果が上げられていると伺っております。
精神医療センターにおきましては、現在、精神科デイケアを実施しておりますが、来年度は効果的なデイケアのあり方を検討することといたしております。この中で、集団認知行動療法の手法、効果等につきましても研究してまいりたいと考えているところでございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今おっしゃっていただきましたとおり、NHKの番組を見られた方から多くの実施してほしいという御意見、御要望等もいただいておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
次に、情報提供についてです。
認知行動療法の実施の有無については、先ほど部長のほうから、県内の精神科病床を持つ13病院を調査されたとありましたけれども、精神科のすべてを調査して、認知行動療法を実施しているすべての病院を把握して情報提供することが求められています。希望する患者が希望する治療を受けられるように、認知行動療法を実施している医療機関について、県のホームページなどで情報提供をしていただけますように要望しますが、健康福祉部長の見解を伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
まずは、ホームページの掲載を希望する医療機関を調査しまして、まとまり次第、掲載する方向で考えてまいりたいと思っております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)希望する医療機関をということでございましたが、県の立場として、そういう考え方もあるでしょう。県民が望んでいらっしゃる立場に立てば、できるだけ、希望するというよりは県のほうから御要望なりを重ねていただきまして、すべての病院が情報提供できますように、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、再度、お聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) もちろん私どもとしては、実際、実施しているところをすべて載せたいわけでありますが、ただ、それらの治療方針とか、また、そうした広報については病院が主体的に決めることでもありますので、やはりお答えとしましては希望するということで、ただ、気持ちは、当然、全部ということで御理解いただけるよう、よろしくお願いいたします。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)たくさんのうつ病で悩んでいらっしゃる方の、県民の立場で、ぜひよろしくお願いいたします。
冒頭に、うつ病対策の取り組みについて説明をしていただきましたが、特に認知行動療法の人材確保について伺います。
うつ病認知行動療法研修のコースが国で平成22年8月から実施をされていますが、認知行動療法研修の取り組みについて、健康福祉部長に伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
認知行動療法を実施できる人材確保のため、国が実施しております研修会に、県内では平成22年度に3人、平成23年度に1人の方が受講をしておられます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今、人数を御紹介をいただきました。県内のうつ病認知行動療法を希望する人に対応できるようにするには、人材確保はいつ実現できるかなど、治療医療機関の整備について見解を健康福祉部長に伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
認知行動療法に関する研修会ですが、県として初めて、本年3月に滋賀医科大学に委託し、実施する予定をしております。新年度も同様の研修会を開催し、医師などの参加を促進し、人材の確保を図っていきたいなと思っています。
また、治療機関の整備でございますが、先ほども情報提供のところで申し上げましたけども、治療方針は医療機関の考え方もございます。また、国の動向も踏まえつつ、県としての対応のあり方について、うつ病対策調整部会においてさまざまな意見を聞きながら、取り組みについて研究してまいりたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)3月に県として初めて認知行動療法の研修会も実施していただくということで、大変喜んでおります。
今、部長の答弁を聞いておりまして、思いとしては受けとめていただいているんだろうとは思いますけれども、うつ病の治療のための医療体制の整備は、患者から見れば喫緊の課題だと思っておりますけれども、整備についての、再度、部長の見解というか、思いでも結構でございますが、お伺いしたいと思います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) うつ病対策の療法と申しますか、今、薬物療法がほとんど中心の中で、こうした新しい療法なりが出てきた中で、当然、一定の評価が定まるということは行政として見定める必要があるわけですが、ただ、私どもとしては、滋賀医科大学のほうからお聞きしますと、非常に効果もあるというようなこともお聞きしていますので、そういうふうな積極的評価と、制度面で整理すべきことなど課題等を踏まえながら研究してまいりたい、こういう思いでございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)患者の皆さんから見て、治療医療機関制度が早急に整備されますようにお願いをしておきたいと思います。
次に、滋賀県地域自殺対策緊急強化基金とうつ病対策予算について伺います。
まず、滋賀県地域自殺対策緊急強化基金の積み立てと執行の状況について、健康福祉部長に伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えをいたします。
平成21年度に国の交付金約1億6,000万を受け入れて、滋賀県地域自殺対策緊急強化基金を造成し、平成22年度に約5,500万、今年度は約3,900万の国の追加交付を受けて積み増しを行い、積立累計額は約2億5,400万となっております。
一方、執行額でございますが、平成21年度約2,300万、平成22年度約6,200万、今年度予算額で約7,800万となっておりまして、執行累計見込み額は約1億6,300万の状況でございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)その中のうつ対策に係る経費について、健康福祉部長に伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
滋賀県地域自殺対策緊急強化基金のうち、うつ病対策として特記している今年度予算額は972万円でございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今、うつ病対策に係る経費として特記すれば972万円というお答えをいただきました。
国の自殺対策基本法および自殺総合対策大綱に基づいて、平成22年、滋賀県自殺対策基本方針が策定されました。基金を活用して緊急に対策の強化を図ってきました。また、平成22年11月には、国の補正予算で、うつ病対策を強化するため、県では5,500万円が基金に積み増しされましたが、補正予算でうつ病対策を強化したにもかかわらず、今お聞きしました、うつ病に係る予算が972万円というのは余りに少ないのではないでしょうか。うつ病に係る予算や取り組みについて、健康福祉部長の見解を伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
972万は、確かにうつ病対策が非常に重要な中で自殺対策の中で非常に少ないという御指摘、私どもも調べますと、970万として計上していますのは、先ほど特記と申し上げましたけども、県として担うべき人材育成や質の向上のために、先ほど研修ネットワークづくりとか申し上げましたが、その予算額が972万でございます。
ただ、ほかに、自殺関連事業として、うつ関連事業が溶け込んでおりまして、例えばうつ病をテーマとしたシンポジウムや新聞広告などの啓発、高齢者うつ対策研修などの実施、夜間休日のこころのほっと相談会などの相談事業においてうつ病の方の対策も入っておりまして、さまざまな事業の中にうつ病対策というのは入ってございます。さらに、団体や市町が行ううつ病に関する啓発、研修に補助金も交付しております。これらをすべて合わせますと、うつ病関連とあえて申し上げさせていただくと、うつ病関連として執行している額は、執行額累計の半分の約8,200万円でございました。
ただ、今回改めて、うつ病対策の予算額ということで見ますと、県民から見れば対策として非常に少ないのではないかというふうな誤解も受けると思いますので、今後、こうしたうつ病対策の全容がわかるような形でメッセージを送っていきたいと思っております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今、部長が御紹介されたとおり、なかなか、全体的に見るのか、特記して見るのかによって随分と予算額も大きく外れておりますし、おっしゃったように、やっぱり県民にわかりやすいように取り組んでいただきたいなというふうには思っております。
特記した事業について972万というのは、研修も含めた人材育成とかの予算が主なものだと思うんですけれども、私個人としては、それについても余りに少ないと思っています。
また、新年度予算も計上されていますが、今年度と同じような予算でございますし、なかなかうつ病対策という項目も1つ出てこないのも問題かなというふうにも思っています。
厚生労働省の発表では、うつ病患者が100万人を超えて、この10年で2倍以上に急増したと。また、うつ病については国民の15人に1人がこれまで罹患した経験があるにもかかわらず、その4分の3が医療を受けていないという調査結果も報告されています。うつ病が国民にとって非常に身近な問題であるとともに、その対応が適切になされていないことが明らかになっています。
また、うつ病対策は早急に取り組むべき実践的な自殺予防対策としても極めて有効であるとされていて、先ほども申し上げましたが、平成22年11月に国の補正予算でうつ病対策を強化するための基金が積み増しされてきたところです。
また、昨年8月には、国が医療計画の中に現在のがん、脳卒中、心臓病、糖尿病の4疾病から精神疾病を加えて5疾病にする方針を示しました。
このような状況を考えて、うつ病対策の取り組みは喫緊の課題であり、予算をしっかりと確保して取り組むことが重要と考えますが、再度、健康福祉部長の見解を伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) 今御指摘いただきました問題、私どもも共有しておりまして、自殺対策といいますか、自殺者の直前の健康状態はうつ状態、さまざまな要因によるものですが、そういうふうな中で、このうつ病というものに対してどう取り組むかということが1つ大きな自殺対策のキーワードになると思っています。そういう課題認識のもとに、うつ病対策、自殺対策も含めて進めてまいりたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)うつ病対策は自殺予防のキーワードになるという御認識でございましたので、ぜひ予算もしっかりと確保して、今後とも取り組んでいただきますように、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、食の安全、安心対策について一問一答で質問します。
私は、これまで、家族を守る主婦の立場や県民の皆さんの食に対する安全、安心への要望を受けて、食の安全、安心への取り組みについて質問、要望をさせていただいてきました。
特に、昨年3月の福島県の原発事故の影響による食品の放射線汚染について、県民の皆さんから多くの心配の声や、安心への対応の要望を受けて、昨年6月、9月と、議会で食品に対する安全、安心のための検査の充実を要望してきました。
県は県民の声にこたえて、食品の放射性物質の検査を拡充し、その結果を公表するなど、安心感の確保に努めていただいております。
こういった食品の安全、安心の取り組みは県経済や地域経済の活性化につながり、また、被災地の応援にもつながると考えています。さらに、県民の食の安全、安心の推進のために取り組んでいただきたいと願っています。
まず初めに、県の食品の放射性物質検査について、健康福祉部長にお聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
食品に係る放射能物質検査についてですが、従来から文部科学省の受託調査において国が示した実施計画書に基づき、ホウレンソウとダイコンの野菜類、精米、牛乳といった食品に関係するものを定期的に検査をしております。また、福島第一原子力発電所の事故を受け、県民の皆様に安心をいただけるため、県内で流通している加工食品等について放射性物質の検査を実施しているところでございます。
その他、玄米、牛肉については農政水産部において実施されているところでございます。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)大きく3つの検査を示していただきましたが、文科省委託による環境放射能水準調査について、健康福祉部長に伺います。
今御説明いただいたように、野菜、ダイコン、ホウレンソウ、牛乳などを検査していただいておりますけれども、この検査は1989年から全国で実施をされております。昨年3月11日の原発事故を受けて、文科省は体制の強化を指示したというふうに聞いていますけれども、今、部長が説明をいただきました野菜などについては強化されたのかどうか、お聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) 体制の強化という観点では、量的な観点ではございませんけども、部内の職員の努力といいますか、尽力による体制の強化ということではやっております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)それでは、次に、先ほど3つ御紹介いただいた中のもう1つであります県内で流通している加工食品等の検査について、健康福祉部長にお聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
県内流通加工食品等の放射性物質モニタリング検査についてですが、昨年11月から開始し、県内で製造または販売されている加工食品の放射性ヨウ素および放射性セシウムの検査を、現在まで41品目、実施しております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)41品目について、検査結果がホームページで公表されていますけれども、そのうち4品目を除いた37品目は滋賀県産の加工食品です。この食品については、どのようにして選ばれているのか、検査食品の選定方法について、健康福祉部長に伺います。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
モニタリング検査食品の選定方法についてですが、県の食品衛生監視指導計画では、検査対象としている食品を乳製品や食肉製品などを37に分類しており、その分類ごとの加工食品について少なくとも1品目以上、さらに、地域に偏りがなく検査ができるよう、調査品目を選定し、計画的に抜き取り検査をしております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)県民の皆さんから、加工食品だけでなく野菜や肉、魚といった、消費者が主に毎日消費する品目について検査をしていただきたいと強く要望を受けています。
一方で、先ほどもこれも御説明いただきましたが、県内の農畜産物の検査では県内産牛肉と米を対象にしていますが、そのほかの農畜産物も検査するべきではないかとの声もあります。
現在行っている、県内で流通している加工食品等の検査の対象食品について、今後の方針を健康福祉部長にお聞きします。
◎健康福祉部長(渡邉光春君) お答えいたします。
検査の対象食品の今後の方針についてですが、来年度、衛生科学センターに簡易検査機器を新たに2台配置し、食品の放射性物質モニタリング検査能力の向上と迅速化を図ることとしております。
このことから、加工食品だけでなく、野菜や魚などの生鮮食品についても検査を実施してまいりたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)ありがとうございます。県民の声におこたえいただいたということで喜んでおります。
次に、給食の安全、安心対策についてです。
特に子供たちへの不安の声や、給食に対する安全、安心の取り組みを求める声が多くあります。子供の食の安全、安心を確保することは大人の責任です。
国は、福島原発の影響が考えられる17都県について、学校給食用食材の検査機器の補助を実施していますが、対象自治体が限定されています。しかし、給食の安全、安心を確保するために市町独自に調査をする自治体がふえております。例えば県内では甲賀市や高島市が給食用の食材を測定する予定と聞いています。
このように、給食の安全、安心対策が求められていますが、滋賀の子供を守るという観点から、県と市町が連携して対応するなど、給食の安全、安心対策について、知事の見解を伺います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まず、公立の小中学校においては、設置者である各市町教育委員会において食材の選定のための委員会等を設置し、学校給食用の食材については産地の確認や規格に適合しているかなど、安全を確認した上で購入されていると理解をしております。
また、県立学校においては、学校栄養職員を中心に食材の安全等に留意しながら適切に選定されております。
さらに、県教育委員会において、学校給食で使用している食材について、保護者等から問い合わせがあった場合には積極的に情報提供するよう指導もされております。
今後も、県教育委員会、市町はもとより関係機関、関係団体、さらには食材業者等との連携を密にしながら、安全、安心な給食の食材の確保に努めてまいりたいと考えております。また、自園調理を行う保育所においては、安全で安心できる食事を提供するため、国が定めた保育指針に基づき、食材の選定等への配慮が行われております。
県としては、市町と連携を密にしながら、今後とも適切な情報提供に努めるとともに、必要に応じて相談にも応じていきたいと思っております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)先ほど部長が、2台追加配置して、加工食品だけでなく野菜や魚も検査するというふうにおっしゃっていただきましたので、ぜひそういう機会に、給食で取り扱われているような食品等についても検査を、優先して対象としていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、また、国は平成24年度より学校給食の事後検査を行い、放射性物質についてのモニタリングを実施する事業をすべての都道府県において都道府県単位で実施する方針を示しておりますけれども、学校給食の事後検査について、教育長の見解を伺います。
◎教育長(末松史彦君) (登壇)学校給食の事後検査についての御質問にお答えいたします。
公立の小中学校では、昨年、1市において実施されたところでありますけれども、現在は事後検査を行っているところはありません。また、県立学校におきましては、現時点では学校給食の事後検査は実施しておりません。
議員御指摘のとおり、国においては、来年度、学校給食モニタリング事業として、全国を対象とし、1都道府県当たり2カ所程度の実施を予定されておりますが、その内容等については、具体的にはまだ固まっていないと聞いております。
こうしたことから、学校給食の事後検査につきましては、今後の国の動向等を注視するとともに、市町の意向も踏まえ、適切に判断していきたいと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)子供たちの給食の安全、安心対策について、さらに推進をしていただきますように、よろしくお願いいたします。
次に、検査機器の整備について伺います。
地方消費者行政活性化基金を活用して、消費者の食品等に対する安全、安心確保の取り組み、例えば食品モニタリングの強化などに充当することが可能になったと聞いていますが、放射性物質の検査機器の購入等、地方消費者行政活性化基金の活用について、総合政策部長にお聞きします。
◎総合政策部長(西嶋栄治君) (登壇)お答えいたします。
地方消費者行政活性化基金は、県および市町の消費生活相談窓口の強化、その他、消費者行政の活性化に向けた事業の推進を目的とするものでございます。
基金の事業期間は平成21年度から24年度までの4カ年間で、県および県内全市町が活用しております。
事業内容は、国が示す12の事業メニューから選択するものでございまして、食品等の安全、安心確保につきましても、消費者の安全、安心のために行われる事業である限り、基金の対象となります。
御質問の検査機器の整備についてでございますが、住民の皆さんが消費する食品等に関し、放射性物質の検査機器の整備を行うことも基金対象となることにつきましては、平成23年7月29日付で消費者庁より通知がございまして、県におきましては、庁内関係各課および各市町に周知を図ったところでございます。
当該基金を活用した検査機器の整備につきましては、県では健康福祉部が整備しようとする機器につきまして基金を活用することといたしまして、今議会において予算案の御審議をお願いしているところでございます。
また、市町におきましては、平成23年度に長浜市が環境放射線量の測定機器9台を基金で整備されておりますが、平成24年度の事業計画では、機器整備の計画は上がってございません。
基金は、平成24年度が最終事業年度でございまして、基金の活用に当たりましては、県、市町とも基金目的に沿って事業計画を策定しておるところでございまして、検査機器の整備につきましては、県が整備する2台について基金を充当するほかには、基金の活用につきましては難しいものと考えております。
◆21番(粉川清美さん) (登壇)今御紹介がございましたとおり2台が購入されます。あと5台、1,400万円を追加すれば全保健所に整備ができると思います。できるだけ住民の身近なところで食の安心を確保するために、県内すべての保健所に機器を設置し、検査することが望まれますが、地方消費者行政活性化基金などを活用して、消費者の食品等に対する安全、安心確保の取り組みのための機器整備を推進することについて、知事の見解を伺います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほど総合政策部長の答弁にもありましたように、現在、食品の放射性物質検査のための簡易検査機器2台について、地方消費者行政活性化基金を活用して整備することとし、議会で、今、御審議いただいているところです。
新たに購入する検査機器を活用し、県内流通食品の計画的な放射性物質モニタリング検査を実施し、食品の安全を確保していきたいと考えております。
○議長(家森茂樹君) 以上で、21番粉川清美さんの質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時11分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○副議長(佐野高典君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、28番生田邦夫君の発言を許します。
◆28番(生田邦夫君) (資料掲示、登壇、拍手)よろしくお願いいたします。
滋賀県流域治水基本方針についてでございます。すべて知事にお願いしたいと思います。
代表質問の中に出てきましたので、今さら一から説明する必要も何もないと思います。課題もはっきりしてきております。どこに問題があるかということについては、知事の認識と私どもの認識というものは一致しておるというふうに思います。
それで、話に入らせていただきます。
まず、問題点の1つ目でございますが、川の中の対策であります。
2月14日火曜日に行われました自治創造会議の中で、川の中の対策のことで、各市町からいろいろ意見が出ております。まず、野洲市長からどういう意見が出たか、もう一度、知事のほうから認識をお伺いしたいと思います。
○副議長(佐野高典君) 28番生田邦夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)お答えさせていただきます。
野洲市長から6点の指摘をいただきました。
1点は、基本方針は条例を出口としているのかどうかという点です。2点目は、河川整備は所与の条件としているが、この所与の条件は総合治水に比べ範囲が狭いのではないのかという御質問。3点目は、国の出先機関改革の会議で、広域連合で流域治水を進めるとあるが、琵琶湖、淀川流域全体で建築規制、土地利用規制を進めるのかどうか。4点目が、住民の住むところをはんらん原とするのは不適切ではないか。5点目が、2月6日に開発許可における雨水排水計画基準の緩和を行うとの説明会があったが、この考え方の中身について。また、6点目が、リスクを提示することで川の中の対策を手薄にしようとしているのではないのかの6点でございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)後で細々とお聞きしますので。まず、川の中の対策のことについて質問がありました。これに対して、知事はどのようにお答えになっておられますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まず、川の中の対策は、中長期整備河川において河川整備計画をしっかりと立てて、県が責任を持って実施をしていく、河川整備、堤防強化をしていくということを申し上げました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)守山市長からはどんな意見が出ましたか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
守山市長からは、川の中の対策と川の外の対策を並行して進めるという趣旨には賛同する、その中で、河川整備の充実をどうしていくのか、地先の安全度の前提となる降水量の設定条件を明らかにしてほしい、3点目が、建築規制、土地利用規制は必要に応じて市町で規制を行える仕組みを考えてほしいということです。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)それに対する知事の回答は。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まず、河川整備の充実については、次年度予算も増額し、しっかりと対応していく、2点目の地先の安全度のモデルの中で、琵琶湖水位の設定ですけれども、ここについては、琵琶湖水位は基準水位プラス40センチのところで設定をしている、それから、3点目については、市町の規制については地方分権の趣旨から検討が可能であるという内容の発言をさせていただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)竜王町からの質問は。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
竜王町については、日野川初め祖父川、天井川があり、堤防が高く、一たんつくと水が引かないので、日野川の流下能力を高める改修を進めていただきたいとの御意見がございました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)これに対して知事はどのように答えておられますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
日野川では下流から改修を進め、流下能力の拡大に努めている。ただ、今、JRとの交差箇所、JR琵琶湖線、それから、その上には新幹線があります。JRとの交差箇所等の問題などがあり、川の中の対策はしっかりと進めているが、時間は少しかかるということを申し上げております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)彦根市からはどういう意見が出ましたでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
2点ございました。
まず1点目は、資料で総合治水と流域治水の違いを見ると、流域治水では計画洪水は河川で分担とあり、ハードを重視されるものなのか、そのような考え方であれば評価できる、2点目は、ためる、とどめるで対応できない場合、ダムはつくられるのかの2点でございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)これに対して知事はどう答えておられますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まず、前半部ですが、計画洪水は河川で分担というのは、先ほど来の中長期整備河川の整備でハードとしてしっかりとさせていただくと、それから、2点目の川の中の整備は段階的に進めていきますけれども、早く安く確実にという考え方から河道改修とダムを比較をして、同じ安全度に対する投資効果が河川改修の方が少ないならば河川改修を段階的に先行するということを申し上げております。
同時に、100年確率の整備を行う場合、ダムが必要というときには中長期的にダムの計画を残しておくと申し上げました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)次に、長浜からも意見が出ております。どういう意見だったでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
流域治水基本方針については想定外のことを想定して災害に備えるものであり、長浜市としては理解をしている、進めていただきたい、川の中の対策について不安があったが、厳しい財源の中で予算の上乗せもされ、覚悟を示されたものであり評価している、条例の必要はないという意見も出ているが、流域治水基本方針の実効性を確保するためにも条例制定が必要と考えるとの御意見でした。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)次に、甲賀市からはどういう意見が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
甲賀市長からは、基本方針は水害に強い地域づくりを推進するための提案であり、ハード、ソフトの両面で安全なまちをつくろうという取り組みである。土地利用については建設省通達で出ているが、適用されてこなかったことから、本県において明確に対応していこうとするものである。上流、下流それぞれの思いは異なるが、今までそれぞれ苦労をしている。県予算も削減され、河川については10年前と比べて4分の1まで減少しているということだけれども、河川予算の確保に努力している。条例化については、各首長の合意を取りつけながら進めていかなければならない。この場で議論している間にも災害が起こるかもしれない。2009年の佐用町──これは兵庫県です──佐用町の例があるが、集中豪雨、局地的豪雨の教訓、課題を生かした上で流域治水に取り組んでいただきたいとの御意見でした。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)湖南市からの意見はどうだったでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。少し長いですが、フォローさせていただきます。
まず、資料スライド8の湖南市の図面は10年、30年に一度の雨で、これらの区域が浸水するというが、今まで生きてきてそのような実感はない。治水は為政の根幹であるが、基本方針案は治水から少しはみ出すところまでカバーされていると思う。川の中の対策をしていただかなければならない。A・Bランク以外、C・Dランクも全体の計画が必要である。建築規制を県が行うのか、基礎的自治体が判断で行うのかという議論があるが、全県下一律で統一的な同じ規制をかけるべき。そうしないと、上流下流、人口の多寡で不公平となることを恐れる。県の恣意で地域によって水没発生の確率年の区分を行うことはやめていただきたい。そのような区分を行うのであれば、市町が責任を持って規制をかけられるような法体系を構想していただきたい。これについては回答は不要であると、最後のところ、いただいています。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)川の中の対策については、やっぱりもっと気張ってほしいと。もっともっと気張ってほしい、予算をつけてほしいというのがすべての意見だというふうに思っておいていいんじゃないでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
川の中の対策、県としてしっかり責任を持ってほしいという御意見は大変強かったので、来年度、今回の議会でも増額予算をお願いをしているところであります。
◆28番(生田邦夫君) (資料掲示、登壇)お手元に資料を配っております。河川事業予算の変遷であります。
知事が今言われましたように、ことしは去年よりも少しふえました。まことにありがたい話であったと思っております。
その中で、「いずれにしても、いたずらに採決を遅らせることは県民の安全、安心を放棄することにつながります。ましてや、流域治水基本方針の考え方ではなく、川の中のハード対策の予算の上積みがねらいであったとすれば残念であります」というような代表質問があったように思っております。
知事、この質問に対して、もう一遍、どう答えてはったんですかね。すんません、ちょっとうといもんで、よろしくお願いします。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今、手元に資料がございませんが、いずれにしろ、川の中の対策はしっかり県としてやらせていただくということを申し上げたと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)基本方針のところに、投資余力が云々という文章があるんですね。それから、所与の条件という文章があるんですね。この文章は、正直申しまして、いただけないと思っておるんです。ここについて、後でまた、この話に戻りますが、知事、この投資余力とか所与の条件とかいう文章は直したほうが私はええのと違うかなと思うておるんですけど、どうでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほどの自治創造会議で、野洲市長もこの所与の条件という表現を大変気にしておられました。そのときもお答えしましたが、この所与の条件というのは、中長期整備河川で、A・Bランク、Tランクを含めて、河川整備計画を計画的に行っていくという意味で、川の中の整備を今後おおむね20年間に実施する対策、そのことを申し上げたものでございます。
また、投資余力と申しますのは、一般的な意味でございまして、必要な分野に柔軟に予算を配分できる力という意味でございます。
もう少し背景を申し上げますと、十数年前まで6,000億円あった滋賀県の財政規模、今、5,000億円を割っているわけです。その間、福祉などを含めて扶助費がふえております。投資的事業の全体としての予算は減少傾向にある。ここで河川事業の予算を議員が出していただいているとおりでございますけれども、そのような一般的な意味で投資余力という言葉を使わせてもらったものでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)知事にもう一遍お伺いします。
この今言うています投資余力とか所与の条件とかいう文章は修正したらどうですかという意見に対する御回答をもう一遍お願いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
それは議会の皆様の御審議の中で、意味的なところでの御意見はしっかり聞かせていただきたいと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)今の発言は、字句の修正に応じてもええということでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
二元代表制のもとで、このようにして御審議をいただいているものでございます。議会の皆さんの中でしっかり御審議をいただき、その結果は受けとめさせていただきたいと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)ことしの河川事業に入れるお金は少しふやしていただいております。知事さんの思いをお伺いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
各市町、また議会、皆さんのそれぞれの御意見をずっとここ数年、聞かせていただきました。そういう中で、今回の基本方針の議論、去年の夏からあるわけですけれども、皆さんが川の中の対策の重要性、口々に強調いただきましたので、来年度、予算をふやさせていただくという御提案をさせてもらったものでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)口々に要望したんですね。でも、どこかの会派は口々に要望はされなかったみたいでございます。
この記載の中に、知事、ダム事業についての記載がほとんどないんですね、この基本方針。何でなんでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
流域対策、川の中の対策、川の外の対策、両方を含めて全体をフォローさせていただいております。個別の施設であるダムについては、そのような意味で、必ずしもそのことだけを特出ししているわけではございません。川の中の対策の一部と考えております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)それにしても、ダム事業についての記載がほんのちょいというところだけであります。それをしますとね、ここでお伺いします。どのような場合にダム事業を実施するのか、お答え願いたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
河川整備計画というのは各河川別につくりつつあります。その河川整備計画の中で、特にダム事業については投資の額も大きく、また、時間も何十年もかかります。また、地元への影響も大きいので、河川整備計画の中で、ダムはダムとして、これまでじっくりと議論をさせていただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)もう一遍お伺いいたします。
どんな場合にダム事業を実施するのか、これ、ちょっと説明願います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほどの自治創造会議の彦根市長の御質問にもお答えをしましたように、各河川ごとに、個別の施設ごとにそれぞれの河川の治水目標があります。その治水目標を実現をするために、ダム投資の場合、河川改修の場合などを比較をしながら、安く早く確実に目標を達成するためのプロセスを経るわけです。地元でも何度も議論をしながら、その中で、ダムが一番安く早く確実に効果が上がる場合にはダムを選択するという判断をさせていただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)先ほど知事は、字句の修正は議会の考えることやというふうに言われましたが、そういたしますると、ダムを含む川の中の対策をもっと重視するような内容にこの基本方針を議会が修正してもよろしいでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今、ダムはダムで、河川整備計画の中で個別に検証をしております。流域治水は川の中と外とセットでございますので、その全体のバランスはお考えをいただけたらと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)わかりやすくいきましょう、知事ね。
そうすると、議会が修正するんやったらする、勝手にしなはれという意味に受け取っておいてもよろしいでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
字句の修正はともかくとして、内容的なところについては今申し上げましたようなことでございますので、皆さんで御議論いただき、ダムについては別建てで、既にこの議会でも随分とそれぞれの個別のダムについて御議論をいただいております。そういうところで、河川整備計画という、その中の一施設がダムという扱いで、今まで十分御議論をいただいてきていると思っております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)さまざまな治水施策の中でダムの最も顕著なメリットは、早期に治水効果を発揮できるところにある。全川にわたっての改修を行わなくても1カ所にダムを建設すれば、それより下流全川について一定の低減効果を出すことができる。したがって、これまでの河川整備は、ダムと河川改修を組み合わせて目標とする整備水準を達成することとし、長期間を要する河川改修に先行してダム事業を実施して、早期に一定の治水効果を発揮させる手法をとってきたのである。こういう考えがありますが、この考えについて知事はどう思われますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今の文章は治水技術指針でしょうか。一般論としてそういうことは十分あると思います。
そういう中で、個別のそれぞれの河川ごとに河川整備計画を策定するに当たって、個別のダムの評価を、これまで滋賀県としてはやってきたところでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)各河川についてダム事業を実施しなくても、それと同時の時期に同等の治水安全度の向上を実現できる、現実的な方法でね。ダムを実施しない場合、ダムを実施するのと同じほどの効果が出るようなものを示さなきゃならんと、これがダムにかわるいろんな施策だと思います。それを示す必要があると思いますが、知事は同程度のものを示すことができますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
そもそもダムはそれぞれのダムの目的がありますが、県の河川整備計画全体の責任を持つ者、あるいは、県の一級河川全体の責任を持つ知事としては、全県下のバランスをもって50平方キロ以上は戦後最大、基本的に、また、それより小さい河川については10年確率という全体のバランスを持った目標を滋賀県としては河川管理責任者として立てております。そういう中でダムも位置づけていくというところでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)すんません、この前も言うたんですけども、よくわからんです。難しい言葉じゃなしに平たくわかるように言うていただいたらありがたいなと思っております。
2つ目の問題点、課題のところに行きます。地先の安全度の信頼度であります。
2月14日の自治創造会議でいろんな意見が出ております。
守山市からはどういう意見が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
地先の安全度の前提となる降水量の設定条件を明確にしてほしい。また、中央集中型のモデル波形について教えてほしい。琵琶湖水位の設定をどう考えているのかとの御質問でございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)近江八幡からはどういう話が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
県が情報提供することや指針を出すことはよいが、条例で縛りをかけることは耐えがたい。知事の権限を我々に移譲するべき。県の規制が市のまちづくりを阻害している。条例は市の独自の判断に任せてほしい。近江八幡市では河川改修をしていただいて、これは特に日野川と長命寺川ですが、今では昔のような水害はないが、どこまでの雨を想定すべきかは非常に難しい問題である。現実性のあるわかりやすい想定にすべきである。条例化は我々の自主的な判断に任せていただきたいという御意見です。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)今、地先の安全度の信頼度のところであります。
そうしますと、次に、米原市からはどういう意見が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今までの通達、これは都市計画などに関するものだと理解しますが、今までの通達がしっかりした基準がないことから適用されてこなかった。今回、数年間かけて分析した基準、地先の安全度マップにより適用していこうという方向のものであり、マップの活用は理解する。建築基準法では地方公共団体が災害危険区域に指定することができるとされており、市町に指定を任せていただきたい。200年確率、10年確率の浸水深図で白いところは本当に安全かといえばそうではないと思う。うちは安心だと思っていただいたら、大津波の被害のように逆効果になりかねない。マップに頼り過ぎないことが大切である。公表に当たっては注意していただきたい。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)東近江市からはどういう意見が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
基本方針の目的である、どのような洪水に遭っても人命が失われることを避けるということをうたっていくことは重要である。天井川の対策は一、二年で完成するものではないし、それを超える洪水もあり得る。ハザードマップをそれぞれの領域でつくっていくこととあわせて進めていかなければならない。流域治水の問題提起は歓迎できるものであり、ぜひ目的である人命被害の回避、深刻な財産被害の回避を重要視して、その方向で進めていただきたい。ただ、治水という言葉のイメージは流す、ためる、とどめるの範囲までである。備えるは治水とは異なると思う。災害から命を守るということを副題をつけてはどうか。治水というと市民の側は川をどうしてくれるんや、堤防をしっかりせよということが中心となってしまうように思うと、言葉のことも御指摘いただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)先ほど知事は言うていただいたんですが、もう一遍お願いします。
湖南市のほうからはどういう意見が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
二度繰り返しになると時間もありますので、1つには、A・Bランクだけではなくて川の中の対策、A・Dランクも配慮してほしい。(「CD」)C・Dランクですね。それから、規制をかけるならば全県下統一的な規制にするべきというような御意見を伺っております。
◆28番(生田邦夫君) (資料掲示、登壇)この前の議会でも出させてもろうたパネルなんですけども、現実には、このまちの中に住んでいますので、どうも、地先の安全度を加味した形のこのハザードマップですけども、やっぱり現実にはオーバーになっているというふうに思います。
ほかのところからもこれについての意見が出ております。現実の感覚と比べると非常に広い範囲にわたって浸水するように設定されているように感ずる。こういう意見が多々出ていると思いますが、これに対して知事はどういうふうにお考えになりますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
この地先の安全度マップで想定します浸水深は各河川の浸水想定区域図、既にこれまで各河川別に出しているものと比べても過大ではありません。むしろ各河川の周辺では、水防法に基づき策定した浸水想定区域図のほうがより大きい浸水深を想定している場合が多くなっております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)知事が言うておられるのは、ある特異な地域であります。しかし、大多数というか、おおよそ浸水する範囲というのは非常に広くなっていると思います。特定のところを取り上げて、そこのところだけがここが小さくなっているんやということを言われるのやったら、全県下において比べてのデータをお出し願いたいと思います。
それで、そもそも雨の降る設定というんですかね、シミュレーションですね、わからんなりに調べてみたんですが、雨量の計算とか破堤条件の設定とか、専門領域に入る範囲なんですが、やはりこれをずっとたどっていきますると、滋賀県下全域に529ミリでしたかね、降るという設定でございます。これはやはり過大というか、重た過ぎると。そもそもこの設定でいく限りは、結論としては非常に広い範囲で出てくる、そういうものやというふうに解釈しておりますが、もう一遍聞きます。やっぱり広い範囲に出てくると、知事はそう思われませんか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
降雨、今回は時間雨量109ミリの降雨が100年に一度程度発生すると想定をしておりますが、特に大雨の場合には、全体ですべて降るということはごくまれですけれども、ただ、各地点ごとに見れば、時間雨量109ミリの降雨が100年に一度発生するというおそれがあるので、それを全体としてまとめているわけでございます。
特にこの地先の安全度マップというのは、それぞれの居住者、あるいはそれぞれの事業者、被害を受けるかもしれない立場から最悪の事態を想定するというものでございますので、全体を平均化して薄くしてしまうと、逆に被害の最小化という目的には不適切だろうということで、全体としてこのような図にさせていただいているところでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)課題の3つ目でございます。土地利用のところであります。市街化区域の編入、それから、土地利用規制のところでございます。
2月14日の自治創造会議において、野洲市からはどういう質問が出たでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほど野洲市は6点ほど言っておりますが、その中で、土地利用規制については、既に都市計画法令で制度化されているので、今回、条例で定める必要があるのかということを御質問いただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)すんません、忘れんうちに知事に聞いておこうと思います。最近話題になっております調整池のところでございます。
50分の1から10分の1に規制を緩和するというところについて野洲市から質問が出ていると思います。出ていますかね。ちょっとお願いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
野洲市からの質問は出ております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)すんません、ちょっと中身をお願いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
最近、担当者が各市町を訪問して、これまでのまちづくりで10分の1の確率でつくってきた市町の方針と、県のほうは50分の1という指導をしてきたわけです。それを、今議論が始まっているけれども、50分の1を10分の1にするのは安全側からすると理念がずれていくのではないのかということの御指摘をいただきました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)この自治創造会議において、知事はどういうふうに回答なさっていますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
担当のほうから、今、何がどういう協議になっているのかを問いただした上で、預かって、また回答させていただきたいということで、預からせていただきました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)今おっしゃったように、知事は知事預かりにさせてほしいとおっしゃっておられますね。この時点において知事はどうして、即、回答なさらなかったんでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
個別担当が協議を始めたところで、どういう協議をされているのか、私のところに資料がございませんでしたので、預からせていただきたいと申し上げました。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)2月17日付で知事の名前で各市町長様という形で、これのことについて文書が出ております。滋流政第34号でございます。これについて御説明願いたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今、各まちづくりの観点からは市街地区域編入の技術基準を10分の1としているわけですけれども、これまで県は調整池設置を求める行政指導で50分の1にしてまいりました。この両方の方針についてそれぞれの市町の意見を聞かせていただきたいということで、さらなる問い合わせをさせていただいたと理解をしております。
議員からの御指摘がないので、そのときの文書そのものは今手元にございませんが、協議の中では、今まさに問い合わせ中であるということで、最終の返事は各市町からいただきつつあると、すべての御返事はいただいていないという報告を受けております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)2月14日の時点においては、知事はこの問題について承知しておられなかったんでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
当日も申し上げましたが、私自身は個別の事務手続を進めているところについては個別経過、報告を受けておりませんでしたので、その以降、担当に何が起きているのかを聞いて、そして、今まさに問い合わせ中ですので、まだ結論は出ておりません。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)今、けったいなことをおっしゃいました。要するに、2月14日の時点においては、この問題については知事は承知しておられなかったということでございます。何でやなと。何で知らなんだんやなと。大事な問題でございます。50分の1の調整池のところから10分の1で規制を緩和するという話であります。こんだけ流域治水がどうやこうや言うて、水、どうやって治めようか言うて、正直申しまして、規制を緩めていくという方向に。流域治水の考え方はそうでしょうか。担当課も何してたんやというふうに言いたいし、県の流れから言うたら逆行する。業者にとっては、ごめんなさい、問題発言ですけども、ありがたい話なんですわ、50分の1から10分の1って。ありがとうございますと、もう拍手喝采であります。どんだけ最後のところで、調整池のところで苦労しているか。その思いから言うたら10分の1ではまことにありがたい、もう感謝感激ですわ。
その中でね、この規制、土地利用のところで、今度の地先の安全度を加味した流域治水の基本方針が、恐らく条例のところにおいては規制がかかってきて厳しくなるのにかなわんなという思いがあるから、各市町が、やっぱりここできちっとしておきたいという思いがあるのであります。その中で、知事は知らん、さらに、先ほど申しましたように、知事の名前において2月17日付、問い合わせやて。流域治水というのは、もしも、問い合わせるというので各市町の意見を聞くというのやったら、何も今までこの間、市町にかぶせるようなこの流域治水のことについて、県の態度、これではあかんでと言うてたのと矛盾するんじゃないですか。もう一遍お答え願いたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
各市町からさまざまな相談を受けていたので、その相談に対して話し合いをしましょうという協議をしている途中だと理解をしております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)市町から言い出したことじゃないんです。県から言い出したことです。現実には県は50分の1、市町によっては10分の1というところがあると。そしたら、10分の1に合わせてやろうというお考え。違いますか。よろしいわ。
そうすると、ほんまに先ほど言いましたように、滋賀県流域治水の基本方針案、これと同基準、この基準ですね、整合性について改めて説明させていただきますというのが知事の名前における公式文書であります。
整合性とれてへんという思いがあるから、ここでもう一遍説明させてくださいということじゃないですか。もともと整合性がとれるのやったら何も市町に対して説明する必要あらへんのと違いますか。どうぞ。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
そこについては土木交通部長から答弁させていただきます。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) お答えいたします。
まず、この調整池の10分の1と50分の1の議論の経過でございますが、地方分権の流れの中で開発許可が県から市に、順次、移譲されたところでございます。
市では、おおむねほとんどの市町が10分の1の確率降雨で開発許可を認めていこうという方向で、実際、そういう作業で許可を進めてこられました。ところが、一級河川に流下するところでは、滋賀県は従前のとおり50分の1という基準を持っておりますので、滋賀県が河川管理者になる場合は調整池の量が大きいものを提示する、市は小さいものを提示するということで、開発業者にとっては不整合な両方の答えが出ておったわけです。当然、大きいほうの条件で今はやっていただいております。
こういう問題に対して、市町の担当者の方々からは、ぜひ調整していきたいという声がございました。具体的には、10分の1に合わせてほしいというのが本音のところだと思います。
そこで、先ほどもありましたように、今後どうしていくのかということで問いかけをし、去る2月24日を締め切りとして意見をちょうだいしたというところでございます。
したがいまして、この10分の1と50分の1の考え方で、今まで50分の1であったのを10分の1に改正するということであれば、その整合性の議論でございますが、今回、流域治水基本方針で考えております市街化区域編入の考え方も10分の1でございます。そういうことから考えると、流域治水基本方針、開発許可なども整合のとれた中で整理をしていきたいということでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)地方分権の流れからというのとまた違うんじゃないかなと。しかし、今、部長がおっしゃったのは、地方分権の流れから言うたら市町に権限を移譲するという、地方分権の流れから言うてということを一つの理由として挙げられました。
市町からは、10分の1になっているところを50分の1に厳しくしてくれという意見は出てきませんわな。当たり前の話であります。10分の1に統一してくれという話であります。
知事、もしもそういう話が出て、10分の1ということでしたら、知事、県としては、その10分の1でよろしいでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
今まさに市町と協議中でございますので、その結果を見せていただきたいと思います。
ただ、先ほど来のお話を聞いておりますと、今回、土地利用規制というのは市街化区域への編入は10分の1です。一方で、100分の1などの大変ハイリスクなところの地先の安全度マップ、出していますけれども、これはこれで、それぞれ自助、共助、備えるためのマップでございます。土地利用規制については10分の1ということで、このあたりの整合性については各市町に説明をしていく必要があると思っております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)ごめんなさい、私、わからへんので赤子の手をひねるみたいにひねれるので、よう反論しない人間なんですけども、せやけども、調整池の10分の1、50分の1というのと、地域におけるこれと、10分の1というのと同じやという話はちょっとやっぱり私としても理解に苦しみます。
先ほど来言うていますように、市町は、土地利用のところで県から規制をかけてくるのはかなわんと、できるだけ自分たちのまちのことは自分たちのまちで決めていきたいという思いなわけですね。それを、さらに厳しい規制を県のほうからかけんといてくれという思いがあるから、ここについて自治創造会議でこんだけ、みんな、ああやこうや、ああやこうや言うて不安がっているわけです。その中で、この50分の1の調整池が10分の1でええと言われるというのは、やっぱり今まで県が言うてることと合わない、どうなんやと。
担当課からは知事はお聞きになってなかって、知事にちょっと預けてくださいということも言われまして、ほんで、へえと思ってまして、私は、地先の安全度で、土地利用のところでこんだけみんながぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ言うてるときに、担当課もでしょう、知事のほうにちゃんと話を入れておくべきであるし、そんなもんかなと、その程度かなと、皆さんの緊張度。命と財産がかかった問題でありますので、もうちょっと緊張感を持って仕事していただきたいと。
この辺については、知事は今、返事を、回答をいただけませんでしたが、10分の1に各市町から要望が出たら、県としてはそれに合わすと、それが地方分権の流れに沿った線であるというニュアンスであるというふうに解釈しておきます。それでよろしいやろうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほどもお答えいたしましたように、今、各市町と協議をしているところでございます。その協議の結果が出たところで方向を示させていただきたいと思っております。
◆28番(生田邦夫君) (資料掲示、登壇)3つ目のパネルは、市街化区域への編入で、担当部署からいただいた資料をパネルにいたしました。
これは、今までの基準と、今度、地先の安全度マップ策定後の市街化区域への編入のところ、各お手元に資料を配っております。これは変わりませんというふうに解釈できますよという話なんです。そうですね。
こういう判断なんです。そのとおり解釈しといてええんでしょうか。中身が変わったわけではないというふうに解釈しといてよろしいんでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
水害土砂災害等、都市計画基準の概要は左、右、変わりませんので、変わらないということでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)都市計画のところにおいての基準というものが、簡単に言いますと、おおむね60分の雨量が50ミリというのが一つの基準だと思います。しかしながら、ここまで出てきたときは同じですけども、これの前提になるところのハザードマップ、地先の安全度を加味したところの、1時間で何ぼつかるんやというところの基準は、先ほどの話に戻しますが、地先の安全度に対する信頼度というところにかかってくるのであります。決して同じやったら問題にしません。ここの判断の基準の前のところが違うから問題にしているのであります。決して同じではありません。同じやったらする必要あらしません。今までのとおりでええわけです。今までとは違うところの規制がかかってくるから問題にしてるんです。ここまで出てきたときは同じ。これの前提が違うから言うてるのであります。
すんません、同じでないというふうに私は解釈しております。もう一遍、御回答願います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
規則的には同じですが、今まで基準の運用をするための資料が不十分だったというところで、今回、地先の安全度マップを活用しようということでございます。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)市街化区域への編入を禁止するというところが問題なんです。要するに、市街化区域に入れるのを規制しているのは水の問題だけではないと思うとるんです。いろんな諸条件があって、市街化区域に入れるか入れないかという判断をしているわけです。ここが問題なんです。ここが問題やと思うんですよ。今は水の問題だけでここの規制をかけようということであります。
いろいろ法的な問題がありますね。通達のほうが法的に拘束力があるのかどうか、条例よりも上なのか下なのかとかいう話はありますが、そんなことはちょっと横へ置いといて、市街化区域へ入れられないというとこら辺の問題が出てくるのであります。
市町にはそれぞれ歴史がございます。言い方は悪いですけども、多少の問題はあっても、やっぱりそこで生きていかなきゃならん。そういう思いで、この通達があるのを知ってながらも、まあ、言い方は悪いけども、無視している部分がございます。それで生きているんであります。そういうもんじゃないでしょうか。
これを金科玉条のごとく、通達を盾にとって、この広範囲なところを規制をかけてくるということについては、市町はかなわんという思いがあって、いろいろいろいろ、先ほど来、意見を言うとるんでしょう。腹の中はここなんです、市町の思いは。そこを考えていただいて、知事、何か1つほかの条件も考えて、少し、こう厳しく規制するのは、まあ、言い方は悪いけど、しませんわなという一言があればほっとします。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まず、北風路線か太陽路線かということですけれども、何よりも被害が想定されるところで都市開発をされたら、一番被害を受けるのは当事者です。家をつくった人、あるいは開発をした人。
今回、タイの洪水がありましたけど、あれは、地先の安全度マップがあったら2兆5,000億の被害は防げただろうというくらい、いわばリスクを知って備えるということが、今、社会的に求められております。
そういう中で、今回のこの基本条例は、決して開発を規制するのではなく、太陽路線、危険性を知って、備えたら開発をしてもいいですよという、ある意味で開発を推進するというものでもあります。
その例が、例えば野洲川の川沿い、湖南市です。昨年の12月27日に川沿いのところの都市計画編入を認めました。それは、備えたら、つまり2メートル、3メートルかさ上げをしたらオーケーですよということで、危険に備えて合理的な土地利用をさせていただくということでございます。ここにつきましては、自治創造会議で多くの市長の皆様も御理解をいただけたと思っております。もちろんまだ個別の細部の協議は必要なんですけれども、備えることによって将来起きるかもしれない被害を最小化する、それがこの流域治水基本方針の考え方でございます。
被害は知っているけれども、知らんで目をつぶって開発をしようという、そういうところではないということを申し上げさせていただきたいと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)執行部のほうからは無視されましたが、平成22年5月に出されました滋賀県流域治水検討委員会学識者部会の提言がございます。
土地利用のところについては、規制をかけるのにおいては非常に慎重であってくださいというのが学識者部会からの提言の一つでございました。ここはいつの間にやら無視されました。
さらに、先ほど申しましたが、水害の危険性ということのみをもって一律に市街化区域への編入を禁止するということは、市町の総合的な観点から、まちづくりを阻害する、こういう意見もございます。この意見について知事はどういうふうに、しつこいようですけど、もう一遍お願いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) 何度もお答えさせていただいておりますが、そもそも土地利用規制は新たな規制をするものではありません。昭和45年都市計画法、また、昭和34年の建築基準法の既にある技術的助言なりを活用して、それを運用するに当たっては、地先の安全度という、より現実に即した形で住民や事業者の目から見てのリスクを合理的に判断をして、合理的な土地利用、まちづくりをしていただくということでございます。先ほどの市町長さんの中にも、長浜市、米原市、あるいは東近江市、また、甲賀市などは、この必要性ということは理解をしていただいております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)最後のところで、条例の制定についてのところでお願いしたいと思います。
条例制定についての意見は野洲市、近江八幡、草津、高島、栗東、長浜、守山、甲賀、豊郷、こんだけ意見が出ております。まあ、大体皆、先ほど来言うている話でございます。
この条例制定に向けての意見がいろいろ出ているんですが、この基本方針と条例とを一緒に審議したらどうですかという提案が1つあったというふうに思いますが、これについては知事はどういうふうにお考えになっていますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
まずは基本方針を策定をして、そして、テクニカルなところは、条例の中身について技術的に、次の段階で議論を進めるべきと思っております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)守山市からの質問に対して知事はこういうふうに答えられたんじゃないかなと思います。今の話です。2月議会で基本方針が仮に継続審議となったとしても、条例の内容を並行して議論するために出させていただきたい、その中で、建築規制や区域区分の見直しなどについて議論させていただきたい、こう答えておられるが、間違いございませんでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
仮定のお話として、そのような一つの議論もさせていただきました。しかし、今、今回の提案説明にもさせていただきましたように、基本方針をまず策定させていただき、そして、先ほど来御指摘いただいているような形でのテクニカルな議論は次の段階でさせていただきたいと思っております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)この文章を見せていただいたときにびっくりしました。知事は継続審議でもええと思ってはるねんなと思ってびっくりしたんです。ここで勝負をつけろと、白か黒か勝負をつけろという思いかなと思ったんですが、この文章では継続審議でもええでというふうに解釈しております。違いますやろうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
あくまでもそのときの議論のネタとして出させていただきましたけれども、しかし、提案説明でもしっかり御説明をさせていただきました。ここは、基本方針の策定をまずしていただき、そして、次の段階での条例とさせていただきたいと思います。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)我々の会派からの代表質問の中で、1つこういう考え方もどうですかないうて川島議員のほうから言われたのが総合治水という考え方で、1つは川の対策編、それから流域治水編、減災計画編という、こういう形で、それ全体をまとめて総合治水編という形でまとめ上げたらどうかというのも一つの案やなと。別に回答を求めていたわけじゃないんですけども、そういう話がございました。この辺について、知事は総合治水と流域治水は違うのやて言うておられますので、そのお考えをちょっとここで披露願いたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
総合治水というのは、ある目的となる水量を抑えるために、川の中プラス、先ほどの調整池であるとかいろいろなところで分担して持とうという、あくまでも水量主義でございます。それに対して、流域治水というのは水量の制御、これはもちろん重要ですけれども、地形や、あるいはそれぞれの住まい方、まちづくり、そして、避難態勢などを含めて川の中の対策、川の外の対策、そして、ためる、とどめる、備えるという住民の側からの自助、共助も含めたものでございますので、総合治水という名前にしますと意味が変わってくるというふうに、少なくとも今までの国土交通省などが出している総合治水と、今出している流域治水は違いますので、ここは、言葉をかえていただくと誤解を生じてしまうのではないのかと懸念をしております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)流域治水検討委員会の学識者会議ですか、に諮問された内容も、川の中の対策ということじゃないのやと。川の外の対策と地域の水害対策についてのところに限った諮問であったという、だれやったな、教授やったかな、だれか言われましたね。(「多々納さん」)多々納さん。という形で、そもそも流域治水ということについては限定された中での諮問であったというふうにお答えになっておられます。
そういうことから考えても、やっぱり流域治水という今の現在の基本方針だけで、今言われているところの総合的なところ、川の中の対策、それから流域における治水対策、それから減災計画という形をカバーしているとは思えません。どこか、川の中の対策というものについては、やっぱり足らん。どうしても嘉田知事の脱ダムというか、ダムなしやというとこら辺がまず気持ちの中にある。これはもう隠すものでもないでしょうけども、そういう中でこの流域治水というものがつくられているというふうに解釈いたします。
ですので、もう一遍お伺いしますが、字句の修正、これは構わないと。しかしながら、今おっしゃったように、流域治水の根本的なことに対して、そこまで踏み込んだ形の修正を議会でやったら困るというのが知事のお考えでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
多々納様が言われた意味、そして、こちらがお願いしたのは、既に中長期整備河川、しっかりと中長期の河川アクションプランをつくり、あわせて、河川整備計画で議論もしてきております。それにプラスしてということで、そのような依頼になっているわけでございます。
先ほど来申し上げておりますように、総合治水と、滋賀県で言おうとしております流域治水、もともとの定義が違いますので、この言葉については、こだわる必要があると思っております。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)そのこだわるのはこだわるでええんです。しかしながら、川の中の対策をもう少しきちっと位置づけて、今やったら川の中の対策というものが別にあって、ほんで、今現在のこの基本方針があるという形やったらええですわ。今現在出されているのは、私から見たらですよ、川の中の対策編は別にあって、流域治水編と減災計画編というこの2つやと。さらに、滋賀県における、まとめ上げるところの総合治水という考え方があってもおかしくないんじゃないかなというふうに思います。
もう一遍聞きますが、そこまでさわったらあかんと、そこまでさわるんやったら没にしてくれというお考えでしょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
水害に強い地域社会づくり、丸5年、地元の皆様と本当に親身に議論してまいりました。一日も早く基本方針を策定をしていただき、一日も早く条例制定をすることが県民の皆さんの願いにこたえる、また、治水、安全なまちづくり、責任のある知事としての覚悟でございます。よろしく御理解のほど、お願いいたします。
◆28番(生田邦夫君) (登壇)この基本方針が継続審議になったときに、知事が記者会見の中でコメントしておられて、要するに、これで不安やというようなことを言われました。日々、川を治めるためにみんなが努力しておるわけですから、自分の思うとおりにならなかったらということじゃなしに、もうちょっとみんなの意見も聞いて、うまくまとめてもらえたらなと思っております。
それから、先ほど申しましたが、極端なことを言います。金があろうがなかろうが、やらなきゃならんことはやらなきゃならんのです。それこそ義務的経費というところに食い込んででも、行財政改革をやって、義務的経費というものもさらに圧縮しながら、まずはやらなきゃならんことはやらなきゃならんのです。
このずっと下がってきているグラフ、先ほど資料としてお渡ししましたが、これがしごくもっともやというような話をするのは、県を預かっている皆さん方、恥です。恥を知りなさい。金がなかってもやらなきゃならんことはやらなきゃならんのや。こういう思いで川の問題に取り組んでもらいたいというふうに思います。
それから、先ほどおっしゃいましたね、市町、地方分権の時代でという形、調整池のところ。そんだけ市町の意見を聞くのやったら、今度の問題についても、流域治水についても、もうちょっと市町の意見を聞いてからまとめたらどうですか。私は、もう一遍、継続審議することもあってもええと思います。その間に冷静になって、市町の意見を聞いて、それからでも遅くないと思います。
特別委員会に付託されているわけですし、皆さん、頑張っていただきたいと思いますし、大体、問題点は明らかになったんじゃないでしょうかね、と思っております。
佐野副議長が議長席におられまして、ちょっと新鮮な思いで、品のある質問をしようと思っておりました。なかなかできませんでして、まことにお恥ずかしい話でした。これで終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐野高典君) 以上で、28番生田邦夫君の質問を終了いたします。
次に、1番佐藤健司君の発言を許します。
◆1番(佐藤健司君) (登壇、拍手)それでは、発言通告に従いまして、極力品よく、文化財の活用に関してお伺いをしたいと存じます。
先日、末松教育長にも御出席いただきまして、国の史跡、瀬田丘陵生産遺跡群の一つ、源内峠遺跡で、地元の皆さんの手で復元された古代の製鉄炉の完成披露式典が行われました。
びわこ文化公園内にある源内峠遺跡では、平成18年から、専門家の協力のもと、住民が製鉄炉の復元などを手がけ、さらに、子供たちに地域の歴史を知ってもらおうと製鉄体験などのイベントを開催してきました。
国においても、史跡などについて、単に保存するだけでなく、可能な限り整備、活用し、内容についての理解を促進していくことが重要だとして、新年度予算にも史跡等の復元、公開活用による観光振興・地域活性化事業として、およそ18億4,000万円が盛り込まれています。
地域の文化財を地域の力で次世代に受け継いでいこうとする源内峠遺跡における住民主体の取り組みは全国的にも注目に値するものだと考えておりますが、初めに、保存に主眼が置かれたこれまでの文化財保護から一歩進めたこうした動きをどのようにとらえているのか、県内に所在する史跡など文化財の活用に向けた県の取り組みについて、教育長にお伺いをいたします。
しかし、厳しい財政事情の中で活用が進んでいないのも実情です。大津市の瀬田地域にある国の史跡、近江国府跡では、国府の中心施設である国庁跡一帯を県が歴史公園として整備するはずだったにもかかわらず、平成20年度に事業が休止され、史跡を保存するための土地の買い上げ、公有化もストップしたままになっています。
国庁跡だけでも5万1,400平方メートルに上る指定面積のうち、昭和40年度からこれまでに3万2,200平方メートルが公有化されるとともに、平成5年度には国庁跡環境整備基本計画が策定されましたが、築地塀の復元など一部が整備されただけで、ふだんは訪れる人もほとんどありません。
御承知のように、近江国府跡は、全国で初めて国庁の遺構が発掘されたのに続き、巨大な倉庫群や国司館の可能性のある建物群なども明らかになり、ほかに例を見ない規模の大きさから、近年では時の権力者、藤原仲麻呂の関与を見る見解が有力になっています。
去年の夏には県立安土城考古博物館で「大国近江の壮麗な国府」展が開催され、昭和38年から続く発掘調査の成果が紹介されるとともに、改めてこの史跡の歴史的な価値や意義を見直す機会となり、会期中にはおよそ1万8,500人余りの来場者を集めました。
文化財を適切に保存、管理、整備し、次世代に継承を図るという観点から、また、文化財の持つ価値を県民に還元するという観点から、50年近くにわたって続けられてきた国庁跡の保存整備事業が休止されていることについて、教育長の見解をお伺いいたします。
特に史跡の公有化は、都市化の進展や開発に伴い史跡に影響を与えないためにも着実に進める必要があると考えます。国庁跡の公有化は平成16年を最後に実施されていないということですが、地権者との信頼関係の醸成など、事業の休止が長期にわたる影響はないのか、教育長にお尋ねします。
そもそも史跡の整備は地域住民の史跡に対する理解を深め、郷土に対する愛着や誇りを生むと同時に、観光資源などとして活用されることにより地域振興に資することを目的に進められてきました。
周辺における新たな発掘調査の成果や財政事情など国庁跡をめぐる状況が変化する中で、整備を前に進めるためにも、史跡整備の原点に立ち返り、必要に応じて当初の構想や計画を見直していくことも検討すべきだと思います。
これまでに策定された整備基本構想、環境整備基本計画の現在の位置づけについて、教育長にお伺いをいたします。
一方、国庁跡の周辺にある巨大な倉庫群が見つかった惣山遺跡と国司館の可能性のある建物群が見つかった青江遺跡などは、現在も大津市において公有化が進められています。
惣山遺跡と青江遺跡の将来的な整備を考えれば、国庁跡だけでなく、周辺と一体となった近江国府跡全体の将来像を改めて描く必要があります。この点について、新たな整備基本構想の策定を含め、今後、大津市とどのように連携を図っていくのか、教育長の見解をお伺いします。
とはいえ、現実的には活用どころか管理もままならないのが実態です。知恵だし汗かきプロジェクトとは言うものの、維持管理業務委託の一部を直営化し、要するに、文化財保護課の職員みずから草刈りをしていただいているありさまです。
県教育委員会では昨年度から、国庁跡を中心に歴史学習と清掃活動などを行う中学生ボランティア文化財保護サポーター制度を導入しています。また、住民が国庁跡を会場にイベントを計画するなど、徐々にではありますが、史跡を活用する機運が高まりつつあります。
知事は、知恵だし汗かきプロジェクトの成果について、職員のやる気が育っている、職員の知識や技能が直接伝わり、やりがいが高まっていると自画自賛されておりましたが、こうした時期をとらえ、草刈りだけではなく、職員の専門的な知見を生かし、史跡の積極的な活用に向け、地域との協働を進めるべきだと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
嘉田知事は、大谷大学の鷲尾清一教授との対談で、「『文化は後回し』『衣食足りてから』と言う人もいますが、生活に密着しているものであり、衣食と同じように大切なものだと思います」と述べられております。言うまでもなく、史跡を初めとした文化財は地域の歴史や文化を語る上で欠かすことのできない貴重な遺産であり、史跡を保存、整備、活用することは、今を生きる私たちだけでなく、良好な状態で子孫に継承する責務を果たすことでもあります。文化は後回しにしないという知事の言葉を重く受けとめながら、近江国府跡の歴史的な価値や意義を踏まえた国庁跡の保存、整備の再開、そして、活用についての知事のお考えをお尋ねいたします。
いずれにしましても、史跡などの文化財を生かした地域づくりを行っていくには、文化財行政だけではなく、都市計画、観光振興など行政各分野と連携した支援の仕組みの構築が不可欠であります。
国においては、平成20年に施行された歴史まちづくり法に見られるように、文化庁、国土交通省、農林水産省と省庁間の連携を進めていますが、本県として、今後、文化財の活用に向けてどのような横つなぎの体制で取り組んでいくのか、知事にお伺いして、この項の最初の質問を終わります。
○副議長(佐野高典君) 1番佐藤健司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)文化財の活用についての7点目と8点目の御質問にお答えいたします。
まず、7点目の近江国庁跡の保存、整備の再開と活用についてです。
近江国庁跡は、奈良から平安時代に近江の国の政治の中心となった場所であります。発掘調査で正殿や脇殿、南門跡など、全国で初めて全体像がわかった遺跡として有名でありまして、非常に高い価値があると認識しております。
また、いわば官庁街である国府跡全体では、その後、新たに発見されました惣山遺跡、青江遺跡、中路遺跡でも大規模な倉庫群跡や国司のやかたと考えられる巨大な建物跡、また、古代の道路跡などがあり、いずれも文化財的価値の高いものと認識をしております。
こうした滋賀の先人が生み出した歴史遺産は全国に誇れる県民共有の宝物であります。特に国庁跡については、県教育委員会において保存、活用に努めてきたものであります。また、この後は、瀬田の文化ゾーン、地域的な文化発信の強化の中心にもなるものと期待をしております。
県の財政状況が厳しい中であり、直ちに今、全体の保存、整備の再開は難しいと考えておりますが、関係市や地元大津市と連携協力しながら、さらなる歴史遺産の活用に取り組むことが重要であると考えております。
次に、8点目の文化財を生かした地域づくり、その体制強化であります。
史跡などの文化財は、保存はもちろん重要ですけれども、活用が必要です。これまでから、観光部局と教育委員会での専門職員の併任、あるいは定期的な情報交換、事業の共同実施など、分野を横断した取り組みに努めてまいりました。
文化財は地域の住民の方にとっても暮らしと営み、あるいは地域の環境の中で生かされてこそ、その魅力や価値を多くの人に発信できるものであると考えております。
議員が御指摘の源内峠遺跡、ここにつきましては、県の文化財担当の職員が地元の皆さん、源内峠遺跡復元委員会の皆様と一緒に、専門知識を生かしながら、製鉄の再現、また、子供たちの参加など、積極的に取り組んできた成果であると理解をしております。私も座布団会議でお伺いをして、その経過については詳しく聞いております。このような、一つの事例ですけれども、県内各地で文化財の担当者が住民の皆さんと力を合わせて学習、あるいは未来への保存の提案などもしていただいております。
文化財、地域づくりのために大変重要な宝であります。今後も一層、部局間の横ぐし、教育委員会、観光部局、また文化振興部局、横ぐしを大切にしながら、地元の市町、関係者、団体とも密接に連携協力を図り、近江の文化財の保存、活用、そして、将来への価値の発信を図っていきたいと考えております。
◎教育長(末松史彦君) (登壇)文化財の活用について、6点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の文化財の活用に向けた県の取り組みについてでございますが、本県は、全国トップクラスの文化財保有県でありますが、こうした県内各地の文化財は、地域の歴史を物語り、地域の誇りとなり得る歴史遺産として高い価値を有しております。
特に、地元の皆さんが地域の文化財を知り、積極的に光を当てて、まちづくりに生かしていただくことは大切なことであり、源内峠遺跡における住民主体の取り組みは意義深いものと思っております。
このような中、県教育委員会では平成23年度から、議員御指摘の国の事業を活用し、近江水と大地の遺産魅力発信事業として、地元市町や地域住民と連携協力しながら、史跡などの文化遺産を紹介する講座や探訪などを展開しているところであります。今後とも、遺跡など近江の文化財が地元の誇りとして愛され、活用されるよう、地元との連携を重視した活用の取り組みに努めてまいりたいと考えております。
2点目の国庁跡の保存、整備を休止していることについてですが、県教育委員会では、昭和38年の発掘調査以来、その重要性を認識し、保存、活用に努めてまいりました。御指摘のように、公有化については平成16年度を最後に実施しておらず、また、平成20年度からは調査整備事業を休止しております。
国庁跡については、県民共有の財産であり、本県の誇る歴史遺産として適切に保存、活用し、しっかりと次の世代に引き継ぐことが必要であると考えております。そうした思いに立って、今後とも努力してまいりたいと考えております。
3点目の公有化などの事業の休止の影響についてですが、平成16年度まで、順次、公有化を進めてきたところであり、また、一定の整備も行ってまいりました。直ちには事業休止による大きな影響はないと考えております。
今後とも、地元の皆様には史跡の重要性や意義を御理解いただくように努力を重ねるとともに、保存のために緊急的な対応が必要な場合については、土地所有者に御理解と御協力を得て適切に対応するなど、史跡の保存に影響を及ぼすことがないよう努めてまいりたいと考えております。
4点目の整備基本構想、環境整備基本計画の現在の位置づけについてですが、国庁跡は奈良から平安時代の律令国家体制のもとで近江の国の政治の中心となった場所であります。これらの計画は、古代の県庁跡を史跡公園として公開するための整備計画となっております。これまで、これら計画に基づいて事業を進めてきているものであり、現在においても、その目的や意義は変わらないものと考えております。
5点目の近江の国庁跡全体の将来像についてですが、国庁跡周辺の惣山遺跡、青江遺跡、中路遺跡については、遺跡が発見され、史跡指定されて以降、現在まで大津市教育委員会により、順次、公有化が進められているところです。息の長い取り組みでありますので、その進捗を見きわめながら、国府跡全体の将来像について、大津市教育委員会と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
6点目の史跡の活用に向けた地元との協働についてですが、国庁跡の活用を初め、県内の史跡を中心とした地元での活用の機運が高まりつつあるものと認識しております。
そうした地元地域での機運をより大きな力とするために、さきに申し上げました近江水と大地の遺産魅力発信事業で、文化財専門職員の専門性を生かした現地探訪や講座を実施するなどの取り組みを進めているところであり、県内外から評価をいただいているところです。今後とも、一層、文化財専門職員の幅広い知識と経験を生かし、地元市町や地域住民と協働して史跡など文化財の魅力を発信する取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆1番(佐藤健司君) (登壇)御答弁、それぞれありがとうございます。
史跡について、知事も県民共有の宝物だとおっしゃっていただきましたし、また、知事ならびに教育長におかれましても、さらに今後、活用について取り組むと非常に前向きな御答弁をいただきました。しかし、実が伴わなければ、なかなか活用に結びつかないのも事実でございます。
知事の御就任以来、財政事情、大変厳しい中で、この近江国庁跡だけではなくて、安土城址なども整備、中止されております。
例えば公有化の進め方1つとっても、確かに公有化は多額の費用を要しますけれども、土地の買い上げ費用の8割は国庫補助金でございます。ほかの国庫補助事業と比べても大変コスト効率はいいと思いますし、実際に市や町では、同様に財政事情が厳しい中ではありますけれども、また、県の上乗せの補助がなくなったにもかかわらず、しっかりとこの史跡を将来に受け継いでいこうと公有化を進めておられます。先ほどの生田議員のお話ではないですけれども、お金があるからやる、お金がないからやらない、そういった趣旨の事業でもないと思っております。
知事は、「美の滋賀」ということを発信していくということを今しきりにおっしゃっておりますけれども、新年度予算にもそれに伴う予算、非常に計上されています。そういった一方で、こういう地道なところにもしっかりと予算をおつけいただくことがさらなる活用につながるのではないかなと思っておりますけれども、再度、知事にこの史跡の保存、整備についてどのように、今後、進めていかれるのか、見解をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えいたします。
先ほども申し上げましたように、保存、整備は活用とセットで、一層、地域の住民の方にも理解をしていただき、また、観光の拠点にもなっていくものでございます。私、就任以来、教育委員会、文化財保護課、それから文化振興、それと観光交流、合わせて、横つなぎの連携をしながら、より効果的な文化財の保存、活用をしてまいりました。
財政状況が厳しいということは理由にせずに、専門家の持っている知識、県の職員の持っている知識を存分に活用しながら、今後も国にも働きかけながら、市町と協力をして一層の文化財の保護、活用を図っていきたいと考えております。
◆1番(佐藤健司君) (登壇)御答弁、ありがとうございます。
それでは、次の質問に移りたいと存じます。
次に、ライフラインの危機管理に関して、上下水道の防災対策についてお伺いをいたします。
東日本大震災の発生から間もなく1年を迎えようとしております。未曾有の被害を与えた震災からの復興は緒についたばかりですが、本県としても、今回の広域大規模災害が突きつけた課題をしっかりと検証し、今後、危機管理部局のみならず、あらゆる場面で施策に生かしていかなければならないと考えています。
東日本大震災は電気やガス、そして上下水道などライフライン施設に広範囲にわたる被害をもたらしました。特に水道については、導水管、送水管や多数の配水管などの破損によって断水被害が発生し、長期間にわたって市民生活に大きな影響を与えました。
水道施設については、これまでも耐震性向上を推進する呼びかけが行われてきましたが、全国的に見ても、面的な耐震化の進捗はおくれております。
水道用水供給事業と工業用水道事業を経営する企業庁においても、水道ビジョンに水道施設の耐震化やバックアップ機能の強化などをうたっているものの、導水管や送水管など基幹管路と呼ばれる水道管の耐震適合率は、今年度末の時点でおよそ30%と全国平均を下回っております。また、施設の中には耐震化されていないものも残り、具体的な耐震化計画の策定もこれからというのが実情です。
初めに、こうした現状をどのようにとらえているのか、企業庁長にお伺いをいたします。
一方、厚生労働省は、東日本大震災における水道施設の被災状況を調査するとともに、今後の対策に向けた課題や対処方針を検討するために、被災地を調査した報告書をこのほどまとめました。
報告書では、今後の課題、教訓として、耐震化の有効性を改めて確認するとともに、停電による影響を指摘し、自家用発電設備の導入や長時間の停電に備えた燃料の確保の必要性などに言及しております。
管路や施設に関する情報管理についても、分散管理せず、1カ所で集中管理していたために、被害状況の把握や応急復旧活動に支障を生じた例なども報告をされています。
これはほんの一例ではありますが、東日本大震災によって表面化した多くの課題に対して、企業局としてどのように検証し、今後の取り組みにつなげていくのか、企業庁長にお尋ねをいたします。
また、危機管理の対象は地震などの自然災害には限りません。さまざまなリスクを想定し、そのリスクを回避するための手を打ち、万が一、発生した場合は、その被害を最小限に食いとめるための方策を平素から十分考えておかなければなりません。
今年度においても、既に4回、職員による訓練を実施したということですが、さらにきめ細かい初動期の対応を可能にするためにも、企業庁において、事業継続計画──BCPを策定すべきだと考えます。企業庁長の見解をお伺いいたします。
また、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって放射性物質が拡散し、首都圏などでは食品衛生法で定めた乳児の暫定基準値を超える放射性ヨウ素が浄水場の水道水から検出され、大きな不安を巻き起こしました。
原子力発電所が立地する福井県に隣接する本県においても他人事ではなく、地域防災計画(原子力災害対策編)の見直しに伴う放射性物質の拡散予測でも、放射性ヨウ素など県内の広範囲に影響するとされております。
放射性物質により原水が汚染される可能性がある中で、緊急時の広報のあり方などを含め、危機管理部局とどのような連携を図るのか、企業庁長にお伺いをいたします。
同様に、下水道事業においても、東日本大震災を受けた防災対策が急がれているのは言うまでもありません。予測される地震による処理施設などへの被害想定をお示しいただくとともに、下水道事業における今後の取り組みを
琵琶湖環境部長にお尋ねして、この項の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
◎
琵琶湖環境部長(正木仙治郎君) (登壇)上下水道に係ります防災対策のうち下水道につきまして、先にお答えをさせていただきます。
阪神・淡路の大震災を契機にいたしまして、耐震基準の見直しや既設下水道施設の耐震診断を行い、その対策に、鋭意、取り組んでまいってきたところでございます。
しかしながら、阪神・淡路大震災以前に築造されました水処理施設では、液状化現象等により施設が損傷することなど、一定程度の被害が想定をされるところでございます。
また、今回の東日本大震災では、津波による被害ですとか広域にわたる被害など、これまでの地震災害では想定されなかったような事例が多く見られているところでございます。
こうしたことから、いかなる事態になりましても、代替手段や応急復旧などにより下水道機能を早期に確保するため、下水道業務継続計画づくりに着手をすることといたしております。
なお、下水道の業務継続計画では、発災後、混乱が生ずる初動期の数日間を中心に、暫定的に下水道機能が確保されるまでのおおむね1カ月間を対象としたものになります。
また、流域下水道と公共下水道は一体のものでございますので、関係市町とよく連携をとって、策定を進めさせていただきたいというふうに考えております。
◎企業庁長(和田慶三君) (登壇)県営水道の防災対策についてお答えをいたします。
1点目の水道施設の耐震化の現状認識ですが、企業庁ではこれまで、各浄水場間をつなぐ連絡管の整備や、送水管の複線化対策として西部幹線の建設など、災害や事故に強い水道施設づくりに取り組んできたところです。しかしながら、水道管の耐震化率という点では全国平均を下回っている現状でございます。
また、浄水場につきましては、厚生労働省において、耐震基準が改正をされましたために、現在、耐震診断を行っているところでございまして、工事には着手していないのが現状でございます。
こうしたことから、これらの耐震化事業の促進は重要な課題と認識をしております。
2点目の表面化した課題に対する今後の取り組みですが、厚生労働省の報告書をもとに、企業庁の現状と課題を検証し、今後の対応を整理したところでございます。
まず、取り組み中のものですけども、送水管の耐震化は老朽管路の更新とあわせて行う必要がありますので、現在実施中の老朽度調査等をもとに優先順位を見定めた上で更新工事に取りかかることとしております。
浄水場の耐震化は、さきに申し上げました液状化を含めた耐震診断の結果を踏まえて、対策工事を進めることといたしております。
また、自家発電設備は、現在建設中の吉川浄水場分が、来年度、完成をいたしますと、用水供給事業、3浄水場すべての非常用電源が整うことになります。
次に、来年度からの取り組みとして、更新とあわせまして、無線システムを機能強化する調査設計や、応援給水活動を強化するため、加圧式給水車の整備を行うこととしております。
また、情報データの分散管理や紙ベースでの保管、復旧資機材や薬品、燃料の備蓄ならびに調達ルートの確保などにつきましては、今後、逐次、検討見直しを行うこととしております。
なお、これらの地震対策につきましては、多額の財源が必要なため、受水市町と十分協議しながら進めていきたいと考えております。
次に、3点目の事業継続計画についてですが、大規模災害時に限られた人員や施設で基幹業務を継続するための包括的な事業継続計画は定めておりませんが、今回の震災を教訓に、ライフラインを担う企業庁として、その必要性を改めて認識したところでありまして、策定に向けて準備を始めたところでございます。まずは、非常時優先業務の仕分けに取り組んでいきたいと考えております。
4点目の危機管理部局との連携についてですが、企業庁も県災害対策本部の構成員となりますので、本部長のもと、防災危機管理局を初め、県の各部局と一体となって対策に当たってまいります。
なお、水道原水が汚染された場合ですが、汚染の状況によりましては、用途を制限する事態も想定をされますが、これにつきましては、水道水中の放射性物質の指標が見直しをされる予定でありますし、市町ごとに県水の受水状況が異なりますので、今後、広報も含めまして、県関係部局や受水市町と協議をして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
◆1番(佐藤健司君) (登壇)終わります。(拍手)
○副議長(佐野高典君) 以上で、1番佐藤健司君の質問を終了いたします。
しばらく休憩をいたします。
午後2時51分 休憩
────────────────
午後3時15分 開議
○副議長(佐野高典君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、24番高木健三君の発言を許します。
◆24番(高木健三君) (登壇、拍手)自民党議員団の高木でございます。
まず初めに、県と市の協議の場の創出について、知事に質問いたします。
県がバランスのとれた発展を遂げるためには、これまでの県独自の協議統治システムを改め、県と基礎自治体である市町の役割分担を明確化し、それぞれの権限と財源で政策を展開していかねばならないのではないかと、最近、特に考えるのは私だけではないのではないでしょうか。市長、町長が「そんなことは聞いていない。同意をしていない」などとなると、施策が突然宙に浮き、時間のロスを初め多くの障害が出てきます。このようなことを繰り返しますと、担当職員の著しい士気の低下を招き、結果として県民に不利益を及ぼすことになりかねません。
先般の大野議員の代表質問で、知事は「市町との関係は大切であり、その大事さはひしひしと感じている。今後は率直に議論を重ねてまいりたい」と答弁されておりますが、2月23日の国会の衆議院予算委員会で自民党金子一義議員から危機対応についての質問がされ、全国に放映され、私も夜、テレビで見ましたが、翌日には新聞報道もされ、その内容は、出先機関の受け皿として関西広域連合は不安だとする根拠の一つに、関西広域連合で国出先機関対策委員長を務める嘉田知事の大雪対策の不手際を発言されておりました。
指摘されたのは、今月の2月2日に大雪に見舞われた高島市で雪崩が発生し、集落が孤立したため、自衛隊の要請は知事であり、午後2時40分に高島市長より嘉田知事の携帯電話に連絡されたが、防災の会議中で連絡がとれず、その4分後に防災危機管理監へ架電したが、応答なしとのことと聞いております。この間、2時間余りの空白があったわけでございます。
知事は、取材に対して、私もテレビを見ておりましたが、笑いながら、防災危機管理局になぜ電話をしなかったのか、あたかも市長の連絡ミス的なコメントをされていたように思えました。
これからも、もっと緊急の場合もあるわけであり、知事は、新聞報道では、今後、市町との連携体制を強化すると言っておられますが、口先だけで実行されていないと思います。知事に見解をお願いしたいと思います。
また、市町との連絡強化の方策として、例えば近江八幡市長は、条例で定めて目指すべき滋賀の形を明確に示すべきと提言されていると聞いておりますが、その提言についてどのように思われるのか、知事に見解をお聞きします。
次に、第2点目として、農業政策と県立農業大学校の位置づけについて、農政水産部長にお聞きをします。
さて、県農業大学校は、協同農業普及事業の一環として、農業経営の担い手を養成する中核的な機関として全国42都道府県に設置され、高卒レベルを対象とした2年間の養成部門を中心に講義と研修の組み合わせによる農業研修教育を実施しています。また、農業技術の高度化や経営の専門化などに対応した教育を充実強化するため、養成部門卒業者などを対象として、より高度な研修教育を行う研究部門の設置が進められており、平成23年度は全国19校に設置され、また、こうした学生を対象とした研修に加え、新規就農者や農業者の経営の発展段階に対応した、作目別や技術の内容に基づく多様なコースが研修部門として開設されてきていることは御承知のとおりであります。
このような状況から、農業は頭で考えているだけではできない職業であり、実践を伴わない知識としての技術はあくまで知識であって、本物の技術ではなく、行動に結びつかないものであり、行動できない技術は経営の自信につながらないものであります。
したがって、座学に頼り過ぎない実践教育を重んじた学習を進めていくことで、畜産や作物の生理生態に応じた適切な管理学習ができるよう一般の教育機関と異なる点が農業大学の特徴であります。
実践学習は、座学での理論と実習、演習、実験、調査などが有機的に結合し、学生の主体性を重んじた自主的課題解決学習、つまりプロジェクト学習を基本とした教育体系が特色であります。
実践学習を進める上で実習施設の規模などは重要な要素でもあり、滋賀県立農業大学校の施設内容も、学生、諸先輩および関係機関の長年の尽力によって全国の農業大学校の中でも滋賀県立農業大学校はトップクラスであると思っております。
このような高い理念で現在まで刻んできた本県農業大学校の成果は、全国各地を初め、県内各地に大きな評価、成果があると考えます。
そこで、農政水産部長にお伺いいたします。
本県の農業施策における農業大学校の位置づけや、各地域で高まりつつある6次産業化への取り組みを前提として、今後どのように対応されようとしているのか、農政水産部長にお聞きいたします。
○副議長(佐野高典君) 24番高木健三君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)県、市町の協議の場の創出についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の質問でございます。
2月2日の自衛隊の災害派遣に関する報道に関するものですが、災害や危機事案の発生時には緊急を要する連絡が迅速、確実に行われることが県や市町の危機管理対応において前提であることは議員御指摘のとおりでございます。今回の取材において議員がお持ちになった印象は、私の本意とするところではございません。また、県と市町がしっかりと連携をとって協力をしながら災害対応を行うことは大変重要であります。今回の事例を教訓として、平日の執務時間内の連絡、また、休日夜間の連絡、いずれにしても現在の連絡体制、より円滑に機能するよう再確認をし、今後とも県と市町の効果的な連携により、迅速、的確な対応ができるよう、努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の県と市町の協議の場についての近江八幡市長の提言についてでございます。
2月14日に開催されました自治創造会議において、県と市町の協議のあり方についてというテーマの中で近江八幡市長から御説明があり、市町長の皆さんとともに意見交換を行いました。市民、町民のため、県と市町との連携協力が必要という根っこの思いは市町長も私も共有するところでございます。
会議では、協議の場に議会が加わるべきかどうか議論が必要といった意見など、さまざまな意見が各市町長から出されたところから、私としては、自治創造会議のあり方も含め、住民の幸せを最優先に、お互いの立場を十分尊重した上で率直な議論を市町長の皆さんとともに積み重ねてまいりたいと考えております。
◎
農政水産部長(福井正明君) (登壇)農業政策と県立農業大学の位置づけ、そして、6次産業化への対応についての御質問にお答えします。
県立農業大学校は、本県農業の持続的な振興を図るために、すぐれた人材を育成する研修教育機関として昭和44年4月に設立し、その後、平成19年4月には学校教育法に基づく専修学校として認可を受けましたことを契機に、より高度で専門的な教育科目に充実するなど、常に本県農業の特性や課題を踏まえながら、教育内容の充実に向けた見直しに取り組んできたところでございます。
そうした経過を経まして、本年度の卒業見込み者、31名を含め、これまでの卒業生は1,000名を超え、そのうち約8割が新規就農や農業関係企業、団体などに就職するなどの進路状況となってございます。
一方、本県農業就業人口は毎年減少傾向が見られ、また、その平均年齢は、2010年調査で68.4歳となっております中で、1人でも多くのすぐれた就農者を育成する農業大学校の役割は大変重要なものと認識しているところでございます。
そのためにも、農業を取り巻く環境を見きわめながら、常に教育内容の見直し検討や、あるいは個々の学生に応じたきめ細かな指導に取り組んでいるところでありまして、例えば議員御提案の6次産業化への対応につきましては、新年度からの教育科目の見直しの一つといたしまして、より体系的な学習ができますよう、これまでの加工、販売といった既存の教育科目を再編し、6次産業化農業の科目を新設することとしてございます。
今後とも、本県農業の特性はもとより、農業を取り巻くさまざまな課題も踏まえながら、将来をしっかり見通し、本県農業を担える人材育成を目指した教育内容の充実強化に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆24番(高木健三君) (登壇)1点だけ、再問させていただきたいと思っています。
市町との関係でございますけども、いわゆる市長、町長は市民の代表、町民の代表でございまして、その方々は、いろいろ個性もあろうかと思っていますけども、そういう中で、なかなか決まらないときもあると思います。そういう中で、逆に、いろんなメンバーをつくった中で、議会も入るかもわかりませんけども、そういう中で、その条例化というのは、やはりいろんな議論をしていく中で私は必要だろうと思っておりますけども、再度、市町との仕組みづくりに対する知事の決意をもう一度お願いしたいと思っています。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
市町との協議を円滑にということで、これまで、自治創造会議を運営してきたわけでございます。その経過なり機能をしっかりと見きわめた上で、今回、近江八幡市長の御提案は、議会筋も含めて、国のほうで国と地方の協議の場というのをつくっております。それに準じた形で、県として条例化を御提案いただいたわけでございます。
ここにつきましては、市町長の皆さんの間にもいろいろな御意見がありますので、意見交換の場を、今後、続けていきたいと思っております。
◆24番(高木健三君) (登壇)ありがとうございました。よろしくお願いします。
それでは、次に、3点目といたしまして、道路計画の今後のあり方につきまして、すべて土木交通部長に質問させていただきたいと思います。
まず初めに、社会資本整備総合交付金というのがございますけども、これは、活力の創造や水の安全、安心、市街地整備、地域住宅支援といった政策目的を実現するため国から交付される交付金でございまして、地方公共団体が作成して、社会資本総合整備計画に基づき、目標実現のための基幹的な社会資本整備事業のほか、関連する社会資本整備やソフト事業を行い、交通の安全確保とその円滑化、経済基盤の強化、生活環境の保全などを図ることを目的に創設され、この当該交付金を充てることができる道路事業は、地方公共団体等が実施する一般国道、都道府県道、市町村道の新設、改築、修繕に関する事業や除雪事業等であります。
地域住民の日常生活の安全性、利便性の向上および快適な生活環境の確保、地域の活力の創造に資すると認められるものであります。
滋賀県では、平成15年に10年間の道路計画となる滋賀県道路整備アクションプログラムを策定し、このプログラムに基づき、地域の実情に応じた道路整備が実施されてきました。その間、市町村合併が進展するとともに、安全、安心への関心の高まりや、橋梁などの道路ストックの老朽化、滋賀県特有の各地域の抱える課題の顕在化など、新たな課題への支援が求められる状況になってきました。
そこで、平成20年6月に、県民アンケート調査や、住民代表、有権者からなる地域ワーキンググループを経て、滋賀県道路整備アクションプログラム2008として見直しが行われました。県では、見直されたプログラムに基づき、道路整備が進められていますけども、その考え方の一つとして、県管理道路のネットワークの現状と県管理道路の役割について、土木交通部長にお伺いしたいと思います。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) (登壇)東近江地域の道路のネットワークの現状と役割についてでございます。
南北方向には国道307号、あるいは大津能登川長浜線、東西方向では国道421号、土山蒲生近江八幡線等の幹線道路がネットワークの骨格をなしております。しかしながら、交通量などで、現在の状況は一部の区間でさらに整備が必要となっているのが現状でございます。
次に、県管理道路の役割でございますが、高速道路や直轄国道を補完して、地域産業の活性化の支援あるいは隣接県との交流を促進することが使命であると考えております。
◆24番(高木健三君) (登壇)ネットワークの現状ということは、要は将来の交通の量を推定した中で、産業道路とか一般生活道路とか、そういう形で分けた中で整備をしていただいた中で、バイパスとかバリアフリー化とか、そういう形で入れた考え方でどうかということでございますので、またよろしくお願いをしたいと思っています。
続きまして、県管理道路に歩道が設置されている割合と、歩道整備の方針について、土木交通部長にお聞きします。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) 歩道の設置割合は、全県下で申しますと、39.9%でございます。東近江だけを取り上げますと、33.6%という整備率でございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)要は、県道があるんですけども、その中で歩道がしり切れトンボというんですか、部分的にはございますけども、やはり市道とつながるとか、通学路との整合性が本当にとれているかどうかということでございまして、その点、ちょっと、何と言うかな、うまくいっていないような感じもいたしておりますけど、その辺を言うているわけでございます。
それと、3点目として、いわゆる農道として整備をされた中で、いろんな交通の関係から市道に移管された道路と県が管理する道路では構造が違うとよく聞くんですけども、構造上の問題はないのか、土木交通部長にお願いします。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) お答えいたします。
農道として整備された道路と県管理道路の構造上の違い、あるいは問題点についてでございますが、それぞれの道路とも、共通の基準であります道路構造令に基づいた構造となっております。しかしながら、整備の目的や交通量などの条件が異なりますことから、道路幅員や舗装構成などで、若干、差が生じております。したがいまして、そのこと自身で特に問題になるというほどのものではないと考えております。
◆24番(高木健三君) (登壇)ありがとうございました。
次に、これらの考え方を入れた中での地元の道路事情を取り上げて4点をお伺いしたいと思います。
1点目は、中部湖東幹線工区についてお聞きします。野洲市と近江八幡市を結ぶ近江八幡守山中部湖東幹線工区の整備は、アクションプログラムによりますと、平成25年度からの工期5カ年間の間に着手することになっております。一方、中部湖東幹線の沿線となる近江八幡市の牧町地先では、集落内を通過しているものでございまして、その点、交通事故も多く、道路の幅、幅員も狭いことから、今のアクションプログラムが、いつ着手するかわからない大規模バイパスの計画よりも先行して、集落を迂回するようなミニバイパスの整備について、地元から強い要望もございます。
そこで、中部湖東幹線工区の先線でもある草津市から守山市にかけての大津湖南幹線の整備状況や今後の中部湖東幹線工区の整備方針、また、地元から要望されているバイパスに対する、来年度予定されているアクションプログラムの見直しの際の取り扱いについて、土木交通部長にお聞きしたいと思います。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) 主要地方道近江八幡守山線の中部湖東幹線工区に関します3つの質問にお答えいたします。
まず、1点目の、大津湖南幹線の整備状況でございますが、草津市から琵琶湖大橋取りつけ道路までの区間につきましては、滋賀県道路整備アクションプログラムにおいて平成24年までの前期5カ年で整備することとしておりましたが、一部区間の用地買収の難航からおくれが生じ、平成26年に全線供用の見込みでございます。
次に、2点目の中部湖東幹線工区の整備方針ですが、大津湖南幹線の守山市から野洲市にかけては未着手であり、この区間の進捗を見きわめることといたしたいと思います。
次に、地元のバイパス要望のアクションプログラムでの取り扱いでございますが、客観的評価基準により評価を行った上で、住民代表者や有識者、市町の担当職員などから成る土木事務所ごとの地域ワーキングでの審議を経て、事業化を判断していくこととしております。
○副議長(佐野高典君) 質問者、一問一答ですから、十分注意して質問してください。
◆24番(高木健三君) (登壇)わかっています。ちょっと一緒にやり過ぎました。済みません。ようわかっていますので、えらい申しわけないです。
それでは、今のこと、3問という、一問一答で申しわけなかったです。
次は大津能登川長浜線のバイパスでございますけども、八幡の安土町地先の大津能登川長浜線のバイパス事業が計画されているんですけども、今、現在の道はJR琵琶湖線に沿って安土山の腰越峠を抜ける計画があります。しかし、具体的には何も進んでいないということで、本当に渋滞が激しいわけでございますので、その点地元からやかましく言われておるわけでございますけども、その進捗状況はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) (登壇)大津能登川長浜線のバイパスについてでございますが、このバイパスは近江八幡市安土町下豊浦から東近江市南須田町の約2.2キロの区間でございます。このうち腰越峠より南側、いわゆる旧安土町域では約1.2キロございます。そこのルートにつきましては、田んぼの形状が変わる等の理由によりまして、地元の了解を得るまでには至っていないというのが現状でございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)どうもありがとうございました。
次に、平成25年度開通目標であります名神高速道路、蒲生スマートインターチェンジと国道8号とのアクセス道路であります近江八幡の竜王岩倉バイパスについて、これもアクションプログラムによりますと、平成25年度から後期5カ年の間に着工することになっているわけでございますけども、この早期事業着手としても、これも地元からやかましく要望がございます。来年度見直しを予定されているアクションプログラムでは事業スケジュールが大きく変わるのかどうか、その点につきまして、土木交通部長にお願いします。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) (登壇)お尋ねの岩倉バイパスにつきましては、蒲生スマートインターチェンジから国道8号へのアクセス道路となるものでございます。アクションプログラムの見直しに当たりましては、先ほども申し上げましたように、客観的評価基準による評価や地域ワーキングでの審議を通じて事業スケジュールを判断していくという予定にしております。
◆24番(高木健三君) (登壇)計画どおり、しっかりとやっていただきたいなというようなことでございます。いろいろとよろしくお願いします。
それでは、この項の最後でございますけども、先ほどの、いわゆる県道のしり切れトンボ、いわゆる間隔があいているという話でございますけども、特に大津能登川長浜線とか大房東横関線、この2路線は、本当にこの十数年前から、地元から本当に危ないということで歩道設置の強い要望がございます。確かに一部の区間には、当然、建物がある中で、用地買収等は多額の経費が必要でございますから難しい面もわかりますけども、ほとんど何もない区間があいているというようなことで、既に整備された歩道が十分生かされていないというようなことでございます。この2カ所の歩道につきましても、真剣にこの歩道整備を進めていこうという考えがあるのかどうか。本当によろしくお願いしたいと思います。土木交通部長、お願いします。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) 歩道整備の地元からの要望についてのお尋ねでございます。
大津能登川長浜線の西庄町、音羽町地先、ならびに大房東横関線の若宮町地先につきましては、アクションプログラムに基づきまして実施をしております。今年度に測量を終えたところでございます。
また、同じお尋ねの路線のそのほかの区間につきましては、アクションプログラムの見直しで事業化について判断していくという予定にいたしております。
◆24番(高木健三君) (登壇)今、4点の地元例として挙げさせていただきましたんですけども、恐らく県全体でも、見れば同じような現象が各地であるんじゃないかというふうに仄聞をいたしております。
滋賀の道路は、国道であれ、県道であれ、本当に問題が多いなというふうな思いも持っております。国に対しても頑張っていただきたいという思いでございます。やはり県としても県民の声をしっかりと受けとめてもらって、どうか、国に対してしっかりと声をかけていくというような決意があれば、土木交通部長、決意をお願いしたいと思います。
◎土木交通部長(竹中喜彦君) 道路整備につきましての要望は県内各地からかなりの数をいただいております。先ほど来申し上げておりますように、客観的な評価基準に基づきまして、地域のワーキングの中で何を優先していくのかということをしっかりと議論して、最も効率的、効果的な整備に努めていきたいというふうに考えております。
◆24番(高木健三君) (登壇)ありがとうございました。よろしくお願いします。
次に、4点目として、土地改良事業の推進について、
農政水産部長にお聞きをいたします。
近江米で知られる本県は、琵琶湖を中央に、四方を鈴鹿山脈、伊吹、比良、比叡の山々に囲まれ、温和な気候と豊かな土壌に恵まれ、古くから水田開発が進んでいました。
通常、河川水で稲作を行うには水田面積の10倍から13倍の流域面積が必要とされています。このため、先人は農業用水を確保するため、大変苦労を強いられていました。
こうした不安定な農業水利を克服するため、滋賀県では早くから農業生産基盤の整備、圃場整備事業が進められてまいりました。特に昭和47年から平成8年まで行われた琵琶湖総合開発により、琵琶湖水位の低下による影響に対処するため、琵琶湖から揚水によるかんがい排水と圃場整備を大きく進展させました。
本県は、近畿圏の中で唯一、米の生産量が県内消費量を超える生産県となっています。しかし、国民の米離れは進み、国民の米の消費量は年々減少傾向にあり、国民1人当たりの消費量は60キログラム以下となっています。また、米の販売価格も下落しており、農家の農業所得も減少しております。
全国一律の圃場整備事業の用水と排水の分離方式の構造が、琵琶湖岸域での農業によりはぐくまれてきた多種多様な生き物を減少させてしまったという一面は否定できないものの、これによって今日まで農地が保全され、機械化も進み、効率的で省力化が図られたことから、農業者は京都や大阪へと働きに出ることも可能となり、兼業農家が中心となって今日の農業が継続されてきたと言えます。県内農地の約40%が琵琶湖を用水源としており、滋賀県農業の特徴となっています。
こうして整備してきた農地や農業水利施設は将来へ引き継ぐべき大切な資産でございます。滋賀県内には総延長約1万3,000キロメートルにも及ぶ用排水路など、県内の農業生産を支え、一例として、近江八幡市の基盤整備事業につきましては、琵琶湖の面積も含めて市全域、1万7,739ヘクタールの約25.2%の4,472ヘクタールを占め、その優良農地の94.2%の4,212ヘクタールが実施済みとなっております。
しかしながら、農業生産を支えてきた水利施設の多くが、整備後30年以上を経過し、老朽化が進行しています。施設の標準的な耐用年数は、基幹水路で40年、末端水路で30年と言われております。また、これまで整備された農業水利施設は、国営干拓により造成された施設もありますことから、ストック量で約1,500億円整備されて、水路の総延長は1,500キロメートルを超えております。今後10年以内には施設の半数以上が耐用年数を経過してまいります。
国の平成22年度予算において、農業農村整備事業費は、政権交代により、対前年度比の3分の1に大幅な減額となり、施設の整備や補修、また工期の延期などを余儀なくされ、大きな支障が生じることが懸念されます。
農業者の減少、高齢化、混住化などにより、水利施設等の維持管理を支えてきた土地改良区や農業者の共同作業が弱体化しつつあります。国、県が湖国農業の基盤をつくり、いわゆる土地改良事業を指導、推進し、農家も応分の負担を背負ってきましたが、これからの維持管理、更新についてはエンドレスでついてまいります。農業所得が減少し、兼業農家から集落営農や法人化組織へと生産構造が変化する中で、県内の基盤整備事業を指導、推進してこられた国、県としての責務を果たしていかねばならないと考えますが、国予算をしっかりと確保し、水利施設をきちんと維持管理、更新していくために、県としては今後どのように取り組んでいかれるのか、
農政水産部長に見解をお聞きします。
◎
農政水産部長(福井正明君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、平成22年度の国の農業農村整備事業予算は、対前年度比3分の1までの減額となりましたけれども、一方で、地方の自主的主体的な事業展開を図るために、平成22年度から農山漁村地域整備交付金が、また、平成23年度からは地域自主戦略交付金が創設されたところでございます。
新たに創設されましたこれらの交付金制度は、従前の農業農村整備事業、いわゆる土地改良に係ります公共事業に充当できますことから、県といたしましては、こうした制度も最大限活用しながら、必要な事業を実施してきたところでございます。
また、国に対しましては、これまでから毎年、土地改良事業の公共事業の必要な予算の確保に向けた提案や要望を実施いたしますとともに、本県の新年度予算につきましては、そうした農業基盤の置かれている現状を踏まえまして、17年ぶりとなります対前年度増額となる予算を御提案させていただいているところでございます。
本県財政は引き続き大変厳しい状況ではありますものの、今後とも農業水利施設の保全に必要な予算の確保に努めますとともに、昨年6月に設置いたしました滋賀県農業水利施設のアセットマネジメント推進協議会を通じまして、市町および土地改良区の皆さんと連携しながら、保全、更新対策を総合的、計画的に実施してまいりたいと考えているところでございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)ありがとうございました。
水利施設の維持管理の更新というのが、当然、本当にエンドレスでついてまいりますので、しっかりと国のほうにアタックしていただきたいなと思っております。
次に、県において、今言われましたアセットマネジメント、いわゆる資産管理の効率的な運用で、施設の修繕を計画的に実施していこうとすることは一定の理解はできますけども、その一方で、今回、国が第4次補正予算で打ち出された農業体質強化基盤整備事業等、国との直接申請で手続が進められ、県、市町の地方の行政抜きの状態であります。当然、事業実施には地元負担金が必要であることは理解しておりますけども、県と市と町の補助金なしでは到底実施ができないのが現状でございます。
土地改良施設は農業者だけの施設ではなく公共性の高い施設であることの認識から、行政のバックアップが頼みの綱であることから、国、県、市との連携強化が必要であると思っておりますけども、そのことについて、見解を
農政水産部長にお聞きします。
◎
農政水産部長(福井正明君) お答えいたします。
今回、創設されました農業体質強化基盤整備事業は、個々の農地の区画の拡大でありますとか、排水不良の改善のための暗渠排水などの末端施設を整備、改修されます土地改良区に対しまして、国から直接支援する制度とされております。
このため、県といたしましては、広域的あるいは基幹的な農業水利施設の保全、更新対策などの事業を優先させていただくこととしておりまして、各関係団体に対し、御理解賜りますようお願いしているところでございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)ありがとうございました。
アセットマネジメント事業で効率的な運用をするということは一定の理解はできますんですけども、突発的なことも、当然、起こり得るわけでございますので、その点、やはりその突発的な予算措置についても考えていただきたいなという思いもございます。
次に、大中の湖の土地改良と日野川流域の土地改良区における基幹水利施設管理事業は平成8年度に事業採択を受け、市町管理により排水機場の維持管理を国が3割、県が3割、地元4割負担で実施されていました。しかし、平成22年度より県の負担割合が21%に引き下げられたことによりまして、地元の負担が逆に49%になり、大きな負担を強いられております。
農産物の価格低迷による農家所得の減少の折、財政状況が厳しいことは承知をいたしておりますけども、速やかに県負担割合を従前の3割に戻すべきと考えますが、
農政水産部長の見解をお聞きします。
◎
農政水産部長(福井正明君) お答えいたします。
国営により造成されました施設の維持管理に係ります補助制度は、平成21年度までは必要経費の30%を県費で補助しておりましたけれども、平成22年度の予算編成に際しまして、危機的な県財政を背景に、すべての事業を対象に実施した事業見直しにおきまして、やむなく県費負担割合の引き下げをお願いしたものでございます。
議員御指摘のとおり、県が削減いたしました9%相当額は新たに地元に負担いただいていることは承知をしてございますが、見直しに当たりましては、関係いたしますすべての市町および土地改良区に御理解いただき、県負担金の引き下げをお願いしてまいったところでございます。
限られた財源の中での優先順位によります事業展開を図らなければならない事情を御理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
◆24番(高木健三君) (登壇)今言われていることはよくわかるんですけども、14年間、3割でやってこられたという中で、当然これは国営でございますから、県営との絡み、整合性もあろうかと思いますけども、その点、再度また十分検討いただきまして、もとに戻していただきたいなという思いでございますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、昨年の9月議会におきまして、津田干拓地の問題について質問させていただきましたんですけども、津田内湖干拓は昭和42年8月に工事着工を行い、昭和46年9月に83ヘクタールの事業が完了したものでございます。その間の昭和45年の新規開田抑制により、水田から畑地に変更になったところであります。昭和42年の工事着工に際しての周辺の水田約10ヘクタールの面積が地元の農家の協力により津田干拓が完了したところであります。
滋賀県は、当時、水田を提供された農家の方々には干拓地で配分を受けていただいたらよいという考えで説明され、農家は協力されたということでございます。ところが、開田抑制によりまして畑地になったため、結果的には、国と県は農地を提供された農家の方々にうそをついたような形になってしまいました。この事業に協力した結果、水田を失われた農家もおられました。
当時、農地を提供された方々が現在も津田干拓の耕作者として4名ないし5名おられます。その一部の方が、連作障害を回避するための水稲を作付されていることで、当時、この問題を解決しないで、一部の者が水稲作付をしていることから補助事業が受けられないということは、土地改良区には関係なく、県は、一個人がされていることであり、今後の事業補助は土地改良区に支援すべきではないかと考えているところでございます。
こうした問題もございますし、そのほかに、干拓地の土地改良区には共通の課題がたくさんございます。造成後約50年が経過した中で、人命、土地、建物、財産を守るのは排水機場であります。また、それ以外にも、土手の水路、幹線排水路なども老朽化が著しく、早期に更新をという声を聞いております。今、排水機とあわせて、幹線排水路の事業採択も必要であると考えるところでございますけども、そういう中で、また、琵琶湖揚水の土地改良につきましても、基幹水利ストックマネジメント事業での送水管は、今年度、平成24年度中に実施していただくということを聞いておりますけども、未採択の電気設備などの事業がございます。津田干拓の今の問題も含めまして、こうしたさまざまな水利施設の更新事業の採択について、確かに平成24年度は土地改良として38億から43億に上げていただきましたけども、そのことは理解できますけども、さらに前向きな取り組みが必要であると思っておりますけども、その点につきまして、
農政水産部長に見解をお聞きしたいと思います。
◎
農政水産部長(福井正明君) お答えいたします。
農業水利施設の保全、更新対策につきましては、滋賀県農業水利施設アセットマネジメント推進協議会におきまして市町や土地改良区などと連携しながら、今後2年間で県全体の中長期計画を策定し、平成26年度から総合的、計画的な保全、更新対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)何かもう一つあれなんですけども、本当に土地改良事業はエンドレスで、先ほど申しましたように、ついて回るわけでございます。農家の方々は、土地改良が終わって、やっと賦課金も終わったという中で、やはり次から次へと負担があるということは大変なことだと思っております。本当にしっかりと、土地改良につきましてはこれからもずっとついて回る事業でございますので、例えば国に対しまして、3分の1になったことに対しましても、いろんな面で東京事務所等々、各省庁が入っておられますから、そういうところを通じながら、しっかりと国に対して物を言っていただきたいなという思いでございます。
先ほどの土木交通部長と同じく、
農政水産部長にも国に対してアタックしていくという決意をお願いしたいと思います。
◎
農政水産部長(福井正明君) 本県の農業基盤を考えますと、全長1万3,000キロに及ぶ用排水施設等々を抱えております。そうした施設を、今後、いわゆる耐用年数に応じた施設の更新をしていこうとしますと、毎年160億から180億の事業費が必要になってくると、そういう現実が迫っているわけであります。
私ども農政水産部の新年度予算が約140億でございますので、それをはるかに上回る保全、更新の費用が必要になってくるという非常に厳しい現実の前にさらされる中で、ぜひともここはアセットマネジメントをしっかりと総合的、計画的にその進行管理をしながら、すべての施設の長寿命化等を図っていかなければならない、それが今後の重要課題だろうという認識をしているところでございます。
一方、予算措置につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、これまで対前年減額の措置をせざるを得ない県の財政事情でございましたけれども、新年度予算につきましては、17年ぶりの対前年増額予算を提案をさせていただいているところでございますし、国に対しましても、これまでから要望あるいは提案をしているというところでございますし、今後ともそうした取り組みはしっかり対応していきたいと考えているところでございます。
◆24番(高木健三君) (登壇)終わります。(拍手)
○副議長(佐野高典君) 以上で、24番高木健三君の質問を終了いたします。
次に、13番井阪尚司君の発言を許します。
◆13番(井阪尚司君) (登壇、拍手)通告に従って2項目の質問をさせていただきます。
初めに、ESDの推進と環境教育副読本の活用について伺います。
知事は、今議会の提案説明の中で基本構想に掲げる未来戦略プロジェクトの8つの重点テーマの一つである「子育て・子育ちの応援」にかかわって環境教育を充実することについて触れられ、次のように述べられました。
「東日本大震災を機に、人と環境とのつながりを考え、持続可能な社会の実現に向けて主体的に行動することがますます求められています。そこで、これまでの学校における環境教育の取り組みを総括し、人と環境とのよりよい関係を総合的にとらえる環境教育のあり方について新たに研修、実践を行ってまいります。」
このように述べられました。これを具体化するために、新年度事業として、しが環境教育リーディング事業を予算化されましたことに、私は新たな環境教育の展開に期待をするとともに、学校現場にいた者として大変心強く思います。
滋賀県は琵琶湖を抱える県として早くから環境学習に取り組まれてきており、大きな成果とともに高い評価を受けています。
他方、近年、限りある資源の有効活用や地球温暖化防止への取り組みなどにより、自然エネルギーや再生可能エネルギーへの期待とともに、一層のエネルギー教育の推進が求められているところでございます。
これに関する滋賀県の行政施策を見ると、平成16年に滋賀県環境学習の推進に関する条例が策定され、拠点となるセンターが設置され、環境学習が推進されてきました。
さらに、平成23年3月に第2次改定された滋賀県環境学習推進計画の中では、持続可能な社会づくりに向けて主体的に行動できる人を育てると。このことを目的として、低炭素社会づくりに係る環境学習の推進と体系的な自然体験学習の推進を重点にした新しい環境学習の方向性として示されました。
また、平成16年に国が定めました、環境保全の意欲の増進および環境教育の推進に関する法律の中には、国連持続可能な開発のための教育の10年、この推進に向けて国内の対応を進めていくこととし、持続可能な社会づくりのためには開発教育、福祉教育、多様な文化や歴史についての教育、平和教育、人権教育など、幅広い分野の教育等と連携しながら環境教育を進めていくこととしています。
これらのことを踏まえて、滋賀県におけるこれからの新しい環境教育について、以下、教育長ならびに
琵琶湖環境部長に伺います。
1点目に、滋賀県の環境学習の現状と課題について伺います。
滋賀県の環境学習は、主に自然をテーマに体験学習が進められており、環境熱心県として他府県からも注目されてきました。学校では、本県の豊かな自然環境を生かしたうみのこ、やまのこ、たんぼのこ事業が進められていますが、その成果と課題は何でしょうか。教育長に伺います。
また、琵琶湖博物館の中に環境学習の拠点となるセンターがあります。ここでは、博物館の人的交流資源等を生かして、関係施設や団体とネットワークをつなぎ、ウエブサイトなどで県内で活躍されている様子やプログラム、指導者の紹介などをされていますが、このセンターの利用者の状況と成果および課題は何でしょうか。
琵琶湖環境部長に伺います。
さらに、環境学習推進計画に挙げられています低炭素社会づくりに係る環境学習の推進にかかわって、エネルギー教育がどのように進められているのか、その現状と課題についても
琵琶湖環境部長にお伺いします。
2点目に、学校におけるESDの取り組みについて伺います。
さきに述べました国連持続可能な開発のための教育の10年、ESDでありますが、このESDの推進について、先日、先進地である東京の多摩市を訪問し、市教育委員会から全小中学校27校で取り組まれている様子を調査いたしました。
教育委員会の積極的な取り組みにより、意欲的に取り組む教員がふえたこと、学校によりテーマが自由設定でき、教員の自主的な研究会が持たれて、市全体の教育の質の向上につながっていること、ユネスコ憲章に示された理念を学校で実践し、交流し合うユネスコスクールにも直結しており、身近な視点からグローバルな視点まで幅広く取り組まれていること、全国学力状況調査では学力が向上し、上位に位置づいていること、市民の豊かな経験やノウハウがESDに生かされ、市民と児童生徒の交流が図られていることなどを伺いました。
滋賀県でも、教員対象の環境教育研究協議会が持たれたり、環境教育モデル校やエコスクールなどに取り組まれている学校があります。大変よい手本として示していただいているところですが、総合的な環境学習を推進するためにも、ESDが目指す持続可能な社会づくりに向けた教育を推進してはどうかと思います。教育長の所見を伺います。
3点目に、環境教育副読本「あおい琵琶湖」を県民に広げて活用することについて伺います。
各学校で環境学習がスムーズに行えるよう、環境教育副読本「あおい琵琶湖」が配付されています。各校では、これを活用して年10時間程度、環境学習を進めることとされており、子供たちはこの副読本を使って滋賀の自然、暮らし、文化などを学ぶことで学習効果が一層上がることを期待して編さんされているところです。
他方、県内外から、この副読本を活用して滋賀の環境について認識を深めるために一般にも配付あるいは販売してほしいと、こういった声が後を絶ちません。特に近年、教育旅行等で滋賀に来る人たちが増加し、受け入れているボランティアガイドや民宿、農家民泊受け入れ農家、NPOなどから、この副読本があれば事前に学習して滋賀の環境やよさを伝えることができるとの意見が寄せられています。
そこで、県発行の副読本などをより有効に活用し、県内外の幅広い層に提供できるよう、手だてを講じることを提案したいと思いますが、教育長の所見を伺います。
4点目に、インタープリターなどの指導者の育成について伺います。
環境学習が効果的に進められるためには指導者の存在が欠かせません。特に、人と自然をつなぐインタープリターや自然へのいざない人であるナビゲーターの養成が重要かと思いますが、指導者育成の事業の現状と今後の見通しについて、
琵琶湖環境部長にお伺いして、最後の項の質問を終わります。
○副議長(佐野高典君) 13番井阪尚司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
琵琶湖環境部長(正木仙治郎君) (登壇)井阪議員の環境学習に関しての3点の御質問にお答えをいたします。
まず、環境学習センターの今年度の利用者の状況と成果および課題についてお答えを申し上げます。
利用者の状況につきましては、本年1月末現在で環境学習活動のサポートやコーディネートなどの相談件数が202件、また、ウエブサイトへのアクセス件数が約16万件、また、センター発行のメールマガジン登録者数が555人などとなっております。
次に、成果といたしましては、センターが環境をテーマにした体験学習を開催をしたり、博物館の学芸員が専門的なアドバイスを行ったりすることによりまして、センターの機能が、単に利用者をつなぐということから、かかわり、ともに考えるという方向へ進化をしたことでございます。
例えば、博物館の施設や人材の特徴を生かした環境学習の場づくりの一環として開催をしました「あさ、ひる、ばん博物館を楽しもう!」では、多くの方に自然と暮らしについて感じ、考える機会を提供できたことは大きな成果だったというふうに考えております。
今後も、NPO、企業、大学などと一層の連携を深めることで環境学習センターの機能の一層の充実を図っていくことが課題であろうというふうに考えております。
次に、エネルギー教育の現状と課題につきましてお答えを申し上げます。
議員御指摘のとおり、本県の環境学習推進計画では、低炭素社会づくりに係る環境学習を重点的な取り組み方向の一つに掲げており、今年度から新たに低炭素社会づくり学習支援事業に取り組んでいるところでございます。
この取り組みでは、地球温暖化防止活動推進員が地域や学校に出向き、講演やパネル展示、また、エネルギー比較実験等を行うことで省エネルギー対策などをわかりやすく説明し、エネルギーの大切さを学んでいただいているところでございます。
また、児童生徒が地域と連携して主体的に環境活動に取り組むエコスクール事業では、今年度、小学校9校をモデル校として認定をしておりまして、太陽光パネルや自転車による発電機を利用した実践的なエネルギー教育に取り組みを進めております。
今後の課題といたしましては、省資源、省エネの取り組みをより実効あるものにするため、学ぶ、理解するから一歩進んで、主体的な実践につなげていくことにあるというふうに理解をいたしております。
エネルギー教育を総合的、効果的に推進をするため、今後とも関係機関や教育委員会と連携をし、環境学習推進計画に掲げる低炭素社会づくりに向け、みずから考え、行動する人育てに努めてまいります。
最後に、環境学習の指導者の育成につきましてお答えを申し上げます。
県の環境学習推進計画におきましては、指導者の育成を施策体系の一つに位置づけて積極的に推進をしているところでございます。
具体的な取り組みとして、例えば幼児の自然体験学習事業におきまして、今年度、有識者や現場の先生方などで構成する検討会を設けまして、これまでに蓄積した経験やノウハウを生かして、指導者のための、幼児の自然体験プログラム集の改訂を進めているところでございます。
来年度以降、この新たなプログラム集を活用して、体験学習指導者の一層のレベルアップを図るとともに、そのさらなる拡大につなげていきたいというふうに考えております。
今後とも、環境学習推進のかぎとなります指導者育成を推進し、さまざまな分野や現場でこれらの指導者が活躍できるよう、支援に努めてまいります。
◎教育長(末松史彦君) (登壇)ESDの推進と環境教育副読本の活用についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、学校における環境学習の成果と課題についてですが、本県においては、学校教育の重点として環境教育の推進を位置づけ、持続可能な社会の実現に向けて主体的に行動できる人づくりを目指した環境教育を推進しているところです。
その特色ある取り組みとして、びわ湖フローティングスクール「うみのこ」、森林環境学習「やまのこ」、農業体験学習「たんぼのこ」など、滋賀の自然環境を生かした環境教育を位置づけております。いずれの事業も、子供たちが琵琶湖や森林などの豊かな自然環境を体験し、そのすばらしさを身近に感じることのできる貴重な機会となっております。
こうした学習を通して、子供たちが水環境や森林、地域の農業等への関心を高め、ふるさとを愛する気持ちをはぐくみ、環境保全への意識を高めるなどの成果が得られております。
また、子供たちの環境に関する個々の意識は高まり、行動にも結びついてきていますが、社会全体へ働きかけていくような主体的な行動にまで十分には育ってきていないことが課題であるととらえております。
次に、学校における持続可能な社会づくりのための教育、ESDの取り組みについての御質問にお答えいたします。
県内の学校においては、これまでからリサイクル活動、植栽や間伐体験を通した地域の森林を守る活動、地域の河川を保全する活動など、ESDにつながるような環境教育の取り組みがなされております。
これらの取り組みをさらに推進するためには、琵琶湖や河川、森林といった自然環境だけでなく、エネルギーや地域に根差した伝統文化、命のつながりなど、社会の課題と私たちの生活を結びつけ、新たな価値観や行動を生み出す学習や活動に取り組むことが大切であると考えております。
そこで、県教育委員会では来年度から、しが環境教育リーディング事業に取り組み、人と環境とのよりよい関係を築く環境教育のあり方について研究することとしております。
この事業は、人と自然環境、人とエネルギー、人と社会生活、人と命という4つのテーマに基づき、新たな環境教育のあり方についての研究、実践を行うものであります。この事業を通して、持続可能な社会づくりに向けた環境教育をさらに進めてまいりたいと考えております。
次に、環境教育副読本についての御質問にお答えします。
県教育委員会では、学校の環境教育の充実を図るため、環境教育副読本を作成し、県内のすべての児童生徒が活用できるよう図っているところです。このことにより、児童生徒が本県の自然環境に対する関心を高め、知識を深めるだけでなく、身近なところから自分の生活を振り返り、ふるさとのよさを実感し、地域の環境を大切にしようとする姿勢を育成していけるものととらえております。
議員御指摘のように、環境教育副読本を県民の方々や県外から訪れる方々にお読みいただくことで、本県の自然環境や特色ある環境学習の取り組みを広くPRする効果はあると考えます。しかしながら、現行の環境教育副読本の市販化につきましては、資料の著作権の関係等により販売できないといった制約がございます。今後は、図書館や公民館などの公共施設に備えつけていただくなど、幅広い層の方々に読んでいただける方法を工夫してまいりたいというふうに考えております。
◆13番(井阪尚司君) (登壇)御答弁、ありがとうございます。前向きな御答弁をいただいておりますけれども、2点について再質問させていただきたいと思います。
教育長の答弁をお聞きしていますと、次年度のしが環境教育リーディング事業は、いわば滋賀県版ESDととらえてよいのでしょうか。お尋ねさせていただきます。
2点目は、副読本のことについてでございますが、県内、ほんまもん体験ですとか、着地型観光とか、あるいはグリーンツーリズム、エコツーリズム等々で滋賀にやってくる人たちがふえてまいります。そのためのテキストになりますので、ぜひ滋賀のよさを知っていただく重要なツールとして副読本の活用を広げていただければありがたいと思います。著作権等の問題がありますけれども、例えば次期改訂の折にはそこの視点も入れていただいて、ぜひ広めていただければと思います。教育長のお考えをお尋ねさせていただきます。
◎教育長(末松史彦君) 2点についてお答えいたします。
滋賀教育リーディング事業、これは今までの県教育環境のすぐれた取り組み、これを通しまして、これまでの環境教育の実践を総括するとともに、教員とか専門家等によります研究推進委員会を組織しまして、人と環境のよりよい関係、新たな環境教育のあり方について研究を行うものでして、人とエネルギーとか、そういうふうなものを含めまして研究していただくものですので、ESDの方向についてやっていただけるものというふうには思っております。
それから、この副読本の市販化につきましては、これ、本当に非常にすぐれたものでございまして、非常に貴重な写真とかそういうふうなものもいただいてきております。そういうものにつきまして、今、そういう著作権の関係等によりまして販売できないというふうな制約があるんですけれども、それらにつきましても、何らかの形で解除できるものなら、そういうふうな方向でも研究してまいりたいというふうに思っております。
◆13番(井阪尚司君) (登壇)ありがとうございました。ぜひ実現できますことをお願いして、次の質問に移ります。
次に、流域森林づくり委員会の活動内容と今後の展開についてお伺いします。
昨年、多くの人命と財産を奪い、今なお復興に向けてのスピードが取りざたされている東日本大震災の被災地の状況ですが、一日も早く多くの人があすへの希望を持って歩んでいただきたいと願うばかりでございます。
間もなくあの震災から1年になります。先日の朝日新聞に、世界の森林保護に取り組む国連機関、国連森林フォーラムが、宮城県でカキを養殖されている漁師の畠山重篤さんを世界の森林ヒーローに選んだとの記事が掲載されていました。なぜカキの漁師が森林ヒーローなのでしょうか。記事によりますと、理由は次のとおりであります。豊かな海には豊かな森が必要だと、四半世紀にわたって流域の山々に木を植え続けてこられた活動が認められたということでした。
昭和40年代、カキを養殖する気仙沼の海が赤く染まった。赤潮であります。このころ、陸上では開発による工事や手入れのされない森林などにより山は荒れました。人工林は継続して手入れが重要となりますが、その後の木材の輸入自由化で地方の山々は放置され、土砂が流域を通じて海に流れ込んだということであります。
彼は、人為的な営みが及ぼす環境悪化に対して「森は海の恋人」という言葉とともに、大漁旗をなびかせて山に入り、漁師が木を植える活動を全国に広める先駆者となりました。その結果、豊かな海は戻り、漁獲高は以前の状況を取り戻したのであります。
そこへあの震災です。漁場とともに最愛の御母堂を亡くされ、御自身はかろうじて高台に上って難を逃れられました。
漁業の再開は絶望と思ったとのことです。しかし、1カ月もすると、濁った水が徐々に澄んできて、プランクトンや魚ももとに戻ってきた。そこから多くの方の支援を得て、徐々にカキ漁再開に向けて意識が変わっていった。そして、多くの人は、高台に住んでもこの地に住み続けたい。海を恨んでいない。津波で家族や仲間、家を失ってもここに住み続けたいとおっしゃいます。何よりも海が豊かだということであります。
私は、流域の立場の異なる人が自分たちの住む上流に目を向けて、多くの仲間とともに実践活動を行い、成果を上げた畠山さんのような事例を県内で進められている流域森林づくり委員会とダブらせて考えています。
県は、平成16年に琵琶湖森林づくり条例を制定して、平成17年に策定した琵琶湖森林づくり基本計画に基づく環境配慮と県民協働の森林づくりを展開しています。その中の事業の一つとして、地域の森林づくりを効果的に進めるために、森林づくり委員会の活動が行われています。まさに地域の住民の代表でもある流域森林づくり委員会が自分たちの源流でもある地域の森林や山村がどのような状況になっていて、今どのような課題を抱えているのか、そして、森林、林業の課題を解決するためにどうしていくのかを真剣に考える場であろうと考えています。そして、これらの現場の声を施策に反映することが重要であると思います。
そこで、この流域森林づくり委員会の活動について、次の3点について、
琵琶湖環境部長に伺います。
まず初めに、琵琶湖森林づくり条例には、その目的に「県は、流域を単位とした森林づくりを適切かつ効果的に推進するため、その流域の森林づくりのあり方、進め方等について県、市町等への提案その他の活動を行うこと」としていまして、「地域住民、森林所有者、森林づくりに関する活動を行う団体等によって構成される組織の整備の促進に必要な措置を講ずるものとする」とうたわれています。
さらに、基本計画では「県民の森林づくりへの新たな参画を促進するために、地域の森林づくりのあり方について提言するなど、主体的な取り組みを行う流域森林づくり委員会の活動を支援する」とあります。
現在、県内には6つの流域森林づくり委員会が設立されていると承知しております。設立からほぼ5年を経過し、どのような活動を行い、どういった成果が上がっているのかをまずお聞きします。
次に、さきの代表質問でもありましたニホンジカによる獣害問題に関連して、県内の森林地域においてもスギあるいはヒノキの皮はぎのみならず、下層植生の食い尽くしなどによって林地が荒廃している、そういったところも出てきていると仄聞しております。
今まさに森林づくりにおける重要な問題となっているニホンジカによる獣害について、流域森林づくり委員会としてどのようにかかわってもらおうと考えておられるのか、お尋ねします。
最後に、現在の森林・林業行政と流域森林づくり委員会との関連についてお尋ねします。
県内では、多くの市町の合併が進み、1流域1市町というところも出てきています。国では、昨年、森林法が改正され、森林計画制度が大きく見直されました。この中で、市町村森林整備計画が林業の
マスタープランとして位置づけられましたので、市町が地域の特性を生かした森林づくりに取り組んでいくことが重要になってきていると認識しております。
このような中、地域の森林づくりを適切、効果的に推進するために設置されている流域森林づくり委員会と市町とのかかわりは重要となってくるのではないかと考えます。委員会の設立からほぼ5年が経過する中、過疎化、高齢化が進行しているなど、地域の状況や林政の方向も変わりつつあります。市町のかかわりも含めて、この流域森林づくり委員会の課題と今後の展開をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
◎
琵琶湖環境部長(正木仙治郎君) 森林づくり委員会に関しての3点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の流域森林づくり委員会の活動の成果でございますが、県下6地域に設けられている流域森林づくり委員会は、それぞれ主体的に活動する組織でありますが、県民協働の森林づくりを進めるに当たり、県に対して地域の実情を踏まえた具体的な施策提言をしていただくという大きな役割を担っております。
これまでいただいた提言で施策に反映させた例といたしましては、今年度から取り組んでおります放置林の防止対策境界明確化事業でありますとか森林CO2吸収認証制度などがございます。
また、委員会での議論のもとに、災害に強い作業道の開設や効率的な間伐材の搬出が行われ、これが地域の森林組合の間伐材の搬出効率の向上につながった事例など、委員会の取り組みが契機となって現場での実践につながっている事例もございます。
このように、委員会は、県民協働の森づくりを進める上での施策構築や現場に即した事業展開に大きな役割を担っていただいております。
次に、2点目のニホンジカの被害対策への委員会のかかわりでございますが、委員会からは、ニホンジカの駆除対策の推進の必要性につきまして、かねてより提言をいただいており、こうした提言も踏まえて、昨年度より捕獲事業を強化、拡充することとしたところでございます。
また、今後は、森林部局としてもニホンジカの被害対策に力を入れて取り組んでいくこととしておりますことから、委員会にはこれまで以上に現場に即した提言をいただくことで被害対策の効率が上がることに期待をしているところでございます。
最後に、3点目の委員会の課題とこれからの展開についてでございますが、議員御指摘のとおり、今般の改正森林法におきましては、地域の森林づくりにおいて市町が策定する森林整備計画の位置づけがより高いものになり、市町が地域の森林づくりに果たす役割が一段と大きくなったものというふうに考えております。
こうしたことから、今後は委員会から提案されました施策や実践活動が、県だけでなく各市町でも生かされ、地域の特色ある森づくりにつながっていくようにすることが課題であろうというふうに考えております。
それぞれの委員会での議論や取り組みが市町との連携強化という方向で展開がされ、地域の森づくりがより特色と魅力のあるものになることに期待をいたしているところでございます。
◆13番(井阪尚司君) (登壇)御答弁、ありがとうございます。
1点、再質問させていただきます。
先ほど申しました流域森林づくり委員会は県内に6つ設けられておりますけれども、それぞれで協議され、具体化に向けた提案がされていますことは大変すばらしいことだと思います。その提案の内容は恐らく県全体の課題でもあると思いますが、そこで、各流域委員会が一堂に会して県全体の方向性が出せないか、
琵琶湖環境部長の御所見をお伺いします。
◎
琵琶湖環境部長(正木仙治郎君) 現在は各ブロックで、やはり地域のことについて御提言をいただくという形で進めておりますので、全体でというふうなことは今のところは考えておりませんが、ただ、そうした意見をまとめるような、そうした場があればより有効なのかなと、そういう認識を持っております。
◆13番(井阪尚司君) (登壇)ありがとうございます。ぜひ森林流域委員会が、より一層、具体化に向けた提案をされて、それが森林政策に反映されるようにお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(佐野高典君) 以上で、13番井阪尚司君の質問を終了いたします。
最後に、15番成田政隆君の発言を許します。
◆15番(成田政隆君) (登壇、拍手)皆様、お疲れさまでございます。本日7番目ということで、大変皆様もお疲れのところだと思いますが、元気に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
昨日、寒風が吹く中、2012びわ湖レイクサイドマラソンが行われました。過去最多の1,305人のランナーが参加いたしました。私も出場いたしましたが、県内外から多くのランナーが、冠雪した比叡山を見ながら琵琶湖のそばを、風を感じ、走りました。一方で、東京マラソンも行われておりました。国内外のトップのランナーと市民ランナーの計3万6,000人が東京の中心を疾走し、観衆は130万人を超えたと発表されております。そして、来週はびわ湖毎日マラソンです。東京マラソンと同じく、ロンドン五輪代表選考会も兼ねております。そういった意味でも大変注目されたびわ湖毎日マラソンでございますが、多くの方にテレビを通じて、ランナーの姿だけでなく琵琶湖の風景も見ていただきたいと思っております。
現在、健康ブームの中から、マラソンの人気は大きなものとなっております。びわ湖毎日マラソンにおいても、東京マラソン同様、市民ランナーが疾走し、滋賀の、そして、琵琶湖の魅力を感じてもらえるような大会になることを願い、通告に従いまして、滋賀・びわ湖ブランド戦略について、知事に質問をいたします。
2009年11月に滋賀・びわ湖ブランド推進協議会が官民共同で発足し、滋賀の商品やサービスのブランド化を進め、県内外に情報を発信してきました。そして、2010年3月に滋賀・びわ湖ブランド戦略が産学官により策定され、2011年7月に滋賀・びわ湖ブランドを滋賀の象徴であるマザーレイク、琵琶湖を礎とし、県内外、国内外、ひいては未来へと発信していく機会と場を提供する産学官民による滋賀・びわ湖ブランドネットワークが設立されました。これら一連の流れにより、滋賀・びわ湖ブランドの発信に向けての体制は整ったと言えます。
そして、来年度予算において、8つの重点テーマ、未来戦略プロジェクトにおいて、たくましく活力に満ちた滋賀を実現するため、滋賀の未来成長産業、地域の魅力まるごと産業化の2つのテーマが掲げられ、その中で、地域資源を活用したブランド化戦略や食のブランド力の向上、さらには、地域資源の価値、魅力を観光資源として国内外に発信するなど、滋賀のブランド力の向上に向けた施策の展開がなされております。
そもそも地域ブランドとは各地域によってさまざまな取り組みがあります。広義でいうと、そのものが持つイメージであり、それは既存の地域資源を活用することにより可能となり、無形の遺産であります。一方で、狭義の地域ブランドとは、その地域から生じている財、サービスという有形の資産であります。
現在、滋賀で取り組んでいるブランドは、広義においては琵琶湖であり、狭義においては農産物や観光などのブランドであると考えられます。
そこで、まず、滋賀における滋賀・びわ湖ブランドの定義はどのようなものであるのか、知事にお伺いいたします。
次に、滋賀・びわ湖ブランド戦略に関連して、以下、お伺いいたします。
滋賀・びわ湖ブランド戦略において、3つの戦略、地域イメージの向上戦略、個別商品・サービスの向上戦略、県内外への効果的な発信戦略を掲げられております。
まず、地域のイメージの向上戦略に向けてお伺いいたします。
滋賀・琵琶湖ブランド戦略構築事業基礎調査によると、現状の県外からの滋賀のイメージは、素朴な、地味な、目立たないイメージであり、地域資源認知度においても50%を超えているのは琵琶湖、近江牛、彦根城、そして信楽焼の4つにとどまっております。実際に、県外の多くの方からも、滋賀に関してお話をしても、イメージは琵琶湖であります。これは、言いかえると、一つの大きな特徴であるとも考えられます。しかしながら、そこから滋賀・びわ湖ブランドとして確立し、さらに他の物産や観光に十分に結びついておらず、多くの課題が存在すると考えます。
そこで、滋賀・びわ湖ブランドの醸成においての課題がどこにあると考えているのか、知事にお伺いいたします。
あわせて、地域イメージの向上のためにどのような取り組みを行っていかれるのか、お伺いいたします。
次に、戦略2、個別商品・サービスの向上について、以下、お伺いいたします。
重点テーマ6、滋賀の未来成長産業をより強化、充実させる方向性として、最近の諸情勢も踏まえ、示された滋賀県産業の成長戦略の中では、本県産業の現状を希薄な地域ブランドイメージがあるとしております。そして、その希薄な地域ブランドイメージに対応すべく、地域資源を活用したブランド化戦略を位置づけ、滋賀の感性を伝える「ココクール」事業を展開されようとしております。
一方で、滋賀県には、これまでにも近江米、近江牛、近江のお茶を初めとする数多くの食のブランドがあります。また、これまでも環境こだわり農産物の認証や、「おいしが うれしが」キャンペーンによる食のブランドの販売促進をとり行われてきたところでもあります。さらに、農産物だけでなく、信楽焼や浜ちりめんなど、地場産品に関しても、滋賀ならではのブランドがあると言えます。
そこで、滋賀の個別商品を、さらに価値を高めるために、どのように一体的に滋賀・びわ湖ブランドとして取り組みを行おうとされているのか、知事にお伺いいたします。
次に、観光ブランドに関してお伺いいたします。
土曜日に、大津こども環境探偵団の活動に参加いたしました。今年度の最後の活動で、大津の町なかを歩いて回りました。大津祭や大津城など、歴史や文化を学ぶため、子供たちと一緒に回りました。
自分たちの住んでいるまちにお城があったこと、さらには、関ケ原の戦いにおいて大津城の役割が大きなものであったことなど、自分たちの地域の魅力を再発見する機会に接することができました。
そして、その時代、大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」の放送によって、昨年は観光において大きな集客が得られました。しかしながら、大河ドラマによる効果は一過性のものであります。今後、ドラマが終わった後においても、どのように集客をするのかを戦略的に考えていかなければならないと言えますが、歴史を軸とした滋賀県の観光戦略をどのように打ち出していくのか、知事にお伺いいたします。
次に、体験、体感を組み入れた観光プログラム、ビワイチについてお伺いいたします。
平成21年の一般質問で、NPO法人五環生活の取り組みも含め、ビワイチの紹介をさせていただき、観光の戦略の一つとして琵琶湖一周という観光資源の活用を提案させていただきました。
その後、滋賀県としてもNPOと協働のもとにビワイチ──琵琶湖を一周という基本コンセプトと、本県の観光資源を組み合わせ、滋賀ならではの体験型観光プログラムを創造し、来訪者に滋賀のよさを継続的に体感してもらうことで、本県の観光ブランド構築を図るとされております。
さらに、ビワイチ自転車ネットワーク整備計画の策定を行い、既存のぐるっとびわ湖サイクルラインから各市中心部、観光地へのアクセスのネットワークを形成されており、リピーターの拡大に向けた取り組みにも効果があると言えます。
そこで、知事にお伺いいたします。
ビワイチに関して、観光ブランドとしてどのような可能性を持っており、どのように売り出していくのか、お伺いいたします。
また、今回、滋賀・びわ湖ブランドとして「美の滋賀」づくりの推進が行われます。「美の滋賀」発信懇話会提言においても、県民自身が滋賀の美のよさに気づいていないとされており、奥深い可能性を秘める美の資源を浮かび上がらせ、「美の滋賀」として発信することにより、滋賀の魅力をより一層高め、県民の誇りを育てる、そのためのコンセプトづくりにより「美の滋賀」づくりの推進は県民にとっても滋賀ブランドとしての認識をさらに深める機会になるのではないでしょうか。
この「美の滋賀」づくりの推進において、滋賀のアート発見や近江の神と仏の「美」、また、アール・ブリュットの魅力の発信を行われますが、滋賀の新たなブランドとしての「美の滋賀」をどのように発信していくのか、さらには、「美の滋賀」を新たな観光ブランドとしてどのように活用していくのか、知事にお伺いいたします。
以上、歴史、文化、体験・体感と観光ブランドの核になる施策に関してお伺いいたしましたが、これらを一体的に滋賀の観光ブランドとして打ち出していかなければなりません。
福井県では、ブランド営業課、観光振興課、ふるさと営業課から成る観光営業部をつくり、福井県の認知度を上げる、産品を買ってもらう、観光に来てもらう、福井に住んでもらうといったミッションが課せられています。そして、実際に恐竜を福井ブランドの先導役として売り出し、恐竜博物館の入場者数を平成13年度の25万人から平成22年に50万人に押し上げました。そのうち約40万人が県外から来館しております。
それに至った背景には、ユニクロとコラボを行い、Tシャツデザインに採用、Tシャツ発売に合わせてユニクロの都内店舗においてミニ恐竜展を開催、また、Tシャツ購入者が恐竜博物館を訪れた場合に特別サービスを実施するなどにより相乗効果を図っています。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや20世紀フォックス映画とのコラボレーション、楽天との恐竜ツアーの開催、ヤマト運輸との恐竜ボックスによるコラボレーションなど、さまざまな営業により福井県に来てもらうための仕掛けがなされていると言えます。
そこで、滋賀県において、滋賀の観光ブランドとしてどのように営業を行っていき、歴史、文化、体験・体感における観光ブランドの醸成を行っていくのか、知事にお伺いいたします。
さらに、滋賀県のさまざまな個別商品や観光分野も含めたサービスの向上と地域イメージの向上をいかに連携させ、相乗効果を図っていかれるのか、知事にお伺いいたします。
次に、戦略3にもありますが、これら滋賀・びわ湖ブランドを県内外へ効果的な発信戦略のもとで行っていかなければなりません。現在、ツイッターやフェイスブックを初め、時代とともに情報発信の仕方も多種多様な状況となっておりますが、どのような形で情報発信を行い、滋賀の魅力を県内外に発信されるのか、知事にお伺いいたします。
これまで、滋賀県、びわ湖ブランドに関して、滋賀・びわ湖ブランド戦略に沿ってお伺いしてきましたが、実際には、各分野においてさまざまな取り組みが行われております。
例えばココクール事業ではマザーレイクセレクション発表を行い、滋賀ブランドの価値を高め、商業、サービス力の向上を目指しております。また、「おいしが うれしが」キャンペーンや環境こだわり農産物による滋賀の食のブランド力の向上、さらには、ビワイチ、「美の滋賀」づくりとさまざまな方向性がそれぞれの努力のもとに地域の向上、個別商品やサービスの向上に向けて取り組みがなされております。
しかしながら、滋賀県としての滋賀・びわ湖ブランドに当たって、文言の一体化など、一つのキーワードのもとに滋賀・びわ湖ブランドがつくられていないと言え、各部局の横つなぎがなされているのか、見えてこない状況にあると言えます。
本来、滋賀のブランド力の向上を果たすためには、しっかりと広報戦略を考えていかなければならないと言えます。本来、地域ブランドとは、単に特産品や名産品など、財やサービスだけでなく、地域間競争に勝ち抜き、地域のイメージ形成や地域の魅力づくりを行うことであり、県民や企業がその地域に誇りや愛着を持ってもらうものであると言えます。そして、その実現のためにも、シティプロモーションを含め、戦略的に広報を行う必要があると言えます。
つまり、縦割りではなく、しっかりと部局横断を行った上で機能が果たせる推進体制が求められ、戦略的に広報戦略とシティプロモーション、企画を一元化した仕組みが必要であると言えます。
現在、滋賀・びわ湖ブランド推進調整会議が行われ、庁内の推進体制を整えておられますが、調整会議からさらに前進して、ブランド推進だけでなく、各課からの戦略的な広報もあわせて行える体制により、滋賀・びわ湖ブランドを戦略的に打ち出していく必要があります。戦略的な政策形成とともに、広報を合わせた上で体制を整えていかなければならないと言えます。
文言の一体化も含め、横つなぎによる各部局の統一した方向性を築き上げた上で、滋賀・びわ湖ブランドを発信する必要がありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
あわせて、そのためにも、戦略的な政策形成と広報を行っていく体制をつくっていかなければならないと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(佐野高典君) 15番成田政隆君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)成田議員の滋賀・びわ湖ブランドの戦略についての10点の御質問にお答えさせていただきます。
まず、1点目の滋賀・びわ湖ブランドの定義でございます。
滋賀には琵琶湖を初めとする豊かな自然、多くの文化財、美しい暮らしぶり、そして、そこから生み出された商品、産品など多くの魅力があります。
議員御指摘のとおりですが、残念ながら、滋賀のよさ、魅力は全国に伝わっておりません。また、県民自身も十分気づいていないというところがあります。この背景には、琵琶湖というイメージがこれまでは、ともすれば水質汚染であったり、あるいは生態系破壊だったり、環境保全というところが強く打ち出されてきたがゆえに、例えば県外から来る方たちには琵琶湖に水泳場がある、泳げるということさえ知られていない。そのようなところで、イメージと事実の間に大変大きな差がある。このあたりをまずは、水質汚染、そして生態系保全、これはこれでかつてと比べると劣化しているわけですが、ただ、例えば日本の他の湖沼と比べるとまだまだ大変美しいわけでございます。そこのところをしっかりと伝える中で、滋賀・びわ湖ブランドは多様な価値がある。歴史風土をマザーレイク、琵琶湖という言葉で象徴し、そして、琵琶湖の持っている本来の自然の力、また、そこから滋賀が生み出してきた産品や商品の物の力をかりながら、観光客の増加、ひいては地域の方たち誇りを高める一体とした戦略をつくっていく必要があると考えております。
議員も整理をしていただいておりますけれども、物、出来事、物としての食べ物、産品、出来事としての観光、そして、心としての誇り、これを立体的に、重層的に取り組んでいくことが戦略の基本になると考えております。
次に、2点目のびわ湖ブランドの醸成における課題と地域イメージ向上のための取り組みでございます。
私は、このイメージ向上のためには、これまでつくられてきた環境保全だけではなく、琵琶湖の持っている国際的な価値、また、時代的な価値を高めることが必要だと思います。
ことし、有識者による琵琶湖の世界的価値についての検討会を行いました。先日、そちらから報告書がいただけたわけですけれども、世界中の他の湖沼と比べ、また、過去の人類の歴史の中でも、琵琶湖は地球未来のあり方を体現し、現代社会のモデルとなり得る未来を示唆する世界遺産という存在であると御提言をいただきました。狩猟採集時代から自然の恵みを生き、それを今に、同時代的に生きている。あわせて、地球規模で、人と自然の共生、困難なところをしっかりとバランスをとっている。この2つの点からして、未来を示唆する世界遺産であるという御提言をいただきました。このような提言をしっかりと生かしていくためにも、改めて滋賀・びわ湖ブランド醸成には大きな2つの課題があると考えております。1つは、琵琶湖の価値をうまく生かし切れていないこと。もう1つは、その琵琶湖の価値が個別の商品、産品とうまく結びついていないという点でございます。ここについて、総合的に、議員御指摘のような形で多面的にアプローチする必要があると思っております。
次に、3点目のまさに物の分野ですけれども、個別商品の価値を高めるため、どのようにびわ湖ブランドとしての取り組みを行うかでございます。
ようやく近年になって、個別の消費者の感性に働きかける新しいものづくりということでココクール事業の提案がなされてまいりました。これは、どちらかといえば、マーケットイン、若い人や女性などを含めて感性に訴える物あるいはサービスをこの滋賀から生み出していこうというものでございます。これによりまして、滋賀に物や、あるいは個別のサービスから、入り口にして、滋賀県に共感するファン層を拡大する、そして、結果としてブランド価値向上を図っていくという、そのような一つの戦略と考えております。個別の商品、産品を入り口として、マザーレイク、琵琶湖に関連づけて情報発信を行っていきたいと考えております。
具体的には、例えば信楽焼であるとか、あるいは木製品、あるいは仏壇の技術を使った容器など、あるいは琵琶湖の色を活用した、滋賀の色を活用した織物類なども、物として、ココクールの物として重要な発信源になっていくと期待をしております。
次に、4点目の歴史を軸とした滋賀県の観光戦略でございます。
大河ドラマを契機に盛り上がった戦国や歴史に関する本県への関心を一層引き継いでいくためには、継続的な情報の受発信と観光資源の発掘、創造を戦略的に行っていくことが必要でございます。24年度には、大河ドラマで注目を浴びた本県の戦国や歴史に関する観光資源や、日本観光振興協会主催の旅フェアや旅まつり名古屋、あるいは日本旅行業協会の旅博などの大規模観光展において、引き続き、積極的にこの歴史の価値を発信していきたいと考えております。
また、市町や観光協会等において実施される歴史、戦国をテーマにしました誘客推進の取り組みに対しましては、地域観光活性化支援事業を拡充して支援するほか、例えばJR西日本と連携したキャンペーンなどによりまして誘客促進に努めてまいります。
さらに、観光資源の発掘や創造につながるビワイチ観光ブランド事業を体験・体感型観光プログラムとして強化をしていきたいと考えております。
5点目に、そのビワイチのことを御質問いただいているわけですが、観光ブランドとしてどのような可能性を持ち、どう売り出していくのかでございます。
ビワイチ観光ブランドでございますけれども、これは、議員御指摘のように、例えば自転車を活用した五環生活、あるいは歩くという意味では、スポレクのときから始まっているビワイチでございます。
ビワイチの個性としては、いわば網羅的な一体性を持って、始まりから終わりまでの完結性があるということ、これは大きな一つの魅力と思います。
あわせて、ビワイチプラスアルファで、四季折々の自然の中で、例えば奥深い歴史、仏像など、ビワイチプラス十一面観音、あるいはビワイチプラスグルメ、あるいはビワイチプラス自然観察など、さまざまな広がりと深まりを持った、一体的な観光戦略が可能となると期待をしております。今後、大いにこのビワイチ戦略は、さまざまな提案もいただきながら、認証制度のようなものができたらつくりながら、5年、10年かけての戦略にしていきたいと考えております。
次、6点目の新たなブランドとしての「美の滋賀」をどう発信していくかでございます。
「美の滋賀」は芸術という美だけではなく、滋賀を初めとする自然の美、あるいは暮らしぶりにあらわれる生活文化の美など、滋賀の地で生み出されたものに改めて光を当て、そして、発信をしていこうというものでございます。「滋賀全体がみんなの美術館に」という合言葉のもと、例えば仏教美術であるならば、大きな社寺仏閣だけでなく、地域社会の中でひっそりと信仰の対象として守られてきた観音様、仏像なども大変重要な「美の滋賀」の拠点となります。また、糸賀一雄さん以来、障害を持つ人たちが生み出してきたさまざまな芸術品、創造物、これについても各施設から生み出され、地域から生み出されたものでございます。そういうところを、地元を訪問しながら、滋賀・びわ湖ブランドの一つとして「美の滋賀」の発信をしていきたいと考えております。
さらに、先ほどのビワイチ観光プランとセットとして、「美の滋賀」も、これから一層、展開を図れると期待をしているところでございます。
次に、7点目の、今後、観光ブランドをどう営業し、歴史、文化、体験・体感による醸成をしていくのかでございます。
この営業については、民間事業者とのコラボレーションが何よりも大切であります。現在、旅行代理店や観光団体の御参画を得て、営業方法についても検討を始めたところであります。民間事業者、先ほどJR西日本を申し上げました、あるいは、NEXCOなどを含めて、包括協定を結んでおりますさまざまな事業者と、本県ならではの発信の仕組みを考えていきたいと、そして、それをさらに磨きをかけていきたいと考えております。
次に、8点目のさまざまな個別商品や各分野のサービスの向上と地域イメージの向上をいかに連携させ、相乗効果を図っていくのかでございます。
議員御指摘のように、商品と、それから個別イメージ、地域イメージというのはお互いに相乗効果が図られて、より定着、また発信できるものでございます。
先ほど申し上げました物と出来事と心、それが立体的に深まってこそ、相乗効果となっていくと思っております。現在、行政のみならず、産学の皆さんを巻き込んだ取り組みが必要ということで、昨年7月に設立されました滋賀・びわ湖ブランドネットワークにおいては、個別ブランドや地域イメージの向上に関連する団体が集まり、他府県の事例を研究するなど、知恵を出し合いながら具体的な連携の取り組みが図られております。
こういう中で、積極的に、実はこのびわ湖ブランドネットワークは民間でつくられたものでございますけれども、民間のネットワークと県と協力をしながら進めていきたいと思っております。
次に、9点目の滋賀の魅力を県内外にどう発信していくかでございます。
県においては、だれもが身近に琵琶湖の価値を体感できるスポットを紹介する広報誌、あるいは若手職員によるブログ、また、滋賀・びわ湖ブランド展などによりまして、マザーレイク、琵琶湖をキーワードとして魅力の発信に取り組んでおります。
また、先ほどの滋賀・びわ湖ブランドネットワークにおいては、個別商品、サービスと滋賀の地域イメージを連携させた情報発信を行うとともに、インターネット、フェイスブックの活用など、効果的な情報受発信の手法について検討しております。
私は常々申し上げておりますが、情報は単に発信するより前に、受信の感度を上げるべきだと思っております。幸い、現在、さまざまな情報ネットワークが発展している中で、インターネット、フェイスブック、双方向の受発信の仕組みをつくり、そして、例えば仏像のブログ、あるいは戦国のブログなど、観光する方たち自身が発信をしていただく、そのような参加型の受発信の仕組みも大変効果的ではないかと考えております。
最後に、10点目の横つなぎによります滋賀・びわ湖ブランドの統一的な方向性、戦略的な政策形成と広報体制についてでございます。
これまで申し上げましたように、滋賀・びわ湖ブランドの受発信には関係部局で戦略の考え方を共有し、マザーレイク、琵琶湖をキーワードとしながら相互連携が必要でございます。
具体的には、庁内の横つなぎ組織であります滋賀・びわ湖ブランド推進調整会議において、ブランドの受発信について協議を行いながら、相互に機会を利用し、より効果的、戦略的な推進を図るとともに、次年度に向けて滋賀・びわ湖ブランドに係る政策議論、事業予算化をしてまいりました。
また、国内だけでなく国際的にも発信をするという意味では、関西広域連合における文化・観光戦略の中に琵琶湖をしっかり位置づけていただく、しかも、関西の他の地域にない教育旅行であるとか、さまざまな琵琶湖の持っている価値を入れ込むことによって滋賀・びわ湖ブランドネットワークの一層の国内外への強化が図れるものと期待をしております。
そのためには、何よりも私たち自身がおもてなしの心を持って、そして、私たち自身がこの滋賀を愛し、誇りに思う、それがこれからのびわ湖ブランドの大きな条件になっていくと考えております。
◆15番(成田政隆君) (登壇)ありがとうございます。
琵琶湖という部分での、とりわけマザーレイクという言葉をいただきながらいろいろとお話をいただきましたが、やっぱりいろいろな分野において、滋賀県の事業を行う際にも、今でも琵琶湖であったり、マザーレイクであったり、さまざまな部分での、やっぱり言い回しがあればあるほど何かぼやっとしてしまう感じがしてしまうと考えます。そういった中で、やっぱり文言の一体化というところで、いろいろと最終的な発信の仕方は多数あるとは思いますが、ストーリーとして、やっぱり琵琶湖というものでやるのならば、マザーレイクとかいろんな言い回しをせずに、琵琶湖という形での一本化をしていくほうがよりわかるのではないのかなと感じております。
先ほどフェイスブック等々のお話もございましたが、やっぱりいろいろな形での受発信、とりわけ滋賀県において、滋賀ロケーションオフィスにおいてもさまざまな取り組みをされ、口コミで広がるようなさまざまな事業展開もされておられますので、フェイスブックの活用等々により、やっぱりウエブ上での情報のさらなる広がりというものの展開を進めていただきたいなと思っております。
広報戦略として、やっぱり香川県のうどん県というのがすごくインパクトがあったと思います。ああいった中で、やっぱりすごくインパクトのある方向性を持たせることが大事だと思いますし、滋賀県においても琵琶湖というイメージが強くなっている中で、フランスで編集されているミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにおいても、改訂第2版において琵琶湖が含まれることになりました。そういった中で、しっかりと琵琶湖というものが世界に通用するブランド価値として高まるように、県庁一体となってやっていただきたいと思いますので、最後に、やっぱりいろいろな個々の中で、各部局でそれぞれ商品開発やらサービスの向上に向けてやっておられますが、ちゃんと琵琶湖という中でのストーリーの位置づけを築き上げていただきたいなと思いますが、そのあたりに関して、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) お答えさせていただきます。
マザーレイクはやめて琵琶湖に統一せいというような御意見かと思いますが、これは、琵琶湖というのは自然的、社会的、文化的存在ですが、琵琶湖だけでは膨らみ、あるいは意味づけが、価値づけが単一化しそうなところに対してマザーレイクというようなブランドの提案をこれまでいただいていると思っております。「マザーレイク、琵琶湖」、「琵琶湖、マザーレイク」、これはセットで皆さんが使えるような形が大切ではないかと思います。琵琶湖だけでは狭いのではないのか、そのあたりは今後また議論をしていただき、そして、何よりも支持をしていただかないといけません。使ってもらわないといけません。既に琵琶湖というのは大いに使っていただいているわけでございますので、ここにマザーレイクを入れるべきか入れざるべきかも含めて、一層議論を展開していただけたらと思っております。
◆15番(成田政隆君) (登壇)終わります。(拍手)
○副議長(佐野高典君) 以上で、15番成田政隆君の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。
明28日は、定刻より本会議を開き、一般の質疑ならびに質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時10分 散会
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