滋賀県議会 > 2007-09-27 >
平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)−09月27日-03号

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  1. 滋賀県議会 2007-09-27
    平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)−09月27日-03号


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    平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)−09月27日-03号平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)                平成19年9月滋賀県議会定例会会議録(第19号)                                       平成19年9月27日(木曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         平成19年9月27日(木)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第103号から議第129号まで(平成19年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか26件)(質疑、質問)            ─────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ─────────────────────────────── 会議に出席した議員(47名)    1番   川  島  隆  二  君   2番   奥  村  芳  正  君    3番   生  田  邦  夫  君   4番   野  田  藤  雄  君    5番   西  村   久  子 さん   6番   中  谷  哲  夫  君    7番   成  田  政  隆  君   8番   九  里     学  君    9番   柴  田  智 恵 美 さん   10番   江  畑  弥 八 郎  君
       11番   木  沢  成  人  君   12番   清  水  鉄  次  君    13番   佐  橋  武  司  君   14番   節  木  三 千 代 さん    15番   西  川     仁  君   16番   角  川     誠  君    17番   沢  田  享  子 さん   18番   今  江  政  彦  君    19番   西  川  敏  輝  君   20番   辻     孝 太 郎  君    21番   西  沢  桂  一  君   22番   田  中  章  五  君    23番   山  田     実  君   24番   粉  川  清  美 さん    25番   石  田  祐  介  君   26番   宇  賀     武  君    27番   福  本  庄 三 郎  君   28番   蔦  田  恵  子 さん    29番   山  田  和  廣  君   30番   山  田  尚  夫  君    31番   辻        貢  君   32番   佐  野  高  典  君    33番   家  森  茂  樹  君   34番   吉  田  清  一  君    35番   辻  村     克  君   36番   世  古     正  君    37番   三  浦  治  雄  君   38番   中  村  善 一 郎  君    39番   上  野  幸  夫  君   40番   梅  村     正  君    41番   西  川  勝  彦  君   43番   大  井     豊  君    44番   谷     康  彦  君   45番   中  沢  啓  子 さん    46番   出  原  逸  三  君   47番   青  木  愛  子 さん    48番   森     茂  樹  君            ─────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ─────────────────────────────── 会議に出席した説明員              知事              嘉  田  由 紀 子 さん              教育委員会委員長代理      山  本  進  一  君              選挙管理委員会委員長代理    深  田  作  治  君              人事委員会委員長        市  木  重  夫  君              公安委員会委員長代理      宮  川  孝  昭  君              代表監査委員          宮  村  統  雄  君              副知事             澤  田  史  朗  君              政策調整部長          橋  本  俊  和  君              総務部長            谷  口  日 出 夫  君              県民文化生活部長        中  村  順  一  君              琵琶湖環境部長         山  仲  善  彰  君              健康福祉部長          馬  淵  義  博  君              商工観光労働部長        沢  井  進  一  君              農政水産部長          但  馬  甚  一  君              土木交通部長          吉  岡     淳  君              会計管理者           加  藤  晴  吾  君              企業庁長            小  川  義  隆  君              病院事業庁長          川  尻  嘉  徳  君              教育長             斎  藤  俊  信  君              警察本部長           安  森  智  司  君            ─────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事務局長            塩  見  和  夫              議事調査課長          南     史  朗              議事調査課課長補佐       上  田  勝  彦            ───────────────────────────────   午前10時1分 開議 ○議長(出原逸三君) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(出原逸三君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  教育委員会委員長高橋啓子さんが都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員山本進一君が、また、選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員深田作治君が、また、公安委員会委員長吉田修君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員宮川孝昭君がそれぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(出原逸三君) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第103号から議第129号まで(平成19年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか26件)(質疑、質問) ○議長(出原逸三君) 日程第1、議第103号から議第129号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は、一般の質疑ならびに質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、3番生田邦夫君の発言を許します。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇、拍手)皆さんおはようございます。トップバッターでございます。よろしくお願いいたします。大きなテーマとしましては、行財政改革の進め方、それから、知事がおっしゃいますところの「もったいない」という基準は何かということでございます。さらに、その3つの項目がございまして、お聞きしたいと思っております。  その1つ目であります。9月18日の知事の説明によりますと、県の財政としては非常事態である。危機的な状況である。それから、400億円足らない。400億円足らないと言っておられます。それから、どうするかといったら、透明性を高め、県の施策、それから事業全体の見直しに全庁挙げて取り組んでまいります。さらに、不退転の決意で臨む覚悟でございます。それから、このままにしていたら財政再建団体に転落するとおっしゃっておられます。  今申しましたように、そういう危機意識を持ってやらなければならないことはわかっているのですが、私としましては、少し数字を入れましてお聞きしたいと思います。今申しましたように、1つ目でございます。6月11日の私の一般質問の中でお願いしており、要するに、使い切り経費、使い切り予算のところであり、流用で、次年度の予算どりのためには使っておこうという話があり、使ったというところがございます。それを調べておいてくださいと申しました。この件について、まず御報告を願いたいと思います。あとは自席に帰ってお願いいたします。 ○議長(出原逸三君) 3番生田邦夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)生田議員の御質問にお答えいたします。  使い切り予算、流用につきましては、予算成立後の数々の理由によって、予算どおりに執行することができない場合など、予算の執行上、必要がある場合に限り認められているものでございます。当然のことながら、予算を使い切るためのものではなく、その手続につきましては財務規則に規定しているところでございます。  なお、お尋ねの予算の使い切り、流用につきましては、6月議会終了後、全庁的に調査を行ったところであり、その結果、幾つかの部局で、この手続を経た流用を行っていたところがございました。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)部長、お願いしたいのですけれども、もうちょっと詳しくお願いいたします。 ◎総務部長(谷口日出夫君) 流用を行っていた部分の、2月1日以降の調べということでございまして、合計で75件、金額で2億7,879万7,846円ございまして、これにつきましては、その時点でやむを得ず、事業の進捗を図るなど、手続を経てこれを認めたものでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)今のお話から聞くと、流用したけれども、別に法的には問題がなかったとおっしゃっておられるわけです。そうですね。  知事、お願いしたのですけれども、私が問題にしているのはそういうことではないのです。年度末が近づいて、法的にクリアしているから問題がないから使ったということではないのです。問題があったら余計問題なのですけれども、法的には問題がなかったとしても、2月の終わりに駆け込みで来年度の予算どりで使ったということを問題にしているのです。皆さん方からいったら、何がおかしいのかとおっしゃいます。おかしくないでしょう。でも、おかしいのです。来年度の予算どりのためには使ったのです。言葉をかえて言ったら、使わなくてもいいものを駆け込みで使ったのです。でも、部長、調べられたら、わからない。問題はありませんとおっしゃっておられます。この感覚で、知事、今度も予算をつくるのですか。お願いします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)生田議員の御質問にお答えさせていただきます。  総務部長の答弁にもありましたように、予算の流用という方法は、予算を使い切るためではなく、事業を執行する上で、状況に合わせて調整するプロセスでございます。もちろん、各事業の執行に当たっては、最小の費用で最大の効果を上げるため、効率的、効果的に実施していくよう、機会あるごとに指示しております。  先ほどの、総務部長がお答えいたしました75件の年度末の流用の例でございますが、幾つか御紹介いたします。例えば総務部ですと、226万円の流用をしておりますが、これは、まさに皆さんに関係がございます県議会議員選挙で候補者が想定より上回ったために、218万円の流用をさせていただいたものでございます。あるいは、政策調整部におきましては、県立大学の評議委員会の謝金が、欠席予定の委員が出席したため、1万8,000円というようなことでございまして、土木交通部におきましては、補助道路の橋梁新設改良費において進度調整のため調整しているということで、この75件1つずつにすべて理由があり、その流用の必要性があったがゆえに財務規則により認めているものでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)知事、私が問題にしているのは、法的にクリアしているから問題ありませんということを言っているのとは違うのです。駆け込みで使う。それは、部長が調べられても何も出てこないとおっしゃる。そうですね。そこです。そういうお金の使い方を今後もするのですかと言っているのです。  400億円足らないと言って、危機的な意識だ、危機状態だと、みんな危ないと言っているのだから、中身を見た場合に、これは認められている流用ですから何も問題ございません。そこを言っているのとは違うのです、知事。  知事は、今までの方法ではいけないから、本当にやらなければいけないのだと言っているわけだから、その中身まで真剣に見たのかどうかということを聞いているのです。総務部長、もう一回お願いします。 ◎総務部長(谷口日出夫君) 厳しい財政状況の折でございますので、必要があるので執行しているということでございまして、特に執行通知などにおきましては、その事業の効果性、効率性を工夫しながらやっていただく。そして、経費をできるだけ節減して執行していただくということで求めておりまして、現在、そういった中におきましては、計画的な部分の中には、やむを得ず必要に応じて執行されているものと思っております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)何回も同じことばかり言っていても仕方がないから。要するに、皆さんの意識がおかしい。おもて上は別に法的にクリアしているから問題はないではないかということでこれからの予算もつくっていくのだったら、そんなことを言っても結局は減りはしないだろうと。そこまでの決意をしていくと知事は言っているのではないのか。あっちも削り、こっちもちょっとずつ削り、あっちも削りこっちも削りという状態ではなしに、やはりやり直さなければいけないのではないかと思っているのではないかということを言っているのです。知事、もう一回、しつこいようですけれども、お願いします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)予算の編成に当たりましては、その年度の事業あるいは施策の見通しを確実に立てながら、できるだけ透明度を高めてということで予算計画をしていただいているわけでございます。その予算の計画の中で一番の原点は、必要性でございます。本当にその事業が県民の皆さんの生活の幸せ、あるいは未来に向けて必要であるかということを精査し、そして、事業の優先度を高めながら、比較考量しながら予算の計画を立てているわけでございます。  しかし、その1年間の予算執行をし、事業を進める中で、先ほど申し上げましたように、年度の途中で状況の変化が起きたときには、その変化に柔軟に対応させていただく。必要性が変わったとき。それが先ほどの流用という予算でございます。  そのような意味で、流用するからむだをしているというふうには考えておりません。あくまでも、皆さんからお預かりした税金、1円たりともむだにしてはいけないと、これは日々、県庁の中で指示をしておりますので、そのような視点の中で予算を計画し、また、執行しているところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)何回言っても、何かかみ合わないなと思っております。私は、法的にクリアしているからどうこうと言っているのではないのです。本当に金がなかったら、私が指摘したことまで部長は調べますよ、どこだと。本当に自分に金がなかったとしたら、死に物狂いで、どこだ、どこだと言って調べます。そこまでの思いをしていない。皆さん方が何が合わないのかとおっしゃいます。何も問題はないではないかとおっしゃいます。そこが問題なのです。だから、かみ合わない。この話は、また次の議会でさせてもらいます。やっていてもかみ合わない。  2つ目に行かせてもらいます。今度の9月の補正予算の中に出てきましたが、人材確保強化特別対策事業費430万円のところでございます。健康福祉部長にお願いしたいと思いますが、これについて、あらましの御説明をお願いしたいと思います。なぜ必要かということも含めて、お願いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)人材確保強化特別対策事業についての御質問にお答え申し上げます。  まず、この事業の背景でございますが、福祉人材の求人状況について申し上げますと、介護関係の有効求人倍率が平成18年4月からの状況変化で申し上げますけれども、4月では1.32倍となっておりましたが、ことしの3月には2.15倍となっておりまして、直近の1年間で見てまいりますと、福祉の人材の不足が急速に深刻化していると受けとめたところでございます。  また一方、求職者の状況でございますが、平成19年の県内の3つの介護福祉士養成施設の入学者数で申し上げますと、定員に対しまして54%の充足となっておりまして、平成18年度の66%からさらに下回る状況となっております。このような状況からしますと、新規学卒者の増ということについては期待しにくい状況になっていると受けとめたところでございます。  また、本県の介護福祉士資格を持っておられる方の数でございますが、約5,000人と把握いたしております。しかしながら、実際に介護職として従事いただいている方につきましては1,900人程度となっておりまして、大きな乖離がございます。  また、ホームヘルパーにつきましては、県で調査を行ったところによりますと、1級、2級の資格を持っておられる方が約1万9,000人いらっしゃるわけですが、従事されている方は6,000人程度ということで、資格を持っておられるものの介護には従事されていない、潜在的な有資格者という方が多数存在されるということが推測されるところであります。  こうした状況の中で、介護の現場等のお話、状況をお聞かせいただきながら、県として、また、関係団体ということで、職能団体、それから教育関係機関、行政等で構成されます福祉人材育成推進協議会におきまして、こうした福祉人材の不足に対しまして、それぞれが早急に主体的に取り組もうということで、検討結果の報告書をまとめていただきまして、そうした状況の中で、県といたしましては早急に対応したいということで、この9月補正で、質問にございました事業、430万円をお願いしているところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)部長、結局、介護の現場に人が集まらないということに尽きると思うのです。それを担う人が集まらない。単純化して、何で人が集まらないとお考えですか。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 現在の介護の現場に従事いただている方の状況をお聞きいたしておりますと、仕事の内容的に非常にきつさを感じるといったこと、そしてまた、休日等についてもとりにくいといったお話がございます。  一方、雇用情勢が景気の動向とともによくなってまいりまして、いろいろな就業の場所が出てきているといった状況の中で、皆さんの思いが福祉の現場から、そのほかの職場へ現在動いているといったことが、職場の厳しさになっていると思いますし、そうしたこととあわせまして、特に介護で申し上げますと、コムスンの事件等もございまして、介護の現場で努力していただいているにもかかわらず、一部でいろいろな事件があったばかりに、介護、また福祉に携わる方についての皆さんの思いが非常にきつくなっているといったこともございまして、福祉の現場におられる方にとっては、やりがいといった面からも、現在、迷いといいますか、現実的に考えた場合に将来の不安等が浮かび上がってきているということかと思っております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)部長が今おっしゃったことは2つだと思っています。現場においての待遇、環境が悪い、もう一つは、給料が低い、この2つだと思います。集まらない。給料が安いところに幾ら集まれと言っても集まらないのです。介護の現場は安い。明らかに安いです。  おっしゃっていましたね。きつい現場だし、3Kの現場です。4Kと言っておりますけれども。そういう現場に、最近の若い人は集まらない。そうであれば、ほかの職種と比べて、今申しましたように、給料をよくしなければいけない。部長、給料をよくしようと思ったら、どうしたらいいとお考えでしょうか。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 福祉に従事していただいている方の人件費あるいは活動費につきましては、国の仕組みの中で介護報酬等々の枠組みがございまして、そういう中で全国的に基準を持って定められているところでございますが、現在の景気、雇用状況等を見比べますと、今後、国の方でも検討されるようにということで県も考えておりまして、国の方に対しましては、必要な見直し、検討がされるように、近畿の関係部長等も協議しながら国に対しましての要望を重ねているところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)要するに、職員の給料をふやしてもらわなければいけないと思っています。ふやすためにはどうしたらいいかといったら、介護報酬を上げることだと思います。絞りに絞って、医療の現場はさらに絞られていますけれども、介護の現場も絞られました。絞って絞って、介護報酬を落とされました。本当にしんどい思いをしておりまして、そこのところをアップして、職員の給料を上げなければならない。これは部長としてはお答えをしにくいと思いますが、この考えは間違っていますでしょうか。間違っていますか。
    健康福祉部長(馬淵義博君) 今の介護の仕組み全般にわたる質問をいただいているわけですが、介護の仕組み、福祉全体の仕組みにつきましては、将来的な基盤として維持、発展させていくことが必要でございまして、そうした観点から、職員として働いている方の待遇も含めて全体的な検討、そしてまた、その中では介護を実際に利用される皆さんの負担のあり方等についても全体的に考える必要があるということで、国の方の仕組み全体として検討いただきたいということでの要望をさせていただいているところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)粗っぽい言い方をしたら、知事、そういうことです。介護報酬を上げるしかないのです。それで職員の給料を上げる。介護報酬を上げないで職員の給料を上げる方法はもうないと思います。それぐらい厳しい現場になっているということを思っていただきたいと思います。だから、どういう方法があるのかと聞いたら、関西でまとめて国に要望しますとか、そういう生ぬるい話ではなしに、かなり強力に国に言わないことにはいけないと思ってください。  それで、違う角度から聞いておきます。話だけ聞いてください。実は、国の方で、厚生労働省社会援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室。わけのわからない名前がついていますけれども。それから、社会保障審議会福祉部会の指針とか、今、部長がおっしゃいました滋賀県福祉人材育成推進協議会、あるいは東京都の社会福祉協議会からの提言とか、そのほかも調べましたけれども、いろいろあるのです。  要するに、どこに問題があるかということは、おおよそ出ているのです。国としましても、早く各都道府県において、この人材確保のところをまとめろと言ってきているのです。しかしながら、おおよそ、知事、データは全部そろっているのです。そろっているし、大体、今申しましたように回答はわかっている。この430万円のうちの215万円は国の補助です。県からはこの半分を出すという形で。こういう事業です、お聞きするところによると。  こういう事業は、今申しましたように、委託しなかったら補助金はおりてこないという仕組みなのです。この仕組みでいく限りはいけないだろうと。金がかかる。もう答えは出ているのに、しかも、県の職員のみんなは、こういう話をまとめるだけの能力はあると思います。しかしながら、補助金をもらおうと思ったら、県の職員がやったのでは補助金がおりない仕組みです。こういう補助金を当てにしてこの制度をやるということは、やはり金がかかるのではないか。こういう事業をしていくと、さっき言いました、400億円足らないという話は、なかなか解決の方法は見つからないのではないかと思います。  漠然とした話で悪いのですが、今、知事、私の話を聞かれて、どのようにしたらいいと思われますか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)議員が御指摘のように、国からのさまざまな、いわば補助金の中には、予算の使い方まで含めて指示をしてくる、あるいは法令で規定をしてくるというようなものがございます。そのような点につきましては、例えば、この分権改革の中で、全国知事会あるいは近畿の知事会におきましても、真に自治体にとって必要な事業について自治体が選択できるような形で、必ずしも国の補助金に振り回されない自主的な必要性を見きわめて財政運営をさせていただいているところでございます。  そのような中で、今の福祉の現場に人々、特に雇用を確保するという点でございますけれども、今回、外部委託させていただきました理由といたしましては、民間事業者の創意と工夫により質の向上と経費削減が図れる、まさに議員がおっしゃいますような経費の削減が図れるという目標のもとに外部委託を検討させていただいたものでございます。この福祉人材センターは、社会福祉法により指定されておりまして、人材確保の経験、ノウハウ、情報がございます。  具体の福祉の現場での人材確保は、確かに給与の問題、それから処遇の問題、構造的な問題がございますが、構造問題にも、もちろん国に対して要請していくとともに、現場で一人ずつの仕事のニーズ、あるいは職場でのマッチングなども含めて、実際にそれぞれ対応することが有効な人材発掘につながると理解しております。そのような意味で、今回は、人材発掘のために外部委託をすることにより、全体として人々の雇用のニーズ、職場のニーズに対して対応できると理解し、委託とさせていただいているものでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)430万円使わずにこの事業はできると思っています。さらに、県の持ち出しの215万円、このお金も要らないと思っています。こんな金額は要らないと思っています。県から215万円もらわなかったとしても、この事業はできます。それだけの能力が県の職員にもあると思っています。  しかしながら、委託しなかったら補助金がおりてこないという、このシステムはいかがなものかなと。ここに頼って、言い方は悪いのですけれども、この事業、あるいはこれに類似した事業を続けることは、やはり400億円足らないというところを何とかクリアするところには今の御答弁ではつながらないのではないかと思っております。  次の問題に行きます。実は私、生活文化・土木交通常任委員会にいさせてもらっていますので、本当はいけないとおしかりを受けましたけれども、財政再建という流れの中で、この質問の中でお許し願いたいと思います。  3つ目であります。びわこ京阪奈線の話、それから、びわこ京阪奈線期成同盟について、若干説明を願いたいと思います。知事、お願いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)(仮称)びわこ京阪奈線ですが、いまだ構想路線と理解しております。平成元年から3市14町の関係市町、市町議会議長、関係地区県議会議員等で構成される湖東・大阪線鉄道建設期成同盟会が設立され、本構想の実現に向けて取り組みを続けてきたと理解しております。県としては、平成2年に本同盟会に加入いたしました。  地域としては、近江鉄道米原駅を起点といたしまして、近江鉄道の本線および信楽高原鐵道から京都南部地域を経由しまして、JR学研都市線に至る新線構想でございます。目的としては2つございます。1つは、鉄道沿線の活性化と地域の振興、もう一つは、既存鉄道の存続、特に近江鉄道、信楽高原鐵道の既存鉄道の存続と、2点の目標があると理解しております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)今おっしゃった、これが路線であります。(資料掲示)米原から片町線へ行くという形であります。この計画ですけれども、この期成同盟会の会長は知事でございますね。それから、県議会議員の方々が数名、役員に入っておられます。それから、顧問に議長も入っておられます。そういう計画でございます。今まで使いましたところの費用、事務的な経費と、それから事業の、今まで幾ら使ったか、数字をお教え願いたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)これまでに使ってまいりました事務費でございますが、平成元年度から18年度まで18年間に、県と沿線市町で約1,233万円で、毎年、平均70万円でございます。また、事業費といたしましては、主に既存鉄道の存続のための事業を行ってきていると理解しております。国の補助制度を活用した鉄道軌道近代化設備整備費補助金により、近江鉄道本線の輸送力の増強などに、平成10年度から18年度までの間に26億円、また、このうち、県と沿線市町の費用は約8億円と理解しております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)期成同盟会はまだ構想の段階だとおっしゃいますが、しかしながら、そこそこ金を使っておられます。それから、事務的な費用としましても毎年約70万円使っているとおっしゃいました。いろいろな理由をおっしゃいましたが、県のホームページを見ますと、かなり夢物語みたいな文章が並んでいるのです。これはこれだけ必要です、将来これだけバラ色ですというようなホームページが県から出ています。これ、知事は進められるのでしょうか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)構想を引き続き行うかどうかということでございますが、このびわこ京阪奈線は、関西文化学術研究都市と、甲賀市、東近江市を中心とする、ものづくり地域との連携を目指し、先ほど申し上げました沿線地域の活性化と、そして既存鉄道の存続という2つのねらいを持っております。そのようなねらいの中で、この構想の具体化につきましては、近畿地方交通審議会の答申で、平成16年に国の方としても一定程度計画を認めていただいたところでございまして、既存鉄道の利用状況、県の財政状況等を考慮し、県民の皆さんの理解が得られるならば、そのような方向で考えさせていただくことが大切だと思っております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)この事業の大枠は幾らですか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)具体の数字については、土木交通部長から回答させていただきます。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)びわこ京阪奈線の事業費についてでございますが、平成7年度から11年度に実施した事業化可能性調査において試算しております。幾つかのケースについて概算の事業費を試算しておりますが、その中では最も安価でできると見込まれる既存鉄道の部分、近江鉄道、信楽高原鐵道でございますが、その部分を単線で改良し、新線につきましては単線で高架でつくるというケースでは約917億円。一方で、最も経費がかかる、既存鉄道を複線で高架化し、また、新線も複線で高架化するというケースにおいては約3,326億円と、概算でございますが、試算しているところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)知事、実は事務方から書類が上がってきていまして、この事業はやめた方がいいと、事務方の資料がございます。全部の事業を見直した資料がここにございますが、その中に、この話はやめた方がいいという書類が回ってきております。それなのに、この事業を進める。  8月22日に、知事はお忙しいから副知事が代理で出られました。ことしの総会をやっておられます。この事業を進めると言っておられます。それをあえて──最高で約3,300億円、どれだけ安く見積もっても約917億円のこの事業を進めるとおっしゃっておられる。(「案だ」)いや、案であろうが何であろうが。何でも最初は案でしょう。それがどうしても抜き差しならぬ状態になっていくのです。  事務方からも、これはもうやめたらどうかという形の書類を私はもらいましたけれども、それでもまだやるという知事のその根拠をお教え願いたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)事務方から、やめたらよいということをお聞きということですが、私自身は聞いておりません。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)ということは、ことし総会もやっておられますし、この構想は推し進めるという考えでしょうか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)あくまでも構想段階でございまして、将来の財政状況、あるいは、いつどうでというところまで、まだ全く具体化しておりません。そのような構想として、構想路線として、特に沿線地域の活性化、また、近江鉄道、信楽高原鐵道の既存鉄道の存続、維持という意味も含めて、構想路線として進めさせていただきたいと考えております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)この事業を進めてもらったらいけないのではないかという思いで言っているのとは違うのです。ありがたいと思っているのです。  しかし、後で言いますけれども、今おっしゃった、近江鉄道と信楽高原鐵道に対するいろいろな支援は、法的な、別の法律に基づいてやっていくのです。やっておられるのです。この構想があろうとなかろうと、この2つの鉄道に対する支援はなされていくのです。極論したらこれとは関係ないのです。この案がなくてもいくのです。それを今まで続けてこられたのです。関係ないのです。  先ほどの話に戻します。400億円足らないと言っておられて、すべての事業を見直そうと言っていて、毎年、これはエンドレスではないですか。毎年、事務のお金を60万円何がし出していくと。64万円ぐらいは少ない、そんなのは構わないとはおっしゃらないと思っていますが。いろいろな事業があるけれども、それを全部見直さなければならない時期になっているのに、この事業をあえて続けるという必要性がどこにあるのかと言っているのであります。それをはぐらかして「私は事務方から聞いていません」、そんな答えはだめと思います。もう一回答弁願います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)年間70万円の事務的経費はもちろん大変大切でございます。この中で、将来の構想について確実に見通しを立てていくというプロセスとしては必要であると理解しております。  しかし、先ほども申し上げましたように、時期的なもの、その実現性などについては、今後、精査が必要であると理解しております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)私は別に、知事、秘密の文書をもらったわけではないのです。ホームページに全部出ているのです。事務方の、各事業の検討をし直して、これは続けた方がいい、これはやめた方がいいというものが出ているのです。幾らでもみんながホームページを見たら出てくる資料に基づいて言っているのです。既に事務方も検討しているのに、知事は今、話の中でおっしゃいましたね、これから検討しますと。何を言っているのか。検討しているのではないか。  そこまで厳しい財政状況になっているというふうに、知事、お考えなのでしょう。たとえわずかな金額──わずかな金額と言ったら怒られますね。たとえ事務的な費用であろうとも切り詰めて切り詰めていこうと。それが知事の言うところの不退転の決意でしょう。違いますか。御答弁願います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)この構想の実現には、先ほどから申し上げておりますように、多額の設備投資、収支の採算性、事業主体の問題等はありまして、こうした課題解決に向けて、地域における中長期的な取り組みは必要であると思っております。まずは、沿線の開発動向、あるいは利用促進のための各種事業を継続することにより収支採算性を向上させることなど、理解を得る動きをしているところでございます。  今、この段階で、この構想をとめるという判断をするべきではない、将来に対して可能性があるものに対しては残すべきだと私自身は考えております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)今、大事なことをおっしゃったのです。将来に可能性のあることは残すとおっしゃいました。しっかりお聞きいたしました。  それで、新幹線新駅と比較して、新幹線新駅の工事、240億円でしたね。だれが見ても、240億円と、最低で見ても917億円、最高で見たら3,300億円と、どちらが大きいかといったら、だれでもわかります。その240億円の中で、県の負担は117億円だということですね。  それで、もう一つ、知事、別の角度から聞きます。先日、9月6日に記者会見をなさいました。その中で、新幹線新駅について、記者の話に対してお答えをしておられます。こういうふうに言っておられます。「現行協定は」、ちょっと飛ばしまして、「普通の駅に比べて、ほかの駅に比べて2倍ほど高いというところから」、こういうふうに言っておられる、「県民の負担、つまり税金の負担のない駅だったら、つくっていただいても結構でしょう。JR東海がやっていただくならば、あえて反対はしません。駅があっても構いませんという意味でございます」。これに間違いございませんでしょうか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)そのように申し上げました。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)それから、知事にお願いしたいのですが、この記者会見の中身を見ますと、役所側は、簡単に言ったら、つくる能力はありません、民間だったらあるのでしょうと。民間がやられることに対しては口出しはしません、どうぞやってくれという言い方なのです。  これを聞いて、知事、びっくりしました。何にびっくりしたかといったら、みずから、こういう事業を手がけるだけの能力は行政にはないということをおっしゃったのです。民間にはやってもらって結構です、私たちだったらできませんと。さらに驚くところは、駅があっても構いませんと、ずっと言っておられますね。確認したいのですけれども、知事がこの新幹線新駅をやめようという理由がそういうレベルかなと。  (資料掲示)県にお金がないから、利用者が少ないから、波及効果が少ないから、工事コストが高いから、この理由、この3つだけですか。でも、これだけなんですね、皆さん。これだけなのです。  私はこれが情けない。民間がやる仕事であっても、その地域に住んでいる県民の暮らしと安全に影響を及ぼすのだったら、県知事として口出しをして、これはどうだこうだという意見を言うのが普通なのです。私は知りません、どうぞやってください、私は口出しをしませんというのは、知事のお言葉としては非常に寂しいのです。  知事、もう少し詳しく説明してもらえませんか。誤解を招きます。知事、お願いします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)これまでも、この議会で何度も繰り返し御説明させていただきましたように、現行の新幹線新駅計画については、県の財政状況を考慮し、今、県として投資が許される状況にはない。施策の優先順位として、まず、県財政の健全な方向を取り戻すことが先決であると考えているところでございまして、現時点では、この3点が重要であると考えております。  新駅の凍結は、県民の支持を受けた適正な政策変更であり、将来における県民負担の最小化を図る最善の選択であると理解しております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)新幹線新駅をつくらない理由を、(資料掲示)何回も言います。県にお金がないから、利用者が少ないから、波及効果が少ないから、工事コストが高いからという、この理由だけで言うのだったら、さっき言いました、びわこ京阪奈線の方がと思うのです、だれが見ても。(発言する者あり)だから、簡単に考えたら、お金のことだけに限ってこれを言っておられるのです。お金のことに限ってだけ言うのだったら、私は、今、あっちからやじが飛びましたけれども、そのとおりだと思います。まずやめるのはあっちだろうと。でも、あっちは将来にわたっての可能性があるから残すとおっしゃったのです。  それで、もう一つ、問題発言をされたのです。問題発言をされたということを言います。何でかといったら、選挙において県民に支持されましたのでとおっしゃいました。違うと思っています。違うと思っているのです。確かに、栗東市に新幹線の新駅をつくるということは、湖南、あのエリアにとっては振興策なのです。問題発言かもわかりませんけれども、それは地域のエゴかもしれません。何とかしたいというエゴかもしれません。逆に言うと、湖北の方とか湖西の方とか、あるいは大津市の方々にとっては、新幹線新駅が栗東市にできるということは関係ないでしょう。関係のないところにお金を出せるかというのも、これも地域のエゴなのです。エゴとエゴとのぶつかり合いなのです。そのエゴとエゴとをうまく利用されたのです。それを調整していかなければならないのです。  確かに滋賀県の中においても、いろいろなことがあります。南と北、東と西とか、いろいろな問題があります。しかしながら、それを一つにまとめていくだけの、問題をうまくまとめていかなければ。地域間の対立をあおって、こっちのエゴ、こっちのエゴ、言いかけたら、同じことになります。今度、北の方で200億円の何か事業をしようとしたとき、南の方の人たちは、関係ありません、関係ないですと。だれかが提案されたことに対して反対しますと言います。それもエゴです。そういうエゴを、ある程度認めながらも、このエゴをどういう形で調整していくかというところの仕事が知事の仕事なのです。そう思うのです。知事はまだ選挙のときの、そのまま引きずっておられます。今や立派な知事なのですから、地域をまとめて……。  今の、10月末で終わろうというやり方は、この間、失礼なことを申しました、私。知事に対してまことに失礼なことを言いました。ずるいと言いました。10月の時間切れを待っておられますけれども、この戦術はよくない。知事としてやることではない。堂々と向かい合って調整しなければいけない。  それで、これはもう終わりだ、(資料掲示)将来の目もありませんと言っておられる。将来の目もありません、こっちはまだ将来の目がありますからと言っておられるのです。(発言する者あり)京阪奈線です。びわこ京阪奈線はあるとおっしゃっているのです。こっちはあって、こっちはない。これはやめだ、これは残すと言っておられる。新幹線新駅はやめるとおっしゃっています。中止だと言っておられます。だんだん時間的な経過を見ながら、そろそろこの辺で、自分の本音を少しずつ出しながら時間切れに逃げ込もうとしておられます。  私は、知事は立派な知事としてのお仕事をなさって、もう、これをまとめていくという形をお願いしたいと思います。知事、御答弁願います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)昨年の知事選挙において示されました県民の皆さんの新駅凍結の方針は、決して地域エゴではなく、県全体の思いの中で県民の皆さんが一票一票を投じてくださったものと理解しております。  知事として、それぞれの地域の状況、違う条件の中で、いかにそれぞれの地域が元気に活性化して、次の世代に対してきちんと暮らしを成り立たせていくか、その状況の違う中で、地域の思いを調整しながら県全体の方向を定めていく、それが私の知事としての役割でございます。そのような意味で、決して、地域エゴに対して、それを活用して、利用してというようなところはいささかもございません。改めて決意を述べさせていただきます。  あわせて、大きな視点でということでございますけれども、大事な点は、過去を見据えながら、そして、過去のある時点で見通しが甘かった点、あるいは見通しが立たなかった点については、未来を見据えた中で行政の政策変更も必要であろうと理解しております。今回の新幹線新駅につきましては、そのような、時代の情勢の変化の中で、今ここで勇気を持って凍結をすることが未来にとって大事な判断であると、昨年来何度も述べさせていただいたところでございます。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)知事になられたのですし、それはそれなりに受けとめております。しかしながら、栗東市の市長選挙においては、また違った結果も出た、これも事実でございます。そうすると、いろいろな思いがある。それをやはり知事はもうまとめていかなければいけないのではないかということだと思っています。何とかお願いしたいと思っております。  先ほど、私は別にエゴを対立させたわけではないとおっしゃる。それはそうでしょう。そういうふうに言われるのが当たり前の話であります。でも、違った見方からいうと、そういう地域間のエゴがぶつかり合う場であろうと。今後もそういう問題が起きてくるときに、知事はどういう手法をとられるのかということが気になっております。  その後の選挙が起きたときに、知事が計画されたときに、同じような手法を使って、こっちの人に乗るか乗らないかという非常に矮小化した話にまで持っていって、それを選挙に利用するような形になってきたら、これは情けない話だと思っておりますので、少しきつい言葉でしたけれども、申し上げました。  それで、時間もそこそこですので、少しまとめにかかります。知事、同じ記者会見の中で、これは別なのですけれども、どういうふうに行財政改革をしていくかという記者の質問の中で、いろいろな質問が出ましたけれども、知事、次に打つ手を考えておられない。ですから、一番最初に話が出ましたのは、85%引きで来年度を考えろ、その次は80%引きで考えろ、その次は、今は50%引きで事業を考えろという話になっているのですね。それで、義務的経費がどうだこうだとか、そこに踏み込むのか踏み込まないのか、わけのわからないような話が現在飛んでいるのです。そういう段階なのです。それは、知事、言葉としては非常に勇ましいことをおっしゃいますけれども、今までと同じ発想なのです。めり張りをつける話ではないです。同じように、こっちにちょびちょび、こっちにちょびちょびとさわって、そういうふうなことしかありません。  一つ提案なのですけれども、質問というか提案。象徴的に、振興局の一つとか二つぐらい閉鎖する、それぐらいの思い切ったことをやるという気はありませんか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)お答えさせていただきます。  今回の行財政改革につきましては、組織のあり方まで含めて、県民の皆さんの必要、そして将来に向けての県の持続的な財政の維持ということで、組織の改編も含めて検討をさせていただきたいと考えております。 ◆3番(生田邦夫君) (登壇)失礼な言葉も使いまして、まことに申しわけございませんでした。  不退転の決意。言葉だけはこの辺をぷわーと飛んでいるのです、抽象的な、まことにきれいな言葉だけが。しかし、何をするのか。具体的に何をするのか。何をするのかということになると、頑張りますという話ばかりなのです。何をするのか。知事だけではなしに、ここに来ておられる方々、何をするのか。これから何をするのか。今までの延長線ではいけません。皆、何をするのかということを私は思っているのであります。  知事、もう一言お願いいたします。決意表明を。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)不退転の決意には変わりはございません。そのときにまた、皆様にもそれぞれ痛みをお受けいただくこともあるかと思いますが、何とぞ御理解、御協力をよろしくお願いいたします。 ◆3番(生田邦夫君) 失礼しました。ありがとうございました。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、3番生田邦夫君の質問を終了いたします。  次に、26番福本庄三郎君の発言を許します。 ◆26番(福本庄三郎君) (登壇、拍手)大変やりにくい2番目を務めさせていただきます。  知事が就任されまして1年が経過しました。1年を振り返り、60点から70点という自己採点をされたところでございます。採点の基準がどこにあるのかわかりませんけれども、御自身ではおおむね合格点という思いをされているようでございます。  7月20日付の朝日新聞の記事でも、全国知事の支持率調査では、嘉田知事の県民の支持率は5番目と載っており、県民の知事に期待するところは多とすることと思いますが、何かにつけ県民を真綿で首を絞めるような施策ではなく、将来に希望が持てる施策をする知事であっていただきたいと思います。いよいよ2年目、県勢の発展、県民の幸せと安全、安心を守り、地域間競争に打ち勝つためのかじ取りをしっかりとお願いいたしたいと思います。  まず最初に、財政構造改革についてお尋ねいたします。  平成15年に財政構造改革プログラムが、それに続いて平成17年度から平成19年度まで財政危機回避のための改革プログラムが策定され、これに基づき、毎年厳しい予算編成になっており、本年度が現行プログラムの最終年度であります。しかしながら、財政状態は一向に好転することなく、平成20年度から新たな財政構造改革プログラムが策定されるようであり、これに基づき平成20年度の予算編成がされるように仄聞しております。  過去2回の財政構造改革プログラムで、厳しい予算が組まれる中で、県民の皆さんにもう少しの辛抱をしていただきたいと、そういうようにお願いし、甘んじて皆さんに受け入れていただいてきましたが、一向に改善されず、提案説明によりますと、平成22年度まで毎年多額の歳入不足となっております。  一方、滋賀県は進出企業も多く、税収も大幅にふえたとお聞きしており、大和総研が発行する資料によりますと、平成17年度の都道府県別の財政指数順位も、経常収支比率では89.1で6番目、財政力指数では0.45で17番、公債費負担比率は19.8で14番、実質公債費率は13.7で19番であり、平成19年度滋賀県重要施策大綱にはプライマリーバランスもプラスとされ、中長期的には持続可能な財政状態と発表されております。そうした数値から、よい方でないにしても、それほど悲観する状態ではないと思っております。ただ、他府県に比べて滋賀県は基金が少なく、このままではすぐに財政再建団体になると言われますが、余りにも急にこのようなことを言われますと、県民は非常に不安に駆り立てられるわけでございます。  この財政危機の原因として、1つは、恐らく国の三位一体改革で税収の伸び以上に地方交付税の減額が大きいと言われますが、これは他府県でも同じであり、滋賀県は地方交付税がもらえない事業に財源を使い過ぎたのではありませんか。そこで、以下、知事にお尋ねいたします。  財政構造改革プログラムは3年単位で組まれ、実行されてまいりましたが、好転することなく次から次へと延長されており、さらに平成20年度から平成22年度まで財政構造改革プログラムが策定されるようであります。3年で健全財政になるならともかく、5年、10年先まで見通した数値を県民の皆さんに知らせる必要があるのではないか、さらに中長期的な計画を立てねばならない部署がある中で、これでは長期的な展望が開けないと思うのですが、なぜ3年間のプログラムとされるのか、お伺いいたします。  また、計画期間終了後、平成23年度には財政危機は回避されるのでしょうか、お伺いいたします。  この財政危機が平成22年度で解消されなければ、入りをはからず、出るを制する施策をずっと続けていかれるつもりなのか、それとも、新たな施策、知事は同日の記者会見で、歳入をふやす手段として企業誘致に取り組むと述べられておりますが、具体的にはどのような施策を考えておられるのか、お伺いします。  また、本県でも財政改革の一環として一昨年から指定管理者制度の導入をされ、少しでも歳出を減らそうと努力はされておりますが、現実は指定管理者に移管された施設が全体で63施設であり、そのうち非公募が46施設で、一般財源での1年間の管理料が45億8,062万円、指定管理者制度で安くなった金額は4,241万円、公募が17施設で、同じく1年間の管理料が8億4,329万円、指定管理者制度で安くなった金額は1億5,540万円であります。一方、非公募では指定管理者制度の方が高くついているところもあり、そのようなことから、まさしくこれは県の外郭団体には非常に甘く、一方、業者にはとことん低価格で競い合わすという、全く低価格入札そのものであります。県民にこのような痛みを押しつけるのなら、指定管理者制度もすべて見直すべきであると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。  さらに、びわ湖ホール、しが県民芸術創造館には高額な維持費を要しております。この施設を今後どのようにされるのか、お伺いいたします。  また、知事のマニフェストには、滋賀の未来をつくる5つの基本目標として、1つには、子や孫にツケを残さない健全財政がうたわれており、知事の大きな目標が財政再建であることは理解できますが、財政を健全化するには、県独自でできるものでもなく、市町にも理解をいただきながら、連携して進めるべきであると考えます。時々県は一方的に進めることがあり、きょうまで市町と十分な協議をされたのか。仄聞している状況では何の相談もないとのことでございます。そのようなことで、今後県政を進める上で、常々言われている、県と市町とのパートナーシップが保たれるのか、お伺いいたします。  次に、公共事業についてお尋ねいたします。  知事のマニフェストには、公共事業関連の県債を削減します、20年、30年後の県民が喜ぶ施策であるかどうかと書かれており、さきにも申しましたとおり、財政再建の名において相当な減額予算が組まれようとしておりますが、裏返しすれば、20年、30年後の県民が喜ぶ投資は続けねばならないとも理解できます。その中で公共事業は、予算規模も大きいため、歳出削減には何かにつけやり玉に上がり、国においても毎年3%減の予算編成がされていますが、地方は生活に密着する道路整備がまだまだ多く、国とはおのずから違いがあります。生活道路を安全のため広げてほしい、歩道をつくってほしい、事故がよく起こるから、見通しのきくようにしてほしい、曲がりくねった川を真っすぐにしてほしいなどなど、地域住民の切実な願いにこたえる公共事業は、県民生活を足元から支える大切な事業であります。  また、全国ほとんどの自治体が、地域の財政基盤を支える企業誘致に熱心であり、固定資産税の一定期間免除や、工場用地の整備などにより企業進出を待ち望んでいるところが多くあります。滋賀県は、日本の国の中間に位置し、土地も安く、さらに、大企業が来ても、それを支える中小企業が多くあり、地理的にも生産活動をするにも大変恵まれております。  そうした中で、来春には新名神高速道路が開通いたします。甲賀市にある工場用地も、新名神高速道路開通が発表された途端、ほとんど売却されており、新たな企業進出にこたえるため、工場用地造成を県にも要望されております。企業進出にはインフラ整備がいかに大切であるかを如実に物語っておりますが、甲賀市も、特に名神高速道路に取りつく道路や産業道路はいまだ未整備であり、一日も早い整備が待ち望まれております。  知事のマニフェストにも、2010年までに100社の企業進出と5,000人の雇用を目指しますと書かれていますし、地域経済が元気になり、県税収入が上向くことが財政改革の出発点とも知事は述べられておりますが、三重県や大阪府のように高額な企業誘致施策をしてこそ初めて来てくれるものであり、何もしないで企業が来てくれることはありません。  また、建物や道路も傷み、必ず補修、点検をしていかなければなりません。しかも、その補修は、傷みかけたら、できるだけ早期に、また定期的に行わなければ、危険度も増し、かえって結果的には高額な修理費用が必要となります。事故でも起これば、県の管理責任が問われます。アメリカでの橋の崩壊や、我が国では木曽川の橋梁の鉄骨破断に見られるように、常に保守点検を行わなければ大変なことになります。橋梁の耐用年数は平均60年ほどで、しっかりと維持管理を行えば100年程度はもつと言われているほど、保守は大切なことであり、これほど継続することの大事なことが、このままでは、その補修費すら確保できない状態とお聞きしております。  さらに、滋賀県は、国の道路予算が全国で後ろから2番目という低水準が長年続いており、基幹道路の4車線化率は4.2%と極めて低く、南部地域で至るところで渋滞が発生しております。これは、過去に予算を返上されたためと仄聞しており、きょうまで幾たびとなく予算の増額を国に申し入れてこられましたが、依然としてふえてはいません。ここでまた国庫補助事業を、滋賀県にお金がないからといって返上すれば、今後の滋賀県の道路に対するインフラ整備はできなくなるおそれがあるのではないでしょうか。今、名神名阪連絡道路の一日も早い整備についても国にお願いしているところでありますが、国からは、きょうまで、知事の熱意が一向に伝わってこないとよく聞きました。知事の熱意のなさが、これからの滋賀県の発展にマイナスとならないか、大変危惧しているところでございます。  このように、継続して整備しなければいけない道路整備も、毎年大幅に予算がカットされてきております。知事が言っていることと整合性をとるためにも、公共事業関連は削減ありきではなく、むだな事業はともかく、滋賀県の発展に必要な事業や県民の安全、安心を守るために必要な事業は計画的に進めるべきと考えますが、滋賀県の発展を図り、県民の長年にわたる切実な要望に知事はどうこたえようとされているのか、お尋ねいたします。  次に、草津線複線化と(仮称)びわこ京阪奈線について、知事にお尋ねいたします。先ほど質問がございましたけれども、私は私の思いから質問をさせていただきたいと思います。  草津線複線化は、平成16年10月、近畿地方交通審議会の答申において、既存施設の改良に関し検討すべき主な事業として答申されております。昨年7月議会の私の質問に答えて知事は、草津線は、沿線住民の皆さんの日常生活や経済活動に欠かすことができない重要な交通基盤であると考えております。そして、草津線の沿線のこれからの発展、特に三重県との流れは大変大切ですから、県草津線複線化促進期成同盟会会長を求められればさせていただく。さらに、JRとの調整など、広域自治体としての県の役割を果たしてまいりますとの答弁をいただきましたが、きょうまで新幹線新駅問題が優先されております。  新幹線新駅と草津線複線化は本来別々のものであり、別々に進めていかなければなりませんが、残念ながら、県草津線複線化促進期成同盟会として積極的に推進する姿勢が見えてこなかったのが現状であります。8月19日の朝日新聞によりますと、草津線複線化へ再始動との記事が載っており、年内にも総会が調整されているように書いてあり、平成16年度まで開催していた総会も、この2年間は書類による議決が行われるなど、非常に消極的で形だけのようでありましたが、これからはしっかりと複線化に向けて期成同盟会の機能を果たすものと期待をしております。  JRは、乗降客の需要増が望めないと消極的な態度でありますが、甲賀市は、利用増につながる駅舎整備など、段階的に進められております。二酸化炭素削減による地球温暖化ストップに最も効果がある大量輸送である鉄軌道の整備は非常に大切であり、環境問題を重要視されている嘉田知事にとって、水や魚、治水とともに大気汚染の問題は避けては通れないものであります。  そこで、お伺いします。  1点目は、草津線複線化は生活に密着するものであり、沿線住民の利便性向上に大いに寄与し、甲賀市には非常に多くの企業が進出されており、中でも本社機能を置く企業も来ていただいており、三重県亀山市と結べば、三重経済圏と相乗効果で県南部地域はもとより、滋賀県の発展のかなめとなり、今後、本県の財政力向上に大いに貢献することと思いますが、各企業とも労働者不足に困っておられ、近隣地域から通勤する多くの労働者が必要であり、道路整備とともに環境面から、より効果のある鉄道の持つ大量輸送が大変重要であり、喫緊の課題であります。新幹線新駅設置が事実上中止となった今、草津線複線化についての最近の情報と、今後どのように進めようとされているのか、お伺いいたします。  2点目は、(仮称)びわこ京阪奈線についてお伺いいたします。
     (仮称)びわこ京阪奈線は、米原から貴生川までの近江鉄道47.7キロメートル、貴生川から信楽までの信楽高原鐵道14.7キロメートル、信楽駅から京都南部地域を経由してJR学研都市線まで新線で接続する約30キロメートルを構想とする路線で、平成元年5月31日に運輸政策審議会答申第10号で、大阪圏における高速鉄道網の整備が答申され、それを受けて、平成元年7月1日に湖東・大阪線(仮称)鉄道建設期成同盟会が、当時の彦根市、八日市市、近江八幡市、残りの14町で構成し設立されました。平成7年8月28日には、びわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設期成同盟会と名称変更され、平成16年10月に近畿地方交通審議会答申において、(仮称)びわこ京阪奈線が構想路線として認知されました。  現在は5市5町で事務局を滋賀県土木交通部交通政策課に置き、知事を会長に、理事に吉岡土木交通部長が役員として構成されており、早期の完成に向けた取り組みがなされております。県内各市町議長会においても、(仮称)びわこ京阪奈線鉄道建設構想の推進を最優先要望事項として決定されているところであります。  同盟会の運営は、平成18年度収支決算書によりますと、運営費として、県、沿線市町から125万円が出され、別に近江鉄道本線近代化設備整備費補助金として国から5,676万8,000円、県から3,784万5,000円、沿線市町から1,892万3,000円が支出され、既存鉄道の利用促進、整備促進事業、利便性向上のための施設整備、関係市町、関係諸団体との連絡調整事業などに使われております。  設立当初は、京都府の関係市町の首長も総会に参加されていたと聞き及んでおりますが、現在は担当課の職員の総会参加であります。この会の本来の目的は、米原から片町線に接続することが目的であります。既存鉄道の整備はもちろんのことですが、信楽から先線をどうするかであり、きょうまで何も京都府や関係市町との協議がなされていなかったように仄聞しております。沿線各市町には夢が必要であり、県の補助金も少しずつ減らされている中で、市町においても財政的にかなりの負担であり、単に近江鉄道の運営補助金的な状態では、現在の財政状態から各市町も補助金を出すことも難しくなることと思います。そうしたことから、今後この構想を進めていくについて、京都府に県としてどのように協議をされようとしておられるのか、きょうまでの動きとともにお伺いいたします。  次に、警察本部長にお尋ねいたします。  現在、警察本部の庁舎が急ピッチで工事が進められており、完成すれば、今にも増して本県の安全、安心を守る機能を十二分に発揮するものと喜んでおります。一方、最先端の設備を整えた警察庁舎本部が完成しても、現場で治安の確保に当たる警察署の中で、甲賀警察署と近江八幡警察署は、建設後年数が経過し、非常に狭隘で、敷地も狭く駐車場にも困っており、さらに、建物の耐震工事もできていないと聞いております。県民が安全、安心のよりどころとする警察署施設のこういった状況は、頻発する事件、事故にスピーディーに対処できないことが懸念されるところであります。  さらに、来春に予定されている新名神高速道路が開通すれば、交通量はもちろんのこと、事故や広域犯罪の一層の増加が予想されます。また、容疑者を捕まえても留置場が狭く、他の警察署に預けねばならないことで、捜査にも非常に大きな支障を来していると聞いており、甲賀、近江八幡の警察署が整備されて初めて全体的な機能がフルに発揮できるものと理解しております。極めて厳しい財政状況であっても、県民の安全、安心のかなめとして不可欠な警察施設の整備は喫緊の課題であり、中でも、適地があるやに聞いている甲賀署、用地選定中と聞いている近江八幡署の早期の整備を願うものであり、このことについて警察本部長にお伺いいたします。  最後に、琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。  土壌、地下水汚染の防止に関する公害防止条例が本会議に提案されています。県内ではこれまでに、有害物質を使用している工場による土壌汚染や地下水汚染が問題となってまいりました。一たん土壌や地下水が汚染されれば、なかなか改善が進みません。今回の改正は主に工場、事業所への規制を強化するものであり、これを契機として汚染の未然防止が期待されるところであります。一方で、過去に有害物質により汚染された土壌について、土壌調査はどのようにさせるのか、調査が必要な土地はどのぐらいと考えておられるのか、土地の所有者に対し、どのように周知し、検出された後の処理、処分はどうされるのか、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。  また、問題はそうしたところばかりではなく、使用届の出ていない小さな事業所や一般の建設廃土の調査も必要ではありませんか。仄聞しているところでは、近隣他府県から滋賀県に運び、土を処分されていることもあるようで、今後、滋賀県においては、他府県からの廃土も含め、造成工事を伴う開発申請届があった土地においても、有害物質の調査の義務づけが必要と思われますが、この点についても琵琶湖環境部長にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(出原逸三君) 26番福本庄三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)福本議員の財政構造改革に関する7点の質問に、まずお答えさせていただきます。  このプログラムがなぜ3年単位なのかという点でございます。過去のような右肩上がりの経済成長はもはや望めません。地方交付税などについても、国の基本方針2006における歳出歳入一体改革で、地方の一般歳出の削減方針が示されるなど、今後も抑制基調になるものと考えられます。  このような中で、例えば収支見通しを計る上で大変重要な地方交付税の将来見通しにつきましても、総務省が示された見通しが3年間であります。今後の経済動向あるいは地方財政対策等について、5年から10年先までの中長期的な見通しを立てることは、そのような意味で極めて困難でありまして、非現実的でございます。それゆえ、今、3年単位とさせていただいているわけです。こうした中から、一定の確実性を持つ収支見通しに沿った見通しは、おおむね3年ぐらいと考えており、これに基づきプログラムを策定していきたいと考えております。  2点目の計画期間終了後の平成23年度には財政危機は解消されるのかとの御質問でございます。  現時点で、一定の前提条件のもとですが、今後の収支見込みを試算しますと、平成20年度から平成22年度まで、毎年400億円から460億円程度の財源不足が生じるものと見込んでおりまして、平成23年度以降についても、引き続き厳しい財政状況が想定されます。このため、平成23年度以降に負担をできるだけ残さないようにすることが大事ですが、そのためには、今回のプログラムにおいては、基金の取り崩し、あるいは県債の発行等、歳入の手だてに対応するのではなく、いかに歳出削減の取り組みをするかにかかっております。それゆえ、歳出削減の努力をさせていただいているところでございます。  今回の取り組みにつきましては、プログラム期間中の3年間の削減計画だけではなく、平成23年度以降に効果が期待できる内容にも積極的に取り組んでいくこととしております。また、具体的には、歳出削減だけでなく、税収の確保を図ること、さらに県立施設等については、設置する必要性が低下しているものについては休廃止、規模の縮小、統廃合など、さらには人員削減等についても抜本的な見直しを行うことが必要だと考えております。  3点目の歳入確保のための企業誘致施策についてでございます。  本県では、近畿、東海、北陸の結節点という地理的優位性、また、高速交通網の整備、大学を核とした産学官金の支援体制、さらに、暮らしやすい生活環境などのすぐれた立地環境がございます。さらに、環境保全に熱心に取り組むという本県の特色が、近年は企業のイメージアップにつながるということにもなり、そのPRも十分にさせていただきながら、県内市町と連携を図り、企業誘致活動を積極的に推進しているところでございます。この結果、企業立地は幸い着実に進みまして、製造品出荷額、県民所得あるいは県税収入は増加傾向にございます。  国内経済の回復に伴いまして、企業の設備投資は順調に進んでおりますが、特に新名神高速道路が開通間近であります甲賀地域を中心に、機械、金属等の製造工場の立地が進展しております。経済産業省の工業立地動向調査によりますと、昨年の工場立地は、県全体で44件と、過去10年で最高の件数となっております。本年上半期の立地件数も、昨年同期の21件を上回る見込みでございます。  本県では既に蓄積された産業の競争力、技術力がございますが、これをさらに向上を図るため、新技術や新製品を生み出す研究所あるいは研究開発機能を併設した事業所、いわゆるマザーファクトリーの立地を重点的に推進することが重要であると考えております。その具体策として、本年度、将来への先行投資という視点から、創造型モノづくり企業立地促進助成金を創設いたしました。この助成金は、研究所や研究開発機能併設工場の設備投資に対して支援を行うもので、これらの研究開発拠点の集積により、地域の中小企業を含めた産業クラスターを形成していきたいと考えております。  既に、環境、ITなどの先端分野を中心に数社の企業から、研究開発拠点の新増設について助成適用申請を受け付けております。当制度は、県版の経済振興特区制度の立地支援とあわせまして、本県の企業立地の大きなインセンティブになっていると認識しております。  工業立地につきましては、分譲中の工業団地のPRに努めるほか、造成中、計画中の早期完成を事業主体に働きかけるとともに、市町の協力を得まして、民間所有地や空き工場等の情報収集に努めながら、企業ニーズに合った用地情報を提供していきたいと考えております。  また、本年6月には、企業立地環境の整備を進めることを目的に企業立地促進法が施行されましたことから、この制度を市町と協力しながら有効に活用し、工場用地の早期確保に努めてまいる所存でございます。  今後も、さらなる税収の確保、雇用の創出、地域の活性化を図るため、滋賀県の総合的な力をPRしながら、そのさらなる増進を図り、市町と連携しながら企業立地を推進し、本県の経済基盤を強化していきたいと考えております。  4点目の御質問でございますが、指定管理者制度の見直しについてでございます。  指定管理者制度は、コストの削減とサービスの向上という観点から導入されたものでございますが、今日の厳しい財政状況の中にあって、徹底した歳出の見直しを行う中で、指定管理者制度を導入している施設についても、事業内容の変更を含め、見直すべきとも考えております。  なお、指定管理者とは数カ年に及ぶ基本協定を締結しておりますが、施設管理に関して特別の事情が生じた場合には、協議により協定を改定し得る旨を規定しておりまして、こうした手続を踏みながら見直しを進める考えでおります。  次に、5点目の御質問ですが、びわ湖ホールとしが県民芸術創造館の役割、あるいはこれらの施設の今後の見通しでございます。  県立文化ホールの運営につきましては、びわ湖ホール、しが県民芸術創造館、文化産業交流会館の3館を軸としまして、県内ホールのネットワーク化を図りながら、県民が多様な文化、芸術に触れる機会の提供を行っているところでございます。  まず、その中で、びわ湖ホールですが、5つの役割があると考えております。まず1つは、オペラやコンサート、バレエ、演劇、古典芸能など、国際的にも評価される多彩な舞台芸術の提供でございます。2点目は、県民の皆さんが身近に訪問できるよう、低価格に設定した公演や参加体験型のワークショップなど、幅広いジャンルですそ野を広げ、県民へ浸透を図るための活動でございます。3点目は、声楽アンサンブルによる小学校巡回公演など、次代を担う子供たちが本物の舞台芸術に触れ、芸術への理解を深められる次世代育成型の芸術活動でございます。そして、4点目ですが、貸し館の提供によりまして、県民の発表会、各種の大規模な全国大会、また、企業の行事など多彩な催しを実施する舞台ともなっております。さらに、5点目ですが、観光事業との連携によりまして、経済波及効果や滋賀県のイメージアップにも寄与していただいております。  2点目のしが県民芸術創造館あるいは文化産業交流会館でございますが、こちらにおきましては4点の役割がございます。県民創作ミュージカルなど、県民の多彩な文化・芸術創造活動に対する支援がまず1点でございます。2点目は、文化団体、NPOとのさまざまな主体、県民の皆さんとの協働的活動です。そして3点目が、多様な芸術鑑賞機会の提供、4点目が、市町ホールへの支援事業など、県内ホールとの連携、交流でございます。  こうしたことから、平成18年度における3つの施設の利用者は約65万人となっておりまして、鑑賞の機会の提供、文化芸術活動の支援を行うことができたと考えております。  さらに、これらの施設の見通しでございますが、3つの方向を考えております。  1つは、県の文化政策の拠点といたしまして、今御説明させていただきましたような形で、適正な維持管理を行うこと、2点目は、県民に、より身近で利用しやすい施設となるよう、魅力的な事業展開を行うこと、3点目は、これまでの努力により得ました高い評価を維持し、さらに発展し、県民の皆さんの誇りとして活用していただくということでございます。先ほども申し上げましたとおり、指定管理者との手続を踏みながら、業務内容の変更も含め一部見直しも進めていきたいと考えております。  次に、6点目の県と市町のパートナーシップのことでございます。  県と市町は、地域における行政を連携協力して実施しておりまして、議員御指摘のとおり、県財政の健全化についても、市町の理解、協力なくしては実現できるものではないと認識しております。このため、まず、この9月の県議会で、議会の皆さんと審議させていただいた後、議会終了後、市町については早急に意見交換の場を設けるとともに、具体的な考え方について市町にお示しし、まさに対等のパートナーとして地方自治を担っていけるよう、適切に配慮、対処していきたいと考えております。  7点目の公共事業に関する方向でございます。削減ありきではなく、滋賀県の発展に必要な事業や県民の安全、安心を守るために必要な事業は計画的に進めるべきとお考えですが、その方向はいかにという御質問でございます。  まず、議員御指摘のように、公共事業は、県内の社会経済活動を支えるとともに、県民の生命、財産を守る上から必要な社会資本整備でございます。また、各市町や県民の皆さんの要望も大きいことから、地域のニーズを的確にとらえ、計画的に進めていかなければならないものと考えております。  ただ、危機的な財政状況を踏まえますと、聖域を設けずゼロベースで見直しを行う中で、限られた財源を各事業の優先度を見きわめつつ重点的に配分するとともに、事業によっては進度調整を図りつつ整備を進めることが重要であると考えております。さらに、これまでにも増して、それぞれの事業のコスト縮減等に取り組み、より一層効率的、効果的な事業執行に努めることが必要であると考えております。  次に、鉄軌道についての2点の質問にお答えさせていただきます。  まず1点目は、草津線の複線化についての最近の情勢と今後の進め方でございます。  草津線の複線化につきましては、県は昭和41年から、関係市町とともに草津線複線化促進期成同盟会を組織し、共同して取り組んでまいりました。同盟会では、全線複線化のための事業費が約319億円と試算され、多額の経費が見込まれることから、需要の動向に応じた段階的整備を取り組み方針としておりまして、その第1段階として、甲西駅行き違い設備整備を位置づけております。このことによりまして、石部三雲駅間の線路容量が増し、ダイヤの増設、改善につながるものと考えられるため、積極的にJR西日本への要望活動を行っております。  次に、JR西日本においては、利用状況に応じた輸送力増強を行うとの方針から、まず、利用者増を図ることが必要であるとの考えを示されております。草津線利用状況ですが、平成10年度の1日当たり平均乗車人員は1万6,447人ですが、この人数をピークに次第に減少し、ここ数年、一部増加はしているものの伸び悩みの状態となっております。このため、同盟会としましては、地元における主体的、主導的な取り組みにより利用促進を図ることが第一と考え、その具体策を幹事会で協議しているところでございます。  具体策としましては2点ございます。1つは、大阪、神戸、京都などのJRの主要駅や県内各駅およびホテル等に設置しております90カ所のパンフレットラックを活用し、草津線沿線の見どころやイベントを紹介したパンフレットの定期発行による観光誘客でございます。2点目は、琵琶湖環状線の促進に際しまして、北びわこで成功しました利用客目標達成プログラムを新たに導入し、これは沿線市町を中心に駅ごとに利用者増の目標人数を決め、実現するための方策を関係市町が責任を持って企画、実施、さらに見直しをしていくものでございます。この利用客目標達成プログラムに基づいて、沿線市町での取り組みをお願いしているところでございます。  草津線が地域の活性化にとって重要な路線であることは、議員の御指摘のとおりでございます。このような状況を踏まえまして、同盟会を結成する皆さんに知恵を出し合っていただき、一日も早く総会を開催し、一致団結して複線化に取り組むことができるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。  次に、(仮称)びわこ京阪奈線構想を進めていくに当たって、京都に県としてどのような協議をしているのか、今日までの動きとともに問うという御質問でございます。  まず、(仮称)びわこ京阪奈線構想につきましては、これまで滋賀県と東近江市など関係5市5町で組織するびわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設期成同盟会によりまして、その実現に向け平成元年7月の同盟会設立以来、さまざまな取り組みを進めてまいりました。このことは、先ほどの生田議員の御質問にお答えしたとおりでございます。この構想は、関西文化学術研究都市と甲賀市、東近江市を中心とするものづくり地域との有機的な連携軸や、大阪湾ベイエリア地域と内陸地域とを結ぶ交通軸を強化し、また、震災等により交通が寸断された場合のバイパス機能など、役割を果たす鉄道として実現を目指してきたものと理解しております。  まず、京都府に対する今日までの動きですが、京都府に対しましては、平成11年2月の京都府、滋賀県両知事懇談において、本鉄道構想は難しい課題はあるが、双方、アイデアを出し合い、問題解決に取り組んでいくということで合意いたしました。  平成13年度から平成16年度の近畿地方交通審議会答申まで、京都府南部市町とは同盟会と共同で国、京都府への要望活動を実施してまいりました。また平成14年10月の同盟会の京都府に対する要望時には、事務レベルでの勉強をしていくことが確認されました。  こうした取り組みによりまして、平成16年10月の近畿地方交通審議会答申において、同盟会が当面の目標としてきました(仮称)びわこ京阪奈線が、この審議会答申に初めて盛り込まれ、今後の鉄道整備における当路線の必要性が一定程度国において認知されたものと理解しております。審議会答申では、びわこ京阪奈線構想は今後の沿線地域の開発動向に応じ、関係自治体等を中心に検討することが適当であるとする構想路線として位置づけられました。このため、同盟会では、この構想の具体化への課題解決に向けた取り組みとしまして、構想の推進、既存鉄道の存続、観光誘発の3つの柱を中心に進めてまいります。  この(仮称)びわこ京阪奈線ですが、いまだ構想路線の段階でございまして、今後のこの構想の進め方につきましては、同盟会の総意に基づき決定するものであります。同盟会として京都府に対しては引き続き京都府南部地域の市町との交流を図るほか、京都府に対しては今後の沿線地域の開発動向、既存鉄道の利用状況、および同盟会や県ならびに関係市町の取り組み内容を説明しまして、本構想の実現に向け理解を求められるよう働きかけていくものと考えられます。  以上、福本議員の御質問にお答えさせていただきました。 ◎琵琶湖環境部長(山仲善彰君) (登壇)土壌汚染についての4点の御質問にお答えいたします。  1点目の過去に有害物質により汚染された土壌の調査についてですが、土壌汚染対策法では、法が施行された平成15年2月以降に有害物質使用特定施設を廃止する事業所にのみ土壌調査が義務づけられています。この制度だけでは問題の十分な解決にならないため、今回の公害防止条例の改正案では、土壌汚染対策法の対象とならない、法の施行前に有害物質使用特定施設を廃止した事業所にも、今後、土地の改変を行うときに土壌調査を義務づけることとしております。  2点目の土壌調査が必要な土地についてですが、土壌汚染対策法の施行前に廃止された有害物質使用特定事業所はおよそ30事業所程度と見込んでおり、これらの事業場の土地の改変時に土壌調査を義務づけることとしております。  3点目の土地の所有者への周知、および検出された後の処理、処分についてでございますが、今回の改正では、昭和46年に水質汚濁防止法が施行されて以降、有害物質に規定された物質を使用しているとの届け出がなされたすべての事業場の土地について、県が保管している届け出書をもとに台帳を作成することとしております。この台帳に基づいて周知するとともに、指導を行ってまいりたいと考えております。  また、土壌調査の結果、汚染が見つかった場合には、土地所有者には土壌汚染改善管理計画の作成を義務づけ、汚染された土壌は敷地内での封じ込めのほか、敷地外に搬出する場合には最終処分場へ搬入するなど、土壌汚染対策法に基づく処理などによって適正な対応を求めることとしております。  4点目の他府県の廃土も含め、造成工事を伴う開発申請があった土地の土壌調査の義務づけについてのお尋ねについてでありますが、現在、本県では制度的な拘束力はありませんが、土地利用に関する指導要綱等の対象となる3,000平方メートル以上の大規模な開発事業につきましては、その事前審査において、造成に伴い搬入される土砂の量を把握するとともに、それによる土壌汚染が生じないよう良質の土を使用することを指導しているところであります。  御提案の有害物質の調査の義務づけについては、代表的な例として、千葉県において3,000平方メートル以上の埋立事業を許可制とし、安全基準に適合しない土砂の埋め立てを禁じる条例を制定しています。この条例では、土砂の発生元事業者に5,000立方メートルごとに1検体の土壌調査を求め、調査の結果、安全基準に適合しない土砂の埋め立てを禁止しています。しかし、環境省の土壌環境施策に関するあり方懇談会に提出された千葉県の資料によれば、県境を越えて移動する残土の発生から処分までを把握する有効な手法がないことや、安全基準を超過したために埋め立てが許可されなかった土壌が、結果的にどのように処分されているのかを確認できないことなどが課題として挙げられています。  また、許可基準を満たさない汚染土壌が、許可対象規模以下の小規模な造成工事に使用される可能性をいかに防ぐかなど、先行例でも土壌の移動による汚染の拡散を防止する対策としては、さまざまな課題があると考えております。  土壌汚染対策は、環境と県民の健康を守る上で重要な課題でありますから、御提案の趣旨も踏まえつつ、今後、他府県から持ち込まれる土砂への対応について、広域的な視点に立って、近隣府県との情報交換も行いながら、調査研究を進めてまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(安森智司君) (登壇)新警察本部庁舎の整備についてでございますが、現在の警察本部庁舎が老朽化、狭隘化、さらには、震度5で危ないという耐震の判断をいただきまして、厳しい財政事情の中でございますが、そうした事情をしんしゃくしていただき、関係各位の皆様の御理解のもと、平成17年11月に工事着工し、平成20年度中の竣工、移転に向け、順調に進行しているところでございます。この場をかりまして、改めて御礼申し上げます。  さて、御質問の警察署の整備についてでございます。  県下12警察署のうち、昭和40年代に建築されたものが7警察署ございます。その中で、平成7年に発生しました阪神・淡路大震災以降、改修整備をいたしました彦根および木之本警察署の2警察署を除きます、草津、甲賀、近江八幡、高島、大津北の5警察署が、早期に整備を必要とするものでございます。  警察署を初めとする警察施設は、地域における県民の安全、安心のための活動拠点、かなめでございます。これをこのまま放置することは、多発する事件、事故への対応等、県民の安全、安心の確保に重大な支障を及ぼすものと憂慮しており、早急に整備を図らなければならないと考えています。  中でも、議員から御要望のある甲賀、近江八幡警察署の移転、整備につきましては、建物の設備の老朽化、狭隘化が著しく、耐震上も問題がありますことから、県警察の喫緊の課題であると認識して、検討を重ねているところでございます。新たな財政構造改革プログラムが策定される等、現下の厳しい財政状況等にかんがみますと、警察署等の整備が非常に困難であることも事実でございますが、警察施設の計画的整備が図られますよう、関係機関と協議、調整を進めてまいりたいと考えております。引き続き、御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 ◆26番(福本庄三郎君) (登壇)知事に1点だけ再質問をさせていただきたいと思います。  歳出削減を続けていくという答弁だったと思います。それは厳しい状態だということはよくわかるのですけれども、住民が今まで本当に切実な思いで、県に、何十年というような長い期間までかけて要望されてきたことが全然実現できないわけでございます。そうした中で、知事は本当に、その県民の要望をどういうように理解されているのか、その1点、聞いておきたいと思います。  あわせて、文化芸術会館、びわ湖ホールですけれども、非常に維持費が高くついております。私も勉強不足で申し訳ないのですけれども、いろいろな人に聞くと、びわ湖ホールは行ったことがないという人がかなりおられるわけでございます。そうした中で、このびわ湖ホールを民間業者にすべて引き渡すとかというようなこともお考えになっているのか、そんなことをお考えになったことがあるのか、あわせて2点、お聞きいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)2点の再質問にお答えさせていただきます。  まず、1点目、県民の皆さんの要望にどうこたえていくのかということでございますが、この厳しい財政再建の時期にありましても、県民の皆さんの生活にしわ寄せが行かないような形で、皆さんの要望ができるだけ実現できるような方向を、県一体で、そして市町と協力をしながら工夫をさせていただき、努力をさせていただきたいと考えております。  さらに、びわ湖ホールについてでございますが、びわ湖ホールにつきましては、これまでの関係者の努力によりまして大変高い評価を得て、県民の誇りともなっている施設でございます。県の文化政策の拠点として適正な維持管理を行うとともに、さらに、県民の皆さんにより身近で利用しやすい施設となるよう、魅力的な事業展開を行うなど努力をしていただきたいとも考えております。もちろん、その中で経費節減の努力もあわせてお願いしたいと考えております。 ○議長(出原逸三君) 以上で、26番福本庄三郎君の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時6分 休憩    ────────────────   午後1時4分 開議 ○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、29番山田尚夫君の発言を許します。 ◆29番(山田尚夫君) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして順次質問をいたしますので、答弁、よろしくお願いいたします。  まず、滋賀県財政につきまして、知事に質問いたします。  本県では、平成10年度に県債や基金に依存しない財務体質を目指すとして、この年を初年度とする財政構造改革の指針を発表し、そして平成13年度には、緊急不可欠以外の箱物の凍結と人件費の抑制を柱に、当面する財政運営の方針を策定されました。さらに、平成15年度の第2次財政構造改革の指針では、具体的な削減額を定めた財政構造改革プログラムを、そして平成17年度には、国の三位一体改革で本県が大きな影響を受けるとして、新たに財政危機回避のための改革基本方針を策定し、財政収支の改善目標を達成すべく、取り組みを進められているところであります。  こうした取り組みの結果、財政危機回避のための改革プログラムで示した事業費の削減は、目標額160億円に対して、本年度当初予算額ベースで目標額を超える168億円、また、人件費の削減では目標どおりの70億円が達成できたとして、本県のホームページで公開されています。確かに歳入面では県債の発行や基金取り崩し、また、未利用県有地の売却などによって320億円の財源手当てをしておられますが、一方、300億円弱が削減されたのも事実であります。知事は、こうした数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず、依然として巨額の財源不足が生じており、このまま手だてを講じないと財政再建団体への転落は現実のものとなると所信で述べられました。  本県の主な財政指標である財政力指数や経常収支比率、実質公債費比率など、到底満足できる状況ではなく、財政の健全化に向けた取り組みは今後もなお必要であるとの認識に立つものでありますが、指標の一つである財政力指数について、本県と標準財政規模が類似する団体の奈良県、和歌山県、石川県、富山県、大分県などと比較しますと、そのいずれよりも本県の財政力指数が上回っています。また、このグループの下位にいる島根県や高知県は、本県の財政力指数の半分以下であり、こうした県と比較しますと、到底、本県の危険度が格段に高いとは理解できないのであります。言いかえれば、これらの類似団体との比較の中では、滋賀県が真っ先に財政再建団体に陥ることはあり得ないと思うのであります。  そこで、知事が言われる、本県が財政再建団体に陥る危険性が高いと認識されている根拠を、島根県などの類似する団体と比較してどうなのか、知事の所見を伺います。  昨年7月に嘉田新知事が、「もったいない」を生かす滋賀県政のマニフェストに掲げられた7つの政策提案のうち、子や孫にツケを残さない健全財政の政策項目では、まさに知事はコストカットのスペシャリストのようで、職員等の人件費を総額2割削減、人員は1割カット、知事の退職金は全額受け取らない、報酬を2割カットする、日ごと500万円ずつ積み重なる造林公社の借金は債権放棄の要請を強力に進める、また、県事業等の見直しを行って新たな財源200億円の一般財源を確保するなど8つの政策を示されています。  また、さきの本会議で知事は所信の中で、現今の県財政が危機的な事態であることを踏まえて、新年度予算は、すべての施策や事務事業について、聖域を設けず、ゼロベースで徹底した見直しを行うと表明されています。知事が所信で述べられたように、本県では過去4回、10年間に及ぶさまざまな財政改革の指針が出されるたびに、財政を担当する職員は、わずかな補助金までカットして、絞れるだけ絞り切って、もうこれ以上は絞れないといった厳しい現実も、この財政問題に同居していると推測するものであります。  かつて松下幸之助氏は、コスト削減を成功させるには従来方法では解決しない、すべての部門で3割カットするぐらいの気概で取り組む方が、より易しいと言っています。知事のゼロベースで見直しをするという所信は、財政再建を目指す知事の強い意思を示すには、なるほど聞こえはいいものですが、真に財政再建団体への転落を危惧されている知事なら、なお一歩踏み込んで、性質別、目的別に具体の数値を大胆に提起し、県民の皆様へメッセージを伝える必要があります。そのことがトップリーダーとしての責任ある態度ではないかと考えるものです。知事の決意を問うものです。  また、県の新年度の予算編成方針を各部局に対して近々出されると思うのでありますが、この県の予算編成方針に連動いたしまして、毎年、市町の予算編成作業が開始されることになります。知事は、具体的な削減方針を明確に示さないまま、市町に対して既存の財政支援もカットしなければならないと述べるなど、市町を置き去りにして進めようとされている現状を見て、県内の首長はもとより、市町の財政担当者は、予算編成作業を目前に控えて、大変危惧されています。  そこで、県は、市町が予算編成に取りかかる前に、ぜひ財政担当者、とりわけ福祉や教育の分野は、その制度上、メニューも多く複雑多岐であります。したがって、それぞれの事情を十分配慮して、双方が合意の上でスタートされることを望むものでありますが、これへの対応について、改めて知事の所見を伺います。  次に、総務部長にお伺いいたします。  知事が所信で、すべての事務事業について聖域を設けず、現在の社会経済情勢を十分踏まえてゼロベースで見直す決意と述べられています。このことは、扶助費、人件費といった義務的経費についても切り込んで歳出カットを行うとの意思表示であると受けとめています。総務部長としても、その削減対策について並々ならぬ思いで取り組まれるものと思いますので、義務的経費の中の中心となる人件費、給与構造の抜本的な見直しについてお伺いいたします。  ちなみに、本県職員のラスパイレス指数は、国家公務員の本給を100とした場合98.2となって、全国平均の99.2を下回った給与水準であります。この水準は、青森県、大阪府と同率の全国36位となっています。その給与構造の抜本改革についてでありますが、公務員は民間と違いまして身分保障がしっかり確立しているわけでありますから、経営不振に陥ったからといって、かつての日産自動車のゴーン社長のように従業員をリストラするわけにはいきません。県庁は生産職場ではないわけです。人こそが最大の経営資源であります。したがって、職員が組織の目標に向かって持てる力を最大限に発揮できる職場環境を醸成しなければなりません。また、これ以上の給与カットによって職員の仕事に対する熱意や意欲と能力をそいではならないことは当然のことであります。  しかし、滋賀県勢の持続的な発展を期する上においても、労使間合意の上で知恵を出し、工夫する必要があります。一昨年公表された人事委員会の状況報告によりますと、従来から、本県の給与制度全体が国に準拠して構築されていることなどを考慮すれば、本県においても抜本的な給与構造の見直しを行うことが必要であると述べられ、年功的な給与上昇の抑制と、職務、職責や勤務実績に応じた抜本的な給与構造の見直しについて人事委員会が報告および勧告をしております。  人事委員会の状況報告の中で、心身の故障等による休職処分の状況を見てみますと、警察本部が長期休養を認めた人員は5人であるのに対し、教育委員会は70人となっています。一般職員をこれに含めますと100人の職員が仕事の現場から離脱しているという残念な報告もあります。こうした職員のメンタルヘルス対策の強化により、人件費の低減策や、人事委員会が繰り返し要請している時間外勤務手当──県職員1人当たりの平均支給月額約4万円の縮減対策など、人件費の削減に対する取り組み等はまだ道半ばで、打つ手はまだ残されていると考えるものであります。  こういった人事委員会の勧告や課題に対して、平成18年度以降、どのような措置を講じられてきたのか、そして、部長はどのようにして抜本改革に取り組もうとされているのか、基本的な考えをお伺いいたします。  次に、県人事委員会委員長にお尋ねいたします。  ことしも例年のごとく、8月8日に人事院が国会と内閣に対して、国家公務員に給与等の勧告を行い、その結果、ことしは実に9年ぶりのプラス勧告となりました。その人事院が給与勧告でことしも取り上げた地域手当についてお伺いするものです。  この地域手当は、民間賃金の高い地域に勤務する職員に対して最大18%の手当を支給するというものであります。以前まで支給されていた調整手当は、物価の高い地域を対象としていたものでありますが、現在の地域手当は、民間賃金にウエートを置いております。国の場合は、職員が勤務するのは主に主要都市に限られた場合が多いと思われるため、周辺企業の賃金など、それなりのデータがそろっているかもわかりませんが、地方公務員は、すべての市町に勤務していますので、大企業が立地していて民間賃金を押し上げているなどの明確な支給根拠は不明であると言わざるを得ません。
     本県では、給与構造改革が完了する平成22年度において、県内一律、この地域手当の率を、給料、扶養手当および管理職手当の合計額に7%を乗じて支給すると定められていますが、この7%と定められた根拠を伺うものであります。  また、同じ地方公務員である市町の職員について、甲賀市、野洲市、高島市と、ほとんどの町の職員にはこの地域手当の支給実態がありません。この支給されていない市町の地域で同じように勤務する県の職員には地域手当が支給されております。給与等の決定は自治体ごとに決定するものでありますから、県の人事委員会がコメントすべきことではないかと存じますが、この地域手当は、民間の賃金が高い地域とする根拠にして、すべての事業所等に勤務する県職員に支給されていることを照らし合わせると、矛盾を感じるものであります。人事委員会委員長の所見を伺います。  最後に、本県における限界集落化について、その認識を政策調整部長にお伺いいたします。  今、人口減少や高齢化の進行によって地域活動が維持できず、集落の消滅につながるような限界集落の発生が危惧されています。限界集落とは、65歳以上の人口比が50%以上で、共同体の機能維持が限界に達している集落を限界集落と呼ぶようであり、これは過疎という用語より、より以上に深刻な事態を表現するために生まれた用語であります。滋賀県ではそれほど深刻な状態には至っていないと思われますが、今後10年あるいは20年も経過いたしますと、県内においてもかなりの集落が準限界集落になったり、また、限界集落が増加することが予測されます。  そして、今、過疎や高齢化によって消滅の危機にある限界集落が全国で3,000カ所に上ると言われております。こうした集落を維持する必要性について、長野大学の大野教授は次のように述べられています。「まず、日本の原風景であり歴史的な遺産である山村風景の喪失、2つ目は、伝統文化や芸能が壊れてしまうこと、3つ目は、人が住まなくなって田畑の耕作放棄地がふえ、山が手入れをされなくなる。自然環境が崩壊し、田や畑に保水力がなくなり、下流に渇水や水害をもたらす」と警鐘を鳴らしておられます。  村の機能は、人々の生活が維持される中で自然と保たれ続けてきたものであります。ところが、人々の生活が維持されなくなると、限界集落から消滅集落に陥りかねないものであります。ですから、この限界集落と言われる集落を維持しなければならないと思うのでありますが、維持できないとすれば、生産や交流の場として交流人口に期待するのか、それとも自然に帰すのかが問われているのだろうと思います。  私の町にも限界集落に陥る寸前の村がありますが、今後、県は、限界集落の実態を調査し、新たな施策の展開に取り組む必要があると考えます。  そこで、まず、本県の、高齢化率が50%を超えている集落について、圏域ごとにその動向がどうなっているのか、お伺いいたします。  その上で、限界集落に対する県の認識と今後の施策の方向性についてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございます。(拍手) ○議長(出原逸三君) 29番山田尚夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)山田議員の県財政についての3点の御質問にお答えさせていただきます。  まず、1点目、本県が財政再建団体に陥る危険性が高いと認識している根拠でございます。  本県の主な財政指標であります財政力指数、経常収支比率あるいは実質公債費比率などは、確かに議員御指摘のように、他府県との相対的な比較では9位から10位にあると言われるわけですが、都道府県全体が以前に比べ悪化しているため、どの団体も財政状況は大変厳しくなっているということでございます。そのような中で、都道府県では、標準財政規模の5%以上の赤字を出すと財政再建団体に該当することになりますが、本県においては標準財政規模3,000億円に対して5%、約150億円ということでございまして、緊急の行政需要に対応していくためにも、一定、財政調整基金や県債管理基金などの財政調整的な基金が必要でございます。  一方、本県の財政調整のための2つの基金の、現時点における平成19年度末残高見込みは約119億円となっております。先ほど申し上げました150億円に足りないわけでございます。平成17年度末残高と比べますと、今、半分ほどになっておりまして、ほとんど底をつく状況であります。こういう中で、公表されている直近の統計で他府県との比較をしてみますと、財政調整的な基金の残高については、本県と類似する規模の団体を比較した場合においても、他府県では一定程度の残高がありますが、本県は基金については下位グループに属しているところでございます。  このような中で、今後の収支見込みにおきまして400億円を超える財源不足が見込まれることから、赤字を少しでも出すと、この5%の150億円という金額をクリアできない、そのような大変厳しい状態にあると認識し、危機的な状況であると御説明させていただいた次第でございます。  2点目の性質別、目的別に具体の数値を大胆に示すべきとのことでございますが、巨額の財源不足が見込まれる危機的な状況の中では、財政再建に向けてしっかりと取り組んでいくためには、これからの県のあるべき姿や市町との役割分担等を踏まえるとともに、財源不足のみを理由に施策、事務事業を休廃止するのではなく、県民の暮らしと命へのしわ寄せを極力回避するといった基本的な考え方のもとに行っていくことが必要であると認識しております。安定的で持続可能な財政経営を行うためには、経常的な経費を見直すことが重要であるとの認識のもと、県立施設等の休廃止、統合に向けた検討、さらなる人員削減等の検討を指示したところでございまして、個別項目に対する数値目標だけを示すのは今の状態では不適切であると理解して、このような指示を出しているわけでございます。現在、こうした認識のもとに各部局と議論をしながら、歳出の抜本的な見直し、検討を進めているところでございます。  また、3点目の市町の予算編成前に双方が合意の上で行財政改革をスタートするべきとの御意見でございますが、議員のおっしゃいますように、地方行政を担うパートナーでありまして、市町は直接、県民の皆さんと接しておられる大変大事な自治体でございまして、最も協力を求めていかなければならないと考えております。まずは、この9月議会で十分御審議をいただいた後、各市町については、この議会終了後、県の現状について十分御理解いただくとともに、意見交換を行う場を早急に設ける予定でございます。  また、施策、事業の見直しの具体的な考え方については、早期に市町にお示ししたいと考えております。  なお、市町の行政運営には極力支障が生じないよう作業を進めておりますが、一定、無理をお願いすることが生じる場合もあるものと考えております。皆様の御協力をぜひともよろしくお願いしたいところでございます。 ◎政策調整部長(橋本俊和君) (登壇)限界集落に係る2点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の高齢化率が50%を超えている集落の動向についてであります。  平成12年と17年の国勢調査の結果をもとに、特別養護老人ホーム等の入所施設の影響を受ける地域を除いて算定してみますと、65歳以上の高齢者が50%を超える地域は、平成12年の21地域から、平成17年には32地域へと11地域増加し、約1.5倍になっておりますし、こうした地域全体の高齢化率は、平成12年の57.6%から平成17年には60.5%になり、高齢化が進んでおります。  また、圏域別に見ますと、湖北では平成12年の3地域から平成17年の8地域へ、湖西では7地域から10地域へと、湖北、湖西の両圏域におきまして増加傾向が顕著となっております。  こうしたことを踏まえ、人口減少や高齢化の全国的な流れを考えあわせますと、県内におきましても高齢化率が50%を超える地域は今後も増加していくものと思われます。  2点目の限界集落に対する県の認識と今後の施策の方向性についてであります。  中山間地域の集落では、人の営みを通じて原風景や伝統文化、さらには県土の保全といった、さまざまな機能が維持され、まさにこのことが下流に暮らす県民の命と財産を守り、琵琶湖の保全につながっているものと考えております。本県にとって中山間地域は、現在も将来においても極めて重要な資産、資源であると認識しています。  このことから、これまでから過疎や山村振興対策として、住民の定住対策や多面的機能を維持していくための施策を講じてきたところでありますが、今後は、これからの高齢化の進行を考えますと、より集落の実態に着目して、それに即した対応を検討することが必要だと考えております。  このため、まずは、限界集落を含む中山間地域の集落の実情に目を向け、実態調査を行いたいと思っております。その上で、そうした集落を維持していくために、また、御指摘の、限界集落に陥らないためにどのような方策が必要かなど、関係する市町の皆さんや庁内関係部局との検討の場で具体的に研究をしてまいりたいと考えております。 ◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)人件費、給与構造の抜本的な見直しについての御質問にお答えいたします。  人事委員会勧告に基づく平成18年度以降の措置と今後の抜本改革についてでありますが、給与構造改革については、勧告に沿って平成18年度から取り組んでいるところでございます。この目的は、年功的給与制度から、職務、職責に基づいた給与制度とし、あわせて、全国的にそれぞれの地域の民間企業に応じた給与水準とするため、給料表、昇給制度など、抜本的に改正しようとするものであります。  具体的には、給料表については、昨年度から、若年層の給与水準は据え置き、高齢者層は7%以上引き下げることにより、全体として5.7%の水準引き下げを行っております。また、昇給についても、50歳前後以降では、上位の職階に昇任しなければ基本的には給料が上がらない制度となるなど、年功的な給与の上昇を抑制し、より職務、職責を重視した制度に改め、手当についても調整手当の廃止、地域手当の新設、さらに、今年度から管理職手当を定額化するなど、抜本的な改正を行い、現在、その経過的な措置を講じているところであります。  私といたしましては、これらの抜本的な制度改正を適正に実施していくことを初め、時間外勤務の縮減、一層の諸手当の見直しなど、必要な改革に取り組み、適正な給与制度を確保してまいりたいと考えております。  なお、メンタルヘルスを含めた職員の健康管理の強化にここ数年来取り組んでおりますとともに、今年度から、公務能率に課題のある職員への特別な研修を行い、これらの職員の能力が発揮できるよう努めているところでございます。  このような給与体系や手当の改革、職員の公務能率の一層の向上を図ることなどにより、実質的な人件費削減につなげていきたいと考えております。 ◎人事委員会委員長(市木重夫君) (登壇)地域手当についての御質問にお答えいたします。  御承知のとおり、平成17年8月に人事院は国家公務員の給与について、地域ごとの民間賃金水準を、より適切に反映し、年功的な給与上昇の抑制や、職務、職責に応じた給与構造への転換を図ることなどを柱とする給与構造の改革について勧告を行い、その具体的方策の一つとして、俸給表の水準を引き下げる一方で、従前の調整手当にかえて民間の賃金水準が高い地域には平成22年度の制度改正時に3%から18%の地域手当が措置されることとなったところであります。  この支給対象地域には、厚生労働省の賃金構造基本統計調査等をもとに、全国の民間賃金水準の高い地域が市町村単位で指定されまして、その結果、本県におきましては、大津市と草津市が10%、守山市と栗東市が6%、また、彦根市と長浜市が3%の地域として、それぞれ指定されたところでございます。こうした状況を踏まえ、当委員会は、平成17年10月に行いました職員の給与等に関する報告および勧告におきまして、地域手当につきましては、本県においても基本的には国に準じて導入することが適当であると申し上げたところでございます。  しかしながら、その一方で、国と同様の支給地域と支給割合を設定した場合には、職員の配属地域によりまして最高10%の格差がつくわけでありますが、本県におきましては、その地理的特性や交通事情によりまして県内全域が相互に通勤圏であるため、国とは異なりまして、転居を伴わない人事異動が基本となっておりますことから、その配属地域のみによって格差を設けることは、円滑な人事異動や適切な人材配置を行う上で支障となるおそれがあり、また、民間企業におきましても、県内に複数の事業所がある場合に、その所在場所ごとに給与上の地域差を設けている企業はほとんど見当たらないというような状況がございます。  こうしたことを踏まえまして、県内における地域手当につきましては、人事院勧告の内容を参考としながら、本県のこうした実情も考慮しまして、国の地域指定どおりに適用した場合の平均水準などを参考にしながら、大津市等の支給率の高い地域を引き下げるかわりに低い地域を引き上げました結果、制度完成時には県内一律7%の支給率にすることとなったところでございます。  次に、2点目の同一地域において県職員が支給されているにもかかわらず市町の職員には支給されていない場合があることについてでございますが、地域手当は、国における支給地域の指定が市町村単位となっておりますことから、都道府県の場合は一つの行政組織の中に支給割合の異なる複数の地域が混在することとなります。この点、本県におきましては、先ほど申し上げましたとおりに、人事管理上の問題などから県内一律支給としておりますが、市や町におきましても独自に設定されている場合もありますことから、結果として、同じ地域に勤務しながら市や町の職員の方と比べて高い場合や低い場合が生じているものと承知いたしております。  いずれにいたしましても、議員御指摘のとおりに、当委員会といたしましては、具体的なコメントは差し控えるべきこととは存じますが、市や町の職員の給与等の決定につきましては、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に基づきまして、人事院や当委員会の勧告なども参考にしていただきながら、それぞれの団体で判断されるべきものと考えております。 ◆29番(山田尚夫君) (登壇)順序が逆になりますが、今の地域手当の関係で申し上げたいことがあります。  公務員の給与は、国家公務員の給与をもとにしてラスパイレス指数が定められて、算出されて、それを基準に地方公務員の給与が準拠されていくという流れになっています。実は、今日的な社会情勢の中で、国家公務員の基本給を下げるという動きがあって、そしてラスパイレス指数が下がる。この流れをそのまま受けると、市や町の職員は給与が全体的に下がる、こういうことになります。その下がった分を何とかしようというので地域手当が設けられて、国の職員の実質ラスパイレス指数というのは、発表されている数字よりも高くなるのです。  ところが、そのことは、財政力の弱い市や町については間々支給されない、規定がゼロというところはあるわけですが、そうでないところについては、そのような対応がされてしかるべきですが、そういう状況にない。ますます公務員の中でも、東京都で働いている人、県で働いている人、市や町で働いている人、格段に差がついていくことになりますので、こうしたことについて、また、人事委員会としても、県の人事委員会の勧告に準拠して市町村もそれにならったりしていますので、その辺、十分配慮いただきたいと思います。  知事に伺います。ただいま財政問題について答弁をいただきました。要は、標準財政規模が似通った類似団体の中で比較してみますと、相対的に滋賀県は、そういう意味では財政力指数と財政状況は高位にあるけれども、いわゆる貯金が少ない。財政調整基金が少ないということで、これからの財政運営を行う上で、計算上は収支バランスがうまくいかないので、財政再建団体への厳しい状況がそこにあるという説明でありました。  しかし、財政力の点でいえば、島根県の0.2そこそこ、そして滋賀県の0.5以上、この差は倍以上、実はあるわけです。ですから、知事が再三、本会議場で財政再建団体に陥る危険性を説かれますけれども、その財政標準規模を持つそれぞれの県の実態を見てみると、知事が言われるほど、そうかなと、だれしもそういうふうに思っておられるのではないかと思います。そこはしっかりと、もう一回説明をいただきたいと思いますし、知事は個別、節別あるいは目的別にこの程度の削減額や率を示して各部の財政担当、予算編成担当に指示をするというのではなしに、あくまでもゼロベースで指示をしましたと、こういうことであります。  しかし、それぞれの部の予算編成担当者は、ゼロベースと言われても、どこをどう切っていいかわからない。今日まで絞って絞って絞り切ってきたこの経緯の中からすると、どこを切っていいのかわからないというのが現実であろうと思います。ですからこそ、県民に納得していただく上においても、知事はいつもお上手に言葉を選んで説明されますが、そんなに饒舌でなくてもいいわけですから、これはこうする、そして、そこは私が責任をとる、こういう姿勢があってこそ、それこそ知事の示すべき態度ではないかと思います。  その点について、もう一度御答弁を願います。人事委員会委員長の方はよろしいです。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)山田議員の再質問にお答えさせていただきます。  まず、財政力指数など、滋賀県は条件が島根県などと比べていいではないかということでございますが、財政力指数は、基準財政需要額、つまり、それぞれの行政での需要額を分母として基準財政収入額を分子としております。つまり需要を分母、収入を分子ということでございますので、滋賀県の場合には、税収が比較的高いということで収入額が多いがゆえに、この比率が0.5など、島根県が例えば0.2ですと、島根県などと比べて財政力指数は高くなっているわけでございます。言いかえましたら、自主財源の比率が高いということでございます。  しかし、自主財源の比率に応じて、実は地方交付税がその差額として出てまいりますので、実は税収と交付税を足して県民1人当たりで割ったときの歳入額というのは、決して滋賀県は高くございません。島根県あるいは沖縄県などとほぼ同じ、あるいは場合によっては低いという状態でございます。このようなところから、歳入に対して決して楽観できないという状態でございます。  それとあわせて、先ほどの標準財政規模に対する赤字額に見合うだけの基金が現在ないというような状態を御説明させていただいたわけでございます。  このような中で、どのように、まさにそれぞれの歳出削減をしていくかということでございますが、県民の皆さんの暮らしと命へのしわ寄せを極力回避するという大前提のもとに、それぞれの部局でゼロベースで見直しをしていただいておりまして、経常経費だけではなく、組織の見直し、あるいは抜本的なところまで含めて見直しを今指示しているところでございます。 ◆29番(山田尚夫君) (登壇)ゼロベースで新年度の予算は編成していくというお話でした。ですけれども、そうではなしに、ここの分野はこの程度、この補助金はこの程度であるとか、節別にしっかりと、それは知事として出すべきでしょうと、こういう質問をさせていただきました。その背景は、先ほど申し上げましたとおりですので、そこを説明願いたいと思います。  滋賀県の財政力、収入と需要の関係で説明があったわけですけれども、実際、財政力指数は0.5以上あるわけです。ということは、滋賀県の税基盤というのはしっかりしているということにつながるのではないかと、こう思うのです。確かに税収が伸びれば伸びるほど交付税の措置が減らされていく、交付金が下がっていくというのは、事実としてそれはあります。それは財政力があるからであります。ここは、今後も滋賀県として税基盤をしっかり整える。先ほどの福本議員の中にもありましたが、企業誘致等でしっかりと税の基盤を整えるということは大変必要なことだと思います。  しかし、何度も言いますが、島根県の0.2に比べて滋賀県が0.5、そういう中で、今にも財政再建団体に陥る可能性を何度も説かれています。ですから、こういうことは要するに、私は思いますが、必要以上に財政悪化の現状を述べて、そのことが、たくさん考えておられる公約が実行できないというふうに持っていっておられるのではないか。あるいはまた、この県財政の事情のせいで新幹線新駅についても、今後の滋賀県財政にもたらす影響を新幹線新駅をモデルケースとして際立たせるねらい、そんな思いが伝わってきますが、その辺はいかがでしょう。お尋ねします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)非常事態とも言うべき危機状況ということを過剰に流布しているのではないのかという御指摘でございますが、先ほどから申し上げておりますように、歳入歳出の見通しを立てました財源不足の額が400億円から460億円、平成20年度、21年度、22年度と見通しを立てております。これはかなりコンサバティブな形で出した数値でございまして、決して余裕があるわけではございません。そのような中で、先ほどから申し上げておりますような、基金が底をつきかけているという状態の中で、私は、県の財政の状態を包み隠さず皆さんに知っていただくことが責任者としての責務であるという自覚のもとに、非常事態とも言うべき危機的状況と説明をさせていただいたわけでございます。  このように言うことによって、マニフェストでの公約を実現できない言いわけにするのではないのかとの懸念でございますが、マニフェストの中には、まず第一に財政再建を公約の一つに掲げておりますので、財政再建という柱を大事に、そして、必要性を見きわめた財政運営、地域経営をさせていただくことにより、マニフェストでお約束した個別の政策については全力を挙げて実行に取り組ませていただきたいと考えております。 ◆29番(山田尚夫君) (登壇)いえ、そのゼロベースでの予算編成作業と、そして知事としての責任を果たすという意味で節別、目的別に、あるいはまた補助事業、事務事業、何でも結構ですが、大まかな額といいますか、幅というか、量というか、率というか、そこをしっかりと県民が納得できるような形で説明をして、その上で県の担当者が新年度予算の編成に当たって取り組みやすい、知事としてのメッセージをいただきたい、これについてどうなのかということをお尋ねしたので、答弁願います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)先ほどから繰り返し申し上げておりますように、県民の皆さんの暮らしと命に直接しわ寄せの行かないような形でのそれぞれの部局での対応、そのときには経常経費以外にも、施設の見直しなども含めた形でゼロベースで見直しをかけるようにとの指示を出させていただいたところでございます。個別の数値はその段階で申し上げるものではないと判断いたしておりました。 ◆29番(山田尚夫君) では終わります。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、29番山田尚夫君の質問を終了いたします。  次に、33番吉田清一君の発言を許します。 ◆33番(吉田清一君) (登壇、拍手)通告に従いまして、3つの質問をさせていただきます。  最初の2つは一括質問でお願いいたしたいと思います。  旅券事務──パスポートの市町村再委託についてお尋ねいたしたいと思います。  我が国は、産業のグローバル化の進展や観光立国を目指した政府の取り組みなど、急激な国際化の高まりの中で、日本人の海外への渡航者は年々ふえており、昨年、海外渡航者は史上2番目となる1,753万人に達しております。さらに今後も、団塊の世代の多くが定年を迎え、海外旅行に行かれる方も多くなると予想されることなどから、海外渡航人口はふえ続けるものと考えられます。  このような動きの中で、本県におけるパスポートの発給状況および手数料収入と人件費の関係はどのようになっているのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  一方、近年、地方自治体の行政基盤の強化や行政サービスの安定的供給などを目指して、市町村の合併、国、都道府県の権限や事務の市町村への移譲などの地方分権の取り組みが進められているところであります。そのような中で、国の事務として都道府県が実施している旅券発給事務についても、平成18年の旅券法の一部を改正する法律により市町村に再委託が可能となりました。佐賀県など11の都道府県では、既に市町村への再委託を始めているところもありますし、6都道府県で予定または検討していると聞いております。このような動きは全国的にも広がりを見せているものであります。  本県においては、現在のところ大津市と米原市の2カ所で県がパスポートの発給を行っておりますが、もし市町への再委託が実現しましたら、身近な市役所や役場でパスポートの受け付けや交付ができるようになったり、旅券の申請に必要な戸籍抄本を同じ場所で取得することが可能となるなど、地域住民の利便性がより一層高められることだろうと考えるものであります。もちろん市町への事務移譲は県の一方的であってはなりません。希望する市町に対してのみ行われることが望ましいと考えるものでございます。  そこで、このような全国的な流れの中で、県としては市町への旅券発給事務の再委託についてどのように考えておられるのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  2つ目、今、我が国では大きな農政転換が進められています。御承知のとおり、経営感覚にすぐれた農業経営者が中心となり、担い手を明確化した上で、その経営の安定を図るために品目横断的経営安定対策が導入されたところでございます。また、農地や農業用水などの資源を適切に保全する農地・水・環境保全向上対策、本県においては世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策として支援策が講じられており、地域ぐるみで環境の保全を重視した共同活動の取り組みが始まったところでございます。  しかしながら、きょうの京都新聞の社説にもありますように、農業、農村を取り巻く環境は大変厳しく、ここ10年で急激に変化をいたしましたし、担い手不足による農家数の減少、農家と非農家の混住化、農業従事者の高齢化、滋賀県の面積に匹敵する38万ヘクタールの耕作放棄地──耕作をしていない田畑でございますが、こういった問題がどんどん進んでおります。このことは、まさに地域あるいは集落が抱える構造的な問題と言えるのではないでしょうか。  県内におきましても、経営安定対策の対象となり得る認定農業者、特定農業団体などの担い手が育っていない地域がたくさんあります。また、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策につきましても、本県の取り組み面積の割合は全国でもトップレベルではありますものの、県内の半数近くの集落では、何らかの事由によって取り組むことができない状況にあると聞いております。  こういった国の新たな施策に乗ることができない、取り残された地域や集落において、だれが農地を耕作し守っていくのか、大変憂慮されます。現在では全国平均より少ない本県の耕作放棄地の発生も、今後、本県においても加速度的に増加するのではないかと懸念されます。このようなことになれば、これまで地域ぐるみで守られてきた用排水路や農道、農村の持つ地域資源の保全が困難となって、また、田んぼの持つ、貯水機能を初めとする多面的機能も失われ、地域自体が崩壊するのではないかと大変危惧されるところでございます。  そこで、担い手の確保、農村資源の保全の観点から、国の制度に乗れず、従来のままの零細農家の集まりである地域や集落が本県にどの程度あるのでございましょうか。農政水産部長にお尋ねいたします。  また、本県の農業、農村を将来にわたって持続的に発展させるためには、こういった地域や集落に対して、今後何らかの対策を講じていく必要があると考えられます。すぐには解決できない大変難しい問題であると私も認識いたしておりますが、長期的に見てどのような方向を目指すべきであるのか、農政水産部長の所見をお伺いして、以上、2つの質問を──もう一つありますが、後でやります。 ○議長(出原逸三君) 33番吉田清一君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)吉田議員の旅券事務の市町村再委託についての2点の質問にお答えいたします。  まず、1点目の本県における旅券発給状況についてでございますが、滋賀県における旅券発行件数は、平成18年は4万9,661件でございまして、前年に比べまして17.7%の大幅な増加となってございます。これは、景気回復に伴う海外旅行の人気の復活に加えまして、平成7年11月から導入されました有効期限が10年の旅券の切りかえ時期と重なったものと思われます。なお、本年8月末現在における有効旅券の所持件数は37万4,000件余りでございまして、県民4人に1人がパスポートを所持しているという状況でございます。  また、これらに伴います、旅券法に基づく事務手数料といたしましては、これは年度でいきますが、平成18年度は約1億円余りでございます。そのうち、旅券事務所に勤務する県職員の人件費は5,000万円余りとなってございます。旅券の発行件数は、暦年で答えさせていただいております。  次に、2点目の市町への旅券発給事務の再委託についてでございます。  旅券発給事務は、地方公共団体が国にかわって行う法定受託事務でございまして、旅券に係る申請受け付け、作成および交付事務、もしくは紛失等の届け出、そういったものをこちらの方で現在行っております。本県では、大津市におの浜のピアザ淡海に設置しております県のパスポートセンターにおいて旅券の申請受け付け、作成および交付事務などを行い、米原市の文化産業交流会館で置いております米原出張窓口におきましては、旅券の申請受け付けと交付事務を行っております。  平成16年の旅券法の改正によりまして、外務大臣が知事に法定委託をしている旅券発給事務の市町村への再委託が可能となりました。議員のおっしゃるとおりでございます。平成18年3月から施行されました。現在実施されておりますのは、もしくは一部実施ということで順次拡大を予定しているのは、1都1道9県の11都道県でございます。  そのうち、岡山県および広島県では、県内すべての市町村に再委託を実施しております。佐賀県におきましては一部実施をし、10月に全市町村で実施をする予定であると聞いています。いずれも旅券発給事務のうち、米原市で行っております申請受け付けおよび交付事務のみ再委託をしていると聞いております。このことから、他県のように旅券発給事務の申請受け付けと交付事務を市町に再委託したとしても、旅券の作成事務は引き続き県の方で処理しなければならないということになっております。  なお、再委託の実施に当たりましては、窓口の端末機器等の整備や旅券に係る受発送等のコストの増加ということが見込まれるほか、市町ごとの申請件数が異なることから、市町においても十分な検討が必要ではないかとも考えております。現在のところ、再委託の実施について市町からの具体的な要望はございませんけれども、県民の皆さんに対する行政サービスの向上の観点からも、先行事例を参考にして検討してまいりたいと考えております。 ◎農政水産部長(但馬甚一君) (登壇)農業、農村の持続的な発展に向けての御質問についてお答えいたします。  まず、国の新農政の施策対象にならない集落等が県内にどの程度あるのかとのお尋ねでございますが、現在、県内には約1,400余りの農業集落があり、担い手の確保という面では、品目横断的経営安定対策の対象となる認定農業者や特定農業団体などの担い手が集落にいない地域は約800集落あると見込まれております。  また、農村の資源保全という面で、「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」につきましては、これまでどおりの方法で、農村の資源を保全される集落や、集落の合意形成が不十分である、また、リーダーの不在という理由でやむを得ず取り組みを断念された集落は約600集落、また、県内の農振農用地面積から見ますと3分の1に相当する約1万9,000ヘクタールにおいて取り組まれない見込みとなっております。  次に、新農政の対象とならない集落等への対策についてでございますが、地域の崩壊が危惧されるという議員の御指摘につきましては、今後、本県農政を推進していく上での担い手の確保と農村の資源保全が重要な課題になると認識しているところでございます。このため、担い手の確保が困難と見込まれます集落につきましては、5年後、10年後の姿を見据え、集落内で幅広く議論をしていただきまして、認定農業者等への農地の集積や集落営農への組織化の可能性を引き続き検討いただくことが必要であり、県としても担い手育成総合支援協議会や普及活動等を通じて助言、指導をしていきたいと考えております。  さらに、こうした取り組みも難しい地域に対しましては、小規模な農家などの農作業をサポートする広域の受託組織により、営農活動が維持、継続されるよう支援してまいりたいと考えております。  一方、農村地域の資源保全という面では、耕作放棄地の発生といった問題を指摘されておりますが、この問題については、都市近郊、平地農村、山間地域といったそれぞれの地域の特性を踏まえた対応が必要であると考えております。例えば、生産条件の不利な山間地域等につきましては、既存の直接支払制度を活用し、継続的な農業生産活動の取り組みを支援するほか、豊かな自然や美しい景観を生かした農家民宿などの都市農村交流の推進を図ってまいりますとともに、住民の方々に住み続けていただくための総合的な対策を、他部局と連携しながら講じていく必要があると考えております。また、都市近郊地域については、その立地条件や人材を生かして、園芸を中心とした営農展開や、市民農園、体験農業等の取り組みを促進してまいりたいと考えております。  このたびの国の新農政の展開は、我が国農業の構造改革の加速化と体質強化に向けた大きな政策転換でありますことから、県といたしましても、確かな歩みとして、本県農業、農村の持続的な発展につなげることができるよう、農家の方々の御意見を聞きながら、市町や関係団体等と適切な役割分担と連携を図り、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)再質問はいたしませんけれども、今、両部長から答弁いただいた内容どおり、速やかに検討、実行、そしてまた、農政水産部長には、いろいろな方々の議論を重ねて、いい方向に持っていっていただきたいと、このように思っております。よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、平成13年10月9日、今から6年前、県立北大津高校の格技場で空手部員間で発生した暴行事件について、加害者の刑が確定、その後、民事調停、そしてまた民事裁判での損害賠償請求といった一連の流れの中で、教育委員会がその時その時の判断が正しかったのかどうか、検証も踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  そこで、教育長に、この事件ならびにその後の今日までの経過について説明を求めます。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)北大津高校の暴行事件の今日までの経過につきまして御説明をいたします。  本暴行事件は、平成13年10月9日に発生いたしました。北大津高校の空手部での放課後の練習中に起こった事件でございます。事件当日、担当顧問は出張用務のために不在となることから、あらかじめ空手部員に対して、組み手練習はしないことを初めとして、安全管理に必要な注意を促すなど指導をしておりましたが、部員である被害者1名に対して7名の部員が、K−1と称する格闘技ごっこを行い、次々と執拗に顔面、頭部、腹部等、殴る、けるの暴行を加え、急性硬膜下血腫を負わせ、被害者に身体障害などの後遺症を与えました。  平成14年5月1日に、被害者が申立人となり、北大津高校生7名とその親権者12名および滋賀県に対して、損害賠償として相当額の金額を支払うよう、民事調停の申し立てを行いました。第1回調停が平成14年6月17日に行われ、約3年にわたり調停回数10回を数えましたが、不調に終わりました。民事調停が不調に終わったのを受け、被害者は平成17年6月30日に原告となり、大津地方裁判所に、北大津高校生7名とその親権者12名および滋賀県を被告として損害賠償請求の提訴がされました。第1回口頭弁論が平成17年9月12日に行われ、平成18年12月12日が最終弁論となりました。
     そして、平成19年3月19日に判決がありました。その判決内容は、北大津高校の部活動等の管理体制には過失はないというものと、空手部顧問教諭には、部活動中の事故や事件に予見可能性があれば具体的な措置を講ずべき義務があるが、それを怠り、過失があるため、国家賠償法第1条第1項に基づき、県は連帯して損害賠償をすべきであるとの判決内容でありました。  この判決内容を慎重に検討して、平成19年4月2日に、総合的に判断して控訴しないことを決定いたしました。連帯責任者として、国家賠償法に基づき、原告に損害賠償金を支払うことから、平成19年5月12日に5月補正予算額1億6,783万8,000円の議決をいただきました。そして、平成19年5月16日に原告に対し損害賠償金を支払いました。その後、平成19年6月29日から7月上旬にかけて、県から加害生徒7名に対し、文書により損害賠償金の求償の意思確認を行い、その結果、求償に同意した者1名、不同意の者6名となり、合意した者については、既に県からの求償額は支払いを受けているところであります。  このため、平成19年9月18日に、県からの求償に応じない、当時の加害生徒6名に対する求償訴訟を本議会に提案したところでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)大変痛ましい事件が起こったわけでございます。こういった事件が二度と起こらないようにとだれもが思うところでございますが、今、教育長から経過を説明していただきました。もう少し詳しく経過に従ってお尋ね申し上げたいと思います。  まず、その事件の後、後遺障害が落ちついたときに、民事調停が都合10回行われたと。結果、不調に終わった。その調停の中で、何がかみ合わなかったのか。県はどのような主張をし、相手が、申立人の意見とどんな話の食い違いがあって、10回の調停が不調に終わったのか。そのところをもう少し具体的にお話しいただきたい。 ◎教育長(斎藤俊信君) 民事調停の不調の原因ということでございますが、民事調停に臨むに当たりまして、本県の考え方といたしまして、空手部顧問には暴行事件について予見し回避することは不可能であるという考えで、空手部顧問教諭に過失はないという方針を持って民事調停に臨んだところでございます。しかし、解決に向けて話し合いを継続していくということはお伝えをしておりました。その後、平成14年5月1日に調停の申し立てがございまして、第1回調停が平成14年6月17日に行われまして、その場で、調停で県から申し立て側に対しまして損害賠償の全体額を示す必要があるという旨をお伝えいたしました。調停では、当初、申立人の症状が安定することを待ちながら、治療費等の話し合いを続けていたところでございます。  その後、症状の安定が図られ、診断書等の種類が整ったことから、障害見舞金の3,000万円が独立行政法人であります日本スポーツ振興センターから申立人に支払われたところであります。  そして、症状の安定が図られたことから、申立人は最終的に損害賠償請求金額を1億5,800万円ということで算定いたしまして、平成17年2月14日に提示されたところでございます。その損害賠償請求金額の提示を受けまして、平成17年4月15日の第9回調停では、責任割合というものが議論されたわけでございますけれども、本県といたしましては、あくまでも予見可能性はなかった、過失責任はないとの従来からの主張を変更せず、また、明確な過失説明というものができないと支出ができないということを主張いたしました。  そして、平成17年6月17日に第10回調停が行われたわけでございますけれども、当方が主張しております責任の所在というもの、また補償の割合というものが明らかにならないという点、さまざまな問題が解決できなかったということから、第10回調停をもって打ち切りとなったということが、この民事調停の不調の原因、その理由、また、その経過ということでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)調停が不調に終わったという理由については、よくわかりました。  不調に終わったゆえに、被害者が原告、その親も含めてなのですが、いわゆる民事裁判に提訴される。その裁判中に県が主張したことと、調停中に主張してきたこと、これは多分一緒だと思うのですが、その辺、確認しておきたいと思います。 ◎教育長(斎藤俊信君) 責任の所在ということと、その割合というようなことにつきまして、同じ主張を伝えております。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)そして、大津地方裁判所の判決がことしの3月19日に出るのです。先ほど経過説明の中で、一番の争点は、顧問教諭にこの事件の予見可能性があるかないか。もしあるとしたならば、その義務に対して過失があるということだと理解するのですが、その調停中あるいは裁判中に県の主張してきたことが裁判で認められなかったということだと思うのです。認められなかったら、やはり控訴するべき話だと私は思うのですが、それを、学校長に対しては、先ほどおっしゃったように、学校の管理責任はないと。だから、学校長には責任はないのだという判決であったようです。しかし、その顧問に対しては、今申し上げましたような予見可能性があり、その義務違反だ、過失があったと。それを控訴断念をして受け入れられた。これは調停あるいは裁判中の意見と大きく違う点なのです、争点であったにもかかわらず。これはどうしてなのですか、控訴断念は。 ◎教育長(斎藤俊信君) 先ほど議員御指摘のとおり、予見可能性ということについて判断が下ったわけでございます。そのことにつきまして、この判決を受けまして、控訴期限が4月2日までということでございまして、弁護士等との協議を重ねまして、最終的に控訴を断念したということで、その理由といたしましては、この空手部顧問教諭に安全配慮義務違反があるというふうに判決されたということについては、不服ではございましたけれども、部活動中の事故や事件に予見可能性に対する、そういった判決というものを重く受けとめまして、検討しました。そして、その専門家とも相談、検討を重ねまして、平成13年10月という、事故発生以来大変長い年数がたっておりましただけに、控訴をしても、当時の供述内容等を関係者の方々によって覆されるというようなことは極めて難しいということ、また、顧問教諭を雇用する県としての法的責任は免れないものと判断いたしまして、控訴を断念したものでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)今の答弁はなかなか理解しがたいものなのです。今までずっと主張してきたことを覆されたということなのです。行われた民事裁判は、暴行を受けた生徒と親が原告となって、滋賀県、また、暴行した生徒ら、その親が被告となり、本件発生について、顧問教諭に立ち会い、指導上の注意義務違反があるなどを主張して、国家賠償法第1条第1項に基づき、それぞれ請求した事案であるというわけです。  顧問教諭には責任はないと主張されてきたわけですね、調停あるいは裁判中も。しかし、控訴を断念して、大津地方裁判所のその判決を受け入れたということは、顧問教諭に、裁判長の判決どおり責任があるということをお認めになったわけですね。その辺をちょっと確認したいと思います。 ◎教育長(斎藤俊信君) 過失責任があるという判決を重く受けとめて判断したということでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)過失責任があるという判決を重く受けとめたという話と、その判決が顧問教諭に過失があったのだというのとは、また別の話なのです。その重大というのは、判決が重大なのか、過失があるということが重大なのか、どちらが重大だと受けとめられたのですか。 ◎教育長(斎藤俊信君) 両方でございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)そんなことでございますのであれなのですが、今まで県がずっとこの顧問教諭に責任はないのだと、調停中、裁判中に主張されてきたわけです。判決結果を控訴断念して受け入れた。その過失責任があるということを認め、重く受けとめられた。こういうことなのですね。では、この顧問教諭に対して何らかの処罰が、教育委員会として必要ではないかと考えるわけです。  しかし、控訴断念したのはことしの4月2日なのです。この顧問教諭は2日前の3月31日に自己退職しているのです、まだ教員としての定年を何年か残して。ここに、何かもう少し明らかにしなければならない点があるのではないかと思われるわけですが、いかがですか。 ◎教育長(斎藤俊信君) この判決に対する控訴の期限というものが4月2日ということで、最後の控訴期限がございました。その4月2日ぎりぎりまで検討を重ねていまして、最終結論として断念したということでございまして、その時点で当該教諭はみずから、道義的責任を重く受けとめまして、判決が下る前に退職を決意いたしまして、本年3月末で依願退職をしたということでございます。退職したということでございますので、処分というようなことについてはできないということでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)この判決を重く受けとめ、そしてまた、その顧問教諭もみずからの過失責任を感じ、自己都合で退職したということなのです。しかし、ここに、私から見ると、あるいは私らから見ると、教育委員会あるいは学校の先生の本当の責任のとり方というものに大いに疑問を感じるわけなのです。  県下中学校、高校にはたくさんのこういう顧問の先生が一生懸命熱心に指導をされているわけです。しかし、これは過失であって、もちろん責任なのですけれども、故意の事件ではないのです。しかし、私は、この先生が、あと少し定年退職まで任期を残して、そして、こういう事件が起こったけれども、県下の中学校、高校の顧問の先生方の見本となるような顧問像を、やはり定年までの数年の間に見せるべきであった。と同時に、教育委員会も、やはり退職を控えさせて、もう少し頑張れと言うべきではなかったのか。  何か推測や邪推がしたくなるような、こそこそとこの事件から逃げていったこの教諭。私は面識も何もありませんけれども、そういう教育委員会としての、あるいは一人の先生としての責任のとり方もあったのではないかと思っているのですが、教育長、どうですか。 ◎教育長(斎藤俊信君) 空手部顧問の先生が、その判決について非常に重く受けとめた。従来から我々としては、顧問の先生に過失責任はない、十分に、組み手練習のようなことは顧問不在のときにはやらないようにと。筋力トレーニングとかランニング練習をというようなことで申しておりましたので、まさかそういった暴行事件が起こるということは想定できなかったわけでございます。しかしながら、最終的に判決がああいう形で出たということについて、本人の気持ちとして非常にそれを重く受けとめて、みずから職を辞したということでございますので、私どもとしては、その本人の気持ちということを尊重いたしまして、退職をされたということでございますので、あえて退職を思いとどまらせる、また、違った形で模範を示せよというようなことは申し上げなかったわけでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)最後にしておきますが、この国家賠償法というのは、調べますと、職員に故意または重大な過失があったときは、県は職員に求償権──損害賠償を求めることができるとあるのです、故意または重大な過失があった場合には。今回、この顧問教諭に対しては、過失は重大であったものとは考えられないと。もちろん故意ではないのですが、重大な過失ではないというふうに、この国家賠償法でいう職員に求償権を放棄するということなのです。これはどこで決められたのですか。求償権の放棄はどういう会議でだれが決めたのですか。 ◎教育長(斎藤俊信君) この判断につきましては、専門家の弁護士と検討させていただきまして、この国家賠償法に基づきまして、重大な過失──故意ということは全くございませんので、その重大な過失の解釈でございますけれども、重大な過失というのは、一般人に要求される注意義務を著しく欠くこととされておりまして、ほとんど故意に近い、著しい注意欠如の状態を指すという判例もあるということで、この判断につきましては、専門家のそういった意見というものも踏まえまして、最終的に知事が断念という最終決断をされたわけでございます。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)その求償権を放棄するというのは、専門家の意見。専門家は何人でしたか。名前を言えますか。もしよろしかったら言っていただきたい。 ◎教育長(斎藤俊信君) 名前は、弁護士でございますけれども、我々の顧問弁護士でございます。(「1人」)はい。 ◆33番(吉田清一君) (登壇)ハッカを食べたような、すかっとした気持ちにはなりませんけれども、きょうはこんなところにしておきたいと思いますが、二度とこういう事件が起こらないというのが一番大事なことでございますので、また教育委員会、力を込めて一生懸命指導に当たっていただきたいと思います。  終わります。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、33番吉田清一君の質問を終了いたします。  次に、23番粉川清美さんの発言を許します。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇、拍手)通告をいたしております5項目について質問をさせていただきます。  1項目めは、団塊世代が大量に定年退職する2007年問題について、お伺いいたします。  戦後日本の成長を支えてきた団塊の世代が大量に定年退職を迎える、いわゆる2007年問題は、社会的にもさまざまな問題をはらんでいることが指摘されています。そこで、県行政を進める上で、この2007年問題に関して、例えば退職金の支出による県財政への圧迫、熟練者の大量退職によって予想される行政能力や県民サービスの低下等々が危惧されますが、それらについての見通しや対策について、以下、お尋ねいたします。  まず、滋賀県行政の取り組みについて、総務部長にお尋ねします。  今年度からピークと言われる2017年の10年間の退職予定者の見込み数と、年度別退職手当予定額、また、各年度の予算の確保について、どのような措置を考えておられるのか、お尋ねします。  大量退職による新旧人材入れかえなど、人材確保対策について、そしてまた、大量の人材入れかえは、県行政の適正な執行、県民サービスの低下などが心配されますが、人材育成対策の取り組みについて、県行政、県民サービスに断層を生じさせないための具体的方策と取り組みについてお伺いいたします。  次に、警察本部長にお尋ねします。  特に県民生活に重要な役割を担っておられる県警当局は、県民の治安上の安全、安心に直接つながる機関として、この2007年問題を真剣にとらえていただいているものと思います。新聞報道によりますと、県警では、今後10年間で約1,000人が退職され、2017年までに県下の警察官の約半数が入れかわるとされ、特にこの過渡に当たり、警察力の維持、治安の維持向上対策、例えば、長年培われてきた捜査能力の伝承や逮捕など科訓練、一般教養、健康管理等々、警察官としての後継者育成にさまざま取り組みを実施されており、若手育成のためのプログラムの制定を打ち出された警察本部、これを受けての第一線警察署の積極的な2007年問題への取り組みを評価させていただくとともに、県内の治安の向上を願い、県民の安全、安心を守る一人として、大変力強く感じております。そこで、改めて人材育成についての取り組みの実態と成果をお尋ねします。  また、予算措置については、どのような配慮がされているのか、それぞれの署で工夫されているようですが、県民の安全、安心のための取り組みに対する今後の予算措置について、どのように考えていかれるのか、お尋ねします。  次に、子供たちの健やかな成長のために最も重要な教育現場の先生の人材育成について、教育長にお尋ねします。  退職者の増加や県独自の少人数学級の拡充のために、小学校教員が不足し、ことしの教員採用は採用の倍率が他都市と比較して特に低い状況となり、人材難が新聞などでも報じられていますが、教育現場の人材確保対策と新人教諭の育成、ベテランから若手への教育力の伝承などの取り組みについてお伺いします。  また、全国で指導力不足と認定された教員の数が、2004年をピークに2年連続で減少したと報じられていますが、滋賀県教育委員会の指導力不足の定義と判定基準、審査委員会の構成員について、そして、滋賀県の指導力不足教員の状況についてお聞きします。  次に、団塊の世代の人材活用について、教育長にお尋ねします。  文部科学省は、企業を退職した団塊の世代の人材を教育分野で活用するため、教育サポーターの資格を来年度に創設する方針と聞いています。一定の研修を経て学校での指導法などを学んだ人をサポーターに認定するものです。能力などにお墨つきを与えることで、意欲があり、すぐれた知識や技術を持つ人が教育現場で活躍するチャンスを広げるのがねらいです。と同時に、成長過程にある子供たちにとっても、社会経験が豊かな人とかかわり合いを持つことは、好影響を与えると考えられております。  海外経験者は語学、情報技術はパソコン指導、スポーツ、弁護士、農業や料理、舞踊や音楽など芸術をサポートするなどの資格を認定するため、資格認定の基準づくりや研修プログラムの開発が今検討されているということです。国の動向に先駆け、既に大阪市や名古屋市ではサポーター制度を導入されております。団塊の世代の人材を生かす教育サポーター制度の早期導入と、制度が生かせる環境づくりに、滋賀県においても積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。 ○議長(出原逸三君) 23番粉川清美さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)粉川議員の団塊の世代が大量に定年退職する2007年問題についての3点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の今後10年間の退職予定者、退職手当予定額の見込みと各年度の予算の確保についてでございますが、今後の退職者の見込み数は、県全体の定年退職者が、今年度から平成24年度までは約350人から約400人で推移し、その後も徐々に増加し、平成29年度には約550人でピークを迎えることとなります。  また、定年退職者と一定見込まれます定年前退職者を合わせた退職手当の見込みは、平成24年度までは約150億円前後で推移すると見込んでおり、それ以降、徐々に増加し、ピークとなる平成29年度には約180億円に達すると見込んでおります。  次に、これらに対する予算の確保でありますが、今後の人員削減などにより生み出される一般財源を償還財源とすることを条件とした退職手当債の活用も視野に入れながら、必要な予算を確保してまいりたいと考えております。  2点目の大量退職による人材確保対策についてでございますが、一般行政部門では、今後5年間に600名を超える職員が定年を迎えることとなります。同時に、非常に厳しい財政状況のもと、事務事業の見直しや組織、機構の見直しなどにより定数削減を図るなど、適正な定数管理をしていく必要があります。  こういった中において、新規学卒者に加え、民間企業などで勤務経験のある人材や、即戦力となり得る人材など、幅広く優秀な職員を確保し、少数精鋭の効率的な体制づくりを進めるため、本年度から大卒相当の採用試験の上限年齢を6歳引き上げ、34歳としたところでございます。  3点目の大量退職により県行政、県民サービスに断層を生じさせないための人材育成の具体的方策と取り組みについてでありますが、団塊の世代の職員の退職は組織にとって非常に大きな変化でありまして、これまで組織に蓄積されてきた専門的知識、ノウハウ、人脈などが途切れてしまうのではないか、また、円滑な組織運営が維持できるのかといったことが懸念されるところであります。  こうしたことから、知事部局では、さまざまな職種の職員が多様な職務を遂行している実態を踏まえ、まずは、それぞれの職場における実務を通じた研修により、中堅および若手職員の養成を図ることが大切であります。このため、政策研修センターにおいて、グループリーダーなどの中堅職員を対象とした研修を実施し、みずからの役割や責任を自覚し、みずから考え、行動できる自律型人材を目指して育成を行うとともに、この研修を受けた職員が、実務を通して若手職員の育成を図るということにしております。  また、県行政の安定性や継続性を確保するため、定年退職した職員のうち、意欲や能力などがある職員を一定期間再任用できる制度も活用しながら、知識やノウハウなどの伝承を図り、県行政機能や県民サービスの低下を極力生じさせないよう努力してまいりたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)学校現場の人材確保対策についてお答えいたします。  昨年度、特に小学校教員の定年前退職が多かったことなどによりまして、来年度の採用予定数をふやしたところでございます。このため、一定の志願者倍率による選考のもとで優秀な教員を確保するためにも、相当数の受験者を確保する必要がありますことから、募集要項の発表時期や出願の受け付け開始時期を早めたり、県内はもとより、他府県の教員養成の大学に出向いて採用説明会を開催し、滋賀県の教育のよさをPRするなど、受験者の確保に努めてまいりました。  さらに、優秀な人材をできるだけ幅広く確保し、即戦力として活躍願うため、教諭経験のある人の受験年齢の上限を45歳まで引き上げますとともに、他府県で3年以上教諭として活躍しておられる方には、採用選考試験の一部を免除するなど、多様な人材確保に努めているところでございます。  また、優秀な人材を確保していくためにも、本年度より、大学生や大学院生を対象とした「滋賀の教師塾」を開設し、実践的指導力や教師観を身につけるための多様なプログラムを用意し、人材の育成に努めることとしております。  次に、新任教員の育成につきましては、採用後の1年間を通して総合教育センターなどでの校外や校内において教育の今日的課題、教科指導、生徒指導や学級経営、教員の服務などのさまざまな研修を実施し、教師としての幅広い知見や実践的指導力を養い、教育力の向上に取り組んでいるところでございます。  また、多くの経験者が退職していく中にあっては、ベテランから若手教員への教育力の伝承は特に重要な課題であり、そのためにも、各学校における校長、教頭の指導や先輩教師による助言等のOJTも極めて重要なものと位置づけられますことから、各現場では、校長のリーダーシップのもと、日ごろから学習指導や生徒指導、学級経営など、さまざまな課題への対応力を高めるための人材育成に力を注いでいるところでございます。  次に、指導力不足教員に関しての4点の御質問にお答えいたします。  県教育委員会では、平成14年度から要綱を定め、効果的な授業や学級経営に課題があり、児童生徒への指導等を適切に行うことができない教員に関する対応を図ってまいりました。  そこで、1点目の指導力不足の定義についてでございますが、教員としての専門性にかかわって課題を有し、児童生徒を適切に指導できない教員で、総合教育センターでの校外研修を必要とする教員を指導力不足教員と位置づけております。  次に、判定基準についてでございますが、教員としての専門性を学習指導、生徒指導、学級経営、こうした3つの観点から判断し、指導力に課題を有すると思われる教員について、それぞれの県立学校長や市町教育長からの報告に基づき、指導力に課題を有する教員に関する審査委員会に諮問することとしております。  3点目の指導力に課題を有する教員に関する審査委員会につきましては、教育、医療、法律に関し学識経験を有する者、そのほか、教育長が適当と認める者7名で構成しております。  次に、4点目の本県の指導力不足教員の状況でありますが、平成14年度以降、本年度までに16名が総合教育センターでの研修を受講し、そのうち5名が現場に復帰しております。  次に、教育サポーター制度の導入についての御質問にお答えいたします。  教育サポーター制度は、現時点におきまして文部科学省の概算要求段階の制度と承知しており、高齢者や団塊世代がこれまで職業や学習を通じて培った経験を生かして、学校や地域社会などのさまざまな分野で活躍していただきやすくする仕組みを整えるというものが目的とされております。  本県におきましては、豊富な知識と経験を持たれております団塊世代の皆さんはもとより、地域の多様な人々が学校で子供たちの教育に携わることによって、教育力の向上や地域づくりにつながるとともに、子供たちの学びをより高める効果が期待できますことから、本年度より学校支援ディレクターを1名配置いたしまして、地域の力を学校へつなげる推進事業の強化に取り組んでいるところでございます。  今後とも、県といたしましては、国における議論を踏まえながら、団塊の世代を含め、地域の方々がそれぞれお持ちの経験、知識、技術などを生かして、さまざまな教育の場面で力を発揮していただけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(安森智司君) (登壇)県警察における2007年問題への対応、人材育成への取り組みについてお答えいたします。  2007年問題につきましては、議員御指摘のとおり、県警察も大量退職・大量採用を迎え、今後約10年間で約半数に当たる約1,100人の警察官が入れかわる見通しであります。特に警察は、犯人の逮捕、捜索等の強制力を伴う機関であり、大量退職によって、その執行力が低下することは、県民生活の安全、安心を守る警察活動に支障を来すことから、警察といたしましては、現在、精強な第一線警察構築のための総合プランを制定し、特に優秀な人材確保対策と、若手警察官の執行力向上のための育成を主な柱として対策を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、優秀な人材の確保に向けた積極的な取り組みについてでありますが、民間企業等の雇用回復基調や就職適齢人口の減少等の要因が重なり、警察官の採用情勢は年々厳しさを増しておりますが、より多くの応募者を確保するため、インターネットを初めとする各種広報媒体の活用や、受験説明会の開催、大学訪問の実施、民間が主催する合同企業説明会への積極的参加等により募集活動の強化に努めているところであります。  また、採用試験の内容につきましても、平成17年度から体力試験や口述試験を重視する内容に大幅に改善するとともに、平成19年度からは、これまでの採用区分に加え、ポルトガル語と中国語についての採用区分を新たに設け、現場の実態に即した人材確保に向けた取り組みを進めております。  次に、若手警察官の職務執行力向上に向けた取り組みについてでございます。高度な知識、技能を有するベテラン警察官が大量に職場を去っている現状の中で、これら警察官が有する知識、技能を若手警察官に伝承することは極めて重要であることから、平成18年8月に伝承教養員制度を導入して、優秀なベテラン警察官を伝承教養員に指定し、日常業務を通じて若手警察官に対する知識、技能の伝承をしております。  また、実践的総合訓練を各警察署で強力に推進させております。これは、具体的な事件を想定したロールプレイング方式でありますが、若手警察官が、想定事例に基づき、職務質問から任意動向、取り調べ、捜索、逮捕に至るまでの一連の流れを体験しながら、措置要領に早期に習熟することをねらいとしております。若手警察官も積極的に参加し、執行力向上に努めているところでございます。  次に、これら人材育成に関する予算措置についてでありますが、採用については、試験実施経費や募集広報等について一定の予算を措置していただいておりますが、育成につきましては、現場で使用している資機材等を有効活用した訓練が中心でありますので、現時点では特段の予算措置は必要と考えておりません。  県警といたしましては、県民生活の安全、安心を確保するため、大量退職、大量採用の時期にあっても、治安維持にいささかも間隙の生じることのないよう、取り組みを強化、継続してまいりたいと考えております。 ◆23番(粉川清美さん)(登壇)教育長に1点だけ再質問をさせていただきます。教育サポーター制度の中で、人材育成ということです。  知事はかねがね、人の力を生かさないともったいないということを述べられております。学習支援ディレクター制度等を本年度から採用されて、精力的に取り組んでいただいていることは大変評価するところでございますが、人材を認証していくことが大切ではないかと考えております。人材バンクやサポーターの認証などを活用した具体的な取り組みを進めるべきではないかとも考えておりますが、再度、よろしくお願いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 認証制度といいますと、ある一定の研修をして、その研修の結果とか、それを認証するというのは新たな制度として設ける必要があるということでございます。私どもは、さまざまな機会に研修の講座というようなことを提供するということにつきましては、たくさんのプログラムを用意して受けていただく。それを受けていただくということでもって、受けていただいたさまざまな成果というものをいろいろな形で地域での還元、また、学校教育に力をいただくとか、そういったことで力をいただきたいということでありまして、別の機関でそれを認証するというような形では今考えていないところでございますけれども、例えば何かの証明をするということになりますと、それなりのシステムを構築するというようなことで、またいろいろな形での制度を設けるというような形になりますので、その辺のところはあくまでも生涯学習の中で皆さんが勉強していただき、その成果を生かしていただくというような形で当面は取り組んでいきたいと思っております。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)2項目めのがん対策の取り組みについて、健康福祉部長にお尋ねします。  私ごとで恐縮ではございますが、今は亡き母が、乳がんで治療を受けていたとき、転移を心配して、骨のレントゲンを撮影したことがございました。レントゲン技師が本人に、影が見える、背骨に転移しているかもしれないと伝えました。ショックで、どのようにして部屋まで帰ったかわからないほど落ち込む母を、万が一のときは人工骨移植という方法もあることなど、励ましましたが、母の悲しそうな、悔しそうな顔は今でも脳裏に焼きついております。結果、転移はなかったのですが、知識のない技師、軽率で患者の気持ちがわからない技師、病院関係者によって患者は傷つくことを知っていただきたいと思います。  知識や技術向上はもちろんのこと、当たり前のことですが、常に患者側に立った対応をするよう、関係者全員の人間性を深めていただきたいことを切に願っております。また、県のがん登録の実施など先進的な取り組みに敬意を表するとともに、今後も、がん対策に熱心に取り組んでいただくことを期待するものでございます。  御承知のとおり、がん対策基本法がことし4月に施行されたのに続き、6月には国のがん対策推進基本計画が発表されました。そこで、国の基本計画にのっとり各種施策が着実に実行され、死亡率減少などの目標が達成されることが求められていますが、その推進のかぎを握るのが県がん対策推進計画を策定する滋賀県であり、一日も早く県の基本計画をつくり上げ、がんを防ぎ、がん治療の選択肢を広げ、がんで痛み苦しむ人を救うことが極めて重要であるとの思いから、その対応についてお伺いします。  県のがん対策推進計画の策定について、平成19年2月議会の答弁で、計画策定を平成20年度としていますが、国のがん対策基本計画の中では、平成19年度中に策定することが望まれるとあります。県では、計画策定の協議会がいまだ設置されていない状況でありますが、今回の国の方針やがん撲滅に対する県民の思いからも、一日も早く策定する必要があると考えますが、見解と今後の対応について伺います。  また、県がん対策推進計画の策定に当たって、がん患者や家族の声を取り入れたものにする必要があります。国の協議会には、メンバー18人のうち、患者や家族、遺族の代表が4人も入っていらっしゃいました。現場の生の声を計画に生かすことは大変重要だと思います。県も2月議会でがん患者などの意見を反映すると答弁されていますが、その後の状況についてお尋ねします。  次に、治療の初期段階からの緩和ケアの実施に関して、国では各都道府県における緩和ケア指導者の育成を目的に研修会を開催することとし、また、その指導者が地元に帰って、がん医療に携わる医師の研修を行うことになり、5年以内にがん医療に携わる約10万人の医師に緩和研修を実施するとしています。指導者向けの研修会に県がん診療連携拠点病院の医師を派遣することについて、また、研修会の受講者を講師として、がん診療を行っている一般の医師を対象とした緩和ケアの研修会を行わなければなりませんが、通常業務で忙しい医師の状況の中、どの程度、また、どのように開催していくこととしているのか、計画的な緩和ケアの研修の企画、実施についてお尋ねします。  次に、がん検診についてです。  がん検診の実施主体は市町ではありますが、県は、がん検診の制度管理、事業評価にどのように取り組んでおられるのか、現状と今後の取り組みについてお伺いします。  また、国の計画で示された、がん検診の受診率を5年後に50%を達成するため、県内がん検診の現状と、その課題、そして、県から市町への支援策など、今後の取り組みについてお伺いします。  次に、在宅医療についてですが、がんの療養生活が長引くと、患者本人は家に帰りたいと希望しますし、家族もその希望をかなえてあげたい、まして、余命が告げられた場合など、その思いはより強くなります。しかし、その希望をかなえるには大変難しいのが現状です。住みなれた家で自分らしい人生を全うするという国民の希望をかなえるため、国は在宅医療の推進を掲げ、24時間の往診、在宅支援診療所制度が創設され、また、ことし5月には在宅医療推進会議を設立し、在宅医療整備の体制が動き出したと聞いていますが、現状での在宅支援はどのようになっていますか。  また、介護保険の改正で、末期がんがその対象に認定されましたが、がん患者の在宅医療に生かされているかなど、調査をされていないようですが、問題点、課題を調査、分析して、がん対策の取り組みに生かすことが重要で、そのためにも調査し、状況を把握する必要があると考えますが、今後の取り組みについて、また、患者や家族の立場に立った、がん対策の充実に取り組むべきと考えますが、がん患者の在宅医療の現状と課題についてお尋ねします。  今、日本では、2人に1人ががんになりますが、がんは不治の病ではなく、半分以上が治る時代です。また、検診により早期発見、早期治療が可能になります。しかし、現状は、がんになって初めてがんを知り、動揺する。これらのことから、基礎的ながん教育を子供のころから実施することが重要と考えます。教育の中で、がんはどういう病気なのか、食生活と禁煙、適度な運動、早期発見が大切、検診は受けないと損をするなど、国民の意識の高まりと、その受け皿としての予防、検診、相談、治療体制を国や自治体が整備する、両輪で進めることが大切だと思っておりますが、見解をお伺いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)がん対策につきましての5点の御質問にお答え申し上げます。
     まず、1点目のがん対策推進計画の策定についてでございますが、6月の国のがん対策基本計画の閣議決定を受けまして、本県もできるだけ早く策定できますよう、現在、病院や診療所、訪問看護ステーションにおきます、がん医療および在宅ケアの実施状況等につきまして調査を行っておりまして、準備を進めている段階でございます。  また、計画の策定過程におきましては、がん患者の皆さんおよび家族の方々の意見が反映できますよう、当事者の参画も得ながら検討してまいりたいと考えております。  2点目の緩和ケアの実施についてでございますが、がん患者とその家族が質の高い療養生活を送られるためには、緩和ケアが治療の初期段階から在宅医療まで、さまざまな場面で切れ目なく実施される必要がございます。このため、緩和ケアの推進が図られますよう、緩和ケアを提供できる人材を育成することがまず重要であると考えておりますことから、国立がんセンターにおける研修会に、指導的立場におられます3名の医師を推薦して、受講をいただくこととしているところでございます。  その上で、この3名の医師の受講修了をまちまして、県内のがん医療に携わられております医師等に広く伝えられますよう、研修の実施等について支援をしてまいりたいと考えております。  3点目のがん検診についてでございますが、制度管理につきましては、検診機関ごとに、がん発見率を比較し、適正な検診が実施できるよう指導しておりまして、また、事業評価につきましては、がん検診の追跡調査を行うことにより、市町が行いますがん検診が適切に企画され、実施されているかといった点を評価しているところでございます。  今後とも、制度管理および事業評価を継続して実施し、がん検診の質の一層の向上を目指してまいりたいと考えております。  本県のがん検診の受診率でございますが、平成17年度の状況で申し上げますと、胃がんが6.3%、大腸がん13.7%、子宮がん13.7%、乳がん15.5%となっております。しかしながら、全国平均から比較してまいりますと、いずれの値も平均を下回っている状況にございます。また、国の目標となっております50%から離れている状況でございますが、調査いたしました県の受診率には、職場や人間ドックなどで受診されている方々の状況につきましては反映されておりませんので、そういった事情もあることを御承知おきいただければと思っております。  県といたしましても、検診の実施率をいかに引き上げるかが課題であると認識しておりまして、このため、県民の皆さんができるだけ多く受診していただけますよう、検診の有効性について、パンフレットの作成や講演会の開催などを通しまして、さらにまた啓発を進めていきたいと考えております。  また、検診の実施主体であります市町への支援につきましては、がん検診に携わられる市町職員はもとより、検診機関職員を対象とした研修を行うことによりまして、がん検診が効果的に実施されますよう支援を引き続き行ってまいります。  4点目の在宅医療についてでございます。  平成17年度の本県におけるがん患者の死亡者のうち、自宅で亡くなる人の割合につきましては5.6%にとどまっております。在宅医療を希望しながらも、家族の介護に係る負担や急変時の不安等から、在宅での療養が難しいとの実態があり、多くが病院で終末を迎えられている状況と認識いたしております。  こうした中、痛みの緩和など、がん特有の症状をうまくコントロールすることができれば在宅医療は可能であると考えられておりまして、現在、55カ所の在宅療養支援診療所がありますが、その一部の診療所で、がん患者に対する在宅医療が行われていると聞いているところでございます。  こうした中、県におきましては、在宅医療をそれぞれの地域で可能といたしますために、まず、平成16年度から3年間、湖北地域振興局の管内におきまして、在宅医療を推進するためのモデル事業を実施してきたところでございます。さらに、今年度から、特にがん末期患者の在宅支援に向けまして、24時間在宅支援を可能とする在宅ホスピスケア推進事業を、草津保健所および東近江保健所の2カ所において取り組みを進めているところでございます。このモデル事業におきましては、自宅療養を希望されるがん患者の方に対しまして、病院の医師、かかりつけの医師、訪問看護師、薬剤師、介護支援専門員などの関係者が一堂に会して、退院後の療養生活を支えるための話し合いを持ちながら、退院後はかかりつけ医が定期的に診察に、また、訪問看護ステーションからは訪問看護師が必要な看護の提供を行っていく事業となっております。  また、病状悪化に伴います再入院をスムーズに行うとともに、家族の負担の軽減や安らかな死への援助を行ってまいります。  さらには、こうした取り組みを実現いたしますため、在宅療養における支援のための、医師、看護師に対する技術研修、地域住民に対して、在宅で死を迎えることの啓発等も行ってまいります。  今後は、これらモデル事業による成果を積み重ね、県下全域に在宅ホスピスケアを普及、拡大してまいりたいと考えているところでございます。  なお、がん患者が終末にどのような介護サービスを利用して療養しておられるかとの実態についてのお尋ねでございますが、訪問看護ステーションにおきましては、介護保険を利用して在宅の末期がん患者の生活が向上している、そういった例があるということをお聞きしているところでございます。また、昨年の末に、がんに関係するすべての病院、診療所、訪問看護ステーションを対象に緩和ケアの提供や医療の連携などについてのアンケート調査を実施しておりまして、この調査結果をもとに、今後のがん対策推進計画の策定に反映していきたいと考えております。  5点目のがんについての子供のころからの理解についてでございますが、がんの予防のためには、がんにならない生活習慣を子供のころから身につけることが大切でありますことから、規則正しい食生活や減塩などの食育、防煙などの啓発を推進しているところでございます。また、特に増加傾向にあります乳がんや若い世代にふえている子宮がんについて、がんの説明やがん検診の重要性を訴えるなどの啓発を行っているところでございます。今後におきましても、がん対策を実効のあるものといたしますために、市町、医療機関、関係団体等との連携を図りまして啓発や体制の整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)3項目めの救急医療体制についてお伺いします。  まず、医療体制についてです。  代表質問でも取り上げられておりましたが、奈良県の、昨年8月の妊婦死亡事件、ことし8月の妊婦たらい回し、また、死産事件の医療の2件の事故を受けて、県民、特に妊産婦の方から、滋賀県で何かあったときに安心できる体制が組まれているのか、また、そのシステムがしっかり運用されているのかなど不安の声が寄せられています。そこで、県民の声に基づき、健康福祉部長にお尋ねします。簡明にわかりやすくお答えをお願いいたします。  滋賀県において奈良県のような、妊婦が受け入れ先を断られて搬送先に困った、また、最悪な状況を招いてしまったような事例はありますでしょうか。  例えば、妊産婦が救急の場合は、どのようにして搬送先を決定するのですか。妊産婦の救急搬送システムについて。  また、搬送先を探すかかりつけ医や救急隊員、市町の消防情報センターでは、インターネット上の病院の空きベッドや受け入れ可能などの情報は、時間的に情報のずれがあると思いますが、このような現実にどう対応されているでしょうか。  また、ことし8月の奈良の妊婦のように、かかりつけ医がいないときには、妊婦の状況など、救急隊員と病院の医師の疎通がうまく図れなかったことも問題を大きくした一因とされていますが、かかりつけ医がいない場合、また、かかりつけ医がいても、土日、深夜など、連絡がとれない場合でも救急隊員に的確な指示が出せるように、24時間体制の電話相談窓口を置くなど、母子の命を救うための緊急体制システムで対応するべきと考えますが、見解をお伺いします。  次に、妊婦の救急搬送の広域連携についてです。  2府7県の広域連携で対応されることは心強く、滋賀県でも一日も早く拠点病院を決めて、システムが開始されることを願っています。その場合、例えば緊急を要する場合に、道路の渋滞、災害時など、ドクターヘリが有効と考えます。大阪府では来年1月からドクターヘリを導入する計画で、奈良県もこれに参加する方向と聞いていますが、救急医療の広域連携の中で、滋賀県もこの大阪府のドクターヘリの導入に参加することについての見解をお伺いします。  次に、乳児の死亡率についてです。  乳児死亡率は地域の健康度を示すバロメーターと言われていますが、滋賀県の新生児、乳児の死亡率が高く、憂慮すべき事態が続いていることがマスコミ等で話題になった同じ時期、NHKのテレビ番組で、乳児死亡率ワースト1位から、日本で初めて乳児死亡率ゼロの金字塔を打ち立てた岩手県沢内村の深沢村長の取り組みが紹介されておりました。昭和30年の沢内村の乳児死亡率は、1,000人生まれたら69人死亡といった高い状況で全国一、最悪の状況。生命尊厳は政治の基本だ、住民の命を守るために私は命をかけようと村長が立ち上がり、命を守るために、例えば乳幼児医療費を村の10割負担、当時は国民健康保険法によってこの方法は違反だということでございましたが、果敢な政策を次々と実行に移していかれました。この結果、昭和37年に全国で初めて乳児死亡率ゼロを達成し、それがほぼ定着していったというものでした。  人口や社会情勢など全く違う中で単純に比較はできませんが、子供の命を守る政策は、このような命を守るための政治のリーダーの強い決意で取り組んでいただきたいことを知事に求めるものですが、御所見をお伺いいたします。  以下、健康福祉部長に伺います。  新生児、乳児とも死亡率が高い状況の中、その原因などを調査された結果や分析について伺います。  特にの赤ちゃんの死亡については、妊婦検診などと深い関係があると考えます。妊婦、赤ちゃん、2人の命がかかっている妊産婦検診は平均15回で、そのうち公費負担を5回程度にふやすことが望ましいと厚生労働省の通達が出されていますが、現在、県内の実施状況をどのように把握されておりますか。  次に、小児救急医療についてですが、24時間365日小児救急医療を充実することは、すべての親の願いであり、少子化の状況からみれば最重要課題と考えますが、滋賀県の小児救急医療圏での体制についてお伺いします。  24時間365日小児救急医療を大津赤十字病院で実施している大津市では、乳幼児の患者が多くて、待ち時間や待機場所等、苦情や要望が寄せられています。国の今年度の予算の中に、小児初期救急センター整備事業や医師の充実などソフト面の充実の予算が計上されておりますが、それらを活用して、県の小児救急医療の充実を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)粉川議員の子供の命を守る政策への知事としての所見についてお答えさせていただきます。  議員御紹介の岩手県沢内村の事例、昭和30年代に、大変雪深い地域で、多くの子供たち、赤ちゃんが産まれて亡くなる。そこで深沢村長がまさに命がけで新しい政策をつくられたということは、昭和40年代の岩波新書で私は学生時代に読ませていただきました。大変感銘深いお話でございまして、つい最近もテレビで紹介されておりまして、改めて思い起こしていたところでございます。私自身も、子供を産み育てながら、まさに、今多くの滋賀県の県民の皆さんも、安心して子供を産み育てられる社会の実現を望んでおられるということを強く感じております。  そのような中で、財政難の中にあっても、子育て三方よしという政策をぜひとも実現していきたいという強い思いを持っているところでございます。先ほどから議員御紹介のように、我が国の乳児死亡率の低さ、これは世界のトップレベルにございます。幸い、ここ30年、40年の社会の努力により──先ほどの沢内村が1,000人赤ちゃんが産まれて69人亡くなるというような状態でした。その中で、今、滋賀県においては1,000人産まれて3.3人亡くなるということで、全体としては低くなっているわけでございますけれども、残念ながら滋賀県は日本全国の中でも低い中において高いということが現状でございます。平成17年45人、平成18年41人の乳児死亡の例がございまして、特に平成17年についてはワーストであったことに対し、深刻に受けとめております。  子供の命は何物にもかえがたいものでございまして、まさにその出発点になる出産の喜びから一転して死を招くことは、母親にとってはもちろんのこと、家族にとって大変深い悲しみと心の傷を負うものでございます。  こうしたことを防ぐため、乳児死亡の原因分析として、個別の事例分析を行いながら、その要因をあぶり出し、課題を的確に把握し、改善をしていくことが大切だと思っております。個別の事例、それぞれの生育状態、そして、生まれるときの医療体制、また、親との関係なども含めて、極めて多様な要素がかかわっていると理解しております。そのような中で、滋賀医科大学の寄附講座において医療の研究をしていただき、死亡率の原因を確かめていただく。そして、専門的な分析を行いながら、その結果を医療機関に提供するなどして、医療体制の充実においてできるだけの措置を講じ、乳児死亡率の減少に努めていきたいと考えております。また、先ほどから御指摘のように、2府4県でのさまざまな、地域を超えた連携なども、県として前向きに取り組んでいきたいと考えております。  以上、子供の命を守る政策に対する私自身の強い決意を述べさせていただきました。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) まず、医療体制についての6点の御質問にお答えします。  1点目の妊婦の救急搬送についてでございますが、各消防本部に照会いたしましたところ、現在までのところでございますが、受け入れ先が見つからず立ち往生したというような事例はないとのことでございました。また、搬送に問題があったために母体や胎児が重篤な状況に陥ったようなケースについても、該当はないとのことでございます。このようなことから、本県では、消防本部や各医療機関の努力によりまして、現在のところ、搬送については連携を図っていただいているという状況にあると認識しているところでございます。  2点目の妊婦救急搬送での搬送先決定についてでございますが、今回の奈良県の事例のように、かかりつけ医がいない場合や妊娠がはっきりしない場合の妊婦の救急搬送についての依頼を消防署が受けた場合には、救急医療機関となっております産科のある病院に搬送の受け入れを要請し、搬送が行われております。その際、インターネット上での病院の空きベッドや受け入れ可能な情報については、1日2回更新となっておりますが、救急隊員も重要な情報として活用をいただいているところでございます。  また、搬送された医療機関で受け入れが困難なハイリスク妊婦と判断された場合には、医療ネットワーク参加の12病院から、受け入れ医療機関を探しまして、適切な医療機関に搬送されることとなっております。  3点目の緊急体制システムへの対応についてでございますが、本県では、救急隊員と病院の医師とのやりとりを基本に意思疎通を図っていただいております。奈良県での事例や医師不足の現状にかんがみまして、既に消防本部、医師会、病院協会等が参加されまして、滋賀県メディカルコントロール協議会の場で、妊婦の救急搬送についての確認も行っており、各関係機関の一層の連携強化により、奈良県のような、かかりつけ医がいない、妊婦検診に行っていない事例につきましても確実に対応できるよう、協議、確認を行っていただいているところでございます。  さらに、今後に向けましては、滋賀県広域災害救急医療情報システムと医療救急医療情報システムをリンクさせることによりまして、救急医療情報の集約化にも努めてまいりたいと考えております。  4点目のドクターヘリの導入についてでございますが、大阪府では、御質問にございましたように、平成20年1月の運行開始予定とお聞きいたしております。ドクターヘリ運行調整委員会で現在検討を進められているところでございます。  その運行範囲といたしましては、大阪府全域とし、必要に応じて、その他の地域を含めるとするとされておりまして、近畿府県からの出動要請に対応できる体制を検討されていると聞いておりまして、近畿2府7県での医療広域連携についての合意も踏まえ、具体的な内容について検討していく状況となっているところでございます。  次に5点目に、乳児死亡率の高い原因と調査結果についてでございますが、新生児を対象とした取り組みの強化を図りますため、平成14年度には県医療協議会を設置し、平成17年3月には総合母子医療センターと地域母子医療センターの指定を行いまして、医療体制の整備を図ってまいっているところでございます。  しかしながら、なお乳児死亡率が高い状況から、平成18年8月に医療機関から死亡事例の報告をいただき、医療協議会で乳児死亡事例29件についての検証を行い、さらに、今年度も引き続き調査をしているところでございます。また、滋賀医科大学で開設されます寄附講座においても、人口動態統計に基づく分析および県内医療施設における死亡事例についての、より専門的な分析を行っていただく予定でありまして、これらの結果を生かしていただくように、医療機関等に情報提供を行いますとともに、研修等を行ってまいりたいと考えております。  6点目に、妊婦健康診査についてでございますが、母体や胎児の健康を確保する上で、妊婦健康診査の重要性、必要性が一層高まっておりますことから、平成19年度では15の市町が5回以上の健診が公費で対応されておりまして、今後速やかにすべての市町が5回以上公費で対応されるよう、必要な情報提供や助言をしてまいりたいと考えております。  次に、小児救急医療体制についての御質問にお答えします。  本県における小児救急医療体制は、二次医療圏の大津圏域、甲賀圏域では拠点病院方式によりまして、また、湖南圏域、東近江圏域、湖東圏域、湖北圏域では輪番制方式で行われております。  次に、2点目の大津圏域の小児救急医療体制についてでございますが、大津圏域は拠点病院方式となっており、拠点病院や他病院の小児科医師、また、地域の小児科開業医師が参加、協力され、一次から三次までの小児救急患者の診療に当たっていただいているところでございます。  大津市の小児救急医療支援事業は大津赤十字病院で行っていただいておりますが、平成18年度の小児救急の患者1万1,423人のうち、入院は826人で7.2%でありまして、9割の方が比較的軽度の患者でございました。こうしたことから、小児救急医療に関し、過度の患者の集中を避けるため、小児救急電話相談事業や小児救急ガイドブックの配布などの啓発に努めているところでございます。今後もこうした取り組みを進めることによりまして、小児救急医療の患者の集中を緩和するように努めてまいりたいと考えております。  なお、今回の国の小児初期救急センター構想につきましては、地域の病院、診療所の小児科医師の幅広い参画、協力を得る仕組みでございまして、地域におきまして医師等の医療資源が分散されるということにもつながると考えているところでございまして、効率性の面から、本県で現状では困難ではないかと考えております。  また、医師の充実についてでございますが、国の小児救急医師確保等調整事業は、離職、退職されました医師の発掘を行い、小児救急医療拠点病院で再教育を行うことにより医師の確保を行うというものでございますが、小児科の医師が全国的に不足する中で、大津赤十字病院でも該当がなく、この制度の活用は困難な状況でございます。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)4項目めに、不登校対策について、教育長にお伺いします。  県内の公立小中学校で2006年度の不登校児童生徒数は4年ぶりにふえ、1,752人だったこと、1,000人当たりの登校児童生徒数は13.9人で、全国では7番目に多かったと公表されました。そこで、県内の不登校児童対策についてお尋ねします。  オアシス相談員、スクールカウンセラー、訪問指導員など、県内の不登校対策を拡充されたにもかかわらず増加している現実に対する御所見をお尋ねします。  危機的状況を打開するためには、実態に合った安心のサポート体制を整える必要があると思いますが、いかがお考えですか、お尋ねします。  次に、スクーリング・ケアサポーター事業について、数点お尋ねします。  滋賀県では、不登校児童の学校復帰のため、大学生等を学校、家庭、適応指導教室に派遣するスクーリング・ケアサポーター事業が大きな成果を上げています。この滋賀県の取り組みが大変すばらしいとして国の制度として全国に広げるべきと国会でも取り上げられました。我が子の不登校に悩む保護者の方から、我が子が通う学校でも実施してほしいと要望をいただいています。  そこで、教育長に、スクリーリング・ケアサポーター事業の現状と効果についてお尋ねします。  今年度、例えば大津市でいえば、十数校の小学校が希望して7校のみ派遣となっています。財源の2分の1が実施市町となっているためと思われますが、県内の不登校児童生徒の状況を見れば、今後、県内すべての小中学校に派遣するべきと考えますが、見解をお伺いします。  ケアサポーターの人選について、現状をお尋ねします。また、県として、大学等に広く公募をして人材バンクのような制度をつくるべきと思いますが、いかがでしょうか。  過日、スクール・ケアサポーター事業の現場を視察させていただきました栗東市では、スクール・ケアサポーター事業とは別に、市独自にボランティアとして多くの大学生に参加してもらっています。また、大阪府では、教師志望の大学生等を中学校に派遣するスクールメイト事業を今年度から始められましたが、大学生270人が応募し、府の政令市を除く全中学校290校に派遣されたと報じられておりました。我が県の不登校児童生徒の状況を見れば、一刻も猶予できない現状の中で、また、全国に誇れる制度を実施しているのですから、その制度が県内すべての小中学校に実施され、子供たちを守る不登校対策につながることを大いに期待しております。滋賀県でもすべての小中学校に派遣できるように、ボランティアなど、考えてみてはいかがでしょうか。教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 県内の不登校児童生徒の対策についてお答えいたします。  不登校児童生徒が増加したことについての所見についてでございますが、本県における公立小中学校の不登校児童生徒数は、近年減少傾向にありましたが、昨年の調査では、議員御指摘のように、前年度と比較して0.01%の増加に転じたところであります。その背景には、友達や家族との人間関係あるいは学業や進路等、さまざまな不安となる要因があるものと考えられます。とりわけ中学校1年生においては、進学等に伴う不安感などが不登校の急増につながっているのではないかと考えているところであります。  次に、実態に合った安心のサポート体制についてでありますが、これまでから、きめ細やかな、さまざまな施策を関連づけて、子供たちが安心して学校生活を送れるよう取り組んできたところであります。しかし、不登校の背景には、心理面の不安や、友人、家庭、学力の悩みなど、さまざまな要因が内在しておりますことから、一人一人ケースに応じた対応が必要であります。そのためにも、個々のケースに応じて、不登校の原因や背景を見きわめながら、また、必要な場合にはスクールカウンセラー等を含めたチームで子供たちをサポートする体制を整えるなどの取り組みを展開しているところであります。  次に、スクーリング・ケアサポーター事業の現状と効果についてでありますが、本県では、他府県に先駆けて平成13年度より実施し、その取り組みは全国的にも注目されております。平成18年度には4,000回派遣し、さらに、本年度は、その回数を5,000回にまで拡充しているところであります。  その結果、平成18年度の実績では、対象となった児童311人のうち286人に、欠席日数が減るなどの変化が見られ、58人が教室に行けるようになるなど、大きな成果が上がっているところであります。  次に、今後のスクーリング・ケアサポーターの派遣についてでございますが、県教育委員会といたしましては、毎年度、各市町教育委員会からの派遣希望に基づき、これまでからすべての要請にこたえる形で支援してきたところであります。また、各市町におかれましては、各学校の実情を踏まえ、必要に応じ、心のオアシス相談員や訪問指導員など、ほかの諸施策を選択されるケースがあることも承知しております。  次に、スクリーリング・ケアサポーターの人選についての現状でありますが、それぞれの学校現場の実情に応じ、市町教育委員会におきまして、必要とされる大学生などを対象に適切に人選され、対応されているものと認識しております。したがいまして、現時点におきまして、直ちに人材バンク制度の創設、制度を検討するといった段階にはないのではないかと考えております。  最後に、ボランティアによるスクーリング・ケアサポーターについてでありますが、スクーリング・ケアサポーターは、直接、不登校児童やその保護者に対応するため、寄せられる期待は大きく、また、一方で、直接にかかわることにより、その言動が大きな影響を及ぼすことから、その人となりや経験、さらには知識が重要となります。このように、スクーリング・ケアサポーターの果たす役割や、子供たちに与える影響の大きさなどを踏まえれば、無償によるボランティアというものがふさわしいものかどうかにつきましては慎重に判断せざるを得ないと考えております。  また、スクーリング・ケアサポーターの中学校への派遣についてでございますが、思春の多感で不安定な状況にある中学生への対応には、心の専門家による対応が、より有効と考えられますことから、別途、スクールカウンセラーの配置など、他の制度で対応しているところでございます。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)最後に、一問一答でお願いいたします。  新生児聴覚スクリーニングの実施について、健康福祉部長に伺います。  日本では、毎年生まれる赤ちゃんのうち、養育が必要な先天性聴覚障害児は、出生1,000人に対して1人から2人と言われ、先天性疾患のほかの患者に比べると高率に発生していることになります。新生児の難聴に対する先進的な取り組みが行われているアメリカの調査によりますと、聴覚障害を持って生まれた赤ちゃんでも、生まれてすぐに発見し、適切な療育を施せば、聴力の正常な子供と同程度まで言葉を話せるようになると言われています。  難聴の検査機器が発達し、言語を話せない新生児や乳児でも、高い確率で先天性難聴の検出が可能となりました。新生児聴覚スクリーニング検査は、障害を早期に発見し、聴覚障害児および保護者に早くから適切な支援を行うことは大変重要であると言われています。  まず初めに、新生児聴覚スクリーニング検査についての見解をお尋ねします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 新生児聴覚障害スクリーニング検査の実施についてお答えします。  新生児の聴覚障害の発症は、生後6カ月ごろまでに発見され、適切な療育支援がなされることで、健常児と同程度の言語発達や高音の獲得が可能と言われております。現在では、新生児でも、御質問にございましたように、正確度が高く、安全で、かつ短時間で簡易に検査ができる検査機器が開発され、普及してきておりまして、早期に発見する方法として有意義な検査であると考えております。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)国では、新生児の難聴を調べる装置と検査方法が開発されたことを受けて、2000年──平成12年、都道府県などを対象とした新生児聴覚検査事業モデル事業を創設し、17都道府県市が実施しました。私は当時、平成13年6月、大津市議会において、早期発見、早期療養の観点から、新生児聴覚スクリーニング検査の国のモデル事業を実施するように要望しましたが、モデル事業の対象は県ということで、大津市から県に要望していただきましたが、残念ながら、県ではこのモデル事業に参加されませんでした。県が新生児聴覚スクリーニング検査の国のモデル事業に参加されなかった理由をお伺いいたします。 ○議長(出原逸三君) 答弁はどなたですか。 ◆23番(粉川清美さん) 健康福祉部長にお願いします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 検査の導入に当たりまして、新生児用の聴覚検査機器が整備されている医療機関に委託いたしまして実施する必要がありますことから、対象の検査から確定診断までに数カ月を要しますこと、また、その後のフォローということを考えますと、その間の保護者への適切な指導やカウンセリングのために、発見後の相談体制ですとか療育体制が十分に整備されていることが必要と考えております。こうしたことから、御質問にもございましたモデル事業への参画の件でございますが、新生児聴覚検査導入には十分な検討が必要と考えておりまして、そうした上で、県といたしましては、新生児聴覚検査検討委員会を設けて、今後の体制整備の課題について、まず検討するということで、モデル事業への参画には至らなかった状況でございます。  なお、本県におきましては、先天性聴覚障害児の発見については、市町で実施されております、すべての乳幼児健康診査において、聴覚に関する問診や診察を実施していただいておりまして、その結果、聴覚障害の疑いのある児については、県立小児保健医療センターで精密検査・診査事業を実施いたしております。また、聴覚障害児の教育につきましては、県立小児保健医療センターや聾話学校において実施してきているところでございます。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)平成15年に新生児聴覚検査の県内の実施について調査を行われましたが、調査方法や、その結果について、健康福祉部長にお伺いします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 調査方法と結果についてお答えします。  新生児聴覚検査につきましては、県内の産婦人科医院において既に検査機器を導入され、新生児聴覚検査を実施されているところも出てきております。その現状を把握いたしますために、平成15年10月にアンケート調査を実施いたしておりまして、県下の産婦人科を標榜しておられる医療機関71カ所に、郵送による調査を依頼いたしまして、会員となりました医療機関41カ所で、回答率は57.7%で、そのうち、出産を扱っておられる医療機関は30カ所でございました。この30カ所の医療機関の中で、新生児聴覚検査を実施されているもの11カ所、以前に実施していたもの1カ所、実施されていないもの18カ所でございました。  実施されている医療機関11カ所での平成14年の出生数は5,684人でございまして、その中で聴覚検査を受けた新生児は3,366人で、約6割の方でございました。そのうち、再検査が必要となった事例につきましては、75人で2.23%で、最終的には精密検査が必要となった児童は11人、0.33%という状況でございました。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)今、調査で御紹介にありましたとおり、平成14年当時、既に県内の産婦人科病院では独自に新生児聴覚スクリーニング検査が実施されておりまして、新生児の約4人に1人が受けているという状況でした。また、市町から検査導入を望む要望があったことから、平成15年度に新生児聴覚検査検討委員会を県が設立し、検討を進めてこられたと伺っております。その検討委員会での取り組みと検討結果について、また、検討結果を受けて県の見解と対応についてお伺いします。 ○議長(出原逸三君) 発言者に申し上げさせていただきます。質問に対する答弁者の指名をお願いいたします。 ◆23番(粉川清美さん) 健康福祉部長にお願いします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 検討委員会の結果についてお答えします。  検討委員会は、耳鼻咽喉科医会、小児科医会、産婦人科医会の各代表の医師、県立聾話学校の教諭、市町、保健所の保健師、小児保健医療センター等の関係者12人の参加のもとに、平成15年に設置いたしまして、本県における聴覚障害の早期発見体制について、また、新生児聴覚検査の課題等について検討いただいたところでございます。  検討結果におきましては、検査の必要性や意義に十分認識されつつ、すべての医療機関で実施していくためには、検査機器の整備や検査の精度、検査実施者の確保、精密検査必要者への対応、精密検査医療機関への受け入れ、療養機関への連携などについて、さまざまな課題が明らかにされたところでございます。  こうした状況のもと、県下で統一したシステムとして進める観点から、平成17年度には新生児聴覚検査マニュアルを作成いたしますため検討委員会を設置し、マニュアルの作成を行ったところでございます。平成18年10月には、マニュアルを関係機関に配布いたしますとともに、新生児聴覚検査後に対応することとなります、市町の保健師や療育関係者などを対象に聴覚研修会を実施してきたところでございます。
    ◆23番(粉川清美さん) (登壇)健康福祉部長にお伺いします。  今、マニュアルや研修会の御説明がございましたが、マニュアルを配布された病院で正しく活用がされているのか、また、当時、県が体制や、保護者に対応するための危惧をされていた状況が改善をされて実施されているのかなどについてお伺いしたいと思います。  また、研修会を持たれたということですが、その研修会には、新生児聴覚スクリーニングを実施している病院は参加していたのかどうかについても質問させていただきます。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 研修会につきましては、具体的に、当日どの方が参加されたかにつきましては、現時点での資料としては持ち合わせておりません。  あと、施設整備等につきましては、全体的な調査を行っているところではございませんが、その後におきましても、各医療機関で充実を図っていただいていると認識いたしているところでございます。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)研修会参加についてですが、研修会を持たれたことは大変有意義なことだと思います。ただ、実施している病院が参加しなければ何もならないことだと思っておりますので、その辺についても、これからしっかりと取り組みいただきたいと要望しておきたいと思います。  次に、新生児聴覚スクリーニング検査に対する県の今後の取り組みについて、健康福祉部長にお伺いします。  7年前、平成12年から始まった国の新生児聴覚スクリーニング事業の折に、県が、最初に説明がありましたとおり、心配されていた保護者への適切な対応や、その後の療育体制など、まだまだクリアされていない点も多いのですが、その状況の中で検査が拡充され、たくさんの新生児が検査を受けているというわけです。県の対応と現実は随分とかけ離れている印象を受けます。そのはざまで犠牲になるのは新生児です。早急に県として新生児聴覚スクリーニング検査の体制、例えば、母子手帳交付時や妊婦健診、母親学級など、機会をとらえて検査の情報提供を、また、検査を受けたい人に公平に受けられる対策を、そして、保護者への支援、その後の療育体制の充実など、対応する必要があると思いますが、健康福祉部長の見解をお伺いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 検査に当たりましては、検査精度の維持向上を図りますこと、また、検査により把握された要支援児が療育へと遅滞なく円滑に引き継がれていくこと、およびその保護者の方に対しましては多面的な支援が重要だと考えております。各関係機関の連携を図る観点から今後とも取り組んでまいりたいと考えております。  その中で、県の役割といたしましては、検査から療育までの支援を行いますため、関係機関との連携を図った上で、保健所や市町も含めたフォローアップの体制整備を図ってまいりたいと考えております。また、作成いたしましたマニュアルをさらに活用いたしまして、医療機関の方、関係課の職員を対象に、検査の意義ですとか方法、保護者に対する支援についてなど、理解を深めていただく考え方から、研修会、資質の向上に努めてまいりたいと考えております。  検査が必要と判断されました場合には、医療機関から連絡をいただき、保健所や市町で、支援を開始する。子供の方の発達状態を確認しながら、保護者が安心して適切な育児を行っていただけるように努めてまいりたいと考えております。  また、乳幼児の聴覚発達についてのスクリーニング検査や精密検査等について、市町において母親教室や乳幼児健診等の場で情報提供がなされますように、県としても連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。まずは、新生児聴覚スクリーニング検査の実施できる医療機関の情報把握等にも努めまして、必要な情報を市町等に提供できるように努めてまいりたいと考えております。 ◆23番(粉川清美さん) (登壇)知事にお伺いいたします。  今のやりとりを聞いていただいていたと思います。平成12年、国のモデルで取り入れていただいていた折には、そういう機器が、国のモデル事業として県の方に充実がされたことだと思いますが、そういう国の事業を取り入れずに何年かが過ぎた中で、それぞれの民間の産婦人科等の医療機関で現実にそういった新生児聴覚スクリーニングが進んでいるという事実を重く受けとめていただきたいと思います。  また、先ほど部長が述べられた検討委員会、そちらの検討委員会の結果でも、スクリーニングとして実施するなら、全出生児を対象とすべきと意見を出されています。我が子の障害や病気などについて、早期発見、早期療育を願わない親はないと思いますが、今後、すべての希望する新生児が受けられるように県として取り組むべきと思っております。  また、聴覚障害の療育指導機関で今指導を受けているゼロ歳児の37%は、聴覚スクリーニングによって発見された子供であるとも言われております。そして、もう1点は、平成14年に大津市から県へモデル事業を実施するようにと要望させていただきました。そして、平成17年9月には、県市長会から平成18年度予算編成に向けての要望の中の一つに、この聴覚検査を実現してほしいという要望が入っておりました。市から県への要望、先ほども県から国への要望についてのいろいろな思いが議論されておりましたが、そういう要望が上がってきた中で、まだまだ実施がされていない状況でございます。このような状況、特に、希望するすべての新生児が受けられるような体制を整えるべきと思いますが、その見解について、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)新生児聴覚スクリーニング検査について、希望するすべての新生児が受けられるようにすべきであるという御意見でございます。  ただいま議員御指摘のように、平成12年からずっと、議員御自身も関心を持っていただき、さまざまな働きかけをいただきましたこと、大変ありがたく思っております。この新生児聴覚障害の発生、1,000人に1人から2人と言われ、他障害に比べて高率ですし、また、早期に発見し、早期支援を行うことで、コミュニケーションや言語の発達への影響が最小限に抑えられるということです。このことは、新生児に聴覚スクリーニング検査を実施する、その有効性と効果を示していると理解できます。  先ほどから健康福祉部長からお答えさせていただきましたように、既に医療機関で実施されている新生児聴覚スクリーニング検査は、現在30施設中11カ所と伺っておりますが、これがより効果的に行われますよう、また、先ほどから御指摘がありましたようなマニュアルの作成と、その有効な利用、そして研修、そのようなところから県の方といたしましても前向きに取り組んでいきたいと思っております。特に乳幼児健診、市町が母体でございます。市町と連携しながら、より多くの医療機関において新生児の聴覚検査が実施されるよう働きかけをさせていただきたいと思っております。  また、母親学級、あるいは、さまざまな妊娠から出産の過程における情報提供、これも大変大切だと思います。知ることによって、改めて親としてもこのような検査を受けようという動機づけができるものと思います。希望するすべての新生児が聴覚検査が受けられるよう、県としても、さまざまな場面をとらえまして努めさせていただきたいと考えております。 ○議長(出原逸三君) 以上で、23番粉川清美さんの質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後4時8分 休憩    ────────────────   午後4時31分 開議 ○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、18番今江政彦君の発言を許します。 ◆18番(今江政彦君) (登壇、拍手)議長のお許しをいただきましたので、一般質問を3項目にわたりまして、分割方式でさせていただきます。  まず、自治体病院の運営につきまして、お尋ねいたします。  自治体病院は、地域の医療機関や行政機関と連携しながら、地域住民の健康や命を守るため、そして、その地域に不足しております医療の充実に積極的に取り組んでいる、こういう認識をしているところでございます。しかしながら、昨今、大変大きな社会問題となっております産科あるいは小児科の医師不足など、いわゆる医療スタッフの確保が大変厳しい中で、財政的にも危機的な状況に陥っている、こういう現状がございます。とりわけ、医療に従事する者が確保できないことは、大幅な収入減少につながり、また、病院経営にも大変大きな支障を来しております。あわせまして、設置者であります市あるいは町の財政負担も増大いたしまして、このままでは地域医療は崩壊し、いつでも、どこでも安心して医療サービスを受けたいという住民の願いはかなえられなくなるわけでございます。  去る6月に実施されました滋賀県政世論調査におきましては、病院などの医療サービスを提供する取り組み、これが力を入れてほしい県の施策の第1位にあるというようなことが報告されておりますが、地域医療の充実に向けた取り組みは、県民の大きな願いでもあります。そして、県政における最重要課題であると考えられるわけでございます。この点を踏まえまして、知事に以下の質問をいたします。  自治体病院の置かれている状況を考えますと、個々の病院の問題としてではなく、大学病院あるいは県立病院、そして民間の公的病院も含めまして、いわゆる医療圏域単位で県民が安心して、それぞれの地域におきまして、効率的で、かつ適切な医療サービスが受けられるように、医療提供体制のあり方を検討する必要がございます。この問題につきましては、これまでたびたび議会でも取り上げられておりました。知事が就任されて以降も何度か取り上げてまいりました。県といたしまして、今年度、平成20年度から24年度までの5カ年間を計画期間とする保健医療計画あるいは医療費適正化計画を策定いたしまして、そうした中で、県の保健医療政策の方針や具体的実施計画を策定される、そういう旨の答弁をされているところでございますが、今後、自治体病院をどのように位置づけまして、県全体の医療サービスの提供体制をどのように構築されようとしているのか、計画策定の検討状況、これにつきましてお尋ねしたいと思います。  自治体病院は、医療費改定、あるいは、今申し上げました医師不足などによりまして大変厳しい状況に置かれております。全国的には、民間へ委譲する、そんな議論も出てきているわけでございますが、県全体の医療をどうしていくかという政策論議のない中で、いわゆる財政優先の議論では、地域医療の崩壊につながっていくと考えるわけでございます。自治体病院を抱えている市や町は、地域住民の健康あるいは命を守るという、いわゆる設置者の責任を全うすべく毎日奮闘しているわけでございますが、県全体の医療の提供体制を考える視点で、県や国もしっかりと自治体病院を支えるという姿勢が必要だと考えております。  自治体病院の役割につきましては、昨年12月議会におきまして、市あるいは町の自治体病院は、主に高度医療を補完する地域の中核病院として、また、民間だけでは対応が困難な領域の医療も受け持つなど、いわゆる地域医療の確保に大きな役割を担っていただいているところです。そのような答弁がなされておりますが、県といたしまして、どのような展望を持って自治体病院の存続に対応していくのか、これも知事にお尋ねしたいと思います。  続きまして、自治体病院に対する財政支援について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  自治体病院に対する施設整備補助金につきましては、いわゆる三位一体改革の中で税源移譲されたということで、廃止されたものが大変多うございます。しかし、税源移譲と申しましても全体の話でございまして、いわゆる個々の歳入の中で補助金分が税源移譲によって確保できるということはないと私は考えます。こうした中で、今後、県とされましては、自治体病院に対する施設整備補助、これにつきましてどのような方針で取り組んでいかれるのか、健康福祉部長にお尋ねしたいと思います。  それからもう一点、彦根市立病院や近江八幡市立総合医療センターなどにおける産科医の不足、これは本当に新聞等でも広く報道されておりますが、このように自治体病院における医師不足は深刻化しておりますが、このことに対しまして、県としてこれまでどのような支援策を実施されているのか、これをお尋ねいたしまして、よろしく御答弁の方をお願いいたします。 ○議長(出原逸三君) 18番今江政彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)今江議員の自治体病院の運営について、2点の質問にお答えさせていただきます。  まず1点目は、自治体病院の位置づけ、県全体の医療サービス提供体制の構築と計画策定の検討状況についてでございます。  議員御指摘のように、県政世論調査でも、医療に対する需要は大変高いものがございます。そのような中で、本県の医療提供体制は、日常的な疾患を対象とする一次医療から、医療圏域ごとの地域中核病院が担う二次医療、さらに、高度、特殊な医療を対象とします三次医療まで、それぞれの役割分担と機能を明確化し、体系的な整備を図ってまいりました。  特に自治体病院につきましては、一般医療のみならず、高度医療を補充する地域での中核病院として、がん、心臓病、難病などの高度専門医療、救急医療、僻地医療など、民間病院だけでは対応が困難な領域の医療を受け持つなど、政策医療の確保に対する役割を期待しております。  滋賀県保健医療計画の策定に際しては、第1に、自治体にはこのような政策医療の確保に対しての役割を担っていただくことを考えております。  第2に、自治体病院のみならず、民間病院、国立病院、診療所と、すべての医療機関の役割分担や連携体制をつくることで、急性から慢性を経て在宅復帰に至るまでの切れ目のない医療提供体制の整備を行うことが肝要であると考えております。  特に、がんや急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の4疾患につきましては、医療機関の機能や連携を新たに保健医療計画に記載することとしております。  県の今後の取り組みといたしましては、広く県民の皆さんの意見を聞きながら、地域の実情を踏まえ、保健医療計画の策定を行ってまいります。  また、2点目の自治体病院の存続についてでございますが、議員御指摘のように、自治体病院の経営は昨今大変苦しくなっていると伺っております。特に、医師、看護師の人員確保、また、経営状態の改善などがございますが、それぞれに市町や病院管理者が運営や経営改善に主体的に取り組まれるものと理解しております。県としましては、地域医療を支える観点から、関係する市町や病院管理者の実践や考え方を聞いた上で、地域の医療を担うという展望を持っていただくための必要な助言を行わせていただきます。詳しくは健康福祉部長から述べさせていただきます。  以上、答弁とさせていただきます。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)自治体病院の運営についての2点の御質問にお答え申し上げます。  まず、1点目の施設整備についての補助についてでございますが、平成17年度の国の財政構造改革でございます三位一体改革によりまして、税源移譲などにより財源が確保されているものとなりまして、国の補助制度が廃止されたところでございます。それに伴いまして、県の負担分につきましても廃止となったところでございます。  このような中で、今後の自治体病院の施設整備への支援でございますが、現下の厳しい財政状況などからも困難ではないかと考えております。  次に、自治体病院における医師不足についてでございますが、医師の地域偏在と診療科偏在は本県においても大変重要で、差し迫った状況となっております。県民に安心、安全の医療を提供するためにも医師の確保が喫緊の課題であると認識しているところでございます。  医師の確保につきましては、国、県、市町および病院がそれぞれの役割を持って進めるべきものと考えておりまして、県としても、これまでから関連する大学に出向きまして、医師の派遣要請を行ってきているところでございます。さらに、今年度からは、医師確保支援センターを設置いたしまして、関連大学とより一層の連携強化を図る中で、医師確保の要請を行っているところでございます。  また、今年度、医師確保総合対策事業を創設いたしまして、その中で公立病院に対しまして、病院自体が創意工夫して取り組まれます、働く意欲を引き出す職場環境整備や女性医師の離職防止対策などの取り組みに対しまして支援を行うこととさせていただいているところでございます。  国に対しましては、県でできることは県で、国ですべきことは国でといった考え方のもとに、要望活動を行っておりまして、公立病院の確保困難科の医師に対する手当制度の創設、また、その財源の確保と、少ない医師を有効に活用するために、国立、公立、公的、民間病院での医師の診療連携が可能となる制度の検討などについて要望しているところでございます。  今後とも、県といたしましては、市町や病院関係者の皆さんとともに、全力を挙げて医師の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)再質問をさせていただきます。  今、知事から、あるいは健康福祉部長から御答弁をいただいたわけでございますが、それは三位一体改革の一つの仕組みの中の話ですので、ここでやりとりをするといっても、なかなか結論は出ない問題かもしれませんが、私も、行政にいる中で、例の近江八幡市の市立総合医療センター、これは平成18年10月に開業いたしました。このときに、いわゆる三位一体改革のはざまのところにありまして、金額ははっきり覚えておりませんが、10億円余りの補助金が突然、三位一体改革で税源移譲されたと。なくなりますと。こういうことを申し上げますとあれですが、それこそ急な話で、近江八幡市、一般会計200億円の規模でございますが、その中の10億円の補助金が突然税源移譲されたと。先ほど私も申し上げましたように、税源移譲されたものが、どの程度、財源として入ってくるか。これは本当に見えない部分でございます。  地方分権時代を迎えまして、いわゆる税源移譲、必要なことでありますが、これも総論の話で、各論でこういう問題があるということを御認識いただいて、知事も全国知事会とか、そういう発言の機会がありましたら、そういう各論のいろいろな問題があるということをぜひともおっしゃっていただきたいということを、これはひとつお願いしておきまして、健康福祉部長に施設整備補助につきましてお尋ねいたすのですが、施設整備補助に関連いたしまして、いわゆるPFIによる病院整備、県内でも、今申し上げました一例、近江八幡市立総合医療センターで実施されました。こうした新しい形態でございますが、この補助制度は、今後どのような方向で対応されるのか、お考えをお示しいただきたいと思います。  また、医師確保についてでございますが、今、健康福祉部長の方から御答弁もいただいたのですが、県の主導で滋賀県全体として自治体病院に必要な医師を確保して、今、小児科あるいは産婦人科の医師が空白が生じたときに、迅速にこれに派遣する、対応する、単に大学病院にお願いするとか、そんなことではなく、人材確保につきまして、そういう措置がとれないものか、健康福祉部長のお考えをお尋ねいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 2点の再質問にお答え申し上げます。  施設の整備に当たりましては、いろいろと仕組みが変わる中で、関係の皆さんに御苦労いただいていることは、私どもも深く認識いたしているところでございますが、今おっしゃいましたPFIなど新しい形態での対応におきましても、国の考え方で申し上げますと、従来の建設方式と同じ取り扱いということになっておりまして、改めて方式の変更によって自治体病院の施設への補助が可能といったことにはならないものと認識いたしておりまして、県といたしましても、先ほど申し上げましたけれども、厳しい財政状況の中で御理解をいただきながら、それぞれの、設置されている皆様、関係の皆様で努力をお願い申し上げたいと考えているところでございます。  2点目の医師の確保に県の指導性の発揮をということで御提言をいただいたわけですが、医師の確保につきましては、それぞれの設置者が主体的に取り組んでいただくということが基本となると考えておりまして、また、全国的にも厳しい医師の不足状況の中で、県が医師をプールといいますか確保いたしまして、必要に応じて自治体病院等に派遣するといった制度の創設につきましては非常に困難と現時点で考えさせていただいております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)もう一度質問をさせていただきたいと思います。  今はずっと、できないできないという話。もちろん補助金として財源の問題、いろいろな仕組みの方があると思います。ただ、何度も申し上げますが、いわゆる県の役割というものがあろうかと思います。今の補助金の問題、確かに国の補助制度、税源移譲に振りかわったということ、もちろんそういう事実はあるわけですが、県としまして、今の施設補助も含めまして、あるいは医師の派遣、それは私は一つの例を申し上げまして、現実に難しいというふうなお話ですが、なかなか医師の確保というのは難しい状況がございます。民間の病院の医師の方との給与の差の問題とか、いろいろございまして、自治体病院あるいは公立病院の医師の確保というのは大変難しい状況にあるということはわかりますが、既存の施策だけでなしに、県として、あらゆる方策、工夫、これをしていただかないと、それぞれ市あるいは町の自治体病院、それぞれの地域医療を担っている中で、大変一生懸命やっているのに県の支援がないということではやりきれない、そんな思いでございます。  これは健康福祉部長の、制度の問題は別にしまして、ちょっと決意みたいなものを、もしお聞かせいただけたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 福祉、医療にかかわります国の方からの支援につきましては、大きな社会変化の中で見直しがされている状況にございまして、県といたしましても、そうした見直しについて、地域医療、福祉を守るために必要なものについては継続して取り組んでいただくようにということで要望してまいりたいと思いますし、また、医師の不足等の今日的な課題につきましては、国でも今いろいろ議論をいただいておりますが、さらに、地域のことを考えた施策展開ということで進みますように、実態を情報提供しながら、さらなる検討をお願い申し上げていきたいと思っております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)これ以上やりとりいたしましても前へ進みませんので、とりあえず、今の自治体病院の仕組みでありますが、総務省の検討委員会みたいなところでは、いわゆる自治体病院の再編、あるいはネットワーク化というようなこと、それから、もっと進みまして、経営の部分で広域連合あるいは一部事務組合というような形、これはいろいろなメリット、デメリットがあると思いますが、そういうことも将来の課題ということで十分研究していただきたいといったことを、これは提案とさせていただきます。  次に、障害者の福祉施設の整備ならびにその運営についてということで、3点、健康福祉部長にお尋ねいたします。  本年3月に策定された障害者福祉しがプランにおきまして、サービスの基盤整備の考え方といたしまして、県、各福祉圏域、あるいは市や町のそれぞれの果たすべき役割というものが示されております。その中で、各福祉圏域間での、いわゆるバランスのとれた基盤整備、つまり、それぞれの福祉圏域内で大きな格差が生ずることがないように、また、県内のどの地域でも必要なサービスが同様に受けられる体制整備を推進することがうたわれております。  そこで、東近江福祉圏域を例にとってお尋ねいたしたいのですが、県立知的障害者更生施設でございますしゃくなげ園が来年3月をもって廃園されることになっております。廃園に至る今日までの経過、そして、その果たしていた役割は今後どのような形で引き継がれていくのか、お尋ねいたします。  また、これは教育委員会の所管の施設であるのですが、来年には八日市養護学校の寄宿舎が廃止されます。また、八幡養護学校も野洲市へ移転されるということで、現在の八幡養護学校、この施設、寄宿舎も使われなくなるということで、東近江地域では、障害者に関係する施設につきまして、今申し上げたような大きな変化が予想されているわけでございます。また、社会福祉法人の経営しておられる施設につきましても、いわゆる時代の変遷の中で、改築の時期を迎えているものもございます。  こうした状況の中で、東近江福祉圏域におきましては、短期入所の施設整備、また、拠点施設の大規模修繕、および新体系移行のための整備が計画されておりまして、いわゆる法人および関係の市や町の努力のみでは実施が困難と考えております。こうした施設の整備に対する支援についての、健康福祉部長、基本的な考え方についてお尋ねいたします。  また、無認可の共同作業所の運営についてでございますが、障害者自立支援法の法定事業への移行に当たりまして、県としてどのように支援をしようとされているか、お尋ねいたします。  以上、御答弁、よろしくお願いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 障害者福祉施設の整備ならびにその運営についての御質問にお答えします。  障害者福祉施設の整備につきましては、御質問にございました障害者福祉しがプランを本年3月に策定いたしまして、その中で、施設の整備量を市町村計画との整合性を図りながら定めました。また、福祉圏域でのバランスのとれた基盤整備を平成23年度を目途に、市町とともに進めることとしているところでございます。  こうした計画のもとで、東近江福祉圏域における取り組みでございますが、1点目のしゃくなげ園につきましては、これまで入所施設として生活と就労のための訓練を行ってきておりますが、平成16年度に設置いたしました県立障害福祉施設のあり方に関する検討会から、暮らしの場と就労の場を分け、新たな形での対応が必要であるとの提言を受けたところでございます。  これを受けまして、暮らしの場につきましては、空き家の活用によるグループホーム等での生活支援を進めることとし、また、就労の場につきましては、通所施設の整備を行った上で、2年間、一定、就労のための訓練を行うことなどによって、昼間と夜間の一体的な新たな事業展開を図りまして、必要とされる皆さんの自立にこれまで以上につながる支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、2点目の基盤整備についてでございますが、東近江福祉圏域におきましては、特に短期入所のニーズが高いという状況のもとに、現在、知的障害者入所施設の短期入所枠を4床から10床へ増床を図っております。また、知的障害者入所更生施設を運営されている法人が、関係市町との連携を図られまして、サービス提供機能の拡充や小規模人数での生活支援のための改修整備を予定されていると聞いておりまして、県といたしましても、国からの支援が受けられますよう努めてまいりたいと考えております。  次に、3点目の法定事業移行支援についてでございますが、無認可の共同作業所は、小規模で運営基盤も弱いことから、国からの財政支援を得て安定的な運営費の確保ができる法定事業への移行が円滑に、かつ早期に実現されるよう取り組まれることが必要と考えております。このため、県では、移行支援のため、社団法人滋賀県社会就労事業振興センターに移行推進コンサルタントを配置いたしまして、移行事務の手続、会計事務、経営計画等の助言、指導を行っているところでございます。  また、移行事務に関するマニュアルを作成いたしまして、研修を県内各地で開催するほか、移行推進アドバイザーとして、移行に当たっての必要な知識や経験を持っておられる、施設の関係者18名に委嘱いたしまして、身近な地域できめ細やかな相談や助言を行っているところでございます。  今後とも、市町とともに、障害者福祉しがプランに基づく着実な施設整備を進めますとともに、安定的な運営を図るため、法定事業への移行が促進されますよう努めてまいりたいと考えております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)健康福祉部長に再質問いたします。  障害者自立支援法、これにつきましては、利用者が応益負担で苦しむなど、いわゆる障害者福祉の現場で大変多くの課題が発生して、抜本的な見直しが必要と考えられます。こうした激変を緩和するために、障害者自立支援対策臨時特例交付金が交付されまして、滋賀県でも基金を創設し、また、特別対策事業が実施されておりますが、法の見直しがされなければ根本的な解決には至らない、このように思っております。  こうした中で、地域によって障害者福祉サービスを提供する拠点が偏在、いわゆる偏って存在するようなことがないように、施設整備を進めていかなければならないと思うわけですが、今議会冒頭に知事が述べられましたように、財政の非常事態宣言がなされる中で、各部で聖域を設けず、いわゆるゼロベースですべての施策や事務事業の見直しがなされるということでございますが、このような状況の中で、計画的な整備が可能であるのかどうか、この辺のことにつきまして、健康福祉部長に御答弁をお願いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 再質問にお答え申し上げます。  財政状況が厳しい中でゼロベースの見直しが必要という状況にあるわけでございますが、今御質問いただきました障害福祉関係施設の整備につきましては、これまで障害者自立支援対策臨時特例基金を設けさせていただいておりまして、それの活用によりまして基盤整備事業を進めてまいりたいと考えております。本事業につきましては、既に6月議会でも3億1,500万円の予算化をお願いしたところであります。さらに、安定的な運営に早期に移行していただくために、今議会におきましても1億1,500万円の補正予算をお願いさせていただいているところでございまして、こうした事業の予算、基金の有効活用といった観点で、新体系への移行の促進を積極的に図れますように、施設の補助、老朽施設の全面改修の補助といった点に配慮しながら、県としてもまた国庫補助金の確保についても努めながら取り組んでまいりたいと考えております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)現在、障害者を取り巻く環境は本当に大変厳しいことになっております。県内の市や町の間で格差が生まれないように、また、財政の見直しの中で障害福祉サービスの拠点となる施設の計画的な整備が決して先送りをされないように、これは要望して、次の質問に移りたいと思います。  3点目に、地域福祉権利擁護事業ならびに成年後見制度につきまして、これも健康福祉部長に御答弁をお願いいたします。  平成12年4月に介護保険制度が始まりまして、また、平成15年4月に障害者の支援費支給制度が始まりまして、福祉サービスの提供が、いわゆる措置から契約へと大きく転換いたしました。その中で、高齢者あるいは障害者の権利擁護のため、地域福祉権利擁護事業ならびに成年後見制度が生まれてまいりました。これらの制度が本当に効果的に運用をされているのかどうか、この点につきまして、以下お尋ねいたしますので、御答弁をよろしくお願いいたします。  まず、地域福祉権利擁護事業についてでございますが、この対象者はかなり広範囲に及ぶと思います。今、どの程度利用されているのでしょうか。  また、この地域福祉権利擁護事業、対応される生活支援専門員あるいは生活支援員などの職員の皆さんは、現場で大変御苦労いただいていると思っております。事業の実施主体でございます市あるいは町の社会福祉協議会における体制整備、これにつきまして、どのようになっているのか、あわせてお尋ねしたいと思います。  次に、成年後見制度についてお尋ねいたします。  成年後見制度の県下の利用状況についてお尋ねいたします。この利用状況はいかがでしょうか。  また、その中で、親族からの申し立てができず、市や町が申し立てを行っている件数、これはどのくらいあるのでしょうか。  さらに、成年後見制度を利用するには、法律を初めとする専門的知識が必要と思われますが、利用の支援のために県としてどのような取り組みをされているのか、その対応策についてお答えをいただくよう、よろしくお願いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) まず、地域福祉権利擁護事業についての御質問にお答え申し上げます。  この事業につきましては、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者などで、判断能力が十分でない方が安心して地域で生活できますように、市町の社会福祉協議会が各種福祉サービスを利用する際の手続を応援したり、日常的な財産管理を本人との契約に基づき実施されているものでございます。
     本県におきましては、平成15年度から、県内すべての市町社会福祉協議会において実施されておりまして、平成18年度末の状況で申し上げますと、782件の方が契約利用をされております。そのうち、認知症高齢者の方は310件、知的障害者の方が234件、精神障害者の方が152件となっている状況でございます。  また、事業の実施主体であります市町社会福祉協議会におきます人員体制でございますが、福祉サービスの利用に係る支援計画を策定されます生活支援専門員、日常的な金銭管理などを行う生活支援員がおのおの配置されておりまして、市部を中心に専門員の複数配置をされている社会福祉協議会も8カ所ございます。  次に、成年後見制度についてお答え申し上げます。  この制度につきましては、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等の方々で、判断能力が全くなくなった場合も含め、本人を法的に保護し支えるための制度でございます。具体的には、親族や市町長の申し立てにより家庭裁判所が審判により援助者を選ばれまして、援助者が本人にかわって契約の締結や資産の管理等を行う制度でございます。  大津家庭裁判所によりますと、平成17年度には317件の新たな成年後見の申し立てを受けられたところでありまして、そのうち、市町からの申し立て件数は19件で約6%となっております。  県の成年後見制度への取り組みでございますが、高齢者成年後見支援センターを、専門的な知識を持っておりますNPO法人に委託し、市町や介護保険事業者等からの困難事例についての相談や専門的な助言を求められることに対応いたしております。平成18年度の相談件数は、延べ104件となっております。今後とも、成年後見制度が必要な方に的確に御利用いただけるよう、市町職員の対応力の向上や相談機会の充実に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)再質問をさせていただきます。健康福祉部長、御答弁、よろしくお願いします。  この地域福祉権利擁護事業あるいは成年後見制度、高齢者あるいは障害者、いわゆる社会的に弱い立場の人の権利を守るという制度でございます。この制度は、本当に必要な人に確実に適用されなければならないと思います。制度のPR、これも県民に対してしっかりしていかねばなりませんし、また、対象者があっても、予算不足というようなことで対応しない、できないということであれば、本当に必要な福祉サービスも受けられない、こんな状況になってしまうわけでございます。  また、成年後見制度も利用支援事業がございまして、これはあるのですが、市あるいは町の申し立て以外につきましては、低所得の方々が、いわゆる後見人への報酬が支払えないということで、この成年後見制度が利用しにくいという現状が一方ではあるようでございます。この点につきまして、何か対策があるのか、お尋ねしたいと思います。  それから、この制度のPRにつきましては、弁護士会あるいは司法書士会、社会福祉士会など民間団体におきましても熱心にお取り組みいただいておりますが、県としてもしっかりと啓発をしていただきたいと思います。  これらの点につきまして、再度、健康福祉部長に御答弁をお願いいたします。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 2点の再質問にお答え申し上げます。  まず、1点目の地域福祉権利擁護事業のPRについてでございますが、県の社会福祉協議会におきましては、啓発のパンフレットを作成いたしまして、関係機関に配布し、制度の周知に努めておりますとともに、各市町の社会福祉協議会におきましても、独自に広報紙に掲載されるなど、事業の周知に取り組んでいただいているところでございます。また、県といたしましても、地域福祉活動の担い手となっていただいています民生委員の方の手引書にこの事業について記載をいたしますとともに、その内容について、研修会等で周知を図っているところでございます。  次に、成年後見制度についてでございますが、この事業につきましては、市町が申し立てをされます。低所得の高齢者の方につきましては、市町の方で無料で取り扱いをされているということでございますが、それ以外の場合でありましては、成年後見人となっていただく方の報酬額につきましては、家庭裁判所で、申請される本人の所得状況等を調査の上、生活に支障のないように考えながら後見人を選定いただいていると聞いております。実際、月額報酬で申し上げますと、1万円を下回るような額でも、社会福祉士ですとかNPO法人で後見人を受託していただいているといった状況にあると伺っております。  また、この制度のPRにつきましても、広報パンフレットにつきましては、最高裁判所で6月に作成されたところでございまして、県、また、市町、それから地域包括支援センターを初めとします関係機関に配布を行ったところでございます。DVDも作成されていまして、これにつきましても市町に配布をいたして、広く啓発を行っていただいているところでございます。このほか、市町の職員、また、市町の社会福祉協議会では、制度に関しましての説明会ですとか、一般県民の皆さんへのセミナーの機会などもとらまえていただいて、啓発に御尽力いただいていると伺っております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)もう一度、健康福祉部長にお尋ねしたいと思います。  今おっしゃいましたように、低所得の部分、社会福祉士会、報酬1万円ということもおっしゃいましたが、私も聞いている中で、さっき社会福祉協議会の体制のことも申し上げましたが、今の報酬の部分、予算づけの問題、いろいろな問題で、この制度がなかなか活用しにくいという状況が、現場ではあるように聞いております。その辺、しっかり把握もしてほしいと思いますし、いろいろな意味で、全体の中で本当に擁護される方が漏れないように御努力いただきたいと思います。  県、市や町、そして社会福祉協議会、これらの関係者が本当にしっかり連携して、制度を利用しやすい、そんな環境をつくっていく努力をしていただきたいと思うわけですが、再度、健康福祉部長の取り組み姿勢をお尋ねしたいと思います。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) 再々質問にお答え申し上げます。  いろいろな仕組みにつきましては、実際にその所期の目的の効果が発揮されることが大変重要でございますので、今おっしゃいました、市町あるいは裁判所等との連携を図りながら、セーフティーネットとして有効に活用されるように、できるように努めてまいりたいと考えております。 ◆18番(今江政彦君) (登壇)日の当たらないところ、そういう、陰に隠れてしまって対象者が泣くようなことがないように、その辺の掘り起こしも、ぜひともしっかりお願いしたいと思います。  それと、もう一点、先ほどの質問の中で1点、私、言い忘れていたことがありまして、ちょっと発言させていただいてよろしいでしょうか。 ○議長(出原逸三君) さかのぼってやるわけですか。 ◆18番(今江政彦君) いいえ、質問ではなしに。先ほど税源移譲のお話をした中で、補助金がなくなったという中の対応で、いわゆる起債で対応いただいたという部分がございます。この点をちょっと私申し上げませんでしたが、この起債100%、交付税で裏打ちをされるというものでございますが、この辺もしっかり、あと、地方交付税で賄われるように御努力をお願いしたい。これは言い忘れでございまして、この点を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、18番今江政彦君の質問を終了いたします。  次に、5番西村久子さんの発言を許します。 ◆5番(西村久子さん) (登壇、拍手)私は、今期定例会におきまして、2つの質問をさせていただきます。知事ならびに関係部長の御答弁をお願いいたします。  厳しい財政状況が連日のように説明され続けています。聖域なく、すべての事業をゼロベースで見直す。思い切った削減を実施するとか、各担当部には、事業費対前年度50%減、県下各市町村補助金は、これまた50%減との厳しい指示が出ていると聞いております。情け容赦なく、これだけはなくしてはならないといった施策にまでもメスをいれることが当然の行政なのでしょうか。嘉田県政におかれては、これだけは何としても守らなければといった思いで、特徴ある予算執行をしていただきたいと、お願いをいたしておきます。  それでは、まず嘉田知事に、次世代育成支援策についてお尋ね申し上げます。  男性も女性もほどほどに働き、家庭の時間を大事にしている福井県は、仕事と生活の調和を大切にする先進地。日本の将来につながるヒントがある。ニーズの隅々にまで届く支援を目指す福井県。子育て支援の手厚さで、今、福井県が関心を集めておられます。一般的に女性は家事をしながら働き、特に地方では、祖母になると孫の育児を担ってきました。こうした大家族の暮らしが、働いて子供を産む女性たちを支えてきた。しかし、核家族がふえ、出生率はだんだん低下してきたのは全国的なことで、特殊出生率をいかにすれば上げられるのか。そのための効果的な支援策が、今、広範囲に求められています。それには、子供を産む側である女性たちの、こんなとき困るの声を拾い集め、きめ細かな育児支援策を積み上げる必要があります。  先進地と言われる福井県が、子育て支援の強化に乗り出されたのは三、四年前から。一時預かりや病児保育などのきめ細かな施策が次々と打ち出され、祖母が果たしてきた役割を公的サービスが担うようになりました。まずは自分たちの生活が成り立たなくては話になりません。収入を得るためには共稼ぎ。共稼ぎ率が全国1位なら、共稼ぎ世帯収入も全国トップ。福井の女性は働き者、この県自慢は、あちこちで聞かれることでもあります。多くの働く女性たちの職場と家庭が30分以内の距離にある職住近接も功を奏していると思われますが、職場のほとんどが2ないし3人の子持ちで、合計特殊出生率、2006年は全国平均1.32人、福井県は1.5人で全国6位、出生数が増加に転じた県の数少ない存在でもあります。  子育てで一番気になること、それはやはり病気。「子供の病気で仕事を休んで首になった」、「保育園から『少し熱があります。お迎えに来てください』」、「子供が少し体調のよくない程度のとき、預かって面倒を見てもらえるところがあったらな。職場で責任ある仕事を抱えているとき、とっさに休むことはできないもの」。「子を持つ女性は職種の選択を強いられる」といった声。  それらを反映した政策の中には、例えば病児デイケア。福井市にある産婦人科と小児科の病院が手を組み、病児保育施設を開設。病気や回復の子供を看護師らが預かり、はしかや風邪など病気ごとに小部屋に分けて面倒を見る。お母さんたちからは、ここがあって助かりましたと歓迎され、利用者は月に一けたと言われた当初の予想が外れて、毎月二、三百人という利用の繁盛ぶりでございます。福井県と市の補助で、1日4,370円の利用料が市内在住者は2,000円で済み、また、第3子からは無料。子供の急病は、働く親の代表的な悩みであり、こうした回復にある病後児保育や病児保育の必要性は喫緊の課題と言えます。病気のときくらい親は休むべきだという声も当初聞いたが、最近ではない。これまで病児は、両親か祖父母が面倒を見てきたが、公的な支援も必要になっていると、最近の関係する方々の声でもあるようです。  さらに、独自の「ふくい3人っ子応援プロジェクト」、これは3人目以降の子については、妊娠中の検診費から、3歳に達するまでの医療費、保育料までを原則無料にした福井県の独自政策。平均的世帯で計134万円、負担軽減になると試算されております。  また、こんなとき困るの声を拾い集め、積み上げてきた支援事業の一つに、子供の送迎などを気楽に頼める「すみずみ子育てサポート事業」があります。自分も子育てで困ったことがあるから、お母さんたちを助けてあげたいと、県と市の補助つきで、1時間350円のNPO法人子育てサポートセンターは、1カ月400人以上の利用者があり、求職活動中に保育が利用できない、また、何々を習いたい、どこどこへ行きたいと、さまざまな理由で母親たちが一時保育を利用し、その中には、3人目、4人目を出産する人が目立ち、ここがあったから3人目を産もうと思えたと言われているといいます。こうした県の本気にこたえるように、低下が続いてた出生率や出生数が、ここに来て反転、上昇し始めていると評価されております。  少子化の流れを変え、安心して子供を産み育てることのできる環境を整えるため、こうした保育サービスの充実を初め、経済的支援の充実、さらに、企業における子育て応援の促進においては、子育てしやすい職場環境づくりに奨励金の支給や、父親子育て応援企業の表彰や、受賞企業に対しては県制度融資を利用する場合の保証料全額補給や、県の入札資格における審査項目として加点評価されるなど、特筆に値すると思います。家庭や地域における子育て支援の充実や、若者の結婚を応援する環境づくり、子育てに優しい地域社会づくりなど、結婚から子育てまでの総合的な施策を次々と推進、子育て家庭を優先応援する取り組みを広げておられます。  一方、滋賀県では、深刻な問題として、乳児死亡率ワーストワンがあります。この問題に関しましては、先ほど粉川議員からの質問もございまして、御答弁の方は理解させていただきました。確実な対応がされ、生存率が高まるよう、努力をお願いしたいところでございますが、1点だけ、せんだっての代表質問の中で、その死亡率ワーストワンの原因についてお答えがございました。1番目に先天性異常、2番目にの呼吸器障害、3番目に乳幼児突然死症候群と挙げられております。こういった問題は、滋賀県が特別にこの率が高いのなら、別に問題もあると思いますけれども、一人でも生存率が──効果の上がる問題として、2番目にの呼吸器障害が挙げられると思います。こういった問題、滋賀県の、琵琶湖という交通が遮断された特性を考えると、突発的事態に対応できるよう、大津赤十字病院だけでなく、せめて地理的バランスを考慮した新生児集中治療室──NICUの設置が必要であると考えます。  嘉田知事は女性であり、子を持つ親であり、また、働く女性でもあります。これらの状況にある人々の不安を、それぞれの体験者として一番よく理解していただける方だと存じます。嘉田マニフェストにおいて公約されました「教育も福祉も地域と世代のつながりで〜安心日本一を目指します」、政策4−4「次世代育成策を強化します 乳幼児医療は、全額無料にします。学童保育を含む保育所の待機乳幼児・児童を解消し、19時まで延長保育します」等々の提案は、その世代の要求を満たしてくれるものとして、多くの賛同を得たものと思います。  財政困窮の時期ではありますが、将来の湖国滋賀の生産者、経済の担い手確保のためにも、一刻も早く対応していただきたい施策であり、女性たちの、こんなとき困る、親たちの悩みの声を拾い集め、きめ細かな育児支援策を積み上げる必要があります。将来においても、人口増加県の滋賀において、新企業誘致に向けての条件整備の中にも、次世代育成の対応は欠かすことはできません。マニフェストにも提起されておりますが、今後の次世代育成について、どのように取り組んでいかれるお考えか、お尋ねするものです。  次に、農業政策について、農政水産部長にお尋ねいたします。  地域における農業の課題から、まず、現行農業政策からの問題について、お尋ねいたします。  全国各地でたび重なる自然災害等を受けながらも、ことしも収穫の秋がやってきました。農家にとって、豊作の喜べる秋であってほしいと、切実な願いでありますが、果たして現実はいかがなものでありましょう。新米の入札も始まりましたが、これまでの新米の価格動向を伺います。米の消費や国際状況から見て、将来の価格の見通しをお尋ねします。  次に、農業、農家の現状を示して改善策がとれないものか、御検討を願いたいところです。さきの参議院議員選挙において民主党が公約された米の強制減反──生産調整の廃止や、すべての販売農家に対して農業者戸別所得補償制度の提案は、多くの農家が賛同したのもうなずける政策でありました。経営安定対策において育成すべき農家を一定規模以上と限定したことによって、兼業農家に代表される小規模農家で今日まで一心に農業をやってきた方々、多くは農村のリーダーであった方々から大反発を買ってしまったことにあると思います。  しかし、本当にこの政策は、小規模農家切り捨てだったのでしょうか。今回の新農政における小規模農家対策がどのようになっていたのか、お尋ねします。  育成されるとされた認定農家と特定農業団体においても、口々に不満の声を聞いています。現実、毎年米の値段は下がってきています。その価格を補てんするために、いろいろな政策がとられてきました。しかし、余りにも煩雑、わかりにくいのです。米を主にした農家にとって、10アール当たり、概算幾らの収入が見込めるか、これだけ耕作していたら大体幾らになると金額が算定できるような、わかりやすい農業収入であってほしい。そして、さらに努力した農家にとってはプラスになるようにとは、特別にむちゃな願いでもないはずです。  例えば経営安定対策。収入の減少に対して農家も拠出し、国等の補助金と合わせた上で農家におろしてくるというやり方。ただでさえ苦しい農業収入から、まず出すことをせず、その差額だけ補助していただければ一番わかりやすいのではないですか。事務的にも余りにも煩雑過ぎます。  農地にはいろいろの形があります。基盤整備され、暗渠も入った作業効率のよい農地は、管理もしやすく、収穫も比較的安定して望めます。しかし、遠隔地、放棄に近い土地を依頼されて耕作している、筆数ばかりがやたらに多い未整備の農地が、言葉のごとく、労多くして益少なしの状況は、どなたにも想像できるでありましょう。むだな生産コストがかかり過ぎるのです。  集落営農は「集落内の農地はみんなで守ろう」が合い言葉ですから、面積要件もあり、積極的に協力して農地集積を図られました。しかし、本年、今まできれいに管理されていたこの農地に、思わぬ雑草が見られました。環境こだわり米の生産に集落営農が取り組まれたことにも一因はあると思いますが、原因は、集落営農に参加した農家が、今日まで個人が管理していたときのように田に愛着を持って管理しなくなったからと思われます。地権面積の分だけの画一的な収益配分によって、さらなる生産意欲が薄れてしまったことは、まことに残念ですが、否めないところです。  一方、認定農家は、耕作者の高齢化や機械の更新不能により個人で耕作できなくなった農地を借り受けて、その面積をふやしてこられました。さまざまな理由により、いわば放棄されそうになった田であることから、非常に条件の悪いことが多くあります。農地面積に対して管理する畦畔が余りにも多い。未整備地であるため、1枚の田であっても高低がまちまちで、何段にも仕切られている。集落営農でも受け入れてもらえない田であるとか、とにかく極端にその筆数は多く、100筆を超える認定農家もあります。  今日まで滋賀県は、比較的、放棄地は少なかった。その陰に、汗が報われないことを知りながらも努力していただいた認定農家がいたことをお考えいただき、ぜひ救済策を講じていただきたいと思います。新政策が、麦、大豆の収穫量に応じた補てんであるため、勢い基盤整備や暗渠対策の実施された農地で転作の対応をすることとなりますが、みずからの基盤となる所有地がないままに認定農家となった、比較的若い農家については、耕作面積に対する転作割り当て面積を、適地となる農地で確保することが困難であるため、前述の未整備地にその転作を求めることとなります。効率の悪いこと、この上ありません。そうした認定農家の経営を見れば、「そんな効率の悪い農地は、この際、地権者さんにお返しした方が勘定ですよ」となって、耕作放棄地問題が顕著にあらわれてくると思います。農振地でありながら、基盤整備も集落営農組織化も、意欲をなくしてしまった農地、開発の英断も必要ではありませんか。それができないなら、しっかりした保護政策は必要と感じます。  現に、中山間地対策は、環境保全上、しっかりと対応しておられます。平坦地であっても、環境上、どうしても農地であるための管理が必要であるのなら、中山間地対策に見合った対応をされてもよいのではないですか。それらに該当する地域も、その立場にある人たちと十分に話し合いをし、解決策を編み出していただきたいと切望し、本県認定農業者の現状と課題および支援策について所見を求めます。  次、転作に関してお尋ねいたします。  経営所得安定対策等大綱ならびに実施要綱が決定され、米づくりのあるべき姿の実現に向けての取り組みを引き続き進めること、平成19年度から、農業者や農業団体が主役となる新たな需給調整システムへの移行が決定されたのを受け、しがの米政策推進方針に基づいて需給調整を確実に行う必要があると考えますが、制度の事務申請等の煩雑さや、そして余りにも低い米価、加えて、負担、拠出の多さに音を上げた農家側から、転作拒否の声も聞かれます。需給調整については、農業者や農業団体が主役となるシステムに移行されて後のこと。どう対処していかれますか。  米づくりのあるべき姿。聞こえはよいけれども、その理想と現実のはざまに苦しむ米の価格。保護に頼らざるを得ないのではないでしょうか。補助金づけとやゆされることの多い農業ですが、農業がつぶれたら地域社会も崩壊してしまう危機的な状況を、広く県民、国民の皆さんに理解してもらうよりないと考えますが、米づくりのあるべき姿とはどのような姿であると認識されているのか、お伺いいたします。  次、滋賀らしい農地・水・環境保全向上対策についてお尋ねいたします。  さまざまな問題を含みながら、農振地集落の皆さんや、特に役員の方々の大変な御苦労によって本対策がスタートしました。まず、県下取り組みの状況を伺うとともに、その評価はいかがでしょうか。特に環境こだわり農業の推進に力を置いてきただけに、全国対比も気になるところです。  次に、滋賀方式がハードルが高いということを関係者よりよく聞きます。国が示す農地・水・環境保全向上対策と、滋賀の求める「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」との違いを示してください。  環境立県として先進的なことは認めますが、それによって制度に乗れないところがあることは問題と思いますが、いかがでしょうか。例えば、環境こだわり農業実施農家として景観作物を栽培している農家にとっては、面積の大小にかかわらず、環境に対する効果はあるものにと不満を示されることに、同調の思いを抱きます。  滋賀県は環境こだわり農業推進に力を入れてきました。今日まで点的な存在であった滋賀県の環境こだわり農業に理解を示し、協力いただいた農家に、たとえ個人であっても支援を続けることは必要ではないか。また、農振地以外の実践者であっても、琵琶湖の水質を考えれば、同様の効果は期待できるのであって、支援することは必要であると考えますが、いかがでしょうか。市街地の中で環境こだわり農産物の生産に努力し、直売活動を続けておられる方においては、むしろ消費者がその応援団として歓迎されている実態があります。環境にこだわった部分において、農業振興地内農地であれ市街地内農地であれ、対応を変えることは公平を欠くと考えますが、いかがでしょう。  今日、いろいろな条件で支援の制約がされています。今、滋賀県の環境こだわり農産物生産を思い立った農家がどのような支援が受けられるのか、お聞きします。  また、滋賀県の環境こだわり農業の支援期間と、国の農地・水・環境保全向上対策の期限終期と同時期にまで支援を延長する必要を感じます。  次に、グリーンツーリズムについて、農政水産部長にお尋ねします。  晴耕雨読の明け暮れと、いかにもうらやましい人の生き方。1年には、猫の手もかりたいと言われる農繁があり、また、ゆったりと時の流れる農閑期がある。いとも自然にかなった農業、農村の姿であったのは、随分昔のこととなってしまいました。今日では農家は一年じゅう忙しく、自立自立と言いながら政策に振り回されている。ぼやいているのは農村で農業をやっている人とは、何と皮肉な矛盾でもあります。しかし、一般的に農村は、豊かな自然の中で一番人間らしい暮らしのできるところ。何よりも美しい水と空気、まばゆいばかりの緑と、その環境をうらやむところも確かにあります。  少しの家庭菜園があって、あたりは静かな住環境。少し走ればスーパーがあり、娯楽施設もある。生活の根拠はサラリーマン。豊かな緑は広大な庭。農村に住む方は、きっとそうお感じであると思います。そんな農村を誇りに思って──季節を感じにいらっしゃいませんか。自然の残る河川敷。この地に住む私でも、毎日毎日が感動です。春、コブシ、ウワミズザクラ、フジが競うように咲き、夏のノカンゾウ、オニユリ、ネムノキが可憐な話を咲かせ、秋、実りのとき、クリ、コブシ、ノバラ、アケビが実をつけます。冬、真っ白な雪の中に咲く赤いツバキの花。時として渡り鳥の群れに出会う。こんな自然を体感してみませんか。ゆったりとした時間の中で、感動がきっと見つかります──と、グリーンツーリズム、田舎体験のお誘いであります。  しかし、志はあっても、いざ宿泊していただくとなると、まず、都市計画法によって市街化調整区域に旅館のごときものは建てられない。民宿を行い、宿泊や食事提供をしようとすると、さまざまな法令の制限のあることに驚きます。  田舎体験とは、農村に今ある空き家を活用し、畑を貸し農園として提供、近くの川でとった魚や、とれたての野菜でもって自炊、農家の主婦たちとの交流によって漬物やみそ等、季節の加工食品をつくり、子供たちには、カブトムシつかみの楽しみやセミの脱皮の感動に驚く姿を想定して、どきどきの企画をされたのでありますが、現実法の壁厚く、進めることができません。  グリーンツーリズムや田舎体験は、農林水産省や食育の中でも推進されていることでもあり、農村のよさを目いっぱいに活用して農業、農村の振興を図るためにも、もっと規制の弾力的な運用が必要になります。神社仏閣も多く、歴史、文化に造詣深い滋賀県。周囲を山に囲まれ、日本一の琵琶湖を持つ滋賀県の農村こそ、こうした振興策はもっと活用できるのではないでしょうか。  ある女性がこんなことを言っておいででした。「お金がないのはよくわかった。だから、お金を余り使わずに、嘉田知事さんに宮崎県知事のように、もっともっとテレビに出てほしい。『もったいない』の滋賀県知事、滋賀に行けば、こんなすばらしい環境があった。滋賀の体験をしてこなきゃもったいないとなるよう、どんどんPRしてほしい。あとは我々が頑張る」とのこと。グリーンツーリズム研究会を各地で開催し、こうしたらできますよといったマニュアルを示して指導され、志を同じくする人々があちこちから挑戦できれば、知事がよく言われる地域の宝がもっと光り輝くのではないか、滋賀県の宝を輝かせるためにも、特区制度を活用して、滋賀県だからできるグリーンツーリズムを検討するのも一考と思いますが、どうでしょうか。  あわせて、農家民宿の交流研究会を実施され、マニュアル化へ努力いただいているようでありますが、推進状況を、農政水産部長にお尋ねいたします。  以上、質問を終わります。よろしく御答弁ください。(拍手) ○議長(出原逸三君) 5番西村久子さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)西村議員の次世代育成支援策について、まずお答えさせていただきます。  西村議員には福井県の子育て支援の様子を詳しく御紹介いただきまして、ありがとうございます。滋賀県の持続的発展を図る上で次世代育成は欠かすことのできない重要な視点でございます。子育て三方よし、子によし、親によし、そして、結果として社会によしのメッセージを県民の皆さんに発信しながら、未来を担う子供たちが健やかに育つ社会の実現を目指す、子どもの世紀しがプランに基づき、総合的な次世代育成支援策を進めているところでございます。  特に、マニフェストに掲げました政策の中で、1つは、平成18年10月から乳幼児福祉医療費助成の対象を拡大させていただきました。また、2つ目に、保育所待機児童の解消に向けた取り組み、延長保育など多様な保育サービスの充実に努めてまいりました。また、3点目は、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育所の拡充でございます。さらに、4点目、育児サポート体制の充実として、本年度新規事業であります子育て家庭訪問事業の実施をしてまいりました。  そのような中で、特色ある取り組みといたしましては、県民による地域の子育て活動を支援する子ども未来基金事業、企業の協力を得ながら実施する淡海子育て応援団、さらに、近畿各府県や経済団体と連携した子育て応援・関西キャンペーンなどの取り組みも実施してまいりました。  また、医療につきましては、ハイリスクの新生児等が安心して高度の医療が受けられるよう、県内の12の病院で構成します医療ネットワークの充実強化を図るとともに、滋賀医科大学において寄附講座を開設しまして、乳児死亡率の事例を研究することにより、より専門的な分析を行い、その効果を医療機関に提供するなど、妊娠、出産、新生児、乳幼児を通して、母子の心身の健康が確保されるよう、環境づくりを推進しているところでございます。  福井県におきましては、3人以上の多子世帯への支援や若者の結婚を応援する環境づくり、父親子育て応援企業表彰など、特色ある取り組みを展開しているものと承知しております。そのような事例も参考にさせていただきながら、本年度から本県では、子供が生まれてから、自立した社会の担い手となるまで、切れ目のない支援を行うための子ども・青少年局を設置いたしまして、子ども家庭相談センターの体制強化を図るとともに、全庁的な連携体制としまして子ども・青少年施策推進本部を設置し、体制を整備しております。  子ども・青少年施策推進本部におきましては、43の関係課によります部局連携を図り、本年6月、全国的にも余り例のない滋賀県児童虐待防止計画を定めました。児童虐待というのは、まさに、最も安心できる家庭内で子供たちがつらい目に遭うという、あってはならないことでございます。そのような中で、関係機関の連携によりまして、児童虐待の未然防止から早期発見、早期対応、保護、ケア、そして親子関係の修復、家庭復帰や子供の自立までの総合的な支援を行っているところでございます。  また、今後の施策展開につきましては、子育て支援や青少年の健全育成、自立支援のメニューは整いつつありますが、必ずしも十分に活用されていないのではないか。まさに現場の子育ての皆さんのニーズに基づき、その活性化を図っていくことが大切であると考えております。  さらに、子供や子育てのすばらしさ、子育て支援の大切さをもっと社会的に理解してもらうことが必要であろうと考えております。私自身も子供を持って仕事をした経験から、どちらかといえば白い目で見られ、子育てをしながら、なぜ仕事なのか、随分と社会的な抵抗もいただきましたが、今まさに、働きながら子育てができる、そのような社会的な心の応援もぜひともしていきたいと思っております。  子育て家庭の不安感、負担感を緩和できるよう、地域の人材、資源による地域力を活用しながら、社会全体で子育てを支える仕組みや機運づくりについて検討しているところでございます。  この夏には、県庁で子供さんたちに県庁訪問していただきました。子ども参観日でございますけれども、このような小さな取り組みの中からも、子育てを社会として応援しているという気風を、そして機運を高めていくことが大切であろうと考えています。  次世代育成支援は、まさに県民の皆さんの暮らしと命に直接かかわるだけでなく、将来にわたっての社会の活力を維持し、本県の自治と自立の礎となるものと認識しております。  非常事態とも言うべき危機的な財政状況ではございますが、そんな中にありましても、県としての役割を見きわめながら、市町と連携し、より効果的な事業と施策に精いっぱい取り組んでいきたいと考えております。  以上、西村議員の子育て、次世代育成支援についての御質問に対して、答弁とさせていただきます。 ◎農政水産部長(但馬甚一君) (登壇)農業政策についての12点の御質問にお答えいたします。  まず、現行農業政策からの問題のうち、新米の価格動向と将来の価格の見通しについてお答えいたします。  新米の価格動向につきましては、全国的な米の市場であります米価格センターでの取引状況を見てみますと、本県産は、今まだ上場はされてはおりませんが、他県産で見てみますと、昨年同期と比較いたしまして、60キログラム当たり約1,000円程度安い状況となっております。  また、将来の価格の見通しについては、少子高齢化等による消費の減少、また、米の需給調整、さらには、WTO農業交渉における米の重要品目としての取り扱いなど、不透明な要因が多々ありますことから、非常に難しいと言わざるを得ません。いましばらく推移を見守るべきものと思っております。  次に、今回の新政策におきます小規模農家対策についてでございます。  品目横断的経営安定対策は、経理の一元化などの一定の条件を備え、集落営農組織に参加している場合であるとか、複合経営により一定の農業所得がある場合につきましては、小規模農家であっても対象となるわけでございます。このことから、本県におきましては、認定農業者に加えて、今日まで取り組んでまいりました集落営農の育成を図る中で、小規模農家の参画を促すなどして、本対策に対応してきたところでございます。  次に、認定農業者の現状と課題および支援策についてであります。  平成19年6月末現在の本県の認定農業者は1,696経営体となっており、本県水田の約25%に当たる1万2,500ヘクタール余りを担っていただいております。これらの認定農業者の中では、議員御指摘のように、農地が分散し、未整備田が多いといった、生産コストの増加につながる幾つかの課題を抱えながらも頑張っておられる農家があることはお聞きしております。  県といたしましては、こうした課題も含めて、担い手への農地の集積に適切に対応するため、農協などが農地を一たん集積し、担い手となる農家に効率よく再配分する農地保有合理化事業などが、円滑で効果的に活用されるよう、市町、農業委員会やJAなどの関係機関と連携し、積極的に担い手を支援してまいりたいと考えております。  次に、米の需給調整について、どう対処していくかについてでございます。  米の需給調整は、米価の安定を通して農業者の経営に直接寄与しますことから、まず、農業者の方々がみずからしっかりと自覚をして取り組んでいただくことが極めて重要であると思います。加えまして、地域水田農業推進協議会の役割もますます重要となってまいりまして、県といたしましても、この協議会の調整役ということで、今後も指導、助言に努めてまいりたいと考えております。  次に、米づくりのあるべき姿の認識についてでございます。  御承知のとおり、本県農業は、水田農業に特化した構造になっており、米づくりのあるべき姿とは、まさに本県農業のこれからをどう考えるかということではないかと思います。これにつきましては、米の需給調整の確実な実施に加えまして、しがの農業・水産業新戦略プランにも掲げておりますように、県内のおおむね7割の農地を担い手に集積し、そして産業として自立し得る、効率的かつ安定的な経営がされること、さらに、消費者や実需者ニーズに対応した高品質な近江米や麦、大豆の安定生産を進めること、このことから、地域農業が持続的に発展する姿であると認識しております。  次に、滋賀県らしい農地・水・環境保全向上対策についての御質問にお答えいたします。
     まず、県下の取り組み状況と、その評価についてであります。  共同活動は、県内の農業集落1,400余りのうち約840集落、農振農用地面積の3分の2に相当する約3万2,500ヘクタールで、また、共同活動と一体的に行う環境こだわり農業も、当初の予想を上回ります約8,800ヘクタールで実施される運びとなっており、本県の取り組みは、御承知のように全国でもトップクラスでございます。  次に、国と県との制度の違いと問題についてであります。  本県では、さまざまな環境保全活動を進めてまいりましたが、こうした活動を続ける中で、県民の環境に対する意識は、より高いものとなっており、そのように理解しております。今後とも、琵琶湖の豊かな自然環境を守っていくためには一層の努力を続けることが必要であると考えております。このような本県の状況や課題を踏まえて、国は水質や生態系、景観保全といった環境保全に係る活動テーマの中から1つ以上を選択すればよいとされているわけでございますが、本県では3つのテーマに必ず取り組んでいただくということにしているところでございます。こうした要件は、本県の農村集落の現状から見て、少し頑張っていただければ実施可能と考え、琵琶湖や農村の豊かな自然環境を良好な形で次世代に引き継いでいくために設定したところでございます。  次に、環境こだわり農業につきまして、個人であっても支援すべき、また、農振農用地以外であっても対応を変えず公平に支援すべきとのお尋ねでございますが、本県では環境こだわり農産物認証制度に続き、環境農業直接支払制度を創設し、環境への負荷削減を進めるため、どの地域であっても、また、個人であっても同等の支援をしてまいりました。今年度から始まる国の制度は、農振農用地で行われる共同活動とあわせて、集落等のまとまりを持って進めることとされており、取り組む面積の拡大はもとより、環境保全により高い効果が期待できると考え、取り組んでまいりました。  国の制度の活用によって、農振農用地に限定はされますが、限られた財源のもとで、より広い地域で取り組んでいただけることになりました。  次に、新たに取り組む農家への支援についてであります。  国の制度の対象となる場合には、営農活動支援交付金が受けられますが、対象とならない場合につきましては、環境こだわり農産物認証制度により、農産物の評価を高めるよう支援してまいりたいと考えております。  次に、県制度を国と同時期まで延長すべきではないかとのお尋ねについてでございます。  県単独の支援につきましては、県議会や審議会で御議論いただきまして、また、農業者や市町等の意見、御要望を踏まえまして、これまでから取り組まれており、国の支援対象とならなかった農家に対して、本年度から2年間継続することといたしております。今後も、できる限り国の制度の対象となるよう、市町と連携しつつ、関係集落に働きかけていきたいと考えております。  次に、グリーンツーリズムについての御質問にお答えいたします。  グリーンツーリズムを進めようとしますと、さまざまな法令の制約を受けることは、御指摘のとおりでありますが、サービスの品質を確保し、信頼される取り組みとするためにはやむを得ない面があります。一方では、交流体験の企画に取り組みやすい環境を整え、チャレンジする人をふやすような施策展開も必要であって、交流活動の指導者を育成するためのスクールを開校しておりますし、本年度からは米原市において、空き民家の有効活用を検討する地域住民への支援を行っております。  また、農家民宿に関連する諸法令を所管する各部担当者で、滋賀県都市農山漁村交流研究会農家民宿検討部会を立ち上げまして、開業しやすい仕組みづくりの検討に着手しており、その成果について、今年度中に農家民宿開業の手引として取りまとめ、農家の皆さんに広報してまいります。  最後に、特区制度の活用についてであります。ただいま申し上げましたような施策を推進する中で、地域での取り組みを応援するために、都市住民との交流の促進に有効かどうかといった視点から研究してまいりたいと考えております。 ◆5番(西村久子さん) (登壇)御答弁ありがとうございます。  それでは、嘉田知事に再質問をさせていただきます。  子育て支援のマニフェスト実現に向けて今日まで取り組んでこられました実績、それから、これからしようといった思い。前向きな御答弁をいただいたところでございます。  私は福井県の例の中で、これだけはやはり違うなと思ったことが1点ございました。というのは、新規企業さんに来ていただくための手だてとして、入札に対する審査の加点制度。子育て支援に対して協力してくれる企業さんに対してはこんな恩典を与えますよというところまで提示されているということは、滋賀県を振り返れば、やはり新しい企業にどんどん来ていただいて税収をふやす、その方向に持っていくためにもこれはどうしても必要だと思うのです。マニフェストの中には、企業に対する漠然とした思いがありましたけれども、こういった具体的な取り組みについては非常に参考となりますので、また御検討いただきたいと思います。所見があれば、お聞かせいただきたい。  そして、農政水産部長に、これはお願いをしておきたいと思うのです。環境こだわり農業ということで一生懸命やってきたし、滋賀県は、農業の特性として環境こだわり農業をやってきたという思いがあります。ところが、今、新しく国の制度ができて、それに乗りかえてしまったから、今日までやってきた人でも、うまく制度が利用できる人はそれでいいけれども、外れたところの人が確実にあるわけなのです。  現に3分の1の方が、面積にしても、その制度に乗れないところがあるというようなお答えをいただいていながら、実際やっていらっしゃる方は、数は少ないかもわからないけれども、乗れない人がいらっしゃるのは事実ですので、むしろリーダー的な存在であった人にこれからも引っ張っていただかないことには、その今乗れない3分の1の面積の地域の方も頑張ろうというところまで上がってこられないと思うのです。国の施策もいずれ見直しの時期が来ます。県の制度は、国に乗ったから、もうそれでいいのですではなくて、見直しの時期には、もう一度県としての特性をどうするということを御検討いただきたいと思うわけです。所見があれば、お聞かせください。なければ、どうぞ御検討いただくようにお願いして、質問とします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)子育てにおける企業との連携について、所見がありますので、お答えさせていただきます。  今、女性の働く現場を考えますと、企業との連携は何よりも大切だと思っております。そういう中で、3点ほどのアプローチがあるかと思っております。  1つは、まさに県の公共的な仕事にかかわっていただく企業に、子育てへの関心あるいは支援をいただくということで、具体的には、入札の総合評価方式の中に、子育て項目を1つ、既に滋賀県も入れさせていただいております。福井県でもやっておられることと思います。  2つ目は、子育て、あるいは仕事と子育ての両立に対する企業のさまざまな支援をいただいているところに対して、これは教育委員会とも連携でございますけれども、表彰制度も、大変大切なものでございまして、そのような形でのポジティブな支援です。  3点目には、企業内保育所のようなところで、既に幾つかの企業が、働く、あるいは子育て中の女性たちをしっかりと、自分たちの仕事の場に復帰あるいは継続してほしいということで、企業内保育所のような取り組みもしていただいております。そのようなところでも、行政としてはしっかり連携をとらせていただきたいと思っております。  以上、所見でございます。 ◎農政水産部長(但馬甚一君) ただいま御提案いただきました件につきましては、検討させていただくべきだということで受けとめさせていただきたいと思います。 ◆5番(西村久子さん) 質問を終わります。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、5番西村久子さんの質問を終了いたします。  次に、7番成田政隆君の発言を許します。 ◆7番(成田政隆君) (登壇、拍手)お疲れさまでございます。それでは、質問の方をさせていただきます。  今回の議会で、財政に対し、非常事態とも言うべき危機的状況下にあると、知事は所信で述べられました。しかし、命にかかわる問題や未来を築くための投資である教育分野に関して後退をさせてしまうと、不安ばかり募ってしまいます。安心、安全の滋賀県であり、また、将来へ夢や希望が持てる滋賀県であることが、県民のパワーをさらに飛躍させる原動力になるのではないかと思います。それでは、通告に従いまして、以下、質問をさせていただきます。  初めに、AED──自動体外式除細動器の設置、普及について、健康福祉部長ならびに教育長にお伺いいたします。  9月1日に大阪府富田林市の高校の野球グラウンドで、硬式野球を練習していた中学3年の軟式野球部員が、送球を胸付近に受けて倒れました。現場近くに居合わせたトレーナーが心臓マッサージや人工呼吸など応急措置を施す一方、練習を指導していた高校硬式野球部監督が携帯電話で119番通報し、市内の病院に搬送されましたが、約7時間後に死亡したという事故が起きました。  グラウンドにはAEDはなく、約1キロメートル離れた体育館に副部長が車でとりに来ましたが、戻ってきたときには救急車は到着しておりました。この高校では、AEDを体育館など3カ所に設置しておりましたが、グラウンドにはない状態であり、また、後日、設置場所や使い方を教職員の間で徹底することを確認したとのことです。  また一方、4月には岸和田市の高校で行われた春季近畿地区高校野球大会府予選の試合中、投手の左胸に打球が直撃し、その場で倒れ、心肺停止状態になりました。しかし、試合を観戦していた救急救命士らが学校に備えつけのAEDを使うなどしたため、一命を取りとめました。診療した医師は、AEDがなければ危険な状態だったと話しております。  これまで県議会におきましてもAEDに関して何度も取り上げていただいており、皆様も御承知のことだとは思いますが、AEDは心臓の心室細動の際に電気ショックを与え、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器であります。救急車の到着以前にAEDを使用した場合には、救急隊員や医師が駆けつけてからAEDを使用するよりも救命率が数倍も高いことが明らかになっており、AEDをなるべく多数配置するとともに、一人でも多くの住民がAEDに関する知識を有することが非常に重要だとされております。  まず、学校におけるAEDの設置状況について、教育長にお伺いいたします。  昨年9月の議会における答弁では、小学校で231校中19校、中学校で97校中22校でありましたが、その後の取り組みにより、どれだけのAEDの設置が果たせたのか、また、県立高校の設置状況も含め、お伺いいたします。あわせて、小中学校への設置促進に向けた取り組みもお伺いいたします。  また、各県立高校において、生徒全員を対象にAEDの使用ができるように講習することはいかがでしょうか。高校生全員がAEDを扱えることは、社会において大変心強いことだと思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、AEDの県内設置状況についてお伺いいたします。  県内の公共施設におけるAEDの設置状況はどのようになっておりますでしょうか。駅やショッピングセンター、ホテル、スポーツクラブを初めとする民間事業者の設置状況も含めて、健康福祉部長にお尋ねいたします。  次に、シアトル市では70%もの市民がAEDの操作ができ、心室細動を起こした患者の生還率は30%以上にも上ります。これは、全米平均5%に比べ6倍であり、心臓病で倒れるならシアトルでという会話が交わされるほどであります。これも、シアトルにおいてAEDが空港、会社、学校、野球場、スポーツクラブなど、人が多く集まる場所にあり、職場や地域単位で、消防機関や米国心臓協会、赤十字などの各機関が主催するAEDの勉強会も開かれているからであります。  一方、日本はどうでしょうか。先般の新聞報道によりますと、処置が怖いと、電気ショックを与える恐怖感で、しり込みする市民が多く、公共施設などへの配備が進む中、市民が使用したケースが少ないと伝えられております。一刻を争う、命がかかっているときにAEDを利用するには、それまでにAEDにどれだけ接しているかが、かぎを握ります。  救命講習会の支援など、今後の県民に対するAED普及促進に関してどのように行われるかを、健康福祉部位にお尋ねいたします。  次に、いざというときに操作ができたとしても、AEDがどこにあるかわからなければ意味がありません。そこで、AED設置等届け出システムに関してお伺いいたします。  現在、埼玉県や愛知県、山口県においても、AEDの設置場所を、携帯電話やパソコンから検索できるシステムを確立しております。  埼玉県では、市町村、民間施設および県が一体となり、県全体のAED普及促進を図っておられます。また、一般県民がAEDを効果的に活用するために、埼玉県内に設置している場所やAEDの利用方法がだれでも容易に把握できるシステムを必要とし、AED設置者の協力を得て、所在地や連絡先、使用可能な曜日、時間など、AEDの情報の届け出をしていただき、埼玉県AED設置等届出システムを構築しております。このデータについては、関係機関へ情報を提供したり、県ホームページなどにより公表され、パソコンや携帯電話においてあらかじめお気に入りに入れておくと、AED設置場所が最短で45秒で検索できるようになっており、県民に活用がなされております。実際に、新聞報道によると、昨年9月からことし7月末までに6人の心肺停止患者がAEDによる蘇生に成功し、うち5人は一般による救命であったとのことです。  また、山口県では、緊急医療情報システムとして、病院・診療所検索や休日夜間急患センターの検索機能とあわせて、「命をつなぐAED」として、AEDの設置場所が検索できるようになっております。  年々増加傾向にある心疾患患者、心肺停止者救命に向け、滋賀県においてAED設置等届け出システムの設置に向け、どのようにお考えでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。  次に、不登校について、教育長にお伺いいたします。  日々時代が変わっていく中、ライフスタイルも大きく変貌を遂げています。私自身が小学生であったのは四半世紀前ではありますが、既に子供たちの生活の変化を感じます。私の時代は、テレビゲームが出だしたころであったものの、まだまだ外で暗くなるまで遊んでおりました。最近、外で遊ぶ子供たちを見かける子供たちを見かけることが少なくなった気がします。また、インターネットを初め、さまざまな情報を容易に取り入れることが可能になり、子供たちに対する刺激もそれだけ大きくなってきたのではないでしょうか。時代の変化とともに、学校を取り巻く環境も問題も多様化し、子供たちが置かれている状況も刻々と変わり、それに伴い、さまざまな対策を講じる必要があるのではないかと考えます。  以下、不登校についてお伺いいたします。  かつて私は、子供たちのサポーターとして、不登校児童生徒とともに、うみのこに乗りました。当初の予測と大きく違ったのは、参加した子供たちは明るく元気で、とても不登校になっている児童生徒には見えませんでした。しかし、不登校に関して多くの方からお話を聞き、また、事例を調べますと、子供たちが100人いれば100通りの原因があるとわかりました。すなわち、対策は1つの手段では十分なる対応が行い得ないことを意味します。  現在、滋賀県において、学校には登校できるが教室には戻れない児童生徒の学級への復帰に向け、別室登校する子供たちに対し教員を配置しておりますが、配置している学校の成果ならびに今後の取り組みに関してお伺いいたします。  あわせて、学校内や関係機関との連携のかなめとなる不登校対応コーディネーターの養成状況を含め、教育長にお伺いいたします。  次に、子供たちは実際に学校に行けないことは認識しており、その行けないことが苦痛で、もがいております。その苦しさを緩和していくために、県ではスクールカウンセラーや心のオアシス相談員の配置、心の教育センター事業の推進をされておりますが、この事業に関して、どういった成果が出ているのでしょうか、お伺いいたします。  次に、スクールソーシャルワーカーに関してお伺いいたします。  近年、スクールカウンセラーを補完し、多様化する児童生徒の成長、発達をサポートしていくスクールソーシャルワークが拡大しております。もともとは、児童労働と子供の未就学について憂慮されていたアメリカにおいて、児童労働がおさまりを見せず、また、義務教育の発展の不十分さを解決するためにスクールソーシャルワークが出現しました。これは、現在子供たちが抱える問題が、心の問題だけでなく、彼らを取り巻く環境にもあり、教育現場に福祉的な視点からのさまざまな取り組みを行うことで、一人一人の人格を尊重し、子供たちの可能性が十分に発揮されるよう、ニーズに応じたサポートを行い、家庭、学校、地域社会との間で連携しながら、子供を取り巻く環境の改善を図り、生活の質を高めていくことを目指しております。  滋賀県において昨年度より、全国に先駆けて、県内小学校20校で社会福祉士などスクールソーシャルワーカーの協力を得て不登校を解消するといった取り組みを実践的に展開されましたが、スクールソーシャルワーカーの効果ならびに今後の拡大をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  さらに複雑な対応が必要な際には、児童精神科医による医学的診断や各相談所の職員への助言、指導など、児童精神科医の役割が重要と考えますが、不登校対策における児童精神科医との連携はどのようになっているのか、教育長にお伺いいたします。  次に、不登校児童生徒が外に出る機会をどのようにふやしていくのか、教育長にお伺いいたします。  学校には行けないが、何とかしたいと思っている子供たちに対し、機会をふやすことは大変重要であると思います。実際に、昨年私がお手伝いした「うみのこ」の体験活動において、生き生きとした子供の姿を見ることができました。他府県においても、千葉県では自然体験型の野外体験活動を行われたり、新潟県では、自然体験や生活体験活動を行っておられたりしております。社会的なさまざまな経験により、社会に役立つことを実感し、子供たちの自信をよみがえらせる結果になったと聞いております。  機会がふえれば、それだけ子供たちの社会への自立に向けた想像がかき立てられると考えますが、県として、森と触れ合うような野外活動、保育所、介護施設などの体験活動をどのように評価され、今後生かされていくのか、お伺いいたします。  その他、不登校児童生徒に対して、県としてどのような対策を講じておられるのか、お伺いいたします。  最後に、外国人の児童生徒への対応に関してお伺いいたします。  現在、外国人の就労者数の増加に伴い、外国人の児童生徒も増加しております。しかしながら、学校において、日本語の理解が乏しいために学習についていけず、不登校の状態に陥っているケースがあると聞きました。現在、外国人児童生徒に関する指導指針の趣旨を踏まえ、外国人児童生徒の日本語能力や生活適応能力の向上を図られ、また、外国人児童生徒に対する日本語指導、教科等の指導ならびに生活適応指導等を、より効果的に行っていただいているところですが、外国人児童生徒は点在しており、各学校においては対応に御苦労されていることと存じます。  現在における外国人児童生徒の不登校の状況はどのようになっているでしょうか。また、外国人児童生徒を指導するに当たってどのような配慮をされているのでしょうか。あわせてお伺いいたします。  不登校に陥る子供たちは、さまざまな問題を抱えている子供たちであり、対策は本当に多種多様にあると言えます。一人でも多くの子供が社会で自立できるような施策の促進を願い、質問を終えたいと存じます。  御清聴ありがとうございました。 ○議長(出原逸三君) 7番成田政隆君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)成田議員のAEDについての3点の御質問にお答えします。  AEDにつきましては、平成16年7月より一般の人々にも救急の現場で使用することが認められ、突然に心臓がとまった傷病者の命を救うため役立てることが期待されております。  まず、1点目の県内における設置状況についてでございますが、県の施設では、平成17年7月に県庁および7保健所に設置いたしました。また、その後、びわ湖ホールや県立琵琶湖博物館など、多くの人々が訪れられる施設に整備をしてきておりまして、現在、101カ所カ所に112台を設置いたしております。  また、市町の施設、市民ホールやプールなど110カ所に119台が設置されていると把握いたしておりまして、着実に増加してきているという状況でございます。  さらに、民間施設につきましては、JRの一部の駅やスポーツ施設などに設置されていると承知いたしておりますが、全体の把握には至っておりません。  次に、2点目のAED普及促進についてでありますが、各消防本部が実施される救命講習において、平成18年度には県全体で延べ3万8,000人余の方が取り扱いの講習を受講しておられますほか、各保健所では、救急救命法の講習会等を行っておりまして、県民の皆さんに、AEDの練習用の機器を使いまして実際に試していただくなどの方法により、21回開催し、およそ600人の方に受講していただいております。今後とも、一人でも多くの方に受講していただけますように努めてまいりたいと考えております。  3点目のAEDの設置場所の検索システムについてでございますが、御質問にありましたシステムは大変有効であるとの考え方のもとに、全国的な展開を図りますために、日本救急医療財団では、国民のAEDへのアクセスを向上させることを目的に、全国の情報を一元的に収集し提供する検索システムをホームページにおいて、平成17年12月に設けられまして、厚生労働省においても、これへの登録および活用を勧めているところでございます。  本県といたしましても、登録いたしますとともに、市町や、AEDを設置しておられます各施設の情報を登録していただけますように、市町や経済団体、各種の団体などを通じて周知を図りますなど、このシステムに積極的に参加することによりまして、設置場所を広く県民の皆さんに知っていただき、救命率の向上につながるように努めてまいりたいと考えております。  また、このシステムに参加し、登録することを通じまして、県内の設置状況を把握し、今後に役立ててまいりたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)AEDに関連する御質問にお答えいたします。  まず、その設置状況についてでありますが、平成16年7月に厚生労働省より、一般市民のAEDの使用が認められたことに伴いまして、教育現場にも設置が要請されてまいりました。このため、県教育委員会といたしましては、県立学校におけます救急救命体制の整備を図るため、昨年度末にすべての学校にAEDを配置したところでございます。  また、小中学校のAED設置状況ならびに設置促進についてでございますが、今年度末には、小学校で231校中53校、中学校では97校中64校が設置される予定であります。現時点におきましては、すべての公立小中学校に配置されている状況ではないため、引き続き各市町教育委員会に対しまして、その必要性や有効性について理解を求めるなど、速やかな設置を要請してまいりたいと考えております。  次に、高校生全員がAEDを使用できるような講習を実施するということについてでありますが、まずは、生徒がAEDの取り扱いについて理解し体験することが重要と考えられますことから、保健体育の授業で取り上げるとともに、一部の学校では、教職員を対象とするAED講習会に生徒も一緒に参加するなど、各学校で工夫を凝らしながら周知を図っているところでございます。今後とも、各学校で一人でも多くの子供たちがAEDの操作方法等の体験ができるように指導を徹底してまいりたいと考えております。  次に、不登校についての9項目の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の別室登校する子供たちに対する教員の配置についてでありますが、本県におきましては平成17年度から全国に先駆けて、別室指導の専任教員を、小学校5校、中学校10校に配置し、これまで285人の子供たちの学習や生活支援を行うことによりまして、147人が教室復帰できたとの報告を受けております。今後とも引き続きまして、教室復帰に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  2点目の不登校対応コーディネーターの養成状況についてでありますが、平成20年度までにすべての学校に1名の教員を養成するため、研修を実施しているところでございます。本年度末までに受講した学校は、全体の75%となる見込みでございます。  3点目のスクールカウンセラーやオアシス相談員の配置、心の教育相談センター事業の成果についてでありますが、各事業の平成18年度の実績によりますと、スクールカウンセラーにつきましては、1,007人の不登校児童生徒に対してカウンセリングを行い、そのうち310人については登校ができるようになったとの報告を受けております。また、オアシス相談員につきましては、453件の相談に応じますとともに、心の教育相談センターにおきましても、1,649件の相談を受け、それぞれの相談内容に対しまして適切に対応し、課題解決に取り組んでいるところであります。  4点目のスクールソーシャルワーカーの効果と今後の拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、スクールソーシャルワーカーの果たす役割は非常に大きく、また、その効果も期待されますことから、県教育委員会といたしましても、不登校の課題の多い小学校に派遣したところであります。特に、本年度から指定校を40校に拡充し、今後におきましても引き続き事業を実施する中で、効果や改善点などを検証し、拡大の是非についても検討してまいりたいと考えております。  5点目の不登校対策における児童精神科医との連携についてでございますが、不登校児童生徒の中には、精神科医との連携が必要と思われる場合もありますことから、心の教育相談センターでは、児童精神科医を嘱託で任用し、体制を整えているところでございます。  6点目の不登校児童生徒の体験活動についてでありますが、子供たちができるだけ多くの人や自然とのかかわりを体験することによって自分自身を見詰め直す機会となり、非常に意義あることから、県教育委員会といたしましては、平成16年度から不登校児童生徒を対象として「うみのこ」の体験活動を実施しているところであります。  また、平成18年度から実施しております、中学校2年生の全員を対象にいたします中学生チャレンジウイークの実施に際しましても、多くの不登校生徒の参加が見られ、こうしたさまざまな社会体験等を経験することにより、自分の可能性を発見し、大きな自信につながるなどの効果も期待されますことから、今後も、不登校児童生徒が各種の事業に参加できるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  7点目のその他、不登校児童生徒に対しての県としての対策についてでありますが、教員を初め、カウンセラーや相談員等がさまざまな支援を行いましても、どうしても学校に行くことができないといった子供たちには、心の教育相談センターや市町の適応指導教室において、学校復帰のための支援を行っております。なお、この適応指導教室にも通えない子供たちに対しましては、訪問指導員により個々に家庭訪問を行うなど、きめ細かな施策を講じているところであります。  8点目の外国人児童生徒の不登校の状況についてでございますが、外国人児童生徒に係ります不登校の調査を実施しておりませんが、本年9月現在における不登校傾向にあると思われる児童生徒は28人で、外国人児童生徒に占める割合は2.1%でありました。  最後に、9点目の外国人児童生徒を指導するに当たって、どのような配慮をしているかについてでございますが、まずは、外国人の子供たちが日本の生活になじむとともに、一日も早く学校生活に適応することが大切であると考えております。そのため、県教育委員会といたしましては、一定の条件のもとで加配教員の配置や非常勤講師の派遣を行い、日本語指導や生活適応指導を充実するとともに、必要に応じ、母国語を使える指導協力者を派遣する外国人児童生徒ほっとサポート事業を展開しているところであります。  今後も、学校現場における外国人の子供たちを取り巻く、さまざまな環境を十分に踏まえ、引き続き必要な対応を検討してまいりたいと考えております。 ◆7番(成田政隆君) (登壇)AEDの設置に関して再質問させていただきたいと思います。  設置検索システムに関してですが、日本救急医療財団を活用するということですが、検索する際に、そこまで到達するのには、何らかの形で普及させていく方法がかなり必要になってくると思いますが、滋賀県独自としてやっていくのかどうか。もしできないのならば、QRコードなど、すぐに跳べるようなリンク機能をつけるような形で、すぐに検索できるような形にするのかどうか、お伺いしたいと思います。 ○議長(出原逸三君) 答弁者の指名をお願いします。 ◆7番(成田政隆君) 健康福祉部長、お願いします。
    健康福祉部長(馬淵義博君) 再質問にお答えします。  救急医療財団のシステムを利用します場合に、具体的に、今おっしゃいましたようなアクセスの仕方がどのようになるかといったこと、それを、より便利にする方法についての検討等も必要になってくるかと思うのですが、その辺につきましては、十分、県民の皆さんに使っていただけるような形で検討してまいりたいと考えております。 ◆7番(成田政隆君) ありがとうございました。(拍手) ○議長(出原逸三君) 以上で、7番成田政隆君の質問を終了いたします。  最後に、11番清水鉄次君の発言を許します。 ◆11番(清水鉄次君) (登壇、拍手)本日のラストでございます。もうしばらく御清聴たまわりたいと思います。通告に従いまして、2点につきまして一括質問させていただきます。  昨年の冬は大変な大雪でございました。その時期に私のところに、町から車で30分ほどの集落に住んでいるお年寄りから、屋根の雪をおろしてほしいという相談の電話がありました。私はかねてから、過疎の進んだ地域の行く末について、一体どうなるのだろうという漠然とした不安を抱えておりました。こうした地域に住むお年寄りは、御自分で屋根の雪をおろすこともできず、お子さんも近く住んでいないため、頼る人がいないというのが現状であります。  私はこの電話をきっかけとして、こうした集落に対し、行政としてどのような対応をしなければならないのか、できることはないだろうかと思い、調査を始めました。そのときに、限界集落という言葉に出会ったわけであります。  限界集落とは、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者となり、生活道路の管理、冠婚葬祭などの社会的共同生活の維持が困難となった集落のことであります。この言葉は、1991年、長野大学の教授である大野晃先生が提唱しました。大野先生は、もともと林業の衰退と再建をテーマに研究をしておりましたが、その中で、山村の人口減と高齢化が想像以上に顕著であることを知り、もはや過疎という言葉では表現し切れないほど事態が深刻化していることを指摘するために、存続の維持が限界にきている集落を、直接的に限界という言葉を用いて表現したとのことであります。  この限界集落には、もはや就学児童より下の世代が存在しないことがほとんどで、独居老人や病身者も少なくありません。また、都会に出ていった子供たちが戻ってくる可能性もほとんどなく、いずれ消滅していくだろうと危惧されているわけであります。  旧国土庁が1999年に行った調査においては、やがて消え去る集落の数は、日本全国で約2,109集落であるとしております。また、2006年に行われた国土交通省の「国土形成計画策定のための集落の状況に関する現状把握調査」では、過疎地域自立促進特別措置法における過疎地域市町村において、65歳以上の高齢者が半数以上を占める集落の数を7,878集落とし、やがて消え去るおそれのある集落の数も、1991年の旧国土庁の調査よりふえ、2,643集落とレポートしております。  もともと限界集落に住む人々は、農業や林業で生計を立ててきました。現在でも、そうした職業をお続けになっておられる方々も多くおられますが、産業構造の変化や外国産木材の需要拡大による林業衰退などによって、みずからの田畑を放棄せざるを得なくなり、年金に頼って生活をしている方も多いというのが実態であります。  また、先ほど述べた大野先生は、こうして進行した山村の荒廃は、都市の問題でもあるという指摘もなされています。つまり、かつて山や田畑を守ってきた人々が離農することで山村が維持されず荒廃し、その結果、山林や田畑は保水力を失い、下流に渇水や洪水をもたらす危険があるという指摘であります。限界集落の人々は今まで、水源の涵養、国土、自然環境の保全、心をいやす安らぎの空間を守ってこられたわけであります。  こうした状況を踏まえ、現在、市町のみならず、府県や国レベルでも対策の必要が叫ばれ始めております。総務大臣も、9月3日付の日本経済新聞で、限界集落対策の必要性について言及しております。冒頭述べました事例からおわかりのように、この滋賀県でも限界集落は多数存在しております。平成17年度の国勢調査によりますと、滋賀県には32集落あり、また、私の地元の高島市では今現在13集落、これが10年後には38集落以上になる可能性もあると仄聞しております。また、このような状況は、今後、全国で急速に増加するものと予想されます。  先般、滋賀県の限界集落について政務調査に行ってまいりました。その集落にお住まいになっておられる、ある82歳のおじいちゃんは、集落が消えてしまうかもしれないことについてお聞きすると、「ほら寂しいわいな。わしらが死んだ後、どないなるんやろ。息子や娘らは帰ってきよらへんし、空気や水がきれいなとこまでないようになってしまうがな」とおっしゃっておりました。  また、日々の生活においても、日常品を買いに行くのもままならないこと、病気になっても、すぐ病院へ行くことができないこと、冬になると屋根に積もった雪をおろすこともできないこと、集落へ通じる道路が遮断された場合の恐怖感、福祉に係る予算が削られ、介護手当やデイサービスがどんどん少なくなってきていることなど、さまざまな不安や不便さを語られていました。ある集落に至っては、現在、高齢者女性のひとり暮らしの世帯が6軒あり、たまにお子さんが心配して様子を見に来るといった状況もありました。  私は、こうした調査を進める中で、差し迫ったこの切実な問題に危機感を覚えているわけであります。しかし、この限界集落におられるお年寄りの方々は、そうした不安や不便さを抱えながらも、自分たちが生まれ育った土地に深い愛着を持っておられます。そのため、都市部へ移転することを望まず、毎日毎日しっかりと生き抜いておられるわけであります。  そこで、こうした状況を踏まえ、行政として、これから起こるべきことに対し、どのように対応していくのか、政策調整部長にお聞きします。  私も、県として中山間地域直接支払制度のような、農業に従事する人々に対する交付金制度があることは承知しております。確かにこうした交付金を交付することも必要でありますし、大切であると考えますが、ここで申し上げたいのは、農業に従事していない世帯への援助、また、ごくごく普通に生活していくための援助をどうするかについてであります。  そして、先ほど述べましたように、こうした地域を守ることで、山や森、田畑を守り、ひいては環境を守り、琵琶湖の水源を守っていくことへもつながるものであります。現在の滋賀県では、限界集落という言葉の定義も行わず、過疎の一環として対応しているのが現状であります。まずは、関係市町を含め、庁内でしっかりと検討の場を設け、限界集落が一体どんなもので、どのような状況にあり、現在滋賀県には一体幾つあるのか、また、10年後にはどうなるのかということを早急かつ正確に把握し、対策をとる必要があります。  こうした点を踏まえ、今後急速にふえるこの限界集落に対し、どのような対応策が考えられるか、お答えください。  次に、本県の防災対策について、各部長にお伺いします。  先日、我が会派の代表質問におきまして申し上げましたように、9月の3日、4日両日にわたり、本年7月16日に起きました新潟県中越沖地震の被災地であります新潟県柏崎市へ政務調査に行ってまいりました。地震発生から1カ月以上経過したわけでありますが、倒壊した家や地割れを起こした道路がそのままの状態で残っているところも多く、完全に復旧するめどすら立っていないというのが現状でありました。  現地において最初にお話を聞かせていただいた、応急仮設住宅にお住まいの85歳のおばあちゃんによりますと、家がミシミシと音を立てて、あっという間に全壊したそうであります。発生後の県や市の素早い対応、また、自衛隊の援助活動に対しては感謝の言葉を口にしておりましたが、同時に、応急仮設住宅に住むことができるのは2年までであり、その後の生活に関しての不安もおっしゃっておりました。  そこで、こうした震災の経験を生かすべく、本県における防災に関して、以下、質問をいたします。  まず初めに、県民文化生活部長に、3点お伺いします。  1点目は、原子力防災についてであります。  今回の地震で被災したのは、柏崎刈羽原子力発電所であります。当原子力発電所には7基の発電施設があり、その出力は合計821.2万キロワット、1カ所の発電所としては世界最大と言われております。それだけに、変圧器における火災や放射能を含んだ水漏れの発生などは、地元住民に大変な不安を与えました。  本県には原子力発電所は存在しませんが、隣接する福井県には、敦賀、美浜、大飯、高浜の各原子力発電所が存在しております。他県とはいえども、最も近い原子力発電所は、滋賀県の県境から15キロメートルも離れておらず、仮に原子力発電所の付近で想定外の直下型の大規模地震が発生し、原子力発電所が被災した場合、本県にもその被害が及ぶ可能性が否定できないわけであります。  そしてまた、まさに今回の中越沖地震はマグニチュードが6.8で、震源は柏崎刈羽原子力発電所の16キロメートル北、深さ17キロメートルに位置しており、その断層は耐震設計上想定されていないもので、それに伴う加速度も想定外という地震でした。今回の柏崎刈羽原子力発電所の被災を受け、滋賀県も京都府とともに経済産業省に対し、原子力発電所の安全対策の徹底について9項目にわたる要望書を提出したことは承知しております。  そこで、まず、それを受け、国がどのような返答をしてきたのか、あるいは、要望どおり安全対策の徹底を図っているのかについて、お答えください。  次に、福井県に立地する原子力発電所群についてですが、当該原子力発電所が地震当によって被災した場合、本県の県民はどのような行動をとるべきかという点についても、県として何の情報提供もしていないように思われます。柏崎市内の防災対策を重点的に充実すべき地域では、原子力発電所が被災し、放射能が放出された際は、コンクリートの建物の中に避難する方が被曝を防げること、被曝による甲状腺障害の予防にはヨウ化カリウムがよいことなどを現地の方にお聞きしました。  原子力発電所所在市である柏崎市と本県では、被曝の危険性などは異なると思いますが、本県における原子力災害と、その特性について、正確に、また、わかりやすく県民に情報提供することは大変重要であると考えます。こうした点を踏まえ、今後、県民の安全、安心を損なうことがないよう、県民への情報提供に関してどのような対策をとっていくのか、お伺いします。  2点目は、震災時の初動体制についてです。  柏崎市は、平成16年の中越地震の経験もあり、震度4の地震が起きた場合には、職員全員が出勤すること、また、震度5の地震が起きた場合は、対策本部を設置することなどを初め、自衛隊や国、隣県への応援要請、ボランティアの協力の取りまとめなど、初動対応に関して非常に具体的な計画を立てておりました。そのため、今回の中越沖地震におきましても、非常に初動対応が素早く、柏崎市民だけでなく、県民すべてが納得できるよう、県および市として素早い対策がとれたようであります。  本県でも、震災の場合はやはり初動対応が重要になってまいります。そこで、本県の初動対応に関する計画はどのようになっているのか、また、自衛隊への応援要請および自衛隊との協力体制はどのようになっているのか、具体的にお伺いします。  3点目は、震災時の情報の提供についてです。  柏崎市では、防災無線が地震の情報を伝えるのに非常に役に立ったとのことでした。当然、地震発生時には、停電や電波の混乱、また、柏崎市でもそうであったように携帯電話の不通などが予想され、そのために県民に情報が提供されずパニックに陥ることも予想されるわけであります。新潟県では、新潟県地域防災計画におきまして、公衆通信の確保に関し、非常に子細な計画を立てております。そうした点を踏まえ、県の情報提供の対策についてお伺いします。  次に、健康福祉部長に、3点お伺いします。  1点目は、義援金の使途の公開制度についてであります。  新潟県の場合でもそうでありましたが、ありがたいことに多くの義援金が集まったにもかかわらず、その使途が明らかにされていない部分があります。情報公開条例による情報公開だけでなく、本当に義援金が直接、被災者の支援のために使用されたかどうか、不明な点が多いわけであります。  そこで、あらかじめ義援金の使途について、より子細な情報を公開するシステムを定めておくことが必要であると考えますが、所見を伺います。  2点目は、震災時における要介護認定者の保護についてであります。  要介護認定者は、震災に当たって、自分自身で逃げることができない方もおられます。そうした方々の安否確認についてはどうなっているのか、また、避難場所も適当な設備を必要とするため、場所の確保をどのようにするのかを含め、お答えください。  3点目は、ボランティアの方に対する安全対策であります。震災時に協力を申し出ていただいたボランティアの皆さんは、地震に関し何の知識もお持ちでない方も多いわけであります。そのため、ボランティアは自己完結が原則であるとしても、安全対策を初め、感染症、暑さ対策、寒さ対策、飲み水および食料の確保、宿泊施設などに関する計画も必要と考えます。  柏崎市では、ピーク時において1日1,000人近いボランティアの方が集まり、基本的は自分のことは自分でという考え方でお願いしていたということでありましたが、ボランティアバスを運行したり、学校の体育館を宿泊施設に利用してもらったり、また、飲み水や梅干し、塩などの簡単な食べ物を配布するなどといったことを行ったそうであります。また、有資格者はその資格を明示するなど、ボランティアの役割分担もスムーズに行うことができたとのことであります。  県としては、このような点を踏まえ、ボランティア連絡会議等を通じて各市町に助言を行ったり、宿泊施設として県の施設を提供するなどといったことが可能だと思われます。そこで、県として、ボランティアの方々に対し、どのような安全対策を立てているのか、また、効率的に協力していただけるよう、どのような計画を立てているのか、お伺いします。  最後に、応急仮設住宅設置に当たっての計画について、土木交通部長にお伺いします。  新潟県は、震災における応急仮設住宅の設置場所に関し、あらかじめ予定地を決めていたため、素早い仮設住宅設置ができたとのことでありました。応急仮設住宅には、全壊家屋にお住まいであった方々を中心に入居していただくことになるわけでありますが、そうした方々は、とりわけ高齢者が多く、そのため、仮設住宅の設置場所は、日常生活を営む上で支障とならないところが望まれるわけであります。  そこで、滋賀県の応急仮設住宅の設置に当たっての事前対策として、どのように取り組んでおられるのか、お伺いします。  以上、答弁をよろしくお願いいたします。 ○議長(出原逸三君) 11番清水鉄次君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎政策調整部長(橋本俊和君) (登壇)清水議員の限界集落に対する対応策についての御質問にお答えします。  本県における中山間地域の集落では、今後、高齢化や人口減少が一段と加速し、社会共同生活の維持の困難な、いわゆる限界集落が増加していくことを危惧しているところであります。国勢調査の結果をもとに、高齢化が50%を超えている地域を見てみますと、議員御指摘のとおり、平成12年の21地域が平成17年には32地域へと大幅に増加しており、中山間地域における集落の早急な高齢化が浮き彫りになっております。  本県における中山間地域は、生活や生産の場であるとともに、森林や農地の管理によって、県土、自然環境の保全、水源の涵養、温暖化防止など多面的に機能して重要な役割を果たしているものと認識しております。県土のおよそ2分の1を占める森林を有するこの地域は、琵琶湖の保全や再生はもとより、現在および将来の滋賀県にとっても極めて重要な資産、資源であります。このことから、これまで中山間地域等直接支払制度や琵琶湖森林づくり県民税などを導入し、その保全に取り組んできたところであります。  また、中山間地域における定住対策として、水道や道路等の生活環境や、生産基盤の整備に取り組んでまいりましたが、これまでの対策は、集落そのものではなく、どちらかといいますと、過疎地域や振興山村といった、やや広い範囲を対象として進めてきたところであります。しかしながら、今後の高齢化が一層進むことを考え合わせますと、むしろ個々の集落の実態に目を向けて、実情に即した適切な対応を検討すること、それには、やはり限りない愛情を持ってそこに暮らし続けている方々の思いをしっかりと受けとめることが大事だと考えております。  同時に、こうした集落の中にも、精力的な話し合いやさまざまな共同活動によって活性化している集落もあり、共同体として強いきずなで結ばれた活力を保ち続けていただく工夫も大切だと思っています。御指摘の直接支払制度においても、国において、高齢化により維持が危ぶまれる集落に対して近隣の集落が応援するという方法で制度を拡充しようとする動きが見られるところであります。  県としましては、まずは、こうした集落の実情を把握することが重要でありますことから、庁内に、関係する部局で研究会を設け、その現状をよく知っている市町にも加わっていただき、国の調査も参考にしながら、中山間地域の集落の実態調査に着手したいと考えております。その上で、いわゆる限界集落とはどのようなものかといった基本的なことを初め、それぞれの実態に即した適切な方策は何か、また、共同体として維持していくための、行政、住民のそれぞれの取り組みは何かなどを具体的に研究してまいりたいと考えております。 ◎県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)本県の防災対策についての3点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の原子力防災についてでございます。  新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所内で観測されました地震動が設計値を超えるとともに、変圧器の火災や放射性物質の漏えいなどのトラブルが多発しまして、柏崎市のみならず、各地の原子力発電所の所在地住民に、安全性についての不安、不信が募ってしまいました。このようなことから、原子力発電所所在地県であります福井県が原子力発電所の安全確保ということで国へ要望したのに続きまして、隣接県であります本県も、京都府と連名で、安全対策の徹底ということで9項目の要望を行ったところでございます。  これに対しまして正式な文書回答はいただいておりませんが、国は原子力事業者に対しまして、県の要望事項の大部分を網羅されて、自衛消防体制の強化、あるいは迅速かつ厳格な事故報告体制の構築、国民の安全を第一とした耐震安全性の確認、この3点を柱としまして、大臣名で指示されたところでございます。  これらを受けまして、全国11の原子力事業者では、自衛消防隊員の常駐化でございますとか、化学消防車の配置とともに、消防本部へのホットラインを開設することで、事故報告体制の構築を図ることとされました。  また、耐震安全性の確保につきましては、平成18年9月の原子力施設の耐震指針改定に伴いまして、原子力事業者が地質調査などを実施中でありましたが、この確認作業を急ぎ、中間報告を平成20年3月までとすることなどが決められたところでございます。  これに先立ちまして、一刻も早く住民の不安を解消するために、各事業者が自主的に柏崎刈羽原子力発電所で観測されました地震動と同程度の地震が、それぞれの原子力施設に与える影響について調査を行い、原子炉容器あるいは制御棒および第一次冷却剤配管など安全上重要な施設については、その機能が担保されているということを確認し、国に報告されたところでございます。  次に、県民への情報提供についてでありますが、放射性物質などは五感に感じることのできないことや、その影響の有無や程度を確認するためには、専門的知識が求められることなどから、県民の間に生じる不安や混乱を防ぎ、その拡大を防止する上で、時速かつ正確な情報の提供は非常に重要であろうと考えております。  ところで、国の防災指針によりますと、本県の最寄りの原子力事業所で異常事態が発生した場合、放出される放射性ガスが本県に到達する間に、相当拡散し薄くなるために、10キロメートル以上離れました本県では、ヨウ化カリウム剤、いわゆるヨウ素剤の服用や、屋内退避等の措置を要する放射性ガス量には達しないとされております。しかし、その上で、さきに申し上げました県民の不安を払拭するために、迅速かつ正確な情報をわかりやすく提供しなければならないことは、いささかも変わるものではございません。  このため、県民が安心できるよう、県独自で県内4カ所に設置いたしております環境放射線監視テレメーターシステムによりまして、大気中の放射線量を24時間連続測定し、リアルタイムでその値をインターネットに公開いたしております。万が一、福井県にある原子力事業所において、法で定める基準以上の放射性物質が検出されるなど、原子力災害に至る可能性がある事象が発生した場合などには、原子力発電所から本県に15分以内をめどとして通報され、県は、この通報を関係周辺市町であります高島市、余呉町、西浅井町に連絡をし、各市町は防災無線を用いて迅速に住民に一斉通報などを行うことといたしております。  さらに、飲食物への影響を把握するため、平常時から米や農水産物の持つ放射性物資の量を分析いたしておりまして、原子力事業所から放射性物質が放射された場合にも、本県の農水産物に異常な量の放射性物質が付着していないことを確認できる体制を整えております。  なお、原子力防災について正しく理解をいただくため、平成14年に啓発パンフレットを作成し、当時の福井県敦賀市および美浜町の隣接町であります余呉町、西浅井町、マキノ町、今津町の各世帯に配布することにより広報してきたところでございますが、今後も、県民の皆さんに原子力防災について理解が広がるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、2点目の本県における震災時の初動体制についてであります。  県内で地震が発生した場合、いかに速やかに初動体制を整え、迅速かつ的確な災害応急体制がとれるかが、被害を最小限にとどめるための大きなかぎになります。そこで、本県では、原則として震度5の地震が発生した場合に、災害警戒本部および地方本部、震度6以上のときには、直ちに災害対策本部および地方本部を設置するとともに、必要に応じまして、現地災害対策本部を設置することといたしております。  これらの本部のもとに緊急初動対策班を編成しまして、初動における本部体制を整えております。特に勤務時間外を想定した緊急初動対策班の範囲は、県庁および各地域振興局へ速やかに参集可能な職員に対して、これは居住地などを考慮しながらですが、毎年、年度当初に、その要員として発令をいたしております。今年度は2,066名になります。  また、緊急初動対策班は、総務、情報、医療、救助、広報の5班から編成されておりまして、具体的には、総務班は国や近隣府県との調整や職員の人事管理など、情報班は被害情報の収集や情報整理、伝達法、医療班は負傷者搬送先の確保などの医療対策、救助班は物資の調達や輸送手段の確保など、広報班は報道機関等への情報提供を担当することといたしております。  しかし、重要なことは、この緊急初動対策班を含めた本部体制が、いざ災害というときにあってしっかりと機能することでございまして、そのためには、総合防災訓練を初め、機会あるごとに研修や訓練を重ね、災害時には必要な判断が迅速かつ的確に行えるよう、緊張感を持って、初動体制の強化に取り組んでいるところでございます。  また、混乱にある初動において、知事が自衛隊への応援要請をどのような情報をもとに、どのタイミングが行うかという課題もございます。そのためにも、初動体制における情報の収集・分析力の向上はもちろんでございますが、日ごろより自衛隊との情報交換等を積極的に行うなど、連携を密にして、協力関係の確保に努めているところでございます。  次に、3点目の災害時の情報提供についてでございます。  大規模な地震発生直後は、加入電話や携帯電話、インターネットなどの回線が途絶、また、ふくそうし、その利用が著しく困難になることが十分考えられます。本県では、いかなる場合であっても、国や市町を初めとする防災関係機関との通信を確保していることが不可欠なために、地上での被害を受けにくい通信衛星を利用した防災行政無線網を整備してきたところでございます。これらを積極的に活用することを基本といたしております。  これら防災無線から得られた情報を、市町から家庭の受信機や、広場などに設置した一斉通報装置を通して、また、広報車などで情報を県民の方々に伝達することとなります。  このほか、新潟県と同様に、NTT西日本によります災害用伝言ダイヤルサービスの提供や、避難場所等への特設公衆電話の開設などにより公衆通信の確保を図ることといたしております。  有線などによる通信が途絶する中で、防災無線からの情報は、行政ばかりでなく、被災された方々にとりましても大きな支えとなりますだけに、災害時にも適切に機能するよう、日ごろから適切な保守管理を行うとともに、安定的に運用ができるよう通信訓練を行うなど、万全を期してまいります。 ◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)防災対策につきましての御質問のうち、3点についてお答えいたします。  まず、1点目の義援金の使途の公開制度についてでございますが、義援金の募集につきましては、県の地域防災計画におきまして、県、被災市町、日本赤十字社、県共同募金会等による協議会を構成し、各機関が共同して行うこととしておりまして、集まった義援金につきましても、協議会において、被災者への配分方針等を決定し、被災市町への配分を行うことといたしております。全国から寄せられます善意の義援金について、その使途についての情報を提供することは、義援金を預かり管理する者にとっての当然の責務であると考えております。  したがいまして、本県で義援金を募ることがあります場合には、協議会での構成機関と申し合わせの上、情報公開条例はもとより、本年3月に制定されました県の情報提供の推進に関する要綱に準じまして、義援金受け入れ情報のほか、その使途として、人的被害や住家被害別の配分基準、対象件数および金額の情報について積極的に提供してまいりたいと考えております。  2点目の震災時における要介護認定者の保護についてでございますが、要介護認定者を初めといたします被災時要援護者の安否確認や避難の支援につきましては、各市町が地域や関係機関と連携して体制を構築することといたしております。このため、県では平成17年度に、避難支援対策マニュアルを策定いたしまして、市町における要援護者の安否確認と避難者の確保などについての避難支援プラン策定が円滑に進むよう努めているところでございます。  こうした中、市町におきましては、避難支援プランを策定するため、現在5つの市で検討委員会を設置されております。また、年度内に7つの市町で設置される予定と聞いております。  また、要介護認定者の安否確認につきましては、一部の市町でございますが、支援が必要な方の名簿を作成するとともに、地図上で把握するため、福祉マップの整備などを進め、民生委員や自治会等に提供することによりまして、地域の皆さんの御協力のもとに、安否確認をするための取り組みも進められているところでございます。  こうした取り組みをさらに進めるため、本年度は、先般の県総合防災訓練では、地元市での安否確認の訓練を盛り込んだところでございますし、10月には、県と県社会福祉協議会の共催により、市町や市町社会福祉協議会の職員などを対象に、災害時要援護者の支援を考えるフォーラムを開催する予定をいたしております。  次に、要介護認定者の避難場所につきましては、介護環境などが整ったデイサービスセンターや特別養護老人ホームを避難所とするため、施設と協定を締結し、確保している場合や、市町の保健センターなどを位置づけている取り組みなど、されておりますが、まだ一部にとどまっていると認識いたしております。  県といたしましては、積極的に取り組んでいただいております市町の取り組みが全県に広がりますように、市町に情報提供をするなど、災害時に援護を必要とされる方の支援が確保されるよう、努めてまいりたいと考えております。  3点目のボランティアの方に対する安全対策についてでございますが、ボランティアは、御質問にもありましたように、自己完結とはいうものの、活動に当たりましては、安全対策、移動の手段の確保など、いろいろな対応が必要となるものであります。このため、県の地域防災計画において、災害時には現地に災害ボランティアセンターを設置し、ボランティアに対する情報提供、相談、登録等を行い、ボランティアの支援に当たることといたしております。  また、県社会福祉協議会などが参加する災害ボランティア活動連絡会では、昨年度に、現地災害ボランティアセンターの設置運営マニュアルを策定しておりまして、ボランティアの方に対する安全対策につきましては、家屋の倒壊危険度判定などの安全性を確認して、情報提供することによって、2次災害のおそれがあるなど、危険性の高い地域や時間帯での活動は行われないようにしているところでございます。また、ボランティアやスタッフの健康状態、衛生環境に配慮することなど、リスクマネジメントに努めるように定め、ボランティア活動を行う方々には必ず災害ボランティア保険に加入していただくことといたしております。  また、ボランティアの方々に効率的に協力していただくための対策でございますが、例えば有資格者の方につきましては、ボランティアの受け付け時に、保有されている資格や技術を把握し、その資格や技術が、被災者のニーズに合わせて効率的に活用していただけますよう、災害ボランティアコーディネーターが調整することといたしております。この災害ボランティアコーディネーターを養成するための研修を昨年度から実施しており、今年度は災害ボランティアコーディネーター活動マニュアルについても策定することといたしております。  今後とも、現地災害ボランティアセンターが、ボランティアを円滑に受け入れ、被災者のニーズに合わせて、より迅速かつ効果的、効率的に支援活動を、また組織的に展開することができますよう、県総合防災訓練とあわせてボランティアセンターの設置運営訓練を実施するなど、災害時にこのマニュアルが十分生かせますよう、市町の社会福祉協議会やボランティア団体などに周知してもらいたいと考えております。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)防災対策についての御質問のうちの、応急仮設住宅の事前対策についてお答えいたします。  地震等によりまして住宅に被害を受けた方に応急仮設住宅を建設することは、被災者の生活の早期安定を図る上で極めて重要でありまして、迅速な対応が望まれるところでもあります。応急仮設住宅の一日も早い建設のための備えとしては、建設適地をあらかじめ選定しておくこと、建設事業者団体等と応急仮設住宅の建設等に関する協定をあらかじめ締結しておくこと、また、建設の手順をあらかじめ定めておくことが重要でございます。  建設等に関する協定につきましては、平成8年3月にプレハブ建築協会と既にこれを締結しておりまして、年に1回情報交換をしているところであります。  また、建設候補地の選定につきましては、滋賀県地域防災計画で市町が選定することとなっており、平成16年度に市町の選定状況を調査し、候補地をリストアップしたところであります。候補地につきましては、敷地状況の変化に対応しながら、敷地やその立地条件などの更新を図りますとともに、内容も充実させ、市町と情報の共有化に努めてまいりたいと考えております。  応急仮設住宅の建設手順につきましては、滋賀県地域防災計画で基本方針を定めているところでありますが、関係機関との役割分担をより具体化することや、応急仮設住宅の発注から施工管理など、具体的にマニュアル化をしておくことが、地震発生時に迅速に対応できるものと考えております。そこで、現在、関係課と協議しながら、建設マニュアルの策定に向けて着手しているところであります。  応急仮設住宅の建設の場所についてでありますが、2次災害の危険性がない場所、電気、水道、ガス等のライフラインが整備されている場所、応急仮設住宅の建設資材を搬入することが容易な場所を選定することとしております。議員御指摘のとおり、入居される方々の日常生活に支障がないところが望まれていること、また、被災地の近くで、従前のコミュニティーを維持できることも重要と考えられますことから、実際の建設に当たりましては、集会場の設置を含め、十分留意してまいりたいと考えております。
    ◆11番(清水鉄次君) (登壇)1つだけ再質問をさせていただきます。  きょうの京都新聞で、京都府議会でこの限界集落というものの議論があったわけでございます。また、綾部市でも水源の里条例もできておりまして、まさに、滋賀県におきましても、限界集落という一つの議論はスタートしたばかりでございますけれども、実際には、私が感じるには、非常に速いスピードで進んでいるというような気がいたしますので、何とぞ、今回、研究、実態把握、また、そういった点には御期待申し上げます。  それと、防災対策につきまして質問させていただきます。  正直言いまして、私自身期待していた御答弁をいただいたと思っております。その中で、県民に対する啓発活動というのが大事だと思います。それはどういうことかと申し上げますと、まず、新潟県に行きますと、たんすに転倒防止というのをつけるのが当たり前というようなことで、日常生活の中では、そういったことは非常に進んでいると。ところが、本県に関しましては、私自身もそうかもしれませんけれども、そういったことに対する認識が非常に甘いというか、認識が薄いというような気がいたします。これを、たんす一つの転倒防止をつけるかつけないかによっても、相当、初期の被害が違うと思います。そういった啓発活動、それは市町でも努力しておられますけれども、県として、その点に関しての所見を、県民文化生活部長にお伺いしたいと思います。 ◎県民文化生活部長(中村順一君) 再質問にお答えします。  議員おっしゃるとおりでありまして、私ども県の立場から、各集落あるいは各市町に向けて、十分ではないのですが、一生懸命啓発に努めております。広報誌上なり、経費もわずかでございますが、例えば、県民の皆さんにおなじみなのは、「くらしセーフティ」という番組がBBCにございますが、そういった中で、知事が毎月1回は、防災、地震の話ばかりではございませんけれども、そういった中でとりわけ、たんすのお話も出ましたが、自分の家屋をやはり耐震診断をしてもらう、耐震改修もきっちりしてもらう。  古い家屋で大変な──それぞれの個人の財産ですから、大変な思いはわかるのですが、中央に向けて、何とかしてくれ、何か有事にはちゃんとしてくれということを国に要望しますと、唯一、個人の財産に予算をつけているのは耐震診断、耐震改修。ちゃんとつけていると。使ってくれないではないかという話なので、ぜひ、議員の皆さん、その辺の普及もよろしく御協力をいただきたいと思います。行政は一生懸命やっているのです。 ◆11番(清水鉄次君) 終わります。 ○議長(出原逸三君) 以上で、11番清水鉄次君の質問を終了いたします。  以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。  明28日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後7時33分 散会    ────────────────...