滋賀県議会 2007-06-11
平成19年 6月定例会(第10号〜第16号)−06月11日-03号
平成19年 6月定例会(第10号〜第16号)−06月11日-03号平成19年 6月定例会(第10号〜第16号)
平成19年6月
滋賀県議会定例会会議録(第12号)
平成19年6月11日(月曜日)
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議事日程 第3号
平成19年6月11日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第79号から議第99号まで(平成19年度滋賀県
一般会計補正予算(第2号)ほか20件)(質疑、質問)
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(47名)
1番 川 島 隆 二 君 2番 奥 村 芳 正 君
3番 生 田 邦 夫 君 4番 野 田 藤 雄 君
5番 西 村 久 子 さん 6番 中 谷 哲 夫 君
7番 成 田 政 隆 君 8番 九 里 学 君
9番 柴 田 智 恵 美 さん 10番 江 畑 弥 八 郎 君
11番 木 沢 成 人 君 12番 清 水 鉄 次 君
13番 佐 橋 武 司 君 14番 節 木 三 千 代 さん
15番 西 川 仁 君 16番 角 川 誠 君
17番 沢 田 享 子 さん 18番 今 江 政 彦 君
19番 西 川 敏 輝 君 20番 辻 孝 太 郎 君
21番 西 沢 桂 一 君 22番 田 中 章 五 君
23番 山 田 実 君 24番 粉 川 清 美 さん
25番 石 田 祐 介 君 26番 宇 賀 武 君
27番 福 本 庄 三 郎 君 28番 蔦 田 恵 子 さん
29番 山 田 和 廣 君 30番 山 田 尚 夫 君
31番 辻 貢 君 32番 佐 野 高 典 君
33番 家 森 茂 樹 君 34番 吉 田 清 一 君
35番 辻 村 克 君 36番 世 古 正 君
37番 三 浦 治 雄 君 38番 中 村 善 一 郎 君
39番 上 野 幸 夫 君 40番 梅 村 正 君
41番 西 川 勝 彦 君 43番 大 井 豊 君
44番 谷 康 彦 君 45番 中 沢 啓 子 さん
46番 出 原 逸 三 君 47番 青 木 愛 子 さん
48番 森 茂 樹 君
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 嘉 田 由 紀 子 さん
教育委員会委員長 高 橋 啓 子 さん
選挙管理委員会委員長代理 種 村 直 道 君
人事委員会委員長代理 山 川 明 子 さん
公安委員会委員長代理 宮 川 孝 昭 君
代表監査委員 宮 村 統 雄 君
副知事 澤 田 史 朗 君
政策調整部長 橋 本 俊 和 君
総務部長 谷 口 日 出 夫 君
県民文化生活部長 中 村 順 一 君
琵琶湖環境部長 山 仲 善 彰 君
健康福祉部長 馬 淵 義 博 君
商工観光労働部長 沢 井 進 一 君
農政水産部長 但 馬 甚 一 君
土木交通部長 吉 岡 淳 君
会計管理者 加 藤 晴 吾 君
企業庁長 小 川 義 隆 君
病院事業庁長 川 尻 嘉 徳 君
教育長 斎 藤 俊 信 君
警察本部長 安 森 智 司 君
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議場に出席した事務局職員
事務局長 塩 見 和 夫
議事調査課長 南 史 朗
議事調査課課長補佐 上 田 勝 彦
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午前10時2分 開議
○議長(出原逸三君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(出原逸三君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同
委員種村直道君が、また、
人事委員会委員長市木重夫君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同
委員山川明子さんが、また、
公安委員会委員長吉田修君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同
委員宮川孝昭君が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(出原逸三君) これより日程に入ります。
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△議第79号から議第99号まで(平成19年度滋賀県
一般会計補正予算(第2号)ほか20件)(質疑、質問)
○議長(出原逸三君) 日程第1、議第79号から議第99号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。
本日は一般の質疑ならびに質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、33番家森茂樹君の発言を許します。
◆33番(家森茂樹君) (登壇、拍手)おはようございます。改選後、一般質問の
トップバッターでございます。心して務めたいと思います。
消防団活動について、お伺いをいたしたいと思います。
消防は、消防組織法に基づき、市町村事務としてその責任が規定されているところでありまして、また、消防団も、その
消防事務機関として、消防本部、消防署とともに市町村にその設置と運営の義務が規定されているところであります。県の消防に関する所掌事務につきましては、同法第29条等に規定されている範囲ではありますが、近年、大規模災害が懸念され、広域の連携が必要なことや、知事が常に言われております流域治水のソフト対策に、消防団は水防団として欠かすことのできない組織であり、県としてもその充実強化が図られることが非常に重要であると思われます。
そこで、消防団活動につきまして、消防団の充実強化の観点から、一問一答方式で、以下、関係各位にお伺いいたします。
まず初めに、所管の
県民文化生活部長にお伺いいたします。
消防団の現状について、全国および本県の人数、職業構成、また、年齢構成はどのようになっているのか、お伺いいたします。
○議長(出原逸三君) 33番家森茂樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)家森議員の消防団活動についての御質問にお答えいたします。
まず、消防団の現状ですが、消防団は、みずからの地域はみずからが守るという崇高な郷土愛護の精神に基づきまして、地域の安心・安全の確保に大きく貢献されているところでございますが、
少子高齢化社会の到来、産業、就業構造の変化などに伴いまして、消防団員数は、全国的には昭和45年当時121万人でありましたが、平成18年4月1日現在では約90万人と、減少傾向にあります。
本県の消防団員数は、平成19年4月1日現在でございますが、9,412人でございまして、甲賀市では新たに女性消防団を設置されたり、マスコットキャラクターを募集されるなど、各市町の御努力によりまして、県全体では前年に比べ45人増加しておりますものの、9市町において減員となっております。
また、消防団員の就業構成を見ますと、平成18年4月1日現在で、被雇用者、いわゆるサラリーマンなどは6,965名と、全体の74.4%を占めておりまして、全国の69.4%を上回っている状況にあります。自営業者は1,304名で、全体の13.9%であり、全国値の14.9%を下回っております。
家族従業員等も1,098名で、全体の11.7%と、全国値の15.7%を下回っております。
消防団員の年齢構成を見ますと、30歳未満の
若手消防団員の占める割合は12.7%と、全国値の21.8%を下回っております。また、平均年齢は38.2歳と、全国値の37.8歳を上回っている状況にございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)それでは、同じく
県民文化生活部長に、それらの現状から、現在、県下の消防団が抱える課題として、県はどのようなことがあると認識しておられるのか、お伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) お答えいたします。
県内の消防団員の構成を見ますと、先ほど申し上げましたが、若手の消防団員が少ないことや被雇用者が多い現状でございますが、団員数そのものは、各市町の御努力によりまして、近年、ほぼ現状を維持いたしております。しかし、予断を許さない状況が続くものと認識しておりまして、将来にわたり消防団員数を安定的に確保することが最大の課題であると認識しております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)冒頭で述べておりますように、
消防そのものは市町村事務でありますので、県がどうこうというところのは非常に少ないかと思いますが、ただ、この充実強化に関しましては、市町村だけで取り組めない課題も大いにあるのではないかと思います。県や国が支援しなければならないというのは必要であろうと考えるわけでございますが、そこで、
県民文化生活部長にお伺いいたしますが、まず、一般的な消防に対する支援策として、国、県、それぞれどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) 消防団活動に対する支援策でございますが、まず、国におきましては、地方交付税において団員報酬や被服費などを措置するとともに、
消防ポンプ自動車などの消防施設や装備について、地方債措置と
地方交付税措置を組み合わせた形で
地方財政措置を講じられております。また、消防大学校における消防団の幹部職員の研修や長官表彰なども行っております。
本県としての支援策でございますが、
財団法人滋賀県消防協会との共催による
消防操法訓練大会あるいは消防大会の開催、消防学校での消防団教育を通じまして消防技術の向上を図り、消防団員の資質向上に努めておりますほか、多年にわたり、すぐれた功績を持つ消防団や消防団員に対しまして表彰を行い、消防団員の士気の向上に努めております。
さらに、昨年度と今年度、2カ年計画で実施いたしております大規模災害時における
消防団活動緊急支援事業の中では、救助・救急資機材をあらかじめ県で整備しまして、必要とされる消防団に貸与するという制度をつくっております。災害時における消防団活動がより迅速的、効率的に遂行されますよう支援しているところでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)それでは、いよいよ具体的な支援策に入っていきたいと思うのですが、先ほど部長の答弁で、県内の団員数は現状を維持している、また、全国的な傾向等々から見て予断を許さない状況にある、こういう御答弁がございました。それでは、やはり団員確保というのが最大の課題であると私も思うのですけれども、
消防団員確保に向けた県内での
取り組み状況について、
県民文化生活部長に、どのようになっているのか、お伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) お答えいたします。
消防団員確保に向けた取り組みでございますが、まず、国におかれましては、
消防団啓発ポスターの掲示ですとか、消防団への
参加促進パンフレットの配布などのほか、ことしは1月から3月まで、
消防団員入団促進キャンペーンを展開されまして、4月からは、
消防団員確保アドバイザー制度をスタートされたところでございます。
県内での
消防団員確保に向けた
取り組み状況でございますが、県全体の消防団員の条例定数に対する充足率が96.2%でございまして、これを充足することを当面の目途といたしまして、県としてはテレビ広報を通じまして、消防団やその活動を正しく県民の皆さんに御理解いただき、市町における消防団員の新規確保を支援しているところでございます。また、今年度からは新たに
消防団活動パンフレットも作成することといたしております。各市町におかれましては、市町の広報紙での消防団活動の紹介、あるいは自治会や事業所への働きかけなどを通しまして消防団員の新規確保に努められている状況でございます。
また、新しく女性消防団を発足させたり、独自の教育訓練や
ポンプ操法大会の開催あるいは表彰制度の活用、特定の災害や活動のみに出動する機能別団員あるいは機能別分団の制度の導入、また、昨年度制度化されました
消防団協力事業所表示制度にも積極的に取り組んでおられるところでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)今の御答弁の中にもそれぞれ出てきてはいるのですけれども、それぞれの制度について詳しくお尋ねしたいと思います。
まず、1つ目の
消防団員確保アドバイザー派遣制度ということなのですが、これは本年4月から国で開始されたと聞き及びますが、この制度に対して、本県での
取り組み状況と今後の各市町への周知、
委嘱アドバイザーの推薦等のお考えについて、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) 本県での
消防団員確保アドバイザー派遣制度の
取り組み状況でございますが、この制度は4月から発足したばかりでありますことから、現時点では、この制度の運用の活用例はございませんが、今後、消防団員の新規確保に向けまして、市町に対して制度活用を強く呼びかけていきたいと考えております。
また、その
アドバイザーになられる方の推薦に当たりましては、
アドバイザーは、
消防団員確保の推進にとって必要な豊富な知識または経験を有する者の中から都道府県が推薦し、消防署において選考の上、委嘱されるということになっております。県からの
アドバイザーに係る推薦はまだ具体例はございませんが、今後、
県内市町消防団と十分協議した上で、ふさわしい人材がおられれば、消防庁に対して推薦していきたいと考えております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)それと、消防団員の確保など、消防団活動の充実強化につきましては、消防団員が活動しやすい環境づくり、このことが必要なのではないかと思われます。特に、先ほどお伺いいたしましたように、団員の、全国の約7割、本県では4分の3が被雇用労働者であるという現状からいたしますと、その雇用している事業所の理解、協力、これが大いに求められることになろうと思います。
そこで、
県民文化生活部長に質問させていただきますが、これも先ほどの御答弁に出てきましたように、
消防団協力事業所表示制度が昨年11月に創設されました。国指定の消防庁マークというものは本年1月1日より施行されていると聞き及んでおります。この制度の概要と、そのねらいおよび期待される効果について、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) お答えいたします。
消防団協力事業所表示制度につきましては、近年、消防団員の就業形態が大きく変化し、消防団員の被雇用者率が増大してきているということから、消防団員の確保および活動環境を整備する、その上で事業所との協力体制を構築するために創設されたものでございます。
これは、事業所が勤務時間中の従業員の消防団活動に対して配慮するなどの、従業員が消防団に入団しやすい環境づくりや、消防団員となった従業員が消防団活動をしやすい環境づくりを行った場合、あるいは、事業所から、その所有する防災力の提供の協力を得ることができた場合、その事業所を
消防団協力事業所として認定し、表示証を交付するものでございます。
これによりまして表示証を交付された事業所は、地域への社会貢献を果たしていることが社会的にも評価され、同時に、従業員の消防団活動への積極的な参加が期待されるものでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)それでは、この制度への本県での
取り組み状況について、
県民文化生活部長に改めてお伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) この制度は発足以来間がないものでございますが、県内での
取り組み状況でございますが、本県では湖南市がこの制度を導入し、現在、申請を受け付けておられる途上でございます。また、ほかにも6市町において、今年度中に制度導入を予定されているところでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)そういう事業等を通じて各事業所の消防団員に対する理解と協力がぜひとも必要である、先ほど申し上げたとおりなのですが、この表示制度の普及と、さらに県内事業所が消防団員に協力、支援しやすい体制づくりに向けた県の取り組みについて、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) 今後、県といたしましても、市町においてこの制度導入が図られるよう強く働きかけて、また、事業所においてこの制度が広く理解されるよう、消防団活動の
パンフレットなどを通じまして広報に努めてまいりたいと考えております。とりわけ、事業所の中でも防火思想の普及や、あるいは
防災業務関係者に対する教育指導を目的とされている
社団法人滋賀県
防火保安協会連合会などには深い御理解と御協力をいただきながら、この表示制度が普及することを期待しているところでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)ありがとうございます。実は私、去る6月3日、菅総務大臣と面談させていただいて、要望を聞いていただける機会がございましたので、そのときにも大臣に直接、この協力事業所のメリットについてもう少し国としてお考えいただけたらというようなことを要望しておきました。ぜひ、こういった制度が普及することを望みます。
ところで、県というのも県内事業所の一つである、こういう観点からお伺いしたいのですが、本年1月5日付で消防庁より
県消防防災主管部長あてに、地方公務員の消防団員への入団の促進についてという通知がなされているところでございます。この通知に対する
取り組み状況について、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) ただいまの質問にありました通知につきましては、全国の多くの市町村が団員の確保に苦慮している現状を踏まえまして、県職員を初め、地方公務員が積極的に消防団に入団できるよう、
地方公共団体の取り組みを求めているものでございますことから、部長名で県から各市町長に対しまして積極的な取り組みを依頼したところでございます。今後も機会をとらえて消防団の役割や現状を周知し、消防団への入団を促進してまいりたいと考えております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)同様に教育長あてに公立学校の教職員の消防団活動に対する配慮について──今度は「配慮について」になっておりますが、こういう消防庁よりの、これは依頼というものが出されております。この依頼について、教育委員会としてどのように対応されたのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)消防庁からの依頼文書についての対応でございますが、教職員が消防団活動に従事する場合の対応につきましては、本務に支障が生じない範囲で、
職務専念義務の免除や営利企業等への従事制限の免除許可等の希望があれば、消防庁からの通知の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)先ほどの
県民文化生活部長の答弁で、市町に依頼したという話で、県の中はどうなのかなと私は思っているのですが、それも含めて総務部長にお伺いいたしますが、例えば、私の住まいいたします甲賀市の甲賀市消防団条例というものがもちろんあるのですが、そこの服務規律として、第13条第3号に、団員は、あらかじめ定められた権限を有する消防機関以外の他の行政機関の命令に服してはならない、こういう服務規律の規定がございます。
ということになってきますと、県職員が消防団員として出動した場合、本来の地方公務員としての
職務専念義務と、公務員に準ずるというのが、法で特別職の公務員と定められておりますので、消防団条例などでの服務規律の関係、この優先順位というのはどういうことになるのでしょうか、お伺いいたします。
◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)お答えいたします。
まず、県も
県民文化生活部長から
総務部長あてに通知をいただいておりますので、まず、それを申し上げさせていただきます。
消防団につきましては、
地方公務員法第3条の規定により特別職の公務員として位置づけられており、その服務の取り扱いについては、各市町の条例で定められているところであります。一方、一般職の地方公務員につきましては、同じく
地方公務員法により、職務に専念する義務が課せられておりまして、勤務時間中の消防団活動は、2つの任命権者の指揮命令系統があるため、その整合をとる必要があると考えております。
そこで、優先順位の考え方でありますが、基本的には、県民の生命、財産にかかわる事態への対応が優先され、火災の消火に当たっていただいたために勤務できないといった場合には、特別休暇として
職務専念義務が免除される場合がございます。しかしながら、消防団員として訓練や式典などに参加する場合につきましては、現在のところ年次有給休暇の対応となっているところでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)どうも今の答弁を聞いておりますと、この場合だったらこういうことも可能であるとか、こういうときはこういうことも考えられるとか。私は、消防団員さんというのは常に備えておきながら有事の際にいつでも対応できるということが求められておりますので、そういうシステムというものをしっかりつくっておく必要があるのではないかと思うのですが、どうも今の御答弁では、もう一つはっきりしていないような気がいたします。
県の職務に専念する義務の特例に関する条例というのがございます。ここの第2条に、職務に専念する義務の免除、いわゆる職専免という条項があるのですが、ここでは規定されていないのです。その第3号で、前2号に規定する場合を除くほか、人事委員会が定める場合、こういう条例になっております。では、この人事委員会が定める場合というのはどういう場合なのか、お伺いいたします。
◎総務部長(谷口日出夫君) お答えいたします。
人事委員会の定める場合ということにつきましては、個々具体のケースを協議して定めていくということになります。消防の場合、その定めはございませんので、いわゆる訓練とか式典などにつきましては定めがないわけでございます。このあたりにつきましては、できるだけ早く整備をして、消防団活動が行いやすいような環境づくりをしていく必要があるということで考えております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)総務部長にお伺いいたします。
今、個々協議をしていく、訓練、式典の場合は云々かんぬんという御答弁があったのですが、災害出動等の場合、個々協議ではだめでしょう。だから、そこはしっかりとした裏づけをつくっておく必要があるのではないですかというふうに私は今お聞きしたつもりだったのですけれども、そこのところをもう一度お願いしたいと思います。
◎総務部長(谷口日出夫君) お答えいたします。
緊急の場合は、先ほども申し上げましたように、特別休暇制度ということで職専免ということになろうかと思いますが、訓練、式典の場合は、今申し上げましたように個々の協議ということです。ただ、おっしゃいますように、個々の協議でいいのかどうかという、そこの課題は持っておりまして、早急に整備をしていきたいと思っております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)総務部長に。今、緊急の場合は、いわゆる職専免というお話がございました。では、この緊急の場合の職専免はどこで規定されているのですか。
◎総務部長(谷口日出夫君) お答えいたします。
勤務時間の規則によりまして、災害救助法ほか、警察官職務執行法、消防法第29条、または消防法第17条に規定するところに従い、これらの事業に従事する場合ということで規定がございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)恐れ入ります。今のはどこの規定ですか。
◎総務部長(谷口日出夫君) 勤務時間規則ということでございます。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)そこの規定の仕方は私も複雑でよくわからないのですが、職専免について条例が定めてあって、その条例の中で、人事委員会規則によるという条例の体系になっている限り、これは総務部長に言ってもしようがないことで、人事委員会と協議してもらわなければいけないことだと思うのですが、ここはやはり私は、人事委員会規則でしっかり定めておく必要があるのではないかと考えるものなのですが。
先ほど
消防団協力事業所表示制度、これについてお伺いしましたが、この中でも、
消防団協力事業所の認定基準というのが、従業員の消防団活動について積極的に配慮している事業所等と、括弧、勤務時間中の出動に対する配慮、すなわち民間の事業所で勤務時間中に抜けても結構ですよと、こういうことが認定基準になっている。あるいは、ボランティア休暇を与える。これは特別休暇ということになると思うのですが、こういう制度を民間の事業所でやってください、こういうシステムを民間の事業所でやってください、これがこの
消防団協力事業所ということの意味でございますので、そういう中での事業所としての県というのは、しっかりその辺の規定を整理しておく必要があるのではないかと思うわけでございます。
特に、先ほど申し上げております平成19年1月5日付の通知、その前に平成14年11月にも同様の通知がなされているのです。ここで、一時的、例外的に本分の職務を離れ、こうした活動を行うことというふうに、公務員の人も一時的、例外的に本来の職務を離れる、それで消防団活動に入ってください、こういう通知文が既に平成14年になされている。こういう中で、まだその辺の整理ができていないというところに問題があるのではないかと私は思います。
ここは自分の意見だけにとどめておきたいと思うのですが、実は、近隣の府県がどうなっているのか、調べさせていただきました。そうしたら、職務に専念する義務の特例に関する条例、これはほぼ同じように条例化されておりまして、この条例の条文というのもほぼ同様になっております。ただ、近隣府県は、すべてそれに関する人事委員会の規則というものがきっちり定められております。
その中で特に顕著なのが、京都府の場合なのですが、京都府の人事委員会規則の中で第3号に、他の
地方公共団体の消防団員または水防団長もしくは水防団員としての職を兼ね、消防もしくは水防のため出動し、またはその職に必要な訓練を受ける場合という、人事委員会ときっちりした協議がなされて人事委員会規則に盛り込まれている、こういうことでございます。ほかにもいろいろ、職務に専念する義務の免除規定が必要な場合というのがあるのではないかとも私は思っておりますので、ぜひともその辺の整理をお願いしたいと思います。
最後に、消防団員というのは、先ほども申し上げておりますように、全国的には7割が事業所に勤務しておられるサラリーマンと言われる被雇用労働者である。滋賀県の場合、4分の3がそういうことである。そういう実態を踏まえますと、県内企業の事業活動に対する観点から、商工労働部長にお伺いしたいのですが、近年、各企業というのは、その本来業務を果たす、これももちろんなのですが、それに加えて、それぞれの企業が社会貢献を果たしていこう、これも大きな企業の目的というふうに時代も変わってきていると思います。
そこで、消防団活動への協力など、企業、事業所の地域貢献活動についての
商工観光労働部長の御所見をお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)企業、事業所の地域貢献活動について、お答えをさせていただきます。
企業は、災害時におきまして地域社会の一員として住民自主防災組織と相互に助け合う共助が極めて重要で、必要な役割を果たすことが望まれております。企業は地域の中で企業活動を行っている企業市民として、大きな災害に直面した際に、企業みずからの資源を活用して自発的に地域貢献を行うことは、企業の社会貢献の一環として非常に重要なことであります。
地域の防災力を高めるために、事業所が所有する物的資材の提供など、各企業において積極的に現在取り組んでいただいております。このような取り組みは、今後の企業経営の規範となるとともに、社会での信頼性や企業価値の向上にもつながり、本県経済の持続的な発展にも大きな役割を果たすものと考えております。
県としても、あらゆる機会をとらえて、経済団体等と連携しながら、企業の地域貢献の必要性をアピールしてまいりたいと考えております。
◆33番(家森茂樹君) (登壇)ありがとうございました。冒頭申し上げましたように、知事が既に言われております流域治水、これを進めていこうと思うと、水防団イコール消防団の活性化というのは大変重要であると私は思っております。どうぞ全庁挙げて、よろしくお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(出原逸三君) 以上で、33番家森茂樹君の質問を終了いたします。
次に、22番田中章五君の発言を許します。
◆22番(田中章五君) (登壇、拍手)外国人の就労について、知事ならびに
商工観光労働部長にお伺いいたします。
少子高齢化、経済グローバル化の進む日本における外国人労働者の受け入れについては、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れは積極的で、制限は設けておりません。一方、単純労働者の受け入れについては、政府は、国内の労働市場にかかわる問題を初め、日本の経済社会、国民生活に多大な影響を及ぼすことを危惧して、ブラジルなどの、いわゆる日系人を除いては厳しく規制しています。しかしながら、将来、労働力が減少することは確実で、ものづくりや看護、介護など、我が国の経済社会や国民生活にとって不可欠な分野に支障を来すことが懸念され、単純労働者の受け入れ促進策が真剣に検討されるべきとの意見もあります。
さて、我が国の単純労働者の受け入れは、日系人を除けば、外国人研修・技能実習制度によるものに限定されます。この制度は、開発途上国等の若年労働者が研修という在留資格で入国し、受け入れ企業でおおむね1年間、技能、技術または知識を習得し、都道府県の実施する技能検定基礎2級レベル試験に合格することで、技能実習生として特定活動の在留資格を受け、2年間の就労が認められるもので、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的に、新たな技術移転の仕組みとして、平成5年4月に創設されたものであります。
厚生労働省が5月11日に公表しました研修・技能実習制度研究会中間報告によれば、平成18年の研修入国者数は9万3,000人、技能実習移行者数は4万1,000人、技能実習中の者は7万人に上り、85%が中国人、以下、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの順となっています。受け入れ職種は、繊維・衣服関係、機械・金属関係が多く、平成17年度の受け入れ団体数は1,116、受け入れ企業数は1万3,710社に上り、このうち半数以上が、従業員19人以下の中小零細企業であります。
また、同報告では、本来の受け入れ先とは異なる企業に研修生、実習生が派遣されている、いわゆる飛ばしのケースや、所定時間外活動、研修・実習計画とのそごなどの問題点を指摘しています。さらに、労働基準監督署の監督指導、財団法人国際研修協力機構──JITCOの巡回指導結果からも違反、改善指摘件数が大幅に増加しているとしています。また、受け入れタイプ別では、大企業等が受け入れる企業単独型に比べまして、中小零細企業が受け入れ先となる事業協同組合等の団体監理型受け入れに問題が多く、送り出し機関で高額な管理費を徴収するブローカーの仲介のケースが問題としています。
こんな中で、今国会に外国人雇用状況報告の義務化を盛り込んだ、罰則つきの雇用対策法改正案が提出されており、ここには、技能実習生も報告対象に含まれており、今後、さらなる国による制度の適正な運用が求められるところであります。
滋賀県におきましても、外国人登録者が3万人を超す現状にあって、今年度は国際交流を推進するとともに、外国人と地域住民がともに暮らす国際性豊かな地域づくりを進めるなど、多文化共生の推進を図られていると認識いたすところでございます。
しかし、一方で、ことし5月17日、長浜警察署におきまして出入国管理及び難民認定法違反、いわゆる不法残留容疑でフィリピン人11人を逮捕、また、5月31日、東近江警察署におきましては、同容疑で中国人11人を逮捕。このうち、少なくとも10人は研修、特定活動の在留資格の滞在期間を超えた者でありました。さらに、資格外活動等で7人の中国人が大阪入国管理局に身柄を収容されております。数日前の6月6日付の京都新聞によりますと、アジア諸国から日本へ入国した研修・技能実習生が過去5年間で9,600人失踪したと、入国管理局の集計を報じ、技能習得の形骸化を指摘しております。
そこで、知事にお伺いいたします。
さきの団体監理型の主な受け入れ先である中小零細企業は、産業構造上の問題や労働条件、環境の状況から、日本人従業員を十分に採用できない実態が存在し、このため、安易に外国人研修生、実習生に頼り、日本人の望む賃金水準を支払う経営基盤がなく、やむを得ず外国人研修生、実習生を労働力として活用し、事業活動を維持しているケースも少なくありません。このため、今後、国内産業の高度化が必要となる中で、少子化による若年世代の減少や高学歴化が進むことが予想され、増加の一途をたどる外国人犯罪の状況や滋賀県の中小企業の実態から、さきの矛盾が一層深まることが懸念されるところでございます。
本来は国で議論されるべき事柄ではありますが、制度上、多少なりとも関与される立場から、知事の率直なる所見を問うものであります。
次に、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
初めに、滋賀県に在住される外国人と、その就労状況はいかがでございましょうか。
また、外国人研修生、実習生の受け入れ状況について、企業単独、団体監理の別、また、受け入れ企業数および職種等、当局が把握されている内容をお教えください。
さらに、外国人研修生、実習生にかかわる問題等の報告事例があれば、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(出原逸三君) 22番田中章五君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)外国人研修・技能実習制度についての田中議員の御質問にお答えをさせていただきます。
外国人研修・技能実習制度については、開発途上国の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としまして、国において平成5年に創設された制度でございます。それまでは1年間の研修、滞在ということでしたが、それに加え、新たに技能実習としての滞在期間の延長が図られたものと理解しております。
厚生労働省が本年5月に公表された研修・技能実習制度研究会の中間報告書によりますと、この制度のもとで、本来のねらいでありますように技能移転が効果的に行われ、現地の技術向上に寄与している例があると伺っております。しかしながら、一方で、一部の受け入れ機関においては研修生が実質的に低賃金労働者として扱われ、残業までさせられたり、あるいは、技能実習生が賃金未払いのまま働かされるなど、さまざまな問題が生じているとされており、私もゆゆしき問題であると認識しております。
したがいまして、この問題につきましては、まず、この制度を運営している財団法人国際研修協力機構による受け入れ企業などへの巡回指導の徹底、あるいは労働基準監督機関による労働基準関係法令の遵守徹底指導、さらに、入国管理局による積極的な企業実態調査と不正行為に対する厳格な指導など、国の関係機関が制度の適正化に向けた取り組みを強化していただくことが重要であると考えております。
外国人研修・技能実習制度そのものについては、現在国で検討されていると伺っております。実務研修中の研修生の法的保護のあり方、技能実習の実効性の確保、さらに、受け入れ団体の役割、責任の強化などについて、より実効ある制度となるよう、関係省庁での具体的な検討を進めていただきたいと考えております。
また、率直な見解ということでございますが、県といたしましても、議員御指摘のように、外国籍の方がふえる中で、県民と外国籍の方がともに地域社会で暮らしていける多文化共生社会づくりを図っているところでございまして、この視点からも、一般論ではございますが、さまざまな支援あるいは研究をさせていただきたいと考えております。
◎
商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)外国人の就労についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、滋賀県に在住される外国人とその就労の状況でございます。
国内、県内の市町からの外国人登録者数報告によりますと、平成18年度末で3万406人となっております。国籍別に見ますと、ブラジル1万3,922人、韓国、朝鮮6,160人、中国4,069人が上位を占めております。滋賀労働局が主として従業員50名以上の規模の事業所から報告を求める形で行っております外国人雇用状況報告によりますと、平成18年6月1日現在、県内で就労しているのは514事業所、雇用されている人数は1万3,454人となっております。出身地別では、中南米が64.7%、東アジア20.4%、そのうち中南米出身者のほとんどは日系人の方が占めております。
次に、外国人研修生、実習生の受け入れ状況でございますが、外国人研修・技能実習制度を運営しております財団法人国際研修協力機構の調べによりますと、平成17年度における県内の外国人研修生は626人、うち、大企業が受け入れる企業単独型は155人、事業協同組合等が受け入れ先となる団体監理型は471人と、団体監理型の方が多くなっております。
職種別の状況を見ますと、最も多いのが電気機械器具組立・修理作業154人、次いで衣服・繊維製品製造作業が131人、金属加工作業が62人となっております。全国的には、衣服・繊維製品製造作業者が最も多い中で、電気機械器具組立・修理作業や金属加工作業の職種の多いのは、本県の産業構造を反映したものと考えております。
また、国籍別の状況を見ますと、中国531人、インドネシア43人、フィリピン18人で、8割以上が中国人となっております。
この制度の中で県がかかわっていますのは、研修から技能実習に移行するための技能レベルの評価であります技能検定基礎2級の実施の部分でございます。県内で平成18年度には、婦人・子供服製造、射出成形、プリント配線盤製造、金属プレス加工等31職種で学科試験、実務試験を実施しておりまして、技能検定基礎2級受検申請者数は654人、合格者数は586人となっており、合格率は約90%となっております。この数字から考えますと、1年間の技能研修の成果は上がっているものと考えております。
最後に、外国人研修生、実習生にかかわる問題等の報告事例についてのお尋ねでございますが、滋賀労働局に寄せられる外国人労働者の相談では、解雇その他契約一般に係る相談や、賃金、労働時間に係るものが多いと聞いております。
◆22番(田中章五君) (登壇)ありがとうございます。国益、国策に係る問題でございますので、この項につきましてはこれ以上の御答弁は求めません。
ただ、現実には、先ほどもございましたように、低賃金で外国人を働かせる仕組みになっている現状があること、また、家族滞在型の日系人とは異なり、単身滞在であること、それから、滞在期間が最長で3年と限られた中での就労という側面もございます。よりよい職場の環境を求めての失踪、不法滞在ということが実態として存在するわけでございます。今後、一層深刻化することが私の一番心配するところでございます。
いわば、影の部分についての質問をさせていただいたわけでございますが、県御当局といたしましては、今後、よりしっかりと現況を把握されまして、県下の中小零細企業の健全なる育成、発展に努められ、ひいては安心で安全な滋賀県となるよう、国や関係機関と連携を深められまして、明るい外国人就労環境が構築できるようなことを御期待、要望し、この項の質問を終わらせていただきます。
次に、長浜バイオ・ライフサイエンス特区について、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
滋賀県版経済振興特区は、地域経済の活性化により県全体の経済活性化を図るため、市町の自主的、主体的提案により、地域の特性を生かし、地域を先導する産業の創出、振興を目指す事業計画について、県が集中支援する制度でございます。長浜バイオ・ライフサイエンス特区は、長浜市が平成16年7月に特区認定を受け、長浜バイオ大学との産学官連携を基本とした共同研究や地域企業のバイオテクノロジー分野への事業展開を誘引する環境づくりを進めるとともに、バイオベンチャーなどの起業を可能とするシステムづくりを構築し、地域の特徴やシーズを生かしたバイオクラスターの形成を目指すものでございます。
この実現のため、地域および県全体の経済の活性化と雇用の創出を図ることを目標に、以下5つの項目の推進に取り組まれております。1番目に、バイオ関連企業の立地促進、2番目に、長浜バイオ大学大学院設立とバイオビジネス支援機関の立地促進、3番目、
産学官連携プロジェクトや大学発ベンチャーの支援による研究開発、産業化推進、4番目に、長浜バイオインキュベーションセンターの整備、最後に、バイオ関連の公的研究機関の立地促進、以上の5項目でございます。
そこで、まず、
商工観光労働部長に、今日までの特区の事業の進捗状況と課題についてお尋ねいたします。
そして、このところの景気回復を背景に、滋賀県では甲賀地域や東近江地域を中心に企業立地が順調に進み、長浜市内でも、びわ細江、それから東上坂の工業団地においては同様に企業立地が進んでいるところでございます。企業立地については、その基本的な考え方、取り組み方については、さきの蔦田議員の代表質問の中で企業立地につきまして詳細な知事答弁がございますので省略はいたしますが、長浜バイオ・ライフサイエンス特区におきましては、企業立地は一向に進んでおりません。
私も議会への途上、ちょうど田村駅の真ん前にございますが、JRの車窓越しに、あいている状態を見ますと、この状態をほうっておくのはもったいないと思っているわけでございますが、湖北地域出身の大学生あるいは若者、そしてバイオ大学学生がこの研究成果を生かせるような、真に研究成果が発揮できるような先端企業の立地が早期に望まれるところでございます。企業の設備投資が上向いている今こそ好機と思うべきでございますが、立地の見込みや誘致に向けての方策について、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(沢井進一君) 長浜バイオ・ライフサイエンス特区についての2点の御質問にお答えします。
まず、1点目の特区計画の進捗状況と課題についてであります。
平成16年7月の認定から、間もなく丸3年を迎えるところでございまして、計画期間であります平成21年3月に向けまして、ちょうど中間点に差しかかるものと考えています。この間、昨年の4月には、長浜バイオインキュベーションセンターが開設いたしまして、現在、県内外から10社を超えるベンチャー企業や中小企業の皆さんが入居し、バイオ分野での新事業の創出に取り組んでおられます。長浜市と共同して、これら企業の研究開発から事業化までの一貫した取り組みを支援しているところでございます。
また、計画の中核となります長浜バイオ大学では、バイオ分野に取り組む、あるいは進出を目指す企業との情報交換や技術相談、シーズの提供など、ネットワークの形成に積極的に取り組まれておりますし、今春には大学院を開設されたところでございます。こうした中で、大学発のベンチャー企業が3社誕生してもおります。
このように、これまでの計画期間前半でバイオ産業創出の核となる基盤が整い、ベンチャーファンドから投資を受ける企業や、商品化に成功した企業が生まれてきております。徐々にではございますが、成果があらわれつつあるものと考えております。
県では、特区計画の推進に当たりまして、外部の専門家による評価のための会議を設けております。そこでは今後の課題として、1つには、サイエンスパークへの企業立地の促進、2つ目には、事業化促進のためのネットワークや仕組みづくりといったことが挙げられております。それだけに、今後はこうした課題に重点を置きまして、長浜地域でのバイオクラスターの形成といった計画の目標の実現に向けて、特区制度にのっとり、長浜市との共同のもと、計画推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の企業立地の見込みと誘致に向けての方策についてでございます。
国内景気の順調な回復を受けて、県内全域で工場立地が進んでいる中、サイエンスパーク6区画の企業立地推進を積極的に長浜の方でしておられます。県といたしましても、長浜市と緊密な連携を図り、企業立地に向け誘致活動を展開しているところでございます。
そこで、今後の見込みでございますが、長浜市からの情報では、現在のところ4社の企業と交渉を進めていると聞いております。これらの案件が立地に結びつけられるように県としても協力してまいりたいと考えております。
次に、誘致に向けての方策でございますが、まずは、当団地のインセンティブであります県版特区制度の活用や、隣接する長浜バイオ大学やバイオインキュベーションセンターとの連携とあわせまして、ここは交通の要衝としての地理的な魅力や、自然、歴史、文化など、従業員や家族の方々の暮らしやすい生活環境のよさもPRしてまいりたいとも考えております。
そして、長浜市ではこのたび、分譲価格を見直されました。そしてまた、新たに賃貸制度の導入に踏み切られました。価格面での手軽さが増すことによりまして、初期投資を抑えながら事業用地を確保できるという、企業にとって活用しやすい条件が整ったものと考えます。これを契機に、長浜市とともに誘致活動に力を入れてまいりたいと考えております。
◆22番(田中章五君) (登壇)ありがとうございました。今後、さらなる御指導、御支援を賜りますように、よろしくお願い申し上げまして、次の項に移らせていただきます。
上多良漁業協同組合に対する県の対応について、知事、
農政水産部長ならびに
土木交通部長にお伺いいたします。
一級河川天野川の上流、旧山東町は、私の故郷でございますが、この時期、蛍が見ごろを迎えております。付近の川には、特に雨上がりになりますと蛍が乱舞する、こんな状況が今も見られる状況でございます。一度ごらんいただければ幸いかと思います。また、その下流、琵琶湖に注ぐ河口付近は、砂地の扇状地でございまして、大根とかカブの栽培に適したところでございまして、特産品にしようとしているアカカブの酢漬け、ぬか漬けは絶品でございます。私の連れ合いも、よくそこまで行って買ってきては食卓に上げてくれて、その味わいを食しているところでございます。皆さんも機会があれば、ぜひ御賞味いただきたいと思うところでございます。
さて、その天野川の河口付近の堤防に絡んだ質問をいたします。
先ごろ上多良漁業協同組合の幹部の妻らが相続税を脱税し逮捕されたという新聞記事がございました。その続報が6月7日付中日新聞に掲載されています。新聞によれば、その妻らが堤防敷で倉庫として許可をとった建物を住宅として違法に使用し、県が内部を確認せずに事実上放置していた。また、同漁協は、漁業収入の何倍もの不自然な漁業補償金を得ていたのに、常例検査をした県は見過ごし、2003年に元幹部ら8人が恐喝容疑などで逮捕されたとし、大見出しで「堤防敷不法占有、補償金見過ごし…問われる県の“弱腰”対応」と報じています。
さらに、堤防敷は公共用地のため、当初は旧米原町が県に占用許可を申請し、占用料は町の申請のため全額免除していたが、事件後に県警の不法占用通報で県は申請者を町から漁協にかえさせただけで、漁具倉庫の建前はそのまま認め、1年ごとの更新の際にも外観写真だけで確認してきた。1度の現場確認以後、中は見ていないとの県河港課のコメントも報じております。
そこで、まず、知事にお伺いいたします。この新聞記事では県の対応について指摘されておりますが、この記事についての知事の所見をお伺いいたします。
次に、
農政水産部長にお伺いいたします。新聞では、一層の行政のチェック機能の強化が求められるとしていますが、私もそのように思うところでございますが、そこで、漁業協同組合に対する常例検査について、その検査内容と県の対応についてお伺いいたします。
最後に、
土木交通部長にお伺いいたします。県民に対する不信感を払拭するべきであると思うわけでございますが、今事案についての時系列の対応と今後の対処方についてお伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)上多良漁業協同組合に対する県の対応についての田中議員の御質問にお答えをさせていただきます。
今回の報道にあります、議員御指摘の点につきましては、県民の皆様の信頼を失わせるのではないかと懸念し、信頼回復に努めることが必要と考えております。
まず、河川の不法占用の問題でございますが、県では平成17年度に、従来の不法占用対策チームを琵琶湖不法占用対策室として改組、強化し、また、昨年7月1日からは、プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例を施行して、琵琶湖を中心とした不法占用対策の推進に取り組んでいるところでございます。こうした取り組みの結果、監督処分に従わない者には、行政代執行法に基づく行政代執行を実施するなど毅然とした措置により、現在、成果を上げているところでございます。
個別に見ますと、今回のような不適正な事例もまだまだ散見されるところでございますが、今後とも適正な河川管理に努めてまいりたいと考えており、県民の皆さんの御理解をいただきたいと思っております。
また、漁業協同組合に対しましては、常例検査を通じ、その健全な発達が図られるよう指導しておりまして、当該漁業協同組合に対しても、法令に基づき適切に検査を実施してきたと報告を受けております。
漁業というのは、そもそも自然の恵みを享受する活動でございますが、歴史的に見ましても紛争の歴史と言われる活動でございます。そのような中で、漁業法あるいは水産業協同組合法において、漁業の社会的秩序をつくり上げるという基本的趣旨がございます。その基本の趣旨にのっとり適切な指導、監督に努めてまいりたいと考えております。
◎
農政水産部長(但馬甚一君) (登壇)漁業協同組合に対する常例検査の御質問にお答えいたします。
県では、水産業協同組合法に基づき、漁業協同組合などの業務および会計の状況について、県内の63団体を対象に2年に1回常例検査を実施しております。この常例検査は、漁業協同組合などが、法令や定款、規約などを遵守し、それらに定められた業務または事業目的に合致した運営が合理的になされているかどうかについて検査をするものであり、法令等に違反すると認める場合は必要な措置をとるよう命じることができるものであります。
そこで、新聞に掲載されました漁業補償に関する検査につきましては、本来、工事施工に伴う漁業被害といった問題につきましては、民事上のルールとして事業施工者と漁業者の双方がお互いに話し合い、納得のいく解決が図られることが基本であります。したがいまして、常例検査におきましては、水産庁が示しております漁業協同組合検査実施要領例に準拠し、漁業補償に関して受領した補償金の経理処理や、その配分が適正になされているか確認しているものでありまして、漁業補償の金額などの妥当性については検査の対象とならないものであります。
上多良漁業協同組合につきましては、近年では平成12年から2年ごとに常例検査を実施しておりますが、受領した補償金については適正に処理されていることを確認しております。
今後も引き続き、漁業協同組合が透明性の高い、適正で健全な運営と発展が図られるよう、適切な指導に努めてまいります。
◎
土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)上多良漁業協同組合に対する県の対応についての御質問にお答えいたします。
問題の漁業倉庫は平成7年11月29日に、当時の米原町に対し、畜養関連施設として養魚池を含む3,627平方メートルについて河川占用を許可したものであります。平成14年の恐喝事件を契機として、平成16年3月16日付で市から廃止届がなされた後、上多良漁業協同組合から占用許可申請が出され、現地確認の上、審査を行い、漁業倉庫として平成16年12月1日付で許可した建物でございます。当初の許可の際には、漁業倉庫であることを確認しており、以降の2度の更新の際には、外観写真により確認の上、許可を更新しております。
漁業倉庫が住宅として利用されているとの疑いにつきましては、昨日6月10日に河川法に基づく立入調査を行っており、事実関係を明らかにした上で、法に従い適切に対処してまいりたいと考えております。今後は、地元米原市とも連携をさらに強化し、適正な河川管理に努めてまいりたいと考えております。
◆22番(田中章五君) (登壇)再質問はやめておこうと思ったのですが、最後のお言葉で非常に残念に思い、再質問させていただきます。
新聞で報道されて、私が質問通告をし、やっと現地確認をきのうされているという。こんな現状で、しかも、知事の答弁にもありました、琵琶湖の不法占用に対する行政代執行、これについても遅きに失している感があると思います。そんなところから、もう少し早期の対応を望むところでございます。
そこで、
土木交通部長に再度お伺いいたすところでございますが、こういった事案については、なぜこのように対応が遅いのか、どこに問題があるのか、その辺について再度質問させていただきます。
◎
土木交通部長(吉岡淳君) 昨日の現地におけます河川法に基づく立入調査でございますが、立会者と立入調査日時を調整いたしまして、その結果、昨日になったものでございます。
◆22番(田中章五君) (登壇)事実関係だけをお聞きしているのではなくて、なぜそうなったかということでございまして、類は友を呼ぶといいます。例えば、琵琶湖における不法に係留されているプレジャーボート等につきましても、そこに係留してもおとがめがない、そんなことで、皆そこへ係留してしまう。その状況が無法状態を生むのではないか、私はこのように思うわけです。
今、やっと重い腰を上げて行政代執行をやっていただいている。非常にありがたいことでございますし、どんどん一罰百戒やっていただきたい。これについても、新聞によりますと、一罰百戒、違法性の高いところから順にやっておられるというようなことをお聞きしておりますが、まさにこの堤防敷の不法占用につきましては相当前から認識されていたはずでございます。これについて、新聞が記事にして、私が質問通告して、初めてきのう現地に行くという。これではますます違法状態、無法状態が助長されるのではないか、このように思うわけでございまして、そのことについての
土木交通部長としての決意のほどを再度お伺いいたします。
◎
土木交通部長(吉岡淳君) お答えいたします。
議員の御指摘を受けとめまして、今後、適法に、適正な河川管理に努めてまいりたいと思っております。
○議長(出原逸三君) 以上で、22番田中章五君の質問を終了いたします。
次に、3番生田邦夫君の発言を許します。
◆3番(生田邦夫君) (登壇、拍手)3番の生田でございます。初めてでございます。2つお願いしておりました。時間がもったいないですので、早速いかせていただきます。
2つのうちの1つでございますが、医師不足、看護師不足についてお願いしておりました。実際に滋賀県において足りているのか、足りていないのか。今まで御答弁願っているわけですが、もう一度お願いしたいと思います。
○議長(出原逸三君) 3番生田邦夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)生田議員の医師不足、看護師不足対策についての御質問にお答え申し上げます。
本県の医師は足りているのかについてでございます。
県におきましては、昨年の9月に医療機関の各方面の委員から構成いたします滋賀県地域医療対策協議会を設置いたしまして、地域医療の充実に向け、医師の確保に係る諸問題への対応を検討いただき、協議を重ねてきたところでございます。具体的な取り組みを現在進めているところでございます。
県地域医療対策協議会で検討、協議いただきました、滋賀県における医師確保の方策についての中間まとめによりますと、県内の医師不足の状況につきましては、4点の御報告をいただいております。
1点目として、滋賀県の医師数は、人口10万人当たり200.8人となっておりまして、全国平均の211.7人よりやや少なく、全国30位となっております。
2点目に、平成18年8月に実施いたしました県内病院の医師確保対策に係る実態調査によりますと、新医師臨床研修制度実施前の平成16年度と比較いたしまして、医師の全体数は増加しておりますものの、湖西、甲賀、東近江、伊香郡等の地域偏在や、産科、小児科等の特定診療科の偏在が見られます。
3点目に、産科では、分娩の取扱病院が4年間に20病院から14病院に減少し、小児科では3病院で常勤医がいなくなっております。そして、今後、この傾向はさらに深刻になると予想され、周産期医療および小児救急に重大な危機を及ぼすと懸念されているところでございます。
4点目に、地域偏在によって、一般の救急医療にも影響が出る可能性も指摘されているところでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)滋賀県において足りているという根拠、今、数字を言われたのですが、実は都市部においても医師の募集がなされております。ほとんどの病院がなされております。この実態を見ますると、実際には足りていない。各病院の責任者に言わせますると、足りていないと。小児科、産婦人科だけではないのです。もう一遍御答弁願います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 医師全体の数について不足状況があるのではないかというお話でございますが、私どもが把握している団体におきましては、県内全域の医療機関におきます人数につきましては増加傾向ということにあると感じておりますが、今おっしゃいますように、地域的に把握する場合におきましては、偏在、減少ということがあるのが実態と考えております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)滋賀県のホームページを見ていただきたいと思います。その中で、都市部と言われるところから、すべてにわたってと言いませんけれども、全部含めますと二十何病院が実際に医師の募集をしております。この実態をどういうふうに考えられますか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 各病院における医師の確保に向けた取り組みでございますが、今、御質問にございますように、それぞれ各病院がいろいろな方法、独自の方法をもちまして、県内の各病院において努力いただいているものと感じております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)常勤で足りないところは非常勤で埋めている、これが実態であろうと思っておりますが、非常勤で埋めているところのパーセントというか、何割ぐらい埋めているか、わかりますでしょうか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 常勤、非常勤のお尋ねでございます。
平成18年度に調査をいたしておりまして、その結果について申し上げますと、平成18年度の医師の合計数につきましては2,816人、そのうちの非常勤が1,327人というふうにまとめております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)実際は常勤だけで埋めるということは、滋賀県の各病院においても無理なのです。ですから、何遍も申します。北の方の公的病院が医師不足であるとかということではないのです。先ほど全国平均でいきますと、30番か、31番とおっしゃいましたか。(「30番」)30番ですか。30番というものを根拠にして足りているということを言う時代ではないのではないかと思うのですが、これは後でもう一遍申します。
それから、国は医者をふやさないでおこうという政策をとっております。(発言する者あり)と思います。ありがとうございます。応援をいただきました。
簡単に言いますと、医者をふやすということが医療費をアップするということ、全く単純な発想であります。この発想のしりを県も追いかけているのであります。いつまでたっても、国が言ったことの域を脱しない発言ばかりなのです。私はずっとこの間、議会の議事録を見せてもらいました。足りていると国が言い続ける限りは、県も足りていますということしかおっしゃっていません。
しかし、部長、既に国は、済みませんでした、自分たちがやっていたことが間違っていましたということを言わずに方向転換しています。いつ方向転換したのか、御存じでしょうか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 医師不足につきましての国での対応でございますが、国におきましては、医師の需給に関する検討会から平成18年7月に報告という形で受けておられます。その中でも、いろいろな課題といたしまして指摘されておりますが、特に地域および診療科の偏在といったことが医師不足の状況であると取り上げられているところでございます。
国におきましては、このような報告を受けまして、昨年8月でございますが、新しい医師確保総合対策を策定されたところでございまして、対策の中では、小児科、産科などにおける機能につきまして重点化の推進を図ることを、また、地域におきましては、医療対策協議会の場におきまして議論、協議を重ねることなどとされておりまして、都道府県におきましても、そうした取り組みの中で一層推進を図りますために努めますとともに、国に対しましては、緊急対策も含めましてとることを要望し、また、国の方でも緊急支援対策を現在盛り込まれて対応に当たっていただいていると認識いたしております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)国は既に、済みませんでしたということを謝らずに方向転換しているのです。そうだけれども、国というのは絶対に間違ったことをしませんと。県もそうかもわかりませんけれども。絶対私は間違ったことをしません、私らは正しいですということを言い続けて、間違ったなと思っても、まことに申しわけございませんでしたということを謝らずに、うまいことごまかしながら方向転換している。その日にちがあるのです。それを御存じかどうか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 今のお話につきましては、私ども、具体的には承知いたしておりません。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)それでは、別の角度からお伺いいたします。(発言する者あり)ちょっと待ってください。また後で戻ってきますから。
国は医学部の定員をふやすのをおおよそ決めました。1年間に110人の定員をふやすと。今までは、ずっと定員を下げてきました。ここ数年、医学部の定員を下げてきました。しかしながら、ここに至って、余り世間がわーわー言うし、自分たちが責められているので、ここにおいて110人だけ定員をふやしてもいいということを認めました。来年からふえると思うのですが、このふやした県、御存じでしょうか。その中に滋賀県はなぜ入らなかったのでしょうか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 正確な資料は持っておりませんが、全国で10県程度だったと覚えております。
それと、滋賀県につきましては、全体数については、議員のおっしゃるとおりでございますが、私どもとしましては、滋賀医科大学で地域枠といったものの充実強化を図っていただくというようなことも、これまでから協議をお願いしてきているところでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)国が10人ずつふやした県を言っておきます。青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、山梨県、長野県、岐阜県、三重県プラス自治医科大学であります。これで110人であります。
その基準が、先ほどおっしゃった二百何人かという数字なのです。しかしながら、実際には既にこの滋賀県の都市部においても医者は不足している。これが実態なのです。そこを国は渋々方向転換している。しかも、今後、地方分権という名のもとに医療の政策も、それぞれの都道府県で決めよと。わしらは知らぬと国は言ってくるのです。ほかのところも投げてくるのです、地方に。そうすると、滋賀県では独自に考えなければならない。要するに、あそこの県へ行ったら、医療、福祉、介護のところがうまくいけている。それなら、あの県に住もうかと言ってもらえる県にしていかなければならないのです。そのためには、国のしりを追いかけているだけではいけないのです。もうそういう時代になっているのに、いまだに国が言っていることのオウム返ししか県はおっしゃっていない。非常に残念でありますが。
実際はこの答弁の中で知事にもお願いしていたのですが、答弁者のところで知事の名前が消えているので、またの機会にします。でも、現実は厳しいところにあると思ってください。
それで、もう一つ言いたいのですが、時間の配分がわからないので、時計を見ながら進んでおります。
それでは、お聞きいたします。責めるつもりはないのですけれども、かなり厳しい状況にあると思ってください。それで、ちょっと角度を変えて言いますが、滋賀県における病院の数が、この間もおっしゃっていましたね、病院の数。滋賀県における病院の数をおっしゃっていました。ちょっとお教え願いたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 平成18年8月に調査した時点におきまして、61病院を対象といたしております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)今御答弁いただきましたように、61病院でございます。そのうちの、ここがわからないのです、公立、公的と言われる病院。公的というのは非常に難しい表現でありまして、私らの職員で、要するに61病院の中で公的病院に丸を打ってみろと言ったら、職員によっては違うのです。この公的と言われる基準をお教え願いたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 公的病院につきましては、自治体立の病院、それから、赤十字社によります病院、済生会でございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)そういたしますと、その公立・公的病院の数は幾つになりますか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 17病院でございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)私どもの計算からしますと、少し数が小さいように思います。もう少し多いように。私らが間違っているのだと。17病院です。恐らく、この話を多くの人たちが聞いておられると思いますが、公立・公的病院は17病院だと認識しておきます。
そうしますと、滋賀県下における今回の、ここからが本題ですが、研修指定病院の数、お教え願いたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 14病院でございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)研修指定病院というものは、すべて公立・公的病院でしょうか。大事なことなのです。後で補正が出てくるところの問題なのです。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 公的病院以外は1病院でございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)研修指定病院が、今おっしゃったように、すべて公立・公的病院ではないのです。民間病院もあるのです。そういうふうに皆さん記憶にとどめておいてください。
それで、今回のことに入りますが、医師確保総合対策事業のところでありますが、この1つ目の、医学生修学資金貸付事業というのがございます。これを医学部または医科大学の3回生というのにされた理由をお伺いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 3回生から貸し付けすることとした理由でございますが、主に学士入学者を対象とした点にございまして、学士入学者の方につきましては、社会経験を一定積まれた後、改めて医学を志ざそうという意欲を持って入学されてきている方たちでございます。また、一方、年齢的には出費が多く重なる時期でもございますので、こうした方を確保するために、支援することによって県内定着を図ることができるということで考えたものでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)医学部は6年制であります。6年制のうちに3年生から支給するという形であります。今おっしゃった内容は、ほかの学部にいて、今度、学部をかわって医学部に入ってきた人ぐらいから考えておられると思います。もう一つは、6年制ですので、その3年生からという話でありますが、実際に若いやつらに聞いてみたら、3年生の段階で、臨床に入ったばかり、最近は基礎のところとか臨床とか、ごちゃまぜになっていますけれども、小児科、産科を3年生のときに決めるというやつはほとんどいないのです。決まらないのです。3年生では決まらない。ゆっくりしたというか、まだ決まらなくて、6年生になっても決まらないのです。実際はそんなものなのです。決まらないのです。
先ほどおっしゃった、ほかの学部から来た人に対する学士のという話。それは一つの趣旨でわかるのですが、実際にほかから来た人も、自分が近い将来、小児科、産科を選ぶということは決めていないというのが現場の話でございます。この話でどう思われますか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 今、学生の方々の進路選択についてのお話をお伺いしたわけでございますが、私どもは、制度を定めることによりまして、より早く進路として、今求められております産科、小児科を目指していただきますとともに、県内での定着を医師として固めていただく、そうしたことを働きかける意味でも、この制度を活用させていただきたいと思っております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)これはもうよろしいです。部長、今おっしゃった中で、それならば、私が調べますと、日本の47都道府県のうちで、こういう制度を既にやっている県がほとんどなのです。滋賀県は既におくれているのです。ずっと前からやっているのです。しかしながら、それがうまくいっていないところもたくさんあるのです。
この話は通告の中でさせてもらったのですが、うまくいっている県、うまくいっていない県とがあるのです。それは何でうまくいかなかったかということに対する分析をなさっておられるかどうか、お願いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 各他府県での取り組みと成果についてのお尋ねでございますが、各府県におきましても、修学資金の貸与制度ですとか寄附講座の設置など、さまざまな取り組みを実施されてきております。しかしながら、まだ各府県とも、事業として始動したところでございまして余り間がないところでございます。そうしたことから、成果につきましては今後に期待しながら各府県とも取り組んでいくという状態かと思っております。
兵庫県につきまして、お尋ねになっているところで申し上げますと、臨床研修を修了された医師を県職員として採用するという制度、仕組みをとっておられますが、昨年9月に募集をされたところ、現在、5名の方を医師として確保できたということを聞いております。本県におきましても、成果を見据えながら事業に精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)時間がありませんので、2つ目の臨床研修医研修資金貸付事業、これにもかかわってくるのですが、県としては、この貸し付けた医師をどの段階でどこの病院に派遣しようと思っておられますか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) この制度をスタートさせることによりまして確保の可能な医師の将来の就職等についてでございますが、現時点で、正確に個々の病院について決めているわけではございません。公的・公立病院等の今後の状況を見定めながら、具体的に決めてまいりたいと考えております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)私が聞きたいのは、卒業して何年目に行かせるのかと言っている。それでないことには、決まっていなかったら、これはおかしいでしょう。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 大学を卒業されました場合におきましては、スムーズに各病院に行っていただけるように努めてまいりたいと考えております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)私が聞きたいのは、一応、義務的研修期間というのは2年です。皆さん、前期研修とおっしゃいますけれども、2年という。強制されますね。その後何年で行かせるのかと。それが決まっていなかったら、今回出てきた、この補正をお願いしますと言っている話はおかしいのではないか。
しかも、さっきから言っていますが、どこの病院へ行かせるのか、あるいは、どこの診療所に行かせるのかということをおおよそ決めておられると思うのですが、お願いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 今回補正予算でお諮りいたしております医学生の修学資金の貸付事業で申し上げますと、小児科、産科等を目指します3回生の医学生に対して、卒業後におきましては一定の期間、県内の病院で勤務することを条件といたしまして、その卒業後におきましては、一定の期間、就業するという条件をつけております。
具体的には、卒業までの4年間を貸し付けまして、卒業後5年間、滋賀県内の病院で勤務いただくと。また、その後半の2年間につきましては、県の指定いたします病院の小児科あるいは産科等で勤務いただくことによって返還を免除しようとしているものでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)こういうふうにお聞き願いたいし、細かいことはともかくとして、覚えておいていただきたいと思います。
卒業しまして、医師免許は持っていますが、現場では間に合いません。2年間の研修が終わりましても、まだ間に合いません。そして後、言葉は悪いですけれども、若干、免除をしてもらう期間だけ勤めるという話なのですが、この期間がたったとしても、まだまだ物にはなりません。例えば、5年とおっしゃいますが、5年研修して、勉強して、患者さんを大勢診たとしても、まだまだ一人前ではございません。一人前でないものを行かせるのです。よく考えてください。10年たって、20年たって、まだ一人前ではないのです。しかしながら、その地域に根差して、地域から信頼される医師を求めているのであります、私ら。
しかし、今、県がやろうとしているのは、国もやろうとしているのは、要するにその場しのぎであります。出たての、まだまだまだな医者をそこへ派遣しようとしているわけであります。そうなってきますと、その程度でよいのかという話であります。しっかりとした受け皿をきちっとしなければいけません。そこまで考えていただきたいと思います。
あと、いっぱい言いたいことがあるのですが、済みません、またの機会にさせてもらいますので、ここはこれで終わります。
その次、お願いいたします。これからは知事でございます。よろしくお願いいたします。
知事は4月27日に自己評価をなさいました。その中で言っておられます。こういうふうに約束をされたと思います。生活現場からの発想、生活者の感覚、視点でいく。自分の家族の財布のつもりで考える。前提はそういうことでした。ですから、すごいなと。今までの行政というものの枠ではなく、家庭の目線としてはみんなと同じ目線でやりますということをおっしゃいました。
それで、約束されたことがございます。知事に就任なさってからの議事録をずっと読んだのです。おおよそ読みました。その中で、みんなと言いません、多くの方が質問しておられるのですが、それに対してきちっと答えておられない。一遍も答えておられません。本当に答えておられません、知事。あそこの48番に座っている森議員の質問、よいことを言っている。2月議会が一番最後でしたか、一般質問は。あの方のを読みました。みんなが言っている中で、あの人もよいことを言っていると思ったのですが、その中で、これ以上借金をふやさないということを約束されました。これ以上、要するに貯金を減らさないということもおっしゃいました。前年度の予算よりも減らすとおっしゃいました。知事、約束されたのです。
知事はいろいろなことで、議事録を読みましても、要するに4年というスパンで見てくれとおっしゃっています。4年というもので見てくれとおっしゃっていますが、実際にこの平成19年度の予算でこういうことをしますと言って約束されたことは、今評価しなければならないのです。4年後の評価ではないのです。この3つの項目、約束されたことと実際の今年度の予算が違います。ちょっとお願いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)生田議員の知事マニフェストの質問について、まず1点目、平成19年度予算で県債をふやし、基金を取り崩し、また、予算を23億円増額せざるを得ませんでした。なぜなのかという御質問と理解いたします。
平成19年度の一般会計当初予算の総額は5,073億1,000万円でございまして、昨年度に比べますと、議員御指摘のように、金額で23億3,000万円、率にして0.5%の増でございます。予算が増額になるのは6年ぶりでございますが、決してこれは積極型予算とは言えないものでございます。
まず、社会保障関係経費、公債費で約40億円程度増加します。さらに、いわゆる団塊の世代の大量退職が始まり、退職手当が前年に比べて30億円程度の増加が見込まれております。これらの義務的経費を除きますと、対前年度マイナスとなり、実質的には緊縮型の予算となっております。
また、県債の増加や基金の取り崩しでございますが、予算編成に入ります前に見込んでおりました平成19年度の財源不足額は560億円で、これは財政危機回避のための改革プログラムの最終年度として、徹底した努力により280億円まで縮減する予定といたしておりました。しかしながら、平成19年度の地方財政対策を受けまして、交付税が予想以上に大きく減少する見通しとなりました。そこで、未利用県有地の売却など、可能な限りの歳入を見積もったものの、最終的な財源不足は610億円を超える見込みとなったものでございます。つまり、560億円から610億円に財源不足額がふえてしまいました。
これに対しまして、歳出面で改革プログラムに掲げておりました280億円を上回る291億円の削減を図りましたが、依然として残る財源不足は40億円拡大し、結果として320億円となったものでございます。
平成19年度当初予算は、こうした大変厳しい状況の中で、すべての経費をぎりぎり精査し、必要なもののみを計上したところでありまして、最後は、県民の皆さんの生活のことを考え、マニフェスト違反との批判を受けるのは承知の上で、やむにやまれず、このような予算を組んだところでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)私は、このたび当選させていただいて仲間に入れていただきましたので、よくわからないのです。ほかの2期以上の方はよくわかっておられると思うのですが、私はわかりませんので、あえて、しつこいですけれども、お伺いしております。
庶民の感覚からいいますと、知事、各家庭の台所の感覚から言いますと、今のは言いわけなのです。絶対に守らなければならないのです。お金がないのです。お金がなくて、こういう事由で、義務的経費がふえましたので、こういう形でふえましたと。実は、言っていましたけれども、これだけふえましたと言って、これでは済まないのです。金はないのです。みんな金がないのです。知事は、金がなくても、金をふやす方法がありますか。実際、今回こういう形でふやしました。でも、各家庭はないのです。その感覚で知事はいくとおっしゃったのです。これが約束事だったのです。
知事、よく聞いておいてください。先ほどの答弁は、今までの行政マンの御答弁であります。その延長線上では滋賀県はいけないと言って、支持されて当選されたのです。今の延長線上ではいけないのです。そこを支持したのです。あっぱれだと思います。それぐらいの根性でいくとおっしゃったから、みんなが賛成したのです。しかしながら、今の御答弁は、今までの行政マンと同じ回答であります。
私は聞きたいのです。事務方から上がってくるでしょう、来年度の予算はこれだけふえるのだと。ふえるのですと言ったときに、知事は見られたと思います。私が県民と約束したことと違って、國松さんが最後に組まれた予算よりはふえているではないか、私はこれではいけないと。私は約束していることがあるのだから、絶対にそれ以下に下げてくれと言うのが普通だと思うのです。言われましたか。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)予算編成のプロセスの中で、そのような発言はし、そして、一つずつをぎりぎり精査するように指示をいたしました。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)私が知りたいのは、知事が、ただ事務方から上がってきた積み上げの予算の案を、その場は、そうかと言って受け取ったのではないと思っていたのです。その中において、やはり約束違反だと。何とか下げてもらわないと私の顔がつぶれるのだとおっしゃったと思っているのです。それが普通です。今の御答弁は、そういうふうに頑張ったとおっしゃったと解釈しておいてよろしいでしょうか。
そうしますと、それでも事務方は、5,000億円のうちの23億円です。大きな金額ではありますけれども、5,000のうちの23という数字は、また別の見方もあると思います。皆さん方、おられる人たちは皆プロですから、23の数字はどうにでもなる。自分のところの知事が約束したことだから、そのとおりしなければならない。これは普通の職員として思うべきことであろうと思っています。しかしながら、出てきた予算は、23億円といえども、やはり約束違反であります。地方債もふえました。基金も取り崩しました。知事が約束されたことを守れなかったということ、その責任は職員の皆さんにあります。
もう一つ、先ほどおっしゃいました、切り詰めて切り詰めた予算であるからと。私からいったら、本当に言ったら、義務的経費はなぶれないのですか。どうですか、知事。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)義務的経費につきましては、県民の皆さんへの最低限の行政サービス、また、法令上、法律、条例などで規定されているものでございまして、基本的にはなぶるべきではないという認識でおります。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)知事もだんだん役人と同じようなことを言ってきたなと思っております。
義務的経費というのは確かになぶれない。しかしながら、いろいろな人件費とか、みんなの給料を削れと言っているのではないのです。何らかの方法があるはずだと。方法はあると思っています。方法がなくてもあるようにする、それぐらいの思いでやらなかったらどうしようもないところまで滋賀県はなっているのだと、そう言われたのです。
それで、もう削れるところは削ったし、もう一切削れないとおっしゃいますが、実際に聞いてみます。これは事務方に調べてほしいと言ったのですが、内部事務ですか、削ったという話がありまして、実際、私が考えるのには、事務的経費、内部の事務経費をこれだけ下げましたと言われますが、実際に事務費が残ったら、知事、残ったら残ったでいいと思うのですが、行政の仕組みからいったら、10万円以上の──聞いておいてくださいよ、あるところでこの間聞いたのです。10万円以上の経費が残ったら、財務の担当の人から、何で残ったのかということを書かなければならないようになるのだと。100万円以上残したら、監査委員から、その理由書きを、物すごい、その説明書きを求められるのだと。それならば使ってしまうのだと。そういう仕組みです。
皆さん、身に覚えがあると思うのです。みんなそれで予算をやってきたのです。来年度の予算をとるためにもそうしてきたのです、枠どりといって。でも、民間、庶民の感覚からいったら、いろいろな入り用の予算を一応つくっておいたけれども、これはしなかったと。しなかった、ああよかったなというのが一般の思いなのです。しかしながら、行政の仕組みは、10万円以上残してもいけないのです。このシステムである限りは、いつまでたっても、やはり使い切るのではないですか。そこにいる、その人がたまたま悪い人──悪い人というのは言い方が悪いですね。まあ悪い人であって、ほかの人はみんな残していますという話ではなく、「私はもしもその担当になったら1円たりとも残しません」、そういうものだと思うのです。知事だって、その担当だったら、ひょっとしたら残さないかもわからない。これが行政の仕組みなのです。
そこまで、そういう仕組みまでも本当に突っ込んで知事は今回予算をつくるときにされたかどうか、お伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)生田議員の御指摘は、予算を使い切るシステムになっているのではないのかという御指摘でございます。
正直申し上げまして、私も県庁職員をやっておりました。そして、かつての時代にそのようなことがなかったとは言えないと思いますが、ここのところの大変厳しい中で予算の執行に当たりましては、使い切り予算ということはなく、各事業の執行に当たって、最小の経費で最大の効果を上げるよう、効率的、効果的に実施していくように指示をしております。
例えば、今年度も年度当初に予算の執行要領を定めまして、予算の執行に当たっては、県の果たしていくべき役割、事務事業の目的などを十分吟味するよう指示しました。そして、従来にも増して適切な執行方法、さらなる経費の削減に徹底して取り組むなど、一層の工夫に努めながら、事務事業の的確、適正な執行に全力を上げるよう指示したところでございます。
さらに、年度途中に不用額が出た場合には、補正予算において減額措置をする。そして、その補正予算の減額措置はポジティブにとらえる。決してネガティブにはとらえないというところでの指示をしているところでございます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)ちょっと消化不良みたいな形になるのですが、残された時間から見ますと、どうしてもこれだけは知事に聞いておいてもらいたいということがありますので、申し上げます。
今、まことに模範的な御回答をなさったわけですが、現実に、そういう予算を使い切っている現場があったらどうされますか。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)予算を使い切る現場というものの理解が私にはよくわかりませんが、必要だから予算を執行するわけでございまして、不必要な経費は執行していないと理解しております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)あったらどうされますか。もう一遍聞きます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)予算の執行に当たっては、必ず必要であるから執行していると理解をしております。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)ある現場において、2月末に、しかも予算の流用で使った場所がございます。手元に資料がございます。それで、倹約してみんなが頑張ったけれども、やはりこれは年度末に近づいてきて考えたところ、これは必要だと。必要だったから、それなら、悪いけれども使わせてもらおうかと思って使ったのではないのです。上の人が言われたそうです、さっきの話ではないですが、予算だからと。来年度の予算どりだと。そういうところがあったとしたら、今言われた知事の御答弁は現実とは違うと。国会で民主党がガセネタで何か言ったというのと違います。裏をとってあります。そういうところがあったとして、むなしい。むなしいのです。
民間の発想で、庶民の発想でやろう。もっと詰めることはできます。もっと倹約できるところがあります。この点については共産党の皆さんと同じ考えでありまして、公共事業、もっとやはり詰めたらいいと思います。私もそう思っています。でも、今度、値段が下がってきますから、みんなが本当のどつき合いをしながら入札に加わりますから、結構金は余ると思います。こんなのはどうでもいいですけれども。
ただやはり、やろうと思えばできることがいっぱいあります。しかも、これ、もう一遍洗い直しをお願いしたいと思いますし、後日、また一遍話をさせていただきたいと思いますが、もう一遍だけ、最後に知事、現場をよく見てほしいし、庶民の感覚と言っていて、行政のこの大きな組織の中に入ってしまって見えないのかという思いでありまして、一言、決意表明で結構ですので、お願いしたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)県民の皆さんが大変苦労している中で納めていただいている税金でございます。1円たりともむだにしてはいけないという決意でもって予算の編成、執行に当たらせていただきます。
◆3番(生田邦夫君) (登壇)何もわからないものでありまして、皆さん方に対しては非常に無礼な言い回し、発言があったということはおわび申し上げます。皆さんの友情に免じてお許し願いたいと思います。
ただし、今の発言の中にもありましたように、知事はまだ頭を下げておられません。世間で言うところの、頭の下げ方とは違います。これは私はまた後で言います。
それと、もう一度、やはりお金の使い方を考えていただきたい。今までの行政の延長線上に、この危機を乗り切る方法はありません。かなり腕っぷし、体力、気力、すべて必要であります。ここを乗り切るために、みんなで頑張っていきたいと思いますし、新幹線なんか、そんなのはちょっとした問題です。もっと大きな問題でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
失礼いたしました。ありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 以上で、3番生田邦夫君の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時22分 休憩
────────────────
午後1時18分 開議
○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、40番梅村正君の発言を許します。
◆40番(梅村正君) (登壇、拍手)このたびの県議会議員選挙におきまして、公明党は多くの県民の皆様方の我が党への御理解、そして御支援を賜りまして、粉川清美議員とともに大切な議席をお与えいただきまして、激変する社会の中、私も改めて県民の皆様の県政へのその声と、また期待を前にして、清新な気持ちで初心に立ち返り、県民の皆さんの心を心として、徹して謙虚に、かつ現場主義で県勢発展を目指し誠心誠意頑張ってまいります。議員の皆様、そしてまた、知事初め、職員の皆様、何とぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、私はすべて、一括質問で質問をさせていただきます。
最初に、戦略的環境アセスメントの導入など、県民参加の具体化につきまして、知事に質問をいたします。
知事は提案説明で、新たな時代に対応した県民主体の県政を目指す、このように決意を述べられました。厳しい低迷した経済状況の暗いトンネルからやっと抜け出し、明るさが見え始めた今を迎えております。また、少子高齢化や人口減少社会の真っただ中にありまして、持続可能な社会、安心と安全の社会づくりを目指し、県民主体の県政という将来の土台を築くのが今のときと、このように実感いたしますことから、以下、伺うものであります。
1点目は、間違いのない将来を築く土台の一つとして、戦略的環境アセスメント──SEAという、その本格導入について伺います。
現在の事業アセスメントでは、その時期において、環境に重大な影響を及ぼすことが予測されても事業変更は極めて困難であります。それゆえ、計画段階で現場などの多面的な意見を取り入れ、間違いのない事業実施の可否判断をするために、戦略的環境アセスメントのシステムを本格的に本県は導入すべきと強く訴えるのであります。今日までの大量生産、大量消費、大量廃棄という考え方から持続可能な社会構築へという価値観の転換が図られている今、事業展開の基準の一つとして明確に持つべきではないでしょうか。
今般、環境省の戦略的環境アセスメント総合研究会より、事業に先立つ早い段階で、著しい環境影響を把握し、複数案の環境的側面の比較評価および環境配慮事項の整理を行い、計画の検討に反映させることにより、事業の実施における重大な環境影響の回避または低減を図るためを目的として、地方自治体におけるSEA導入実施を促すことも含めたガイドラインがこのたび示されたところであります。
このシステムは、政策段階、計画の段階で、事業実施の是非を、環境情報を保有している地方自治体、また、地域、県民の意見を反映させ判断するというものであり、今後取り入れるべき不可欠のシステムと思います。
今日まで本議会でその導入の必要性について伺ったところ、検討するとの答弁の繰り返しでありました。しかしながら、今日、また将来、一層厳しい財政事情の中、課題は山積、複雑化し、価値観の多様化は明確であることから、持続可能な社会の構築を目指すその中で、適正、効率的な事業計画の可否判断を厳しく求め、それゆえ、導入は待ったなしと改めて訴えるものであります。
本県こそ、この手法の本格的な導入により将来の事業展開における県民参加のベースとすることを県民の皆さんに明確に明示、公表すべきであると思います。今後示される基本構想、また、新たな財政構造改革プログラムの推進とともに、これを一体的にとらえ、県民参加の明確な形、システムとして導入すべきではないでしょうか。例えば、新年度からの導入など、検討を加速させるべきでありますが、知事の明快な答弁を求めるものであります。
2点目に、事業仕分けについて伺います。
知事はよく、近接・補完の原理という言葉を使われます。それは、住民の意見を主題として行政に反映させることであり、言いかえれば、最も住民に近い自治体が主体となり、広域的な課題を県や国が行うという、下から積み上げていくという考え方であり、その形を示すことが大切と思います。
事業仕分けの判断は、県民生活に直結し、多大な影響を与えるだけに、県民の目線で現場の視点での判断が極めて不可欠と思います。県民主体とは言いますが、県民に結果だけを言うのではなく、最初は県民との課題の共有から始まるのではないでしょうか。そのために情報提供し、意見を聞くことが大切と思います。工夫すれば幾らでもできる県民参画の形をもっと進めるべきではないでしょうか。県民の代表の方々も入っていただいております現在の審査会ではありますが、判断をその場に置かず、中間報告の内容をいま一度、県民や市町との対話、議論を重ねる中で、また、そうすることが県民のその地域の中に県の考えの理解が深まる、広がると思うのであります。そういう意向、そういう考え方を反映させ、最終判断することが、県民と一体の県政、その最初の一歩になるのではないでしょうか。知事はどのように考えておられるのかを伺います。
2点目に、文化、芸術の振興策について、知事、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
経済活動による物質的な豊かさを得た一方、人の心の豊かさが希薄化する風潮は極めて深刻であります。それだけに、時代を開く、時代を担う児童生徒を初めとして、心を豊かにする文化、芸術の振興は不可欠ではないでしょうか。2001年には、心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与するということを目的とした文化芸術振興基本法が制定され、各地では地域の特性を生かした独自の文化芸術振興へのビジョンづくりを初め、地方自治と文化、芸術のあり方が見直され、文化、芸術によるまちづくりさえ始まっております。
本県においても、その振興策について進められてまいりましたが、私も、なお一層の推進を強く願いながら、県議会におきましても、滋賀らしい文化芸術振興条例の制定や具体的な推進策などを提言してまいりました。また、県議会公明党として、去る5月24日には、嘉田知事に対して7点にわたり、文化芸術振興にかかわる政策提言をさせていただいたところであります。
私は、今こそ新時代の地域づくりを目指し、その土台となる心の豊かさへの取り組みとして、本県の文化芸術振興のさらなる主体的、積極的な推進をとの観点から、以下何点かお伺いいたします。
まず、知事に伺います。
1点目は、今までの取り組みの経過について簡単に述べましたが、本県の将来の心豊かな県民生活と活力ある地域づくりのために、今こそ文化、芸術の振興条例の制定や基本方針の策定、目標を明確にして、もっと加速度的に推進すべきと思いますが、知事の見解を伺います。
2点目に、各地では文化芸術振興でまちづくりや地域経済の活性化が図られております。そのためには、国、民間、地方自治体が互いに協力し合い、社会全体で取り組む環境づくりが不可欠であります。本県の県勢、また、経済的発展の可能性について伺います。
3点目に、私は、この展開によって県下各地で地域発展の可能性へのうねりを期待したいのであります。その旗手、その主体者として、地域の中で活躍をされ、また、今は最前線で活躍されていない方など、自薦、他薦を問わず、5万人・湖国アーティスト登録制度を創設してはと提案いたします。そういう方々が縦と横のネットワークを図りながら、地域の活力源として地域の御要望にこたえていく。文化、芸術の振興特使として認証するなど、活躍していただくことは、人と地域への影響、また、交流による新たな文化の創造など、幾重にも意義あるものと思います。また、5万人という、この数への進捗が、今後予定される新条例や、また、振興策の浸透度合いのバロメーターともなると思うのでありますが、知事は、このような輝く人づくりと文化芸術振興への取り組みについては、どのようにお考えになっているのかを伺います。
次に、
県民文化生活部長に伺います。
1点目は、児童生徒と一流の文化、芸術との触れ合い、学校教育との触れ合い、連携など、教育的視点での取り組みを強化すべきでありますが、どうでしょうか。
2点目に、県民に愛される文化、芸術を目指し、活動者の練習会場の確保、総合窓口の設置など、期待される具体的な支援策を強化すべきと考えますが、その見解を伺います。
3項目めに、観光振興策について、知事、
商工観光労働部長に伺います。
新たな時代に間違いのない安全、安心の湖国を築くため、財源確保の重要性が一段と強まる中で、その対策の一つである観光振興への期待は、言うまでもありません。ぜひ積極的な推進を願うものであります。
時ちょうど紫式部が大津の石山寺で構想を練ったという、世界の文学史上すばらしい魅力を有し、日本が誇る世界最古の長編小説と言われる「源氏物語」は、日本文学の代表的な作品であります。明年2008年は我が国の記録にあらわれる1008年からちょうど1,000年に当たり、源氏物語千年紀を迎えることになりますことから、以下、何点かを伺います。
最初に、知事に伺います。
1点目は、このロマンあふれる「源氏物語」は、我が県から生まれたとも言える、すばらしい日本文学を国内外に発信し、あわせて、現代社会が抱えている生命軽視などの風潮に対し、人間の心、生きる心、生き方や人とのかかわりの大切さなどのメッセージでもあり、また、児童生徒の心の中に希望を見出す機会になればと願うものであります。
今を生きる私たちは、間違いなく二度と出会うことのない源氏物語、1,000年というそのときを、そのすばらしさを、チャンスをどのようにとらえ、次代のために生かそうとされるのか、知事の思いとその見解を伺います。
あわせて、本県の文化、芸術の振興の観点から、取り組みによる最大の効果を期待するものでありますが、知事の所見を伺います。
2点目に、また、「源氏物語」ゆかりの地、本県大津市の石山寺などを中心に開催される源氏物語千年紀は、観光振興の観点からも大きな催しとなります。また、そうしなければなりません。内外から来訪される多くの方々にどのようにおもてなしをし、滋賀を発信できるのかにあります。また、本県の観光、文化的資源などを丸ごとPRできる最大のイベントになるよう支援すべきと思います。
近年の「功名が辻」、彦根城築城400年祭など、本県のPRに大きく寄与してまいりましたが、さらに、源氏物語千年紀においても、市とともにその推進体制や効果的な事業実施などへの積極的なかかわり、支援が必要と思いますが、知事の見解を伺います。
次に、
商工観光労働部長に伺います。
今日まで産業振興や観光振興につきましては、さまざまな議論が重ねられてまいりましたが、観光振興を大きく左右するびわこ検定について、目的や実施時期など、その概要はどのように検討されているのでありましょうか。進捗状況とあわせて伺います。
また、今後一層取り組みを強化する中で、その効果をどのように考えておられるのか、伺います。
2点目に、観光振興策には、公共交通機関の強化は欠かせません。琵琶湖環状線が実現し、それぞれの地域でさまざまな取り組みがなされておりますが、多くの内外からの観光客を招き、1回限りではなくリピーターの来県が多くなるような取り組みを重視しなければならないことは言うまでもありません。そのための工夫が欠かせませんが、県は市町と協調しながら、観光資源を生かすとともに、周辺整備など、観光振興の総合的な手だてが求められていると思います。遠方からの観光客は、その観光資源だけではなくて、その余韻を味わう憩いの場、心地よい時間的空間を充足する周辺整備が不可欠ではないでしょうか。リピーターは、そのような、あらゆる触れるものを体感され、全体を評価されると思います。
その意味で、観光資源周辺や環状線の各駅中心に、観光、福祉、環境等要素を含めた循環バスの運行、また、自転車専用道の整備、エコサイクリングの推進、駅から観光地までの道路を初めとした周辺整備など、関係機関が一体となって計画的に推進すべきと考えます。その意味で、強く推進するためにも、県観光施策推進本部でぜひ重点的課題として緊急に検討され、実施されるべきと思いますが、
商工観光労働部長の見解を伺うものであります。
最後に、景観保全と開発と事前対策について、知事、
土木交通部長にお伺いいたします。
本県の風景は全国に誇り得るものが多くあり、風景条例を初めとして、保全に取り組んでまいりました。昭和59年に、風景条例の施行によりまして、琵琶湖周辺や河川などを初めとして区域指定がなされ、指導、助言が行われてまいりました。そして、平成16年には、命令、罰則を含めた景観法がスタートするなど、景観を守り生かす取り組みは大きく変わってまいりました。
一方、琵琶湖は、14市町への境界設定により地方交付税の歳入増の一方、地権者としての権利も発生することになりました。また、本年11月末より都市計画法が改正されまして、次代に向けての地域づくりを目指し、一部の手法を除き、基本的には調整区域内での開発ができなくなるなど、県土や地域が大きく変わることが予想されますことから、以下、伺うものであります。
最初に、知事に伺います。
1点目は、このような大きな県土の変化と課題の中でありますだけに、第1に、何としても世界に誇りとなっている琵琶湖や、すばらしい湖辺は、次代の子供たちへの確かな贈り物として断じて守らなければなりません。境界画定の14市町のみならず、すべての県民が、大切な琵琶湖やその湖辺を守ろうという一致した熱い心、共通の理念と思い、そして行動が不可欠と思いますが、知事はどのように考えておられるのか、伺います。
2点目に、その滋賀県らしい具体的な取り組みとして、私は琵琶湖の湖辺から一定距離の周辺を琵琶湖景観ベルト地帯として、皆が守るべきと思いますが、このような考え方はいかがでありましょうか。
新しい課題を持った今、知事は、将来に向け、この琵琶湖と湖辺の景観についてどのように考えておられるのか、また、関係者にはどのような理解を得ようとされるのかを伺います。
3点目に、そうして、この景観を生かした観光や地域経済の活性化、まちづくりなどに資するよう、景観の保全と創出を図ることが大切と思います。
知事の見解を伺いますとともに、具体的な事例があれば御紹介いただきたいと思います。
4点目に、次の基本構想が目指す将来の滋賀の姿を重ね合わせるとき、景観法をどのように生かされようとしているのか、また、琵琶湖や恵まれた景観を大切にするなど、どのような特色を持たそうと考えておられるのか、伺います。
土木交通部長に、以下、伺います。
1点目は、現在、県下各地で大規模開発されている現状はどのような状況なのか、伺います。
2点目に、現在、土木交通部により大規模開発による渋滞などの設置後に想定できる内容について、事後では、周辺住民への被害や、また、費用増大が必然でありますことから、住民の方々の意見を反映させるため、関係者による連絡調整会議を設置していただき、取り組んでいただいているところであります。
現在、(仮称)イオン草津ショッピングセンターやロイヤルタウン一里山は、開発許可が済まされていると仄聞いたしますが、当局のこのような課題解消への対応、解決策について、どのように対処されたのかを伺います。
3点目に、この積極的な取り組みに賛意を示すものであります。今後の対応のためにも、何よりも県民の皆さんにわかりやすい県政の具体的な推進の形となる、この事前の対策を協議する連絡調整会議をぜひシステム化すべきと考えますが、
土木交通部長はどのような見解なのか、伺います。
最後、4点目でありますけれども、大規模開発のゲリラ的豪雨による河川整備についてであります。
さきにも述べましたとおり、大規模開発は多数と仄聞いたします。しかし、開発地域の下方にある、例えば国分川のような劣化、脆弱化し、河川断面が狭隘であり、ましてや、近年多発しているゲリラ的集中豪雨による濁流は極めて危険であります。加えて、上流地域での大規模開発となると、不安は一層募るばかりであります。
この不安を少しでも解消するための提案でありますが、開発計画が提出されたときに、住民の皆さんの命にかかわる重大な問題として、周辺の河川などを住民の目線で調査し、必要な対応策を事前事後に講じるべきと思いますが、これら県民の不安を安心に変える取り組みについての見解を伺うものであります。
以上4項目についてお伺いをさせていただきました。いずれも新しい時代に不可欠な要点だと、このように認識しておりますがゆえに、明快な答弁を求めるものであります。以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 40番梅村正君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)梅村議員の御質問にお答えをさせていただきます。
まず最初の、戦略的環境アセスメントの導入についてでございますが、戦略的環境アセスメントは、政策や計画プログラムを対象として、早い段階で環境影響評価を行い、計画等の熟度を高めていく過程において、十分な環境情報のもとに適切な環境への配慮を行うための手続と理解しております。私は、住民の皆さんと協働で築く、「もったいない」を生かす県政を旨としておりまして、この制度は、住民の皆さんとのコミュニケーションを図りつつ、協働のもとに、よりよい政策を決定するために大変有効なものだと思っておりまして、積極的に導入を図ってまいりたいと考えております。
この制度の背景を少し考えますと、アメリカ、イギリスおよびオランダなどで実施されており、その例を見ますと、政策や計画、プログラム段階といった、事業に先立つ早い段階で、事業を行わないことも含めた複数案を対象にして、環境面に加え、経済面、社会面を含め、調査や評価を実施すること、また、この手続は情報公開され、プロセスが透明化されること、また、3点目、県民や専門家の関与など、第三者が参画するといった手続を備えていることが望ましいと考えられております。
これらを兼ね備えた制度を実現するには幾つかの課題もございますが、県としましては、本県の実情も加味しつつ、制度化に向けて大いに調査研究を進めてまいります。
その上で、例えば琵琶湖の再生に向けての効果的な対策を検討する際には、琵琶湖が自然的価値を持っているばかりでなく、経済的価値、社会的価値など多面的な価値を有しており、しかも、その水質は、県民生活や産業活動、湖内の生命活動といった微妙な生態系のバランスのもとに形成されていることなどを踏まえまして、これから取り組みます琵琶湖の水質・生態系メカニズム調査の結果や治験をもとに、このアセスメント制度を活用していきたいと考えております。
次に、2点目の施策・事業の仕分けへの県民参加についてでございます。
施策・事業の仕分けの検討に当たっては、県民や県庁外部のさまざまな視点で御判断いただくために、県内で御活躍中の企業経営者や市町職員のほか、県内をよく御存じの方々にお願いしたところでございます。また、仕分けの透明性を高めるため、作業は公開で実施するとともに、会場では傍聴者からの意見もいただけるようにいたしました。さらに、作業で使用した資料については、その都度、県のホームページに掲載するとともに、仕分けの結果についても、付記された意見とともに、そのすべてをホームページ等において公表しております。
事業仕分けは、さまざまな手法が考えられますが、今回、本県で実施した方法は、合議制により施策・事業仕分け会議としての結果を得るというものではなく、個々の委員さんにそれぞれ御自身の考えで判断いただくこととし、これを県民の皆さんに公表しながら進めてきたものでございます。今後、こうした取り組みにおける県民参加のあり方につきましては、情報を公開することに加えまして、ともに情報を生み出し、つくり出すという原点から始め、さまざまな工夫を考えながら、県民の皆さんの意見が一層県政に反映されるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、文化、芸術の振興策について、3点の御質問にお答えをさせていただきます。
1点目の文化、芸術の条例の制定や基本方針の策定についてでございます。
議員御指摘のとおり、県民一人一人が真にゆとりと潤いのある、実感できる、心豊かな生活を実現するためには、また、個性ある、活力あふれる地域をつくるためにも、文化、芸術の振興は不可欠であると認識しておりまして、県といたしましては、文化、芸術の振興を推進する仕組みを確立することが必要であると考えております。こうしたことから、滋賀らしい文化芸術振興のあり方を検討していただく委員会を、昨年10月に設置いたしました。条例の制定や基本方針の策定を初め、活発な議論が交わされております。
現時点では、県民の皆さんが滋賀の文化の大切さを理解し、そのことを共感できる旗印が必要であること、また、地方自治体の自治事務である文化行政については、長期的、安定的に取り組むべきであり、それらの根拠として文化振興条例を制定する必要があるとの議論がされているところでございます。
目標を明確にして加速度的に推進すべきとの議員の御指摘でございますが、今年度上半期に検討委員会から報告を受け次第、精力的に検討を進め、県議会の皆様の間でも十分御議論いただきながら、速やかに県としての方針を確立していきたいと考えております。
2点目の本県の県勢、また、経済的発展の可能性についてでございます。
関西元気文化圏を提唱された河合隼雄前文化庁長官は、文化によって人間の心が活性化され、経済的効果も生じてくるだろう、経済と文化はそれほど相反するものではなく、むしろ社会の発展にとって車の両輪であると言われております。文化力と経済力は、これからの時代、日本国内だけでなく国際的にも日本が貢献できる領域だと考えております。
そのような中で、本県では、文化、芸術を広くまちづくりに生かす市町の取り組みが活発化しつつあります。また、文化、芸術と結びついた付加価値の高い産業も出てきております。さらには、全国に誇る多くの寺社、文化財や文化施設は滋賀の魅力であり、観光振興や企業誘致のセールスポイントともなっております。
このように、文化、芸術は、地域経済、観光、教育など、さまざまな分野と関連しておりまして、県政においても文化芸術振興は重要な位置づけがあると認識しております。国、市町、民間等と連携しながら、社会全体で文化芸術振興を進め、人が輝くまちづくりや、地域経済の活性化などにつなげていきたいと考えております。
3点目に御指摘の、5万人・湖国アーティスト登録制度についてでございます。
文化芸術振興においては、議員も御指摘のように、文化、芸術を担う主役は一人一人の県民の皆さんであることを認識し、人が育つ環境をつくるという視点が大切であります。本県では、地域の文化芸術活動に多くのアーティストや文化芸術団体の皆さんが活躍されておりまして、これらの方々は、地域の宝であることから、県としても、その活躍の場をさらに広げていきたいと考えております。
こうしたことから、現在、文化情報発信サイト、あーとねっと・しがの中にアーティスト登録制度を設けておりますが、登録数はまだまだ少ないというのが現状でありまして、利用促進のためのさまざまな工夫を行う必要があります。
先ほども申し上げましたように、文化芸術振興の方針を速やかに確立したいと考えておりますので、その中で、議員御提案の趣旨を踏まえ、県民一人一人がアーティストという機運を盛り上げながら、文化活動のすそ野の拡大が図られるよう、アーティスト登録制度の取り組みを進めていきたいと考えております。
次に、観光振興についての2点の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、1点目の御質問のうち、2008年に源氏物語千年紀を迎えるに当たり、そのすばらしさとチャンスをどのようにとらえ、次代のために生かそうとしているのかという御質問でございます。
議員御紹介のように、日本を代表する古典文学である「源氏物語」が記録の上で確認されたときから、来年でちょうど1,000年を迎えます。世界で初めての長編小説である古典文学「源氏物語」は、世界各国語に翻訳され、今なお読み継がれております。その時代、例えばヨーロッパでどのような文学活動があったかということを比較してみましても、その当時の国際的な先見性が理解できるものでございます。
「源氏物語」が書かれた平安時代は、文明史上で最も平和が長く続いた時代でありまして、女性が華々しく活躍した時代でもあります。小説の中に一カ所も流血の描写がなく、優しい心でつながり合う平和へのメッセージが込められていると感じております。また、自然の美しさ、細やかさを喜びとしている場面が多く描かれ、現在私たちが直面しております環境保全へのメッセージも込められていると感じております。さらに、自立した女性が描かれている上に、1,000年の後も読み継がれ、なおかつ現在的意義を持っているのではないかと考えております。
このように、平安時代は文化の時代であり、それを支えた女性の時代でもあったわけですが、今の時代もまた、同じような時代認識を持てるのではないでしょうか。そして、源氏物語千年紀をきっかけに、滋賀の文化力の発信、女性力の向上、次世代教育、観光振興などの分野において、「源氏物語」のすばらしさを、現代、さらには未来に生かしていきたいと考えております。
次に、本県の文化、芸術の振興の観点から、この取り組みにより期待される効果についてどのように考えるかとの御質問でございます。
紫式部が「源氏物語」で表現した、もののあわれなどの思想や、人間に対する深い洞察力などは、時代や国境を越えた普遍性を持っており、21世紀を生きる私たちに指針や示唆を与えてくれる世界的文化遺産であります。その創作の背景には、日本独自の仮名文字の発明と、京都の都としての文化的土壌や、教養を磨き合う宮中の環境があり、そして、紫式部という才能豊かな女性がいて初めて生まれた文学であると言われております。
「源氏物語」というと、どうしても京都のイメージが強いわけですが、本県としては、大津市の石山寺には当時の風景が今も残り、また、紫式部が父藤原為時の任地、越前の国へ向かうため、琵琶湖を船で北上したという記録もございます。そのような歴史のイメージも膨らませることができる強みが、この近江にはございます。
混迷を深める現代にあって、日本人が活力を取り戻すにはどうすべきかということが問われておりますが、そこで大きな力を発揮するのが文化、芸術であると考えております。源氏物語千年紀をきっかけに、本県の文化、芸術の奥深さに対する理解が深まり、県民の皆さんの、滋賀の持っている潜在的力、誇り、そこから愛着に結びつけていく、そのような方向を願っております。そして、そのことが地域づくり、人づくりの原動力にもなっていくものと考えております。
次に、2点目の観光振興の視点で、推進体制や効果的な事業実施など、積極的な支援についてどうするのかとの質問でございます。
本県では、石山寺、比叡山、また、逢坂の関などのほか、先ほどから申し上げておりますように、一般的には余り知られていない「源氏物語」や紫式部ゆかりの地や足跡が数多く残っており、琵琶湖畔には数カ所に歌碑も建てられております。また、県立近代美術館には、志村ふくみさんの、「源氏物語」をシリーズとした紬織の作品が十数点ございます。人間国宝であります志村ふくみさん草木染めの、まさに平安の時代の自然の色を巧みに織り上げた紬織の作品でございます。さらに、琵琶湖文化館にも、「源氏物語」ゆかりの収蔵品がございます。この千年紀を機会に、新たな掘り起こしとともに、これらを観光資源として活用し、情報として発信できればと考えております。
大津市においては、大津商工会議所を中心に(仮称)源氏物語千年紀事業推進企画委員会の立ち上げが検討されていると聞いておりまして、県としても、こうした委員会等に参画し、地元との連携を図るとともに、効果的な支援策を講じてまいりたいと考えております。
源氏物語千年紀は滋賀県を全国に発信する絶好の機会でありますことから、首都圏などに向けた観光キャンペーンで取り上げるなど、女性の感性にも訴えるような情報発信を行い、新たな観光振興につなげてまいりたいと考えております。
最後に、景観保全と開発に関する4点の御質問に答えさせていただきます。
1点目の琵琶湖景観に対する共通の理念と行動についてでございます。
滋賀県は、言うまでもなく県土の中央に琵琶湖を擁し、県全域が一つのまとまりと広がりのある風景を形づくっております。世界有数の古代湖である琵琶湖は、近江八景に見られますように、既に江戸時代には日本を代表する水辺の風景でもあり、全国にも広く知られ、湖国の豊かな歴史と文化をはぐくんできました。琵琶湖は日本の宝であり、その風景を守ること、そのことが琵琶湖の環境を守ることにほかなりません。すべての人々とあらゆる主体が、琵琶湖を守ろうとする熱い思いを行動規範とすることが肝要であります。先人から受け継いだ美しい湖国の風景を未来の人々に確実に伝え残していくことが、今に生きる私たちの責務であると強く感じております。
2点目の琵琶湖辺の一体的な景観保全と関係者の理解についてでございます。
本県では全国に先駆け、議員も御指摘のように、既に昭和59年に、ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例、いわゆる風景条例を制定し、先駆的な施策を進めてまいりました。従来より、琵琶湖と一体となって個性ある景観を呈している区域については琵琶湖景観形成地域に指定し、建築物等に対して指導、助言を行うなど、景観対策に取り組んできたところでございます。
景観法の制定を受けて、本県では平成18年10月に、県民の皆さんや市町の御意見を踏まえ、県土景観の目指すべき方向を示したマスタープランであります湖国風景づくり宣言を策定しました。本県におきましては、今年度、このプランをもとに、景観法に基づく景観計画を策定することにしております。琵琶湖の景観保全に向けては、湖辺の景観の連続性を保つためにも、本県と市町が一体的な取り組みを進めることが不可欠でありますことから、協調、連携をより確かなものとするために、琵琶湖の風景を守り育てるための、県と市町との協議会をできるだけ速やかに設置したいと考えております。
3点目の景観を生かしたまちづくりに対する考えや具体的な事例についてでございます。
これら地域固有の景観の保全や創出により、地域の経済振興や観光振興につなげるところも多くなるようになってきております。例えば埼玉県の川越市では、蔵づくりの街並み保全により年間550万人もの観光客を集めるようになってきております。また、岐阜県の飛騨市古川町のように、歴史的な町家景観と清流を生かしたまちづくりが地域経済に大きく寄与している例がございます。県内におきましても、長浜市の北国街道の古い街並みを生かしたまちづくりや、近江八幡市の八幡堀や西の湖の水辺の風景など、風土を生かした施策により、今日では県内有数の観光地になっているところもあります。景観に配慮したまちづくりは、今や地域の活性化や観光振興を図る上でも大変有力な手段の一つと言えるのではないかと考えております。
4点目の景観法の活用および特色ある琵琶湖の景観保全についてでございます。
景観法の制定により、これまで独自に取り組んでまいりました景観行政に法的な位置づけが与えられるとともに、地方自治体は良好な景観形成を図るための行政指導に対し、一定の強制力を持つことができるようになりました。これを受けまして、本県でも、これまでの風景条例の取り組みをさらに充実したものとするため、今年度中に景観計画の策定とあわせて、風景条例の改正を目指したいと考えております。
本県の風景の特徴は、琵琶湖を中心として、周辺にまちや里山、河川、山々が渾然一体となり、広がりとつながりのある風景を形づくっていること、また、人とつながる暮らしぶりなどが、水辺の橋げた、あるいはわき水などのようなところに生きていること、暮らしとつながった生活景観も大切な個性でございます。その中心となる美しい琵琶湖の風景をだれもが享受できるよう、琵琶湖周辺にあって一体感を阻害する高い建物等あるいは屋外広告物に対する規制のあり方を見直すなど、景観法を活用して、さらに積極的に湖国の風景づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
以上、梅村議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)梅村議員の文化、芸術の振興策についての2点の御質問にお答えします。
1点目の教育的視点での取り組みについてでございますが、県はこれまでから、びわ湖ホール声楽アンサンブルによる小学校巡回公演やふれあい音楽教室、しが県民芸術創造館などの文化芸術施設における子供、青少年向けの公演の実施、子供、青少年料金の設定、県立近代美術館における教育普及活動の実施など、学校教育とも連携しながら、次世代の文化芸術活動の充実を図ってきているところでございます。
また、平成18年7月に
財団法人滋賀県文化振興事業団に設置されました、しが文化芸術体験サポートセンターにおきましては、学校や文化施設、地域など多様な主体を結び、文化ボランティアの参画も得ながら、より多くの子供たちに文化、芸術との出会いの機会を提供できるような支援が始まったところであります。県といたしましても、こうした取り組みは極めて有効であると受けとめておりまして、本県の強みの一つであります、すばらしい文化、芸術を学校教育に生かしていただける確かな仕組みを構築することが必要と考えております。
このような学校教育と連携した教育的視点での取り組みは、次世代育成の観点からもとても重要であると考えておりますので、今後どのような形で進めていくことが望ましいかを検討し、取り組みを強化していきたいと考えております。
次に、2点目の活動者の練習場所の確保、総合窓口の設置などの支援策についてでございます。
平成18年に4つの文化芸術会館を地元市へ移管したところですが、今後は、しが県民芸術創造館を県民の皆さんの文化芸術活動の拠点として、県内の文化芸術施設とのネットワークを構築することにより、県民の皆さんの文化芸術活動に対してさまざまな支援を行うことといたしております。
このようなことから、今年度、しが県民芸術創造館に、県内の文化芸術情報の収集、提供や、文化芸術活動を行っている方々の交流の機会を提供するアートインフォメーションスペースを開設するとともに、来年度は舞台と同様に練習ができるようにリハーサル室を開設することといたしております。
今後は、財団法人、市町、民間等との連携を強化しながら、アートインフォーメーションの機能を拡充するなど、県民の皆さんの文化、芸術に関する総合窓口機能を果たしていきたいと考えております。
◎
商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)滋賀県の観光振興策についての2点の御質問にお答えいたします。
1点目のびわこ検定についての御質問でございます。
びわこ検定は、滋賀ならではの地域資源を見直し、地域情報の発信とともに来訪者へのホスピタリティーの向上など、観光振興を含めた地域振興を図ることを目的としております。全国にはさまざまな地域検定もございますが、他県にない滋賀県ならではの取り組みであります環境をキーワードとして、観光資源などのさまざまな地域資源を題材とする検定にしていきたいと考えております。
現在、前年度実施しました地域検定検討会に参画をいただいた関係団体を中心に、検定の名称、検定の実施方法などを協議しており、平成20年度の検定実施に向け、取り組んでいるところでございます。
そこで、検定の効果についてでございますが、こうした取り組みを強化する中で、地域の皆さんが地域資源を再認識し、地域への理解や誇りを一層高めることで、国内外からの来訪者を迎える意識やサービスの向上とともに、情報の発信をすることにより新たな観光の創造につながるものと考えております。
2点目の観光地の周辺整備など、関係機関が一体となってモデル的、計画的に推進すべきであるとの質問でございます。
交通アクセスや観光地の周辺整備などにつきましては、市町において担っていただく役割が大きく、主体的に取り組んでいただくことが必要であるとも考えております。県といたしましては、平成11年から鉄道、バス、自転車、湖上交通など、さまざまな交通手段を結びつけ、人と環境に優しく、魅力と利便性の高い交通体系を整備したエコ交通キャンペーンとして、北びわこ周遊観光キャンペーンや湖東三山・永源寺周遊観光キャンペーンを実施し、循環バスを初めとした交通アクセスの整備を図ってまいりました。
このほか、JR西日本などの駅を拠点に複数の観光地を結ぶコースに対する補助を行ってきたところでございまして、特に平成18年度は、琵琶湖環状線開通に伴う湖北地域の観音の里をめぐる循環バスや近江妙蓮と草津烏丸半島群生ハスをめぐるシャトルバスなど2次アクセスの整備を支援しているところでもございます。
県においても観光振興施策がさまざまな部局にまたがりますことから、全庁的な体制整備として、平成17年に滋賀県観光施策推進本部を設置し、議論を重ねておりますが、今後とも重点的な課題につきまして一層県の各部局の横断的な連携を図り、観光地周辺の道路整備など、より計画的に行うとともに、来訪者へのおもてなしの心の醸成を図り、繰り返し何度も滋賀の地を訪れたいと思われるような観光産業の振興に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◎
土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)景観保全と開発と事前対策について、お答え申し上げます。
1点目の大規模開発の現状についてでございますが、都市計画法に基づき開発許可を受けた開発行為のうち、5ヘクタール以上の大規模開発で現在進行中のものといたしまして、県許可に係るものが三菱重工業株式会社の工場用地造成を含め、3件、20.7ヘクタールでございます。また、権限委譲いたしました市許可に係るものにつきましては、大津市のロイヤルタウン一里山を含め、2件、23.2ヘクタール、草津市の(仮称)イオン草津ショッピングセンターを含め、2件、23.2ヘクタール、彦根市の滋賀県勤労者住宅生活協同組合の宅地開発を含め、2件、21.8ヘクタール、近江八幡市の小舟木エコ村の1件、14.9ヘクタールとなっており、合わせて全県下で10件、103.8ヘクタールとなっております。
次に、2点目の開発に伴う諸課題解決への対応、解決等についてお答えいたします。
まず、イオンモールの出店に伴う交通渋滞対策につきましては、特定の路線や交差点に交通が集中しないように分散化した誘導計画を指導しており、施設への出入り口はすべて左折イン、左折アウト、すなわち入るときも出るときも左折でしかさせない、右折での入退場はさせないということでございますが、これによりまして各方向の入退場を円滑にできるよう、また、十分な駐車容量を確保し、出店に伴う周辺道路への影響をできるだけ少なくするような計画とさせております。
また、ロイヤルタウン一里山の開発につきましては、直接県道と接してはおりませんが、市道幹1057号と主要地方道大津能登川長浜線──山手幹線のことでございますが、これが交差する瀬田大江町交差点につきましては渋滞の影響があると思われるため、右折レーンの延長をふやすよう指導しております。
今後も、状況を十分把握しながら、開発者に対して継続して指導を重ねてまいりたいと考えております。
次に、3点目ですが、連絡調整会議は、行政指導の一貫性を図ることから、これまでも必要に応じて関係機関が集まり開催してきたところでございますが、今後も、個別に事例ごとに状況を見きわめて連絡調整会議を開催してまいりたいと考えております。
最後に、4点目の大規模開発とゲリラ的豪雨に対する河川整備についての御質問にお答えいたします。
開発に伴う排水行為につきましては、開発許可申請に先立ち、開発行為が治水上支障がないかどうか、事前協議を行うこととしております。具体には、開発に伴う雨水排水計画基準(案)を定めまして、開発区域の流末排水河川の流下能力をチェックし、流下能力が不足する場合におきまして、調整池などの流出抑制施設を開発者に設けていただき、これにより下流への流出増とならないよう対処しているところでございます。
さらには、下流への影響が大きいと想定される開発につきましては、流下する一級河川等について、事前に河川の状況を点検し、適切な管理に努めていく取り組みによりまして、県民の皆さんに安心していただけるものと考えております。
御指摘いただきました国分川につきましては、地域からの御要望をいただき、しゅんせつや草木の伐採、護岸の補修を進めているところでございまして、今後とも順次計画的に実施してまいりたいと考えているところでございます。
◆40番(梅村正君) (登壇)それでは、何点か、再質問をさせていただきます。
最初に知事に、戦略的環境アセスメントについての再質問です。
知事がおっしゃっていただきましたように、積極的に導入するという御答弁、そしてまた、その次におっしゃっていただきましたのは、県の実情を加味し、調査研究します、この2つのことを知事は言われました。
そこで、ではどうするのかということが、さきの質問ではありませんが、少し理解しにくいのでありますけれども、私も知事も共通認識といたしましては、新しい時代に求められる政策決定の手法である、このことは私も知事も認識は変わらないと思っております。先ほど述べましたように、今日までのその御答弁の内容は、今までもそうでございました。一部の部局で既に実施しておりますと、こういうふうなことも御答弁がありましたし、研究をします、検討しますということも今日までの答弁で聞いておりました。
しかし、私はもうそういう段階ではないのではないかということで改めて伺っているのでございます。新しい基本計画をつくり、そして、新しい出発をしようとしているときでありますので、県民の皆さんのそういうふうな御意見を事業の計画段階で反映させるということは、今日まで数々の反省点からしても、ぜひ導入すべきだと思うのでありますが、明確に、例えば新年度から導入するとか、そういうふうなもう少し踏み込んだ御答弁を願うものでありますが、改めてお伺いいたします。
それから、もう1点、これまた知事でありますけれども、観光振興のその部分で、源氏物語千年紀のことにつきましては造詣が深い御答弁をいただきました。そして、その中で、現実的な対応でございますが、私は、市とともにその推進体制、効果的な事業実施など、積極的にかかわっていく必要がある、支援する必要があると、このように申し上げたのでございますが、その部分について知事は、大津市等で企画委員会に参画して効果的支援策を講じたいというふうな御答弁でございましたが、このことは、今、大津市等の企画委員会といいましても、かちっと固まったものはないと私は仄聞しております。だからこそ、知事がおっしゃった効果的な支援策を講じるという、このお話は、相当な取り組みをしないとできないというように現時点の状況からは認識しております。
しかしながら、来年11月1日は、千年紀のその日でございますので、京都府等、いろいろな関係府県がイベント等を考えておりますが、滋賀県につきましても、今、このような体制も含めてきちっとサポート、また支援をしないと、その結果は火を見るよりも明らかであるというふうな危惧もしておりますだけに、こういう質問をしているのでございますが、改めて、県としてのこのかかわり方、支援策、支援についての御決意をお聞かせいただきたいと思います。
それから、3つ目も知事で申しわけありませんけれども、景観保全の部分であります。
それで、私は琵琶湖景観ベルト地帯というふうに、皆が守るべきと申し上げました。その前の質問では、いわゆる境界画定をした14市町を初め、県民の皆さん方が琵琶湖を守ろう、湖辺を守ろうという熱い思いと共通の理念と行動を特に申し上げましたが、その形として、私は琵琶湖景観ベルト地帯というような、県民総意の、琵琶湖を守る形としてそういうふうな一つのものを示していく、県としてのそういうスタンスが極めて大切ではないのかということを申し上げているわけです。
したがいまして、1番目の14市町の権利をどうするのかということは極めて難しいことではあると思いますが、しかしながら、それを上回るような思いで県下をリードしていただかないと、この課題は解決できない、そういうように思いますので、改めて1点目の、守るというその熱い思いと行動の形として琵琶湖景観ベルト地帯をどうするのか、このことの明確な答弁を求めるものであります。
最後に、
土木交通部長に再質問をいたします。
一番最後に、開発と豪雨、渋滞、また水の問題を申し上げまして、連絡調整会議、ここで、1点は、その連絡調整会議は、道路に関することについては状況に応じて設けるということでございましたが、この状況に応じてということについては大変幅がある言葉だなと思いながら聞かせていただきましたが、どういうふうなケースの場合を想定されているのか。私はこのことをぜひシステム化すべきだと。システム化すべきという、そのことは、すべての事業と言っているのではございません。影響が出る、そういうことが予測される開発については、明確にそのシステム化をすべきだと、見解を伺っているのでございますが、改めてこの点についての部長の見解をもう少し明確にお願いしたいと思います。
以上、4点でございます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)梅村議員の最初の3点の質問にお答えをさせていただきます。
まず1つは、戦略的環境アセスメントをどのように実現するのかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、琵琶湖の環境保全、水質あるいは生態系保全のところでも、担当課の方にそのような指示を出しております。
また、既に河川整備計画においては、この議会でも随分説明させていただきました。さまざまな河川の整備の方法がございます。そこにおいて、治水機能がどうなのか、その時点で環境の仕組みがどうなるのか、環境保全とのかかわりはどうか、財政面はどうか、まさにそれぞれのデータを出させていただき、そして、そこに住民の皆さんが参加して、川づくり会議で議論していただくなどは、一種の戦略的環境アセスメントに近いものであろうと理解しておりまして、住民の皆さんのかかわり、協働的な意識の中で事業の進行を考えていくという姿勢は大変大切であり、そのような方向で取り組んでいるところでございます。
2点目の源氏物語千年紀に対する本県としての方向でございます。
県として具体的にどのようにということでございますが、幾つかの可能性は今模索をしております。例えば、湖国の総合文化誌「湖国と文化」において連載記事として掲載していただいておりまして、2008年の新春号では総集編として「源氏物語」の特集を組んでいただくということを伺っております。さらに、ことし11月には、滋賀県文学祭において、「源氏物語」を演題にした文芸講演会も開催予定でございます。県立近代美術館においては、先ほど申し上げました、人間国宝の志村ふくみさんの、「源氏物語」をシリーズとした紬織作品が15点ありまして、常設展としての開催も可能であろうと検討しております。県立図書館においては、「源氏物語」特集コーナーを設置することも可能でございます。また、近江歴史回廊推進事業の中でも、「源氏物語」や石山寺を取り上げた取り組みが可能でございます。
これは、可能と今申し上げている段階ですので、この後、本格的に大津市あるいは大津商工会議所とどう連携できるかは、これからの具体的な展開の中に埋め込ませていただきたいと思います。
それから、3点目でございます。琵琶湖周辺の景観ベルト地帯を守る形をどうするのかということでございますが、既に大津市あるいは近江八幡市、守山市、彦根市など、景観形成団体として、それぞれの市は独自の事務あるいは施策を始めております。そのような市の主体性をまず尊重させていただき、その上で県としてやるべきこと、とるべきことを考えさせていただきたいと思っております。
特に風景につきましては、あるいは景観につきましても、訪れる方と、土地あるいはその所有する方の課題などがいつも大きなテーマとなってまいります。そのようなところも含めまして、どのように守る形をつくるのかということの議論をこれからさせていただき、前向きに研究させていただきたいと思います。
◎
土木交通部長(吉岡淳君) 開発の行為につきましては、その開発事業の内容ですとか規模ですとか、あるいは、その地域の地形ですとか交通状況ですとか、それぞれ開発案件ごとに個別の状況がございます。そういう意味で、個別に事例ごとに状況を見きわめてということを申し上げているところでございますが、議員の御指摘にもありましたように、そのシステム化というのは、すべて一律にということではなくて、周辺への影響が想定される場合にということをおっしゃっておられましたが、そういう意味では、私どもも同様でございまして、周辺への影響が想定される場合に、ただし、その範囲がどの程度であるかということも含めまして、関係者の範囲が異なってくる場合もございますので、そうしたことについて、必要な関係者と連絡調整会議を持っていくというつもりでございます。
◆40番(梅村正君) (登壇)知事に再々質問でお伺いいたします。
これは、ことしの4月5日、各都道府県知事に環境省総合環境政策局長名で通知が来てございます。戦略的環境アセスメント導入ガイドラインについてというタイトルで通知が来ていると思います。
ここで、まず最初に私が確認をさせていただきたいのは、知事は先ほどの第1問の主質問の答弁で、積極的に導入するというお話をいただきました。それが間違いないのかどうかということを改めて確認いたします。
それから、いま1点ですが、この通知文によりますと、ちょっと読ませていただきますと、「また、貴都道府県、政令指定都市における環境影響評価条例対象事業等の実施に枠組みを与える計画のうち、事業の位置、規模等の検討段階のものについて、本ガイドラインを参考にSEAの取り組みを進めていただくようお願いいたしますと、最後の文はこう締めております。
私が伺っておりまして知事の答弁でもう少し不明なのは、知事がおっしゃいますように、例えば河川整備等で既に土木交通部はなさっていらっしゃるということは、先ほど私も認識しております。そういうことです。しかしながら、それは個々にされていらっしゃることであって、国が求めている、いわゆる対象事業等の実施に枠組みを与える計画のうち、その基準というのがどこにあるのかというのはだれもまだわかりません。執行部の方はおわかりになっていらっしゃるかもわかりませんが、県民の私たち、議会もわかりません。どういうランクのどういう状態のものを、ここで国が求めている、その枠組みを与える計画なのだと、そういうふうに県はどこでどういうふうにお決めになったのか。これはまだされていないのではないでしょうか。
先ほど知事は、河川整備、いろいろなところでそういうふうにしていますよと。それは私も聞いておりますから、それがSEAなのだとおっしゃっておりますが、それは、その場その場の、その事業に対するSEAであって、いわゆる県として新しい時代、こういう基本構想のもとで、そしてまた、財政構造改革プログラムの大変なこういう状況の中で進めますよと。そういう中で、県民の皆さんと一緒になって進めていく、その手法、そのベースの一つは戦略的環境アセスメントなのですという県としての強いメッセージを、こういう枠組みでこういう内容でやるのです、このことを明確に示されるべきではないかと私は知事の答弁をお伺いしながら思いました。何とぞ改めて明確にお願いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)大変心強いお励ましをいただき、ありがとうございます。
この戦略的環境アセスメントは積極的に導入を図ってまいりたいと申し上げましたが、具体的に実現するには幾つかの課題がございます。どのような事業の範囲に対して、社会面、経済面、どのように積み上げていくのかというようなところも含めた形で、琵琶湖、滋賀県の環境保全を次の世代にしっかりと、大事な政策として見きわめていくべき私ども県政の一つの柱として具体的に取り組ませていただきたいと考えております。(「いつから」)これは今、担当部局に指示を出しておりますので、少しお時間をいただきたいと思います。
○議長(出原逸三君) 以上で、40番梅村正君の質問を終了いたします。
次に、24番粉川清美さんの発言を許します。
◆24番(粉川清美さん) (登壇、拍手)4月の選挙におきまして、県民の皆様の力強い、そして温かい御支援を賜り、県議会議員に初めて当選させていただきました粉川清美でございます。どこまでも現場の声を大切にし、台所の声、生活者の声がしっかりと県政に届きますように頑張ってまいる決意でございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして質問させていただきます。県民の皆様にわかりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。
1項目目は、ドクターヘリの導入推進についてお尋ねします。
一分一秒を争う救急医療の切り札として、公明党はドクターヘリの全国配置をいち早くマニフェストに掲げ、法整備をリードしてきました。そして、今国会でドクターヘリの全国配備を目指す特別措置法案が成立に向けて議論されているところでございます。
御承知のとおり、救急医療に必要な機器と医薬品を装備、搭載したドクターヘリは、救急専門の医師や看護師が乗り込んで事故現場や患者のいるところへ駆けつけ、その場で即座に、また、患者搬送中の機内で治療に当たることができます。このため、空飛ぶ救命室、空飛ぶ救命救急センターとも呼ばれています。
交通事故などの被災においては、事故後15分以内に初期治療を行うことができれば、多くの命を救うことができる上、後遺症も大幅に軽減されることが実証されていて、まさにこの最初の15分間が生死の分かれ目ともなっています。ドクターヘリであれば、半径50キロメートル圏内なら15分以内に現場に到着できるので、大規模災害や重大な事故の発生時のほか、初期治療が回復のかぎを握ると言われる突発性の心筋梗塞や脳卒中などの疾病に大きな効果を発揮し、飛躍的に救命率を高めることも可能と言われています。
ドクターヘリ先進国と言われるドイツでは、現在78機によるドクターヘリ救命救急網を整備し、国内のどこへでも15分以内で駆けつけられる体制を確立し、交通事故による死亡者数を20年間で3分の1にまで激減させた実績を持っていますし、スイスでも国内全域にわたって医師が15分以内に到着できる体制を確立しています。これに対し日本では、全国10道県11カ所の中核病院にしか配備がされていません。
滋賀県におきましては、平成16年9月議会で導入の検討を引き続きしていく旨の見解が述べられていますし、また、知事は、京都府の山田知事との懇談の中で、ドクターヘリについて両県の共同導入に関する検討委員会を設置することで合意と報じられております。
以上のようなことを踏まえて、ドクターヘリの認識と、いざというときに県民の助かる命を救うためにドクターヘリを導入することについて、
健康福祉部長の見解をお尋ねします。
2項目めに、はしかの集団感染防止について質問いたします。
大都市圏を中心に、はしかが2001年以来の大流行で大変心配されております。はしかの流行に打つ手がないという日本の状況は先進国でも異例の事態であり、国際的にも日本の流行が国境を越えた感染拡大につながることはないかと、世界保健機構が状況を注意深く見守っていると言われております。
はしかの予防接種は、1978年に定期接種が始まり、1歳から7歳半までに1回接種であったため、今回、患者の中で10代、20代が占める割合が多いことから、1回接種のため免疫が十分つかなかったか、時間が経過して免疫の低下が進んだと考えられております。昨年6月からは、1歳半と小学校就学前までの2回接種になりましたが、現在の小学1年生以下では2回目を受けていれば免疫効果は高いけれども、小学校2年生以上は1回接種がほとんどなので、今後も数年ごとに大流行を繰り返す可能性があると警告されております。
はしかに対する予防対策はワクチン接種しかないわけですから、当面の対策と今後の取り組みとして、予防接種の徹底など、その対策について、
健康福祉部長に数点お尋ねします。
県内のはしかの患者などの状況について、そして、これ以上の感染を防ぐために、県内のはしか未罹患者、または、ワクチン未接種者の児童生徒が予防接種を受けやすい対策を講じる必要があると思われますが、いかがでしょうか。
また、集団発生のおそれがある場合は、学生や成人についても未罹患者、ワクチン未接種者に対して予防接種を受けさせるよう、学校や企業に要請することが重要と考えますが、いかがでしょうか。
また、県内の病院にはワクチンがないなど、情報が錯綜しております。集団感染を防ぐためにワクチンの十分な供給が必要になりますが、その状況はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
県民の不安を解消するため、具体的な予防、発症した場合の対応について周知徹底することが大切と考えておりますが、どのようにされたのか、また、今後の対応についてもお尋ねいたします。
また、今後、はしかを流行させないためにも2回接種を徹底することが最重要課題と考えますが、見解をお聞きいたします。現場では2回接種が実施されているのか、現状をどのように把握されているのかもお尋ねいたします。
また、今回のはしか流行の教訓に学び、おたふく風邪などの感染症へのワクチン接種などについても対策を講じていく必要があると考えますが、見解をお尋ねします。
最後に、教育長にお聞きします。
今回の流行は、ちょうど大学生の教育実習と時期が重なり、学生のワクチン接種が問題となっていますが、学生にとって実習や単位取得に影響が及ばないように、教育現場において実習期間や機会を配慮するなど、柔軟な対応が望まれると思いますが、見解をお尋ねいたします。
3項目めに、子供の読書活動の推進について質問をいたします。
子供の活字離れが問題視されている中で、子供がより読書に親しむ環境をつくるため、平成13年12月に子どもの読書活動の推進に関する法律が成立し、その中で、学校図書館の充実を含む子供の読書環境の整備について、国や地方の責務が初めて明記されました。また、平成17年には文字・活字文化振興法が公布され、子供の読書活動の推進のため、学校図書館の充実が必要であるとの認識のもと、国や地方ではさまざまな対応がされてまいりました。
そこで、滋賀県の子供の読書活動の推進のための取り組みについて、数点、質問をいたします。
1点目は、計画期間を平成16年度から、おおむね5カ年とする滋賀県子ども読書活動推進計画を策定し、推進してきたわけですが、4年目を迎えた今、推進状況についてどのように評価されているのか、お尋ねします。
また、この県の計画を基本として、それぞれの地域の実情等を踏まえて、市町の子供読書活動推進計画を策定することが期待されていますが、県内市町の取り組みについてどのように把握されているのか、お尋ねいたします。
県の推進計画では、すべての子供がいつでもどこでも楽しく読書ができる環境づくりを基本目標に掲げています。小学生、中学生、高校生期の取り組みとして、学校図書館の充実が重要としています。国におきましても、子どもの読書活動の推進に関する法律の施行を受けて、平成14年度から5年間、学校図書館図書整備のために毎年度約180億円、総額650億円を地方交付税で措置してきました。ところが、まだまだ学校図書の整備が充実しない現状を受けて、新たに今年度から学校図書館図書整備計画として、毎年度200億円、5年間で総額1,000億円を
地方財政措置することが決まったと聞いています。今回は、より具体的に、そのうち400億円は蔵書をふやす費用に、600億円を古い本を更新するための買いかえに充て、学校図書館図書標準の達成を目指すとしています。
滋賀県の状況ですが、学校図書館図書標準の現状はどのようになっているのか、また、小学校1校当たりの図書購入費の全国平均は40万7,000円となっていますが、県の状況はどうかなど、学校図書整備の現状をお尋ねいたします。
そして、今後、滋賀県の子供たちのために、今年度からの取り組みであります国の新学校図書館図書整備5か年計画に沿った整備が推進されるように県としても取り組むべきと考えますが、見解と対応をお伺いいたします。
○議長(出原逸三君) 24番粉川清美さんの質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)粉川議員のドクターヘリの導入についての御質問にお答え申し上げます。
ドクターヘリは、医療スタッフが搭乗するとともに、医療のための資機材を搭載し、救急現場に直行することによって、医師、看護師等による処置を早く始められることとなり、救命率の向上に力を発揮するものと期待されております。特に僻地や山間部などのように救急現場へ車両が近づくことが困難な地域や、救急救命センターから離れている地域からの患者搬送に大きな威力が発揮されるところでございます。
こうしたことから、国におきましては、ドクターヘリの導入を促進するため補助制度が設けられておりまして、ドクターヘリを設置する救急救命センターに運行する費用などについて国と都道府県が補助することとなっております。
これまでから本県におきましては、導入に向けまして検討を行ってきておりますが、ドクターヘリの導入に当たりましては、ヘリコプターを設置する病院に十分な数の医師を確保しなければならないこと、さらには、搭乗する看護師など乗員の養成、ヘリポートの確保、運行費用や維持費の負担など、解決しなければならない課題が多いと考えております。また、医療機関と消防機関の具体的な連携方策などにつきましても、関係機関において十分に検討される必要がございます。
こうしたことから、今後、県といたしましては、質問にございました、国会で審議中の救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案の動向も見きわめながら、医療機関や消防機関などの意見をまたお伺いしつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、はしかの集団感染防止についての5点の御質問にお答え申し上げます。
まず、1点目の県内におけるはしか患者の状況およびはしか未罹患者、また、ワクチン未接種の児童生徒への予防接種についてでございます。
県内における麻疹患者の発生状況につきましては、常時発生状況を御報告いただく39機関を定め、その報告をもとに発生動向を把握しておりまして、これら定点での平成19年1月から6月2日までにおける患者数は3人となっております。
過去の同じ時期における定点報告によります患者数でございますが、平成15年7人、16年5人、17年はゼロ、18年3人となっておりまして、定点調査では特にことしは多いという状況にはなっておりません。
しかしながら、この定点報告によります把握は限られた情報となりますので、全国的に麻疹の流行が見られる状況を受けまして、5月23日からは、県内のすべての医療機関から報告をいただくこととしておりまして、6月8日までに新たな患者として2人の報告を受けております。また、県内の大学、専門学校などに対しましても麻疹患者の報告を求めておりまして、これまでに、立命館大学、滋賀大学から、合わせて5人の報告を受けております。
はしか未罹患者でワクチン未接種の児童生徒への予防接種につきましては、県内の医療機関などに対しまして、優先的にワクチン接種を行うよう、5月22日に依頼を行っているところでございます。
次に、2点目のはしか未罹患者、またはワクチン未接種の学生、成人への予防接種につきましては、県内の大学、専門学校などに対しまして、麻疹に対する注意の喚起、予防接種を含めた感染の予防について、文書により通知をしたところでございます。
なお、企業につきましては、県のホームページやテレビなどを通じ、注意喚起や予防接種を呼びかけているところでございます。
次に、3点目のはしかワクチンの供給についてでございますが、成人麻疹の流行により、全国でワクチン需要がふえている状況が続いているところでございます。こうした状況のもと、本県の主要医薬品卸売業者では、5月から6月6日までに医療機関へ、麻疹ワクチン約450人分、麻疹・風疹混合ワクチン約4,900人分を納品しており、6月6日時点での在庫数は、麻疹ワクチン約40人分、麻疹・風疹混合ワクチン約150人分となっております。
このような状況にありますことから、県では、定期予防接種を最優先とし、次に、感染の拡大防止対策上、ワクチンの接種が必要と考えられる方を優先して接種していただくよう、市町、医療機関および医薬品卸売業者など関係機関と緊密な連携を図っているところでございまして、県民の皆さん、関係の皆さんには御理解、御協力をいただけますよう、引き続きお願い申し上げるところでございます。
なお、麻疹・風疹混合ワクチンにつきましては、6月中に約42万人分が全国に供給される予定となっておりまして、改善につなげることができるものと考えております。
4点目のはしかの具体的な感染予防、発生した場合の対応についての周知および今後の対策についてでございます。
麻疹に対する予防は、ワクチン接種が有効であり、これまで予防接種を受けていない方や麻疹に罹患していない方に予防接種を受けていただくことを勧めますとともに、発熱、せきなどの症状が出た場合には、学校や就労を休み、外出をできる限り控えて、早目に医療機関で受診していただくよう、医療関係者、市町、教育委員会などの関係機関を通じまして、また、県のホームページやテレビなどを通じまして周知を図っているところでございます。
今後も引き続き、麻疹の発生状況の把握に努めますとともに、正しい知識の普及、啓発に努めてまいりたいと考えております。
5点目のはしかワクチンの2回接種および今後の感染症の予防対策についてでございます。
麻疹ワクチンの予防接種は、平成18年度に、それまでの1回接種を2回接種にするよう、定期の予防接種実施要領が改められたところであります。平成18年度の実施状況は、今、市町から報告を受けている途中でございますが、途中での状況を申し上げますと、接種率は、1回目接種が約84%、2回目接種が約83%となっております。こうした状況を踏まえ、はしかの流行を防止するためには、議員の御指摘のとおり、2回の接種を徹底することが重要であるとの考え方のもと、予防接種法に基づき、実施する市町に対しまして、保健所等の指導等を通じまして徹底してまいりたいと考えております。
今回のはしか流行の教訓といたしまして、日ごろからのワクチン接種が重要でありますことから、市町との協力のもと、県民の皆さんにワクチン接種の必要性について啓発を行いますとともに、接種を希望される方々が居住地以外での医療機関においても簡単に接種が受けられるよう体制の整備に取り組みまして、より予防接種が受けやすい体制をつくることによりまして、予防接種率の向上を図り、感染症の予防対策の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)はしかの流行に伴う教育実習などへの配慮についてのお尋ねでございますが、既に文部科学省から、教職課程を有する大学に対し、はしかに罹患している学生は完治するまで教育実習に参加させないようにするとともに、はしかに罹患したことがないワクチン未接種の学生や免疫がない学生については教育実習を実施する前に予防接種を受けさせるよう指導がなされていると承知しております。
その指導に沿って、県立学校においては、大学からの求めがあった場合は実習時期の変更に応じており、先週末の時点で1名が時期を延期して実施するとの報告を受けております。また、市町立の学校、園につきましても同様の対応がなされており、既に76名が時期を延期して実習するとの報告を受けております。
今後とも、実習校には、大学と連携をとりながら適切に対応し、教育実習に支障が生じることのないように引き続き指導してまいりたいと考えております。
次に、子供の読書活動の推進についての御質問のうち、まず、1点目の滋賀県子ども読書活動推進計画に係ります推進状況の評価についてでありますが、県教育委員会におきましては、平成17年2月に子ども読書活動推進計画を策定し、平成20年度を目途に、総合的、計画的に、すべての子供がいつでもどこでも楽しく読書ができる環境づくりを目指して、市町と連携した取り組みを展開してきております。
このような中で、県内市町立図書館の貸出冊数は、平成15年度から現在まで連続して全国1位で推移するとともに、全校一斉の読書活動を実施している学校数の割合の平成14年度から17年度の比較では、小学校が84.8%から97.4%に、中学校が58.2%から77.0%に、高等学校が18.0%から30.4%へと伸びており、一定の成果が見られるところであります。
しかし、一方では、1カ月に書籍を全く読まない児童生徒の割合は、高校生の数値が平成16年度の44.7%から平成18年度は51.6%と悪化しており、県教育委員会といたしましても大きな課題として認識しているところでございます。
計画策定から2年を経過したここまでの評価としては、全体として、徐々にではありますが、さまざまな取り組みによる成果が上がりつつあると認識しております。
次に、市町におけます子ども読書活動推進計画の策定状況についてでありますが、平成19年4月現在では、5つの市町で策定されているところであり、21の市町が策定作業中あるいは検討中となっております。読書活動は、子供が言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにしていく上で欠くことのできないものでありますことから、未策定の市町におかれましては、子どもの読書活動の推進に関する法律の趣旨等を踏まえ、早期に策定されますように積極的に要請してまいりたいと考えております。
次に、学級数に対する学校図書館の蔵書冊数の指標とされる学校図書館図書標準についての本県の状況でございますが、平成17年度の実績によりますと、その標準を達成している小学校は、全国平均が40.1%であるのに対して本県では29.6%であります。また、中学校では、全国平均が35.0%であるのに対して本県では20%であり、全国の平均に届いていない現状にあります。また、小学校1校当たりの図書購入費についてでございますが、平成17年度の実績によりますと、図書購入費の全国平均が40万7,000円であるのに対して本県では40万8,000円となっています。
次に、今後の取り組みについての見解と対応でございますが、学校図書館の図書整備は、児童生徒の豊かな人間性や感性、読解力をはぐくむために大変重要であると考えております。県教育委員会といたしましては、それぞれの学校において、学校図書館図書標準の達成に向けて計画的な整備を図っていただけるよう、既に各市町に通知しておりますとともに、市町長会議の席、また、市町教育長会などにおいて、その十分な予算の確保について要請しているところでございます。
現在の図書整備が決して十分とは言えない状況を踏まえ、各市町で十分な対応がいただけますよう、引き続きまして各関係方面に働きかけてまいりたいと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)2点について再質問をさせていただきます。
1点目は、はしかの集団感染防止についての中で、これ以上の感染を防ぐためには県内のはしか未罹患者またはワクチン未接種の児童生徒が予防接種を受けやすい対策を講じる必要があると思われるということで、5月22日に、優先して接種をするようにとの通知を病院に出された旨の答弁をいただきました。
御説明にもありましたとおり、はしかの2回接種は平成18年度からの接種で、1回目接種が約84%、2回目接種が約83%と接種率を御報告いただきましたが、それ以前の子供たちにとりましては、1年に1回という接種の中で、今成長していっております。
さきにも申しましたとおり、国際的にも日本の状況が大変危惧されている状況の中で、今まで1回しか接種をしたことのない子供たちが、平成18年度の改正の折には、このまま取り残された状況で大きくなってまいります。そういった状況からすると、またこのような大きな流行が何年かに1度は繰り返されるという予測が立てられ、警告がされているわけであります。
そういう生徒たちが予防接種が受けやすい対策、具体的に申しますと、それぞれの市町の実施事業でございますから、県がどのようにするかというのはまた別問題かとは思いますが、それぞれの市町で、そういった子供たちが公的接種ではなく、それぞれの保護者に大変大きな経済的負担がかかってまいりますので、そういった対策を支援する制度等についてどのようにお考えになっているのか、その点、1点質問をさせていただきます。
もう1点は、図書整備についてです。
今、教育長の方から詳しく御報告をいただきました。県が進めている図書計画、学校の図書館充実もまだまだ達成できていない状況ということも御報告をいただきました。そんな中で、国が5か年計画を経て、まだまだ全国的に見ても学校図書が充実していないという現況を踏まえて、また、本年度から新5か年計画を発表して予算措置がされた説明を最初にさせていただきました。国の学校図書に対する充実の方針が、平成19年度の新年度予算、市町の図書館充実のための予算にまだまだ反映されていない。市町によりましては、その予算の中で反映されているところもございますが、全体的には国の方針、考え方が市や町の現場では推進されていないという状況の中で、これから県の読書活動推進計画の中でも掲げられている学校図書館の充実に向けて、どのように具体的に推進されていかれる御予定なのかについて、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) これまでに1回接種を受けられて、2回目の接種を受けておられない若者についてでございますが、私どもも情報を共有しながら市町とも協議をし、それぞれ市町で検討されるよう求めてまいりたいと考えております。
◎教育長(斎藤俊信君) 平成19年度の予算の中で、国の方で措置しております地方交付税を使った形での予算獲得が十分にされていないところが多いという現状を踏まえまして、今後とも引き続き、根気よく各市町長、また、各市町の教育委員会に対しまして働きかけを強くしていきたいと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)それでは、女性特有のがんの検診、乳がん、子宮がん検診について、一問一答で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
御承知のとおり、女性のがんの罹患率の1位は乳がんで、20人に1人の割合で乳がんになると言われています。また、乳がんで亡くなる女性の数も急増しており、2005年には乳がんで亡くなった女性は1万721人で、その半数が30歳代から50歳代の女性でした。
乳がん撲滅に向けた活動が全国展開されているところですが、国でも早期発見、早期治療による対策を強化するため、マンモグラフィーによる乳がん検診を充実するため、高額な機械購入に支援するなど取り組んでおります。国家がん法の制定から、がん死者が減少するまで30年を要したアメリカでは、乳がん検診受診者は80%を超えておりますが、日本では年間5%にも満たないのが現状と言われています。
また、子宮がんの罹患は、50歳以上の中高年層ではこの20年間で減少していますが、逆に20歳代で見つかるケースがふえたことに対して、2004年度から子宮がん検診の対象を20歳以上の女性に拡大し、2年に1回の検診となりました。
そこで、滋賀県の女性が乳がん、子宮がんにならないように、また、万が一のときには早期発見、早期治療で、ダメージが最小限にとどめられるように、乳がん、子宮がん検診に対する取り組みについて、
健康福祉部長にお尋ねします。
1点目に、検診体制の状況についてお尋ねいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)女性特有のがんの検診体制についての質問にお答えします。
まず、乳がん検診につきましては、マンモグラフィー装置が整備されておりまして、据置型のものが医療機関などに19台、また、検診車両に乗せられております搭載型装置につきましては6台となっておりまして、合わせて25台分の設置がされております。
現在の整備体制につきましては、機器の効率的な稼働に努めることが必要でございますが、検診のニーズに十分対応できる状況になっていると考えております。
次に、子宮がん検診の体制でございますが、市町におきましては、検診を委託する医療機関の確保や拡大に努められているところでございまして、現在では多くの市町の住民の皆さんが、住んでおられる地域以外の市町域を超える医療機関でも検診が受けられますようになっておりまして、住民のニーズに十分対応ができると考えているところでございます。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)今、検診体制の充実に向けて、住民のニーズに対応できているというふうな御答弁をいただきました。
つきましては、県の乳がん検診、子宮がん検診の受診率と県内市町の状況についてお尋ねします。
検診状況は、県内市町で大きな開きがあります。乳がん検診では70%を超えている町がありますし、1割にも満たないところが6市町もあります。また、子宮がん検診につきましても、検診車による検診が1割に満たないところが6市町もあります。このような状況についてどのように分析をされているか、お尋ねいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 市町別の地域保健・老人保健事業報告によります受診率につきましてでございますが、議員御指摘のように、市町によりましてばらつきがあり、おおむね都市部におきましては検診率の低いところが見られるところでございます。
その原因についてでございますが、地域保健・老人保健事業といたしまして、市町が主体となって行っておりますがん検診の受診率につきましては、職場や人間ドックなどで受診される方々の状況が反映されていないことがまずございます。また、特に都市部におきましては、職場での検診の機会がない方、住民の皆さんを市町が把握しづらくなっておりまして、このことにより対象者へのお知らせも難しくなっていることが挙げられております。さらには、検診の重要性がまだまだ十分理解いただけていないといった状況も挙げられるところかと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)検診の状況を把握するさまざまな手段があるわけですが、それぞれの市町の状況を比べたり、それから、例えば乳がん検診につきましては、県が目指している50%を達成しようとするならば、ある程度考え方を一つにした情報を把握することが検診率を上げる基本となると思うのですが、その辺、どのようにお考えでしょうか。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) もちろん市町の中で、職場等での受診機会のない方につきましての把握には努めていただいておりますが、個人情報との関係もございますので、なかなか難しい状況もございます。
今後につきましては、市町におきましても、さらに努力をいただけるようにと願っているところでございます。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)県や国の目指す受診目標という数値が示されている以上、やはりその数値目標を達成するには、現状はどうなのかという数字をまず把握することは一番基本でもありますし、大切なことだと思っておりますので、統一した観点で把握というか集約ができる、そういった受診情報をしっかりと把握していただくことを要望させていただきたいと思います。これは要望だけでございます。
次に、受診を進めるためには、受診する女性の立場に立った検診体制づくりを推進することが不可欠です。受診機会のきめ細やかな提供について、身近なところで受診できるように、移動検診車の増車や、また、働く女性のために休日や夜間の検診の実施などが有効と思われますが、見解をお尋ねいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 受診しやすい検診体制づくりでございますが、県におきましては、平成17年度に検診車両の増車に助成をするなど、これまで対応してきたところでございます。また、市町におかれましても、住民の方が受診しやすいようにと努力をいただいておりまして、14市町では休日に検診を実施されますとともに、多くの市町が住居地以外での医療機関にも委託契約をされ、受診が可能という状況をつくっていただいているところでございます。
なお、夜間検診につきましては、過去に取り組まれた市町もございましたが、実態といたしまして、なかなか受診者が集まらないといった状況もございまして、これまで定着が見られなかったと考えております。
さらに、検診機関におきまして、女性が受診されやすい状況をつくりますために、女性の医師、また、放射線技師にも検診に従事いただくような工夫をしていただいていると聞いております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)
健康福祉部長に最後にお尋ねします。
検診の重要性など、県民への啓発が大切と思いますが、その取り組みについてお尋ねいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 県民への啓発についての御質問にお答えします。
一昨年でございますが、女性のがん対策といたしまして、特化した予算を確保することに努めまして、平成17年度におきましては、乳がんに関します講演会を開催し、約200名の方に参加をいただきますとともに、そのほか、乳がん、子宮がんに関します啓発パンフレットを2種類作成し、啓発を行ったところでございます。
また、平成18年度におきましては、乳がんに関する講演会を、当事者であります団体と共催いたしますとともに、子宮がんに関する講演会を開催し、2会場で、合わせまして約400人の方に参加をいただいております。
さらに、若い女性にターゲットを置いた2種類の啓発
パンフレットを作成いたしますほか、がん検診の受診を呼びかけるのぼりですとか横断幕の作成にも努め、横断幕につきましては検診車両に取りつけるといった、さまざまな場面で啓発に努めさせていただいているところでございます。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)次に、嘉田知事にお伺いします。
知事は、マニフェストの中で、マンモグラフィー、乳がん、子宮がん検診、毎年受診は支援しますと約束されています。本来、早期発見のためには毎年受診が理想だと思いますが、中でも乳がんを患ったことのある家族を持つ人は一般に乳がんになるリスクが高くなるとされていますし、また、子宮がんのリスクが高いとされる若い世代においては毎年受診が必要とも言われています。
マニフェストに掲げられた約束を、リスクの高い女性に限定してでもしっかり果たしていただきますことを期待しておりますが、知事の見解をお尋ねいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)女性特有のがんについて、マニフェストのかかわりでの御質問にお答えをさせていただきます。
現在行われています子宮がん検診は、昭和57年から、また、乳がん検診は昭和62年から、老人保健事業に基づき、住民に身近な市町村で実施される検診として定着してまいりました。今では、市町に加えて職域の検診としても実施されていますが、女性のがんの早期発見に非常に有効な手段でありまして、多くの女性が受診できるよう環境を整えることは、県としての重要な役割と強く認識しているところでございます。
しかし、これらのがん検診については、最近になり、死亡率減少に結びつける観点、あるいは被曝リスクの分析、検証について、また、関係学会と団体等のヒアリングや検討会も行われ、その結果、平成16年度に国の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が見直されたところでございます。この中で、特に乳がん検診は、マンモグラフィーと視触診の併用方式を採用、また、子宮頸がん検診については、20歳以上に対象拡大され、両検診とも同一人につき2年に1回として実施することとされました。
本県のがん検診指針も、国の指針に基づき、検討し、市町に対して検診の適切な実施について助言をしているところでございます。
女性の生涯にわたる健康増進の観点からも、若いときから正しいがん予防の知識の習得と、適切な検診が受けられるよう啓発が重要でありまして、今年度も若年層に対象を拡大し、講習会、シンポジウム、また、内容を充実した
パンフレット作成を、関係団体とも協働して実施する予定でございます。さらには、乳がんの当事者団体であります、あけぼの会等とも連携しながら普及に努めていくこととしております。
なお、議員御指摘の、個人のがん発生のリスクに応じた受診間隔については、厚生労働省のがん検診に関する検討会において現在検討が進められています。県としては、この検討会の議論や国の動向を見定めながら対応してまいりたいと考えております。
特に、検診率の上昇ということに関しましては、さまざまな情報がたくさんある中で、どうしても心に響く、それぞれの必要な人に必要な情報をいかにお届けするかということを私どもは検討しようとしております。先日も、あけぼの会の皆様と、個人の経験、あるいは、それぞれの闘病経験なども含めた形で、多くの人にインパクトのある情報をお出しいただけないかとお願いしたところでございます。
がんの早期発見、早期対応のためには、何よりも新規の受診者をふやすことが大事でありまして、その受診者に届く政策、施策をしていきたいと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)今御説明いただきましたとおり、乳がんに関するリスクにつきましては、いろいろな、例えば被曝リスク等、また、それ以上の検診の方が大切だと。産婦人科医の意見は分かれているところでございます。ところが、そういう中でも、先ほど申し上げましたとおり、そういう意識の高い女性にとっては、被曝リスクよりも重要視しなければならないと考える県民もいらっしゃると思います。そういう意味では、乳がんに罹患するリスクや、また、エックス線の影響等のリスク、そういう情報を県民に提供して、どちらを自分の状況や環境から選んでいくのか、そういうところは県民の皆様が選ばれることが大切だと思っております。
そういう意味では、嘉田知事が女性として女性ならではのマニフェストで約束された、毎年受診をしますという政策は、本当に私たちは大変大きな期待を持って、また、歓迎をして聞かせていただいておりました。今御説明がありました乳がんや子宮がんに対する厚生労働省の考え方は、嘉田知事が知事に当選される前からずっと言われていた情報でございますので、そういった情報をもとに、せっかく女性知事として示された政策を、説明ができないというか、そういう支援をもうしないかのような説明をされるのは大変遺憾に思っております。すぐにできなくても、やはりそういった女性の知事ならではの感覚で、約束したマニフェストに向かって進んでいただきたい、そういう思いでおりますので、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)粉川議員の御指摘のように、さまざまな課題はございますが、私自身もマニフェストの実現に向けて検討させていただきたいと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)最後に、高校進学に対する滋賀県奨学資金について、一問一答で質問させていただきます。
滋賀県の高校進学率は98.0%と、今ではほとんどの子供たちが高校へ進学する状況になっています。ところが、高校は義務教育ではないので、高校進学に伴う経済的負担は大きなものがあります。義務教育では、教科書は無償、そして、所得制限はあるものの就学援助費による支援が充実しておりますが、高校ではそれらの支援はありません。既に高校進学率が100%に近い現況を踏まえ、高校進学に伴う県の支援、滋賀県奨学資金についてお伺いします。
1点目に、この制度は、高等学校などに就学しようとする者で、経済的理由により就学することが困難な者に対して奨学資金を貸与し、もって有為な人材を育成することを目的としています。進学する本人が自立して学ぶことを援助する貸付金であり、卒業後、自分自身が返還する制度となっています。その主な支援について、また、その情報の周知はどのようにされているのか、教育長にお聞きします。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)滋賀県奨学資金貸与制度の主な支援内容についてでありますが、本制度は、滋賀県奨学資金貸与条例に基づき、経済的な理由により就学することが困難な生徒に対し、奨学金および入学資金を貸与しているところであります。
奨学金の内容は、公立の高等学校で月額1万8,000円、私立の高等学校で月額3万円を貸与することとし、保護者と同居しない者につきましては、それぞれ月額に5,000円を加算した額としております。
また、入学資金につきましては、公立学校の場合は5万円の貸与とし、私立学校の場合は、5万円に加えまして15万円を限度に加算した額としております。
次に、周知の方法についてでありますが、保護者向け情報誌であります教育しがの3月号に、当該奨学資金奨学生の募集を載せ、県内の小中学校および県立学校に通う児童生徒の保護者すべてに配布し案内するとともに、県の広報誌滋賀プラスワンやホームページに制度概要を掲載するなど、広く県民に周知を図るよう努めております。
さらに、対象者への周知漏れがないように、高等学校進学を迎える県内の中学校3年生に対しまして、学校を通じ、奨学資金制度の案内を配布するなどの周知を図っております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)今御説明していただきました奨学資金のうち、入学資金についてお尋ねします。
例えば、高校に入学してからは、県立高校の授業料の減免制度や、私学を問わず、今御説明いただきましたとおり、月々の学用費支援などがあります。また、学校の許可を受ければ、高校生本人がアルバイトをすることも可能です。ところが、高校入学時に際しては、入学金や教科書代、制服などの入学支度金は、家庭の事情で保護者が準備できない場合、進学する本人にはその能力はありません。そんなときに支援するのが、滋賀県奨学資金の入学資金制度だと思っています。
これは入学時のみで、基本額が5万円。今御説明いただきましたとおりです。私立学校のみ、入学金相当額の範囲内で15万円の私立加算という制度です。現実は、教科書代、制服代だけでも高額ですし、体操服や定期代などを考えると、5万円では到底準備ができません。子供を育てられた経験から、高校入学資金5万円についての見解を、知事にお聞きいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)高校進学に対する滋賀県奨学資金制度の中で、入学資金の支援、特に入学資金の貸付額5万円が適切かどうかという御質問でございます。
親としてどう思うかということでございますが、全国的な状況を調べさせていただきますと、本年4月現在で、高等学校入学時に入学資金としての貸与制度を設けているのは、全国で、滋賀県を含め8道府県だけでございます。その中で、金額を調べさせていただきますと、2万円から10万円という幅がございますが、5万円という貸付金額は、全国的に見ましても高いレベルにありまして、適切な額ではないかと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)適切かどうかについての判断基準だと思います。今、全国でも8道府県、すばらしい制度を持っているうちの一つが滋賀県であることを本当に誇りに思っております。ただ、それを現実に使う場合、2万円から10万円という中で、その滋賀県が持っている5万円という制度が適切なのか、どの基準で考えるのか。それは私は、現場、現状はどうなのかを判断して、入学支度金についての基準を決めるべきだと思っております。ほかが持っている制度の中でも5万円は高額である、そのことをもって適切だとするのか。
現実に1人の高校生の現状を聞いてみました。公立高校に入学されたお子さんです。入学時に5,000円、制服が7万円、教科書が2万円。それだけで10万円になっております。この学校は体操服が自由だったので、プラスアルファが要りませんでしたが、公立高校は、これに体操服、定期代と、まだまだお金がかかってまいります。そのうちの5万円だけを支給することが、高校に進学するそのお子さんにとって適切だと思われるでしょうか。もう一度、現場の状況を今お知らせしましたが、そのことを聞いていただいた後の知事の見解をお伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)社会的支援というのは、できればできるほど望ましいことであると思いますが、税金をお預かりする立場から、平等性、公平性というところも踏まえた形で、大変財源の限られているところ、総合的な判断の中で5万円は適切だと答えさせていただきました。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)今、再度知事から御答弁をいただきました。平等性、公平性から5万円が適当かどうか。例えば、入学資金について今問題にさせていただいております。私は現状から、5万円では到底、入学に際するお金、準備ができない、そのように申し上げ、その額を増額できないかという思いで質問させていただいています。
月々の支援について、先ほど教育長からありました月1万8,000円、また、私学では3万円という、その額と、それから、入学に必要なお金が準備ができない、そういう現状の中で、公平性、平等性について、5万円が妥当かどうかについて、ぜひもう一度、月額支援も含めた検討をしていただきたいと思っています。この入学資金貸付額につきまして、現状に現実に見合った額になるように改定をするべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
◎教育長(斎藤俊信君) 現状に見合った額に改定すべきではないかということでございますけれども、現在の入学資金の貸与額というものは、平成14年度におけます入学金、制服代、体操服代、シューズ代等々の必要な費用を勘案の上で設定されているところでございます。現時点においては改定を要する状況にはないものと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)今、知事と教育長の方から、この5万円の額について、それぞれのお考えをお聞かせいただきました。5万円について、額についての考え方は随分と開いていらっしゃるというふうに感じました。
例えば、今、教育長の、平成14年度にできた制度ということで、5万円が入学準備に妥当だというお考えですが、私も3人の子供を育ててきました。制服一つとりましても、現実には5万円以上かかっております。それを調べていただければわかることだと思っておりますが、制服代の5万円から7万円、教科書代2万円、そして定期代、体操服代。もう一度現状を調べていただき、5万円で準備ができるのかどうか、ぜひ調査をしていただきたいと思いますが、教育長、どうでしょうか。
◎教育長(斎藤俊信君) 平成14年度の全県の高等学校に調査をいたしまして、この5万円という額を設定しております。ただし、この5万円というのが、必要となるもの全額貸与するという考え方ではございません。適切な額として判断したものでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。平成14年度から現在を見まして、そのような改定をする状況にはないと思っておりますので、現行のままでいかせていただきたいと思っております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)全額についてではないということで理解をさせていただきました。
ただ、この制度は、高校に入学される子供さん本人に貸し付ける、本人を援助する制度です。それには、親の経済的理由によって、こういったお金が準備できないという状況の中で貸し付けを希望するお子さんにとっては、万が一そういうお金が準備できなかったら入学ができない、そういう状況に追い込まれる子供さんも出てくるわけですから、全額支援ではないという、そのお考えも一度検討がいただけたらと考えております。
次に、支給時期についてお伺いします。
この制度は、申請が許可されても、現実に支給されるのは5月中旬だということです。県の担当者は、支給されるまでの間、立てかえておいてくださいと説明をされましたが、さまざまな事情で入学支度金がないからこの制度を利用したい高校生本人に、どうして立てかえられるでしょうか。これでは、せっかく高校に合格しても入学できなくなってしまいます。支給時期について、知事のお考えをお伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)入学資金の貸与時期についての御質問でございますが、この条例において、当該資金の貸与は、高等学校に在学する者と定められております。となると、4月の入学後に募集を受け付け、その後に必要な審査を経て貸与することとしております。つまり、入学前、2月、3月にその手続に移れないということでございます。そのようなところから5月中の貸与となっているわけでございます。事務的にはやむを得ないものと考えられますが、今、議員御指摘のような生徒たちのことを考えますと、入学後できるだけ早い時期に貸与することが望ましいと思っております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)制度につきましては、つくった側があるということは、改定をする思いがあれば改定できることだと思いますので、今後、よろしくお願いいたします。
現状のような運用では、入学資金貸し付けという名前になっていないと思っています。現状の状況に対応できるように、入学時に間に合うように入学資金貸付制度の運用を改正すべきと思いますが、教育長の見解をお伺いします。
◎教育長(斎藤俊信君) 入学資金の貸与を入学時に間に合うようにという御指摘でございます。
本来のそういった事情といいますか、高等学校入学前に多額の費用を必要とすることは十分理解しているところでございますが、先ほど知事の答弁にもございましたように、この制度そのものが、高等学校に在籍する者、在学する者ということで制度ができております。そういった意味で、入学前に貸与するということは困難であると言わざるを得ない状況でございます。
ただ、御承知のとおり、入学資金貸し付けに係ります具体的な事務処理といたしましては、4月、入学後に募集をして、各学校の承認や申請書類の審査とか、さらには、貸与選考委員会を開いて、その審議を経て、貸し付けの可否決定を行い、最終的に貸付金の振り込みというような一連の事務手続きがございます。このように、募集から始まり貸し付けまでは相当の期間を要することとなりますから、保護者の負担のことを考えますと、確かに入学前にすれば一番よろしいわけでございますけれども、そういった制度的なものがございますので、我々としましては、入学後できるだけ早く貸与することができますように何か工夫ができないかというようなことで検討してまいりたいと考えております。
◆24番(粉川清美さん) (登壇)現実に合うように、ぜひ制度自体を変えていただきたいと思っています。県民からすれば、その名前のとおりに理解をしますので、そういう制度にしていただきたいと思います。
教育行政重点施策の裏表紙に、どんどん挑戦、チャレンジという教育委員会の言葉がありました。挑戦という文字のとおり、新しい制度にぜひつくっていただきたいと思います。
以上で終わります。(拍手)
○議長(出原逸三君) 以上で、24番粉川清美さんの質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時37分 休憩
────────────────
午後3時56分 開議
○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、15番西川仁君の発言を許します。
◆15番(西川仁君) (登壇、拍手)初めて県議会で質問をさせていただきます。直ちに具体的な質問に入りますので、理事者当局には明確な答弁を期待いたします。
アール・ディエンジニアリングの産業廃棄物処分場について、まず知事に質問をいたします。
アール・ディエンジニアリングの産業廃棄物処分場の問題は、悪臭、ばい煙などから始まり、20年来が経過してきました。この間、硫化水素ガスの噴出や調査井戸からアルカリや高濃度の総水銀の検出など不法な処分がされてきたことの深刻さを見ることができます。県民は、産業廃棄物処理業への許認可権や指導・監督権を持っています県に対し、処理業者への指導、監督が甘いと批判的に県民は見ています。信頼回復には、地域住民や市民の願いにこたえて、有害物質の除去を速やかに行うことだと思います。
県はこれまでアール・ディエンジニアリングに対して、許可区域を超過して産業廃棄物が処分されたり、規模の変更を届けないでやってきたことなどへ、改善命令や事業の全部停止などのいろいろな行政処分を行ってきました。昨年の4月12日には措置命令が出されています。この行政処分を見てみると、アール・ディエンジニアリングの安定型処分場では、埋め立てできない産業廃棄物の入ったドラム缶等および木くずを処分した行為は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条第2項に違反しており、また、当該産業廃棄物の露出等により周辺の土および廃棄物等において油類による汚染や土壌環境基準値を超えているダイオキシン類が認められ、生活環境の保全上支障が生じ、また、生じるおそれがあるためとして、1、安定型最終処分場では埋立処分ができない産業廃棄物の入ったドラム缶、1斗缶、ポリタンクおよび木くずを除去し、適正に処理をすること、2、当該ドラム缶などの違法な埋立処分により汚染された土および廃棄物などを除去し適正処理する等、生活環境の保全上支障がないように対策を講じることの措置命令が出されています。
この措置命令の発端になったのは、平成17年9月30日の坪堀り調査であったと思いますが、坪掘り調査の結果についての資料提供を見ると、この坪掘り調査は、ドラム缶を埋め立てた旨の同社元従業員の証言が住民団体になされたことで、住民の皆さんにも不安が広がっておりますことから、同社にその実態の解明を強く求め、実施されたものでありますとあります。これで、5本のドラム缶が出、105本のドラム缶を掘り出す調査へと続いたのですが、この調査の流れは非常に重要な意味を持っていると私は思います。
前知事の下された、平成18年4月12日、廃棄物処理法第19条の5による措置命令ではありますが、経緯と趣旨、そして評価について、嘉田知事にお尋ねします。
○議長(出原逸三君) 15番西川仁君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)西川議員のアール・ディエンジニアリング産業廃棄物処分場について、特に平成18年4月の措置命令についての評価の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、措置命令の経緯と趣旨についてでございます。
違法なドラム缶の埋め立てにつきましては、平成13年ころから、複数の関係者の証言をもとに住民団体から調査の要望が寄せられていました。県は当時、その証言者に直接出会うことができず、確証が得られなかったこと、また、硫化水素ガスや地下水汚染などの改善命令に係る是正対策を優先させ、実施しておりましたので、これらの工事の終了後にこのドラム缶埋め立てに関するアール・ディエンジニアリング社への行政指導を強化しました。
平成17年9月、アール・ディエンジニアリング社は、この行政指導に従い、処分場西市道側平たん部の2カ所について重機による掘削を行ったところ、5個のドラム缶が発見されました。その後、12月には平たん部一帯の掘削も行われ、大量の違法な、壊れたドラム缶や1斗缶などが埋め立てられていたことが判明しました。県が発した平成18年4月の措置命令は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、このような違法なドラム缶等の内容物や、内容物により汚染された廃棄物土を、生活環境保全上の支障、または、そのおそれがあるものと認め、アール・ディエンジニアリング社およびその代表取締役個人に、その支障の除去を命じたもので、県の指導性の発揮と考えております。
◆15番(西川仁君) (登壇)知事にもう一度確認をしておきたいのでありますが、この措置命令は、生活環境の保全上支障が生じ、また、生じるおそれがあるためというぐあいに言いまして、そして105個のドラム缶などの撤去は措置命令として出されました。
ちょっと確認の意味で質問なのですが、知事のマニフェストを見てみると、違法投棄の責任を問い、違法投棄物質の除去処分命令を直ちに行いますとなっていまして、違法投棄物質というぐあいになっているのです。これは表現上、先ほど言いましたように、この措置命令というのは、生活環境の保全上支障が生じ、また、生じるおそれがあるためとなっております。これの表現上の違いというのか、これはどういうぐあいに確認をさせておいていただければいいのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)マニフェストにおいて汚染物という書き方をしておりますが、それが法的にどのような課題があるかというときの法的根拠として、この生活環境保全上の支障というところで改めて言いかえていることでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)先ほど評価をいただいたように、ここのアール・ディエンジニアリング社のところで埋め立てられていた違法物について、住民団体からの指摘もあって、その指摘がどうかということで検証すれば、105個のドラム缶が出てきたと。これについての撤去をしたと。これは、マニフェストで言う、いわゆる違法物と認識していいわけですね。もう一度、確認のために答弁をいただきたいと思います。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)基本的には生活環境の保全のためということで、違法物と認識していただいて結構でございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)
琵琶湖環境部長に質問をしたいのですが、生活環境の保全上支障が生じ、また、生じるおそれがあるためとされている問題なのですが、アール・ディエンジニアリング社は昨年の6月8日に破産手続を開始し、資産管理は管財人に移されています。しかしながら、この点に推移をしているわけですが、生活環境上支障が生じないようにという措置命令が出されたように、この措置命令は、今日時点でも大事な観点だと思いますし、アール・ディエンジニアリング社の処分場に、不法な、決められていない、定めのないものが投棄されていた、処分されていたとすれば、当然、この措置命令のように展開されることだと思うのですが、こういう認識で間違いないでしょうか。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) (登壇)アール・ディエンジニアリング産業廃棄物処分場に対する措置命令等についての御質問にお答えします。
御質問いただきました、昨年4月に発しました措置命令は、廃棄物処理法に基づいて、アール・ディエンジニアリング社および代表取締役個人に対しまして、ドラム缶の撤去による生活環境上の支障の除去を命じたものです。そういう意味では、法に基づいた行為でございます。
ただ、その後、御指摘のように、アール・ディエンジニアリング社が自己破産の申し立てを行い、破産管財人が選任されて以降は、直接その法人はおりませんので、破産管財人を初めとしまして、処分場土地に抵当権を有する関係者などに対しまして、地下水汚染などの処分場の状況や措置命令の内容をお伝えするとともに、その後も継続的に情報の共有化を図っており、アール・ディエンジニアリング問題を解決するための協力をいただいていると今考えております。ですから、法的には、措置命令は廃棄物処理法に基づいて行ったということでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)ここで、先ほど非常に経過が大事だと指摘させていただいたのですが、住民の方から住民団体に、不法投棄、不法処分の通知があった。それを住民団体の方が申し立てられたという経過の上で、こういう措置命令まで行ったという状況です。これは、ある意味では非常に信憑性があった、その指摘は正しかったということを示していると思うのです。
であれば、引き続き住民団体あるいは住民の皆さんは、あるいは元従業員の証言というのは、この105個にとどまらないで、相当数があの処分場の中に処理されていると発言されています。このことは御存じだと思うのですが、それに間違いないでしょうか。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 今の御趣旨でおっしゃっていただきましたように、住民を通じて事業者の従事者から得た情報を考慮させていただいて、措置命令に至る行為を行ったということについては、事実として間違いございません。
◆15番(西川仁君) (登壇)いいえ、違いまして、続いて、それだけではなくて、アール・ディエンジニアリング社の処分場の中にほかにも処分されているという告発があると思うのですが、それは聞いていただいていませんか。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 告発とか、そういうことはないのですが、同じような形で、従事者、従業員からそういう情報があったということを住民団体を通じて聞いております。
現在は、それも含めて今後の対策を考えようとしているところでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)現在は今後の対策を考えている事態だというお話なのですが、住民団体にすればそこにあったのだから出してもらった、目視のきくところへ処分をしてもらっている。処理をしてもらっている。これで一安心と。しかし、同時に、こういう行政方法を全体に広げてほしいというのは当然の願いですね。非常に毒性の強いものだとか、一体何が埋まっているかわからない、そのことについて元従業員の証言に基づいて出したのだから、それと同じことを全体にやってほしいというのは当たり前の話なのですが、なぜそれができないのでしょうか。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 今後の対策につきましては、この議会でも何度も御説明をさせていただいていますように、昨年度、対応方針を決めまして、対策委員会を設けまして、そこで、今までの調査にあわせて、現在追加調査を行っております。その調査結果を大体8月にはまとめて、それに基づいて、生活環境保全上の支障がどういうものかを把握した上で対策を行う実施計画書を今年度中に策定し、そして、平成20年度、来年度から着手しようという流れでやっておりますので、個別に対応するという流れではなしに、今申し上げましたような手順を踏んで対応していきたいと考えております。
◆15番(西川仁君) (登壇)再度確認をしておきますが、当然、周辺住民の皆さんは安全で快適な生活を送りたい、そこに不法物があれば撤去してほしい、これが願いです。そこで、先ほど引用させてもらった命令の中には、生活環境の保全上支障が生じ、また、生じるおそれがあるためと言っておられるのです。先ほど知事のマニフェストで確認させてもらったのですが、それは、違法なある物質、違法に処分されたような物質と同意語だと。同意語であるとすれば、元従業員の告発によって出発した除去というのが、当然ほかにもあるのだから、そこにあるのだから、それを取ってほしい。直ちに緊急的に、かつ速やかに除去してほしいというのが当然の願いなのですが、そういう意味では、安全上の支障を除去するということと、違法、不当な、そういう処分をされた物質を除去するということとは別の定義なのでしょうか。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 御質問にお答えするために制度的な整理が要ると思うのですけれども、昨年4月の措置命令は、アール・ディエンジニアリング社という法人がまだ健全だった時点で行っております。そういう意味で措置命令を行いました。現在の状態は、先ほど申し上げましたように破綻をしておりますので、昨年度、さっき申し上げました基本方針では、最終的には行政代執行もやむを得ないというスタンスで進めております。
当然、行政代執行を行うためには措置命令をかけてという廃棄物処理法の手続は踏みますけれども、最終点を目指して、今、総合的に調査をし、追加調査をし、住民、そして地元市、専門家の入った対策委員会で検討いただいた上で、いわゆる利害関係者がベストだと思われる案を策定した上で全体を取り組もうということをしておりますので、御質問いただきました、個別対応をして手戻りになるよりは、総合的に把握した上で対応しようということになっております。
ただ、緊急的な問題につきましては、既に御承知のように、これまで改善命令に基づきまして是正工事を行わせておりますし、地下水汚染の影響が心配される処分場下流域の家庭用井戸の飲用使用の自粛や硫化水素ガスの監視などは、栗東市とともに行っております。
◆15番(西川仁君) (登壇)ちょっと繰り返しますけれども、そこに違法物があったら、これは除去すると。これは、先ほど言いましたような措置命令に沿ってやっていこうと思えば、そういうことになるわけですが、この際もう一度確認をしておきますけれども、全国のいろいろな流れでいけば、香川県豊島の、安全確認のために全部、安全処理をしていくという対策もあれば、最近のように覆土でやっていく。これは覆いかぶせるだけでその支障の除去だと言われている部分も、全国的にはあるようです。
としましたら、先ほど言いましたように、住民の皆さんの一番の心配事というのは、本当にそこにある汚染物質の影響の除去というのは、覆土でも除去、あるいは遮断でも除去、持ち出すのも除去だと考えているとすれば、そういうことがあるとすれば、本当に汚染物を取り除いてもらえるのかどうか。そこへ密封してしまうのかどうか。これが非常に心配事の一つだと思うのです。そういう意味では、どういう方法に持っていこうとされているのか、これが一つです。
そういうことでいけば、今、ボーリング調査などをやっているというのは、周辺のボーリング調査ですから、一体、汚染物の特定というのは、証言によってその特定をされる、信憑性がある、しかし、対応はその除去ではないのではないかという心配が出ているのですが、そんな心配はないと。措置命令をやったようにきっちり県としてはやっていきますと。行政代執行にしてもやっていきますよと、こういうことで理解させていただいていいのかどうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 先ほど申し上げましたように、総合的に把握して、一番安全で、かつ合理的で、そして、行政代執行ということも想定していますから、これは既にお答えしていますように、経済的にも一番合理的なものにしようと考えております。
それと、今、調査につきましては、周辺と御質問いただきましたけれども、簡単に紹介申し上げますと、処分場全体、これは4万8,000平方メートルありますけれども、これを60メートルメッシュ──60メートルの正方形で分割しております。そうしますと、土地の形状を考えますと15区画できます。これにつきまして、既にこれまでボーリングのデータが一部あるものもございますけれども、全くないものもございます。既にあるもので大体10カ所弱ですけれども、これについても深さの関係で不十分なので、それをあわせて、現在考えておりますのは、12カ所について、もう一度きちっとボーリング調査を行うとともに、補完的に重機による掘削調査を行いたいと考えております。
それとあわせて、処分場の周辺4カ所について地質の調査を行うことと思っておりまして、決して周辺部だけではなしに、全体を視野に入れ再調査を行うつもりです。
◆15番(西川仁君) (登壇)先ほども言いましたが、汚染物質の除去というのは、元従業員などの発言、告発ではっきりしていると思うのですけれども、この105個のドラム缶などの除去が行われたのですが、そして管理棟に密封保管されているのですが、こういう方法で除去を全体にするとすれば、一体幾らくらいかかるのか、この試算について出していただきたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) これにつきましても、総合的に調査をして、対策の実施計画書を今年度中にまとめようと思っておりまして、当然、方法と経費は絡んできます。経費につきましては、対策委員会からの報告書を受けて、今申し上げました県の対策実施計画書を策定する過程で明らかにしていく必要があると思っております。
◆15番(西川仁君) (登壇)繰り返し言っておきますが、この安全上の支障の除去というのは、当然、汚染されている物質、違法な物質の除去と。しかも、有害な埋め立てから地下水に浸透しているわけですから、地下水への浸透などについても、当然、支障の除去の対象に入っていくと思うのですが、最後に、この点だけ確認しておきたいと思うのですが、地下水汚染で外へ流れていることに対する、除去も含める対策について、当然、考えることが基本だと思うのですが、この点について確認しておきたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(山仲善彰君) 現在までの調査、主に地下水については、流域については市で受け持っていただいていますし、そして、処分場内は県が行って、広域的には市で行っていただいています。市の調査地点からは水銀が出ていますし、そして、県のは最近、高アルカリが出ていまして、これはまだ分析中ですので詳細はわかりませんけれども、いずれにしましても、まだ処分場に埋められた物質との因果関係は科学的には明らかではないです。当然、処分場に起因するものであれば、それは対策の対象になると思っております。
◆15番(西川仁君) (登壇)当然、周辺住民ならびに飲料水を利用している住民、あるいは琵琶湖の水質に非常に影響を与えるであろうと言われていますので、完全な汚染土壌などを含む撤去というのが基本的な考えにならなければならないと思います。そのことを求めて、次の質問に入りたいと思います。
医療保険制度と医師・看護師確保について、
健康福祉部長に質問をします。
まずは、医療保険制度に関してですが、日本医療政策機構がことし、全国の4,000人を対象に行ったアンケート調査では、過去1年以内に、ぐあいが悪くても医療機関にかかれなかった人の割合は、800万円以上の高所得層では16%だったのに対し、300万円から799万円の中間層では25%、これに対して、300万円未満の低所得層では40%と、大幅に高くなっています。医療費を払えない不安を持つ人は、低所得層では84%に上っています。経済力によって命の格差も生じる深刻な事態となってきています。
昨年10月から70歳以上の、現役並み所得とされる200万人の窓口負担が3割に引き上げられ、2008年から低所得も含め、70歳から74歳の窓口負担が2割に値上げ、食費・居住費負担も強行されています。低所得者を医療保険制度から排除、軽度者という概念が診療報酬に持ち込まれ、療養病床に医療区分と制度がつくられましたが、区分によって診療報酬が、入院基本料が病床にかかわりなく1万2,090円だったのが、7,640円から1万7,400円に、混合診療で、市場原理などや診療報酬削減など医療保険制度の改悪には当然反対の態度表明が必要だと思います。医療保険制度改悪に、県民の健康を守る立場から国へ意見を上げることが大事だと思いますが、
健康福祉部長の所見を伺いたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)医療保険制度の改正について国へ意見を述べることについてでございますが、今回の医療保険制度改革に当たりましては、国民皆保険を堅持し、国民の医療保険制度につきまして将来にわたり持続可能なものといたしますために、医療費適正化の総合的な推進が大きな柱の一つとなっているところでございます。
具体的には、中長期的な対策といたしまして、医療費適正化計画の策定、また、保健者による特定健診などの実施が挙げられ、さらに、短期的な対策といたしましては、少子高齢化に対応しながら、低所得者への配慮もしつつ、公的保険給付の内容・範囲の見直しが実施されているところでございます。
また、診療報酬の改定につきましては、患者から見てわかりやすく質の高い医療を効率的に提供する視点などの基本方針のもとに、例えば、議員の御質問に提示がありました慢性期の患者の入院基本料につきましては、その患者の方の状態に応じた診療報酬とするなど、中央社会保険医療協議会におきまして検討がされたものと承知いたしております。
この検討に当たりましては、将来の医療のあり方や昨今の経済動向、医療経済実態調査の結果、さらに、保険財政の状況など、さまざまな要素を考慮され、国民の意見を募集した結果等も踏まえた上で答申が行われたと伺っております。このように、今回の改正につきましては、医療保険制度の将来のあるべき姿を見据えながら、国において慎重に議論を重ねた上で行われたものと承知しているところでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)非常に改悪が進んできている中で、今の部長の答弁では納得しがたいのですが、時間の関係で次の方へ移ります。
医療保険制度の中で最も矛盾を抱えているのが国民健康保険です。国保税が高過ぎて払えない、こういう滞納世帯がふえて、この10年間でも180万件ふえていると言われて、その滞納世帯も19%になっている。こういう状況になってきて、資格証明書やら短期被保険者証の発行がふえてきています。しかし、この発行は随分と地方自治体によって大きく違うというのも実際です。全く発行していない自治体もあります。
そういう点からいけば、資格証明書やら短期被保険者証、これは特別の理由を考慮して発行しない、県民の健康を守っていく、こういう立場が非常に大事だと思いますが、さまざまな、県が主催をするような関係者の会議などにおいて、各自治体にこの点を徹底するように要請を強めていただきたいと思いますが、この点での見解をお尋ねしておきます。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) お答え申し上げます。
国民健康保険の資格証明書につきましては、負担能力がありながら、特別な理由もなく滞納している方に対しまして、被保険者証の返還を求めました上で交付されるものでございます。また、短期被保険者証につきましては、滞納者に対しまして、有効期限を短期に設定した被保険者証を交付するものでございます。いずれも、滞納者と接触の機会を拡大するために発行されているものと理解いたしております。
また、機械的、一律的に交付するものではなく、事前に十分な納付相談、指導を行い、また、個々の具体的な事情を十分把握した上で交付されるよう、機会あるごとに市町等に対しまして助言をしているところでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)次に、医師確保問題に質問を移したいと思います。
産科医や小児科医の不足が非常に懸念されています。今議会でも医師確保のための対策補助を出すとされているのですが、この自治体独自の努力も大切なことは言うまでもありませんが、他県の例で報道されているところによれば、補助を受ける医師が少ないのも実態と言われています。
経済的理由だけで医療現場から離れているわけではなく、魅力ある職場が大事と指摘する人もおられます。医師の増員、確保のためには、何よりも医師数がこれでよいのか、医師不足の根本原因に迫らなければなりません。端的に言って、医師数の抑制政策を根本的に見直すことが必要ではないでしょうか。
政府は1981年の閣議で、医学部の定員削減を決定し、医師数の抑制政策を進めてきました。厚生労働省は基本的に足りているという立場でありますが、日本の医師数はフランスやドイツの6割、慢性的な人手不足で、常勤医師の総勤務時間が平均で週70時間、産科の平均当直回数は年123回と、これは厚生労働省の調査でありますが、医者が育つには時間もかかり、国へ医師確保を働きかけるのは緊急の課題でもあります。県も、産科医、小児科医の不足が懸念されています。
医師不足の改善策としては、国、都道府県の負担と責任で、医師不足地域への医師派遣体制を構築することやら、国立・公立病院を地域医療、住民福祉の拠点として支援する。医療資源の集約化は、住民合意と十分な予算、人材をもって行う。医師の過重労働の是正と女性医師の就労支援、出産医療における助産師の役割の向上などが考えられますが、いずれにしても、抑制政策の見直しも含めた、医師確保のための対策を、国へ意見を上げられることを求めたいと思います。答弁をいただきたいと思います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 医師の確保につきましての対策でございますが、国へ意見を上げることにつきましての質問にお答え申し上げます。
国におきましては、医師の需給に関する検討会で検討され、その報告をもとに医師数の増加について、いろいろな課題を分析されているところでございます。特に地域および診療科での偏在といったことでの医師不足の実態について国でも把握されております。
本県におきましても、滋賀県地域医療対策協議会で協議いただいておりますが、同様の傾向にあるということで整理いたしております。特にこうした状況に追い込まれた原因につきましては、新たな医師臨床研修制度がきっかけとなったことや、大学医局での指導力の低下、また、医師の医局離れといったこと、それから、開業志向が続いているといったこと、若手医師の都会志向といった状況を原因として認識しているところでございます。
こうした状況のもと、県といたしましては、医師不足に対処いたしますために、県にできることを、それぞれ事業、施策として対応させていただきますほか、国でやるべきこと、責任としてやっていただくべきことにつきましては、国に対しまして、医師確保のための提案・要望活動を行っているところでございます。その内容といたしましては、特に女性医師を初めとした潜在医師の掘り起こしなどにつきまして、国からの財政支援を求めること、また、地域の実情に応じました医師数につきまして確保を図りますために、大学医学部の定員について特例的な地域枠をふやすことなどにつきまして要望しているところでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)次に、県立成人病センターについて、
病院事業庁長にお尋ねします。
公的病院は、一般的には不採算部門を受け持つという点では、経営的にも厳しい状況で地域医療を守る役割を果たしています。成人病センターは、滋賀県立病院中期計画で、その使命として5点を上げ、同時に、がん、心臓疾患、脳血管疾患などの3大生活習慣病を中心とした高度専門医療の拠点機能を持つのが成人病センターとされてきました。しかし、相次ぐ医師の退職で拠点機能が後退する状況が生まれているようであります。であれば、病院経営の根幹にかかわる重大問題であり、この点からも非常に医師確保あるいは看護師の確保は緊急の課題でありますが、その対策とこれまでの成果、さらには、2月議会でも問題になったのですが、神経内科などの医師の確保、その後の取り組みについて答弁をいただきたいと思います。
◎
病院事業庁長(川尻嘉徳君) (登壇)成人病センターの医師あるいは看護師の確保等についての御質問にお答えします。
まず、医師の確保対策についてでございますが、成人病センターは、平成15年1月に現在の新棟を開設して以来、常勤の医師はおおよそ75名の体制で診療に当たっております。現在の常勤医師数は72名ということで、3名少ないという状況であります。その主な内容は御質問にございましたし、神経内科医が不足している状況にあります。
そこで、医師の確保に当たりましては、関係の大学に後任医師の派遣を要請いたしますとともに、昨年度から医師の一定の処遇改善を図ったり、研修カリキュラムの充実を図る、あるいは、女性医師や看護師等の勤務環境の改善策として24時間保育にも取り組んでおります。そのほか、非常勤医師の確保でありますとか専攻医の積極的な受け入れ等によりまして、成人病センター全体としては、神経内科を除き、その機能は維持できていると考えております。
そこで、先に神経内科についての御質問にお答えしますが、5月から非常勤の医師が1名確保されましたものの、十分な診療体制が整わないということから、休診を余儀なくされております。そのため、これまで医師の派遣を受けておりました大学に私自身や病院長が再三早期の派遣を要請しておりますが、医師の退職が年度末であったということや新医師臨床研修制度の影響等もございまして、後任医師の派遣が得られないという状況が続いております。
しかしながら、3大生活習慣病の拠点病院としての使命を担う成人病センターといたしましては、長期の休診は、その役割が果たせないという要請に対しまして、大学側も、現段階では医師の派遣時期は明確にできないものの、一定の理解をいただいているところでございまして、引き続き要請を重ね、早期に診療体制の確立ができるように鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
次に、看護師確保でございますが、厚生労働省の第6次看護職員需給見通しに関する検討会報告によりますと、平成18年度から20年度の間は、全国で毎年4万人程度の看護師が不足するという推計がされておりますし、加えまして、平成18年度の診療報酬の改定で、高い入院基本料が得られる7対1の看護体制が導入され、多くの病院が7対1体制を目指したということもございまして、看護師争奪合戦と報道されるような状況となり、成人病センターにおきましても看護師確保に苦慮している状況であります。
そのため、看護師確保対策のためのプロジェクトチームを立ち上げ、新卒者の確保、潜在看護師の発掘、在職者の定着化という幅広い観点から、確保に向けた緊急対策の検討を行い、看護師確保対策室を設置しながら、県内外の看護師養成機関への訪問活動、あるいは潜在看護師発掘のための再チャレンジ研修会などを開催し、新たな確保対策に取り組んできたところであります。
こうした取り組みの結果、看護師採用試験での採用は21名となりましたものの、パート看護師37人、新たに導入した看護補助者の採用27人などを含めまして、看護体制の確保と勤務環境の改善に努めているところでございます。
◆15番(西川仁君) (登壇)経営基盤の安定化というのを、先ほどの計画の中で見てみますと、7年間、黒字を維持してきたのですが、新棟建設以後については、固定経費の大幅な増、診療報酬のマイナス改定、病床数はふやしたが収入が伴っていない実態が明記されています。その上で、医師などの医療スタッフの不足が問題になっているわけであります。
認可病床数は541床でありますが、実質稼働については100床以上下回るという状況であります。平成15年に15万7,107人の入院患者数であったのですが、1日入院患者数で429.3人、これをピークに減少傾向になっています。患者数の絶対的減少傾向がこの中にあるのではないかと思うのですが、この点、経営的に見まして、問題点などをつかんでおられたら明確にしていただきたいと思います。
◎
病院事業庁長(川尻嘉徳君) お答えします。
患者の動向でございますが、新棟を開設しました平成15年度と18年度を比較いたしてみますと、1日当たりの平均の患者数では430人から380人と、50人減少しております。しかしながら、その間、平均在院日数が19.2日から16.2日と、3日短くなっております。その影響を単純計算いたしますと、1日当たり60人の患者が減るということになります。そういったことから、延べ患者数は減っておりますものの、病院運営上必要とされる新規の入院患者数については横ばい傾向というふうに思っております。
なお、外来の患者数につきましても、比較しますと、約60名減少しておりますが、これも、いわゆる地域連携を図るための逆紹介を進めておりますことや、昨年の5月に精神医療センターと成人病センターの機能分担を図るために心療内科を廃止したといったことが原因だと認識しております。
◆15番(西川仁君) (登壇)次に、琵琶湖環境と漁業について考えてみたいと思いますし、質問をさせていただきます。
琵琶湖環境を考える場合に、琵琶湖に負荷を与えている生活系、下水道系の終末処理などの処理系、工場・事業系なども大きな要素でありますが、今回は農業系に限って考えてみたいと思います。
用排水が分離されている圃場整備事業に関してでありますが、漁業従事者の話によれば、田植え期は、漁業なのに田植え作業のようにどろどろになるとの発言を聞きました。特に用排水分離の圃場整備が進んでひどくなったということでありました。この用排水分離が琵琶湖の水質に影響し、漁業者にも指摘されています。航空写真などでもその影響が指摘されているところであります。
琵琶湖・環境科学研究センターへの移行に当たっての琵琶湖研究所記念誌の、集水域からの汚濁負荷とその浄化の論文を参考にさせていただくと、農地などの面源負荷については、季節変化や降水に伴う時間的変動が大きいために定量的把握が難しいという調査上の問題がある。しかし、琵琶湖研究所の研究では、琵琶湖に流入する汚濁負荷の内容は、CODで11.8%、窒素12.3%、りん10.7%は、過小評価になっている可能性が高いと指摘しています。農地における琵琶湖への負荷の総量を出して、用排水分離などの汚濁防止に科学性を持つことが大事だと考えますが、さきの引用論文でも明らかにされているように、用排水分離により農業汚濁が流出しやすくなっていることは問題だと思いますが、これらの対策についてお伺いしたいと思います。
◎
農政水産部長(但馬甚一君) (登壇)圃場整備による用排水分離と農業濁水対策についての御質問にお答えいたします。
圃場整備事業につきましては、時代の要請にこたえ、農作業の負担軽減を図り、生産性の高い農地を確保するため、積極的に進めてまいりました。現在、本県におきましては、担い手が育ち、集落営農も発展しつつあり、また、耕作放棄地の発生率も全国で2番目の低さであり、こうしたことは、県内の農地の9割近くで実施した圃場整備の成果であると思っております。
こうした圃場整備における用排水の分離は、農地の生産性向上の観点から、圃場より排水路を深くして乾田化することを通して、人や機械が作業しやすくすることをねらいに導入されたものです。これによりまして個々の水田での水管理などの利便性は確かに向上いたしましたが、用排水や排水口の管理などが適切に行われていないところでは濁水が琵琶湖まで流入しやすくなるという傾向が見られております。
このため、まずは個々の農家に水管理をきちんとしてもらうことが第一であり、営農面では、代かき、田植え期の水管理や、漏水対策などに取り組んでいただいております。また、濁水が流出しやすいという構造面の改善を図るため、排水路を琵琶湖からの逆水施設に接続して用水として利用する循環かんがい施設や、排水路の用水を反復利用する施設の整備など、施設対策も進めております。
県といたしましては、今後も濁水対策を効果的に進めるためには、このような営農面と施設面の対策を一体的に進めることとあわせて、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策により農村の地域ぐるみの水質保全活動を進めていただくことが重要と考えております。
◆15番(西川仁君) (登壇)汚濁の総量については
農政水産部長には答えていただけませんので、そういう総量、科学性を持たせていくということが非常に大事ですし、いろいろ手を打ったことで、総量としてどれだけの成果が上がってきたかが、環境を守っていく上では非常に大事なことではないかと思いますし、そういうことについても実現できるように要請をしておきたいと思います。
次に、漁業の問題について、引き続き
農政水産部長にお尋ねします。
外来魚の駆除対策は非常に大事で、この本会議でもその駆除の状況だとか、あるいは推定生息量についても明記されています。こういう状況を考えるときに、外来魚の異常繁殖のメカニズムに変化がない限りにおいては、いささかも対策の手を緩めるわけにはいかないのが実態なのではないでしょうか。もちろん、生息数によって捕獲数の変化はあると思われますが、これらを考慮して、外来魚駆除等予算の確保は今後も大事だと考えますが、今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
◎
農政水産部長(但馬甚一君) 漁業問題についての御質問にお答えいたします。
外来魚駆除と予算確保の今後の見通しについてでありますが、琵琶湖では魚食性の強いオオクチバスや雑食性のブルーギルが大繁殖し、昭和58年ごろから漁業被害が深刻化し、昭和60年から国の支援を受けながら駆除事業を進め、さらに、平成14年度からは国にも支援を強く求め、駆除事業を充実強化して行っております。
この駆除事業によりまして、外来魚生息量は平成18年春には1,700トンにまで減少していると推定しておりますが、議員御指摘のとおり、外来魚の繁殖力は強く、一たん手を緩めると生息量はすぐにもとに戻るものと思われます。そのため、平成19年度は、外来魚を550トン駆除するほか、水産試験場が開発したビームトロール網による捕獲や、オオクチバス稚魚のたも網すくいなど、総合的な駆除対策に取り組んでおります。
このようにして、一日も早く外来魚のいない琵琶湖の生態系を取り戻すため、徹底して外来魚駆除を継続することが重要であると考えております。今後も、水産試験場で新たな駆除技術の開発に努め、漁業者の協力も得て、当面、平成22年には外来魚生息量を1,000トン以下にすることを目標とし、国の理解と支援の確保に努めながら、一層効率的、効果的に徹底駆除を進めたいと考えております。
◆15番(西川仁君) (登壇)外来魚駆除と同時に注目しなければならないと思いますのは、琵琶湖の漁業に直接影響する在来種の変化がどうなっているのかということに注目する必要があると思うのです。漁業者からの聞き取りでは、在来種がふえている実感がするとされているのですが、平成17年度までの漁獲高の統計には数字としてはあらわれていません。ことしはイサダ漁などが好調だなど、部分的な情報として伝えられているのですが、在来種の生息数をふやし、琵琶湖の生態系を再生させ、結果として漁業の応援をしていくということからも、こういう変動をどのように把握しているのかということも重要だと思うのです。その変化などについての推移を把握しておられたら、答弁をいただきたいと思います。
◎
農政水産部長(但馬甚一君) 在来魚の生息量の変動の把握についてお答えいたします。
まず、琵琶湖漁業にとって最重要魚種でありますアユにつきましては、水産試験場におきまして、産卵状況の調査、魚群探知器による調査などを行いまして、また、あわせて県下一円の漁獲状況も調査し、資源の動向の把握ということに努めております。また、ニゴロブナでございますが、この重要魚種につきましては、種苗後放流しておりますが、放流の際に種苗に標識をつけて、漁獲される標識魚の割合から、その資源の動向を把握しております。
さらに、水産試験場では、その他の魚種につきましても、国の水産統計に加えて、漁獲状況を調査し、それらのデータベース化にも努めております。
◆15番(西川仁君) 以上で終わります。
○議長(出原逸三君) 以上で、15番西川仁君の質問を終了いたします。
次に、2番奥村芳正君の発言を許します。
◆2番(奥村芳正君) (登壇、拍手)自由民主党・湖翔クラブの奥村芳正です。この春の選挙で初当選をさせていただき、県議会議員となって3カ月足らず、向こう4年間の職責を、初心を忘れることなく一生懸命に務めさせていただく所存でございます。弱者に一隅の光を当てるがごとく、決して県民が弱者にならないよう、元気と勇気を持って、本気で滋賀県政に取り組んでまいります。
昨年7月の知事選挙では嘉田知事が勝利され、県政史上初めての女性知事が誕生いたしました。以来1年近くが経過しようとしています。この3月までの間、私も草津市議会議員として知事の行政手腕を拝見させていただいておりました。知事の発言でよく耳にいたしますのは、対話であります。今日まで県下の市町の行政や議会は、県行政や県議会の決定事項に従い、ともにそれぞれ施策展開をすべく議決を行ってまいりました。こうした各市町の議決も大切な事実であることや、今後の方向を決めるに当たっても、県下の市町との対話も大切であることを忘れてはなりませんし、理解していただかなくてはなりません。
先日もある県民の方から、行政施策と政治家の話は理解できないことが多過ぎる、あしたの税金をどうやって納めようかと思案している我々に、20年先、30年先のことを考えての税金投入なんて話は理解できないが、「もったいない」は理解できる。しかし、「もったいない」と何もしないとは違うという御意見でございました。改めて、多くの議論の中で、県民、市民の皆様との対話の重要性を知らされた一場面でありました。我が会派は是々非々で臨む知事との対話集団であると理解し、互いに議論をし、着地点を見出すことは民主主義にかなったことだと思います。県民のためにお互いに議論を進めてまいりましょう。
さて、平成19年6月定例県議会に質問の機会を得ましたことに感謝し、元気な滋賀をつくるため、通告に従い、一般質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、行財政改革に取り組まれております滋賀県では、平成18年9月より半年にわたり滋賀県施策・事業仕分け会議を持って、2,425施策・事業の仕分け作業を実施されたとお聞きしております。仕分けの区分としては、廃止すべきもの、民間に任せるべきもの、国にゆだねるもの、市町に任せるもの、県で行うが改善すべきもの、現行のまま県で行うものの6種類とされております。
そこで、まず、施策・事業の仕分け結果の動向について、総務部長に伺います。
仕分け結果の具体的活用についてでありますが、県が実施する施策・事業のあり方などを抜本的に整理するため、滋賀県施策・事業仕分け会議において実施されたとありますが、この結果を今後どのように生かしていくのか、伺います。
○議長(出原逸三君) 2番奥村芳正君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)奥村議員の施策・事業仕分け結果の動向についての御質問にお答えいたします。
仕分け結果の活用についてでありますが、県では今年度、新しい財政構造改革プログラムの策定を予定しておりまして、今後、すべての事務事業についてゼロベースでの見直しを行うことといたしております。この見直しを行うに当たり、仕分け作業において各委員から、廃止や事業主体の変更など、さまざまな御意見をいただいておりますが、検討過程での意見なども含め、今後の事務事業の見直しに当たっての職員の気づきとして生かし、県として事務事業の廃止、縮小あるいは手法の変更といった、さまざまな判断をして、新しい財政構造改革プログラムに反映してまいりたいと、このように考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)それでは次に、こうした県の施策・事業につきましては、外部──有識者、県民の皆様からの御意見をいただく外部評価制度も大切な取り組みでございますが、職員みずから行う内部評価も大切であると考えます。体制など、状況ならびに今後の計画を中心に、県の内部評価の取り組みについてお伺いいたします。
◎総務部長(谷口日出夫君) お答えいたします。
内部評価についての御質問でございますが、まず、本県における体制等の状況につきましては、平成11年度に総務部内に担当の部署を設置し、事務執行に当たって、より目的志向や成果重視へと改めるため、全国的には比較的早くから施策評価制度の導入をしたところでございます。
この制度は、職員みずからが仕事の成果を県民の視点で振り返るとともに、効果性、効率性についての評価を行っているもので、県民の満足度の向上を基本目標に掲げ、個々の事業や施策の成果をできる限り客観的、定量的に把握した上で評価し、施策の企画、立案や見直しに生かそうとするものです。また、こうした行政評価のみならず、毎年度の予算編成においても個別の施策・事業について、その効果や必要性といった観点から、内部での徹底した議論を行い、一定の評価や点検に取り組んできたところでございます。
今後の計画についてでございますが、厳しい財政状況を踏まえますと、限られた経営資源を一層効果的、効率的に活用していくために、いわゆるPDCAサイクル、すなわち、計画、実行、評価、反映をきちんと回すといった、職員みずからが行う内部評価などの取り組みが大変重要であると考えております。このため、今後、この施策評価制度について、さらに県民にわかりやすくするといったことや、企画立案への反映方法の改善、事務負担の軽減といったことも含め、一層評価方法などの工夫に努めてまいりたいと、このように考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)ただいま御答弁いただきました外部の評価、そして内部の評価、あわせ持っての県民の皆さんへの情報公開の現状についてお伺いしたいと思います。
◎総務部長(谷口日出夫君) 評価の結果につきましては、ホームページにすべて載せて県民の皆さんに知らせておりますとともに、いろいろ意見も承っております。そういった形で公表しているということでございます。当然、新聞記者発表等もさせていただいているところでございます。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)全国的に見ましても、こうした情報公開を通じまして、各市町村ならびに県行政の事業の見直しに係るような事業評価制度は全国的にも取り組まれているのが現状でございます。我が滋賀県におきましても、情報公開率を見ますと、全国的にも、一昨年が37位、そして昨年度が28位と、徐々に上がってはきたものの、まだ中の下といいますか、言葉は整いませんけれども、まだまだその一途をたどっている最中であると考えます。
そういったことからも、今後とも市町に先駆的に取り組むべき県の事業評価と行財政改革の推進を一層図っていただくことを切望いたしまして、次の項に移りたいと思います。
このたびの仕分け作業の結果、先ほども答弁いただきましたが、何を廃止し、また他のセクションにゆだねるかは今後の判断であると思われます。中でも、国がすべき事業と5人中4人の方が判断された事業の一つに、今日まで多年にわたり全国に先駆けて取り組まれてきた北方領土返還要求運動があるとお聞きいたしました。
そこで、知事にお伺いいたします。この運動は、まさしく戦後間もなく、現在の根室市から始まりました。遠く離れてはおりますが、滋賀がまだ近江と呼ばれていたころから北方領土とのかかわりがあった歴史がございます。昭和57年10月8日、県民会議が結成されて以来、今日まで運動の広がりを見ているところであります。そこで、北方領土問題を含め、今後の北方領土返還要求運動について、知事のお考えをお伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)北方領土問題を含め、今後の北方領土返還要求運動の考え方についての奥村議員の御質問にお答えをさせていただきます。
北方領土返還要求運動について、事業仕分けでは、実施主体を国とする意見が多かったのですが、今後、これを県としてどうするのかについては、他の仕分け結果と同時に今後考えていきたいと思っております。
北方領土問題に対する私の基本的な認識を申し上げますと、択捉島、国後島、色丹島および歯舞群島から成る北方四島は、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土であります。国においては、昭和31年に日ソ共同宣言が署名され、両国に国交が再開されて以来、最大の懸案事項である北方領土問題を解決して、平和条約を締結することにより、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立するという基本方針のもと、粘り強い外交交渉が続けられてきました。
直近の情勢では、去る6月6日からドイツで開かれた主要国首脳会議、ハイリゲンダムサミットでは、日ロ首脳会談が行われ、その結果は、新聞報道等によりますと、今後、交渉を促進することを確認したとされております。こうした外交交渉を支えるためには、幅広い国民世論を結集し、国民運動として、すそ野が広い返還運動に取り組まれることが大切だと思います。
本県においても昭和57年10月に、青年団体や女性団体を中心に200を超える各種団体の皆さんが結集され、北方領土返還要求運動滋賀県民会議が設立され、さまざまな事業に取り組んでいただいているところでございます。
北方領土問題が平和的に一日も早く解決されることを心から期待しておりますし、着実な県民運動は継続して実施することが力となり、大切なことであると思っております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)今後とも、この大切な運動は継続して取り組まれるものと判断してよろしいのでしょうか。再度お伺いいたします。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)県民運動は何よりも県民の皆さんの主体性が大切でございますので、そちらの主体性を発揮していただけるよう、考えさせていただきたいと思っております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)この返還要求運動は、幅広く粘り強く、そして、私たちは北方領土問題を理解し、その達成に向かって努力をしていかなくてはなりません。我が県議会の議長は、この運動の県民会議の会長もしていただいている経緯がございます。滋賀県は今日まで、全国に先駆け、そして全国をリードするような運動の展開でございました。その中にあって、やはり知事からの、力強い、この運動は継続して滋賀の灯をともしていかなくてはならない、一隅の光は絶やしてはならないというような御発言をいただきたいのですが、いかがなものでございましょうか。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)他のさまざまな運動がそうであるように、県民運動は、やはり県民の皆さんの主体性が大変大切だと考えております。(発言する者あり)
◆2番(奥村芳正君) (登壇)というような応援の言葉がありますように、やはりこれは我々一緒に、知事も含めて県民運動として今後とも粘り強く取り組んでまいりたいと、このように思いますので、よろしくお願い申し上げまして、次の項に移らせていただきます。
先ほど粉川議員の質問にもございましたが、はしか対策について、
健康福祉部長にお伺いいたします。
首都圏の大学生を中心とした、はしかの流行が拡大しておりますが、最近では関西圏の大学生の中でも発生したとの報道が目立ってまいりました。一昨日も立命館大学びわこ・くさつキャンパスでも1回生の学生が発症したとの新聞記事を目にいたしました。
そこで、先ほどの質問と重なりますが、はしかの県内発生状況と予測についてお伺いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)はしかの県内発生状況と予測についての御質問にお答えします。
県内における毎年の麻疹患者の発生状況につきましては、定点医療機関から1週間ごとに毎週報告をいただいておりまして、ことしは、3月末の週に1人、4月末の週に1人、また、5月中旬の週に1人と、合わせまして3人となっているところでございます。
こうした状況は、同じ時期の人数を過去にさかのぼりまして比較いたしておりますが、本県の現時点での患者数は特に多いという状況にはございません。
しかしながら、議員御指摘のとおり、首都圏の大学生等に多くの患者が出ており、本県においても流行が懸念されますことから、より詳しく状況の把握に努めることといたしまして、現在、県内のすべての医療機関に報告を求めているところでございまして、6月8日現在、2人の麻疹患者の報告を受けております。
さらに、大学での流行が心配されますことから、大学に対しましては、学内で流行に注意していただきますとともに、発生の状況を報告していただくよう依頼いたしておりまして、立命館大学、滋賀大学から、合わせて5人の報告を受けているところでございます。
次に、今後のはしかの発生予測についてでございますが、はしかの流行時期は、例年の状況から見てまいりますと、初春から初夏にかけて多くの患者が発生しておりまして、5月の中旬ごろがピークとなっているところでございます。こうしたこれまでの傾向からいたしますと、今後の県内における麻疹患者の発生は減少に向かうものと考えられますが、集団発生の可能性は否定できないことから、引き続き麻疹患者の発生動向の把握に努めてまいりたいと考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)また、予防接種のワクチン不足が問題となっているようでございますが、その前に、抗体検査を受けるのにも1カ月待ちの状態との報道がありました。そこで、抗体検査受診の県内の状況について伺います。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) お答え申し上げます。
抗体検査の受診状況についてでございますが、成人における麻疹の流行により抗体検査の依頼が急増いたしましたことや、検査試薬の不足から、本県の検査所におきましても、検査の受け付けを中止したり、検査結果が出るまでに通常の倍の約2週間かかるという状況がございました。
こうした状況でございますが、検査を希望される方につきましては、早く結果を希望されておりますので、検査機関でも御努力をいただいておりまして、これまで対応いただいております。5月末には全国で約8万人分の検査試薬の供給があったこともありまして、現時点では、ほぼ通常どおり、1週間程度で結果が出ていると聞いております。なお、6月中にはさらに約60万人分の供給がされる見込みと聞いておりまして、全国的にも検査結果のおくれは解消に向かうものと考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)県下の状況についてお伺いいたしましたが、ワクチン不足の影響や抗体検査の状況など一連の動向からかんがみ、県下の地域振興局や保健所などを含めた県行政の今後の対応についてお伺いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 県行政の今後の対応についてお答え申し上げます。
麻疹患者の発生動向を引き続き調査いたしますとともに、流行の拡大につながることがないように、市町、医療、検査などの関係機関、関係の皆さんと情報を共有しながら対処いたしまして、また、注意喚起に努めてまいりたいと考えております。
さらに、県民の皆さんからの麻疹についての不安や健康相談につきましては、保健所におきまして相談を受け付けますとともに、感染予防などの保健指導を行うことにより感染の拡大防止を図ってまいりたいと考えております。
さらに、県のホームページなどにつきましては、麻疹の発生状況、予防にはワクチンが有効であること、麻疹患者に接触した場合には、3日以内であれば、予防接種を受けると発症、重症化を予防できること、また、疑いがある症状が出現した場合には、学校や仕事を休み、早目に医療機関で受診していただくことなど、広く情報提供を引き続き行ってまいりたいと思っております。特に、新たな麻疹に関する情報につきましては、その都度迅速に医療関係者や市町などの関係機関へ提供し、連携することによりまして、県内の麻疹患者の発生動向を踏まえた適時適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)迅速に今後とも県行政からのそうした情報の公開、ホームページあるいは県の広報等を通じましてでも、県民の皆さんに動揺を与えないように、ワクチン等が十分ある、そしてまた、抗体検査の試薬についても十分備わってまいりましたというような一部報道を早急に対処の方策として情報公開していただきたいと、このようなことを要望させていただきます。
また、先ほど少し調べてまいりましたが、麻疹抗体検査には、一般の方が受けていただきますと6,560円、そしてまた、ワクチンの接種を行いますと5,250円、一連の検査あるいはワクチン接種をしていただくと1万1,810円という高価な費用が発生するということを調べていただきました。こういったことからも、今後、今問題となっております大学生、あるいは、その抗体検査の支援体制に早急に県として取り組むような考えはないのか、お伺いいたします。
◎
健康福祉部長(馬淵義博君) 御質問にございました支援でございますが、これまでから県といたしましては、検査あるいは予防接種について、円滑にそれぞれの地域で対応していただけますように側面から支援をするということで対応させていただいておりますが、やはり今回のことにつきましては、市町の皆さんともいろいろな話の中で今後の課題について整理しながら対処してまいりたいと思います。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)といいますのも、私の子供が学校で、一日も早く検査を受け、そして、抗体がなかったらワクチンの接種をしてくるようにという指導があったそうです。ところが、それを実際病院で尋ねますと、不足しているのが現状であって、大分先まで待たなければならないという現状を知らされて戻ってまいりました。こういったことからいたしますと、必要とする情報がまだまだ県民の皆さんに届いていないのが現状であると認識いたしまして、このような質問を展開させていただきました経緯があります。
今後とも、そういったことをかんがみまして、県行政からしっかりとした正しい情報を流していただきたい、そのように要望いたしまして、最後の項に移りたいと思います。
いじめ問題について、教育長にお伺いいたします。
去る4日に行われました自由民主党・湖翔クラブ、蔦田議員の代表質問にもございましたが、昨年の8月以来、小学生、中学生、高校生と、性別、年齢に関係なく、いじめを苦にみずからの命を絶つ事件が相次いでおり、我が滋賀県でもいつ発生してもおかしくない状況にあるだけに、子を持つ親の立場からも大変危惧するところでございます。
代表質問の答弁では、昨年11月に実施した調査では、1,207件の報告があり、その後の本年3月にも同様の調査を実施した際には683件と、524件の減少を見ていると報告がございました。各学校の教員を初めとする関係者の取り組みの成果があらわれていると評価されているところだと思いますが、県教育委員会として各市町を初め、生徒、保護者に至りますまで、実情に即した指導体制が望まれます。そこで、まず、生徒、保護者への対応について伺います。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)いじめ問題の生徒、保護者への対応についてでございますが、いじめは、人権を侵害する行為であり、子供たちの心に及ぼす影響が非常に大きく、どのような理由があっても決して許されないものであります。このため、各学校におきましては、いじめはどの学校にも起こり得るものとの認識を持って、本人からの訴えだけでなく、日常の観察や触れ合いを通して子供のサインをしっかり受けとめるとともに、また、家庭との緊密な連携などを通してその実態把握に努めているところでございます。
そのような中で、いじめ問題への対応は早期発見、早期対応が何より重要でありますことから、県教育委員会といたしましては、いじめの早期発見チェックポイントを作成し、各教員が子供たちのどのような変化も見逃さないように観察することとして、児童生徒に対しましても、日常のさまざまな教育活動を通じて、子供たちに思いやりや正義の心をはぐくむことに重点を置いた指導を行っております。
また、保護者に対しましては、いじめの未然防止には、学校と家庭が一緒になって子供たちに善悪の判断ができるように教えていくことが大切でありますことから、学校通信の発行や保護者懇談会の開催などによりまして、学校と家庭とのコミュニケーションを図り、子供の状況で何か気になることがあれば気軽に相談ができ、いじめが発生したときにも速やかに対応できる信頼関係づくりに努めているところでございます。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)ただいまの答弁でいただきました教員のチェックポイントの項目なのでございますが、もう少し詳しく、その内容等についてお伺いいたします。
◎教育長(斎藤俊信君) 教員のチェックポイントといたしましては、主なものとして、子供たちのSOSをキャッチしようということで呼びかけておりまして、学校では、学習の場とか生活の場においてそれぞれ、例えば、学習の場におきましては、遅刻、早退や欠席が目立ってくるというような兆候がないかとか、学習意欲がなくなり、成績がだんだん低下しているというような状況とか、授業中にうつむいていることが多くて発言を余りしなくなったなとか、机とか教科書とかノートなどに落書きされているとか、本人が発表すると周りの人にやじられたり笑われたりとか、自分たちの所属するグループから仲間外れにされているとか、そういった状況が見られたり、あと、自分が持っているものを壊されたりとか隠されたり、例えばシューズを隠されたりとかいろいろなこと、そういったことがあるかないか、その辺をしっかり見るようにとか、また、学校の生活の中で全般的に、どうも顔色がすぐれないなとか、また、どうも頭が痛いとか腹が痛いとか、保健室に行く頻度がかなり多くなったとか、用事がないのに職員室の前でうろうろしているとか、あとは、衣服がちょっと汚れていたとか、体にちょっと傷がついているとか、掲示物にいたずらされているとか、遊びの中でも、いつも何か仲間外れにされているとか、さまざまな学校の中での、日常の生活の中、また授業の中でそういった変化ということを敏感にキャッチするようにということで、そのチェックポイントを定めております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)大変丁寧な説明をありがとうございました。こういったことを本当に十分、現場で子供たちと顔を合わせる教員の皆さんの日々の努力といいますか、日常の業務が、子供たちがみずから命を絶つなどということがないように、しっかりと支えてあげてほしいということを、関係者の一人一人に熱望する次第であります。
県下の子供たちみずからも、いじめを許さない学校づくりに取り組む児童会や生徒会の取り組みが見られる報告もございました。教育長が4月の滋賀県PTA会長等代表者研修会のあいさつでも述べられたように、費用面からの支援とありましたが、これらの対応も含め、いじめゼロを目指した県教育委員会としての力強い今後の対応についてお伺いいたします。
◎教育長(斎藤俊信君) お答えいたします。
県教育委員会としての今後の対応ということでございますけれども、まず、いじめにつきましては、いじめは絶対に許さない、そういう気運というものをすべての学校現場で徹底することが非常に大事だと思っております。また、そのためには、いじめを絶対に許さない、いじめられている人を守り通すのだという姿勢を教師みずからが示して、子供たちや保護者にしっかりと宣言するということが非常に重要だと思っております。そういったことを校長会等を通じまして訴え続けてまいっております。
また、県教育委員会といたしましては、今後とも、教員一人一人に対して、日ごろから子供たちの、先ほど申し上げましたような、どのような小さな変化にも気づいていくように心がけること、また、子供たち自身の規範意識がはぐくまれるように、一層そういった重点的な指導をしていくようにということで考えております。
また、いずれにいたしましても、いじめの解決策は、まさにその現場となります学校にあるものと考えておりますが、一方では、学校だけでの対応には限界があることも事実でございます。県教育委員会といたしましては、緊急な事案が発生した場合には、今年度から新たに警察のOB、また教員のOBによります、いじめ緊急特別指導員を派遣するなどの体制をそろえ、関係機関とも緊密な連携を図りながら、学校、家庭、そして地域ぐるみで、また、生徒たちも自主的に自分たちで自分たちの学校からいじめをなくす、そういった取り組みについても我々は支援をしまして、地域ぐるみで一緒になって、明るい教育環境づくりが一層進みますように全力で取り組んでまいりたいと考えております。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)それでは、ただいまのそうした取り組みが、現在、実際滋賀県下で、警察のOBであるとか教員のOBの方が直接学校の現場に出向いて指導いただいている報告はあるのでしょうか。
◎教育長(斎藤俊信君) 現在、緊急にということではなしに、巡回で指導に当たっていただいています。緊急にそういうことが起こった場合には派遣するという形で、今、体制を組んでおります。
◆2番(奥村芳正君) (登壇)どんなささいなことも見逃さないという学校の教育現場の体制、そしてまた、地域も含めて、保護者に、そうした子供たちのSOSの発信の受け皿、こういったものを今後とも継続して訴えて、教育委員会としてリードをとっていただきたい。各市町でも、臨時の校長会を設けるなどして徹底した取り組みがなされているという報告を受けております。今後とも、粘り強く、滋賀県からこういったことを二度と発生させることがないようにお取り組みいただきたいと、このように思います。
本日は、県議会で初めての一般質問をさせていただきました。今日まで私も多くの市・県民の皆様と現場へ出向いての対話の中から問題解決へと取り組んでまいりました。知事とは国家観が同じく、今後とも継続した対話の中から、県民にとってわかりやすく、そして、元気な滋賀県政を目指して今後とも努めてまいりますことをお約束し、以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 以上で、2番奥村芳正君の質問を終了いたします。
最後に、7番成田政隆君の発言を許します。
◆7番(成田政隆君) (登壇、拍手)一般質問初日、最後の登壇となりました、民主党・県民ネットワークの成田政隆でございます。先輩の皆様方に御指導を賜りながら、県勢の発展のために粉骨砕身努力してまいります。どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、通告に従いまして、議員として初めての質問をさせていただきます。
まず初めに、よりよい教育環境の充実に向けて、教育長にお伺いいたします。
近年、社会環境が変動していく中、子供たちの目指すべき道も多岐多様となっております。一方で、少子高齢化が進んでいく中で、子供たちへの期待も大変大きくなっております。そんな中で、学校教育に向けた施策も日に日に変貌を遂げております。問題にぶち当たったら、場当たり的にすぐさま施策をかえ、その問題の根本を検証しないままにどんどんと新しい取り組みがなされ、その結果、現場は混乱している、これが今の教育の現状ではないでしょうか。
子供たちによりよい教育環境を提供したい、だれもが思い描くことではありますが、その前提として、教える側、つまり先生の側に立った際に、現在本当に十分に仕事のできる環境かどうかを、以下、お伺いしたいと思います。
教育におけるニーズが高まっていることに加え、教育システムの大きな変化や、児童生徒の不登校、学校崩壊も含めた問題の複雑化、保護者による過剰なる要求など、現在、教員にかかる負荷が増大し、その結果、心の病、いわゆるメンタルヘルス不調にかかっておられる方が多数おられます。昨年度末で早期退職された方が当初の予測よりも多かったと聞いております。その中でも、自律神経失調症やうつ病など、いわゆるメンタル疾患で苦しんでおられる教職員の姿を見て、これ以上仕事を続けていたら自分自身もつぶれてしまうのではないかと考え退職された方も多数おられると仄聞しておりますが、早期退職者が増加した理由をどのように認識しておられるでしょうか。また、メンタルヘルス対策の
取り組み状況もお伺いいたします。
次に、教職員の過重なる負荷を低減していくための施策に関してお伺いいたします。
まず、心の負荷を軽減していくためには、何よりも教職員が抱えている悩みなど、話を聞いてもらうことが重要であると考えます。そこで、教職員が教務に関して相談できる体制の充実、機動的な学校運営の構築に向け、今国会において、副校長、主幹、指導教諭の導入が現在審議されております。東京都教育委員会では既に平成15年度には主幹を、平成17年度には副校長制度を導入しております。また、各地では先行して取り組みを行われておりますが、それらの制度をどのように評価し、今後、滋賀県の制度設計の際にどのように反映していくか、お伺いいたします。
次に、職務においてですが、近年、業務員を削減している自治体が全国でふえてきていると聞いております。これにより、教職員にさらに過重な仕事が積み重ねられているところもございます。本来、子供と向き合う時間、そして、子供に十分なる内容を教授するための準備時間が削られることにもなりますが、本県ではそういったことがないか、教育長にお伺いいたします。
最後に、何よりも子供一人一人に目が届くことが教員にとって一番の良薬であります。現場の先生から聞きますと、子供たちがみずから課題に対して調べ物をする際に、コンピュータールーム、図書室など、さまざまな部屋において作業に取り組む折に、担任の先生は細心の注意を払いながら各部屋を往復されている状況や、また、図書を購入の際には、ブックカバーや貸し借りカードの張りつけ作業など、図書司書の先生がおられたらといった意見も聞いております。また、授業中に飛び出した児童生徒を追いかけたりしたときにフォローをしていくためには先生が足りないといった声も聞いております。
人員の不足に関して、さまざまなお話を現在聞いております。子供たちへのさらに行き届いた教育のためには人員の拡大が必要不可欠であると考えます。順次35人以下学級の数はふえているものの、中学校において、受験を控え、さまざまな不安を抱えている3年生に、進路指導を初め、より目配りがしやすいように早急に対応を願いたいといった声なども聞きますが、今後の35人以下学級の拡大に向けた取り組みのスケジュールに関してお伺いいたします。
子供たちが大きな夢や希望を抱くために、子供たちに十分なる教育を提供していくために、その根本における指導者の環境を、多忙化の解消も含め充実しなければなりません。子供たちの未来のために教育施策の充実を願い、この項の質問を終えます。
次に、災害時の危機管理体制に関して、知事および
県民文化生活部長にお伺いいたします。
琵琶湖西岸断層帯においては、今後30年以内に地震の発生する確率は0.09%から9%であり、全国で7番目に高い数値であります。ちなみに、兵庫県南部地震、いわゆる阪神・淡路大震災の発生直前の確率は0.02%から8%であり、我が県においていつ地震が起こってもおかしくない状況にあります。
いつ起こるかわからない災害に対して、食いとめることはできません。しかし、被害の拡大を食いとめることは可能であると言えます。ちょっとした意識の変革により被害が縮小されます。その意識の改革に向けて、日ごろから市町や消防局、消防団、また、地域の自主防災組織、自治会などが、さまざまな非常時対応の普及活動を行われております。地域の皆様方のお力に感謝したいと存じます。
さて、この4月に防災危機管理監を配置し、そのもとに防災危機管理局が設置されましたが、組織改編された知事の思いをお伺いいたします。
阪神・淡路大震災による犠牲者の年齢分布を見ますと、65歳以上の死亡率が高い状況にありました。また、死亡時刻は、80%は地震発生後14分以内で亡くなっておられ、20%は、迅速な助けがあれば多くの命が救われている可能性があります。
そこで、ひとり暮らしの高齢者や障害者、いわゆる災害時要援護者など、緊急時に即座に避難できない方々の把握は現在どのようにしておられるのでしょうか。また、要援護者に対して個人情報保護の重視により制約がある状態ですが、要援護者に対し、非常時にどのように行動すればいいかなどの緊急時対応の周知、また、近隣住民との日ごろからのコミュニケーションによる共助、公助の促進など、被害縮小に向けた
取り組み状況を、以上、知事にお伺いいたします。
さらに、災害時要援護者の中には、日本語を話せない、読めない外国人も含まれます。滋賀県において、近年、外国人が増加しております。災害の混乱の中で、地震など、何が起こったのか、また、どこに避難すればよいかなど、情報を十分に得られない外国人に対して、例えば複数の外国語による外国人向けの災害情報をホームページにて告知したり、メールによる情報配信を行ったりなどの手法がありますが、どのように情報を伝達されるのでしょうか、
県民文化生活部長にお伺いいたします。
災害が起こった際にはだれもが不安になります。とりわけ、生活に何らかの障壁を持たれた方にとっては非常に心配な事柄であります。何とぞ危機管理体制を充実し、県民の安心・安全のまち滋賀となるように願い、質問を終わります。
次に、滋賀県の観光PRに向けた取り組みに関して、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
ことしは、ひこにゃんブームなど、国宝・彦根城築城400年祭に多くの方が訪れておられます。また、昨年は大河ドラマ「功名が辻」、一豊と千代ブームにより長浜市に多くの方が来られました。本来、滋賀県は自然と歴史のあふれる大変すばらしいまちであります。できるだけ多くの方に滋賀県の地に足を運んでもらい、自然にいやされ、歴史を堪能していただきたい、そんな思いでございますが、まだまだ京都府や奈良県に比べると観光都市として知名度も低い状況であります。
実際に国宝指定件数において55件と、全国で5番目であり、うち、建造物においては、奈良県、京都府に次いで22件と、全国3番目であります。また、重要文化財指定件数におきましても804件と、全国4番目であり、建造物は、これまた京都府、奈良県に次いで174件と、全国3番目であります。しかしながら、滋賀のイメージといえば、ほとんどが琵琶湖と答える状況であります。そして、観光客の来県数に関しては、社団法人日本観光協会編集の数字で見る観光2006年度版の都道府県別観光地入り込み客統計では、平成16年は4,368万人で、全国では23位となっております。平成12年の4,271万人と比べても、微増はしているものの、ここ数年横ばいの状況と言えます。
より多くの観光客に来ていただくために新たなる観光資源の創造も行われ、滋賀ロケーションオフィスの熱心なる誘致により、木村拓哉さん主演の「武士の一分」のロケが彦根市で行われたり、「男たちの大和/YAMATO」のロケが、日本棚田百選にも選定されている高島市畑地区で行われたりしました。これらの土地をPRし、映画の舞台を見てもらうのも一つの滋賀県のPRとしての展開だと思いますが、近年において、ロケ地の誘致だけではなく、香川県の讃岐うどんが題材となった「UDON」や、常磐炭鉱の人々を取り扱った「フラガール」など、映画がきっかけとなり、さらに観光客を呼び込んだ事例もあります。
そこで、滋賀県としてさらに多くの方に滋賀県の魅力を味わってもらうために、地域資源をどのように掘り起こし、PRを行っていくのか、お伺いいたします。
また、近年、地方自治体が、大都市圏で特産品や名産物の販売により消費者の反応を調査して、地域の物産の消費者ニーズをマーケティングするアンテナショップが増加しております。東京の有楽町、銀座においては、ふるさとアンテナショップめぐりができるほど各地域の特性を生かした店があります。
和歌山県のアンテナショップわかやま喜集館においては、和歌山県の高野、熊野など観光情報の発信や、梅やミカンなど特産品を販売するだけでなく、さらなる販路の拡大に向け、日々営業を行われ、食品流通課を中心に卸売市場法に関する業務、市場を通じた農産物の販路拡大に関する業務等を加え、農産物を初めとする県産品の販路拡大、流通対策に関する業務を総合的に実施しておられます。
また、富山県では、ブルーベリー摘みやカブの収穫、農業入門講座など、富山県内において農業を体験するとやま帰農塾の案内や、立山連峰における山岳警備隊の講演などを行われたりし、富山県に行ってみたいと思わせるプログラムを展開されています。
滋賀県も、同じ東京交通会館内に滋賀県東京観光物産情報センターがありますが、現在におけるセンターの活動内容と集客状況をお伺いいたします。
そして、今後、東京都における滋賀県の地域ブランドの発信の基地としてどのような活動を展開されるのか、あわせてお伺いいたします。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 7番成田政隆君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)成田議員の災害時の危機管理体制についての3点の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、1点目の防災危機管理体制を強化した私の思いでございます。
ことし3月には、これまで発生が余り予測されていなかった能登半島で震度6強の地震が発生し、また、4月には三重県中部で震度5強の地震が発生するなど、地震はどこで起こっても不思議のない状況でございます。本県でもかねてより、琵琶湖西岸断層帯を震源とする地震や東南海・南海地震の発生も予測されておりまして、地震防災対策の重要性はますます高まってきております。また、近年では、温暖化による集中的な大雨による洪水あるいは土砂災害等が多く発生しておりますし、さらには、テロなどの緊急対処事態あるいは突発的な大規模事故など、さまざまな災害への迅速かつ的確な対応が求められております。
こうした状況の中、大規模な災害や緊急対処事態の発生時にトップダウンで迅速な対応ができる体制とするため、従来の組織体制から防災危機管理局に改編し、より機動的で臨機応変な体制がとれるよう、局内をチーム制としたところでございます。また、責任体制の明確な防災危機管理体制とするため、部長級の防災危機管理監を配置し、体制の強化を図ったところでございます。
今後、全庁的な危機管理意識をさらに高めながら、県民の皆様の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の高齢者や障害者など、災害時における要援護者の把握についてであります。
この4月1日現在の県内市町を対象にした調査では、防災部局と福祉部局との情報共有方式によるものが1町、福祉部局によるものが3市町、要援護者本人からの申し出による手挙げ方式によるものが2市、また、要援護者本人に情報共有の同意を得る同意方式によるものが2市町であり、それぞれ要援護者情報の収集を進められていると承知しております。
しかし、残る18市町につきましては、一部の自治会や自主防災組織、民生委員などで自主的に情報を収集し、避難時に要援護者に声をかける仕組みが構築されているところもございますが、行政としては、具体的な取り組みがまだ進んでいないといった状況でございます。
次に、3点目の要援護者の被害縮小に向けた取り組みについてお答えをさせていただきます。
議員御指摘のように、高齢者や障害がある方たちは、災害時に情報を入手することや自力で避難することが困難であるおそれが多いことから、県や市町、防災関係機関、地域が連携して、きめ細やかな情報を伝えることや、避難を支援する体制の整備が必要でございます。このようなことから、県では平成14年度に、市町が住民向けに作成する障害者等防災マニュアルの策定指針を作成し、平成17年度には市町で要援護者の避難支援体制の構築を促進する避難支援対策マニュアルを作成するなど、市町に技術的な助言を行ってきたところでございます。
今後、要援護者の被害を縮小するためには、まずは市町において早期に要援護者を把握していただき、個別の状況に応じた避難支援プランが策定されるよう、さらに積極的に市町を支援してまいりたいと考えております。
私自身も先日、日野町西大路地区の方々のお話をお伺いする機会がございましたが、地域が結束して、まず身近な小さな、近所数軒の組織から、災害時要援護者対策に取り組んでおられる姿に接しました。自分たちの命や地域は自分たちで守るといった自助、共助の取り組みがしっかりと地域に根づいてきていると実感いたしました。
今後、このような地域の事例がモデルとなって、県内の各地域に広がり、定着していきますよう、県と市町が連携して災害時要援護者施策を進めてまいりたいと考えております。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)災害時の危機管理体制の質問のうち、災害時における外国人への情報の伝達についてお答えいたします。
日本語を話したり読んだりすることができない外国人の方については、災害時に支援が必要な要援護者でありますことから、災害が発生した場合に適切に避難できるよう、必要な情報を伝えることが、災害時要援護者対策の課題の一つであろうと認識しております。
外国人の方につきましても、先ほど知事の答弁にもありましたように、まずは市町において個別の状況に応じた、災害時要援護者の避難支援プランの取り組みの中で進めていただくのが基本であろうと考えております。しかし、地震の発生という突発的な状況を想定いたしますと、地震を全く経験していない外国人も多数住んでおられることから、適切な心構えを身につけていただく必要がございます。このため、今年度、滋賀県国際協会の協力をいただきながら、6カ国語の地震防災啓発
パンフレットを作成するとともに、県のホームページに掲載するなど、外国人の方に対する情報提供に努めてまいりたいと考えております。
◎
商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)滋賀県の観光PRに向けた取り組みについて、2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の滋賀県の魅力を味わってもらうために地域資源をどのように掘り起こし、PRを行っていくのかという御質問でございます。
本県の観光魅力を高めていくためには、県内の観光資源を改めて見直し、さらに磨きをかけることや、祭り、伝統行事などの潜在的な資源を掘り起こすことは大変重要なことであると考えております。琵琶湖環状線の開業に合わせて、JR西日本と共同で取り組みました、びわこキャンペーンでは、観光資源の素材の再発掘と整備を図るため、それぞれの観光資源の素材をテーマに紹介していくこととし、単なる施設の紹介ではなく、そこにボランティアガイド、語り部など付加価値をつけてお迎えの体制を整備していくこととしています。
また、滋賀ロケーションオフィスは、平成14年4月に開設以来、これまでの映画やテレビなどの撮影実績は、延べ500件を超えております。ロケ地となった地域では、来訪者がふえた事例もあると聞いております。
さらに、本県には琵琶湖を初め、それを取り巻く山々などの貴重な自然や、地域で営まれてきた環境に配慮した活動など、滋賀ならではの資源がございます。地域資源を生かしたエコツーリズムなどの自然体験型の観光を進めていくこととしております。
今後とも、滋賀県の魅力を多くの方に知っていただき、興味や関心を持っていただくために、本県の観光資源の素材発掘に努めるとともに、旅行商品の造成やマスコミへの情報提供など、さまざまな手法により、琵琶湖を初めとする滋賀の魅力を広く内外にアピールしてまいりたいと考えております。
2点目の東京観光物産情報センターについての御質問でございます。
まず、センターの活動内容と集客状況についてでございますが、センターの日常業務としての仕事は、来所者への観光案内、資料提供、在京観光物産業者との連絡、そして報道機関等への資料提供などを行っております。
平成18年度にセンターに来られた方は3万9,100人余りでございまして、電話の問い合わせが5,000人弱、写真、図書、ビデオの貸し出しが142件ほどでございます。
今後とも、きめ細かな対応による情報提供を行い、滋賀ファンの拡大に努めてまいりたいと考えております。
こうした業務のほかにも、首都圏から本県への来訪者の誘致促進を行うために、都内で観光キャンペーンを実施し、近畿府県合同でマスコミへの情報提供もやっておりますし、さまざまな企画や活動を通して積極的に情報を発信しております。また、本県の、より魅力的な旅行商品を造成するために、首都圏の旅行会社を訪問し、いろいろな提案や資料提供を行っております。例えば昨年度では、大手旅行会社のフリープランにおいて、JR西日本のフリー区間設定の商品化にも成功するなど、本県への誘客促進につながる地道な活動を展開しております。さらに、都内の百貨店におきまして滋賀のお国自慢名物展や近江うまいものめぐりを開催するなどいたしまして、首都圏での県産品の広報、宣伝を行い、販路拡大に努めております。
最後に、センターの今後の展開でございますけれども、滋賀県の露出度を拡大するために、今まで以上にマスコミや情報誌に滋賀のPRを働きかけることはもとより、首都圏を中心に、琵琶湖を初めとする地域資源を生かして、学習、体験、交流といった学びをテーマとした新しい旅行商品や、滋賀ならではのエコツーリズムなどのPRを通じまして、滋賀の奥深い魅力を訴えることのできる情報発信の基地にしてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)よりよい教育環境の充実に向けての御質問のうち、まず、早期退職者が増加した理由についてでありますが、個々の退職理由につきましては、一身上の都合となっておりますが、厳しい学校現場における体力面での不安や病気などの理由もありますものの、お聞きしているところでは、介護の必要性と家庭事情から退職を選択される方も多いという現状でございます。
また、本県教職員の年齢構成を見てみますと、50歳代の教員が全体の約4割を占めております。昨年度の退職者は8割が50歳代の教員でございました。定年前の退職者数の増加につきましては、50歳代の教員の絶対数が多いということも、その原因と認識しております。
次に、メンタルヘルス対策の
取り組み状況についてでありますが、平成18年3月にメンタルヘルスの対策を総合的かつ体系的に取り組むため、滋賀県教育委員会職員メンタルヘルス対策指針とあわせて、復職支援要綱を策定し、予防のための啓発教育から早期発見、早期対応、さらには、円滑な職場復帰と再発予防に至るまでの各段階に応じたケアの体制を整備し、対応してまいっているところでございます。
また、市町教育委員会に対しまして、こうした県教育委員会の取り組みを参考に、必要な対策が講じられますように要請してきたところでございます。
具体的な取り組みといたしましては、総合教育センターにおけます公立学校教職員の10年経験者研修に際しまして、昨年度からメンタルヘルスの科目を取り入れますとともに、共済組合や互助会事業としてメンタルヘルス相談や、いつでも電話で相談できる健康相談24を設けているところでございます。
さらに、各職場におきましては、それぞれの管理職は職員の健康管理に対して重要な役割を担っておりますことから、県立学校では、教頭等管理職を対象に、心と体の健康づくりセミナーを開催し、講義や実技を通してメンタルヘルスの基礎知識の習得や、職員への接し方などのスキルの向上に取り組んでおります。また、本年度は、市町教育関係の管理職に対しましても、その役割などをテーマに、学校における安全衛生管理者研修会を開催することとしております。
子供たちにとって質の高い滋賀の教育環境を整えるためには、何よりまず、現場で頑張っております教職員の心身の健康を保つことが第一でありますことから、今後とも、市町教育委員会と連携を図りながら、引き続きメンタルヘルス対策の強化、充実を図ってまいる所存でございます。
次に、副校長、主幹、指導教諭の導入についての御質問にお答えいたします。
まず、制度をどのように評価しているのかでございますが、学校の組織を整え、校務の整備や教諭への指導、助言等のできる体制を構築することは、学校を活性化し、業務の効率化を図る上で必要な対応の一つであり、ひいては教諭の負担軽減につながるものであると考えております。具体的な定数や、その組織上の役割等はまだ明確にされてはおりませんが、学校の組織運営の改善のために、制度の改正には一定の効果が期待できるものと受けとめております。
次に、今後の制度設計にどのように反映していくかでございますが、本県におきましては、教職員の新しい人事評価制度の試行を踏まえつつ、本格的導入に向け、幅広い調査研究を行う中で、学校の組織運営に関する調査研究委員会を昨年度設けておりまして、新しい職の設置などの検討もお願いしております。県教育委員会といたしましては、この委員会の議論や国の動向を見きわめつつ、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
次に、業務員の削減についてお答えいたします。
現下の国、地方を取り巻く極めて厳しい行財政状況のもと、全国的に公務部門の全般にわたりまして人員削減が進められ、業務員の職種にもその影響が及んでいるところであります。本県におきましても、厳しい行財政事情を背景に、平成17年度末には業務員の配置体制について、学校運営に留意しつつ、退職補充において一部嘱託化を導入してまいったところでございます。
今後も、業務員の配置体制につきましては、教育現場における本来の職務に支障が生じることのないよう、十分配慮してまいりたいと考えております。
次に、35人学級編制の拡大についてでありますが、平成15年度から導入してまいりました35人学級編制は、今年度から小学校3年生に拡大を図り、小学校1年生から3年生、および中学校1年生におきまして、県下すべての市町立学校で実施したところでございます。
また、小学校では、4年生から6年生のうち、各学校の事情に応じて、いずれか1つの学年で35人学級編制が実施できるよう拡充してまいったところでございます。
本県のこうした少人数学級の拡充は、全国的にも先進的な取り組みと認識いたしておりますし、学校現場からは、担任教員が、子供がどこでつまずいているかよくわかり、教えやすくなったとか、子供たちに声をかける機会がふえ、子供たちと信頼関係がつくりやすくなったというような評価をいただいております。
今後の対応につきましては、これまでの少人数学級編制の導入効果を十分検証した上で、また一方、そのことにより必要となる教員の人材確保はもとより、県の財政状況に伴う課題なども十分踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○議長(出原逸三君) 以上で、7番成田政隆君の質問を終了いたします。
以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。
明12日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時9分 散会
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