滋賀県議会 > 2006-12-13 >
平成18年12月定例会(第24号〜第30号)−12月13日-05号

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  1. 滋賀県議会 2006-12-13
    平成18年12月定例会(第24号〜第30号)−12月13日-05号


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    平成18年12月定例会(第24号〜第30号)−12月13日-05号平成18年12月定例会(第24号〜第30号)  平成18年12月滋賀県議会定例会会議録(第28号)                                       平成18年12月13日(水曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         平成18年12月13日(水)                                         午 前 10 時 開 議 第1 議第152号から議第170号まで(滋賀県認定こども園の認定に関する条例案ほか18件)(質疑、質問)            ─────────────────────────────── 本日の会議に付した事件 第1 日程第1の件            ─────────────────────────────── 会議に出席した議員(46名)    1番   石  田  祐  介  君   2番   宇  賀     武  君    3番   福  本  庄 三 郎  君   4番   若  山  秀  士  君    5番   上  田  昌  之  君   6番   蔦  田  恵  子 さん    7番   小  寺  裕  雄  君   8番   太  田  正  明  君    9番   田  中  章  五  君   10番   山  田     実  君
       11番   西  川  勝  彦  君   12番   岡  崎  基  子 さん    13番   大  井     豊  君   14番   河  部  哲  幸  君    15番   森     茂  樹  君   16番   桐  山  ヒ サ 子 さん    17番   北  野  加 代 子 さん   18番   谷     康  彦  君    19番   中  沢  啓  子 さん   20番   徳  永  久  志  君    21番   出  原  逸  三  君   22番   青  木  愛  子 さん    23番   山  田  和  廣  君   24番   山  田  尚  夫  君    25番   辻        貢  君   26番   小  杉  武  志  君    27番   佐  野  高  典  君   28番   三  宅  忠  義  君    29番   上  田     彰  君   30番   家  森  茂  樹  君    31番   清  水  克  実  君   32番   吉  田  清  一  君    33番   杼  木  捨  蔵  君   34番   辻  村     克  君    35番   赤  堀  義  次  君   36番   世  古     正  君    37番   三  浦  治  雄  君   38番   中  村  善 一 郎  君    39番   黒  田  昭  信  君   40番   上  野  幸  夫  君    41番   橋  本     正  君   43番   滝     一  郎  君    44番   黒  川     治  君   45番   梅  村     正  君    46番   朝  倉  克  己  君   47番   沢  田  享  子 さん            ─────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ─────────────────────────────── 会議に出席した説明員              知事              嘉  田  由 紀 子 さん              教育委員会委員長        高  橋  啓  子 さん              選挙管理委員会委員長代理    深  田  作  治  君              人事委員会委員長        市  木  重  夫  君              公安委員会委員長        吉  田     修  君              代表監査委員          中  森     武  君              副知事             澤  田  史  朗  君              出納長職務代理者        山  本  良  助  君              政策調整部長          近  藤  月  彦  君              総務部長            谷  口  日 出 夫  君              県民文化生活部長        中  村  順  一  君              琵琶湖環境部長         伊  藤     潔  君              健康福祉部長          井  上     正  君              商工観光労働部長        河  本  光  明  君              農政水産部長          橋  本  俊  和  君              土木交通部長          吉  岡     淳  君              企業庁長            太  田     剛  君              病院事業庁長          川  尻  嘉  徳  君              教育長             斎  藤  俊  信  君              警察本部長           永  野  賢  治  君            ─────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事務局長            金  森  保  明              議事調査課長          吉  田  哲  也              議事調査課課長補佐       西  島  義  昌            ───────────────────────────────   午前10時8分 開議 ○議長(赤堀義次君) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(赤堀義次君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員深田作治君が出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(赤堀義次君) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第152号から議第170号まで(滋賀県認定こども園の認定に関する条例案ほか18件)(質疑、質問) ○議長(赤堀義次君) 日程第1、議第152号から議第170号までの各議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、6番蔦田恵子さんの発言を許します。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇、拍手)おはようございます。一般質問3日目、最終日のはずが中日となりました。ため息が聞こえてきそうですけれども、私からは、分割質問の方式で2つのテーマについて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、循環型社会づくりに向けた実践的な取り組みについて、こちらはすべて知事に質問いたします。  20世紀を通じて実現されました私たちの豊かな生活様式は、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムによって成り立っております。しかし、今やこのシステムは、ごみ問題を初めとしまして、資源、エネルギーの枯渇、地球の温暖化、有害物質の拡散など、豊かさとは相反する多様な問題を生み出しておりまして、現代社会を脅かす脅威の一つとなっていると言っても過言ではありません。さらに、今後、中国やインドを初め、途上国の人たちの生活水準が向上することによって、この動向は加速するものと考えられます。  したがって、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムから脱却して、生産、流通、消費、廃棄に至るまで、資源、エネルギーの効率的な利用やリサイクルを進めることによって、それらの消費が抑制され、環境への負荷が少ない循環型社会を形成する施策を進めていくことが重要な課題であります。  国におきましても、過去五、六年の間に循環型社会形成推進基本法の制定を初め、廃棄物処理法再生資源利用促進法の改正、さらには、建設資材リサイクル法食品リサイクル法グリーン購入法などリサイクル関係法令の制定、循環型社会形成推進基本計画の策定などによって制度整備がなされております。また、県ではことし6月に、みんなで築く資源循環型社会を基本的方向とする第二次滋賀県廃棄物処理計画の策定や、リサイクル製品認定制度の創設と運営によって取り組みが進められているところです。  しかし、こういったさまざまな取り組みにもかかわらず、リサイクルおよび循環型社会づくりは順調に進んでいるとは決して言えません。例えばペットボトルのリサイクルに関して見てみますと、我が国のリサイクル率は年々飛躍的に伸びておりまして、2005年で63.7%となっております。これは、ヨーロッパのおよそ2倍、アメリカの3倍となっておりますが、生産量も同時にふえ続け、過去5年間で3割以上増加しています。このことは、資源、エネルギー消費および二酸化炭素の排出量、さらにはリサイクル費用にかかる経費の増加を意味しておりまして、決して手放しで喜べるものではありません。本当の循環型社会は、リサイクルが進むだけではなく、経済的にも有効なものでなくてはならず、トータルコストの面から判断されるべきものであり、社会経済システムのさまざまな局面において実践的な取り組みが進められなければなりません。  このような観点から知事にお伺いいたします。  まず、第二次滋賀県廃棄物処理計画において、資源循環をさらに進める観点からは、生ごみ等の生分解性有機資源について、地域に適した資源化を県民や事業者、行政が連携しながら取り組んでいきますとし、各種施策の方向性を掲げておられますが、今後、戦略的に有効で優先的に取り組むべき施策はどのようなものがあると考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。  2つ目、具体的な課題として、琵琶湖の水草や藻の処理についてお伺いいたします。  現在、県の事業などで刈り取ったり除去した水草や藻はどのように処理されているのでしょうか。また、これら水草などが家畜などの飼料や、あるいは可能性として薬品の原料として利用できると考えられております。特に飼料化は事業の可能性が大いにあると考えられておりますけれども、このような可能性についての知事のお考えをお聞かせください。  3つ目、さらに、食品廃棄物リサイクルに関してですが、県内の事業所からの廃棄物が飼料として有効に活用されている例が幾つかございます。しかし、学校給食の現場においては、単純な引き取り経費が安いかどうかによって判断されておりまして、リサイクルが進まず、焼却処分されている例が多くあるようです。さきに申し上げましたように、地球環境問題も視野に入れたトータルコストの観点から、県内においても飼料化などに向けた取り組みが促進されるよう支援すべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。  以上、知事の御見解をお伺いいたします。 ○議長(赤堀義次君) 6番蔦田恵子さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)蔦田議員の循環型社会づくりに向けた実践的な取り組みについての3点の御質問にお答えをさせていただきます。  まず、この実践的な取り組み、基本は4点あると考えております。出さない、まぜない、運ばない、隠さない。私は4つの「ない」と言っておりますが、この4点に照らし合わせて合理的な仕組みを考えることが実践の上では大切であると思っております。  1点目の生ごみ等の資源化に向けて優先的に取り組むべき施策についてでございますが、家庭から出る廃棄物の3割から4割を占める生ごみにつきましては、ほとんどが資源化されずに処理されているのが現状であります。そもそも食べ物を大切にするというのは、私自身が訴えさせていただいております「もったいない」という生活哲学の意識の基本にあります。そのことから、食べ物を安易に捨てることをやめる、資源化の前に、まず食べ物がごみにならないように、出さない、排出抑制の取り組みを進めていきたいと考えております。その上で出てきた生ごみについては、水切りの徹底、資源としての再利用を進めていきたいと考えております。  生ごみの資源化につきましては、これまで、家庭単位でのコンポスト化の取り組みに対して市町から補助を行うというのが中心でありました。今後は、地域ぐるみ、市町ぐるみの仕組みとして整備されていくことが必要であります。甲賀市や米原市におきましては既に地域ぐるみの堆肥としての利用が先進的に進められております。県としましても、現在、県南部地域をモデル地域といたしまして、生ごみ等の資源化手法について、環境負荷、コスト面を含めて、関係市とともに検討を進めており、また、市町の生ごみ資源化の計画づくりやモデル的な取り組みに対する助成も行っております。  さらに、農村における家畜排泄物などの農林水産資源や、有機性廃棄物の利活用を推進するため、市町が行うバイオマスタウン構想の策定、また、その構想実現のためのソフトの取り組み、施策整備につきまして、国の交付金を活用して支援を行っております。  現在一部の地域で進められている実践的な取り組みや県南部地域でのモデル検討結果を踏まえ、今後、市町ともに議論を進め、生ごみ資源化の方針を定めるなど推進方策を示し、これに基づき市町での計画策定、実践取り組みに対する指導、支援を行っていきたいと考えております。  次に、2点目の水草の処理についてであります。  今回の議会でも御質問が幾つも出ておりますように、現在、琵琶湖南湖での水草繁茂が大きな問題になっております。県におきましては、専用の刈り取り船で年間約3,000トン前後の水草を刈り取っております。これらは、現在のところ、仮置き場で乾燥させ減量化した上で、県内数カ所の農地において有効活用しているところでございます。  さらに、新たな水草の利活用策を見出すため、平成15、16年度の2カ年において、バイオガス化、炭化による土壌改良材等としての利用、あるいは植物を生育するための植生マットの製品化などの検討を重ねてまいりました。この結果、いずれも良好な成果が得られ、水草がこれらの原料として適応性が高いことが確認され、平成17年度にはびわ湖環境ビジネスメッセ等において民間企業等にこれらの結果の利用を働きかけてまいりましたが、施設整備あるいはランニングコストなどの採算性の面から、今まだ市場化には至っていない状態でございます。  御提案のありました水草の飼料への活用についても、全国的に研究機関あるいは民間企業等において研究開発がなされておりますが、まだ実用化には至っていないと聞いております。  県としましては、こうした活動の情報収集に努めますとともに、民間企業等における水草の有効活用への意欲的な事業に対しては、できる限りの協力をしていきたいと考えております。さらに本年度は、専門機関に委託して、水草に含まれる成分が除草剤あるいは医薬品として活用できないか、調査研究を新たに始めているところでございます。  最後に、3点目の食品廃棄物リサイクルに対する支援についてでございます。  事業所から排出される食品廃棄物につきましては、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせて、県内で年間約8万トンが排出され、そのうちの2割が資源として利用されている状況であります。食品廃棄物の資源化を進めることは重要な課題でありますことから、県では今年度から、県内の民間業者が食品製造業等から排出される動植物性残渣──残り物あるいは有機性汚泥等産業廃棄物を有機性資源として活用するための施設整備を行う場合の経費に対して補助を行っております。また、廃棄物の減量化、資源化のための技術研究開発に係る経費に対しても、引き続き補助を行っております。さらに、学校給食から出る廃棄物につきましては、学校単位や給食センター単位で、国の助成制度を活用しながら堆肥化の取り組みを行っているところでございます。  食品廃棄物は資源としての活用が可能ではありますものの、コスト面での課題も抱えており、国における食品リサイクル法の見直しの議論の中でも検討課題となっております。県としましては、こうした議論の行方を見定めながら、実践の上での4つの「ない」──出さない、まぜない、運ばない、隠さないの原理のもとに、議員からの御質問にございましたような好事例を参考にしながら、関係者が協力して資源循環のルートをつくり上げ、今後とも深く検討してまいりたいと考えております。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)琵琶湖から年間約3,000トンの水草が刈り取られ除去されているということでございまして、その刈り取った水草を乾燥させて堆肥化して農地に還元しているというお話でありましたが、一部、この刈り取った水草を焼却処分もしているというふうな話も聞いておりますけれども、すべて農地に還元するという形で有効活用されていると認識してよろしいのでしょうか。知事にお伺いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)水草の農地での利用には2種類の意味がございます。1つは、土壌の改良剤としてでございます。2点目は、窒素、りんなどの肥料効果を農地において作物に使うというケースでございます。このいずれかの点において、かなりの部分、3,000トンが農地に還元されておりますが、課題がないわけではございません。  特に水草の中に含まれておりますごみ、例えば釣りの針などは、農地に還元したら、逆に危険なものになります。そのようなところで、必ずしも農地還元がそのままうまくいっているわけではございませんので、今後さらに検討が必要と思います。  それから、そのもとにありますのは、琵琶湖のごみそのものを減らすことが、実は水草の循環的利用にも大変重要なきっかけ、あるいは条件であるということも同時に理解していただかなければいけないと考えております。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)食料残渣について、給食を例に挙げさせていただいたのですけれども、私が聞いたところによりますと、残った給食が日々1トンぐらい、県内全域で大変な量が発生しているということで、この処分に係る費用、これが今ほとんどが焼却処分されているということで、焼却処分する方が、処分する費用というコストの面からは非常に安くつく。この食料残渣を有効に活用しようとすれば、それだけ処分にも費用が発生するという、このコストの面から、今、なかなかこの有効活用というものが進まないという現実がございます。目の前のコストが安いか高いかということで判断するのか、それとも、環境政策ということで政策としてしっかりと県が打ち出して、この取り組みを進めていくのかどうかという方向性をしっかりと姿勢として示すべきであると私は思うのですけれども、改めて知事の考えをお伺いしたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)議員御指摘のように、食品のリサイクル──再利用につきましては、コストが見合わないというところから、なかなか市場化されておりません。しかし、このコストには2種類のコストがございまして、1つは、市場の中でのコストでございます。目先のコストと蔦田議員がおっしゃいました。この目先のコストというのが、まさに市場の中で見合うコストであるかどうか。例えば、食品の残渣を農地に還元したときに、そこで市場のコストとして比較されるのは化学肥料との肥料的価値でございます。現在、日本では化学肥料が全体的に安いというところから、食品残渣を有機物として利用するコストよりも化学肥料のコストが安ければ、それは生産者として選択できないという問題になります。  ところが、この循環型社会においては、もう一つのコスト、つまり、環境的コストがかかるわけでございます。本来、窒素やりん、あるいは有機物として活用できるものをプラスの、例えば石油をかけて燃やすということ、これは社会的コストあるいは環境的コストとして市場化されないコストになります。環境問題を考えるときには、この市場化されないコストをだれが支払うのかというのが原理的に大変重要でございまして、行政としては、短期的には市場化されないけれども、長期的に地域社会の環境保全あるいは地球環境保全に対して重要だと判断される場合には公費、つまり税金を入れさせていただくわけでございます。  そのようなところで、県としても、例えば給食の残渣について、その資源化に税金を入れさせていただくという判断は今後させていただかなければならないと考えております。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)今の御答弁、十分理解をしたのですけれども、給食の食料残渣ということに限って言いますと、市町任せにしていては、今、どこの市も町も財政難でございますので、やはりそのコストということに関して考えれば、なかなか進まないと思いますので、県行政として資金的なサポートをしていくということも含めてお考えいただければと思います。循環型社会と言葉で言っても、こういった面をしっかりと見据えて進めていかなければ、言葉だけのものに終わってしまうと思いますので、早急な取り組みをしていただければと思います。  では、次の質問に移らせていただきます。続いては、文化財保護の取り組みについて、知事と教育長に質問をいたします。  滋賀県は歴史的文化遺産の宝庫でありまして、国指定の重要文化財の数は、皆様御承知のように、東京都、京都府、奈良県に次いで全国4番目の多さを誇っております。日本の重要文化財の6%を滋賀県が持っているということになります。この数字にあらわれておりますように、歴史的にも文化的にも恵まれた環境にある滋賀県でありますけれども、実際、観光や教育、また、我が市、我が町を誇りに思う心の育成に十分生かされていないと私は受けとめております。  生かされていないどころか、先人から脈々と時代を超えて受け継がれてきた、すばらしい文化財の数々がこのままでは朽ちてしまう、あるいは姿を消してしまう可能性もあるという危機感を私は持っております。
     知事に質問いたします。知事は、「もったいない」を生かす県政を推進するとおっしゃっております。また、滋賀の持っているものを生かさなければ「もったいない」ともよくおっしゃっております。知事の「もったいない」の概念の中で、文化財保護というのはどのようなとらえ方になるのでしょうか、お聞きいたします。  滋賀が持っているものを生かすためには、大切にしなければならない。大切にといいましても、長い年月を経ているものは、手を加えて修復をしなければならず、修復となれば、当然、相応の費用が発生するわけです。危機的な財政難の中、来年度の予算編成に当たって、文化財保護に対してはどのようなスタンスで臨まれるのでしょうか。財政厳しいときだからこそ、文化財の保護に力を入れて、滋賀らしさを打ち出していくことも重要な取り組みではないかと思いますけれども、知事はいかがお考えでしょうか。  財政難という理由から大阪府は現在、国指定のものについては、修理に当たって府は一切補助を出しておりません。一方、滋賀県はどうかといいますと、建造物の保存修理事業の実施について、所有者から受託し、設計から発注、監督、検査に至るまで、すべての業務を文化財保護課が実施して、きめ細かい支援をされているのですけれども、補助金の面からいいますと、国指定のものについては、平成15年度から県の補助は500万円を限度として、県はそれ以上出さないということになっております。建造物の修理の場合ですと、全体で億単位の費用が考えられまして、県の補助が500万円に限られているということで、国からゴーサインが出ても所有者の負担が大きくなって、せっかくの修復のチャンスを見過ごすしかないというケースもあるようです。各神社仏閣とも懐事情は厳しく、修理を望んでいても、かかる負担の重さを前にして立ちすくんでしまっているというのが実情です。  今、県が行っております、この500万円の限度額についての知事のお考えをお伺いいたします。  滋賀には多くの文化財があるわけですから、行政にはこれらをしっかりと守っていかなければならないという責任があります。この行政の責任の重さについての知事のお考えも、あわせてお聞かせください。  所有している文化財の修復を望む寺社は多く、自分のところに順番が回ってくるのを首を長くして待っていらっしゃるという状況です。文化財は、ほうっておくと傷みの度合いが増していきます。その期間が長ければ、それだけ修復に手間がかかって費用がかさむということも考えられます。  私があるお寺に参りましたときに、指定されている建造物の屋根にシートがかぶせられておりました。どうしてかとお伺いいたしましたら、今、雨が降ったら大変なことになるからということでございました。価値の高い遺産が、まさにもったいない状況でございました。とても残念でした。いかに観光観光と言っても、せっかくの恵まれた観光資源を大切にせずして、よい結果が得られるわけもないと思います。  以下、教育長に質問させていただきます。文化財には、国指定、県指定、市町指定がございますけれども、県がかかわる国、県指定のそれぞれの修復について伺います。  現在、修復を必要とし、待っている文化財の数はどれほどあるのでしょうか。  現在の修復に係る予算の状況は、例えば10年前と比べていかがなのでしょうか。  国指定に比べて県指定の修復はおくれていると聞きますが、状況はいかがでしょうか。  財政難の折、指定そのものの数を抑えているということはあるのでしょうか。  次に、文化財の保護の問題は、文化財の修復ができる修理技能者は数少なく、貴重な存在でありまして、後継者を育てなくてはならないという悩みも抱えております。後継者の育成という観点からも、文化財の保護を積極的に行っていく必要がありまして、文化財保護の取り組みが立ちおくれれば、当然、後継者の仕事は減り、従事者も減ってしまいます。跡を継ぐ人もなくなってしまうでしょう。文化財保護のための技術者の後継者の問題に対して、いかに対応されるのか、お考えをお聞かせください。  次に、絵画、書籍、古文書など、いわゆる書画の修復についてお伺いいたします。  書画の修復に当たる技術者として国から認定されているのは、全国で、国宝修理装こう師連盟に加盟する、わずかに10者のみでございます。その1者は滋賀においでになります。  国指定の書画を修復する際には、文化庁が認定している技術者を推薦という形で、所有者に紹介します。所有者は、国からの推薦の技術者に任せるという形がとられております。また、県指定の場合も同じような方法がとられておりまして、修復に当たる技術者は、ほんのわずかな人たちに限られているというのが現状でございます。  滋賀県には一般に表具師と言われる方は100人程度おいでになります。もちろん、大事な文化財を任せるわけでございますので、技術力を何らかの形でしっかりと見きわめるという必要はございますが、もっと門戸を広げて、県内のたくみのわざを書画の修復に生かすべきと考えます。  建造物と同じく、書画の修復についても大変多くの公費が投じられていることからいたしますと、私は多くの方が参加できるシステムにするべきであると考えております。また、そうすることが修復費用の軽減にもつながるはずです。いかがお考えでしょうか。  次に、登録制度について質問をいたします。  文化財には、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群、文化財の保存技術、埋蔵文化財の8種類がございますが、もう一つ、指定制度を補完するものとして登録制度なるものがあります。これは、所有者の自主的な保護に期待する制度で、行政は指導、助言、勧告を基本とし、指定のように保護に対して行政が費用を補うというものではございません。地域開発の進展や生活様式の変化などに伴って残存が困難な状況にあり、近代の文化財に対して、文化財として指定するまでには至らないものに保護の手を早急に差し伸べるということが目的です。  そして、この登録制度は、建造物以外の有形文化財、有形民俗文化財、記念物にも拡充をされております。例えば、機関車両類ですとか、脱穀機など近代農耕用具のコレクション、地域の造園文化の発展に寄与してきた、公園や旅館の庭園なども含まれます。このように、指定とは違った意味を持つものであると理解しておりますが、残念ながら、現在、県内における登録は232の建造物のみで、美術工芸品や有形民俗文化財、記念物はゼロという状況でございます。  文化財として指定されるまでには至らなくても、残すべき、滋賀ならではの宝は山のようにあるはずです。そうした宝に県民の皆さんに目を向けてもらい、大切にしようという気持ちを持ってもらうためにも、積極的にこの登録制度を活用していくべきと考えますけれども、教育長のこの登録制度に関してのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  続いて、文化的景観について質問いたします。  これは、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土によって形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」を文化的景観として文化財に位置づけて、適切な保存と活用を図っていくというもので、都道府県、市町村の申し出に基づいて定められます。  例えば棚田や里山、河川、湖沼などが対象になります。そして、国から物件の管理、修理、修景または復旧について市町などが行う措置について、その経費の一部の補助を受けることができます。現在、県内では重要文化的景観として、近江八幡の水郷の1件のみが選ばれております。滋賀ならではのよさをアピールし、観光振興に直結するものと考えます。観光客誘致のために新しい箱物をつくるのではなく、今あるすばらしい風景を残すことにしっかりと取り組むことは、知事のまさに「もったいない」の精神に結びつくのではないでしょうか。文化的景観の保護について、今後、県内で選定をふやしていくお考えはおありでしょうか、お伺いいたします。  滋賀の宝を守っていくには、県民の文化財保護に対する意識の高揚を図る必要があると思います。文化財保護は、ともすれば財政難の陰に隠されてしまい、なおざりにされてしまうおそれがあると心配しております。文化財に対する意識を高め、保護の必要性を多くの方に感じてもらうような取り組みが必要です。現在の取り組み、また、その必要性についてのお考えを、これも教育長にお伺いいたします。  そして、最後に、文化財保護を考えるとき、やはり大事なのは教育であると思います。子供たちの教育に文化財を活用することはとても大切です。文化財を教材として活用するなど、さまざまな方法があると思いますけれども、生きた歴史の勉強をし、滋賀を誇りに思える大人になってもらうためにも、積極的に滋賀の遺産を教育の現場で生かしてほしいと思っております。現状と今後の取り組みについて伺います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)蔦田議員の文化財保護の取り組みについての御質問にお答えをさせていただきます。  1点目の「もったいない」の概念の中で文化財保護をどのようにとらえているのかという点でございます。  私自身、このマニフェストの中で書かせていただいておりますように、滋賀には、大変豊かな自然と悠久の歴史の中ではぐくまれ、さらに地域の方々の愛情によって大切に守られ、受け継がれてきた文化財がたくさんございます。この文化財は、欠くことのできない県民共有の財産でございます。「もったい」とは、本来の物事の持っている価値でございますが、文化財そのものが「もったい」でございまして、それが失われる、あるいは受け継がれないことは、大いにもったいないことだと思っております。この全国に誇れる滋賀の文化財でございますが、滋賀の魅力の全国発信、地域づくり、県政推進のあらゆる面での活用を含め、さらに次世代へとつないでいくことが、今を生きる私たちの務めだと思っております。  そのような中で、予算にかかわる2点目の質問でございますが、現在、予算編成の緒についたところでありますが、現行の財政危機回避のための改革プログラムの最終年度として、計画のもとに、プログラムに掲げる収支改善目標の達成に向け、県を挙げて取り組んでいるところでございます。文化財保護にかかわる事業につきましても、このプログラムの枠の中で考えることになりますが、教育委員会からのお話を十分お伺いした上で、予算編成の中で文化財を生かした滋賀の発信の方策など、ともに知恵を出していければと考えております。  3点目の御質問、県の補助限度額でございますが、文化財の保存、修理に当たりましては、必要性、緊急性の度合いと、事業の規模、また、所有者の負担能力など、県全体の中で調整し、進められております。文化財の保存、修理に際しましては、議員も御指摘のように、所有者の負担は大変大きく、その負担を軽くするために国と県から経費を助成しておりますが、平成15年度から、国指定文化財の保存、修理に対する県からの補助金は、年度当たりの上限を500万円とさせていただきました。これにより、保存、修理の規模が大きい場合には、その前と比べて所有者の負担がふえることになり、所有者の皆様に御苦労をおかけしていることは十分に承知しております。県財政が厳しい中で、どういう水準で助成するのか、難しいところでございますが、本県に比較しても多くの文化財を所有します京都府あるいは奈良県と比べましても、本県の措置は遜色のないものであると考えておりまして、御理解を賜りたいと思います。  4点目の文化財保護行政の責任の重さについてでございます。  滋賀の文化財は、全国に誇れるものであり、地域の宝であるとともに国民の宝であります。これまでの先人の努力で息長く伝えられてまいりました。このような文化財を滋賀の孫子の代へとしっかり引き継いでいくためにも、息の長い支援の方法が求められます。また、特に滋賀の文化財は、奈良県あるいは京都府など、有名寺院が持っている文化財だけではなく、例えば高月町の渡岸寺の国宝十一面観音のように、地域住民の方々が長い期間、自分たちの手で守り育ててきた、そのような文化財が多いことも滋賀県の特色となっております。そのような中で、マニフェストの中でも申し上げておりますが、行政だけではなく地域の皆さん、大人も子供も近江のよさを学び、郷土に誇りの持てる意識を育てていくことがまず大切であり、そのことが文化財保護行政にとって大きな底力になるものと理解しております。  本日は、堅田高校の皆さんがお越しですけれども、堅田も大変な文化財の宝庫でございます。ぜひとも若い皆さんが地域の先輩と力を合わせて、文化財保護行政の底力をつくり出していただき、そして、行政はその支援、また、予算という側面からの責任を十分果たしていけたらと思っております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)1点目の修復を必要とし修理を待っている文化財の数でございますが、雨漏りの発生などで修理を必要とする建造物は、国指定で5件、県指定で5件でございます。  2点目の保存、修理に係る予算の10年前との比較でございますが、平成9年度の1億6,457万2,000円に対しまして、平成18年度は8,000万円でございました。このうち、建造物の保存、修理で見ますと、平成9年度の8,300万円に対し、平成18年度では5,244万5,000円となっております。  3点目の国指定に比べて県指定の修復はおくれているのかということでありますが、県指定文化財の修理は、近年、限られた予算の中で、解体修理など大規模な工事が続いておりまして、国指定保存、修理の県費補助率に比べ県指定の補助率が高い率であることから、既に着手している事業も、工事期間を延長して対応している状況でございます。このため、早急に修理を必要とする建物については、一部の所有者の要望どおりに着手することができなくなっており、被害が拡大しないよう応急処置を施しながら事業の着手を後年度におくらせている状況でございます。  4点目の指定の数を抑えているのではとのことでございますが、文化財の指定については、あらかじめ指定候補の選定のための調査を実施し、その結果をもとに、専門の方々の判断のもとに毎年指定を行ってきており、財政難を理由として指定件数を抑えるということはございません。  5点目の技術者の後継問題についてでありますが、文化財保存のための技術を選定し、この技術の保持者や、その団体が実施している後継者養成事業等に対して国の方からの支援が行われております。県教育委員会では、これらの後継者養成事業が行われる際に、研修の受け入れや指導などの支援を行っているところでございます。また、修理技術の向上を目的に設立された、彦根市にあるNPO法人には全国の技能者が集まり、技術を継承し向上させることを目指し、後継者育成などの活動が進められております。こうした状況のもとで、今のところ技能者の不足により保存、修理に支障を来すという状況にはございません。  6点目、書画の修復についてでありますが、装こう修理技術とは、もともと表具から始まった仕事でございましたが、今では高度に専門化して、例えば虫食い穴を特殊な紙を用いて埋めるとか、絵画の絵の具の剥落をとめるなど、極めて特殊な技術に発達しております。県内にも多くの表具師がおられ、家庭の建具や掛け軸などを中心に幅広くたくみのわざを振るっておられます。これに対して文化財の修復は、今お答えいたしましたように、技術の体系や修復材料の選択等も、一般の表具技術とはかなり異なり、極めて専門化しております。毎年の修理件数もそう多くございませんので、わずかの修理技術者がこれに従事しておられます。  この装こう修理技術は、国の文化財保存技術として選定されており、その技術を持つ国宝修理装こう師連盟が保存団体として認定されておりますので、実際に国指定の重要文化財の保存、修理を行う場合は、議員の御指摘のとおり、同連盟に加盟している10者のうちから修理施工者が選ばれることになります。  県指定の美術工芸品である絵画等の場合も、国指定の場合に準じて、高度な修理技術を持つ国宝修理装こう師連盟に加盟している技術者に修理をゆだね、保存に遺漏のないように万全を期すよう指導しております。  7点目、文化財の登録についてでありますが、平成16年度の文化財保護法の改正により制度が拡充され、建造物以外も文化財として登録できるようになりました。本県では、平成17年度に文化庁からの依頼を受け、県内各市町の教育委員会、県内博物館、美術館、資料館等を対象に、登録の基礎資料を得るための調査を実施いたしました。その結果は既に文化庁へ報告しておりますが、県内に所在する対象物件の概要を把握することができました。平成17年度には、函館公園など、建造物以外の分野における文化財が初めて登録されましたが、制度の本格的な運用はこれからという段階にあります。登録制度は、現状変更が許可でなく届け出制になっているなど規制も緩やかなため、身近な文化財として広く親しみを持っていただくことに意義を持つものと考えます。  滋賀県としては、今後、平成17年度の調査データをさらに充実して蓄積させ、国の登録基準や方針等を視野に入れながら、登録が拡大されるよう努めたいと考えております。  8点目、文化的景観の保護に関する考えについてでございますが、滋賀の景観は、琵琶湖を初め、たぐいまれな景観を持っております。この景観を改めて評価し、これを現在、そして未来へと生かさなければ、まさにもったいないことでございます。重要文化的景観の選定につきましては、全国初の近江八幡の水郷に続き、現在、高島市において琵琶湖周辺の景観の選定が目指されており、県教育委員会としてもこれに積極的な支援をしております。  滋賀のすぐれた景観を大きな資産として、積極的な生かし方をするためにも、引き続き各市町での取り組みを支援してまいりたいと存じます。  9点目の文化財の保護に対する意識を高める取り組みと、その必要性についてでございますが、文化財を後世に伝えることは、先人から引き継いだ私たちの務めであり、そのためにも県民への意識啓発が何より大切となります。県教育委員会では、市町の教育委員会、観光関係者、民間企業等との幅広い協働により、文化財の展示、講座や探訪の催し、現地説明会の開催を初め、さまざまな文化財の事業を通して、広く文化財の価値をアピールしながら、県民意識を高める努力を行っております。この平成18年度に入り、11月末までにこうした事業を146回開催し、1万6,000人余りの県内外からの御参加を得ております。  10点目の文化財を教育の現場に生かしている現状と今後の取り組みでございますが、県教育委員会では、地域の歴史の理解を通し、郷土に誇りの持てる子供たちを育てるための重要な教材が、まさに文化財であるととらえまして、昨年の7月から学校や地域の公民館に対し、和同開珎や安土城の金箔がわらを初めとする、さまざまな出土品の貸出事業や、専門職員による出前事業等を実施しており、これまでに2,300人余りの子供たちに活用いただいております。これらの一層の活用の促進を図るため、事業内容を紹介したパンフレットを本年7月に作成し、県内の学校や公民館等に配布いたしました。さらに、建造物の修理現場での作業体験や、埋蔵文化財センターへの職場体験の受け入れなどにより、子供たちの理解を深める取り組みも進めております。  今後ともこうした取り組みにも工夫を凝らし、積極的に教育の現場に生かしてまいりたいと存じます。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)文化財保護に対する知事の思いというのは伝わってきたのですけれども、何度も言いますように、文化財を保護していくためには、その費用が発生するわけなのです。大切にしたいという思いだけで直るものではありませんので、文化財を所有していらっしゃる方たちというのは、檀家さんも持たずに拝観料のみで運営されていて、実情は火の車と言ってもいいかと思うのです。やはり予算というものを幾らつけてもらえるのだろうかという不安を抱えながら、今、県の対応に対して期待をしていらっしゃるというところだと思うのです。  教育長に、10年前と比べて予算の状況はどうかとお聞きしましたら、かなり額は減ってきている。これもやはり財政難のあおりだと思うのです。知事の答弁を聞いておりましたら、現状維持というふうに受けとめたわけですけれども、それでよろしいでしょうか。今後また、かなり財政難が続いていくわけですけれども、先細りするということはないのでしょうか。そのあたり、もう一度お答えいただきたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)文化財行政、大変大事な点でございますので、少なくとも現状維持はさせていただきたいと思っております。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)教育長にもう一つ質問をさせていただきます。  書画の修復についてなのですけれども、国指定のものに対しましては資格制度なるものも設けられておりまして、そこで認定された者に任せているという状況であるということは私も認識いたしております。私が申し上げたいのは、国指定、国を動かしていくというのはかなり難しいことだと思うのですけれども、県が今所有している文化財、県指定のものに関して、県内には、かなり技術も専門化しているという御答弁もありましたが、そういう専門化している技術にも対応できる技術者がおいでになるかどうかということはお調べいただいているのでしょうか。そういう県独自のシステムというものもつくっていくべきではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。県内にあるものを生かさなければ「もったいない」、これも通じてくることだと思うのですけれども、もう一度御答弁、お願いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 私の先ほどの答弁で、特殊な技術ということを申し上げました。確かに県内にたくさんの表具師がおられますけれども、今、連盟に加盟しているのは1者ということでございますけれども、この方も実は平成11年に加盟したということで、それまでは県内にはだれも修理できる方がおられなかったということでございます。  加盟するにつきましても、いろいろ技術の審査ということも、加盟の段階で特別審査の委員会も設けておりますし、一般に公開されているわけでございますので、もちろんそういうチャンスもございます。また、県としても、これからやっていくに当たりまして、基本的には技術ということを重視して、国の指定されている業者の方々に依頼するということの方がいいという判断でやっておりますけれども、先ほど言いましたように、こういった連盟に加盟するということについても平成11年度からということで、また、これからも修理技術を、こういうことが求められるというようなことについてはもっと啓発していきまして、実はそういった特殊な技術にも対応できるような文化財保存修理事業、研修制度もございますので、広く啓発を進めて、もっとそういった技術者になっていただく方が多く出るように努めてまいりたいと考えております。 ◆6番(蔦田恵子さん) (登壇)よろしくお願いいたします。  以上です。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で6番蔦田恵子さんの質問を終了いたします。  次に、13番大井豊君の発言を許します。 ◆13番(大井豊君) (登壇、拍手)本日、2点にわたりまして質問させていただきますが、分割質問という形で質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、1点目でございます。農地・水・環境保全向上対策につきまして、農政水産部長に質問をさせていただきます。  平成17年3月に策定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、平成19年産から品目横断的経営安定対策を導入することが明らかにされ、これを受けて、経営所得安定対策等大綱を決定されたところであります。この大綱では、担い手に対して施策を集中する品目横断的経営安定対策の創設、これと表裏一体の関係にあります米の生産調整支援対策の見直し、そして、農地、水などの資源や環境の保全向上を図るための対策の創設といった内容が盛り込まれております。  この中で、品目横断的経営安定対策の創設は、これまでの全農家を対象とし、品目ごとの価格に着目して講じてきた対策を、担い手に対象を絞り、経営全体に着目した対策に転換するものであり、戦後の農政を根本から見直すものとなっております。この政策改革は、農業従事者の減少、高齢化、耕作放棄地の増大など、我が国の農業、農村が危機的状況にある中で、兼業農家、高齢農家などを初め、多様な構成員から成る地域農業を、担い手を中心として、地域の合意に基づき再編しようというものであります。  この品目横断的経営安定対策と車の両輪をなすものと言えますのが農地・水・環境保全向上対策であります。基盤となる農地、水、環境の保全と質的向上を図るとともに、農業が本来有する自然循環機能を維持、増進することが求められている中、農地、農業用水等の資源については、過疎化、高齢化、混住化等の進行に伴う集落機能の低下により、適切な保全管理が困難となってきているのが現状であります。これらを踏まえ、地域住民を初めとする多様な主体の参画を得て、総合的、一体的に実施する活動を支援していこうとするものであります。  先般、我が会派代表質問の中の品目横断的経営安定対策について、知事の今後の滋賀県農政についての答弁で、3つの視点を示されました。それは、農業生産に本来自然の持っている力を最大限生かすこと、農業を地域の産業と位置づけ、持続的な発展を図ること、そして、農業生産の場であり生活の場である農村社会を守り育てていくこととされたところであります。  そこで、今年度においては、本格的な農地・水・環境保全向上対策の着手に先駆けて実験的な取り組みを行ったモデル支援事業地区は、本県におきましては、彦根市、近江八幡市、安土町、守山市、東近江市、米原市、甲賀市、高島市、湖北町、木之本町の10市町の15地区でありました。これらの地域では、先進的な取り組みが行われ、来年度の本格導入に向けての事例ともなるものと考えております。  このモデル事業の具体的な実績と事業推進においての課題について伺うものであります。  いよいよ来年度から、農地・水・環境保全向上対策の本格的な取り組みを始めるわけでありますが、車の両輪とされる品目横断的経営安定対策は、やる気と能力のある担い手に農地の集約を促し、さらに効率的な農業経営を進めようという側面を持っております。農地・水・環境保全向上対策と品目横断的経営安定対策は、それぞれ意味を持った別々の対策ではありますが、同時に進める上では難しさもあるものと考えますし、この農地・水・環境保全向上対策の実施に向けて、今後どのような取り組みをされるのか伺いまして、この項の質問を終わります。 ○議長(赤堀義次君) 13番大井豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(橋本俊和君) (登壇)農地・水・環境保全向上対策の御質問のうち、1点目のモデル支援事業の実績と事業推進の課題についてであります。  本県のモデル支援事業の15地区につきましては、全般に通じることでありますが、活動組織として、農家を含めた、広く地域住民の方たちが参加する新しい組織を立ち上げ、年間の活動内容の計画を定め、これに基づいた多様な活動を行っていただきました。  活動内容については、従来から取り組まれてきた水路の泥上げや草刈りに加えて、水路や農道などの点検、補修など、一歩高い活動にしていただいておりますが、これまで業者さんに任せていた施設の補修などを地域の皆さんが自分たちで行う地区や、これまで手をつけていなかった改修に取り組んだ地区もございます。さらに、水質、景観や生活環境、生態系に係る環境保全などの活動を実践いただいております。  その中で特徴的な活動としましては、守山市の木浜地区では、浄化型水路などの管理作業や水質浄化池での親子による魚つかみ、地域の環境を再確認するウオーキングなど、自治会と土地改良区が一体となって、地域の皆さんが参加される幅広い活動が行われています。近江八幡市の野田地区では、コスモスの開花時期に都市住民も交えたコスモス祭りを開催されておりますし、米原市の宇賀野地区では魚のゆりかご水田で子供たちの環境学習なども取り組まれています。こうした活動により、田んぼの周りや集落がにぎやかになったという感想を聞いていますし、他府県からも多数研修に来られるなど、全国的にも注目される事例もございます。  一方で、モデル支援事業により幾つかの課題もわかってまいりました。まず、地域の実態に応じた活動組織にすることであります。活動の母体として、農業団体か、自治会か、別の組織か、さらに引っ張っていく中心メンバー、こういった中心となる団体など、地域の中でしっかりした体制を整備していくことであります。また、幅広い住民の参加についてであります。土地持ち非農家や農家以外の方、子供たちなどの参加が少ない場合もそれぞれありましたので、各地区の特性に応じて、当初の計画に幅広い住民が参加できる工夫が必要であります。さらに、計画づくりが複雑であるとか事務量が膨大であるといった声がありましたので、計画作成ガイドブックをつくり、活用していただこうと思っています。  2点目の平成19年度からの実施に向けた具体的な取り組みについてお答えをいたします。  この7月に対策が決定されて以来、各地域に、県、市町、JA、土地改良区などで構成する推進調整会議を設置し、連携を図りながら、各集落に対する普及推進を行ってまいりました。この時期は集落の中で品目横断的経営安定対策による担い手をどうするのか、話し合いの最中でありましたので、この対策の趣旨がうまく伝わるか、多くの地区で取り組んでいただけるか、心配をしましたが、現在の状況は、県内農村集落の半数以上から、この対策に取り組みたいとの声を聞いているところであります。  これから各集落は活動計画をつくっていただくことになりますが、平成19年度からこの対策をスムーズに、かつ効果のあるものとするため、モデル支援事業の優良事例や教訓を十分に生かしていきたいと考えております。具体的には、各地区で行われた施設を長持ちさせる点検、補修などの活動事例はもちろん、水質や生き物、景観など、環境をよくするすぐれた活動など、幅広い情報提供を行ってまいります。また、組織づくりにつきましても、集落のこれまでの共同活動の経過、地域の特性、実態に見合う事例を紹介してまいりたいと考えております。  さらに、活動への幅広い参加については、この対策が農地、水の保全はもちろんのこと、農村コミュニティーの維持、発展にも有効な方途でありますことを考えますと、品目横断的経営安定対策で集落の多くの農地を認定農業者にお任せしているところでは、とりわけ土地持ち非農家の方が参加いただける工夫が大切であります。例えば、集落のさまざまな団体、老人クラブや子供会など幅広く含めた活動組織にして、生活環境をよくする活動、環境学習を行うということで、お年寄りから親子で参加されるといった活動に工夫している事例などを紹介してまいります。  12月になり、集落では計画づくりが始まりました。市町に相談窓口を設けていただいておりますので、これを積極的にバックアップしますとともに、市町の相談日に担当者を派遣したり、希望する集落に直接出向いて密着指導を行ってまいります。平成19年度からの円滑なスタートが切れますよう、市町や関係団体と協力しながら、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ◆13番(大井豊君) (登壇)再度、農政水産部長にお尋ねをしたいと思います。  今、御丁寧に答弁をいただいたわけでございますが、一番、農地・水・環境保全向上対策を進めるという部分の難しさという部分があろうかと思います。品目横断的経営安定対策を進めようと思えば思うほど、裏返しますと、先ほども答弁にありましたように、各集落の中で、実際に耕作する方が減ってくる。農地が集約される。そういった傾向が出てくるだろう。それは国の大きな方針でもありますから、いわゆる農地を集約して、これからの農業は効率よく、世界的にも競争力を高めていこうという大きな流れの中にあるわけでございますから、当然、そういうことが想定されるわけでございます。  そういった中で、先ほども、農地・水・環境保全向上対策と今の品目横断的経営安定対策は車の両輪というような国の発言もしておりますが、まさしく別々で並行してやっていかなければならない問題という部分は十分理解できるわけですが、片方、こちらの品目横断的経営安定対策の方がどんどん進んでいくということは、逆に、今の農地・水・環境保全向上対策の取り組みという部分が徐々に困難になってくる、そんな思いがするわけでございます。そこら辺の難しさをどう克服していこうかというところを、もう少しつけ加えて御答弁願えればありがたいと思います。 ◎農政水産部長(橋本俊和君) 品目横断的経営安定対策による担い手の育成という問題と、農地・水・環境保全向上対策を進めていく難しさというのは、集落で本当に御苦労いただくことかと思います。この担い手に集約していくというのは数年前から始まっているわけでありますが、昨年の農林センサスによりますと、滋賀県の場合は共同活動を85%の方が集落でやっていただいている。1,400強の集落のうち八十数%の集落で共同活動をやっていただいている。全国的には50%か60%だという中で、滋賀県はやはり担い手に集中しながらも、土地を持った非農家の方々が、みずからの生活である農地と水を保全していくという意識はまだまだあるというふうに思っております。それが今回のこの対策を農村集落の半数以上がやりたいと言っていただいていることかなと思います。  そういった意味で、そうした農村集落に住む住民の方々の農村社会への参加の意識をきちんと、今、守っていくということは大切かと思いますし、一方では、やはり効率的な品目横断的経営安定対策で、農業生産はあの人に任そう、あるいは集落営農でやっていこう、こういうふうな農業と農村の両方を集落の中で話し合いで決めていただく。そして、我々が支援していこうというふうに思っているところであります。 ◆13番(大井豊君) (登壇)ありがとうございました。当然、そういう難しさを抱えながら、大きな転換期であるという部分は承知しておりますので、どうか県としましても、いろいろな部分でのフォローをお願いしておきたいと思っています。  それでは、2項めの質問に移らせていただきたいと思います。びわこ地球市民の森につきまして、土木交通部長に質問をさせていただきます。  びわこ地球市民の森の地域は、野洲川の南流廃川敷地の一部であります。野洲川は鈴鹿山脈に水源を持つ県下最大の河川であり、守山市で南流と北流に分かれ、琵琶湖に注いでいたところでありますが、下流部では、いわゆる天井川を形成し、洪水によりたびたび大災害をもたらしてきた歴史がありました。暴れ川、近江太郎と呼ばれたゆえんでもございます。  このため、南流と北流の間に新放水路が計画され、地域の住民の協力や関係者の努力によりまして、昭和56年度に完成いたしました。まくらを高くして寝られる川に変貌したのであります。この事業によりまして、南流と北流は廃川となり、平地化事業が行われてきました。その多くが、新放水路用地として美田を提供された地権者への失地回復として畑地帯開発事業が行われ、これも完了を見たところであります。そして、旧南流の一部で面積42.5ヘクタール、延長3.2キロメートルを「豊かな森」として再生することとなったのであります。  この森は、生態系の形成に配慮したビオトープ空間の創造、照葉樹の林と、訪れる人たちが自由に楽しめる落葉樹の林や原っぱ形成をコンセプトとし、県民を初め、多くの人々に苗木を植えていただき、長い時間をかけて昆虫や鳥など、さまざまな生き物が暮らす豊かな森を目指すこととし、また、この森が人々の心に残る森となり、何度でも訪れたいと思うような場所になることを願って計画されたものであります。  整備事業期間は平成12年から平成31年と長期にわたっており、21世紀最初のみどりの日となった平成13年──2001年4月29日に滋賀県植樹のつどいを実施し、森づくりのスタートが切られたところであります。毎年多くの植樹のボランティアの方々により植樹が行われ、平成13年の樹木は大きく育ち、間引きをするに至っているようであります。そこで、今日まで順調に進められてきましたが、整備事業の進捗状況について伺うものであります。  また、現在残された里の森ゾーンの整備の計画がされようとしております。地域では、この事業に関心が高く、多くの提案もなされています。とりわけ、このゾーンには2カ所の集落の墓地が存在し、対応の難しさもあるものの、地域との対話を重ね、計画を進めていくことが求められますが、この整備についての地域との協働の考え方について伺うものであります。  次に、公園といえば管理がつきものであります。42ヘクタールという広大な面積でもあり、幾ら森とはいえ公園でありますから、管理は欠かせないものであります。多くの方々に訪れていただくためにも、しっかりと管理された公園にしなくてはなりません。現在、一部ボランティアでの除草作業等は取り組んでおられるようですが、今後、管理については、ボランティア、地域住民の参加や、運営上、指定管理者も視野に入れた仕組みづくりが早急に求められますが、その考え方について伺うものであります。  最後に、防犯対策についてであります。  もともとこの地域は、このような大きな森は存在しておらず、現状では樹木はまだ植樹したところでありますので、問題としては出ておりませんが、昨今の不審者の出現など安全への関心が高まってきております。とりわけ、この公園内を横断して通学しなければならない小中学生がいることから、その対策が強く求められております。こうした声にしっかりとこたえていく必要がありますが、防犯対策に対する考え方を伺い、この項の質問とします。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)びわこ地球市民の森についての御質問にお答えいたします。  まず、1点目の整備事業の進捗状況についてでございますが、本事業は、国土交通省が地球温暖化対策の観点から、都市公園事業として制度化した平成の森づくり事業によりまして、平成12年度に着手し、その後に自然再生緑地整備事業としても位置づけられているものであります。  本事業では、県民と行政との協働、いわゆるパートナーシップのもとに、多くの人々の参加によりまして、苗木の植栽から始まり、時間をかけて自然の力を活用し、一つの大きな森を形成していく自然再生を目指した新しいスタイルの都市公園として整備を進めているところでございます。現在、整備はほぼ順調に進んでおります。今年度末で、出会いのゾーンが完成する予定でございまして、これにより整備面積は17.8ヘクタール、整備率では42%の進捗になる見込みでございます。  この公園は、基盤整備を県で行い、森を構成する樹木整備につきましては、県民や企業、団体等の皆様による植樹活動として進めております。11月末現在で延べ1万7,725人の皆様に6万1,413本の植樹をしていただきましたことから、平成20年度までに予定していた3つのゾーンの植樹が進みまして、最後の里の森ゾーンへの植樹を前倒しして行うといった、予想以上に早いペースで進んでいるところでございます。
     次に、2点目のこれからの整備について、地域との協働の考え方についてでありますが、現在、設計を行っている里の森ゾーンにつきましては、集落が隣接し、また、御指摘の墓地があるなど、地域の皆様の生活と密接に関係しますことから、従来より、野洲川廃川敷地流域速野学区対策協議会を窓口とさせていただいて協議を重ねてまいりました。この10月に概略の設計について合意が得られたところでございます。  今後とも地域との対話を重ねながら、地域の意見を計画に反映していく考えでございます。  次に、3点目の管理の仕組みづくりについてであります。この公園は、更地からの森づくりを行っているため、今後、植えた木がどのように育っていき、樹木の成長とともに、どんな昆虫や鳥、動物がすみつき、どのように生態系が形成されていくのかといった情報を収集、発信する専門のスタッフを現地に配置して、植樹の受け付けや指導、参加型の維持管理、樹木の成長記録、児童への学習指導等々を行っております。あわせて、公園施設の維持、管理につきましても、計画的に草刈りやトイレ掃除などを行い、快適に御利用いただけるように努めているところでございます。  また、この公園は整備の途中でございまして、森づくりについての知見を集積する期間が必要であることから、当面は県が管理することとしております。将来、一定規模の整備が完了し、森づくりのノウハウが固まったところで、県民参加型の維持管理とあわせまして指定管理者制度の導入など、管理についての仕組みを検討してまいりたいと、このように考えております。  次に、4点目の防犯対策に対する考えでございます。  県営都市公園では、安全、安心の観点から、見通しの確保や遊具、トイレなどに対する公園に関する防犯上の指針というものを定めております。御質問の公園を横断する通学路の安全確保につきましては、この指針の運用とあわせて、守山市とも協議の上、現在設計中の里の森ゾーンの中を通る園路を利用していただくように考えております。この園路が完成しますと、死角も少なくなり、見通しのよい通学路として利用していただけるものと思っております。さらに、この園路近くに、管理事務所と、地域の市民活動や郊外学習の拠点となる施設を計画しておりますことから、犯罪の抑止効果も期待できるものと考えております。  今後とも、地域の皆様のお力をおかりしながら、防犯に配慮した安全、安心な森づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆13番(大井豊君) (登壇)ありがとうございました。地域の方々も大変期待をしている公園であろうかと思っています。植樹の方は本当に順調に進んでいるのが現状だと思いますが、今度、維持管理の方ですね。植樹の方はあふれるほどボランティアの方が来られていると。もう植える場所がないというのは、先ほどおっしゃったとおりだと思いますが、現実、夏場あたりですと、なかなか草の管理が十分できない。公園を歩いていても結構草が繁茂して、一部はやられているようですが、そこら辺が、今後、この管理運営をする中で、果たしてボランティアだけで本当にいけるのかどうか、そこら辺がちょっと危惧をされるところでもありますし、また、地域の方に協働でいろいろな協力もお願いしようと思うと、地域の方にそれなりの利用メリットといいますか、そういう部分もやはり与えないと、なかなか管理運営が難しいというような思いもしています。  いろいろな仕組みづくりをこれから検討されると思いますが、そういったことも含めて十分検討していただきたい。要望にかえておきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で13番大井豊君の質問を終了いたします。  次に、1番石田祐介君の発言を許します。 ◆1番(石田祐介君) (登壇、拍手)農業と農政の問題に関しましては、昨日の宇賀議員、そして、先ほどの大井議員も質問されておりましたが、私は私の観点でまた質問をさせていただきます。  まず初めに、経営所得安定対策等大綱および実施要綱を受けて、県の対応、姿勢についてでございますが、国においては平成17年10月に、品目横断的経営安定対策と車の両輪と言われる農地・水・環境保全向上対策、また、表裏一体である米政策転換については、戦後農政の大転換と言われております。さらに、本年7月にはその実施要綱が発表され、9月からは新たな政策体系への担い手の加入申請の開始により、全面的な実施段階へ移行いたしました。急速な改革の背景には、農業構造改革が既に完了している農業先進諸国との国際間競争に打ち勝てる、足腰の強い我が国農業の育成の意図が見られ、WTOにおける確固たる交渉の条件整備につながるものと推測するものです。  しかしながら、他国で採用されている、この所得政策を我が国に導入されるに当たり、生産者を初めとする現場では少なからぬ動揺が走っていることも事実であり、本県とて、その例外ではありません。この実施要綱の目的が正しく滋賀県農業を支える方々に理解いただけなければ、基本計画に高らかに宣言された自給率向上政策の根底を揺るがし、比較的に本県耕作面積の一定部分を占める中山間地域の耕作放棄などをもたらし、ひいては農村風景の破壊にとどまらず、環境保全の不備などにより琵琶湖の水質にまで悪影響を及ぼすのではないかと心配いたします。  そこで、これらを前段といたしまして、本県の取り組み姿勢や考え方を、農政水産部長にお尋ねいたします。  まず、経営所得安定対策等大綱が出されてから今日に至るまでの担い手の確保や育成に関してどのように取り組んでこられたのか、経緯をお聞かせください。  次に、幅広い農業者を一律的に対象とする助成策を見直し、農家への直接支払いにより担い手を育成する流れにありますが、新制度での補助金の受け皿は、耕作面積4ヘクタールなど一定条件を満たした認定農業者と、共同で20ヘクタール以上の耕作地を集めた集落営農となっていますが、実はこの集落営農組織が認定農業者に対して農地貸しはがしとも言える行為に拍車がかかっていると、他県の事例ではありますが、11月27日の朝日新聞にも報じられております。  無論、私の調べたところによりますと、本県においてもこの事例は発生しております。もともと認定農業者は高い生産意欲を持ち合わせておられ、減反政策などにより近隣農家から農地を委託され、新たな耕作機械の導入や手間のかかる転作も引き受けて、規模拡大と生産性の向上に努力されてきました。ところが、広い土地を持つ農家を優遇する農政改革のもとで、狭い土地しかない中小農家でも、農地を持ち寄って集まれば担い手になれる集落営農制度では、従来、認定農業者に委託してきた農地を委託解除ということで貸しはがす事例が発生しています。このことは、規模拡大に努力する認定農業者にダメージを与えるものとなり、政策の趣旨であります、農業の中核となる担い手の確保に少なからず影を落とすものだと予想されます。  県農政として何らかの調整が考えられないのかという点でお伺いをいたします。  次に、滋賀らしい農地・水・環境保全向上対策、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策に関してですが、ごく端的に申し上げますと、滋賀県の共同活動への支援条件が他県に比べますとかなりハードルが高いという声をよく聞きます。また、国では、水田の場合、交付単価は水田面積10アール当たり4,400円を上限として、地方裁量で単価に弾力性を持たせることができると示されたと聞いてはおります。この共同活動要件についての県のお考えを伺います。  最後に、品目横断的経営対策事業についてでありますが、私は湖西出身ですから、あえて御質問いたしますが、湖西管内においては、気候や圃場条件などが悪く、麦の条件としても冬場は雪の量が多く作付には適さず、大豆は収量が低い現実があります。国の施策を補う県単事業の可能性はないのでしょうか。所見をお伺いいたします。  いろいろと申し上げましたが、滋賀県は他県に先駆けて環境農業直接支払いやみずすまし構想に基づく農村環境の保全に注力し、その取り組みは、このたびの大綱における農地・水・環境保全向上対策にも色濃く反映されているとお聞きしております。これまでの取り組みに敬意を表し、あわせて今後の滋賀県農業の発展に力強い指導力をますます発揮されますことを期待申し上げまして、この項の質問を終わらせていただきます。  次に、JR湖西線における防風対策についてです。本日お越しの堅田高校の生徒さんにもお聞かせしたかったのですが、既に帰られたようで残念でございます。  湖西線が全線高架であるため、極めて風に弱く、風速25メートルを観測されますと運行を停止されますことにより、沿線住民の立場から、さきの9月定例会でこの問題を御質問させていただいたものですが、議会の閉会から今議会開会までのわずかの期間にもかかわらず、私の知ります限りにおいても既に5日間、風のために運行が停止いたしました。これから本格的な冬の到来を迎え、ますます風が吹き荒れ、電車が停止することが多くなることが十分予想されます。申すまでもなく、坂本より以北、湖西地域の鉄道は、湖西線一本に頼っている状況でございます。  ここで、私にとって卑近な話で恐縮でございますが、ごく最近、父より聞いた話を披露させていただきたいと思います。私の父が大阪に仕事上の会合に出向いた際のことらしいのですが、会合の終わりに宴席が設けられ酒が振る舞われたそうです。父はそんなに酒に強くありませんが、それなりには飲み、いつもの癖で会合を自己都合で中座し、JR大阪駅20時8分発金沢行き雷鳥に乗り込んだそうです。予定では、自宅最寄りの近江今津駅着は21時11分と、約1時間ばかりで到着するはずでした。雷鳥号は発車し、酒に弱い父はそのままシートに座って眠り込んだらしいのですが、途中でふと気がつくと列車は野洲を走っていたそうでございます。湖西に帰る自分が何ゆえ湖東を走っているのか、いぶかしく思った父は、直ちに車掌を呼び文句を言うと、うるさいぐらいに何度も、風のために湖西線を走れなくなったから東海道線より米原経由で金沢に向かうと車内放送をかけていたにもかかわらず、お客さんが眠り込んでいただけだと、かえって嫌みを言われたそうです。そのうち雷鳥号は敦賀に着き、父は下車して、戻りの列車を探しましたが、それもなく、仕方なくタクシーを拾って、そこから1時間かけて帰ってきたと憤慨しておりました。  今申しましたのは、風における運行の変更および停止におけるほんの一例にすぎませんが、湖西線沿線住民については、こんなことは冬場から春先にかけて日常茶飯事、枚挙に限りがございません。通勤、通学、通院にも多大な影響を及ぼしており、もっと広い視野から見ても、観光政策や産業の育成など、まさに湖西地域振興に関する全般問題となっております。  知事におかれましても、この問題をどのように御認識していただいているのかをお尋ねするとともに、防風壁の設置など強風防護対策の実施について、JR西日本などの関係機関にどのようにお働きかけいただけるのかを、重ねて御質問させていただきます。  次に、土木交通部長にお伺いいたしますが、現在、地元市は運転を見合わせたときの市民への情報提供を無線広報などで行っているそうですが、遅いとの苦情も多くあり、県としてもJR西日本に対して、もっと速やかな情報提供を求めるほか、代替バスなど運行に対してJR西日本へのお働きかけなどの対応を考えていただけないか、その点についてお伺いをさせていただき、私の質問とさせていただきます。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 1番石田祐介君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)JR湖西線の防風対策についての石田議員の御質問にお答えをさせていただきます。  湖西線は全線高架のため、風の影響を非常に受けやすい構造となっており、特に今年度におきましては、これまでに既に16回、強風により一時停止などの対応がなされたと承知しているところでございます。さきの9月県議会でこの防風対策については土木交通部長が議員の質問に答弁いたしましたように、JR西日本におきましては、昨年4月に発生した福知山線列車脱線事故の教訓と反省を踏まえて作成されました安全性向上計画に基づき、安全第一の企業風土の構築と実践に取り組まれているところであり、公共交通機関の第一の使命として安全運行を最優先として、一定の基準のもと、やむなく列車停止等の措置がとられているものと伺っております。  現在、JR湖西線におきましては、琵琶湖西岸断層帯に対応するための耐震対策につきまして、昨年度より計画を前倒しして優先的に取り組まれているところであり、抜本的な防風対策の実施につきましては、技術上の問題と、さらに、費用対効果などから、現時点においては難しいということでございます。しかしながら、鉄道交通の優位性は、安全性と定時性にあると認識いたしているところであります。そうした意味におきましては、JR湖西線の風による列車停止は、利便性の面からもやはり大きな問題であると言わざるを得ません。  県といたしましては、こうしたことによる県民の鉄道交通に対する信頼と利便性が損なわれるようなことがないよう、引き続きJR西日本に対して、必要な対策が講じられますよう、強く要請してまいりたいと考えております。 ◎農政水産部長(橋本俊和君) (登壇)経営所得安定対策等大綱および実施要綱を受けての県の対応と姿勢についての4点の御質問にお答えします。  まず、1点目の担い手の確保や育成に関しての取り組みの経緯についてであります。  昨年10月の経営所得安定対策等大綱の公表以来、県や市町、農業委員会および農業団体で構成します担い手育成総合支援協議会が中心となりまして、集落の代表者などへの説明会や研修会、さらに、集落に入り、その地域の担い手確保対策など、集落の実情に応じた提案を行いながら、担い手確保育成運動を展開してまいりました。この11月末現在、農家の皆さんに御理解をいただき、認定農業者は昨年4月の1,211から1,660経営体に、また、集落営農が特定農業団体等に発展したものは、59から413組織にまで着実に増加しております。  今後は、認定農業者については、規模の拡大や圃場の集約化、集落営農については水稲も含めた経理の一元化など経営改善に向けての指導に努めますとともに、それぞれの集落で、これからの集落や農業をどのように発展させ維持していくのかなどといった話し合いが一層進みますよう支援してまいります。  次に、2点目の農地の貸しはがし問題に対して県農政として何らかの調整が考えられないかとの御質問についてであります。  大規模農家がおられる地域では、集落営農を設立する際に大規模農家との農地の賃貸契約を解消するといった、いわゆる農地の貸しはがし問題が発生しております。この問題の対応に当たっての基本的な考え方は、規模拡大に努められてきた認定農業者の経営基盤に十分配慮した上で、認定農業者と集落営農が共存できるよう取り組むことが重要であると考えております。こうしたことから、地域の担い手育成総合支援協議会の定期的な連絡会議におきまして、担い手に係るさまざまな情報交換を行っているところでありますが、集落営農と認定農業者との調整不足などの情報を得た場合は、県と市町などの担当者が集落に出向き、良好なすみ分けや、あるいは個別農家を中心とした組織の提案などを行い、その調整に努めているところであります。  今後は、こうした調整をしっかりしてまいりますが、まずは、集落でのこれからの担い手について話し合いを進めることが大切でありますので、市町や農業委員会、JAと連携を図り、集落が行う土地利用調整や円滑な解決について、より一層助言、指導に努めてまいりたいと考えております。  次に、3点目の世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策の共同活動要件についてであります。  本県ではこれまで、琵琶湖を初め、農村の自然環境を守っていくためのみずすまし構想を初め、さまざまな環境保全の取り組みを進めてきた経過がございます。また、本県は圃場整備などで農道や水路の整備が進み、他県に比べてその密度が比較的低いこと、さらに、県民共有の財産である農業、農村の共同活動をできるだけ広く支援することなどを総合的に考えているところでございます。このため、まず、標準的な地区の活動要件につきましては、多くの集落で行われております水路の泥上げなどの活動をベースに、生き物などの環境に配慮した活動を加えて、取り組みやすくしております。この標準的な地区の支援額については、そうした活動要件に応じて国が示しております柔軟性を生かした中で検討しているところでございます。  さらに、水質浄化池などの泥上げ、草刈りなどの適正な処理、農業用水の循環利用、市町の環境保全計画に基づく広範囲でまとまりのある活動については、高度な環境保全活動と位置づけ、国の枠内で高度な活動に見合う支援額となるよう検討を進めているところでございます。この対策に、県内のより多くの地区で取り組んでいただくこと、あわせて、琵琶湖の保全に効果の高い活動を実践していただきたいと考えております。  最後に、4点目の国の品目横断的経営安定対策を補う県単事業の可能性についてであります。  品目横断的経営安定対策は、諸外国との生産条件の格差が大きい麦、大豆、てん菜、バレイショが対象品目であり、麦や大豆の作付が少ない地域からは、支援措置が受けられないといった声も承っております。麦、大豆栽培が適さない地域での基本的な生産振興方針は、水稲と野菜等の園芸作物を組み合わせた水田農業の複合化への取り組みを進めることでございます。このため、気象や土地条件など、それぞれの地域に合った作物の振興を図ることとし、研究開発技術の普及や指導、産地育成に対する支援を実施しているところであります。  さらに、麦、大豆以外の転作作物につきまして、国の支援措置や県単独の事業がございます。国の支援措置といたしましては、転作作物の中で、地域で振興しようとする品目を対象とした産地づくり交付金が措置されております。この交付金の有効な活用により、野菜やソバなど地域特産物の幅広い支援と、その定着化に努めてまいります。また、県でも、園芸作物としてキャベツ、大根などの露地野菜の省力化の推進や軟弱野菜等の生産拡大に向けて、施設整備に対する支援策を実施しておりますので、今後も継続して取り組んでまいりたいと考えております。麦、大豆が適さない地域におきましては、国や県の事業を総合的に活用していただくことにより、地域の特性を生した水田農業の振興を図ってまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)JR湖西線の防風対策についての御質問のうち、私の方からは、情報提供、代替バスについてお答えをいたします。  まず、JR湖西線運行停止時における住民の方々への情報提供についてでございますが、去る11月29日、県や県議会等、滋賀県地方関係団体によりますJR西日本へのダイヤ改善等の要望活動を行ってまいりました。県議会からは、清水生活文化・土木交通常任委員長にも御出席いただきまして、私も参りましたが、その際に、防災無線を活用して運行停止の情報が速やかに住民の方々に提供されるよう要望させていただいたところでございます。  また、高島市の方でも、去る12月6日にJR西日本に同様の要望活動をなされたと承知しております。これらを受けまして、早速、高島市とJR西日本との間で協議がなされまして、高島市と近江今津駅との連絡を密にし、速やかに市内全戸に無線広報が行われることになったということを確認しているところでございます。  次に、列車運行停止時の代替バスの運行についてでございますが、JR西日本におきましては、1時間以上運行停止が見込まれる場合に、バス会社に代替バスの手配を行い、確保できたバスの台数によりましてバス運行区間を決定するとの取り扱いがなされているところであります。したがいまして、時間帯によっては緊急にバス車両を相当数確保することが困難な場合もあるようでございますので、バス会社と列車運行停止時における車両確保や運行の方法について十分な検討をいただき、代替バスの運行がスムーズになされるよう、JR西日本に対して強く要望してまいりたいと考えております。 ○議長(赤堀義次君) 以上で1番石田祐介君の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時53分 休憩    ────────────────   午後1時8分 開議 ○議長(赤堀義次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、15番森茂樹君の発言を許します。 ◆15番(森茂樹君) (登壇、拍手)芹谷ダムと知事のマニフェストについて、知事に問います。  知事は自由民主党・湖翔クラブの代表質問に答え、芹川は流域面積が比較的小さく、雨水をためる面積も小さく云々として、ダムによる方向が一定程度有効、しかし、治水対策はダムだけではなく、超過洪水が発生したときも含め、人命被害や壊滅的被害を起こさないことが最も重要として、地域との対話も含めて定めたいとしました。  私は、過去の県議会で、芹川の中小河川整備計画が50年確率なのに、芹谷ダム建設の基本高水流量設定に当たっては100年確率で行われ、カバー率も100%と過大であることなどを指摘してきました。これらの論点は正しいと確信していますが、きょうは視点を変えて議論をします。芹谷ダム自体が余りにも問題点が多いので、何点か聞きます。  そもそも本ダムは、最初、芹川本流にダムサイトが設定されていました。それが、支流の水谷川をせきとめる計画に変わりました。支流のせきとめだけではダムの効用は低い。そこで、2,830メートルの導水路をつくって、芹川本流の洪水時の溢水部分を水谷川に持ってくる無理な計画にしました。結果、当初の貯水容量1,260万トンが560万トンと半分以下になりました。ダムの効果は一般に貯水容量ではかられるものですから、非常に非効率なダム計画になったわけです。にもかかわらず、基本高水流量は変わらず、ダムによる洪水調節効果も同様となっています。これは常識的には不可解なことです。どのような計算でそうなっているのかを問います。  次に、このことで、当初265億円の建設費は、導水路をつくるため398億円と5割増しになりました。ダム容量は半分に減って建設費は5割増しになる。なぜこんな非効率な計画に変更しなければならなかったのでしょうか。それは、この地帯がダム建設では御法度とされている地すべり地帯、または崩壊地形だからではないですか。芹川本川での建設を支流の水谷川に差しかえた理由を問います。同時に、地質調査も含め、公開するかどうかを問います。  さらに、芹川の自然がなくされることです。導水路建設で一定量以上の洪水はすべからく導水路に入り、芹川は非常に穏やかな川に変質します。通常の河川は、豊水、平水、低水、渇水というように一定ではなく、日変化、季節変動を繰り返すのが自然の状態で、この条件下で河川環境が形成されている。洪水時には、河床に堆積した汚濁物などがフラッシュされると同時に石の間に空隙が生まれることにより新たな水生生物の生息空間が形成されるといったように、洪水の果たす役割は大きい。導水路により分水地点より下流では、大洪水だけではなく中小洪水も発生しない、変化の乏しい状況となり、河川環境が一変すると指摘している報告書があります。川の漁師さんは「川が荒れた後は魚がわきよる」と言います。年に一、二回の中小洪水あるいは数年に1回あるかないかの大洪水が川をよみがえらせているのです。川が川でなくなる、川のリフレッシュができなくなる、こうした導水路の問題点自身を、環境問題に深くかかわってきた嘉田知事はどう考えられるか、問います。  芹谷ダムの地質そのものがダムには御法度の地域だということです。芹川を下流から見ますと、過去に桃原や屏風地区が左右から崩れ落ちたために川が左右に蛇行しています。導水路は、その地帯を貫通します。水谷川の左岸側に川に並行する断層と考えられる直線状の地形変異の特徴であるリニアメントも見られます。  県は、第4紀断層ではないとされていますが、地層中に破砕帯などの傷跡が残っているのは明らかだとされています。こういう地帯は漏水しやすく、対策工にも費用がかかります。また、こうした地点で貯水することにより新たな地すべりなどを引き起こすおそれもあると考えられますが、いかがですか。  以上から見て、芹谷ダムの地域がダムの適地なのかどうか、抜本的な検討を求めたいと思いますが、いかがですか。  知事答弁で明らかにされたように、治水対策はダムだけでなく、超過洪水が発生したときも含め、人命被害や壊滅的被害を起こさないことが最も重要です。芹川の場合、人命被害や壊滅的被害を起こさないためには、下流部天井川部分の堤防強化が重要です。こういうところでは、ダムをつくっても万能ではありません。逆に、超過洪水のときは河道改修をした場合よりも被害が大きくなってしまう限界もあります。新潟水害のように、堤防が切れて大水害になった事例は多いのです。そのためにも、遮水矢板の打ち込みによる遮水工、地盤改良工、裏のり覆い工などを適宜組み合わせるとともに、流域治水の考えによる遊水地の確保策などもあわせていけば、ダムはなくても十分対応できると考えられます。遊水地域が小さいから、即、ダムも一定程度有効との単純な結論ではなく、全面的な検討をされる必要があると思いますが、いかがですか。  知事も委員をしていた淀川水系流域委員会は、ダムは原則として建設しないものとし、考え得るすべての実行可能な代替案の検討のもとで、ダム以外に実行可能で有効な方法がないということが客観的に認められ、かつ住民団体、地域組織なども含む住民の社会的合意が得られた場合に限り建設するものとしました。私は、この視点は今日も正しいと考えていますし、知事もそうだと考えます。この視点を踏まえるとともに、知事のマニフェストの緊急提言の、ダム以外の方法により対応するという軸足を揺るがせることなく、さらなる検討を加えるべきだと考えますが、知事の所信を問います。  新幹線新駅をめぐる諸問題について、知事に質問します。  我が党は7月県議会で、知事の積極的政策を議会内外で支える立場を明らかにしました。そのため、新幹線新駅やダム問題で、抵抗勢力の論を打破する具体的方向を示してきました。知事を選んだ県民の願いと議会の多数派の抵抗勢力との間に大きなずれがあり、そこに今の困難があることを痛感していますが、県民は、知事が選挙に掲げたマニフェストを毅然と貫くことを期待しています。それらの問題については、ぶれがあってはならないと考えるものです。  知事は、マニフェストは4年のサイクルの中で検証されるべきものとの考えを示しており、私もこの立場を認めますが、新幹線新駅でいえば、限りなく中止に近い凍結を貫いて、そのための論立てを徹底して行うことが必要です。新幹線新駅をめぐる経済アセスメントの検証も、そもそも國松知事時代の枠組みをそのままで再検証しました。それ自身に一定の意味を持つことを認めますが、経済アセスメントの枠組みが事態を正しく反映するのかという根本的検証はされていません。例えば、乗客数は深度化調査では2010年7,480人が、検証では2012年の中位で6,010人となっています。しかし、これは新幹線駅選択モデルという深度化調査の方式をそのまま用いているわけです。このときの選択モデルでは、栗東市民の96%、草津市民44%、守山市民62%が利用するとしています。このような数字が出てくる背景には、私がたびたび指摘してきましたように、駅選択の基準として、利便差、経済差、時間差を挙げながら、結局、計算の過程では利便差を基本的にネグレクトして、経済差、時間差だけで選択するようにしているからです。  私は、常任委員会連合審査会でも、6,010人自体も含め、再検証結果でも過大としました。滋賀大学の近藤学教授は、推計として3,500人としています。根拠は、1996年の県南部の新幹線京都駅利用者は7,490人で、それに年率1.1%で利用者がふえるとして、2012年で8,810人となり、それを京都駅と栗東駅で分担すると、深度化調査では京都駅と栗東駅のシェアを62対38としているので、4割としても3,500人というぐあいです。こうした検証の方法もするべきではないでしょうか。  近藤教授は再検証結果を検討する中で、費用と便益の比を計算しています。財政支出額と税収効果を比較検討しています。近藤氏は、およその目安の数字としていますが、國松知事時代の数字では、費用対便益比は1.33であったが、今回の再検証結果では0.63と、ほぼ半分になることを明らかにしています。税収が財政支出額を下回るのです。しかも、経済アセスメントは、税収があることだけしか計算していませんが、私が連合審査会でも指摘したように、人口も観光客もふえれば、それに相応する財政支出も、社会的インフラの整備を初め、大きな額に上るでしょう。こうした点もきちんと明らかにすれば、先行投資による経済効果は抜群などとの新駅バラ色論が成り立たないことは明白です。県が出した法的検討も、こうも考えられるが、ああも考えられるという評論家的な考え方で作成されている点が問題です。  知事の立場は、限りなく中止に近い凍結とはっきりしているわけです。その立場から、私が7月県議会で指摘しました、1981年1月の最高裁判決に従って、合意がなくても協定を破棄できる立場に知事は毅然として立つことが必要です。知事は9月県議会で、対話と共感を自身の政治姿勢と強調しながら、十分に議論を尽くしても、なお両者の溝を埋めることができない場合は、民主主義の原理に基づいた選挙で示された民意に従うという立場で決断するとしました。この立場は、具体的には、最後は毅然と協定を破棄する、あるいは、促進協議会からの脱退も辞さない、新年度予算では新幹線新駅推進の関係予算はつけないなどということを示すことになるのではないかと私は思います。  私は、この決断を示すのはどんなに遅くとも予算査定の過程だと考えていますが、知事は、いついかなる形で9月県議会で示した決断をするのかを問います。  経済損失も損害賠償についても、県としては、ないならない、あるいは、あったとしても、これこれしかじかしかないときっぱり言って、その上で相手の出方を待つことが必要でしょう。栗東市があれもこれも損失だと言っていると県が掲載することはありません。栗東市の主張にどう対応するかをしっかり持っておくことは必要ですが、今から手のうちを見せることは毫もないのです。なぜなら、損害賠償があるとしても、その決着は、話し合いでつかなければ最終的には裁判でとなります。現在は、そのことを見通した上で毅然とした態度をとることが必要です。  かつて上田金脈の土地転がしに係る土地開発公社問題がありました。このとき、土地開発公社問題の解決に当たっては、契約自体が違法で無効との立場で武村県政は臨みました。武村氏が嘉田県政2カ月の直言で、新幹線問題に対する知事のスタンスを問われて、関係者らとの対話路線を進めているが、それでうまくいくのかなというのが感想。問題解決には和戦両様の戦法が必要。今は和ばかりで戦がないとしています。嘉田知事は、こうした声にこたえるべく、経済損失、損害賠償などについても、あれこれ考えられるという評論家的立場ではなく、県としてはかく考える、あとは受けて立つということを示すべきだと考えますが、いかがですか。  新幹線をめぐって、栗東市の起債に関する栗東市の控訴を受けて、被控訴人は、仮線に係る起債は明確な地方財政法違反であるとの根拠を示しています。すなわち、地方財政法第5条第5号の、公共施設の建設事業とは、資産として有形的に残るべきもので、それを後世の住民が利用するからこそ、後世の住民にも負担させることが合理的であることから起債が認められるものだとしています。被控訴人側は、それを立証する9つの文献を挙げて、学説全体がこの立場を支持していることが明らかになっています。仮線は資産として有形的に残るものではありません。  私は、県が栗東市の起債についての不当性をきちんと整理し、裁判の経過がどうあろうと、県としては法律的に見て同意できるものではないことを明確にすべきと考えますが、いかがですか。  いじめ、未履修、やらせタウンミーティング、教育をめぐるさまざまな問題が噴出しています。いじめと少人数学級についてのみ、教育長に問います。  県のいじめ発生件数調査は、2001年から2005年度まで、103件から134件と、百数十件の間を前後してきました。今回、いじめ、もしくは、いじめが心配される件数調査がされ、1,207件となりました。一方、県教育委員会が文部科学省に報告している小・中・高校の自殺数は、2001年度3人、2002年度4人、2003年度1人、2004年度6人、2005年度0人の、5年間で計14人に上っています。小学生1人以外は全部、高校生です。  県教育委員会は、これらの自殺といじめの関係はないとしています。全国では、自殺といじめの関係を学校や教育委員会が隠蔽する事態が続いていますが、県では、これら14人が、確かにいじめではない、他の原因で自殺したと言える根拠を持っているのか、聞きます。  文部科学省にいじめの報告をしておられますが、原因は分析していないと聞きました。あれこれの対策はとったと聞かされるのですが、的確な対策をするには、原因をどうとらえているのかという分析が必要だと思うのです。昔からいじめはあったと言われます。しかし、自殺にまで至るような陰湿で継続的ないじめは、少なくとも今日のように多くはなかったと言われます。今日問題になっているいじめの根本をどうとらえているのか、問います。  いじめの原因は、社会、学校、家庭の各方面から検討されるべき問題でしょうが、学校に関して言えば、根源の一つに競争教育があるのではないでしょうか。今回の教育基本法改正の直接の出発点となった、首相の諮問機関である教育改革国民会議が2000年12月に発表した「教育を変える17の提案」という文書で、これからの教育を考える視点として、次のように述べています。初等教育から高等教育を通じて、社会が求めるリーダーを育てるとともに、リーダーを認め、支える社会を実現しなければならない。つまり、リーダーとそれに従う子供をつくる。こうした考えで、テスト責めによる競争教育や勝ち組と負け組のふるい分け教育、できる子とできない子の習熟度教育などが子供たちをずたずたに切り裂いています。そこにいじめが横行する教育現場の問題があるとは考えませんか。  いじめの根本対策として、子供同士の連帯、共感を破壊する競争教育のあり方自体を変える決意はありませんか、問います。  こうした状態を変えるため、さまざまな施策がとられなければなりませんが、学校現場の声では、やはり少人数学級の前進を望む声が強いのです。学校が抱えるさまざまな対応を進めていく上でも、見えにくいと言われる現在のいじめを初期のうちに的確に把握するためにも、嘉田知事のマニフェストに示されている35人学級の実現がどうしても必要で、来年度どこまで進められるのか、問います。  (仮称)イオン草津ショッピングセンターについて質問します。  政府は、2000年施行のまちづくり三法は、市街地の整備改善および商業等の活性化を一体的に推進する目的だとしていましたが、結果は、大型店の出店を一層野放しにし、郊外への大規模ショッピングセンター進出と中心市街地の空洞化と商店街のシャッター通り化を進行させただけであったことは明白です。政府の全国大型小売店総覧2006では、2002年6月時点で1万7,000あった大規模小売店舗のうち約1,600店がその後の2年間で撤退、同じ2年間で約3,100店が新たに出店というように、大型店が全国各地で出退店を繰り返しています。県でも、2000年の大店立地法制定以来、26店が新たに進出する一方で、県下各地でダイエー、ヒカリ屋、サティの撤退など、目まぐるしく動いています。ここには、新たなもうけ口を求めて次から次へと地域を食い物にしていく大手流通資本のやり方があらわれています。  昨年も瀬田地域で大型店が2つ進出し、ことしはヤンマー研究所跡地と、瀬田と背中合わせの草津市にイオンが進出を計画しています。同社の地元説明会によると、車で30分以内の圏内に住む四、五十万人を対象、建築面積18万平方メートル、店舗面積6万平方メートル、駐車場5,000台で、店舗以外に複合型映画館、クリニック、スポーツクラブ、郵便局、草津市のサテライトなど、まちそのものができるという大規模なものです。  そこで、まず、商工観光労働部長に質問します。滋賀県の小売業に占める大規模小売店の割合は、2006年10月末現在で58.1%ですが、全国の中での位置、近畿の中での位置はどうですか。その結果として、県の小売店の状況、県内の主な商店街の空き店舗率はどうなっているか。シャッター通りが進出する中で、県には大規模小売店の異常な進出が図られているわけですが、これまでどのような対策をとってきたのか、あるいは、とってこなかったのか。そして、対策をとった場合の有効性はどうだったのか。とってこなかった場合は、その理由を明らかにしていただきたい。  草津市の大規模小売店の占有率は70.5%と、13市13町でトップです。今回、6万平方メートルが仮に全部店舗とすると、一挙に77%となります。草津市地先とはいえ、実態は大津市の東部中心に近い場所ですから、大津市と草津市を一体として見ると、現在の63.9%が65.4%とはね上がります。このショッピングセンターの、大津市、草津市を中心に大津・湖南都市計画区域に与える影響をどのように見ていますか。まちづくり三法の施行直前をねらった駆け込み申請に対して、商工観光労働部としてどう対処しようとしているのかを問います。  土木交通部長に問います。  近江大橋東詰地点での現状の交通量の実態、同地点での交通の問題点と、イオンが進出することによって起こる問題点をどのようにとらえていますか。  旧まちづくり三法で国が大型店進出に関する規制緩和路線をとる中でも、全国各地で大型店進出にストップをかける実績を上げています。熊本市の場合、開発指導要綱に基づいて、市街化調整区域での開発は許可しないとされました。滋賀県も今まで、開発許可制度の取り扱い基準で、リゾート開発関連以外は市街化調整区域での商業施設の届け出を受理しない姿勢をとってきました。今回の進出もまさに市街化調整区域で行われようとしています。したがって、これが権限移譲していない県下のどこかの町に進出する場合は、県はこの基準で対応することになって、認められないでしょうか。草津市には、開発に関する権限が移譲されているとはいえ、この影響は、草津市、大津市を初め、いわゆる大津湖南都市計画区域全体に影響を及ぼします。そうした広域調整の立場から、県として、これまでどおりの態度を貫くべきではないかと考えるのですが、どうですか。  草津市も県と基本的に同様の開発許可制度の取り扱い基準を持っています。草津市自体が、毅然と対応することが重要ですが、県として、町に進出する者は認めないが、権限を移譲した市に対しては対応できないということではなく、広域の調整に責任を持つ自治体として全県の調和をとることも含めて対応すべきと考えますが、どうですか。  しかも、新まちづくり三法で認められない市街化調整区域での建設を、法施行前に駆け込み申請していることは、大企業の社会的責任にももとる行為として、駆け込みは認められないと宣言すべきではないですか。  知事に問います。政府はまちづくり三法に対する各経済団体、各地域からの異議や戦いの前に、今回、新まちづくり三法を制定しました。大型店の郊外への無秩序な出店を規制する点では遅きに失したとはいえ一歩前進と言えます。現三法のもとでも、昨年10月、福島県が、福島県商業まちづくりの推進に関する条例を制定しました。条例は、環境への負荷の少ない持続可能なまちづくりや、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりの考えに基づき、県による市町村を超えた広域調整を行うとしています。県が大規模小売店の異常な進出で旧商店街が大きな被害を受けるだけでなく、地域の経済的機能や地域固有の暮らしの機能、地域独特の教育・文化機能が破壊されてきました。  滋賀県にはもうこれ以上大型店舗は要らないという断固とした方針のもとに、滋賀県のまちづくり条例をつくるべきと考えますが、どうですか。  御清聴、ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(赤堀義次君) 15番森茂樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)森議員の芹谷ダムについて、また、マニフェストについての7点の御質問にお答えいたします。  私が自由民主党・湖翔クラブの代表質問に対しまして、芹谷ダムは一定程度有効と認識しているとお答えした点に関してでございます。  まず、1点目の芹谷ダムの貯水量が当初の半分以下になったにもかかわらず、基本高水は変わらず、洪水調節効果も同様となっていることについてでございます。ダムサイトを芹川本川から支川の水谷川に変更したことにより、当初の貯水容量に含んでいた河川の機能維持容量、また、堆砂容量を削減することができました。また、導水方式としたことで、洪水初期においてはダムに導水されず、そのまま芹川下流に流れることとなりました。つまり、ダムへの流入量が減ることから洪水調節容量を削減できることになったものであります。これらのことから、貯水容量が減少したものの同等の治水効果が確保されているところであり、有効なものと理解しております。  2点目の芹川本川での建設を支川の水谷川にダムサイトを変更した理由、および、地質調査を含め公開するのかとの御質問でございます。  まず、ダムサイトを変更した理由につきましては、芹川本川の予定地は、洪水調節に伴う水位変動により斜面の一部が不安定化するおそれがあるため、その対策に押さえ盛土が必要となること、また、押さえ盛土は大きな自然改変を伴うことなどから、水谷川にダムサイトを変更したものであります。  また、地質調査を含め、関係資料については、これまでも非公開とはしておりません。公開しております。  3点目の導水路の建設により川のリフレッシュができなくなるという問題をどう考えるかについてでございます。芹谷ダムへの導水計画では、川があふれるほどの大洪水のときだけ、具体的には、毎秒90トン以上のときだけ導水路に水を流すことになり、中小の出水では導水されず、そのまま芹川を流下することになっております。このことから、流れは現状とはほとんど変わらず、川底の擾乱を阻害し河川環境を大きく破壊する程度はないと考えております。  4点目の芹谷ダムのダムサイトや導水路の地帯では漏水しやすく、貯水することにより新たな地すべりなどを引き起こすおそれも考えられないかとのことでございます。芹谷ダムの計画地において、地下水の観測を継続して実施しておりまして、地下水位の状況から漏水はないものと考えております。また、調査結果からは、芹谷ダムの計画貯水池内に地すべり地形はございませんでした。  5点目の芹谷ダムの地域がダムの適地なのかどうか、根本的な検討を求めたいとのことでありますが、芹谷ダム地域については、地質調査、第4紀断層調査、地すべり調査などを行い、国土交通省のダム基本設計会議に諮るなど、専門家の意見を聞いており、安全性については問題はないと考えております。今後、具体的な計画を作成するに当たっては、これまでの調査結果を踏まえ、さらに、自然環境や社会環境に配慮し、かつ経済性、安全性から最も合理的なものにしてまいりたいと考えております。  6点目の遊水地域が小さいから、即、ダムも一定程度有効という単純な結論ではなく、堤防強化や遊水地の確保策など、あわせて全面的な検討をする必要があるとの御質問でございますが、芹川の治水対策につきましては、下流部密集市街地での河道拡幅は、人口密度、住宅地の密集の状況、さらに、江戸時代以来のケヤキ並木の保護などの関係で、河道拡幅の困難性が高く、また、流域治水の観点から、流域でためる方策を地形や土地利用等を十分勘案した上で総合的に検討してきたところであります。その結果、ダムは一定程度有効と判断したものでございます。  なお、御指摘の堤防補強対策は、堤防の破堤による人命被害や壊滅的被害を起こさせないために必要なものでありますが、そのままダムの代替案となるものではないと理解しております。  7点目の淀川水系流域委員会のダムにかかわる提言を踏まえるとともに、マニフェストの緊急提言を揺るがせることなく、さらなる検討を加えるべきとの御質問でございます。淀川水系流域委員会での主張に対しては、私自身、その判断は正しいと理解しております。その上で、芹川の治水対策としての芹谷ダムの必要性については、平成13年から15年にかけての芹川川づくり会議、また、淡海の川づくり検討委員会で議論してまいりました。その結果、住民の方々の意向も踏まえ、穴あきダムにより川の連続性を確保し、清流として残せる自然環境配慮型のダム、さらに、芹川下流川沿いのケヤキ並木も残すことができるなど、河川環境にも配慮した治水対策の検討を重ねてきたところでございます。  しかし、その後、新潟豪雨等の被害が全国で発生し、ダムや河川整備による治水対策だけでは、大洪水が起きたときの災害は防げないことがあることも明らかになりました。私自身、芹川川づくり会議にも参加し、また、新潟地震、新潟豪雨の変化を目の当たりに経験してきたものでございます。これからは、人々の命を守ることと自然環境の保全のため、ダムや河川改修だけに頼らないハードとソフトの両面から、さらには、自助、共助の視点から流域治水を検討していくことが大変重要と考え、マニフェストで提言をさせていただきました。  最近では、マニフェストでの私の問題提起を受け、芹谷ダム下流の彦根市の住民の中で、水害への認識を高めるさまざまな動きが生まれつつあります。また、この12月議会では、彦根市長が彦根市議会においてですが、流域治水への取り組みを進めるという方向を示しておられます。  今後、水害への社会的関心づくりを醸成しつつ、従来のメンバーを拡大した形で川づくり会議などを開催し、地域の住民の皆様、行政の皆様と各種の情報を共有しつつ、対話を進め、芹川の総合的な治水対策を進めてまいりたいと考えております。  次に、新幹線新駅をめぐる4点の質問にお答えをさせていただきます。  まず、1点目の経済アセスメントそのものの根本的な検証方法もとるべきではないかとの御質問ですが、今回県で実施いたしました再検証は、前回の深度化調査以降の社会経済情勢の変化を踏まえながら、人口予測や産業連関表などのデータを最新のものにするなど、基本的には前回の深度化調査の手法を踏襲しながら行いました。同一の手法を採用した理由といたしましては、データだけを最新のものとし、そのことによって、変化した人口条件などの影響を明確にできると判断したからでございます。  また、御指摘の利便性の要素については、前回の調査においても、新幹線の発車本数や乗りかえ回数などで一定考慮しておりますが、今回の再検証においては、草津線接続新駅から新幹線新駅への移動時間について新たに考慮するなど、利便性に関する前提条件についても一定程度精査しております。需要予測については、議員御指摘の方法など、さまざまな手法があると存じますが、今回の再検証の結果でも、利用者予測、経済波及効果、税収効果のいずれも、前回の深度化調査に比べて大幅に下方修正されるなど、より実態に近い予測結果となったものと考えております。  さらに、経済波及効果の結果の解釈の留意点でも述べましたように、波及効果の及ぶ範囲の限定がなされていないなど、さらに再考が必要となっております。そのようなことも含めて、今後、促進協議会の正副会長会議におきまして、新駅の凍結の方向で議論する上で大きな意味を持つものと考えております。  次に、2点目の知事はいつ、いかなる形で決断するのかとの御質問ですが、新幹線新駅問題につきましては、知事選挙において示されました民意を受けて、新駅の推進、凍結のそれぞれの立場から、促進協議会の正副会長会議の場で虚心坦懐に議論を行い、遅くとも3月末までに結論を出すとの合意をいただきました。このことから、既に県からもさまざまな材料を提出して議論を進めているところでございます。予算編成の手続を考慮いたしますと、できる限り早く凍結の是非の議論の方向を定める必要があると考えておりますが、私としては、引き続き正副会長会議において、凍結や推進に伴うさまざまな課題の議論を通じて、関係者や県民の皆さんの将来にとって誤りのない判断ができるよう、精いっぱい努力してまいりたいと考えております。  次に、3点目の経済的損失、損害賠償について、県としてかく考える、あとは受けて立つということを示すべきではないかとの御質問ですが、先日お示ししました、凍結に伴う法的課題や経済的損失、県の責任の範囲の考え方は、促進協議会の正副会長会議で、凍結を含めた幅広い議論をするための判断材料の一つとして提示させていただいたものでございます。  県といたしましては、栗東市が主張される損失額のうち、基本協定の締結によって県が新駅設置事業に対して法的関係に入った平成14年度以降が県の法的責任の範囲の基本と考えております。今回提示した県の責任範囲は、凍結に伴う課題の一つとして、損害賠償額ではなく、あくまでも現時点で想定される県の法的な責任の範囲として試算したものであり、虚心坦懐に正副会長会議で議論する以上は、客観的な資料を提供し、説明責任を果たすことが、県としての役割であると考えております。今後、これらの課題を踏まえて、さらに議論を深め、県民の皆さんの負担をできる限り少なくできるよう、最良の選択をする必要があると考えております。  次に、4点目の県が栗東市の起債の不当性を整理し、法律的に見て同意できるものではないことを明確にすべきではないかとの御質問ですが、栗東市の起債につきましては、市において国の通知等に基づき、新駅整備に係る仮線事業費の一部を鉄道事業と市施工の都市計画道路拡幅事業の重複事業とし、そのうち、道路事業と位置づけられた部分を対象とされたものであります。  地方財政法の規定により、地方債の対象となる道路事業の財源として適正なものであると認め、平成17年度については既に許可を行い、平成18年度分についても手続を進めているところでございますが、9月の地裁判決を受けて、間近に迫っておりました9月末の第1次同意は県として保留したところであります。  今後は、年度末の第2次同意の手続となりますので、その際には市の考えも十分お聞きしながら、県としても適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、イオン草津ショッピングセンターについてでございます。滋賀県には、もうこれ以上大型店舗は要らないという方針のもとに滋賀県のまちづくり条例をつくるべきと考えるがどうかという御質問にお答えをさせていただきます。  大型店の出店を含めたまちづくりにつきましては、基本的には市町が都市計画や中心市街地の活性化の観点から、地域の創意と工夫を生かして取り組まれるべきものであります。また、今回の都市計画法の改定により、郊外の大型店を含む大規模集客施設の出店について一定の規制がかかることとされておりますが、市町の枠を超えた広域を担う存在である県にも一定の役割があるものと考えております。  大型店等の出店に関しましては、議員より御指摘のありました福島県などが、それぞれ地域の状況に応じて、さまざまな観点から検討し取り組まれているところでございます。本県における大型店の郊外出店につきましては、中心市街地の衰退につながるために、そこで暮らしてきた高齢者への影響が大きいことなどから規制を強化すべきとの意見がございます。その一方で、地域の活性化の観点から出店を歓迎する等、さまざまな意見がございます。また、京都など大都市近郊にあることや、郊外での住宅開発、居住地の増加があること等、本県の置かれている特性も考慮していく必要があると考えております。  こういったことから、今後、県としましては、商業者、消費者のみならず、広く関係者からの意見を聞きながら、大型店の立地と同時に中心市街地活性化のあり方についても検討してまいりたいと考えております。 ◎商工観光労働部長(河本光明君) (登壇)大型店と商店街について、5点の御質問にお答えします。  まず、1点目の御質問に関しまして、本県の大規模小売店舗が小売業の売り場総面積に占める割合は58.1%となっております。これに対応する全国的な調査は実施されておりませんが、総務省統計局の「統計で見る都道府県の姿2006」によると、人口10万人当たりの大規模小売店舗数は、全国平均で13.9店であるのに対し、本県は13.89店で、47都道府県中14位、近畿2府4県中では4位となっております。  2点目の県内の小売店の状況と商店街の空き店舗率ですが、平成16年の商業統計によると、昭和63年以降、県内の従業員50人以上の大規模な小売店舗は、店舗数、販売額、ともに一貫して上昇を続ける一方で、従業員4人以下の小規模な小売店舗の店舗数、販売額はともに減少傾向が続いております。また、商店街の空き店舗率については、平成16年度の商店街実態調査によると、県内の商店街のうち約65%は、空き店舗率を5%未満と回答しておりますが、約16%の商店街は、空き店舗率が20%以上と回答し、さらに、約39%の商店街が、今後空き店舗は増加する見通しと回答するなど、県内商店街を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。  3点目の大型店の進出が進む中でとってきた対策およびその有効性についてですが、商店街は地域コミュニティーの核として重要な役割を担うものであり、県では、主体的な役割を担う市町と連携しつつ、少子高齢化などの政策課題に対応した商店街のハード整備に対する補助金や、空き店舗活用による商店街活性化対策などのソフト事業に対する補助金の交付等を通じて、地域の主体的な取り組みを支援しております。  その効果ですが、本年5月に中小企業庁がまとめた「がんばる商店街77選」において、県の支援制度の活用などにより商店街を活性化させた長浜市、彦根市における取り組みが、全国に通じる成功事例として紹介されるなど、一定の効果があらわれていると考えております。  4点目のイオン草津ショッピングセンターが与える影響についてですが、この施設は、大規模な複合型商業施設として整備される計画と聞き及んでおりますことから、周辺市も含めて地域商業への影響があるのではないかと考えております。  最後に、これに対する商工観光労働部としての対応ですが、今後、大店立地法に基づく届け出がなされましたときには、法の趣旨に基づいて適切な対応を行ってまいりたいと考えております。  また、今後とも地域コミュニティーの核となる商店街の活性化に向けまして、関係市町と連携を図りながら、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)イオン草津ショッピングセンターに関する交通問題についての御質問にお答えします。  まず、近江大橋東詰地点での交通の問題点でありますが、近江大橋東詰付近での渋滞箇所としましては、近江大橋の取りつけ道路である県道大津草津線と県道大津守山近江八幡線が交差する新浜交差点、県道近江八幡大津線、いわゆるさざなみ街道と長沢川南側の市道が交差する大萱6丁目交差点の2カ所がございます。  新浜交差点につきましては、守山方向から県道大津守山近江八幡線を南下する車が渋滞しておりましたが、県道大津草津線の先線である大津湖南幹線の整備に伴い緩和されてきております。もう1カ所の大萱6丁目交差点につきましては、平日の朝夕や休日の昼間を中心に渋滞が生じております。守山方面からさざなみ街道を南下する車が近江大橋を利用する場合、この交差点を左折しなければならないことから、現在、滋賀県道路公社において、さざなみ街道と県道大津草津線を直接結ぶアクセス道路を計画中であります。さらに、県では、さざなみ街道を北上する車の対策として、漕艇場から大萱6丁目交差点間で右折だまりの整備を行うべく大津市と協議を進めております。こうした事業が完成すれば交通渋滞は緩和されるものと考えております。  次に、イオンが進出することによって起こる問題点をどのようにとらえているかについてでありますが、イオン出店に伴い、周辺道路では交通量が増加することが予測されます。このことから、開発者において十分な対策が講じられることが必要であります。大萱6丁目交差点の渋滞対策として、道路公社がアクセス道路を計画していたところにイオンの出店計画が持ち上がりましたことから、草津市ならびにイオンの両者と出店に伴う交通問題について調整を行っているところであります。今後、正式な届け出の計画の中に十分な駐車場容量の確保や交差点改良、店舗への出入り口には付加車線を設けることなど、出店に伴う周辺道路への影響を少なくする対策が講じられるよう、指導してまいりたいと考えております。  次に、市街化調整区域での大型店の進出についてお答えします。  1点目の広域の立場からの県の対応でございます。草津市新浜地先には、乱開発を防止するため、第1種低層住居専用地域という土地利用規制が行われておりましたが、草津市より、用途地域を廃止するに当たり、都市計画法に基づく協議、同意を求められました。これを受けて県は、都市計画法の改正を受けた広域調整手続を先取りする形で大津市に意見を求め、慎重に検討した結果、都市計画の変更に同意をしたところでございます。  2点目の全県の調和をとることも含めて対応されるべきという質問についてでございますが、開発許可権限は、地方分権の推進から草津市に移譲されており、県と草津市とは対等の関係でございますので、県が意見を申し述べる立場にはございません。したがいまして、草津市における開発許可につきましては、住民の意向を反映し、将来のビジョンを示した草津市都市計画マスタープランを踏まえたまちづくりの観点から草津市が主体的に判断されるべき事項と考えております。  3点目の法施行前の駆け込みは認められないという質問についてでありますが、法施行前の申請に対しては、以前から準備している事業者にも配慮する必要があるため、来年11月30日までの猶予期間が設けられたものでございます。法施行前の現行制度下において市街化調整区域での立地が望ましくないとの理由で、これを前倒しして立地規制することまではできないと考えております。  以上です。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)本県ではこの5年間に、本当に残念なことに14名の児童生徒が自殺をしております。その都度、いじめがあったのかどうか、学校は悩みの把握をしていたのかどうかなどについて調査を行い、また、警察や保護者等との連携にも努めておりまして、その結果、14件のいずれも、いじめが原因ではないとの判断をしております。  自殺は決して単一の原因や出来事だけで生じているのではなく、しばしば多くの原因が複雑に関連して生ずるものであります。したがいまして、警察や遺族の方々にそれぞれ手を尽くして確認した上でも、はっきりとした原因が見当たらないものもありますので、文部科学省への報告を、自殺の原因は不明としたものが5件ございます。  2点目のいじめ問題の根本ということでございますが、いじめる側の心の問題や、いじめを見て見ぬふりをするといった状況等、さまざまな要因のもとで、現にいじめが起こっているという事実がございますので、それらの背景から根本的な問題を見出し、対処していく必要がございます。今の社会の中で子供同士が相手を思いやりながら人間関係を築いていくという力、うまくコミュニケーションをとっていく力が弱くなっている、そういう指摘がございますし、私自身もそう思っております。そういう問題が根本の一つとしてあるものと考えております。  3点目のいじめの根本対策ということでございますが、平成12年に発表された「教育を変える17の提案」は、個性を伸ばす教育システムを導入すべきであるという考えのもとに、子供一人一人の資質や才能が異なる中で、同じような内容を同じように教えていく画一的な教育では、子供にとって実質的に平等な教育を提供することにならないという視点から、習熟度別学習や中高一貫教育等が提案されたものと受けとめております。  子供一人一人に合った教育を進めることは大切なことでございますし、子供たちが将来、社会で生きるすべを学ぶ場が学校でございますので、子供たちには、周りの人を大切に考え、お互いの人間関係をつくり、コミュニケーションできる力を育てる教育ということに力を注いで取り組んでまいりたいと存じます。  競争教育というお話もございましたが、私としましては、申し上げましたような姿勢を持って、いじめをなくしていく道筋をつくっていきたいと思っております。  4点目の35人学級編制についてでありますが、現在既に実施しております小学校1年生を初めとする対象の学年を見ましても、学校が楽しいという子供がふえ、不登校の子供も減少傾向が見られるなどの効果が報告されているところでございます。教育委員会といたしましては、ぜひこの35人学級を段階的、計画的にでも何とか拡大してまいりたいという思いであります。  教員の確保や財政的な問題など、大きな課題もございますが、来年度、1つの学年でも拡大できないか、現在、その手だてや方法などの検討を進めているところでございまして、来年度の予算編成の中で位置づけできるよう努力してまいりたいと考えております。 ◆15番(森茂樹君) (登壇)まず、芹谷ダムの問題ですけれども、本川のダム計画を変えた理由が、ダムをつくれば斜面の一部が不安定になり、それを抑えるための盛土をしてもということで変更したと。つまり、地質が悪かったということを認められたわけです。  今問題になっております奈良県の大滝ダムというのがありますけれども、この奈良県の大滝ダムは、国が3,200億円もの巨費をかけてつくった。ここは地すべり地だということはわかっていたところで、技術で抑えられるということでやったわけですが、御承知のような状況になって、今、その対策費だけでも270億円、関係住民は全員移転ということが起こっております。技術の過信が許されないということと、地質がやはり問題だということなのです。  さらに、現在、静岡県施工で県営ダムが、太田川ダムというのがつくられておりますけれども、ここも同じような地盤の緩みが発生して、のり枠工にクラックが入ったりして安全性に疑問が持たれております。ここも含めて、芹谷ダム、大滝ダム、そして、この太田川ダムは、いずれも付加帯と言われる地質構造なのです。要するに、過去に地すべり等が起こって、地質がずたずたにされている、こういうところなのです。そういうところでの建設そのものに問題があると。  先ほど知事が言われたように、ダムだけでなしに、さまざまなやり方を考えなければならないわけですが、ダムを考えるとしても、この地は不適切であるということが明確だと思いますが、その点、そうした事例も含めてどのように考えられるか、お聞きしたいと思います。  それから、新駅の問題で、前回どおりの経済アセスメントのやり方で検討したけれども、すべての数値で前回より下方修正したということです。それはそのとおりなのですけれども、この間から議論になっておりますように、下方修正しても、なお、たくさんの人が乗るのではないかというのが、新駅推進派の言い分でありますけれども、私は、下方修正をした数字そのものがまだ高いということを根拠を示して言っているわけであって、その点での検証が足りないということについてどう思っておられるのか、お聞きしたいと思うのです。  そして、費用対効果の点でも、奈良女子大学の中山徹助教授が、かつて公共工事よりも社会福祉事業の方が経済波及効果は大きいということも発表されておりますけれども、そういう立場からもこの問題の検証をする必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  それから、ショッピングセンターの問題ですけれども、先ほど言いました点でお答えになっていないところがありますが、つまり、この状況は、地方分権の中で草津市が認めればどうしようもないのだということでありますが、この論だけでいきますと、滋賀県の中がまだら状態になるわけです。町のところは市街化調整区域では認めないけれども、市であれば、市に権限を移譲するので、市が認める以上、認めざるを得ないということなのですが、ここに広域調整としての役割を持つ滋賀県の出番があると思うわけです。まだらな状況を滋賀県として認めるのかということになると思いますが、その点を部長はどう考えておられるか、もう一度お聞きいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)森議員の3点の質問にお答えさせていただきます。  1点目は芹谷ダムの予定地が地質的に不安定ではないかと。大滝ダムの問題、これは奈良県でございます。それから静岡県の問題などから、技術の過信をしてはいないかという質問の中でのダムの建設にかかわるものでございます。  私自身も、技術を過信することは大変問題であると考えております。特に日本の場合には、急峻な地形、地質、そして、地質そのものも古いところもございます。そのような中で、芹谷ダムの本川周辺の地質調査をさせていただいた結果、本川にダムをつくることは地質的にも不安定であるという状況から、水谷川の方にダムの位置を移したという背景がございます。そのようなところから、導水トンネルあるいは周辺の地質調査をしっかりさせていただきながら、事実、例えば導水トンネルの計画ルートの上には仏生寺衝上断層という、耳で聞いてわかりにくいのですけれども、仏生寺衝上断層、ついたてのようになった断層があると伺っておりますが、このような地質条件でのトンネルの施工については、国内においても数多くの実績があるということで、安全性について問題を生じるものではないと判断しております。  それから、2点目でございますが、新駅の便益あるいは利用者予測など、下方修正をしてもまだ高いのではないかという点でございますけれども、この点につきましては、先ほども新駅の経済波及効果の解釈をする上で留意点があるということで申し上げました。経済波及効果の地域範囲の問題、あるいは、この波及効果を出すに当たっての前提となっている静岡県の3つの駅が、時代的にも昭和63年オープン、そして、右肩上がりの時代のパラメーターを利用しているなど、その留意点については書かせていただいております。皆さんにもお知らせしております。そのようなことを考えますと、現在のデータも、より一層実態に近づけるためには下方修正する必要があるのではないのかという御意見には、一定程度の賛成をさせていただきます。  それから、3点目、経済波及効果ですが、ハードの事業以上に、例えばソフトの福祉政策などが、これからの時代、経済波及効果として大切ではないかというお考えでございます。一般的にはそのような形で、現在、ハードからソフトへ、そして、産業開発から人々の、いわば生活づくりへというようなところに公共事業が移っているという理解をさせていただきます。その上で、この特定の事業、それぞれについてはそれぞれの特定の事業の経済波及効果、あるいは費用便益の調査研究をする必要があると理解しております。  以上です。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) 大規模集客施設の立地につきましては、用途地域の変更や地区計画の決定など、市町の都市計画手続を経ることが必要となることが予想されます。市町の都市計画手続につきましては、県は広域の見地から調整するということとなっておりますが、今回、都市計画法の改正によりまして、関係市町より意見の聴取や資料の提供といったことを求めることができるように広域調整手続が明確に位置づけられました。今後は、この制度を活用して広域調整機能を果たしていきたい、このように考えております。 ◆15番(森茂樹君) (登壇)ちょっと時間の配分を失敗しましたが、先ほど専門家の意見を聞いているから大丈夫だというのですが、それが、大滝ダムは国土交通省がやってだめなのです。そういう点を踏まえて検討してもらいたい。  地質調査は非常に膨大なもので、この間もらえませんでしたが、もらえるということですので、また検討してきたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で15番森茂樹君の質問を終了いたします。  次に、9番田中章五君の発言を許します。 ◆9番(田中章五君) (登壇、拍手)それでは、発言通告書に従いまして、災害時要援護者の避難支援につきまして、また、雪対策につきまして、質問をさせていただきます。  未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災、中越大地震、平成16年には10個もの台風が上陸、あるいは、福井、新潟の豪雨、56、59豪雪等々、本県におきましても、昨年の豪雪、それから、この夏の集中豪雨は記憶に新しいところでございます。そのたびに問われ、叫ばれるのが、災害対策、防災であります。さきの阪神・淡路大震災以来、その貴重な教訓を生かして、国、県、そして市町と、対策は充実強化されてきたところであります。  とりわけ、集落や自治会単位での消防団、自警団、自主防災組織では、日ごろから行政と連携いたしまして避難訓練、消火訓練あるいは防災グッズの備蓄などに取り組んでいただいておりまして、地域住民の防災意識は徐々に高まりつつあります。  そして、いざ災害となりますと、一番頼りになるのが、こういった近所や地域のコミュニティーであります。阪神・淡路大震災において、淡路島の北淡町におきましては、消防団員らが、高齢者の世帯がどこにあり、どの部屋のどこに寝ているかまで知っていたために、倒壊家屋から被災者を素早く救出することができまして、被害を最小限に食いとめることができたと報告されております。  ただ、このような密度の高いコミュニティーは今や少ないのが現状であります。こうした中で、自治会などの地域では運動会や祭りなど各種の催し事を通じて地域コミュニティー力を高めるさまざまな取り組みがなされているところで、心強い限りでございます。ひいては、こういった日ごろの活動が危機に強いまちづくりにつながっていくものと期待するところでございます。  今回の私のテーマは、災害、そして雪でございますが、大災害時の対応は、自助、共助、公助の3つの力を合わせることが必要だと言われております。災害から自分を守る、家族を守る、あるいは自宅の前の雪かきをする、これが自助。自分の力が及ばない範囲を、地域の人たちやボランティアの連携で救助したり、生活道路や歩道の除雪をするのが共助。自助、共助ではできない限界を支援するのが、行政による公助。いつまでたっても救助に来てくれない、うちの前の道路は除雪車がまだ来ないと最初から縦割りの行政主導型の公助に頼らず、まずは限界まで地域主導型の自助、共助で対応することで、災害に強い、安全で安心なまちがつくられていくものと思います。そして、自助、共助ではできない限界を支援する行政の仕組みがしっかりと構築されていけば理想ではないでしょうか。こんなことを踏まえまして質問に入らせていただきます。  初めに、災害時要援護者の避難支援について、県民文化生活部長にお伺いいたします。  先ほどの北淡町のような場合は必要ないのかもしれませんが、自治体が高齢者、障害のある方あるいは子供、妊婦などの要援護者を把握して対応する必要があるとして、2005年3月に国が避難支援ガイドラインを定めております。そして、住所、氏名などの情報を防災部局も共有する、要援護者ごとの避難支援計画を定めることなどを市町に求めております。自助の困難な、こうした要援護者の情報に基づいて、安否確認、避難支援などの人材配置、防災機材の配置、避難所の設計をあらかじめ行っておけば、非常時の対応力は格段に向上できます。そのためには、警察、消防はもちろん、消防団員や自主防災組織の役員などが、共助、公助の観点から要援護者の把握をすることは重要であります。  しかし、介護部局が収集、管理しているリストは、その部局の目的のみに使用が制限されておりまして、防災部局が防災目的に使うのは目的外使用となり、個人情報保護の壁がはだかるのであります。実際、12月3日付の毎日新聞によりますと、障害があることを知られたくないなどの声が寄せられていることもあり、同意なしで共有を進める自治体は少数派で、リストの共有は2割、支援計画は1割未満で、国のガイドラインが機能していないとの独自の調査結果を報じております。そのため、その解決方法としては、同意方式、条例による共有情報方式、あるいは、これらの混合方式がとられているところでございます。  その一方で、個人情報保護法は、明らかに本人のためになる、利益になる、こういった場合は目的外使用を認めておりまして、本人の同意なく情報の共有が可能とされております。こういう現状にあっても、民生委員やケアマネジャー、保健師などの地道な個別訪問によりまして、高率の同意が得られたり、あるいは、条例による例外を認めるなど独自の工夫をして対応している自治体があるとも、同紙は報じております。  そこで、本県においても、各市町における対応に相当の差があるやに仄聞いたしておりますが、災害時要援護者の支援体制につきまして、個人情報保護との関係から、まずその現状をお伺いいたします。  また、共助、公助の観点から、今後どのような方針で対応されるかについてもお伺いいたします。  次に、雪対策について質問をいたします。  初めに、土木交通部長にお伺いいたします。伊吹山の山の頂きや比良山系に初雪の便りを聞きまして、いよいよ本格的な雪のシーズンの到来となりました。ことしは秋にカメムシの発生が少なくて、ことしは雪が少ないのではないかなと、こんなことが私の地元湖北地方ではささやかれているところでございますが、平時に少しだけ雪が降りますと風情も趣もあるわけでございますが、この雪がいざ一定量を超えますと、もはや災害となるわけでございます。  こうなりますと、自助、共助の枠を出てしまい、もはや公助に頼るしか、すべがございません。当然、幹線道路や主要道路は、それぞれ道路管理者の公助によりまして、しっかりと除雪され、円滑な道路交通が確保されているところでございます。しかしながら、そのほかの生活道路などは、自助、共助による地道な除雪作業をすることとなりまして、その負担たるや、相当なものとなっているのが現状でございます。  そんな中で、歩道の除雪につきまして、地域で問題が指摘されているところでございます。民家や商店、企業の連なる地域はさておきまして、全く除雪されない歩道が相当な距離にわたって存在いたします。そのため、人や自転車は、やむを得ず車道を利用することになります。車道の路肩には、除雪された雪がうずたかく積まれて、結局は人や自転車は車道中央部を、車と混在して通行する、これが現状になり、非常に危険な状態であります。6日の中村議員の質問の中にありました交通安全施策についての答弁におきまして当局は、歩道のない道路での死亡事故が非常に多く、歩道整備の必要性を指摘しておられましたが、大雪のときの歩道は、歩道の役割を果たしておりません。  このように、自助、共助、公助で実施されております除雪作業でありますが、歩道の除雪につきまして、県としてどのようにお考えなのか、その対応策についてお伺いするものであります。  最後に、ひとり暮らしの高齢者世帯などの除雪支援につきまして、健康福祉部長にお伺いいたします。  県北部、山間部は、ひとり暮らしのお年寄りや高齢者夫婦世帯の比率が非常に高く、また、豪雪地帯でもあります。大雪時の日常生活への影響はまことに深刻でありまして、特に屋根の雪おろし、住宅周辺の除雪は、生命、財産を守る意味からも必要不可欠であります。しかし、高齢者世帯には介護を必要とする方も多く、自助には限界がございます。共助、公助の必要性を強く感じるところでございます。地域の共助につきましては、同じ時期に同じように屋根に雪がつもる現状から、それぞれの自宅の雪おろしや除雪に手いっぱいでありまして、望めないのが実態であります。  こんなことから、公助を求めることになるわけでありますが、障害者世帯を含め、こうした対象世帯への支援は、第一義的には当該市町がされるところでございますが、その対応は十分とは言えない現状にあります。私の調査した自治体では、1回9,000円、年3回だったのが、今年度は1回3,000円、年5回に変更されました。毎年何名かの方が作業中に落下して、とうとい命をなくされる、非常に危険な屋根の雪おろし。果たして3,000円で可能なのか。この作業をだれがやるのか。地域の方なのか、あるいは支援ボランティアなのか。あるいは業者なのか。少し疑問を感じるところでございます。また、除雪支援が受けられない、こういった世帯もございまして、このような場合は全額自己負担で、業者紹介のみ、こういった自治体があるやに仄聞もいたしているところでございます。  そこで、こうした方々に対する屋根の雪おろしなどの除雪支援につきまして、昨年度の大雪に対する地域での対応の実情を踏まえて、県としてどのように対応していかれるのかをお伺いいたします。  以上、御答弁、よろしくお願いいたします。 ○議長(赤堀義次君) 9番田中章五君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)田中議員の災害時要援護者の避難支援についての御質問にお答えいたします。  高齢者や障害者等、災害時要援護者の避難支援対策につきましては、国において平成16年に、新潟、福島両県と福井県を襲いました集中豪雨を教訓に検討が進められ、平成17年に災害時要援護者の避難支援ガイドラインが示されました。これを受けまして、県は、防災、保健福祉、土木部局が連携し、災害時要援護者の避難支援を含む滋賀県洪水等避難計画作成支援マニュアルを本年3月に作成しました。4月には、各市町の防災、保健福祉、土木部局に対しまして、要援護者情報の収集手段を含め、避難支援プランの策定手順等の詳細について説明をし、理解を求めたところであります。  まず、御質問の1点目の各市町における災害時要援護者情報の収集の現状についてでありますが、災害時要援護者の避難支援対策に当たりましては、避難支援対象者の所在や、配慮すべき事項等の情報を把握する必要がありますが、市町の防災部局等が避難支援対象者の情報を収集するに当たりましては、3つの方式がありまして、2市町が情報共有方式によりまして、また、2市が手挙げ方式により、さらに、3市町が同意方式により、それぞれ進められていると承知しております。なお、8市町におきましては、一部の自治会や自主防災組織で自主的に情報を収集し、避難時に要援護者に声をかける仕組みが構築されているところでありますが、残る11市町は、具体的な取り組みは進んでおりません。  議員御指摘のとおり、個人情報保護法や条例の規定におきましては、住民の生命を守るためであれば、行政が保有する個人情報を目的以外に使用したり提供できるという例外規定があるわけですが、要援護者にとっては個人情報が他人に知られてしまうことへの抵抗感があることや、要援護者の個人情報の提供を受けた支援者に厳重な情報管理が求められることの負担感等から情報の共有が進んでいないと聞いております。また、地域への情報提供後の守秘義務の確保や、情報の更新といった課題も寄せられている現状でございます。
     次に、2点目の共助、公助の観点からの対応方針についてでありますが、県におきましては、災害時における要援護者への支援の重要性についての理解を深めるために、さまざまな機会をとらえて県民に対する防災意識の啓発に努める必要があると考えております。また、今後、各地域ごとに説明会を開催し、緊急性の高い地域や対象者を優先して把握する取り組みや、市町の個人情報保護審査会が自主防災組織も含めて情報共有を認める答申を行ったケースなどの成功事例を、市町の防災および保健福祉部局に紹介するとともに、災害時要援護者情報を活用する職員等が個人情報の管理について理解を深めるための指導、研修を行うよう要請してまいりたいと考えております。  県といたしましては、今後とも、災害時における要援護者の被害が最小限となるよう、市町に対し早期の避難支援プラン策定を粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。 ◎健康福祉部長(井上正君) (登壇)雪対策の御質問のうち、独居高齢者世帯等に対する除雪支援についてお答え申し上げます。  独居高齢者世帯や高齢者夫婦世帯などの方々にとりまして、雪がもたらす影響は大きく、多量の積雪により、その日常生活は大変厳しい状況に置かれることとなります。中でも、生活の基盤であります自宅が、屋根の雪の重みで倒壊する危険性にさらされることは、命にかかわる最も深刻な問題でありますことから、その除雪に対する支援の取り組みが何にも増して大切であると考えております。  こうした中で、昨年の大雪時には、合併前の湖北、湖西の3市8町のすべてにおきまして、市町の行政や社会福祉協議会が実施主体となり、除雪支援者を派遣するなどの方法によりまして除雪支援が実施されたところでございます。その実施されました内容でございますが、実施方法では、社会福祉協議会の自主事業が1市、市町の直営が3市町、市町からの社会福祉協議会への委託は5町、シルバー人材センターへの委託が2市町でございます。実際に支援に当たられたのは、主に近隣住民などの除雪支援者の方々でありました。1市では建設業者も対応したという状況にございます。  除雪支援者や業者への支払い額は、1時間当たり1,000円程度としているところから、1回当たり1万円としている市町がありました。また、利用回数では、年間3回までに制限しているところもあれば、回数制限のない市町もございます。さらに、5市町で、1割の利用者負担を徴収されております。  その支援の実績でございますが、実施されました11市町の総計で、利用者数が439人、延べ利用回数では690回に及ぶものでございました。また、一方では、利用の集中によりまして、制度の中での対応が追いつかなかった件数が10件あったところでございます。  なお、こうした市町支援の一方では、近隣の助け合いや自治会の活動による自主的な除雪支援が繰り返し行われたところでございまして、共助で地域で支えることの大切さを改めて痛感したところでございます。  除雪支援は、第一義的には市町において実施いただくものでありますので、それぞれの市町において地域の実情に応じた対応をいただいているところでございます。しかしながら、御指摘のような実態もございますので、県といたしましては、昨年度の経験を踏まえまして、積雪が長期化した場合に、自助のかなわない独居高齢者世帯等の除雪について、必要な支援が行えるよう、市町とも連携しながら対応してまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)歩道除雪についてお答えをいたします。  雪寒地域では、雪による県民の日常生活や産業、経済活動への障害を少なくするため、消雪施設の設置といったハード対策とあわせ、雪情報システムの整備等のソフト対策を両輪といたしまして、雪対策の向上を図ってまいりました。また、雪に関する注意報が発令されますと、24時間体制のもとで機動的な除雪作業を行い、円滑な道路交通の確保に努めているところでございます。  一方、歩道除雪の大半につきましては、従来より、地域に密着した市町が中心となって、沿道や地域の皆様の御協力による自助、共助に支えられて進められてきているというのが現状でございます。歩道除雪の公助に関しましては、日常の生活のネットワークとして、とりわけ歩行者の安全を高める必要がある路線で、雪みち計画による滋賀県歩道除雪事業負担金要綱の制度を活用いたしまして、市町で行われております。この制度は、雪みち計画を策定した市町に対し、除雪機械の貸与と、県が管理する歩道除雪の費用のおおむね半分を負担するものでありまして、現在、3市2町で雪みち計画が策定されております。この雪みち計画は、国道、県道、市町道等を含めた歩道の面的な除雪計画でありまして、歩行者ネットワークを確保するのに有効でありますことから、引き続き市町に対し雪みち計画の策定や拡大を働きかけてまいりたいと考えております。  次に、自助、共助についてでございますが、道路の除草や清掃など、地域との協働による道普請が着実に広まってきておりますことから、歩道除雪につきましても、市町と連携し、自治会、学校、PTA、NPOあるいは事業者などによる取り組みがより一層活発となるよう、仕組みづくりや支援策を検討してまいりたいと考えております。  以上です。 ◆9番(田中章五君) (登壇)御答弁ありがとうございます。  1点だけ、県民文化生活部長に、追加といいますか、半分お願いのような形になるわけですけれども、再質問になるわけですが、今、御答弁いただいた中で特に、きょう皆さん新聞を読まれたと思いますけれども、この1年の世相を象徴する漢字ということで、「命」という文字が選ばれまして、清水寺の森貫主が揮毫されているところが写真で報道されているということがあったと思います。まさにこの1年、命というもののとうとさを思い知らされた、考えさせられる、そんな1年であったと思います。  そんな中で、先ほど質問いたしました要援護者の避難支援ということで、まさに自助のかなわぬ、こういった方に対する避難支援計画、リストの作成に11の市町でまだ手がつけられていない、この現状をそんなに簡単に片づけていいのかなと思うところでございます。特に、この障害となるものが個人情報保護ということですから、ある意味、その本人さんの意識次第では、自分の命を個人情報と引きかえにしているのかと言いたくなる部分もあります。  これは、その避難支援を受ける側の人にしてみれば非常に屈辱的な言葉になるのかもしれませんが、私は11月20日の近畿6府県議員交流フォーラムの場において、4つの分科会の中で1つのテーマ、防災というところの中で情報交換をしてまいりました。そこでは、いわゆる兵庫県の被災を体験された議員さんから貴重な御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、被災者である要援護対象者からは、個人情報保護を過度に主張するような方は余りおられないと。いわゆる平時でしか物事を見ない、そういった方が、例えば、その避難の支援者になる方がお隣のおじさんであれば、「あのおじさんとはウマが合わん。けんかしてるから、あの人だけには助けてほしくない」、このようなレベルのこともあるわけです。こういったことになりますと、まさにリストが作成できないといったわけにもなるわけです。  こういったことについての行政側あるいは県といいますか、公助側の啓発も必要になってくるのではないか。これにつきましては、もっと個人情報を保護するのだ、そういった方に対する配慮が必要だという御意見もありましょう。しかし、個人情報保護と命、どちらが大切だと。これは明らかであると思いますが、こういった観点から、県民文化生活部長に、この11の自治体でいまだに対応がされていない現状を踏まえて、その働きかけをどのようにお考えか、再度御答弁をお願い申し上げます。 ◎県民文化生活部長(中村順一君) 御指摘のように、個人情報保護を重視する余り、援護を受ける側も、あるいは援護をする側も、つまり有事に救済に駆けつける者にとりましても、その情報が個人情報保護ということだけで歯どめがかかっているというふうな御指摘かと思いますが、県下の各市町からの御意向を聞いておりますと、いずれは何かが起こったときに助けてもらいたい、助けたい、そこの接点のために正確な情報をできるだけ関係者は持つようにという方向にはあるわけですが、例えば、情報の提供を受けたときに、その保管場所、方法、あるいは、その管理委任をだれが受けるのか、だれが責任をとるのか、あるいは、情報が個人によって変わってまいりますから、その情報をだれが更新していくのか、そういう管理的な問題もネックになっているようでございます。  議員御指摘のように、確かに、何かが起こったときに、北淡町のように常に個人の事情を近隣の方によく知ってもらっている、あるいは知らしめている、そういう関係のコミュニティーが大変大事かと思いますけれども、必ずしも各地域によってそういう形には滋賀県はなっていない状態でございます。中には、地域できっちり集約して情報を管理しているので、行政のサイドからいろいろな情報を提供するまでもない、こういうふうな反応をされている市町もございます。そういう意味では、各市町、それぞれ事情は異なると思いますけれども、いずれにしましても、何か起こったときに迅速に救援、救済に駆けつけられるという情報を関係者が握っておくことは大変重要でございまして、決して成り行きを眺めているということではございませんが、各市町がこの個人情報の保護、管理について正しく理解をしていただけるように、強力に粘り強く指導していきたいと思います。  ちなみに、例えば個人情報に限って言いますと、この法律の取り扱いなどが過度に解釈されて、いろいろな制約をみずから感じ取られて、知っておくべき情報が知らされていないというふうなこともケースとしてあるわけでございまして、例えば、個人情報の取り扱いについての講習会とか講演会とか、具体的には、近く12月22日にあるわけですが、そういった場にも各市町の防災関係者あるいは福祉保健の関係者、関係職員にも積極的にその場に出て、正しくその運用について理解をするように声をかけております。  そんなことで、地域のコミュニティーで正しく理解し合うということと、それから、公助の側からは、できるだけ内閣府も、あるいは県も細やかなマニュアルをつくって指導しているわけでございまして、そういった両面から有効な情報が正しく共有できるような仕組みづくりに努力していきたいと思っております。 ◆9番(田中章五君) (登壇)突然の質問で申しわけございません。  今の部長の御答弁にまさにありましたように、私は、縦割り行政ということで、責任のなすり合いというのですか、こういった部分を今のお言葉からもかいま見たような気がいたします。そんな中で、今後、公助という観点からも、行政のこういった仕組みがしっかりとそれぞれの部局ごとに連携をとりまして構築されていかれることを切に念じまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で9番田中章五君の質問を終了いたします。  次に、33番杼木捨蔵君の発言を許します。 ◆33番(杼木捨蔵君) (登壇、拍手)緊張の途切れる時間帯でありますけれども、緊張しながら、基本構想、基本計画についての質問をいたします。  今日まで、各都道府県、市町村におきまして、法律に基づき、それぞれ基本構想、基本計画を策定されているわけでございますが、時代をリードするべき基本構想、基本計画が途中で時代に追い越されるといった喜劇が少なからずございます。何をかいわんやでございます。  知事は先般、滋賀県基本構想、基本計画の見直しに着手されました。基本構想、基本計画は、滋賀県民のすべてにかかわる、きわめて重要な事柄で、行政施策のみならず、県土、県民の今と将来のすべての基本にかかわることでございます。それだけに、世界が大きく動くこの時期に、滋賀県を方向づける新構想を策定されるに当たりまして、知事として政策展開の基本であることを理解しつつ、改めて根本的な構想の目的、目標と、その根拠についてお聞きいたします。  構想の策定には、最も重要で欠かすことのできないことに、時代を読むこと、すなわち背景変化の的確な洞察が求められます。そこで、世界の潮流と変化予測でありますが、世界の経済の中心がアジアに移りつつあることと、この流れが当分続くことは間違いのないところであります。このことは、世界が大きく模様がえするということであり、環境、人権、経済、さらに安全保障等の絡みやブロック化も進むと見られており、国内外の価値観も多くの分野で今日までの経験則でははかれないほど劇的に変化すると思われますが、そこで、知事は構想の見直しに当たって、次なる世界の変化という背景をどのように予測しておられるのか、まずお伺いいたします。  次に、その中で日本の置かれる位置を予測することは、構想策定の基礎となるものでありますことから、その位置は、現在とどのように変わり、世界の中で負うべき日本の役割、期待される貢献についてどのようにとらえられているのか、また、その状況を踏まえて滋賀県はどのような立場に立たされるのか、我が県の位置、役割について、知事の予測をお伺いいたします。  その上に当たって、滋賀県民が将来にわたって安全で美しい郷土を保ち、文化的かつ活力に満ちた生活が展望されるように、滋賀県を、住む人にも訪れる人にとっても自己実現の舞台とするにふさわしい、理想に近づく構想でなければなりませんが、知事は将来像としての滋賀県のイメージをどのように県民と共有しようとしておられるのか、以下、主要なものについて問うものであります。  まず1つに、喫緊の課題として、家庭の復活と地域力の回復があります。今日の多くの課題は、家庭や地域が本来の姿から大きく後退してしまった結果であると考えます。課題の一つに、百年の大計である人づくりがあります。家庭や地域の教育力の減退が指摘されまして久しくなりますが、最近のいじめ、虐待、殺人、自殺や若者の職業観など、さまざまな事件や事象が示すように、その傾向は年を追うごとに顕著になってきたように感じます。治安や防災、福祉の課題にも、家庭、地域の現状に起因するところが大であります。  さらに、環境保全や景観づくり、地域文化の伝承、創造に至っては、総合的な地域力なくして成り立ちません。また、風土、風格づくりも今後の地域経営に欠かせない条件であります。言うまでもなく、県民が郷土に誇りを持ち、他からも高い評価をされ、さらなる磨きをかける意欲こそ、活力の源泉でありますが、現状は、いずれも私たちが目指す地域の連帯感と帰属意識に基づく、いわゆる住みよい地域社会とは大きく乖離しているとの認識を持たざるを得ません。  現在抱える課題解決のかぎを握る地域力の現状と今後のあり方について、お考えを伺います。  次に、個人や地域の日常、県および市町の政策、施策と財政を含め、これらを支える地域経済の質と規模は極めて重要であります。特に、冒頭の変化予測を踏まえた経済対策は、我が県の特色が、昨日、若山議員の質問の中にもありましたように棚ぼた経済であり、しかも、製造業に依存した、立地企業イコール工場という特殊な産業構造を持ち、それに支えられた経済の今後予測される脆弱性の克服が大きな課題で、時代はものづくりから情報づくりへ、企業誘致も、工場誘致から人材、頭脳誘致へと流れております。当然、我が県は知財立県を目指すべきですが、知事自身は、滋賀県行政の現状から見て、危機意識または課題としてお持ちなのかどうかをお伺いするものであります。  これからは棚ぼた経済は決してあり得ず、いかに先行した、かなりの努力と有効な手だてを実行するかであり、今を外せば、滋賀県の優位性を失うことになります。経済の破綻は、環境、福祉、教育、地域、家族の崩壊から心の破壊まで進む例は枚挙にいとまがありません。貧困こそ諸悪の根源と言われるゆえんであります。主体性、安定性、高付加価値をもたらす地域経済の構築、活力を持ち続けるための新陳代謝を促す、たゆまぬ条件整備について、基本的なお考えをお披瀝願います。  さらに、産業はおおむね管理、開発、生産、サービスと分類されますが、その分布と質をどうするかといった、滋賀のあるべき産業構造についてもお聞きいたします。  最後に、策定されますこの基本構想、基本計画が、将来において高い評価を受けるためにも、すべての事柄を望ましい形で機能させることが大切であります。そのことから、そのための交通インフラや情報インフラ、社会システムの整備など、さまざまな取り組みの整合性、鳥瞰的、複眼的視野での大小、優先順位を決める選択眼、レスポンスなどについて、課題の多い行政運営の将来のあるべき姿について、知事の所見を伺います。 ○議長(赤堀義次君) 33番杼木捨蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)杼木議員の基本構想、基本計画の見直しについての9点の御質問にお答えをさせていただきます。  その基本にあります、時代を読むことという御提案には、大いに賛成させていただくところでございます。私自身も、1970年代初頭より世界各地を訪問しながら研究させていただきながら、今まさに、この地球規模の中で滋賀がどのような方向を求めるべきか、時代を読むことの大切さを自覚しております。  まず、1点目の基本構想の目的、目標と、その根拠についてですが、私は滋賀県の将来の姿として、琵琶湖を中心とする流域の自然や文化、若者や女性、高齢者など、人々の力が滋賀の個性や魅力を十分に発揮され、そして、私たちの世代だけでなく、子や孫が生きる時代にも豊かさと幸せを実感できる次世代育成型の社会を思い描いております。  このような社会を実現するための出発点としては、県民の参加と提案をいただきながら、県政運営の最上位に位置し、すべての政策や施策、事業の基本方針となる基本構想を策定することを考えました。その基本構想の策定について諮問した基本構想審議会の皆様に、私の滋賀の将来についての思いを申し上げたところでございます。  2点目の基本構想の策定に当たって、次なる世界の変化をどのように見るかについてでございますが、今後の時代の潮流として、環境問題、グローバル化、文化的摩擦の3点が大変大きなものであると考えております。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済システムは、地球温暖化や資源の枯渇といった地球規模の深刻な環境問題を引き起こしております。今後も、このような環境問題が進行していくとともに、世界的な人口の増加に伴い、資源やエネルギー、食料、水などが相対的に貴重になり、戦略的な意味でも重要度が増すと考えております。  また、情報通信機器の発達などによりグローバル化が急速に進展し、世界が市場経済化する中で、近年、EUやロシアなどの存在が大きくなっております。その中で、とりわけ中国を初めとする近隣のアジア諸国は急速に経済発展を遂げるとともに、我が国との経済的な結びつきが大変強くなっており、今後もこのような傾向が続くものと考えております。  さらに、歴史や宗教などを背景とする、さまざまな文化が相互に理解不足のまま自己主張を行うことで対立を生み、世界各地で紛争が後を絶たない状況であり、このような文化的な摩擦を解消するため、多文化共生社会の実現が求められます。  3点目の世界の中で日本の置かれる位置は現在どのように変わり、世界の中で負うべき日本の役割についてどう考えるかでございます。  現在の我が国は、世界第2位の経済大国でありますが、中国など新興工業国の台頭を踏まえますと、単なるものづくりから知識集約型の高付加価値型産業へ移行していく必要があると考えております。杼木議員の御主張と共感するところでございます。これまで我が国が高度経済成長を遂げる中で経験してきた公害や廃棄物、自然破壊などの環境問題や、急激な都市化といった問題など、経済発展のマイナス面については数多くの国で直面しているのではないかと考えております。  今後の我が国は引き続き世界経済の主要な一翼を担うとともに、これまでの経験を、他国での経済発展に伴うマイナスの面への対応に生かすことができると考えております。さらに、人口減少、少子化、高齢化のもと、単一的な目的ではなく、横断的で実践的な多様な生活現場の課題に対応することを通じて、成熟社会にふさわしい、新しい豊かさの尺度をつくっていくことも求められていると考えております。  4点目の本県の位置、役割についてでございますが、本県は、近畿1,400万人の命の水を供給させていただき、400万年の歴史を秘めた古代湖である琵琶湖を抱き、その中で豊かな自然環境を享受し、独自の歴史や文化をはぐくんでまいりました。また、道路、鉄道など非常に良好な交通条件により、産業振興、企業誘致など経済的な発展が進められてきました。さらに、本県にはさまざまな地域社会の力、自治会、町内会など、今も受け継がれております地域社会がしっかりとあり、そこに新たに移り住んできた人たちも、新しいコミュニティーを生み出しつつあります。こうした環境に恵まれた滋賀県の暮らしの中に、「もったいない」という生活哲学が根づいてきたわけでございます。  このような価値や魅力を持つ滋賀県だからこそ、私たちの子や孫の世代にも幸せと豊かさを実感できる次世代育成型の社会を構築していくことを通じて、成熟社会における豊かさの新しい考え方を示すという役割を果たすことができると考えております。  5点目の地域力の現状と今後のあり方についてでありますが、地域力は、豊かな自然の力と、一人一人の力強くみずから生きる人の力──人力、そして、人と人との関係性が築く社会力、この3つのトライアングルの総合力だと考えております。滋賀県の地域社会は、先ほど申し上げましたように、基盤はしっかりとしているものの、その働きは最近少し衰えてきているようにも感じます。どんなにグローバル化やネットワーク化が進もうとも、日常生活における、顔の見える規模の身近な関係、家族、地域社会、そこから生まれる連帯感や安心感が重要な意味を持っていると考えており、将来像を描くに当たっても、豊かな自助、そして、共助の関係が基礎になるものと思います。先ほど田中議員にも御指摘をいただいていたとおりでございます。  財政的制約が強まる中で、新しい公共の型が求められており、そこでは、従来地域社会が持っていた自助、共助に支えられた地域力を引き出すことが大切であると考えております。このような中で行政が行うべきことは、コミュニティーを横糸に、NPOを縦糸にして、新しい地域自治を織りなすことが重要だと考えております。自治会などの小さなコミュニティーの力を引き出し、近接と補完の原理を踏まえ、地域の課題に沿った専門的情報の提供、あるいは技術的助言を行うなど、行政としては必要な支援に努めてまいりたいと考えております。  6点目の議員御指摘の知財立県についての御質問であります。  21世紀の我が国を牽引する原動力は、もともと資源の大変乏しい我が国としては、創造的な人材が生み出す知的財産であり、私も知的財産や知的人材の確保の重要性については議員と同様の認識を持っております。創造的な活動を生み出す知的財産は、県民の生活を豊かにする付加価値の源泉であるとの問題意識を持ち、大学、研究機関の集積などを生かしながら、人材、頭脳を県内で育て、さらに、その誘致を加速していかなければならないと考えております。  7点目の安定的、主体的に高付加価値をもたらす地域経済構築のための条件整備についてでありますが、知的財産を創造する人材が滋賀の地で事業活動や研究活動に幅広く携わっていただけるよう、知的活動のフィールドとして魅力ある社会的環境を整備していくことが必要であると考えております。このため、企業の将来を担う研究所や研究開発機能を併設した事業所、いわゆるマザーファクトリーの積極的な誘致に努めますとともに、産学官が連携して、企業のイノベーションを担う人材の育成にも取り組んでいく必要があると考えております。  この際、研究者や企業経営者などが互いに刺激し合いながら自由に交流できる場づくりを行っていくことも重要であると考えております。また、生活や交通の利便性と豊かな自然をあわせ持つ、知的創造活動の場としてふさわしい環境を整備していくことにも、行政として配慮していかなければならないと考えております。  8点目の滋賀のあるべき産業構造についてでありますが、本県の産業構造は、さきにも述べましたように、ものづくり産業に極めて特化しており、それが本県産業の強みであり、また、景気の影響を受けやすいという弱みでもあります。強みは、次の世代にしっかりと継承し、さらに強化していく必要がありますが、一方で、弱みであります第3次産業についても、今後は少子高齢化の進展に伴い、拡大する高齢者を対象としたサービスや観光へのニーズが見込まれますことから、これらの産業を伸ばしていくことが重要であると認識しております。  また、産業の質につきましては、製造業であれ、サービス業であれ、技術革新、経営革新が持続的になされ、知識・技術集約型、高付加価値型の産業に転換していく必要があると考えております。さらに、滋賀の風土や文化を生かした地域ブランドに基づく感性産業などの振興も踏まえ、県としましても、このようなイノベーションが進展するよう頑張る企業への支援に努めてまいりたいと考えております。  最後に、9点目のさまざまな取り組みの整合性や行政運営のあるべき姿についてでございます。  これまでは、職員がともすれば縦割りの行政サービスの提供者としての立場で仕事を進めてきた嫌いがあります。しかしながら、総合的、一体的に取り組みを進めていくためには、あるべき将来の姿をもとに基本構想を策定し、その目的に沿って各部門の計画に基づき県政を推進し、その成果を評価し改善するという目標管理型の行政運営を行う必要があると考えております。  また、県民の皆さんの生活現場は縦割りではなく横断的かつ実践的であり、また、多様で個別具体的であります。今後は、生活現場のさまざまな課題に対しましては、将来像のイメージを県民の皆さんと共有し、行政だけでなく、県民の皆さんと協働、分担してスピード感を持って対応していくことが重要であると考えております。 ◆33番(杼木捨蔵君) (登壇)ただいま知事の方から、おおむね質問の趣旨を認めていただいたわけでございますが、現実の問題といたしまして、先日、審議会の方に諮問をされたといいますか、知事の考え方が述べられております。策定の趣旨という形がその部分であろうかと思うわけでございますけれども、やはり背景の範囲が余りにも狭いのではないかなと。先ほど御答弁いただいたような趣旨が審議会の方に伝わっているかどうかということですし、これから審議会が続けられるわけですし、やがて結論が出るわけですけれども、ただいまのような知事の答弁の趣旨が入った構想、また、それを具体化できる一つのアドバルーンとしての構想、計画ができ上がることが目的であると思っております。  審議会に任せるのではなしに、やはり常に、先ほどの答弁でいただいたようなことをフォローしながら、立派な基本構想、基本計画、ひいては将来評価できる施策、そういうものに結びつけていただきたいと思っておりますが、知事の再度の御答弁をお願いしたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)審議会あるいはその策定の方向について、審議会だけに任せるのではなく、具体的に、そして、さまざまな広い範囲の意見を聞きながら進めるようにという御示唆でございます。  審議会はまだ1回目、始まったところでございます。そして、ここにおいては、かなり幅広い専門の領域の方たち、また、地域の皆様、そして、地域に住む、例えば外国籍を持たれた皆様なども含めて、審議会の趣旨に沿った形での人選もさせていただいておりまして、この審議会での議論を一つの柱とさせていただきます。と同時に、生活現場、企業、地域社会にも出かけさせていただき、さまざまな情報の収集の場、そして、何よりも住民の方々が自分たちがこの基本構想づくりの中にかかわったという実感の持てるような方向に努めていきたいと考えております。 ◆33番(杼木捨蔵君) (登壇)本日はこれで終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で33番杼木捨蔵君の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時18分 休憩    ────────────────   午後3時45分 開議 ○議長(赤堀義次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、24番山田尚夫君の発言を許します。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇、拍手)それでは、まず、知事に、廃棄物行政につきましてお伺いいたします。  廃棄物を取り巻く環境は、経済活動の拡大やライフスタイルの多様化に伴って、ごみの排出量の増大と、ごみ質の多様化をもたらされてきました。加えて、ダイオキシン類等の発生や最終処分場の確保が難しいことなど、さまざまな問題が生じています。また、法体系においても、廃棄物処理法の改正を初め、循環型社会形成推進基本法、そして、各種のリサイクル法、ダイオキシン類対策特別措置法の制定など、ごみを取り巻く社会の情勢が近年特に変化してきております。  こうした状況に対応するため、本県では、ダイオキシン類の削減対策を行うため、滋賀県一般廃棄物処理広域化計画を平成11年に策定するとともに、本年6月には、資源循環に関する対策等を組み込んだ第二次滋賀県廃棄物処理計画等によりまして、将来における廃棄物量に対応できる計画を立てながら、適正処理について鋭意取り組みを進めておられます。  そうした中、本県では、処理体制の確保という視点で、公共関与で産業廃棄物と一般廃棄物をあわせて処理するという計画を積極的に進めてこられたことは、ごみ問題の解決を図る一つの手法として評価できるものであります。旧志賀町栗原地先での廃棄物焼却施設については、具体的な実施計画策定をする前の段階でありましたことから、対象となる一般廃棄物処理の市町の収集範囲は決定していませんでした。しかし、県の南部地域の市町については、この計画によって一般廃棄物の焼却について大きな期待があったものと思われます。  今回、知事は、循環型社会を構築することを優先し、ごみの発生抑制や再生利用などの推進に軸足を置いて、栗原地先の焼却施設整備については凍結を打ち出しておられます。  今までの知事の姿勢を見てみますと、各市町の一般廃棄物のための施設についても、整備しない方がいいというようにも受け取れる印象があります。知事がおっしゃる資源化推進の必要性は十分理解できますが、各市町は、現場で大変な御苦労をいただきながら、ごみの適正処理と資源化に取り組んでおられるのであります。知事はマニフェストで、循環型社会の仕組みを確立すれば施設は不要となる。そして、焼却施設建設の前に、ごみをいかに減量するかを最優先すると述べられることからすると、知事は焼却施設をつくらないという前提で言われているのか、非常に気になるところであります。  そして、知事マニフェストの政策6で、廃棄物を出さない循環型産業の創出や、ごみは地域内で再利用できるような暮らしの再構築を進めるとして、生ごみのリサイクルと再利用システムで焼却ゼロ、紙・プラスチックごみの固形燃料化で焼却ゼロを目標に掲げられています。  そこで、知事に、以下、何点かについてお伺いいたします。  第二次滋賀県廃棄物処理計画によりますと、県民1人当たりのごみ排出量は、平成14年度で968グラム、平成15年度で976グラム、平成16年度で951グラムとなって、やや減少しているものの、第二次計画の平成17年度の目標値917グラムからすると、逆に増加傾向にあると想定できるのであります。第二次計画の平成22年度目標では、県民1人当たり900グラムとしておられますが、これの達成見込みについて、知事の所見を伺うものであります。  次に、また知事は、この第二次計画の目標値よりさらに進めた減量化を図るとしておられ、マニフェストにもその手法を記載されていますが、その実現のために、今日までの県の施策でだめなところと、今後、知事としてごみ減量化に取り組む秘策を明らかにしていただき、まず、本県の年間のごみ総量47万トンのうち、中間処理の対象となる焼却ごみ38万2,000トンをいかに減らそうとしておられるのか、お伺いいたします。  知事は、県民の安心、安全を確保するさまざまな施策を行う一方で、県民みずからが生活の利便性や食品の安全性を希求すればするほど焼却ごみがふえるという現実に、どのように向き合って、知事の理想を具現化し、焼却場の建設を前提としないごみの排出量について、知事の考える目標値はいかがか、お伺いいたします。  本来、一般廃棄物の資源化の取り組みや処理については、基礎的自治体固有の業務でありますことから、今日まで市町がその責任において地域の住民や事業者の理解と協力を得ながらごみ行政を行っておられます。知事が、ごみを出さないようにすれば焼却施設は要らないと言い続けても、更新期が迫っている深刻な施設を抱える市町はのんびり構えているわけにはいきません。一般廃棄物焼却施設の整備を行うことについて、施設の必要性、重要性をどのように考えておられるのか、お伺いするものであります。  知事は、循環型社会を目指すと言われていますが、ごみの分別収集を広げる場合にあっても、ごみステーションの用地取得や、あるいは住宅地周辺での環境問題の解決、市町の財政問題等、一口に循環型社会をつくると言っても数々のハードルがあります。そうした問題をどれだけ把握されているかわかりませんが、とにかく県が旗を振るだけでは成果が得られるものではなく、ごみ問題は、被害者と加害者が同居するという複雑な課題だけに、関係者みんなが一致して取り組んでいくことが必要であります。  県の目指す循環型社会づくりに向けて、県は市町との関係の中でどのような役割を果たし、市町とともに進めていこうとされているのか、知事の所見を伺います。  市町村が行う一般廃棄物処理施設、特に焼却施設の整備にあっては、県がダイオキシン類の発生防止や経済性の観点から、滋賀県一般廃棄物処理広域化計画に基づき指導をされてきましたが、市町村合併により市町の枠組みなどに変更が生じたことから、これらの対応を含め、今後、資源循環にシフトした取り組みを進める中で、市町の整備についてどのように指導されるのか、知事の所見をお伺いいたします。 ○議長(赤堀義次君) 24番山田尚夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)山田議員の廃棄物行政についての7点の御質問にお答えをさせていただきます。  まず、第1点の廃棄物処理計画に定めた県民1人当たりのごみ排出量900グラムの目標達成の見通しについてですが、排出量は、平成9年以降増加していたものの、平成12年以降は、横ばいから、やや減少の傾向にあります。目標達成に向けては、生ごみの水切りの徹底や堆肥化する取り組みを推進することや、マイバッグ持参、さらには、事業系ごみの減量取り組みなどにより、合計でおおむね60グラムを削減しようとしております。  第2点のごみ減量化に取り組む秘策と焼却ごみをいかに減らすかについてでありますが、廃棄物減量の取り組みに秘策があるわけではありません。私は、これまでの廃棄物処理は、ごみの発生量の増加や多様化の中で、適正処理に追われてきた嫌いがあると考えております。「もったいない」という観点で基本に立ち返り、県民の皆さんみずからがライフスタイルを見直し、ごみを減らし、また、資源として再利用する取り組みを積極的に進めていくことが大切であると考えております。このようなことを県民の方々に広く認識していただくよう、粘り強く意識改革を訴えかけ、実践的な活動が展開されるよう、着実に推進していきたいと考えております。  焼却ごみの削減のためには、発生抑制に取り組むとともに、焼却ごみの大半を占めます容器包装プラスチックごみ、紙ごみ、および生ごみを分別回収、資源化することが重要であり、これに向けた市町での取り組みを進めたいと考えております。  第3点の理想の具現化の対応と、焼却施設の建設を前提としないごみの減量化の目標についてですが、利便性や安全性を求めることが、ごみ増加につながっていた20世紀型の社会に決別し、利便性や安全性を確保しながらごみを減らせる循環型社会をつくっていきたいと考えます。  私が思い描く幾つかのイメージを示しますと、その社会では、物が不要となったとき、すぐごみとせず、リユースや中古品活用が活発に行われ、故障の場合、安い補修システムにより長期使用が可能となり、紙を使わない電子媒体利用や、介護用ベッドなどのように所有しないレンタル活用、さらには、食品を使い切るエコクッキングなどが当たり前に行われていることとなります。そのためには、消費者がライフスタイルを見直すともに、地域社会での循環の仕組みが機能し、また、生産者により常に環境配慮が行われている、そういった「もったいない」が生かされている社会をつくっていくことが私の理想でもあります。本日、蔦田議員が午前中してくだった御指摘も大変重要だと考えております。まさに、ごみが多量に発生する、物のあふれる豊かさではなく、新しい、物の寿命を生かした豊かさを根づかせることであります。  社会全体として、ごみの排出を減らすとともに、出されたごみを資源として活用することを一層進めることにより、できるだけ焼却施設に依存しないごみ処理を目指したいと思っているものです。横浜市のように、更新を予定していた施設を建設せずに済んだという取り組みも参考にしながら、循環型社会に向けて、市町と一緒に努力してまいりたいと考えています。
     第4点目の市町の一般廃棄物焼却施設の必要性、重要性についてです。先ほどからも述べておりますように、循環型社会の構築に向けて、廃棄物の発生抑制や、資源としての活用は重要な課題であり、今、全力を挙げて取り組まなければなりません。しかし、資源化を進めるためには、技術的な課題、費用負担や住民の方々の協力などの多くの課題があり、すべての廃棄物が資源として利用できるわけではないことや、時間がかかることも事実であると認識しております。今後、資源化のための取り組みを強力に進めるとともに、廃棄物の適正処理が確実に行われる体制が確保されることが重要であると考えております。  第5点の循環型社会づくりに向けた県の役割についてですが、一般廃棄物の具体的な資源化や住民への減量啓発は、それぞれの市町が、地域の方々の御協力を得ながら分別収集などに日々御努力いただき、大変な御苦労をおかけしていることは深く承知しております。県としましては、広域行政の立場で、市町の取り組むべき方向を示し、各市町が取り組みを進めやすいように、技術的援助、誘導、支援をしていくという役割を果たすべきものと考えております。また、複数の市町にまたがる対応や県民の参加のための仕組みづくりなど、広域的な、さらに、多数の主体が参加する事業の調整などを市町とともに検討し、取り組んでまいりたいと考えております。  第6点と第7点の市町の枠組み変更および市町への施設整備の誘導についてですが、一般廃棄物の焼却施設については、ダイオキシン類発生防止の観点や、経済性、効率的な熱回収等の観点で一定規模に集約する必要がありますことから、滋賀県一般廃棄物処理広域化計画を策定して、県内を7ブロックに分け、日量おおむね100トン以上を目安に整備を進めてきたところでございます。御質問の市町村合併の進展に伴う枠組みの問題については、広域化計画の趣旨に沿って関係市町の意向を尊重しながら対応させていただきたいと考えています。  今後、市町において徹底した発生抑制や資源化の取り組みを進めていただいた上で、焼却施設を更新するについては、減少した焼却量に応じた適切な規模であることとあわせ、資源循環に対応した施設の整備となるよう、市町と協議してまいりたいと考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)御答弁をいただきましたが、さらに幾つか質問をいたします。  まず初めに、平成22年度目標の1人当たり900グラムの達成見通しについて、知事はただいまの答弁で、生ごみであるとか、あるいはまた買い物袋、事業系で削減に努めるということで平成22年の目標を達成したいと、こういうふうな御答弁いただいたわけであります。  しかし、これが第2次の計画書でありますが、(資料掲示)この35ページには、第一次で取り組んできた目標値と実績値が挙がっています。平成9年の目標値が、平成16年の実績値、これがまだ達成できていないという数字になっているわけです。着実にごみの量は減ってきているという御答弁もありましたが、平成22年といえば、この計画期間が終わる年度になります。あと4年です。その間に目標値を達成するという知事の答弁でありました。ごみの量がなかなか計画値と合わないという現実を踏まえての御答弁であったのか、確認をする意味で、御答弁を願います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)1人当たりのごみ排出量が目標どおり減っていない、それに対してどのように対応をとるのかということでございますが、1人当たりのごみの排出量は、平成9年度の944グラムから、平成12年度988グラムまで増加しておりました。その後は、平成12年度をピークに16年度には951グラムと、横ばいから、やや減少の傾向が見られますことから、今後減らしていけるものと考えているところであります。  特に一般廃棄物の70%は家庭系、30%が事業系ですが、家庭系では、平成12年度から16年度にかけて、1人当たりでは5%ほど減少しております。家庭系を減らすためには、地域の住民の皆さんの自覚、まさにライフサイクルの転換が必要でございまして、今から住民の皆さん、そして、市町と協議をしながら循環型の実現に向けていきたいと考えている次第でございます。  さきの答弁において、おのおの発生するごみについて、実際に減らすことが可能と判断した量から試算した状況を述べたものでありますが、特に事業系での削減については指導できるよう工夫してまいりたい。また、生活系のごみについては、地域の住民の皆さんと、まさに県民挙げての取り組みが必要であると考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)ただいま御答弁いただいたわけですが、平成16年度の数値は、目標値と実績値で31グラム、差があるわけです。平成17年度では、目標値が917グラムになっています。平成17年度の結果はまだ出ていません。出次第、報告いただきたいと思います。  知事の答弁なのですが、あくまでも第2次計画は見直さないで、このまま達成するという意気込みでありました。計画期間があと4年ということになってございます。本当に達成できるか、心配でありますが、性根を入れて、一層減量化に取り組んでいただきたいと、このように思います。  次に、県のごみ施策でだめなところ、あるいは減量化の秘策について伺ったところでございますが、秘策といえども、また違う、新たな知恵があるというお答えをいただきたかったわけでございますが、それはなかったわけでございまして、がっかりでございますが、ごみゼロ滋賀県行動計画をつくるということでマニフェストの中に挙がってございます。廃棄物ゼロということで進めようとしているわけですから、何らかの施策を知事は持ち合わせておられるものと思ったわけでございまして、そうでなければ、このゼロ計画はつくれない、こんなふうに思うわけであります。  私は、このマニフェストはそれなりの根拠を持って書かれたものと信じていますので、再度、知事のお考えをお聞きします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)マニフェストで焼却ごみゼロと書いてある、その根拠を持っているかという御質問でございます。  焼却ごみの削減のためには、まずは発生抑制に取り組むことが大切でございます。焼却ごみの大半を占めます容器包装プラスチックごみ、紙ごみ、および生ごみを分別回収、資源化することが重要であることは、先ほど答弁したところ、また、きょうの午前中の蔦田議員への答弁にも入れさせていただきました。私のマニフェストにも、生ごみの再利用、紙、プラスチックごみの燃料化を掲げており、これらの品目にきちんと対応することが重要であることに変わりはありません。具体的に資源として活用するためには、市町を中心とする仕組みづくりが大切でありまして、既にある仕組みの活用を含め、また、事業系ごみにも、生ごみ、紙、プラスチックが含まれますことから、市町だけでなく、民間事業者を活用することも含めて議論、検討を行い、着実な取り組みを一層進めたいと考えております。  さらに、この焼却ごみを減らすという考え方の基本にある哲学あるいは理想というものでしょうか、3点ございます。そもそも資源として再利用可能なものを燃やしてしまうことへのむだを避けるという、資源のもったいないという感覚でございます。2点目は、焼却することによる財政的コストでございます。大変な施設をつくり、そして、そのことにより市民あるいは住民にも最終的にはコストが回ってくるという点でございます。それから、3点目は、地球環境問題も含めて、焼却することにより、今問題になっておりますCO2削減などにマイナスになる、そのような3点を、この焼却をできるだけ減らすという背景の考え方として持っているわけでございます。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)マニフェストでは、ごみゼロ滋賀県行動計画をつくりますということをうたっておられます。そして、現行の第二次廃棄物処理計画や市町の広域化計画があるわけです。これら現行計画の上に、知事がおっしゃるごみゼロ計画を今後打ち立てていくということになるかと思うのですが、今もお話をいろいろ伺ったのですが、ごみゼロ計画をするには、ここのマニフェストの中に幾つか指標が挙がっていますけれども、そうしたことをベースにしながら、この計画書を上げていくということになろうかと思うのですが、そこで、現行計画とこのごみゼロ計画はどういう位置づけになるのか、教えていただきたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)現行計画は数年かけて皆さんがおつくりいただいたものでございまして、今、ごみゼロ計画につきましては、まさにチームが動き出したところでございますので、この具体的な提案には、あと少し時間をいただく必要があると考えています。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)それでは、次の質問に移ります。  市町が行います一般廃棄物の焼却施設に関しまして、知事にお伺いいたします。  知事マニフェストの政策6−1および6−3によりますと、RPF工場を2009年度ごろに誘致して、工場の周辺環境整備費用に対し1件当たり3,000万円の補助を行うと。これは一般財源を充てるということで、そのことが書かれていますが、それはそのとおり読み切っていいのでしょうか、お伺いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)分別収集されましたプラスチックごみや紙ごみについての資源化の一つの手法として、RPFにすることを掲げたものでございます。紙ごみについては、再度、紙として使用できるものはリサイクルに回し、汚れたものについての資源化手法として、この方法を市町と一緒に考えていきたいと思っております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)前へ進まないので、なんですが、実は、先ほど知事の答弁の中にございました、広域化計画はブロック別に市町の範囲を決めて、日量おおむね100トン、そのごみを燃やそうという考え方のもとにつくられています。そのブロックの中にこのRPF工場が入ってくると、今まで計画している広域化計画はどのように市町側からすれば整理をしたらいいのか、教えていただきたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)かなり具体個別的な回答になりますが、RPF工場の誘致などが実現すると、焼却の対象となるごみの減少が見込まれ、また、それが目標になるわけでございます。種々の取り組みにより一定規模の減少が見込まれる段階においては、より効率的、また、妥当な施設の体制をいかにすべきか、市町と一緒に検討、協議していくことが必要であると考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)RPF工場をそのブロック内に導入する、割り込んでいくとなりますと、もともとの計画が、日量100トンを焼却するという施設をつくろう、これは旧厚生省基準のダイオキシンのガイドラインに基づくものをクリアするためにそういうことが計画されてきたわけであります。  RPFの工場がそこに割り込んできますと、焼却するごみの量が減る。そうすると、ダイオキシンの発生を抑えるための施設100トンクラスというものが、例えばそのことにおいて30トンクラスになる。それを2炉で動かすと15トンの炉になる。そういうふうな現実が地元では起こってきます。これについてどのようにお考えでしょうか。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)具体的に技術、そして、扱うべきごみの量の中で今のような指摘をなされる場合もございますけれども、施設のサイズにより、どのようにダイオキシンがふえるのか、あるいは減少できるのかということについては、今、日々、日進月歩の技術が進んでおりますので、この時点でそのように確定的な方向を定めるのは困難と考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)確かに技術の進歩があります。ですから、可能かと思いますが、しかし、現場の市町は、一方でその広域化計画を進めようとして取り組んでおられるわけですから、知事の言われるマニフェストに基づくRPF工場が入り込んでくることについては予想していないわけです。どちらの話を信用すればいいか、信頼すればいいかということになります。  ですので、県の職員が地元の市町に入って説明する話と、そして、マニフェストに掲げている話とが整合しないと、現場の市町では大変迷うということになると思いますので、その点、お伺いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)今まで広域化でやってきたものに対して別の方針を持ち出すということになりますと、もちろん現場での混乱は予想されますし、そのような問題が起きていることも私も伺っております。循環型社会をつくり出す上で中長期的に何が必要かという方向を見定めながら、できるだけ緻密にそのような問題をクリアしながら努力をさせていただきたいと考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)とにかく市町が現場で実践しているわけですから、市町が不安を持たれないように、適切な方針と指導を県の方からお願いしたいと申し述べておきます。  次に移ります。充て指導主事、派遣社会教育主事の廃止問題について、教育長にお伺いいたします。  本県では、平成の大合併によりまして、以前の50の市町村から現在13市13町という姿になりました。この間、何とか合併をしたいという強い思いがありながら、その思いがかなわなかった町々と、また、その一方では、合併をみずから選ばなかった町など、思いはそれぞれであろうと存じます。私は、これからの行政の中で最も大切にすべき教育に取り組む体制という点で、13市における体制と残された13町の体制ということを考えますと、ここには放置することのできない問題をはらんでいるものと考えるものであります。  教育の基本となる義務教育の担い手は、小学校、中学校であり、また、社会教育につきましても、住民の身近なところで展開されるべきものであり、それらを受け持つ市町の教育委員会の役割は重要で、特に昨今のいじめ問題や不登校等、解決に向けた早急な対応が求められる問題につきましても、滋賀の教育を担う第一線機関である市町教育委員会の責任はますます重くなるものと考えるものであります。  このような観点から、13町の教育委員会に対して、県から派遣している充て指導主事、社会教育主事の制度について伺うものであります。  これまで県教育委員会は、市の教育委員会と比べ、体制面で脆弱な町教育委員会において、学校教育に関する専門的な事項に関する職務の執行や学校現場に対する指導、監督および連絡調整を行うため、管理的立場にある教員を充て指導主事として派遣されてきました。同時に、社会教育や社会体育の分野につきましても、専門的、技術的な指導、助言を行うため、その分野に精通した教員を派遣社会教育主事として派遣されてきました。  しかし、県教育委員会は、この13町の教育委員会に対する充て指導主事、社会教育主事の派遣制度を平成18年度末をもって廃止することを平成16年度に明らかにされました。県と町という地方自治体の本来の職務や役割分担という点からいえば、妥当なものと考えますが、この制度をすべて廃止いたしますと、現在の町教育委員会の体制等の問題から、さまざまな支障が生じるのではないかと危惧し、去る2月県議会で質問をいたしたところであります。  斎藤教育長の答弁におきまして、円滑な制度廃止に向け、平成18年度で事務処理の合理化、効率化を進めるともに、指導、支援体制の整備を図るとの趣旨のお答えをいただいたところであります。  そこで、教育長にお尋ねいたします。  まず最初に、2月県議会において、平成18年度の具体的な取り組みについてお答えをいただきましたが、これらのこれまでの取り組みや成果、そして、残された課題はどのようなことがあるのか、以下、具体的にお尋ねいたします。  1点目は、市町教育委員会が膨大な量の調査物や報告書への対応に追われていることに関しまして、電子メール等のITの活用を含めて事務処理の合理化、効率化を進めていくとのことでありましたが、これまでどのような工夫、改善がなされたのか、お伺いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)事務処理の合理化、効率化について、どのような工夫、改善がなされたのかとのお尋ねでございますが、まず、今年度の当初に、26市町の教育委員会の課長参事にお集まりいただきまして、事務処理全般について各教育委員会からの意見や要望をお伺いし、その中で、平成18年度の調査等について、年間の調査内容やその実施時期をお知らせし、あらかじめ準備を進めていただけるようにいたしました。また、新たな調査につきましては、速やかにその内容をお知らせし、その間、余裕を持って対応いただけるよう努めますとともに、県の方に届いている学校ごとの経営管理計画等のデータが使えるものにつきましては、市町の手を煩わすことなく、県の方で取りまとめるということといたしました。  また、年間400件に及ぶ報告事務のうち、事業計画や実績報告等約100件については、市町教育委員会に電子データを送り、そこに直接記入して、そのまま返していただく方法により簡素化を図りました。  また、こうした形でそれぞれの調査や報告1件ごとに何か工夫できないかということで取り組んでおりますが、最近のいじめの問題をとりましても、文部科学省からの緊急調査もあり、また、県としても必要な情報を集める必要がございますし、即座の対応を求められるケースがふえてきておりまして、なかなか思ったようにいかないというのが現状でございます。さらに努力を重ねたいと存じます。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)なかなか思うようにという話がございました。この話は、現場の教育委員会の担当に話を聞いてみますと、確かにメール等で処理はなされるケースが多くなったものの、しかし、本体を後から文書で送ってくる、こういうふうな例もあって、言われるような効率化、合理化ということが、現場ではさほど変化がないというような実感を持っておられる、こういうふうに現場の方から聞いているのですが、こうした話について、一段の改善が必要とされるわけですが、その具体的な、教育長としてのお考えをお尋ねいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 実態としてなかなか目に見える形で軽減されていない、また、その変化が目に見えていないというような実感を持っているという現場のお話でございます。確かに、なかなか見える形でというまでには至っていないと。まだまだということについては、私もそういう認識をしております。  2月議会で御指摘いただきました後、一つ一つ見直しをしながら、職員の方に、とにかくできるだけ現場の負担は少なくできるようにという形で工夫を進めておりますけれども、一段とその改善策をということはこれからも必要と認識しておりますので、さらに努力してまいりたいと考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)2点目ですが、県教育委員会の学校教育分野の指導については、ブロックまたは教科制という形で体制を拡充し、各町教育委員会を訪問して支援、指導に当たる。さらに、教育指導担当パワーアップ支援事業を計画しているとのことでありましたが、どのように体制の拡充をし、どのような取り組みを行ってこられたのか、お伺いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 県教育委員会の学校教育分野の指導体制の拡充と、教育指導担当パワーアップ支援事業の取り組みでございますけれども、まず、学校教育分野の指導体制につきましては、県域を5つのブロックに分けまして、それぞれ担当を決め、専門の16人の指導主事が市町に出向いて指導を行っております。今年度、10月末までの訪問回数が391回となっておりまして、昨年同期と比べますと100回程度ふやしております。  また、教育指導担当パワーアップ支援事業について、本年5月に13町の教育委員会に対して、その趣旨を説明し、充て指導主事の廃止を見据えて、学校の教育計画や管理、また、教職員の研修、また、地域ごとに抱える教育問題をどのように組織として対応していけばよいのかなど、各町の教育の水準についてのビジョンを明確にしていくことを目的として進めてまいりました。各町教育委員会の課題についてどう対応していくのか、また、県教育委員会からの支援がどう求められているのかなどについて、6月から7月にかけて県教育委員会の各課の担当者が訪問し、協議してまいりました。  町の教育委員会からは、県と町との業務分担の趣旨は理解できるものの、学校や教職員への指導について不安があるというようなことなど、また、充て指導主事制度を廃止した後の対応についての課題が多く出されておりました。児童生徒の問題行動や安全対策、保護者との連携などの日常的な教育指導についても、どのように対応していくのか、今後さらに検討していかなければならない課題であるととらえております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)ただいま教育長、この支援事業に当たって、16人体制で各町を回りながら、県教育委員会から説明をしたということであります。この事業についての説明をされたようですが、県教育委員会としての考え方を伝えるだけで、具体的な方策や支援方法などは不明であったと。受けとめ方の能力もあるかと思いますが、そんな声が実は届いているわけであります。  結局、この支援事業について県から説明も受けたわけでございますけれども、町として具体的に得たものはないという話を聞かされているわけでございまして、県教育委員会としては、もう少し内部で意思統一をしっかりやっていただいて、そして16人、もちろんしっかりできていると思うのですが、受けとめ側がそんな反応でございますので、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。  次に、3点目でございますが、社会教育分野の指導につきましては、ブロック制の担当制を拡充するとともに、社会教育体制強化支援事業を計画しているということでありますが、どのように体制の拡充をし、どのような取り組みを行ってこられたのか、お伺いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 社会教育分野での体制の拡充と社会教育体制強化支援事業の取り組みということでございますけれども、まず、その指導体制として、本年度から、生涯学習課に地域支援担当の社会教育主事を5人置きまして、県内を5つのブロックに分けて担当させ、各町を訪問し、家庭や地域の教育力の向上、また、青少年の体験活動、安全、安心のまちづくりなど、今日的な課題について、その事業計画や事業を展開する際の情報やノウハウを町の担当者に学んでもらい、学習プログラムに関する情報提供、また、通学合宿とか子育て学習会などについても、ブロックごとに地域教育協議会の活動の充実に向けての支援というもの進めてまいりました。  さらに、社会教育体制強化支援事業におきましても、市町の行政職員等を対象として、専門的な知識や技能をステップアップさせる研修に取り組んでおります。また、管理職にも、役割を果たしていただけるよう、研修を重ねてもらっております。  さらに、社会教育の課題を共通認識するため、すべての市町が参画する社会教育主事ネットワーク会議を、今年度は4回開催いたしまして、子供の体験活動や生きる力をはぐくむ事業、親子での参加事業や子育ての事業、また、公民館の運営などをテーマに、情報交換や研修の場を設けて取り組んでおります。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)さまざま、県教育委員会として取り組みを進めていただいているわけでございますが、とりわけ人材育成なども含めて、一生懸命頑張ってこられたこととは思いますが、私たち自由民主党・湖翔クラブが、夏から秋にかけまして、郡市別の政務調査活動を行いました。  その中で、13町の皆さん方からは、この廃止という前提があるわけですが、何らかの新たな支援策や工夫を求める声が、それぞれの町長あるいは責任者の方から我々に届いているところであります。市の教育委員会と比べまして町の教育委員会は、組織体制等において大きな差がございます。充て指導主事や派遣社会教育主事の派遣制度において、この格差をカバーしてきたわけでありまして、大変大きな役割を果たしてきたと思うのであります。  現在の町の教育委員会の体制を考えますと、派遣制度を平成19年度から完全になくしてしまうということになりますと、教育の分野で市と町において大きな格差が生じ、その結果、子供たちの教育に大きな影響を及ぼすことになるのではないかと大変心配しております。13町から寄せられた切実な声を聞いておりますと、当制度を完全に廃止するに当たっては、まだ幾つかの課題が残されているのではないかと感じますが、教育長はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  また、県教育委員会にも届いていると聞いておりますが、滋賀の教育を担う第一線機関である13町の教育委員会の要望を踏まえて、平成19年度以降、町教育委員会に対する何らかの支援策について、どのように考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。 ◎教育長(斎藤俊信君) 充て指導主事と社会教育主事の廃止に当たりまして、まだ課題が残されているのではないか、平成19年度からどうするのかということでございます。  県教育委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、さまざまな取り組みをしておりまして、一定御理解はいただいているとは思うのでありますけれども、確かに、いろいろな角度から判断いたしますと、まだ課題が残されているという認識も持っております。一人も教職員がいなくなるということについては、かなり不安を持っているということの実態も感じております。また、平成19年度からの支援策ということについても、各町の議会を初め、関係の団体の方々からも、充て指導主事、派遣社会教育主事制度にかわる新たな県費派遣制度の創設について強い要望がございます。  各町ごとのいろいろな事情にも十分意を用いながら、人材面での支援のありようも含めまして、今後、精いっぱいの検討に努めてまいりたいと考えております。 ◆24番(山田尚夫君) (登壇)踏み込んで答えがいただけるものかなという期待をしておりましたが、甘かったような感じであります。  教育長、大変御尽力、御努力いただいております。感謝申し上げたいと思うわけでありますが、ただいまの答弁で理解しろと言われても、なかなか理解しにくい点もございますので、もう1点だけお願いします。  13町の職員体制が不十分というふうに県教育委員会が思われる町の対応につきまして、例えば、その町の財政力あるいは職員の数、規模、そして、合併ができなかった町あるいはしなかった町など、それぞれ町の諸条件があると思います。これから、それらを総合的に判断していただいて、引き続き配置することが妥当という地域へは、職員の身分、あるいはまた勤務地等の工夫、調整が必要だと思いますが、しっかりひとつ取り組んでいただきまして、先ほど申し上げましたような、教育について公平性がしっかり保たれるようなことをぜひお願いしておきたいと思いますし、教育長として、この点についてお答えがあるようでしたら、ぜひお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ◎教育長(斎藤俊信君) ただいま御指摘いただきましたように、それぞれ、各町、事情がございます。そういったことを総合的に判断させていただいて、さらに工夫もし、また調整もしてまいりたいと考えております。 ○議長(赤堀義次君) 以上で24番山田尚夫君の質問を終了いたします。  最後に、22番青木愛子さんの発言を許します。 ◆22番(青木愛子さん) (登壇、拍手)いよいよ12月も冬至に近づいてまいりまして、つるべ落としの日が続いております。最終の登壇をお許しいただきまして、しばらくのおつき合いをお願いいたします。  それでは、きょうは3点にわたって質問をさせていただきますが、一括で質問をいたします。  まず最初に、「もったいない」を生かす県政について、嘉田知事に質問をしたいと考えました。私は、「もったいない」という言葉と、その思いについて、非常に知事と共感をしているところがあると感じています。さきの代表質問でも、私たちの会派の朝倉議員からも、「もったいない」を生かす新年度予算について質問をされました。  さて、「もったいない」という言葉が最近注目されたのは、皆さん既に御承知のとおり、ケニアの環境副大臣でおられました、あのノーベル平和賞の受賞者ワンガリ・マータイさんが、「もったいない」というすばらしい日本語を知って、この精神を環境保護などに生かそうという運動が全世界に広がっていったことであります。これらについての動きは、私が述べるよりも、嘉田知事の方がよく御存じでございます。「もったいない」の精神を語れば、いつまでも嘉田知事に教えてもらうことが多いと感じながら質問をいたします。  しかし、こうした「もったいない」という精神的な観念を滋賀県政の中に生かそうということになりますと、具体的な政策や施策などでは少々難しいところがあると思います。けれども、滋賀県民は、嘉田知事の訴えられた「もったいない」を生かす滋賀県政を期待しているわけでございます。税金がむだに使われるのはもったいないと思っていますし、また、自然の力を生かさないのも非常にもったいないと思っておられます。子供や若者の育つ力を伸ばさないのは、一番大切な国の宝ですから、より一層もったいないという考えがございます。ぜひそれを具体的に生かしていただきたいと期待するところでございます。  そこで、嘉田知事が3つの「もったいない」について、来年度の予算およびマニフェストにそれぞれ具体的に記載されておりますが、その期限いっぱいの2009年度までの間にどの程度生かせるのか、その政策や施策を展開し、どのように浸透させようと考えておられるのか、少し具体的にその目標や、あるいはその方法をお聞かせいただきたいと思います。  まず初めは、税金のむだ遣いをやめさせる、そのための「もったいない」でございます。  私は、地域的なこともございますけれども、新幹線新駅建設の凍結によって、この「もったいない」という考えの効果が期待できるのではないかと思っています。また、大型公共事業の凍結によって、新たに借金をすること、あるいは借金をこれ以上ふやさないということがあると思います。「もったいない」の効果が出てくる、いろいろなことをみんなで考えないといけないのではないでしょうか。こうした行財政改革の遂行、大型公共事業や箱物行政からの転換による「もったいない」効果の目標について、どのように考えておられるのでしょうか、知事にお答えをちょうだいしたいと思います。  また、「もったいない」という言葉を使う前後には、太陽を初めとする大宇宙の自然や、あるいは神仏を敬う意味の「もったいない」から、ぜいたく品の使用はもったいないから我慢しなさいというようなことがあります。さらに、農家の方々が丹精を込めておつくりになった米粒を粗末にしたり、あるいはほかしたり残したり捨てたりなどすることは大変にもったいないと言われます。県民の皆さんにも当然我慢を求める場合もあるはずであります。そのことを含めて、「もったいない」の精神を生かす行財政改革の目標をお尋ねしたいと思います。  次に、自然の力を生かすための「もったいない」県政についてであります。  高度経済成長期以来、日本全国の自然は、経済活動最優先の価値観によって随分痛めつけられました。滋賀県では、琵琶湖の水質や、あるいは景観はもとより、琵琶湖を囲む周辺の山々や里山、そしてまた、琵琶湖の内湖が痛めつけられたり壊されたりしてまいりました。さらには、有害物質がその青いすばらしい山や谷に捨てられたりもしてきたところでございます。まことにこれこそもったいないことであります。この豊かさを求めてきた代償が自然破壊を大きく広げていることは非常に残念なことだと、つらく感じています。  嘉田知事は、環境社会学者から、厳しい選挙を勝ち抜いてこられ、滋賀県知事という政治の世界に入られました。研究者から大変な権限を持つ行政の長になられたわけですが、滋賀県内の自然や、そして、長らく人々とのかかわりの中でつくり上げられてきた貴重な自然を保全し、再生するためにどのような目標をお持ちであるのでしょうか。改めて御披露を賜りたいと思います。  次に、子供や若者の育つ力を損なうことに対する「もったいない」でございます。  本来、子供たちが自由に育つ力を持っているのかとの問いかけに対し、私たち大人は、はっとしてしまいます。「何々をしたらあかん」「何々をしなさい」「何々でなければならない」などと制約ばかりしてきたように私自身は思えてなりません。子供たち自身が生き生きと育つ社会環境とは、どのようなイメージを描いておられるのか、その目標をどのように立てておられるのでしょうか、お尋ねいたします。  以上、3つの「もったいない」を生かす県政について、知事の本当に熱い思いをお聞かせください。  次に、女性の進出支援に対するプロジェクトについて、知事および政策調整部長商工観光労働部長に質問をいたします。  全国で5人目となる女性の知事に、滋賀県政のトップとして嘉田知事が就任されました。滋賀の女性は大いに意を強くしています。しかし、気持ちだけで、あるいは女性知事の誕生だけで女性の社会進出が一挙に進むほど、社会は当然甘くはありません。それでも、嘉田知事のマニフェストを見せていただきますと、5つの基本目標の3番目に、若者や女性にチャンスをと挙げておられます。これは、女性や若者、障害を持つ人々、あるいは定年退職をされた人たちが経済的に自立できるような社会基盤をつくりたいということで進められているように私は感じています。  また、7つ目の政策提案でも、3番目に、強い滋賀で、若者や女性にチャンスをと取り上げていただいております。政策3−6では、環境、福祉、観光、流通の分野などで女性の進出を支援しますと高らかに、これも提案をされています。さらに、政策4−4では、次世代育成の政策を強化する対策が提案され、育児などの社会化がしっかりと述べられているところに大変共感を覚えます。  しかし、これまで、どちらかといいますと、それぞれ個別の分野に細分化された施策でありまして、縦割り行政のために十分な成果が上げられなかったように私は思っておりますが、女性の社会進出の思い、いわゆる男女平等の考えを力強くお持ちの知事にとって、これまで以上に強力な体制整備と、具体的な支援策を打ち出されることだと思います。このことについて、県民を巻き込んだ女性進出のためのプロジェクトというようなものを取り上げていただけたらどうかと思いまして、知事の御所見をお尋ねしたいと思います。  次に、男女共同参画政策を担当しておられる政策調整部長にお尋ねいたします。  男女共同参画担当部長として、嘉田マニフェストの女性進出に関する提案をどのように受けとめられ、そしてまた、今後、どのような目標を立て、どのような方法でその目標を達成されようとしておられるのか。まだ嘉田県政が誕生してから5カ月には至っておりませんけれども、知事の思い入れもあって、一定の方向性は打ち立てておられると思います。男女共同参画推進の立場から伺うものでございます。  次に、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  嘉田マニフェストで述べられております社会進出の第一歩は、もちろん経済的な自立であります。このことについては、就労や、あるいは女性の起業の面で、女性は今まで低位置に置かれておりましたが、それからの脱却が必要であり、また、起業支援などが大切であると考えます。就労面については、出産を機にして約7割の女性が離職している現状などから、女性を取り巻く就業環境は依然厳しい状況にあると思われますが、女性に対する就業支援について、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。  また、女性の起業に対する支援も、商工観光労働部門からも積極的にアプローチすべきであると思います。福祉や環境、そして、観光、流通の分野で具体的な起業のノウハウは商工観光労働部に長年蓄積されていると思うのであります。これらの蓄積されたノウハウを、新しく女性の方を支援するためにしっかりと活用されることを求めたいと思います。このことが今最も大切であり、起業を志す女性が期待しているところであると強く感じます。部長の御所見をお尋ねしたいと思います。  次に、3つ目でございますが、いろいろと問題になっております飲酒運転に関する罰則についてお尋ねいたします。  年末を迎え、お酒を飲む機会も大変多くなるこの時期でありますが、ことし8月に3人の子供が死亡した福岡市の職員による飲酒ひき逃げ事故を初め、全国的に大変痛ましい事故が相次いだことから、飲酒運転に対しては、世論の動向としても強い処罰が求められているところであります。  こうしたことから、民主党は今月6日に、飲酒ひき逃げなどの悪質な交通犯罪を抑止するための刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案を衆議院に提出いたしました。  その内容は、刑法に、酒気帯び運転等業務致死傷罪を新設し、法定刑として、10年以下の懲役または200万円以下の罰金とすることや、道路交通法の救護義務違反罪の法定刑を、現行の5年以下の懲役または50万円以下の罰金から、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に引き上げるなど、飲酒、ひき逃げといった悪質な行為に対して厳罰化を図ろうとするものであります。  だれもが飲酒運転はしてはいけないということはわかっております。にもかかわらず、飲酒運転や、それに伴う交通事故は後を絶ちません。浜の真砂のようでございます。その背景には、お酒や飲酒運転に寛容な我が国社会の環境があるのではないかと思います。なかなか厳罰化だけでは困難な部分もあるかと思いますが、何よりも私たち一人一人が自覚し、飲酒運転そのものが悪質かつ危険極まりない行為であるということに対する社会通念の認識をつくり上げていかなければならないのではないでしょうか。
     そうした意味で、公務員が率先して飲酒運転の根絶に向けた取り組みをするということは、意義の大変深いことであると思います。本県におきましては、去る9月21日に、飲酒運転は免職するという懲戒免職処分の基準を定め、公表されたところでございますが、改めて、基準設定に至った、その考え方と、厳しい考え方なのですけれども、その後、どのようにして職員の意識づけを図っておられるのか、また、今後に向けて取り組む決意はどのようなものか、総務部長にお伺いいたします。  年末年始前に、改めて飲酒運転や、それに伴う痛ましい事件が起きないように、また、起こさないように、お互いに強く願い、祈りまして、この項の質問を終わらせていただきます。どうか御答弁をお願い申し上げます。 ○議長(赤堀義次君) 22番青木愛子さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)青木議員の「もったいない」を生かす県政について、3点の御質問にお答えをさせていただきます。  1点目の税金のむだ遣いをやめる「もったいない」についての御質問のうち、「もったいない」効果の目標についてでございます。  いつも申し上げていることですが、「もったいない」とは、物や人の本来の価値が損なわれず、むしろ本来の力が発揮されることと私は申しておりますが、同時に、県政を進める上で、未来の世代に配慮した政策、施策であることが重要と考えております。将来の投資に対しては、何を優先すべきか、どのように行い、どこまでできるかなどについて十分比較考量し、真に必要で効果的な投資を選択することが、今、税金のむだ遣い「もったいない」の基本の考え方であると思っております。  そして、暮らしの場や暮らし意識の中から、県民の声を県政に生かすという真の県民本位の立場に立って課題に当たり、限りある人材や財源をいかに有効に生かすかを考え、最少の経費で最大の効果を得られるよう努めて、未来に向けた投資に充てることが必要であります。  今、厳しい財政状況の中にあって、県債残高の削減に向けて最大限の努力をし、さらに、子や孫の世代にツケを残さず、同時に未来を描くという目標につなげることが必要であると考えております。また、県民に我慢を求める場合も含めてという点についてですが、次の世代に負担を回さず、地域の力を高めていくためには、まずみずからが、次に地域で助け合い、そして、個人や地域の力ではできないことを行政が担うという、まさに自助、共助、公助の相互の総合的な考え方のもとに、県が担うべき役割をしっかりと果たしていくことが重要であり、そうした点で、県民の皆さんに御協力をいただきたいと考えております。  一方で、「もったいない」を生かした県政を進めるには、自然や文化、県民の皆さんが持っておられる潜在的な力を見出し、十分発揮していただくことが重要であり、そのための施策も進めていかなければなりません。今後の行財政改革については、人材や財源を生かして、こういった「もったいない」という精神の多面的な考え方を十分に生かしながら検討してまいります。  その目標については、新しい行政改革の方針において、現在進めております施策、事業の仕分けの結果も活用した見直しの基本的な考え方を整理し、新たな財政収支見通しを立てながら、平成19年の秋ころまでにお示しいたしますとともに、その具体的な取り組みについては新たな財政構造改革プログラムの中でお示ししたいと思っております。  次に、2つ目の自然の力を生かすための「もったいない」県政に関して、自然を保全、再生するために、どのような目標を持っているのかとの御質問でございます。  私は昭和56年に滋賀県に奉職し、当時は琵琶湖研究所設置準備室でしたが、学生時代からの調査研究も含め、約30年間滋賀県内をくまなく歩き、また、琵琶湖の美しさ、湖と人々のつながりの深さに感動するとともに、滋賀と琵琶湖の移り変わりを肌で感じ、その変化を目の当たりにしながら仕事をしてまいりました。その大きなテーマは、環境社会学を専門とする者として、住民の生活の視点から環境問題を考えることであり、解決策を模索することでした。その答えの一つが、近江の人々が生活哲学として身につけていた「もったいない」の心であり、自然と共生する生活行動でありました。  県は平成12年にマザーレイク21計画を策定しておりますが、ここでは、水質保全、水源涵養、自然景観の保全という3つの大きな柱を組み立てながら、あるべき姿を昭和30年代の琵琶湖としております。私自身、その時代の琵琶湖の姿を直接知り得ませんが、それでも、昭和41年の修学旅行で初めて琵琶湖に触れ、その美しさに感動しました。私が感動した昭和40年代よりさらに美しかったであろう琵琶湖を、あるべき姿に位置づけ、マザーレイク21計画を策定されたことに、当時、深く共感しておりました。  琵琶湖と滋賀の自然は少しずつ変わってきましたが、ここで生きる人々がはぐくんできた自然とのかかわりや「もったいない」といった精神は、今の滋賀の地に脈々と引き継がれております。その物質的な科学的メカニズム、そして、社会的な参加、自治の仕組み、さらに、精神的な思い、そのすべてが「もったいない」の背景にあると考えております。  昭和30年代あるいは40年代については、単なるノスタルジーと言われがちですが、私自身は、皆さんが、そして私たちが懐かしいと思う未来をつくる、そのような価値観や物の考え方の上にマザーレイク21計画の目指す、あるべき姿につなげるよう頑張ってまいります。  次に、3点目の子供や若者の育つ力を損なったら「もったいない」ですが、今日、少子化、核家族化の進行、地域社会での人と人とのつながりの希薄化など、子供たちを取り巻く環境は大きく変化してきており、かつての社会ではごく普通に得ることができた、さまざまな生活体験、社会体験、そして自然体験を通した学びの機会が少なくなってきております。  本来、子供や若者は、みずからが育つすばらしい力を持っています。子供たちは、遊びや体験を通して、自分の目や足で新たな発見をし、みずからの工夫により知恵と創造の力を限りなく働かせ、物事を成就するうれしさと楽しさを身につけていくものでございます。また、さまざまな人々や自然との触れ合いを通した体験は、命のすばらしさ、感動する力、互いに助け合うことの大切さなど、豊かな人間性や奥深い社会性を培う大切なものであると考えております。私は、このような社会環境づくりが、子供たちが生き生きと育つ上で最も大切なことだと考えております。  そこで、今後の取り組みでございますが、まず、森や川、湖など、滋賀ならではの恵まれた豊かな自然の中で、子供たちが伸び伸びとみずからの精神をはぐくんでいく遊びや体験の場を広げていくことが重要です。また、地域の祭りやスポーツなどを通じて、高齢者から若者、子供までのさまざまな世代の人々がかかわり合った地域づくりを推進していくことが、子供たちにとって大きなステップになると考えております。  さらには、社会とのつながりを十分に持つことができず、足踏みをしたり、つまずいたりしている子供や若者に対するきめ細やかな支援も大切です。また、異なった文化とのつながりを持つことも大事なことであります。異文化との触れ合いによって、みずからの文化が鏡のように見えてまいりますし、また、互いの違いを認め合うことにもつながると思います。子供たちの異文化体験、滋賀県内だけではなく、大きな、国際的な流れの中での異文化体験の舞台も準備したいと考えております。  こうした環境づくりを目標に、学校や企業、NPOとの協働を図りながら、社会全体で取り組んでいけるよう努めてまいりたいと考えております。県民の皆様の共感を得ながら、子や孫たちが生き生きと輝く社会、子供の笑顔あふれる社会の実現を目指してまいりたいと思っております。  次に、女性の進出支援プロジェクトの御質問でございます。  将来にわたり、この滋賀を力強く魅力ある地域としてつくり上げていくためには、男性が頑張っていただくのはもちろんでございますが、女性が本来持っている力を損なわず、性別にかかわりなく、一人一人の個性や能力が十分に発揮でき、意欲を持って社会参画できる男女共同参画社会の実現は大変重要です。私はこのような課題認識を持ってマニフェストに掲げたところであり、青木議員がおっしゃる女性進出プロジェクトも、まさに思いを同じくするものであると意を強くいたしております。女性の持つ本来の力を引き出し、社会の活力として一層の活躍が促進されるよう、次の3つの視点を中心に力を注いでまいります。  まずは、子産みや子育てへの不安や負担感を緩和し、社会的、経済的不公平感を取り除く環境を整えることであります。そして、この子産み、子育てに伴う楽しさ、すばらしさ、内面からわき出る力も、ぜひとも女性の皆さんに共感を持って受けとめていただきたいと思っております。  2つ目には、子育てや介護等で一たん就業を中断しても、就業、起業、市民活動、まちづくりなど、社会のあらゆる分野で挑戦し、活躍でき、そして、子育て期にあっても仕事が続けられる環境を整えるということであります。もちろん、子育てを専門にしたいという、その選択肢も含めて、多様な選択肢、それを選べる条件づくりが大切であると考えております。  3つ目には、男性も含めて、仕事と生活の調和、ワークライフバランスが可能となる働き方、多様な働き方が可能となる、そのような環境を整えるということでございます。  そうした中で、女性自身が意欲を持ってその個性と能力が発揮できるよう、力をつけること、エンパワーメントが必要であります。このような考えのもと、県の施策を推進するに当たっては、関係42課から成ります推進本部の機能をより一層発揮させ、関係部局が一層連携を深めることにより、県行政のあらゆる分野での取り組みを推進してまいります。  そして、何よりも、県民の皆さんとの生活現場における対話を大切にし、知恵や力を出し合いながら、まさに、お金のないとき、昨日、山田議員の御指摘にございました、お金がないからこそ知恵を出す、その知恵を出し合いながら、性別にかかわらず、個性と能力が発揮できる男女共同参画社会の実現に向けて力を尽くしてまいる所存でございます。 ◎政策調整部長(近藤月彦君) (登壇)女性の進出支援プロジェクトについての御質問にお答えいたします。  まず、マニフェストの女性の進出に関する提案をどう受けとめているかについてでございますが、県ではこれまで、男女共同参画計画に基づき、女性の政策・方針決定過程への参画や、家庭生活と社会参画の両立支援など、男女が多様な生き方ができる環境づくりに取り組んでおりまして、その方向性は同じであると考えております。  次に、今後どのような目標を立て、どのような方法で目標達成するかでありますが、女性の進出を取り巻く状況を見ますと、雇用機会均等法の改正や、次世代育成支援対策推進法の制定など、社会の枠組みは整備されつつあるものの、例えば女性の有業率が全国平均を下回っており、非正規職員に占める女性の割合が高くなっていることですとか、女性管理職の比率が全国平均を下回っていること、あるいは、地域にあっても、自治会の代表、副代表に占める女性の割合が7%程度というようなことなど、今なお男女の多様な生き方の選択や能力発揮には課題が残されております。  このような状況を踏まえまして、来年度の予算編成に当たりましては、男女共同参画推進本部において、女性の一層の活躍を支援する取り組み方針を決定いたしまして、雇用の分野および起業やNPO、地域社会等における女性のチャレンジ支援を重点テーマに定めまして、関係部局が連携して取り組むということを申し合わせたところでございます。  さらに、来年度には、男女共同参画計画が改定年を迎えます。現行の計画は、平成22年度を目標年度としつつ、平成19年度末までに取り組むべき施策の方向を取りまとめたものでありますので、残期間である平成20年度から22年度までの3カ年における施策の方向を明らかにする必要がございます。  計画改定の検討に当たりましては、これまでの取り組みを総括するとともに、新たな課題を整理しつつ、男女共同参画審議会での御審議や、県民の皆さん、県議会の御意見などをお伺いしながら、取り組むべき施策の方向、目標や目標達成の手法などを明らかにしていくこととしておりまして、女性が進出しやすい環境づくりを初め、性別にかかわりなく、一人一人の個性や能力が十分に発揮できる男女共同参画の取り組みを引き続き進めてまいりたいと考えております。 ◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)飲酒運転に対する罰則についての御質問にお答えいたします。  まず、飲酒運転に係る懲戒処分基準策定の考え方でありますが、飲酒運転につきましては、かねてより、職員に対して厳しく指導してきたにもかかわらず、本県におきましても、職員による飲酒運転が後を絶たないことや、ことしの夏以降、全国的に公務員による飲酒運転に関する不祥事が相次いだこともあり、公務員全体に対する住民の信頼を著しく損なうという憂慮すべき状況を踏まえまして、飲酒運転による事故はもちろんのこと、検挙等による場合にあっても、原則として免職とするなど、処分基準の明確化と厳罰化を図りまして、職員にあからじめ通知したところであります。  このことは、飲酒運転は死亡事故等の重大事故につながるおそれのある、極めて悪質、危険な行為であることを改めて職員一人一人がしっかりと自覚しますとともに、県の組織としても、飲酒運転は絶対に許さないという強い決意を明らかにしたものでございます。  次に、職員への意識づけと今後に向けた取り組みでありますが、こうした飲酒運転の根絶および懲戒処分の基準につきましては、庁議において周知を図りますとともに、各所属長に通知し、職場会議などを通じて徹底を図ったところでありますし、また、県のホームページにも掲載して、県民の皆さんにも公表し、職員に不断の自覚と前向きな取り組みを求めているところでございます。  また、年末を控えて、今月8日には、改めて飲酒運転の防止など不祥事の未然防止について、綱紀粛正と服務規律の確保に関する通知を発したところであり、法令を遵守すべき公務員として率先垂範し、また、県庁は飲酒運転を許さないという組織風土にしていくために、今後とも飲酒運転を初めとする不祥事の根絶に向け、研修等を引き続き行うなど、機会あるごとに職員意識の徹底を図ってまいりますとともに、万一飲酒運転が発生した場合には、その職にとどめておけないという厳しい対応をしてまいりたいと考えております。 ◎商工観光労働部長(河本光明君) (登壇)女性進出支援プロジェクトについて、2点の御質問にお答えします。  最初に、女性に対する就業支援についてですが、本県の女性の労働力率は、昭和50年以降、40%台後半で推移しておりまして、とりわけ、子育て期にあると言われる30歳から34歳の層を底とする労働力率の落ち込み、いわゆるM字カーブは依然として大きい状況にあります。  このため、県では、企業において育児休業制度の普及や労働時間の短縮など、労働者の仕事と子育てなど家庭生活の両立が可能となるよう、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定について啓発に努めております。  この計画の中には、出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施について定めることも可能であり、こうした取り組みについても計画に盛り込んでいただけるよう、滋賀労働局と連携を図りながら、企業に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。  また、国や県では、出産や子育てなどのために退職した人に対する必要な基礎知識などを習得するための職業訓練や講習会の開催、各種情報提供や個別相談を実施しており、こうした取り組みを通じて女性の再就職の支援を図ってまいりたいと考えております。  次に、女性の起業支援についてですが、女性の積極的なビジネスの起業参加は、地域資源を生かしたコミュニティービジネスやサービス産業の活性化など、地域産業の振興にとって重要な役割を果たしていくものと考えております。  現在、県では、創業・起業支援のためにインキュベーション施設の整備、開業のための資金融資、コミュニティービジネスの普及、啓発などの施策に取り組んでおります。また、産業支援プラザや商工会議所等でも、創業塾や女性を対象とした開業セミナーの開催、起業相談などの施策を行っているところであり、多くの女性起業家の方々に、これらの施策を御利用いただいているところであります。  商品やサービスの開発などで女性の感性を生かした起業が活性化することは、地域の産業振興の原動力となることが期待できると考えられ、県としても、今後、女性を対象とした起業セミナーを開催するなど、創業支援制度の一層の普及、啓発に努め、女性起業家のチャレンジを支援してまいりたいと考えております。 ◆22番(青木愛子さん) (登壇)ありがとうございます。  知事にお尋ねするよりは総務部長に尋ねてみた方がいいのかなと思うのですけれども、このところで申し上げるのはいかがなものかと思いながらの発言でございますけれども、今までの知事と、今新しくかわられた知事とは、いろいろな面で、「もったいない」という、すばらしいその理念のもとに行政を進めていらっしゃいますけれども、いろいろなところで今までずっとやってこられた、その過程の中で、一瞬にしてその仕事をかわっていく、やり方を変えるというのは大変御苦労かなという思いがするわけでございますが、これは知事にお答えをいただくよりは総務部長にお答えいただきたいと思いますが、どのような形でそのことを進めてこられたか。例えば職員の教育とか。もちろん理事者の皆さんも大変御苦労いただいていると思いますが、そのことを1点、お尋ねいたしたいと思います。 ○議長(赤堀義次君) 発言者に申し上げます。  発言通告に記載のない答弁者には答弁を求めることはできません。 ◆22番(青木愛子さん) わかりました。それでは、「もったいない」行政について、職員教育を、知事にお尋ねいたします。  次に、知事にもう一つ。知事は、環境社会学者として大変著名な方だと、私たちは長い間、石けんおばちゃんとして運動をしておりまして、琵琶湖の赤潮から水を守ろうという運動を、きょうは来ていただいている方もいらっしゃるのですが、全県で展開をしたわけでございます。いま一度、その「もったいない」精神で、全県の皆さんに訴えるようなことを、常々考えているのですけれども名案が出てまいりませんが、知事にもし名案があれば、今すぐではないと思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)青木議員の「もったいない」政策を職員教育の現場でどのように生かしていくかという御質問でございますが、まず、この「もったいない」という言葉についてでございます。  日常、行政の中では余り使わない言葉です。かわりに、サステイナブルあるいは持続性、持続的というような言い方をしておりますけれども、私自身は、まず、言葉の厳格な意味で、生活の中から課題あるいは問題意識を引っ張り出すことの大切さを職員の皆さんにお伝えしたいと思っております。つまり、職員の皆さん自身が、県庁で仕事をしている。その県庁で仕事をしていることと、家に帰って、あるいは地域に帰って、これは別の世界ではなく、自分の仕事を家族に、子供や孫、場合によっては父母、夫、妻に語ることによって、生活の中と自分の仕事をつなぐ。そのための大変大事なきっかけが言葉であろうと考えているわけでございます。  そのような意味で、この「もったいない」という言葉の表現を使うこと自身、行政の中では最初抵抗があります。しかし、そのことによって心をやわらかくしながら生活の現場と仕事の現場をつなぐ橋渡しができるのではないかということを1点お訴えしております。  そのことが2つ目の、つまり、私たちはだれのために、何のために仕事をしているのか。県民サービスという言い方をいたしますけれども、それを受ける皆さん、利用者の立場、県民の立場に立つ、それは、どのように仕事を進めなければならないのかという、その基本的な立場についても日々お考えいただけるような形で発信をしております。  そこから出てくる3点目でございますけれども、行政の仕事は、どちらかというと縦割りになりがちでございます。そのことが実は求められております。あるいは、法律、条例などにきちんと沿っているものでないといけません。そのことが、仕事の、特に許認可行政などでは求められておりますけれども、本来、行政の中にある公平性、平等性という原理と、先ほどから申し上げております生活の現場とつなぐ、これは時として矛盾があります。対立があります。そのことも含めて、それぞれの現場でお考えいただき、また、工夫をしていけるような、トップダウンではなくグラウンドアップの政策実現を図っていきたいということを申し上げております。  以上です。 ◆22番(青木愛子さん) (登壇)知事に伺います。先ほど、全県的な幅広い運動に対する、石けん運動などのようなものに対する思いと、そして、今後、その目標みたいなものがあるかというお尋ねをさせていただいたのですが。よろしくお願いいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)全県的な運動への思い。失礼いたしました。  石けん運動というのは、今から考えてみましても、当時、社会的に発言のチャンスの少なかった女性の皆さんが、行政の抱えていた水汚染、富栄養化という問題の中で、ともに力を合わせて社会的発言をした大変大きなうねりであったと理解し、また、評価をしております。そのような流れが、実はその後の滋賀県のNPO活動の活発化につながっていると、大きく評価をしているところでございます。  そのような中で、これからの全県的な住民運動でございますが、大事なところは、生活の現場で見えている出来事をしっかりと、ビジネスでもそうですし、あるいは行政の施策でもそうですけれども、そちらに移していく、あるいは、それをつないでいくということが大切であろうと考えております。少し抽象的でございますけれども、皆さんが身の丈で暮らしている現場から情報を発信していただき、それをさまざまな地域で受けとめながら、まさに、繰り返しになりますけれども、自分たちの地域社会は自分たちでつくり上げていくという住民自治の主体となっていただく。それは、住民の現場だけではなく、市町、県、そして、大きな領域へと広がっていく、そのような主体的な思いを持っていただく運動の広がりというのは十分可能だと思っております。  幾つかの例ですと、例えば、身近な環境をみんなで調べてみよう。そのことによって、専門家ではできない、地域、滋賀県全体の自然の力を発揮しよう。発見しよう。例えば、今お魚を全県で調べよう。虫を調べようというような活動などは、一つの、滋賀の自然を住民参加で調べ、そして、それを発信していく例になると考えております。  十分に準備をしておりませんで、一問一答で不十分な回答になってしまいましたけれども、そのようなことでよろしいでしょうか。 ◆22番(青木愛子さん) (登壇)いろいろとありがとうございました。  これで終了させていただきます。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 以上で22番青木愛子さんの質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明14日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時30分 散会    ────────────────...