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平成18年 7月定例会(第12号~第17号)-08月03日-03号

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  1. 滋賀県議会 2006-08-03
    平成18年 7月定例会(第12号~第17号)-08月03日-03号


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    平成18年 7月定例会(第12号~第17号)-08月03日-03号平成18年 7月定例会(第12号~第17号)                平成18年7月滋賀県議会定例会会議録(第14号)                                       平成18年8月3日(木曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         平成18年8月3日(木)                                         午 前 10 時 開 議 第1 議第109号から議第121号まで(滋賀県長期継続契約を締結することができる契約を定める条例案ほか12件)(質疑、質問)            ─────────────────────────────── 本日の会議に付した事件 第1 日程第1の件            ─────────────────────────────── 会議に出席した議員(47名)    1番   石  田  祐  介  君   2番   宇  賀     武  君    3番   福  本  庄 三 郎  君   4番   若  山  秀  士  君    5番   上  田  昌  之  君   6番   蔦  田  恵  子 さん    7番   小  寺  裕  雄  君   8番   山  田  和  廣  君    9番   太  田  正  明  君   10番   田  中  章  五  君
       11番   山  田     実  君   12番   西  川  勝  彦  君    13番   岡  崎  基  子 さん   14番   大  井     豊  君    15番   河  部  哲  幸  君   16番   森     茂  樹  君    17番   桐  山  ヒ サ 子 さん   18番   谷     康  彦  君    19番   中  沢  啓  子 さん   20番   徳  永  久  志  君    21番   北  野  加 代 子 さん   22番   出  原  逸  三  君    23番   青  木  愛  子 さん   24番   山  田  尚  夫  君    25番   辻        貢  君   26番   小  杉  武  志  君    27番   佐  野  高  典  君   28番   三  宅  忠  義  君    29番   上  田     彰  君   30番   家  森  茂  樹  君    31番   清  水  克  実  君   32番   吉  田  清  一  君    33番   杼  木  捨  蔵  君   34番   辻  村     克  君    35番   赤  堀  義  次  君   36番   世  古     正  君    37番   三  浦  治  雄  君   38番   中  村  善 一 郎  君    39番   黒  田  昭  信  君   40番   上  野  幸  夫  君    41番   橋  本     正  君   43番   滝     一  郎  君    44番   黒  川     治  君   45番   梅  村     正  君    46番   朝  倉  克  己  君   47番   沢  田  享  子 さん    48番   冨 士 谷  英  正  君            ─────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ─────────────────────────────── 会議に出席した説明員              知事              嘉  田  由 紀 子 さん              教育委員会委員長        高  橋  啓  子 さん              選挙管理委員会委員長代理    深  田  作  治  君              人事委員会委員長        市  木  重  夫  君              公安委員会委員長        吉  田     修  君              代表監査委員          中  森     武  君              出納長職務代理者        苗  村  藏  光  君              政策調整部長          近  藤  月  彦  君              総務部長            澤  田  史  朗  君              県民文化生活部長        中  村  順  一  君              琵琶湖環境部長         伊  藤     潔  君              健康福祉部長          谷  口  日 出 夫  君              商工観光労働部長        河  本  光  明  君              農政水産部長          橋  本  俊  和  君              土木交通部長          吉  岡     淳  君              企業庁長            太  田     剛  君              病院事業庁長          川  尻  嘉  徳  君              教育長             斎  藤  俊  信  君              警察本部長           永  野  賢  治  君            ─────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事務局長            金  森  保  明              議事調査課長          吉  田  哲  也              議事調査課課長補佐       西  島  義  昌            ───────────────────────────────   午前10時4分 開議 ○議長(赤堀義次君) これより本日の会議を開きます。  この際、あらかじめ傍聴人に申し上げます。  傍聴人は、発言すること、また、議場での言論に対して拍手などを行うことは禁止されておりますので、静粛に傍聴されるよう、お願いします。     ───────────────── △諸般の報告 ○議長(赤堀義次君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  地方自治法の規定に基づき、出納検査報告書が提出されましたので、別途送付いたしておきました。  次に、選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員深田作治君が出席されておりますので、御了承願います。     ───────────────── ○議長(赤堀義次君) これより日程に入ります。     ───────────────── △議第109号から議第121号まで(滋賀県長期継続契約を締結することができる契約を定める条例案ほか12件)(質疑、質問) ○議長(赤堀義次君) 日程第1、議第109号から議第121号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は、一般の質疑ならびに質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、43番滝一郎君の発言を許します。 ◆43番(滝一郎君) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。ようやく真夏のシーズンが到来いたしました。真夏のシンボル、夏の全国高等学校野球選手権大会が迫り、けさ、我が県の代表である八幡商業高等学校の野球部の激励会が行われました。御健闘を祈念するものであります。本日、新知事を迎えまして、年がいもなく緊張しながら、一般質問の先頭に立たせていただきます。  まず、本日、新幹線新駅建設芹谷治水ダムについて質問いたします。  今回の知事選挙における結果には大変驚きました。従来の各種選挙において、議員の場合は数が多いですから、議員個人が培った専門的な経験、個性を発揮すれば県民にとってプラスになるわけでありますが、県知事選挙のような県のリーダーを選ぶ選挙は、マニフェストも大切でございますが、よりウエートを、候補者の政治資質を重点に選ぶべきと私は考えておりました。資質とは、順位は不同でありますが、人間性はよいか、深い経験があるのか、若い情熱と柔軟な心を持ち合わせているのか、また、政策立案力にすぐれているか、さらに、県民の幸せを政治の原点にされているか等々が問われるのではないかと思われます。  しかるに、今回は、新幹線新駅等公共事業の是非のみが、「もったいない」のキャッチフレーズのもとで争われ、県民の皆様に、あなたは栗東新駅を利用して乗りますか、不便だから乗らないでしょう、乗らない新駅に税金を使うのはもったいないでしょうと問いかけて、私、嘉田は、これを凍結して、今まで積み立てた40億円のお金は一般財源に配分し、残る県の持ち分80億円は財政再建等に使いましょうと耳ざわりのよい言葉だけで当選されたものだと思っております。選挙戦術がよかったといえばそれまででありますが、とにかく、当選をお祝い申し上げます。  まず、知事に、新幹線新駅に対する基本姿勢をお伺いいたします。  今回の選挙では「もったいない」をキャッチフレーズに戦われました。この言葉は、私自身、戦前生まれで、戦後の貧しい時代を生き抜いてきた者として、いつも両親や周りの人々から、「もったいない」の精神をたたき込まれてきました。近年、社会が豊かになるに従い、若い人たちにこうした心が薄れてきたように思うとき、このキャッチフレーズで滋賀県民が「もったいない」の気持ちを持つようにかじ取りをしていただいたことには敬意を表します。また、知事としては、今後、「もったいない」の心を絶えずお持ちになり、これからの県勢発展政策に反映させてくださればよいのであると思います。  しかし、新幹線新駅は、約20年以上前から取り組みをいたしまして、十分協議して、ようやく起工式が終わり、既に契約書も交わされている事業を凍結にと、180度転換していくのは、いかがなものかと考えます。そうした凍結という強い考え方は持っていらっしゃっても、まず関係者や議会と協議を重ね、決定していくことが、間違いのない、県民のための政策決定となると思いますが、知事は、今回の選挙が新幹線新駅の住民投票にかわるものと思われるのか、まずお伺いいたします。  知事は、子供や孫にツケを残さない健全財政を推進するために、入るをはかり、出るを制する行財政改革が必要と常々言っておられるようであります。ここまでは私たちと全く同じ考えであります。しかし、ここからが違います。私たちは、子供や孫にツケを残さぬように、節約に努めながら、健全な財政が確保できるように、すなわち、入るをはかることに力を入れて、新幹線新駅に投資し、基本目標を達成しようと考えております。知事のお考えは、出るを制することばかりで、入るをはかることについてはどのように考えておられるのか、具体的にお伺いいたします。  マニフェストによると、工事契約をした事業を凍結して、そのことから生じる経済的損失を県は負わない、損害賠償請求がなされた場合、國松前知事に請求すると言われておりますが、明らかに法律の解釈を間違って理解されているものだと思います。湖国21世紀ビジョンなどの長期構想に沿いながら、県政の重要施策の一つとして、県民の幸せに直結するものと確信して議論を進め、ようやく起工式にたどり着いたものであり、今回の選挙が新幹線新駅設置の住民投票とお考えになるなら、県議会議員にも不信任を下されたものであると思っておりますが、賠償責任を國松前知事だけに負わせることの根拠をお示し願いたいと思います。  さらに、このようなことは本当にまれなこととはいえ、簡単に重要政策が、知事がかわるごとに180度転換すると、今後、企業誘致や大きな事業に、民間企業が県に信頼感を持ち、積極的に協力をいただくのは難しくなると思いますが、いかがお考えですか。お伺いいたします。  私たちは新幹線新駅については、県民すべての利便性向上は別として、120億円の投資をして、将来の滋賀の発展に直結し、私どもの子供や孫の時代に福祉や教育などの財源に寄与するものとして議決いたしました。以下、新駅がなぜ必要なのかを説明し、新知事に御理解をいただき、考え方を変えていただいて、推進に努力していただきたいと存じます。  まず、新駅着工までには、この構想が出て以来、およそ20年余の長い歴史があります。その間に、審議の経緯は、まず、新駅の設置位置を、昭和63年、稲葉県政時代に決定いたしました。この理由は、当時、栗東町と近江八幡市が誘致合戦をされていましたが、地元負担金も大変財源を必要とされることから、財政状況のよい現栗東市に決定することが新駅設置可能につながるとの判断もあったと考えております。さらに、県も周辺市も請願駅であるがゆえの多額の負担金が必要であります。財政状況が厳しいゆえに、投資が、近い将来、滋賀県下の地域経済効果や税収などにどのように寄与するかを調査、審議し、負担割合を決定されました。その結果、総工事費240億円に対して県負担金116億9,700万円、そのうち約40億円は既に基金で積み立てております。栗東市の負担が100億9,400万円、近隣市が22億900万円のおのおのの負担でありますが、これは平成17年から24年にかけて分割で支払われます。ここで力説いたしたいのは、この負担金以外は、今後一切、県の支出が不要であるということであります。  一方、事業効果として、利用者が1日8,938人、近隣市、人口の伸び率が1.5倍となり、新駅や住宅などの建設事業による経済効果は、平成24年度までの累計で6,426億円、さらに、10年後、開業の年には企業の立地による生産活動や観光事業、さらに人口増による市民消費活動などによる経済効果が単年度で3,770億円、一方、税収効果としては、新駅建設とあわせ、周辺の企業立地、人口増加による建設効果などで、県税、不動産取得税などでありますが、56億円、市税、固定資産税などでありますが、142億円であり、これは開業まで10年間の累計金額であります。  さらに、10年後、開業の年の単年度の消費・生産効果による県税収入は、1年で47億円、市町税66億円となり、建設基金として既に積み立てられている分、約40億円を考えると、開業後10年もたたずに、ほぼ投資分が回収できることになります。以後は、県税、市町税合わせて毎年100億円以上の税収が入り、将来の県民福祉に、教育に、産業支援に活用できるものであり、財政面からは滋賀県勢発展に寄与することは明白であり、この事業を推進するための投資をもったいないとされる根拠を、抽象論でなく具体的にお尋ねいたしたいと思います。  私たちが新駅設置の事業効果がほぼ間違っていないと確信するのは、新駅の経営が滋賀県ではないところにあります。びわこ空港は、(発言する者あり)静かに。びわこ空港は、需要予測を誤ると、毎年度の一般会計の持ち出しが巨額となる可能性があり、利用する相手空港も限られることもあり、当時、誘致合戦が展開されていた首都機能移転が、三重・畿央地域に目安がつくまでは凍結しようと県議会でも決定いたしましたが、今回の事業は、契約により開業後はJR東海が維持管理費をすべて負担されることになっており、県税、市税の収入に寄与していただくだけであります。利用者数の増減は、仮にあったとしても県財政とはほとんど関係がないことも理由の一つであります。こうしたことも知事は十分御理解の上で、もったいないと言われるのか、お伺いいたします。  代表質問で凍結についての答弁で、新駅設置は財政的に考え、優先順位が高くない、経済が回復したときに改めて考えると言われましたが、その凍結解除の時期についてでありますが、嘉田知事のお考えは、例えば、県債残高が幾らぐらい減額になったときか、税収が幾らに増加したときか、はっきりお示し願いたいと思います。  私たちは県議会議員として、ひたすら県民の幸せを願い、県勢発展を目指して、いろいろな事業に取り組んでまいりました。企業誘致に積極的に取り組み、大学誘致にも成功し、さらに、下水道事業にも思い切って予算を投入いたしました。どの事業も、おのおの目的を持っておりますが、すべての人たちに利活用されているものばかりではありませんが、県民の幸せを願ってのことであります。その結果、1人当たりの県民所得は、近年、全国で常にベスト6に入っており、昨年は東京都、愛知県に次ぎ第3位で、大阪府、京都府より上位ランクとなり、さらに、住みたい市のアンケートでも、全国740市の中で100位までに滋賀県の7市がランクされているのが現状であります。これは、すべての環境がよくなっている結果であり、20年前には思いもよらなかったことであります。私たちがいつも、京都の影にならない滋賀県をつくろうとの思いが少しずつ実現してきたと思っておりますが、日本一の琵琶湖と全国第4位の文化財を所有している県としては、観光面ではまだおくれがあると思っております。  将来、滋賀県は生産製造県、学術文化県と観光県の3本立てで発展していくことが大切だと私は思っております。そのためにも、新幹線新駅は絶対に必要不可欠だと考えているものであります。既に幾つかのマニフェストが変更されています。新幹線新駅設置についても、今後、県議会や栗東市および設置促進協議会と十分時間をかけて協議して決定するとの気持ちを持っていただけるかどうか、お伺いいたします。  次に、ダム建設について質問いたします。  マニフェストによると、現在、国と県が計画している、我が県の6つのダムすべてを、計画の経緯を踏まえ、見直しをすると言われております。6つのダムはそれぞれに事業者が違う、利水、治水の目的が違うことから、計画や経緯が違うことは仕方がありません。しかし、私は地元県議会議員として、県が事業主体者となっている芹谷ダムに絞って、経緯を説明し、質問したいと思います。  芹川は、鈴鹿山脈に源を発し、多賀町、彦根市の湖東平野を流下し、人家が連檐する彦根市の中心部を流れ、琵琶湖に注ぐ一級河川であります。特に彦根市市街地は、天井川であるために、昔から決壊とはんらんを繰り返してまいりました。しかし、彦根市街地の芹川沿川地域は、旧城下町の形態を残す家屋密集地であることは、県下すべての人々の生活を研究された嘉田知事は十分御承知のことと思います。この状況から、河道拡幅による改修は多大の費用と歳月を要するため、事実上不可能に近い状況であります。一方、中流・下流域には優良農地があります。住宅、または新幹線や名神高速道路、国道8号、JR琵琶湖線など、我が国の主要幹線が横断しており、遊水池や放水路による治水対策も、集落の移転等を伴うために、非常に困難な状況でございます。  こうした状況を理解され、河道内の掘り下げと護岸堤防の強化と、治水ダム建設をあわせた治水計画が立案され、昭和41年から62年にかけて、中小河川改修事業により河道改修が先駆けて行われました。しかし、治水を万全なものにする、肝心の治水ダムが40年経過しても建設着手できない状況では、治水安全度が低いため、常に溢水の危険性が高く、一たび被災すると、その災害ははかり知れないものが想定されます。芹川の流域性を考えると、これらの災害から人命と財産を守るためには、残されている治水ダムによる洪水防止が最も有効かつ経済的な手法であり、下流地域にとって早期実現は喫緊の課題であります。  以上、芹谷治水ダムの経緯と必要性を申し上げましたが、知事におかれては、ダム事業の推進に当たっては、大型公共事業で大資本企業の利益につながるだけと決めつけ、地元が豊かになるとは限らないと考えておられるようであります。地元流域住民は、豊かさを求めるよりも、自分たちの生命、財産を守るためにダムの推進に御尽力いただいているわけであります。治水対策を実施する上で、知事は地方自治体のトップとして、住民の生命、財産を守るのが政治の原点であるとの思いをお持ちなのか、お伺いいたします。  今ほど芹谷治水ダムの必要性を申し上げましたが、前知事の在任中には、計画調査以来43年が経過しており、多賀町は、県にかわって集団移転用地を確保するなど、ダム建設に向けた準備を進めておられます。既に平成15年10月に地元ダム対策委員会と基本協定を締結しており、その趣旨からして、これら住民の移転など、生活再建に早急に取り組む必要があります。水没予定地域の住民は家屋の改修等を差し控えて、移転を前提に生活されている現状を御承知なのか。現在では、平成19年度の損失補償基準の締結を目指して、調整を進めているところであります。  さらに、この地域は、ダム計画があるために、水没予定地周辺の道路や河川等の公共施設は今まで放置されてきました。さらに、こうした生活環境整備のおくれが若者の流出の原因となり、過疎化、高齢化を加速し、40年間で70%、人口が減少しているのが現状であります。ダム建設凍結となると、これら地域住民への対応は、新知事が責任を持って行うことは言うまでもありません。  平成15年12月の知事と気軽にトークの席上、地元の人たちが淀川水系のダムの見直し議論を心配されていることに対して、國松前知事は、淀川水系流域委員会での議論は、川や琵琶湖の保全の面から考えると、ダムは自然を壊すということで、原則としてダムはつくらないで、他の方法を考えなさいということだが、この議論は、国や水資源開発公団がつくるダムが対象で、芹谷ダムは県がつくるダムで、そうした議論の対象ではなく、県として必要であると判断し、予定どおり進めていると言われております。  さらに國松前知事は、環境にも配慮して、芹谷ダムは穴あきダムを採用し、平素には下流に水を流すことによってダムに水をためずに、樹木など、もとの自然を守りながら、そのままにしながら、大雨のときにはきちっと水をとめ、下流の被害を防ぐ仕組みにしたいと言われておりました。このような、環境に十分配慮をしたダムがなぜ必要ないのか、考えられません。  地方自治体の原点は、住民の生命、財産を守ることにあることを考え、芹谷治水ダムを早期に実現しなければならないと考えますが、いかがお考えか、お伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 43番滝一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)滝議員の新幹線新駅設置についての質問に答えさせていただきます。  まず、今回の知事選挙が新幹線新駅是非の住民投票と考えるかとの御質問ですが、新幹線新駅につきましては、さきの知事選挙でマニフェストに掲げました、一たん立ちどまり、知事在任中は凍結との考え方が、多くの県民の皆さんの支持を呼び、民意としてあらわれたものと受けとめております。今回の知事選は、それゆえ住民投票的なものと考えており、私は選挙期間中、新幹線新駅の凍結を訴えてまいりました。県民皆さんからは、新駅にはのぞみもとまらず、立地も不便で、地元の方でさえ使う程度が低いとの声を数多くいただきましたし、県が巨額の県債残高を抱え、財政が危機的な状況にある中で、県民の利便性が高くない新駅に多額の税金を使うことはもったいないと訴え、県民の皆さんの御支持をいただいたものと考えております。  今後、知事選においてあらわされました民意を十分尊重しながら、新駅の凍結に向けまして、県議会はもとより、栗東市、関係市、JR東海との対話を通じ、理解を得られるよう誠心誠意努力しながら進めることが、私に課せられた大きな使命であると考えております。  次に、新幹線新駅設置事業を推進するための投資をもったいないとする根拠についての御質問ですが、先日の代表質問におきましても、新幹線新駅についての経済波及効果の試算結果は、一定の経済効果や県税収入を生み出す効果はあるものの、将来への期待感が込められた過大なものであり、見通しが甘いと答弁したところです。例えば、1日8,938人という利用者数、また、開業後10年後の税収効果113億円は過大であると判断しております。例えば米原駅でも、現在、利用者数は1日6,000人程度でございます。そこに8,900人という数字は過大であるという判断。そのようなところが、私どもの背景、根拠でございます。  また、新駅の効果があらわれるのは何年も先の開業後のことであり、琵琶湖線と接続していない、その新駅の立地条件を考慮すると、新駅のもたらす効果は、投下する費用に比較して低いものと考えざるを得ず、現在の県財政の状況を考慮すれば、今、県として新駅への投資が許される状況にはないと、県民が判断したものと考えております。そのような意味から、税金の有効活用を考えるものであり、多くの県民の皆さんが賛同していただいたものと考えております。  次に、出るを制することばかりでなく、入るをはかるための具体的政策についての御質問ですが、財政の健全化に向けては、事業の見直しや人件費の削減などの歳出面の取り組みだけでなく、安定した歳入の確保、さらには、積極的な増収策が必要と考えております。本県の特性から、人口増、景気の回復により一定の税収増が期待されますが、これに満足することなく、本県の税収構造で高いウエートを占める法人二税の増収をさらに図るために、地域産業の振興や優良企業、成長分野の企業などを中心とした精力的な企業誘致を進めることによりまして、より一層の県税収入の確保に努めてまいりたいと存じます。
     さらに、収入未済額──納入されていない税金──の縮減など、積極的に既に取り組んでおりますほか、使用料、手数料に係る受益と負担の見直し、未利用県有地の有効活用や売却などによる財産収入の確保など、あらゆる収入確保の方策に知恵を絞り、自主財源の確保に努めていきたいと考えております。  県議会の皆様の御協力をぜひともお願いいたします。  次に、重要政策を180度転換することによる民間企業の県への信頼感についての御質問ですが、さきの代表質問でもお答えしましたとおり、県政の安定性という観点から行政の継続性を保つことは重要と考えております。これまでの県政のよいところはしっかりと引き継いでいきたいと思っております。ただいま申し上げましたように、企業誘致などはしっかりと受け継いでいきたいと考えております。しかし、時代が大きな曲がり角に差しかかっている中で、私は、県行政が県民の皆さんの思いを十分に受けとめることができていないのではないかという危機意識を抱き、今回、さまざまな政策を出させていただいているわけです。とりわけ新幹線新駅については、緊急提言という形で、その凍結を提示いたしました。  その結果示された県民の皆さんの意思につきましては、企業の皆さんにも御理解いただけるものと考えております。選挙結果を厳粛に受けとめ、その実行に向けて対話の姿勢で誠心誠意取り組むことが、企業の皆さんの社会的信頼をいただくことになるものと考えております。もちろん、政策転換ですので、御理解をいただくためには十分に対話を重ねることが必要ですし、そのことが相互の信頼につながるものと考えております。  次に、凍結になった場合の損害賠償のことですが、工事協定は、県議会の予算議決をいただいた上で有効に成立しておりますことから、当時の知事に対して責任を問うことは困難であると考えております。  次に、新駅経営には県財政の持ち出しがないことを理解の上での凍結についてかという御質問ですが、通常の、県が管理している施設とは異なり、新駅開業後の維持管理費を地元が負担する必要がないことは重々承知しておりました。しかしながら、先ほど申し上げましたように、県財政が厳しい状況にある現在、県民の利便性が高くない新駅に、今、多額の税金を使うべきではないという県民の判断を重く受けとめ、議員御指摘のことを理解した上で、今、新駅への投資はもったいないと考えております。  次に、凍結解除の時期は、県債残高が幾らくらい減額となったときか、税収が幾らに増加したときかとのお尋ねですが、現下の極めて厳しい財政状況、1兆円を超える債務負担状況の中で、それを乗り切っていくため、財政構造改革プログラムに基づいて見込まれる巨額の財源不足を縮減し、収支の均衡を図るため、歳入歳出両面にわたる収支改善に懸命に取り組んでいるところでございます。これらの努力を行ってもなお残る財源不足については、県債の割り増し発行や積立基金の取り崩しによって手当てせざるを得ないというのが実情でございます。  そこで、お尋ねの凍結解除の時期についてでありますが、総合的な判断が必要と考えます。つまり、財政の収支の均衡や県債残高などに十分配慮しつつ、歳入歳出を的確に精査する中で、施策、事業の優先順位を厳しく見きわめ、新幹線新駅に負担できるだけの財政的余裕が生まれたと判断される場合が凍結解除の時期と考えます。しかしながら、現在の財政状況や経済情勢、今後の地方財政制度改革の動向、三位一体の改革など、不透明な中におきましては、このような凍結の解除ができる環境ではないと、現時点においては考えております。  次に、今後、県議会や栗東市、および設置促進協議会と十分協議してから決定するとの気持ちを持っていただけるかとの御質問ですが、もとより新駅の凍結は私の一存でできるものではなく、県議会を初め、関係の皆さんの御理解をいただき、凍結に向けて進むことを十分承知いたしております。先日、栗東市や関係市にごあいさつにお伺いし、新駅凍結に向けた私の強い決意をお伝えした際にも、促進協議会の場で議論すべきとの声をいただきました。そのような声も踏まえまして、今議会の終了後、できるだけ早期に促進協議会を開催できるよう調整をしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、県議会や栗東市、促進協議会と十分協議して、凍結に向けて進めてまいりたいと考えており、私みずからが先頭に立って、関係者と協議を尽くし、意見を十分に聞かせていただきながら、協定の解除に向けた合意が得られるよう、精いっぱい努力する覚悟をいたしております。  次に、芹谷ダム建設についての御質問にお答えいたします。  まず、1点目の治水対策を実施する上で知事は地方自治体のトップとして住民の生命、財産を守るのが政治の原点であるかとの問いでございますが、代表質問にお答えしましたとおり、知事となった今、県民の財産、生命を守ることが私の責務であると深く認識しております。特に治水の原点は、人の命を失わないということでございます。とはいえ、地域住民の方々は、河川改修やダムなどのハード対策が与える安心感に、ともすれば寄りかかったり、近年、水害が発生していないことによる無関心さが広がり、洪水に備える意識が低くなっていることも事実であります。県民の皆様に、治水に関心を持っていただき、みずからも安全、安心を高めていただけるような方策も重要となっております。  このため、行政によるハード対策である公助と、我が身や身近な人たちの命や財産を守る自助、そして、水防活動などの共助といったソフト対策を含めた総合的な流域治水の観点から、それぞれの地域の自然的、社会的条件を十分考慮し、どのような方法が有効か、流域の皆さんとの対話を通じて、早急に最適な方法を探り、洪水被害の軽減、何よりも人々の命を失わないという原点に基づき、知事としての職務を全うしていきたいと考えております。  2点目の芹川治水ダムを早期に実現しなければならないと考えますが、いかに考えているかについてであります。  県内治水ダムにつきましては、個別ダムの必要性、財政的措置、自然環境とのかかわりなどから、適切な解決策を見出していきたいと考えており、さきに申し上げました、ソフト対策と、それぞれの河川に即した河川改修やダムなどのハード対策が一体となった総合的な流域治水を目指すことが、私の治水対策の基本的な考え方であります。  現在の芹川の治水対策は、地域住民で構成された芹川川づくり会議や、学識経験者等による淡海の川づくり検討委員会で議論され、芹谷ダムと河川改修の組み合わせで計画されたものと承知しております。私自身も、淡海の川づくり検討委員会の委員として、この議論に参加させていただきました。また、環境保全に配慮するためのダムの構造を、河床部穴あきダムに変更したところであります。ただ、地域住民にとって、ダムができれば安心が確保できるという、いわばダムに頼った計画となっております。このことが、住民の水害への社会的関心を低下させることとなり、ひいては住民の減災力を低めることになっているのではないかと懸念しているわけでございます。  例えば、2004年に起きました新潟や京都の水害。新潟県三条市、あるいは京都府の福知山市大江町などの水害でございますが、いずれも刈谷田川あるいは由良川の上流に治水ダムができております。治水ダムができた後の人々の社会意識あるいは土地利用などを私どもは精査いたしました結果、2つの変化が起きているということを発見いたしました。1つは、治水ダムができた後、人々の水害に対する関心が大変低くなり、水防組織、また、避難体制などがほとんどなされなくなったということでございます。もう一つは、土地利用の変化により、川の周辺に、例えば大江町役場が移動する、あるいは国道が移動するというようなことで、土地利用そのものが変わり、潜在的な水害の被害がふえたということでございます。各地にございますこのような事情、それを含めて総合治水ということをぜひとも皆さん一緒に真剣に考えていただき、本当に命を守るための治水とはどういうことか、ともに考えていただきたいと思っております。  これまでの議論や検討を十分踏まえ、今のようなハード対策、ソフト対策を検討し、芹川の治水対策に万全を期していきたいと考えております。  以上、滝議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆43番(滝一郎君) (登壇、拍手)再質問をさせていただきます。  新幹線新駅の問題で、この問題が住民投票的なものであるとおっしゃいました。しかし、この県議会が始まってからでも、マニフェストがたくさんある中で、職員の定数削減のマニフェスト、また、35人学級のマニフェスト、河川改修のマニフェスト等々、既に変えられているものがあるわけでございます。なぜ、そうした幾つかのマニフェストで県民に問われたものであって、この新幹線新駅だけが住民投票的なものになるのか、私どもとしては理解に苦しむわけでございますが、選挙戦の街頭でこれを言ったから、マニフェストの中でも住民投票的なものであると考えられているのか。そうであれば、ほかの政策はどうでもよかったのか。そういう考え方にもなるわけでございまして、そこの点のはっきりした区別を我々にわかるようにお示しいただきたいと思っております。  それから、新幹線新駅の経済波及効果のデータがまゆつばものであるというようなことをおっしゃいました。乗降客は8,900人。必ず毎日8,900人あるわけではないかもわかりませんけれども、例えば1,000人減ったとしても、これは京都駅か米原駅で乗られる方でございまして、JR東海は経営的にはほとんど変化がないわけでありまして、法人税はほとんど変わらないわけでありますから、あと維持管理はJR東海に任せていくわけでありますから、そういった面の心配はないわけであります。税金のことに関しましても、余り期待感が強過ぎるというようなことにはならないのであると確信しているところでございますが、乗降客が減ると、いろいろなものにもその比率で影響するとおっしゃいますが、そうではないということを先ほどの質問でも言わせていただきました。そういったことも十分もう一度考えてみましょうという、時をかけてもいいですから、そういう気持ちを持っていただきたいということで質問を終わらせていただいたわけでありますから、そういったことに関して、もう一度お伺いいたしたいと思います。  さらに、前知事の責任の問題でありますが、損害責任は持っていただくのは困難であるという言い方をされました。これは、契約書を見たら、そういったことは問えないということがわかって、マニフェストに書いたのは申しわけないと、こういう答えでないとおかしいのではないかと私は思っております。そこのところを、間違いは間違いとして認めるのが公人であると私は思っているところであります。そのことについて、もう一度お伺いいたしたいと思います。  ダムの問題で、知事はせんだっての代表質問でも言われましたが、どうも、ダムをつくらずに、いろいろな面で対応して、人命が失われない程度の災害は時々あった方がよいと、そういうような感じを受けるわけでございますが、自然のことでありますから、加減をすることができないわけであります。そのことを学問どおりにできるのであればよいわけでありますが、そういったことはできないと私は思っているわけでありますから、そういったことに対する考え方を根本的に変えていただいて、そうして、議会とか関係者に対話をもって協議するという姿勢に変わっていただかないと、知事がひとり自分の意見だけを強くかたくなに思いつつ協議するということになれば、前へ進まないのではないかと。これは結局、滋賀県の発展のためにつながらないと私は思っておりますので、そのことについても質問をさせていただきます。  以上です。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)滝議員の再質問に答えさせていただきます。  まず、1点目、マニフェストの中で、個別の数字の誤りがある、そのような修正をするマニフェストであるならば、新幹線新駅の問題も修正するべきではないかという御指摘でございます。  あのマニフェストを見ていただきましたらわかりますように、緊急提言というところは、重く、また、別の、頭のところと後ろとに分けてございます。私どもは、マニフェストそのものに形態の違いを出しております。それが緊急提言、3つの公共事業の凍結でございまして、後ろの個別項目と前の3つ、それから、また、全体の基本方針とは重みが違います。  そのような意味で、マニフェストにはさまざまなタイプがございますが、すべての項目が同じというものだけではございません。形態によって理解をしていただき、また、選挙中もそのことをしっかりとお訴えしておりますので、選挙中のパンフレット、あるいはさまざまな訴えの資料などをごらんいただけたらと思います。  また、滝議員が言われました2点目の、栗東新駅での乗降客の数ですが、8,900人の乗降客が米原や京都に流れて減ったとしても、JR東海の税収効果は同じということでございますが、今、私どもが問題にしておりますのは、栗東駅の乗降客の予想の数字でございます。つまり、栗東駅の乗降客が8,000人なのか、6,000人なのか、3,000人なのか、それによって栗東駅周辺の経済効果が変わってくるわけです。そのことによる税収効果も乗降客によって変わってくるという判断をしております。  また、3点目でございますが、先ほども申し上げましたとおり、前知事に対する賠償請求ということは、工事協定、議会で承認をいただいているというところから、認識が異なったということを申し上げました。また、治水に対する基本的な方針でございますが、この流域治水という方針は、私個人の研究者としての方針ではございません。既に国の方の社会資本審議会などでも、今までの、ハードに頼り過ぎた治水に対して流域治水、ソフトを組み合わせるという方針が、国の方でも変わりつつあります。そのあたりの御理解はぜひとも御勉強していただけたらと思います。  失礼いたします。 ◆43番(滝一郎君) (登壇)もう一度質問させていただきます。  新幹線新駅のマニフェストは、また上のランクの公約であるというふうな御答弁でございましたが、これは県民に対してまことに失礼に当たるのではないかと私は考えます。例えば、いろいろ書いておられるマニフェストの中で、子供さんを持っておられる方が35人学級にしていただければありがたいということで入れておられる方もあるかもわかりません。また、河川の横に住んでおられる方が、知事は50年確率の河川をつくっていくのだということをマニフェストで言われております。しかし、選挙が終わりますと、10年確率であると。こういうようなことでがっかりしている方もたくさんいらっしゃると思っております。そういうこともあるのに、3つの点は重要なマニフェスト、あとのことは余り大したことではないと、こういうふうな発言だったと思いますが、本当にそのように思われるのか、もう一度お伺いいたします。  それから、乗る乗らないという問題になってまいりましたが、私どもは、先ほども言いましたように、利活用されるかどうかということは二の次にして、滋賀県の発展のために、どのように将来の税収確保をしていくかということで、この問題をとらまえてきまして、まず、おりる人を期待しているわけであります。いろいろな観光客が滋賀県に来ていただければ、それだけ、確実に今までゼロだったのでありますから、ふえていくわけであります。そういうことを考えて、そして、原価が要らない、こういう誘致は企業誘致の中でも大変優秀な誘致である、財源にとってよい誘致であるというふうにとらまえております。  例えば、烏丸半島に琵琶湖博物館をつくられました。これは嘉田知事が関与されたと前々から言っておられますが、230億円の建設費を投入してつくったものであります。しかし、入場料だけではいきません。ということで、毎年7億2,000万円の一般会計からの持ち出しをしているわけであります。既に10年たっております。72億円という金を出しているわけであります、建設費以外に。これからも毎年出さなければなりませんし、老朽化していくと改修をしなければならない。そういうふうなお金もかかるということを、我々も、ある程度、文化のため、歴史を知ってもらうためには仕方がないということで、お金の面からですと全く合わないわけでありますけれども、やってきたわけであります。そういったことも、自分も関与しているものを見過ごしながら、人が計画したことにいちゃもんをつけるということはいかがなものかというふうに考えているところでございます。そのことについて再々質問をさせていただきました。  よろしくお願いします。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)滝議員の再々質問に答えさせていただきます。2点あったと思います。  1点は、マニフェストの中の、新幹線新駅問題などの3つの緊急提言と個別の40の提言の違いについてでございますが、マニフェストの中の形に見えますとおり、前の3つの提言、後ろの40、重さというのは形として見えているとおりでございます。もし滝議員の言われるような、県民の皆さんが何によって選んだかということを調べるとしたら、どうしたらよいか、逆にそれをお教えいただけたらと思っております。  2点目でございますが、県立施設が多額の維持管理費を必要とすること、新駅に負担が必要ないことは十分承知しております。しかしながら、現在および将来の厳しい財政状況を考えると、県として、今、県民の利便性の低い新駅に投資するだけの財政的な余裕はないものと言わざるを得ません。逆に、なぜ1兆円もの借金を、過去10年、このようにためてしまったのか。そして、これに対して、今の世代、私たちは次の世代にどのような責任を持つのかということは、私たちの世代全体に課せられた課題でございます。そのような意味で、15年前、20年前と今の財政状況の違いというところから、私たちは苦しいながら出発しなければいけない。そこのところは、首長、県の行政だけではなく、県議会の皆さん、そして住民の皆さんが、ともにこの財政状況の苦しい中からの出発だということの共通理解をさせていただきたいと思っております。 ○議長(赤堀義次君) 次に、45番梅村正君の発言を許します。 ◆45番(梅村正君) (登壇、拍手)それでは、知事の政治姿勢と県政運営や、県民生活に多大な影響を与えます緊急課題について伺います。  最初に、県民とともにの県政実現についてです。  今回の知事選で多数の支持を得られ当選されました嘉田知事に祝意を申し上げますとともに、我が国が少子化、高齢化で世界一となった今、困難な課題に向き合い、138万県民のトップリーダーとして、安心の湖国づくりに御活躍されますことを、まず御祈念申し上げます。  先日、嘉田知事の所信表明をお聞きいたしました。県政の舞台は生活現場、政策実現のための基本的な方法は対話とされ、また、二元代表制のもとでの意思形成に対話と共感の重要性とともに、県民の参加と提案の県政を実現すると、このように述べられました。知事の、一人を重視、現場を重視という考え方を理解するものであります。また、個別具体の施策や事業につきましては、現在と将来において、生活者の目線で是々非々の対応と思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。その観点で、今後、より一層、行政の現場感覚が重要になってくると思いますことから、以下伺います。  1点目は、私は、今求められている地方主権の県政は、県民の息づかいが聞こえる県政でなければならないと思っております。県庁での待ちではなく、現場に立つ積極的な行動と対応が必要ではないでしょうか。例えば、知事を先頭に、職員が1週間の間に、または1カ月間の間に1回でも、たとえ午前中でも現場に出向き、現場に立って県民や関係者の声にじっくりと耳を傾けるなど、その現場を知る時間は、県民の思いを共有する上で極めて重要と思っております。そのちょっとした現場感覚での職務は、同じ時間と仕事量でもむだがなく、現場のにおいがする仕事の中身と結果は、極めて県民の意思に近くなるのではないでしょうか。そのために、多忙とは思いますが、いや、忙しいからこそ、ぜひ職員の現場時間を確保すべきであると思いますが、知事の所見を伺います。  ある職員の方がいつも迅速に現場に行かれている姿に驚きます。県民はそのような1人の職員の行動と姿を通して県政を身近に感じられるのではないでしょうか。難しい時代、県民とともに歩むとされる知事は、現場感覚の県庁づくりについてどのように築こうとされているのか、確たる所見を伺うものであります。  2点目は、知事の言われる参加と提案の県政実現についてです。  私は平成14年度の県議会で、今までの県民参加の形をさらに進めて、積極的に現場の視点から県政を見詰め、次代を担う若い青年、また、女性の意見を県政に反映させる提案型システム創設の提案をいたしましたが、平成15年度に実施された県民施策提案事業は、多くの県民の方々から御提案をいただき、一部事業化されているところでありますが、残念なのは、1回限りとなっていることです。施策や事業として採用するかしないかは、きちっと判断すればよいことであり、決して県民からの血流を遮断してはならないと思います。県民からの広範な意見提案制度は継続、強化し、県民の考え、感覚を大事にすべきと思いますが、知事の見解を伺います。  そして、県民の皆さんの県政参画を進めるには、やはりわかりやすい説明が必要です。難解な課題と対応策を現場の目線でほぐし、思い切ってわかりやすくする。そういうわかりやすい県政です。知事は、県勢発展の礎として、県民参加と提案の県政と言われましたが、これをどのように具体化されるのかを伺うものです。  3点目は、本県の将来は、経済力を求めるに加え、豊かな湖国と人づくりとともに、異文化との交流や地域の文化を語れる力が必要ではないでしょうか。自国や地域の伝統文化を大切にすることが発展のかぎになるものと思います。そのためにも、小中学生のときから一流の文化や芸術に触れることが、個性を薫育するきっかけにもなりますことから、十二分に検討を行うべきであります。また、このような時代だからこそ、文化芸術の振興が求められ、温かな心で互いに尊重し合う社会こそ大切でありますことから、本県の文化芸術振興条例の制定、そして、地域に埋もれている文化芸術や貴重な人材が将来の湖国づくりに活躍していただけるような振興プランを早期に策定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  次に、新幹線新駅凍結問題について伺います。  先ほども述べましたとおり、さきの知事選で凍結を掲げられた嘉田知事は、多くの県民の賛同を得られました。私は、その民意を真摯に受けとめ、凍結への課題と判断、将来への財源確保策について具体的に検討を重ね、将来のために慎重に判断すべきと思っておりますことから、以下何点か伺います。  1点目は、知事は所信表明で、その進め方、手順について、四者の合意が必要と述べられ、また、その合意とは、互いの違いを埋めることであるとの、議論の重要性を指摘されましたが、私も同感であり、賛同いたします。  最初に、促進協議会の会長は知事がつくことになっておりますが、知事の見解を伺うとともに、同時に、円滑な運営を願うものです。知事は本会議終了後、速やかに促進協議会を開催したいとのことですが、その場で関係機関が抱えるあらゆる課題を出し合い、解決への積極的な議論、県民への情報提供や意見の反映など、互いの違いを補い合い、その上で全体的な観点に立って四者合意による方向性を見出すべきでありましょう。そのための議論や、県民への説明責任を果たすことは極めて重要でありますが、このようなプロセスについての所見を伺います。  また、知事は、解決に向け集中的に取り組むと述べられましたが、具体的にはどのような場を考え、進めようとされているのか。あわせて、今の時点で知事が考えておられる主要な課題や、今後重要となってくるスケジュールについて伺います。  もう一点は、将来不可欠の財源確保策です。将来の扶助費などの増嵩、多岐と難解になってくる県民ニーズへの対応、地域間競争時代に生き抜き、県民一人一人が元気な県政を構築するために、財源確保は欠かせませんが、知事はまず、現在の長期・中期計画と、知事が目指されている滋賀県像、およびその財源確保をどのようにお考えになっておられるのか。  特に産業振興についてですが、本県の雇用状況や景気の緩やかな回復など、今、よい経済指標が示されておりますが、これを本格的な流れにしていくために、観光振興策として、環境と観光を組み合わせた本県ならではのびわこ検定の実施、中小企業への技術開発の支援、若者や退職者の就業再挑戦システムの構築など、今、本県の人と活力回復への条件を生かすための手だてが極めて重要であります。将来の可能性への挑戦、明るさや元気な滋賀づくりのために、どのような方策を考えておられるのか、伺います。  次に、ダム問題と河川整備について、治水の観点から伺います。  1点目は、最初に治水について伺いますが、治水思想は、例えば上流など一部地域の被害の上に治水そのものは成り立たないと私は確信しておりますが、知事の見解を伺います。  2点目は、知事は、社会資本整備審議会の小委員会に、地元滋賀県の知事として参加されますが、今日まで本県が取り組んでまいりました洗堰の全閉操作解消についてはどのようなスタンスで臨まれるのか。この全閉問題は、上下流100年の課題であり、滋賀県としては被害を強いられてきた歴史があります。ゆえに、県議会で特別委員会を設置し、上下流対立の100年から、ぜひ、相互の信頼と安全の確保を目指す新たな100年にと取り組んでおりますが、県民の生命と財産を守るため、これらの問題についての知事の見解を伺います。  3点目は、知事は6ダムを凍結、見直しと言われましたが、現在、関係する河川整備は100分の1確率の基本計画で、河道整備とダム設置となっております。そのダムを凍結した場合、関係河川のダムにかわる具体的な治水安全度を強化していく対応策、代替案について、どのようにお考えになっておられるのかを伺うものであります。  次に、緊急課題であります安全、安心の湖国づくりについて、知事に伺います。  近年、異常な災害被害や、幼い子供たちが被害に遭う犯罪の発生など、今日ほど県民の生命と財産を守り、生活の安全、安心が求められるときはありませんことから、以下3点の課題について伺います。  最初に、豪雨災害と治水対策についてです。  過日、政府が、平成18年7月豪雨と名づけたほど、7月15日から降り続いた大雨は、京丹後市を初め、全国8府県で20人に上る、とうとい生命と財産を奪う大きな傷跡とともに、農家や消費生活に多大な影響を与えております。被害に遭われました皆様に心より御冥福と、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。  本県におきましても、大津市葛川坊村町地先や大石富川町地先など11カ所で、山の斜面が崩落、国道を遮断するなど、住民生活などに多大な影響を与えました。私も現地調査を行い、当局に緊急対応を申し入れさせていただきました。  これらの災害現場で、土木交通部の職員の方々や消防、地元の方々など関係者の皆さんが、昼夜を分かたず迅速に対応されておりましたことに、心から敬意を表する次第です。ことしもいよいよ台風シーズンを迎えています。近年、台風や豪雨などにより水害や土砂災害など、大きな被害が発生しておりますが、特に高齢者などの痛ましい被害が起こらないよう、でき得る限りの対策を願うものです。  1つ目は、各地で多発している異常気象によるゲリラ的豪雨は、河川を破堤し、甚大な被害が発生しております。先月末、国土交通省は、近年の豪雨の発生や、限界がある投資能力の中で、災害安全度を早急に向上させることを目的に、来年度から約5カ年間をかけて、都道府県が管理している中小河川について、流域にかかわらず、中流、上流域ではんらんする危険性が高い箇所について緊急改修する方針を固めました。本県管理の河川は極めて厳しい河川が多くあり、これに積極的に対応すべきと思いますが、見解を伺います。  2つ目は、知事は河川の治水安全度を高めていく方法として、流域的な考えで、河川別に地域性を生かしたハード、そしてソフト両面からの手法を述べておられますが、さきに述べました、このような国の緊急的な対応と、その背景も勘案し、また、整合を図りながら、いま少し具体的にお示しいただきたいのであります。例えば地域性については、深刻な浸水が想定される地域の土地利用のあり方についても検討が必要と思いますが、いずれにいたしましても、河川別の具体的な整備方針の検討と整備計画について早急に検討が必要ですが、どのような目標で進められるのか、伺います。  3つ目は、今日までの災害の中で、まことに悲しいことではありますが、高齢者の方々などの被害が報道されております。昨年、国は、災害発生の危険性が高まったときに、地方自治体が発令する避難勧告などの一つとして、避難準備情報、いわゆる要援護者避難情報を設けられました。この情報は、従来の避難勧告より早い段階で、避難に時間を要する高齢者や障害者の方々に避難の開始を、そして、そのほかの人に避難準備を求めるもので、日常から高齢者など、お一人お一人に啓発、理解されることが必要であり、意識が醸成されれば、自主避難など、多大な効果を生むと思います。また、自主防災組織など関係者への啓発など、減災を目指し積極的に対応すべきでありますが、その見解と現状を伺います。  4つ目は、このような災害の課題のほかに、市町長の避難勧告や指示の適切なタイミングの問題、対象地域に発令できていない問題、漏れのない住民への伝達が困難、また、勧告が出ても避難されないことなどの問題が課題となっております。これらの解決には、中小河川の増水時の危険判断と認識が極めて重要でありますことから、平成15年5月に水防法が改正され、知事は、国が指定する以外の一級および二級河川について、特別警戒水位を定め、当該河川の水位が達したときは、水位流量などを水防管理者に周知しなければならないとされております。これは、住民の命と財産を守るために、市町長が避難指示、避難勧告を出される判断のときについて、より的確性に資するものでありますことから、これら河川の特別警戒水位の設定と、住民への啓発は不可欠と思いますが、どのように対応されるのか、伺います。  5つ目は、あわせて避難場所についてですが、現在の避難場所が浸水することも予想されます。そのためにはハザードマップの作成が急がれますが、建物の安全性の確認と高さが確保された建物を対象として、公的施設だけではなく、民間の協力をいただき、避難場所として指定できるよう取り組むべきと思いますが、その見解を伺います。  2点目は、地震の減災対策について伺います。  1つは、知事のマニフェストには、本県独自の被災者への見舞金支給などの支援が記載されております。私は、過去の災害において、災害救助法適応規模と少数の災害とは、少数の災害も被災された方々の思いは同じであるとして、支援を訴えましたが、現状にとどまっております。私は、額の大小はさておき、被災への心情を共有する温かさが必要と思います。具体化について、知事の思いを伺います。  また、社会福祉協議会が所管されている生活福祉資金の災害援護資金、また、住宅資金制度がありますが、不幸にも、思いもかけない壊滅的な打撃を受けられた被災者の借り入れには利息を免除すべきであり、あわせて、被災者の公営住宅への緊急避難的な入居は認められるべきと思います。知事、こういう問題をどのように思われるでしょうか。これら災害被災者に対する、本県ででき得る支援のあり方について、全体的に網羅的に、本格的に検討すべきときと思いますが、知事の確たる見解を伺うものであります。  2つ目は、マニフェストに書かれている支援策を、より少なくするためには、事前の減災への取り組みこそ重要であります。私は、地震の災害の甚大さが言われておりますが、その反面、補助制度があるものの、一向に進まない耐震改修の現状が現実であり、どうしてもこれを打開し、推進しなければならないと思っております。その意識の醸成、社会的な関心度を高めていくことの重要性から、木の香る淡海の家推進事業を拡大し、耐震診断を受け、耐震改修が必要とされた場合、一定量の県産材を無料提供することについては、県民の皆さんからいただく琵琶湖の森林づくり県民税のその使い方の一つとして、耐震改修、減災という形で、個人、ひいては地域に還元されることなどから、具体的に制度創設を提案したところであります。そのときの答弁は、減災対策としての耐震・バリアフリー改修に柱の数をふやし、筋交いなどを入れる工法を実施することで県産材の利用が見込まれ、検討するとのことでありましたが、改めて、減災に強く取り組まれる嘉田知事の見解を伺います。  3つ目は、気象庁は8月1日より、緊急地震速報提供の運用を開始されました。これは、地震波のうち、主要動をもたらす地震波S波より早く伝わる初期微動P波を地震計でとらえ、規模を自動的に計算し、情報提供することにより、例えば危険な場所からの避難、高所での作業停止、医療での患者の安全確保など、効果が期待されております。本格的運用はこれからとのことですが、本県での活用効果について、どのような見解なのか、伺います。  3点目は、子供の安心、安全についてです。  1つは、さきの議会で通学路および周辺において子供の安全と安心を確保するため、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例を改正いたしましたが、具体的な取り組みを進める今、改めて子供を守る、1人として被害者を出さないという強い決意の取り組みが必要でありますが、知事の見解はどうでしょうか。  2つ目は、現在、児童生徒の帰宅時間が遅くなる場合がありますが、道路照明が全くない暗い通学路、歩道がなく、通行車両と危険と隣り合わせの通学路、植栽が高く児童の姿が見えない通学路など、危険な通学路の要素を挙げれば切りがありませんが、今まで報じられている事件の状況から、その一つ一つに危険性が潜んでいることを危惧いたします。現在、安全マップづくりや、精いっぱい取り組んでいただいている毎日の地域のボランティア活動などを、さらに効果的にするために、総点検などにより実態把握とともに、なお一層、現場の意見を十分反映させた取り組みの指針や、実効性ある計画づくりなど、具体的な推進について伺います。  4点目は、以上3点について伺いましたが、これらの災害発生時の異常な混乱は2次災害を増大させる要因にもなります。冷静な状況判断と行動が求められますだけに、県民みずからが的確な判断が行えるよう、発生している事態の緊急度や災害状況などを実感できる情報提供が不可欠と思います。現在、県民生活課が犯罪発生状況をリアルタイムで登録の携帯電話に情報提供されておりますが、受信した、例えば私は、その内容に関心を持ち、場合によっては人にも伝えるなど、大変効果があります。これらのことから、地震や豪雨などの災害情報、災害に伴う道路情報の提供など、間違いなく混乱を回避できる方法ではないでしょうか。ぜひ防災・防犯eメールとして情報提供の内容を拡充すべきと考えますが、知事はどのように思われますでしょうか。  知事の危機管理についても伺っておきます。  自然災害からテロまで、また一つ一つの事業実施におきましても、危機管理の意識と具体的な対応は不可欠であります。時代が大きく変わろうとしている今だからこそ、危機管理の総点検が必要と思いますが、知事の考え方を伺うものであります。  最後に、福祉施策の拡充、障害者福祉とがん対策について、知事、健康福祉部長にお伺いいたします。  障害者自立支援法が施行され、今、障害者を取り巻く環境は大きく変化し、介護予防の視点を取り入れた高齢者福祉の現場とともに重要視しなければならないことは言うまでもありません。以下、その実態とこれからの県の福祉施策の方向性、支援について伺います。  最初に、運営上、極めて大変なグループホームや小規模作業所への支援です。地域での受け皿づくりとして、本県では先進的に取り組み、障害者施策の展開にあっては欠くことのできない拠点となっております。しかし、同法により、作業所は利用定員が1日20人以上のⅠ型から、利用定員が10人以上のⅢ型の地域活動支援センターとして認定を受けなければなりません。例えばⅡ型の場合、実利用者が15人以上、Ⅲ型は10人以上、運営実績は5年以上などの要件を満たすことが難しい無認可の小規模作業所などから、多くの要望が公明党に寄せられ、衆参の予算委員会で取り上げられたところであります。この実態と、小規模作業所の運用条件を緩和し、存続のための救済措置を講じるよう、厚生労働省に要請いたしました。その結果、国庫補助の要件として掲げられていた文言に「概ね」という文字が入り、1日の実利用人員がおおむね10人以上とされ、実施主体の自治体の自主的な判断で補助の対象になる可能性が高まり、大変喜ばれております。  また、今日まで滋賀県として進めてきた最も多い小規模作業所は、移行先の形がありませんことから、例えば県と市町とともに、本県独自の法人減免にかわる制度導入なども含めた新しい形の地域活動支援センターとするなど、新しい制度の創設をしてはどうかと思います。これら、できる限りの支援策をぜひしっかりと講じるべきと考えます。それは、今日まで本県が教育から就労支援まで、障害者の自立支援に地道に取り組んできたことや、障害者間の差別を生じることなどの是正であるからであります。国へ制度改善を求めるとともに、本県において現制度を広げるのか、または独自の地域活動支援センターを創設するのかでありますが、10月移行と、限られた期間の中での結論が必要であります。知事はこのような重大な課題についてどのようにお考えになっておられるのか、その見解を伺います。  また、具体的な取り組みについて、以下、続いて、健康福祉部長に伺います。  障害者自立支援法での利用者の負担上限額についてですが、本県の場合、どのような状況なのか。また、その特徴と理由について伺います。  施設利用者の負担の見直しの影響につきましては、従来の月額報酬から日割り報酬となったことで、経営に大きく影響し、また一方、施設利用者負担も導入されましたことから、本県の入所施設や通所施設の運営状況について、どのように分析をされているのか、また、一例でありますが、利用されている母子家庭で通所施設に通う障害者を持つ母親の御意見は、収入を得るために働く時間を多くしても、支出の費用が多くなるとの事例をお聞きするなど、問題点の整理と、国への要望も含め、その支援策について伺うものであります。  最後に、がん対策について、知事に伺います。  我が国におけるがんによる死亡者は約32万人、総死亡者数の約31%という増加に今も歯どめがかからず、国民の不安が増大しておりますことから、さきの国会において、がん対策基本法が可決されたところであります。その主な内容に、国、都道府県のがん対策推進計画の策定、内閣府にがん対策推進本部の設置、がん代替医療に対する調査研究などとされております。  本県において、がんはどのような状況にあるのでしょうか。また、法の趣旨を受け、がん対策推進計画の作成、拠点病院の拡大や、がん検診の充実と予防の推進など、その徹底を図る必要がありますが、知事はこの重要ながん対策にどのように取り組まれのかを伺い、質問を終わります。  以上です。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 45番梅村正君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)梅村議員の御質問にお答えいたします。  まず初めに、県民とともにの県政実現をについてでございますが、私の目指す「もったいない」を生かす県政の実現に向けての基本的な方法は、まずは、県民の皆さんとの対話であり、その前提は、生活者の視点、生活現場からの発想です。私は過去30年以上にわたり、県内各地をくまなく歩きながら、人々との対話を重ね、川や湖の自然の仕組みを学び、そして、暮らしの現場に学び、滋賀県のリーダーとして、まず県民の皆さんの耳になり、そして、さらなる対話を進めたいと考えております。  そこで、1点目の職員の現場時間の確保についてでございますが、現場に立って県民や関係者の声にじっくりと耳を傾ける、現場を知る時間は、梅村議員御指摘のように、県政を進める上で極めて重要であると私も考えております。このため、できるだけ現場を知る時間、機会を多く持てるよう、幹部職員を初め、全職員に徹底してまいりたいと存じます。この8月1日の職員談話でも、現場で1人ずつが知事になったつもりで総合的な判断ができる職員としての自覚を持ってほしいとお願いいたしました。  次に、2点目の現場感覚の県庁づくりについてですが、「知事とふれあい座ぶとん会議」というものを、まず私自身は提案させていただいております。座ぶとん会議というのは、座布団を持ち寄って、気軽に車座になって話し合いをしようというものでございまして、私自身が現場に出まして、地域の住民の皆さんと対話を重ねさせていただくという方法でございます。また、あわせて、私と職員の皆さんがともに思いを共有できるような形での「県職員座ぶとん会議」も、地方機関などから順次行いたいと計画しております。
     さらに、職員の人材育成においても、その基本方針に基づき、滋賀への熱い思いと改革精神にあふれた自律型人材の育成を進めており、この中でも、生活現場からの発想、現場主義の観点を重視した取り組みを進めてまいります。  つまり、政策の立案、遂行に当たりましては、その政策が実行される現場で、だれがどのようにその施策を受けとめ、そして、どのような満足を得るのか、その具体的なイメージが描けるような訓練を職員の皆さんとしていきたい。そのときに大切なのが、言葉の表現であると考えております。特に、地域の皆さんの暮らし言葉、生活の場での言葉、そこに県民の皆さんと職員の皆さんのコミュニケーションのツールを発見していただきたいと申しております。とともに、職員の皆さん自身が、現場で汗を流すことで、みずからが働きがいを持って、そして、その仕事の実現に向けて自己実現の場としての職場を考えていただきたいとも提案しております。  2点目の参加と提案の県政実現でございますが、この厳しい財政事情の中で、県政の現状について積極的に県民の皆さんに情報を提供して、県民の皆様とともに考え、そして悩みながら、新たな方法を考え出す、対話でつなぐ県政を実現したいと思っております。そのためには、県からの一方的な行政サービスの提供だけではなく、生活現場からの発想を県政に反映させることが重要であると考えております。  梅村議員から御提案いただき、平成15年に実施した県民施策提案事業は、県民の皆さんから188件の提案があり、外部の意見も踏まえ、計5,000万円の予算で、例えば外来魚料理コンテストや、トンネル内の光る舗装など14件を実施したと聞いております。また、今年度は、琵琶湖森林づくりに係る県民政策提案の募集を行い、現在、いただいた提案の事業化に向けて検討を行っております。今後も、県民の皆さんからの広範な意見提案をさらに広め、これまでの取り組みの結果を検証した上で、積極的にこのような提案制度を取り入れてまいりたいと考えております。  また、この県民参加の具体化のためには、行政の現場がますます複雑化、専門家しております中で、施策の中身を理解していただくため、大変重要な情報提供という部分がございます。私自身も、先ほど申し上げましたように、県内各地に出向きますが、職員の皆さんにも、現場に出向き、また、県が発行する印刷物などにつきましては、お役所言葉の見直しを行っております。例えば、先ほどの生活の現場での暮らし言葉とあわせて、からだ言葉、体の表現、例えば「川が泣いている」、そのような表現の中から、わかりやすい、また、そのことによって身近な感覚を持っていただける、そのような発信の方法を県庁職員の皆さんとともに工夫をしていきたいと考えております。  次に、文化芸術の振興についての御質問にお答えします。  豊かな湖国と人づくりを進めていくに当たりまして、本県に培われてきました伝統文化、大変大切でございまして、これを引き続き継承、発展させていくことは、私自身もマニフェストにも書かせていただいたとおり、重要な施策であると考えております。その中でも特に、次の世代を担う子供たちが、湖国の伝統文化を初めとして、多彩な文化芸術に触れることは、豊かな感性を養うとともに、想像力をはぐくむ礎となるものでございます。さらに、文化芸術は、他者に共感する心を通じて人と人を結びつけ、人と人、相互に尊重し合う土壌を提供するものであるとともに、経済や産業の発展にも寄与し得るものであります。  こうした文化芸術の重要性にかんがみて、これまで県におきましては、さまざまな文化芸術振興施策を展開してきているところでございますが、本県独自の文化芸術に関する基本理念の確立、総合的かつ計画的な施策の推進などが、現在、課題になっております。今、滋賀らしい文化芸術振興のあり方について模索中でございますが、昨年実施しましたアンケート調査結果におきましては、2つの点が目立っております。1つは、青少年が文化芸術に触れ、創造性や感性がはぐくまれる姿が大切であるという点、2つ目は、歴史や伝統に根差した文化芸術が引き継がれる、その姿への願いでございます。加えて、本県では、大変ボランティア活動が盛んでございます。そのような特徴を生かして、文化行政を今後もさらに展開していくことを考えております。  こうしたことを踏まえて、現在、有識者や、あるいは公募の住民の方々などで構成する検討委員会を早期に立ち上げるための準備を進めております。また、フォーラムの開催なども通して、県民の皆さんの意見を伺いながら、議員御指摘の文化芸術振興条例の制定や、文化芸術振興プランの策定も視野に入れて、滋賀らしい文化芸術振興のあり方を検討してまいりたいと考えております。  次に、新幹線新駅凍結問題の御質問にお答えいたします。  まず、促進協議会の会長には知事がつくことになっているが、見解を伺うとの御質問ですが、地元栗東市を初め、県、関係各市、関係団体、関係議員などが構成する設置促進協議会において、長年にわたって設置の実現に向けた取り組みを進めてこられたものと理解しております。促進協議会の規約上は、会長は知事の充て職とされており、さきの知事選挙におきまして、新駅の凍結を訴え、県民の皆さんの御支持をいただいたことを考え合わせますと、知事として新駅の設置促進を目的とする促進協議会の会長にそのまま就任することについては、いささかためらいを感じるところであります。新駅の凍結に向けましては、栗東市を始め、関係市からも、促進協議会の場で議論すべきとの声を多くいただいており、こうした声を踏まえて、この促進協議会の場で会長就任の件も含めて、皆さんの御意見を伺ってまいりたいと考えております。  次に、四者合意のための議論や県民への説明責任を果たすプロセスについてでございますが、今の時点での解決に向けての主要な課題や、重要となってくるスケジュールについてということですが、地元栗東市を初め、関係市と促進協議会の場でまず議論をする、この点が重要でございます。そして、合意の上でJR東海に対して工事協定の解除を申し入れ、JR東海との合意により協定を解除する必要がございます。  先ほど申し上げましたとおり、知事就任のごあいさつを兼ねて、各市長とお会いし、また、新駅凍結に向けた私の強い決意を改めてお伝えした際にも、栗東市長からは、新駅凍結は承服できないことを伺っております。また、関係市長からも促進協議会の場で議論すべきとの声を伺っております。このようなことから、議会閉会後、まず早期に促進協議会を開催し、議論を始めたいと考えております。  その議論の中でやるべきことは、工事について、その中断の合意でございます。それから、さらに、区画整理事業への影響、また、凍結に伴うさまざまな損失の負担についてなどが議論されることと予想しております。その点につきまして、県議会の御意見を十分に伺いながら、県民の皆さんへの説明責任を果たしてまいりたいと考えております。  次に、現在の長期・中期計画と、目指す滋賀県像、およびその財源確保についてでございますが、これまでの右肩上がりの経済の中で、滋賀県においても、生活の利便性が向上し、物質的に豊かになってまいりましたが、現在のように財政が危機的な状況となるなど、時代は残念ながら大きな曲がり角に差しかかっております。今後は、子や孫の世代に配慮し、これまでの社会の仕組みや人々の考え方などを、成熟した社会にふさわしいものに見直していく必要があると考えております。私は、本来の自然や人々の持つ力を大切にして、地域の取り組みを生かしながら、自然の再生と復元、未来を担う人育て、子育て、そして産業振興など、本質的な価値を未来に向けて損なってはいけないという滋賀県を目指していきたいと思っております。  そして、現在の中期計画に基づく県政のよいところは継承しつつ、県政を改革してほしいという県民の皆さんの気持ちにこたえ、マニフェストを反映した新たな基本構想をできるだけ早い時期に策定するとともに、先ほど申し上げました将来像の実現に向けて具体的に努力してまいりたいと考えております。  財源確保についてですが、本県の財政状況、今後、人口増、景気回復により一定の税増収も期待されますが、一方で、地方交付税を初めとする三位一体の国の制度改革など、影響が見込まれます。一層厳しさを増すことが予想されます。そのため、施策の具体化に必要な財源につきましては、自然増収に期待をするだけでなく、歳入歳出の両面から徹底した行財政改革に取り組む中で、積極的にその確保を図っていくことが必要です。既に代表質問のときにも申し上げましたが、施策・事業見直し会議における仕分けを通して、県事業を抜本的に見直していくほか、職員数の削減、組織体制の見直し、人件費の削減等による徹底した歳出削減を図りたいと考えております。一方で、地域産業の振興や精力的な企業誘致、県税収入の確保に努めていくほか、未利用県有地の売却などの、あらゆる歳入確保策に積極的に取り組みます。  さらに、施策の具体化に当たりましては、政策方針を踏まえまして、緊急度や重要度を適切に見きわめ、選択と集中を徹底することにより、確保された財源を効果的に配分し、将来像の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。  財源確保の産業振興の手だてについての御質問でございます。  今申し上げましたように、厳しい財政状況の中で、民間活力と地域資源を生かした産業振興対策にしっかりと取り組むことが必要ですが、その手だてといたしまして、本県の産業構造は、ITを含む製造業や流通業が中心であります。これらをコアとして、その強さが十分に発揮できるよう、企業誘致を積極的に進めます。また、企業と、県内に集積しております大学等との産学官連携の強化を支援し、先端分野の技術開発やベンチャーの起業、さらには、中小企業の経営革新やグローバル化への対応を支援いたします。少子高齢化により労働人口が減少する中で、若者や女性、定年退職者の主体的な働く意欲も大切にし、さまざまな形で、もっと働けるという支援をしていきたいと考えております。  観光産業の振興も、地域経済の活性化の促進として重要であります。エコツーリズムの普及を促進し、琵琶湖を初めとした環境のすばらしさや観光誘致の促進に生かしていけるようにしたいと考えております。  なお、梅村議員御提案のびわこ検定でございますが、京都検定を初め、全国でさまざまな検定事業が、観光あるいは地域振興に役立っていると理解しております。その実現に向けまして、実施主体や内容、効果について、今年度、関係団体と検討してまいりたいと考えております。  いずれにしましても、極めて厳しい財政状況ではございますが、きちんと優先順位を考え、子や孫にツケを残さない、子供や孫に豊かさを残せる、県財政の健全化に取り組んでいきたいと考えております。  次に、ダム問題と河川整備についての御質問にお答えします。  まず、治水思想についての御質問でありますが、御指摘のように、上流など一部地域が犠牲となることを前提とする治水計画は、真の治水計画ではないと私自身も考えております。元来、河川の上流と下流、また、右岸と左岸など、必然的に対立が生じます。洪水のときには、上流はできるだけ下流へ流れてほしいと願いますし、下流は、そのことが水害の危険性を高めるので反対します。逆に渇水のときには、下流はできるだけ水を流してほしいと願うのに対して、上流はそれに反対します。こうした上下流の対立の構図は、どこの河川においても見られますが、この琵琶湖淀川水系においては、琵琶湖に流入する河川が119本もあるのに対して、流れ出るのは瀬田川1本であるという地形が特殊であることから、琵琶湖の周辺には多くの人々が住み、また、暮らしや産業活動を営んでいるということも加えまして、上下流の対立は歴史的にも深刻かつ大規模なものとなってまいりました。  その最も象徴的かつ根源的な問題が、瀬田川洗堰の全閉操作であります。これは下流地域の安全を守るためにやむを得ず行われるものでありますが、一方では、琵琶湖周辺の浸水被害の危険性を高めるものです。やはり上流の犠牲を前提とするものであると言わざるを得ません。したがって、上流の犠牲を前提とする治水計画は改められるべきと考え、それが下流の危険性を高めることによって実現するということでは、逆に新たな対立を生むだけで、問題の本質的解決には至りません。したがって、下流の危険性を増すことなく、上流に犠牲を強いる必要がないような条件整備、これが上流にとっても下流にとっても望ましい状態となる計画でございます。上下流が互いに助け合える真の治水計画、これは大変難しいことでございますが、これが治水思想の根幹であろうと考えております。  社会資本整備審議会の小委員会に委員として出席する際に、今日まで本県が取り組んできた洗堰の全閉操作について、どのようなスタンスで臨むかという御質問でございますが、これまでから洗堰の全閉問題の解消に向けての取り組みが進められてきており、特に県議会におかれましては、特別委員会を新たに設置され、この審議会の小委員会にも参加されるなど、熱心に努力していただいてきたことは十分承知しており、深く敬意をあらわすものでございます。私自身も、洗堰全閉操作については解消を目指すべきと考えておりますので、その基本スタンスで発言をしたいと考えております。とはいえ、繰り返しになりますが、下流の危険性を増すことなく全閉の解消を目指すという、この条件整備に向けて主張してまいりたいと考えております。  また、この問題が一般的には余り知られていない、特に下流域の皆さん、大阪、京都では、自分たち自身が洗堰の操作により洪水から守られているという事実が余り広く知られておりません。このような中で、委員会での発言などを通して、洗堰の全閉操作について、上下流それぞれの人々に広く社会的問題として認識していただく、そのことが大変大切であると考えております。  次に、3点目の治水ダムを凍結した場合の河川の治水安全度をいかに強化するか、代替案についての御質問でございます。  繰り返しになりますが、河川改修や治水ダムによる治水施設整備を計画している河川においては、地域住民は、ともすればこれらの治水施設整備が与える安心感に寄りかかったり、近年、水害が発生していないことから無関心となり、地域の洪水に備える意識が低下しているのが現状でございます。このため、みずからの安全、安心の意識を高めていただけるような、きめ細やかな社会意識を高める施策、市町の行う洪水ハザードマップづくりへの支援、豪雨時の雨量、水位情報などの、県民の皆さんの避難行動に役立つ情報提供などの施策にも力を入れてまいりたいと考えております。  洪水対策については、今まで述べたようなソフト対策や、それぞれの河川に即した河川改修やダムなどのハード対策が一体となった総合的な流域治水を目指すことにより、治水安全度の強化を図ってまいりたいと考えております。  続きまして、安全、安心の湖国づくりについてのうち、豪雨災害と治水対策の御質問でございますが、1点目の中小河川における中上流域の改修について、国の方針に関する見解が出されました。本来、河川改修は下流から順次進めていくことを基本としますが、完成するのに長い年月が必要です。このため、それぞれの川や地域の具体的な水害の歴史を研究して、どこが安全で、どこが危険かといったことを調査し、危険なところから改修することにより、治水安全度を着実に高めてまいりたいと考えております。  御質問にあった、中小河川の中上流における危険箇所を緊急改修する国の方針についても、その動向に注視しながら、それぞれの地域にとってどのような方法が有効か、流域の皆さんとの対話を通じて早急に最適な方法を探ってまいりたいと考えております。  2点目の河川別の具体的な整備方針の検討と整備計画について早急な検討が必要だが、どのような目標で進めるのかということでございます。  河川の整備につきましては、ただいま申し上げましたように、ソフト対策とハード対策を組み合わせた総合治水が重要です。ハード対策については、河道の掘削、脆弱な堤防の強化などと並行して、地域の先人の知恵を盛り込み、治水安全度を段階的に確実に高めていきたいと考えております。  特にソフト対策については、水害への社会的関心づくりを行うことで、地域の洪水時にどこが危険でどこが大丈夫か、どこへ避難すべきかといった地域ごとのきめ細やかな過去の経験を掘り起こすなど、その中で県民の意識を高め、さらに洪水時においては、はんらんの危険を示す河川情報などの情報提供により、たとえ河川があふれたとしても、県民の命を守ることができる減災対策を進めてまいります。これらのソフト対策とハード対策を有機的に組み合わせるため、総合的な流域治水の観点から、県民の皆様との対話を通じて、地域にとって適切な方法を探り、特に治水目的ダム建設予定の4河川については、早急に検討に入ってまいりたいと考えております。  安全、安心の湖国づくりの中での要援護者避難情報に関する御質問でございます。  近年、皆さん御存じのように風水害が多く発生しており、中でも被災者の多くが高齢者であるなど、災害情報の聴取あるいは避難行動の面でハンディを持つ災害時要援護者の問題は大変重要でございます。それにつきましては、私自身も大変心を痛めているところでございます。昨年7月に中央防災会議において、高齢者や障害を持つ方々などの災害時要援護者に対し、早目の避難行動を求める避難準備情報の活用と災害時要援護者に対する避難支援が明記されました。県としましても、これを受けまして、今年2月に滋賀県防災会議を開催し、風水害等対策編に避難準備情報の活用を加えたところでございます。  また、この3月には、滋賀県洪水等避難計画作成支援マニュアルを、関係機関の協力を得ながら取り組みました。このマニュアルは、市町が避難計画を作成いただく際の指標としていただくためのものでございます。具体的には、1つには、避難勧告等の基準や同一水系の上下流市町での相互情報共有体制の構築、さらには、住民に対する早期自主避難の重要性の周知と避難場所の災害種別の用途指定と避難経路の確定、そして、3つ目には災害時要援護者の避難支援体制の構築でございます。  今年4月に各市町に対し避難計画作成支援マニュアルについての説明を行い、現在、避難計画の策定に向けて、各自治会、自主防災組織に周知していただくこととしております。私自身のマニフェストでも詳しく述べさせていただきましたように、自主防災組織をできるだけすべての自治会でつくっていただく。これがまず自助、共助で大変大事なところでございます。これは他県の事例でございますが、2004年の兵庫県の円山川での事例です。市町が発した洪水避難勧告に住民の8割が従わなかったという事例もございます。住民みずからが、避難しなければならないという、いわば自助意識を持っていただけるよう、例えば過去に災害があった現地を踏査しながら、世代を超えた形での、子や孫に記憶を伝え、そして、具体的な災害マップをつくるなど、さまざまな現場での工夫がこれから必要であろうと考えております。  また、ハザードマップなども、いかにそれぞれの家で、あるいは地域で活用していただけるか。マップを配る、マニュアルを配るだけでなく、それがいかに受けとめられるか、最終の利用の地点まで含めた施策を考えていきたいと、現在、マニフェストなどでも提案をしているところでございます。  さて、4点目の河川の特別警戒水位の設定と住民への広報でございますが、特別警戒水位とは、昨年の水防法の改正により定められた、中小河川において市町が避難勧告や避難指示の判断をするのに参考となる水位、河川の川の高さでございます。御質問にありますように、この特別警戒水位の仕組みや洪水時の水位情報を住民が知ることによって、あらかじめ避難の備えができ、速やかな避難が可能となります。現時点では、特別警戒水位設定河川は3河川ですが、今後、必要な調査を実施して、対象となる5河川を追加していく予定です。また、県の広報誌、ホームページを利用して、県民の皆さんに特別警戒水位の仕組みを周知し、洪水時の水位情報については、ホームページや携帯電話などによっても県民の皆さんに情報提供するなど、実効ある施策を展開してまいりたいと考えております。  さらに、水位の表現でございますが、川の底から5メートル、6メートルと一般には申しますが、その5メートル、6メートルが、住民の暮らす現場の堤防からどれくらいの高さであるのかというようなところからの、きめ細やかな、住民の目線に立った水位情報の提示も大切であると考えております。  さて、洪水時の避難所に関する御質問でございます。  議員御指摘のように、現在指定されております避難所が、洪水等避難計画作成支援マニュアルの中で、災害種別に応じた適切な避難所になっているかどうか、点検注意を強く促しているところでございます。例えば、地震のときの避難所と洪水のときの避難所は往々にして異なるわけですが、現在の避難所は、地震のときの避難所、それが洪水のときの、いわば有水域地点にあったりというような問題がございます。それで、県は昨年度より、各市町がハザードマップを作成するための支援を行っておりますが、昨年度1町、今年度は11市町で作成を予定しております。このハザードマップを作成する点におきましても、地域住民の方に、より具体的に風水害への避難の備えをしていただけるよう、現場でのマップづくりをともにしてございます。  さらに、このマップが、住民の皆さんがしっかりと保管をし活用していただけるよう、市町にはさまざまな工夫をしていただきたいと考えております。全国でもさまざま、このハザードマップにつきましては、マップそのものをしまい込まれないように、例えば日常使うカレンダーの後ろにマップをつけるなど、きめ細やかな工夫をすることによって、生活の場の中にマップが生かされるよう、そのようなことも今後検討して、市町の皆さんとともに工夫をしていきたいと考えてございます。  また、民間協力についてですが、これまでから災害時の物資供給等の支援協定を流通事業者と締結しており、さらに、浸水時の避難所として、大型ショッピングセンターの立体駐車場や企業の体育館を活用することも非常に有効でありまして、関係市町とも検討を進めているところでございます。さらに、県では、今年度、震度分布や液状化予想、土砂災害に関する情報、および浸水想定区域等、さまざまな地震情報、水害情報、各種のハザード情報を一元化したハザードマップを作成中であり、これも早い時期にインターネットなどで公開することといたしております。  安心、安全の湖国づくりについて、見舞金のことでございますが、現在の災害援護の制度としては、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づくものとして、災害弔慰金、災害障害見舞金、災害援護資金の貸し付けの制度があり、これとは別に、県単独の災害見舞金があります。これについては、平成11年3月に支給金額等の改善を行ったところでございます。国の貸付制度要綱に基づき、県社会福祉協議会において実施されている生活福祉資金貸付制度もあります。被災者への対応といたしましては、据置期間を2年とする特例が設けられているところでございます。  こうした制度的な事柄については、今後とも全体的な支援方策の議論の中で考えてまいりたいと思います。なお、公営住宅の緊急避難的な入居については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、昭和30年法律第179号により、個別に国の承認が必要となっております。新潟の中越地震や、福岡県西方沖を震源とする地震等の大規模地震において、国の通知により、地方自治法に基づく目的外使用許可を積極的に奨励した事例もあります。県といたしましても、こうした事例にならい、市町と連携し、公営住宅の空き家を積極的に提供してまいりたいと考えております。  また、災害の現場では、近年、災害ボランティア活動が活発に行われるようになり、被災地の皆様から大変喜ばれております。災害に対しては、人ごとではなく、助け合う心が社会に広がっていることを大変心強く思っております。こうしたことから、本県においても災害発生時に災害ボランティア活動が円滑に行われるよう、滋賀県社会福祉協議会を中心に、多くの民間団体と県が、今年の3月に災害ボランティア活動連絡会を設置し、平常時からの連絡の強化を図ることとしたところでございます。今後、この連絡会において、被災地における住民ニーズをしっかり受けとめられる災害ボランティアコーディネーターの養成などを行うことにより、ボランティア活動が円滑に行われるような体制づくりを進めてまいりたいと考えております。  私自身、水害の被害者の調査を過去30年間ほど行ってまいりました。その実感として、被災された方々が、被災した現場の絶望の中からどのように立ち上がっていくか、いかに希望を持てるかが大変重要と考えております。行政としては、被災者が希望を持って立ち直っていただけるよう、どのようなお手伝いができるか、そうした支援で、当事者になった、その立場から、支援のための施策を検討してまいりたいと考えております。  さらに、安心、安全の湖国づくりの事前の減災への取り組みについてお答えいたします。  御質問の耐震改修に県産材を活用することにつきましては、柱の数をふやすことや筋交いを入れるなどといった工法により、耐震強度の確保を図ることだけではなく、県産材の需要を拡大し、ひいては健全な森林づくりにも資することから、大変有意義な施策であると考えております。本県におきましては、環境重視と県民協働の視点から、琵琶湖森林づくり県民税を活用して、県内で木造住宅を建築される方に県産材を提供する、木の香る淡海の家推進事業を初め、県産材を積極的に活用する事業を展開しているところでございますが、耐震改修への取り組みについても、この県民税を活用し、県産材を一定量提供する方向で検討してまいりたいと考えております。  次に、耐震診断を受けられた方が耐震改修へと行動を起こしていただくこと、このことは大変重要であると認識しておりますが、診断を受けて、なかなか行動に移らないというのが実態でございます。現在、県が委託しております住宅相談業務、湖国すまい・まちづくり推進協議会ですが、ここにおきまして、本年度新たに住宅リフォーム部会を設置し、従来にも増して耐震診断の結果をもとに、きめ細かく耐震改修の相談業務を充実することとしております。  また、この相談業務を通じて、木材を使った耐震化工法や家具の転倒防止等の、すぐにできる、みずからができる住まい方に関する事例を紹介するなど、県民の皆さん自身が安心して耐震改修工事を実施していただけるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、緊急地震速報の活用についてです。  緊急地震速報は、震源に近い観測点で地震を検知し、直ちに震源位置やマグニチュードを推定し、大きな揺れが迫っていることを知らせることを目指す情報です。大きな揺れが到達する前に対策を講じることを目的としております。具体的には、地震は縦揺れ、P波が先に到達し、その後に横揺れ、S波が到達するという性質があり、この緊急地震速報は、この性質を利用して、情報を各地に送るものでございます。情報を受信した列車やエレベーターは素早く制御させ、危険を回避したり、工場、オフィス、家庭などで避難行動をとることにより被害を軽減することができ、地震災害対策として期待されております。  気象庁では、本年8月1日から、速報情報を限定して先行的に提供が開始され、来年度から実施される予定であります。本県においても、海溝型地震である東南海・南海地震の発生確率が今後30年間に最大60%と、本県の多くの地域で震度6弱となることが予測されており、震源地からの距離もあり、このシステムの活用が期待されます。  ただ、この緊急地震速報につきましては、各地の震度の推定精度が十分でない場合があること、また、内陸部の浅い直下型地震の場合は、震源の直上付近では緊急地震速報の発信が間に合わないことが多いなどの技術的な限界も指摘されております。気象庁では、来春に予定されている一般向けの速報提供に向け、効果と影響について検証しております。本県としましても、この先行的な取り組みの検討結果も踏まえまして、例えば学校現場等での活用を行い、早急に研究してまいりたいと考えております。  次に、子供の安心、安全についての御質問でございます。  まず、災害から子供を守る、一人として被害者を出さない、また、犯罪からも子供を守り、被害者を出さないという強い決意での取り組み。全国的に子供が犯罪の犠牲になる事件が後を絶ちません。本県におきましても、長浜市内で通園途中の幼稚園児2人のとうとい命が犠牲になる事件が発生し、孫を持つ私自身としても大変心が痛みます。次代を担う大切な存在である子供たちが、こうした犯罪に巻き込まれることは、あってはならないことであり、県政の重要な課題であると認識し、強い決意で取り組みたいと考えております。  具体的な推進についてですが、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例に基づき、通学路等における児童生徒の安全の確保に関する指針を策定したところでございます。この指針は、通学路や公園における子供に対する犯罪を防止することを目的に、不審者情報の共有化、通学路の安全点検、通学路のパトロールなど、地域住民、関係機関と連携した安全確保の取り組みのほか、児童生徒が参画した安全マップづくりなど、実践的な安全教育の推進や、通学路の見通しの確保を初め、安全な環境の整備など、具体的に示したものでございます。  地域における取り組みをより実効あるものとするため、地域の不安や危険箇所などを地図に落とし、防犯対策を検討する地域安全マップづくりも進めております。これを通じて防犯情報の共有化が図られ、防犯意識が高まるとともに、地域の社会的連帯感が深まり、その結果、住民の意見が生かされた自主的な防犯活動が展開されている地域も出てきております。私自身のマニフェストにも指摘させていただいたとおりでございます。  今後は、子供の目線に立って、この指針が実効あるものとなるよう、県民の皆様や市町、関係機関・団体、事業者との連携のもと、取り組みを進め、子供たちが犠牲になることのないよう、犯罪の防止に精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。  さて、4点目の防災eメールについての御質問でございます。  県では、地域から収集しました被害情報、道路情報を、県防災情報システムを通じて県内すべての県機関、市町、消防本部および防災関係機関に提供しております。さらに、大きい災害については、道路通行どめ等の情報をインターネットを通して一般の方にも提供しているところです。御質問のありました、防犯・防災eメールとして、情報提供の内容の拡充についてですが、地震や大雨など気象情報に関しては民間のeメールサービスがあり、多くの方がそれを利用されていることからも、eメールは情報伝達手段として有効であると認識しております。  ただ、eメールの場合、登録人数の増加に伴い、情報伝達におくれが生ずるおそれがあるなどの問題も現在指摘されております。安定運用の面で慎重な検討が必要であろうと考えております。  こうしたことから、県では、関西府県や県内市町、放送事業者および鉄道、電力などのライフライン企業と共同して、地上デジタル放送のデータ放送機能を利用した防災情報を配信するシステムの構築を計画し、今年度、この地上デジタル放送を用いた情報配信の実証実験を予定しております。この中でも、今後普及が見込まれますワンセグ対応携帯電話への情報配信も検討しているところでございます。  最後に、危機管理についての考え方に関する御質問にお答えします。  昨今の不安定な国際情勢や国際化の進展により、テロや感染症など、これまで想定し得ない不測の危機が世界各地で発生しております。最近、我が国でも自然災害に加えて、テロ、BSE、SARS、高病原性鳥インフルエンザ、新型インフルエンザなど、新たな危機への対応が課題となっており、中でも、7月5日の北朝鮮弾道ミサイル発射事案は記憶に新しいところでございます。このような危機の発生の可能性は、本県においても否定されるものではなく、それぞれの部局で所管する事業全般にわたって、あらかじめ予測される事態を想定し、平時より訓練等を行うことにより、適切な危機対応能力を適当なそれぞれの時期に高めておくことが求められています。  県ではこれまで、地震、台風、大雪、大規模な火災、列車事故、水道事故などの危機が発生した場合、地域防災計画など危機対応の計画やマニュアル等に基づき、適宜対処してまいりました。しかし、大規模な危機や、これまでに経験のない危機に対応するためには、さらに職員が一丸となって迅速かつ適切な措置を講ずることが、これまで以上に重要であります。  そこで、県では危機管理に関する調整機関を明確にするため、平成17年4月に、総合防災課に危機管理・国民保護室を設置するとともに、本年3月には、危機対応における組織運用の考え方として危機対応基本マニュアルを整備いたしました。この危機対応基本マニュアルでは、自然災害、大規模事故災害、武力攻撃等の災害、感染症などの、さまざまな危機から日常の業務に至るまで、県の危機対応の基本的考え方を定めており、これをもとに、各部局等では危機管理体制を強化するとともに、職員の危機管理意識の高揚を図るため、研修や訓練などを実施しております。  また、本年3月には、常設の滋賀県危機管理連絡調整本部を設置し、初動時に所管部局が、不明な危機事案が発生した場合には、全庁的な情報の共有化を図り、所管部局等が明確となるまでの間、応急対応を行うための体制を整備したところでございます。  こうした危機管理に対する取り組みは、いずれも県域における人々の生命、身体および財産を保護するための措置であり、関係機関と連携して、こうした措置を総合的に推進するためにリーダーシップを発揮し、住民の安全確保と生命、財産を守るために全力で取り組むことが、知事としての責務であると強く考えております。  一方で、自分の命や財産は自分で守る、家族や地域は自分たちで守るということも大切であり、自助、共助、公助の考え方のもと、バランスのとれた危機管理も同時に大切であり、皆さんとの連携に取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、福祉施策の拡充についてでございます。  まず、1点目の県の障害者福祉の方向性、支援についてであります。  障害者の方が地域で暮らしていくためには、住まいの場であるグループホーム、働く場である小規模作業所は、地域の自立生活の実現に向けて欠くことのできない重要な資源であると思っております。本県では昭和53年度に、一般の企業で働くことの困難な在宅の障害者の働く場や活動の場である無認可共同作業所を全国に先駆けて制度化いたしました。以後、県独自に福祉的な配慮を有しつつ、企業としての側面を持つ事業所型や、重度障害者が介護等、必要な援助を受けて、さまざまな活動を行う創作・軽作業型など、作業所の特性を生かした機能の強化に積極的に取り組んでまいりました。その結果、本県の共同作業所は、今日、地域の重要な社会資源として定着し、その水準は全国的にも上位に位置づけられていると評価されています。  そうした中、10月から本格施行される障害者自立支援法において、就労支援のため、小規模作業所は法定の事業として位置づけられ、おおむね10名以上の作業所については、基本的には創作的活動、生産活動、社会との交流の促進等の事業を推進する地域活動支援センターに移行することとしています。しかし、条件的に移行が可能な作業所であっても、地域活動支援センターの、国が示す標準的な運営費は、現在の作業所と大きな差があります。また、これまで本県が障害者の個々のニーズに対応するため進めてきた、就労収入の確保を図る事業所型や、重度障害者の社会活動や生きがいの場である創作・軽作業型などといった本県の作業所の特徴が生かせないという課題もあります。さらに、人数要件を満たせない5名規模の小規模作業所は移行そのものができないという大きな問題があります。  県といたしましては、こうした問題は、まずは国の制度の改善によって行われることが基本でありますので、国に対して、制度の見直しを強く訴えてまいりたいと考えております。  私は、マニフェストにおいても、障害を持つ方へのサポートの充実を詳しく掲げており、当面の対策として、実施主体である市町とともに、独自の支援策を検討し、早急に結論を出し、福祉滋賀の歩みを後退させることなく、今後とも障害者が安心できる滋賀の福祉づくりに力を尽くしてまいります。  2点目のがん対策についてですが、本県におけるがんの状況については、平成17年の本県の総死亡者1万419人のうち、がんによる死亡者は3,145人です。総死亡者におけるがん死亡者の割合は30.2%と、全国と同様に死亡原因の第1位を占めております。しかも、働き盛りである40歳から69歳の壮年期の死亡は、その半数ががんによるものであります。県民生活の現場への大きな影響、また、その悲しみ、苦しみということから考えまして、本県においても、がん対策は大変重要な課題の一つであります。  次に、がん対策についての取り組みですが、今回制定された、がん対策基本法において、都道府県にがん対策推進計画の策定が義務づけられました。この計画の策定に当たっては、国において今後策定される、がん対策推進基本計画を踏まえながら、がん死亡の減少を目指して、生活習慣の改善によるがん予防の啓発、がん検診による早期発見、さらには、質の高い医療確保のための地域がん診療連携拠点病院の整備など、具体的ながん対策について検討を行い、策定を行ってまいります。  特にその中でも、がん専門医療体制の整備につきましては、県内には現在、成人病センターを初め、3つの病院が地域がん診療拠点病院の指定を受けております。今後は、それぞれの拠点病院の指定要件に基づき、連携拠点病院をふやし、県民が質の高い医療を受けられるようにしていきます。  また、マニフェストにも記載させていただきましたように、近年増加しつつある女性のがんについて重点的に取り組むこととし、より一層の広報、啓発を行うことで、検診受診率の向上を図り、早期発見に努めてまいりますとともに、肺がん予防としてたばこ対策の充実も図ってまいります。  がん対策につきましては、現代社会において解決すべき大きな課題の一つとなっております。市町を初め、関係機関と協力し、また、議会の皆様の協力をいただきながら、がん対策の推進に精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。  以上、長くなりましたが、梅村議員への答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ◎健康福祉部長(谷口日出夫君) (登壇)福祉施策の対応についての御質問のうち、障害者自立支援法に関しての2点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の小規模作業所の支援策に対する具体的な取り組みについてでありますが、国が示す地域活動支援センターは、現在の共同作業所と同様、市町が支援の実施主体となり、その財政的な措置といたしましては、約600万円程度が市町に交付税措置され、センターの機能、体制の強化を行う場合には、さらに国庫補助による加算を行うこととされています。これを現行の10人規模の作業所の運営費と比較いたしますと、200万円から350万円程度の差が生じることとなり、その運営に支障が生じ、現行サービス水準が低下するおそれがありますことから、その支援の方法について、現在、市町とともに検討を行っているところであります。  次に、本県が障害者の個々のニーズに対応するために進めてきた事業所型や創作・軽作業型といった機能強化型共同作業所の特徴を生かしていくことにつきましては、就労収入の一層の確保に向けた取り組みを行う類型や、重度障害者の身近な地域における日中活動の場としての役割を担う累計など、国が示す地域活動支援センターに県独自の新しい類型の創設を検討いたしますとともに、人数要件を満たせない5名程度の作業所につきましても、移行が可能になるような工夫について検討しているところであります。  これらの課題につきましては、関係者の意見も聞きながら、早急に結論を出し、市町とともに取り組んでまいりたいと考えております。  2点目の利用者の負担上限額についてでありますが、本県の状況につきましては、国の制度に合わせて、所得や課税状況に応じて上限月額を4区分設定しており、施設、在宅の利用者合わせて8,200人のうち、市町村民税課税世帯で上限額が3万7,200円の人は約3,400人で、4割を占めており、市町村民税非課税で、本人の収入が80万円を超え、上限額は2万4,600円の人は約2,750人で3割強、市町村民税非課税で、本人の収入が80万円以下で、上限額が1万5,000円の人は約1,700人で2割、負担ゼロとなる生活保護世帯は350人となっております。  入所施設利用者にあっては、本人のみの単独世帯となっており、ほとんどの人が低所得世帯の扱いとなっておりますが、それに対して入所施設利用以外の人にあっては、住民票が同一である父母の収入も合算されるため、通所施設では約400人で利用者の4分の1を占め、ホームヘルプなどの居宅サービスでは約2,800人で、利用者の半数以上となっております。また、施設利用や在宅者を含めて20歳未満の利用者については、保護者の所得や課税状況で世帯区分が決められるため、市町村民税課税世帯となる場合がほとんどであります。  これらのことから、特に通所施設では、以前と比べて負担が急激に増加するケースや、入所施設においては、年齢によって実質的な負担に著しい差が生じる状況が見受けられ、激変緩和など、何らかの対応が必要であると考えておりまして、現在、関係者の意見を聞き、検討を進めております。  さらに、入所施設や通所施設の運営状況についてでありますが、施設報酬の日額化や利用者負担の制度変更があったことから、施設運営に影響が及んでおります。障害者団体の調査も行われておりますが、県といたしましても、施設の運営状況を的確に把握する必要があるため、県下の全施設に対して実態調査を行っており、現在、それを分析中でありますが、施設運営はより厳しくなっているものと思われます。調査結果の分析を待たなければなりませんが、こういった状況に対しましては、県の財政状況も考えながら、緊急に当面の対応を検討してまいりたいと考えております。  なお、このようなことに関しましては、本来、国の制度において措置されるべきことが基本でありますので、制度の改善や取り扱いについて早急に要望してまいりたいと考えております。 ○議長(赤堀義次君) しばらく休憩いたします。   午後0時30分 休憩     ─────────────────   午後1時20分 開議
    ○議長(赤堀義次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、37番三浦治雄君の発言を許します。 ◆37番(三浦治雄君) (登壇、拍手)新幹線新駅と財政問題について御質問を申し上げたいと思います。なお、さきの一般質問におきましての滝議員と幾つか重複する点があることをお許しをいただきたいと思います。  新幹線新駅につきましては、このところ新聞紙上やテレビ報道等で連日のように取り上げられ、今や全国から注目を集めるところとなっております。そのこと自体は悪いことではないと思いますが、報道される内容を見ておりますと、中には、新幹線の必要性や効果についての検証もされず、新幹線は利用されるとかされないといった、単なる量の側面からだけ短絡的に論評するといったものが見受けられます。こうした見方は、新駅をほんの一部の側面しか見ておらず、その必要性を判断しようとするものであり、こうした見方をもとに全国的な世論が形成され、滋賀県が左右されることをまことに憂慮するものでございます。  例えば、住民税を上げるというような場合、ほとんどの住民の皆さん方が反対されようとも、それが真に必要な場合には実施しなければなりません。それが住民の皆さんから負託を受けた者の使命であり、責務であります。  我々滋賀県政を託された者は、全国的な世論の動向に浮き足立つことなく、我が滋賀県の問題である新幹線新駅をどうするかという課題に対して誤りなき判断をしていく必要があることは論をまちません。新幹線新駅は我が滋賀県の交通基盤をどうするのか、そして、我が滋賀県の将来をどうするのかという問題であります。本県議会におきましては、新幹線新駅の費用対効果はもとより、県財政の状況も踏まえて、新駅の必要性等につきましては、実に真剣に議論をしてまいったところでございます。そして、本議会は、財政状況が厳しい中にあっても、新幹線新駅は本県にとって必要であると判断してまいりました。これは、我が滋賀県の将来を考え、私たちの子や孫のことを考え、そして、何よりも県民の皆さんの幸せを真剣に考え抜いた上で判断したものであることは、本県議会の誇りとすべきものであると考えております。  就任後、知事は、新幹線新駅の誘致および今日までの経過につきましては十分説明を受けておられることと存じますが、今日までこの懸案に取り組んでまいりました地元の議員として、経過と現況を申し上げたいと存じます。  新幹線新駅の誘致は、新幹線が開業いたしました昭和39年、その後の昭和44年に栗東市、当時は町であったわけでございますが、始まったのであります。栗東市での誘致活動に共感をいただきました大津市、湖南地域、志賀、甲賀地域の3市11町の市町村長、議長、関係県議会議員によりますところのJR東海道新幹線(仮称)栗東駅設置促進協議会が設置されたのであります。これは実に昭和63年2月であったと思います。栗東町独自の当初の活動が始まってから20年続いたわけであります。  これまでの間に大きな動きといたしましては、県内では当時、湖東に駅を、そして栗東新駅と2つの町が名乗りを上げまして、JR東海に対し、本当に強力な陳情合戦が繰り広げられたのであります。県当局におかれましては、陳情の加熱から、その2駅を一本化できず、県内での新駅設置が見送られた経過があるわけでございます。  そのときに新駅が設置されましたのが、東海道新幹線では3駅、掛川、新富士、三河安城、山陽新幹線におきましては新広島、新尾道の2駅でございます。県におきましては、2つの陳情、請願を一本化できなかった反省から、あわせて、びわこ空港等の関連から、昭和63年12月定例会におきまして、稲葉知事より、栗東周辺を先行して重点的に早期実現を図り、強力な取り組みをする旨、表現をされました。県として、新幹線(仮称)栗東駅早期実現を目指した動きが始まったのであります。  平成2年には促進協議会に滋賀県が加盟し、知事が名誉会長に就任いただきました。平成11年には(仮称)栗東駅設置促進協議会会長に知事が就任をいただいたのであります。促進協議会では毎年、JR東海に、関係市長を初め、多くの関係者が陳情を重ねてまいります。特に私の記憶に残っておりますのは、地元はもちろんでございますけれども、当時の大津市の山田豊三郎市長が大変御熱心に陳情いただいたことを、きのうのことのように思っているところでございます。  そういった促進協議会の陳情とは別に、地元選出の国会議員とともに、当時の歴代の運輸大臣に陳情させていただいたのであります。平成8年には古賀誠先生、平成9年には藤井孝男先生、平成10年には川崎二郎先生、平成11年には二階俊博先生、そして、平成12年には森田一先生等々、5つの内閣の、当時の運輸大臣にお出会いをさせていただき、陳情させていただき、その場所からJR東海の葛西社長に直接お電話をいただいて、栗東の心情を御披瀝いただいた。そういう経過があるわけでございます。  これらの多くの関係者の御支援と地元の熱い思いが実を結び、平成14年、新幹線に関しますところの基本協定の締結となったのであります。これは、地元にとりましては、汗とあるいは涙の結晶と申し上げて過言ではございません。  一方、滋賀県では、工事協定に至るまでの間、関係自治体の取りまとめやJR東海との交渉等、新幹線新駅設置のための積極的な役割を果たしてきたことは、御承知のとおりであります。  一方、県議会におきましても、長年にわたり慎重な検討を加える中で、県土の持続発展ある県南部地域の新幹線新駅が必要と判断したことは御承知のとおりであります。  一方、栗東市にありましては、設置場所の自治体として、基本協定に基づきまして、区画整理事業の仮換地指定と駅設置に必要な基本整備をする。2つ目に、駅利用者の増加施策を推進する。3つ目には、駅設置費用の確保をする──の条件整備に努力をしてこられました。そして、昭和62年から平成18年度当初予算まで、合計をいたしますと、積立金を除きまして177億円という新幹線新駅の費用を投じていると聞き及んでいるところでございます。また、関係をいただきます7市におきまして、既に債務負担行為の議決も終えているところは、御承知のとおりでございます。  鳥が先か卵が先か。新幹線新駅設置のため、区画整理事業の説明会の過程において、よく聞いた言葉であります。県や市は、新幹線新駅設置に力を入れておりますが、駅前区画整理事業は大変な事業であり、地権者の皆さん方の協力なくしてできるものではございません。当初、地元の関係者は、区画整理の話は、駅が決まってからでよいではないか。いや、県や市は、区画整理事業の進みぐあいによって新駅設置が決まるのだというような議論等々がございました。地元の皆さんは、平成8年ころより、市は関係4自治区、そして、その地域に立地いたします企業関係者の皆さんと、区画整理実現に向けました議論、協議に入られたのでございます。  平成14年4月には、市街化調整区域でありました地域を市街化区域に編入。そして、同じ平成14年の8月には、区画整理区域50.3ヘクタールの決定。これらすべて、県が行政行為を起こしているわけでございます。平成15年の9月には、区画整理事業計画が決定をされ、知事が許可をされております。市におきましては条例を施行し、区画整理審議会を立ち上げまして、換地設計等の作成を2年余の期間、地権者個別に説明をやって、やっと平成17年11月の仮換地指定がされたのでございます。  この間、栗東新都心土地区画整理事業に係る地元の説明会は、平成9年から平成18年4月までの間、延べの回数にいたしまして177回、地元の参加いただきました地権者は4,165名、市の職員が説明に出向きました数は1,230名と聞き及んでいるところでございます。この事業に取り組んでこられました市当局および関係企業の地権者の皆さんに、私の立場として敬意を表さずにおられません。それがなぜ今、こういう議論をしなければならないか。こういうことは非常に残念でなりません。  以上を経過とし、状況を申し上げた次第でございます。  この新幹線(仮称)南びわ湖駅の設置に向けて、地元栗東市や関係市は、すべて県の主導のもと、基本協定を結び、JR東海の工事協定の条件整備をして、去る5月27日、着工の運びとなったのであります。時間をかけ、議論をし、手続を踏む中で判断してきた今、この重みを知事はどう判断されますか。1点目。  2点目は、新幹線新駅設置が税金のむだ遣いになるとは、私は思いませんが、財政的配慮をし、その基準は、将来世代に意味のある政策か、20年、30年後の県民が喜ぶ政策であるかと、嘉田さんのマニフェストには書かれておりますけれども、本当に新駅の設置が税のむだ遣いになって、将来、県民に喜ばれない施設であると考えられますか。知事の所見を聞きます。  今回の選挙は、マニフェスト選挙と言われました。多くの県民が、マニフェスト、毎日の新聞の各候補の公約を見て、公約を見聞して行動されたと思います。私も選挙を何回か経験しておりますので、民意は大事にしないといけないと思いますが、20年も30年も前から取り組んできたこの問題がこういった形で進むとは、民主主義とは何ぞや、こういったものに疑問を持たざるを得ません。  先ほど滝議員からお話もございましたように、私のところにも幾つかのファックスが来ておりますが、「私は嘉田さんを応援したけれど、2児の母親として、ぜひ平成9年度から35人学級を進めてください。私は新幹線には賛成しております」とあるファックスもございます。新幹線新駅凍結が民意の総意であると私は理解できないのであります。  知事の発言を聞く限り、8つの自治体が関係するプロジェクトであり、リーダーシップをとってきた県の姿勢に、それぞれの自治体の信用失墜、行政不信が免れないのではないか。この点について知事はどう思われますか。  また、先ほど申し上げました、万一、新駅を凍結するとなった場合、栗東市の駅前区画整理におきまして大きな影響が見込まれ、場合によっては、事業を行うことの意味そのものが失われてしまうと考えられます。この区画整理事業は、先ほども申し上げましたように、知事が事業計画を許可して行われているものでありまして、その知事が、今度は事業計画を台なしにしようとしているのではありませんか。前知事が行ったことであるということになるかもしれませんが、このようなことでは済まされない問題であろうと思います。  スポーツにもルールがあるのと同時に、行政にもルールがあるわけでございます。区画整理事業につきましては、市は、用地5ヘクタールを先行取得いたしました。238名の地権者の約45ヘクタール、そして、その中に立地いたします約40社の企業の皆さん方の仮換地の御同意もいただきました。そして、現在では工事着工によりますところの文化財の調査、物件移転、工事の実施のための借地等々を考えあわせると、どうなるのか。大津湖南都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の見直しが必要になるのではないか。県の都市計画の根幹を崩すことにもなりかねない。今後、滋賀県の都市計画の方針は、信頼性も拘束力も持たないことになるのではないかと思うのでございます。  新駅なしの区画整理は、地権者の合意は全く得られないと思うし、仮にそういうことになりますならば、都市計画の全面見直しが必要となった場合、今現在進められました仮換地指定の取り消しができるのか。また、その手続はどうして進めるのか、伺うものであります。この件に関しましては土木交通部長にお願いいたします。  そして、もう一点、新駅設置に伴いますところの、主要地方道栗東志那中線、住宅市街地基盤整備事業上鈎工区という事業がございます。全体事業といたしまして、既に国の採択をいただいております。そして、平成18年度は、事業費2億5,000万円が予算化されます。事業が計画されておりますが、その現状と、こういったことになります状況の中で今後どう対応しようとされているのか。  あわせて、実は道路占用物件の移転がございます。県も、道路管理者権限で、それぞれの関係者に無償で移転をしていただくべく、昨年度から占用会議等を開いていただいておりますが、その状況はどうなっているのか。そして、今後どうしようとしているのか。この点も土木交通部長にお尋ねいたします。  知事は、さきのJR東海社長との会談後、栗東市、促進協議会と十分話し合いをして合意を得たい旨発言されているものでございますが、これは当然のことと思います。議会が終わりましたら、一日も早くお進めいただくようにお願いしておきたいと思います。  なお、ここで1点、新駅ができる前提で進められてまいりました区画整理事業におきまして、238名の地権者の皆さん方から、先刻、7月27日、連名によりまして申し入れを知事にされております。この件に対しまして、知事はどう対処されようとしているのか、お尋ねいたします。  これからの話し合いにもよりますが、県と栗東市が連携した事業が数多くありますことから、当事者の合意もなしに約束が破られるのであれば、不信感はもとより、市民、県民の行政不信が高まるのではないでしょうか。この辺、知事のお考えをお聞きしたい。  限りなく中止に近い凍結をした場合、滋賀県は協定破棄の原因者として、JR東海、栗東市、238名、そして、約40社に及ぶ企業の皆さん方自身の関係者に損害賠償が生じると考えます。相当額の補償金を支払っても、中止もしくは凍結をされるおつもりか。知事の所見をお尋ねいたします。  交通は文化の母であり、産業や地域を興す父であるとも言われております。現在の厳しい経済情勢をはね返し、たくましい経済県づくりなど、本県が目指しております将来の発展に向け、その重要な基盤が整うものと考えておりまして、私は新駅設置の整備効果としては、県外主要都市より、より早く、より広く、しかもダイレクトにつながることによりまして、遠距離遠隔通勤、通学が可能になることなどにより、県南部地域への企業の立地の促進や定住人口の増加、これに伴う消費需要の拡大など、地域経済の活性化はもちろんのこと、琵琶湖を初めとする豊かな自然や歴史、文化、本県が持っております観光資源の価値の大きさが再認識され、全国から観光事業の増加が期待されるなど、極めて幅広いものがあると考えるのであります。  全国的に社会情勢の低迷が続いております今日にありましても、我が国の大動脈であります、1日35万人を超える利用者のある東海道新幹線において、JR発足以来、初めての請願新駅が設置されるというビッグニュースが湖国滋賀から全国に発信されることがもたらす効果もはかり知れないものがあると考えておりますが、その成り行きが、今や県内はもとより、全国から注目されますマスコミによりますところの、ワイドショー的に取り扱われていることにつきまして、私は大変寂しさを感じるものでございます。  知事、この問題は大変難しい問題であろうと思いますが、草津市、促進協議会の関係者、そして、経済界で進めていただき、河本英典氏に会長になっていただいております滋賀の元気なまちづくり県民会議等の関係者と十分話し合いをしていただきまして、新しい県政、嘉田県政の基本であります対話と共感の持てる県政推進のためにも、栗東市、促進協議会、関係者の皆さん方と十二分に御議論をいただいて、中止もしくは凍結でなく、引き続き事業推進されることを、改めてここに知事の考え方を聞くものであります。  教育長に伺います。  冒頭に申し上げましたように、新幹線駅について連日のように報道されております。県が一方的に工事協定を破棄し、新駅建設を凍結することが正しい道であるかのごとき報道や論評もありますが、しかし、幾ら選挙で示された民意が重要であるといえども、工事協定を一方的に破棄することは、社会のルールを無視し、約束を破ることであります。そのようなことをあおり立てるような報道があることも極めて憂慮いたしております。こうした報道内容につきまして、子供たちへの影響が心配されます。どのようにお考えでございますか。  また、教育現場では、このような報道の言辞を受け、地方公共団体たる県は法令を遵守するべきことや、社会のルールを守る必要があることを正しく教えていただくべきであるわけでございますが、この件に関しても教育長の見解を伺います。  次に、総務部長にお尋ねいたします。  1兆円を超える借金という財政状況悪化の中で、嘉田氏のマニフェストの言葉をかりれば、滋賀県が陥っている借金地獄の中にあって、さらに大きな上乗せを強いるとして新幹線新駅を凍結、「もったいない」を掲げて選挙戦を進められました。そして、代表質問あるいは一般質問にありますように、再々、関係者との話し合い、そして、円満な中で凍結を表明されております。しかしながら、新幹線にかかります県負担金、約117億円につきましては、平成18年度から平成24年度までの7年間にわたって、事業の進捗状況に応じて支出されるものでございます。単純に平均すれば、年間17億円弱の支出規模となるのであります。また、これまでの財政運営の中で条例を設置いただきました整備促進基金約40億円の積み立てが整備されているところでございます。これも同様に、単純平均すれば、年間6億円近い基金を充当していくことが可能となるわけであります。  そうしたことによりまして、差し引きでは、年間当たり必要となる一般財源は約11億円程度に抑えられるのではないかと思うのであります。さらに、県債が1兆円、厳格には一般会計の県債残高は8,900億円であるわけですが、いわゆる赤字地方債であります臨時財政対策債を初めとして、国の地方財政対策によって発行した県債など、その償還に当たりましては、きちっと地方交付税での裏打ちがあるものが、本県の場合、約5,000億円。県債残高の57%もあるわけであります。  そこで、総務部長に伺いますが、本県の現在の財政状況は、県債残高あるいは経常収支比率、公債費比率、公債費負担比率といった物差しによって、他府県と比較してみると、どういう状況になっているのか。  また、そうした中で、さきに申し上げましたような新幹線新駅に係る支出によって、県財政が一層悪化し、財政運営が立ち行かなくなるといったことが見込まれるのかどうか。私はきょうまでの議論を通して、そんなはずは決してないと考えるところではありますが、総務部長の見解を聞きます。  あわせて、新幹線新駅は、県だけが取り組んでいる事業ではなく、県と栗東市、関係市が負担金を出し合っている、いわば複数の地方自治体による共同事業であると考えられます。 ○議長(赤堀義次君) 三浦議員に申し上げます。質問の発言時間を超過いたしましたので、簡潔にお願いします。 ◆37番(三浦治雄君) はい。共同事業であると考えられます。そのような事業につきまして、知事は凍結をすると言われておりますが、例えば県が促進協議会から脱退するなどして共同事業に参加しないということであれば理解ができますが、県に共同事業たる新駅設置そのものを凍結する権限があるのか、疑問であると思います。地方自治法に照らし、共同事業たる新駅設置凍結をする権限が県にあるかどうか。あれば、その根拠をお尋ねいたします。  あわせて、今後、話し合いで新駅設置を凍結するにしても、新駅はもともと、旧栗東町が主体となって誘致活動を始めたものであり、後に県は促進協議会に参加したものであります。そのような事業につきまして、県がまず凍結をして、凍結を宣言して、凍結という結論ありきで進めていく手法は、市町の施策実施の主体性を奪うことになると考えますが、総務部長の見解をお聞き申し上げます。  時間が若干超過いたしましたけれども、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 37番三浦治雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)三浦議員の新幹線新駅設置と財政問題についての御質問にお答えいたします。  まず、時間をかけて議論をし、手続を踏む中で判断してきた重みについて、今、どう判断されるのかという御質問でございます。  三浦議員がおっしゃいますように、177回の会合、そして、1,230名の皆様が討議をなさってきた、その重みは大変重要であろうと考えております。新幹線新駅につきましては、これまで、この県議会はもとより、地元栗東市を初め、関係各市、関係団体におかれまして、長年にわたって積み重ねてこられた御努力の結果であり、新駅の着工に至ったという経緯、私も十分承知いたしております。  しかしながら、さきの知事選において私が訴えました新駅の限りなく中止に近い凍結の方向に、納税者の皆さん、民主主義社会における主権をお持ちの県民の皆さんの意向が示されましたことから、今後、その意向に沿って新駅凍結に向けて進めていく中で、関係者の皆さんと合意が得られるよう、誠心誠意努力をしてまいることが、私に課せられた大きな使命であると考えております。  本当に新駅の設置が税のむだ遣いになり、県民に喜ばれない施設であると考えるのかとの御質問ですが、私は、選挙期間中、巨額の県債残高を抱える県の危機的な財政状況から、新幹線新駅の凍結を訴えてまいりました。新駅は、停車列車数も少なく、さらに、琵琶湖線本線に接続しないという立地の不便さ、そして、そのような中で、新駅に多額の税金を使うことはもったいないと、県民の皆さんも判断をし、それ以外に、緊急の教育費あるいは福祉費など、この財政難のときの税金の使い道があるということが県民の皆さんの判断でございました。  もちろん、JR東海が駅をつくるのなら、それは大歓迎でございます。現在の財政状況の中で、県民が求めていない施設に多額の税金を投入するならば、それは税金のむだ遣いと言わざるを得ないと考えます。  次に、県がリーダーシップをとってきた県の姿勢に、自治体からの信用失墜、行政不信が免れないのではないかとの御質問ですが、新駅の凍結は、知事の一方的な都合でできるものではなく、県議会はもとより、栗東市や関係市の合意を得て進めなければならないことは十分承知いたしております。そのために、新駅の凍結に向け、関係者の皆さんと協議を進めるに当たりまして、県としての考えを十分説明し、影響をできる限り最小限に抑えるよう最善の努力をしながら、関係者の皆さんの御理解を得られるよう努めてまいります。こうした努力を重ねることにより、関係自治体のお互いの信頼関係を損なうことのないよう、十分配慮してまいりたいと考えております。  次に、区画整理事業の地権者に対し、知事みずからが説明責任を果たすべきではないか、地元自治会長連名による申し入れにどう対処されるのかとの御質問ですが、既に事業が進捗しているところであり、区画整理事業の関係者、地権者の方々には、新駅の凍結により大きな影響があるものと承知いたしております。先日、地元自治会長さんの連名でいただきました、新駅設置に係る申し入れのお手紙に対しましては、できるだけ近いうちに直接お会いさせていだく機会をつくらせていただきたいと思っております。  また、栗東市との協議に当たりましては、区画整理事業のため、既に市において先行取得されている土地等につきまして、できるだけ有効に活用する方策を栗東市においてもお考えいただき、また、県としても、さまざまなアイデアを出すなど、できる限りのサポートをさせていただきたいと考えております。  次に、凍結した場合、JR東海、栗東市区画整理事業の地権者等への損害賠償責任が生じると考えるが、相当額の賠償金を支払ってでも中止もしくは凍結するつもりかとの御質問ですが、先ほども申し上げましたとおり、新駅を凍結することとなれば、栗東市を初めとして、関係市にさまざまな影響あるいは経済的な損失が発生することも予想されます。とはいえ、執行された事業費の年次別、具体的項目別内容、あるいは凍結に伴って発生する法的責任の範囲は、まだ不明確でございます。これらが明確にならないうちは、賠償問題について申し上げることは時期尚早と考えます。  次に、対話と共感の持てる県政推進のため、中止もしくは凍結でなく、引き続き事業が推進されることを望むが、知事の考え方を伺うとの御質問でしたが、先ほども申し上げましたとおり、新駅凍結の方向に示されました、主権在民社会における県民の意思、その皆さんの意思を尊重し、新駅凍結に向けて私自身努力をすることが知事としての責務であると考えております。  以上でございます。 ◎総務部長(澤田史朗君) (登壇)新幹線新駅設置と財政問題について、4点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の各種財政指標は他府県に比べてどうかとのお尋ねでございますけれども、滋賀県ではこれまで何度も財政構造改革に取り組んできまして、県債の発行の抑制に努めてまいり、県独自の裁量で発行する県債、いわゆる通常債残高につきましては、このところほぼ横ばいで推移いたしております。しかしながら、議員御指摘のとおり、財源不足等を補うため、国全体の対策により発行を余儀なくされた県債が、このところ増加を続けておりまして、平成17年度末で、本県県債残高全体の42%を占めるに至っております。  そこで、他府県との比較でございます。直近の平成16年度決算で申し上げますと、1人当たりの県債残高ですが、少ない方から20位と、ほぼ全国の中位にございます。また、経常収支比率は88.1%で、低い方から3位、公債費負担比率につきましては、20.2%で、低い方から13位に位置しております。  とはいえ、一般的に経常収支比率は75%以下が妥当とされ、80%を超えると財政の弾力性を失いつつあるとされておりますし、公債費負担比率につきましても、15%が警戒ライン、20%が危険ラインとされておりまして、既にこれらをオーバーしている状況にございます。  このことから、滋賀県財政は、確かに他府県との相対的な比較では中位から上位にあると言えるわけでございますが、個々の指標を見れば、過去のデータと比較しても明らかなように、極めて厳しい財政状況にあるものと認識いたしております。  2点目の新幹線新駅に係る支出によって県財政が一層悪化し、財政運営が立ち行かなくなるといったことが見込まれるのかどうかとのお尋ねでございます。  県では、新行革大綱の中で、財政収支見通しを試算しておりますが、平成21年度には640億円に上る巨額の一般財源の不足が生じる見込みでございます。一方、実質収支で、標準財政規模の5%に相当します130億円の赤字が発生すれば、今般の夕張市のような、いわゆる財政再建団体への転落が現実のものとなるわけでございまして、財源不足の規模から考えますと、決して予断を許さない状況にあると考えております。  財政運営におきましては、山積する多くの行政需要の中から、限られた財源の中で優先順位を厳しく見きわめることが必要でございまして、多くの選択肢の中から、今の財政、県政において何が重要かを選び取っていくことが極めて重要でございます。  したがって、今後も巨額の財源不足が見込まれる中で、財政再建を目指すことが喫緊の課題でございます。施策、事業の優先順位を考えますと、現時点におきましては、新幹線新駅ではなく、他の施策や財政再建を優先すべきとの県民の皆さんの御判断を重く受けとめ、対応する必要があるものと考えております。  3点目の新幹線新駅設置を凍結する権限が県にあるのか、また、その根拠についての御質問にお答えいたします。  新幹線新駅設置につきましては、御存じのとおり、JR東海、促進協議会、栗東市および県の四者が協定書を締結し、合意のもとに進めている事業でございまして、県あるいは栗東市や関係市が地方自治法等の法律に基づいて実施しているものではございません。したがいまして、この四者による協定に基づく新幹線新駅設置事業を凍結したり変更したりするということは、この四者のうちのだれかが、地方自治法などの法律に基づく権限により行い得るものではございませんで、合意に至ったプロセスと同じく、四者の合意により行うものであると考えております。  今後、県が新幹線新駅設置事業を締結しようとする場合も、地方自治法などの法律の権限に基づいて進めるものではなく、栗東市、関係市およびJR東海との話し合い、皆さんの合意のもとで行っていくものと理解いたしております。  4点目の栗東市の施策実施の主体性を奪うことになるのではないかという御質問についてでございます。  新駅設置につきましては、今日に至るまでの長い経過と取り組みの積み重ねがございまして、凍結となりますと、関係方面に多大の影響があるものと考えられます。したがいまして、栗東市を初め、関係市の主体性に配慮しながら協議を重ね、双方納得がいく合意を得られるように、県として精いっぱい努力をしていく必要があると考えております。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)7月11日付で土木交通部長を拝命いたしました吉岡でございます。よろしくお願い申し上げます。  都市計画事業への取り組みとその後の処理についての御質問にお答えいたします。  新幹線新駅に関連いたします都市計画事業としましては、栗東新都心土地区画整理事業と都市計画道路10路線が、平成14年8月に都市計画決定をされまして、その後、栗東市において、平成15年9月に、区画整理事業計画の決定、平成17年11月に仮換地指定が行われ、事業が進められているところでございます。  1点目の大津湖南都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の見直しについてでございますが、現在は、新幹線新駅を前提とした業務地、商業地、住宅地の土地利用に位置づけられておりますが、これらの土地利用計画につきましては、都市計画制度の上では、県と市の間で意見の調整が図られるものとなってございます。御質問にございますように、新幹線新駅の凍結によって区画整理事業の推進が困難となっことで、栗東市より何らかの御相談がございました場合、栗東市の御意見を十分に聞かせていただきながら、協議、調整をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  2点目の仮換地指定の取り消しができるのか、また、その手続はどうして進めるのかとの御質問でございます。  取り消しに当たりましては、さまざまな課題があると承知しておりますが、多くの地権者の方々への影響をできるだけ小さく抑えられるよう、区画整理事業施行者でございます栗東市とともに、検討してまいりたいと考えております。  なお、仮換地指定の取り消しを行うといたしますと、土地区画整理審議会に諮り、施行者の権限で取り消すということになろうかと思っております。  次に、栗東志那中線整備事業についての御質問にお答えいたします。  当県道は、国道1号から、栗東市が進めている新都心への唯一のアクセス道路であり、国道1号から新幹線側の約530メートルの区間の整備を予定しているところでございます。事業用地につきましては、区画整理事業において生み出すこととしており、施行者である栗東市と調整しながら事業化の準備を進めてまいりました。平成17年11月に区画整理事業の仮換地指定がなされましたことから、宅地開発事業の促進を図る住宅市街地基盤整備事業の採択を受けまして、今年度、事業に着手したところでございます。  今年度は、跨線橋の詳細設計、建物調査、事業用地を取得するための公共施設管理者負担金の支払い、これを予定しておりまして、この負担金を支払うための覚書を締結すべく、まさに栗東市と協議を進めてきていたところでございます。しかしながら、新幹線新駅の凍結ということになりますと、区画整理事業への影響が考えられますことから、今年度の予算執行につきましては、改めて栗東市と協議をさせていただく、そういうことになろうと考えております。  また、新幹線前後の道路に新幹線をくぐる形で埋設されている占用物件の移設につきましても、今申し上げましたことと関連することから、既に占用者と、こちらも協議が調っていたわけでございますけれども、改めて協議が必要であろうと考えているところでございます。  以上です。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)新幹線新駅設置と財政問題についての御質問のうち、教育に関する御質問にお答えいたします。  まず、新幹線新駅に関する報道内容について、子供たちへの影響が心配されるが、どのように考えるのかとのお尋ねについてでございます。  新幹線新駅につきましては、これまでの間、さまざまな報道がなされているところでございます。私たちは、新聞やテレビなどのマスメディアの報道を通して社会の動きを知り、また、さまざまな意見や考え方があることを知るわけでありますが、一方で、マスメディアは、その時々の世論を形成してしまうような影響力を持つこともございます。このため、私たち大人が、まず正しい判断力を備えることが大切ですし、また、学校や家庭において、子供たちに情報をうのみにするのではなく、自分自身で考え、きちんと判断することを教えていかなければならないと考えております。  また、教育現場では、このような報道の現状を受け、県は法令を遵守させることや、社会のルールを守る必要があることを正しく教えるべきであるが、どうかとのお尋ねでございますが、私たちは、いろいろな社会集団の中で生活しており、例えば、小学校においては、社会の決まりやルールを守ることを学習するなど、発達段階にあわせて基本的な社会性をしっかり身につけることが大切であると考えております。学校では、ルールをつくっていくには、さまざまな考えを持つ人々がそれぞれ自分の意見を説明し、十分な話し合いを行って、互いが納得して合意できる内容にしていく努力が必要であることを教えています。また、そうしてつくられたルールであるからこそ、お互いが責任を持って、そのルールを守ることが大切であること、そして、それを受け入れていく限り、その結果には責任が伴うことも教えております。  私は、子供たちがこうした社会的生活とルールの基本を踏まえた上で、各種の報道に対し、社会の出来事を正しく理解し、判断できるよう教育していくことが、まず大切であると考えております。 ◆37番(三浦治雄君) (登壇)いろいろと御答弁をいただきました。おおむね、知事の代表質問ならびに一般質問等の状況を見てみますと、県ならびに栗東市、促進協議会、そしてJR東海、四者の合意なくして凍結はあり得ない、こういうような状況かな、こういうように私は理解をさせていただきます。  くどいようでございますけれども、この新駅というのは、あくまで栗東市、周辺市町によりますところの共同事業であるわけでございます。県の立場だけでとめることは到底でき得ないと、私自身は理解をするものでございます。  ただ一つ心配するのは、県という組織の中で、知事というのは、権威ある立場に立たれるわけでございます。その立場を利用して、栗東市や関係市町に対し、事業からの撤退を強制するような状況になりはしないか、私は実は非常にこれを危惧するものでございます。  知事も当選されましてから、東京都の世界都市博覧会、これが、当時の青島知事が当選されました後、凍結された経緯があるようでございます。そのときの一つの素材をもって、新幹線新駅の凍結というのはリスクは安くて済むのではないかというような発言があったやに承知するわけでございますが、この世界都市博につきましてはこれは共同事業でも何でもないわけでございまして、東京都だけの単独事業であったわけでございます。この辺は非常に大きな違いがある。こういうような点の御理解もいただいておきたいと思います。  要は、私は、先ほど教育長も回り回っておっしゃっていますけれども、今や、教育現場、学校におきましても、「新幹線の駅、どうなるのや」、嘉田知事を支援された皆さんからも「新幹線どうなるんですか」、こういうような話をたびたび聞くわけでございます。知事の言われるように、四者が本当に腹を割って、滋賀県の将来のためにぜひとも必要だ、こういうような方向の御判断がいただけるように、くどいようですけれども、選挙の民意は民意です。県民に情報を公開しながら御対応をいただきたい。こういうお願いを最後、知事にしておきたいと思います。  ただもう一点、先ほど総務部長にお尋ねいたしました中で、凍結をする権限は県にあるのですか、ないのですか、こういうようなお話をお聞かせいただきました。政策判断として、栗東市と関係市町と十分な協議をしてほしい、そういうような話でございますが、私は、これからの一つの議論の過程の中で、それぞれの市町を指導、監督される県の総務部長として、こういった一連の流れの中で、こういった事業に県は凍結する権限、そういうような話をする状況が本当に、法的にもさることながら、国のエリート官僚として本県に赴任をいただいた、大所高所から御判断いただいて、今のこの現状を総務部長としてどうお感じをお持ちいただいているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
     以上で私の再質問を終わらせていただきます。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)今の三浦議員の質問の前半でございますけれども、知事というのは大変な権力があり、四者の合意を得るのに当たって権力行使をするのではないのか、あるいは権力行使が大きいのではないのかという御質問と判断いたしましたが、それの答弁でよろしいでしょうか。(発言する者あり)はい。  言うまでもなく、地方自治法におきましては県も市町村も対等の自治体でございますので、県が一方的に権力行使をするというものはないと私自身判断をしております。  以上です。 ◎総務部長(澤田史朗君) 県と市町の合意と進め方ということでございますけれども、議員も御指摘になりました今回の事案につきましては、地方自治法等の法的な権限の中で進めるということではございませんので、合意の中で進めてきたということでございます。今後、県と市町が一緒になって取り組んでいく事業、そしてまた、その事業が変更になる場合など、いろいろなケースが想定されるかと思います。また、県と市町がいろいろな形で制度をつくっていくというようなこと。いろいろと、やはり県と市町は対等の立場で議論をし、また、滋賀県をよくしていくということについては、一緒にやっていかないといけないと思います。  そういう中におきまして、この県と市町、ともにひざをよくつき合わせて、よく話し合いをして、そして、県民のためになるにはどうしたらいいかということをしっかり議論をした上で、合意をして進めていくべきものと理解をいたしております。 ◆37番(三浦治雄君) (登壇、拍手)再質問の状況の中で質問漏れが実はございました。恐縮をいたします。(発言する者多し)財政的な一つの話でございますので、総務部長にお尋ねいたします。(発言する者あり)今日まで、21世紀ビジョンの中で、新幹線──黙りなさい。(発言する者あり)黙りなさい。そういうような話の中で、きょうまで我々議会に対して(発言する者多し)県当局は、財政的に新幹線新駅につきましては支障を来しません、こういうようなお話を終始聞いてまいりました。そして、片や財政構造改革プログラムに基づいて、それぞれ努力してまいりました。ただ、きょうの話を聞いていますと、そういうような一つの流れが県民の総意によって、何か変わっていっている、そういうような状況を総務部長からお聞きいたしますが、その件について、1点、特にお聞きしておきたい。  このことは、我々は、ずっときょうまでの流れの中で、県の財政の状況、これからの債務の状況、そういう中において、滋賀県の進めている新幹線新駅については、財政的に支障を来しはしないのだ、こういうことをきょうまで終始聞いてまいりまして、これが進んでまいったわけでございます。知事が変わったからといって、それに合わすような答弁自身については、私は、行政としては何ぞや、(発言する者多し)そういうような点の御質問を再度させていただいて、再質問を終わります。これから、私があなたに、質問したとき、いろいろやりますよ。(発言する者多し) ◎総務部長(澤田史朗君) 先ほど議員の方からも、7年間に支払うというようなことで、財政構造改革プログラムに載っていると。それへの影響はどういうことだと。あと、また、基金があるわけでございますけれども、そういうことも踏まえてどうかというような御質問で、それに対する再質問というふうに理解をいたしておりますけれども、やはりこれだけ財政の状況が厳しいということで、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、毎年度の収入と支出の差である財政収支というものに加えまして、やはり毎年度、巨額の財源不足が生じているというようなことがありまして、それへの対応をどうするのか。そしてまた、中期的な視野から財政の健全化をどうしていくのかというようなことを総合的に考えないといけないというような、大変厳しい財政状況にあるということをまず御理解いただきたいと思うわけでございますが、その総合的に財政状況を検討しなければいけないという中におきまして、歳出面では、施策、事業の優先順位を厳しく見きわめた上で歳出を計上していくという観点におきまして、現在において、新幹線新駅を選ぶのか、他の施策あるいは財政の再建、財政の健全化を優先すべきなのかというようなことのもとで、県民の皆さんの御判断をいただき、それを重く受けとめ、対応をする必要があるものと理解をしております。 ○議長(赤堀義次君) 次に、41番橋本正君の発言を許します。 ◆41番(橋本正君) (登壇、拍手)丹生ダムおよび関連する諸問題について、知事にお伺いいたします。  私は、正直なところ、いよいよ淀川の河川整備基本方針、整備計画の策定が山場を迎えているに当たり、丹生ダムの本格的な取り組みについて、ダム本体の建設事業費が、願わくば、せめて平成20年度の国の概算要求に間に合うように願ってやまないところであります。このようなときに、丹生ダムの必要性について改めて知事に質問することになろうとはゆめゆめ思っていませんでした。しかし、現実にこのたびの知事の所信表明を聞き、改めて丹生ダムの必要性を述べるとともに、早期完成を待ち望んでいる地元地域の声を聞き届けていただきたく存じます。  ことしは、殊のほか異常気象が続いております。活発な梅雨前線が日本列島を覆い、また、停滞を続けることにより、甲信越や山陰、九州南部など各地に記録的な豪雨をもたらしました。かつてない総雨量1,000ミリメートルを超える豪雨や大雨が降ったところもあり、大雨による全国の死者、行方不明者は28名、災害に遭った家屋約1万棟、避難者数約7万人と、甚大な被害が発生しており、自然の猛威の怖さをつくづく思い知らされたのであります。最近の風水害の被害状況を調べていますと、2003年までは100人に満たない程度だった死者数が2004年には259名、2005年には190名と、一昨年から急増しているということであり、また、避難者数は2004年には29万人、2005年には15万人と、驚くべき数字に上ることがわかったということであります。原因はやはり地球の温暖化ということです。  画期的な対策がないまま、この傾向が続けば、地球温暖化で日本は亜熱帯化し、異常気象に見舞われ、来襲する豪雨、洪水、豪雪により、毎年200名以上の死者、25万人以上の避難者を出し続けることが予想されるとも言われております。  仮にもしも、九州や長野のような大惨事が我が滋賀県、特に丹生ダムの高時川流域に起こらないとは、だれも言えないのであります。去る7月19日には、虎姫でも雨量は248ミリメートルを記録し、難波橋では4メートル20センチの危険水位を超え、4メートル55センチと、堤防から手が洗える状況であり、高時川の下流、長浜市大浜地先では水防活動として20メートルにわたり土のうを積み上げ、ようやく難を逃れたのでした。幸いにも高時川上流の余呉町中河内等での雨量が、姉川、高時川流域の中で少量であったことと、姉川ダムで流量調整がされ、高時川の合流に対してダム効果を果たしたのでありました。  今回、全国的に大量の集中豪雨が降ったことが今後私たちの地域にあり得ないということは決して言えないのであります。災害は忘れたころにやってくるとのことわざを決して忘れることなく、万全の対策や対応を施すことが、政治や行政に課せられた使命であります。特に洪水から県民の生命、財産を守ることは、河川管理者としての知事の最大の責務であります。よって、歴代の滋賀県知事は、災害から県民や県土を守るため、まさに生命をかけて治水事業や砂防事業など公共事業の推進に懸命に取り組んでこられたところであります。  が、知事は、平成16年度の淀川水系流域委員会琵琶湖部会での発言において、全く違う認識を示しておられます。特に高時川の場合は、過去、死者の被害は、少なくとも破堤による死者の被害はほとんどございません。江戸時代はありました。明治の初期はありました。昭和34年になくなっているのは、上流の土砂災害なのです。ですから、これはダムをつくっても防げないというようなことも含めて、過去の水害の履歴、特に被害の履歴をどこまで含めて総合治水を進めていただくのか、ここは個別の高時川の方針をお示しいただきたい。これは県への要望かもしれないのですが、少なくとも今回のこういう治水対策を考える上で、基本方針をお聞かせいただきたいと思いますと、国と県に投げかけておられます。  しかし、高時川の河川管理者の最高責任者は、今や嘉田知事御自身であります。よって、知事に、まずその基本方針を求めるところであります。  また、琵琶湖の水位に関して、琵琶湖湖辺の生態系のために、より自然の水位に近い水位にして、それに合わせて生活様式が必要とし、しかしながら、知事は平成17年度淀川水系流域委員会琵琶湖部会において、次のように説かれています。琵琶湖湖岸では、琵琶湖のいわば計画高水位は1.4メートルですから、1.4メートルまでは水位が上がっても湖岸は水につかないということが一つの目標であったのですが、実態としては既に60センチメートルぐらいからぼつぼつとつき始めまして、1.4メートルで冠水する水田面積が5,000ヘクタールほどになります。それでは、床下浸水が100戸、床上浸水が10戸ということで、ここで申し上げたいのは、琵琶湖湖岸の洪水というのは、人が死ぬほどの致命的なものではなく、じわじわと上がってくるものであるということです。ですから、これはある部分、経済財政的な対応で可能だということですと述べておられます。  これは一体具体的にどのようなことなのか。仮にもし、そのようなことに対して財政的な対応をしようと思えば、莫大な予算を伴うことになり、現在はこうした負担は個人が請け負っているのが実情でありますが、個人への経済的な補償にまで踏み込もうとされているのか、こうした問題に関して知事はどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。  知事御自身が、家屋の浸水の悲惨さがいかなるものか現実に体験された上でそのような発言をされているのか、疑わざるを得ないのであります。まず、家屋浸水の被害に遇われた方々の悲惨さというものは、口に出して軽々に語るものではありません。日々使用している電化製品を初め、衣類や畳、家具類等、あらゆるものが使用不能になり、廃棄処分しなくてはなりません。また、家族の大切な記録や思い出の写真さえ廃棄処分をしなければならないのであります。さらに、家屋じゅうの消毒、家具の新調など、多大な出費が必要であり、平常の生活を取り戻すには大変な苦労や心労があるのです。  それゆえに、知事が淀川水系流域委員会で述べられた、洪水の受認発言は、決して県民の合意を得られるものではありません。もし知事となられた今でも同様のお考えであるなら、県民の生命、財産の安全に対して責任を負う責任者である河川管理者失格であると言わねばなりません。一たん泥水が田んぼや家屋に入り込むと、たとえ水田であっても、また、それが床下浸水であっても、それらの再建には大変な苦労が伴います。こうした水害を受けた場合の生活再建について知事はどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。  さて、ここで丹生ダムについて、その経過を皆さんと一緒に振り返ってみたいと思います。  昭和43年10月に余呉町小原地先において予備調査を開始しました。昭和47年6月、琵琶湖総合開発特別措置法が成立、同年12月に琵琶湖総合開発計画が決定され、基本方針の保全、治水、利水の3本柱のうちの治水事業として高時川ダム建設が位置づけられたのでありました。昭和54年12月、国において高時川ダム実施計画調査が予算化されました。昭和55年1月、余呉町議会に対して建設省よりダム実施計画調査の説明があり、同年3月、議会に水源地域対策特別委員会が設置されました。また、同年4月、建設省高時川ダム調査事務所が設置されるに至りました。  しかし、昭和56年6月1日に下流部会から、町長、議長あてに698名の署名を添えて計画中止の要求書が提出されました。その後、昭和56年8月13日に上流部会が、8月25日には中河内部会が、町長、議長にダム建設反対の申し入れ書を提出され、9月9日にダム調査事務所へ3部会の反対申し入れ書が提出されたのでありました。その後、申し入れ書に対して建設省から質問会の開催要請があり、12月21日に質問会が開催されました。それ以後、先例地視察を精力的に実施し、3部会が組織の一本化をすべく調整に努力されたのであります。よって、昭和57年3月18日、ダム上流地区、下流地区関係者で高時川ダム対策委員会が発足され、西山町長が初代の委員長に就任されました。  昭和59年3月25日、高時川ダム対策委員会は実施計画調査受け入れの意思を決定されたのであります。同年5月19日、高時川ダム対策委員会は、建設事業実施計画調査の受け入れを決定いたしました。同年6月14日、高時川ダム建設事業実施計画調査に係る基本協定書の調印を、当県庁にて武村知事立ち会いのもとに行われました。なお、協定書第4項、乙建設省は甲町長の同意がない限り、高時川ダム建設工事に着工しないものとする、これらの解釈について、ダム対策委員会は、本工事着工時に改めて同意が必要と主張し、建設省は損失補償基準の妥結をもってダム本工事に同意したものとみなされ、改めて同意を得ることはできないとの主張がありました。そのことで両者は大変大もめにもめました。その結果、調査事務所との折衝で、会議の議事録に「余呉町の立場は理解する」との1行が挿入され、本体工事に改めて甲町長の同意が必要となっております。  以上のような経緯で、高時川ダム建設事業計画調査がスタートを切ったのであります。その後、ダムの安全性を初め、あらゆる諸般の難題を乗り越えて、昭和63年8月13日、ダムの名称も丹生ダムと変更され、平成4年4月16日に特定多目的ダム法による基本調査が官報で告示され、正式に丹生ダムとなりました。また、平成元年から本格的な基本計画の策定、環境影響評価の結果、用地補償調査、水源地域対策特別措置法による水源地域の指定区域、道路計画等について、毎月のように会議が開催されました。一番困難な補償基準は、平成4年5月27日に丹生ダム補償交渉委員会が設置され、補償交渉が始まり、翌年平成5年8月5日、損失補償基準の協定書を県庁で妥結調印し、契約協議が開始されました。  その間、平成4年9月22日に突如として、水資源開発公団への事業継承問題が発生し、大議論の末に、平成5年1月18日にダム対策委員会は、水資源開発公団への継承をやむを得ないものと了承したのであります。また、水資源開発公団への継承は、平成6年4月1日に行われ、4月4日に正式に丹生ダム建設所の開所式がとり行われました。また、工事用道路の補償単価も平成7年6月7日に調印され、工事用道路関係の契約協議が開始されました。また、ダムの建設の是非について多くの議論がありましたが、平成10年11月16日、建設省近畿地方建設局設置の事業評価監視委員会で、丹生ダムについては、当面、行政の判断にゆだねて差し支えない、おおむね適正であるとの意見が取りまとめられました。そのことは、当時、京都新聞でも掲載されております。そして、既に、丹生ダムの準備行為として平成17年度末までに534億円が投入され、ほぼ本体工事に着工するのみとなっております。  しかしながら、その間、時代の流れとともに、その後、社会状況に変化が生じ、平成9年には河川法の目的に環境が加えられると同時に、河川整備計画の策定には学識経験者の意見を聞くこととされたのを受けて、淀川水系流域委員会が設置され、多くの議論と貴重な時間や経費が費やされ、今日に至っているところであります。  すなわち、平成13年2月に設置されて以来、平成18年4月までの約5年間に、流域委員会の運営経費の累積は、驚くべきことに20億9,400万円が使われております。こうした巨額な国民の血税が単なる運営経費として浪費され、今日に至っているのであります。しかも、滋賀県も直轄事業負担金として、これの一部を県民の税金で負担してきたのであります。仮にこれらの巨費が県内の道路事業やダム建設事業に投じられていたならば、いかなる事業が完成していたかを私は試算をしてみました。  皆さん、よく考えてください。驚くことに、大戸川ダムの当初計画に当てはめますと、この約21億円を仮に大戸川ダムの滋賀県負担分に充当すれば、半額程度のおつりが返ってきます。すなわち、淀川水系流域委員会が使用した運営経費20億9,400万円の半額を滋賀県負担分に投入していれば、大戸川ダムは見事に完成することができるのであります。また、これらの巨額運営費を、県が国の補助事業を得て行う道路事業、特にトンネル事業の県負担額に当てはめれば、1,500メートルのトンネルが完成するものと考えられます。知事のもったいない論をもってするならば、知事が5年間にわたって議論されてきた時間と浪費、もったいないと言わざるを得ません。  知事は、こうした流域委員会にあって実質的に中心的な役割を果たしてこられたものと存じます。また、その流域委員会は、国から独立した事務局を擁し、委員会みずからの意思だけで運営されてきた、大変珍しい委員会であるように仄聞いたしており、その運営責任は、国ではなく流域委員会の委員そのものが負うべきものと存じますが、その立場、および中での処遇ならびに対価は、知事御自身、いかほど得られたのか、具体の額をお教えください。  なお、もったいない論より、その額は流域委員会の費用対効果を示した上でお答えください。なぜなら、丹生ダムは淀川水系流域委員会がスタートした平成12年度が完成予定であったからであります。  さて、これまで申し上げてまいりましたように、丹生ダムは、琵琶湖総合開発の一環として、昭和47年12月に治水対策としてダム建設が位置づけられたものであります。すなわち、国の直轄による事業であります。それゆえに、より安全な高時川の治水対策には余念のないところであり、滋賀県として一番割安な負担による最適な事業であると確信しているところであります。  知事は所信表明において、ダムありきではなく、代替案として、ハード対策として、堤防強化、河床掘削、遊水池の確保、上流域の森林の保全、また、ソフトの対策として、水害への社会的関心づくり、ハザードマップの作成、そして、水防組織の強化、土地利用の見直しと提案されています。しかしながら、御提案の対策で高時川の治水を根本的に確保できると考えておられるのか、理解がしがたいものであります。本当に河川管理の最高責任者の発言なのか、はたまた学者としての発言なのか、疑わざるを得ません。  去る平成17年7月21日、国土交通省近畿地方整備局より丹生ダムの調査検討が取りまとめられ、提出されました。それには次のように記載されています。戦後最大洪水規模により大きい洪水、例えば畿央最大洪水に匹敵する洪水で検証すると、河道内の対策とあわせて実施しても、破堤による被害の回避、軽減を図ることはできません。したがって、河道内の対策、遊水池を実施しても、なお、このような大きな洪水に対しては、そのほかにも何らかの対策、すなわちダムが必要になります。なお、畿央最大洪水である明治29年9月洪水のピーク流量と滋賀県の将来計画100分の1洪水によるピーク流量とはほぼ同じになります。このため、滋賀県の将来計画は、100分の1洪水を畿央最大洪水に匹敵する洪水として用いております。  また、高時川は天井川であり、頭首工から下流域には、年間、5月初めよりおおむね9月末に至るまでの150日間以上、瀬切れを引き起こす年もあります。近年の異常気象により瀬切れ問題はなお深刻な度合いを深めています。さきの大雨によって高時川河川下流域にあっては、堤防より至るところで漏水が発生し、人々を不安に陥れました。それゆえに大量の雨が降れば、常に人々は不安と危険の背中合わせで暮らさなければならないことは、大変不便な生活を余儀なくされているのであります。  滋賀県の姉川、高時川の河川整備計画原案では、破堤による被害の回避軽減の観点から、丹生ダムによる洪水調整の必要性と緊急性について検討が行われました。破堤による被害の回避軽減の対策として、堤防そのものを強くする対策、洪水時の水位を下げる対策、平地河川化対策、約1,616億円、分派放水路プラス河道改修案1,183億円、河道内の対策、高水敷掘削等の河積拡大等においては826億円、河道内の対策、遊水池案987億円、河道つけかえ、河道改修1,734億円、ダムプラス河道改修517億円、以上のような調査結果から、丹生ダムプラス河道改修が、効果が最大にして最小の費用で対処できることとなっております。なお、丹生ダムは、当初より国の直轄事業であるがゆえに、滋賀県の負担分も治水事業費のおおむね16%ぐらいとなります。逆にダム以外の方法、すなわち河川改修など治水対策を実施すれば、事業費の2分の1は滋賀県の負担となり、大変もったいないことになります。知事のもったいない論からはつじつまが合わないこととなります。このようなことについて、知事はどのように考えておられるのでしょうか。  費用対効果はもちろんのこと、その治水効果が発揮されるまでに要する時間の長短も含めて、姉川、高時川住民の暮らしを守る対策をどう考えておられるのか、明確にお答えをください。  なお、次に、知事が述べられました6つのダムで、琵琶湖の渇水対策として直接役立つ機能を有するダムは、唯一、丹生ダムだけであり、丹生ダムは、姉川、高時川の洪水調整とあわせて、異常渇水時の緊急水の補給や新規利水が主たる目的として計画されています。特に知事は、平成17年度の淀川水系流域委員会で次のように述べられています。昭和30年代に生物資源調査団の調査をしているわけですが、湖岸域が大切だということを既に提案されながら、無視されてしまったという総合開発への反省もあります。また、人と川のつながりを再生するという働きかけを、私自身、30年近くにわたってやってきました。それならば、なおさら、高時川頭首工より下流域の瀬切れを防止し、豊かな清流を絶えず確保することによって、姉川河口の琵琶湖湖岸から、姉川、高時川の左右の川岸一帯を生態系の宝庫に再生することが大切だと思います。これこそ知事のポリシーではないのでしょうか。もしダムでなければ、瀬切れ防止についていかなる方法で、また最小の経費や維持管理費で、かつ、直ちに効果を発揮できる手法があるのか、具体的にお答えを願いたいと思います。  最後になりましたが、我が会派の代表質問にお答えいただきましたように、滋賀県の知事に就任された以上、県民の生命、財産を守ることが、河川管理者たる知事の最大の責務であると深く自覚をいただき、引き続き県としての丹生ダムの早期建設を促進されるよう主張いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 41番橋本正君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)橋本議員の丹生ダムおよび関連する諸問題についての御質問にお答えします。  まず、1点目の高時川における河川管理者としての基本方針についての御質問にお答えします。  知事としての治水政策の最大の基本方針は、県民の命を守ることです。水害によって人の命を失う、その災害の危険を避けることです。2点目は、床上以上の浸水、生活再建が大変にきつい、破滅的な、あるいは破壊的な被害を避けることでございます。3点目が、床下浸水あるいは農地の浸水などの、生活再建が困難な状況を避けることでございます。  この3つの基本的な治水方針に加えまして、大変これは申し上げにくいのですが、今、私どもは無限の財源を持っているわけではございません。治水は、基本的に公費となっております。昭和25年以降、日本では公費として治水政策をやるようになりました。それまでは治水政策に関しては、私費、つまり土地を持っている人たちの負担などがございましたが、昭和25年以降、公費です。となると、この公費をいかに有効に使うかということもあわせて知事として、あるいは為政者として考えなければならない問題だと思っております。  さて、高時川流域では水は古くから、農業用水だけではなく生活用水としても使われてまいりました。集落内を流れる農業用水路を生かしたまちづくりでは、例えば高月町の雨森が全国的に知られております。私自身も、昔ながらの地域と水とのかかわりが今もなお形を変えて受け継がれている湖北の風景を大変誇りに思っております。  また、高時川は土砂の堆積による河床上昇によって発生するはんらんを防御するため、堤防のかさ上げを繰り返しやってまいりました。周辺の人たちが雨ごとに毎年堤防を重ね、その人々の苦労の結果が天井川となっているわけです。それゆえ、天井川は一たびはんらんすると甚大な被害が予想されます。最も近年の高時川での堤防破壊は、大正10年、今から85年ほど前ですが、高月町雨森地先切れ所の堤防破壊と理解をしております。このような地域が持つ、水害を含めた、地理的、自然的風土、そして歴史の中で培われてきた文化など、地域を流域としてとらえ、その特性を十分調査、考慮し、それに見合った河川整備が現在に求められていることだと考えております。  特に行政によります公助の仕組みと、我が身や身近な人たちの命や財産を守る自助、そして、現在でも活発な水防活動など、地域で助け合う共助を組み合わせるなど、ハード、ソフトを含めた総合的な流域治水の観点が最適な方法を探り、県民と協働して治水対策を充実する上で大変重要と考えており、これは現在の国の方向ともなりつつあります。  続きまして、2点目の琵琶湖周辺における浸水被害に対する経済的補償についてのお尋ねでございますが、まず、御質問にありました、淀川水系流域委員会琵琶湖部会における私の発言は、先日、黒川議員の自由民主党・湖翔クラブ代表質問に対してお答えしましたように、決して琵琶湖の浸水被害の危険性を軽視しているものではないことを改めて申し上げたいと思います。  ここで申し上げておりますのは、琵琶湖の生態系の保全、再生のためには、現在、梅雨期、6月に洪水を防ぐために水位がマイナス20センチメートル、また、9月1日以降はマイナス30センチメートルと低く設定されている、そのことが、実は魚類の、特に固有種の産卵にマイナスとなっているというような問題でございます。  そのことにより増大する治水リスクについては、想定される琵琶湖の浸水被害が人命に影響を及ぼす壊滅的被害というよりも、農地などへの浸水被害が中心であることから、経済的補償が可能ではないかと提案しているわけです。  ただし、この水位の引き上げにつきましては、治水面での危険性の増大、これまでの琵琶湖・淀川の利水開発との整合性が図れなくなることなど、課題もあります。また、浸水の危険性が高まる農地など、所有者の了解も必要です。そのような意味では、相当時間を要することとなり、総合的かつ慎重に、社会的な合意を得るための検討をしていかなければならないと考えております。  また、経済的補償の具体的仕組みでございますが、遊水池などの他の河川で行われている方策や、被災者支援制度など、既に実施している諸制度も参考にしつつ検討すべき課題であると考えております。  次に、3点目の水害を受けた場合の生活体験についての御質問にお答えします。  大規模な自然災害は、生活基盤に大きな影響をもたらし、その再建は非常に御苦労が伴うものです。本年7月、豪雨による災害を見ましても、経済的損失、社会的な打撃は深刻であります。また、かねがね申し上げておりますように、私自身も、過去30年、水害の被害者の調査をしてまいりました。そのような方たちの現場での失望、そして生活再建への願いは、奥深く理解しているつもりでございます。  このような自然災害により、住宅などの生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由などにより自立して生活を再建することが困難な方に対する支援策として、被災者生活再建支援法による制度がございます。この法は、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、被災者生活再建支援金を支給することにより、被災者の生活居住安定を図り、自立した生活の開始を支援するものでございます。このほか、災害救助法に基づく支援もございます。  ただ、これらについても、被災者が生活を再建するには不十分なものであります。その改善を中部圏や近畿ブロックの知事会を通じ、また、直接、県からも国に要望を行っております。また、私自身もマニフェストでは、住宅支援などの方策も記述させていただいております。  しかし、災害が起こったとき、起きそうなとき、まず大事なのは、自分の命や財産は自分で守る、家族や地域は自分たちで守ることであります。地域に洪水などの災害が発生したとき、どこが危険で、どこが大丈夫か、どこへ避難すべきかなどを話し合い、行動するため、地域ごとに自主防災組織をつくり、防災への意識を高めていただくことが非常に大切です。災害を正しく恐れ、しっかりと備えるといった減災の視点で取り組むことで、少しでも被害を少なくすることができます。  このため、県では、テレビや広報誌等を通じて啓発に努めるとともに、県民の皆さんや防災関係者とともに、自助、共助、公助の立体的考え方のもと、連携して取り組んでまいりたいと考えております。  次に、4点目の淀川水系流域委員会における私自身の処遇についての質問でございます。  淀川水系流域委員会は、淀川水系における河川整備計画について、学識経験を有する者の意見を聞く場として、平成13年2月1日に国土交通省近畿地方整備局によって設置されました。私は設置当初から今年4月まで、地域まちづくり分野の学識経験者として参加し、琵琶湖部会、住民参加部会の両部会に所属しておりました。この間、淀川水系河川整備計画の策定に向けての審議や提言や意見書等の作成にかかわるため100回以上の会議に出席し、処遇ならびに対価については、他の委員と同様、委員会の規定に従い、委員謝金および交通費、100回に対して計338万円をいただきました。つまり、1回当たり交通費と謝金、平均大体五、六時間でございますが、3万3,800円でございます。  続いて、5点目の姉川、高時川の流域住民を守る治水対策についての御質問にお答えいたします。  先ほど最初に申し上げましたように、まず命を守ること、そして床上浸水を防ぐこと、床下浸水、農地の浸水を防ぐこと、これが治水対策の優先順位と考えております。私はこれまで、滋賀県の河川整備計画を策定するために設置している淡海の川づくり検討委員会の委員も務めてまいりました。姉川、高時川につきましては、平成16年の審議時に、下流府県が利水から撤退していないという条件により算出された金額では、丹生ダムプラス河道改修案が、最小の費用で最も早期に効果が発揮できる案であると評価されました。これは橋本議員のおっしゃっているとおりであると私も認識しております。  しかし、下流府県が利水から撤退し、今、費用は、治水を中心に費用分担をしなければいけなくなっております。そのときにどのような費用分担になるのか。残念ながら、まだ、国から丹生ダムの総事業費や洪水調節、負担割合が示されておりません。いわゆるコストアロケーションです。そのような現状では、流域にとって経済的に何が最適であるのか評価することは困難であると考えております。この点につきましては、国から具体的な内容が示された段階で判断したいと考えております。  平成16年に示された河川整備計画案は、流域の皆さんにとって、ダムができれば安心が確保できるという、いわばダムに頼った計画となっていますが、このことも、先ほど以来御説明をしておりますように、水害へのソフト対策、特に命を守るための水害への社会的関心を高めるということをあわせて考慮する必要があると考えております。みずからの安全、安心の意識を高めていただけるような、きめ細やかな洪水ハザードマップづくり、降雨時の雨量、水位情報などの避難行動に役立つ情報提供など、地域の減災力の回復を図ってまいることが改めて大切でございます。  次に、6点目の姉川、高時川の瀬切れ防止対策についての御質問でございます。  私自身も、水の歴史にかかわる研究を地元の人々と一緒にやりながら、姉川、高時川周辺の水利用の変化を調査してまいりました。その中では、特に流域の地下水、そして、わき水の豊富さを改めて高時川流域において勉強させていただきました。また、その中でも、1年を通じてさまざまな魚が高時川あるいは姉川を上がり、そこで子供たちが水遊びをするというような場面も多く調査させていただきました。  その調査の中で、御指摘の瀬切れの問題でございますが、瀬切れの問題は、現在、その要因、農業用水との関係など、極めて複雑な状況になっております。瀬切れによって、どのような動植物が生息、生育環境を破壊されるのか、どのような生き物がその中でも生き延びていくのか、十分なデータはまだまだございません。そのような意味から、瀬切れ発生状況の経年変化の把握、あるいは瀬切れ発生メカニズムを今後も精査する必要があると考えております。  将来にわたり健全な河川水の利用、動植物の生息、生育環境が保全されること、瀬切れ対策は大変重要でございます。そのような環境の保全とあわせて、利水、治水、セットで考える、ここが河川管理者としてのこれからの方向であろうと考えております。  以上、橋本議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ◆41番(橋本正君) (登壇)知事に再度お尋ねを申したいと思います。  知事は、30年にわたって、琵琶湖の周辺のいろいろな調査をされ、滋賀県の隅々まで調査で歩かれまして、いろいろなことを知っている。特に水とのかかわりを自分のライフワークとされている。著書でたくさんそういう紹介がされております。ならば、私が申し上げたように、高時川には、川には命があるのです。水があるから川というのです。頭首工から下には、少なくとも1年間に60日、70日、完全に水がない、水なし川になるのです。これを何とかしてほしい。その唯一の方法は、ダムをつくってダムから常時放水、毎秒3トンぐらいの水を流さないと、この瀬切れ問題は解決しない。これが、私たちが調査をした結果でございます。  知事がおっしゃっている、生命体は琵琶湖にあります。そして、琵琶湖の湖岸は私たちの暮らしとともにあるのです。それが琵琶湖を傷つけない、守るのです。そのようにおっしゃっておりますが、言っていることと今の答弁は全然意味が合わない。川は、琵琶湖は、大事な命ですとおっしゃっております。ならば、瀬切れ防止に、滋賀県の環境知事として力を入れて、そして、新しいダムのあり方、ダムは単にいろいろな意味での、治水対策だけではなく、環境にも随分役立つ、そして、水なし川を解消する唯一の方法としての常時放水のできるダムが必要であるというような思いをぜひ持っていただきたい。そうすることが、嘉田知事の環境に対する筋の通った思いではないかと私は思います。  もう一点、国土交通省でいろいろ調べた結果、どのような形で、時間軸で洪水対策をどうするか。この間の、申し上げましたように、あれだけの150ミリメートルちょっとの雨であったがために高時川は守れたのです。中河内で200ミリメートルを超えたら、完全に下流は破堤し、先ほど申し上げた悲惨な床下浸水、床上浸水を、あるいは事によれば死者を出すような悲惨なことが起こっていたかもわからない。それをきちっと治めていくのが行政の大事な仕事であり、そして、その最高責任者が知事であるわけであります。学者のような答弁ばかりでは困るのです。私たちは毎日暮らしの中で精いっぱい生きているのです。そのためにはどうあるべきか。長年みんなが知恵を絞って頑張って、ここまでこぎつけたものを、学者の考え方一つで、長年の事業を棒に振ることは私はできない。  そしてまた、環境というものをもっと身近に考えておられるのなら、自分で、今ここで高時川の現状を見てください。これが川ですか。それを見た上でお答えいただきたい。現場第一主義。この大雨のとき、高時川をごらんになりましたか。大渇水で困っているときに高時川をごらんになったことがありますか。現場第一主義を貫かれるなら、もっとしっかりと地域の皆さんの中に入って、本当にその暮らしの目線で、言葉ではないのです、実態でしっかりと行政を進めていただきたい。  以上2点、再質問をさせていただきます。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)橋本議員の再質問にお答えいたします。2点ございました。  川が生きている。生きている川とは何かということでございます。もちろん、いつも水があり、そして、豊かな生き物が四六時中、季節季節に生きている。それが生きている川、そして、豊かな川と。橋本議員のおっしゃるとおりでございます。  高時川につきましては、確かに春先、田植え時期以降、井明神堰から下は、農業用水が大きく土地改良区の方にとられることから、瀬切れが起きていることも理解をしております。それに対して、どのようにダムが有効であるのか、あるいは、ダムの水を入れることによって、どのように、いわば生きた川が再現できるのか、そのあたりのことは検討する価値があるとは考えております。  まず、生態系の復元の問題です。それから、もう一つは、その際にダムの費用はだれがどのように負担するかということです。実は、残念ながら、アユやモロコにお金を払ってもらうわけにはいきません。そのときに、そのダムの利水部分をだれが払うのか、これが実は生態系保全のための利水で大変問題になっているところでございます。滋賀県が払うのか、数百億円。そして、下流が払うのか、あるいは国が払うのか。この辺のところも、瀬切れの水対策では議論が必要だと思っております。  つまり、1つ目の、瀬切れ対策に対する、生きている川を取り戻すための方法、確かに一つですが、その費用の問題も含めて、行政としては、逆に行政であるからこそ、知事であるからこそ、皆さんの財政をお預かりする立場から、お金の問題も考えなければいけません。  2つ目ですが、橋本議員もよく御存じのように、高時川は農業用水を飯浦というところから余呉湖に一たんポンプアップして、それを流すという事業もやっております。ここは、農業用水の利水調整の問題もございますけれども、このあたりのところが、今、新たに農業用水の追加の逆水工事も始まっておりますので、瀬切れ対策において、そちらとの調整ができないかということも一つの検討事項であろうと考えております。  以上2点です。 ◆41番(橋本正君) (登壇)再々質問になるのですが、知事が琵琶湖から農業用水として、土地改良が琵琶湖から余呉湖に水を揚げて、それを田用水に使っているということでありますが、もしこのようなことで、高時川の頭首工から下流における水対策を考えられるなら、実は、とてつもない費用が、あと後年負担で滋賀県にかかってくるわけであります。なぜかといいますと、その工事は国なり県の負担分でできますが、維持管理経費はすべて滋賀県が払うことになるわけであります。  そうしたら、そういう装置はつくったが、金がもったいないから、ポンプを動かさないような装置をつくってどうするのですか。そんなものに瀬切れの水対策を使うなんというのは全く考えられない。もったいない論からいくと、とんでもないもったいないものをつくることに相なってしまうのであります。  こんなことは、我々は、国土交通省から聞かされたときに検討はいたしましたし、そのようなことは、とてつもない、自然に逆らうことであり、とんでもないことに相なろうということで、私どもは最初からそのようなことに対しての興味すら示さないところであります。  知事がおっしゃっているもったいない論からいうなら、物はつくって、あと維持管理費がどれだけかかるか、それをだれが負担するのか、そのようなことも考えた上での御答弁にしていただきたい。もう少し勉強してからお答えいただきたいと思います。  以上であります。お答えください。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)今の瀬切れ対策に対する費用対効果の問題でございますけれども、1秒1トン当たり、どのような単価になるということは、これから検討する価値があると考えております。ダムをつくった場合、あるいは琵琶湖から逆水をした場合、建設費、そして後々の維持管理費、それぞれについては今後の検討課題であろうと考えております。 ○議長(赤堀義次君) 次に、12番西川勝彦君の発言を許します。 ◆12番(西川勝彦君) (登壇、拍手)嘉田新知事への初の一般質問となります。  二元代表制のもと、知事と県議会議員、立場と役割は当然違いますが、その目指すところ、すなわち、その目的は両者ともに共通していると思っております。もちろんその目的は、滋賀県民の幸せを求め、安心、安全の県土づくりをするということですが、ただ、目的は同じであっても、その手段や手法、考え方は微妙に違うものです。いや、かなり違うのかもしれません。  特に今回の知事交代によって、その思いをより感じておられる県民が多いのではと考えますし、そういう私も含めて、何よりも県議会議員皆さんに、一種の戸惑いに似たものがあるのだろうと思います。今までに県議会議員として携わってきた過程を振り返り、一方で行政の継続性などを考えるとき、まさに、一部ではあるにしても、自己否定することを突きつけられているように感じている方もおられるでしょうし、多分、それが普通の人間の感じ方なのではないでしょうか。  そういう観点から、先日の各会派代表による質問では、新知事の基本的なスタンスや、選挙戦で大きな争点となった幾つかの問題点、中でも、特に今までと違った方向へかじを切ろうとしておられることに関し、その方法や可能性などについて質疑応答がなされました。私もその質問内容と、対する知事の答弁を聞いた中で、納得する部分とそうでない部分があります。今後の議論にゆだねるもの、時の経過や執行部の対応をいましばらく見守るしかないものなど、大方の課題が先送りされたとの感じを受けました。  加えて、マニフェストとの乖離、また、余りにも早いマニフェスト内容の大幅な変更など、いかがなものかと感じるとともに、ある種の不安を覚えた点もありました。これは、突然の逆噴射によって、今まで進んできた方向を全く逆に向けようとするわけですから、当然考えられる問題点であると理解はしますが、ただ、今後は予想以上に難しい対応を迫られるなとも感じました。  もう一つ、答弁を通じて感じたことがあります。知事は答弁の中で、私は新人であり素人だ、情報が少なかったとのニュアンスの発言を何回かされたことを非常に残念に思いました。なぜなら、その立場になられたばかりですから、経験のないのは、皆さんわかり切っていることで、それなりの見方をしてくれるものですが、一方で、滋賀県知事という立場になられたその日から100%、いや、120%の力量を求められ、期待されるものなのです。県民の生活は動き続けていますし、県行政は1分たりとも待ってくれません。まして、知事の経験の程度に合わせてくれることなどは決してありません。少々不謹慎な表現かもしれませんが、それこそ、はったりかましてでも正々堂々と滋賀県民138万人のリーダーとして振る舞っていただきたいものです。今後の嘉田知事の手腕が大いに試されることになります。  前置きが少々長くなりました。質問に移ります。  最初は、新幹線新駅についてですが、新幹線新駅建設を凍結することの基本的な点については、代表質問の中でされましたので、私は、付随する幾つかの点について確認をしておきたいと思います。  栗東市での新幹線新駅建設は、長い年月をかけての議論の中で、近隣地域の夢をも担ってきました。すなわち、県南部、少なくとも栗東市、湖南市、甲賀市の発展の起爆剤になってほしいとの大きな期待があり、加えて、半世紀にわたる念願である草津線の複線化につなげたいとの思いもありました。将来への先行投資としての新駅事業が、今、空中をさまよい、同時に、複線化はどうなるのかと、地域住民が関心を持って見ています。さらに、草津線複線化以外にも幾つかの鉄路整備や新駅設置の活動が続けられてきています。そこで、知事にお尋ねします。
     1点目、長い間、調査や要望活動などを続けてこられた草津線複線化促進期成同盟会があり、その会長は知事が当たることになっています。新駅建設の凍結がなされようとする今、そのこととは分離して、草津線複線化事業に対する評価と考え方、そして、あえて取り組みとは言いません、今後の取り扱いについてお聞きします。  2点目、新駅建設が凍結された場合、ある意味、地域のやる気をそぐことにもなりかねません。新駅建設凍結を推進するためには地域の説得が不可欠であります。そのための新駅建設にかわる、いや、それ以上の効果が期待できる滋賀県南部地域の活性化策についての腹案、代案を持っておられるのかどうか、お聞きします。  3点目、これも知事が会長の任に当たることになっていますが、びわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設期成同盟会が調査、要望活動などを推進している事業についての評価と考え方、今後の取り扱いについてお聞きします。  4点目、7月26日の新聞で、東海道新幹線湖東駅(仮称)設置推進協議会の総会が開かれたと報道されました。地理的にも費用的にも、栗東市の新駅はだめだが、湖東駅は必要だとの主張をされたと聞いていますが、時期が時期だけに、栗東新駅凍結の真意はそこにあるのかと感じている県民もおられます。そこで、湖東新駅に対する評価と考え方、今後の取り扱いについてお聞きします。  次に、大戸川ダムについて質問します。  ダム建設の凍結については、これもやはり代表質問にありましたので、新幹線新駅と同じく、ここでも、付随する幾つかの点について確認をしておきたいと思います。  現在、既に大戸川ダムに関連して幾つかの事業が鋭意進められています。さきの国土交通省の発表以後、ダム中止になったらと、地域住民が大きな関心を持ち、かつ心配している事業が幾つかあります。まして、今回、知事が変わり、脱ダムをより推進するとの意思が表明されたのですから、地元としては、より不安になります。そこで、知事にお尋ねします。  1点目、県道大津信楽線のつけかえ工事についての考え方、今後の取り扱いについてお聞きします。  2点目、地域活性化策でもある水源地域整備事業への考え方、今後の取り扱いについてお聞きします。  次に、知事の政治姿勢についてお聞きします。  7月31日の議会運営委員会で、8月4日の一般質問日の議事運営に関して議長から報告があり、当日、知事が他の公務で中座するため、議会を3時半までとしてほしい、したがって、3日と7日の質問日に質問者を多く配分するとお聞きしました。説明によると、明4日午後4時から琵琶湖総合保全小委員会という会議が大津市内で開催され、それに知事が参加されるとのことです。さらに、この会議は、自民党の主催によるものだとも仄聞しています。議会中の他の公務への参加などについては、もちろん知事が最終的に自分自身の責任で判断されることです。しかしながら、議会の日程については、議会運営委員会などで所定の手続を踏み決められてきたものですし、かなり早い時期からその内容については明らかにされています。当然、知事にも議員にもそれぞれの事情があり、また、突発的なこともあって、やむを得ず本会議などを欠席しなければならないときもあることは理解しながらも、全くないとは言いませんが、議会の中断や切り上げは余り例がありません。  知事が本会議の短縮を希望し、中座するということには、それなりというか、かなりの理由がないといけないと考えます。そのあたりの知事の判断ミスや判断基準の不適正さが将来大きく響いてきますし、相手方がそれらを理解しないのなら、政党としての信頼を損なうことにもなりかねません。しかも、中座などの内容が明らかになったときに、県民の納得と支持が得られるものでないといけません。今回はどうなのでしょうか。  百歩譲ったとしても、今議会は知事にとって初めての議会であります。加えて、所信表明でも代表質問でも、それこそ何回も何回も、次のように述べておられます。これらの政策を実現するための基本的な方法は、対話です。あらゆる分野で、議員の皆さんはもちろん、県民の皆さんと対話を重ねる中で、参加と提案の県政を実現いたしますと述べておられます。質疑応答活発な論戦の場、まさに議員との対話の機会に、何となく水を差されたような気になるとともに、その言葉と実際の行動に対して、少なからず矛盾を感じ、違和感を覚えるのは私だけでしょうか。  特に今議会は、新知事登場ということもあって、一般質問に立つ議員もいつもより多いようです。さらに、全国的にも注目されておられる新知事ですから、殊のほか傍聴の方やマスコミ関係者も多く来られている状況です。そんな中、あえて滋賀県議会の本会議を早く切り上げてまで参加しなければならないほど、知事個人にではなく、滋賀県にとって重要なことなのか、また、議会や県民、マスコミをどのように考えておられるのか、知事の見解をお聞きします。  最後に、議第121号知事の給与の特例に関する条例案について質疑します。  マニフェストには、知事の退職金は全額受け取らず、知事報酬は2割削減しますと書かれていますし、その流れの中で、今議会、知事の給与の特例に関する条例案が提出されました。県民との約束を一つでも果たしたいとの思いは十分伝わってきますが、幾つか疑問点もあります。  多くの自治体で特別職の給与等の減額が実施されていますが、それを決めるに当たっては、執行部と議員が財政状況を見、民意を読みながら、かつ、その他の特別職との均衡も図りながら、合意が行われているものと推察しますし、滋賀県でも今まではそれなりの議論がなされた後に議案が提案されてきた経過があります。今回は、マニフェストということもあり、時間の関係もあったのでしょう、知事単独での提出となり、理解はしつつも、少々残念な思いもします。  また、給与減額が時代の流れのようになっていますが、一方で、こういった公職の給与については、むやみに減額すべきでないとの意見もあります。なぜなら、給与の減額や退職金の返上を続けることによって、その立場の魅力が減り、有為の人材を失う可能性もあるという考え方です。財政的に豊かな人でないと、その立場を目指せないということにもつながるからです。  以下、知事への質問に移ります。  1点目、マニフェストについて、公約当時は、現職ではなかったので、情報が限られていた、有権者を欺くものではないと代表質問で答弁されていますが、知事給与が既に18%削減されているということについての情報はなかったのでしょうか。結果、給与に加えて期末手当も同様に減額することは理解しつつも、数字的には18%が20%に、わずか2%の増加ということになります。よく言う五十歩百歩の範囲のようにも感じます。このことについての見解と、20%にした理由、根拠についてお聞きします。  18%削減した額のさらに20%カットの方が、よりインパクトがあるように思いますが、いかがでしょうか。  2点目、マニフェストでは、退職金を受け取らないということになっていましたが、提出議案では、それが外されています。4年先のことだからということのようですが、しっくりいきません。なぜなら、あってはならないことですが、知事といえども人間です。いつ何が起こるとも限りませんし、4年の任期が必ず全うできるという保障はありません。そういったことも念頭において、その理由と見解をお聞きいたします。  以上、質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 12番西川勝彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)西川議員の新幹線新駅についての御質問にお答えします。  まず、草津線複線化に向けてのこれまでの評価と考え方、今後の取り扱いについての御質問でありますが、草津線は、沿線地域住民の皆さんの通勤、通学など、日常生活に欠かせないものであり、地域の企業活動や観光産業などを支える交通基盤であると考えております。したがいまして、この草津線の複線化を実現することは、沿線住民の皆さんの利便性を高め、地域の発展を図る上で重要であると考えております。  この複線化の実現に向けましては、県ならびに関係市町が連携して、草津線複線化促進期成同盟会を結成いたしまして、長年にわたり要望活動等の取り組みが進められてまいりました。これまでのところ、JR西日本による草津線複線化の事業化の決定まで至っておらず、その決定を得るためには、まず、草津線の利用を促進する必要がありますが、一方で、草津線の利用は、平成10年度の1日当たり1万6,447人をピークとして、その後は伸び悩んでいるところであります。そのため、草津線複線化の実現に向けましては、まず、沿線住民の皆さんの利用を促進していただくことが不可欠であると考えております。  同盟会において、全線複線化のための事業費が約319億円と試算されているなど、多くの事業費が必要になると見込まれております。同盟会におきましては、取り組みの方針といたしまして、需要の動向に応じた段階的整備を図るとされています。県といたしましては、今後の取り組みに当たりましては、草津線が沿線地域住民の皆さんの生活に根づいた路線であるということを十分踏まえまして、将来の利用動向、県の財政状況も考慮しつつ、県民の皆さんの理解を得て進めていく必要があると考えております。  あわせまして、同盟会を構成する県ならびに各市町が、ともにそれぞれの役割分担をしながら進めていく必要があると考えており、JRとの調整など、広域自治体としての県の役割を果たしてまいります。  2点目の将来的な新駅建設にかかわる活性化策についてでございます。  所信表明でも述べさせていただきましたが、今、時代は大きな曲がり角に差しかかっており、これまでの右肩上がりの経済から成熟経済の時代へと移ってきております。こうした時代において、私自身は、足元を見詰めながら、それぞれの地域が持つ潜在的な魅力や特性、人々の持つ力を大切にし、これを存分に生かして磨いていくことが必要と考えます。  ポテンシャルの高い県南部地域の活力をどう生かしていくのかということでございますが、この南部地域におきましては、これまでから取り組んできております、大学の集積を生かしたびわ湖南部エリア新産業創出特区における産業クラスターの形成に見られるような施策を引き継ぎ、さらに発展させていくことが必要であると考えております。また、人口増加が続く南部地域の特色を生かして、地域に密着し、雇用に結びつくようなコミュニティービジネスなどの支援を、既存施策を活用することにより行うなど、県民の皆さんと知恵を出し合い、地域の活性化、それにかかわる人々が元気になっていただけるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、3点目のびわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設期成同盟会が調査、要望活動などを推進している事業についての評価と考え方についてでございます。びわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設構想は、米原から湖東、東近江および甲賀地域から京都府南部地域を経て大阪方面を結ぶ、延長約92キロメートルの鉄道新線構想です。平成7年度から11年度に実施した事業化可能性調査において、最も安価な既存鉄道単線改良、新線単線高架でも、事業費は約917億円が見込まれております。  これまで滋賀県と東近江市など関係5市5町で組織する期成同盟会により、その実現に向け、平成元年7月の同盟会設立以来、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。国や京都府に対する要望活動、湖東三山・永源寺周遊観光キャンペーンなど、既存鉄道である近江鉄道、信楽高原鐵道の利用促進のための取り組み、さらに、安全確保や利便性向上のための近代化設備整備事業補助の実施等を展開し、一昨年10月、近畿地方交通審議会答申第8号において、今後の沿線地域の開発動向等に応じ、関係自治体を中心に検討することが適当であると位置づけされたところでございます。  新線構想の具体化につきましては、国の近畿地方交通審議会答申で示されたように、将来の沿線地域の開発動向を見据えながら、既存鉄道の利用状況、県の財政状況を考慮し、県民の皆さんの理解を得て取り組んでまいりたいと考えております。  4点目の湖東新駅に対する評価と考え方ですが、今後の取り扱いについての御質問でございます。  県におきましては、昭和63年に、既存の米原駅のほか、県内に新幹線新駅が2駅必要であり、まず、人口集積が進む県南部地域の栗東での設置を先行するとの基本方針を打ち出しております。この方針に基づき、栗東市での新駅設置を進めてきたところであり、県の長期構想にも掲げていたところです。今般、県の危機的な財政状況から、この新駅設置を凍結の方向で進めてまいりたいと考えており、したがいまして、湖東新駅につきましても同様に考えております。  さて、大戸川ダムの質問でございますが、まず、1点目の県道大津信楽線のつけかえ工事についての考え方、今後の取り扱いでございます。  大津信楽線は、大津市と甲賀市を最短で連絡しておりますので、通勤等の交通量が非常に多く、主要な幹線道路となっております。ところが、この道路は大戸川沿いの険しい谷間を走っており、山が迫り、道路の幅が狭い上にカーブが多く、危険な状況でありますことから、早くから整備が望まれておりました。県では整備の緊急性を十分認識しており、ダム建設で県道のつけかえ計画がありましたことから、ダム施行者である国と県道のつけかえの協議を重ねてまいりました。平成2年度に国と県とで県道つけかえ協議が調いましたことから、ダムのつけかえ道路として県道整備に着手いたしました。  現在まで、ダムサイト予定地より上流約5.2キロメートル区間で工事を進めており、大型建造物が年度内にほぼ完成する予定です。一方、大津市上田上平野町や上田上牧町の集落内は、幅が狭く、家屋が連檐しており、拡幅できないことから、集落を迂回する約1キロメートルのバイパスを、ダム事業とは別に第二名神高速道路沿いに建設を進めております。未着手となっておりますダムサイト予定地と第二名神高速道路沿いのバイパスを結ぶ約3.7キロメートル区間は、工事を実施するための設計をこれから始めることになっております。当初の計画どおり整備が図れるよう、国と協議を重ねているところでございます。  なお、協議に当たりましては、水源地域対策特別措置法、いわゆる水特法に基づく整備計画に位置づけられていることもあり、この意味でも計画どおり事業を進めるよう要請してまいります。  水源地域整備事業への考え方、今後の取り扱いについてでありますが、大戸川ダムに係る水源地域整備事業につきましては、ダム建設事業に伴う地域の基礎条件の著しい変化を緩和し、水源地域の活性化を図るため、また、ダム貯水池の水質の汚濁を防止するために必要な事業として、平成13年に国土交通大臣により、その整備計画が決定されております。その計画において、ダム建設事業のつけかえ工事、大津信楽線の改築工事、大津市の市道、公民館の建設、あるいは信楽町内の公共下水道、土地改良など合計21事業が予定工期として計画されております。平成17年度末では8事業が完成し、事業費ベースでは、総事業費203億円に対して実績額65億6,000万円で、進捗率は32.3%となっております。  このような水源地域整備事業の進捗状況の中で、大戸川ダム建設事業につきましては、水没予定地の皆様は集団移転され、貯水池の民有地もほぼ買収されております。工事用道路等の整備が進められるなど、既に水源地域ではダム建設事業に伴う影響が生じていることから、その影響を緩和するという目的を達成するためにも、計画どおり事業を進める必要があると考えており、今後、国と十分協議を図ってまいります。  次に、私の政治姿勢についてお答えします。  私自身は、今回の県議会を知事就任後、初めて議員の皆さんと議論を行う、とても大切な機会ととらえております。御指摘のありました、あす午後4時からの近畿圏整備委員会琵琶湖保全小委員会は、琵琶湖の現状の評価、今後の保全のあり方、特に来年度に向けての国の予算編成のあり方等を集中的に議論する場であります。  今回の小委員会の開催日は、知事選前から既に決定されていたもので、当初の議会日程では本会議の開催は予定されておらず、常任委員会のみ予定されていましたことから、出席は可能との判断により、議長と前知事が出席することとなっておりました。その後の議会日程の変更により、結果的に本会議における一般質問日と重なってしまいましたが、私といたしましては、当然、議会日程を最優先に考えておりますので、御理解をお願いします。  なお、今回の議事日程につきましては、以上のような事情を踏まえ、議会運営委員会においてお決めになられたものと承知しております。  西川議員の議第121号知事の給与の特例に関する条例案についての質疑にお答えします。  私は、財政再建の問題を第一に掲げ、20年後、30年後を見据えた県政に今取り組むことが必要であると考え、子や孫にツケを残さない健全財政という基本目標をお示ししました。そのために、県事業の大幅な見直しが必要であると考えております。  こうしたことから、國松前知事が月々の給与の18%を減額されていたことは、マニフェストに書きましたとおり存じ上げておりましたが、私なりに県民の皆さんと痛みを共有することが必要と考え、私の任期の期間であります平成22年7月19日までの間、月々の給与の減額につきましては18%から2%引き上げ20%とし、さらに期末手当も、これは前知事の場合なかった部分でございますが、20%の減額を行うこととし、今議会に条例案を提案したものでございます。  なお、20%の減額につきましては、他府県の知事の状況を見てみましても、月々の給料では、減額を実施している42都道府県のうち、20%の減額としているところが9県であり、期末手当では減額を実施している21都道府県のうち、20%の減額としているところが8県となっております。  そして、具体的にどのように減額を行うかという点につきましては、マニフェストに沿った県政運営を行うという立場から、議案として提案いたしました内容とすることが適切と考えたところでございます。  また、2点目の退職金の取り扱いについてでございますが、マニフェストにお示しいたしておりますとおり、退職金は全額受け取らないという気持ちは変わっておりません。また、任期途中で不測の事態が起きることが考えられるのではないかとのお話でありますが、まずは、任期いっぱい県政にしっかりと取り組んでいくことが私の使命であると考えております。こうしたことから、この就任直後の議会に、すぐに条例案を提案しなければならないほど緊急の必要はないと判断したものでございまして、今後、適当な時期に議会に提案させていただきたいと考えております。  以上、西川議員の質問に対する知事答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(赤堀義次君) しばらく休憩いたします。   午後3時53分 休憩     ─────────────────   午後4時18分 開議 ○議長(赤堀義次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、31番清水克実君の発言を許します。 ◆31番(清水克実君) (登壇、拍手)まず最初に、マニフェストについてお伺いいたします。  今議会でもマニフェストについての質問が多数されていますが、何しろ本格的なマニフェスト選挙は今回が初めてのことでもあり、今後、本県においてローカル・マニフェスト政治が展開されていくに当たって共通の土俵づくりが必要かと思われます。  さて、嘉田知事は、当選後、事あるごとに、マニフェストを実現することが嘉田県政の仕事と発言される一方で、マニフェストはたたき台、ツールであるとも表現されています。さきの代表質問でも答弁されましたが、改めてマニフェストは事後検証可能な政権公約と認識されていると理解してよろしいのでしょうか。まず最初にお尋ねいたします。  いまだそれほど普及していないとはいえ、ローカル・マニフェストには、選挙期間中の変更禁止、事前評価の実施など、幾つかの約束事があると承知しているところでありますが、知事はどのような所見をお持ちでしょうか。  また、一度公表されたマニフェストは基本的に変更あるいは訂正というのはないわけであります。当選後は、評価の世界に入ります。やむを得ない事情で変更、訂正が生じたとしても、議会答弁で変更するべきものではありません。第一義的には、公約した相手方に説明をする責任があると言えます。  知事は常々、挑戦者は権力サイドにはいないので、情報の質と量には差があることを理解願いたいと発言されています。果たしてそうなのでしょうか。一昔前と違い、情報公開もかなり進捗し、今やネットによって大抵の情報は入手できるようになっています。ましてや、かつて県職員であり、大学教授という立場からすれば、現職知事と比べて、その立場には余り遜色がないのではないでしょうか。地方公務員のうち、教員と警察官の数がある程度定められていることは、県の仕組みに、あるいは地方自治に興味がある人なら周知のことであり、県体制内にいなかったので計算に入っていなかったというのは、いかがなものでしょうか。現に知事は、当選直後の新聞社のインタビューに、県職員として20年働いた。学究というより、私は行政マンなのですと答えておられます。  次に、マニフェストはまさに検証されるためにあると言っても過言ではありません。事前評価、1年目、2年目、3年目の実行過程、すなわち事中評価、4年後の事後評価。マニフェストを検証するためには、その方法について考えておく必要があります。松沢神奈川県知事は、有識者5名、公募による県民6名で組織される松沢マニフェスト進捗評価委員会に委託される方法を選択されています。嘉田知事は、自身のマニフェストについてどのような検証方法を想定されているのか、お尋ねいたします。  次に、マニフェストは、一般政策と同様、それぞれが関連しているものでもあります。住んでいる地域により、あるいは職業により、性別により、受けとめ方はさまざまであると思われます。新幹線新駅を第一と言う人もいれば、1,850人の職員削減がまず最初という人、あるいは、教育を重視する人は、35人学級の実現を最重要視した人もいるに違いありません。もちろん優先順位や達成年度による差はありますが、マニフェストの中で、新幹線新駅を初めとする3つの公約と、その他について、知事は区別し過ぎておられるのではないでしょうか。  改めて、選挙後、京都新聞に掲載されました秋月京都大学教授の記事を引用いたしますと、今回の知事選は、新幹線新駅への賛否がシングル・イシューのように扱われ、有権者の関心も高まった。しかし、新駅は、オリンピックや空港の是非と異なり、唯一の争点とするには規模が小さく、それだけで滋賀県の命運を左右する問題とは思えない。新駅問題は、県が直面している財政問題の一つの部分にすぎず、任期4年間のテーマにはなり得ない。候補者はシングル・イシューでも勝てるが、シングル・イシューの知事はあり得ない。公約とした新駅凍結も、起工式を終えている以上、相当な困難が伴う。新幹線新駅のシングル・イシュー知事となってしまうと、県民にとって損失が大きいとコメントされています。まさに同感であります。知事の感想をお聞きいたします。  次に、今回の知事マニフェストの主要部分、政策提案では、すべて、年表示について西暦が使用されています。その理由についてお伺いいたします。  さらに、知事は今後、政府および滋賀県が使用している年号を採用せずに、西暦を使用されるおつもりなのか、あわせてお聞きいたし、マニフェストについての質問を終わります。  次に、医療制度改革についてお伺いいたします。  超高齢社会への移行、依然として増嵩する国民医療費、拡大傾向にある医療サービスの地域格差、国民の医療への期待感の高まりなどを背景に、さきの国会で、健康保険法等の一部を改正する法律ならびに良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律が可決されました。国民皆保険制度や、現行のフリーアクセス制度を将来にわたって堅持するため、一連の医療制度改革がスタートしたところであります。  折しも、今知事選に当たって、知事は、県内医療の諸課題を認識され、そのマニフェストにおいて、あらゆる階層、滋賀県内外の専門家参加による滋賀県医療政策大綱策定委員会で審議し、滋賀県医療政策大綱を策定。その大綱に基づき、医療制度を整備、改革。平成19年、20年の2カ年で策定、21年~24年で集中改革との方針を示されています。地域医療において深刻な問題を抱える高島市民といたしましては、まことに心強い政権公約であり、できるかできないかではなく、やるかやらないかということでありますから、やるということで、この先、大いに期待を申し上げているところであります。  さて、このような大胆なマニフェストをあえて掲げられるということは、県内医療についてよほどの大きな懸念を有しておられるゆえと拝察する次第であります。  まず第1に、知事は、滋賀県医療の現状と将来についてどのような認識をお持ちなのか、お聞きいたします。  次に、さきに述べましたように、さきの国会で医療制度改革関連法案が可決され、安心、信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現などの基本的な考え方をベースにした医療制度改革大綱に基づき、一連の改革が既に始まっております。知事が公約された滋賀県医療政策大綱とはいかなる内容で、また、今般の医療制度改革との関連はどうなるのか。既に始まっている改革と、平成20年に策定されようとしている滋賀県医療政策大綱との時間的なずれは問題がないのか。さらに、県の大きな仕事の一つとして、医療費適正化計画の策定が求められていますが、本計画との整合性はどのように図られるのか。また、本県で既に策定されている、この先5年間の健康福祉指針、滋賀県健康福祉総合ビジョンとは整合がとれているのか。以上、主に医療制度改革や県の指針と滋賀県医療政策大綱との関係についてお尋ねいたします。  第3点目に、政策医療と一般医療についてお伺いいたします。  言うまでもなく、政策医療という用語は、政策として実施する医療という意味ですが、では具体的に何を示すかというと、これは意外と難しいような気がいたしております。厚生労働省国立病院部政策医療課では、政策医療を、がん、循環器病、精神疾患、災害医療、エイズなど19分野を政策医療として位置づけていますが、そのほとんどは、今日、一般民間病院も手がけ、かつ一般医療として、公的病院よりも高度、専門化、かつ充実しているところも珍しくありません。それは、本県の成人病センター周辺に展開された病院群をごらんいただければ一目瞭然かと思います。  今議会に県立3病院の決算が上程されていますが、多額の県負担、累積赤字が計上されています。知事が開口一番提唱されている財政再建をなし遂げるためには、政策医療改革も欠かすことができないと思慮されます。一方、一般的には、よき医療には多額のお金が必要であります。知事は、政策医療と一般医療について、本県の実情に照らして、どのように認識され、さらには、滋賀県医療政策大綱、これはいまだ策定されておりませんが、察するに、多額の費用が見込まれると想定されますが、財政再建との関連ではいかがお考えでしょうか。  最後に、教育における機会の平等につきまして、教育委員会委員長にお伺いいたします。  過般の平成18年度予算特別委員会において、教育長は、片道一、二時間の通学時間は、教育の機会均等を妨げるものではない、本県においては教育の機会均等は保障されていると認識していると答弁をされましたが、教育委員会委員長も同様の御認識でございましょうか。  以上をお伺いして、一般質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 31番清水克実君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)清水議員のマニフェストについての御質問に、まずお答えいたします。  マニフェストに対する私の認識でございますが、私自身も事後検証可能な政権公約と認識しております。したがいまして、事後検証可能な具体的目標や方法、財源などを明示したマニフェストを作成し、県民の皆さんに御提示すること、その実現に向けて誠心誠意取り組むこと、そして、達成状況などをマニフェストを基準に検証、評価することが求められていると考えております。  その実現に当たりましては、マニフェストを反映した新たな基本構想を策定することとしており、その策定に際しましては、議会において御審議いただくことはもちろんのこと、県民の皆さんから御意見をいただく機会を設けることを考えております。この過程におきまして、マニフェストと県の政策との間に、そご、違いが生じました場合は、県民の皆さんに真っすぐに向き合い、その理由などについて十分説明責任を果たしていく覚悟でございます。  どのようにマニフェストの検証をしていくかということでございますが、ローカル・マニフェストの歴史は、清水議員も御指摘のように、始まったばかりで、滋賀県においては初めてだろうと考えております。まだまだ発展途上にあり、その検証、評価についても定まった方法はございません。私としては、議員から御紹介いただきました松沢神奈川県知事がなされている、有識者と公募県民から成るマニフェスト進捗評価委員会による第三者評価などの先行事例を参考に、地域の状況にふさわしい方法を検討して、しっかりと「かだ由紀子マニフェスト」の検証、評価を行っていきたいと考えております。  次に、3つの緊急提言とほかとを区別し過ぎではないかとの御質問でございますが、私自身は、マニフェストの分量あるいは書き方の中にも出してございますように、3つの緊急提言、40の政策提案をお示ししました。そして、その3つの緊急提言は基本姿勢として提示しつつ、マニフェストに掲げているすべての提案政策の実現に向けて誠心誠意取り組むことが私の使命と考えております。  また、シングル・イシューに関する問題でございますが、シングル・イシューの選挙であったかどうかという評価は、県民の皆さんの評価に依存するわけでございまして、そのような調査を私自身もまだしておりません。そのようなところで、今回の調査あるいは選挙活動における、投票行動におけるシングル・イシューの課題というのは、今後、皆さんとともに調査をしていき、また、その方向について議会の皆さんとも御相談させていただき、より充実したマニフェスト、そして、選挙におけるシングル・イシューの問題についても考えさせていただきたいと思っております。  マニフェストに西暦を使用している理由についてでございますが、県では、平成13年、すなわち西暦2001年の1月1日から、公文書に用いる敬称等の取扱方針に基づき、年号と西暦を併記することを原則としており、私もその方針を存じ上げておりますが、マニフェストの中で西暦を使いましたことは、大きな他意はございません。  また、医療制度改革についての質問でございますが、まず、現状につきましては、これまで救急医療、僻地医療対策、公的病院の整備、さらには看護職員を初めとする保健医療従事者の確保など、順次、医療体制の整備を図ってきたところでございます。また、2次医療圏ごとに公立・公的病院を地域の中核病院として一定の整備を行ってきたと理解をしており、県民の皆さんの身近なところで、安心、安全の医療が受けられる体制の確保が進められていると考えております。  医師配置につきましては、医療法に基づく医師配置適合率が、本県では平成16年度で95.2%と、全国平均の83.5%を大きく上回り、県全体としてはおおむね充足してきていると考えております。とはいえ、2次医療圏域ごとに人口10万人当たりの医師数を見ますと、大津圏域では332人となっており、甲賀圏域では112人で、大津圏域の3分の1、東近江、湖東、湖西圏域では約2分の1の医師数となっており、地域間の偏りが見られます。さらには、地域によりましては小児科や産科などの特定診療科の医師が不足状態にありますことも、よく承知してございます。  次に、本県の医療の将来についてでございますが、高齢化の進展や生活習慣病の増加傾向などにより、有病者数が伸びることが予想され、医療需要が増大するものと考えています。こうしたことから、持続可能な国民皆保険制度を維持していくためには、医療費の抑制や医療機関の機能分化など、避けて通れない課題があります。同時に、地域においては地域医療の確保や、在宅医療を含めた医療連携、特定地域や特定診療科の医師不足の解消などが重要な課題となっております。  医療制度改革や県の指針と医療政策大綱との関係──マニフェストに書かせていただきました医療政策大綱との関係ですが、国においては、国民医療費の動向が国民所得を上回る伸びを示していることから、安心、信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現の3つを基本方針として、関係法令の改正が行われたところでございます。  県では、これら関係法に沿って、医療資源の確保や療養病床の再編成などの医療提供体制を総合調整する保健医療計画の改定、患者予備群の減少や在院日数短縮など、医療費の適正化を進める医療費適正化計画の策定などを行うこととしております。  マニフェストで言う滋賀県医療政策大綱は、医療体制の整備、改革を行うとともに、地域の医師不足を解消することを主要な目的としており、患者の視点に立った、安全、安心で質の高い医療が受けられる体制の構築を主眼とする国の医療制度改革は、まさに私の医療政策大綱で目指そうとしたものと共通でございます。  今後、地域の実情を踏まえながら、保健医療計画の改定、医療費適正化計画の策定などを行うこととしております。これら一連の計画は、県の保健医療政策の方針や、具体的実施計画を策定するものでありますことから、これらを総称して医療政策大綱と申し上げているものでございます。  また、現在策定中の滋賀県健康福祉総合ビジョンとの整合も、今後図ってまいりたいと考えております。
     また、計画期間につきましては、保健医療計画や医療費適正化計画などの計画期間が平成20年度から平成24年度までの5年間となります。  次に、政策医療と一般医療についてでございますが、政策医療は、その時代において県の医療政策として担うべき位置づけを与えられており、がんや循環器疾患に関する高度・先進医療、感染症などに関する特殊医療、僻地医療、救急医療などの、民間だけでは対応が困難な領域の医療を担い、もって県民福祉の向上を図ることと考えております。また、財政再建との関連につきましては、政策医療として受け持つ領域に多額の費用が見込まれる場合におきましても、それぞれの内容を十分見きわめながら、厳しい財政状況ではありますが、必要なものには優先して資金を投入してまいりたいと考えております。  今後、県としましては、良質な医療を提供できる体制の確保に努めるとともに、県民の皆様に安心、安全の医療を提供し、医療の信頼の確保にしっかり取り組んでまいりたいと覚悟しております。  以上、清水議員への答弁とさせていただきました。ありがとうございます。 ◎教育委員会委員長(高橋啓子さん) (登壇)教育における機会の平等についての御質問にお答えいたします。  県立中学校の通学時間に関しまして、さきの予算特別委員会で、今津から守山中学までどれくらいの時間がかかるとお考えですかとの議員の御質問に対しまして、教育長の答弁では、さまざまな方法があると思いますが、1時間から2時間以内と考えておりますとお答えしております。そこで、教育の機会均等等から見て、片道1時間から2時間の通学時間の実態をどのように認識するかとのお尋ねでございますが、私といたしましても、教育を受ける機会の均等を確保することは大変重要なことと考えております。県立中学までの通学時間が2時間近くに及ぶとなりますと、生徒自身の疲労や通学経路の安全面の心配など、保護者の負担も大きなものと考えられます。また、これらが行きたい学校に行けないという原因の一つになっているとすれば、即応できることから何らかの対処をと考えます。  このため、例えば湖西地域から県立守山中学校への通学をできるだけ便利にするために、堅田駅から守山駅までのバスの運行をバス会社に働きかけ、平成16年10月からびわこ横断エコバスが運行されております。ただ、その実情を見ますと、下校時などのバスの運行回数が少ないことなどもあり、十分な利用がなされているとは言いがたい状況でございます。  こうした実態を踏まえまして、教育委員会といたしましては、現在3校設置しております中高一貫教育校をあと2校、地域バランスも考えまして、大津・湖西地域および湖北地域にそれぞれ1校設置するということで鋭意検討を進めているところでございまして、できるだけ早く具体案をお示ししたいと考えております。 ◆31番(清水克実君) (登壇、拍手)マニフェストの件なのですが、共通の理解に立てば、マニフェストは、この議会の席上で、議員の質問に答えて変更するものではないと思うわけです。知事、いかがでしょうか。  それから、医療政策大綱の件なのですが、実は、国の方針に基づいて県がこれから策定します医療計画、それから健康増進計画、介護保険事業支援計画、いわゆる3計画との整合性でいえば、合わないのです。医療計画の方は、平成20年から、これは既に始まるわけでございます。データ収集の分析とか、事業に今既に入っております。医療政策大綱というのは、平成19年、20年で策定されて21年からやられるということになりますと、主要な県の政策であります医療計画と、まず整合性がとれないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  それから、健康増進計画、介護保険事業支援計画については、既に始まっておりまして、平成18年度が調査、それから19年度にその結果を公表して、これも20年度から一斉に、新しい、今回の医療制度改革に伴う方針によって改正するということになろうかと思うのですが、これも合わないわけです。その点についてどのようにお考えでしょうか。  以上2つ、再質問をいたします。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)清水議員の再質問にお答えいたします。  マニフェストのチェックでございますが、先ほどの答弁でもお示ししましたように、何らかの評価の委員会、第三者的な委員会などをつくりまして、そちらにおいて評価をしていただくという方向を考えてございます。  それから、医療政策大綱と、今の県の政策についてでございますけれども、国の医療制度改革により、現在、保健医療計画の改定、医療費適正化計画策定、そして、健康増進計画の見直しなどが進められているわけですが、私どもが示しました医療政策大綱の中では、特に地域の医師不足を解消することを目的としておりまして、その年度的なすり合わせなどをもこれから進めさせていただきたいと考えております。 ○議長(赤堀義次君) 次に、13番岡崎基子さんの発言を許します。 ◆13番(岡崎基子さん) (登壇、拍手)嘉田知事の施政方針説明、代表質問での答弁を受けて、施政方針に基本的に賛意をあらわさせていただく立場から、3点にわたって、改めて知事に今後の県政運営の方針を伺います。  まず、第1点目は、大津市栗原地先の大型ごみ焼却施設建設に関して凍結を強く支持する立場から、凍結後の方向性を伺います。  私は、平成15年、県議会議員選挙で大型焼却施設の建設に反対する立場を公約に掲げ、住民の代表として、この場に立たせていただいています。それからは、この施設が建設されないことにあらゆる努力を重ねてまいりました。その立場から、知事の公約である凍結が確実に実行されることを、県民の皆様とともにしっかり支援していきたいと考えますが、凍結後の姿はどのようなものになるのか、旧志賀町民にとっては大いに気になるところです。  そこで、改めて知事に、凍結後の栗原地先の県有地について、どのような利用方法をお考えなのかを伺います。  私は、この栗原の県有地こそ、地元の人々とともに、県指定里山保全地区に指定されることにより、里山保全のモデル地域として、さまざまな活動拠点の一つに挙げることができないだろうかと思っています。いかがでしょうか。  次に、知事に、マニフェストに掲げられました、すべての小中学校を35人学級にすることについて、私は早期にこの35人学級の実現が達成されることを願っています。この願いは、すべての小中学校に通う児童生徒およびその保護者も同様だと思います。そこで、マニフェストのかかわりも含めて、嘉田知事に伺います。  まず、来年度からのすべての小中学校での一斉35人学級は、現実論としては困難かもしれません。しかし、知事として、政権公約でもあるわけですから、具体的に35人学級実現に向けたプロセスを示さなければならないと考えています。知事であるからには、新人であるからという言いわけは通用しません。100%できなくても、より実現に向けて努力されることが、県民の支持を得られるものと思います。  私はここで、マニフェストに書かれている予算額が少なく見積もられていることを問題にする必要はないと思います。実現できるだけの財源が確保されれば問題はないわけですから。財源確保については、さまざまな事業見直しや人件費削減、入札制度などの改革で可能であると思いますし、少人数学級実現のための財源確保なら、県民も理解されるでしょうし、議会も職員も実現に向けて努力を惜しんではならないと考えます。ただ、ここでは財源確保について伺うものではありませんので、このことは別の機会に譲ることといたします。  私が今ここでお尋ねすることは、およそどれくらいの年限なら、努力すれば全学年で35人学級が実現可能と考えられるのでしょうかということです。いかがでしょうか。  次に、来年度、せめて1学年ぐらいは、35人学級となる学年をふやしていただきたいと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。  最後に、育児サポートの充実について伺います。  先日も高島市内で痛ましい幼児虐待事件が発生し、罪のない子供が親からの虐待によって命を落としました。知事として、こうした事件を二度と起こさないための手だてについて伺うものです。  私はこれまで助産師として、出産後の育児ケアについてさまざまなサポートを行ってきました。若い親にとって、育児に関するさまざまなプレッシャーが、行き過ぎた場合には育児放棄や虐待につながることは大いに考えられます。地域での子育て支援が叫ばれていますが、具体的には、専門的な知識を持った人材の確保が必要ではないかと思われます。地域では、児童相談施設のほかに、児童委員などの活動が期待されますが、助産師、保健師などの協力も必要です。また、退職した保育士や幼稚園教諭などの人材活用も考えるべきではないかと思います。知事はマニフェストで、次世代育成策の中で育児相談体制の充実を表明されていますが、どのような充実策をイメージとして描いておられるのか、お伺いいたします。  次に、健康福祉部長に伺います。  過日の高島市における虐待事件について、未然に防げなかったものかなど、事件の経過を含めて伺います。  また、今後、どのような具体的な手だてが担当部局として必要だと考えておられるのか、実現可能かどうかの判断は一たん避けて、ある意味、理想的な対策をどのように思い描いておられるのかをお伺いいたします。  以上で質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 13番岡崎基子さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)岡崎議員の3点の御質問にお答えします。  1点目の大型ごみ焼却施設建設の凍結についてであります。  凍結後の大津市栗原地先の県有地について、どのような利用方法を考えているかとのことでございますが、栗原地先での焼却施設整備につきましては、まずは循環型社会の仕組みを確立することを優先しまして、その計画を凍結したいと考えております。このため、まず、県南部地域での一般廃棄物と産業廃棄物の対応につきまして、資源循環を進める方針のもと、関係市であります県南部の5市や産業界などの関係者との検討を行い、ごみの減量化やリサイクルなど、具体的な取り組みを進める必要があると考えております。  循環型社会、私の言葉で言い直しますと、「もったいない」を生かす社会の実現については、何よりも、県民の皆さんや企業の皆さんにその意識を持っていただき、自主的、積極的な取り組みを進めていただくことが大切です。そして、これらの活動が社会的な関心を呼び、大きな県民運動となりますよう、ぜひとも地元の皆さんの御理解と自主的な活動をお願いしたいと思います。  これらの検討結果を踏まえた上で、その効果を見きわめ、施設整備につきましても、民間、市町、県の役割分担を整理し、施設のあり方について考えてまいります。したがいまして、今、早急に計画地を特定の目的に利用するということは、このような取り組みを進める上で、これからの方向を模索する段階ではないかと考えております。  2点目の少人数学級の早期実現についてでございます。  本県の公立小中学校における少人数学級編制につきましては、まず、小学校1年生および中学校1年生について、平成15年度から35人学級が導入され、さらに、本年の4月からは小学校2年生にもこの制度が拡大されております。その中で、同時に各小学校では小学校3年生から6年生のうち、いずれか1つの学年を学校ごとに選んで35人学級が実施できるようになっていると承知しております。  そこで、まず、お尋ねの、およそどれぐらいの年限なら、努力すれば、全学年で35人学級が実現可能と考えているかということでございます。先般の代表質問の中でお答えしましたように、人件費、また、教員の確保など、さまざまな課題がございますが、具体的には、1年間に数億円という大変な予算を必要とする、そのような中で、これから年次計画なども含めまして教育委員会の方で検討を進めていただくということにしております。今、どれくらいの年限でいつまでにということは、計画としてでき上がる準備ができておりません。私といたしましては、この35人学級を実現していくため、今の教育をめぐるさまざまな課題にしっかりと責任を果たしていくという、その大変大事な条件整備というふうに考えておりまして、できるだけ早い時期に実現をさせていきたいという思いを持ち続けております。  来年度、せめて1学年ぐらいはふやせないかというお尋ねでございますが、これから教育委員会の方で検討を願う中で、35人学級にする学年をふやせるよう、その具体的な手だて、工夫などにつきまして、適切に判断してまいりたいと存じます。  さらに、育児サポートの充実でございますが、まずは、高島市で発生いたしました児童虐待事件は、まことに痛ましく、亡くなられたお子様の御冥福をお祈りいたします。二度とこのようなことが起こらないよう、しっかりとこの事実を検証し、今後の対応に生かしていかなければならないと考えております。  御質問の、子育て家庭への育児支援でございますが、現在、県や市町におきまして、母子保健事業の一環として、保健師による訪問指導や市町での乳幼児健康診断の場など、さまざまな機会をとらえての子育て相談を行っております。また、保育所や児童館などに併設する地域子育て支援センターでは、保育士資格などの専門的な知識を有した職員による子育て家庭の育児支援が行われております。県におきましては、本年6月1日に、子供が健やかに育ち、安心して子育てができる環境づくりを進めるため、子ども・子育て応援センターを設置し、広範な子育て支援情報の提供、市町の地域子育て支援センター職員の研修を行うとともに、子育て家庭の育児不安に対しての電話相談、面接相談など、きめ細やかな相談体制の充実を図っているところでございます。  このように、行政がかかわって行う子育て家庭への育児支援に加えて、地域の中におられる助産師や、退職された保育士、幼稚園教諭の皆さんなど、たくさんの方々の力をおかりして、社会全体で子育てを支援していく取り組みはとても大切であると思っております。子育てをしている人がいつでも気軽に、できるだけ身近な場所で支援を受けられる仕組みづくりを進めることにより、安心して子育てができ、子育ての喜びや楽しみが実感できる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。  その本質は、子供たちの育つ力、損なったらもったいない。その内容のところ、2点、親の内面世界を充実する、この原理、そして、あわせて、子育てに伴う社会的な不公平、そこのところも、経済的あるいは社会的な側面まで含めての支援が必要と考えております。  以上、岡崎議員の質問に対する答弁でございます。ありがとうございました。 ◎健康福祉部長(谷口日出夫君) (登壇)高島市において発生いたしました児童虐待事件についてでございますが、この件につきまして、中央子ども家庭相談センターや福祉事務所がかかわってきたケースだけに、非常に残念で、ただただ、亡くなられた児童の御冥福をお祈りするばかりでございます。このようなことが二度と起こらないよう、しっかりとこの事実を受けとめ、今後の対応に生かしていかなければならないと強く思っているところでございます。  この事件の経過についてでございますか、この家庭は、第1子誕生時より母親の養育に心配な面があり、ネグレクトが起こるおそれがあるとの判断から、中央子ども家庭相談センターや、高島市、当時の新旭町が手厚い支援を行ってきたものでございます。今回、死亡されました第2子については、母親に2人の乳幼児を育てることへの育児能力の不安があり、また、第2子が病弱であったことから、出生後間もない平成16年1月から、母親の同意のもと、乳児院への入所措置がとられたところであります。  事件の約1年前より、母親から家庭への引き取りの強い希望があり、約7カ月間に8回、延べ45日間にわたって家庭へ返し、母親の養育力や養育意欲を確かめたところであります。また、その間に、母親が結婚し、経済的にも安定し、養父と第2子との関係も良好であったことから、本年5月、中央子ども家庭相談センターは、家庭へ引き取り後も養育状況を確認するため、保育所入所や家庭訪問の受け入れの条件を付した上で入所の措置を一たん停止し、家庭への引き取りを決定したところであります。  その後、中央子ども家庭相談センターや高島市は、電話では頻繁に両親と話をすることができましたが、さまざまな理由を言われて、家庭訪問による両親との面接ができず、第2子にも会うことができない状態が続いていました。こうした中、7月5日の事件当日に、病院から警察に児童虐待の通報があり、従前より母親の養育能力の不足により支援を要する家庭ととらえていたケースにおいて身体的虐待が行われていたことを初めて知ったということであります。  結果としてこのような事態に至ったことは極めて残念であり、県を初め、関係機関は重く受けとめなければならないと思っております。その意味では、他に何らかの方法がなかったのかという思いを持っているところでございます。  次に、今後の具体的な手だてについてでございますが、まず、この事件を受け、緊急対応といたしまして、子ども家庭相談センターや市町に対しまして、児童虐待はもとより、すべての相談ケースについて、緊急度、重症度、および児童虐待のおそれがないかの再点検をお願いしたところです。また、この事例を検証するため、7月15日から、学識経験者、弁護士および医師など9人の委員で構成する児童虐待死亡事例検証委員会を設置して、現在、検証作業を進めているところでございます。この事例のどこに問題があったのか、また、他にどのような対応が考えられたかなど、早急に洗い出し、今後の児童虐待防止対策に生かしてまいりたいと考えております。  児童虐待にはさまざまなケースがあり、その対応については非常に難しいものがあり、理想的な対応はこうだと一概には言えませんが、児童虐待が本来子供を守るべき家庭で起きることから、課題は家庭にあるとはいえ、子ども家庭相談センターや関係機関は、子供を守る最後のとりでであるとの認識を強く持ち、あらゆる事態を想定した対応をとることが重要であると考えており、今後、再びこのような痛ましい事態が起こることのないよう、一層危機感、使命感を持って対応してまいりたいと思っております。 ◆13番(岡崎基子さん) (登壇)高島市の事件について、電話で問い合わせたというところは、私としてはすごくずさんな感じがします。例えば、おうちの人が訪問を拒否されたとしても、隣近所の人に聞き合わせ、そういうところで発見が早くできたのではないかと思いますが、健康福祉部長にお聞きいたします。 ◎健康福祉部長(谷口日出夫君) 再質問にお答えいたします。  電話で問い合わせたということよりも、電話で、訪問をしようということで日程調整をしたけれども、なかなか、言い逃れと言うとおかしいのですが、いろいろなことを言って会えなくて、そのときに電話でいろいろやりとりをしているということで、本来は面接をしたいということで、何度も何度も問い合わせをしたということでございます。  また、隣近所の人に聞くということでございますけれども、申し上げましたように、当初はネグレクトというおそれということでございまして、それで、ネグレクトの対応ということで頻繁に今までも行っていましたので、医療機関からの通報によって初めて虐待があったことを知り得たということで、そういう事実でございます。  以上でございます。 ○議長(赤堀義次君) 次に、3番福本庄三郎君の発言を許します。 ◆3番(福本庄三郎君) (登壇、拍手)厳しい選挙戦を勝ち抜かれ、このたび見事に滋賀県知事に当選されました嘉田知事、さきの当選証書授与式で、県民の支援の重責を感じている、後世に残るような県政をしたいと抱負を述べておられました。行政の長として、138万6,042人の県民の生命、財産を守り、生活、文化の向上を図りながら、住みよい滋賀へと、県民皆様の期待にこたえていただきますよう、お願いいたします。これからの滋賀がどうなっていくのか、県民の期待も大変大きなものがある反面、不安も同じように大きいのも事実であります。学者としてではなく、知事としての手腕に期待をいたすものであります。  それでは、2点ほど質問をさせていただきます。  1点目は、草津線複線化について、知事の所見をお尋ねいたします。先ほど似たような質問がありましたが、地域で複線化を推進してきた者として、重ねてお尋ねいたします。  1つ目は、國松前知事は草津線複線化期成同盟会の会長であり、今日まで複線化について活動されてきましたが、新聞によりますと、嘉田知事は新幹線新駅促進協議会会長を辞退する、いわゆる充て職は受けないと言われたことが載っておりました。知事のマニフェストに書いてあるように、地域間格差解消のため、草津線を複線化期成同盟会の会長として複線化を推進されるのか、それとも辞退されるのか、お尋ねいたします。  2つ目は、草津線複線化について、昨年、議会においてこの質問をいたしましたが、新知事になった今、再度お尋ねいたします。  新幹線新駅は、草津線複線化につながる一つのステップと前知事は都度言われてきました。滋賀県の鉄道整備は、琵琶湖環状線も完了し、残すところ、草津線の複線化と(仮称)琵琶湖京阪奈線となりました。草津線は、滋賀県南部の草津駅と三重県伊賀市柘植駅をつなぐ延長36.7キロメートルの単線軌道で運行されており、平成16年度で1日当たり1万5,920人の乗車数があります。この甲賀地方、今、第二名神が平成20年開通を目指して急ピッチで工事が進められており、長年、陸の孤島と言われてきた、この甲賀地方にもやっと春が訪れようとしており、万年渋滞の国道1号の渋滞解消にも寄与することになり、さらに、近畿と中部経済圏、特に元気な三重経済圏とを結ぶ基幹道路としての役割を大いに期待されているものであります。  一方、鉄軌道においては、全線単線軌道で、貴生川から柘植までは昼間は1時間に1本の電車の運行であり、運行している車両も、本線を走る電車から大変見劣りのする車両であり、上下横揺れ、非常に激しいローカル路線であります。地域発展は鉄軌道、道路がそろって初めて相乗効果が出てくるものと確信しているところであり、甲賀地方沿線自治体の発展と体力アップを図るには、ローカル線の整備は欠かせないものであり、沿線自治体、沿線住民人口十七、八万の悲願でもあります。  知事のマニフェストには、甲賀、湖東、湖北、湖西地域に、2010年度までに100社の企業誘致を積極的に行うとありますが、そうなれば、鉄軌道による大量輸送の必要性がますます大きくなり、また、環境面からも非常に大切なことであります。そうした中、沿線市町でつくる草津線複線化期成同盟会にて、今日まで複線化の活動を、知事を筆頭にしてこられましたが、この複線化、県が主体ではなく、JR西日本の意向に大きく左右されますが、沿線市町だけで進めていくにも限度があり、何としても県の物心両面の協力で具体的な支援が待ち望まれるところであります。  そのようなことから、県土の均衡ある発展と誘致企業運動の円滑化のため、今後の草津線複線化について、新知事が誕生された今、新幹線新駅凍結を打ち出されている知事として、どのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。  2点目は、道路整備についてお伺いいたします。  1つ目は、地方道、生活道路の道路整備は、その地域の方々が、地域発展のために、利便性の向上や、特に安全対策などのために、長年にわたり要望などをしてこられた経緯があります。その思いは、地域に住む人々や関係者にとっては切実なものであります。地域社会に活力を生み、それによる経済的波及効果と、さらに、住民福祉や安全対策上、道路整備は必要不可欠であり、とまってはなりません。  知事のマニフェストによりますと、県道は交差点改良、歩道工事を最優先に取り組むとありますが、それはそれで大変大切なことでもありますが、新規事業はともかく、今日まで一部改良されて途中で放置されたものや、両端が整備され、真ん中が放置された道路などもあり、早期着工や早期完成が望まれるものであります。  公共事業は諸悪の根源のように言われておりますが、決してそうではありません。特におくれた中山間部においては必要不可欠なものであります。また、そうした工事にかかる業者も、防災や災害対策などのために確保する必要もあるのではありませんか。知事のマニフェストには、ダムを中止するかわりに、洪水防止のため、河川の河床を掘り下げる工事を発注し、それ相当の工事を確保すると記載されていますが、先日の代表質問で吉田議員が質問したように、現実には工事費がかさみ、不可能なことと思われます。  知事のマニフェストでは、孫や子が生きる20年後、30年後を見据えた政治こそが今求められていると書いておられますが、財政改革も大切なことでありますが、将来のためにも投資は絶対に必要であり、さらに、地域経済に与える経済効果も大きいものがあります。その一つが、20年後、30年後を見据えた道路整備を推進する大切な施策ではないでしょうか。  新任されました土木交通部長に、改めて、道路整備に関する所見をお尋ねいたします。  次に、合併による県道の市町への移管について、お尋ねいたします。  知事のマニフェストには、合併による県道と市町の位置づけを見直すとありますが、確かに、合併が進み、それまで各町間を結ぶ県道は、同一市内を走る道路となりますが、これとて県サイドで一方的にするものではありません。各市町と十分協議の上、進めなければならないことであります。一方、町道でありながら県道と変わらぬ幹線道路となっている町道もあり、ひっきりなしに大型自動車が通っております。余りにも多い通行車両と、車両の重量化で、道路はよく傷み、安全対策上大きな問題にもなり、補修費も大きな負担として市の財政を圧迫しております。県として県道の見直しをするかわりに、広域的な市町道は県道とする必要があると思いますが、この点につきましても土木交通部長にお尋ねいたしまして、質問を終わります。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 3番福本庄三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)福本議員の御質問にお答えします。  まず、草津線複線化についての御質問でありますが、草津線は、沿線住民の皆さんの日常生活や経済活動に欠かすことができない重要な交通基盤であると考えております。この草津線の複線化を実現することは、沿線住民の皆さんの利便性を高め、地域の発展を図る上で重要であるとされ、その実現に向けまして、県ならびに関係市町が連携して草津線複線化促進期成同盟会を結成いたしまして、長年にわたり要望活動等の取り組みが進められてまいりました。  そこで、1点目の草津線複線化促進期成同盟会の会長として複線化運動をするのか、辞退するのかという御質問でございますが、現在、同盟会の規約では、会長は滋賀県知事を充てるとされているところです。いわゆる充て職と言われるもので、自動的に滋賀県知事が会長に就任することとなっているものですが、県と市町は対等の立場でございますし、目的に向かって前進を図ろうとするなら、ともに同盟会を構成する自治体として、それぞれ役割分担をしながら進めていく必要があると考えております。例えば、複線化を進めるためには、まず利用者増を図る必要がありますが、そのためには、沿線住民の皆さんの機運を盛り上げ、利用促進を図ることが大切であり、地元市町が主体的、主導的に取り組みを進める方が効果的な場合もあると考えます。今後、関係市町と同盟会において複線化を進めるための効果的な方策を考えていく中で、会長就任の件につきましても協議してまいりたいと考えております。  次に、2点目の今後の草津線複線化についてどのように進めていくのかとの御質問でございますが、現在、JR西日本において草津線複線化の事業化は決定されておらず、その決定を得るためには、まず草津線の利用増加を図る必要がございます。草津線複線化につきましては、沿線の人口が増加しているにもかかわらず、利用は、平成10年度の1日当たり1万6,447人をピークに、その後は伸び悩んでいる状況であります。まずは、複線化の実現に向けましては、住民の皆さんに、より多くの利用をいただくことが不可欠であると考えております。  同盟会において、全線複線化のための事業費が約319億円と試算されているなど、多くの事業費が必要になると見込まれています。そのことから、同盟会におきましては、取り組みの方針としまして、まず、需要の動向に応じた段階的整備を図るとされています。  県といたしまして、今後の取り組みに当たりましては、草津線が沿線地域住民の皆さんの生活に根づいた路線であることを十分踏まえ、将来の利用の動向と県の財政状況等も考慮しつつ、県民の皆さんの理解を得て進めていく必要があると考えております。県と市町がともに同盟会を構成する自治体として、それぞれ役割分担をしながら進めていく必要があると考えておりますが、そのような中で、JRとの調整など、広域自治体としての県の役割を果たしてまいりたいと思います。  以上、福本議員への答弁とさせていただきます。 ◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)道路整備についての御質問にお答えいたします。  道路は、県民の生活や経済社会活動を支える最も基礎的な社会基盤施設でありまして、活力ある地域の発展には必要不可欠でございます。本県は、古くから近畿、中部、北陸を結ぶ交通の要衝でございまして、これらを結ぶ、国土幹線軸が通過していることで、大規模工場や大学、研究所が道路の沿線に立地し、全国有数の内陸工業県として発展してきたところであります。この先、孫や子が生きる20年後、30年後の本県におきましても、安全、安心で活力と魅力あふれる県土として発展いたしますよう、新しい時代に即した計画的な道路整備が必要であると考えているところでございます。  このことから、本県では、今後20年間の道路整備の基本方針ということで、平成15年に道路整備マスタープランを策定いたしました。その具体化に向けた3つの道づくりといたしまして、効果が目に見える道づくり、わかりやすく愛着の持てる道づくり、自然環境や生活環境に配慮した道づくり、これを進めてきているところでございます。今後とも、継続事業を着実に終えるなど、道路整備マスタープランに基づきまして、長期的視点に立って計画的に、また効率的に効果的に、県政を支えます交通基盤を整備し、県内の均衡ある発展と個性ある地域づくりを目指してまいりたいと思います。  次に、合併によります県道の市町への移管についてお答えいたします。  道路には、高速道路や一般国道、県道、市町道の種別がございまして、それぞれに広域的な交通を担う主要幹線道路から、地域内の交通を担う身近な道路としての機能を果たすように道路のネットワークが構成されているところであります。ところが、現実には、道路利用者の使い方によりまして、例えば市町道が幹線道路の役割を果たしたり、あるいは県道が身近な交通に利用されるなど、一部で道路の種別と実際の機能との間にずれが生じてきているということもございます。また、市町村合併が進んでまいりました。そのことで道路の性格が変化している。そうしたことや、市町におけるまちづくりの際に、県道であるよりも市町道であった方が道路整備に、みずからやれるわけですから自由度が増して、一体的に整備できるというようなことで、それぞれの道路の位置づけを見直す時期に来ていると考えているところでございます。  こうしたことから、それぞれの道路の機能や道路の交通量、道路の幅員、沿線の状況、そうした観点から整理を行いまして、県が管理すべき道路、市町が管理すべき道路の基本的な考え方につきまして、市町と協議を行いながら客観的な基準を設けていくなど、一定のルールを設定して移管していく予定としているところでございます。  この際に、県から市町への一方的な移管ではなくて、市町管理の道路でありながら広域的な道路として利用されているなど、県道として認定できるものについては県道にする予定でもございます。県および市町のいずれにおきましても、財政状況が大変厳しい中でございます。維持管理の方法や費用の確保が課題となりますことから、市町と十分協議を行い、相互に移管を進め、道路利用者にとってよりよい道路整備と適切な維持管理が行われるよう努めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。  以上でございます。 ◆3番(福本庄三郎君) (登壇、拍手)再質問を知事にさせていただきます。今の促進協議会の会長の件でございます。  県と市町はパートナーということをお聞きしたわけでございます。常々、時にはパートナーであり時には何やらになるような関係であったと思うわけでございます。各市町は草津線の複線化のために乗車人数の状況については大変努力をしていただいております。そうした中で、いろいろお聞きしましたけれども、知事として複線化の推進を本当に強力に進めていってもらえる気があるのか、再度確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。(発言する者あり)はい。一部訂正します。会長を受けていただく気はあるのかないのか、訂正して、質問を終わります。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)福本議員の再質問に対する答弁をさせていただきます。  事務局と相談をしていない段階でございますが、私は気持ちとしてはもちろん、もし求められるならさせていただきたいと考えております。草津線の沿線のこれからの発展、大変大切でございます。特に三重県との流れ。ですから、私が役に立つことでございましたら、やらせていただきたいと思っております。  以上で答弁とさせていただきます。 ○議長(赤堀義次君) 次に、8番山田和廣君の発言を許します。
    ◆8番(山田和廣君) (登壇、拍手)議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。  嘉田新知事におかれましては、厳しい選挙戦を戦い抜き、見事初勝利されましたことに、心よりお祝いを申し上げます。県政発展のために、あらゆる分野で最善の御努力を御期待申し上げ、早々に質問をさせていただきます。  知事は、選挙戦では「もったいない」を終始合い言葉にされていたように、選挙後のテレビ等でも放映をされています。そこで、新幹線新駅建設やダムの建設をその筆頭に挙げておられたようでありますが、私はこの2点については、議会で長い時間をかけ、十分に論議をしてきたことを極めて重要視したいのであります。特に新駅建設に関しては、議会としての意思決定を経て着工している今の時点での凍結は、議会の決定権を軽視しているようでありますが、今後、知事として、あらゆる議案の議決についての議会の重みというものをどうお考えか、まずこの点をお尋ねしておきたいと思います。  次に、選挙戦でキャッチフレーズにされていた「もったいない」という言葉ですが、私にとっては久しぶりに聞く、懐かしい祖母を思い出す言葉でありました。といいますのは、子供時分から、よく祖母に聞かされた言葉であったからであります。私の母も、当時としては高いと思われた牛肉を食することはぜいたくのようでも、後で血となり肉となるからぜいたくではない、むしろもったいないのは、食パンのへた、パンの端のことですが、これを好き嫌いで捨てる方がぜいたくであり、もったいないとよく言っておりました。母が言うほど我が家の食卓には牛肉は余り出ませんでしたが、そのように「もったいない」を教えられました。  知事は、財政的に新幹線新駅はもったいないと言われております。また、多くの県民も賛同いたしましたが、私は、今お話しいたしました食パンのへたを捨てることは当然やめていただきたいし、たまには牛肉を食することも考えていただきたいと思います。  県の財政は、今は大変苦労の時期と思いますが、滋賀県は全国的に見ますと、人口増加が見込まれている唯一の県でありますから、経済、商工観光の発展のため、新駅は県の南玄関としての進入口の重要性を大きく期待されている方々も多くおられる中で、今、一番大切なことは、財政再建のための反対だけでなく、将来的に経済や観光に新駅の効果を大きく期待されている方々のためにも、凍結するなら、それに見合う政策やビジョンを示す必要があると思います。  そのことについて、知事は具体的な政策を持ち合わせておられるのか、それとも、新駅建設に大きな期待をかけ、賛成している方々や、現に区画整理や道路整備に協力している方々は切り捨てていくのか、単に対話の行政だけではなく、今後の滋賀県政発展のための知事としてのリーダーシップを問われると思うのであります。私は、このことは大変重要であると思いますので、具体案があれば、それらの方々が安心されるように、この点について御答弁をお願い申し上げます。  次に、知事の専門分野であります琵琶湖の水環境に関して質問をいたします。  県は今日まで、琵琶湖の水質が極端に悪化している地域を、守山の赤野井湾、草津市の浮舟と矢橋の中間水路、この3地域を指定して、早急にこの水質の改善をすると言い続けていますが、これといった成果が出ていないようであります。また、昭和30年代の琵琶湖の水質に戻すとも言っております。そのことについて、知事も昭和30年代の琵琶湖の水質に戻す努力は当然なされると思いますので、質問をします。  琵琶湖で特に水質が悪いと言われている前段の3地域の中でも、水質が一番悪化している矢橋の中間水路は、毎年、調査研究が続いているようであります。予算も少なく、実際には水質改善の手の打ちようがないと思われているようですが、嘉田知事の琵琶湖の水環境に関しての研究成果を実践していただく絶好の3地域でもあります。  私は、水質が悪化している地域の水質を早急に改善していくことで、当然、琵琶湖全体の水質の改善が図れると思います。逆に言うならば、このことができなければ、琵琶湖全体の水質改善というような大きなことは言えないと思います。そこで、この3地点についてのお考えと、知事の、琵琶湖の水環境、水質改善の取り組み姿勢をお尋ねして、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 8番山田和廣君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)山田議員の議決の重みについての御質問に、まず答えさせていただきます。  地方自治における二元代表制のもと、議会の議決は、その団体の意思を決定するものでありまして、大変重いものと私自身も十分認識しております。これからの4年間、議員の皆さんと十分な議論を重ねた上で、県議会の議決をいただきました事項につきましては、知事として誠実に執行してまいります。  一方で、さきの知事選挙において私が主張してまいりましたことについて、多くの県民の皆さんから御支持をいただいたということも、また重い事実であります。したがいまして、その内容が、これまでの県議会の判断と相入れない部分につきましては、今後、県議会の御意見も十分伺いながら、その実現に向けて努力してまいります。  次に、県政発展のリーダーシップについての御質問にお答えします。  今、県が危機的な財政状況にあり、新幹線新駅の建設を初めとする事業を凍結することにより、財政を健全化していくことが、将来の県政発展のために必要であるとの思いで政策を出させていただきました。この新駅に大きな期待をかけ、区画整理や道路整備に協力してこられた皆さんには、御心労をおかけしていることと存じます。今後、関係市との十分な対話を重ねることにより、新駅凍結の影響を最小限にとどめるためにリーダーシップをとらせていただき、努力していくつもりでございます。  新駅の建設を凍結いたしましても、産業や観光の振興、さらには、滋賀県のイメージアップや利便性向上などを図っていくことは、もちろん本県にとって重要なことであると認識しております。このため、多くの大学や高度な研究開発機能を持つ工場などとの産学官連携の推進や、地域の素材、特色を生かした観光産業、環境産業などの新規成長産業の創造など、力強い産業づくり、若い世代にも魅力ある滋賀づくりを進めていきたいと考えております。  こうしたこととあわせて、私は今、本来の自然や人々の持つ力を大切にし、地域の取り組みを生かしつつ、自然の再生や復元、未来を担う人育て、子育てなどによる次世代育成型の滋賀県をつくっていくことが大切であると思っております。  このため、自然、歴史文化といった潜在的な地域の魅力を引き出し、雇用に結びつくようなグリーンツーリズムやコミュニティービジネスなどへの支援、また、県民の皆さんと知恵を出し合い、地域の活性化、それにかかわる人々が元気になっていただけるような方向を進めてまいりたいと考えております。滋賀県の将来を築いていくため、地域の皆さんとさまざまな取り組みをする中で、知事としてのリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。  また、次に、琵琶湖の水環境と水質保全の取り組みでございますが、南湖東岸部の赤野井湾、浮舟、矢橋の中間水路の3水域の水環境についてでございます。  この水域は、琵琶湖の中でも特に富栄養化が著しいことから、これまで琵琶湖水質保全対策行動計画により、集中的に汚濁負荷削減対策に取り組んでまいりました。行動計画では、アオコ等の発生が見られない昭和40年ごろのこの水域の流入負荷量を目標値として設定し、下水道事業や市街地排水浄化対策事業、河川浄化事業等を実施してきたところです。  このような結果、例えば水質の汚濁指標でありますCOD、また、人口フレームや下水道整備率から負荷量を算出いたしますと、1日当たりの流入負荷量につきましては、赤野井湾地域では平成7年度に1,180キログラムでありましたものが、平成17年度、10年後には519キログラム、約半分です。同様に、中間水路地域では1,534キログラムであったものが856キログラム、これも約半分。そして、浮舟地域では70キログラムであったものが40キログラムに削減されております。  もともとの、私どもが理解しております水質形成のメカニズムからいきますと、汚濁負荷量が半減をしたことにより、水質の改善がかなり図れると期待しておりました。しかしながら、この負荷量の削減に応じて水域の顕著な改善ができておりません。ここには、まだまだ琵琶湖の水質メカニズムが解明されていないという科学的な問題がございます。底の水、底泥から溶け出しているのか、あるいは、それぞれの地域で内部生産されているのか、ここのところがまだまだ科学的に未解明でございます。  それゆえ、赤野井湾流域地域では、昨年改正されました湖沼水質保全特別措置法で新たに制度化されました流出水対策に向けて、地元関係の方々の御参加のもと、計画策定を進めているところでございます。また、中間水路地域につきましては、全国に先駆けたモデル事業として、山寺川の市街地排水浄化対策を初め、中間水路とその周辺の環境改善の事業を進めております。  これら3水域の水質改善は、琵琶湖の水環境の改善を図る上での大きな課題であり、私としては、今まで以上に負荷削減等に鋭意努力し、同時に、なぜ水質が改善しないのか、その科学的メカニズムの解明と方策に対して努力をしてまいりたいと考えております。  また、基本的な琵琶湖の水環境、水質改善への取り組み姿勢についてでございますが、県では平成12年3月にマザーレイク21計画を策定し、50年後の琵琶湖の水質を、昭和30年代の水質──子供たちが遊び、また、生き物も豊富にいて、ところどころ、場所によってはそのまま手ですくって飲めるというような昭和30年代の水質に回復させることを目標に、これまでさまざまな施策を進めてきたところです。  琵琶湖は、もとより近畿圏だけではなく、国家的な財産であります。水資源として、また、今回も随分議論させていただきました治水のダムの役割として、また、1,000種を超えると言われる多種多様な生き物をはぐくむ場でもございます。文化的にも歴史的にも重要な湖です。このような琵琶湖をよみがえらせ、健全な姿で次の世代へ継承するため、住民の皆さんの知恵と科学者の知識と、そして行政の施策という3つの力を合わせて、精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。  山田議員への答弁とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○議長(赤堀義次君) 次に、47番沢田享子さんの発言を許します。 ◆47番(沢田享子さん) (登壇、拍手)通告に従い、質問をさせていただきます。  財政事情は困難になり、市民生活のあらゆるところで格差が拡大する一方で、自然災害の前ではひとたまりもない私たち人間が、いかにして子や孫にも安心して暮らせる国土を引き継ぐか。前の知事の時代は、県民との協働というスローガンはありましたが、現実的には余り広がっておりませんでした。選挙公報に書かれた「サステイナブル滋賀の構築」などに至っては、まさにむなしい言葉で、中2階のような政府であります滋賀県、その滋賀県の知事選挙に立候補しようという嘉田由紀子さんのお話がありましたのは、4月6日のことでございました。  勇気ある決断に対し、私はまず心を打たれました。共感を持ち、既に活動を展開しておられました当時の冨士谷議長、市民運動型では先人の岡崎県議会議員に学びながら、私も参加をし、社民党滋賀県連合としては5月の中旬に支持決定をし、地道に水や環境保全活動などを進めてこられた県民、市民の皆さんとともに、投開票日までの約3カ月間の運動に私も加わってまいりました。  もったいない、もったない、そういう思いが言葉となって響き合い、滋賀県政史上で初めて、全国では5番目の女性の知事が誕生されました。当選したい、当選してもらいたいと念じてはおりましたが、とてつもない組織力の違い、体制の差、それが歴然とした中で、選挙は初めてというさまざまな人々とともに、7月2日の深夜、思いがけない奇跡的な当選の喜びをちょうだいすることができ、私は、信念を曲げずに来てよかった、救われたと思いました。  嘉田さんは、当選直後、インタビューに答えて、知事として職務を果たす上では男も女も関係ないとおっしゃっておりましたけれども、私は、その意気込みで仕事を完遂していただきたいと思っております。しかし、女が候補者になる決意をするということは、男性の皆さん方の決意も並大抵ではないと思いますが、それ以上の社会的な背景が、いまだにあります。知事が変わった、滋賀県も変わるか。そういう期待が県内だけでなく、県外にも広く広まって注目をされております。  「栗東新幹線の駅がないから不便で困る言うてはる人が何人いはります。そんなとこに税金使うんやったら、毎日困ってはる人がたくさんあるところに使ってほしい」、そうした普通の県民感覚が、困難な財政事情というようなことではなくて、普通の県民感覚が投票行動になったと思います。  議会の中で議論したことが180度変えられるということについて、先ほど来の質疑がございますが、私どもは、選挙が済んでからかけられました言葉、「これからはおなごの時代や。これからが正念場や。頑張っておくれやす」、おばあちゃんの激励の言葉が大変うれしいものでした。女性の選挙権が行使されて60年の節目に、滋賀は新しい知事を、女性の嘉田由紀子さんを知事に迎えられたと思います。いつまでもつか、試されているような現実的な声もある中で、嘉田さんは未知の世界に踏み込んでいかれた持ち前の探究心、冒険心と、人間が好き、大事な孫や子にツケを回さないという優しさをあわせ持ち、議会の外に出れば多数の声援があるということをエネルギーにしていただきたいと思っております。県民の明確な審判は下されたのであります。  その知事に対して、1つ目の質問を行います。県民の思いを生かさなければ、もったいないということについてです。  これまでの県政の中でも、審議会など、委員会における県民参加や男女のバランス、改善、それらを初め、情報公開、広報のIT化、映像化、県民政策コメント制度あるいは施策評価制度の導入などを図って、形の上では県民との協働が整ってまいりました。しかし、発信する側、県や知事の方から思うほどには県民の胸襟に触れるような情報提供ではなかったのではないか。今回の選挙戦を振り返ってみても、政策の一つ一つを考えてみても、私たちは反省をしなければならない余地が大いにあると受けとめております。  主権在民の日本国憲法のもとで、二元代表制の知事と県議会議員、たとえ多数の民意があっても、暴走しないような仕組みがとられていると解することができます。  嘉田知事は、対話による共感、現場主義で、時代が変わろうとしているときに新たな方策を探るようにしていきたいと言われておりますが、知事が一つの体で現地に赴かれるのには制約が出てくるのは当然だと思います。片や県民の皆さん方は、知事と直接会いたい、話を聞いてもらいたい、そういう素朴な思いや、電子媒体による意見や提言、中には返答を希望するなど、たくさん寄せられていると思います。発信する側、県民、市民の側は真剣で、どんな返信が寄せられてくるか期待をしておられると思う一方で、それに応じ切るのは大変だと思います。提言や苦情も含めて市民の意見を県政に生かさなければ、もったいない。早く生かさなければ、もったいない。それには、まず受け入れること、区分すること、検討し返答することなどを、できるだけ短時間のうちに行い、その活用や効果を確認することなど、県政全体への影響力を持つシステムが要ると思われますが、どのようにされるのか、知事の所見を問うものです。  以下2点につきましては、担当をされます政策調整部長に伺います。  その1つは、広報や県民への説明が今までよりも格段の工夫をしていかなければ、県民は、聞いていません、県が勝手にやっている、議会が勝手にやっている、そういう不信を招きかねません。従前の広報における問題点と、その改善策について、部長はいろいろと考えておられると思いますが、いつまでにどのようにされるのか、伺います。  2つ目に、どんなに工夫をした情報が提供されていましても、目の前で説明をしてもらうこと、これにまさるものはありません。目の前で説明をしてもらう、そのことによって、わかった、納得できたという思いが市民に醸成されます。行政からすれば、対話、同じ場で話をするということによって、何がネックになっているのかがわかり、改善に早くつなげることもできるなど、対話はお互いに時間と人とが要りますけれども、それをやらなくてはいけないと思います。職員の削減を一方的に掲げるのではなくて、県民や市町への説明など、丁寧にするのには人が要りますし、そのやり方も鍛錬をしなくてはなりません。納得でき、共感できる県政を目指す嘉田知事を迎えて、電子媒体の駆使などとあわせて、顔の見える、信頼性の高い協働政治を実現する上で、部長はどうされるのか、伺います。  「栗東といえば、新幹線にお金をかけるよりも、アール・ディの方が大変なのと違いますか」、これも選挙期間中に寄せられた県民の言葉でした。あれば結構というような新幹線事業に税金を使うことよりも、生命の、これは人間だけでなくて、命あるものの安全の方が優先に決まっている。これも普通の生活感情です。  2つ目の質問は、廃棄物行政を着実に実施しなければ、もったいないということについて、知事に質問をいたします。  嘉田知事は選挙のときにも暮らし言葉で政策を訴えられました。そのことが県民の支持にも結びついたと思われますし、当選を果たされ、これから誠実に実行をされなくてはなりません。前の國松知事も頑張ってみえました。環境こだわり知事でした。嘉田現知事は環境社会学の第一人者、環境派の知事としても広く知られている中で、滋賀県がこれからどうするのか、注目され、期待されております。マニフェストの3つの緊急提言の中で、既に触れられております部分はちょっと省きまして、アール・ディエンジニアリングの部分です。  緊急提言の中には、以下のように記載されています。アール・ディエンジニアリングの廃棄物処分場の違法投棄には、毅然とした対応がなされず、周辺住民だけでなく、流域住民の地下水汚染への不安が増大しています。このような社会的紛争を解決するために、県のこれまでの姿勢を改め、謝罪します。また、違法投棄の責任を問い、違法投棄物質の除去処分命令を直ちに行います。命令に従わない場合は、住民の安全を第一に考え、行政代執行も含めた強制的な除去処分を行いますと記載されておりますが、アール・ディエンジニアリング社が自己破産した今、地上に保管しているものだけではなくて、地中に埋まっているものも対象にすると考えるのが妥当だと思います。これは私の考えです。  昨年末、議会の終わりのころから、雪の大変寒い空のもとで掘り出されましたドラム缶100本余り、その中身は、大半がコールタールでありました。コールタールはダイオキシンと同等の発がん物質として、国際がん研究機関によって認定された有害物質であります。有害物質がドラム缶などでさらに3,000本余りも埋められているという証言があると仄聞しておりますけれども、まだ発掘をされていないものをどうされるのか、喫緊の課題であります。  (資料掲示)これは、けさ、栗東市の担当者が検査をするために、ナンバー9という地点から、それはアール・ディエンジニアリングのドラム缶が掘り出された、すぐそばの地下水でして、地下26メートルの部分の地下水ですが、皆さんから見ていただいたらバックが茶色いのですが、こうやって見ていただいたら、茶色いというのがわかりやすいと思うのですけれども。これが検体です。沈殿しておりますが、これは市が採取したのをそのままというので預かってきてくださった分を今お預かりしているのですけれども、振ってしまえば、こんなぐあいです。これが地下水だと言われるわけです。  これは実物ですが、今までの議論の中でも、アール・ディエンジニアリングのそうした投棄が重なったことによって、あるいは対処を適切に行わなかったことによって、その一部地下水の汚染につながっているのだということを心配しておられる住民の方々がたくさんあり、その拡散や浸透を絶対に防がなければならないと思います。これなら、皆さん、すぐわかっていただけると思います。飲用水にも可能な地下水、その水が有害物質に一たん汚染されてしまう。これはとてももったいないことです。その思いが嘉田マニフェストにあらわれているのだと思います。  前の國松知事が7月12日に最終処分場特別対策室を設置されましたが、その道筋を、嘉田知事にかわってどのように前進させられるのか。環境省の支援を受けるというふうに言われましたが、何のために受けられるのか。知事は、琵琶湖が息苦しくなっている、このままではいけないと勇気を持って立ち、見事当選をされた知事。琵琶湖に流入する水の問題、重要な問題の解決のために、その研究と、それから経験を生かし、主体性を発揮して取り組まれることを望むものですが、知事の所見を問うものです。  3つ目に、子供や若者のみずから育つ力、損なったらもったいないということについて、知事に質問いたします。  知事は就任なさる前の研究活動の中で、農山漁村の営みや先人の工夫などに直接、数多く触れられ、調査をされ、知恵の深さや文化の豊かさにますます滋賀が好きになったと言っておられました。また、所信表明の中では、森や川、琵琶湖など、滋賀県ならではの自然の場で、伸び伸びと子供たちの精神をはぐくむ、遊びの機会をふやせるよう、自然の再生を行いながら、若者のサポーター育成などを図ると述べられました。  しかし、自然はやいばをむき出しに、人命をも奪ってしまうおそれもあれば、命をつながせてくれる、はかり知れない宝箱でもあります。滋賀県内でも、人口が偏在し、二極化する傾向にある今日、自然体験の日が特別にたまにあるというのではなくて、飲み水や食べ物がどのように食卓に上ってくるのかなどを手がかりにして、毎日自然のことをたどっていけたりする。大人がしていることを子供たちが見まねをする機会を取り戻して、立派に自立した人として成長してもらう。そうしたことを大切にしなければならないと考えております。  学ぶは、まねぶに由来し、まねをし、褒めてもらい、繰り返し、たとえ失敗しても立ち直る、粘りのある力が欲しいものだと感じるところでありますが、粘りよりも効率、早いということがよろしいということや、迷いや熟慮よりも、選択、選びなさい、数値化と成果主義など、子育てや教育の場になじまないと思える制度が一律に導入され、子供や若者のみずから育つ力を一気に損なってしまっていると感じるものですが、知事としては、どのように認識しておられるのですか。  最高学府を出られ、学問を修められ、常に高い理想に向かいながら、今回も、56年の生活と経験のすべてをかけてという大変大きな努力を払われて、その上での当選ですが、1回目で見事に成功された。その地位に比べて、小さいうちから子供や若者たちが自信をなくしてしまったり、将来の希望を持つことができずに孤立化している県民が多いこと、そうした人たちへ救いの手を差し伸べる方策として、市や町を超えた区域を治める知事としては、どのようなことを重視し、取り組んでいかれるのか。  以上2点の見解を求め、質問を終わります。 ○議長(赤堀義次君) 47番沢田享子さんの質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)沢田議員の県民の明確な審判を受けてについての御質問のうち、まず、県民の思いを生かさなければ、もったいないについてお答えいたします。  私の県政運営の原点は、あらゆる方々との対話を大切にして、生活者の視点、生活現場からの発想を県政に生かしていくことでございます。県は、国と市町村の間にあって、その姿が見えにくく、県政に対する県民の皆さんの関心は必ずしも高いとは言えません。そのことを反省し、県民の皆さんと県政との心理的、社会的距離を縮めるためには、生活現場の問題と人々の思いに耳を傾け、対話を通して生み出される共感をもとに、ともに汗を流す自治と協働の仕組みを生み出すことが大切であると考えております。  具体的な対話の手法についてでありますが、議員おっしゃるように、知事への手紙あるいはさまざまな場面での被対象の数の問題がまずございます。そのような中で、幾つかの方向を考えております。  まず、知事と語る滋賀の未来事業として、自治会、NPOなど、さまざまなグループの皆さんと対話をする「知事とふれあい座ぶとん会議」を開催します。これは、先ほど、先回も申し上げましたように、座布団で囲んで気楽に車座で、皆さんの意見交換をするというものでございます。また、企業や施設等を訪問し対話をする「おじゃまします!知事です」。こちらは、どちらかというと、短時間にモデル的な活動をしている場面を訪問しようという企画でございます。この2つを9月から実施したいと考えております。  沢田議員がおっしゃるように、私ひとりではお出会いできる人数には限界がございます。県職員一人一人が対話能力を高め、それぞれが現場で地域の皆さんから謙虚にお話を聞きながら、県民のため、地域のためとなる仕事に取り組むことが大切であると考えております。  そのために、私と県職員が思いを共有し、同じ方向を目指して仕事を進めていけるように、県職員と対話をする座布団会議「県職員座ぶとん会議」もあわせて実施したいと考えております。また、メールや封書、ファクスなどにより、県民の皆さんから県政への御意見、日ごろの思いなどをお寄せいただく知事への手紙の制度も継続してまいります。  7月2日の知事選挙後から既に激励や県政に対する御要望など、県内外の皆さんから約270通のメッセージをちょうだいしており、これは従来の約5倍の量と聞いております。お寄せいただく手紙はすべて目を通し、そして、回答の必要なものにつきましては2週間以内にお返しするようにしたいと考えております。さらに、常時、県政のチェックをお願いし、御意見や御提案などをいただいております県政モニターの皆さんとの「県政モニター座ぶとん会議」も予定しております。  こうした機会を通じて寄せられた御意見、御提言につきましては、分類、整理を行うとともに、これからの活用状況、いかに生かさせていただくか、県民の皆さんの思いを生かさないと、もったいない、その方向で進行管理に努めてまいりたいと考えております。  県の情報を県民の皆さんにお伝えし、声をお聞きする広報・広聴活動では、県政をつなぐかけ橋となるものですが、これからの県政を進めていく上で最も大切にしなければいけないものと考えております。具体的には、また、部長の方から答弁させていただきます。今後とも、その効果を見きわめながら、常に工夫、改善を重ね、長期的、戦略的に取り組んでいきたいと考えております。  次に、廃棄物行政を着実に実施しなければ、もったいないについての御質問にお答えします。  1点目、前知事のつくられた道筋をどのように前進させていくかについてでありますが、アール・ディエンジニアリング社が経営破綻し、原因者による是正が見込めない状況に陥りました。このことは、改めて県として大変重いことでございまして、この問題の解決に向けた取り組みを進めるために、行政対応の方針を策定することとし、最終処分場特別対策室が設置されたところです。  このアール・ディエンジニアリング問題の解決を図っていく上では、行政対応の方針を早急に進め、対応策を策定していくことが大切であります。なぜそのために国の支援事業であるかということでございますが、専門家チームの助言を受けまして、その中には、特に法律あるいは会計士など、経済あるいは社会系のアドバイスを強くいただけることと期待しております。この部分が県の当局の中に不足しているところでございます。  また、対応策の策定につきましては、これまでにも進めてまいりましたけれども、いまだ不足している科学的把握。そして、処分場をいかに改善していくかという対策。そして、この問題に関する責任の検証。これまで6年間、なぜ放置され、この状態に来たのかという、この問題を住民の皆さんとの協議をしっかり行いながら、具体的で実現可能な対応策を定める考えでございます。  さらに、措置命令を発している違法なドラム缶等の撤去でございますが、原因企業者が破産をしているところから、その方法について検討を進めております。また、地下水問題につきましても、今、沢田議員が見せていただきましたように、地下のかなり深いところでも、本来の地下水である透明性が確保されておりません。その中身についても、さまざまな毒性物質が含まれているおそれもございます。周辺地下水のモニタリング調査を定期的に現在実施しておりますが、今までの地下水、浸透水の調査データを照合しながら、科学的な評価分析を進めたいと考えております。  3点目のこの問題に対する私の所見でありますが、このアール・ディエンジニアリング問題は、問題の発生から既に6年が経過しております。いまだに大変難しい課題を残しており、何よりも住民の皆さんの信頼と理解と協力がなくてはなし得ないものでございます。マニフェストの中でも述べさせていただきました、環境問題であるとともに社会的な紛争問題である、その部分についてのこれからの対応も考えていきたいと思っております。  県として、処分場からの生活環境の影響をなくし、地域の皆さんが安心して暮らしていける、そして、何よりもそれぞれの地域の誇りを持っていける、そのような地域社会に、栗東市、特に地元の市の皆さんと協力をしながら、市の行政とも協力をし、問題解決に取り組んでいく決意でございます。  最後に、3点目の子供や若者のみずから育つ力、損なったらもったいないについてお答えいたします。  沢田議員が御指摘なさいますように、子供たちの生きる力、内面世界の表現は大変難しゅうございます。かつての子供たちは、幼いころから多くの家族と一緒に暮らす中で、思いやる心や我慢する心を学び、また、野山や川など、自然の中で友達や仲間とともに遊ぶことにより、命のすばらしさ、感動する力、そして、失敗から立ち上がり、助け合うことの大切さを学んでまいりました。残念ながら、今日、子供たちを取り巻く環境が大きく変わってまいりました。家族の形態が変わり、核家族化していく。場合によっては単身家族化していく。あるいはホテル家族というような状況の中で、地域の人と人とのつながりも薄れ、子供たちにとっては、これまで得られたさまざまな生活体験、社会体験、自然体験を通した学びの機会も少なくなっております。  人はもともと自然の一部であり、自然と切り離されては一瞬たりとも生きていくことのできない存在です。日々の飲み物や食べ物など、子供たちの目の前の当たり前の自然の存在に気づき、そして、自然とともに生きる姿勢を培っていくことが大変重要であると考えております。また、子供や若者は、大人のまねをしながら育っていきます。身近にいる大人たちがよいお手本を示すことで、子供たちが心豊かにたくましく育っていける、そのような家族、学校、地域や企業、しっかりとそれらの組織と連携し、社会全体がかかわっていくことが、子供たちのみずからはぐくむ姿に対して大変大事だろうと考えております。  そこで、子育てや教育の場になじまないと思える制度が一律に導入され、子供や若者の育つ力を一気に損なっていると感じるが、知事としてどう認識しているかというお尋ねでございます。  効率や選択、数値化や成果主義、導入されているという御指摘でございます。私自身も、一方でそれらの制度を目の前で見ながら、問題は、その一人一人が置かれている状況によって、いかにその制度が内面化され、そして、意味づけられるかという、その緻密な世界をしっかりと見詰めていくことであろうと考えております。きめ細やかに現場を見ながら、一人ずつの内面世界の評価を、そして、内面から育つ力、それに対して行政としてどのような支援ができるのか、じっくりと考えさせていただきたいと思います。  特に、自信をなくしたり、将来の希望や、待つことができずに孤立している子供たち、若者に対して、救いの手を差し伸べる方策について、知事としてどのようなことを重視していくのかとのお尋ねでございますが、未来を託すべき子供や若者たちの中には、不登校やいじめなど心の問題のほか、ニートや引きこもり、社会とのつながりを十分に持つことができずに孤立するケースがふえてきております。これはまだ私自身の個人的な表現でございますが、子供たちが日常暮らしている都市あるいは工業文明的な世界から、自然の野山、そして、場合によってはアジア、アフリカの途上国などと深くかかわりながら、日常、例えば電気もガスも水道もない、そのようなところで暮らしてみて、子供たち自身がいかにみずからの内面を見詰めることができるか、そのような体験型の広がりのある異文化体験、異文化交流なども、個人的な意見でございますが、考えたいと思っております。  県では、今、さまざまな政策を、例えば子ども・子育て応援センターあるいは青少年支援センター、そして、若者の自立のためのヤングジョブセンターなどを制度としてつくり出しておりますが、そのようなところの制度がいかにそれぞれの個々人の一人ずつの気づきや育ちに有効に生きているのか、そのあたりもしっかりと調査をし、また、分析をしながら、将来について考えさせていただきたいと思っております。  子供たちがみずから育つ力を引き出していく、これは私たちの世代すべてに課せられた課題でございます。行政として取り組みにくいテーマでございますけれども、県議会の皆様、県職員の皆様、そして地域の皆様とともに、心を割ったところでの話し合い、そして、方針を見詰めさせていだたけたらと思います。  ありがとうございます。 ◎政策調整部長(近藤月彦君) (登壇)沢田議員の2点の御質問にお答えいたします。  1点目の従前の広報における問題点と、その改善策についてでございます。  県政に関する広報活動につきましては、広報誌やホームページ、テレビ番組等各種媒体の特性を生かしつつ、県民にとって親しみやすくわかりやすい情報提供に心がけてきたところでございます。例えば、広報誌の企画編集業者選定に際しまして、読み手である学生や主婦の方々に提案内容の審査に参加していただいたり、広報誌に対して、毎月約500通を超える県民の皆さんからの御意見も寄せられておりますので、これをできるだけ誌面づくりに反映するといったことをやってまいりました。また、県庁各課で作成するパンフレットなどにつきましても、広報印刷物アドバイス事業を通じまして、文章表現やデザイン、レイアウト等について、専門家の助言を受け、県民の皆さんにとってわかりやすく読みやすいものになるような工夫もしてまいりました。  県の提供しております情報が本当に県民にどれだけ伝わっているのかということを把握するのは難しいところではございますが、県政世論調査の結果では、広報誌を知っている人の率が89.7%、インターネットホームページが41.7%というような数字が出ております。  広報における課題としては、まずは、読んでいただいたり見ていただいたりということが大切でございますので、これらの数字がさらに上がるように努力していかなければいけないと考えております。このため、知事の就任に伴いまして、ホームページのインターネット知事室をリニューアルいたしまして、知事の日記コーナーを設けて、知事から県民の皆さんへの情報発信を行うことといたしました。また、本年度、ホームページのデータ更新が簡便にできるシステムを導入いたしますので、このシステムを使ってホームページの更新頻度を高め、鮮度の高い情報を提供してまいりたいと考えております。  さらに、県民の皆さんに親しまれるホームページとなるように、レイアウトの改善も行っていきたいと考えております。  広報誌につきましても、県政モニターを対象として実施したアンケート調査の結果や、専門家による評価結果などを踏まえ、県民の皆さんが手にとってじっくりと読んでみようと思っていただける誌面になるように、さらに工夫してまいりたいと考えております。  次に、2点目の顔の見える、信頼性の高い協働政治を実現するための方策についての御質問でございます。  御指摘のとおり、県民との協働や県民の県政参加を促進するためには、県からの一方的な情報提供だけでなく、双方向の対話を大切にする必要があり、電子媒体を用いた意見交換も行っておりますが、顔の見える対話が大変重要であると考えているところでございます。協働の自治を実現するための手段として、知事と県民の皆さんとの対話だけでなく、県職員が直接県民の皆さんと対話させていただく機会として、県政出前講座やどこでもトークなど、さまざまな機会をとらえて、県民との直接対話の場を設けるように努めてきたところでございます。しかし、この取り組みがともすれば特定の部局に偏りがちでありましたことから、県民との対話をより一層進めるという知事の強い思いを踏まえて、気持ちを新たに、全庁で積極的な取り組みを進めていく必要があると考えております。  本年度から、滋賀県版ゼロ予算事業としてチャレンジ!OMI事業の取り組みを進めております。この中では、さまざまな分野での出前講座や、県民との協働・連携事業を拡充するなど、全部で127の事業を実施することとしておりますが、職員の創意工夫を生かしながら実行していくことが大切だと考えております。  直接対話による双方向コミュニケーションは、時間、労力を要するものでございますけれども、納得と共感が得られる県政、信頼性の高い協働の自治を実現するためには不可欠なものでありますので、今後とも着実に取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ○議長(赤堀義次君) しばらく休憩いたします。   午後6時28分 休憩     ─────────────────   午後7時1分 開議
    ○議長(赤堀義次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、30番家森茂樹君の発言を許します。 ◆30番(家森茂樹君) (登壇、拍手)お疲れさまでございます。嘉田新知事の御就任、おめでとうございます。  過日、文化庁の選ぶ、権威ある賞の受賞者の盗作騒ぎがございました。絵画、音楽、文芸、論文に限らず、ほかからの引用は、必ずその出どころを明らかにする必要があります。まして、議場での発言は、議会と議員の権威にもかかわります。そんなことを思いながら、自分の言葉で質問させていただきますので、私自身に自分だけの思い込みや誤解があれば、御指摘をいただけたらと思います。ぜひ知事も御自分の本当の思いを御自身のお言葉でお答え願います。  それでは、以下4項目にわたってお伺いいたします。  まず最初に、直接民主制についてお伺いいたします。  知事は、さきの選挙において3つの緊急提言を掲げられました。中でも新幹線問題には、有権者やマスコミの関心は大変高いものがありました。事実上の新幹線問題の住民投票としてとらえてもよかったと私は考えております。ただし、住民投票の結果が出たから即凍結ということではございません。新幹線新駅設置問題に関しましては、本年1月に住民の皆さんからの直接請求を受けて、本議会において住民投票条例案が審議されました。そして、住民投票にはなじまないと判断されたわけであります。  すなわち、もし住民投票をして、不要であるとの結論が出るような状況であったとしても、総合的に判断すれば、やはり設置する必要がある、だから住民投票にはなじまないということでありまして、当時の知事と議会は、県政をあずかる責任者として、こう結論づけたわけであります。つまり、この件に関しては、住民投票という手法により得られる住民意思は、県政の意思に反映されないということであります。今、知事選挙によって県民の意思が示されたがゆえに、設置について考えが変わるというのは、議会人としての信念と責任が問われるところであります。  ただし、知事は、そのことを公約として当選されたわけでありますから、これからは、全く異なる見解をスタートとして、お互いに厳しい中での対話と共感の政治が始まったわけであります。  今後、知事が県政を運営される上で、さまざまな局面があろうと思います。それらの局面で、その意思の決定に当たって、現在の地方自治の仕組みは、ともに直接選挙で選ばれた知事と議会の二元代表による間接民主制が基本とされております。知事は、直接民主制の一つの手法である住民投票についてどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。  次に、科学者と為政者についてお伺いいたします。  知事は、平成14年3月の琵琶湖水系流域委員会第11回琵琶湖部会で次のような発言をしておられます。人間の選択というのは、いつも合理的あるいはデータに基づいているとは限らないので、かなり意図的に、これは自分たちが生きていくために大切なのだという価値観を出さざるを得ないときがあると思います。それから、ちょっと置いて、科学者の役割について社会的に誤解があると思います。科学者はデータを出します。判断材料を出しますが、最終的に判断するのは社会なのです。科学者は、あくまでも判断材料を示す役割で、判断するのは科学者ではないということです。もちろん科学者も判断をするのですが、先ほどの価値観にかかわる判断は、一社会人として判断するのであって、科学者としては確実に価値判断からは自由で、客観的なデータを出さなければいけないだろうと思います。前後の関係から、一部省略させていただきましたが、以上のように述べておられます。  私は、知事の科学者としての御経歴や研究手法をそれなりに尊敬いたしております。もう20年近く前になろうかと思いますが、ホタルの生息調査、通称ホタルダスという名前でしたけれども、それに参加いたしました。当時、文字データしか送れなかった初期のパソコン通信で嘉田さんとやりとりをさせていただいておりました。お互いにハンドルネームという一種の仮面をかぶってでありましたが、大変懐かしく思い出されるものであります。  少し話がそれましたが、優秀な科学者は、その専門分野において、十分な知見と、それなりに確固とした持論をお持ちであります。そこには、他の説に対しては決して曲げない、自説の正しさを証明する、毅然とした論理も必要であろうと思います。  また、知事は就任に当たって、対話と共感を繰り返し強調しておられます。ベストセラー「バカの壁」の作者、養老孟司氏の、話せばわかるというのは大うそとの言はさておきまして、対話と共感は、両者が対等の場合、確かにすばらしい手法であります。しかし、両者の力関係、すなわち力量、権限、情報量に明らかな差がある場合は、いささかその運用は異なってまいります。対話と今申しますのは、合意点を見出すためのプロセスであって、決して一方の意見に流れるものでないことが重要であります。  ところが、共感は、どうしても一方の意見に偏るという印象を強く持ちます。力関係に大きな差がある場合、防ぎようがございません。広辞苑によりますと、共感とは、他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを自分も全く同じように感じたり理解したりすることとあります。すなわち、対話によってはAとBからCが生まれますが、共感は、AとBのいずれかに議決、または従うということであります。  また、知事は、当選後の7月7日、赤堀議長と面談されたようであります。翌日の京都新聞によりますと、知事は、議会とは是々非々になると思うがと述べられたようであります。知事の側から議会とは是々非々とおっしゃられることの真意は、いささかはかりかねるところであります。執行者である知事が提案し、議会がその可否を議決することが、現在の地方自治の基本的な仕組みであります。つまり、議会側の判断が提案者に対し是々非々となるということは極めて当然のことであります。しかし、提案者が議会とは是々非々との予断を持たれることは、双方の折り合いをつけるという意味の対話と共感の精神と、なぜかずれを感じざるを得ません。  また、知事就任前々日の7月18日、前の職場で最後の講義をされたようでございます。これも翌日の京都新聞によりますと、研究してきたことを実践するには自分が知事になるしかないと思ったと、立候補を決意した云々と報じられております。地方自治における社会的最終判断を行う仕組みとしての二元代表制のもとで、最高の執行権をお持ちになった、科学者でもおありの知事に、科学者と為政者について御所見をお伺いいたします。  3点目に、公社、出資法人等について、知事にお伺いいたします。  知事は、今回の選挙に当たってのマニフェストで、あらゆる事業の見直しを掲げられ、公社、出資法人については、直轄または統廃合により半減させますとしておられます。公社、出資法人の見直しについては、我々議会も従来から、むだな行政や、また、行政の隠れ定員などの場とならないように、常にチェックをしてきたところであります。県当局も行政改革の重点施策との観点から、平成9年度より、その見直しに取り組まれ、平成9年度には対象52団体であったものが、現在では、財団法人滋賀総合研究所が既に廃止され、その約3分の2の35団体となっております。さらに、今後の取り組みとして、平成21年度をその見直し期間として、新外郭団体見直し計画を本年3月に策定されたところであります。  知事がマニフェストでお約束された、特定法人27団体の半減は、この計画からさらに進んだものとなっていると思われます。見直し計画には具体的な団体名とその方向が明記されておりますが、知事の目指される半減について、その具体的手法を、目標時期もあわせてお伺いいたします。  さて、少し個別具体の団体についてお伺いいたします。  まず、財団法人滋賀県環境事業公社についてであります。知事は、先日の本会議で、産業廃棄物の処理について、緊急性の高い管理型最終処分場につきましては、公共関与の必要性が高いと答弁されました。これは、甲賀市甲賀町地先に現在建設中のクリーンセンター滋賀を計画どおり公共関与で、すなわち環境大臣指定の廃棄物処理センターであります財団法人滋賀県環境事業公社が設置運営すると言われたものであると思います。まず、私のこの認識でよいのかどうか、お伺いいたします。  ところで、知事は、新聞報道によりますと、新幹線新駅設置促進協議会にかかわって、知事の充て職への就任について、精査する旨発言されたようであります。甲賀市地先の最終処分場、また、旧志賀町栗原地先の廃棄物処理施設の両施設をともに計画、建設している財団法人滋賀県環境事業公社の理事長には就任される御意思はお持ちでしょうか、お伺いいたします。  現在建設中のクリーンセンター滋賀の受け入れに当たって、まさに御多分に漏れず、大変な反対運動があったことは、もちろん十分御承知のことであると思います。子供たちや孫たちの時代になっても、その安全性は、理事長が知事であるがゆえに責任を持つということが、受け入れに当たっての大前提でありました。将来にわたっての安全性の確保もあわせて、嘉田新知事のお考えを改めてお伺いいたします。  次に、財団法人国際湖沼環境委員会、通称ILECに関してお伺いいたします。  ILECは、本県が誘致した国際的研究機関としてのUNEP国際環境技術センター──UNEP-IETCと呼びますが──の支援財団と位置づけされ、その支援資金として、UNEPセンター協力基金があります。これは、当初、30億円の基金を造成し、その果実により支援財源とする計画でありました。しかし、その後の社会経済情勢の変化により、基金は県出捐額が5億円、民間からの寄附が3億5,000万円弱となっている現状であります。さらに、近年の超低金利もあって、果実による支援は不可能な状況となっております。このことについては、過去、本議会でも幾度か取り上げられてきました。その都度、さらなる募金活動や経費の削減、さらに、不足分は県からの補助金で賄うとされてきたところであります。これらの努力にもかかわらず、さらに県財政の深刻化もあって、一昨年度より基金の元金をその運営費に充てておられる、いわば元金を食いつぶしていると聞き及んでおります。  そこで、平成13年1月から知事就任までILECの理事をしておられた嘉田知事にお伺いいたします。  基金を前提として支出された県の出捐金がこのような形で消費されるということは、過去にどのようなケースがあったのでしょうか。また、こういった場合、議会への報告はどのようにお考えでしょうか。また、民間から御寄附いただいた方々も、基金という形が前提で御寄附をいただいていると察せられます。御寄附いただいた方々への説明責任も踏まえ、財団法人国際湖沼環境委員会ILECの今後のあり方についての御所見をお伺いいたします。  目指すべき社会について、知事にお伺いいたします。  人の求めるものはさまざまであります。人の価値観は、人の数だけあります。豊かさもいろいろです。私自身、恐縮ですが、11年前の最初の県議選で、物の豊かさから心の豊かさへと訴えて当選させていただきました。豊かさや満足度などと呼ばれるものも、その指標とするものや解析手法によって大きく異なることとなります。それもまさに価値観の違いであります。  去る7月25日、財団法人社会経済生産性本部より2006年版県別生産性比較が公表されました。これによりますと、1人当たり県民総所得は、東京都、愛知県に続いて、昨年3位であった静岡県を抜いて滋賀県が3位となりました。いわば滋賀県民は全国3位の豊かさであるということでもあります。具体的な数字では、東京都606万4,000円、愛知県464万1,000円、滋賀県421万7,000円で、東京都、愛知県とはかなり差があり、全国平均398万円の約6%高いという数字にはなっております。  ところが、滋賀県は全国の中でも、世帯人数が多い県であります。2000年国勢調査では、全国平均2.67人に対し、滋賀県は3.02人となっており、全国8番目の多さとなっております。そこで、試しに各都道府県県民総所得に、その世帯人員を掛け合わせてみます。つまり、生計を営む単位としての世帯当たりの総所得となります。これによりますと、上位3県の順位は変わりませんが、その額は、東京都1,340万円、愛知県1,276万円、滋賀県1,274万円と、ほぼ近い金額となって、全国平均が1,063万円で、滋賀県は全国平均の約20%高という結果となります。  また、例年、東洋経済新報社から出されております全国78都市の住みよさランキングによりますと、栗東市2位、長浜市13位、守山市21位、草津市42位、近江八幡市63位、彦根市76位と、県下6市が100位以内に入っております。昨年のデータでは、栗東市の全国1位、長浜市の5位、大津市もベスト100に入っておりまして、合併前のデータでありますから、当時は8市でございます。8市のうちの7市が上位100位以内に入っていた。やや下がってはおりますが、大変な上位県であることには間違いはございません。さらに、4月10日の週刊AERAによれば、都道府県の上流度ランキングで福井県に次いで総合第2位になりました。とりわけ「楽しむ・生きがい」部門で1位になっております。  ところが、一方、去る7月29日のNHKニュースは、住みやすい国、日本は世界で178カ国中95位であり、最も住みやすい国は南太平洋の島国バヌアツであったとの評価が出たと報じました。これは、イギリスの民間研究所ニューエコノミックス財団によるものであります。その内容は、元データが実は英文でしかございませんので、訳語を朝日新聞からおかりいたしますと、自然環境を害することなく、どれだけ幸せに暮らしているかを示す指標とされておりまして、3つの指標から算出されております。つまり、暮らしの満足度に平均寿命を掛け、環境への負荷で割ったものとして算出されております。  これによりますと、G8参加国では、最上位がイタリアの66位、以下、ドイツが81位、日本が95位、イギリス108位、カナダ111位、フランス129位で、何とアメリカは150位、ロシアは178カ国中170位とされました。1位から順に、上位は、バヌアツ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ、パナマ、キューバ、ホンジュラスなどとなっております。  知事は、これら4つの豊かさの指標についてどのような御所見をお持ちでしょうか、お伺いいたします。  また、知事の目指すべき社会についてのお考えも、あわせてお伺いいたします。  知事がその著書「水をめぐる人と自然」の巻末で、次のように結んでおられたのが大変印象的であります。「人の不幸は将来への夢と生き甲斐を失うことではないかと」。御清聴、ありがとうございました。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 30番家森茂樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)家森議員の御質問に、まず、直接民主制について答えさせていただきます。  地方自治制度は、間接民主主義による議会制民主主義を基本としつつ、公選で選ばれた首長と議会がともに住民を代表して、それぞれの責任において地方自治を営むことを前提にしており、この仕組みに従って県政を運営してまいりたいと考えております。議会は、憲法において、地方公共団体の議事機関とされており、各種審議を通じ議決する権能を有するものであり、総合的見地から県政各般にわたる議論をいただいているところです。  しかし、特定の政策には、情勢の変化などにより住民の意思とは乖離したものになるおそれがあるのも事実だと思っております。私は、できる限り住民の意思が政策決定に反映されるべきと考えております。住民投票は、住民の皆さんが投票によりその意思を直接表明する制度です。とはいえ、住民投票がより有効に社会的に機能するために、私自身は次の3つの条件が必要であろうと考えます。  1つは、そのテーマに対する情報が押しなべてしっかりと定義され、共有化されていることです。また、2つ目は、そのテーマに、多くの住民、あるいは、かかわる母体が関心を持っていることです。そして、3つ目は、住民投票のプロセスにおいて政治的圧力あるいは権力的関係から自由になり、個人の意思が自由に表明できるということです。もちろん識者によって、この住民投票の条件は変わるわけですが、私自身はこの3つ、情報の共有、テーマへの関心、そして、意思の自由の表明ということが大事だろうと考えております。  とはいえ、住民の意思を適正に把握し、そして、住民参加の機会拡大については、さまざまな条件があり、一概に、すべての項目において住民投票が上、あるいは間接民主主義より直接民主主義が重要と考えているわけではございません。それぞれが補完し合う、そのような仕組みであると考えております。  次に、科学者と為政者についてでございますが、現在、市町村長、都道府県知事など為政者はたくさんおられますが、最初から為政者として生まれてこられた方はいらっしゃらないのだと理解しております。サラリーマンであったり、事業者であったり、あるいは行政関係であったり、農業者であったり、さまざまな職種の方が、みずからの政治信条を実現しようと立ち上がり、それに共感する人たちの支持を受けて為政者になっておられるのではないかと思います。私の場合は、研究者でありましたが、多くの県民の皆様の御支持をいただき、県政を担わせていただくことになりました。  私が長年かかわってきました環境社会学は、環境問題を社会学的手法で分析する社会学の一分野でありますが、その最大の特徴は、環境問題に積極的にかかわっていく、行動する学問であるということです。つまり、家森議員が紹介をしております科学者とは趣が異なると考えております。  どのように異なるかといいますと、科学者は、価値観から自由に、ある対象に対して客観的に観察し、データを出さなければいけません。それが淀川水系流域委員会で申し上げたことでございます。つまり、例えばここにある水ですが、この水質をはかるときに、この水の温度あるいは成分、ほかの人が対象を分析しても、再現しないといけない、あるいは、ほかのやり方であっても再現をしないといけない。つまり、再現性、そして同一性、そのような条件を自然科学では厳密にいたします。  ところが、社会的現象を分析して、私ども社会学として扱う場合には、価値観というものから自由になれない、そのような立場を私自身はとっております。それゆえ、純粋に自然科学とは異なるところでございます。  では、その価値観は何かということですが、私は、その価値観の中に、住民の生活を柱に据えるという、そのような出発点を持ち、つまり立場が住民生活の立場で、しかも、どうやれば解決できるのかという問題解決の方向を常に考えてきた研究者でございます。  こうした研究の実践は、現場主義という私の基本姿勢のバックボーンになっておりまして、知事という地域経営のリーダーをやらせていただく上でも大切にしていきたいと考えております。そして、現場にある声に耳を傾けることを基本としつつ、実は、社会学だけで見えない、あるいは、もちろん環境社会学だけで見えない部分、その社会にある広範で多種多様なニーズを的確にとらえ、そして、皆様の御意見をお聞きしながら、県政方針を具体化していくための施策、あるいは県民の生活の向上に必要な施策は何かをしっかりと判断し、議会に提案させていただきたいと思っております。  つまり、これまでの研究者としての経験も生かしつつ、県民の皆さんの幸せづくりのために、行政執行の最高責任者として、議員の皆さんと建設的、前向きな議論を行い、共有できる方向性を見出し、ともに県勢の発展に尽くしたいと思っております。  家森議員が、御自身のお言葉でお語りいただいた、その中にホタルダスの話がございましたけれども、あのホタルダス、ホタルをみんなで調べようという、あの調査研究は、科学者としてよりは、私自身の、住民の参加のプロセスをつくり出したいという実践の方法でございました。そのようなところが一つ、今から思い起こすところでございます。  次に、公社、出資法人等に関する御質問にお答えします。  県が関与する公社、出資法人、いわゆる外郭団体は企業的な運営形態を活用しつつ、公共的目的の実現のため設立され、これまで幅広く県行政の展開と住民サービスの向上に寄与していると考えております。県はこれまで、外郭団体の効率的な運営や経営の透明性を確保するため、団体の統廃合や事業の見直しを進めてきております。例えば、県が資本金等を2分の1以上出資等している団体は、平成9年度には32であったところが、現在は27団体となっており、この3月に策定した新外郭団体見直し計画で、廃止、統合を予定している4団体を含めると、平成21年度末には23団体となる予定です。  その仕組みは評価するところでありますが、ともすると、県政よりは、その外に位置する関係から、県民にも見えにくく、外郭団体の役割やあり方そのものについてしっかりと見直すべきと考え、マニフェストにおいて、公社、出資割合が50%以上の出資法人の半減を掲げたところです。  言うまでもなく、実際の統廃合に至るまでには、各法人の設立目的、活動経過もあり、担っている役割を今後どのようにするか、また、現存する組織体制について、そのあり方も含め、どのようにするかなど、検討する必要がございます。さらには、そもそも県とは別に独立した法人の意思決定を尊重すべきであり、その手順も踏むことが必要です。こうした検討のプロセスの中で、社会経済情勢の変化に対応して、広く民間事業者を含め、本来の事業主体はどこにあるかなど、県民の目線から、その見直しに最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  お尋ねの具体的手法についてですが、県の行財政改革について、今後、民間の御意見もお聞きしながら、新たな理念、数値目標を示す新しい行政改革の方針を提示していきたいと考えております。この中で、外郭団体の見直し方向についてもしっかりお示ししてまいりたいと考えております。  次に、財団法人滋賀県環境事業公社に関する御質問にお答えします。  環境事業公社は、公共関与により、廃棄物の適正な処理処分を行い、県民の生活環境の保全と産業の発展のため、民間、県、市町の出資により設立された財団法人であります。クリーンセンター滋賀を計画どおり公共関与により環境事業公社が設置運営するのかについてでありますが、県内には民間の管理型最終処分場がなく、民間による処分場を新たに立地することも困難な状況にありますことから、環境事業公社において事業の推進を図ってまいりました。  地元の皆さんには大変な御苦労、御心労をおかけいたしましたが、長年の懸案であった当事業も、深い御理解のもと、地元の皆さんの同意をいただき、廃棄物処理センターとして、環境大臣の指定を受け、平成16年度から第1期整備工事を行っているところであります。  廃棄物処理施設に対する県民の不安や不信感がある中で、クリーンセンター滋賀においては、最大限の環境保全対策と安全性を確保し、引き続き地元の皆さんの御理解をいただきながら、環境事業公社が、公共関与により、平成19年度中の開業に向けて整備し、管理運営を行っていく必要があると考えております。  また、知事は環境事業公社の理事長に就任するのかのお尋ねですが、環境事業公社は、昭和57年の設立以来、今日まで、知事が理事長として、公共関与による廃棄物処理施設の整備および管理運営に当たってまいりました。理事長は理事の互選により定められるものであり、私も公社の理事に就任させていただいた上で、将来の安全性の確保を含め、求められた場合、責任ある立場でかかわってまいりたいと考えております。  次に、財団法人国際湖沼環境委員会、略称ILECに関しての御質問にお答えいたします。  まず、基金を前提に、公社、出資法人等に対して県が支出した資金、出捐金の消費状況についてですが、過去5年間の状況について申し上げますと、財団法人滋賀県体育協会の競技力向上推進基金に該当がございます。また、県議会への報告につきましては、決算報告の際に行っているところでございます。  次に、ILECの今後のあり方についてでありますが、ILECは、昭和59年に本県で開催された第1回世界湖沼会議の成果を踏まえて、世界の湖沼の環境管理の推進に貢献するという使命を担って、昭和61年に本県が設立しました。また、平成4年には、開発途上国の湖沼問題を初め、環境管理の改善を進めるために、国連環境計画国際環境技術センター、略称UNEP-IETCが本県草津市に開設されるに対して、その支援財団として位置づけられました。ILECでは、UNEP-IETCの支援の財政的基盤を安定的なものとするため、県出捐金と民間寄附金とを合わせて30億円を目標にUNEPセンター協力基金を造成するため、寄附金募集活動を展開してまいりました。  家森議員御指摘のとおり、本県は平成4年度に5億円を出捐いたしましたが、折しもバブル経済の崩壊などのため、民間の寄附金募集は低調に推移し、平成15年度末の基金残高は8億4,900万円余りと、当初目標額の30億円を大きく割り込んでいる状況にあります。  寄附金が目標額に達せず、また、長引く超低金利の経済状況の中、県では、ILECに対して、県派遣職員等の人件費のほか、維持管理費について補助を実施してまいりましたが、県の厳しい財政事情から、平成16年度より補助金の額を減額したところです。ILECにおいても、かねてから人員体制のスリム化と経費の削減を図るとともに、事業活動の財源については、各種助成制度の活用、例えば国連環境基金など、さまざまなところからの助成制度をいただいていると理解しておりますが、その助成制度の活用に努めておりましたが、どうしても財源に不足が生じることから、議員の御指摘のとおり、平成16年度より、基金元金を取り崩して対応してきております。いわば、元金を食べてしまっているという状態でございます。  琵琶湖を守る取り組みを先進的に進める本県といたしましては、国連機関を通じて琵琶湖での経験を、開発途上国を初めとする世界の湖沼保全に役立ててもらうとともに、世界の湖沼保全の最新の知見や情報を、琵琶湖の環境保全に生かすことを目的にILECを支援してきました。この目的は、国際交流が多様化し、国だけでなく、地域が、自治体が主体的に国際社会の安定と発展に貢献することが強く求められている現在において、引き続き大変意義のあるものと認識しております。  とはいえ、基金の果実を財団の運営財源に充てるという、当初の財政上の枠組みが破綻してきております今、こうした役割を担い続けていくためには、健全な財務体質を確保することが緊急の課題であると認識しております。そこで、ILECとして、自助努力による運営強化を図るため、早急に運営計画を策定するよう、指導しているところであります。ILECにおいては、この計画の策定を通じて、基金運用の適正化、事業の整備、見直し、これまで必ずしも十分ではなかった事業成果の県行政や県民活動への還元、きめ細やかな募金活動の継続など、業務運営の一層の効率化などを検討していくことといたしております。  かつて私もILECの理事を務めており、今後ともILECの果たすべき役割には期待しております。県といたしましては、この計画策定に参加し、議論を深めますとともに、あわせて、国の主務官庁であります外務省、環境省とも協議、調整しながら、ILECの運営のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。  なお、基金造成のために民間から御寄附をいただきました方々の善意にこたえ、また、県民の皆さんへの説明責任といたしまして、ILECが今後定める運営計画をインターネットホームページに掲載することなどにより、適切でわかりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。  4点目の目指すべき社会についてでございます。  東洋経済新報社の分析によりますと、滋賀県内の市は、安心度、利便度、快適度、富裕度、住居水準充実度の5つの観点から高く評価されています。また、社会経済生産性本部の分析によりますと、滋賀県は1人当たりの県民総所得が上位に位置づけられているとともに朝日新聞社の都道府県上流度ランキングでは、「学ぶ・育てる」「安心・安全」「働く・稼ぐ」「楽しむ・生きがい」「住む・暮らす」という5つの視点の評価で、滋賀県が上位に位置づけられ、特に図書館の年度資料費予算や映画館数などに基づき、「楽しむ・生きがい」の点で1位とされております。一方、英国のニューエコノミックス財団の幸せ地球指標は、暮らしの満足度や平均寿命が同じでも、環境への負荷が大きいとマイナス評価されており、日本を含む先進国は必ずしも上位ではなく、このような物質的な豊かさにとらわれない考え方も、これからの社会を考える上で重要であると思います。  家森議員御指摘の資料は、このような部分でのものと思われます。これらについては、一定の基準で住みよさや豊かさ等を評価したもので、社会を把握する一助となると思いますが、価値観の多様化によりいろいろな切り口があり、採用する指標によりさまざまな結果が出てまいります。また、住民の誇りや愛着、生活する実感と評価は必ずしも一致するものではなく、社会の一つの側面を反映したものと言ってもよいのではないでしょうか。  私は、東洋経済新報社や社会経済生産性本部、朝日新聞社の分析は、これまでの投資による豊かさを、幸せ地球指標は、豊かさの異なる尺度、つまり、環境保全というフィルターをかけた豊かさの異なる尺度を示唆していると考えます。  これまで、物質的には豊かになってきましたが、自然の破壊が進むなど、今、時代は大きな曲がり角に差しかかっており、右肩上がりを前提とした社会の仕組みや人々の考え方などを見直す必要が出てきたと思っております。今後は、県民の満足を支え、希望を生み出し、地域を発展させるために、産業振興や企業誘致などの経済面の取り組みの重要性は認識しながら、同時に、子や孫の世代に配慮し、本来の自然や人々の持つ力を大切にし、地域の取り組みを生かして、県民が誇りと愛着を持てる、美しい風景と品格のある県を目指していきたいと考えております。  家森議員が最後に引用してくださいました、「子供たちにとって大切なのは希望があるかないかだ」という、その文章は、実は私自身、日本の子供たちと接触しながら、さまざまなワークショップあるいは学校現場で働かせていただき、同時に、電気もガスも水道もないアフリカの子供たちと接触をしながら、この物質的に豊かな日本の子供たちの目の輝き、そして、悲しみ、苦しみ、大変な、ある意味で幸せであるべきところでありながら、さまざまな問題の中にある。一方、物質的には大変貧しいですが、目の前の、あすの、あさっての生きる希望を持ち続けているアフリカの子供たち、その目の輝きの違いを見ながら、希望を失うこと、そのことこそが、実は人間にとって大変大事なことではないかと感じた次第です。著書の中から1行取り上げていただき、また、私自身が大変こだわっているところを取り上げていただき、感謝いたします。  以上、家森議員の御質問に対する答弁でございます。ありがとうございました。 ◆30番(家森茂樹君) (登壇、拍手)せっかく感謝をいただきながら、再質問に上がってしまいました。2点ばかり。  1つ目は、科学者と為政者についてということで、知事と私の、科学者という言葉に対するとらえ方が違うのかなと。違うところは、これ以上言っても埋まらないのかなと思うのですけれども、ちょっとそこのところに私はこだわりたいと思います。  1つは、先ほどもちょっと言いましたけれども、淀川水系流域委員会へ出ておられた。淀川水系流域委員会へ出ておられるのは、学識経験者の委員として出ておられるというふうに私は理解しております。学識経験者委員として出ておられるということは、淀川水系流域委員会での発言は科学者としての発言なのだろうなと思うのですけれども、まず、この点はどうでしょうか。  ということになってくると、先ほど、実は橋本議員の御質問の中で、私、ちょっと気になった部分がございました。といいますのは、橋本議員の質問の中で、淀川水系流域委員会第30回琵琶湖部会での知事の委員としての発言の引用があったのですけれども、知事はこれに対して、フナやコイ、生態系を守るために水位操作について述べた部分であるという旨の答弁であったと思います。しかし、この部会での発言は、実は、意見書案の御説明を知事がなさっているのですけれども、この意見書案というのは、床上浸水が10戸近くとなる、ここまでで意見書案は終わっているのです。ここで終わっているのに対し、その後につけ加えて、嘉田委員といいますか、知事は、ここで申し上げたいのは、琵琶湖岸の洪水というのは、人が死ぬほどの致命的なものではなくて、じわじわと上がってくるものであるということです。ですから、これはある部分、経済、財政的な対応で可能だということです、というふうに御自身の見解をここで述べておられる。この見解というのは、嘉田さんの科学者の立場としての見解だと私は思うのです。  先ほどの御答弁では、さまざまな職種の方が、みずからの政治信条を実現しようと立ち上がり、政治家となったと、こういうふうにおっしゃっております。先ほど御質問で申し上げましたように、就任前々日の講義で、研究してきたことを実践するには、自分が知事になるしかないと思った、こういうふうにおっしゃっている。  ということは、先ほどの、例えば橋本議員の御質問に戻りますと、では、あの御見解というのは、科学者としての自身の政治信条につながっている見解だと。ところが、為政者、知事となったら、県民の生命、財産を守るというのが、まず第一の責任である。そこへ、河川管理者である。その政治家、為政者としてのいわば政策判断をしなければならない。そのときにはどういう価値基準というのが出てくるのかなと思ったときに、私は、どうもこの科学者と為政者というのはどういうふうに整理をされて、これから県政に当たろうとしておられるのかが、もう一つよくわからないということでお聞きしたのですけれども、御見解がありましたら、ひとつお願いしたいと思います。  もう一つ、公社、出資法人を半減するということなのですけれども、これはマニフェストの政策1-1という、しょっぱなに書いてある、この政策1-1というのは、いかに事業を効率化するかとかというところなのですけれども、その中に、公社、出資法人は直轄または統廃合により半減させますと明記してあるわけです。マニフェストというのは、随分議論になっているのですけれども、方法、期限、予算、財源を明らかにするというのが、マニフェストの基本なわけです。  見直し計画というのが既に県にある。本年3月に出ている。これからの、後で出たマニフェストに、やはりこのデータがしっかりと県の公式文書としてあるわけですから、これよりもさらに進んだことをマニフェストでお約束なさっている。では、それは、いつどういう手法でやるのですかとお尋ねをさせていただいたら、法人の意思決定があるので、そのプロセスが要るであるとか最大限の努力をしたいという、こういう抽象的な話は、それは当然わかるのですけれども、やはりマニフェストに書いた以上、しっかりと具体論を出していただかないと、マニフェストの、いわば体をなしていないのではないかという気がいたします。  びろうな話で恐縮なのですけれども、私の家のトイレに相田みつをさんの詩集が置いてありまして、その中に、弁解のうまい人間、謝りっぷりのいい人間という作品がありまして、大事なことだなと思っております。先日、欽ちゃん球団・茨城ゴールデンゴールズというのが、いろいろな事件がありまして、もう皆さんのために解散しますと欽ちゃんが言ったら、あの謝りっぷりに日本じゅうが拍手喝采をして、ぜひ続けろ、こういう話になったのではないかなと思います。できるできないではなく、やるやらないかでございます。御答弁をお願いいたします。(拍手) ◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)家森議員の再質問に答えさせていただきます。  私自身、ちょっと趣旨が理解できないところがございまして、状況というのでしょうか──だけを説明させていただくことになると思いますが、琵琶湖の水位が上がったときに死者が出るような水害があったかなかったかというのは、歴史的な事実を記述したところでございます。ですから、科学者としてというよりはその歴史を、いわば個性記述的な歴史を伝えている立場ということでしょうか。それに対して、家森議員が言っておられました、科学者は判断材料を出すだけで判断はしないのだと、私の文章を引用しておりました。ここのところは、繰り返し申し上げますが、自然科学のデータを、価値判断から自由に、そして再現性をもって検証可能なデータとして出す自然科学の手法と考えております。それに対して、先ほどの歴史的な琵琶湖の水位に対する水害の記述というのは、個別記述的な、歴史的にそのような事実であったということを私は述べている。それ以上でもそれ以下でもありませんということです。  それ以降の科学論でございますけれども、科学者が、あるいは研究者がいかに政治をするのかというところは、先ほどの答弁でも申し上げましたように、私自身は、自分の研究──科学とは言いません。研究の中に、社会の改善を、あるいはさまざまな実践というものを意識してきておりました。ですから、その実践の一つの方向として、今回の政治というところに手を挙げさせていただいたわけでございます。とはいえ、先ほども申し上げました、さまざまな分野の皆さんの意見、そしてプラスアルファのところは学ばせていただきますというところで申し上げました。  それから、マニフェストについてですが、私は、この間から代表質問のところで申し上げましたように、謝るのにやぶさかではございません。大変批判をいただきながら、数字として確定できていない、あるいは認識の甘かったところは謝らせていただきます。  以上です。 ○議長(赤堀義次君) 最後に、20番徳永久志君の発言を許します。 ◆20番(徳永久志君) (登壇、拍手)今議会でのホットな話題からずれてしまいますが、もうしばらく御辛抱ください。  まずは、生活保護について、健康福祉部長に質問いたします。  格差社会についての議論がたびたび本議会においても取り上げられていますが、OECD──経済協力開発機構は先月、対日経済審査報告書を発表し、日本の所得格差の拡大が経済成長に与える悪影響について懸念を示しました。特に可処分所得が中くらいの位置の半分に満たない割合である。相対的に貧困層は2000年段階で13.5%と、OECDに加盟する30カ国中、アメリカの13.7%に次いで2番目に高いと分析しています。  この報告書は、加盟国ごとにほぼ毎年公表されており、国際社会がその国の経済をどう見ているのか、有力な指標となります。日本版で格差の問題に言及するのは今回が始めてということであります。  格差が拡大した理由には、雇用形態の変化を挙げています。長引く景気低迷で、企業はリストラを進めた結果、正社員と、パートなど非正社員の二極化が強まったと分析しています。高齢化の進展もまたその一因に挙げられております。また、報告書の指摘のように、教育に影響が出ると、さらに深刻な状況となります。親の所得や職業により子供の将来が限定されかねません。努力が報われる社会と、格差の縮小、解消は両立するはず、いや、両立させなければなりません。そのためにも、まずは、いわゆる負け組を単なる努力不足と決めつけてしまうような風潮から脱却する必要があると感じています。  嘉田知事におかれましては、この格差の問題を県政課題の一つとして真剣に取り組んでいただきたいと思うところでございます。
     さて、格差の広がりと比例するかのように、生活保護を受けている世帯の数が増加しています。厚生労働省によれば、1980年、約75万世帯から、1992年には56万世帯へと減少していましたが、その後、増加に転じ、2004年には約100万世帯を超えるなど、1980年の1.3倍に増加しているとのことであります。特に世帯類型別に見ると、高齢者世帯は段階的に増加しており、1980年は全体の約30.2%であったものが、2004年には46.6%と、ほぼ半数を占めるに至りました。  生活保護制度は、生活保護法第1条に、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするとあることから明らかなように、格差社会における最後の頼みの綱、最後のセーフティーネットと言っても過言ではないでしょう。  そこで、まずは、滋賀県における生活保護受給世帯数のここ数年の状況およびその特徴的なことについてお伺いいたします。  生活保護をめぐる問題としては、不正受給の問題、そして、水際作戦と呼ばれるものがあります。不正受給につきましては、その典型的なケースは、年金や就労収入を申告していなかったり、過少に申告していたというものであります。中には、暴力団関係者が絡んだ悪質な例も見受けられるようであります。こうした例は、たとえ悪意がなくとも、制度の信頼性の根幹を揺るがすものであり、厳しく取り締まらなければいけませんし、悪質なケースは詐欺罪で告発するぐらいの毅然たる態度で対処しなくてはなりません。  一方、水際作戦とは、申請の受付窓口において申請書をできるだけ手渡さないようにするというものであります。申請主義をとる制度であるにもかかわらず、せっぱ詰まって受給を求める人に申請書すら渡さずに、相談扱いにして、保護世帯の増加を申請の水際で防ごうというもので、財政状況が厳しい自治体に多く見受けられることが指摘されております。  ことし2月、この水際作戦の犠牲とも言える事件が起こりました。54歳の男性が、認知症の母親の介護に苦しみ、最後は母親を絞殺し、みずからも自殺を図ったが、死に切れなかったという事件です。この男性は、認知症の母親の介護を献身的に行う親孝行の息子として、近所でも評判だったようですが、やがて母親の生活が昼と夜が逆転したものとなり、介護を続けるために、勤めていた会社を退職しました。退職後、3回にわたり福祉事務所に生活保護の申請に行きましたが、この水際作戦にあって申請書すら手渡されませんでした。その結果、貯金もゼロとなり、アパートの家賃も払えなくなった、ちょうどその日に、最後に、家族の楽しい思い出の場となった京都の新京極に車いすを押して母親を連れていき、最後の親孝行をしました。そして、桂川の河川敷で心中未遂であります。裁判官や弁護人、傍聴席からもすすり泣きが聞こえ、検察官でさえ、刑を軽くするようにと訴え、法廷が泣いたと報道されました。  厚生労働省は、ことし3月、生活保護行政の適正運営を目的に、受給者の詳しい就労状況の把握など、厳正な審査を自治体に求める手引をまとめました。税金を投入している以上、適正運営への努力は欠かせません。しかし、不正受給の未然防止のためのチェックを厳しく行うことと、保護費の削減とは全く別次元の問題であります。先ほどの例のように、水際作戦などで、本来保護されるべき人までが排除されることがあってはなりません。  実際に、生活保護の申請却下や受給中の停止、廃止といった処分に不服がある場合、都道府県知事に取り消しを求める申し立てができる制度がありますが、その件数は全国的に増加しており、申請窓口での判断に誤りがあったと裁決される例も少なくないとのことであります。先ほど紹介した事件では、福祉事務所の窓口での対応ぶりに対し、死ねと言われたように感じたと、絶望感が増幅したとのことであります。生活保護制度のように、申請主義をとる場合には、申請窓口での対応がかぎとなります。  そこで、生活保護行政のあるべき姿、不正受給防止のためのチェック体制、水際作戦についての考え方などを含め、各福祉事務所および地域振興局の申請窓口において、対応をどのように指導、監督されておられるのか、お伺いいたします。  また、直近の不服申し立ての件数と処理内容についても、あわせてお伺いいたします。  次に、小学校における英語教育について、教育長に質問いたします。  私は本年2月議会の予算特別委員会において、この小学校での英語教育、現段階では英語活動というのだそうですが、これを取り上げ、議論をしました。私は小学校段階で英語を教える必要性は全くないという立場に立ちます。言語学者であります慶應義塾大学の大津教授はこのように述べておられます。小学校での言語教育では、主に母国語、つまり日本語を利用して、言葉の持つおもしろさや豊かさ、美しさを実体験させることを中心に据えるべきであります。日本語の知識の意識化と、それを利用した運用能力の向上は、子供たちのその後の心的成長にとって不可欠の土台となります。また、ほとんど無意識に身についてしまう母国語と違い、外国語は通常、かなりの部分が意識的な学習を必要としますし、また、その方が効率がよいと言われています。そのためには、むしろそうした学習に適した中学校以降に外国語学習を開始した方がいいわけでありますと述べておられます。全くの同意見であります。  こうした意見に対し、教育長は、小学校段階にふさわしい歌やゲーム、簡単なあいさつやスキットなどの音声を使った体験的な活動を行うことによって、英語になれ親しむとともに、国際理解を深めることができると、その利点を説いていました。小学校での英語教育についての調査をすると、大抵は保護者の大部分がそれに賛成の意を示しているとの結果が出ます。このことをもって、小学校での英語教育の論拠に挙げる向きが多いわけであります。  しかし、なぜそういう結果になるのかと考えてみれば、その理由は、小学校から英語を学ぶと、英語のスキルが身につく、つまり英語が使えるようになると期待するからだと思います。実際に英語になれ親しみ、国際理解を深めることを目的とする教育長の考えでは、英語が使えるようになるとの保護者の期待に到底こたえることはできません。この点をまずしっかりと説明しなければいけませんし、説明すれば、調査の結果も随分異なるものと考えます。まずは、この点について御所見をお伺いいたします。  滋賀県の小学校での英語活動は、総合的な学習の時間に行われており、約86%の小学校で何らかの形で取り組まれているとのことであります。こうした形態をとる現状において、多くの場合、その担当は担任の教員か、ALTと呼ばれる補助教員となります。たとえ歌やゲーム、簡単なあいさつを教えるだけとはいっても、それに伴う必要な知識と指導技術が要ることはもちろんであります。果たして、それらを兼ね備えた教員がどれだけいるのでしょうか。しっかりとした訓練を受けていない教員が教えることによって、小学校の段階で英語嫌いをつくる可能性が大いにあるのではないでしょうか。さらに、一度身につけてしまった変な癖はそう簡単には取れないものだと強調しておいてもいいと思います。  実際、現状の英語活動の現場において、みずからの知識と技術に不安を覚えている教員の数は少なくないと指摘がなされておりますが、こうした指導面での問題についてお考えをお伺いいたします。  私のこの問題についての質問をネット中継でごらんになった、県内の教育関係者と称する方から御意見をちょうだいしました。その方いわく、小学校での英語にそれほど多くを期待しているわけではない。本来は外国人と言うところですが、この方は外人さんと呼ばれましたので、そのまま言います。外人さんに対して物おじしないで接することができるようになる程度のことで十分。小学校では英語を楽しく遊んでくれればいい。それが将来の本格的な英語学習のきっかけになるということです。教育長の見解に非常に近いものがありますが、ちょっと待てと言いたくなります。  ただでさえ小学校のカリキュラムは過密状態であります。それほど多くを期待しているわけではないことに貴重な時間を割いている余裕はありません。それに、外国人は英語を話すとは限りません。日本には英語を話さない外国人はたくさんいますし、滋賀県に限れば、その方が多いのかもしれません。国際理解教育を行うことを主眼として小学校で英語を教えることは、何か英語を特別視する、ゆがんだ言語観を助長する危険性があるのではと思うのですが、これはうがった見方をし過ぎでしょうか、お考えを伺います。  2月議会の答弁では、英語活動を最も頻繁に行っている学校でも、二、三週間に1回のペースとのことであります。この程度のことに目くじらを立てるなと言われそうですが、このままでは済まない気がします。つまり、二、三週間に1回ではままならないから、週何時間、もっと低学年から、いや、幼稚園からとエスカレートして、気がつけば、国語や算数などの科目が顧みられなくなっているかもしれないと思うのは杞憂でしょうか。  県では今年度から、すべての教科の基本は国語であるとの認識のもと、滋賀ことのはプロジェクトを立ち上げられ、大変頼もしく感じています。小学校英語の対応に時間と労力をかけるよりも、ぜひともこのプロジェクトに磨きをかけてほしいものだと思います。  本年3月27日に開催された中央教育審議会の教育課程部会外国語専門部会の議論を受ける形で、小学校での英語の必修化の流れが加速してきています。しかしながら、小学校での英語教育の利点というものについて、例えば、なぜ中学校からではいけないのかという点も含めて説得力のある議論やデータが提示されていないのは非常に不自然に思えてなりません。こうした小学校英語教育狂想曲に踊らされることなく、子供たちの豊かな成長のために、言葉の教育のあり方について、冷静に議論すべきだと考えるものですが、教育長の、小学校での英語必修化の流れについて御見解を伺って、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(赤堀義次君) 20番徳永久志君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康福祉部長(谷口日出夫君) (登壇)徳永議員の生活保護に関する御質問にお答えします。  まず、生活保護受給世帯の推移と特徴でございます。  本県では、昭和59年度の4,506世帯をピークに減少しておりましたが、平成6年度の3,292世帯を底といたしまして増加傾向に転じ、昨年度では5,151世帯となっており、現在も微増傾向が続いております。  本県の特徴といたしましては、生活保護の受給率が、平成18年2月現在、人口1,000人当たり5.7人であり、全国の11.7人と比べますと約半分程度であるほかは、高齢者世帯、障害者世帯といった、世帯類型別などを見ましても大きな特徴は見られないところであります。  次に、各福祉事務所および地域振興局の申請窓口での対応をどのように指導、監督しているかということでございますが、まず、不正受給に関しましては、平成13年度には45件、約3,600万円、平成17年度には130件、約5,140万円と、年々増加いたしておりますことから、その防止につきましては、世帯の実態に応じた家庭訪問の実施により生活実態を明らかにいたしますとともに、とりわけ全世帯を対象とする課税状況を調査することが最も重要であると考えておりますことから、これを徹底しているところでございます。  また、いわゆる水際作戦と言われるものについてでございますが、生活保護制度が県民の命にかかわる最後のセーフティーネットでありますことを十分踏まえ、相談者が福祉事務所の窓口に来られた場合は、これまでの生活実態を詳しくお伺いするとともに、生活保護制度の仕組みについてわかりやすく記載した「保護のしおり」などを用いて丁寧に説明しているところでございます。  県といたしましては、このようなことも含め、これまでも年度当初の会議や研修会等を通じまして、相談者や保護受給者への対応について、必要な指導をしてきたところでございます。特に今回、他府県におきまして生活保護制度や福祉事務所に対する信頼を損なうような事件が続発しましたことから、本県においても、こういったことがないよう、7月27日には福祉事務所と地域振興局に対しまして、保護の相談、申請に際しては、生活保護制度の十分な説明と懇切丁寧な対応を図ることや、権利義務の周知徹底、組織的な運営管理といったような点につきまして、改めて文書により通知をしたところでございます。  次に、不服申し立ての件数と処理状況についてでございますが、不服申し立ては、生活保護の申請を却下されたことや、保護受給中の停止、廃止といった処分に不服がある場合、知事に処分の取り消しを申し立てることができるもので、本県では平成13年度から平成17年度までの5年間で19件の申し立てがありました。  その内容は、申請却下の取り消しを求めるものが10件、保護廃止の取り消しを求めるものが5件、その他4件となっております。これらの申し立てに対して県が行った決裁は、不服申し立てを却下したものが4件、不服申し立ての申請に理由がなく、棄却したものが10件となっております。また、不服申し立てに理由があり、容認したものが4件、取り下げ1件となっております。  福祉事務所や地域振興局に対しましては、保護申請の却下や保護の廃止といった処分を行うに当たっては、十分な調査を行い、相手の納得が得られるよう、その内容についての説明を行うことを指導いたしますとともに、不服申し立てができることについても必ず説明するよう、あわせて指導しているところでございます。  こうした生活保護の適正実施につきましては、福祉事務所に対する監査はもとより、会議や研修会の中でも指導してきたところでありますが、国民生活の最後のセーフティーネットと言われておりますこの制度が、真に必要とする人には漏れなく適用できるよう、引き続き適正な実施と、保護受給世帯の早期の自立に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)小学校における英語教育についての御質問にお答えいたします。  1点目の小学校段階で英語になれ親しみ、国際理解を深めることを目的とする私の考えでは、英語が使えるようになるとの保護者の期待には到底こたえることはできないのではないかとのお尋ねでございますが、現在、小学校では、英語活動として、総合的な学習の時間の中で、児童が外国語に触れたり、外国の生活や文化になれ親しめるような国際理解のための学習が行われております。小学校から英語を学ぶと英語が使えるようになるという保護者の期待があるとすれば、今の国際理解教育という取り組みの本来の趣旨からいたしまして、その期待にこたえることは困難であると考えております。小学校における英語活動にはまだまだ賛否両論がある中で、さまざまな議論が重ねられておりますが、御指摘のように、保護者の方々にも正しく理解いただけるような説明が求められているものと認識しております。  2点目の英語活動の指導面での問題でございます。  この英語活動の指導に当たるのは小学校教諭でございますので、英語の教科の免許はございませんし、専門の訓練を受けた教員ではございません。それぞれの学校では、外国人指導助手、いわゆるALTの方と一緒になって指導するということも多いわけでございますが、総合教育センターでも小学校教員対象の英語講座を設けたり、国の小学校英語活動指導者講座にも教員を派遣するなど、英語の指導力の向上に取り組んでおります。しかしながら、授業の進め方や指導の方法について不安を感じている教員が多い状況もございまして、その点についての対応も大きな課題であると受けとめております。  3点目の国際理解教育を行うことを主眼として小学校で英語を教えることは、何か英語を特別視する、ゆがんだ言語観を助長する危険性があるのではないかとのお尋ねでございますが、今の国際社会において最も多く使用されている言語は英語であるということや、子供が学習する際の負担などを考慮いたしますと、小学生がなれ親しむ外国語としては英語がふさわしいのではないかと考えておりますが、県内それぞれの地域の実情に合わせて、英語だけでなく、ポルトガル語やスペイン語、また、韓国・朝鮮語などを通した国際理解のための交流活動を進めている小学校もございます。もとより国際理解教育で大切なことは、人と人が心を通い合わせることの大切さ、そして難しさを、コミュニケーションを通して学ぶことにございます。したがいまして、英語だけが特別視されたりというようなことがあってはならないものと考えております。  最後に、4点目の小学校での英語必修化の流れについての見解はどうかというお尋ねでございます。  小学校における英語活動、これは具体的には各市町の教育委員会が判断されることになりますが、英語になれ親しみ、国際理解の一助とするという意味合いにおいて、私としては総合的な学習の時間の中で月に1時間から2時間程度でいいのではないかと思っております。  現在、国におきまして、小学校5、6年生において、英語活動を学習指導要領の中で、領域や総合的な学習の時間に位置づけ、平均週1時間程度の共通の教育内容を設定する方向で検討が進められていると聞いております。環境学習や体験学習を初め、滋賀らしい教育を進める上で、総合的な学習の時間は非常に大切な時間でございます。その中に英語が必修として週1時間設定されることになりますと、結果として、そこにしわ寄せが参ります。  滋賀の子供たちにとって何よりも大切と私が思いますことは、やはり国語力の向上でございます。算数や理科、社会を含めた、あらゆる教科の基盤となる国語力をしっかり身につけることであります。今年度立ち上げました滋賀ことのはプロジェクトも、そうした思いからでございます。物事を深く考え、想像し、相手の思いを感じ、自分の思いを豊かに表現する、その基礎となる国語力を滋賀の子供たちがしっかりと自分のものにしてこそ、初めて人間として、あるいは日本人としてあるべき基本がはぐくまれるものと考えております。  その意味におきまして、現在、国の方で学習指導要領を改訂する動きがございますが、改めて、あらゆる角度から議論が尽くされた上で、小学校段階における英語教育の是非ということについて、子供たちの未来に責任を負える結論が導かれることを望むものでございます。 ○議長(赤堀義次君) 以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明4日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後8時22分 散会     ─────────────────...