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平成16年12月定例会(第21号~第26号)-12月09日-03号

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  1. 滋賀県議会 2004-12-09
    平成16年12月定例会(第21号~第26号)-12月09日-03号


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    平成16年12月定例会(第21号~第26号)-12月09日-03号平成16年12月定例会(第21号~第26号)  平成16年12月滋賀県議会定例会会議録(第23号)                                       平成16年12月9日(木曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         平成16年12月9日(木)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第141号から議第163号まで(平成16年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)ほか22件)(質疑、質問)            ─────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ─────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   福  本  庄 三 郎  君   2番   若  山  秀  士  君    3番   上  田  昌  之  君   4番   蔦  田  恵  子 さん    5番   小  寺  裕  雄  君   6番   山  田  和  廣  君    7番   山  田  尚  夫  君   8番   太  田  正  明  君    9番   辻        貢  君   10番   小  杉  武  志  君
       11番   西  川  勝  彦  君   12番   岡  崎  基  子 さん    13番   大  井     豊  君   14番   河  部  哲  幸  君    15番   谷     康  彦  君   16番   森     茂  樹  君    17番   桐  山  ヒ サ 子 さん   18番   中  沢  啓  子 さん    19番   徳  永  久  志  君   20番   西  沢  久  夫  君    21番   北  野  加 代 子 さん   22番   出  原  逸  三  君    23番   青  木  愛  子 さん   24番   佐  野  高  典  君    25番   三  宅  忠  義  君   26番   上  田     彰  君    27番   家  森  茂  樹  君   28番   清  水  克  実  君    29番   吉  田  清  一  君   30番   杼  木  捨  蔵  君    31番   辻  村     克  君   32番   赤  堀  義  次  君    34番   世  古     正  君   35番   三  浦  治  雄  君    36番   中  村  善 一 郎  君   37番   黒  田  昭  信  君    38番   上  野  幸  夫  君   39番   橋  本     正  君    40番   滝     一  郎  君   41番   石  田  幸  雄  君    43番   黒  川     治  君   46番   梅  村     正  君    47番   朝  倉  克  己  君   48番   沢  田  享  子 さん            ─────────────────────────────── 会議に欠席した議員(1名)    33番   冨 士 谷  英  正  君            ─────────────────────────────── 会議に出席した説明員              知事              國  松  善  次  君              教育委員会委員長        高  橋  啓  子 さん              選挙管理委員会委員長代理    種  村  直  道  君              人事委員会委員長代理      山  川  明  子 さん              公安委員会委員長        森     美 和 子 さん              代表監査委員          中  森     武  君              副知事             廣  田  義  治  君              副知事             安  藤  よ し 子 さん              出納長             池  口  博  信  君              政策調整部長兼知事公室長    川  尻  嘉  徳  君              総務部長            馬  場     章  君              県民文化生活部長        近  藤  月  彦  君              琵琶湖環境部長         伊  藤     潔  君              健康福祉部長          澤  田  史  朗  君              商工観光労働部長        河  本  光  明  君              農政水産部長          浅  田  博  之  君              土木交通部長          河  崎  和  明  君              企業庁長            三  谷  健 太 郎  君              教育長             斎  藤  俊  信  君              警察本部長           上  山  國  隆  君            ─────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事務局長            小  川  啓  雄              議事調査課長          吉  田  哲  也              議事調査課課長補佐       林  田  長  吾              議事調査課副主幹        山  本  昌  男            ───────────────────────────────   午前10時4分 開議 ○議長(世古正君) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(世古正君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  議第162号議案および議第163号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。  次に、選挙管理委員会委員長伊藤正明君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員種村直道君が、また、人事委員会委員長市木重夫君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員山川明子さんが、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(世古正君) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第141号から議第163号まで(平成16年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)ほか22件)(質疑、質問) ○議長(世古正君) 日程第1、議第141号から議第163号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は一般の質疑ならびに質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、6番山田和廣君の発言を許します。 ◆6番(山田和廣君) (登壇、拍手)おはようございます。トップバッターということで少し緊張しておりますが、議長のお許しをいただきましたので、発言通告書に基づきまして、2点の一般質問をさせていただきます。  まず1点目に、漁業被害対策について、知事、農政水産部長にお尋ねをいたします。  ことしの冬は、今のところ暖冬傾向が続いておりますが、冬の琵琶湖の味覚といいますと、寒モロコにまさるものはないと思っております。先月末の新聞によりますと、水産試験場ではホンモロコのえさとなるツボワムシという動物性プランクトンの大量培養に成功したとの報道がなされておりました。ホンモロコの漁獲量が最近激減している状況の中で大変な朗報であります。私はホンモロコの復活を何よりも願って、養殖研究にも取り組んでおりますが、今回成功した動物性プランクトン、ツボワムシの培養技術を養殖にも利用できるよう公開し、指導をお願いしたいと思っております。  ところで、現在の琵琶湖に漁業の観点から目を向けますと、外来魚の異常繁殖による在来魚の食害の問題、冷水病による天然アユや養殖アユの大量へい死問題、さらには、カワウの異常繁殖による食害や景観被害問題と、大きく言って3つの問題を抱えており、琵琶湖の漁業者にとっては死活問題となっていることは周知のとおりであります。  そこで、まず、現在の琵琶湖に深刻な影響を及ぼしているこれら3つの問題解決に向けた取り組みについての知事の決意を伺うものであります。  続いて、それぞれの問題について、農政水産部長に質問をいたします。  1点目の外来魚問題につきましては、平成15年度から琵琶湖の外来魚を撲滅するという目標のもと、県民を挙げてその取り組みを進めているところでありますが、広い琵琶湖での外来魚駆除は困難な面も多いものと考えます。外来魚の駆除は、緊急雇用対策なども活用しながら、また、琵琶湖のレジャー条例によるノーリリースなどによる外来魚の回収など、あの手この手を使いながら外来魚ゼロを目指して駆除を行っているわけであります。  そこで、外来魚対策の成果について、これまでに駆除したのはどの程度の量になっているのでしょうか。また、外来魚の生息量は、平成13年度には3,000トンであるとされていましたが、現在ではどれほどまで減少しているのでありましょうか。また、駆除により生息量が減少してきますと、駆除が難しくなることが予想されますが、その対策をどのように考えておられるのか。  最近、琵琶湖の外来魚対策が漁業者の救済策ではないかとの声もあるわけでありますが、外来魚問題の本質や駆除の目的について、ここで改めて確認をしておくことも必要ではないかと思いますので、この点もあわせてお尋ねをいたします。  2点目の琵琶湖漁業の中で最も重要なアユ漁に深刻な影響を及ぼしているアユの冷水病についてでありますが、県では平成13年度から、国や大学などと連携して重要課題として早期解決に向けて取り組んでおられます。この間、治療技術の開発や湖産種苗の全国に向けたアピールなどにより一定の成果を上げているやに仄聞しておりますが、漁業者が最も要望しております冷水病ワクチンの開発については、いまだに成功したと聞いてはおりません。冷水病ワクチンなど、現在の冷水病対策の状況はどのようになっているのでありましょうか、お尋ねをいたします。  3点目の大量に生息し、現在もふえ続けているカワウについて、これまで数度にわたり質問をしてきたところでありますが、先月25日に県はカワウの生息状況調査の結果を発表しました。それによりますと、県下にあるカワウのコロニー5カ所の中で、規模の大きい竹生島と近江八幡市伊崎半島の2カ所でそれぞれ約3万羽と1万1,000羽の、合わせて4万1,000羽が春に生息していたということであります。この生息数は、さきに県が発表されていました、これまでの一斉調査結果の8,000羽の実に5倍の生息数であり、私が琵琶湖で日ごろから実感し、また、漁業者の方々から聞いていました漁業被害の実情に近い生息数であると思っております。  県ではことしから、漁業被害を軽減するため、営巣地へ踏み込んだカワウの駆除を実施されていますが、その結果はどうであったのか。また、専門家を交えた検討会を実施されたと聞いておりますが、どのような成果が出ているのか。さらに、カワウ対策のアイデアを全国に募集され、その結果が新聞等で報道されていましたが、その成果を今後どのように生かされるのか、お尋ねをいたします。  琵琶湖の代表的な景勝地であります竹生島は、生息する3万羽のカワウによって、森林被害は言うに及ばず、崩落の危険さえあると聞いております。また、カワウは魚だけをえさにしていますことから、1羽のカワウが1日に500グラムを食べるとしますと、4万羽のカワウが1日に20トンもの魚を食べることになり、漁業被害が続いているのであります。これらの被害を一日も早くなくすために根本的な対策を早急にとる必要があると考えるものであります。  以上、私が取り上げました3つの問題は、数千年にわたり滋賀県の漁業者の先祖が営々と築き上げ、伝えてきた琵琶湖漁業にとって死活問題であり、解決しなければならない緊急の課題であります。次の世代に琵琶湖の食文化を伝えていくためにも、これらの問題が一日も早く解決されることを願って、この質問を終わります。  次に、平安女学院大学について、知事に質問をいたします。  滋賀県には、昨年4月に開学した3大学を初め、現在では10の大学と3つの短期大学が立地しています。県立大学の開学や私立大学の積極的な誘致といったこれまでの取り組みが、今日の大学県とも言える状況をつくり出したものと思います。こうした大学の集積は、多くの学生が学び、生活を送ることで地域社会や経済が活性化されるのみならず、公開講座の実施や地域づくりへの参画、産業との連携など、大学の持つ知の集積がこれらの地域づくりに生かされることに大いに期待しているところであります。  ところが、平成12年4月に開学して、ことしの3月に初めて卒業生を出したばかりの平安女学院大学が、平成17年4月をもって現代文化学部高槻キャンパスに統合する方針を打ち出され、新聞報道が相次ぎました。この大学は、地元守山市が25億円の補助金を出して誘致したものであり、県も8億円の補助をしているところであります。これまで、学生によるボランティア活動や大学と商工会議所がタイアップした活動などが展開されるなど、地域に開かれた大学として、地元守山市民を初め、県民から親しまれていただけに、キャンパスの統合の方針が打ち出されたことは非常に残念であります。  学生の有志がびわ湖守山キャンパスの存続を願う1万件を超える署名を集め、守山市や県、文部科学省に提出されたと聞き及んでおります。さらに、新聞報道によると、守山キャンパスで学ぶ権利の確認を求めて学生が訴訟を起こしているようであります。一方、学校側は、先ごろ守山市内の各戸に、「これからもびわ湖守山キャンパスで」と題して、来年度も市民講座を開催する予定であるという内容の新聞折り込みを行ったところであります。  県は、このような平安女学院大学の動きに対して、これまでどのように対処し、また、今後どのように対応していこうと考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) 6番山田和廣君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)山田議員の御質問にお答えします。  琵琶湖の周辺に人々が営みを始めたのは、今からおよそ2万年前にまでさかのぼると言われております。春には産卵のために湖岸に押し寄せてくるニゴロブナやコイ、ナマズ、夏には銀鱗を躍らせるアユ、そして、秋には赤く色づいたアメノウオ、すなわちビワマスなど、四季折々の琵琶湖の豊かな生き物たちの恵みに支えられて、私たちの先祖は豊かな暮らしを享受し、近江の食文化を創造してまいりました。しかしながら、近年の琵琶湖をめぐる環境の変化は、大きな時の流れの中で、ここ数十年の間に琵琶湖の環境や生態系を大きく変えてしまうのではないかと危惧を抱かざるを得ない状況にあると思っております。  こうした中で最近の琵琶湖漁業を見ますと、昭和30年代には8,000トンもの漁獲量を誇っておりましたが、現在では2,000トンと、4分の1にまで落ち込んでいる状況であります。とりわけ、ニゴロブナやホンモロコ、セタシジミといった琵琶湖固有種と言われる在来種が大幅に減少しており、大変深刻な状況にあります。  このような中、山田議員御指摘の3つの問題につきましては、琵琶湖漁業の将来を左右しかねない大きな課題であると受けとめまして、県としても最大限の取り組みをしているところであります。  琵琶湖漁業が他の産業とは異なり、琵琶湖の豊かな生態系に支えられていることを考えますと、その漁獲量は琵琶湖の健全性を示す一つの指標であり、琵琶湖の固有種を守り生態系を保全することが何より大切であると考えております。そうした観点に立って、琵琶湖と人との共生という基本理念のもと、流域全体で取り組む琵琶湖とその生態系の保全、回復を県の中期計画戦略プログラムの戦略の一つに位置づけ、琵琶湖から外来魚の撲滅を目指した取り組みを強力に進めることとしております。  また、異常に繁殖したカワウについては、早期に適正数まで抑制することとし、さらには、現在進めておりますアユの冷水病ワクチンの研究開発を早期に完成させ、湖産アユの一日も早い復活を図り、かつてのようなにぎわいのある琵琶湖漁業の再生に向け、広く県民や漁業者、研究者の方々とも協働しながら、徹底した取り組みを進めてまいる決意であります。  次に、平安女学院大学キャンパス統合についての御質問にお答えします。  守山のキャンパスを高槻に統合する計画が4月に新聞に報道されて以来、びわ湖守山キャンパスの存続と、そこに学ぶ学生に不利益が生じないよう、学校法人に文書で申し入れるなど、大学を誘致された守山市とともに統合計画の撤回を働きかけてまいりました。  この間、大学からは、びわ湖守山キャンパス先端技術センターとして活用するなど、大学機能の存続を検討しているとの説明がありましたが、県としましては、あくまでも大学設置当初の計画に沿ったキャンパスの運営を強く求めてまいりました。そうした中で、11月下旬に、御質問の折り込みチラシが配布されたものであります。  早速、大学に対しまして説明を求めましたところ、チラシのとおり、大学は、守山にある現代文化学部を来年度から人間社会学部として高槻で開設する手続を進めているというものでありまして、まことに残念ながら、これまでの県や守山市の働きかけにもかかわらず、経営上の問題などを主張する大学に、キャンパス統合の計画を翻意させるまでには至っていないというのが現状であります。  今後の対応でございますが、この問題は、基本的には大学側に設置者としての責務を果たすという真摯な対応が求められるところでありますが、県としても静観していればよいというわけにはまいりません。私は常々、自然や歴史に恵まれた本県は教育や研究のフィールドとして最適なキャンパスであると感じ、大学誘致に力を入れてきたところであります。今や県内に13の大学が設置され、それぞれの大学が個性を生かしながら互いに連携し、知を結集することによって人づくりや産業づくりなど、滋賀の新たな魅力が創造できるものと大いに期待しております。それだけに、県や守山市が多額の補助金を交付したことや、守山キャンパスで4年間学びたいとして入学した学生たちの思い、さらには、これを大切にしようと1万人を超える県民の署名を重く受けとめなければならないと考えておりまして、今後とも大学の対応を見きわめながら、守山市と連携して、必要な申し入れ等を行っていきたいと考えております。  それでもなお、来年の4月以降、守山キャンパスに学生がいないような最悪の事態が生じました場合には、県が大学の設置に際しまして交付いたしました補助金の返還について、滋賀県補助金等交付規則等、関係する諸規程に沿って適切に対処する必要があると考えております。 ◎農政水産部長(浅田博之君) (登壇)山田議員の漁業被害対策についての御質問にお答えします。  まず、外来魚対策についてでございますが、1点目の、これまでに駆除した量につきましては、平成14年度は約521トン、平成15年度は、駆除事業とリリース禁止による回収と合わせまして約444トンでございます。本年度におきましては11月末現在で、駆除事業により約355トン、リリース禁止による回収で約37トンと、合計約392トンとなっております。  次に、2点目の現在の外来魚の生息量についてでありますが、平成13年度末で約3,000トンと推定しておりましたが、水産試験場で平成15年度の外来魚駆除量と平成16年春の捕獲漁の体長組成から資源学的に解析しましたところ、平成16年春には約1,100トン減少し、北湖におよそ1,200トン、南湖でおよそ700トンの、合計1,900トンの生息量と推定しております。
     3点目の今後の外来魚駆除の進め方についてでありますが、駆除が進むにつれて、密度が低く、体型が小型化し、捕獲が難しくなることが考えられますので、従来のエリや刺し網による駆除に加えまして、水産試験場で開発いたしました遮光型かご網による捕獲を始めております。さらに来年度からは、水草の中においても効率的に外来魚の稚魚を捕獲することができるビームトロールというひき網を活用することも考えております。また、今後、人工産卵床による繁殖抑制や、不妊化したブラックバスの雄親の放流による生物的駆除の技術を確立するなど、生態を応用した手法も駆使し、外来魚の生息量ゼロを目指して駆除を強化していく所存でございます。  次に、4点目の外来魚問題の本質や駆除の目的についてでありますが、ブラックバスやブルーギルなどの外来魚は、在来魚介類やその卵を食害し、琵琶湖漁業が壊滅の危機に瀕するほどの極めて大きな影響を及ぼしておりますことから、第一義的には琵琶湖漁業が健全な形で営まれることを目的として駆除を行っております。また、そのことが、かつての多様な生物で構成される豊かで安定した琵琶湖の生態系を取り戻すことにつながるものと確信をしております。なお、広大な琵琶湖において外来魚ゼロを目指すためには、漁業者の協力なしには到底なし得ないものであり、県漁連に依頼して、捕獲に要する経費を助成しているものでございます。  次に、冷水病ワクチンの開発など、現在の冷水病対策の状況についてでございますが、本県の水産業において最も重要な魚種でありますアユは、冷水病の影響により、河川放流用の琵琶湖産アユ苗の全国シェアが30%を割るなど、大きな問題となっておりますことから、早急に抜本的対策を講じることが求められております。  冷水病の対策としましては、薬を用いることが主流となっておりますが、本県の水産試験場が独自に開発しました、28度Cで3日間の加温処理法が治療、除菌にすぐれた効果のあることが明らかとなっており、この加温処理法の普及を進めております。しかし、この方法は、治療効果はあるものの、冷水病に対する免疫を持つまでには至っておりませんので、予防対策としてワクチンの開発が切望されております。  水産試験場ではこれまでに16種類のワクチンを試作し、その効果を検証してまいりましたが、残念ながら実用レベルの効果が認められるまでには至っておりません。しかしながら、畜養池において投薬や加温処理による治療を繰り返すことによって高い免疫を持つケースも出ておりますので、そのメカニズムを明らかにして新たなワクチン開発を目指していきたいと考えておるところでございます。  次に、カワウ対策に関する御質問についてであります。  まず、1点目の今年度より実施した営巣地での駆除の結果についてのお尋ねでございますが、本年度は、竹生島、近江八幡市の伊崎の営巣地において6月から9月の繁殖期間中に集中的に銃器駆除を実施したところでございます。その結果でありますが、竹生島におきましては、春季に4,990羽、秋季に270羽の、合わせて5,260羽、伊崎におきましては、春季に3,000羽、秋季に410羽の、合わせて3,410羽を駆除したところでございます。従来より実施してまいりました飛来地での駆除事業では、県下全体で年間3,000羽から4,000羽程度の駆除数であったことから考えましても、今回の営巣地対策におきましては相当に効率的な駆除が実施できたものと考えております。来年度につきましては、こうした点を踏まえ、春季に集中して営巣地駆除を行うなど、より効果的な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。  2点目の専門家を交えた検討会の成果などについてでありますが、カワウ研究者から、営巣地全体での駆除を行うのではなく、集中的に駆除を行う区域を決めるなど、効果を検証しながら計画的に実施してはどうかなどの御意見をいただき、それらの意見を取り入れながら、今年度事業を実施したところでございます。また、繁殖率調査では、人の侵入があった地域では繁殖率が低下することが報告されており、今後の対策の重要なポイントとなると考えております。  3点目のカワウ対策アイデア募集の結果を今後どのように生かすのかとの御質問でございますが、本年10月、全国の大学や研究機関などを中心に、インターネットも利用して広くカワウ対策のアイデア募集を実施いたしました。その結果、全国から61点もの御応募をいただきました。これらの中には、放水による巣の除去やカワウ生息数調整の日の制定による一斉駆除、繁殖率低下をねらった竹生島の散策路の整備など、幾つかの実用可能なアイデアをいただきましたので、今後、関係機関とも調整を図りながら、実施可能な区域において、工夫を凝らして取り組んでまいりたいと考えております。  以上、現在の琵琶湖漁業には3つの大きな問題が深刻な影響を及ぼしておりますが、このほかにも、水草の異常繁茂やヨシ帯の産卵繁殖場の減少など、数多くの課題があり、関係者はもとより、広く県民の御理解と御協力を得ながら、これらの早期解決に向けて精いっぱい取り組んでまいる所存であります。 ○議長(世古正君) 次に、32番赤堀義次君の発言を許します。 ◆32番(赤堀義次君) (登壇、拍手)おはようございます。昨夕からけさにかけてマスコミに大変話題になっておりました、北朝鮮が拉致した横田めぐみさんの遺骨が、DNAの鑑定で他人のものであったということから、実はけさ、我が会派でも大きな話題になりまして、この県議会としても国に対していかなる態度をするのか、強力な支援体制といいますか、国に対する要望をしなければいけないのではないかと、こういう話も出ておりました。県議会の皆さんの一堂に会しての国への要望を願うものであります。  さて、久しぶりにこの壇上へ上げていただいたわけでございますが、長きにわたって県政のために御活躍をいただいた大先輩の大谷議員、そして、後輩の菅沼議員が御逝去をされたわけであります。そしてまた、平成の大合併に伴いまして、それぞれの地域の要望と地域のために頑張ろうと、我が友でありました同僚が知事にも──いや、もとい。知事は國松知事でございますが、市長に当選をされて、ここから出られた。そしてまた、今、この席に2人の県議会議員が地元のために市長選に出ようかなという思いを持って頑張っておられる、こういうことでございますが、そしてまた、あわせて、この県政のために頑張りたいということで、2人の方が入ってこられたわけでございます。まことに人生さまざまでございます。  そういうことも思いながら、私は平成16年2月に緊急にこの場で質問をさせていただいたのは、実は、米原と近江にカドミウム汚染米が出て、これは大変なことになる、ひいては近江米のブランドに大きな影響を与えるということで、浅田農政水産部長を初め、知事に多大な御理解と御支援をいただいて、そして、その両町の自治体なり、あるいは農業団体、そして農業者自身が大変パニックになったのであります。そして、私にも、朱色で書いた投書が参りまして、どの地域でどの生産者がつくった米であるかのことをはっきりせよと。公人としてそれを伏せているのはおかしいではないかというような、かんかんがくがくと。そして、農業者がお互いに疑心暗鬼を持ちながら、あの人がつくった米でないのか、この地域でないのかというような、実はパニックに陥ったわけでございます。それからこの16年の米がとれたわけでございますが、その後どういうふうになっているのかと、そういう疑問を持ちながら、あえて質問をさせていただく時間をいただいたということを御理解いただきまして、通告に従いまして発言をさせていただきます。  近年、BSEを初め、コイヘルペスや鳥インフルエンザの発生など、消費者の食への不安が高まりつつあり、まさに食の安全確保の充実強化が改めて問われている今日であります。このような状況下で、本県においては、消費者に安全、安心な農産物を提供することとあわせて、琵琶湖を初めとする環境保全を目的として環境こだわり農業を推進されており、特に全国に先駆けて環境農業直接支払いに取り組むなど、環境に配慮した農産物生産の拡大と流通対策に積極的に取り組まれており、環境を重視しながら消費者に軸足を置いた施策が全国的にも評価されているところであります。  こうした中で、昨年度に収穫された米について、国のカドミウム調査で米原と近江においてカドミウムの濃度が農林水産省の定める流通基準を超えている米が検出されたという、思ってもみない事態が発生をしたことは記憶に新しいところであります。このようなことは農家にとってはまさに青天のへきれきとも言うべきもので、精魂込めてつくった米から重金属のカドミウムが検出されたことは、健康に影響がない程度の微量といえども、私自身も含めて非常に驚かざるを得ない、そういう思いでありました。また、流通関連者や消費者にとっても大きな衝撃を与え、単なる2の問題ではなくて、消費者に喜んでもらえる近江米のブランドイメージに深く傷がつくのではないかと心配をし、16年の2月議会の本会議において緊急に一般質問をさせていただいたのであります。  県におかれましては、このような事態を受けて、米原や近江の農家に対して、ことしの米づくりのための土壌改良剤などの経済的な支援を初め、農業団体、さらには、県等の関係機関が一体となって、カドミウムの吸収抑制のための取り組みを進めていただき、大変感謝をしている次第であります。  現地の農家の声を聞きますと、ことしは田んぼの用水の確保に苦労した。また、長期にわたって水をつけておいたため、収穫作業が大変であった等々の声も聞かれておりますが、最も気にかかる点は、このような農家の苦労が報われたかどうかであります。昨年にカドミウムが流通基準を超えた2でのことしの取り組み状況や、今年度の国の調査結果について、どのような状況であったかを大変危惧しているところであります。  そこで、農政水産部長に、ことしの取り組みの状況や国の調査結果についてお伺いをするものであります。  また、今後も生産者が胸を張って良質な近江米を生産し、消費者の安心と信頼にこたえられるような、そういう推進が必要であると考えておりますが、次年度以降のカドミウムの吸収抑制対策について、どのような技術の指導を重点的に推進をされようとしているかについても伺うものであります。  次に、米政策について伺います。  米の生産調整については、今までの転作面積の配分から、需要に応じて生産する量を配分する方式に転換をされたところであり、国においては去る11月22日に、17年度産米の全国の生産目標数量と各都道府県の配分数量が決定をされ、公表されたところでありますが、全国の生産目標数量が前年度より6万トン少ない851万トンとされる中で、本県に配分された生産目標数量は前年をやや上回る18万1,090トンで、西日本では唯一の増加県でありました。私自身は、本県の環境にこだわった農業への取り組みが一定の評価をされたことによるものであるというふうに考えておりますが、米づくりに励んでいる本県にとって本当に喜ばしい限りであります。農家の方々に安心して米づくりに取り組んでいただけると安堵をしている次第であります。  そこで、市町村への配分についてでありますが、今回、国からの生産目標数量の配分を受け、しがの米政策推進本部員会議においては、売れる米づくりの取り組みを踏まえ、一定の差をつけられたと聞き及んでおりますが、このことは、売れる米づくりの早期実現を考えますと、おのおのの地域での取り組み状況により差をつけていくことはやむを得ないことと考えております。今回の配分は、しがの米政策推進本部において傾斜配分を取り入れられておりますが、そのことを農家の方々や農業者団体にしっかりと理解していただき、売れる米づくりに積極的に取り組んでいただくことが肝要であると考えるところであります。  そこで、しがの米政策推進本部員会議においてどのように検討をされ、市町村への配分の考え方をされたのか、お伺いをするものであります。  また、今後、米政策が目指す、売れる米づくりの実現に向けた取り組みが各地域で進む中で、ますます産地間競争が激化してくることが予想をされるのであります。水田率が全国的に見ても高く、古くから京阪神の米どころとして、また、近江米を特産品として位置づけ、生産振興を図っている本県農業にとって、売れる米づくりを実現することこそが最も重要な課題であり、責務と考えております。  そこで、今後の売れる米づくりに向けての取り組みについて、農政水産部長にお伺いをいたします。  琵琶湖を初めとする自然環境の保全に配慮し、消費者の安全、安心を求める声にこたえながら、私たちの生活に欠かせない毎日の食料を生産する湖国農業の発展、特に近江米の名声の維持向上を切に願いつつ、質問を終わらせていただきます。  御清聴、ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) 32番赤堀義次君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(浅田博之君) (登壇)赤堀議員の売れる米づくりについての2点の御質問にお答えします。  1点目の米のカドミウム問題についての御質問のうち、まず、昨年、カドミウム含有量が流通基準を超えた米原ならびに近江における国の調査結果についてでありますが、両町におきましては、今後、基準値以上の米は一粒たりとも生産しないとの強い決意のもとで、地元の農協や、土地改良区等で構成する、地域挙げての農産物安全対策協議会を去る2月に立ち上げ、消費者に信頼される、安全で安心の米づくりに向けた対策が実践されたところであります。  カドミウムの吸収抑制のためには、土づくり資材の施用と、穂の出る時期の前後それぞれ3週間を湛水状態で管理することが有効であると学術的に実証されておりますことから、2月から4月にかけて、すべての集落での土壌分析に基づく土づくり資材の確実な施用、また、5月の田植え以降は、全集落に設置したカドミウム吸収抑制技術実証圃を拠点とした現地研究会の開催、さらに、7月以降は、すべての水田を1筆ごとに巡回して水管理の徹底を図るなど、地域が一体となった取り組みが行われたところであります。  このようにきめ細かな営農対策を実践していただいた結果、先ごろ通知のあった国の平成16年国内産米穀のカドミウム調査における速報値では、両町においては、いずれも基準値以下との報告をいただいているところであります。  次に、来年度以降のカドミウムの吸収抑制対策としてどのような技術指導を重点に推進するのかについてでありますが、さきにも申し上げました今年度の対策と結果から、土づくり資材の施用と穂の出る時期の湛水管理の2つの技術が非常に効果が高いことが実証されましたので、来年度以降におきましても、今年度の結果に気を緩めることなく、引き続きこれらの営農技術を徹底して実践していただくことが何よりも重要であると考えております。このため、現地での県の専門職員によるカドミウム特別対策指導チームを今年に引き続き設置し、地元の農産物安全対策協議会と十分な連携を図りながら営農指導に万全を期してまいりたいと考えております。  なお一方で、土づくり資材を多量に施用しなければならないことや長期の湛水管理によって収穫作業に支障を来すといった課題もありますことから、今後は、より省力でコストが削減できる吸収抑制技術の開発に努めますとともに、土壌中のカドミウムを除去するといった抜本的な対策については国の試験研究機関と連携して検討してまいりたいと考えております。  次に、2点目の米政策についての御質問のうち、しがの米政策推進本部員会議で検討された市町村への配分の考え方についてお答えします。  このほど国から各都道府県へ配分されました生産目標数量につきましては、本県では従来から生産調整に集落ぐるみで取り組み、常に目標面積を達成してきたという実績や、環境こだわり農業の取り組みなどにより販売が促進されたことなどが評価され、前年より配分が増加した全国8県の仲間入りができたものと考えております。こうした配分方法は、今年度から、消費者重視、市場重視の考え方に立った、需要に即した売れる米づくりの実現を目指した米政策改革の取り組みが本格的にスタートしたことによるものと認識をしております。  したがいまして、市町村への具体的な配分に当たりましては、こうした国の方向をしっかりと受けとめ、従来の配分実績に加え、新たに、一等米生産数量、種子更新率、環境こだわり水稲作付面積の3要素を取り入れた傾斜配分制度を導入したところであります。また、このことが農家の方々に十分御認識いただけるよう、市町村や農協に対する説明会を開催し、周知したところでございます。  次に、売れる米づくりの取り組みについてでありますが、今後ますます激化する産地間競争に打ち勝ち、米の産地として生き残りをかけるためにも、消費者や卸の方々に喜んで買っていただける米づくりが肝要であり、さきの配分要素として挙げました3点を、農業団体や関係団体が一体となって推進することが重要であると考えております。  このため、まず、米に厚みがあり、整粒歩合の高い外観品質にすぐれた一等米の生産を拡大するため、土づくり対策を初めとする基本技術の徹底や、乳白粒の発生を抑えるための遅植えの推進、施肥改善などの品質改善対策の取り組みに努めること、次に、近年、米の表示が制度化され、品種の保証が強く求められていますことから、種子の更新率を上げることにより、信頼の得られる米づくりと商品の差別化を進めること、さらに、安全、安心という消費者のニーズにこたえた環境こだわり米の生産拡大を図る取り組みを強化することが大切であり、農業者の方々の御理解や実践が進むよう努めてまいりたいと考えております。  こうした本県ならではの取り組みにより、市場で存在感のある近江米ブランドの確立につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(世古正君) 次に、24番佐野高典君の発言を許します。 ◆24番(佐野高典君) (登壇、拍手)本年も年の瀬を迎えました。この時期になりますと、1年を締めくくる行事が数多くありますが、1年を表現する漢字を清水寺の管長さんが書かれるのももう間近かなというような思いがいたします。  もう1点興味を引きますのは、流行語大賞であります。軽妙に世相をついた表現とニュアンスを持って、大衆の目、口、耳をにぎわせた新語、流行語を選ぶ流行語大賞という表彰制度が1984年に創設されまして、約20年がたつわけでありますが、第1回の大賞は「おしんドローム」という言葉でありました。当時、NHKの朝のテレビ小説「おしん」は、苦労の連続に耐えながら明るさを失わず、人に優しいおしんのあの姿は、良質の日本人像として共感のあらしを巻き起こした名作でありました。そんな「おしん」にちなんだ新語「おしんドローム」が第1回の大賞でありました。  その後、政界、芸能界、スポーツ分野から多くの流行語が生み出されてまいりましたが、本年は第21回目、アテネオリンピックで活躍をいたしました水泳平泳ぎの北島康介選手の「チョー気持ちいい」という言葉が流行語大賞を獲得したところでございます。これも、口ではあらわすことのできない厳しい練習に耐えながら、オリンピックという晴れ舞台で金メダルを獲得した喜びを素直に表現した言葉であったと思うところでございます。  さて、政界におきましては、流行語は「三位一体の改革」であります。カラスの鳴かない日はありましても、昨年来よりこの言葉を聞かない日はないわけでございまして、それを受け、自治体は財源不足という言葉のオンパレードであります。本県におきましても、御多分に漏れず、厳しい財政状況でありますが、今こそ、議会、行政、県民が英知を結集しながらこの難局を乗り切らなければならないと思うところであります。本年2番目にノミネートされました言葉が、プロレスのアニマル浜口さんが言いました「気合だー!」という言葉でございましたけれども、我々もその言葉を肝に銘じながら、県勢の発展を目指し、頑張ってまいりたいと思うところでございます。  それでは、以下、発言通告に従い、3項目について質問をいたします。  まず最初に、公営競技事業について、総務部長にお尋ねをいたします。  公営競技事業は、競馬、競輪、競艇、オートレースなど、数多く実施をされていますが、押しなべて売り上げが減少いたしております。遊びが多様化してまいりました今日、公営競技にはかつてのような集客力は期待できない状況であります。人それぞれに趣向は変わりますが、本来、人間は、習性として勝負事やかけごとは好きなようであります。私自身も、人生の一番大きなかけごとであります選挙を戦っていますのも最も大きなギャンブルと言えるのかもわかりませんが、古くより庶民は富くじに夢をかけ、現在でもサマージャンボや販売中の年末ジャンボ宝くじには、行列をしながらも、ふだんの生活では味わえない世界をのぞき、大きな夢をかけているのであります。このように、娯楽の多様化によって、勝ち組と負け組の色合いが鮮明になってまいりました。  公営競技事業は今日まで、収益を上げることによって一般会計への繰出金という形で県勢の発展に貢献してまいりました。びわこ競艇の繰出金は、平成8年度には30億円を繰り出し、施設改善の影響を受けておりました平成12年、平成13年度はともに9億円、14年度は11億円を繰り出しております。昨年度、平成15年度でありますが、8億円の繰り出しを行い、財政厳しい中におきましても貴重な財源になっていると申し上げることができるのであります。しかし、前段申し上げましたように、全国の公営競技事業の売り上げは年々減少の傾向であり、びわこ競艇も、入場人員、舟券売上額も、御多分に漏れず減少傾向であり、事業の厳しさを感じるものであります。  そこで、総務部長にお尋ねをいたしますが、平成16年度の売上額、先般もGⅡの秩父宮妃杯が開催されまして、かなり健闘いただいておりますが、16年度の売り上げ見通しでありますとか、あるいは一般会計への繰出金はどのような見通しをされているのか、お尋ねをいたします。  次に、受け入れ体制の整備のみで業績が回復されるほど甘くはない事業であると承知をいたしております。びわこ競艇の場合は滋賀県による単独開催でありますが、他場では市、の共同開催や組合開催という形式をとっておりまして、競艇事業から脱退する市、が目立ってまいりました。自治体が経営者であるだけに、国への要望や住民への甘えにならないよう経営努力をしなければなりませんが、今後の運営方針ならびに公営競技のあり方について、部長にお尋ねをいたします。  平成13年9月議会でも競艇事業について質問をいたしており、広域発売での新投票法などにより、場外発売やネット発売、あるいは従来からの電話投票など、ファンに舟券が気軽に購入できるようになりました。そのためには情報を広くファンに伝えなければなりませんが、現在、インターネットなどを開きますと、競艇の実況が映し出されておりますけれども、ケーブルテレビなどによる放映も以前検討された経緯があると記憶いたしております。情報の伝達やテレビ放映などの取り組みについて、部長にお尋ねをいたします。  この項の最後に、競艇場内の施設使用料について、部長にお尋ねをいたします。  公営事業には多くの職員のみならず、従業員やレース場に関係している人たちも多くおられますが、特に飲食サービスなどは、競馬、競輪、競艇など、このような事業を行う上で必要不可欠な施設であると申せます。びわこ競艇場におきましても、レストランや売店など、施設改善に合わせて近代的な装いとなり、個別経営から組合経営へと、その形態も衣がえを図ってこられたところであります。びわこ競艇場の開催日数は年間156日と定めておられまして、他の県営施設のように年間を通じて営業できる施設でないことは御高承のとおりであります。なおかつ、本場における入場者は、平成15年度では52万5,000人と、平成8年度より約6万4,000人程度減少している状況であります。今後もネット販売や電話投票による舟券発売が時代の主流を占めていくことが予想されますと、幾ら経営努力をいたしましても、関連事業の売り上げ減少は自明の理であります。  びわこ競艇場のレストラン経営は、平成14年度においても賃借料の比重が大変重く、赤字経営も余儀なくされている店舗があると聞き及んでいるところであります。このまま他の県営施設と同じ割合で施設使用料を課せられると、さらに赤字経営体は拡大し、将来的には組合全店舗が経営から立ち退かなければならない事態も予想されるものであります。販売メニュー、単価など、個々の経営努力をいたしましても、競艇場という特殊性、とりわけ年間156日開催という実情を勘案され、施設使用料について検討する余地があると存じます。他場では、日数換算など、その施設の特殊性に合わせて使用料を課せられている例も仄聞するところであります。  びわこ競艇場施設使用料の考え方について、総務部長にお尋ねをいたします。  2番目に、滋賀県国際物流特区について、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  経済は、輸出増と企業活動の堅調さに支えられて着実に回復傾向という見方がされてまいりましたが、11月の月例経済報告では、景気に一部弱い動きがあると下方修正がされました。県内景気も、回復傾向とはいうものの、どなたの声を聞きましても、そのような感じはしない、世の中不景気ですなという声が圧倒的であります。しかし、電機業界でありますとか自動車製造業では史上空前の黒字決算が打てたと力強い声を聞いておりますが、県内企業の景気回復は業種によりまだら模様であると感じている次第であります。  本県の歳入における県税収入は大きなウエートを占めています。特に法人二税はその主たる財源であり、法人税の動向が財政に大きな影響を与えるのは明白であり、それゆえに、各企業の業績が向上しなければ県民ニーズにこたえる施策も打ち出せないわけでありますから、活力ある経済県として、どのような政策を提示し、誘導を図っていくのか、まさに行政手腕が問われているのであります。  そのような折、本年10月14日付で認定申請をしていた構造改革特別区域法に基づく特区計画について、去る12月8日付で認定がされたと聞いておりますが、その内容について、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  国際物流特区は、県内企業の国際競争力強化のため、内陸工業県としての特徴を生かし、迅速で効率的な製造と物流がリンクした国際物流の拠点になることに大きな期待をしているものであります。まず、国際物流特区とはどのような特区なのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  次に、保税蔵置場の設置可能エリアが従来の範囲からかなり拡大されたと聞いておりますが、その範囲や市町対象地域はどのようになっているのか、あわせてお伺いをいたします。  また、商業機会に合わせた国内取引など、メリットも大きなものがあると存じますが、特区認定による滋賀県産業や物流事業などにどのような影響を与えるのか、部長にお尋ねをするものであります。  かねてから滋賀県の中小企業や産業界から、現在の税関出張所の格上げを図ることによって本県の中小企業や産業のグレードが上がるという声を聞いておりましたが、この特区認定に伴い、税関の取り扱いはどのようになっていくのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  3点目に、防災対策について、県民文化生活部長にお尋ねをいたします。  「有為転変は世の習い」とは申しますが、本年は、台風23号の上陸を初め、10個の台風の上陸、さらには、10月23日に発生いたしました新潟県中越地震、そして、本県におきましても体に揺れを感じる地震が幾度となく発生をいたしまして、約10年前に発生した阪神・淡路大震災の恐怖がよみがえってくるような1年でありました。  日本のことわざは大変うまく言っていると思いますが、「災害は忘れたころにやってくる」「備えあれば憂いなし」、このような言葉を常に信条としながら生活をしていれば、いざというときにもうろたえることはないのでありますが、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、なかなか備えができないのも世の常であります。  そのような教訓も含め、去る10月22日、23日と2日間にわたりまして、平成16年度近畿府県合同防災訓練が実施をされました。前日の台風23号の被害の発生により、やや規模は縮小されましたものの、図上訓練、実働訓練が行われたところであります。図上訓練を見学させていただきまして、琵琶湖西岸断層帯を震源とするマグニチュード7.8の直下型地震が発生したと想定をいたしまして、近畿各府県の防災連携や初期活動に対応する組織の立ち上げなどについて総合的な訓練が行われておりました。琵琶湖西岸断層帯の地震の発生予測は全国でも確率が最も高いと東京大学の地質学者は述べておられましたが、訓練風景を見せていただいておりますと、ややもすれば訓練のための訓練という印象がぬぐえませんでした。  常々、本県はIT県庁と言われるように、先進的な取り組みをされてきたところでありましたが、被災地の現状でありますとか、あるいは、橋、道路などライフラインの様子、また、湖上輸送の経路など、いわゆる旧態依然の図式でありまして、ITのかけらも見られないところでございました。また、災害時に一線に立つ自衛隊でありますとか、あるいは警察との事前の連絡調整はできていたのかなと疑問に感じたところでありますが、近畿府県合同防災訓練の総括について、また、この訓練の成果を今後の防災対策にどのように生かされようと考えておられるのか、県民文化生活部長にお尋ねをいたします。  常にたゆまぬ訓練や県民の防災意識の高揚を図っていなければ、非常時に役に立たないものでありますが、さきにも述べたように、阪神・淡路大震災から約10年という歳月が県民の防災意識を風化させているようでありまして、例えば、大地震での非常用持ち出し品の準備や消火器の準備を常時しているという県民が当時よりかなり減っているという数値が示されています。また、避難場所やその経路についても、知っている人が約3割という数値をお聞きいたしますと、安全対策は自分でするものとはいいますものの、発生確率が高い本県において県民の防災意識はこれでよいのかと危惧するものであります。  県民の県政世論調査を受け、ソフト面の今後の防災対策ならびに公的施設の耐震化についてお尋ねをいたします。  最後に、大地震や災害時に対応すべく、これまで県はスーパーや建設業者など17事業者・団体と協定を締結されておられますが、過日新たに大手コンビニエンスストアと物資の供給や帰宅困難者を支援する協定を結ばれたようであります。これらの内容や、今後、事業者や団体にどのような役割を期待されているのか、県民文化生活部長にお尋ねをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) 24番佐野高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(馬場章君) (登壇)佐野議員の公営競技事業についての御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の平成16年度の売り上げの見通しと一般会計への繰出金の見通しについてでございますが、競艇の売り上げは、グレードの高いレースの開催いかんによって大きく変動いたしますので、一概には言えませんが、年間売り上げは平成2年度をピークに年々減少の一途をたどってきております。今年度もその傾向に歯どめはかからず、11月末までの売り上げは147億円で、一般レースのみの対前年度同期比では20%程度下回っております。このままの状況で推移をいたしますと、最終的な売り上げは210億円余と見込まれ、当初見積もり267億円を大きく下回ることになります。この落ち込みを補うべく、他場の場外発売受託を積極的に行うなど、収益確保に努めておりますものの、現時点では一般会計への繰出金は当初見積もりを達成することは困難な状況にあると判断しております。  次に、2点目の今後の経営方針ならびに公営競技のあり方についてでございますが、公営競技全般にわたり非常に厳しい状況が続いており、競艇のみならず、競輪や地方競馬でも事業の廃止や施行者の撤退が相次いでおります。競艇業界では場の廃止はありませんものの、昨年度までの46施行者が今年度は43、来年度は40になると聞き及んでおります。これらは主に市町村合併による減少でございますが、収益確保の見通しが立たないということも理由の一つであります。びわこ競艇におきましても、先ほど申し上げたとおり、売り上げの減少傾向が続いており、楽観は許されない状況になってきております。  今後の対策といたしましては、経費の節減はもちろんでありますが、都市部の駅前や娯楽施設周辺などでのPRを積極的に行うとともに、電話投票ファンに対する情報提供を拡充し、若者や女性など、新たなファン層の拡大に努めてまいりたいと考えております。また、リピーター重視という観点から、ポイントカードシステムを導入するとともに、有料ファンクラブの充実にも一層取り組んでまいります。さらに、他場で開催されるSG競走やGⅠ競走などはファンにとって大変魅力のあるレースであり、そうしたレースの場外発売をふやすことで収益の拡大を図ってまいりたいと考えております。  次に、公営競技のあり方でございますが、これは、競艇事業を通じて収益を確保し、社会へ還元することで公益の増進に資するということに尽きると考えております。さらに、収益を通してだけでない貢献、具体的にはドラゴンボート大会や少年少女ボート大会の開催など、モーターボート競走法の目的でございます海事思想の普及につなげていくなど、いわゆる施設開放事業を通じての貢献もございます。そうした取り組みを通じて、地域により身近な存在でいられる競艇場となるよう、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  3点目の情報の伝達やテレビ放映などの取り組みについてでございますが、今やインターネットや電話投票での売り上げが全体売り上げの20%近くを占めるようになってきており、電話投票会員への情報提供が大変重要になってきております。そうしたことから、競艇業界におきましては、競艇の専門チャンネルであるレジャーチャンネルを6チャンネル確保し、全国24競艇場のレースを交互に放映しておりますし、また、近畿の4競艇場では、別にビクトリーチャンネルとして1チャンネルを確保して無料で放映しており、平成15年度の年間放映日数は、レジャーチャンネルで78日、ビクトリーチャンネルで76日、延べ154日となっております。さらに、競艇業界はインターネットでの放映も充実しており、今年度上半期にびわこ競艇場のホームページにアクセスされた件数は、月平均で3万7,000件でございました。  次に、4点目のびわこ競艇場の施設使用料の考え方についてでございますが、景気の低迷と相まって、びわこ競艇場における集客や売り上げも不調が続いている中、食堂利用者の見込みも当初計画にはほど遠いものがありまして、経営も厳しさが増していると伺っております。今後、収益率が高まる方策を使用者と協議してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、競艇事業を取り巻く環境は非常に厳しいものがございますが、経営の合理化やファンの拡大に積極的に取り組みまして、健全経営が今後とも続けられますよう努めてまいりたいと考えております。 ◎県民文化生活部長(近藤月彦君) (登壇)防災対策についての御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の近畿府県合同防災訓練の総括と訓練の成果を今後の防災対策にどのように生かすかについてでございます。  今回の合同訓練では、災害時における近畿2府7県の相互連携や広域応援体制の確立などを目的に、実働訓練と図上訓練を実施いたしました。  実働訓練では、各府県からの緊急消防援助隊による訓練が、直前の台風23号の影響で中止となり、広域応援体制の検証ができなかったのは大変残念でありましたが、住民の避難訓練や物資輸送、土砂災害の救出救助訓練などを中心に、128機関、約5,000名もの参加をいただき、関係機関の連携や県民の防災意識の高揚の面では成果が得られたと思っております。  一方、今回初めて実施いたしました図上訓練は、県の災害対策本部の初期対応を検証するための訓練でありまして、滋賀県職員のほか、近畿各府県、自衛隊、警察、消防など関係機関にも御参加いただきました。訓練のねらいは2点ございまして、地震発災直後のさまざまな事態に対して、1つは、災害対策本部の情報班、救助班などの各班が初動マニュアルに従ってきちんと対応できるか、2つには、マニュアルが災害時にしっかり機能するかを検証することであります。  この訓練を通じて、職員が初動マニュアルを熟知していなかったために、どこの機関に要請すればよいか手間取ったというような職員側の問題と、多量の情報が集中する情報班の人員配置が不足している、あるいは応援ヘリの要請に当たって離着陸可能なヘリポート等の詳細情報が欠けているといったマニュアル自体の問題など、改善を要する問題も浮かび上がってまいりました。  現在、訓練結果の詳細なデータの解析を行い、課題を整理しておりますので、これを踏まえてマニュアルの改善に取り組んでまいりたいと思っております。また、職員の災害対応能力を向上するためには実践的な訓練を繰り返し行わなければならないと考えておりまして、訓練の方法や内容の改善にも取り組んでまいりたいと思っております。  次に、2点目の県政世論調査結果を受けての今後のソフト面の防災対策と公的施設の耐震化についてでございます。  今年度の県政世論調査結果を見ますと、県民の防災意識の低下が懸念されるところでありまして、改めて意識啓発に力を入れて取り組まなければならないと考えております。  防災意識の向上を図りますには、住民の皆さんに直接的に働きかけることがより効果的であると考えまして、今年度は、学校や企業、各種団体への出前講座をこれまでに約80回実施してきておりますが、さらに、自治会や集落に出向いて、お互いに顔の見える距離できめ細かに啓発を行うことが必要であると考えております。そのためには市町村の役割が一層重要になりますので、県といたしましては、自治会や集落での啓発活動を進めていただけますように、年内にも市町村の防災担当職員を対象にした研修を実施することとしております。また、こうした取り組みが自主防災組織活動の強化、活性化にもつながると考えられますので、市町村と連携をとりながら、今後とも地域での直接的な啓発活動に力を入れていきたいと考えております。  公的施設の耐震化についてでありますが、防災上特に重要な県有施設の耐震診断は、地震防災プログラムの目標に対して、現時点ではおおむね順調に進んできております。今後、今年度中にまとめます被害想定調査の結果も踏まえて、優先度の高いところから順に耐震化が進められるよう取り組んでいきたいと考えております。  最後に、3点目の民間事業者等との協定内容と役割についてでございます。  地震等による大規模災害が発生した場合には、行政だけでなく、県民、関係機関、民間事業者などが総力を挙げて災害対策に取り組まなければなりません。とりわけ、物資の供給や輸送、応急仮設住宅の建設、土木資機材や労力の提供等、さまざまな応急対応能力を持っておられる民間事業者の御協力を得ることは大切なことでございまして、これまでに17事業者・団体と災害時の応援協定を締結してまいりました。  今回新たに大手コンビニエンスストアと協定を締結し、事業者による物資の輸送、県災害対策本部への連絡員の派遣、帰宅困難者への情報の提供など、従来の応援協定にない項目も加えております。引き続き、他の大手コンビニエンスストアともこうした形の協定締結について協議を進めますとともに、既に協定を結んでおります各事業者とも協定内容の見直しの協議を行ってまいりたいと考えております。  そのほか、現在、企業所有のヘリコプターによる物資の輸送などについても、応援協定の締結に向けた準備を進めているところでございます。  今後とも、大規模災害が発生した場合に、迅速かつ的確な応急体制が講じられますよう、民間事業者との協力体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◎商工観光労働部長(河本光明君) (登壇)滋賀県国際物流特区についての御質問にお答えいたします。
     滋賀県経済は、第2次産業、とりわけ製造業が大きなウエートを占めておりまして、厳しい国際競争の中、県経済の活力を向上させ、雇用機会を確保していくためには、グローバル化に対応した産業活動の環境を整備することが喫緊の課題となっており、高度で効率的な物流機能の構築を図り、国際競争力を強化することが重要となっております。  このような観点から、国の第6次構造改革特別区域計画において今回の国際物流特区の申請を行い、昨日、12月8日に正式に認定を受けることができましたことをここに御報告させていただきます。  そこで、まず、この国際物流特区とはどのような特区なのかということでありますが、外国貨物を関税が課税されない状態で長期間保管できる保税蔵置場の設置について、現在、税関事務所から半径25キロメートル以内の地域という要件が定められております。これを、特区認定による規制緩和によりまして100キロメートル以内の地域に拡大することで保税蔵置場の設置を促進しようとするものであります。  現在、本県では保税蔵置場は、草津市にある税関事務所から原則として25キロメートル以内にしか設置が認められておりませんが、これが100キロメートルまで拡大されますと、滋賀県全域がカバーされることになります。この規制緩和により新たに保税蔵置場の設置が可能となる地域は、彦根市、長浜市、甲賀市などの、名神高速道路、北陸自動車道、第二名神自動車道といった主要幹線道路の沿線にあります3市9で、この特区の認定は市町村単位で行われることになっております。これらの地域は、県がアンケート調査を行い、保税蔵置場の具体的な設置計画があった事業所が所在する市町でありまして、他の市町村につきましても、今後新たな保税蔵置場設置のニーズが具体的に発生した場合には、変更申請を行うことにより追加認定されることが可能となります。  次に、特区認定により滋賀県産業や物流事業などにどのような影響を与えるのかですが、例えば、保税蔵置場の設置によりまして税関申告等の手続が迅速に行われ、貨物通過時間の短縮、コストの削減が可能となることから、県内企業の経営の効率化、産業の国際競争力の強化を図ることができます。また、特区における外国貨物の取り扱いのメリットを期待して、既に食品関係の流通事業者が特区内への立地計画を進めておられるなど、今後はこのような流通企業の進出も期待できるものと考えます。さらに、特区のメリットを生かしながら、物流の課題であります共同化、情報化、あるいはCO2の削減につながるモーダルシフトなどの環境配慮といった、今日の物流機能の課題に対応できる先進的な国際物流拠点の形成が特区内で促進されればと期待しているところであります。  最後に、特区認定に伴う税関滋賀出張所の取り扱いについてでありますが、本県における通関機能を整備するため、平成6年に大阪税関京都税関支署滋賀政令派出所が開設され、平成9年にはこれが滋賀出張所となりましたが、平成12年度以降、経済団体等の要望もありまして、滋賀支署への格上げを国に要望しているところであります。今回の特区認定によりまして滋賀出張所の取り扱い貨物量が増加することが期待され、そうなりますと、組織、人員等の充実を伴った滋賀支署への格上げの実現性が高まるものと考えております。  県といたしましては、本県経済の国際競争力の強化を図るため、今後とも物流機能の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆24番(佐野高典君) (登壇)公営競技事業について再質問をさせていただきます。  ただいまの総務部長の答弁、公営競技、とりわけボート事業が大変厳しいということは我々も認知をしているところでございますし、267億円という当初予算を組んでおりましたが、210億円というような予測が聞かされました。おおむね五十数億円、当初から減額というようなことでございますが、それぞれ事業課の皆さん方の努力は認めるわけでございますけれども、やはり今日まで貢献してまいりました繰出金というのも、こういった財源不足の中で貴重な財源でございますので、今後ともPRでありますとか、あるいはSGの開催でありますとか、GⅠの開催でありますとか、そのような努力を当局でいただきたいというふうに思うところでございます。  先ほどお尋ねをいたしました施設使用料の改定についてでありますが、まさにボート場で本命の舟券をびわこで外したというような感じの答弁でございまして、業者の収益率が高くなるように努力をさせていただくというようなお話でございました。検討する余地は多岐にわたりあるというふうに思うわけでございますが、どうも行政というのは物事を画一的に見るというような嫌いがございます。かつて競馬は紳士のスポーツであると言われるような時代がございまして、イギリスの競馬風景を見ておりますと、シルクハットに蝶ネクタイというようなスタイルでありますが、競輪やボートというのは、そういった方もおられますけれども、ジャンパーがけで遊びたいというようなファンも多いわけであります。きょうまで多額の費用を重ねながら施設改善が行われてまいったところでございますが、それに伴いまして、やはりレストランや売店も近代的なものにしていこうというところに、私はやや無理があったのではなかろうかなというような思いがするわけであります。  祭り等におきましても、やはりそういった適材適所と申しますか、一方では屋台のような風景もあってもよかろうというような思いがいたしますが、どうも、施設がよくなったから、その施設に合うようなレストランや高級レストランでありますとか売店をつくろうというようなことが、今日の使用料という面で大変な負担になっているということでございます。  このことは、当初より高額な施設使用料が勘案されるであろうということで、このことは将来経営を圧迫するということで、当時の事業課の皆さん、あるいは施設利用者、両者の共通認識であったというふうに思うわけであります。また、この競艇場も、今日まで、当初の計画から施設改善が大変縮小されたというような経緯もあるわけでございます。  こういったことを考えますと、ただいまの部長の答弁のように、業者の収益率が高くなる方法を考えようというような話でございますが、やはり現実を、過去の経緯をしっかりと見詰めながら真剣に考えていただかなければならぬというふうに思うところでございます。具体的事例は示しませんけれども、例えば賃借料一つをとりましても、平成14年は763万円というような料金であったようでございますが、これは一定3分の2の減免がされてきたというような実績であります。平成15年も3分の1の減免がされていたということでございますが、本年からはそのような特殊性も勘案せずに、他の県営施設と同じように一律の賃借料を徴収しようというようなことで、1,400万円余りの使用料を附属施設で払わなければならぬというような現実があることをよくよく御認識をいただきたいわけであります。  先ほど部長が申されましたように、競艇事業そのものが267億円から210億円に減額されたと申しますのは、やはりびわこ競艇場へお越しになるお客様が減ったということが端的に申せるわけであります。そういうことを勘案いたしますと、やはり、幾ら努力をいたしましても、来てくれるお客様が少ないという現実はこれからも続くのではなかろうかなというような思いがいたすところでございますから、この問題、ただ単に業者の収益率が高くなるように努力するという答弁ではなしに、もう一歩踏み込んだ御答弁をいただきますようにお願いを申し上げまして、再質問を終わります。 ◎総務部長(馬場章君) 再質問にお答えをいたします。  おっしゃいますように、大変貴重な税外収入でございます。精いっぱい努力して収益確保に努めたいと思います。  使用料の関係につきましては、使用料条例の運用の中で、例えば一定の減免基準があるわけでございますが、どういったことが可能か、今後検討をさせていただきたいというふうに思っております。 ○議長(世古正君) 次に、20番西沢久夫君の発言を許します。 ◆20番(西沢久夫君) (登壇、拍手)質問を行わせていただく前に、過般の代表質問の答弁で、平和祈念館の設置場所について、八日市市芝原地先に決定されたことについて、八日市市民として一言申し上げたいと思います。  私ごとで恐縮ですが、私には見たことのない兄がおりました。その兄は、大阪市の京橋付近にあった砲兵工廠に兵士として勤めておりました。大阪大空襲にも被害に遭わなかった砲兵工廠が、1945年──昭和20年8月14日の空襲で1トン爆弾で、付近の建物もろとも破壊し尽くされました。兄友一は終戦1日前の8月14日、国内、それも大阪で戦死をしました。日本は既にポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を連合国に通知した後でのことでした。  私は戦後生まれですから、もちろん兄と出会ったことはありません。戦死したそうだということは聞いておりましたが、でも、いつ、どこで、どのように戦死したのかはだれにも聞く機会がなく、3年前まで知りませんでした。ところが、私が発行する新聞に平和祈念特集を連載したところ、「あんたのお兄さんは終戦の前の日に大阪で戦死したそうだよ」と親戚の一人から聞きました。そして、余り日を置かずに、大阪森之宮にあるピースおおさかを訪ねました。そこで、終戦の1日前に空襲があったことを知り、兄が確かに戦死していることを確認することができました。  ピースおおさかは、大阪での空襲を記録としてしっかり残すために建設されたと聞きます。同時に、出征する兵士の記録や、日本が加害した記録も残しています。さきの戦争で日本は、被害者であるとともに加害者でもあったのです。その記録を後世にまで残そうとする祈念館があったからこそ、私は自分の兄の死を知ることができました。極めて個人的な事実でありますが、それぞれの人々にとって、その家族と戦争とのかかわりを知ることができる施設は滋賀県下にはありません。さらに、戦争そのものを問う施設もありません。  平和祈念館建設には、それぞれの戦争観、思想などが錯綜して、建設の是非、展示の内容等、さまざまな議論がなされてきた経緯があります。これらを包括できる施設が成り立つのかという議論もあります。さらに、財政面からの慎重論もあります。私もそのことは大いに心配いたします。平和祈念館については、こうした議論が十分なされた後、多くの人が、やはり建ててよかったという評価を得られますよう、建設について事を運ばれるよう希望しておきます。  なお、八日市市には、戦前戦中、陸軍飛行場が存在したことは御存じのことと思いますが、このたび決定されました設置場所付近は、飛行機を空襲から守るための格納庫としての掩体ごうがあり、爆撃訓練を行ったところでもあり、そして、八日市市は滋賀県内で唯一、爆撃を受けた地でもあり、戦争の被害を直接こうむった地域でもあることを申し添えまして、質問の本題に入らせていただきます。  初めに、滋賀県の行政経営改革に向けての提言、いわゆる浦レポートについて、知事および廣田副知事に質問をいたします。  滋賀県の行政経営改革に向けての提言、以後、浦レポートと申しますが、この浦レポートは、総務部行政経営改革ディレクター浦茂樹さんが、平成14年9月から平成16年9月までの2年間の行政経営改革に関する提言をまとめられたものですが、この浦レポートを読んで同感することが余りにも多く、そして、現実には彼の提言が果たして生かされているのか、この思いから、そして、少しでも提言が生かされることを願って質問するものであります。この思いは、私の次に質問される小寺議員も同感だと思います。  さて、浦レポートは、冒頭から厳しい指摘をしています。現状の滋賀県は、行政運営から行政経営へという言葉のみが先行し、目標管理や施策評価、ベンチマーキングなど、さまざまな改革の手法が導入されてはいるものの、これらの手法を導入した目的である自立的な業務手法の改善や効率的な事務事業の執行、職員の意識改革など、本来期待すべき経営改革の効果が、残念ながら、目に見える形で上がっていないと言わざるを得ないとし、これらの諸手法を実施することが目的化してしまい、職員に負担感ややらされ感を生み出し、職員の閉塞感を増幅させていることを危惧されると指摘しています。  知事は、こうした現状認識をどのように思われるでしょうか。  次に、財政構造改革に関する提言を検証してみましょう。ここでも、まことに厳しい現状認識がなされています。現在改定作業が行われている財政構造改革プログラムでは、19年度末には基金は底をつき、起債残高が増大することで、結果として平成20年度には財政破綻を来し、財政再建団体になりかねないと指摘し、このままの危機意識が欠如したプログラムでは、神風が吹かない限り、平成20年度以降の見通しの立たないプログラムでは財政構造改革プログラムとは言いがたく、職員や県民の理解を得ることはできないと言い切っています。私も同感です。そのためにも、財政再建団体への転落の危機を知事は認識し、そのために、職員、県民、そして議会にも、もっと深刻な状況にあることを訴え、危機を共有した中で、それぞれが次の手だてを主体的に考え出せる状況をつくらなければならないと思うのですが、知事の見解を問うものであります。  私もかねがね財政計画を策定するべきだと申し上げてきました。浦さんもそのことに同感で、せめて5カ年の財政計画をつくることは経営者として常識であると言っておられたように記憶しています。このことを申し上げて、次に移ります。  次に、経営改革の課題と対策に関して、施策評価に関する具体的な提言と、行政経営改革室の組織上の問題について、廣田副知事に質問をいたします。  施策評価に関して、ある意味、ショッキングな報告がされています。行政経営改革室の3人の室員が個別に、16年度の事務事業調書をベースに450件の個別事業の2次評価を行ったところ、図らずも約40%の事務事業が廃止すべきであるという結果を得たという報告です。この報告の前提には、施策評価の2次評価が欠けているとの指摘があり、現行制度の問題点や課題を洗い出し、外部委員や庁内現場部局の意見も参考にしながら、自己決定と自己責任に基づく県の行政経営に対する内部管理のための制度に特化する新たな制度構築を提言しています。廣田副知事の見解を伺います。  この項の最後に、滋賀県の組織に関する代表的な考え方が出ていると思われます行政経営改革室のあり方について、副知事に質問をいたします。  浦さんが行政経営改革ディレクターとして勤務された平成14年9月から平成16年9月までの2年間に2度の定期異動が行われ、約10人の室員のほとんどが入れかわることとなったと嘆いておられます。鳴り物入りで商社から招いたディレクターに対して、その部下とも言うべき職員が2年間で入れかわるとはどういうことでしょうか。これがプロ野球やサッカーなら、そのチームの監督在任2年間にすべての選手が入れかわるなどということがなされるでありましょうか。また、オーナーが変わっていないのに、知事直属の経営改革支援室から、15年度には政策調整部経営改革支援室、16年度には総務部行政経営改革室と、部局、名称もころころと変わっている。民間出身の浦さんから見れば、行政経営改革室は、残念ながら、「仏をつくって魂を入れず」の状態にも似た状態となっており、見えざる手によって改革にブレーキをかけられているのかとの感を持たざるを得ませんでしたと嘆いておられます。  はっきり言って恥ずかしいというのが実感であります。行政経営改革に取り組む本丸の組織上の扱いがこんなことでは、行政改革に取り組む姿勢がうかがえないと思うのは浦さん一人ではないような気がします。心ある職員もそう思っていることと思います。この浦レポートが職員間でコピーされ、多くの職員がしっかり読んでいると聞きます。  浦さんのこの提言全体について、職員管理の統括者でもある副知事に、浦レポートの本質について所見を伺い、あわせて、行政経営改革室の扱いが一事が万事とならないようするために、今後どのように行政経営改革室を機能させようとするのかを伺い、浦レポートに関しては小寺議員に質問をバトンいたします。  次に、財政構造改革の行方について、知事に質問をいたします。  三位一体改革による補助金と税財源移譲については、極めて不十分ながらも、一応の決着が図られました。こうした補助金削減と税源移譲が、不満な形であったとしても、一定の進展を見たことの意義は大きく、今後も全国知事会等地方6団体側からの改革の手を緩めない姿勢が大切であり、このことが族議員や省庁の権益をなくし、地方分権を進めることとなります。今後の改革について、知事はいかなる方針をお持ちでしょうか、まず伺うものであります。  次に、財政構造改革と三位一体改革について考えるならば、地方交付税改革、財務省からいえば改革ですが、地方からすれば、地方交付税削減の行方を注目しなければなりません。さきに決定された政府・与党の三位一体の改革の全体像においては、17年、18年度の地方交付税、地方税などの一般財源総額を確保するとの方針が示されておりますが、一方で、財務省は来年度の地方交付税に関して、過大な人件費を攻撃材料にして交付税を1兆円程度減額する方向だと、一部の新聞で報道されています。これらに対して、知事はどのような情報を入手し、今後2年間の動きをどのように分析されておられるのでしょうか。  次に、問題は3年後です。財務省は、地方交付税の7兆円前後の削減宣言は一たん撤回し、今後2年間は極端な地方交付税削減策はとらないものとは思いますが、裏返せば、3年後は大きく削減する圧力をかけてくるものと解せます。これは平成19年度以降ということであり、財政構造改革プログラム最終年度に当たります。さきの浦レポートでは、平成20年度以降を心配されていましたが、財務省の削減圧力によっては、平成19年度には先の見通しが立たないほどの財政状況になることも考えなければなりません。地方交付税の削減は、税収と並ぶ地方自治体にとって自由に使える財源ですから、補助事業などの財源に充当すれば、その10倍前後の事業が執行できるのですから、この削減は今後の自治体経営にとって深刻です。しかし、国にも地方を面倒見る余裕がないのも客観的事実です。その意味で、現在の財政構造改革プログラムの見直し作業のうち、地方交付税の交付額についてはもっと厳しい予測のもとに組み立てるべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。  次に、歳入の減額圧力が増している中で、知事は、新幹線びわこ栗東新駅の建設に前向きの姿勢を示すなど、大型公共事業について積極姿勢を示しておられるように見受けます。ところが、私が各市町村への政調活動として市町村長から聞き取り調査をさせていただいたところ、いずれの市町村も、河川や国道、県道に関する要望が多く、また、最近は耐震対策などの災害対策支援が多く出されており、これらの要望は切実で、喫緊の課題も多くあります。私は、これらの要望にこたえるべきことを最優先にすべきと考え、新幹線新駅の建設は少し後回しにすることも判断する時期ではないかと考えるのです。  新幹線栗東新駅は、滋賀県内の新たな南北格差、南高北低論議に油を注ぐことになるような気がします。また、新駅建設費は、県単独費用として財源の補てんがなく、費用の3分の1を県が負担することがあっても、80億円が純粋な県費で賄われることになります。各市町村が望む河川改修や国道、県道の新設・改良工事、災害対策などは、国の補助金がついたり、起債の発行と一定の交付税措置が講じられれば、80億円の5から10倍の事業が執行できるわけですから、いずれが今重要で、何を最優先すべきか、しっかりと議論する必要があると思います。  私は、各市町村要望を優先的に聞き入れていくべきだと考えるのですが、二兎を追えない財政状況の中で、それでも新幹線新駅を優先されるのでしょうか。考え直す気はないのでしょうか、お尋ねをいたします。  次に、助産師不足への対応と滋賀県立総合保健専門学校の設置および管理に関する条例の一部を改正する条例案について、知事および健康福祉部長に質問をいたします。  初めに、この6日の午後9時ごろ、草津市内のマンションから、3つと1つの子供を抱えた27歳の主婦が飛びおり、死亡したというショッキングな事件がありました。乳幼児や児童虐待なども含め、最近の子育てに対する不安定な親たちの状態が現象として虐待などにあらわれてきているものと解せますが、その最も先鋭的な状態として、無理心中のような形で親子で死を選択するという悲しい結末に対して、政治や行政は一体どういう手だてができるのだろうか、自問しても、なかなか答えが見つかりません。  子育て不安解消に何ができるのか。少子化も子育て不安とかかわりを大いに持つものと思いますが、保育所や学童保育、乳幼児医療費の無料化など、形として残るものへの手だては当然大切です。そして、もう一方で、人的なサポート体制の充実もなされなければならないと思います。こちらの方は、サポートする人の養成もしなければなりません。しかも、地域でそれぞれが活動できるだけの体制整備がなされない限り、人的サポート体制の充実は成就できません。地域で保健師や助産師、臨床心理士などの、専門的知識や技術を持つ人たちの存在が決定的な役割を果たすものと考えます。このようなことを思いながら質問をいたします。  最近、助産師不足がマスコミで取り上げられ、私が知る限り、FテレビやM新聞などで特集を組んで取り上げられています。また、A新聞でも当該条例案が大きく取り上げられており、もう一度助産師の役割が注目されているような気がします。  6日の県民ネットワークの代表質問に対して健康福祉部長は、お産へのかかわりだけでなく、育児不安や乳幼児の虐待防止、思春期における悩みや問題等にも対応できる助産師を育成したいと答弁されていますが、これは、助産師の地域展開と言うべきことだと思うのです。こう考えると、現行の助産師の人数だけでは足りないばかりか、今後一層多くの助産師を養成する必要があるものと考えざるを得ません。今ある助産師養成施設を廃止し、大学にその養成を任せようとするわけですが、これで十分な助産師養成責任が果たされるとお考えでしょうか。結果をシミュレーションしていただきながら、知事の見解を伺います。  本条例案が可決され、総合保健専門学校の助産学科が一たん廃止されることとなれば、これをもう一度復活することは非常に困難です。そのことも考慮に入れた見解を伺うものです。  次に、滋賀県内の助産師確保に関する認識について、健康福祉部長に伺います。  その前に、ことし9月13日付、厚生労働省医政局看護課長から健康福祉部長あて、「産婦に対する看護師業務について」と題する通知が発せられ、その周知徹底および指導を要請されている文書があります。この文書の内容は、看護師が産婦に対して、子宮口の開大、児頭──子供の頭という意味だろうと思いますが、児頭の下降度等の確認および分娩進行の状況把握を目的として内診を行うことは助産に該当すると解するが、いかがとの問いかけに、看護課長が、そのとおりと答えているものです。何ともわかりにくいお役所の文書ですが、要は、看護師が助産行為をしてはならないということであります。この通知に対して健康福祉部長は、市町村以下、どのような機関、団体に、どのような内容で周知徹底、指導をされたのでしょうか。  次に、この通知文書は、現実に産婦人科医院等の医療機関で、助産師ではない看護師が助産行為をしている実態があるのに対して、これが保健師助産師看護師法違反であると解するものですが、滋賀県下の医療機関ではこのような実態があるのかどうか、調査はされたのか。調査されたとすれば、どのような実態なのかを問うものです。また、この通知のような違法行為があった場合、どのような対応をされようとするのでしょうか、あわせて伺います。  次に、過日の代表質問の答弁で、助産師確保の状況について、滋賀県は人口10万人当たりでは全国平均を上回っており、求人と求職数がほぼ同数で、需要と供給はおおむね均衡していると述べられています。このことについて、滋賀県は人口急増県で、出産数の割合も全国平均をかなり上回っていると思うのですが、出産数に比較してもなお全国平均を上回り、需要と供給は均衡を保っているのでしょうか。また、現実には産科医院などで看護師が助産行為を行っている場合もあるといい、本来、需要はあるが、助産師を採用するだけの経済的体力がないだけとの指摘もあります。これでは違法行為をなくす状況はつくれないと認識すべきで、本来の法律に基づく需要はもっと多くあり、需給体制は十分ではないと解するのが正当な見解だと思うのですが、いかがでしょうか。  次に、さきの答弁で部長は、全国平均を上回っていると申されましたが、実際には、病院に多くの助産師がおり、産婦人科医院や診療所には助産師は不足しているという報告もあります。滋賀県の実態はどのようになっているのでしょうか。仮に産婦人科医院や診療所には助産師は不足しているのが事実であれば、部長の答弁は矛盾したものになってしまいます。このことも踏まえた答弁をお願いいたします。  次に、代表質問の答弁のうち、お産へのかかわりだけでなく、育児、悩みや問題等にも対応できる助産師を育成したいと述べられていることについて伺います。  こうした、地域で活動している助産師はどれぐらいおられ、今後、これらの活動を充実しようとする場合、どれほどの助産師が必要であると思われるのか、伺います。  さて、産科医療事故と助産師不足との関連が指摘されていますが、これらについてどのように思われるでしょうか。  少し視点を変えて、専門学校と大学での資格取得について、幾つか質問をいたします。  新聞報道によりますと、日本助産師学会など助産師専門職3団体が昨年10月、4年制の大学教育課程における助産師教育では育成に限界があるという見解を示したとありますが、この報道について、県は事実関係を確認されましたでしょうか。限界だという理由が、助産師の実践的な能力が低下したり、過密カリキュラムによって学生への負担が増したりする問題が生じているとしています。途中で助産師課程の履修を放棄する学生も出てくるでしょう。もしこの見解を発せられたのが事実であれば、滋賀県はこれらの流れに逆行して、限界を指摘されている大学での助産師養成にだけ進み、これまで多くの優秀な助産師を養成してきた総合保健専門学校助産学科を廃止しようとするのです。これはいかなるものでしょうかということになります。これらについて、部長の見解を伺います。  次に、今申し上げましたことと関連して、大学での助産師課程は、看護師とあわせて助産師の免許を取得することができますが、総合保健専門学校では、看護師免許を取得あるいは取得見込みで受験、入学するケースがほとんどで、看護経験も豊富な生徒が助産実習に当たります。要は、一定レベルの看護経験を有している人たちを助産師として養成するのですから、卒業後、助産師免許を取得したときには即戦力として活躍されるケースが多いと聞いております。ところが、4年制大学卒での助産師の免許取得者は、看護経験も乏しく、助産実習の10例だけで免許を取得できますが、これでは即戦力として活躍できる実例は少ないとも聞き及んでおります。したがって、大学院の設置が望まれており、大学院でようやく即戦力的な助産師が多く出てくるとも聞き及んでいます。しかし、これでは助産師養成に、より費用がかかるばかりであります。ここでも総合保健専門学校助産学科を廃止することの意味が薄れてきそうですが、いかがでしょうか。  次に、これもまた関連しますが、ある大学で助産師課程を履修し助産師免許を取ったものの、助産師として就職する人はわずかだという実例を聞いたことがあります。全国の大学のこうした実態が事実であるとしたら、助産師養成にとって重大な問題です。こうした先行する大学の助産師への就業率はどのようなものでしょうか。また、この結果を滋賀県立大学に当てはめた場合、助産師養成人数は、滋賀医科大学分と合わせて15人確保できるのでしょうか。  次に、県立大学人間看護学科助産課程における実習先医療機関は、大津赤十字病院と大津市民病院だと聞いております。この2病院に8名の学生が、8月下旬から11月までに、それぞれ10例以上の分娩介助実習を体験するわけですが、教官、学生とも短期間での実習であり、ハードスケジュールだと指摘する声もあります。お産は予定どおり行われる保証はなく、何時間も待たされるケースも多いようですから、教官も学生も非常にハードな状況に追い込まれ、労働時間も問題があるように思います。事故が発生しないかも心配します。  一方、現在の総合保健専門学校助産学科では、実習は基本的に昼間に限り、もう少し期間に余裕があると聞いております。また、実習受け入れ医療機関も、大きな病院ばかりでなく、守山市内の産婦人科医院なども含まれていると聞き及んでおります。実際、病院に多く働く助産師の実態からすれば、小さな地域の産婦人科病院での実習も行っている現行の方が、現実の課題に即した養成体制が組まれているものと解するものですが、この解釈に対してどのように思われるでしょうか。  少し長くなりましたが、この項目の最後の質問は、もう一度知事に質問いたします。  看護師として働いてきた中で、助産師としてこれから働きたい。だから、できるだけ短い期間、すなわち1年で助産師の免許が取得できる総合保健専門学校助産学科の存在は大きな意義がありました。即戦力の助産師を生んできた総合保健専門学校がなくなり、最低でも2年以上かかる大学に編入学しないと免許が取得できない大学での助産課程だけを残すのですが、こうしたことでできるだけ短い期間で助産師免許を取得できる機会を奪うことに対して、知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。  次に、利水目的ダムについて、知事および土木交通部長にお尋ねいたします。  本来、ダムなどの大型人工構造物の建設は、原則として自然環境上行うべきではないと思います。しかし、都市化の進展や厳しい地理的条件を克服するために、治水上のダムなどが必要に迫られ建設することが不可欠であると判断されても、それは必要最小限にとどめるべきであると考えます。利水上の問題でも同じであります。そこで、知事には、ダムと自然環境保護という相矛盾する2つの課題をどのように整理し、環境熱心県の知事として理念をどのようにお持ちであるのかについて伺います。  次に、滋賀県内の大きな3つのダムについて、農林水産省は永源寺第二ダムについて、国土交通省は丹生ダム、大戸川ダムについて見直しがなされている現在、これらについてどう対応されるつもりなのかを尋ねます。  まず、永源寺第二ダムについて、ことし初めから、評価委員会の答申に基づき建設計画の変更作業に近畿農政局が入っていると仄聞いたしております。これらの経緯と今後の見通し、あわせて、計画変更がなされた場合の受益者の再同意手続などの流れを考えると、ダム建設は非常に困難な状況が予想されますが、知事の見解を伺うものです。  また、永源寺第二ダムの建設がなされた場合の、県、地元負担金の負担額はおおむね800億円とする情報もありますけれども、この財政上の問題点について知事に伺います。  次に、国土交通省の整備について、2ダムの問題について、知事は先日の記者会見で、ダムを絶対残しておきたいというふうな見解をされましたが、これらについて、財政上の問題も含めて、どのような真意があるのか、お伺いをいたします。  また、南郷洗堰に関しても、この利水目的との関係、下流府県との関係について、知事はもっと下流府県に対してしっかりしたメッセージを送るべきだと思うのですが、いかがでしょうか。  次に、土木交通部長に対してお尋ねをいたします。  下流府県が利水目的から撤退された場合、利水目的のダムをつくるのは困難だと容易に想像できますが、こうした場合、治水目的上、この2ダム事業を縮小してでも建設する方向性をお持ちなのでしょうか。この1点のみ、お尋ねいたします。  最後に、警察本部長にお尋ねしたいのですが、これについては……。 ○議長(世古正君) 西沢議員に申し上げます。 ◆20番(西沢久夫君) 警察本部長に、当該警察署に不安のないような答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) しばらく休憩いたします。   午後0時13分 休憩    ────────────────   午後1時2分 開議 ○議長(世古正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  20番西沢久夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)西沢議員の滋賀県の行政経営改革に向けての提言についての御質問にお答えします。  まず、1点目の行政経営改革ディレクターの浦さんが提言の中で書かれた、さまざまな行政改革の手法が実施することに目的化してしまい、職員に負担感ややらされ感を生み出しているという御指摘についてであります。  分権時代にありましては、地方はみずから判断し、責任を持って行動していかなければならず、自治体には地域経営の力量が厳しく問われることになります。私は知事に就任して以来、地域経営を担うにふさわしい滋賀県庁を築くために行財政改革の必要性を痛感し、特にこのことに力を入れて取り組んできたところであります。  行財政運営の徹底した簡素、効率化は当然のことでありまして、加えまして、分権時代にふさわしい県行政への転換をするために、目的志向や県民との協働、説明責任の徹底を目指しまして行財政運営を見直してまいりました。具体的には、ベンチマークや施策評価、県民政策コメント制度といった新しい行政運営システムの導入や、情報公開条例による透明性の向上など、行財政運営のさまざまな分野で、民間的発想のもとに、スピードを重視しながら改革に取り組んできたところであります。  さらには、民間の視点や手法を生かした県庁改革を一層推進するために、初めて民間企業から浦さんを行政経営改革ディレクターとしてお迎えいたしました。浦さんには、目的志向や成果重視の視点から適時適切な指摘や助言をいただき、改革を進め、具体的な成果としましては、目標設定による行政管理や県庁改革実践運動の展開などに結びつけていただいたところでございます。  これまで多くの改革の手法を取り入れてまいりましたが、その過程において、制度本来の趣旨や目的を確認しながら運用することがいま一つ十分でなかったということもあったと考えられますし、個々の手法を順次導入してきましたので、既存システムも含む相互の有機的な連携が十分図られていないといったこともあることから、浦さんが指摘されるように、職員に負担感ややらされ感を生み出したという側面は確かにあったというように思っております。  私といたしましては、いずれの制度や手法も地域経営にとって不可欠なものと考えておりますが、行政分野では開発途上の面もありまして、運営面で試行錯誤が必要なことから、いま一度、制度の趣旨や目的について再確認して運用するよう徹底してまいりますとともに、よりシンプルなものにするという観点から改めてそれらを見直し、できる限り相互の連携が図れるよう再構築してまいりたいと考えております。こうした制度を有効に機能させて、地域の限られた経営資源を効果的、効率的に活用し、県民の皆さんの負託に的確にこたえられる行政を展開してまいりたいと考えております。  次に、財政再建団体への転落の危機をもっと訴え、次の手だてを主体的に考え出せる状況をつくる必要があるのではないかということでございますが、去る10月に、三位一体改革の動向や市町村合併の進展を踏まえまして、本県の行財政運営を取り巻く情勢の大きな変化に的確に対応するために、その基本的方向として財政危機回避のための改革基本方針(案)をお示ししたところであります。この中では、本県の極めて厳しい財政状況をお示しし、財政再建団体への転落も視野に入れながら、その危機を回避するための今後3カ年の財政収支改善目標を定め、徹底した取り組みを進めることとしたところであります。  また、この内容につきましては、県議会での説明や職員への周知はもとより、市町村長への説明会の開催や、広報誌滋賀プラスワンへの掲載、県民政策コメントの実施などによりまして、広く県民の皆さんにお知らせし、意見をお伺いしながら、危機意識の共有に努めているところであります。  このたびの財政危機を回避するためには、まずは、住民と行政、そして、国、県、市町村の役割分担を再検証するとともに、従来のように予算の裏づけを前提とした行政スタイルから、わずかな予算でも、場合によっては予算がなくても同様の効果を上げられないかといった視点に立ち、創意工夫に一層努め、知恵を絞りながら対応してまいりたいと考えております。  こうした中で、地域自治を担っていただくそれぞれの主体に、この危機を乗り切るために、自発的、主体的に取り組んでいただき、国依存、行政依存の自治から、改革の時代にふさわしい、地域の自立と協働の自治へ、行政スタイルの転換を目指してまいりたいと考えております。  次に、財政構造改革の行方についての御質問にお答えします。  まず、補助金削減と税源移譲の今後の改革についての方針でありますが、先月26日に政府・与党から示されました三位一体改革の全体像につきましては、地方への税源移譲がいよいよ本格的に動き出したという点で一定評価いたしますものの、地方の裁量を拡大し、自主性、主体性をいかに拡大するかという視点が抜け落ちているということとともに、国の関与、規制のあり方はまだまだ問題がありますことから、今回の改革は真の分権改革実現への一里塚にすぎないと認識いたしております。したがいまして、今後は、改革のさらなる着実な実行と、残された課題の解決に向けまして、今までにも増して地方6団体が連携を密にし、一致団結して対応していかなければならないと考えております。  こうしたことから、真の三位一体改革の実現に向けまして、国と地方の協議機関による協議の継続や、全都道府県の地方6団体で組織する地方分権推進連盟を初め、体制をより強化し、対応策の検討を十分行った上で、政府に強く働きかけますとともに、住民の皆さんに対しても適切な情報提供を行うなど、できる限り国民的賛同を得る形で取り組みを進める必要があると考えております。  次に、地方交付税に関して、どのような情報を入手し、今後2年間の動きをどのように分析しているかでありますが、三位一体の改革の全体像に関して、先日、総務省からなされました説明では、さきに財務省が地方財政計画への地方単独事業等の過大計上が七、八兆円に上るなどの根拠から、地方交付税の大幅削減を示唆したところでありますが、今回の全体像の中で、平成17年度、18年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保すると明記されましたことから、ひとまずはそのおそれはなくなったところであり、また、今年度予算では、編成作業の最終局面で大幅な地方交付税の削減が明らかになったことへの反省に立って、国、地方双方が納得できる形で決着することを目指すとして、一方的な削減はしないなどとされたところであります。  しかしながら、いわゆる骨太の方針2003において、平成18年度までに地方財政計画上の職員数を4万人削減するとともに、投資的経費を平成2年ないし3年ころの水準に抑制するなどの方針が既に示されております。そうしたことから、今後の税収等の動向にもよりますが、地方交付税については、臨時財政対策債を含めて一定の規模で削減されるものと予想しているところであります。
     次に、財政構造改革プログラムの見直し作業の中で、地方交付税についてはもっと厳しい予測をすべきではないかということでありますが、今回示されました三位一体改革の全体像は、平成18年度までの姿でありまして、その後につきましては、第2期の改革を待たねばなりません。しかしながら、大きな債務を抱えた国の財政状況等を勘案いたしますと、決して予断を許さない状況にあると認識いたしております。  したがいまして、財政構造改革プログラムの改定作業の中で、財政収支不足を縮減する取り組みを着実に実行しながら、今後の三位一体改革の動向にも十分注意を払い、地方交付税等の状況に大きな見直しがあった場合には、所要の手直しを行うことによりまして、自立的に運営できる行財政体質の確立に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、二兎を追えない財政状況の中で新幹線新駅を優先するのか、考え直す気はないのかということでありますが、そもそも財政環境が悪化した大きな要因に税収の減があります。このため、歳入を安定的に確保し、地域間競争を勝ち抜く上で、企業活動等地域活性化に交通インフラ整備が極めて効果的であり、将来の地域発展につながる投資であると考えるところであります。したがいまして、新幹線新駅は、JR東海が設置判断をしていただいたこの時機を逃すことなく、的確に対応する必要があると考えます。  県内の鉄道ネットワークの状況を見ますと、県東北部地域には、東海、北陸、近畿を結ぶ交通結節点としての米原駅があり、東海道新幹線、東海道本線、北陸本線、さらには近江鉄道が交わり、本県の東の玄関口としての役割を果たしております。この米原駅においては、現在、在来線駅と新幹線駅を一体的、機能的にすべく、東西自由通路整備やバリアフリー化など総合的な整備を進めており、完成後には大幅な駅の機能改良が図られることとなりますほか、貨物ターミナル整備も計画されているところであります。  また、長年の県政の重要課題でありました琵琶湖環状線の実現も、北陸本線長浜から湖西線永原駅間の直流化工事によって、長浜駅や高月駅の改築橋上化整備などの関連プロジェクトとともに着実に進められておりまして、平成18年秋の開業が見込まれているところであります。  こうした整備とともに、新幹線駅がない県南部地域は、ひときわ人口が急増している地域であり、さらに、企業の立地、あるいは大学等の集積があることから、新駅を設置することによりまして県内全域の鉄道ネットワークの充実や利便性の向上が図られ、企業のビジネス活動を初め、観光振興や研究教育等の活動を活発化させ、その効果を最大限に引き出して、県全体の自立化と発展につなげることができるものと考えるものであります。  一方、御指摘のように、市町村からの要望の高い河川改修、国道、県道の新設、改良など、社会資本の整備につきましては、市町村からの要望をしっかりと受けとめ、自然と人間がともに輝くモデル創造立県・滋賀の基盤づくりを、「創ります、守ります、滋賀の風土」をスローガンに全力で取り組んでいるところであります。  こうした中で新幹線新駅は、設置に必要な費用について相応の地元負担が必要となり、一般の公共事業のように国の財政措置を活用することができませんが、一たん開業いたしますと、後のランニングコストはJR東海の負担となり、地元としては、企業立地や観光誘致等を通じ、負担した費用を大きく上回る経済効果や税収効果を将来にわたり受け続けることができるものであります。  したがいまして、厳しい財政状況にあり、財政構造改革プログラムも進めなければなりませんが、むしろ、それだからこそ、中長期的な視点に立って県勢全体のバランスを考慮しながら、将来とも活力ある地域として滋賀県が自立し発展する切り札の一つとして、着実にこのプロジェクトを進める必要があると考えるものであります。  次に、助産師不足への対応と滋賀県立総合保健専門学校の設置および管理に関する条例の一部を改正する条例案の質問にお答えします。  まず、1点目の今後の助産師養成についての所見であります。  地域医療を担う看護職員の中でも、とりわけ助産師は、命の誕生に携わる、いわば命を預かる専門職であり、その活動は増大してきているものと考えております。今後は、妊産婦に対してだけでなく、子育てに関する不安の解消や不妊に対する相談、さらには、児童虐待の早期発見や早期対応につきましても、助産師の専門職としての手腕や能力が生かされるものと考えております。また、子供たちに対しましても、性教育を行うだけでなく、命の大切さを教えるという役割もあると思います。このように、議員御指摘のように、今後、助産師活動として地域での活動がとりわけ期待されるところであります。  そこで、今後の助産師養成数についてでありますが、需給状況などから見て、現在は総数としては確保されているものと考えております。今後の見通しでありますが、新たに一定の数の助産師が必要になってくると考えられますが、病院と診療所に配置されている助産師の数のアンバランスの解消や、働く意欲を持っていても働いていない助産師の発掘、卒業生の県内での定着を促進することなどによりまして必要数を確保していけるものと考えております。  次に、2点目の助産師教育が2年となることについてであります。  これからの助産師の活動の場が広がる中で、最新の知識や技術教育だけではなく、人間を幅広く理解する能力や科学的根拠に基づいた助産実践ができる能力など、総合的に身につける必要があります。このような観点から、今回、大学で高等教育を行おうとするものでありまして、これには2年間が必要ということであります。  なお、大学と養成所の両校併設との御意見もございますが、効率性や財政負担、実習施設の確保等の観点から、現状としては両校併設は大変困難なものであると考えております。また一方で、県立大学などにおける養成教育にスムーズに移行できるものと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。  次に、利水目的ダムについての御質問にお答えします。  まず、ダム建設と自然環境保護という相矛盾する2つの課題をどのように整理し、環境熱心県の知事としての理念を持っているのかということでありますが、そもそも本県は、国家的財産であり、未来からの預かり物である琵琶湖を有し、その琵琶湖を健全な姿で次世代に継承すること、また、県民の安全で豊かな生活を実現することは県政の根幹的な目標であり、これの達成に向けて努力していくことが私の使命であります。  その使命を果たす方策の一つに、さまざまな目的を持つダムの建設がありますが、そもそもダム建設は、一部に自然の改変を伴うことや、自然環境に一定の負荷をかけることは否めないことから、基本的には安易にダムを建設するということは慎むべきだと考えます。しかしながら、県民の安全で豊かな生活の実現をどうしてもダムによらざるを得ないという場合は、ダムは必要なものとして、環境に配慮したダムを建設するということで、さまざまな面から十分工夫、検討しなければならないと考えます。  いずれにいたしましても、ダム建設を開発と保全との対立関係でとらえるのではなく、必要なものにあっては、むしろ積極的にそれらを両立させ、そして、自然との共生を目指したダムづくりを進めることが重要であり、また、このようなダムづくりは十分可能であると思います。現に、本県施工の北川、芹谷の両治水ダムにつきましては、貯水池の自然環境を保全するため、ふだんは水がたまらない河床部穴あきダムに見直したところでありまして、国などが実施する他のダムにおきましても、環境こだわり県にふさわしい事業として実施されるよう、必要な要請を行ってまいりたいと考えます。  次に、国営新愛知川農業水利事業永源寺第二ダムについてお答えします。  まず、近畿農政局が実施している建設計画の変更作業にかかわる経緯、今後の見通し、あわせて、ダム建設は非常に困難な状況が予想されるのではないかという点でありますが、御承知のとおり、近畿農政局においては本年2月に、本事業が土地改良法で定められた計画変更要件に該当することが確実であるといったことを明らかにされたところであり、現在、変更計画案の策定作業を実施しておられるところであります。この計画変更案の策定に当たっては、営農計画等についての所要の検討が必要となりますが、国はできる限り期間の短縮に努め、早急に変更計画案を策定させたいという意向であると聞いております。  県といたしましては、かねてから、用水不足は、新たな米政策のもとでの効率的な営農を目指す農家の経営を不安定にするのみならず、持続的な営農を通じて発揮される農業の多面的な機能を阻害するおそれもあり、その早期解消のために最適な方策が地元農家等の関係者の同意のもとに適切に策定されることが必要であると申し上げてきているところであります。そのような観点から、変更計画案の策定作業が円滑に行われるよう、県としても引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  次に、永源寺第二ダムが建設される場合の財政上の問題点についてであります。  事業費については、今後、変更計画案の内容とともに、その詳細が受益者や県などとの協議を踏まえて検討されるというように理解をいたしております。県といたしましては、その際、県および関係市町の深刻な財政状況や厳しい農家経営環境から、事業費の増加は極力回避する必要があるということで、一層のコスト縮減を図るよう、国に対して強く要請していく考えであります。  次に、大戸川、丹生ダムについて、財政上の問題から、建設することの真意はというお尋ねでありますが、利水者のダム事業からの撤退につきましては、去る5日の淀川水系流域委員会の第10回ダムワーキンググループで近畿地方整備局が公表されました利水についての中間とりまとめでは、今後、整備局で各利水者の水需要の現状と将来見通しについて精査、確認を行うとともに、淀川水系全体の水需給のあり方などについて包括的に整理するため、関係府県、関係利水者等との協議を行っていくとされておりまして、確定されていないものと認識しております。  県といたしましては、両ダムとも、大戸川および姉川、高時川の治水対策はもちろんのこと、高時川の瀬切れの解消や琵琶湖の水位低下の抑制、淀川水系全体の渇水への対応や、今議会の提案でも説明申し上げました瀬田川洗堰の全閉操作の解消に不可欠でありまして、子々孫々に向けて禍根を残さないためにも、財政事情が非常に厳しい状況ではありますが、全力で取り組んでいく必要のあるダムだと考えております。  次に、下流府県に対してしっかりとしたメッセージを送るべきではないかということでありますが、私が申し上げたいのは、例えば治水の点でいいますと、この流域をめぐる長い歴史を踏まえまして、課題は課題として明らかにした上で、最大の危機においてこそ上下流が互いに助け合える真の治水計画を策定するということを通して、将来に向けてよりよい関係を築こうということであります。  琵琶湖・淀川流域には古くから上下流の厳しい対立があり、我々の先輩は、こうした対立の歴史を乗り越えようと、さまざまな努力を積み重ねてこられました。しかし、残念ながら、解決しなければならない根源的な課題を残して21世紀を迎えていたということが、このほど検討の結果わかったところであります。この新しい時代に、ぜひとも過去の対立を乗り越え、こうした真の治水計画を策定し、新たな上下流関係、すなわち、相手を思いやり、助け合うという関係の構築に向けて知恵を出していきたいということが私のメッセージであります。そのためには、お互いにみずからの責任を自覚し、その責任をみずから果たさなければなりません。単に歩み寄るのではなく、みずからの尊厳のもとに、主張すべきことは主張し、また、相手の立場も認めながら、確かな協調関係を築いていくということではないかと存じます。  私自身、若いころは大阪府庁に勤務し、下流から琵琶湖のことを思い、そして、今は琵琶湖のほとりから京都、大阪に思いをいたすというように、上下流双方の立場から琵琶湖・淀川を見詰めてきた経験がございますだけに、上下流の関係が何よりも大切であるということを身をもって感じております。  このたび、洗堰全閉操作の解消に向けての取り組みも、新しい上下流関係の構築を目指して、過去のデータを検証し、具体的な提案をするとともに、新たに河川整備計画が策定されるに当たっては、ダムなどの施設整備や、瀬田川洗堰操作の見直しに向けた対応策について十分検討されるよう要請したものであります。  このダムや洗堰操作の問題のほかにも、琵琶湖・淀川流域には、治水や利水、環境保全などをめぐって解決すべき課題が多く存在しており、本県としては、こうした相互に関連する諸課題の一体的解決を目指していく必要があると考えておりまして、河川管理者である近畿地方整備局に対しまして、流域の関係者の包括的な合意形成に向けて調整されるよう、引き続き強力に要請してまいる考えであります。 ◎副知事(廣田義治君) (登壇)滋賀県の行政経営改革に向けての提言についての御質問にお答えいたします。  まず、施策評価についてでありますが、現行のシステムは、まず各部局が自己評価を実施し、次に、県民への説明のわかりやすさという観点から外部委員による評価を実施しておりますものの、自己評価である1次評価を再評価する、いわゆる2次評価は導入しておりません。そのため、評価の客観性に欠け、必ずしも成果を正確に反映しているとは言えない。また、予算編成などに十分活用されていないという御指摘をいただいております。  行政評価は、みずからが実施した施策、事業を評価し、見直しを行い、次のステップに結びつけるというPDCAサイクルを行政経営に生かすことに主眼があるため、本来、部局による自己評価が中心となるものでありますが、客観性の確保のため、今後、的確な2次評価についても検討していく必要があると考えております。現在、施策評価システムについては抜本的な見直しを検討しており、これまでの成果や外部委員の意見を踏まえながら、効果的、効率的なツールとなりますよう、再構築してまいりたいと考えております。  次に、浦行政経営改革ディレクターの提言の本質に対する私の所見についてでありますが、浦ディレクターには、長年の企業経験で培われた民間の視点を持って、滋賀県職員として本県行政に2年間もの長期にわたり在籍し、県政の重要な意思決定に参画していただきました。そのような希有な経験をもとにまとめられたこの提言は、本県が、より一層質の高い住民サービスを提供することのできる組織へ変革するための、的確で、かつ厳しい御提言であると認識し、私としても真摯に受けとめております。  明治時代から脈々と続いてきた日本の中央集権体制は、かつては高度経済成長を支え、そして、私たちの生活基盤の水準を押し上げてきました。しかし、バブル崩壊後の十数年で世の中の様相はがらりと変わり、旧来のシステムはあちこちでほころびを見せ始めており、県や市町村においても、これまでのようには地域住民の要望にこたえることができない状況になりつつあります。そして、今まさに、三位一体改革の議論にあるように、国と地方の関係が中央集権から地域主権へとかじを切る時代の転換期であると感じております。そのためには、本県みずからが大きく変わらなければなりません。  私は、浦ディレクターの提言を読ませていただき、我々地方自治体の側も、地方分権の時代の到来と言われながら、長年にわたり続いてきた旧来の中央集権体制をよりどころとした行財政の枠組みからまだまだ脱却できていないのではないかと、率直に反省せざるを得ないと思っております。とりわけ、提言の中で重点的に指摘されている、組織、人事等に係る諸課題につきましては、今後の行政経営改革の観点に立てば、特に改革が必要な部門ではないかと痛感しております。  民の知恵すべてがそのまま官に適用し得るとは言えないにいたしましても、例えば、現場主義に基づく庁内分権の推進につきましては、予算や組織等に係る一定の権限を各部局長に委譲する具体的な取り組みを進めてきておりますし、目的志向、成果主義に基づく人事制度の確立では、今年度から、管理職員を対象として、目標管理と人材育成を図ることを目的とする自律型人材育成制度を試行しているところであります。  今後とも、浦ディレクターの提言を十分踏まえながら、滋賀県が、地域主権の時代の中で行政経営をみずから行うという認識のもとに行政経営改革に邁進しなければならないと感じております。  最後に、今後どのように行政経営改革室を機能させるのかという御質問でありますが、県の組織につきましては、その時々の行政課題に迅速、的確に対応できるよう編成してきており、行政経営改革を担当する部署につきましても、行財政改革の緊急性や必要性に応じて、その都度体制の整備を図ってきたところであります。平成14年度から15年度においては、経営改革支援室を各部局がみずから主体的に行う改革を支援する組織として位置づけて、改革のサポート役を担わせてまいりました。しかしながら、昨年度の国の三位一体改革により、県財政にこれまでにない深刻な影響を及ぼすことが確実となったことや、市町村合併が本格化することなどから、今後の行財政運営を抜本的かつ速やかに見直す必要が生じ、全庁的な改革のサポートに加え、実践していく組織が必要となり、財政や組織体制、市町村行財政を所管する総務部に移管し、必要な体制も整備したところであります。  今後の行政経営改革室につきましては、県庁全体が目的志向と成果重視に基づいた行財政運営をしっかり行うための先導的な役割を果たす部署として、その機能が十分発揮できるようにする必要があると考えております。 ◎健康福祉部長(澤田史朗君) (登壇)助産師不足への対応と滋賀県立総合保健専門学校の設置および管理に関する条例の一部を改正する条例案について、5点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の産婦に対する看護師業務についてであります。  議員御指摘の国からの通知を受けまして、早速、各病院や関係診療所、医師会等の関係者に対しまして周知徹底を図ったところでございます。滋賀県の実態でございますが、これまでから、国と産科婦人科医会との見解が分かれておりますことから、個々の詳細な実態が大変つかみにくい状況となっております。今後は、医療監視などの立入検査等の機会をとらえまして、実態把握と、その指導を徹底してまいります。  2点目の助産師の確保についてでございます。  滋賀県の助産師の数の現状でございます。助産師1人当たりの年間出生数を見てみますと、病院では、全国平均が助産師1人当たりの年間出生数が35人、それに対しまして、滋賀県は32人、また、診療所では、全国が158人に対しまして、滋賀県では123人であります。つまり、出生数から見た助産師の配置につきましても、いずれも全国平均を上回っているという現状にございます。  診療所での助産師が不足しているのではとの御質問でございます。医療機関における助産師の配置基準は法令上定められておらず、一概には申し上げることはできませんが、ただいま申し上げました数字からは、全国平均よりは手厚い配置になっております。しかしながら、この数字からわかりますように、病院と診療所での助産師の配置につきまして大きなアンバランスがあることがわかります。その実態でございますが、病院は出生数が少ないことから、現在はほとんどが混合病棟となっておりまして、その結果、助産師の資格を持っていても助産師として採用されているのは68%、また、実際に助産業務を行っているのは87%にとどまっております。つまり、助産師の資格を持っていながら助産業務を行っていない者も数多くいるというのが現状でございます。今後は、この病院と診療所との間のアンバランスを解消するために、関係者とも協議を重ねながら、診療所への誘導をしてまいりたいと考えております。  また、地域で活動している助産師とのお尋ねでございます。平成14年度では開業助産所も含めまして24名でございます。今後は、助産師活動が広がる中で、この必要数は一定ふえてくるものと推測されます。これには現行の養成数の中で対応できるものと考えますが、あわせまして、新卒者のより一層の県内定着を図るとともに、働く意欲を持っていながら働いていない助産師を発掘することによりまして、必要な助産師の確保に努めてまいりたいと考えております。  なお、産科医療事故と助産師不足との因果関係についての御質問でございますが、両者の関係は必ずしも明らかとなっておらず、滋賀県としても把握していないところでございます。  3点目の助産師専門職3団体の見解についてでございます。  御指摘の見解は、助産の専門性確保の視点から、大学など現行の教育制度を維持しながらも、より一層の専門性を確保するために、さらに大学院を設置する必要があるという観点からなされた見解であるというふうに理解をしております。したがいまして、現在滋賀県が行おうとしております大学における助産師養成と逆行するものではございませんし、むしろ専門職の養成という視点からは、目指す方向性は同じであると考えております。  なお、滋賀県では、過日、県民ネットワークの代表質問でも申し上げましたとおり、他府県での課題等も踏まえまして、大学での高等教育にスムーズに移行していきたいと考えております。  次に、4点目の助産師教育における実習についてでございます。  助産師として即戦力になるには、学校で助産師実習を受けるときに、看護師としての経験が大きく物を言うのではとの御指摘であると思いますが、要は、どのようなカリキュラムで、そして、どのような実習を受けるのかということが大変重要であると考えます。あわせまして、卒業後も、先輩助産師などから指導を受け、幾つかの経験を経ながら、活躍できる戦力になっていくものと考えております。この点、滋賀県立大学では、総合保健専門学校で長く教鞭をとられ、数多くの卒業生を輩出し、また、さらに学校長としての経験を持つ教員もおられます。このような環境でカリキュラムを組み、実習にも取り組んでいくとのことでございますので、即戦力につながるような助産師の養成がなされるものと、大いに期待をしているところでございます。  なお、大学での実習施設のお尋ねもございました。地域重視の観点から、市町の保健センターや助産所に出向いての交流学習や、活躍中の経験豊富な助産師による生きた学習なども計画しているところでございます。一方、議員御指摘のように、地域の病院や診療所での実習も大変重要であると考えております。したがいまして、今後、このことを大学に要請して実現をしてまいりたいと考えております。  最後に、5点目の先行する大学の助産師への就業状況についてでございます。  助産師業務として就業した者の実数や就業率は把握されていないのが現状でございます。聞くところによりますと、滋賀県立大学や滋賀医科大学の助産課程においては、現在、大変意欲的で、かつ、将来助産業務にぜひとも携わりたいという強い意思を持った学生が多く進学を希望していると伺っております。このような学生を大切に育てながら、あわせて、今後の助産師の県内定着をより一層図ってまいりたいと考えております。 ◎土木交通部長(河崎和明君) (登壇)利水目的ダムについての御質問のうち、治水目的で2ダム事業を建設する方向性についてお答えいたします。  国土交通省近畿地方整備局では、現在、各利水者の水需要の現状と将来見通しについて精査、確認を行うとともに、関係府県、関係利水者等との協議を行っていると聞いております。まだそれらの作業が完了しておりませんが、現時点における調査、検討の取りまとめを、先日の淀川水系流域委員会のダム作業部会で中間とりまとめとして報告されたと理解しております。  水需要の見直しは、合理的な水利用の観点からは理解できるものではありますが、これまでダム建設の必要性を強く訴え、協力を求めてこられた利水者が、自己の都合によるダム計画の見直しによる影響を、今まで多大の犠牲を払ってきた地元住民、市町、県に一方的に押しつけることは問題があると考えております。  近畿地方整備局が、これまでに生じている行政責任を踏まえて、地元住民、市町および県に対して、いささかも支障を生じないよう、琵琶湖・淀川流域の包括的な合意に向けた調整を早期に行うよう、今後も続けて要請をしていく所存でございます。  また、近畿地方整備局は淀川水系河川整備計画基礎案において、丹生ダム、大戸川ダムは、洪水調節だけでなく、琵琶湖・淀川水系の異常渇水時の緊急水の補給や琵琶湖の水位の急激かつ大幅な低下を抑えるのに有効とし、このことについても調査、検討を行うこととしておられます。  まずは、この調査、検討の結果を見させていただきたいと考えておりますので、早期に取りまとめが行われるよう、さらに要請してまいります。 ◆20番(西沢久夫君) (登壇)私の質問時間の配分によりまして、警察本部長への質問が抜けてしまいました。残念ですけれども、いたし方ないなと思っております。私の質問の本意をまた御理解いただきたいというふうに思います。  さて、少し、知事および各部長に対して再質問をしたいと思います。  まず、財政構造改革プログラムの関係でありますけれども、これについて、平成17、18年度の総務省あるいは全体の三位一体改革に関する部分については、一定、いわゆる地方交付税と税収そのものの総合的な減額というのはないということでありますけれども、さっきも申しましたように、19年度になりますと、この呪縛から解かれる財務省というのは、これは非常に強力な圧力がかかってくるのではないかなと。例えば、それまでの間で、新聞報道によりますと、財務省が1兆円程度の地方交付税の減額を、人件費が多くかかっているということで、するかもしれないという情報があるわけです。これは単純に、県として、1兆円の1%ですから、100億円、県がこれの半分としたら50億円という削減になるわけです。これだけでも大変な額でありますけれども、その後の19年度以降の財務省の圧力というものは、私は想像するだけでも身の毛がよだつというか、本当に大変な状況であると思います。単にその時点でということではなしに、今から、例えば19年度にもっと大きな減額が来たときに、18年度もやはり今よりももっと厳しい査定なりをしていかないとだめなのではないかなと。最初から予測がついて、それが実際に事が明らかになってからやりますでは、予測をした意味がございませんので、もう一度この点について、現行のプログラムからもう少し、まだもっと、一段と厳しいプログラムに変えていく必要があるのではないかなというふうに思っておりますので、この点についてお答えをいただきたいというのが1点です。  それから、2点目ですけれども、財政状況が厳しい中で、新幹線栗東新駅を建設したい旨のお答えがありました。これについて私は、今、議論をするつもりはございませんが、市町村の要望というのは非常に高いものがあり、また、切実なものがたくさんあるわけであります。こうした市町村の要望に対して、例えば、こんなことは言わないでしょうけれども、新幹線やその他の公共事業で予算が確保できないというふうなことがないように、これについては市町村に対してしっかりとしたメッセージを伝えていただくように、今お願いできないだろうかというふうに思います。これが2点目であります。  それから、ダムの問題についてでありますけれども、知事、部長とも、利水ダムについてのことも申されましたけれども、例えば、先ほどダムは県民の豊かな生活を確保するためにも必要だということでありますけれども、淀川の2ダムにつきましては、これは県民の豊かな生活ではなしに、大阪なり下流の府県の豊かな生活を確保するために、いわばダムが利水ダムとして要請があったということもあるわけであります。その下流府県が要らないというふうに言い出した段階でありますから、これは、わざわざその要らないものを、環境に対して負荷がかかることに対しては少し改めるべき時期、絶好の機会になるのではないかなというふうに私は思います。だからといって、治水まで私は放棄せよと言うつもりはございません。したがいまして、治水のことについては言いませんけれども、利水についてはやはりしっかりとこの際考え直していけば、過大なダム建設費用も要らないし、県民の負担も要らない、そういうふうに思いますので、この点について、本当に利水ダムがこれから必要なのかどうか、もう一度知事および土木交通部長にこの点についてお尋ねをいたします。  次に、助産師の関係でございます。  私、少し心配なことがありますのは、例えば、いわゆる実態把握、国が指導したことに対して、県内での看護師等の助産行為があったのか、なかったのかという実態把握ができていない。それから、例えば他の大学、先行されている大学で、実際に先行している助産学科の学生がどの程度助産師として世に出ているかということも余り把握がされていない。こういう調査不足の中で一方的にこの問題を進めていくということが、私は非常に不安でしようがない。助産師の皆さんの中には、もうちょっと残してほしいという不安は、そういった県の調査不足、実態が把握できていないまま、ある意味、大学でやれば何とかできる、そういう、いわば希望的観測のもとにこのことをしているような気がします。部長には、こうした把握不足というものが本当にある中で、実際に、希望的観測ではなしに、確実に助産師がこれまでのような形で実践的に活動ができる、大学を出ればすぐ活動ができるのだというふうに、もう一度、根拠を持って述べていただきたいなというふうに思っています。  それから、このことの最後で、例えば助産師の3団体が非常に限界があるというふうなことに対して、これは大学院を設置するということも含めてやるのだというふうなことからやっているわけでありまして、この3団体の意見というものをもう一度やはりしっかりと聞いて、そして、吟味をして、この総合保健専門学校の助産学科を廃止するかどうかというのは、もう一度、そういった各界の人たちの意見も聞いてからやるということでも遅くはないのではないかなというふうに思いますので、執行については十分やはりこの点を考慮して調査をしていただきたいと思うのですけれども、この点についてもお答えをいただくということで、私の再質問を終わります。 ◎知事(國松善次君) (登壇)西沢議員の再質問にお答えします。  まず、1点目の三位一体の絡みでの財政の見通しと、その対応等でありますが、御指摘のように、平成19年以降の話は、私も交付税その他、予断を許せないと申し上げておりますように、大変厳しくなるということを一定覚悟しなきゃいけないと思っています。  そこで、そうしたことも踏まえて、今回の改革でも、自立あるいは協働ということを大切にした新しい行政スタイルへ変えようという、そういう転換のチャンスにしなければいけないというように思っておりますのと、いま一つ、歳出面の改革だけではなくて、歳入面の改革も含めて、両面からの改革によって、今後のことも頭に置きながらプログラムで進めていきたいというように考えております。  2点目の新幹線新駅の話でございますが、先ほども申し上げましたように、財政全体のことを配慮しなければいけませんが、やはり歳入歳出の面で考えていくという中で、新駅設置は県の経済あるいは税収といった面にも寄与するわけでございまして、そうしたもので進めていく。そのかわりと言ってはなんですが、そうしたことについて他の施策とのバランスを皆さんに御説明申し上げ、御理解できるような進め方が必要だと私も考えております。  それから、3点目のダムの話でありますが、私どもが下流のダムの利水の需要について要る要らないということについて特段申し上げるわけではなくて、そうした実情は一定理解できますが、それによって上流の今まで進めてきたことや負担について不公平になる、不合理になることは困るということを申し上げているわけでありまして、下流の利水についてとやかく言うつもりはありません。いずれにしましても、上下流がともに協力し合えるという関係の中でそうしたプロジェクトが進められるということが大事ではないかと思っております。 ◎健康福祉部長(澤田史朗君) 2点の御質問にお答えいたします。  まず、現状の助産師の需給状況というのはバランスがとれているというふうに考えておりますが、今後、一定の数必要になってこようかと思いますが、それも、病院と診療所に配置されている助産師の数のアンバランスの解消、働く意欲を持っても働いていない助産師の方の発掘、卒業生の県内での定着ということなどによりまして、今後も必要数を確保していけるというふうに考えております。  そして、大学での教育におきましても、職員、教える側のスタッフとしましても、経験豊富なスタッフをそろえておりますし、また、人員的にも手厚い措置になっております。また、地域重視のカリキュラムということでやらせていただきたいというふうに考えておりますので、大学教育へスムーズに移行ができると考えております。  2点目の3団体との関係でございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、専門性ということからは一致しているというふうに思います。もっと御意見をということでございますが、これまでも私どもは、日本助産師会滋賀県支部の方々あるいは滋賀県の看護協会の方々と何度となく意見交換をさせていただきまして、今日のこういった手続の運びとなっていることを御理解いただければと思います。 ◎土木交通部長(河崎和明君) 利水ダムの必要性について再質問があったわけでございますが、今ほど知事の方から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、利水について申し上げるならば、先ほど申し上げましたように、現在、近畿地方整備局におきまして、各利水者の水需給の現状なり将来見通し、そういったものについて精査、確認が行われておるということと、それを踏まえまして、関係府県、関係利水者との協議が行われているというふうに聞いているところでございまして、私どもはその協議を受けていくのかなというふうに思っているところでございます。 ○議長(世古正君) 次に、5番小寺裕雄君の発言を許します。 ◆5番(小寺裕雄君) (登壇、拍手)質問に入ります前に、八日市市民の一人といたしまして、一言申し上げます。  平和のとうとさを学び、世界の恒久平和を祈る施設として計画しておりました平和祈念館の建設につきまして、このたび八日市市芝原に決定されたところでございますが、まずもって御礼を申し上げます。この場所は、かつて陸軍の八日市飛行場があり、ここから多くの兵士が戦地に赴いたという歴史を持つとともに、当時、飛行機を空襲から守るための軍事施設としての掩体ごうが現存する場所であります。地元八日市市を初め、市民の長年の思いがかなったというところであります。心より感謝申し上げ、また、平和祈念館の建設に大いに期待をしているところでもあります。ありがとうございました。  それでは、ペーパーの方に入らせていただきまして、去る11月10日に東京で開催されました第4回都道府県議会議員研究交流大会に参加の方をさせていただきました。私にとりましては大変有意義な研修となりました。三位一体の改革議論の真っただ中の研修ということで、特に私が参加した第3分科会では、市町村合併の進展と都道府県のあり方について、中央大学の佐々木先生より、市町村合併の進展と三位一体の改革の進捗とのはざまで、今後、都道府県の役割はどのように変化していくのかについて丁寧に教えていただきました。  さらに、プロレスラーで岩手県議会議員のザ・グレート・サスケ議員にお会いしまして、実は私は大変なプロレス・格闘技ファンでございまして、1996年、今から8年前のきのう、12月8日にみずからが興行主となって八日市市の布引体育館でみちのくプロレスを興行し、1,000人余りの人員を集めた経験を持っております。8年前にはお互いに、まさか今日、県議会議員としてその交流大会で出会うことは全く予想をしなかったなというような会話をしてまいりました。  とにもかくにも、分権時代における議会改革とともに、私にとりましては、今、地方が抱えている課題が明確になったように思われました。地方にとりましては大変厳しい時代が続きますが、少しでも滋賀県政がよくなりますように、現下における諸課題につきまして、知事ならびに担当部長にそれぞれ質問をさせていただきます。  まず、行政経営改革に向けての提言、いわゆる浦レポートを受けて、このレポートをどのように評価し、そして、それをどのように生かしていこうとしておられるかについて幾つかの質問を、知事ならびに総務部長にさせていただきます。図らずも同じ八日市市選出の議員が続けて同じレポートを取り上げ質問をさせていただくことに形としてはなりましたが、これも抽せんの妙ということで、先輩の西沢議員に負けないように張り切って質問したいというふうに思います。  行政経営改革ディレクターとして2年間出向されていた浦茂樹氏が、去る9月9日をもって、もとの伊藤忠にお帰りになりました。現在は、新しい部署で戸惑いながらも元気にお仕事をされているということでありました。私にとりましては、わずか1年余りの短いおつき合いでありましたが、何度か食事を一緒にさせていただいたり、また、行政経営改革室でいろいろお話を伺い、浦さんの滋賀県に対する熱い思いが感じられました。  行政経営改革ディレクターは、滋賀県が分権社会における地域経営の重責を担える組織に生まれ変わるために、滋賀県行政システム改革新方針に基づき具体的取り組みを進めるに当たり、民間的視点から行政経営改革を企画、立案し、実行できる人材を求めるものとして、平成14年9月、県庁改革を実施する経営改革支援室に置かれたものです。その職務内容は、行政経営の質を高めるために、民間の視点、手法を生かしながら県庁の従来からの体質を変革し、生活者視点の行政の定着に向けた全庁的な取り組みの推進、地域経営の革新に向けた県庁改革の推進、そして、以上2つのことを実現するために県職員の意識改革の推進となっておりました。また、平成14年9月議会では、北野議員の質問に対して知事は、行政経営改革ディレクターの設置について、長年民間企業で培われた豊富な経験を生かしてもらい、新しい時代にふさわしい行政経営を目指した改革に取り組む旨の答弁をしておられます。  まず、知事に伺います。知事が設置された行政経営改革ディレクターは、その職務内容に照らして、設置目的のとおり十分に職責を果たされ、期待どおりの効果を上げられたとお考えでしょうか。また、当然、浦さんのレポートをお読みになったことと思いますが、本当にたくさんの意見、提言ならびに苦言もあったように思われますが、率直な感想やお考えをお聞かせください。  次に、レポートの内容に入りますが、A4判9ページにわたる提言は、できることなら、この場で全文を読み上げさせていただきたいぐらいの内容でありますが、要約いたしますと、中身は大きく分けて3つにまず分かれております。経営改革の方向性で、改革の手法が目的化しており、本来期待すべき経営改革の効果があらわれていないこと、そして、改革手法の導入だけではなく、システムや制度の抜本的な改革が必要であることを指摘しています。次に、財政構造改革では、西沢議員の質問にもありましたように、事業削減、基金取り崩し、起債といった手法が通用するのは3年のみで、結果、平成20年には財政が破綻する危険性を指摘しており、職員や県民に現在の窮状を率直に訴え、協力を求めるよう提言しています。そして、3段目の経営改革の課題と対策では、人事制度や目標管理制度、施策評価制度、行政経営改革室のあり方、そして、職員の意識改革などについて多くの的確な指摘と提言がなされています。  私は、この3段目の課題と対策の中で、最もなるほどと思いますのは、人事制度に対する提言です。身分保障と年功序列が基本の人事制度が制度疲労を起こしているとの認識に立ち、公務員制度改革大綱の改革案を引き合いに、目的志向と成果主義に基づく人事制度の確立、人材の育成や民間との交流、京都府でも既に実施されている役職定年制度の導入、管理職の若返りなどを提言されています。そしてさらに、県庁における人事異動の摩訶不思議さについても言及されています。  私も今春、初めて職員の異動を目の当たりにして、一体この仕組みはどうなっているのだろうと驚いたものですが、このレポートの指摘にあるように、庁内の人事異動に個々の職員に対する明確なキャリアビジョンがあるのでしょうか。基本的に3年ごとに職場を異動する現在のローテーションシステムの中に、一人一人の職員に対してきめ細やかな配慮がなされているのでしょうか。一般企業ならば、営業、経理、総務、開発などを短期間に異動する人事など、まずあり得ません。分権時代にふさわしい、みずからが主体的に自己決定できるプロ行政マンを育成する観点から、人事におけるこれらの提言をどのように受けとめるのか、総務部長にお伺いいたします。  次に、施策評価について見てみますと、施策評価が次年度の事業の実施や予算編成に反映されていないこと、作業が膨大で職員に徒労感ややらされ感があることなどが現状の問題として指摘されておりますが、私は、現下の予算編成では、そろばんを合わせることに手がいっぱいで、とても施策評価が成果評価から予算編成へと続く流れにはなり得ないのではという気がいたします。レポートの提言内容とあわせて、これからの施策評価制度に対する総務部長の御所見をお伺いいたします。  行政経営改革室のあり方のところでは、西沢議員の質問にもありましたように、「仏つくって魂入れず」の言葉に代表されるように、私には、トップの熱い思いを受け、改革に高い志を持ってやってきて、全力を挙げて取り組んだにもかかわらず、道半ばで県を去らなければならなかった浦さんの気持ちが行間ににじみ感じられます。浦さんの2年間の努力をむだにしないためにも、最後のところに書いてある、知事に対する強いリーダーシップが問われる時代との指摘を、國松知事はどのように受けておられるのか、お伺いして、この項の質問を終わります。  次に、がらりと趣を変えまして、「人生ゲーム」について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  人生ゲームは、1960年、アメリカで生まれたザ・ゲーム・オブ・ライフを原型に、1968年──昭和43年に日本版がタカラから発売され、現在までに累計1,000万個以上を販売している大ヒットボードゲームです。80年代には販売がかなり低迷したこともありましたが、90年代後半に入り、不況が長引く中、反対に販売実績が再び上がり始めました。現在では、企画物を入れると30種類近く販売されており、最新版は人生ゲーム・レインボードリーム版であります。あのカラカラカラという音のするルーレットを回したり、仕返しで10万ドルを取られたり、結婚して女の子の双子が産まれた経験は、ここにおいでの皆さんの多くが、お正月などに一度は経験したことがあるのではないでしょうか。  人生ゲームがこれほどまでにヒットした要因は幾つか挙げられますが、1つは、現在のライフスタイルの中で家族が一緒に過ごす時間がふえていること、2つ目には、人生ゲームがコミュニケーションツールとして親子の会話の促進に好影響を与えていること、そして、最後に、ゲームの中で就職や結婚など、人生にかかわるさまざまな出来事を疑似体験し、もう一つの波乱万丈な人生に一喜一憂することができるからだと私は分析しております。その時々の世相を盤面に反映させ、リニューアルを重ねながら愛され続ける人生ゲームは、その時代時代に人々が求めている夢をつづった玉手箱なのかもしれません。
     さて、そんな人生ゲームを利用し、地域おこしを実践している自治体が一つあります。それは長野県の白馬村です。白馬村は、豊かな自然に恵まれ、スキーやさまざまなアウトドアスポーツを中心とした、我が国屈指の観光立村として知られています。本年7月に完成し発売された白馬版人生ゲームは、地元の白馬商工会と白馬高校の生徒の協力によりでき上がった、2,000個限定の全国初の御当地版です。  当初、白馬版人生ゲームは、販促ツールとして、遊べるパンフレット、また、村内の子供たちが白馬のことを遊びながら学べるゲームとして開発されました。こうしたところ、観光で訪れたお客さんから、購入して遊びたいという声が多数寄せられ、村内で限定販売される運びとなりました。現在、白馬村ではこの白馬版人生ゲームを利用して各種イベントやクイズなどが開催され、マスコミにも取り上げられ、大いに盛り上がっている様子です。  これをもし本県で取り入れたときのことをイメージしてみますと、人生ゲームのボード上に滋賀県オリジナルの近江商人版、戦国の歴史版、環境先進県版、琵琶湖版など、いろいろアイデアが浮かんできますし、また、これらのボードを利用してシンポジウムや人生ゲームの世界大会を開催してみるのもおもしろいかもしれません。ほかにも、盤面の一こま一こまのアイデアを募集したり、1分の1スケールのボード盤でイベントを開催してみるのもおもしろいかもしれません。  私は、予算的に大きなお金をかけなくとも、この白馬村の人生ゲームのように、何か一工夫、発想や着眼点を変えてみることでおもしろい企画やアイデアでもって滋賀県をもっと全国にPRすることができるのではないかと思います。白馬村のように、新聞、ラジオ、テレビと多数取材を受け、何ら関係のない滋賀県議会でこうして質問に取り上げてもらえれば、もうほとんど元は取れたようなものかもと思いますが、こうしたちょっとしたアイデアや発想の成功体験が自信となり、白馬村の観光施策はさらにうまくいくのではないでしょうか。  地方の村という一番小さな単位の自治体と滋賀県を一概に同列には語れませんし、二番せんじで本県でもぜひとは申しませんが、本当はしてほしいなと思っていますが、こうした遊び心あふれるユニークな観光政策を目の当たりにして、商工観光労働部長がお感じになることをお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) 5番小寺裕雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)小寺議員の行政経営改革に向けての御質問にお答えします。  まず、1点目の行政経営改革ディレクターが期待どおりの効果を上げたのかどうかという御質問でありますが、私は、浦さんにはその職責を十分果たしていただいたと考えております。行政経営改革ディレクターの職務内容につきましては、御質問にもあったとおりでありますが、その主眼を端的に言いますと、民間の経営という視点を県庁の中に注入することでありました。そのため、行政経営改革ディレクターには、政策課題知事協議や行政経営戦略会議など、県政の重要な意思決定の場に必ず出席していただき、民間の視座に立脚した有益なアドバイスをいただくとともに、施策評価システムの改善を初め、目標管理の制度設計や県庁改革実践運動など、全庁的なマネジメントにかかわる企画、立案に携わっていただきました。  また、ディレクターには就任以来、当初から、幹部職員から中堅職員、若手職員に至るまで、幅広い層の職員と積極的に意見交換の場を設けていただき、さらには、県庁の中だけでなく、民間の大手企業の社員と県の管理職クラスの職員との意見交換の機会をつくるなど、これまで県庁職員では実現できなかった、まさに民間の風を直接職員へ吹き込んでいただくという働きをしていただきました。  こうした行政経営改革ディレクターの活動による効果につきましては、職員の意識改革という部分では確かな手ごたえを感じておりますが、真の効果というものは、2年間の中で提案された意見や、今回、浦さんからいただきました滋賀県の行政経営改革に向けての提言を真摯に受けとめ、どういう形で取り入れていくのか、その実行にかかっていると認識しております。  次に、提言を受けての感想でありますが、浦さんとのこれまでの意見交換を通して、その都度教えられた事項もありますし、民間の視点や疑問を感じられた行政の仕組みや仕事の進め方について改めて指摘をいただいたものなど、正直、耳が痛いなというものも幾つかありました。これをみんなでしっかりとかみしめ、生かさなければならないと考えるところであります。  海外での駐在経験も豊富な商社マンである浦さんに、2年間にわたり県行政に携わっていただいた上での提言は、民間企業で培われた厳しい経営的な視点から、これからの行政経営改革に必要な取り組みを的確に指摘されたものとなっております。私はこの提言を読ませていただき、改めて行政経営改革をより一層推進する決意を新たにしたところでありまして、県庁改革を着実に進めていく上にも、幹部職員が全員この提言を熟読し、しっかりと受けとめるよう求めたところであります。  次に、知事の強いリーダーシップが問われている時代ということの御指摘でありますが、さきの分権改革や国の規制緩和の動きを見ておりますと、官から民へ、国から地方へという動きは変えることはできない大きな潮流であります。こうした流れを見据えまして、県民の皆さんと時代や課題を共有し、知恵を出し合いながら、本県の将来や発展の方向を明確にお示しし、そして解決していくことがリーダーの務めであります。特に、滋賀県を預かる知事としては、県庁という組織をこうした時代に合った地域経営組織体に改革し、地域の限られたさまざまな資源を有効に活用して、所期の目的、成果を達成していくという重い責任があると考えております。  今回のような、かつて経験したことのない厳しい行財政環境のもとにありましては、県政の誤りのないかじ取りが求められる今こそ、議員各位を初め、県民の皆さん、市町村、関係団体等の御理解と御協力をいただきながら、私自身が先頭に立ちまして、この荒波をしっかりと乗り切っていく覚悟で、地域の自立と協働の自治への転換に向け、皆さんとともに精いっぱい取り組んでまいる決意であります。 ◎総務部長(馬場章君) (登壇)行政経営改革についての御質問にお答えをいたします。  まず、プロの行政マンを育成する人事のあり方についてであります。  地方分権の進展に伴い、国が定めたルールに従って事務を処理するという従来型の行政スタイルから、地域の課題をくみ上げ、創造的な施策を立案し、最小のコストで最大の効果を発揮できるように実施していくという新たな行政スタイルへの転換と、それにこたえ得る人材の育成が県にとりましても急務となっております。このことから、既に人材育成基本方針を策定し、この方針に基づいて、職員の自己啓発を基本としつつ、各種研修と人事制度を組み合わせることにより、効果的な人材育成を進めることとしております。  職員の人事異動につきましては、人材育成の観点から、採用後一定の期間内に幾つかの異なる分野の経験を積んだ上で職員の適性や能力を見きわめ、特定の専門分野への配置も含めた適材適所の配置を行うことを基本としながら、3年から5年でのローテーションを行ってまいったところであります。また、職員から異動を希望する部局や勤務地、将来専門的に担当したい仕事について申告する、いわゆる自己申告制度を採用し、個々の職員の希望や所属長の意見にも配慮をすることとしております。  さらに、今年度から、職員が個人目標を設定し、自律的に職務を遂行する過程で、職員と上司がコミュニケーションをとりながら目標の達成度や能力の発揮状況について評価し、目標管理と人材育成を図ることを目的とします自律型人材育成制度を、まず、管理職員を対象として試行しておりますが、この制度の検討に際しましては、浦ディレクターの御指導も得ながら進めてまいってきたところであります。今後、浦ディレクターから御指摘いただいた点を真摯に受けとめ、職員がこれからの県の最大の経営資源であることを肝に銘じながら、将来の県行政を担うことができる人材の育成に、より一層力を入れてまいりたいと存じます。  次に、施策評価についてでありますが、評価の結果が事業の実施や予算編成に十分活用されていないということが、現行システムの課題の一つであると認識しておりまして、外部委員による評価は実施しておりますものの、十分に機能しているとは言えず、客観性に欠ける点があるためではないかと考えております。この点につきましては、PDCAサイクルによる効果的、効率的な行政経営を行うために改善を検討しなければならないポイントであると考えております。  厳しい財政状況の中、施策全般について選択と集中の徹底がより一層求められる中にありまして、施策評価はできるだけ客観的に行われ、さらにその評価が次のステップに活用されることが重要でありますことから、施策評価システムの簡素化を図りつつ、成果主義に基づく行政経営の実現に資するよう、今後、改善をしてまいりたいと存じます。 ◎商工観光労働部長(河本光明君) (登壇)「人生ゲーム」についての御質問にお答えします。  私も昔、このゲームでよく遊びましたので、大変興味深い取り組みだというふうに思っております。この長野県白馬村の観光産業は、冬場のスキー客が中心で、夏場の観光誘客が大きな課題となっておりました。このため、地元の白馬商工会が中心となって新たな地域振興策を検討していたところ、ある観光事業者の方のアイデアから、玩具メーカーのタカラや地元高校生の協力により、白馬村の豊かな自然環境などを題材に、遊びながら白馬村が学べる、全国初の御当地版人生ゲームとして登場したと聞いております。  このお話を聞きまして、3点のことを感じました。  まず、1点目ですが、このようにユニークでおもしろいアイデアというのは、現場といいますか、やはり地域の中から出てくるものであるということであります。白馬の場合には、もともとは地元商工会の地域おこしから始まりました。本県においても、各地域それぞれの主体的な取り組みを活性化し、ユニークなアイデアを生み出していく文化をつくることが非常に重要になるというふうに思います。  2点目は、地域のユニークなアイデアをそのままアイデアのままで終わらせずに具体的に実現していくためには、地元での協力はもちろん、どんどん外部の協力を得ていく積極さ、ハングリーさが必要だということです。白馬の場合には、商工会を中心とした地域内での協力にとどまることなく、外部のタカラの協力を得られたことが、このアイデアを本当に実現できた重要な要因ではないかと思います。  そして、3点目ですが、これからの観光振興のためには、ホテルや旅館、土産物といった従来の関係者だけではなく、ゲーム開発のための玩具メーカーや高校生との協力といった、一見これまでは観光とは関係ないと思われていた主体とも連携協力していくという柔軟な発想が必要になるということです。滋賀県のこれからの観光振興におきましても、従来の枠組みはもちろん重要ですが、これにとらわれることなく、大学やNPO、あるいは健康関連やエンターテインメントなど、さまざまなサービス産業との連携も視野に入れていく必要があるなと学ばせていただきました。  滋賀県には、議員御指摘のように、近江商人、戦国の歴史、豊かな環境や琵琶湖といった多くの観光素材がございますので、こういった素材を生かし、他の地域にはない、滋賀ならではの観光振興のアイデアが大切になると考えます。滋賀県は白馬のケースよりは多少シニアな方々を誘客のターゲットとすべきとも思いますが、今後とも、地域の観光の現場の方々や、大学、産業界など、多様な方々との連携協力を図りながら、観光振興に結びつくアイデアについて、ともに知恵を絞ってまいりたいというふうに考えております。 ○議長(世古正君) 次に、19番徳永久志君の発言を許します。 ◆19番(徳永久志君) (登壇、拍手)それでは、まず、自転車に関する問題について、土木交通部長および警察本部長に質問をいたします。  自転車は、私たちにとって最も身近な交通手段でありますが、その身近さゆえにいろいろと議論にもなります。先日も、自動車を運転していて自転車との接触事故を起こした人が、みずからの不注意を認めた上で、自転車の運転マナーの悪さを嘆いておられるのを聞きました。確かに、特に自動車の側から見ると、自転車の中には車道にふらふらと出てきて駐車中の車の横で大きく膨らんだりして、ドライバーが肝を冷やしたり、あるいはいらいらしたりと、そういったことがしばしばあろうかと思います。また、自動車との関連以外に、自転車の走行そのものによって引き起こされる事故も年々増加する傾向にあると聞いております。事故にまで至らなくても、歩行者との接触や、歩行者に恐怖感や不快感を与える例も多々あると言われております。  警察庁では、歩行者が自転車によって死傷する事故の増加を受けて、自転車の信号無視や歩行者への危険な行為などに対して厳しく警告を行い、警告を無視するなどの悪質な運転者には、道路交通法違反などで逮捕も辞さない方針をことし3月に決めたということでもあります。  そこで、滋賀県において、自転車が関係する事故というのはどのような状況になっているのか、また、この3月に定められた方針に基づいた取り締まり状況はどうなのかについて、警察本部長にお伺いをいたします。  自転車が引き起こす問題は、運転者のマナーだけに起因するものでもないと思います。その一つの問題としては、自転車が快適に走るべき道路があるのかということなのかもしれません。道路交通法の上では、自転車は軽車両に分類をされ、車道を通らなければなりません。しかしながら、1978年に同法が改正され、標識のある歩道では通行が可能とされました。自転車が車道を安全に走ることができないことに対する一助かもしれません。仕方なく自転車は歩道を走ることとなりますが、歩道では自転車が必ず加害者の立場となってしまうわけであります。  こうした点が考慮されたのか、1994年に道路審議会は、21世紀に向けた新たな道路構造のあり方に関する答申において、自動車だけではなく、歩行者、自転車にもスポットを当てた道路構造の見直しの必要性を強調しました。さらに、2001年には、道路構造令が改正をされ、新設する都市部の道路については、歩道と自転車道との双方を併設するようにと定められました。このことは、自動車道建設にひた走った国としては、まさに180度の転換を印象づける快挙と言われたものでもありました。  そこで、自動車と自転車、ひいては歩行者が安全かつ快適に通行することができる道路づくりについて基本的なお考えを、土木交通部長にお伺いいたします。また、その観点から見た場合、滋賀県の道路の状況についてどのように認識をされているのかをあわせてお伺いいたします。  ところで、自転車は、90年代以降に大きくクローズアップされた地球環境問題によって俄然注目される存在ともなりました。自転車が化石燃料に依存せず、大気汚染物質や騒音を出さない乗り物であることは、ここで指摘するまでもありません。  先日、京都を訪れた際、いわゆる自転車タクシーに乗る機会がありました。さわやかな秋晴れのもと、心地よい風を感じながら、静かな古都の雰囲気を存分に楽しむことができました。自転車タクシーは京都だけではなく、東京でも普及しており、一つの観光客誘致の策としても大きな成果を上げていると言われております。また、観光客だけではなく、地元のお年寄りが近くの病院や施設などに行く際にも結構利用されているとの話を聞き、いわゆる旅客運送事業として市民の足がわりとなって重宝がられているそうでもあります。観光の目玉の一つとして、また、環境に負荷をかけない新たな交通手段の一つとして、この自転車タクシーを滋賀県でも普及させてはどうかと思います。  ただ、滋賀県道路交通法施行細則において、自転車は運転者以外の者を同乗させてはならないと定められています。ただ、京都府においては、滋賀県と同様の規定が設けられていましたが、京都府道路交通法施行細則の一部を改正し、自転車を使用して有償で旅客を運送する事業も可能としました。  ぜひとも滋賀県においても自転車タクシーの普及が可能となるよう、滋賀県道路交通法施行細則の一部を改正されるよう望むものですが、警察本部長の御見解をお尋ねいたします。  次に、県立高等学校普通科通学区域の全県一区制について、教育長に質問をいたします。  滋賀県の県立高校普通科の通学区域制度は、昭和24年の新制高校発足時において各通学区域に1校ずつ普通科高校のある小通学区域制でしたが、昭和27年9月に滋賀県公立高等学校通学区域に関する規則が制定され、現在の原型となる、湖南、湖東、湖北、湖西の4通学区域制度となりました。通学区域制度を設ける法的根拠は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律であります。その50条に、都道府県委員会は、高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るため、教育委員会規則で、当該都道府県の区域に応じて就学希望者が就学すべき云々とありまして、高等学校を指定した通学区域を定めるとあります。つまり、通学区域制度は、法の趣旨を含めて言えば、高校教育の普及と機会均等を図ることを目的としていたわけであります。  実際、地域バランスや生徒の進学状況などを考慮した高校の整備が図られ、4つの通学区域が設定をされた昭和27年に38.1%だった高校進学率は、昭和49年に初めて90%を超え、平成15年には97.6%に達しております。こうしてみると、現行の通学区域制度は、その目的である高校教育の普及と機会均等を図るため大きな役割を果たし、そして、その目的は十分に達成されたと言うべきでありましょう。  ただ、こうした成果の陰には、4つの通学区域でスタートしたものが最終的に6つの区域に拡大したことからもわかるように、この55年もの間、高校選択の自由は奪われるばかりであったのも事実であります。そうした中、平成14年1月に、通学区域の法的根拠となった法律の条文が削除をされ、今回の改正条例案の上程となった次第であります。  今回の制度改正は、現在6つある通学区域を全県一区の1つの通学区域に変更することであります。現行通学区域の目的は、高校教育の普及と機会均等でありました。変更される全県一区の場合の目的とは何なのか。現行制度の目的と同じなのか、一部を継承するのか、それとも全く新しいものを打ち立てるのか。  私は、現行制度の目的が十分に達成された以上、継承する必要はなく、新たなものを打ち立てるべきであり、それは高校選択の自由の確保だと思います。この点についての基本的な認識をいま一度お伺いいたします。  さて、制度の変更に伴って新たな問題や課題が発生するのであるならば、それらへの対応策を含めて明らかにしておかなければなりません。その点においては、県立高等学校通学区域制度検討委員会の答申では、大きく4つに整理をされております。  1つは、受験競争の激化と学校間格差の拡大であります。これについては、現行制度のもとでも問題点として指摘をされてきた経緯があります。ただ、全県一区を既に導入している和歌山県や福井県の状況を見ても、特定の高校に志願者が殺到するということもないようですし、たとえ一定程度あったとしても、行きたい高校を自由に選択した結果として受け入れることも必要ではないでしょうか。もちろん、偏差値的な尺度だけで高校の序列化に拍車がかかることは避けなければなりません。この点においても、入試における尺度の多様化を図るなどの改善策がこれまでにおいてもとられているところでもあり、なお一層の充実が求められます。  2つ目は、遠距離通学が増加し、それによって通学時間や通学費用の負担が増大するとの指摘であります。これは現状でも専門学科や総合学科に通う生徒は全県から集まってくるわけでありますし、自宅からの距離を高校選択の一つの基準となるものと考えられ、また、昨今の交通の利便性の飛躍的な向上などを考慮すると、全県一区になったからといってこの指摘が当てはまるとは考えにくいものであります。  3つ目は、県外への私学への進学者が増加するとの指摘であります。これも、県立高校の選択幅が拡大することによって、これまで県外の私立を選んでいた生徒も、より広い範囲から県立高校を選択できるようになり、逆に県内にとどまることも考えられると思います。(発言する者多し)  4つ目は、地域との連携が図りにくくなるという指摘であります。これも、現在、すべての県立高校が既に学校評議員制度によって地域に根差した高校づくりを推進しているところであり、特に大きな問題になるとも思えません。  こうして見てくると、検討委員会の答申において全県一区とした場合の問題点として指摘されているものは、現行制度のもとでも同様の指摘がなされており、これまでにもその対応策が図られているものが大方だと言えるのではないでしょうか。全県一区への反対論もしくは慎重論には何か新たな問題が山盛り出てくるかの言い方がなされますが、大方が、これまでの対応策を量的に拡充する方向でいいのではないかと思います。  この点についてのお考えと、もし教育委員会として、検討委員会答申が指摘した以外で新たな問題点として認識されているものがあるならば、あわせてお伺いをいたします。  さて、本議会での答弁において、特色ある高校という言葉が盛んに繰り返し出てまいります。さきの代表質問の答弁においても、体育や英語といった得意分野を育てる学校という例を挙げて説明がなされていましたが、特色ある高校とは、普通科高校の専門学校化を図ることなのかと思ったりもします。高校には、大なり小なり歴史と伝統があり、それに培われた学風、校風というものがあります。これこそが特色であり、そうしたものを大事にして、より磨きをかけるという取り組みこそが特色づくりにほかならないと思います。各高校がそれぞれの特色にさらに磨きをかける努力をしていく中で、その入り口の入学試験が大変重要だと思います。その入学試験が、これまでどおり、すべての高校と同一というのでいいのでしょうか。入学試験にこそ、まず第一義的に特色化が図られるべきであり、入試問題にこそ、その特色、個性が反映されてしかるべきと考えます。各高校が独自の入試問題を作成することを含め、特色ある高校と入学試験との関連についてお伺いをいたします。  特色ある高校づくりについて避けて通れないテーマは、大学進学との関係であります。東京都教育委員会は、生徒の多様化と少子化に伴う生徒数の減少に対応し特色ある高校づくりを進めるためと滋賀県同様の理由によって、都立日比谷高校や西高校という個別の高校4校を進学指導重点校に指定し、大学進学に特化した高校づくりを進めようと、昨年から行っております。実際、都立西高校の校長はマスコミのインタビューにおいても、本校の特色は進学校なのだから、これを明確に打ち出すと堂々と答えておられます。滋賀県にも進学が特色と言える高校が幾つかあります。普通科高校が大学進学を特色としてもおかしいことはないと思いますが、県内の高校が進学を特色に打ち出そうとしたとき、それもまたよしと認められるのかどうか、東京都の取り組みを含め、御見解をお伺いいたします。  次に、子どもの安全確保について、教育長および警察本部長に質問をいたします。  去る11月17日に起きた奈良市の小学1年生の女子が誘拐され殺害された事件は、私たちに大きな衝撃を与えました。被害に遭った女子は、自宅近くの路上で何者かに車で連れ去られ、その直後に殺害をされたとのことであります。母親には、娘はもらったとのメールが、女子の写真が添付された形で送りつけられ、発見された遺体の口の周りには無数の切り傷があるなど、その犯行の残忍性に強い憤りを感じざるを得ません。一日も早い犯人の逮捕を切に願うものであります。  こうした異常な事件で思うことは、たとえ犯人が逮捕されても、その判断能力の有無とかが争点にされ、場合によっては恐ろしく軽い刑に終わってしまうこともあることです。そもそも、自動車を運転し、写真添付の携帯電話メールを使いこなす人間の判断能力を問うというのもおかしな話だと個人的に思います。  この事件の後、奈良県内はもちろんのこと、滋賀県内においても、怖くて子供を外で遊ばせることができないという不安の声が高まってきております。少子化の影響のためか、地域で子供が遊ぶ姿を見かけなくなって久しいわけですが、それに不安感と恐怖感が拍車をかけている状況であります。  そこで、まず、この事件の後、教育委員会と警察本部は、それぞれの関係部署に対し、どのような指示を出されたのか、教育長、警察本部長、それぞれに事件に関する所見を含め、お伺いをいたします。  この事件と関係があるのか、定かではありませんが、滋賀県内各地において幼児や小学生が知らない人から声をかけられたという、いわゆる声かけ事案が後を絶たないとのことであります。例えば11月25日には、大津市内で、足のにおいをかぎたかったと小学生の男児に抱きつき、暴行容疑で逮捕された事件など、異様な状況があるのではないかとも思います。昔から、知らない人の後をついていってはいけないと親から諭されたものですが、それが今回は殺人事件にまでなったため、親が敏感になって、警察への通報がふえている側面もあるのかもしれません。  そこで、これまで寄せられた、いわゆる声かけ事案について、その件数や内容について、また、どのような分析をされておられるのかを警察本部長にお伺いいたします。  イギリスサッカー界のスーパースター、デビッド・ベッカム選手は、自分の子供を犯罪から守るために、子供の体内にICチップを埋め込むことを検討しているということが報道されておりました。これは極端な例としても、防犯ブザーを初めとする各種防犯機器を子供に持たせているケースがふえているようであります。奈良市の事件の被害者も、GPS──衛星利用測位システムつき携帯電話を持ち歩いていました。ただ、その携帯電話をいつものように首からぶら下げていたために、犯人がそれに気づき、電源を切った可能性があると言われております。防犯機器さえ持たせておけば安心というわけではないということでありますが、今のところ、有効な手だての一つには違いありません。  こうした防犯機器について、警察本部長はどのようにお考えなのか、また、県内の幼児児童のどの程度が防犯機器を持っている状況にあるのかを教育長にお伺いいたします。  今後は、学校と地域、警察の三者が連携をとり合って、子供の安全確保に全力で取り組み、地域に子供たちの笑顔と笑い声を取り戻さなくてはなりません。学校と警察は、それぞれの専門的立場から効果的な対策の充実に取り組むとともに、さまざまに知恵を絞った自主防犯活動を行う地域への適切な支援も大変重要であります。教育長、警察本部長、それぞれに、来年度予算への対応を含め、今後の取り組み方針についてお伺いをし、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(世古正君) 19番徳永久志君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(河崎和明君) (登壇)徳永議員の自転車に関する問題の御質問のうち、道路整備に関する2点についてお答えします。  まず、道路整備の基本的な考え方についてでありますが、議員御指摘のように、従来の道路整備は、急激に進展したモータリゼーションに対応するため、ややもすると、人より車を優先した整備を進めてきたと感じております。平成13年に内閣府が実施した道路に関する世論調査や、本県で平成14年に滋賀県道路整備マスタープランを作成する上で実施しましたアンケート調査においても、自動車よりも歩行者の利便性を優先した整備を望む声が多くなっております。  このような状況を踏まえまして、平成15年に作成しました滋賀県道路整備マスタープランでは、だれもが安心、安全に暮らせる優しい県土の実現を目標の一つに掲げ、年々増加する交通事故の抑制に努めるとともに、すべての人が利用しやすい、安全で快適な道路環境の形成を図り、人や自転車を主体とした交通ネットワークの整備を進めていくこととしております。そのような中で、特に高齢者や障害者への配慮や、良好な生活環境の創造など、人を中心に据えた空間づくりに取り組んでいきたいと考えております。  次に、本県の道路の状況についての認識についてでありますが、県管理道路2,188キロメートルに対し、歩道または自転車歩行者道の整備がされている延長は792キロメートルとなっております。しかしながら、幅員の狭いところも多く、道路構造令で示されている歩道の幅員2メートル以上の歩道延長は約670キロメートル、自転車と歩行者が円滑にすれ違える3メートル以上の幅広歩道の延長は約300キロメートルとなっております。また、既設の歩道には段差や勾配の急なところなど、改善をしなければならない箇所も多く、歩道および自転車歩行者道の整備としてはまだまだ十分ではないと認識をしております。  県では、学識経験者や身体障害者を含む道路利用者の意見をお聞きしながら、改正された道路構造令を踏まえた、歩道や自転車歩行者道等を整備するための基本方針となる滋賀県歩道整備マニュアルを策定し、本年6月より運用を始めたところでございます。今後は、このマニュアルに沿って、だれもが利用しやすい歩道や自転車歩行者道等の整備を図ってまいりたいと考えております。  一方、歩行中あるいは自転車乗用中での交通事故が多く発生する箇所を、あんしん歩行エリアとして歩行者等の安全対策を進めていくこととしており、地域の代表者や道路管理者および交通管理者が連携して施設整備や啓発等を展開していくこととしております。また、自転車の利用を促進する観点から、県が指定した琵琶湖を周遊する、ぐるっとびわ湖サイクルラインでは、通行の支障となっていた車どめの間隔を広げたり段差をなくすなど改善を図り、安全で快適な自転車歩行者道となるよう努めているところでございます。  今後、道路の整備においては、道路周辺の土地利用状況などの制約により円滑に事業実施が困難な場合もありますが、先ほど申し上げました歩道整備マニュアルに従い、通学路やあんしん歩行エリアなどを優先に整備してまいりたいと考えております。  また、そのためには、さまざまな施策を遂行する行政の取り組みと、地域を愛し、ゆとりと快適を享受したいと願う住民との協働が不可欠と考えますので、今後も住民との対話の中での道づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)県立高等学校普通科通学区域の全県一区制についての御質問にお答えいたします。  まず、全県一区とする目的についてでありますが、高校進学率が大幅に向上している中、多様化する生徒のニーズにこたえるには、できるだけ広い範囲から各自の興味、関心、能力、適性、進路希望に合った学校を選択できるようにし、それぞれの個性や能力を伸ばし、みずから学ぶ意欲を育てていくことが大切になってきております。このためには、まず自分に合った学校を主体的に選択できることが大切であり、学校選択幅を最大限に広げようとするものであります。  次に、全県一区の実施に伴う問題点への対応と、県立高等学校通学区域制度検討委員会の答申において指摘された以外の問題点があるかという点でございますが、県では、答申で求められた必要な対応について検討を進め、それぞれに必要な対応策を講じているところであります。これらの対応策は、御指摘のとおり、従来から高校教育の充実に向け取り組んできたものもございますが、その中において、特に、生徒が自分に合った高校をどのように選ぶか、また、中学校での進路指導をどのように行うかということが、より重要になってくると考えます。このため、高校の特色などの情報提供を積極的に進めるとともに、中学校と高校が緊密な連携を図り、適切な進路指導を行うことによって、生徒一人一人の主体的な進路選択にこたえていきたいと考えております。  次に、特色ある高校と入学者選抜方法との関連についてでありますが、各高校には、御指摘のとおり、歴史や伝統、地域の実情など、過去から培われてまいりましたそれぞれの校風があり、これも大きな特色であると考えております。加えて、新しい時代に対応した高校教育へのニーズにこたえるため、各高校が創意工夫を凝らし、中学生にとって魅力ある高校づくりに取り組んでいるところであります。  入学者選抜方法につきましては、現行の入試制度の中でも、専門学科、総合学科や、特色化に努めている普通科高校において推薦入試を実施して、面接や作文、実技検査などで評価の工夫を行っておりますが、全県一区に伴う入試制度のあり方については、このたびの県立高等学校入学者選抜方法等改善協議会において、学校の特色に合わせた学校独自の選抜方法なども含め、議論がなされております。2月には必要な報告をいただき、年度内を目途に十分検討してまいりたいと考えております。  次に、県内の高校が進学を特色とすることについてどうかという御質問でありますが、普通科高校に入学する生徒の大半は上級学校への進学を希望しており、その希望をかなえるための特色ある高校づくりについて努力を重ねることは極めて大切であると考えております。その際に、みずからの将来を見据え、目的意識を持って高校での学習に励む姿勢を育てることが肝要であります。このことから、英語や体育に力点を置いたり、高大連携における大学訪問において、生徒の興味、関心に応じた深い内容の講義や実習講座を受けたり、企業訪問で高度な技術の一端に触れたりすることなど、進学を目指す生徒の学習意欲を高めるためのさまざまな特色ある取り組みが各学校で行われることが大切であると考えております。  県といたしましては、これまでから、確かな学力向上プロジェクト事業や特色ある高校づくり事業を通じて各学校の特色づくりを進めてまいりましたが、今後も、それぞれの学校の実情に応じ、工夫を凝らした特色ある学校づくりを推進し、それぞれの生徒が個性や能力を伸ばし、意欲を持って学ぶことができますよう支援してまいりたいと考えております。  次に、子どもの安全確保についての御質問にお答えいたします。  去る11月17日に奈良市において、小学1年生の女児が連れ去られ、遺体で見つかるという大変痛ましい事件が発生いたしました。ことしに入ってからも、たび重なる子供が犠牲となる事件が続き、まことに残念で、言葉に言いあらわせない憤りを感じます。このような事件が二度と起こらないように、県警察本部はもとより、学校、家庭、地域との連携を密にしながら、子供の安全確保と被害の未然防止の指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。  さて、本事件後の関係部署に対する指示、対応についてでありますが、県教育委員会といたしましては、22日のびわ湖放送で、子供たちの下校が遅くならないようにすること、登下校において、できるだけ複数で行動すること、不審者による事件については速やかに保護者や地域の方々に伝えること、警察や少年センターなどの関係機関と密接な連携を図り、パトロール活動等の強化に努めること、さらに、本年度、本県の重点取り組みとしております、地域の人々によるあいさつ声かけ運動について、より一層の協力を県民の皆様にお願いすることなどを放映し、注意を喚起したところであります。  また、24日には、通学路の要注意箇所の把握、通学安全マップの作成、交番や子ども110番の家の場所の周知とともに、安全体制の確認と、幼児児童生徒への指導の徹底を図るよう、市町村教育委員会に通知したところでございます。  次に、県内における児童生徒の防犯機器の携帯状況についてでございますが、12月8日現在、小学校におきましては、93%、216校の学校が、また、中学校におきましては、83%、83校の学校が、登下校時に防犯ブザーを初め、ホイッスル等の防犯機器を子供たちに地域の実態に合わせ携帯させており、それぞれの実情に合わせた取り組みが進んでいると考えております。  最後に、今後の取り組みや方針についてでございますが、本県におきましても、不審者による子供をねらった事件が過去に発生したこともあり、かねてより、不審者情報は、幼小中学校においては市町村教育委員会を通じ、県立学校においては、直接、県教育委員会に報告され、県警察本部と連携をとりながら、速やかに全市町村ならびに県立学校へ緊急連絡する仕組みを構築しているところでございます。また、子供の安全確保についても、各学校や地域でもさまざまな取り組みがなされております。  学校や園では基本的な事項として、知らない人についていかない、大声を出す、逃げる、助けを求める、素早く連絡するなどの指導の徹底を図るとともに、防犯教室などにおいて、地域の子ども安全リーダーや警察官、防犯アドバイザーなど専門家の方々を招き、実際の場面を想定した指導がなされております。このような取り組みにより、実際に知らない人に声をかけられて応じなかったり大声を出すことによって被害から逃れることができた事例が報告されております。  また、県を含め、市町村の教育委員会などにおいても、公用車に子ども110番の車のステッカーを張るなど、犯罪の抑止力となるよう、取り組みを進めております。  さらに、草津市の学校安全ボランティア巡回事業や西浅井のふれあいウオーク、高島の安全マップづくりなど、地域の実態に応じた取り組みも進められております。  県教育委員会では、このような取り組みがより多くの地域で実施されるように指導していくとともに、今年度から重点的に地域におけるあいさつ声かけ運動として、地域の方々がウオーキングや犬の散歩、玄関の清掃など、それぞれの生活に合った形で児童生徒の登下校時に家の外に出て、子供たちにあいさつや声かけを積極的に行うことをお願いし、地域住民みんなで子供たちを見守り、安全の確保につなげていけるよう呼びかけているところであります。  こうした取り組みが地域の安全意識を高め、地域全体で子供を見守る環境づくりにつながるものと考え、今後も引き続きこれらの取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(上山國隆君) (登壇)自転車に関する問題についてお答えします。  最初に、自転車事故の実態でありますが、本年10月末現在、県内で自転車が関係した人身交通事故は、発生件数は1,335件、これは前年比で122件のプラスであります。死者が6人、これは前年比でマイナス6人であります。傷者が1,350人、これは前年比でプラス120人であります。これで全事故の16.1%を占めております。事故の形態でありますけれども、車対自転車が1,265件ということで、全体の90%強を占めています。自転車対自転車が9件、自転車対歩行者が2件、自転車単独が59件となっており、事故の種別といたしましては、出会い頭の事故が724件で、全自転車事故の54.2%を占めておりますほか、正面衝突、追突、すれ違いや追い越し、追い抜き時の接触などの事故も発生しています。自転車が関係する死亡事故6件、6人は、いずれも車との衝突によるものであり、その特徴としては、65歳以上の高齢者が3人おりまして、半数を占め、出会い頭事故で4人が死亡するといった状況であります。  次に、自転車に対する指導取り締まりについてでありますが、自転車利用者に対する安全指導についても行っておりまして、10月末現在で139回、1万9,753人に対して、自転車の安全な乗り方教室や講習会を開催したほか、関係機関・団体と連携し、安全な乗り方の広報・啓発活動を展開しているところであります。また、街頭における指導取り締まりにつきましては、本年4月から、自転車利用者に対する指導・警告活動を強化しており、10月末現在、違反者に対し、3,454件の指導警告票を交付しております。警告を無視するなどの理由によりまして検挙した事例はありませんが、事故を起こした者のうち、自転車側に過失ありとして重過失傷害罪で送致したものは10件あります。  こうした自転車事故等の実態から、今後も街頭における積極的な指導を行い、軽微な違反であっても警告し、警告に従わず違反行為を継続するなど、悪質、危険な自転車利用者に対しては検挙措置を講じる所存であります。  次に、自転車タクシーに対する道交法施行細則の改正の件についてでありますが、自転車タクシーにつきましては、京都市内の公安委員会指定の道路や、山口県萩市、札幌市、東京都港区、渋谷区および大阪市の一部地域に限定して運行していると承知しております。本県におきましては、ごく一部でありますが、観光用タクシーとしての利用について質疑が寄せられております。  自転車タクシーの運行につきましては、道路運送車両法の構造上の安全を定めた保安基準、それから、滋賀県道路交通法施行細則の二輪または三輪の自転車の乗車人員に規定があり、この2つの条件が満たされなければ認められません。したがって、現行法上、本県において自転車タクシーを運行する場合には、道路運送車両法に基づく保安基準を満たす車両であっても、議員御指摘のとおり、滋賀県道路交通法施行細則の改正が必要となってまいります。
     今後、関係機関と連携し、自転車タクシー運行の要望の状況、道路形態等の実態を踏まえた上、道路における利用者等の安全確保、および交通の円滑に支障がないかどうかなどを考え、十分検討し、改正の必要性を慎重に判断してまいりたいと考えております。  次に、子どもの安全確保についてお答えをいたします。  まず、奈良県の事件に対する所見、および関係部署に対しどのような指示をしたかについてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、本年11月17日に、奈良市内の小学校1年生の女児が誘拐され殺害されるという大変痛ましい事件が発生し、以来、本県においても県民の方々の間に不安感が高まっているところであり、その不安感除去のためにも、一刻も早い事件解決を願うとともに、本県においてはこの種事件の絶無を期すべく、思いを新たにし、種々の対策を講じているところであります。  この種事案に対する対応でありますが、警察におきましては、奈良県内での事件発生以前から、子供を対象とした強制わいせつ事件のほか、道案内、甘い誘いかけなどを口実にした、いわゆる声かけ事案につきましては、誘拐事件に発展するおそれのある事案として位置づけまして、捜査の徹底はもとより、教育委員会等関係機関と連携した各種の防犯対策を推進し、誘拐等重大事件の発生防止に取り組んでいるところであります。  具体的には、この種事案の届け出を受理した際における初動捜査の徹底とパトロールの強化、小学校、幼稚園、保育園における誘拐防止教室による児童、教職員への安全指導、不審者情報を幅広く集約し、ファックスネットシステムによる学校等への積極的な情報提供、自主防犯活動団体を初め、子ども安全リーダーなどと連携した、通学路における安全指導やパトロール活動などであります。  事件発生の翌日の11月18日には、県下全警察署に対して、ただいま申し上げました諸対策の一層の強化に加えて、小学校等に対する集団登下校等の指導、子ども110番の家の周知と駆け込み要領の指導、不審者出没や声かけ事案発生時における教育委員会、学校、保護者等との連携による被害防止対策の推進などを指示し、各警察署においてこれらの防犯対策を推進しているところであります。  次に、声かけ事案の件数および内容とその分析についてでありますが、本年11月末現在で62件、72人の相談や被害届を受理しております。形態といたしましては、つきまとい、立ちふさがりが29件、道案内、写真撮影等を口実としたものが9件、お菓子や本を買ってあげるなど、子供が誘いに乗りやすい甘い言葉を口実としたものが12件、その他12件となっております。このうち、8月、大津市内のレンタルビデオ店で、小学生女児に現金300円ぐらいを見せて、「本を買ってあげる。自転車に乗り」などと甘い言葉をかけて連れ去ろうとした55歳の男を緊急配備により、即日、未成年者誘拐未遂で逮捕した事案、また、11月、大津市内で、小学生の男児に「ゲームボーイ欲しいか」などと声をかけながら抱きついた16歳の高校生を初動捜査により暴行で逮捕するなど、この種事案に対する迅速、的確な対応に努めているところであります。  この種の事案は、発生時におけるいち早い通報が事件の早期解決や被害防止に大変有効でありますので、今後とも、声かけ事案があった場合には早期通報をしていただくよう啓発してまいりたいと考えております。  これらの事案の分析でありますが、子供の区分別では、幼児が5人、小学生が45人、中学生が7人、高校生が15人。性別では、女子が53人、男子が19人。発生時間帯では、午前9時から午後0時までの午前中が5件、午後0時から午後6時までの午後が49件、午後6時以降の夜間が8件。声をかけられた子供の行動別では、下校途中が30件、登校途中が3件、遊び中や遊びからの帰りが20件、塾からの帰りが3件、その他6件。発生地域別では、新興住宅地が35件、農山村地域が22件、その他が5件。発生場所では、路上が50件、駐車場が5件、公園、遊園地が4件、駅、店舗、マンション階段が各1件となっております。  次に、防犯機器についての考え方についてでありますが、議員御指摘のとおり、GPS──衛星利用測位システムつき携帯電話や防犯ブザーなどの防犯機器につきましては、被害防止に有効な手段であると認識しているところであります。具体的な効果的事例では、本年10月に草津市内で、2人組の男から、一緒に来いというふうに声をかけられた小学生の女児が防犯ブザーを鳴らし、これを使用して難を逃れた事例がありました。今後、教育委員会など関係機関とも連携して、この種防犯機器の積極的な活用について啓発してまいりたいと考えております。  最後に、今後の取り組み方針についてでありますが、警察といたしましては、これまで取り組んでまいりました諸対策を的確に推進して、この種事案の発生を防止するとともに、声かけ事案の発生に際しては、先ほども申し上げましたが、単なる声かけ事案として看過することなく、誘拐等の前兆事案としてとらえ、あらゆる法令を駆使して捜査を徹底し、被疑者の早期検挙を図るなど、誘拐等重大事件の発生の絶無を期す所存であります。  さらに、今後、警察署における貸出防犯ブザーの拡充を図るとともに、不審者出没や声かけ事案の発生など、幅広い防犯情報を住民の方々に、よりタイムリーに提供するための情報分析と情報提供システムの整備の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。 ○議長(世古正君) しばらく休憩いたします。   午後3時8分 休憩    ────────────────   午後3時35分 開議 ○議長(世古正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、46番梅村正君の発言を許します。 ◆46番(梅村正君) (登壇、拍手)それでは、4点につきまして質問をいたします。  最初に、三位一体改革と新年度予算編成について、知事にお伺いをいたします。  過日、政府は、三位一体改革の全体像を示しましたが、その内容を不十分として、地方分権と地方財源の充実強化の一層の推進を求め、本県議会の開会日に意見書を提出したところであります。  1点目は、知事は、三位一体改革で国の関与を残さないことが基本であるとの趣旨の主張をされております。そもそもこの改革は、国、都道府県、市町村が行うべき事項の整理が先決であり、その上で地方は主権確立への取り組みに傾注しなければならないのでありますが、省益などにこだわっている現状からは本来の姿が見えてこないのが現実です。  そのような経過の中ではありますが、地方分権の流れは間違いなく大きくなってきており、今、議会のあり方や地方主権の確立への取り組みを進めることは、将来に対する私たちの大きな責任でもあります。知事の言われる、国の関与を求めない地方自治の姿、言いかえれば、地方主権の体制づくりのために必要なのは、権限と財源、県、市町村と住民が担うべき事項の明確化であり、住民と直結している市町村が抱える課題は複雑多数であります。これらを含め、本県での受け皿、体制をどのように描き、取り組まれるのかをまず伺うものであります。  ところで、来年度予算編成のさなか、去る11月29日に、滋賀県・市町パートナーシップのあり方検討協議会を設置されました。この設置の目的は、地方自治を担っていく新たなパートナーシップの構築に向けての協議体と、このようにあります。地方主権の自治の基礎となるそれぞれの役割分担と負担のあり方は、住民や地域が直接的にかかわってくる問題であり、対等な立場で住民参加と意見の反映こそ、地方主権確立への取り組みの最も基本とすべきではないでしょうか。県と市町のみでなく、住民が名実ともに主体者になってこそ推進されるべきものと、このように思いますが、どうでしょうか。  新年度予算編成も、こうした役割分担が合意され、明確になってこそ編成着手されるべきものであります。この協議会の結果を県ならびに市町村の新年度予算に反映させることは時間的にも困難と思われますが、どのようにリンクをさせようとしているのか、知事の見解を伺うものであります。  2点目に、厳しい三位一体改革と新年度予算編成についてでありますが、行財政の根本的な改革は待ったなしの状態であります。国は、平成17年度以降、地方財政計画と決算の乖離を是正、適正計上すると前置きし、中期的な地方財政ビジョンを策定する方向が示されました。本県でも一層厳しい財政運営を覚悟しなければなりませんが、それだけに持続可能な行財政の確立には、金額ベースの削減では将来の財政健全化への一歩を開くことは不可能であり、構造的な改革が不可欠であることは言うまでもありません。今、新年度予算編成の真っただ中にありますが、将来の安心へのその一歩が実感できる構造改革にどのように切り込み、取り組んでおられるのか、その状況について伺います。  その中でも喫緊の課題である災害対策、環境対策、要介護状態を大きく改善させた事例が示されている介護予防システムの構築への取り組み、具体的な取り組みを初め、少子高齢社会への対策など、喫緊の課題への対応は予算に間違いなく反映させねばなりませんが、知事の見解を伺います。  3点目に、このような激変のとき、県民の皆さんへの周知と理解をいただくことは不可欠であります。新年度予算案の編成過程や概要など、広く県民に公表し、意見を求め、検討、反映させることが大切と思いますが、どのように取り組まれるのか、伺います。  また、厳しい財政事情が続く中、今後、大規模な支出となる課題が幾つも取り上げられておりますが、まず、将来の財政見通しを示すことが優先されるべきではないでしょうか。その上で、中期計画を具体化させた、将来に希望が持てる県版マニフェストの作成や、行政が県民にもっと近づき、意見交換するなど、県民にわかりやすい形で示すことは不可欠の課題と思います。知事はどのように考えておられるのか。それが県民との協働、本来のパートナーシップの構築ではないでしょうか。ゆえに、今後さらに求められる県民の皆さんへの説明責任のあるべき姿についてどのようにお考えなのか。また、そういう本県ならではのモデルこそつくるべきと思いますが、知事の見解を伺うものであります。  次に、(仮称)滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターについて、知事、琵琶湖環境部長に伺います。  過日、琵琶湖研究所は、琵琶湖の監視技術の高度化などを理由に、第6回日本水大賞を受賞されました。長年の調査研究の成果であると、敬意を表する次第であります。  さて、今、琵琶湖畔では、将来の健全な環境保全と安心の生活の構築に貢献する、本県の環境に関する総合的な調査研究機関、また、行政課題解決への推進機関など、さまざまな成果が期待される(仮称)滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターは、来年3月完成予定であります。  先日、初代センター長に、環境地球工学を専門とされ、持続可能な社会に向けた環境文明を研究されている内藤正明京都大学名誉教授が就任されることが公表されたところであり、将来、水質初め、多面的な成果を、本県のみならず世界に情報発信する大切な拠点として機能することを願い、また期待いたしまして、質問をいたします。  1点目は、今日まで県下の各研究機関は長年にわたり、さまざまな調査研究に取り組み、県勢発展に尽力されてまいりました。その成果の上に、いよいよ来春開所されるこのセンターに、知事は何を期待し、何を求めるのか。また、どうあるべきと考えておられるのかを伺います。  2点目に、センター長が決まり、具体的に稼働することになりますが、内藤所長は過日の記者会見で、琵琶湖の水質が改善されていないことなどから、水質改善への取り組みとして、過去のデータについて総合的な解析をしたいとの趣旨の抱負を述べておられる記事を拝見いたしました。琵琶湖の異常現象と水質、生態系の回復と保全、環境ホルモン、ダイオキシンなど微量有害化学物質の監視と調査研究、琵琶湖と生活、琵琶湖と産業のあるべき関係などなど、取り組むべき、解決すべき難解な課題は山積をしておりますが、どのようにこれを整理し、着手されるのか。その本格稼働する時期と、取り組む主要テーマと、その体制について伺います。また、行政初め、他の研究機関や関係機関との連携強化による観光や産業振興などへの相乗効果などについても期待したいのでありますが、知事の所見を伺うものであります。  3点目に、このセンターは、他をリードする専門的な調査研究機関のみならず、行政課題をも研究テーマに設定するなど、行政直結のセンターとすべきであり、この体制をどのように考えておられるのか。また一方、地域や県民と結びつき、生活の場から環境を変えていく、生活の場の隣にあるセンターとして県民に親しまれるセンターづくりをぜひ実現していただきたいのであります。どのように工夫されるのか、琵琶湖環境部長に伺うものであります。  では、3点目に、文化芸術振興策について、県民文化生活部長に伺います。  地方主権の時代と言われる今ほど、地方の独自性が問われるときはありません。本県は、数多くの遺跡群を初め、歴史的にも文化が栄えた地域であります。今日の殺伐とした社会にあって、文化が元気なら経済も元気にと言われておりますけれども、地域に埋もれた文化、芸術や人材にいま一度目を向け、掘り起こし、新しい時代に昇華させていくことは、地域を愛し、文化を大切に守り発展させていく上で重要な取り組みと思います。  今議会では、今日まで本県の文化振興に先駆的な役割を果たしてきた県立文化芸術会館のあり方について、市町村ホールが整備され、厳しい県財政の状況などから、県として文化振興施策を展開するにふさわしい施設のあり方を趣旨として検討されるとのことであります。  1点目は、今回の施設運営、あり方の見直しを通し、本県の将来の文化芸術振興が一層進展されるよう、特段の取り組みを願うものであります。それは、文化芸術振興基本法の前文の趣旨に、文化芸術を創造し享受することは、多様性を受け入れる心豊かな社会を形成するものでありと。また、次に、現状は、文化芸術が役割を果たすことができるような基盤の整備、環境の形成は十分ではないと指摘されておりますが、法に照らし、本県の文化・芸術の振興策の状況と課題について伺います。  2点目に、法第2条には、地域の歴史、風土などを反映した特色ある文化芸術の発展が図られなければならないとされており、地域における文化活動への出演者も含めた活動しやすい支援策が必要と思います。例えば、今困っている課題の一つに、練習会場の確保がありますが、県立施設としては廃館を予定している施設を低額で提供することなど、きめ細かい取り組みが必要であります。また、本県では平成13年に、滋賀らしい文化創造の基本的な考え方をまとめられてより3年が経過した今、地域の特性を生かした今後の文化・芸術振興施策の取り組みはどうなのか、伺うものであります。  3点目に、これら計画を実現するためには人材が不可欠であります。本県では、豊富な歴史と伝統を守ってこられた多くの人材がおられますが、この把握はされておらず、まことに残念な状況であります。それぞれ皆さんは地域でこつこつと必死になってその継承に尽力をされておられますけれども、青少年の健全育成やボランティアなど、地域や学校からの要請があれば講師となってワークショップを開くなど、文化振興とあわせて、アーチストと子供たちとの出会いなど、地域力の向上のために活躍をいただく方々を登録する、いわゆる人材バンクを設けるべきと思いますが、どうでしょうか、見解を伺います。  4点目に、財団法人滋賀県文化振興事業団。この事業団は、昭和45年、施設管理を中心に設立され、今日まで尽力されてまいりましたが、今回の県立施設の見直しを契機に、その取り組みもリニューアルしなければなりません。本県の今後の課題は、新しい視点での市町村施設との連携、地域での文化振興や、特に人材の養成、主催者への支援など振興策の強化、県と市町村との調和、融合などであると思いますが、本県全体の文化振興の取り組み拠点として機能しなければならないのは明白と思いますが、これをどのように考え、文化振興施策を講じられるのかを伺うものであります。  それでは、最後に、県立高等学校普通科通学区域の全県一区制について、教育長に伺います。  今議会に提案されている議第156号についてですが、国際化や情報化、生活・社会環境などの変化が著しい時代にあって、主体的に判断し、心豊かな人間性、個性、能力を伸ばすために、ニーズに合った選択肢を広げ、学歴のみならず、文化芸術やスポーツを初めとした多面的な視点で個性を発揮した次代の人材を育成する教育環境の必要性から、その趣旨については賛同するものであります。しかし、生徒や保護者など関係者の理解が極めて大切と思いますことから、以下、伺います。  1点目は、教育委員会の方針決定についてです。  教育委員会のホームページには、滋賀県立高等学校全日制普通科に係る通学区域改正方針についてと題し、11月24日付で掲載されています。検討委員会が6月30日付で答申をまとめましたが、その結論である、全県一区とすることが最も望ましいという報告から、教育委員会として全県一区にするとの方針はいつ決定されたのか。また、決定に至るまでの経過、決定された視点と今後の対応策について伺います。  2点目には、答申では、実施に際して必要な対応として、多数の課題と取り組みの重要性が指摘されております。その対応策の案は、生徒、保護者や関係者が、通学区域改正の目的、現状の課題と将来など、十分な判断をするために不可欠な要素であります。それぞれ難しい課題ではありますが、教育委員会の見解、取り組む方向と公表について伺います。  特に、対応策の中にある特色ある学校づくりがあります。平成18年入学者から実施予定とのことでありますけれども、特色ある学校の確認、入試の改善、進路指導など、新学期を迎え、生徒や保護者、関係者が新制度に全力を挙げないと実施できないほどであり、心のゆとりもなく、無理を生じるおそれを危惧します。生徒は人生一度の高校入試であり、進路を選択する相当の条件と時間が必要であります。進路指導も、学力だけではなく、多面的な視点で評価されなければなりませんが、個々適切な指導はできるのでしょうか。これらの問題についてどのように考えておられるのか、伺います。  一方、近年の教育現場は、不登校、中途退学など、深刻さは依然として続いており、ニートと言われる現象は社会的な問題になっております。理由は複雑ですが、人づき合いなど、社会生活に自信が持てないなどの指摘は、今日の教育の問題点ではないかと思います。また、生徒にとっては、魅力ある学校は自立心を向上させるきっかけにもなり、課題の自己解決になり得る大きな要素とも思います。また、そうなることが特色ある学校づくりの本来の目的であることから、これを一体としてとらえるべきと思いますが、どうでしょうか。  そして、保護者の皆さんの声として心配されている一つは、先ほども話が出ておりました、多発する通学途上での犯罪発生であります。これら大きな社会問題となっている諸課題への対応など、答申に全く記述がないことが残念であります。これらのことから、今回の通学区制度の改革は、単に通学区だけの問題ではなく、本来の趣旨に立ち返った視点と取り組みによってこれらの課題を根本的に解決する可能性を多く兼ね備えた、極めて重要な事項と思っております。ゆえに、十二分に理解をしていただくことがすべての出発点と考えます。教育長は、今回の改正に関連して、これら教育現場の課題や社会的課題解決についてどのように考えられ、取り組もうとされているのか、伺います。  3点目に、地元では今、通学区の改正について、例えば相当数の高校がつぶれるなど、さまざまな言葉や話が生徒や保護者の周りを飛び交っておりますが、教育長はこの現状をどのように把握し、感じておられるのか。  また、答申には、生徒や保護者の不安や混乱を招かないよう、十分な対応策を講じるとありますが、私が保護者の皆さんからお聞きするのは、「最近初めて聞いた」や「具体的なことは何もわからない」ということであり、これらは根本的な問題であります。また、この重要な課題は、パブリックコメントにもかけ、生徒や保護者、関係者の意見を十分聞くべきではないでしょうか。明確な説明責任が求められ、まさに答申の指摘にある、不安や混乱を招かない対応が不可欠でありますが、現在の状況についてどのように対応されるのか、伺います。  これらは、保護者の方々との懇談を通し強く感じたことであり、明確な答弁を求めます。  もし、県議会議決後、周知するという考えであられるなら、県民をパートナーという姿勢ではなく、手段が目的化していると言わざるを得ません。教育長、本当に心配されている生徒、保護者の声、届いているのでありましょうか。どうか正確な情報を十分に伝え、周知する必要性を改めて強く願うものであります。また、答申が指摘している、これら必要な対応や課題へのわかりやすい対策の取り組みと実施時期を考え合わせるとき、どのように判断されているのかを伺います。  最後に、本来の教育は、社会、地域や関係者の総意と取り組みで実現できるものであり、まさに教育のための社会の姿にすべきであります。現状が必ずしもそうではないことに危惧を感じております。教育委員会として、この通学区改正という課題を契機に教育復権への全体的な取り組みプランを提示すべきと考えますが、どうでしょうか。教育長の現状認識とあわせ伺い、質問を終わります。  以上であります。(拍手) ○議長(世古正君) 46番梅村正君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)梅村議員の三位一体改革と新年度予算編成についての御質問にお答えします。  まず、地方主権の体制づくりの御質問でありますが、言うまでもなく、地方分権の意義は、住民の自己決定権の拡充であります。そのためには、地域の人々がみずからの課題に対して地域みずから考え、対処していくということが重要であり、行政といたしましては、県民、地域社会、NPO、企業などとの協働をも念頭に置きながら、市町村優先の原則や近接および補完性の原理を踏まえまして、地方分権に的確に対応できる仕組みを構築していく必要があります。  財政危機回避のための改革基本方針(案)の中でも述べておりますように、このような仕組みを構築していく中で、今後、県の役割はこれまで以上に広域的な分野や高度・専門的な分野に特化することになる一方で、市町村は、住民に最も身近な行政体として一層重要な役割を果たしていくことになると考えております。  具体的な県と市町村のあり方につきましては、去る11月29日に立ち上げました滋賀県・市町パートナーシップのあり方検討協議会において検討、協議することとしておりまして、ここでの議論を踏まえまして、県としての今後あるべき体制について検討してまいりたいと考えております。  役割分担と負担のあり方は、県と市町のみでなく、住民が名実ともに主体者になってこそ推進されるべきとの御質問でありますが、このあり方検討協議会では、御質問にありますとおり、対等、協力の関係となった県と市町が、地方自治を取り巻く環境が大きく変わる中で、市町村合併の進展等を踏まえつつ、これからの滋賀の自治を担っていくための新たなパートナーシップの構築に向けまして検討、協議する機関として設置したものであります。今後、県と市町の役割分担と負担のあり方や、県と市町の対話システム、さらには、県から市町への権限移譲を検討、協議することとしております。  これらの課題を検討するに当たりましては、県と市町だけでなく、地方分権の一翼を担う県民の皆さんの意見を十分踏まえることが重要であると考えまして、県と市町の職員のほかに、大学教授やNPOの代表の方にも、助言者としてではなく委員の立場で御参加いただき、県民の視点に立った御意見等を、県と市町の新たなパートナーシップのあり方の検討に生かしてまいりたいと考えております。  私としても、分権型社会においては、市町村はもちろん、県民、地域社会、NPOなど、地域の多様な主体の自主的な活動が展開され、県は、こうした主体との協働、支援のあり方をさまざまに工夫していくことが大切であると考えておりまして、そうした観点から、県と市町村との役割と負担のあり方、さらには、御指摘の行政と住民のあり方について検討してまいりたいと考えます。  次に、協議会の検討結果を県および市町村の新年度予算にどのようにリンクさせるかということでありますが、この協議会は、今年度末までに3回程度開催を計画しておりまして、ここで一定の取りまとめをした上で、議題によっては来年度へつなげていくことも考えております。ただ、御指摘のように、予算編成作業と並行して進めておりますことから、新年度予算の中ですぐに対応することは困難な面もありますが、反映できるものはできるだけ反映させるということで、残された課題につきましても、18年度以降の予算編成に生かしてまいりたいと考えます。  次に、将来の安心への一歩が実感できる構造改革にどう取り組んでいくのかということでありますが、財政危機回避のための改革基本方針(案)におきましては、財政再建団体への転落を回避するために、行財政改革の4つの視点を踏まえまして、今後3年間の取り組みの目標数値である財政収支改善目標を掲げながら、歳出全般について施策の徹底した見直しを行うこととしております。  また、これまでの行財政改革は、どちらかといえば、厳しい財政状況に対応するという観点に強く立ちまして、事務事業や組織などをどうするかといった、量に重きを置いた進め方になっておりましたが、今回の改革では、これに加えまして、県の行財政のあり方を抜本的に見直すということが不可欠であることから、県が果たすべき役割や施策の緊急度、重要度を的確に判断し、県として、何を残し、何をやめるか、また、何に新しく取り組むかという選択を行うとともに、新しい産業や観光産業の振興など、県税の増収を図る施策にも取り組み、地域の自立と協働の自治への転換を図ることとしております。  平成17年度の当初予算編成におきましては、これらの改革基本方針における取り組みを踏まえまして、財政の健全化に取り組むとともに、県民福祉の向上のために真に必要な施策や、本県の持続的発展に欠かせない施策については的確に対応していく必要があると考えております。  御指摘のありました災害対策、環境対策、少子化社会への対応策など、喫緊の課題への対応につきましては、いずれも21世紀における本県の新たな展望を示しました滋賀県中期計画の中に掲げております10の戦略の中に含まれる課題でありますが、こうした県政の重要課題に対する戦略的テーマにつきましては、予算上の特別枠を設けることによりまして、重点的、計画的に取り組むこととしたいと考えております。  次に、平成17年度当初予算編成の過程や概要など、広く県民に公表し、意見を求め、反映させることについてでありますが、まずは、各部局が予算を見積もるに際しまして、真に県民の満足度の向上につながるよう、施策の優先度、重要性を十分精査し、県民ニーズを踏まえた選択と集中の徹底に努めているところであります。  また、予算編成の過程や概要につきましては、記者発表いたしますとともに、県のホームページの中で明らかにしているところでありまして、こうした情報提供とあわせまして、寄せられた県民の皆さんの御意見や提案につきましては、施策に生かせるよう努めているところであります。今後とも、県民の皆さんにわかりやすく情報を提供できる工夫もしてまいりたいと考えております。  次に、中期計画の具体像をどのように県民の皆さんにわかりやすく示していくのかということでありますが、昨今の財政状況が厳しく、先を見通すことが甚だ困難な時代にありましては、あらかじめ事業量を固定してしまいますと、行政運営が硬直化し、時代の変化に柔軟に、かつスピーディーに対応しにくくなるということも考えまして、中期計画では、常に政策目標に対する達成度を把握しながら、真に必要な施策に重点的、効果的に行政資源を投入するという、目的志向、成果重視型の推進方式に改めたものでございます。  議員からは、県版マニフェストとの御意見でありますが、中期計画では、選択と集中の考え方に立って10の戦略を掲げ、主要事業の目標、実施時期、事業量などを明らかにした戦略プログラムを作成し、成果目標の達成に向けた工程を具体的に示したところであります。  また、県民の皆さんとの協働を進めるため、計画の策定過程におきましては、県民政策コメントを実施するなど、県民の皆さんの意見の反映に努めたところであります。加えまして、この計画では、県民の皆さんに身近な指標を使って政策目標と位置づけました、77のしがベンチマークによりまして進行状況を把握しておりまして、毎年度、このしがベンチマークの目標への達成状況を県のホームページに掲載するなどして、県民の皆さんに積極的に情報提供し、説明を行っております。  こういった取り組みを初め、種々の県民政策コメントや、各地域振興局における協働の取り組み、さらには、昨年度行いました県民施策提案事業の実施などを通じまして、寄せられた意見や提案を真摯に受けとめ、施策反映に努めてきているところであります。  特に今日、財政危機を回避することが求められており、県民の皆さんとの協働は従来にも増して重要になってきておりますので、今後とも、一層そうした点に工夫を重ねながら、地域の自立と協働の自治への転換を目指し、精いっぱい努力してまいりたいと考えます。  次に、(仮称)滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターに関する御質問にお答えします。  新しいセンターの開設がいよいよ目前に迫ってまいりました。今から22年前、琵琶湖とその集水域を研究対象とする、専門的、先駆的な研究機関として、この滋賀県に琵琶湖研究所を設立し、以来、本県のみならず、世界にも名をはせる研究機関として、その役割を果たしてまいりました。一方、当時110万人であった滋賀県の人口も今や137万人を超え、経済活動の飛躍的な進展に伴いまして、我々人間の生活も変わり、同時に、琵琶湖を初め、我々を取り巻く環境も変わり、その変化が地球環境の問題へとつながっていくこともわかってまいりました。  (仮称)滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターは、そうした時代の変化をとらえ、これまで、水質や大気など、環境監視の中で豊富な環境情報を蓄積してまいりました衛生環境センターの持つ機能を一体化させることによりまして、琵琶湖と本県の環境に関する総合的な調査研究や試験検査、環境監視、そして情報発信という大きな役割を果たすべく、そのスタートを切るものであります。  そこで、1点目のセンターに何を期待し、何を求めるか、また、どうあるべきと考えるかについてであります。  新しいセンターには、改めて4つの視点を求めていきたいと考えております。  1つは、琵琶湖、そして滋賀の環境を取り巻く課題をタイムリーに取り上げ、その解決策を見出し、科学的な視点から施策の方向づけを提案する、その点をしっかり求めていきたいと考えます。新たな環境問題にどんどん挑戦し、そのリード役を果たしていけるような研究を期待するところであります。  2つ目は、研究交流であります。国や内外の研究所はもとより、県内にも大学や企業など、実に多くの環境にかかわる研究機関がございます。それらの機関と情報交換、さらに研究交流によりまして、地域貢献、そして国際貢献を果たしていく、その中核的な役割を担うことであります。  3つ目は、情報発信についてであります。新しいセンターが今どういう研究を進めているのか、だれもがいつでもわかる、そういう姿を目指していきたいと思います。そして、出てきた研究の成果をわかりやすい形で県民の皆さんにお伝えするという姿勢で進めてまいりたいと存じます。  さらに、4点目は、研究に対する評価についてであります。果たして今どういう研究をしているのかわからないというのが、これまで正直なところありました。研究の成果が上がっているのかどうかはなおさらであります。そうしたことを事実として受けとめまして、新センターでは、研究の成果を、外部の研究者等をもってシステムとして評価を行い、同時に、その評価結果を公表するということにしたいと思います。  このようなことから、研究テーマの設定に当たりましては、琵琶湖の総合的な保全はもとより、持続可能な社会づくりに向けた新たなテーマも取り入れることにより、21世紀において我々が歩むべき方向性や社会のあり方なども提案していけるような、いわば志を備えた研究機関を目指したいと考えるものであります。  次に、2点目の取り組むべき、解決すべき課題をどのように整理し、着手するのか、その本格稼働する時期と取り組むべき主要テーマと体制についての所見であります。  御指摘のように、今日、琵琶湖や本県が直面している環境課題は、琵琶湖の水質を初め、水循環や生態系の問題、そして環境リスク、さらには、地球温暖化のように世界規模で取り組むべき課題など、幾多の環境問題が山積をいたしております。これらの課題に対応するためには、新センターとして、少なくとも中期的な目標をしっかりと掲げまして、その目標を実現するための道筋をつけるための計画を打ち出さなければなりません。  現在、それらの作業を進めておりますが、幸い、本県にはこれまで多くの研究機関が集積し、長年にわたる観測データや調査研究の蓄積がございます。そうしたデータなどを解析いたしますとともに、自然科学や社会科学の幅広い分野で、内外の研究成果の検証を進めまして、解決すべき課題をこの際改めて整理をいたしまして、その上で、引き続き取り組むべき研究、そして、今後新たに展開すべき研究に踏み出してまいりたいと考えるものであります。とりわけ、将来を担う子供たちのために今我々が何をなさなければならないのかを改めて問い直し、未来への思いを込めて、確かな方向性を打ち出すことが大切であると考えております。  もとより、新センターは、2つの機関が統合される相乗的な効果が発揮されなければ意味をなしません。そうしたことも含めまして、試験研究テーマの設定や、それを支える体制、組織運営につきまして、去る12月1日に迎えました新センターの準備顧問のもとに、その内容の詰めを急いでいるところであります。  新センターは来年3月に竣工し、その後、2カ月程度の準備期間を置きまして、6月のスタートを予定しております。琵琶湖と滋賀、そして、世界の未来へとつながる研究機関として、幅広い御期待にこたえられるよう、精いっぱい力を注いでまいる考えであります。 ◎県民文化生活部長(近藤月彦君) (登壇)文化芸術振興策についての御質問にお答えいたします。  まず、1点目の本県の文化芸術の振興策の状況と課題についてでございますが、県では、昭和47年度に策定した文化の幹線計画に基づく5つの文化芸術会館の整備を皮切りに、近代美術館、文化産業交流会館、びわ湖ホールを整備し、ハード、ソフト両面にわたる文化芸術振興策を講じてまいりました。また、市町村においても、文化ホールの整備が進み、地域の実情に即した施策に取り組んでこられたところであります。  その結果、本県の文化施設は全国的に見ても極めて高い整備水準になったわけでありますが、課題としては、大きくは2つあると考えております。1つは、高い整備水準にあるハードを、より有効に活用し、多様な文化芸術の鑑賞機会を提供するなど、ソフトの充実を図ることであります。もう一つは、文化芸術振興基本法の理念などを踏まえますと、市町村と役割分担や連携を図りつつ、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することが必要であると考えております。  次に、2点目の御質問のうち、地域の文化活動への支援策についてであります。県立文化施設では、舞台練習等のために使用する場合は使用料を減免する制度がありますが、県が運営を廃止する文化芸術会館の今後の活用方策について、関係市町と話し合いを進めているところでありますので、そうした協議の中でこの課題についても話し合ってまいりたいと考えております。  次に、今後の文化芸術振興施策の取り組みについてであります。御質問にもございましたとおり、本県では平成13年に、滋賀らしい文化創造の基本的な考え方を策定し、歴史や伝統など、滋賀の特性を生かしつつ、県民一人一人が暮らしの中で文化を創造できる環境づくりを進めてまいりました。今後は、この基本的な考え方を継承しつつ、さきに申し上げましたソフトの充実や独創性のある新たな文化芸術の創造を促進するという2つの課題に対処していくため、市町村ホールやNPO等との連携、協働による多様なソフト供給の仕組みづくり、文化芸術を支える幅広い人材の育成といったことに取り組む必要があると考えております。  これらの取り組みを体系的に展開するには、文化芸術振興プランといった計画も必要であると考えております。そのためには幅広い議論が必要でありますので、今回の文化芸術会館のあり方の検討に際しまして整理した論点等も踏まえ、議論のたたき台となる素案づくりに取りかかりたいと考えております。  次に、3点目の人材バンクについてでありますが、県や地域の文化活動に多くのアーチストや文化芸術団体の皆さんが活躍されておられます。県といたしましても、その活躍の場を広げ、地域の文化力の向上につなげていきたいと考えております。具体的には、滋賀県の総合的な文化情報をインターネット上で発信する、あーとねっと・しがを平成17年4月から立ち上げますが、そこに、地域の文化活動に取り組んでおられる方々にみずからの情報を登録していただき、広く提供していきたいと考えております。また、講師やボランティアスタッフ、練習場所などを探している人と提供できる人をインターネット上でつなぐ交流広場も設けることとしておりまして、文化芸術の人材バンク、資源バンクとしても活用を図っていきたいと考えております。
     次に、4点目の財団法人滋賀県文化振興事業団についてでありますが、現在、財団は、滋賀会館、文化芸術会館、文化産業交流会館および希望が丘文化公園の管理を受託し、これらの施設を拠点に、舞台芸術公演や展示などの事業を行い、県民文化の振興と向上を図る役割を担っていただいているところであります。  しかしながら、このたびの県立文化芸術会館の見直しや、指定管理者制度の導入を平成18年度に控えるという現下の状況を考えますと、今後、県民の文化施策の一つの核としての役割をより一層強化することが求められております。こうした状況を踏まえ、財団では、今年度、検討会議を設置し、本県の文化振興を推進していく中核的な財団として、これまでのハード管理からソフト事業展開に重心を移した運営や、全県域に向けた事業展開、県民の創造的活動への支援の強化などについて検討が行われております。県といたしましても、財団がさらに自立性を高め、これまで培ってこられた機能を発揮されることにより、本県の文化振興の一翼を担っていただけるよう協力してまいりたいと考えております。 ◎琵琶湖環境部長(伊藤潔君) (登壇)(仮称)滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターに関する御質問のうち、行政直結のセンターとしてどのように考えているのか、また、県民に親しまれるセンターづくりをどのように工夫し取り組むのかの御質問にお答えいたします。  複雑多様化してきている今日の環境問題に的確に対応するためには、中長期の視点からの現象やメカニズムの解明といった調査研究とあわせて、当面する課題についても、センターと行政部局の課題共有のもとに適切な調査研究を推進することが必要であります。このため、琵琶湖環境部が調整役となり、センターとの緊密な協議、調整のもとに、大学や他の研究機関との分担、協力も踏まえつつ、センターが担う調査研究が課題解決につながるものとして進められるよう、研究計画制度といった仕組みの導入をする等、より確かな連携を進めてまいりたいと考えております。  次に、県民に親しまれるセンターづくりについてでございますが、県民の皆さんが、琵琶湖や身近な自然環境、生活環境についての知識を深め、環境保全の取り組みを進めていただけるよう、必要な情報提供や助言、支援に取り組むことはセンターの大切な役割と考えております。このため、センターの施設機能として、県民の皆さんと研究員との情報交換や、図書情報等が閲覧できる交流コーナー、教員等が研修利用できる実験室等を整備しますとともに、琵琶湖や環境に係る情報資料をわかりやすく提供する広報誌の発行、ホームページの開設、さらには、セミナーやシンポジウムの開催などの広報事業の充実、さらに、県民の皆さんの環境学習、実践活動への指導、助言を行う支援活動等を計画しているところであります。こうしたセンターの活動を通して、環境にこだわる県としての確かな基盤づくりを推進してまいりたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)県立高等学校普通科通学区域の全県一区制に係る御質問にお答えいたします。  まず、決定に至る検討の経過等についてでございますが、全県一区が最も望ましいとした県立高等学校通学区域制度検討委員会の答申について、ホームページや広報誌で周知を図り、意見を募りますとともに、各市町村教育委員会および中学校、高等学校の関係者に対し内容を説明し、7月から8月にかけ、実施する場合の課題や対応策に係る意見を照会いたしました。寄せられた意見を踏まえ検討を重ねた結果、実施に伴う必要な対応とスケジュールの見通しがつきましたので、平成18年4月入学者からの実施が適当と判断し、11月の教育委員会において全県一区の方針を決定するとともに、今回、条例を改正しようとするものであります。条例改正後は、生徒や保護者を中心に十分な周知、広報を図ってまいりたいと考えております。  次に、全県一区の実施に伴う必要な対応等についてでございますが、答申で指摘されている課題や対応については、教育委員会において検討を進め、生徒の興味、関心、能力、適性、進路希望に合った学校を適切に選択できるようにするため、高校の特色などに係る情報提供や、入学者選抜でのより多面的な評価、地域事情にも配慮した募集定員の設定、さらには、全県一区の実施に伴う問い合わせや相談に応じる窓口の設置など、対応策を取りまとめたところでございます。今後は、この対応策に沿って、円滑に実施できるよう、しっかりと準備を進めてまいりますとともに、その具体的な進捗状況についてはホームページ等で随時公表していくこととしております。  次に、特色ある学校づくり、入試改善、進路指導など、新制度に対応した取り組みができるのかということについてでございますが、特色ある学校づくりにつきましては、これまでから、確かな学力向上プロジェクト事業や特色ある高校づくり事業などを通じて、中学生にとって魅力ある高校づくりを行うため、各学校の特色の明確化を促してまいりました。また、全県一区の実施に当たっては、入試制度の改善や情報の提供が適切に行われることが必要であります。  現在、県立高等学校入学者選抜方法等改善協議会において、全県一区に伴う入試制度につきまして、学校の特色に合わせた学校独自の選抜方法なども含め、議論が行われております。2月には必要な報告をいただき、今年度内をめどに、平成18年度入試について検討し、平成17年6月には選抜要項を発表してまいりたいと考えております。  また、今年度、各高校の特色をまとめ、「夢の設計図」という冊子を全中学校に配布し、ホームページにも同じ内容を掲載いたしましたが、来年度は、さらに充実し、早い時期に中学3年生全員に配布したいと考えております。  さらに、中学校での進路指導の充実につきましては、高校への体験入学や、生徒や保護者、中学校教員を対象とした、それぞれの高校による特色の説明会の開催や、中高の教員の情報交換の場の設定など、関係者と一体となって努力してまいりたいと存じます。  次に、教育現場の課題や社会的課題の解決についての考えや取り組みについてでありますが、御指摘の不登校や中途退学などの教育課題や、ニート問題などの社会的な課題につきましては、家庭や地域、企業などと学校が一体となって問題解決に努めております。今回、全県一区を実施し、生徒の主体的な学校選択を図るという制度面からの改革を行うことによって、学校側、特に教職員の意識変革につながり、同時に、生徒や保護者にとっても、それぞれの自分の将来像を描き、学ぶことについて真剣に考えるきっかけになるのではないかと考えております。  次に、県民への周知、説明についてでありますが、これまでの検討過程においても、検討委員会の設置に当たっては、学識経験者や教育関係者とともに、保護者の代表と公募委員にも参画いただきました。また、会議はすべて公開で開かれ、議事録等もその都度公開してきたところでございます。さらに、県民意識調査の結果を参考にし、市長会や町村会、教職員団体の代表からも意見も聞いて、約1年をかけて答申をまとめていただいたものであります。そして、答申についてもホームページ等で公開するとともに、テレビや広報誌で広く周知を図り、意見を募ってきたところでございます。答申の前後から現在におきましても、保護者の要請に応じ、全県一区の趣旨も含めた説明を行っておりまして、特定の地域や学校に受験生が集中し過ぎるのではないかなどといった声もちょうだいいたしました。  御質問の県民政策コメントにつきましては、これまで申し上げましたように、さまざまな方法で県民の意向を把握しながら検討を進めてきたものでありますので、あえて求めなかったところであります。  また、教育委員会としては、できるだけ早く実施時期を知らせることが必要と考え、今の時期に条例を改正し、その実施時期を確定した上で、しっかりと生徒、保護者に御理解をいただけるよう周知徹底を図っていくことが重要であると考えております。  次に、実施時期の判断についてでありますが、さきに申しましたように、これまで検討してまいりました必要な課題への対応のめどがついたこと、また、1年以上前には、生徒、保護者に実施時期を明らかにしておくことが必要との考えから、今の時期に決定し、平成18年4月入学者から実施することが最も適当と判断した次第であります。  最後に、教育復権への全体的な取り組みについてでありますが、先ほど申しましたように、今回の通学区域の全県一区への変更は、生徒が早くから自分の将来に関して目的を持ち、それぞれの個性や能力を一層伸ばすために、みずから学ぶ意欲を育てていこうとするものであり、また、学校においては、お互いの切磋琢磨により、各学校が生徒から選ばれる魅力ある学校づくりに一層取り組んでいくきっかけとなる大きな改革につながるものと考えております。  教育は将来の社会を担う人材を育てる重要な社会の活動であり、社会全体が教育にかかわりを持って推進していくことが必要であります。私といたしましては、将来を見据えて、しっかりとこの教育改革に取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(世古正君) 最後に、26番上田彰君の発言を許します。 ◆26番(上田彰君) (登壇、拍手)私は、教科書採択に絞って質問をしてまいります。  前回の教科書採択の年度は平成13年度でありまして、4年たって、次回は平成17年、すなわち来年8月と迫っているのであります。前回の経験を踏まえまして、一応の概略、そしてまた、教科書の現状と採択の仕組みが一般保護者、県民にも見えてきたところであり、17年に備えまして、私たちは、前回同様、新しい歴史教科書を確実に採択されるように、すなわち、学習指導要領にうたわれておりますところの、我が国の歴史に自信と誇りを持って国を愛する心を育てる教科書を子供たちにを合い言葉に、広く国民、県民の皆様に理解と協力をいただく運動を進めているものであります。17年度の採択こそ、国家の将来、存亡をかけての運動と、背水の構えで臨んでいるものであります。  それは、現在使用されている教科書が余りにも我が国の歴史を自虐的に表現していることであり、これは前回よりも指摘をされてきたところでありますが、今や日本じゅうの保護者が、これは知るところであります。南京の大虐殺、従軍慰安婦の問題等であります。  ちょうどことしはロシアの極東政策を阻止して日本が戦った、いわゆる、明治37年、38年の日露戦争より数えまして100年目に当たる年であります。もし100年前に日本がロシアに負けていたら、この国家はどのようになっていたでありましょうか。恐らくロシアの領土になり、今の日本はなかったのであります。明治38年5月27日、日本海において、東郷平八郎司令長官が率いる戦艦三笠を旗艦とする日本の連合艦隊は、2日間にわたって激闘を戦い、勝ったのであります。世界の人々は、よもや大国ロシアを相手にして日本が勝つとはだれも思っていなかった。  この国を救った世界の東郷の名は中学の教科書にはどこにも見当たらないのであります。今の中学生は、世界の東郷の名前を教えられていない。この国を愛する心を育てるならば、外国人の名を挙げるよりも、実際に教科書で外国人の名前を挙げているのでありますけれども、日本の国を守った人たちの名前を教えるべきであります。  そして、旅順203高地の戦いに大勝をなし遂げたにもかかわらず、敵将ステッセルを対等に迎えて、勝敗は時の運と、敵将ステッセルをねぎらった乃木希典の武士道を教科書で教えるべきであります。何ゆえ「ラストサムライ」が世界のヒットになったのか、何ゆえ武士道が世界の人々の心をとらえたのか、その正義と人倫を中学生に教えるべきであります。  平成17年の採択を前にいたしまして、東京都教育委員会は早々に、この8月末に、来春開校する中高一貫校に用いますところの教科書、国を愛する心を育てるに最もふさわしい歴史教科書採択を決められました。東京都教育長は横山洋吉氏であります。氏の信念に基づいてでありますが、都知事石原慎太郎氏は、そのさき、4月に都下の全教育委員を集められまして、教育委員みずからの判断で、採択すべき教科書を決定してくださいと通知を出されました。さらに、この通知の趣旨を徹底するために、全教育委員に、今日の教育荒廃の責任を感じるならば、自分自身の責任で教科書を選んでほしい。でなかったらこの国は滅びますぞと強く訴えられたのであります。滋賀県知事國松善次氏は、これからの採択に向かっていかにお進めになられますか。もちろん採択は教育委員の職務でありますけれども、県の最高責任者としての力強い指導力を期待するものであります。  平成13年度、さきの採択のとき、県下の各採択区におきましては、県の教育委員会の示す選定資料そのままを各採択区は選定作業に取り上げて進められました。今回も恐らくそのように進められるでありましょうけれども、その県教育委員会の出された資料には、極めて抽象的であり、具体的に指し示す方向がなかった、このような声が各採択区から上がっておりました。学習指導要領に書かれている、国を愛する心を育てると明記されているのを、なぜ検定資料に明記されなかったのか。国を愛する心がなぜいけないのか。17年度の県教育委員会の選定資料には、指導要領に示されているとおり、ぜひ明記されるべきであると思うのでありますけれども、教育長の御見解を賜りたいと思います。  私は、去る11月29日、東京日比谷公会堂において行われました中央国民大会に出席する機会を得ました。これは、日本教育改革有識者懇談会、いわゆる民間教育臨調であります。その団体と教育基本法改正促進議員連盟、そして、日本会議国会議員連盟、日本会議の四者共催で行われた、教育基本法改正を求める中央国民大会でありました。自民党の安倍幹事長代理は日比谷公会堂で、地方議員を含む2,300名の参加者を前にして、愛するということと大切にするということは言葉の意味が違う。重さが違う。鉛筆や消しゴムを大切にすると言うけれども、愛せよとは言わぬ。このことは既に11月30日の新聞に報じられたところでありますが、そして、その上、民主党の西岡元文部大臣は、今どき、国家を愛する、あるいは国家を愛せない、そんなことを云々しているときと違うと。それ自体がおかしいではないかと一同を笑わせておられたのであります。  尖閣諸島、竹島問題、さらには、中国原子力潜水艦、北方領土、北朝鮮、このことを考えるときに、100年前の日露開戦の前夜と全くよく似た我が国の情勢を憂う発言であったと私は聞いたのであります。  明治23年に制定された教育に関する勅語、いわゆる教育勅語があります。日本人の背骨をつくってきた、この詔勅であります。昭和20年8月の敗戦によって、大きく180度の転換をした。そして、10月、占領軍のマッカーサーが来日した。昭和23年10月の国会で教育勅語は廃棄決議させられた。そして、占領政策によって、二度と再び立ち上がることのできないように日本人は骨を抜かれた。二度と再び立ち上がれない。それは、ロシアから入ってきた労働組合であります。二度と再び立ち上がれないように、マッカーサーの占領政策は、60年の戦後教育によって着実に実現してきたのであります。国を滅ぼすに武器は要らないということであります。  17年8月の採択に向かって、教育委員みずからが教科書を手にとって、みずからが読んで、我が国の歴史に対する愛情を深める、その教科書を選ぶ。この教科書が国を立て直すものと、教育委員が責任を持って選び出していただきたい。下部組織に転嫁することなく、または、他団体に流されることなく、一直線に国家百年の将来のために、国を愛する心を育てる教育、教科書を、信念ある選定作業を貫いていただきたい。  県下の採択区にこのことをどのような方法、措置をもってお進めになられていくのか、そのお考えをお聞かせいただきたい。それは教育長にお尋ねをいたします。  終わります。(拍手)(発言する者あり) ○議長(世古正君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  26番上田彰君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育委員会委員長(高橋啓子さん) (登壇)上田議員の17年度教科書採択についての諸問題についてお答えいたします。(発言する者多し) ○議長(世古正君) 答弁を続行してください。(発言する者多し)  暫時休憩します。   午後4時41分 休憩    ────────────────   午後4時42分 開議 ○議長(世古正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  26番上田彰君。 ◆26番(上田彰君) (登壇)再度、壇上からお尋ねをいたします。  教育委員会委員長にお尋ねをいたします。 ○議長(世古正君) 26番上田彰君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育委員会委員長(高橋啓子さん) (登壇)上田議員の17年度教科書採択についての諸問題についてお答えいたします。  まず、市町村教育委員会の採択につきましては、各市町村教育委員会が関係法令に基づき採択を行うものでございまして、県教育委員会といたしましては、各教育委員が教科書をしっかり吟味し、採択基準や選定に必要な資料をしっかり整備するなど、採択事務に関する適切な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。  また、県立中学校の教科書採択につきましては、中高一貫校でありますことから、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第13条第3項に、学校ごとに、種目ごとに一種の教科用図書の採択を行うものとすると規定されております。そのため、それぞれの県立中学校の教育目標や教育課程に適した教科書を採択することができるよう調査研究を進めることが大事であると考えております。  各学校において、県教育委員会が示している調査観点に基づいて専門的な調査研究を行い、その調査結果を教育委員会で審議し、教科用図書選定審議会の意見を聞いた上で採択してまいります。教科書を採択することは、教育委員会のなすべき仕事のうちで最も大切なことの一つと認識しておりますので、十分に議論を尽くし、最終的に県教育委員会の責任と権限で採択してまいりたいと考えております。 ◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)17年度教科書採択についての諸問題のうち、学習指導要領の目標どおり選定資料が整理されているかについてお答えいたします。  御質問の、国を愛する心を育てるということについてでありますが、中学校の社会科の教科書には、地理、歴史、公民の3つの分野があり、学習指導要領により、子供たちが学習するための目標がそれぞれに定められているところでございます。御質問の歴史的分野には、目標が4つございまして、その1つが、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てると示されているところであります。私としましても、これからの子供たちが、郷土を愛し、自国の文化や歴史を学ぶ中で、国を愛する心をはぐくんでいくことは大切なことと考えております。  まず、平成13年度に県教育委員会が作成しました、選定に必要な資料に、国を愛する心を育てるという文言をなぜ明記しなかったかについてでございますが、国を愛する心を育てるという内容は学習指導要領の目標の一つに含まれております。したがって、資料の調査観点の第1に、図書の内容が学習指導要領に示された目標および学年の発達段階に即応しているかということを挙げておりますので、改めて記載をしなかったものでございます。  次に、平成17年度の教科書採択に当たりましては、学習指導要領に示されている、こうした目標に沿った調査研究とするため、具体的には、選定に必要な資料にどのように表現するかは、来年4月に設置いたします教科用図書選定審議会における議論を踏まえ、県教育委員会で十分検討して決定してまいりたいと考えております。 ○議長(世古正君) 以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明10日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時47分 散会    ────────────────...