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平成11年 6月定例会(第13号〜第17号)−06月25日-02号

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  1. 滋賀県議会 1999-06-25
    平成11年 6月定例会(第13号〜第17号)−06月25日-02号


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    平成11年 6月定例会(第13号〜第17号)−06月25日-02号平成11年 6月定例会(第13号〜第17号)                平成11年6月滋賀県議会定例会会議録(第14号)                                     平成11年6月25日(金曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第2号                                        平成11年6月25日(金)                                        午 前 10 時 開 議  第1 議第82号から議第95号まで(滋賀県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案ほか13件)(質疑、質問)            ─────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ─────────────────────────────── 会議に出席した議員(48名)    1番   佐  野  高  典  君     2番   中  嶋  武  嗣  君    3番   三  宅  忠  義  君     4番   上  田     彰  君    5番   芥  川  正  次  君     6番   家  森  茂  樹  君    7番   清  水  克  実  君     8番   北  野  加 代 子 さん    9番   出  原  逸  三  君     10番   青  木  愛  子 さん
       11番   田  島  一  成  君     12番   西  沢  久  夫  君    13番   高  井  八  良  君     14番   藤  崎  ヨ シ ヲ さん    15番   徳  永  久  志  君     16番   森     茂  樹  君    17番   桐  山  ヒ サ 子 さん    18番   中  島     敏  君    19番   脇  坂     武  君     20番   小  川  暢  保  君    21番   青  木  善  政  君     22番   浦  田  一  郎  君    23番   朝  倉  克  己  君     24番   沢  田  享  子 さん    25番   梅  村     正  君     26番   吉  田  清  一  君    27番   杼  木  捨  蔵  君     28番   辻  村     克  君    29番   赤  堀  義  次  君     30番   冨 士 谷  英  正  君    31番   中  川  末  治  君     32番   宇  野     治  君    33番   世  古     正  君     34番   三  浦  治  雄  君    35番   中  村  善 一 郎  君     36番   黒  田  昭  信  君    37番   橋  本     正  君     38番   滝     一  郎  君    39番   松  井  俊  治  君     40番   黒  川     治  君    41番   大  谷  元 太 郎  君     43番   北  川  弥  助  君    44番   稲  田  喜 代 司  君     45番   深  田  作  治  君    46番   上  野  幸  夫  君     47番   石  田  幸  雄  君    48番   有  村  國  宏  君     49番   酒  井  研  一  君            ─────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ─────────────────────────────── 会議に出席した説明員              知事               國  松  善  次  君              教育委員会委員長         南     光  雄  君              選挙管理委員会委員長代理     清  水  藤  藏  君              人事委員会委員長         野  玉  三  郎  君              公安委員会委員長         村  田     昇  君              代表監査委員           辻  本     昭  君              副知事              山  田  新  二  君              副知事              山  脇  康  典  君              出納長              山  川  明  子 さん              知事公室長            土  井  典  彦  君              総務部長             西  堀  末  治  君              企画県民部長           今  堀  治  夫  君              琵琶湖環境部長          高  田  寛  文  君              健康福祉部長           池  口  博  信  君              商工労働部長           西  村     隆  君              農政水産部長           中  森     武  君              土木部長             中  村     昭  君              企業庁長             深  尾  宗  孝  君              教育長              吉  川     勉  君              警察本部長            荒  木  二  郎  君            ─────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事務局長             山  岡  完  右              議事調査課長           若  林     勲              議事調査課課長補佐        長  瀬     孝              議事調査課専門員兼議事係長    徳  本  次  夫            ───────────────────────────────   午前10時5分 開議 ○議長(滝一郎君) これより本日の会議を開きます。        ───────────────── △諸般の報告 ○議長(滝一郎君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  議第82号、議第91号および議第92号の各議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。  次に、選挙管理委員会委員長小島幸雄君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員清水藤藏君が出席されておりますので、御了承願います。        ───────────────── ○議長(滝一郎君) これより日程に入ります。        ───────────────── △議第82号から議第95号まで(滋賀県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案ほか13件)(質疑、質問) ○議長(滝一郎君) 日程第1、議第82号から議第95号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は、会派代表による質疑ならびに質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、30番冨士谷英正君の発言を許します。 ◆30番(冨士谷英正君) (登壇、拍手)おはようございます。それでは、早速質問に入ります。  私は、自由民主党滋賀県議会議員会を代表して、知事ならびに各部長に質問をするものであります。  さきの統一地方選挙におきまして、多少の曲折はありましたが、依然として県議会においては我が党が与党第一党として責任ある立場にあることは変わりのないところであり、また、国においても、小渕内閣の支持率向上は、我が自由民主党に国民の期待が大きく寄せられていることと相まって、心新たに県民の負託にこたえる決意のほどを改めて表明いたすものであります。  特に、今国会に上程されている地方分権一括法案の趣旨をどのようして生かすかが、我が党の去就にかかっていると申しても過言ではないと思います。同時に、日ごろから努力されている執行部、職員の優秀な頭脳が、政策立案能力として発揮される機会が広がったということでもあります。  しかしながら、個別質問の中でも申し上げることになりますが、財源の面での制約と干渉によって自主性の限界を左右されるという矛盾が今後ますます明らかになるものと思われます。国と自治体との利害、価値評価の相違で紛糾すれば、その紛争処理が最終的には高等裁判所の手にゆだねられるという条項がありますが、切実な現場の実情を知り、住民に密着した要求を取り上げることのできるのは、言うまでもなく日常肌を接する私ども地方議員であり、自治体であります。  法案の中には、わずかに課税自主権の拡大条項がありますが、例えば環境、水質などに対して、先日の県環境政策課の発表でも明らかなように、比較的きれいだと言われた北湖にもCODの汚濁が進行し、しかも、その原因は、分解しにくい有機物の疑いがあります。この状況を改善するために、もし我々が環境熱心県の名に恥じない施策を提起したとしても、中央省庁が、「過度に神経質になることはない」などと、国の関与はなくならないと思います。こうした場合の対処の仕方について、知事の決意のほどを伺えれば幸いと存じます。  この法案の帰趨はまだまだ予断を許さない状況にありますが、とにもかくにもようやく日の目を見ようとしているこの地方分権の実像が、今、自治体職員と議員の見識と実力を試す時期に来ており、責任与党として我が党に対する県民の期待にこたえるためには、身の引き締まるものを感ずるところであります。  以上、県政に対する思いを申し上げ、以下、各般にわたる諸課題について、知事および関係部長に順次質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、地方分権に関連して質問をいたします。  現在国においては、地方分権一括法案が衆議院を通過し、参議院で審議が行われております。今回の改正は、475本というかつてない法律の改正であり、この法律が制定されると地方分権という扉が開かれ、舞台は国から地方に移ってくるわけであります。  地方分権は、中央集権型行政システムから住民主導の個性的で総合的な地方分権型行政システムへの転換を図ることであり、住民、NPO、企業、行政がそれぞれに個性を発揮し、21世紀にひときわ輝く存在感のある滋賀の創造を目指し、自分たちの地域は自分たちでつくるという気概を持って地域づくりに取り組むことが求められており、このため、自己決定、自己責任のもとに地域の主体的な判断により行政を行うなど、従来にも増して行政の質の変化や量の拡大が予想されますが、地方分権の進展に対しどのように対処されるのか、また、今回の一括法により、県において相当の事務量が想定されるが、県にどのような影響があり、また、来年4月1日の施行に向け、具体的にどのような取り組みをされるのか、まず、知事にお伺いをいたします。  次に、さきの滋賀県行革・地方分権特別委員会に出された意見、議論を踏まえた質問をいたしたいと存じます。  委員会では、県にとって耳の痛い意見がいろいろと出ておりますけれども、広域行政を含めて地方分権の問題は、明治維新や戦後の改革にも比較されますように、地方自治に画期的な改革を促すものであることは論をまちません。にもかかわらず、地方分権に対する住民の関心はまだまだの感を否めず、これは、分権によって住民の生活がどう変わるのかというPR、また、地域の活力がどう発揮されるのかという視点での議論が不十分であるからだと思います。  県民全体が今のように無関心のままでは効果的な分権は実現しないと思われますが、県は、今後どのような方策を講じようとしているのか、まずお伺いをいたします。  また、県は市町村に対する権限移譲を具体的にどのように進めようとしているのか。面倒で厄介な事務だけを市町村に押しつけるという姿勢では、市町村からの、事務量だけを押しつけられ、その割に財源措置は少ないという批判を受けるおそれがあり、特に弱小町村に対しての県の姿勢が問われるところであります。県は、受け身の姿勢でなく、市町村が独自の条例を制定できるような、また、財政に関しても自主性が確立できるよう積極的な指導性を発揮すべきであると思います。  新聞の論調によれば、この法案では補助金の問題が解決しておらず、中央省庁の財源からの干渉が強く残るであろうと言われております。県は、国の枠組みにとらわれることなく、県の単独事業についても、市町村の自主性を促す意味において総合補助金制度を取り入れ、県として市町村に対する財政的、人的な支援を拡充していく必要があります。  職員の分権に対しての意識改革を徹底し、全庁挙げての取り組みにより思い切った権限移譲を行い、これにより県の組織をスリム化し、重点的に県職員を市町村に派遣する方策も一案であると思います。  言うまでもなく、地方分権一括法案で最大の課題は、国と地方を対等、協力の関係に位置づけることであり、当然のことながら、今後は住民に身近な事務は市町村が担うことになり、県の役割も大きく変化してくるものと思われますが、地域における県の果たすべき役割、責務について基本的にどのように考えているのかをお尋ねいたしたいと思います。  さらには、分権の受け皿の一つの方法として、広域行政、市町村合併の推進を進めていかなければなりませんが、広域行政といってもおのずと限界があり、合併しなければ解決できない課題が今後多く出てくるものと思われます。まさに地域の将来像をどのように描いていくのか、地域住民がみずから判断する大きな転換期を迎えていると言えます。  合併に当たっては、地域住民の意思が最大限に尊重されるべきであるが、なぜ今合併なのか、地域や生活はどう変わるのか、メリットがあるのか、あるいはデメリットはないのか等々、情報が不足しており、住民がみずから判断できる材料や共通の認識を持ち得る材料に乏しく、機運の盛り上がりにも欠けているのが実情であります。  また、分権の推進は、より住民の目線に立って議論をしていく必要があり、県は、この観点から、市町村の範となるべく率先して絶えず組織や機構の見直しを行う必要があると考えます。例えば、より住民に身近な県事務所に大幅な権限を移譲し、住民サービスの向上を図るとともに、日常の社会生活圏や経済活動圏の実態に合った県事務所の行政区域の見直しを行うとともに、近年の交通情報通信手段の発達に伴う広域的な見地からの県事務所の機能充実強化が必要ではないか。個々の市町村の自主的な取り組みは言うまでもなく重要でありますが、県としても強力な指導力を発揮すべき時期にあると思いますが、具体的にどのような方策を講じようとしているのか、総務部長にお伺いをいたします。  次に、関連して、知事の専決処分について質問をいたします。  知事の専決処分事項につきましては、地方自治法第180条の規定に基づき、議会の議決により6案件を特に指定し専決処分がされているところであります。このうち、議会の議決が必要な5億円以上の請負契約工事等の契約変更に当たって、本県では、その変更幅が30%以内のものにあっては知事が専決処分により執行されているところであります。  これは、全国的に見てみますと、請負契約の変更を認めている都道府県は18道県でありますが、30%という数字は突出したものであり、我々としては、議会の権能やチェック機関としての機能を高めていくためにも、これらの見直しが必要であると考え、我が会派内においても慎重に検討を重ねてまいったところであります。  そこで、知事にお伺いしますが、この専決処分事項は、昭和39年に事業の効率的な執行を図る観点もあり、知事の専決処分にゆだねるべく、あらかじめ指定をし、以来35年間、議会の権限を離れて、知事の権限として執行されているところであります。しかし、地方自治法第96条第1項第5号に定められた工事または製造の請負契約の議案については、都道府県にあっては5億円以上のものが議会の議決事項とされておりますが、契約を変更する場合には、びわ湖ホールなどの大規模工事の例に見られますように、5億円を超える金額の契約変更であっても、30%以内の変更であれば議会の議決なしに知事が専決処分により執行されているという矛盾を生じているのが現状であります。  私たちは、長の専決処分事項を定める発案権は議員に属するとの立場から、また、入札契約の透明性と情報公開を叫ばれる今日、この変更幅について議論を重ね、10%、5,000万円とすべきであると提案をいたしますが、今日まで35年間この手法で執行されてきた中で、運営はどうであったのか、また、変更した場合何か不都合が生じるのかを含め、知事に伺うものであります。  次に、びわこ空港についてお尋ねをいたします。  21世紀を目前にした今、我が国の経済は重層的転換点に来ており、国際的には経済活動のボーダレス化などグローバリゼーションが進展し、また国内的には、高次な成熟経済社会への転換や情報通信の高度化が進むなど、我が国の経済社会環境は大きな環境変化に直面し、時代は大競争時代に突入していると言っても過言ではないと思うものであります。  こうした時代を迎えている今日、一番求められておりますのは、今後ますます進展する人の移動や交流、物の輸送や交通を支え、県民生活や経済活動の向上に必要不可欠な交通基盤を一刻も早く整備することであります。  このような時代の大きな潮流の中で、びわこ空港は、本県が将来にわたって持続的な発展を可能にする広域交通基盤としてぜひとも必要な施設であり、一日も早い空港の実現が待たれているところであります。  しかし、昨年度には、運輸事務次官の地方空港の必要性に対する発言や世相を反映して、びわこ空港の建設に対する住民投票を求める運動が展開されるなど、びわこ空港の必要性に対する県民の意識がますます低下してきているのではないかと危惧するものであります。  そこで、知事にお伺いをいたします。  知事は、1年前、わが党の代表質問に対し、びわこ空港を進めるに当たっては、県民の理解が得られる形で進めることが重要であり、まず県民公聴会を開催し県民の生の声を聞いて、出された疑問点などに対して県としての考え方をできる限りわかりやすい形で説明していきたいと答えられたところでありますが、すべての公聴会を終えた今日、その成果と今後の取り組みをどのように進めようとされているのか、お伺いをいたします。  また、年度当初の記者会見で、公聴会の感想を聞かれた際、意見の多くは、現在の景気動向や財政環境の厳しさから、多額な投資に対する心配を持っておられる、また、運輸省の方でも費用対効果について厳しくチェックするとされていることに対して、単に需要見通しだけでなく、経済アセスのようなものを実施し、理解を求めていくための材料にしたいと発言されておりますが、その経済アセスについて、その内容はどのようなものなのか、また、具体的にどのように進めようとされているのか、お伺いをいたします。  昨今のびわこ空港を取り巻く情勢は、さきにも述べましたとおり大変厳しいものがありますが、中でも、候補地を選定してから10年余りを経た今日に至っても、いまだ関係集落すべての理解が得られず膠着状態にあることは、まことに残念なことであります。びわこ空港問題を早期に解決するための最大のボトルネックは、地元の皆さんの理解を得ることでありますが、そのためには、県だけでなく地元両町と一体となって誠意ある取り組みを進めなければなりません。とりわけ関係集落と密接なつながりのある地元町の必死の取り組みがされてこそ反対集落の心を開くことができるものと思うものでありますが、現在地元町は地元説得のためにどのような取り組みを行っておられるのか、また、今後どのように行おうとされているのかをお伺いするものであります。
     次に、今後の人権尊重に向けた取り組みについてお伺いをいたします。  来るべき21世紀は、人権の世紀と言われております。国連では、平成7年から平成16年までの10年間を「人権教育のための国連10年」と定め、人権という普遍的文化を世界じゅうに築くための取り組みを進めており、本県でも、昨年7月に人権教育のための国連10年滋賀県行動計画を取りまとめられました。  また、昨年は、すべての人間は、自由で、その尊厳と権利とにおいて平等であるという人類普遍の原理をうたった世界人権宣言が国連で採択されてから50周年という節目の年であり、改めて人権尊重の重要性を考える取り組みが各方面で行われました。本議会におきましても、この記念すべき年に人権宣言に関する決議を行い、差別のない、平和で明るい湖国滋賀の実現を目指して、なお一層の努力を重ねていく決意を表明しております。  一方、国においては、人権擁護施策推進法に基づく人権擁護推進審議会で2年間にわたり審議が行われてきた「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項」について、6月18日に答申案が公表されたところであります。まだ案の段階ではありますが、地方公共団体にも、人権教育、啓発の実施主体としての重要な役割が求められております。  このような状況を受けて、県として、すべての人の人権が尊重される社会の実現に向けて、今後どのように取り組まれるのか、県民の合意を得て進める上からも、有識者による懇話会を設置するなどして衆知を集め、県として確かな方針を確立して推進すべきであると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県民の社会貢献活動の促進について質問をいたします。  戦後我が国は、世界に例を見ない高度経済成長をなし遂げ、暮らしは大変豊かになりましたが、少子高齢化、国際化、高度情報化の進展など、21世紀を目前に控え、社会経済情勢の目まぐるしい変化と人々の多様な価値観により、県民のニーズは高度化、多様化しております。しかしながら、行政は、税を財源とし、法に基づく公平、平等を原則に、均一で安定したサービスを供給してきましたが、多様な少数者の価値観にきめ細かなサービスを行うには難しく、また企業は、利潤追求を原則として、対価に応じた多様なサービスを提供してきましたが、利潤を追求しない活動には取り組みがたいと言えます。  これまで我が国は、主にこうした2つの活動によって成長、発展してきました。その結果、行政と企業の活動が占める割合が大きく広がり、これだけでは現在の社会経済情勢の変化には、従来の行政や企業というセクターだけでは、その対応が十分できない面も見られるようになってきております。こうしたことから、県民の多様なニーズに応じるためには、ボランティア活動やNPO活動などの民間非営利団体が、新たなセクターとして社会的なサービスを担っていくことが期待されており、時代は大きな転換期を迎えていると言わざるを得ないと思います。  そういった状況の中、阪神・淡路大震災のボランティアの活動をきっかけに、昨年3月に特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が議員立法で成立し、本議会でもその手続条例を制定したところであります。昨年12月の法施行からはや半年が過ぎ、いろいろな法人が設立されたと新聞記事等にも掲載され、NPOへの関心の高まりが感じられます。  そこで、本県では、今日までに9件の団体が認証されておりますが、どのような分野の団体になっているのか、また、それらの団体のその後の活動について、まず企画県民部長にお伺いをいたします。  また、NPOやボランティアを初めとする社会貢献活動については、今後地域社会を支える大きな役割を果たすものとして期待が高まっており、行政の良好なパートナーとしてはぐくむ必要もあるのではないかと考えられますが、本県では、昨年度に県民活動促進に関する懇談会を設けて、ボランティア活動等県民活動促進のための考え方について具体的な検討をされてきていると聞いておりますが、現在の策定状況と、懇談会で検討された概要はどのようなものかをお尋ねいたします。  また、今後県民の社会貢献活動の支援を具体的にどのように考えているかを、企画県民部長にお尋ねいたします。  次に、世界湖沼会議について、知事の御所見をお伺いいたします。  去る5月、デンマーク、コペンハーゲンで、第8回世界湖沼会議が開かれました。我が会派からも3名の県会議員団を送り込みましたが、湖国からは、知事を初め研究者、行政関係者、NGOなど約50名もの参加者を見たと聞いております。世界湖沼会議は、第1回がこの滋賀県で開催されただけに、本県にとっては特別の愛着があるばかりでなく、湖沼の水質問題は今や地球的規模の人類の喫緊かつ最重要課題の一つであるがゆえに、大きな存在感のある会議となり、世界の人々の注目を集めるようになってまいりました。  5日間の会議の中で、各機関の専門家による研究発表、NGOの皆さんの水環境に対する取り組みの事例発表等がされました。また、研究発表の合間を縫って数カ所の湖を視察し、デンマークの代表的NGO、デンマーク自然保護協会のスタッフから、環境アセスメントに対する意見具申や、自然保護区域の指定に積極的な提言を行っているという活動報告を受けたということであります。  今や、環境問題、すなわち自然と人間との共生は、地球的規模でアプローチされなければなりません。同時に、全人類一人一人の生活の中で、その人の生き方や価値観の問題としてとらえなければなりません。このような視点に立つとき、21世紀の最初の世界湖沼会議の滋賀県開催は大きな意味を持つものと考えております。この会議は、研究者の研究発表の場とするだけでなく、NGOや住民や自治会、さらには企業の積極的な参加も望まれるところであります。環境ビジネスメッセと同時開催も妙案かもしれません。  さらに、来年はG8による環境サミットの開催が自民党国会議員の努力により決まり、開催地決定に際し、環境庁長官は、滋賀県の今日までの環境施策に高い評価を示されました。  このような自他ともに認知された滋賀県の水環境への取り組みは、地道に、しかも信頼性の高い研究、データ蓄積に努力されてきた琵琶湖研究所の存在を抜きには、これは語れません。一方で、水質や生態系を研究する世界の科学者たちも、琵琶湖研究所に対し情報提供や、そのネットワーク化に熱い期待を寄せていることもわかりました。  地方分権が進む中で、地方は、他に類を見ない独特の行政運営の哲学が求められております。国内のみならず世界から注目される研究所として、また、水質のみならず、大気、土壌といった研究部門を兼ね備えた新しい環境問題への対応が期待され求められていると考えます。折しも本年度、知事も当初県議会で、琵琶湖研究所の整備について具体の検討を進めると表明されており、まことに時宜を得たものと考えるものであります。  そこで、次の4点について知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  まず、知事は、さきの第8回世界湖沼会議について、本県としてどのような成果があったと考えておられるのでしょうか。また、第8回世界湖沼会議の成果を生かし、21世紀の初頭に本県で再度開催する第9回湖沼会議について、知事としてどのような決意を持って臨まれるのか。  次に、来年4月に、湖沼会議に先立って開催されるG8環境サミットと世界湖沼会議とをどのように連携させようと考えておられるのか。  さらに、琵琶湖研究所の抜本的な整備充実の検討について、その基本的な方向性はどのようなものか、また、琵琶湖研究所の施設、設備や立地環境の現状を考えますと、当然、移転を視野に入れた検討が必要と思われますが、いかがでございましょうか、お伺いをいたします。  次に、介護保険について質問します。  いよいよ介護保険制度のスタートが来年4月に迫ってきております。運営主体となる県下の市町村では、制度の円滑な導入に向けて、その準備作業を全庁挙げて急ピッチで進められていると聞いております。  今日我が国は世界一の長寿国となり、来るべき21世紀の前半には、3人に1人は高齢者という超高齢社会が到来します。このような高齢社会では、寝たきりや、あるいは痴呆の高齢者等に対する介護の問題が、新しい世紀での大きな課題となっているところであり、だれでも寝たきりや痴呆等により介護を必要とする可能性が高くなってきております。それは、決して特別なことではなく、限られた人のことでもなく、だれにでも起こり得るものであり、我々の日常生活において大変身近な問題であります。  この介護保険制度は、そうした老後生活最大の不安要因である介護という大変重要な問題を、国民の協同連帯の理念に基づき、社会全体で支える仕組みを構築するというものであり、措置から契約によるサービスへという、戦後福祉制度最大の改革、転換とも言われる画期的な制度であります。  こうした中で、市町村における準備状況や保険料にかかわっての実施時期の延長の議論についてマスコミやその他を通じて報じておりますが、これらは各市町村の準備業務に混乱を招くだけであると考えますが、一方、懸念されていることが県下の各市町村ではどうなのか、大変気になるところであります。  制度の実施まで、あと約9カ月という限られた時間の中で、来年4月に本当に県内のすべての市町村が一斉に円滑なスタートを切ることができるのか、あわせて実施延期等の議論について、最初に知事の御所見をお伺いするものであります。  次に、介護保険料等について質問します。  県民だれもが一番気になるのは、我が町の保険料が一体幾らになるのか、また、サービスはどうなるかということであろうと思います。65歳以上の高齢者の1号保険料については、厚生省では、全国平均で月額3,000円程度になると見込んでいるように聞いております。現在県内の各市町村におきましては、介護サービスの見込み量や費用、さらには保険料等の試算をしているところでありますが、さきに日本経済新聞が全国の主な市町村を対象にしたアンケート調査によりますと、65歳以上の要介護者が支払うことになりそうな介護保険料は、地域の介護費用の差を反映してばらつきが大きく、最大で6倍以上の格差になりそうであります。  県は、この保険料の試算について、県内の状況をどうつかんでいるのか、さらに、各市町村のサービスの供給水準によって格差が生じることについて、県民から見れば、隣の町との格差はなかなか理解しにくいことと考えますが、県としてどう考えておられるのか、知事にその御所見をお伺いいたします。  次に、介護サービスに係る民間事業者の参入についてもお伺いをいたします。  介護保険では、初年度だけでも数億円の経済波及効果が生まれる新産業分野とも言われております。この介護保険制度の運営においては、従来からの社会福祉協議会等のサービス提供とあわせて、民間事業者による介護サービスの参入が欠かせないところであります。それは、制度の導入に伴い県民の介護サービス利用意向が高まるにつれて、民間事業者の活用により在宅サービス基盤整備という重要な役割を持つことになってくるのであります。  ただ、介護事業に企業参入を許すことは、地域ごとの事業者の認定権を持つ市町村が地元の業者や中小企業を優先する場合、公的福祉分野でのサービスの質を上げる目的と、規制緩和の利点である平等な競争の促進の逆の効果をもたらす可能性があります。  県においては、民間事業者の動きをどうとらえ、どうつかんでいるのか。また、民間事業者参入の促進について、今後どういう手だてをされていくのか、健康福祉部長にお伺いをいたします。  最後に、介護保険制度においては、一定の審査を受け要支援、要介護と認定された方が、保険制度の介護サービスを受けることになるわけであります。しかし、現在の措置の中でホームヘルプサービスやデイサービスを受けている方や、特別養護老人ホームなどの施設に入居している方が介護保険の対象外となることが予想されます。こうした方に対する一定の生活支援や生きがい対策について、何らかの対応が必要と考えますが、県としてどう考えておられるのか、健康福祉部長にお伺いするものであります。  次に、雇用対策について、商工労働部長に質問いたします。  我が国の足下の経済情勢は、最近の各種の経済指標にやや上向きの動きが見られることや、企業の景況感もマイナス幅が減少する傾向にあることなどから、6月の政府の月例経済報告では、景気は各種の政策効果に下支えられ、下げどまり、おおむね横ばいで推移しているという判断が示されております。また、本県におきましても、おおむね同様の動きにあるとの認識がされているようであります。  しかしながら、企業における売り上げや経営利益といった経営に関する水準は極めて低く、また、個人消費も相変わらずの財布のひものかたさに示されますように、民間需要の回復力はまだ弱く、厳しさは変わっておらないのが実情でありますし、我が国の経済の先行きに対する信頼感が戻るまでには、なお道半ばであります。とりわけ雇用情勢は、産業構造の変革期の中で失業者が増加し、総務庁が発表した我が国の4月の完全失業者は4.8%と、これまでにない最高水準となるなど、かつてない深刻で、かつ不透明な状況が続いております。  一方、本県の4月の雇用失業情勢も同日発表され、有効求人倍率は0.44倍と前月を下回り、またもや厳しさが増す方向にあります。有効求人数は1万2,521人、片や有効求職者数は求人数の倍以上の3万1,339人でありまして、求人数に対して求職者数は過去最高とのことでありました。  そこで、まず、本県におけるこの求職者数の増加についてどのように分析し、その結果をどう認識されておられるのでありましょうか。  また、失業者のうち男性の完全失業率が5%の大台を記録しておりますが、中でも、働き盛りで一家の大黒柱である中高年層の失業というものは、家庭の崩壊を招くだけでなく、社会へも大きな影響を与えるものであります。雇用情勢の厳しさを強く受けている中高年の、特に非自発的失業者に対する雇用の確保は喫緊の課題でありますし、来るべき21世紀における県勢の持続的な発展のためにも、今、雇用を取り巻く問題は何としてでも克服しなければならない課題であります。  我が党は、雇用問題を最重要の緊急課題と位置づけ、去る8日に、国や地方公共団体の直接雇用などの緊急雇用創出事業の創設を盛り込んだ産業再生・雇用対策を打ち出しました。これを受け、11日には政府の産業構造転換・雇用対策本部において、規制緩和や職業訓練の効果を含めて、100万人を上回る新たな雇用の創出を目指す緊急雇用・産業競争力強化対策が決定されております。  国においては、今、具体化に向けての検討がされているようでありますが、本県においては、こうした国の対策を踏まえ、今後どのように進めていこうと考えておられるのか、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、農業問題について質問をいたします。(発言する者あり)  食料は、国民の命と健康を維持するために、日々の生活に欠かすことのできない基礎的な物資でありますが、農業・農村はその食料を供給する基盤でありますことは、改めて申し上げるまでもありません。このような農業・農村は、長い歴史と伝統のもとに、急峻な地形や多雨の気候の中で、我が国の国土、環境を保全し、そして地域社会を形成するといった国家の基本となる重要な役割を果たしてきたのであります。また、現在も果たしておるのであります。  21世紀に向けて、人口、食料、環境あるいはまたエネルギー問題が地球規模で大きな課題となる中で、我が国が持続的な発展を遂げていくためにも、食料の安定供給を確保し、農業・農村の果たしてきた役割を次の世代に引き継いでいくことは、現在に生きる私たちの重要な使命であると考えております。  現在我が国経済は、さまざまな問題に直面し、大きな構造変革の途上にありまして、日本経済を再生し、豊かで安心できる社会を築き上げていくことが急務となっております。こうした中にあって、農業・農村もまた、農業者の高齢化、農地の減少、耕作放棄地の増加、さらには農村の活力の低下や、国土、環境等を保全する機能の低下が心配されるなど、克服しなければならない厳しい諸問題を抱えているのであります。  我が国経済社会においても、食料・農業・農村においても、ともに困難な問題に直面しながら、力強く生まれ変わっていくための大きな転換期に立っているものと認識しているところであります。  今国会において審議されております新たな農業基本法である食料・農業・農村基本法においても、農業・農村の未来と展望を切り開いていくために、持続可能な農業の発展が基本理念の一つとして高らかに掲げられているところであります。  本県は、京阪神の水源地域であり、母なる琵琶湖を抱えておりますことから、環境を健全に保ち、環境と調和しなければ、農業生産活動を長期的に持続させることができないのであります。そのため、これまでの環境に調和した農業を鋭意進められ、一定の成果を上げてこられましたが、21世紀に向けて、より一層環境に優しく持続可能な農業を育成することについて、農政水産部長の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  また、近年化学肥料や農薬の投入が環境への悪影響を及ぼすことが懸念されておりますが、本年度より取り組まれております近江こだわり農産物発信事業は、農業の持続的発展を図っていくための意義のあるものだと考えておりますが、この事業の現在の取り組み状況と目指す方向について、あわせてお尋ねするものであります。  次に、新しい学習指導要領と、本県における教育方向についてお伺いします。  我が国は、戦後の大変困難な時期を見事に乗り越え、史上まれに見るほど短期間のうちに、国際社会が驚くほどの経済発展をなし遂げましたが、このことに関して教育が大きく寄与してきたことは既に御承知のところであり、今後もますます教育への期待は膨らむものと思います。  しかしながら、今日の世の中に目を向けますと、義務を軽んじ、権利ばかりを主張する風潮や、自己中と言われる自分本位な考え方、隣は他人として、人と人とのかかわりを煩わしく思う人がふえているように感じます。学校は社会の鏡とも言われます。現在の社会をまともに反映してしまっているのではないでしょうか。友達関係と同じ発想で先生と生徒の境目がなくなっていたり、教育の機会均等であるはずなのに、結果の均等を求めるような要望があるのではないかと考えます。(発言する者あり)  また、少子化あるいは核家族化、地域社会における地縁的な結びつきの希薄化、生活の利便性などを背景にして、子供たちの心身の成長の糧となる生活体験や自然体験などの実体験が不足してきているのではないでしょうか。そのため、豊かな心としての社会性や自己責任の観念が十分にはぐくまれていないのではないか。さらに、不登校、いじめ、問題行動の増加といった課題が生じているのではないかと考えます。  今、流行語となっております学級崩壊、学校崩壊の現象があります。この言葉の明確な定義はないと言われながら、「崩れ」「乱れ」「荒れ」の3段階の児童心理の状況であります。「国家百年の計」と言われる教育について、学校のみならず家庭でも、地域社会でもますます積極的にかかわっていく必要があると考えます。  今21世紀の到来を目前にして、平成14年度からの完全学校週5日制の実施や、昨年度に新しい学習指導要領が告示されるなど、次代を担う人材育成のあり方について、教育制度を含めた指導要領の徹底を図らなければならないと考えるものであります。今後は、変化の激しい社会を心豊かにたくましく生きる力をはぐくむために、一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その伸長を図ることがますます重要となってきております。  そこで、教育長にお伺いします。  まず、世界的な規模での社会の変化の中で、教育の現状と課題を認識しつつ、一連の中央教育審議会答申と、これに基づく新しい学習指導要領を踏まえ、本県教育をどのような方向で展開されようと考えておられるのか。  また、学校教育の中におけるゆとりの創造や、地域、家庭との連携を深めた教育のあり方、さらには、不足していると言われるあらゆる体験活動の推進について、どのような方向を持って進めようとされているのか、お伺いをいたします。  さらに、21世紀に生きる心豊かでたくましい人の育成や、日本人としての誇りと自覚を持ち、国際社会で信頼される人の育成に向けてどう取り組まれるのか、教育長にあわせてお伺いをするものであります。  最後に、来日外国人問題についての現状とその対策について、警察本部長にお伺いいたします。(発言する者あり)  国際化の進展に伴って、全国的に来日外国人が関係する事件事故が増加し、これが社会的な問題になって久しいものがあります。最近では、来日外国人による組織的で凶悪な犯罪や、来日外国人を食い物にする悪質な雇用事案等も発生しているとも聞いております。  県下でも、これまで在日外国人による事件事故として、本年2月、水口署管内でのペルー人5人の不法残留と不法就労助長、また、近々では彦根の韓国人女性の不法残留等が摘発されており、県警の平成9年度調べでは、県内の来日外国人比率は1.01%で、外国人登録者の増加率は8.85%と近畿でもトップであり、昨年の不法滞在者摘発数は65人にもなっていると聞いております。  そこで、質問をいたしますが、我々としては、これらの問題については看過できず、早急に対応する必要があると考えますが、来日外国人問題について、県下の現状と、これに対してどのような対策を推進されているのか、その対応について警察本部長にお伺いをいたしまして、代表質問は終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(滝一郎君) 30番冨士谷英正君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)冨士谷議員の自由民主党滋賀県議会議員会の代表質問にお答えします。  まず、地方分権に関連してであります。  地方分権の進展への対応につきましては、いわゆる地方分権一括法案では、機関委任事務制度の廃止およびこれに伴う自治事務と法廷受託事務への再構成を初め、国の関与の縮減、権限移譲の推進、必置規制の緩和等の措置を講ずることとなっております。  これにより、さまざまな国の縛りが縮減され、県の自立性、自主性が高まることになります。国と県は対等・協力の関係となり、県の施策に対する国の関与がルール化されるとともに、これに不服がある場合の係争処理の手続も整備されるなど、県の自主性がこれまで以上に保障されることになるわけでありますので、国に対しても必要なことはきちんと主張していくということであると思っております。  県といたしましては、総合的な地域経営の責任を担っていくとともに、県民のニーズや地域の実情に即した施策展開が図れるよう政策形成機能を高め、説明責任の徹底、透明性の一層の向上など、自立的な行政システムを確立していかなければならないと考えております。  また、県と市町村は対等・協力の関係を構築するとともに、県民等の県政参画の機会を拡充し、滋賀の自治の構成員である県民やNPO、企業、市町村との協働によって活力に満ちた地域社会を築いていきたいと考えております。  このため、さきにいただきました滋賀県分権型社会を考える懇話会報告を踏まえ、県として、今後地方分権を推進していく上での基本的な考え方を明らかにするとともに、具体的な取り組み方策を示すために、地方分権推進指針を策定することといたしております。近く、議会や民間有識者等をもって発足する新行政システム推進委員会の御意見を賜りたいと考えております。  次に、一括法案の県への影響と、施行に向けた県としての取り組みについてであります。  本年4月から全庁調査を行ってきておりますが、機関委任事務の廃止に伴い新たに条例化すべきもの、あるいは、社会保険や職業安定の事務など国の直接執行となるもの、国から県に権限移譲されるもの、さらには、審議会等必置規制の緩和により統廃合の検討を要するものなど、検討事項はかなり多岐にわたるものと存じます。  現時点では、制定改廃を検討すべき法規の数につきましては、条例が55件程度、規則が60件程度あると見込まれ、政省令への委任事項も多数ありますので、さらに本数はふえるものと存じます。  また、あらかじめ周知を要するものにつきましては、できる限り12月議会をめどに、その他につきましては来年の2月議会にお諮りしたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、法の施行予定期日である来年4月1日に向けて万全の準備を進めてまいりたいと考えております。  次に、専決処分についての御質問にお答えします。  現在、工事または製造の請負に係る契約につきましては、地方自治法施行令に定める基準に基づき、予定価格が5億円以上のものについては、条例により議決事項とされており、契約の変更につきましては、議会の議決に基づき、契約金額の100分の30以内の変更を知事への委任専決処分事項とされております。  執行部といたしましては、契約事務についての公平性や透明性の確保が強く求められている中で、契約の変更につきましても、工事の施行上などから、真にやむを得ないものに限って行ってきたところであります。  なお、基準を変更された場合につきましては、一例ではございますが、不測の変更契約を要する事態となった際に、従来と比較して若干工期が長くなる、あるいは、それに伴って地元近隣への影響や供用開始が延びるといったようなことも場合によっては想定されようかと存じます。  いずれにいたしましても、委任専決処分の基準につきましては、議会の権能も踏まえ、適切な御判断をいただきたいと存じますが、執行部におきましては、今後とも法令の趣旨ならびに議会の御決定の趣旨を十分踏まえまして、適切な契約事務の執行に努めてまいる所存であります。  次に、びわこ空港についての御質問にお答えいたします。  まず、公聴会以降の今後の取り組みについてのお尋ねでありますが、びわこ空港に関しましては、県民の皆さんの間にさまざまな意見がありますことから、直接生の声を聞かせていただくこととしたものでありまして、昨年度県下7会場で開催した県民公聴会には124人からの発言申し出があり、69人の皆さんからびわこ空港に関するさまざまな意見を述べていただき、私もすべての会場に出席させていただきまして、幅広い御意見や提言などをお聞きしたところであります。  発言者からは、「交通手段が経済、社会に大きく影響する。これからの滋賀のためにぜひ空港の整備が必要である」あるいは「環境や福祉など生活に密着した施策を支えるためにも将来を見据えた投資で経済基盤整備が必要である」といった意見や、また、「伊丹、関空、名古屋空港が周辺にあるのに、本当に滋賀に空港が必要なのか」「厳しい財政状況の中、県財政は大丈夫か。空港建設よりも福祉、教育などの施策の充実が大事である」といったさまざまな御意見や疑問なども伺ったところであります。  こうした内容につきましては、県民の皆さんに2回の「ニュー滋賀」臨時号で明らかにしたところでありますが、中でも、疑問や不安に対しましては、現時点における県の考え方もお示しさせていただいたところであります。  今後は、公聴会の御意見なども踏まえ、本県における空港の必要性を客観的にお示しするために、空港による経済波及効果の分析といった、いわゆる経済アセスメントを実施いたしますほか、シンポジウムの開催などを通して、空港に対する県民の議論を深めながら、広く空港への理解を求めてまいりたいと考えております。  次に、経済アセスメントの内容についてのお尋ねでありますが、私が申し上げております経済アセスメントというのは、びわこ空港建設が滋賀県の経済および社会に与える影響等に関する調査をしようというようなものでございまして、その内容といたしましては、需要見通しを初め費用対効果ならびに地域経済効果分析などを柱とするものでありまして、これを一定の数値化あるいは評価するということによりまして、地元や県民の皆さんに理解を深めていただけるものとなるよう、ただいま準備を進めているところであります。  なお、この経済アセスメントの実施につきましては、学識経験者や経済人から成る、仮称でありますが、びわこ空港経済アセスメント検討委員会といったものを設置し、調査内容や分析方法等について専門的な立場から指導や助言をいただきながら進めていきたいと考えております。  次に、地元両町の取り組み状況や今後の方針についてでありますが、特に空港の整備にまだ御理解をいただけていない集落に対しましては、両町長も再三にわたり地元を訪ね、空港に理解をいただくための継続的な話し合いについて要請を重ねていただいているところであります。  地元両町においては「空港を核としたまちづくり」というのを提唱されており、両町長からは、今この時期を逃がせば空港は実現できない、したがって、このまちづくりも実現できないとの危機的な認識のもとに、空港実現への町民理解を深めるためのシンポジウムの開催や広報啓発活動を展開するほか、反対集落に対しましては、空港整備への理解が早期に得られるよう積極的な取り組みをされようとしているというところであります。  県といたしましても、町ともども誠意を持って地元全体の合意が早期に得られますよう一層努力してまいりたいと考えております。  次に、人権尊重に向けた取り組みについての御質問にお答えします。  21世紀を真に人権の世紀としていくためには、県の果たすべき役割は重要であると認識しておりまして、さきの提案説明でも申し上げましたとおり、県民のだれもが一生涯を通じて人権が尊重されるという社会を滋賀に築いていかなければならないと考えております。  このため、昨年7月に「人権教育のための国連10年滋賀県行動計画」を策定したところであり、現在この計画に基づき、人権教育の一層の取り組みに努めているところであります。  さらに、すべての人の人権が尊重され、だれもが生き生きと暮らすことができる、人が輝く活力ある滋賀を目指すためには、人権施策を総合的に推進していく必要があると考えておりまして、今般有識者による滋賀県人権施策推進懇話会の設置を決めたところであります。  この懇話会の委員には、人権に関してさまざまな角度から協議をいただけるよう、広い学識経験と専門的な知識を有する方で、県にかかわりの深い方を中心に御就任いただき、人権施策を推進する上での基本理念や基本方向、推進体制等について協議の上、来年度には提言をいただきたいと考えております。  県といたしましては、この提言を受けまして、今後の取り組みに当たっての基本的な考え方というのを決めてまいりたいと考えております。
     次に、世界湖沼会議についての御質問にお答えします。  去る5月にコペンハーゲンで開催されました第8回世界湖沼会議には、本県から、発表者やNGO代表者、県議会議員の方々など50名余りに上る御参加をいただいたところであります。  世界湖沼会議は、湖沼の環境問題の解決のためには、研究者、行政、市民が手を携えて取り組まなければならないという考えのもとに、滋賀の地で始まったものであります。ともすれば学会的色彩の強かったこれまでの湖沼会議と異なり、第8回世界湖沼会議では、設立当初の精神に立ち返り、初めてNGOセッションが正式に設けられました。このセッションで、各国のNGO代表者がその活動内容などを互いに発表し、率直な意見交換が行われたことは、本県から参加されたNGOの代表者の皆さんにとっても大きな刺激となり、今後県民の自主的な保全活動をより一層発展させていくための大きな力となったのではないかと考えております。  また、滋賀県からの参加者にとっては、国際的なNGOとの交流を深めたり、環境ホルモンなどの新たな課題の現状について直接専門家の報告に触れたりすることで、国際的な流れに対する理解を深める機会になったことや、これまで実施してきた琵琶湖を保全するための取り組みが国際的にも高い評価を受けているということを確認できたということも、大きな成果であったと思っております。  本県での開催以来15年を経る中で、8回の会議の成果と各国での取り組みを振り返りますと、さまざまな努力にもかかわらず、まだ世界各地で汚染や汚濁などの環境破壊が進行し、水資源の量的、質的な損失を招き、固有種に富む湖中の生態系に影響を与えつつあるという現状にあります。そして、このような状況の背景には、これまで人類が築き上げてきた社会やライフスタイルのあり方が問われているという問題が根底に存在しているということだと思います。したがいまして、湖沼の環境保全を図っていくためには、単に行政だけではなく、市民、事業者、研究者などの湖沼にかかわる関係者がともに手を携えて知恵を出し合い、具体的な保全行動につないでいくということが求められていると思います。  そこで、環境の世紀とも言われる21世紀の初頭に再び滋賀の地で開催する世界湖沼会議では、同時に開催いたします国際水環境フォーラムとあわせまして、地球の温暖化と湖沼、健康と湖沼汚染、富栄養化や生態系の破壊などの湖沼現象の解明、淡水資源問題への取り組みなど、今世紀中に解決できなかった湖沼が直面するさまざまな問題について意見を交換するとともに、新しい世紀における淡水問題、湖沼問題の解決を目指すさまざまな人々や国際的な地域間のパートナーシップをより深める機会となるようにしたいと、こう考えております。  次に、G8環境大臣会合との連携についてでありますが、このような会議が我が国で開催されるのは初めてのことであり、内外の耳目が集まりますので、できるだけ多くの方々に琵琶湖での環境保全の取り組みを知っていただくということとともに、県民の皆さんにとっても、地球規模の環境問題についての認識をより深めていただき、地域での環境保全の取り組みをさらに進めていただく契機になればと、こう考えております。  そこで、県内の幾つかの地域で進められている県民、企業、行政が一体となった取り組みをさらに多くの地域に広げるなど、県民、企業、行政が環境保全に関する情報を共有し、ともに考え、ともに行動する機会をより一層充実し、これらの成果を2001年の世界湖沼会議につなげてまいりたいと考えております。  琵琶湖研究所の整備充実につきましては、去る5月に庁内の関係部局の職員から成る琵琶湖研究所拡充整備基本構想検討委員会を発足させ、検討に着手したところであります。  検討に当たりましては、琵琶湖の総合的な保全に加えて、最近大きな課題となっておりますダイオキシン類等の微量化学物質対策や大気・土壌といった新たな課題など、環境行政の諸課題を踏まえまして、調査研究機能、さらに国内外の湖沼保全との連携を推進するための情報交流機能の充実を図るため、行政改革大綱の趣旨をも踏まえまして、特に関連の深い衛生環境センターの機能と合わせて再編、拡充整備をするということを基本に検討してまいりたいと存じます。  また、環境に関する試験研究ニーズの増大、試験研究機器の高度化等に対応して機能の拡充を図るためには、現在の場所では十分対応できないと考えられますことから、移転、新築を基本に検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、介護保険についての御質問にお答えいたします。  いよいよ介護保険制度のスタートが間近に迫ってきました。この制度は、21世紀の超高齢社会を見据えた、私たちの老後生活最大の不安要因となっております介護の問題に的確に対応していくための新たな仕組みとなるものであります。制度実施には多くの県民の方からも強い期待が寄せられているところであり、介護の問題は、待ったなしの状態でありますとともに、国民的課題でありますことから、ぜひ予定どおりスタートを切らなければならないと考えております。  この10月からは、制度の入り口となります要介護認定業務が始まるところであり、現在各市町村でその準備業務に精力的に取り組んでいただいており、総じてスケジュールに沿った準備が着実に進められていると承知しております。  こうした中で、実施時期の延期や先送り論等、一部にさまざまな意見がされておりますが、最大限の努力をしていただいている市町村の準備業務への取り組み、さらには制度に期待を寄せられる多くの県民の方々のことを考えますと、介護の必要な高齢者や介護に携わっておられる家族を一日も早く社会的に支援できるよう、予定どおり実施することが肝要であると存じます。  今後とも、より一層、市町村や関係団体等と連携を密にし、きめ細かな支援に努め、準備に万全を期してまいりたいと存じます。  また、介護保険料等についてでございますが、各市町村におきましては、保険料算定の基礎となる介護保険事業計画の策定に取り組んでいただいているところであり、現時点では、厚生省が提示しましたマニュアルを参考にしながら試算をしているという段階でございますが、全体を見ますと、おおむね市町村は2,500円から3,000円ぐらいの試算になっておりまして、高いところでも約3,300円、低いところで約2,000円と聞いておりまして、他府県で言われているような大きな格差は出てこないと予想しているところであります。  今後市町村では、サービスのニーズ見込みや供給量の精査、さらに特別給付等について検討、調整を加えた上で、来年2月ごろには決定されるという予定でございます。  介護保険は、みずからの町のサービス水準に見合った保険料について、行政関係者と地域住民が一緒になって議論を重ねていただき、そうした中でそれぞれの町の給付と負担のありようが決められていくというものでございます。結果として、そこに差が見られるといたしましても、それはそれぞれの地域におけるサービス提供についての個性や特色をあらわしているものと思われますので、県といたしましては、そうした地域の熱意や工夫による自主的な取り組みは大いに期待しているところであります。  自分たちの地域のことは自分たちで決めるというこの仕組みは、いわば「住民の、住民による、住民のための介護保険」ということでもあり、まさしく住民自治そのものであると考えております。県といたしましても、こうした取り組みを見守りながら、適切に保険料が設定されるよう支援してまいりたいと考えております。 ◎総務部長(西堀末治君) (登壇)地方分権に関連して、4点の御質問にお答えを申し上げます。  1点目の地方分権に対する県民の関心をどう高めるかについてでございますが、今回の分権改革は、国の地方に対する関与を縮減し、地方自治体の自主性、自立性を高めるための制度を確立し、住民が主役の分権社会の構築を目指すものであり、住民一人一人が地域の課題について関心を持ち、主体的に取り組むことが必要でございます。  そのため、今年度は地方分権に関するフォーラムを開催するほか、県事務所ごとに予定をしております将来のまちを考える地域懇話会での議論などを通じて県民の皆さんの認識を高めますとともに、県の広報紙など広報媒体を活用して一層の啓発に努めたいと考えております。  また、県民の皆さんに関心と主体性を持ってもらうためには、さまざまな行政情報の共有が必要でございますことから、情報公開制度の拡充の検討やインターネットなどを活用した情報の提供等にも努めていきたいと考えております。  次に、2点目の市町村への権限移譲の推進についてでございますが、いわゆる地方分権一括法案に基づき、市町村へ移譲されるものにつきましては、今後の政省令等の改正状況を踏まえながら、それぞれの施行期日までに円滑に事務引き継ぎが行われるように所要の準備を行ってまいりたいと存じます。  また、県独自の権限移譲につきましては、さきに分権型社会を考える懇話会からいただいた報告の中でも、県と市町村の対等・協力関係を前提に、対話方式による推進が望ましいと提案をされているところでございまして、できるだけ早く市町村との協議組織を立ち上げ、その理解と協力を得ながら、地域の実情に即した権限移譲を進めていきたいと考えております。  さらに、市町村が主体性を発揮し、地域の実情に即した個性的、重点的な事業を実施できるという観点から、補助金の統合化や交付金化についても検討してまいりたいと考えております。  3点目の県が果たすべき役割、責務についてでございますが、地方分権の目標である住民自治の拡充のためには、できる限り住民に身近な市町村において事務が完結をすることが望ましいとされ、今回の地方自治法の一部改正案でも、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体として、「広域にわたるもの」「市町村に関する連絡調整に関するもの」および「その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの」を処理することとされておりまして、県の役割について一定の整理がされているところでございます。  県は、国や他府県との調整を図りながら、県全体の地域づくりの方向性を示し、県民や市町村とともに連携、協力して取り組むといった総合的な地域経営の責任を担うとともに、広域的な視点から市町村間の総合的な調整を図ることなどが求められると考えております。こうした役割分担を踏まえて、県は、市町村との対等の関係のもとで協調をしていくために、権限移譲や関与、補助制度の見直しなどを進めていく必要があると考えております。  4点目の県事務所の機能充実と市町村に対する指導についてでございます。  まず、県事務所につきましては、地域の特性に応じた総合行政の推進や市町村行政の自立促進の支援強化などの観点から、その機能の充実を図る必要がございますことから、平成11年度の行政改革実施計画におきましても、県事務所機能を充実強化する方向で本年度検討することとしておりまして、議会や新行政システム推進委員会等での御議論を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。  なお、広域行政、市町村合併につきましては、これからの分権型社会におきまして、市町村が地域の課題を総合的に解決していく上での有効な選択肢として、その推進を図っていく必要があると考えておりますが、このことは、市町村やその住民の主体的な判断が重要でありますことから、これまで県といたしましては、こうした機運の醸成や議論の場づくりに努めてまいりました。今後さらに市町村や県民の皆さんの関心や認識を高めていくため、県民意識など調査研究の成果も生かしながら積極的な情報の提供を行っていくとともに、県民集会、地域討論会の開催や、地域、県域での懇話会の設置などを考えているところでございます。 ◎企画県民部長(今堀治夫君) (登壇)県民の社会貢献活動の促進についての御質問にお答えします。  まず、NPO認証団体の状況についてでありますが、本県では既に10件の申請があり、うち9件について認証をしております。ちなみに全国では278の団体が認証されており、本県の認証数は全国でも7番目に多く、活動の熱心さがうかがわれるところであります。  その活動分野につきましては、子供の健全育成に係る分野が最も多く、次いで保健・医療・福祉の増進に係る分野、環境の保全に係る分野、まちづくりの推進に係る分野となっております。  なお、これらの団体の活動状況につきましては、1年間の事業終了後に県へ報告することとなっており、現時点では、いずれの団体もその時期に至っておりませんので、把握できておりませんが、今後そうした段階できちっと把握をしてまいります。  次に、県民の社会貢献活動を促進するための県の基本的な考え方の策定状況等についてでありますが、県として取り組むべき基本的な方針や総合的な支援策を検討するため、昨年6月に活動団体や有識者から成る県民活動促進に関する懇談会を設置し、また懇談会の活動の一環として、県下5会場で地域の方々とNPOはつらつトークも開催するなど、活発な御議論をいただいてまいりました。  そこでは、県民の自主的な社会貢献活動は、社会の利益につながる公共的な活動であり、自主性を尊重した上で支援し、活動が活発となり成長していくことが、県民一人一人の思いが反映できる社会や県民の多様なニーズにこたえる社会、行政と県民との新しいパートナーシップが築かれた社会の実現につながるものであるとの認識に立ち、そのために必要なパートナーシップのあり方や支援のあり方などを基本的な考え方として示すこととなり、今その取りまとめの最終段階を迎えているところであります。  次に、今後の社会貢献活動の支援の方向についてでありますが、この基本的な考え方を踏まえ、広く県民の理解を得ていくとともに、その活動に対しては、法人格の有無にかかわらず、個人のボランティアからNPOまでを広く対象に、自主性、自発性を尊重しながら、広報啓発による参加機運の醸成やさまざまな情報の提供、活動につながる参加の機会づくり、リーダー等の人材養成、さらには支援機関の充実などを図っていきたいと考えております。  今後とも淡海ネットワークセンターを中心に、県民を初め、企業や市町村、関係機関の協力も得ながら、社会貢献活動の一層の促進に努めてまいる所存であります。 ◎健康福祉部長(池口博信君) (登壇)介護保険につきましての2点の御質問にお答えを申し上げます。  まず、介護サービスに係る民間事業者の参入の動きについてでございますが、介護保険制度の導入に伴い、民間事業者の在宅サービス分野への参入が可能となり、多様な民間事業者がさまざまな取り組みを進めているところでございます。  県内においても、異業種からの介護サービスへの参入や、企業によるホームヘルパー養成研修の取り組み、さらには介護サービスを活動の中心とするNPOの立ち上げ、農業協同組合や生活協同組合による福祉活動への積極的な取り組みも行われているところでございます。  こうした中で、この6月初めに民間事業者の指定に係る説明会を開催しましたところ、社会福祉法人や医療機関、民間事業者、NPO、シルバー人材センターのほか、従来は福祉分野とは無縁と見られておりました建設や運輸関係の企業などさまざまな分野から約500カ所の事業所などの参加があり、関心の高さがうかがえるところでございます。  今後こうした事業者が介護サービス事業者として参入されることによって、地域における在宅サービスの基盤の整備が一層進み、また、競争原理の導入によるサービスの質の向上が図られ、利用者にとっては、多様な事業者の中からみずからの意思でサービスの利用を選択でき、ニーズに即したサービスが提供されるような利用者本位のサービス基盤が期待されるところでございます。  なお、市町村が独自判断で認めることのできます基準該当事業者につきましても、国の定める条件を満たす必要があり、一定の基準は確保されることとなりますが、今後、この取り扱いにつきましては、それぞれの地域の実情も勘案し、市町村とも連携を図りながら対応してまいりたいというふうに考えております。  また、民間事業者の参入促進の手だてについてでございますが、現在各健康福祉センターにおきまして民間事業者と市町村の連絡調整などの場を設定いたしまして、意見交換などを行っているところでございますが、今後とも介護サービスに関する相互の情報提供や情報交換などを中心に、事業者が参入する上での課題の対応にも取り組み、参入促進を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、現在各種のサービスを受けておられる人たちが介護保険の対象外となったときの支援についてでございますが、特にホームヘルプサービスやデイサービスを受けておられる高齢者の中で自立と判定をされました方に対する生活支援や生きがい対策の支援は、介護保険の導入を円滑に実施いたしますためにも大変重要な課題であると認識をいたしております。  そうした中で、国においても、該当する人たちへの支援について、生きがい対応型デイサービス事業や高齢者共同生活事業などの新たな施策の導入も予定をされているところでありまして、県といたしましても、こうした国の新しい事業も視野に入れながら、その対応について今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、特別養護老人ホームの入所者で、自立または要支援と認定をされました場合には、5年間の経過措置はございますものの、それ以後の処遇について不安感のないよう本人の意向も尊重をしながら、高齢者生活福祉センターや養護老人ホーム等の活用などについての支援を図りますとともに、在宅サービスを利用しながらの生活を希望されますときには、その支援にも十分配慮するなど、市町村と一体となって必要な整備を進めていく所存でございます。  県といたしましては、今後の国の制度の動向や事業の実施主体である市町村の計画を見きわめながら、必要な人に必要なサービスが提供でき、高齢者が住みなれた地域で安心して生活ができるよう新しい仕組みなども視野にいれながら、適切に対応できるよう精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。 ◎商工労働部長(西村隆君) (登壇)雇用対策についての御質問にお答えいたします。  昨年春ごろから景気が厳しさを増して以来、国の経済対策に呼応しながら、本県におきましても公共事業の積極的な推進や中小企業金融対策などの景気対策に取り組んでまいったところでありまして、現状では経済指標に国と同様の改善の動きも見られてまいりました。しかしながら、御指摘のように、雇用情勢につきましては大変厳しい状況が続いております。  そこで、最近の求職者数の増加についてでありますが、昨年半ばから景気の低迷による雇用情勢の悪化が進んできておりますが、その主な要因としましては、1つには、従業者数が本県全体の3分の1を占める製造業において、不況の影響を大きく受けており、その離職者が新たな求職者となっていることでございます。  2つには、大津・湖南地域にあっては京阪神地域を職場とされる場合が多いところですが、現在京阪神地域は全国でも最も厳しい経済雇用状況にありまして、その地域からの多くの方々が、離職を余儀なくされ、県内の安定所へ求職を申し込まれているということがございます。  3つには、求人条件とのミスマッチがございます。完全失業率4.8%のうち、ミスマッチが占める割合は全体の3分の2というふうに言われております。例えば求職者全体の約半数はホワイトカラー希望者でありまして、企業の求人の職種内容と大きなギャップがございますし、45歳から54歳までの年齢層の有効求人倍率は0.28倍と、求職者4人に1人しか求人がないという状況であります。また、一家の生計を支えられる中高年齢者は一定水準の賃金を希望されるところでありまして、そうした不適合が求職者数の増加につながっているというふうに考えております。  このようなことから、景気の回復を急ぐことが肝要でありますし、離職を余儀なくされた方々の雇用の受け皿となる産業の創出に真剣に取り組む必要があると考えているところでございます。  次に、国の緊急雇用・産業競争力強化対策を踏まえた今後の県における取り組みについてでありますが、本対策は、とりわけ厳しさの増す中高年齢者の再就職支援に焦点が当てられており、その中で国や地方公共団体がみずから雇用の創出を図ろうとする内容からも、並々ならぬ決意のもとでの対策であると承知をいたしております。  この国の対策を受けまして、去る15日には県総合経済対策本部を開催し、臨時応急の雇用創出について、県としてどのような事業が考えられるのか、各部局での洗い出しを始めることとしたところであります。今後、7月上旬には国の補正予算がまとまるとのことでありますので、その動きをにらみながら県としての対応に全力を挙げてまいりたいと考えております。  また、去る16日には、労働者、経営者、行政が一堂に会して県雇用創出・安定行労使会議を開催し、深刻な雇用情勢に対して、三者がそれぞれの立場から知恵を出していくことが合意されたところでございます。今後緊密な連携をとることとし、当面、事務レベルでの会合を月2回程度持つこととしております。  また、緊急雇用対策と相まって、産業競争力の強化を目指した産業再生関連の法案が今国会に提出されることとなっております。その柱は、企業の再構築支援、技術開発の活性化対策ならびに中小企業やベンチャー企業の育成でありますが、安定した雇用の確保のためにも、県といたしましては、本年4月に設立いたしました産業支援プラザを中心に産業支援機関をネットワーク化して、中小企業やベンチャー企業の新分野進出等を支援し、雇用の受け皿となる新事業の創出を図ってまいりたいと考えております。 ◎農政水産部長(中森武君) (登壇)農業問題のうち、まず、環境に優しく持続可能な農業を育成することについてお答えします。  農業は、本来自然を相手に営まれる環境に優しい産業でありますが、農業生産の近代化が進む中で、環境にも少なからず影響を与えている面も否めないところであります。  今国会で審議中の食料・農業・農村基本法案におきましても、農業の自然循環機能の維持増進を図るため、農薬および肥料の適切な使用や家畜の排せつ物等の有効利用による地力の増進等を推進することが定められるとともに、関連法案が今国会に提出されています。  本県では、琵琶湖の水質を保全するために独自の対策としてクリーン・アンド・リサイクル農業を提唱し、農業排水に対する啓発事業や水田ハロー導入による浅水代かきの普及促進等の営農対策、さらには、みずすまし事業など環境調和型農業の推進に努めているところでありますが、今年度新たに、家畜ふん尿に道路の刈り草や琵琶湖の水草等を加えまして堆肥化する有機の郷づくり事業にも取り組んでおります。  食に対する安全志向が高まる中、消費者に安全で安心な食料を供給するため、農薬と化学肥料を低減した生産方式の確立や地域の有機質資源の堆肥化による土づくりに努めるなど、可能な限り環境への負荷を削減しながら、一層環境と調和した持続可能な農業を推進してまいりたいと考えております。  次に、近江こだわり農産物発信事業の取り組み状況と目指す方向についてお答えします。  現在の取り組み状況でございますが、こだわり農産物の技術確立を目的として本県の基幹作物であります水稲について、県下3カ所において生産技術実証ほを設置しております。品種については、滋賀県で育成した、いもち病に強いゆめおうみを使用し、化学肥料のかわりに油かすなどの有機質肥料を使用することを基本として、その1つには、水田にコイを放流することによって除草剤等の農薬や化学肥料を使用しない栽培、2つには、化学肥料の使用量を通常の半分とし、水田を紙マルチで覆うことによって除草剤などの農薬を使わない栽培としておりますし、3つには、農薬と化学肥料の使用量をそれぞれ通常の半分に減らした栽培、これらの3つのタイプで実施をしております。現在のコイの活動の範囲に偏りが見られたり、紙マルチが土にうまくおさまらなかったりしたことから、一部に草の発生が見られるものの、おおむね順調な経過で推移しております。  また、今後は有機農産物などの先駆的な取り組みをされている農家やその流通について実態調査を行うとともに、有機農産物の生産および流通を進めるためのフォーラムの開催を予定しておりまして、これらの取り組みを通じて本県独自の生産技術の認定制度を検討していくこととしております。  次に、近江こだわり農産物発信事業の目指す方向といたしましては、消費者ニーズの多様化や産地間競争の激化など、米をめぐる厳しい情勢のもとで、今回国で改正されようとしております日本農林規格──JASで定められる有機農産物の基準に合致した、農薬や化学肥料を全く使用しない米づくり、さらには、集落営農の一環として取り組みが期待できる、農薬や化学肥料を通常の半分に減らした米づくりなどの生産技術の確立と普及を図ろうとするものであります。  この取り組みを通じまして、本県で生産される近江米のイメージアップにつなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◎教育長(吉川勉君) (登壇)新学習指導要領と本県の教育の方向についての御質問にお答えいたします。  戦後の荒廃を身をもって体験された方がだんだんと少なくなってまいりましたが、まさに食べること、生きることから再出発して50年余、国民の懸命の努力があって、今や世界のトップをいく経済大国になりました。そこには、勤勉の国民性と相まって、教育が果たしてきた役割も極めて大きいものがあったと思っております。  しかし、やや結果論的にはなりますが、今振り返ってみれば、社会の風潮として、また教育の場においても、自由の前提である自己責任と、権利の裏側にある義務をしっかり身につける努力をしたか。さらには、平等ということについても、機会の平等と結果の平等を混同させてはこなかったかという指摘があります。また、人間としてのルールやマナーの大切さもしかりであります。特に家庭における子育てにおいて、しつけや社会的規範を身につける基本的な教育がおろそかになったのではないかという反省を社会全体がするようになってまいりました。  本県の20万人の子供たちに目を移しますと、多くの子供たちは、意欲的に学習し、学級や学校で自分のよさを発揮し、文化・スポーツ活動のみならず、社会福祉施設等を訪問して人生を考えたり、地域での活動にも積極的に取り組んでおります。  このような活動が見られる一方で、子供たちの心の中に自立心や規範意識が適切に育っていないという、気になる傾向、さらには、自己中心的で集団や社会の一員としての行動ができない状況も見られます。そこにも少子化の陰の部分を感じるものであります。  教育の目標は、よりよい人間性の育成にあります。時代を超えて変わることのない、いわば人の痛みや、あるいは人の優しさを感じることができる人間としての生き方やあり方を求める、そういう教育が必要であって、そのためには、幼児期からの一貫した心の教育の充実を、学校はもとより家庭においても推進する必要があります。文明の発展は、合理性の追求によってなされるという側面を持っておりますが、その結果による自然体験や社会体験の不足が、子供の道徳性の発達に重大な影響を及ぼしていると考えられます。  先般出されました新しい学習指導要領においても、ゆとりと生きる力を基調に置いて、基礎基本の確実な定着と豊かな体験の必要性が強調されており、また、この6月に出されました生涯学習審議会の答申でも、自然体験や生活体験あるいは手伝いが豊富な子供ほど、道徳観や正義感が身についていると指摘されております。  しかし、体験させればよいというのではなく、汗を流し、泥にまみれる体験とか、自分のふがいなさを思い知る失敗体験、さらには、受け身でなく挑戦する心が育つような体験等をさせることが、心豊かでたくましい子供の育成につながるものであると考えております。  そういう意味でも、今回の学習指導要領の改訂で小・中・高等学校に初めて導入された総合的な学習の時間は、子供たちが日常味わうことのできない体験をさせることのできるよい時間にしてほしいと思っておりまして、効果的に推進してまいりたいと考えております。  家庭や地域の環境が学校教育に深くかかわる今日、学校が家庭や地域に開かれたものになることは、御指摘のとおり大切なことであります。  先日私は次のような報告を受けました。それは、家庭での虐待を受けて学校に来られなくなった小学生に対して、学校はすぐに児童相談センター、警察、民生児童委員、PTAなどによる関係者会議を開催し、親や子供への支援のあり方、今後の措置などについて話し合い、それぞれの立場で検討し、対応していただいた結果、親子関係が修復され、学校へ復帰することができるようになったということであります。これまでもこうした関係者による連携はとってきましたが、今後はさらに学校教育の内容や方針についても保護者や地域住民の皆さんに理解いただくよう、教職員の意識改革への努力もあわせて開かれた学校づくりへ向けて一層推進してまいりたいと考えております。  最後に、日本で初めての主要8カ国環境閣僚会議、いわゆるG8環境サミットが来年本県で開かれることになりましたが、これまで全国に先駆けて環境教育に積極的に取り組んできた私ども教育関係者にとっても大変うれしいニュースであります。  本県では、子供たちの宿泊体験の場として、ふるさとのシンボル、琵琶湖にそれを求め、びわ湖フローティングスクールを開設し、子供たちに自然や命を守る大切さや郷土を愛する心を育ててまいりました。うみのこは今年で17年目を迎え、そこで学んだ子供たちの数は27万人、滋賀県人口の約5分の1となりました。今年からは京都や大阪の淀川流域の小学生との交流航海も実施しますが、近畿1,400万人の水源である琵琶湖や自然を思いやる気持ちを共有してくれればと思っております。「みずうみに学んで世界の明日を見る」というスローガンを掲げたこの学習船での体験により、子供たちが、琵琶湖から近畿、そして世界へと大きく視野を広げてほしいと改めて思っております。  子供たち自身が、自分の育った地域を知り、我が国のすぐれた伝統や文化を学ぶことにより、自分の国が好きになり、誇りを持って他国の人々と交わることができると考えます。また、このことが、他国の文化や風習にも敬意を表することのできる心や態度を培うことになると考えております。  「汝の国の青年を語れ。しからば汝の国の将来を卜せん」、アリストテレスの言葉でありますけれども、まさにその国の青少年の姿を見れば、その国の将来を占うことができるというように思います。今後とも、よりよい人づくりへと、また、その環境づくりへと一層の努力を注ぎたいと考えているところでございます。 ◎警察本部長(荒木二郎君) (登壇)来日外国人問題についての御質問にお答えを申し上げます。  まず、全国的に見た最近の来日外国人犯罪の特徴として、国際犯罪組織が背景にあると見られます強盗事件あるいは中国人グループによります組織的窃盗事件などが多発をし、不法滞在者を中心として国内の暴力団と結託する動きが見られるなど、その組織化、凶悪化が一段と進んでおることが特徴であります。  本県においては、昨年来日外国人の犯罪検挙等は65人と、5年前と比べて3倍以上に増加をしております。質的にも、イラン人によります覚せい剤の密売、ブラジル人によりますコンビニエンスストア強盗、中国人によります逮捕監禁事件等悪質かつ凶悪な事件が続いておりまして、その検挙した外国人被疑者の多くが他府県の居住者でありまして、本県にやってきて犯罪を敢行しておるのが特徴であります。  議員御指摘のとおり、来日外国人居住者約1万3,000名強でありますけれども、この県の人口に占める割合あるいは来日外国人の登録者の増加の率、それから、来日外国人の刑法犯の検挙人員に占める割合、これらのいずれもが近畿の2府4県の中で第1位となっております。したがいまして、本県は、東京の歌舞伎町のように外国の犯罪組織が根づいているというところまではいきませんけれども、旅行犯の犯行地となっておりまして、先般彦根において摘発をいたしました不法就労事案に見られますように受け入れ組織の萌芽が見られるところでありまして、来日外国人犯罪問題の深刻度は全国的に見てもかなり高いものと考えております。  こうした現状に的確に対応するために、県警組織機構の整備を図りまして、この春、警備部に来日外国人問題専任の参事官を配置し、既存の委員会のもとに執行部門として外国人問題対策推進本部を発足させ、外国人問題につきまして、各部門の垣根を越えて県警の総合力を発揮できる体制を確立いたしたところであります。具体的な取り組みとして、本年5月、6月、来日外国人問題対策の強化期間といたしまして、不法残留や不法就労事犯の防止および取り締まりに集中的に取り組み、期間中19人を不法残留等で検挙いたしました。  来日外国人犯罪につきましては、その捜査に際しまして通訳が必要となりますし、あるいは、留置場に入れました場合に、宗教や生活習慣の違いから食事等につきましても特別の配慮が必要となります。また、広域あるいは海外にもまたがって巧妙に組織化された外国人犯罪組織の解明が非常に困難であるなど、多くの課題を抱えております。このため、県警といたしましては、外国語で取り調べのできる捜査官の育成、あるいは、自供が得にくく規律のかたい外国人犯罪組織を解明するための新たな捜査手法の開発等に努めております。また、犯罪を犯した来日外国人のうち6割以上が不法残留者によるものでありまして、不法残留およびこれを助長する犯罪の捜査にも一層力を入れてまいりたいと考えております。  現在来日外国人を雇っておられます企業の方々を集めまして、各警察署単位で国際交流連絡協議会というものを設立いたしておりますけれども、この活動を通じまして、来日外国人の不法就労防止の啓発にも、より力を入れてまいりたいと考えております。  このように犯罪の取り締まり等を強化します一方で、日本の法律、制度、風俗、習慣等になれていらっしゃらない来日外国人の方に対しまして、日本で安心して生活していけますように、外国人向けの交通安全教室や防犯教室などを行うなど、外国人の方の保護活動も強力に推進しているところであります。  現在草津警察署など7つの警察署におきましては、外国人の方の来庁時の便宜を図りますために、庁内の案内表示板に外国語を併記いたしておるところでありますけれども、今後全警察署に拡大をすることといたしております。  今後国際化に伴いましてますます増加するであろう来日外国人の方が、より安心して日本で生活できるように、また、来日外国人の増加によりまして犯罪、事故が増加することのないように、さらに努めてまいる所存であります。 ○議長(滝一郎君) 次に、44番稲田喜代司君の発言を許します。 ◆44番(稲田喜代司君) (登壇、拍手)改選後初めての県議会定例会におきまして、県民連合を代表いたしまして質問をいたします。  20世紀最後の統一選挙が執行されました。全体を通して感じますことは、政治と有権者との意識には大きく隔たりがあり、相変わらず政治不信などによる無関心層や無党派層が多く、そのことが今回の投票率にもあらわれる結果となりました。私たちは、政治不信の払拭、信頼回復を図るために、真摯な気持ちで一層の努力を傾注していく必要性を痛感するものであります。  さて、県議選では、県民の審判の結果、1会派に力が偏らず、今までにない県議会に緊張感をもたらす結果となりました。我が会派は、多くの県民の皆さんの御支援のおかげで、(発言する者あり)改選前を上回る議席を得ることができ、私たち県民連合への県民の期待と信頼にこたえなければならないと決意を新たにしているところでございます。特に女性議員3名を有する会派となり、女性特有の感性と母性愛に彩られた人間味豊かな政治感覚を十分取り入れる中で、県民主役の生活者重視、地域重視の視点に立って、環境、福祉、教育、経済問題等々の課題に政治集団として積極的に取り組み、他の会派と協調しながら、21世紀に向けて県勢発展と福祉、生活向上に全力で取り組んでまいる所存でございます。
     以下、当面する県政の諸課題について質問をいたします。  初めに、G8環境サミットおよび世界湖沼会議の本県開催について、知事、琵琶湖環境部長ならびに土木部長にお尋ねいたします。  2000年のG8環境サミット、そして2001年の第9回世界湖沼会議と2年連続して、世紀をまたいで、環境に関する大きな国際会議が本県で開催されることが決定されました。このことは、本県にとって、環境こだわり県としての面目躍如たる思いとともに、私どもは大いなる期待を寄せるものであります。  G8環境サミットは、2000年夏の九州・沖縄サミットに先立って、我が国で初めて開催されるものであり、地球温暖化対策、ダイオキシンや環境ホルモン等の有害物質対策、水環境対策等々の地球規模での今日的課題が論議され、大きな成果が上げられることを今から期待するものであります。  また、4月にまとまりました琵琶湖総合保全計画が、環境サミットの開催を機に大きく推進されることを願うものです。県独自の関連イベントを開催されることも一層県民の関心を高めるものと考えます。  そこで、知事に、G8環境サミットの本県開催の意義、受け入れ態勢についてどのように考えておられるのか、まずお伺いをいたします。  2001年には、世界湖沼会議が開催されます。1984年に滋賀県の提唱で開催されたこの世界湖沼会議は、既に8回を数え、湖という親しみやすい自然をテーマに、人間と自然のかかわりを、さまざまな経験交流を通し論議されてきました。それは、本来持つ自然を人類が勝手に破壊しているという現状認識と反省の上に立って何をなすべきかという真剣かつ重要な課題と向き合っていると言いかえてもいいのではないかと考えるものです。2001年の第9回会議が再び琵琶湖のほとりで開催されるに当たり、この認識は第1回当時といささかも変わっていないのであり、そのことを基本に据えて、新たな展開を図らなければなりません。  そこで、知事に、本県の新たな環境政策についてどのような取り組みをしようとお考えなのか、御所見を伺うものです。  また、本年度、琵琶湖研究所拡充整備基本構想調査に入られておりますが、環境分野の調査研究機能の抜本的な整備充実についてどのような検討がなされようとしているのか。ダイオキシンの測定が自前でできるようにすることも喫緊の課題でありますが、その体制についてもお尋ねをいたします。  湖沼会議の会場はどこを考えておられるのか。一部の地域のみで開催するのではなく、広く県下各地に分散することにより、より多くの県民参加、関心を呼び起こすことは必定であります。どのような考え方で進められようとしておられるのか、伺います。  国際水環境フォーラムも湖沼会議とあわせて開催されると聞き及んでおりますが、どのような内容となるのか。また、滋賀県が新たなテーマや課題を提起されるおつもりなのか、お尋ねをいたします。  この2年にわたる環境に関する国際会議を開催するに当たり、本県の環境政策、水環境保全に対する先進的な取り組みと実績を世界にアピールし、一人でも多くの人々に本県を、そして琵琶湖を知っていただく努力をすることは重要と考えます。先進的な取り組みはどんどんと発信すべきであります。しかし、反面、自信を持って見てもらえない事象、恥部があることも否定できません。これについては、ぜひ環境サミット開催までに解消するぐらいの決意で取り組むべきではないかと考えます。  その1つは、湖岸や公園、道路沿いなどに散乱しているごみの問題であります。空き缶、空き瓶、ビニールや紙くず、たばこの吸い殻等々、これらの投げ捨ては一向に減ることはありません。このことは、その地域に生活する人々のモラルが問われる事柄であります。環境問題に取り組む姿勢の問題でもあります。平成4年7月に施行された滋賀県ごみの散乱防止に関する条例は、その後7年を経過いたしましたが、現在の実態を見るとき、条例の実効性は全くないのではないかと言わざるを得ません。本条例の目的には、「ごみの投捨てによる散乱を防止することにより美観の保持および琵琶湖その他の水域の水質保全に努め、もって快適でさわやかな県土をつくり上げる」とうたっているのであります。  この際、環境の負荷を低減するためのデポジット制度の導入や罰則規定の導入など、より実効性のある取り組みをすべきと考えますが、このごみ散乱防止に関する条例改正について、琵琶湖環境部長の所見を伺うものです。  次に、湖中砂利採取でありますが、これを見たとき国内外の参加者からは異様に映るのではないか。水質汚濁と景観上の点から、私ども県民連合が従来より申し上げてきたとおり、早期の収束を図られるべきと考えますが、土木部長の所見を伺うものであります。  次に、人権条例を早期に制定することについてお伺いをいたします。  人権とは、人が生まれながらにしてひとしく持っている権利であり、日本国憲法においても「侵すことのできない永久の権利」と保障しています。その人権は、人類の長い歴史の中で、あるときは血と汗を流し、また多年にわたる努力を通じて築かれ、そして、今日の日本において社会環境の成熟に伴い、その範囲も広がり、生きがいや、より豊かな生活などの追求を包含するようになってきています。  こうした中、世界各地では地域紛争や、これに伴う顕著な人権侵害、難民の発生など深刻な問題が表面化し、国際社会全体での人権に取り組む機運の高まりから、国連では、1995年からの10年間を「人権教育のための国連10年」と定め、人権教育を実施することを宣言し、各国の国内行動計画の策定等を義務づけました。世界の平和を願う我が国が、世界各国との連携協力のもとに、あらゆる差別の解消を目指す国際社会の重要な一員としてその役割を積極的に果たしていくことは、人権の世紀と言われる21世紀に向けた責務であります。  その基本的な考え方に基づき、国は、1995年12月に「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」を批准し、人権文化の創造を目指した「人権教育のための国連10年推進本部」を、内閣総理大臣を本部長として設置されました。そして、1997年7月4日には、平和のないところに人権は存在し得ない。人権のないところに平和は存在し得ない。今や人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になりつつあるとの基本的な考え方を踏まえた国内行動計画が発表されました。それを受けて、滋賀県は、同年7月10日に人権教育のための国連10年推進本部を設置し、本部長に知事が就任をされました。その後、1998年3月には、議員提案で人権宣言に関する決議の採択を行いました。また、同年7月には滋賀県行動計画が策定され、人権尊重の取り組みが強化されたことは御承知のとおりであります。  しかし、歴史的、社会的背景の中で生み出された部落差別を初め、障害者、女性、子供、高齢者、エイズ患者、HIV感染者、在日外国人等に対する人権侵害がいまだ後を絶たず、まだまだ差別や偏見が存在をしております。私たちは、その実態を認識するとともに、県民一人一人の参加による人権意識の高揚によって一日も早くあらゆる差別と偏見をなくし、明るく住みよい町をつくらなければなりません。  そのためには、県民の指針として、人権条例を早期に制定し、周知徹底を図ることが必要であります。県内では既に50市町村のうち431町が人権条例を制定している状況であります。以上のことを考えますと、県自身が民主主義の本旨からして、人権教育啓発を積極的に推進していくとともに、市町村の取り組みを支援、促進するため、早期に人権条例を制定すべきであります。  また、近年の国内外の人権教育、人権擁護の潮流の中、すべての国民の基本的人権と法のもとでの平等を保障している日本国憲法、および「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である」とした世界人権宣言を基本理念として、部落差別を初め、あらゆる差別をなくし、来るべき21世紀を、真に人権が守られ、世界に誇れる滋賀県をつくるためにも人権条例を早期に制定すべきと考えますが、人権教育のための国連10年推進本部長である國松知事の見解を伺います。  次に、びわこ空港の取り組みについて、知事に質問いたします。  びわこ空港建設予定地が決定されてから10年余りたっ た今日、社会的、経済的環境は大きく変転いたしました。諸情勢は揺れ動いており、これらの変化に伴って県民の空港問題に寄せる関心も多岐にわたってきました。建設の大きなよりどころとしていた右上がりの数値をばく進していた日本経済は、今日長期低落傾向に陥り、経済の主要な活動源である企業活動は、不況の中で規模の縮小、リストラに伴う雇用不安などで生活の危機を招き、県民の多くが先行き不安と経済政策遂行の不信のもと、生活防衛の立場で身構えていると考えられています。  したがって、将来の県勢を見据えて、長期的、広角的発展のための基盤強化へのマクロ的期待よりも、福祉の向上、環境の保全、教育の充実など、身近で自分たちの生活をどう守るのかというミクロの視点に集中し、将来を見据えた社会基盤強化のための大型プロジェクトの推進よりも、身近な日常施策の取り組みを期待するという意識変化を生み出していることも率直に受けとめなければならないと考えます。  加えて、空港建設予定地の一部反対地権者の協力が得られていない実態にあり、早期の合意形成が困難な状況にありますことも率直に認識しなければなりません。  しかし、このような状況を踏まえつつも、県政担当者を中心に各界のリーダー、さらには県民全体が将来にわたって郷土滋賀の県勢発展の誤りのない未来像を描き、百年の大計をしっかりと確認することが望まれます。  私どもは、新しく構成した会派として検討を重ねた結果、基本方向としての県土の交通体系、通信網等の充実強化の立場から、計画の取り組みは安易に捨て去るべきものではないと思慮するところであります。しかし、空港建設計画は、今日的状況の中では人材、経費の面において、素朴な県民感情としてはその機運になく、したがって、熟度が高まってくるまで、いましばらく静観をすべきと思考するものであります。また、課題も多くあり、計画案はもちろんのこと、公聴会での賛否の意見も十分精査し、適切な対応が求められるところであります。(発言する者あり)  そこで、まず第1に、知事の最近強調されている経済アセスとは、どのような思いと方向を指しておられるのか、お伺いをします。  さらに、私たち県民連合は、空港建設の基本は、1,580億円の建設費に対する県民合意が得られることが前提であると認識していますが、現在の厳しい財政状況の中にあって1,580億円を投資することに対しての、その費用対効果についてどのように理解を求めていかれるのか。  次に、建設予定地の2町の行政、議会の取り組み姿勢と県行政の取り組み体制に問題はないのか。また、両町民を初め県民は空港建設を中心としたまちづくりや21世紀への県勢の発展にどう寄与していくのか、見えてこないところに不安や不満が募っているのではないかと思われますが、いかがでしょうか。  また、第7次空整七箇年計画最終年の平成14年のタイムリミットからすれば、地元合意を得てアセスメント実施に着手し、空港建設申請にこぎ着けるには無理があると思うが、いかがでしょうか。  いずれにしても、このような情勢を十分に退蔵して、この際、機の熟すまで待つという大局の成就の手法で、歴史的に有名な、かの徳川家康の大局観も参考にされてはと考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、男女共同参画条例の制定について伺います。  男女が対等な立場で責任を担う社会の実現を総合的、計画的に推進するための男女共同参画社会基本法が、去る6月15日、衆議院本会議にて全会一致で可決成立をいたしました。この基本法が成立したことは、男女共同参画社会実現に向けて大きな一歩を踏み出したものとして評価するものであります。早ければ2001年1月の中央省庁再編で内閣府に男女共同参画局が設置され、この基本法が柱となり、我が国における女性行政の総合調整を推進するものと期待しています。また、男女共同参画会議の設置により、調査監視機能が与えられることが決定しており、法律と行政の体制が本格的に整うこととなりました。  世論の支持を広げるために、今後は基本理念をもとに生かさなければなりません。基本法制定で、国や地方自治体は具体的施策を実施推進する責務が課せられたわけありますが、実質的な差別がまだまだある中で、法令上の男女平等ではなく、実質上の男女平等の実現を保障する仕組みが急がれます。  全国の取り組み状況については、東京都を初め、埼玉県、神奈川県、神戸、川崎において条例制定の制度が検討されています。自治体の温度差がある中、滋賀県では、昨年の夏、男女共同参画懇話会の提言を踏まえ、新しい男女共同推進計画「パートナー・しが2010プラン−男女が共に輝く湖国をめざして−」を策定されました。この行動計画を実効性あるものとするためには、職場や地域、家庭におけるシステム、制度、慣行などの個別的な問題解決に取り組むことが求められています。また、性による差別を受けた場合の苦情の申し立て、調査、改善措置、権利保護などの多様な問題への対応を図ることが望まれます。  県に、男女共同参画社会基本法に準じた政策だけでなく、地域の実情や特性を生かした上積み、横出しの推進条例の制定を要望いたします。法的基盤の整備についての知事のお考えをお伺いいたします。  次に、ダイオキシン問題とごみ処理施設の広域連携化について、知事に伺います。  今月の13日、ベルギーのデハーネ首相は、鶏肉、卵、牛肉、農産物など、ダイオキシンの汚染問題への対応が不十分と、国民の大きな批判を受けて、総選挙の敗北と内閣の総辞職を余儀なくされております。  先般、我が国においても、99年度版の経済白書が発表され、世紀末の日本は環境立国の道を歩むべきだと提言しています。それは、20世紀の我が国が、経済の合理性と効率性を最大の目標に掲げ、大量生産、大量消費、大量廃棄の道を一目散に走ってきた時代であったと総括し、それによってもたらされた人類の生存にまでかかわるさまざまな環境問題を教訓として、最適な生産、最適な消費、そして最小の廃棄を実現する持続可能なリサイクル社会の必然性を強調しています。  新聞の報道によって全国に広がった埼玉県所沢のホウレンソウ騒動や大阪府能勢町のごみ焼却炉のダイオキシン問題は、今、時の問題として大きく人々の関心を集めています。ダイオキシンとは、炭素、水素、酸素、塩素が熱せられるような工程で意図せずにできてしまうもので、その原液はサリンの4倍の毒性があると言う学者もおられます。ダイオキシンは自然界でも発生していますが、主な発生源はごみの焼却炉や金属精錬の燃焼工程、紙などの塩素漂白工程など、さまざまなところで発生しています。ダイオキシンの主な合成反応は、ごみ焼却炉の不完全燃焼によって生成することは化学的にも明らかになっています。かなり高性能の炉で燃やしたつもりでも、塊となったごみの内部が高温になり切れない部分があり、そこでダイオキシンがつくられると考えられています。  現在の法律では、家庭から出る一般廃棄物の処理は、市町村の責務とされていることから、行政事務組合を初め各市町の単独でクリーンセンターを建設し、運営がなされています。しかし、これらの施設の容量は大変小さく、1日の処理量が30トン、16時間稼働の施設が多く、全連続24時間稼働の炉があるのは大津だけであります。このように炉の温度が一定の高さではなく、いわばつけたり消したりしているような施設については、ダイオキシンの製造所と言っても過言ではありません。  大阪府の豊能郡美化センターの廃炉に伴い、同町と兵庫県川西など、大阪、兵庫の近畿13町が府県域を越えて共同で大型の施設建設を計画するなど、広域ごみ処理の時代を迎えています。  さきに発表されました県の計画では、県内14カ所の処理施設を2017年までに9カ所にまとめるとなっておりますが、さらに計画を前進させ、県内の処理施設を5カ所または県事務所単位程度にまとめ、広域連携して、民間を含めた上で再編整備をされてはいかがでしょうか。県の考え方をお尋ねいたします。  この事業は、決して時期を逸してはなりません。できるだけ早く対応すべきと考えます。平成14年12月1日から適用されるダイオキシン抑制新基準に対応するため、県が指導されている県下14カ所の施設のうち7カ所までもが改善の対象施設となっています。その内容は、1カ所が廃止、2カ所が更新、4カ所については改造という計画が考えられています。もしこのような方法では、いつまでたっても各自治体の利害関係が優先をされ、広域連携はできないと言わざるを得ません。県はどのように指導されるのか、対応を伺うものであります。  また、県が去る5月27日、98年度の情報公開状況を発表されましたが、その請求内容は、ダイオキシンや廃棄物の公開を求めるなど環境関係の請求が増加し、県民の意識の高まりがうかがえます。決して後世にツケを回し、悔いを残すことは許されません。環境こだわり県とみずからが胸を張っておられる知事としては、新しい時代を先取りし、夢のある大型処理施設を計画し、その余熱の有効利用で電気を起こすなど、さすが環境県と言われるような壮大な夢を県民に与えてくださることを提案したいと思います。特にG8環境サミットや世界湖沼会議などのビッグ国際会議を機に、確たる計画を立て、各自治体と協力し実行に移されたいと考えますが、環境こだわり県としての知事の熱意ある答弁を求めます。  また、ダイオキシンを初めとする環境ホルモンの調査を実施されたいと思います。環境庁が調査した結果、生殖機能に影響を与えるとして問題となっている内分泌攪乱化学物質──環境ホルモンが、調査対象130地点のうち95%の123地点で検出をされ、全国規模での汚染が明らかになっています。我が県においても調査地点を決定し、速やかに調査を実施されたいと考えますが、県としての取り組みと考え方をお尋ねいたします。  次に、介護保険制度実施への県の役割について、知事ならびに健康福祉部長にお尋ねをいたします。  来年4月の介護保険制度の実施まで、あと9カ月となりました。待ったなしの高齢社会で、負担が大きくなる介護問題を社会的に支え合うために介護保険の導入が決まったのでありますが、運営を担う全国3,200余りの市町村は、今新たな制度をつくる産みの苦しみの渦中にあります。  本年10月からは、いよいよ要介護度を判定する要介護認定が始まることにおいては、県下市町村においても同様であります。ここに来て、制度そのものを見直す声や実施時期延期、先送り論が取りざたされ、他方、制度が動き始めることでサービスが充実するという論議もあり、いろいろな意見を出され、地方自治体も国民も不信を募らせ、不安が高まっています。この事態に対し國松知事は、県内の準備状況に言及され、実施時期をおくらせなければならない自治体はないと認識していると明言されていることに、自信と決意があふれていると推察いたしております。  しかし、連合滋賀が去る2月21日から3月25日にかけて行った、県を含む県下50自治体への介護保険制度についてのトップアンケートの市町村の介護保険導入への整備状況や課題の結果を見ますと、介護保険の受け皿としての老人福祉計画が2000年時点でどの程度できるかという問いで、6割から7割ぐらい達成できるとした市町村が44%であり、郡部においては50%と半数が答えており、市部では8割から9割ぐらい達成できるとしたところが71%で、大きな格差が出ています。  また、計画の目標達成ができていない理由として、郡部では、第1に財政的に困難、続いて専門職や企画立案を実行する人材の不足、進まない施設整備が挙げられ、県平均と一致していますが、市部では、まず専門職、企画立案のスタッフ不足が71%、財政困難29%と、課題と内容に大きな違いが浮き彫りにされています。  知事は、こうした結果を踏まえ、介護保険制度に向けて、県としてのリーダーシップをどう果たされるのか、伺います。  全国的な調査からも、介護に必要な人員の確保が大きな問題となっています。例えば介護サービス計画の策定に当たる介護支援専門員──在宅ケアマネージャーの合格者の人たちには、医師、看護婦が多く含まれ、ライセンスの取得が目的となり、職務専念が不明確であることから、人材確保数が難しく、自治体間でヘッドハンティングの事態が発生、市部に集中、郡部に不足するおそれがあると考えられますが、どのように指導し対応されるのか、健康福祉部長に伺います。  新聞報道によりますと、高知県内53町村の公的介護保険料第1号被保険者の月額の平均が3,800円に達し、最高6,800円、最低1,900円と試算され、平均額では厚生省の試算額の2,500円を大きく上回る結果となっています。その要因は、10万人当たりの病床数が全国一、全国平均の4倍の費用のかさむ療養型病床群など、施設入所者の多さだということでありますが、この情報の公開をきっかけにして、高知県では、施設入所者の要介護度調査の結果も公表し、各市町村とともに、施設から退所をする対象者が在宅で介護しやすい環境整備づくりに着手し、高額保険料を下げる取り組みにつながったと聞きます。  このことからも、県内においての保険料の試算額とサービス内容の公表を早期にすべきであり、いつごろをめどとされているのか、健康福祉部長に伺います。  また、規制緩和による市場原理の導入が先行している中、権利意識を主張しにくい高齢者の選択権の確保を心配しています。保険料が今後増額され、変動していく仕組みについても広く知らされておかなければなりません。  要介護認定システムを10月に間に合わせる中、サービスの評価システムとサービスの環境づくりに地域の特性を盛り込むこと、保険の大きな特徴である、地域にふさわしいサービス体制が保健や医療、福祉、介護を一体とした中で効率的に住民参加で行われることが求められるべきであります。介護保険計画策定委員会の公開については、積極的に努力をしている市町村がある中、依然非公開で行われるなど、公開の意義についての自治体の姿勢の差があらわれています。  介護保険で問題となる情報を積極的に公開することにより、住民と行政が問題意識を共有すべきと考えます。サービスの質・量、住民負担等の事業計画づくりに参画し、検討、策定する仕組みの定着する委員の公募や、公開に向けた機運の高まりを県みずからが醸成する努力を願うものであります。  介護を社会全体で支えていき、だれもが安心して使える制度にするためには、住民参加の原点を貫くことが最も大切なことであると考えますが、住民参加のあり方についてどのような取り組みを考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。  次に、経済・雇用対策について伺います。  長引く不況で景気の低迷が続き、失業者は340万人を超え、男性の完全失業率はついに5%台に乗り、統計上比較可能な1953年以降で最悪を記録し、また、労働省発表の4月の有効求人倍率も0.48となるなど、雇用情勢は依然深刻で、将来への見通しが全く立たない中で、雇用と生活が危機的な状況で社会不安をも招きかねない状況にあります。  こうした現下の経済危機、雇用危機は、政府による経済見通しの甘さ、たび重なる景気対策の失敗、雇用対策のおくれが引き起こしたものと言わざるを得ません。特に完全失業者のうち、企業倒産やリストラなどが原因で、失業者は働き盛りの世帯主の40代後半の中高年層から30歳前後の若年層まで広がっており、我々は、企業の身勝手なリストラ等による不当な解雇には断固反対するものであります。  さて、本県においても、今日まで、政府の打ち出した緊急経済対策、さらに総合経済対策に呼応して、長引く不況打開と雇用確保対策に取り組みがなされてきたところであります。特に、知事の肝いりで行われた金融機関も含めた産官学の代表による景気経済対策円卓会議の開催、商工労働部幹部職員を中心とした、各企業、事業所への雇用対策への要請活動などを実施されたところであります。  また、このたび、行政と労使が一体となって雇用の確保に取り組む県雇用創出・安定行労使会議が設置され、去る16日に初の三者会議が行われたところであります。会議で、労働界代表の連合滋賀下戸会長は、経営者の、雇用を守るという姿勢が崩れていると現状を分析し、経営者が実効性のある対策を打ち出し、県の支援を期待したいと述べられ、また、他の出席者からも、雇用問題の厳しい状況が述べられたと仄聞しますが、知事の現状認識と考えについて伺うものであります。  今、県内の4月における求職者が3万1,000人を超え、有効求人倍率も0.44倍と過去最低水準で、中でも大津地域では0.34倍と最悪の厳しい状況となっています。さきに発表された平成11年1月から3月期の国内総生産の実質成長率が前期比1.9%プラスとなったことで、景気の下げどまりで景気回復に明るさが見えてきたように報じられていますが、多くの識者や労働界では、これを今の日本経済の実力だとは思わない、これは相次ぐ景気対策による政策に支えられたもので、先行きは決して安心できないし、今以上に雇用動向に注視を要するとコメントしているのであります。  私たち県民連合は、長引く不況と産業構造転換が進む中、勤労者の生活と雇用危機は悪化の一途であり、働く意欲、意思のある若者や世帯主などが仕事がないことほど、惨めで悲惨なことはなく、今直ちにやるべきことは、雇用対策に集中して取り組み、景気回復と雇用の安定確保を図ることが最優先的取り組み課題だと考えますが、どうか。  今般、さきにも申し述べましたように、県雇用創出・安定行労使会議を設置し、雇用創出と安定確保に努める行政姿勢を示されたところでありますが、県独自の取り組みの内容と、その実効ある雇用をどのように創出されるのか、本県としても、政府が示している官による臨時雇用について可能か、その取り組みと対応について伺うものであります。  また、今後行労使の三者の取り組みがなされますが、是が非でも雇用創出が図られ、安心して働ける場が確保されるよう三者の役割と責任を明確にし、いつまでに、どの分野で、何人の雇用を生み出すという具体的目標を設定するなど、強い決意で早急に積極果敢に取り組むべきと考えますが、知事の所信を伺います。  次に、教育改革について、教育長にお尋ねをいたします。  まず、学級の定数改善について伺います。  来るべき21世紀を担う子供たちが、その時代をしっかりと生き抜くためには、教育は極めて重要な課題であります。今日の教育現場では、いじめ、不登校、中退、学級崩壊など多くの問題が生じており、教育の危機的状況にあると言っても過言ではありません。この原因は、一定の知識を効率よく一方的に教える画一的な教育で、過度の知識の詰め込み教育を続けてきたため、本来教育の基本であり使命であるはずの、わかるという喜びを子供に提供できていない結果だと思います。  このような状況を生み出した現在の定数による学級の一斉授業、指導では、一人一人を大切にし、個性を伸ばしていくには限界があります。また、現在の子供は、わからないことはわかるまで教えてほしい、わからないことがあったらすぐ質問できる授業にしてほしい、少人数で対話の多い授業にしてほしいという願いを持っていると思います。その子供たちの願いをかなえ、21世紀に向かって子供たちに生きる力を身につけさせるためには、まず学級規模を30人以下にし、チームティーチングや分割授業などの多様な工夫を駆使していく必要があります。そうすることによって児童生徒の個性に応じた多様な教育ができるとともに、校内暴力、いじめ、不登校等の問題に適切に対処できるものと考えます。  幸いにも、昨年9月に中央教育審議会の「今後の地方教育行政のあり方について」の答申によりますと、教育条件の向上を図る観点から特に必要がある場合には都道府県が義務標準法で定める学級編制の標準を下回る人数の学級編制基準を定めることができるという弾力的な見解が出されています。  そこで、その答申にのっとり、県として30人以下の学級編制を早期に実現すべきと考えるが、どうか。もちろん実現させるためには教職員の採用問題、施設整備や学校運営費等財政的な裏づけが必要なだけに、計画性を持たせる中で具現化を求めるものでありますが、教育長の見解をお伺いいたします。  次に、中高一貫教育についてでありますが、この問題は、高校受験が中高6年間を分断し、青年前期の生徒たちの内面的な成熟を妨げ、いじめ、不登校、中退、学級崩壊等の遠因となっている現状を直視し、現状の6・3・3制を6・6制の学級改革を行い、地獄と言われている高校受験制度をなくし、個性豊かなゆとりの教育をすべきとの強い思いを持って、県民連合は早い段階から今日まで幾度となく取り上げてきました。もちろん中高一貫教育が受験戦争の低年齢化につながったり、エリート校づくりにならないように、中高一貫校で学びたいという生徒はすべてその学校で学ばせるようにすることが基本だと考えています。  それに対して、今日までの教育委員会は、中学校教育から高等学校教育への円滑な移行、受験戦争の緩和、6年間を通した異年齢間の交流による社会性や協調性の育成、個性の伸長、また中等教育の複線化を進めるという観点から中高一貫教育は意義があるとされているものの、具体的にどうしていくか、明確に方針を打ち出されていません。  しかし、今年度中高一貫教育研究会議が設置され、中高一貫教育のあり方とその方向性を打ち出すべく取り組みをスタートされたとのことであります。  そこで、どのような方々によって、どのようなポイントで論議されようとしているのか、また、いつごろをめどに結論を出そうとされているのか、お伺いをいたします。  次に、いわゆるオウム問題について、県警本部長に伺います。  甲西町や水口町でオウム関係者が活動しているとのことでありますが、地下鉄サリン事件のような極悪非道な事件の記憶がよみがえり、オウム関係者の活動となれば、単なる転入者としては受け入れがたい市民感情も無理からぬところであります。もとより思想、信仰の自由は憲法で保障されており、人権尊重の基盤でありますが、県内各地にオウム関連者がいるとすれば、早期の適切な対応が急がれます。  ところで、甲西町平松地先にある住居、作業所へ、過日警視庁が強制立入捜査され、地元町議会でもオウム真理教に関する請願が全会一致で採択され、町民挙げて安全な生活を望まれております。オウム真理教は全国民を震撼させた組織であるだけに、今後の対応について、以下、警察本部長に問うものであります。  まず、思想、宗教の自由と、警察による情報収集に関して基本的な所見を伺います。  次に、県内に生活しているオウム関係者の生産や布教はどのように行われているのか、県外の組織との関連についても、あわせてその現状をお伺いいたします。  さらに、今後警視庁や他府県警察本部との一層の連携を図られることを初め、県民に対する適切な情報提供と的確な対応が県警に求められておりますが、警察本部長の所信を問うものであります。  以上、県民連合としての代表質問を終わります。(拍手)(発言する者あり) ○議長(滝一郎君) しばらく休憩いたします。   午後0時33分 休憩    ─────────────────   午後1時21分 開議 ○議長(滝一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  44番稲田喜代司君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)稲田議員の県民連合の代表質問にお答えいたします。  まず、G8環境大臣会合および世界湖沼会議の本県開催についての御質問にお答えします。  G8環境大臣会合の本県開催の意義についてでございますが、主要8カ国の環境大臣が集まる重要な会合が、日本で初めて滋賀の地で開催されるということを大変光栄に思っておりますし、まず、その成功に向けて地元として精いっぱい協力してまいりたいと考えております。  本県にとりましては、2001年に開催を予定しております第9回世界湖沼会議を、21世紀における新たな湖沼保全の道しるべとなる会議にしたいと考えておりますだけに、弾みをつける絶好の機会を得たと考えているところであります。また、県民にとりましても、地球温暖化問題など深刻な環境問題についての国際間の真摯な議論を目の当たりにできることは、21世紀に向けて新たな環境保全活動を踏み出す上で極めて有意義なことと確信をいたしております。  次に、受け入れ態勢についてでありますが、国の準備状況や業務体制を踏まえまして、地元として大津と協力しながら、会議の成功に向けて歓迎行事や宿泊輸送、会場案内などの現地協力業務を円滑に行うためのバックアップ体制を早急に整え、万全の準備を進めてまいりたいと考えております。  次に、本県の新たな環境政策についての御質問にお答えします。  本県では、これまで水環境にこだわりを持って、さまざまな環境保全の取り組みを進めてまいりましたが、これからは水問題に加えて、地球温暖化等を含めた大気の問題やごみの問題が大変重要な課題になると認識いたしております。これらの今日的な環境問題の根底にある原因は、快適性や利便性を追い求めてきた我々のライフスタイルや、大量生産、大量消費、大量破棄で成り立っている現在の経済社会の仕組み自体があると思います。したがって、環境問題の解決のためには、我々の生活そのものや生産活動、さらにはあらゆる人間活動を視野に入れて取り組まなければならないと思います。
     このような基本認識のもとに、本県の環境政策を総合的かつ計画的に推進するため、平成9年に滋賀県環境総合計画を策定しておりまして、共生、循環、自治、国際協力を基本方針に、環境保全項目ごとに目標を設定し、施策の推進に努めてきているところであります。  21世紀を目前にいたしまして、改めて今日的視点で、これまでの環境施策の取り組みを見直しますとともに、地球温暖化防止やオゾン層保護も視野に入れた総合的な大気保全対策、さらには散在性ごみ問題の抜本的な対策など、新たな環境施策の枠組みづくりに取り組んでまいりたいと考えます。また、これに加えまして、太陽光発電などの新エネルギーやバイオディーゼルの導入などの新たな環境政策についても積極的にチャレンジしてまいる所存であります。  また、琵琶湖研究所の整備充実につきましては、琵琶湖の総合的な保全に加え、ダイオキシン類の微量化学物質対策や大気、土壌等の新たな課題を踏まえた調査研究機能や湖沼環境に関する研究交流機能などの充実を図るため、行政改革大綱の趣旨も踏まえ、衛生環境センターの機能と再編しつつ、拡充整備をすることを基本に検討してまいりたいと存じます。  なお、ダイオキシン類の自前の検査体制につきましては、昨年度から分析技術者の養成を行っているところであり、設備の整備につきましても、目下検討中の琵琶湖研究所の整備充実の中で検討してまいりたいと考えております。  次に、世界湖沼会議の会場についてでありますが、びわ湖ホールを中心に国際環境ビジネスメッセとの連携や県民主体の環境保全活動が実施されている現地でのワークショップの開催など、できる限り多くの県民に湖沼会議に参加していただけますよう、近く設置いたします企画推進委員会の中で具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、国際水環境フォーラムの内容についてでありますが、フランスに本部のある世界水協議会──WWCとスウェーデンに本部のある世界水協会──GWPの2つの国際的NGOが中心になりまして、世界水ビジョンという世界の淡水資源問題の解決に関する計画を策定し、各国政府レベルでの動きにつなげていこうとしております。この2つのNGOの協力を得まして、第9回世界湖沼会議に合わせて国際水環境フォーラムを開催することにしておりますが、ここでは、この世界水ビジョンを踏まえた具体的な活動内容などについて報告が行われるということになっております。このフォーラムと湖沼会議を一体的に開催することによりまして、第9回世界湖沼会議を、湖沼の生態系や水質の側面だけでなく、水量の側面も含めた総合的な水環境保全の議論の場として、より意義のある会議にしてまいりたいと考えております。  次に、人権条例の制定についての御質問にお答えします。  県内の多数の市町村や鳥取県を初め6府県において人権条例が制定されていることにつきましては承知をいたしております。また、国におきましても、人権擁護推進審議会の審議が進められ、先日公表されました答申案では、人権教育、啓発を一層推進することの重要性が述べられております。  県といたしましては、昨年7月に「人権教育のための国連10年滋賀県行動計画」を策定し、人権教育の一層の取り組みに努めているところであります。  さらに、すべての人の人権が尊重され、だれもが生き生きと暮らすことができる、人が輝く活力ある滋賀を目指しまして、人権施策を総合的に推進していく必要があると考えておりまして、今般、広く有識者から意見をいただくために、滋賀県人権施策推進懇話会を設置することとしたところであります。ただいま人権条例を制定することについての御提言をいただいたところでありますが、まずは、この懇話会において、人権施策を推進する上での基本理念や基本方向、推進体制等について御協議をいただき、この結果を踏まえまして、今後の県としての基本的な考え方というものを決定してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。  次に、びわこ空港についての御質問にお答えいたします。  まず、第1点目の経済アセスメントの思いと方向についてでありますが、びわこ空港につきましては、県民の皆さんの間にさまざまな意見がありますことから、生の声を聞かせていただくということのために、昨年度びわこ空港に関する県民公聴会を開催させていただいたところであります。県民公聴会においては、びわこ空港建設に伴う本県の将来の産業経済や地域の振興に対する期待、また、財政や環境に対する心配など、さまざまな御意見をいただいたところであります。  また一方、国においても全般的な公共事業の見直しの中で、費用対効果といった観点から厳しくチェックすると表明されておりますし、県といたしましても、単に需要見通しだけではなく、空港がある場合とない場合の影響について経済面から調査、分析し、評価する、いわゆる経済アセスメントを実施し、県民の皆さんの御理解を求める必要があると考えているところであります。  経済アセスメントの方向につきましては、びわこ空港の需要見通しを初め、費用対効果ならびに地域経済効果分析などを柱とするものでありまして、これを一定の数値化あるいは評価といったようなことによりまして、県民あるいは地元の皆さんに理解を深めていただけるよう準備を進めているところであります。  なお、この経済アセスメントの実施に当たりましては、専門的な観点から指導、助言をいただくため、(仮称)びわこ空港経済アセスメント検討委員会を設置したいと考えております。  2点目の費用対効果の理解の求め方についてでありますが、運輸省においては、新たに空港等公共事業の費用対効果分析マニュアルというのが近く示されるということになっておりますので、これらに沿って費用対効果の分析を実施しますとともに、その結果を県民の皆さんにお示しし、御理解を得てまいりたいと考えております。  第3点目の県や地元両町の取り組みについてでありますが、地元両町では、空港を核としたまちづくりを進めるとされており、両町議会においても、びわこ空港の促進決議や国への要望活動をされているほかに、一部では、推進議員の方々を中心にびわこ空港の現状を危惧し、集落ごとに勉強会などを開催し、地元全体の合意形成に向けて取り組んでいこうとする動きもあり、また、両町長におかれましても、空港を取り巻く昨今の状況に危機的な認識を持って、地元の説得に当たられているところであります。  また、県におきましても、21世紀の滋賀県に空港はぜひ必要な施設であると考えておりますことから、全庁的な取り組みができるよう空港整備推進本部を設け、関係集落の理解が得られ次第、速やかに環境アセスメント等諸調査に着手できるよう準備体制を整えているところであります。  また、びわこ空港は、21世紀の県勢発展にどのように寄与するのか見えないとのことでありますが、さきにも申し上げましたとおり、経済アセスメントを実施する中で、できるだけ客観的な指標等をお示しするとともに、県民の皆さんが空港の必要性や効果について一層の御理解をいただけるよう、より積極的な広報、啓発活動に取り組んでまいりたいと考えます。  第4点目につきましては、びわこ空港は第7次空港整備七箇年計画に組み入れられており、県としては計画期間内に空港の設置許可申請をするための精いっぱいの努力を積み重ねているところでございますが、まだ関係集落すべてで理解が得られたという状況には至っていないことから、まずは、着実に地元関係者を初め、広く県民の皆さんの御理解を得ることを最優先に取り組んでまいりたいと考えております。  5点目でございますが、21世紀の滋賀県にとってびわこ空港は必要な基盤であるということは繰り返し申し上げてきたところでありますが、その21世紀まで1年余りとなった今日、2000年の春には主要8カ国環境大臣会合が、また2001年には第9回世界湖沼会議が本県で開催されることに決定するなど、地球規模での情報の時代、交流の時代を身近に感じているところでありまして、多少の時間はかかりましても、熱意と誠意を持ってこの問題に取り組んでまいる所存であります。  次に、男女共同参画条例制定についての御質問にお答えします。  21世紀を目前にして、少子高齢化を初め、経済・社会環境の変化に対応するためには、男女共同参画社会の実現が緊急かつ重要な課題であると認識しておりまして、このたび、男女共同参画社会基本法が衆参両院の全会一致で可決成立したことにつきましては、その意義を重く受けとめ、これを弾みとして、さらなる取り組みに努めてまいりたいと存じます。  基本法にもうたわれておりますが、男女共同参画社会の実現は、国、地方公共団体のみならず、国民の責務でもありますことから、団体、企業、地域、県民の皆さん一人一人がみずからの問題としてとらえ、ともに日々の実践を積み重ねていくことが大変重要であると考えます。  そこで、推進条例制定の要望をいただいたところでありますが、私は、知事就任以来、男女共同参画社会の早期実現を県政の最重要課題の一つととらえ、昨年8月には県の行動計画「パートナーしが・2010プラン」を策定するなど、特に力を入れて取り組んできたところであります。その中で、例えば法律、条例による各種審議会等への女性委員の登用につきましては、本年3月末で前年度比3ポイント増の19.3%と、当面2000年までの目標値としております20%ラインにほぼ手が届くところまで引き上げることができました。  「パートナーしが・2010プラン」では、ただいま申し上げました各種審議会等への女性委員の登用を初め、自治会や農協への女性の参画、仕事と子育て等の両立支援策、学校における男女混合名簿導入等々、家庭、地域、職場、学校等各分野において、62項目に及ぶ他府県にも例を見ない数多くの数値目標を掲げ、だれもがわかりやすく、具体的かつ実践的な取り組み方策について定めたところでございます。  条例制定につきましては、私も勉強させていただきますが、このプランに沿って各般の施策を着実に推進することこそが、今後の本県の男女共同参画社会の、確かな、そして一日も早い実現への道を切り開くことになるものと確信しているところでございます。男女がともに輝く、生き生きとした湖国づくりに向けまして、私なりに精いっぱい努力をしてまいる所存であります。  次に、ダイオキシン問題とごみ処理施設の広域連携化についての御質問にお答えします。  まず、一般廃棄物処理広域化計画および広域化に向けた県の指導についてでありますが、この計画は、ごみ処理に係るダイオキシン類の削減、余熱利用の推進等を図るために、関係市町村等を中心に学識経験者や県も加わった検討会において検討され、本年3月に策定したものでありまして、現在14施設ある焼却施設を7ブロック9施設に再編整備しようとするものであります。この過程では、ブロック割りの方法についても種々検討を重ねたところでありますが、最終的には7ブロックが最適であるとの結論を得たところであります。この計画によりまして、ダイオキシン類について、平成19年度には平成8年度に比べ約95%の削減効果があるものと見込んでおります。  現時点では、まず、この計画に基づく広域化を積極的に推進していくことが肝要であると考えておりまして、各ブロックごとに市町村等関係者による協議会を設置するとともに、県といたしましては、技術的援助や情報提供に加えて、各焼却施設の実態を踏まえ、積極的に市町村の調整を行い、本計画の実現を図りたいと考えております。  次に、大型処理施設の整備についての御質問でありますが、ごみ焼却によって得られる熱を発電や地域への熱供給等に利用することは、地球温暖化の防止を図る上からも重要であると考えます。  現在、県においては、こうした熱の再利用も視野に入れながら、一般廃棄物、産業廃棄物を含めたガス化溶融等の次世代型の処理技術による広域処理の可能性について、民間資本の導入なども含めた調査を進めているところであります。今後こうした調査の結果も踏まえながら、市町村や事業者ともども、環境こだわり県にふさわしい資源循環型社会の構築に向けた取り組みを積極的に進めてまいる考えであります。  次に、ダイオキシン類を初めとする環境ホルモンの調査についてでありますが、本県におきましても、環境中のダイオキシン類につきましては平成7年度から調査を進めてきたところであります。昨年度に実施しました県下の大気や土壌、琵琶湖のさまざまな生物についての総合的なダイオキシン類調査では、県下の環境中からはダイオキシン類が検出されておりますが、健康への影響が懸念される状況ではないという結果になっております。  しかしながら、環境ホルモンの生物への影響や健康リスク評価については未解明な部分が多く、国においても環境ホルモン戦略計画に基づいて研究に着手されたところでありますので、現在の段階では、一層のデータの蓄積と研究にまつ必要があると考えております。  このような状況から、本県といたしましては、国などの動向を注視しつつ最新の情報の収集に努めますとともに、ダイオキシン類については、今後も大気や魚類等の継続的なモニタリングを実施し、また、その他の環境ホルモン物質についても、今年度から琵琶湖の47地点で35物質を対象に、長期の影響を把握しやすい底質の総合調査に取りかかるなど、実態の把握に努めてまいる所存であります。  次に、介護保険制度への県の役割についての御質問にお答えします。  この制度は、介護の必要な高齢者を社会全体で支えようとするものであり、介護に携わっておられる家族を初め、多くの県民の方からも強い期待が寄せられており、制度を円滑に導入することこそ重要であると思います。  このため、昨年度は、県事務所ごとに市町村の首長さんと県幹部による行政懇談会を開催し、介護保険の準備状況や課題等について市町村長さんから直接お話を聞かせていただき、また、私からは早急な体制の整備や広域化の積極的な取り組みをお願いしてきたところであります。  こうしたことからも、広域的な取り組みにつきましては、6地域28市町村で実施いただくこととなり、また、各市町村とも全力を挙げて準備に取り組んでいただき、おおむねスケジュールに沿って着実に進めていただいていると思っておりまして、実施時期をおくらせてもらわないと困るといった自治体はないと考えております。  また、この制度の円滑な運営につきましては、介護サービスや人材の確保が不可欠でありますが、この基盤となる湖国しが新ゴールドプランにつきましては、市町村ともども一体となり、今日まで整備を進めてきたところであります。最終年度となります本年度におきましては、その達成に鋭意努めておりまして、県全体としてはおおむね目標を達成できるものと思っております。  県といたしましても、すべての市町村の準備が確実に整うよう万全を期していく所存であり、本年10月からの要介護認定の開始、来年4月からの制度施行に向けまして、精いっぱい指導、支援に努めてまいる所存であります。  次に、住民参加のあり方についてであります。  地方分権型社会へ時代が大きく変わろうとしている今、新しい時代にふさわしい創造的な行政が求められております。これまでのように行政の側で政策を考え実行していくという、いわゆる行政主導の考え方から転換を図らなければならない変革の時期にあると思います。  そうした中で、それぞれの地域で、給付と負担を住民の方々の理解を得ながら決めていくという仕組みとして介護保険制度が創設されるわけであります。この仕組みは、自分たちの地域のことは自分たちで決めるという、まさしく住民自治そのものでありますし、また、地方分権の実践でもあると思います。  現在市町村では、介護保険事業計画の策定が進められているところですが、多くの市町村で、住民の方々の意見を反映するため、策定委員の公募や審議の公開、さらに、積極的な情報提供等に努めていただいているところであります。すべての市町村で、住民の方々がさまざまな形で参加し、市町村行政と一体となって議論を深め、それぞれの地域で工夫しながら、地域にふさわしい手づくりの計画をぜひつくっていただきたいと考えております。  県におきましても、県民一人一人が主役となる県政を目指さなければならないと考えておりまして、県が取り組む支援計画づくりなどにおいても、県民の皆さんがパートナーとして参画いただけるよう心がけてまいりたいと存じます。  次に、経済・雇用対策についての御質問にお答えします。  まず、雇用問題の現状認識と考え方ということであります。  経済の状況は、各種の政策による下支えの効果もありまして、おおむね横ばいで推移しているところでありますが、雇用情勢につきましては、企業の倒産やリストラなど非自発的な失業者の増加により雇用者数が減少し、完全失業率はこれまでにない高い数値で推移するなど、非常に厳しい状況が続いております。  県内におきましても、製造業を中心として求人が大幅に減少する一方で、雇用状況が本県よりさらに厳しい京阪神の企業を退職され、県内の各職業安定所へ求職申し込みされる方が増加するといった現象が続いておりますことから、大津・湖南地域を中心として、有効求人倍率がかつてない低い水準で推移し、深刻な状況にございます。  また、さきの雇用創出・安定行労使会議という中で、労働者側、使用者側それぞれの代表者から、雇用にかかわる深刻な現実を直接お聞きし、改めてその厳しさを思い知らされたところでございます。県内には3万人を超える求職者が必死に仕事を探しておられるという状況にあることや、特に家計を支える世帯主が、リストラなどによりまして職を失っているといった現状を考えますとき、一人でも多くの雇用の場の確保を図ることが肝要であると認識しております。  次に、政府の緊急雇用対策で打ち出されております地方公共団体による雇用・就業機会の創出につきましては、臨時応急の措置として、民間企業、NPO等に委託する事業を中心として一両年で終了するものということとされております。総額で2,000億円程度の緊急地域雇用特別交付金が都道府県へ交付されるということでありますが、県への配分額、その使途等についてはまだ明らかになっておりません。  7月上旬には、国の補正予算など、その考え方がまとまるということでありますので、この動きをにらみながら県としての対応を進めていくことになりますが、介護保険制度の導入の円滑な推進のための人材育成事業等の前倒しや埋蔵文化財発掘調査の推進、新産業創出や技術開発等のアドバイザー体制の増強、コンピューター教育の充実事業など、各部局において県の実態に即した雇用対策を検討するように、先般開きました県総合経済対策本部雇用関係本部員会議で指示したところであります。  3点目の取り組みについての所見でありますが、現下の厳しい雇用情勢に対応していくためには、行政の果たす役割は大きなものがありますが、今日の状況におきましては、労働者、使用者がそれぞれの立場から主体的な取り組みを行っていただくことに大きな期待がかかっておりますことから、三者のトップが緊急に寄りまして、今後の雇用の確保、創出に向けて緊密に連携して取り組むという決意をお互いに確認し合ったところであります。  具体的には、給与、年齢、職種におけるミスマッチの解消や、新たな議論となっております、労働者が仕事を分かち合う、いわゆるワークシェアリングのあり方といったことについても研究、検討することとし、また、県内においても地域において状況も異なりますことから、各公共職業安定所ごとに三者会議を設けまして、それぞれの地域の実情に即した実効のある取り組みをしていくなど、それぞれが知恵を出し合い、真剣に議論して取り組んでまいりたいと考えているところであります。 ◎琵琶湖環境部長(高田寛文君) (登壇)G8環境サミットおよび世界湖沼会議の本県開催に関しまして、ごみの散乱防止に関する条例についての御質問にお答えいたします。  散在性ごみ対策につきましては、条例の施行以来、5月30日、7月1日、12月1日を環境美化の日と定めて普及、啓発を進めますとともに、特にごみの散乱を防止し美化を推進する必要がある湖岸、河川、道路などを美化推進地域として設定して、清掃事業などの積極的な展開を図ってまいりました。こうしたことを通じまして、地域住民の活動やボランティア活動が定着し、成果が上がってきた地域もございますが、残念ながら、まだごみの散乱が目立っているところも多々見受けられるのが実情でございます。  こうした状況を踏まえまして、本年度を、環境こだわり県にふさわしい散在性ごみのない湖国滋賀の実現を目指すための元年度と位置づけ、その第一歩といたしまして、ごみゼロ大作戦を提唱いたしまして、市町村と連携を図りながら、去る5月30日には一斉清掃活動に加えまして、ごみ調査やごみトークといった新たな取り組みも各地で展開したところでございます。このごみゼロ大作戦の結果ももとに、まずは市町村ともども美化推進地域の見直しを行いますとともに、より効果的に清掃活動が実施されるような方策についても工夫してまいりたいと考えております。  G8環境大臣会合や第9回世界湖沼会議の本県での開催に向けまして、滋賀県ではごみのぽい捨てをしない、ぽい捨てができないという状況をつくり上げていくためには、散在性ごみ問題について抜本的な対策に取り組んでいく必要があると考えております。改めて現在の条例の趣旨がより理解されるよう努め、地域での清掃美化や一部の県立高校でのデポジット制の取り組みといった地道な活動がさらに広がって、県民の世論、さらには文化と言えるまでに定着するよう継続的な取り組みを行いますとともに、これらの進展も踏まえながら、より実効性を伴うような条例の見直しの必要性につきましても検討してまいりたいと考えております。 ◎健康福祉部長(池口博信君) (登壇)介護保険制度実施への県の役割について、2点の御質問にお答えをいたします。  まず、介護支援専門員の確保についてでございますが、昨年度の試験合格者838人の養成につきましては、この7月に実務研修を修了する予定でございます。この中には、御質問にもありましたとおり、介護支援専門員の業務に従事をしないと見込まれる合格者の方も含まれておりますことから、本年度の7月25日に実施する試験に向けまして、各市町村にこうした情報を提供し、受験資格を有する人に対して呼びかけを行うなど、その確保について積極的な働きかけをしたところでございます。  こうしたことからも、本年度の試験には1,517人の申し込みがあったところでございまして、その合格者につきましても、できるだけ早い時期の実務研修の実施を考えております。  なお、昨年の地域別の合格者の状況を見ますと、特に極端な状況にはないと思っておりますが、介護サービスの計画作成などが円滑に進められるよう、本年度の合格者の状況も踏まえ、各健康福祉センターを通じて広域的な活動も含めた調整を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、保険料の試算額やサービス内容の公表についてでございますが、現在各市町村においてはサービスの見込み量やサービスの確保方策、費用見込みなどを内容とする介護保険事業計画の策定に取り組んでいただいているところでございます。  具体的な計画の内容につきましては、市町村で設置をされております計画策定委員会の中で、議論、検討がなされておりますが、保険料の額についても、この場において議論がされておりまして、その委員会が公開されているところも数多く見られるところでございます。  基本的には、検討段階での保険料の額などの公表につきましては、各市町村が時期、内容等を検討、判断の上、対応されるものと考えておりますが、介護保険は、給付と負担の関係で住民に理解を得ることが大変重要でありますので、適時適切に情報の公開や提供などがなされていくことは大切であると思っております。  今後、保険料やサービス内容等について、まずは各市町村での公表状況も踏まえるとともに、市町村との協議も行う中で、どの時期にどういった内容で公表できるか、検討してまいりたいというふうに思っております。 ◎土木部長(中村昭君) (登壇)湖中砂利採取についての御質問にお答えいたします。  今日、琵琶湖の総合保全は極めて重要な課題であり、湖中砂利採取につきましては、平成7年度の採取認可量に対して、平成11年度までに約1万6,200立方メートル、率にして8.5%を縮小するとともに、渇水時の操業禁止や操業日数の制限等、厳しい条件をつけて認可するともに、濁水防止対策につきましても指導を徹底しております。  湖中砂利採取につきましては、本県の骨材需給の事情から、長年にわたり継続して認可してきた経過や、業者のこれまでの資本投下等の経済的な問題もあり、廃止するには条件整備等、依然困難な課題も残されておりますが、今後とも縮小、廃止の方向で関係組合への指導を進めるとともに、骨材対策協議会での代替資源対策の検討を含め、さらなる努力をしてまいりたいと存じます。 ◎教育長(吉川勉君) (登壇)教育改革についての御質問にお答えいたします。  まず、学級編制基準についてでありますが、昨年9月の中教審の答申では、現行の教職員定数の枠内で特に必要がある場合には学級編制の弾力的な運用ができるよう提言されておりますが、これにも法改正が必要になることはもとより、やや、この弾力運用という部分のみがひとり歩きをしているようにも思います。その前提となっている枠内という意味、すなわち現行の教職員定数の全体枠を変更しないで対応するということは、例えば養護教諭を減らして学級担任を1人ふやすとか、あるいは教務主任を減らして担任をふやすとか、そういうことでありまして、現行の部分は変えないということが前提になっておりますので、学校現場では、こういう場合には現実的には厳しい問題が出てくるのではないかというように思っています。  県教育委員会といたしましては、当面、現在進められております第6次教職員配置改善計画に基づき、個に応じた教育など、今日的な教育課題に学校全体で教職員が組織的に取り組めるよう努めているところであります。  具体的には、複数の教員が1つの授業に当たる、いわゆるチームティーチングの積極的な活用を初め、生徒指導やコンピューター指導など、個々の教育課題に対応した教員配置についてかなりの改善を行っているところであります。特に、学校現場で起こっておりますいじめや不登校などの問題は、学級規模の大きい小さいにかかわらず生じておりますことから、学校の実情に応じて県単独で19名の生徒指導加配措置を行うなど、それぞれの学校が全体として教育課題に対応できるよう配慮しているところでもあります。いわば、現行制度のもとで最大限の現実対応をしているものであります。  学級編制基準につきましては、まさに我が国の教育に係る根幹的な問題であり、まず、国において基本的な枠組みと法整備、財政措置がなされるべきものと考えておりますが、国では、現在教職員配置のあり方等に関する調査協力者会議を設け、新しい学習指導要領への対応や、学校現場の諸課題に対する教職員配置のあり方など、例えば学級規模を一律に小さくするのがいいのか、あるいは教育課題に対応する教員加配をするのがいいのか、また、それらを折衷して進めるべきかなど、さまざまな角度から幅広く議論が出されているところでありまして、よりよい結論を期待しているところでございます。  次に、中高一貫教育についてでありますが、現行の中学校、高等学校に加えて、中等教育の多様化を進めるために制度化されたものであります。具体的には、1つの学校で6年間の教育を行う中等教育学校の新設、また、同一の設置者による中学校と高等学校の併設、ならびに設置者の異なる学校間の連携、そういう3つの形態がございます。  いずれの形態におきましても、後期課程、いわゆる高等学校の課程への入学者選抜を行わないか、もしくは簡略化することが大きな特色であり、ゆとりの中で生徒一人一人の個性を伸ばす教育がより充実できるという一面を持っております。しかし、その反面、身体的にも精神的にも発達の著しい時期に長期間にわたって生徒を固定することから生ずるマイナス面は考えられないか、小学校卒業の段階で児童が主体的に進路の選択を行えるのかなどの課題もあるように考えております。  既に全国的には、宮崎県の山間地の五ヶ瀬町に全寮制の中等教育学校があります。岡山では、市立の定時制高等学校と同じ市立の中学校との併設が、また、三重県では、山間部にある中学校3校と高等学校1校との連携が行われておりますが、これらの事例は、山間地域の振興や定時制高校の活性化、あるいは一部の地域に限定しての実施であり、それぞれの地域の課題、実情に応じて導入されたものであります。  本県のように他府県との交流が容易で、交通網の整備された地域であって、公立学校でこの制度を導入することは、本県の初等教育、中等教育全体に大きな影響を及ぼすものであり、慎重に検討していく必要があると考えております。  したがいまして、本年度から文部省の委嘱を受けまして、複数の中学校、高等学校に協力を依頼して基本的な調査研究を行うとともに、学識経験者、社会教育関係者、小学校・中学校・高等学校関係者、PTA関係者、経済団体、労働団体、それぞれの関係者等から成ります研究会議を来月にも設置することとし、この中で、本県の実情を踏まえて、中高一貫教育を行う場合の問題点や基本的な考え方などについての研究を行うこととしております。  県教育委員会といたしましては、こうした調査研究の成果を参考にして、2年後を一つのめどに、本県における中高一貫教育の方向性を見出せるようにしていきたいと考えているところでございます。 ◎警察本部長(荒木二郎君) (登壇)オウム問題に関する御質問にお答えをいたします。  まず、思想、宗教の自由と警察による情報収集に関する基本的所見について申し上げます。  思想、宗教の自由は、個人の尊厳を基本とする近代民主主義国家におきまして最大限尊重されるべき最重要の自由の一つであると考えております。しかしながら、宗教活動の名のもとに他人の権利の侵害が行われる場合、特に他人の生きる権利を侵害するなどの犯罪行為が行われる場合には、警察といたしましては、当然これに対して厳正な取り締まりを行い、国民の権利と自由、命と暮らしを守るべきものであると考えております。そのために必要な情報収集を、適法かつ妥当な方法で行い、被害の未然防止に努めることが我々の責務であると考えております。  次に、オウム真理教の現状に対する御質問であります。  県内では、甲賀郡を中心に信者約30人が居住をいたしております。これらの信者は、県内あるいは県外で行われます集中修行や説法会へ参加するなど、オウム真理教の信者として活発な活動を行っておりますほか、一般住宅に対してビラ配布を行うなどによりまして、信者の拡大に取り組んでおります。中には、セミナーに講師として出席する大変地位の高い信者も含まれているところであります。また、資金獲得の方法として、コンピューターのソフト会社を経営いたしまして、相当の収益を上げているものと見られます。  オウム真理教は、現在、平田信という、東京目黒の公証人役場の事務長をされていた假谷さんという人を拉致し殺害した容疑で指名手配をされております容疑者、それから、地下鉄サリン事件で指名手配されております菊地直子というのと高橋克也、この3名の容疑者が依然逃亡中でありまして、全国警察を挙げて追跡捜査を行っているところであります。  これらの事件を含めまして、一連のオウムの行いました組織的な違法事案に対しまして、彼らはいまだに何らの謝罪も反省も行っておりません。かえって、依然として従前の反社会的な教義でございます、教団の利益に合致すれば、殺人さえも教団の救済活動として許されるとする教義を堅持しておりまして、その普及宣伝に努め、修業を行っているところであります。このため、教団施設周辺住民の方が大変不安に思われているということを県警としても十分承知をいたしているところであります。  このため、県警としては、昨年の2月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反で甲西町のオウム施設の捜索を行いました。また、先般警視庁により行われました建造物侵入事件での捜索に当たっても協力を行うなど、違法行為につきましては積極的に事件化を行いますとともに、他の警察とも密接に連携をとってきたところであります。教団の違法行為につきましては、引き続き厳正に対処いたしますとともに、県民あるいは地域住民の方々に対しまして、オウムに関する適時適切な情報提供に努めまして、地域住民の方々の不安感の除去に努めてまいりたいと考えております。  また、先ほど申しました指名手配の被疑者の検挙、あるいはオウムに関するいろいろな情報につきましても、県民、住民の皆様の御協力なくしては不可能なことでありまして、住民の方と十分連携をいたしまして、オウムの不法行為の防止に万全を期してまいりたいと考えております。 ○議長(滝一郎君) 次に、22番浦田一郎君の発言を許します。 ◆22番(浦田一郎君) (登壇、拍手)グローカル ネットワーク滋賀を代表して質問を行います。  このたび任期満了に伴う統一地方選挙におきまして当選をさせていただきました私たちは、新たなメンバーを加えて6人の会派としてスタートいたしました。志も新たに会派の名称もグループ草の根からグローカル ネットワーク滋賀と改めました。  私たちのふるさと滋賀への深い愛情を心に、常に国際的な視野に立ち、未来を展望しながら、地域に根差した活動を地道に展開していく覚悟でございます。知事を初め当局の皆さんならびに議員各位の御理解と御指導、御鞭撻を衷心よりお願い申し上げる次第であります。  それでは、質問に入ります。  まず、国の経済対策について、知事にお伺いをいたします。  我が国の経済は、一部で明るい兆しが見えるとか、あるいは下げどまりとか言われておりますが、堺屋経済企画庁長官は、6月10日の記者会見で、ようやくマイナス成長の泥沼からはい出し、確実とはいかないまでも、ことし1月から3月期の実質経済成長率が当初の予測を上回ったことを発表されました。しかし、依然として厳しい状況にあることは変わりありません。むしろ今の不況が、我が国の需要と供給のアンバランスからくる構造的不況であることから、この供給過剰の状態が解消しない限り、本当の回復は望むことができないと極めて悲観的な意見すら聞かれるところであります。  我が国の供給過剰は、金額にして40兆円から50兆円とも言われ、GDP──国内総生産の8%から10%に相当すると言われております。そして、この物余りを解消するには、まず国民の消費拡大を図るか、あるいは公共投資をばねにして、企業の設備投資の拡大を図るかなどになりますが、これらの緊急経済対策は、現在のところ成果を上げるまでには至っておりません。バブル崩壊以降、政府の打ち出した景気対策は、昨年だけでも40兆円、それに1992年から95年にかけての6回66兆円を加えると、実に106兆円規模の経済対策を実施したことになります。しかし、95、96年に一時的に景気の回復を示したものの、最近はほとんど回復につながらず、過去2年間の経済成長率は連続してマイナスになりました。そして、国と地方を合わせて600兆円の借金を抱える財政は、まさに危機的な状況と言わなければなりません。もう公共投資と減税に頼る景気対策は限界ではないかとさえ考えられます。  政府は、金融対策を初め、環境、福祉、情報関連産業の創出や雇用対策に努力を重ねておられますが、景気の低迷は当分続くことを覚悟しなければなりません。もとより一日も早い景気の回復は願わずにはいられません。しかし、我が国全体では何か危機意識が弱く、国や地方の財政対策にも盛り上がりを欠くのは極めて残念であります。  かつて日本とよく似たバブル経済とその崩壊によって、1991年から経済成長がマイナスになったフィンランドでは、その翌年から国を挙げて危機感を持ち、迅速に対応し、国民の協力で危機を乗り越えたようであります。また、ニュージーランドの例を見ましても、経済不況対策は、短期間に国を挙げて計画的に進めるのが効果的のようであります。
     そこで、知事にお尋ねいたしますが、まず、我が国の経済の現状をどのように認識されておられるのですか。そして、今日まで国が進めてきた経済対策をどう受けとめ、その効果をどのように期待されているのか、お伺いしたいと存じます。  次に、県の財政についてお尋ねをいたします。  去る5月31日、県は、平成10年度一般会計の決算の概要を発表されました。それによりますと、歳入が6,138億円、歳出が6,053億円で、翌年度への繰越財源72億円を差し引いても約13億円の剰余が出ることになっております。しかし、法人二税を中心に県税の大幅な減収が続いていることや、県債残高が過去最高の6,866億円にもなり、前年度より580億円、9.2%も増加していることなどを見ますと、決して楽観できない状況であります。  知事は、平成10年度決算についてどのような認識をされているのか、お伺いするものであります。  次に、中期的な財政見通しについて伺います。  先月の31日に、お隣の京都府では、2003年度までの5年間の中期財政見通しを公表されました。それによりますと、京都府は来年度以降、毎年度400億円から600億円の財政赤字が発生し、自治体のいわゆる倒産に当たります財政再建団体に転落する可能性があると言われております。  京都府の試算によりますと、本年度を基礎にしておりますが、歳入では名目経済成長率を1.75%と想定しても、府税収入は恒久減税などの影響もあり、本年度並みしか期待ができず、歳入全体でもわずか95億円の増加にとどまっております。また、歳出では、普通建設事業費の伸び率をゼロに据え置き、人件費は、5年間で職員を1,300人削減することを前提にして給与の伸び率は1.5%としておりますが、人件費のほか公債費など義務的経費が486億円も増加し、歳出全体で730億円もふえることになっております。以上の結果、京都府では2000年度に461億円の財政赤字が発生し、それ以降も毎年500億円以上の赤字が出て、2003年度末には累積赤字が2,200億円に達すると見込まれております。  知事は、今後滋賀県の財政見通しはどのようになるとお考えなのでしょうか。そして、なるべくなら見通しを立て、県民に公表されることが必要ではないかと考えますが、知事の所信をお伺いするものであります。  なお、6月1日の新聞の見出しによりますと、県の平成10年度一般会計決算見込みについて、「実質13億円の黒字に」とか「23年連続の黒字」とか書かれておりました。県民の皆さんは、これを読まれて、この厳しい財政事情の中で滋賀県は案外裕福なのだと思われるかもしれません。もちろん中には「県債残高過去最高の6,866億円」の見出しがつけられ、県民1人当たり51万8,541円の借金があることが書かれておりますので、そう安心できる状況でないことも理解はできます。しかし、どうも13億円の黒字だけが目立つ感じであります。  最近県では、県民主役の県政の実現を目指し、県民への説明責任にこたえていく上からも、財務内容の公表はわかりやすいものにするよう創意工夫を重ねていただいております。余り消極的で暗い印象を与えるのも困りますが、実態は正しく伝えるよう一層の努力をお願い申し上げたいと存じます。  次に、県の会計に貸借対照表──バランスシートを導入することについて、総務部長に質問をいたします。  先月21日の朝日新聞は、1面トップに「国財政に貸借対照表」「大蔵省方針」の見出しで、大蔵省が複式簿記の会計方式を国の財政管理に導入する方向で研究会をつくり、検討に乗り出したと伝えております。この問題は、私が昨年3月の部門質問で取り上げて、当時の総務部長──今の國松知事でございますが──に所信を伺いました。部長は、現在の法体系のもとでは会計方式を変更することは困難であるが、他団体の取り組みなどを参考に、今後研究すべき課題の一つだと考えていると答弁をされました。  現在国や地方公共団体の一般会計は、年間の現金の出入りだけを記録する単式簿記の方式を採用しておりますので、貸借対照表はつくられていません。しかし、最近になりまして、厳しい財政事情もあり、事業や施策に対する評価とか、費用対効果を問う時代になりました。県や市町村にも民間企業の経営感覚が求められるようになりましたので、資産と負債をきちんと把握する必要があり、貸借対照表の作成は極めて大切であると考えます。  その後5月26日の新聞にも、自治体の財政に貸借対照表を導入する動きは全国的に広がり始め、既に5県13が作成しているほか、5都府県と13のおよび区が作成中か作成を決めたという記事が載りました。そして、今月2日には、今度は自治省が、採用に向けて検討するために研究会を発足させ、2000年3月までに報告をまとめることを決めたと伝えています。  この動きは、厳しい財政事情を背景に、全国の地方自治体にも急速に広がると思われます。本県においても、国の方針が決まるのを待つのではなく、今から積極的な取り組みを始めるべきであると考えますが、総務部長はどのようにお考えなのか、伺いたいと存じます。  次に、地方分権推進における市町村合併について、知事にお伺いをいたします。  最近市町村合併の議論が盛んになってきたと言われております。本年2月に提言された滋賀県分権型社会を考える懇話会報告において、分権型社会のあり方に関する基本的な考え方を整理するとともに、市町村合併のあり方についても触れられています。  しかし、正直申しまして、市町村合併についてはもう少し踏み込んだ提言がなされるものと期待しておりましたが、懇話会の中ですら、市町村合併については県が強力に指導すべきという意見や、市町村の意思を尊重し、住民意識や市町村の事情を踏まえるのが適当とするなど、実にさまざまな意見が出されて、統一した見解をまとめるに至っていないようであります。  昭和30年代に大枠が決められた今の市町村の区割りが、交通手段の発達、経済構造の変化あるいは住民意識の変化などの中で不合理になったと言えそうであります。現在のように狭過ぎる市町村では、公共公益施設のむだと市町村間の調整が不十分であることによる非効率は避けることはできません。しかし、安易な自治体枠の拡大は自治意識を希薄化させることにもなり、こうしたジレンマが、今日市町村合併が議論されながらも具体的なアクションとして進まない現状を生んでいるのではないかと考えます。  自治省の市町村合併研究会が、先月24日に報告書をまとめました。それによりますと、合併を通じて実現すべき目標、地方公共団体の規模、能力に応じた組織および機能の差、市町村の結びつきなどの要素を勘案し、合併後の市町村を人口規模別に5類型に分類しています。そして、報告書はこの類型をもとに、都道府県に対して具体的な市町村合併プランを盛り込んだ要綱を来年度中に作成することを求めています。  今日まで本県議会での市町村合併に対する答弁では、市町村合併は、関係する地域のあり方や住民の生活にも大きな影響を及ぼす問題でありますので、まずもって地域の実情や住民などの感情なり意向を十分踏まえ、市町村の自主的な判断を尊重する必要があると繰り返し答弁されてきました。また、市町村の自発的な判断を尊重する余り、今日まで合併に向けての具体的なアクションは起こっていません。懸念されています関係する地域のあり方や住民の生活への影響についても、市町村合併研究会の報告書では、合併により市町村の規模が拡大することになった場合においても、住民が帰属意識を有する地域社会を形成、維持することは可能であると断言しています。  そこで、まず、この報告書に対する県としての所感をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、同報告書が求めておりますこの要綱は、都道府県の全区域を見渡した上で具体的な市町村の組み合わせを示すとともに、わかりやすく地図上で示したパターンを中心的な内容とするもののようであります。合併特例法の期限が平成17年3月であることを考慮すると、県は早急に対応し、遅くとも平成12年中には要綱を作成することが必要になるのではないかと考えます。この要綱作成に当たっての知事の方針および計画作成についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  また、常日ごろから県民とのパートナーシップを力説されておられます知事のお考えは当然でございますが、この要綱作成のプロセスにおける県と県民とのパートナーシップをどのように構築されようとお考えなのか、あわせてお聞かせいただきたいと存じます。  次に、びわこ空港について、具体的に知事のお考えをお尋ねいたします。  間近に迫った21世紀が、国際化や情報化がますます進展する交流の時代であることを考えますと、もはや空港は21世紀の交通手段ではなく、本来20世紀中に建設、開港されていても決して早いとは言えないのではないかと考えます。例えば、今全国的に注目を集めております脳死による臓器移植一つを取り上げてみましても、臓器摘出後の迅速な対応が求められ、輸送には航空機の利用は欠かすことができません。高度な技術が発達すればするほど、人・物・情報の移動手段も迅速性が求められ、当然のことながら高速交通手段の一つである空港の整備は急がなければならないと考えます。  しかし、昨年度には「びわこ空港建設の是非を問う住民投票条例の制定請求書」が提出されましたほか、運輸大臣は否定されておりますものの、運輸事務次官が2回にわたって、びわこ空港の必要性について疑問視するような発言をされました。びわこ空港を取り巻く情勢はますます厳しくなっており、びわこ空港は今まさに正念場を迎えていると言っても過言ではないと思うのであります。  こうした状況の中で、知事は昨年7月の就任当初から、空港については広く県民の生の声を聞くという姿勢を打ち出され、公約どおり県下7会場で県民公聴会を開催され、そのすべての会場にみずから出席して、直接県民からの声を聞き、疑問には広報などを通じて責任ある考えを示して、県民の理解を得る努力を重ねてこられました。また、反対集落の住民を中心に、関係集落などとの話し合いには積極的に出席されるなど、その行動力には敬意を表するものであります。  しかし、いまだに地元の一部の地権者集落からは、依然として環境アセスの同意すら得られず膠着状態が続いています。そして、昨今の社会経済情勢の影響を受けて、地元との溝は埋まるどころか、ますます深まっているのではないかと感じているところであります。  こうした状況の中でびわこ空港問題を打開していくためには、まず地元の理解を得ることを最優先に取り組むべきであると考えますが、地元の状況は、先ほど来の御答弁の中で説明をいただきました。私は、県として今後の地元対策についてはどのように展開されようとしているのか、伺うものであります。  次に、5月26日付の「ニュー滋賀」臨時号で経済アセスメントについて言及されています。  近年公共事業について費用対効果の視点が注目されるようになり、活発に論議されるようになってきました。このことは、住民が事業の実施効果などを判断し、評価する上で大変役立つものであり、歓迎すべきものだと思っております。しかし、知事は4月1日の記者会見で、単なる費用対効果では説明できない部分があり、社会資本としてどう評価するか、経済アセスメントをきちんとやりたいと述べておられます。  そこで、お尋ねいたしますが、知事が経済アセスメントを実施しようと思われた動機や、設置を予定されております──仮称でありますが──びわこ空港経済アセスメント検討委員会の日程的な面も含めて、その具体的な進め方についてお考えをお尋ねいたします。  最後に、首都機能移転とびわこ空港の関係について伺います。  このことについては、去る23日の記者会見で知事は明確に、首都機能移転問題と関係なく空港は推進したいと述べておられます。さきの運輸大臣の記者会見では、三重・畿央高原が国会移転候補地として前進していけば、びわこ空港というものは極めて重要な位置づけになると発言されたところであります。確かに首都機能の候補地が三重・畿央高原に選定された場合は、その広域高速交通手段として空港が大変重要になることは理解するものでありますが、さきにも述べましたとおり、びわこ空港は、もし首都機能移転が三重・畿央高原に実現しなかったとしても、現在の滋賀県の将来にとって必要な交通基盤であると思うのであります。首都機能移転とびわこ空港の関係について、知事の考え方を確認させていただくために伺うものであります。  次に、G8環境サミット、第9回世界湖沼会議の本県開催について、知事にお伺いをいたします。  このたびG8環境サミットならびに第9回世界湖沼会議が相次いで本県開催に決定しましたことは、環境問題に先駆的に取り組んでこられた武村・稲葉両知事の存在ならびに両知事の考え方を支えてきた県議会や県民の力によることを忘れてはなりません。  印象的には、1979年の富栄養化防止条例や1984年の第1回世界湖沼会議の本県開催であります。こうした取り組みの行間には、ILEC組織化、UNEP国際環境技術センターの本県設置、琵琶湖研究所の開設など、枚挙にいとまがありません。このような歴史の積み重ねが、G8環境サミットの本県開催につながり、世界各国をめぐって湖沼会議が再び琵琶湖畔に戻ってきたものだと思われます。  こうした歴史、動きを、知事はどのように評価されているのでしょうか。御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、主要8カ国の環境大臣が来春琵琶湖畔に集うという、本県にとっては世界に滋賀県を、琵琶湖を売り出す絶好の機会と考えますが、いかようの方策をお考えなのでしょうか、伺いたいと存じます。  また、この機会は、県民の環境問題の関心を高めるまたとないイベントにもなるものと考えますが、どのようなPR等方策をお考えなのでしょうか。警備も大変、受け入れも大変だけでは、本県開催の意義が半減しようと思われます。むしろ積極的、前向きにとらまえるべきでありますが、この会議開催に対する考え方をお尋ねいたします。  次に、第9回世界湖沼会議開催についてでございますが、二回り目を受け入れるという意味は重要なことと考えます。世界の目も同様のものがあるでしょう。琵琶湖が17年間でどのような変化をたどったものか、検証される場となります。何かにつけ比較対照となる会議開催の受け入れであります。  そこで、まず第1に、第2回目を開催する意義、次に、NGOなど新機軸を打ち出されている知事にとられての目新しい改革点、さらに、全県域的な広がりと、一般県民が参加しやすくする方策、ならびに、同時にこうした機会に琵琶湖への取り組みを、憲章的に、琵琶湖宣言なり琵琶湖アピールとして取り上げるなど、新たに県民の自覚を促すパフォーマンスについて御所見をお伺いしたいと存じます。  この2つの会議を、単に今日までの遺産だけに乗ったものに終わらせることはないと思いますが、UNEP水質部分の本県誘致など、どのように思われるのでございましょうか。県民に理解され、歓迎される会議となるよう一層の努力をお願い申し上げたいと存じます。  次に、介護保険の導入を控えて、知事および健康福祉部長にお伺いをいたします。  今我が国は、高齢者が急速に増加しています。寝たきりや痴呆等による介護を必要とする人の増加や介護の重度化、長期化、さらには介護をする人の高齢化も進み、高齢者が高齢者を介護するという事態もふえています。さらには、家族機能の変容に伴い、高齢者世帯の増加また女性就労の拡大などにより、我が国の高齢者介護をめぐる状況は、現行の福祉制度による対応では限界があることを認識せざるを得なくなってまいりました。  21世紀の高齢社会を見据え、この介護の問題を社会全体で支え、利用者の希望を尊重した総合的な介護サービスが安心して受けられる仕組みが必要になってまいりました。そして、多くの問題を抱えながらも、40歳からの負担を前提とした介護保険制度の導入が、いよいよ来年4月に迫りました。ここで改めて、導入準備のために県を初め各市町村また関係各位が御尽力をいただいていることに、まずもって心から感謝を申し上げる次第でございます。  さて、いよいよこの10月からは、各市町村で保険制度の入り口となります介護認定業務が始まろうとしております。しかし、この時期に、実施主体となる市町村の財政不安や準備のおくれなどとともに、各市町村におけるサービス格差の懸念、また、総費用が計画当初より上回り住民の負担増が必至となる見込みなどから、また、衆議院選挙の思惑絡みとうわさされる動きと相まって、無責任な介護保険制度の延期論が東京永田町界隈で浮上しております。まず、こうした先送り論に対する知事の所見をお伺いいたします。  高齢化のスピードが世界一速い日本で、住民のだれもが安心して高齢期を迎えられるためには、まずこの制度は、限られた時間の中で走りながら考え、進めようという仕組みになっていると思います。住民も行政も、最初から満点を求めてはならない制度であるかもしれません。高知県も、昨年、全国平均をはるかに上回るという介護保険料の試算を発表し、話題になりました。本県においても、情報公開を積極的に進め、住民、行政、民間企業が一体となって、この制度に取り組み、高福祉の滋賀は滋賀として、あくまでも全国に誇れる滋賀らしい内容を目指していきたいものであります。  この制度化において大切なことは、高齢者が地域でゆとりを持って生き生きとした生活を送るためには、介護予防や生きがい対策を促進するとともに、きめ細かな介護サービスを提供するため、NPOやボランティアの方々の積極的な参加や活動を忘れてはならないと思います。  また、この制度の運営主体は市町村でありますが、それぞれが個性、特色を持って競うというよりも、現状は、それぞれが他市町村の動向を見ながらサービスを決定するという状況にもあります。低い水準での横並びではなく、高い水準を目指しての競争が市町村間でも必要になってくるのではないでしょうか。  そこで、この介護保険制度を社会全体で支える仕組みとして、どのように滋賀で構築し、定着させていくのか。仕組みづくりにおける情報公開や、NPO、ボランティアの取り組み、さらにはサービスと保険料の市町村格差についてどのように対処されるのか、基本的な考え方を知事にお伺いします。  また、介護保険は、従来の福祉、いわゆる措置と違い、国民の大多数を占める中間所得者層をも受益者とし、老後の生活設計を立てやすくする制度であり、福祉に金がかかると嘆く前に、介護を新しい産業創出の機会と考えるべきであります。失業率が4.8%という雇用不安の中で、雇用を創出する大変重要な機会であるとも言えます。可処分所得の多い高齢者を対象とした介護保険は、法律で新たな経済市場をつくり出すとも考えられます。福祉政策を経済成長にどう結びつけていくのか、今日的課題でもあります。  介護保険導入に際して、民間の活発な参入促進や福祉関連の新産業育成が求められていると考えますが、知事は、福祉ビジネスの育成を提唱されていることでもあり、雇用創出を含めて、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、健康福祉部長にお伺いいたします。  県民の最大の関心事は、我が町、我がでは介護保険料は一体幾らで、それに見合う十分な介護サービスが受けられるのだろうかということであります。保険料を払うのですから、権利意識も手伝って、サービスの増大、充実を望む声は強まってくることが予測されます。  そこで、まず、県下の現状の平均試算状況についてお伺いをしたいと思いましたが、既に午前中知事からも明らかになりましたので、保険料については省略いたしますが、次に、介護保険導入を控えて、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設の整備状況、ならびにホームヘルパーの確保状況、そして、介護サービス計画を策定するケアマネージャーの充足について、現時点での見通しをお伺いいたしたいと存じます。  さらに、ゴールドプランの達成を当局は第一義的に考えておられますが、施設もマンパワーの確保もさらなる増強が望まれるところですが、今後の計画づくりについての考え方をあわせてお伺いいたします。  また、県民に対しては、どのようなサービスが受けられるのかなど、親切な情報提供が必須であります。情報提供システムについて、当局の御所見をお伺いするものであります。  また、制度導入後、県民から各種の苦情に対しまして親切に対応していかなければ定着が図られていきません。県民の立場に立てば、苦情処理でなく苦情解決になりますが、苦情解決のシステム構築について、準備状況をお聞かせください。  最後に、この制度は地方分権の流れの中で地方が問われている制度でもあります。ゆえに、本議会でも何回も議論されてきましたように、県の指導のもと広域の推進体制が望まれています。その推進状況を最後にお伺いして、この項の質問を終わらせていただきます。  次に、本県における総合経済対策をめぐる諸施策と成果ならびに雇用拡大対策について、商工労働部長にお伺いをします。  近年、国の総合経済対策として、個人消費の拡大や設備投資などへの影響を背景に、社会資本の整備を図り、経済構造改革が推進されてきました。本県におきましては、たくましい経済県を目標に、県独自の総合経済対策本部を設置されて、公共事業の積極的推進や中小企業の支援に努めてこられました。とりわけ不況下の中小企業を取り巻く厳しい経営環境にあって、信用保証協会での無担保保証枠の拡大など資金面の支援や産業支援プラザの開設などを行い、県として有効かつ適切な対応に努めてこられました。このことには深く敬意を表するところであります。  そこで、まず、今日まで本県が取り組んでこられた経済対策の成果についてどのように評価されているのか、お尋ねをいたします。  また、中小企業の資金対策については、金融機関の貸し渋りと相まって、どのような状況にあるのか、お伺いをいたします。  今、我が国の雇用情勢は一段と厳しさを増し、完全失業率4.8%はまだまだ上昇傾向にあり、また、一部男子では5%にも達したと報じられている点がありますが、これは見逃すことができないことであります。  そこで、雇用対策についてでありますが、比較的雇用が安定していた滋賀県の有効求人倍率が、10カ月連続して全国平均を下回っています。その原因はどこにあるとお考えなのでしょうか。  また、県として6月15日には総合経済対策本部の雇用関係本部員会議を開催され、翌16日には滋賀県雇用創出・安定行労使会議を設置されたとのことでありますが、雇用問題の深刻な状況から、それぞれの会議で具体策が出されているのであれば、お示しいただきたいと思います。  また、知事は提案説明で「4つの実験」を打ち出され、その3つ目に経済の実験を唱えておられますが、環境ビジネス、福祉ビジネス、観光ビジネスの育成を提唱されています。これらのビジネスは、雇用創出の面からも期待が高まっています。  そこで、例えば地域特性を生かした本県ならではの新しい産業を育成するなど、滋賀県における新産業創出に向けての具体的な対策についてのお考えをお伺いしたいと存じます。  厳しい不況が続く中、個人消費の拡大と地域経済の振興を目的に、地域振興券が発行されました。県では、これに呼応して商店街の活性化のため、がんばれ商店街事業を実施されたところでありますが、現段階での取り組みと成果、この事業の利用状況の把握についてお尋ねいたします。  さらに、本県は、今後引き続いてどのような景気対策を考えられているのか、具体的にありましたら、お示しいただきたいと存じます。  次に、新農業基本法が本県農政に及ぼす点について、知事および農政水産部長にお伺いをいたします。  食料・農業・農村基本法いわゆる新農業基本法が衆議院を通過し、現在参議院において審議中であります。衆議院の審議中には幾つかの重要な法案修正がなされました。いわば各党合意の法案と言ってもよいと思われます。こうした審議過程は、いかに各党がこの法案を重要法案と位置づけているか、そして法案成立を期しているか、さらに言えば、現下の農政の置かれている環境がいかに厳しいか、さらには新法への期待が大きいかを物語るものであります。  このような意味から、我が会派においてもこの法案に寄せる期待は大なるものがあり、早い成立を願うものであります。しかし、この法の成立を単純に喜ぶわけにはいきません。国や自治体が、大変な責務を実は負わされることになるからであります。  その1つは、食料自給率の向上であります。この点が、実は衆議院の論点の一つにもなったものであり、いわゆる数値目標が年度内に出され、その目標値に対して国や県が大変な努力を強いられることになります。温暖化防止京都会議においてCO2削減目標に対する日本政府が負った責務と同様、目標達成は容易なことではないのであります。現在41%の自給率を50%まで引き上げようというのだそうでありますが、国の試算によりますと、例えば小麦の生産量の約50%アップ ──48万トンから70万トンに引き上げると0.5%、大豆の生産量の約30%アップ──15万トンから20万トンに引き上げるとすると0.2%、飼料作物の作付面積を約20%アップするとして、97万ヘクタールから120万ヘクタールにするとして0.8%のアップになります。これらを合わせましても、自給率はわずかに1.5%向上するにすぎません。土地利用型の現行農業では、自給率引き上げは、言うほど簡単ではないと思われます。  農政水産部では、湖国農林水産プランの改定の中にその努力目標が示されると思われますが、部長の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  次に、農家の所得補償のための中山間地域等直接支払制度の導入について伺います。  この制度は、農業生産条件が不利な中山間地域などにおいて耕作放棄の発生を防止し、農地の持つ公益的機能を確保するという観点から導入を検討されているものでありますが、本県の中山間地域にこの制度の導入は果たしてなじむものなのかどうか、この制度の導入に当たり、中山間地域外との整合性をどのように図ろうとするのか、部長のお考えを問います。  その3は、政府責任についてでありますが、法案修正の中で、国内農業生産の増大、食料自給率の向上、基本計画の国会報告の義務づけなどについて修正合意されましたが、このことは、同時に県に課せられた課題でもあります。こうした意味から、本県農政の基本的方針はその趣旨に沿うべきだと考えますが、特に本県が目指しております集落営農ビジョン、いわゆる集落ぐるみ農業は、新法の趣旨に沿うことになるのでしょうか。本議会の論点の1つになってきたと思いますが、新法成立を期に改めて確認しておきたいと思います。  最後に、知事は、さきのヨーロッパ訪問中、菜種の導入に積極的な発言がありましたが、環境面だけでなく生産面から、その導入の可能性についてお伺いいたしたいと思います。  最後に、ゆとりのある教育を目指して、教育長にお伺いをいたします。  昨年来、小学校における学級崩壊や授業崩壊の問題がにわかにクローズアップされてきました。内容的には、学級運営や授業がうまくいかない例や、子供たちの気持ちが教師から離れていく、また、児童生徒の反発から起こる形などさまざまでございますが、東京都における調査では、このような現象は13学級に1学級の割合で起きていると言われています。幸いにして滋賀県においては具体的な事象報告は余り聞かないのですが、私は、既に問題の低年齢化は進んでおり、ただ表に出ていないだけではないかと思っています。  問題の低年齢化は既に進んでいるのかどうか、本県の実態と教育長の所信をお尋ねいたします。  ところで、学級崩壊もしくは授業崩壊に近い現象が小学校で顕在化しているということは、子供たちが我々に黄色の信号を送っていると解釈することはできないでしょうか。問題への対応は早ければ早いほど効果が大きいのは、どのような場合でも当てはまると思いますが、学校教育にも当然それは当てはまるのではないかと考えます。子供の教育は、家庭、地域、学校の三者がうまくかみ合うことが必要だと言われ、このことに異論はありませんが、ここでは学校教育に焦点を絞って質問いたしたいと思います。  学級崩壊や授業崩壊については、学校教育、特に小学校においては教職員の資質の向上と少人数学級の実現にかかっていると思うのでありますが、教職員の資質の向上については、あらゆる研修の実施などによって徐々に効果が上がっていると思います。このことについては、教育委員会を初めとした関係機関ならびに教職員の皆様の努力に期待し、敬意を表しておきます。  一方、少人数学級の実現については、公立義務教育諸学校教職員配置改善計画の実施により40人学級が実現し、ゆとりある教育という点からは少し改善されたと思います。しかし、1教室に40人弱の子供がいるという姿は、およそ先進国の義務教育としてはなじむものとは思えません。もちろん子供の数が少なければいいというものではありませんが、学級の子供の数について適正と思われるのはどの程度なのか。少なくとも40人ではないと思うのですが、教育長の所信をお伺いしたいと思います。  なお、ことしになって地方教育委員会の教育改革プランが相次いで公表され、地方からの教育改革の具体化として注目を集めております。中でも少人数学級への取り組みは、長野県の小海町や茨城県総和町などの例があり、県レベルでは群馬県教育委員会が、「さくらプラン」と名づけて意欲的な取り組みを始めています。  私は、高校も小学校低学年も同じように40人学級であることに問題はないのだろうかと思います。言いかえれば、せめて小学校低学年の学級編制は大胆に少人数学級に移すべきではないかと考えます。小さな子供には行き届いた教育と指導が何よりであり、学級崩壊のような問題の芽を摘めるのは、ゆとりある学級編制に尽きると思います。  去る2月議会で教育長は、国の教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議の動向を注視すると答弁されていますが、これを一歩進めて、国に少人数学級の実現に関する要望を提出するとともに、国が採択するまでの間、低学年に関して少人数加配措置を県として実施できないものでしょうか、教育長にお尋ねをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(滝一郎君) 22番浦田一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)浦田議員のグローカル ネットワーク滋賀の代表質問にお答えいたします。  まず、国の経済対策と県の財政についての御質問のうち、我が国の経済の現状についての認識はどうかとのお尋ねでありますが、経済指標の間にばらつきがありますものの、景気の下げどまりについては、政府のみならず経済界や民間調査機関もほぼ同様の見解でございます。また、本年1月から3月期のGDP──国内総生産は、実質で前期に比べ1.9%、年率換算では7.9%増加し、6期ぶりにプラス成長に転じております。このような状況を踏まえて、政府としては、国際公約となっております今年度の経済成長率0.5%の達成に自信を示されているところであります。  私としましては、個人消費や民間設備投資が依然低調であり、雇用情勢が厳しさを増していることから、先行きは不透明ではありますものの、当面の景気に関しましては回復の兆しを見せつつある現状にあるものと認識しているところであります。  次に、これまでの政府の経済対策についての評価なり期待ということでありますが、昨年度だけでも総額約40兆円を超える経済対策および金融対策を矢継ぎ早に打ち出されたところであり、国と地方自治体による公共投資および住宅減税による住宅投資の回復が景気の下支えになったことは事実でありますし、金融対策による企業金融の逼迫感が緩和していることからも、その効果を発揮しているものと受けとめております。先日のケルン・サミットにおいても、日本の経済対策が評価され、その継続が求められているところでもございます。  ただ、現下の財政状況を踏まえますと、極めて厳しい状況にあり、国も県も腹を据えて、この難局を乗り切ることが極めて大事であると考えます。  また、今回の緊急雇用対策および産業競争力強化対策では、短期的な雇用創出とともに、規制改革や労働力の流動化促進策などが打ち出されておりますし、産業面でも、当面の事業再構築への環境整備とあわせて新規・成長産業の振興など、中長期的な課題をも踏まえたものとなっております。  本県産業も、一層の高度化や新しい成長産業の育成、あるいは物づくりとサービスのバランスのとれた産業構造の実現など、これからの時代に向けた対応を迫られており、当面の景気回復策とともに、構造改革のための施策展開が、国の強力なリーダーシップのもとに早期に動き出すことを期待するものであります。  なお、政府におかれては、深刻化する雇用情勢に対処するため、今国会の会期を延長し、補正予算の成立を図る迅速な対応をとられようとしており、本県といたしましても、これに即応し、実効ある施策を展開すべく全力で当たるつもりであります。  次に、平成10年度決算についてでありますが、さきに5月末を見込んだ収支の概数を取りまとめ、一般会計の実質収支は13億円程度になる見込みと発表いたしておりますが、最終の数値についてはまだ調製中であります。いずれにいたしましても、収支においては黒字決算の見込みではありますが、これをもって決して県財政に余裕があると言えるものではございません。県税収入は何とか最終予算額を確保はできましたものの、当初予算額からは187億円を超える未曾有の落ち込みとなりましたし、これを補てんするため、多額の減収補てん債を発行し、また財政調整基金や県債管理基金といった、いわば貯金を取り崩した上での実質収支だったからであります。
     10年度末の一般会計の県債残高は、歳出決算見込み額6,050億円余を上回る6,866億円余となり、依然として増嵩を続けております。その半分程度は地方交付税等で財源措置され、償還が担保されているとはいえ、総額が増加し続けていることはやはり心配なことであります。  また、現在、国の統計調査である普通会計決算作業を行っておりますが、中でも経常収支比率の動向に注目をいたしておりまして、本県の場合、これまで、平成8年度では80.1、9年度が85.3と急速に上昇しておりまして、10年度は90台に乗るのではないかと危惧しているところであります。  このように県税収入の大幅な減収とあわせて財政の硬直化が確実に進行しているということから、さきに公表いたしました県の財政事情では、このような県財政の現状をグラフを使って見やすくしたり、概況をわかりやすく記述したり、あるいはインターネットを通じて広くお知らせするなどの工夫をいたしておりますが、今後とも県民の皆さんに十分御理解いただけるよう一層の工夫に努めるとともに、気を引き締めて適切な県財政運営に努めてまいる所存であります。  次に、県財政の見通しについてでありますが、本県では、平成10年2月に財政構造改革の指針とあわせて、平成10年度から12年度までの3カ年の一般会計の収支見通しを公表いたしております。これは、10年度当初予算をベースに、財政構造改革指針の考え方に沿って、税等についての国の中期財政試算の名目成長率などを参考にしながら試算したものでございました。  歳入総額から歳出総額を差し引いた財源不足額、すなわち要調整額が毎年180億円程度、3年間で545億円程度見込まれると、そのとき予想いたしておりますが、11年度当初予算では、県税が収支見通しを大幅に下回る減収となり、地方交付税等によってこれを一定程度カバーいたしましたものの、最終的に要調整額は、見通しに比べて32億円増の212億円となりました。  12年度におきましても、ほぼ同程度の要調整額を見込んでおりますが、景気の現状から判断いたしまして、引き続き県税が極めて厳しい状況と見込まれますことや、基金の残額が残り少なくなっていることなどの要因がありますことから、今後慎重に見きわめてまいりたいと考えております。  なお、13年度以降の収支見通しにつきましては、今後の県財政の状況を初め、国の予算や地方財政対策等の動向あるいは経済情勢等を総合的に判断いたしまして検討してまいりたいと存じます。  次に、市町村合併についての御質問にお答えします。  まず、市町村合併研究会報告書に対する所感をということでありますが、この報告書は、自治省行政局長の諮問に応じ、私的な研究会が、市町村合併の推進に係る施策の全般にわたる研究を行ったということでありまして、その成果を取りまとめたもので、公式のコメントはなじまないものかもしれませんが、私としましては、全体的に参考にすべき内容を多く含んでいると感じております。特に合併のパターンにつきましては、詳細な検討がなされているものと受けとめておりまして、いよいよ市町村合併をめぐる議論も総論から各論へと進む段階にきたのかなという感を深くしております。  次に、県が作成する要綱でありますが、市町村や県民の皆さんの間で議論を深めていただくための材料となるものをお示ししたいと、こう考えております。  要綱の作成に当たりましては、有識者や各界の代表者、また、公募いたします県民の皆さんから成る「将来のまちを考える滋賀県懇話会」や、さらに地域ごとの懇話会を発足させたいと思っておりまして、まずは、その場で十分な御議論をいただくこととしております。その後、懇話会の御意見を踏まえまして基本的な考え方や合併パターンを取りまとめ、平成12年中には作成するというめどで進めたいと考えております。  市町村合併は、市町村や県民の皆さんが自主的、主体的に進めるのが基本であり、その際的確な判断がなされるような積極的な情報の提供、そしてまた議論の場づくりといったことが県の役割ではなかろうかと考えております。  こうしたそれぞれの役割を認識いたしまして、県民の皆さんと市町村、さらに県が、ともに将来のまちづくりに思いをはせ、問題意識や情報を共有しながら、確かなパートナーシップのもとに取り組んでいくことが大切であると考えるところでございます。  次に、びわこ空港についての御質問にお答えします。  まず、今後の地元対策についてのお尋ねでありますが、現在の地元状況は、あと2集落で理解が得られていないという状況であり、このうちの1集落は、これまで話し合いの場も設けていただくことができなかったというところでございましたが、去る3月6日には、集落の皆さんの御協力によりまして、私も出席して、初めて話し合う機会を設けることができたところであります。  話し合いでは、住民の方々は、空港ができることにより直接影響を受ける集落であるということから、いろいろな御意見や御指摘をいただいたところであり、一気に雪解けというわけにはまいりませんでしたけれども、こうした、いまだ御理解をいただけない集落に対しましては、継続的な話し合いを重ねる中で理解を得る取り組みが最も肝要であると考えます。  空港計画を進めるに当たりましては、地元の理解なくして空港の実現は困難でありますし、地元に対しましては、話し合いによる理解を得ることを基本に進めているところでありますし、今後も話し合いによる合意を得ることを基本に、粘り強く取り組んでまいる所存であります。  私はかねがね、空港づくりは地域づくりであり、また、地域づくりは空港づくりであると申し上げてきたところでありますが、近く両町議会の議員の皆さんと、そうした観点からの幅広い意見交換を行うことといたしております。  また、最近地元では、空港を核としたまちづくりについてシンポジウムなどを開催し、将来を見通した地域全体での議論を深めようという動きがあるように聞き及んでいるところでありまして、県といたしましても、現在準備を進めております環境こだわり空港構想の検討に地元の皆さんにも御参加いただきたいと考えておりますので、こうした動きと連携をとりながら、地域づくりの観点から取り組みを進めてまいりたいと考えます。  次に、経済アセスメントについてであります。  私は就任当初から、びわこ空港については、県民の間にはさまざまな意見がありますことから、県民の皆さんの生の声を聞くと申し上げてまいったところであり、そうしたことから、昨年度は県下7会場でびわこ空港に関する県民公聴会を開催し、皆さんから直接御意見をいただいたところであります。  公聴会では、幅広い分野でさまざまな見方があるということがわかったところでありますが、中でも、反対や疑問の意見の多くは、財政環境や景気動向が厳しくなっている中で県は大丈夫なのかという御心配であったと受けとめております。また一方、国においても、全般的な公共事業の見直しの中で費用対効果といった観点から厳しいチェックがあるという表明もあり、県といたしましても、単に需要見通しだけでなく、本県に空港がある場合とない場合について、経済的な視点から具体的に評価するという必要があろうかと考えたところであります。  経済アセスメントの進め方につきましては、学識経験者等で構成する(仮称)びわこ空港経済アセスメント検討委員会をできるだけ早く設置いたしまして、指導、助言をいただきながら進めるとともに、調査結果はできるだけ客観的な指標等でお示しをし、県民の皆さんに空港の必要性について一層御理解が得られるよう努めてまいる考えであります。  次に、首都機能移転との関係でありますが、調査対象地域とされている三重・畿央地域が移転先ということになれば、当然びわこ空港の国家的位置づけが加わってくるというわけでありますから、このことも視野に入れる必要があると思っております。  しかしながら、びわこ空港計画は、首都機能の議論がなされる以前から、滋賀県の将来のために必要であるという考えのもとに、県益あるいは近隣府県の利便と滋賀県の地域振興に資する空港として、県独自の必要性なり目的のもとに取り組んでまいったものでありますので、今後もそうした考えのもとで進めてまいりたいと考えております。  次に、G8環境大臣会合、第9回世界湖沼会議の本県開催についての御質問にお答えします。  まず、環境問題に先駆的に取り組んできた歴史への評価についてでございますが、G8環境大臣会合の開催が滋賀の地に選ばれたということは、県民とともに諸先輩が営々と築いていただいたこれら環境保全の取り組みがまさに評価されたということであると思いますし、大いに誇りに思うとともに、今後とも環境こだわり県に恥じない取り組みにチャレンジしてまいりたいと考えております。  次に、G8環境大臣会合の開催に対する考え方、およびこの会合を契機に滋賀県、琵琶湖を売り出す方策と県民の環境問題への関心を高める方策についてでありますが、この会合は、主要8カ国の環境大臣が、首脳会議の前に地球規模の環境問題について率直に意見交換する大変重要な会合であるということから、まずは、その成功に向けて、地元として精いっぱい協力してまいりたいと考えます。  その上で、各国から参加される方々に、できるだけ多く琵琶湖を見ていただき、また、本県の水環境保全の取り組みなり県民の環境への思い入れを知っていただくよう、できるだけ工夫を凝らし、環境滋賀を世界に情報発信してまいりたいと考えます。  また、この会合を契機に、地球温暖化やオゾン層の保護などの地球環境問題も、琵琶湖の保全問題も、現在の経済社会システムや我々のライフスタイルを変革しなければ解決し得ない問題であるという認識を新たにしまして、県民や企業、行政が一体となった主体的な行動を今まで以上に広げていきたいと考えます。そして、その成果を2001年の世界湖沼会議につなげていきたいと思います。  次に、第9回世界湖沼会議についての4点の御質問にお答えします。  2001年の第9回世界湖沼会議についてでありますが、人間生存の基盤である淡水資源を健全に保全、管理していくことが国際的にも緊急の課題となってきておりますし、その解決を図るためには、湖沼問題に携わっている人々が、分野や立場を超えまして連携していくことが何より重要だと思われます。  このような国際的な趨勢の中で、第9回世界湖沼会議では、自然と人間がどう共生していくのかという人類に課せられた命題について、あるいは、環境保全活動に携わっている人々がよりパートナーシップを深めるためには何をすべきかなどについて大いに議論をしていただき、その成果が淡水問題あるいは湖沼問題の解決を目指す指針として世界に発信されるということで、21世紀の新たな第一歩を踏み出す役割を担う会議にしたいと思い、その万全を期して準備に当たってまいりたいと思います。  そのためにも、第9回世界湖沼会議で初めて開催され、新たな潮流として注目されておりますNGOセッションの活用はもとよりでありますが、単なる知識や経験の発表の場で終わることなく、自由濶達な議論ができる会議となるよう工夫を凝らすなどの改革を行うとともに、新たに企業のセッションの開催や、国際環境ビジネスメッセとの連動など、企業の参加も求めていく新機軸を打ち出していきたいと思います。  一般県民が参加しやすくなる方法についてでありますが、これまでの世界湖沼会議は、ともすれば専門家に偏った会議となる傾向が否めなかったわけであります。そこで、第9回の会議では、NGO活動や企業活動を通じて環境保全に取り組んでいただいている方々の自主セッションの開催、あるいは環境保全活動が展開されている現地でのワークショップの開催など、会議の持ち方や場所の設定の仕方についても工夫していくことで、県民の皆さんに気軽に参加いただける、中身のある会議にしたいと思います。  具体的な会議の持ち方なり取りまとめの方法などについては、近く設置いたします企画推進委員会で検討していただくこととしておりますが、21世紀における淡水問題、湖沼問題の解決を目指す指針を、例えば琵琶湖アピールといったような形で発信できるよう準備をしてまいりたいと考えます。  次に、UNEPの水質部門を誘致してはとの御意見でございますが、既に本県には、淡水湖沼流域の環境管理問題に焦点を当てましたUNEP国際環境技術センターが活動しております。先般来県されましたテプファーUNEP事務局長も、この滋賀のセンターの活動を充実していきたいということを言っておられましたので、誘致はともかくといたしましても、センターが持っている知識や経験を大いに活用した、滋賀県や琵琶湖の環境保全のための共同事業などが実施できるよう働きかけますとともに、世界の湖沼環境を保全する分野でこのセンターが名実ともに国際的にも重要な役割を果たせるよう、県としても精いっぱい協力してまいりたいと考えております。  次に、介護保険についてであります。  まず、制度の先送り論についてでありますが、介護保険法が成立し、12年4月からの実施と定められて以来、介護保険制度を円滑にスタートさせるため、国はもとより、県、市町村を初め関係機関が一丸となって、その準備を進めているところであります。この10月からは、制度運営の根幹となります認定業務が始まりますが、この時期になって、実施時期の先送り等の意見については、介護保険に期待を寄せておられる高齢者や御家族の思い、また、この準備に最大の努力をいただいている市町村等の取り組みなどを考えますとき、社会全体で介護を支援するための制度は、何としても予定どおり始めなければいけないと、こう思います。県といたしましても、より一層、市町村や関係団体等と連携を密にして準備に万全を期してまいる所存であります。  次に、介護保険の仕組みづくりについてであります。  介護保険は、地方分権の推進や介護サービスの地域性の観点から、住民に最も身近な政府である市町村を基本に置いた制度とされたところであります。高齢者が住みなれた地域や家庭で安心して暮らしていくためには、それぞれの地域にふさわしい仕組みを市町村みずからの工夫や熱意でつくり上げるということでありまして、これはまさに地方分権の実践であると思います。  市町村が策定する介護保険事業計画がその仕組みの根幹となるものでありますが、県下の多くの市町村では、その策定委員について公募をしたり、あるいは審議の公開、さらには情報提供等を積極的に進め、住民参画による計画づくりが始められております。また、地域で厚みのある支援体制を構築するため、NPOや介護ボランティア等の自主的な住民活動も含めた取り組みの議論も進められており、滋賀らしい手づくりの計画に取り組んでいただいているところでございます。  県といたしましても、地域の特色を生かした活動が育ち、広がっていくよう支援してまいりたいと考えております。  なお、保険料等の市町村格差につきましては、まず、サービスと、それに見合う保険料は、それぞれの地域において知恵と工夫を発揮しながら、住民の理解が得られる議論の中で決められていくものでございます。そうした中で、地域のニーズにこたえる各市町村のサービス水準の確保が、結果としてそこに差が見られるということになりましても、それは、それぞれの地域におけるサービスの提供についての個性や特色をあらわしているものと思われ、県といたしましては、地域の熱意や工夫によって自主的な取り組みを大いに期待しているところでありまして、今後こうした取り組みを視野に入れながら、必要な情報を提供する中で適切な保険料が設定されるというように考えております。  次に、介護保険導入に際しましての民間の活発な導入促進や福祉関連の新産業育成についてであります。  高齢化の進展に伴って、いずれの地域においても経済活動における福祉部門のウエートの高まりも予想され、さらに、福祉関連のサービス事業は地域における新たな産業の担い手としても期待されているところであります。  こうした中で、本年度は、福祉分野や健康分野への参入に意欲のある企業に対しまして、どのようなビジネスチャンスがあるのかを広く知ってもらう、学んでもらうというために「健康・福祉ビジネスクリエーションフォーラム」を開催することといたしております。高齢化の進展や健康志向の高まりなどと相まちまして、福祉や健康といった関連産業分野の需要はますます拡大していくということが予想されます。ひいては新たな雇用の受け皿としても大きな期待が持てると思っておりまして、今後とも福祉関連産業の創造と振興に努めてまいりたいと考えます。  最後の、新農業基本法が本県農政に及ぼす点についての質問のうち、菜種栽培の導入の可能性についての御質問にお答えします。  物質文明に支えられた20世紀から、人類の生き方そのものが問われる新世紀へ臨むとき、私は常々、さまざまな素材に恵まれた、可能性を持ったこの滋賀県が、確かな時代の変革を先取りする場としてふさわしい地域であると考えておりまして、このような目標を持って地域づくりを進めていくということが、滋賀のアイデンティティーを明確にすることにもつながっていくと思います。  私どもが今の生活を続けている限り、地球の温暖化の面でも、また、限りのある石油資源の消費の面からも多くの課題が提起されておりますので、何とか地球に優しい再生可能な資源循環エネルギーとしての取り組みの芽を本県から発信できないものかと、そんな思いで菜種に着目し、これを栽培して食用油をつくり、その廃油をディーゼル車の燃料に利用するという身近で夢のある構想を本県で実験できないかと思っているところであります。  かつてはどの農家でも菜種を栽培し、昭和30年代では1万ヘクタール以上が作付され、初夏ののどかな田園風景を醸し出しておりましたが、兼業化の進展や水稲の早植え栽培の普及などで農業の形態もさま変わりいたしましたし、現状では最盛期の0.1%にまで減少しております。このような状況の中で菜種栽培を復活させるには、農家や集落の理解と協力を得ることはもちろんでありますし、品種の選択や機械化による労働時間の低減など、解決しなければならない生産面からの課題も多いと認識しております。(発言する者あり)  と同時に、本県では、集団転作として(発言する者あり)定着している麦、大豆に基本を置きながら、農家の方々が菜種も転作作物の一つとして取り組んでいただくことに(発言する者あり)期待を寄せているところであります。また、菜種の栽培は、国内で供給できる重要な(発言する者あり)油脂資源として、さらに、今国会で議論されている新しい農業基本法についても、農業や農村の役割として、国土の保全や景観形成など多面的機能が期待されておりますが、その具体的な方法として、21世紀農業生産のあり方を探る試みとしても考えられますことから、関係機関による調査研究を進め、思い切って取り組んでまいりたいと考えるところであります。(発言する者あり) ◎総務部長(西堀末治君) (登壇)県の会計への貸借対照表の導入についての御質問にお答えをいたします。  現行の地方公共団体の会計方式は、各年度の歳入をもってこれに充てるという地方自治法の原則に基づきまして、現金の収支を基準とする、いわゆる現金主義がとられております。  これは、県税や地方交付税など、一定限られた歳入の中での均衡を図るということに主眼が置かれていることによるものでありますが、一方で、現金主義による手法では、いわゆる現金の流れ、フローの点でわかりやすいものの、資産や負債といったストックの関係が見えにくいという面がございました。現行制度の課題として指摘がされておりました。  また、これに加えて、御質問にもありましたように、近年の地方公共団体をめぐる厳しい財政環境の中で、世代間の公平にも配慮しながら費用対効果を見きわめつつ、施策の重点化、効率化を図っていくことがますます重要となってきておりますし、また、そのため、県民へわかりやすく財政状況を説明し、御理解と御協力を得るための、いわゆるアカウンタビリティーの確保といった観点からの御指摘もございます。  財政状況の分析手法としましては、各団体間での比較検討ができ、それを今後の財政運営に生かしていくことができることが望ましいわけでありまして、そのためには、分析の前提条件や具体的な分析方法などについての統一性が必要なことから、国においても研究会を設けて研究をされております。  本県でも、貸借対照表などのようなストック面からの分析は、今後におきましての一つの有意義な方法ではないかと考えまして、現在部内に研究チームを設けて資料収集や研究をしているところでございますが、例えば売り払いを目的としない行政財産等の評価方法や、道路など減価償却の概念がなじみにくいものの取り扱い方を初め、社会福祉サービスに対する支出や警察あるいは教育に係る人件費など、ストックとしてはあらわれてこないものの評価の取り扱いなど、基本的な面での検討課題も大変多うございます。  今後、国等の経過も見ながら、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。 ◎健康福祉部長(池口博信君) (登壇)介護保険の導入を控えての4点の御質問にお答えをいたします。  まず、施設やホームヘルパーなどの整備の見通しについてでございますが、介護保険のサービス基盤となります特別養護老人ホームや老人保健施設の整備につきましては、湖国しが新ゴールドプランに整備目標を定めまして、計画的に整備を図ってきたところでありまして、今年度整備をしているものを含めますと、特別養護老人ホームは目標量の2,570人を超えた整備となり、老人保健施設も98%の進捗となる見込みでございます。(発言する者あり)  療養型医療施設の整備状況につきましては、昨年11月に県の保健医療計画の中で、療養型病床群の整備目標数を1,886床と定めたところでありますが、既に整備済みの病床が417床、本年度内に整備予定の病床が395床、これに療養型病床群への移行が見込まれます介護力強化病院の811床を含めまして、県全体としては1,623床の整備が見込まれるところでございます。  今後の整備希望等につきましては、地元医療機関などの意向も踏まえながら整備の促進に努めてまいりたいと考えております。  また、居宅介護サービスを担うことになりますホームヘルパーの確保状況につきましては、11年度末では、整備目標1,020人を上回る見込みとなりますが、制度の導入を控えまして一層ニーズも高いことから、今後もホームヘルパーの養成確保に努めてまいりたいと思っております。  次に、介護サービス計画を作成する介護支援専門員、いわゆるケアマネージャーの充足につきましては、この7月中には平成10年度の試験合格者838名の養成を終える予定でありますし、さらに本年度は、7月25日に試験が予定をされておりまして、その合格者につきましても、できるだけ早い時期の養成研修の実施を考えているところでございます。介護認定に伴いますケアプランの作成が円滑に実施できますよう確保に努めてまいりたいというふうに思っております。  今後の制度導入に伴う各種サービスの利用意向の高まりも予想されます中で、本年度において県が策定をいたします介護保険事業支援計画に基づきまして、今後とも、市町村との連携のもとにサービス基盤についての整備に万全を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、今後の計画づくりの考え方についてでございますが、県におきましては、本年度策定いたします介護保険事業支援計画は、各市町村で策定をいたします介護保険事業計画をもとに、施設の整備を初め、人材の確保や資質の向上を図るための取り組みなどを定めることといたしておりまして、平成12年度から16年度までの5年間を計画期間とすることとしており、今後この計画に基づきまして、必要とされるサービスが確保されるとともに、すべての市町村で介護保険の運営が適切に、また円滑に実施されるよう支援をしてまいりたいというふうに思っております。  次に、情報提供システムについてでありますが、要介護となった人が、本人の選択により最も適切なサービスが利用できるようにしていくためには、事業者の情報やサービス内容等の情報提供が不可欠でございます。コンピューターなどを活用した介護サービス等の情報提供のあり方やシステムなどにつきまして、現在具体的な検討を進めておりまして、今後この検討結果に基づき、サービス利用者や市町村、また介護支援専門員などに対しまして、必要な情報を速やかに提供できるよう万全を期してまいりたいと考えております。  次に、苦情解決のシステム構築の準備状況についてでございますが、保険料や介護認定などに関する不服申し立てにつきましては、介護保険審査会で対応をすることとしておりまして、また、介護サービスに対する苦情につきましては、国民健康保険団体連合会で対応されるということになっておりますが、住民からは、まず市町村の窓口や在宅介護支援センターあるいは介護支援専門員に相談があるものと予測をされるところでございます。このため、市町村や国保連合会とともに苦情処理についての対応、仕組みについての検討、協議の場を設置いたしまして、各関係機関が連携を保ち、それぞれが役割を分担しながら、迅速かつ公平、公正に苦情を解決できる体制づくりを進めていきたいと考えております。  最後に、広域推進体制についての推進状況でございますが、制度の円滑な運営を図っていきます上で、人的、組織的体制の確立や安定的な財政基盤の構築等についての広域的対応は有効な方策でございます。これまでの市町村の取り組みに対しまして積極的な指導、支援をしてまいったところでございます。  現在、認定審査会の業務を広域的に実施されます地域が、5地域で319町、保険者業務の全般を広域的に実施されます地域が、1地域で5町1村となっておりまして、県全体で見ますと28市町村でございまして、約6割が広域的な実施に取り組んでいただいているところでございます。  今後は、こうした市町村での広域的な取り組みが、円滑かつ適正に図られますよう、指導、支援に努めてまいりたいと考えております。 ◎商工労働部長(西村隆君) (登壇)経済対策についての7点の御質問にお答えします。  まず、昨年5月以来取り組んでまいりました経済対策についての評価ということでございますが、経済対策は、国の対応などと相まって、その効果がもたらされるということでございます。県の対策独自の評価ということは難しいところでありますが、最近の本県の経済指標を見てみますと、鉱工業生産指数が、昨年10月に対前年同月比がプラスに転じ、以来、今日に至っております。  また、公共工事の請負金額や持ち家住宅の着工戸数、乗用車の新規登録台数も前年同期を上回るまでに回復をしてきておりますし、また、5月の県内企業の景況判断では、すべての面でマイナス幅が減少してきているということからも、これまでの対策は県内景気に対し効果があらわれているものと考えております。  2点目の中小企業の資金対策でありますが、県制度融資の今年4月、5月の利用状況は、1,073件、約50億円でありまして、前年同期と比べ、件数では82.5%、金額では85.3%と落ちついております。  また、信用保証協会が貸し渋り対策として実施しております特別保証制度の利用でありますが、昨年度は、月平均846件、141億円であったものが、本年度4月、5月では、月平均258件、31億円でありまして、制度融資と同じ傾向にあると考えております。  金融機関の貸し出し姿勢につきましては、5月に実施いたしました金融に関するアンケート調査で見ますと、回答の大半は、貸し渋りは感じていないという回答でございますが、条件が緩和されたと回答された企業が前回調査より3.7ポイント増加し、条件が厳しくなったとの回答は前回よりも12.1ポイント減少しているなど、貸し渋りについては緩和されてきているものと考えております。  3点目の本県の有効求人倍率が全国平均を下回っている原因でありますが、求人数の減少でありますけれども、本県産業の中心であります製造業からの求人申し込みが極端に減少しておりまして、平成8年、9年度に比べますと、10年度は9,000人余りの減少となっているところであります。  一方、求職者の急激な増加でありますが、昨年の6月以降、新規の求職者数が前年の同時期に比べ2割から3割程度増加している月が続いております。この中で特徴的なことは、大津・湖南地域にお住まいの、中には本県以上に深刻な状況にある京阪神方面に働いておられる方が多く、ちなみに、大津の安定所に雇用保険の手続に来られる方のうち約半数が京阪神の離職者で占められている状況でございます。  4点目の先般来開催しております雇用対策会議での具体の取り組みでありますが、県総合経済対策本部員会議においては、県としてどのような事業が考えられるのか、各部局での洗い出しを開始することとしたところでありますし、また、県雇用創出・安定行労使会議では、それぞれの機関で知恵を出し合って強力に施策を展開していくことが合意されたところであります。  今後国の補正予算の動きに注視しながら、県の雇用情勢の改善に向け、より効果のある対策となるよう力を尽くしてまいりたいと存じます。  5点目は、本県における新産業創出についての御質問でありますが、経済の閉塞感を打破し、雇用機会の創出を図るためには、新しく事業を始めようとする個人や企業への支援を行うことが重要な課題でありまして、昨年12月に制定されました新事業創出促進法により、国を挙げて取り組むこととされております。  本県では、近畿のトップを切って、この法律に基づく支援機関として、この4月に産業支援プラザを設立したところでございます。  新しい産業を創出していくためには、地域特性とか関連企業の集積といったことが必要であるわけであります。本県では、当面、環境、健康福祉、観光の3分野について重点を置いた取り組みを進めているところでありまして、環境関連産業につきましては、環境こだわり県としての先進的な取り組みを生かし、最優先に振興を図ってまいりたいと考えております。今年度も環境ビジネスメッセを開催することとしておりますが、出展申し込みは昨年を2割余り上回る参加状況でございまして、そういう意味では、この分野への企業の参入意欲は非常に高いものと感じております。  また、高齢化の進展や健康志向が高まる中で、健康福祉関連分野の需要は大きく期待がされるところでありまして、県内企業にビジネスチャンスとしてもらうために、健康福祉部とタイアップをして「健康・福祉ビジネスクリエーションフォーラム」を開催することとしております。  また、ゆとりと豊かさを実感できる生活を目指す中では、観光産業の分野にも大きな期待がかかるところでありまして、今年度、「びわ湖一周クイズバトルラリー」を進めているところでありますし、また、来年1月から3月には、JRとタイアップして全国観光キャンペーンを実施するなどの取り組みを進めていきたいと考えております。  こうした県の産業振興策と産業支援プラザの活動が相まって、チャレンジ精神にあふれた企業の創出が図れるよう努めてまいりたいと考えております。  6点目のがんばれ商店街事業の現段階での取り組みとその成果でありますが、地域振興券は、5月末現在での調査では約65%が換金されているようでありまして、その内容では、商店街とその他の店とを単純に合わせますと、大型店以外での使用が50%を超えているという結果から見ますと、各商店の健闘ぶりがうかがえるところでございます。  がんばれ商店街事業は、182商店街で実施中でありますが、この5月末までに事業が完了しておりますのは16商店街でございます。ほとんどの商店街で成果があったという声を聞いておりますし、この事業におきましては、例えば高齢者宅への食料品や日用品を配達するサービスといった商店街ならではの取り組みや、空き店舗を活用したジャズライブ、フリーマーケット方式によるリサイクル事業、地域の歴史的特性を生かした事例など、町のにぎわいに着目した取り組みは、これからの商店街のあり方を検討していく上での大きな発見があったものと考えております。  最後に、今後の景気対策についてでありますが、まずは、ただいま申し上げました取り組みを全力を上げて着実に進めることが肝要であると考えておりまして、引き続き企業訪問あるいは景況調査などを通じて県内企業の実態把握に努め、本県の実情に即した対応となるよう今後とも努力してまいりたいと考えております。 ◎農政水産部長(中森武君) (登壇)新農業基本法が本県農政に及ぼす点についての御質問にお答えします。  まず、食料自給率の目標数値を湖国農林水産プランの改定にどう位置づけるのかという質問でございますが、政府においては、この基本法が成立した後に、同法第15条の規定に基づき、今年度中に食料・農業・農村基本計画を策定される予定であります。この計画におきましては、食料・農業・農村に関する施策についての基本的な方針と講ずべき施策および食料自給率の目標が定められることとなっております。  ここでの我が国の食料自給率の目標は、単に生産側の条件によってのみ決定されるものではなく、生産と消費の両面からの取り組みを前提として設定されるものと認識しておりますが、現時点では具体的な内容は明らかになっておりません。  しかしながら、さきに示された農政改革大綱におきましては、国内農業生産の維持、増大という観点から、全国段階での主要な農産物の品目ごとの生産努力目標の策定とあわせて、地方公共団体等地域段階での品目ごとの生産努力目標の策定促進が求められております。  したがいまして、本県におきましても、湖国農林水産プランの改定の中では、国の基本計画の内容も見ながら、品目ごとの生産誘導目標の設定というような方向で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、中山間地域等直接支払制度の導入についてでありますが、本制度は、過疎化、高齢化が急速に進行する中山間地域等において、農地の耕作放棄の発生を防止し、国土の保全、水源の涵養、良好な景観形成等の公益的機能を確保するという観点から導入を検討されているものであります。周囲の山々を水源とする本県といたしましても大変有益な施策であると考えております。  現在、直接支払制度の対象となる地域の範囲あるいは対象行為、対象者といったようなことなどについて、農林水産省の検討会で議論されているさなかであります。そういった意味でもまだ未確定でありますが、自然的、経済的、社会的条件のすべてが悪い地域の農業生産条件の不利な農地における農業生産活動等が対象とされるようであります。  また、中山間地域外との整合性をどうするかというようなことでありましたが、本制度の導入に当たりましては、公益的機能の評価あるいは農地の傾斜度の範囲、あるいは透明性、公平性の確保等の問題もありまして、導入の必要性や制度の仕組みといったことも、現在国におきまして検討されているところでもあります。今後の動向を注意深く見きわめてまいりたいと考えております。  3点目の本県の集落ぐるみ農業が新基本法の趣旨に沿うかどうかについての御質問でございますが、法案の中では、「多面的機能が十分発揮されるよう、その振興を図るとともに、効率的な農業生産を確保するため、集落を基礎とした農業者組織等の活動促進に必要な施策を講ずる」とされております。
     このことは、県議会や県から国に対しまして、「集落営農組織等多様な担い手の確保・育成」を提言してまいりました経緯から考えますと、一定評価されたものと認識しておりますし、集落営農組織を担い手としつつ、その位置づけ、農業の生産性向上とあわせ、地域の文化や生活などを大切にしながら、集落の活性化を図り、農業・農村を良好な状態で次世代に継承していこうとする本県の趣旨と整合するものと考えております。  今後とも、滋賀ならではの農業あるいはまた農村づくりのため、今日的課題であります環境と調和した農業や、特色ある米づくりなどを取り込んで、集落営農組織が、より効率的かつ安定的な形態に発展しますよう一層推進してまいる所存であります。 ◎教育長(吉川勉君) (登壇)ゆとりある教育についての御質問にお答えいたします。  まず、学級運営の困難さや授業がうまくいかないなど、子供たちにかかわる問題が低年齢化してきたのではないかということでありますが、小学校の現場からの声を聞くにつけ、子供の様子が変わってきたのではないかという思いを抱くことが多くあります。具体的には、県内でも、授業中に子供が突然大声を出したり、教師の制止を無視して立ち歩く、隣の子供と平気で私語をするなど、突発的、衝動的に問題となる行動を起こすことがふえてきており、なぜそのような行動に走るのか、すぐには理解しがたい状況があります。このまま放置すれば、いわゆる学級崩壊と言われるような状況になりかねないのではないかと危惧いたしております。  我慢ができない、自分本位で行動する、人の話を聞く集中力がないなど、こうした状況から考えますと、幼児期から身につけておかなければならない基本的生活習慣や社会性が十分身についていないのではないかと思われます。また、学校が担う目的と現代の保護者の持つ価値観との間に認識のずれがあるのではないかということも考えられます。  学校では、これに対応すべく、教員自身の資質向上のために、本県独自の特別研修も含めて、あらゆる機会を通じて研修に努めているところであります。さらには、学校と保護者が連絡を密にして、より強固な信頼関係を築くことが大切であると考えますが、個々のケースでは、例えば注意した子供の親とのトラブルなど、厳しいものも多くあります。現場の先生にぜひ頑張ってほしいというのが私の強い思いでありますし、そして、同時に、子供たちがルールやマナーをしっかり身につけるよう家庭教育、社会教育などという側面も含めて一層努力していく必要があると考えております。  次に、適正な学級集団の規模についてでありますが、日本の学校における学級集団には、知識や技能を身につけさせる学習集団としての機能と、社会性や自律性等を育てる生活集団としての機能の両面が期待されております。一般的には、学習集団としては、学級規模はある程度小さい方が子供一人一人の習熟度に応じた指導が行われると思われます。しかし、生活集団としての機能を考えますと、ある程度以上の集団でなければ、互いに切磋琢磨して培われる耐性──耐える力等が育たないとも言われます。  特に、少子化等が進み、家でも地域でも人とのかかわり合いが不十分になってきている子供たちにとっては、生活集団としての機能を重視することが重要であると考えております。文部省のこれまでの調査においても、大規模な学級の方が教育効果が高いという調査結果もあれば、学級規模が20人程度まで縮小しないと教育効果の差が顕著にあらわれないという調査結果もあって、学級規模と教育効果との関係は必ずしも明確ではないとされております。  こういうことを考えますと、現時点では国に先行して一律に学級規模を考えていくよりも、それぞれの学校の事情に応じて、今起こっているさまざまな問題に対して学校が全体としてどう対応していけるのか、また、その事情に対し教員をどのように重点加配していくのかということを考えていく方が、より現実的ではないかというように考えております。  最後に、小学校低学年の少人数学級についてでありますが、本県の小学校の普通学級1学級当たりの平均児童数は30.5人でありまして、1クラス当たりの児童数が35人以下の学級は全体の4分の3となっております。また、それぞれの個に応じた教育の推進など今日的な課題の対応については、学校の事情に応じて、小学校231校中、ほぼ半数の学校に、複数の教員が1つの授業に当たる、いわゆるチームティーチング等の加配措置を行い、さらに県単独の生徒指導加配、外国人児童生徒への日本語指導講師の派遣、養護教員の複数配置などを措置し、それぞれの学校が組織として、教育活動ができるよう努めているところであります。  小学校低学年の少人数学級を全県的に一律にといったことにつきましては、まず国において、法整備も含め基本的な枠組みと財政措置がなされるべきものと考えております。現在国においては、今後の教職員配置に関し、小学校の低学年における学級規模も含め、学校現場の諸課題に対する教職員配置のあり方や、教職員配置と教育の成果などについて具体的議論がなされているところでありまして、この秋には、よりよい検討結果が出されるよう期待しているところであります。  国に対しましては、現下の教育課題についての改善に向け、教職員配置の充実について強く要望しているところでありまして、今後とも引き続き働きかけてまいりたいと考えております。 ○議長(滝一郎君) しばらく休憩いたします。   午後3時53分 休憩    ─────────────────   午後4時21分 開議 ○議長(滝一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  最後に、48番有村國宏君の発言を許します。 ◆48番(有村國宏君) (登壇、拍手)淡海クラブを代表し質問させていただきます。  政治に住民参加がしやすい仕組みになっているほど、および分権が進んでいるほど、住民は幸せを感じるとの調査があり、政治にしろ、経済にしろ、とどのつまりは人々を幸せにできるかどうかであり、行政の効率とか政策の中身も大事だが、政治を身近なものにすること自体に意味があり、価値があるとあります。議場コンサートなど、ささやかではありますが、よい取り組みであると思います。知事におかれても、県民への公邸の開放など鋭意企画され、より身近な県政への努力をしていただきたく思うものです。  そんな中で、副リーダーとも言える副知事2人制も身近に感じたいものですが、今その必要があるのかななどと思いつつ、質問に入らせていただきます。  財務管理と行政評価システムによる検証について、知事にお尋ねいたします。  富裕団体であった東京都が、98年度決算で18年ぶりに1,000億円の巨額赤字を出したそうです。そこで、現在の財政状況を把握するために、バランスシートを会計制度に導入すると言明した石原知事の画期的な決意を高く評価するものです。  我が近江の先人、近江商人は、勤倹貯蓄の美風を旨とし、かつ、早くから複式簿記を編み出したことで知られておりますが、企業の財務管理は、損益計算書、貸借対照表、資金繰り表の3つの財務シートによって複式簿記を用いております。一方、自治体は、単式簿記で、資産や負債を示す企業会計とは異なり、収入項目として地方債を起こせば、その分収入がふえ、収支を合わせがちとなります。中央政府や地方自治体の巨額債務は600兆円と言われ、国の年間の一般歳出の10倍以上にも相当する債務が国民にのしかかっております。それは、補助金や交付税によって助けられた巨大な箱物であり、要は、その箱物が現在どのような価値を生み出しているのか。プラン・ドゥー・チェックによる把握ができていないケースが多過ぎるところに問題があるのではと考えます。  我が県でも多くの投資が行われてきましたが、新しく導入される行政評価システムの中で、最近のびわ湖ホールも含め過去の箱物投資について、県民の目線でどのような評価がいただけるか、合格点がいただけるかどうか、厳しく検証されてはどうでしょうか。また、この際近江の先人にならいバランスシートを導入し財務体質を検証してはどうか、あわせて提案するものであります。これらは、箱物投資をストップされている今、大切なことと考えるものですが、いかがでしょうか。  退任される前の中川大阪府知事が、講演された中で、「滋賀県が空港をつくるらしいが、あれは議員が後援会員を連れて温泉旅行に行くくらいしか利用されないだろう」と言われ、近畿の知事の発言だけに、背筋がぞっと寒くなったことが思い出されます。  知事は、就任以来精力的に職務に当たられておりますのは御同慶の至りですが、過去の投資への反省も込めて、将来資産への投資効率を、より御検討いただきながら県政の推進を図っていただきたく思います。  次に、ミサイル組立工場および地雷処理計画について、知事にお尋ねいたします。  6月17日、突然の報に接しましたが、本県は、国の安全保障、防衛の問題から日々の暮らしの安全の問題まで幅広い議論の要素があり、県として何を勘案して、どこまで議論し判断するのか苦慮されるのではと考えます。したがって、新旭町の町当局、議会ならびに町民の皆様だけの問題としてとらえるのではなく、ともに問題を共有しつつ、地元の判断を優先させながら取り組んでいくべきです。  そこで、事の経過など幾つかの確認をいたしますが、ミサイル組立工場については、平成10年末よりの経過があり、町長選や本年4月の町議選などの日程から見て、6月に入り詳細な説明を町当局が受けたと承知しております。県としては、土地利用指導要綱の届け出に係る審査ならびに許認可の処理のみの受けとめ方なら、6月上旬に相談があったで妥当と思われますが、事の性格上、もっと早い時期に知り得ていなければならなかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また、今後新旭町長を経由して知事に開発事業計画が届けられたときは、どのようなスタンスで、どれくらいの期日の間に審査し結果を出されるのか、お伺いいたします。  次に、地雷処理計画について、国際条約締結に伴い、対人地雷の使用や製造などの禁止を目的に、本年3月法律が施行され、我が国の所持する98万発は、3カ所の処理候補地で処分されても4年かかると聞いております。民間会社の処理計画とはいえ、事が国際条約に関係することだけに、迅速かつ的確な対応が求められます。  新旭町には4月9日に説明があったと言われておりますが、その時点で県に相談があったのかどうか。県には指導責任と安全確保対策への確証が必要であり、早期の情報入手と対応が求められるものですが、今後の指導体制について問うものです。  次に、公的施設の管理について、総務部長ならびに土木部長にお尋ねいたします。  ピアザ淡海は、平成8年度より124億円余りの巨費を投じて建設され、県ほか三者が共同事業体として運営に当たっておられます。県民交流施設、旅券発給施設、自治研修施設、共済宿泊施設の4施設が相互に有機的に活用され、相乗効果が生まれ、利用しやすい施設として県民に親しまれ、喜ばれる施設として発展することを願うものです。  オープン当初から好評で利用率も高いようですが、今のうちに改善すべきは即応していただきたいとの思いから、また、他の公的施設に共通する問題との観点から指摘するものです。常に利用者の目線でと官の考えるサービスの限界を知り、民の発想をと訴えるものです。官の考えは、規則、前例、横並びが優先され、利用者、県民の要求が二の次になるケースが数多く見られます。これらは公的施設共通の課題と言えましょう。  ピアザ淡海の例として、駐車場は夜11時から翌朝7時まで車の出入りができません。玄関は夜12時でクローズします。この規模のホテルでは考えられない運営であります。ホテル、レストランなどでは、やる気のある経験豊かなスタッフが頑張っていると仄聞いたしますが、官の管理やその規則を前にして、徐々にやる気をなくしていくことをおそれます。いま一度、有機的活用と相乗効果という初期のねらいを確認し、早急に是正され、他の公的施設管理の模範とされることを望むものですが、いかがでしょうか。  土木部長には、大津港マリーナについて、その運営状況についてお尋ねいたします。  琵琶湖における不法係留が後を絶たない現状の中で鋭意進められた大津港マリーナも、約2年半の暫定供用を経て、この4月から本格供用を始めたところでありますが、その利用状況は、水面係留収容率46%余り、陸上保管収容率33%余りと収容率が低いのが現状であります。それはどこに原因があるのでしょうか。収支見込みは大丈夫なのでしょうか。官による管理に問題があるとしたら、利用者の目線に立って、いま一度見直す必要があると考えます。  特に営業時間ですが、シーズン中、夕方6時の閉場時間、これは琵琶湖各所の民間マリーナでも、ほぼその時間を設定しておりますが、中身が違います。県立マリーナは6時にクローズするから5時に帰ってきなさいですが、ほかは、6時に帰港すればよしとなっています。また、民間マリーナでは、利用者の届けに合わせて臨機応変に対応し、基本原則は、時間もさることながら、どこに船がいるか、所在の把握を第一に考えていると聞きました。  これら運営状況について、土木部長にお尋ねいたします。  次に、環境会議とUNEPについて、琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。  知事の豊かな感性の発露でしょうか、バイオディーゼル、菜種油にいたく御執心の段、いささか懸念を覚えるものです。G8環境サミットの開催決定、2001年の世界湖沼会議と続く国際環境会議は、環境先進県としての姿勢が評価されたと喜ぶとともに、世界の目が琵琶湖に集まり、県民の意識がより高まると期待する反面、その評価を裏切らない結果と、パフォーマンスでない県民のエコライフへの取り組みが強く求められると考えるものです。  1.   22年にわたる琵琶湖総合保全計画は、環境保全のモデルケースになると期待するものですが、これらの環境会議でどう位置づけるのか。1960年代後半の水質は戻るのか。  2. 飲料水の琵琶湖依存と普及率55%の下水道事業の後進性。  3. 北湖におけるCODはどう説明するのか。  果たして、我が県は先進県だったのか、などを問うものです。  また、1984年、水はすべての生命(いのち)の源泉とのコンセプトのもと、世界の湖沼を取り巻く問題の解決を目指して、第1回会議が我が県で開催されました。この会議の精神は、UNEPの全面協力を得て、県の支援するILECというNGO組織を生んだわけですが、その経緯を踏まえ、UNEP国際環境技術センターの誘致を積極的に展開し、その結果、平成4年我が県と大阪に開設されました。その支援については、日本政府からUNEPセンターへの予算措置だけでは本格的な活動を賄うには不十分とのことで、誘致の条件として、支援基金を造成し、人的、物的支援と事業協力支援を行うこととなったのは御案内のとおりです。当初30億円の基金を造成し、6%の運用で1億8,000万円を支援する計画と承知しておりますが、現状はいかがでしょうか。  当初計画とは全く異なった運営になっており、プロジェクト協力のための資金がないことから、共同プロジェクトを行うまでには至っておりません。また、UNEPセンターの活動も県内では見えない状況にあります。  重要な2つの国際会議を控え、この問題に一定の決着をつけるときが来ていると考えますが、部長の見解をお尋ねいたします。  次に、措置から契約へという概念について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  社会福祉事業法等改正法案が国会で審議されようとしております。改正の予定される法律は、社会福祉事業法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法など9本の重要な福祉関連法案が予定されております。昨今福祉担当者からたびたび措置から契約へという発言を聞くたびに、少子高齢社会や障害者の社会参加に伴って増嵩する公費助成について、国がもっともな理由をつけ歯どめをかけたのではないか、その思いを強くするものです。  私たちは、福祉に関しては国民一人一人が命の尊厳をともに担保し合うものであり、その原則に照らした議論や改正が行われるよう強く訴えるものですが、そもそも今回の改正案の趣旨、そして理念はどのようなものなのか、部長の所見をお尋ねいたします。  次に、措置から契約へという言葉がひとり歩きしないように、次の5点について質問させていただきますが、現在の福祉現場の現状を念頭に置いてお答えください。  契約により福祉サービスを利用する場合、危惧するのは契約能力、つまり判断能力が不十分な痴呆性老人や知的障害者等の問題です。どのような支援策が必要なのか。  契約による利用となった場合、利用者が安心できるサービス選択ができるのか。  行政からの均一なサービス提供は一定の水準を確保できるが、事業者との契約になると、その事業者の質が問われることになるが、だれがチェックするのか。  福祉現場を担う社会福祉法人は、現在よりも自立性をもって役割を果たせるのか。  何よりも福祉サービスを利用している受益者の側に立つとき、利用者は「措置から契約へ」を望んでいるのか。  健康福祉部長の基本的な所信を、現場の視点から答弁を求めるものです。  次に、地域経済の再生について、商工労働部長にお尋ねいたします。  ほとんどの自治体において、産業構造は中小企業が絶対的な数を占めます。我が県も例外ではありません。中小企業は、地域経済に大きな位置を占めているというだけでなく、それぞれの町の自治やボランティア活動のリーダーでもあり、また、その町に長く住む人々や高齢者の雇用の場でもあります。各市町村の地域経済の担い手は、これら中小企業であると考えるとき、県の経済対策はもっと中小企業に向けられるべきであり、育成されるべきと考えるものです。  本年の取り組みについては、中小企業対策として金融対策が柱であり、金融面での救済は緊急の課題ではありますが、しかし、反省を込めて、県当局や議会が地域経済を再生する政策立案能力をもっと高めなければならないと考えるものです。  そこで、各地域に集積する中小企業の高度な技術の発掘、情報交換に対する支援の具体策は。  新しい産業を創造するに当たって、地域ぐるみの育成策は考えられないか。  また、新産業の創出に向けた県、商工会、商工会議所との連携は今のままでよいか等について、部長にお伺いいたします。  また、昨今の中小企業対策について決め手を欠き、何ら具体策を打ち出さない現状をかんがみ、今、地方の時代を受けて自力で地域経済再生への力量が問われていると思うものです。そこで、中小企業者を集め、地域経済再生会議を起こしてはどうかと提案するものですが、部長の所見をお尋ねいたします。  次に、水産資源の保護培養について、農政水産部長にお尋ねいたします。  滋賀行政監察事務所は、去る4月、県が行っている琵琶湖の漁業振興施策についての監察結果を通知されました。それによると、外来魚駆除事業については、より効果的駆除の徹底を求め、また、フナやモロコの産卵繁殖場での産卵親魚の捕獲規制強化など、申し入れております。  そこで、特にブルーギルについては、効果的方法を研究し、県漁連と連携した駆除対策を求めておりますが、県としてどのように取り組まれるのか、お示しください。  2月議会において、外来魚対策の条例化を求める質問についてるる答弁されておられ、水産資源保護法と県漁業調整規則との整合性、そして、施策として啓発看板の設置、パンフレット、冊子など、鋭意進められていることは承知しておりますが、いま一つ実効性ある事業とはなり得ていないと思うものです。  外来魚の問題は、漁業振興上の問題のみならず、悠久の時を刻んだ琵琶湖の生態系への反逆という重大な問題と考えますが、この認識をどれだけ多くの人に共有していただけるか、言いかえれば、県是である琵琶湖との共生を理解していただけるか否かの問題であります。当局におかれては、その原点をすっかり見据えて取り組んでいただきたく思います。  水産資源保護法第4条第1項第6号ならびに漁業調整規則第50条では移植を禁止しておりますが、では、既に移植され繁殖した外来魚に対する処理はどうなるのでしょうか。キャッチ・アンド・リリースがまかり通っている現状、釣り人の協力に期待するだけなのでしょうか。法第4条第1項第4号を拡大適用し、漁業調整規則に盛り込むことはできないか。また、法そのものを改正する行動をされてはどうか、部長の見解をお尋ねいたします。  次に、フナやモロコの増殖場造成事業に関しては、11カ所の増殖場中、産卵親魚の捕獲規制をしているのは7カ所でしたが、残り4カ所については、規制強化を含め、どのように対応されるのか、部長にお尋ねいたします。  伝統ある琵琶湖の漁業がしっかりと振興されますことを願ってやみません。  最後に、教育と政治その他3題について、教育長にお尋ねいたします。  政治や民主主義に最初に接する機会は、学校教育なのではないでしょうか。中日新聞のインターネット市民国会での報道を参考にしますが、学校授業での政治の取り上げ方や生徒会のあり方が主要な対談テーマで、このことは、子供たちが政治を身近に感じ、将来、政治に参加していく出発点になるのではという思いを参加者は共有していると報じております。  教師。生徒は政治に無関心、今日の政治の不合理さ、無能さ、不正を子供たちなりに感じ取り、政治不信に陥っていることが、無関心な子供たちをつくり上げている。  中学生。生徒会役員の友人が、運営がうまくいかず泣いています。国の政治も、この生徒会友人のように一生懸命やってくれる人がいたらと思います。  教師。中学校で社会科を教えている関係上、生徒たちに政治に関心を持ってもらうべく新聞を持ってきてもらい、授業の中で読むようにしています。  昨今の新聞で、現代政治についてよく評価する記事は余り見たことはありません。批判するのが新聞の役目なのかもしれません。  予備校生。義務教育の中で、もっと政治について考える機会を設けてほしい。長い目で見て、何が公の利益になるのかを判断する力が養われるべきです。  民主党鳩山由紀夫代議士。ある中学校の先生から、世界史は必修だが、日本史は選択との話。そんなばかなと耳を疑いました。日本を知らずして世界を理解できるでしょうか。しかも、日本史を教えても現代史にはまず届かないというのが通常のようです。世界の歴史の中で日本の歴史をいいことも悪いことも隠さず教え、日本と日本人の尊厳を取り戻すことが、日本の政治を正しい道に戻す最良の方策と信じています。  そこで、私は近現代史についてほんの一部を事実として述べさせていただきますが、司馬遼太郎の「坂の上の雲」が今連載されています。明治のころの世界の様子がよく描かれていて、日本の指導的立場にあった方々に頭の下がる思いがいたします。他国の植民地になるのか、あるいは自分の国を近代化し産業を興し、軍事力を持って帝国主義の仲間入りをするのか、国家としてはこのどちらかの道しかありませんでした。  日本は、1868年の明治維新で、近代国家として独立し、列強の圧力に耐えながら国力の充実を果たしてきましたが、明治18年、イギリスがミャンマーを植民地にしたときは、国王夫妻はスリランカ等に島流し、王子は処刑、王女は英国士官の従卒の女としたなど、列強の植民地政策は非人間的な厳しいものでした。明治31年には、アメリカがハワイ王朝を奪ってしまいました。明治37、38年の日露戦争にもし日本が敗れていたら、今日の姿での日本はなかったでしょう。  各国がブロック経済化を進める中で、昭和5年、アメリカでのホーリー・スムート法、昭和7年、イギリス連邦オタワ会議の高率関税、そして、チャーチルさんとルーズベルトさんによる「日本に石油など売らない」同盟、そこから出てきた第2次世界大戦。  終戦後マッカーサーは、昭和26年アメリカ上院での演説で、日本が戦争に突入したのは主として自衛のためであったと述べています。マッカーサー自身、この大戦を、民主主義とファシズムの戦いとしたアメリカのプロパガンダのもとで戦争を指導した人物であるだけに、注目されるところであります。  ともあれ、マッカーサーの占領政策とスターリンのコミンテルンのテーゼによって日本の暗黒史観が形成され、義務教育の末端にまで及び、すべて日本が悪かったと教えられてきているのではないでしょうか。鳩山氏の言うように、特にここ100年余りの近現代史を、事実を事実として教え、世界の現実を見詰め、自信を持って日本と日本人の尊厳を取り戻すことこそ急務と考えます。  以上、教育と政治について、教育長の所見をお伺いいたします。  次に、大学と教育についてお尋ねいたします。  いじめ、不登校、校内暴力などが大きな社会問題となり、親、教師、大人社会の責任など、厳しい議論が続いておりますが、ゆとりの教育、心の教育への道筋は見えておりません。考えますに、これらの問題は、大学を目指す流れの中で起こっているのですから、大学のあり方を変えることによって教育に係る諸問題は一変するのではないかと思うものです。  どの大学を出たかによって人が評価される以上、幼児からの塾通い、進学校の友人はライバル、また、大学は定員確保のため、工学部へ入るのに物理は選択、高校では入試に必要な科目しか努力しないなど不自然が多過ぎます。入るは易く出口は難しという大学へ、そして、何を学んだか、何ができるのかが評価される大学へと変わらなければならないと考えます。  幸い県立大学は、設立時からこのような問題を十分踏まえて運営されているわけですが、少子化社会到来の中で、滋賀県立大学を念頭に置きながら、入るは易く出口は難しの、そういう方向へのモデルを示してほしいと願いつつ、教育長の所見をお伺いいたします。  次に、安土城復元について、強く教育長に訴えるものです。  天下統一をした信長、秀吉から家康までの天下とりは、歴史的読物として広く愛されております。我が県は、湖の周りに多くの城跡があり、歴史的遺産として興味の尽きない場所柄です。中でも安土城は、その復元を目指し、ローマのびょうぶ探しに出かけたことは記憶に新しいところですが、文化庁が城跡に復元を許可しないのなら、この際、県立安土城博物館の隣接地に安土城を建立してはどうですか。  この沈滞する世情の中にあって、歴史とロマンあふれる企画は、県民に夢を与えるものと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。  最後に、大変好評の、今や伝統の事業と言えるフローティングスクールについて、教育長にお伺いいたします。  これほど研修効果の高い事業ならば、今後もその要望は尽きないと考えますし、また、滋賀県のみならず、広く下流府県へも働きかけ、ベンチャー事業として民間に移管してはどうか。それによって、琵琶湖を多くの子供たちにより親しんでいただくとともに、有為な事業として育成することによって、県のキャッシュフローや雇用創出の一助になりはしないかと考えるものですが、教育長の所見をお伺いし、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(滝一郎君) 48番有村國宏君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(國松善次君) (登壇)有村議員の淡海クラブの代表質問にお答えします。  まず、今年度から導入する行政評価システムの中で、過去の箱物投資について、県民の目線で検証してはどうかという御質問でありますが、県政の一つ一つの施策が、それぞれの目的に照らして、効果的、効率的に実施されているかどうか、また、県民生活の向上や改善につながっているかどうかを点検、評価する行政評価システムにつきましては、まだ、その手法が確立されたものではなく、各府県におきましても、より的確に評価を行い、より県民にわかりやすく示していけるよう、手探りの中でさまざまな取り組みをされているのが実態であります。  そのような中で、本県が今年度から取り組むに当たりましては、職員一人一人がみずからの仕事を客観的な数値により評価することを通して、新しい時代にふさわしい行政運営システムを立ち上げることに主眼を置き、まずは、施策、事業を単位とする点検から始めることとしております。  びわ湖ホールなどの公共施設につきましては、当面その運営事業に関して効果性、効率性を評価することとなりますが、施設そのものの投資効果に関する評価につきましては、今後評価システムを実際に運用し、定着を図りながら、県民の満足度の向上という視点で、より充実した仕組みに育て上げていく中で、その手法等も含めて検討していきたいと考えております。  次に、県の会計へのバランスシートの導入についての御質問にお答えします。  現行の地方公共団体の会計方式は、地方自治法の原則に基づき、現金の収支を基準とする、いわゆる現金主義がとられておりますが、この現金主義による手法では、現金の流れ──フローの点でわかりやすいものの、資産や負債といったストックの関係が見えにくいという面がございます。  地方公共団体におきましては、これまで累次にわたる経済対策の主要な担い手として、我が国のストック形成に大きく寄与してきたわけでありますが、一方で、その財源として地方債が活用されたことから、いわば負債と言うべき公債残高の急激な増嵩を見てきたところであります。  これに加えまして、近年の厳しい財政環境の中で、将来の世代に余りにも多くの重荷を残さないように、世代間の公平にも留意しつつ、費用対効果を見きわめながら、施策の重点化、効率化に努めていくことが、従来にも増して重要となってきております。  こうした中で、バランスシートの導入などによるストック面からの分析につきましては、今後に向けての有意義な手法の一つではないかと考えており、現在庁内に研究チームを設けて資料収集や研究をしているところでございますが、売り払いを目的としない行政財産等の評価方法や、道路など減価償却の概念がなじみがたいものの取り扱い方など、基本的な面での検討課題もございます。財政状況の分析手法の統一性といった面を踏まえ、国においても検討が開始されたところであり、今後、国等の経過も見ながら研究を深めてまいりたいと存じます。  次に、ミサイル組立工場についての1点目の御質問にお答えします。  県としてはもっと早い時期に知り得ていなければならなかったのではないかとのお尋ねですが、昨年来県の一部の許認可部局には、事業者から、具体のない段階で手続などについての照会があったようですが、地元町からは県への報告や相談は6月に入るまでございませんでした。  2点目の開発事業計画が届けられたときは、どのようなスタンスで、どれくらいの期間に審査し結果を出すのかとのお尋ねですが、開発事業計画につきましては、県の土地利用に関する指導要綱に基づき、その計画が県や市町村の土地利用に関する計画等と適合しているかどうか、文化財の保護、周辺の自然環境の保全や県土の保全上適当かどうかなどの立地適性の観点から審査することとなっております。届け出がありましたときには、地元町長の意見を勘案しながら、その段階で総合的に判断してまいりたいと存じます。  また、審査の期間につきましては、土地利用に著しい支障があるときには、6週間以内に勧告することができると定めておりますことから、これに従って審査を進めることといたします。  次に、地雷処理計画について、新旭町に4月9日に説明があった時点での県への相談、今後の指導体制についてでありますが、県は、その時点では既に事業者から、平成11年度に国より対人地雷の処理を引き受けることになるかもしれないとの情報の提供を受けておりましたが、今月になってから、その具体的な説明の申し入れがあったところでございます。  長期にわたって反復継続するような火薬類の廃棄は初めてのことでありますが、この事業が本県で実施されることになった場合には、国の指導を十分受けながら、法律に照らし慎重に審査していくことはもちろん、地元町や消防、警察などとの連携体制を確立いたしまして、安全性の確保には万全を期してまいりたいと存じます。 ◎総務部長(西堀末治君) (登壇)公的施設の管理についての御質問にお答えをいたします。  御質問にもありましたように、ピアザ淡海は、県が設置する県民交流センター、政策研修センター、パスポートセンターと、地方職員共済組合滋賀県支部と滋賀県市町村職員共済組合が共同設置する共済宿泊施設「ホテルピアザびわ湖」、さらには、財団法人市町村振興協会が設置する市町村職員研修所等が入居する、また、それぞれが所有権を有する、いわゆる複合施設でありまして、その管理運営に当たりましては、設置者であります4団体が、ピアザ淡海管理組合を設立し、相互に調整をしながら行っているところでございます。  公用施設、公の施設につきましては、それぞれ一定の管理規則のもとで運営をいたしておりますが、ホテルピアザびわ湖につきましては、宿泊を含む福利厚生施設として、性格も異なりますので、管理組合と調整をしながら柔軟な運営に努めております。  駐車場につきましては、複合施設でありますことから、ホテルの専用駐車場は持っておりませんので、県民交流センターが設置する地下駐車場あるいは隣のびわ湖ホール駐車場を御利用いただいて、ホテルが駐車料金の一部を負担することとしております。  なお、利用時間につきましては、地下駐車場から直接各階へ入ることができるという防犯上の問題等もありまして、午前7時から午後11時までとされておりますが、ホテルの利用者につきましては、早朝のチェックアウトや深夜のチェックインもございますので、フロントから管理組合に連絡をとり、それぞれ個別の対応をしているところでございます。  また、正面玄関の開閉につきましては、夜間は原則としてホテル利用者のみとなりますことから、原則午後11時とし、ホテル利用者の状況を見て開閉をしておりますが、その後は、玄関に設置しておりますインターホン等で連絡を願っております。  地方職員ならびに市町村職員等の福利厚生施設という面から、都市型の民間ホテル並みの運営ということも難しい面もありますが、こうした弾力運用も含めて、利用される方々が気軽に申し出ていただけるよう、周知方法の改善も含めて適切な対応に心がけていくよう考えておりますし、4月のオープン以来、営業実績も浅いわけでありますが、大変多くの方々に御利用いただき、貴重な御意見もいただいておりますので、現場も含めて関係者で十分検討し、また、複合施設のメリットも生かしながら適切な運営がされるよう努めてまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(高田寛文君) (登壇)環境会議とUNEPについての御質問にお答えいたします。  まず、環境先進県としての評価についてでございますが、昭和52年の最初の赤潮がきっかけとなりまして、県民の自発的な石けん使用推進運動が起こり、富栄養化防止条例の制定につながりました。その後、世界湖沼会議の開催、国際湖沼環境委員会ILECの設立、ヨシ群落保全条例や生活排水対策条例の制定、あるいは、今でこそ当たり前となっておりますが、下水の高度処理や、都市部ではなく農村に下水道をつくる仕組みなど、飲料水源でもある琵琶湖の水を保全するため、全国の環境行政をリードする取り組みを展開してまいりました。  また、平成8年度の機構改革により、当時としては斬新なエコライフ推進課が設置され、環境ボランティアや県民一人一人が日常生活で環境配慮を進めるための支援に努めるなど、湖国らしいエコライフの実現に向けた取り組みを進めております。  下水道普及率につきましても、毎年高い伸びを示してきており、今年度末には全国平均に追いつくのではないかと期待しておりまして、県民や市町村とパートナーシップをとり努力してきた結果であると考えております。(発言する者あり)  しかしながら、御指摘のとおりCODが漸増傾向にあり、これは湖水中の分解されにくい物質の増加が考えられるなど、琵琶湖の水質はなお予断を許さないことには変わりありませんし、近年は、ダイオキシンといった微量化学物質による影響が懸念されることや、琵琶湖固有種の生息条件が脅かされ、生物の多様性を損なうおそれがあるなど新しい問題も生じております。  新しい琵琶湖総合保全計画を着実に推進することで、その長期的な目標であります昭和30年代の水質の回復を目指していくことを初めとしまして、これらの課題への的確な対応が求められているところであります。  21世紀を目前にこれまでの本県の取り組みを集大成する場として、さらには、ただいま申し上げたような新たな課題の解決に向けてこれまで以上の取り組みを開始する場として、これらについての情報を発信し、あるいはまた、積極的に獲得していくためにも、来年のG8環境大臣会合と2001年世界湖沼会議は絶好の機会であります。残りの期間はわずかではありますが、着実な取り組みを積み上げてまいりたいと考えております。  次に、UNEPセンター支援の現状と今後のあり方についてでございますが、平成10年度末の支援基金の状況は、8億3,600万円で、これを1%に満たない利率で運用している状況でございまして、御指摘のとおり、支援の枠組みを満たすような状況にはないところでございます。このため、誘致条件である人的、物的支援につきましては補助金という形で補っておりますし、また、プロジェクト協力につきましては、国や民間財団などの支援を受け、活動が円滑に進むよう自助努力をいただいているところであります。  21世紀は環境の世紀と言われます中で、2001年世界湖沼会議を成功に導くとともに、これまで蓄積してきた滋賀ならではの環境保全の取り組みを生かし、淡水資源問題の中の湖沼分野で本県が一定のリーダーシップを発揮していくためには、UNEPセンターの存在がますます重要となってきており、その支援の継続、強化が求められているところであります。  しかしながら、景気の急速な回復はなかなか見込めず、支援基金の造成が事実上困難な状況にある中では、誘致条件を満たし、UNEPセンターが目に見えるような活動を行えるよう、新たな支援のあり方を模索していかざるを得ないと考えております。  支援の枠組みをどうするのか、UNEPセンター支援についての共同歩調をとっております大阪府、大阪とも早急に協議してまいりたいと考えております。 ◎健康福祉部長(池口博信君) (登壇)措置から契約という概念について、6点の御質問にお答えをいたします。  まず、社会福祉事業法の改正の趣旨、理念についてでございますが、国におきましては、昭和26年に制定をされました社会福祉事業法を約50年ぶりに改正するための準備が進められているところでございます。  戦後50年余が経過した今日、豊かな経済が生んだ個性的な生き方と人権尊重を基本とした主体的な生き方へと、国民全体の意識が大きく変化をいたします中で、戦後の生活困窮者対策を中心として当時つくられました福祉制度は、今大きな転換期を迎え、さらにその見直しを迫られている中で議論が進められようとしているところでございます。  今回の改正につきましては、全容はまだ明らかにされてはおりませんが、その基本理念におきましては大きく3つの柱で整理をされていると聞いております。  1つは、個人の尊厳の保持を基本とした福祉サービスの提供を目指すこと、2つ目は、地域福祉の推進を図ること、3つ目は、福祉サービスの提供体制の確保や適切な利用の推進について、国と地方公共団体の役割を明確にすることであります。そして、その議論の中心は、与える福祉から選ばれる福祉への転換ということでございます。行政がサービス内容などを決定してまいりました現在の措置制度から、利用者が自由に選べる契約制度へと移行するということでございます。  新しい時代の福祉に向かって前進するためにも、国民全体の生活の安定を支える新たな仕組みや制度の確立への期待も大きなものがあると思うわけでございます。  県におきましても、こうした国の議論を見定めながら、新しい時代にふさわしい滋賀県らしい福祉の構築を目指して、今後も精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。  次に、措置から契約という言葉がひとり歩きしないかとのお尋ねのうち、1点目の判断能力が不十分な人に対する支援策についてでございますが、契約制度に移る中では、個人の尊厳を守り権利を確保していくことが最も重要なことでございます。そうした中で、国におきましても、現在民法改正の議論が進められております中で、青年貢献制度が新しく整備をされようとするなど、権利擁護についての取り組みが進められておりますが、本県におきましては、特に知的障害者や痴呆性老人などの権利擁護を図るため、昨年7月に全国で4番目となります権利擁護センターを県の社会福祉協議会において開設するなど権利擁護施策に積極的に取り組んでいるところでございます。  今後におきましても、国の動向を見定めながら一層の充実に努めてまいりたいと考えております。  2点目の利用者が安心できるサービスの選択についてでございますが、利用者の安心を確保するためには、まず、施設がどういったサービスを提供しているのかがはっきりとわかるよう、事業の透明性や適切な情報の開示や監査制度の充実が必要ではないかと考えるところでございます。その上で、サービスの提供者と対等な関係に立った利用者の声が反映され、満足度の高いサービスが提供されることにより、それがサービスの質の向上や量の確保にもつながることとなり、その結果、安心できるサービスが選択できるのではないかと思うところでございます。  3点目の質のチェックですが、現在こうした議論が進められております中で、既に施設においてみずから自己評価に取り組んでおられるところも見られますし、また、県におきましても、今後、定例的に実施しております監査指導の中でもサービス水準の確保について重点的に取り組むことや、第三者評価システムの導入の検討を関係者ともども進めることなど、より質の高いサービスが提供されますよう取り組んでまいりたいと存じます。  4点目の社会福祉法人が現在よりも自立性を持って役割を果たせるかについてでございますが、今後とも、社会福祉事業の中心的な担い手は、社会福祉法人であることは申すまでもございません。  規制緩和によって、今までの運営という観点から施設の経営という考え方に大きく転換する中で、その企業努力の反映が、付加価値の高いサービスの創出を生み出し、それが財政基盤の確立につながるなど、社会福祉法人の特色や自立性が一層発揮でき、その役割を十分果たすことができるのではないかと、大きな期待を寄せるところでございます。そのため、トップマネージメント研修などを通じ、一層支援に努めてまいりたいと考えております。  最後に、利用者は措置から契約への転換を望んでいるかについてでございますが、新しい時代の社会福祉は、これまでの特定の人を対象としていたものから国民全体を対象にという方向に変化しており、その第一歩が介護保険制度の導入でございます。介護保険を契機として、今後はだれもが福祉サービスをより身近なものとして受けとめていけるのではないかと考えます。  県といたしましても、この改正の行方を注視しながら、サービスの選択の時代に向け、まずは、湖国しが新ゴールドプラン、淡海障害者プラン、淡海エンゼルプランの福祉3プランを初めとする諸計画の着実な推進を図ることはもとより、特に高齢者、障害者などの方々が、住みなれた地域で安心して自立した生活が送れますよう、重要度や優先度を見きわめ、創意と工夫を凝らしながら、福祉施策のなお一層の推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◎商工労働部長(西村隆君) (登壇)地域経済再生についての御質問にお答えいたします。  バブル崩壊後、本県経済は低調な動きが続いておりまして、雇用面でも有効求人倍率が過去最低を記録する状況にございます。このような現状にある経済を抜本的に再生するには、地域資源を活用しながら、新事業の創出を推進し、地域経済の自立的発展を図ることが不可欠なことでありまして、今年度の経済対策におきましても、中小企業対策として、金融対策のほか、新たな柱として新産業支援を加えたところでございます。  国においては、昨年12月に新事業創出促進法を制定され、新事業創出のための総合的支援体制、いわゆる地域プラットフォームという名称を使っておりますけれども、そういう整備を推進することとされたところでございます。本県におきましては、この4月1日、通産大臣の同意を得て財団法人滋賀県産業支援プラザを、新事業創出の中核的支援機関として整備したところでありまして、このほど近畿の第1号として、地域プラットフォーム事業の国庫補助金の交付の決定が得られたところでございます。  この事業の根幹をなしますのは、御質問にもありました中小企業を初めとする県内企業、研究所、大学等の有する研究成果、技術、ノウハウ等の新産業創造のシーズとなる産業資源を発掘することでありまして、その収集した情報をデータベース化することにより、ベンチャー企業が容易にアクセスできるようにしようとするものであります。このほか、会社の設立手続や開業資金計画など、事業化に際して派生してくるさまざまな問題についても相談に応じられる体制を整備することとしております。  2点目の地域ぐるみの育成でありますが、地域プラットフォームは、新しい事業を起こそうとする方に、研究開発から事業化まで一貫して新事業の創出を支援できる体制を整備するものでございます。こうしたことで、早期に中小企業者あるいは創業を目指される方々に頼られる存在となるように努力をしてまいりたいと考えております。  こうした中、先日湖北地域において、23の元気ある企業で構成される新事業創造推進協議会といったものが設立をされたところでございます。このような動きが出てきたことは大変喜ばしいことと思っているところでありまして、今後こうした動きが数多く出てくることを期待するところでございます。  3点目の新事業の創出に向けた、県、商工会、商工会議所との連携についてでございますが、新産業創出のための産業支援プラザを県域病院というふうに例えますと、商工会、商工会議所は、かかりつけのお医者さん、身近なお医者さんという関係になるかと存じますが、要は、お互いに連携することでより効果が出るよう運営に工夫してまいる必要があると思っております。  商工会、商工会議所では、創業・開業支援セミナーといったものを開催するなど、新規事業を起こすための取り組みを進めておりますが、単一の商工会、商工会議所でベンチャー企業を育成、支援していくということには限りがありますことから、広域的な連携、あるいは連携した取り組みといったことも必要と考えております。  最後に、地域経済再生会議を起こしてはどうかとの御提案でございますが、県では平成8年に滋賀県産業高度化推進委員会といったものを設立いたしております。企業・経済団体、学術機関、市町村等に加わっていただいて、今後の産業の高度化に向けての産業政策について総合的に調査、検討を進めていただいております。そうした中から、環境ビジネスメッセといった具体的な事業も生まれてまいりました。また、県のAKINDO委員会でも、産学官によるソフト面から新しい産業興しとまちづくりに向けた事業に取り組んでいただいておりますし、昨年は県内の産学官および金融機関を代表する方々にお集まりいただいて、景気対策円卓会議を開催し、県内産業あるいは地域の産業が直面する課題と対応策について中長期的な視野も含めて御意見をお聞きしたところでございます。  今、国では産業競争力の強化を目指して産業再生法案を今国会に提出されると聞いておりますが、この中にも、中小企業、ベンチャー企業の育成策が大きな柱の一つとして盛り込まれるようでございます。  滋賀ならではの元気ある中小企業がそれぞれの地域に育ってくることが、これからの地域活力をつくり出すためにも大変大事なことというふうに考えております。そうしたことで、幅広い英知が結集していける仕組みづくりについて研究、検討をしてまいりたいと存じております。 ◎農政水産部長(中森武君) (登壇)水産資源の保護培養についての御質問にお答えいたします。  まず、ブルーギルの駆除対策についてでございますが、琵琶湖では、近年特にブルーギルが大繁殖し、ニゴロブナやホンモロコ等の卵や稚魚を捕食し、漁業に多大な影響を及ぼしており、これは水産業のみならず生態系の保全を図る観点からも大変重要な課題であると認識しております。  このため、これまでの駆除対策事業の結果明らかになった外来魚の生息分布や効果的な駆除方法などを踏まえまして、本年度から大規模な外来魚の駆除対策事業を、県漁連に助成して実施することといたしております。  ブルーギルは、主に水深の浅いところに多く生息していますことから、そのような生態に合わせて、ブルルーギルが捕獲されやすいように改良した小型の定置網や地びき網、刺し網やかご網などを用いまして、ホンモロコやフナの主な産卵繁殖場であります南湖を重点的に、駆除活動を展開してまいりたいと考えております。さらに、これらの駆除事業に加えて、漁業者みずからが通常の漁獲活動の中でも積極的に外来魚の捕獲に取り組むことといたしております。  また、このような漁具での駆除のほか、より効果的な駆除方法、例えば特定の音や、あるいは光で外来魚を集めるような捕獲方法等につきまして研究も必要かと考えられますので、今後国の研究機関とも連携を図りながら、新たな捕獲技術の開発に努力してまいりたいと存じます。  次に、既に移植され繁殖している外来魚のキャッチ・アンド・リリースの規制についてでありますが、水産資源保護法第4条第1項第4号で言う有害な物とは、水産動植物を死滅させるような毒物のほか、成長を阻害したり、繁殖に著しい害を与えるようなものの遺棄、漏せつを対象としておりますことから、これをブルーギルやブラックバス等へ拡大適用して県漁業調整規則で規制することにつきましては困難な状況でございます。  また、法の改正につきましては、本県と同じような実情を有する県が全国的にも広がっておりますことから、全国の内水面漁業管理委員会のブロック会議等で、現在リリースに関する法規制の議論を進めているところでもございます。その動向も踏まえまして、今後、国の方にも働きかけてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、本県では、外来魚を可能な限り減らすことが緊急の課題となっておりますことから、駆除事業とキャッチ・アンド・イートの啓発を重点にして、より効果的な駆除対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。  次に、フナ、モロコの増殖場造成に伴う増殖場内の産卵親魚の保護規制についてでありますが、11カ所のうち残る4カ所につきましては、平成11年度中にフナ、モロコの採捕禁止措置をとる予定であり、このため、現在琵琶湖海区漁業調整委員会に協議しているところでございます。  琵琶湖の漁業は、古来より琵琶湖固有の魚介類を採捕する伝統ある漁業でありますので、今後ともその振興策につきましては鋭意努力してまいる所存でございます。 ◎土木部長(中村昭君) (登壇)大津港マリーナの運営状況についての御質問にお答えいたします。  まず、大津港マリーナの5月末の収容状況につきましては、水面の係留施設では56隻の収容能力に対し26隻で46%、陸上の艇置場では140隻の収容能力に対し35隻となっておりますが、艇置場については6メートル級で140隻の収容を想定しており、現状では7メートルを超える艇が相当数を占めておりますことから、使用料換算では33%の使用率となっております。  この状況は、本格オープン後2カ月時点のものでありますが、都心の商業地にあるという立地条件のよさ、アウトドアスポーツへの関心の高まり、募集方法の改善などにより、今後利用者が増加するものと期待をしております。  収支見込みにつきましては、艇の保管料等の使用料収入により、本年度の運営、維持管理経費はほぼ確保できる見込みであります。  次に、施設の運営につきましては、利用者の安全等を考慮して営業時間を定めており、シーズン中の閉場時刻は、県内の民間マリーナと同じ18時としておりますが、気象条件や帰港時の混雑によるおくれなどには、できる限り利用者の便宜を図るよう努めております。また、安全対策等を考慮して携帯電話の所持徹底を指導しているところであります。  いずれにいたしましても、県の広報や専門誌等を活用した積極的なPRによる利用者の一層の拡大に努めるとともに、利用状況や利用者ニーズを把握し、できる限りの改善に努めてまいりたいと存じます。 ◎教育長(吉川勉君) (登壇)教育4題についてお答えいたします。  まず、教育と政治についてでありますが、政治への参加、関心は民主主義の根幹をなすものであり、学校におきましても、正しく指導することは極めて大切であります。そのため、児童生徒の発達段階に応じて、政治の仕組みや決まり、そして、政治が国民生活とどうかかわり、民主政治の質を高めるにはどうあればよいかについて指導しているところであります。  なお、日本史が必修になっていないのではないかという点につきましては、中学校では社会科で日本史を中心に学んでおり、高等学校では世界史が必修になっております。近現代史につきましても、歴史の授業ではもちろん、中学校では公民的分野、高等学校では現代社会や政治経済といった科目でも学習させております。  また、日本史の近現代史につきましては、例えば明治維新に関して、複雑な国際情勢の中で独立を保ち、近代国家を形成してきた政府や人々の努力に気づかせるよう指導しております。新しい学習指導要領もこうした点について強調しているところでもあり、今後とも、我が国の歴史を正しく理解させるよう努めてまいりたいと存じます。  次に、大学のあり方についてでありますが、今日、本県では高等学校卒業者の約半数が大学、短大へ進学している状況であり、高等学校と大学との接続につきましては大いに関心を持っているところであります。  このことは、社会のありようともかかわるわけではありますが、中央教育審議会におきましても、大学入学者選抜方法の改善を含めた初等中等教育と高等教育との接続のあり方につきまして現在審議中でありまして、この秋ごろには答申が出される予定になっております。  また、大学の今後のあり方につきましては、国の大学審議会が昨年の10月に「21世紀の大学像と、今後の改革方策について」と題した最終答申を出し、学部教育の中での基礎、基本の重視と、教育活動に対する責任意識を重視する方向等を打ち出しているところでもあります。  大学入学者選抜方法につきましては、これまでにも文部省が、各大学に対して、それぞれの大学の特色や専門分野の特性に応じ工夫改善に努めるよう求めているところでありますが、本県としても、新しい学力観に応じた選抜方法の多様化、評価尺度の多元化の推進や、専門学科等に対する特別選抜枠の拡大等を強く要望しているところであり、今後一層の改善を期待するところであります。  滋賀県立大学では、全学共通科目である人間学を設置し、人としてのあり方、生き方を重視した教育が展開されているだけでなく、県内すべての高校に推薦枠を広げ、入学生に対しては、一人一人の個性に応じて教育されるなど、大学審議会の答申をいわば先取りするような多くの教育システムが取り入れられているところであります。  今後こうした方向で積極的に大学改革が推進されることを期待するとともに、生きる力をはぐくむことを大きな柱とした小・中・高等学校教育が、生涯学習社会の実現という観点からも大学を含めた高等教育全般の中で一層反映されていくよう連携を図っていく所存であります。  次に、安土城についてでありますが、御承知のとおり、織田信長が天下統一の拠点として近江の地に築いた安土城は、空前の規模と構造を持つ大城郭であり、その後相次いで建設される近世城郭の規範ともなりました。今でも多くの人々の心を引きつけるこの安土城は、残されたわずかな記録によって、その片りんをうかがうことができますものの、その実態はいまだなぞに包まれております。このため、県では20年計画のもとで特別史跡安土城跡の発掘調査を行って、その実態を解明するとともに、県内外の人々に歴史学習の場、憩いの場として広く親しんでもらえるよう城跡の整備を進めているところでございます。  安土城の建立をとの御提案でありますが、安土城の復元につきましては、これまでも県議会で議論されてきましたように、正確な復元のための資料が得られるかどうかが基本的に重要なことであります。しかし、現在に至るまで学説は大きく2つに分かれており、また、発掘調査の結果では、これまでの定説を覆すような成果が数多く上がっていますものの、天主復元の根拠となる確たる資料はいまだ得るに至ってはおりません。  近世城郭の規範となりました安土城の復元に対しては、多くの人々の期待もありますが、それには、より正確な資料の存在が大前提となります。また、お話のように史跡地以外の場所での復元につきましても、安土城の歴史的、学術的な価値を考慮しますと、慎重な議論が必要であろうと思われます。引き続き城跡の発掘調査や史料調査等を進め、情報提供に努めてまいりたいと考えております。  申すまでもなく、安土城が話題となり、また歴史とロマンを感じていただくことは、調査と整備を進めてきた本県にとってうれしいことであります。既に城跡においては、大手道や伝羽柴秀吉邸跡の復元整備が完成し、引き続き伝前田利家邸跡の復元整備等を鋭意進めているところでありますが、この秋には、安土城考古博物館において特別展「安土城・1999」を開催して、10年間にわたる調査成果を広く紹介することといたしているところであります。今後とも、安土城跡が人々に夢を与える場として活用されるよう努めてまいりたいと存じております。  最後に、フローティングスクールについてであります。  びわ湖フローティングスクールは、本県が全国にあるいは世界に誇れるような、まさに課外学習であります。子供たちが船という限られた空間の中で、秩序ある集団生活や規律ある行動を通じて、日ごろ知る機会が少ない琵琶湖の生きた姿から自然のすばらしさを学び、夢をはぐくみ、ふるさとを愛する気持ちなどを涵養する場であり、まさに琵琶湖に浮かぶ学校であります。  この「うみのこ」で育った子供たちは、現在約27万人にも達しており、まさに母なる琵琶湖を愛し、未来の滋賀を築いていこうとする若人を育てる根幹の事業でもあると思っております。  最初に小学校5年生の折に乗った子供たちが、年を経て、その多くの人たちが今、学校の先生になっておりまして、その学校の先生が自分の生徒の5年生の子供を連れて、またびわ湖フローティングスクールへ行って甲板掃除をしていると。十数年の歴史の中で、本当にそういう姿を見ますと私は感動を禁じ得ないのでありますけれども、教育は常に計画性と継続性を持たせることが何よりも大切でありまして、27万人の子供の心をつないで、これまで17年間積み上げてきた教育活動を民間へ移管するという気持ちには到底ならないというのが本音でございます。  本年度からは、琵琶湖・淀川流域小学生交流航海事業として、京都府、大阪府の小学生との交流航海も計画しておりますが、全国にも例を見ない広域の環境教育活動を通して、下流府県の中に、いわば将来にわたって琵琶湖のファンがたくさんふえてほしいとも願っているところでもございます。そういうことで、学校教育における重要な環境教育、体験学習の場として、誇りを持って今後とも取り組んでいきたいと思っておりますので、ぜひとも御支援をいただけますようにお願いを申し上げます。 ○議長(滝一郎君) 以上で会派代表による質疑ならびに質問を終わります。    ───────────────── △休会の議決 ○議長(滝一郎君) お諮りいたします。  明26日から30日までは議事等の都合により休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
       (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。    ───────────────── ○議長(滝一郎君) 来る7月1日は議事の都合により午前11時から本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時33分 散会    ─────────────────...