滋賀県議会 1994-12-07
平成 6年12月定例会(第24号〜第28号)−12月07日-02号
平成 6年12月定例会(第24号〜第28号)−12月07日-02号平成 6年12月定例会(第24号〜第28号)
平成6年12
月滋賀県議会定例会会議録(第25号)
平成6年12月7日(水曜日)
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議事日程 第2号
平成6年12月7日(水)
午 前 10 時 開 議
第1 議第169号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)ほか5件)提案説明(知事提出)
第2 議第156号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか18件)(質疑、質問)
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本日の会議に付した事件
日程第1 議第169号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)ほか5件)提案説明(知事提出)
日程第2 議第156号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか18件)(質疑、質問)
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会議に出席した議員(46名)
1番 冨士谷 英 正 君 2番 中 川 末 治 君
3番 宇 野 治 君 4番 脇 坂 武 君
5番 世 古 正 君 6番 三 浦 治 雄 君
7番 目 片 信 君 8番 中 村 善一郎 君
9番 大久保 貴 君 10番 中 島 敏 君
11番 梅 村 正 君 12番 沢 田 享 子 君
13番 稲 田 喜代司 君 14番 桐 山 ヒサ子 君
15番 林 良 子 君 16番 吉 原 稔 君
17番 深 田 作 治 君 18番 川 口 東 洋 君
19番 大 林 清 君 20番 白 倉 一 路 君
21番 上 野 幸 夫 君 22番 森 井 慎 三 君
23番 奥 村 展 三 君 24番 黒 田 昭 信 君
25番 丸 山 省 三 君 26番 橋 本 正 君
27番 滝 一 郎 君 28番 松 井 俊 治 君
29番 山 嵜 得三朗 君 30番 石 田 幸 雄 君
31番 清 水 鉄三郎 君 32番 谷 口 三十三 君
33番 黒 川 治 君 35番 桑 野 忠 君
36番 岩 永 峯 一 君 37番 有 村 國 宏 君
38番 西 村 政 之 君 39番 酒 井 研 一 君
40番 栗 本 藤四郎 君 41番 大 谷 元太郎 君
43番 北 川 弥 助 君 44番 清 水 藤 藏 君
45番 伊夫貴 直 彰 君 46番 石 橋 修 一 君
47番 奥 清 君
49番 沢 野 邦 三 君
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会議に欠席した議員(2名)
34番 田 中 高 雄 君 48番 小 林 実 君
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会議に出席した説明員
知 事 稲 葉 稔 君
教 育 委 員 会 委 員 長 南 光 雄 君
選挙管理委員会委員長代理 橋 本 喜三男 君
人 事 委 員 会委員長代理 堀 池 潤 次 君
公 安 委 員 会 委 員 長 宇 野 淳 一 君
代 表 監 査 委 員 高 土 禮二郎 君
副 知 事 山 田 新 二 君
副 知 事 岩 波 忠 夫 君
出 納 長 宮 尾 悦 夫 君
知 事 公 室 長 岩 田 正 春 君
総 務 部 長 今 仲 康 之 君
企 画 部 長 勝 義 隆 君
生 活 環 境 次 長 桃 野 浩 爾 君
健 康 福 祉 部 長 國 松 善 次 君
商 工 労 働 部 長 山 脇 康 典 君
農 林 水 産 部 長 中 桐 正 君
土 木 部 長 亀 田 泰 武 君
企 業 庁 次 長 平 松 稔 三 君
教 育 長 高 井 八 良 君
警 察 本 部 長 中 島 勝 利 君
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議場に出席した事務局職員
事 務 局 長 森 田 吉 則
議 事 課 長 鈎 孝 之
議 事 課 課 長 補 佐 塩 見 和 夫
議 事 係 長 松 浦 伊久男
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午前10時10分 開議
○副議長(黒川治君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○副議長(黒川治君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
選挙管理委員会委員長小林隆君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員橋本喜三男君が、また
人事委員会委員長野玉三郎君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員堀池潤次君がそれぞれ出席されておりますので、御了承願います。
次に、
生活環境部長辻本昭君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
生活環境部次長桃野浩爾君が出席いたしておりますので、御了承願います。
また、企業庁長戸田弘君が都合により本日から今期定例会中会議に出席できませんので、代理として
企業庁次長平松稔三君が出席いたしますので、御了承願います。
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○副議長(黒川治君) これより日程に入ります。
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△議第169号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)ほか5件)提案説明(知事提出)
○副議長(黒川治君) 日程第1、議第169号から議第174号までの各議案を一括議題といたします。
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滋 財 第 555 号
平成6年12月7日
滋賀県議会議長 田 中 高 雄 殿
滋賀県知事 稲 葉 稔
議 案 の 提 出 に つ い て
平成6年12
月滋賀県議会定例会に次の議案を提出します。
記
別記のとおり
……………………………………………………………………
別 記
議第169号 平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)
議第170号 滋賀県職員の勤務時間、休日および休暇に関する条例案
議第171号 滋賀県職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案
議第172号 滋賀県公立学校職員の勤務時間、休日および休暇に関する条例の一部を改正する条例案
議第173号 滋賀県公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案
議第174号 滋賀県地方警察職員の勤務時間、休日および休暇に関する条例の一部を改正する条例案
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○副議長(黒川治君) これより上程議案に対する提出者の説明を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)ただいま提出いたしました議案について御説明申し上げます。
議第169号、171号および173号の3議案は、いずれも給与改定に係るものでございまして、去る10月17日に県人事委員会から職員の給与改定について勧告を受けましたので、これを尊重し、所要の改定をしようとするものでありまして、その内容は、行政職の給与を職員1人当たり平均1.22%引き上げるなどであります。議第169号は、これらの給与改定に必要な一般会計の補正予算であり、歳入につきましては、地方交付税および国庫支出金を充当することとしております。また、議第171号および173号は、それぞれこの給与改定を行うための条例改正であります。
次に、議第170号、172号および174号は、職員の勤務条件に係る規定の整備を国家公務員に準じて行おうとするものであります。
以上、何とぞよろしく御審議を賜りますようお願いを申し上げます。
○副議長(黒川治君) 以上で提出者の説明は終わりました。
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△議第156号から議第174号まで(平成6年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか18件)(質疑、質問)
○副議長(黒川治君) 日程第2、議第156号から議第174号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、29番山嵜得三朗君の発言を許します。
◆29番(山嵜得三朗君) (登壇、拍手)私は、自由民主党を代表して質問をいたします。
ことしも残すところあと3週間余りとなりました。振り返りますと、くしくも私は1年前の本日、党を代表して登壇し、激動、変革の1年を振り返り、国政運営の是非は別として、滋賀県政においては絶対多数の責任の重みを痛感するだけに、血を出し、汗を流して県勢進展、県民福祉の向上に努力する党の真意を述べたのでございます。今日もその思いにいささかの変わりもないことを鮮明にして、以下知事および関係部長に質問をいたします。
最初に、平成7年度の予算編成について知事にお尋ねをいたします。
知事は、予算編成通知において、景気が緩やかな回復基調に向かいつつあるものの、為替相場の動きなど懸念すべき要因もあること、また国家財政が多額の借り入れ残高を抱え、行財政改革をさらに推進するという状況に置かれていることとされております。また、本県財政にあっても、歳入の根幹をなす県税収入が3年連続して大幅な減収となることが確実であり、一方、歳出面では公債費などの義務的経費の増高が見込まれるなど、財政状況は厳しさを増しているとされているのであります。さきの提案説明でも、厳しい財政状況のもとでありますので、新年度の予算編成に当たっては、滋賀として今やらなければならないことを一つ一つ検証しながら、厳しく選択せざるを得ないとされているのであります。
我が党といたしましても、国、地方を通じ厳しい財政環境にあることは理解しているところでありますが、来年度の予算編成については、21世紀を視野に入れつつ、より豊かでゆとりの実感できる県民生活の実現に向けてさらに施策を推進することが県民の皆さんから求められていると認識するのであります。
このような状況を踏まえ、知事は平成7年度予算の編成に当たって、どのような方針のもとに県民の要望にこたえ、施策の充実を図ろうとされているのかを明らかにされたいと存じます。
次に、
地価監視区域制度の運用についてお尋ねをいたします。
昭和62年ころから始まった地価高騰は、いわゆるバブルの崩壊とともに一転して今日まで下落を続けております。以来、県においては、7次にわたって地域の拡大、届け出面積の引き下げなど監視区域制度の運用を強めてこられました。その後、本年3月には、届け出面積を引き上げるなど一定の緩和措置をとられたところでありますが、最近の地価調査結果や
短期地価動向調査結果においても引き続き地価は下落をしているのであり、当初考えておられた地価高騰のおそれはもうなくなっているのではないか、そのことからして地価の監視区域制度の使命はもう終わったのではないかと考えるところであります。
また、大阪や兵庫など近畿の各府県では、既に監視区域を解除もしくは解除を予定しており、東京や名古屋など大都市圏においてもそうした動きがある中で、我が党としては、広く国民が景気の早期回復を望まれている今日、一日も早く監視区域を解除すべきと思うところであります。そこで、今後の監視区域制度の運用について知事の所見をお伺いするものであります。
次に、びわこ空港について知事に伺います。
本県は、いにしえの時代から、国土の幹線交通が通過する要衝の地としての地位を占め、豊かさを誇ってきたところであり、次なる時代を考えますと、空港の整備は不可欠との信念に立って、我が自民党は責任政党として
びわこ空港整備推進議員連盟を結成し、近府県の協力を得ながら中央に対し積極的な働きかけを行い、平成3年11月にはようやくにして国の第6次空港整備5カ年計画に採択を実現させたのであります。順調に行けば、既に新規事業への格上げが果たされ、事業着手という手はずになっていたのであります。
しかし、空港候補地である蒲生日野における一部集落の反対には根強いものがあり、知事は昨年7月、国に対して新規格上げ要請を差し控えると言明し、いわば話し合いの仕切り直しとなったのであります。その後の状況を見ておりますと、集落間の温度差はあるものの、いまだ確たる実効は上がっておらず、このまま推移するとするなら、当初の基本姿勢は大きく後退することになるのであります。加えて、経済環境は依然厳しく、県税収入は大きく落ち込み、県予算の現状からは、大規模公共投資に対する対応についても重いものを感じざるを得ないことも事実であります。
こうしたびわこ空港を取り巻く環境は一段と厳しいものがありますが、県として今後その取り組みをどう進めていくかであります。我が党の空港にかける思い、必要性の認識はいささかも変わるものではありませんが、現段階の状況を踏まえ、執行部として今後の対応方策をどうお考えなのか。また、話し合い継続中は国への新規格上げの要請を差し控えるとの提案は今後も県として守っていくのか。両町の対策協議会の中では話し合いが始まった集落もあるようでありますが、中には一向にその動きが見えてこない集落もあるのであります。第6次空港整備5カ年計画の期限は残すところ1年余りとなり、多くの県民がその成り行きを注目しているのであり、明確に県の取り組みの考えを示すべきときと考えますが、知事のお考えをお尋ねするものであります。
次に、
琵琶湖リゾートネックレス構想についてお尋ねをいたします。
この構想は、平成2年12月に
総合保養地域整備法に基づく国の承認を受け、4年が経過しようとしておりますが、構想に掲げられたリゾート施設のうち、民間が実施するプロジェクトの多くは目に見えた進渉は図られていない状況であります。多くのリゾート構想は、全国的に経済の拡大基調にあった時期に策定され、いわゆるバブル崩壊後、民間事業者は今日の景気低迷が続く経済情勢下にあって新たな投資を手控えており、関係市町村や関係地域においては遅々として進まないリゾート整備に対し困惑しているのが現状であります。また、民間活力の導入を前提としたリゾート整備は、全国的に進捗が悪いことや、もともと長期的な視点に立って取り組むことが大切であるという国の見解もあって、県としても手をこまねいているように感じられ、進出を予定する民間企業の動きを見ても、構想がいつになったら実現するか非常に危惧を抱くものであります。
我が党は、例年、新年度予算編成を控え、市町村などから県の施策に対する要望についての聞き取りを行っておりますが、本年度は特にリゾート整備に対する要望が多かったのであります。その内容としては、当初の予定どおりに進展しないため、地元住民の期待にこたえるべく新たな地域づくり策を模索し、他の計画に変更したい意向を持っているところや、あるいは民間企業数社で現地法人を設立したがその後苦慮していることなど、リゾート整備に向けた期待と現状とが交錯し、困惑する意見が多かったのであります。
県は、こうした動きや現在の経済情勢を踏まえ、どのように認識し、今後推進していこうと考えておられるのか、その所見を企画部長に伺うものであります。
次に、関連して烏丸半島のリゾート計画についてお伺いをします。
烏丸半島の土地利用は、
県立琵琶湖博物館に約5ヘクタール、
UNEP国際環境技術センターに約1ヘクタール、草津市水生植物園に約4ヘクタール、駐車場に3.5ヘクタール、多目的広場に約2ヘクタールとなっており、リゾートに活用が予定されている
民間活用施設用地には約10ヘクタールであります。
この10ヘクタールの用地でありますが、この用地の所有者は水資源公団で、県と市と水資源公団で共同推進の基本的合意がなされ、平成元年12月1日に
財団法人びわ湖レイクフロントセンターが設立されているのであります。水資源公団と
びわ湖レイクフロントセンターとの間に、烏丸半島の整備と利活用に関する協定書が平成2年2月26日に締結されました。その目的は、びわ湖の恵まれた水と緑を生かし、烏丸半島を整備、利活用することによってその水辺環境の保全を図り、広く国民の福祉に寄与することにより、水資源開発施設のより有効な利用を図ることとなっており、一日も早くその有効な活用が待たれるところでありますが、公共の施設はそれぞれ実施に向けて現在進行しておりますが、現時点ではこの
烏丸タウン開発が行おうとしている計画はどのような状態にあるのか、バブルがはじけてという言葉はよく聞きますが、この
烏丸タウン開発にはそんな危惧はないのか、以上企画部長にお伺いをいたします。
次に、廃棄物対策の推進についてお伺いをいたします。
廃棄物問題は、日々の県民生活、経済社会活動に密着したものとして一日も放置できない緊急の課題であると同時に、今、一国内の問題を超え、地球的規模で対応すべき課題であると考えております。国においても、これまで廃棄物発生後の事後処理に重点を置いてきた廃棄物対策を根本的に見直し、排出量の抑制対策や再生利用などによる減量化の促進を求め、廃棄物処理及び清掃に関する法律の大改正を行い、また再資源化の促進、資源の有効利用を目的とした再資源化の促進に関する法律を制定するなど、新たな施策の展開を図っておられるところであります。
こうした背景を受け、県下各市町村、一部事務組合では、地球環境問題の基本ともいえる廃棄物行政の重要性を深く認識され、発生量が増大し、質が多様化している廃棄物の排出抑制および適正処理に努めつつ、ごみの減量化、資源化対策を推進し、廃棄物処理施設の整備により地球の環境保全を図るべく、日夜努力を重ねていただいているところであります。
しかしながら、廃棄物をめぐる情勢はむしろ一層深刻化しつつあり、廃棄物行政はその難度をますます強くしていると感じております。今後、内陸県でもあり、また人口が増加を続けております本県としましては、これら一般廃棄物行政を適切に推進していくためには、県民、事業者、行政が一体となった幅広い取り組みが不可欠であると考えます。そこで、本県においては、今後、廃棄物減量化、再生利用などの推進についてどのようにされようとしておられるのか、生活環境部長にお伺いをいたします。
次に、終戦50年を迎える県の考え方について質問をいたします。
昭和20年8月15日、先の大戦が終結して早くも来年50年を迎えようとしております。この大戦において、我が国は300万余に上る多数の犠牲者を出し、極めて不幸な歴史であったと深く認識しているものであり、二度とこのような歴史を繰り返すことのないよう、この教訓を生かし、真摯な努力をしなければなりません。また、過去の戦争に対する反省から、国民にも強い不戦の決意、また恒久平和の尊さに対する共通の意識が醸成されていると感じております。
このような先の大戦における厳しい反省から、現在我が国は平和憲法の遵守のもと、国際平和の維持、実現に積極的に貢献をしており、国際的にも我が国における平和への貢献については高い評価を得るまでになっています。
このような中にあっても、戦争による傷跡は半世紀を過ぎた今日なお現在の社会に厳然として残っている現状を踏まえ、去る9月県議会において、先の大戦における戦没者への追悼および感謝と恒久平和に関する決議を行ったところであります。
そこで、平成7年が終戦50年という時代の節目に当たることを考えるとき、県としても大きな時代の節目にふさわしい新しい取り組みを講じることが必要であると考えるものでありますが、これについて健康福祉部長の考え方をお伺いいたします。
次に、少子化対策についてお尋ねをいたします。
県では、昨年12月に子育てに関する意識調査を実施されていますが、その中で望ましいと思う子供の数は3人と答えておられる方が最も多いにもかかわらず、現実の子供の数は2人という家庭が多くなっております。そして、理想の子供の数より実際の子供の数が少ない理由として、一般的に子育てにはお金がかかる、仕事との両立が難しい、自分の健康に不安がある、育児の精神的、肉体的負担が大きいといった理由が多く挙げられております。
このような子育てにかかわる問題は、個人の生き方、価値観に深くかかわることであり、子供を生むか生まないかということは本人の選択にゆだねられるべき事柄ではありますが、例えば、3人の子供を望まれる家庭には、安心して3人目の子供を生めるような社会環境の整備が急務であると考えるのであります。本県においては、
子育て環境づくり推進協議会を設置し、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりの総合的な方策について論議されていると伺っているところであります。
そこで、超高齢社会を迎える今日、時代を担う人づくりのために、本県においても少子化対策を早急かつ積極的に進める必要があると考えるものでありますが、県としてどう取り組むのか。また、仕事と育児の両立を合い言葉に、厚生省は
在宅保育サービス支援を開始したところでありますが、どのように対応されているのか、健康福祉部長に伺うものであります。
次に、現下の経済情勢と当面の不況、雇用対策について質問をいたします。
今まさに戦後50年という大きな節目の年を迎えようとしておりますが、この間、我が国の産業経済は世界に例のない目覚ましい発展の歴史でありました。しかし、現下の我が国の経済は、御案内のとおり、かつてない長期不況の中、大きな転換期に遭遇しております。すなわち、最近の政府の月例経済報告によりますと、現状をバブル不況とも平成不況とも言われております。こうした背景は地域産業に与える影響も大きく、今後の展開が大変心配されるところであります。特に、本県経済を支える県内中小企業においては、不況の厳しさや空洞化懸念など厳しい経済環境を乗り越えるための自助努力がなされ、地域経済を精いっぱい支えていただいているところでありますが、その企業努力には言葉では言い尽くせない大変なものであると伺っております。
一方、県におかれては、総合的な経済対策を強力に推進するため、我が自民党の要請のもと、いち早く緊急不況・雇用対策本部を設置され、景気浮揚に向けた積極的な本年度予算を確保され、経済対策や雇用対策の積極的な推進に全庁を挙げての取り組みがなされているところであり、その努力には敬意を表するところであります。
そこで、商工労働部長にお伺いするものでありますが、全国的には景気回復に向けた明るい話題も聞かれる中、本県における現下の経済情勢が大変気になるところでありますが、県内景気の動向および雇用の情勢をどのように認識されておられるのか。また、緊急不況・雇用対策本部が設置されて丸1年が経過しようとしておりますが、景気回復への手ごたえを確かなものへとするためにも、引き続き緊急不況・雇用対策本部を継続設置すべきものと考えますが、どのように対処されるのか。さらに、これまでの一連の総合経済対策の中で、特に県内中小企業者から大きな期待が寄せられてきた緊急経営支援資金については、国施策との連携のもと、一昨年の12月20日の制度創設以来、今日まで業況悪化に苦しむ中小企業者を力強く資金サポートされてきたところであります。聞くところによりますと、緊急経営支援資金はこの12月末日をもって期限切れとなるとのことでありますが、依然として業況回復の見込めない中小企業者に対しては、最後の頼みどころともいうべきすべもなくしてしまうのではないかと心痛大なるところがあり、今後の支援方策についてどのように考えておられるのか、以上3点について商工労働部長の所見を伺います。
次に、農業問題について伺います。
今、日本の農業、農業政策の転換期を迎え、その政策展開の方向を示す新食糧法──主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律など、関税化受け入れ関連の法案が去る2日衆議院を通過し、参議院に送付されたところであります。
我が党は、滋賀の農業を守り育てるため、一貫して真剣な取り組みをしてきたところであり、特に、昨年12月、当時の細川内閣がウルグアイ・ラウンドの農業合意受け入れ以来、とみに高まった県内農家の不安や関係農業団体の拒否反応に深く思いをいたし、国内対策検討の段階において意見書採択をお願いし、9月定例会において、中村議員の我が党代表質問で農水省の米の生産調整、食糧管理制度改革の具体像の問題点を指摘し、一連の改革の流れの中で本県農業の誘導に万全の対応を求めたところであります。
しかし、今国会での審議の経過を見ますと、ミニマムアクセス──最低輸入義務の扱いについては、国内産米に影響を与えないよう対応、政府買い入れについては、価格算定方式は今後の検討課題、買い入れ量は備蓄の運営を念頭に置くなど、また米の例外措置が切れる7年目以降の基本的な対応は、代償措置を払って特例を継続か、関税かは状況を総合的に判断するとされており、とりわけ6年間で万全の対策を期すとされる6兆100億円の対策費の財源、実効確保については今後の予算編成の過程で実現するという不明確さであります。
要するに、衆議院の委員会審議で伺う限り、共産党を除く野党はウルグアイ・ラウンド合意を受け入れた当時の与党ということもあり、緊迫したやりとり、突っ込んだ解明がなされない不十分な経過に終わっております。特に、国内対策費は、我が党の決断と努力で実現したとはいえ、地域農業の要求を積み上げ、集約したものでなく、一歩間違えば、問題によっては、あるいは地域にとって、期待どころかはかり知れないダメージと一層の地域格差を生みかねないことを危惧するものであります。
我が党は、百姓は生かさず殺さずというかつての封建時代の苦い歴史に学び、国土保全の多面的な機能と役割を評価し、湖国農林水産プランが単なる指標でなく、本県農業が国に先んじて新しい政策展開の先導的な役割を果たし、農業にかかわる人たちが自信と誇りを持って農業を守り伸ばす礎を築く絶好の契機とすべきと考えるのであります。そのためには、何よりも知事のリーダーシップが必要であり、そのことこそ、知事の志、新しい淡海文化の創造が目に見える形で実を結ぶことになると存じます。そこで、先行き不透明さの危惧と不安を高めている本県農業について、知事の確たる所信をまず伺うものであります。
次に、農林水産部長にお伺いします。
本県は、圃場整備などにより生産基盤整備を積極的に進めてきた経緯もあり、集落営農、担い手育成などを柱とした湖国農林水産プランの実効ある推進のために、例えば、平たん部における3分の1の大区画化事業の推進、中山間地域活性化のための条件整備事業の推進、施行済みあるいは老朽化施設の再整備などが必要となれば、国の国内対策費の関連で制度創設を提起し要望するなど、積極的な滋賀らしさの取り組みが望まれますが、どのようなお考えか。
また、水田活性化対策事業の推進についてでありますが、最近の新聞報道によりますと、6年産米の作柄が109という豊作になる見通しとなったことから、来年産米が仮に平年作としても国産米の在庫は200万トンを超えかねず、国においては過剰対策を早急に講じる必要があることが強調されております。仮に国において来年度の転作面積を拡大することとされた場合、県は市町村や農協に対してどのような指導をされようとするのか、以上について伺うものであります。
次に、去る12月2日に入札が予定されておりましたびわ湖ホール新築工事において、直前に談合の事実があるとして各報道機関などに落札業者名を名指しした文書が送付されたことから、事実確認になお時間を要するとして入札の執行を延期されたところであります。
県においては、公共事業の入札制度について、建設市場の国際化、建設産業の公正な競争の確保といった観点から、より一層の透明性、競争性を確保し、あわせて談合防止の観点から、今回の一般競争入札制度を取り入れ実施されている中で、このような事態が生じたことはまことに残念であります。もちろん、建設業界にあっては、体質改善や企業のモラル向上には努力を続けることは言うまでもありません。県においては、発注者の立場から、談合に対しては毅然とした態度をとられることは必要でありますが、抽象的な情報によって公共事業がおくれることは、早期完成を望む県民の期待を裏切ることにもなりかねません。自信を持って早期に執行されるよう望むところであります。知事の今回の措置の見解を伺うものであります。
次に、今議会に提案されている滋賀県建築基準条例の一部改正についてお伺いをいたします。
県におきましては、さきの定例会において、高齢者、身体障害者、妊産婦、病弱者などの人々の行動を阻むさまざまな障壁を取り除くことにより、だれもがみずからの意思で自由に行動できる生活環境を整え、21世紀を目指す本県の福祉社会実現への基本法ともいうべき滋賀県住みよい福祉のまちづくり条例が制定されたところであります。もとより、この条例は、県、市町村、県民、事業者の責務をうたい、それぞれの立場で住みよい福祉の町づくりをつくっていくという理念を持って、まさしく県民総ぐるみで建築物や道路、公園、公共交通機関などの施設整備に努めることとされております。しかしながら、この条例は、県民の理解を前提としたいわゆるお願い条例であります。財政的支援を期待しつつも、その実効性を確保するため、我が党はぜひとも建築基準条例の改正を求めてまいったところであります。こうした中におきまして、今定例会に建築基準条例の一部改正が提案されましたことは、まことに意義深く、住みよい福祉のまちづくり条例の施行とあわせた今後の執行に期待するところであります。
そこで、本条例の一部改正を円滑に推進するためには、何よりも事業主の理解が必要であり、改めてこの条例の目指すものは何なのか、お尋ねいたします。さらに、これまで一般的には、高齢者や障害者などの方々が円滑に利用できる建築物への配慮やその方法が十分理解されていないところもある中で、建築基準条例は規制のかかる義務規定となっており、今回の改正に係る県民各般の理解への取り組みについてあわせてお伺いをいたします。
次に、規制の内容ならびにその執行についてお伺いします。
第1点目は、規制対象建築物に官公庁、駅舎、車両の乗降場等、公共または公益的建築物は対象となっておらず、今後こうした建築物に対しては先導的役割もあると思うが、どのように対処しようとするのかお伺いします。第2点目は、改正条例における整備基準の基本的なよりどころは何なのか。第3点目には、建築確認申請と住みよい福祉のまちづくり条例との事務の流れについては、現在健康福祉部と調整されていると思うが、おおむねどのように考えているのか。またあわせて、県民や窓口事務において混乱を招くことのない対応を強く要望するとともに、今後、県民への啓発により本条例改正がまさしく県民の中に受け入れられ、まさに福祉先進県という名に恥じない建築物の構築を目指し、取り組まれるよう期待するものであります。
以上、土木部長にこの条例に関する質問をいたし、その見解を問うものであります。
次に、湖南における駐車場対策について質問いたします。
本県は、地勢上、日本列島の交通の要衝であり、国道1号、8号、21号、161号など多数の国道が縦横に交差して大量の車両が流れ込み、各地で交通渋滞を起こしているのが今日の状況であります。特に近年、湖南地域に集中して多くの量販店など大規模商業施設が建設された影響で、周辺地域の道路は休祭日には身動きできない現状であります。また、これら店舗は、その大半が本県の基幹道路に隣接して位置している関係から、その影響は大きく、県民の本県道路行政に対する不満にまで発展しかねない状況であります。
これら店舗の駐車場の外まで車両があふれる原因の1つに、店舗面積、来客数に勘案して駐車場面積が十分確保されていないのではないか、商業者優先で道路利用者がなおざりにされているのではないかなど、県民の行政に対する不信を起こさせかねないことから、これら対応策について伺うものであります。
これら店舗の駐車場については、開発指導要領などで定めている中で論議されており、必ずしも一定の設置基準で担保されておらず、それらは周辺道路の渋滞などの影響を及ぼしているのが現況であります。
そこで質問いたしますが、今後、これらに類する施設が計画されたとき、周辺の道路状況など十分論議をし、警察関係からの意見を聞き対応すべきであると考えますが、これらに対する考え方を土木部長に伺うものであります。
また、開店後、現状として、それら店舗自体が車両の誘導、交通整理等を行っているわけでありますが、これらについて警察としてさらに指導の徹底を図るべきと考えますが、警察本部長に伺うものであります。
道路、河川の整備推進についてお伺いいたします。
我が国は、社会資本の整備が欧米諸国と比べ立ちおくれており、まだ経済力に見合った豊かさを実感できない状況であります。このため、国民一人一人が真に生活の豊かさを実感できるよう、国民生活の質の向上に視点を置いた政策展開の一層の充実が必要であるとともに、社会資本整備が求められております。このことを踏まえ、我が党といたしましても、道路整備は最も重要な課題として、国庫補助事業についてはかねてより強く国や関係機関に働きかけるとともに、平成6年度予算においても県単独費を大幅に拡大し、道路整備予算の充実確保に努めてきたところであります。
そこで、本県の道路整備についてでありますが、平成5年度にスタートした第11次道路整備5箇年計画に基づき、淡海文化の創造を支える道づくりが進められているところであり、多賀町地先の国道306号の全線開通や大津市葛川地先の国道367号の部分供用、琵琶湖大橋の4車線化の完成、また特に県民が期待を寄せております県土づくりの根幹ともなる第二名神につきましても、測量調査のための中心くい打ち式が行われるなど、着実に成果があらわれつつあります。
しかし、本県の現状を見ますと、多くのこれらの幹線道路での交通渋滞は日常化しており、経済活動や日常生活にも支障を来している状況であります。また、県道につきましても、幅員5.5メートル以下の道路がまだ全体の約4割程度あると仄聞しております。このような現状において、まだまだ整備を進める必要があり、県民の道路整備に対する要望は非常に強いものがあります。しかしながら、国の平成7年度概算要求における道路整備特別会計は、事業費ベースで対前年度比1.00であり、今ここに来て道路整備を軽視する傾向が見られ、その推進を願う私どもにとりましては非常に厳しい情勢であります。こうした中で、今後どのようにして道路整備を進めていくのか、土木部長の基本的な所見を伺うものであります。
次に、県道昇格についてお伺いをいたします。
県道とともに道路網を形成する幹線市町村道は、地方生活圏を形成し、地域における交流と連携を促進するとともに、各種地域振興施策の実現、地域の生活環境の向上を図る上で重要な役割を担っていることは言うまでもありません。しかしながら、このような市町村道の中に、行政界を越え、地方的な幹線道路網を構成し、県道として路線認定し整備促進を図るべく、県道昇格できないかという地域の根強い要望があります。そこで、県は、県道昇格についてどのような考え方とスケジュールで進めようとしているのか。
次に、道路と並行しての重要課題は河川改修であります。本県は四方を山々に囲まれ、びわ湖に流入する河川の多くは天井川で、地質、地形上、災害を受けやすい環境にあるため、少々の降雨にあっても濁流となって周辺住民が不安におののく現状から、その整備が強く求められているところであります。本県では、びわ湖を含め510河川、流入延長2,335キロメートルで、その整備率はまだまだの状況でありますが、このような現状を踏まえながら、我が党の政務調査活動で県内各市町村に調査に赴きましたところ、多くの現場で河川改修促進が強く望まれたところでありますが、今後このことに関してどのように推進されるのか、土木部長に所見を伺います。
次に、学校週5日制について教育長に質問をいたします。
文部省では平成7年4月から、学校週5日制月2回導入を実施する旨の次官通達を各府県教育委員会あてに出されたと聞き及んでおります。
我が国は明治以来、欧米の先進諸国に追いつくことを目指して近代化を進めてまいりました。このため、学校教育では西欧文化を中心として、体系化された知識や技能、技術を身につけることを重視する教育が行われてきたのであります。その結果、我が国はさまざまな分野において欧米諸国と肩を並べるに至り、国民の生活レベルも飛躍的に向上してまいりました。しかし、科学技術の進歩と経済の発展が物質的な豊かさを生んだ一方で、私たちの生活からはゆとりが消え、人々は心の豊かさを失いつつあることは否めません。
こうした我が国の現状にとって解決すべき大きな課題は、物質的な繁栄から、ゆとりのある精神的豊かさを持つ成熟した社会への転換であり、世界に通じる日本人を育成することであります。今日の教育の課題は、子供たちがこれからの時代に生きていくための必要な資質や能力を育成するとともに、近年、急速に進展した社会の変化に伴って生じている子供の人間形成にかかわる問題点を克服しつつ、その変化に適切に対応することにあると言えます。学校週5日制は、子供の健やかな成長を期するために、これら今日の教育の課題を克服する観点からとらえるべき問題であると考えます。そして、この制度は単に学校のみならず、家庭や地域のあり方とも深くかかわってくるだけに、その実施と運用に当たっては慎重な配慮が必要であると考えます。
そこで、県教育委員会として、月2回実施の学校週5日制に対してどのように対応されるのか、次の点についてお尋ねいたします。
まず第1に、この制度に対する保護者の理解はどのようなものであるのか。また、保護者への啓発活動はどのように展開されているのか。
第2に、文部省の研究協力校における月2回実施に伴う成果や課題はどんなものであったのか。児童生徒に過度の学習負担をかける結果となってはいないか。
第3に、今後、子供の学校外活動への期待がますます高まることが予想される中で、これまでの活動の成果や今後の取り組みについてはどんなものがあるのか。
最後に、これら課題を踏まえ、来年4月からの実施に向けどのように対応されようとするのか、教育長の所見を伺うものであります。
次に、県立希望が丘文化公園の整備について質問します。
希望が丘文化公園は、県条例に基づく特別地域に指定された自然公園で、公園内には教育機関として、青少年宿泊研修所や野外活動センターを初め、各種のスポーツ施設や広大な芝生ランドなどの自然環境あふれる公園で、オープン以来、既に2,000万人を超える人々に利用されているところであります。
また、希望が丘は、国の総合保護地域整備法に基づく
琵琶湖リゾートネックレス構想におきましても、パークコミュニティーとして、京阪神や中京圏を含めた広域的な都市近郊の公園として全国に誇り得る立派な公園であります。
さて、今日、私たちは生涯学習時代を迎えておりますが、多くの県民の方々は自然との触れ合いや生きがいのある人生を強く求めておりまして、各種の余暇活動へのニーズも大変高まっており、こうしたニーズにこたえるためにも希望が丘公園の役割はますます重要になるものと考えられます。
こうしたことから、我が党の教育問題調査会が過般現地調査をいたしましたが、開園以来二十数年を経過し、施設の経年劣化や芝生や樹木の手入れの必要なものが見られるなど、今後とも文化公園としての機能を担うためには抜本的な全面改修や管理体制整備の必要性を痛感したところであります。
現在、県教育委員会において全施設の改修調査が行われていると聞きますが、これのまとめに当たって我々がここで知事に提言いたしたいと思いますことは、昭和58年8月に実施されたびわ湖フローティングスクール事業は、初就航から10年間で約23万人を超える小学生が、「うみのこ」での湖水の水質プランクトン観察などの活動で自然環境の中で自然の持つ壮大さや自然とともに生きることの大切さを体験する活動をし、また船内での宿泊生活を通じて、ほかの人に優しく思いやる心や助け合うことの大切さを学ぶ有意義な体験学習の場として大きな成果を上げているところであります。
一方、四方を山々に囲まれている本県の豊かな自然を生かした青少年の林間学校や野外活動の持つ意味は、今日の子供たちの実態を見るとき、大変重要なものがあると考えます。最近の子供たちは、テレビゲームなどの出現により家に閉じこもってひとり遊びをしたり、外へ出ても昔の子供たちのようにわんぱく仲間と日が暮れるのを忘れて遊び回るような子供同士が戯れて遊ぶことが少ない状況が見受けられ、あすの湖国を担う子供たちの成長に大きな不安を覚えるのであります。
そこで、我々としては、湖におけるフローティングスクールに呼応して、山や緑に囲まれた自然を有する希望ケ丘を、今日強く求められている自然と人との共生を学ぶ環境学習の体験場として機能を充実させるため、全面的に整備し、知事が提唱されている新しい淡海文化の理念である滋賀の自然、環境、歴史、文化などを取り入れた体験学習を行うことが今求められているのではないかと考えるものでありますが、知事の所見を伺うものであります。
また、フローティングスクールと同様に、小学校の低学年のカリキュラム等にこれを取り入れて取り組むことをあわせて提案するものでありますが、これに対する教育長の考えを伺うものであります。
最後に、警察本部長に銃器犯罪についてお尋ねをいたします。
新聞報道によりますと、最近、銃を使った殺人事件などの犯罪が多発しているようであります。過般、東京では病院の医師が通勤客で混雑する駅の構内で患者によって銃で殺されたり、銃を使用して大企業の幹部や金融機関の職員が襲われるなど、銃による犯罪が暴力団関係者に限らず大変身近なものになっているようで、まさに銃社会に悩むアメリカと大変似てきている状況にあります。
昨年は、銃を取り締まる関係法令が改正され、罰則が強化されたり、警察の取り締まり強化により、けん銃と呼ばれる銃の押収がふえていると聞いております。しかしながら、警察による懸命な御努力にもかかわらず、全国での最近の現状を見ますと、銃犯罪に対する県民の不安がますます高まっているところであり、当局による厳しい取り締まりが強く望まれているところであります。
そこでお尋ねしますが、県警察における銃器犯罪に対するこれまでにとってこられた対応と今後の対策をどのように考えておられるのかお尋ねし、質問を終わります。
御静聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(黒川治君) 29番山嵜得三朗君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)自由民主党山嵜議員の代表質問にお答えをいたします。
まず、新年度の予算編成方針についてであります。
御案内のとおり、近時の景気の低迷の影響を受けまして、県税収入や地方交付税が大変厳しい状況となっているところであります。私といたしましては、こうした厳しい財政環境のもと、これまでのようにいいものはどんどんやっていこうという姿勢からは180度転換して、厳しい施策の選択をせざるを得ないというふうに考えております。
これから本格化いたします予算編成の作業の中では、生活重視、地域重視の視点に徹して、県民にとって優先度の高い課題を一つ一つ検証していくことにより、湖国21世紀ビジョンの着実な推進を図り、びわ湖を初めとする環境の保全や福祉の向上などの面で、新しい淡海文化の創造の理念にふさわしい真に県民福祉の向上につながる県政の構築を目指してまいりたいと存じております。今後進められてまいります国の予算編成や地方財政対策の動向も十分見きわめながら、限られた財源の効率的、効果的な運用に十分意を用い、厳しい状況のもとではありますが、湖国を、自然と人との共生のもとに住みやすく、活力ある私たちの郷土としてさらに充実、発展させるため、精いっぱいの努力をしてまいりたいと考えております。
次に、地価監視区域の運用についての御質問でありますが、本年7月1日時点の地価調査結果によりますと、昭和58年を100とした場合、住宅地163.5、商業地181.6といった地価指数でありまして、平成元年から2年初めごろの水準にまで戻ってきております。その後の3カ月ごとの
短期地価動向調査結果によりましても、幾分下落幅は縮小しているものの、依然として下落傾向を示しております。また、地価に影響を与える土地取引件数や住宅着工戸数等の関連指標からも、経済や金融政策とも相まって、地価を今急激に押し上げる状況は考えにくくなっており、さしあたっては比較的安定した推移をたどるものと予想されております。
さきに監視区域を解除した大阪や兵庫に比べまして、本県は少し高い地価指数の状態で、下落幅も縮小する状況にあり、地価動向を見きわめるに当たりましては、これらの府県よりも慎重に対応する必要がありますが、地価が今日まで4年連続して下落していることや土地取引状況等を勘案いたしますと、本県におきましても、監視区域制度を続けていかなきゃならぬという特別な状況はなくなってきているのではないかと考えられますので、今後解除をする方向で、その方法や解除後の対応策を検討し、一連の手続を進めることとしたいというふうに考えております。
次に、びわこ空港の今後の対応についてであります。
今びわこ空港に係る課題としては、何といっても、いかにして地元の皆さんの理解と協力を得ることができるかということにかかっていると考えております。
平成3年11月、大多数の県民の皆さん、関係団体、近隣府県の御協力、また国会議員や県会議員などの皆さんの御尽力によりまして、びわこ空港は第6次空港整備5カ年計画に採択をされました。これは何も本県がよそ並みに空港を持ちたいとか、単に便利だからということではなくて、本県の立地特性を踏まえ、将来にわたって活力ある持続可能な発展を確かなものとするために、幾多の論議を経て、やはりこれからの交通手段の中心となるであろう空港を整備する必要があるという大方の共通認識のもとに進めてきたものであります。予定としては、その後、新規事業への格上げ、さらには事業着手という計画ではありましたが、地元関係集落との話し合いが行き詰まり、十分な話し合いができないまま大幅におくれを来しておりますことは、執行の責にあるものとして、まことに遺憾に存じております。
また、この間に経済環境が大変変わってまいりまして、財政状況も決して楽観できないものとなってきたことも確かであります。しかしながら、だからといって、本県に空港を整備しなければならない必要性はいささかも変わっていないのであります。後世に悔いを残すことのないよう、実現に向けまして、できる限りの努力を惜しんではならないと考えます。それにはまず、地元の皆さんの理解と協力をいただくことが先決でございます。このため、国への新規格上げ要請につきましては、地元の理解が得られた上で対応するということを協議会と約束をいたしましたが、これは、相手方に対等の立場にあるという認識があってこそ話し合いが継続できると考えたからでございます。こうしたことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
びわこ空港整備は県民の大きな期待のかかった事業であり、また国の理解も得ないと実現できるものではありません。第6次空港整備5カ年計画は余すところあと1年余、タイミングを失してはならないのでありますが、しかし一方、地元の皆さんの協力なくして空港はできるものではないことも事実であります。候補地選定から6年余りの歳月を要しているとはいいましても、今ここに来て新しい局面もあるのでありまして、決して空港の必要性とその実現への見通しが後退しているものではありません。ここはお互いの信頼関係を大切にいたしまして、地元との議論が深まりを見せていけるよう全庁挙げて課題解決に取り組んでいく所存であります。議員各位を初め県民の皆様には、ここは一に、滋賀の百年の大計という視点から、深い御理解と力強い御支援をお願いするものでございます。
次に、農業問題についての御質問でありますが、本県の農業は、先人のたゆまぬ努力によって、農地を豊かな生産の場となし、県土や環境の保全を初め、固有文化の伝承など多くの役割を果たしてまいりました。
県としては、昨年12月のウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れ以来、農業合意関連対策大綱の策定など一連の国の農政の流れにあって、農林水産業に携わる人々や県民の期待にこたえるため、農林業の担い手の育成および生産基盤整備の推進、中山間地域の農林業の推進、環境と調和した農林水産業の推進、地域文化を生かした農山漁村づくりの推進を施策の重点といたしまして取り組んでまいりました。
また、農業合意の受け入れは、本県の農業、農村に及ぼす影響が懸念をされますため、国に対し、農業合意の受け入れに伴う影響を極力緩和するための国内対策に万全を期すことや将来とも米の完全市場開放は行わないことといったことについても強く要望をしてきましたが、これからも国の農業合意関連対策につきましては、国の責任でしっかりとやってもらうよう働きかけてまいりたいと思っておりますし、また実効ある新しい施策の推進を求めていきたいと考えております。
今後、予算編成の中で、具体的施策の内容が明らかにされてくるものと存じますが、その中から、本県農業を推進するため取り入れるべき施策については積極的に取り入れながら、本県独自の施策であります集落ぐるみ農業の一層の推進はもちろんのこと、湖国農林水産プランの着実な展開を図ってまいりたいと考えております。
今日、農業合意関連対策大綱のもと、農政の枠組みが大きく変わろうとしている状況下にありまして、私といたしましては、湖国農業をしっかりと次代に引き継いでいくことが私たちの大きな使命であるという従来からの基本的な考え方をいささかも揺るがすことなく、今後、農業に携わっておられる方々が安心し、自信と誇りを持って営農に取り組んでいただけるよう、引き続き最大限の努力を払っていく所存であります。
次に、びわ湖ホール新築工事に係る入札延期についてでありますが、今回の入札に当たって、より透明で公正な競争の確保、あわせて談合防止の観点から、最善の方法として一般競争入札により実施しようとした中で談合情報が寄せられたということは、県民が大きな期待を寄せている事業でありますだけに、まことに残念であります。公共事業をめぐる厳しい批判の中で、差し出し人不明であるとはいえ、落札業者、場所、日時等を示した談合情報が寄せられたということはゆゆしきことでございまして、県としてなし得る限りの調査を行うために、入札を延期する措置をとることといたしました。現在、当事者から事情聴取する等情報収集をしているところであり、その結果を見て今後の対応を決めたいと考えております。
今の段階で事の真相は明らかではありませんが、もしそのようなことがあるとすれば、業界の体質や企業のモラルが問われるべきものであります。本県の業界としても行動憲章を制定し、談合防止の取り組みはなされておりますものの、より一層の体質改善、企業倫理の確立を強く求めていかなければならないものと考えます。
次に、希望が丘文化公園の整備についてでありますが、希望が丘文化公園は、御承知いただいておりますとおり、総面積約430ヘクタールに及ぶ広大な自然環境を生かし、本県はもちろん、広く近畿、中部圏の人々が気軽に利用していただける憩いの場として、また青少年の健全育成の場として、昭和47年に開園したものであります。しかしながら、開園以来二十数年を経過した今日、個々の施設を見てまいりますと、施設の老朽化や現代の多様化する人々のニーズに合わないといった面も見受けられるようになってまいりました。こうしたことから、今年度は、この公園の基本理念をベースに置きながら、中長期的な視点から公園全体のあり方や各施設の改修整備の方向性を調査しているところであり、今後、この調査結果をもとに、計画的な施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
また、びわ湖に学ぶフローティングスクールに対応した、山と緑の中での体験学習の場にしてはとの御提言につきましては、希望が丘文化公園は、当初からそのような趣旨で野外活動センターやキャンプ場を備えておりますが、今日では使い勝手がもうひとつといった課題もありますので、今後、改修計画の中で、児童生徒の体験学習の場として一層の利用促進につながるよう、施設の整備充実を図ってまいりたいと考えております。
◎企画部長(勝義隆君) (登壇)
琵琶湖リゾートネックレス構想についての御質問にお答えいたします。
県が取り組んでいます
琵琶湖リゾートネックレス構想は、土地利用計画など地元市町村の意向を十分踏まえながら策定し、湖国21世紀ビジョンの主要戦略の1つとして、環境などに十分配慮した滋賀ならではのリゾート地の形成が図れるよう長期的な視点に立って推進しているものでございます。その推進に当たっては、今日まで、地元市町村ともども整備を予定する民間事業者に積極的に出向き、県下で進められている施策等を説明し、進出意欲を促してきたところでありますが、30カ月という長期間に及んだ不況のもとにあって、情勢は厳しさを増してまいりました。そうしたことから、県といたしましては、このような状況に対し、リゾート計画の熟度を高めることを最優先に、民間事業者の動向や国などの施策に注視し、模索、検討をしてきたところでございます。
御質問の今後どのように推進するのかとのお尋ねでございますが、今後は、
琵琶湖リゾートネックレス構想の理念に沿って、実施可能なものから順次整備が図れるよう、構想の内容について適時適切に修正を行うなど、弾力的に運用してまいる所存でございますので、よろしく御理解を賜りたいと存じます。
次に、烏丸半島におけるリゾート計画についてでございますが、烏丸半島におけるリゾート施設は、公共において琵琶湖博物館や水生植物公園を整備するほか、民間においてリゾートホテル、バザール──これはショッピングでありますけれども、遊園地等の施設を整備する計画でございます。この民間施設は、
烏丸タウン開発株式会社が整備主体となって、今日の経済状況に見合った計画となるよう、以前から計画の熟度を上げるため調整を進めてこられたところですが、現在もなお計画が固まらない状況でございます。
しかし、
烏丸タウン開発株式会社は、今後もリゾート整備に向け、引き続き検討していくとのことでありますし、
総合保養地域整備法の趣旨から、民間事業者の能力の活用に重点を置き、促進することが肝要でございますので、県といたしましては、地元草津市と連携を図りながら、強い関心を持って注意深く調整を図るなど、適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
◎生活環境部次長(桃野浩爾君) (登壇)廃棄物対策の推進についての御質問にお答えいたします。
今日、質が多様化し、発生量が増大し続ける廃棄物、それはもはや処理段階の努力だけではどうにもならない限界に来ており、消費者、事業者、行政が一体となって、社会システムそのものを見直す必要があると言われております。
こうしたことから、国においても、例えば包装廃棄物を市町村と企業が共同でリサイクルする新しい法案づくりの検討が始まっておりますし、本県においても、既に多くの県民の方々や市町村の手によって、排出段階から資源化に向けたごみの流通路を整備するなどリサイクル社会の構築を目指したいろいろな取り組みが試みられております。
まさにこうした試みが、地球的規模で、特に先進国と言われている国々、地域で行われなければ、たちまち地球の温暖化や資源の枯渇を加速していくと懸念されているのであります。我々はこうしたことに対して身近な生活から、身近な地域から、みんなが危機感を持って、そうした取り組みを実践していかなければならないと考えております。
その一歩として、県では、廃棄物減量化・再生利用等推進計画を策定し、減量目標を平成13年に置き、その年の廃棄物総量を基準年の平成3年度の廃棄物総量以上に発生させないことを目標に、減量化、資源化対策を推進していくことといたしております。
その方策といたしましては、家庭系ごみについては、現在の1人1日当たりの排出量を維持し、資源化の活用をさらに図り、また事業系ごみについては、排出事業者による減量化・再資源化計画の策定による積極的な対応、さらには廃棄物循環型処理施設等の導入も推進してまいりたいと考えております。具体的には、プラスチック類の廃棄物や廃食用油等の生活雑廃棄物の再生利用、またオフィスごみの資源化、あるいは市町村における生ごみの固形燃料化への取り組みなど、廃棄物の減量化、資源化に向け、さまざまな支援をしてまいりたいと考えております。
◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)終戦50年を迎える県の考え方についての御質問にお答えします。
先の大戦は、本県から3万3,000人余という戦没者を出すなど、全国では300万人余にも上る多くの犠牲者が出ました。また、戦禍によって、アジアを初め多くの国々にも多大の苦しみと悲しみをもたらすなど、極めて不幸な出来事でありました。
今日の我が国の平和と繁栄は、祖国の安泰と愛する家族やふるさとの平安を信じて尊い命をささげられた戦没者など、実に多くの戦争犠牲者の礎の上に築かれていることを私たちは常に厳粛に受けとめねばなりません。戦争を知らない世代が多くなった今日、先の大戦によって平和の尊さを学んだ私たちは、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、戦争の体験や教訓を風化させないための不断の努力が必要であります。
平成7年は、先の大戦が終結して50年目という歴史的な節目の年を迎えます。したがいまして、来年度は戦没者等の慰霊については従前にも増して力を入れ、県民挙げて多数の戦没者や戦災死没者を初め関係の御遺族に対し追悼の誠をあらわすとともに、戦傷病者や原爆被爆者、中国引揚者、シベリア抑留者などの戦争犠牲者に対して慰藉の気持ちをあらわし、終戦50周年を機に、さらなる恒久平和への誓いを新たにする取り組みが必要であると考えております。
終戦50年という節目の年が、127万県民がこぞって先の大戦に思いをいたし、戦没者を追悼するとともに、世界の恒久平和を真剣に考える年として、意義ある年となるよう努力してまいりたいと存じます。
次に、少子化対策についての御質問にお答えします。
21世紀を目前に控え、我が国が直面している大きな課題に、高齢化の問題とともに少子化の問題があります。過度の少子化は、将来、社会経済全体に大きな影響を及ぼすばかりでなく、子供自身の健全な成長にとっても好ましくありません。
将来の超高齢社会を支え、新しい淡海文化の創造を担っていくのは現在の子供たちであります。その子供たちを育てることは、単に家庭だけの役割ではなく、行政や地域、企業等社会全体で取り組むべき課題であり、子育てを社会全体で支援するとともに、子育てに喜びや楽しみを感じられる社会にする必要があります。もとより、子供を生む生まないは個人の選択にゆだねられるべき問題であります。しかし、子供を生みたいと思う人が希望どおり生めない状況があるとすれば、それを改善し、安心して子供を生み育てることができる環境をつくる必要があります。
また、核家族化の進行や女性の社会参画の増大、女性の就労形態の多様化など、さまざまな社会の変化に対応した子育て支援策を進めるとともに、子供の健全な成長を目指した子供に優しい環境づくりに取り組むことが重要であります。現在、国では子育て支援のための総合計画をエンゼルプランとして検討されているところでありますが、県としても、目下、
子育て環境づくり推進協議会において、幅広い見地から子育て環境づくりの総合的な方策について論議をいただいており、本年度内に中間まとめをいただく予定になっております。
子育ての基本的な責任は家庭にあると考えますが、すべてを家庭にゆだねるのではなく、行政を初め、地域や企業等社会全体が家庭とともに子育てを行うという視点に立って、
子育て環境づくり推進協議会の論議も踏まえ、子育て家庭を支援するとともに、子供の健やかな成長に必要な時間、空間、仲間が確保される社会環境をつくっていくことが大切であると考えております。このため、具体的には、子育てと仕事との両立のための支援策を初め、子育ての相談支援体制の整備、母子保健の充実、生活環境の整備促進などを柱とした少子化対策を総合的に進める必要があると考えております。また、これらの施策の推進に当たっては、国のエンゼルプラン等の動向を踏まえ、県としての総合的な子育て支援計画の策定の検討も含め、福祉、保健はもとより、教育、労働、土木等関係部局と連携を密にし、積極的な取り組みを図ってまいる所存であります。
次に、
在宅保育サービス支援についてでありますが、この事業は、本年設立されました財団法人こども未来財団において、駅型保育モデル事業等とあわせて本年度から新しく実施されるもので、今月に入って各府県に実施要領が示されました。
企業で働く人がベビーシッターを利用する場合に、企業から受け取った割引券を使うと1回につき1,500円が割り引かれるという制度で、ベビーシッターは社団法人全国ベビーシッター協会加盟の業者から派遣されるものですが、この加盟業者は目下のところ県内にはなく、大阪、京都などの大都市に集中しているのが現状であります。
また、この事業は、こども未来財団がこのサービスの利用に応じて全国ベビーシッター協会に直接助成するというもので、県や市町村を通す事業とはなっておりませんが、県といたしましては、こうした仕組みやベビーシッター派遣業者の実態を踏まえ、その周知を図ってまいりたいと考えております。
◎商工労働部長(山脇康典君) (登壇)不況、雇用対策についての御質問にお答えをいたします。
まず、県内景気の動向についてでございますが、10月から12月期の県内企業動向調査によりますと、前年同期比の景気動向指数は、産業全体では、業況はマイナス26.4、売り上げはマイナス12.0、経常利益はマイナス23.1と、いずれも2けたのマイナス数値で依然として厳しい状況ではありますものの、1年前の同一調査と比べますと、マイナス幅が縮小をいたしております。中でも、製造業においては、生産状況が3.4と小幅ながらプラスとなり、こうした傾向は直近の鉱工業生産指数や産業用大口電力需要の指標でもうかがえますことから、今後の推移を見守っていきたいと考えております。
一方、本年の企業倒産の件数は、10月末現在で既に昨年の年間倒産件数76件を上回り、過去最高の伸びとなっていることから、厳しい年末を迎えて、その動向に注視しているところでございます。
また、地場産業の現況につきましては、薬産地や仏壇産地ではほぼ横ばい、陶器産地においては厳しい中にも建築資材関連で幾分明るい兆しも見えますが、繊維産地の厳しさやバルブ産地では船舶用の弁や一般産業弁が低迷するなど、総じて低調に推移をしております。
以上のような概況からしますと、最近の景気の動向は、一部に明るい兆しはありますものの、依然として厳しい状況には変わりなく、なお先行き不透明で、予断を許さない状況にあると認識をいたしております。
また、最近の雇用情勢でございますが、有効求人倍率は、ここ数カ月において、パートを中心に企業からの求人の増加があり、平成6年3月の0.62倍を底に、10月は0.71倍とやや上昇の兆しも見受けられますものの、企業の雇用過剰感もあって、依然として低水準で推移をしております。
一方、新規学卒者の就職につきましては、去る11月25日に開催いたしました大学、短大等の就職未決定者を対象とした就職促進選考会においても、参加学生が675人に上るなど、依然として厳しい状況下にあります。
こうした経済、雇用情勢にあって、景気回復をより確かなものとするため、今後も引き続き対策本部を継続設置し、公共事業等の計画的な推進や中小企業に対する総合経済対策、新規学卒者や離転職者等に係る雇用対策の充実などを強力に進めてまいらなければならないと考えております。
次に、緊急経営支援資金についてでございますが、この資金は、総合経済対策の一環として国の制度に沿って創設し、一昨年の11月20日から実施しているところでありますが、これまで景気の動向や国の対応、あるいは融資の推移に注視しながら機動的に対処してきたところでございます。こうした結果、制度創設以来この10月末での融資実績は5,965件、664億2,000万円に上り、うち運転資金が約7割を占めております。
この資金の取り扱い期間は、国と同じく本年12月末までとしておりました。国においてはこれ以上の延長はないものと考られておりますが、県といたしましては、本県の経済情勢を勘案し、この資金の取り扱い期間を来年3月31日まで延長してまいりたいと考えているところでございます。
◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)農業問題についての御質問のうち、まず農業生産基盤の整備の展開方向についての御質問にお答えをいたします。
農業生産基盤の整備につきましては、これまで湖国農林水産プランに即しまして実施しているところでございますが、平成6年度末の圃場整備率は83.6%と全国平均に比べて高い整備率が見込まれ、効率的な農業経営ができる基盤が整いつつあります。しかしながら、近年、特に緊急の課題となっております圃場の大区画化や中山間地域の条件整備につきましては、まず、大区画圃場の整備率は目標の約8%という状況であり、また中山間地域につきましても、圃場整備および農業集落排水事業の整備率が他の地域に比べておくれており、低コスト農業の実現や地域活性化のための一層の整備促進を図る必要があると考えております。
そのため、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意が本県農業に与える影響を軽減すべく、農家の意向を踏まえた中で、本県農政の基本方向に沿い、集落営農を新たに担い手育成基盤整備事業の対象として認めるよう国に要望するなど財源の確保に努め、より生産性の高い大区画圃場整備の推進や中山間地域における地形に応じた生産基盤と生活環境基盤の一体的な整備に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
また、本県では、びわ湖に流入する農業系負荷を削減するため、農業排水対策に早くから取り組んでいるところでございますが、生産基盤整備の推進に際しましても、びわ湖の水質に配慮した整備を進めるとともに、再整備が必要な地域につきましても、農家負担に配慮しつつ、排水の反復利用等の滋賀らしさを取り入れた事業展開が図れるよう、国にも働きかけながら、さらに生産基盤の充実に努めてまいりたいと存じます。
次に、水田営農活性化対策の推進についてでありますが、農林水産省におきましては、平成6年度と平成7年度の転作等の目標面積を変えないとの当初方針について、御質問にもありましたように、本年産米が豊作となったことから、現在、平成7年度における米の生産調整の取り扱いについて生産者団体と協議がなされているところでございます。その議論の中では、現行の減反面積60万ヘクタールを固定すべきであるとか、現行減反面積を拡大する場合にはまず国が責任ある取り組みを示すべきだ、といった意見が出されるなど厳しい議論となっていると聞き及んでおりますが、県といたしましては、平成7年度の転作等目標面積は当初の計画どおり実施されるよう国に対して要望しているところでございます。
来年度の生産調整については、先ほど申し上げたとおり、現在農林水産省と生産者団体の間で議論されているところでありますが、国から転作面積が示されれば、その段階で、県、滋賀県農業協同組合中央会、滋賀県経済農業協同組合連合会、市長会、町村会、農業会議で構成いたします滋賀県水田営農活性化対策推進本部を開催いたしまして、その対応について慎重に協議をした上で、適切な指導をしてまいりたいと考えております。
◎土木部長(亀田泰武君) (登壇)建築基準条例の一部改正についての御質問にお答えいたします。
本格的な高齢社会の到来を間近に控え、高齢者、障害者等が主体性、自立性を確保しつつ、日常の社会生活に積極的に参加し、その能力が十分に発揮される社会を目指すために、滋賀県住みよい福祉のまちづくり条例が9月定例会において制定され、また国においても、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、通称ハートビル法がこの9月28日に施行され、今後、県、市町村、県民および事業者がそれぞれの役割と責任を適切に分担しながら整備がなされるものであります。
もとより、建築物は、人々の生活の基本的で中心的な場であり、また社会活動の拠点となるものであります。そこで、建築基準条例の改正の目指す方向としては、ハートビル法、まちづくり条例と同様に、高齢者、身体障害者等を含むすべての県民が円滑に利用できる建築物の構築を目指しており、今回の改正は、建築基準法の範囲内で、避難の観点から制限を付加し、ホテル、劇場、百貨店、病院などの不特定多数の者が利用する建築物において、出入り口、廊下、階段、敷地内の通路について整備を一歩でも進めていただこうとするものであります。
本改正条例、ハートビル法、住みよい福祉のまちづくり条例が、それぞれの役割分担のもとで、規制、努力義務、支援措置等の施策を総合的に講ずることにより、時代の要請にこたえられる良質な建築物のストックを目指し、福祉社会の建設に資するものと考えております。
次に、県民理解への取り組みについてでありますが、高齢者から幼児に至るまで広く人々の共生する場を創出するには、今回の改正内容が規制ととらえられることなく、当然の基準と感じていただくような土壌づくり、県民意識の高揚が肝要と考えます。本条例は建築確認の要件となることから、建築士の役割に大きいものがあり、福祉のまちづくりとあわせて、関係団体の協力を得ながらブロック別説明会や啓発活動をきめ細かく行ってまいりたいと考えております。
次に、規制の内容ならびにその執行についてでございますが、まず第1点目の官公庁舎、駅舎等については、建築基準法上特殊建築物となっておらず、本条例で付加することができないこととなっております。しかしながら、官公庁舎については、規制の有無にかかわらず、率先して整備されるべきものであり、また駅舎等については、まちづくり条例の中で積極的な指導がなされるものと考えております。
第2点目の整備基準の考え方でございますが、既に施行されましたハートビル法の基礎的基準をそのよりどころとし、福祉関係部局と調整を図りつつ、避難上必要な安全性の配慮について基準を定めたものであります。
第3点目の建築確認申請とまちづくり条例との事務の流れについてでございますが、建築基準条例の改正事項については建築確認申請図面の中で表現していただくことで、手続はこれまでと同様でございます。また、まちづくり条例の手続は、建築確認と同時に取り扱うことにより、処理日数の短縮化を図るとともに確認申請図面の活用を行う等、事業者の方々にできるだけ過大な負担とならないよう、今後関係部局と十分調整を行ってまいりたいと考えております。
今回の建築基準条例の改正は、まちづくり条例の実効性を高めるものであり、県民、事業者の理解の上に一歩ずつ積み重ねられ、整備が進むものと期待しております。
次に、駐車場問題についてでございますが、近年、大津市を中心とする湖南地域では、大規模な量販店の建設などによって、これらの施設を利用する自動車交通が増大し、路上駐車の蔓延や交通渋滞による中心市街地の活力低下などの社会問題が生じており、都市における駐車対策の確立と計画的な整備を図ることが緊急の課題と認識いたしております。
こうした情勢を踏まえ、県では、国の通達に基づき、市町に対して駐車施設に関する基本計画を策定するよう指導してきているところであります。この基本計画の策定については、公安委員会など関係機関の意見を聞くこととされ、将来の駐車場の需給の見通しや駐車施設整備の目標を定めた上、公共と民間の役割分担が明確化され、駐車場整備が促進されるものと考えております。
御指摘の民間による量販店等の開発に伴う駐車場の設置につきましては、市町が定める開発指導要綱等に設置基準を設けて指導されているところですが、基準値を満足しても、なお休祭日は集中する車をさばき切れていない事例がございます。
開発指導行政に当たっては、関係各課の横断的な調整組織を設置して事前審査を実施し、さまざまな角度から審査しているところであります。本年10月からは、道路交通の集中、発生が予想される業務の用に供する建築物等に係る開発行為につきましては、あらかじめ公安委員会の意見を聞くべく、この事前審査会に参画を得ているところであります。
今後とも、交通がふくそうすることが予想される開発許可に当たり、関係機関との調整の強化をさらに図り、開発者に対して指導してまいりたいと考えております。
次に、道路、河川整備の推進についてのうち、まず道路整備の推進についてでありますが、県では、平成5年度より第11次道路整備5箇年計画をスタートさせ、豊かな暮らしを支える道路整備、活力に満ちた地域づくりを支援する道路整備、環境を守り育てる道路整備の3つの視点に立って、自然と人が共生する淡海文化の創造のため、道路整備を進めているところであります。しかしながら、御指摘のとおり、国の平成7年度概算要求における道路整備特別会計は、事業費ベースで対前年度比1.0であり、十分な道路整備を行うための伸率確保が非常に困難な状況であります。
このような厳しい状況の中での本県における道路整備についてでありますが、国道1号など直轄国道の整備促進への関係市町村や県民の期待は非常に大きく、県におきましても、補助国道や地域住民に密着した生活道路の整備促進に努めているところでありますが、まだまだ満足な整備水準に達しているとは言えない状況であります。また、本県におきましては、第二名神自動車道や滋賀中部地方拠点都市地域ならびに引き続いて予定されている琵琶湖東北部地方拠点都市地域など重要なプロジェクトが多数計画されており、これらの支援にも道路整備が不可欠なものとなっております。
しかし、これらの事業に要する費用は多額なものであり、その事業費確保にはまず国庫補助の拡大が必要と考えており、県議会の御支援をいただきながら、あらゆる機会を通じて、地域の課題を踏まえ、本県の道路整備の必要性を訴え、予算確保に最大限の努力をしてまいります。また、事業の執行に当たりまして、道路ネットワークとしての必要性や地域振興支援など整備優先度を考慮し、重点的、計画的な事業執行により、最大の効果が上げられるよう努めてまいる所存であります。
次に、県道昇格の考え方についてでありますが、国では、生活者の豊かさを支え、活力ある地域づくりを推進する見地から、バランスのとれた幹線道路網を形成するため、平成4年度に一般国道を、また平成5年度に主要地方道をそれぞれ追加指定し、さらに県道昇格の検討に入っているところであります。
この県道昇格の路線認定は、道路法第7条に定められている主要地間を結ぶ路線などの要件に該当することが基本とされており、その具体的な認定基準が示されております。先般この基準が見直され、従来設けられていた沿線の人口密度や路線の交通量等の数値基準の部分が削除される一方、地域相互の広域的な連携に資する路線や高速道路のインターチェンジに連絡する路線など新たな5項目の要件が設けられたところであります。
こうしたことを踏まえ、本県におきましても、各種の地域開発や地域振興プロジェクトを支援する路線などの要望の強い路線を対象に、道路法第7条の要件を満たし、また改正された認定基準に適合しているかの検討作業を行っているところであります。また、今後のスケジュールは、路線認定に向けて国との協議を行い、県議会において御審議をいただき、認可申請を行ってまいりたいと考えております。
次に、河川整備についてでありますが、河川の改修には、堤防や護岸の整備に加え、橋梁等の改築や用地の確保、補償物件の移転などに多額の費用と長い年月を要するため、御指摘のように県内の治水施設の整備状況はいまだ低い水準にあり、本年9月の台風26号による被害に見られるとおり、毎年のように災害が発生しております。
これまで大規模な河川などについては国の直轄事業として、また地域に密着した補助河川改修事業については治水ダムの建設とあわせ、琵総事業を骨格として主にびわ湖周辺地域の対策に力を注いできたところでありますが、今後さらに中上流部に向けて改修を進めるとともに、未着手の河川についても順次改修に取り組みたいと考えております。そのためにも、治水事業予算の確保に向けて、より一層の努力をしてまいる所存であります。
◎教育長(高井八良君) (登壇)学校週5日制についての御質問にお答えいたします。
この制度は、御質問にもありましたように、学校、家庭および地域社会の教育のあり方全体を見直し、子供が伸び伸びとした生活を送れることを意図したものであります。
まず、この学校週5日制についての保護者の理解につきましては、昨年9月に行いました県教育委員会の調査では、月2回の実施をよいこととした回答が56%であったのに対し、よいこととは思わないが35%でございました。一方、文部省のことし4月の全国調査では、月2回実施に賛成の保護者が66%、反対は28%弱でありました。
このように、週5日制については、時を経るにつれて肯定的な意見がふえるとともに、この制度に対する理解が深まっているものと認識しております。本県におきましても、去る11月に実施しました生徒、保護者対象のアンケートを目下集計中でありますが、この調査結果を参考にしながら、保護者の理解が得られるようさらに努めたいと考えております。
また、県民の方々への啓発につきましては、「広報しが」や「教育しが」等の活用はもとより、各市町村で発行される広報紙等を活用するほか、保護者会などいろいろな機会を通じて啓発に取り組んでいるところでございます。
次に、月2回の研究協力校におきましては、教育課程の編成に当たって各学校とも学校行事の精選、見直しや工夫改善により、授業時間の確保に努めたり、また指導内容と方法の改善を重ねた結果、おおむね順調に進められてきたと考えております。これらの研究協力校においては、当初は、自分たちの学校だけが他の学校に比べて学習進度がおくれるのではないかという懸念があったわけでありますが、最近では、生徒たちも精神的ゆとりが見られ、学習や生活においても落ちつきが見られるようになったという報告を受けております。
また、学校外活動につきましては、第2土曜日を体験学習の日として位置づけておりまして、県立近代美術館などの施設の無料開放を初めとして、市町村での四季の野鳥観察、ふるさとウォッチングなどを実施しており、これらを通じまして、子供たちが地域の自然に触れたり、仲間づくりができるようになり、成果が上がっているものと考えております。今後は、こうした活動を指導、支援していただく方々を積極的に発掘することにより、これらの活動を一層充実させたいと考えております。
来年4月からの月2回の実施に当たりましては、研究協力校の実績を踏まえ、各学校での円滑な実施が図られるよう指導を重ねてまいりますとともに、県民の方々にもこの制度の趣旨をよく御理解いただき、御協力、御支援をお願いしたいと存じております。
希望が丘文化公園を活用した小学生の体験学習の御提言についてでございますが、現在、小学校では、主として4年生以上の学年で宿泊を伴う体験的な学習が実施されております。例えば、荒神山少年自然の家では昨年1年間で4年生約60校4,700名、大津市立葛川少年自然の家では約30校8,000名、希望が丘文化公園では、4年生とは限りませんが、小学校110団体5,800名という利用状況でございます。このほか、びわ湖こどもの国などその他の施設を含めますと、この数は一段と多くなるものと考えております。
来年から学校週5日制の月2回の導入が予定されておりますので、学校行事や教科指導の見直しを行うとともに、今後、学校だけでなく、広くいろいろな方々の意見を聞きながら、体験学習のカリキュラムへの位置づけなど調査研究を進め、一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
◎警察本部長(中島勝利君) (登壇)まず、大規模商業施設周辺道路に係る交通対策についてお答えを申し上げます。
これら施設周辺の道路交通状況につきましては、週末やら祭日等には多数の車両が集中をいたしまして、付近一帯の道路の混雑が予想をされますところから、これら事業者に対しましては、事前措置といたしましては交通渋滞の緩和対策として周辺道路への案内板の設置、あるいは交通誘導員の配置による来店車両の誘導、整理あるいは駐車場等のもろもろの対策について指導をしているところでございます。また、これら施設の開店後におきましては、警察官を随時現地に派遣をしたり、周辺道路の混雑等の状況によりまして現場で交通整理を行うほか、事業者に対しましては必要ないろいろの対策等について指導しているところでございます。今後とも、関係機関等との緊密な連絡のもとに、これら対策の万全を期してまいりたいというふうに考えております。
次に、銃器犯罪についてお答えを申し上げます。
全国的に銃口を市民に向けた凶悪事件というものが続発をいたしまして、治安の根幹を揺るがしかねない事態になっておるところでございまして、国民に大きな衝撃と不安を与えている現状にございます。本県におきましては、昨年来、数件の銃器犯罪の発生を見るなど厳しい状況にございます。
こうした状況に対応いたしまして、警察本部内にけん銃摘発班を編成して、本年──昨日まででございますけれども、13丁ほどのけん銃を押収しているところでございます。また、全国的に金融機関を対象にいたしまして銃器等を使ったいわゆる銃器犯罪が多発傾向にございますところから、先般、県内の金融機関や多額の現金等を取り扱いますところのスーパー等の事業所の責任者等にもお集まりをいただきまして、いろいろの防犯対策を講じているというところでございます。
今後の対応策でございますけれども、けん銃の拡散とあるいは発砲ということを食いとめていく必要があろうかと思います。けん銃事犯が持っている特質といたしましては、潜在性あるいは国際性等もございますところから、これらに対応できる高度な知識、技能を持っている専門家の育成というものを私どもも早急に進めて専従体制というものをつくっていかなければいかぬというふうに思いますし、それから、こういうけん銃というものを摘発いたしますためには、やはり情報というものが大切でございます。県民の皆様方の幅広い情報提供というものをいただきながら、1丁でも多くけん銃が摘発をできるように頑張ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○副議長(黒川治君) しばらく休憩します。
午後0時5分 休憩
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午後1時6分 開議
○副議長(黒川治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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△諸般の報告
○副議長(黒川治君) この際、諸般の報告をいたします。
公安委員会委員長宇野淳一君から、お手元に配付いたしておきました文書のとおり説明員の一部変更をした旨の報告がありましたので、御了承願います。
○副議長(黒川治君) 次に、10番中島敏君の発言を許します。
◆10番(中島敏君) (登壇、拍手)県民クラブを代表いたしまして、質問させていただきます。
「ニュー滋賀」12月号の中に「『こころ』をひらきはじめたびわ湖」という表題がありました。琵琶湖研究所の地道な研究成果を評価しての比喩であるとは思いますが、いささかこだわりを持つことをお許しください。私たちの支持する理念である新しい淡海文化の創造にとって、びわ湖の心は重要なかかわりを持つからであります。この比喩は、県民の皆様に訴えるに、文化の創造という観点に立ったとき、少し軽すぎはしませんか。とともに、びわ湖はいつも心を開いていると思います。そこで知事に、びわ湖の心について、淡海の心とは何ぞやと問うものであります。
これだけでは質問になりませんので、以下述べさせていただきます。
大量生産、大量消費、そして大量廃棄の中で、私たちはびわ湖を汚し続けております。仮に、自然とともにびわ湖と折り合いをつけつつ、ともに生きた淡海人が私たちと同じことをし、汚れたびわ湖を残していたら、いわゆる成熟社会を私たちは手に入れることができたでありましょうか。いや、もしかしたら、心の成熟社会を淡海人は既に手に入れており、母なるびわ湖として私たちに贈り、成熟とは何かということを発信し続けているのかもしれません。この大切な贈り物を先人から受け継いだからには、私たちの子孫にも同じ状態で贈ることが文化の創造につながるのではないでしょうか。母なるびわ湖は今も大きな心を開いていると感じます。
芭蕉没後300年記念事業がこの秋大いに注目を集めました。特に大津市の精力的なお取り組みに対し敬意を表するものですが、教育委員会でも「芭蕉 行く春近江」を編さんされ、楽しく目を通させていただきました。淡海の風光を、人情を愛した彼は、今も義仲寺からびわ湖の心を私たちがどうキャッチするのかをじっと見詰めているように思います。
人の心を物への欲望に駆り立てるばかりで一向に心の安らぎをもたらしてくれない貧しいお江戸から脱出した芭蕉は、淡海を安住の地に選びました。母なるびわ湖は、その大きな懐で彼を迎賓の心を持って迎えたのです。迎賓の心とは、礼をたっとび、他者を尊重する共存、共生の心と理解いたします。
情報誌「T&R」、栄久庵先生の文章を引用させていただきます。「かつての日本の家屋は、親しい人とおしゃべりを楽しむ縁側があり、来客を迎える床の間、玄関はその家の主の品格をひと目で表し、家のどこかに、お客を迎えることを意図した、心地よい緊張感があった。それが、縁側は取り払われ、床の間はつぶされ玄関は小さくなり、いつの間にか家族の為だけの茶の間になってしまい、そこにお客を受け入れる余地はない。」これは決して家の大きさを言っていることではありません。
これを少し、乱暴で御批判があるかもしれませんが、言いかえますと、びわ湖の縁側はコンクリートで囲われ、松の並木やヨシの原はなくなり、なぎさもなくなり、いつの間にかただの水がめになってしまい、芭蕉のような旅人を受け入れる余地はない──乱暴でしょうか。されど、母なるびわ湖は今なお私たちに迎賓の心を持って包んでくれています。「行く春を近江の人と惜しみける」。知事には淡海の心について思う存分お考えをお示しくださいますよう。
そこで、知事公室長にお伺いいたします。
新しい淡海文化の創造、これは何を一体どうすることだという県民の皆さんの確かな声のある中で、知事がどのような思いで新しい淡海文化の創造を訴えておられるのか。また、県ではどう事業が展開されているのか。県下各地の地道なお取り組みの状況など、より情報の発信能力を高めることによって質の高い地域社会ができるのではないでしょうか。芭蕉の「奥の細道」を読みますと、書いて伝えるという手段しか持たなかった時代、彼は徹頭徹尾受信者──読まれる方の側に立ち、短い俳句という作品の中にその熱い思いを託しております。短いからこそ余計に感動を覚えるのでしょうか。先ごろ全国地域情報発信事業における我が県のコピーが大きな反響を呼んだのにも通じるのではないでしょうか。
そこで、いま一度、広報の現状を見直し、新しい手段を数多く持つ現代の情報発信について鋭意検討されることを提案いたします。広く報じたというだけではなく、広く知ってもらった、そしてともに参加していただくというところまで高めていただきたく思います。今やメディアミックスの時代であります。原則は365日24時間対応、そして双方向であり、テレビ、ラジオ、新聞、チラシ、ポスター、パンフレット等に加え、ファクシミリ、ボイスメール、パソコン通信、新しいデータベースの構築等々検討課題は山積みしております。また、これらに精通した専門家の養成も必要と思いますが、公室長の御所見をお伺いいたします。
新年度予算および関連して行政改革へのお取り組みについて、知事および総務部長にお尋ねいたします。
新年度予算は、計画的、効果的な財政運営に努め、滋賀でしかできないこと、滋賀であればこそできること、滋賀でやらなければならないことは何なのかを十分検討し、施策を選択し、将来にわたって真に県民福祉の向上につなげていく。平成7年度予算編成要領にうたわれている基本姿勢であります。この姿勢こそが稲葉県政がとなえる新しい淡海文化の創造に向けての何よりの原点であると思うのであります。
このような姿勢のもとに編成される予算が、県民一人一人が豊かさとゆとりを実感することができ、魅力ある滋賀県としてさらなる発展を期すためにすばらしいものになることを県民クラブは大いに期待するものでありますが、さて、来年度からは県民の皆様の期待の大きい県立大学がいよいよ開学するほか、琵琶湖博物館やびわ湖ホールなどの大きな事業が計画に沿って着々と進められ、県民の皆さんの期待にこたえられる日が近づいてくることが実感できるのでありますが、しかし、そのほかにも整備の急がれる事業として数多くを挙げることができるのであります。水口総合庁舎、石部町での新設高校、犬上養護学校、平和祈念館、リゲインハウス等々完成の待たれる施設があるこの現状を踏まえ、知事が提案説明で、また自民党さんの代表質問にもお答えなさって述べられました180度転換、この180度転換を支持する我が会派としましては、生活重視、地域重視の具体的な検証の物差しをいま一度お示しいただきますようお尋ねいたします。
また、来年度予算での行政改革については、行政改革委員会が設置された趣旨を踏まえつつ、行政改革の推進に向けて、職員、組織を挙げて取り組むとされているのでありますが、未曾有の財源不足の中、精神論でしか触れられていないのではないでしょうか。新年度予算編成を通じて具体的に進めるためには、行政改革委員会のまとめ、あるいは中間的な意見をもとに、県民の皆さんの理解を得ることが必要と考えるのでありますが、現在行政改革委員会の審議はどのような状況にあり、今後どのような予定になっているのか。たとえ一部であっても、まとまったものからでも報告を得、新年度予算に反映させるべきではないでしょうか。かつてない財源不足の中、そのような努力が緊縮財政への県民の皆さんの理解を得ることにつながると確信いたしますが、仄聞いたしますところ、中間的取りまとめが新年度予算編成に当たって時間的に間に合わない。これは一体どういうことか。委員会設置の原点に戻り、鋭意御努力いただくことをお願いしつつ、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、総務部長にお尋ねいたしますが、財源については、何度も申しますとおり、大変厳しいものがあり、一方、歳出では、義務的経費の増高が避けられないということから、政策的経費に振り向けられる財源は必然的に限られたものになると思います。義務的経費の大きなものである公債費はどのように推移をしてきており、また将来への公債費のトレンドはどのような見通しを持っておられるのか、お示しくださいますよう。
次に、琵琶湖総合開発の進捗状況について、まず企画部長にお尋ねいたします。
25年間、約2兆円の巨費を投じてきた琵琶湖総合開発事業もいよいよラストスパートに入ってきました。滋賀県政始まって以来と言えるこのビッグプロジェクトは、国、県、下流自治体など、いろいろな思いを持ちながら、結果を見守っているところではないでしょうか。そして、その後何をしていけばいいのであろうかが極めて関心を持たれる時期に差しかかってきていると言えます。そこで、改めて数点についてお伺いいたします。
まず、今政府にあっては、平成7年度予算について年内編成に向け最終の作業中でありますが、その中で、琵総事業についての県の要望とそれに対する関係省庁の理解はいかほどで、その結果、7年度末での琵総事業の進捗率はどの程度見込めるのか。その場合、最終年度──平成8年度でございますが、最終年度の対応としてどのような見通しをお持ちになっておられるのかをお伺いいたします。
次に、知事にお伺いいたしますが、琵琶湖総合開発事業後のいわゆるポスト琵総としてのびわ湖の総合的な保全管理に対する新しい法制度、琵琶湖新法とも言うべき取り組みに対し、知事は去る7月の県議会で次のような考えを示されておられます。びわ湖の総合的な保全管理の中で、本年3月の水政審の答申を尊重しながら、制度の内容について鋭意検討する、新しい法制度では碧く美しいびわ湖を復元し、将来にわたって保全管理する特別法としてまいりたい、必要な保全管理計画を策定し、この計画は各法律の縦割りのようなものではなく、びわ湖全体を通したトータルなものと考えている、法制化へのスケジュールは、現行琵総法の法期限である平成8年度末から引き続いてこの新しい法制度に移行できることが望ましいと極めて具体的にその考えを示されているのであります。
そこでお伺いいたしますが、この考えに沿って、現在どのような手順でその作業を進め、関係者への理解を求めておられるのか。特に、国や下流自治体との連携はどのようにされているのかをお伺いいたします。
びわ湖の水質保全を進めるためには、琵総事業の終結で終わることなく、これを手段の第1段階と位置づけ、平成9年度以降どのような施策を展開していくのかが重要であります。琵総事業の25年間、2兆円の評価は、今後の取り組みいかんにかかっていると申し上げてもいいのではないでしょうか。知事の御決意のほどをお伺いいたします。
次に、びわこ空港についてであります。
我が会派においては、滋賀の将来を考えるとき、何よりも滋賀の地が今後さらに持続的発展をなし得ることが可能かどうかであり、この課題に決然たる姿勢を持って今日まで臨んできた県政の方向はまさしく当を得たものであり、我が会派はびわこ空港の実現に向けて引き続き全面的な支援と協力を惜しむものではありません。
これまで6年という時間の経過の中で、多くの方々がこの問題にかかわってこられ、大変な御苦労をいただいているのですが、地元からは、あくまでも話し合いを尽くしていくとする知事の姿勢を高く評価され、個別の課題について前向きに納得のいくまでお互いが話し合うべきであるとする声を聞くのであります。現にそのような方向で幾つかの場が持たれていることからも早期解決に向けての展望が見え始めたとも思われるのでありますが、その中身は逐一県民の皆様が知るところとはなっておりません。
もとより、地元と県の話し合いは、いろいろな段階でおのおのの集落の役員の方々がその役割を担って御苦労いただいているものであり、当事者間においてまさに折衝過程にあるわけですから、今の時点において事細かく県民の皆様の前に明らかにできないということは当然のことでありますし、あえてそのことを求めることによって双方の信頼関係が損なわれることがあってはならないと理解するものでありますが、びわこ空港の問題は決して空港候補地の地元の問題だけではないということをお訴えいたします。
びわこ空港が実現できるかどうかは、本県の将来を左右すると言っても過言ではないと考えますだけに、空港問題を127万県民のものとしていま一度県民各界各層において議論がなされることが望まれるものであり、そのことへの対応として、例えば、県広報紙での空港の説明、以前のように県民シンポジウムの開催など、空港問題への正しい認識を啓発する必要があると考えられるのであります。
また、従来の広報の枠組みをいま一度見直し、もっともっと県民の皆様に広く知っていただく方策を打ち出すべきではないでしょうか。広く報じたというだけではなく、広く知っていただいた、そして理解したという結果を期待するものであります。同時に、地元集落の説明会、これは今最も大事な説明会でございますが、この地元集落の説明会における方法についてもいま一度見直すべきではないでしょうか。先ごろ、ある集落においてスライドを使った説明会をされたところ、大変好評であったと仄聞いたします。よりビジュアルに、またより臨場感ある説明を行い、地元の皆様の不安を取り除き、大きな夢を持っていただける努力が必要であると思います。コンピューターグラフィックの技術やノウハウを利用するとか、より一層の知恵と努力を求めるものですが、空港整備推進本部長である岩波副知事はいかがお考えなのかを伺うものであります。
次に、環境基本条例の制定についてお伺いいたします。
びわ湖は滋賀県民の生活の舞台であり、心のよりどころであるばかりでなく、国家的にも本当に大切な存在であります。このびわ湖を碧く美しい恵み豊かな形で将来の世代に引き継いでいくことは私たちの責務であります。そのためには、びわ湖を取り巻く本県の自然環境がその健全さを保ち続けることが必須の前提であります。そのびわ湖を中心とする環境の保全に県を挙げて取り組んできた本県は、国内のみならず海外においても環境先進県と言われ、本県の一挙手一投足が国内外から注目されるまでになっております。
また、近年、環境政策は、県民の生活のあらゆる分野にかかわるものとしてその重要性がますます高まってきております。公害の防止や貴重な自然環境の保全にとどまらず、地球環境をも含めた広いものとなり、また環境問題の解決のためには、県民、事業者、行政が一体となって協力し合い、知恵を出し合って進めていくことが不可欠であるとの認識も高まってまいっております。事業活動はもとより、県民の皆さんの生活もまた環境の質を損なうに十分な力を持つようになった今日こそ、我々の賢明な選択が必要とされているのであります。特に、びわ湖の水質を見ましても、湖北の水質は富栄養化防止条例を制定いたしました昭和54年当時と同じ水準にまで戻ってしまっており、また淡水赤潮やアオコの発生等に見られるように、びわ湖は警告を発し続けております。
今、我々にできることから行動に移していくことが必要であり、このような状況のもとで私たちは、本県における今後の環境政策の基本的なあり方について環境基本条例を制定し、明確なる方向づけを行う必要がある、まさに今がその時であると考えるものであります。県におかれましては、現在、琵琶湖保全制度検討委員会の提言を受け、びわ湖を中心とする環境保全のために新たな制度を構築すべく検討中であると伺っておりますが、これらを体系づけ、また今後、県民、事業者、行政がそれぞれどのような役割を担うべきであるかについて明らかにした条例の制度が必要であると考えるのです。その中で、環境滋賀の精神を県民の皆さんとともに再確認し、基本姿勢として宣言することがまず第一に重要であります。
また、この条例には、環境影響評価制度や環境保全のために必要な規制措置、対策事業等の施策が盛り込まれることはもちろん必要でありますが、特に県民の皆さんの環境に対する認識を深め、環境保全活動を支援するための施策を位置づけるとともに、環境政策への県民の参加、その意見の反映についてしっかりと位置づけることが不可欠であります。すなわち、先刻発表されました県の環境白書において、環境自治として提唱されていますように、環境保全は、県民すべての人がびわ湖の大切さを共有しつつ、地域の環境保全活動がさざ波のごとく広がっていくこと、またそれが可能になるよう全県的な取り組みができることが基本であると思います。これからまさに正念場を迎える環境政策の今後の基本的なあり方について考えるとき、我々はいま一度その基本に立ち返るべきではないでしょうか。
県民の皆さんの熱い思いにこたえ、山積みする課題を着実に解決し、環境滋賀として全国に、そして世界に胸を張る、発信をすることができるように、環境保全の本質を見据え、本県の地域特性を踏まえた、そして我々は今何をなすべきかという問いへの回答を的確に盛り込んだ条例を制定すべきであると思います。それは、冒頭で述べましたように、びわ湖の心を、淡海人の心を理解することによって、人類にとって未来永劫通じる、たえ得る哲学であってほしいと願うものですが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、建築基準条例の改正案について御質問いたします。
私は、障害者や高齢者の方々にとって住みよい町づくりを進めるためには、去る9月県議会において成立を見た福祉のまちづくり条例とあわせ、建築基準条例の抜本的な改正が不可欠であると考えるものであります。それは、建築物の改善を確実に推進するためには、やはり建築確認申請の際に強制力を持って臨むことが有効であるからであります。
しかるに、今回提案されている建築基準条例の改正案を見ると、その対象とする整備基準は甚だ限定的なものであり、極めて極めて不十分なものと言わざるを得ません。本年3月に出された住みよい福祉のまちづくり検討委員会報告においても、福祉のまちづくり条例とともにかなり大幅な建築基準条例の改正が求められているにもかかわらず、また事実、大阪府においては既に建築基準条例の大改正が施行されていると仄聞いたしておりますが、なぜ今回の改正案がこのような矮小化された内容にとどまらざるを得なかったのか、土木部長の御所見をお伺いいたします。
確かに建築基準条例は、建築基準法という上位法の委任に基づく条例であるだけに、その範囲を超えられないという制約があることも理解できないわけではありませんが、全国に先駆けて福祉のまちづくり条例を成立させた滋賀県としては、法律が改正されるのを座して待つというのではなく、関係省庁に対し積極的に働きかけるべきではないかと考えます。
また、建築基準条例の改正がさまざまな事情から今回提案されている内容にとどまらざるを得なかったとしても、21世紀まで残りあとわずかとなった今日、建築物の改善を早急に推し進めることは喫緊の課題であり、特に、県や市町村の公立施設については、新設のものはもちろん、既存のものも含めて、福祉のまちづくり条例の趣旨を踏まえ、率先して整備していかなければならないと考えますが、今後どのように整備を進めようとされているのか、あわせて健康福祉部長の御所見をお伺いいたします。
次に、大型店の進出に対する中小小売商業対策について質問させていただきます。
バブルの崩壊とともに訪れた長期にわたる景気後退もようやく底を打ち、今日景気は回復基調にあるものと予想されておりますものの、依然として先行き不透明な状況にあります。とりわけ、GNPの約6割を占める個人消費については、耐久消費財から生活必需品に至るまで幅広い分野での需要の鈍化が顕著になっております。さらに、最近、価格破壊を掲げる大手スーパーや国道等主要道路沿いに急速な店舗展開を図るディスカウントストア等が急増し、こうした店舗の連日の価格引き下げ攻勢や豊富な商品の品ぞろえ展開などにより、中小小売店の多くは苦戦を強いられ、地域商業を取り巻く環境は一段と厳しさを増してきております。一方、最近の大規模小売店舗法の規制緩和に伴い、全国各地において大型店の出店が相次いでおりますが、県内においても八日市市や守山市に大型ショッピングセンターが相次いでオープンし、今後も、大津市、彦根市、草津市などで出店が計画されているやに聞き及んでいるところであります。
こうしたこと自体は、確かにその利便性や地域の活性化等を考えるとき、地元や周辺市町の消費者にとって大いに歓迎すべきという面もあります。しかし、大型店の出店により競合する地域の中小小売店、特に商店街においては、従来からの顧客の流れが大きく変わり、次第に客足は途絶え、空き店舗が目立ってくるなど、町の顔、町の核としてのにぎわいをなくし、このままでは寂れる一方という商店街も出てきているのではないでしょうか。大いに懸念されるところであります。そして、何とかしなければならないとの思いが日ごとに増すばかりであります。
そこでまず、県下の大型小売店舗の最近の出店動向について、どのような傾向で推移してきているのか、商工労働部長にお尋ねいたします。
大店法の規制緩和とともに、大型店の出店ラッシュによる大型店同士の競争激化や地域間競争などにより、地域商業は今大きな曲がり角を迎えているといっても過言ではない昨今、こうした地域商業を取り巻く環境はかつてない厳しいものであることは事実でありますが、しかし、その中でも、やる気と才覚のある商店主にとっては発展へのチャンスととらえることもできます。私の知っておりますお酒屋さんは、酒類ディスカウントストア──お酒のディスカウントストアの大攻勢に対抗し、自分のお店にソプラノ歌手を招いてワインパーティーを開き、入り切れないほどの顧客を集め、必死に努力しているという例もあり、また商店街においても懸命の取り組みがなされているところもあります。
私は、これらやる気のある中小小売商業者の芽を摘まないよう、きめの細かい支援を行うなどより一層の中小小売商業対策が必要であると考えますが、国や県が実施しておられます中小小売商業施策について県内各地の商店街や中小商業者がどのように利用されているのかをお尋ねするとともに、商店街の活性化を含め、大店法緩和に伴って影響を受ける中小小売商業者への支援についてどのように考えておられるのか、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。
農業問題でございますが、国際化の進展や産業構造の変化に伴う農業人口、担い手の減少、高齢化の進行に伴う労働力の脆弱化、輸入農産物増加の影響による農業経営の悪化、加えてウルグアイ・ラウンド農業合意に基づくWTO協定の承認批准や制定問題等、我が国の農業、農村を取り巻く環境はかつてないほど厳しい大きな転換期にあります。とりわけ、さきに決定されたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱においては、新政策の流れを加速した大規模化かつ選別による合理化農政の強化を指向しており、現に本県でも主流である兼業農家対策への配慮に欠けた内容となっているのではないでしょうか。総自由化が進行していく中で、これまでも行政と団体が一体となって集落営農を軸とした湖国農業の振興を図ってまいりましたが、さらに集落営農を軸とした担い手づくり、立地を生かした産地づくり、生きがいのある農村づくり等、すべての農業者が情熱を持って安んじて営農に打ち込める基盤づくりが今まで以上に必要であります。JAグループでもその総力を挙げ、21世紀に向けて希望と意欲の持てる湖国農業、農村の活性化を目指して積極的に取り組んでおられるのであります。
県におかれては、農業の健全な発展が県勢の発展につながるという基本をこれまで以上にしっかりと位置づけ、これを実現するために、行政と団体が一体となって、より実効ある取り組みができる施策の実現と必要予算の確保に最大の努力をされますよう強く要請し、質問に入っていきます。
食糧法をめぐる新農政について。──
政府は、50年間続いた食糧管理法にかわる主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案をまとめ、今国会に提案されました。現食管法は昭和17年戦時下の食糧難時代にそれなりに主食確保にその管理機能を果たしてきたとも言えるのでありますが、昭和46年から米余りの事態に打ち出された稲作転換対策、すなわち減反対策の時代を迎えたこと、さらに自主流通米や自由米の増加に加え、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴うミニマムアクセス米の導入等により、その法の趣旨は実態にそぐわなくなってきました。
そうした中からいわゆる新政策が打ち出され、ラウンドの農業合意を経るに及び、管理から誘導への政策転換、これが新食糧法を生み出してきたと考えられるのであります。つまり、管理のもとに米を中心とするあらゆる農政が展開されてきたとも言えるのであり、その結果はどうであったでしょうか。確かに米の確保は図られましたが、消費の減退とも相まって米余りを生ずるに至り、また生産者には、ばらまき農政、保護農政と言われる。言いかえれば、足腰の強い自立し得る生産者およびその団体をつくり得たかどうか。今日の担い手不足等の現状を見るとき、管理という名のもとの農政は、主食の確保と生産者の育成とが同時に進まず、片一方が結果的に置き去りになったのではないかとも言えるのであります。食糧難時代からようやく抜け出そうとする昭和36年制定の農業基本法は、そうした戦後の食糧事情の転換点を見据えた立法化であったのでありますが、うまくこの法律が機能し得えたのかどうか、そうした総決算が今、内圧、外圧の中から求められようとしているのであります。
こうした状況は、ひとり滋賀県だけが例外ではありません。農業基本法制定時、本県の県民所得に占める農林水産業のウエートは17.6%にも及んでいましたが、平成3年には1%台にまで後退を余儀なくされているのを見ても明らかであります。
しかしながら、農林水産業は、単に食糧の生産のみならず、県土や環境の保全といった多様な公益的機能を有しており、将来とも重要な産業であることに変わりはありません。新食糧法は現在参議院において審議中であり、あすにも成立の見込みであります。ウルグアイ・ラウンド農業合意対策大綱6兆円の行く末はいまだ定かになっておりません。この際、こうした国の動きの中で、本県農政にかけられる知事の基本姿勢なり考え方なりを問うものであります。
私は、本県における将来の農政について、この機会に大いに議論をしていただきたいと思っております。そこで、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱では、講じるべき対策として、育成すべき農業経営の目標を地域ごとに明らかにしつつ、認定農業者制度を早急に定着させるとともに、効率的かつ安定的な農業経営を育成することを掲げており、かなり具体的な政策の方向づけが打ち出されております。そこで、この認定農業者制度の認定の前提となるものが農業経営基盤強化促進法に基づいて策定される県の基本方針なり市町村の基本構想であるわけですが、策定された県の基本方針はどのような内容のものであるのか、また現在県下市町村の基本構想の策定はどのような進捗状況にあるのかを農林水産部長にお伺いいたします。
次に、公共事業の今後の見通しについて土木部長にお尋ねいたします。
政府は先ごろ2004年までの社会資本整備に係る公共投資額を630兆円とすることを閣議決定されました。
これは対外公約であります。21世紀、我が国が安定社会を迎えるに当たって準備を進めるべき事業の指標だと存じます。今日までのようにがむしゃらに富を求めるのではなく、人々が安心を求める豊かさを実感できる社会であってほしいものであります。そうした21世紀の社会を支える社会資本でありますから、目標を掲げることは大切なことではないかと思います。予算の見積もりができ上がった後は、実施計画、アクションプログラムの作成ですが、国も当然その作業に入っていることだと思います。
さて、滋賀県はいかがでありましょうか。政府の言う社会資本の整備とは、病院や老人ホームといったものも含んでいるそのような数値のようでありますが、そこで公共事業の中でもその中心であります土木部所管の事業についてお尋ねいたします。2004年といいますと、あと10年先のことであります。極めて近未来と言ってもいいのではないでしょうか。とりわけ、県民生活に密着した基盤整備、町づくりの基盤となる道路、河川、住宅整備についてお伺いいたします。
県では道路整備5箇年計画を策定し、大まかな事業の概要をまとめておられますが、もう少し具体的にはならないのでしょうか。つまり、何年までにこの道路はどこまで整備しますといったぐあいに県民にお示しさせていただくことはできないのでありましょうか。現在も恒常的な渋滞を起こしている国道1号、本議会においても何十本という国1の整備促進に対する意見が出ております。しかし、一向に国道1号線の整備が進まない。これはなぜでありましょうか。また、国1を初めとする道路の改良はこれからどうなるのでありましょうか。県内5つの有料道路の状況はどのような状況でありましょうか。例えば、鈴鹿スカイラインは現在有料でありますが、間もなく債務が償還できるとお聞きしております。そうしますと通行料は要らなくなると私たちは聞いておりましたが、どうなのでしょうか。その見通しを明らかにされたいと思います。国のように、公社がプール制にしていつまでも他の道路財政に使うということになってしまうのでありましょうか。
河川についても同様であります。どことどこの川をどれぐらい改修していくといったぐあいに示せないでありましょうか。住宅についても同じであります。特に、高齢化社会を迎えるに当たって、細かい配慮をした優良な住宅の整備がどのように整備されていくのか、大変注意深く見守っておるところであります。
こうしたことは町づくりを考える上で重要な指標となるものであり、用地の取得が困難であるとか、仕事が縛られてしまうとか、いろいろな内部の意見があるかもしれませんが、はっきりした目標を掲げれば、土木行政に対する県民の理解と協力も得やすいのではないかと思うのであります。
最後に申し添えたいと存じますが、本県は過去20年余りの間、琵琶湖総合開発事業に専心取り組んでまいりました。それは、ある一面においては、琵総事業以外の事業に多少目をつむってきたということも否定できないのではないかと思います。琵総事業の名のもとに集中的な投資がなされ、それ以外は災害などがない限り予算が配分されにくかったこともあるのではないかと思います。その琵総事業も残すところあとわずかとなりました。だからこそ、こうした琵総後のマニュアルづくりが今必要とされると考えますが、部長の御見解を求めるものであります。
次に、教育長にお尋ねいたします。
平成4年9月12日にスタートした月1回の学校週5日制も丸2年を経過いたしました。ややもすると学校任せになっている子供たちを積極的に家庭や地域に帰し、学校外の生活時間の比重をふやすことによって、基本的には子供の心のゆとりやのんびり感を持たせるためであり、この時間を日ごろ不足になりがちな家庭対話や地域での年齢、年の差を越えた人と人とのかかわりをふやし、また生徒間における自主的な行動を通じて、みずからが考えて行動する人間を育成することを目的と考えます。したがって、この休みの日は、子供が自由に使える日であり、また自主的に幾つかのメニューが選択できることが望ましいと思います。この制度の目指すところはすばらしいことであります。
しかし、当初の戸惑いもあり、いろいろな問題も生じていることと思いますが、いかがでありましょうか。例えば、学習指導要領については、基本的に6日制で組まれているものの、月2回の週休2日制にたえ得るものである──これは文部省の見解であります。しかし、果たして、学校現場での授業等において生徒に過重な負担をかけてはいないだろうか。さらに、社会の週休2日制のおくれに関連し、共働き家庭の子供への対応についてはきちっと対応できているであろうか。また、地域の取り組み不足で現場の先生方の新たな負担となってはいないかどうか等につき、教育長の認識をお伺いいたします。
過日、文部省では調査研究協力校における保護者の学校週5日制についての考え方の調査を実施されましたが、それによりますと、月2回の5日制について賛成、そして、どちらかといえば賛成、この2つを合わせた数字が高等学校では74.3%、中学校では61.8%、小学校では63%と一定の評価をいただいてはおります。本県においてもアンケート調査等をされていると承知いたしておりますが、それらの調査を踏まえ、また本県14校の研究校の調査研究成果を踏まえ、5日制の月2回実施に向けての教育長の決意のほどをお伺い申し上げます。
さて、私たちは、かねてより子供たちの遊びの大切さを主張し、子供たちの心の自由な発想を願ってまいりました。金太郎あめ的指示待ち人間をつくっていると言われる今の教育の欠点を改め、この学校週5日制等から生まれる余暇を通じて、より伸びやかな自発性のある人間を育てる教育のシフトとしていただきたいものであります。
私たちは、地域の協力や家庭の協力を最大限に生かした、町に子供たちの笑顔があふれる教育を願っております。そのため、地域の指導者バンクとその情報ネットワーク化、遊び空間の確保、またふるさと近江をもっとよく知るための子供自身が理解できるガイドブックの作成、さらには子供も大人も参加できる模型やスポーツの競技会等々、本当に子供が心待ちに参加する企画を市町村とも協力しつつ、教育委員会みずからがより積極的に取り組み、社会全体が今よりゆとりのある人間性を重視する社会を目指してリードされてはいかがかと思います。甲良町においては、各村々に親水公園をつくるに当たって、子供たちにどのような公園をイメージするのか相談し、それを絵に描かせるという取り組みの中で、絵に描かれたとおりの公園があちこちにでき上がった。したがって、子供たちや地域の皆さんが大変この公園を大事に愛されておるということを仄聞いたしますが、これらは教育委員会だけではできない取り組みであり、参考にしていただきたく思うのであります。
さて、冒頭、学校任せになっている子供たちという言葉を使いましたが、これは言いかえれば、学校や先生方を信頼申し上げているということでありますが、しかし、この数日間の愛知県におけるいじめの報道に接するとき、学校現場の無力を感じざるを得ません。教師集団の職責に対する無力を痛感するのは私たちだけでありましょうか。そこで、週休2日制、ゆとりの創造の中で、教師と子供たちのより人間的なきずなやかかわりをどう築き上げていくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
警察本部長に質問させていただきますに当たり、冒頭ではございますが、水谷警備部長の突然の訃報に接し、大変残念でございます。県民クラブを代表いたしまして、心からの哀悼の意を表するものであります。
暴対法と銃犯罪についてでありますが、本部長には最近の犯罪における2つの傾向についてお伺いいたします。
近年、我が国の都市化、国際化の中で、犯罪情勢も凶悪、広域、国際化のさまを強め、中でも暴力団等による企業テロおよびけん銃の拡散化による凶悪な犯罪の多発が見られます。本県におきましても、スーパーの現金輸送車の襲撃や、殺人の上、死体をびわ湖や山中に埋めるなど凶悪な事件が発生いたしました。幸い県警の御努力でいずれも早期に解決し、またけん銃においても、午前中の答弁にもありましたように、一昨年からことしにかけてかなり多量に押収されていると仄聞いたしますが、そのことは銃犯罪を未然に防止することでもあり、日ごろのお取り組みに敬意を表するものであります。
お伺いする第1点は、最近の暴力団対策についてでありますが、平成4年3月に暴力団対策法、いわゆる暴対法が制定され、暴力団追放滋賀県民会議の活躍とともに、暴力団絡みの犯罪を未然に防止し、組の解散、組員の更生へ強く歩みを進めたことと思います。また、本年9月には企業対象暴力対策本部を設置し、対策協議会と協力して事件の発生防止と早期解決を目指されることとなりました。
このような現状下において、県内の暴力団にどのような変化が見られたのでありましょうか。検挙者や組解散、組離脱者への支援等々についてお尋ねいたしておるのですが、今後、暴力団壊滅に向けて、対暴力団ローラー作戦やフロント企業への締めつけなどさらに協力な取り締まりを推進されることと思いますが、私たち県民のとるべき態度をいま一度お示しいただきますよう。
第2点目に、2年前のハロウィンの日、つまり10月31日、フリーズの言葉が理解できなかった日本人留学生の1人がアメリカ銃社会の犠牲になりました。彼の死は当のアメリカにおいても銃規制の方向へ世論を動かしました。時を同じく、日本においてもけん銃の押収件数の急激増加が見られ、けん銃を用いての犯罪が増加しているように思われます。このような情勢のもとで、去る11月29日より東京において銃器対策国際会議が持たれ、政府も事態を重視し、異例の閣僚クラスの会議を持ち、同日の首相の記者会見となりました。
これらの銃犯罪の未然防止のためには、各省庁が協力して銃持ち込みの水際での流入防止、そして不法に所持されているけん銃情報の通報等が必要と思われますが、そこで、県内におけるけん銃使用の犯罪等の傾向、押収されたけん銃の数および種類の変化、また今後の対策などについて、その装備や器材等の充実も含め、本部長の御所見をお伺いいたします。
県民の皆さんが安心して生活できる社会を守るため、県警察本部のさらなる御努力をお願いし、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(黒川治君) 10番中島敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)県民クラブ中島議員の代表質問にお答えをします。
まず、淡海の心とは何かということでありましたが、お言葉どおり、私の思うところを述べさせていただきます。
「1994年、琵琶湖、夏。ここから私たちは、何を学んだのだろう。」湖面の干上がった浮御堂の写真とともに、この夏のびわ湖の渇水を題材にした新聞紙面による県外発信広告には、全国から多くの反響が寄せられました。人間の思惑どおりにはいかない自然の営み、久々の節水の必要から感じた水のありがたさ、ふだん忘れていたこれらのことを多くの人が改めて確認したのではないでしょうか。しかし、もしびわ湖が言葉を発するとすれば、この夏だけ騒いでもらっても困るという声が返ってくるかもしれません。渇水と変わらぬ重要な問題に水質問題があり、景観問題があり、さまざまな問題が存在するからであります。そして、それらは人の営みを映す鏡と言われるびわ湖に映った今の私たちの生活や社会の仕組みから引き起こされている事柄であります。人間だけが勝手なことをしてはいけない、勝手なことをしていると手痛いしっぺ返しを受ける。どんどん大きく膨らんでいく地球環境問題などが如実に示している真理のようなものであります。
人間も生態系の中に生かされているものの1つであるという視点を持って歩んでいかなければならない。びわ湖の水質問題を初めとした困難に突き当たり、それを克服する努力を重ねてきた滋賀県こそが自然と人とのよりよいかかわり方を示していけるのではないか、またそうすることがびわ湖とともに地球時代を生きる私たちの使命であると考えております。
松尾芭蕉が近江の地に永眠することとなった遺言の一節に──これは新しい淡海文化の創造に向けた県行政推進の基本方針の冒頭にも引用させていただいておりますが、「ここは東西のちまた、さざ波きよき渚なれば、生前の契り深かりし所也」というくだりがございます。びわ湖を初めとする風光明媚な穏やかな自然にはぐくまれ、情報が行き交う街道性の中で、この地の人は生きる知恵と進取の気性、そして人を思いやる豊かな教養を培ってまいりました。芭蕉はそういう場を、そういう人々をこよなく愛したのではないか。そして、この土地に根差したすぐれた気風というものは、その価値を見失っていた私たちにも脈々と注ぎ込まれているのではないか。私たちには、先人が培ったこの気風を呼び起こし、次の世代の人たちから評価される未来に価値ある地域づくりにさらなる一歩を踏み出すことが望まれております。滋賀のこだわりである環境問題に真摯に取り組み、先人が築いた風土や歴史から多くの知恵を学び、この地に生きる者が互いに高め合い、支え合って、心豊かな暮らしを築き、次の世代に贈るとともに、そのあり方で世界に貢献する、この志を持った取り組みを鋭意進めることが、びわ湖の心、淡海の心に通じるものであろうと強く思っております。
次に、新年度の予算編成の基本方針についてであります。
さきの提案説明でも申し上げましたように、景気回復のテンポが極めて緩やかなため、不況を脱した企業も総じて大幅な増益は望めない。このため、地方交付税や県税収入に大きく依存する県財政は非常に厳しいものにならざるを得ないものと覚悟しなければなりません。これまでも県の財政にゆとりがあったなどとは決して申せませんが、それでも各方面の御要望にある程度はこたえることができたのでありますが、しかし、来年度以降、国の地方財政対策いかんによっては、そうはいかなくなるだろう。場合によっては、ぜひ取り上げたい施策でも辛抱をしていただく場合も出てくるのではないかと思っておりまして、そのことを指して私は、従来の姿勢から180度転換して、厳しい選択をせざるを得ないというふうに申し上げたのであります。その際、私はあわせて、生活重視、地域重視の視点に立って施策を検証しながらというふうに申し上げました。これは、事業の実施に当たっては、今まで以上に厳しく、県民生活の重視、地域重視の視点に立って、その事業の必要性や有効性を十分確認しながら、住みよく活力のある滋賀をつくっていこうとする姿勢を申し上げたものであります。
今後、予算編成の過程の中でこうした検証を徹底して、厳しい環境のもとではありますが、来るべき21世紀を臨んで、緊急に対応が必要な行政ニーズに的確にこたえられるぴりっとしたバランスのとれた予算案を編成していきたいと考えております。
予算編成に絡んで行政改革委員会の審議状況と今後の予定でありますが、ことしの6月に設置した行政改革委員会は、3回の本委員会での論議を経ていただいておりまして、去る11月にはさらに細かく議論をいただくということで、財政および組織の専門部会を発足させたところであります。部会では、県、市町村、県民の新しい協調関係、財政の健全性の確保、組織機構と事務処理手続の改善等について、年内にもう1回部会審議をしていただくことになっております。
委員会の最終答申については、来年の秋ごろにまとめていただくようお願いをしておりますが、御質問にもございますように、今日の厳しい行財政環境を踏まえ、本県の行財政改革につきましては可能な限り早期に取り組んでいくべきものと認識しておりますことから、そうした課題に焦点を絞り、2月には中間報告をいただき、全庁挙げて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
昨今の厳しい社会経済状況の中、民間では生き残りをかけてリストラやリエンジニアリング等に取り組み、事業の見直しや再構築に汗を流しておられるところでありますが、公共の福祉の増進を図る県としても、より効率的で効果的な事業の執行を図ることが必要であります。新年度の予算編成に当たりましては、これまでに委員会の審議の中でいただいております委員の方々の御意見、例えば、自主自立の尊重、施策の相乗効果、施設の建設と後年度負担への見きわめといったものなどがありますが、そのような御意見を中間報告に先立って整理をいたし、予算編成に当たってはできる限り留意をしながら生かしていきたいと考えております。
行政改革委員会の方々には、現在の県を取り巻く厳しい行財政環境に対し、大所高所からの意見を出していただき、県民生活や地域環境の確保に重点を置いた活力ある県政が効果的に形成できるよう努めてまいりたいと存じます。
次に、いわゆる琵琶湖新法につきましては、本年3月の琵琶湖水政審議会の答申を尊重させていただきながら検討を行っているところでございますが、碧く美しいびわ湖を将来にわたって適正に保全管理していくためには、水質や空間管理等の面でこれまでとは異なる発想や手法による施策の展開を図ることが必要であると考えます。このような観点からの新しい法制度の構築が、それぞれ既存の法律を持ち、各省庁縦割りになっておるそうしたものの考え方、組織の中で可能であるのかどうかといった点について検討作業を進めながら、国、関係機関との下協議等も始めているところであります。
これからの21世紀に向けて、地球的規模での環境問題の重要性が認識され、より人間らしい生活を求める志向が高まってくる中で、これまでびわ湖が果たしてきた役割や貴重な生態系としての価値を守り育て、また25年間にわたる琵琶湖総合開発事業の成果を踏まえ、自然と人との調和した美しいびわ湖を創造していくことができるよう、新しい法制度の必要性について関係者の理解を得ることが重要であると考えるものであります。
あと2年余りで現行琵総法が法期限を迎え、その後にはびわ湖だけを対象とした法的な後ろ盾はなくなるわけでありますので、早急に県議会を初め関係機関にも御相談を申し上げながら、県としての基本的な考え方を取りまとめ、びわ湖淀川水系の関係者と一体となって、国、関係機関との協議に入れるよう最大限の努力をしてまいりたいと存じております。
次に、環境基本条例についての御質問にお答えいたします。
古来、近江のこの地に生きる人々は、母なるびわ湖に抱かれて、その豊かな恵みに感謝しつつ、日々の暮らしを送り、子を育て、文化をはぐくんでまいりました。びわ湖は人々に限りない恵みを与えてくれ、そして人々はびわ湖に感謝し、びわ湖を大切に思う気持ちで接することによりまして、びわ湖はまた豊かな暮らしを支えてくれるという心と心の触れ合いが成り立っていたのであります。
近年の工業立地の進展、生活様式の変化等に伴い、物質的な豊かさと引きかえに、びわ湖を取り巻く環境、ひいては我々自身の生活を取り巻く環境も悪化し、私たちは知らず知らずのうちに多くの大切なものを失っていったと言われますが、風景条例やヨシ条例の制定といったことを通じて、私は先人の心は脈々と滋賀県民に受け継がれ息づいでおり、むしろそうであるからこそ実際の生活との間にギャップを感じている、そういったジレンマを感じたのであります。
環境基本条例につきましては、まず、この滋賀の心をその原点として、全国に、そして世界に向けて投げかけてまいりたいという思いでございます。先般も政府主催の全国知事会において、びわ湖というものは本当に大切な存在であり、国家的な課題としてびわ湖に対する取り組みをもっともっと強めてもらいたいと、本県が検討を進めている総量管理制度についても環境庁長官に申し上げましたが、長官からは、国においても県の検討を踏まえこの課題に取り組んでいきたいとのお答えをいただきました。
びわ湖を初めとする湖国の環境が、その流域に今住む人、これから住もうとする人、さらに将来生まれてくる人々にも健全で恵み豊かな恵沢を享受できるよう、これまでの貴重な経験と着実な成果を踏まえ、滋賀ならではの環境基本条例の制定に向け、検討を進めてまいりたいと存じます。
次に、食糧法をめぐる新農政についての御質問にお答えします。
現在、国においては農業合意関連対策大綱が策定され、国会で新しい食糧法を初めとする関連法案の審議が進められており、農業合意に伴い、食糧管理法や農業基本法に支えられた従来の国の農政はその枠組みを大きく変えようとする節目を迎えているわけであります。
農業基本法が制定されました昭和36年ごろと比べますと、滋賀県農業の生産額は約4倍の規模となっておりますが、本県産業は第2次産業を中心に全国を上回るペースで拡大し、現在の総生産額は約5兆円と大きく成長してきました。他産業の生産性の向上が農業を大きく上回った結果、県の産業全体に占める農業の構成比は、昭和35年に17%でありましたが、昭和45年に8%、昭和55年に3%、平成3年では1%という状況になっております。
滋賀県の農業は、県内消費者のみならず、近接する京阪神や中京の大消費地に米を初めとする新鮮な農産物を供給し、食糧基地としての役割を果たしております。また、良好に管理された優良農地は、近畿の水資源であるびわ湖や県土の保全に貢献をするなど重要な役割を果たしているところであります。さらに、近年、物の豊かさから心の豊かさへと国民の価値観が移行する中で、農村の豊かな自然やすぐれた景観、伝統ある文化への評価が高まるなど、農業、農村の持つ新たな役割が見出されているところでもあります。
このような農業をめぐる時代の流れの中で、他産業の発展と調和のとれた農業の振興を図ることを目指して湖国農林水産プランを定め、次の点を重点に農政を展開しているところであります。
1つには、生産性の高い、かつ産業として自立できる農業経営の確立と集落営農を基本とする安定的な組織経営体の育成であります。2つには、中山間地域の集落の道路や下水道、集会所や交流拠点など幅広い生活環境の整備であります。3つには、農業排水対策や施肥基準の改定など、環境と調和した農業の振興であります。さらには、淡海文化創造の観点から、先人が築き継承されてきましたすぐれた景観や伝統行事など農村の地域文化を生かした住みよい農山村づくりであります。
農業合意の受け入れに伴い、食糧管理制度の改革を初め、農業経営の効率化や農山村地域の活性化を目指す国農政の枠組みが大きく変わろうとしているとき、広く農業者や関係者の意見を十分にお聞きし、また新たな制度や施策の具体的方向を見定め、さきの農政の基本的な考え方に取り入れるものは積極的に取り入れるなど、今後の農業の振興に努めてまいる考えでございます。
◎副知事(岩波忠夫君) (登壇)びわこ空港についての御質問にお答えをいたします。
びわこ空港実現のための当面の課題は、いかにして地元の御理解を得られるかということでございます。それは、お互いの立場を尊重した上での率直な話し合いによってこそ可能になるものと考えております。昨年のことになりますが、行政が空港計画を一方的に進めているとして、両町の対策協議会から強い反発が出るところとなりました。7月には、対策協議会との話し合い再開の環境づくりの一環として、信頼関係を損なうような推進活動は控えるというふうにした経緯がございます。以来、今日まで継続した話し合いの環境づくりに努めているところでございます。そういった経緯および今地元状況に変化の兆しが見えようかというような状況でもありますので、広報、啓発につきましても、地元の皆さんの心情に配慮した対応が必要と考えます。
さりながら、そもそもびわこ空港は県の将来にかかわる事業である、県民世論の盛り上がりに支えられたものである、現状において多くの県民の方々からのお問い合わせやさまざまな御意見がまいっている状況、またびわこ空港を取り巻く今日の状況、そういったことをもろもろ考えますと、びわこ空港の現状あるいは課題について県民の皆様に正しく知っていただき、御理解をしていただくべきとの御指摘には私どもも同感でございます。
ただ、どういう内容とするかは、先ほど申し上げましたように、地元の局面にも十分配慮する必要がありますので、きちっとした形で、わかりやすいものとなるように検討させていただき、適切に対応してまいりたいというふうに考えます。
また、地元の各集落への個別具体の説明につきましては、私も実際に立ち会ってみて、スライド等を使った説明は確かに文章によるよりは説得力もあるということを実感しております。地元の皆さんに御理解をいただくせっかくの機会でありますので、地元の皆さんの立場に立って、県の考えを十分御理解いただけるよう、さまざまな方法についてさらに工夫を凝らしていきたいというふうに考えております。
◎知事公室長(岩田正春君) (登壇)広報に関しましての御質問にお答えいたします。
今、県下の各地で新しい淡海文化の創造に向けまして、それぞれの地域の個性を生かした取り組みを進めていただいているところでございます。こうした情報を外に向けて発信していくことによって、他の地域の人々に感動を与え、共感を呼び起こすことになり、一方、外からの声も聞こえて、みずからの位置も知ることができ、さらにみずからの自覚と誇りを高めることにもなる。こうした意味におきまして、新しい淡海文化の創造に向けた県行政推進の基本方針の中におきましても、発信ということを重要なキーワードとして位置づけをしているところでございます。
したがいまして、広報の面におきましても、今年度からびわ湖放送の「サンデー11しが」で、毎月、淡海文化特集のコーナーを設けまして、県下各地域における取り組みをテレビを通じて広く県民の方々に紹介をしているところでございます。
また、全国に向けましては、知事の答弁にもございましたように、去る10月30日の新聞紙面に、水の大切さ、びわ湖の恵みをテーマといたしまして、堅田の浮御堂をモチーフに、いわば、びわ湖の心を伝えたところでございます。これに対しまして、県内外から予想を上回る反響がございまして、例えば環境滋賀としてさらに頑張ってほしいとか、日本を引っ張るような自治体を目指してほしい、あるいはまた、これからは滋賀県を応援したいなど、滋賀県に対する多くの期待の声が寄せられますとともに、中には社会科の教材として授業に使っていただいた中学校の先生からもあり、情報発信の大切さを痛感した感じでございます。
この新聞紙面による発信は今年度から新たに取り組んだものでございますが、御提案のとおり、広報というものは、現状に甘んじることなく、新しい手段も講じながら、常に創意と工夫を凝らしていく必要がございますことから、去る9月からは、ファックス知事への手紙と銘打ちまして、広く県民の皆様からファクスを活用しながら御意見や御提言をいただけるようにしたところでございますし、さらに来年度からは、パソコン通信機能をも利用したデータベースを県民広報にも活用できるよう検討しているところでございます。
このように広報と広聴という形で双方向性を持たせた展開を図っているところでございますが、そうした中で、テレビや新聞など従来のメディアだけでなく、ファクスやパソコン通信など新たな発信メディアも駆使しながら、県全体としての発信機能を高めていくということが大切な課題でございますので、常に新しいメディアにも十分関心を払ってまいりたいと考えております。
いずれにしましても、情報発信は、その量とともに、やはり発信する内容が一番大切であるということは申すまでもございません。よいものは自然に伝わるという待ちの姿勢ではなく、どんどんと工夫を凝らすよう、そういう立場で進めていくことも肝要でございますので、そのためにも、広報課という1つのセクションだけではなくて、各部各課の職員一人一人が広報マンであるという気持ちで取り組んでまいりますとともに、またこうした新しいメディアに精通した職員も適宜その養成に努めてまいりたいと存じております。
◎総務部長(今仲康之君) (登壇)公債費についての御質問にお答えいたします。
近年の本県の公債費の状況を見ますと、全国比較の可能な平成4年度とその10年前の昭和58年度について見てみますと、普通会計ベースで、昭和58年度が約225億円、平成4年度が約289億円と1.28倍となっていますが、この間の全国の伸びは1.37倍となっております。また、公債費比率で見ますと、昭和58年度は8.5でありまして、平成4年度では9.1となっておりますが、全国では低い方から第13位にとどまっており、全国的に見ますと平均的なところより少しよい状況と考えております。また、平成5年度決算につきましては、全国数値がいまだ出ておりませんことから、全国順位は明らかではありませんが、平成5年度における公債費比率は10.4と前年度比1.3ポイント上昇しているところでございます。
現在の財政状況や大規模な施設の建設の見通しなどから考えますと、今後も公債費は徐々に増高し、公債費比率は上昇していくものと考えております。ただし、公債費比率の上昇につきましては、地方財政制度による財源措置のされ方、税収の伸びもありますし、他の団体の状況も比較考量する必要がありますが、本県の財政運営上、注意すべき指標であると考えております。
今後とも、県債につきましては、公債費比率にも十分留意し、常にその時々の財政状況を把握して、財政の健全性の確保を図っていくべきものと考えております。
◎企画部長(勝義隆君) (登壇)琵琶湖総合開発の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。
琵琶湖総合開発事業は、昭和47年から今日まで、県議会のお力添えをいただきながら、常に県政の最重要課題として総力を挙げて取り組んでまいったところでございます。残されました期間があと2年余りという中で、平成7年度は総事業費で約570億円を要望いたしております。先般、総合開発特別委員会の正副委員長を初め、各常任委員会の皆様にも御協力をいただきまして要望活動を実施いたしましたが、関係省庁におかれましては、一定の御理解をいただき、予算確保に向けて積極的に対応をしていただけるものと、このように認識をいたしております。この要望しております事業費が確保されますと、7年度末において、事業費ベースで4年度以降の計画事業費に対し96%の進捗となる見込みでございます。
平成8年度の対応につきましては、基本的には6年度および7年度の事業費の確定を待って対応をすべきでありますが、琵総事業25年間の総仕上げとなる最終年度でありますことから、各事業ごとに進捗状況等を見きわめながら、現時点における見通しについて検討を行っているところでありますが、それぞれの事業の進捗を見たとき、部分的に非常に厳しい状況のものもありますことから、十分に検討を加え、県ならびに市町村の組織を挙げての最大限の努力をしてまいる所存でございます。
◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)建築基準条例の改正案に関連しての御質問にお答えします。
さきの9月県議会において議決をいただきました住みよい福祉のまちづくり条例の施行に当たっては、現在具体的な整備基準等の策定に鋭意努力しているところでありますが、今後これをもとに設計マニュアルの策定や整備基準の周知徹底などに努めるとともに、住みよい福祉のまちづくりに関する施策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
高齢者や障害者などの方々がみずからの意思で自由に行動できる環境を実現するためには、ハード、ソフト両面からの取り組みが必要でありますが、ハード面では、建築物や道路、公園等の改善が着実に進められることが重要であります。そのためには、住みよい福祉のまちづくり条例による事前届け出の徹底やそれに基づく指導、助言を行うことになりますが、整備基準の遵守には強制力を持った建築基準条例による指導がより有効であると考えられ、土木部において検討が進められ、今回、建築基準条例の改正を提案されるに至ったところであります。
ただ、建築基準条例による規制にも対象範囲等に限界があることから、より広範に整備を徹底するためには、国レベルでの強制力のある法律の制定が望ましいものと考えられます。
こうした法制度の実現には、今後より多くの府県で条例に取り組まれるなど全国的な世論の盛り上がりが必要となりますが、本県としても、住みよい福祉のまちづくりの一層の推進を図るため、同様の条例化に取り組まれた府県とも連携をとりながら、必要な法制度の整備について国への働きかけを検討してまいりたいと考えます。
次に、公立施設の整備についてでありますが、住みよい福祉のまちづくり条例においても、民間事業者等に対し、高齢者、障害者などの利用に配慮した施設の整備を求めておりますことから、県や市町村は、みずから設置、管理する施設の整備に努め、民間事業者等に範を示す必要があります。これまでにも、県立施設については福祉環境整備指針により既存施設も含めて改善を図ってまいったところでありますが、この条例の制定を機に、新設はもとより、既存施設につきましても、高齢者、障害者等の利用頻度等を勘案し、計画的に改善したいと考えており、来年度から順次整備できますよう現在具体的な整備方策を検討しているところであります。
また、市町村においても、住みよい福祉のまちづくり条例の趣旨を踏まえ、市町村立施設について、新築はもとより、既存施設についても改善が進むよう十分な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
◎商工労働部長(山脇康典君) (登壇)中小小売商業対策の充実についての御質問にお答えをいたします。
まず、県下の大型小売店舗の最近の出店動向についてでございますが、大規模小売店舗法は、平成4年1月に出店調整に関する規制が緩和され、さらに本年5月の通達改正等によりまして、店舗面積1,000平方メートル未満のものについては、地元説明等の手続は必要ですが、原則的には出店が自由化され、また閉店時刻や年間の休業日数の届け出基準も緩和されております。
こうした結果、新設の届け出件数は全国的に増加しておりますし、県内においても同様の傾向で推移し、9月末現在での大型店の店舗数は162件で、また売り場面積に占める大型店の割合は、市部で55%、郡部で37%、県平均では48%となっており、ほぼ全国平均と同様の傾向を示しております。
なお、平成4年の法改正後、本年の9月末までの新設届け出数は31件であり、うち3,000平方メートル以上の第1種店舗は7件となっております。また、第2種店舗では、本年に入ってから1,000平方未満の店舗の出店が増加しており、業種的には、スーパー、衣料品の専門店、ホームセンター等が多くなっております。
次に、国や県が実施している中小小売商業施策の利用状況と今後の支援策についてでございますが、中小小売商業対策のハード事業といたしましては、事業協同組合等が実施する商店街基盤整備事業に対する支援がございます。この事業に対する商店街等の関心は高く、大店法が緩和されてからの主な利用状況は、街路灯が34商店街で、また最近の特徴といたしましては、新たな顧客サービスとして注目されているポイントカードシステムの導入が顕著で、既に11市町、約1,200店舗において利用されているところでございます。また、中小商業活性化基金による商店街のイベント開催、各種の調査、計画策定などのソフト事業も多数の商店街で取り組まれております。さらに、事業協同組合等が行う共同店舗づくりや商店街近代化事業に対しては、中小企業高度化資金の融資制度を、個別の中小企業者に対しては大型店進出対策資金や流通業事業転換資金の2つの融資制度を設けて、その利用促進を図っているところでございます。また、やる気のある中小小売商業対策、すなわち次代を担う人材の育成につきましては、新近江商人塾や商工会あるいは商工会議所等における研修事業等を通じまして、その育成に力を入れているところでございます。
こうした取り組みによりまして、中小小売商業の振興に一定の成果をおさめてきているところでございますが、既存の商店街や中小小売商業者との関係を考えますと、新規に出店する大型店にあっては、地域の商店街等との共存共栄のあり方が問われる一方、既存の中小小売商業者にあっても、仕入れや販売方法の見直し、新業態への展開、新たな商業集積の形成といった対応が求められております。
このため、今後におきましても、中小小売商業に対する各種施策の利用を促進するとともに、町づくりの観点から、市町村の都市計画をも視野に入れながら、これまで以上に住民、商業者、行政が一体となった魅力ある商業まちづくりを推進するなど、市町村ともども積極的に対処してまいりたいと考えております。
◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)食糧法をめぐる新農政についての御質問のうち、まず県の基本方針の内容についての御質問にお答えをいたします。
農業経営基盤強化促進法第5条に基づきまして、県が定めます農業経営基盤強化促進基本方針につきましては、市町村が同法に基づきまして策定をいたします農業経営基本強化促進基本構想を作成する際の基本となる担い手育成の方向や農業経営のあるべき水準などを指針として示すものでもございます。
県の基本方針の内容といたしましては、湖国農林水産プランに基づきまして、将来の農業生産の相当部分を安定的かつ効率的な農業経営体が担うことを基本にいたしまして、稲作につきましては、集落を基本とした組織経営体、集落を越えた組織経営体、地域に根差した個別経営体の育成方向に即して3種類の農業経営の目標を示し、また野菜、花卉、果樹、茶、肉用牛、乳用牛などの経営につきましては、すぐれた経営能力と生産技術を持つ経営体の育成を進めることとし、作目ごとに6種類の農業経営の目標を示したものとなっております。
次に、市町村の基本構想の進捗状況についてでございますが、平成5年度には、50市町村のうち13の市町において策定をされております。本年度は、残り37市町村において策定中でございますが、11月末現在では、37市町村のうち、基本構想案作成済みの20市町から近々承認申請が出されると聞いております。他の17市町村につきましても、年内には基本構想案が作成されると聞いており、引き続き速やかに基本構想の策定手続が進められますよう指導、支援をしてまいる所存でございます。
◎土木部長(亀田泰武君) (登壇)建築基準条例の改正案についての御質問にお答えいたします。
高齢化の進行と障害者の社会参加への高まりの中において、すべての人々がお互いに立場を尊重しながら、ともに生活することができる社会の転換が求められている中、住みよい福祉のまちづくり条例の制定とあわせ、建築基準条例改正に向けて鋭意検討を重ねてまいりました。
建築基準条例の改正についてでございますが、まちづくり条例は、高齢者、身体障害者等の円滑な利用を目的とし、事業主の自主的な整備を求めているのに対し、建築基準条例は、建築基準法を受けて、防火、避難上の安全の観点から定めており、強制力を伴うものであります。ハートビル法制定後における本県の建築基準条例の改正につきましては、国との協議を踏まえ、対象となる建築物や制限の内容に限界があること、また現時点での事業者の理解と協力が得られる範囲の規制措置であることなどを勘案して、今回の改正内容に至ったものであります。
本条例改正は、長期的な取り組みへの第一歩であり、今後、意識の高揚と土壌が培われることが何よりも大切であり、その推移を見きわめながら、今後の方策について取り組んでまいりたいと考えております。
次に、公共事業の今後の見通しについてのうち、まず道路整備についてでありますが、県では、交通の安全確保ならびに円滑化を図るとともに、生活者の豊かさの向上、活力ある地域づくり、良好な環境創造等の課題に対処して道路整備を推進するため、第11次道路整備五箇年計画を策定しております。
この計画は、21世紀初頭の道路整備長期構想に基づいて、平成5年度から平成9年度までの道路整備の目標を定めたものであります。現在の道路整備を取り巻く情勢は、ニーズの多様化、限られた財源、用地取得の難航など厳しい状況にありますが、計画的な道路整備を推進するために、5カ年の計画期間内に完成する事業や新規に着手する主な事業などを示しております。この内容につきましては、パンフレットの作成や広報紙に掲載し、県民の方々に御理解をいただくよう努めておりますが、今後ともさらに道路整備の状況や必要性についてPRしてまいりたいと考えております。
次に、国道1号の整備でありますが、近年の自動車輸送の大型化と著しい交通量の増加、沿道の開発などにより、ふくそうする自動車交通に対処し切れず、しばしば交通渋滞が生じております。そこで、国では、渋滞解消の対策として、各工区ごとにバイパス計画や現道拡幅計画を立て、調査、用地取得、工事など計画的に事業を推進しているところであります。このうち、水口バイパスの水口町名坂から日野水口グリーンバイパスまでの区間1.8キロメートルを昨年10月に4車線で供用したところであります。
国道1号の整備は本県の重要な課題であり、沿線の各町ともども、県といたしましても事業執行に協力するとともに、県議会の御支援をいただきながら、国に対して整備の促進を強く働きかけてまいりたいと考えております。
次に、、県内の有料道路の状況についてでありますが、一般有料道路は、道路整備特別措置法の定めるところにより、計画路線ごとに建設大臣の許可を得て、その新設または改築することとされており、この建設資金は国の貸付金や民間の借入金などを充て、道路通行料をその返済に充てるという制度で、路線ごとに採算をとる方式となっております。
道路公社におきましては、琵琶湖大橋有料道路や近江大橋有料道路の4車線拡幅工事を実施したところであり、他の路線につきましても、適切な維持管理に努めているところであります。これらの各路線の経営状況につきましては、おおむね計画どおり推移しているところでありまして、御質問の鈴鹿公園有料道路につきましては、今後ともより一層経営の合理化に努め、料金徴収期限であります平成9年度には無料開放を予定いたしております。
次に、河川事業につきましては、現在琵総事業の完成に向けて勢力を注いでいるところでありますが、平成9年度からは国の第9次治水事業五箇年計画も予定されており、その策定作業に沿って、今後、県としましても、河川改修の緊急性や想定される災害の規模、人口、産業の動態などを勘案し、治水安全度の目標、改修すべき河川や区間、また時期などについて具体的な検討を行い、計画的に事業を実施したいと考えております。そのため、今後とも、県内の治水事業の必要性について強く訴え、必要な予算の確保に努めてまいる所存であります。
最後に、住宅整備については、現在、滋賀県第6期住宅建設五箇年計画により、快適でゆとりある居住環境の実現に向けて、良質な住宅ストックの形成、滋賀らしい良好な住環境の形成、高齢化社会に対応した住宅施策の展開などを柱に住宅建設戸数の見込みや居住水準など具体的な指標をお示し、さらには高齢者、障害者向け住宅の供給促進を図るとともに、設計の手引による普及啓発などに鋭意取り組んでおります。
平成7年度は、8年度を初年度とする第7期住宅建設五箇年計画の策定年次であり、第6期計画から引き継ぐもの、改善をはかるべきもの、新たな視点で取り組むべきもの等を整理いたしまして、県民にわかりやすい、また波及効果のある施策を策定してまいりたいと考えております。(発言する者あり)
◎教育長(高井八良君) (登壇)学校週5日制についての御質問にお答えいたします。
月1回の週5日制につきましては、スタートして2年余りが経過し、学校での取り組みを初め、家庭や地域社会との連携で、子供たちは生き生きと思い思いに楽しみを持って過ごすようになり、おおむね順調に推移していると認識しております。
まず、子供の学習負担でございますが、実施当初は第2土曜日の授業を他の曜日に上乗せする学校が一部にあり、学習負担増になるのではないかとの危惧もございましたが、その後、小、中、高等学校とも学校行事の精選や見直し、指導内容や指導方法の工夫、改善などが行われ、児童生徒への過重な負担は避けられているのではないかと思っております。
次に、共働き家庭の子供への対応についてでございますが、実施当初、一部の学校では指導員を配置して児童が学校の施設を利用して遊んだりスポーツができるようにいたしましたが、現在ではほとんど学校を活用する姿は見られなくなりました。最近では、近所や親戚の子供たちと一緒に過ごしたり、時には地域の行事や子供会の活動に参加するなどして、自由に伸び伸びと過ごすようになってきております。
教師の負担増についてでございますが、導入当初は保護者や地域に5日制の趣旨の理解を得るための準備や会合等に出かけることも多かったわけでございますが、現在では地域の理解や協力も定着してまいり、特に負担になっているという状況ではないと思っております。
月2回の実施に向けてでございますが、過日の文部省の調査研究協力校のまとめでも、おおむね順調に実施されているとの評価でございました。本県でも、現在週5日制に関して子供と保護者を対象とした調査を実施したところであり、早急に取りまとめを行い、それを参考に、また県民の皆様の御支援もいただきながら、月2回が円滑に実施できますよう努める所存でございます。
次に、子供が参加できる企画についてでございますが、県では2年前から県立施設等における子供向けの催しを集約した情報紙「サタデープラン」や、県とすべての市町村をコンピューターで結ぶ情報提供システムにより、第2土曜日の情報を提供してきたところであります。市町村では、これらの情報をもとに独自の計画を作成し、子供や家庭が自主的に選択し活動に参加できる働きかけをしていただいております。
今後の推進に当たりましては、県と市町村が役割を分担し、これら情報提供の充実に努めますとともに、親子で取り組むことのできる活動についても、PTA、子供会等を中心に子供たちにとって魅力ある活動が地域で展開されるよう努めたいと考えております。
最後に、教師と子供たちのよりよい人間的なきずなについてでありますが、まず、教師は子供にとりまして規範になれる存在であることが大切であると考えております。また、少年期から大人へと成熟する時期にある子供たちは、課題も多く、悩みも多いことから、教師が子供たちと一緒に学習や進路のことについて考えることはもとより、時にはともに悩んだり、苦しんだり、喜んだりしながら、課題を解決しようとする人間的な魅力を持つことが大切であると考えます。このためには、すべての教師がこうした考え方に立って、自己研さんに努めることが肝要であると存じます。
◎警察本部長(中島勝利君) (登壇)先ほどは、昨日公務従事中に逝去をした水谷前警備部長に対しまして御丁重なる御弔意を賜り、まことにありがとうございました。御弔意の趣旨につきましては、小生から御遺族の方々にお伝えいたしたいと思います。
それでは、暴力団対策ならびに銃器犯罪対策についてお答えを申し上げます。
まず、暴力団対策でございますが、現在警察が把握をしております県内の暴力団勢力は29組織で構成員が510名でございます。主な組織を系列別に見てみますと、5代目山口組の組織が13,180名という状況でございまして、4代目会津小鉄会が15組織330名、その他1組織10名というふうな状況でございまして、いわゆる暴対法によりまして指定をされた山口組と会津小鉄会の両暴力団が県内構成員の98%を占めている状況でございます。
こうした情勢を踏まえまして、県警といたしましては、県警内に暴力団総合対策推進本部を設置いたしまして、暴力団対策を最重点に、いろいろ官民一体となって暴排活動等多角的な展開というものをしてまいったわけでございますけれども、そうした対策をとりました結果、本年に入りまして、暴力団組長などを含む190名を検挙いたしておりまして、山口組翼下の2組織、会津小鉄会翼下の2組織を壊滅状態に追い込んでおりまして、全体といたしましては、暴力団対策法施行前に比較をいたしますと、暴力団構成員というものは約50名ほど減少をいたしております。
暴力団の社会復帰対策についてでございますけれども、暴力団対策法に基づく中止命令によりまして組織からの離脱を妨害する行為を規制いたしますとともに、暴力団から離脱をした者の社会復帰を推進いたしますために、暴力団離脱者等社会復帰対策協議会というふうなものも結成をいたしまして、多数の県内の企業の御協力をいただきまして、これまでに相当数の離脱者の就労のあっせん等を積極的に支援をしている状況でございます。
次に、今後の暴力団排除対策活動ということについてでございますけれども、財団法人暴力団追放滋賀県民会議を中心といたしまして、県民各層によるいろいろな暴排活動というものが展開をされておりまして、暴排機運というものが以前よりも盛り上がっているというふうなことに対しまして意を強くしている次第でございます。また、多くの地域、職域団体が、みかじめ料あるいは賛助金等の拒否を宣言していただいたり、みずからが暴力団員による不当要求行為を断固拒否するというふうな暴排活動というふうなものが積極的に展開をされているというふうなことは喜ばしい限りでございます。
今後も、暴力団に対しては、利用しない、あるいは金を出さない、あるいは無用に怖がらないというふうな共通認識というふうなものに立ちました県民運動というものも強力に推進をしていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。
次に、けん銃等のいわゆる銃器犯罪対策についてでございます。
まず、県内におけるけん銃を使用した犯罪の傾向でございますけれども、昨年の春には大津市内におきまして暴力団員同士がけん銃を使って射殺をするというふうな事件に続きまして、守山市内におきましては金融業者が暴力団員にけん銃で撃たれて重傷を負った事件、あるいは本年に入りまして、栗東町におきましてスーパーの現金輸送車がけん銃を使われておどされて襲われたというふうな事件等が発生をしておりまして、いずれも事件は解決をしておりますけれども、けん銃を使用したこういうふうな犯罪は、本県内で過去5年間に、年平均にいたしますと2.6件ぐらいの割合で発生を見ておる状況でございます。
従来、けん銃等の犯罪は、大半が暴力団の対立抗争等によるものでございましたけれども、先生のおっしゃっているとおり、最近では、全国的にいわゆる市民に銃口を向けるというふうなまことに憂うべき状況も見られるところでございます。
次に、本県でのこれまでのけん銃の押収でございますけれども、午前中にも申し上げましたとおり、本年は13丁でございます。昨年は12丁というふうなことで、いずれも過去5年間、10丁以上の押収量というものを数えております。
また、押収したけん銃でございますけれども、本年の場合を例にとってみますと、自動式が6丁で、回転式が7丁でございます。いずれも真正のけん銃でございます。従来、製造国は、アメリカ、東南アジアというふうなところが主だったわけでございますけれども、最近では、これらに加えまして、イタリア、スペイン製等のヨーロッパ製等も押収されるなど、銃器の製造国の種類も広範にわたっている状況がうかがえます。
こうした状況を踏まえまして、私どもといたしましては、けん銃摘発班を中心にいたしまして、幅広く情報をいただいて、警察各部門が総合力を発揮して、1丁でも多くのけん銃を押収していきたい。また、それにつきましては、銃器犯罪の押収の際の装備資器材といたしましては、防弾チョッキ等も整備をさせていただいておりますし、金属探知機等も有効に活用しながら摘発を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
また、けん銃拡散等の一番もとでございます暴力団を中心にした視察強化というものも今後強力に進めまして、銃器犯罪の未然防止ということについて最大限の努力をしてまいりたいとふうに考えております。
○副議長(黒川治君) しばらく休憩いたします。
午後3時2分 休憩
───────────────
午後3時27分 開議
○副議長(黒川治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
最後に、12番沢田享子君の発言を許します。
◆12番(沢田享子君) (登壇、拍手)「すったもんだがありました」が流行語大賞となった1994年も、残すところわずかとなりました。内閣が3度交代するといった政治の状況、景気は底入れして上昇に転じたと言われても一向に実感できない経済情勢、円高とJT株に象徴される株式市況の低迷、日本列島を覆った猛暑と異常渇水にびわ湖の記録破りの低水位、さらには北海道東部の地震災害など、本当にさまざまな出来事がこの1年に起こりました。
稲葉知事が3期目に向けての出馬の意思を明らかにされましたのが昨年の12月定例議会の冒頭でございましたから、光陰矢のごとしの例えがまさに実感できるのでございます。私も、昨年の今ごろには想像もしていなかった県議会の壇上に立たせていただいております。知事選挙と同時に行われた補欠選挙で当選させていただいて半年、未熟な者に大きな役目を与えていただいた光栄に感謝しながら、県民連合を代表いたしまして質問をさせていただきます。
この1年、国際情勢に目を向ければ、国連を中心とする関係各国の懸命の努力にもかかわらず、ボスニア・ヘルツェゴビナにも、ルワンダにも、平和の光はまだ見えませんし、イスラエルとパレスチナの和平問題、スリランカやミャンマーの政治情勢などなど、世界はことしも激動を続けました。
世界のすべての人々が安らかに日々を送れる時代を一日も早くつくり出し、間もなく開ける21世紀を平和と安定の世紀にするために、日本が進む道、果たすべき役割も内外から注目されております。今こそ私たちは、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と高らかにうたわれた日本国憲法の理念を実現することについて、一人一人が考え、行動に移さなければならないと存じます。
国内の政治の状況も、昨年の政権交代以降、政党間の政権運営をめぐってのせめぎ合いもあって、連立の組み合わせが変わり、内閣がそのたびにかわりました。小選挙区区割り法案の成立、新進党の樹立など激動が続いていますが、統一地方選挙、参議院議員通常選挙、そして時期がさまざまに論じられております衆議院の解散総選挙と、文字どおり選挙の年と言われる95年も間近です。
私たちは、県政をだれかに与えられるものではなしに、みずからのこととして考え、参加し、支えていく政治にと常に主張し、具体的な施策の提言も含めて行動してまいりました。
先日、近江八幡市に近畿2府4県の代表が集まって催された近畿ブロックボランティア研究集会でのことを御紹介させていただきます。
ある分科会の席上で、「21世紀には人口の25%が高齢者になるとされており、国民の3人で1人の老人の面倒を見なければならない大変な時代が来るような言われ方をしているが、正しいのだろうか。私は77歳だが、手話や要約筆記のボランティア活動をしている」との発言がありました。座長が「そうですね。健康なうちは高齢者でも他の人を支えていくことができますね」と話を進めようとしますと、別の人からは「それは違う。健康でなくてもできることはある。私は入院をしているときに同室の患者さんの面倒を見ていた」。また、隣の人からは「私は体が弱かったが、人の世話をするようになって元気になった」と発言が続きました。次には松葉づえを持った青年が立ち上がり、「僕は障害があって人を介護することはできないけれど、幸い声が出せるので、歌声のボランティア活動をして老人ホームや障害者の施設を回っている」と話し始めました。会議の流れは、高齢者でも、病弱でも、障害があっても、その人のできることで参加していけば、世話をする人と世話を受ける人との固定的な区別はなくなる。文字どおり人と人が支え合い、等しく暮らしていける社会ができるといった方向に話し合いが進んだのだそうでございます。
私たちの目指す地方自治とは、県においても、市町村にあっても、そこに住む人々が自分のこととして考え、それぞれの置かれた立場から参加し、担っていく政治であります。私たち県民連合は、滋賀で培ってきた、働く者、生活者の立場からの政治参加の思いを県政に反映し、稲葉県政を支える責任ある役割を果たせるよう、これからも結束し、邁進する所存でございます。
以下、当面の8つの課題について質問をいたします。
まず、県財政の将来展望ならびに新年度予算編成についてです。
平成7年度予算編成への取り組む基本要領を依命通達によって各部局、教育委員会、県警本部等の各行政委員会および企業庁等々に指示され、目下その指示に基づいて予算編成作業が進められているところであります。この指示されました基本的な考え方などにつきましては、異論を挟む余地はありません。私ども県民連合は、県議会4派協議会として、各市町村を初め各種団体等の意見や要望の取りまとめを行うなど、精力的に取り組んでいるところでございます。
財政環境が国、地方を通じてますます厳しさを増す昨今でありますので、21世紀ビジョンなどの長期構想や県政推進の理念として掲げる淡海文化の創造に向けた諸施策の確実な推進、ますます多様化し増大する県民要望にこたえることはまことに至難な状況にあることは言うまでもありません。ことしもまた従前に倍加する御苦労の多い予算編成と相なりますが、さきの依命通達に敷衍して、知事および総務部長の御所見を伺いたいと存じます。
その第1点は、平成不況と県内情勢についてであります。県は今日まで、国に呼応し、あるいは県独自の不況対策に積極的に取り組まれてきたと私どもは評価をいたしております。
経済企画庁は去る11月17日、平成不況は1991年5月から93年10月までの30カ月間で、オイルショック不況の36カ月に次ぐ戦後2番目の長さの景気後退であったと判定しました。実態経済は1年も前に低迷期を脱していたことになります。
政府は、昨年6月に景気底入れ宣言をしたものの、その後の冷夏、長雨、円高、ゼネコン汚職などで景気が腰折れし、宣言撤回に追い込まれた苦い体験がありますし、本年9月のこのところ明るさが広がっており、緩やかながら復帰調との回復宣言も、私どもにはそうした実感がありません。9月中間決算がほぼ出そろい、猛暑効果や企業のリストラによる経費削減効果などで企業成績は増益に転じた、91年春に始まった平成不況は企業収益の面からも出口が見え始めたとマスコミは報じておりますし、私どもが心配しておりましたこの10月末の県税調定状況を見ましても、そうした傾向は示しております。
しかし、中小企業や勤労県民には依然として回復感を肌で感じることはありません。県中小企業情報センターの冬のボーナス予測調査では、2年連続で前年支給実績を割り込む見通しであることからも、景気が回復基調に乗ったとは到底言えない状況と言わざるを得ません。県教育委員会が県内高校生に対する求人倍率が景気低迷のあおりを受けて5年ぶり1けた台であるとの調査結果を明らかにしたことによっても、大変暗い状況にあると言えます。
知事は、この平成不況の現状をどのように認識されているのでしょうか。県内情勢について御所見を伺いたいと思います。
また、総務部長から、本年度の税収見込み、その延長線上における新年度の展望について所見を伺いたいと存じます。
次は、県財政の将来展望についてであります。このことは、新年度予算のあり方と極めて深いかかわりを持つ問題だと私ども県民連合は認識をいたしております。
稲葉県政は、県民各界各層の幅広い期待と支持の中で県政の推進に当たってこられまして、今3期目の前半期に位置しております。振り返って見ますと、前県政の後半から今日まで、本県は巨額の経費を投入する、いわゆる箱物的施設がどんどん進められてまいりました。長浜ドーム、びわ湖子供の国、安土城考古博物館、県立武道館、長寿社会福祉センター、水環境科学館、
UNEP国際環境技術センター、そして琵琶湖博物館、県立4年制大学、びわ湖ホールへと進み、さらにリゲインハウス、公共公益施設へと、とどまるところを知らない勢いにありますが、これらは地域均衡の要求を伴うだけに、この勢いは方向転換や急停車を大変困難なものにしているのではないかと大きく危惧するところでございます。
いわゆる箱物的施設の建設、推進の方向には、本県財政に赤信号印を点灯していると私どもは強く認識するものでございます。なぜそんなに急ぐのか、県財政は大丈夫かという声が存在することに、私たちは謙虚に耳を傾ける重要な時期に来ている、少なくともこの問いにきちんと答えなければならないと私どもは考えるのでございます。
びわこ空港の実現に投入する費用は、一般的な予想をはるかに超える巨額になると私どもは常識として認識いたしております。これらの事業に要する経費は大きく、今後の県財政に重くのしかかってまいります。私ども県民連合は率直に申し上げまして、県財政の将来展望に相当の危惧を持ちながら、これらの諸施設の推進を是とし、知事与党として協力してまいりましたし、今後においてもその姿勢に変わりはありませんが、ここへ来て、例えば、びわ湖ホールの場合、構想計画段階からその執行体制に専門家を欠き、外部依存している等の問題、予想される運営管理経費が年間20億円を大きく上回るなどの状況から見まして、この種、各施設の起債償還を含む財政負担、びわこ空港の実現に伴う県財政への影響等々財政見通し、財政計画をどう持っているのかについて明らかにすべき時期であると思料するものでございます。
これらの大型事業に要する財政負担のしわ寄せが直接県民にかかわる諸施策、福祉や教育や生活環境の充実に手が回らなくなる、そうした心配や不安は杞憂にすぎないと考えるには余りにも深刻な状況にあるのではないでしょうか。もちろん、それぞれの事業については、特定財源が確保され、あるいは措置されることは承知するものでありますが、本県財政を中長期的に健全性を維持する中でますます多様化し増大する県民要望にこたえるには、常に県財政の弾力性が確保されていなければなりません。精いっぱいでとても財政の弾力性など望むべきもない事態となることを私たちはおそれるのでございます。
知事は、今議会冒頭の所信表明において、これまでのようによいものは何でもやっていこうという姿勢から180度転換し、生活重視、地域重視の視点に立って、滋賀として今やらなければならないことを一つ一つ検証をしながら厳しく選択せざるを得ないと明言されているのでありますが、既定事実化している大型施設の取り扱いは、言うはやすく行うはかたし、大きな勇断を必要といたします。
以上ますます厳しさを増す財政環境のもとで、知事は財政の将来についてどのような所信を持ち、どのように運営されるのか、伺うものでございます。
次は、びわこ空港についてです。
産業の空洞化現象は我が国にとって深刻さを増してきており、また一方では全国各地で高速交通基盤の整備が進行してきており、本県のかつての交通の要衝としての優位性は薄れてきつつあります。そうした中で、新たな時代に向けて、社会、経済システムは着実に動いているのであり、産業経済界にとって一日も早い空港実現のシナリオが見えることが望まれており、あわせて人、物、情報の交流の時代に向けた地域振興のかなめとしての基盤が存立するかどうかがこれからの地方の活力の正否を左右することは明白であります。
びわこ空港の整備については、そうした大きな期待を担ったものでありますが、地元においては、払い切れない不安と悩みの中で、長年にわたって御苦労をいただいておりまして、その解決のためには、空港と地元がどう共生できるのか、将来に確たる展望が見えるのかであり、具体的に県はどのような形でこたえることができるのかであります。
さらに突っ込んで申し上げますならば、空港が立地することにより、周辺集落の所在する位置によって将来の発展に格差が出る心配があるということです。確かに表と裏の問題は議論がされ、地下横断道路や臨空都市センター構想が示されたのでありますが、もう一方、飛行直下となる地域にお住まいの方々が心配されていることは、飛行直下地域が陰となる心配であります。県として、こうした地元の不安にはどういう考えをお持ちなのかであります。そうした対応ができてこそ、空港周辺地域の皆さんの前向きな論議が期待できるものと考えます。
昨年知事が示されました話し合いを通じて解決策を見出していくとする地元理解を重視する思いが関係者にも理解を生み、話し合いの方向が見える形となってきたのであり、多少時間がかかっても、きっちりした、納得のいただける話し合いが望まれるのであります。空港整備推進本部長である岩波副知事の積極的な御答弁を求めるものであります。
3番目は、びわ湖の水位低下についてです。
ことし9月15日にびわ湖の水位はマイナス123センチメートルという平成のびわ湖大渇水、歴史的な渇水事態が生じ、9月の定例県議会では、被害状況やその対策、今後の管理方針など取り上げられ質疑が交わされたところでありますが、その後、10月、11月とも降水量は平年の28%、53%しか降らず、きょう現在、びわ湖の水位はマイナス87センチメートルになりました。当初より多少の予測はされていましたが、やはり、びわ湖の水位は大変心配される状況を呈しているのであります。以前にマイナス123センチメートルを経験しているため、この程度ならまだ大丈夫という麻痺状態になっていないかを危惧するものであります。
そこで企画部長にお尋ねいたしますが、今日の水位低下についてはおおむね予測された数値なのかどうか。予測以上に水位低下が進んでいるとするならば、どのような対策、プログラムをどのように組もうとされるのか。この冬場における水位低下は、夏季に比較して、水質や生態系、産業への影響は少ないかもしれないと思いますが、実態はどうなのでしょうか。今後、降雪の季節に入りますが、これからの降雪、降雨量によってはどのようなことが予測され、どのような事態と対策が必要と考えておられるのかをお尋ねいたします。
次に、環境基本条例について基本的な事柄をお尋ねいたします。
近年の環境問題の複雑化や影響規模の広域化に対処し、深刻さを増す地球規模での環境問題解決を目指した1992年のブラジルでの地球サミットを契機にして、我が国での環境基本法は1993年10月成立を見ました。公害対策や環境保全のために、国の施策や政策制度についての基本理念と基本方針を定めた法律として従来の公害対策基本法にとってかわる、いわば環境憲法としての位置づけを求められており、これまでの所管省庁のばらばらな公害関係法による施策対応のおくれや未解決事項についての前進に期待が寄せられているところであります。
環境基本法は国に対しての責務として、3つの基本理念、1、環境の恵沢の享受と継承等、2、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等、3、国際協調による地球環境保全の積極的推進に基づく基本的で総合的な施策の実施を図るため、環境基本計画を定めなければならないとしています。基本計画でありますから、他の行政計画に比べて環境の保全に関しては施策的に優先するべきものでありますが、総合調整官庁としての環境庁所管による計画ということであり、環境庁に限られた権限事項としての他各省庁所管の計画と同列の計画として位置づけされてしまえば、せっかくの環境と開発の統合という精神は発揮されることなく、極めて有効性の乏しいものに転ずると言われております。
琵琶湖総合開発を経験している私たち滋賀県は、計画のそれぞれの段階で自然環境保全の方向性を増す計画へと推移してきた経緯があります。それでも、景観論議から生態系論議に至るまで相当な時間を費やさなければなりませんでした。環境先進県を自認する滋賀でこのような状況でありますから、今や日本列島は糖尿病的になり、おいしいものだけを食べるだけ食べて、適切な体力づくりに欠けた状態になってしまいました。
環境政策を進めることは非常に幅の広い分野にまたがるものでありますが、我が県ではびわ湖の環境保全に象徴できる施策展開となることはやむを得ないとして、さきの7月定例会の企画部長答弁でも、びわ湖の生態系を守るために実施する諸事業すべてをひっくるめて、さらに近畿圏全体の国家的な共通課題としてのびわ湖の保全管理のための制度創設を国に求めていくとされています。このことは、いわば滋賀県民すべての希望であり、日本の貴重な宝のびわ湖を守り育てる滋賀県民の誇りと実行力を国にぶつけて強力な要望活動の展開が望まれるところであります。
環境基本法はまた、自治体に対しては、環境基本条例を定めて、1点目に、環境を保全するための国の施策の具体的な実施、2点目に、地域の自然や社会の条件に応じて自治体独自の計画を立てそれの実施を図ること、3点目は、地球環境の保全等に関する国際協力のために活動することを自治体として推進することとしています。
そこで、知事に伺います。環境基本法は、これまでの公害、環境関係法を統合整理し、個別的、対処療法的、規制中心的なものから、総合的で予防的かつ規制に加え管理的で経済的手法も取り入れられています。さらには、地球的な視点にも立つものとして少なからず進んだ評価も得ているところであります。先日発行されました平成6年度版滋賀県環境白書は、手にとりページを開いてすぐわかりましたけれども、ヨシを原材料にした非木材紙を使用したものに変わっており、少々高くついても環境保全に先手を打とうとする県環境室の意気込みが直接伝わってくるものです。環境基本法の制定によって我が県の環境保全をどう前進せしめ活用されるのか、知事の所信を伺います。
次に、国民が良好な環境を享受する権利としての環境権については、環境基本法には明記がされておりません。お隣の韓国を初め、イタリアやオランダなどでは憲法で定め、世界の潮流として認められています。片や、環境権が明記されていない日本で、びわ湖を守りぬく滋賀県知事として、アメリカの幾つかの州に見られるように、県で定める条例に環境権を盛り込まれる意欲の披瀝を求めるものであります。
また、環境アセスメントの法制化を初め、情報公開、住民参加といった面でも弱さがあるとの指摘があります。計画アセスメントについては、制度化の検討がなされて久しいのでありますが、何としても環境先進県としての誇りの持てる、他の自治体にはおくれをとらない、内容の充実した独自施策としての環境主義を貫く基本条例の制定を求め、知事の所信を伺いまして、次の質問に移ります。
本県における救急医療体制は、昭和39年から救急患者受け入れ医療機関の告示制度に始まり、さらに昭和52年度から、初期から第3次に至る体系的な救急医療体制が図られてきたところであります。すなわち、救急医療機関の基盤となる外来処置が可能な軽症救急患者の救急医療を確保する初期医療体制と、また重症救急患者の医療を確保する第2次救急医療体制、さらに重篤救急患者の最後のよりどころである第3次救急医療体制として県下に2カ所──大津日赤と長浜日赤の救命救急センターが整備されております。
しかし、第3次救急医療体制が整備されて以来10年以上が経過しており、この間における本県の人口は、全国的にも人口急増、県として特に湖南、甲賀地区等において都市化の進展や社会環境や疾病構造の変化、さらには人口の高齢化等に伴い、現在の2カ所の第3次救急医療体制、救命救急センターの体制による診療範囲では十分な対応がし切れない状況にあります。また、厚生省においても、従来はおおむね人口100万人に1カ所の救命救急センターの設置でありましたのが、平成5年1月、救命救急センターの設置についてはおおむね人口30万人以上の2次医療圏での設置についても補助対象とするという弾力的な運用方針が示されたところであります。
こうした状況から、本県においては、国の動向も踏まえて、滋賀県にふさわしい効果的な3次救急医療体制のあり方について検討するため、今年7月、滋賀県救急医療体制検討委員会が設置され、今日まで鋭意検討が重ねられてきたところであります。そして、検討委員会では、本県の救命救急センターの拠点の拡大については、県保健医療計画に基づき、人口30万人に1カ所を目標に、県下で4カ所の整備を図ることが必要であるとの報告をまとめられたやに伺うものであります。
私たち県民連合は、疾病構造の変化や人口の高齢化等に伴い、いつでも、どこに住んでいても、身近なところで安心して医療が受けられるような救急医療体制の充実を求めるものであり、早急に体制整備を図るべきであると考えるものであります。設置に当たっては、県の将来の人口フレームや21世紀を展望し、人口や地理的条件、地域間バランス、搬送時間や今日における救急搬送人員の実態を勘案し、将来展望に立って緊急を要するところから順次整備を進めるべきだと考えるのでありますが、新しく設置を予定されています場所ならびに時期についてはどのように計画されているのか、伺うものであります。
なお、救急医療ならびに救命救急センターの設置は、本来ならば県において整備することが望ましく、また県民の期待も大きいものでありますが、効率的な観点から、病院の規模と医療スタッフのそろっている公的病院に併設整備が図られてきている経緯を理解するものであります。
救命救急センターは不採算性が強いということでありますが、その対応についてもお伺いをいたします。
また、重篤救急患者を救命するためには、可及的速やかに治療を要することから、搬送機関においても、救急救命士や高規格救急車の配置の充実を図るとともに、特にヘリコプターの導入が必要であります。平成5年3月、消防庁では、各都道府県において平成10年までに航空消防防災体制整備としてヘリコプターの導入を示したところであります。滋賀県においても、人口の高齢化、山村僻地や豪雪地帯等を有しており、緊急救命時等にはヘリコプターの活用が必要であります。
平成7年度政府予算編成に当たっての航空消防防災体制の整備として、ヘリコプターの導入を要望されたところであります。ヘリコプターの導入時期を含め、推進計画について伺うものであります。あわせて、救急救命士の養成など増員計画と高規格救急車の配置の現状と今後の増車見通しについても伺うものであります。さらに、過去における本県の防災、救急等でヘリコプターの出動を要請された実績としてはどのようなものがあったのか、参考までにお聞かせ願いたいと存じます。
なお、3次救急医療体制は、基本的には県で整備することが望ましいものでありますが、県立病院は成人病や小児疾患の特殊な専門医療機関としての役割を果たしているところであり、高度な専門医療機能を有しており、救急医療の分野においても3次救急医療を補完することも重要な役割であり、それぞれの3次救急医療機関等との連携を緊密にしていくことが重要と考えます。
なお、成人病センターは、高度な専門的な治療を行う病院として評価も高く、特に循環器系の専門病院としてのより一層の充実強化を図られるよう要望するものであります。
以上の諸点について、それぞれの所管に基づいて健康福祉部長ならびに生活環境部長の所見を伺います。
次は、高齢化対策の推進についてです。
県内50市町村の高齢者保健福祉計画はことし3月までに策定され、今年度はその推進を図られてきたところです。そして、高齢者施策を直接所管する市町村からは、新年度予算編成に当たり、国に対して財政的支援と人材の育成などを強く要望されております。
2000年までにそれぞれの計画が実施されて、県内どの市町村に住んでいても、高齢者の生活が健康で充実し、その人らしい暮らしを全うできるように図らなければなりません。目標年次まであと6年しかありませんが、この計画を絵に書いたもちにしてしまっては、より高齢化率の高まる21世紀を乗り切ることはできません。財政事情が厳しいことも皆共通の背景である今日、県として市町村へ指導、支援を適切に行うと同時に、県独自事業も拡充すべきだと考えまして、健康福祉部長に以下お尋ねをいたします。
先般、市民、県民も参加しながら、私たち自身が迎える高齢化社会を積極的に生きようと、地方自治研究センターにより、各市町村の高齢者保健福祉計画そのものの検討、研究が行われました。その観点は、行政が高齢化社会の課題を十分理解し、人材を投入し、前向きに取り組んでいるかどうか。行政がふだんから高齢者のニーズを的確に把握しているか。行政の各種福祉保健医療の制度やサービスが広く市民にPRされているかどうか。行政の各種福祉保健医療の制度やサービスが実際に機能しているかどうか。高齢者が自分に合ったサービスの選択ができるかどうかが一番大切なことではないかの5つの観点と80項目にも上るチェックを市民サイドからと行政サイドから実施されました。
細部にわたる結果を披露する時間はありませんので省略いたしますが、高齢者保健福祉計画の趣旨が策定段階から市民とともにつくるということであったにもかかわらず、そのように理解している自治体が少なかったのです。計画書を通して住民に情報を公開し、高齢化社会の重要性に気づき、住民と行政がともに汗を流して21世紀に備えるため、熱心な論議も交わされました。その貴重な調査や意見を参考にさせていただいて質問をいたします。
1点目は、計画を実施に移すには、各自治体内での保健、福祉、医療、土木、教育、財政などの連携がまず必要です。従来の縦割り行政、セクションごとに持ち場だけの仕事を例年どおり消化するという姿勢では、保健、福祉担当者だけに重荷がかかり、計画の推進と実効が十分期待できません。各所管とのネットワークの強化に加え、市町村に対する指導強化を図るべきではありませんか。
2点目ですが、特別養護老人ホームはもとより、老人福祉センターの建設などは多額の財源を必要とするわけで、財政基盤の弱い町村では実現困難な事業の1つです。しかも、そういった町村はどちらかといえば高齢化率も高いのですから、その地域になくてはならない重点的、拠点的施設を早く設け、広域でも利用可能な施設との調整を図るべきです。その指導を県が親身になって行うべきではありませんか。
3点目、高齢者施策は当然のこととして、高齢者自身の意思を尊重され、家族の希望も酌んだ形での必要なサービスを必要なときに選択ができるように整備し、さらに充実させていかなければなりません。行政等のサービスメニューには、自助、公助とケース・バイ・ケース、いろいろな形がありますが、そのメニューについて本人や家族ならびに地域の人々に十分に知識として理解してもらっていかなければなりません。そのためには、高齢者保健福祉計画について広報を図る、各種の具体的サービスをわかりやすく知らせる、利用や相談の窓口の一本化を図る、窓口には福祉のプロを置く、医療機関にもメディカルソーシャルワーカーなどを設置させる等対応を図り、例えば、各施設の入所手続などにおいて、高齢者である本人や家族に県や市町村の窓口や施設のたらい回しがあってはなりません。県としては、市町村や圏域の垣根を越えて広く県民に知らせ、あらゆる機会を通じて健康福祉の理念や土壌を育成すべきだと考えますが、高齢者施策のソフト面について健康福祉部長の所信を求めます。
4点目は、ほとんどの自治体で来年の国勢調査の後見直しを図るとしていますが、それを待つまでもなく、計画の推進に当たっては、目標達成のための年次計画、財政試算、ホームヘルプサービスや給食サービスの24時間365日体制、介護機器の利用やリハビリによる残存機能の維持、促進等に関して研究推進を図るべきではありませんか。その際、利用者に直接関与する職員や専門家による検討は言うまでもありませんが、利用者およびその予備軍であります市民の参加が必要です。現在、家庭介護の担い手の90%が女性という中で、とりわけ女性の参加をせめて50%にすべきだと考えますが、部長の答弁を求めます。
次は、建築基準条例の一部改正に関連してです。
去る9月県議会において議決されました住みよい福祉のまちづくり条例に引き続き、高齢者や障害者、妊産婦などの人々に利用しやすい施設を求める建築基準条例の一部改正を提案されました。
もともと建築基準条例が持つ法の精神、すなわち、いかに人々が安全に暮らしやすいか、そのために災害等に強い建築物はどうあるべきかという思考を前提とするものと、障害者や高齢者、妊産婦に対して利用しやすく、優しさを求める建築物とでは少し目的に落差があるかもしれませんが、先般公布をされました住みよい福祉のまちづくり条例が、罰則規定もなく、強制力を持たず、事業者や施主に向けて理解と協力を求める条例でありますだけに、このたびの建築基準条例の改正には、県の強い指導力を持つものだけに大きな期待を持っておりましたが、対象建築物を含め、この程度の内容しか盛り込めなかったのかという気落ちはぬぐい去れません。高齢社会を迎えた今日、今後圧倒的に増加するであろう高齢者、そして障害者などの人々が利用しやすい建築物の構造とレイアウト、とりわけ高齢者向けの階段部分、施設内に避難場所を兼ねた休憩場所、オープンスペースの確保、トイレ等の改善にもう少し踏み込めなかったのでしょうか、お尋ねいたします。
同時に、ハートビル法──高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の第4条の指導、助言ならびに指示等に関する知事権限に基づいて、その実効性を確保するため、具体的にどのように取り組まれるのか、土木部長に問うものであります。
次に、現行の滋賀県福祉環境整備指針についてでありますが、今日まで整備指針に基づく福祉の環境整備の成果はどうであったのでしょうか、お尋ねいたします。
この滋賀県環境整備指針と住みよい福祉のまちづくり条例ならびに建築基準条例との関連についてでありますが、このたびの2条例の制定、施行によって、環境整備指針が大きくクローズアップされてこなければなりませんし、生かされなければなりません。いわば、整備指針は滋賀県の福祉行政、福祉施策としての施設、公共事業面における福祉の根底をなす精神、心根であるということでなければならないと思考するものです。現行の整備指針から福祉条例の精神にのっとり、さらに充実し、きめ細かく実効性のある規則が生まれなければ意義がありません。この点に関して、時期等を含め、健康福祉部長に所信を求めます。
次に、この条例の精神を生かし、福祉整備指針を進めるためにも、福祉担当の意見が十分に生かされるシステムづくりが不可欠でありますが、土木、福祉、市町村等との調整機能はどこの所管で行うのかが重要であり、どのようにコーディネイトしていくのかが大切だと思います。この点について見解をお伺いいたします。
次に、工事現場における第一線の担当者が福祉整備指針とか条例の施行に当たり、福祉の専門家でないことで細部のことがよく理解できていず、点字ブロックの色彩とかスロープ等の位置、長さなど細かい点についての指導指針もなく困っていると聞き及んでおりますが、実態はどのようなのでしょうか、問うものでございます。
次に、この福祉整備指針と景観条例との関係ですが、ブロック等の色彩および形状などに関して、景観優先か福祉優先かと判断が求められることもあることと思いますが、この点についての判断基準を徹底しておかなければならないと考えますが、見解を健康福祉部長に問うものであります。
最後に、減反ならびに農薬の空中散布についてです。
まず、減反について伺います。
昨年の凶作で農林水産省は平成6年度、7年度の減反面積を7万6,000ヘクタール緩和して60万ヘクタールの減反面積としました。これによって、平成7年10月末政府在庫米66万トン、平成8年10月末で130万トン確保する計画を策定したのであります。
ところが、ことしはお米が大豊作ですから、平成7年10月末には国産米だけで150万トン以上となり、このまま推移すると、平成8年10月末には国産米の在庫だけで200万トンをはるかに超え、その上緊急輸入米が10月末で約98万トン売れ残り、さらに平成7年度からはミニマムアクセスの受け入れによって40万トンの米が輸入されるため、来年10月末の持ち越し在庫米は250万トンを超えることは確実となってきたとされております。
この影響によって国産米の価格は値下がりが続いておりますが、その原因は、言うまでもなく、ことしの国産米不足に便乗した早場米の値上げを抑制するということを口実として、需要を上回った米の緊急輸入を行ったことにあり、その責任は政府にあります。
農林水産省は、このように輸入米、国産米の過剰在庫が引き金となって国産米の値崩れがこれ以上続けば、新政策も、ウルグアイ・ラウンド合意の国内対策も、足元から崩壊することは必至であることから、来年度の国産米の減産を平年作で65万トン程度を見込み、その減反強化面積13万ヘクタールを農業団体に押しつけているのであります。この減反強化を拒否すれば米の値崩れに拍車がかかることを見越した減反政策でありますが、従来の罰則を伴った一律減反割り当てから、減反は農家の責任で行うという新制度では、減反した農家からだけ政府米を買い入れ、しかもその買い入れ量は政府の備蓄に見合った量に限定されるという農家にとってはダブルパンチの政策であります。
このように新しい減反政策は、政府の計画を超えて米を生産し、その量が余れば米価は確実に下がり、水稲生産は壊滅的打撃を受けることは避けられません。また、米は日本民族の主食としてのその自給率を高めなければなりませんし、食糧安保、国土保全の観点から、市場原理が優先するものとして扱うことを許してはなりません。
さて、このような農業情勢のもとで、本県の減反についてお尋ねいたしますが、ことしの水稲収穫は、10月15日発表では、本県の場合、作付面積4万7,400ヘクタール、収穫量24万8,900トン、10アール当たり525キログラムで作況指数106、対前年比119%と報じられております。
農林水産省は、本年および来年度の減反面積を7万6,000ヘクタール減らし、60万ヘクタールとしましたが、来年度分からは逆に13万ヘクタールふやして減反面積を73万ヘクタールにしようとしているのであります。この強化減反面積13万ヘクタールのみで65万トンの米の生産を減らすという掛け合わせの単純計算では、10アール当たり500キログラムの数字になります。
この数字は、本県の作況指数106、10アール当たり525キログラムを少し引き下げた数字とよく似た数字を示しておりますが、本県の場合、4万7,400ヘクタールの作付面積を基準として、どの程度の減反面積を見込んでおられるのか。また、減反は農家の責任とされていますが、農林水産省は、従来の麦や大豆などに切りかえる転作減反から、転作以外に米をつくらない水張り減反を採用することが検討されているようであります。本県は今後の減反調整にどのようにかかわりあっていかれるのか。私ども県民連合は政府方針を強く批判する立場であり、本県の農業を守るために英知を絞り、本県独自の農政を展開すべきでありますが、農林水産部長の方針を明らかにしていただきたいのであります。
次に、農薬の空中散布についてであります。
現在は、無農薬ないし減農薬栽培、あるいは有機栽培など自然環境や動植物の生態系、人間の生命、健康の視野から、地球に優しい農業のあり方が問われていることは御存じのとおりであります。しかし、私たち人間の食生活の上で、農産物の量的生産は必要欠くことのできないものであります。そのために、農産物の生産に農薬が担っている役割を否定することはできませんが、びわ湖の水、河川や土壌の汚染に対して、私たちは英知を集めて防がなければならないのであります。本県の環境滋賀のイメージとその取り組みは高い評価を得ております。その本県で、稲作にヘリコプターによる農薬の大量空中散布は、都市住民との混住化が進む農村地域では生活環境の農薬汚染の追及の声として無視できないものがあります。
農林水産部長にお尋ねいたしたいのは、本県でヘリコプター空中散布を実施している市町村、実施していない市町村それぞれの現状とそれぞれの実態をどのように把握しておられるのか。県内総計した場合、年度別には空中散布の農薬使用量は確実に減少し、散布面積は確実に縮小しているのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。
また、私どもの調査では、近畿で稲作にヘリコプターによる農薬の空中散布を実施しているところは滋賀県のみということであります。平成3年でやめた兵庫県では、一部ではありますが、無人操縦の小型ヘリコプターの導入によって適所有効の農薬散布で他所への農薬飛散の影響をなくしていく方途が講じられていると報道されていますが、本県の場合、環境滋賀のイメージからも農薬の空中散布を見直す必要があろうかと考えるものでありますが、農林水産部長の所信を求めたいのであります。
以上、これをもちまして私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(黒川治君) 12番沢田享子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)沢田議員の県民連合代表質問にお答えをいたします。
まず、平成不況の現状についてでありますが、冒頭の提案説明でも申し上げましたとおり、最近の景気回復に向けた動きは、本県においても経済指標の一部や県内企業の景況感等にその片りんがうかがえるところでありますが、従来の景気回復期と比べまして、その動きは極めて緩慢であります。特に、県内総生産の約半数を占める製造業では、長引く不況に加え、円高進行などに対処するため、リストラはもとより、部品の海外調達や海外進出など、それぞれの企業において経営努力がなされていると承知しております。一方、雇用情勢は、有効求人倍率がここ数カ月やや上昇傾向にありますものの、製造業を中心に新規学卒者の採用抑制など依然として厳しさが続いており、また心配をされる企業の倒産動向も、10月時点で過去最高の倒産件数を記録いたしました。年末に向けてさらに増加するのではないかと、その動向が気になるところであります。
このように、一部に明るい兆しも見え始めましたが、円高影響や雇用情勢、倒産件数などの不安材料もありまして、総じて判断いたしますと、県内情勢は残念ながらまだまだ厳しい状況下にあり、今後も一進一退の動きが予測されますことから、引き続きその動向に注視していかなければならないというふうに考えております。
次に、新年度の予算編成に関連して、今後の財政運営についてのお尋ねでありますが、これまでも県政運営の基本指針であります湖国21世紀ビジョンの推進に当たりましては、年々変化する経済情勢あるいは県民生活を踏まえつつ、健全な財政運営を念頭に置き、計画の保留や次年度に見送るなど、財源をにらみながら必要な調整を行ってまいりました。例えば、事業が数カ年度にわたる大規模なものにつきましては、他の必要な施策に支障を来すことのないよう、財源的にも中長期的な観点から見通しを立て、事業の計画段階から、特定目的基金の積み立てや地方交付税で財源措置のされる起債の活用を図るなどをいたしております。しかしながら、現在の県税収入や地方交付税などを見ますと、景気の低迷の影響を受け、大変厳しい状況となっており、特に税収についてはかつての水準からは大きく低下した状況にあります。
このような厳しい現実を直視いたしますとき、私としましては、既定の計画だからとか、県民の皆さんに喜んでいただけるからというだけで、これまでのようにいいものはどんどんやるのだという姿勢では到底やっていけない、やはり思い切った転換が必要であろうと考えます。生活重視、地域重視の視点に立って、滋賀として今やらなければならないことを一つ一つ検証しながら、ハード、ソフト両面にわたって厳しく施策を選択し、また中長期的な観点から県債残高や投資的経費の動向を見込み、さらには毎年度の国の地方財政対策等にも十分留意しながら、計画的、効率的な財政運営を積み重ねることによりまして、財政の健全性、弾力性を確保してまいりたいと考えております。
次に、環境基本条例についての御質問にお答えいたします。
私たち人類は、地球という限られた環境の中で、環境の恵みを受けながら生活を営んでおります。その環境は人類を含むすべての生物の生存基盤であり、この環境が人間活動の結果、かつてない勢いで大きく変化しており、人類の生存そのものがおびやかされつつあると言っても過言ではありません。
このような中で、この恵み豊かな環境を守り、次の世代に引き継ぐことは、私たちに課せられた大きな責務であります。この責務をどのように果たしていくか、その道筋を描いたのが環境基本法であると認識しております。本県がこれまで講じてきたびわ湖を初めとした湖国の環境保全のための施策は、まさに環境基本法が求めるものの一部を先駆的に具現化してきたものであると考えております。
次に、環境権につきましては、現在法解釈上もいろいろと議論されておりますが、要は、環境を健全で恵み豊かなものとすることによって、人間の健康で文化的な生活を保障し、現在および将来の世代の人間がこの環境の恵沢を享受することができなければならないということであろうと思います。
ただ、この言葉を条例に具体的に書き込むとなりますと、当然そこには立法論的にも議論がございますし、本県にふさわしい理念としてどう表現できるか、今後、各界の御意見もお聞きしながら検討してまいりたいと存じます。
次に、環境基本条例の制定についてでありますが、私としましては、単に抽象的な理念だけを並べた宣言的条例でなく、例えば、さきの環境滋賀の未来に向けてと題する琵琶湖保全制度検討委員会の提言に示されております開発や計画の初期の段階でアセスメントを実施する環境調整制度、びわ湖へ流入する汚濁物質の総量を継続的に削減するための経済的手法を含む総量管理制度、さらには県民の自主的、主体的な参加に基づく環境保全活動の推進等を盛り込むなど、これからの環境政策の基本となるものを内外に示す滋賀ならではの条例にしたいという気持ちを持っております。現在、検討段階の域を出ておりませんので、なお事務的に十分詰めさせていただきたいと存じております。
◎副知事(岩波忠夫君) (登壇)びわこ空港の飛行直下地域への対応をどう考えているかとの御質問にお答えをいたします。
びわこ空港の立地によって、さまざまな形で御迷惑をおかけすることになります地元の方々に対しましては、騒音や事故、生活環境の変化などの不安を解消するための対応策についてより具体的にお答えしていくことが今後の話し合いの基本であると認識しているところでございます。
一口に空港周辺地域といいましても、空港本体との位置関係によって、その影響度合いもおのずから差異がございます。その状況に応じて、住宅の移転をお願いする地域もありますし、また防音工事をお願いする地域もございます。中でも、とりわけ飛行直下の地域におきましては、空港によって周りの地域は発展するのに、自分たちのところは取り残されてしまうのではないかといった地域の将来についての不安を持つ住民の方々も多く、県としてこれにどうおこたえしていくかということが課題でございます。
そういった視点からは、地元の皆さんに不安を取り除いていただける生活環境づくりと相まって、さらに前向きの地域づくりといった取り組みも必要であると考えております。そうした事例として、先進空港では、企業の誘致なり、あるいはフライト農業の創設とか、あるいは運動公園整備によるにぎわいづくりだとかいったいろいろな取り組みもございます。県としましても種々検討はしておりますが、やはり地元の皆さんの御意思がどのようにまとまるのか、必要な用地は提供していただけるのか等々について、今後の話し合いに待たざるを得ない面が多くございます。
県としましては、単に空港機能のみが稼働すればよいということではなくて、御指摘の視点も踏まえまして、今後さらに庁内での議論はもちろん、蒲生町、日野町、あるいは地域の方々もまじえての議論を深め、具体のものとしてまとめていきたいというふうに考えております。
◎総務部長(今仲康之君) (登壇)税収に関する御質問にお答えいたします。
まず、平成6年度の税収見込みについてでありますが、これまでの税収の状況といたしましては、税目によるばらつきはありますものの、県税全体としては当初予算の見込みをやや上回る水準で推移をいたしております。中でも県民税利子割は堅調な伸びを示し、当初予算額を上回る見込みとなっておりますので、今回増額補正をお願いしているところでございます。県税収入の12月以降の見込みについては、なお不透明な点もあるため、現時点ではまだ確かなことは申し上げられませんが、予算で見込みましたものは確保できるものと考えております。
次に、来年度の見通しにつきましては、税収を大きく左右いたします経済動向に関しまして、経済企画庁の11月の月例経済報告では、引き続き明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっているとされ、また企業収益には総じて持ち直しの兆しが見られるとされております。
本県の法人二税の税収は、平成2年度がピークで、平成3年度以降4年連続で低下してきておりますが、法人二税は企業収益の動向に直接影響を受けますので、企業収益に持ち直しの兆しが見えてきたとすれば、地域の状況によってはどうかという点はありますものの、その税収の低下にも歯どめがかかるのではないかと期待しているところでございます。一方、個人県民税では、個人所得が伸び悩みを示す中で、今年度に引き続いての減税が行われることとなりましたほか、その他の税目においても大幅な増収が期待できるものは見当たらない状況でございます。
こうしたことから、来年度の税収環境は今年度に比べ好転するのではないかと期待もしているところでございますが、税収が最も多かった平成3年度の決算額に比べ、平成6年度の当初予算額では約300億円の税収の落差がありますので、仮に好転いたしましても、平成3年度の水準とはかなりの差があると見ざるを得ないと考えております。景気の先行きにはなお為替の変動等の懸念材料もありますことから、今後、税収見積もりに当たりましては、国の地方財政計画における税収見積もり、本県の経済状況の推移を見きわめながら十分精査を行ってまいりたいと考えております。
◎企画部長(勝義隆君) (登壇)びわ湖の水位低下についての御質問にお答えします。
本年の夏場における異常渇水の対応につきましては、県議会を初め、びわ湖淀川流域関係者一体となった取り組みが行われる中で、幸いにも、9月の秋雨前線や台風26号による降雨によりまして、御案内のとおり、マイナス47センチにまで水位は回復し、危機的状態を脱しました。しかし、水位が大きく回復いたしましても、過去におけるびわ湖の渇水が秋から冬場にかけて起こっていることや、本年の気象状況が極めて異常であり、再び水位が低下することが予想されましたことから、引き続き滋賀県異常渇水緊急対策本部を存続設置し、びわ湖水位の状況を注視してきたところでございます。
10月以降も本年の少雨傾向は変わらず、水位は徐々に低下をいたしまして、本日午前6時現在はマイナス87センチメートルとなっております。11月中の水位低下は1日平均にいたしますと7ミリ程度でございまして、今後の降雪、降雨量によっては再び取水制限等の対応が心配されたことから、県といたしまして、水位がマイナス80センチメートルを超えた時点で県内各市町村長に対しまして節水の励行、節水PRの継続等をお願いするとともに、11月25日に近畿地方建設局の主催で開催されました会議の場におきまして、下流での節水の励行を要請したところでございます。
次に、水質や生態系、産業への影響について、この冬場における水位低下と夏場との比較についての御質問でございますが、夏の調査につきましては、関係機関におきまして調査をいたしましたが、現時点において調査結果の分析中で評価をするまでには至っておりません。また、現在の水位低下につきましても、夏に続いての水位低下であることから、夏同様に注意深く引き続き調査研究に努めてまいりますので、渇水の終息を待って影響評価をしてまいりたい、このように考えております。
次に、今後の降雪、降雨量によってはどのような事態が生じるのかとのお尋ねでありますが、12月下旬は降雨量が少なく、1月も平年並みとの予報でございまして、本年の6月以降11月までの降雨量は、9月を除き平年の11%から多くても53%でありまして、一層の水位低下が心配されることから、本日2時から開催されました琵琶湖・淀川利水代表者会議におきまして、今後における気象条件や水位の状況を十分注視し、状況に応じた適切な対応が行われるよう要請をするとともに、滋賀県異常渇水緊急対策本部長であります知事名により、琵琶湖・淀川渇水対策会議の早期開催を近畿地方建設局長に要請をしたところでございます。
◎生活環境部次長(桃野浩爾君) (登壇)救急医療体制についての御質問にお答えをいたします。
まず、航空消防防災体制の整備についてでありますが、本県においても、災害態様の多様化や救急医療の一層の充実等に対応するため、消防、防災ヘリコプターの早期導入が必要であると存じており、現在そのための調査研究を進めているところであります。御質問にもありますとおり、より速い患者さんの搬送がそのとうとい命を救うことにもつながるわけでございまして、ヘリコプター導入時の市町村の救急体制との連携などその体制整備を急ぎ、平成8年度からの本格運航を目指したいと考えております。
次に、救急救命士の養成計画と高規格救急車の配備状況ならびに今後のその見通しについてでありますが、県下の各消防本部では、救急振興財団の中央研修所へ平成3年度から順次救急隊員を6カ月間入所させ国家資格を取得させておりまして、現在13名の救急救命士が誕生いたしており、これが平成6年度末には19名になる見込みであります。また、平成7年度からは救急振興財団の九州研修所も開所されますので、これまで毎年6名程度であった研修生が平成7年度からは12名程度になり、東京、九州の両研修所で研修を受けることができるものと期待いたしております。
次に、高規格救急車の配備につきましては、県下消防本部の56台の救急車のうち、少なくともその半数に近い救急車を早期に高規格救急車にするため、平成6年度から5カ年計画でその更新計画を進めることといたしております。そうしたことから、平成6年度末には県下6消防本部において8台の高規格救急車が配備されることとなっております。
最後に、本県における過去のヘリコプターの出動要請についてでありますが、自衛隊に対し、山林火災における偵察や空中消化、雪害時の偵察や患者搬送で、昭和54年度以降6回派遣を要請いたしております。そのほか、県警航空隊では、救難救助関係で平成4年度13回、平成5年度13回、本年度は11月末で14回出動されたと聞いております。
◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)救急医療体制についての御質問にお答えします。
本県における救急医療につきましては、初期救急から医療圏ごとの第2次救急、救命救急センターによる第3次救急と体系的な整備を図ってきたところでありますが、地域によってはその体制に不十分な面もあることから、救急医療体制検討委員会において、今後の整備について検討をいただいてきたところであります。
このたび検討委員会から、救急体制は7つの医療圏を基本に総合的、体系的な整備を図ること、第3次救急医療について、救命救急センターは人口30万に1カ所を目標に4カ所体制とすること、現在の2カ所は大津・湖西地域と湖東・湖北地域を対象地域とし、新たに甲南・甲賀・中部地域を対象に2カ所を整備すること、なお、整備は緊急を要するものからとし、救急実績や人口、交通などの条件から湖南地域の済生会滋賀県病院への併設を急ぎ、次いで救命救急の需要を勘案し、近江八幡市民病院への併設整備をも検討を進めることなどの御報告をいただいたところであります。
県といたしましては、この報告に沿って整備を進めることとし、お尋ねの救命救急センターにつきましては、できれば平成8年の開設をめどに済生会滋賀県病院に整備を要請することとし、次いで近江八幡市民病院での整備を検討することとしたいと考えております。
また、救命救急センターは不採算性の強い部門でありますことから、施設の整備ならびに運営については従来同様の財政支援を行う必要があるとの検討会の意見がありますので、円滑な運営が図れるよう、国の制度を活用しながら県として財政措置を検討したいと考えております。
なお、成人病センターにつきましては、循環器系を中心に、今後とも高度専門医療の面で3次救急を補完する役割を果たしてまいりたいと考えております。
次に、高齢化対策の推進についての御質問にお答えします。
1点目の市町村老人保健福祉計画の推進体制についてでありますが、この計画は、高齢者の保健や福祉を初め、生きがい、社会参加、住宅等について必要なサービスを提供する仕組みを目指すものでありますことから、それぞれの市町村において、保健、福祉はもとより、関係部局による推進体制が必要となります。このため、各市町村に高齢者サービス調整チームを設置いただいておりますが、さらに保健福祉推進協議会を設置するなど計画の推進体制をつくるよう指導しているところであります。
2点目の施設整備についての県の調整でありますが、高齢化が著しい町村では人口規模が小さく財政基盤も弱いところが多いことから、施設の整備に当たっては、可能な限り各種施設の合築を勧めるとともに、特別養護老人ホームや老人保健施設等の拠点施設については、湖国しが新ゴールドプランに基づき各保健福祉圏域ごとに計画的に整備されるよう、県の福祉事務所や保健所が中心となりまして、圏域ごとの福祉サービス連絡調整会議等の場や個々のケースに応じた積極的な指導に当たっているところであります。
3点目の高齢者施策の広報や窓口についてでありますが、高齢者の保健福祉は住民に最も身近な市町村が実施主体となってサービスを提供することとなりますので、市町村が中心となって各種の広報、啓発に努めていただくとともに、窓口については専門職が常駐します在宅介護支援センターの整備を進め、その一本化を図っていただくことを考えております。また、県としましても、市町村のこうした体制づくりを指導、支援するとともに、広く県民を対象に各種保健福祉サービスの内容やその利用方法、手続等についてのパンフレットの作成や広報誌やビデオなどの活用を通じ、広報、啓発に努めることとしております。
4点目の計画推進に当たっての研究に係る御意見でありますが、この計画は年次計画や財政計画まで求められておりませんが、住民のニーズに合った保健福祉サービスがきめ細かく提供され、計画の目標を達成するためには、それぞれの市町村において行政と住民が一体となって、計画の推進やそのあり方について常に研究、努力する必要があります。その場には、当然関係行政職員や専門家はもとより、サービスの利用者であります住民が参加する必要があり、特に高齢者に女性の割合が高いことや介護者も多くが女性であることから、女性の積極的な参加が求められることは言うまでもありません。高齢者サービス調整チームや計画推進のための体制については、市町村自身がメンバー構成を考えていただけるものと思いますが、県としてもこうした観点に立って指導してまいりたいと考えております。
次に、建築基準条例の一部改正に関連しての御質問にお答えします。
まず、県福祉環境整備指針による成果についてでありますが、県下の整備状況を全般的に把握するまでには至っておりませんが、県が昨年8月に高齢者や障害者を対象にいたしました意識調査によりますと、公共的建物について、約50%の方から改善されてきているとの回答がある一方、約40%の方は従前と変わらないと受けとめておられるなど、福祉環境整備指針では十分な効果が認められなかったことから、住みよい福祉のまちづくり条例の制定に至ったところであります。
2点目の福祉環境整備指針と住みよい福祉のまちづくり条例や建築基準条例との関連についてでありますが、福祉環境整備指針は標準的な整備基準を示したもので、手続的なチェック体制がなく、実効面で限界があったことから、これをより徹底するため、住みよい福祉のまちづくり条例を制定し、また今回建築基準条例の改正をお願いし、より着実な福祉のまちづくりを推進しようとするものであります。
住みよい福祉のまちづくり条例では、整備基準を規則で定めることとなりますので、福祉環境整備指針の理念を十分生かしまして充実したものとするとともに、設計マニュアルをもあわせて今年度中に策定して、設計や建設に携わる関係者を初め、広く県民にその内容の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
3点目の福祉担当者の意見が生かせるシステムについてでありますが、県では、関係部局との連携を一層密にし、全庁的な取り組みを進めるため、障害者対策推進本部を設置していますが、その事務局であります当部が中心となり、この組織の充実や活用も含め、その調整に努めてまいりたいと考えております。また、市町村に対しましては、この条例の趣旨を踏まえ、福祉のまちづくりに積極的に取り組んでいただけるよう、十分な働きかけを行ってまいりたいと考えます。
4点目の工事現場など第一線の担当者の理解についてでありますが、これまでの反省も含め、整備基準や手続について、わかりやすい資料や具体的な設計マニュアルを作成して、関係者の利便を図ってまいりたいと考えております。
最後に、住みよい福祉のまちづくり条例と風景条例との関係についてでありますが、整備基準を策定するに当たっては、風景条例の趣旨をも踏まえ、現在策定に当たっているところであります。
いずれにいたしましても、だれもがみずからの意思で自由に行動でき、安全で快適な生活ができる社会を実現するため、土木部など関係部局と連携を密にしながら、住みよい福祉のまちづくりの推進に努めてまいる考えであります。
◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)減反ならびに農薬の空中散布についての御質問にお答えをいたします。
まず、減反についてでありますが、平成6年産米につきましては、全国の作況指数が109の豊作という状況からしまして、米の需給計画における期末の在庫数量の増加が見込まれております。こうしたことから、流通の大宗を占める自主流通米につきまして、売れ残りが出たり、価格が下落するといった事態に至るのではないかとの懸念が生産者団体を初め関係者の間から出てきております。そこで、平成7年度の転作の取り扱いについて、60万ヘクタールに据え置いた場合、転作を強化した場合、さらには水田機能を保全しつつ需給調整を行うといった転作手法の多様化などが農林水産省と生産者団体の間で議論をされているところであります。
県といたしましては、平成7年度の転作は、当初の計画どおり実施されるよう国に対して要望しているところであり、今後国において具体的な方針が示されれば、その段階で、転作については従来から収益性の高い転作を基本に麦、大豆による集団転作を推進することとしており、今後ともその方針を基本にしまして、県、滋賀県農業協同組合中央会、滋賀県経済農業協同組合連合会、市長会、町村会、農業会議の6者で構成をいたします滋賀県水田営農活性化対策推進本部の中で慎重に協議検討し、対処してまいる所存でございます。
次に、農薬の空中散布についてでございますが、まず第1点目の防除に関する現状と実態についてでございますが、平成5年度における防除の状況は、航空防除と地上防除を組み合わせて実施している市町は29市町で、地上防除は21市町村で行われております。そして、航空防除の面積は約2万4,000ヘクタールとなっております。
次に、航空防除の実施につきましては、事業主体である市町村病害虫防除協議会が地元自治会等地域の関係機関、団体と十分協議して危被害防止に万全を期すことや、気象条件等を勘案して行われております。また、地上防除の実施につきましては、市町村病害虫防除協議会等が中心となって防除計画が樹立され、散布日を統一した一斉防除や集落営農組織等による共同防除が行われております。
次に、航空防除における農薬の使用量と散布面積の推移についてでありますが、航空防除は昭和34年から実施されてきておりまして、農薬使用量のピークは昭和44年でございまして、その量は2,047トンとなっております。それ以降、農薬の使用量は漸減してきており、最近の状況について見てみますと、昭和55年697トン、昭和60年291トン、平成2年97トン、平成5年63トンとなっております。また、散布面積につきましては、昭和55年が4万860ヘクタールで、これを100といたしますと、昭和60年では84、平成2年では63、平成5年では59となっておりまして、転作等の関係で一部増減はありますものの、減少をいたしております。
最後に、航空防除に対する考え方についてでありますが、航空防除は、低コスト、減農薬、省力化に資することから、稲作には欠かせない対応として普及されてきておりますが、散布する農薬は特に風の影響を受けやすいことや、農村地域での宅地開発などにより散布区域が変化しつつありますことなどから、地域の実情に即した防除方法を検討するため、平成5年度から各市町村におきまして、防除に関するアンケート調査や防除方法の検討委員会の開催などを通じまして、防除のあり方に関する指針や防除マップの作成に取り組んでいただいておるところでございます。
今後は、これらの結果を踏まえまして、現在の防除方法の見直しも含め、生産、環境両面にも配慮した防除対策の確立に努めてまいりますとともに、病害虫発生予察の強化などを図り、防除体制の整備充実に取り組んでまいる所存でございます。
◎土木部長(亀田泰武君) (登壇)建築基準条例の一部改正に関連しての御質問にお答えいたします。
建築基準条例の改正につきましては、高齢者や障害者などの社会的にハンディキャップを持つ人々が住みよい生活を送れるよう、福祉のまちづくり条例との整合を図りつつ検討を続けてまいったところであります。国においても、高齢者、身体障害者の利用に配慮した建築物の構築を目指して検討を加えられ、建築基準法の改正ではなく、いわゆる誘導法としてのハートビル法の制定に至ったと聞いております。高齢者、身体障害者に配慮した今回の建築基準条例の改正は、建築基準法に基づき、避難時における安全性を確保するための義務を課す条例であり、おのずからその規定内容には制約がございます。
そこで、御指摘の、まず建築物の構造とレイアウトについてでございますが、避難上の安全性の確保の趣旨に沿う内容については今回の改正で新たに規定しており、利用しやすい構造やレイアウトについては、本来事業者がその利用の目的、機能等によりつくられることから、規制は困難であると考えております。階段につきましては、建築基準法で寸法等は定められており、新たに回り段の禁止や手すりの設置を付加したものであります。また、休憩場所やオープンスペースの設置については、利用者の利便に供する空間であり、安全に避難するため必要なものとして規定することはできないと考えております。このほか、トイレについても、建築基準法において便所を設置する場合の衛生的な観点から構造規定がありますが、障害者用便所の設置義務については、検討を重ねたものの、本条例での限界もあり、規定は困難であると考えております。これらの本条例を超える内容等につきましては、まちづくり条例の趣旨が広く行きわたり、事業計画の当初段階から考慮していただけるような土壌づくりが重要と考えております。
次に、ハートビル法第4条に基づく、指導、助言、指示およびその実効性についてでございますが、不特定多数の者の利用に供する床面積の合計が2,000平方メートル以上の建築物に対して、基礎的な基準を勘案して確認申請の際指示することができることとなっております。
県におきましては、ハートビル法より幅の広い内容のまちづくり条例と建築基準条例の一部改正が施行されることから、結果といたしまして、ハートビル法の実効が担保されるものと考えております。
今回の建築基準条例の改正は、まちづくり条例の実効性を高めるものであり、県民、事業者の理解の上に一歩ずつ積み重ねられ、整備が進むものと期待しております。
○副議長(黒川治君) 以上で会派代表による質疑ならびに質問を終わります。
───────────────
△休会の議決
○副議長(黒川治君) お諮りいたします。
明8日は議事の都合により休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。
───────────────
○副議長(黒川治君) 来る9日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時2分 散会
───────────────
会議録署名議員
副議長 黒 川 治
中 川 末 治
松 井 俊 治...