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平成 5年12月定例会(第22号〜第26号)−12月09日-03号

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  1. 滋賀県議会 1993-12-09
    平成 5年12月定例会(第22号〜第26号)−12月09日-03号


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    平成 5年12月定例会(第22号〜第26号)−12月09日-03号平成 5年12月定例会(第22号〜第26号)         平成5年12月滋賀県議会定例会会議録(第24号)                           平成5年12月9日(木曜日)       ────────────────────────── 議事日程 第3号                             平成5年12月9日(木)                             午 前 10 時 開 議  第1 議第129号から議第141号まで(平成5年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか12件)提案説明(質疑、質問)       ────────────────────────── 本日の会議に付した事件  日程第1 議第129号から議第141号まで(平成5年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか12件)提案説明(質疑、質問)       ────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   宇 野    治 君     2番   脇 坂    武 君    3番   玉 田  盛 二 君     4番   世 古    正 君    5番   三 浦  治 雄 君     6番   目 片    信 君    7番   中 村  善一郎 君     8番   黒 田  昭 信 君    9番   大久保    貴 君     10番   中 島    敏 君    11番   白 倉  一 路 君     12番   梅 村    正 君
       13番   稲 田  喜代司 君     14番   桐 山  ヒサ子 君    15番   林    良 子 君     16番   吉 原    稔 君    17番   深 田  作 治 君     18番   川 口  東 洋 君    19番   大 林    清 君     21番   上 野  幸 夫 君    22番   森 井  慎 三 君     23番   丸 山  省 三 君    24番   橋 本    正 君     25番   滝    一 郎 君    26番   松 井  俊 治 君     27番   山 嵜  得三朗 君    28番   石 田  幸 雄 君     29番   清 水  鉄三郎 君    31番   奥 村  展 三 君     32番   谷 口  三十三 君    33番   黒 川    治 君     35番   田 中  高 雄 君    36番   桑 野    忠 君     38番   有 村  國 宏 君    39番   西 村  政 之 君     40番   酒 井  研 一 君    41番   栗 本  藤四郎 君     43番   大 谷  元太郎 君    44番   北 川  弥 助 君     45番   伊夫貴  直 彰 君    46番   石 橋  修 一 君     47番   奥      清 君    48番   小 林    実 君     49番   沢 野  邦 三 君       ────────────────────────── 会議に欠席した議員(2名)    34番   清 水  藤 藏 君     37番   岩 永  峯 一 君       ────────────────────────── 会議に出席した説明員              知          事   稲 葉    稔 君              教 育 委 員 会 委 員 長   南    光 雄 君              選挙管理委員会委員長代理   八 木  進 一 君              人 事 委 員 会 委 員 長   野 玉  三 郎 君              公 安 委 員 会 委 員 長   宇 野  淳 一 君              代 表 監 査  委  員   高 土  禮二郎 君              副     知     事   山 田  新 二 君              副     知     事   岩 波  忠 夫 君              出     納     長   塚 本    孝 君              知  事  公  室  長   岩 田  正 春 君              総   務   部   長   今 仲  康 之 君              企   画   部   長   勝    義 隆 君              生 活 環 境  部  長   辻 本    昭 君              健 康 福 祉  部  長   國 松  善 次 君              商 工 労 働  部  長   山 脇  康 典 君              農 林 水 産  部  長   中 桐    正 君              土   木   部   長   宮 尾  悦 夫 君              企   業   庁   長   青 地  宗一郎 君              教     育     長   高 井  八 良 君              警  察  本  部  長   中 島  勝 利 君       ────────────────────────── 議場に出席した事務局職員              事   務   局   長   森  田  吉  則              議   事   課   長   鈎     孝  之              議 事 課 課 長 補 佐   塩  見  和  夫              議   事   係   長   堀  井  利  夫       ──────────────────────────   午前10時53分 開議 ○議長(田中高雄君) これより本日の会議を開きます。    ─────────────── △諸般の報告 ○議長(田中高雄君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  議第140号議案および議第141号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。  次に、選挙管理委員会委員長小林隆君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員八木進一君が出席されておりますので、御了承願います。 ○議長(田中高雄君) これより日程に入ります。    ─────────────── △議第129号から議第141号まで(平成5年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか12件)(質疑、質問) ○議長(田中高雄君) 日程第1、議第129号から議第141号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は一般の質疑ならびに質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、40番酒井研一君の発言を許します。 ◆40番(酒井研一君) (登壇、拍手)12月定例議会一般質問のトップをお与えいただきまして、まことに光栄に存じます。私は、今期議会に提案されております議第137号淀川水系における水資源開発基本計画の一部変更に伴う議案に関連いたしまして、質問をいたしたいと存じます。  私は、去る平成3年3月7日、2月定例県議会において丹生ダム建設問題について御質問を申し上げ、稲葉知事より御懇切な御答弁をいただき、深い感銘を受けた次第であります。以来、着々と諸般の手順を進められ、丹生ダムの建設もいよいよ近く着工の運びに至っておりますことは、まことに御同慶にたえないところであります。  今回、丹生ダム建設の事業主体が建設省から水資源公団に移行されるに当たり、滋賀県知事に対し意見を求められており、これに伴う議案が今期議会に提出されておりますが、私は、この事業に対し何らの異論を挟むものでもなく、むしろ賛意を表するものであります。  しかし、びわ湖の水で計算いたしますと、総貯水量がプラス・マイナス・ゼロで1センチ、約670万トン、約22センチ分の1億5,000万トンの規模を持つ巨大な丹生ダムの建設工事がいよいよ始動されようといたしております。加うるに、昨平成4年4月1日突如浮上いたしてまいりました関西電力株式会社が同じく高時川の源流木之本金居原地先の須俣川において、出力216万キロワットの純揚水発電の建設計画を推進されようとしているのであります。  このような相次ぐダム建設問題の提起は、湖北地域の下流関係各町を初め土地改良区および下流住民すべてにとってはまさに青天のへきれきであります。この事態を極めて深刻に受けとめており、今日最大の関心事となっているのであります。  申し上げるまでもなく、水は、私たちの生命の維持はもとより、農業生産の上からも、また工業等の生産の原動力としても、さらには日々の生活のためにも必要不可欠の要素であり、近時産業の発展と生活水準の向上に伴ってその用途はますます多様化してきているのであります。そうした意味におきまして、高時川は湖北地域の最大の水源であり、古代より母なる川として先人たちが艱難辛苦し、いち早く慣行水利権を確立し、時には流血の水争いをも繰り返しながら代々心血を注ぎ、これを受け継いでこられたとうとい歴史と伝統を有する高時川は、まさしく湖北地域の生命線であると申し上げても過言でないのであります。  今日、時代の変遷に伴い湖北地域の用水形態も著しく近代化、合理化が図られ、湖北土地改良区を基軸とした新しい水利慣行が定着しつつあります。私は、湖北土地改良区の理事長の重責を担っておりますが、ちなみに湖北土地改良区は、水田5,000ヘクタール、組合員8,637名、関係集落230、人口6万3,000余名に及ぶ湖北1市7町にまたがる広範な地域を受益地といたしており、農業用水はもとより、生活、消防、融雪、環境保全等の用水に関する一切の業務を付託されており、それぞれに必要な適宜適量の用水を確保し、管内全域に対して適正公正に配分、供給しなければならない重大な使命を担当いたしており、このことは未来永劫に継承していかなければならないということであります。  そこで、想定される問題について質問をいたしたいと存じます。  その第1点は、丹生ダム建設基本計画の疑問点についてでありますが、稲葉知事の御高配により、去る平成3年2月合意いたしました重要事項については、近畿地方建設局長滋賀県知事との間に覚書を取り交わしていただいており、さらに知事から湖北土地改良区理事長ならびに下流関係町長に対し覚書事項が遵守されるよう努力するとの確約書をいただいております。したがいまして、基本的には今後ダム建設工事の進行状況と経過を踏まえ、覚書事項を誠実に履行されるよう協議、折衝を積み重ねていくべきものであると考えております。しかし、丹生ダム建設基本計画をつぶさに検討いたしてみますと、種々疑問が生じてくるのであります。  特に、貯水容量の配分計画において湖北地域に対する配慮が十分なされていないと思われるのであります。貯水容量は、夏季洪水期と冬季非洪水期で大きく異なることになっており、例えば、渇水が予想されますと、夏季洪水期の利水総容量は1億1,000万トンであり、その配分は河川の機能維持用水に850万トン、異常渇水時の緊急補給用水に4,050万トン、下流府県に対する水道用水に6,100万トンと相なっておりますが、この河川機能維持用水850万トンを規定されております放水量毎秒1.8トンで単純計算をいたしますと、わずか55日分にしか満たないのであります。また、高時川沿川には多量の地下水を利用する大小企業の立地が増加しており、毎秒1.8トンの流水では到底下流地域まで到達し得ないことは明白であります。  今なお詳細なる水計算書を提示されておらず、細部については不明であります。なお、これら丹生ダム利水計画にかかわる問題は、今後当局との協議、折衝の重要な課題であると考えておりますが、県においても貯水量の配分と基本計画が適正か否かを十分調査、検討いただくとともに、操作規則の策定時点には地建局長との覚書書に基づき、高時川上流域における新たな水資源開発が湖北地域の水利に将来安定をもたらすものとなりますよう、特段の御配慮をお願いいたしておきたいのであります。御所見を賜りたいと存じます。  その第2点は、丹生ダム建設事業と下流域の漁業権者との関係についてであります。  高時川および姉川下流域には、古来より受け継がれてきたやな漁業を操業し、多数の漁業者が生計を営まれているのであります。特に、捕獲されるアユ苗は広く全国の河川に放流されている有数の産地でもあり、またアユの産卵河川でもあります。丹生ダム建設計画に対する知事の意見書の中にも提示していただいているところであります。  いよいよ丹生ダム建設工事の着手を目前にいたしまして、所属する漁業組合においては、その影響を深く憂慮し、丹生ダム建設工事事務所と再三にわたり交渉が重ねられているのであります。アユ等の遡上する要件は、常時安定した流量と美しい水が河口まで流れていなければならないということであります。つきましては、貴重なアユ資源の保護対策の上からも、丹生ダム建設姉川下流域漁業とのかかわりは極めて重要な課題であり、水産行政の見地からもしかるべき対応が必要かと存じますが、県御当局の御意見を伺いたいと存じます。  その第3点は、丹生ダム建設事業揚水発電所建設の計画の複合についてでありますが、関西電力株式会社による揚水発電所建設計画はまことに突然の提起であり、水利に対する意識度の極めて高い湖北の地域といたしましては、丹生ダム建設事業との重複により、生命線とも言うべき高時川の流況の変化ならびに水質の悪化について深い不安が広がりつつあるのであります。湖北土地改良区ならびに下流関係町は相協力して、丹生ダム建設問題同様、その対応に最善を尽くしてまいる考えであります。  現在、滋賀県環境影響評価に関する要綱ならびに県評価審査会の指示に基づき諸調査が実施されておりますが、県におきましても、適正な調査が行われるよう指導されるとともに、今後調査等の結果を踏まえ、当該揚水発電所建設計画が湖北地域に与える影響等を的確に把握いただき、下流関係地域の意見を十二分に尊重されるよう格別の御高配を賜りますようお願いするものであります。御所見をお聞かせいただきたいと存じます。  以上3点にわたって御質問申し上げましたが、丹生ダム建設事業は、治水、利水両面に大いなる目的を掲げられており、また揚水発電所建設計画も電力需要の急増にかんがみ、電源開発は必須の緊急課題であります。いずれも国家的事業として推進されるものであり、私は、これが円滑に推進されますことに深い賛意を表するものであります。  最後に、この二大事業が湖北地域の産業の発展と地域社会の活性化のために大いなる起爆剤となりますことを強く念願いたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(田中高雄君) 40番酒井研一君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)ただいまの御質問にお答えをいたします。  まず、丹生ダム建設計画についてでありますが、初めに、当ダムにつきましては、地元を初め関係地域の皆様方に格別の御尽力と御理解を賜り、現在に至っておりますことを厚くお礼申し上げます。なかんずく酒井議員におかれましては、湖北の農業水利に大変詳しく、そうした立場からいろいろ御尽力いただいていることに対しまして、深く敬意と感謝を申し上げるものでございます。  地域の方々がこのダム建設についていろいろ不安と期待と抱いておられますことは、私もかねがね具体的に御指摘いただいており、十分認識をいたしておりまして、建設省との協議、調整を行うに当たりましても、そうした実態に即した御意見、御見解を貴重なものとして承りながら進めてまいりました。  このたび、丹生ダム建設事業が建設省から水資源開発公団に承継されるに当たりまして、地元関係の方々、建設省、県との協議の中で合意された事項につきましては、今後とも当然遵守されるべきものでありまして、これまでの経緯を踏まえ、湖北地域の将来に支障のないよう操作規則の策定を初め、誠実に履行されるよう配意してまいります。また、ダム計画の諸元につきましても、建設省とも連絡をとり、細部にわたる疑問を明らかにされるよう努めてもまいる所存でございます。  次に、丹生ダム建設事業と下流域の漁業との関係につきましては、丹生ダムの建設に関する基本計画の作成の際に、漁業の操業ならびにアユ等の遡上および産卵に支障のないよう特段の配慮をされるよう意見を付しており、今後ともその趣旨に沿って対処されるよう要請をしてまいります。  次に、関西電力株式会社が木之本町金居原地先において計画している揚水発電所につきましては、滋賀県環境影響評価に関する要綱の対象となる事業であり、平成5年5月17日に事業者より環境影響評価実施通知書が提出されました。この段階におきまして、県としましては、湖北土地改良区からも要望がございます河口までの水質把握、工事中および供用後の水量、水質等についての十分な検討がなされるよう指導済みであります。  現在、事業者により事業が環境に及ぼす影響の内容、程度および防止対策について調査、検討が行われているところでありますが、今後の環境影響評価の手続の中におきまして、住民の方々による環境保全上の意見が事業計画に反映されるよう指導いたしますし、また現在実施されている諸調査の結果を踏まえ、個別法に基づく許認可等の段階におきましても適切に指導してまいる所存であります。 ○議長(田中高雄君) 次に、11番白倉一路君の発言を許します。 ◆11番(白倉一路君) (登壇、拍手)きょうは12月9日、障害者の日でございます。すべての人に優しい社会をつくる、こんな願いはあらゆる事柄に通ずることでございます。  さて、政治はもちろん、環境、産業機構の問題等すべての事柄は国際的視野で動いております。我々の望む望まざるにかかわらず、激しく国際化が進んでいる現在、内なる国際化は、日本においてはややもすればおくれがちになっているように思います。これは、日本人は外国の文化を取り入れることは上手であるが、外国人を受け入れることはどうも上手とは言えないということなのでしょうか。さきの我が県民クラブの中島議員が代表質問で述べましたが、在日の外国人も文化は異なるが、基本的には同じ県民であるという共通の認識を持ちたいものであります。  まず、先日、連合の代表質問にもありました事柄も踏まえて、在日外国人に関する事柄2点についてお伺いいたします。  第1点は、国民年金制度から取り残されている外国人の無年金者の救済についてであります。  御存じのとおり、国民年金は、60歳までに25年以上の受給資格期間がないと老齢基礎年金は受けられません。昭和57年以前には、在日外国人は加入することができませんでしたが、昭和57年に難民条約批准により国籍条項が外されて強制加入者となりました。さらに、昭和61年に、それまで国籍条項のため年金に加入できなかった人、つまり年金を掛けたくても掛けられなかった人について、いわゆる空期間を認めました。実際に掛けた期間が短いので減額はされるものの、年金は支給されることになったのであります。  しかしながら、この改正では、昭和61年に既に強制加入者でありながら60歳を超えた人たち、つまり大正15年4月1日以前に生まれた外国人は年金を受ける資格がないのであります。  さきに述べられました知事の答弁には、国民年金制度社会保険方式をとっているので、一定の保険料を拠出した者に対して給付を行うとありました。原則的にはそのとおりであります。しかし、日本国籍の人で、昭和36年からの国民年金制度により高齢のため掛けられない年齢の者は、無拠出の福祉年金と呼ばれる制度で救済されているのであります。また、沖縄が本土復帰したときも、高齢者等に対し救済措置がとられている例があります。同じ住民の権利として、これら特例の高齢者同様、加入することができず障害者となっている者も含め、在日外国人の無年金者の救済ができないでしょうか。  なるほど年金は国の制度であり、この制度の不備でありましょう。しかし、それゆえ昨年は近畿の民生主管部長が名を連ね障害基礎年金についての法的救済を国に要請し、さらに本年7月、近畿の知事会で在日外国人にかかわる障害基礎年金等の未受給者に対する救済を国に要望されたのであります。ここで初めて老齢年金を含めた要望をしていただきました。たとえどんな答えであったにせよ、昭和61年から存在するこの法の谷間に行政は手をこまねいていていいのでしょうか。  今年度に入り、大津市初め近江八幡市、野洲町が名目を変えて救済に乗り出しました。例えば、大津市では、福祉年金という名目で老齢年金未受給者に年18万円で70名に給付し、障害年金未受給者には年60万円で8名に給付の実施をいたしておりますが、これらの額は、一般の老齢福祉年金障害基礎年金に比べると、まだまだ少ないのが現状です。他の2つの市町は、さらにもう少し少ないようであります。  来年度には県下の多くの市町村が何らかの救済策を打ち出してくれることを予想いたしますが、市町村も苦しい財源の中で頑張っています。国の救済を待つのではなく、対象となる人は高齢者が多く、どんどん年をとっていかれます。県は、この問題をどう考え、どう対処されるおつもりか、重ねてお聞かせ願いたい。早急の対応をお願いしたいのであります。  国民年金制度は、知事がおっしゃるとおり老後の生活を実質的に支えていく所得保障の柱であり、これは互助の考え方が基本にあると思われますので、日本人であるなしにかかわらず、この制度を盛り立てていかねばならないのはもちろんであります。
     さて、第2点に、ここ急激にふえている短期滞在の外国人や滞在許可の切れた残留外国人の医療費の問題についてお伺いいたします。  これらの健康保険、国民保険の適用外の外国人が医療を受ける場合、特にその支払い能力がないケースについてのトラブルが多くなってきているのは、御存じのとおりであります。都市部の私的医療機関では、これらの外国人の診療を拒否するところも出てきている始末です。盲腸炎や心筋梗塞といった病気は、人も時も場所も選びません。後の医療費の心配なく、これら助けを求める外国人に救いの手を差し伸べるのが人の道ではないでしょうか。  国は、この件について、企業等と協力し拠出金を募って基金をつくり、その運用益をこの補助に当てる等検討されているようでありますが、どのようなものであるのか。また、既に同様の事業をしている府県がありますが、我が県でも応用することができないのでしょうか。我が県においても、就労目的の外国人が著しく増加しております。これらの人がこの不況で職につけなくなってくると、この問題は一挙に顕在化してくると思われるのであります。転ばぬ先のつえのような何かよい施策を考えていただきたいと思います。  以上2点について、知事および健康福祉部長のお考えを聞かせていただくと同時に、十分な御理解と御援助をお願いするものであります。  さて、次に、成人病センターの存在の理念とそのコメディカルと呼ばれる理学療法士言語療法士医療ケースワーカー等の充実についてお伺いいたします。  平成2年度の厚生省の調査によりますと、全国の痴呆性老人は約100万人となり、平成22年度には210万人を突破すると予想されております。このような状況下で、各自治体は痴呆性老人対策に力を入れているのが現状であります。  我が県の成人病センターでは、平成2年5月に痴呆専門の外来をスタートさせ、専門診断のみならず介護者への指導等も行い、また理学診療科の協力で痴呆のリハビリテーション等を行う一方、守山市を初めとする市町村と処遇の検討等も試みてこられました。また、今年度開設された第3内科は、老年神経内科として、これまでの外来機能に加え、県内の医療、福祉、保健等の施設との間で情報のネットワーク化を図り、これらの県の痴呆対策を推進する中核的な役割を担わんと、大変意欲的であります。まことに時を得た試みであります。また、本年11月からは新たに失語症外来を設置され、これも県下唯一であり、年間約200人以上発生する失語症患者にとって大変明るい事柄であります。  御存じとは思いますが、失語症とは、脳卒中等で脳が受けた障害のため引き起こされ、言語障害が出る状態のことであり、通常人格や知的能力が高度に落ちている状態以外の原因によるものであります。人が言葉を理解できなく、言葉を発せられなくなる状態とは、どのようなものなのでしょうか。多くの人の言語中枢は、右ききの人は左大脳半球に、左ききの人もその3分の2は左大脳半球にあると言われています。この言語中枢が障害されると、失語症の症状が出ます。多くの場合、単に言葉がしゃべれない、理解ができないだけではなく、文字による会話もできません。身ぶり手ぶりで不自由ながら会話ができるということが唯一のコミュニケーションであります。したがって、言葉を失った本人は、言葉が理解できず、自分の意思も伝えられなくなる場合が多く、その結果、非常にいらいらしたり、家に閉じこもりがちになることはもっともな話であり、例えようもなく寂しいものだろうと思われます。  このときに、再び失われたコミュニケーションを取り戻す手助けをしてくれるのが言語療法士であります。機能を評価し、家族を含めた訓練と指導を行うことにより、希望を持ち、家での生活にも意欲が出てくるのであります。家族のお話では、この意欲こそ最大のリハビリであったと話しておられます。  さて、これらの病気や事故等で人はさまざまな障害を受けます。障害の分だけあるいはそれに伴うストレス等によって、その人は社会生活に不自由を来すようになります。その程度をできるだけ健康であったもとに戻すため、いろいろな治療をし、またいろいろな機能訓練を行います。機能訓練は毎日行うことが原則であります。意欲を持って機能訓練に取り組めば、驚くほどの回復力を認めることがあります。正しい判断をし、正しい機能訓練をするためには、正確な知識を持った心理判定士、理学療法士、作業療法士、さきに述べました言語療法士といった、いわゆるコメディカルなスタッフが必要なのであります。  県下全域を見ても、このようなコメディカルスタッフがどうも不足しているように思えてなりません。このことは、医療の地域への還元を大きく阻害している原因の1つであります。今、成人病センターにおける第3内科や失語症外来といった先進的な取り組みに欠けていたり不足しているのがこの分野の人たちであります。県は、これらの点をどのように考えておられるのでしょうか。  また、これらの取り組みは、地域の保健や福祉のかかわりなしに解決できない問題を含んでいるのが常であります。事実、退院後も継続的な援助、指導を家族は強く望んでおられますが、にもかかわらず成人病センターに医療ケースワーカーが1人もいない現状はとても寂しい限りであります。これらのことは、県の成人病センターにかかわる根幹を問われかねない事柄であります。センターとは、ローカルブランチやネットワークがあってこそセンターだと思います。高度医療とは、高価な医療設備を備えるだけでなく、また単に病を治すだけではなく、病める人間を治していくという姿勢そのものだと思います。地域と協力し、すべての職員が力を合わせ、身体的にも社会的にも病める人間の社会復帰を図ること、そして1人でも多くの人に意欲を持って生きてもらうこと、こんな願いをかなえるため、成人病センターの存在の理念を改めて健康福祉部長にお聞かせ願いたいと思います。  最後に、今後の教育行政のあり方について教育長のお考えを伺います。  前の議会で、私たちの会派は、学校5日制の問題を取り上げました。その中で、子供たちにゆとりを与えようという考え方の一方では、学習指導要項の内容を変えずに授業時間が短縮されるという矛盾を指摘いたしました。今の子供たちを見ていますと、私は昭和15年生まれでございますが、私たちの子供時代に比べると格段と内容が難しく、ボリュームがある学習をしているように思えてなりません。本当にそんな難しいことを覚え、あるいは理解することが必要なのでしょうか。それより、魚といえば切り身の絵をかき、サツマイモが木になっている絵を描く子供がいることこそ問題ではないでしょうか。  子供相手の仕事をしておりますと、単語はしゃべれるが、話ができない子供たち、私は、こんな子供を単語族と読んでおります。また、なぜとか、どうしてとか、疑問のない子供たち、これは社会のブラックボックス化の申し子で、おおむねすべてのものがお金やカード等で与えられ、考えや工夫をする必要がほとんどない世の中のせいではないでしょうか。遠い未来の人間の形態は、ジュール・ヴェルヌの火星人ではないですが、頭と肺が極端に大きくなり手足が萎縮した人間を描くことが多いのですが、私は、右手の人指し指がボタン操作のために極端に発達した、頭の小さい人間を考えてしまいます。  さて、先日、第13回近畿高等学校総合文化祭を見せていただきました。  そのデモンストレーションでは、総勢400人に及ぶ県下の高校生が自分たちでつくり上げた「湖の伝説」等の上演をいたしました。生き生きとした生徒たちの活動を見て、私は、大変感動すると同時に、何かほっといたしました。自分も忘れかけている青春をそこに見つけました。この生徒たちの幸せな姿を彼らの後輩である小中学生にもぜひ見てほしい、見せたいと思います。  いろいろなことを体験し学ぶこと、そして学ぶ意欲と知恵をつけること、これこそ教育ではないでしょうか。今の教育をこれでよいと思っている人はほとんどいらっしゃらないと思うのですが、いかがでしょうか。一流の大学に入り、一流の企業への就職、こんな言葉で象徴されることが教育の目的ではないはずです。豊かな心を持った人を育てるといった言葉は、どこへ行ってしまったのでしょうか。これは何も教育長の責任だけではありません。それを求めている社会の、そして両親の、さらに本人の問題でもあるのです。  必ずどこかに突破口はあるはずです。平成7年4月には我が県にも4年制大学が開校する予定ですが、このころには我が県の高等教育も随分充実されることになるでしょう。この時点で初めて生涯を通じての教育が県内で可能になってくるのかと思いますが、今、現状を見てみますと、生涯教育とは言うものの、幼児教育の部分と大学の部分がぽっかり穴があいていて、その上中学校から高校への間に大きなギャップがあり、それはとりもなおさず市町村の教育委員会と県の教育委員会のギャップであり、また文部省とのギャップではないかと考えますが、いかがでしょうか。  教育が生涯を通じて存在するならば、教育長は、このあたりをどのように考えておられるのでしょうか。本年度、教育長は高校の入試制度に新しい試みをなさいました。私は、大変よいことだと思います。今、社会も、いささか甘い見方かもしれませんが、学力本位から人間性を大切にする方へと大きくウエートが変わってきているように思います。また、個性が尊重される時代にもなってきました。社会が変わりつつあるとき、豊かな人間性や個性を伸ばすため、教育長は、例えばどんな教育を進めるおつもりなのでしょうか。  最後に、私は、教育も人だと思います。教育の現場を見ますと、すばらしい人材がそこにあります。この人たちの力をどのようにすれば十分に引き出すことができるのでしょうか。意欲なきところに力なしと思います。均一な教育を求める余り、何かを失っているように思えてなりません。教えている人も人間なのですから、限られた予算の中で、教えている人間、教えられている人間を相手に大変御苦労なさっていると思いますが、人を育て、淡海文化をはぐくむために、教育長の大きな采配に期待をし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中高雄君) 11番白倉一路君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)在日外国人の無年金者救済についてお答えをいたします。  国民年金制度は、昭和36年に発足しましたが、当時既に高齢や障害の状態にあった人に対し、制度発足時の経過的な特例措置として、無拠出による老齢福祉年金や障害福祉年金を発足させました。同様に、沖縄の本土復帰の際につきましても、沖縄の国民年金法をそのまま引き継いだことから、沖縄の国民年金法創設に伴う経過措置の老齢福祉年金や障害福祉年金が引き継がれたのであります。  しかし、在日外国人の方々が適用されることとなった昭和57年1月の国民年金法の改正は、将来に向かって適用範囲を拡大したものであり、昭和36年の制度創設時等とは事情を異にするとして、経過的な特例措置は設けられませんでした。このため、昭和57年の法改正当時、既に障害の状態にあった20歳以上の方および60歳以上であった方等については年金給付の対象外となっております。  県といたしましては、この問題は、基本的には国において対応されるべき課題として、引き続き国に対して要望してまいりますが、このところ市町村の新たな動きや他府県の独自の動きも出てきておりますので、それらの状況を十分把握いたしまして、県としての適切な対応を検討してまいりたいと考えております。 ◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)短期滞在の外国人や滞在許可の切れた残留外国人の医療費問題についてお答えします。  外国人に対する医療保険制度の適用につきましては、事業所と雇用関係にある方々は健康保険等いわゆる職域保険が、またこれ以外の方々で我が国に1年以上滞在が見込まれる方については国民健康保険が適用されます。このことは、市町村において外人登録の際に入国の目的に応じて加入を指導しているところであります。  御指摘のように短期滞在の外国人や滞在許可の切れた残留外国人による医療費の未払いにつきましては、他府県に例があることは承知しておりますが、本県においては、目下のところ聞いておりません。  外国人に係る医療問題全般につきましては、国において近く検討委員会を設けるやに聞き及んでおります。その中で基金の創設も議論されるのではないかと推測いたしております。一部府県では、この問題に対して、救急医療機関に対する医療費補てん対策としての措置をとっている例や、企業等の参画を得て外国人未払い医療費対策事業を創設している例はございます。  県といたしましては、この問題は基本的に国において措置されるべき課題であると認識しておりまして、国も検討を始められましたので、今後の国の動向を見守っていきたいと考えます。  次に、成人病センター存在の理念とそのコメディカル職員の充実についてお答えいたします。  成人病センターは、悪性腫瘍、循環器系疾患を中心とした成人病に関する高度専門医療機関として今日まで運営してまいりました。開設後二十数年を経過した今、医学、医術の進歩や疾病構造の変化等により、県民の医療に対すニーズはますます多様化、高度化するとともに、県下の医療機関の整備も進んだこともございまして、成人病センターの役割は変わりつつあると考えております。  成人病センターがこのような時代に対応して県民の期待に十分こたえていくためには、時代の変化に即した新たな運営方針の確立が必要ではないかと考えておりまして、現在、成人病センター内部に検討委員会を設け、そのあり方について検討しているところでございます。基本的には、高度専門医療機関として、他の医療機関で対応が困難な医療を中心に、県民の医療ニーズに的確にこたえられる医療機関であることが成人病センターの存在意義でなければならないと考えております。  こうした考えのもとに、今後のあり方の検討と並行しまして、御質問にありました老人性痴呆疾患や失語症について、本年度から診療科や専門外来を開設し、新たな取り組みを始めたところであります。これらの新しい医療には、専門医師のほかに言語療法士理学療法士などのコメディカル職員や福祉と医療、保健などを連携する医療ケースワーカーの役割が重要となってきております。現在の体制は、開設して間もないということもありまして、十分でない面もありますが、今後は患者の動向などを見きわめながらその充実に努力してまいりたいと考えます。 ◎教育長(高井八良君) (登壇)今後の教育のあり方についての御質問にお答えいたします。  御承知のように、我が国の教育は今、改革の真っただ中にあり、生涯学習社会づくりとも呼応しまして、就学前から大学までの一貫性のある教育の実現に向けて大きく動き始めております。平成3年に出されました第14期中央教育審議会の答申は、広く生涯学習を推進する視点に立って、これからの学校教育は、全員が同じ教育内容を受けるような形式的な平等ではなく、個性に応じてそれぞれ異なるものを目指す実質的な平等を実現していくことがますます重要になると述べております。このような観点から、みずから学ぶ意欲と力の育成、個性を伸ばす教育の充実が特に重要であると考えております。  本県におきましては、幼稚園では、身近な環境の中で友達と遊びに熱中しながら満足したり、くじけたり、さまざまな体験を積ませ、また小学校の生活科では、近くの森に出かけて落ち葉や小枝で物をつくったり、自然の不思議さに驚くなど、具体的な体験を通してみずから学ぶ楽しみを味わいながら、基礎、基本を確実に身につけることを重視しております。  中学校や高等学校におきましては、一段と個性化が進む時期でありますので、それまでに身につけた学ぶ意欲や態度を基盤にしまして、一人一人のよさや可能性を伸ばす教育を充実していく必要があると考えております。このため、選択教科の幅を拡大したり、高等学校では、総合学科の新設や単位制高校の充実なども含めまして、学習機会の拡大をさらに図っていくことが必要であると考えております。  大学につきましても、幼、小、中、高の一貫した教育改革の流れの中で大きく変わりつつあるように思います。もちろん大学は専門分野の学術研究の場でありますが、社会人の受け入れ枠を設けられたり、入試制度の改善に取り組まれたり、さらにはリカレント教育の場として地域に開かれた大学となるなど、生涯学習体系の中で重要な役割を担うようになりつつあるように思われます。私どもは、高校生を送り出す側として、今後大学側に期待することを申し上げるような機会を持つように努力したいと存じております。  最後に、教員の資質、能力の向上についてでありますが、今最も重要なことは、教師自身がこの大きな教育改革の流れの中にいることを自覚することであると考えております。そして、子供たちに自信を持たせ、励ましながら意欲を持たせたり、相談相手になったりしながら、子供の個性を伸ばし、多様性に対応していけるよう絶えず研さんに努めなければならないと考えているところでございます。 ○議長(田中高雄君) 次に、16番吉原稔君の発言を許します。 ◆16番(吉原稔君) (登壇、拍手)まず、来年度予算編成と知事の政治姿勢について質問いたします。  第1に、戦後最悪と言われる不況や深刻な冷害のもと、県の経済と暮らしは極めて重大な局面にあり、県民の暮らしを守る県政の役割はますます重要となっております。  しかし、こうした今日の社会経済情勢の大きな変化にもかかわらず、県の来年度予算編成方針を明らかにした総務部長依命通達では、相変わらずびわこ空港関連など巨大プロジェクトは5%のマイナスシーリングの別枠としてさらに推進し、福祉、教育など県民生活を守る分野では引き続き5%のマイナスシーリングを維持しております。  これでは、知事の言う県政の主人公は県民である、生活者の視点に立って豊かさと優しさに満ちた地域社会の実現という言葉とは全く裏腹に、切実な県民の暮らしや福祉、教育の予算は削られることとなり、消費者である県民の暮らしはますます厳しくなるとともに、中小業者の経営を困難とし、不況に拍車をかけ、同時に農業経営も困難となります。これは、既にこの1年間の経過からも明らかではないでしょうか。びわこ空港の挫折と大プロジェクトの推進の一方で、県民所得全国第5位とか第9位とかを誇りながら、その一方で老人施策や医療が全国最低レベルの後進県とされる現状と今日の事態は、この大きなギャップは、我が党を除くオール与党体制に支えられた現県政の失政と言えます。だからこそ、予算編成で従来の方針を引き写すのではなくて、不況打開など県民の願いに沿った予算編成方針の抜本的転換が今、求められているのであります。  びわこ空港を地元同意なしに新規事業への採択は認めないとして、国への重点要望を外しながら、びわこ空港関連事業を相変わらず5%のマイナスシーリングの別枠とするのは矛盾であり、これを別枠とするのはやめるべきだと思うが、どうでしょうか。  また、このような大規模開発を進めるあるいは巨大プロジェクトを進める中心となり、最も利益を得るのは、汚職、腐敗で逮捕者を続出させている大手ゼネコンであります。しかも、そのゼネコンは、県下ではリゾート開発などでは住民の反対運動と不況で撤退をしつつありますが、それにもかかわらず、巨大プロジェクトに福祉など他の予算を削ってまで県民の莫大な税金を注ぎ込む必要があるのか。そうではなくて、県政において緊急に求められるのは、住民本位、中小企業救済の実効性ある不況対策ではないでしょうか。県財政が不況の影響で財源難が予想されるもとで、びわこ空港など大企業本位の巨大プロジェクトを直ちに撤回し、公共投資は下水道、住宅建設、生活道路、土地改良など生活密着型へと転換するとともに、住民の暮らし、福祉、教育、中小企業、農業、環境保全、町づくりなどの予算を拡大し、こうしてこそ県民の購買力を向上させ、県民本位の真の不況対策を進めることができます。  また、びわ湖の水質や生態系の悪化が進み、今こそびわ湖を守るための施策を強化しなければならないときに、県政が空港や巨大ダム開発、大企業のもうけのためのリゾート開発などを推進することは、自然環境保全にも反するものでありますが、空港別枠の5%のマイナスシーリングに代表される予算編成方針を撤回すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  我が党は既に、来年度予算編成に当たり、県下市町村や住民運動などの意見を取り寄せて要望をまとめ、重点要望項目を示しました。知事が提案説明で3選出馬を表明し、小選挙区制導入、消費税税率アップ、米輸入自由化、年金改悪など、自民党以上の悪政を引き続きさらに進めている細川政権のもとで、その言いなりになって、マイナスシーリングのもとに県民の暮らしや福祉、そして環境を犠牲にしてまでびわこ空港など巨大プロジェクトを推進する県政を引き続き進めようというのでありますから、我が党は、多くの県民とともに憲法を暮らしに生かし、本当に県民が主人公となる県政の転換に向けて戦うことを表明いたします。  第2に、自衛隊に関連する知事の姿勢について伺いますが、饗庭野の航空自衛隊第4高射砲軍団に既にパトリオットミサイル、PAC−3が配備をされつつあります。御承知のように、パトリオットミサイルは、ナイキ・ハーキュリーズの後継ミサイルとして開発された中射程の地対空ミサイルでありますが、湾岸戦争でもイラクのミサイルの迎撃ミサイルとして使われて有名になり、クリントン政権のもとで進められている戦域ミサイル防衛計画、いわゆるTMD構想の中核的な武器として、今そのパトリオットの改良型が盛んに研究をされているところであります。  アメリカのミサイル迎撃システムに自衛隊が一体化するこのTMD構想は、憲法が禁止する集団的自衛権の行使であり、政府の憲法解釈をさえ踏み越える違憲の軍拡計画であります。かつて饗庭野へのナイキ・ハーキュリーズミサイルの配備に当たり、それに反対する一大県民運動が盛り上がったのでありますが、県民の知らぬ間にパトリオットが配備されつつあるということについて、知事は、これを国に確認し、その撤去を求めるべきと考えますが、どうでしょうか。  第3に、今津町の自衛隊第2営舎というところについて、これを地元に返還し、町づくりを進めることを町当局が国に要望しております。大津では、自衛隊基地返還が大津の町づくりに大きく寄与したように、知事は、住民の要望に沿って基地の一部返還を国に求めることが必要であると考えますが、どうでしょうか。  米ソの軍事的対決が終了したことをもって、冷戦構造が崩壊したと宣伝されております。そもそも冷戦構造とは、アメリカの世界の軍事的支配戦略としてつくられたもので、米ソの軍事的対決はその一部であって、全部ではないのでありますから、米ソの対決がなくなっても冷戦構造がなくなったことにはなりません。アメリカは、世界の憲兵として国際紛争のあるところ、国連の手に縛られることなく米軍を派遣する体制を強化し、そのために日米軍事同盟の強化を求め、自民党と細川政権は、パトリオットミサイル、P3−C機、思いやり予算、自衛隊法の改正などによる海外派兵等でこれにこたえようとしているのであります。  ましてや、冷戦構造が終わったからという理由で保守、革新のイデオロギー対決がなくなったわけではないわけでありまして、これを理由として、社会党に代表されるようなとめどない右転落を行って、総保守化、大政翼賛会化の方向を歩むことは、現実の政治、自民党と第二自民党による悪政を美化し、県民に我慢を強いるものでしかありません。パトリオットミサイルの配備に反対すべきであり、自衛隊基地の一部返還に取り組むべきと思うが、どうでありましょうか、所見を伺います。  次に、びわこ空港問題についてでありますが、11月23日に日野町でびわこ空港の必要性についてというシンポジウムが開かれました。主催者から県に出席を求められながら、県が出席しなかったのはなぜでしょうか。地域の方々に正しい情報を伝え、地域の方々とともに考えていくのが県の姿勢だというのであれば、反対住民を含めて対話を進め、空港の必要性を理解してもらうというのならば、この集会に出席して必要性を強調したらどうなのでしょうか。窓口を対策協議会に一本化するということとシンポジウムに出席するということとは矛盾しないと思いますが、今後も積極的に出席をすべきと思うが、岩波副知事にお伺いいたします。  さて、9月県議会で、私は、知事は空港需要を喚起する周辺開発がびわこ空港の課題とされたけれども、これまでの国との協議、調整によってこの課題はクリアしたのかと述べたのに対し、知事は、アクセス計画の密度といったことを中心とした運輸省との事務連絡の状況から、感触としてクリアしたものと判断したと述べられました。  ところが、この運輸省の責任者である運輸省航空局航空企画調査室長の鈴木室長は、平成5年──ことしの4月23日に開かれたびわこ空港懇談会で、県の提出した需要予測についての疑問として、次のように述べております。  びわこ空港の課題は、需要、路線が成立するかどうかというところであります。ただ、この前内々にうちの方でヒアリングをさせていただいた需要予測というのはかなり荒っぽくて、僕は大分文句を言ったのですけれども、京都の人は、札幌便には100%乗るけれども、福岡便にはゼロだとか、リゾート開発でもうえらく需要がぐっと膨れるとか、かなり荒っぽい予測をされておりまして、あれでは信憑性がないので、もっとやり方をきちっと検討した方がいいですよと言ったのですと述べております。  この懇談会が開かれたのは、ことしの4月23日でありますがら、ここでいう県の需要予測は、平成3年11月29日第6次空整に予定事業として採択をされたときの年間62万人、北海道、九州、沖縄の3路線のことを言っていると考えられますが、鈴木企画調査室長から荒っぽい、信憑性がない、もっとやり方をきちっとした方がよいと文句を言われる内容であったのであります。私が繰り返し需要予測がでたらめであると言ったことを、当の企画室長が予定事業として採択された後に、ことしの4月に、現に岩波副知事等も出席をしておられた懇談会でこういう言明をしているのでありますが、これについてどう反論するのでありましょうか。  また、この指摘を受けて、荒っぽくない、信憑性のある、きちっとした検討をやり直したのかどうか、その結果を伺います。  およそびわこ空港の需要予測がいかにでたらめであるかということについては、59年12月に総務庁行政監察局が出した「航空行政の現状と問題点」という中で、運輸省等が行う需要予測がいかに過大であったかということを詳しく指摘しております。運輸省は、第3次および第4次5カ年計画の需要予測について、昭和60年度に国内線旅客数が6,500万人、昭和65年には1億1,000万人に増加すると見込んでおりましたが、この行政監察局の報告では、しかしながら、この5カ年計画に基づいていろいろ整備をした空港として、3つの空港を例を挙げ、旅客数が減少し定期便の就航を取りやめたもの、便数が減少したものがある、これはオイルショック等外的要因はあったにしても、基本的には国鉄などの輸送力の評価が適切に行われなかったことなどに起因すると認められる、空港事業の整備に当たっての需要予測は、国鉄と他の輸送機関の動向を十分に勘案して行うことが必要だと言っております。これは、航空需要が急激に伸びていた59年ごろの事例でありますが、このときですらJRとの競争に負けて路線が閉鎖される空港が相次いだのであります。  びわこ空港についても、将来、リニア新幹線とか第二名神との競合により需要が成立しない可能性があるのでありますが、この行政監察局の指摘は、10年たった今日でもなお有効性を持っております。県は、この誤りをまたしても繰り返そうとしているのではないか。この指摘をどう理解、どのように需要予測に反映させるのかを問うものであります。  次に、びわこ空港必要論の新しい理屈として、滋賀工業会が本年10月21日、「国際競争時代を生き抜く工業県滋賀の課題と企業戦略」というレポートを出し、これをもとに経済6団体が最近びわこ空港の促進を知事に申し入れました。これらの論拠は、滋賀県の地盤沈下が顕著になっているということ、そして滋賀県の経済の大部分を占める製造業の多くが進出大企業の製造拠点と県内本社で研究開発力よりも生産技術力を優先する大企業の協力企業群で構成され、意思決定機関や開発機能が少ないことが挙げられる、21世紀は、国際化の一層の進展、高速化に対応できる社会基盤が地域社会の発展にとっても最も重要な要素になると思われることから、地盤沈下が進みつつある本県経済にとって、新たな発展を目指すためにはびわこ空港が要るのだということ、そして空港整備とリンクした社会基盤整備を進めないと沈下すると、こういう趣旨のものであります。  しかし、びわこ空港にはおよそ海外路線は予定されていないのでありますから、海外との流れが直ちに活発化するとは言えませんし、仮に活発化するとしても、産業の海外シフト化、空洞化を促進するということにもなりましょう。必要なのはびわこ空港ではなくて、大企業の海外シフトによる空洞化をやめさせ、雇用を守り、地域社会の発展なくして地域経済の発展はないという立場に立って、地域産業を育成、強化することにあります。  そもそもこのままでは滋賀県はおくれる、所得は減る、空港が要るのだと幾ら言っても、空港が来れば、こういうバラ色の夢が現実化するのだといってあおっても、地元の人々は、今のままでよいのだ、今でもそこそこ豊かで便利なのだ、空港が来たら臨空都市ができて、歴史と自然環境の豊かな蒲生町、日野町の自然が破壊されることが怖いのだ、大量のアクセスによる自動車と排気ガスの発生、騒音、地価の上昇、地域社会の急激な変貌が怖い、そんなものは要らぬのだというのが地元の反対論の論拠でありますが、我が党は、空港は不必要であり、白紙撤回を要求しておりますが、県は、空港が必要だと言うのなら、県は空港開設許可に必要な技術的なアセスメントを急いでいるのでありますけれども、今必要なのは、環境基準をクリアするかどうかというアセスメントではなくて、地域社会に与える生活、経済への影響を予測、評価する、いわゆる社会アセスメントが必要なのであります。  空港ができたら、地域の産業、生活がどう変わるか、空港の存在を地域計画にどう組み込むかというこの計画アセスを行うこと、社会的総合的アセスメントが必要でありますが、これは空港のもたらす効果を第三者の立場で客観的に予測、評価するものであり、その成果をもとに必要性について協議をすることが必要であると考えますが、県は、これを全国の先鞭をつけてやることについてどのように考えるか、お尋ねをいたします。(「環境アセスはどうするんや」)環境アセスは後でよいという意味であります。先に社会アセスが必要だという意味であります。  次に、同じく第4回びわこ空港懇談会で、次のような注目すべき発言がありました。日本エアシステムの緒方参与は、以下のように述べております。  びわ湖の上の方で飛行機が飛びます場合、日野空港の上の方で飛行機が飛びます場合には、そういった空域でもって考えますから、そうすると今想定されている日野町周辺には航空路はたくさんあるわけであります、名古屋空港の進入制空域とか、そういうものができているわけです、大阪の方からも来ている、ちょうど空港と空港の谷間と言いますが、お互いの空港が重なり合う地点に大体来ているのであります、そうしますと、滑走路の方向をどっちへ向けるのかで空港の検討をしますと、大体どっちの方向がいいというのは出てくるのですが、そうなった場合に、果たして航空路にうまいぐあいに乗れるかという問題があります、そうすると、この場合、名古屋とびわこ空港と、それから大阪、こういった3つが混在したような形になるわけで、また新しい名古屋の中部新空港あたりができますと、その辺のところの空域の振り分けはどうするのか、それがはっきり決まらないと、下の地べたができても飛行機はうまいぐあいに空に上がれるかな、うまいぐあいに航空路に乗って目的地まで行けるのかというのが一つの問題ではないかなと思いますと言って、びわこ空港の空域に問題があると指摘しております。  私は、平成3年12月県会でびわこ空港の空域調整の問題があると指摘しました。6空整では、近畿は4つの空港が接近することになりますが、今でも管制は限界にあるとされている、びわこ空港には重大な空域調整の問題があるのであります。びわこ空港は、名古屋空港と大阪空港の中間に位置し、その上空に大津上空を中心として、V−28、V−26、V−59、G−597などの東西に走る日本有数の航空路があり、その上に大津市唐崎に運輸省の大津航空無線標識所が設置されている。その周りには、自衛隊の低高度訓練試験空域NO5、民間機の訓練飛行101米軍訓練空域等があります。  びわこ空港は、その真下にあって、高速道路でいえば、交通量の最も多いところに新たなインターチェンジをつくり、大量の車を高速道路に飛び込ませるのと同じであります。安全な離着陸ができるように本格的な空域調整がされないと、現状では建設不可能だとされておりますが、これは6空整閣議決定に対する管制官ら専門家の意見であります。  運輸省は、この6空整で初めて、留意事項第5項として、空域調整問題が重要である、飛行場ばかりつくったのでは危ないのだということを言い出しておりますが、これに対して知事は、そのときの答弁で、空域調整上の問題は、これまで運輸省といろいろと協議、調整をして、いまだかつて問題になったことはない、本県の空港について空域調整上の問題はないのだと答弁をいたしました。  しかし、今紹介しましたように、日本エアシステムの緒方参与は、びわこ空港調査会の委員である日本エアシステムの平井委員の部下で、施設部に所属している専門家でありますが、この人がこのびわこ空港調査会の場で、びわこ空港の空域を問題があると指摘したのであります。あえてこの人がこう言うのでありますから、私は、問題がさらにあると思うのでありますが、再度問うものであります。  次に、県と市町村における老人保健福祉計画の策定についてであります。  御承知のように、厚生省が出したゴールドプランを受けまして、県は、平成4年2月湖国しがゴールドプランをつくり、さらに目下県と市町村の老人福祉計画が平成5年度末をめどとしてつくられております。しかし、このゴールドプランの実施責任者でありますところの市町村は、その策定に当たって多くの課題と悩みを抱え、悪戦苦闘しておるのが現状であります。  近畿弁護士会連合会は、11月に大会を行い、「高齢者の自由と生存」というテーマでシンポジウムを行いましたが、その中で近畿6府県の全市町村326の市町村に対してアンケートをし、146の自治体から回答を得ております。回答率45%。滋賀県からも17の自治体が回答しておりますが、この回答を読みますと、老人福祉計画の策定の問題点を浮き彫りにしておりますので、これに基づいて質問いたします。  第1に、市町村の老人福祉計画の策定状況でありますが、全体として完了したのはほぼ3割、和歌山と奈良はほぼ9割が完了しておるのに、滋賀県は完了したところは一つもないという対照的な状況にあります。もちろん拙速よりは、ゆっくりと立派なものを策定した方がよいから、おくれていること自体が問題だというわけではありませんが、現在の県および市町村の策定状況はどうか、他府県に比べておくれている理由は何かをお尋ねします。  第2に、計画策定に当たって、策定委員会等の審議機関をつくっているところは全体の42%にすぎず、52%は何らの委員会を設置しておりませんが、住民の意思を計画に反映させるために策定委員会の設置が必要であると考えますが、県下で策定委員会を設置しているところはどれぐらいあるのか。また、県自体のゴールドプランの策定に当たって、策定委員会がつくられていないのは問題であるという意見がありますが、県は、なぜ策定委員会をつくらないのか、今後設置する意思があるのかを問うものであります。  また、今回の調査によりますと、議会が策定に当たって関与した自治体は半数に満たないとされておりますが、特に議会が審議をして計画を修正させたのは滋賀県の安曇川町のみであるということでありますが、今後の策定に当たって議会の審議を得るよう指導すべきではないでしょうか。  第3に、計画内容についてでありますが、どの市町村でも、現状として特別養護老人ホームの不足による待機者の存在とか、あるいはホームヘルパーの不足、ショートステイ、デイサービスの不足等が深刻であるという現状です。ゴールドプランの中心課題である寝たきり老人対策の重要性は言うまでもありませんが、この点で県下の現状は極めておくれております。  県の高齢者福祉施策を顧みますと、低所得、寝たきり、ひとり暮らしと規定した条件をつけ、週1回または月1回程度のホームヘルプとかデイサービスの実施しかない、まさに救貧行政のレベルだと言われても仕方がない実態であります。  高齢者施策における全国的な滋賀県の位置はどうかという点について、「月刊福祉増刊号」というのがありまして、89年データによりますと、特別養護老人ホームの定員率は全国で50位、政令指定都市を含んで滋賀県は50位、65歳以上人口1,000人に7人の入所になっておりまして、施設整備はまさに全国最低クラスであります。在宅福祉の3本柱とされているところのホームヘルパーは全国37位、ショートステイは全国13位、デイサービスは全国33位であります。  この滋賀の状況を評して、「月刊福祉増刊号」で、当の厚生省の老人福祉計画課長──当時の計画課長でありますが、こう言っております。滋賀県は、在宅は全般的に低調で、大幅な拡充を図るための具体的な対応が必要ではないかと、この誌上で述べております。滋賀県は、在宅福祉施策も全国的に比較して非常に低いレベルにあるということを厚生省が言っているのであります。  したがって、高齢者を含めて地域住民のだれもが安心して地域、家庭で暮らせるように、高齢者施策を抜本的に改正することが緊急に必要でありますが、滋賀県と兵庫県では特に在宅介護支援センターがおくれている、また特別養護老人ホームと在宅介護支援センターが非常におくれているのでありますが、どうしてそのようにおくれているのか、どのように脱却するのかを問うものであります。  第4に、このアンケートの回答の中で、非常におもしろいというか、衝撃的なのは、以上の計画が具体的に実施できるかという問いに対して、できますというのが14%にすぎず、全体の62%が財源上マンパワーの確保が問題であると言っております。厚生省は、抜本的な革命的転換をしたという意気込みがあるのと裏腹に、肝心の実施責任主体者たる市町村は、その意気込みよりも実現への制約から来る苦悩ばかりが寄せられているのであります。  したがって、特別養護老人ホームとか老人福祉施設について具体的計画を持たないのが多いのでありますが、現に7割前後の市町村が在宅介護支援センターについての計画を持っておりません。その理由は、言うまでもなく財源不足や補助金不足、それに期待するものが多いのでありますが、これは、市町村を福祉サービスの実施主体と位置づけながら、財政体系は従来どおり中央集権的な仕組みのままに放置されているということの矛盾が、この老人福祉計画の策定と実現を目前にして表面化しているのであります。  また、人材確保の面では、末端の人口過疎の自治体ほど悩みが大きいということでありますが、県は、これにどう対処するのでありましょうか。  最後に、私は、平成3年9月県会で、県の計画と大津市の計画とを比較すると、県の計画は国の計画のほぼ1%であるのに対して、大津市の計画は、例えば、ホームヘルパーの人数では県の基準の半分にすぎない、これを改善して大津市の目標値を上げるように指導されたいと質問いたしました。その後、大津市の計画は133人とか180人というふうに若干ふえてきましたが、まだ県の基準には及んでおらないところであります。  ところが、最近、県は、県の基準は国の1%でほぼ策定したけれども、実施主体たる市町村の現状からして、これの到達は困難であるとし、市町村の計画を県の基準に満たないものとなってもやむを得ないとして是認する傾向にあると聞いておりますが、それでは現状の救貧行政レベルであると酷評される県の劣位な状況を他府県並みに引き上げることすら困難になると考えます。  市町村の個別事情を考慮することは必要でありますが、特にホームヘルパーに頼るのを潔しとせず、一部の市町村では、家族で面倒を見るのでホームヘルパーはそんなに必要でないという意見等も根強いようでありますが、このような状況を是認すれば、いつまでたっても救貧行政レベルを脱却することはできないのでありますから、市町村の計画の内容を県の基準にまで引き上げるということに強力に指導することが必要と考えますが、当局の所見を伺います。  最後に、大津市柳ケ崎の水泳場における河川不法占用問題でありますが、県は、59年から河川不法占用対策プロジェクトチームをつくり、不法占用の解消に努めてきたのでありますが、最近までの成果と現在の状況を問うものであります。  大津市柳ケ崎の水泳場の河川敷に2カ所、非常に大きくかつ堅固な構造物がつくられており、ジェットスキーなどの保管場所として営業的に利用されておりますが、この物件は当然のことながら2件とも建築確認を得ておらず、河川法の占用許可を得ておりません。この場所は、大津市が将来マリーナ公園等を計画している場所でありますが、県は、これに対しどう対応してきたのか。河川不法占用は、ちょっと手を抜くと、すぐにまた行われるという傾向がありますが、プロジェクトチームを再び発足して厳正に対処することが必要ではないでしょうか。  ところで、この不法占用物件のすぐそばに、ことし7月付でこの場所に大津土木事務所と大津警察署、大津市役所の3者連名で警告という看板が立てられております。今もあります。この看板には、ここから先の浜辺は河川敷で滋賀県が管理しているので、駐車場をつくったり、工作物を設置してはいけませんと書いてあります。  ところが、この看板の設置している場所が問題なのでありまして、実際の官民境界線よりも約25メートルほどびわ湖の沖の方へずれてつくられている。こんなばかなことがあるかと思うのですが、これを見る人は、ここまで、この看板のところまでは民有地、ここから先は官有地だと判断しますので、今私が指摘している不法占用物件は民有地に建っていると錯覚しがちでありますが、実際はこれは官有地に建っているのであります。つまり、この看板のついている場所が間違っているわけであります。  一方で不法占用の解除を要求しながら、なぜ最近になって、ことしの7月になって、こんな紛らわしい、ここから先は浜辺ですというようなことを真実の境界線よりも25メートル先に立てるのか、何でそんな紛らわしい看板を立てるのか、すぐ正確な位置に戻すか、あるいは正確な表現にすべきであると考えますが、どうでしょうか。  ところで、本件の不法占用は、河川法26条違反、建築基準法違反に該当するものであります。河川法による除去命令に従わない場合の行政代執行等による代執行は可能でありますが、それらの措置をとるのかどうか。  また、従来、行政代執行というのは、一見簡単なようでありますが、非常に難しいので、むしろ私は民事訴訟を提起した方が早いと思うのでありますが、民事訴訟の提起とか刑事告発が考えられますが、河川管理者としては、占用者の対応いかんによっては速やかにこれらの措置をとるべきと思いますが、どうでしょうか。  また、この物件については、河川法26条、102条違反あるいは建築基準法違反、刑法の不動産侵奪罪の適用が考えられますが、警察本部のこれに対する対処を聞くものであります。  以上です。(拍手) ○議長(田中高雄君) しばらく休憩いたします。
       午後0時9分 休憩    ───────────────    午後1時5分 開議 ○議長(田中高雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  16番吉原稔君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)まず、新年度の予算編成方針についてお答えします。  予算の要求段階で5%のシーリングを採用しておりますのは、漫然と従来からの事務事業を計上したりするのではなく、それぞれの要求部局においてまず主体的に事務事業の綿密な見直し、改善を図り、新しい時代の要請にかなった事業に軸足を移し、効率的な予算を編成していくための方法として考えているものであります。  来年度の予算編成に当たりましては、既に代表質問に対する答弁において申し上げましたように、厳しい財政環境の中でも、湖国21世紀ビジョン、その他長期の展望に立ち広く合意形成がなされた構想、計画に沿って、県民に身近な生活分野を含め社会資本の整備を着実に進めるとともに、環境の保全や福祉の向上などの面で新しい淡海文化の創造の理念にふさわしいきめ細かな対応を行いたいと存じますし、他方景気浮揚対策にも配慮した予算の編成を図ることが肝要と考えております。  なお、予算編成に向けての通知においても、5%のシーリングとは別に、新しい淡海文化の創造や時代の変化に対応した新たな県政の展開に係る重要な施策は、協議の上、これを別途の扱いとして、福祉部門を含め5%シーリングの枠外要求を認める措置も設けており、真に県民福祉の向上を図る観点から、バランスのとれた予算になるよう十分留意いたしております。  びわこ空港については、同時にシーリングの別枠としましたが、これは、空の時代にあって、本県の将来をかけた一大事業と位置づけ、現在も引き続き地元の皆さんに継続した話し合いを求めているところでありまして、同様の扱いとしたものであります。  次に、自衛隊基地の問題あるいはパトリオットミサイルの撤去につきましては、これまでから県議会においてたびたびお答えしておりますとおり、自国の防衛に関してその政策を定め、何をするかを決定するのは国の専管事項であり、知事が意見を述べることは、通常は差し控えるべきであると考えます。しかし、地域住民の方々の安全や日常生活に重大な影響を及ぼすおそれのある問題は、この限りでないと考えておりますので、関係者の意見もよく聞いた上で判断いたしたいと考えております。  なお、陸上自衛隊今津駐屯地2号地につきましては、「ゆうゆう創造いまづ」を将来像として、今津町が各般にわたる施策を展開され、活力ある町づくりを進めている重要なポイントを占める位置にあることから、この土地の譲渡を防衛庁に求めておられることは聞き及んでおります。このことについては、まず町当局が防衛庁との話し合いにより解決されるお考えであると承っております。 ◎副知事(岩波忠夫君) (登壇)びわこ空港についてお答えいたします。  11月23日に開かれましたびわこ空港建設反対協議会のシンポジウムになぜ出席しなかったのかということでございますが、県といたしましては、目下地元に対して空港設置の御理解をいただくべく努力いたしているところでございますが、その進め方につきましては、まずは空港設置により直接影響を受けることが予想される集落の理解と協力をいただくことが先決であると考えておりまして、その関係集落および両町の対策協議会を窓口として話し合いをお願いしてきているところでございます。これまでのこれら関係地域との信頼関係を重んじるという立場から、他の団体が地元で開催するシンポジウムへの出席はお断りしたところでございます。  それともう1点、空域調整についてでございますが、びわこ空港の場合、6次空整の採択時において調整を終えていると承知しており、平成3年12月議会で知事が答弁いたしましたとおり、空域調整上は問題はないと認識いたしております。 ◎企画部長(勝義隆君) (登壇)びわこ空港についての御質問のうち、航空旅客需要予測にかかわっての御質問にお答えをいたします。  去る4月のびわこ空港懇談会において、運輸省の当時の鈴木航空企画調査室長から出されました意見を受けて、きちっとした検討をやり直したのかどうかということでありますが、県といたしましては、6次空整の採択時において課題とされました航空旅客需要の喚起に結びつく周辺開発、周辺整備について、運輸省当局と採択時以降何回も協議、調整を重ねてきたところでございます。その中で、追加インターチェンジを含みますアクセス計画や臨空都市構想あるいは湖国21世紀ビジョンのさまざまなプロジェクトの推進状況等々について説明をし、事務折衝の過程におきましては、課題はほぼクリアできているとの感触を得たのであります。  そうした中で、平成12年度の旅客需要予測であります札幌、福岡、那覇の3路線の予測値62万人の採択時における需要見込みにつきましても、さまざまな事務折衝のやりとりの中で、課題検討の際、担当の方々との事務折衝の中で、この夏ごろまでには総合的な判断のもとでその予測値の検証がいただけたものと承知をいたしております。  次に、第3次空整および第4次空整に係ります行政監察局の指摘につきましては、国において5次空整以降の空整計画の際には改善をされていると聞き及んでおります。  次に、空港が必要というなら社会アセスメントを行うべきではないかとのお尋ねでありますが、県といたしましては、空港問題につきましては、地元の皆さんが大きな不安や御心配をいただいていることについて、お互いに率直な話し合いを重ねる中で御理解をいただきたいということで、話し合いの場の設定に係る環境づくりに努めてきたところでありますし、具体的には、県が持っております資料とかデータを提供して、また専門家も呼んで話し合うなど、お互いが納得のいくまで議論を尽くしていこうという考えでございます。私どもといたしましては、地元の皆さんに御理解と御協力をいただかない限り、空港はできるものではないという認識のもとに、今後とも取り組んでまいる考えでありまして、具体の対応策をきちっとお示しし、総合的な評価と議論をいただきたいと思っております。社会アセスメントの概念につきましては、一部学者グループが提唱されていることは仄聞しておりますが、その手法は現段階では確立がしていないものと承知をいたしております。 ◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)県と市町村における老人保健福祉計画の策定についての5点の御質問にお答えします。  1点目の計画策定の状況についてでありますが、市町村計画につきましては、全市町村においてサービス目標量等の主要部分の事前協議をほぼ終了し、現在全体計画の原案協議に入った段階にあります。計画の策定時期は、国の指導では本年度中とされており、現在のところ、特におくれている市町村はなく、おおむね順調に進んでおり、他府県と比べてもおくれている状況ではありません。  また、県計画につきましては、市町村計画が基本となりますことから、市町村計画の内容を見きわめながら作業を進めているところであり、年度内に策定を終える考えであります。  2点目の策定委員会の設置についてでありますが、市町村計画の策定に当たって策定委員会を設置するよう指導してきたところであり、現在までに49市町村で設置されており、残る1町も今月中に設置されることになっております。  県の策定委員会につきましては、県議会議員、有識者、市町村、保健、福祉、医療等の関係者で構成されます県の高齢化対策審議会がありますので、ここで御審議いただくこととしており、さらに県地方社会福祉審議会などの御意見も聞いて策定したいと考えております。  また、計画策定に当たっての議会の審議につきましては、地方自治法上、議会の議決を要しないこととされており、国の指導でも議会の議を経ることは要しないとされておりますが、団体委任事務としての在宅サービス、施設サービスについての計画であり、地方自治体の意思として決定されることから、策定委員会等への議会からの参画や議会関係委員会の意見を聞くなどについて、市町村を指導しているところであります。  3点目の特別養護老人ホームと在宅介護支援センターの整備についてでありますが、御指摘の数値は平成元年度のデータによるものでありまして、その後それぞれ着実に伸びているところであります。全国的に見て過去の特別養護老人ホームの整備等が低かったのは、持ち家率が高いことや高齢者の三世代同居率が非常に高く、家庭における介護力が相対的に全国より高いなどといった本県の特性によるところが大きいのではないかと考えております。  また、介護支援センターについては、平成2年度からの新しい制度であることによるものと考えておりますが、今後は家庭の介護力の低下が見込まれますことから、これらの施設について、湖国しがゴールドプランに基づき、市町村と一体になって鋭意整備に努めているところであります。  4点目の財源と人材の確保の面での市町村の指導についてでありますが、計画の実施に必要な財源は国庫補助金、地方交付税等により措置されることになっており、所要の改善がなされたところであります。ただ、十分でない面もありますので、国に対してその拡充を要望してきたところであり、引き続き強く要望してまいりたいと考えております。また、県といたしましても、特別養護老人ホームの整備やホームヘルパー設置への県単独の措置など、できる限りの援助に努めているところであります。  また、人材の確保につきましては、福祉人材センターやナースセンター等を設置し、県民への啓発や求人求職相談、再就労の促進、養成、研修等を行っているほか、修学資金の貸し付けなど、人材の質的、量的確保に努めているところであります。  5点目のホームヘルパー等の計画についての指導でありますが、市町村が計画目標量を設定するに当たっては、湖国しがゴールドプランをガイドラインとしながら、市町村の高齢者の実態や需要調査をもとに、それぞれの策定委員会の意見を踏まえて計画するよう指導しているところであり、ガイドラインを大きく下回るものにつきましては、個々に指導、調整を行ってきたところであります。今後ともそれぞれの市町村で計画が老後を安心して迎えられるものとなるように指導してまいりたいと考えております。 ◎土木部長(宮尾悦夫君) (登壇)大津市柳ケ崎水泳場におけるびわ湖の河川不法占用についての御質問にお答えします。  びわ湖を中心とする河川の不法占用対策につきましては、琵琶湖総合開発事業を推進する前提条件として、不法占用を排除し、湖辺管理の適正化を図ることが最優先となったことから、急きょ昭和59年7月1日付で土木部内に河川不法占用対策チームを設置し、びわ湖の不法占用を積極的に排除したところであります。その結果、撤去対象物件数1,314件のうち、昭和62年度末には1,030件が解決し、78.4%の成果が得られ、チームの所期の目的が達成されたことから、昭和63年3月末日をもって河川不法占用対策チームを廃止いたしました。  その後、残った案件につきましては、新たな不法占用を含め、引き続き通常の河川管理業務の中で重要課題と位置づけ、一日も早く不法占用を解消できるよう努めてきたところであります。その中で特に悪質な案件については法的措置をとった事例もあります。  次に、大津市柳ケ崎地先の不法占用についてでありますが、御指摘の2カ所の構造物は、昭和59年に河川不法占用対策チームが官民境界を現地に復元した際に、不法占用物件であることが判明したものであります。これは、大津市が相当古くから売店を夏の期間に限り市有地として使用許可を与えた施設であることから、大津市の申し出により市が撤去する旨の確約がなされたものであります。なお、現存する構造物は、県、市の再三の警告にもかかわらず改築されたものであります。  そこで、この対策について、大津市は、過去の経緯からこの地先に計画されている近江神宮外苑公園整備事業の際に、事前にこれの撤去に取り組むこととされ、近日中に当事者に当たると聞いております。また、県は、市の適正な行政措置に期待をしつつ、早期に撤去するよう指導を続けているところでありますが、その経緯を見守りながら、状況に応じて法的措置も考えております。  また、河川不法占用対策チームについてですが、不法占用の解消に当たっては、現状の体制をもとに最善を尽くしてまいりたいと考えております。  次に、看板についてでありますが、警告の看板は、予測される不法な行為に対し広く警告することを目的としているために、見やすくかつ通行の支障にならないよう配慮して、現在の場所に設置したものであります。しかし、御指摘のような現状であることを踏まえまして、適切な改善措置を講じてまいりたいと考えます。 ◎警察本部長(中島勝利君) (登壇)質問のありました大津市柳ケ崎の土地につきましては、相当長期間にわたって使用許可なり使用料徴収等の経過が認められるところであります。このような経過をたどっているところの建築物につきましては、まずもって関係行政機関の適切な行政措置がとられることが至当と考えております。  以上のような経緯等から見て、警察としてその罰則適用をする場合におきましては、関係行政機関の告発を待って対処するということが妥当ではないかと考えております。 ◆16番(吉原稔君) (登壇)まず、知事に饗庭野ミサイル基地の問題についてお尋ねいたします。  従来、この種の質問をすると、大抵国の専管事項であるから云々という答えが返ってきましたが、今回の場合には、住民の安全に関する問題についてはこの限りにあらず、意見を聞いて対処すると、こういう話でありました。  まず、その中で今津基地の第2営舎の返還問題でありますが、これは先ほども申しましたように、町当局も、この第2営舎の返還を受けて、これを町づくりに利用したいということで、公式、非公式に国と折衝している問題であります。  けさの新聞によりますと、舞鶴の海上自衛隊の基地の大きな部分が舞鶴市に払い下げられて、舞鶴市はこの部分を公園として利用する計画を立てているということが、きょうの新聞に報道されておりました。こういうように、国の自衛隊施設であっても、その必要度等において住民の町づくり計画に利用するために返還をするという事例はあるわけですし、現に大津市がそういう事例であるわけですから、私は、町が解決すべき問題であるということでなくて、県が、特に知事が積極的に町づくりに協力するという意味において、国にこういった返還を要望すべきであるというように思いますが、いかがでしょうか。知事は今、その必要性を認めていないというふうに思っておられるのかどうか、再度お伺いをいたします。  それから、パトリオットミサイルの問題でも、これも広い意味においては住民の安全に関する問題にかかわってくると思いますので、この問題については、国の専管事項に属するから何も言わないということでは済まされないのではないかと思いますが、再度知事の所見を伺いたいと思います。  次に、空港問題に関して、副知事と企画部長にお尋ねいたします。  なぜこの種反対住民が主催者の一つになっている集会に参加をしないのかという問題について、信頼関係を重んじるからお断りしたというような話でありますが、こういったシンポジウムを開催し、それに県が企画者としてあるいはそのシンポジウムのパネラーとして参加することが、どうして信頼関係を破壊するというようなことになるのか、私は全然わかりませんので、再度副知事の説明をお伺いします。  県は、住民の理解を求めなければできないということで、住民と対話をして、県のその必要性を納得してもらうということであるわけですが、今や成田空港の問題ですら、あの過激派の熱田派とシンポジウムをやっているという時代であります。ましてこの日野、蒲生の地域の反対派の人たちは、過激派とは縁もゆかりもない良識ある人々であります。その方々とシンポジウムという討論の場に出席して、県がその必要性を論議することがどうして信頼関係を損ねたりすることになるのか、私は、むしろ信頼関係をより強化することになるのではないかと思うのでありますが、お尋ねをいたします。  従来、私も、びわ湖の問題とかいろいろな問題でこういったシンポジウムを計画し、やってきましたが、県に出席を求めると、県は大抵何だかんだと理屈をつけて行きたがらない。たまに出てきても、とにかく早く帰りたいとそわそわそわそわして、そそくさと帰っていくというのが実態でありまして、県は、こういった住民が主催するシンポジウムその他に出たくない、出たがらないという体質があるのは否めない事実でありますが、例えば、蒲生日野空港の問題にしても、県が出て説得をするという場面と、県はいや、絶対そういうところへは出ないのだという場面と、どの辺で線引きをしているのか。私は、あえて線引きなどをする必要はないし、全くすべきでないと思いますが、今回の対応を見れば、県が対話路線を打ち出した、住民を説得するということも、どうも信用できない、どうもうさん臭いという感じがいたしますので、再度その点についての県の対応、そして今後積極的に住民が要求をすれば進んで出ていくということを明確にしていただきたいと思いますが、副知事の所見を伺います。  次に、企画部長の先ほどの鈴木室長が言ったということについての答弁ですが、きのう一晩寝ずに考えた答弁でしょうけれども、余りにも抽象的過ぎて、模範回答過ぎて、さっぱりわからないということであります。  私が指摘したことは、第6次空港整備計画に予定事業として採択されたときに持っていった62万人、3路線というのは、それまで県は盛んに、まず最初に東京路線が成立するという形で計画を立てる、次にそれがやっぱりだめだというのでやめた、また東京路線がメインになるといって計画を立てた、今度はまた運輸省に行くときにはそれはやめたと、こういうふうに二転三転して、一番自信のある計画をもって予定事業に乗せたのだろうと、私は思うのですが、その乗せた後のことしの4月の懇談会で、一番運輸省の責任者から、いわばぼろんちょんに言われている。このぼろんちょんに言われているにもかかわらず、先ほど企画部長は何か総合的判断で了解を得たみたいなことをおっしゃいますが、何か室長がぼろんちょんに言った部分をクリアできるウルトラCがあったのか。もしそのウルトラCがあったのなら、こういうウルトラCがあって、こういうふうに需要予測を変えましたという説明をしていただきたい。それを具体的に説明しないで、ここまでぼろんちょんにことしの4月に言われていながら、現在時点で、いやいや納得してもらいましたというようなことを言ったって、だれも信用しないと思うのです。  私は、鈴木室長がこんな状態であるならば、この程度の理解であるならば、仮にあした地元の人がどうぞつくってくださいと、びわこ空港について全面的に賛成に転化しても、運輸省は首を縦に振らないのではないかと、こういう懸念を覚えますが、いかがでしょうか。  それから、空域調整の問題について、副知事はやはり依然として問題がないと言っておられますが、私が前に質問したときには、また吉原がびわこ空港の問題で質問するために、いろいろな論点を探し回って、どこかへ聞きに行って、聞きかじりのことを言っておるというふうにたかにくくっておられたのではないかと思うのですが、今度の場合には、びわこ空港の参与の委員のその部下である専門家がびわこ空港の空域には問題があると言っているのであります。  御承知のように、神戸空港などは空域問題が一番頭の痛い問題でありますが、空域問題というのは、仮にびわこ空港ができたときに、それが解決していなければ路線開設ができない、飛ぶところがないという非常に深刻な問題であります。自動車を買って、ガレージをつくったけれども、出口にはコンクリートブロックがあった、出られない、こういうのと同じことであります。そういう意味で、問題がないと簡単に片づけないで、県としても独自に空域問題を解明して、県民に納得できる資料を提供すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。  それから、土木部長にお伺いしますが、今の話を聞けば聞くほど、この占用問題はきのうきょうの問題ではなくて、古くからあった問題であるようです。しかし、聞いておりますと、大津市が許可したのだから、大津市が撤去すると約束したのだから、うちは情勢を見ていたということですが、河川不法占用の解決の最大の権限あるいはその最終の責任者は県であります。したがって、私は、具体的にこの2カ所の物件について、どのような文書で、あるいはいつ、どのようにして撤去を警告したのかということについて、もう少し具体的な説明を求めたいと思います。そうでなければ、県がこの古い不法占用問題を解決しようとする意思を持っていないのではないかと疑われてもやむを得ないと思うのです。  特に、先ほど言いました看板の問題ですが、表現の適切さという問題を超えて、既にそこに難問の不法物件があるということを知りながら、ことしの7月段階で大津土木事務所と警察署と大津市役所の3者連名で、肝心のその不法占用物件のすぐ目と鼻の先に、ここから先は浜辺です、ここから先は官有地ですなどというのんきな看板を立てておる。私も、この問題を聞いて、現場に行きまして、この看板を見て、あれ、ここから先が官有地だったら、ここから先は民有地なのか、では、この物件は不法占用ではないのではないかと思って、県に聞きましたら、いや、実は官民境界ともっと陸上にあるのだという話を聞いて、非常にびっくりしたのですが、こういう看板を無神経に立てるということは、この不法占用物件を本当に解消する気がないのではないかと思われるのでありますが、今までこれに対して県としてどう対応したのか。今の話によると、市に任せたから県は何もしていないというふうに理解してよいのかどうか、再度説明を求めるものであります。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)再質問にお答えします。  自衛隊第2営舎の今津町の返還要望につきましては、町から相談がありますれば、当然応ずべきものと考えております。  それから、パトリオットミサイルの配備につきましては、町を通じて承知している程度でありますので、改めて確認の上判断したいと存じます。 ◎副知事(岩波忠夫君) まず、啓発の問題でございますが、地元の対策協議会との関係は、長い間話し合いができないという膠着状態にあったわけでございますが、先般7月の知事提案によって久方ぶりにそれぞれ第1回の話し合いの場が持てたという状況でございますが、そうした過程で、国への新規事業への格上げ要請は控えるということと同時に、そういう姿勢に関連して、地元での今までのようなやり方での啓発活動等も差し控えるというのが、やはり地元に対して評価をされて、そういうことになったという経緯がございます。そうした経緯から成り立っている相互の信頼関係というものを損なうようなそうした場には出るべきではない、それが流れとしては地元との関係を保つ道であるというふうに判断をいたしておりまして、今後もそういう考え方には変わりはございません。  それから、空域の問題でございますが、今までの運輸省との事務折衝の過程でも特段障害になるような問題の指摘はされておりません。緒方参与のお話につきましても、具体的にこれこれという障害があるというようなお話にまでは至っておりませんので、一般論として、そうした滋賀県の上空は航路が込んでいる空域であるという認識をお述べになったものと理解いたしております。 ◎企画部長(勝義隆君) 需要の予測値に係りましての再質問でございますけれども、平成3年の11月に閣議決定をされました6次空整の予定事業とした事業を対象に検討委員会というのが設けられておりまして、航空局長以下、次長、管理部長、飛行場部長、管制保安部長でございますけれども、そのもとに幹事会というのがございまして、そこで昨年の1月9日に設けられた検討委員会のもとの幹事会で何回も事務折衝が行われてきたわけでございます。そうした中で、私どもがアクセス等々臨空都市構想やらいろいろと資料を持ち込みまして、説明をして、最終的に総合的な判断で県のびわこ空港の予測値については検証ができたと、こういう感触をいただいたということでございます。 ◎土木部長(宮尾悦夫君) 不法占用の対応の仕方ですけれども、この大津の地先については、今までどういう警告をしてきたかということですが、細かいことについては、今ここで掌握しておりませんが、最近においては数回の警告をした実績は聞いております。こういったケースについては、その事象ごとに警告を変えて、繰り返し繰り返し警告し、そしてそれでもまだ解決していない場合には、所定の手続をとるということで、回数については掌握していませんけれども、土木事務所においてその都度そういった勧告をいたしております。  また、看板につきましては、一般的に申し上げますと、こういった河川区域でこういうふうに使ってくださいというような場合においては、この付近、この地先はこうだということで、指導なりPRいたしますが、この件については、境界の問題がありますために、そういった面では、立てた先が、先ほど答弁申し上げましたとおり、いろいろな使い方とか見てもらう、そういう側に立って、立てる場所については適切でなかったと思いますが、その中身と立てる場所については改善いたしたいと思っています。 ◆16番(吉原稔君) (登壇)副知事と企画部長に空港問題で再度お尋ねをいたします。  先ほどの副知事のお話によりますと、要するに、今、住民との対話路線をとって、しばらく凍結していた協議会との対話を再開したのであるから、県は啓発を差し控える、だからそういう場には行かないと、何か三百代言的な感じのする話でありますが、現に県は、しばらく凍結していた対話路線を、対話を再開するということで協議会との話を再開したということは、その場で住民の皆さんに理解を求めよう、つまり啓発をしようということのために出ておられるのではないと思うのです。住民の皆さんが反対だと言うから、そうですね、それはごもっともです、では、もう空港はやめましょうというので、行っているのではないことは確かであります。  そうだとすれば、なぜ環境ネットワークと反対協議会が主催したこの集会は、そういう啓発の場として使えないのか、なぜ対話の場として使えないのかということであります。特に、その協議会の中から、ああいう人たちのやる集会には出ていってもらっては困りますよと、そういう注文があったわけでもないと思いますし、またそんな注文をする狭量な人たちはこの地元にはいないと、私は思っておるわけでありますが、そういう中で、県がかたくなにそういった反対の色を鮮明にしている部分には出たくない、あるいは出ないというふうに言う根拠が、私はよくわからないのでありますし、また県のそういう姿勢は誤っていると言わざるを得ないと思います。その点で、再度副知事のお考えを伺います。  それから、企画部長の答弁も結局、臨空都市とかいろいろなプロジェクトを持っていって、これでどうでしょうか、これでどうでしょうかといって、事務当局と折衝しているうちに、では、いいのではないでしょうかという感触を得ましたと、こういうことになるのではないかと思うのです。前回の9月県議会のときの知事の答弁も、基本はそういうふうに折衝している間にいいという感触を得ましたと、こういうことなのですね。つまり、予定事業として採択された時点でですよ。  ところが、その感触がよかったので、ああよかったと安心しておったら、ことしの4月にびわこ空港懇談会という副知事も出席しておられるそういう場で、当の一番責任を持っている鈴木という室長があなた方の言っていることは信憑性がない、もっと正確に言えば、荒っぽい、信憑性がない、もっときちっとした検討をやりなさい、きちっと証明することができるのでしょうと、こういうようなことを言うわけですから、私は、これは県の方々にとっては青天のへきれき、まさかこんな発言が出るとは夢にも思わなかったということになるのではないかと思うのです。  恐らく出席しておられた副知事さんもおしりがかゆくなったのではなかろうかという感じがするのですが、私が申し上げたいのは、感触だとか、あるいは折衝によってこういう印象を持ったとか、そういうことであるのなら、このような厳しい発言は出るはずがない、この4月にこんな発言が出るはずがないと思いますし、またこんな発言が出て、それからわずか5カ月しかたっていない今日の時点において、この不信感を解消するようなウルトラCが見つかるはずがないと、私は思うのでありますが、この不信感を解消するだけのどのようなデータが出てきたのか、あるいは何かウルトラC的なプロジェクトがあったのか。そこの部分をやっぱり明確にしていただかないと、抽象的な感触を得た、感触を得ただけでは、将来新規事業に移行するときに、やっぱり室長の感触はこういう厳しいものであったという状況でとどまっているのではないかと思いますので、その点を再度企画部長にお尋ねするものであります。 ◎副知事(岩波忠夫君) ただいま直接関係をいたします集落から成る両対策協議会とは、7月の知事提案を受けて第1回目の話し合いを行い、さらに話し合いの継続が必要であるというお互いの認識といいますか、そういうものがございます。そういう空気なり雰囲気、それを先ほどは信頼関係と称したわけでございますが、こういうものを大切にしていきたいという一念でございます。そうしたものにひびを入らせるようなことについては、消極的にならざるを得ないし、なり過ぎるということもないというふうに思っております。 ◎企画部長(勝義隆君) びわこ空港に与えられました予定事業としての課題は、需要の喚起に結びつく周辺開発、周辺整備でございまして、先ほど来申し上げておりますように、臨空都市構想とかアクセスとか、そういった周辺開発の動向あるいは空港周辺地の社会経済、文化の集積状況とか、湖国21世紀ビジョンのプロジェクトの推進状況、航空会社の意向もあるのですけれども、そういったものを説明する中で、びわこ空港として需要の確保の見通しが立ったと認識をいただいたと、このように御説明を申し上げている次第でございます。 ○議長(田中高雄君) 次に、19番大林清君の発言を許します。 ◆19番(大林清君) (登壇、拍手)国際家族年に関連して、健康福祉部長に伺います。  第44回、1989年国連総会で、来年を国際家族年に制定することが採択されています。テーマは「変化する世界における家族・その資源と責任」と定められ、主な目的と実行プログラムとして以下のものが掲げられています。  1つ、家族の重要性の明確化、家族機能の理解の深化を政府、民間双方から高める、2つ、家族に関係する政策と実施、監視システムを強化する、3つ、家族状況に影響したり、されたりする問題への対応を推進する、4つ、家族問題のプログラムを推進するため、関連する新規あるいは既存の活動を強化するよう政府や地方公共団体の努力を求める等々であります。  国際家族年が採択された背景には、これまで国連が行ってきた世界人権宣言、女子差別撤廃条約、子供の権利条約などに見られる人権と福祉を進める方針の一層の推進と世界的に離婚、ホームレス、貧困、孤児、難民の増加という状況についての対策として、家族の意味、その資源としての役割の再評価があったとされています。  しかし、県民には国際家族年に向けての活動は極めて希薄であり、啓発の必要性が強く求められていますが、どうか。また、新年度予算にどのように反映されるつもりか、伺います。  ところで、我が国の家族を取り巻く現状は、周知のとおり、核家族化、晩婚化、女性の社会進出など生活様式の変化は、日本古来より伝承されてきた我が国の家族制度のよさを喪失させると思いますが、どのように認識されているのか。  その変化を端的に物語るのが出生率の低下であり、半世紀の間に3分の1に減っています。核家族化は進み、厚生省の国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの平均人員は、1953年には5人だったものが、昨年は2.99人と初めて3人台を割り込むという状況の中での男女共同参画型社会での核家族化であり、地域社会の崩壊が憂慮され、健全で温かみのある子育てが要請されていますが、どのように考えているのか、見解を伺います。  また、総務庁の労働力調査によると、女性の雇用者は、昨年1,974万人、1960年に比べ約2.7倍にふえています。昨年4月育児休業法が施行されましたものの、共働き夫婦にとって仕事と育児の両立は頭の痛い問題であると言われます。連合の小学校3年生以下の子供を持つ女性労働者約2,400人を対象にした調査で、仕事と育児の両立のために必要な条件を挙げてもらった結果、上位を占めたのは育児休業中の所得保障、労働時間の短縮、職場の同僚の理解、事業所内保育所の拡充などであります。  共働き夫婦を支援するため、厚生省は、新年度予算の概算要求に時間延長型保育サービス事業を導入する計画や在宅保育サービス事業等盛りだくさんの事業を用意し、育児支援のほどがうかがえるわけでありますが、共働き夫婦の支援についてどのように考えているのか、また新年度予算への対応についても伺います。  次に、農協の高齢者福祉活動について、農林水産部長ならびに健康福祉部長に伺います。  農協法の改正に伴い、JAは、公的福祉事業のうち特別養護老人ホームおよび養護老人ホームを除くすべての高齢者福祉施設をみずから設置、運営できるとともに、老人ホームヘルプサービス事業や老人デイサービス事業等の在宅老人福祉対策事業の公的福祉サービスをJAが受託できることとなりました。また、JAが置かれている地域の実態、福祉事業の性格から、員外利用制度が緩和され、組合員のみならず、地域住民を対象に高齢者福祉事業を実施できることとなっています。  JAは、これまで元気な高齢者に対し健康の維持増進、農村文化の保存、伝承等の生活充実活動と介護を必要とする高齢者に対し家事援助等の2つを高齢者活動として取り組んでこられたが、ただいま申し上げましたような情勢の変化を受け、ことし4月、全国農協中央会がJA高齢者福祉活動基本方針を策定されたところであります。  基本方針によりますと、組合員相互の助け合い活動を通じて、高齢者を抱える家族および高齢者自身が心豊かな生活を実現することにより、快適な地域づくりを進めることを目標として、高齢者福祉活動を第1段階、基盤整備、ボランティア、第2段階、事業、在宅サービス、第3段階、事業、施設サービスと活動のモデルを示しながら、具体的取り組みとしてホームヘルパーの資格取得、助け合い組織の設置、育成、行政や社協との連携、活動経費の確保等々の取り組みの方向を明らかにしています。  本県における高齢化率も13%を超え、とりわけ農山村地域では超高齢化に突入している地域もあり、生きがい対策、在宅施設福祉サービスの推進、一層の充実が求められているところであり、JAの福祉事業への取り組みに強い期待を寄せております。このような中、JA滋賀中央会や単協における福祉活動のスタートが切られ、滋賀中央会では高齢者リーダー養成研修講座の開催、単協では定款、規約の改正を行い、医療や老人福祉に関する項目を挿入するなど、基盤整備を進めていると聞き及んでいますが、滋賀中央会、単協の福祉活動の基本方針や現状はどうか。現在、市町村で老人保健福祉計画が策定中でありますが、JAの参加要請はどうか。農林水産部としても、農山漁村の生活環境、福祉の充実、向上にとって極めて緊急の課題と思料しますが、JAの高齢者福祉活動および行政との連携について、農林水産部長の見解を伺います。  また、健康福祉部長には、JAが特別養護老人ホームおよび養護老人ホームを除くすべての高齢者福祉施設をみずから設置、運営できることと、在宅老人福祉対策事業の公的福祉サービスの受託が可能となりましたが、本県が提唱しているレイカディア構想推進のため、JAの果たす役割ははかり知れないものがあると考えますが、どうか、JAに何を期待するのか、所信を伺います。  以上で終わります。(拍手) ○議長(田中高雄君) 19番大林清君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)国際家族年に関連しての御質問にお答えします。  まず、国際家族年の啓発でありますが、国際家族年は、「家族からはじまる小さなデモクラシー」を共通スローガンに、家族の重要性を強調し、家族問題に対する政府や国民の関心を高め、もって家族の福利を支援、促進するための施策を助長することを目的に、世界的に展開されるものであります。  県といたしましては、社会の基礎的単位であります家族の持つ意義や役割について、改めて県民の理解と関心を高めていただき、児童や高齢者等を支える地域社会づくりに資するよう、来年度は広く県民を対象に啓発活動に取り組むとともに、これを契機に子育て環境づくりや地域福祉の推進に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、健全で温かみのある子育てについてでありますが、近年、核家族化の進行による伝統的な家庭機能の低下や都市化の進展による地域共同体機能の低下、女性の就労等による家庭生活、生活意識の変化などが進み、家族や家庭は大きく変化してきております。このことは、子供が健やかに成長する上で健全な家庭が不可欠でありますことから、今日大きな課題と認識いたしております。  このため、県といたしましては、本年9月に福祉、労働、教育、経済等各分野から成る滋賀県子育て環境づくり推進協議会を設置し、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりについて総合的な施策の検討をいただいているところであります。  また、共働き夫婦の支援についてでありますが、労働時間の短縮や育児休業中の所得保障、男女共同参画型社会の促進などの課題はありますが、健康福祉部といたしましては、乳児保育、長時間保育、さらには育児休業明けの途中入所等の保育対策を初め、低学年児童が放課後に仲間と安心して遊べる児童館やこどもの家の整備、児童館活動や児童クラブの運営助成等に努め、共働き家庭のニーズに対応した取り組みを行っているところであります。今後とも国の事業を大いに活用しながら、これらの事業に積極的に取り組んでまいる考えであります。  次に、農協の高齢者福祉活動についてお答えします。  高齢者福祉の推進につきましては、今後急激に増大することが見込まれます援護を必要とするお年寄りが住みなれた地域で安心して生活が送れるよう、福祉サービスの基盤を整備する必要があります。これには、従来の公的サービスに加えて民間あるいは公民の共同によるサービスの提供等、多様なサービスの展開が必要となってきております。こうした中で、さきの農協法の改正によりまして、農協が高齢者福祉に取り組んでいただけるようになりましたことは、急速な高齢化社会に対応する上で極めて有意義なことであり、今後農協が高齢者福祉サービスの供給主体としての一定の役割を担っていただくことを期待しているところであります。  既に県農協中央会では、高齢者対策リーダー養成研修講座を通じて3級のホームヘルパーを養成いただいておりますが、今後は高齢化率の高い農山村地域でホームヘルプサービスやデイサービスなどの在宅サービスを市町村や社会福祉協議会等と連携のもとに実施していただくことや、ケアハウスの整備、運営などに取り組んでいただくことが可能となれば、レイカディア構想の実現の上からも大変心強いものがあります。農協がこれらの事業を取り組まれるに当たりましては、農林水産部と十分連携をとりながら可能な支援をしてまいりたいと考えております。 ◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)農協の高齢者福祉活動についての御質問にお答えします。
     まず、県農協中央会、単協の高齢者福祉活動の基本方針の策定に向けた取り組みの状況でございますが、昨年の農業協同組合法の改正を受けまして、本年4月に全国農協中央会では、JA高齢者福祉活動基本方針を策定し、今後具体的な地域福祉計画マニュアルが策定されることとなっております。県農協中央会では、このマニュアルの策定を待って基本方針を作成され、各単協においては、この基本方針を受けて高齢者福祉計画を策定することになっております。  また、福祉活動の状況につきましては、従来から組合員の生活指導の一環といたしまして、県厚生農協連合会では高齢者に対する検診事業に、また各単協ではゲートボール大会などの健康増進事業や年金相談事業に取り組まれてきているところでございます。さらに、平成3年度からは、高齢者介護活動に必要な人材を確保するため、県農協中央会におきまして、5カ年間で250人のホームヘルパーを確保することを目標にその養成事業が展開されておりまして、現在136人が3級のホームヘルパー資格を取得され、福祉活動に従事されているということでございます。  なお、老人福祉活動を実施するための定款変更につきましては、すべての単協でその手続を終えているところでございます。  次に、農協の高齢者福祉活動および行政との連携についてでございますが、農村社会の高齢化が急速に進展しております中で、農家組合員の老人介護等の負担が増大をし、農業生産活動に支障が生じてくることが懸念されておりますことから、これに対処していくために、市町村等と十分連携を図りながら、農協が組合員の介護等の活動を効果的に支援していくことが重要となっており、既に市町村で老人保健福祉計画を策定されるに当たり、10農協が策定委員会の委員として参画していると聞き及んでおります。  今後、農協が地域の実情に応じて老人福祉事業に取り組まれるに当たりましては、健康福祉部とも十分連携をとりながら、適正かつ円滑な事業の運営が図られるよう指導してまいる所存でございます。 ○議長(田中高雄君) 次に、49番沢野邦三君の発言を許します。 ◆49番(沢野邦三君) (登壇、拍手)お米の問題や景気回復、政治改革、これは余りにも選挙改革だけにとらわれ過ぎた嫌いはありますが、前政権が怠ったこれらの問題によりまして大変苦しい立場に置かれております連立政権でありますが、腐敗の根を絶ち、きれいな国民にわかるという新しい中央と地方との関係の中で、(発言する者あり)今こそ地方の知恵と自治ベースにした地域の再生を考えなければならない大変大事なときに、稲葉知事は一貫した方針のもとに引き続き担当し、新年度予算も骨格予算でなく、意欲ある通年予算で対応すると表明され、私どももJリーグのように燃え、稲葉県政のサポーターとして生活や福祉充実、中小零細企業をはぐくむ県政にするためにともに歩みたいと、今、各機関や組織として推薦に向けた努力をいたしておるわけであります。  先ほど申し上げましたように、国会で選挙改革よりも米、景気回復をと叫ばれておりますが、その景気回復でございますが、イザナギ景気を越すのではないかと騒がれた好景気も去り、大都市直撃のバブル崩壊、複合不況に、かつてない米の不作などがもろに直面をいたしまして、宴の後の日本経済となったわけでありますが、今議会でも経済対策を中心とした補正予算が編成され、その波及効果に期待をしておるわけでありますが、6月と9月、そして本議会での経済対策を合わせると622億円であります。大変大きな金額であり、県民の皆さんからはどれくらい本県経済の活性化というか、波及効果があったのかという声を聞くわけでありますが、こうした波及効果を具体的に知らせることも県民の気持ちの面での景気の回復につながるのではないかということを申し上げながら、質問に入りたいと思います。  さて、自治体のゼネコン汚職と地方分権についてでありますが、公共事業関連で露見をいたしました地方自治体の汚職問題は、またか、次はどこやというような様相でございますが、これは私たちが主張し続けてきた地方分権の推進に懸念を広げつつありますが、地方自治体が絡むゼネコン汚職についての知事の所見と、これが地方分権の推進の障害とはならないのかをあわせ知事に伺いたいのであります。  次に、資産公開条例や選挙運動の公費負担条例についてでありますが、そのうち選挙運動の公費負担条例については、現在の立案状況はどのようになっているのか、来年の知事選挙までには制定されるのかどうか、具体的な内容とあわせ総務部長に伺いたいのであります。  また、資産公開条例については、私たち議員も対象ということでありますが、そこで政治資金の透明度を高めるために、この資産公開条例の中に政治倫理や企業献金の禁止などを盛り込むよう強く要望するとともに、でき得れば選挙運動の公費負担条例とセットで提出をされるよう、あわせて要望しておきたいと思います。  次に、安全でおいしい水対策でありますが、県や河川管理に水質保全の促進計画を策定させ、家庭雑排水やし尿の浄化を図るため、河川の上流地域に合併浄化槽の設置を義務づけることなどを求めた安全でおいしい水対策の1つとして、水道原水保全法案が厚生省で固まっていると聞くわけでありますが、この法案が制定されると、下水道、合併処理浄化槽の整備、水源林の保有等土地の買い取り、河川のしゅんせつ、導水河川の浄化、流水保全水路の整備などの事業を促進することになりますが、びわ湖全体が水道原水であり、びわ湖周辺全県が水道原水保全法で制定される事業を推進する地域となるのかどうか、伺いたいのであります。  この法案は、規制法というよりも、先ほど申し上げましたような事業を行うことを定めた事業法のような感じを受けるわけですが、本県では健康福祉部で対応できるのかどうか。  また、規制色の薄い法案であり、この法案にあわせ、日本一のびわ湖を持つ本県として、水道水源の富栄養化やアンモニアによる水道水の異臭味やカビ臭さ、さらに問題になっている塩素による浄化過程で生成される発がん物質のトリハロメタンを減らすことや、水道水源の安全に支障を来す工場や事業所への新たな排水規制、また農薬を多量に使用するゴルフ場などの開発を規制する特別保護区域の設定などを盛り込んだ水源保全条例の制定を目指す必要があると思いますが、どうか、伺いたいのであります。  この件につきましては、環境庁へ中央環境審議会が答申をした内容と変わらないわけでありますが、中央で厚生省の水道原水水質保全法案、そして6日に環境庁へ答申した、先ほど申し上げました水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全のあり方、どちらが中央で通ったとしても、規制も事業も行わないと、安全でおいしい水とはならないわけであります。そのために、地方で補完する必要があるために申し上げたわけでありますが、新聞で解説されているように、霞が関の小さなコップの中の争いよりも、早く安全でおいしい水にするための地方の努力に期待をするものであります。  次に、旧国鉄の米原駅ヤードの跡地について企画部長に伺いたいと思います。  国鉄清算事業団が平成7年度までに売却を予定しております米原町の旧国鉄米原駅ヤードでありますが、平成2年6月の県会で私の質問に対しまして企画部長は、この旧国鉄米原駅ヤードなど国鉄清算事業団の保有地の処分に当たっては、利活用などについて地元の考え方を大切にし、県としても町の計画を優先し、十分検討や協議、相談に応じると答えておるわけでありますが、今、風洞試験の研究用地とかJR貨物ヤードなどと仄聞するのでありますが、県といたしましては、清算事業団やその研究所などとは話をされているのかどうか、伺いたいのであります。  また、地元米原町とは、この件について、さきの答弁に基づき十分協議、相談に応じておられるのかどうかも伺いたいのであります。  風洞試験研究地として、風を生かす町づくりにはどんな方策があるのか、また県が計画している県中部のトラックターミナルとJR貨物基地とのかかわりについて、企画部長はどのように考えておられるのか、お聞きをいたしたいのであります。  さらに、これで拠点都市構想などの拠点、核となるまとまった一等地であり、その予定地でもあるこの土地が、地元はもちろんでありますが、湖北、湖東、いや県としてもこれでよいと考えているのかどうか。よその所有者の土地でありますから、どうにもならないこともわかるわけでありますが、長い間地域を分断いたしまして地域の発展を妨げてきたという土地でもありますから、今度は何とか地域の発展につながる利活用に期待をしたいわけでありますし、そういうような状況に持っていかなくてはいけないと思いますので、今日までの経過と、これで地域や県全体の発展になると思われるのかどうかもあわせて企画部長に伺いたいと思います。  次に、精神障害者の福祉対策についてでありますが、健康福祉部長に質問をいたします。  ノーマライゼーションという言葉すらわからなかったときや、隔離からともに生きるという考え方に変わり、5年前には精神衛生法から精神保健法へ、そして今、心身障害者対策基本法を障害者基本法に大改正されたわけであります。精神障害者の社会復帰施策を充実させることになるわけでありますが、こうして国連障害者の10年を振り返っておるわけでございますけれども、今まで障害者福祉の対象から外されていた精神障害者がその対象となったわけでありますし、第2条第2項では、すべて障害者は社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられることにもなったわけであります。  各自治体の心身障害者対策協議会も、障害者施策推進協議会に改められることになると思いますし、県や各市町の長期行動計画なども新しい法に基づいて改正をしなければならないと思います。  そこで、県は、市町村にどのように指導されているのか、伺いたいのであります。  精神障害者に対する根強い社会的偏見、差別がある中でありますが、県や市町村が行っている福祉施策を精神障害者に対しても実施しなければなりません。例えば、施設の使用料の減免、障害者手帳の交付、福祉タクシーやホームヘルパーなどの派遣であります。切実な問題は住宅であります。それこそ適切な対応をすれば、六、七割の方が社会復帰できると聞いておるわけでありますが、病院を出ても住むところがありませんので、社会的入院が多いとも聞いておるわけであります。法の改正の中には、グループホームづくりや生活ホームの対象などの施策を講じることや医療費の負担軽減でありますが、特に感じるのは、社会復帰訓練としてデイケアを受ける場合、国保の人は1回につき1,040円の負担で、週4回受けると月に約2万円、それに交通費が必要でありますから、経済的に受けたくても受けられない人もあると聞いておるわけであります。他府県の市町では、国保条例で結核とあわせて精神保健医療費を無料にしているところもあります。こうしたもろもろの施策につきまして、市町村への指導や助成を含め、県はどのようにされておるのか伺います。  さらに、就労問題を初め多くの課題があり、相談窓口の設置、地域保健活動の中では在宅精神障害者へのかかわりの充実、そのためには保健所の保健婦さんなどの増員が必要であります。  以上のように、法の改正を機にいたしまして、精神障害者に対する総合的施策の推進を図らなければならないわけでありますが、健康福祉部長の所見を伺いたいのであります。  次に、農業問題でありますが、ことしの稲作は、冷災害などによりまして不作となり、前政権がとってきました備蓄米不足政策によって米が不足し、緊急輸入することとなったのであります。  また、ガット・ウルグアイラウンドをめぐる情勢も、米の市場開放、例外なき関税化をアメリカから強く迫られ、韓国が一部米の輸入自由化に踏み切り、日本も続いてミニマムアクセスの受け入れという状況になってきたわけであります。このミニマムアクセスの受け入れを機に、米の輸入自由化への方向へ進みつつあることに懸念をするものでありますが、米は国民の主食であるとともに、日本農業の根幹であり、この米を海外に依存することになれば、日本の稲作は放棄され、水田の荒廃に拍車がかかり、農村社会にも変化が生じ、また12兆円とも言われる農業が果たしてきた多面的な公共的機能を失うことになってしまうわけであります。その影響は、農業だけではなく、ほかの産業へ波及するのも必至でありまして、失業者の増大で都市機能にも深刻な影響を与え、我が国の経済社会に壊滅的な打撃を与えることは明らかであります。  一方、今後世界的に人口が急増することから、食糧不足が憂慮されております。また、日本が米の輸入自由化をすることにより国際価格を高騰させ、開発途上国の人々が飢餓に苦しみ、餓死するということにもなり、国際的な非難を浴びることになると思います。  こうしたことから、我が国が米の一部でも自由化をするようなことは、日本の食糧安全保障や経済社会的な面だけではなく、国際的にも影響を与えることは言うまでもありません。これは知事も同じ考えではないかと思いますが、本議会でも輸入自由化に反対する意見書も採択しておりますし、消費者からも、輸入米は安いけれども、消費者の手に入るときには日本の米の値段と変わらないことや、輸入されるときに使用される農薬や添加物などに不安があり、やはり日本の米の方がよいという声を聞くのであります。こういう状況の中で、たとえ一部のみの米の市場開放であったとしても、大変大きな影響があると思うわけでありますが、本県内での具体的な影響を知事に伺いたいのであります。  また、今年3月に改定をされました湖国農林水産プランにつきましても、国際、国内情勢や湖国の農林水産業を取り巻く情勢、国への期待、計画の推進などに大きな変化が出てくるのではないかと思いますが、どのように考えておられるのか、知事に伺います。  また、新年度予算では、一部輸入という事態に対応する農林予算を考慮していくことになるのではないかと思うが、どうか、この点についても具体的に明らかにしてほしいと思います。  次に、新年度の転作について農林水産部長に伺いますが、この12月県会では、いもち病の防除や来年の転作面積の緩和に伴う水稲の種子の確保などに要する経費の助成が補正予算の中に計上され、その適切な対応に敬意を表しておるところでありますが、新年度の転作面積については大幅に緩和され、麦やレンゲの作付を見合わせ、夏作の大豆などで対応していくことになっておりますが、現在、各集落において転作面積の割り当てが行われておるわけであります。  集落割り当て面積から復田不可能と言われるばら転の面積と他用途利用米の面積を引きますと、集団の要件である3ヘクタールに満たない集落が多く、中途半端な転作面積となり、このような状況では、夏作での転作をやってくれる人がいないわけであります。各集落の営農組合や農業組合では大変困っておるのが現状であります。団地加算がされるのとされないのとでは大変大きな差があり、ふだんでも大豆をつくるのは嫌なのに、まして集団の団地加算のつかない夏作づくりは受け手がないのが当たり前なのであります。隣の集落と合わせての集団化もそれぞれの事情があり困難でありますし、集落での共補償方式などの検討もしておるわけでありますが、転作が緩和されたのに、なぜ拠出金がふえるのかという問題があります。せっかく育ちつつある集落ぐるみ農業にまで影響するのではないかと心配をしておるわけであります。  これらの状況を県として率直に受けとめ、何らかの対策を講じないと、夏作づくりはできないのではないかと思います。県が新年度でどのように対応しようと考えているのか、農林水産部長に伺いたいのであります。  なお、県の農協筋からの話として集落に伝わってくる他用途利用米の配分でありますが、まだまだ流動的で来年の3月でないと確定しないというふうに言われておりますし、片方、市町村からは今月じゅうに集落内の転作面積の割り当てを各農家にして、市町に報告をするように言われておるわけであります。他用途利用米の配分が確定しないと、集落の割り当てや他用途米のブロックローテーションなどができないわけでありますが、どのようになっているのか、どちらの言い分を聞いてよいのかわからない、はっきりした県の指導をすべきだと思いますが、農林水産部長にこの点について伺いたいと思います。  次に、今年のような特殊な米の需給状況のもとでありますから、全国各県の隅々まで米穀の安定供給という食管制度の目的を果たすことが必要であり、米流通の大宗を占める自主流通米については、政府米と一体となった供給計画および自主流通計画に沿って適切な供給と管理こそ大変大事なことだというふうに思います。  また、今年の10月末の繰り越しの状況と政府の売却方針との関連で、一定程度の政府米を確保することが必要であります。  さらに、学校給食米でありますが、学校給食米制度を維持、継続していくためには、一定量の学校給食用米穀の供給確保を図っていくことも大切であります。  さらに、酒造用原料米については、全量を国内産米の供給を強く求められているわけでありますが、主食用米の大幅な不足の中で、主食用と酒造用については適切な配分調整がされる必要があると思います。  いずれもこの点につきましては、国、食糧庁において決定されることでありますが、農林水産部長にも米の需給が円滑に行われるように国に働きかけていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)(発言する者あり) ○議長(田中高雄君) 49番沢野邦三君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)まず、自治体のゼネコン汚職と地方分権についてお答えします。  最近、大手ゼネコンにまつわり公共事業の発注をめぐって知事、市長等が収賄容疑により逮捕されるなど、世間の批判を受ける不祥事件が発生しておりますことは、まことに遺憾であります。いやしくも県民の信託を受け、県政、市政を預かる者が一部の利益、ましてや個人の利益のためにこのような行為を行うようなことは絶対に許されないことであります。  私は、就任以来、常に公正、公平、清潔を旨として身を処してまいりましたが、今回の事件を他山の石として一層厳しく自戒しながら、毅然たる態度で一線を画し、引き続き県民本位の開かれた県政を推進してまいらなければならないと決意を新たにしております。  同時に、これは業界の企業倫理、モラルの問題でもありますので、業界自身の体質改善を強く求めていきたいと考えております。  こうしたゼネコン汚職の問題が地方分権の推進の障害とはならないのかとの点につきましては、一部とはいえ、首長が関与して惹起した不祥事であるだけに、地方不信を招き、分権慎重論に口実を与えた影響は否めないと存じます。確かに、首長は大きな裁量権を持っております。また、工事等における契約行為の当事者であり、直接の責任を持っているのは事実でありますが、地方自治体に限らず、どんな制度のもとにあっても、不正な取引に巻き込まれるかどうかについては、個人の資質にかかっている問題であります。もちろん普通の人間でありますから、不当な裁量権の行使を防ぐ措置は多角的に検討されなければなりませんが、だからといって地方分権を云々することは筋違いではないでしょうか。むしろ地方分権の推進によってこれまで以上に国民に近い立場で行政が進められるようになると、住民監視の目も行き届き、責任の所在も一層明確になり、自治意識の高揚とも相まって行政運営の公正さ、公明さが確保しやすくなるのではないかと考えております。  次に、米の一部輸入自由化の影響についてでございますが、本県内での具体的な影響についてということでありますが、現在、政府において、ガット事務局より示された調整案の受け入れの可能性や国内農業施策のあり方などについての検討がなされていると聞いております。  したがいまして、今後の政府の対応いかんにもよりますが、本県農業にも、農業者に与える心理的影響や外米に対する消費者の反応を初め、営農問題や生産調整、土地利用の問題などがいろいろ起こってくるだろうと考えられます。しかし、調整案そのものも今回初めて知った状況で、全く予想しなかったことでありますので、その影響も具体的に申し上げる段階には至っておりません。  そんなわけで、湖国農林水産プランにつきましても、本年3月改定したばかりであり、本県農業の目指すべき方向と考えておりますので、今直ちに見直すということは考えておりません。ただ、今後の情勢変化いかんによってはその必要が生じてくるものと思いますので、国の対応なども見計らいながら判断してまいりたいと存じております。  新年度予算につきましては、今後国の対応をも視野に入れ、その動向を見きわめながら本県独自の農業施策を考慮するなど、適切な対応してまいりいたと考えております。 ◎総務部長(今仲康之君) (登壇)選挙運動の公費負担条例につきましての御質問にお答えいたします。  金のかからない選挙の実現と候補者間の選挙運動の機会均等を図るという観点から、公職選挙法において選挙公営制度は漸次拡大、合理化が進められて実施されてきたところでございます。  昨年の臨時国会におきまして、緊急政治改革の具体策を実現するため、公職選挙法の一部が改正されたことによりまして、都道府県の議会の議員および知事の選挙についても、国政選挙に準じまして条例で定めるところにより、新たに選挙運動用自動車の使用と選挙運動用ポスターの作成につきまして公費負担することができるとされたところでございます。  既に11の都府県におきまして条例が制定されておりますが、本県におきましても、選挙公営の範囲を拡大することは、公職選挙法の趣旨に沿うものと考えられるところでありまして、法改正後の初の選挙が来年予定となっていますことから、明年定例県議会に提案できますよう、現在既に実施されております国政選挙における公費負担制度に準じた内容の条例案の整理等を進めているところでございます。 ◎企画部長(勝義隆君) (登壇)旧国鉄米原操車場跡地についての御質問にお答えをいたします。  国鉄清算事業団は、資産処分審議会にこの旧国鉄米原操車場跡地の一部の処分を諮り、この12月6日に承認されたとのことであります。県といたしましては、当操車場跡地の利活用が米原町の町づくりだけでなく、県東北部地域の活性化を考えていく上でも重要な問題であるとの判断に立ち、平成4年度から町と国鉄清算事業団が共同で実施しております米原駅周辺都市整備事業調査に参画をしてきたところでございます。今年度は、引き続き当地域の全体的な整備構想の策定を目的に設置をされました米原地区都市拠点総合整備事業事業計画策定委員会において、庁内関係部局とともに、土地利用の計画策定や事業手法等、適宜助言、アドバイスを行ってきているところでございます。  今回のJR総研の大型低騒音風洞実験施設の設置ならびにこの夏以降具体化をしてまいりましたJR貨物のコンテナヤードの整備につきましても、これまで県といたしまして町なり関係者から事情を伺い、話し合いを持つ中で、最終的に町当局の意向を踏まえた計画であると理解いたしております。  風洞実験施設につきましては、我が国最大の世界的にトップクラスの研究施設であり、それ自体企業等の利用あるいは見学者も見込まれますが、さらに地元の町づくりへの寄与など、何らかの還元策がされるよう工夫を凝らしてほしい旨、JR総研に対し県として既に申し入れを行っているところでございます。  また、JR貨物コンテナヤードの整備につきましては、御指摘のとおり本県唯一の貨物基地となりますものでありまして、中部地域に計画をしております総合物流センターとの連携の可能性も、県域全体の物流のあり方といった観点から検討していく必要があろうかと考えておりまして、今後関係部局と協議を行ってまいりたいと考えております。  このように、今回5.7ヘクタールの具体的な計画が示されたところでありますが、旧国鉄米原操車場跡地は、全体といたしまして約16ヘクタールの面積がございます。県東北部地域の玄関口に位置し、その再開発は、この地域の活性化を展望していく上で一つの拠点となり得る可能性を秘めております。事業区域を国道8号線までエリアを広げますと、非常に広がりがございます。課題は多いわけでありますが、今後とも引き続き関係者とともにその望ましい利活用、整備のあり方の検討に参画をしてまいりたい、このように考えております。 ◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)安全でおいしい水対策の御質問にお答えします。  安全でおいしい水を安定的に供給することは、水道事業の使命でありますが、近年、水道水源の汚染や異臭味被害などが発生し、この使命を果たしていくことが困難な状況になりつつあります。このため、厚生省においては、高度浄水施設の整備を推進するとともに、今月から水質基準の拡充強化が図られたところであります。  しかしながら、浄水処理には限界がありますので、将来にわたり安全でおいしい水を供給していくためには、水道水源の抜本的な水質保全対策が緊急の課題になっているとの認識から、厚生省、環境庁等で水道水源の水質保全対策についての法制化が検討されているところであります。  厚生省では、水道原水の水質保全事業を促進するための立法化に向けて取り組みが進められ、今国会に同法案を上程すべく、目下関係省庁と協議、調整中と聞いております。ただ、法案がまだ固まる段階には至っていないため、この法律の対象地域にびわ湖が該当するかどうか、また健康福祉部で十分対応できるかどうか、判断しかねるところであります。  次に、水源保全条例を制定する必要があるのではないかというお尋ねでございますが、環境庁では、去る12月6日、水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全対策のあり方について中央環境審議会から答申を受け、今後水質汚濁防止法に基づく水質基準の改正による排水規制の強化やトリハロメタン抑制対策の具体化等が行われる見込みであり、厚生省で検討されている法案とあわせてその内容を見きわめながら、県としての適切な対応をしてまいりたいと考えています。  次に、精神障害者の福祉対策についてお答えします。  まず、障害者基本法に係る市町村の指導についてでありますが、この法律は、心身障害者対策基本法の題名を改めるとともに、障害者を取り巻く社会情勢の変化に対応し、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、障害者の定義、国および地方公共団体等の責務など所要の改正が行われ、去る12月3日に施行されたものであります。特に市町村に対しては、障害者施策に関する基本的な計画の策定に努めなければならないとされたところであります。  この法律は、議員立法により改正されたものでありますが、計画の策定を初め市町村への指導など具体的な事項につきましては、これから国の障害者対策推進本部において検討されると聞いております。したがいまして、市町村の指導につきましては、国からの指示を踏まえ、今後適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、精神障害者施策についてでありますが、現在、県といたしましては、精神障害者の社会復帰対策として、授産施設を初め福祉ホームやグループホーム、共同作業所を計画的に整備するとともに運営助成を行っているところであります。また、職親の開拓、雇用促進奨励金制度の活用等により、雇用の促進にも努めているところであります。  保健医療対策としましては、県立精神保健総合センターの設置によりまして、研修、技術協力等専門活動の実施、また保健所との有機的な連携による地域保健活動の充実、強化を行うとともに、通院医療費軽減のための公費負担などの事業を実施しております。  また、精神障害者には偏見や無理解が依然として存在するなど、ハンディキャップがあることから、幅広い広報啓発活動を展開しているところであります。  障害者基本法の改正を機会に、県は、精神障害者福祉施策の一層の推進を図るため、保健所が中心となり医療機関や社会復帰施設等との連携を深めながら、広報啓発活動を強化するとともに、社会参加と自立を促進するための事業を実施するなど、総合的な福祉施策の推進に努めてまいりたいと考えます。 ◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)転作とその対策や米の流通などについての御質問にお答えをいたします。  まず、新年度の転作の対応についてでありますが、県におきましては、平成6年度における水田営農活性化対策の推進方針といたしまして、稲作と転作を組み合わせた生産性の高い水田営農の確立、制度別、用途別に均衡のとれた米の安定供給を基本といたしまして、地域農業者の理解のもとに、地域の創意工夫による共補償や集落間、市町村間の転作および他用途利用米生産に係る調整を進め、米の生産確保および転作の的確な達成を図ることとしておりまして、これは、県、農協中央会、経済農協連合会、市長会、町村会、農業会議で構成する県水田営農活性化対策推進本部のたび重なる協議の結果、申し合わせたものでございまして、去る11月本部から市町村および農協に通知し、現在この趣旨に沿ってその対応を進めているところでございます。  そこで、御心配をいただいております団地加算の問題や集落での共補償の問題、この問題を含めまして団地助成要件をクリアするための集団化につきましては、この6団体の申し合わせた方針に基づき、関係団体の御理解のもとで、集落間調整や地域の創意工夫による好ましい転作の推進に向けて、市町村、農協、関係団体ともども集落や農業者の指導を行ってまいる所存でございます。  2点目の他用途利用米の配分についてでございますが、去る11月2日に、県から市町村別の他用途利用米の配分数量を転作面積とあわせて市町村に通知したところでございます。各市町村におきましては、これを地域の実情に応じておおむね11月末までに集落ごとに配分されたことを確認いたしておりますので、今後は、さきに申し上げましたその申し合わせの趣旨に沿いまして、他用途利用米の生産予定数量が確実に達成されるよう、市町村、関係団体との連携を図りながら、集落や農業者との詰めをしてまいる所存でございます。  なお、御質問にありました県間調整による他用途利用米の追加配分につきましては、国におきまして平成6年度の他用途利用米の生産予定量が5年度に比べまして削減されたことに加えまして、本年他用途利用米が農業団体において生産量の確保のため政府米価格並みで集荷されたことなどから、全国的に他用途利用米への志向が強く、追加配分は大変困難な状況にあると推測いたしております。  最後に、食管制度に係る御要望についてでございますが、既に要望してまいっているものもございますが、御質問の趣旨を踏まえまして、国に対して適宜に適切な要望をしてまいる所存でございます。 ○議長(田中高雄君) 次に、14番桐山ヒサ子君の発言を許します。 ◆14番(桐山ヒサ子君) (登壇、拍手)まず最初に、知事にお伺いします。  細川内閣が進める政治改革は、第1に民意をゆがめ、強権政治に道を開く違憲立法の小選挙区、並立制の導入、第2に企業、団体献金の存続と憲法違反の政党助成法で金権腐敗一掃の世論に背を向ける居直りにほかなりません。金権腐敗一掃の願いを逆手にとって、政治改革法案を国会の会期を大幅延長してまで参議院での強行採決をねらう細川内閣は、自民党政治以上の悪政を推進しようとしています。  消費税の税率アップ、年金制度の改悪、郵便料金の値上げ、病院給食の健康保険からの適用除外、さらに保育所制度の大改悪、国立大学授業料の値上げ、私学助成の大幅削減など、広範な分野で国民生活に総攻撃をかけてきています。いわば教育、福祉破壊、公共料金値上げと補助金カットの細川内閣と言うべき悪政推進内閣です。生活者利益優先という公約はどこへ行ったのでしょうか。  知事は、本県議会冒頭、生活者の視点に立って精いっぱい努力をしたいと、細川内閣とよく似た言葉を述べられましたが、県民犠牲の細川内閣の悪政から、県政の主人公は県民という立場で、県民生活を守るためにその防波堤の役割を果たすべきと考えますが、細川内閣についての知事の御所見をまず最初にお伺いするものです。  次に、消費税の税率アップを柱とする細川流税制改革についてです。  去る11月19日に発表された政府税制調査会の中期答申は、減税を口実に消費税の税率アップを公然と打ち出しました。実際に税調答申に沿って所得税、住民税減税の試算をしてみると、労働者、国民の8割以上を占める年収700万円までの人々は減税の恩恵をほとんど受けられず、その反面、大金持ちには巨額の減税がなされることになります。例えば、年収10億円の大金持ちなら1億数千万円もの減税になります。逆に、消費税の税率が仮に現行3%から6%に引き上げられたら、年収331万円の世帯では減税はたったの100円、増税が6万2,600円で、差し引き6万2,500円の増税です。1,181万円の世帯で、どうにか差し引き2万3,600円の減税になるという試算も出ています。消費税が7%にまでなれば、年収1,000万円前後の層も含めて、差し引き増税となります。結局、減税の恩恵は大金持ちだけです。  消費税が強行導入されて丸4年、毎日が納税日と言われる消費税は、現行3%でも4人家族で年間12万円も負担しなければならない天下の悪税です。直ちに撤回すべき税制であるのに、税率引き上げなどとんでもない話です。高齢者福祉のためといって導入した消費税が高齢者福祉に回されなかったことは、今やだれもが認めるところです。事実、政府税調の加藤寛会長は、「週刊新潮」誌上で、消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明したが、本当はあれは、ああ言えば一般の人にわかりやすいからということで、消費税の本来の意味はそういうものではないと、みずから述べています。  答申は税率を何%に引き上げるかは示していませんが、新生党代表幹事の小沢一郎氏が税率10%までの引き上げを主張していることはよく知られています。答申は、税制に占める間接税の比重を高め、消費税の税率を上げる最大の理由に税の不公平を挙げていますが、税の不公平の問題で言えば、真っ先に問題にすべきは大企業へのさまざまな特権的な優遇税制です。日本の税制は、外国と比べても大企業に甘く、6種類の引当金、22種類もの準備金で企業の利益隠しを合法化しています。これらを即時廃止ではなくても、5カ年かけて圧縮整理したら、毎年の税収が6,000億円程度増加します。ところが、答申は、これらの優遇税制にメスを入れる姿勢は皆無です。これが細川内閣が掲げる生活者重視の政治でしょうか。とんでもありません。生活者無視という看板がぴったりです。知事、そうは思われませんか。難しいですかね。  消費税の税収は、1%につき93年度税収見込みで2兆3,000億円、94年度ペースでは1%につき2兆4,000億円と言われています。 消費税率を4%引き上げ7%とした場合、増収額は9兆6,000億円、所得減税規模が5兆円なら、4兆6,000億円も差し引き増税となります。滋賀県階級別1世帯当たり年間収入の統計で見ても、約8割強がほとんど減税なしの増税世帯になります。  そこで、知事にお伺いします。  消費税は、県民生活を直撃するだけでなく、自治体財政にも大きな負担となってのしかかっています。県の公共事業だけで年間どのくらい消費税を支払っているのですか。仮に1%引き上げたら、それだけでも多大な負担になることは目に見えています。それが公共料金の値上げや各種補助金のカットなど、県民への負担と犠牲に転化されるとなれば重大です。県政の主人公は県民という姿勢を知事が貫かれるならば、県民が苦しむ消費税の引き上げ、県財政圧迫にもつながる消費税の引き上げに反対の意思を表明されるのは当然と考えます。知事は、消費税の税率引き上げを行わず廃止するべきであること、少なくとも食料品にかかる消費税を即時廃止するよう国に働きかけるべきと考えますが、明確な御所見をお伺いします。  次に、緊迫している米輸入自由化問題について、知事ならびに農林水産部長にお伺いします。  日本の主食である米が今、重大な危機に直面にしています。ことしは、異常気象の影響で戦後最悪の大凶作となり、農家に大きな被害をもたらしましたが、細川連立内閣が7日、大詰めを迎えたガット・ウルグアイラウンドの成功を口実に、米の関税化を6年後まで猶予するかわりに、その間最低輸入量、いわゆるミニマムアクセスを受け入れるというガット事務局の調整案に合意する意向を固めたことから、米をめぐる動きは一段と緊迫しています。自民党政治でさえなし得なかった米の輸入自由化に踏み切る決断をした細川連立内閣に、全国の農民や消費者から一斉に抗議の声が上がっています。  三重県の県議会では米市場開放につながるミニマムアクセスの受け入れ阻止の決議が、また岡山県、福岡県、鳥取、島根、また北九州市ほかたくさんの市で意見書が採択、北海道の横路知事が憂慮すべき事態と表明するなど、日本の歴史上かつてない危機に立たされている米を守ろうという闘いも広がっています。関税化6年猶予というのは、関税化の名による米自由化実行の時期を延ばすだけで、猶予期間後の実施を前提としたものであることは明白です。これは国民と国会を欺く重大な問題です。  1980年、84年、88年の三たびの国会決議は、国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹作物である米の供給は、外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による自給の方針を堅持するとうたっています。この決議に照らせば、いかなる形であれ米の自由化に道を開くような妥協は絶対に許せません。  ところが、細川内閣は、ミニマムアクセス受け入れはこの決議に反しないなどと堂々と述べています。かつて滋賀県知事であった武村官房長官も、連立与党が合意文書で反対を決めた例外なき関税化には当たらないと述べています。これは大変なごまかしで、二重、三重に国民を裏切るもので、細川内閣の重大な政治責任が問われる問題です。  ことしは、日本列島北から南まで大変な大打撃を受けた、しかし、これは今始まったものではない、太古の昔から百姓はいつも自然や人に踏みつけられてきたが、きょうまで生き継いできた、雑草というものは、踏みつけても、抜いても必ず根は生え、立ち上がる、しかし除草剤をかけたら根まで枯れてしまう、例外なき関税化は除草剤をかけるようなものだ、今、一番恐れているのは冷夏による被害ではなく、例外なき関税化だ、これは、先日開かれました全国農協青年、婦人組織協議会の政党別政策討論集会で山形の青年が訴えた言葉ですが、これは全国の農民の怒りの声を代表するものだと、私は思います。  瑞穂の国と言われ、日本の歴史と文化、産業は2,000年の伝統ある稲作とともに発展してきました。国民の主食である米まで外国に明け渡すなど、とんでもない話です。日本が米の輸入自由化を拒否することは、国民の利益を守るだけでなく、国際的にも道理と大義に立つものです。たった1回の凶作を口実に、輸入自由化に踏み出すことは絶対許せません。幾ら不作でも、米の備蓄があれば、国内産による安定供給ができます。農家に減反を押しつけ、単年度需給均衡方式を押しつけてきた政府の責任こそ問われなければなりません。
     しかも、日本の一時的な緊急輸入によって国際米価格は暴騰して、財政力のない途上国は今、米輸入が困難になっています。米の最大の輸入国ブラジルは、年間73万トン輸入しているのですが、日本が仮に80万トン輸入したら、世界最大の輸入国になり、食糧不足に苦しむ発展途上国と米を奪い合う結果となり、国際貢献どころか経済大国日本による飢餓の輸出になる危険さえあります。  細川首相は、ガット交渉の成功を強調していますが、そもそもガットは言うまでもなく、各国の経済主権を前提にしたものであり、加盟国が合意できる範囲で交渉や紛争を処理する組織です。とりわけその国の食糧問題、中でも米のような主食については、その国の死活にかかわる問題だけに、他国の干渉や圧力を許さず、その国がみずから決めるべき問題です。米の輸入自由化、市場開放、関税化を受け入れないという日本の立場は、国際的にもだれからも非難されるいわれのない正当極まる立場です。  ミニマムアクセスでは、初年度4%、6年後に8%としています。米消費量の8%といえば、年間約80万トン、これは滋賀県の年間米生産量の4倍にも匹敵するものです。ミニマムアクセスの受け入れは、米の完全自由化への道です。  知事は、さきの代表質問に対する答弁で、県議会でも市場開放阻止の意見書がたびたび採択されており、政府には米は国内で自給するとの基本方針を貫くよう念願すると述べられましたが、今日の緊迫した事態を受けて、一粒たりとも輸入しないという原則を貫き、近江米を守る立場からも、日本の米市場開放に道を開く今回のガットの調整案を直ちに拒否するべきと、細川内閣にきっぱり迫るべきと考えますが、明確な答弁を求めるものです。  米の値段が上がる、店頭から標準価格米が姿を消すなど、消費者にとっても心配な問題が相次いでいます。米を初め農業は天候に左右されるのは当たり前です。不作の年にびくともしない米の備蓄と安定供給は政治の責任です。食管の目的は、国民に食糧を安定的に供給するため、再生産できる価格を生産者に、生活が安定的に維持できる価格を消費者に保障する二重価格制度です。ところが、政府は、食管の負担を嫌って予算を削ってきました。食管制度を堅持し、主食の米を安定供給することは、政治の責任だと考えますが、この点についても知事のお考えをお聞かせ下さい。  米緊急輸入の背景となった少ない米の在庫は、農民の生産意欲を奪う減反政策を押しつけてきた政府の責任です。また、政府買い上げの米の価格はたびたび引き下げられ、92年産米は実に76年の価格に逆戻り、農家は採算がとれない状況です。滋賀県の場合、来年度は46.3%の緩和をしましたが、米の安定確保、主食米の自給を確立するためには、押しつけ減反政策をやめるべきです。この点で、農林水産部長の御所見をお伺いするものです。  滋賀県は、緩和率全国一だと強調されますが、緩和後の減反面積5,240ヘクタールは、水田利用再編1期目の1979年に匹敵するもので、決して少なくなく、全国的に見ても水田面積の4分の1が減反面積になっています。一方で部分輸入を言いながら減反を押しつけるなどもってのほかです。減反政策をやめることとあわせて、荒廃した農地を水田に復田するための積極的な援助が必要です。これは、今日の農業危機を招いた行政としての責任からも当然のことだと考えますが、この点についても農林水産部長の御所見をお伺いします。  また、大規模農家育成に主体に置いた県の湖国農林水産プランを見直し、家族経営中心による後継者支援の方策が必要と考えます。国の新農政も、農業を国の基幹産業として位置づけ、農家と農村集落の振興を図ることが今求められていると思います。あわせて農林水産部長のお考えをお聞きします。  ことしの異常気象による被害は全県的に広がり、農家の要求であるイモチの防除費、もみ種の掛かり増し経費、大豆種子の価格差補てんが補正で計上されました。作況指数89にまで落ち込んだことしの被害は、総額どれくらいになるのか、こうした被害の背景を冷夏、長雨による異常気象の影響以外に、どこに問題があったと分析されておられるのか、お聞きします。  ことしの不作は、良質米偏重、価格差などで適地適産の崩壊が被害を大きくするというこれまでの指導のあり方も問われていますが、県は、この点認識しておられるのか、農林水産部長にお聞きします。  米不足に乗じて米の緊急輸入が実施されていますが、安全性を心配する声が出ています。政府は、米について51の残留農薬基準をつくりました。しかし、タイでは日本で使用されていない農薬が使われているので、合わせて75もの農薬検査を実施しなければなりません。検査体制不備も問題になっています。  食糧庁は、今回の緊急輸入米20万トンのうち、アメリカからの米1万4,000トンを主食用に振り向け、国内産と混ぜて市販すると発表しましたが、これは大きな問題をはらんでいます。安全性の面からいっても、緊急輸入米は主食に回さないことです。緊急輸入米の安全性の厳重チェック、原産地を表示すること、学校給食や病院給食、外食産業など主食用としては使用しないことが求められています。安全な食糧確保も行政の責務ですが、米の緊急輸入と安全性についてどう考えているのか、農林水産部長にお伺いします。  日本共産党は、減反政策に最初から反対を貫いてきた唯一の党です。日本農業の多面的な発展による食糧自給率の引き上げを主張、その担い手である家族農業を発展させる政策を打ち出し、その実現を求めて運動しています。日本の主食である米輸入は絶対反対の立場を今後も貫き通し、日本農業発展のために全力を挙げる決意です。知事ならびに農林水産部長の明確な答弁を求めます。  次に、細川政権が打ち出した規制緩和策と大津市瀬田町に進出予定のトイザらス問題について、生活環境部長、商工労働部長にお伺いします。  細川政権の規制緩和方針にあわせて、財界などから大規模小売店舗法の緩和要求が強まっています。首相の私的諮問機関の経済改革研究会がさきにまとめた規制緩和に関する中間報告も、大店法の見直しを別表に盛り込み、既に通産省も見直しに着手する意向を明らかにしています。規制緩和と言えば、耳ざわりはいいが、問題はだれのための規制緩和かです。細川首相は、生活者、消費者重視と言いますが、とんでもない話です。去る11月8日に経済改革研究会が発表した中間報告は、規制緩和の必要性の理由に、企業に新しいビジネスチャンスが与えられることを真っ先に挙げ、経済的規制は原則自由、規制例外とし、国民には自己責任を原則とせよと要求するなど、大企業のもうけ優先を露骨に示しています。  また、消費者保護や環境、安全のための経済的、社会的規制を攻撃し、全面的な緩和を要求している点は重大な問題です。これまで国民は、大企業の利潤本位の活動からみずからの健康と命を守るために、大企業の手前勝手な横暴を規制する法律を次々と制定させてきました。しかし、欧米諸国と比べても、この分野の規制はおくれており、その強化こそが求められているのに、今回の規制緩和策はこれに逆行するものです。これらの点から見ても、細川首相のいう消費者、生活者重視がいかに偽りの看板であるかは明らかです。  まず、今回の規制緩和策について、生活環境部長、商工労働部長はどのように受けとめておられるのか、消費者、生活者重視、県民の命と健康を守る立場に立てば、当然今回の規制緩和策に反対を表明すべきだと考えますが、どうでしょうか、御所見をお伺いするものです。  経済改革研究会の中間報告は多様な分野にわたっていますが、ここでは中小商工業者と消費者の利益を守る立場から、大規模小売店舗法──大店法の規制緩和の動きに絞って、関係部長にお伺いします。  自民党政府は、1990年にアメリカ資本の進出要求を受け、大店法の規制を大幅に緩和、翌91年には、さらに出店規制を形骸化させる法改悪を行いました。その結果、どのような事態が進んだでしょう。新大店法が施行した92年1月から今日までの1年余りだけで、全国的には出店調整の終了した大型店が1,134件もあります。91年現在の大規模小売店舗数の実に6.7%にも相当するなど、まさに大型店の進出ラッシュです。  滋賀県内の現状は、91年度の大規模小売店舗数は合計で145件でしたが、92年度末では152件にふえています。さらに、最近では、11月に平和堂を核店舗にした今津ショッピングセンターがオープンするなど、現在県内の大型店は合計158件で、このほか計画調整中が第1種、2種合わせると25件もあります。まさに滋賀県でも大型店進出ラッシュと言えます。1987年からの伸び率と比べても異常な伸びと言えます。最近の特徴は、大津市瀬田のショッピングセンターや浜大津再開発ビル、西大津駅前ショッピングセンター、ダイエー彦根店、八日市駅前ショピングプラザ、新守山ショッピングセンターなど、売り場面積が1万数千から2万平方メートルを超す大規模店の進出がメジロ押しです。こうした大型店の進出が中小小売店に大きな打撃を与えることは、言うまでもありません。  私は、去る90年9月県議会で、大店法の規制緩和が大型店の進出を許し、中小小売店にはかり知れない影響を及ぼすことを指摘しましたが、今日の事態はそれを裏づけています。私は、そのとき、規制強化を求めましたが、当時の商工労働部長は、大型店の出店は地域のイメージアップあるいは魅力ある町づくりの推進、消費者ニーズの動向などもあり、画一的に規制するのは困難と、事実上規制緩和の推進姿勢を示しましたが、その結果、県内の一般小売店舗数は88年全県で1万2,619件──これは統計上個人商店の数字ですが、91年には1万1,936件と実に683件も減るなど、中小小売店への大きな打撃を与えたものとなっています。  そこで、商工労働部長にお伺いします。これ以上の緩和は、流通、大資本の野放し進出をもたらし、県内の小売商店に壊滅的打撃を与えるだけでなく、環境破壊など地域住民にも重大な被害を与えかねません。政府が検討している規制緩和を直ちに撤回し、中小小売店の振興策を講ずるべきと考えますが、商工労働部長の見解をお伺いします。  次に、大津市萱野浦に建設予定の瀬田ショッピングセンターについてお伺いします。  御承知のように、同センターは、売り場面積1万1,552平方メートル、駐車台数347台、西武百貨店のほぼ2分の1の大きさです。その中に、世界最大のおもちゃチェーントイザらスと和光電気、本やレコードなどのイー・ジィー・ピーが出店予定です。特にトイザらスの売り場面積は全体の3分の1に当たる4,208平方メートルで、街のおもちゃ屋さんに比べると、とてつもない大きさの上に、年中無休、営業時間は午前10時から午後9時まで、年間60日は午後10時まで、おもちゃのほか、子供服や紙おむつ、自転車、書籍、文具など1万5,000点の品ぞろえは、これまでにないものです。このため、商店への影響だけでなく、交通渋滞や子供の非行、教育、生活環境への影響など多方面にわたって不安の声が広がっています。  さきの日本共産党滋賀県地方議員団による県への要望の中で、大型店の出店による影響を総合的に検討、対策を講じる大型店舗進出検討委員会の設置を求めましたが、県は、大店法の範囲内で対処することに固執して譲りませんでしたが、特に今回のトイザらス出店問題は、先ほども指摘しましたように、地域の経済、環境、教育などさまざまな角度から検討する必要性があります。  アメリカやヨーロッパなど諸外国の多くが大型店を環境や都市づくりの面から規制しているように、日本でも大型店規制の緩和ではなく、住民と業者の参加で出店を厳重にチェックできる方向での規制強化こそが求められていると考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いします。特に、トイザらス進出の影響についてどのように受けとめておられるのか、お伺いします。  生活環境部長にも同様の問題でお伺いします。大型店の出店問題は当然商工労働部サイドの問題ですが、トイザらス瀬田店出店に関しては、その地理的な状況から見ても、予想される交通渋滞や生活環境への影響についてどう認識されているのか、生活環境部サイドからの御所見をお伺いします。  次に、失語症患者のリハビリに欠かせない言語療法士の拡充を求め、健康福祉部長にお伺いします。  10月末に失語症患者やその家族、医療関係者が集まって、滋賀失語症友の会が発足しました。守山で開かれたその発会式に私も参加させていただき、失語症に対する認識を新たにしました。  失語症は、脳卒中や頭部の外傷が原因で言語中枢機能が損傷を受けるため、話すことはもちろん、書くことも、聞くことも、読むことにも障害が出る症状です。症状の程度は百人百様と言われるように、患者によってさまざまですが、脳卒中患者の1割から2割は失語症を合併すると言われ、全国の推定患者数は約20万人、滋賀県では2,000人とも言われています。  しかし、神経内科の中でもいわば特殊な専門分野である上、一般的に失語症が知られていないこともあって、失語症は治らない後遺症としてほうっておかれたり、痴呆と間違えられる場合が多いのが現状です。特に、話すことができないためにコミュニケーションの手段を奪われた患者は、引っ込み思案になったり、家に閉じこもりがちになるケースが多く見られます。  滋賀失語症友の会の発会式で涙ながらに実体験を報告された大津の北山さんの場合、4年前の朝突然言葉を失ったそうです。病院に連れていってと言いたいのに言葉が出ない。文字も書けない。どうしたという家族の人の声に、顔面右半分が麻痺した状況の北山さんは、メモ用紙の病院と書くのがやっとだったといいます。精密検査の結果、突発性脳出血と診断され、言語中枢に障害が起こったことがわかりました。こうした失語症患者の言語機能回復訓練に欠かせないのが言語療法士です。  ところが、日本失語症学会の1991年の全国実態調査によりますと、言語療法士は全国でたった847人、最も多いのは東京の98人、滋賀県はそのときの調査では4人、これは近江温泉病院に配置されていましたが、経営難から規模縮小、新体制に移行した後はゼロ。ですから、現在滋賀県内の言語療法士は、県立成人病センターに2年前から非常勤として1人、この10月から大津市民病院に非常勤で1人、恐らくは全国最低の状況です。県内に言語療法士が少ないために、失語症患者は京都や大阪の病院まで通わざるを得ません。言語療法士が全国的に少ないのは、日本では国家資格制度の対象になっていないためです。欧米ではきちんと資格として認められ、人口10万人に13から22人配置されていると聞きます。  県立成人病センターでは、失語症専門の神経内科医師が2年前に配置されて以降、滋賀県内での失語症治療も進みつつあります。その後、言語療法士も配置され、ことし11月からは毎週火曜日に失語症外来も開設されるなど、失語症患者から大きな期待が寄せられています。  しかし、週4回、1日平均13人の言語機能回復訓練や患者の家族などからの相談をこなすには、午前8時30分から午後5時までの時間では対応し切れず、食事の時間を切り詰めたり、入院患者の治療は夕食後になるなど時間外勤務が慢性的になっています。もちろん非常勤という今の身分では、時間外手当は支払われません。いわば献身的な努力で患者とその家族に接していただいているというのが実態です。  冒頭に、脳卒中患者の1割から2割が失語症を合併すると言いましたが、県立成人病センターにことし4月から10月までの間、脳卒中で入院した患者の合併率を見ると、5割近くあり、平均より2倍、3倍も高くなっています。それは、専門医師や言語療法士が配置されている数少ない病院だからです。だからこそ、せめて言語療法士の身分を非常勤から常勤に格上げすることは、県民の命と健康を守る県としての責務ではないでしょうか。この点で、健康福祉部長の御所見をお伺いするものです。  全国的なデータから見ても、言語療法士が1日対応できる患者数は平均10人までと言われています。しかも、言語機能回復のためには、早期発見と早期治療、連続した回復訓練が必要です。週数回の言語療法では効果も半減し、十分な診療ができません。発症初期から回復期にかけてのリハビリテーションが毎日必要であることは、他の運動療法や作業療法も言語療法の場合も同じです。運動療法士、作業療法士が常勤であるのに、言語療法士が常勤でないこと自体が不自然だと言えます。現状の週4回の非常勤ではなく、常勤にして毎日言語療法ができる体制を整備することが強く望まれています。  県は、さきの日本共産党地方議員団による予算要求の際に、外来を開設したばかりなので、患者数を見きわめて常勤化を考えていくと答えられましたが、現状でも毎日言語療法訓練が必要なほど患者数はふえています。  担当の松田実神経内科部長は、失語症患者の言語機能回復には特別の施設も医療機器も必要ない、必要なのは言語療法士と訴えておられます。しかも、松田医師によりますと、県内の年間発生患者数は推定200人以上と言われています。脳卒中での死亡率は年々減っていますが、発生患者数は依然として三大病に挙げられるほどですから、今後ますます言語療法士の果たす役割は重要になってくると考えられます。県立成人病センター言語療法士をまず常勤職員として雇用するとともに、県内の主な病院に言語療法士を配置して、失語症患者の機能回復に当たれるよう整備すべきだと考えますが、健康福祉部長の積極的な御答弁を求めます。  最後に、特別養護老人ホームの施設整備について健康福祉部長にお伺いします。  奈良県に本社を置く中堅ゼネコン村本建設が総額5,900億円という戦後最大の負債を抱えて倒産したため、その影響で県内の公共工事もストップしています。  多賀町で建設中の特別養護老人ホーム犬上ハートフルセンターもその1つで、8月11日に村本建設との契約を終え、同月25日から工事が着工されましたが、会社更生法の申請をし、事実上倒産した先月1日以降、工事はストップしたままです。総額約9億5,000万円の工事費のうち約4億円を前渡金として振り込んだやさきの出来事だけに、多賀、甲良、豊郷の3町を初め、完成後運営することになっていた社会福祉法人湖東会はショックを隠せません。また、来年3月完成を期待して、入所定員50人に対し既に30人ほどホームへの入所を希望しており、そのお年寄りや家族の人たちにとっても深刻な不安を投げかけています。しかし、県は、事実上該当する3町に対応を任せています。  県内には、現在23の特別養護老人ホームがあり、約1,500人のお年寄りが入所しています。しかし、すべて民間の運営です。数年前にも能登川園で施設運営に関するトラブルがあったり、また昨年、信楽荘では、個人寄附に頼っていた施設建設費の一部が入らなくなり、何とか開所にこぎつけたものの、結局町が1億円を余分に持ち出したというケースもありました。  日本共産党は、これまでから特別養護老人ホームの建設や運営については県が責任を持つことを強調してきましたが、県は常に社会福祉法人による整備を促進していくと、公的責任を事実上回避してこられました。この結果がこうした事態を繰り返すことになっています。  県は、こうした姿勢を改め、策定中のゴールドプランの中で公的責任を果たすべきと考えます。県内の特別養護老人ホーム入所希望者で現在188人の待機者がおられます。高齢期を豊かに過ごすためにも、施設整備は切実な課題となっています。県は、今後の施設整備計画についてどのように考えておられるのか、市町村が策定中の老人福祉保健計画ともかかわって、県のお考えを聞かせていただきたいと思います。健康福祉部長の見解をお願いしまして、質問を終わります。(拍手) ○議長(田中高雄君) しばらく休憩いたします。    午後3時14分 休憩    ───────────────    午後3時36分 開議 ○議長(田中高雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  14番桐山ヒサ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)まず、細川内閣に対する所見ということでありますが、現内閣の政治姿勢全般についてこのような場で口にすることは適当でないと考えますので、御了承願います。  ともかく私は、提案説明でも申し述べましたとおり、県政の推進に当たりましては、常にその主人公が県民の皆さんであることを肝に銘じ、この滋賀の地に住む生活者の視点に立って、県民の皆さんの幸せとよりよい地域社会の実現のために精いっぱいの努力をしてまいりたいと考えております。  次に、県の公共事業における消費税の額は、平成4年度決算における一般会計の工事請負費の額から計算いたしますと、約27億円程度になるものと思っていますが、消費税につきましては、その一部が消費譲与税あるいは地方交付税として地方財源となっているということもあわせて考える必要があります。  次に、消費税の廃止を国に働きかけるべきではないかということでございますが、御承知のとおり消費税は、前回の抜本的な税制改革において公平で簡素なバランスのとれた税制を目指すとする中で平成元年4月から創設された制度であります。  また、先月の政府の税制調査会の答申によりますと、公正で活力のある高齢化社会を目指した税制のあり方について、所得課税における世代を通じた税負担の平準化とあわせて、高齢化社会のための安定的な税収として、消費課税のウエートを高めることが望ましいとされ、現在引き続き来年度の税制改正について政府の税制調査会で審議がなされているものと承知しております。  消費税に限らず、税制は、国民生活を初めさまざまな面に影響を与えるものであり、県としては、消費税制度のあり方も含め、今後の我が国のよりよい税制を目指して、国において十分な論議が尽くされるよう期待をしております。  次に、米の市場開放の問題についてでありますが、去る7日、ガット事務局より調整案が示されたことから、政府においては、これの受け入れの可能性についての検討をされ、各国の意見や対応をも見きわめた上で、我が国としての最終的な判断が下されると聞いております。  米の市場開放阻止につきましては、今日まで県議会の意見書の趣旨を踏まえ、政府に対し再三再四要望してまいったところであり、現在の状況のもとでは、地方自治体として人事を尽くしたという思いであります。  次に、主食である米の安定供給についてでありますが、食糧は国民の生命を維持するため安定的に供給されることが不可欠であり、国の基本的な役割であります。食糧管理制度につきましては、食糧の確保ならびに管理を図るために設けられてきているものでありまして、今、これをどうこうしようというようなことはまだ聞いておりません。 ◎生活環境部長(辻本昭君) (登壇)まず、規制緩和に関する御質問にお答えします。  先般、経済改革研究会が規制緩和に関する中間報告を取りまとめ、首相に提出されたということは、私ども新聞報道等を通じて承知しているところでございます。この報告では、経済的規制の緩和等のほか、安全、健康、環境等暮らしにかかわる社会的な見地からの規制の緩和につきまして、その方向性が示されております。この方向性にかかわって、消費者の立場から言えば、一般論としては種々の規制が緩和され、自由競争が促進されることは、それだけ多様な商品、サービスの選択の幅が広がるというメリットがあるということではなかろうかと存じます。  ただ、一方で価格優先の風潮や企業の寡占が増長されるおそれがあるという議論もありますし、報告でもうたわれているように、消費者被害防止、救済制度の確立も急務であろうと思われます。  規制緩和に関する法令は多岐にわたっており、国レベルでも今後その具体化に向けていろいろな議論がされていくものと思われますが、いずれにしましても、消費者の賢い、確かな目というものが基本になるということは言うまでもなく、それがバランスある行政の施策に反映されていくものと考えております。  次に、トイザらス瀬田店出店に関する御質問についてお答えします。  本件に関しましては、昭和61年に現在の予定地の開発事業計画が県に出されました際に、生活環境部としては、造成等に伴う騒音の防止対策等について必要な意見を申し上げましたが、そのほかは、規模的に環境アセスの対象にもなっていないこと等から特段の関与はいたしておりません。  大規模店舗が出店しました際の周辺の交通環境等の問題につきましては、現在、事業者から地元への説明が行われているとのことであり、また地元大津市に対しましても、大津市の生活環境の保全と増進に関する条例に基づく事前協議がなされていると聞いております。県といたしましては、地元とのコンセンサスや市町村との調整、その他出店に係る所定の手続を経る中で、必要な意見交換やチェックがなされていくものと考えております。 ◎健康福祉部長(國松善次君) (登壇)失語症と言語療法士についての御質問にお答えします。  最近、大きな問題となっております寝たきり老人や失語症の多くは、三大成人病の1つである脳卒中の後遺症によるものであり、脳卒中の予防とともに発生後の対策が重要な課題となっております。このため、成人病センターでは、がん、心臓病、脳卒中といった疾患に対する高度医療に加えて、これまでから神経内科で言語機能回復を目的とした言語療法にも取り組んでまいりましたが、より効率的な診断、治療を行うため、今年11月から神経内科で週1回、失語症の専門外来を開設したところであります。失語症の治療には、専門医師のほか訓練を行う言語療法士を必要とし、開設後間もないことでもあり、その勤務形態は非常勤となっておりますが、今後の体制については、患者の動向等見きわめながら検討してまいりたいと考えております。  また、県内の主な病院への言語療法士の配置につきましては、基本的にはそれぞれの病院の医療内容にかかわる問題でありますが、県といたしましては、言語療法士の養成、確保が我が国ではまだ制度が確立されておりませんので、これからの高齢社会の全国的な課題であると認識いたしております。  次に、特別養護老人ホームの施設整備についてお答えします。  特別養護老人ホームの整備につきましては、湖国しがゴールドプランに基づき、平成11年度末2,500床を目標に整備を推進してきたところでありますが、本年度整備中のものを含めますと、入所定員1,785床となり、ゴールドプランの達成率は71%となります。今後は、各市町村老人保健福祉計画の中で、それぞれの地域に広域的施設として整備が促進されるよう、市町村と一体となって努力してまいります。  これまで特別養護老人ホームの整備は社会福祉法人が中心となってまいりましたが、近年、地域によっては、実質市町村が単独あるいは共同で整備し、社会福祉法人に運営をゆだねるという形もとられるようになってまいりました。現状からして、特別養護老人ホームの整備、運営は、こうした例も含めまして、今後とも社会福祉法人が中心となって進められるのが望ましいのではないかと思っております。  県といたしましては、特別養護老人ホームの整備に当たり、県単独の事業費補助や社会福祉医療事業団からの借入金に対する利子補給を行っており、今後ともこうした助成に努めるとともに、市町村と一体となって整備促進に努めてまいりたいと存じます。 ◎商工労働部長(山脇康典君) (登壇)規制緩和策についての御質問にお答えをいたします。  規制緩和につきましては、御承知のとおり、去る9月16日に決定された政府の緊急経済対策の大きな柱の1つでございまして、その具体的な指針づくりの場として経済改革研究会が設置され、先般中間報告が出されたところでございます。その報告によりますと、ニュービジネスの展開を容易にし、新しい産業振興にインパクトを与え、景気浮揚や雇用創出面での期待も大きいものとされておりますものの、中小企業者、中小商業者等への支援方策も重要でありますことから、地域での円滑な調整が図られるようその動向を見守っているところでございます。  次に、大店法にかかわる規制緩和の撤回に関する御意見についてでございますが、平成4年1月31日から施行されております現行の大店法については、2年後の平成6年1月31日までに実施状況に係る見直しを行うこととなっております。このため、国においては、先月上旬から検討作業が行われているところでございまして、現時点では新聞情報以外具体的に承知いたしておりませんが、今後国の対応に注視してまいりたいと考えております。  なお、中小小売商店等の振興策につきましては、今後も引き続き積極的な支援方策を講じてまいりたいと考えております。  次に、出店を厳重にチェックできる方向での規制強化に関する御意見についてでございますが、県では、大店法の規定によりまして、出店者に対して出店概要について地元説明を行うよう指導しており、また大店審においては、地元の消費者や小売業者、地元の商工会、商工会議所等の意見を聞くとともに、地元の商工会、商工会議所では意見の集約等を行うまちづくり委員会を設置するなど、現行シテスムの中で関係者の意見が反映されるものと認識をいたしております。  次に、日本トイザらスの進出の影響についてでございますが、現在、瀬田や大津の中小小売業者等の28団体に対して地元説明が行われているところでございまして、来月上旬には地元の各団体からの意見が取りまとめられることになっており、現時点では具体的な意見や内容等について申し上げることはできませんが、今後の大店法の規定に基づく届け出の進行に沿いながら、その都度影響の内容を見きわめ、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。 ◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)米の問題についての御質問にお答えいたします。  まず、減反政策についてでございますが、9月県議会でもお答えしたとおり、国の米の需給計画に基づき生産調整が行われているものでありまして、潜在生産力が需要量を上回っている現段階では、生産調整はやむを得ない措置と認識をいたしております。  第2点目の復田のための援助についてでありますが、いわゆる休耕田から復田しようとする意欲のある農家に対しましては、転作緩和面積の範囲内において必要な経費を国の水田営農活性化対策推進事業を活用することにより対処してまいりたいと考えております。  第3点目の湖国農林水産プランについてでございますが、このプランでは、家族経営の集合体であります集落を基礎といたしまして組織経営体を育成することとし、そのような経営体が将来の稲作生産の5割程度、また小規模な兼業農家や自給的農家が2割程度をそれぞれ担うことになるものと展望いたしておるところでございまして、決して大規模農家の育成のみに主体を置いたものではないと思っております。  第4点目の御質問のうち、本年の異常気象による本県の水稲の被害総額についてでございますが、約65億円ということで、農水省の統計情報部から公表されているところでございます。  次に、被害の原因と指導のあり方についてでございますが、御質問にありますように、そのほかの主たる要因につきましては、異常気象によるいもち病の発生にあると思っておりますが、これは発生予察情報を発令したものの、長雨により適期防除ができなかったことなどによるものと考えておりますが、稲作の指導につきましては、従来より稲作技術指導指針に基づきまして適地適作や土づくり等の基本技術の励行を指導してまいったところでありますが、今後ともこの技術指針に基づきまして指導の適正化に努めてまいりたいと考えております。  最後に、米の緊急輸入と安全性についてでございますが、本年は、米が全国的に不作となりましたことから、国において緊急に輸入されることとなり、良質米の生産県としては残念なことだというふうに考えておりますが、国民、消費者に対して主要食糧の安定供給確保に万全を期するという観点から、その一環として緊急特例的輸入を行うという大臣談話などの趣旨からも、やむを得ないものと考えております。  また、安全性についてでありますが、輸入される米の検査手続につきましては、その安全性等確保のために、農林水産省においては植物防疫法に基づく検疫や農産物検査法に基づく検査が、また厚生省の検疫所においては食品衛生法に基づく残留農薬の検査がされると承知をいたしております。 ◆14番(桐山ヒサ子君) (登壇)まず最初に、知事に再質問をいたします。  知事の米に対する論調が少し後退してきたのではないかなというふうに私は思っているのですが、先ほども申し上げましたように、代表質問の答弁も祈りに等しい念願に変わってきております。  実は、私ども日本共産党は、きのう武村官房長官に細川首相に緊急申し入れということで、渡しました。1つは、ウルグアイラウンド成功を日本の農業や国民の利益の上に置く、そういう交渉姿勢これが一番問題だから、だから各国の経済主権尊重のガットの仕組み、こういう中からいけば、きちんと拒否する権利があるのだ、このことが第1点です。そういう自主性を欠く交渉姿勢をやめるということを申し入れました。2点目は、調整案の受け入れは、日本の農業を根底から破壊する、減反政策との矛盾が噴き出している、こういう事態に目をやれということも言いました。3点目は、米完全自給、輸入自由化反対、この国会決議をきちんと守るように、こういう3点で申し入れたのです。この点では、知事の思いと一致するのではないかと思います。  言うまでもなく、ガットは、その加入時の国内法これが関税化に優先するわけですから、日本は米の国内自給、また安定供給のために食管法というのがあって、このことと今のガット受け入れ、いわゆる関税化というのは、相反するわけですから、矛盾があるわけですから一致するわけない。だから、食管法をつぶすのか、この関税化を阻止するのか、これが問われていると思うのです。  また、先ほども少し知事の言葉の中にうかがえたのですけれども、細川首相も外国の風を頼りにすると、こういう雰囲気が漂っております。けれども、今、農家や国民が怒っているのは、米が余っているから減反せよ、米がないから輸入する、こんな矛盾した話はないわけですね。どこからどう考えても、この意見は納得できないわけです。国際的にも通用しない。こういう点で、知事が今日の時点に至っても、先ほどの答弁では再三再四要望して、人事を尽くしたと、こういうふうにおっしゃったのですが、今、この場でこそ一番県民の声を代表する大事なときだと思うのです。  知事も御承知のように、衆参両議院の88年の9月の国会決議は、アメリカ国内の我が国に対する自由化要求の動きは極めて遺憾であり、認められない、政府は断固たる態度で臨むべきである、こういう立派な決議がされているのです。いつも国会決議もあるし、滋賀県議会の決議もあるということを力に知事が物をおっしゃっているのでしたら、今日の時点で関税化、しかもこの関税化を前提とした今回の調整案受け入れ、このミニマムアクセス受け入れ、断固拒否する、このことをきっぱりと言えるのかどうか、このことをお願ねしたいと思います。  2点目、農業関係ですので、順番申しわけないですけれども、農林部長にお伺いします。  いもち病が発生して適期に防除できなかった、この原因は、信楽線の事故ではありませんが、原因はわかっているのです。なのに防げなかったのは、私どももそれこそ再三再四言っておりますように、今日の減反政策で農家が生産意欲をなくしている、今日の時点で、長い間農業研究者や農民の方たちがいろいろな研究、苦労をされて、品種改良や栽培技術、うんと進歩したわけです。それでも防げないのは、こういう進歩した技術や経験が残念ながら生かすことができない今日の農家の事態、冷夏、寒いときに水温で苗を守るというのか、水を深くする、わかっているけれども、大区画でそして大規模化された中で、この水深が保てないとか、適期に防除ができるだけの人手間がない、兼業化のためにそういう労働力がない、今、農業施策がここまで追い込んできて、防げる災害も防げなかった、ここに目をやらなければならないと思うのです。土つくりもわかっているのです。けれども、労働力がない。そういう気持ちを持っていても、その努力が弱まっている、こういう事態を認識していただけるのかどうか。  ここで出発、不作と不足というのは全く違う次元にある、この認識に立っていただかないと、単なる防除のやり方がどうとかこうとかの議論になってしまうと思うのですが、災害を本当に防ぐためにも、この認識を持っていただけるのかどうか、お尋ねをいたします。  3点目は、健康福祉部長言語療法士の件についてですが、白倉議員もおっしゃいましたし、失語症は急性期が大事です。欠かさず療法するというのが大事なのです。ですから、週何回というのではどうしようもない。専門家の医師もおっしゃっているように、今、成人病センターが外来始まって、11月30日までで新しい患者さんが12名、外来経由しないで通常の神経内科に入院している患者さんで言語療法をしている人が10人、外来で定期的に通院、言語療法を受けているこの患者さんが25人、これを1人の非常勤の言語療法士さんではとても対応できないわけです。  しかも、成人病センターでは、失語症の一日も早い回復というために、単に言語療法士を常勤化するだけではなしに、地域にも相談室をつくりたい、リハビリ教室も開きたい、出張指導もやりたい、勉強会もやって、訪問リハビリもして、もっと失語症の人たちのために力を尽くせる、そういう体制をつくるということも言われております。
     その第一歩として、職員さんの常勤化ということが望まれているのですが、こういう常勤化の必要性というのか、言語療法士さんの必要性というのは、先ほども患者数の推移を見てとおっしゃいましたけれども、外来診療開設後、その検討の内容が進展した段階にあるのかどうか、この点を再度お尋ねいたします。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)日本の農業を守るために、米の完全自給を貫くことが望ましい、それから輸入自由化をすべきでないという思いは、今も少しも変わっておりません。  しかし、多くの人がこういう気持ちを持っているということを十分承知の上で今度の決断がされようとしているわけですね。まあ、地方自治体としては、すべてそういうことを訴えてまいりましたし、なすべきことはなし尽くしたという気持ちでございまして、これを拒否した後、どうなるのかというようなことは、やはり政府にお任せするよりほかないというのが私の気持ちでございます。 ◎健康福祉部長(國松善次君) 言語療法士の再質問にお答えします。  先ほどもお答えいたしましたように、専門外来は先月から開設したばかりでございまして、今後の体制につきましては、患者の動向などを見きわめながら検討してまいりたいと考えております。 ◎農林水産部長(中桐正君) 稲作技術の指導指針に基づきまして、土づくりの推進、施肥、水管理の合理化、適正化などにつきましては、従来から指導させていただいておりますが、今後もより一層これの指導指針に基づきましてその指導に努めていきたいというふうに考えております。 ◆14番(桐山ヒサ子君) (登壇)今、日本の国民の運命がかかっている大事なときです。滋賀県の一番の県民のお頭、知事が本当に県民、国民のために頑張ってくれるかどうかが問われているときですので、中途半端では終われません。今日の時点で、きっぱりこの関税化を前提としたミニマムアクセス受け入れを拒否できるかという返答に、まあ、政府にお任せということですが、こういう確認で後悔が残らないのかどうか。私どもは、ぜひきっぱりと細川内閣に対して拒否の態度を滋賀県の代表として言っていただきたいのですが、再度確認をさせていただきます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)ガットの調整案を受け入れた場合、これは大変な問題になるなということはわかっております。しかし、それを拒否した場合の問題をどう判断するかと、これもそうしかないわけです。政府しかないのです。県では判断できないのですから、それはもうそこは任さなければしようがないということでございます。 ○議長(田中高雄君) 次に、18番川口東洋君の発言を許します。 ◆18番(川口東洋君) (登壇、拍手)2点にわたって質問いたします。  まず、野生傷病鳥獣の保護についてでありますが、この自然界に生を受けて、生きとし生けるものすべてが意味もなくけがをし、死んだり、滅びたりしていくことほど無常なことはございません。私は、滋賀県自然環境保全審議会の鳥獣部会の委員をいたしておりますが、その委員としての立場も含めて質問をさせていただきます。  本年1月、大津市三井寺町の琵琶湖疏水付近で、ユリカモメが大量に落下して死んだりけがをし、保護されたということがありました。原因ははっきりしないとのことでありましたが、このようにユリカモメに限らず、いろいろな野生動物がけがや病気などで発見される場合が年間でかなりの数に上ると聞いております。  本来、野生の動物は、自然界で生まれ育ち、自然界で死んでいくというのが道理でありまして、まさにそれが自然であると思います。しかし、最近の野生動物の生息環境を見てみますと、自然界の中での事故に限らず、交通事故や放置された釣り糸による被災、矢ガモのようないたずらなどによる人為的な原因でけがをするということも少なくないのではと思います。このような場合、残念ながら死んでしまったものは仕方がないといたしましても、けがをしたものの中には、簡単な治療を施すことで、また野生に戻すことのできるものもいるでしょう。  そこで、発見されて、速やかに保護する必要のある傷病鳥獣について、県では、現在どのような救護対策をとっておられるのか。また、本年6月にはびわ湖のラムサール条約への登録がなされたところであり、水鳥とラムサール条約との関連についても、同条約の理念、趣旨、目的からも、行政が県民と共同した一歩進んだ保護、救護が求められると思うのでありますが、どのように考えておられるのか、生活環境部長に伺います。  次に、公共工事における地域社会対応について質問をいたします。  県では、先般、公共工事の環境面に対する配慮の目安として、環境マニュアルを作成されたところでありますが、これと同様に、工事が地域社会に与える影響など地域社会の理解を得る方策について、今後積極的な対応がなされ、建設工事に伴う地域社会でのトラブル防止が図られるべきであると考えるものであります。  安全で快適な生活環境を整備するために、各地で公共工事が施行されていますが、目的どおりに工事が完了いたしますと、地元住民の方々や利用者には喜んで利用され、またそのことが工事施工業者も誇りと喜びを共有することになります。  建設工事は、公共、民間を問わず、社会経済に与える影響が大きい関係から、施工に当たっては建設業法、安全面からは労働安全衛生法、環境面からは環境関係法令などにより各種の規制がなされているところであります。このようにして建設工事は、技術的な質、レベルの問題とあわせて、安全、環境への配慮が必要となっていますが、それらのことに加えて、近年は地域社会、すなわちコミュニティーへの配慮と対応が重要な要素を占めることとなっております。  技術、安全、環境問題につきましては、従来から法制度の整備も進み、ある程度の対応がなされているようになってきていますが、地域に対する対応については法制度になじまない面があるために、工事発注者や請負建設業者の良心にゆだねられているのが現状の姿であります。  そこで伺いますが、民間による工事はもとより、特に公共工事においては、それが社会資本の整備といったことから、地域への影響をより大きく帯びるため、公共工事の施行にあっては、地域に対する工事の説明や協力要請についてはより開かれた形で行われるべきである、なされるべきであると考えるものでありますが、どうか。  また、業者の育成は、従来から技術の面での向上や経営面での指導、育成はなされていますものの、工事施工に当たって労働安全衛生法上の指導、地域対応への指導がともすれば欠けているのではないか。業者の体質にも問題があろうかと存じますが、地域住民とのトラブル防止のためにどのように指導されているのか。少なくとも知事名で契約を行う公共工事については、施主としての知事の心を意図した工事施工の実施が肝要と考えるものであります。  以上の点について土木部長のお考えをお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(田中高雄君) 18番川口東洋君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎生活環境部長(辻本昭君) (登壇)野生傷病鳥獣の保護についての御質問にお答えいたします。  病気やけがをしている野生の鳥獣が県民の皆さんにより発見された場合には、自然保護課や各県事務所林業課などが保護し、これらの動物たちに適切な治療を施すため、滋賀県獣医師会の協力を得て、県が委嘱する49人の野生動物ドクターに治療を行ってもらっているところでございます。このうち、長期の療養を要するものにつきましては、3カ所の救護施設に収容し、野生への復帰を図っております。  最近の傷病鳥獣の発生原因としましては、交通事故等の人為的なものを初め、台風などの自然現象による事故やひなの巣からの落下などの原因が主なものでございますが、ちなみに平成4年度の1年間で県内で保護、治療を行った件数は、鳥類、獣類合わせまして96件となっておりまして、近年増加傾向が見られるところでございます。  こうしたことから、将来に向けては傷病鳥獣のより適切な素早い治療や長期の加療が可能な施設の整備も必要ではないかと考えておりますが、当面今の体制の充実として、県域でさらに迅速な対応ができるようバランスのとれた救護施設の配置等について検討してまいりたいと存じます。  いずれにいたしましても、傷つきました水鳥も多いのが実情でございますので、びわ湖がラムサール条約に登録されたことから、今後とも県民の皆様方と一体になりまして、このような傷病鳥獣の保護や救護施策を積極的に推進する所存でございます。特に、水鳥につきましては、生息環境の調査を充実するなどによりまして、一層の保護に努めてまいりたいと考えております。 ◎土木部長(宮尾悦夫君) (登壇)公共工事における地域社会対応についての御質問にお答えします。  公共工事は、地域の生活と産業の基盤づくりに大きく貢献しているものでありますが、工事期間中は生活の場が重機使用や資材の搬入搬出などの現場作業を伴う工事現場となってしまうので、この環境の変化を十分考慮して、地域に影響の少なくなるよう工事の実施に心がけております。  そこで、まず1点目の施行に当たっての地域に対する開かれた対応についてでございますが、通常の工事は事業計画の協議、用地買収の交渉および施工前の協力以来など、それぞれの段階で多面にわたり細かい配慮を重ねて地域に接して、住民の皆さんの御理解を得た上で工事を施行してきたところでございます。中には、十分配慮ができず、地域に御迷惑をおかけしているケースも見受けられますが、職員は、地域住民の皆さんの意見にさらに耳を傾け、より一層コンセンサスを深め、きめ細かい取り組みをしなければならないと考え、一層地域社会への配慮を工夫して日夜努力しているところでございますので御了承願います。  次に、2点目の地域住民とのトラブルの防止のための業者指導についてでございますが、トラブルの原因といたしましては、工事の実施に伴う騒音、振動、粉じんなどの地域への影響が考えられますが、これらに対しましては、今回作成いたしました公共工事の環境対策の手引の工事編において具体的な対策を明示するとともに、業者への説明を行い、環境に配慮した工事の施工がなされるよう指導しているところでございます。  しかし、地域に対する業者側の対応を見た場合には、地域からまだまだ苦情を耳にするケースがございます。県では、建設産業はきつい、汚い、危険のいわゆる3K産業と言われ、そのイメージアップを図ることを目指して、平成4年度から設計にその経費を計上して工事を発注して、業者が現場作業員の安全で快適な環境づくりを行うとともに、工事内容や工事期間など詳しく地域住民にPRし、住民の皆さんに顔を向け、なお一層地域に溶け込んだ工事を進められるよう工事を通じて建設業者を指導しているところでございます。あわせて、現在、新しい業界を目指して構造体質改善を進めております建設業協会を通じて、これを広く徹底を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(田中高雄君) 次に、6番目片信君の発言を許します。 ◆6番(目片信君) (登壇、拍手)地価監視区域について企画部長にお尋ねをいたします。  地価監視区域制度は、昭和60年代の地価高騰に対処するため、知事や首長が期限を切って区域や面積を指定し、一定規模の土地取引について届け出を義務づけることにより土地価格を監視するもので、昭和62年に導入された制度であり、本県も去る11月1日に期限を更新されたところでありますが、ここ数年の地価動向の調査から見ても、大都市圏もさることながら、県内においても横ばいや下落の傾向にあります。全国で2年連続、三大都市圏では3年連続して下落を示していることから、国土庁は、国土利用計画法に基づき、去る11月9日、都道府県と政令指定都市に土地局長名で運用指針を通達されたところであります。  地価の高騰は、東京圏に端を発し、大阪、名古屋と三大都市圏、そして地方都市へ波及し、本県も京都、大阪の影響を受け、高騰したのであります。その間、土地のみならず、株価の高騰を引き起こし、銀行、証券会社、ノンバンク、あらゆる金融機関を抱き込み、経済を狂わす要因になったのも事実であります。  しかし、現在、経済が低迷し、企業の収益は極めて悪化しており、回復の兆しさえ見えない状況にあります。特に土地対策は、暮らしに重要な施策であり、また人生に夢をもたらす見地からも重要な課題であると考えます。景気経済対策から考えても、すべての産業が活況を取り戻すことが急務でありますが、中でも土地対策は景気に刺激を与え、かつ波及効果が望めるものと思っております。そのためには、土地取引規制の撤廃、土地利用規制の緩和、土地融資の緩和、譲渡所得税の見直し、さらに買いかえ資産の特例等が考えられますが、中でも地価監視区域の緩和は県独自で検討できることであると考えますが、企画部長の見解をお尋ねするものであります。  次に、フロンガス回収について生活環境部長にお尋ねをいたします。  地球の成層圏におけるオゾン層破壊の問題は、アメリカカリフォルニア大学のローランド教授らによるオゾン破壊のメカニズムが提唱され、定着して、国連環境計画──UNEPを中心に全世界的な対応が実行されつつあります。オゾンが破壊されると、これまでオゾン層に吸収されていた有害な紫外線が地表面により多く到達することになり、その結果、皮膚がんの増加、生態系の変化等悪影響が生じると言われています。  フロンガスによるオゾン層破壊の問題は、昨年末のモントリオール議定書締約国会議で決まった特定フロンの1995年末製造全廃で決着がついたかのように受けとめられております。しかし、これは今後の製造規制であって、フロンを大気中に放出して捨てることに何の規制もないのが現状であります。私たちが暮らしを営む上からも必要不可欠な冷蔵庫、ルームエアコン、また自動車等に冷媒用のフロンガスが使用されていますが、時には大型ごみで捨てられたり、自動車が廃車され野積みされているのであります。  例えば、1991年度に捨てられた冷蔵庫は約400万台、ルームエアコンは約184万台、そして自動車は年間約500万台以上と言われ、そのうち6割以上の約300万台がエアコンを装備していると推測されています。放出フロンを少なく見積もっても年間約4万5,000トン、これは1991年度に生産されたフロン約12万9,000トンの3分の1に相当し、これらを回収すれば、3年分で全廃時期の1年前倒しと同じ効果が出ると言われております。  県教育委員会では、さきの9月補正で、長浜農工の特定フロン使用機器転換事業で411万1,000円を計上され、順次平成8年末までに取りかえるとして予算化され、前向きに取り組んでいただいているところであります。既にドイツではノンフロンが開発され、日本では代替フロンとしてR143Aが使用実施されつつあると伺っておりますが、完全にノンフロンになるのにはまだまだ時間がかかると言われています。  以上のことから、さきに述べました廃棄される冷蔵庫、ルームエアコン、自動車等に使用されているフロンガスの回収を今後どのように指導されようとお考えなのか、また市町村が行っている大型ごみ等の回収に際してどのように指導されているのかを生活環境部長にお伺いし、質問を終わります。(拍手) ○議長(田中高雄君) 6番目片信君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎企画部長(勝義隆君) (登壇)目片議員の地価監視区域についての御質問にお答えをいたします。  監視区域制度は、土地については公共の福祉を優先させながら、正常な需給関係と適正な地価の形成を図るための総合的な土地対策の1つとして設けられたものでございまして、これらの施策を通じ国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を図るとされております。  本県におきましては、この11月1日から3年間、これまで監視区域として指定してきた全区域を再指定したところでございます。これは、本県の地価が3年連続して下落しているものの、地価動向、土地取引の状況あるいは金融情勢、景気動向等の社会経済情勢などを総合的に勘案し、地価の再上昇のおそれを多分に含んでいると判断したからでございます。  そもそも監視区域制度は、恒久的な制度ではございません。地価の再上昇のおそれがない場合には指定を解除し、地価上昇のおそれがあると認められるときは再指定を行うという機動的かつ弾力的な運用が求めれており、この11月9日に出されました国土庁通達によりまして、改めてこの制度の趣旨に沿った運用を行うことが求められているのでございます。  現時点におきましても、地価の再上昇のおそれを否定できないとの判断に変更はございませんけれども、再指定の際、指定期間中であっても適宜必要な見直しを行うことをあわせて明らかにしているとおり、国土庁通達に示されました指標を中心に検討を行いまして、本県の地価が強く影響を受けております大阪、京都の地価の動向等々にも注視をいたしながら、引き続き監視区域の的確な運用を行っていく方針でございます。 ◎生活環境部長(辻本昭君) (登壇)フロンガスの回収についての御質問にお答えいたします。  まず、フロンガスにつきましては、オゾン層の保護に関する国際的な取り組みとして、モントリオール議定書により、特定のフロンやハロン等につきましてその製造を1995年末までに全廃することが定められております。  しかし、御質問にありますように、市場に出回っているフロンガスを使用した冷蔵庫や自動車等を廃棄する当たりましてはフロンガスを回収することが必要となり、昨年11月にデンマークで開催されましたモントリオール議定書第4回締約国会議におきまして、回収、再利用を推進することの新たな決議がなされました。  こうしたことを受けて、我が国におきましても、既に特定物質および指定物質の排出抑制、使用合理化指針が策定され、事業者に対する指導が積極的に進められているところでございます。この指針におきましては、製造者の責任においてフロンを回収し、再利用することが基本とされておりますが、これに基づいて既に自動車の販売メーカー等を中心に約2万台の回収装置が配置され、また日本冷凍空調工業会等においても冷媒フロン再生センターが本年10月に創設される等、フロン回収の体制整備も着実に進んできておる状況でございます。さらに、今後の用途ごとの特定フロンの回収、再利用の方向につきましても、現在通産大臣の諮問機関であります化学品審議会オゾン層保護対策部会で検討されており、県といたしましては、こうした国の方針に沿って遺漏のないよう指導してまいりたいと考えております。  次に、市町村の大型ごみ等の処分に際してのフロンガス回収指導についてでありますが、このことにつきましても、現在、環境庁においてモデル事業が実践され検討されているところでありまして、全国的な大きな課題となっております。本県におきましても、広域の粗大ごみ処理場で業者の御協力をいただいて、移動回収車により家電製品等からフロンガスの回収試験を行う等、その処理について検討を始めておりますが、ごみとして出された多様な製品に使われているフロンガスを容易に回収し、回収されたフロンガスを再利用につないでいく方法やルートづくりなど、まだまだ課題を抱えているのが現状でございます。こうしたことから、現在モデルとして実践されている他府県の状況や環境庁の検討結果を踏まえながら、全県的な対応ができるだけ早くとれるよう滋賀県清掃事業連絡協議会で十分協議、検討を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(田中高雄君) 次に、25番滝一郎君の発言を許します。 ◆25番(滝一郎君) (登壇、拍手)我が国経済は、バブル崩壊後、厳しい状況が年々強まってまいりました。政府も、経済回復策の1つとして、公定歩合を数次にわたって引き下げを断行いたしましたが、その効果があらわれてまいりません。かえって回復が長引いているため、大幅な公定歩合引き下げが国民生活に与える悪い方の影響が出てまいりました。その1つが年金生活者の収入減であります。また、行政の面でも、基金の運用益で活動しようとする法人等に大きな影響を与えていると思います。  公定歩合と1年定期預金金利の動向を見ますと、正常時であった平成3年7月には公定歩合5.5%、定期預金5.75%であったのが、平成4年7月には3.25%と4.17%に、平成5年2月2.5%と3.86%、ことし9月には公定歩合が1.75%、1年定期預金金利が1.92%と、考えられないような超低金利時代になっております。こうした現状から、積み上げられた基金の運用益で活動していこうとする法人等は、未曾有の危機に立たされているのではないかと心配するものであります。  そこで、基金を活用している代表的なUNEPセンターについて質問をいたします。  このセンターは、県出捐金5億円を含む企業、団体、県民の出捐金など30億円を目標として、支援基金を集め、その運用益で開発途上国の環境保全対策のための技術移転を行うため、UNEP国際環境技術センター滋賀として、活動することになっておりますが、現在の状況は、支援基金30億円目標に対し6億2,500万円しか集まっていないと聞いております。そのうち5億円が県出捐金でありますから、民間、企業、団体からは25億円中1億2,500万円と20分の1しか集まっていないということであります。  現在の経済状況からすれば、それも仕方がないことであろうと思いますが、今後のUNEPセンターの運営に大きな支障の出ることは必定であります。景気の低迷が長引けば、現在の基金を食いつぶすおそれもあります。UNEPセンター支援基金目標額達成に向けての推進対策について、またUNEPセンター組織の一時縮小など考えられるのか、今後の方針について生活環境部長に質問をいたします。  次に、農政問題について2点伺います。  去る8月24日から26日の3日間にわたり、皇太子殿下、皇太子妃殿下の御臨席を賜り、本県で第5回全国農業青年大会が開催され、さらに10月には全国土地改良大会も開催されました。こうした大会を契機に、農業関係者が本県農業の担い手としてさらなる研さんを積まれるよう期待するものであります。  県行政としても、今日の農業、農村は危機的状況にあり、この事態を打開し、農業、農村を維持、発展さすためには、農業、農村の果たす幅広い役割と価値について、広く県民の理解と支持を得ることが不可欠であります。  ことしの稲作は、冷夏と長雨、日照り不足で、全国的に見て大変な不作で、政府は米の緊急輸入もされている現状であります。農業者としては大変な困難期でありますが、災い転じて福となすのことわざにもありますように、一方で米という毎日の生活に欠かせない主要作物の重要さ、大切さが飽食のため忘れ去られていた現在、これを思い出し、理解していただく絶好の機会ではないかと考え、県民皆様とともに農業の産業的基盤の確立を図っていかなければならないと思います。  我が県は、県土の6分の1に及ぶびわ湖が中央に位置する地形であり、近江盆地での生活排水、工業排水、農業排水がびわ湖に注いでおります。近畿地方1,300万人の水がめとして、びわ湖の水質を守っていくために、県民挙げていろいろな施策を通じて努力をしておりますし、ことしの国への要望でも、びわ湖の環境保全対策については、赤潮やアオコの発生など予断を許さぬ状況にあるので、びわ湖に流入する汚濁負荷量を継続的に削減するための総量管理と経済措置導入に必要な制度の確立を求めております。  負荷量の削減策の1つとして、最も大きなウエートを占める公共下水道、農村下水道事業も大きく進捗率を高め、これらの普及、完備も将来の見通しが見えるところまでになりました。この間の関係者の御努力を多とするものであります。  しかし、栄養価の高い田用水が排水路から一気にびわ湖に流入し、BOD、CODの数値を押し上げている現状を見るとき、びわ湖に注ぐ農業排水の汚濁負荷量削減対策に努力しなければ、びわ湖の水質はいつまでたってもよくならないと断言する人もありますし、私もそのように思う一人であります。  我が国の歴史は、稲作の歴史と言ってもよいほど国民生活に密着してまいりました。今後も少しずつ変化を加えながらも、大筋は変わらないと思います。この変化というのが省力化であろうと、私は思います。近年、日本じゅうで土地改良、圃場整備が行われ、大型機械化の導入が可能となり、さらに省力化を目指して乾田直播栽培や不耕起栽培の実験が数年前より行われている現状であります。実験は農業試験場や各県事務所単位で推進されておりますが、例えば、湖北の山本地区では、乾田直播実験で平成4年度10アール当たり624キログラムの収穫を上げ、農作業時間も8分の1に省力化され、大変良好な結果を得ております。また、不耕起栽培の実験も湖東、湖北各地で実施され、10アール当たり500キロを超える収穫で、省力化はさらに進み、機械等の合理化、軽減化も図れるということであります。私は、こうした田植え時期に水を使わない農法を一般農家に普及、実施さすことがびわ湖を持つ我が県にとってぜひとも必要でないかと思うのであります。  そこで、びわ湖の水質浄化を果たし、省力化にも寄与し、現在県の推進している集落営農や大規模営農などに適合する農法としての乾田直播や不耕起栽培の普及についての見通しはどうか、農林水産部長に尋ねるものであります。  次に、稲作のヘルパー制度について質問いたします。  我が県における30歳未満の農業への新規就労者は、平成5年度、驚くべきことに10人であります。昭和35年に1,213人の新規就労者が昭和40年に266人、同45年104人、同50年32人と2けた台に突入し、同60年15人、平成5年には10人と減少し、歯どめがかからず、来年は1けた台になるのではないかと心配をしております。  こうした時代の流れは、我が県が内陸工業県に移行したことを示すものだと言えばそれまででありますが、優良農地を守り、国民の主要食物を確保するための人材確保、養成は何にも増して重要な施策であります。過日、全国農業青年大会が開催されたのもその一事業であろうと思いますが、青年が自分の一生の仕事として農業に取り組んでいこうと選択するためには、いろいろな面から検討をし、決定されると思います。農業は、機械化が進んだとはいえ、その作物に適した季節季節に自分の体で働かなければなりません。物をつくる喜びや社会貢献に対する農業生産者としての誇りといったことはあるとしても、万が一傷病等になった場合のことを考えますと、作物には植えつけ、収穫などの季節がありますので、配偶者になる方の理解を得ることができるか心配されるなど、専業者となるのにちゅうちょされる一番大きな原因と聞いております。  そこで、私は、畜産業で既に導入されているヘルパー制度を稲作にも拡大することを提言するものであります。  私の住む彦根市では、Uターンを中心とする大規模稲作農家が年々増加しておりますが、問題になっているのは、けがや病気になった場合であります。たちまち農作業に支障を来します。長期になりますと、委託している多くの農家に迷惑をかけることから、規模が大きくなればなるほど問題になってまいります。現に大規模農家が突然倒れられたという事例があり、仲間が分担して何とか作業をこなしたと聞いております。このように不測の事態が起こると、立派に経営されていた専業農家がつぶれてしまうのであります。そのためには、大規模農家が安心して働ける仕組みが必要であると思います。そのことが農業青年の結婚難を解消し、農業を取り巻く厳しい環境の中での新規就労者やUターン農業者の育成に結びつくものと確信をいたします。ヘルパー制度の確立に対する農林水産部長の答弁を求めるものであります。  次に、我が国経済は依然として低迷が続き、景気の状況はますます厳しさを加えてまいりました。個人消費の落ち込みにより、また円高による輸出の減少等による収益の減収からの先行き不安で設備投資の減退を見るなど、悪い方、悪い方へと進んでおりますが、自分たちに都合のよい政治改革ばかり熱心で、国民生活に関心の少ない連立政権では、経済の早期回復が望めそうにもありません。  我が県のように第2次産業の構成率の高い自治体は、その影響も大きなものがあると懸念するものであります。地方自治体の大原則である住民の生命、財産を守ることを忠実に進めてきた滋賀県政における社会福祉の充実、道路、河川、下水道、環境保全などの社会資本の充実なども、産業界の順調な発展による財源の確保ということが大前提であって、現況では今までのような調子に進めることもできにくく、事業の優先順位が問われる時代になろうとしております。  しかし、高齢化社会の時代にあって、社会福祉の後退は許されないことであり、そのためには一日も早く経済の回復を図り、さらに産業の充実、振興に力を注いでいかなければならないと思います。  私は、昨年12月議会で、滋賀県産業、地場産業の発展のため、県立第二工業技術センター設立が必要だとの意見を述べ、質問いたしました。設立の理由として、1つに、現存の工業技術センターは湖東、湖北から相当距離があり、中小零細企業にとって自分たちのためのセンターといった名実ともに近い存在としての利用がしにくいこと、1つに、びわ湖東部中核工業団地、びわ川道工業団地など操業にあって、誘致企業との技術格差をなくすため、1つに、地場産業であるバルブ、繊維、仏壇などの育成のためなどでありますが、経済状況がより悪化した現在、角度を変えて、第二工業技術センターの必要性について再び質問をさせていただきます。  私は、昨年、ことしと県立工業技術センターを二度にわたって視察いたしました。さらに、オムロン株式会社、HOYAレンズ株式会社などの県内民間製造会社にも視察に出向きました。そうした経過を踏まえての感想といたしましては、民間会社のコンピューター化、自動化、ロボット化の進歩は目を見張るばかりで、その経営意欲に敬意を表したところであります。  一方、工業技術センターにおいては、研究開発、試験機器提供、試験分析、技術指導など真剣に取り組んでいただいておりますが、これらの研究がだれのため、何のために実施されているのか、理解できない点もありました。例えば、ロボットの研究開発にしても、ロボット製造会社が本県になく、ほとんどの製造工程に活用のロボットは東京あたりのロボットメーカーから購入されている現状から、こうした研究はスケールの大きいロボット専門メーカーや大学に任せばよいのではとの感じを持ちました。  しかし、反面、研究開発の成果例として、県内の切削工具メーカーから検査工程の省力化の相談を受け、工具寸法の自動測定器を共同で開発されている、また龍谷大学科学技術共同研究センターおよび県内企業と技術センターの産、官、学共同でダイヤモンドと金属の瞬間接合技術を世界で初めて開発され、製品化、試作に成功されています。このように、私たちが工業技術センターのあるべき姿として最も望ましいと思う成果も上げていただいている例もあります。  私は、県立技術センターの役割は幾つかあろうと思われますが、底流にあって忘れてはならないものに、地元県内の技術アドバイザーとして、研究者の不足する中小企業の共同研究開発者としての技術提供に徹していくべきだと考えます。  そこで、商工労働部長に伺いますが、県立工業技術センターの役割として、経済回復の面でどのように活用していこうとされるのか。また、地理的な面で、企業規模の面で利用者が偏っているという現実をどのようにお考えになるのか。さらに、技術センター、頭脳センターなど名称はさまざまでありますが、他府県でも2カ所以上の大規模センターを設置している自治体が多いのでありますが、我が県において第二工業技術センターの必要性をどのように考えられるか、お伺いいたします。  最後に、地元のことで恐縮でありますが、彦根市のバルブの現状は、景気の低迷とともに製品販売価格が低下しております。生産高は横ばいであっても伸びがないのは、付加価値の低い低圧用鋳鉄弁の生産が主体であって、韓国、台湾などアジア諸国が追い上げているのが現状であります。このような現状から、彦根バルブ産地も付加価値の低い鋳鉄製バルブの生産から脱却し、今後は高性能、高付加価値化製品の開発、生産性の向上に取り組むとともに、厳しい使用環境に耐える新素材の開発により産地の活性化を図らなければならないのであります。  しかし、中小企業ばかりで、社内の研究体制の十分整っていない地場産業であります。地場産業育成のためにも、製品の高付加価値化やコスト低減のための自動化、省力化の推進、新素材の開発など、地元産業ならびに地場産業研究者とともに研究していただけるような県立第二工業技術センターの設立を強く要望されていることを添えて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中高雄君) 25番滝一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎生活環境部長(辻本昭君) (登壇)UNEP国際環境技術センター支援基金についての御質問にお答えいたします。  この支援基金は、UNEPセンターの事業活動のために本県が貸与する目的で、現在建設中の施設の維持管理を主たる目的として、一部事業活動費にも充当されるものとして、現在造成中のものでございます。御質問にありますように、目標額30億円のうち5億円は県が出捐し、残額25億円につきましては経済界や県民の皆様方に募金をお願いしているものでございますが、現状はまことに厳しい状況でございます。  こうしたただいまの経済状況等を踏まえまして、関西経済連合会等と御相談の上、当初予定しておりました募金活動期間を延長するなどしながら、引き続き大阪市、大阪府と共同して、関経連に御紹介いただきました約200社への募金活動を地道にかつ着実に行ってまいります。それとともに、本県独自の募金活動といたしましても、これら約200社以外の関経連加入企業や県内に事業所を有する企業にも要請してまいりたいと考えております。また、企業だけに限らず、ロータリークラブやライオンズクラブ等の各種市民団体にも広く御協力をお願いしてまいりたいと考えております。  ただ、支援基金造成の状況ならびに金利の推移等を勘案しますと、当初予定していた支援基金の運用益による事業活動への支援は当面は難しくなるものと考えておりますが、施設の維持管理につきましては、経費の節減を図るよう努めますとともに、募金活動の推移を見ながら、さらに対応を検討してまいりたいと考えております。  一方、センターの組織や事業につきましては、各国の拠出金から成るUNEP本部の環境基金や日本政府がセンターのためにUNEP内に設けております信託基金をもとに運営されることとなっておりますので、所期の事業が円滑に運営されるよう政府に対してこの環境基金や信託基金への拠出の増額を引き続き強力に働きかけてまいりたいと考えております。 ◎商工労働部長(山脇康典君) (登壇)県立工業技術センターの運営と県立第二工業技術センターの必要性についての御質問にお答えをいたします。  まず、第1点目の工業技術センターを経済回復面からどのように活用していこうとするのかとの御質問でございますが、現在、工業技術センターは新しい技術を生み出す研究開発や人材育成、各分野の最新の技術情報の提供、技術指導、相談業務を通じて県内企業の技術力向上に努めているところでごます。  これらに加え、今後は厳しい経済環境の中にあって、新分野開拓、生産工程の自動化、省力化等、中小企業のリストラへの取り組みに対し技術面での相談指導を行いますとともに、中長期的には今後の産業構造の変化や技術展望に基づく先導的な研究開発への取り組みなど、本県経済をリードしていく企業づくりにも積極的にこたえてまいりたいと考えているところでございます。  次に、第2点目の地理的な面や企業規模の面で活用者が偏っているという現実をどのように考えるかとの御質問でございますが、工業技術センターの利用状況は、一見地域別には県南部や中部地域の企業に偏っているようにも見受けられますが、もともと湖東地域には機械金属工業指導所が、また湖北地域には繊維工業指導所が設置されておりまして、一方、湖南地域にはこうした機関がないことから、工業技術センターが多く利用されているということもございまして、公設試験研究機関の利用状況をトータルで見れば、おおむね各地域とも同等に活用いただける機関の配置となっております。また、規模別に見ましても、工業技術センターを利用する企業の7割以上が県内の中小企業者でございまして、これらの方々の相談、指導にもこたえているところでございます。  次に、第3点目の第二工業技術センターの必要性についての御質問でございますが、急激な技術革新の進展や将来の産業構造の変化への的確な対応と行政の効率性の面からも、戦力を分散するよりも集中した方がすぐれているとの考え方から、最近の全国的な公設試験研究機関の傾向は、統合、集約化の方向に向かいつつあります。  本県におきましても、これまで工業技術センターを工業技術振興の拠点として整備充実に努めてきたところでございまして、今後は、これまでの取り組みに加えまして、産、学、官連携による共同開発を強化するなど、総合的な試験研究機関としての機能の充実を図っていくことが重要であると考えております。  一方、各試験研究機関は、地域経済発展に大変重要な役割を果たしている地場産業の振興を図る上で重要な施設であり、今後とも適切な技術指導に努めますとともに、より高度な研究開発につきましては、工業技術センターや理工系大学と共同で取り組むなど、緊密な連携のもとに地域の技術ニーズにもこたえられる試験研究機関として、その整備充実に努めてまいりたいと考えております。 ◎農林水産部長(中桐正君) (登壇)まず、環境を考えた稲作農法の普及についての御質問にお答えいたします。
     湖国農林水産プランでは、環境と調和した農林水産業を目指しておりまして、その一環として、稲作栽培に伴う農業排水対策をより一層進めるため、今日まで乾田直播栽培や不耕起栽培の基礎的な研究に取り組んできているところでございます。これらの栽培方法は、御質問にもありますように、代かき作業の必要性がなく、省力化と生産コストの低減が図られ、さらには濁水の発生を最小限にとどめるというメリットがございますけれども、一方、移植栽培に比べますと、耕起作業がないといったようなことから、倒伏や発芽のふぞろい、こういったことによりまして収量が不安定である、その上に、多くの肥料や除草剤を必要とするなど、全県への普及を図るためにはまだまだ多くの解決すべき問題が残されているということでございまして、これらの課題を克服するために、農業試験場におきまして、収量の安定化、肥料の効果が持続する施肥技術の方策あるいは雑草処理方法等の研究を行っておりまして、一日も早く収量が安定し、肥料や除草剤が少なくて済む技術の確立に努め、環境を考えた稲作農法として県下に普及できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、稲作農業のヘルパー制度についての御質問にお答えをいたします。  稲作農業は、酪農に比べまして即日的な面や周年拘束性という面に欠けるということは御案内のとおりでありますが、御質問のとおり不測の事故等の発生が生じた場合に、農業経営の安定を確保するという観点から大変重要な問題であるという認識を持っております。  こういった観点から、現在、農協が中心となって運営をしているものが、現行制度の中に農業機械銀行というものがございますが、これは、不慮の事故や長期入院の場合でも農家が安心して経営できるよう、農作業の受委託の仲介、あっせん等を行う制度ということで確立がされ、今後その充実が要請をされているところでもございます。  一方、湖北地域におきましては、大規模農家で構成をいたしております湖北農業経営者会というのがございまして、そこでは、会員同士の互助的な事業として、事故や病気が大きく経営に響くことを防止するため、経営者会110番の組織を設け経営の安定化を進めております。また、湖南、湖東、中部地域にありましては、互助制度を考慮に入れた経営の安定と個別経営体の確立に向けた研究活動などが進められているところでございます。  経営の安定継続性の面から不慮の事故が農業経営に大きな影響を及ぼしますことから、互助制度の確立についてはその必要性を認識いたしておりますことから、今後関係団体と連携をとり、各地域で芽生えております自主的な取り組みの育成を図るとともに、御提案の趣旨も含め互助制度の研究を深めてまいる所存でございます。 ○議長(田中高雄君) 最後に、1番宇野治君の発言を許します。 ◆1番(宇野治君) (登壇、拍手)本日最後の質問者として立たせていただいております。議長ならびに議員の皆様方、また執行部の皆様方、大変お疲れかと存じますが、よろしくお願い申し上げまして、質問させていただきます。  産、官、学の連携についてお尋ねいたします。  立命館大学の竣工式が11月3日に行われ、来年4月の開学を待つばかりとなりました。また、県立大学の起工式も順調に進み、平成7年開学が確実なものになりつつあります。さらに、龍谷大学、成安造形大学も開学し、県内に大学生の姿が多く見られるようになってまいりました。県内の大学進学率も増加していることから、国立の滋賀大学、滋賀医科大学を含めた6大学、さらには市町村が誘致を計画している大学等に多くの滋賀県民の大学生が進まれることを望むものの一人であります。  これらの大学の理工系関係学部学科を見ますと、立命館大学は、理工学部の中に生物工学科、情報学科、環境システム工学科、土木工学科、数学物理学科、電気電子工学科、化学科、機械工学科が置かれ、龍谷大学には、理工学部に数理情報学科、電子情報学科、機械システム工学科、物質化学科があり、県立大学には、工学部の中に材料科学科、機械システム科の設置が計画されております。また、成安造形大学には、若干異質ではございますが、造形学部にデザイン科が置かれております。さらに、滋賀大学にも工学部の設置が検討されているといった、県内の大学は理工系学部のオンパレードといった状況になるわけでございます。県は、湖国21世紀ビジョンの中の高等教育の充実の施策である目覚ましい技術革新に対応するため、理工科系大学の誘致を積極的に進めるを着実に実施されているわけでございます。  一方、湖国21世紀ビジョンの中の工業の振興では、大学や研究機関との産、官、学の連携強化をうたっており、徐々に成果が出ているように仄聞いたしております。  そこで、私は、誘致した理工科系学部と県内企業なり地場産業との連携に対する環境整備についてお尋ね申し上げます。  まず1番目に、せっかく工学部を卒業した学生が就職を考えたときに、彼らが県内にとどまるような企業や研究機関があるのでありましょうか。具体的に県が各企業に県出身の学生が県内の事業所にとどまれるような施策を考えておられるのでしょうか。  2つ目に、産、学連携を考えたときの県内企業や地場産業と大学との連携について、県はどのような対応になるのでしょうか。積極的に県が産、学間の研究の仲介などをするのでしょうか。さらには、大学なり企業なりに研究開発費を出すことがあるのでしょうか。平成3年度には、立命館大学理工学部に245万円を琵琶湖研究所から、産業振興ではないようですが、研究委託しております。このように、県が積極的に誘致した大学には県内進学希望者への対応ならびに人材確保と技術系の人材育成による県内企業の人材交流、さらには県内企業や地場産業、研究機関との連携による研究開発等の大きな目的を持っております。理工科系大学の誘致は順調に進んでおります。県内産業界への県の取り組みについて、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、サッカースタジアムについてお尋ねいたします。  10月28日の深夜、ワールドカップサッカーアジア地区最終予選で日本はイラクと引き分け、来年アメリカで行われるワールドカップへの出場ができなくなりました。このときのテレビ中継は、全国的にこの時間帯では驚異的な高視聴率であり、国民のサッカーに対する関心の強さをあらわしております。また、県内においてもBBCの調査では、このBBCの中継を見た県民の方は49.7%といった驚異的な数字となり、これが物語るようにサッカーへの関心の強さがあらわされております。テレビを見ながら、県出身の井原選手の活躍に一喜一憂された方も多いと思われます。  昨年6月議会で、私は、2002年のワールドカップ日本開催時に滋賀県も開催地の1つにとのお願いをいたしました。そのときには、Jリーグもスタートしておりませんでした。この時期は、まだまだサッカーへの関心も少なく、十分な理解がされていなかったのではないでしょうか。しかし、今では多くの方々がサッカーのすばらしさを理解され、最近では幾つかの自治体からサッカーとラグビーが共用できる専用スタジアムの建設要望がなされていることは、知事も十分御承知いただいていることと存じます。今月の12日から、県サッカー協会は専用スタジアムの建設要望の署名運動を開始いたします。ますます専用スタジアムの必要性への期待が高まっております。  このような中で、県教育委員会は、平成4年度に500万円、5年度に1,500万円の社会体育施設調査費を計上し、この中でサッカースタジアムの必要性も含め体育施設の調査をしていただいております。私は、この調査に当たっては、従来より県民がみずから体を動かすためのスポーツ施設の必要性とともに、本物のスポーツを見て楽しみ、見ることによる競技力の向上ができる施設を訴えてまいりましたが、この調査結果と調査状況の報告を教育長にお願いいたします。  さて、私は、最近、茨城県立鹿島スタジアムと千葉県市原市営競技場の2つの競技場を視察いたしました。鹿島は、御存じのように、Jリーグ各チームのホームグラウンドの中で最高と言われているサッカー専用の立派なスタジアムで、鹿島アントラーズのホームグラウンドです。市原は、陸上競技場のフィールドを使用する、ジェフユナイテッド市原のホームグラウンドです。茨城県ならびに市原市の方々から丁寧な建設の経過や運営状況を聞かせてもらいましたが、詳細は別といたしまして、私が印象に残ったのは鹿島スタジアムであります。ここは、日本でも有数の工業地帯である鹿島臨海工業団地の中にあり、この地帯の雇用の確保や活性化、町興しに対応する施設としてスタジアム建設の決断がなされたと聞いております。これを主管しているのが地域開発を企画する担当課です。担当者からは、Jリーグが始まってから暴走族がいなくなったり、家族の会話が多くなった、スタジアム内での物品販売や飲食店の売り上げ増加など、青少年の健全育成、経済効果、町の活性化、町づくりに大きく寄与されていることが実証されたとの説明を受けてきました。スタジアムができることにより多くの効果なり課題解決が図られることから、茨城県の担当課が企画部で担当していることが十分理解されるわけであります。  本県のスタジアムの検討につきましては、教育委員会だけではなく、企画部にも参加願い、スポーツ振興、青少年の健全育成、地域振興など多方面から設置の必要性や設置場所の検討をいただきたいと思いますが、企画部長ならびに教育長のお考えをお伺いいたします。  また、知事には、サッカー、ラグビー両協会からスタジアムの要望が来ておりますが、この要望の中に2万から3万人収容の専用球技場の県内設置について、新しい淡海文化の創造の一つの流れとして、地域文化のつくり出す新しい大きな事業であり、多くの県民が主役となり得るスタジアムの必要性について、知事の率直なお考えをお伺いいたします。  私は、従来から見るためのスポーツ施設の必要性を訴えてきました。最近の労働時間の短縮や学校週休2日制による余暇時間の増加でこの時間を活用する施設の建設が多くなってきております。公園や文化施設だけが心のゆとりを回復させるものではありません。49.7%という数字のあらわすスポーツの関心をテレビの前でなく、早くスタジアムで見られるようにしていただきたいと思います。  ことしの県自治体職員サッカー大会で優勝いたしました県庁サッカー部は、この夏、メキシコ県人会の呼びかけでメキシコ遠征を自費で実現させ、大きな国際親善を図ってまいりました。サッカーは、このようなところでも国際親善をしております。  来年度の予算編成に当たっては、スタジアムの必要性を十分に御理解いただくようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中高雄君) 1番宇野治君の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(稲葉稔君) (登壇)サッカースタジアムについてのお尋ねでありますが、昨年末、健康で明るく活力に満ちたスポーツ県滋賀の実現を目指す観点に立って、本県スポーツ振興審議会から答申がなされておりますが、その中で国際的あるいは全国規模の競技大会に係る施設については、主として県において、また地域の住民の方々が身近に利用されるものにつきましては市町村が単独であるいは共同で整備を進めるべきであると提案されております。  今日、県民の3人に1人が何らかのスポーツに親しんでおり、また野球やサッカーに代表されるように、見るスポーツにも最近特に関心が高まっていることもよく承知しております。こうした状況の中で、自治体や競技団体から数多くの施設整備の要望をいただいておりますので、どのような施設をどのように整備していくのか、財政の状況も含め、いろいろな角度から総合的に検討していく必要があるものと考えているところでございます。 ◎企画部長(勝義隆君) (登壇)サッカースタジアムについての御質問にお答えをいたします。  ワールドカップ予選のテレビ中継、またJリーグサッカーに対する近時の国民の関心の高まりは、十分承知をしているところでございます。県下におきましても、全国レベルで活躍する選手が何人か出てまいりました。Jリーグで活躍している姿をテレビや新聞等で拝見いたしまして、スポーツの指向も変わってきたなと、最近特に実感をしているところでございます。  全国的に見ますと、例えば、サッカーの街と言われています茨城県の鹿島町、千葉県の市原市の場合は、ともにJリーグのチームを抱える自治体でありまして、市民の盛り上がりあるいは中心となる企業の支援もあって、県あるいは市がスタジアムを建設され、また改築が行われておりまして、このことにより青少年の健全育成、地域経済の振興、地域の活性化や町づくりに大きく寄与していることは聞き及んでおります。  千葉県、茨城県の例のようなサッカー競技人口、サッカーファンの状況あるいはスタジアム設置に伴う多様な効果等を即本県に当てはめることはできないだろうと考えますけれども、現在、教育委員会において総合的な角度から検討が進められておりますので、企画部といたしましても、交通問題あるいは地域の活性化などを初め多くの課題も想定されますことから、関係部局ともどもさまざまな観点から対応してまいりたい、このように考えております。 ◎商工労働部長(山脇康典君) (登壇)産、官、学の連携についての御質問にお答えをいたします。  まず、本県が誘致した大学卒業生の本県企業への就職につきましては、これまでも県下各地での求人説明会等の実施や職業安定所あるいは県の人材センター学生コーナー等を通じた大学生等に対する情報の提供などによりまして、新規大卒者等の県内企業への就職促進について取り組んでまいったところでございます。  将来性あふれる学生の県内への定着促進を図ることは、県勢発展の基盤となるものでもございますし、特に県内の工業界からは、それぞれの企業への就職が大いに期待されているところでありますので、誘致した新設大学からの卒業生が飛躍的に増加することを十分踏まえ、県内企業への就職促進に向けた方策の充実につきまして鋭意取り組んでまいる所存でございます。  次に、大学と県内企業、地場産業との連携についてでございますが、龍谷大学とは、工業技術センターが県内企業との仲介を行い、これまでにも産、官、学で3件の共同研究を行っており、また立命館大学とも、信楽窯業試験場と工業技術センターの3者で共同研究を実施しているところでございます。  こうした共同研究への取り組みは、すぐれた研究成果が期待されるのみならず、企業の人材育成、開発意欲の創出にもつながりますことから、今年度から新たに龍谷大学、立命館大学、県立短期大学の3つの大学から25名の教授陣や県内の40社を超える企業の参加のもとに、生産の自動化、省力化を図るための研究開発を目的とした研究交流グループを組織し、交流から開発、そして事業化へと段階的に進展するシステムづくりに努めているところでございます。  また、大学への研究開発費の支援につきましては、公設試験研究機関が独自に研究開発を行うだけでなく、大学と連携しながら、あるいは大学の持つ研究ポテンシャルを活用しながら研究開発を行うことが必要でございまして、既に龍谷大学に対して一部研究委託を行っているところであり、今後も高度な研究開発につきましては、こうした研究委託を行うことにより連携を密にしていきたいと考えております。  県といたしましては、こうした産、官、学連携を通じて、これら大学の知的資源を県内企業の技術力向上のため積極的に活用していきたいと考えているところでございます。 ◎教育長(高井八良君) (登壇)まず、平成4年度の社会体育施設調査についてでありますが、本県における体育スポーツ施設の設置状況は、野球場、体育館、プール、庭球場など主な競技用の施設は、全国の平均的な水準にありますが、相当数の観客を収容できる見るスポーツの施設が不足していることが明らかになりました。また、今後の施設整備に当たっては、県と市町村の役割分担を明確にし、県が整備すべき施設については、中長期的な展望に立ち、県下全域を視野におさめ、全国的な競技大会が開催できる施設、例えば総合運動公園のような施設が必要であるとの結果を得たところであります。  本年度の調査につきましては、昨年度の調査結果を踏まえ、県域レベルのスポーツ施設の整備をみずから行うスポーツと見るスポーツの両面から検討してまいりたいと考えております。  御提案のありましたJリーグを念頭に置いたサッカー場の整備につきましては、ラグビー、アメリカンフットボールなどを含め、見るスポーツという面から社会体育施設としての施設規模、交通アクセス、観客動員、開催可能な全国規模の大会、使用回数、駐車場、他府県の状況等について、またみずから行うスポーツの面からも必要な項目について、調査に取りかかっているところであります。今後、関係部局と十分連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。 ○議長(田中高雄君) 以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明10日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後5時24分 散会    ───────────────        会議録署名議員         議 長  田 中 高 雄              川 口 東 洋              伊夫貴 直 彰...