滋賀県議会 1990-07-03
平成 2年 6月定例会(第13号〜第17号)−07月03日-02号
平成 2年 6月定例会(第13号〜第17号)−07月03日-02号平成 2年 6月定例会(第13号〜第17号)
平成2年6月
滋賀県議会定例会会議録(第14号)
平成2年7月3日(火曜日)
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議事日程 第2号
平成2年7月3日(火)
午 前 10 時 開 議
第1 意見書第10号(平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案))(議員提出)
第2 議第75号から議第102号まで(
滋賀県議会議員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例案ほか27件)(質疑、質問)
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本日の会議に付した事件
日程第1 意見書第10号(平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案))(議員提出)
日程第2 議第75号から議第102号まで(
滋賀県議会議員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例案ほか27件)(質疑、質問)
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会議に出席した議員(47名)
1番 橋 本 正 君 2番 上 野 幸 夫 君
3番 滝 一 郎 君 4番 松 井 俊 治 君
5番 磯 部 与志夫 君 6番 森 井 慎 三 君
7君 山 嵜 得三朗 君 8番 石 田 幸 雄 君
9番 川 口 東 洋 君 10番 大 林 清 君
11番 松 井 佐 彦 君 12番 野 村 政 夫 君
13番 池 野 昭 君 14番 桐 山 ヒサ子 君
15番 林 良 子 君 16番 吉 原 稔 君
17番 鹿 野 昭 三 君 18番 沢 野 邦 三 君
19番 石 橋 修 一 君 20番 川 瀬 庄 平 君
21番 浅 川 辰 巳 君 22番 奥 清 君
23番 中 村 藤太夫 君 24番 清 水 鉄三郎 君
25番 伊 藤 正 明 君 26番 奥 村 展 三 君
28番 谷 口 三十三 君 29番 黒 川 治 君
30番 清 水 藤 藏 君 31番 田 中 高 雄 君
32番 大 西 文 蔵 君 33番 桑 野 忠 君
34番 岩 永 峯 一 君 35番 西 村 政 之 君
36番 酒 井 研 一 君 37番 伊夫貴 直 彰 君
38番 相 井 義 男 君 39番 望 月 長 司 君
40番 栗 本 藤四郎 君 41番 大 谷 元太郎 君
43番 小 島 幸 雄 君 44番 北 川 弥 助 君
45番 橋 本 喜三男 君 46番 片 山 秀 雄 君
47番 小 林 実 君 48番 八 木 進 一 君
49番 仲 川 半次郎 君
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会議に欠席した議員(1名)
27番 炭 本 宣 昭 君
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会議に出席した説明員
知 事 稲 葉 稔 君
教 育 委 員 会 委 員 長 八 耳 哲 雄 君
選挙管理委員会委員長代理 宮 下 勉 君
人 事 委 員 会 委 員 長 平 井 多喜夫 君
公 安 委 員 会 委 員 長 山 口 善 三 君
監 査 委 員 二 宮 敏 久 君
副 知 事 山 田 新 二 君
出 納 長 渕 田 正 良 君
知 事 公 室 長 塚 本 孝 君
総 務 部 長 川 村 仁 弘 君
企 画 部 長 飛 彈 直 文 君
生 活 環 境 部 長 前 川 利 夫 君
厚 生 部 長 中 桐 正 君
商 工 労 働 部 長 高 井 八 良 君
農 林 部 長 豊 田 卓 司 君
土 木 部 長 植 村 忠 嗣 君
企 業 庁 長 花 房 義 彰 君
教 育 長 西 池 季 節 君
警 察 本 部 長 野 田 健 君
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議場に出席した
事務局職員
事 務 局 長 上 木 徹
議 事 課 長 林 耕 司
議 事 課 課 長 補 佐 谷 弥寿男
議事課専門員兼議事 係 長 塩 見 和 夫
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午前10時58分 開議
○議長(岩永峯一君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(岩永峯一君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
議第77号議案について、
地方公務員法第5条第2項の規定に基づき
人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。
次に、
代表監査委員中川源吾君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
監査委員二宮敏久君が出席されておりますので、御了承願います。
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滋 人 委 第261号
平成2年6月30日
滋賀県議会議長 岩 永 峯 一 殿
滋賀県
人事委員会委員長 平 井 多喜夫
条 例 案 に 対 す る 意 見 に つ い て
平成2年6月28日付け滋議第208号で意見を求められた条例案について、下記のとおり意見を申し出ます。
記
議第77号 滋賀県
旅費支給条例の一部を改正する条例案
この条例案は、
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、本県の
旅費支給条例について所要の措置を講じようとするものであり適当なものと認めます。
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○議長(岩永峯一君) これより日程に入ります。
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△意見書第10号(平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案))(議員提出)
○議長(岩永峯一君) 日程第1、議員から議案が提出されておりますので、これを職員に朗読させます。
(
林議事課長朗読)
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△意見書第10号 平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案)
平成2年7月3日
滋賀県議会議長 岩 永 峯 一 殿
提 出 者
磯 部 与志夫
石 田 幸 雄
滝 一 郎
大 林 清
鹿 野 昭 三
奥 清
田 中 高 雄
相 井 義 男
北 川 弥 助
議 案 の 提 出 に つ い て
平成2年6月
滋賀県議会定例会に下記の議案を提出します。
記
意見書第10号 平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案)
……………………………………………………………………
意見書第10号
平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書(案)
本県の農業は、これまでも米を中心とする国民食糧の安定供給に大きく貢献してきたところである。
しかし、米に対する市場開放の圧力が強まる中で、
生産者米価の低迷、担い手の高齢化など、稲作農家は農業所得の減少と生産意欲の減退を招く事態に直面し、将来に大きな不安を抱いている。
よって政府におかれては、稲作農家の生産意欲と経営の安定が確保され、安心して農業に従事できるよう、下記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
1、平成2年産米の
政府買い入れ価格の決定に当たっては、現に米の
販売シェアの大宗を担っている農家層の再生産と所得の確保を図る観点から、現行価格を維持すること。
2、米の消費拡大にもつながる
良質米安定生産のため、
良質米奨励金を現行維持すること。
以上、
地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
平成2年7月3日
滋賀県議会議長 岩 永 峯 一
内 閣 総 理 大 臣
大 蔵 大 臣 あて
農 林 水 産 大 臣
経 済 企 画庁長官
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○議長(岩永峯一君) ただいま朗読いたしました意見書第10号議案を議題といたします。
お諮りいたします。
意見書第10号議案については、提出者の説明、質疑、
委員会付託および討論を省略して、直ちに採決いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって直ちに採決いたします。
意見書第10号平成2年産米の
政府買い入れ価格等に関する意見書案を原案のとおり決するに賛成の方は、御起立願います。
〔賛成者 起立〕
御着席願います。起立全員であります。よって意見書第10号議案は、原案のとおり決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決されました意見書中、万一字句等について整理を要する場合は、その整理を本職に一任されたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よってさよう取り計らいます。
なお、意見書は本職から直ちに関係先へ提出いたします。
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△議第75号から議第102号まで(
滋賀県議会議員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例案ほか27件)(質疑、質問)
○議長(岩永峯一君) 日程第2、議第75号から議第102号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。
本日は会派代表による質疑ならびに質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、2番上野幸夫君の発言を許します。
◆2番(上野幸夫君) (登壇、拍手)きょうは早くから大変強い雨でございました。やはり梅雨、うっとうしい日が続きます。しかし、私は、ほとんどの議員各位がそうでありますように、大変さわやかな気持ちでこの6月定例会を迎えております。
まず、今回の知事選挙は、共産党・革新共同を除く全議会会派が一致協力推薦応援した稲葉候補が良識ある圧倒的多数の県民の皆様の厚い御信頼を得、当選をされました。稲葉知事に対し、自由民主党を代表し心からお喜び、お祝いを申し上げるものであります。(拍手)
考えてみますに、今回の選挙は一部で
信任投票選挙だと言われました。確かに部分的にはそれも当たってはいましょう。しかし、私は、今回ほど多くの県政課題を抱えた、またその信を問われる諸問題を前にした重大な選挙はないのではないか、そういう思いで見てきました。はつらつたる滋賀を求め、はつらつ滋賀を進める会のもとに県民は結集をされました。びわ湖もある、人づくりもある、
男女共同参加型社会を求める女性問題もある、福祉もある、
農林水産業も商工業もあります。スポーツも文化もあります。みんなで知恵を出し合って、手を取り合い、話し合って、稲葉県政を発展させていこうと稲葉知事のもとに集まりました。これほど多くの県民のニーズが、これほど多くの県民各層が稲葉知事のもとに集まったその背景は何か、このエネルギーは何から生み出されてきたのか。申し上げるまでもありません。この1期4年間の稲葉知事の行動を、その実績を多くの県民がしっかり見きわめ、判断、評価したからにほかなりません。我が党は、改めて確かな目で確かな判断をいただいた県民の皆様に深甚の敬意と感謝を申し上げるものであります。
2月定例会が終わりました直後、私は、知事室に稲葉知事を訪ねました。4年間御苦労さまでした、次も頑張ってくださいと激励をさせていただきました。知事は短く、やると答えられましたが、握り返されたその手は大変力強く、私は知事の強い信念をそのときに感じました。飾らない、実直な、しかし信念のある誠実な人間稲葉に再度県政を託そうと多くの県民の方々も同じように感じていただいたことと信じます。全幅の信頼を申し上げ、全力を振るって県民の負託にこたえていただくことを信じております。
知事は、2期目のスタートに当たっての抱負をさきの提案説明の中でも力強く披瀝をされておりますが、改めて諸点にわたり所信を伺いたいと思います。
知事は、2月定例会および本定例会の提案説明の中で、いま一度自然の生態系の中に生かされている人間であるということに思いをいたし、自然との共存関係を創造していく
びわ湖ルネッサンス、新しい淡海文化の創造を提唱されました。私は、この理念こそ、稲葉県政、稲葉政治の根幹をなすものであり、この理念のもとにびわ湖を守る思想、
琵琶湖総合開発事業の再延長、
レイカディア構想、
びわこ空港を初めとする
総合交通ネットワーク構想など諸施策の展開があるものと考えておりますが、知事の基本姿勢を改めて伺います。
知事は、この20日間、県下各地を、ほとんどの集落を実際その目で確かめられたことでしょう。知事査定のときに話題にした事業はこれだったのか、議会で議論になった工事はここだったのか、それぞれ改めて確認もし、感慨を持たれたことと思います。1人
当たり県民所得全国で第5位、豊かさの実感との差を云々する人もいます。いま一度、滋賀の発展とは何を指しているのか、県民の幸せとはどんなものを指して言われるのか、今後の抱負を含めて感想を伺い、次の質問に入りたいと思います。
まず、
琵琶湖総合開発事業の進捗と再延長について質問をいたします。
本問題に対する基本的な県の姿勢は、去る2月定例会の知事提案ならびに我が党の代表質問に対する知事答弁であると思います。この時点では、知事は、
期限内完成ができなくなってきた状況から、平成2年度は再延長に向けて正念場の年となるとしています。もとより、
琵琶湖総合開発事業は、
水資源開発事業と
地域整備事業を総合一体的に実施するとした経緯から、両事業は同次元での約束事であるのは当然のことであります。
同事業の平成元年度未の
進捗見通しは、公団事業、すなわち
水資源開発事業でありますが、86%、県市町村などの実施する
地域整備事業78%であると報告を受けておりますが、達成率はどうでありましたか。さらに、平成2年度政府予算の位置づけ、箇所づけも終わったことと思われますが、この結果、平成2年度末の進捗率はどの程度と見込んでおられるのか。さらに、逆に言えば、期限であります平成3年度末の残事業はどの程度と見込まれるのか。
さらに、
水資源開発事業と
地域整備事業との事業完了の時間差が生じることになりますが、この場合の水出し問題はどうなるのか。2月定例会での知事答弁では、
地域整備事業の見通しが立たない段階での水出しに応ずるわけにはいかないとしておりますが、開発、整備両事業が同次元の約束事である以上、県の姿勢としては、これは当然のことでありますが、
琵琶湖総合開発事業の再延長に当たって水出し問題は大きな課題になると思われますが、どのように考えておられるのか、改めて伺います。
また、国の感触は、まだ2年あるがなとの意識のようでありますが、本県ではもう2年もないの意識で取り組むべきではないでしょうか。
さらに、8年前の延長時には、水質保全を目的とした
農業集落排水事業、いわゆる農村下水道など4事業が加えられたのであります。今回の再延長時には、どのような要素、事業を加えようとするのか、財政特例をどうするのか、残事業の精査の上に立って具体的にどのようなことを国に要請していくのか、基本的な考えを明示されたいのであります。
また、下流府県との関係でありますが、水出し時期も含め、
水質保全基金構想など、必ずしもその後の考えに一致点の出ていないものもあるのではないかと言われる部分についてどのような話し合いを持っておられるのか。事業のおくれ、水質保全の現況などについてどのように説明しているのか。
最後に、8年前の延長時、東京には対策本部を設置し対応されたのでありますが、今回、延長に向けての執行体制のあり方はどのように考えているのか。さらに、国の平成3年度予算編成に向けてどのような取り組みをされるのか、決意を知事に伺うものであります。
知事は、先日の提案説明の中で、かねてより進めてこられました今後の
社会経済活動の動向と県民の多様なニーズにこたえ、豊かで快適な県民生活の実現と県土の均衡ある発展を図るために、21世紀を展望した今後の
交通基盤整備施策の
総合的指針となる滋賀県
総合交通ネットワーク構想を発表されました。
交通基盤の整備は、県民の日常生活はもとより、経済社会の発展に大きく影響を与えるものであります。国においては第4次
全国総合開発計画において、
交通ネットワーク構想の推進により多
極分散型国土の形成を目指すこととされており、この中で日帰り可能な全国一日交通圏の構築を進めることとしているところであります。本県は、交通の要衝として古くから人々の交流の進展に多大な貢献をなしてきましたが、今後も本県がこの優位性を持続していくためには、湖国21
世紀ビジョンにも示されているとおり、より積極的に交流と活力の町づくりに向けて交通基盤の整備を推進していくことが重要であります。
こうした意味で、21世紀初頭を展望し、今後の
交通基盤整備施策の総合的な指針となる構想を策定され、これに基づいて
交通基盤施策を展開されることは、今までどちらかと言えば、現況における
交通混雑解消などの個別交通問題に着目した施策がとられがちでありましたが、今後はこれも含め、将来の本県の望ましい姿、いわゆる県土の均衡ある発展を目指した施策が強力に展開されると期待しており、まことに意義あるものと考えるわけであります。
時あたかも、去る6月21日、建設省は第二名神のうち本県内全線を
基本計画路線から
整備計画路線に昇格させる前提となる環境アセスをすることを明らかにし、事実上、通過ルートを確立していくことになりました。
交通基盤の整備については、県民のだれもが非常に強い関心を持ち、また過去幾多の県議会においても我が党は、将来を見通した各種の交通問題、さらにはこれら
交通基盤整備施策の集大成とも言える本構想については、その策定方針などについて質問も数多く行ってきたところでありますが、将来を見通した本県の
総合交通ネットワーク形成に向けての基本方向はどのように考えているのか。
さらに、知事はかねてから、県内であればおおむね1時間程度で行き来することができる県土1時間
交通圏構想の実現を表明されておりますが、この実現のためには、特に県南部においてはびわ湖の横断というものを考えていく必要があります。このため、我が党においては、琵琶湖大橋、近江大橋、そして第三の橋あるいはトンネルによる
琵琶湖横断道路構想を提案しております。県の構想においては、この
琵琶湖横断道路構想が取り上げられているところでありますが、県土1時間
交通圏構想の実現のための具体的方策をどのように考えているのか、伺うものであります。
また、空港整備につきましては、我が党は
びわこ空港整備促進議員連盟を去る5月18日党本部において発足をさせ、6次
空港整備計画の採択を求め、各関係方面に対し活発に陳情活動を展開しているところであり、県執行部と一体となって今後とも採択に向け強力に運動を展開することを約束するものでありますが、空港整備について改めて知事の決意を伺うものであります。
さらに、第二名
神高速道路の整備が
広域交通ネットワーク整備の主要施策に位置づけられたところであり、将来の県勢進展上、飛躍するためには絶対早期整備が必要な道路であります。第二名
神自動車道の現時点における今後の建設促進の取り組みとルートやインターチェンジについての調査は、現在どのようになっているのかを含めて知事の決意を伺うものであります。
琵琶湖リゾートネックレス構想について質問をいたします。
昭和62年6月に
総合保養地域整備法、いわゆる
リゾート法が施行されて以来、各都道府県とも
地域活性化に向けて民間活力の導入を図りつつ積極的に取り組まれている現状にあります。現在、この
リゾート法による構想承認を受けたところは24道府県に及び、さらに構想承認に向けて国と協議を進めている県は本県を含めて16県となっております。本県の
リゾート構想がなかなか思いどおりの日程で構想承認へと結びつかず、知事や担当部局は大変苦慮していると伺っておりますが、関係市町やプロジェクトを計画している事業主体からも早期承認を求める声も高いことから、早期に構想承認を得るためになお一層の努力を傾注されるよう申し入れておきたいと思います。
さて、これまで説明のありました
琵琶湖リゾートネックレス構想の概要は、親近感のある新たな水辺空間の形成、四季を通じて気軽に繰り返し楽しめる第二の生活空間の創出、多くの人々が休養と交流を求めて訪れる不断の
地域づくり、この3つを整備目標に掲げ、広域的かつ総合的に整備を図るとし、5市10町に及ぶ7つの
重点整備地区が有機的な連携のもと、それぞれ地域の特色を生かした個性的なものを整備されようとしています。21世紀社会に向かっての基本戦略の一つとして、新・国民休養県構想を積極的に推進している本県にとって、この
リゾート構想はまさに本県のさまざまな特性を的確にとらえながら進められているものであり、近い将来形成された姿を想像すると、びわ湖を持つ滋賀県ならではのものとなっていくだろうと私なりにも夢を描いており、我が党も積極的に応援していきたいと考えております。
リゾート整備を進める場合、特に配慮しなければならないのは、自然環境などに悪影響を及ぼさないよう留意することであり、人と自然との共存を目指し、これまでからびわ湖を初めとする環境保全を大切にされている知事としては、滋賀ならではのリゾート地を形成するに当たり、どのように整備を進めようとされているのか、その基本姿勢を伺いたいと思います。特に、去る2月定例会では全会一致でゆとり創造宣言を行ったところであり、このゆとりが真につくられ、これを利用する場がこの
琵琶湖リゾートネックレス構想によって提供されることを期待し、答弁を求めるものであります。
次に、水環境問題について質問をいたします。
ことしもまた、びわ湖に赤潮が発生をいたしました。招かざる初夏の使者であります。淡水赤潮の発生は、水温や気象に大きく左右される部分があり、単純比較は適切ではないかもしれませんが、ああびわ湖はまだよくなっていないのだなと率直に憂慮する一人であります。
去る2月定例会でも、各会派ともびわ湖の水質問題は取り上げられました。今回の知事選の政策の最も重要なものとしても取り上げられました。県民も、当議会も、関係各機関もあらゆる努力を重ねていただいておりますが、275億トンの怪物は不気味に我々の動きをうかがっているように思えてなりません。助けてくれと言っているようにも聞こえますし、せせら笑っているようにも見えます。一日も早い科学のメスを入れ、温かい英知で抱きかかえようではありませんか。怪物にしてはなりません。母なるびわ湖であります。慈愛あふれる母親であり続けてもらわなくてはなりません。母親孝行するために真剣な施策の方途をお示しいただきたいと思います。
我が党は、平成2年度、琵琶湖水質保全条例──仮称でありますが──を制定し、体系的なびわ湖の水質保全を図ることを要望し、本年度我が党の最重要課題として取り組んでいるところであります。当初予算の中には、琵琶湖保全制度の見直しを施策に入れ、先月その第1回目の琵琶湖保全制度検討委員会が開催をされたと伺っております。
見直しについての2月定例会での生活環境部長の答弁は、おおよそ次のようなものでありました。県では、富栄養化防止条例の制定、環境アセスメント要綱の制定、湖国環境プランの策定、さらには来年度からの第2次湖沼水質保全計画の策定など各種水質保全事業の充実強化に努めている、今回の見直しは、自然と人間の共存を目指し、環境への新たな価値観をつくり出す文化風土の形成が必要であり、ライフスタイルを変える努力など多面的な検討が必要だ、現行制度を総点検し、びわ湖水質保全のため今何が必要なのか、行政は何をなし得るのか、県民に何を求めるのか等々基本的検討を願うとしております。このような県の考えに対し、第1回委員会ではどのような議論が出たのか、今後のスケジュールも含め、委員会の性格、あり方、ねらいを伺っておきたいと思います。
次に、湖沼水質保全計画について尋ねます。昭和61年に策定されました本計画は本年度が最終年度に当たりますが、計画の今日までの進捗状況と本年度水質目標値の達成見込みについて、また3年度からの第2次計画の策定に当たっての考え方についても明らかにされたいと思います。さらに、我が党は、かねてより生活雑排水対策の根本的推進のため、その推進要綱策定を県に求めていたところであり、本日の各新聞にも発表されたところでありますが、どのように実施をしていこうとされているのか、伺います。
なお、私は、2月定例会でUNEPの水環境問題研究施設の本県誘致について質問をいたしました。UNEPというのは御存じのように、国連にユニセフとかユネスコとか幾つかある施設の一部でありまして、私も昭和60年にケニアのナイロビに参りました。大変立派な機関でありますが、この研究施設の誘致について担当部長から大変力強い、また国連の理解ある朗報を承ったところでありますが、我が党としては、環境先進県の自負においても誘致に向けてより強い取り組みを進めるべきであり、場所の提供あるいは資金負担も含め一層積極的な展開を図るべきと考えますが、知事の決意を伺います。
次に、土地対策問題について質問をいたします。
本年4月、企画部に土地対策担当理事を設置したところであります。本県の土地問題の現状に即して適切な措置と考えるものでありますが、逆にそれだけ本問題は深刻であると受けとめる必要があります。本年3月、国土庁の地価公示においても本県は全国有数の上昇率であります。分母が小さいとしても見逃すわけにはいかないものであり、本県においても資産格差の拡大という社会生活の不公平を生じ、県民に与える影響は大なるものがあります。国においては土地政策審議会を設置し、具体的な検討に入ったと伺っておりますが、土地政策の確立は国に負うところが大でありますが、本県としてとり得る対策について伺うものであります。
1つ、土地基本法による地方公共団体の責務についてどのように対応しているのか。2つ、監視区域について、対象地域の拡大あるいは面積の引き下げは検討しているのかどうか。3つ、土地利用の見直しを実施し、需要に見合った土地の供給策はとれないものか。例えば、工場跡地、遊休宅地などの活用はどのように考えておられるのか。4つ、都市計画法、農地法など、国の制限法の中で土地利用について県ができる限り有効ならしめるための方途はないのか、企画部長に伺うものであります。
次に、県立短期大学の4年制化について質問をいたします。
知事は、本問題に関し、昨年9月定例会の私の一般質問に対し、短大の4年制化はいろいろな検討委員会の議論を踏まえ検討するし、またそうすることになるであろうと示唆的な答弁でありましたが、翌12月定例会の提案説明では、4年制への移行問題はもはや避けて通れないと決意を述べられています。さらに、同議会の我が党の中村議員の代表質問に対し総務部長は、開学40年を迎える平成2年度こそ、進学者の動向や人材需要、学部等の構成や規模、経費の試算など4年制への本格的な検討にかかると答えています。また、本年2月定例会の伊藤議員の一般質問でも同部長は同様の答弁をしており、本議会の提案説明でも知事は4年制への移行を改めて表明されており、県立短大の4年制化は実質的に既成事実としていよいよ動き出したとの感を持つものであります。
私個人としても、本短期大学に入学した昭和30年初頭の廃学をめぐる本議会の議事録を読むとき、今回このような知事の姿勢や進展が見られていることに、卒業生の一人として熱いものが込み上げてくるのを禁じ得ないのであります。卒業生を代表し、改めて当議会、執行部当局、大学関係者を初め、県民各位に万感の思いを込めて感謝申し上げるものであり、滋賀県立4年制大学の一日も早い開学を待ち望むものであります。
そこで質問いたしますが、知事は改選に当たり、新しい時代にチャレンジする心豊かでたくましい人づくりを進めることを県政推進の一つの柱とするとされていますが、4年制移行に当たり知事としてもそれなりの心づもり、お考えもあろうと思います。4年制化の大学、新しい大学はどのような方向を目指した大学とするのか、その基本とするところはどのようなことなのか、伺うものであります。
さらに、総務部長に伺いますが、知事の基本的な大学への思い、理念を踏まえ、県民が熱望している新しい大学の一日も早い開学に向け、早期に移行の具体的な方向づけを行い、これをもとに速やかに関係機関と協議調整に入る必要があるのではないか。今年度種々の調査検討をされるところでありますが、全国の動向、特に同規模県の進みぐあいなどと比較して、どのようなスケジュールをもって対応していかれるのか、質問するものであります。
次に、新国内行動計画について質問をいたします。
婦人問題をめぐる内外の動きは大変目まぐるしいものがあります。まず、国連では、国連婦人10年の最終年の昭和60年に婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略を採択し、ガイドラインを示し、日本政府はこれを受け、昭和62年に西暦2000年に向けての新国内行動計画を策定しました。本県では、昭和58年、滋賀県婦人問題懇談会の提言に基づき滋賀の婦人対策の方向が策定されましたが、国などの動きに呼応し、この方向を見直す
男女共同参加型社会の実現を図るための意見を滋賀県婦人問題懇話会に求め、本年3月の提言に沿って
男女共同参加型社会の実現に向けた新しい計画を策定中とうかがっております。この間、本県では、昭和61年、近江八幡市に女性の社会参加と自立のための拠点、婦人センターを開設、昨年4月には婦人行政のより総合調整機能を求めた知事直属の婦人行政課を新設するとともに、同年6月には副知事を本部長とする婦人行政推進本部を設置するなど、行動的、積極的な取り組みをされているところであります。
ところで、国が策定しました新国内行動計画において、本年度は具体的施策の最終年度に当たっておりますが、国ではこれに対応するため、先月の27日に総理大臣の私的な諮問機関である婦人問題企画推進有識者会議での見直しの決定を受け、近くその作業に着手する予定であると聞いております。一方、国連においては、第34回婦人の地位向上委員会で西暦2000年に向けての婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施に関する第1回見直しと評価に伴う勧告および結論が採択されております。
そこで、お尋ねをいたしますが、今回の県計画が国連や国のこのような動きに沿ったものであるのかどうか、国連、政府を初め各方面から大変関心の持たれている婦人行政は、今こそ真剣に現状を把握し新たな決意で取り組むべきと考えますが、これらを所管する公室長の見解を伺うものであります。
次に、個人情報の保護制度について質問をいたします。
「グラフ県政の窓」本年6月号の「公文書公開制度この2年間のあゆみ」によりますと、情報提供は、利用者数、件数とも平成元年度は前年度に比べ約10%増と順調な運用状況となっております。このような県が持つ情報を広く提供し、また公開することは、より身近で開かれた県政あるいは県民の県政参加の面からも原則的に望ましい制度であると考えます。しかし、一方でプライバシー保護が求められるのは当然のことであり、本制度はもろ刃の剣の性格を持ったものでもありましょう。近年、電算機による個人情報の処理機会が拡大してきています。このことにより、個人の情報が特定の機関などに集中をされ、大量かつ迅速に処理されるようになりますと、プライバシーが守られないとか、不正確情報により不測の被害を受けるといったおそれが増大しており、不安度も指摘されているところであります。一方、社会の進展に伴い、個人の尊厳、基本的人権の尊重といった観点からも広くプライバシーに関する意識が高まっています。
本県の情報公開制度では、公文書の公開を求める権利は十分尊重しなければならないものの、個人に関する情報の保護に最大限の配慮をすることとし、個人情報については原則非公開となっております。また、スタート時において、国の動向なども勘案しながら、情報公開とは別の体系で対応することが適当であるとされていたところであります。
一昨年12月、国では行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律、いわゆる個人情報保護法が制定され、昨年10月からその一部を残し施行されています。同法では、地方公共団体も国の施策に留意をしつつ必要な施策を策定し、これを実施することが求められています。これらの動きについて県はどのような認識をお持ちか、また個人情報保護に関する現在の取り組み状況について総務部長の所見を伺うものであります。
次に、陶芸の森と世界陶芸祭について質問をいたします。
陶芸の森が去る6月2日完成をし、オープンしました。焼き物の里信楽町に昭和62年から滋賀県と信楽町が建設を進めてまいりました陶芸の森整備事業は、陶芸という文化と産業の振興を目指す拠点として、また創造、研修、展示など多様な機能を持つ焼き物の総合施設として整備を進め、ようやく完成の時期を迎えられたことはまことに喜ばしいことであり、新・国民休養県構想の実現に大きな役割を果たすことが期待されているのであります。
ところで、この陶芸の森のオープニングイベントとして、プレ世界陶芸祭が去る6月2日から5日間開催をされました。私も1日参加させていただきました。入場者数は目標の3万人を超え、一応順調なスタートを切ったと思いますが、課題もあったのではないでしょうか。つきましては、このプレ世界陶芸祭について、その成果と県民の反応について商工労働部長はどのような感想を持っておられるのか、お伺いするものであります。
次に、来年開催予定の世界陶芸祭セラミックワールドしがらき'91についてでありますが、この陶芸の森の開設を記念して滋賀県が初めて行う大がかりな国際的イベントであります。びわ湖に加えてもう1つ、陶芸を通して滋賀、信楽からどんなメッセージを世界に届けることができるか、滋賀県信楽が持つ大きな素材、信楽焼を使ってどのようなCI戦略を図っていき、また新たな焼き物文化と地域産業をどのように振興していくのか、大いに興味のあるところでございます。つきましては、来年開催予定の世界陶芸祭について、プレ世界陶芸祭の成果を踏まえ、現在どのような計画を進めておられるのか、商工労働部長にお伺いするものであります。
次に、健康福祉祭の準備状況について質問をいたします。
参加延べ人員9万8,000人、「輝く長寿あなたとともに」をテーマに開催される第3回全国健康福祉祭ねんりんピック'90びわこ大会は、この秋9月29日の総合開会式を皮切りに10月2日まで県下7市7町において開催されますが、残る準備期間は88日となってまいりました。このびわこ大会は、54年の高校総体、56年の国民体育大会、身体障害者スポーツ大会に次ぐビッグイベントであります。56年の国体では、県民総参加のもと、一人一役を合言葉に国体への参加意識を持ち、当時の湖国は国体一色で燃えたのであります。私は、びわこ国体当時開催にかかわった者の一人として、ねんりんピック'90びわこ大会の成功を心から祈っております。びわこ大会が先催の兵庫大会や大分大会にも増して盛大かつ有意義な大会になることを願って、その準備状況について以下の質問をいたします。
まず、県民の本大会への関心、意識の盛り上がりを図ることが成功への最大の要因でありますが、もっと積極的なPRが必要ではないかと、このように考えますが、どうでしょうか。
次に、宿泊対策についてであります。この大会は、全国各都道府県および政令都市から58団体の参加者を得て開催されますが、この参加者がゆっくりとくつろげ、夕べを楽しみながら交流の輪を広げるためには、何といっても十分な宿泊対策が重要であります。このための宿泊の確保はどのように進んでいるのか。また、9月末日現在まだまだ残暑が残る時期でありますが、この宿舎の衛生対策はどのように進められているのか。さらに、湖国滋賀ならではの献立を用意し、近江の郷土料理を提供してはどうか、伺うものであります。
第3点は、開会式の輸送対策であります。特に、県外からの参加者は、元気な高齢者といえども、遠方からの来県で相当な疲労が予想され、各会場地の宿舎に一刻も早く輸送しなければなりませんが、これの円滑な輸送および一般観客の輸送対策に係る対応についてどのように準備をされているのか、お尋ねいたします。
第4点は、開会式参加者の安全の確保であります。開会式場周辺では、協賛事業のむらおこし物産展、さらには健康福祉展なども並催される計画であり、大変な人出が予想され、特に参加者の交通安全対策には万全を期さなければなりませんが、これの方策について伺うものであります。
最後に、各市町の実行委員会が主催するスポーツ大会などの準備状況についてであります。開会式の翌日から県下の7市7町においてスポーツ交流大会、ふれあいスポーツフェア、囲碁、将棋、俳句、さらにはシンポジウムなどの各種の競技が開催される計画になっておりますが、これの準備状況は万全かどうか伺っておきたいのであります。
次に、地域農業の振興について質問をいたします。
こんな言葉を御存じでしょうか。すずみ、さなぶり、泥落とし。このような言葉の雰囲気の意味を今日よく御理解いただける皆様は、農業問題を十分御理解いただける方々だと私は思います。仕事も農業、生活も農業、話題も農業、農家の1年も、農村の1年もすべてが農業であり、米つくりでありました。どんなに忙しかろうと、どんなにつらかろうと、苦楽は家じゅうが分かち合い、村じゅうが分け合ってまいりました。それは心豊かなたたずまいでありました。ここに住み、ここに育てていただいた私の郷愁として、今日心にしまってしまうべきものなのでしょうか。あの当時の農業、農村はどこへ行ってしまったのでしょうか。生産性の名のもとに、工業化の名のもとに、海のかなたに流れ去ってしまったのでしょうか。この変化も幾世代もかけてではなく、ほんの数十年の変化であるだけに今後の変化が恐ろしいのです。
農林水産省は、去る4月、平成元年度の農業白書を国会に提出しました。魅力ある農業と活力ある農村の実現のため、特に6点を重要な課題として挙げております。これらはいずれも本県農業にもそのまま当てはめられるものであり、参考にしながら以下質問をいたします。
最近、農業問題は、国民の安定的な食糧供給は言うに及ばず、地球的規模での環境問題とのかかわりにおいても先送りにできない国民的関心事になってきています。特に、日米の構造協議を初め、輸出国側の過剰農産物問題をどう処理するかということに端を発して、世界の新しい貿易ルールを決めようとするガット、ウルグアイラウンドは、本年12月の最終合意に向けていよいよ本格的な交渉の時期を迎えていますが、この交渉の成り行きは国内農業にも大きく影響を与えるものと考えられています。また、国内事情に目を向けましても、米の消費減退、農産物価格の低迷、内外価格差、農業従事者の高齢化、後継者不足等々非常に厳しい諸課題が山積をいたしております。米価につきましては、先ほど全会一致で意見書を採択いただいたところであります。
このように、農業を取り巻く情勢は、内外とも今までかつてなかったほど厳しいものがございます。しかし、農業はやはり国の産業の基幹であるという位置づけのもとに、今日まで我が党は農業振興についてあらゆる努力を積み重ねてきたところであります。
21世紀まであと残すところ10年となった今日、本県においても今こそ長期的なビジョンに即した新たな展望のもとに、しっかりとした地域農業の確立を図ることが急務であると考えます。県におかれては、今日までも湖国農林水産プランの方向に沿って幅広い施策を着実に推進され、一定の成果を上げておられるところでありますが、今後さらなる地域農業の発展を目指し、本年4月、農林部に地域農業推進室を設置され、農林水産行政の総合的な企画調整を進められることになりました。農業の置かれている状況を考えると、この推進室の成果に期待されるところ大なるものがありますが、今急がれている湖国農業の体質強化に向けて、地域農業推進室の取り組みについてどのように考えておられるのか、部長の所見を伺います。
また、地域の特性とあらゆる地域資源を最大限に生かすことが自然と直接かかわりのある農業にとって大変重要であることから、地域の実情に即した農業の振興ビジョンを樹立することが必要であると考えております。また、水田農業確立後期対策がスタートをし、水田率の高い本県においては多様な農業の確立が求められているところであります。このような中で、平成2年度から策定作業を進めようとしている地域農業振興ビジョンや本県における水田農業の確立について、農林部長はどのように考えておられるのか伺うものであります。
次に、下水道事業について質問をいたします。
いわゆる琵琶湖条例の前文で示されている環境保全の精神、すなわち「琵琶湖を守り、美しい琵琶湖を次代に引き継ぐことを決意し、その第一歩として、ここに琵琶湖の富栄養化を防止するための条例を制定する」との締めくくりの一節を思い起こしたいと思います。県民すべてがこのことをいつまでもびわ湖浄化の指針として掲げ続けていかなければと考えるものであります。
とりわけ下水道の整備は、重要かつ緊急の課題であります。国においては、昭和38年度以来、6次にわたる下水道整備5カ年計画に基づき、その整備が推進をされており、今年度が最終年度となる第6次5カ年計画での全国の下水道普及率は44%が目標とされています。
本年1月に発表をされました総理府の下水道に関する世論調査によりますと、97%の人が下水道は町づくりに必要な施設であると感じていることが明らかにされています。このように、下水道整備の要望は高まりを見せており、豊かさの実感できる生活基盤の実現のためには欠かすことのできない必要な施設であると考えるものであります。21世紀へと続くあと10年は、我が国の生活環境水準を経済力にふさわしいものとするために極めて大切な期間であります。今後、積極的に本県における下水道整備計画の具体化のための取り組みについて伺うものであります。
まず、琵琶湖条例施行10年を経過して、下水道普及率はどのように上昇し、本県の下水道事業の琵琶湖総合開発計画における進捗率はどのようになっているのか。また、下水道の目的機能を十分発揮させるためには、建設した施設の適正かつ効果的な維持管理を行うことが必要であります。本県では、全国に先駆けて高度処理を実施しておりますが、公共下水道の整備とあわせて、流域下水道浄化センターの運転状況はどのようになっているのか。さらに、市町の公共下水道が進められましても、家庭の水洗化が進められなければ効果が期待できないことから、処理区域内の水洗化率はどのようになっているのか、また促進に向けて市町にどのような指導をしているのか。なお、農林部が所管している農業集落排水処理施設、いわゆる農村下水道への希望の高まりも見られます。また、生活環境部が所管するコミプラ、いわゆる地域し尿処理施設もあります。これら関連する事業をそれぞれ所管部長として、公共下水道事業とのかかわりをどのようにしていくのか、またそれぞれの下水道事業をどのようにしていけば全県下をカバーできるのか、土木部長、農林部長、生活環境部長の答弁を求めるものであります。
次に、国旗、国歌について質問をいたします。
「日の丸」、「君が代」につきましては、さきの県議会においても我が党の伊藤議員が質問したところであります。昨年3月に改定、公示されました新学習指導要領は平成2年度から本格的な移行措置期間に入っていますが、国旗、国歌の扱いについては、入学式や卒業式においては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると明確にされており、我々は、平成2年度入学式の実施状況に大きな期待と関心を寄せていたところであります。
そこで、本年度の入学式における国旗、国歌の実施状況は具体的にどのようであったのか、前年度の入学式と比較の上で明らかにされたい。さらに、21世紀を担うすべての若者が郷土を愛し、国を愛し、国際社会において信頼される日本人として成長をしていくためには、自国の文化や伝統を尊重するとともに、国旗、国歌を尊重する心を育てることが特に大切であります。この意味で、すべての学校において、国旗、国歌の完全実施を目指さなければならないが、そのために県教育委員会は今後どのような指導をされようとしているのか、教育長の答弁を求めるものであります。次に、心身障害児の教育問題について質問をいたします。
障害児教育においては、昭和63年12月、教育課程審議会より、盲学校、聾学校および養護学校の教育課程の基準の改善について答申が出され、これを受けて平成元年10月に新学習指導要領が示されました。
本県では、昭和57年の県障害者対策長期構想に基づき、障害児教育推進計画協議会の報告を参考にして当局で種々検討されてきました。とりわけ昨今の医療福祉施策の進展や対象となる心身障害児の教育の質的充実が必要とされる中で、養護学校の配置の適正化は重要な課題であります。既に県では小児保健医療センター開設に伴う教育的対応として、守山市に病弱養護学校が設置されたのを初め、来年度には草津市に精神薄弱と肢体不自由の2部門を持つ養護学校および三雲養護学校に肢体不自由部門を新設する運びとなっていることは大変喜ばしいことであり、同時に障害児を持つ保護者の早期開校への期待は極めて大きなものがあります。
新設養護学校開校に伴う通学区の見直しの問題は関係者の大きな関心事であり、児童やその保護者は、この決定について注目をしているところであります。適正な就学指導を行うためにも、県教育委員会は早急に結論を出す必要があると考えますが、どうでしょうか。さらに、この際、各地の交通事情、さらには就学希望に的確に対応していくためには、全県的視野に立った適切な就学を進めるために養護学校の今後の整備計画についてどのように考えておられるのか、あわせて教育長の所見を伺うものであります。
次に、交通安全対策について質問をいたします。
県内の6月末──一番新しい数字でありますが、6月末現在の交通死亡者数は49名で、前年度同月比30人の減、約38%の減少となっております。同月現在の事故発生件数は約2,600件余りで、前年同月比でほぼ横ばいであることから、重大事故が著しく減少していると見ていいのではないでしょうか。警察を初め関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
ところで、警察本部長はこの著しい死亡者減をどのように受けとめておられるのか。この減少の最大の原因は何なのか。どのような施策が効果を発揮したと考えておられるのか。原因究明が事故防止につながる最も近道と言われるなら、ぜひその減少した理由を詳細に分析し、さらなる減少に役立てるべきだと考えますが、どうでしょうか。しかし、県民の皆さんの周辺身近にも悲惨な犠牲者がなお続いていることを考えるとき、とるべき手段は一日でも早く実施をするべきであると考えますが、交通事故防止対策について警察本部長の所見を伺うものであります。
次に、行政監察局では、最近急増に転じた交通事故に的確に対応するには新たな視点と原点に立ち戻った安全対策の見直しが必要であるとの改善勧告報告を関係省庁に出しております。施設整備、安全教育、免許制度など交通行政のすべてを点検しておりますが、国の各省庁に勧告しているのは、ほとんどそのまま本県に置きかえても問われる部分を含んでいると考えますので、以下の質問をいたします。
行政機構について、生活環境部が窓口となっておりますが、総務、厚生、土木、教育委員会、警察本部など関係各部との連絡調整機能はどのように果たされているのか。全庁的組織である滋賀県交通安全対策会議はどのように機能しているのか。また、その責任分担はどのようになっているか。
次に、年間計画でありますが、第4次交通安全基本計画で、高等学校でも交通安全教育の年間計画を立て実施することとなっておりますが、その具体的な実施状況はどうなのか。
以上、行政監察局が指摘している点について、救急医療、施設整備、教育、啓発など関係する部長から答弁をお願いいたします。
最後に、本県の多極分散について質問をいたします。
国の4全総では、一極集中を排し多極分散をうたっています。本県でも、去る63年6月定例会で当時の企画部長は私の質問に対し、例えば21ビジョンの主要プロジェクトは一極に集中しない、バランスのとれた発展を図っていくとしています。国会の地方移転の話もあります。しかし、本年度の教育委員会の予算を見ても、県立文化会館、琵琶湖博物館、県立武道館など主要な施設は湖南に多く計画をされています。このような県立施設の配置以外の要素、例えば企業立地のバランス、これから生ずる市町村財政の格差、人口増加問題等々、県や市町村の思惑にかかわらず、経済の原則に従ってといいますか、自然の流れの前に、ますます南北格差、市町村格差が拡大しているのではないでしょうか。
私は、必ずしも人口増を喜ぶものではありません。工場の来ることが即繁栄とも考えません。むしろ、地価の高騰、交通渋滞、湖の汚濁等々問題を生み出している部分の多いことも事実でありましょう。しかし、そうでない、例えば愛知、犬上の地方には南部のような活気が必ずしも見られないという声もあります。若者への魅力も不足がちと言われます。私は、このような地方にこそ、もっと県の行政が積極的にイニシアチブをとるべきではないか、そのような雰囲気の中で端的な例を1つ申し上げ、取り組み方に積極的な姿勢をお示しいただきたいと思います。
知事は、去る平成元年6月定例会で私の質問に対し、名神八日市─彦根間インターの必要性を認められました。政府要望にも加えていただいております。知事の姿勢に対し、地元湖東、秦荘、甲良の3町では早速町の発展計画にこのインターを加え、夢を描いております。これら3町が示す熱意に県はどのようにこたえていくのか、単にインターをつくるだけが目的であるはずはありません。産業に、観光に、地域開発に、あらゆる方面の市町村間の連絡調整が必要ではありませんか。県は、このような限られた地域での広域にまたがるプロジェクトに対し、どのような施策をもって臨み、また市町村を指導されるのか。今までの当局の答弁は、おおむね地元の熱意が固まった段階で県は受けとめていくと、この程度の受けとめ方でありますが、前段申し上げたような社会経済的なインパクトを受けがたいこれらの地方は、県主導の活性化策を強力に進めるべきだと考えます。企画部長の答弁を求めるものであります。
知事は、さきの選挙において、県下50市町村のそれぞれの発展こそ滋賀県の発展である、このように県政の基本姿勢を強調されたところであり、それぞれの市町村が知事のこの言葉に強い期待を抱いていることを認識して答弁されるよう願うものであります。
以上をもちまして、私の自由民主党を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩永峯一君) しばらく休憩いたします。
午後0時1分休憩
───────────────
午後0時50分 開議
○議長(岩永峯一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
2番上野幸夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)上野議員の代表質問にお答えをいたします。
冒頭、さきに執行されました知事選挙にお触れになりましたが、多くの県民の皆様の大きな御支持、御支援によりまして、おかげをもちまして再選をさせていただきました。改めて心から感謝を申し上げますとともに、その責任の重さをひしひしと感じているところでございます。今のこの思いをしっかり胸に置いて、今後4年間全力を尽くしてまいりたいと、心に期しております。(拍手)
さきの提案説明でも申し上げましたように、私は、今般の知事選挙に当たりまして、基本姿勢の第1に、自然と人の命を大切にし、幸せが育つ県政を掲げました。科学技術の進歩と物質文明の進展の中で、私たちはともすれば自然を利用することに目が向きがちであったのでありますが、その自然が重大な危機にさらされている今、自然の中に生かされている存在、自然の一員としての人間ということに改めて思いをいたし、残された自然を守っていくことが私たちの責務であると考えております。しかし、同時に、そこに住む人間がいる限り、その生活を無視できないことも事実であります。自然に対して謙虚な生き方を基本にしつつ、自然と人との共存を求めていく努力こそが今我々のなすべきことであると認識をしているところでございます。
このような視点に立つとき、私たちの先人は、びわ湖に象徴される自然との響き合いの中で、水とともに生き、自然と共存する固有の風土をつくり上げてまいりました。そうした淡海文化というものを現代によみがえらすことは、滋賀ならではの
地域づくり、滋賀県独自の存在感のある郷土づくりであり、地球環境の保全に取り組む世界に対して貢献していく一つの方途でもあると考え、これを提唱したものでありまして、御指摘のとおり、滋賀県政の根幹としていかなければならないと固く信じているところでございます。
一方、人の命を大切にするという点に関しましては、目前に迫りつつある高齢社会においても、物と心の豊かさをともに享受できる社会の構築が大きな課題となっております。これからの10年は、このような社会づくりへの投資の期間であるととらえております。社会資本の一層の充実とともに、県民それぞれが互いに尊重し、尊重され、自己の能力を十分に発揮できる生きがいのある社会、これが求められる真に豊かな社会ではないかと考えます。県民の皆様の知恵と力を最大限に発揮していただき、ともに汗して築き上げる生活重視の県政の展開によって、そのような社会が実現できるものと考えております。
21世紀の滋賀が、自然と人、自然と産業活動が調和し、一人一人の個性が発揮される生き生きとした活力のある社会になりますよう、議員各位や県民の皆様とともに、その基礎づくりに全力を挙げる決意を申し上げまして、基本姿勢についてのお答えといたします。
次に、
琵琶湖総合開発事業についてでありますが、平成元年度末の事業費ベースでの進捗状況は、御質問にありましたように、水資源開発公団事業が86%、県や市町村等が実施いたします
地域整備事業が78%、事業全体で80%と見込んでおりました。まだ確定はいたしておりませんが、ほぼ見込みどおりに達成できたものと考えております。
今後の見通しでございますが、今年度、県、市町村等事業は約754億1,500万円を予定しており、これを実施いたしますと、2年度末の進捗率は約85%になるものと見込んでおります。また、現計画の最終年度であります平成3年度につきましては806億4,500万円の事業費を要望しておりまして、平成3年度末には現計画事業費に対し約1,030億円が残る計算になりますが、現場の事業の進みぐあいを見ますと、河川、ダム、砂防、都市公園、道路等の主要な事業に相当の残事業が見込まれるところでございます。
そこで、まずは平成3年度の事業費の確保に精いっぱいの努力をする必要があると考えておりますが、そもそも琵琶湖総合開発は、水資源開発と地域整備を総合一体的に実施することにより、近畿圏の健全な発展に資するとされたものであります。多くの事業が残されたままで完了するわけにはまいりません。所期の目的を達成するためにはこれを立派に完成させる必要があり、そのためには特別措置法の延長が必要となると考えるものであります。
そこで、法延長を求めるに当たっての基本的な考え方でございますが、今日までの長い経過を考えますと、やはり現計画の残事業を完成するということを建前にしながらも、社会情勢の変化や地域の実態に的確に対応するための所要の修正を行うケースもありましょうし、同時に、びわ湖の水質の現状にかんがみ、水質の保全、回復に資する事業の充実、強化について検討してまいりたいと存じます。また、この計画事業が円滑に実施できるよう国庫補助負担割合の特例等、現行法の枠組みはこれを踏襲するということで臨みたいと考えております。
新規水供給についてでございますが、洗いぜきの操作規則が滋賀県知事の意見を十分尊重して定められることはもちろんのこと、57年の覚書におきましても、
水資源開発事業とこれに関連する
地域整備事業の実施により、水位が低下しても関係住民の生活に支障を来さないよう十分な対策が講じられることが前提とされております。したがいまして、
地域整備事業が完成しないうちから水出しに応じるわけにはまいりませんが、この問題は、法の再延長を国に求めるに当たっても、また下流の理解、協力を求めるに際しても、好むと好まざるとにかかわらず、大きな議論となることは覚悟しておかなければならないと思っております。
下流府県との関係でございますが、琵琶湖・淀川環境会議や下流団体で構成されている琵琶湖総合開発促進協議会等におきまして、びわ湖の水質の現況や水質保全の取り組みの状況あるいは事業の進捗状況についての説明はいたしておりますが、正直なところ、現在まで法の再延長について公式な折衝はいたしておりません。非公式に聞くところによれば、下流府県は速やかな新規水供給を望んでおりまして、
水資源開発事業の完了する平成3年度末には何とかしてもらいたいとの強い希望を持っているようであります。
今後、法の再延長に向けて、下流の理解と協力を得るには十分な協議が必要となってまいりますが、その際には水供給時期の問題で突っ込んだ議論をしなければならない場面も出てこようかと思います。本県といたしましては、本事業の所期の目的が早期に達せられるよう、また県益を損なうことのないよう毅然たる態度で臨んでまいる所存であります。
また、
水質保全基金構想につきましては、現在のところ、淀川水系の水質保全のための具体的な取り組みについて検討会で協議を続けているところでございますが、それぞれ立場を異にする団体の集まりであり、なかなか一致点を見出すまでには至っていないのが現状でございますが、本県としましては、これの実現に向けて粘り強い取り組みを進めていく所存でございます。
最後に、法延長、計画改定に対処するための体制についてでありますが、国を初め、関係方面との折衝が適宜、適切に行えるよう、時期を見てしかるべき体制を整えてまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、この問題は県政最大の課題であり、残された期間もあと2年足らずという非常に重要な時期に差しかかってまいりました。議員各位を初め、関係者の御協力をいただきながら、国等関係機関に強力に要請し、万全を期してまいる所存であります。
次に、
総合交通ネットワーク構想についてお答えいたします。
まず、第1点目の
総合交通ネットワーク形成に向けての基本方向についてでありますが、本県の持つ国土幹線軸、交通要衝としての特性や現在の交通施設の状況、地域整備の将来展望、交通環境の新たな進展等を踏まえながら現状の交通課題の解消や新たな地域整備の誘導などに配慮したもので、その基本目標は、第1に、第4次
全国総合開発計画にいう全国一日交通圏の構築に向けて、国内外を多様な交通手段で結ぶことができる国内外多重交通体系の形成、第2に、県内の各生活圏相互間をおおむね1時間程度で行き来することができる県土1時間交通体系の形成、第3に、県民の日常生活に最も身近な交通にあっては、利便性の向上に加え、快適性、安全性にも配慮された質の高い地域交通体系の形成の3点を目指すものといたしております。そして、この基本目標を達成するために、移動の円滑性を高める、所要時間を短縮する等の目標実現に向けての視点を明らかにするとともに、環びわ湖放射状ネットワークの形成を基本的方策とした交通基盤の整備を図っていくことを提唱しております。環びわ湖放射状ネットワークとは、本県の象徴とも言うべきびわ湖を中心に、県下各地域間の相互連携の強化に資する環状軸と本県と隣接府県あるいは全国との連携強化に資する放射状軸から成るネットワークであり、交流の時代にふさわしい交通ネットワークの形成を目指していこうとするものであります。
次に、これらの基本方向に沿った具体的方策についてでありますが、この構想は、先ほど述べましたような基本的方策に基づき、国土軸から成る広域交通、主要な幹線から成る県土骨格交通および地域の足となる地域交通のそれぞれの交通に必要な交通ネットワークの整備について多角的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
御質問の県土1時間
交通圏構想の実現のための施策としては、既存高速道路に係る新たなインターチェンジの設置促進などの高速交通施設の機能拡充、また第二名
神高速道路などの新たな国土軸となる高速交通施設の導入や、これら交通施設へのアクセス網の整備を盛り込んでいるところでございます。さらに、県土骨格交通として、びわ湖環状運行の実現を初めとする県土の幹線交通である鉄道の機能強化、国道1号や8号、都市計画道路大津湖南幹線等の整備による国道、主要地方道等の機能強化および各地域間の連携を強化する新たな幹線軸のネットワーク整備を図っていくことといたしております。お話にありました
琵琶湖横断道路構想につきましても、新たな幹線軸の一環として南湖横断軸の強化ということで位置づけ、その整備方策等を今後、調査研究してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、こうした交通網の整備によりまして、県土1時間
交通圏構想を着実に実現してまいりたいと考えているところでございます。
次に、空港整備に向けた私の決意についてでありますが、空港の整備は、人、物、情報が、より広く、より早く、より活発に交流する21世紀には、本県のさらなる発展にとって欠くことのできない交通基盤であり、私たちの先人によってはぐくまれ、培われてきた滋賀の活力は、新しい時代に向けて引き継いでいくためにぜひとも必要であると確信いたしているところでございます。本年度は、平成3年度から始まる第6次空港整備5カ年計画の策定に向けて本格的な作業が進められる重要な年に当たっておりますことから、滋賀の空港整備にとっての大きな山場として、第6次空整への採択を目指して県挙げて最大限の取り組みをしているところでございます。
こうした取り組み状況の中で、自由民主党滋賀県支部連合会、草の根県政を推進する県民連合、日本社会党滋賀県本部、公明党滋賀県本部におかれましても力強い御支援をいただきまして、まことに心強く存じている次第でございます。また、去る5月には、自由民主党の議員連盟を初め各党、また県議会関係議員の皆様によりまして、運輸関係国会議員、運輸省、航空会社等の方々に対し強力な要望活動を展開いただき、心からお礼を申し上げる次第でございます。
空港整備構想は、昭和48年に提案され、自来17年、多くの県民の悲願であり、
びわこ空港建設促進期成同盟会を初め、幅広い県民の方々の御支援をいただきながら、何としても第6次空港整備5カ年計画へ組み入れられますよう積極的かつ強力な取り組みをしてまいる所存でございます。今後とも何とぞ絶大なる御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
次に、第二名
神自動車道についてお答えします。
我が国の高速自動車道は、昭和38年、本県栗東から兵庫県西宮までの名
神高速道路の一部が供用されて以来着々と整備が進められ、現在約4,660キロメートルが開通をいたしており、高速自動車国道は、今や本県を初め、我が国の産業、経済、社会活動を支える最重要基盤として認識されるに至っております。
このような状況の中で、第二名
神自動車道は、昨年の第28回国幹審において基本計画が策定されたところでありますが、高速性の確保等国土軸交通需要に対応するとともに、災害等による交通障害時の代替性を確保するための基幹動脈となるものであり、本県においても空港計画等と相まって、21世紀の一層の躍進に大きく寄与するものと確信するものであります。
このほど建設省は、国の基幹となる高速自動車道の準備段階である
基本計画路線から建設を目指す
整備計画路線に昇格させるため、その前提となる環境アセスメントを7月ごろまでにスタートさせ、その手続が終了した区間の中から整備計画区間を選定する方針を明らかにいたしました。第二名
神自動車道につきましては、昨年の基本計画で愛知県海部郡飛島村から神戸市までの区間が決定されましたが、今回環境アセスメントの対象とされますのは、三重県亀山市から京都府城陽市に至る区間等の一部区間であります。幸い、本県区間につきましては、全域が環境アセスメント手続が開始される区間と位置づけられ、整備促進を積極的に推進している本県の強い熱意が届いたものと受けとめているところであります。ルートは、7市町を経過し、またインターチェンジはさきの基本計画で土山町付近、信楽町付近、大津市付近とされておりますが、ルート、インターチェンジの位置につきましては、今後環境アセスメントの手続の段階で明らかにされる予定であります。
県といたしましても、21世紀の交流の時代に向けて、県勢の振興を図る諸施策を推進する上からも高速交通体系を確立する必要があり、その一環として第二名
神自動車道の実現は欠かすことのできない最重要課題と考えており、平成3年半ばごろに開催される予定の次期国幹審で
整備計画路線に格上げされ、21世紀初頭から順次供用が開始されるよう建設省に協力をしながら環境アセスメントに取り組み、地域のコンセンサスを得るとともに、今後とも各関係府県、市町ともさらに連携を深め、全線の早期建設に向け国に働きかけるなど、全力投球で取り組んでまいる決意であります。議員各位におかれましても、なお一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。次に、
琵琶湖リゾートネックレス構想についてお答えします。
本県の自然は、人を寄せつけない秘境と言われるような強烈な厳しさを感じさせるものではありませんが、人と一体となって包み込むような優しさがあり、出会いのたびに改めて心の底から安らぎや親しみなどといったさまざまな感動を私たちに与えてくれます。さきの県議会においてゆとり創造宣言がありましたように、今日ますます潤いや安らぎを求められている折、私はこのような感動を与えてくれる自然環境を生かしながら、そこにふさわしい雰囲気を醸し出す空間と心の豊かさが味わえるシナリオをつくり上げていくことが21世紀に向けた滋賀の役割であり、ひいては滋賀ならではのドラマが生まれる質のよいリゾート地となるものだと強く信じております。
この構想では、リゾート整備を通じて本県が進めようとしております新しい淡海文化の創造の一翼を担いながら、広く県内外から訪れる人々と地域の人々の交流が活発に行われるような魅力ある町づくりとともに、地域の経済や暮らしを高めようとしております。このことから、御質問にもありました3つの基本目標を掲げながら、1つに湖と人とのかかわり、2つに歴史や伝統、文化の探訪、3つにだれでも気軽な繰り返し利用、4つにふるさと感覚、5つに複合的な魅力といった性格や機能を有する滞在型の総合保養地域を目指しており、単発的な開発や少しのすき間もなく一面すべて施設を張りめぐらすような整備をしていこうとしているものでありません。あくまで21世紀を見通した地域のあるべき将来像をとらえながら、休養や保養を目的とした滞在に適した快適な居住環境の確保を目指しております。このため、地域の人々がリゾート整備や運営に参画するなど、地域の人々、事業主体、行政相互の意思疎通を十分図る地域密着型の町づくりそのものとしてとらえていく必要があり、これまで取り組んできた草の根まちづくりの経験を生かしながら進めてまいりたいと存じます。また、既存観光レクリエーション資源等とも連携を密にするとともに、それぞれ地域の魅力的なもので補完しながら、周辺地域と相互展開が図れるようなネットワークを重視した
地域づくりとして進めていこうと考えております。
また、特にびわ湖を中心とした本県の自然環境は都市近郊に残された貴重な水と緑のオアシスでありますことから、整備に当たっては、美しい自然は美しいままに守っていくことを基本として、自然が持つすばらしさが損なわれることのないよう、関係者ともども十分留意しながら進めてまいりたいと思っております。
次に、UNEPの水環境問題に関する施設の誘致についてお答えをいたします。
国際社会におきます我が国の地位の向上とともに、その地位にふさわしい役割を果たしていくことが、今、国、地方ともに強く望まれているところであります。こうした状況の中で、本県がびわ湖を中心とする水環境問題に対する取り組みを通じて国際社会に貢献していくことは、本県の特性を生かした本県に最もふさわしい役割であると存じます。その意味で、水環境問題に関するUNEPの施設の誘致は大きな意義を有するものであると考えており、UNEPおよび国に対し精力的に要望、協議を進めてきているところであります。
UNEPからは、本県の誘致要望に対して前向きに検討しているとの回答を得ておりますので、現在、UNEP当局に機能や規模、スタッフ等の施設の内容についてどう考えておられるか照会しているところであります。場所、建物等の誘致に係る基本課題のほか、運営資金問題や国連職員の外交特権問題など国の後押しがなければ解決し得ない問題についても、本県の態度をはっきりさせ、さらに強力に国に働きかけてまいりたいと考えております。
本県としましては、国連機関の誘致はかねてからの念願の事案でありますし、とりわけUNEPの施設は本県がその特性を生かして国際的に貢献していく上で重要な意義を持つものでありますので、施設の設置実現に向けて最大限の努力を尽くしてまいる所存でございます。こういったことにつきましても、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
次に、県立短期大学の4年制移行についてお答えをします。
今日の社会情勢は、科学技術の著しい進歩、高度情報化、国際化の進展など大きな転換期を迎えているところであります。このようなとき、本県が21世紀に向けて大きく飛躍するためには、創造性に富み、積極性を持った人材を育成、養成し、新しい時代を力強く切り開くたくましい人づくりを進めていくことが大切であると考えます。
こうしたことから、本年度は県立短期大学の4年制化について本格的な検討を開始することといたしたわけでありますが、ことしは学識経験者や県民各界各層による懇談会を設けまして、幅広い御意見を伺い、新しい大学の基本的なあり方の検討を進めてまいりたいと存じております。
私としては、新しい大学は、本県の将来の人材の育成と同時に、地域の産業や文化の発展に寄与するものでありたい、また本県の実情に即した新しい時代にふさわしい特色のあるものとしたいとの気持ちを持っております。今後のことを考えますと、例えば、工業部、農業部について、先端技術、技術革新、高度情報化に対応した質の高い技術者を養成するという観点から、ひとつ真剣に検討してみなくてはならないという感を持っているのでありますが、懇談会ではこれらを含め、幅広い論議をお願いしたいと考えております。
4年制大学の設置に当たって、滋賀の特性、産業界、地域のニーズ、学生、社会人のニーズ等を踏まえ、国の大学設置認可の方針あるいは私学の動向にも留意するなど広い角度から検討する必要がございますが、関係方面の御理解と御協力をいただきながら、県民の皆様からいい大学ができたと言われるような魅力のあるものにしたいと考えております。
◎知事公室長(塚本孝君) (登壇)新国内行動計画に関連いたしましての御質問にお答えをいたします。
昭和62年5月に国が策定いたしました西暦2000年に向けての新国内行動計画は、御承知のとおり、昭和62年度から平成12年度までに長期的に推進する基本的な施策と中期的に推進する具体的施策という2本で構成されております。国におきます今回の動きは、新国内行動計画が策定されました当初の具体的施策の年次が今年度までというぐあいになっておりますので、平成3年度からの新たな具体的施策づくりに着手したところでございまして、新国内行動計画の根幹となる基本的施策には変更がないものと確認をいたしております。また、その具体的施策づくりに当たりましては、御指摘のありました国連の勧告も考慮しながら作業が進められているものと伺っております。
さて、御質問の県の新しい計画は国連や国の動きに沿ったものであるかどうかという点についてでありますが、去る3月27日、滋賀県婦人問題懇話会から提出されました提言は、現在までの国連の動きや国の新国内行動計画を十分考慮した中で議論されてまとめられたものでございまして、それを受けて現在策定をいたしております県の計画も、国の新国内行動計画を規範としているものでございます。
なお、今回の国の動きにつきましては、今後の国における検討の結果も踏まえて対処をしてまいりたいと考えております。
また、御指摘をいただきました現状の把握につきましては、本年度の県政世論調査におきまして主要な調査項目に取り上げ、5年前の調査結果と比較考察することといたしておりますし、
男女共同参加型社会を考える上においては男性の意識等も重要な意味を持つということから、新たに男性の生活に関する意識と実態調査を実施し、その現状を分析して今後の施策の参考にしてまいりたいと考えております。
なお、本県の女性の現状につきまして一例を挙げますと、
地方自治法の第202条の3によって設置をされている審議会等における女性の占める割合でありますが、本県の場合、平成元年6月現在で11.1%でございます。全国平均が8.2%でございますので、国の平均を約3ポイント上回っているということで、これを順位に直しますと、全国で第5位の位置にあるわけであります。
いずれにしましても、これからの社会を考えますとき、高齢化が進展する一方で子供の数が減少傾向にある中で、今後の婦人行政を推進していくに当たりましては、男女が家庭、地域、職場などあらゆる分野にともに参加して、ともに社会の発展を支えていくような
男女共同参加型社会の形成が一層重要な課題として位置づけられるものというぐあいに考えておりますので、そのような社会の実現を目指しまして、より積極果敢な婦人行政の推進に努めてまいる所存でございます。
◎総務部長(川村仁弘君) (登壇)県立短期大学の4年制移行についての御質問にお答えいたします。
県立短期大学の4年制化につきましては、ただいま知事も申し上げましたとおり、時代の変化に即応した魅力ある大学を目指したいと考えております。このため、現短期大学の自学評価、現状分析、産業界や地域社会のニーズおよび最近の高等教育整備の動向や国の政策、さらに学生や社会人の大学に対する考え方やニーズについて調査分析を行っているところであります。
近年の他県における県立大学の設置への取り組み状況を見ますと、まずは各県とも懇談会あるいは検討会といったものを設け、そこでの議論、意見を踏まえて基本的なあり方を定めておりまして、しかる後、準備委員会が設置されております。準備委員会では、カリキュラムの編成、教員の確保、管理運営、さらに施設計画といった設置に必要な諸課題について論議、検討がなされ、文部省や関係機関との協議、調整等が行われております。このように設置までには周到な準備が必要であり、その期間としては施設整備も含め、おおむね4年ないし5年は要しているところであります。
本県におきましても、今月下旬か来月上旬にも学識経験者や県民各界の方々による懇談会を発足できるよう準備を急いでおりますが、この懇談会で新しい大学のあり方などについて幅広く論議を願いたいと考えております。新しい時代と本県の地域社会にふさわしい県立大学のあり方や整備の具体的方策について御提言をいただき、これを踏まえて基本的な方向を見定めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、関係方面の御意見をお聞きし、関係機関と協議を行い、本県にふさわしい県民の方々の御要望にこたえられるような県立大学の設置に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、個人情報の保護に関する御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、近年、情報通信技術の発達、情報化社会の進展には目覚ましいものがございますが、その結果、社会生活上の利便や豊かさがもたらされる反面では、こうして個人の情報が特定の機関に集中され、また大量かつ迅速に処理されるようになってくるというと、一方で個人の秘密が漏れないか、思いもつかないところで利用されていないか、あるいは本人の知らないうちに不正確な情報によって誤った判断がなされはしないかなど、情報化社会の進展に伴うプライバシーを初めとする権利利益の侵害のおそれを指摘し、個人情報の保護を求める声が強くなってきております。このため、国では、昭和63年12月、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の取り扱いに関する基本的事項を定めることにより、個人の権利利益を保護することを目的として、いわゆる個人情報保護法を制定したものであります。
本県においても、従来から電子計算組織による事務処理に係るデータ等保護管理要綱を定め、コンピューターに入力されたデータの安全確保や情報の漏えいの防止を図ってまいりましたが、このような機運の高まりの中で、単に情報を適正に管理するのみならず、情報収集のあり方、利用、提供のあり方、さらに本人みずからに関する情報の開示を求め、誤りがあればそれを訂正できるような仕組み、こういったことも含めた総合的な対策を考えるべき時期が来ているのではないかと思っております。
そこで、昭和63年度には個人情報保護に特に関係のある部局の職員によって構成する研究班を設置し、基礎的な調査研究を実施いたしました。また、本年5月には各部局および各行政委員会の課長級職員によって構成する個人情報保護検討委員会を設置し、この検討委員会において個人情報保護制度に関する総合的な調査検討を進めております。
何分にも新しい制度であります。法制や手続などの面で、そのあり方、仕組みについて十分に詰める必要もございますし、県民のコンセンサスを得ること、職員の理解を深めることも大事であります。今後これらの点を踏まえながら検討を重ね、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◎企画部長(飛彈直文君) (登壇)まず、土地対策問題についてお答えをいたします。
第1点目の土地基本法による地方公共団体の責務の一つである土地に対する施策の策定につきましては、本年5月より専門家7人による滋賀県地価問題懇話会を設け、そこでの御提言をいただくよう御論議願っております。その提言をもとに滋賀県総合土地対策要綱を取りまとめることといたしておりますが、庁内におきましても、現在この策定に向けて全庁組織であります土地問題協議会を中心に取り組んでいるところでございます。
また、責務の2つ目であります住民への啓発等につきましては、県民に土地問題に関する理解を深めていただくため、4月の土地月間に合わせ、家庭保存版「しがの土地」を新たに作成し全戸に配布したほか、土地問題に関する県民の関心が高まっている折から、不動産鑑定士による無料相談会を毎月開催しております。その他、金融機関を対象といたしましては、不動産融資抑制の要請などを行っているところでございます。
第2点目の監視区域につきましては、本年に入り、2度にわたり指定拡大、届け出対象面積の引き下げを行い、現在その区域は7市21町、県下市街化区域の93.5%に及んでおります。特に、地価上昇の著しい大津市、草津市につきましては、届出対象面積を100平方メートルに引き下げたところでございます。また、4月に行われました国土庁長官と知事との懇談会において監視区域指定のガイドラインの要望をいたしましたところ、このほど国土庁から監視区域制度の運用指針についてが示されたところでございます。その指針では、1年間に10%程度の地価上昇が見られる地域については早急に指定すること、第2に、大規模開発プロジェクト、リゾート整備の予定地域等については、事業計画、区域の決定等に先立ち、指定について検討すること、さらに、監視区域を指定してもなお地価の上昇率が低下しない地域については早急に届出対象面積の引き下げを行うこと、4番目に、具体的運用に当たっては、地価上昇率のほか、その地域の地価水準、土地取引の実態等地域の実情を総合的に判断することなどが示されたところでございます。今後の監視区域の運用につきましては、国の示されたこの指針を念頭に置き、現在作業を進めております地価調査の結果等も踏まえて、時期を失しないよう対処してまいります。
第3点目の土地利用の見直しによる土地供給と工場跡地、遊休宅地などの活用についてのお尋ねでございます。
この3月に改正された国土利用計画法により、面積要件の引き下げ、期間の短縮等、遊休土地の認定要件の見直しが行われております。また、去る6月29日に都市計画法および建築基準法の一部を改正する法律が公布されたところであります。その内容は、遊休土地転換利用促進地区を指定し、指定後2年経過しても有効利用されない場合、市町村は遊休地として有効利用を勧告し、所有者がこれに従わない場合、土地の買い取りについて協議するとなっております。今後これら法改正の趣旨を踏まえ、市町村と連携を密にしながら、土地の有効利用に向け適正に対処してまいりたいと存じます。
また、宅地供給につきましては、低、未利用地の有効利用を促進するため、例えば、土地区画整理事業による市街化区域内の効率的利用等について土地問題協議会を通じて検討を進めているところでございます。
第4点目の都市計画法、農地法など国の制限法と土地利用についてでございますが、これまでも各法律により適切な土地利用に努めてまいりましたが、今般、都市計画法等の改正におきまして地区計画制度が改正され、また住宅地高度利用地区計画の創設等が行われたところであり、県としても国のこうした施策の動向を注視しながら関係部局相互の連携を保ち、また関係市町にも必要な指導を行いながら、土地の有効利用を図ってまいりたいと考えております。
次に、本県の多極分散についてお答えをいたします。
県におきましては、ひとの時代・活力創生の郷土づくりを目指した湖国21
世紀ビジョンが示している方向に基づき、各種のプロジェクトの展開により県下各地域において個性と多様性に富んだ創造力豊かな県土づくりを推進し、これによって均衡ある県土の形成に努めているところでございます。
御質問にございます愛知、犬土地域を初め、湖東地域一帯について見ますと、一定の工業集積もあり、自然や文化資源も豊富で、相当な開発ポテンシャルを有している地域でもあると認識しております。このため、さきに策定しました滋賀県
総合交通ネットワーク構想においても、名
神高速道路秦荘町周辺へのインターチェンジの設置促進や国道307号の整備を位置づけているところでございます。しかし、例えば、新たなインターの設置につきましては、前回の国土開発幹線自動車道建設審議会において、全国で100を超える要望に対し16カ所しか認められなかったという厳しい状況でありますし、また開発インターということにもなりますと、費用負担の問題ということも出てまいります。
こうしたことから、その設置に向けては相当な条件整備が必要でありますが、関係の町におかれましては、当該インターの設置促進を町の総合開発計画に位置づけられるとともに、その実現に向けた施策を連携して進められますことは大変ありがたいことと存じているところでございまして、県といたしましても早期に条件整備を整えるため、またそのインパクトを有効に生かしていくためにも、こうした地域の取り組みに対し、知恵を出し合いながらともに取り組んでまいりたいと考えております。また、こうした取り組みを進める中で、県が推進しております各種の事業につきましても、その設置目的、地形的条件などを勘案しながら、この地域特性にマッチしたものの構築を検討してまいりたいと存じます。
◎生活環境部長(前川利夫君) (登壇)水環境問題についての御質問にお答えいたします。
まず、琵琶湖保全制度の見直しについてでございますが、去る5月28日に開催いたしました第1回の琵琶湖保全制度検討委員会で、びわ湖の保全のためにはどのような問題や課題があるのか、このことにつきまして御意見を伺いましたところ、開発と保全の調和の問題として環境に配慮した
社会経済活動の必要性等が、また環境教育と啓発普及に関しては、びわ湖の保全に向けて環境教育の必要性や身近な環境づくりを通しての県民や地域活動の重要性等、さらに水質保全の施策については、生態系を重視した環境保全施策の実施や家庭排水などの身近な環境への問題意識を伴った生活様式の改善等々の基本的かつ重要なコメントをいただいたところでございます。
今後のスケジュールといたしましては、1つには、琵琶湖富栄養化防止条例やアセスメント要綱等の既存制度の総点検、評価を行い、びわ湖保全のため、何が必要か、何をなし得るか等の検討を、2つには、発生負荷総量等に関する諸調査等をもとに、新たな制度が必要かどうか、新たな制度をどのように運用するのか等の検討を行っていただく予定でございます。また、3つには、積極的な県民参加を求めた施策の導入や、すべての人がびわ湖に優しい水意識を醸成し、県民一人一人がそれに基づいて行動する新たな県民運動の展開の可能性をも含めて御議論をしていただく予定であり、本年度はあと4回の委員会を開催することとしております。さらに、来年度は、この基本的な方向の設定とあわせて、県民意識に基づいた施策のあり方等、制度の根幹となる長期的な枠組みについて検討を願い、最終的に御提言をいただく予定といたしております。
いずれにいたしましても、21世紀に美しいびわ湖を引き継ぐため、新たな保全制度の構築に向けて、関係諸機関等と調整しながら積極的に対応してまいる所存でございます。
次に、湖沼水質保全計画についてでございますが、第1次の計画では、水質保全事業として下水道、農村下水道等の実施計画を定めますとともに、工場排水規制の徹底のほか、家庭排水対策や農畜産業排水対策等を掲げて、関係部局とともにその推進を図ってまいったところでございます。平成元年度末における水質保全事業の進捗状況は、主なものといたしまして、下水道は67.3%、農村下水道は68.9%、家畜ふん尿処理施設は76.7%等となっております。今後は、残り1年となりましたので、各種事業や対策の進捗を図るべく、関係部局の協力を得まして引き続き努力してまいりたいと考えております。
また、水質目標の元年度末における達成状況につきましては、正式には7月16日開催予定の滋賀県公害対策審議会で御審議願う予定でございますので、速報値で申し上げますと、環境基準点における水質測定の結果の年平均値として、平成2年度南湖2.5ミリグラムパーリットルの目標に対しまして元年度2.9ミリグラムパーリットル、北湖1.8ミリグラムパーリットルの目標に対しまして2.3ミリグラムパーリットルと、平成2年度の水質目標の達成は極めて困難な状況にございます。
このような昨今のびわ湖の水質状況を直視しますとき、第2次湖沼水質保全計画の策定におきましては、基本的な規制や対策の格段の進捗を基調としながらも、新たな対策、例えば、小規模な事業場の排水対策や生活雑排水対策、あるいは南湖水質改善総合対策事業のマスタープラン策定事業等を踏まえて可能な限り総合的な計画にできないものかと検討を始めているところでございます。
次に、生活雑排水対策についてでございますが、私たちの使う水がいかに河川やびわ湖に影響を及ぼしているのかを考えますと、台所等から排出されます生活雑排水の対策が緊急の課題であると認識し、これまで種々対策を講じてまいりました。とりわけ下水道や農村下水道の積極的な整備とともに、合併浄化槽や生活雑排水処理施設の設置促進に努めてまいりましたが、今や県民ぐるみで行動を起こすときであると考えております。
そこで、県、市町村、県民および事業者が今それぞれの立場で何をなすべきかを考え、その推進方策を滋賀県生活雑排水対策推進要綱として制定することといたしました。この要綱は、県民が一体となって生活雑排水の対策を考え、推進し、水質保全を図りますとともに、快適な環境づくりを目指していくことを目的といたしております。その柱として、基本的には、発生源対策としての下水道等の施設整備や一人一人が常に水に優しい暮らしの工夫に努めますとともに、さらには身近な小川や水路を対象にきれいな小川づくりを推進することをうたっております。
施策の推進に当たりましては、県はモデルとなる計画の策定や基本的な考え方を示しますとともに、市町村におきましては、全域を対象にきめ細かな対応を盛り込んだ実施計画を策定願うことといたしております。また、県民や事業者におきましては、自分たちが使う水が自然に影響を及ぼしているのだという意識を持って、びわ湖に優しい生活行動をとっていただくことをお願いいたしたいと思っております。まず、今年度から3カ年かけて、目の細かいストレーナーや三角コーナーの普及を図りますとともに、地域住民によります体験学習やシンポジウム等の実践、啓発活動を展開していきたいと考えております。
このように、水道の蛇口からびわ湖へと、生活を通じまして水環境創造のための大きな県民運動として発展することを期待いたしますとともに、目的達成のため、生活雑排水対策の積極的な推進に努めてまいる所存でございます。
次に、下水道事業についての御質問のうち、コミュニティープラントについてお答えいたします。
びわ湖の水質保全の重要性につきましては、ただいま申し上げてきたところでございますが、御質問のコミュニティープラント、いわゆる地域し尿処理施設は、国の補助制度におきましては、下水道の区域外で計画処理人口が101人以上3万人未満の施設が対象となっております。本県におきましてはほとんどの地域が下水道計画区域とされており、さらに農村地域では農村下水道整備が進められておりますが、これらの施設整備の区域外におきまして、個々の地域の実情を十分踏まえて、適当な施設につきましては、コミュニティープラントの整備につきまして、市町村に対しまして指導していきたいと考えております。また、下水道など、ただいま申し上げました施設整備が計画されていない地域や施設整備に時間を要する地域におきましては、小型合併浄化槽による処理が望ましいと考えております。
いずれにいたしましても、今後ともびわ湖の水質保全のためにより積極的に対応してまいる所存でございます。
次に、交通安全対策についての御質問にお答えいたします。
効果的な交通安全対策を図るためには、啓発、教育等のソフト面と、安全施設整備や交通取り締まり等ハード面との両面での施策を総合的、計画的に推進することが必要でございます。何分にも、行政の分野が広範多岐にわたっていることから、その総合的、計画的な推進のためには各部局との調整が極めて大切であります。そのため、交通事故の統計、分析の情報交換や知事部局と警察本部との人事面での相互交流等も行い、連携を密にいたしております。また、必要に応じ緊急対策会議等を開催し、交通安全対策に関する連絡調整を図っております。
次に、滋賀県交通安全対策会議の機能でございますが、交通安全対策基本法に基づく県条例により滋賀県交通安全対策会議を設置し、庁内関係部局はもとより、国の機関や市町村、消防、道路公団、JRを含めた構成により、各機関の意見、対策等の調整を行い、総合的推進の充実強化のための機能を果たしております。また、その責任分担でございますが、具体的な推進を図るために毎年度交通安全実施計画を策定し、各部局の果たすべき事業の役割分担を明確にするとともに、十分な意見調整と検討を加えて施策を実施いたしております。
今後におきましても、人命尊重の理念を基本に、さらに充実した効果のある総合的な交通安全対策を推進してまいりたいと考えております。
◎厚生部長(中桐正君) (登壇)ねんりんピック'90第3回全国健康福祉祭びわこ大会の開催状況についての御質問にお答えします。
ねんりんピック'90びわこ大会成功の要因は、何よりもまず県民の方々の大会への理解と参加をしていただくことが重要であると考えております。
そこで、まず広報計画についてでありますが、大会を盛り上げるためには、御質問にありましたとおり、積極的な広報活動が重要であると考えております。このため、広報につきましては、各界各層で構成をいたしております県実行委員会が決定をいたしました広報計画に基づいて進めているところでございます。これまでマスコットマークや標語など、広く県民の方々から一般公募によりまして決定をいたし、これの積極的な活用とあわせて、各種啓発資材により、大会の趣旨、理念などの普及啓発に努めているところでございます。また、昨年はプレ大会を開催し、あわせて本大会の周知と関心の高揚を図ってきたところでもあります。
今後は、これらに加えまして、さきに応募いただきましたキャンペーンスタッフ、これの一層の活躍をいただき、県内はもちろんのこと、近隣府県に対する啓発活動の展開やJRなどとの協力によりますびわ湖一周イベント列車の実施、さらには老人クラブを中心といたします花いっぱい運動の展開や各都道府県の参加者に贈ります千羽鶴の作成など県民運動の推進に努めますとともに、報道関係者の方々の協力を得まして、積極的に新聞、雑誌、テレビなどの広報媒体を有効に活用した広報活動を展開し、開催機運の盛り上げを図ってまいりたいと考えております。
次に、宿泊対策についてでありますが、宿泊につきましては既に9,000余の宿泊必要数を確保しており、今後、7月末の参加者の最終申し込みを待って配宿をするなど、遺漏のないよう準備を進めているところでございます。
また、宿舎における衛生対策につきましては、
宿泊施設関係者の協力を得まして、参加者が快適に宿泊、休養できるように、施設設備の衛生確保、また食品管理、従事者の衛生思想の徹底などについて研修会の開催などを通じ万全を期してまいるほか、接遇研修についてもあわせて実施することといたしております。
なお、宿舎における本県の特色のある食事の提供につきましては、関係諸団体の御協力を得ながら、湖国ならではの湖魚や近江米などによる郷土料理を味わっていただくとの観点から、宿舎ごとに特色のあるメニューにしていただくよう要請をいたしているところでございます。
次に、開会式に係る輸送対策についてでございますが、各都道府県参加者の輸送につきましては、輸送交通計画に基づきまして、県実行委員会が用意いたします貸し切りバスおよび船舶により輸送することといたしておりまして、既に輸送経路や方面別駐車場計画の策定等につきましてはほぼ業務を完了し、現在詳細事項について調整に入っているところでございます。一方、一般参加者につきましては、既存の公共輸送機関を中心に輸送計画を進めているところから、関係機関に協力を要請し、目下増発計画等について協議をしているところでございます。
なお、これらの輸送を円滑にするため、関係車両の識別標示を行いますとともに、一般参加者につきましては自家用車での参加の自粛を呼びかけるほか、周辺地域の交通総量の減量を図るため、県内はもちろん、近隣府県のバス協会、トラック協会等への協力を要請していくほか、事前に開催告知板を設置するなど、県内外からの入り込み交通量の減少も図ってまいりたいと考えております。
次に、開会式参加者の交通安全対策の確保についてでありますが、開会式当日、式場への参加者は協賛事業も含め4万人程度が見込まれ、相当な混雑が予想されると考えております。したがいまして、地元の方々の御理解のもとに、県警察本部との連絡を密にし、その指導により周辺道路の交通規制を、また警察官や交通指導員、さらには地元の交通防犯パトロール隊や県実施本部の職員の適正な配置によりまして、交通整理や安全誘導など総合的な対策により、参加者の安全を確保していくことといたしております。
最後に、各会場地実行委員会が主催するスポーツ交流大会等の準備状況についてでありますが、会場地実行委員会におきましては、昨年のプレ大会における競技運営を基本にいたしまして、その経験を生かした業務執行体制を組織されており、現在、大会運営全般についての準備が進められている中で、県実行委員会、競技団体、関係機関等との最終調整を行っているところでございます。今後は、さらに緊密な連携を図り、円滑に開催準備が図られますよう万全を期していく所存でございます。
本大会の開催まで準備期間は残すところ88日間でございます。多くの県民の方々の御参加と御支援をいただく本大会の円滑な運営を図るため、また全国各地からお越しいただく多くの方々を県民挙げて温かくお迎えし、本大会がいつまでも人々の心に残る大会となるためにも、ねんりんピック'90びわこ大会の開催準備に万全を期してまいりたいと存じております。議員各位におかれましては、よろしく御支援賜りますようお願いを申し上げます。
◎商工労働部長(高井八良君) (登壇)陶芸の森と世界陶芸祭の御質問にお答えします。
昭和62年度から着手してまいりました県立陶芸の森につきましては、議員各位を初め、多くの方々の格別の御理解と御協力をいただきまして、ようやく去る6月2日に開設することができました。改めまして、厚くお礼申し上げます。
さて、プレ陶芸祭についての成果と県民の反応についてでありますが、6月2日から5日間、陶芸の森のオープニングイベントとしてプレ世界陶芸祭を開催いたしましたところ、県内外から3万1,000人という予想外の多数の方々に御来場いただきました。会場で実施いたしましたアンケートなどをもとに判断いたしますと、陶芸の森の施設やイベント内容につきましては、信楽焼など陶器産地の製品をまとめて見ることができ、陶芸文化にも触れながら伸び伸びと緑の中でリフレッシュできる場所としておおむね好評をいただいております。今後、多くの県民の方々が気軽に利用していただける施設にできるのではないかと明るい手ごたえを感じたところでございます。しかしながら、多数の来場者を迎える施設としては幾つかの課題も明らかになりました。例えば、1万5,000人を超える来場者のありました6月3日の日曜日には、国道307号線で約3キロメートルの交通渋滞を招きましたし、食事、日陰、案内、ごみ処理等々いろいろな御指摘をいただいております。
このような実績を踏まえまして、来年4月に開催します世界陶芸祭についてでありますが、御承知のように、この世界陶芸祭は、陶芸の森の開設を記念しまして、陶芸という専門的な分野に的を絞って実施するイベントでありまして、各地で実施されている地方博とは趣を異にしていると考えておりますが、見る、参加する、食べる、買い物をするといったことが祭りを楽しくする重要な要素でもありますので、約20カ国から収集いたします陶芸作品の展示、日本、世界の陶芸家による公開制作や国際陶芸シンポジウム、あるいは陶器を使ったコンサート、世界の陶器を集めた陶器市など多彩なイベントを工夫しまして開催しますとともに、信楽町内の展示会や陶芸教室などでは自分でつくる楽しみを味わっていただけるような場も用意したいと考えております。また、プレ世界陶芸祭におきまして課題となりました交通渋滞に対する駐車場計画や祭りの場にふさわしい会場整備につきましては、目下具体的な改善策を詰めているところでございます。
このような考え方で世界陶芸祭を実施することによりまして、信楽焼という地域に根づいた素材を生かし、陶芸という非常に普遍的で、しかも創造的な文化を通じまして、国を超えた交流が芽生え、人が育ち、新しい創造が始まることを期待するものでございます。ぜひとも、来年の世界陶芸祭が成功いたしますよう議員各位の一層のお力添えをお願い申し上げます。
◎農林部長(豊田卓司君) (登壇)地域農業の振興についてお答えいたします。
まず、地域農業推進室の取り組みについてでありますが、今農業はみずからの体質を強化するために新たな目標にチャレンジしなければならない大変重要な節目の時期を迎えております。本県におきましても、急速な都市化や工業化が進む中で、農業、農村を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、現在の農業が抱えているさまざまな課題に対応しつつ、これからの農業の基盤を固めていくことが今こそ重要であると思っております。そうしたことから、いま一度湖国農業の足元をじっくり見詰め直し、地域地域の特性に根差した独創的で個性的な農業経営の展開に向けて、中核的農家を中心に、兼業農家と非農家が協力し合い、集落全体が支える新しい地域農業を推進してまいりたいと考えております。
今年度から集落をベースに住民みずからが地域の将来像を描く集落営農ビジョンの策定を進めることといたしておりますが、これらの施策を総合的に効率よく展開するため、本年4月、農林部内に地域農業推進室を設置するとともに、これを軸として部内各課が全力を挙げて取り組む体制をしいております。去る6月30日には、近江八幡市の文化会館におきまして、1,000人の方を超える集落の代表者の方々にお集まりいただき、地域農業推進大会を開催したところでございます。今後はさらに地域ごとに説明会を開催するなど積極的な啓発を行いまして、1つでも多くの集落でビジョンが策定されますよう頑張ってまいりたいと存じます。
次に、地域農業振興ビジョンについてでありますが、この計画は、都市近郊、中山間、平地農村などそれぞれの持つ地域性を生かし、バラエティーに富んだ地域農業を展開すると同時に、水稲単作経営から他の作物との複合化を目指したブロックごとの方策を取りまとめようとするものであります。まず、本年度において、その地域の特性や将来の可能性を把握するための基礎調査を実施することとし、明年度においては、この調査結果をもとに地域ごとの課題とその対応策、そして農業、農村の進むべき方向を見定めていくことといたしております。
次に、水田農業の確立についてでありますが、本年度から実施されます水田農業確立後期対策において新しく創設されました高能率生産単位育成加算、いわゆるスーパー加算を活用しながら、農地の流動化、農作業の受委託や農機具の共同利用の推進を通じまして、水稲や転作作物の生産性の向上を図るとともに、有機農業など特色ある農産物の生産に努めてまいります。また、とりわけ近年では、消費者のニーズの多様化、高級化あるいは安全志向などが高まっておりますことから、市場性の高い野菜、花卉、こういった転作作物の定着化や販路の開拓などを支援いたしますとともに、これら農産物のブランド化にも努めてまいりたいと考えております。さらに、後期対策では景観形成作物やレクリエーション農園が転作等の対象になりましたことから、レンゲを中心とした草花による農村風景の美化、都市と農村の交流など水田の多面的な活用をより一層推進し、地域農業の生産性の向上と農業、農村の活性化を目指してまいりたいと考えております。
次に、下水道事業についての御質問のうち、農業集落排水処理施設についてでありますが、この施設は、農業振興地域内、いわゆる農振地域内で人口規模や農業用水の汚濁状況等一定条件を満たす集落を対象といたしております。公共下水道事業とのかかわりにつきましては、市町村等の意向を踏まえ、関係部局間で十分協議をして推進いたしておるところでございます。
なお、本県におきましては、昭和57年の琵琶湖総合開発改定計画に追加された経過もございまして、計画の160集落に対しまして平成元年度までに173集落の採択を受けております。このうち既に83集落、約2万6,000人が供用可能となっております。今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
◎土木部長(植村忠嗣君) (登壇)下水道事業についての御質問にお答えいたします。
本県におきまして、美しいびわ湖の水質を守り、浄化を促進することは最重要課題であり、石けん運動を初め、いろいろな活動や施策が行われているところでありますが、中でも下水道事業をその大きな柱として、県および市町村により、鋭意事業の推進に努めているところでございます。
まず、1点目の本県の下水道普及率と進捗率についてのお尋ねでございますが、平成元年度末における下水道普及率は、全国平均の42%に対しまして23.5%でございますが、流域下水道供用前の昭和56年度末の普及率は全国平均の30.7%に対して4.8%でありましたので、これと比べますと相当な伸びとなっており、近年は年3%程度の伸びで全国平均を大きく上回っております。
次に、琵琶湖総合開発計画における下水道事業の進捗率でございますが、平成元年度末で事業費は、流域下水道で79.7%、公共下水道では86.9%、下水道全体といたしましては82.5%となっております。事業の内容を見てみますと、流域下水道の幹線管渠は、計画延長167.4キロメートルに対し112.7キロメートルで67.3%、公共下水道の整備面積は、計画面積6,912ヘクタールに対し4,520ヘクタール、65.4%の進捗となっております。残事業につきましては、さらに事業の促進に努め、早期達成に努力してまいる所存でございます。
2点目の公共下水道の整備とあわせて流域下水道浄化センターの運転状況はどうかとのお尋ねでございますが、公共下水道事業は平成元年度末で大津市ほか29市町で事業を実施してまいりましたが、平成2年度にはさらに新旭町ほか9町の事業が採択され、事業実施市町数は40市町となります。これを事業実施率で見ますと80%となり、全国平均の40%を大幅に上回り、着実に進んできていると考えております。
また、これら公共下水道の整備に伴い、発生する汚水を受け処理を行う浄化センターの運転状況でありますが、浄化センターから出る放流水は水質汚濁防止法および関係法令による排出規制を受けますことから、各水質項目ごとに測定の上、排水基準に適合した水質で放流しているものであります。ちなみに、湖南中部浄化センターにおける本年5月1カ月間の流入下水量の日平均は4万6,000立米であり、その処理後の放流水質の平均値は、BOD1.5ppm、COD5.3ppm、SS0.5ppm、全窒素6.4ppm、全りん0.09ppmでありまして、排水基準を大幅に下回った値で放流いたしております。
3点目の水洗化率とその促進についてでございますが、公共下水道における水洗化率は、平成元年度末で処理区域内人口約28万6,000人に対して水洗化人口は約21万7,000人でございまして、75.7%となっております。
御質問のとおり、市町の公共下水道の整備が進められても、水洗化が図られなければ効果が期待できないことから、市町職員維持管理担当者会議や研修会等を通じて水洗化率向上のための指導を行っているところであり、市町におかれては、広報紙等による啓発、関係地域住民の方々への説明会の開催、水洗化工事施工業者への研修あるいは水洗化工事費に対する融資制度の創設などによりまして、各家庭の水洗化の推進に努めていただいているところであります。県といたしましても、今後とも引き続き各種広報媒体による広報活動あるいは公共施設の水洗化促進など、県と市町の機能分担のもと、関係市町と一体となって促進に努めてまいりたいと考えております。
最後に、各種汚水処理施設によって全県下をどのようにカバーしていくかとの御質問でありますが、下水道計画区域は将来的には下水道施設として整備をしていくことになり、下水道施設が整備できるまでの間においては他の汚水処理施設も生活環境の改善やびわ湖の水質保全にそれぞれ有効でありますので、将来の接続等も念頭に置きながら、各部局調整の上、整備を推進しているところであります。
◎教育長(西池季節君) (登壇)国旗、国歌についての御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、新学習指導要領では、国旗、国歌の取り扱いについて、入学式や卒業式においては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると明確にされております。県教育委員会といたしましては、この趣旨に沿って機会あるごとに市町村教育委員会および各学校長を指導してまいりました。その結果、全県的には実施率を大幅に上げることができました。
具体的には、本年度の公立小中学校および県立高校の入学式における国旗の掲揚率は、小学校99.1%、中学校100%、高校100%であり、昨年度と比較して、小学校では0.9ポイント、中学校では11.6ポイント、高校では4.1ポイントそれぞれ上昇いたしました。また、国歌につきましては、斉唱とメロディー演奏を合わせまして、小学校96.5%、中学校89.5%、高校39.1%であり、昨年度と比較して、小学校では36.9ポイント、中学校では57.9ポイント、高校では24.8ポイントの上昇となりました。
これは、市町村教育委員会および学校の管理運営の責任者である校長が今まで以上にその指導性を発揮し、国旗および国歌の適正な取り扱いに向けて粘り強く教職員を指導した結果であると考えております。しかしながら、国旗掲揚、国歌斉唱の各校における実施状況には改善すべき点もあり、今後に残された課題も多いと認識いたしております。県教育委員会といたしましては、国旗、国歌の適正な取り扱いについて一層の徹底を図るため、今後予定されている管理職および一般教員対象の教育課程講習会、指導主事による計画的な学校訪問などを通じて指導していく所存でございます。
その際、特に次の点に留意しながら進めたいと考えております。1点目は、各学校長にあっては、完全実施に向けて日ごろから全教職員に対する指導を徹底すること。2点目は、教職員にあっては、児童生徒の発達段階に応じて国旗、国歌の持つ意義や内容を正しく理解させ、入学式や卒業式など特別活動の領域にとどまらず、全教育活動を通じて国旗、国歌に対する正しい態度を育成するように指導すること。3点目は、学校にあっては、保護者に対しても機会を見つけて一層の理解を求めるよう努めること等でございます。
21世紀の国際社会で信頼され、活躍する日本人の育成を目指し、自国および他国の国旗、国歌を等しく尊重する心情と態度を育てる教育を関係者が一体となって推進していく所存でございます。
次に、心身障害児の教育問題についての御質問にお答えいたします。
養護学校の通学区につきましては、昭和63年2月定例県議会における酒井議員の代表質問に対しまして、通学区の変更内容をお示しし、これの実施に当たっては、有効に運用できるよう交通事情等を勘案して決定するとの方針をお答えしたところでございます。
御指摘のとおり、適正な就学指導を早急に実施する必要がありますことから、平成3年度に開設する仮称湖南養護学校および三雲養護学校肢体不自由部門に関係する養護学校の通学区の適正化に向けた見直しを、先ほど申し述べました方針に従いまして鋭意進めてまいりました。その結果、仮称湖南養護学校および三雲養護学校の通学区は、昭和63年2月にお示ししたとおりとし、北大津養護学校の通学区につきましては、当時に比べ当該校高等部の生徒数が予想以上に増加している現状や琵琶湖大橋を通行する路線バスの運行状況などを勘案し、新たに守山市、野洲郡を加えることには無理があると判断いたしまして、大津市北部、滋賀郡および高島郡とする考えでございます。したがいまして、守山市および野洲郡は、現行どおり八日市養護学校および八幡養護学校の通学区とする考えでございます。
なお、今後の養護学校の整備計画につきましては、県障害児教育推進計画協議会の報告書の趣旨を考慮いたしますとともに、児童生徒数の推移や交通事情等を勘案しながら検討を進めていく所存でございます。
最後に、交通安全対策についての御質問にお答えいたします。
高等学校での交通安全教育についてでありますが、学校における交通安全教育は、人間の生命の尊重という基本的理念に立って安全に行動できる能力や態度を養い、社会の安全に貢献できるよき交通社会人の育成を目指すもので、学校教育全体を通じて行うこととしており、学校の実情に応じて、目標、指導内容、指導時間などを定めた年間計画を作成し、計画的、組織的に進めることとしております。
こうした目的を踏まえ、県教育委員会といたしましては、昭和57年から継続して実施しております交通安全教育指導者講習会を初め、学校保健、安全講習会、心肺蘇生法講習会を毎年開催するとともに、文部省の作成による高等学校交通安全指導の手引を活用して教員の資質の向上に努める一方、各学校における交通安全指導が的確に実施できるよう、安全主任の設置と校務分掌上の位置づけを明確にして交通安全指導体制の確立を図っております。また、毎月の交通事故集計あるいは全国および県レベルでの交通安全運動実施要領等を各学校に配付し、交通安全意識の高揚に努めるほか、昭和51年から高校PTA連合会の主唱によって取り組まれ、多大の成果を上げております三ない運動につきましても、なお一層の徹底を指導しているところでございます。御質問の各学校における具体的な実施状況といたしましては、例えば、「高校生は交通社会の重要メンバー」とか、「いろいろな道路と安全な行動」、また「自転車を安全に乗るために」というような各学年別の主題を設定し、そのそれぞれについて、指導のねらい、展開の大要、評価の観点等による単位時間ごとの年間計画を作成し、視聴覚教材なども活用して指導に努めております。また、ホームルーム以外でも学校行事として交通安全を取り上げ、特に長期休業前の安全指導として、講演会や映画会の開催など各学校の創意工夫により取り組んでおります。
安全な行動には高い道徳性や自己統制などが大きく作用するものであり、県教育委員会といたしましては、ますます多様化すると考えられます車社会に対応するために、学校はもちろん、保護者、さらには地域と一体となって交通安全教育の充実に今後とも鋭意努める所存でございます。
◎警察本部長(野田健君) (登壇)交通安全対策についてお答えいたします。
本県における昨日現在の交通事故死者数は49人であり、昨年同期と比べ30人、38.0%の減少となっております。発生件数、負傷者数は5件、20人の減少で、昨年同期比横ばいの状況でありますが、死者数については全国第1位の減少率となっております。また、過去10年間の同期の死者数の平均が72人でありますから、この点から見ても大幅に減少しているところであります。
このように交通死亡事故が大幅に減少したのは、関係機関、団体等による総合的な交通安全対策が強力に推進され、県民の交通安全意識が高まったことや交通安全施設の整備等、道路交通環境の整備改善が大幅に図られたことなど、諸対策が効果的に推進された成果によるものと考えております。
まず、県民の交通安全意識の高揚については、次の4点が特に効果を上げていると考えております。
1つは、昨年事故が急増した高齢者、若者等への対策として、県を初め、市町村等関係機関、団体等により、地域において各種の交通安全対策が積極的に展開されていること。
2つは、春の全国交通安全運動以降に、重大事故防止対策の一環として企業を中心にシートベルトの着用指導等が積極的に行われていること。3つは、若者対策として、特に初心運転者を教習する自動車教習所において、教習指導員に対する交通事故現場実習を新たに実施するなど教習内容の充実強化が図られていること。4つは、交通指導取り締まりにおいて、警察官の勤務時間を大幅に調整するなどし、事故多発時間帯に可能な限りの警察官を街頭配置した上、速度違反、飲酒運転等の重大事故に直結する悪質、危険性の高い違反に重点を置いた取り締まりを強力に推進していることであります。
次に、道路交通環境の整備についてでありますが、新設した交通部交通規制課が中心となって従来以上に道路管理者との連携を深めており、道路管理者においても各種の安全対策がとられているところでありますが、警察としては、昨年9月の補正予算により信号機を追加して新設したほか、本年3月の雪解け直後に道路標示を塗りかえるなど、交通安全施設の整備を早期に行いました。また、本年度の当初予算で信号機の新設、道路標識、標示の整備等、交通安全施設整備費について前年比42.4%増という大幅な増額措置を講じ、交通規制のレベルアップを図っているところであります。
これらの諸対策が相乗的に効果を上げ、事故をふやす要素を上回っているため、現時点では死亡事故の減少に結びついているものと考えております。
交通情勢は、運転免許人口、自動車保有台数等の増加による自動車交通量の増大と
社会経済活動の活発化や生活形態の夜型化、若者を中心とするレジャー化の進展、高齢者人口の増加等による道路利用者の質的、量的な変化が顕著に見られるのであります。
交通死亡事故は、全国的にも、また本県を取り巻く各府県においても増加しており、本県においても重傷事故が増加傾向にあるなど、大変厳しい状況にあります。
今後の交通安全対策の大きな柱としては、何と申しましても、県民の交通安全意識の高揚を図ることが第1でありますので、引き続き、関係機関、団体等との連携を一層密にして、交通環境の変化や交通事故の実態を踏まえた総合的かつ体系的な交通安全教育や啓発活動を強力に推進してまいりたいと考えております。また、交通規制、交通指導取り締まりの面では、従来の施策に加え、特に交通安全施設の整備点検や見直しを徹底し機能の高度化を図ること、本年9月から施行される初心運転者期間制度等新制度の早期定着を図り若者の交通事故防止対策を強化すること、近く導入する運転適性検査車を有効に活用し運転者としての高齢者に対する安全教育を強化することなど、諸施策を強力に推進し交通事故防止に努めてまいる所存であります。
○議長(岩永峯一君) しばらく休憩いたします。
午後2時30分 休憩
───────────────
午後2時57分 開議
○議長(岩永峯一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、19番石橋修一君の発言を許します。
◆19番(石橋修一君) (登壇、拍手)第2期稲葉県政スタートという重要な時期に当たり、私は、責任ある与党、草の根県政を推進する県民連合の基本的立場を鮮明にしつつ、代表質問をいたします。
私ども県民連合は、稲葉さんが4年前の知事選挙出馬表明において、草の根県政のたいまつを高く掲げ、厳粛にそれを県政の基本とするという信条と理念、決意を県民に明らかにされたことに、今もなお強く深い一体感を持つものでございます。滋賀県政、稲葉県政が基本とする草の根県政、県民の一人一人が自分のものとして県政を真剣に考える、みずからの責任を常に自覚するという参加する自治、私ども県民連合の理念と一体的共通性の知事の政治姿勢を評価するがゆえに、私どもは稲葉県政の継続を求め、勤労県民を代表する連合滋賀と緊密な連携のもとに今回の知事選挙に直ちに全面的支援に対応したところでございます。
もちろん、今回の選挙は、稲葉さんの出馬決意とともに、当初から独走、圧勝が確定的でございました。稲葉さんだから安心して任せる、稲葉知事さんへの高い信頼度が結果として投票率の低下をもたらしたと言えるのでありますから、それだけに第2期稲葉県政が県民の信託にこたえるに、その責務の余りにも大なることをあえて稲葉知事に直言するものでございます。
稲葉知事の基本的な姿勢は、今日まで知事みずからも明言されておられますように、その政治信条として、私心のない、清潔、公正、誠実さであり、一方に偏らないバランス感覚のよさであり、この道40年の行政手腕を私どもは高く評価している次第であります。2期目の稲葉県政の推進には、この基本姿勢を堅持され、県民の信託にこたえ、21世紀のビジョン達成に努力されんことを期待いたしますし、私どもも惜しみない支援を約束いたすものでございます。
さて、知事は、この選挙に際し、県下くまなく回ってこられ、過去4年間に知事として回り切れなかった地域や町を見てこられました。そして、知事は、本県の自然、歴史、そして人々の温かさを改めて感じてこられたのであります。知事は最近一番感激したことについて、3年前、自然と人間とのかかわり合いを問い、25万人の人々の手をつなぎ、びわ湖を囲んだ「抱きしめてBIWAKO」の成功だったことを述べておられました。知事はこの選挙に際し、東京一極主義を排し、ローカル主義を唱えられ、地方、地域こそ文化、情報の発信地にしたい、そして常に地球の中の日本、地球の中の滋賀という視点の大切さを述べられました。人と自然と歴史、この貴重な財産を大切にして、稲葉県政を推進せしめたいとも述べておられますが、まずこれらの点について、稲葉県政2期目のスタートに当たり、所信をお聞かせください。
次に、住民参加による草の根県政の推進であり、人づくりであります。住みよい湖国づくり、このことは言葉では簡単でありますが、すべての人々に満足していただくことは至難であります。しかし、その目的に向かい、少しでも近づくために、県政すべての部門において人づくりが大切であります。
その人ですが、人がやる気を起こす、人を動かす秘訣は、アメリカ人デール・カーネギー氏の著書「人を動かす」の中で、人を動かす方法はただ一つしかない、それはみずから動きたくなる気持ちを起こさせることである、心理学者シグムンド・フロイト氏は、人間のあらゆる行動は2つの動機から発する、すなわち、性の衝動と偉くなりたいという願望である、またアメリカの哲学者ジョン・デューイ教授は、人間の持つ最も根強い衝動は重要人物たらんとする欲求であると言っておられます。
以上3者の方々の言葉をかりて、やる気を起こさせる人づくりについて触れさせていただきました。これは真理であります。しかし、受けとめ方によっては、出世主義、偏差値社会を助長するかのごとく誤解を受けるかもしれませんが、その前提として、論語の中で、学問的な鍛錬を欠く人間が必ず陥る偏向について、「六言六蔽」の言葉で孔子が子路に戒めている部分がありますが、これらの人づくりについての知事の所見を聞かせてください。
さらに、今回の選挙結果について前段触れましたが、投票率の低さは、知事が求められている県民参加型県政、すなわち、みずから県政に参画するという視点から見ると残念でありました。今後、積極的に県民参加を求める県政を促す方途について一層の工夫が求められますが、この点についての所信も伺います。
近畿圏知事会議など近畿圏の総意を結集する体制のあり方について、知事ならびに関係部長にお尋ねいたします。
知事選挙に際しては、京都府知事や奈良県知事が選挙事務所にお越しくださり激励をいただきました。稲葉知事の再選が決まった後の各界の談話を新聞紙上で拝見いたしますと、荒巻京都府知事が、京滋としてともに地域の発展のために力を合わせて仕事を進められることを喜ぶとされていますし、田辺京都市長は、京都市と滋賀県とは、京都市民の命の水である琵琶湖疏水を初め、極めて密接な関係にあるばかりでなく、隣同士ということから、交通網の整備などお互いに協力して進めなければならない行政課題も数多くある、今後とも力を合わせ、近畿圏の一員として諸課題の解決に努力すると述べられております。
私たち県民連合は、これまでから国土庁大都市圏整備局および近畿2府6県3政令都市で構成される近畿開発促進協議会が中心となって策定した新しい近畿の創生計画──すばるプランですが──へのかかわり方なり、我が県の主張がどのように生かされているかをただし、あるいはすばるプランに明記されていながら、国の機関誘致などの問題で近畿圏各府県が対立なり競合することになっていることを指摘してまいりました。近畿リサーチ・コンプレックス構想で明確に滋賀県に位置づけられながら、京都府とも競合することとなった長寿科学研究機構の誘致問題は記憶に新しいところであります。
県がまとめられた平成3年度政府予算編成に当たっての重点要望においても、国の機関等の設置要望が幾つか上げられております。
まず初めに、国立生態学研究所についてであります。県立琵琶湖研究所において湖沼環境研究の蓄積を持ち、昭和61年2月に国際湖沼環境委員会が設立されるなど、生態学研究に最適の環境にあるとされています。地球規模での環境問題への取り組みの重要性が国の内外で昨今とみに強調されておりますが、今後の見通し等について伺うものであります。
次に、水環境問題についての国連施設の設置に関してであります。滋賀県での立地に向けての体制整備などについては、後ほど質問とも関連いたしますが、ここでは近畿圏で滋賀県の主張がどのように認識されているかということについて伺います。
初めに申し上げた京都市長の談話にもありましたが、私たち滋賀県民はびわ湖が近畿1,300万の命の湖であることを十分認識し、滋賀県民挙げてびわ湖の水質浄化に取り組んでまいりました。多少の生活の不便があっても、石けん使用の推進やみずからの生活排水にも目を向けてきましたし、下水道の第3次処理の実施や琵琶湖
水質保全基金構想の提唱など、滋賀県のびわ湖にかける姿勢は下流府県にも十分認識いただいていると考えるものであります。
ところが、国連環境計画──いわゆるUNEPですが──が進めている内陸水域の環境管理計画推進のための施設設置について、世界湖沼会議を開催し、国際湖沼環境委員会──ILECですが──が設置されている我が県の設置運動に競合する形で、大阪市が花博の跡地にUNEPの公害防止技術センターの誘致を発表され、滋賀と大阪という近接した地点にそれぞれ国連機関が設置できるのかどうかということで、滋賀県の設置運動も進展が見られない状況になっていると仄聞いたします。環境問題の先進県、環境政策の発信県としての評価を得たい我が県として、近畿圏の中で命の水を預かる立場からも、主張すべきことは明快に主張すべきだと考えますが、知事の所見を求めるものでございます。
第3に、仮称全国市町村国際文化学院についてお尋ねいたします。この施設は、財団法人全国市町村振興協会が設置を検討されているものでありますが、近畿圏の中で、これも京都、大阪と競合しているようであります。今日までの状況と見通しについて伺います。
知事選挙が行われている最中、6月11日に、三重県、福井県も含めた近畿知事会議が開かれました。この会議の主要議題は急務を要する土地対策が中心だったようでありますが、近畿圏の課題の調整について知事会議の果たす役割はますます高まろうと考えます。積極的に滋賀の立場を主張することについて、知事の今後に臨む姿勢について所見をお尋ねいたします。
次に、世界に貢献する水環境問題について質問いたします。
琵琶湖条例制定10周年を記念して、去る6月30日から記念事業が開催されました。県民がかけがえのないびわ湖をこれ以上汚してはならないという自覚のもと、石けん運動を起点に環境運動へと発展し、そして水環境については世界の発信地として前進を見るに至りました。この条例が果たした先駆的な役割は大変大きなものがあります。湖沼法制定への中心的役割、琵琶湖研究所での推進、そして世界湖沼会議の開催等々、一自治体としての役割を超えた大きな国際交流への貢献へと着実に歩んでいるのであります。これには、「抱きしめてBIWAKO」に見られるがごとく、多くの県民が、水環境、びわ湖運動へ参加する力強い後押しがあるからであり、こういった地域の特性を生かした大きな広がりを今後なお一層期待するものであります。私どもは常にこれの推進役を務めてまいりたいと思います。
さて、本年1月にUNEPがびわ湖畔に国連の研究機関の設置を決定したとの報道があり、誘致に対して積極的に対応されてきた本県としては早速ながら関係機関との協議等が進められ、政府要望としての運動を続けてまいりました。UNEPの関係からも前向きに検討しているとの確認をされています。この国際センターは、淡水資源のモニタリングとマネジメントの総合機関として建設したいという意向であり、湖沼の水環境問題を核とした情報発信基地となるべき県の姿勢が最大限生かされるのであります。
しかしながら、その後、大阪市が花博の跡地にUNEPの公害防止技術センターの誘致を発表、このため、関係者においては2カ所の独立した施設を設置していくのか否か、この対応に苦慮されているのでありますが、強力に誘致を進める本県としては、用地の提供や建物についてもその建設費用を考えたいと言及されてきたのでありますが、私どもはもう一歩踏み込んだ積極姿勢がこの際必要であると認識し、提言を申し述べ、所見を求めるものであります。
びわ湖畔においてその候補地を選定していきたいとの意向でありますが、交通アクセスも勘案した場所の提示を急がなければならない、いわゆる場所が決定されなければならないと思います。建設費用についても、施設内容の原案が固まらなければとの考えもありますが、求められる施設の規模や性格づけを整備し、どれぐらいの建設費用が必要であるかをさらに詰める必要があり、これに基づき、本県において予算計上等具体的な財政措置が必要と考えます。
こうした視点は、知事がかねてから明言され、また本議会冒頭の所信表明でも地球環境の問題を取り上げ、地域からの発想が地域と世界をじかに結ぶ国際化の一つの確かな方法である、碧いびわ湖を守る私たちの取り組みが人類に役立つ県づくりに通ずると滋賀の役割を述べておられますことからも当然と思われます。世界に貢献し評価される郷土滋賀を築き上げる立場から、知事の決意を求めます。
私どもは、この質問をしながら、一地方自治体が地球規模での知恵と体験を出し合う会議、世界湖沼会議が初めて本県で開催されたときを思い起こしております。文明の症状を映す鏡とも言える湖沼を健全な状態で未来の人類に保ち継承していく必要があると琵琶湖宣言が採択されました。当時、トルバ事務局長は、具体的な行動に移さなければ意味がないと熱弁を振るっておられました。本年9月には中国で第4回の世界湖沼会議が開催されます。本県も当然ながら参加いたしますが、湖沼会議に臨む姿勢と会議に期待するものを示していただきたい。そして、琵琶湖宣言がその後どのように生かされているのかを明確にされたい。さきの質問で述べましたように、近畿各府県との調整が不可欠であり、びわ湖の恩恵に浴する下流住民も本県の環境行政には無関心ではいられないはずであります。びわ湖を国際交流の舞台にしていくために知事の御活躍を一層期待し、この質問を終わります。
次に、ゴルフ場問題について質問いたします。
環境問題を県政の最重要課題とする滋賀県として、ゴルフ場への誤りのない対応も県民の大きな関心事であります。
リゾート法が拍車をかける形となって、全国的にゴルフ場建設は第3次のピークを迎えておりますが、時期を同じくするように、開発か保全かという自然環境への論議に加えて、農薬使用による安全性の可否が課題となってきているのであります。
いつのときもそうであるように、このことに関しても国の応対はおくれているのであります。住民の声により、本年3月現在、22の都道府県が条例、指導要綱によるゴルフ場開発規制を、24の県が農薬の安全な使用方法についての要綱をつくっております。滋賀でも、ゴルフ場における農薬の安全使用に関する指導要綱の制定とそれに基づく調査や農薬取扱責任者の研修実施等、一連の対応はそれなりに評価をいたすものであります。
しかし、農薬は、水質調査の結果からは直ちに問題とはならない、使用法を守れば安全は確保されると考えるという農林部長の答弁がありました。しかし、絶対に安全だと言い切れる農薬はあり得ませんし、経年使用による蓄積がどう影響を与えるのかも科学的に確定されておりません。全国215のゴルフ場が加盟するゴルファー緑化促進協力会も、必要以上の農薬使用があることを認めて、加盟ゴルフ場に対し削減指導を始めておりますし、昨年10月にオープンした佐賀県の嘉瀬川リバーサイドゴルフ場のように、全国で初めての無農薬ゴルフ場を宣言し、そこでプレーするゴルファーにも除草に協力を求め、人気も上々であるという事例も見られるのであります。そこへ出現いたしましたのが千葉県知事によります新設ゴルフ場に対する無農薬化の英断であります。やるなら無農薬でいくしかない、既設のものについても使わない方向で厳正に指導し、将来的には県下のゴルフ場すべてで農薬は使用しないものとしたいとの姿勢には、環境庁長官の評価をしたいといった発言を引き出してまいりました。
さきの知事選でも10の政策のトップに掲げられ、本定例会の施政方針でも冒頭に申されました碧いびわ湖を取り戻し、自然と人が共存する郷土を未来に引き継ぐことは、私ども滋賀に住む者として常に第一番に願うことであります。環境先進県、滋賀の知事として胸を張れるゴルフ場の農薬使用対策について所信を伺うものであります。
次に、いわゆるゴルフ場数の総量規制についてであります。全国的には現在1,718のゴルフ場が営業中であり、計画中のものを含めますと、さらに1,259が新設され、総面積も大阪府をしのぎ、東京都に迫る面積を占めると言われています。
滋賀県においても、リゾート計画地区内の4を足しますと15カ所のものが確実に増設されます。総面積も長浜市に相当する面積と言われています。荒廃したどうしようもない地域での新規開設ばかりであるならばよいかもしれませんが、県下にはそういった場は少なく、ほとんどの予定地が現在美しい緑と自然に恵まれたところであろうかと考えます。もちろん、地域の活性化、振興に期待をかける地元の意向もあろうかとも存じます。現在、県下でも28の市町村にゴルフ場利用税、元年度で20億7,085万円の10分の7が交付をされ、自治体が潤っているのも事実であります。貴重な財源であることも否定できません。しかし、開発と自然保護を考えたとき、どこかで線を引かなければ秩序は保てないのであります。全国的にも多いところで3%以内、少ないところで1%以内として、方向的には規制強化に向かっております。我が県でも凍結していた規制を緩和した経過はありますが、県下の営業中のゴルフ場は既に県面積の1%を超えており、確実に設置される計画段階のものを加えるなら、さらにその占める率は1.2%となろうとしている現状を見ますと、再度規制を考えるべき時期に来ていると考えるものであります。この点につきまして知事の所見を求めたいと存じます。
次に、全国的にも言えることでありますが、なぜか今度のリゾート計画の中には必ずゴルフ場がセットされています。いわば、リゾート開発の定型パターンというものができつつあるように見受けられます。なぜ脱却できないのか、ゴルフ場にこだわるのかという思いもするものであります。そういった画一的なパターン化を避けたリゾート計画の指導についても工夫する必要があろうかと思うのであります。企画部長の見解を伺います。
最後に、急激な移行をたどる高年齢化社会の出現に呼応して誕生してきたシルバー的な産業が、本来の福祉の精神から逸脱して財テク等の勧誘などお年寄りを食い物にした事例が報道されておりますことも関連することであります。ゴルフ場の会員権の売買に拍車をかけ、会員権が投機の対象となって絶好の財テク手段となっていることであります。スポーツ紙にも各ゴルフ場の会員権相場が掲載され、今日、県下のゴルフ会員権も100万円台から1,000万円台となり、数年前の十数倍と言われています。こうしたことがゴルフ場開発ブームをさらに加熱させているとしたら、特に紳士的なスポーツとされるゴルフにふさわしくないものでありますし、社会的な影響についても放置できないものと考えるものであります。こうしたことにも健全化が求められるべきでありますが、消費生活相談の実態と被害防止について生活環境部長に伺います。
健全な明るいスポーツとしてのゴルフ場が、農薬の使用が抑制され、びわ湖の自然に少しでも不安を与えない、健康と安全管理の行き届いたものとして認定される環境に優しいマル適マークの入ったゴルフ場といった方式で親しまれるものとすることも一考かと思いますが、実現に向けて県下のゴルフ場協会との話し合いをされることを提案し、企画部長の所見を求めてこの質問を終わります。
次に、平成3年度政府予算編成に当たっての要望事項に関し質問をいたします。
今回の要望は、琵琶湖総合開発の推進を初め、人づくり、地域経済の振興、県土基盤の整備など、新規2件を含め全部で67件であります。いずれも本県の将来にとって重要なものであり、湖国21
世紀ビジョンを具現化するために不可欠なものと考えますが、稲葉第2期県政がスタートした現在、対政府交渉を進める上で特に重要視し、重点的に推進しようとされる項目およびその考え方を明らかにされるよう求めます。
次に、琵琶湖総合開発についてでありますが、法期限を目前にして
地域整備事業の大幅な進捗を強く要望されていますが、事業費の予算は前年度より103億1,000万円少なくなっています。各事業の規模と進捗状況が異なるためと考えられますが、なぜこのようなことになるのか。最終段階を迎え、まずは大幅予算の確保が必要と考えますが、実情を説明されたい。また、法期限である平成3年度末までに21事業のうち完成見通しのある事業を明らかにされるよう求めます。
先般、日米構造協議の第5回会合が開催されました。協議の焦点であった公共投資10カ年計画については双方で激しい応酬が交わされた結果、結論として430兆円、下水道の総合普及率を70%、生活関連投資の比率を6割程度とするということで合意を見るに至りました。
そこで、この際、日米構造協議の合意点をてこにして、本県としては特に緊急かつ重要課題である下水道事業の整備について早期促進を目指し、またその他の生活関連公共事業の推進拡充等、政府に対し強力に働きかけその実現を期すべきと考えますが、所信をお尋ねいたします。
第4点は、自治体の自立性を強化し、住民福祉の安定、向上に寄与するための財源確保についてであります。今回政府要望する事項のうち、ここ数年間同様の趣旨で続けて要望しているものが全体の約3分の2あります。他府県についてもほぼ同様な傾向ではないかと思われます。このうち、制度の創設などに関するもの、本県独自のものは別として、他府県とも共通する事業量、事業費などの要望については、地方の自立性、事務手続の簡素合理化の観点からも整理できないものかどうか。特に同一目的補助金の整理合理化による統合メニュー化、公共事業関係における地方自治体ごとの独自性の発揮や政策選択の余地を多くするための第2交付税制度の創設などについて政府に対し強力に働きかけるべきだと考えますが、見解をお尋ねいたします。
最後に、政府要望の実現に向けての本県の体制についてであります。このことについては、執行部、議会を初め、多くの関係者がそれぞれの立場で精いっぱいの努力をしており、我々県民連合も先般
びわこ空港の早期実現について運輸省初め関係先に要望してきたところでありますが、関係者の努力にもかかわらず、思うように進捗しないものもあります。長寿科学研究機構が日の目を見ることができなかったのはまことに残念でした。こうした経緯を踏まえて、これからの政府要望は、形式的な活動にとどまらず、今まで以上に幅広い関係者の意思統一と活動、例えば、本県出身者や本県に勤務されたことのある官界、学界等関係者にも情報の発信や情報収集し、理解と協力を得ながら強力な組織的要望活動を展開することが肝要と考えます。これらの点につきまして、今後の対応について企画部長の所信を問うものでございます。
次に、大学、短期大学等の誘致と地域の活性化について伺います。
情報化や高度技術化の進む中で、大学、短大など高等教育機関が人材育成や学術研究のために重要な役割を果たすことが期待され久しくなります。本県においても、大学、短大の誘致、設置については積極的に推進されてきたところでございます。
一般的には、大学、短大の誘致、設置の背景において、我が国の高等教育機関は初期の明治時代において極めて政策的に全国に配置することが計画され、実際には帝国大学は明治から昭和にかけて、東京、京都、仙台、福岡、札幌、大阪、名古屋の順にバランスよく配置されてきました。また、旧制高校は城下町を中心に、実業専門学校は関連のある産業都市に、師範学校は全国ほぼ均等に配置されていたのであります。しかしながら、大正期以降、大学の増加の中心が私立に移るとともに大都市への集中が目立ち初め、全国的に大学、短大の地域分布の極端な偏りとそれによる進学負担を初めとする地域間格差が生じてきました。しかしながら、それだけでなく、地域において従来と異なる視点からの大学、短大への期待、ニーズが高まってきたことも誘致、設置ブームにつながったと考えられています。それらは大きく以下3つの視点に要約できます。
第1は、進学機会の拡大です。平成元年度学校基本調査報告書によりますと、本県の県内高校卒業者のうち、大学、短大に進学した者6,957名、県内にある大学、短大に入学した者は2,976名で収容率43%となっており、全国ワースト5位であります。もとより、大学、短大というものは、本来狭い地域の中の自給的な存在だけでなく、分野、レベルによっては全国あるいは世界を単位としてとらえるべきだと言えます。また、実際にも、専攻、学力等の個別要因が加わって極めて複雑な流動となっています。しかし、これまでの幾つかの事例によりますと、大学、短大の誘致、設置による入学枠の増大は、直接県や地域の進学率そのものの向上にはつながらないが、県内大学への進学者比率は確実に押し上げられると言われていますし、遠隔地への進学に伴う下宿費等の経済的な負担の低減には有効であります。
第2は、産業基盤確立にかかわってであります。経済、産業活動の情報化は、全国的な変化でありますコンピューターや通信回線といったハード面よりも実際には職業構造の変化が最も大きいものであり、これによってほとんど全産業にわたる高学歴労働力のニーズが生まれてきています。ここから地域産業への人材供給源という期待が大学、短大に寄せられるのであります。しかし、地方の中小都市は4年制大学卒業者が満足感を持って働ける職場が必ずしも十分にあるとは言えない、こういった現状であり、その大学の評価が高いほど、むしろ卒業生は大都市に行ってしまうという矛盾があります。
情報化時代のもう1つの側面として、技術や情報へのニーズの高まりであります。本来、研究者の集合体であり、内部に図書館機能を持つ大学はこの面で極めて頼りになる存在であるはずであり、誘致に際しての地元産業界の期待が大きいものであります。また、経営、技術開発等のより実際的な課題について、大学の教員による指導、コンサルティングも期待されております。
第3は、文化基盤の確立にかかわってであります。一般の市民との関係において期待されるのが大学、短大の文化的機能であります。通常、大学、短大は講堂や多くの教室があり、さまざまな専門を持つ学者が集合しています。また、図書館にも地域の公立図書館とは異なる高度な専門書が多数集積されています。これらの資料を市民のために活用することが一般に期待されているのであり、社会教育活動への人的協力や施設の利用開放を大学、短大の誘致の際、学校側に要求し条件づけしている例も見られます。
また、本県の今年度における高等教育の充実への展開についてであります。
高等教育機関の総合整備推進のため、高等教育検討委員会で検討されているところであります。また、高等教育機関、試験研究機関等の誘致推進のため、またミシガン州立大学連合日本センターの整備運営、竜谷大学や立命館大学の整備促進、近江八幡市への職業訓練短期大学校の誘致に成果を上げられました。また、新規事業の生態学研究機関構想の推進、さらには高等教育機関の充実として、新規事業として県立短期大学4年制化検討調査も実施中であります。滋賀大の経済学部と教育学部の統合等もあります。加えて、県内市町村においても大学、短大の誘致、設置の話もあるやに仄聞いたしておりますが、これらのことについて文部省や大学側の対応、これに対する県の考え方等について企画部長に伺うものであります。
次に、学生諸君にとって本県誘致の大学等について楽しい学生生活ができるか否かであります。
本県の居住環境、すなわち大学周辺の町で満足でき、多様性を持つ衣食住の提供、若者が集え憩える場所、スポーツとレクリエーションが手軽にできる場所、洗練された都市機能を持っているか否かであります。彦根の既存大学に加え、ミシガン州立大学連合センターの開設、大津の4大学、草津の立命館大学理工学部の誘致、長浜、八日市にある大学など新設、既存施設を問わず、今後学生諸君にとって魅力ある大学を目指すには、自然に恵まれつつ近代文化都市にふさわしい文化性を持つ居住環境を整えなければならないと思われますが、この点、県、市において双方の努力を求められることになりますけれども、いかがでしょうか。大学誘致に伴うJR等交通手段の改善、居住環境の整備についての見解を企画部長に伺います。
次に、高齢者対策について伺います。
我が国は、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は21世紀初頭には23%を超えるものと予想されております。超高年齢社会に対応した福祉、保健、医療のシステムを構築することが急務であります。寝たきりや痴呆性のため介護を必要とする高年齢者は、現在全国では、寝たきり老人でおよそ60万人、痴呆性老人はおよそ59万人と推計されておりますが、10年後には、寝たきり老人でおよそ100万人、痴呆性老人でおよそ112万人と予測されています。
高齢者を家庭で介護することは高齢者自身の願いでもありますが、介護者が高齢化してきており、しかも家族での介護負担は相当大きなものとなってきております。したがって、家庭の負担のみに頼らず、高齢者が在宅で生活可能なように各種の福祉サービスがされ、生活に身近な地域でそのサービスを受けられるような新たな仕組みを整備する必要がありますが、国においては、さきに厚生省が高齢者保健福祉推進10カ年戦略を提示し、生活に身近な地域に福祉サービスを整備して、高齢者がそのサービスを利用しながら地域の中で生活できるような豊かな社会づくりを目指したいとしております。
県においては、昨年8月に在宅老人福祉緊急整備基本方針を策定し、さらに国の高齢者保健福祉推進10カ年戦略を踏まえた県としての10カ年戦略といったものを取りまとめたいとしておりますが、高齢者が福祉サービスを利用しながら地域社会の中で生活していくような社会を築くためには、従来の計画にも増して充実した対策を推し進めることが必要であります。
そこで、高齢化対策の推進について厚生部長にお尋ねをいたします。
第1点として、去年8月に策定した在宅老人福祉緊急整備基本方針についてでありますが、本方針は75歳以上の人口1,000人当たり8.5人の家庭奉仕員の設置、サービス内容の迅速適切化であり、ショートステイ用の専用ベッドの増設、デイサービス施設の整備充実等による具体的な設置目標数が定められておりますが、これらの県、市町村の具体的な対応状況とその
進捗見通しをまず伺います。
第2点として、国の高齢者保健福祉推進10カ年戦略においては、市町村における在宅福祉対策の緊急整備、寝たきり老人ゼロ作戦の展開、施設の緊急整備等について今世紀中に実現を図るべき目標を掲げ、これを強力に推進することとしておりますが、県における家庭奉仕員増員等の在宅福祉対策の緊急整備や寝たきり老人ゼロ作戦についての取り組み方策はどのように考えておられるのか。とりわけ、骨折、脳卒中による寝たきり老人が大きな原因のようでありますが、日本の家屋の構造上および居住環境の問題などについての所見をお聞かせください。
第3点は、特別養護老人ホームの整備についてであります。新社会福祉計画によりますと、平成7年度末の整備率を24カ所、おおむね65歳人口比1%とされておりますが、既に全国平均が1%を上回っていること、また最近の入所待機者が100名前後とふえてきている状態であることにかんがみ、また75歳以上の後期高齢者の増加により痴呆性老人や問題行動を伴う老人がふえてきていると聞き及んでいますが、重度の痴呆性老人等に配慮した施設の整備計画も含め、どうされようとしておられるのか伺うものであります。
次に、湖北病院に併設されました老人保健施設についてであります。この施設は、寝たきり老人等の要介護老人にふさわしい福祉サービスと医療サービスをあわせて提供して、その自立を支援し家庭への復帰を目指す施設として創設されたものであります。昭和63年4月から本格実施されて以降、この施設へ入所された老人の表情が自宅や病院におられたときよりも明るくなったとか、かなりの方が精神的、肉体的に改善され、退所されていると聞いているところであります。今後ますます増加する要介護老人対策のかなめとなる施設として大きな役割を果たすと思いますが、国の高齢者保健福祉推進10カ年戦略では、この老人保健施設を今後10カ年で28万床を整備することとしておりますけれども、本県においてはこの施設の設置に対してはどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
以上、何点か具体的にお尋ねをいたしましたが、レイカディア10か年プランなり21
世紀ビジョンづくりに向けて、福祉、医療関係のハード、ソフト両面における取り組みは全国レベルから見て相当ピッチを上げなければならないと思われますが、厚生部長の所見を伺います。
次に、地価対策であります。
知事さん、住宅供給公社が昨年4月より栗東、甲西、守山地区に74戸の分譲が行われました。その平均価格は、御承知だと思いますけれども、3,115万5,000円でした。応募倍率は最高670倍であります。平均の倍率が67倍であります。この現実を知事としてどのように見ておられるのか、まず所信を聞かせていただきたいと思います。
この地価対策については、昨年12月、本年2月と本議会の代表質問において取り上げてまいりましたが、土地問題は今日の緊急課題であります。本県にとっても大変ゆゆしき問題でありますだけに、今議会でも質問をいたしたいと思います。
私どもは今日まで、地価対策について、監視区域の指定、積極的な運用、土地基本法の制定を踏まえ、金融機関や宅建業界への行政指導を、また土地利用計画の見直し等の提言をしてきたところであります。さて、その後、私どもの提言も踏まえて、3月15日あるいは4月2日と監視区域の拡大指定および届け出対象面積の引き下げを実施され、3カ月間経過いたしました。このことにより、担当課において応対、業務処理など大変事務量がふえていることと推察するところでございます。これら監視区域の拡大、届け出対象面積の引き下げ後の効果等を踏まえ、具体的な変化について伺うものでございます。
次に、土地利用基本計画に基づく各種土地利用の調整と線引きの見直しでありますが、このことは国土利用計画地方審議会での議論を待つとのことでありますが、その後具体的な動きがあったのか否か、今後の見通しについても伺うものであります。また、市町村の国土利用計画についてでありますが、未策定市町に対する指導はどうであるのか、企画部長に伺うものであります。
次に、企業等においての本県における未利用の土地の実態はいかがな状態なのか問うものであります。また、どのように指導されるつもりなのか伺います。
次に、今日のように、地価暴騰によって法の盲点をつき不正に土地利用をたくらむ動きもあります。例えば、市街化調整区域における農家住宅の建築確認申請であります。農家の場合、次男坊対策として調整区域でも家屋は建てられます。そのことを悪用して、一定の手続をとった後第三者に転売するというケースです。現にそのことで問題になっている事例もあります。何分、建築基準法と都市計画法との法の目的が異なり、この間隙を悪用されております。また、農業を営みつつ宅建業をされている場合は名義利用の面で悪用されるケースも起こるものと思われますが、これらの点について土木部長の見解を求めます。
次に、地価が上がれば土地利用は高層化建築を指向され、マンションの建設、しかも、湖南では学生もふえるということで、回転率のよさからワンルームマンション化へと進んでおります。近隣の人々とのトラブルも起こります。とりわけ駐車場の確保でありますが、以前にも指摘いたしましたけれども、60%の駐車場率はいかにも現状にマッチしていない。一家に1台から2台の車を所有する時代にあって、60%はいかにも低過ぎます。ましてやワンルームマンションの場合はなおさらです。当然の結果として路上に車があふれ、防災面や居住環境に悪影響を及ぼしますが、この点について土木部長の見解を求めます。
次に、最後になりますが、第二名神高速道について伺います。
去る6月21日に建設省が高速自動車道についての環境アセスメントを始めると発表されました。そこで、以下簡単にお尋ねをいたします。
まず、現名神高速道と第二名神高速道の構造、性格等の相違点についてはどういうことか。次に、本県の通過ルートについてはどうなっているのか。現名神と第二名神との接続地点についてはどうなっているのか。第二名神ルートに関連する幹線地方道の整備計画はどうなのか。また、それに伴う地価対策および土地利用計画について、拡大あるいは引き下げ、あるいは改正などについて考えておられるのかどうか。
以上の諸点を土木部長に伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(岩永峯一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
19番石橋修一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)石橋議員の代表質問にお答えをいたします。
私が知事に就任しましてからの4年間、県政をお預かりするものとして最も印象深く、また心強く感じてまいりましたのは、県内各地における自主的な
地域づくり活動の活発化であり、その象徴的な出来事として「抱きしめてBIWAKO」があると思うのでございます。提案説明でも申し上げましたように、20日間の選挙期間中、びわ湖を3周し、県内各地をめぐり、一層その感を深くいたしました。平生とは違った目で滋賀県を見詰め直し、地域の人々の生活に肌で触れ、私たちの持つ資産の豊かさというものを再認識いたしました。自然も人も生き生きとした滋賀県、そうした姿を本当にうれしく思うとともに、この芽をさらに大きく育てていきたい、いかなければならないと強く感じたところでございます。
21世紀はあと10年というところにまで迫ってまいりました。高齢化や国際化や高度情報化というような潮流が渦巻く中で、ゆとりや豊かさを実感できる社会の建設が切実に求められております。私は、物質的な豊かさとともに、自分の能力を十分に発揮しながら、社会の一員として貢献しているという意識もまた豊かさの実感の大きな要素ではないかと思うのであります。その際に、地域というものは大変見えやすく、また参加しやすい存在であります。従来のような政治や行政を進める側からの均一や効率を重視した発想ではなく、地域に生活する者の目で見、知恵を出し合い、力を合わせて取り組んでいく、いわゆる生活者の発想がそのような社会の実現には不可欠になってくると考えるのであります。県内の各地に人があり、知恵があります。そこに幅広い視野に立った行政の支援を加えていくことによって、本当にダイナミックな、ともに手ごたえのある血の通った県政が展開できるのではないかと存じます。地域に根を裾え、よそにはない資産を最大限に発揮することこそ地方行政の基本であり、東京一極集中に歯どめをかける道であります。また、そのことが、水環境問題への取り組みが示すように、地球規模の課題に貢献できる滋賀づくりにつながるものであると考えるところでございます。
今、私たちは変革の波に直面しながら、21世紀に向かってしっかりとレールを敷かなければならない大切なときを迎えております。びわ湖の水質に象徴されますように、滋賀県にとっても極めて重要な時期を迎えております。これからの4年間は県政の正念場であると言ってもよいのではないかと考えておりますが、議員各位の御支援とともに、県民の皆様と手を携え、ともに築く県政、これをさらに徹底して推し進めていくことにより、確かな礎を築いてまいりたいと存じます。
そうした中で、人づくりと草の根県政の推進についてでありますが、やる気を起こさせる人づくりとなりますと、社会学や心理学の分野でも多くの研究が行われておりますが、私は行政という面から、特に町づくりの観点から、人づくりの根底は、県民の皆様に郷土への愛情、誇りを持っていただくことが最も大切ではないかと思っております。このことが、みずからの住んでいる地域をよくしていこう、多くの人に地域のよさを知ってもらおうという行動につながるものだと思います。
こうした人づくりを進めるためには、県民の主体的な学習活動や町づくり活動を積極的に支援し、郷土の歴史を知る機会や自然に親しむ機会、あるいは人と人とが交流する機会の拡充に努めること、そして行政みずからも県民と一緒になって地域の個性を十分認識し、滋賀らしい施策を推進することにより、より魅力的な地域をつくる、そうした取り組みが必要であろうと思います。これまでも開かれた県政を基本に、県民と行政が一体となる取り組みをさまざまな分野で展開してまいりました。今後ともさらにこうした取り組みを強め、こうした郷土への愛情、誇りを持つ人づくりを進めることが、県民意識を滋賀という共通の土壌の中に醸成し、県民の行政への参加意識を高めていく上で最も肝要なことではなかろうかと考えている次第であります。
次に、世界に貢献する水環境問題についての御質問にお答えします。
本県は、湖沼の水環境問題を核とした世界に向けての情報発信基地たるべく、世界の湖沼情報の収集提供、湖沼管理のためのガイドラインづくり、世界湖沼会議開催への協力などにこれまでから積極的に取り組んでまいりました。
このような本県の取り組み、従来からのUNEPとの協力関係からしても、UNEPの水環境問題に関する施設については、世界的に見ても本県がその設置場所として最もふさわしいと確信しておりますし、UNEPにおいても本県の施設誘致に対して前向きに検討をいただいているところであります。
UNEPの意向からしますと、施設の持つべき機能としては、湖沼環境管理部門、いわゆるマネジメント、湖沼環境監視部門、いわゆるモニタリングおよび湖沼環境管理監視のための人材養成部門、いわゆるトレーニングの3つの機能が考えられます。
しかし、誘致実現のためには、御提言のように早期に誘致場所を決定する必要もありますし、施設の内容、規模などの詳細についてもさらにUNEP側と詰めを行って、どれぐらいの建設費用がかかるのかを把握する必要もございます。また、運営資金問題、外交特権の問題等、乗り越えなければならないハードルが残されております。中でも用地や建物は、UNEPの施設内容がもう少し明らかになってきた段階で国とより一層突っ込んだ協議を進めてまいらなければならないと考えております。また、国連職員の外交特権等の国際法上の問題とともに、運営費用負担の問題についても国との間で協議をしていく必要があります。
美しいびわ湖、碧いびわ湖を取り戻すために、私たちの取り組みを通じて世界に貢献していくためにも、UNEPの施設の誘致はぜひとも実現したい課題であり、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、これからの折衝に当たってはさまざまな条件が出てまいると思いますけれども、議員各位、県民の皆様の絶大なる御理解と御支援をお願い申し上げるものでございます。
なお、大阪市が誘致を要望しておりますUNEP施設としての公害防止センターと本県が要望しております水環境に関する施設とは、先ほど申し上げましたように、その施設における目的、機能は競合しないし、また調整も可能と承知しております。しかしながら、同じUNEPの施設でありますので、近畿圏の中で一遍に2カ所となりますと、国際的に見ましても複雑な問題も出てまいります。私たちの考える理屈だけではいかないこともあり得ると予想されますので、本県への設置が最もふさわしいという立場を明確に主張し、実現に向けてさらに積極的な誘致要望活動を展開してまいる所存でございます。これについては、近畿圏においても十分御理解いただけるものと思っております。
次に、第4回世界湖沼会議の参加に臨む姿勢と会議に期待するもの、および琵琶湖宣言がその後どのように生かされたかということでございます。
第4回世界湖沼会議は9月に中華人民共和国杭州市で開催され、県からは約37名の代表団を派遣する予定をいたしております。この会議も第4回目を迎え、滋賀県、アメリカ、ハンガリー、そして今回は中国で開催されることでも御承知いただけますように、さまざまな国でさまざまな議論が展開されてきました。私たちが地球上で共有している水、とりわけ湖沼は淡水資源として最も豊富で安定的であることから、この重要性は年々認識が深まりつつあります。
さて、今回の開催国であります中国は、国土も日本の約26倍、人口も日本の約10倍、世界の約5分の1を占めており、保有資源の面からも今後開発が進められる可能性が高い、いわば途上国でありますが、このような国での開催も初めての経験であり、アジア、アフリカの途上国からも多くの方が参加されると聞いております。先進国に比べ湖沼管理が立ちおくれている途上国が加わって議論が行われる一つのモデルとしても、貴重な会議となることを期待しているところであります。
また、会議の議題について申しますと、本県に本部があります国際湖沼環境委員会──ILECが分担いたします「市民運動と環境教育の役割に関して」と題するセッションを設け、滋賀県代表団として海外では初めて住民代表の方に発表者として参加していただくこととしておりますし、また環境教育の実践報告や世界湖沼環境状況調査の発表など、従来にも増して積極的な姿勢で臨むこととしております。もちろん、多くの国から私たちが学ぶべきことはたくさんありますが、滋賀県が持つ経験、知識、そして住民の方々の苦労や実践活動をより多くの国の方々に知っていただき、行動する滋賀県、貢献できる滋賀県をアピールしていきたいと考えております。
次に、琵琶湖宣言についてでございますが、第1回世界湖沼会議の成果であるこの宣言は、我々に多くの教訓と課題を与えてくれました。地球上に存在する水のたった1%にも満たない淡水が人間にとって利用可能な水でありますが、それにもかかわらず、川や湖の水は苦しんでいる、この反省に立った琵琶湖宣言は、私たちにとっても実行しなければならない必要最小限の提案であるはずであります。
提案にあります主なものとしまして、湖沼の機能を発揮しつつ人間活動と自然の調和を図ることについては、毎回湖沼会議でも議論されておりますし、近年はそれらが各国の環境施策やアセスメントで反映されてきております。また、国際交流の必要性については、ILECの設立や継続的な世界湖沼会議の開催を行い、人材養成や住民活動の面では、ILECと国連機関による開発途上国におけるトレーニングセミナーの開催や技術者実務の研修、環境教育モデルの作成などを実践してきました。
今、世界では地球的規模の環境問題が大きくクローズアップされておりますが、琵琶湖宣言は6年前にこれを先取りした将来を見据えたものでありましたし、本県は可能な限りこれらの具現化に精力的に取り組んでいるところでございます。まだまだ不十分なところもありますが、今後も一層宣言の趣旨を踏まえ、湖沼の健全な管理に努めていく所存でございます。
次に、近畿ブロック知事会議等に臨む姿勢についての御質問でございますが、社会経済情勢が激しく変化し、また政治、経済、社会の高次機能が首都圏へ一極集中している中で、21世紀の我が国の発展を確かなものとしてまいりますためには、近畿圏が我が国の新しい時代への先導的役割を果たす圏域として発展していくことが期待されているところであります。こうした中で、近畿2府6県の知事が相集う近畿ブロック知事会議におきましては、圏域として共通する重要課題について協議を行うとともに、圏域が持つさまざまな可能性の展開や課題の解決に向けて調査研究を行ってきているところでございます。
このような圏域としての取り組みにおきましては、各地域がそれぞれの多様性、特性を生かしつつ、競い合う中から圏域全体としては調和が図られるよう方向性をしっかりと見きわめる、そのためにも、本県の特性を生かし、また21世紀の滋賀を築いてまいります上で、必要なものにつきましては本県の立場から大いに主張し、議論し、切瑳琢磨しながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ゴルフ場問題についてお答えします。まず、農薬使用対策についてでありますが、今、環境問題は最大の関心事であり、とりわけかけがえのないびわ湖を抱えている本県といたしましては、より一層の適正使用を図ることが重要なことと存じます。農薬の使用に当たりましては、人の健康面への安全を確保することはもちろんのこと、自然への影響を与えることがあってはならないと思います。
芝草の管理技術を早期に確立し、農薬を使わないで管理できるようになってほしいものでありますが、それまで手をこまねいているわけにはまいりません。
本県では、全国でもいち早くゴルフ場における農薬の安全使用に関する指導要綱を策定し、グリーンキーパーを中心とする研修会や現地指導の実施、さらに本年3月には農薬の安全使用の手引を作成したところであります。最近の報道にもありますように、他府県でも指導要綱等を順次整備されるとともに、いろいろな試みがなされておりますが、病害虫対策等もあって、いまだ農薬を一切禁止するというところまでには踏み切れない状況であり、苦慮いたしているところでございます。
したがいまして、当面は、過日関係省庁から示された水質目標の徹底はもちろん、それ以上の環境が確保できるよう、人の健康や自然への影響の少ない安全な農薬を選び、より省農薬を徹底していくことが肝要であると存じます。既に県内のゴルフ場では、無農薬エリアを設けたり、農薬を控えたホールを設置するなど自主的な研究もなされているところであり、県といたしましても県下5つのゴルフ場を対象に実態調査を進め、一層の省農薬と安全防除を推進するマニュアルづくりとともに、適正使用の研修会を充実し、鋭意取り組んでまいる所存であります。今後とも、人の健康とかけがえのない自然を守る立場から最大限の努力をいたしたいと考えております。
ゴルフ場の規制の問題でありますが、ゴルフ場の設置につきましては、地域の振興と経済の活性化、さらにスポーツ、レクリエーション需要の増加にこたえるということで地域や地元市町村からの強い期待もあり、一方では、ゴルフ場のあり方について論議を呼んでいることも事実でございます。
ゴルフ場の設置に当たりましては、開発業者はもちろん、県や市町村においても自然や周辺住民の生活との調和を図ることを第一に重視しなければならないのは当然であります。県といたしましては、昭和60年5月に出されたゴルフ場開発計画の取扱についての通知に基づいて、これまでからさまざまな条件を付して指導をいたしておるところでありますが、現在でも相当数の新増設計画があると言われており、また今後も新たな計画が出てくることが予想されます。
私は、このまま推移して、例えば1つの市町村に余りにも多くのゴルフ場が集中するようなことは、将来環境面あるいは土地利用の面で支障が生ずる事態にもなりかねないと懸念しておりまして、全県一律的、画一的な規制をするということは難しいと思いますが、やはり何らかの歯どめを考えていかなければならない時期に来ているとの認識を持っており、庁内でも議論を始めているところであります。今後のゴルフ場の設置については、慎重の上にも慎重であるべきだ、抑制が必要であるという共通認識に立って、それにどう対処していくか十分検討してまいりたいと考えております。
次に、地価対策についてでありますが、最近の地価の問題につきましては、県民生活への影響、特に住宅を取得しようとする方々に大きな不安を与えていることと日ごろから大変憂慮しているところでございます。今回の住宅供給公社の分譲住宅への応募状況を見ますと、本県の地価がなお周辺府県に比べ割安であり、公社住宅が良質なもの、安価なものとして供給に努めておりますことから多くの方が大きな期待を持たれたことと思います。
地価対策は、基本的には税制上の措置等国の施策にまつところが大きいわけでありますが、地方公共団体みずからもこうした身近な問題で必要な対応をしていかなければと認識いたしているところであります。現在これらの問題も含めて総合土地対策要綱の策定を急いでいるところであり、今後全庁を挙げてその取り組みを強化してまいる所存でございます。
◎総務部長(川村仁弘君) (登壇)全国市町村国際文化学院の誘致についての御質問にお答えいたします。
御指摘のように、財団法人全国市町村振興協会においては、昨年来、市町村職員の国際化対応能力を向上させるための専門的研修を行い、あわせて市町村の国際化に係る情報センター機能を持つ国際文化学院の設置について検討を進めてきております。
本県としては、構想検討の初期の段階から議会ともどもその誘致に努めてまいりましたが、昨年12月には同協会の検討委員会が整備構想を取りまとめ、立地場所については大阪、京都から電車で1時間程度以内の場所が望ましい旨報告を行うとともに、全国市長会、全国町村会、振興協会においても同構想を了としてその推進を図る旨機関決定がなされ、本年4月には研修機関設置準備委員会が発足するなど、かなり話が具体的になってきております。
御指摘のとおり、大阪、京都からも誘致の手が挙がっているようでございますが、そうした中で本県としても従来にも増して働きかけを強め、幾度となく振興協会や自治省に足を運び、ぜひとも本県の大津市唐崎駅前の国有地に立地いただけるよう努力を続けているところであります。
準備委員会においても、もう立地場所について腹を固めなくてはならないということで、近々その辺の決定がなされるようにも聞いております。千葉市幕張に設置されている市町村職員中央研修所と並ぶこの全国レベルの施設が本県において実現されるよう一段と力を込めてまいりたいと考えております。
次に、補助金の整理合理化、第2交付税制度等に係る政府要望についてのお尋ねであります。
今日、地方公共団体は増大、多様化する行政需要に適切に対応することが必要となっておりますが、こうした要請にこたえていくためには、地方行財政の自主性が強化される方向で改革が進められることが肝要であります。こうしたことから、御指摘の統合メニュー化等、国庫補助負担金の整理合理化、地方交付税の所要額の確保など、地方財源の一層の強化を国に対して要請する必要があると考えております。
お尋ねの第2交付税につきましては、縦割り行政の不能率とむだを除去し、公共事業に係る地方の独自性の発揮をねらいとした制度案と伺っておりまして、その趣旨、ねらいは理解いたすところでありますが、何と申しましても、国庫補助負担制度の基本にかかわる事柄でもございますし、慎重に考慮すべきものがあろうかと存じます。
いずれにしても、地方公共団体の自主性、自立性の向上の観点から、自主的かつ安定的な財政運営の確保が図られるよう、知恵を絞り力を尽くして国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
◎企画部長(飛彈直文君) (登壇)まず、国立生態学研究所誘致に係る見通しについての御質問にお答えをいたします。
近年、地球規模での環境問題が人類全体の課題として大きくクローズアップされてきておりまして、その基礎的研究の一分野として生態学研究の重要性が増してきております。また、我が国の世界への貢献という観点からも研究所設置の必要性が高まってきているところであります。こうしたことから、日本生態学会におきましても、昭和54年に作成した生態学研究所構想第5次案を改定し、昨年8月に第6次案をまとめ、生態学の国際的共同研究のメッカとして全国共同利用の生態学研究所の設立の必要性を明らかにしているところであり、京都大学等を中心にその具体化が検討されているところであります。
本県は、びわ湖を初め多様な自然環境や変化に富んだ気象条件に恵まれ、生態学研究に適した環境にあること、琵琶湖研究所を中心とする豊富な調査研究の蓄積を有することなどから、日本学術会議生態学研究所設立準備委員会から設置候補の第1順位として決定されており、本県の学術研究レベルの向上、世界に向けての情報発信にとって重要であるばかりでなく、人と自然の共存する郷土を目指す本県のシンボルづくりの観点からも大きな意義があるとの認識に立って、国等に対し生態学研究所の本県への早期設立を働きかけてきたところであります。また、昨年11月には、研究所設立の機運の醸成に向け、日本生態学会、国際生態学会との協力のもとに生態学シンポジウムを開催いたしました。
これまでのところ、国においては、生態学研究所設立に係る予算措置がなされるまでには至っていない状況でありますが、平成3年度の予算編成において、今後の展望が開けるよう研究所設置の具体化と本県への設置について強力に国に働きかけていく所存でございます。
次に、リゾート整備におけるゴルフ場計画の御質問にお答えをいたします。
本県の
リゾート構想においては、7つの
重点整備地区それぞれに特色、性格、機能、整備の方針を定めているところであり、またリゾート整備は元来多様なニーズにこたえられる複合的な施設配置が求められているものでございます。このことから、新設するゴルフ場についても複合的なリゾート施設の中の一つであると考えており、
重点整備地区の中にはゴルフ場を含まないところもございますし、殊さらゴルフ場のみを優先して設置しようとするものではありません。今後も、構想の進展に合わせて、さらに個性的なリゾート地区の展開が可能となるよう指導に努めてまいりたいと存じます。
また、適マークの入ったゴルフ場をという御提案についてでありますが、最近の余暇時間の増加に伴い、さまざまなスポーツレジャーが普及、享受される中で、ゴルフにつきましても例外ではなく、ますます大衆化されるものと存じます。ゴルフ場が利用面、施設面でも健康的で安全管理の徹底を図るということは大変結構なことであると思いますし、御提案もその趣旨のものと受けとめております。適マークの交付についてはいろいろと検討を要すると思いますが、環境に優しい、親しまれるゴルフ場のあり方について話し合う場を設けることは考えてみたいと存じます。
次に、平成3年度政府予算編成に当たっての要望に関する御質問にお答えをいたします。
まず、特に重視し、重点的に推進しようとする項目および考え方についてでございますが、今回の要望における最重点項目としては5項目を掲げております。
その1つは、
琵琶湖総合開発事業についてであります。近畿圏の健全な発展に不可欠な事業として国家的要請を受け着手してまいりましたが、法期限まで残すところ1年余となった今日において、計画された事業を期限内に完成することは到底不可能な状況にあります。こうしたことから、所期の目的を達成するため、事業の大幅な促進とあわせて、事業完遂のための特別措置法の期限延長に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
2点目といたしましては、
びわこ空港の整備についてであります。21世紀を展望する総合交通体系構築に向けて航空交通の整備は不可欠な要素であるという認識に立って、近畿圏、中部圏の活性化にも貢献することができる本県に空港が実現できますよう第6次空港整備5カ年計画への組み入れに向けて最大限の努力をしてまいります。
また、びわ湖を中心とする自然環境や恵まれた歴史文化を有する本県の特性を生かした琵琶湖リゾート地域の整備を目指しておりますが、魅力あるリゾートエリアの形成が図っていけるよう特段の配慮を求めていきたいと考えております。
さらには、新たな国土交通軸の基幹動脈として既に基本計画が策定された、いわゆる第二名神につきましても、本県の発展を展望する上で不可欠でありますことから、その実現に向けて早期に整備計画が策定されるよう要望していくこととしております。
さらにまた、これらの事業を初めとして、地方の発展のために必要な諸施策展開のための地方財源の充実強化、中でも国庫補助負担率の復元や国と地方の機能分担の明確化、そしてそれに伴う財源秩序の確立、さらには道路財源の確保についても最重点項目として要望してまいりたいと考えております。
次に、
琵琶湖総合開発事業の要望額についてのお尋ねでありますが、御質問のありました要望事業費806億4,500万円につきましては、平成3年度に予定し得る事業費を積み上げたものでございまして、前年の要望額909億5,800万円と比較しまして103億1,300万円の減となっております。
昨年度では、法期限内に少なくとも計画事業費ベースでの達成を見込むとの想定のもとに、所要の事業費を要望し大幅に増額を行ったものでありますが、今年度は、1つには、事業の山場を越して収束に向かっている土地改良、水産、農業集落排水処理施設等の事業費が大幅に減少したこと、2つには、平成2年度の国の予算措置状況等からして、現時点での実態を踏まえた最大限の事業費を要望することとしたことにより差が生じているところであります。
平成3年度末の見通しについてでございますが、これにつきましては、平成3年度の要望額が満額確保されたとして考えますと、平成元年度に完了した漁港に加えて、治山、畜産環境整備施設、琵琶湖資料館を除く自然公園施設などの事業がほぼ完了する見込みでございます。
次に、要望項目の整理についてでありますが、御質問にもありますように、要望項目を整理いたしますときは、当然のことながら、基本的には本県固有と申しますか、滋賀からの要望であり、滋賀県政推進の基本にかかわる事項について要望していくことといたしております。そうしたことから、これまでも全国マターとして要望していくもの、近畿圏内として要望していくもの、例えば、私学振興助成の拡大、義務教育諸学校教科書無償給付制度の堅持などについてはそれぞれの知事会等から国への要望にゆだねることといたしておりますし、逆に、本県の要望であっても、近畿圏が一致して推進していくことがより効果的であると考えられるもの、例えば、
琵琶湖総合開発事業や
びわこ空港、さらには国立生態学研究所の整備などについては共同歩調で取り上げていくことといたしております。
御質問にあります河川、道路など公共事業の事業費、事業量の確保に関する要望などにつきましても、本県の事業費等の確保、箇所別に必要とするものにあっては特に毎年度要望が必要であり、また早い段階から熱意を示しておく必要があると考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、政府要望の実現に向けての本県の取り組み体制についてでありますが、既に御案内のとおり、政府要望は各省庁から大蔵省へ概算要求される時期、次年度政府予算編成の大蔵原案が示される時期に、本県選出国会議員、県議会の皆様の御支援をいただき、知事を初め県幹部の職員がそれぞれ大蔵省を初め関係各省庁に対し要望活動を行っているところでございますが、御質問にありますような形のものとしては、中央省庁等に在職する本県出身の職員の方々、さらには本県在職経験者で中央省庁等に在職される方々の組織化を図りまして、何かと御協力をいただいているところでございます。今後とも、さらにこうした方々に適時適切な時期に御協力いただけるよう常々心がけてまいりたいと存じます。
次に、高等教育機関の誘致等についてお答えをいたします。
御質問にもありますとおり、高等教育機関への進学需要の高まりにこたえるためはもとより、高度な研究開発機能の拠点として、あるいは地域の文化的ポテンシャルを充実していく観点やにぎわいのある町づくりの核としても、大学など高等教育機関の整備充実は今後ますます重要な課題になるものと考えております。特に、本県の場合はまだまだ整備水準が低く、さらに今後も京阪神からの人口流入等により18歳人口も伸びが予測され、これらの進学需要にこたえる必要があると考えられることなどから、高等教育機関の整備充実が今後とも必要と考えております。
一方、文部省においては、質的にも量的にも均衡のとれた高等教育の発展を図るため、いわゆる新高等教育計画にのっとった整備を昭和61年度より進められているところでございますが、これによりますと、質的充実につきましては、開かれた高等教育機関の整備、高等教育機関の国際化、特色ある高等教育機関の整備がうたわれ、量的整備につきましては、臨時定員増などを含む定員の増で対応することとされております。
しかし、近畿圏はもとより、全国的にも予想を上回る進学率の上昇等により、計画された定員増が平成4年度を待たずに既に達成されております。このため、現在、文部省の大学審議会において、新たに平成5年度以降の高等教育の整備のあり方について審議が行われているところであります。
他方、高等教育機関側においては、将来の18歳人口の動向、あるいは都市部での新増設の困難性等をも視野に入れながら、その生き残りをかけ、それぞれが独自に魅力ある高等教育機関づくりに向けて努力されているところであります。
こうした背景を受けて、現在、本県の高等教育機関の総合的な整備のあり方について審議をお願いしております高等教育検討委員会におきましては、教育が単に教育の分野にとどまらず、本県の産業の振興、地域の活性化、地域社会のポテンシャルの向上等、県政の各般にわたる施策の基礎となることから、これまで県内になかった学問分野の充実や未熟分野の一層の拡充といった観点、あるいは県内での立地場所といった観点等にも配慮しながら、滋賀県の特性を生かした高等教育機関の整備充実を進めていくべきであるとの御意見をいただいているところであります。
本県といたしましては、これまで龍谷大学や立命館大学の誘致に成功したところでありますが、今後は県みずからの手による高等教育機関としての県立短大の4年制化への検討、あるいは滋賀大学など県内の既存大学の充実、県外の既存大学の誘致、さらにはこれまでの琵琶湖研究所等での研究蓄積を生かし、人間と環境とのかかわりなどを研究する国立生態学研究所といった高度な試験研究機関の誘致などに多面的かつ積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、魅力ある大学づくりのための交通手段の改善や居住環境の整備についての御質問についてでありますが、先ほど申しました高等教育検討委員会の場における議論の中におきましても、行政から見た高等教育機関の魅力づくりの考え方として、町と一体化した、しかも日常生活と隔絶せず、学び、遊ぶことのできる文教地区の整備を心がける必要があること、また高等教育機関の立地条件等の整備も行政にとって重大な責務であり、交通ネットワークの整備などにより利便性が向上することは、高等教育機関自身にとっても、また学生にとってもインフラストラクチャー的前提条件として魅力づくりに欠かすことのできない要素であることなどの点が言われているところであります。
具体的な整備内容につきましては、大学の規模、地理的条件等に応じて考えていくべきものと存じますが、県といたしましてもこの考え方を基本として、地元市町村、民間事業者等と連携しながらこうした条件整備にも可能な限り努めてまいりたいと考えております。
次に、地価対策についてお答えをいたします。
第1点目の監視区域の拡大、届け出対象面積の引き下げの効果とその後の具体的な変化については、3月15日および4月2日に監視区域の拡大、届け出対象面積の引き下げを行ったところでございます。
その結果、県下全体での届け出件数は、平成元年度の4月、5月の1カ月平均では155件であったものが、本年度の4月、5月の1カ月平均では371件の届け出があり、前年の倍以上に増加しております。また、届け出面積の引き下げを行いました大津市における届け出状況は、平成元年度は872件で1カ月当たり平均72件であったものが、本年の4月、5月実績では1カ月平均125件に増加しております。また、監視区域内の届け出に対して、価格の引き下げや契約の中止を求め当事者に指導を行った件数で比べますと、昨年度は1年間で176件であったものが、本年は4月、5月の2カ月で既に116件に達する状況となっております。
これらの実績からいたしますど、監視区域の性格上一定の限界はあるものの、従来規制の対象外であった小規模な土地取引にも監視の目が届き、行政指導する中でかなりの効果があったものと考えております。今後とも一層効果のある監視区域制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
第2点目の土地利用基本計画についての動きと見通しでありますが、社会経済事情の変動に伴う公共事業、住宅地の需要、工業適地等の観点から土地利用のあり方の検討が必要な地域については見直しを図ることとし、具体的には、近江八幡、八日市都市計画区域の変更とそれに関連した農業振興地域の変更、また地域森林計画の湖北森林計画区の見直しに伴う変更について国土利用地方審議会に諮り、所要の変更をすることを考えております。
第3点目の市町村の国土利用計画につきましては、現在34市町村が策定済みであり、2町が協議中となっております。残る14の未策定市町に対して、この計画が土地利用の指針となる重要なものであることから、早期に策定されるよう積極的に指導に努めてまいります。
第4点目の未利用地の問題でございますが、本県の市街化区域の総面積約2万ヘクタールのうち、約32%の6.400ヘクタールが未利用地、いわゆる空閑地であります。市街化区域の効率的利用が必要であることから、従来より土地区画整理事業や地区計画制度を活用し、空閑地の整序を指導しているところでございます。
また、国におきましては、この3月に国土利用計画法の改正により、面積要件の引き下げ、期間の短縮等、遊休土地の認定要件の見直しが行われており、さらに、住宅宅地の需給が逼迫している現状などから、去る6月29日に都市計画法および建築基準法の一部を改正する法律が公布され、市街化区域内において遊休土地転換利用促進地区を設けるなど、未利用地の適切な利用を図っていくこととなっております。
また、1ヘクタール以上で利用されていない土地について、各市町村を通じ、その実態と地元での土地利用に向けての指導状況の調査を実施しているところでございます。
これらのことを踏まえ、土地の有効利用を図るべく、土地問題協議会の場を通じその方策を検討してまいりたいと考えております。
◎生活環境部長(前川利夫君) (登壇)ゴルフ場問題のうち、会員権に係る消費生活相談についての御質問にお答えいたします。
ゴルフクラブ会員権についての消費生活相談件数は、これまでに全国で1,633件で、そのうち県内では昭和62年以来8件でございます。相談の内容は、年会費の滞納による除名に関するものが3件、期限切れによる返金トラブルに関するものが1件、増設に伴う差額要求に関するものが1件、利殖商法に係る解約トラブルに関するものが1件、ダイレクトメールによる申込書送付に関するものが2件となっております。相談者につきましては、性別では、男性が5名、女性が3名でございまして、年齢別に見ますと、30歳代が3名、40歳代が3名、50歳代が2名という構成になっております。最近の事例によりますと、ダイレクトメールでオープン前のため比較的安い価格で会員募集をするが、最終募集時点では相当高額になるという説明に引かれて申し込んだが、不安であり解約したいという相談があり、現在処理中でございます。
また、財テク勧誘につきましては、豊田商事による金のペーパー商法が記憶に新しいところでありますが、国ではこのような被害の再発防止と取引の適正化のために、貴金属や宝石類およびスポーツ、保養施設利用権等に関しまして、特定商品等の預託等取引契約に関する法律を昭和61年に制定いたしました。
また、本格的余暇時代の到来とともに、会員権の購入をめぐる消費者トラブルが増加の傾向にあるため、昭和63年度には訪問販売等に関する法律が改正され、ゴルフやリゾート等の会員権などにつきましても規制の対象となり、事務の適正な執行に努めているところであります。
被害の防止についてでありますが、安易に契約書に署名、押印しない、預金通帳や印鑑を他人に渡さない、クーリング・オフ制度を覚えておくといったことなどを内容といたします高齢者を対象とした啓発資料の作成や、老人クラブと協力いたしまして講座を開催するなど、それぞれ地域の実情に合った啓発を実施することにより、消費者被害の未然防止に努めているところでございます。老後の生活の支えとなる大切な財産をみずからの手で守るため、今後さらに高齢者に対する啓発活動を一層充実してまいる所存でございます。
◎厚生部長(中桐正君) (登壇)高齢者対策についての御質問にお答えいたします。
第1点目の在宅老人福祉緊急整備基本方針についての具体的な対応状況と
進捗見通しについてでありますが、基本方針では、御案内のとおり、平成元年度から3カ年の整備計画を定めているものであります。その計画によりまして、本年度は、家庭奉仕員345人、ショートステイ専用ベッド100床、デイサービスセンターはミニ・デイサービスセンターを含めまして26カ所を整備目標といたしているところであります。これに対して、市町村の整備状況は、家庭奉仕員は6月末現在336人が設置されており、またショートステイ専用ベッドにつきましては98床が整備されており、本年度は38床の整備を計画いたしております。さらに、デイサービスセンターは、ミニ・デイサービスセンターを含めまして16カ所の整備が完了し、本年度新たに9カ所を計画しているところでございます。
現在この整備につきましては、市町村と一体となって積極的に取り組んでおりまして、厳しい状況ではありますが、本年度の計画目標についてはおおむね達成できるものと考えております。しかし、基本方針の整備目標の実現に向けまして、より一層努力してまいる所存でございます。
第2点目の高齢者保健福祉推進10カ年戦略の取り組み方策についてでありますが、県におきましては、本県の実情に沿った具体的な整備目標を立て、またその目標を達成するための方策を考えていくことが必要であると存じます。このため、新社会福祉計画、地域保健医療計画などの計画をベースとしながら、21世紀への準備ということを意識しながら県の10カ年戦略といったものを取りまとめることとしており、これらを踏まえまして、市町村における在宅福祉対策整備の計画的な推進について指導してまいりたいと考えております。
また、寝たきり老人ゼロ作戦につきましては、寝たきりは予防できるという意識啓発や健康診査、健康教育等の予防対策の推進、そして機能訓練、在宅福祉サービスなど総合的に取り組んでおりますが、さらに本年度から、脳卒中が原因になって発生する寝たきりを防止するため、医療機関と保健福祉の関係機関を結ぶ脳卒中情報システムの検討を進めてまいります。
次に、寝たきり老人と家屋構造等の居住環の関係についてでございますが、日本の家屋の場合、トイレの構造を初めとして床に段差が多いことなど、高齢者の利用の上から見ると非常に不便なところ等、問題が多いのではないかと認識をしており、それらについての改善に努めることが重要であろうと考えており、本年度から、老人向け住宅増改築資金貸付制度の拡充や高齢者総合センターにおける住宅相談の開設等の対策を進めているところでございます。
第3点目の特別養護老人ホームの整備についてでございますが、本年6月末の整備状況は16施設、入所定員1,135人でございまして、65歳以上人口に対する整備率は0.8%となっております。御質問のように、入所定員の不足から待機者が100人前後おられる状況でございます。このため、特別養護老人ホームの整備を緊急の課題として受けとめ、本年度新築2施設と増築2施設、合わせて150人の定員増を図る計画で、従来にも増して整備の促進に努めているところでございます。今後の整備につきましては、当面平成7年度末入所定員おおむね1,700人を確保するよう地域バランスを考慮しながら進めてまいりたいと考えております。
また、濃密な介護が必要な痴呆性老人等につきましては、基本的には在宅での介護が困難であると考えられますので、特別養護老人ホームに痴呆性老人専用棟を整備することとしており、本年設置を計画しております2棟60人を含め、本年度末には5棟185人の専用棟の整備を図る予定でございます。今後とも、特別養護老人ホーム入所定員の10%から20%を目途に痴呆性老人専用棟を整備していく考えであります。
第4点目の本県における老人保健施設の整備につきましては、地域的な偏在を避け適正な配置を図るとともに、地域や家庭と連携のとれた施設となるよう、本年3月、平成7年度を目標とする滋賀県老人保健施設設置運営基本方針を定めたところでございます。
この基本方針につきましては、平成7年度における要介護老人の予測数を基本に、今後の病院や特別養護老人ホームの整備状況を考慮いたしまして、要介護老人の20%を老人保健施設の入所対象者といたしまして、県全体では1,740床を目標に設置を図ることといたしております。そして、適正な配置を図る観点から、2次保健医療圏域ごとの65歳以上人口や医療機関数等を総合的に勘案し、7つの圏域ごとに必要とする療養ベッド数を定めたところでございます。
今後は、この基本方針に基づき、圏域ごとの要介護老人の動向や特別養護老人ホームの整備状況、地域的バランスを十分考慮した上で、この療養ベッド数の範囲内において、必要性の高いものから秩序ある設置を促進していきたいと考えております。
最後に、高齢化対策の取り組みの姿勢についてでございますが、人生80年時代による本格的な高齢社会に備えて、寝たきり老人や痴呆性老人などの援護を必要とする高齢者の対策につきましては、とりわけ重要かつ緊急な課題であると認識をいたしております。したがいまして、今後は湖国21
世紀ビジョンやレイカディア10か年プラン等の諸計画を基本に据え、高齢社会に備えるための社会基盤を積極的に整備するという観点から、福祉、保健、医療の施策相互間の連携を密にし、施策の一層の拡充を図るなど、ハード、ソフト両面にわたる諸施策を従来にも増してさらに強力に推進し、理想の長寿社会であるレイカディアの実現に前向きで積極的な取り組みをしてまいる所存でございます。
◎土木部長(植村忠嗣君) (登壇)まず、政府要望についての御質問にお答えいたします。
日米構造協議につきましては、御質問にありましたとおり、両国間で鋭意取り組まれてまいりましたが、その中で最大の焦点となっておりました公共投資10カ年計画も430兆円で最終合意に達し、去る6月28日、それらを受けて日米構造協議最終報告に関する日本側の措置についてが閣議了解されました。
この計画の基本的な考え方は、この10年間が後世に残すべき良質な社会資本ストックを形成するための貴重な期間であり、21世紀に向けて豊かさを実感できる国民生活の実現や地域社会の均衡ある発展を図るため、人々の日常生活に密接に関連した生活環境、文化機能に着目し、その重点化を図るとともに、安全で潤いのある国土を構築するため、国土保全施設等の整備を着実に推進しようとするものであります。
そこで、本県において、こうした日米構造協議の合意を踏まえ、下水道の早期促進やその他生活関連公共事業の推進拡充を図るべきではないかとのお尋ねでございますが、この時期にこうした合意が決着を見ましたことは、県の重要施策でございます生活環境づくりや県土基盤づくりに取り組むに当たって極めてよい環境条件が与えられたものと受けとめております。とりわけ下水道事業につきましては、快適な生活環境の実現とともに、びわ湖を中心とする公共用水域の水質保全という重要な役割もあり、県政の最重要事業として計画的かつ積極的に推進しているところでありますので、県議会の御協力を得て高度処理経費の財政負担制度の確立や事業費の大幅増額について要望をしたところでございますが、この機運に乗り、さらに国に対し強く働きかけてまいる所存でございます。また、公園等その他の生活関連公共事業につきましても、21世紀の滋賀を展望し、県民の方々のニーズを正確に把握するとともに、これを契機に下水道事業とあわせ国に強く働きかけ、県土基盤の整備充実に精いっぱい努めてまいりたいと考えております。
次に、地価対策についての御質問にお答えいたします。
今日の地価高騰に伴う不正な土地利用についてでありますが、都市計画法では、御承知いただいておりますように、市街化区域または市街化調整区域において開発行為をしようとする者は、あらかじめ建設省令で定めるところにより都道府県知事の許可を得ることとなっております。
ところで、御質問にあります市街化調整区域における農家住宅の場合は、農業者として一定の要件を備えたものにあっては、自己の居住の用に供する場合、許可不要の取り扱いとなり、建築確認を受けることで建築が可能となっております。このようなことから、農家住宅の取り扱いについては慎重を期しており、昭和58年に農家住宅の定義、農地転用申請および建築確認申請などについての取扱基準を定め、現在この基準に基づき厳正な運用を行っておりますが、残念ながら、御質問にありますような事例が一、二発生いたしておりますので、法の規定に基づく報告や資料の提出を求めながら、これが是正を図るため、関係者に対し厳正に対処しているところであります。
今後とも、県民の方々の行政に対する信頼感を損なわないようにするためにも、さらに関係法令と整合を図りながら、より適切な対応をしてまいる所存でございますので、御了承をお願いします。
また、建築物の高層化に伴う駐車場の確保についてでありますが、共同住宅等の建築がなされる際の駐車場の確保については、建築確認申請前の協議において、市町村が開発指導要綱等で定めている駐車場率により指導がなされているところであります。
ところで、現在、それらの要綱において定められている設置率については、全国的な1世帯当たりの車の保有台数が、昭和54年の0.599台から平成元年の0.751台へと過去10カ年間で1.25倍に増加している現況や社会問題化している駐車場需要などから、必ずしも十分な内容のものではないと考えます。このことから、現在、交通条件の改善策や市街地環境問題を踏まえ、高度利用地区、総合設計制度、地区計画等にかかわる容積率制限のあり方、用途規制の見直し、マンション等に対する駐車場の設置の義務づけについて、建築基準法の観点からも対応できるよう国において委員会を設置し、改善作業が進められているところであります。
県といたしましては、今後、国の動向を見きわめながら、本県の実情も考慮して市町村に対し実情に沿った見直しの指導を行うとともに、確認時において、駐車スペース確保に関し積極的な指導をしてまいりたいと考えております。
最後に、第二名
神自動車道についての御質問にお答えいたします。
まず、名
神高速道路と第二名
神自動車道の構造、性格等の相違についてでありますが、道路の性格につきましては、第二名
神自動車道は、第二東名自動車道とあわせて大阪─東京間の基幹交通の機能の飛躍的強化を目的にして計画され、一層の高速交通機能を確保するとともに、事故や積雪時の交通障害時における代替ルートを形成して、高い信頼性の確保を図るものとされております。また、構造につきましては、現名
神高速道路の標準車線数が4車線であるのに対し、第二名
神自動車道は、将来の交通需要から上下線それぞれ1車線ずつふやし、6車線として計画されております。設計速度は、都市部においては時速120キロメートルが標準で現名
神高速道路と変わりはありませんが、大都市圏間を結ぶ地方部の区間は時速140キロメートルの走行に耐えられる構造で検討されていると聞いております。そこで、第二名
神自動車道が供用されますと、速さ、時間の正確さが確保でき、経済産業活動を支えるだけでなく、暮らしにも直結した本来の機能を復活、強化されることになると考えます。
次に、通過ルートについてでありますが、今回の発表では、経過地は、甲賀郡土山町、甲賀町、甲南町、水口町、信楽町、栗太郡栗東町、大津市の7市町とされておりますが、今後環境アセスメントの手続の段階で明らかにされる予定であります。
また、第二名神と現名神との接続地点についてでありますが、第二東名と現東名も含め、交通機能の分担、交通支障時の代替性を確保するため、適切な間隔で連絡することが考慮され、近畿地区では本県大津市付近、大阪府高槻市付近で接続するよう計画されております。これらの接続により、両高速道路はそれぞれを補完することとなり、その整備効果は非常に大きいものと期待されます。
次に、第二名神に関連する幹線地方道の整備計画についてでありますが、第二名
神自動車道にうまく幹線道路が接続されることによる地域の社会的、経済的波及効果は大変大きいものがあります。そこで、インターチェンジを核として広域的な地域の活性化を図り、利便性を高めるため、それぞれのインターチェンジの計画に合わせて効果的なアクセス道路網の一体的な整備を図ってまいりたいと考えており、現在そのための基礎調査を進めているところであります。
また、地価対策につきましては、投機的な土地取引による地価の上昇を招くことのないよう、国土利用計画法に基づく監視区域として平成2年4月2日に指定されたところでございます。今後も計画の進捗度や周辺の土地取引の動向等を見きわめながら、監視区域の拡大、届出対象面積の引き下げについて関係部局に求めるなど、適切に対処してまいる所存であります。
また、第2名
神自動車道ルート周辺の土地利用計画につきましては、事業の推進とあわせまして、地元市町および関係部局と連携を図り、適切な対応を行ってまいりますよう考えております。
○議長(岩永峯一君) しばらく休憩いたします。
午後5時2分 休憩
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午後5時37分 開議
○議長(岩永峯一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(岩永峯一君) この際、諸般の報告をいたします。
教育委員会委員長八耳哲雄君が都合により会議に欠席する旨の届け出がありましたので、御了承願います。
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○議長(岩永峯一君) 最後に、13番池野昭君の発言を許します。
◆13番(池野昭君) (登壇、拍手)第2期稲葉県政の出発に当たって、日本共産党・革新共同議員団を代表し、稲葉県政の4年間を問う今回の選挙戦の中で寄せられた県民の数々の声を踏まえて、知事ならびに関係部長にお尋ねいたします。
選挙結果は、県民本位の県政の実現を願う民主県政をつくる会の推す林俊郎候補のびわ湖の汚染と自然破壊をもたらす大企業主導の乱開発をやめ、環境を守り、老人ホーム、県営住宅の建設、高校増設を、などの訴えが広く県民の心をとらえ、(「とらえなかった」)9万名を超える県民の支持、前回を上回るおよそ25%の得票率を獲得し、投票した県民の4人に1人が、また県都大津市では3人に1人が明確に稲葉県政ノーの意思を表明したのであります。
一方、はつらつ滋賀を進める会の推す稲葉稔候補は、6党連合に支えられたとはいえ、マスコミ各紙の報道にもあるように、選対本部の主要ポストは自民党が押さえるなど自民党主導で、しかも全県の市町村長を動員して選挙戦を展開したが、得票数は前回を大きく下回り、全有権者の32%の支持にとどまりました。読売紙いわく、稲葉さんの信任度32%という第1期稲葉県政への厳しい審判が下されたのであります。また、今回の選挙では、県選挙管理委員会が投票日の雨に備えてビニールのかっぱを駅頭で配るなど、従来にない棄権防止運動を展開したにもかかわらず、過去最低の投票率となったのは、新聞報道などの言う呉越同舟、産経新聞紙上の消費税だ何だと国政選挙であれほどやり合っていた6党が相乗りで稲葉を推したところに、県民を白けさせた要因があるという指摘のとおり、県民不在の選挙であったこと、とりわけ盛り上がりに欠けた主要な原因は、告示後の6月5日、林俊郎候補の県政課題、公約についての公開質問状に稲葉陣営が何ら答えられず、選挙民に対する義務ともいうべき政策論争を避け、またその公約が6党連合の矛盾を反映して極めて一般的、抽象的で、県民の関心、要求にこたえられなかったことによるものであります。(「とんでもない。選挙公報を見てくれよ」)
新聞報道によれば、知事が選挙後の記者会見で、ひとり相撲をとっている感じ、武道の型と同じ、試合ならするのも見るのもおもしろいだろうがと発言したことは、みずから政策論争を避け、争点を明らかにしないでおいて、ひとり相撲などと言うのは、みずからの責任を棚上げにするものであり、不謹慎と言えます。知事は今回の選挙で示された林候補への多くの支持、棄権という形で示された県政批判の声に謙虚に耳を傾け、第2期稲葉県政に生かすべきであると考えます。しかしながら、知事の提案説明では、こうした県民の批判の声に対する一片の謙虚さもうかがい知ることができません。そこで改めて得票数、得票率、投票率の減少にあらわれた批判の声をどう受けとめておられるのか、ひとり相撲というさきの発言の真意は何か、今後の県政運営にどう反映させるのか、知事の見解を問うものであります。
ところで、この選挙戦を通じて、稲葉県政の弱点が明らかになりましたが、特に統計から見た県政の位置、行政水準の偏りが明らかになったと言えます。県は、県民所得第5位と強調していることから、一見すると、滋賀県民は豊かになったかのように錯覚しますが、実際には労働者の所得は32位、労働分配率は全国最下位であるというように、これは賃金そのものが低いことからくるのでありますが、県の言う県民所得の高いことは、県民が豊かであることを意味しないのであります。県民の家計水準について言えば、60年度国民1人当たり家計可処分所得は180.6万円であるのに対し、本県の県民1人当たりのそれは171.6万円、全国比95.6%であります。一方、本県の労働生産性は全国比126.5%であります。つまり、本県は、大企業製造業が全国有数の高い生産性や収益性を誇りながら、低賃金、低労働分配率によって、勤労県民の個人所得や家計はそれに見合ったものになっていないのであり、経済大県、生活小県と言ってもよいのであります。
「統計でみる県のすがた」(総務庁統計局発行平成元年度)によると、滋賀県の行政水準のアンバランスぶりが見事に浮き彫りになるのであります。すなわち県は、財政的には豊かであるのに、福祉、文化、教育、生活基盤整備のおくれが目立ちます。下水道普及率は31位、都市公園数33位など、公共整備のおくれがある一方、人口1人当たりの民生費は36位、社会福祉費42位、生活保護費(実人員1人当たり)40位、児童福祉費37位という数字や、健康医療に関する指標で言えば、周産期死亡率は全国ワースト3位、新生児死亡率は2位、乳児死亡率は3位であり、一般病院数は43位、歯科診療所数は45位、精神病院数は42位、救急告示病院数、一般診療所数は45位と、総じて医療水準が低く、これでは医療後進県であると言わざるを得ません。また、教育、文化の面では、人口10万人当たりの小学校数は37位、中学校数は39位、高等学校数は31位、保育所数は31位、大学数は43位、県内大学進学者数は45位、専修学校数は43位、各種学校数は31位、青少年教育施設数45位、常設映画館数43位などとなっており、社会福祉の面では、老人ホーム数44位、老人ホーム定員数46位、老人ホーム在所数46位、身体障害者更生援護施設数38位、精神障害者援護施設定員数36位というように、福祉先進県どころか、福祉施設の整備は極めておくれています。56年、57年、61年の交通事故死者数がワーストワンにあることは周知の事実であります。(「昔の話やないか」)また、滋賀県が大都市近郊農村地帯であるのに、大津市の消費者物価が全国ワーストレベルにあることも特徴的であります。もちろん悪いところばかり並べているという反論もあるでしょうが、例えば、電子レンジ所有数、乗用車所有数、ピアノ、ルームエアコン所有数が多いということが金持ちの証拠として引用されてはいます。これも事実かもしれませんが、総じて滋賀県は、高度経済成長期にかねや太鼓の優遇策で大企業を誘致したことや、名神高速などの交通体系の整備で大企業が立地し、県財政の伸びに貢献したが、その割に、福祉、文化、教育、生活基盤整備は伸びなかったと言えるのであります。このことは、開発優先から環境保全優先へ、外来型依存の産業から内発型発展への転換へ、下水道、道路、公園など生活基盤関連の社会資本整備に力を入れ、経済大県、生活大県への転換の必要性を物語っていると思います。これらの指摘に対し知事はどのように考えておられるのか、おくれている行政水準の向上のために、具体的にどのような施策をとろうとされておられるのか問うものであります。
さて、消費税の廃止を求める声は依然として強く、公約違反などその導入手続の非民主性は決して許してはならない、消費税の転嫁をめぐって業者間、業種間の不公平さが目立つではないか、簡易課税制度によるいわゆる益税はけしからぬ、物価が上がり、家計にこたえるなど、異口同音に各地で聞かれました。消費税反対の県民の意思はますますかたいものがあります。私が訪れた県内の共同作業所では、一生懸命に働いて手にするわずか月1万円ほどの収入にも消費税がかかると、ふんまんやる方ない思いで口々に語っていました。政府や県の資料でも、消費者物価指数の上昇率は、大津市で導入前の1988年では年間0.7%であったのに対し、導入後の昨年は2.3%とアップし、消費税の物価への影響が確実に県民の家計を脅かしています。知事の開会冒頭の提案説明の中で、しっかり手を握られたお年寄りの思い、小さく手を振られた買い物帰りの主婦の願いは、恐らく消費税をやめてほしい、知事さん頼みますということであったと思います。(「それは違う」)
去る6月10日の福岡県参議院補欠選挙で、消費税推進の自民党候補が12万票の大差で敗北したことからも、消費税反対の国民の意思は明白であります。政府・自民党の言う定着したとは、県民の暮らしの実態を見ない詭弁にすぎないと考えます。消費税問題は県民にとって切実な問題であり、自治体財政にも少なくない影響を与える点で国政問題であるとともに、すぐれて地方の問題でもあります。知事は消費税廃止の県民の願いにどういう見解を持っておられるか、消費税に反対するのであれば、地方自治体は住民の暮らしを守るとりでであり、防波堤であるという立場に立って、従来の国会の動向を踏まえという見解を改め、政府に対し廃止せよの態度を表明すべきであると考えますがどうか。
隣の京都府では、住民の反対の意思を重視して、提案はしたが実施期日は明記せず、事実上消費税の公共料金への上乗せは見送り、またこれを受けて、府下44市町村のうち半数が今日実施していません。また、2月議会で吉原議員も指摘した愛媛県では、県営住宅の家賃、短大の入学金、福祉施設の使用料など直接教育、福祉、暮らしにかかわる項目について、公共料金への上乗せは見送っているではありませんか。埼玉県知事は、現在議会に県立高校の入学金など、また県営住宅の家賃、福祉センター、老人休養センターの使用料など、公共料金上乗せをやめる条例を提案しているではありませんか。消費税の県の公共料金への上乗せは即時廃止すべきであります。知事の見解を問うものであります。
さて、1,000メートルタワー計画は直ちに中止すべきであります。今度の選挙戦で、至るところで最大の話題となったのは、何といっても1,000メートルタワーの無謀な計画であります。景観破壊の最たるもの、税金のむだ遣い、知事は何を考えているという県民の声を聞きました。また、知事選挙で、1,000メートルタワーは要らぬという落書きのある無効票が守山、中主、甲西などであったと言われています。稲葉知事が昨年1月4日の記者会見で、初夢だと称して大津市伊香立のサイエンスパークの中核施設として、事業費2,000億円をかけて高さ1,000メートルの世界一のLBタワーを建設すると発表し、夢どころか、早速昨年度は1,000万円の調査費を計上し、滋賀県タワーパーク研究会で検討が進められているところであります。2月議会で吉原議員も、そのナンセンスな発想を指摘し、実質的なプロジェクトの立案者、推進者である大林組も、これほど機能性に乏しい建築物はないと言いながら推進しているこんな計画にいつまで知事は執着されるのか。タワー研究会に名を連ねる大企業の大もうけの意図が見え隠れするものになぜ固執されるのか。そもそも調査する、検討すると言って、いとも簡単にこのような計画に昨年度当初予算で1,000万円もの調査費を計上するなど、県民の貴重な税金のむだ遣い以外の何物でもありません。
私が在職していた中学校では、公費から支給される年間図書費が10万円、1,000万円もあれば、全県95校の中学校の図書費を賄ってなおおつりが来るのであります。1,000メートルタワーよりも教育条件の整備をと言いたいのであります。選挙中の新聞紙上での公約では、知事は、新しいものを十分検討もせず排除することのないようにと、明らかに当初に比べトーンダウンしていますが、まだ検討中なのか、7月中に結論を出すとは聞いていますが、中止の意思をぜひ表明されたいものであります。
7月2日付の新聞報道によれば、京都の荒巻知事は、鴨川ダム計画について、環境に与える影響や府民の世論を考慮して中止することを明らかにしました。この際この姿勢に学んで中止の決断をすべきと考えます。見解を問うものであります。
次に、選挙の重大な争点の一つであったリゾート開発計画についてお尋ねします。
去る2月議会において、我が議員団は、これらの開発行為について質問してきたところでありますが、この構想と計画がびわ湖の水質の悪化の促進や自然環境の破壊を伴う危険があるだけでなく、一部の大企業の利益が優先され、県、市町村の莫大な負担を要すること、また、周辺地価の異常な高騰を招くなどの基本的な問題点を指摘してきたところであります。
知事は、選挙公約の中で、リゾート整備を進めることが自然を失うことになるなら元も子もないので、美しい自然は美しいままで守っていくことを基本にしているとしていますが、この計画はびわ湖周辺の景観を犠牲にし、自然美を人工美に置きかえることになりますが、それでも自然が守られたことになるのか。知事の言われる美しい自然は美しいままで守っていくとは、具体的にどのような状態を言うのか、明確な見解をお尋ねいたします。
さらに、この計画は、開発民間大企業には税制上の優遇措置や自然保護地域の開発行為に便宜を与え、その利益を保障するものではあっても、県内業者や県民の暮らしに寄与するものでないことは明白であり、さらに県、市町村の自治体財政の負担強化や持ち出しによって一般公共事業は低下し、福祉、教育、生活関連行政施策に否定的影響を与えることも明らかであります。この点についてはどのように考えておられるのか。
今回のリゾート計画に当たっては、県、市町村の負担は約2分の1と見られるが、市町村によっては負担に耐えられない自治体も出ることが予想されます。一つ一つのリゾート計画について、参加する企業や全体計画、民間と行政の負担区分を県民に公表することが必要であり、
リゾート法に基づく関係6省庁の認可を取りつけてからとするやり方は、県民不在と言わなければなりません。知事は、提案説明の中で、県民の皆さんの力と創意を集めることを政治姿勢にするとか、県民の知恵と力を最大限に生かすことなど強調されたのでありますが、これと現実に県政の中心プロジェクトとして推進している
リゾート構想の手法とは、余りにも落差があるではありませんか。リゾート計画は、これを推進する政府方針のもとで、まさにラッシュの様相を呈しています。三重県や淡路島のように失敗したり、計画の見直しを余儀なくされているところも出ています。だからこそ慎重であるべきで、また県民の納得と合意が大前提とならなければなりません。私たちは速やかに全計画を県民の前に明らかにするとともに、県民参加のもとでの計画づくりを要求するものでありますが、知事の見解をお伺いします。
次に、稲葉県政の最重要課題とされている滋賀空港についてでありますが、選挙戦の結果、計画予定地の地元日野町、蒲生町では、稲葉候補の得票の有権者比率は、蒲生町で前回の45.6%から38%に、日野町では前回の42.6%から40%にいずれもダウンし、このことは、地元住民の空港建設に対する県当局への不信を示したものであると考えることができます。最近、空港建設反対日野町民会議は、航空審議会に第6次空整に乗せるなの陳情はがきを集中しており、日野町の空港反対組織が周辺4地区以外に1地区ふえ、蒲生町でも周辺5地区のほかにさらに1地区生まれようとしています。7月1日には、日野町野出地区では、全戸挙げての空港反対集会も開かれました。県は、情勢は好転しつつあるとしていますが、地元の情勢をどのようにとらえておられるのか、お尋ねするものであります。
また、住民合意を得るための最低限度の要請とも言うべき基本構想案の公表を直ちにすべきであります。去る6月15日、運輸省のヒアリングもあったと聞いており、その段階に来たのではありませんか。また、そのときの運輸省の対応は厳しかったと言われますが、運輸省は県の基本計画案に対しどのような疑問や指摘をしたのか、それに対する県の対応も明らかにしていただきたいのであります。
次に、今回の選挙で大きな争点になったゴルフ場の新増設についてお尋ねいたします。私たちは、1カ所平均18ホール、約100ヘクタールという大規模なゴルフ場の開発がどれだけ自然や地域の環境を破壊するか、今日大きな社会問題となっている農薬による水質、環境汚染など各地の実例を挙げながら系統的にその対策を県当局に求めてきたところでありますが、改めてお伺いいたします。
知事は、選挙期間中、新聞紙上で公約として自然環境の保全を言いながら、相次ぐゴルフ場開発を容認する姿勢に終始しています。現在県内には既設のゴルフ場が33カ所、造成中が1カ所、申請中が9カ所、さらにリゾート
重点整備地区を初め県下各地で開発計画がメジロ押しであります。現在ですらびわ湖を除く県土の1%を超えています。とりわけ甲賀郡では、計画を含めると町面積の10%近いという状況であります。このまま手をこまねいていると、本当に取り返しのつかない事態になりかねません。選挙期間中にも民主県政の会にはゴルフ場はストップしてという声が多く寄せられました。日野町では600人近い住民が建設反対の請願を町議会へ提出し、志賀町でも第二ゴルフ場建設の動きにいち早く住民が立ち上がり、反対の要望書を町に出しています。かけがえのないびわ湖と滋賀の自然を開発による破壊から守ろうという自然と環境を守る住民の自主的なネットワークづくりも今進んでいます。全国的に見ても、1988年11月からことし4月末までの1年半の間に21都道府県31カ所でゴルフ場の建設を断念せざるを得なくなったという事態となってあらわれています。このことは、同時に、今日のゴルフ場開発がゴルファーの要求によるものではないという裏返しでもあります。今日のこの事態は、ゴルフ場が自然環境や生態系を破壊するとともに、農薬による水質、飲料水の汚染、保水力の低下による災害や大気汚染など、未解決の種々の問題を持っていることの反映であります。ましてやびわ湖という閉鎖水域でのゴルフ場の建設は、一層慎重でなければならないことは言うまでもありません。
知事は、1985年、副知事をしておられたとき、ゴルフ場規制緩和の通達を出されました。これが今日の相次ぐゴルフ場開発ラッシュに拍車をかけているのであります。知事はゴルフ場開発が持つ問題点に耳をふさぎ、税収増などという側面からのみを重視して開発を認めるのではなくて、こうした事態を踏まえ、新たな開発については規制すべきであると考えますがどうでしょうか、企画部長の見解をお尋ねいたします。
さらに、農薬による環境汚染の問題であります。これも選挙期間中大きな関心を呼びました。農薬の規制を公約に掲げる林候補に大きな期待と支持が寄せられました。今や環境問題は住民の大きな関心事となっています。
先月22日志賀町議会は、ゴルフ場農薬の規制を求める意見書を採択いたしました。県もこれまで農薬の安全使用を繰り返し述べてこられ、私たちの指摘や全国的な運動を背景に一定の対策をとるなど前進面も見られます。農薬の禁止、総量規制を打ち出している他府県の例に学び、今思い切った規制が必要と考えます。近畿1,300万人の水がめびわ湖を抱える滋賀県として、その水質を守る県の行政責任は重大であります。知事は選挙期間中の新聞紙上での公約で、省農薬化の方針づくりに努力したいと述べられていますが、このことも含め具体的に県の対策を農林部長に問うものであります。
次に、のっぽビルと景観問題についてお尋ねいたします。
近年進みつつあるびわ湖の景観破壊を防止することは、県政のこれまた重大な課題であります。とりわけのっぽビルの計画は、今明らかになっているものでも県下で8本に上ります。超高層ビルが瀬田川南部リゾートに1本、石山の東レ社宅跡に2本、西武デパート前の公設卸売市場跡に1本、浜大津に2本、草津駅西口に1本、そして最近浮上し、既に事前協議申請が出されたものとして米原駅東口の土取り場跡12ヘクタールに清水建設が工費840億円を投じ戸数1,600戸のマンション群を8棟──33階2棟、10階2棟、16階ないし17階1棟、7階1棟──建てようとしています。これは、米原町の全戸数の半分に当たります。全部完成すると、プリンスホテルを含め、南湖周辺に8本、米原に2本から4本の超高層ビルが建つことになります。これらはほとんどスーパーとマンションとされていますから、ますます人口を集積させ、公共施設の不足や交通渋滞、地価の高騰を招き、またマンションにはスーパーがドッキングされていますから、地域の商店街の振興には決してならないと考えてよいのであります。
そして何よりも、これらの高層ビルは美しいびわ湖の風景を一変させ、狭い土地に高層ビルが乱立する香港のような景色をもたらすことに違いありません。びわ湖の風景を守る上で大問題であります。しかも、びわ湖の風景を守る上で鳴り物入りで成立した風景条例は、これらのっぽビルにはほとんど適用されません。風景条例の24条、大規模建築物の規制にはただし書きとして、都市計画法の用途地域指定のある部分は適用除外であるが、以上の予定地は、米原町が市街化調整区域であるほかはすべて都市計画法の用途地域のあるところであるから、同条例の適用はなく、しり抜けとされるゆえんであります。のっぽビル地下の芭蕉も句が詠めず、地下の芭蕉も泣くようなびわ湖周辺がのっぽビルで取り囲まれる光景は、びわ湖の風景として好ましいと考えられるのか。知事は提案説明で、美しい自然を次の世代に引き継いでいくことは我々の重大な責務と言われたが、これらを規制する方法を考えるべきではないか。風景条例の適用についてはどうか、企画部長の見解をお伺いいたします。
ところで、さきの滋賀県の行政水準での指摘でも明らかなように、福祉のおくれが目立ちます。今、特別養護老人ホームの増設に対する県民の要望は強いものがあります。近畿各府県の実態を見ると、その設置数は、人口10万人当たり和歌山県の2.59カ所、奈良、京都の1.5カ所に比べ、滋賀県は1.17カ所と少なく、県内の特別養護老人ホームは現在16施設、定員数は1,135名で、うち県立は福良荘(浅井町)の1施設80名であります。老人福祉法は、多年にわたって社会の進展に寄与してきた老人は健全で安らかな生活を保障され、国および地方公共団体はその福祉を増進する責務を有すると規定し、常時の介護を必要とし、居宅でこれを受けることが困難な者は地方公共団体の設置する特別養護老人ホームに入所させ、また以外の者が設置する特養ホームに入所を委託することと県の責任を明確に規定しています。県はこの老人福祉法の基本理念をどのように踏まえ、どのように責任を果たしてきたのか。さきに述べた実情を見れば、その責任を果たしているとは言いがたいものであります。現在、特別養護老人ホームの入所待機者は123人と言われていますが、寝たきり老人3,000人と言われるように、現実にはもっと多いのではありませんか。もっと近いところに特養ホームがあればという声もよく聞きます。
2月県議会で林議員の質問に対し県は、平成7年度末までに全国水準の1%にする計画であり、整備率の低い地域への立地誘導を図ると答弁されましたが、本県の65歳以上の人口は14万2,199人であり、県の言う1%としても1,422名、県の定数と比べると現在でも287名の定員増が必要であります。さらに、平成7年度には、県の推計でも老人人口は15万人、365名分定員をふやす必要があります。
ちなみに、厚生省人口問題研究所によれば、65歳以上の人口は滋賀県では平成7年度17万3,500人となっています。当県のこれらの実情を踏まえ、民間による建設を待つことなく、一刻も早く県が責任を持って地域によるアンバランスも考え建設すべきではないか。厚生部長の見解をお尋ねいたします。
次に、農業施策についてお尋ねいたします。自立する
農林水産業を育て、活力と意欲に燃える
地域づくり、これは知事の選挙公約とも言えるはつらつ滋賀を進める会の政策ビラにあったスローガンであります。農業に展望を見出せない今日の農民にとってこれほどむなしい言葉はありません。今日、県下農業の実態は、米価の実質3年連続の値下げで苦しい農家経営の上に、減反に次ぐ減反で、ついに今年度は目標を上回る減反を押しつける結果となりました。米の輸入自由化は阻止と口では言いながら、効率化、低コスト農業の推進と称して、圧倒的に多い第2種兼業農家を切り捨てる農地流動化政策を進め、自民党農政に追随していることが、自立する農業を育て活力と意欲を燃やすことにつながらないのは明白であります。滋賀県内には6万7,920戸の農家がありますが、第2種兼業農家は92.2%で全国トップクラス、1戸平均の農家収入は約41万円で全国42位、それに対し農業外収入は761万円で全国第5位、国の基幹産業である農業で自立できなくなり、やむなく農業外収入に頼らざるを得なくなったのが今日の現実であります。蒲生町横山地区は、県が推進する低コスト化水田農業大区画圃場整備事業を推進しているところでありますが、ここの生産組合副組合長は、京都新聞によると、行政は経営効率ばかり優先するが、農業は効率ばかりでは割り切れない、自分たちの食糧は自分たちの手でつくるのが農業の役目と語っています。この記事は、県の今後の農業施策が近江米の大きな浮沈のかぎを握っていると結んでいますが、まさにそのとおりだと思います。
私は、先日、リゾート開発に揺れる近江八幡市の津田内湖を訪れました。ここは面積152ヘクタール、当初計画の稲作経営のための干拓地が、昭和44年の国の農政の一大転換のため畑作化造成へ切りかえられた一大畑作地帯であります。つまり、今日の減反政策のはしりによって畑作を余儀なくされたところであります。畑作経営に伴う数々の苦難を経て今日に至ったのでありますが、およそ80戸の畑作農家は、合計で野菜の収益は年間およそ3,000万円、麦と大豆を加えても5,000万円、当然農外収入に頼らざるを得なくなっており、後継者の問題もあって、自立どころか、崩壊の危険さえあります。つまり、自民党農政の破綻がリゾートに頼って農地を手放すという農業の崩壊現象をもたらそうとしているのであります。早崎内湖も同様であります。こうしたやり方のどこが自立する農業を育てることになるのでしょうか。農家経営を成り立たせる方向での打開こそ農家の真の願いがあるのであります。県はこうした県農政の方向を転換し、県農業の振興を図る立場から、減反の押しつけをやめ、近江米生産への独自の援助策を強化すべきであります。この春問題となった府県間の生産調整などは、本県としてはやるべきでないと考えます。
そこで、県内農産物を県下の消費者に安定的に供給するとともに、苦しい農家経営の中で野菜づくりに励む生産農家に対する援助をもっと拡充するための県内生産品の安定的な販路を確保するなどの具体的な施策を示していただきたい。また、今日最大の焦点となっている米の輸入自由化に断固阻止の立場を貫くのかどうか、その態度も明らかにしていただきたいものであります。農林部長の見解を求めます。
近江大橋および琵琶湖大橋の通行料の無料化について、知事の見解をお尋ねいたします。
近江大橋通行料の無料化を願う声は以前からありましたが、今度の知事選挙で、この願いの強いことが一層浮き彫りになりました。それは、通勤者が1カ月五、六千円の負担を余儀なくされるということとあわせ、いつまでも有料にしておくことの不合理性、不当性が鮮明になったことにほかなりません。そもそも近江大橋の設置目的は、単なる観光道路でなくて、国道1号線や唐橋など大津─草津間の交通渋滞を緩和させることにありました。しかも、その後、大津─草津間の交通総量は増大する一方で、国、県の通行量調査によっても、昭和55年から約3割増しとなっています。また、瀬田川を渡る瀬田大橋、唐橋、近江大橋の3つの橋の交通量のうち、近江大橋の占める割合は最も高く、昭和63年度で37.5%、日量2万六、七千台となっており、大きなウエートを占めておりますが、なお1号線の瀬田大橋や唐橋付近は、県下でも有数の渋滞地帯となっており、もし近江大橋がなければ、これらの通行量をさばき切れないことは明白であります。さらに利用実態を見ても、朝夕特に増大することからしても明らかなように、まさに通勤のため、生活のための利用が重きを占めています。
以上のことからして、近江大橋は今日県民生活に根差した道路、県民の日々の暮らしに欠くことのできない道路となっています。
さて、道路整備特別措置法第3条第1項は、有料にすることができる道路の条件として、「当該道路の通行者又は利用者がその通行又は利用により著しく利益を受けるものであること」および「通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと」を挙げ、同法第7条の12で、地方道路公社の行う有料の一般道路についてもこの条件を満たさなければならないとしています。しかし、さきに見たように、今日の近江大橋の利用実態や大津─草津間の交通量とそれによってもたらされている交通渋滞の深刻さを考えるなら、近江大橋によって県民が著しく利益を受けるという有料道路の規定にそぐわなくなっています。この点について知事の見解をお伺いするものであります。
また、近江大橋有料道路について、今日までの償還金の実際を見ると、総工費157億円のうち、元金75億円余りが償還されています。県道路公社によれば、橋梁部分の工事費は、1、2期分を合わせて約62億3,000万円であり、この部分はあえて区分けするなら元利償還が終わっていることになります。そもそも近江大橋の新浜地先から木川までの約5キロメートルは、都市計画道路として以前から存在していたのであり、その整備は一般道路として対応できたはずであります。しかも、1日通行量は、昨年度は当初計画比で6割増となっています。こうした状況のもとでなお有料制を続けることは、繰り返し利用してきた県民の納得を得られるものではなく、ましてやさきに述べたように、生活道路は無料にすることが当然であって、有料にすることができるという規定は、無料でもよいということの一面を言っているのでありますから、今日的到達点を踏まえて、県が一般会計から補助を行って無料開放を行うべきであります。県は奥琵琶湖パークウェイについては、災害復旧も含め累計40億円の補助を行って無料開放し、近江大橋については21億円余りの当初出資金すら将来の料金収入で県に償還するとしています。これは結局、道路公社の独立採算制という狭い枠内で損益勘定からだけ物を見て、県民を忘れた考え方であると言わねばなりません。
以上のことから、県が補助を実施し、無料開放を目指すべきであると考えますが、知事の考え方を問うものであります。
次に、琵琶湖大橋は、近江大橋とは若干性格を異にします。しかし、湖東、湖西をつなぐ唯一の道路として、県民生活に根づきつつあります。また、延長道路は近江大橋よりはるかに長く、また償還残額はあとわずかになっています。4車線化を図るに当たって、一般道路として対処すべきと考えますが、どのように考えられるか、お伺いしたいものであります。
最後に、学校教育に関してであります。私は、学級規模の縮小、大規模校の解消に県当局はもっと積極的に取り組むことを強く求めるものであります。
県教育委員会は、選挙戦の最中6月12日、昨年度の全日制県立高校の中退者、留年者の数を発表しました。中退者595名、留年者264名、ともに過去最高で、中退者は4年連続でふえ続けており、年間850名を超える生徒が高校生活に支障を来し、学校を離れ、学習を放棄しているのであり、今日準義務教育化している高校教育にとってまことにゆゆしき問題であると言わざるを得ません。
中退の理由のトップに挙げられているのは、進路変更のためということでありますが、これは結果であって、恐らく第2位に挙げられている学業不振がその主な理由であり、また不本意入学も大きな理由となっていると考えます。不本意入学についてはまたの機会にお尋ねいたしますが、高校教育における学業不振とは一体何を指すのか、高校に相当する学力が低いのか、小学校、中学校で要求される学力が身についていないのか、ぜひ分析検討していただき、明らかにしていただきたいことを要望しておきます。
小学校に入学したばかりの1年生の子供が230もの文字を覚えねばならない。20年前の倍でありますが、このような学習指導要領の改悪に伴う詰め込み教育の弊害は、小学校段階での過密学級によって増幅されたと言っても過言ではありません。いずれにしても、低学力克服の学校教育での基本的条件は、学級規模の縮小であります。さきの2月議会で教育長は、学級規模の縮小が学力向上につながることを言を左右にしてお認めにならず、教員の資質の向上、(「そのとおり」)指導方法の改善、施設設備の充実、家庭、地域の教育力の向上などを挙げて、学級定員は国の動向を見きわめて対処すると答弁されました。ところが、昨年2月定例府議会での大阪府教育長の高校教育充実のため学級定員をさらに引き下げることは極めて有意義であり、学級定員を40人とすることができるよう、国に対して強く働きかけてまいりたいという答弁と比べると、残念ながら県教育行政の学級規模縮小への熱意を疑わざるを得ないのであります。
民主県政をつくる会は、先月、県政チェックツアーを実施し、県下のゴルフ場、リゾート予定地、教育施設などを視察いたしました。私も参加いたしましたが、ある普通科高校では1,300名を超える生徒が狭い校舎にひしめき、47人の成長期の生徒が教室の後ろの壁ぎりぎりのところまであふれている現状を見たとき、前列の左右の端の生徒は黒板が光って見えない、冬はストーブのぎりぎりのところまで座席が置かれて、熱くてかなわぬという生徒の嘆きを実感したのであります。本来1学年5学級から6学級で出発したこの高等学校が生徒急増期のここ5年間で1学年10学級と倍増したため、継ぎ足し校舎は1,300名もの大規模校となり、教育施設整備のおくれ、大規模校の弊害を見せつけられた思いがいたしました。
全県で1984年3月以降の6年間、中学卒業者の増加が3,105名であったにもかかわらず、高校の新設は、87年開校の国際情報高校1校だけであり、稲葉県政下では1校も計画、新設されず、学級増と47人学級によって急場をしのいだ結果、このような高校が出現したのであります。
第1期稲葉県政の責任は重大であります。
高校における40人学級の出現、大規模校の解消についてどのような決意を教育長は持っておられるのかお伺いして、私の質問は以上で終わります。(拍手)
○議長(岩永峯一君) 13番池野昭君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(稲葉稔君) (登壇)池野議員の代表質問にお答えいたします。
投票率が前回を下回りましたことは、私としても大変残念に存じております。しかし、最近同じパターンで戦われました京都府や静岡県知事選挙においても同様の傾向を示しており、本県だけの現象ではなかったこともはっきりしております。(「そのとおり」)棄権を一概に県政批判ととらえることはいかがかと存じます。
政策については、個人演説会を初めとする選挙活動、あるいは報道機関の質問に対する回答の中で明らかにしたところであります。
いずれにいたしましても、公正、誠実、清潔を基本に、県民とともに築き上げる心の通い合う県政、これを貫くことが今回の選挙に示された県民の皆様の信頼と期待にこたえる道であると考えております。
次に、県の行政水準についてお答えします。御質問にあります数値の一つ一つについて議論するつもりはございませんが、例えば、労働所得分配率を見る場合、それを構成する企業、産業の構造がどうなのか、労働者の年齢構成はどうなのかということも含めて考える必要があるわけでありますし、またより一般的な生活者の所得をあらわすと思われる昭和63年度の常用労働者1人当たり現金給与総額を見れば全国第8位の順位を示しているのでありまして、数値というものは多面的に考察していく必要があろうと考えております。
ただ、確実に言えますことは、本県がこの10年ほどの間に全国でも有数の内陸工業県として発展し続けてきているということであります。そして、この若い滋賀の力を端的にあらわしているのが従業員1人当たり付加価値額で全国一、二位を競い、この力が県民所得を第5位に押し上げている原動力となっているものと思っております。この事実は、御質問にもありますとおり、すばらしい高い生産性や収益性を誇る企業が集積しているということで、内には十分なエネルギーを蓄えたあすへのさらなる発展が期待できるということであろうと存じます。
そして、その成果の一つが、これも御質問にある昭和60年度の国民1人当たり家計可処分所得が180万円6,000円であるのに対し、本県の県民1人当たりのそれが171万6,000円であったものが、昭和62年度では国民1人当たりが191万1,000円に増加したのに対し、本県の県民1人当たりはそれを超えて、193万6,000円に増加しているのであります。
また、本県の生活保護費などのいわゆる措置費が低いということでありますが、措置費などは低いがゆえに貧しいということではないと存じます。
いずれにいたしましても、いろいろなデータにつきましては、これを多面的に考察し、参考にしてまいりたいと思いますが、私は、1期目の知事就任以来、環境の大切さや福祉、医療の充実、高等教育機関の整備など必要な施策に鋭意取り組んでまいりましたし、これからも今まで以上に取り組んでまいりたいと考えております。また、既存企業が新規立地企業に対しこれに伍していけるだけの力がつけられるよう、工業技術センターなどを通して技術の研究開発に意を用いてまいりましたが、これからも既存企業がこれら立地企業と連携を強めつつ、技術革新の競争におくれることなく生産性の向上が図っていけるよう、産、学、官が協力していける基盤整備をしてまいりたいと存じております。
次に、消費税についてでございますが、消費税を含む税制のあり方につきましては、今後税制問題等に関する両院合同協議会等でいろいろ議論が進められるものと思いますので、よりよい税制を目指し、論議を尽くされることを期待しております。また、平成元年4月1日からの使用料、手数料の改定につきましては、以前から申し上げておりますように、県民生活にも十分配慮した上で、必要なものについて改定したもので、今これについて改めて改定する考えはございません。
次に、リゾート計画の御質問にお答えします。
1点目の美しい自然を守っていく基本的な考え方は、先ほど上野議員の御質問にお答えしたところでございますが、美しい自然を美しいまま守っていくとは、自然度の高いところでは施設整備を差し控えるほか、これらを外れたところでも、自然環境とバランスよく共存できる施設の整備を第一義とするという意味でございます。自然環境を守りながら人間が居住し憩う、より快適な空間形成を図ることは、人と自然の共生を目的とする環境づくりには必要なことと考えております。
2点目の御質問でございますが、リゾート計画はこれまでも申し上げましたように、
人々の交流の場とする魅力ある町づくりを進めるとともに、地域振興の観点から計画を進めようとしております。その一面として、県内事業者もみずから事業主体やその一員であったり、また事業への参画を呼びかけられたりしておりますし、地域生産物のリゾート施設への供給など、諸産業の振興策の一つとして、まただれでも気軽に利用できる身近なリゾート地として利用する立場で、それぞれ期待していただいております。このことから、公共の投資に当たっても、官民の適正な役割分担のもと、各事業の整備とも整合を図りながら、基本構想に基づいた事業の進捗に合わせて適切に進めていきたいと考えております。
3点目の計画の公表等についてでございます。基本構想については、関係各省庁等との調整も少なからず残されておりますことから、作業途中のものの一々を公表することは一面弊害もありますので、控えておりますが、基本構想そのものは、リゾート整備に当たっての基本的な方向をまとめるものであり、協議が調った後、構想の全体を明らかにし、具体的な整備に当たっては、地域の関係者、事業主体、行政が協議会組織等を通じて、これをベースに地域の特性を生かした質のよいリゾート地づくりに大いに参画していただきたいと思っております。
次に、有料道路に関する御質問にお答えいたします。
御承知のとおり、有料道路制度は、限られた公共事業費では緊急に必要とされる道路事業であってもその費用をとても賄い切れないという実情にかんがみ、事業主体が道路を整備するに当たり、財源不足を補う方法として借入金を用い、完成した道路から通行料金を徴収して費用の返済に充てるというものであります。
本県におきましては、2,000キロメートルを超える道路を所管しており、それらの整備を鋭意進めているところでありますため、琵琶湖大橋や近江大橋など急を要し費用も莫大なものについては、この制度を用い整備を進め、現在の県勢の発展に大きく寄与しているところであります。
1点目の近江大橋有料道路に関する著しく利益を受けるという点についての見解でありますが、本道路の場合、国道1号や瀬田の唐橋を利用している交通のある程度の吸収も含め、バイパス的な路線として建設されたものでありますことから、本道路を通行することにより、他の道路を利用しているよりも一層走行経費の節減や時間の短縮等、著しい受益性があり、妥当なものであります。また、建設後、交通量の増加などの変動があっても、この前提条件は現在においても変わらないものと判断いたしております。
2点目の近江大橋の無料開放についての考えでありますが、この有料道路は、昭和49年9月に供用開始して以来、今日まで順調に推移し、1日平均2万6,000台の通行台数があり、過去に交通量の増大に対応すべく昭和56年5月に4車線化工事を行い、現在も引き続いて第2期工事を施行中であります。そこで、建設費等の投資、借入金の償還を行っていく必要がありますが、当道路は採算状況から見てもほぼ建設計画どおりに推移しておりますので、県といたしましては、現時点では無料開放することは考えておりません。
3点目の琵琶湖大橋についてでありますが、御承知のとおり、琵琶湖大橋は、その建設に当たりまして、びわ湖の観光開発の促進、また湖西と湖東を結び1つの地域にすること、さらに主要国道を相互に連絡し、交通網の強化を図り、広域な経済交流を促進する等の目的をもって建設され、昭和39年9月に有料道路として2車線で供用開始したところであります。以来今日まで、この道路の交通量は増加の一途をたどり、交通混雑が甚だしく、種々の支障が生じているところから、混雑を解消して、交通の円滑化を図るため、平成元年7月に建設省の許可を受けて有料道路建設事業により4車線拡幅工事に着工をいたしております。この拡幅工事は、現2車線部分と一体不可分の道路であり、当然道路整備特別措置法の趣旨に基づき実施されるべきものでありまして、一般道路としてはなじまないものと考えております。
◎企画部長(飛彈直文君) (登壇)まず、1,000メートルタワーについての御質問ですが、この構想につきましては、これまでにもお答えしておりますように、民間主導で進められておりますびわこサイエンスパーク核施設調査研究会におきまして、建設、経営、活用、情報などの分野ごとに実現の可能性が研究され、その中で安全性であるとか経営計画、それに基づく採算性、さらには景観や環境との共存など幾つかの課題について検討されているものであります。現在の研究会の状況は、おおむね分野別の検討を終え、全体について取りまとめが進められているところであります。
県といたしましては、研究会でまとめられます報告を受けて、研究結果を慎重に検討し、地権者である住宅・都市整備公団や地元大津市とも協議しながら、今後これにどのようにかかわっていくのか、一定の方向づけをしてまいりたいと考えております。
次に、ゴルフ場についての御質問であります。先ほども石橋議員の御質問に知事がお答えいたしましたように、ゴルフ場は地域の振興、活性化等、地域や地元市町村からの強い期待もありますが、例えば、一つの市町村に余り多くのゴルフ場が集中すると、将来の環境面、土地利用面が懸念されます。全県一律的、画一的な規制は難しいと思いますが、今後のゴルフ場の設置については、何らかの歯どめを考えていかなければならない時期に来ているとの認識のもとに、どう対処していくか、十分検討してまいりたいと存じます。
次に、空港についての御質問にお答えをいたします。
第1点目の地元情勢についてでございますが、空港候補地周辺の地元の方々には、昼夜を分かたず空港の問題について貴重な時間を割いて真摯で真剣な御論議をいただいており、また大変な御心労や御心配をおかけしておりますことに対し、まことに恐縮に存じているところでございます。
空港基本計画の策定にぜひとも必要な地質調査につきましては、日野町の協議会の御了解をいただき、去る3月20日には山本地区で調査に着手させていただき、また3月29日には日野町の石原地区、さらに5月27日には蒲生町の鋳物師地区の御了解をそれぞれいただき、現在ボーリング調査を実施させていただいているところでございまして、関係諸調査の推進に向けて大きな第一歩を踏み出すことができたものと認識をしているところでございます。さらに他の地区につきましても、今後とも引き続き誠心誠意話し合いを積み重ねていく中で、空港に対する御理解と必要な調査への御協力が得られるよう、現在全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
第2点目の空港基本計画の公表についてでございますが、空港基本計画につきましては、唯一の候補地として蒲生、日野地区が選定されて以来、航空旅客需要予測を初め、気象調査や航空写真測量、地質調査等の関係諸調査を実施させていただいてきたところでございますが、地質調査等が十分な進捗を見ていない状況にあります。また、現在国等と協議を行いながら鋭意基本計画の策定作業を進めているところでございまして、県民の皆様のより深い御理解をいただくためにも、いずれおおむねの取りまとめができました段階で公表してまいりたいと存じているところでございます。
第3点目の空港基本計画に対する国の疑問と、それに関する県の対応についてでございますが、これまでから運輸省の担当部局とは、先般の運輸省ヒアリングも含めまして、空港基本計画の策定に向け、各調査の進捗状況に応じ協議を進め、御指導もいただいているところでございますが、運輸省としての見解は、現在国の航空審議会で第6次空港整備五箇年計画の策定に向けて審議が行われているさなかであり、個々の空港についての評価にかかわる意見はコメントできる段階にないとのことであります。今後とも運輸省担当部局との協議を積み重ねながら、空港基本計画の策定に向け鋭意取り組んでまいりたいと存じております。
次に、高層ビルの建設計画と風景条例に関する御質問にお答えをいたします。
建築物の景観は、個々の建築物の形態や意匠などを基本として、周辺の町並みや風景の中で、その建物がどのような位置を占めているのか、例えば、市街地なのか、また田園地や丘陵、山岳など自然性の高い地域なのか、全体の構図の中で判断されるべきものと考えております。また、通常景観というものは、近景や遠景などその視点の場をどこに求めるかによってもその評価は異なってまいりますし、高層建築物が地域のランドマークとなるような事例もあります。こうしたことから、建築物の高さは景観を判断する一つの要素ではありますが、これ以外にその建築物の形態、意匠、色彩、素材等の個々の景観要素のほかに、その周囲の土地の広がりや町並みの中で総合的に判断される必要があろうかと思います。
また、都市計画で定められている用途地域内では、都市計画法や建築基準法において、それぞれの市町村が必要に応じ、地区計画や美観地区、高度地区や建築協定制度等を活用し、壁面後退や色彩、高さなど周辺の景観になじんだ町づくりが可能であることから、市町村の対応にゆだねることとし、風景条例では用途地域内の大規模建築物の届け出を除外したものでございます。条例施行後5年を経過した今、景観形成地域、地区の指定、届け出に対する指導助言、各種の啓発事業の実施および市町村景観形成事業等への援助などに努めてきたところであり、県民の方々に風景条例が浸透してきた段階であります。しかしながら、景観対策は、今後息長く続けていくべき事業であり、何よりも県民および事業者の方々の理解と協力が必要でありますことから、引き続き現条例を推進し、潤いのある湖国の風景づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
◎厚生部長(中桐正君) (登壇)老人ホームの整備についての御質問にお答えいたします。
本県における特別養護老人ホームの整備状況につきましては、さきの県民連合石橋議員の代表質問にお答えしたとおり、現在は16施設、入所定員1,135人であります。本年度は増築を含め4施設で150人の整備を計画いたしております。今後の整備につきましては、新社会福祉計画に基づき平成7年度末に入所定員でおおむね1,700人を対象にしたいと考えております。その整備に当たっては、民間の方々からの御相談を受けているところであり、これらの方々が設立される社会福祉法人により地域のバランスを考慮しながら整備を図ってまいりたいと考えております。また、全国的に見ましても、近年の新設施設のほとんどは民間協力によるものであります。現在県立の特別養護老人ホームを新設することは考えておりませんが、施設の整備の促進を図るため、県独自の措置として、社会福祉医療事業団からの借入金に対する利子補給等、官民一体となって取り組んでいるところでございます。
◎農林部長(豊田卓司君) (登壇)農薬による環境問題についてでございますが、先ほどの石橋議員の代表質問に知事がお答えしましたとおり、びわ湖を抱えております本県といたしましては、より一層の適正使用を図ることが重要なことと存じます。本県では、平成元年2月にゴルフ場における農薬の安全使用に関する指導要綱を策定し、研修会や現地指導を実施してまいりましたし、本年3月には、農薬の安全使用の手引を作成したところであり、これにより影響の少ない農薬を選ぶとともに、極力使用量を抑えながら、適正に使用されるよう指導に努めてまいりたいと存じます。このため、農薬使用の研修会を充実するとともに、県下5つのゴルフ場を対象に実態調査を進め、これらをもとに学識経験者の参画を得ながらより一層の省農薬と安全防除を目指したマニュアルづくりに取り組んでまいる所存でございます。
次に、野菜生産振興についてでありますが、本県では、国の指定を受けた規模の大きい野菜産地の振興はもとより、近年水田農業確立対策の一環としてグループ活動による小規模な団地の育成にも取り組んできており、既に250の新しい団地を育ててまいりました。
さらに本年度から3カ年計画で約200の団地を育成し、野菜の生産拡大と県内需要にこたえていきたいと考えております。また、流通面におきましては、卸売市場整備計画に基づき八日市市、大津市、長浜市および彦根市に地方卸売市場を整備し、これら県内産野菜が安定的に販売できるよう流通体系の整備に努めているところでもあります。一方、近年消費者ニーズが多様化し、健康食品やふるさと指向が一段と高まる中で、各産地では生協やスーパーなどとの契約栽培や日曜朝市、さらには青空市場など、いわゆる産直がそれぞれ工夫を凝らして実施されておりますので、県といたしましても、こうした取り組みに応分の支援をしてきたところであります。今後とも引き続き生産者グループに対しましては、栽培や加工、産直用の機械、施設への助成措置を講じるとともに、よりきめの細かい指導を行い、農家が安心して野菜づくりにいそしめると同時に、消費者にも喜んでいただける産地づくりに努めてまいりたいと考えております。
最後に、米の輸入自由化阻止についてでありますが、昭和63年9月衆参両議院において全会一致で米自由化反対に関する決議がなされました。また、県議会におかれましても、昨年12月米の市場開放阻止に関する意見書を全会一致で可決していただいているところでございます。本県といたしましても、1つ目は、国民の基礎的食糧である米については完全自給の方針を貫き、絶対に市場開放をしないこと、2つ目は、食管制度の根幹を堅持すること、この2項目について、県議会の御協力も得まして、この6月にも政府に対して要望をしてきたところでございます。現在ガット、ウルグアイラウンドの農業交渉が本年12月の合意形成に向けて大詰めを迎えておりますが、本県農業に占める稲作の重要性にかんがみ、今後の交渉の成り行きに注目してまいりたいと存じます。
◎教育長(西池季節君) (登壇)教育問題についての御質問にお答えいたします。
中学校卒業生や高校進学志望者の増加に対応するため、昭和58年度に玉川高校など5校を新設するとともに、野洲高校の普通科への編成がえを実施いたしましたほか、昭和59年度には北大津高校、昭和62年度には国際情報高校をそれぞれ新設してまいりました。その後におきましては、各通学区における中学校卒業生の増加が新たに高校を新設するほど見込めないことや、平成3年度以降は生徒減少期に入りますことから、臨時的な措置として、学級定員増を昭和63年度から講じてきたところであります。これらの措置により、県立全日制高校の募集定員は、57年度に比べ本年度では113学級、5,649名増加し、進学率も95%を超えるなど、高校教育を受ける機会は大きく拡充されたと考えております。
平成3年度以降におきましては、中学校卒業予定者は減少していくと予想されますので、まず来年度においては、学級定員をいわゆる標準法に基づく定員に戻すこととし、その後においては、中学校卒業予定者数の推移を踏まえながら、可能な限り特別教室の確保や学級数の縮小など教育環境の充実に努めていきたいと考えております。
本県の場合、平成3年度から減少傾向が続くと申しましても、既に減少期に入っております大阪府など他の近府県と比較いたしまして、減少数、率ともに緩やかで、また数年おくれて推移するという状況にありますことから、学級定員の縮小を国に先駆けて図っていくということは極めて困難であります。
なお、学級定員という教育条件の根幹にかかわる事項につきましては、各府県が共同歩調のもとに取り組んでいくことが肝要であると考えられますので、今後近畿府県、さらには全都道府県が協調して国に働きかける機会があれば、本県といたしましても、対応していきたいと考えております。
○議長(岩永峯一君) 以上で会派代表による質疑ならびに質問を終わります。
───────────────
△休会の議決
○議長(岩永峯一君) お諮りいたします。
明4日は議事の都合により休会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。
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○議長(岩永峯一君) 来る5日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時58分 散会
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会議録署名議員
議 長 岩 永 峯 一
沢 野 邦 三
北 川 弥 助...