愛知県議会 2023-02-01
令和5年2月定例会(第3号) 本文
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ウィンドウで開きます) 令和5年2月定例会(第3号) 本文 2023-03-03 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 2 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 3 : ◯二十七番(
鈴木雅博君) 選択 4 :
◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 5 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 6 : ◯二十七番(
鈴木雅博君) 選択 7 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 8 : ◯五十四番(永井雅彦君) 選択 9 :
◯政策企画局長(沼澤弘平君) 選択 10 :
◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 11 : ◯都市・交通局長(金田学君) 選択 12 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 13 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 14 : ◯六十四番(
飛田常年君) 選択 15 :
◯総務局長(江口幸雄君) 選択 16 :
◯建設局長(道浦真君) 選択 17 :
◯環境局長(水野達也君) 選択 18 :
◯農業水産局長(矢野浩二君) 選択 19 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 20 : ◯六十四番(
飛田常年君) 選択 21 : ◯四十番(南部文宏君) 選択 22 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 23 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 24 : ◯副議長(佐藤一志君) 選択 25 : ◯十一番(加藤貴志君) 選択 26 : ◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 27 :
◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 28 : ◯教育長(飯田靖君) 選択 29 :
◯建設局長(道浦真君) 選択 30 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 31 : ◯十一番(加藤貴志君) 選択 32 : ◯副議長(佐藤一志君) 選択 33 : ◯九十番(富田昭雄君) 選択 34 : ◯教育長(飯田靖君) 選択 35 : ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 36 : ◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 37 : ◯防災安全局長(坂田一亮君) 選択 38 : ◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 39 : ◯九十番(富田昭雄君) 選択 40 : ◯防災安全局長(坂田一亮君) 選択 41 : ◯副議長(佐藤一志君) 選択 42 : ◯二十三番(林文夫君) 選択 43 : ◯教育長(飯田靖君) 選択 44 : ◯農林基盤局長(長田敦司君) 選択 45 :
◯建設局長(道浦真君) 選択 46 : ◯二十三番(林文夫君) 選択 47 : ◯四十一番(山田たかお君) 選択 48 : ◯副議長(佐藤一志君) 選択 49 : ◯副議長(佐藤一志君) 選択 50 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 51 : ◯五十八番(久野哲生君) 選択 52 : ◯防災安全局長(坂田一亮君) 選択 53 :
◯総務局長(江口幸雄君) 選択 54 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 55 : ◯四十五番(新海正春君) 選択 56 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 57 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 58 : ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 59 :
◯建設局長(道浦真君) 選択 60 :
◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 61 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 62 : ◯四十五番(新海正春君) 選択 63 : ◯四十番(南部文宏君) 選択 64 : ◯議長(
須崎かん君) 選択 65 : ◯議長(
須崎かん君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午前十時開議
◯議長(
須崎かん君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 一般質問
2: ◯議長(
須崎かん君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
鈴木雅博議員。
〔二十七番
鈴木雅博君登壇〕(拍手)
3: ◯二十七番(
鈴木雅博君) おはようございます。豊田市選出の
鈴木雅博です。
通告に従い、三点お伺いさせていただきます。
初めに、多胎児支援の充実とオンライン多胎妊娠期教室についてお伺いいたします。
双子や三つ子など、二人以上の胎児を同時に妊娠することを多胎妊娠、その育児のことを多胎育児といい、多胎児ならではの身体的、精神的、経済的な困難さに直面する家庭も少なくありません。
しかしながら、多胎は約百件に一件の出産であることから、当事者が周囲に同じ多胎育児者を見つけるのは難しい状況にあります。さらに、同月齢で二人以上の赤ちゃんを育てる多胎育児は、複数の子供たちへの授乳におむつ替え、寝かしつけ、夜泣き対応、家事などに追われ、母親は極度の睡眠不足に陥っていくだけでなく、多胎育児に関する情報収集の時間さえもなくなってしまい、多胎児を育てる家庭は孤立しやすいと言われております。
また、核家族化が進む中、家族から十分なサポートを受けることができない多胎育児の母親がいるのも現実であり、妊娠期の当事者は、多胎育児が家族の協力が不可欠であるということ、支援や協力がなければ、外出にもかなりの困難を生むことを、一人で推察、理解するのは難しいのが現状であります。
豊田市を中心に多胎育児を応援する活動をしている、ぶるぷるネットあいちさんが開催している多胎交流会にお邪魔させていただき、多胎育児中の当事者の皆さんから直接お話を伺わせていただきました。
そこでは、双子を妊娠したと分かったとき、喜びよりも不安のほうが大きかった。子供が二人それぞれ寝るタイミングも違うし、泣くタイミングも違う。御飯を食べる速さも違うので、休む時間も寝る時間もない。外に出て買物に行きたいが、二人を車に乗せるのも大変、降ろすのも大変、ベビーカーで移動するのも大変で、買物に行くのを諦めてネットで買物をしているなど、多胎育児の当事者の皆さんから御自身の体験を教えていただきました。
一般社団法人日本多胎支援協会の調査によると、多胎育児家庭の虐待死が単胎育児家庭と比べて二・五から四倍高いという結果が出ていることからも、社会的つながりを妊娠期から確保する支援が重要となっております。
このように、以前から多胎育児の苛酷さは指摘されてきましたが、二〇一八年一月に、私の地元、豊田市で三つ子を育てていた母親が泣き止まない次男を床にたたきつけて死亡させるという悲しい事件が起きてしまいました。
裁判では、母親は、一日に三人合わせて最低でも二十四回の授乳を行っており、寝る暇もほとんどなかった壮絶な多胎育児の実態が明らかになり、この事件をきっかけに改めて多胎児支援の必要性が認識されることとなりました。
事件後、豊田市では、県内で独自に多胎に特化した妊娠期教室を先駆けて行い、産後まで切れ目のない支援が確立しておりますが、このように悲しい事件を愛知県内どこにおいても二度と起こさないためには、県内のどこで多胎児を出産しても安心して多胎育児を行うことができるように妊娠期からの多胎育児支援の充実が求められております。
そして、妊娠期に県内各地の多胎育児支援団体の存在を知り、地域の多胎育児サークルや社会資源などとのつながりや、情報収集を行うことは、孤立した育児を防ぐためにも重要となっております。
一方で、多胎児支援はきめ細やかな対応が必要となりますが、人口の少ない市町村では、多胎妊産婦や多胎育児を経験した家族が少ないため、交流の機会に恵まれなかったり、市町村職員も多胎児支援の経験が少なく、支援に不安を持つ職員もいると言われております。
現在、多胎に特化した妊娠、出産、育児について学べる行政主催の妊娠期両親教室の取組は、知る限りのところ、県内では、双子、三つ子の母親たちが自身の経験の下、多胎の妊娠、出産、育児の支援を行うことを目的に結成された、地域多胎ネットの一つでもあるあいち多胎ネットが独自で開催しているものと、豊田市、岡崎市のみであり、内容としては、双方ともに多胎妊娠者を含む御家庭を集め、産後の多胎育児イメージができるよう多胎育児に関する現状や知識を提供する教室を実施しております。
しかし、あいち多胎ネットが独自で開催している妊娠期両親教室の開催費が団体の独自予算であること、広報費用に関しても独自予算であること、参加者の居住する自治体に大きな隔たりがあるということ、そして、行政との委託関係がないことから、個人情報の共有が大きな壁となっております。さらに、こうした背景から、年二回の開催が計画上の限界という状況となっております。
今後も県内の多胎家庭に向けて継続して情報提供を行い、安定して多胎妊娠期教室を開催するために、あいち多胎ネットと愛知県が協力した多胎育児支援事業となるオンライン多胎妊娠期教室の開催が望まれており、他県の状況を見ても、隣の岐阜県をはじめ兵庫県、佐賀県で各地域多胎ネットと協力した県独自の多胎支援事業が進められております。
これまで述べてきたように、多胎児の出産数が少ない小さな市町村では、独自での多胎妊娠期教室の開催や、多胎当事者とのつながりや共感の場を確保することなど、多胎支援の継続的な事業化が難しいのが現実であり、広域自治体である愛知県が主体となった広域での多胎育児支援が必要であると考えます。
そして、県内どこで多胎児を妊娠しても同じ情報提供の場を確保することは、県内のどこで多胎児を出産しても安心して多胎育児を行うことができるようになるだけでなく、虐待防止の観点からもその予防につながるものと考えます。
そこで、二点お尋ねいたします。
子育て支援の充実には、どこに住んでいても十分な支援が受けられることが重要であり、県が主体となって多胎児支援を進めることも重要だと考えますが、本県では、多胎児支援の充実のためにどのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。
また、支援や協力がなければ、外出にもかなりの困難を伴う多胎育児者にとって、産後の孤立を防ぎ、安定期がないと言われる多胎妊娠期に、自宅や管理入院先で受講でき、早産を防止しながら社会的なつながりを確保する手段の一つとして、県が主体となってオンラインによる多胎妊娠期教室を開催するべきだと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
次に、多頭飼育届出制度の創設についてお伺いいたします。
高齢化や核家族化といった社会の変化に伴い、犬や猫などの動物をかけがえのない家族の一員であるペットとして飼う家庭が増加していましたが、新型コロナウイルス感染症蔓延による外出自粛の影響で、この三年の間にペットを飼う方がさらに増え、現在、日本で飼われている犬や猫は約千六百万頭近くになると言われております。
一方で、適切にペットの管理をしない飼い主もおり、ペットをめぐる様々な問題が起きております。
中でも、不妊去勢手術など適切な繁殖制限を行わないために飼っているペットがどんどん繁殖してしまったり、さらに、新しい犬や猫を飼い始めることにより、動物の数が飼い主の飼育管理能力を超え、ペットの適切な飼育ができなくなることで、ペットの健康状態が悪くなるだけでなく、飼い主の生活状況も悪化し、さらに、周辺の生活環境までにも悪い影響を与える多頭飼育問題、多頭飼育崩壊が大きな社会問題となっております。
私は過日、愛知県を拠点に、飼育放棄、多頭飼育崩壊現場などからレスキューした犬たちを保護し、里親探しをしている一般社団法人ソラ小さな命を救う会さんのシェルターにお邪魔させていただき、保護された犬たちと間近に接する機会をいただきました。
レスキューされたばかりの犬は、ケージの隅で体を震わせながら、人間におびえながら体を丸めていました。ケージの隅から人間たちを見る瞳は、とてもつらい経験をしてきたことが容易に推測できます。
環境省の調査によると、平成三十年度、全国の都道府県、政令指定都市、中核市には二千百四十九件の多頭飼育に関する苦情が寄せられました。このため、環境省では、多頭飼育問題に対応するため、令和三年に、人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドラインを策定しました。
その中で、多頭飼育問題を、多数の動物を飼育している中で、適切な飼育管理ができないことにより、三つの影響、一つ、飼い主の生活状況の悪化、二、動物の状態の悪化、三、周辺の生活環境の悪化が生じている状況と定義し、事態が深刻化する前に早めに対処することが重要だと指摘しています。
実際の多頭飼育崩壊現場では、適切な給餌、給水や、衛生管理ができていないため、動物たちは飢えや渇きに苦しんだり、感染症に感染するなど、健康状態が非常に悪く、ひどく衰弱しているだけでなく、床には放置されたペットのふん尿など、汚物が積み上がり、とても人間が生活できるような環境ではなく、周囲にもひどい臭いが漏れたり、害虫が大量に発生したりして悪影響を及ぼしていることがあります。中には、飼い主がペットに十分な餌を与えることができず、飢餓状態に陥ったペット同士の共食いが起こっている現場もあるそうです。
議長のお許しをいただきましたので、本日は多頭飼育崩壊の様子が分かる写真を持ってまいりました。
これからお見せする写真は、先ほど紹介させていただきましたソラさんが実際にレスキューに入られた多頭飼育崩壊の現場の写真です。
〔パネル図を示す〕
まずこちらが動物たちの様子になります。
〔パネル図を示す〕
続いて、住人の生活状況の様子の写真になります。
〔パネル図を示す〕
これが飼い主の方とペットの様子になります。
このような多頭飼育崩壊になった場合、一度に大量の動物たちを保護する必要がありますが、飼育部屋が逼迫した状況が続いている愛知県動物愛護センターなどの施設は、動物の収容可能数に限界があり、動物の預かり先を確保することさえ難しく、さらに、劣悪な環境下で置かれていたペットは、健康状態が悪いだけでなく、社会性もなく、人になれていないため、検査や治療、訓練を行う必要があるなど多大な負担がかかるため、新しい飼い主を見つけるのも困難を極めます。
多頭飼育に陥る飼い主の多くは、悪意を持って悪い環境でペットを飼育しているわけではありません。ペットに対する正しい知識を持ち合わせていなかったり、飼い主の経済状況や健康状態など、様々な要因が影響していると言われ、多頭飼育崩壊の飼い主は精神的、身体的、経済的な問題を抱えていることが多いと指摘されています。
問題の発覚のきっかけは動物ですが、多頭飼育崩壊は、実は、飼い主が抱える経済的困窮や地域社会からの孤立などと密接に関連した社会問題であり、人間側の問題が根底に潜んでいることが多分にあり、多頭飼育崩壊の現場で、単に飼い主からペットを取り上げても、飼い主自身が抱える根本的な問題を解決しなければ本当の解決とならず、すぐにまたペットを飼い始め、再び数を増やしてしまうことが多いと言われております。
そのため、問題解決のためには、動物の担当部局だけでなく、社会福祉部局やボランティアなど、官民を超えた多様な関係者が連携して問題解決に取り組んでいく必要があります。
また、現場にいる多数の動物をこれ以上増やさない対策を取らなければなりません。ペットの不妊去勢手術をして飼い主が飼い続けたり、増え過ぎたペットに新しい飼い主を探すことにより飼育頭数を減らすなど、方法はいろいろあります。しかし、これらの対応には多大な費用と時間を要し、施設や人員、資金に限りがある中で、多頭飼育崩壊が一たび発生すると、その対応に要する負担などは非常に大きなものとなります。
このことから、多頭飼育崩壊は未然に防ぐことが重要であり、多数の動物を飼育する人を早期に把握し、飼育崩壊につながらないようにサポートしていく、そのようなきっかけとなる仕組みづくりが必要であると考えます。
他県の状況を見ますと、動物愛護管理法第九条の規定に基づき、多頭飼育の管理状況を早期に把握し、適切なアドバイスや指導の下、多頭飼育崩壊のような事態を未然に防ぐ目的で、一定数以上の動物を飼育する場合に届出が必要となる制度を導入する地方自治体が増えてきております。中には、地方自治体の開催する講習会の受講を義務づけているところや、過料などの罰則が設けられているところもあります。
これらのことから、本県においても、人間と動物が、ペットが、調和の取れた共生生活を送り、殺処分される動物たちを少しでも減らすためにも、多頭飼育崩壊のような事態を未然に防ぐ多頭飼育届出制度の整備が急務になっていると考えます。
そこでお尋ねいたします。
多頭飼育崩壊のような事態を未然に防ぐためには、多数の動物を飼育する方を事前に把握する多頭飼育届出制度が有用であると考えますが、本制度創設について県の御所見をお伺いいたします。
最後に、豊田市内での県立特別支援学校新設についてお伺いいたします。
全国的に少子化が叫ばれている中、本県の知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒は増加傾向にあり、教室不足が生じていることは大きな課題であると感じております。
大村知事におかれましては、平成二十三年二月の御就任以来、特別支援教育の充実は大変重要な課題の一つとして、強いリーダーシップの下、新たな学校の設置や校舎の増築のほか、市立の特別支援学校にも財政支援を行うなど、知的障害特別支援学校の過大化による教室不足の解消に着実に取り組んでこられました。こうした取組により、学習環境が大幅に改善され、特別支援学校に通う保護者や関係者の皆様は大変喜ばれており、私からも感謝申し上げます。
また、知事のマニフェストでありますあいちの重点政策ファイル360プラス1でも、日本一元気な愛知をつくり、人が輝く愛知として、新たな特別支援学校や分教室の設置、検討など、教室不足などの解消促進の中で、豊田市内での特別支援学校の設置検討と掲げられ、引き続き力強く取り組んでいただけるものと大いに期待しております。
さて、私の地元である豊田市の子供が多く通う三好特別支援学校の教室不足に関しては、私はこれまでも幾度か本会議に取り上げて質問させていただいております。
また、豊田市長からも三好特別支援学校の教室不足解消に向け、豊田市域における県立知的障害特別支援学校設置に関する要望書が平成二十八年六月に知事へ提出されたほか、その直後の豊田市議会においても、地元の関心の高さを受け、市としての対応を問われる質問がされ、市長は、特別支援学校の設置に向けては市域における校地確保に最大限努力すると答弁されました。
こうした中、平成二十八年六月定例議会での私の質問に対し、豊田市から特別支援学校を豊田地域へぜひとも設置してほしいという強い要望があり、県としても今後、新校に適した用地の確保、提供があれば、特別支援学校の豊田市内での設置について鋭意検討していきたいとの答弁を知事からいただきました。
その後、豊田市は用地の確保に向けて議論を重ね、平成三十年十二月に今年度末に閉校する南山国際高等学校・中学校の用地を候補地として検討していただくよう、知事への要望書を提出されました。
このような豊田市の熱心な取組に対し、私は平成三十一年二月議会で改めて質問をさせていただいたところ、通学する児童生徒の居住状況や通学方法、また、設置可能時期など、幅広く検討を行い、豊田市と十分相談、協議してまいりたいと知事から前向きな答弁をいただきました。
三好特別支援学校については、近隣地域への特別支援学校の新設により教室不足は一旦落ち着きが見られましたが、抜本的な解決には至っておらず、現在は再び児童生徒が増え、徐々に教室不足が生じていると聞いております。
一般論として、教室不足を解消するためには、敷地内の余剰地に新たな校舎を増築するなどして、物理的に教室自体を増やす必要がありますが、それはすぐにできるものではありません。そのため、学校での実際の対応は、例えば、音楽室などの特別教室を普通教室に変えたり、広い部屋やスペースを間仕切りしたりして何とか部屋数を確保しているそうです。本来の使い方での使用ができず、不便を感じることもあるでしょうし、学習環境として好ましくないことは言うまでもありません。
三好特別支援学校においても、特別教室を普通教室に変えるなどしてしのいでいるそうですが、いずれは限界が来ます。また、これまでも増築を繰り返してきた結果、学校敷地内には増築する余剰地はなく、新たな学校の設置が教室不足解消の抜本的な方策だと考えます。
豊田市から提案のあった南山国際高等学校・中学校用地は、現在、豊田市が学校法人南山学園に貸与しており、約四万二千平米の敷地面積がありますが、校舎や体育館などは、来年度、一年かけて取り壊され、更地にして豊田市へ返還されることとなっております。
学校は多くの子供が集まり、元気に活動する姿が活力の源となるなど、地域活性化の一役を担っております。しかしながら、学校の閉校により四万平米を超える土地に建物がなくなり、閑散とした更地は見た目もさみしい気持ちにもなりますし、地域の方々からは、子供たちの往来もなくなることで活力も失われることへの不安の声も聞かれます。その一方、まとまった土地でもあるし、何ができるのだろうかと期待を込めた声もあり、地域の関心の高さがうかがえます。
再び三好特別支援学校では教室不足が生じてきたことと、南山国際高等学校・中学校の閉校に伴い、その用地が豊田市へ返還されることは、新たな学校設置の検討を進める上で条件が整ってきたのではないかと思います。
これまでの豊田市からの要望や三好特別支援学校が置かれた現状なども踏まえ、新たな学校設置に向けた県としてのお考えを確認したいと思います。
そこでお尋ねいたします。
三好特別支援学校の過大化による教室不足への対応について、今後どのようにしていかれるのか。南山国際高等学校・中学校跡地の活用も含め、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、三点についてお伺いさせていただきました。
理事者各位の明確な答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
4:
◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、多胎児支援の充実についてでございます。
多胎児家庭は、一人のお子さんの育児とは全く異なる大変さがあり、育児負担の軽減を図るため、一層の支援が必要でございます。
多胎児家庭への支援のため、市町村では、保健師や子育て経験者などが各家庭のニーズに合った支援を行う産前・産後サポート事業を実施したり、多胎児家庭の交流会や外出時の同行サービス、地域の多胎サークルとの連携などを通じ、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援が行われております。
県では、多胎児家庭への相談支援や交流会などが円滑に実施できるよう、市町村を支援する事業を行っております。具体的には、市町村保健師等を対象にした研修会などで、多胎児支援を行うために必要な知識の提供や優良事例を紹介するとともに、国庫補助事業の活用を勧めるなどし、今後も多胎児家庭への支援が一層充実するよう取り組んでまいります。
次に、オンラインによる多胎妊娠期教室についてでございます。
多胎児を妊娠した妊婦さんは、体調管理のため外出が困難となる場合もございます。オンライン多胎妊娠期教室は、外出することなく妊娠中の過ごし方や多胎育児について気軽に学べるほか、日常生活での悩みや工夫について情報交換ができるなど、大変有用な取組でございます。
県では、これまでに多胎児支援に多くの経験を持つ民間団体が実施されます多胎児家庭向けオンライン教室等に関する情報発信を行ってまいりました。今後も、市町村、関係団体や多胎育児の経験者を通じまして、多胎児支援の取組状況や求められるニーズを把握するとともに、県としての取り組み方などをしっかり研究し、オンライン教室等の充実に努めてまいります。
次に、多頭飼養届出制度についてお答えいたします。
多数の動物を飼養することに起因する問題については、重大な問題であると認識しております。多頭飼養崩壊に陥る飼い主の中には、動物の飼い方について正しい知識をお持ちでない方もおられ、また、経済的困窮などの社会的問題を抱えている場合には、関係部局と連携して早期に問題解決に当たる必要がございます。
そこで、多数の動物を飼養する飼い主を早期に把握し、適正なペット管理についての周知につながる多頭飼養届出制度は、飼養現場の崩壊を未然に防ぐためにも非常に有用な取組でございます。
県におきましても、多頭飼養届出制度の創設に向けまして早急に検討を行ってまいります。
5: ◯知事(
大村秀章君)
鈴木雅博議員の質問のうち、豊田市内での県立特別支援学校の新設について、私からお答えをいたします。
私は知事に就任して以来、特別支援教育に注力し、知的障害特別支援学校の過大化による教室不足が大きな問題であると考え、課題であると考え、積極的に取組を進めてまいりました。
直近では、今年度、本県初となる知的障害と肢体不自由の両方に対応した、にしお特別支援学校を開校するとともに、尾張北西地区に新たに生じている教室不足に対しては、いなざわ特別支援学校と小牧特別支援学校の敷地内に校舎を増築して対応するということにしているところでございます。
そして、議員お示しの三好特別支援学校につきましては、二〇一八年に大府もちのき特別支援学校を開校し、二〇一九年に瀬戸つばき特別支援学校を開校する際に通学区域を見直しましたので、一旦は教室不足の緩和が図られました。
しかしながら、この地域では児童生徒数は増加傾向にあるため、現在も教室不足が生じており、将来的には著しい不足が生じることが見込まれる状況となっております。
三好特別支援学校の過大化による教室不足の解消については、かねてより豊田市内での新設校の設置が必要であるということは十分承知しておりまして、これまでも用地の確保等について豊田市と協議を続けてまいりました。豊田市から候補地として提案のありました、南山国際高等学校・中学校の跡地は、隣接地域にある三好特別支援学校と瀬戸つばき特別支援学校、両校との位置的なバランスがよいほか、豊田市の山間部からの長距離通学も改善することが期待をされます。こうしたことから、この学校跡地が最適であると考えられますので、新たな特別支援学校の設置を目指してまいります。
今後は、豊田市をはじめとする関係者と十分検討し、できる限り早く開校できるよう、開校までのスケジュールを決定していきたいと考えております。
新設校の開校に当たりましては、この学校を軸とした自動車関連企業の多い地域の強みを生かした就労支援などの新たな試みについても、議員御指摘のように、そうした取組につきましても、豊田市と協議を進め、この新たな学校で学んだ子供たちが持てる力を最大限発揮し、地域の一員として自立と社会参加ができるように取り組んでまいります。
6: ◯二十七番(
鈴木雅博君) 三点要望させていただきます。
まず初めに、多胎児支援について、本県の多胎児支援のさらなる充実を図っていく、また、オンライン多胎妊娠期教室についても研究するとの前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。
隣の岐阜県では、既にぎふ多胎ネットさんと協働により、岐阜県全域で同等のサービスがどこでも受けることが可能となっております。
先ほども述べたとおり、多胎家庭が抱く不安は、妊娠が分かったときから始まり、多胎育児に関する様々な情報や、同じ経験のある家族との交流を望む声が多くあります。
一方で、少子化が予測より早く進んでいる現在、多胎の当事者が望む支援を小規模自治体が単独で実施することはますます難しくなります。このため、オンライン多胎妊娠期教室開催については、広域自治体である本県とあいち多胎ネットさんなど、関係者の皆さんと早急な検討をしていただくよう要望いたします。
次に、多頭飼養届出制度を早期に検討していただけるとお伺いし、安心いたしました。早急に制度創設に向けて進めていただきたいと願います。
多数の動物を飼う方だけでなく、全ての方に動物の正しい飼い方について啓発し、理解を得ることが人と動物が共生できる社会の実現のためには重要であると考えます。
本県の四か所の動物愛護センターは、三十年以上前に設置され、多くの動物を殺処分するための施設として設計されています。現在は、収容された動物を殺処分するよりも、新しい飼い主へ譲渡することへ方針転換しており、設立当初の施設の構造と現在の業務内容に不一致が見られます。また、施設も老朽化していますので、今後は収容した動物の適正管理ができ、また、県民の方に動物の適正な飼い方が啓発できるような施設への転換を目指して再整備などを検討していただきますよう要望いたします。
最後に、豊田市内での県立特別支援学校の新設について、大村知事より、豊田市から提示のあった南山国際高等学校・中学校跡地において、県立特別支援学校を新設するとの御英断をいただき、心より感謝申し上げます。
つきましては、次期愛知県特別支援教育推進計画にしっかりと位置づけ、一日でも早い整備をお願いすると同時に、昨今のインクルーシブ教育の視点に立ち、地域の子供たちが地域で学び育つには、福祉的なサポートのほか、卒業後の自立支援に向けては、先ほど知事もお話しいただきました、豊田市の強みである自動車関連企業が集積するこの地域の特性を生かし、就労支援につなげるなど、愛知県と豊田市の連携・協力体制を構築し、新しい視点で、一体的で切れ目のない障害者支援が可能となる拠点整備を考えていただくことを要望して、私の質問を終わります。
7: ◯議長(
須崎かん君) 進行いたします。
永井雅彦議員。
〔五十四番永井雅彦君登壇〕(拍手)
8: ◯五十四番(永井雅彦君) それでは、通告に従いまして、一つ目にスマートシティ事業のさらなる促進について順次質問をしてまいります。
今年度から、県内にスマートシティの取組を広げるため、スマートシティモデル事業が始まりました。ICTなどの先端技術を実用化、事業化できる民間事業者等との連携を条件として、県内市町村を対象にモデル事業を募集したところ、多くの自治体から積極的な応募があり、当初の三市に加え、追加募集でさらに三市が加わり、六市の提案がモデル事業として採択をされ、様々な実証事業が実施をされました。
私は、令和二年の二月定例会の一般質問で、MaaSによるスマートシティの実現について質問をいたしました。
本県は、充実した電車やバスの路線、高速道路等の交通網に加え、自動車をはじめとする世界屈指のモビリティー産業が集積していることから、愛知県こそが世界に先駆けてMaaSの社会実装を実現し、新たなモビリティーの在り方、スマートシティを牽引していくリーダーにふさわしいと考え、そのことを述べさせていただきました。そして、モビリティー産業が盛んな本県がスマートシティの取組を進めるのであれば、まずはMaaSからと考え、意見を述べさせていただきました。
しかし、トヨタ自動車が静岡県裾野市でウーブン・シティの建設に取り組んでいるように、モビリティー産業で培われた先端技術は、MaaSに限らず、まちづくりの様々な分野に応用できると考えています。
本県は、これらの企業の優れた技術をまちづくりに生かし、国内のみならず世界のスマートシティのリーダーシップを取ることができるポテンシャルを持っていると思います。
そこで、様々な分野の企業が県内自治体と連携し、新たなまちづくりにチャレンジできる環境をつくっていくべきであると考えます。
今回採択をされましたモデル事業は、様々な分野がございます。交通分野では、春日井市のMaaSアプリを活用した公共交通の利用促進の取組、岡崎市の次世代パーソナルモビリティーを活用した中心市街地の渋滞緩和の取組、また、農業分野では、半田市の水確認及び収量予測モデルの構築、そして、医療・介護分野では、大府市の認知症予防、豊橋市におきましては、糖尿病に関する予防、さらに、刈谷市の地域医療、介護のスマート化の取組と多岐にわたっています。三月には成果報告会が開催されると聞いていますが、どのような報告がされるのか大変楽しみにしています。
そこで質問いたします。
スマートシティモデル事業について、今年度の各市の取組内容と得られた成果についてお尋ねをします。
次に、モデル事業の横展開について伺います。
それぞれの自治体が県の支援の下、実証実験を実施され、成果が得られていると思いますが、採択された事業の中で最も注目しているのは、私の地元の刈谷市の取組であります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関への負担はかつてないほど大きく、感染症の拡大防止や、それ以外の疾患を持つ患者を含めた医療体制の維持に加え、患者の受診控えによる経営状況の悪化など、その影響は計り知れません。
刈谷市のモデル事業は、刈谷スマートウェルネスプロジェクトと称して、三種類のフィールド実証を実施し、地域医療、介護のスマート化のモデルケースの構築を図るものであります。その中でも5Gを活用した映像伝送は、質の高い医療を提供する観点でも、医療機関のさらなる成長を促す取組として期待するところであります。
実証に携わりました刈谷市の担当者に聞き取り調査をいたしましたので、御紹介をいたします。
刈谷豊田総合病院は、本県の西三河南部エリアを支える地域の中核病院で、刈谷市、高浜市並びにトヨタグループ八社によって運営がされています。当院は第三次救急医療施設として、救命救急センター及び災害拠点病院に指定をされており、年間の救急車受入れ台数は一万台と聞いています。二〇一四年一月からはドクターカーを導入し、重症患者の救命率向上に役立てています。
今回のフィールド実証は、ドクターカーに乗車をします医師、看護師、運転手がスマートフォンを携帯し、5Gを活用して救急現場のリアルタイム映像を院内の救命救急センターに送ることで、最適かつ迅速な救急患者の搬送及び受入れ態勢の早期構築を目指すものであります。
十月初めから一月末まで実証を継続した後、医師や看護師にアンケートを実施し、治療の早期化や医療品質の向上における効果が認められるのか検証すると聞いています。詳細な結果につきましては、報告会でお聞きをしたいと思っておりますが、救命救急センターの医師によりますと、映像を見て治療方針を即座に決定でき、また、その情報が複数の医師や看護師で共有できる点で非常に効果が高いと評価を得ていると聞いています。
これまでドクターカーと病院とのやり取りは電話等によって行われていましたが、一分一秒を争う救命救急の現場におきましては、病院側がリアルタイムの映像で現場の状況を把握する意義はとても大きく、人命救助につながる場合も多くあると思っています。
そこで質問いたします。
刈谷市のケースのように、スマートシティモデル事業で一定の成果が得られた事業については、県全体に横展開していくべきであると考えますが、どのように行っていくのか、本県のお考えをお尋ねします。
最後に、モデル事業の社会実証について伺います。
当初、三自治体だったスマートシティモデル事業を、九月補正予算でさらに三自治体を拡大されたことは、県内自治体へのスマートシティの促進において大変意義のあることだと評価をしています。
今回、刈谷市のモデル事業であります救急現場のドクターカーによる効果的な搬送手段に関しましては、現在、国が第八次医療計画を作成するための基本指針の策定を進める中で、ドクターカーなど救急現場における多様化する搬送手段の効果的な運用について検討を進めています。
ドクターカーについては、地域の実情に応じて様々な形態で運用されているため、全国の運用事例等について実態調査が進められており、救急医療提供体制の一部として、より効果的に活用する方法が模索をされています。
刈谷豊田総合病院の担当者からは、今回のスマートシティモデル事業を活用して実証を行い、ドクターカーにおける映像伝送の有用性が確認できたが、この取組は一民間病院が実施するだけでは意味がなく、県内全てのドクターカー、さらに言えば、消防機関の救急車両にも同システムを導入し、この先さらに進む高齢化による救急搬送件数の増加に備えて救命救急医療体制の改善をしていくべきだとの声があったと聞いています。
そこで、こうしたスマートシティモデル事業で得られた成果や事業者からの提案、ノウハウは大変貴重なものであると思っております。今後ともモデル事業を継続し、スマートシティが県内に幅広く展開されていくよう、モデル事業で実証された成功事例は早期に社会実装できる環境を整えるべきであり、そのための支援を県として行ってほしいと考えています。
そこで、スマートシティモデル事業で成果が得られた事例について、どのように社会実装を促進していくのか、県のお考えをお尋ねします。
次に、付加価値の高い次世代移動サービスの実現について質問してまいります。
本県は、世界をリードする自動車産業の厚い集積がありますが、デジタル化や電動化、さらにコネクティッドと呼ばれる車とインターネットを結ぶサービスなど、百年に一度の大変革期を迎え、激しい競争にさらされています。
今後も、本県の自動車産業はさらに高い付加価値を持つモビリティー産業に飛躍をし、グローバルでの競争に打ち勝ち、さらなる飛躍を遂げていく必要があります。その中核にある技術の一つが自動運転技術であり、今後はこの技術を中心に様々な社会変革や付加価値が生まれてくるキーテクノロジーであると考えています。
自動運転技術をめぐっては、皆様御存じのとおり、国内外において、自動車産業はもとより、大手IT企業を巻き込んだ開発競争が繰り広げられています。
米国では、二〇一八年に世界に先駆けて自動運転タクシーのサービス化を果たし、二〇一九年からは運転席無人でのサービスも一部開始をしております。また、米国企業の中には、自動運転の実用化に向けて外国政府と連携を行うといった報道もあります。
一方、中国におきましても、ドライバーレスのサービス実証を進めており、運転席無人の車両が公道において走行し、合流などをスムーズに行う模様も報道されております。
こうしたグローバルでの自動運転技術の開発競争は、目を見張るものがあります。自動運転技術は、人や物に関する移動、輸送に関わるコストを大幅に引き下げるとともに、人間の不注意による事故のない社会の実現に寄与するものであります。
また、自動運転技術を活用することで、バス、トラックなど大型車による定時、定路線での人や物に関する大量輸送や運送に加えて、小型車両による需要に応じた人や物に関するパーソナルな移動を実現することも可能になります。こうした自動運転技術により実現する人や物に関するパーソナルな輸送や運送は、利便性の向上のみならず、不特定多数の人間同士の接触を避けることができる点において、感染症への対応にもつながり、世界的な需要に結びつくのではないかと考えます。
また、一足飛びに無人での自動運転化が難しいバス、トラックなどの大型車における自動運転技術は、運転席が有人であっても、先進運転支援システム、いわゆるADASとして運転手の不注意を防ぐ、大変有効な手段にもなり得ます。
ここまでが一般的によく言われている自動運転のメリットになりますが、私が申し上げたいポイントは、自動運転技術が次のビジネスにつながる視点であります。
二〇二三年一月、今年の一月ですが、ラスベガスで行われましたハイテク技術見本市(CES)においても、自動運転サービスの実現に向けたシャトルコンセプトや、仮想現実や拡張現実を複合したXR技術など、自動車がスマートフォンのように様々なビジネスを生み出していくプラットフォームとして捉えられていることを改めて実感しています。
今後、様々なビジネス、社会インフラが自動運転化されたモビリティーの影響を受けていくことになります。本来の人の輸送のみならず、店舗、クリニック、そして会議スペースなどが移動する新たなビジネスとしても想定をされます。また、自動運転によるカーシェアの考え方がさらに広がる一方、仮にマイカーが減少することになれば、広大なショッピングセンターの駐車スペースが減少して、新たなスペースの活用でビジネスチャンスも生まれてまいります。
社会インフラの点におきましても、自動運転技術の普及に伴い、道路上の車両台数が減り、車線数が減少する一方、通信機器や駐停車する場所として路肩の取り合いになるといった専門家の指摘もございます。
続いて、法律面ですが、二〇二〇年四月には一定条件下での前方注視義務が解除される、いわゆるアイズフリーでの自動運転でありますレベル三が国内においても認められています。これに基づき、国は、二〇二一年三月から福井県の永平寺町の自転車歩行者専用道におきまして、電磁誘導線の上を走行するカート型車両を走行させています。また、市販車では、二〇二一年三月に、国産車一車種が高速道路における低速域において前方注視義務を解除可能な車両として認定をされておりまして、経済産業省によりますと、この二種類が日本の現時点でのレベル三の認定事例との見解であります。
また、今年の四月には、特定条件下で運転を完全に自動化する、いわゆるドライバーフリーでの自動運転でありますレベル四の公道走行を認める改正道路交通法等の施行が予定をされています。こちらは前方注視義務の解除に加え、トラブル時に車両が自動的に路肩などの安全な場所に自動停止することが求められています。結果として、幅員に余裕がある郊外での展開が想定をされるものであります。
このように、世界、日本国内の各地において、自動運転の取組が数多く実施され、対応する法律も徐々に改正をされ、いよいよグローバルで実用化される機運が高まってきています。
そこで、先行する米国などに勝る、愛知、日本の自動運転の取組が諸外国との違いをしっかりと打ち出し、産業全体の競争力をリードしていく必要があります。そのためには、どういった価値観で自動運転に取り組んでいくのかが大変肝要であります。
私は、愛知、日本ならではの価値として、安全・安心な運行と、付加価値の高いモビリティーサービスの実現、この二つの視点が必要であると考えています。
まずは、安全・安心な運行であります。
国内外の先端技術を駆使して、安全・安心な自動運転を実現させる必要があると考えます。自動運転分野は、世界的にも大変動きの速い業界であり、技術開発も日進月歩であります。そこで、県内企業の技術も活用しつつ、的確に世界の技術開発の潮流を押さえ、時に使いこなしていく必要があると考えます。愛知は、世界から最先端のモビリティー技術が集結するにふさわしい地域であります。
次に、付加価値の高いモビリティーサービスの観点であります。
これは、単なるハイテクを装着するということではなく、ドライバーレスとなった移動時間、モビリティーを軸に、いかに付加価値を生んでいくのか、この視点が肝要であります。
運転から解放された自動運転の車内においては、路線や目的地、地域等の走行コンセプトに合った情報や体験が提供されることが必要であります。さらに、車内の仕掛けをいかに降車後のビジネスや観光地訪問といった実際のアクションにつなげていくのかといった視点が大切であり、これは自動車関連メーカーのみならず、地域の様々な関係者が一体となった取組が必要であります。
まさしく、自動運転技術は走る、止まるという単独ではなく、新たな付加価値を生んでいくという視点が肝要であり、こうした視点が自動運転モビリティーによるサービスの継続性にもつながっていくと考えています。この点において、愛知県は長年にわたって自動運転技術のみならず、様々な活用策を地域一体となって世界の先端技術を取り入れ、実証してきた実績がありますので、今後も企業の動きをリードしていくポテンシャルと責任があると考えています。
そこで質問です。
本県の自動運転の取組において、いかに安全・安心で付加価値の高いモビリティーサービスを実現されようとしているのか伺います。
次に、公共交通の課題解決について質問をいたします。
公共交通をめぐる課題としては、二〇二二年二月に策定をされました本県のあいち交通ビジョンにおきまして、新型コロナウイルス感染症による利用者の減少、それに伴う交通事業者の収益の悪化や、交通事業者による設備投資の延期、縮小、さらにはバス路線のサービスが縮小することや、タクシー事業の廃業や撤退といった懸念が指摘をされています。また、在宅勤務といった新しい生活様式も考慮する必要性も記載をされております。
このような課題解決等に対するアプローチ方法は様々あると考えますが、関連法令も整備されつつある自動運転や、諸外国で国や都市を挙げて導入が始まっておりますMaaSといった新たなテクノロジーを取り入れていく必要があると考えています。
一方で、公共交通の課題解決は、移動の需要、手段、ルート、採算性などを踏まえて、住民や交通事業者、自治体、所管官庁を交えて検討していく必要があり、検討事項も多岐にわたっています。
このような中にあって、公共交通の課題解決の手段として、自動運転技術、MaaSなど新たなテクノロジーを実際の交通に取り入れていくためには、一市町村や交通事業者だけの力では難しく、広域自治体としての県が積極的に役割を果たす必要があります。これまでの経済産業局が行ってまいりました技術面での実証以外にも、市町村や交通事業者の声を聞き、課題解決に向けて先端的な技術の導入策を一緒に考え、後押ししていく必要があるのではないかと考えています。
そこで質問です。
都市・交通局は、公共交通の課題解決に向けて、自動運転技術やMaaSなどの新たなテクノロジーをどのように活用していくのか、お考えを伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
9:
◯政策企画局長(沼澤弘平君) スマートシティ事業のさらなる促進のお尋ねのうち、まず、スマートシティモデル事業の各市の取組と成果についてお答えをいたします。
スマートシティモデル事業は、市町村と企業等からなるコンソーシアムが、ICT等の先進技術を活用して地域課題を解決する取組を県が支援するものでありまして、今年度は六市を選定いたしました。
このうち刈谷市では、御質問にもありましたとおり、5Gを活用した救急医療分野のフィールド実証に取り組んでおり、参加した医師や看護師からは、救命につながる技術であるとの評価をいただいております。
岡崎市では、東岡崎駅から岡崎城の大河ドラマ館に次世代パーソナルモビリティーを導入することで、周辺の渋滞緩和を図る取組が実施されました。利用した観光客の方からは総じて好評で、駐車場の分散化による渋滞緩和につながる見通しが立ちました。
半田市では、農家が分散している圃場を適切に管理できるよう、専用アプリを用いて水位などのデータを遠隔で把握し、米の各品種の収穫量を予想することができました。
豊橋市では、市内企業の健康経営の促進を図るため、ICTを活用した血糖値のモニタリングや、AIによる糖尿病予防のカウンセリング指導が実施されました。実証に参加した企業の社員の方は、その多くで血糖値に関する数値の改善が見られました。
春日井市では、公共交通の利便性を確保するため、MaaSウェブアプリを活用し、デジタルチケット販売や、市のAIオンデマンドバスなどとの連携に取り組みました。市内の公共交通をウェブアプリでまとめることで、利用促進と交通事業者の負担軽減が図られました。
大府市では、仮想世界と現実世界を同時に提供するMR技術を活用した脳トレソフトウエアを開発し、高齢者に体験してもらうことで、ソフトウエアによる認知症予防意識の向上のデータを得ることができました。
このように、各市の取組からは着実に成果が得られているところであります。
次に、スマートシティモデル事業の成果の横展開についてお答えをいたします。
県内のスマートシティの先進的な取組は、同じような地域特性や課題を抱えている市町村においても活用できる可能性が高く、積極的に横展開を促していきたいというふうに考えております。
このため、今年度モデル事業を実施した六市から事例を発表していただく成果報告会を、市町村関係者を対象に今月中旬に開催をするということとしております。報告会では、六市から、まず、事業の目的や課題解決に向けた実証実験の内容、企業との連携体制の構築の方法などを説明していただきます。その上で、実証結果や得られた成果、また、実装に向けた今後の予定や、他の市町村が類似の事業に取り組む上でのアドバイスなどを発表していただくとともに、モデル事業の選定に御協力いただいた有識者にも加わっていただきまして、参加者で意見交換等も行っていきたいというふうに考えております。
続いて、スマートシティモデル事業の社会実装の促進についてお答えをいたします。
スマートシティモデル事業の実施により、課題解決の見込みが得られ、継続的な実施の見通しが立った事業については、市町村や事業者など、関係者が協力して具体的な社会実装を目指していただきたいというふうに考えております。実際に社会実装を進めるに当たっては、先進技術の導入に向けた安全性や費用負担などについて、住民の理解など、社会受容性を高めていく必要があります。また、運営面や資金面などで持続可能な仕組みを構築することも課題となります。
こうしたことから、県といたしましても、モデル事業の内容や成果について、ウェブサイトなどを通じて情報発信や普及啓発を図るとともに、実装を後押しする国の補助事業の活用など、社会実装に向けて市町村への支援や相談対応を行ってまいります。
10:
◯経済産業局長(矢野剛史君) 本県の自動運転の取組における安全・安心で付加価値の高いモビリティーサービスの実現についてお答えをいたします。
自動運転を県民の皆様に広く受け入れていただくためには、安全で安心な自動運転システムの実現が必要と考えております。
このため、本県では、中部国際空港島及びその周辺地域、集客施設である愛・地球博記念公園のほか、名古屋市内の都心といった交通環境の異なる三つのエリアにおきまして、様々な安全技術を取り入れながら実証実験を進めてまいりました。
具体的には、衛星測位システム等に加え、中部国際空港連絡道路においては、磁気マーカを活用することで、悪天候時の走行性能のさらなる向上を図ったほか、愛・地球博記念公園では、AIによる画像解析技術を活用することで、混雑時に音声により歩行者に自動運転車の接近を伝える取組を実施してまいりました。
また、移動時間を活用した付加価値の創出に向けましては、車内でのデジタルコンテンツの提供やオンライン会議の実施に必要となる透明ディスプレーや拡張現実──ARですね──の技術実証も進めております。
今後は、これまでの実証実験によって積み重ねた技術を結集し、さらなる安全・安心な運行を実現するとともに、車内での観光情報等の提供や会議の開催など、具体的な活用例を想定した実証実験を通じまして、付加価値の高いビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
11: ◯都市・交通局長(金田学君) 公共交通の課題解決に向けた自動運転技術やMaaSなどの新たなテクノロジーの活用についてお答えします。
公共交通については、人口減少、高齢化の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により各社とも厳しい経営状況となっており、今後も利用者が以前の水準まで回復することは難しいと見込まれます。
このため、エコ通勤の実践を図るキャンペーンなどの利用促進策はもちろんのこと、交通事業者が自動運転技術やMaaSなどのテクノロジーを十分に活用し、新たな利用者の獲得やコストの縮減による経営改善に取り組むことが重要となります。
このうち、自動運転技術では、県内の先進事例の一つとして、日進市において、来年を目途に自動運転バスの定常運行の開始を目指す取組が進められております。
今後とも、先進的な事例の情報提供を通じまして、県内でのさらなる取組を促進してまいります。
また、MaaSでは、昨年度から実証実験を実施している名古屋東部丘陵地域に続き、来年度、新たにセントレアを中心とした知多地域にも広げ、他のMaaSとのサービスの相互利用を可能にするとともに、商業・観光施設のクーポン、地域情報の充実などによりMaaSの普及を図り、公共交通の利用促進につなげてまいります。
県といたしましては、引き続き市町村や事業者と十分に連携しながら、新たなテクノロジーの活用を進めることにより、快適で魅力的な移動環境を整備し、公共交通の課題解決を目指してまいります。
12: ◯知事(
大村秀章君) 永井雅彦議員の質問のうち、私からは、スマートシティモデル事業についてお答えをいたします。
ICT等の先進技術により、都市や地域の機能やサービスを効率化、高度化し、新たな価値を創出するスマートシティは、これからのまちづくりに必要な取組であります。世界の先進的な地域では、デジタル技術を活用しながら、社会の在り方を根本から変えるまちづくりが積極的に展開されております。
市町村がスマートシティ化を進めていくためには、地域の課題をしっかりと把握するとともに、それを解決するための技術を持つ民間企業との連携、協力が不可欠であります。
愛知は、日本一の産業県として高い技術力を誇るモノづくり企業が集積しており、交通モビリティーや健康福祉をはじめとした幅広い分野で、こうした企業と連携した先進的なまちづくりが進展するポテンシャルを有しております。
本県といたしましては、本年度、実証事業にチャレンジした六市に続くスマートシティの取組を県内全域に拡大し、モデル事業を進めながら、社会実装へと踏み出す市町村を全力で支援をしていきたいと考えております。
13: ◯議長(
須崎かん君) 進行いたします。
飛田常年議員。
〔六十四番
飛田常年君登壇〕(拍手)
14: ◯六十四番(
飛田常年君) 通告により順次質問をいたします。
最初に、行財政改革の取組についてお伺いをいたします。
県は昨年十二月二十一日、あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組を公表されました。後半期の取組では、新型コロナウイルス感染症への対応を通じ、浮き彫りとなった規制緩和や官民連携などの課題、社会全体のデジタル化、DXの推進などに迅速、的確に対応するため、行革プランの取組内容の充実を進めるとともに、新たな取組を大幅に追加しております。
新たな取組を拝見しましたところ、事務事業の合理化と行政サービスの向上を目指す取組として、ICTの活用、デジタル化といった内容が多くあります。
県民の日常生活や企業の経済活動においてはデジタル技術が浸透しており、今や必要不可欠なものとなっております。そして、行政においてもデジタル化を前提とした行政手続や県民サービスを提供していく必要があります。
新型コロナウイルス感染症をきっかけとした新しい生活様式を新たな日常として定着させなければなりません。新たな日常において不可欠なデジタル技術としては、まず、キャッシュレス決済が思い浮かびます。
身近なところでは、インターネット通販や、店頭において、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済等で支払いができるようになり、キャッシュレス決済の急速な普及を実感しているところであります。
国においては、キャッシュレス決済比率を二〇二五年までに四割程度に、将来的には世界最高水準の八割まで上昇させることを目標としております。二〇二一年の民間での消費におけるキャッシュレス決済比率は三二・五%となっており、今後、国が掲げた目標に向けてさらなる普及が見込まれています。
本県においても、二〇二三年四月からオンライン申請及び納入通知書における収納について、キャッシュレス決済に対応することとし、導入に向けた準備が進められていると伺っております。
次に、企業の経済活動における新たな日常に必要不可欠となるデジタル技術の一つとして、電子契約が挙げられます。電子契約のメリットとしましては、契約書の印刷、来庁や郵送による取り交わし等の作業が不要となるため、業務の効率化、ペーパーレス化、働き方改革につながると考えられます。加えて、事業者にとっては収入印紙などのコスト削減にもつながるなど、大きなメリットがあると考えます。
また、二〇二二年一月時点で、民間企業の六九・七%が電子契約を利用しているという調査結果もあり、電子契約の導入が進んでいることが分かります。
一方、地方公共団体においては、二〇二一年一月の地方自治法施行規則の改正により、電子契約で使用する電子署名の要件が緩和され、一部では電子契約を導入した団体もあると聞いております。
このように、電子契約は大きなメリットがあるとともに、導入が進んでいる状況を踏まえますと、本県においてもぜひ活用していただきたいと考えているところであります。
キャッシュレス決済と電子契約につきましては、さきの十二月議会において、我が党県議団の代表質問に対して、知事から行革プランの後半期の取組の一つとして、ICTデジタル技術を活用したキャッシュレス決済や、電子契約の導入による県民の利便性の向上と業務の効率化などに、積極的に取り組むとの御答弁をいただいているところであります。
そこでお尋ねいたします。
本県において、デジタル技術が必要不可欠になりつつある新たな日常を定着させ、県民の利便性向上と業務の効率化につなげていくためには、キャッシュレス決済や電子契約の導入について、着実に取組を進めていく必要があると考えておりますが、現在の検討状況と今後の展開について、県のお考えをお伺いいたします。
さて、このようなICTデジタル技術の活用につきましては、まさにDXの推進という社会を取り巻く環境の変化という視点で捉えられているものであり、今回のあいち行革プラン二〇二〇後半期の取組の取りまとめに当たっては、このDX推進の取組をはじめ、ウイズコロナ、アフターコロナへの対応、新規施策、環境変化等への対応という三つの視点を切り口としております。こうした視点を設けるということは、行革全体の方向性を明確に示すという意味で大変重要であると考えております。
そして、今後、こうした視点となる環境変化、とりわけ大きな環境変化として人口問題があるのではないでしょうか。
我が国の人口が二〇〇八年をピークに減少が続いている中にあっても、愛知県の人口は増加し続けておりましたが、二〇二〇年には、一九五六年の調査開始以来、初めて減少に転じました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う入国規制など、外国人の転入が大幅に減少したことが要因の一つではありますが、東京圏への流出超過が続くとともに、少子・高齢化による自然減も年々拡大しております。少子・高齢化が進展し、六十五歳以上の高齢者の人口がピークになることで、医療、介護の社会保障費の増加、労働力人口の減少など、様々な問題が顕在化していく、いわゆる二〇四〇年問題も目前に迫っております。
今後の行政の在り方を見据えていく中で、人口問題を踏まえた行財政改革の推進ということに目を向けていく必要があり、避けては通れない問題だと思います。
そこでお尋ねをいたします。
人口問題という視点を切り口に、行政サービスの維持、向上を図るためには様々な工夫が必要と考えられますが、今後どのような行財政改革を進めていかれるのか、お伺いをいたします。
次に、ラグーナ蒲郡地区へのアクセス道路についてお伺いをいたします。
私の地元である東三河地域は、北部に広がる森林や豊川河口の六条潟、海の恵み豊かな三河湾、渥美半島の美しい海岸など、豊かな自然環境を有しております。その中でも蒲郡市では、温暖な気候と風光明媚な景色などに恵まれた観光資源が多く、その観光拠点となるラグーナ蒲郡地区は、産業や観光振興などの地域経済を支える重要な役割を担っております。
ラグーナ蒲郡地区には、海に親しむことをテーマとし、内外の人々が新しい豊かなライフスタイルが享受できるまちをコンセプトに、一九九一年から本格的な開発が始まっており、大型レジャー施設、海陽ヨットハーバー、商業施設、高級リゾートホテル、教育施設及び企業の研究所が立地しております。
さらに、県企業庁が有する十六ヘクタールの商業用企業用地もあり、今後、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ経済社会活動を回復させるためにも、こうした魅力ある地域資源を生かした観光振興を図ることが重要であり、その基盤となる道路整備は必要不可欠なものであります。
蒲郡市周辺では、国が二〇二四年度の名豊道路全線開通に向けて、蒲郡バイパスの整備を進めており、豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間の約九・一キロメートルの未開通区間において工事が全面展開されております。これまでに工事区間内の三つのトンネルは全て貫通し、現在は橋梁工事、大規模切土工事をはじめとする道路築造工事などを進めていると聞いており、地元としても一日も早い全線開通を大いに期待しているところであります。
また、ラグーナ蒲郡地区周辺では、隣接する国道二十三号の大塚鎌倉交差点から地区内への新たな進入路として、県において、臨港道路海陽三号線の整備が進められております。この整備が呼び水となり、地区内での既存施設の利用増加や未利用地を活用した今後のまちづくり事業の促進にもつながるものと期待をしております。
一方で、休日や特にイベント時には、ラグーナ蒲郡地区が大変なにぎわいを見せており、現在でも国道二十三号の十能交差点など渋滞が発生しております。また、渋滞時には地元の生活道路だけでなく、隣の豊川市御津町へも迷惑をおかけしている状態であります。
蒲郡バイパスの開通に伴う通過交通の転換や臨港道路整備に伴う交通分散によって、ある程度渋滞は緩和すると考えますが、今後の地区内のまちづくりの進展やインバウンドを見込んだ観光需要の増加、さらには名豊道路の全線開通により、県内だけでなく広域的にアクセスが拡大することから、より円滑な交通の確保が必要と考えております。
こうしたことから、名豊道路仮称金野インターチェンジから大塚鎌倉交差点につながる都市計画道路大塚金野線の整備が大変重要となっております。都市計画道路大塚金野線は、事業化に向けてJR東海との協議など、順調に進めていただいているとお聞きしています。
これまでにJR東海道本線との交差協議において、既存踏切道の廃止に対する地元同意が条件に出され、地元の協力により解決していることからも、この道路の早期整備を地元は大いに期待をしております。また、蒲郡市としても、県への第一要望道路は都市計画道路大塚金野線の早期事業化となっております。
そこでお尋ねいたします。
都市計画道路大塚金野線の現在の進捗状況と今後の取組についてお伺いをいたします。
次に、サーキュラーエコノミーの推進について伺います。
循環経済とも呼ばれるサーキュラーエコノミーは、大量生産、大量消費、大量廃棄の直線型の経済システムから脱却するため、EUが二〇一五年十二月に政策パッケージとして公表したことで世界的に広がった概念であり、製品、素材、資源などの価値を可能な限り長く保全、維持しながら、廃棄物の発生量を最小化する経済システムであります。
サーキュラーエコノミーの特徴としては、資源循環を加速させるだけではなく、シェアリングやリース、リユース、リペア、リサイクルのビジネスに重点を置いており、産業的な側面も強く、持続可能な脱炭素社会の実現や、競争力のある経済への転換に大きな貢献が期待できることが挙げられます。
こうした世界的なサーキュラーエコノミーへの転換の流れの中、市町村としていち早く取り入れ、積極的にサーキュラーエコノミーを実践されている蒲郡市の取組を紹介いたします。
二〇二一年三月に、ゼロカーボンシティを宣言した蒲郡市は、サーキュラーエコノミーを、二〇五〇年に温室ガスの排出を実質ゼロにするための手段としてだけではなく、まちづくりに取り組み、蒲郡に関わる全ての人々が、ウエルビーイングを実感し、このまちを誇りと思う、君が愛する蒲郡となるよう、二〇二一年十一月にサーキュラーシティを目指していくことを表明しました。
そして、二〇二二年三月にサーキュラーシティに向けたビジョン、つながる、交わる、広がるサーキュラーシティ蒲郡を掲げ、未来のまちづくりとして、重点的に推進する経済、社会、環境を活性化させる七つの重点分野、教育、消費、健康、食、観光、交通、モノづくりを定め、市内の主要産業の活性化と市民の健康と幸福の実感を軸に取り組むこととしています。
今年度には、株式会社メルカリなどと連携協定を締結し、それぞれの資源及びネットワークを有効に活用して、地域の課題解決、地域の活性化を図っていくほか、市内のホテルや繊維、リサイクルなどの企業とも連携して地域資源の有効活用の取組を幅広く進めています。
さらに先月、二月八日から二月十日のことでありますが、日本政府、カンボジア王国及び国際連合地域開発センターから招待を受け、第十一回アジア太平洋3R・循環経済推進フォーラムに市長が参加し、蒲郡市が推進するサーキュラーシティの取組を紹介し、官民連携の重要性を発信しました。
また、このフォーラムに参加したアジアの他の市長と共に、アジアの市長による都市におけるクリーンな土地、クリーンな水、およびクリーンな空気の実現に関するインドール3R宣言に署名し、廃棄物ゼロの社会に向けて、3Rやサーキュラーエコノミーを推進していくことを共有しました。
こうした蒲郡市のサーキュラーエコノミーに関する取組は、持続可能な都市を実現していく上で必要不可欠なものであり、その実現には、市だけではなく、市民や企業と連携しながら、地域内における資源の循環をつくり出していくことが大変重要であると考えます。
一方、本県においても、二〇二二年三月に、あいちサーキュラーエコノミー推進プランを作成されており、全国一の産業県として、環境と経済の好循環を図り、サーキュラーエコノミーへの転換と3Rの高度化により循環ビジネスを進展していく目標を掲げられています。
プランの柱として、天然資源の枯渇やプラスチック問題といった地球規模の課題や、使用済み太陽光発電パネルなどの社会的課題を解決するため、本県の地域特性や産業のポテンシャルを生かした六つのサーキュラーエコノミー推進モデルを設定されており、今年の一月には、これらのモデルを具体化していくため、多様な事業者が参画する七つのプロジェクトチームを立ち上げられました。
今後は、資源循環性の高い取組の事業化を目指していくことになりますが、我が国でも成長戦略フォローアップ工程表において、二〇三〇年までに、サーキュラーエコノミーに関するビジネスの市場規模を現在の約五十兆円から八十兆円以上に拡大するという目標が掲げられています。
本県ではこれまでに、県内企業に対し、先導的なリサイクル設備等への補助や優れた環境技術や取組を表彰する愛知環境賞などにより、循環ビジネスの支援に努められており、今こそ各企業が培ってきた先導的な技術、事業を結集し、画期的なビジネスモデルが創出できれば、大きなビジネスチャンスとなることが期待できます。
加えて、企業のサーキュラーエコノミーへの転換を促進し、県内全域に広げていくことは、地域の活性化とともに、循環型社会の形成や脱炭素社会の実現を加速させていくものであります。
そこで、一月に設立したサーキュラーエコノミー推進モデルを具体化するプロジェクトチームをどのように展開していくのか、また、県内全域にサーキュラーエコノミー型ビジネスを普及していくため、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
最後に、漁業生産に必要な栄養塩の確保について伺います。
私の地元である蒲郡市には、竹島海岸など幾つかの潮干狩り場がありますが、毎年ゴールデンウイークには、おいしいアサリを目当てに多くの方が訪れております。アサリは春の訪れとともに、身が殻いっぱいに詰まり、酒蒸しやみそ汁などにして食べると大変おいしくて、春の味覚として多くの県民が楽しみにしております。
本県のアサリは十八年連続日本一の生産量を誇る重要な水産物でありますが、近年は漁獲量が大きく減少し、農林水産省の統計を見てみますと、二〇二一年の漁獲量は二千四百トンで、二万トンを超えるほどあった最盛期に比べると約一割になっております。
水産試験場によりますと、アサリが減少した理由としては、夏の貧酸素水塊、ツメタガイやカイヤドリウミグモといった外敵生物、冬の強い波浪など、様々な要因がありますが、最近はアサリの餌となる植物プランクトンの発生に必要な栄養塩の不足が大きく影響していると考えられています。植物プランクトンの発生が少なくなると、アサリは餌が不足して体力がなくなってしまい、冬の荒波に耐えられずに生き残ることができないとのことです。
三河湾は、かつて一年中赤潮が発生するような栄養が多過ぎる海であったことから、水質を改善するため、海に流れ込む窒素やリンの量を規制する取組が進められました。その結果、伊勢・三河湾において、この四十年間で流れ込む窒素の量は四三%、リンの量は六八%減少して、海がきれいにはなりましたが、一方で、漁業生産に必要な栄養塩の不足につながっていると思われます。
海の栄養塩不足はアサリだけの問題ではありません。本県で盛んなノリ養殖においても、色落ちを引き起こして、品質の良いノリが生産できず、場合によっては養殖を早く終わらなければならないこともあります。また、網で魚を捕る漁業者からは、最近はカタクチイワシの成長が遅くなった、魚が痩せているなどの声を聞いております。
春の風物詩であるイカナゴ漁は、二〇一六年以降、七年間禁漁となっています。水産試験場によると、シャコ、アナゴの漁獲量が減少しており、ゴカイやカニなど餌となる生物の減少、さらに餌生物の餌となる植物プランクトンの生産力の減少が影響していると報告しています。
植物プランクトンやノリは植物です。陸上植物と同様に、これらは海に溶けている窒素やリンなどの栄養塩をもとに生育します。この窒素やリンの濃度の低下が海の生産力を低下させていると考えられています。
このような状況の中で、県では栄養塩不足を解消するため、三河湾において二か所の浄化センターの放流水中のリン濃度を高める取組を行ってきました。浄化センター周辺を漁場としている漁業者からは、アサリが生き残っている、色の良いノリが生産できる、浄化センターでリン濃度を上げて放流しているおかげであると声を聞いております。この取組は、漁業者にとっても大変期待の大きいものであります。
そこで、漁業生産に必要な栄養塩を確保するため、今後どのように進めていかれるのか、県の考えをお伺いいたします。
以上、理事者からの明確な答弁を求めて、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
15:
◯総務局長(江口幸雄君) 行財政改革の取組のうち、キャッシュレス決済及び電子契約の導入についてお答えをいたします。
キャッシュレス決済及び電子契約につきましては、社会における急速な普及から、本県でも積極的に対応すべき課題と認識をし、知事を本部長とする愛知県DX推進本部において、全庁的に取り組む重点項目と位置づけた上で導入の検討を進めてまいりました。
キャッシュレス決済につきましては、今年度、電子申請届出システムの改修を行い、二〇二三年の四月から、納税証明書の交付申請をはじめ、百以上のオンライン申請において手数料等のキャッシュレス決済を開始し、以降も対応手続きを拡大してまいります。あわせて、県の会計事務を処理する財務システムにより、作成される全ての納入通知書について、手数料等のインターネットバンキングによる支払いを可能としてまいります。さらに、公の施設において、二〇二三年四月からクレジットカードの読み取りなどに必要な端末の配備等を進め、準備が整い次第、順次施設使用料等のキャッシュレス決済を開始してまいります。
次に、電子契約への対応であります。
今年度、財務規則の改正の必要性やシステム要件等の検討を進めるとともに、建設事業等における実際の契約事業者に協力をいただき、紙と同じ契約を模擬的に電子で行う実証実験を行ってまいりました。
事業者からは、契約時に来庁する必要がなく、事務の効率化につながるといった導入に前向きな意見をいただいており、今後、システムの調達を進め、来年度後半を目途に運用を開始してまいります。
引き続き県民の利便性向上と業務の効率化のため、キャッシュレス決済の拡充及び電子契約の導入に取り組んでまいります。
次に、人口問題を視点とした今後の行財政改革についてでございます。
少子・高齢化に伴う高齢者人口の増加、労働力人口の減少といった人口問題は、県民ニーズや政策課題に大きな影響を及ぼす環境変化であると認識をしております。あいち行革プラン二〇二〇の策定時におきましても、本県の人口が減少局面に転じるとともに、急速に高齢者が増加することが見込まれる状況であることを位置づけ、人材、資産、財源等の、県の持つ経営資源を最大限に活用することで、一層、効率的、効果的な行財政運営の実現に向けた取組を進めてきたところでございます。
今後、人口減少は県行政の各般に影響し、多岐にわたる変化に迫られてまいります。また、それに対応する職員の確保も大きな課題になると考えております。
昨年十二月に取りまとめました後半期の取組では、ICTデジタル技術や民間活力の活用、官民連携のさらなる促進などを位置づけたところでありますが、今後の人口の動向、それに伴う社会の変化をしっかりと見極めながら、より効率的、効果的な行財政運営の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
16:
◯建設局長(道浦真君) 都市計画道路大塚金野線についてであります。
都市計画道路大塚金野線は、豊川市内の名豊道路仮称金野インターチェンジと蒲郡市内の国道二十三号大塚鎌倉交差点を結ぶ、延長約三キロメートルの幹線道路であります。
一九九七年に都市計画決定された本路線には、JR東海道本線との立体交差や、延長約六百メートルのトンネルが計画されていることから、これまでに具体的な道路計画を固めるため、現地調査や道路設計などを実施してまいりました。このうち、JR東海道本線との交差部では、周辺の踏切道の廃止について、地元の同意が得られたことから、地質調査や構造物設計を行い、交差形式や施工方法に関するJR東海との協議が調ったところであります。
一方、トンネル坑口付近では、最新の航空測量を基に、もろい地質の谷や大規模調整池を避けた計画とするとともに、鉄道交差部の北側では、地域の利便性を考慮した側道計画とするなど見直しを行い、都市計画変更に向けた公安委員会など関係機関との調整を本年一月に終えたところであります。
今後は、今月末に地元説明会を開催するなど、都市計画変更の手続きを着実に進めてまいります。
引き続きラグーナ蒲郡地区へのアクセス強化に資する都市計画道路大塚金野線の早期事業化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
17:
◯環境局長(水野達也君) サーキュラーエコノミーの推進についてお答えします。
まず、サーキュラーエコノミー推進モデルを具体化するプロジェクトチームの展開につきましては、今年の一月に立ち上げた七つのチームには、本県独自の循環型社会形成推進事業費補助金の活用実績のある企業や、愛知環境賞を受賞した企業をはじめ、製品の設計、生産からリサイクルまでの様々な段階に関わる五十六事業者に参画していただいております。
一月三十一日に開いた初会合では、チームメンバーの顔合わせと課題の整理を行ったところであり、例えば、プラスチック関係のチームでは、様々な素材が使われている廃プラスチックを、多用途で繰り返し利用できる原料として、いかに効率よく事業性のある形で製造していくのかなど、幾つかの課題が提示されました。今後は、各チームの事業者が連携し、品質や性能の確保に向けた分析調査や実証実験などを行い、五年をめどに事業化を目指すこととしております。
県としては、各チームに大学教授などの有識者を配置するとともに、分析調査や実証実験、事業化検討に対して財政支援を行うなど、チーム活動が前進するよう、しっかりと支援してまいります。
次に、サーキュラーエコノミー型ビジネスの普及につきましては、産学行政の連携拠点として県庁内に設置したあいち資源循環推進センターにおいて、企業への技術的な相談に併せ、サーキュラーエコノミーの視点を取り入れた事業活動となるようアドバイスを行うとともに、実践につなげていただくためのビジネスセミナーを開催しております。
今後は、これらを継続していくほか、取組を始めるきっかけとなるスターティングブックの作成や、プロジェクトチームの成果の発信などを通じて、サーキュラーエコノミー型ビジネスを県内全域に広げてまいります。
18:
◯農業水産局長(矢野浩二君) 続いて、漁業生産に必要な栄養塩の確保についてであります。
海の栄養塩不足は、アサリの減少やノリの色落ちなど、漁業生産に大きな影響を及ぼしていると考えられております。このため、三河湾におきまして、二〇一七年度から五年間、矢作川と豊川の浄化センターで、秋から冬にかけて、放流水中のリン濃度を水質汚濁防止法に基づく総量規制基準の範囲内で増加させる試験運転を行い、アサリやノリによい効果が見られました。しかし、その範囲は限定的であったことから、今年度は、これまでの取組に加え、社会実験として、総量規制基準を改正し、昨年十一月から、新たに窒素も加え、放流水中の濃度の上限値を二倍に緩和して試験運転を行っております。
また、栄養塩確保の取組をより効果的に進めるため、新たに学識経験者や漁業者など、環境や水産の知見を有する関係者を構成員とする愛知県栄養塩管理検討会議を立ち上げました。
十月の第一回会議では、社会実験の効果調査の充実などについて意見をいただいたことから、調査地点を増やすこととし、現在まで水質に異常は見られず、順調に進めることができております。
来年度は、社会実験を継続するとともに、検討会議において社会実験の効果の検証や、それぞれの地域において必要な栄養塩濃度の算出を行い、それぞれに対応する様々な栄養塩管理の方策を検討してまいります。
今後も、将来にわたって漁業が持続できるよう、漁業生産に必要な栄養塩の確保に向けた取組をしっかりと行ってまいります。
19: ◯知事(
大村秀章君)
飛田常年議員の質問のうち、人口問題を視点とした今後の行財政改革につきまして、私からもお答えをいたします。
本県の人口は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う入国規制による外国人の流入減少や、東京圏への流出超過による社会減、そして少子・高齢化による自然減も年々拡大をしておりまして、二〇一九年をピークに三年連続で減少する状況となっております。
人口の減少により、空き家の増加や商店の減少、労働力不足などが進めば、地域活力の低下を招くことになりますが、県内五十四市町村のうち、四十三の市町村で人口が減少しているということは、県全体の活力を失いかねないという大変な危機感を持っているところであります。
こうしたことから、人口問題対策本部の設置、県と市町村との協議体制の構築により、今後しっかりと対策を検討してまいります。
一方で、それを支える行財政運営も変革をしていかなければならない点が多々出てくると考えておりますので、昨年十二月に策定をいたしましたあいち行革プラン二〇二〇後半期の取組に基づいて、ICTデジタル技術の活用による業務の効率化、民間活力の一層の活用、官民のさらなる連携促進などに積極的に取り組んでまいります。
20: ◯六十四番(
飛田常年君) 二点要望させていただきます。
ラグーナ蒲郡と金野インターを結ぶ都市計画道路大塚金野線は、地元としても大変期待をいたしております。
都市計画道路大塚金野線の延長上には、豊川市の都市計画道路金野御油線があります。都市計画道路金野御油線は、東三河ふるさと公園に面しております。この二路線が整備されれば、さらに延長線上には、豊川市の姫街道につながります。姫街道周辺には豊川稲荷等があり、ラグーナ蒲郡との相乗効果が大変期待されますので、早期事業化に向けて整備を要望いたします。
もう一点、漁業生産に必要な栄養塩の確保についてですが、豊川浄化センターと矢作川浄化センターでの効果は目に見えて出ているようであります。伊勢湾の知多市や常滑市は既に同調してリンと窒素の基準を緩めているようでありますが、三河湾の蒲郡市や田原市などの市町の浄化センターとも連携を取って、国の基準いっぱいまで上げていただくことを要望いたします。
また、環境基準は愛知県独自でも決定できるとお聞きしております。ぜひもっと広域で考えていただいて、三重県、そして岐阜県とも連携して、環境基準を見直していただきたいと思っております。
今まで環境局や農業水産局等、当局の御努力のおかげできれいな海には近づいております。しかしながら、現在はきれいになり過ぎてしまったのか、栄養塩不足で豊かな海でなくなってしまってると思われます。これからは、環境局、そして農業水産局がもっと連携をしていただいて、豊かな海づくりのために努力していただくことを要望して、質問を終わります。
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21: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
22: ◯議長(
須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
23: ◯議長(
須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十四分休憩
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午後一時開議
24: ◯副議長(佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
加藤貴志議員。
〔十一番加藤貴志君登壇〕(拍手)
25: ◯十一番(加藤貴志君) 豊田市選出の公明党加藤貴志です。通告に従い、四点質問してまいります。
まず一点目、子育て支援におけるDX推進について、三つの項目についてお伺いします。
約三年にわたり社会に甚大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症。一方で、ウイズコロナからアフターコロナへと移りゆく段階にある現在において、数年前と比べ次元の異なる進歩を遂げてきたのがDX、いわゆるデジタルを活用した社会生活ではないでしょうか。
県もあいちDX推進プラン二〇二五を基に行政の効率化、データ活用、ICT活用支援を進めています。県民の利便性向上にも帰するDXの推進、とりわけ若い世代ほどデジタルへの垣根が低いと思われる中、意外とこのデジタル化がうまく活用されていない分野があります。それが子育て支援の分野だと感じます。実際、多様な働き方の動きに育児支援策が追いついていないのが現状だと思います。共働き世帯の増加もあり、家事、育児でもデジタル化で時短を図ることで子供と接する機会を増やせる可能性もあり、これはサボりではなく子育てへの時間創出と捉えることができます。子育て支援に関する行政手続、子育てサービス、相談体制など、分かりにくい、煩雑、手書きで複写など子育て家庭からの不満が多く出ています。
時代に即した支援方法を進めるという観点では、国は昨年十二月、こども政策DX推進チームを立ち上げ、DXを活用した支援策を令和六年概算要求に盛り込むよう進んでいます。愛知県も積極的にDX推進を子育て支援分野に活用していくべきだと考えます。
その観点で、まず一つ目は、はぐみんカードの利便性向上についてお伺いします。
はぐみんカードは、県下でいわゆる子育て支援のパスポート的な役割を持ち、他都道府県にも違う呼び名で子育て支援パスポート事業として、内容が若干異なるものの同様の制度があります。平成二十九年四月からは四十七都道府県でコソダテの全国共通ロゴマークがある店舗などでサービスが受けられるようになりました。愛知県での対象世帯は十八歳未満の子供がいる家庭、妊婦や大人だけの来店時でもサービスを受けることができます。
そこでお伺いします。
県は社会全体で子育て家庭を応援する機運の醸成を図るため、子育て優待事業としてはぐみんカードを作成し、県内の協賛店舗で提示することで店舗、施設が独自に設定する商品の割引やサービスなどの特典が受けられる仕組みづくりを進めていますが、その実施状況はどのようになっているでしょうか。
はぐみんカードは優待カードです。こんな経験をお持ちの方、いらっしゃるのではないでしょうか。ある店舗で買い物をした際、ポイント使用や加算しようと思って優待カードやポイントカードを提示しようとレジで探すも、家に置き忘れてポイントや優遇を受け損ねたということを。そんなときは電子アプリがあれば、スマホに事前にダウンロードしておくとカード忘れも気にしなくても大丈夫ということになります。現代社会において、外出時、カードを家に忘れてもスマホを忘れるということはないかと思います。また、自分がいる場所の近くや訪問先周辺ではぐみんカード優待が受けられるかどうかを確認したい場合、県のはぐみんネットに店舗一覧表がありますが、まず自分がどこにいるのか把握する必要があり、一覧表をじっと見て上から下まで探し出す必要があり、煩雑で面倒な作業です。
愛知県が発行しているはぐみんカード、実は紙媒体でしか発行されていません。中部地方でカードのデジタル化が導入されていないのは愛知県のみです。もしデジタル化が導入されると、例えばスマホにアプリをダウンロードし、位置情報で優待を受けられる店舗検索を容易にできるようになります。
また、社会全体で子育て家庭を応援する機運の醸成を図るという視点では、多くのお子さんがいらっしゃる世帯へ、つまり多子世帯に対しての支援はプラスのサービスを提供するということも必要かと考えます。いわゆるはぐみんカードプラスとでも言えるでしょうか。
そこでお伺いします。
はぐみんカードは紙媒体のみでの発行となっていますが、利便性の向上を図るためにもデジタル化を進めるべきかと考えます。また、子供が三人以上の多子世帯向けにさらなるサービス向上を図る必要があると思いますが、県としてどのように考え、取り組んでいくのかお伺いいたします。
二つ目は、デジタルを活用した多胎児家庭支援についてお伺いします。
多胎児家庭支援の充実については、自身、十九年九月定例議会において一般質問で取り上げたテーマになります。当時、豊田市での三つ子虐待事件の判決が出た時期だったため、多胎児家庭支援に関し注目が集まりました。質問での要望が発端となり、はぐみんプラン二〇二〇─二〇二四に初めて多胎児家庭支援の言及がなされ、支援の重要性と訪問型支援もスタートしたことを高く評価いたします。その家庭訪問型子育て支援ホームスタート、子育てに不安を持つ家庭や多胎育児家庭などに対し子育てによる孤立感や不安を軽減するためにボランティアが訪問する事業で、県は二十年度から二年間モデル事業を実施し、二十二年度時点で県内六か所、今後も拡充予定と聞いています。
私自身、その後も県行政、当事者団体、地元の豊田市子ども家庭課とも情報交換、支援の進捗状況を確認しながら課題の洗い出し、改善策を提言してきました。
特に、豊田市においては日頃から意見交換を行わせていただいている一般社団法人あいち多胎ネットが主催し、令和三年度に多胎育児動線相談事業が行われ、その事業をベースに豊田市は多胎児家庭への支援をさらに発展させています。令和五年度は多胎ピアサポート事業として、多胎妊産婦に対し多胎育児経験者の派遣相談などアウトリーチでの支援を始める予定と聞いています。
一方、対面支援が重要視される子育て支援事業において、その考えを根底から覆したのが新型コロナの感染拡大でした。ただでさえ外出に困難を抱える多胎児家庭、コロナ禍においてはなおさらそのハードルが上がったと容易に想定できます。
そこでお伺いします。
コロナ禍における生活様式の変化の中で子育てに不安を抱える多胎児家庭に対し、訪問や面談など一人一人に寄り添った支援がどのように行われてきたのでしょうか。
母子保健の実施主体は、言わずもがな市町村になります。基本的に多胎児家庭支援事業も県は市町村へ働きかけを行う補佐的な役割を担います。多胎妊産婦などへの支援実施主体も例外なく市町村です。
一方、現場からは、市町村単位で多胎児家庭支援ができる市町村と現実的でない市町村があるなど、国の補助制度が使いにくいとの声も多々ありました。その声を厚生労働省に届け継続的に改善を求めたところ、運用改善が年明けに公表され、実施主体が都道府県でも可能ということとなりました。多胎妊産婦支援は広域的な観点、公平性を確保する意味でも居住場所によって支援に不公平さが出るべきではないと考えます。
コロナ禍で子育てに孤独感が加速しました。外とつながりにくい、限られた情報しかない、ただでさえ外出困難を抱える多胎児家庭支援もさらに滞る、でもつながりたい、そのような当事者には支援の選択肢を広げていかなくてはなりません。
そこでお伺いします。
外出やつながりなどに困難を抱える多胎児家庭、特に妊娠期における産後のイメージづくりには、経験者からの情報収集が非常に有効です。コロナ禍でも外との接点がつくれ、孤立を防ぎ、居住場所を選ばず県内同質の支援内容を確保できるデジタルを活用した支援策が有効だと考えるが、御所見をお伺いします。
三つ目は、母子手帳アプリの導入についてお伺いします。
一九四八年、戦後間もなく子供たちが栄養失調に悩み感染症も多かった時代、妊娠中のお母さんと生まれた子供の健康を守る手帳として、世界で初めて導入されたのが母子手帳でした。つまり、日本生まれの母子手帳。当初は母子手帳を持つことで、妊娠中や授乳中のお母さんは優先的にミルクや砂糖の配給をもらうことができました。配給手帳という意味でも母子手帳は大きな役割を果たしました。
誕生から七十五年が経過、母子手帳は妊娠時から小児に至るまで切れ目のない支援、今で言う伴走型支援の観点で母子保健サービスの提供を保障するという意味合いとも捉えることができるのではないでしょうか。そんな母子手帳は子供の成長を見守ることにもつながります。
しかし、時代の流れ、社会環境の変化とともに改善できる点もあると思います。多文化共生が進むことによる外国人に向けての多言語での表記、リトルベビーハンドブックを例にするように様々な健康状態の子にも対応できる応用が利く書式など、紙だと迅速な対応がしにくく、地域によって利便性に差異が生じる可能性もあります。また、災害時に紛失することも考えられ、再発行に時間を要する場合も想定されます。また、予防接種のスケジュール管理や様々な届出の手続など、日々の暮らしの中で失念するケースも多いのではないでしょうか。そのようなリスクを減らし、利便性の向上という意味合いでお伺いします。
妊婦の健診や子供の成長の情報管理などに役立つスマホに保管できる母子手帳アプリは、子育て家庭や行政にも有益なものであるが、母子手帳アプリの導入について県の御所見をお伺いします。
二つ目は、母乳バンクの認知度向上についてお伺いします。
母乳バンクに関しては、令和三年二月議会において、整備促進という観点で一般質問をしました。おさらいになりますが、母乳バンクとは安全なドナーミルクを安定的に、安全・安心な品質管理の下に必要な親御さんへ届ける施設のことです。そのドナーミルクとは、母乳がたくさん出るお母さんから寄附された善意の母乳で、早産など小さく生まれてきた新生児集中治療室、いわゆるNICUの管理下にあるような新生児、特に千五百グラム未満の極低出生体重児に対して使われるものです。
実は前回の一般質問後、我が党の里見参議院議員が母乳バンクの国の取組方針に関し、令和三年五月の参議院決算特別委員会にて質問をしております。当時の田村厚生労働大臣からは、母乳バンクの取組は重要だと考えている。令和二年度から調査研究事業を行っているが、母親や医療関係者による使用への抵抗感、負担感もあるということも聞いている。ただし、その有用性、安全性を令和四年度までの調査研究事業で課題等を整理することで、必要な方に母乳バンクが活用されるように対応を考えていきたいとの答弁がありました。その調査研究事業、愛知県においてもドナーミルクを安全に使用するための体制構築に関する調査研究事業が令和四年度までの三か年事業として実施されていると聞いています。
そこでお尋ねします。
今年度が最終年度の調査研究事業の現状はどのようになっているでしょうか。
愛知県衛生年報によると、二〇二〇年の愛知県の出生者数は五万五千六百十三人、うち二千五百グラム未満の低体重児は五千百四十三人と九・二%、さらにその中に占める千五百グラム未満の極低出生体重児が四百二十一人、八・一%となっています。
ちなみに、先ほど述べた多胎児家庭の観点だと、多胎児出生数千二百二十三人に占める多胎の低体重児八百九十七人と七三・三%、そのうち極低出生体重児が百九人、一二・一%と、その割合は単胎児のそれよりも大きくなっています。その点から考えると、母乳バンクの活用は多胎児家庭支援にもつながると言えるのではないでしょうか。
しかし、どんな有用な支援策も、その認知度、理解度が低いとなると活用がなかなか進まないと思います。二〇二二年の子供用品メーカーピジョンの母乳バンクについてどれくらい知っていますかというアンケート調査によると、母乳バンクの名称、内容ともによく知っているとの回答は二九・七%、聞いたことはあるが内容はよく知らないが四〇・一%、名称も内容も知らないが三〇・二%となっています。さきに述べた母乳バンクへの抵抗感が強いということを暗に示すアンケートとして、母乳バンク非認知者の母乳バンクへの抵抗感は五五%の一方、認知者のそれは三一・六%、つまり母乳バンクへの理解度が高いほど抵抗感は減る傾向にあると言えます。
先日、ドナーミルクを使用された複数の当事者の方にお話を聞く機会がありました。出産直後は母乳が出ず、医師から母乳バンクの存在を知らされ、初めてドナーミルクの提供を受けたとのこと。結果、ドナーミルクを利用して非常に助かったとおっしゃっていました。一方、印象的だったのは、正直、子供のこと、自身の体調のことを考えながらドナーミルクを受けるかどうかを考える時間・精神的余裕がなかったので、このようなすばらしい仕組みがあるのであれば、もっと早く知ることができればよかった。知っていたら精神的にも少しは落ち着くことができたのにとのことでした。いずれのコメントでも感じたことは、もっと早い段階で母乳バンクの存在、内容に触れる機会があれば、いざとなったときの判断材料になり得るし、精神的な安定にもつながるということです。妊娠時にドナーミルクが必要になる状態が来るかどうかは誰にも分かりませんが、なるべく多くのパパ、ママに情報提供をするということが重要だと思います。
そこでお尋ねします。
母乳バンクをより多くのパパ、ママに知ってもらうため、例えば母子手帳交付時に母乳バンクに関する情報提供も同時に行うことが非常に有効だと考えますが、御所見をお伺いします。
啓発対象はパパ、ママだけではありません。将来パパ、ママになる可能性がある若い世代、とりわけ高校生にも母乳バンクについて知ってもらうことは大事かと思います。
先日、地元の県立豊田東高等学校において、看護系の進路を目指す生徒などに対し、母乳バンクの特別講座を藤田医科大学宮田准教授の御協力を得て開催していただきました。生徒を対象にしての母乳バンク特別講座は県内初、恐らく日本初の取組のようでした。受講後、生徒たちの感想は、母乳バンクは知らなかったけど大切な取組だと分かったし、すごく勉強になりましたとのこと。生徒のみならず教師にとっても新たな知識習得の機会となり、大変好評だったとのことで、来年度以降も様々な形で母乳バンクへの理解促進を図ることができる取組を学校としても検討中と伺いました。
そこでお尋ねします。
非常に好評だったこの特別講座、教育現場で生徒に対して母乳バンクの取組を知ってもらう機会の創出も母乳バンクの認知度向上に大いに寄与すると考えますが、教育委員会の御所見をお伺いいたします。
三点目は、男性用トイレへのサニタリーボックスの設置についてお伺いします。
この四十年の間、国、県の死亡要因第一位はがんで、一生のうち二人に一人は罹患する可能性があると言われています。中でも、男性特有のがんは泌尿器系のがん、前立腺がんや膀胱がんです。国立がん研究センターによると、後遺症で尿漏れすることがある前立腺がんの十九年の罹患数は約九万四千七百人で、男性のがんの第一位となっています。
そんな当事者が外出時に困難に遭遇する場面があります。それは、手術の影響で、ふだんの生活で尿漏れしやすい状況を防ぐために使用する失禁用パッドやおむつを外出時に取り替え、捨てなければならないとき捨てることができず、都度ポリ袋に入れ、かばんに入れて持ち帰る必要があるということです。
一般社団法人日本トイレ協会がパッドを使う人を対象に実施したトイレの困りごとアンケート調査では、第一位が捨てる場所がないという結果となっています。言い換えると、外出する際はすぐに帰宅できるような時間調整をする必要や、男女兼用の多目的トイレがある場所を頭に絶えず入れておく必要があることになります。
今後は高齢者人口が増える中、がん経験者以外の方も失禁用パッドやおむつを使用される方は増えていくことも想定されます。また、昨今のLGBTが注目される中、例えば心と外見が男性で体は女性の場合、生理用品を男性用トイレで廃棄したい場合もあり、そのようなトランスジェンダーの方への配慮を図るという意味合いにもなると考えます。尿漏れなどの症状が気になって外出を控えるというようなことがないよう、気兼ねなく外出できる要因ともなり得るサニタリーボックスの男性用トイレなどへの設置は、心理的バリアフリーにもなると思います。
えてして、なかなか男性当事者から設置要望の声を上げることが恥ずかしいと思われている方も多いと聞いたことがあります。
そこでお伺いします。
県有施設への男性用個室トイレへのサニタリーボックスの設置はどのような状況でしょうか。
県は今後、観光にも力を入れ、国内外から多くの観光客を引き寄せるための仕掛けを行っていくと理解しています。そこには、国際性、多様性、インクルーシブに対応する環境整備が求められます。その一助ともなり得る男性用個室トイレへのサニタリーボックスの設置、例えば埼玉県では、県が行政向け、民間向けに男性用個室トイレへのサニタリーボックスの設置推進を積極的に行った結果、令和四年度二月時点では埼玉県所管公共施設での設置状況が七三・三%だったものが、令和四年度十一月時点では一〇〇%になりました。
そこでお伺いします。
まずは、県は県有施設にサニタリーボックスの設置を進めていくべきかと思います。その上で機運醸成を図り、その後は市町村や商業施設、例えば駅、サービスエリア、公共交通機関、例えばJRなどにも働きかけるなど、県は率先してこの問題に取り組むべきと考えるが、御所見をお伺いいたします。
最後、四つ目の質問です。
道路の日常管理の現状と今後の取組についてお伺いします。
私の地元、豊田市は県内最大の面積を持ち、自動車産業が盛んな車のまちで、物流のトラックや通勤の自家用車が多く、道路は経済活動と生活を支える最も身近な社会インフラです。このため、地域住民の道路への関心は高く、道路の日常管理に対する声が多く寄せられます。
しばしば私も現地を確認して事務所に要望を行うことがありますが、その都度に利用者の声を道路管理者に効率的に伝えられる仕組みがあればと感じるとともに、そうすることで修繕などが速やかに行われるようになり、道路をより安全・安心して通行できるのではと考えます。
道路が通常有すべき安全性を欠いたために他人に損害を及ぼすと、その管理責任が問われます。昨年度、愛知県において道路の設置、または道路の瑕疵に起因して発生した事故の賠償件数は二十六件と聞いています。穴ぼこによる車のタイヤやホイールの破損、車道上にはみ出ていた枝との接触による車の破損などがあり、一つ間違えば重大事故につながるものもあると思います。
このため、これらの異常を踏まえた改善はもとより、異常の早期発見を可能とする道路の日常管理が必要であります。
愛知県では、管理道路約四千六百キロメートルについて、休日を含む毎日、九建設事務所二十七班体制で、各路線週一回以上の頻度で道路パトロールを実施し、異常箇所の早期発見に努めていると聞いています。
しかし、道路パトロールを定期的に実施しているものの、次回のパトロールまでの間に舗装の損傷やのり面からの落石などが発生することもあり、その隙間を埋めるための情報収集力の強化も必要だと考えます。また、地元住民ならではの視点を安全・安心な道路環境づくりに生かしていくということも非常に大切なのではないでしょうか。
一方で、住民にとってはどの道路、設置物がどこの管理者なのか分かりづらく、自身の声を届けることが困難な場合もあります。そのような様々な観点から、大阪府など他の自治体ではスマートフォンから簡単に異常箇所の写真などを送信できるアプリの通報システムを導入しております。利用者から情報を入手することにより、速やかな異常箇所の把握と対応が可能となるほか、市町村の道路に関する通報があった場合には該当する道路管理者に情報提供をし、市町村も含めたきめ細やかな住民サービス、さらには職員の働き方改革にもなり得ると聞いています。このような情報収集の充実が適切な道路管理や県民の安全・安心につながると考えます。
そこでお伺いします。
愛知県による道路管理の日常管理の現状と今後の取組についてお尋ねいたします。
以上、理事者からの前向きな答弁を期待し、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
26: ◯福祉局長(橋本礼子君) 子育て支援におけるDX推進についての御質問のうち、はぐみんカードについてお答えいたします。
本県では、地域社会全体で子育て家庭を応援する機運の醸成を図るための取組といたしまして、市町村や企業、店舗と連携し、子育て家庭に対して優待サービスを行っていただく事業を二〇〇七年度から実施しており、本年二月一日時点で、県内九千七百六十三の店舗に御協賛をいただいております。
はぐみんカードは県が発行し、市町村が十八歳までの子供を養育する保護者や妊婦の方に配付しており、カードを提示することで、例えば飲食店であれば幼児へのドリンク無料サービスでありますとか、衣料品店やドラッグストアであればベビー用品を割引するなどのサービスがあり、それぞれの店舗が工夫を凝らした特典を付与し、子育て家庭を応援していただいております。なお、二〇一六年度からはカードに全国共通展開ロゴマークを付しておりまして、他都道府県の協賛店舗でも利用が可能となっております。
次に、はぐみんカードの利便性の向上についてであります。
現在の紙媒体のカードは市町村の窓口で配付しておりますが、専用アプリを開発いたしましてスマートフォン等にダウンロードできるようにすれば、こうした負担もなくなるとともに、議員お示しのとおり、アプリに位置情報機能を付加することで、利用者が現在いる場所から近くの協賛店舗の情報が表示されるなど、利便性も向上するものと考えております。
類似の子育て支援優待事業を行っております他都道府県では、デジタル対応とした上で子育て世帯向けの情報提供サービスも併せて行っている事例、子供が多い御家庭向けに割引率の上乗せや粗品の進呈等、さらなる特典を付与している事例があることは承知しております。
県といたしましては、引き続きはぐみんカード事業に御協力をいただいております市町村や企業、協賛店舗の御意見なども伺いながら、利便性向上に向けての新たなサービスの付与や仕組みづくりを研究して、子育て家庭を応援してまいりたいと考えております。
27:
◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、多胎児家庭に対する取組についてでございます。
多胎児家庭における育児は、一人のお子様の育児に比べ負担がはるかに大きく、よりきめ細やかな支援が必要でございます。市町村が設置する子育て世代包括支援センターでは、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援が行われておりまして、多胎児家庭支援にも重要な役割を果たしております。センターの保健師等が面接や家庭訪問をすることで一人一人に合った支援を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の流行により、従来の面接や家庭訪問が難しくなったとも聞いております。こうした中にあっても多胎児家庭が不安を抱え込まないよう、感染予防対策を徹底し、対面での面接や訪問を継続しつつ、電話による相談なども取り入れることで多胎児家庭に寄り添った支援を行ってきたと伺っております。
県では、この支援がさらに充実するよう、多胎児家庭支援に実績のある民間団体と連携し、資質向上のための研修や有益な情報の提供などを行ってまいりました。今後もこれらの取組を継続して実施してまいります。
次に、デジタルを活用した相談支援についてでございます。
新型コロナウイルスの流行により、対面での相談に不安を感じたり、外出が困難な多胎児家庭には、オンライン等を活用した相談支援は大変効果的な方法でございます。一部の市町村においては対面での相談等も行いつつ、オンラインを活用した相談や交流会など新たな取組を始めており、今後、この手法を導入する市町村が増えていくものと考えております。
県では、多胎児家庭支援に実績のある民間団体が実施する多胎児家庭向けのオンライン教室等を市町村へ情報提供するなどし、デジタルの活用に向けた取組を支援しております。
今後も市町村においてデジタルを活用した相談等が円滑に行えるよう、相談体制整備のための国庫補助事業の活用を働きかけるとともに、多胎児支援を行う団体等とも連携しながら多胎児家庭への支援が一層充実するよう取り組んでまいります。
次に、母子手帳アプリの導入についてでございます。
母子手帳は母子保健法に基づき市町村が紙媒体で交付する妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳でございます。また、母子手帳アプリは妊娠中の記録、検診や予防接種の管理、子育て情報の配信など、母子手帳の補助ツールとして市町村や民間団体などが任意で提供しているものでございます。
現在、県内の約半数の市町村が母子手帳アプリを導入しておりますが、各市町村がそれぞれ独自で導入しているアプリのため、転居した際のデータの移行など課題もございます。そうした中で、国は母子手帳のデジタル化に向けた検討を進めており、子育て家庭にとって利便性を高める有効なツールとなることが期待されます。
今後、県では、国の動向を注視し情報収集等に努めるなど、母子手帳のデジタル化に向け、しっかりと取り組んでまいります。
次に、母乳バンクに関するお尋ねのうち、まず、調査研究事業についてでございます。
県では、母乳バンクを設置する際の問題点を明らかにすることを目的としまして、周産期母子医療センターの専門医から構成される周産期医療協議会におきまして、藤田医科大学を中心に三年間にわたって調査研究事業を実施してまいりました。現在は年間百七十人と、多くの方に特段の問題もなくドナーミルクを御利用いただいております。
このたび、藤田医科大学内に全国三か所目の母乳バンクが設置されることから、これまで研究事業で得られた知見を踏まえ、県内の医療機関においてドナーミルクの一層の活用が進むよう、周産期医療協議会をはじめ関係者の皆様と連携して取り組んでまいります。
次に、母乳バンクの周知についてでございます。
母乳バンクの取組を周知し、多くの県民の皆様にドナーミルクの有効性、安全性などを理解していただくことは本県の周産期医療を進める上でも大変有用でございます。とりわけ出産前から母乳バンクの取組を御理解いただくことは、ドナーミルクを使用することとなった際に不安なく使用していただくことにつながるとともに、母乳を提供していただくドナーの確保にもつながります。
そこで、母乳バンクに関するパンフレットを母子手帳配付時に併せて配付していただけるよう、市町村に依頼してまいります。
今後も母乳バンクの取組を推進している日本母乳バンク協会をはじめ関係者とも連携を図り、母乳バンクやドナーミルクへの理解促進を図ってまいります。
次に、サニタリーボックスに関する御質問のうち、県有施設への設置状況についてでございます。
前立腺がんや膀胱がんの治療の影響により、尿漏れパッドを利用している方々の支援のため、県有施設の男性用トイレにサニタリーボックスが設置されているかどうか、現在のところ把握しておりませんが、今後早急に施設を所管する部局に設置状況を照会してまいります。
次に、県の取組についてでございます。
前立腺がん等の手術後に尿漏れパッド等を使用している男性の中には、外出先での処理に不安を感じ、外出を控える方もおられます。このため、男性用トイレにサニタリーボックスを設置することは、こうした方々の社会参加を支援する意味でも大変有用であると認識しております。
設置に当たりましては、正しい使用方法の普及や清潔な状態を保つための運営管理などの課題もございますが、まずは県有施設での設置が進むよう、施設を所管する部局に対しまして、がん患者さんの置かれた状況とサニタリーボックスの必要性を周知し、設置への理解が得られるようしっかり働きかけてまいります。
また、県有施設以外につきましても、順次設置に向け働きかけを行ってまいりたいと考えております。
28: ◯教育長(飯田靖君) 母乳バンクに関するお尋ねのうち、高校生が母乳バンクの取組を知る機会の創出による認知度の向上についてお答えをいたします。
議員お示しの豊田東高校に専門家を招いて看護系の進路を希望する生徒を対象に行われた特別講座は、参加した生徒や教員から大変好評であったと聞いておりますので、このような講座を他の看護系の学科やコースを持つ高校でも実施するよう促してまいります。
また、それ以外の高校につきましても、母乳バンクに関するパンフレットを配布し、保健や家庭科の授業の中で取り上げるなど、より多くの高校生が母乳バンクについて正しい情報を得られるようにしてまいります。
29:
◯建設局長(道浦真君) 道路の日常管理の現状と今後の取組についてであります。
道路の日常管理は、道路の状態を把握するとともに、損傷などの異常に迅速に対応することが重要であります。このため、本県では、管理する道路について、全路線、週一回以上の頻度で道路パトロールを実施しており、昨年度は約五万二千件の異常を発見するとともに、その場で対応可能な応急措置も行っております。
そして、パトロールでの異常発見時に現地で状況写真や位置情報などをタブレット端末から管理システムに登録することで、担当者間でリアルタイムに情報を共有するとともに、発見から措置完了までを一元管理し、迅速で確実な対応に努めております。
加えて、道路利用者からの通報についても国土交通省が運用している道路緊急ダイヤル、#九九一〇などを活用し、二十四時間受け付けており、道路落下物など突発的に発生する異常に対しても早期に把握できる体制を整えております。
こうした中、国土交通省が従来の道路緊急ダイヤルに加え、スマートフォンアプリを用いて写真や位置情報を送信する通報システムの導入を来年度に予定しており、本県においてもこのシステムを活用してまいります。
さらに、パトロールの確実性を高めるため、パトロール車両にカメラを搭載し、連続撮影した道路画像から穴ぼこや側溝蓋の損傷などの異常をAI解析で自動検出する技術を来年度、一部の建設事務所で試験的に取り入れ、有効性を確認してまいります。
今後とも、日々進化する新しい技術を積極的に活用し、道路の日常管理の高度化、効率化を図り、安全で安心な道路交通環境の確保に努めてまいります。
30: ◯知事(
大村秀章君) 加藤貴志議員の質問のうち、道路の管理について私からもお答えいたします。
本県では、高度経済成長期に集中的に整備が進められていたインフラが、今後加速度的に高齢化してまいります。そのため、日常の維持管理はもとよりインフラの健全性を確保し、適切にマネジメントしていくことが極めて重要であります。
そこで、日常の道路パトロールで発見される異常の約四割を占める舗装の不具合を削減するため、ひび割れなどの損傷レベルを定期的に把握し、深刻な損傷に至る前に予防保全的に修繕を実施することにより安全確保を図ってまいります。
また、橋梁につきましては二〇一四年度から五年に一回の頻度で定期点検を実施し、早期措置を必要とする橋梁の修繕を集中的に実施するとともに、損傷が軽微な予防保全段階の修繕にも着手しております。
こうした予防保全型のメンテナンスをしっかり行うことにより、管理水準の維持、向上や管理コストの縮減による良好な維持管理を図ってまいります。また、雑草の繁茂による不具合についても日常パトロールで多く確認されていることから、街路樹のうち三割程度の低木を撤去し、縮減された管理費を活用して管理水準を上げる新たな取組を昨年度から進めております。
今後とも、道路を安全で快適に御利用いただけるようにしっかりと取り組んでまいります。
31: ◯十一番(加藤貴志君) 御答弁いただきありがとうございます。
二点ほど要望させていただきます。
一つ目は、子育て支援におけるDX推進についてであります。
子育て支援は隠れた安全保障とも言われています。二〇二二年出生数は八十万人割れとなり、想定より十一年も前倒しとなりました。現在の少子化を受けて、国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際との認識を持っており、社会全体で子供を育むという観点を持って対策を進めていくことが重要です。家族生活の負担を軽減し、応援するを目的にした手段としてのデジタル活用、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略を踏まえ策定する新たな県の戦略を人口問題対策プランとして位置づけ、デジタルを地域課題解決にも活用していくとの昨日の代表質問での知事答弁にありました。その観点でも、次期はぐみんプランに子育て支援におけるDX推進の観点を盛り込んでいただきたいと思います。
今後は、さきに述べたようなデジタルを活用したはぐみんカード、多胎児家庭支援、母子手帳アプリなど、今までとは次元が違う非常に大胆な政策、制度変更を子育て支援に対して行っていただくよう要望いたします。
二つ目は、母乳バンクの認知度向上についてです。
母乳バンクに関しては、とにかく多くの方に知ってもらうことが大切で、この取組は少子化対策、親御さん、新生児への支援になります。例えば若い世代の啓発という点では、さきの豊田東高校での事例のように、特別講座開催などは県立高校の魅力アップや独自性にもつながると思います。
国の令和五年度子育て支援予算にも低出生体重児等多様性に配慮した分かりやすい母子保健情報の充実が新たに加わっています。情報提供という観点では、産官学連携で進めていくのも一つの方法だと思います。知ることで抵抗感がなくなり、利用者が増え、並行して環境整備も充実していく。毎年新しいパパ、ママが入れ替わっていく中で、母乳バンクを正しく理解していただき、少しでも抵抗感を減らす普及啓発活動が継続的に必要だと考えます。
ぜひ母乳バンクの認知度向上を、県は母子保健担当の市町村と連携しながら進めていただくことを要望いたします。
32: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。
富田昭雄議員。
〔九十番富田昭雄君登壇〕(拍手)
33: ◯九十番(富田昭雄君) 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、順次質問してまいります。
私の今回の質問は、教育問題について、高齢者の介護について、そして救急搬送についてお聞きいたします。
コロナ禍にあって、社会活動に様々に制約があり、大きな見直しが余儀なくされました。終息したとしても、元のような形に戻らないことも多く、時代の転換期に一気に変化の速度が上がったものと思われます。その社会の変化がどのように対応していくかという視点でお聞きしたいと思います。
まずは、国の根幹であります教育問題についてお聞きいたします。
学校現場でもコロナウイルス感染拡大の影響は大きく、授業もリモートで行われ、自習も専用アプリを使用するなどデジタル化が進み、大きな変化がありました。これから未来を生きる子供たちが必要な力を身につけるためにどのような教育が必要かということであります。
そんな中、愛知県教育委員会も、これからの時代を見据えて学校改革、制度改革に取り組んでおられます。
今年度から高校入試の在り方が大きく見直されたところであります。また、県立高校の再編計画も取りまとめられました。
課題はというと、全日制の計画進学率が九三%から九一・五%に変更されました。このことによって、実績進学率に近づかなくてはならないのに、結果として全日制の実績進学率は八八%まで下がり全国最下位のまま、計画進学率は現在は見込み率と言っているようですが、これとの乖離は開いたままであります。
欠員についても、私学は一時二千人を超えたものの、昨年は六十八人と二桁まで減り、その分、公立では三桁だった数字が二〇二一年には二千六百人を超えています。公立高校がいかに魅力を感じさせなくなったかという表れでもあります。
実績進学率が昨年より一・四%下がった分を通信制が伸ばしています。もし秋の段階で全日制を希望している生徒が行く高校がないからといって安易な発想で通信制の学校を選んだとしても、進学してから先々続かないのではないかと危惧するわけであります。
そこで始まった高校改革、魅力ある学校にするためにどのようにするかが問われています。特色選抜の実施、県立通信制の拡大、昼間定時制の新設など、アップデートプランとして新しい取組が始まっていますが、私学に対抗し欠員を減らすまでにまだ至っていないのです。
最近の傾向ですが、公立高校はグループ選抜で二校を受験できるわけですが、一高しか受験しない生徒が増え、第一次希望が受からなかったら私学へ行く傾向が顕著であります。第二志望には願書を出さない単願が増えているということであります。これではグループ選抜の意味がない。また、欠員の多いところは、このままでは先々新たな再編計画が必要になるでしょう。
欠員を減らし、魅力ある新しいタイプの高校づくりは、現在の成績にこだわらず、自分の個性を最大限発揮できる多様性のある生徒を受け入れるような高校が必要です。
全国では、既に新たな取組が始まっています。特に広島県では大変貌を遂げていると言われています。公立初のイエナプラン教育校や商業高校のビジネス探求プログラム導入校や、内申書をなくした入試改革、ダイナミックな変化を広島県教育委員会が牽引していると言われています。特に積極的に取組を進めているイエナプラン教育、ドイツ発祥でオランダで広まった一人一人尊重しながら自立と共生を学ぶ教育だそうです。既に名古屋市の小学校でも始まっており、主体的、協働的に学ぶ手法やコンセプトは文部科学省の令和の日本型教育にも掲げられています。画一的な教育では解決できない課題があると認識した上で、指導や学習の個別化に取り組んでいます。
そこでお聞きします。
現状の課題である欠員を減らすなど県立高校の学校改革を進め、魅力ある学校にするためにどのような取組をするのか、教育長の御所見をお聞きいたします。
次に、改革の目玉である中高一貫教育についてお聞きいたします。
愛知県では、中学校と高校を接続した併設型中高一貫教育については、二〇一五年三月に策定した県立高等学校教育推進計画においては研究するというだけで、この段階では具体的な進捗はなかったわけでありますが、二〇一七年度から県立高校の欠員が徐々に増加し、それまでとは県立高校を取り巻く状況が大きく変わり、さらに、二〇三五年には中学校の卒業見込み者が七万から六万人を割る人数に減少することが見込まれるなど、導入への議論が大きく前進したわけです。
そこで、県立高等学校再編将来構想を策定し、その議論の中で併設型の中高一貫教育について具体的に導入の可能性を検討したと経緯を聞いています。その後、地域教育関係者からも一定の理解が得られたので、二〇二二年四月に探求型学習を重視するタイプの第一次導入校を決め、明和、津島、半田、刈谷四校を発表されたわけであります。この併設型中高一貫教育の設置は全国的に四十二件目の導入で、後発であります。早くからの導入した先進的な事例を研究する必要があります。
そこで私は、熊本県の県立宇土高校を視察してまいりました。県立宇土高校は、一九二〇年に開校した百年を超える伝統校であります。併設型中高一貫教育を十五年前に導入しています。熊本県は県内を八学区から三学区に再編し、その各学区に一校だけ中高一貫校を設置し、それぞれの学校が特色のある取組をしています。八学区から三学区に再編されたことで、広範囲なところから生徒を募集できるようになりました。そのことで優秀な生徒を集め、海外の大学に行く生徒を輩出するまでになったと、地域の学力の底上げにもなったと導入の成果をお話しいただきました。
また、たまたま視察に行った日程で宇土高校の生徒の皆様は、長崎の無人島に米と水のみを持って合宿をするサバイバル経験をいたしておりました。
このように、それぞれの学校が特色のある取組を行っています。中高一貫校を導入するに当たって、魅力ある学校づくりを併せて考えていけるかが問われていると思います。先進的な導入県から学ぶに当たって、幾つかの課題があります。
一つ目は、小学校からのお受験であります。高校入試が中学入試になっただけで、競争が激化することが予測されています。名古屋市では、学習塾が特別コースも設置し、中高一貫教育校入学の傾向と対策が始まっており、保護者向けの説明会を実施しようとしています。
二つ目は、教員の確保であります。中高一貫教育校に優秀な先生を集めることは他にも大きな負荷がかかるとともに、中高の交流人事など、全体のバランスが保てるか危惧するところであります。
三つ目は費用の問題でありまして、国際バカロレアは、教員や英語講師の確保、本部の登録料など、生徒一人当たり経費が二百万ほどかかると言われておりました。県立という意味で公平性が担保できるか心配でありますが、国際バカロレアにはある程度受益者負担をする県もあるようで、県立として費用対効果を考え、考慮していかなければなりません。
ぜひ、導入するに当たっての詳細な実施計画を立案し、効率よく進めてほしいものです。魅力ある学校づくりのために、人も費用も大量に投入するわけであります。ぜひ中高一貫教育校の導入を成功させてほしいものと願うばかりであります。
最近、熊本県の宇土高校は、入試の倍率が低下傾向にあり、やはり長期的に見ると、高校受験がなく、六年間もの間どのようなカリキュラムで学びを進めていくか難しい問題でありまして、まさに問われているところと思います。
そこでお伺いいたします。
中高一貫教育を導入することでどのような効果があり、県立高校全体の底上げにつながるのか。また、どのように中高一貫教育を成功に導いていくのか、お聞かせください。
次に、外国をルーツとした子供たちの教育環境についてお聞きいたします。
二〇一九年、外国人への日本語充実を国や自治体の責務とする日本語教育推進法が成立をいたしました。まさに多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現を目的としています。
愛知県内の外国人児童生徒で日本語指導が必要とされているのは一万人を超え、全国でも最も多く、二位の神奈川県の二倍以上と言われています。昨年十一月には義務教育を修了できなかった外国人の子供たちが日本語を基礎から学ぶ夜間中学校を二〇二五年に豊橋工科高校に設置する方針を表明されましたが、現在、愛知県では、公益法人が運営する中学夜間学級があるものの、夜間中学はゼロであります。
文部科学省は、都道府県及び政令指定都市で少なくとも一校の設置を目的とする方針で、既に東京では八校、大阪では十一校など、全校で十五都道府県に四十校あります。今後は名古屋市をはじめ、市町村に夜間中学校の設置を促すべきであると思います。
せっかく高校に入学しても、言葉が障害となって高校を中退していく、日本語が話せないため勉強についていけなくなったり人間関係がうまくいかなかったりすることが大きな要因だと考えられています。
また、愛知県の全日制の公立高校で外国人生徒選抜入試が実施されている高校は現在十二校で、名古屋市内では名古屋南高校と中川商業高校の二校だけであります。そのために、本来学力が十分あるのに学力レベルや学びたい分野がマッチせず、結果として昼間定時制高校に進学せざるを得ないといった状況もあります。
また、昼間働きながら夜間定時制に通う外国人生徒も多い。愛知県には夜間定時制は二十八校ありますが、外国人生徒は増加傾向にあると聞いております。外国人生徒等選抜入試を実施する公立高校が大幅に増えることが望ましいと思いますが、多くの全日制公立高校で日本人生徒が外国をルーツとした生徒と共に学び学校生活を過ごす経験は、将来共生社会の担い手、またグローバル化する世界で活躍する人材として育っていく上に極めて有益なものではないかと思います。
そこでお聞きいたします。
外国をルーツとした子供たち、特に未就学や学齢超過の方への日本語学習支援、進学相談、教科学習への支援を今後どのように取り組んでいくのかお聞きいたします。
先日、私の友人から連絡があり、外国人の子供たちに日本語学習支援を行っている団体で日本語を教えるボランティアをしているが、今年になって生徒が増加している、一度現場を見てほしいという依頼があり、視察してまいりました。
そこでは、三十人ほどの外国人の子供たちが日本語を熱心に学んでおられました。今年になって、コロナ禍でも外国から来て日本で働く場所が確保されており、子供たちを日本に呼び寄せる外国人の親が増えたようです。それで生徒が増え、対応に苦慮しているということでありました。
特に学齢超過者といって、義務教育の対象年齢を超えた子供たちで、日本語が全く分からない子供たちの対応です。このような学齢超過者の子供をめぐる問題は、日本語の教育環境です。高校は専門的な教科を学ぶ場であって、専門的な日本語教育は十分に行えていないこと、また高校の先生方は日本語教育についてのノウハウがあまりないという面もあります。その点、地域日本語教室はボランティアの方々も多くいて、日本語を教える役割を担っていますが、財政的な面からも十分な教育を提供できないとのことです。高校側は日本語を地域日本語教室で教えてほしいと考えているので、外国人の子供たちの日本語教育の環境は高校と地域日本語教室の間で曖昧な状況であり、誰にも受け止められていないという現実です。
地域日本語教室が十分な教育を提供できない要因は財政的な面が大きく、資金を確保できれば専門的な知識を持った講師を雇うことができるので、より質の高い教育を提供できます。行政が中心となって、早く子供たちが日本語を学ぶことができる環境を整備することが急務であると考えます。
そこでお調べしてみますと、県内には多くの地域日本語教室がありますが、教室はNPO等が運営しており、日本語の指導ボランティアが中心となって担っています。また、地域日本語教室は日本語学習だけではなく、悩み事など気軽に相談できる居場所であり、地域住民との交流、生活には必要な情報、社会性などを学ぶ場としても重要な役割を担っています。しかし、教室に通う子供たちが増加し、人材や資金の確保などに苦慮しているNPOも少なくないと聞いています。
そこでお伺いいたします。
外国にルーツのある子供たちの居場所づくりや多文化共生社会の実現に向け、今後どのように地域日本語教室の支援に取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
二番目の質問は、高齢者の介護についてであります。
介護施設もコロナ禍では、利用者、スタッフも感染拡大の大変な状況の中、人手不足になり、人のやりくりをしても大きな影響を受けた業界であります。
日本の社会が抱える二〇二五年問題が近づいています。これは、第一次ベビーブームに生まれた団塊世代が全員七十五歳以上になる年であります。二〇二五年問題は約八百万人の人口を有するこの世代が後期高齢者になり、二〇二五年には後期高齢者の人口が約二千百八十万人に達し、日本は超高齢者社会を迎えることで、日本社会全体に様々な影響が生じると言われています。高齢者の人口増加と労働者人口の減少によって、様々な業界での人材不足や医療分野の環境整備の問題、医療費の増加、そして現役世代が負担する社会保障費の増加といった課題が生まれると指摘されています。
二〇二五年問題の影響を最も大きく受ける業界が介護業界です。高齢を迎え、介護サービスを利用する人たちが増えるため、介護施設や介護人材が不足すると見込まれています。
愛知県では、介護事業所で働く介護職員について、二〇二五年には一万三千人余り、二〇四〇年には三万四千人余りが不足すると推計されています。
そこで、国も待遇改善施策を進めています。給与をアップする介護職員等特定処遇改善加算、具体的には勤続十年以上の介護福祉士の処遇に関して、月八万円もしくは年収四百四十万までの賃金のアップを行うルールを設けるなど、経験や技能のある職員に重点が置かれて加算されます。他の一般職員も月額〇・六万円から二・四万円程度給与改善を行ってきました。経験やスキルのある介護職員を中心に処遇改善することで、介護の現場への人材を定着させるのが狙いです。
また、介護職員一人当たりの負担を減らす取組も必要です。ICTや介護ロボット、センサー、介護をサポートするパワースーツなど、テクノロジーの活用で介護現場の業務の効率化が期待できます。さらに、外国人人材の積極的な活用も人材不足の対処法の一つであります。入国管理法の改正で新たな在留資格が制定され、介護業界にとってはさらに外国人人材を活用しやすい環境が整備されています。
介護業界は離職率も高いので、待遇の改善、業務の効率化、人間関係の相談窓口など、働きやすい職場づくりに努めなければなりません。名古屋市も二〇二五年で五千人、二〇四〇年で一万三千人の介護職員が不足する可能性があると介護施設の人材不足を予測し、対策として介護職員の奨学金の返済を補助する方針を固めました。
そこでお聞きいたします。
今後介護業界の人手不足をどのように解消し、超高齢化社会に対応していくのか。また、外国人人材の受入れ環境整備はどのようにされるのかお聞きいたします。そして、もし人材が確保できなかった場合、どのようなことが対策として考えられるのか、県当局のお考えをお聞きいたします。
三番目の質問は、救急搬送についてであります。
救急車の適正利用について、災害時における傷病者の搬送に関する民間搬送事業者との連携についてお聞きいたします。
新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、感染した患者をどのように病院に搬送するのか問題になりました。初期の頃は保健所の職員の方が対応したりしていましたが、緊急性のない陽性患者の搬送を民間業者に任せたことで、救命救急の初期対応である救命搬送の業務の維持、確保ができたと言われています。民間搬送事業者の活用が多くなり、民間搬送車の認知度も上がったのではないかと思います。これはまさにコロナ禍が与えた大きな変化でありますが、このことは大規模災害にも起こり得る事態であり、民間の患者搬送事業者もDMATと同様に災害対策計画に盛り込むことは非常に有効だと考えます。
今回のコロナ陽性患者を搬送した民間事業者は、AEDはもちろんのこと、医療用酸素を満タンにしている営業車両であることから、災害など緊急時の対応が可能です。全国の救急出動件数は二〇一〇年から二〇二〇年までの十年間で八・六%増加しています。この間、救急隊は増加していますが、救急隊一隊当たりの出動件数は改善されていません。救急車一台当たり年間一億円と見込まれる運用経費がネックとなり、救急需要の増加に応じて救急車の増加は容易でないことが分かります。
また、救急車は緊急性の高い事案に優先的に投入することで最大の効果を得るということができるのでありますが、二〇二〇年に救急搬送された患者のうち四五・六%が軽症であり、本来であれば救急車による搬送を必要としない人も多く含まれています。
アメリカでは、傷病者の重要度、緊急度に応じて無料の救急車と有料の民間救急車が搬送を分担しています。このことは、日本において、超高齢化社会になり、救急車の出動件数が過去最多を更新する中、今後の救急搬送がどうあるべきか、大きな研究課題であると思います。
救急車の適正利用を考える中、救急車を呼ぶかどうかを迷ったら画面上の症状を選択すると緊急度合いの目安が分かる消防庁のアプリQ助や#七一一九に電話すると医師や看護師が救急車を呼べるか助言をしてくれる仕組みもあるようです。国は導入を促進していますが、財源的な問題もあり、東京都や岐阜市など十九地域にとどまると言っております。出動件数の抑制効果は実証済みだと言われています。
そこでお聞きいたします。
救急搬送の件数が過去最多を更新する中、救急車の適正利用が問われています。適正化を図るために軽症者の出動件数を抑制する取組について、県当局の見解をお聞きいたします。
次に、災害時はどうかということであります。
今後、南海トラフ地震が三十年以内に発生する確率が七〇%と高い数字で予測されています。南海トラフ地震で考えてみますと、広範囲で強い揺れと高い津波が発生し、都市機能は壊滅的な被害が懸念されています。
地震が発生すれば、地域の医療機関は多くの傷病者であふれかえります。愛知県が実施した調査で、被害予想調査では、被災市町村での対応が難しい患者数は、入院が六千三百人、外来が五千百人と想定されています。これらの患者は、愛知県が豊山町に設置するSCUを通じて航空機により広域搬送されるか、または救急車両によって都道府県を越えた広域搬送をされることになりますが、愛知県内の消防局、本部の救急車は合わせても二百八十九台しかありません。地域住民の救急要請にも十分に応えられないだろうと思います。愛知県内の民間の患者搬送事業者の認定車両は百台を数え、災害時には大きな戦力になり得ると思います。
東日本大震災では、救急車が不足した教訓もあるわけであります。十分に今から備えていかなければなりません。先般、名古屋市は患者等搬送事業者との災害時の搬送について委託する協定書を締結したところでありますが、それは東京、大阪、札幌に続き四例目であります。まだまだ多くありませんが、都道府県が中心となって協定締結の環境づくりを進めることが期待されています。
災害の発生時には、多くの傷病者への対応、とりわけ災害拠点病院への搬送などの対策が必要となります。市町村における救急搬送の負担を少しでも軽減させ、効率よく傷病者の搬送を行うために、災害時の民間車両の活用も有効であると考えられます。
そこでお聞きいたします。
大規模災害の発生時に傷病者の搬送を民間の患者等搬送事業者と連携する災害協定を締結するお考えはないか、県当局の御所見をお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
34: ◯教育長(飯田靖君) 教育問題についてのお尋ねのうち、初めに、県立高校改革の推進と魅力ある学校づくりについてお答えをいたします。
子供たちが先行き不透明な時代の中でたくましく生きていく上で必要となる、自ら課題を見つけ、深く考え、解決をしていく力を身につけるためには、学校は一人一人の生徒が生き生きと学び、自分のよさを伸ばすことのできる場所が重要でございます。
そこで教育委員会では、現在、県立高等学校再編将来構想に基づき、時代の変化や地域の課題に対応をした新しいタイプの高校の設置や経済社会とリンクをした実践的な商業教育へのリニューアル、中高一貫教育の導入、さらに不登校や高校中退を経験した生徒が通信制、昼間定時制、全日制の間を自由に行き来しながら自分のペースで学ぶことができるよう、定時制・通信制教育のアップデートを行うなどの改革に取り組んでいるところでございます。
今後は、高校生の七割が通っている普通科高校において、生徒がふだんから学校の外に出て、大学や地域の企業、自治体の協力を得ながら探求活動を進めるといった従来の教室内での学びにとどまらない学びを積極的に取り入れ、普通科高校における学びの活性化と変革を進めてまいります。
また高校入試で、この春から、学校や学科の特色をよく理解し、ぜひその学校で学びたいという生徒が受験をする特色選抜を導入し、県立高校七十五校に九百七十四人が合格をいたしました。そうした強い意欲を持った生徒たちの力をしっかりと伸ばせるよう育ててまいります。
こうした取組を通して県立高校改革を推進し、地域から信頼をされ、中学生が学びたいと思えるような特色と魅力を備えた県立高校づくりを進めてまいります。
次に、中高一貫教育についてお答えをいたします。
まず、導入の効果や県立高校全体の底上げについてでございます。
変化の激しい社会や時代においては、周りの人と協力をしながら答えのない課題に対して粘り強く取り組む力を身につける必要がございます。そこで、中高六年間のゆとりあるカリキュラムにより、自ら課題を立てて分析をし、自分の考えをまとめて表現をする探求的な学びを深めることで、一人一人の個性や能力を最大限に伸ばし、答えのない課題に対して失敗を恐れずチャレンジをし、志を持って社会を変えていけるチェンジメーカーを育成してまいります。
そして、探求学習を重視した中高一貫校をパイロット校として、他の高校にもその探求的な学びの取組を広げていくことで県立高校全体の学びを変革し、底上げを図ってまいります。
また、中高一貫教育を成功に導くには、議員お示しの三つの課題に一つ一つ誠実に取り組んでいくことが大切でありますので、実務者によるワーキンググループで具体的な検討を行っているところでございます。
一つ目の入学者の選考方法につきましては、過度の受験対策に傾かないよう、今年秋の説明会で保護者にしっかりと周知をしてまいります。
二つ目の併設中学校の教員の確保につきましては、別枠で採用を行うほか、中高の人事交流により、中学生を指導できる高校教員の育成を進めてまいります。
三つ目の国際バカロレアにつきましては、海外の大学進学のみを目的とするのではなく、県立ならではのバランスの取れた教育内容と費用対効果を踏まえた効果的な運営を目指してまいります。
二〇二五年四月の第一次導入校の開校に向けまして着実に準備を進め、子供たちの学びの選択肢を増やすことにより、愛知の教育をよりよいものにしていきたいと考えております。
最後に、外国にルーツを持つ小学校入学前と義務教育の年齢を過ぎた子供への日本語教育をはじめとする支援についてお答えをいたします。
小学校入学前の子供につきましては、日本語を学ぶ機会が少ないことから、現在十二市町において幼稚園や保育所等で初歩的な日本語の指導を行うプレスクールの取組が行われております。
県では、来年度からこうした先進的な取組を実施する自治体に対して経費の支援を行い、県内で広く行われるように促してまいります。
義務教育の年齢を過ぎた子供につきましては、二〇二五年四月から夜間定時制のある豊橋工科高校への設置を目指しております夜間中学において、日本語の習得状況や教科の学習状況に応じて段階的に学習ができるようにしてまいります。また、高校卒業程度の学力と日本語の読み書きを身につけることを目指して学習支援を行っております若者・外国人未来塾の日本語の指導者に学校へ直接来てもらい、習得レベルに応じた読み書きの指導を行ってまいります。そして、中学レベルまでの学びから夜間定時制への進学につなげ、技術や知識を身につけて、そして就職ができるよう支援をしてまいります。
こうした県立の夜間中学は、東三河に加え、今後、西三河や尾張の外国人が多く居住をする地域への設置も検討をしてまいります。また、若者・外国人未来塾では、名古屋、豊橋、豊田、蒲郡の四地域に、来年度からは春日井と知立を加えて、外国にルーツを持つ子供が身近な地域で日本語を学べるようにしてまいります。
このように、夜間中学、夜間定時制高校、若者・外国人未来塾がそれぞれの役割を持って連携をし、小学校入学前のプレスクールと併せて、外国にルーツを持つ子供たちへの支援を充実させてまいります。
35: ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 外国にルーツのある子供たちの居場所づくりや多文化共生社会の実現に向けた地域日本語教室の支援についてお答えをいたします。
本県には、本年二月時点において地域日本語教室が四十一市町に百九十あり、このうち子供を対象とした教室は百九あります。地域日本語教室は、議員御指摘のとおり、日本語だけではなく社会生活に必要な様々な知識を学び、悩みを相談できる居場所としての役割を担っております。しかし、地域日本語教室の担い手の多くは無償で活動するボランティアであり、資金面のほか、人材面などにおいて多くの課題を抱えております。
こうした教室の活動を支援するため、地元経済会の協力を得て二〇〇八年度に愛知県国際交流協会に日本語学習支援基金を造成いたしました。二〇一六年度の第二次造成、そして今年度の第三次造成に当たっては、県が基金総額の二分の一を拠出し、地域日本語教室を運営するNPO等に対し継続して助成を行っております。さらに、人事面では、地元経済団体からの連携、協力の申出を受け、昨年十月に地域日本語教室で活動していただく企業ボランティアを協働で育成するなどの新たな取組も開始をしたところでございます。
外国人の子供たちが通う地域日本語教室は、多文化共生社会を実現する上でも重要な役割を担っておりますので、行政が経済団体、企業、学校、関係団体等、地域の様々な主体と連携、協力をし、地域日本語教室を支える持続可能な体制づくりを着実に進めてまいります。
36: ◯福祉局長(橋本礼子君) 高齢者の介護についてお答えいたします。
介護を担う人材を確保するためには、まずは新しい人材の就業を促すことが重要であることから、介護福祉士養成校において介護福祉士を目指す学生等に対し、就学資金を貸し付け、一定期間介護職として従事することで返済を免除してまいりましたが、さらに二〇二一年度からは福祉系高校の学費や他の業種で働いていた方が介護職として就職する際に要する支度金までに対象を拡大し、本制度の利用促進を図っているところでございます。
また、介護職員の定着を図るために、働きやすい職場づくりを進める取組も重要であります。そこで、介護ロボットやICT機器の導入に対する支援の拡充や介護職員の相談窓口の設置を継続するなど、業務の効率化や身体的、精神的な負担軽減といった労働環境の改善を支援しているところでございます。
さらに、職員に対する研修等を積極的に行うなど、人材育成の取組が優良な介護事業所を認証し公表することで、求職者の方々が職場を選ぶ際の参考としていただくとともに、職員のモチベーションの向上を図っているところでございます。
今後ともこのような介護職の魅力をより理解していただけるような取組を進めてまいります。
次に、外国人材の受入れについてであります。
介護職員の不足を解消するには、国内の人材だけでは限界があることから、これまでインドネシアやフィリピンなど様々な国から人材受入れが進んでおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まりつつある中、受入れを再開する介護事業所が増えております。そうした中、国ごとに異なるコミュニケーションや文化・風習への配慮や外国人材の介護技術の習得、日本の生活への適応等に対して不安を抱く介護事業所は少なくありません。
そのため、受入れを検討しております介護事業所を対象に、受入れ制度の内容や成功のポイント、先行事例などを紹介するセミナーを例年開催しておりますが、これに加え、二〇二二年度からは外国人材の指導を直接行う立場にある日本人職員に向けまして、介護におけるやさしい日本語の使い方など、より実践的な内容のセミナーを新たに開催しているところでございます。
さらに、外国人材と利用者や職員とのコミュニケーション支援や資格取得を目指す外国人材の日本語や介護技術の学習支援、生活支援を行う介護事業所に対して助成を行うなど、受入れ後の外国人材の定着のための支援も行っております。
次に、将来に向けた介護人材の確保についてでありますが、三年に一度策定しております高齢者福祉保健医療計画におきまして、いわゆる団塊ジュニア世代が高齢者となります二〇四〇年には、議員お示しのとおり約三万四千人の人材が確保すると推計しております。
介護人材に不足を生じることは介護サービスの提供に影響を与えることになりかねません。そのため、引き続きポータルサイト、介護の魅力ネット・あいちの運営や小中高校生向けの啓発教材の配布等による介護職の魅力の発信や一層の業務の効率化や負担軽減などの定着への支援策等の充実を図ってまいります。
一方で、高齢者が要介護状態にならないようにすることも重要であります。そのため、高齢者の方々の社会参加を進め、地域で生き生きと生活していただけるよう、健康寿命を少しでも延伸していきたいと考えております。
いずれにいたしましても、これらの取組を総合的かつ着実に進めることにより、介護人材の確保、定着に取り組んでまいります。
37: ◯防災安全局長(坂田一亮君) 救急搬送に関するお尋ねのうち、まずは救急車の適正利用の取組についてお答えをいたします。
救急車の数には限りがあり、重傷者を迅速に搬送するためには、救急車の適時適切な利用により、円滑な救急体制を維持することが大変重要であります。そのためには、まずは一一九番通報をする前に傷病者の緊急性を正しく判断することが必要であり、本県では、救急車を呼ぶべき具体的な症状を救急車利用リーフレットやウェブページで案内するなど、救急車の適正な利用を促しております。
しかしながら、症状によっては緊急性の判断が難しいケースもございます。判断に迷う場合はかかりつけ医に相談するよう呼びかけており、さらに、かかりつけ医がないときなどに、症状に合わせて診療可能な最寄りの医療機関を探すため、愛知県救急医療情報センターにおける三百六十五日二十四時間の電話相談やあいち救急医療ガイドのウェブサイトでも検索できるようにしております。
県といたしましては、引き続き救急車の適正利用について積極的に広報を行い、緊急性のない軽症者の搬送を抑制するなど、円滑な救急搬送の態勢確保に努めてまいります。
次に、大規模災害発生時の患者等搬送事業者との協定の締結についてであります。
大規模災害発生時には全国からの緊急消防援助隊による救急車の応援を受けてもさらに救急車が不足することが想定されますので、複数の搬送手段を確保していくことは極めて有効であります。
議員お示しの患者等搬送事業者は、日常の業務として通院、転院や社会福祉施設への送迎などを行う民間事業者であり、災害時には緊急性や重症度の低い傷病者の搬送手段として重要な役割を果たすことが期待されます。
この一月には、名古屋市消防局が市内の事業者と大規模災害発生時において救急車が不足する場合の傷病者の搬送について協定を締結しました。また、県内には名古屋市をはじめ二十一消防本部が認定した七十八事業者、百台の車両が活動しておりまして、事業者の指導や搬送スタッフの講習等を実施するなど、日頃から消防本部との協力関係が構築されております。
このため、県といたしましては、こうした患者等搬送事業者と各消防本部が災害時の協力について協定を締結するなど、一層の連携強化が図られるよう働きかけを行ってまいります。
なお、県では、愛知県タクシー協会及び名古屋タクシー協会と二〇一七年に協定を締結し、大規模災害時には軽症者の搬送に御協力をいただくこととしております。
今後も災害時を見据えて、より多様な搬送手段が確保できるよう取り組んでまいります。
38: ◯福祉局長(橋本礼子君) 先ほど私からの答弁の中で、団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年には約三万四千人の人材が確保をすると申し上げてしまいました。
三万四千人の人材が不足するが正しかったです。誠に失礼いたしました。
39: ◯九十番(富田昭雄君) 要望を一つと再質を一つさせていただきますが、要望のほうは外国人の子供たちの問題でありますが、NPOでボランティアをしている人たちと話をしておりますと、大変増えてきたということで、まだ相談に乗って学校へ通える子供たちはまだいいということでありますが、まだまだ、なかなかもっと子供ってたくさんいるのではないかということを言っておられましたけれども、愛知県は全国でも一番多い一万人を超えるということでありますけれども、この文科省の調査では、数字的に千人ぐらいは通っていない子供たちがいるのではないかということを言っておりますけれども、これもどれだけいるのかちょっと不確かでありますが、この十五歳を超える学齢超過者の対応が一番問題だと言っておられましたけれども、学校に行きたいけれども進学をどうやってやっていいか、日本語が全く分からない、どうしていいのかということで、やっとそういうところへたどり着いて相談に乗っている子たちはまだいいということでありますけれども、こういうことを考えますと、今後もこういうNPOの頑張っておられる方々に御支援をいただいて、また行政が中心になってこれが解決できるような議論もぜひともしていただきたいと思いますし、受け入れている学校においても、しっかりと外国人の生徒の皆さんが、特別入試等の拡大も含めて、日本語の教育、そして教科の教育等もしっかり受け入れて進めていただきたいということをしっかりと要望させていただきたいというふうに思います。
再質問のほうでありますけれども、民間のこういった搬送事業者の活用は大変災害においては有効だというふうに思いますし、そう御答弁いただいたわけでありますが、愛知県として災害時に協定を結ぶというのは、タクシー協会やバス協会ともやっておられるわけなので、ぜひとも県が連携をする覚書を締結するということができないのか、私は各市町の消防局とやるというのもいいわけでありますけれども、県としてできないかというののお尋ねをしたわけでありました。
それについてちょっと改めてお答えをいただきたいと思います。
40: ◯防災安全局長(坂田一亮君) 再度御質問いただきました患者等搬送事業者との協定の件でございますけれども、先ほどもお答えさせていただきましたように、軽症者の搬送を担う上で、消防、救急の補完的な役割を担っているということで、非常に重要な役割を担っておりまして、各消防本部と一定の協力関係があります。でありますので、各消防との連携を一層強めていくことが重要であり、基本であるというふうに考えております。
このため、県といたしましては、これも繰り返しになりますが、患者等搬送事業者と各消防本部の協定締結などにより一層の連携が図られますよう、県としても市町村をはじめ関係者のニーズを踏まえながら働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
41: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。
林文夫議員。
〔二十三番林文夫君登壇〕(拍手)
42: ◯二十三番(林文夫君) みよし市選出の林文夫です。
通告に従いまして、私からは三つの項目について順次お伺いをさせていただきます。
初めに、幼児教育の推進について。
幼児期は人格形成の基礎を培う重要な時期であり、この時期に生活や遊びのあらゆる体験を通して、社会でよりよく生きるために必要な力や好奇心、探求心、感性など、生涯にわたる学びの基礎を育むことが重要であります。
しかし、子供が生活する環境は大きく変わっています。まず、少子化と核家族化が進行し、地域社会の教育力の低下により、子供同士で遊ぶ機会や様々な経験、体験が少なくなり、これまでは自然と身についていた運動能力や好奇心、人間関係を築く力が身につきにくくなっていると言われております。
一番身近な家庭でも、子供の教育は変化をしております。幼児期の保護者からの愛着や小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高めることは非常に重要でありますが、共働きや労働時間の増加などにより、親子の時間が十分に確保できなくなってきております。また、地域交流の希薄化で子供の預け先や悩みの相談相手がいないという問題もあります。近所付き合いも減った昨今、それぞれが独立しているような状態で、家庭での生活と幼稚園での生活が子供の中でもつながっておりません。本来教わるべきだった生活習慣が身についていない、幼稚園での学びが家庭に生かせていないといった問題からも、幼児教育の意義や価値について、保護者や地域、さらに小学校でも共有されていないのではないでしょうか。
文部科学省では、幼児教育の推進について、幼稚園等の施設に家庭、地域社会を加えた三者が連携しながら総合的に幼児教育を推進していく方針を示し、地域全体で幼児教育の質向上を図るための仕組みづくりが必要としております。また、幼児の学びの連続については、家庭や地域社会での生活を通じた発達や幼稚園等施設の教育を通した学びを小学校への学習へとつなげていく。特に小学校低学年は学びがゼロからスタートするわけではなく、幼児教育で身につけたことを生かしながら教科等学びにつなぎ、子供たちの資質、能力を伸ばしていく連続性が求められるとしております。
本県においても、愛知の幼児教育指針では、幼保小連携について、連絡会を持つ学校は多いが、互いの教育内容について理解し合うまでは至っていないところが多いとあります。また、あいちの教育ビジョン二〇二五での幼児教育の充実では、幼児教育はその後の学校教育全体の生活や学習の基礎を培う役割を担っていることを踏まえ、幼児教育において育まれてきた資質、能力を小学校教育を通じてさらに伸ばしていくために、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を基に、幼児教育と小学校教育との連携・接続の強化が必要としております。
幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省、こども園は内閣府が所管となっており、本県においても教育委員会、福祉局、県民文化局がその業務を担っておりますが、幼稚園教育要領にも保育所保育指針にも幼児期の終わりまでに育ってほしい十の姿は同様に記載をされております。こうしたことからも、幼児教育と保育の一体的な取組を行うことが必要であると考えます。
ここで二つの取組を紹介させていただきます。
一つ目は、映画監督で作家の豪田トモ氏が海外の取組を参考に考案した対話の力を身につけることを目指す話合いの実践法、こどもかいぎの保育園での取組です。
こどもかいぎは、五、六人の少人数で輪になり、自由なテーマを決めて話し合う。自由に発言してよいが、友達の話を遮らずしっかり聞く、正解や答えはない、自分の考えを伝え、仲間の意見を聞いて共感したり、自分と違う考えがあると気づいたりすることを狙いとしております。
年間を通じてこどもかいぎを経験した園児たちの変化は目覚ましく、保育士の仲裁なしに言葉のやり取りで小さなけんかを解決していく力も徐々についていったとのこと。安心できる場が、対話の力だけでなく、子供たちの自己肯定感も育んだと豪田氏。自分と異なる考えを認め合い、歩み寄る経験を子供の頃から積んでほしいとの思いで一年かけて取り組んできた保育園の様子をまとめたドキュメンタリー映画の自主上映の推進などでこどもかいぎの普及に取り組み、保育や教育の質の向上を目指しております。
二つ目は、半田市で平成二十四年度から実施している幼保小中一貫教育ハンダプランです。
三歳から十五歳までの一貫したプログラムに従って、幼稚園、保育所、こども園、小学校、中学校で連携し、キャリア教育を推進しております。子供たちがよりよく生きるために必要な四つの能力、キャリアA、アクション、課題解決に向けて行動する力、キャリアB、ビリーブ、自分のよさを信じる力、キャリアC、コミュニケーション、人間関係を形成する力、キャリアD、ドリーム、夢を追い求める力を育むために、成長に合わせ身につける力を分かりやすく図にして、幼保小中、保護者、地域が共有し、推進をされております。子育て、教育に関わる全ての人がプログラムを基に子供たちと向き合うことで、連携と接続を図られております。
全ての子供たちが健やかに成長できるよう、幼児教育の内容や方法の充実、また保育士の専門性の向上を図ることが必要であり、幼稚園や保育所等と家庭、地域、学校が連携し、幼児期の子供たちを一体となって支えていくことで小学校へのスムーズな接続につなげる。幼児期から連続した社会で生き抜く力とコミュニケーション能力の基礎の習得は、中高一貫教育の取組を推進する今日、深い学びに向けた習得すべき必要な力と考えます。
そこでお尋ねをいたします。
成長段階に合わせた幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を幼稚園、保育所、小学校の教職員や保護者、地域が共有し、それぞれの役割の下、子供たちと向き合うことで幼保小の連携を図る必要があると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いをいたします。
また、幼児教育の質の向上には、幼稚園教諭及び保育士の専門性の向上が重要であると考えます。そして教育の連続性を図るためには、幼児教育を生かした小学校への円滑な接続が必要と考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
質問の第二は、県産木材の利用促進についてであります。
昨今、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組が様々な分野で始まっております。愛知県はモノづくりが盛んな県であり、私の地元みよし市にも自動車産業をはじめ様々な企業が立地をしており、各企業では二酸化炭素の排出削減対策に取り組んでおります。
しかし、中小・小規模企業では、その思いはあっても取組方法や資金面での課題があり、取組の推進には時間が必要であります。そうした中にあって、二酸化炭素の総量削減のためには排出量削減と併せ、二酸化炭素の吸収、固定量の増加が必要と考えます。
森林は二酸化炭素を吸収してくれます。樹木は光合成により二酸化炭素を吸収、固定して育ちます。その樹木を建築資材などとして長期間利用し続けることは、空気中の二酸化炭素を固定し続けることとなります。
本県は県土の四割が森林であり、そのうち六割強を杉、ヒノキの人工林が占めており、これらは戦後に植えられたものが多く、十分に育っていて、建築用材として使える状態となっております。
また、樹木の二酸化炭素の吸収量は成長に合わせて変化し、高齢になるに従い減少すると言われております。このようなことから、二酸化炭素の吸収、固定量の増加のためには、今ある人工林資源を積極的に切って活用し、その後、計画的に植えて育てるという循環をつくっていくことが大切であります。
地元のみよし市は、名古屋市や豊田市のベッドタウンとして近年住宅開発が進み、人口が増加していることに加え、自動車関連産業等が多く立地していることから、都市化が進んでおります。二酸化炭素を排出する側として木材をしっかりと使うことで、二酸化炭素の吸収、固定に貢献していかなければいけないと考えております。
しかし、これまで木材を使う場合の主な用途は住宅用資材でした。住宅の木造化率は八割を超えておりますが、国土交通省の住宅着工統計によりますと、新設住宅着工戸数は二〇一九年の九十万五千戸を最近のピークとして、二〇二二年には八十六万戸へ減少してきており、今後もこの傾向は続くものと言われております。
新たな需要としては、企業が社屋の建設に当たり木造を選択するケースもあるとお聞きをいたします。環境、社会、ガバナンスへの配慮がある会社に対するESG投資が注目される中、付加価値を高める取組とのことであります。
現在も続く円安傾向などで外国産木材の供給に対する不安がある今こそ、県産木材のシェアを伸ばす絶好のチャンスと言えます。そのような中、昨年四月には愛知県木材利用促進条例が施行され、県、市町村、事業者及び県民が一体となって県産木材をはじめとする木材の利用が県内全域に大きく広がることを目的としております。
そして、条例に基づき策定された木材利用の促進に関する基本計画では、公共建築物のみならず民間建築物の木造・木質化にも力を入れていくこととされております。県産木材利用の取組は、地域経済の発展はもとより、カーボンニュートラルの推進にもつながる重要な取組であります。
そこでお尋ねをいたします。
条例施行後、木材利用促進にどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。
次に、個々の取組として、建築物の木材利用を推進することは当然大切であると考えますが、私はかねてより一定のまとまりを持ったまちとして木造・木質化を進めることが統一感もあり、PR効果も高いのではないかと考えております。本県においても、名古屋競馬場跡地において、街区全体で統一的に木造・木質化を図るまちづくりが進められていると聞いております。
少し前の話になりますが、私は市議会議員の時代に、岩手県紫波町のオガールプロジェクトを視察させていただきました。これは官民連携の先駆事例として二〇〇九年に始まった取組で、全国的に注目をされました。紫波町は人口約三万四千人の小さなまちですが、このプロジェクトでは駅周辺の十一ヘクタールの町有地に役場や図書館と地域交流センターの機能を持つ情報交流館のほか、子育て支援センター、産直販売所やカフェ、さらにはホテル、体育館、分譲住宅に至るまで様々な施設が新たに整備をされました。これらの施設の様々な箇所に岩手県産や紫波町産の木材が使われており、非常に好印象で温かみが感じられ、大変好評とのことでありました。また、オガールタウンの分譲住宅、紫波型エコハウスでは、構造材に町産木材を八〇%以上使うこと、町内の工務店で建てることなどとする。そして、町内の森林から集めた木質チップを燃料にオガール地区全体へ熱供給を行うなど、エネルギーの地域循環を追求した産業振興としておりました。
このプロジェクトで木材利用が進んだ理由として、地元の木材を使いたいという思いがあったことに加えて、事業コストを抑える必要があり、木造のほうがコスト面で有利であったということでありました。これらの判断は、マスタープランの策定に木造建築の知見を持った人物が関わっていたことが大きいとのことでありました。
これまでの大学等における建築の専門教育は鉄骨造や鉄筋コンクリート造が中心で、木造はカリキュラムにほとんどなく、木造建築のノウハウを持つ技術者は少ないのが現状であります。このため、建築主が実際に店舗や事務所を木造で建築しようとしたときに、木造建築に精通した技術者がいない、設計や建築をどこに依頼すればいいのか分からないといった声を聞いたことがあります。
今後、木材利用を進めていくために、大半が木造の住宅に加えて店舗や事務所等、住宅以外の建築物の木造・木質化が重要であります。しかし、せっかく建築主が木造に関心を持ったのに、その相談先や木造で建てるための依頼先が分からない、あるいは工務店が資材の入手方法が分からないなどの理由で木造を諦めてしまうのは非常に残念であります。
そこでお尋ねをいたします。
店舗や事務所等の建築物の木造・木質化を実現していくために、木材に関心を持っていただいた方のニーズへの対応と建築士等技術者の技術向上にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
最後の項目は、大規模地震に対する道路の防災対策についてであります。
これまで、我が国は大規模地震が発生するたびに甚大な被害を受け、長期間復旧・復興活動を行ってきました。東日本大震災をはじめ、過去の大規模地震災害では、被災エリアが広範囲に及び、莫大な数に上る施設の損壊並びに多くの人命が損なわれているとともに、社会経済活動が長期にわたって麻痺するなど、甚大な被害が生じております。
南海トラフでは、今後三十年以内にマグニチュード八から九クラスの地震の発生確率が約七〇%から八〇%あり、本県においては、この南海トラフ地震の発生に伴う被災が危惧されております。
当地域は日本の三大都市圏の一角をなし、モノづくりを中心とした世界有数の産業集積を誇り、国内外との物流のネットワークの要、高速鉄道の結節点といった我が国の社会経済活動の持続性を確保する上で重要な役割を担っております。このため、南海トラフ地震から県民の生命と財産を守るとともに、社会経済を機能不全に陥らせないことが重要であり、そのためには、防災、減災、県土強靱化に向けたインフラの構築と、万が一にも被災した場合を想定した備えが必要であります。
その中でも、特に道路は被災直後の救命救急活動に必要不可欠であり、激甚化、広域化した被災から迅速な復旧・復興を図り、全国からの受援を被災地に届ける生命線の役割を果たすことから、最も重要な防災上のインフラと考えます。そのうち、緊急輸送を確保するために必要な道路として緊急輸送道路が定められており、県庁所在地、地方中心都市及び重要港湾、空港等を連結する第一次緊急輸送道路、その第一次緊急輸送道路と市町村役場などを連結する第二次緊急輸送道路から構成されております。
そうした中、これまでの大規模地震では、地域分断を引き起こす橋梁部への被災が度々問題になってきており、東日本大震災では、落橋や損壊などの大規模な損傷はなかったものの、支承部やジョイント部の損傷が多く見受けられました。また、特徴的な被災事例として、液状化に伴う周辺地盤の沈下により、橋台の取付け部に段差が多数発生し、地震直後の速やかな通行機能の確保に支障を来しております。橋梁部の被災は通行機能の回復に当たり非常に長い時間を要することから、できる限り被災するのを避けるための取組が必要と考えます。
その中で、緊急輸送道路の幹線道路と地域の防災拠点をつなぐ最後の区間となるラストワンマイルはほとんどの場合、市町村道が中心であり、それら市町村道は重要な役割を担っております。そうした中、みよし市のラストワンマイルの取組について御紹介をさせていただきます。
みよし市には、南海トラフにおける具体的な応急対策活動に関する計画の広域物資輸送拠点の指定を受けました中部トラック総合研修センターがあり、被災時には全国から供給される支援物資の受入れとともに、西三河地区十一の市町村へ送り出すといった重要な役割を担っていくこととなっております。
この広域物資輸送拠点は、県道豊田知立線のバイパス区間から市道を経由して結ばれておりますが、そのアクセス路は限定的であります。そのため、みよし市では、地域間交流の推進、地域住民が安全で安心して通行できる生活道路及び災害時においてのリダンダンシー、いわゆるアクセスの多重化として必要となる幹線道路の二つの機能を兼ね備え、輸送拠点へのさらなるアクセス向上を目的として、既存の市道とは異なった新たな道路整備について、平成三十年度から着手をしております。この道路の完成により、輸送拠点へのリダンダンシー機能が確保されることとなり、全国からの受援物資を被災者の皆さんのところへ着実に届けることに貢献することから、私としてもしっかりと応援をしてまいりますし、こうした事前防災対策は重要と考えます。
そこで、まず大規模地震に対する県管理の緊急輸送道路における事前防災対策の取組はどのようかお伺いをいたします。
次に、被災した際の救命救急活動に資する道路啓開に向けた取組について。
東日本大震災では、発災直後から被災地へのアクセスルートを確保するために、内陸部を南北に貫く東北自動車道と国道四号からくしの歯のように沿岸部に伸びる何本もの国道を、救命・救援ルートの確保に向けて切り開く作業、いわゆるくしの歯作戦による道路啓開オペレーションが展開され、早急な瓦礫処理と簡易な段差修正などにより、速やかに緊急車両、救急車両などの救援ルートを確保いたしました。余震や津波の再来の危険がある中において被災状況の把握に苦労しながらも、昼夜を問わず活動いただきました建設会社の方々などの使命感と地域への貢献は、決して忘れてはならないと思っております。
人命救急に関わる重要な七十二時間を意識すると、速やかな通行機能の回復は必要不可欠であります。
そこでお尋ねをいたします。
大規模地震において、被災した際の早期の道路啓開に向けた取組はどのようかお伺いをいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
43: ◯教育長(飯田靖君) 幼児教育の推進のうち、初めに、幼稚園、
保育所と小学校、保護者、地域がそれぞれの役割の下、連携を図ることについてお答えをいたします。
幼稚園、
保育所で行われている遊びを通して得られる健康な心と体や自立心などは、小学校以降の基礎となる大切な力であり、そのことを幼児に関わる全ての人がそれぞれの役割を認識した上で理解をし、連携をすることが大変重要でございます。
そのため、教育委員会では、学識経験者や幼稚園、
保育所、小学校関係者、保護者の代表で構成をする愛知県幼児教育研究協議会を開催しておりまして、今年度は幼稚園、
保育所と保護者や地域、小学校が幼児教育の目指す子供の姿について共通理解を図ることの大切さをまとめたリーフレットを作成いたしました。このリーフレットには、幼稚園と小学校の教諭が交流会や研修の場で園児が遊びに熱中しながら学んでいく様子について共通理解を図っている事例や、園児の活動の様子や成長する姿の記録を送迎に来た保護者の目に留まるように掲示をし、園児がどのように成長していくのかを理解してもらう事例を掲載しております。
さらに、幼稚園、
保育所の行事を地域の人たちと協働で実施しながら、園児に経験してほしいことや取組の狙いなどについて、地域と共通理解を図る事例も取り上げております。
来年度には、リーフレットに掲載をした先進事例を市町村の幼稚園、学校教育担当者が集まる会議や研修会において紹介し、こうした取組が広がるよう働きかけるとともに、県教育委員会のウェブページに掲載をすることで現場の先生方が容易に入手ができるようにしてまいります。
次に、幼稚園教諭及び
保育士の専門性の向上と小学校への円滑な接続についてお答えをいたします。
議員お示しのとおり、幼児教育で培われた力を小学校の教諭がしっかりと理解をし、子供の成長を支えていくことは大変重要なことであると認識をしております。
そのため、県では、幼稚園教諭と
保育士を対象として、幼児との関わり方や保護者の理解などについて研修を実施し、専門性の向上を図っております。また、幼稚園教諭などと小学校教諭が一緒に研修をし、お互いの教育について理解をすることで、幼稚園から小学校への接続の大切さを学んでおります。
このような取組をさらに充実させるため、来年度は県庁内で
保育所、私立の幼稚園、公立の幼稚園をそれぞれ所管する三つの担当部局が横断的に連携を図るプロジェクトチームを設置してまいります。
このプロジェクトチームには、幼児教育に関する知見や豊富な実践経験を有する専門家に参画をしていただき、アドバイザーとして各園を巡回し、子供との関わり方や小学校への接続を見据えた育て方について助言を行ってまいります。こうした新たな取組を実践する中で、小学校教育につながる幼児教育の推進が図られるようしっかりと取り組んでまいります。
44: ◯農林基盤局長(長田敦司君) 愛知県木材利用促進条例施行以後の木材利用促進の取組についてお答えいたします。
木材利用の促進は、林業の振興のみならず、カーボンニュートラル社会の実現に向け、大変重要な役割を担っております。
そこで、昨年四月に農林基盤局内にあいちの木活用推進室を新たに設置するとともに条例に基づく基本計画を策定し、木材の利用促進に取り組んでまいりました。
具体的には、七月に民間建築物における木材利用の機運を高めるため、愛知県木材利用促進シンポジウムを開催し、冒頭のセレモニーでは知事が林業・木材産業者や建築関係者と共に一丸となって木材利用を強力に進めていくことを宣言いたしました。また、商工会やJAをはじめ、百二十の団体等に対し、木材利用の働きかけを行ってまいりました。さらに、PR効果の高い施設の木造化、内装木質化に対して支援する木の香る都市づくり事業の予算を拡充し、大規模で開放的な空間を木造で実現した烏森駅近くのオフィスや、板にした木材を重ねて貼り合わせた厚みのある大きなパネル、いわゆるCLTを使用した金山駅付近の木造ビルなどに支援しているところでございます。
こうした取組により、都心のオフィスビルや
学童保育施設、福祉施設の木造・木質化など、県民の皆様の注目を集める事例が増えてきております。加えて、木材利用に係る長期的なビジョンとして、二〇五〇年に目指す都市の木造・木質化の姿やそれを実現するためのロードマップを年度内に取りまとめ、公表してまいります。
続いて、木材に関心を持っていただいた方のニーズへの対応と建築士等技術者の技術向上についてでございます。
店舗や事務所等、非住宅分野の木造・木質化のためには、それぞれの用途や建築場所に応じて法律で定められている耐震、防火、耐火等の基準を満たすことや、木造ならではの設計技術が必要になってきます。このため、木造で建物を建てたいがどうすればよいのかなど、木造・木質化に関する相談が県にも寄せられることがあります。このような方々のニーズに応え、実現に向けて支援していくことは大変重要であります。
そこで、あいち木造・木質化サポートセンターを新たに設置し、様々な助言に加え、建築士等への橋渡しなど、総合的なサポートを行ってまいります。
一方で、議員御指摘のとおり、木造・木質化を進めることができる技術者はまだ少ないのが現状であります。そこで県では、二〇二〇年度から愛知県木材組合連合会と愛知建築士会を構成員とする環境都市実現のための木造化・木質化推進あいち協議会と連携して技術者育成講習を実施し、木造・木質化に精通した建築士等の技術者を養成しているところでございます。講習を修了した技術者につきましては、既に木造の設計や建築の実績がある技術者と合わせ、先ほどのサポートセンターにおいて、木造建築物の実績などの情報とともに建築主へ紹介してまいります。
本県は人工林資源に恵まれている一方で、名古屋市などの都市部を抱えており、木材の大消費地でもあります。カーボンニュートラル社会の実現に向けて、関係者と連携、協力しながら、オール愛知でしっかりと県産木材の利用促進に取り組んでまいります。
45:
◯建設局長(道浦真君) 大規模地震に対する道路の防災対策についてのお尋ねのうち、まず県管理の緊急輸送道路における事前防災対策についてであります。
本県では、全ての県管理の橋梁に対して、阪神・淡路大震災を契機に落橋などの致命的な損傷を防ぐための対策を実施し、二〇一四年度までに完了しております。さらに、現在は大規模地震においても軽微な損傷にとどまり、速やかに機能回復できる耐震性能の確保に向け、橋脚補強などの耐震対策や取付け部の段差対策に取り組んでおります。
このうち、防災上特に重要となる第一次緊急輸送道路の耐震対策については、二〇一四年度に策定した第三次あいち地震対策アクションプランにおいて、津波浸水想定区域内にある一九八〇年より古い基準で建設された十九橋を位置づけ、来年度末までに十六橋の対策を完了し、残る三橋も早期完了に向け取り組んでまいります。
橋台背面にコンクリート板などを設置する段差対策については、液状化危険度の高い区域のうち、大きな沈下が予想される六十橋をプランに位置づけ、来年度末までに完了する予定であります。
また、緊急輸送道路においては、電柱倒壊による道路閉塞を防止するため、無電柱化を進めることが重要です。このため、愛知県無電柱化推進計画(二〇二一─二〇二五)において八十三キロメートルを位置づけ、新たな用地買収を必要としない四十二キロについては、約八割の区間で既に事業着手しております。残る区間についても関係機関協議を進め、速やかに事業着手してまいります。それ以外の四十一キロメートルについては用地買収を伴う道路事業等の進捗に合わせて、計画期間内の事業着手を図ってまいります。
今後も国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用し、緊急輸送道路の事前防災対策を推進してまいります。
次に、被災した際の早期の道路啓開に向けた取組についてであります。
本県では、ふだんからの備えとして、南海トラフ地震を想定した中部版くしの歯作戦を二〇一二年に国と共に策定し、早期復旧支援ルート確保の基本的な手順を定め、適宜改訂しております。また、自衛隊を招いた勉強会や放置車両の移動といった防災訓練を定期的に実施し、関係者の連携強化や対応力の向上を図っております。
実際に大規模地震が発生した際には、防災安全協定を締結した約三百七十社の地元建設業者がそれぞれの担当区間について速やかに巡視等を行うため、被害状況報告や現地写真などの多くの情報が電話やファクスなどにより現場を所管する建設事務所などに一斉に寄せられることになります。
円滑な救助活動には通行可能な道路の把握が重要であるため、刻々と更新される被害情報を関係者がリアルタイムで共有するとともに、路線の優先度などを判断し、道路啓開を迅速に実行することが求められます。
そうした情報の集約や共有などにはデジタル技術を活用したシステムが効果的であります。このため、今年度はシステムが備えるべき機能について検討し、ドローン映像及びウェブを活用した被害情報の集約、関係機関のシステム連携、優先啓開ルートの選定支援などが必要であると整理をいたしました。来年度からはシステムの具体的な設計や開発に取り組み、早期運用につなげてまいります。
今後も県民の皆様の安全・安心の確保のため、大規模地震に対する道路の防災対策にしっかりと取り組んでまいります。
46: ◯二十三番(林文夫君) それぞれ御答弁をいただきました。
二項目について要望させていただきます。
初めに、県産木材の利用促進について。
サポートセンターについては、木材に関心を持っていただいた方の受皿としてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。
木材利用を進める上では、引き続き都市部での利用を進め、多くの県民に触れてよさを知っていただくことが重要であります。先ほど官民連携の事例としてオガールプロジェクトについて話をさせていただきましたが、木造・木質化による新たなまちづくりは人と環境に優しいだけではなく、インパクトも大きく、波及効果も期待できるものであります。
今後、みよし市も含め、県内各地において都市開発が進められていくと思いますので、こうした機会をしっかりと捉え、積極的に木材利用を推進していただくことを要望させていただきます。
次に、大規模地震に対する道路の防災対策について。
さきに述べました緊急輸送道路の幹線道路と地域の防災拠点、そしてその先の広域避難所など被災者までをつなぐラストワンマイルの市町村道は、緊急輸送道路の位置づけが少なかったり、リダンダンシー機能が確保されていないといった課題があります。
被災者にしっかりと支援が届くように、県管理の緊急輸送道路の事前防災対策、早期の道路啓開に合わせ、市町村道のラストワンマイルの整備や道路の啓開の取組への支援を要望させていただき、質問を終わります。
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47: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
48: ◯副議長(佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
49: ◯副議長(佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後三時四分休憩
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午後三時五十分開議
50: ◯議長(
須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
久野哲生議員。
〔五十八番久野哲生君登壇〕(拍手)
51: ◯五十八番(久野哲生君) それでは、通告に従い、順次質問させていただきます。
初めに、ペット同行避難対策についてお尋ねします。
間もなく東日本大震災の発生から十二年を迎えます。この震災で命を落とした方々に改めてお悔やみを表しますとともに、被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、さきの震災から十二年目の節目を前にして、我々は過去の大規模災害を教訓にして、本県の地震防災対策を一層強固なものにしていく必要があると改めて思うところであり、県が昨年の九月議会で補正予算を計上し、ペット同伴者専用避難施設に関する調査、検討を行っていると承知しておりますので、その内容についてお尋ねしていきたいと思います。
改めて振り返りますと、東日本大震災は、三陸沖を震源に地震の規模は日本国内における観測史上最大のマグニチュード九・〇、観測された最大震度は、宮城県栗原市で震度七をはじめとして、東北地方で震度六の強い地震が、また、北海道から九州地方にかけて広く揺れが観測される巨大地震でした。
また、この地震では、岩手県、宮城県、福島県を中心とする太平洋沿岸部を巨大な津波が襲い、浸水面積が五百六十一平方キロであったとともに、仙台平野等では海岸線から約五キロの内陸まで津波が到達したそうであります。
さらに、この震災のもう一つの特徴として、東京電力福島第一原子力発電所の事故があります。巨大地震とそれによる津波の影響で、電源喪失などにより原子炉を冷却することができず、発電所では深刻な事故が起き、周辺地域の住民は緊急に避難を余儀なくされることとなりました。
こうしたことも相まって、この震災の被害は、災害関連死を含む死者、行方不明者を合わせて二万二千三百十二人、全壊、半壊、一部破損を合わせた建物被害が百十五万五千百棟と、まさに未曽有の大災害となっており、昨年十一月一日現在、いまだ全国で三万千四百三十八人の方が避難生活を余儀なくされています。
東日本大震災の被災地では、発災直後から多くの避難所が開設されたわけですが、そうした被災地の自治体を中心に、避難所や応急仮設住宅を設置した東北及び関東の百五十九自治体に対し環境省が実施したアンケート調査では、震災前から避難所でのペットの受入れに関する方針を定めていたのは四十一自治体にとどまり、そのうち五自治体は受入れ不可とする方針を定めていたとのことです。さらに、あらかじめ避難所や応急仮設住宅での運営マニュアルでペットに関する取扱いが記載されていたところは二十三自治体と二割にも満たず、被災者と一緒に避難したペットの取扱いに苦慮する例が見られました。
大規模な災害時には、多くの被災者が長期にわたり避難生活を送ることになりますが、避難所で過ごす方々の中には、犬や猫などのペットを連れて非難してきた被災者もいれば、ペットを飼わない方、むしろ動物が苦手な方やアレルギーのある方も含まれ、こうした様々な事情のある方が同じ被災者として、ともに災害を乗り越えていくことが必要であり、そのためには避難所でのペットの取扱いに関し、ペットを受け入れる方針や、避難所のペットの取扱いに関するルールを決めていくことが重要であります。
そこで、まずお尋ねします。
災害時においては、市町村長が住民等に避難を指示し、そうした避難者を一定期間滞在させる場として避難所を開設することとなると思いますが、現在、県内市町村が指定する避難所におけるペットの取扱いはどのようになっているのかお伺いします。
この東日本大震災を受け、環境省では、自治体が地域の状況に応じた独自の災害対策マニュアルや動物救護の体制を検討する際の参考となるように、飼い主とペットが一緒に避難するペット同行避難を基本とする災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを平成二十五年六月に策定し、その後に発生した大規模地震である平成二十八年熊本地震では、このガイドラインが多くの自治体で活用され、かなりの被災者自身によるペットとの同行避難が実施されました。
しかし、環境省が十六市町村、百三十六か所の避難所を巡回し、ペット同行避難の状況を確認したところ、ペット同行避難が実施された避難所は八十五か所と約六割に及ぶ一方で、調査時点でペット同行避難が確認された避難所は五十か所と、三十五か所、約四割減少していたようで、その理由として、ペットを避難所の屋内で受け入れることが拒否されたことや、飼い主がほかの避難者に配慮してペットを連れて退所したり、あるいはペットだけを家に置いて避難してきた等が分析されています。
ペットの飼い主がペットを飼わない人との避難所での共同生活にちゅうちょすることで避難そのものをためらうようなことがあってはならず、万一、ペットだけを家に置いて避難してきた場合、あとでペットの様子を見に家に戻って余震等で被害に巻き込まれたり、飼い主の目の離れた隙にペットが逃げ出し、放浪動物となる可能性もあることから、県が検討しているペット同伴者専用避難施設がペットの飼い主に適切な避難を促し得るものと期待するところです。
そこで、二点目にお尋ねします。
県が考えるペット同伴者専用避難施設は、どのようなコンセプトのもので、現在の検討状況についてお伺いします。
最後に、ペット同行避難の実現に向けた市町村への取組への支援についてお尋ねしたいと思います。
先ほど申し上げたとおり、避難所を開設し、住民等を受け入れる第一義的な役割を果たすのは市町村であり、現在、愛知県内には三千百か所を超える避難所が市町村において指定されているとのことです。
県では、昨年秋からペット同伴者専用の避難施設の検討に着手しているところですが、こうした施設ができるまでに、あるいはできた後であったとしても、南海トラフ地震のような大きな地震が発生すれば、県民の方々はまずは市町村が開設する最寄りの避難所に身を寄せるわけですから、市町村の避難所にペットを連れて避難してくる方を適切に受け入れることは大変重要になると考えます。
既に他県の例としましては、福島市や久留米市での市の施設をペット同伴者用の避難所としている例があるようです。
県内では、犬山市が県内初の取組として、市内の三十三か所の指定避難所のうち、昨年十二月から犬山市民交流センター、市体育センター、楽田ふれあいセンターの三か所をペット同伴可能な避難所に位置づけ、災害時には室内でペットを受け入れることを決めたそうです。
県がペット同伴者専用施設の検討を始めたことで犬山市の取組を促したのかは定かではありませんが、いずれにせよ県が考えるペット同伴者避難施設と、市町村が開設する避難所でのペットの受入れが上手くかみ合わなければ、ペットの飼い主の適切な避難に結びつかないことは明らかであります。
そこで、最後にお尋ねします。
県がペット同伴者専用避難施設の検討と併せて、市町村におけるペット同伴避難の取組を一層促進させ、ペットの飼い主が安心して避難できる環境を構築していく必要があると考えますが、県の考えをお伺いします。
次に、あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組についてお尋ねします。
県では、あいち行革プラン二〇二〇において、二〇二〇年度から二〇二四年度までの五年間を計画期間に設定し、様々な取組を進めておりますが、二〇二二年度は計画期間の中間年度に当たることから、新たに生じた課題に対応していくため、昨年十二月、あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組を公表しました。
この後半期の取組をまとめるに当たっては、昨年五月に行財政改革を一層強力に推進していくための司令塔として、チームあいちを立ち上げ、さらに、チームあいちの下に、従来の根源的問い直しや業務改善に加え、新たに官民連携、分権、規制緩和を合わせた三つの検討チームを設けて、プランの進捗管理や後半期の取組の項目等の検討、各局との調整など、精力的に取り組んでこられたと伺っております。あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組につきましては、プラン策定後に生じた県政を取り巻く環境変化に迅速、的確に対応したものとするため、改革の目標や九本の柱である主要取組事項など、プランの骨格となる部分を維持した上で、個別取組事項の充実、追加を図っています。
また、取組の切り口として三つの視点を掲げています。
一つ目は、新型コロナウイルス感染症対策を通じて浮かび上がった課題に対応する、ウイズコロナ、アフターコロナへの対応、二つ目は、コロナ禍において急速に広がった社会全体のデジタル化に対応するDX推進の取組、そして三つ目は、県の施策の進捗、具体化や新たな課題に対応する施策の追加など、新規施策、環境変化等への対応であります。
本県においては、これまでの三年間、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、その対応に全力を挙げてきました。多くの県職員の皆さんが、医療や保健業務はもとより、福祉、教育現場での感染防止対策、営業時間短縮等の協力金業務や、観光、イベント関係での往来や開催制限の対応、また、支援要員としてコロナ関連業務に従事するなど、全庁体制でコロナ対策に奮闘されてきたと思います。
総務省が公表した地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果によりますと、都道府県職員一人当たりの年間の時間外勤務時間は、コロナが発生する前の二〇一八年度は一五一・六時間であるのに対して、コロナ発生後は年々増加して、直近の二〇二一年度は一七三・六時間となっており、二〇一八年度比では一一四・五%と増加しています。増加した原因までは記載されておりませんが、全国の職員が新型コロナウイルス感染症の対応に従事したことが大きな要因であると推測されます。
現在、国を挙げて官民一体となり、働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進を掲げ、時間外労働の削減や休暇取得の促進、労働生産性の向上などに取り組んでいますが、現実としては、県職員の方は、コロナ対応はもとより、新規施策にも取り組み、また、日常の行政サービスの提供を滞らせるわけにもいきませんので、厳しい環境の下で勤務されているものと思います。
このように限られた人材、労働時間の中で様々な政策課題に対応するとともに、行政サービスの質を向上させていくためには、職員一人一人の生産性を高めていくことが必要であり、こうしたところに行財政改革の取組を着実に行っていく意義もあるものと考えます。
行財政改革の取組は多岐にわたるものでありますが、例えばコロナの対応では、県だけの対応ではなく、国、市町村、医療機関、産業界などと円滑に連携して対応していくことが重要でありますし、また、民間の知見、ノウハウを活用しながら進めていくことが必要な行政分野もあります。
さらには、限られた職員の力を新たな政策課題に最大限に投入していくためには、日常の業務を根本から見直して無駄をなくしていくことや、AIやRPAなどICTを積極的に活用して、業務の合理化、効率化を図っていくことも大切です。その点、本県においては、類似の行革大綱の下で積極的かつ計画的に行財政改革に取り組んできたと考えております。
第三次行革大綱の計画期間がスタートした一九九九年度から、しなやか県庁創造プランの計画期間の最終年度である二〇一九年度までの二十一年間の取組の成果としては、職員定数を知事部局等と教育の事務部門で約三千四百人削減し、約四分の三になっています。また、公の施設は百四施設の廃止等を行い二分の一以下になっています。さらに、この間、六千二百億円を超える行革効果額を生み出しており、大きな成果を上げています。
一方で、こうした取組を続けてきたことで、量的な削減余地が狭まったことも背景に、しなやか県庁創造プランからは、事務事業の見直しや民間活力の活用、県の持つ経営資源の最大限の活用による効率的、効果的な行財政運営を行う取組を進めてこられたと認識しています。
今後も、県の持つ人材、資産、財源といった経営資源を最大限に生かしながら、ウイズコロナ、アフターコロナの対応をはじめとする時代の流れ、県民ニーズの急激な変化に対応した県の新たな政策を確実に実行し続けていかなければなりません。特に、最も重要な経営資源として位置づけている人材である職員の方の負担が増大することのないよう、あらゆる業務の効率化に取り組んでいく必要があると考えます。
また、行財政改革を進める上では、まさにしなやかさが大切だと思います。
あいち行革プラン二〇二〇には、計画期間において、本県を取り巻く環境に著しい変化が生じた場合はもとより、プランの取組状況等に応じて個別取組事項や進捗管理指標等について必要な見直しを柔軟に行うとされています。プランを策定したらそれで満足して終わるのではなく、常にアンテナを高くし、環境変化に伴う政策課題や県民ニーズの変化に迅速、的確に対応することができるよう、必要な見直しを柔軟に行っていく必要があります。
県として、あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組を取りまとめたところですが、今後も取組の進捗や環境の変化に応じて取組を充実させていけるよう、不断の見直しを行っていただきたいと考えます。そのためにはプランの進捗管理、進め方が重要であります。個々の取組の進捗状況を的確に把握し、その成果や課題を見極め、要因を検証し、必要があれば改善を行った上で進めていかなければなりません。
あいち行革プラン二〇二〇においては、その進捗状況を把握するため、個別取組事項の実績と以後の取組を公表することに加えて、三十項目の進捗管理指標を設定し、毎年度の改善を目指すこととしています。このうち、特に特定の数値の達成を目指して計画的に取り組むことが改革の一層の進捗につながると考えられる十五項目につきましては、数値目標が設定されています。こうした指標の進捗をしっかりと管理し、行財政改革の取組を実効性のあるものとしていかなければならないと考えます。
そこでお尋ねします。
計画期間の中間年度に当たり、あいち行革プラン二〇二〇のこれまでの具体的な成果と課題についてお伺いします。
また、プラン後半期においても、新たな政策課題や様々な県民ニーズに対応していくためには、取組の充実はもとより、新たな取組や目標などが必要であると考えますが、後半期においてはどのように取組を進めていかれるのか、お伺いします。
以上で壇上からの質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
52: ◯防災安全局長(坂田一亮君) ペット同行避難対策の御質問のうち、まず、市町村避難所におけるペットの取扱いについてお答えをいたします。
愛知県地域防災計画においては、市町村避難所におけるペットの取扱いの基本的な事項について定めており、避難所では、必要に応じてペットの飼育場所の確保に努めるものとし、受け入れる際には、ペット登録台帳に登録するとともに、飼育場所や飼育ルールを飼育者に周知徹底することとしております。
また、市町村にお示ししている愛知県避難所運営マニュアルにおいては、例えば、アレルギーや感染症予防のため、あらかじめ避難者が生活する場所と別の場所にペットの受入れ場所を確保する、屋根がない場所にはテントを設営して受け入れるなど、避難所でのペット受入れについての具体的な事項についてお示しをしております。
これらを踏まえて、現在、おおむね全ての市町村の地域防災計画及び避難所運営マニュアルの中に、ペットの受入れ、取扱いについての記述が盛り込まれて対策が取られているところでございます。
次に、ペット同伴者専用避難施設のコンセプトと現在の検討状況についてお答えをいたします。
二〇一六年に発生した熊本地震の被災地では、飼い主がペットを理由に避難をためらったり、ペットを連れて一旦は避難したものの、避難所での生活が長くなるにつれて、飼い主が自らの判断で退所する等の事例が見られたところでございます。これらのことから、避難者、ペットの命を守ることはもちろん、万一、避難生活が長期化する場合であっても、飼い主が気兼ねなく安心してペットと共に生活できる独立した施設であることが基本となると考えております。
これまでの検討の中で、まず、先進的に取り組んでいる自治体について、施設の概要、課題などを調査いたしました。市町村レベルでの取組ではありますが、福島県福島市では、既存の公共施設である勤労青少年ホームの体育館をペット同伴者専用の避難所として運用している事例、また、熊本県熊本市では、学校法人と協定を締結し、動物関連の学科を持つ専門学校をペット同伴者専用の避難所として活用している事例等がありました。この熊本県の施設は、昨年九月の台風十一号、十四号の際、実際に避難所として使用されております。
これらの事例などから、広く住民から認知されている公共施設等の活用、広い駐車場の確保、水道など基本的なライフラインの確保の容易性などが重要な要素として挙げられること、また、ペットに関連する民間事業者と協力して取り組む場合は、平時の利活用も含めた検討が必要であることなどが分かってまいりました。
今後は、こうした事例や課題についてさらに分析を行い、災害時にペットと飼い主が一緒に避難生活を送ることができる避難施設の在り方について検討を進めてまいります。
続いて、市町村におけるペット同行避難の促進と環境構築についてお答えをいたします。
先ほどお答えをしたとおり、県では、これまで地域防災計画や避難所運営マニュアルでペットの受入れの際の留意事項などをお示しして市町村の取組を促してきたところであります。
そうした中、犬山市では、市内三か所の施設をペット同伴者専用の避難所として位置づけるといった県内では初めての取組も生まれてきております。
こうしたペット同行避難対策に力を入れる市町村を支援するため、来年度からは、南海トラフ地震等対策事業費補助金の補助メニューの中に、避難所でペットを受け入れる際に必要となるペット用ケージなどの資機材の整備を新たに盛り込んだところでございます。
また、昨年十一月に常滑市で実施した地震・津波防災訓練、それから、十二月に豊川市で実施した県の総合防災訓練の啓発会場におきまして、公益社団法人愛知県獣医師会に御協力をいただき、ペットに対するしつけや、避難所生活に必要な物品の準備など、ペットの飼い主に対する啓発活動を実施したところであります。
今後もペットの飼い主が安心して避難できる環境の構築に向けて、市町村とも緊密に連携をして、避難所の環境整備、飼い主の意識の向上に取り組んでまいります。
53:
◯総務局長(江口幸雄君) 初めに、あいち行革プラン二〇二〇のこれまでの具体的な成果と課題についてお答えをいたします。
あいち行革プラン二〇二〇では、スピーディー、スマート、サステーナブルの三つの改革の視点に基づく取組を進め、着実に成果を上げてまいりました。
具体的には、定型業務を自動処理するプログラムであるRPAを感染防止対策協力金の交付業務をはじめ六十六業務に導入し、職員の作業時間を一万千五百六時間削減したほか、音声認識システムによる会議録作成事務の省力化、業務連絡やコミュニケーション機能に優れたビジネスチャットの導入など、ICTの活用等による業務の合理化、効率化に取り組んでまいりました。
このほかにも、PFI手法を用いた新体育館やSTATION Aiの整備など、民間の資金やノウハウを積極的に活用し、サービス水準の向上等に取り組んでまいりました。
また、数値目標を設定した進捗管理指標を十五項目設定し、仕事の質を向上させる取組を職員から募集する新グッドジョブ運動の応募件数や、男性職員の育児休業の取得率及び女性管理職の割合、行革効果額など十四項目で順調に推移をしているところであります。
一方で、プラン策定後に発生をした新型コロナウイルス感染症への対応、社会全体のデジタル化、DXの推進などへの対応という新たな課題が生じてまいりました。プラン後半期につきましても、これらの環境変化に合わせた対応を迅速、的確に実施していく必要があると認識をしているところであります。
次に、プラン後半期における今後の取組についてお答えをいたします。
後半期の取組では、プラン策定後に発生をした課題や、これまでの成果を踏まえ、既存の取組百七十三項目のうち、五十三の項目で内容等の充実・具体化を図りました。さらに、新たな政策課題や県民ニーズに対応するため、五十項目を追加し、合わせて二百二十三項目の取組を進めてまいります。
新たな取組としては、近年、急速に進展をするデジタル化に対応するため、キャッシュレス決済や電子契約の導入、行政手続のオンライン化を進めるとともに、専門的な知識を習得する研修の実施など、DXの推進を担うデジタル人材の育成に取り組んでまいります。
また、行政課題や事業目標に対応した成果指標を設定し、その改善状況に応じて報酬を支払う成果連動型民間委託方式の導入など、さらなる民間活力の活用を推進してまいります。さらに、民間等の優れたアイデアを提案、共有するプラットフォームによる愛知初のイノベーション創出の推進などに取り組み、新たな知見やノウハウを引き出し、活用をしてまいります。
こうした取組のほか、行革効果額につきましては、プラン策定時には数値目標を百五十億円としておりましたが、より一層効率的、効果的な行政運営を進め、事務事業の見直しや自主財源の確保などに積極的に取り組むこととし、後半期におきましては、三十億円上積みをして百八十億円としたところであります。
引き続き全庁を挙げて行財政改革に取り組み、あいち行革プラン二〇二〇後半期の取組の着実な実行、推進を図ってまいります。
54: ◯議長(
須崎かん君) 進行いたします。
新海正春議員。
〔四十五番新海正春君登壇〕(拍手)
55: ◯四十五番(新海正春君) 通告に従い、三点お尋ねいたします。
まずは、大河ドラマを活用した観光振興についてお伺いいたします。
この一月から放送が開始された大河ドラマ、どうする家康は、人気タレントの松本潤さんが徳川家康役として主演を務め、豪華俳優陣による好演、熱演が全国で大きな話題となっているところであります。個性豊かに描かれる本県ゆかりの武将たちや、国内及び私の地元にある本当に身近な地名や寺社仏閣などの建物が劇中に次々と登場し、物語の舞台として本県に注目が集まっていることを大変うれしく思いますし、この機会を本県の観光振興に積極的に活用していくことが重要であると考えます。
私の地元であります岡崎市では、ドラマを生かして誘客するため、岡崎公園内にNHKと連携して大河ドラマ館を一月二十一日に開館しました。県内外から多くの方に御来館いただき、開館十九日目の二月八日には、早くも入場者数が三万人を突破したということであります。また、隣に立っている日本百名城に選定されている岡崎城は、家康公生誕の城であり、今回リニューアルオープンされて、より一層魅力を高めています。また、家康公生誕時の産湯をくんだと言われている井戸もあります。さらに、同じ公園内には土産物店がありますが、今回、一年間限定で売場面積を約四倍に拡大したとのことです。ロケ地の聖地巡礼を目的に多くの人に御来場いただき、予想以上の売行きで、これまでにない大きな経済効果を感じているとの報道が二月十三日にありました。
また、岡崎城から北側三キロのところにある大樹寺も家康公と深い関係のある重要な寺であります。番組内でも取り上げられましたように、桶狭間の戦いで敗れた後、敵の追撃をかわしながら、家康公が岡崎に逃げ帰り、大樹寺に到着した際、大樹寺の周りを敵に囲まれ、もうこれまでと自害を試みたときに住職の登誉上人から、厭離穢土欣求浄土、汚れた世を正し、太平の世を目指せとの教えを受け、自害を思いとどまって再起を誓ったと言われています。大樹寺は徳川家の菩提寺であり、境内には国の重要文化財に指定されている多宝塔がありますし、また、本堂には歴代将軍の等身大の位牌が祭られていますし、本堂から三門、総門を通して、その真ん中に岡崎城を望むことができるビスタラインもあります。この空間は、約三百八十年間にわたって岡崎市民が大切に守り続け、眺望を妨げる建物が建てられなかったそうであります。
本県には、戦国の世を勝ち抜き天下人となった徳川家康の生誕地である岡崎城のほかにも、松平氏の発祥の地である松平郷、西からの脅威に備え、加藤清正など西国大名二十家に命令し築いた名古屋城、天下を取るまでの重要なターニングポイントとなった長篠や小牧・長久手の古戦場など、まさに徳川家康の生涯において舞台となったゆかりの地が数多くあります。
また、徳川家康だけでなく、家康と幼少期から大変因縁の深い織田信長や、ともに切磋琢磨し、天下を争う好敵手となった豊臣秀吉と合わせて、いわゆる三英傑はいずれも本県の出身であります。彼らの家臣団を構成する武将たちまで含めれば、本県にはほぼ全域に何がしか武将ゆかりの地や史跡が存在しております。こうしたゆかりの地などを紹介すべく、県としては武将のふるさと愛知を情報発信するための様々な取組を展開していただいているところと認識しております。
今回、一九八三年以来、四十年ぶりに地域の英傑である徳川家康公の生涯を描く大河ドラマが制作されることを千載一遇の機会と捉え、ドラマに登場する武将ゆかりの観光資源を全国に向けて情報発信すれば、初心者の方にとっては、ドラマを入り口とした武将のふるさと愛知への興味の喚起に、そして、歴史好きな方にとっては、県内にある様々なゆかりの地を訪れることでさらに深い、ツウな魅力を訴求することができ、リピーターを確保できるのではないかと思います。
県としては、大河ドラマを活用した観光振興を行うに当たり、このような観光資源を活用し、先ほど紹介しました岡崎の大河ドラマ館を中心として県内各地を周遊するような観光施策を考えるべきであると思います。
そこでお尋ねをいたします。
武将観光の推進に向け、大河ドラマ、どうする家康を利用したこれまでの取組状況と今後の取組についてお伺いいたします。
次に、通学路における交通安全対策についてお伺いします。
小中学校の通学路の交通安全対策を着実にやるためには、交通規制や指導を担う警察署と、道路管理者である国、県、市町村と、児童生徒本人やドライバーなどの道路利用者及び保護者や地域組織など、全ての関係者が連携して取り組む必要があります。
私の地元、岡崎市では、小学生の通学路については、各学校が色々な要因を調査、検討し、保護者にも確認をしながら、教育委員会に届け出て承認を得るやり方で子供たちにより安全な登下校を確保していますし、中学生は基本的に通学路を決めていないと聞いています。
また、私の住んでいる近くの小学校では、地域の方が子供見守り隊というボランティア団体を組織し、毎日、信号交差点や横断歩道を中心にして登下校の安全確保の活動をしていただいています。子供は地域の宝であり、地域全体で見守っていくという考えを多くの人に共感していただいて、賛同していただいていることに大変感謝申し上げたいと思っております。また、子供たちにとっても、地域社会の助け合いを自然に学ぶよい機会になるのではないかなとも思います。
二〇二一年(令和三年)六月に千葉県八街市で児童五人が死傷した交通事故が発生し、大きな問題になりましたが、それ以前にも子供が登下校中に通学路で死亡したり大けがをしたりする事故は繰り返されてきました。警察庁によると、五年間で九百件以上の事故が発生し、その中でも下校中の事故六百件が目立っています。
八街市の事故を受けて、通学路において実施した通学路合同点検の結果を踏まえて、国は、二〇二二年(令和四年)三月四日に都道府県別の対策必要箇所数を公表し、六月二八日に都道府県別の取組状況(二〇二二年(令和四年)三月末時点)を公表しました。これによると、本県では四千五十四か所が対策必要箇所として抽出され、このうち道路管理者が対策する箇所は千八百五十三か所でありましたが、対策完了箇所は九百五十二か所と半数以上を完了しております。道路管理者が対策する箇所の千八百五十三か所のうち、愛知県が対策する箇所は百八十四か所であり、内訳は、防護柵の設置や路肩カラー塗装などの速効対策が百六十二か所、用地買収を伴う歩道設置や交差点改良などの抜本対策が二十二か所だと聞いています。
県内では、二〇二一年(令和三年)十月にも、刈谷市内の国道四百十九号の側道において、トラックと乗用車が衝突した弾みで歩道を歩いていた通学児童の列に乗用車が突入し、児童七人が負傷し、うち一名が重傷を負う事故も発生しています。この箇所は歩道と車道の境界にブロックが設置されていましたが、事故後、二〇二二年三月までに防護柵設置等の対策が行われ、現地の安全性が向上したと聞いています。
以前、防護柵の設置基準をお聞きした際には、車が曲がり切れずに衝突する可能性の高いカーブ付近を中心に歩車道境界に設置していることが説明されました。通学路の安全確保は喫緊の課題であり、とりわけ道路管理者が実施するハード対策は大変重要であり、車両の防護柵の設置は特に有効な対策と考えます。
そこでお伺いします。
千葉県八街市の事故や県内での事故を受けて、関係者と情報の共有を図った上で、道路管理者として通学路における交通安全対策にどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。
次に、ロボットシステムインテグレータ競技会についてお聞きします。
愛知県は日本一のモノづくり県と言われ、機械産業のロボットは自動車などに続いて第三の柱と位置づけられています。そして、人手不足などによる自動化、省人化のニーズの高まりや、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響による非接触ニーズを受け、ロボットの役割は大きく広がってきました。
モノづくりの現場では産業用ロボットや無人搬送車の活用が進み、介護施設では多様なロボットが利用者の生活支援や介護者の負担軽減に役立てられています。
ロボットが活躍する場面の拡大に向け、法整備も進んでいます。ドローンでは、有人地帯での目視外飛行、いわゆるレベル四飛行を可能とする改正航空法が二〇二二年十月に施行されました。また、自動配送ロボットにおいては、二〇二三年四月に施行される改正道路交通法により、人による遠隔操作で歩道を通行できるようになり、さらなる市場拡大が期待されています。
このような中、本県のロボット製造業は、事業所数が全国一位、製造品出荷額、従業員数が全国二位と国内有数の集積地であります。また、本県には、名古屋大学をはじめとして、ロボット工学等の研究に取り組む大学や研究機関も多く立地しており、例えば、豊明市にある藤田医科大学においては、ロボット手術において国内トップクラスの実績を誇るとともに、生活支援やリハビリテーションの分野で産学連携によるロボット開発、実証に盛んに取り組まれているとお聞きしています。
モノづくり県であり、自動車関連産業が多い本県においては、溶接や部品の加工、工場内での搬送など、多くの産業用ロボットが現場で使用されております。また、モノづくり現場では、大企業だけではなく、中小企業においても、生産性を高めるために産業用ロボットの導入、活用が今後一層求められていくと思っています。
しかしながら、産業用ロボットの導入ニーズに対して、ロボットシステムの設計や構築を行うロボットシステムインテグレータ、通称ロボットSIerの人材が不足し、現場の依頼に対応できていない状況にあります。
産業用ロボットは、設置すればすぐに使える機械ではありません。工作機械やコンベヤーなどの周辺機器との連携や、使うために必要な治具の設計、製造、プログラミングの実施など、現場のニーズに合わせた一連のシステムをつくって初めて使えるようになります。それを行うのがロボットSIerと呼ばれる職種です。ロボットSIerとして仕事をするためには、ロボットの周辺機器の知識やプログラミング、安全対策などの様々な知識が必要となりますが、現在の高等教育ではロボットシステムインテグレーションの授業があまり行われていない状況にあるとお聞きしています。
そうした中、本県では、今年度、ロボットシステムインテグレーションを学ぶ場として、高校生が産業用ロボットを用いてモノづくりの自動化に取り組む高校生ロボットシステムインテグレーション競技会が開催されました。また、愛知県の教育現場では、二〇二一年四月から工業高等学校を工科高等学校に改称するとともに、学科再編を行い、七校にロボット工学科を、四校にIT工学科を設置したところであります。工科高校の環境が整いつつある中で行われる高校生ロボットシステムインテグレーション競技会は、若手ロボット人材の育成の観点から、効果的な取組になるのではないかと大変期待をしております。
そこで、今年開催された第一回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会の成果がどのようであったか伺います。また、来年度に向けてどのような取組を進めていこうとされているのかお聞かせいただきたいと思います。
以上で壇上からの質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
56: ◯議長(
須崎かん君) この際、お諮りいたします。
会議中、時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
57: ◯議長(
須崎かん君) 御異議なしと認めます。
よって、時間は延長することに決定いたしました。
58: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 武将観光の推進に向け、初めに、大河ドラマ、どうする家康を活用したこれまでの取組状況についてお答えします。
県では、昨年二月に愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会を設立し、県全体が一体となって、広域からの観光誘客及び県内周遊の促進に取り組んでまいりました。
今年度は、この一月に愛知・名古屋の玄関口であり、また交通の結節線でもあるJR名古屋駅中央コンコースに家康ゆかりの地インフォメーションセンターを開設し、観光やビジネスで本県を訪れた方々に県内の武将ゆかりの地や観光情報を案内しております。さらに、県内各地への周遊を促すため、協議会に参画する四十九市町の武将観光施設など百六十か所を巡るデジタルスタンプラリーを開催しております。参加人数は、一月二十一日の開始より一か月間で五千人を超え、県外からは北海道から鹿児島県までの三十七都道府県から六百人を超える方に参加いただき、狙いとしている県外からの誘客と県内周遊の効果が表れているところであります。
次に、今後の取組についてお答えします。
大河ドラマの話題性を活用し、本県の武将観光の魅力を効果的に発信するため、NHKとの連携により取組を進めてまいります。
今月二十三日には、愛知県芸術劇場大ホールにおいて、大河ドラマ「どうする家康」パネル展&トークショーを開催します。ドラマの音楽担当を務められている稲本響さんと名古屋音楽大学オーケストラによる演奏会や、ドラマ出演者の小手伸也さんと岡部大さんによるトークショーを行います。
来年度は、引き続き広域からの誘客及び県内周遊の促進に取り組むとともに、さらなる誘客に向け、NHKとの連携により、新たに名古屋城の門前にある金シャチ横丁において、大河ドラマで使用した衣装やパネルなどを展示する大河ドラマ展を開催します。この開催に合わせ、岡崎城をはじめ県内の武将ゆかりの地をPRすることにより、来県された多くの観光客の県内周遊を促進してまいります。
こうした取組により、どうする家康を追い風として武将観光を盛り上げ、一層の観光振興につなげてまいります。
59:
◯建設局長(道浦真君) 通学路における交通安全対策についてであります。
八街市の事故を受け、通学路合同点検を実施した結果、本県が道路管理者として対策すべき箇所が百八十四か所抽出されました。このうち、防護柵の設置や路肩カラー塗装などの速効的な対策を行う百六十二か所については、本年度末時点で約九四%に当たる百五十三か所の対策が完了する見込みであり、来年度には全て完了させる予定です。また、用地買収を伴う歩道設置や交差点改良などの時間を要する抜本的な対策を行う二十二か所については、来年度末までに三か所が完了する見込みです。残る十九か所についても、一定区間用地が取得できた箇所での部分的な歩道の整備や路面標示などを暫定的な措置として来年度中に実施してまいります。
また、近年の登下校中の児童などが巻き込まれる事故は、防護柵がない箇所で多く発生していることから、歩道と車道の境界に防護柵を設置する重要性を再認識したところであります。このため、従来、防護柵は道路及び交通の状況を勘案し、急カーブ区間、下り勾配区間及び交差点付近を中心に設置しておりましたが、今後、道路の整備に当たっては、通学路には歩車道境界ブロックに代えて防護柵を設置することといたしました。
今度とも、県警察、学校、市町村と連携し、通学路の状況を確認しながら、さらなる交通安全の確保に向けて取り組んでまいります。
60:
◯経済産業局長(矢野剛史君) 第一回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会の成果と今後の取組についてお答えいたします。
高校生ロボットシステムインテグレーション競技会は、ロボットSIerの人材育成を行うため、産業界、高校、行政が連携して実施する競技会であります。産業用ロボットを使った高校生向けの大会は全国初であり、他県には例のないユニークな取組となっております。
第一回大会は、ロボット工学科設置の県内全高校を含む十校が参加をし、二〇二〇年四月から十二月にかけまして開催をいたしました。ロボットSIer企業のサポートを受け、全学校が基本課題をクリアし、ロボットシステムインテグレーションに関する基礎的な技術を習得いたしました。また、大会を通じて、県内のロボットSIer企業に就職する生徒や、大学の進学先をロボット専攻とする生徒が生まれるとともに、新たに産業用ロボットを導入する高校が現れるなどの成果も得られました。
他方で、三年生の生徒にとりましては、進学、就職は十月頃までに決めるということが多いことから、本格的にロボットシステムの構築に取り組み、その醍醐味が分かってくる十一月以降に進路を選び直すのは難しいといった課題も浮かんでまいりました。そのため、二〇二三年、本年行います第二回大会では、夏休みを利用した大学でのロボット研究の見学や、より早い段階で競技課題に取り組めるようにする等の見直しを検討する予定としております。
本事業を通じまして、当地において将来のロボット産業を担う人材を育成し、世界に誇れるロボット産業拠点の形成に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
61: ◯知事(
大村秀章君) 新海正春議員の質問のうち、私からも大河ドラマを活用した観光振興についてお答えをいたします。
どうする家康では、豪華キャストが三河弁をはじめ地元の言葉を使い、また、名古屋弁も出てきますね。いろんな言葉を使い、そして、地元の地名が頻繁にドラマに登場するということから、県民の皆様も、また多くの皆様、全国の皆様が毎週の放送を楽しみにされているということと思います。私もその一人でございます。
また、全国からドラマの御当地である愛知に大変注目が集まっておりまして、本県の武将観光のさらなる推進にとって絶好の機会であると考えております。県としてもこの好機を逃さず、大河ドラマを活用した観光誘客の取組を一層強化するため、七月から三か月程度、名古屋城の門前で大河ドラマ展を開催いたします。名古屋城は、本県の武将観光施設として一番の集客実績を誇り、徳川家康が築城を命じた城ということでもありますので、大河ドラマのストーリーとも親和性が高く、ドラマ展との相乗効果が大いに期待できるというふうに思っております。
どうする家康、舞台は愛知──この舞台は愛知というのは私が勝手につけて言っているんですけれども──ということで、大いに注目していただきたいと思いますが、大河ドラマへの関心を観光誘客につなげるため、百七団体が参加する愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会を中心として、関係者が連携して全国に向けて武将のふるさと愛知をしっかりとPRしていきたいと考えております。
なお、新海議員もお触れになりました、岡崎城の大河ドラマ館は、私も開館のときにオープニングに行かせていただきました。ちょうど選挙に入っておりましたけれども、たすきは外して、公務として行かせていただきましたが、あれは大変充実した内容で、これは人気が出るなと思いましたが、大変もう多くのお客さんが来ておられるというふうにも聞いておりますし、その際、岡崎の方にお聞きしたんですが、もう大河ドラマ効果は出ていて、大樹寺さんも観光客がもう殺到しているということで、一月のおさい銭が一年前の五十倍になったと聞きましたけれども、一年間がコロナでほとんど来られなかったということなんだと思いますけれども、非常ににぎやかくなるといいことでございますので、また、皆さん、愛知県全域にそういったスポットがたくさんありますから、しっかり連携して盛り上げていければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
62: ◯四十五番(新海正春君) 大村知事をはじめ理事者の皆様方には御丁寧な御回答をいただき、本当にありがとうございました。
それで、一点だけ要望させていただきます。
先ほどお話がありました高校生のロボットシステムインテグレーション競技会、これ、高校の中にロボット工学科とIT工学科が設けられていましたので、この競技会への参加というのが、この高校に対して多くの生徒が目指して魅力ある高校にもつながるのではないかということで、大変期待をしております。そのためには、今後も、やっぱり続けていただかなければいけないと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
以上でございます。
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63: ◯四十番(南部文宏君) 本日はこれをもって散会し、三月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
64: ◯議長(
須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
65: ◯議長(
須崎かん君) 御異議なしと認めます。
三月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十一分散会
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