• 警察官(/)
ツイート シェア
  1. 愛知県議会 2022-06-01
    令和4年6月定例会(第4号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和4年6月定例会(第4号) 本文 2022-06-21 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 53 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 2 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 3 :  ◯二十八番(今井隆喜君) 選択 4 :  ◯スポーツ局長成瀬一浩君) 選択 5 :  ◯教育長飯田靖君) 選択 6 :  ◯知事大村秀章君) 選択 7 :  ◯二十八番(今井隆喜君) 選択 8 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 9 :  ◯十七番(おおたけりえ君) 選択 10 :  ◯教育長飯田靖君) 選択 11 :  ◯労働局長日高啓視君) 選択 12 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 13 :  ◯十七番(おおたけりえ君) 選択 14 :  ◯教育長飯田靖君) 選択 15 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 16 :  ◯八番(平松利英君) 選択 17 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 18 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 19 :  ◯都市交通局長森哲也君) 選択 20 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 21 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 22 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 23 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 24 :  ◯二十六番(田中泰彦君) 選択 25 :  ◯感染症対策局長(植羅哲也君) 選択 26 :  ◯教育長飯田靖君) 選択 27 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 28 :  ◯人事局長(川原馨君) 選択 29 :  ◯警察本部長(國枝治男君) 選択 30 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 31 :  ◯知事大村秀章君) 選択 32 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 33 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 34 :  ◯スポーツ局長成瀬一浩君) 選択 35 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 36 :  ◯警察本部長(國枝治男君) 選択 37 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 38 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 39 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 40 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 41 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 42 :  ◯六十一番(近藤裕人君) 選択 43 :  ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 44 :  ◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 45 :  ◯知事大村秀章君) 選択 46 :  ◯六十一番(近藤裕人君) 選択 47 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 48 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 49 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 50 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 51 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 52 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 53 :  ◯副議長佐藤一志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯副議長佐藤一志君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第九十五号議案令和四年度愛       知県一般会計補正予算から第百十七号議案人事       委員会の委員の選任についてまで、第百十九号       議案令和四年度愛知県一般会計補正予算及び諮       問第一号退職手当支給制限処分に係る審査請求       に関する諮問について 2: ◯副議長佐藤一志君) 第九十五号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算から第百十七号議案人事委員会の委員の選任についてまで、第百十九号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算及び諮問第一号退職手当支給制限処分に係る審査請求に関する諮問についてを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  今井隆喜議員。     〔二十八番今井隆喜君登壇〕(拍手) 3: ◯二十八番(今井隆喜君) おはようございます。安城市選出、自民党県議団所属の今井隆喜でございます。  本日は、事前に通告をいたしました大きく二つの項目につきまして、順次質問をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、質問に先立ちまして、私のほうからもこのたびの明治用水頭首工で起きました大規模漏水事故について一言申し上げたいというふうに思います。  この件は、五月十七日、愛知県が明治用水頭首工上流部におきまして漏水を確認して以降、その当時、大村知事は海外渡航中でありましたけれども、迅速に情報収集をしていただきまして、現場の責任をこの四月から愛知県の副知事として新たに就任をされました古本副知事のほうに陣頭指揮を頼みまして、そして、この地の利にも非常に詳しい古本副知事の下で初期対応に走っていただきました。そして、この間、昼夜を問わず、多くの関係者、そして職員の方々の懸命なる御尽力によって、現在何とか農業用水、そして工業用水、また飲料水等の水を多少確保ができることができましたことを、この場をお借りして心から感謝を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。状況は決して楽観できるものではありませんけれども、引き続きの対応をどうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、通告に従って質問させていただきます。  まず初めに、第一番目、第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会について質問をさせていただきます。
     初めに、第二十回アジア競技大会について質問いたします。  アジア競技大会は、第二次世界大戦後まだ間もない一九五一年、戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆をスポーツを通じて取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いを込めて、日本を含む当時十一か国の参加の下、第一回大会がインドのニューデリーで開催をされたのが始まりでありました。以来、現在では、アジア四十五の国と地域に参加の輪が広がり、スポーツにより友情を育み、多様性を認め合うことを通じて、国際平和に寄与する一大イベントとなっております。  そして、これまで、前回開催された二〇一八年インドネシアのジャカルタ・パレンバン大会まで計十八回開催をされ、本年、二〇二二年には、第十九回大会が中国の杭州で開催をされる予定でありましたけれども、先月、中国内における新型コロナウイルスの感染拡大によって延期されるという報道がされたところで、現在、延期後の日程等の詳細は分かっていない状況でありますけれども、日本国内におきましては、これまで、一九五八年に第三回大会が東京で、一九九四年に第十二回大会が広島で開催をされており、今後、二〇二六年に愛知・名古屋で開催が予定される第二十回大会は、三十二年ぶり三度目の開催となることから、多くの国民、そして何よりも愛知県民から期待が寄せられているところであります。  愛知県における本大会の開催に向けたこれまでの取組については、既に公表のとおり、二〇一六年九月二十五日にベトナム・ダナンで開催をされたアジア・オリンピック評議会、通称OCA総会にて、大村知事も出席をする中、二〇二六年の開催地として愛知・名古屋での開催が決定して以降、二年後の二〇一八年八月に正式にOCAとの開催都市契約を締結、そして同年九月に日本政府による閣議了承をいただいた後、二〇一九年五月にアジア競技大会組織委員会が立ち上がり、同年十月において大会開催基本計画並びに大会スローガン、イマジン・ワン・アジアが決定し、現在に至っております。  この間、県議会におきましても、二〇一七年七月に超党派による議員連盟が発足するのと同時に、本会議を含めてこれまで数多くの議員から様々な質問が行われる中で、開催構想の段階から始まり、大会開催基本計画の進捗に至る議論が重ねられました。  こうして一歩一歩着実に準備が整いつつあるものと感じております。そして、大会まであと四年となった本年度においては、いよいよ大会開催基本計画に記載される競技プログラム等、大会の骨格となる部分の協議が行われていくものと認識をしております。  こうした中、本年三月の二十八日、公益財団法人愛知・名古屋アジア競技大会組織委員会は第十回理事会を開催し、二〇二二年度の事業計画及び収支予算が承認されたとお聞きをいたしました。  そこで、二点お聞きをいたします。  まず、今年度の組織委員会の事業計画内容についてお伺いをいたします。  続いて、開催まであと四年となりますが、基本計画の第二章で示す競技プログラムについて、現在、実施競技や競技会場が仮決定となっており、一部調整中のものもあります。  そこで、二点目の質問といたしましては、今後、実施競技や競技会場はどのように決定をされていくのかお伺いをいたします。  続いて、第五回アジアパラ競技大会についてお聞きをいたします。  本年四月八日、アジアパラリンピック委員会、通称APC臨時理事会において、二〇二六年の第五回アジアパラ競技大会について、愛知・名古屋での開催が決定したニュースを聞いてうれしく思っております。  二〇一九年一月十五日、当時の日本パラリンピック委員会、通称JPCの鳥原光憲会長らが愛知県及び名古屋市を訪れ、大村知事の元へ日本初の大会開催を強く要請されてから三年がたちましたが、この間、競技会場として想定される施設や選手村の要件調査、何よりも予算の確保も含めて、前向きに検討が重ねられた結果、開催可能と判断したことを高く評価したいと思います。  これに伴い、今回の六月議会の補正予算では、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会(仮称)負担金二億二千六百四十六万円が計上され、また同時に、愛知県と名古屋市との合同準備会(仮称)の負担金七百十三万千円並びに推進事務費として八百十万五千円が計上されたところでございます。  正直、開催まであと四年しかないということでありますので、これからの準備には少し時間が足りないのではないかと不安に感じているところでありますけれども、開催を決めた以上は、何が何でも成功に向けて、知恵を絞りながら、様々な関係者との連携の下、取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、私は、アジアパラ競技大会の開催に向けて、効率的で効果的な準備を進める上で今後欠かせないのは、アジア競技大会組織委員会との連携だというふうに思っております。異なる組織体ではありますが、愛知県が間を取り持ち、二つの組織が連携して開催することができれば、本県の目指す共生社会の実現にもつながり、すばらしい大会になるものと思います。  昨年開催をされました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは、オリンピックとパラリンピックがともに同じ大会開催基本計画にも位置づけられる、スポーツには世界と未来を変える力があるを基に、全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承を、基本コンセプトに掲げ開催された、まさにスポーツを通じた共生社会の実現に向けたすばらしい大会だったと感じております。  ここで、オリンピック、パラリンピックにおける統合の歴史を振り返ると、遡ること一九六〇年のローマ大会において初めてオリンピックと同じ年に同じ国でパラリンピックが行われました。その後、二〇〇八年の北京大会から、それまでIOCとIPCの二つの異なる組織が正式に同じ組織で開催をされるようになり、その考え方は、その後のロンドン、そしてリオへ引き継がれ、昨年の東京につながってまいりました。ちょうどこの頃から国連が提唱する障害者の権利条約について、国際的に理解が進み、多くの国でこの条約に署名、または締約される国が増えました。  ちなみに、アジアパラ競技大会の第一回大会もちょうどこの頃、二〇一〇年でありましたので、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた動きは、言わば世界の潮流と言っても過言ではないかと思っております。  また、近年、人権問題がビジネスの分野においても極めて大きなインパクトを与えるものであることが認識をされ始めていると、デロイトトーマツのレポート、人権と数字の中でも述べられております。  さらに、パラアスリートにおける日々の練習環境は、健常者のアスリートと同じ環境で行われているのが普通で、私自身も体が動いた数年前までは現役のパラアスリートと共に柔道場で切磋琢磨し汗を流した経験から、何よりも事実であることは言うまでもないかと思います。  繰り返しになりますが、このたび本県において、アジア競技大会に引き続き、アジアパラ競技大会の開催が決定されたところでありますが、今後は、それぞれが別々に準備を進めるのではなくて、可能であれば共同して共に同じ目標に向かって進んでいけると、事務経費においても効率的かつ効果的に執行できるものと思っておりますし、何より相乗効果につながり、経済効果も上がり、さらに、大会後は、共生社会の実現という考え方が大会のレガシーにもなっていくものと確信をしております。  事務の現場においても、本県においては、かつて障害者スポーツは、県庁内では福祉局が所管をしておりましたが、二〇一九年度組織再編によって設立されたスポーツ局に移管がされました。  また、二〇一九年度から、アスリートの発掘・育成事業として、あいちトップアスリートアカデミーがスタートしていますが、二〇二一年度からパラアスリート部門を新設して合同の講座を設けるなど、健常者と障害者が共に競技力の向上を目指す受皿が整備されています。  こうしたことを踏まえると、両大会の準備を共同して進めていくことは、事務能力的にも十分可能であると考えます。もちろんアジア競技大会組織委員会やアジアパラリンピック委員会(APC)等、それぞれ考えがあることでありますので、県だけではすぐに結論が出せないことは十分承知をしておりますが、共生社会の実現という理想を追い求めることで、必ず課題は乗り越えられると思っております。  そこでお伺いします。  アジア競技大会同様、アジアパラ競技大会の準備を進める上で、可能な限り共同して大会の準備を進めていくべきと考えますが、今後の御予定を伺います。  また、今後、大会開催に向けて、国、地域、企業等との連携によるスポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組を広く普及させていくことが重要と考えております。大村知事も、本年三月二十八日第五回アジアパラ競技大会の開催表明において、アジアの障害者スポーツをリードし、共生社会の実現に貢献すると述べられております。  そこでお伺いをいたします。  スポーツを通じた共生社会の実現に向けて県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  続きまして、大きな二項目め、部活動の地域移行について質問をいたします。  本年六月六日、スポーツ庁の室伏長官の元へ運動部活動の地域移行に関する検討会議より提言が提出をされたところであります。この中身を読んでみますと、検討の経緯にはこのように記載がされております。  中学校等の運動部活動は、これまで生徒のスポーツに親しむ機会を確保し、生徒の自主的・主体的な参加による活動を通じて、達成感の獲得、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するとともに、自主性の育成にも寄与するものとして、大きな役割を担ってきた。  また、学校教育の一環として行われる運動部活動は、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師と生徒等の人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなどの教育的意義だけでなく、参加生徒の状況把握や意欲向上、問題行動の発生抑制など、学校運営上も意義があった。さらに、生徒や保護者から学校への信頼感を高めることや、学校の一体感や愛校心の醸成にも大きく貢献するとともに、あわせて、スポーツの楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質・能力の育成や、体力の向上や健康の増進につながるなどの意義も有してきた、と意義を述べられております。  一方で、こうした学校の運動部活動を巡る状況については、近年、特に持続可能性という面でその厳しさを増している状況であります。  具体的には、現在、日本の総人口が減少局面に入り十数年が経過し、小学校児童数の減少に加え、いよいよ中学校生徒数の減少が加速化するなど深刻な少子化が進行している。また、この人口の減少傾向は、都市部に比べて、地方においてより加速しており、地域間格差の拡大にも大きな影響を与えていると考えられる。  さらに、中学校等の運動部活動においては、競技経験のない教師が指導せざるを得ない点、休日も含めた運動部活動の指導や大会への引率、運営への参画が求められる点など、教師にとって大きな業務負担となっている実態も見過ごすことができない、と指摘をされております。  他方、児童生徒の育成は学校、家庭及び地域において担われている中で、地域のスポーツ団体や指導者、施設などの資源と学校との連携・協働が十分ではない状況もみられる、と記しております。  こうした学校における運動部活動に関する厳しい状況については、中央教育審議会や国会等においても指摘をされており、これまでスポーツ庁においても、運動部活動の適正化に向けた改善方策や、地域との連携・協働や地域への移行の方向性が何度も示されてきたところでございます。  具体的には、平成三十年三月にスポーツ庁が策定しました運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインにおいて、学校と地域が協働・融合した形での地域におけるスポーツ環境整備を進めることが示されました。その後、翌年、平成三十一年一月に中央教育審議会の新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策についてにおいて、地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境を整えた上で、将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきであると示された、ところであります。  また、国会においても、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改正案の国会審議において、令和元年十一月衆議院文部科学委員会の附帯決議、十二月には、参議院文教科学委員会の附帯決議において、部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外の主体が担うことについて検討を行い、早期に実現することが指摘されたところであります。  さらに、その翌年、令和二年九月には、スポーツ庁から、中央教育審議会の答申や給特法改正の国会審議において、部活動を学校単位から地域単位の取組とすることが指摘されている、今回はその第一歩として、学校の働き方改革も考慮した更なる部活動改革の推進を目指し、部活動ガイドラインで示した、学校と地域が協働・融合した部活動の具体的な実現方策とスケジュールを明示するものであるとされ、具体的なスケジュールとして、令和五年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこととすることが示されたところであります。  そして、こうした数次にわたる運動部活動改革の取組を受けて、令和三年十月に、令和五年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行を着実に実施するなど、運動部活動改革を推進する具体的な方策等を検討するため、運動部活動の地域移行に関する検討会議が設置をされ、このたび、冒頭申し上げたとおり、本年六月六日、スポーツ庁に設置をされました運動部活動の地域移行に関する検討会議において、運動部活動の地域移行に関する検討会議提言が取りまとめられ、友添座長から室伏スポーツ庁長官に手交されたところであります。  いよいよ具体的に公立中学校で行われている休日の部活動を民間のスポーツ団体などに委ねる地域移行が本格的に始まります。まずは、来年度からの三年間で段階的に進める目標を掲げた内容が盛り込まれたことですが、今、教育現場並びに地域における受入れが想定をされるスポーツ団体等の関係者からは期待や不安を含めた様々な声が聞こえています。  そこで、今回、私はこの質問をするに当たり、幅広く関係する方々から部活動の地域移行に関するお話を伺ってきましたので、それぞれ御紹介しながら最後に現状について質問したいと思います。  まずは、私の独断で選んだ教育現場の先生方からは、実際に部活動指導の現状をお聞きいたしますと、多かったのは、そもそも自分は顧問となった競技をやったこともないのに受け持った経験があり、とても苦労したという話でありました。また、今後、地域移行によって専門性の向上や生涯スポーツとして継続される姿に期待をする一方で、教員にとって、生徒の成長の姿は、日頃の教室内だけでは判断できず、部活動での様子も大きい要素だということを述べられておりました。  また、ほかにも、情熱を持って部活動を指導されている先生からは、数年前から平日、休日ともに時間的にもガイドラインによって練習時間の制限ができたことで、以前に比べて部活動に拘束される状況は改善をされているとしながらも、まだまだ休日等に大会等があると御自分の家族との時間が犠牲になっているというお話もされておりました。  行政関係者からは、国は公立中学校の部活動における地域移行を進める方針を示しているが、具体的な流れはこれからになるので、現段階では国や県の方針を注目しているとのこと。期待したいことは、具体的な取組に対する実効性が伴う予算の措置というものでありました。私も同感であります。  競技スポーツの関係者からは、多くの方から、ニュースで見たよ、部活動が地域移行になるらしいね、どういうふうに変わるの、また教えてねと言われました。また、さらに、スポーツクラブの経営をされている方にもお話を伺いましたが、部活動の地域移行に関する情報は現状では新聞等で知る程度でありました。  以上、あくまで私が本日この質問をする上で独自に何名かの関係者に聞いた内容ですので、全体をカバーするほどの意見ではないかと思いますが、それでもこれが今大体現場で起きている実情ではないかと感じております。かなりの温度差があるものと感じた次第であります。  こうした中、このたび、提言においても具体的時期に踏み込んで記載をされたように、運動部活動の地域移行への流れは今後急速に進められようとしております。  今回、様々な御意見を聞かせていただきながらも私が感じたことは、今回の件は、教職員の働き方改革にもつながる目的で始まったという事実はある中で、何よりも大きな目的は、今後の日本社会の抱える急速な少子化の中で、学校内では確保が困難となる子供たちのスポーツ環境をいかにしっかりと整えていくことが大前提であるということであり、そしてさらに、地域と連携することで、より専門性の向上や多世代交流、多職種交流などが期待をされることで、これまで以上に教育的価値の高い取組につなげていくことが重要であると感じております。  そして、またさらにその先には、様々なスポーツを通じて、世代や人種等を超えてそこに集う多くの方々が健康で幸せな暮らしを享受することにつながっていけば、この効果は計り知れないものになっていくものと思います。  そうした観点でいえば、今後は学校だけの課題ではなく、スポーツを所管する行政や地域、競技団体、家族等も含めて幅広く理解を深め、全ての関係者が共に協力をしながら、その地域に合ったよりよい解決策をつくり上げていかなくてはならないというふうに認識をしています。  そこで、現状と今後の取組について三点お伺いをいたします。  一点目は、部活動の地域移行に向けて、その受皿の一つとなる県内の総合型地域スポーツクラブの現状はどのようになっているのか。  二点目は、本県では、昨年度、二〇二一年度から国の委託事業を受けて、休日の部活動の段階的な地域移行に向けて実践研究を行っていると聞いておりますが、実践研究の事業内容とその事業を踏まえて課題をどのように認識をしているのかお伺いをいたします。  そして、三点目、さらに今後、本県として、具体的にどのように部活動の地域移行を進めていくのかお伺いをしたいと思います。  以上、大きく二項目にわたって壇上より質問させていただきましたけれども、当局の誠意ある答弁を求めまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯スポーツ局長成瀬一浩君) 初めに、公益財団法人愛知・名古屋アジア競技大会組織委員会における今年度の事業計画内容についてお答えします。  まず、競技については、実施競技の決定に向けて、アジア・オリンピック評議会(OCA)や日本オリンピック委員会(JOC)など関係者と調整を進めてまいります。  次に、競技大会施設については、競技会場における関係者動線や運営諸室等の配置計画の作成及び仮設設備の基本設計に向けた調整、検討を進めます。また、選手村については、運営方法、動線等を検討した上で、基本設計などを実施してまいります。  加えて、大会関係者及び観客の輸送手段、輸送ルートや警備計画など、大会運営に関わる計画の検討のほか、大会のPR活動などを進めてまいります。  続いて、実施競技や競技会場の今後の決定方法についてお答えします。  現在、実施競技については、パリオリンピック実施競技である三十二競技が決定しています。そのほか、アジア五地域での普及を考慮して決定される競技及びOCAの提案競技も実施することになっており、OCAから提示された案を基に、JOC等の関係者と協議、調整の上、決定していくこととなります。  さらに、組織委員会からの提案競技については、競技団体からの募集を基に追加競技を選定した東京二〇二〇オリンピックの例を参考にしつつ、JOC等と選定方法を検討の上、協議を決定してまいります。  次に、競技会場については、現時点で実施が決定している競技の四十三会場を仮決定しておりますが、今後、実施が決定した競技から順次、施設を所有する市町村や競技団体等と調整を進めてまいります。  その後、実施競技のスケジュールや競技会場などを含む競技プログラムを大会開催の二年前までに大会主催者であるOCAに提出し、承認を得て、正式決定されます。  次に、アジアパラ競技大会の準備の進め方についてお答えします。  まずは、アジアパラリンピック委員会(APC)と開催都市契約の協議を進めると同時に、実施競技や大会会期の調整も行ってまいります。  その後、競技会場を決定するとともに、競技計画や選手の輸送、警備等、大会を運営するための様々な計画の策定などを進めてまいりますが、アジア競技大会では同様の開催準備が先行しておりますので、このノウハウを生かしながら、速やかに追いつけるよう取組を加速してまいります。  こうした取組において、まず、ハード面では、競技会場や選手村はじめ、各種の大会施設をできる限りアジア競技大会と共通化するとともに、ソフト面においても、大会運営の諸計画策定に係る業務を一括して行うなどして、経費の削減及び業務の効率化を図ってまいります。このほか、両大会のPRや盛り上げイベントも一緒に行うことで、相乗効果が発揮できると考えております。  こうした工夫により、両大会の準備を効率的、合理的に進めつつ、開催に向けた機運を大いに盛り上げてまいりたいと考えております。  スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組についてお答えいたします。  本年三月の第五回アジアパラ競技大会の開催表明では、その開催意義として、障害への理解促進や、障害のある方の社会参加の促進に大きな役割を果たし、ひいては多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献することを掲げております。この理念は、アジアパラ競技大会のみならず、アジア競技大会の開催においても大切なことだと考えております。  これを踏まえ、今後、両大会のアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる舞台を用意するのはもちろんのこと、障害のある方や高齢者、家族連れなど、誰もが快適に観戦いただけるような環境を実現するため、バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮しながら、両大会の開催準備を進めてまいります。  さらに、アジアパラ競技大会の開催を契機に、二〇一九年三月に策定したアジア競技大会を活用した地域活性化ビジョンを今年度改定し、その中で、共生社会の実現も位置づけ、障害への理解促進やバリアフリー、ユニバーサルデザインの推進に関する施策なども加えてまいりたいと考えております。  本県といたしましても、両大会の開催が、誰もが違いを尊重し、認め合う共生社会の実現につながるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  次に、部活動の地域移行についてのうち、本県の総合型地域スポーツクラブの現状についてお答えします。  総合型地域スポーツクラブは、子供から高齢者まで幅広い世代がそれぞれのニーズやレベルに合わせて様々なスポーツを楽しめる地域のスポーツ活動の拠点であり、運動部活動の地域移行の受皿の一つとして期待されております。  総合型地域スポーツクラブについては、今年度から全国で登録・認証制度の運用が開始されており、スポーツ指導者の配置や地域住民による主体的な運営、ガバナンスに関する規約の整備などという基準に適合するクラブを日本スポーツ協会が登録認定することとしております。  本県では、現在全百三十二クラブのうち二十クラブが登録申請をしているところであり、六十五クラブが来年度の登録認定を目指し準備をしているところです。登録クラブの基準を満たすことで、クラブの活動内容や運営体制の質が担保されるため、運動部活動の円滑な地域移行につながるものと認識しております。  県としましては、今後とも、全ての総合型地域スポーツクラブが登録基準に適合するよう、アドバイザーを派遣して助言するなど、積極的に支援してまいります。 5: ◯教育長飯田靖君) 部活動の地域移行についてのお尋ねのうち、地域移行に向けた実践研究についてお答えをいたします。  県教育委員会では、昨年度から国の地域運動部活動推進事業を受託し、公立中学校における休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、春日井市と大口町において実践研究を行っております。  春日井市では、休日の部活動を学校に代わって教育委員会が管理をするパターンとして、春日井市教育委員会が運営主体となって、平日の部活動を指導している外部の指導者に休日の指導も担っていただく体制について、実践研究を行っております。  また、大口町では、総合型地域スポーツクラブを運営主体として、休日の部活動にスポーツクラブから指導者を派遣したり、クラブの施設を使用したりするなど、総合型地域スポーツクラブを活用するパターンの実践研究をしております。  昨年度の研究によって明らかになってきた課題は、外部の指導者の確保が難しい場合の人材の発掘や育成、部活動の指導を希望する教員の関わり方、受皿となる地域のスポーツクラブ等の有無などでございました。部活動の地域移行を円滑に進めていくには、こうした多くの課題を複数の道筋や解決方法によって乗り越えていく必要があると認識をしております。  次に、今後、本県として具体的にどのように進めていくのかについてお答えをいたします。  愛知県には、都市部から山間部、離島まで様々な地域がございますので、それぞれの実情に応じて選択ができる地域移行のパターンを用意する必要があると考えております。  そのため、県教育委員会といたしましては、市町村の教育委員会の代表者や関係スポーツ団体等と意見交換を行い、地域の実情を把握する機会を設けております。  今後、各市町村には、国の実践研究を実施した全国九十七の市町村の事例を情報提供するとともに、愛知県の地域特有の実情に応じて、企業や大学と連携をしたり、プロスポーツチームの協力を得たりするなど、地域の資源を活用するパターンや、複数の学校が合同で新たな実施主体をつくるパターンなど、多様な選択肢を提示していく予定でございます。  こうしたことによりまして、各地域の実情に応じて、円滑に部活動の地域移行が進むよう、しっかりと取り組んでまいります。 6: ◯知事大村秀章君) 今井隆喜議員の質問のうち、私からもアジア競技大会、アジアパラ競技大会についてお答えをいたします。  国際的なスポーツ大会は、国や性別などの垣根を越えて共感や感動を呼び起こすものであります。また、強い情報発信力を持ち、開催地の知名度を大きく向上させるとともに、地域経済にも大きな効果をもたらすものであります。さらには、多様性を尊重し合う共生社会やSDGsなどの実現に向け、人々の理解を促進する契機ともなります。  二〇二〇年から始まったコロナ禍における自粛生活を経て、スポーツの持つ力や魅力を多くの人が再認識し、スポーツの果たす役割はより一層大きくなったと感じております。  こうした効果や役割を意識し、名古屋市をはじめ関係の皆様と共に準備を進め、共生社会の実現という点においても、アジア大会、アジアパラ大会両大会のレガシーが残るようにしっかりと取り組んでまいります。 7: ◯二十八番(今井隆喜君) 知事からも力強い答弁をいただき心強く感じているところでございます。  私からはそれぞれ要望させていただきたいと思います。
     アジア競技大会については、今年度、実施競技や競技会場の決定に向けた調整等を行い、大会二年前までにOCAに競技プログラムを提出される予定との答弁だったと思います。  アジア競技大会につきましては、二〇一六年九月に大会構想に記載をされていた競技で正式に基本計画に記載をされていない種目や会場についても、既に一部地域では、大会開催に向けて、自治体をはじめ、企業や住民たちの機運が高まりつつあります。早い段階での正式な決定が待たれるところでありますので、引き続きの早期決定に向けての御尽力をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  また、アジアパラ競技大会につきましては、まずはAPCとの開催都市契約の締結に向けて先行するアジア競技大会に準備が追いつけるように競技計画の策定を加速し、様々な取組をアジア競技大会との連携の下、一括で行い、効率的、合理的に運営していく旨、答弁をいただきました。アジア大会のスローガンは、「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」ということであります。まさに、ここ愛知で一つになるために、限られた時間ではありますけれども、大村知事をはじめ、担当部局の皆様方には、共生社会の実現を目指す愛知での開催らしい、そして愛知発のアジア、アジアパラ共催に向けて引き続きの関係者間の調整等に御尽力をよろしくお願いを申し上げます。  そして、部活動の地域移行につきましても要望させていただきたいと思います。  現状としては、一つの受皿として地域型スポーツクラブの役割は大きく期待をされるところでありますけれども、私の地元でも決してこれは充実しているわけでもなく、それぞれ地域差があるのが現状と感じております。まずは、県内の状況をしっかりと調査をしていただき、積極的に地域のスポーツ環境整備への取組の背中を押していただけるような予算の確保や、指導、助言等、御尽力をお願いしたいと思います。  繰り返しになりますが、今回の件は、我が国のスポーツ政策の大転換になるものと感じております。したがって、本県においては、今年度、新たなスポーツ振興計画を策定中でもありますので、ぜひ、この点もしっかりと明記をしていただくとともに、また同時に、アジア、そしてアジアパラ大会の開催に向けた地域における機運醸成にもつながっていけるよう要望して、私からの要望とさせていただきます。よろしくお願いします。 8: ◯副議長佐藤一志君) 進行いたします。  おおたけりえ議員。     〔十七番おおたけりえ君登壇〕(拍手) 9: ◯十七番(おおたけりえ君) 豊川市選出のおおたけりえと申します。  本日は、大きく三点質問させていただきたいと思います。  まず一点目、子供の居場所づくり支援について伺います。  文部科学省の令和二年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてによりますと、愛知県の不登校の人数は、小学生四千三百六十六人、中学生八千八百九十七人、合計一万三千二百六十三人。そのうち学校以外の子供たちの居場所である適応指導教室に在籍している生徒は、小学生三百十五人、中学生八百八人、合計千百二十三人。フリースクール等の民間施設で指導を受けた生徒は、小学生百三十八人、中学生百二十一人、合計二百五十九人。  これらを引き算しますと、日中どこにも行けていないと思われる児童生徒の人数は、時期によって変動もありますし誤差もあるとは思いますが、一万千八百八十一人ほどいると試算ができます。二十九年の議会答弁の数値と比べますと、この四年間で、日中どこにも行けていないと思われる生徒は二千五百八十九人の増と、対策は待ったなしの状況です。  こちらは愛知県だけでなく全国のデータではありますが、不登校の状態が前年度から継続している、つまり前回調査でも不登校に計上されていた児童生徒の割合は、小学生で四一・三%、中学生で五四・五%、ほぼ半分ぐらいの児童生徒が不登校を継続しており、勉強だけにとどまらず、生きる力を学ぶ機会を喪失していることに大変危惧を感じるところです。  不登校支援をしている方々のお話を様々伺いますと、子供が不登校になってから立ち直っていく過程には、まず第一に、家庭以外で安心できる居場所が必要で、寄り添い、見守り、待つことが非常に大事だそうです。子供たちは安心すると、自分自身を認めることができ、その次の段階として、自分の力をつけようと学び始めるとのことで、一足飛びに、安心できていないのに勉強させようとしたり、教室にいきなり戻そうとしてもうまくいかないと伺いました。ぜひ、一段階目にある子供たちの安心できる居場所を少しでも多くつくってあげたいなと感じます。  さて、国の施策の方向性は、ここ数年の不登校児童生徒の増加を受けて、随分変化をしてきております。教育機会確保法が平成二十八年に成立して以降、多様な教育機会の確保等を幅広く推進していますし、他の都道府県でも、これまでの発想ではなかなか踏み込めなかったような様々な取組が充実してきています。  埼玉県では、不登校支援サイトを作成し、講演動画や資料の提供、フリースクール等支援団体の特徴や連絡先を記載した一覧、各適応指導教室一覧、不登校の子供が参加可能な市町村事業イベントの一覧、高等学校入学者選抜で不登校の生徒などを対象とした特別な選抜についての説明、不登校体験談、通信制高校等の所在地と問合せ先の一覧などの情報をまとめて提供しております。  神奈川県では、市町村が設置する教育支援センターに専任教員を配置することや、県内各所においてフリースクール等との協働による不登校相談会や進路情報説明会、フリースクール等見学会を実施しております。また、学校フリースクール等連携協議会を設置し、多くのフリースクールがこの協議会に加入しており、各地区のフリースクール代表と県教育事務所の代表、小中学校の校長会の代表等により、相互理解の推進や連携の在り方と方策について話し合われております。  東京都では、教職員と保護者向けに、不登校の子供たちへの支援ポイントという冊子を作り、一定の要件を満たした上で、ICT等を活用した学習活動を行った場合、在籍校の校長が指導要録上の出席扱いとすることや、その成果を評価に反映することができることなど、保護者と教職員とが共通の理解になるように作成をされております。  千葉県でも、サポートガイドを作成していて、適応指導教室や民間フリースクール等の一覧を掲載しています。また、親の会実施団体を一覧で紹介し、親同士がお互いに体験を語り合ったり、情報を共有したりすることで、気持ちを受け止め合い、考え方を深め合う機会を提供しようとされております。  このような取組を見ますと、愛知県は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは増員してくださっておりますが、親や民間を含めた幅広い支援体制の構築という面では、まだまだ不十分だと感じます。  そこで、数点伺います。  子供が不登校になった際に、保護者は適切な情報を求めておりますが、なかなか情報がなくて困っているという声が私のところに多く届いております。また、学校側と保護者側の共通の理解の不足から、トラブルになったり、学校側と対立してしまい、その後の協力関係の構築を難しくしてしまっている例が散見されます。支援に携わる方々からは、学校側との関係がよいことは、子供の支援にとても影響する大事なことだと伺っておりますので、このような対立やトラブルを解決するため、本県でも、他県の取組を参考に、不登校になったときに親や児童生徒が必要とする情報である、不登校に対する心構えや相談先、教室には行けないが家以外のところには出ていけそうな子が行ける適応指導教室や民間フリースクール一覧、教室以外の場所に行ったときの学校とのやり取りの在り方、出席等の取扱い基準や、高校入試の際の長期欠席者等に係る選抜方法、親が参加できる講演会の情報や、同じ悩みを抱える親とつながるための親の会の情報についてなど、県として、ポータルサイトの設置やパンフレットの作成などにより、分かりやすく情報提供を行う考えについて伺います。  次に、教育機会確保法の第十三条が規定している学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援について伺います。  令和二年度に県内の小中学生が指導を受けたフリースクール等民間施設は五十校あり、そのうち指導要録上の出席扱いとされた生徒がいるのは四十二校となっています。今回、このような民間施設の数校にヒアリングに伺ってまいりました。  訪問したどの施設も共通していたことは、児童生徒が安心して過ごせ、自分で決定する力を持ち、今よりもできることを増やしていける、行く行く社会的に自立するために必要な力を身につけさせようと、子供たちに寄り添う姿勢で取り組んでみえました。子供たちの中には、学校には嫌悪感があり、まだ行けないけれども、民間の施設なら行けるという子がいるのが現状です。そのような子が生きる力を学ぶ場として非常に重要だと感じます。  また、民間の施設の中には、親のネットワークをつくり、親の心のケアなど、親の支援にも取り組んでいるところや、講演会を企画し、親の支援スキルの向上を図ろうとしているところ、自分ではなかなか外に出ようとしない子供に対しアウトリーチ支援を行い、同じようなタイプの子供と引き合わせるなどの取組をされているところ、性被害やネグレクト、精神的な課題を抱える親を持っている等のACEと言われる逆境的小児体験をした子供の日常的なケアに取り組んでいるところ、分析的なアセスメント手法で見立てを行い、それに基づいて、その子の能力向上のための支援を行っているところ、プログラミングやブレインストーミングなど、今の時代に合った授業を行っているところなど、民間だからこそ可能な柔軟な支援を行っているように受け取りました。  民間施設の方々に課題を伺うと、学校との連携が十分でないことを挙げる施設が多くありました。まず、指導要録上の出席扱いについて、施設で同じ活動をしているにもかかわらず、在籍する学校長の考え方の違いで出席扱いにしてもらえる子とされない子が出ていたり、施設での学びの状況を報告していてもそれが内申等に反映されていなかったり、施設に任せっ放しで、最近の状況はどうかなどの情報共有のやり取りが全くなかったり、施設のスタッフと学校側が顔を合わせたことが全くなかったりというような状況を聞きました。  先ほども申し上げましたが、学校に行けるようになった例から、学校側とうまく信頼関係が築けた児童生徒は学校復帰につなげられることが多いと聞きましたので、ぜひこの課題は改善を図っていただきたいと思います。  そして、保護者にとって大変困っているのが、民間施設に払う会費ですが、会費は、スタッフがボランティアで行っているところはかなり抑え目に設定されており、スタッフの皆さんの志で運営されている様子が伝わってまいりました。施設や利用回数により、会費は一か月数百円から約八万円ほどまで様々でしたが、親が施設に相談に来た方の中には、独り親家庭等所得の低い方も多く、会費が払えないため、施設に来ることを諦めた例がよくあることも伺いました。  本来、小学生や中学生は義務教育期間であり、学費は税金で賄い、かかりません。また、私立小学校や中学校については、私学助成がされております。一方、フリースクール等には、県内の二百五十九人の生徒が指導していただいているにもかかわらず、公費は一銭も入っておりません。このことは、教育機会確保法の下、子供それぞれの学ぶ環境を整えるべき時代の公費投入としてはバランスを欠いているのではないでしょうか。  そこで、学校では学びづらい児童生徒が指導していただいているフリースクール等と連携体制を構築するため、本県でも、学校・フリースクール等連携協議会を開催し、フリースクール等民間の支援施設との連携体制を充実していただくことや、所属する学校長の判断により学校の出席扱いになっている施設への助成、もしくは保護者に対し利用料補助等、教育機会の確保等のために必要な経済的支援の在り方について検討を行う考えを伺います。  次に、校内フリースクールの充実について伺います。  最近、校内で適応指導教室を設置する中学校が増えてきており、保護者の助かるという声が幾つも届いております。  そのような取組をしている学校はどのように運営されているのか聞いてみますと、決められている教員配置の人数内で、先生方が、本来であれば、授業の準備や教材研究、生活ノートを見る、丸つけをするなど、授業時間以外にやらなければならないことをするために設定されている時間を削って、校内適応指導教室の生徒に対応していると聞いており、担当した先生はその分、授業後等に準備を行わなければならなくなり、教育現場の働き方改革を推し進めている現状と逆行する大きな課題であると感じております。また、空き時間に指導するという教員配置のため、毎時間担当する教員が異なることや、一日三時間しか開設できないなど、現場としては、その教室を利用する児童生徒に合った学びに責任を持ち、継続的に支援していける体制となっていないことにもどかしさを感じているという声も届いております。  このような課題を解決しようと、新たな取組を始められているのが岡崎市のF組であり、先日視察をさせていただきました。  二〇二〇年度から名前を改め、フリーから取ったF組とし、担任と支援員を配置しております。その特徴は三点。一、指導力のあるエース級の教員を担任にしている、二、校舎の中心部分など生徒の出入りしやすい場所に教室を設置している、三、通常学級への復帰を必ずしも目指さないこと。隠れるような存在ではなく、多様な学び方の一つの形という考えとのことです。  参観させていただいたF組の生徒たちは、教室内の畳のフロアで先生や支援員の方、クラスメートとカードゲームをしていました。とても安心した穏やかな表情で、笑い声が聞こえ、クラスの子とのコミュニケーションを楽しんでいるように見えまして、このような場の重要性を感じました。  来年度には、市内全市立中学校二十校に設置完了予定で、児童数の多い小学校にも配置を進めていくとのことです。  朝日新聞の記事によりますと、安藤教育長は、学校が全ての子に同じ価値観、目標を押しつけるから窮屈になる。多様な学びを保障するのは、公教育として当たり前のことと発言をされているそうです。  そこで課題となるのは教員の配置です。  岡崎市では、F組の担任を教員定数の範囲内でやりくりして配置し、支援員は市の単独費用でつけているとのことでした。支援員は特別に配慮が必要な児童生徒たちなので必要と思いますが、担任も本来なら空き時間のやりくりで生み出すべきではなく、きちんと定数を増やして対処しないと長続きしませんし、さらなる多忙化につながり、最近の若者がブラックな職場だから先生にはなりたくないという現状の悪化につながりかねません。  国の定数増を求めたいですが、その対処を待っていては、子供たちは不登校を克服できないまま卒業してしまい、課題を先送りし、その後のひきこもりなど、さらに問題が深刻化してしまいますので、ぜひ早い段階で対処できるように、県単独費用での担任配置を求めます。  そこで、校内フリースクールに配置できる教員定数の増を国に要望するとともに、並行して、県単独費用で校内フリースクール担当教員と支援員を配置する考えについて伺います。  次に、GIGAスクール構想の推進について伺います。  プログラミングを教えている方からこんな課題認識をいただきました。愛知県は公立高校入試改革で、マークシート方式、それも一回だけの入試で一つの正しい正解を導き出す方向に変えるそうですけれども、そのようなことはAIが最も得意とすることである。AIができる能力を子供たちに求める入試改革は時代に逆行しているのではないか。もっとAIを使いこなしたり、今後必要となる能力を高める教育改革が必要なのではとのことで、私も確かにと感じてしまいました。  しかし、公平性の確保のため、テストがどうしてもこのような形にならざるを得ないのは、現実として仕方ない面があるとは思いますが、そうであるのなら、一層、ふだんの授業で今の子供たちが将来必要となる課題解決できる力をつけられるような取組を充実していかなければなりません。  学校を変えた最強のプログラミング教育という松田孝小金井市立前原小学校校長の著書では、戦後に工業化社会を生きるために必要な知識と技能を一律、一斉に授けた授業では、二十一世紀という新しい社会を生きる子供たちに必須となる資質、能力を育むことはできません。なぜなら、子供たちが生きる社会が全く違うのですから、そのためのトリガー、きっかけがプログラミング教育であり、その授業なのです。プログラミングの授業実践は、それを行う教員に、子供たちの新しい学びの事実を突きつけます。そして、その事実が、これまで教員一人一人が育んできた授業観の変革を促し、ひいては授業そのものについて、深い省察を迫るのですと書かれております。  現場の先生方も、今このような思いで、新しい取組に試行錯誤していただいているものと思います。県としては、そのような変革をしっかり応援する体制を整えていくべきと考えます。  二〇二〇年春からの新型コロナウイルス感染症対策で、オンライン授業の有用性が注目されたこともあり、環境整備が急速に加速いたしました。  まず、愛知県の状況を把握するため、令和三年十月に文部科学省より発表された令和二年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果によりますと、愛知県は、ハード面の調査である学校におけるICT環境の整備状況等については、各調査項目において、大型提示装置整備率は四十七都道府県中三十一位であるものの、そのほかは平均点以上か遜色ない整備率でした。しかし、ソフト面の調査である教員のICT活用指導力については、各項目について、四十七都道府県中三十九から四十五位の状況で、特にICT活用指導力の各項目に関する研修を受講した割合は四七・五%で、四十七都道府県中四十三位と低く、この点をしっかり取り組まなければならないのではと感じます。  また、令和三年九月三日に、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省の連名で発表されたGIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケートの結果及び今後の方向性についてでは、ICT活用支援人材を求めていることや、ICTの効果的な指導方法が分からないなど、研修の必要性を感じさせる回答が多いように感じました。  私の元に届いております教育現場や保護者の方々の声としては、特に、情報モラル教育、濃厚接触者や不登校の児童生徒に対する遠隔授業の実施、外部専門人材の活用、電子黒板やデジタル教科書等の機材の使用、アクティブラーニングや子供たちが自由な発想で試行錯誤する授業展開の実践等において、得意とする先生と苦手な先生とで大きな差ができつつあると伺っております。この差が大きな差とならないうちに、子供たちの学ぶ環境を充実させるため、県としてできることをしっかり取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、参考として、他県における教員研修の取組を御紹介いたします。  岡山県の教育センターでは、情報化の必要性といった概論から、アンケートアプリでの集計方法、グーグルクラスルームによる授業支援の方法、Zoomでの授業配信、遠隔授業の授業づくり、授業支援アプリ、ロイロノートの活用方法、個別最適化の学びにどう結びつけるかなど、ICT関連の研修について、たくさんの動画がホームページ上にアップされており、先生方がそれぞれに合わせた段階で必要とする講座をいつでも受講できる体制となっております。  福岡県教育センターの研修動画では、調べ学習におけるICTの効果的な使い方、グーグルフォームを活用した小テストづくりと自動集約や分析の仕方、スクラッチを使った授業展開の方法等の動画が充実されております。  現在先進的に取り組んでおられる現場の先生方が実施してみえる事項を一部列挙してみますと、Zoom、グーグルミート、マイクロソフトチームズ、ユーチューブ等による遠隔授業の配信実施、二、基本的な情報モラル、リテラシーの理解を深めること、三、保護者との情報をやり取りするプリント配布、連絡帳機能のオンライン化、四、児童生徒の健康状態の把握のオンライン化、五、グーグルフォーム等アンケートアプリで自動集計、分析の効率化、六、グーグルクラスルームを使い、課題の配信、提出、評価、返却のオンライン化、七、児童生徒の学習進度把握のオンライン化、八、デジタルホワイトボードを使い、付箋で意見を出し合い、整理しまとめる、九、児童生徒に自分の考えを表現させる、情報を整理させる、情報手段の特性に応じた伝達や円滑なコミュニケーションを行う、情報を収集する、表やグラフを作成する、発表するためのスライドや資料を作成するなどが挙げられます。  これらのように、現段階で最低限どの学校も実施していただきたい項目から今後取り組んでいくべき項目まで、各先生、学校、自治体がどの段階までできているのかチェックシート等を活用して県教育委員会で把握し、それに応じて、ソフトの共同導入支援やサポート人材の派遣、研修の充実の方向性に生かすなど、県として支援を行っていくべきと考えます。  そこで、まず一点目として、ハード面の整備において、愛知県では、アンケート結果にも出ているとおり、全国の平均を超える整備体制を整えてきてくださっていると思いますが、義務教育段階における機器やネットワーク等の整備に当たり、市町村間のICT教育格差をなくしていくためどのように取り組まれていくのか伺います。  そして、二点目として、小中学校の授業やその他の場面におけるICT機器の効果的な活用について、ICT教育格差解消のためどのように取り組んでいかれるお考えか伺います。  次に、機器を使うことにとどまらず、それを使って、一番大事にしたい、子供たちの課題解決能力やクリエーティブな力を伸ばすのに効果的であるのが、先ほども申し上げましたように、プログラミング教育です。  プログラミング教育は、子供たちがツールを使って試行錯誤するところに成長のポイントがあると伺っておりますが、あまり慣れていない先生が授業をしてしまうと、お手本どおりにプログラムを組むことに終始してしまったり、五角形をつくるなど、一つのことができることを終着点にしてしまったり、本来の子供たちが自由な発想で試行錯誤できる授業構成になっていない場面があることについて、専門家の方が、プログラミングのせっかくの楽しさを伝え切れていないと危惧されている声を伺いました。  一方、上手に取り組んでいる学校や自治体では、外部の専門人材の力を借りているところがほとんどです。  例えば、小学校の例でいえば、スクラッチというマサチューセッツ工科大学でつくられた小学生から簡単に使うことができるプログラミング言語がよく使用されますが、子供たちが自由に自分の発想で作品をつくり、試行錯誤するためには、ある程度、バグと呼ばれるプログラムの間違いを見つけ、それらを排除するデバッグのできる人材が身近にいてくれることが必要だそうです。これは担任ではできないことが多いので、ぜひ外部人材でできる方をお願いすべきだと伺いました。  また、中高生のプログラミングについては、中学は技術の先生、高校は情報の先生が担当し、専門化しているので小学校に比べるとやりやすいかもしれませんが、まだまだ研修体制が整っているとは言えず、先生個々の能力に頼っている部分が大きいようです。今の高校一年生が三年生になる二〇二五年の大学入試から、大学共通テストに情報科目が入ることもありますので、こちらもしっかり対策しなければなりません。  民間企業等の活用について、他の都道府県での取組を御紹介いたします。  東京都では、スマート・スクール・プロジェクトとして、外部人材を積極的に活用し、教員の負担を軽減するという大方針が出されております。都の教育委員会では、企業等と連携したプログラミング教育として、企業等が参加する地域教育推進ネットワーク東京都協議会の会員団体と協定を結び、都内の情報教育推進校に対し、専門家の派遣、教材の提供、活用、授業環境の整備、教員向け研修の実施を行っております。  また、大阪府では、府立高校の情報科目の教育について、キャラクターの先導に従って操作していけば基本的な知識が身につき、その後、自分で我がまちの自慢のホームページなど、自由な作品をつくってみることができる教材を提供しているIT企業、ライフイズテック株式会社と事業連携協定を締結し、先生の得意不得意に左右されることなく、どの学校でもひとしく高いレベルの情報教育を受けられるよう、大阪版情報教育モデルの構築事業に取り組まれております。  また、産学官の連携で構成する大阪スマートシティパートナーズフォーラムの主催で、小学生を対象としたOSAKAキッズプログラミングコンテストを開催し、小学校プログラミング教育の充実と、児童のプログラミングに対する興味、関心を高め、次世代人材の育成に取り組まれております。  千葉県では、千葉県学校ICT化サポート事業として、学校のICT化を支援する人材の確保に向けて、人材の紹介や派遣等を行っている事業者等に関する情報提供を各自治体に対して行っております。  外部委託等については、他の都道府県や自治体では、経産省のエドテック補助金等を上手に利用するなど、財源を工夫して導入しているところが多いようです。ぜひ本県も積極的に民間の力を活用していくべきではないでしょうか。  そこで、三点目、プログラミングの授業をクリエーティブなものにするため、外部からの専門性の高い方や外部委託など、民間の力を積極的に活用するべきと考えますが、いかがお考えか、伺います。  次に、中小企業における男女賃金格差の解消への取組推進について伺います。  世界経済フォーラムの男女格差レポート二〇二一によると、調査対象となった世界百五十六か国のうち日本は百二十位、主要七か国及び東アジア・太平洋地域で最下位。各国の多くが毎年改善を重ねているのに対し、日本の歩みは遅れています。  EUでは既に、EU二十七加盟国の約半数に賃金の透明性を確保するルールがありますが、二〇二一年三月、労働者を二百五十人以上雇用する雇用主には、男女間の賃金格差、賃金水準ごとの男女比率などを自社のウェブサイトなどで毎年公表することを義務づける方針を決定いたしました。  同一労働を基準に男女間の賃金格差が五%以上あり、かつ雇用主がこうした格差を客観的かつジェンダーに中立的な事由によって正当化できない場合には、雇用主は共同賃金アセスメントを実施しなければならず、結果によっては、労働者代表と協力して格差を是正しなければならないとしております。会社側の情報開示を義務づけ、従業員側の立場を強くし、労使紛争になった場合、差別がないと示す責任を雇用者側に負わせることや、罰金や公的な入札からの排除といった罰則も検討されております。また、採用に当たっては、過去の勤め先での給与を聞くことを禁じるとのことです。これは、元の給与を参考にすることで、格差が再生産されるのを防ぐ目的だそうです。  欧州の主要国に遅れていた日本も、先月、岸田首相が新しい資本主義実現会議で、男女の賃金差についての開示を義務づける方針を表明されました。常時雇用する労働者が三百一人以上の企業を対象とする方針で、国や地方公共団体も義務化の対象となる予定です。今回、対策が一歩前に進むことに期待しておりますが、既に賃金情報を開示している国の例を見ましても、この開示だけで改善が自然と進むものではありません。中でも一番の課題は、中小零細企業は先送りとなっていることです。また、日本の中でも女性の働きやすさに地域差がある現状も大きな課題と言えます。  本県では、二〇一八年に若年女性の東京圏転出入に関する意識調査を実施しました。その結果をひもとくと、仕事にやりがいを求めている層が東京圏に一定程度流出してしまっている現状が見てとれます。  私の周りの方々にもヒアリングしてみたところ、やはり東京圏のほうが仕事の環境として愛知より男女をフェアに扱ってもらえるというイメージや実態があるように感じました。ここを改善し、女性も働きやすい愛知としていかなければなりません。そのためには、県として、地道な啓発や事例紹介などを積み重ね、社会的な意識を高めていく必要があると考えます。  そこで、二点伺います。  男女間の賃金格差解消に当たっては、同一労働同一賃金等の賃金・雇用管理制度について、企業の理解を深め、適正に運用していただくことが必要ですが、県としてどのように取り組んでみえるのか伺います。  そして、二点目、女性の活躍促進に向けた取組について、中小企業の男女賃金格差解消に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お考えを伺います。  以上です。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) 10: ◯教育長飯田靖君) 子供の居場所づくりの支援についてのお尋ねのうち、初めに、分かりやすく情報提供を行うことについてお答えをいたします。  議員お示しのとおり、文部科学省が二〇二〇年度に実施をした調査では、本県における小中学校の不登校児童生徒数はこれまでで最多の一万三千二百六十三人となっておりまして、不登校の児童生徒や保護者に対する支援が喫緊の課題であると認識をしております。  不登校の児童生徒や保護者は、学校に行けないことに不安や焦燥感、孤独感を抱く場合が多いと思われます。そのようなときに、学校以外の相談先や学びを継続する方法、進路に関する適切な情報等を提供することは、不安や孤独感を軽減し、状況を改善する手がかりになると考えております。  県教育委員会といたしましては、他県の取組を参考にしながら、不登校の児童生徒や保護者に対して、必要な情報を分かりやすく提供する方法について検討をしてまいります。  次に、学校とフリースクール等の民間の支援施設が連携するための場を設けることや、支援施設と保護者に対する経済的支援についてお答えをいたします。  民間施設であるフリースクール等は、現在、不登校の児童生徒の居場所の一つとなっております。そうした中で、学校関係者と民間のフリースクール等の関係者が意見や情報を交換する場を設けることは、不登校の児童生徒の学びを支援する上で有意義であると考えております。  今後、他県の取組も参考にしながら、協議会の開催を含め、具体的な方法について検討を行ってまいります。  また、フリースクール等の民間施設と保護者に対する経済的支援につきましては、どのような条件の下でどのような支援が可能であるかなどについて研究してまいりたいと考えております。  次に、校内フリースクールの充実についてお答えをいたします。  本県では、不登校などの課題を抱えた児童生徒を支援するため、不登校児童生徒の占める割合などに応じて、児童生徒支援教員百七十四名を各市町村に配置しております。  児童生徒支援教員は校内フリースクールの運営にも活用できることとなっておりまして、議員お示しの岡崎市においては、市の判断でこの教員を活用して実施をしているものでございます。  校内フリースクールは、教室に入りづらくなった子供に教室とは別の場所で過ごせるという安心感を与えるといった効果があるなど意義がある取組でございます。先日の文部科学省の有識者会議におきましても、不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援を実施することが必要との提言がされたところでございます。こうした国の提言を踏まえながら、校内フリースクールを含めた不登校児童生徒への支援のより効果的な手法について、調査研究をしてまいります。  また、担当教員及び支援員につきましては、国制度の活用による配置が可能なことから、県単独での措置はなかなか難しいと考えておりますが、年々増加をする不登校児童生徒への支援は、本県だけではなく全国共通の課題でありますので、他県とも連携をして、国に対して教員の定数増や支援員に対する補助制度の拡充を働きかけてまいります。  次に、GIGAスクール構想推進における格差解消と県の役割についてのお尋ねのうち、初めに、ICT環境整備の取組についてお答えをいたします。  本県では、二〇二〇年三月から県教育委員会と県内全ての市町村の教育委員会のICT教育担当者を構成員とするGIGAスクール構想共同研究会を設置し、各市町村におけるICT教育環境の整備状況や県内の小中学校の先進的な活用事例などの情報共有を行っております。  県内の小中学校におきましては、GIGAスクール構想の実現のため、国の補助金などを活用して、おおむね二〇二一年度までに、児童生徒一人一台端末の配備や校内ネットワーク環境の整備が実現をしておりますが、議員御指摘のように、端末がインターネットにつながりにくいなどの課題もあると認識をしております。
     県教育委員会といたしましては、研究会を通じまして、各市町村のICT教育環境の実態を把握するとともに、GIGAスクール構想の実現に必要となる経費の財政支援を国に働きかけるなど、全ての市町村におきましてICT機器等を活用した教育を継続的に推進できるよう努めてまいります。  次に、ICT機器の効果的な活用について、ICT教育格差解消のための取組について、お答えをいたします。  国のGIGAスクール構想による一人一台端末の整備は、目標年度が当初の二〇二三年度から二〇二〇年度に大きく前倒しをされ、一気に整備が進みました。  県教育委員会では、整備をされたICT機器を有効に活用するため、二〇二〇年度にICT教育フェアを開催し、ICT教育関連企業によるワークショップなどを行いました。また、二〇二一年度には、以前から先進的に取り組んでいる春日井市や大府市に実践研究を行っていただき、その成果を県内の小中学校に還元しております。さらに、教員の指導力の向上を目指したリーフレットや、一人一台端末を活用するための事例集を作成し、ウェブページに掲載をして広く公開をしております。  県教育委員会といたしましては、急速に一人一台端末の整備が進んだために、その活用状況には市町村ごとに差があることを認識しております。今後は、ICT機器を活用した授業の様子をオンラインで配信するなど、より多くの教員が実際の活用場面を見られるようにすることで、指導力や活用力の底上げを図り、全ての小中学校でICT機器を活用した教育の水準が向上するよう、ICT教育格差の解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。  最後になりますが、プログラミングの授業において、民間の力を活用することについて、お答えをいたします。  二〇二〇年度から始まりました小学校のプログラミング教育は、プログラミングを通じて、論理的思考を身につけること、中学校では、主に技術・家庭科の技術分野において、プログラミング的思考を活用して、課題を処理、解決できる力の育成を目指しております。高校では、今年度から全ての生徒が学ぶ科目である情報Iにおいて、プログラミングのほか、ネットワークや情報セキュリティー、データベースの基礎などを学習し、情報活用能力を高めることとしております。  県教育委員会では、これまで、小中学校の教員を対象としたICT教育フェアの開催やプログラミング教育の事例集の作成などを通じて、指導に当たる教員が適切にプログラミングの授業を進められるよう努めてまいりました。また、総合教育センターにおける教員研修では、ICT機器を活用した授業づくりに取り組んでおります。  しかしながら、より専門的で高度な内容の授業を行うためには、優れた知識、技術を持った専門家やプログラミング学習ツールなどを活用することも効果的であると考えております。こうした民間の力を積極的に活用し、学校におけるプログラミング教育の充実を図ってまいります。 11: ◯労働局長日高啓視君) 男女間の賃金格差解消に向けた賃金・雇用管理制度の理解促進及び適正な運用に関する取組についてお答えいたします。  賃金格差は、労働者の勤労意欲の低下や優秀な人材の早期離職などにつながることが懸念されるため、経営者が労働関係法令を正しく理解した上で、格差の解消に向けた取組を進めていただくことが重要であると考えております。  そこで、県では、中小企業の経営者や人事担当者を対象として、同一労働同一賃金や公正な待遇の確保などをテーマに、労働講座を開催しております。また、啓発冊子として、労使のための労働法ガイドブックやわかりやすい中小企業と就業規則を作成し、企業の理解促進を図っているところであります。  さらに、制度を適正に運用していただくため、個々の企業に社会保険労務士を派遣し、就業規則や賃金規程等の整備をきめ細かに支援するとともに、あいち労働総合支援フロアや県民事務所において、企業、労働者双方から賃金や労働条件などに関する労働相談にも対応しております。  今後とも、賃金・雇用管理制度の正しい理解と適正な運用を促進する取組を着実に進めてまいります。 12: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 次に、女性の活躍促進における中小企業の男女賃金格差解消に向けた今後の取組についてお答えします。  男女間の賃金格差が発生する要因としては、女性の勤続年数が短いこと、管理職の割合が低いこと、そして非正規雇用で働く割合が高いこと等が言われており、格差解消のためには、企業における女性の定着と活躍に向けて取り組んでいく必要があります。  そこで、本県では、これまで、女性活躍に積極的に取り組んでいる中小企業を紹介する女性活躍中小企業探訪記やモノづくり企業の女性活躍に向けた取組ガイドを作成し、ウェブサイトに掲載するなど、企業が参考となる取組の情報を入手できるよう積極的に発信してまいりました。  また、女性の活躍促進に取り組む企業を、あいち女性輝きカンパニーとして認証しており、企業の取組項目の中に、非正規雇用から正規雇用への転換制度があることなど、賃金格差の解消につながる項目も設けているところです。  こうした中、今後予定されている国の制度改正により、三百一人以上の企業においては男女間の賃金格差を公表することが義務づけられる予定であることから、本県としましては、まずは、既にカンパニーに認証されている企業をはじめ、県内企業に対し公表に向けた準備をしっかり行うよう周知してまいります。また、国の動向を注視しながら、カンパニーの認証における取組項目の一つに、男女間の賃金格差の解消を促す項目を新たに加えていくことも検討してまいりたいと考えております。  引き続き、あいち女性輝きカンパニーの認証制度をはじめ、様々な支援を通じて、中小企業におけるさらなる女性活躍が促進されるよう、しっかり取り組んでまいります。 13: ◯十七番(おおたけりえ君) それでは、再質問をさせていただきたいと思います。  ICT教育促進の答弁のほうで、市町村ごとに差があることを認識しており、動画配信などで活用場面を見られるようにレベルアップを図っていくとのお答えいただきましてありがとうございます。  ただ、動画配信だけでは、市町村の差を埋められるとは思えないため、今後さらなる御検討をお願いしたいと思っております。県として、そのような格差を解消し、県全体のレベルアップを図る取組、具体的には、研修、外部人材の紹介、派遣、マッチング、事例紹介など、様々できることはあると思いますけれども、今年度新設されたICTに詳しい担当課であるICT教育推進課、現在はこちらは回線の保守ですとかネットワークの整備ですとか、そちらをメインにしているような感じがいたしますけれども、もう少し企画部門にも力を入れていただきたい、そちらのICT教育推進課のほうで担っていくべきだと考えますが、お考えを伺います。 14: ◯教育長飯田靖君) 議員お示しのとおり、今年度から新たにICT教育推進課を設置いたしました。ICTに精通した職員を配置しております。その知識や技術を生かして学校のICT環境の改善、これはもちろんのことでございますけれども、効果的な研修による教員のICT活用の指導力の向上、さらには外部の人材、そして学習用のツールの積極的な活用によりまして、小中高を通じて質の高いICT教育が切れ目なく行われるよう、ICT教育推進課がしっかりと担ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。 15: ◯副議長佐藤一志君) 進行いたします。  平松利英議員。     〔八番平松利英君登壇〕(拍手) 16: ◯八番(平松利英君) 一宮市選出の自由民主党、平松利英です。  通告に従い、大きく二項目について質問してまいります。  大項目の一つ目は、地域コミュニティーの機能維持に向けた本県の取組についてであります。  ここ二年半に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの生活はコロナ禍の前とは大きく変化しています。特に、コロナ禍で他人との接触が制限されたことで、地域のコミュニティーにおける人と人のつながり方がさま変わりし、希薄になっております。  そこで、私は、コミュニティーの機能維持に特に大きな役割を果たしてきた様々な地域活動について取り上げ、コロナ禍における地域の現状を御紹介しながら、そうした現状についての県の認識、取組を質問してまいりたいと思います。  地域コミュニティーを形成する上で一番の根本となっている組織が町内会であると思います。その町内会でありますが、年々加入率の低下が進み、地域によっては町内会が解散する事態に追い込まれています。  町内会の解散が起き始めている現状は看過できるものでありませんが、それ以上に会員数の減少、解散が進み、さらにはコロナ禍の影響が直撃しているのではないかと心配している老人クラブ、子供会、祭りの三つを今回は取り上げてまいります。  まず、一つ目は老人クラブについてであります。  老人クラブ組織活動の根拠法は、昭和三十八年施行の老人福祉法にあります。第十三条で、地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するための教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業を実施するように努めなければならないとされ、地方公共団体は、老人の福祉を増進することを目的とする事業の振興を図るとともに、老人クラブその他当該事業を行う者に対して、適当な援助をするように努めなければならないと定められています。この法律に基づき、老人クラブは、健康づくりや趣味、文化、学習活動など生活を豊かにする活動や、見守り活動や環境美化など地域を豊かにする社会活動を行い、それぞれの地域で健康保持、増進や相互の支え合い、住みやすい地域づくりに取り組んでこられました。  しかしながら、高齢者人口は増加しているにもかかわらず、老人クラブの数や会員数は減少し続けています。  全国老人クラブ連合会の資料によりますと、クラブ数は令和二年度では、全国で八万九千四百九十八クラブ、会員数は約四百七十一万人です。その五年前の平成二十七年度では、十万三千二百八十一クラブ、会員数は約五百八十八万人でしたので、ここ五年で、クラブ数は一割以上減少し、会員数は約二割減少したことが分かります。  さらに、コロナ禍の二年半においてはそもそも活動自体が十分にできず、また、行事へ参加したくても家族から止められるケースが多く見られたようです。その結果、クラブ会員同士のコミュニティー希薄化に拍車がかかり、会員脱会やクラブ解散が続出する状況に陥っています。  私の地元一宮市の状況をお伝えすると、令和元年度に四百四十七クラブが活動していましたが、コロナ禍に入った令和二年度は十七クラブ減り四百三十クラブに、さらに令和三年度には前年倍以上の三十五クラブ減り三百九十五クラブに、そして本年度は何とさらに前年倍以上の七十五クラブ減って三百二十クラブとなりました。三年連続で減少数が倍増しているのです。ここで歯止めをかけることができず、今後も減少数が倍増していくと仮定すると、あと二、三年で老人クラブが消滅する危機的状況に直面することとなります。  この状況を重く受け止めている老人クラブのリーダーたちは、今までのやり方に一定の見直しが必要であることを認識し、必死に新たな取組を模索し、実行しています。  今後、高齢化がさらに進む中で、老人クラブの存在は地域コミュニティーを維持する上で極めて重要な組織であると私は考えています。老人クラブの減少に歯止めをかけるためには、本県としても新たな取組を模索し、実行に移していく必要があります。  そこでお尋ねします。  県内の老人クラブ数及び会員数について、近年の状況はどうなっているのか、また、県として現状をどのように捉え、今後どのような支援を行っていくのか、県の御所見をお伺いします。  二つ目は子供会についてです。  子供会が誕生した背景には、太平洋戦争後の混乱期に青少年の犯罪が急増したことが社会問題化し、子供の活動を地域の大人が支えるよう、国が結成を促したのがきっかけです。一九六五年には社団法人全国子ども会連合会が誕生し、二〇一三年に公益社団法人となりました。  主な活動としては、餅つきや盆踊り、スポーツ大会などの地域の行事に参加したり、キャンプや体験学習、旅行などに参加したりと多岐にわたります。  戦後七十七年を迎える現代では、子供の安全な遊び場が失われてきたことがあり、また、少子化の影響や社会環境、自然環境が変化する中で、子供たちは集団活動から個人活動を中心とする生活環境に変化しています。子供たちのコミュニケーション能力を引き出し、人間力を高めていくためには、学校外での集団活動となる子供会の存在が重要です。  現在では、子供が巻き込まれる犯罪が増えたこともあり、知らない人には挨拶しないよう教える風習があります。道で出会っても気軽に挨拶できない時代です。地域での活動、とりわけ子供会活動は、子供たちが近所の大人と自然に出会え、一緒に活動できる貴重な場となります。また、ふだん学校で会う友達と学校以外で会えることも楽しいものです。  このように、子供会は子供たちの成長に大きな役割を果たしています。しかし、近年では、子供会が解散するニュースが後を絶ちません。  全国の子供会に加入する子供の数のピークは一九八一年の約八百八十六万人でしたが、直近の子供の数は二〇二一年で約百八十四万人と大幅に減少しています。減少の理由として、もちろん少子化の影響もありますが、習い事など余暇の使い方の多様化や、子供会でなくても多種多様なサークルやスクールに参加しやすい状況にあることが挙げられます。  しかし、最大の要因は、役員の負担が大きくのしかかることにあります。共働きで時間がつくれない家庭や、役員が当たったらしんどい、面倒だと考える親もいます。ある子供会役員は私にこう言いました。家庭で子育てをやめたら育児放棄だ。子供会を解散させることは、その地域が育児放棄したことになる。しかし、本当に役員の受け手がない。あと何年継続できるか心配だが、親の理由で地域の子育てを放棄するわけにはいかないと。  子供会の存在は、子供の健全な成長に寄与するだけではなく、子供を持つ親たちの地域コミュニティーを維持する上でも、極めて重要な組織であると私は考えます。  そこでお尋ねします。  県内の子供会の団体及び子供の数について、近年の状況はどうなっているのか、また、県として現状をどのように考え、今後どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。  三つ目は地域の祭りについてであります。  地域の祭りと一言で申し上げましたが、県内の各地で行われている祭りは、その由来や歴史、内容、規模など、まさに多種多様で様々であります。また、今回の質問のテーマである地域コミュニティーの機能維持という面から見れば、地域に伝わる民俗芸能もお祭りと同様に地域の人々のつながりに大きな役割を果たしてきました。  そこで、今回は、山車祭りなどに代表される伝統行事に加え、地域に伝わる民俗芸能も含めて地域の祭りと総称させていただき、質問してまいります。  文化財保護法では、伝統行事や民俗芸能は無形民俗文化財に分類されており、県内には、国指定が十二件、県指定が四十五件、市町村指定が二百四十五件、合計で三百二件が文化財として指定されています。そのほかにも、県内には文化財としての指定にまでは至らない各地域で脈々と受け継がれてきた様々な伝統行事や民俗芸能もあり、それぞれが地域の宝として、地域の皆様によって大切に継承されてきています。  今回の質問のテーマである地域コミュニティーの機能維持という視点で祭りを見た場合、主催者側あるいは演じる側として地域の祭りに参加されたことがある方であれば共感いただけると思いますが、祭りには、日頃の地域の付き合いとは異なる、祭りならではの人と人をつなぐ力があります。地域コミュニティーの機能維持においても、地域の祭りが大きな役割を果たしてきたことは、誰もが認めるところだと思います。  一方で、この二年半のコロナ禍による地域の祭りへの影響は甚大です。もともとコロナ禍の前から個人の価値観が多様化し、祭りの役員は大変だから祭りに関わりたくないなどといった理由で、祭りを介した地域への関わり方が希薄化しつつありました。そこにコロナ禍が一層の拍車をかけ、もしクラスターが発生したら迷惑をかけるから祭りは中止しようとなってしまっています。このまま祭りの中止が続けば、今度は、コロナ禍で継承ができなかったからもう祭りはできない、解散しようかとなるのではないかと心配しています。  私の地元一宮市の事例を御紹介したいと思います。  一宮市の名前の由来でもある尾張の国の一の宮である真清田神社の例大祭、桃花祭です。桃花祭は、神様の御鎮座を祝うとともに、桃の節句にちなんだ厄払いの祭りとして、毎年四月三日に開催されています。桃花祭に合わせ、真清田神社周辺地域では多くの町内がお祭りを開催します。町内会、老人クラブ、子供会が協力し、お祭り会場にちょうちんや紅白幕を飾りつけ、子供たちは子供獅子に集まり、順番に獅子をかぶって町内を練り歩きます。獅子に寸志や菓子などの御寄附を頂戴することもあり、練り歩いた後は子供たちの手にたくさんのお菓子が配られます。  コロナ禍の前までは、地域の子供たちの笑顔のために大人が協力して開催していました。しかし、コロナ禍に入り、一昨年は中止、昨年と本年はコロナ感染対策のため大幅に規模が縮小され、獅子は飾るだけで、子供たちにお菓子を配って終わってしまいました。また、町内によっては、老人クラブや子供会が解散し、設営、運営する担い手がいないため廃止しようという声も聞こえています。  一宮市の事例を御紹介しましたが、私の経験から申し上げれば、地域のお祭りに参加した思い出は、地域への愛着を生み、地域住民の絆をつなげることにもつながります。祭りを通じて、世代間の交流が進み、ひいては地域の防犯や防災、高齢者の見守りや子育てなど、様々な場面でよい影響をもたらしてきたはずなのに、現在の状況は残念でなりません。  祭りに関わる関係者の方々の意識の問題かもしれませんし、地域の祭りですから、町内会や氏子の役割かもしれません。また、行政としては、地域に精通する市町村の役割かもしれませんし、無形民俗文化財に指定されていない祭りに対して行政があれこれと口出しすることも難しいとは思います。そうであったとしても、本県として何かできることはないかと思うわけであります。  行政の役割という点で関連で申し上げると、私は前回選挙の際に、公約の一つとして、伝統と歴史、文化を守り継承するという項目を掲げております。具体的な内容としては、歴史を伝え、文化財を守り、伝統行事や民俗芸能を継承します。継承者となる子供たちへ、文化芸術体験、表現教育の場をという二点であります。コロナ禍の前の公約ではありますが、継承者となる子供たちの体験の場、表現教育の場を設けることは、現状のコロナ禍であっても、工夫次第で、行政主体で実施可能な取組であります。行政が発表の場をつくったり、学校で地域のお祭りを紹介したりするなどすれば、祭りに関わる皆さんの目標や楽しみとなり、モチベーションも高まり、コロナ禍であっても子供たちが目をきらきらと輝かせながら前向きに練習する理由の一つになるのではないかと思うのです。  そこでお尋ねします。  県内の地域の祭りのうち、県指定無形民俗文化財のコロナ禍における直近二年の開催状況と、県として現状をどのように捉え今後どのように取り組んでいくのか、継承者となる子供たちへの発表の場の提供という視点も含め、県の御所見をお伺いします。  続いて、大項目の二つ目、名岐道路の整備推進についてお尋ねします。  一宮市は尾張北部に位置し、国土の東西軸である東名・名神高速道路、南北軸の東海北陸自動車道、名古屋高速道路が交わる交通の要衝であり、さらに、JR東海道本線や名鉄本線などの鉄道網も充実していることから、交通アクセスが非常によく、人や物、情報など、交流に関する環境が整い、発展してまいりました。  発展に伴い、交通量が増え、市内では交通集中による慢性的な渋滞が発生しています。名神高速道路一宮ジャンクション付近は、日本有数の渋滞箇所であるとともに、国道二十二号バイパスの市街地部においては、交差点が連続していることもあり、主要渋滞箇所に指定されています。主要道路の渋滞が頻発する状況ですから、当然その影響を受け、一般道までもが朝夕を中心に渋滞が頻発し、交通事故発生原因となるなど大きな課題となっています。  名岐道路は、国道二十二号バイパスと並行し、一宮市を介して名古屋都心部と岐阜県域を結ぶ自動車専用道路であり、このうち、清洲ジャンクションから名古屋高速道路一宮東出口までの区間は、二〇〇五年に名古屋高速道路十六号一宮線として供用されました。  現在、都市計画の手続が進められている名岐道路は、名古屋高速道路一宮線から東海北陸自動車道一宮木曽川インターチェンジまで延伸するもので、これにより、名神高速道路、東海北陸自動車道との高速道路ネットワークがつながり、一宮環状高速道路が形成されるとともに、南北軸の充実が図られます。  先月、一宮市主催の説明会が開催され、市の都市計画素案が地元に説明されました。内容としては、交通の円滑化などの整備効果に加え、この地域の主要な東西軸となる北尾張中央道とのスムーズなアクセスを考慮し、この計画道路の中間付近にインターチェンジを配置することなどが示されました。このほかに、東西方向との交通を円滑に処理するため、北尾張中央道など交差する関連道路についても計画が示されました。  渋滞に悩まされているこの地域にとって、国道二十二号バイパスをはじめとした交通の円滑化への期待は非常に大きく、名岐道路は悲願の道路であります。  名岐道路の整備促進については、二〇一五年度に、愛知県と岐阜県間の交通環境の改善と産業、文化の振興を目指し、一宮市、岐阜市、各務原市、岐南町、笠松町の三市二町による名岐道路整備促進期成同盟会が設立されました。二〇一七年二月には、一宮商工会議所をはじめとする地元経済界が名岐道路整備促進期成協議会を設立し、二〇一七年度からは国による調査が始まりました。二〇一八年十一月には、富士三丁目交差点から一宮木曽川インターチェンジの区間が優先整備区間に設定され、翌二〇一九年六月からは、国土交通省により計画段階評価手続が進み、二〇一九年十二月に全線立体構造で整備する基本方針案が示されました。  そして、二〇二〇年七月、愛知県が都市計画審議会に環境影響評価調査専門部会を設置し、都市計画手続が開始されました。二〇一五年の同盟会の設立から、準備、整備に向けた手続が着実に進んできたことを地元選出議員としてとてもありがたく感じています。  名岐道路は、地域の発展や渋滞などの課題を解決する一大プロジェクトでありますが、一宮市に暮らす地域住民にとっても、名岐道路整備に伴う効果を享受し、最大限生かしていくことがとても重要であります。名岐道路の整備により、南北軸の強化が図られるため、そこに東西軸の道路を有機的に接続させることができれば、周辺地域の利便性が向上し、地域の発展につながる効果が期待できるものと考えます。今回の都市計画素案では、そのような計画として示されましたが、しかし、まだ完成していない道路があります。  去る令和三年二月の定例議会で、私が、北尾張中央道の整備についての取組をお聞きしました。現在の整備状況は、国道二十二号バイパス東側のうち、江南市から小牧市に至る区間で四車線化事業が進められている状況です。また、江南市から国道二十二号バイパスまでの区間については、現在、暫定二車線で供用しており、四車線化整備が必要であります。さらに、国道二十二号バイパスの西側は未整備であり、周辺道路の交通状況を見極めつつ、整備区間の検討が進められているところですが、東西軸となる道路についても、名岐道路の整備を見据えて強化することにより、名岐道路の東西地域にその効果を確実に発揮させていけるものと考えています。  さて、一方で、先日の説明会では、名岐道路の出口の設置に伴う朝日三丁目交差点の閉鎖や、盛土構造となっている国道二十二号バイパスを周囲と同じ高さまで下げることに伴う横断ボックスを廃止する案など、生活道路の交通に関する、影響に関する内容についても説明がありました。  生活道路の交通への影響については、一例として、朝日三丁目交差点の閉鎖を挙げさせていただくと、この交差点は、国道二十二号バイパスと市道との交差点ですが、周囲には地域の公民館や市民会館、ショッピングモールテラスウォークがあり、交通量の極めて多い交差点です。朝日三丁目交差点の南北の近い箇所にそれぞれ県道の信号交差点があるものの、いずれも市中心部へ向かう車や市外へ向かう車で大変混雑しており、当該市道を含め、通勤時間帯をはじめ、買物客が集中する時間帯など、特に周辺一帯が渋滞している状況にあります。このような状況下で、朝日三丁目交差点が廃止されると、混雑している県道への迂回を強いられることになり、この交差点近くの地元住民だけでなく、バイパス東地域の広範囲にその影響が及び、それは東西のさらなる分断化につながり、利便性を大きく損なうことを私は危惧しています。  説明会では、この辺りの国道二十二号バイパスは信号が短い距離で連担しており、出口ランプのスロープや安全に合流、車線変更できる距離が必要であることから閉鎖せざるを得ないなど、理由についての説明がありました。信号間隔が短い区間ですから、出口ランプを設置するにはどこか一つは交差点を廃止せねばならない、その際に、国道と県道の交差点を廃止するよりは、影響の少ない市道との交差点である朝日三丁目交差点を廃止するということでしょう。理屈としては理解できます。しかし、これほど大きな影響を及ぼす交差点廃止に対し、具体的な対策案がないまま計画が進行していくのであれば、地元の人にとっては受け入れ難い脅威となってしまいます。  この交差点の例に漏れず、国道二十二号バイパスを挟んだ東西交通は、地元住民の生活道路や通学路として利用されているものが多く、その利用形態の変更は、地元住民の地域コミュニティーの分断につながる切実な問題であります。そのため、説明会に参加した住民からは、早期整備を求める声がある一方で、地域交通が分断されることに対する不安の声も多く寄せられました。  名岐道路を円滑に推進していくためには、広域的な効果だけでなく、生活道路にも配慮し、地元の理解を得ながら計画を策定していくことが重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今後の都市計画の手続において、こうした地元の意見にどのように配慮して進めていくのか、県の御所見をお伺いします。  質問は以上です。理事者からの前向きで明快な答弁を御期待申し上げ、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 17: ◯福祉局長橋本礼子君) 初めに、老人クラブについてお答えいたします。  近年六十歳を過ぎても働き続ける人が増加していることや、高齢者の活動が多様化していることから、県内の老人クラブ数及び会員数は減少が続いておりまして、二〇二一年度末時点では、四千七百九十一クラブ、三十万二百七十人となっております。  老人クラブは、高齢者の自主的な組織として、生きがいや健康づくりの推進はもとより、相互に支え合う友愛活動や地域社会に貢献する奉仕・ボランティア活動など、豊富な知識や経験を生かした様々な活動を行っておりまして、地域において大変重要な役割を果たしていることから、こうしたクラブ活動の維持、活性化が求められております。  そのため、県では、こうした活動を行う老人クラブに対しまして、市町村を通じて補助金を交付するとともに、愛知県老人クラブ連合会に助成を行い、老人クラブ活動推進員の設置、加入促進に向けた広報、将棋、囲碁、ゲートボールなどの大会の開催、活動リーダーに対する研修などを実施していただいております。  さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けながらも、工夫して活動に取り組んだ事例や、自治会、NPO等の他団体と連携した活動を行う事例など、今後の参考としていただける取組を新たに収集し、県内のクラブに紹介してまいりたいと考えております。  今後も、市町村や愛知県老人クラブ連合会と連携し、老人クラブ活動の活性化を図り、高齢者の生きがいや健康づくりを推進してまいります。  次に、子供会についてお答えいたします。  子供の数の減少や余暇活動の多様化などによりまして、愛知県子ども会連絡協議会に加入する団体と子供の数は年々減少しておりまして、二〇二一年度は、四千六十八団体、十五万七千五十三人となっております。  子供会は、年齢が異なる子供の交流や集団活動の場でありまして、幅広い年齢の子供が一緒に遊ぶことにより、互いに相手を思いやる心を養うとともに、地域の人々との触れ合いにより社会性を身につけるなど、児童の健全育成に貢献する重要な役割を果たしていると認識しております。  本県では、子供会活動の活性化や参加促進を図るため、毎年、各市町村の子供会の関係者が一堂に会する愛知県子ども会大会を開催いたしまして、地域の優れた活動や支援する方々の顕彰を行いますとともに、こうした取組を広く県民の方々に周知しております。  また、今年度は八月に東海北陸地区子ども会ジュニア・リーダー研修大会愛知県大会を開催いたしまして、子供会リーダーの広域的な交流や資質の向上を図ってまいります。  さらに、愛知県子ども会連絡協議会では、地域の子供会活動を支援するとともに、社会の変化に合わせた活動の在り方の検討も進めているところでございます。
     県といたしましては、今後とも、愛知県子ども会連絡協議会や市町村とも連携いたしまして、子供会活動の活性化に取り組み、地域における子供たちの健やかな育成を図ってまいります。 18: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 地域コミュニティーの機能維持に向けた取組についての御質問のうち、地域の祭りについてお答えします。  県指定無形民俗文化財四十五件を構成する五十四の保存団体の直近二年の開催状況でありますが、コロナ禍の前と同様に開催が、一昨年度は四団体、昨年度は五団体、縮小して開催が、一昨年度は二十九団体、昨年度は三十四団体、開催中止が、一昨年度は二十一団体、昨年度は十五団体となっており、二年とも全体の九割がコロナ禍の前と同様には開催できていないという状況であります。  祭りなどの無形民俗文化財は、地域の絆やにぎわいをつくり出すものであり、保存と継承のためには、その地域の人々の理解を深めるとともに、継承者を育成することが課題であるというふうに考えております。  こうした課題に対して、本県では、二〇〇七年度から、保存団体と地域の子供たちが交流できる環境づくりに取り組み、特に、二〇一一年度からは、学校に地元の保存団体を招き、子供たちが自ら練習し、発表までを行う伝統文化出張講座を継続して実施してまいりました。一昨年度、昨年度とコロナ禍で祭りを中止、縮小せざるを得なかった中でも講座を実施し、この取組は、継承者となる子供たちの発表の場ともなりました。  一方で、県内には多種多様な伝統行事、民俗芸能が存在しており、地域の状況に精通している市町村の取組も重要であります。  そこで、今年四月の市町村文化財担当者会議において、県が行っている伝統文化出張講座の内容を紹介し、コロナ禍での地域の祭りの現状を踏まえて、市町村においても同様に取り組んでいただくよう、働きかけを行ったところでございます。  県からのノウハウの提供を含め、今後も市町村との連携を十分に図りながら、地域の祭りの支援にしっかりと取り組んでまいります。 19: ◯都市交通局長森哲也君) 名岐道路の整備推進についてお答えします。  先般、一宮市が開催した説明会では、名岐道路の整備に伴い、議員御指摘の箇所をはじめ、一部の市道が国道二十二号を横断できなくなることに対して多くの意見が寄せられました。県としましても、新たな道路の整備に伴い、地域コミュニティーを結ぶ生活道路が分断されることは避ける必要があると考えております。  一般的には、こうした道路の機能を確保する方法として、迂回路、あるいはアンダーパスやオーバーパスを整備することなどが考えられます。都市計画決定に際しては、寄せられた地元の意見や地域の利用状況等を踏まえ、国及び市と共に現実的な方法を検討し、地域の懸念の解消に努めてまいります。  今後は、一宮市が県に対して都市計画素案の申出を行い、県はそれを踏まえ都市計画案を作成し、計画の審議、決定へと手続を進めてまいります。その過程において、公聴会を開催するとともに、都市計画案を縦覧し、住民の意見を伺う機会を設けることとしております。  引き続き、地元の意見に適切に配慮しつつ、着実に都市計画の手続を進め、名岐道路の整備推進に取り組んでまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 20: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 21: ◯副議長佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 22: ◯副議長佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時十分開議 23: ◯議長(須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  田中泰彦議員。     〔二十六番田中泰彦君登壇〕(拍手) 24: ◯二十六番(田中泰彦君) 通告に従い、本日は大きく三点、現場の皆様からの声を反映させた形の質問をさせていただきたいと思います。  まず一点目、新型コロナウイルス感染症に関わる子供たちの環境についてお伺いをいたします。  まずは、今回の質問における子供の定義を小学生以下とさせてもらいます。  新型コロナウイルスが日本に上陸してから二年以上が経過しました。愛知県議会においても、様々な方から多くの声を聞き、さらにそれに対して愛知県も全力で取り組んできていただいたと認識しております。  その対応も様々で、特に医療体制整備やワクチン接種体制、感染防止対策や経済対策も行っていただいております。また、それらの対応は、新型コロナウイルス感染症の状況の変化や県民の皆様の感染症に対する意識の変化に合わせて柔軟に対応をしてきていただいていると感じています。大村知事をはじめ、愛知県、関係の職員の皆様には、大変頭が下がる思いです。  そんな中、それらの対応に比べると、子供を取り巻く環境は後手に回り、対応に柔軟性が感じられにくい点があると考えております。子供たちに対する感染症対策、また、その周りの大人たちへの対応でも、これまで様々な規制や条件がつくられ、それらは必要なことではあると思います。しかし、大人が求めてきた変化、条件の緩和などと比べると、子供の環境においては、その変化が少ないのではないでしょうか。  例えば、飲食店の食事のルールは、感染症の状況や県民の皆様のニーズに合わせて柔軟に対応をしていただいております。しかし、子供の環境においては、例えば学校の給食では、今でも一人で机に向かって座り黙食というルールがあり、食事を通じた子供たちのコミュニケーションは取りにくい環境となっています。  また、友達と遊ぶことに関しても、外出する、公園で遊ぶことすらはばかられる時期もありました。その後、少しずつ問題視されなくなった時期においても、マスク着用は必須の状態でなければ遊べないというような時期も続いておりました。  私も一人の父親として、これらに対して常に感じていたことは、子供は自分たちが感じていることを社会に発信することが難しく、また、年齢が下がれば下がるほど、自分たちで判断し、実行することも難しいという点です。  実際に支援者の方から聞いたお話として、家族で外食に行った際、個室の部屋を選択。小学校のお子さんは、マスクを外してはいけないという意識が働き、家族しかいない場所にもかかわらず、マスクをずらしながら食事を取ったり、会話を避けるというような状況があったそうです。  また、子供たちから直接聞いた話です。公園で遊ぶ際に、マスクをしていないと公園で遊んではいけないというようなことを言う子がいました。  そして、私のパパ友やママ友からも聞いたお話です。子供たちが保育園、幼稚園、また、学校で先生と接する際に表情が分かりづらくてコミュニケーションが取りづらい、そんな声が私の元にも届いております。  これらは新型コロナウイルス以前には当然なかった声です。  では、マスク着用の日常がどういった影響を及ぼすのか。  京都大学大学院教育学研究科、明和政子教授によると、マスクを着用する他者との日常が子供たちの脳と心に影響を与えているそうです。脳が発達する過程で環境の影響を特に受けやすい感受性期という時期があり、その最も重要な時期の一つがゼロ歳から五歳の乳幼児期。大脳皮質にある視覚野──目ですね──や聴覚野──耳──のほうに関しての、比較的早期に成熟する脳部位で、これらの脳部位の仕組みや働きは生後数か月頃から環境の影響を大きく受けて変容し、就学を迎える頃までに成熟するそうです。  感受性期の最中にある子供たちは、ダイナミックに動く他者の表情全体を目にしながら相手の顔を認識したり、その人の感情を理解したりする能力を発達させていきます。また、誰かが話している場面では、目だけではなく、口から発せられる口の動きにも注意を向けます。これらの情報を結びつけ、さらに自分でもそれをまねしてみることによって言語を獲得していくとあります。これは、乳幼児期においては、人の表情を認識することが脳と心に大きく影響するということです。  また、表情を読み取ることの影響は乳幼児期に限らないようです。  こちらも、京都大学教授、京都大学こころの未来研究センター長である吉川左紀子先生の論文、社会的注意と感情の認知:視線・表情の相互作用という論文によりますと、人間の顔には、コミュニケーションに役立つ多くの情報が含まれており、顔を見て、相手が誰であるか、どんな状態か、どの方向に注意を向けているかを容易に読み取ることができ、これらはいずれも、他者との相互作用を開始したり継続する上で重要な社会的信号である。特に表情や視線向きは、他者のその時々の心的状態を伝えるだけではなく、どこに重要な情報があるか、それはどんな性質のものかといった環境内の事象に関する情報も伝達できる。こうした情報を正確に処理する機構を持つことは、人が野生環境に生きてきた時代から現代に至るまで、人間の生存や社会的適応性を左右する極めて重要な要因であった。それらは、最近の心理学の実験結果により、人が極めて迅速かつ正確に、他者の顔が発する社会的信号を処理していることが示されている、とあります。  これは、相手の表情や視線の方向を同時に認識することが対人行動を取る上で不可欠であるということであります。  これらのことより私が心配しているのは、新型コロナウイルスの影響がある中で、子供たちの将来の人格形成にどういった影響があるのか、行政は、親御さんたちを含めた子供たちの声、現状を把握、分析、検討、反映と改善、それらをどのような対応で行っているのかという点です。  私は常々、マスク着用義務や学校生活でのルール変更、条件緩和をすべきではないかというふうに感じていました。実際にパパ友やママ友から改めて聞く声として、やはり熱中症は怖い、積極的に子供たちにマスクを着用してほしいとは思ってはいない。しかし、周りの目が気になって公には言いづらいという声が多いです。同世代の議員の皆さんも恐らくそうじゃないでしょうか。  また、令和三年──昨年ですね──の六月、厚生労働省から発表された、熱中症予防×コロナ感染防止で「新しい生活様式」を健康に!という、熱中症対策でマスクを外しましょうという啓発をしている、そんなものがあるんですけれども、その啓発を知っている人は私の周りにはゼロ人でした。皆さんの周りではどうでしょうか。この状態が、私は、マスクを外しましょうといった、そういった啓発が一般県民まで落とし込めているとは言えない状況だというふうに考えています。  また、令和四年、今年の五月二十五日、厚生労働省の子供のマスク着用について緩和の発表を受けて、私の地元名古屋市の小学校の例ですけれども、小学校の先生が登下校中はマスクは外していいよというふうに周知をしているにもかかわらず、実際にその登下校の様子を見ていると、実際は九割以上の児童生徒がマスクを着用したままの状態です。その後、その厚労省の発表の後、愛知県外においてではありますが、マスク着用が影響と見られる子供の熱中症の報道も出ております。  子供たちが行政に対して直接訴えることは極めて難しいことは言うまでもありません。また、先ほどのように、現役の親御さんたちも、積極的にマスクを外すことは思っていながらも、世間体からなかなか言い出しにくいという環境も続いています。  感染症対策は、当然重要なポイントです。しかし、私は、感染症対策よりも、様々なネガティブな影響が未来を担う子供たちに対して出ていることが極めて大きな問題ではないかというふうに思っております。  個人や民間団体では子供のマスク着用緩和の発信は難しく、影響は限られるため、県民への浸透はとても難しいと考えています。また、昨年六月の例を取っても、一般県民へは、行政からのその情報は伝わっていないのではないでしょうか。  そこでお伺いをいたします。  新型コロナウイルス感染症対策における子供のマスクの着用の緩和について、今後の広報、啓発をどのように行っていくのかお伺いをいたします。  また、子供を取り巻く環境の一番といえば、学校現場であると考えます。マスクを着用すること、また、黙食をはじめとしたこれまでの子供のコミュニケーションに対する影響が出ていることにより、子供の健全育成、将来の人格形成に影響が出ていることが心配をされています。そのため、やはり当事者である子供たちや現場で働く方のニーズをきちんと把握し、対応していくことが重要ではないでしょうか。  そこでお伺いをいたします。  マスク着用の考え方が十分浸透していないと思われる学校や幼稚園の現場においてマスクの着用が適切に行われるようにするために、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  続いて、職員の年齢構成を踏まえた人材確保と活用についてお伺いをいたします。  私たち議員は、日頃より県の職員さんたちと話す機会があり、その中において、やはり同世代の方と会話が弾むことがあります。また、その際には、話の内容が担当職員さんの業務以外にわたることも多いと思います。また、県の組織を勇退され、これまでとは違う立場、例えば俯瞰的、客観的に愛知県を見ることができる方ともお話をする機会があります。  そんな中で、私自身、耳にするのは、今回のこの質問、年齢構成を踏まえた人材についてであり、特に次世代を担う働き盛りと言われる四十代の職員さんの負担が増えているという内容です。  具体的な例として、県組織の同じ課室内において複数のプロジェクトを一人で抱えている、建設・土木職においては同世代の現場職員さんが不足しているといった内容です。  そこで、私は過去の採用の推移や現状を人事課に確認を取りました。  まず、職員採用の前提として、愛知県では原則、引退される方の数に合わせて同じ数を新規採用するという、退職者を補充する形での職員採用を行っているとのことでした。それを踏まえて、全体での採用状況、そして事務方としての採用状況、専門職としての状況、それぞれを伺いました。  まずは背景です。  一九九八年──今回は平成から令和をまたぎますので西暦で表現をします──愛知県では戦後初の赤字決算がありました。その影響により、一九九九年以降、行財政改革が強力に進められ、その中で大幅な定数削減が行われました。そして、採用に関してもその影響が大きく出たとのことです。  具体的には、二〇〇〇年から二〇〇七年の間、新規採用者数の大幅減、その後の二〇〇八年以降は、団塊の世代の退職に伴い、原則の退職者を補充するという観点から、削減から採用拡大へと徐々に変化をしていきました。  これからは実数、実際の数値に触れていきたいと思います。比較対象として、二〇〇八年以降から本年度までを平均値で表します。また、採用者数の状況をビジュアル的に、視覚的に分かりやすくするため、議長のお許しをいただきましたので、パネルを用意させていただきました。     〔パネル図を示す〕  こちら、二〇〇〇年から二〇〇七年における全体の平均採用人数が、まず皆さんから見て左手です、八三・二五人で、二〇〇八年から本年度においては三二九・八七人であり、二〇〇七年からの平均値は、二〇〇八年以降、現在までの約四分の一になっています。見ていただけるとすぐ分かると思います。いかに少ない採用数だったのかということが分かると思います。  続いて、皆さんから見て右側が事務職員のグラフになります。事務職員採用に関しては、採用全体数と同様の傾向が見られていると思います。二〇〇〇年から二〇〇七年の平均が四〇・三八人、この期間の最少採用数は二〇〇〇年の二十人です。二〇〇八年、そして本年度までの平均は一九一・〇人であり、二〇〇〇年から二〇〇七年の平均値は、二〇〇八年から現在までの約五分の一となります。全体同様に、とても少ない採用期間であるとうかがえると思います。     〔パネル図を示す〕  続いて、こちらが土木・農業土木分野と社会福祉・心理分野の専門職になります。皆さんから見ていただいて、左が土木・農業土木で、右が社会福祉・心理分野になります。  こちらは、二〇〇〇年から二〇〇七年の平均採用人数は九・一三人で、この期間は最少採用数は二〇〇五年、二〇〇六年の四人で、その背景は、戦後初の赤字決算や公共事業の減少が影響していたようです。そして、二〇〇八年から本年度の平均は三一・八七人ですが、二〇一一年と二〇一二年についても、公共事業の減少の影響から、それぞれ十五人、十三人と低水準の二年間があります。そして、社会福祉・心理分野における採用は、二〇〇〇年から二〇〇七年の平均は一〇・二五人で、二〇〇〇年は一人、二〇〇一年はゼロ人の採用となっています。こちらは、二〇〇〇年代は採用数を減らしたのではなく、それ以前から採用数は少なかったとのことでした。その後、二〇〇四年では十一人、二〇〇五年では二十二人と大幅に増加と推移しています。  この背景は、二〇〇〇年十一月に児童虐待の防止等に関する法律が施行され、各自治体における児童相談所の強化をはじめとした社会ニーズの変化に伴う国の動向の変化が影響しているとのことでした。  その前後を含めた二〇〇八年から本年度の平均は二四・六人で、心身障害者コロニーの再編に伴い、一部施設の廃止等による職員の再配置などで一時的に少ない時期があるものの、全体の流れとしては社会ニーズに合わせて増加傾向にあるという特徴があります。  これらの状況から分かることは、全体的にも、事務職、専門職に限らず、二〇〇〇年─二〇〇七年の採用者数が極端に少ないということです。いわゆる谷と称されるこの時期の大学新卒採用者数は、現在、四十歳を超えたあたりのまさに働き盛りです。  県庁内では、リーダーとなり様々な経験を積んで、より高いポジションから今後の愛知県を支えていくプロセスを踏む世代であると思います。その世代は、現状として、プロジェクトを複数抱えなければいけない、現場で不足しているという状況が起きています。  愛知県の特集が組まれる本が発刊されるなど、国内においても大変注目を集めているこの愛知県。本年オープンのジブリパーク、二〇二六年アジア競技大会、それに伴う愛知県新体育館の建設、STATION Aiや自動運転の社会実装など、先進的で夢のある事業を多く抱えています。  これらをより円滑で、実効性を伴って推進していくためには、若い感覚や感性を持ちつつ、これまで培ってきた経験を、働き盛りと呼ばれるパワーを持つ世代が無理なく力を発揮できる職場環境が必要ではないでしょうか。  そこで、以下二点お伺いいたします。  愛知県において、二〇〇〇年代の初め頃、採用を大幅に抑制したことに伴い、四十歳代前半の職員数が少ない谷間の世代が生じていることに関して、人材確保の面で、これまで愛知県としてどのような取組を行ってきたのかお伺いします。  二点目、四十歳代前半といえば、まさに働き盛りであり、課長補佐や主査として県の様々なプロジェクトで活躍が期待される年代であります。谷の解消にも取り組みつつ、県の組織運営に影響が出ないよう、今いる職員をしっかりと育て、うまく活用することが必要と考えます。そういった観点から、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  続いて、大きい三点目、特殊詐欺の現状と今後の未然防止対策についてお伺いいたします。  オレオレ詐欺や架空請求など、電話などを使い相手と対面することなく信じ込ませ、その後、振込や現金を直接だまし取る特殊詐欺。被害の対象は高齢者が大半を占め、昨年においては、コロナ禍のいわゆる巣籠もり生活の影響か、二〇二一年の認知件数は四年ぶりに増加したそうです。  本年に入っても、被害の大幅な減少の傾向は見られず、被害額は大幅に増加しており、特に還付金詐欺、架空料金請求詐欺で増加傾向が目立っているという状況です。  愛知県警においても対策は取られており、被害防止機能付電話機への変更依頼やその対策、銀行や郵便局と連携し、大金を現金化する方に対しての声かけなどの水際対策も行われています。  しかし、今後も引き続きの対応が必要であることは言うまでもありません。  ここで、被害に関して、実際に特殊詐欺、オレオレ詐欺の被害に遭われた私の地元支援者の方の事例を、御本人の許可の下、御紹介をします。  被害に遭われた方は、八十歳を超える後期高齢者です。ふだんから活発的に地域活動にも参加され、私とも冗談を言い合えるぐらい元気な方です。地元西区でも多くの方から親しまれて、四人のお子さんたちを立派に育て上げられた人格者であります。ただ、聴覚に衰えがあり、以前より補聴器を利用されているという方です。  事件が起きたのは昨年、令和三年七月二十日午前十時頃だそうです。この日、午前中は特に予定もなく、補聴器はつけずに自宅の中でゆっくり過ごされていました。偶然固定電話が鳴ったタイミングで近くにいたその方は、固定電話が鳴り、受話器を取ると、お父さん、俺だけど、という息子をかたる人間から自宅の固定電話に電話があったそうです。  補聴器はつけずに自宅の中でリラックスしていたこと、そのため声を正確に認識できなかったこと、御子息のお一人は時々固定電話に電話をかけられること、それらの要因が重なり、電話を出たときに、被害に遭われたその方は御子息の名前を発してしまったそうです。  その後、電話の相手は、自分の携帯電話が目の前にないから固定電話にかけたんだ、会社でトラブルがあって相手に迷惑を今かけている、取引相手に百万円取りあえず必要なんだけど準備だけ可能か、緊急なので常に固定電話に出られるような状態で待っていてほしい、そんなようなことを言葉巧みに話し出したそうです。  ここの内容だけを聞くと、いかにもオレオレ詐欺じゃないかなということを皆さんも感じられると思います。しかし、電話の相手は、今のようなことを立て続けに依頼してきて、また、確認を迫るような内容をどんどん伝えてきたり、また、それを複数回の電話にわたって行ってきたそうです。それにより、被害を受けられた方は相手の内容に対する思考ばかりが巡ってしまい、誰かに相談するだとか、御子息の携帯電話に直接かけるとか、そんなことを考える暇もなかったそうです。  その後、相手は、やっぱり現金化してほしい、そんなような内容を伝えてきて、被害に遭われた方はまず百万円を現金化してしまいました。そして、次の電話で現金化したことを伝えると、取引先の会社の担当者が今近くにいて寄れるので、その人に渡してほしい、ただ、中身、現金は見えないようにして紙袋に入れてほしいなど、そういった指示を出してきたそうです。  そして、取引先のその担当者という人間が訪問し、現金百万円を手渡したそうです。さらにその後、電話で、受け取ったよ、ありがとう、さらに三百万円必要なんだけど何とかなるかと言われて、もうそのときは信じ込んでしまっているその方は、次は郵便局に行って、郵便局の窓口で何とかしようとされたそうです。その際に、ふだんより面識のある郵便局長が、それは何に使うんですか、警察に事情を説明する必要があるので連絡していいですか、そんなようなことを説明されました。  その後、西警察の警察官が調査に来ました。ここで、先ほど御紹介した警察の水際対策が機能をしています。しかし、現金化してしまい、その後、帰り道に御子息に早く現金化できたことを伝えたくて、無意識のうちに、今度は息子さんの携帯電話にかけたそうです。すると、そこで本物の息子さんは、何のこと、それは詐欺じゃないのと言われて、初めてそこでだまされたというふうに気づいたそうです。  帰宅して、心配になったその御子息も駆けつけたところで再び電話が鳴り、電話に出られたそのタイミングで、三百万準備ができたよ、ところで、今、目の前に息子がいるけど、おまえは誰だというふうに言うと、電話はガチャンと切られ、それ以降、電話はなかったそうです。  今回の事例から、多くの懸念点や課題が見つかったと考えています。被害に遭われた方は、ふだんより地域の会合などで直接警察から特殊詐欺の話は聞いて、内容は十分理解し、そんなことにだまされる人がいるのかなというふうに感じてみえたそうです。被害の大半を占める高齢者でも、先ほどのように、前提条件の違いにより被害につながるかどうかの影響が違います。  また、県警の取組である水際対策、郵便局長の声かけで機能はしました。しかし、犯人と会話をしてしまうと、言葉巧みにだまされてしまうような可能性があります。  また、取引先の会社名は実在し、ふだんから実際に聞いている名前だったそうです。さらには、そこの会社の担当者という方の名前も、その固有名詞も聞いたことがあり、相手はそこまで調べ上げていたというようなことです。
     被害に遭われた方は、とにかく息子がかわいかった、息子が人様に迷惑をかけているという思いでいっぱいになってしまったというふうにおっしゃっていました。また、家でリラックスした状態で補聴器をつけていなかったなど、被害に遭われる方それぞれによって偶発的に起きる諸条件は異なるため、被害防止のためには、より根本的な対策が求められると思います。  これらの例からも、犯行の手口は巧妙化しており、狙われる高齢者の状況によっても、その対応は変化することも考えられます。  そこでお伺いをいたします。  最近の特殊詐欺の現状を踏まえ、今後どのような未然防止対策を講じていくのか、警察本部長にお伺いいたします。  以上、今回の質問に際し、様々な現場でのお話を聞かせていただきました子供たち、私の同世代、そして高齢者である全ての皆様、この場をお借りしてお礼を申し上げ、私からの壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 25: ◯感染症対策局長(植羅哲也君) 新型コロナウイルス感染症に関わる子供たちの環境に関する御質問のうち、マスク着用の広報啓発についてお答えをいたします。  新型コロナウイルス感染症の基本的な感染防止対策として、三つの密の回避、人と人との距離の確保、マスクの着用、換気などがあります。中でも、マスク着用に関しては、特に屋内で会話をする際に有効であると認識しております。  一方、どのような場面でマスクを外してよいのかという声や、マスクの着用が長期化する中で表情が見えにくくなることによる影響を懸念する声もあります。  そのため、本年五月十九日に開催をされました厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおける発達心理と保育の専門家などの意見を踏まえ、五月二十三日、一定の条件の下ではマスクの着用を求めないとの国の基本的対処方針が示されました。  その中で、就学児については、大人と同様、屋外で他者との距離が確保できる場合などはマスクの着用は必要なく、特に夏場は熱中症予防の観点からマスクを外すことが推奨されました。  また、乳幼児のマスク着用については注意が必要であり、特に二歳未満では推奨されない。二歳以上の就学前の子供についても一律には推奨しない。マスクを着用する場合は、保護者等の大人が子供の体調に十分注意した上で着用することとされました。  この方針を受けて、県では、翌五月二十四日に、厳重警戒での感染防止対策におけるマスクの着用の考え方を変更し、ウェブページやLINEを活用した情報発信、市町村への通知等により、県民、事業者の皆様へ周知を図っているところでございます。  引き続き、マスクの着用をはじめとした感染防止対策について、正しい知識の普及啓発に努めてまいります。 26: ◯教育長飯田靖君) 新型コロナウイルス感染症に関わる子供たちの環境についてのお尋ねのうち、公立の小学校や幼稚園に対する今後の取組についてお答えをいたします。  県教育委員会が作成をいたしました新型コロナウイルス感染症についての教育活動の実施等に関するガイドラインでは、熱中症のリスクがあり、人と十分な距離を確保できる場合には、登下校時や体育の授業ではマスクの着用は必要ないこととしております。  また、こうしたマスク着用の考え方は、熱中症防止として文部科学省から五月二十四日及び六月十日付で改めて示されたところでございます。これを受けまして、県教育委員会から市町村の教育委員会に周知をしたところでございます。  また、六月一日付で発出された熱中症防止に向けた知事からのメッセージにより、周りの人と距離があるときや会話をしていないときには熱中症の対策を優先しマスクを外すよう、子供だけではなく保護者にも伝わるよう啓発をしております。  県教育委員会といたしましては、子供たちや保護者に適切なマスク着用の趣旨が伝わることが何より重要であると考えておりますので、学校現場で直接指導をする体育担当教員や養護教諭を対象とした研修会、また、保護者会など、あらゆる機会を捉えて、しっかりと周知をしてまいります。 27: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 次に、新型コロナウイルス感染症に関わる子供たちの環境についての御質問のうち、私立の小学校や幼稚園に対する今後の取組についてお答えします。  私立学校においては、各学校設置者が適切に判断できるよう、これまでも文部科学省並びに県の新型コロナウイルス感染症対策本部及び県教育委員会からマスク着用に関する通知が発出された際には、各学校設置者や各学校長に対して速やかに周知を行ってまいりました。  特に、夏季を迎えるに当たり、熱中症のリスクが高くなることから、六月一日には熱中症事故防止に向けた知事からのメッセージを周知するとともに、六月一日には文部科学省から出された通知に基づき、マスクの着用を要しない場面においてはマスクを外すよう児童生徒へ声かけを行うなど、各学校設置者や各学校長に対して適切な対応を改めてお願いしております。  今後も、子供たちや保護者に適切なマスク着用の趣旨が伝わるように、各学校設置者や各学校長に働きかけ、幼稚園などの現場で適切な対応がなされるよう取り組んでまいります。 28: ◯人事局長(川原馨君) 職員の年齢構成を踏まえた人材確保と活用についてのお尋ねのうち、初めに、人材確保に関する取組についてお答えいたします。  本県では、議員御指摘のとおり、行財政改革による大幅な職員定数削減に伴って、二〇〇〇年代に入り、採用を大きく抑制いたしました。その一方で、二〇〇七年度からは団塊の世代の職員が定年を迎え、採用者数を大きく増加させなければならない状況にありましたが、大幅な採用抑制に続いて大量採用を行いますと、職員の年齢構成の偏りが極端に大きくなることが予見されておりました。  こうしたことから、即戦力人材を確保するために二〇〇七年度から実施している民間企業等職務経験者採用試験や、就職氷河期対策として二〇一六年度から実施している社会人を対象とした職員採用試験など、中途採用の取組を通じて谷間を少しでも埋められるよう努めてまいりました。  また、その年々の退職者数をそのまま採用者数に反映させるのではなく、二〇〇九年度から導入した任期付職員制度の活用を含め、中長期的視野に立った採用を進めることによって、年度ごとの採用者数の平準化を図ってまいりました。  このように、安定的な組織運営を目指して、計画的な人材確保に取り組んできたところでございます。  次に、職員の活用に関する取組についてお答えいたします。  本県では、職員の年齢構成を踏まえ、若手職員や中堅職員につきまして、その能力を存分に発揮させつつ、様々な職務経験を通じて育成を図ることができるよう、従来より早く責任ある立場に登用する取組を進めております。  具体的には、これまでは経験を積んだ課長補佐を配置しておりました実務の中心を担うグループ班長に、主査級の職員を課長補佐級昇任と同時に、あるいは主査級のままで配置する取組や主査級への早期登用を進めているところでございます。  また、採用につきましても、昨年度から民間企業等職務経験者の採用試験を年二回に増やし、さらに、今年度からは行政実務経験者のみを対象とした採用選考を新たに開始するなど、さらなる即戦力人材の確保を図っております。  今後とも、愛知のさらなる発展に向けて、有為な人材の確保と育成、活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 29: ◯警察本部長(國枝治男君) 特殊詐欺の現状と今後の未然防止対策についてお答えいたします。  県内における特殊詐欺被害の現状については、本年五月末現在で、認知件数が三百二十九件、被害額が約七億二千五百二十三万円であり、前年同期と比較して認知件数は三十三件減少しているものの、被害額は約一億五千七百十万円増加しております。  被害の特徴といたしましては、その約八割が犯人から被害者方自宅の固定電話に対する通話を契機としており、だましの手口といたしましては、役所の職員をかたって医療費等を還付する名目で現金を振り込ませる還付金詐欺や、有料サイト登録料の未払い等を名目とする架空料金請求詐欺の増加が著しく、前年同期と比較して、還付金詐欺は三十八件、架空料金請求詐欺は三十一件増加しております。  なお、被害額が増加している点につきましては、架空料金請求詐欺において千万円以上の高額被害に遭われた方が複数人おられることが主な要因として挙げられます。  こうした現状を踏まえ、県警察では、本年四月の組織改正により、特殊詐欺捜査等を主管とする組織犯罪特別捜査課を新設したところであります。課発足後、四月末には、名古屋市内において、百貨店をかたる特殊詐欺グループの活動拠点を捜索し被疑者二名を逮捕するなど、特殊詐欺グループへの取締り強化において成果を上げているところであります。  また、特殊詐欺被害の未然防止対策として、犯人と被害者が直接会話をしない環境づくりに向けた電話機による対策や金融機関等と連携した声かけによる対策を推進しているところでございます。  具体的には、電話機による対策につきましては、自治体に対し、被害防止機能付電話機の購入にかかる補助金制度の創設を働きかけたり、家電量販店等の事業者と連携し、当該電話機を三か月間無償で貸し出してその効果を体感していただくことにより、その普及促進を図っております。  また、自宅固定電話を留守番電話設定にしていただくことが犯人と直接会話をしない対策として有効であることから、県警察が業務委託する特殊詐欺被害防止コールセンターから県民の皆様に対し、留守番電話設定を促す啓発活動を推進しております。  次に、金融機関等と連携した声かけ対策につきましては、還付金詐欺の犯人は、被害者をATMコーナーに誘導し、携帯電話で通話しつつATMの操作を指示する実態が見られますことから、ATM周辺での携帯電話の使用自粛を促したり、気づいた周囲の人から声かけをしていただけるよう、ストップ!ATMでの携帯電話運動を推進しております。  また、架空料金請求詐欺の約四割は犯人からコンビニエンスストアで電子マネーを購入するよう指示される実態がございますので、県内のコンビニエンスストアに対し、購入目的を確認するため店員による声かけを依頼しているところであり、本年四月からはその徹底を図るため、声かけチェックシートを配布し、被害の未然防止に取り組んでいるところでございます。  さらには、これらの対策に加え、昨年、全国初の取組として運用を開始した特殊詐欺捜査協力報奨金制度を本年も継続し、被害の未然防止と被疑者の検挙に向けた機運の醸成に努めているほか、杉良太郎警察庁特別防犯対策監による啓発用音声メッセージを活用した広報啓発活動にも取り組んでいるところでございます。  今後も、自治体や事業者と連携しながら、特殊詐欺の各種未然防止対策を推進してまいります。 30: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 大変申し訳ございませんけれども、先ほどの子供たちのマスク着用に関する御答弁の中で、私ども、文部科学省からの通知のほうを六月一日と申し上げましたけれども、六月十日の誤りでございますので、おわびをしまして訂正させていただきます。 31: ◯知事大村秀章君) 田中泰彦議員の質問のうち、職員の年齢構成を踏まえた人材確保と活用について、私からもお答えをいたします。  世界が加速度的に変化する中、我が国の発展を本県が強力にリードしていくためには、様々な方法で有為な人材を確保するとともに、職員の能力を高め活用することにより組織力を強化して、一層柔軟でスピード感を持った行政運営を行う必要があります。  一方、少子化に伴う新規学卒者の減少や労働力の流動化が進む中、人材確保の難しさは公務員においても例外ではありません。  このため、本県では、国家公務員総合職等を対象に筆記試験を課さない採用選考を今年度から都道府県で初めて実施をし、また、民間企業等経験者採用試験の年二回実施、さらには合格者の年度途中での随時採用など、採用方法の多様化を進めてまいりました。  また、育成、活用の面では、年次にとらわれず、若手・中堅職員を責任あるポストに抜てきする早期登用の取組を加速させております。  今後とも、人材確保や育成、活用の積極的な取組を通じて、日本一元気な愛知づくりを支える人財力の強化に全力で取り組んでまいります。 32: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  高木ひろし議員。     〔九十二番高木ひろし君登壇〕(拍手) 33: ◯九十二番(高木ひろし君) 私のほうからは、通告いたしました三つのテーマについて、順次質問をさせていただきます。  まず第一は、愛知県新体育館のユニバーサルデザインについてであります。  愛知県政百五十周年記念事業の一つに位置づけられております愛知県新体育館は、いよいよ本体工事が間もなく始まろうとしております。  この体育館は、最先端のICT機能を備えた世界最高レベルのスマートアリーナとして、大相撲名古屋場所や国際スポーツ大会だけでなく、音楽コンサートなど様々なイベントが開催され、国内外から多くの人々が集う施設になることが期待されております。  また、この新体育館は、二〇二六年のアジア競技大会、そして、アジアパラ競技大会の会場ともなるのであり、当然、ユニバーサルデザインの点においても世界最高レベルの施設とすることが求められております。  その基準は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によるTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインに詳細に示され、新国立競技場をはじめ、東京オリパラの関係施設全てに適用されたところであります。  その基礎にあるのはIPC(国際パラリンピック委員会)のガイドラインであり、車椅子を使用する身体障害者だけではなく、視聴覚の障害、知的・精神障害のある人々が不安や差別を感じることなくアクセスできるよう、利用できるよう、様々な設備基準を定めております。  今回の新体育館につきましては、県が事業者からの提案を募集する際に示した要求水準書において、愛知県人にやさしい街づくりの推進に関する条例をはじめ、関係法令の遵守はもちろんのこと、こうしたユニバーサルデザインに関する条件が明確に示されており、設計に当たっては、障害のある方や高齢者などの意見も十分に伺いながら進め、誰もが使いやすい施設となるよう注文をつけております。  こうした確認に基づきまして、昨年の十二月に新体育館のPFI事業者となりました株式会社愛知国際アリーナは、障害者団体などに対する説明会を開催いたしました。  そこで示されました設計図では、確かに、車椅子使用者用スペースは全座席の一%に当たる百五十席設けられ、多機能トイレは車椅子使用者用スペース百五十席の一〇%に当たる十五か所が設置される計画であるなど、いずれもTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの要求基準を満たすものとなっておりました。  しかしながら、この説明会の場で、来場者の新体育館へのアクセス、動線に基本的な問題が指摘をされました。最大一万七千人の来場者を迎えるメインエントランスが二階部分に設置されまして、幅四十メートル、高さ七メートルの四十九段に及ぶ大階段を上らなければこの入り口にたどり着けないという構造になっていたことであります。  当初計画には、この階段に手すりやスロープすらなく、十五人乗りの屋外エレベーターが一機のみ傍らに設置されているという状態でありまして、これでは、車椅子やベビーカーを利用される方、高齢者には大変なバリアであります。下から見上げると、その印象はまるで威風堂々たる大神殿のようだと、こんなふうに評するバリアフリーの専門家もいらっしゃいました。ユニバーサルデザインとはかなりかけ離れたイメージだと言わなければなりません。  この施設の利用者の移動、動線に関わる課題は、今回のPFI事業者の案が、昨年二月、選定委員会によって評価、決定される段階で既に指摘されていた課題でもあります。  選定委員会の審査報告によりますと、次のような要望事項が付記されておりました。いわく、一般の利用者にも様々な事情──高齢、ベビーカー、エスカレーターに乗れないなど──の方々がいるため、車椅子以外の利用者もエレベーターが利用できるよう十分配慮すること。そして、エレベーターやエスカレーターの配置位置、その数量及び運用方法については詳細設計時に十分配慮すること。これが特に要望事項として付記された上での選定結果であったのです。にもかかわらず、障害者団体に示された設計図には、スロープやエスカレーターもない大階段の上にエントランス、大部分の方々の入り口が設定されるという案が示されたわけでありまして、これに対して批判や要望が噴出するのは当然であったと言えましょう。  そこで伺います。  これまでPFI事業者が設計を進めてくる経過において、障害のある方々から意見を聞くためにどのように対応してきたのか、また、いただいた御意見がどのように設計内容に反映されてきたのかお答えをいただきたいと思います。  もとより、ユニバーサルデザインの実現には、様々な障害当事者の方々の意見をしっかりと聞き、共につくり上げていくというきめ細かい対応を積み重ねることが重要であります。  中部国際空港セントレア、そして、東京の新国立競技場の場合には、設計の初期段階から障害当事者の方々などの参画を求め、数年にわたり二十回以上のワークショップを重ねつつ、ユニバーサルデザインの好事例をつくり上げたのであります。そういう意味では、今回の障害者団体等とのこれまでの話合いは、期間的にも内容的にも極めて不十分なものと言わざるを得ないと思います。  そこで、今後の進め方について伺っておきます。  七月に本体工事に入ることになっておりますが、案内表示や来客者の誘導体制など、運営面の課題を含め、障害者団体との話合いを継続して、ユニバーサルデザインのアリーナとしてのレベルアップを図っていく余地が多分に残されていると考えられますが、今後どのように対応していこうとされておるのかお答えいただきたいと思います。  二番目のテーマであります。  設楽ダム建設事業の基本計画の変更についてであります。  国土交通省は──中部地方整備局でありますが──五月十七日に、建設段階にある設楽ダムについて、その総事業費を二千四百億円から三千二百億円へと八百億円増加させるとともに、完成年度を二〇二六年度から二〇三四年度へと八年延長するという基本計画の大幅な変更を発表し、県に同意を求めてきております。  このダムは、皆さん、既に御承知のとおり、利水、治水にわたる本県最大規模の多目的ダムとして、一九七〇年代に国が計画を発表して以降、その必要性や費用負担、住民生活や自然環境への影響などをめぐって様々な議論が半世紀近く交わされてきました。そして、二〇〇八年に国が最初の基本計画を策定し、本県としても、これに初めて県議会を含めた同意をいたしました。ここで一定の結論に達したものと理解しております。  その時点での計画の内容は、総事業費二千七十億円、工期は二〇二〇年完成というものでありまして、県の負担は七百二十一億円とされていました。その後、全国的なダム見直しの動きの中で、二〇一〇年から二〇一三年にかけて、本県をはじめとする関係自治体や専門家から成る検討の場が設立され、また、事業主体である国によって五年間に及ぶ設楽ダムに関する事業検証が進められてきました。その結果、事業の妥当性が確認されたといたしまして、二〇一四年に再び設楽ダム計画は動き出したのであります。  しかし、二〇一六年になって、国は、物価上昇や消費増税を理由に、総事業費は二千四百億円に引き上げると計画を変更、完成年度も二〇二六年と延長されました。この時点での県の負担は八百十億円に増えております。  二度目の計画変更となる今回、その中身は、働き方改革への対応とか、資材価格の変動に対する対応など、社会的要因の変化以外に、金額的にも、内容的にも、二〇一六年の計画変更とは大きく事情が異なる要素を含んでおります。  二点に絞って、県当局にお尋ねしたいと思います。  まず第一は、今回、事業費が大幅に膨らみ、工期が延長された最大の要因は、当初の計画で想定していなかったダムサイトやダム湖周辺の地盤の脆弱性が詳細な地質調査によって初めて明らかとなったことで、付け替え道路の位置変更や地滑り対策の追加、コンクリート打設量の増加など、追加工事と工法変更が必要になったとされていることであります。  もともとこの設楽ダム予定地の地層は極めてもろく、幾筋もの断層破砕帯が走っていて、地層的にはダムの適地ではないのではないかという指摘はかねてから出されておりました。しかし、事業者は、問題となるような断層は存在しない、地盤に特に問題はないと言い続けてきておったのであります。それが、転流工や本体掘削のための準備のため、二〇一五年から二〇一七年にかけて実施したボーリング調査に基づく詳細な地質分析によって、ダムを貫く多くの断層と地滑りブロックの存在を初めて認めざるを得なかったのであります。問題は、その対策としての追加工事が、ダムの安全上、必要かつ十分なものであるのかという点であろうと思います。  国が行った地質調査の分析報告書を見ますと、ダム本体の直上流左岸のダム湖斜面には、深さ六十メートルにわたって三層から四層の地滑りブロックが存在し、その最大のものは幅二百二十五メートル、長さ三百メートルにも及ぶ深層超巨大ブロックと記載されております。深い層に大変大きな地滑りブロックがあるということをこの報告書は述べております。しかし、今回追加された地滑り対策は、その表層部の地滑り対策のみを想定したものでしかありません。  万が一、ダム湖が満水の状態において、地震など何らかの影響でこの巨大地滑りブロックが動き、いわゆる深層崩壊というものを起こせば、ダム津波という大災害にもつながりかねないという指摘があります。  そこでお尋ねいたします。  今回の地質調査の結果に基づく今回の地滑り対策やダム本体掘削量及び打設量が見直されておりますけれども、ダムの安全性ということについて問題はないのか、県のお考えをお聞きしたいと思います。  二点目の問題は、今回の大幅な事業費の増大によって、二〇一〇年から二〇一四年にかけて行われた設楽ダムに関する事業検証を見直す必要が生じるのではないかという問題であります。  国が行った事業検証は、治水、利水、流水の正常な機能の維持と、この三つの機能について、ダムとその代替案を比較してコストや事業期間などを試算した結果、総合的な評価で最も有利な案は、やはりダムによる案だということで結論を導いたものでありました。  知事も常々おっしゃっておりますように、こうしたダムなどの大規模かつ長期にわたる事業につきましては、大きな県民負担を伴うものであり、時代の変化に合わせた不断の検証が必要であります。今回の変更では、当初二千七十億円であった設楽ダムの建設コストが三千二百億円と一・五倍になり、県の負担額は千七十億円に膨らんでおります。  そこでお尋ねいたします。  このように事業費が増大してもなお、本事業の費用対効果が得られると考えるのかどうか、県のお考えをお聞きしたいと思います。  三番目の課題は、愛知県公安委員会の事務専決規程の在り方についてであります。  昨年の十月七日、名古屋高等裁判所は、愛知県警が二〇一六年七月から十二月にかけて沖縄県公安委員会の要請を受けた沖縄県東村高江の米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事現場に愛知県機動隊員を派遣したことが違法であるとして、当時の警察本部長に対して、機動隊員らに支払われた時間外手当相当額を賠償するよう愛知県に命じる判決が行われました。  この高裁判決は、愛知県公安委員会の事務専決規程、愛知県公安委員会が本来自ら決定すべき決定を本部長に委ねるという専決の規程でありますが、警察官の県外への派遣が異例または重要と認められる場合には公安委員会の承認を受けなければならないと定めておりまして、今回の派遣はこれに該当するので、愛知県警察本部長が専決により派遣を決定したことがその手続において違法であると、こう明快に判断したのであります。  また、判決の中では、都道府県公安委員会は都道府県警察の民主的な管理に当たるものであるから、警察法上、他の公安委員会からの援助要求に同意するかどうかは、都道府県公安委員会が合議体として審議して判断すべきであるのが原則であると解されると述べておりまして、警察法が付与いたしました警察官のための権限を、事実上、警察本部長の専決に丸投げしているとも見られる愛知県公安委員会の在り方そのものに重要な問題提起をしているというふうに受け取らなければなりません。  この高裁判決そのものに対しましては、愛知県は最高裁に昨年十二月十四日に上告をしておりますので、最終判断、確定判決は最高裁での判断を待つべきものとなりますが、愛知県議会としては、この高裁判決の指摘を重く受け止め、公安委員会と警察本部のあるべき関係について議論すべきであると強く思うところであります。  そこで質問いたします。  そもそも公安委員会制度とは、戦前の内務省の下に置かれた国家警察による人権じゅうりんなどの反省に立って、政治的中立性を確保するために、国民を代表する公安委員を知事や市長の推薦によって選任し、議会が同意して構成されています。そして、自治体警察を民主的に管理する責任を負う、極めて重要な機構であります。
     しかし、一方、その権限が風俗営業法から道路交通法に至るまで、実に広範多岐にわたっておりますために、定例的、定型的なものや軽易なものまで一々合議体として決定をすることは現実的ではないと、効率的ではないといたしまして、事務の効率化のために警察本部長などに専決や代行をさせることが行われておるのであります。しかし、これがゆめゆめ公安委員会を形骸化させることがないよう、専決の範囲とルールは厳格に設けなければならないと考えます。  愛知県公安委員会においては、こうした趣旨を踏まえて、どのように専決規程を定め、運用していらっしゃるのかお聞かせをいただきたいと思います。  実は、この専決規程が全面的に改正されました昭和五十三年に、愛知県警察本部自らがこの専決規程の解釈指針を警察内部向けに発出しております。これは愛知県警のホームページで見ることができます。そこでは、専決とはあくまで内部委任でしかなく、対外的には行政上の効果と責任は公安委員会に帰属するものであることを自覚するよう警察に促すとともに、専決ではなく公安委員会の承認を受けるべき異例または重要な警察官や機動隊の県外派遣に当たるケースを次のように示しています。一、その処理によって後日紛議を生ずることが予想されるようなもの。二、社会的に反響の大きい事案。などであります。  この考え方によれば、今回の沖縄の米軍基地建設に関わる住民の抵抗運動や、また、別の時期に福井県の大飯原発の再稼働をめぐる市民の意思表示などに対しても愛知県警は機動隊を県外に派遣しておりますが、このような事例は、県民の中にも様々な意見があり得るものでありまして、公安委員会が自ら決定した上で派遣されるというのが筋となる、そんな例ではないかと思われます。  警察本部長に伺いたいと思います。  国民の中でこうして大きく賛否が分かれるから、その事態に対処するための派遣である場合に、派遣に対して、県民の中からも批判が起き得ることも当然であり、こうしたケースには、警察の解釈指針にあるとおり、公安委員会の承認を求めてから派遣すべきケースということに扱うべきだと考えます。警察本部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  以上、三点にわたり県当局各位に質問をさせていただきました。  以上で壇上からの私の第一問を終わらせていただきます。真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 34: ◯スポーツ局長成瀬一浩君) 愛知県新体育館の設計における、障害のある方などとの意見交換及びいただいた意見の反映状況についてお答えします。  設計を進める中で、PFI事業者である株式会社愛知国際アリーナがこれまでに、昨年十二月、今年四月及び六月の合計七回、合同の意見交換会を、さらに個別の説明も含め、県も参加して開催してまいりました。これらの意見交換会には、肢体や視覚、聴覚等の障害、子育て世代や高齢者などの関係団体及び学識者の方々に御参加をいただきました。  主な意見としては、来場者は、原則、屋外の階段やエレベーターを使用して二階のデッキにあるエントランスから入場する計画となっているが、障害者等には利用が困難であるという御意見をいただきました。また、車椅子使用者の観客席スペースの拡張や多機能トイレの充実のほか、継続的な意見交換会の開催などを求める御意見をいただきました。  こうした御意見を踏まえ、二階エントランスへのアクセスについては、従来の設計にあった階段に加え、スロープ及びエスカレーターを追加するとともに、当初十五人乗りで計画していた屋外エレベーターを二十四人乗りに拡張する変更を行いました。あわせて、障害のある方を含めた来場者が一階からも入場し、屋内のエレベーターで二階以上の観客席に上がれるよう、一階にもエントランスホールを設けることとしております。  車椅子使用者の観客席スペースの拡張についても、同伴者や補助犬が座ることができるスペースを設け、また、多機能トイレの充実については、混雑を緩和するため、増設や配置を見直すなどの改善を行うこととしております。  次に、愛知県新体育館の着工後におけるユニバーサルデザインに関する今後の対応についてお答えします。  これまでの意見交換会では、誰もが入退場しやすい動線の整備、車椅子使用者の観客席スペースの拡張や多機能トイレの充実といった建物の設計に関することのほかにも、分かりやすい案内表示や混雑時における安全確保など、附属設備や運用面での対応についての御意見もいただいております。  このため、例えば、AIを搭載した案内板による視覚的な案内や音声案内を計画しておりますが、視覚や聴覚に障害のある方などからの御意見を踏まえ、より分かりやすい案内ができる機能や表示の方法を検討していくこととしております。  さらに、会場スタッフが障害のある方などの着席状況を把握し、緊急時には迅速に駆けつけ、優先的に避難できるよう案内するなど、運用面での対応についても検討を進めております。  ユニバーサルデザインの実現に当たっては、実際に設置する設備や備品の形状や位置など、関係者の皆様から御意見をいただいて気づくこともあり、意見交換会を継続して開催していくことは重要であると認識しております。  株式会社愛知国際アリーナは、新体育館の着工後においても関係者の皆様から御意見を伺っていくとしており、本県としましても、引き続きPFI事業者と共に適切に対応してまいります。 35: ◯建設局長(道浦真君) 設楽ダムの建設事業の基本計画の変更についてのお尋ねのうち、初めに、ダムの安全性についてであります。  ダム建設予定地の地質については、国が二〇二一年五月に予定地の周辺にダム建設に支障となる断層が存在しないことや、ダム本体の基礎岩盤が重力式コンクリートダムを建設する地盤として十分な強度を持ち、ダム建設に支障がないことを公表しております。  また、国は、このたびの基本計画の変更で、ダム本体の基礎となる十分な強度を有する岩盤が当初想定より深くなったため、土砂掘削量及びコンクリート打設量の見直しをしております。  さらに、ダム湖斜面に対する必要な補強工事として、斜面に鋼製のくいを打設するなど、地滑り対策の見直しも行っております。  いずれの見直しも、これまでに実施した地質調査の結果を踏まえ、適切な対策を講じるものであり、ダムの安全性を十分確保して事業が進められていると考えております。  次に、費用対効果についてであります。  建設中のダム事業における費用対効果の分析を含む事業の評価については、国が五年ごとの実施に加え、事業の節目にも実施することになっております。  設楽ダム建設事業においては、これらの評価を二〇一四年度のダム検証の時点や二〇一六年度の第一回計画変更の時点、二〇一八年度のダム本体着工の時点など、これまでに計六回実施しております。  今回の基本計画の変更に合わせた事業の評価は今後速やかに行われると聞いており、この中で変更後の事業費に対する費用対効果の分析が行われます。  評価の最終的な結果については、学識経験者などの第三者から構成される委員会の審議を経て結論が出されることになりますが、現在のところ、国からは、変更後の計画においても、費用対効果を含め、これまでの評価に変わりはないと聞いております。  県といたしましては、引き続き、国に対し、事務事業の合理化、効率化を図るとともに、水源地域の生活再建対策に万全を期すなど、しっかりと地域に寄り添って取り組んでいくよう申し入れてまいります。 36: ◯警察本部長(國枝治男君) 愛知県公安委員会事務専決規程の専決のルールの考え方についての御質問に、同公安委員会の委任事務を担当する立場からお答えいたします。  愛知県公安委員会事務専決規程につきましては、愛知県公安委員会の権限に属する多様な事務に関し、当該事務が公安委員会の事務とされた趣旨を踏まえつつ、同時に迅速かつ能率的な処理を実現すべく、一定の事務につきましては、同公安委員会の名において警察本部長が意思決定を行うことができるように定め、運用させていただいているものと承知しております。  議員お示しのとおり、現在上告中の事案があり、今後の訴訟への影響も予想されますことから、個別の事例についての答弁は差し控えさせていただきますが、公安委員会から示されている専決規程では、専決可能とされている事務でありましても、異例または重要と認められるものについては、専決によることなく合議体での意思決定を受けるよう定められております。  この異例または重要及びその部内的解釈として、おおむね次のものを言うとしている、後日紛議を生ずることが予想されるものや社会的に反響の大きいものへの当てはめにつきましては、個別の事務やその根拠法令に則して、主として愛知県内の治安に与える影響等の観点から判断されるべきものと考えております。 37: ◯九十二番(高木ひろし君) 三つのテーマについて、それぞれ御答弁をいただきました。これに対して、要望を申し上げたいと思います。  まず、新体育館の問題でありますが、このユニバーサルデザインに関しましては、障害者団体との意見交換の中で様々な改善策が取り入れられてきていることは理解をいたしました。  それから、問題の階段上のメインエントランスへの動線の問題につきましても、当初案にはなかったスロープやエスカレーターを設置すること、また、屋外エレベーターを拡張すること、そして、一階部分にもエントランスを設け、これを充実させることなどが改善策として示されたことは一定の評価ができると思います。  しかしながら、この改善策につきましても、エントランスが一階と二階に分かれると、あるいはエレベーターやスロープの位置によりましては、右に曲がるか左に曲がるか、来場した様々な障害を抱えた方がどのルートをたどるべきなのか迷われることが想定され、さらなる案内表示等の工夫が必要だと思います。  そして、イメージの上での大階段というものが引き続きメインエントランスへ通ずるものとして設置されている点については変わりがないわけでありますので、これについてもさらに検討していく必要があるのではないかと思います。  さらに、新体育館は現在の愛知県体育館の二倍以上の収容人数となりまして、その大半の来場者が地下鉄名城公園駅を利用することが想定されております。この地下鉄駅と新体育館の接続の在り方についても、今後、名古屋市などとの十分な協議を経て、スムーズでバリアフリーな移動をどのように保障することができるのか、重要な課題の一つだと思います。  新体育館のオープンまではまだ三年あります。新国立競技場においても、相当いろんな紆余曲折があって新しい国立競技場も完成をいたしておりますので、この愛知県の新体育館につきましても、引き続き、障害のある方々との意見交換や名古屋市などとの関係機関との協議を重ねて、新体育館がユニバーサルデザイン愛知のシンボルとして、その名に恥じないアリーナになり、後世に残るレガシーに仕上げていただきたいと強く要望するものであります。  設楽ダムの問題については、おおむね県からいただいた答弁は、事業主である国がこう言っている、国がこう説明しているということに終始をいたしております。  しかし、国の今回の説明資料の中には、私が今摘示いたしました、ボーリング調査によってどのような地質構造が明らかになったのかという資料が含まれておらず、追加工事や工法の変更によってその深層崩壊のリスクをどこまで減らせるのかという説明は十分ではないと思われます。事がダムの安全性や防災上のリスクに関わるだけに、この点は見逃せません。  国の説明をうのみにするだけではなく、県として、安全性の問題やコスト、便益の問題について、自ら調査検討し、国に対して言うべきことは言い、県民に理解を求めていくという姿勢を示していただくよう要望しておきます。  三点目の公安委員会の事務専決規程の問題であります。  今回、名古屋高裁で違法と判断されたのは愛知県警のケースだけでありまして、今回、実は沖縄への機動隊派遣を行ったのは愛知県だけではなく、東京都、千葉県、神奈川県、大阪府、福岡県、合計六つの都道府県が行っておりますが、その派遣手続は一様ではありません。  それぞれの公安委員会は専決規程を持っておりまして、警察法六十条、公安委員会による他の都道府県警察への援助要求について、全面的に県警本部長の専決に委ねているのは実は愛知県だけだということが分かっております。  他の都道府県では、災害、人命救助及び犯罪捜査等で緊急を要する場合、また、十人以内、十四日以内の期間の派遣という具合に、専決できる範囲を厳しく限定し、現に六年前の沖縄への派遣についても、事前に各公安委員会の承認を得た上でほかの都道府県公安委員会は派遣をしております。  この差は、単なる手続の問題ではないと私は理解いたします。公安委員会制度の本旨、この重要性を理解すればこそ、この手続が重要なんだと思います。  二十年ほど前、警察改革が全国的に大きな議論になりました。その中のテーマの一つは、戦後警察の特徴である公安委員会制度が形骸化しているのではないかという指摘でありました。愛知県公安委員会がその権威を保ち、県民の皆さんからの本当の信頼を担保するためにも、事務専決の在り方を見直していただくよう、強く改めて要望させていただきます。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 38: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 39: ◯議長(須崎かん君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 40: ◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時二十八分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時十分開議 41: ◯副議長佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  近藤裕人議員。     〔六十一番近藤裕人君登壇〕(拍手) 42: ◯六十一番(近藤裕人君) 六月四日の新聞各紙は、少子化が止まらないと一斉に報道しました。前日に厚生労働省が発表した二〇二一年人口動態統計を受けてのことです。少子化、想定を超す速さ、出生率、六年連続低下といった記事や、あるいは、少子化の厳しい現実に目を背けるなという社説が載り、また、コラム記事には、人口問題への関心が高いとされる、米国の電気自動車メーカー、テスラ社のイーロン・マスク氏が、何かを変えない限り、日本は存在しなくなる。世界の大きな損失だと日本の人口減少をめぐってツイートしたとして、大変話題になったと掲載されていました。  マスク氏には、日本を御心配いただきありがとうと申し上げたいところですが、愛知県はというと、二〇二〇年に策定された第二期の愛知県人口ビジョンによれば、直近の二〇一八年の合計特殊出生率は一・五四と、全国平均を大きく上回り、人口のピークについて、第一期の時点で、二〇二〇年に約七百五十万人から二〇二五年、約七百五十六万人へと後ろへずれ込むとされました。第一期の人口ビジョンの想定一万二千人を上回る二万人程度の転入超過が続いたため、将来人口が上振れしたとされておりました。  日本は誰がどう見ても人口減少社会に突入しており、もっと危機感を持つべきであります。愛知県も例外ではありませんが、愛知県は、全国と比べて、減少速度が遅いと想定されるので、効果の見込めるような少子化対策を進めながら、一方で、しっかりと経済を発展させ、労働人口を増やす施策を積極的に進めることが重要であり、知事が就任以来掲げておられるスローガン、人、物、金を集め、人が輝く愛知を目指すということは、人口減少社会に正面から挑む愛知の成長戦略そのものだと考えます。  これまで、次世代自動車(FCV)、航空宇宙・ロボット産業の育成、ハート・オブ・ジャパンを掲げた観光振興、国際展示場アイチ・スカイ・エキスポの設置、アジア・アジアパラ競技大会を誘致、ジブリパークの開園、STATION Ai開設などの施策は、人口減少ピークをさらに遅らすことができると期待できる事業です。  しかしながら、堅調に進めてきた愛知県の成長戦略も、この二年に及ぶコロナ禍で、あるいは様々な状況変化により、修正を余儀なくされた事業もかなりあると思います。  行政も、経営力、マネジメントが必要であり、継続するためには環境に適応しなければなりません。進められる施策、事業に対して、議会としても、しっかりその過程、結果を検証する必要があります。  そこで、今回は、開業すると同時にコロナ禍となったアイチ・スカイ・エキスポと、計画を進める段でコロナ禍に入り、開設が延期となったSTATION Aiの二つの事業について絞ってお伺いをいたします。  まず、アイチ・スカイ・エキスポ、愛知県国際展示場についてであります。  私は平成二十五年の一般質問で、人、物、金を呼び込む施策の一つとしての大規模展示場施設の整備について、国内外の展示会場の調査を踏まえた質問をさせていただきました。経済の活性化につながるMICEについて議論をし、特に集客効果による経済波及効果の高い展示会ビジネスについて取り上げました。当時の議論で、東京オリパラ二〇二〇開催時に、日本の展示会場が不足するという事情から、愛知県は、名古屋市の展示場整備を待たず、常滑市空港島にアイチ・スカイ・エキスポを二〇一九年に設置することとなりましたが、建設が進む間、県は、平成二十七年(二〇一五年)四月には、愛知・名古屋MICE推進協議会を設置して、愛知・名古屋のMICE誘致に努めてこられ、満を持して開業した愛知県国際展示場でしたが、長引く新型コロナウイルス感染症により、国内の実績のある展示会場でも多くの催事が中止や延期、またオンラインの活用による開催形態が変更になったと同様に、とても苦労されたと思います。  しかし、そうした状況でも、この二年間、関係者の努力により、私も出かけさせていただきましたけれども、第五十七回・五十八回技能五輪全国大会、第三十九回・四十回全国アビリンピック、名古屋ものづくりワールド二〇二〇、第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会をはじめ、四月に開催された第一回名古屋モーターサイクルショーでは、目標の三万人を大きく上回る三万六千百八十八人の来場者であったと報道もされました。また、つい先日は、第十七回食育推進全国大会inあいちが、NHKの人気番組、チコちゃんをアンバサダーに迎えて、リベンジの開催として盛会にできたことを承知しております。こうしたことは理解をしておりますけれども、コロナ禍におけるアイチ・スカイ・エキスポの利用状況がどうであったか、まずお伺いをいたします。  私は、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポが、東京のビッグサイトや千葉の幕張メッセと並び称される、真に日本を代表する展示会場になり得ると確信しています。そうした意味で、運営の収支の目安となる稼働率を見るのみではなく、愛知県の成長戦略の一事業として、大きな経済波及効果を発揮してほしいものだと考えます。  現在、最大六万平米を誇る屋内展示場の催事以外に、屋外の催事として、大勢の人が熱くなるライブなどのイベントにも、迷うことなく積極的に呼び込む必要があると考えますし、利用実績を上げるため、施設をフル活用する意味では、私が以前調査をしました、国内でMICE誘致に熱心な大阪や横浜、福岡などの都市では、特に大学との連携で様々な全国会議、あるいは国際会議も視野に入れて、積極的な誘致をしていると聞きました。MICEの誘致は、会議、イベント、展示会などを目的に、国内外から来場者を確実に呼び込むことができ、かつ実際に来ていただくことで、本県の魅力を発信する機会という意味で非常に有効です。  私は三月に藤田医科大学病院で建物の内部を御案内いただき、校内に備えた医療ツーリズム向けの宿泊施設や国際会議を行う施設等の存在を知りました。先日、アジアを中心とした大学の学長らが集まる国際会議アジア大学サミット二〇二二が開催され、国内外から多くの人が参加したと報道を目にしました。  愛知県内の大学は、それぞれの得意分野での研究成果を上げたり、対外的に発表の場を模索されていると思います。アイチ・スカイ・エキスポは、展示会やイベントが開催される展示ホールのほかにも会議室を備えており、国際会議など規模に適した会場を持ち合わせていない大学に対して、国際会議や学術集会などに利用していただくことで、参加者に愛知の魅力やアイチ・スカイ・エキスポの利便性などをPRすることができ、ひいては展示会の開催につなげることができると考えます。  そこでお伺いをします。  今後、アイチ・スカイ・エキスポにおける国際会議や学術集会の誘致にどのように取り組まれるか、お伺いをいたします。  さて、昨日の新型コロナウイルス新規陽性者の数は二百七十五名。月曜日ですので数字は低いものかもしれません。感染者数が昨年末ほどまだ減少しているわけではありませんが、最近の新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて、徐々に行動制限が緩和され、ここへ来て我が国での外国人観光客の受入れも始まりつつあります。  また、コロナ禍で大変苦労をした国内の催事主催者も、中止や延期となった催事を再開しており、多くの来場者でにぎわい、活気を取り戻しつつあると思いますが、先月、大村知事はフランス・パリを訪れ、アイチ・スカイ・エキスポの運営事業者の代表企業であるGLイベンツが主催するヨーロッパ最大規模の総合的な産業展示会、グローバルインダストリーを視察されたと聞いております。  愛知県がアイチ・スカイ・エキスポの指定管理者に選定した愛知国際会議展示場株式会社は、多くの国際的な催事に関わり、海外との多くのコネクションを持っているGLイベンツが加わっていると聞き、これまでも期待をしたところでありますけれども、コロナが明けた後は、GLイベンツの展示会開催のノウハウの活用により多くの海外からの催事を誘致されること、また、国内催事主催者への支援により国内の催事をしっかり誘致することが重要であると考えます。  そこでお伺いします。  今後、アイチ・スカイ・エキスポの利用促進について、どのように取り組んでいかれるか、お伺いをいたします。  次に、STATION Aiについてお伺いいたします。  私は、令和二年二月定例会で、北米とカナダで調査をしましたスタートアップに関連して、Aichi─Startup戦略について、自動車関連産業をはじめ、モノづくり技術が集積する本県ならではのスタートアップ・エコシステムの構築を期待し、当初計画で二〇二二年──今年です──十一月に供用開始を目指していたSTATION Aiについて質問をいたしました。  本来なら、この冬に動き出して、単なる起業の支援拠点、貸し事務所ではなく、産学行政連携による共同研究を行い、知の拠点あいちや県内の大学との連携を進めるところでしたが、御承知のとおりの諸事情でSTATION Aiの開設は二〇二四年に延期となったものの、その結果として、当初よりも精度の高い完成されたスタートアップ支援拠点になるものと期待をして、今回質問をしてまいります。  愛知県が二〇一三年に進めた愛知・名古屋の成長戦略基礎調査の報告書では、グローバル化や人口減少社会など社会経済トレンドについて分析がされ、そのトレンドの影響と課題を踏まえた七つの成長戦略の方向性が示されています。  さらに、そうした調査を踏まえて、県は、二〇一八年十月、Aichi─Startup戦略を策定、本県独自のスタートアップ・エコシステム構築に向けて、スタートアップ推進施策を強力に進めてきました。二〇二〇年七月には、国から、愛知県を中心とするこの地域をスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市と認定したと承知しております。  成長戦略基礎調査の七つの成長戦略の方向性の一つには、知的価値を生み出し、世界で活躍する高度人材・グローバル人材を育成・獲得すると記述がありますが、国においても、岸田総理が今年の年頭に、新しい資本主義の実現に向けて、本年をスタートアップ創出元年と、打ち出したところで、今月閣議決定されました、いわゆる骨太の方針では、新しい資本主義に向けた改革の重点分野として、スタートアップ、新規創業への投資が掲げられ、同じく閣議決定された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画には、内外の大学誘致を含め、スタートアップが集積するグローバル・スタートアップ・キャンパスづくりを推進するとあるように、大学との連携は不可欠です。  そうした状況において、愛知県は国に先んじて、名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学などとスタートアップ・エコシステム形成に関する協定書を締結、連携を進めていると聞いております。その協定にあるように、創業者やスタートアップの創出、支援、育成の分野において互いに協力することで、イノベーションを起こし、この地域へ新しい産業、サービスの創出や、持続的な経済産業の成長、ソサエティー五・〇時代にふさわしい人材の育成に寄与することを目指しておりますが、地元大学の雄である名古屋大学では、副総長の佐宗教授を本部長とするスタートアップ推進室を有する学術研究・産学官連携推進本部を設置し、大学を挙げてスタートアップ支援に取り組んでおられますし、このほかにも、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学も含め、東海地区の主立った大学で構成するトンガリプロジェクト──ローマ字でT、o、n、g、a、l、iと書きますけれども──トンガリプロジェクトにおいて、特色あるアントレプレナー教育、起業支援が行われているところです。  また、同じく協定書を締結した、私の地元日進市にキャンパスがある名古屋商科大学を経営する学校法人栗本学園では、かねてより、次世代で活躍できる国際感覚を備えたリーダーの育成と独創性の高い教育環境を実現するために、全寮制の多文化共生型インターナショナル・ボーディングスクール、いわゆる全寮制国際高等学校を今年九月に開校するという準備を進められております。  同学園の栗本学長と面談した際に、イノベーションを起こす人材育成に当たり、地域の企業や自治体が海外から高度な知識や技術を持つ人材を獲得しようとする場合に、帯同する子女の教育環境が整っておらず、着任を断られることがあったとお話ししておられました。そうした状況を変えられる、英語による全寮制高等学校教育に対応できる学校として、既に校舎、国際寮が完成しておりまして、私も、大村知事や坂田前議長と共に、四月の下旬の竣工式に出席、内覧もさせていただきました。協定書にある、スタートアップを世界から誘致するための取組を推進し、誘致したスタートアップの外国人を含む子女等の教育の場の提供に協力と、そのものを具現化したものとして、私も大変期待をしているところでございます。  このように、名古屋商科大学をはじめ、各大学でも様々な取組が進められております。スタートアップを創出、育成するためのアイデアを得るためにも、今後さらなる大学との連携強化が必要と思われます。  そこでお伺いをいたします。  これまでのこの地域における大学との連携において、どのような取組を進め、どのような成果があったか、お伺いをいたします。  さきに触れた新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画には、ベンチャーキャピタルの育成、海外からの呼び込みなど、スタートアップの資金調達環境の整備についても掲げられておりますが、スタートアップに限らず、新規事業を始めるには多額の資金が必要であり、幾らすばらしいアイデアを思いついても、事業活動資金の不足が原因で成功となるまでチャレンジが継続できないといったことがあることから、スタートアップの資金調達に対する支援は大変重要であり、本県においては、制度融資や新あいち創造研究開発補助金など、様々な資金調達支援施策に取り組まれております。  本議会においては、ステーションAiセントラルジャパン一号ファンドに対する県の出資について予算議案が提出されているところであります。このファンドは、STATION Aiの整備、運営を担うSTATION Ai株式会社が、今年度からプレ・ステーションAiの運営を開始したことに伴い、ソフトバンクのグループ会社である株式会社ディープコアとソフトバンク株式会社と共同で設立したものであり、このファンドに対し県の出資し、県の資金調達支援施策の充実を図っていくとのことであります。  また、スタートアップのみならず、既存の中小企業による異業種進出や後継者不足の解決にもつながるM&Aや第二創業等に対する資金調達支援も大きなポイントだと考えます。
     そこでお伺いをいたします。  事業活動資金が不足しがちなスタートアップに対し、どのような考えで資金的支援に取り組まれるのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。  STATION Ai、二〇二四年の開業に向けて、県は、海外のスタートアップ・エコシステム先進地として連携を積極的に進めており、先般、知事はフランス、イスラエルを訪問したところで、中でも、STATION Aiのモデルとなっているフランスにあるスタートアップ支援拠点、ステーションFへの訪問は今回で三回目であろうかと思います。  ステーションFでは、フランスのパリ市にあるもともとは貨物駅であったところを、IT実業家が、私費で、私財をもって、約二億五千万ユーロ、日本円にして約三百三十億円かけて再整備をし、二〇一七年に開業した、現在、約千社のスタートアップが入居する世界最大級のスタートアップ支援拠点で、また、マイクロソフトやロレアルなど、世界的な企業による支援プログラムも、実施されていると聞きます。  イスラエルは二十社以上のユニコーンを輩出している、世界的にも先進的なスタートアップ・エコシステムの中心地の一つであり、今回の渡航で、スタートアップ支援に関する五か国目の連携先として、政府機関であるイノベーション庁と合意書、民間支援機関であるスタートアップ・ネーション・セントラルと覚書を締結されたとのことで、STATION Aiが日本のスタートアップ中核支援拠点となるためには、世界最先端のノウハウを吸収することはとても意義があり、こうした連携に大いに期待するところであります。  そこでお伺いをいたします。  STATION Aiの開業に向けて、モデルとしているステーションFやイスラエルの連携機関の知見をどのように生かしていくのか、お伺いをします。  また、県は今後も新たな海外機関との連携についても模索されていると思いますけれども、今、世界から注目される国として、以前私の一般質問でも取り上げましたけれども、インドが大変有望だと考えます。インドはモディ政権が二〇一六年から実施したスタートアップ・インディア政策の結果、世界第三位のユニコーン企業数を誇るなど、今世界が注目している代表的なスタートアップ大国となっております。  愛知県は、二〇一六年にインドのニューデリーにインド愛知デスクを設置し、愛知県企業のインドの進出に伴う課題や進出後の事業活動、労務、税務等に関する相談を受け付けておりますが、インドのスタートアップと県内企業とのイノベーション創出を図るため、さらに積極的な関係を構築することが重要だと考えます。  そこでお伺いをいたします。  スタートアップに関する新たな海外連携先として、成長著しいインドも視野に入れるべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。  以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 43: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) アイチ・スカイ・エキスポについてのお尋ねのうち、初めに、コロナ禍における利用状況についてお答えします。  アイチ・スカイ・エキスポは、二〇一九年八月の開業以降、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、二度にわたり臨時閉館となり、施設を再開した後も国や県の措置に従った人数制限を行うなど、催事開催に当たっては難しい状況が続いてまいりました。  このため、本県では、感染防止対策を実施して開催される音楽コンサートに対する会場利用料相当額の補助や、感染防止対策を施した飲食エリアを提供することなどにより、コロナ禍での催事開催を支援してまいりました。  こうした中、新たに、広い会場を必要とする資格試験などの需要の取り込みを行うことができたほか、昨年度は、アジア最大級の食品工業展、フーマジャパン、ロボットに関する国際的なイベント、ワールドロボットサミットやロボカップアジアパシフィックなどの大規模な催事が開催されました。  今年度は、この地域で初めてとなる名古屋モーターサイクルショーが四月に開催され、今後もロボットテクノロジージャパンなどの開催が予定されているところであります。  次に、国際会議や学術集会の誘致に向けた取組についてお答えします。国際会議や学術集会は、本県の魅力をPRすることができるだけでなく、展示会が併催されることなどにより、展示ホールの利用にもつながることから、アイチ・スカイ・エキスポの利用促進にとっても大変重要であると認識しているところであります。  本県では、アイチ・スカイ・エキスポの運営事業者である愛知国際会議展示場株式会社と連携するとともに、名古屋市などと設置している愛知・名古屋MICE推進協議会の活動を通じて、アイチ・スカイ・エキスポへの国際会議や学術集会などの誘致を行っております。  こうした中で、二〇二四年四月には、アイチ・スカイ・エキスポにおいて、一般社団法人日本外科学会第百二十四回定期学術集会の開催が予定されております。  今後、この学術集会への開催支援などを通じて、開催地としてのアイチ・スカイ・エキスポの評価を得ることにより、様々な国際会議や学術集会の誘致につなげてまいりたいと考えております。  次に、アイチ・スカイ・エキスポの今後の利用促進に向けた取組についてお答えします。  本県では、昨年度まで、県が主催に関与する催事を対象としてきた利用促進補助金について、今年度から商談を目的としたBtoBの展示会や大規模催事などの民間催事にも対象を拡大いたしました。また、大規模催事の主催者への支援として、シャトルバスの運行に対する補助も実施し、主催者の負担軽減を図っているところであります。今後も、このような取組を通じて、利用促進につなげてまいります。  こうした中、先月の知事のフランス渡航の際には、二〇一九年六月に本県と締結した覚書に基づき、グローバルインダストリーの主催者であるGLイベンツが二〇二四年三月にアイチ・スカイ・エキスポで開催を予定しているグローバルインダストリー日本版である国際産業展、スマートマニュファクチュアリングサミット・バイ・グローバルインダストリーの概要を発表しました。  本県としては、本展示会の成功に向けて開催支援を行うとともに、今後もGLイベンツの展示会開催のノウハウや海外のネットワークを活用することなどにより、国際的な催事誘致に努めてまいります。 44: ◯経済産業局長(矢野剛史君) スタートアップの支援についてのお尋ねのうち、初めに、この地域における大学との連携を通じたこれまでの取組と成果についてお答えをいたします。  地域の中核大学である名古屋大学とは、国のスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市において、名古屋市、一般社団法人中部経済連合会と共にコンソーシアムを構成し、当地域の有望なスタートアップの創出に取り組んでおります。  また、県がシンガポール国立大学との連携事業として実施をしている同大学の起業家養成プログラム、NUSサマープログラム・イン・アントレプレナーシップへの学生派遣においても、名古屋大学をはじめとする当地域の学生が参加をしております。  このほかにも、名古屋商科大学大学院とは、二〇二〇年度より、フランスにある世界最大級のビジネススクールであるインシアードと本県の事業会社を対象としたオープンイノベーションに関する研修プログラムを共同で実施しております。ビジネススクールを擁するという強みを生かし、同大学院には、参加事業会社に個別にアドバイスを行うメンタリングを担当していただくとともに、プログラムの成果報告会の会場として校舎をお借りするなどの協力をいただいております。  スタートアップのシーズを生み出す大学との連携はエコシステムの核となるものであり、今後も引き続き、大学と連携を深め、STATION Aiで羽ばたくスタートアップの礎を築き、有望なスタートアップの創出、育成に取り組んでまいります。  次に、スタートアップに対する資金調達支援についてお答えをいたします。  今までにない新たなアイデアやビジネスモデルにより起業するスタートアップにとって、商品、サービスの開発期である事業化の初期段階では、多様な資金の確保が大きな課題であります。  そこで、本県では、二〇一八年にAichi─Startup戦略を策定して以降、補助金、融資、出資の三つのメニューで、スタートアップに対する資金調達支援の拡充を図ってまいりました。  補助金については、商品・サービス開発を対象とするもの、研究開発、実証実験を対象とするもの、起業や第二創業資金を対象とするものの三つの補助金を設けております。  次に、融資につきましては、県制度融資において、県のスタートアップ支援に関するプログラムに参加したスタートアップに対しまして、金利を優遇する制度を用意しております。  さらに、出資については、昨年度から新たにあいちパートナーVC(ベンチャーキャピタル)制度を立ち上げ、首都圏のベンチャーキャピタルを誘引し、当地域のスタートアップに対する投資機会の拡大を図ったところであります。  加えて、このたび、STATION Aiの運営を担うSTATION Ai株式会社が、ステーションAiセントラルジャパン一号ファンドを創設いたしました。当地域の資金調達環境を充実するため、これに県も出資することとし、本議会に予算案を提出させていただいております。このファンドでは、国内外のスタートアップに対して広く投資するとともに、世界最高品質のSTATION Aiの支援プログラムを提供し、スタートアップの成長を強力に後押ししてまいります。  今後も引き続き、スタートアップの資金ニーズにきめ細かく対応し、充実した資金調達支援体制を構築してまいります。  続いて、ステーションFやイスラエルの連携機関の知見の活用についてお答えをいたします。  ステーションFは、世界最大級のスタートアップ支援拠点であり、ハイレベルな支援プログラムやパートナー企業とのネットワーク構築のノウハウを有しており、昨年度からこうした知見を有するアドバイザリープログラムを実施しております。具体的には、ステーションFで集積している入居スタートアップ同士で支援し合うギルドのシステムや、スタートアップ支援の基本プログラムであるファウンダーズプログラムなどの情報共有を行いました。これらの知見は、既にプレ・ステーションAi運営にも活用しているところであります。  また、イスラエルに関しましては、本年五月の知事渡航時に締結をしました覚書の内容を踏まえた連携事業を今年度より開始いたします。具体的には、今回覚書を締結したスタートアップ支援機関であるスタートアップ・ネーション・セントラルは、イスラエルのスタートアップが開発したテクノロジーの海外市場展開に関するノウハウや実績を有していることから、イスラエルのスタートアップと県内企業とのマッチングを通じたオープンイノベーションを促進する事業を実施いたします。  今後もSTATION Aiの開設に向けて、海外の各連携機関の強みを生かしたスタートアップ支援策の充実に努めてまいります。  最後に、インドとの連携についてお答えをいたします。  インドにつきましては、二〇一六年よりモディ首相が進めているスタートアップ・インディア政策の下、スタートアップ振興に力を入れております。これまでに四万社以上のスタートアップが創出され、最新の調査では、企業価値が十億ドルを超える、いわゆるユニコーン企業が、アメリカ、中国に次ぐ世界第三位となるなど、世界有数のスタートアップ大国として成長しており、本県の連携先として大いに期待できる国であると認識をしております。  県では、インドを含む先進地域の海外スタートアップと県内企業との連携を促進するため、二〇二〇年度に名古屋市などと共同であいち・なごやスタートアップ海外連携促進コンソーシアムを設立しており、これまでに実施したビジネスマッチングでは、海外から参加した五十三社のうち四社がインドのスタートアップでありました。  また、二〇二一年度からは、世界規模で活動しているベンチャーキャピタルであるファイブハンドレッドグローバルの支援の下、海外スタートアップを対象とした日本市場展開に向けた研修や県内企業とのマッチング事業を実施しており、昨年度は百二十九社の応募から選定をしました参加十九社のうち七社がインドのスタートアップであり、既にインドのスタートアップと県内企業との協業に向けた取組を進めているところであります。  本県といたしましては、二〇二四年のSTATION Aiの開業に向け、今後もさらにインドを含めた世界の最先端のスタートアップと県内企業との協業を促進することが重要であると考えており、引き続き、様々な国、地域との連携を拡充、強化していくよう取り組んでまいります。 45: ◯知事大村秀章君) 近藤裕人議員の質問のうち、スタートアップの支援について私からもお答えをいたします。  Aichi─Startup戦略を策定して以降、様々な支援施策を拡充してきておりますが、二〇二四年十月のSTATION Aiのオープンに向けて、その取組をさらに加速していく必要があるものと考えており、こうした中で、先月末には、STATION Aiのオープンに先駆けて、ステーションAiセントラルジャパン一号ファンドを設立いたしました。当地域のファンドとして、県と名古屋市も出資をし、プレ・ステーションAiの段階から投資環境の充実を図ることで、この地域に国内外の優秀なスタートアップを誘引してまいります。  さらに、海外のスタートアップ支援機関との連携については、先般の渡航で新たに五か国目となる連携先としてイスラエルを加えることができました。イスラエル政府機関であるイノベーション庁とは合意書、アグリーメントを結び、民間の支援機関であるスタートアップ・ネーション・セントラルとは覚書を締結し、今年度から県内企業とイスラエルのスタートアップとの幅広い分野でのマッチングに取り組んでまいります。  また、フランスではステーションFをはじめとするスタートアップ支援機関を訪問し、中でもステーションFとは、二〇二四年のSTATION Aiの開業に向けて、強固なアライアンスを組んで連携していくことを確認いたしました。  引き続き、ステーションFが重視する予期せぬ出会いづくり、意図的なセレンディピティ──英語でいうとセレンディピティという言葉がキーワードなんですけれども──をはじめとして、STATION Aiがスタートアップにとってより魅力ある拠点として開業できるよう、知見の共有を進めてまいります。  県といたしましては、今後も、海外との連携をさらに強化することで、世界の有力なスタートアップを誘引し、当地域に世界有数のスタートアップコミュニティーをつくり上げ、グローバルイノベーション都市の実現を目指してまいります。 46: ◯六十一番(近藤裕人君) それぞれ御答弁いただきました。再発言させていただきます。  まず、一番最初に申し上げておきたいのは少子化の問題でありまして、質問とは関係ないっちゃないんですが、やっぱりこの問題についてはしっかりと取り組んでいかなければならないということを改めて思います。  先ほど、愛知県の推移が後ろ倒しになったということを申し上げました。そういう質問もさせていただいた、答弁でもこうだというふうに聞いていましたけれども、まず、出生率が上がっていく前提で、しかも、海外からの流入があるよと、そういうことで人口推計が伸びるんだというような答弁だったと記憶しております。今、二〇一八年で一・五四ですけれども、これを本当にどんどん上げていかないと人口は減るばかりでありますので、当局、全庁を挙げてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  それから、国際展示場ですけれども、本当にコロナの大変な中で、稼働率が今堅調に来ているということが本当にすばらしい、関係者の皆さんに感謝申し上げたいと思いますし、いわゆる財政支援のほうも補助金とかといったことで賄っていただけたんだと思うんですけれども、いつまでもそういう状況ではやはり困るということだと思いますので、独り立ちできる展示場になるべく、もちろんハード対策で外からのものを固めていただくということは大切なのでしっかりやっていただきたいわけですが、あらゆる知恵を出していただいてこのものが成功裏に進むことを切にお願いを申し上げます。  特に、国際空港にあるわけですので、このメリットは関税がかからないよとか、たしかそういったことがあったかと思います。それはもちろん生かす、最大限に使わないといけないんですが、逆に言うと、名古屋駅とかから少し遠いので、その部分でのデメリットと言ってはなんですけれども、カバーできるような魅力のあるものにできればなということをお願いしておきたいと思います。  それから、スタートアップですけれども、知事からも御答弁いただいて、いわゆるファンドにも出資をするんだと。やっぱりお金がないことには幾らアイデアがあっても若者、頑張れません。そういった意味では、安心できる材料が一つできたのかなと思いますけれども、我々とすれば、スタートアップ、一番心配なのは、せっかく税金を投入して、いろんな人がにぎやかにやっていただいて企業ができましたと、だけれども、愛知県に税金が落ちるかどうかが一番ポイントだというふうに誰もが思っていると思います。恐らく、ファンドでもって縛れるのかなという気もしますけれども、いずれにしても、今、知事が最後に予期せぬセレンディピティですか、そういう言葉もよく分かります。やっぱりいろんなところで話していると、俺はこう思うんだ、私はこう思うのよと、こういったことで新しい発想がどんどん生まれて、まさにイノベーションが生まれると思うんですけれども、だからといって、そのものがどこかから引っ張り取られたり、我々、カナダへ行ったときに、グーグルだとかが、おいしそうな、おいしそうなというのはうまみがありそうなスタートアップがいると、ぱくっと自分のところへ持っていっちゃうと、そんなようなことも聞いています。  そういった意味では、最初に、イーロン・マスク氏の話をさせてもらいましたけれども、彼はトヨタ自動車さんと連携をしておって、ITとは関係ないわけですから、GAFAの仲間には並び称されないと思うんですけれども、実業である自動車を作っておられて、今、宇宙にも着目しておられるイーロン・マスク氏あたりが、我々のSTATION Aiに参画してくれるような、そんなことになるととても夢があるなと、そういうふうに思いますし、STATION Aiができる鶴舞がすごい、いわゆる、比べ方がおかしいかもしれませんけれども、アメ横あるいは秋葉原のようなにぎわいのある若者、活気があふれる、そんなまちでスタートアップの一大拠点となっていただくことを期待申し上げて、質問を終わります。 47: ◯副議長佐藤一志君) 以上で質問を終結いたします。        ───────────── 48: ◯四十番(南部文宏君) ただいま議題となっております議案は、審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 49: ◯副議長佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 50: ◯副議長佐藤一志君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれの所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。  なお、議案付託表は議席に配付いたしました。        ─────────────      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 51: ◯四十一番(山田たかお君) 本日はこれをもって散会し、明六月二十二日から七月三日までは委員会開会等のため休会とし、七月四日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 52: ◯副議長佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 53: ◯副議長佐藤一志君) 御異議なしと認めます。  明六月二十二日から七月三日までは委員会開会等のため休会とし、七月四日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後三時五十五分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...