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  1. 愛知県議会 2022-06-01
    令和4年6月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和4年6月定例会(第3号) 本文 2022-06-20 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 63 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 2 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 3 :  ◯二十七番(鈴木雅博君) 選択 4 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 5 :  ◯観光コンベンション局長武田光弘君) 選択 6 :  ◯農林基盤局長長田敦司君) 選択 7 :  ◯経済産業局長矢野剛史君) 選択 8 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 9 :  ◯二十七番(鈴木雅博君) 選択 10 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 11 :  ◯二番(廣田勉君) 選択 12 :  ◯都市・交通局長(森哲也君) 選択 13 :  ◯総務局長(江口幸雄君) 選択 14 :  ◯会計管理者会計局長(岡田守人君) 選択 15 :  ◯二番(廣田勉君) 選択 16 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 17 :  ◯七番(日高章君) 選択 18 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 19 :  ◯労働局長日高啓視君) 選択 20 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 21 :  ◯七番(日高章君) 選択 22 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 23 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 24 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 25 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 26 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 27 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 28 :  ◯環境局長(水野達也君) 選択 29 :  ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 30 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 31 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 32 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 33 :  ◯七十二番(森井元志君) 選択 34 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 35 :  ◯経済産業局長矢野剛史君) 選択 36 :  ◯会計管理者会計局長(岡田守人君) 選択 37 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 38 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 39 :  ◯四十七番(中根義高君) 選択 40 :  ◯企業庁長(中川喜仁君) 選択 41 :  ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 42 :  ◯農業水産局長(矢野浩二君) 選択 43 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 44 :  ◯四十七番(中根義高君) 選択 45 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 46 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 47 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 48 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 49 :  ◯二十番(朝倉浩一君) 選択 50 :  ◯警察本部長(國枝治男君) 選択 51 :  ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 52 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 53 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 54 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 55 :  ◯二十番(朝倉浩一君) 選択 56 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 57 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 58 :  ◯環境局長(水野達也君) 選択 59 :  ◯農業水産局長(矢野浩二君) 選択 60 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 61 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 62 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 63 :  ◯議長(須崎かん君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長(須崎かん君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第九十五号議案令和四年度愛       知県一般会計補正予算から第百十七号議案人事       委員会の委員の選任についてまで、第百十九号       議案令和四年度愛知県一般会計補正予算及び諮       問第一号退職手当支給制限処分に係る審査請求       に関する諮問について 2: ◯議長(須崎かん君) 第九十五号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算から第百十七号議案人事委員会の委員の選任についてまで、第百十九号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算及び諮問第一号退職手当支給制限処分に係る審査請求に関する諮問についてを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  鈴木雅博議員。     〔二十七番鈴木雅博君登壇〕(拍手) 3: ◯二十七番(鈴木雅博君) おはようございます。豊田市選出の鈴木雅博です。通告に従い、三点お伺いさせていただきます。  一点目、コロナ禍、物価高騰に対応した子ども食堂への支援についてお伺いいたします。  愛知県では、全ての子供たちの輝く未来の実現に向けて、二〇一九年に子どもが輝く未来基金を設置し、全ての子供たちが、生まれ育った環境に左右されることなく、夢と希望を持って未来にチャレンジできるように、児童養護施設など入所児童の支援や子ども食堂の支援などを行ってまいりました。  児童養護施設入所児童などの自立支援では、経済的な理由などにより大学への進学を諦めてしまわないように、大学生入学準備金、大学受験費用給付金、退所費給付金を支給し、二〇二〇年度は七十九名の児童の自立支援に活用され、本制度の利用者からは、受験に関する様々な費用を賄うことができ大学に行くことができた、この制度のおかげで無事に引っ越しをすることができたなど、喜びの声が寄せられております。  子ども食堂への支援では、子供たちが地域の人たちと一緒に食事をすることで、子供の孤立を防止し、子供の健やかな成長を促すため、子ども食堂開設費、学習推進事業費、子ども食堂感染対策事業費を助成し、二〇二〇年度は五十七の個人、団体が支援を受け、本制度の利用者からは、食器の購入により、子供たち自ら配膳を手伝ってくれています、絵本などの購入により、夢中になって読んでいる子もたくさんいます、親子でも楽しく読んでいますなど、感謝の声が寄せられています。
     無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する子ども食堂は、二〇一二年に東京都大田区で民間の自主的かつ自発的に取組が始まり、本県では二〇一七年に五十六か所でありましたが、県の支援もあり、二〇二二年五月一日時点では約五倍の二百九十三か所に拡大しております。  そして、これらの子ども食堂は、開催頻度や内容、対象も子供に限らず、その他の地域住民を含めるなど、その形態は多様であり、子供からお年寄りまで多くの世代が交流する地域交流の拠点、多世代交流の拠点として重要な役割を果たしております。  このように、子ども食堂が子供専用の食堂ではなく、また、集まって一緒に食事をして帰るだけでなく、食事を介した交流を通して、地域交流の拠点、多世代交流の拠点として新しい価値と役割を広げ、継続、発展しつつある中、新型コロナウイルス感染症の長期化は子ども食堂の運営にも大きな影響を及ぼしております。  私は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している中での子ども食堂の現状を知るため、豊田市内の子ども食堂運営者を対象にアンケート調査を実施いたしました。この場をお借りして、アンケート調査に御協力いただいた皆様に心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。  アンケート調査からは、新型コロナウイルスの感染拡大による人数制限や一時休止、開催日数の減少などによって四二%の子ども食堂で利用者が減ったとの回答があった一方で、ほぼ同数の四七%の子ども食堂では利用者の変化はなく、一一%の子ども食堂では利用者が増えたとの回答があり、食材、弁当の配布やパントリー形式への変更など、運営者側の工夫による成果と同時に、新型コロナウイルスの感染拡大の中でも子ども食堂に対する利用者のニーズが高いことが分かりました。  そして、四二%の子ども食堂で利用者が減少しましたが、開催経費については、六三%の子ども食堂では変化がなく、二一%の子ども食堂では開催経費が増え、開催経費が増えた理由として、感染防止対策のため、消毒液、マスクなどの衛生用品の購入から、密を避けるための道具、会場の追加にかける経費が挙げられております。このため、新型コロナウイルスの影響で利用者が減少または変化がないにもかかわらず、感染防止対策のため利用者一人当たりの開催経費が増え、子ども食堂運営者の財政的な負担が増加しております。  衛生用品などの購入費用を補助する子ども食堂感染症対策事業費補助金については、愛知県子ども食堂推進事業費補助金の交付を受けた運営者の一〇〇%が利用し、子ども食堂感染症対策事業費補助金の多くがマスク、消毒液などや使い捨て食器などの消耗品の購入に活用されております。  これらのことから、新型コロナウイルスの終息が見通せない中では引き続き感染防止対策の実施が求められ、感染防止対策のために必要となるマスク、消毒液などや使い捨ての食器などの消耗品の購入を今後も継続しなければならず、感染症対策の徹底を図りながら、安心・安全に子ども食堂を開催するために必要となる運営者の財政的負担は続くことになります。  さらに、アンケート調査から、多くの子ども食堂では、運営者がフードバンク、支援団体の拠点に行き、必要な食材の支援を受けていますが、受け取りのために使われる車のガソリン代の急激な高騰は支出の増加に直結し、また、必ずしも支援された食材などだけで食事を提供できない場合は運営者がスーパーなどで不足分を購入していることから、急激な物価の高騰が運営者に重くのしかかってきております。  このように、新型コロナウイルスの対策の上に、最近では物価高騰などの影響も重なり、子ども食堂の運営はさらに厳しい状況となっていることから、社会状況の変化に応じた子ども食堂への支援が重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、さらに物価高騰が続いている中、食事を介した交流を通して地域交流の拠点、多世代交流の拠点として新しい価値と役割を広げ、継続、発展しつつある子ども食堂への支援にどのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。  二点目、愛知の自然を活用した観光振興についてお伺いいたします。  本県は、製造品出荷額などが四十年以上全国一を誇るモノづくり県であるとともに、県域の北部から東部にかけては緑まぶしい山地が広がり、県土のおよそ四〇%が森林に包まれている上、南部は青く輝く伊勢湾、三河湾、遠州灘に面するなど、自然の表情もとても豊かであります。  また、季節ごとの彩りも豊かで、知多市佐布里池の梅、岩倉市五条川の桜、江南市や津島市の藤、茶臼山高原の芝桜、香嵐渓の紅葉、豊田市小原地区の四季桜など、それぞれに多くの人が訪れ、本県の重要な観光資源になっております。そして、いずれも県内外から多くの観光客が訪れる観光名所であると同時に、多くの地域住民に愛される貴重な森と緑でもあります。  しかしながら、梅も、桜も、藤も、紅葉も、植物であり生き物である以上、これら自然豊かな観光資源をどのように健全な状態で将来に引き継いでいくかが大きな課題となっております。  私の地元豊田市内の事例を幾つか挙げますと、全国屈指の紅葉の景勝地、香嵐渓の紅葉は、約四百年前に香積寺の三栄和尚による植樹が起源となり、その意思を受け継いだ住民が大正の終わりからボランティアで紅葉を持ち寄り植樹したものですが、樹勢の衰えなどの問題を抱えております。  最近の専門家による調査の結果、香嵐渓の抱えている課題は、紅葉の老朽化ではなく、高く大きく育った杉の成長による日照不足による紅葉の樹勢の衰えにあり、このため、紅葉する面積が半減しております。香嵐渓の再生には、紅葉を傷つけず、専門の職人による杉の伐採と搬出をしなければなりませんが、杉一本を切るだけで百万円かかり、調査では二十本の杉はすぐに取りかかる必要があるとのことです。  小原地区の四季桜は、豊田市小原北町の藤本玄碩という医師が、江戸時代後期、文政年間の初めに名古屋方面から苗を求めて植えたのが親木となり、地区においてその繁殖に力を入れてきたことから、地区の至るところで四季桜を見ることができるようになりましたが、老木化による花の減少が悩みであります。  藤岡地区のふじの回廊は、藤岡の花である藤をテーマにした散策路で、九尺藤、紫三尺、八重黒竜、シロバナ藤の四種類の藤が植栽されていますが、老木化による花房の短尺化が問題となっております。  豊田市内の事例を三件挙げさせていただきましたが、県内各地で同様の悩みがあると推察されます。いずれも早急に対策を打たなければならない課題ですが、観光資源である樹木や地域を一度に全て伐採したり整備するわけにはいかず、何年もかけて少しずつ樹木などの再生や植樹を図る必要があり、そのためには長期にわたる事業実施とその財源の確保などが課題となっており、もはや住民の力や熱意だけでは解決できない大きな問題となっております。  一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により三密を避けた観光が脚光を浴びており、海や山、離島などで楽しむトレッキングやグランピング、スタンドアップパドルボード、釣りなどを通じて自然に親しむ人々が増えてきているところであります。  国土交通省観光庁が取りまとめた令和三年版観光白書によれば、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前よりキャンプなどのアウトドア需要は高まっており、例えばオートキャンプ参加人数は、二〇一九年は八百六十万人で、二〇一三年の七百五十万人から約百万人増加しております。さらに、新型コロナウイルス感染症による旅行の変化として、三密の回避につながる自然の多い地域への訪問意向が高まっているとの調査結果があると記載されております。  具体的には、二〇二〇年五月に実施された、渡航や外出自粛が緩和された場合、どんな旅行にいつ頃行きたいかとの意識調査において、自然が多い地域への旅行にすぐ行きたいと回答した割合が一九・三%で、帰省にすぐ行きたいの一八・三%を上回っております。  こうした中で、本県の観光振興基本計画である、あいち観光戦略二〇二一─二〇二三では、目指すべき姿として、あいち「ツウ」リズムを推進し、独自の強みを発揮する観光県を掲げており、地域に根差した資源として、歴史、産業、文化と並んで、自然についても積極的に観光に取り入れ、誰でも、何度でも楽しめる奥深いツウな魅力として磨き上げていくこととしております。  また、自然に親しむ観光ニーズが高まる中、自然豊かな地域資源を持続可能で魅力ある観光資源として再生していくことも重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  本県の豊かな自然を活用して、どのように観光振興に取り組んでいるのか。また、これに関連して、私たちの身近にある森と緑の一つに香嵐渓の紅葉のような里山林がありますが、観光振興にもつながる里山林の再生に今後どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。  三点目、バランスの取れた再生可能エネルギーの拡大についてお伺いいたします。  本年三月二十二日に、東北・東京電力管内において、電力不足による大規模停電の可能性があるとして、初の電力需給ひっ迫警報が発令されたことは多くの人を驚かせました。  今回の電力不足は、原子力発電所の停止が続く中、三月十六日に福島県沖で発生した地震の影響で一部の火力発電所が停止していたことに加え、当日は天候が悪く、太陽光による発電量が大幅に少なくなるなど、予期せぬ事態が重なったことが原因とされています。幸いこのときは、住民、企業による様々な節電努力などによって、電力不足による大規模停電は回避されましたが、本県も電力不足の問題は他人事ではありません。  電力の安定需給に最低限必要な供給予備率は三%とされていますが、経済産業省が五月二十七日に公表した二〇二二年度の電力需給見通しと対策についてでは、今年七月の中部電力管内の予備率は三・一%と、二〇一七年度以降で最も厳しい見通しとされ、さらに、来年一月は一・三%、二月は二・八%と、安定供給に最低限必要な電力を確保できていない深刻な状況となっております。そして、今月七日、政府は七年ぶりに全国規模での節電要請を決定いたしました。  このような中、本県のエネルギー政策の中長期的な取組方向を示しているのが、本年三月に策定された二〇二二年度電力・エネルギー政策パッケージであります。  しかしながら、国際的な脱炭素化に向けた取組が加速し、持続可能な再生可能エネルギーが主力電源となっていくことが見込まれる中、本政策パッケージの柱の一つである供給面に盛り込んだ、再生可能エネルギーの導入拡大等による多様なエネルギーづくりについては、昨今の状況を鑑み、注意が必要であると考えます。  三月に発令された電力需給ひっ迫警報の例からも、電力の安定供給を維持しつつ、化石燃料への依存を減らし、脱炭素、カーボンニュートラルを実現するためには、ベース電源の確保と併せて、天候に左右されやすい再生可能エネルギーを、太陽光に偏り過ぎることなく、風力やバイオマスなど多様な再生可能エネルギーをバランスよく拡大させ、自然環境による発電量の変動を抑え、電力不足のリスクを低減させることが重要となるからであります。  本県の再生可能エネルギーの推進状況を固定価格買取制度(FIT)の認定状況から見ると、総発電容量は三千三百九メガワットと全国第二位となっておりますが、そのうち太陽光が二千八百五十五メガワットと大きく偏っており、このまま太陽光への過度な依存と急拡大が続けば、本県でも電力の安定供給ができなくなる可能性は十分にあると危惧しております。  このような中、太陽光以外の再生可能エネルギーで注目されているのが洋上風力であり、四方を海に囲まれた日本にとって、有望な再生可能エネルギーの一つと言われております。  国も、二〇一九年に洋上風力を後押しする、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律、いわゆる再エネ海域利用法を施行し、二〇二一年に閣議決定された第六次エネルギー基本計画においても、洋上風力が主力電源化を目指す再生可能エネルギーの切り札として明記されております。  そして、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公表している年平均風速を表示する風況図を見ると、本県沖にも洋上風力に適した風速七メーター以上の風が吹いています。しかしながら、洋上風力の事業化までには様々な手続があり、民間だけで洋上風力を導入できるものではありません。  再エネ海域利用法では、国が都道府県から、想定する区域について、自然的条件や事業者の活動状況、利害関係者の意向や調整状況などといった情報提供を受け、国が有望区域に指定すると、国や地方自治体、利害関係者で構成する法定協議会が設置され、法定協議会で促進区域が合意されれば、第三者委員会の開催などを経て、国が候補海域を促進区域に指定し、その後、国が事業者を公募で選び、最長三十年間、海域の占用を許可し、ようやく事業化されるといった、複雑で息の長い取組となります。  また、別の再生可能エネルギーにバイオマス発電があります。バイオマス発電は、再生可能な生物由来の資源を活用し、具体的には、未利用材や農業残渣、食品廃棄物、下水汚泥など様々な材料が活用されますが、安定的にこれらの資源を調達できれば、基本的には天候に左右されず発電できるため、電力供給の安定性に資するエネルギー源になるものと考えます。  このように、洋上風力やバイオマス発電など、太陽光に偏らないバランスの取れた多様な再生可能エネルギーを導入していくためには、本県の積極的な関与が重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  脱炭素、カーボンニュートラルの実現と電力供給の安定性の両立には、太陽光に偏らないバランスの取れた再生可能エネルギーの導入拡大を図っていくことが重要であります。現在、再生可能エネルギーの拡大に向け、県では、洋上風力やバイオマス発電など、再生可能エネルギーの実現可能性について調査を行っていますが、調査の内容や今後の考え方について、県の御所見をお伺いいたします。  以上、三点についてお伺いさせていただきました。理事者各位の明確な答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯福祉局長橋本礼子君) 子ども食堂への支援についてお答えいたします。  子ども食堂は、食事の提供だけでなく、子供たちが安心して過ごすことのできる居場所としても大変重要であります。  本県では、子どもが輝く未来基金を活用して、子ども食堂を新規開設する際の施設改修費や備品購入費、感染症対策のための衛生用品購入費に助成するほか、新設、既設を問わず、全ての子ども食堂を対象として、学習用参考書や児童用図書の購入費に助成しております。  また、コロナ禍において感染の不安を抱える子ども食堂の運営者も多いことから、愛知県社会福祉協議会が運営する子どもの居場所応援プラザにおける感染防止対策に関する子ども食堂向けガイドラインの周知や子ども食堂運営者に対する講習会の開催を支援しております。  さらに、本年四月から、企業等から提供を受けた食材を一時的に保管し、近隣の子ども食堂に受け渡す機能を持つ地域拠点をあいち子ども食堂応援ステーションとして認定する制度をスタートさせており、六月二日現在で二十か所が認定されております。  今後もこうした取組を引き続き実施し、子ども食堂が円滑に運営できるよう支援してまいります。 5: ◯観光コンベンション局長武田光弘君) 本県の豊かな自然を活用した観光振興の取組についてお答えします。  本県は、歴史や産業、文化とともに、自然についても魅力ある地域資源を有しており、その磨き上げと情報発信が観光振興において重要であると考えております。  地域資源の磨き上げとしては、昨年度、歴史、産業及び自然の各分野に関心の高い旅行者に向け、ニーズに合わせて案内ができる質の高い観光ガイドの育成とガイドつき観光プログラムの造成を行ってまいりました。  情報発信については、県が旅行会社に半年ごとに配布している観光素材集において、自然を活用した様々な観光プログラムを紹介しております。  現行の素材集では、設楽町の段戸裏谷原生林において、地元ガイドによる森の成り立ちなどの解説を聞きながら歩く自然観察ツアーなどを掲載し、旅行会社に商品としての販売を働きかけているところでございます。  また、来月より、夏の観光需要の喚起を目的に、冷たいグルメや涼しい体験、肝を冷やすイベントなどを紹介するあいち冷やし旅キャンペーンを実施し、山や海、川など、自然の中で楽しむプログラムを紹介してまいります。  今後も、こうした取組を通じて、本県の魅力ある自然を活用した地域資源の磨き上げと効果的な情報発信を行うことにより、本県の観光振興に努めてまいります。 6: ◯農林基盤局長長田敦司君) 私からは、観光振興にもつながる里山林の再生についてお答えします。  地域の皆様の暮らしと密接に結びついている里山林の中には多くの観光客が訪れるところもありますので、観光資源として里山林を再生するための整備をしていくことは重要であると考えております。  こうした里山林の整備を支援する施策として、あいち森と緑づくり事業の一つに提案型里山林整備事業がございます。この事業では、地域の実情に応じて市町村が行う里山林の整備に助成をしており、本事業を開始した二〇〇九年度から二〇二一年度までの十三年間で、十七市町において四十八か所の里山林の整備を支援してまいりました。  例えば、多くの観光客が訪れる豊田市の鞍ケ池公園内では、二〇一一年度から二〇一二年度にかけて、この事業を活用した里山林の整備が行われており、その後は地元の活動団体により継続して里山林の保全活動が行われ、多くの方に親しまれております。  十年計画で実施しているあいち森と緑づくり事業については、今年度、中間評価に向けて、県民の皆様などを対象としたアンケート調査を行うとともに、市町村や関係者から御意見を伺うこととしておりますので、その結果も踏まえ、香嵐渓の紅葉のように観光振興にもつながる里山林の再生にしっかりと取り組んでまいります。 7: ◯経済産業局長矢野剛史君) 私からは、バランスの取れた再生可能エネルギーの拡大についてお答えをいたします。  カーボンニュートラルの実現に向けた動きを加速するためには、再生可能エネルギーの拡大を着実に図っていくことが不可欠であります。  このため、本県では、再生可能エネルギーの拡大に向けて、現在、専門の調査機関に委託し、普及の進む太陽光発電のみならず、風力、バイオマスや中小水力発電など、様々な再生可能エネルギーについて、国内外の動向を把握するとともに、本県の自然環境や社会経済面での課題整理を行っております。  あわせて、発電事業者やエネルギーの大口需要家である製造業事業者等へのアンケート調査も行いながら、本県における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルの把握などを進めているところです。  今後、これらの調査結果を踏まえ、発電施設の設置に伴う影響や効果などについてシミュレーションや試算を行い、本県における将来の実現可能性について検討を行うこととしております。  再生可能エネルギーには、導入時のコストや出力が安定しないなど、様々な課題がありますが、日本一のモノづくり県である本県にとって、カーボンニュートラルを推進していくことは大変重要であることから、引き続き視点を広く持って調査研究を進めてまいります。 8: ◯知事(大村秀章君) 鈴木雅博議員の質問のうち、子ども食堂への支援について、私からもお答えをいたします。  県内の子ども食堂の数は、鈴木議員も触れられましたように、本年五月現在で二百九十三か所と、この一年間で六十九か所の大幅増となっておりまして、コロナ禍にもかかわらず、こうした善意よる取組が広がっていることは大変喜ばしく、運営されている方々の御尽力に感謝をいたします。しかしながら、長引くコロナ禍や物価高騰は、子ども食堂の運営にも大きな影響を与えていると考えられます。  そこで、感染症対策に必要な消毒液、マスクなどの衛生用品や空気清浄機の購入費に対する助成の対象を、これまで新設ということにしておりましたが、新設だけでなく既設の子ども食堂にも拡大をいたしました。  さらに、子ども食堂へ食材を提供するフードバンク活動を行うNPOなどの団体を対象に、食材の購入費や運搬費を新たに助成することといたしました。  今後とも地域や多世代の交流の場として重要な役割を持つ子ども食堂が安心・安全に運営されるよう支援することにより、子供たちが健やかに成長できる環境づくりに引き続きしっかりと取り組んでまいります。 9: ◯二十七番(鈴木雅博君) 一点要望させていただきます。  大村知事より、新設の子ども食堂だけでなく既設の子ども食堂に対しても衛生用品などの購入費用を補助し、子供たちが安心して過ごせる居場所となるように支援を続けるとの力強い御答弁をいただき、心より感謝申し上げます。  先ほども申し上げたとおり、新型コロナウイルス対策の上に、最近では物価高騰の影響も重なり、子ども食堂の運営はさらに厳しい状況となっております。  お隣の岐阜県では、物価高騰などの影響から個人や企業などからの寄附が減り、食材などの備蓄が枯渇し、本県のフードバンクから食材を融通してもらい活動を継続している団体も出てきております。  ウクライナ情勢などの影響による食料不足、物価高騰の見通しがつかない中、本県の子ども食堂の多くがフードバンク、支援団体から必要な食材の支援を受け活動している状況を考えると、子ども食堂の運営者による食材の確保など、今以上に子ども食堂の運営が厳しくなると予想されます。  社会状況が大きく変わる中、一人でも多くの子供たちや地域の住民の皆さんの居場所を守るため、県としても子ども食堂の継続に知恵を絞る運営者の皆さんと連携、協力して、引き続き、この難局を乗り越えるべく、時局に応じた対策を共に考えていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 10: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  廣田勉議員。     〔二番廣田勉君登壇〕(拍手) 11: ◯二番(廣田勉君) 通告に従いまして、順次質問させていただきます。大きく三点伺います。  本県における公共交通政策について、二点伺います。  近年、地域公共交通を取り巻く環境はより一層厳しい状況にあります。中でも、地方における交通事業者は厳しい経営環境にあり、地域公共交通はますます衰退し、今後必要な公共交通サービスを受けることができない地域や住民が増加することが予想されるなど、まさに危機的な状況にあると言えます。  特にこの衰退の大きな要因とされるのが二〇〇〇年や二〇〇二年の規制緩和とされ、規制緩和後には地方交通事業者の多くが赤字にあえぎ、健全な事業活動が行えない状況に陥ることとなりました。赤字体質であった地域公共交通が、さらに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、令和二年度で、地域鉄道では九八%が赤字、一般乗合バス事業者百五十六社全社が赤字という甚大な被害を被ることとなりました。いわゆるエッセンシャルワーカーとして感染リスクを抱えながらも輸送の使命を果たすために日々懸命に頑張っておられるのにもかかわらず、極めて厳しい状況にあると言えます。  加えて、昨今の燃料費高騰によりさらなる経営困難に直面しており、また、新型コロナウイルスの蔓延から、国は新しい生活様式となるテレワークやローテーション勤務の推奨など働き方も変化しており、今や先端技術の利活用やワークスタイル等の多様化に向けた対応に取り組むことが求められており、まさに移動という概念が変わる変革の時期にあるといいます。このような状況だからこそ、改めて公の果たす役割についてしっかり検討することが大切であります。  そもそも公共交通については、世界的に見れば、先進諸国でも民間に任せている国は実は日本だけという現状にあります。ヨーロッパを含め諸外国では、いわゆる交通弱者を生まないため、また、自由な移動ができなくなることがないように、国民に移動を保障する権利、いわゆる移動権という概念が根づいております。そのため、公設民営という手法が取られ、現在では行政と民間の役割分担が明確に位置づけられております。地域公共交通そのものを公共が一定の財源負担を前提として担っていくべき公共サービスとして捉えられているため、インフラ整備や運営を含め、行政による助成措置が不可欠なものとなっている現状にあります。  対して、我が国の地域公共交通事業は、コロナ禍以前から約九割が赤字体質で、公共事業でありながら経営は民間に任せるという基本政策のため、各企業は独立採算せざるを得ず、やむなく自治体や国の補助金などの支援により何とか維持してきた経緯があります。  しかし、民間として事業の運営がますます厳しくなる今、公的主体の責任や役割をより明確にし、さらなる効果的な連携や支援の在り方について模索し、公共交通の維持、存続に向けて積極的に支援策を講じることが重要であります。  県民の大事な移動手段となり、足となる公共交通を維持し活性化するため、行政や事業者、住民が一体となって、例えば運営手法など、いわゆる官民連携の在り方や取組の充実を図ること、また、効率的で利便性の高い公共交通ネットワークの構築のためには、市町村単位だけでなく、いわゆる広域で取り組むこともまた大切と考えます。  このように、官民連携や広域連携を図り、積極的に公共交通を支えていく仕組みづくりや交通政策としての持続可能な制度設計をいま一度見直し、構築していくことが求められます。  そこでお尋ねいたします。  公共交通に対する公の果たす役割について、県はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。  次に、交通分野におけるデジタル化の取組について伺います。  最近では、交通分野へのICTなどの先進技術の展開が進んでおり、こうした先進技術を活用して利用者の利便性向上につなげる新たなモビリティーサービスを導入することや、市民の移動支援や運転士不足の改善などの課題の解決に役立つ自動運転技術を公共交通に取り入れていくことが重要であると言われております。  交通関連データのオープン化や活用が図られ、また、キャッシュレス時代の到来によってICカードも普及し、コロナ禍による新しい生活様式では、非接触や非対面を日常生活の取組として紹介されております。  また、全ての交通手段による移動を一つのサービスに統合し、ルート検索から支払いまで途切れずにつなぐ概念、いわゆるMaaSは人々の移動を根本から変えるサービスとして注目されております。  MaaSの推進には、既存の公共交通だけでなく、地域の多様なサービスとの連携と官民の連携が必要であり、公共交通にとって大きな変革になると言われます。本県でも、今年の秋開業するジブリパークなどにより多くの来訪者が想定される名古屋東部丘陵地域を対象として、社会実装に向けた取組を二〇二〇年度から行っている状況にあります。
     最近では、場所や乗り物などを個人間でシェアするシェアリングエコノミー、製品やサービスを一定期間ごとに一定の利用料で提供するサブスクリプション、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方が浸透するなど、ライフスタイルやワークスタイルが多様化していると言われます。  このように、利用者向けサービスの多様化が急速に進展する中で、特に中小企業の交通事業者においては、基礎的な交通関連情報のデータ整備も遅れていると言われます。例えば、地方の様々な地域においては、ICカードの取組が遅れている現状にもあり、いまだに現金のみの取扱いとなっている状況にあります。  仮に、交通分野でのデジタル化など、今後期待されるモビリティーサービス等が遅れ、交通産業が弱体化すれば、MaaSの推進どころか、持続的な経済成長の停滞にもつながり、そのことで県民生活に支障を来すおそれがあると思われます。  交通分野でのデジタル化を進め、さらには高度なサービスを普及させるためには、交通事業者や国、地方公共団体等が相互に連携しながら、技術の進化に対しても柔軟に対応することが極めて重要となります。  言うまでもなく、公共交通は社会インフラにおいて大きな役割を担っており、また、デジタル化の基盤となる交通関連データについても、社会の大事な共通の財産であるとも言えます。利用者の多様なニーズに、よりきめ細やかに対応した情報提供サービスの充実を図ることは、災害発生時においても大変有益なことでもあり、分野を横断したデータの利活用、さらには利用者の利便性向上をはじめとする公共の利益につなげるためには、交通関連データのオープン化や利活用の一層の促進を進める必要があります。  今後、MaaSやICカードの普及、交通関連データのオープン化など、交通分野のデジタル化に向け、迅速に実現するためには、交通事業者と行政が連携を密に図りながら、柔軟に、かつスピード感を持って新たな試みに挑戦する必要があります。  そこでお尋ねをいたします。  MaaSやICカードなど、交通分野におけるデジタル化について、県はどのように取り組まれるのか伺いたいと思います。  次に、本県における行政改革の取組について、二点伺います。  企業の競争が激しくなる昨今、自らのビジネスのプロセスを根本から見直し、大きな成果を導くBPRは、今、熱い注目を集めております。業務改革と訳されるBPR、いわゆるビジネス・プロセス・リエンジニアリングは、業務プロセスそのものを根本的に見直し、業務プロセス全体の最適化を図る取組と言われ、業務の無駄を省く業務改善とは異なり、組織改革などの抜本的な効果を得ることができると言われております。多くの民間企業や自治体でも、業務効率や生産性向上に向け、このBPRの手法を導入しており、大きな成果が報告されております。  一方、少子・高齢化、人口減少社会が進行し、税収の減少や施設及びインフラの老朽化に伴う維持管理等に係る費用が増大することが今後も予想されることから、全国の自治体でもさらなる行財政改革が求められると同時に、より厳格で適正な定員管理が必要になると言われております。  特に、高齢化がピークを迎える二〇四〇年頃の自治体の在り方を検討した総務省の自治体戦略二〇四〇構想研究会の提言の中では、人口減少により従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能が発揮できて、量的にも質的にも困難さを増す課題を突破できるような仕組みを構築する必要があると言われ、そのことで自治体に戸惑いと反発が広がっているともいいます。  そうなるかどうかは別として、人口減少がもたらす影響がいかに厳しいか、危機感を持って独自に将来像を描くこと、とりわけ将来における適正な定員管理に向け、検討し取り組んでいくことが重要であります。  また、限られた職員により行政サービスを的確に実施していくためには、細部にわたる業務の標準化や見直し、そして業務量の測定を含めた業務の見える化、さらにはAIやRPA、いわゆるロボットによる業務自動化の導入に対する省力化など、様々な手法による取組が大変有効であると言われております。  そこでお尋ねをいたします。  これまでのBPRの取組状況とその結果を踏まえ、今後、様々な手法による業務改革にどのように取り組んでいかれるのか伺います。  二点目、エビデンスに基づく事業立案と行政評価の取組について伺います。  今後、財政制約が厳しくなることが予想される中、最近、自治体や国の行政でEBPMを進める動きが盛んになっていると言われます。いわゆる証拠とか裏づけを意味するエビデンスに基づく政策立案の手法とされるEBPMについては、政策目的を明確化した上で、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報やエビデンスに基づくものとされており、現在、国でも確立に向けた取組が進められております。  国の経済財政運営と改革の基本方針二〇一七によれば、地方公共団体においても、国と歩調を合わせてEBPMを推進するよう促すことが示されております。現時点において、定義の幅も広く、明確な手法もまだまだ確立されていないとも言われますが、この考え方や分析手法は、まさしく、最近、全国の自治体で行われている自治体行政におけるPDCAサイクルに基づく行政評価の機能強化にもつながり、導入していくべきものであると思われます。  行政評価の目的は、PDCAサイクルを確立し、行政運営の効率や成果を向上させ、ひいては行政サービスの向上を図ることにあります。少子・高齢化が進展し、財政を取り巻く環境が厳しさを増す中、地方公共団体における行政評価の取組が二〇〇〇年前後から始まりましたが、当時は行政課題の複雑化や多様化が進み、行政の有効性を高めることが求められ、加えて、説明責任を求める機運が高まったことから、行政の取組を検証する仕組みとなる行政評価が地方公共団体に普及し、現在では全体の六割以上がこの仕組みを導入しております。  さらに、国のまち・ひと・しごと創生法に基づく地方公共団体が取り組む総合戦略や交付金事業に対し、定量的な指標により成果を把握するKPIの設定や成果の検証と事業の見直しの結果を公表することが求められております。また、最近では、評価の客観性を高め、より信頼性の高い評価結果を得るための有力な手段として外部評価機関による評価が挙げられており、全国の約半数の自治体で実施している状況にあります。  言うまでもなく、本来、行政評価については、総合計画の進捗の管理や効果的な事業の選択、行政の活動内容を分かりやすく示すといった機能があると言われますが、時代の流れや環境変化に合わせて総合計画や事業の内容が変化することからも、これらの変化に合わせて行政評価も様々な手法を取り入れていく必要があります。また、総合計画や行政評価、予算編成についても有機的な連携が図られることが不可欠であります。  このように、現状の評価制度について運用する中で、課題をしっかり認識し、様々な手法を取り入れることで、よりよい評価制度を構築していくためにはどうあるべきか検討することが大切であります。  そこでお尋ねをいたします。  エビデンスに基づく事業立案と行政評価について、それぞれの実施状況と今後の取組について伺います。  最後に、公契約条例の充実に向けた考え方についてお伺いをいたします。  公契約条例は、平成二十一年九月に千葉県野田市において全国の自治体で初めて制定されて以来、今では全国的に広がりつつあります。当初は、憲法上や地方自治法上、あるいは最低賃金法上、違法性があるのではとの議論もありましたが、今までは全国の各自治体においても、公契約条例という名称に限らず、多くの条例が存在している状況にあります。  公契約条例のうち、賃金条項を有する条例は賃金条項型と呼ばれ、一方、賃金条項を有さない条例は基本条例型または理念型とも呼ばれており、平成二十八年三月に制定された本県の公契約条例は基本条例型に属すると言われております。  公契約条例制定の主たる目的については、一般的には、公契約における労働者の労働環境を守ること、適正な価格による契約を担保し公共サービスの品質の確保を図ることであるとされ、その結果、住民の利益につながり、事業者にとっても優秀な担い手の確保や育成がなされることで事業者の経営力の向上が図られ、ひいては地域経済の活性化に資することが大いに期待されるとも言われます。  とするならば、公契約条例を真に実効性の伴ったもの、より充実したものとするためには、賃金条項を有する条例であることが最善であり、賃金条項を備えていないまでも、様々な要件を備えたものであることが大切であると考えます。  ここで言う様々な要件とは具体的に何か。例えば、最低賃金が保障されていること、また、事業者の責任や労働者の権利保障について明記されていること、さらには対象事業や適用労働者についての拡大や拡充が図られていることなどが大切ですが、何よりも、このコロナ禍における厳しい社会情勢や、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)による新たな理念に沿った公契約条例となるよう、さらなる充実を図り、時代に合った条例へとブラッシュアップすることが大切であると考えます。  平成二十七年十二月には、愛知県内で先駆けて豊橋市でも公契約条例が制定されましたが、その中身については、事業者の責務や労働者の権利保障、そして、工事請負だけでなく標準的な労務単価が決められていない業務委託までも対象とした労働報酬下限額の設定や第三者機関である公契約審議会の設置など、賃金条項を含め、様々な要件を備えた条例となっております。  また、その効果についても、事業者からは、賃金の上昇に伴い従業員のやる気が感じられるようになったことや、工事の施工において適正な管理意識が高まったという意見が上がっており、また、労働者からは、労働意欲が高まり、業務の質が向上するという意見も多くあるなど、事業者の良質な労働力の確保とともに、労働者の労働環境の改善につながるなど、大きな成果が上がっていると聞いております。  本県が制定した公契約条例についても、当然、制定後もしっかり機能させることが大切であります。条例の実効性や効果をしっかり検証し、その中で課題を見いだしていくだけでなく、単に労働者の労働条件の改善にとどまらず、地域経済の活性化につなげていくことが大切であります。  昨今の新型コロナウイルス感染症の影響によって景気は厳しく、かつ不透明な状況が続く中で、現在、SDGsの達成に向けた取組を本県も推進しており、SDGsの誰一人取り残さないという理念を踏まえ、労働者の賃金水準等を含めた労働環境の整備に関する取組が求められております。現状でも、基本条例から新たに労働報酬下限額を設定し、労働環境等の確認を行うことを定めた条例に改正した自治体もあると仄聞しております。  このように、現行の公契約条例について、さらに充実を図るため積極的に取り組んでいくことが必要と考えますが、そこでお尋ねをいたします。  現行の公契約条例について、充実を図るためにどのように取り組まれるのか、その考え方について伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 12: ◯都市・交通局長(森哲也君) 初めに、公共交通に対する公の果たす役割についてお答えします。  我が国の公共交通は、民間事業者によるサービス提供を基本としておりますが、民間事業者のみでは収益確保が難しく整備が進まない部分については、移動手段の確保という観点から公的主体も積極的に関与しています。そのうち、県は広域的、基幹的な交通ネットワークの確保、充実に向けて、市町村は域内の移動手段の確保、維持、活性化に主体的に取り組んでおります。  こうした観点から、本県は、県内の広域ネットワークを担う愛知環状鉄道や愛知高速交通のほか、上飯田─平安通間をつなぐ上飯田連絡線、中部国際空港と対岸部を橋で結ぶ中部国際空港連絡鉄道などの第三セクター鉄道を設立し、整備や運営に中心的な役割を果たしております。  また、民間事業者が行うバリアフリー施設の整備や耐震対策に対する支援に加え、今年度からは、県内の地域鉄道会社に対し、安全・安定輸送に必要な修繕や更新投資に要する経費の一部を補助するなど、公共交通ネットワークを維持するためのより踏み込んだ支援を行っているところであります。  一方、バス事業については、市町村をまたぐ広域的、幹線的なバス路線や山間地域のバス路線などに対する運行経費の助成を通じて役割を果たしております。  現在、国では、経営状態の厳しい全国のローカル鉄道について、鉄道事業者と沿線地域が危機意識を共有し、相互に協力しながら、持続可能で利便性の高い地域モビリティーを再構築するための仕組みの検討が行われており、その中では、国がより積極的に関与して、対象となる路線ごとの新たな協議の場を設けるといった方向性の議論も行われております。  本県としても、国の動向を注視しつつ、公共交通の確保、充実に向け、これまで以上に積極的に関与してまいりたいと考えております。  続いて、交通分野におけるデジタル化の取組についてお答えします。  ICカードは、全国で相互利用が可能であること、運賃表の確認や切符の購入が不要であることなど、利用者の利便性の向上に資するものであるとともに、事業者側にとっては、柔軟に運賃を設定したり、利用者に関するビッグデータを活用できるといったメリットがあります。  本県の導入状況ですが、鉄道では、JR飯田線や名鉄西尾・蒲郡線の一部区間などを残してほぼ全域で導入されておりますが、路線バスについては、名鉄バスの全路線、知多乗合の一部のみの導入にとどまっております。導入に当たっては、決済システムの構築などに多大な費用がかかるという課題があり、交通事業者や沿線自治体と十分に連携しながら、さらなる導入促進に向けてしっかり検討してまいります。  一方、MaaSは、様々な移動手段やサービスを組み合わせて、一つのアプリケーションで複数の事業者の決済を可能とするものであり、公共交通の利便性向上はもとより、観光スポットやイベント案内など、周辺情報の提供が利用者の消費行動を促し、地域経済の活性化に資するというメリットもあります。  ジブリパークの開園により、国内外から多くの来訪者が見込まれる名古屋東部丘陵地域では、昨年度に続き、今年度も実証実験を予定しており、その中では、名鉄が展開しているセントエックスをはじめとする地域密着型MaaSとの連携も視野に入れております。実証実験の結果も有効に活用しながら、他の地域でのMaaSの普及を図ってまいります。  社会の少子・高齢化やテレワークの進展による通勤形態の変化により、通勤、通学以外の乗客を増やすことが持続可能な公共交通に不可欠でありますので、海外からの観光客も含めた幅広い利用者の獲得を目指して、公共交通のデジタル化を加速してまいります。 13: ◯総務局長(江口幸雄君) 本県における行政改革の取組のうち、初めにBPRの取組状況と今後の取組についてお答えをいたします。  あいち行革プラン二〇二〇では、主要取組事項の一つとして、事務事業の合理化と行政サービスの向上を掲げ、将来的には少ない職員でも県として本来担うべき機能が発揮できるよう、ICTの活用等により、業務の合理化、効率化や県庁の働き方改革を進めることとしております。  このため、既存の業務プロセスの工程や処理時間を見える化し、AIやRPA等、ICTの活用による自動化などの業務改革、いわゆるBPRを実施しております。  具体的には、二〇二〇年度及び二〇二一年度の二か年で百業務を対象に業務プロセスの分析を行い、その結果を踏まえて、業務の簡略化、廃止等による事務の仕組みの見直し、RPA等の活用による自動化、既存システムの改修や新たなシステムの構築など、業務の合理化、効率化に取り組んでいるところであります。  こうした取組により、申請、集計、会計業務など、一定の分野について業務改革のノウハウを得ることができましたことから、今年三月、これまでの取組内容を取りまとめたBPR実践マニュアルを策定して全庁に周知しておりますので、今後、類似業務への横展開を全庁的に進めてまいります。  今後も、ICTの活用など、様々な手法による業務改革に一層積極的に取り組み、企画立案など、職員でなければ対応できない業務へ注力できる体制づくりを推進してまいります。  次に、エビデンスに基づく事業立案と行政評価の実施状況、今後の取組についてであります。  あいち行革プラン二〇二〇では、事務事業の見直しに当たり、エビデンスに基づいて継続の必要性を検証し、真に必要な事務事業に財源や人材を配分できるよう、選択と集中を促進することとしております。  このため、本県の行政評価は、必要性、有効性、効率性の観点から事業所管課室が自らの事業を評価し、その結果を翌年度の事業立案につなげるPDCAサイクルを取り入れて実施しております。  具体的には、予算編成、財務諸表、行政評価に共通の事業単位ごとに定量的な成果指標を用いて評価を実施し、その結果について、外部有識者で構成される行政評価委員会から御意見をいただきながら、翌年度の事業立案につなげているところであります。  今後もPDCAサイクルを一層徹底することにより、事務事業の合理化と行政サービスの質の維持、向上を促進させるよう取り組んでまいります。 14: ◯会計管理者会計局長(岡田守人君) 公契約条例の充実に向けた考え方についてお答えをいたします。  本県の条例は、一般競争入札等による透明性、競争性の確保や低入札対策等による行政サービスの品質の確保といった従来からの取組に加え、社会的価値の実現や公契約に従事する労働者の労働環境の整備といった取組を推進しております。  社会的価値の実現に関する取組は、契約を締結する際に、環境に配慮した事業活動や女性の活躍促進など、本県の施策に積極的に取り組む事業者を評価することで公契約を政策推進の手法として活用するものであり、現在は十七の施策を評価項目といたしております。  このうち、女性の活躍促進に係る施策であるあいち女性輝きカンパニーの認証企業が、二〇一六年の運用開始以降の約六年間で八十社から千七十一社へと大幅に増加するなど、着実に成果を上げております。  本年度からは、評価項目とSDGsの目標を関連づけて事業者へお示しすることで、本県の施策への参加がSDGsの達成につながることを認識していただけるような取組も始めたところであります。今後も、施策所管局と連携し、社会的価値の実現に向けた取組のより効果的な運用を目指してまいります。  また、労働環境の整備に関する取組では、労働関係法令の遵守状況を確認するため、運用開始以降、下請事業者を含め、特定公契約に携わる全ての事業者から約三千件の労働環境報告書が提出されております。  二〇二〇年四月には、働き方改革による残業時間の上限規制など、労働関係法令の改正を踏まえ報告書の内容を見直しておりますが、引き続き事業者の法令遵守や適正な労働環境の整備に向けた取組を進めてまいります。  これらの取組につきましては、有識者や関係団体で構成する愛知県公契約に関する協議の場を毎年度開催し、御意見を伺いながら進めているところでございます。今後も条例に基づく取組のさらなる充実を図り、条例の目的である県民生活の向上及び地域社会の持続的な発展に寄与してまいります。 15: ◯二番(廣田勉君) それぞれ御答弁いただきました。要望させていただきたいと思います。  公共交通について、特に地方の民間事業者にとって運営が厳しい現状にある今、公設民営なども含めた官民連携の在り方について積極的に議論することが大切であります。また、近隣市町村をまたぐ広域的な公共交通についても、単に補助金で支援するだけではなく、その地域の実情をしっかり把握し、関心を持ち、目を向けていただきたいなと思います。さらに踏み込んだ公共交通の利用促進のための支援の形を構築していただきたいと思います。  また、MaaSについては、今年度も名古屋東部丘陵地域を対象に、引き続き社会実装に向けた取組が行われるわけでありますが、今後どう展開されるのか、残念ながら、その先の絵が見えてこない。例えば、エリアを拡大して、東三河地域も含めた取組の展開を検討するとか、知多半島方面や尾張地区など取り組むべき魅力的な地域もたくさんありますので、次の一手、さらなる積極的な展開を講じていただきたいと思います。  また、MaaSを推進させていくためには、当然、ICカードの普及が不可欠であり、キャッシュレス時代の到来や、コロナ禍による新しい生活様式に対応するため、キャッシュレス対応に対して、全国の都道府県でも積極的に支援を行っているやに仄聞しております。  今後、人の流れが活発となり、交流面においてもICカードの利用環境を整えることが重要にもかかわらず、まだまだ県内でも郊外に行けばICカードの普及について遅れている状況にあります。利便性向上に向けて、地域事業者の意向に沿って積極的に取り組んでいただくことを強く要望いたします。  また、厳格な定員管理と削減効果が期待できるBPRについては、その手法はずばり業務量の把握であり、業務の見える化にあると言われますが、各担当の業務を体系的に整理し、職員一人一人の年間業務量を算出し、業務量ベースの定員計画を策定すべきであり、そのことが適正な人員配置につながってまいります。  今後の適正な人員配置については、定員管理などによって具体的にその方向性をしっかり示しながら、その取組についても、新たな視点に立った一連の手法による業務改革に取り組むことが有効であると思われます。自治体職員が半分になったと仮定したときに、自治体として本来担うべき機能が発揮できて、職員は企画立案業務や住民への直接的なサービス提供など、職員でなければできない業務に注力する、いわゆるスマート自治体への転換に向けて積極的に取り組んでいただくことに期待をいたします。  エビデンスに基づく事業立案については、効果測定のための数値やグラフ化の充実、さらにはデータ収集の在り方について、いま一度見直しを図っていただくと同時に、行政評価の結果を次年度の予算にしっかり反映させていただきたいなと思います。  また、評価制度の充実については、例えば、今の時代に求められているSDGsの視点を取り入れた評価制度を検討するなど、さらなる充実に向けて取り組んでいただきたいなというふうに思います。  最後に、より充実した持続可能な公契約条例であるためには、公契約で働く人の雇用や労働条件を守り、県民がよりよい公共サービスを受けられ、また、豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現に向けて、より大きな役割を果たす条例であることが求められております。そして、何よりも公契約で働く人たちが元気に活躍できるような状況をつくり出すことが必要であると考えるならば、やはり賃金条項を有する条例に整備することが最善であるのかなと考えます。ぜひとも、賃金条項型の公契約条例の改正に向けて取り組んでいただくことを要望し、私の一般質問を終わります。 16: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  日高章議員。     〔七番日高章君登壇〕(拍手) 17: ◯七番(日高章君) 大府市選出、自民党の日高章です。通告に従いまして、張り切ってやってまいりたいと思います。最後までどうぞよろしくお願いをいたします。  さて、今回は大きく分けて、社会資本整備と人づくりについて、それぞれ二つずつ質問をいたします。  初めに、一つ目の質問としまして、知多半島道路と伊勢湾岸自動車道の連絡路接続による渋滞対策について伺ってまいります。  知多半島北部地域は、地政学的に見て、大都市名古屋市と大産業地域西三河との結節点で、また、海と空の玄関口であり、その上、農業や商工業の営みが盛んであるために、県内でも特に人と物の往来が活発な地域であります。それゆえ、交通の大動脈と表現される高規格道路の多くがこの地域を通り、これらが複雑に絡み合うようにして立体交差を形成しています。  特に、名古屋市、東海市、大府市の三市の境界周辺では、国道一号及び二十三号、伊勢湾岸自動車道、名古屋第二環状自動車道、通称名二環、そして、知多半島道路の接続点がこの地域に集中し、これらのほとんどが高度な建設技術によって構築されたループ状などの連絡路、すなわちジャンクションによって直接接続され、スムーズな通行が可能となっています。  ところが、これら全ての立体交差がジャンクションなどで接続されているわけではありません。今回テーマとする知多半島道路と伊勢湾岸自動車道の交差については、東側から南方向へ向かう交通以外は、インターチェンジの出口を降りて一般道の交差点を介し、再びインターチェンジに入る経路をたどる必要があります。特に一般道を降りてからは、立体交差の直下にある国道三百二号の上入道交差点で信号待ちなどで短くない停止を強いられることになります。  この立体交差する地点が、まさに、名古屋市と東海市と大府市の三市境界付近にありながら、ピンポイントには大府市域で交差しているという実情があり、以前から多くの苦情が県内外から大府市行政や地域の議員に対しても寄せられています。他の地域から自動車で知多半島を南下しようとする場合、またはその帰路において、必ず一度はその途中で一般道に降りて停止することを余儀なくされる現状では必然でありましょう。  感情論だけではなく、産業活動における物流では、時間こそ最も貴重な財産であり、裏を返せば、最も削減すべきコストであるという視点に立てば、現状は看過できないと言わざるを得ません。高速道を降りて一般道で信号待ちをする状況が、まさに今、この時間にも繰り広げられていて、これによる経済ロスが年間を通じてどれほどになるのか、計り知れません。  そのような中で、知多半島道路については、愛知道路コンセッション株式会社が運営を担うようになって五年が経過し、サービスの向上効果などで利用者の満足度は向上しつつあります。さらには、先日の大府パーキングエリア下りの新設オープンの効果もあり、今後、コロナ禍の先に一層の利用者の増加が見込まれています。  これまでに上入道交差点につながる大府西インターチェンジ出口では、路面標示の変更や左折青矢印信号の追加設置により、知多半島道路から四日市方面に左折する車両の滞留はほぼ解消し、一定の効果が表れています。  しかしながら、現状においては、依然として右折する車両が多く、一般道の上入道交差点を起点として、大府西インターチェンジを越えて、知多半島道路の本線まで多くの車列ができることもあり、知多半島道路の渋滞の原因ともなっています。  また、朝夕の通勤時間帯には国道三百二号などの一般道でも渋滞が発生し、それを避けて周辺の生活道路や農道に通過交通が流れ込むことによる生活環境の悪化も指摘されています。今後、知多半島道路の利用者の増加が見込まれる中で、早期にこのような問題を解消しなくてはなりません。このため、右折車両に対する渋滞対策として、知多半島道路から伊勢湾岸自動車道豊田方面へ立体交差でつながる連絡路による対策が必要であると考えております。  そのためには、ジャンクション建設用地が周辺に必要となりますが、当該交差地点周辺は民間による開発が旺盛であり、交差地点の南東、南西は既に建築物が既存し、北西についても工業団地の造成工事が進められています。よって、残るは北東に広がる農地のみとなりますが、この土地についても民間事業者が地権者との用地買収交渉を進めている状況にあると聞いています。もしも、この一帯も民間の開発が進んでしまうと、永遠に知多半島道路と伊勢湾岸自動車道のジャンクション接続は不可能となってしまうでしょう。一刻も早い検討が必要と考えます。  そこで、当局として、この問題をどのように捉えているか伺います。  知多半島道路から伊勢湾岸自動車道豊田方面への連絡路による渋滞対策について、現在の取組状況について御答弁をお願いします。  次に、二点目の質問として、境川流域の治水対策について質問します。  今から二十二年前の二〇〇〇年九月、台風十四号の暖湿気流が停滞する秋雨前線に向かって流れ込んだため、前線の活動が活発となり、東海地方を中心に非常に激しい雨が長期間にわたって降り続きました。これを東海豪雨といいますが、これによる本県各地の河川流域における被害は甚大で、名古屋市をはじめ多くの市町に災害救助法が適用されました。
     私の地元大府市もその一つで、境川流域の氾濫で広い範囲で浸水、河道、護岸の損壊などの災害が発生しました。ところが、境川本川自体の大規模な氾濫はなかったため、あまり被害報道などはされず、大府市とその周辺の被害が大きかったことは県内でもあまり知られていないようです。  昨年度の安全・安心対策特別委員会で、境川流域の整備状況の視察で委員の先生方にお越しいただいたときに、ほとんどの委員の方が大府市で東海豪雨被害が大きかったとは知らなかったとおっしゃっていたのがとても印象的でありました。それと同時に、現地で驚いていらしたのが、大府市とその周辺の境川水系の支川で複数の河川が立体交差するなど、入り組んでいる複雑な流下形態のありようについてでありました。実際に当該流域には流下能力の面でボトルネックとなる箇所が幾つも存在し、これらを起点に災害の要因になることが分かってきています。  ここで少し大府市とその周辺の地理的事情を御説明しますと、大府市は比較的小規模な三角形状の市域にJR東海道本線が中央を通り東西に二分し、この東側を五ヶ村川、西側を石ヶ瀬川と、二つの境川支川が流れています。東海豪雨時には、この二つの支川が別々の要因とメカニズムで氾濫したため、大府市の東西とその周辺で別々の水害が発生したのであります。ゆえに、この地域での大雨水害を防ぐためには、大きく分けて二つの整備方針が必要となるのであります。  具体的には、まず東側ですが、五ヶ村川は直接境川に流下しているのではなく、途中、サイホン方式でもう一つの支川石ヶ瀬川と立体交差し、境川と併流したまま衣浦湾に注ぎます。この立体交差は平成初期に改築されておりますが、東海豪雨時には降雨量が排水能力を超えたため、流域での氾濫につながりました。第一に、この立体交差地点から上流の区間で流下能力と貯留能力を高める必要があります。  河川整備計画では、五ヶ村川は年超過確率五分の一、要するに、五年に一度の水害の規模の降雨に対して河川整備を行うこととなっており、また、今年度も大府市も内水対策として排水路の整備事業に着手すると聞いております。近年、豪雨災害が多発しており、いつ水害に見舞われるかもしれない中、大府市と連携した五ヶ村川の整備が進むことを住民の皆様も大いに期待しているところです。  次に、西側の石ヶ瀬川についてですが、石ヶ瀬川が境川に合流する地点、これはお隣の東浦町ではありますが、この地点から五百メートルの区間で境川の川幅が狭くなっています。これは伊勢湾台風被害の教訓を生かした治水対策で、昭和四十年代から五十年代にかけて、伊勢湾の河口から堤防掘削により河道を拡幅してきたところ、途中の当該箇所の右岸で産業廃棄物が出てきたため掘削工事を中断することとなり、その後、何十年も一部で川幅が極端に狭い、いびつな形状の堤防となっているものです。  そして、東海豪雨発生時には、満潮による遡上で川幅が狭い箇所で水位が大きく上がり、これが石ヶ瀬川の合流地点であるために流れがせき止められ、石ヶ瀬川にバックウオーター現象が起こり、越水や破堤をもたらし、さらに、その支川の鞍流瀬川にもバックウオーターが起こり、大府市西側とその周辺の広範囲で氾濫する災害を巻き起こしました。よって、この境川の川幅が狭い数百メートルの区間の堤防掘削を再開する必要があるのです。  河川整備計画では、境川は年超過確率二十分の一の規模の降雨に対して河川整備を行うこととなっていますが、この区間に関して、令和元年度の建設委員会で私から質問しましたところ、この川幅の狭い区間は年超過確率五分の一の規模の降雨に対しては現在の川幅で対応できているが、年超過確率二十分の一の規模の降雨に対しては、今後、河道の拡幅が必要であるという趣旨の回答がありました。  近年の豪雨により、河川の合流点で越水や破堤といった被害が発生していることもあり、境川に合流する石ヶ瀬川周辺の災害リスク軽減には境川の河道拡幅が重要なため、早期完成を待ち望んでいるところであります。  そこで、これら二つの視点で伺います。  まずは、東側の五ヶ村川の石ヶ瀬川立体交差地点から上流の区間について、整備の進捗状況と今後の整備方針について御答弁をお願いします。また、境川の石ヶ瀬川合流地点から下流の川幅が狭い区間について、整備の進捗状況と今後の見通しについてお伺いします。  続いて、人づくりに関する質問に移ります。  まずは、三つ目の質問として、トラックドライバーの担い手不足解消について伺います。  現在、我が国の産業界は幾つもの困難な問題に直面しており、市場の強い需要があるにもかかわらず、モノが生産できないという特殊な状況が長らく続いています。  その問題として、大きく三つ指摘されています。一つ目として、目下のコロナ禍の影響で海外からの部品や資材の調達が滞っていること。二つ目として、全世界的な半導体の慢性的な供給不足にあること。そして、三つ目として、製品輸送のトラックがドライバーの担い手不足で確保できないことであります。  これらの問題の影響で、特に自動車製造については深刻でありまして、昨年の夏頃からは断続的に減産調整を余儀なくされ、自動車組立て工場の多くが週単位でラインストップに追い込まれるような状況にあります。それでも、先日の報道では、円安の影響もあって大手自動車メーカーは史上最高益を計上したとのことでありましたが、部品供給会社は過去にないほどの休業の連続で、二次・三次・四次下請ともなると経営難に陥る企業も出てきているとのことです。  モノづくりの裾野の広い本県としては、そのあおりを大きく受ける状況にあり、県政として看過できない状態であると考えるところです。  このような問題の中で、一つ目のコロナ問題は今後の対策が進むことで確実に解消していくでしょう。二つ目の半導体不足はかなり深刻な問題ではありますが、国策として、我が国も経済安保政策を掲げて、国内生産を回復させるなどによって、数年後には解決していくものと期待されています。  しかしながら、トラックドライバーの担い手不足問題については効果的な打開策が見えず、今後も物流のキャパシティーの範囲内でしか生産を計画できないとさえ言われています。むしろ、最近ではコロナウイルスによる生活習慣の変化とネット販売業界の成長が今後も続くと見込まれる中で、宅配物流がより一層増加し、トラック輸送がさらに逼迫すると予測されます。つまり、トラック輸送の完全無人化が可能となるなどの大きな経済システムの変容がなされるまで、中期的には生産の拡大も見込むことができない、すなわちトラックドライバーの確保が生産の律速になりかねないということであります。  それでは、なぜトラックドライバーの担い手が不足しているのでしょうか。最新の雇用情勢の統計によりますと、二〇二二年四月の全国の有効求人倍率は一・二三倍であって、決して人手不足状態とまでは言えない状況にあります。本県の場合も、県全体の有効求人倍率は一・三六倍と、コロナ禍前の二〇一九年十二月の一・七九倍に比べて、見かけ上、人手不足感は和らいでいるように見受けられます。  ここで、職業別の有効求人倍率に着目しますと、トラックドライバーを含む自動車運転の職業については、全国平均で、二〇二二年四月に二・〇七倍、愛知県平均でも三・二一倍と高くなっています。コロナ禍前の二〇一九年十二月時の全国平均三・三九倍、愛知県平均五・七九倍と比べて人手不足感は弱まってはいるものの、ほかの職業に比べて、求人に対して求職者が少ない状況となっています。  その求職者が少ない原因として挙げられているのがトラックドライバーの労働環境がよくないとされることや、そのようなイメージが払拭できていないことであります。長時間労働や重量物運搬など、汚い、きつい、危険のいわゆる3Kのイメージが付きまとうとのことで、国も対策に乗り出しています。それが二〇一八年に成立した働き方改革関連法であり、二〇二四年四月から、ドライバーの時間外労働に年間九百六十時間、月八十時間の上限規制が適用されることになります。ドライバーの過重労働は、職場環境を悪化させ、重大事故の要因となるため、本来、必要な規制ではありますが、逆に、ただでさえ担い手不足の物流業界にとっては大きな痛手になるとされ、二〇二四年問題と呼ばれています。  このように、事態はより深刻さを増していくと思われますので、産業県とされる本県だからこそ対策についてしっかり考えを深めておきたいところであります。  そこで伺います。  このように深刻さを増すトラックドライバーの担い手不足など、人材不足傾向が強いとされる職業の就業促進について、例えば高年齢者、外国人など多様な人材活用を含め、どのように取り組むのかお聞かせください。また、このような職業については、働き方改革を進めることも就業促進に効果的と考えますが、事業者に向けてどのように促していくかという点についても伺います。  それでは、最後に、四つ目の質問として、子供の体力低下問題について伺います。  先般、スポーツ庁は、全国の小学五年と中学二年の男女を対象に実施した二〇二一年の全国体力テストの結果を公表しました。それによると、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて体力は一様に低下しており、男子では全八種目の合計点の平均値が小中とも調査以来で最低となりました。同庁は、コロナ禍で運動の機会が減ったことが一因とすることに加えて、かねて指摘されてきたスマートフォンやゲーム機利用の長時間化による運動不足がコロナ禍による外出制限で助長された可能性があると分析をしています。  確かに、近年、屋外で活発に遊んでいる子供たちの光景を見なくなっているように感じています。公園や家の庭先などで、子供たち、特に男子が集まっていたとしても、座り込んでゲーム機などの端末を操作して遊んでいる姿はよく見かけますが、体を動かす遊びは魅力のないものとなりつつあるのでしょうか。現下のコロナ禍でそのような傾向に拍車がかかっているとのことですが、アフターコロナの子供たちの遊び方に活発さが戻るとは期待しにくいようにも思います。  さらには、私たち愛知県民にとって、より深刻な事態と捉えるべき報告があります。スポーツ庁は同時に都道府県別の調査結果を公表していますが、本県については、小学五年生で、四十七都道府県中、男子が四十七位、女子も四十七位でありました。また、中学生、中学二年生に至っても、男子は依然として四十七位、女子は若干向上しつつも四十五位という結果でありました。少し目を背けたくなるような調査結果ではありますが、愛知県は都市部であるため、やむを得ない事情であると割り切ることはできないようです。  同調査では、東京都をはじめとする関東の各県のほとんどで全国平均よりも上回る結果となり、中には上位結果の県もあります。大阪府とその近隣府県の場合も、本県よりよい結果でありました。  このような傾向は、今回の調査に限ったことではなく、近年続いている状況のようです。発育期の体力が低下することで、将来健康リスクを抱える成人が増加する要因となるとの指摘もあります。ゆえに、本県の小中学生の体力低下が顕著である理由が何であるか、しっかり調査研究する必要がありそうです。  小中学生の体力低下の大きな要因として、就学後の運動の機会や遊び方の変化が指摘されていますが、最近では就学前の体力づくりを重要視する考え方も広まりつつあります。就学後の成長期にしっかりと体力向上を促進させるためには、それ以前の運動履歴、すなわち幼児期の体の成長が重要な鍵を握るそうです。  そのような視点で、私の地元大府市では、生活環境の変化に伴い低下し続けてきた子供たちの体力について、健康都市を宣言する自治体として見過ごせない課題として受け止め、子供たちが楽しく体を動かし体力を培っていくことのできる大府市運動あそびプログラムを作成し、これまで保育園や児童センターでその実践を進めてきました。この取組に一定の効果が見られたため、これを継承、発展させ、小学生の体力向上を目指すべく、大府はつらつ運動プログラムとして内容を発展させ、昨年度より全小学校の一年生を対象に体育の授業に取り入れています。  このように、幼児期と就学後も、特に小学一年の時期の体力づくりの効果的な取組は、小中学生の体力の底上げに向けて重要な鍵となるかもしれません。  そこで、以上を踏まえて、教育長に二点伺います。  就学前の幼児の体力づくりに向けた県教育委員会としての考え方について御答弁をお願いします。また、小学生、中学生の体力向上に向けて、具体的に取り組んでいることはどのようなことかお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 18: ◯建設局長(道浦真君) 知多半島道路から伊勢湾岸自動車道豊田方面の連絡路についてであります。  朝夕のピーク時間帯には、知多半島道路の大府西インターチェンジを出て、国道三百二号と交差する上入道交差点は、右折する車両で慢性的に渋滞しております。二〇一九年に愛知県道路公社が実施した調査によれば、その約八割が大府インターチェンジの豊田方面入り口を利用して伊勢湾岸自動車道に乗り継いでおりました。  この結果を受け、本県は二〇二〇年二月に、大府市、東海市、愛知県道路公社の三者と共に勉強会を立ち上げ、知多半島道路本線から立体交差構造で伊勢湾岸自動車道豊田方面に直接乗り入れできる新たな連絡路の整備を主要なテーマとして検討を始めました。  同年九月には愛知県道路公社が概略設計に着手し、関係者が連携して、交差点北西側で進行中の造成事業との調整や連絡路の設置に伴い通行に支障が生じる市道の付け替えの検討などを行い、二〇二一年八月に連絡路の計画案を取りまとめました。  現在は、その計画案を基に、伊勢湾岸自動車道の管理者であるNEXCO中日本や公安委員会と大府インターチェンジ料金所付近などの構造や交通安全対策に関する協議を進めております。  今後は、早急に設計を取りまとめた上で、伊勢湾岸自動車道との連結許可や有料道路事業として整備する許可など、国土交通省との協議を進め、事業着手に向け、しっかりと取り組んでまいります。  次に、境川流域の治水対策についてであります。  境川水系につきましては、二〇一四年三月に公表した二級河川境川水系河川整備計画に基づいて、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用して整備を進めているところでございます。  五ヶ村川につきましては、河川整備計画に河道拡幅など、約二・七キロメートルの区間における整備を位置づけております。  このうち、石ヶ瀬川立体交差地点から上流約五百メートルの区間では、隣接して流れる大府市管理の横根川との中堤を撤去し、五ヶ村川と一体化することで河道拡幅を図る整備を進めており、今年度中に完了する予定となっております。  また、大府市が進める五ヶ村川へ流れ込む排水路の改修と併せ、五ヶ村川の洪水の一部を境川へ排水する排水機場の新設を行うこととしており、今年度、予備設計を行い、今後、大府市と同調して整備を進めてまいります。  次に、境川につきましては、河川整備計画に河道拡幅や河床掘削など、衣浦湾から東郷町にかけて、合わせて約十七・六キロメートルの区間における整備を位置づけております。  二〇一八年度より、最下流部から河床掘削を実施しており、現在までに約四キロメートル地点まで完了し、大府市内を流れる石ヶ瀬川との合流地点下流の川幅が狭い区間まで残り約一・五キロメートルとなったことから、今年度より、この川幅が狭い区間についても河道拡幅のための掘削と護岸工事に着手してまいります。  今後とも、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、事前防災対策にしっかりと取り組んでまいります。 19: ◯労働局長日高啓視君) 人材不足の職種に対する就業促進の取組についてお答えいたします。  トラックドライバーをはじめ、人材不足の傾向の見られる職種の就業を促進するためには、こうした職業に対する求職者の理解を深めるとともに、高年齢者や外国人を含め幅広く担い手を確保していく必要があります。  このため、県では、若者の職業選択の幅を広げるため、中小企業経営者と学生の交流会や企業研究支援の取組を通じて求職者の仕事内容への理解を深めるとともに、ハローワークと連携し、地域別の就職面接会やオンライン合同企業説明会を開催することとしております。  また、県が愛知労働局と共に設置したあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームでは、就職氷河期世代に対する就職、正社員化の実現に向けた取組を進めており、構成員として、一般社団法人愛知県トラック協会をはじめとする人手不足の問題を抱える業界団体にも御参画いただいております。  さらに、高年齢者の方を対象にした就職面接会や再就職支援セミナー等を開催するとともに、定住外国人の雇用に関する企業からの相談や求職者の紹介などにも対応しており、これらの取組を通じて多様な担い手の創出を図ってまいります。  次に、働き方改革を進めるための事業者に向けた取組についてお答えいたします。  国の統計によりますと、二〇二〇年におけるトラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比較して約二割長く、愛知県が二〇二一年に行った労働条件・労働福祉実態調査においても、運輸業、郵便業の完全週休二日制の導入割合や年次有給休暇の取得日数は他の産業よりも少ないことから、働きやすい職場環境づくりを進めることが必要と考えております。  そこで、県では、働き方改革の好事例集を作成し、時間制約のある育児中の女性をドライバーとして採用する企業の取組を紹介しているほか、労働法や就業規則について分かりやすく解説したパンフレットにより時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度などの周知啓発を行っております。  また、今年度は、働き方改革における課題を共有するフォーラムに運送業の方にもパネリストとして登壇いただく予定であるほか、働き方改革に先進的に取り組む企業を紹介する動画を業種別に作成することとしており、運送業における労働時間の削減や効率化などに成功した好事例の情報発信を充実してまいります。  働き方改革の普及を通じてトラック業界のイメージを改善し、トラックドライバーの担い手不足解消と働きやすい職場づくりにしっかりと取り組んでまいります。 20: ◯教育長(飯田靖君) 子供の体力低下問題について、まず就学前の幼児の体力づくりに向けた考え方についてお答えをいたします。  幼児期における体力づくりに関しましては、例えば県内の幼稚園では、音楽に合わせて体を動かすリズム遊びや戸外での遊びなど、遊びの中で積極的に体を動かし、心身の発達を促す取組が行われておりまして、日常の遊びを通して、生涯にわたる健康の基礎を培う点で非常に重要なものであると考えております。  県教育委員会といたしましては、こうした就学前から体を動かす重要性を教員がしっかりと理解し、幼児がそういった習慣を身につけられるような取組を行い、小学校へつなげていけるようにしていきたいと考えております。  このため、教員を対象とした研修などにおきまして、幼児期における体力づくりの大切さを確認するとともに、効果的な取組について啓発を行い、小学校以降の体力向上につなげてまいります。  次に、小学生、中学生の体力向上に向けた取組についてお答えをいたします。  議員お示しのとおり、スポーツ庁の小学五年生、中学二年生を対象とした全国体力テストの結果では、本県、愛知県は男女とも全国平均を大きく下回っております。  県教育委員会では、こうした状況を改善するため、二〇二〇年度に子供の体力向上検討委員会を立ち上げまして、体力向上施策の点検、評価、見直しの検討を行っているところでございます。  現在は、本県でアジア競技大会が開催をされ、スポーツへの関心が高まる二〇二六年をターゲットに、子供の体力を全国水準に近づけるための取組を行っているところでございます。その取組の一つとして、子供たちが運動に意欲的に取り組み、持てる力をしっかりと発揮できるよう、基本的な体の動かし方や運動の知識についての指導方法の普及を図っております。  また、この四月にウェブサイトを立ち上げまして、学校の授業はもちろん、家庭でも視聴ができるよう、体力向上運動プログラムの動画を掲載しているところでございます。動画の内容は、走る、跳ぶ、投げる、柔軟性など、運動の基本要素ごとに、初級、中級、チャレンジの段階別となっておりまして、県内の小中学校の体育の授業などで積極的な活用を促しております。  さらに、運動好きな子供たちを少しでも増やすため、昨年度立ち上げました楽しく運動みんなで笑顔事業は、小学生の親子が著名なゲストと一緒にリズムに合わせて体を動かすなど、運動の楽しさを体感できるイベントとなっております。昨年度はコロナ禍のため中止となりましたが、今年度は八月に豊橋市と大府市で開催をする予定でございます。  子供たちが自ら進んで運動する習慣を身につけ、健康で豊かな生活を送ることができるよう、こうした体力向上につながる取組を積極的に展開してまいります。 21: ◯七番(日高章君) それぞれに前向きな御答弁をありがとうございました。最後に二点要望をさせていただきたいと思います。  まず一点は、知多半島道路と伊勢湾岸自動車道の接続に関してですが、この点について、大変前向きな御答弁をいただきました。しかし、壇上でも申し上げましたとおり、今地元で、その建設用地となるところが非常に限られている中で、そこの用地買収交渉が活発化していると、先週末、私、地元の方にたまたまお会いして、そのことをすごく強く訴えかけられました。ですから、本当にこのまま待っていていいのかどうかというようなお話もありましたので、今日御答弁いただいたような趣旨のことを地元でぜひとも丁寧に御説明いただく機会を持っていただきますように要望させていただきます。  もう一点、要望でございますが、トラックドライバーの担い手不足問題について要望します。  今回は、短期的な政策として、すぐに取り組むことのできる就業促進の観点で、労働局長に御答弁をいただきましたが、それだけでは根本的な解決になっていかないというふうに考えています。  中長期的には、やはりトラック輸送の在り方、ひいては物流の在り方の抜本的な改革、構造的な改革が必要ということも考えるところですが、それに向けては、国土交通省が推進する長距離物流を中心とした輸送網の転換、いわゆるモーダルシフトが有効とされていますけれども、短距離物流についてはやはりトラック輸送が欠かせないことに将来も変わりはないと考えます。  その点では、現在、本県が積極的に実証実験を推進する自動運転技術の確立が大いに期待されるわけでございます。一日も早いトラック輸送の完全無人運転化の実現に向けて、より一層、実証実験の取組に力を入れていただきますように要望しまして、私の一般質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 22: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 23: ◯議長(須崎かん君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 24: ◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 25: ◯副議長(佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  岡明彦議員。     〔三十二番岡明彦君登壇〕(拍手) 26: ◯三十二番(岡明彦君) 議長のお許しを得ましたので、順次質問をしてまいります。  最初に、高校生の心のバランスケアについてです。  コロナ禍三年目。現在の高校三年生は、入学以来、臨時休校、オンライン授業、修学旅行や学校祭、文化祭の中止、延期、部活動の停止など、学校生活で様々なストレスがあったことが推量されます。  名古屋市内の学校に配置されたスクールカウンセラーらでつくるなごや子ども応援委員会が、二〇二一年度の不登校などの相談件数が初の四万件超えと発表しました。全国の子供の悩みや声を聞く特定非営利活動法人チャイルドライン支援センターは、気分の落ち込みなど、自分自身の心の悩みに関する相談が増え続けているとして、長引くコロナ禍の影響や子供たちの居場所のなさがその背景にあると分析しています。  さて、学校現場で心のケアを担うスクールカウンセラー──以下、SC──は、二〇一七年度に一部改正された学校教育法施行規則で学校の職員として職務が規定され、本県でも着実に増員されています。しかし、県立高校の現場の声を聞くと、現実と理想には大きなギャップがあります。  ある校長先生からは、月一回の来校では相談したいときにSCはいない、その結果、SCに頼るという教育相談体制は取れないとの意見をお聞きしましたが、来校日が月一回のみの学校が全県立高校百四十八校のうち百三十校もあります。  私は、こういった現状について、一昨年の教育・スポーツ委員会で取り上げましたが、今回改めて、心のバランスが崩れている子供が多いと聞き、SCに関するアンケートを実施することを、県教育委員会──以下、県教委──に提案しました。そして、五月、全県立高校を対象にアンケート調査がされました。  それによると、当面の処置としては、月二回のSC巡回を望む学校が大半を占めています。また、目指すべき配置、つまり理想のSCの配置は常駐と週一回が多かったとの報告を受けました。心のケアの問題は、ウイズコロナ、さらに生徒の家庭環境にとって高リスクとなる現今の物価高も考慮すべきと考えます。  本県において、県立高校以外に目を向けると、名古屋市立高校はSCが全日制では週三回、夜間定時制は週一回、昼間定時制では常駐体制をしいています。また、私立高校では、五十五校中五十校が自校でSCを配置しており、四校が外部委託での配置となっています。私立高校は、ほぼ一〇〇%の充実した教育相談体制を確立していると言えます。
     今、教育現場は、時代の要請として、また、保護者はもちろんのこと、社会からきめ細やかな生徒への指導やサポートが求められています。また、県立高校の欠員が増加するときにあって──本年度の欠員は約二千六百名ですが──県立高校の魅力化といった観点からも教育相談体制で名古屋市立や私立に大きく差をつけられてよいのかと思わずにはいられません。  そこで伺います。  全ての県立高校の共通の課題として、SCの配置を一層充実させる必要があり、心のバランスケアを全校モードに広げるべきと考えますが、さきに行った県立高校のアンケート結果も含めて、県教委の御所見をお尋ねします。  次に、県立学校のICT環境の整備についてです。  本年度、高校の学習指導要領でICT教育が本格的に位置づけられたのに合わせて、県立学校で一人一台タブレット体制が八月に整います。県のこの英断には敬意を表したいと存じます。今後は、一人一台タブレットの活用等、その成果が問われることとなります。  県教委は、本県と包括連携協定を結んでいる日本マイクロソフト社の協力を得て、教員へのサポートをはじめ、あいちクラスルーム・エバンジェリスト、これは、ICTを効果的に活用した授業を実践する力を身につけ、基礎から応用までのICTスキルを県内の教員に普及、指導できる教員のことをいいますが、その教員の育成もスタートしました。こういった体制整備もあり、新年度の県立学校のICT教育モデル校では魅力的な授業が展開され始めています。  安城東高校では、英語の発音をタブレット端末で録音し、音声データを教員に提出する取組が行われています。これによって、生徒は自分の発音を客観的に何度でも確認できるようになっています。教員からは、これまで生徒一人ずつ順番に発音を聞き取っていた時間が大幅に短縮されるとともに、より正確な評価ができるようになった、短縮された時間を利用して発展的な授業も展開できるようになるとの声をお聞きしています。熱田高校では、体育の時間に生徒の動きを動画撮影して、一人一人の運動能力とスキルの改善をタブレット端末の活用で行っているそうです。このように、令和の日本型教育として求められている個別最適の学びがICTの活用によって始まっています。  また、タブレット端末の活用により、プレゼンテーションの時間や、音楽や美術などの授業で、グループごとに制作物を作成したり記録できるようになったりしたことも注目されています。こういった先進的な授業事例は、令和の日本型教育として同じく求められている協働的な学びの実践例として数多く公開されています。  さて、本年度から本県では、県立学校のICT教育をサポートするICT支援員が配置されました。富士電機ITソリューションに委託し、八人体制で支援が始まったと伺っています。紹介した二校へのICT支援員の訪問計画は年間三十二回となっており、県立学校で最大の回数です。コロナ禍で急速に進んだデジタル社会に応じて、ICTを活用した魅力的な授業を行うためには、ICT支援員のサポートによるところが大としての計画と思います。  そこで、私は、県立学校へのICT支援員の本年度の訪問計画を調べてみました。その結果は以下のとおりです。二〇二一年度、ICT教育モデル校への訪問計画は年間三十二回、特別支援学校には八回、その他四回訪問と続くのですが、訪問計画がない学校が七十校あることが分かりました。  SCの質問時に紹介をしました全県立高校のアンケートには、ICT支援員をはじめ、外国人生徒支援に係る人材など、学校が今必要としている外部人材についての質問もありました。それによると、ICT教育支援に係る人材とSCとがほぼ同比率で配置を希望する声が多いことが分かりました。一人一台体制が二学期からスタートするのに合わせて、ICT支援に関する学校のニーズは高まっていることが見てとれます。  そこで伺います。  ICT支援員は県立学校に対してどのような支援を行うのか、二学期以降のICT支援について、支援員訪問がゼロ回予定の学校への支援をどのように行っていくのかお尋ねします。  ここまで、ICT教育の充実に係る課題を、現場視点の観点から、外部人材に焦点を当てて質問しました。そこで、もう一つ、ICT教育に不可欠な環境、ネットワーク環境についてお尋ねします。  県教委では、昨年度、GIGAスクール構想への対応及びコロナ禍への対応として、校内の無線LAN環境を、オンライン配信授業を行い得る外部回線を整備することで進めました。そして、本年度は、学校ごとのインターネット回線を強化中と承知しています。  まず、ここで県立高校の現場で聞いた声を紹介したいと思います。この学校では、コロナ陽性者あるいは濃厚接触者で自宅にいる生徒がオンラインで授業に参加しているとのこと。ところが、授業を実施している教室がアクセスポイントから遠いためか、はたまた回線容量の問題かで映像、音声がしばしば途切れ、授業がスムーズに受けられなかったとのことでした。ほかの学校からも、クラス全員が一斉にWi─Fiに接続すると遅延する等の声もお聞きしています。  八月に一人一台タブレットが完備されるのはいいが、学校のネットワーク環境が脆弱ならば、端末は宝の持ち腐れになってしまいます。ネットワーク環境の改善に資する回線増強に関して、現在予算措置されているのは、昨年度時点でタブレット端末が配備、活用され、課題が顕在化していた高校五十八校分のみで、全体の三分の一にすぎません。  本年二月議会の佐藤英俊議員の一般質問において、教育長は、各学校の通信ネットワークの点検を行い、より高速なインターネット接続プランへの変更などにより通信ネットワーク環境の改善に取り組むと答弁されました。二学期スタート時には、県立学校の全クラスで一人一台端末体制が完結するわけで、ネットワーク環境を強化する取組を加速させることは必定と考えます。  そこで伺います。  県立学校の通信ネットワーク環境の改善に向けた進捗状況と今後の取組強化について、県教委の御所見をお尋ねします。  次に、燃油価格・物価高騰の長期化を見据えた再エネ、省エネ、脱炭素の取組についてお尋ねします。  日銀が発表した足元五月の企業物価指数を見れば、前年同月比で九・一%上昇しており、十五か月連続の上昇となっています。企業間の物価が上昇し、今後それが販売価格に転嫁されれば、消費者にとってはさらなる負担の増加が懸念されるところです。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などを受けて、燃油や物価の高騰、食料危機は世界規模となっています。円相場の急落は続き、約二十年ぶりの安値水準となり、物価高騰に拍車がかかっており、さらに加速している感があります。  このような中、政府は、四月二十六日に、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応しようと、事業規模十三・二兆円のコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定しました。公明党県議団は、これに呼応する形で、また、急激な円安の進行も踏まえて、五月九日、大村知事に石油製品や食料品などの物価高騰への対策を求める要望書を提出いたしました。こうしたことから、県は、本県議会の冒頭、物価上昇や燃油高騰への対策を盛り込んだ八十九億円の補正予算を計上し、早期議決したところです。この補正予算の大部分は燃油等の高騰に伴う県民や事業者の経費増加への補助ですが、その一部、約八億六千万円が事業者の再生可能エネルギー・省エネルギー設備の導入支援に計上されました。これは長期化を見据えた省エネ及びエネルギーコストの削減につながるものであり、カーボンニュートラルの実現にも寄与するものと思います。  これまでの県の補助制度は、家庭向けの太陽光発電整備やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)等の再エネ・省エネ設備の導入補助でした。しかし、今回は、エネルギー高騰対策として、事業者向けの再エネ・省エネ促進策の補助制度を創設したわけで、評価したく存じます。  さて、事業者の取組を促進する上では、県も最も大きな一事業者として再エネ、省エネに率先して取り組んでいく必要があります。中でも、オフィスや店舗などで使用されるエネルギーの約四分の一を占めると言われる照明についての取組は重要ですが、二〇一七年度に県は、省エネ化と温室効果ガス排出量の削減を図るため、自治センターと西三河総合庁舎の蛍光灯約九千三百本をLED照明に替えるモデル事業を実施、そして、その後も順次LED照明の導入に取り組んできたと認識しています。  そこで伺います。  県は、一事業者として、これまで再エネ、省エネについてどのような取組を行ってきたのか、自治センター及び西三河総合庁舎のLED化の成果と県有施設への導入状況と併せて伺います。  このたびの燃油価格の高騰、物価の上昇は収まる気配はなく、長期的なトレンドとなる様相であり、エネルギー価格の高騰は産業県愛知に大きな影響を及ぼすおそれがあります。しかし、補正予算は今年度限りの緊急的な対応となっており、継続的な政策が必要と考えます。カーボンニュートラルの観点からも加速度を増した取組を望みます。  さて、国は、二〇二一年四月に、二〇三〇年度において、二〇一三年度比で温室効果ガス四六%削減を目指すこと、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。また、六月には地球温暖化対策推進法の改正が公布され、パリ協定の目標や二〇五〇年に脱炭素社会の実現を目指すことが基本理念として位置づけられたところです。そして、十月、地球温暖化対策計画が閣議決定され、その中で、二〇三〇年の温室効果ガスの削減目標が二六%から四六%に引き上げられました。  このような国の方針の下、カーボンニュートラルに向けては、地域からの新たな取組の醸成も必要です。これに関連して、二〇二一年六月、国・地方脱炭素実現会議において、地域脱炭素ロードマップが決定、地方創生に資する脱炭素に国全体で取り組むこととし、二〇三〇年度までに脱炭素先行地域を全国に百か所以上創出することも表明されました。  脱炭素先行地域とは、民間部門の消費電力に伴うCO2排出量の実質ゼロを実現する地域のことですが、県内では、名古屋市と東邦ガスが共同提案した再開発地区で実現する脱炭素コンパクトシティモデルが選ばれ、脱炭素化を目指しています。  一方、県は、今年二月から、国の動向や社会情勢の変化を踏まえ、あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の改定に着手し、新たな削減目標と目標達成のための施策を検討していると聞いています。新戦略による新たな施策が打ち出されることを期待します。  また、国においては、今年度、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方公共団体等を複数年にわたり継続的かつ包括的に支援する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を創設、予算額は二百億円となっています。この交付金は、二〇二二年度から二〇三〇年度までの間で、地方公共団体がおおむね五年程度の事業計画を策定し、国に認められた場合、公共施設や民間施設の再エネや省エネ設備の導入などに活用できるものです。つまり、今回の補正予算で早期議決された事業者の再生可能エネルギー、省エネルギー設備の導入支援事業と親和性が高い交付金であり、県として、この交付金を新たな目標達成に向けた施策にも活用し、県内の脱炭素の流れを加速させていくべきと考えます。  そこで伺います。  今年度、国が創設した地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の次年度以降の活用も含め、脱炭素化の推進にどのように取り組もうとしているのか、御所見を伺います。  最後に、国際芸術祭の広域展開による地域の魅力向上について質問をします。  国内最大規模の芸術祭で、国内外から多数のアーティストが参加し、若い鑑賞者を中心に評価が高い国際芸術祭が七月三十日からスタートします。私の地元緑区有松地区は、愛知芸術文化センターとともにメイン会場の一つとなり、芸術祭の開催目的にうたわれている広域展開のエリアとして開催準備が進んでいます。  国際芸術祭のプレスリリースには、有松・鳴海絞りののれんが揺れる歴史的な風景に江戸時代の浮世絵がよみがえったかのようなカラフルな色彩的な絵画が屋外に展示されるとあります。伝統的な有松の文化が現代美術とコラボレーションすることで新たな有松・鳴海絞りの魅力が発信されることを期待するとともに、文化芸術活動の活発化により地域の魅力の向上を図るとの本芸術祭の開催目的が達成されることを願います。  さて、六月四日、五日に三年ぶりに開催された有松絞りまつりは、絞りの展示、即売をはじめ、有松あないびとのまち歩きツアーなどが盛況で、歴史的な建造物が立ち並ぶ旧東海道に人があふれるさまは圧巻でありました。  二〇一九年、日本遺産に認定された有松地区は、国などの助成を受けながら観光事業等による活性化を図る計画でしたが、コロナ禍により思うような事業展開ができませんでした。また、浴衣などの絞り製品の販売が落ち込み、打撃を受けております。  そういった現状を鑑みれば、芸術祭の開催は、有松地区の活性化と魅力向上に向けての反転攻勢の機会となると考えます。そして、そのためには、組織委員会は言うまでもなく、本県関係者と有松地区で活動するメンバーとが強く連携しての事業が肝要となってきます。有松地区の皆さんは、一過性の盛り上がりに終わるのではく、同地区の持続可能な発展にもつながる芸術祭の取組を求めておいでです。  有松絞りまつりでは、国際芸術祭のプレイベントも行われていました。有松手芸部と名づけられたワークショップで、芸術祭参加アーティストである宮田明日鹿さんが、おうちで手芸を楽しんでいる方、手芸をやってみたい方が共に学び合い、おしゃべりをしながら手を動かすというシンプルなイベントですが、芸術領域を乗り越えて、地域のまちづくりにも通じるものと思う取組でもありました。  ちなみに、有松手芸部は芸術祭期間にも開催することになっています。こういった事業は、地味かもしれません。  しかし、国際芸術祭ならではの地域展開であり、有松地区への集客の呼び水になるとも思った次第です。  二〇一七年に改正、施行された文化芸術基本法は、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、文化芸術そのものの振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連する分野における施策を法律の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用しようとするものでした。  言い換えれば、行政機関、文化芸術団体、民間事業者、学校、地域等との連携により、文化芸術に関する施策が観光、まちづくり、教育、国際交流、産業、福祉など文化芸術に関連する幅広い分野も含めた施策とともに推進されることを期待するものでありました。  そして、本県は、文化芸術の狭義な概念を打ち破るかのような基本法の改正を踏まえて、文化芸術振興条例を制定しました。  そこで伺います。  これら国、県の文化芸術政策の目指すべきところと、本芸術祭の開催目的、文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図るを踏まえて、国際芸術祭あいち二〇二二は、地域の産業や観光、まちづくりなどに取り組む関連団体、あるいは地元の学校などとどのような連携を実施するのかお尋ねをします。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 27: ◯教育長(飯田靖君) 初めに、県立高校におけるスクールカウンセラーの配置についてお答えをいたします。  本年度は、百四十八校一校舎に五十八人のスクールカウンセラーを配置するとともに、緊急支援が必要な事案が発生した際に派遣をするスーパーバイザー三人を県総合教育センターに配置しております。新型コロナウイルス感染症が拡大をしたここ三年間で、スクールカウンセラーは四人、スーパーバイザーは一人増員をしております。  スクールカウンセラーの来校日数は、約九〇%の学校で月に一日となっておりますが、昼間定時制高校などニーズの高い一部の学校につきましては、月に二日程度の来校日数を確保しております。  スクールカウンセラーの来校日数につきましては、五月に県教育委員会が全ての県立高校の校長を対象にアンケートを実施いたしました。その結果、現状の月に一回、一日では不足しているとする回答の割合が八九・九%を占めました。理想的な来校日数を尋ねたところ、週に一日が四二・〇%と最も多く、次いで、毎日が三二・六%でございました。また、学校への配置を希望する外部の人材につきましても尋ねたところ、スクールカウンセラーとICT支援員に高い希望が寄せられました。  県教育委員会といたしましても、コロナ禍により社会の状況が大きく変化をする中で、心のケアを必要とする生徒はさらに増加するものと認識をしております。生徒のニーズに応じた心のケアが可能となるよう、引き続きスクールカウンセラーの配置の拡充に努めてまいります。  次に、県立学校におけるICT環境整備についてお答えをいたします。  まず、ICT支援員についてでございますが、県立学校の要望に応じて、ICT機器の操作支援やICTを活用した授業提案、教材の作成支援、教員向け研修などを行う情報通信技術の専門家でございます。  現時点でICT支援員の派遣計画のない県立学校への支援につきましては、当面、県が今年の四月に設置をいたしましたGIGAスクール運営支援センターを中心に、電話やオンラインによる支援を行ってまいります。しかし、各学校においてICT機器を有効に活用していくためには、直接支援が受けられるICT支援員の確保が重要でございます。  議員お示しのように、八月には児童生徒一人一台タブレット端末の配備が完了いたします。ICT機器の活用が全ての県立学校におきまして円滑に進むには、ICT支援員によるサポートが不可欠でございますので、ICT支援員の拡充による支援の充実に努めてまいります。  続いて、県立学校の通信ネットワーク環境改善の進捗状況と今後の取組についてお答えをいたします。  インターネットにつながりにくいといった通信環境の課題につきましては、インターネット接続プランの変更による通信環境の改善により、通信速度の向上を図るとともに、現在、委託業者による校内回線の点検を行っておりまして、今後、アクセスポイントの増設などを進めてまいります。  県教育委員会といたしましては、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、主体的、対話的で深い学びを実現するためには、高速ネットワーク環境が不可欠でございますので、早急に通信環境の改善に取り組んでまいります。 28: ◯環境局長(水野達也君) 初めに、県のこれまでの再エネ、省エネの取組についてお答えいたします。  本県は、愛知県庁の環境保全のための行動計画、通称あいちエコスタンダードを策定し、環境に配慮した事務事業を推進するとともに、省エネルギー、省資源による温室効果ガス排出量削減に積極的に取り組んでまいりました。  具体的には、県有施設へのLED照明の導入をはじめ、太陽光発電施設の導入、昼休みの消灯の徹底や空調の適温化など、様々な取組を進めてまいりました。  また、全国の公共施設で初めてニアリーZEBの認証を取得した環境調査センターでは、次世代人検知センサーを使った照明・換気制御や、地熱、太陽熱を使った高効率空調など、先進的な環境配慮技術を導入しております。こうした取組の結果、事務事業における二〇二〇年度の温室効果ガスの排出量は、基準年である二〇一四年度と比較すると約一七%の削減となっております。  また、自治センター及び西三河総合庁舎へのLED照明の導入成果でございますが、蛍光灯と比較して、CO2排出量は約七〇%削減され、年間の電力使用量についても、一般家庭百五十世帯分に相当する約六十五万千キロワットアワー減少しており、既存照明を継続する場合よりも年間約四百八十万円のコストメリットがあることを確認できました。  その結果を踏まえ、ほかの施設についても順次LED化を進めており、昨年度末現在の知事部局の県有施設におけるLEDの導入率は約五〇%となっております。  今後、燃料価格高騰の長期化により、電気代の負担が増えることも予想されますので、可能な限りの早期導入を全庁に働きかけてまいります。  続いて、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の活用も含めた脱炭素化の取組についてお答えいたします。  本交付金は、意欲的な脱炭素の取組を行う地方公共団体等を国が複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援するものであり、本交付金の活用は、本県の脱炭素の取組を進める上で大変重要であると考えております。  本県では、昨年六月から、カーボンニュートラルの実現に資する革新的で独創的な事業・企画アイデアを募集しており、学識経験者で構成するあいちカーボンニュートラル戦略会議において選定したアイデアにつきましては、本交付金の活用も含めて検討を進め、早期の事業化を図ってまいりたいと考えております。  県では現在、温室効果ガスの削減目標の引上げを含めたあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の改定作業を進めておりますが、導入容量が日本一となっている住宅用太陽光発電設備を支える補助金などのこれまでの施策や戦略会議で選定した事業に加え、新たな目標の達成に向けた実効性のある施策を検討してまいります。 29: ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 国際芸術祭あいち二〇二二における地域との連携についてお答えをいたします。  文化芸術活動を生かして、地域の魅力の向上を図るためには、様々な分野と連携、協働することが必要であり、あいち二〇二二においても、文化芸術団体のほか、まちづくりなどに取り組む団体等との連携が重要であると考えております。  あいち二〇二二の会期中に開催される美術展や伝統文化、工芸などに関する事業を連携企画事業やパートナーシップ事業に位置づけ、相互に広報するなど協力をしてまいります。また、地元の店舗と連携をして周辺店舗マップを会場ごとに作成し、まち歩きに利用していただけるよう、来場者へ配布をいたします。  さらに、一宮七夕まつり、常滑焼まつり、有松ゆかたまつりや有松天満社秋季大祭といったあいち二〇二二の会期中に開催される地域のお祭りも一緒に楽しんでいただけるよう、関係する団体とも連携してまいりたいと考えております。  地元の学校に対しましては、市の教育委員会や市区の校長会を通じて学校向け鑑賞プログラムへの参加を働きかけており、多くの児童生徒に、現代美術を鑑賞しながらまちの歴史を学んでいただける機会を設けてまいります。  愛知芸術文化センター以外の会場にも多くの方々に訪れていただくためには、地元の皆様の協力が不可欠となります。地域の産業や観光、まちづくりなどに取り組む団体の皆様から積極的な情報発信をいただくとともに、こうした関係団体と力を合わせまして、来場者の皆様に現代美術だけではなく、愛知の魅力を存分に楽しんでいただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 30: ◯知事(大村秀章君) 岡明彦議員の質問のうち、脱炭素の推進に向けた今後の取組について、私からもお答えをいたします。  昨年度設置をいたしましたあいちカーボンニュートラル戦略会議では、これまで二つのプロジェクトを選定しております。  一つ目の矢作川カーボンニュートラルプロジェクトについては、今年三月に方向性や今後の進め方について、全体像を取りまとめ、事業化に向けた推進体制づくりを進めているところであります。  二つ目のアジア競技大会選手村後利用事業における街区全体で統一的に木造・木質化を図るまちづくりプロジェクトについては、今年三月に研究会を立ち上げまして、先導的でシンボリックなまちづくりに向けた取組を進めております。  また、カーボンニュートラルの実現に不可欠な水素利用を推進するため、今年二月に関係する自治体、経済団体等と共に設立をした中部圏大規模水素サプライチェーン社会実装推進会議におきまして、水素普及ワーキンググループと社会実装実現ワーキンググループを設置し、水素社会の早期実現に向けた取組を進めてまいります。  さらに、産業集積の著しい臨海部におきましては、温室効果ガスの排出量削減に向けた取組により、大きな効果が期待できることから、県内の港湾におけるカーボンニュートラルポートの形成を進めてまいります。その第一歩といたしまして、名古屋港のカーボンニュートラルポート形成計画を今年度中に策定する予定でありまして、引き続いて衣浦港及び三河港においても、形成計画策定に向けた調査を今年度より実施してまいります。  また、県として自動車のゼロエミッション化を先導するため、できるだけ早くトヨタ自動車の本格量産EV、bZ4X二台を公用車として導入いたします。  さらに、今年度、使途を環境改善効果のある事業に限定したグリーンボンドという県債を新たに発行し、その調達資金を先進環境対応公用車の導入、それから、信号機のLED等の事業に充当していくこととしております。  今後とも、地域の総力を挙げてカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。 31: ◯三十二番(岡明彦君) 知事はじめ、答弁ありがとうございました。  それでは、三点要望したいと思います。  SCとICT支援員という教育現場に資する人材については、今回は県立高校の現場の声とアンケートを基に質問をしました。現場の切実な要望に対して、県教委はしっかりと対応して、増員を急いでほしいと願います。また、二学期以降、全県立学校の生徒一人一台タブレット端末完備に際しては、端末が宝の持ち腐れにくれぐれもならないように、学校のネットワーク環境の改善についても急ぎ取り組んでいただきたいと思います。  二点目は、県有施設のLED化についてです。答弁で、大いに効果があることが分かりました。  本質問をするに当たり、私は、知事部局以外の施設のLED照明導入状況を聞き取りいたしました。LED化率は、企業庁は七二%、愛知県警は四七%、病院事業庁は三九%、教育委員会は一六%とのことでした。  殊、警察署や病院は二十四時間体制での運営となりますので、脱炭素の取組としてもLED照明を導入するメリットは大きいと思います。また、燃油価格・物価高騰の長期化が予想されるときに当たり、一層の経済的な効果も期待できますので、知事部局以外の導入についても、より積極的に取り組んでいただきたいと思います。  最後に、国際芸術祭の地域展開について要望します。  地域展開につきましては、私の地元有松地区の皆さんの受け止めは、今のところ、やや不完全燃焼との感が否めません。  昨日、十九日、有松であいち二〇二二のプレイベントが行われたんですが、地元関係者の参加が思いのほか少なかったのが気になりました。開会にはまだ一か月以上あります。有松、一宮、常滑の御地域の皆様の開催機運が盛り上がるよう、そして、芸術祭後もそのレガシーを活用して地域の魅力が向上できるよう、組織委員会と県当局が開催地域の各種団体等ときめ細やかな連携を図って事業を進めていくことを要望しまして質問を終わります。ありがとうございました。 32: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  森井元志議員。     〔七十二番森井元志君登壇〕(拍手)
    33: ◯七十二番(森井元志君) それでは、順次質問させていただきます。  まず初めに、愛知県医療療育総合センターを中心に進められているスマートホスピタル推進事業についてであります。  まず、このスマートホスピタル推進事業の立てつけについて少し御説明いたしますと、この事業は、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金のうち、デジタル実装タイプ タイプ1、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上に向けて、ほかの地域などで確立されている優良なモデルなどを活用して迅速な横展開を行う地方公共団体の事業を国が交付金により支援する事業となっています。  ちなみに、本県では、このスマートホスピタル推進事業のほかに、ウェブ出願システム構築事業、オープンデータ活用促進に向けたカタログサイト構築事業にも交付が決定されています。  次に、改めてですが、スマートホスピタルについて触れておきます。  そもそもスマートホスピタルとはですが、医療施設などの運営にICT技術を活用して施設が直面している様々な課題、高度化する医療技術や深刻化する人不足などに対応しつつ、医療の質全般を引き上げ、患者さんの満足度の向上を目指す医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)であります。  ICTを活用した医療の代表といえば、内視鏡下手術支援ロボット、ダビンチなどを活用したロボティックサージェリーなどを思い浮かべる方も多いと思いますが、通常の病院運営、例えば携帯端末から外来のチェックインができるようにする、従来、入力にはPCが使われていた電子カルテに音声認識ソフトを組み合わせることにより、携帯端末などを利用していつでもどこでもカルテの閲覧や書き込みが行えるようにするというもの。医療従事者間のコミュニケーションアプリを構築し、画像データ等も活用し、リアルタイムに情報を共有し、遠隔地にいる専門医などのアドバイスを受ける、あるいは、ウェアラブルデバイスを活用することにより、患者さんがどこにいようと身体の情報を確認することができる、もちろん、画像配信による遠隔医療など、スマートホスピタルは医療現場のあらゆる分野で進んでいます。  さて、このスマートホスピタルですが、とりわけ障害者医療の現場で期待が高まっています。それは、世界的なノーマライゼーションの理念の普及の下、二〇〇二年度に策定された国の障害者基本計画や二〇〇五年に成立した当時の障害者自立支援法などにより、障害者福祉の在り方は、施設福祉から地域福祉へと大きく変わり、住み慣れた地域に住んで、地域で活動し、地域の人たちと共生していくという障害者福祉の転換を踏まえ、障害のある方々が身近な地域で安心して生活していただけるような取組が求められている中で、遠隔診療などを身近なものにする今日のスマートホスピタルの進展は、まさにそれを具現化する一つの具体的な方策となるからです。  本県では、二〇一九年より愛知県医療療育総合センターにおいて導入の検討が始まり、昨年度、愛知県医療療育総合センタースマートホスピタルネットワーク、このはネットの運用が開始されました。  この、このはネットでは、スマートホスピタル技術を活用して、在宅での生活状態について観察、指導などを行うとともに、かかりつけ医など、地域で支援を行う方々と連携して障害者の皆様の在宅での支援の質の向上を図ることが可能になり、とりわけ重度の障害のある方にとっては、専用の車椅子や酸素吸入などの医療的ケアに必要な機器を持ち運ばなければならない通院の負担の軽減、利便性に加えて、現下のコロナウイルス感染症拡大の状況が依然として不透明な中においては、重症化リスクの高い重度の障害のある方々にとっては大きな安心材料にもつながると考えます。  また、このはネットには、医療機関、薬局、訪問看護ステーション、障害者福祉サービス事業所などの多職種の支援者が診療情報、看護情報、介護記録、服薬管理や服薬状況などについて、それぞれの気づきなどを共有する電子@連絡帳があり、これを活用することにより、障害のある方やその御家族の皆様へのサポートをよりスムーズに行うことが可能となります。  さらに、御本人や御家族がその日の体調や健康状態などを記録したりつぶやいたりする日記帳、ここのーとという機能を活用することで、生まれてから現在までの情報をこのシステムに蓄積することができるなど、支援機関への必要な情報の伝達がスムーズに行えるようにもなります。  このように、障害のある方々にも支援者にも大きなメリットがあるこのはネットですが、さらに大きなメリットは、このはネットが持つ様々な情報共有機能は、本県の障害者医療の拠点である医療療育総合センターが持つ知識、技術、様々なノウハウを地域で障害者の支援を行う方々に対して共有、還元することにもなり、それは、医療療育総合センターを受診している方々だけでなく、愛知県内の障害のある方々に対しての支援の質の向上、底上げにもつながり、障害のある方々が在宅や身近な地域で安心して生活していただけることにつながるものと大いに期待しております。  そこでお伺いをいたします。  昨年度導入したスマートホスピタルネットワークであるこのはネットの利用状況はどのようなものなのかお伺いをいたします。また、さらにスマートホスピタルを推進していくために、今後どのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。  次に、愛知発のイノベーション創出に向けた取組についてお伺いをいたします。  現在、本県では、知事の強力なリーダーシップの下、世界的なネットワークの構築を進めているスタートアップ支援拠点STATION Ai整備事業が進められています。このSTATION Aiから将来送り出されてくるであろう新産業は必ず、次世代のこの地域のみならず、我が国の経済に大きなインパクトをもたらす存在となると期待を膨らませています。  他方、この愛知には既に大きな産業集積があります。これらの既存産業においても、また、人口減少、超高齢化に伴う労働力不足、地域活力の低下といった社会的な課題の解決に向けても、新しい行政手法や民間のアイデアを基にした新たな官民協働といった取組によるイノベーションが求められていると考えます。  さて、改めてですが、イノベーションについて少し深掘りしていきたいと思います。  まず、イノベーションとは、日本語では技術革新と訳されることが多いようですが、その語源はラテン語のインノバーレ、直訳すると新しい方向へという言葉ですから、本来、イノベーションは技術革新のみにとどまらず、物、仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどに新たな考え方や技術を取り入れて新しい価値を生み出し、社会に大きな革新、刷新、変革をもたらすこと全般を指すと言えます。  そして、このイノベーションには様々な分類法があるようです。多くの著名な経営学者たちはそれぞれの考えに基づいて分類を定義しているようですが、代表的なフレームワークは、既存の製品またはサービスの改善の積み重ねで起こる持続的イノベーションと、製品やサービスが新しい市場を生み出し、確立されたものを置き換えるといった破壊的イノベーションといったもののようです。  ちなみに、米国のように自由市場経済の環境には破壊的イノベーションのようなモデルが適していると言われる一方、日本のように調整型の市場経済には積み重ねによる持続的イノベーションが適していると言われているようでもあります。  この持続的イノベーションの中には、他社や外部との連携によって全く新しい価値を創造するオープンイノベーションなども含まれていますが、このオープンイノベーションの分野では、今後、STATION Aiから送り出されてくるであろうスタートアップとの連携による既存産業での様々なブレークスルーに大きな期待が寄せられる分野でもあると考えます。  次に、イノベーションを起こしやすい環境というものはどんな環境なのかということについて考えてみたいと思います。  まずは、何よりも会社、法人がイノベーション人材をきちっと支援する体制が整えられている環境の構築にあるようであります。  では、具体的にそれはどんな環境かと調べていくと、それは、コミュニケーション環境の整備、顧客とのコミュニケーションのような社外とのコミュニケーションだけでなく、社内でも他事業部門間でのコミュニケーションが活発に行われるような環境を整備すること、そして、何よりも失敗しても大丈夫という心理的安全性が確保された環境ということだそうです。  イノベーションは新しい挑戦なので、かなり高い確率で失敗します。いわゆる石橋をたたいてはイノベーションは起きにくい、過度な競争環境に陥らないように、しかし、挑戦することを評価して、たとえそれがうまくいかなくとも助け合えるコミュニケーション環境が整っている環境が大切ということに集約ができるようであります。  さて、本県では、今年度から経済産業局内に革新事業創造部とイノベーション企画課を新設し、既に着手している健康長寿や農業を含め、幅広い政策分野におけるイノベーション創出施策の推進体制が強化され、早速、さきの議会には、愛知県初のイノベーション創出に向けた新規施策として、革新事業創造戦略の策定、推進に関わる補正予算が提案され、可決、成立したところであります。  この革新事業創造戦略では、地域の産学官金によるイノベーション創出に向けたアイデアを受け付け、優れた提案の具体化を進めることでイノベーション創出を推進するとされています。  冒頭申し上げましたように、既存の産業でのイノベーションの喚起や社会課題の解決に資するイノベーションの創出も、スタートアップと同じように県行政としてしっかり支援することが求められる中で、全国に先駆けた的を射た取組であると大変高く評価しておりますが、その推進に当たっては、本県の発展に加え、様々な政策課題に対し、地域が一丸となってイノベーションの創出を図っていく視点が大変重要であると考えます。  しかし、一方、先ほど来、イノベーションについて少し深掘りして述べてまいりましたが、イノベーションの喚起に向けては、行政機関にとってはある意味大変苦手な部分も多分に含まれているように感じます。ぜひそういった部分にも果敢に挑戦していただきたいと思います。  そこでお尋ねいたします。  新たに策定する革新事業創造戦略において、何を目指し、どのような取組を進めていくのかお伺いいたします。  最後の質問であります。  愛知県証紙の今後の在り方について、県のお考えをお伺いいたします。  証紙の概要やその仕組みなど、詳細なことを申し上げる必要はないと思いますが、愛知県証紙には一円から一万円までの十九の金額の種類があり、運転免許の更新の手数料の支払いやパスポートの申請時の交付手数料、県立高校の入学検定手数料などの支払いで利用されているのは一般の県民の皆様も御存じだと思いますが、ほかにも県行政各般の手続において利用されており、全部で百二十三種類の様々な手数料の納付に用いられています。  昨年度の証紙特別会計における税外収入の予算の総額は百十一億七千二百九十万円となっており、証紙による手数料収入の総額は例年百億円程度となっているようであります。  ちなみに、よく似たもので収入印紙というものがありますが、印紙税や登録免許税や手数料などが国に支払われる際に利用されます。支払先が自治体である場合は証紙と呼び、言うまでもなく愛知県に支払われる手数料に利用されるものは愛知県証紙となります。  さて、私は、二〇一七年六月議会、ちょうど五年前にこの愛知県証紙について質問させていただきました。前回の質問の折には、私の今後の愛知県証紙の在り方についての問いに、当時の会計局長は、IT化の進展など、県民の方々の生活環境や自治体を取り巻く環境も時代とともに変化しておりますことから、ほかの自治体の新たな取組なども参考にしつつ、県民の利便性の向上と事務の効率化を念頭に置いて、より合理的な収入の在り方について研究してまいりたいと御答弁をいただきました。  今さら言うまでもありませんが、この過去五年間、とりわけコロナ禍は我々の社会生活を一変させ、それはお金を取り巻く環境も大きく影響を受けました。そういったことも踏まえて、改めて県証紙の今後について県のお考えをお伺いいたします。  まず、証紙を利用する様々な申請手続についてですが、国は二〇一六年十二月十四日に官民データ活用推進基本法を施行し、申請、届出、処分の通知その他の手続についてはオンライン化の原則が定められました。また、二〇一九年十二月十六日に施行された情報通信技術を活用した行政の推進に関する法律、通称デジタル手続法では、手続のオンライン化に必要な情報システムの整備に必要な施策を実施するよう努めなければならないとされました。その後、二〇二〇年に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画では、国の行政手続の原則オンライン化とともに、地方公共団体の行政手続オンライン化を優先して進める必要があるとされています。  次に、社会の中でのお金の扱いについてですが、スマートフォンなどのICT機器の急速な普及と進歩に加え、物に触ることに神経質になったコロナ禍の影響もあってか、社会生活の中でのキャッシュレスの動きは目覚ましいものがあるのは皆様も御存じのとおりであります。  もちろん、このキャッシュレス化の動きは本県行政でも進んでおり、愛知県警察でも今年度の当初予算にはキャッシュレス決済の導入のためなどの予算を確保するなど、先ほど申し上げたデジタル手続法と相まって、まさしく今年度は、県行政での電子申請、そして、それに伴うオンライン決済を含むキャッシュレス決済が具体的な形となってくる、そんな年になると期待をしているところであります。  さて、改めて、ほかの自治体の動きも調べてみました。前回、この場で本県の証紙の在り方について質問をさせていただいたときには、二〇一〇年に利用を廃止した東京都、続いて、二〇一四年の広島県、二〇一八年の大阪府などの事例を御紹介させていただきましたが、二〇二〇年一月には横浜市が横浜市収入証紙の販売を終了し、鳥取県では二〇二一年九月三十日をもって鳥取県証紙の販売を停止、本年三月三十一日をもって証紙による納付の受付を終了しています。また、昨年度には、神奈川県や埼玉県も県証紙の廃止を打ち出し、つい先日、五月二十七日には、岡山県も来年度中に証紙の利用を廃止する意向を発表したようであります。  また、ある全国紙の独自調査でありますけれども、現在も証紙を発行している自治体のうち約四割の自治体で今後は証紙の利用の廃止を検討しているという調査結果も公表されているようです。  これらの他県の方針については、自治体ごとにそれぞれ考えがありますので、あくまで参考までにという受け取りをしていただきたいと考えますが、本県としては、言うまでもなく、行政手続の効率化や利用者の立場に立った手数料の納付方法という視点を最優先事項として、同時に、一九六四年から六十年近い利用実績のある愛知県証紙は、その利用の仕組み自体が本県行政のシステムの一つの歯車として機能している、そんなことも踏まえながら、今後の愛知県証紙の在り方を判断していかなければいけないというふうに考えます。  そこで伺います。  二〇一九年十二月に施行された情報通信技術を活用した行政の推進などに関する法律、通称デジタル手続法に基づき、着々と様々な行政手続のオンライン化が進んでいく中、また、社会のキャッシュレス化が早いペースで進む中で、今後の愛知県証紙、手数料の納付の在り方について、改めて県のお考えをお伺いいたします。  質問は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34: ◯福祉局長橋本礼子君) 医療療育総合センターにおけるスマートホスピタルについてお答えいたします。  社会全体でデジタル化が進展する中、医療現場におきましてもICTを活用して、患者の利便性向上や医療従事者の業務効率化等を推進するスマートホスピタルの取組が強く求められております。  一方、障害のある方々が安心して在宅で過ごすためには、御家族をはじめ、医療機関や障害福祉サービス事業所などの関係者の連携が不可欠でありますが、これまでは、書類や電話、面談等で確認することが多く、手続が煩雑となり、情報共有を行うための業務の負担が大きな課題となっておりました。  そこで、医療療育総合センターでは、スマートホスピタルの実現を目指し、多職種の支援者が連携し、在宅の障害者の生活を支援するための情報ネットワークとして、昨年四月にこのはネットを立ち上げ、デジタルを活用した多職種間の連携や、オンライン診療により通院負担の軽減を図る取組を始めたところでございます。  昨年度の利用状況でございますが、まず、このはネットに登録いただいた御本人または御家族は百五十四人、支援側であります医療機関等は四十三施設でございます。  さらに、登録いただいた御本人、御家族や医療療育総合センターを含む支援者がこのはネットを利用して情報の発信ややり取りをした件数は三千五百九十八件でございます。また、オンラインでの診療や栄養指導は六十一件となっております。  次に、今後の取組でございます。  現在のところ、このはネットの利用は、春日井市にございます医療療育総合センターで治療を受けている御本人と御家族及びその支援者が中心となっておりますが、今後は、センター利用者以外にもこのネットワークを活用していただけるよう広域化を進めていくことが重要と考えております。  そこで、このはネットは、名古屋大学医学部附属病院が開発いたしました電子@連絡帳というシステムを活用しており、同じシステムを利用している県内の五市と既に広域連携協定を結びまして、お互いのシステムを接続することで、さらなる利便性の向上を図っております。  今後は、広域連携を拡大するため、他の市町村への説明などを積極的に行うとともに、地区医師会などの関係者にも丁寧に御説明して、順次連携いただける市町村を増やしてまいりたいと考えております。  また、障害のある方やその御家族にとりましても、支援者への情報伝達がスムーズに行えるようになるため、積極的な登録を働きかけてまいります。  今後とも、このはネットの利用の拡大を図りますとともに、さらなるICT活用の検討を進めるなど、医療療育総合センターにおけるスマートホスピタルの推進に取り組んでまいります。 35: ◯経済産業局長矢野剛史君) 本県産業でのイノベーションの喚起について、革新事業創造戦略が何を目指し、どのような取組を進めていくのかについてお答えをいたします。  現在、経済社会の不確実性が高まり、SDGsなどの重要性が増す中、新産業の創出や既存産業の高度化といった視点はもとより、社会課題の解決や地域の活性化に資するイノベーションへの期待が高まっております。  イノベーションの創出に向けては、民間事業者などが持つ革新的な技術やサービスを社会活動や産業活動に組み込み、社会システムとして実装していくことが重要であります。  こうした認識の下、革新事業創造戦略では、愛知発のイノベーション創出に向けた新たな取組として、地域の多様な主体が持つイノベーションのアイデアを発掘、共有し、地域が一丸となった取組を進めるため、民間からの提案を起点として社会課題の解決や地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指してまいります。  そのための仕組みとして、イノベーションの創出に向けたプロジェクトのアイデアや優れた研究シーズ、技術シーズの提案を幅広く受け付け、提案者同士のマッチングや活用可能な支援施策の紹介などを行う革新事業創造プラットフォームを構築してまいります。  さらに、優れた提案につきましては、提案を行った関係者や事業者、県庁内の関係課室等によるワーキンググループを設置し、活用可能な支援策や事業スキームの検討を行うなど、具体的なプロジェクトの組成を図ってまいります。  こうした戦略に基づき、官民連携による絶え間のないイノベーションの創出を全国に先駆けて強力に推進し、本県の産業経済の持続的な発展とともに、社会課題の解決や地域の活性化を図ってまいります。 36: ◯会計管理者会計局長(岡田守人君) 愛知県証紙の今後の在り方についてお答えいたします。  公金の納付方法につきましては、金融機関や県機関の窓口における現金納付のほか、証紙による納付、コンビニ納付、インターネットバンキングによる納付などがございまして、納付方法の多様化が図られてきたところでございます。  このように納付方法を幅広く備えることは、県民の皆様の利便性向上につながるものであり、証紙につきましても、その一翼を担っているものと考えております。  さて、国内のキャッシュレス決済を取り巻く状況でございますが、二〇一九年六月に閣議決定された成長戦略フォローアップにおきましては、二〇二五年六月までにキャッシュレス決済比率を四割程度とすることを目指すとし、さらに、経済産業省では、将来的には世界最高水準の八割を目指すとしております。  本年六月一日に経済産業省より公表されました二〇二一年のキャッシュレス決済比率は三二・五%ですが、毎年三ポイント程度の増加傾向にあり、現金からキャッシュレス決済への過渡期にある状況でございます。  また、窓口での対面による申請手続や現金の受渡しを避けたいといったコロナ禍を契機とした県民意識の変化もあり、キャッシュレス決済は今後着実に拡大していくものと考えております。  こうした状況の中、本県では、あいちDX推進プラン二〇二五に基づく取組として、各局において電子申請など行政手続のデジタル化に向けた検討が進められており、これに伴う手数料等の収納事務につきましても、キャッシュレス化に向けた検討が併せて進められているところでございます。  手数料の納付方法につきましては、県民の皆様の利便性と行政コストの経済性などを勘案して、総合的に判断していくことが重要であると認識いたしております。  証紙制度につきましては、本年六月から豚熱予防液注射に係る手数料の納付方法をこれまでの証紙から金融機関での窓口納付に切り替えましたが、今後も社会ニーズに合わせた見直しを行うとともに、証紙の今後の在り方につきましては、キャッシュレス決済の利用状況などを見極めた上で、手数料を所管する各局と調整を図りながら、引き続き検討してまいります。 37: ◯知事(大村秀章君) 森井元志議員の質問のうち、革新事業創造戦略について、私からもお答えをいたします。  愛知が日本の成長エンジンとして、我が国経済の牽引役をしっかりと果たしていくためには、イノベーションが次々と生まれ、育つエコシステムの形成が不可欠であります。  本県ではこれまで、スタートアップをイノベーション創出の起爆剤として位置づけ、Aichi─Startup戦略に基づき、中核拠点となるSTATION Aiの整備、そして、幅広い支援プログラムの展開によるスタートアップの創出、育成、展開、誘致を強力に進めてまいりました。  こうした取組をさらに発展、強化させ、愛知発のイノベーションを絶え間なく創出していくための新たな仕組みとして、革新事業創造戦略を策定、推進し、民間提案を起点とした官民連携によるイノベーションの創出を図ってまいります。  現在、国におきましては、新しい資本主義の実現に向けて、社会的課題の解決と経済成長を同時に実現する官民連携の取組について検討をされております。革新事業創造戦略は、この官民連携の取組を、国に先駆けて愛知県が実現するものであります。  この革新事業創造戦略とAichi─Startup戦略とを両輪として、愛知発のイノベーションを次々と生み出して、我が国の成長を牽引する国際的なイノベーション都市への飛躍を目指してまいります。 38: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  中根義高議員。     〔四十七番中根義高君登壇〕(拍手) 39: ◯四十七番(中根義高君) 自由民主党、中根義高です。通告に従い、順次質問をしてまいります。  まず初めの質問は、矢作川明治用水頭首工の大規模漏水についてであります。  さきの代表質問において、我が党、山下智也総務会長の農業への支援についての質問に対し、大村知事から、農業者に寄り添った支援を行い、この地域の農業の早期回復を目指すと大変心強い答弁をいただいたところであります。私からは、工業用水、水道用水の供給について質問をさせていただきます。  私が子供の頃からなれ親しんだ明治用水頭首工、水源の景色は、満々と水をたたえた姿であります。左岸側の少し上流、水面に飛び石のように並ぶのは、郷土の偉人、服部長七翁が考案した服部人造石、いわゆる長七たたきで造られた旧頭首工の遺構です。硬過ぎて壊すに壊せなかった明治の大発明と子供の頃に聞いた記憶がよみがえります。  今年、その旧頭首工の全容を見ることになろうとは思いもよりませんでした。右岸、仮設ポンプによる取水を可能にした仮設構造物の基になったものこそ、先人が築いた旧頭首工石であり、導水堤でありました。間もなく迎える七月十八日、服部長七翁の命日には、その偉業をしのぶ祭礼が、毎年、岩津天満宮で行われています。百二十年の時を経てなお、我々の暮らしを助けていただいていますことに感謝の気持ちをささげたいと思います。  六月十六日、明治用水頭首工復旧対策検討委員会の第二回会合が開催され、その後の記者会見で、漏水原因の一つの可能性と見られる空洞が左岸魚道の下部で見つかったと発表されました。  今回の漏水事故の経過について振り返ってみますと、まず、五月十七日に大規模な漏水が発生し、頭首工からの取水が停止しました。東海農政局は、同日、令和四年明治用水頭首工漏水事故緊急対策本部を設置、及び国土交通省や独立行政法人水資源機構の協力を得て、右岸取水口付近へ仮設ポンプを設置する緊急対策を実施。仮設ポンプの増設を進め、五月十九日からは通常の三割程度で工業用水の受水を段階的に再開。五月二十日、県は、工業用水受水事業所に向け、さらなる使用量削減への取組を依頼。ポンプの稼働台数の増に伴い、五月二十一日から農業用水の供給再開の準備が開始され、農業用水の給水が可能となる水量に達したことから、五月二十五日に受益地への試験通水を開始。六月一日から工業用水の供給を五割程度の受水に緩和。そして、現在、仮設構造物による右岸取水口から自然取水への取組が進められております。  明治用水右岸の取水量は、平時で毎秒約二十立米、その内訳は、農業用水がおおむね十八立米、工業用水がおおむね二立米です。一つの水路に仕切りがあるわけではありませんので、これまで農業用水、工業用水の違いを考えたことはありませんでしたが、農業用水は、管の中を水で満たし、圧をかけ、その水圧で地上のバルブから水を吐出させる仕組みであります。受益地を一日通水、三日断水で四つのブロックに分けて行ったのもこのためであります。  一方、工業用水の利用には、事業所ごとに貯留槽を設置することとされており、ポンプでその貯留槽へ水をくみ上げて使う仕組みになっていますので、水圧をかける必要がない利点があります。  今回の工業用水の停止や利用量の抑制では、敷地内の古い井戸を稼働させることができたので事業の継続ができたという事業所さんもあれば、一部の職種をリモート勤務へ切り替えたというお話もあり、工業用水を利用されている百三十一事業所さんそれぞれに御苦労があったのではないかと推察をします。また、農業あっての工業、農業用の明治用水の水を使わせてもらっているという意識が強くあることも今回の漏水事故を通じて感じたことの一つであります。  ともあれ、工業用水の利用の抑制が長期化することは様々な影響が懸念されるところでもあり、工業用水の安定的な確保が求められるところです。  そこで質問をいたします。  工業用水の供給について、県はどのように対応しておられるのかお伺いをいたします。  続いて、左岸について触れてまいります。
     左岸では、漏水原因の可能性が考えられる箇所の周辺を矢板と大型土のう及びコンクリートで遮水する仮設構造物の工事が進められています。取水については、仮設ポンプの設置が始まったと聞いているところであります。  左岸取水口からの平時の取水量は毎秒二立米弱でありますので、右岸と比べると少なく感じられるかもしれませんが、幸田浄水場から幸田町をはじめ、岡崎市、西尾市、碧南市の約二十五万九千人の飲み水になっている水も含まれています。  本来ならば、矢作川から取られた水は導水路で巴川にある細川頭首工へ運ばれ、農業用水、水道用水に利用されます。しかし、今回の漏水事故により左岸からの取水は停止しているため、緊急的な措置として、巴川自流からの振替取水でしのいでいます。巴川は河川を維持するための水量は毎秒二立米に設定されていますが、水量が豊かとは言えない巴川は、夏の渇水期、その量を一・一五立米に絞って流量の管理をしてきました。現在は、この水量の差、〇・八五立米の範囲内で農業用水、水道用水を賄っている状態です。  梅雨が終わると、いよいよ夏を迎えます。巴川の流量が低下してくれば、振替で取れる水の量も必然低下してまいります。これから農業用水、水道用水も水需要が高まる季節を迎えます。  そこで質問をいたします。  水道用水の供給について、県はどのように対応しておられるのかお伺いをいたします。  二つ目の質問は、ウクライナから避難してこられた方々への支援についてであります。  本年二月二十四日、ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まりました。国家の主権及び領土の一体性を侵害し、武力による一方的な現状変更を試みる行為は決して許してはなりません。我々、愛知県議会も、さきの二月定例議会において、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を全会一致で採択いたしました。  戦火を逃れ、本県へ避難してこられたウクライナの方々がどのような暮らしをされており、どのようなことに困っておられるのか。私は、日本ウクライナ文化交流協会さん及び名古屋ウクライナ避難民支援実行委員会からの委託を受ける特定非営利活動法人レスキューストックヤードさんにお話を伺ってまいりました。  私が訪問した日は日本語教室を開催している日で、母親が受講している傍らの託児スペースには、四歳の男の子と二歳の女の子の兄弟がいました。遊んでいても妹を守ろうとする意識がとても強い幼いお兄ちゃんの行動に、これまでの避難生活をかいま見る思いがしました。この御家族は、来日してまだ一か月ほどとのことでしたが、避難先のポーランドで仕事を見つけることができず日本を目指す方、渡航費用に使ってもよいとする日本財団の支援金を頼りに日本を目指す方など、まだこれからも日本へ避難して来られる方は続くだろうとのことでした。  早期に避難して来られた方は三月に来られていますので、滞在期間にはそれぞれ差があります。来日直後は親族の家に身を寄せていても、時間の経過とともにお互い同居のストレスを感じるため、公営住宅や民間アパート、また、支援を申し出る企業の社員寮などへ引っ越しをする時期に来ている世帯もおられます。その中では、何もない、カーテンレールすらない公営住宅に愕然としたという話や、名古屋ウクライナ避難民支援実行委員会の物資提供等はもとより、ドン・キホーテを運営するPPIHグループから家電製品を含む物品の提供及び職場の提供の話をもらって大変にありがたかったという企業による支援の話も聞きました。  日本の夏は苛酷だと聞いているので、高齢の母が日本の夏を過ごせるのか心配だ、リビングだけではなく寝室用のエアコン支援が欲しいと言ったらぜいたくだと言われてしまうだろうかと、これからの季節への不安も伺いました。  また、避難されてこれられる方のほとんどは女性と子供です。全てが不慣れな環境の中で、幼い子供を受け止め続け、仕事を探し、祖国に残る夫や親族の身を案じるという日々では、母子避難ならではの課題もあります。緊張の糸が張り続ける生活に母親が疲れ果ててしまったら、子供も生活に行き詰まってしまいます。母親へのレスパイトケアはとても重要な課題です。話の中で、名古屋港水族館の協力で無料招待券の配布がありましたが、数時間でも子供から解放され、ほっとできる機会をつくれるとよいですねと私が申し上げたところ、丸一日解放されたいと答えが返ってきたのは本音のところだと思います。  また、軍事侵攻と避難の体験で心に傷を負っている子供たちもいます。夜が怖いからランプが欲しいと言ったのは、地下シェルターから避難してきた子供だったそうです。本県で平和な日々を過ごす中で心のケアが行われることも重要です。  中長期の視点では、夫が待つ祖国へ帰る準備を基本にした生活をしていくのか、それとも仕事や進学など本県で長く生活するための基盤づくりを行っていくのかといった将来設計を決め切れない課題もあります。  また、支援として欲しいものは何ですかとお尋ねしたところ、真っ先にお答えいただいたのは電波、つまりインターネットにつながる環境でありました。さきの六月十五日に可決承認をいたしました、ウクライナ避難民生活支援事業でのプリペイドSIMカードの支給は、まさに避難してこられた方のニーズを的確に捉えたものと言えます。さらに、日本語教室の悩みとしては、電車代がかかることを理由に辞めてしまうことも挙げられており、オンラインによる効果にも期待をしたいところです。  名古屋市と公益財団法人名古屋国際センターとで、名古屋ウクライナ避難民支援実行委員会が四月に設立され、募金を原資とした給付金の支給、また、母国語で話し合われるつどいの場の開催、公共施設の無料招待券の支給などが行われました。実行委員会形式ならではのスピード感で、避難受入れの草創期の支援を実現した功績は大きなものでした。  一方、公共が主体となる事業、今回の県の事業はまさにそれでありますが、決定、実施までに時間を要するものの、相応の効果を発揮することができます。その一つは、寄附金の取扱いであります。個人においては、ふるさと納税として寄附金控除の優遇税制を受けることができますし、法人においては損金算入を可能としています。ウクライナ支援の募金活動をしておられる方に御紹介をいたしましたところ、大変に喜ばれました。一日も早い事業の実施を願っていたところでありましたので、このウクライナ避難民生活支援事業をはじめとする事業が早期に可決承認され、実施を迎えたことは大きな喜びであります。  避難生活のニーズが時期、経過とともに変化していく点や各世帯で事情が異なることを思うと、災害時の被災者支援や福祉分野のソーシャルワーカーのような要素が必要になってくると感じます。個々の事情や希望をきめ細やかに把握し、寄り添ったサポートをしていくためにも、世帯ごとのカルテを作成してはどうだろうかと思うところです。  県下各地に避難してこられた方が点在していることや、住んでいる自治体によって受けられる支援の内容にばらつきがあるとしたら、あまりよいことだとは思いません。また、受入れの経験値を共有するといった点からも、県が主体的に取り組む意義は高いと感じています。  そこで質問をいたします。  本県では、ウクライナから避難してこられた方々をどれだけ受け入れておられるのでしょうか。また、避難生活の長期化も予想される中で、県として今後どのような支援に取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  三つ目の質問は、家畜飼料の安定供給についてであります。  本県の二〇二〇年畜産産出額は八百三十一億円で全国十一位、本県は日本有数の畜産県でもあります。品目別に見ると、名古屋コーチンやウズラの卵はもちろん全国一位、乳用牛と鶏卵が七位、養豚が九位とトップテンに入っています。  畜産経営においては、経営コストに占める餌代の割合が高く、飼料価格の動向が畜産経営を大きく左右します。養豚においては約六割、酪農や養鶏においては約五割を占めます。念のため申し上げますと、この割合は現在の異常な値上がり前の試算を基にした割合であります。  トウモロコシや大豆油かすなど主な穀物類は八八%を海外に頼っているため、世界的な影響を受けます。コロナ禍の影響を受け、二〇二〇年九月以降、中国における需要の増加や南米での不作に対する懸念などにより国際的な穀物相場が急激に上昇し、これに伴い、十年ぶりに配合飼料価格が高騰しました。  この状況に、県は、昨年度の十一月議会で、配合飼料価格高騰対策支援金を措置しました。この事業は、畜産農家が購入した配合飼料の価格と、新型コロナ感染症の拡大により配合飼料価格への影響が発生する前、二〇二〇年の価格との差額について、その二分の一を支援金として交付するもので、支援金の交付は四半期ごとに行い、その支給単価は、十月から十二月までは一トン当たり四千四百円、翌一月から三月までは一トン当たり七千九百円でありました。  この支援金は、酪農、肉用牛、養豚、養鶏、全ての畜産農家に行き届く取組でありましたので、大変に好評でした。この事業は全国で本県だけという中で、あれは新型コロナの交付金を活用した事業なのだと説明をしたら随分驚かれた記憶があります。この取組により、畜産農家の経営意欲の減退や廃業が回避され、畜産物が安定的に供給されることで畜産物価格の高騰を防ぎ、結果として、私ども消費者の生活を守ることにもつながっていると私は思っております。  あれから一年、国際的な穀物需給については現在も緩む兆しがありません。配合飼料価格の全国平均は、二〇二〇年十月には一トン当たり六万七千百四十六円であったものが、直近の二〇二二年三月には、八万三千二百二円の高騰となりました。ウクライナの情勢も長期化が予想されており、続く七─九月期もさらなる高騰が見込まれる事態になっています。  このような中、県議会では、さきの六月十五日に配合飼料価格高騰対策支援金も早期議決をしております。特筆すべきは、昨年度の事業スキームを継承しつつ、その基準年を急激な価格高騰の影響が顕在化する前の二〇二〇年とした点でありました。畜産関係の方々からは、大村知事さん、ありがとう、みんな喜んどる、よう知事さんに伝えといてくれよと大歓迎でありました。この場から知事へお伝えをさせていただきます。  先日、畜産関係団体の会合に出席してまいりましたが、この配合飼料の価格高騰の話題が多くありました。原料はインフレ、製品はデフレ、国際相場の急激過ぎる高騰についていけない、また、卵一パック五十円の値上げでも経営は厳しいが、消費者はそれを受け止めてくれるだろうかと悲痛な叫びがありました。  そこで質問をいたします。  今議会に提出された配合飼料価格高騰対策支援金について、昨年度事業の実績はどうであったのか、また、この事業をどう評価されているのかお伺いいたします。  続いて、牛の粗飼料について触れてまいります。  牛は四つの胃袋を持ち、微生物の力を借りて植物を栄養に変える反すう動物でありますので、牧草やわらなどの草を食べることが必要です。この草のことを粗飼料といいます。  統計上、二〇二〇年の純国産粗飼料の自給率は七六%となっていますが、本県は都市近郊での畜産経営であり、北海道のように粗飼料の自給はできておりません。そのため、多くの農家が乾燥させた牧草を海外からの輸入に頼っていますが、コンテナショックと言われる海上輸送の滞りによって輸入飼料が入手困難な状況にあり、酪農家の方を中心に大変困っていると伺っております。  一方、県内においても、飼料価格の上昇による経営難や将来的な飼料価格への懸念から粗飼料を自給しようという動きが各地で見られています。畜産農家自らが畑で飼料作物を栽培する取組に加え、稲作農家が水田の転作作物として飼料用の稲やトウモロコシを栽培し、畜産農家に供給する動きも広がりつつあります。  こうした中、県は、粗飼料を輸入に依存している体質を改善するため、畜産農家の需要を調査し、県内各地の稲作農家等による自給飼料生産の取組をモデル的に紹介しながら、需要と供給のバランスが取れた自給飼料の流通網を県内各地に構築する耕畜連携支援強化事業に今年度から取り組まれていると伺っています。  配合飼料価格高騰に対する支援金は、確かに現在のような緊急事態への対応として必要であると思いますが、それはいわゆる対処療法であり、私は、本県畜産の継続的な発展のためには、輸入飼料依存型の体質を少しでも変えていく必要があると考えております。それはSDGsへの畜産サイドからの貢献につながるものでもあります。こうした視点からも、この耕畜連携支援強化事業の展開に期待をしているところです。  そこで質問をいたします。  県が今年度から実施している耕畜連携支援強化事業の具体的な事業内容と全体的なスケジュールについてお伺いをいたします。  六月十五日、岸田首相は記者会見の中で、現在の物価高騰を有事の価格高騰と表現しましたが、コストの高騰は畜産農家の経営に直接の影響をもたらします。また、昨年は、農家さんの防疫努力もあり、豚熱も高病原性鳥インフルエンザも本県での発生はなく過ごすことができましたが、一たび発生すれば、畜舎内の全頭、全羽が殺処分となることは周知のとおりであり、農家は日々リスクと向き合う環境にあります。  このような中ではありますが、畜産経営が継続され、長年の経験で培ってきた技術が継承されていくことが肝要であると考えます。さらには、意欲と情熱にあふれる若手農家により、畜産の分野が魅力ある産業分野に成長していくことが期待されます。  そこで質問をいたします。  県は、本県の畜産振興についてどのような考え方で進めていこうとしておられるのかお伺いをいたします。  以上、壇上からの質問を閉じさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 40: ◯企業庁長(中川喜仁君) 明治用水頭首工の大規模漏水についてお答えいたします。  工業用水につきましては、仮設ポンプの設置台数の増加により、農業用水の通水に必要な水量を差し引いても、工業用水として一定の水量が確保できる見通しとなりましたので、六月一日以降、受水量を通常の五割程度に緩和いたしましたが、受水事業者の皆様には、引き続き厳しい節水の協力をお願いしているところです。  工業用水の供給に当たっては、漏水発生直後から頭首工に二十四時間体制で職員を常駐させ、仮設ポンプによる取水量や応急対策の状況を常時把握し、また、安城浄水場では、こうした情報に基づいて、取水及び配水量の監視、調整を行うほか、西三河水道事務所においても、百三十一の受水事業所に対し、受水に関する情報提供と各種問合せへの丁寧な対応に努めております。  さらに、降雨などにより、仮設ポンプ取水量の急激な減少に備え、周辺にある七か所の水道・工業用水道施設において緊急時の臨時給水体制を整えております。  次に、頭首工左岸から取水している水道用水は、巴川からの緊急避難的な取水を行うとともに、豊田浄水場や尾張東部浄水場からの応援給水を実施してきたことにより、今のところ給水制限は生じておりません。  しかしながら、今後、復旧が長期に及ぶ場合は、巴川からの取水量にも限りがあることから、国は、水量確保のため、左岸取水口や細川頭首工下流河川において、仮設ポンプの設置を進めております。  また、水道用水は市町との連携が大変重要となってまいりますので、関係市町の連絡会議を設置するとともに、幸田浄水場からの供給量の軽減を図るため、市水道の水源である地下水の利用や市水道の浄水場からの応援給水など、可能な限りの調整を図っております。  工業用水、水道用水の供給には、国が行う頭首工での一連の応急対策が必須であります。現在、国は、水の需要期に向けて、仮設ポンプに加え、右岸、左岸双方の取水口からの自然取水が可能になるよう、仮設構造物の設置による対応を進めております。  県といたしましては、こうした応急対策による取水量の確保を引き続き国に強く働きかけるとともに、今回の漏水の影響を少しでも少なくすることができるよう、関係機関との連携を密にして用水の供給と、受水事業者の皆様への対応などに全力で取り組んでまいります。 41: ◯県民文化局長(伊藤正樹君) ウクライナから避難されている方々への支援の取組についてお答えをいたします。  ウクライナから避難し、県内で生活されている方は、六月十四日現在、名古屋市はじめ十市において五十九人となっております。  本県では、これまで、国や市町村を通じて情報収集に努めるとともに、NPOを通じて避難されてきた方々のニーズを聞き取った上で、生活や就労に関する相談対応、県営住宅の提供など、必要な支援を行ってまいりました。こうした中で、避難生活を送る皆様が不安を感じられていることの一つが言葉の壁であります。  現在、国際交流協会やNPOなどが運営する地域の日本語教室において、避難されてきた方々の日本語学習をサポートしています。本県といたしましても、今後、オンラインによる日本語教室の開催や地域の日本語教室への専門家派遣などにより、関係団体や市町村等と連携、協力して、日本語学習を継続的に支援してまいります。  また、一時的に身を寄せている身元引受人の元を離れ、新しい住居で生活を始める上で、様々な生活用品が必要となります。このため、物品の寄附などの支援活動を行う企業やNPO等と連携、協力し、市町村を通じて寄附物品を避難されてきた方々に届けるためのマッチングや配送を行ってまいります。  ウクライナから避難されてきた方々が本県で安心して生活を送ることができるよう、国、市町村、支援活動を行う様々な団体、企業等と連携、協力し、寄り添った支援を行ってまいります。 42: ◯農業水産局長(矢野浩二君) 家畜飼料の安定供給についてのお尋ねのうち、配合飼料価格高騰対策支援金の実績と評価についてであります。  昨年度十一月補正予算において措置いたしました配合飼料価格高騰対策支援金の実績につきましては、配合飼料を購入しております全ての畜産農家を対象に、合計で十七億八千六百八十一万三千二百六十六円を交付いたしました。  配合飼料の価格が高騰した場合は、国の配合飼料価格安定対策事業により補填金が交付されます。しかしながら、二〇二〇年秋以降の価格高騰の影響は、国の補填金だけでは緩和できないと判断し、国の事業の仕組みを活用しながら、他県に先駆けた本県独自の支援制度として対策を講じたものであり、今年度も本議会において御議決をいただいたところでございます。  評価といたしましては、二〇二一年度における県全体の配合飼料購入量を見ますと、事業を実施するまでは前年数量を下回って推移しておりましたが、実施後は前年数量を上回っております。  また、飼料価格が長期にわたり高止まりする中、二〇二一年度における畜産農家の廃業戸数については、酪農は十二戸、養豚と養鶏はそれぞれ二戸と、例年の変動の範囲内に収まっており、農家や畜産関係団体からは、経費の増加を抑えることができ、心理的にも経営継続の後押しとなったとの評価をいただいておりますことから、効果のある事業であったと考えております。  続いて、耕畜連携支援強化事業の内容とスケジュールについてであります。  二〇〇八年の急激な配合飼料価格の上昇を契機に、県では、輸入粗飼料に依存している本県酪農業の体質を改善し自給飼料を増産するため、翌二〇〇九年度から、稲作農家が生産した稲を茎や葉を含めて飼料として利用する取組を推進してまいりました。  飼料を自給する場合は、一年を通して購入できる輸入粗飼料とは異なり、収穫した作物を長期間保存する必要があるため、刈り取った稲をビニールフィルムでラッピングし、乳酸発酵させることにより飼料として利用します。  こうした技術の確立や収穫調製機械の導入支援等により、飼料用の稲の面積は、二〇〇八年の十九ヘクタールから、二〇二一年には百五十六ヘクタールと拡大しております。  今回、再び配合飼料価格が高騰しているため、今年度から耕畜連携支援強化事業を立ち上げ、水田を利用した稲以外の栄養価の高い飼料作物についても生産拡大に取り組むことといたしました。  今年度は、県内三地域において、飼料作物を栽培する耕畜マッチング圃場を約二十ヘクタール設置して、水田における栽培上の課題や家畜に与えた場合の効果などを調査するとともに、畜産農家及び稲作農家への理解を深めてまいります。  また、広域流通体制の整備に向け、飼料の栽培地域と酪農農家の距離が遠い場合に生じる輸送コストの課題などについても検討してまいります。  今後は、広く県内各地域において耕畜マッチング圃場を設置し、飼料作物の種類や他の作物との組合せなど、各地域の実態に応じた耕畜連携による自給飼料の生産拡大にしっかりと取り組んでまいります。  最後に、本県の畜産振興についての考え方であります。  本県の畜産業は、農業産出額の約三割を占める重要な産業であり、県民の皆様へ安全で良質な畜産物を安定的に供給する重要な役割を担っております。  しかし、畜産業を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による生産資材の高騰に加え、国内需要の縮小、担い手の高齢化など厳しい状況にあり、農家戸数の減少による生産基盤の弱体化が懸念されるところであります。  こうした中、意欲ある畜産経営を支援し、本県の畜産振興を図っていくためには、家畜の飼養管理で生ずるリスクに的確に対応した、言わば守りを固める取組と、高収益型の畜産を目指す攻めの取組が必要と考えております。  守りの取組として、例えば、豚熱のワクチンを適切に子豚に接種するなど、家畜伝染病の防止対策の徹底と、家畜排せつ物の適正処理など畜産環境の保全対策といった、その地域で持続的に畜産を経営していくために必要不可欠な取組を確実に進めてまいります。  また、攻めの取組として、昨年度リニューアルしました豚舎や今年度末に移転整備が完了いたします種鶏場など、畜産総合センターの強化を通じて繁殖用に供する優良な家畜を畜産農家へ供給していくとともに、生産性の高い施設を整備し、畜産農家の収益力を向上させる畜産クラスター事業を推進してまいります。  加えて、名古屋コーチンやみかわ牛など、本県の畜産物のブランド力をさらに強化するため、いいともあいち運動や産地と連携した消費拡大事業を実施してまいります。  こうした取組を農家に寄り添い進めていくことにより、意欲ある畜産経営を支え、持続的に発展する本県畜産業の実現に努めてまいります。 43: ◯知事(大村秀章君) 中根義高議員の質問のうち、ウクライナから避難されている方々への支援の取組について、私からもお答えをいたします。  連日報道される、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による惨状には胸が締めつけられる思いがいたします。一日も早くこの戦闘自体が停止をされ、平和が訪れることを祈念いたすものであります。そのために、国際社会はやはり努力をしていかなければならないというふうに考えております。  さて、ウクライナ情勢は依然として先行きが不透明であり、ウクライナから本県に避難されている方々の滞在が今後長期化することも予想されますので、本県としても、一定の期間、必要な支援を行っていく必要があると考えております。  また、県民や企業、団体の皆様からも支援の申出が寄せられておりまして、五月三十日から、ふるさと納税も活用して寄附金を募集しております。既に多くの御寄附をいただいておりまして、一世帯当たり二十万円の生活一時金と、日本語学習などに必要なデータ通信のためのプリペイドSIMカードの配布に使わせていただきます。  そして、就労に関する相談対応も行っておりまして、公益財団法人愛知県国際交流協会にあいち多文化共生センターというのがありますが、そこは外国人向けに情報提供、相談対応を行う部署でありますけれども、そこに既に、お一人ですが、通訳業務に就いて、通訳の仕事で雇わせていただいているという方もお一人おられます。さらに、飲食店──これはパン屋さんですね──パン屋さんだとか、新聞にも出ておりましたが、安城のパン屋さんということで。あと、また、ドラッグストアなどでも──県内のドラッグストアさんですが──こちらでは全部で四人働いていただいているということもございます。  ということでありますので、順次、御希望をお聞きしながら、少し長くなることも考えながら、そういう仕事に就いていただくこともしっかりあっせんをしていきたいというふうに思っております。  ウクライナから避難されてきた方々が本県で安心して生活を送ることができるようしっかりと支援をし、ひいては、国籍や民族の違いにかかわらず、全ての県民が共に安心して暮らして活躍できる多文化共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。 44: ◯四十七番(中根義高君) それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございました。  私からは、明治用水頭首工の大規模漏水について、一点要望をさせていただきたいと思います。  答弁にもいただきましたとおり、現在、国による応急対策工事が進められており、右岸では自然取水による毎秒約二十立米の供給を目指した取組が進められております。左岸でも自然取水ができることを目指した工事が進められております。  これらが進むことによって、平年並みの取水量が確保できるようになれば、社会経済活動いろんなものが落ち着いてくるんだろうというふうに期待をするところでもあります。  今年の一番の山場でありますけれども、その山場は、梅雨明けから八月上旬にかけての水需要がピークを迎える時期をどうやってしのいでいくかというところにあると思います。ここを乗り越えられれば、あとは水需要も減少してまいりますので、ぜひこのピークをターゲットにして取組をいただけたらうれしいなと思っています。  県におかれましては、国との緊密な連携、地域への丁寧な説明、これを重ねてお願いいたしますとともに、引き続きでありますけれども、県としてできることを全て行うという姿勢で取り組んでいただくこと、また、前例がないことへも柔軟な姿勢で対応していく、この姿勢で臨んでいただくことを引き続き要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 45: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 46: ◯副議長(佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    47: ◯副議長(佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時四十分開議 48: ◯議長(須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  朝倉浩一議員。     〔二十番朝倉浩一君登壇〕(拍手) 49: ◯二十番(朝倉浩一君) 議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。  最初に、安全運転管理者による酒気帯びの有無の確認等について質問いたします。  事業所において、一定台数以上の自動車を使用して業務を行っていくに当たっては、道路交通法の定めにより、自動車の使用者は安全運転管理者を選任し、自動車の安全な運転に関して必要な事項を遵守していかなければなりません。私も自動車関連会社の運営者でありますので、安全運転管理者として、常に従業員に対して安全運転を遵守するよう各種指導しているところであります。  さて、昨年六月に、千葉県で下校中の小学生の列にトラックが衝突をし、児童五人が死傷した交通事故が発生したことに伴い、八月には、関係閣僚会議において、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策が策定され、その中で、安全運転管理者業務の内容の充実に係る道路交通法施行規則の一部改正がなされました。  この改正前までは、安全運転管理者には、運転前において運転者が飲酒により正常な運転をすることができないおそれがあるかどうかを確認すること等が義務づけられていたものの、運行管理者とは異なり、運転後において酒気帯びの有無を確認することや、その確認内容を記録化することは義務づけられておらず、また、確認方法については具体的に定められておりませんでした。  今回の改正内容は、安全運転管理者の業務として、運転者に対するアルコール検知機を用いた酒気帯びの有無の確認等が新たに加わったことであり、本年四月一日から酒気帯びの有無の確認及び記録の保存に係る規定が施行され、既に企業等の安全運転管理者において、運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、酒気帯びの有無を確認することや、その確認内容を記録し、当該記録を一年間保存することなどが実施されていることと思います。  そこで、私は、この新たな制度に対する取組状況について、実際に運送会社の社長にお聞きをしたところ、夜間に荷物を運ぶ仕事をしていたが、運転前後に酒気帯びの確認をすることについて社員と検討した結果、搬送先の目的地によって確認する時間がそれぞれ異なることになり、確認作業に手が回らないので夜間の運送業務をやめたというふうに伺いました。  事業者は、安全運転管理の責任者として、この規定を遵守することは当たり前のことですが、小規模事業者にとっては、コロナ禍の中で売上げや利益も切迫した状況が続き、働き方改革やワーク・ライフ・バランスの面からも相当負担になっています。  このような中、さらに十月からはアルコール検知器の使用等に係る規定が施行され、これまでのような運転者の顔色や呼気の臭い、応答の声の調子等での確認に加え、アルコール検知器を用いた確認が必要となります。  各事業所にとっては新たな対応が必要となるわけですが、飲酒運転による交通事故がいまだに発生していることに鑑みますと、飲酒運転を根絶することは、交通死亡事故をよくしていくためには重要なことと思います。また、これら制度が定められる契機となった千葉県のような飲酒運転による交通事故が二度と起きないよう制度を遵守していかなければなりませんし、制度の適正な運用に向けた取組も重要です。  そこでお伺いいたします。  アルコール検知器の使用等に係る規定の整備を踏まえた県警察の取組について、警察本部長にお伺いいたします。  続きまして、外国人児童生徒等教育の推進について伺います。  愛知県は日本一の産業県であり、本県に在住する外国人は、今後さらなる増加が見込まれます。こうした外国人の方々は、少子化が進み、労働力や地域の担い手不足が深刻化することが見込まれる中、産業だけではなく、地域社会の担い手として活躍が期待される存在です。  企業や地域を支える人材を育成するためには、外国人の子供たちが大学等に進学し、企業へ就職できるよう、子供の頃からしっかりとした日本語教育を行うことが今後ますます重要となってまいります。  外国人児童生徒が将来の日本を共に支える人材となってもらうために、三十ある在留資格の中で就労制限がないのは、日系人などの定住者や永住者、日本人の配偶者等であり、そのほかは決められた分野以外での就労が認められていないなど、就労制限があります。  現在、日本の学校で学んでいる子供たちは、日本語が理解でき、日本の習慣、文化を理解しているため即戦力になります。また、外国人は子供がたくさんいる家庭が多いので、労働力の確保という点だけではなく、消費者としても重要な存在となっていきます。  愛知県では、公立小学校入学直前の日本語が理解できない外国人の子供が、入学した公立小学校で戸惑うことなく、学校生活に早期に適応できることを目指し、簡単な日本語や学校の習慣などを教えるプレスクール事業を二〇〇六年(平成十八年度)よりモデル的に実施してまいりました。  改めてですが、プレスクールとは、小学校入学前の外国人の子供を対象に、市町村や国際交流協会など、初期の日本語指導、学校生活指導を行うことで、私の地元半田市でもこのプレスクール事業は実施され、現在では四事業所が運営をしております。  文部科学省が行った日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査の速報値によると、日本語指導が必要な児童生徒数は、二〇二一年五月一日現在、全国で四万七千六百二十七人に上っています。このうち、都道府県別で見ると、愛知県は全国最多の一万七百四十九人で、二位の神奈川県の五千二百六十一名と、外国籍、日本国籍とともに増加をしていて、令和三年度は過去最高となってしまい、全体の二二%以上を占めております。  こうした子供たちの日本語学習を支援するために、地域のNPOなどが外国人向けの日本語教室を運営しておりますが、地域日本語教室は、単に外国人が日本語を学べる身近な場ではなく、生活に必要な情報を得たり、教室に参加する日本人と外国人が互いに理解、交流を深めることができる場にもなっております。このため、地域の日本語教室は外国人の子供たちの居場所として大変重要な役割を担っており、一人でも多くの子供たちが通えるよう、一層の普及促進に取り組む必要があると思います。  そこで、外国人の子供たちが通える地域日本語教室の普及に向けた取組状況についてお伺いいたします。  続きまして、小中学校における日本語教育の取組について伺います。  学校教育の場においては、公立小中学校の日本語教育適応学級担当教員の加配などにより、子供たちへの日本語教育の取組が行われております。しかし、必ずしも日本語教育を専門とした教員ではないことから、研修等の充実が必要であると思われます。  また、文部科学省が行った外国人の子供の就学状況等調査結果によると、昨年五月一日現在における不就学の可能性があると考えられている外国人の子供は、全国で一万人を超えております。このうち、本県は八百六十五人となっており、地域社会における課題であると考えます。  外国人の子供たちは、保護者の育った国の教育制度や学校文化も様々であり、情報も届きにくいことから、スムーズに小学校へ入学し、学校生活が送れるよう支援が必要であると考えています。こうした場として、プレスクールは大変重要な取組だと思います。  半田市の学校では、今年度、豊明市や半田市でプレスクールを実施しているNPOとプレスクール実施の契約を締結したというお話をお聞きしました。この団体では、子供にしっかりと日本語を教えることができる人材がおり、カリキュラムを組んで取り組まれております。  半田市の外国人児童生徒支援について確認をしたところ、対象は日本語でのコミュニケーションが難しい子供たちで、日本語初期指導教室事業が四月から始動しており、年間三十名に対し、三か月間二百四十時間の日本語教育プログラムを実施しております。  半田市には、十三小学校百七十名、五中学校九十名の外国人生徒が在校しておりますが、各校はばらばらで、十名に一人の加配になっていない学校もあり、教師は足りていないのが状況です。指導場所も、小学校を使ってプレスクールを実施しておりますので、保育園、幼稚園からバスを出すなどの取組も必要ではないかと思います。  知多市では、拠点校をつくって集約して指導していると聞きました。  私が思うに、子供たちの日本語指導は段階を経ていく必要があります。学習についていけなければ、不登校になったり、進学を断念することにもつながります。高校卒業資格を持っていなければ非正規雇用の立場で働くことになる可能性が高く、彼らが自立した生活を送ることができる住民でなければ、治安の維持や地域経済の活性化にも結びつかないのではないでしょうか。  このように、小学校とNPOが連携して実施するプレスクールは、不就学の児童や生徒の減少につながる重要な取組です。県教育委員会においても、プレスクールの普及に向け、市町村教育委員会の取組に対し必要な支援を行っていく必要があると思います。  特に、市町村教育委員会に対する財政的な支援として、文部科学省の補助事業であります帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業がプレスクールを補助の対象としています。しかし、県教育委員会が市町村教育委員会に対して事業費を補助している外国人児童生徒日本語教育支援事業費補助金においては、プレスクールが対象とされておりません。プレスクール普及のため、ぜひともこうした補助事業の拡大などにより取組の支援の充実を図っていただきたいと考えております。  そこで、小中学校における日本語教育の取組状況とプレスクールの普及に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。  続きまして、愛知県の健康経営推進について伺います。  健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することであり、企業理念に基づき従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待をされております。健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた国民の健康寿命の延伸に関する取組の一つでございます。  経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成二十六年度から健康経営銘柄の選定を行っており、平成二十八年度には健康経営優良法人認定制度を創設いたしました。  健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している企業を健康経営優良法人として顕彰する制度で、日本健康会議が認定をしています。健康経営に取り組む法人を見える化することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業として社会的に評価を受けることができる環境を整備しております。  私の会社も自動車関連で、認定制度の趣旨を理解し、実際に申請をしてみました。最初に始めたのは健康宣言でした。健康宣言として健康経営を経営理念の中に明文化し、企業として取り組む姿勢を社内外に発信いたしました。従業員の誰もが目につく場所に掲示して、毎月一日は定時に帰りましょうを合言葉にノー残業デーを周知、また、社外的にはホームページや来訪者が通る場所に掲示をし、健康経営宣言をしております。  また、毎年の健康診断受診の際の再検査、精密検査に要する時間の出勤認定や特別休暇認定付与、再検査、精密検査を受ける従業員の受診報告の義務化、残業の事前申告制度や年次有給休暇の取得を促進するなど、様々な取組をした結果、メンタルヘルス不調者への対応や受動喫煙対策などの施策の実施、ワーク・ライフ・バランスや治療と仕事の両立に必要な就業規則等の社内ルールの整備による土台づくりなど、労働生産性も上がり、業績にもつなげることができ、健康経営に取り組む意義を十分理解できました。結果、二〇一九年から連続して二〇二二年度健康経営優良法人の取得も認定をいただきました。  健康経営優良法人二〇二二のうち、中小企業法人部門の認定数は、二〇二一年と比較すると、七千九百三十四法人から一万二千二百六十九法人と倍近くにもなっております。愛知県において、九百二十七法人から千三百十七法人と、健康経営に関する意識が高まっている傾向にあると読み取れます。また、愛知県は、大阪府に次いで全国二番目の認定数であることから、非常に健康経営の関心が高い地域であります。  健康経営推進を支える地域の取組として、国や各自治体において、健康経営や健康づくりに取り組む企業等の認定・表彰制度等が実施されており、制度の数は増加しておりますが、それに増しても、金融機関や保険会社も健康経営の推進に関連するインセンティブが増えております。しかしながら、それらのインセンティブについて、認定を受けた企業等がうまく活用できていないように感じられます。  そこで、コロナ禍の中で、他県以上にモノづくり産業の企業が多い愛知県の取組は大変期待をされているわけですが、健康経営に積極的に取り組む企業に対し、現在はどのような取組を行っているのか、また、メリットは何か。さらに、今後、健康経営を一層進めていくに当たり、課題をどのように考え、課題の改善に向け、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  以上、理事者の前向きな御答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 50: ◯警察本部長(國枝治男君) アルコール検知器の使用等に係る規定の整備を踏まえた取組についての御質問にお答えいたします。  県警察では、この規定について、愛知県安全運転管理協議会等の関係機関、団体と連携し、ホームページへの掲載や、広報チラシを配布、掲出するほか、企業等における交通安全講話や安全運転管理者講習等の機会を通じて周知を図っております。  あわせて、アルコール検知器を用いたチェックが義務化となる十月一日までの間においても、事業者に対してアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認について積極的に実施するよう促しているところでございます。  また、具体的な酒気帯びの確認方法につきましては、議員お示しのとおりでございますが、運転者に対して対面で確認することが困難な場合には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、カメラ、モニター等によって、運転者の顔色、応答の声の調子、アルコール検知器による測定結果を確認する方法も含まれていることについて周知しているところでございます。  他方で、安全運転管理者の未選任事業者の把握に努めるほか、業務中の飲酒運転等を検挙した場合には、その背後責任について徹底した捜査を行い、安全運転管理者の選任の有無や、その業務の実施状況について確認しているところでございます。  県警察といたしましては、飲酒運転を根絶するため、こうした取組を着実に推進してまいりますほか、飲酒運転の実態を踏まえた取締りや、飲酒運転の危険性等について、自治体、関係機関、飲食店等の業界団体等と連携した広報啓発活動等をより一層推進してまいります。 51: ◯県民文化局長(伊藤正樹君) 外国人の子供たちが通える地域日本語教室の普及に向けた取組状況についてお答えをいたします。  本県には、昨年九月時点において、地域日本語教室が四十一市町に百九十七あり、このうち子供たちを対象とした教室は百十三あります。  地域日本語教育の運営主体は、自治体、国際交流協会、NPOなど様々ですが、その多くをボランティアが支えており、資金の不足や専門性の不足などの悩みや課題を抱えております。  そこで、本県では、県と民間で造成した基金を活用し、運営費の一部を補助するなど、外国人の子供たちのための日本語教室を支援しております。  また、地域日本語教育を総合的、体系的に推進するため、二〇二〇年四月に県民文化局内にあいち地域日本語教育推進センターを設置し、日本語教室の運営や支援を行う市町村等の取組を支援してまいりました。  具体的には、文化庁の補助事業を活用し、専門知識を持つ地域日本語教育コーディネーターを市町村や日本語教室に派遣し、教育プログラムの策定や教室運営に関する助言などを行うとともに、地域日本語教育に主体的に取り組む市町村に対して補助金を交付しております。  地域日本語教室は、外国人の子供たちの身近な学習の場であるとともに、地域での居場所づくりやキャリア形成支援など、重要な役割を担っておりますので、県内全ての市町村において日本語教室が普及するよう取り組んでまいります。 52: ◯教育長(飯田靖君) 外国人児童生徒等への教育の推進についてのお尋ねのうち、初めに、小中学校における日本語教育の取組状況についてお答えをいたします。  現在、小中学校に在籍をする日本語指導が必要な外国人児童生徒の人数に応じて、日本語教育を担当する教員を加配しておりまして、各学校において、日本語の取り出し指導を行っております。  また、日本語が初級段階の児童生徒のために、県内十五市において日本語初期指導教室が設置をされており、その運営に要する経費に対する補助率を昨年までの三分の一から三分の二に拡充をしたところでございます。  さらに、県内五か所の教育事務所にポルトガル語、フィリピノ語、スペイン語が堪能な語学相談員を十一人配置しておりまして、昨年度は延べ三千百六十九校に派遣をし、日本語初期指導への補助や生活適応支援を行いました。また、日本語教育を担う教員の指導スキルの向上を目指して、研修機会の拡充を図っているところでございます。  次に、プレスクールの普及に向けた今後の取組についてお答えをいたします。  プレスクールは、二〇二一年四月現在、十二市町に十三の教室が設置をされ、学齢期前の日本語指導が必要な外国人の子供への支援が行われております。  プレスクールは、外国人の子供が小学校入学後の生活に適応するための重要な学びの場でございます。今後、市町村において増えていくことが考えられ、より一層の充実を図る必要がございますので、国庫補助事業を活用し、プレスクールに対する支援ができるようにしてまいります。  県教育委員会といたしましては、外国人の子供たちが安心して学校生活を送り、成長していけるよう、引き続き日本語教育の充実を図ってまいります。 53: ◯保健医療局長(吉田宏君) 健康経営の取組状況とメリットについてでございます。  企業が積極的に従業員の健康増進を目指す健康経営は、生産性の向上や労災の発生防止、さらには企業のイメージアップにも大きく寄与する大変重要な取組でございます。  国では、この取組を推進するため、二〇一六年度に健康経営優良法人制度を創設しております。  本県でも健康経営に取り組む企業を支援する企業登録制度を二〇一八年度から独自に実施し、本年五月末時点で五百以上の企業に登録いただいております。  この制度に登録することで、本県の健康経営に関するポータルサイト、あいち健康経営ネットの中で企業の健康経営の取組を広くPRできるほか、特に優れた取組を行う企業への表彰制度、県の入札制度への評価加点や中小企業融資制度が活用できるなど、様々なメリットがございます。  さらに県では、今後、国の認定制度を導入した企業が十分なインセンティブを享受できるよう国へ働きかけるとともに、健康経営の導入で得られるメリットの充実に向けまして、庁内関係課等と連携してしっかり研究してまいります。  次に、健康経営の課題と今後の取組についてでございます。  従業員の健康は大切な経営資源であり、健康経営に取り組むことが企業の利益につながっていくなど、その有効性を多くの企業に周知していくことが課題であると考えております。  そこで、県では、愛知県商工会連合会や民間生命保険会社など関係団体の御協力の下、健康経営導入の方法やインセンティブをセミナーで紹介したり、リーフレットやチラシの配布を通じて県内の企業へ周知しております。さらに、あいち健康経営ネットの内容の充実や、関連する取組として従業員の健康づくりにも活用できるスマートフォンアプリ、あいち健康プラスの活用を広く呼びかけてまいります。  県では、これらの取組を今後も着実に進めていくことで、健康経営を実践する企業の増加を図り、生涯を通じ健康で生き生きと過ごすことができる健康長寿あいちの実現を目指してまいります。 54: ◯知事(大村秀章君) 朝倉浩一議員の質問のうち、外国人児童生徒等への教育の推進のうち、日本語教育について、私からもお答えをいたします。  議員お示しのとおり、本県におきましては、日本語指導が必要な外国人の児童生徒は一万七百四十九人と全国最多でありまして、二位の神奈川県の約二倍となっております。  こうした状況に対応するため、日本語教育適応学級担当教員について、今年度は、五年前、二〇一七年度の四百八十九人よりも百九十人多い六百七十九人を配置しておりまして、日本語指導の充実を図っております。ちょうど私が就任した十一年前に比べて、そのときは三百人弱、二百九十人ぐらいでありましたから、倍以上にいたしております。  また、県立高校に進学する外国人生徒を支援するため、母語による通訳や教材の翻訳ができる支援員の拡充を図るとともに、今年度から新たに、日本語教育を行う支援員を、定時制を含む日本語指導モデル校五校に配置をいたしました。  さらに、県立高等学校再編将来構想に基づいて、来年度から新たなタイプの高校に改編する御津高校では、昼間定時制の併設や民間企業、地元自治体との連携によって、外国人生徒一人一人の日本語の習得状況に合わせた教育を行ってまいります。  外国人の子供たちが安心して学び、将来にわたって愛知県に生活の基盤を築き、活躍をしていけるよう、就学前から高校卒業までを一つのつながりとして捉え、日本語教育の充実に今後もしっかりと取り組んでまいります。 55: ◯二十番(朝倉浩一君) それでは、要望させていただきます。大村知事はじめ理事者の皆様、前向きな御答弁、もっとすごい答弁をありがとうございました。それでは、三点要望いたします。  安全運転管理者による酒気帯びの有無の確認についてですが、本年十月、アルコール検知機の使用等に係る規定が施行されます。各事業所は、安全運転管理責任者の選任をしておりますが、様々な要件がございます。この規定を理解し、安全運転を遵守することで、今後は飲酒運転による交通事故の抑止が期待されます。アルコール検知機の使用等に係る規定が十月には円滑に進められるよう、自動車を使用する事業者への周知をよろしくお願いいたします。  続きまして、二点目、プレスクールの普及に向けた取組についてですが、本県が、人員配置については、加配教員として配置くださっているかと思いますが、それは経験のない方や再雇用であったりして効率的な指導ができていないことがあり、日本語指導の部分での外部人材の登用にも柔軟な対応も必要ではないかと感じております。四月に伺った話ですが、半田市でも、正規の教員ですら人数確保が難しくなっていて、講師の確保も大変と聞きました。  本県は、モノづくり日本一であります。経済が今まで以上に回復することを確信しておりますが、そのときには、本県に在住する外国人はさらなる増加が見込まれます。今後の対策として、教員の負担軽減と、教員を確保するためにも、外部人材の登用を積極的に進めていただくようお願いを申し上げます。  三点目、健康経営についてですが、長期的に続くコロナ禍での厳しい経済の悪化、ロシアのウクライナ侵攻による物価の高騰など、企業を取り巻く環境は大変厳しい状況になっております。後継者問題やM&Aが進み、社会問題にもなっておりますが、会社が元気になるということは、社員も健康でなければ会社の発展はありません。そのためには、国としっかり連携を取っていただき、健康経営優良法人を取得することが法人にとって有益であること、社員にとっても安心して働き続けられる企業であること、取得する意義をさらに周知いただくことをお願い申し上げまして、要望を終わります。ありがとうございました。 56: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  杉浦正和議員。     〔六番杉浦正和君登壇〕(拍手) 57: ◯六番(杉浦正和君) それでは、通告に従いまして、一般質問を始めさせていただきます。  太陽光発電を推進するための施設の適正な設置と運用について。  太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多用で重要な低炭素の国産エネルギー源であります。
     東日本大震災以降、温室効果ガスの排出量は増加しており、二〇一三年度には過去最高の排出量を記録いたしました。こうした中、二〇一六年に発効したパリ協定においては、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて二度より十分低く保ち、一・五度に抑える努力をすること、そのため、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、二十一世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスを取ることなどが合意されており、再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しないことから、パリ協定の実現に貢献することができるとされております。  また、資源に乏しい我が国は、エネルギーの供給のうち、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が八割以上を占めており、そのほとんどを海外に依存しております。特に東日本大震災後、エネルギー自給率は一〇%を下回っており、エネルギー安定供給の観点から、この改善を図っていくことが重要であります。再生可能エネルギーは国産のエネルギー源であるため、エネルギー自給率の改善にも寄与することができます。  この再生可能エネルギーの中でも比較的設置しやすい太陽光発電は年々増加しており、今回のエネルギーミックス改定では、太陽光発電量を二〇三〇年目標として、二〇二〇年の電源構成七・九%から二〇三〇年には一四から一六%と約倍の目標とされ、今後も設置コストの安い太陽光発電施設は増加していくことが見込まれています。  このように、地球温暖化防止やエネルギー安全保障の観点からも重要と目される太陽光発電ですが、その設置について、景観、自然保護、騒音、反射などの問題から地域との共生が難しくなっていることも否めません。  昨年には、南知多町において、太陽光発電施設の建設を進める業者が住民の土地で木を伐採したり、道路を破壊するなどし、トラブルとなりました。また、この太陽光設置事業は、愛知県の定める基準、一ヘクタール未満の開発であり、一施設を十キロワット未満として九十一か所を建設するものとすることで町のガイドラインをも擦り抜けるものでありました。さらには、砂防法の違反についても露見したところであります。  太陽光発電施設の設置については、地元地域においても、他府県の業者が設置した施設の排水に問題があり、下方の土地所有者へ雨水が流れ込み、地権者の方が困ってみえましたが、遠方の業者であるからか対応は遅く、されたとしても簡易な修繕にとどまったということがありました。それ以降、連絡も取れず、市役所からのお願いもしたようでありますが、そのままの状態になっております。  こうしたことの背景には、太陽光発電をめぐる法整備等の未熟さがあると考えます。太陽光発電施設を設置する場合、建築基準法や都市計画法にも該当する事項がなく、その他法令を重ね合わせて設置の位置の決定や運用がされています。また、地域への事前説明の義務化や地方自治体における運用面等での指導権限は付与されていないのが現状であります。  太陽光発電施設の設置は、FIT法により経産省の認可を受けることになっていますが、今回の南知多の場合でも見られるように、その施設が本当に法令に遵守しているのかといったことは把握できていないのではないでしょうか。なぜならば、それらの法令を遵守しているのかをチェックするのは地方自治体であり、その地方自治体にあっても各法令をそれぞれの課が所管しており、法令遵守をまとめてチェックしない場合が多い。さらに言えば、その努力をするのは基本的に事業者であり、事業者が各課を回り、自身の事業がそれぞれの法令に適合しているのかを確認するというのが実態であろうかと思います。  愛知県につきましても、太陽光発電施設の設置をまとめて所管する部署がないこと、愛知県土地開発行為に関する指導要綱、指導基準はありますが、太陽光発電施設に特化したものではないことなど、監視の目が十分に行き届いているとは思えません。  他府県の取組を見てみますと、兵庫県では太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例を制定しており、この中では、届出制の導入、地元住民への説明会の開催の義務化など、運用面についても指導、勧告をし、違反が認められれば経産省へ報告し、場合によっては認定取消しもあるとのことでした。  また、山梨県の山梨県太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例では、十キロワット未満の施設についても条例の対象とし、既存施設についても届出の義務、維持管理計画の作成及び公表の義務、地域森林計画対象民有林及び国有林、地滑り防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、砂防指定地などを設置規制区域と定め、この区域内に設置する場合には知事の許可が必要としております。さらには、条例違反時には罰則の適用をしているところも特徴的な点であります。  兵庫県の条例は、太陽光発電施設等と地域環境との調和を図り、もって良好な環境及び安全な県民生活を確保することが目的とされています。また、山梨県の条例は、太陽光発電事業と地域環境との調和及び県民の安全で安心な生活の確保を図ることが目的とされております。  先ほども述べましたとおり、愛知県土地開発行為に関する指導要綱、指導基準は、太陽光発電施設に特化したものではなく、住宅用地、工場用地などの大規模な開発行為を事前協議の対象としており、一ヘクタール未満の開発行為は指導の対象となっておりません。また、施設の建設予定地域の立地状況により、砂防法や森林法などの各個別規制法により開発行為の規制があるものの、許可の及ばない地域や開発規模があることなど、小規模な太陽光発電施設の設置などの場合には、これらの対象とならずに、県の指導が届かないこととなります。  そういったこともあり、前出の南知多のように、指導要綱や各個別法の規制に係らないような場合においても、施設の設置、また、設置後の運用において地域とのトラブルになる場合があります。  国は、中央環境審議会において、環境アセスの対象とならないような小規模な事業であっても、環境に配慮し、地域との共生を図ることが重要である場合があることから、必要に応じてガイドライン等による自主的で簡易な取組を促すべきとの答申が出されたことから、環境省では、太陽光発電の環境配慮ガイドラインを令和二年三月に策定し、公表しているところであります。  このガイドラインでは、環境影響評価条例の対象とならない太陽光発電施設についても、適切に環境配慮が講じられ、環境と調和した形での事業実施が確保されることを目的に策定されており、環境配慮の手順や環境配慮に関わる地域のコミュニケーション、設置段階の配慮のポイント、施設設置後の環境配慮が記載され、発電事業者をはじめ、設置、運用に関わる様々な立場の方の自主的な取組を促しています。  土地の開発行為に関する指導要綱や各個別規制法は、開発規模によって対象とならない場合があるほか、立地状況により規制内容が左右されたり、設置後の運用に関して規制できるものではありません。太陽光発電の設置、運用に関するトラブルの状況を踏まえると、他県の条例や環境省のガイドラインの内容を参考に、太陽光発電施設を対象とし、その設置や運用を規制し適正化していく必要があるのではないでしょうか。  そこでお伺いいたします。  太陽光発電を推進するための施設の適正な設置、運用に向けては、環境配慮の側面から太陽光発電施設そのものを規制し、その適正化や地域との共生を実現できるような条例を制定する必要があると考えますが、県の認識をお伺いさせていただきます。  続きまして、肥料価格高騰に対する対応についてお伺いさせていただきます。  食料を生産するに当たっては、肥料、農薬等の農業生産資材を安定して調達することが重要となりますが、これらのうち、化学肥料について、我が国は原料のほぼ全てを輸入に依存しています。  肥料の三大要素は、窒素、リン酸、カリであり、窒素のもとである尿素は九〇%、リン酸は一〇〇%、塩化カリウムについても一〇〇%輸入に頼っています。そのような中、世界における肥料の消費量は年々増加していますが、日本の肥料消費量は世界全体の消費量の〇・五%しかないため、世界的には購買力がない分、どうしても世界の市況に振り回されるのが現状であります。  肥料原料の価格は、原油価格の上昇による輸送費の上昇や穀物価格上昇による穀物生産の増産のための肥料需要の増、中国の内需優先施策による輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻等による国際市況の上昇を反映し、窒素、リン酸、カリ、いずれも大幅な値上げとなりました。  これを受け、国は、化学肥料原料調達支援緊急対策事業を四月二十八日に閣議決定いたしました。この事業は、肥料製造事業者が調達する主要な化学肥料原料について、調達国の多角化を図るため、代替国からの調達に要する輸送コスト等の掛かり増し経費を緊急的に支援することによりまして、農業現場への肥料の安定供給を図るものであります。  この国の対策により、JA全農の肥料年度秋肥の値上げ幅は約一割圧縮されたものの、窒素、リン酸、カリがそれぞれ一五%含まれている基準の化成肥料は、令和三肥料年度の春肥に対して五五%の値上げで決着したところであります。  現状、国は、令和三年度補正予算で計上した肥料コスト低減体系緊急転換事業を展開しているものの、これは名のとおり、肥料コストを低減する体系への転換を促すもので、土壌診断への支援や新たな肥料コストや施肥量を低減する技術を活用した取組実証への支援であり、今回の肥料の高騰分を補うものではありません。  一方、農産物の販売価格は昨年の四月に比べ六%平均での上昇でありますが、タマネギなど供給が少ない一部の品目の値上がりによるものと考えられ、肥料の高騰による経費の上昇分を賄えていない状況であります。  JA愛知中央会では、今回の肥料の高騰による農業経営の影響を試算しており、水稲、麦、大豆を栽培する水田作経営では農業所得が二五・三%の減少、露地キャベツの専作経営では七・七%の減少と試算されております。また、県下全体の農家に対する影響をJAあいち経済連の供給実績とシェア率から推定すると約五十一億円となります。  このように、本県農業に大きな影響をもたらしている今回の肥料の高騰でありますが、今から十四年前の平成二十年にも国の肥料高騰に対して支援をしたという実績がございます。  この当時の肥料が高騰した背景といたしましては、人口増加による食料用穀物需要の増加やBRICsに代表される経済発展著しい国々での穀物から肉を中心とした食生活への変化に伴う穀物需要の増加、アメリカやブラジルのバイオ燃料の増産等により、世界的に肥料需要が増加したことによるものでありました。  これに対し、国は、補正事業として、燃油・肥料高騰緊急対策を実施いたしました。この事業は、採択要件として非常に厳しく、平成二十年度に化学肥料の使用量の二割以上の低減をする取組を行っていること、もう一つは、平成二十年度に化学肥料の使用量を低減する取組を新たに行っていることとあり、この両方を満たした場合の増加分の十分の七が助成されるものでありましたが、水耕栽培を行っているような農業経営体などはもともと必要な分だけの施肥しか行っていないため、化学肥料を減らすことは収量の低下にそのままつながるといったこともあり、この要件を満たすことはできませんでした。また、ほかにも、水田作農家であれば生産調整を実施しなければ対象にならないなどの厳しい制約があり、県内受益農家は約三千六百戸にとどまったと伺っています。  さらに、最近の地方を見ますと、六月三日、福岡県では高騰する肥料価格に対する購入経費の支援策を決定いたしました。これは国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用したもので、肥料上昇分の半額を補助するとして、二十二億三千二百七十万円を充てるものとなっています。  また、七日には、北海道が補正予算案に二十四億円を計上して、肥料や飼料、燃油の価格高騰への緊急対策を決定。肥料は、農家の購入費用に対し、一トン当たり三千百二十五円を補助するものとされております。  そこでお伺いいたします。  県としては、短期的には肥料価格の高騰に対してどのように取り組まれるのかお伺いいたします。  また、今後さらに肥料価格が長期にわたって高値で推移することが考えられます。先ほど述べましたように、化学肥料の原料はそのほとんどが輸入に頼っており、今回の高騰も、尿素については全体の三七%、リン酸アンモニウムは全体の九〇%の輸入相手である中国が自国消費へと転換し、日本への輸出を止めたためであります。また、塩化カリウムはその二六%がロシアとベラルーシからの輸入であり、両国の複数の銀行が締め出されたため送金が困難になっていて、輸入先を切り替えざるを得ません。  こうした状況から、リン酸アンモニウムなどは輸入先を中国からモロッコへと転換したわけでありますが、遠方よりの運搬となり、必然として輸送費の増が固定化され、肥料価格に転嫁されると考えられます。  また、そもそも世界人口は増え続けており、世界の胃袋を満たすために食料需要はさらに高まることが予測され、今後は化学肥料の原材料の奪い合いとなることも安易に予測できます。  食料安全保障や食料自給率のことを議論する前に、食料を生産するための肥料について議論する時代になったと認識しております。したがって、肥料に関しては、目先の対処法的な政策だけでなく、長期的視点を持って臨んでいかなければならないと考えます。  一つの解決策として考えられるのが、足りない化学肥料の成分を家畜のふんなどで補う堆肥の活用であります。化学肥料で賄えない分を、有機肥料をその代替として活用していくことも考えていく必要があります。  他県の例といたしましては、長野県のJA佐久浅間では、JAが扱う地元の堆肥、牛ふんや鶏ふんに化学肥料を混ぜたペレット型の指定混合肥料、望ちゃんを発売し、原料が高騰する化学肥料の量を約四割抑え、コストを下げることに取り組んでいます。さらに、地域の土壌の特性に合わせて成分も調整しており、過剰施肥についても配慮されています。  もう一つは、使用する化学肥料を減らしていく取組も考えられるわけでありますが、愛知県では、土壌診断の普及や施肥用機械の普及などにより、減量の取組は一定の成果が出ているものと認識しております。  そうなってまいりますと、あとはイノベーションの進展を待つほかありません。  国では、二〇二一年五月に、みどりの食料システム戦略を策定し、農薬、肥料や化石燃料の使用抑制等を通じた環境負荷の軽減を挙げています。  この戦略が目指す姿として、二〇五〇年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の三〇%低減を目指し、この目標に向けた新たな技術革新に取り組むことを明示しております。  二月議会の議案質疑でもお伺いいたしましたが、あいち農業イノベーションプロジェクトが本県で取り組まれております。これは、愛知県農業総合試験場を中心に、県内の各大学、スタートアップと現場ニーズに応じた研究課題を設定し、共同研究の事業化、ビジネスモデルの実証をするものとされており、今回の肥料価格の高騰に対して、化学肥料の使用量を減らす新たな研究を取り組むべきと考えます。  そこでお伺いいたします。  化学肥料の価格高騰に対し、革新的な技術の開発など、長期的視点を持って対応していくことが求められると思いますが、県としてどのように取り組まれていくのかお伺いいたします。  以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 58: ◯環境局長(水野達也君) 太陽光発電を推進するための施設の適正な設置と運用についてお答えします。  本県では、市街化区域を除く一ヘクタールを超える開発行為に関しては、土地開発行為に関する指導要綱及び指導基準に基づき、個別法令による許認可申請等の前に事前協議を課しております。  その指導基準の一つに、太陽光発電施設用地の造成に関する基準を定め、自然環境の保全や景観への配慮、土壌汚染、騒音、振動の防止など、環境配慮の観点からも協議を行うこととされております。  近年、太陽光発電施設の設置が全国で急速に進む中で、土砂流出や濁水の発生、反射光による生活環境への影響などの問題事例が増えてきたことを踏まえ、本県では、二〇一九年二月に、指導要綱の対象となる太陽光発電施設の設置を行おうとする事業者向けに、太陽光発電施設用地の造成に係る事前協議の手引を別途作成し、これに基づき事業計画をまとめるよう求めているところでございます。  一方、国においても、制度の改善や新たな仕組みとして、議員から紹介のありました太陽光発電の環境配慮ガイドラインが環境省により二〇二〇年三月に策定されたほか、同年四月から新たに太陽光発電事業が環境影響評価法の対象事業として追加されました。なお、本県の環境影響評価条例においても同様の追加を行っております。  また、南知多町内の事案のような、事実上、同一の事業地における大規模な発電設備を意図的に小規模な発電施設に分割するような分割案件については、今年四月一日施行の電気事業法施行規則等の改正により対策が講じられております。  さらに、本年四月一日に施行された改正地球温暖化対策推進法においては、市町村が再生可能エネルギーの利用を促進する区域を設定するよう努めることとされ、その区域の設定に関する環境配慮基準として、環境省令で定められた全国一律に適用すべきものに加え、地域の実情に応じて都道府県基準を定めることができるようになりました。本県では、その基準を今年度内に定められるよう、調査、検討を開始したところでございます。  また、環境省など国の四省が、再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会を本年四月に設置し、太陽光発電施設の立地条件の統一的な基準や、事業者と地域との合意を円滑に形成できる仕組みづくり、関係省庁と自治体との連携強化の方策などが現在検討されているところでございます。  さらに、資源エネルギー庁の太陽光発電に関する事業計画策定ガイドラインにおいては、企画立案から運用、管理までの各段階において、事業者に周辺環境への配慮を求めておりますが、環境省の太陽光発電の環境配慮ガイドライン同様、本県の指導要綱の対象とならない一ヘクタール以下の案件にも適用されるものでありますので、事業者において、これらガイドラインの遵守が徹底されるよう、国に対して要請してまいります。  本県といたしましては、これまで申し上げた国、県の様々な仕組みやツールを活用して、事業者による太陽光発電施設の適正な設置、運用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 59: ◯農業水産局長(矢野浩二君) 肥料価格高騰に対する対応のうち、短期的な取組についてお答えをいたします。  肥料は、燃油や配合飼料とは異なり、毎日使用するものではなく、大きく分けて、春夏作のために春に使用する春肥と、秋冬作のために秋に使用する秋肥があります。多く使用されている高度化成肥料の価格の推移を見ますと、値上がりが始まった時期は昨年十一月であり、今年の春肥までは一割程度の上昇にとどまっておりました。  しかしながら、今年の秋肥では多くの銘柄で値上げ幅が大きくなっており、本県におきましても、秋から栽培が始まる農作物、例えば、キャベツなどの露地野菜、トマトをはじめとする施設園芸作物、小麦などの生産者の農業経営への影響が懸念されます。  県といたしましては、肥料価格の高騰対策として、燃油や配合飼料と同様な、急激な価格高騰に対する影響緩和対策の仕組みの創設を国に要望してまいります。  また、生産現場におきましては、化学肥料の代わりに堆肥などの有機質肥料を使用する動きや入手しやすい銘柄の肥料へ切り替える動きがございますので、県の普及指導員とJAの営農指導員が連携して、土壌診断に基づく肥料の適正な使用や代替肥料の特性に応じた使用方法を指導してまいります。  続きまして、長期的な視点の対応についてであります。  本県では、環境保全と農業生産との両立を図るため、一九九四年に愛知県環境保全型農業推進基本方針を定め、化学肥料の使用量低減のための技術の開発や普及に取り組み、現在までに化学肥料の使用量を約四〇%削減してまいりました。  今後、長期的な視点で農業が持続的に発展していくためには、さらに化学肥料への依存を減らしていくことが必要であると考えております。  県といたしましては、現在、食と緑の基本計画二〇二五に基づき、環境に適応、配慮した持続的な農業技術の開発、具体的には、化学肥料の代わりとなる有機物肥料の特性解明と利用方法の開発や、センサーを活用し堆肥の使用を抑える技術の開発など、二十七の課題を設定し研究を進めております。最近では、農業総合試験場の東三河農業研究所におきまして、キャベツ栽培で緑肥の活用による化学肥料の削減技術を開発し、実用したところでございます。  さらに、あいち農業イノベーションプロジェクトにおきましては、現在、スタートアップからの新たな技術提案を募集しており、技術開発の加速化を図ってまいります。  短期的な取組に加えて、こうした長期的な取組を進めることにより、農業者の経営安定と、農業の持続的発展を目指してまいります。 60: ◯六番(杉浦正和君) 御答弁いただきました。太陽光発電施設の設置、運営への基本的には監視強化と申しますか、適正な設置、運用でありますけれども、基本的には従来と同じ運用でやっていくんだと、こういうお話だと思いますが、ただ、設置できる場所といいますか、そういったところをこれからしっかりと洗い出して検討していくんだと、そういったお話も聞こえたかのように思います。その部分については本当に評価するところでありまして、一歩前に進んだなと思っております。  質問の中でもお話しさせていただきましたけれども、これから二〇三〇年までに、この狭い国土の中に二〇二〇年比で約倍の施設設置を国が目標としているわけであります。国は、地域事情、細かいところまでは分からない部分もあろうかと思いますし、その目標を達成することに多分注力していくんだろうと、このように思います。  そうなりますと、一ヘクタール未満の太陽光発電施設の設置、これも増えていくことも予測され、監視が行き届かない場合も出てまいります。国の法令制定、こういったことの動き等々を見ていくこと、これも肝要なことだと思いますけれども、地域地域で抱える問題が異なる場合もございます。  したがって、このことに関しては、今後の施設設置状況や運用状況を注視していただきながら、条例の制定も含めて改めて現在ある要綱などの不断の見直し、例えば届出を一ヘクタール未満のものにするなど、柔軟かつ迅速な対応を要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 61: ◯四十一番(山田たかお君) 本日はこれをもって散会し、明六月二十一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 62: ◯議長(須崎かん君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 63: ◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認めます。  明六月二十一日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時四十二分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...