愛知県議会 2022-02-01
令和4年2月定例会(第6号) 本文
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ウィンドウで開きます) 令和4年2月定例会(第6号) 本文 2022-03-07 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 2 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 3 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 4 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 5 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 6 : ◯四十一番(
南部文宏君) 選択 7 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 8 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 9 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 10 : ◯十九番(
黒田太郎君) 選択 11 :
◯総務局長(林全宏君) 選択 12 : ◯十九番(
黒田太郎君) 選択 13 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 14 : ◯四番(
朝日将貴君) 選択 15 :
◯福祉局長(
岡本範重君) 選択 16 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 17 : ◯一番(
小木曽史人君) 選択 18 :
◯環境局長(
岡田守人君) 選択 19 : ◯一番(
小木曽史人君) 選択 20 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 21 : ◯五番(
中村竜彦君) 選択 22 :
◯福祉局長(
岡本範重君) 選択 23 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 24 : ◯十一番(加藤貴志君) 選択 25 : ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 26 : ◯十一番(加藤貴志君) 選択 27 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 28 : ◯三番(松本まもる君) 選択 29 :
◯福祉局長(
岡本範重君) 選択 30 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 31 : ◯七番(日高章君) 選択 32 : ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 33 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 34 : ◯十六番(桜井秀樹君) 選択 35 : ◯政策企画局長(沼澤弘平君) 選択 36 : ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 37 : ◯十六番(桜井秀樹君) 選択 38 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 39 : ◯六番(杉浦正和君) 選択 40 :
◯総務局長(林全宏君) 選択 41 : ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 42 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 43 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 44 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 45 : ◯八番(平松利英君) 選択 46 :
◯環境局長(
岡田守人君) 選択 47 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 48 : ◯十七番(おおたけりえ君) 選択 49 : ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 50 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 51 : ◯十番(杉江繁樹君) 選択 52 : ◯政策企画局長(沼澤弘平君) 選択 53 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 54 : ◯二十四番(佐藤英俊君) 選択 55 : ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 56 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 57 : ◯十八番(鳴海やすひろ君) 選択 58 : ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 59 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 60 : ◯二十五番(田中泰彦君) 選択 61 :
◯総務局長(林全宏君) 選択 62 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 63 : ◯二十六番(鈴木雅博君) 選択 64 :
◯総務局長(林全宏君) 選択 65 : ◯二十六番(鈴木雅博君) 選択 66 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 67 : ◯十九番(
黒田太郎君) 選択 68 : ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 69 : ◯十九番(
黒田太郎君) 選択 70 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 71 : ◯二十八番(辻秀樹君) 選択 72 :
◯福祉局長(
岡本範重君) 選択 73 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 74 : ◯四十六番(神戸健太郎君) 選択 75 : ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 76 : ◯感染症対策局長(杉原武君) 選択 77 : ◯四十一番(
南部文宏君) 選択 78 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 79 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 80 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 81 : ◯二十番(朝倉浩一君) 選択 82 : ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 83 : ◯感染症対策局長(杉原武君) 選択 84 : ◯二十番(朝倉浩一君) 選択 85 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 86 : ◯三十一番(岡明彦君) 選択 87 :
◯環境局長(
岡田守人君) 選択 88 : ◯三十一番(岡明彦君) 選択 89 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 90 : ◯五十番(山本浩史君) 選択 91 : ◯防災安全局長(中川喜仁君) 選択 92 : ◯五十番(山本浩史君) 選択 93 : ◯副知事(加藤慎也君) 選択 94 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 95 : ◯二十一番(安井伸治君) 選択 96 : ◯防災安全局長(中川喜仁君) 選択 97 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 98 : ◯三十三番(嶋口忠弘君) 選択 99 :
◯福祉局長(
岡本範重君) 選択 100 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 101 : ◯三十五番(福田喜夫君) 選択 102 : ◯防災安全局長(中川喜仁君) 選択 103 : ◯三十五番(福田喜夫君) 選択 104 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 105 : ◯三十六番(河合洋介君) 選択 106 :
◯総務局長(林全宏君) 選択 107 : ◯三十六番(河合洋介君) 選択 108 : ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 109 : ◯議長(
坂田憲治君) 選択 110 : ◯議長(
坂田憲治君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午前十時十分開議
◯議長(
坂田憲治君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 諸般の報告
2: ◯議長(
坂田憲治君) この際、諸般の報告をいたします。
三月四日、知事から追加提出されました議案は、各位のお手元に送付いたしました。
以上、御報告いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第二 第八十六号議案令和四年度愛知県一般会計補
正予算及び第八十七号議案令和三年度愛知県一
般会計補正予算(提案理由の説明)
3: ◯議長(
坂田憲治君) 次に、第八十六号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算及び第八十七号議案令和三年度愛知県一般会計補正予算を一括議題といたします。
直ちに知事の提案理由の説明を求めます。
大村知事。
〔知事
大村秀章君登壇〕
4: ◯知事(
大村秀章君) 皆さん、おはようございます。
議員の皆様方には、二月十七日の開会以来、当初予算をはじめ、各議案につきまして熱心に御審議を賜り、深く感謝を申し上げます。
まずは今日、これも一宮毛織組合の尾州のジャケットです。よろしくお願いします。
さて、三月四日に追加提出いたしました補正予算案の御説明に先立ち、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
本県では、一月二十一日から期間延長を含め、愛知県まん延防止等重点措置により感染拡大の抑制に取り組んでまいりました。しかしながら、感染力の非常に強いオミクロン株により、新規陽性者数は減少傾向にあるものの、依然として入院患者数は多く、厳しい状況が続いております。
このような状況を踏まえ、国に対し、まん延防止等重点措置の延長を要請し、三月四日、その延長が決定されました。
このため、本日三月七日から三月二十一日までの十五日間、愛知県まん延防止等重点措置を再度延長することとしました。飲食店等における営業時間の短縮等、引き続き感染防止対策の徹底をお願いいたします。
特に、春休みや年度末に向け、卒業式や入社式、花見や春祭りなどの季節の行事等、人の集まる機会が増えることから、人と人の距離の確保など、基本的な感染防止対策の徹底をお願いいたします。
教育活動について、これまで中止としていた感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動の実施は、地域の感染状況に応じて慎重に検討、部活は感染防止対策を徹底した上で再開することといたします。
また、感染拡大時に濃厚接触者や感染不安を感じる方や、クラスターの発生が懸念される学校施設において速やかに検査が実施できるよう、新たに五十万人分の抗原定性検査簡易キットを保健所、県立学校及び私立学校に配備してまいります。
感染症蔓延防止の切り札である新型コロナワクチンの三回目接種につきましては、県の六つの大規模集団接種会場において、一日最大四千人規模で接種を進めております。
小児へのワクチン接種につきましては、二月二十八日の江南市を皮切りに順次実施されており、三月上旬には三十六市町村において開始される予定です。
さらに、県の四つの大規模集団接種会場においても、名古屋空港ターミナルビル、藤田医科大学、愛知医科大学メディカルセンターは三月五日から、藤田医科大学岡崎医療センターは本日三月七日から開始します。
職域接種につきましては、二百七の企業、大学等において、二月二十二日から順次始まっておりまして、本日三月七日時点で六十七の企業、大学等で実施されております。
今後も、市町村の集団接種、個別接種に加え、県の大規模集団接種、企業等の職域接種などにより、接種の加速化を図ってまいりますので、県民、事業者の皆様には積極的な接種の検討をお願いいたします。
オール愛知一丸となってこの第六波を克服し、安心な日常生活と活力ある社会経済活動を取り戻していくことができるよう、御理解と御協力をお願いいたします。
それでは、補正予算案について、その概要を申し上げます。
まず、令和三年度補正予算についてです。
これは、一般会計で二百五億九千六百七十九万余円を増額するものでありまして、県の営業時間短縮要請に応じていただける飲食店等に対して交付する愛知県感染防止対策協力金について、今般のまん延防止等重点措置の再延長に伴い増額いたします。
なお、この補正予算案については、準備を早急に進める必要があることから、よろしく御審議の上、適切な御議決を早期に賜りますようお願い申し上げます。
次に、令和四年度補正予算についてです。
これは、一般会計で六億五千七百五十一万余円を増額するものです。
まず、保健所等に配備する抗原定性検査簡易キット五十万人分のうち、来年度購入する四十五万人分の経費です。
次に、学校での接種を希望する県立特別支援学校の幼児児童生徒を対象として、在籍する学校において新型コロナワクチン接種を実施します。
また、生活福祉資金の貸付けが終了する世帯等に支給する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金について、申請期間の延長に伴い増額します。
よろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
以上であります。
─────────────
〔議案は別冊付録に掲載〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第三 第六十一号議案令和三年度愛知県一般会計補
正予算から第七十九号議案国の行う公園事業に
対する名古屋市の負担金の変更についてまで
5: ◯議長(
坂田憲治君) 次に、第六十一号議案令和三年度愛知県一般会計補正予算から第七十九号議案国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金の変更についてまでを一括議題といたします。
─────────────
6: ◯四十一番(
南部文宏君) ただいま議題となっております議案は、審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
7: ◯議長(
坂田憲治君)
南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
8: ◯議長(
坂田憲治君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
─────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第四 第二号議案令和四年度愛知県一般会計予算
9: ◯議長(
坂田憲治君) 次に、第二号議案令和四年度愛知県一般会計予算を議題といたします。
この際、第二号議案令和四年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳入全部について質問を許します。
質問に際しましては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
黒田太郎議員。
10: ◯十九番(
黒田太郎君) それでは、歳入第十五款県債第一項県債についてお伺いいたします。
現在、歴史的な低金利となっています。歴史的なのは金利水準だけでなく、低い水準が長く続いていることも歴史的であると考えられます。こうした状況で、私は、この低金利が当たり前のものと感じられてしまうことを懸念しています。
世の中、いつ何が起きるか分かりません。昨年の今頃、ロシアのウクライナ侵攻はなかなか予見できなかったと思います。そうした意味では、この金利もいつどうなるか分からないと思うのです。ないしは、いつどうなるか分からないという意識を持って備えるべきだと考えます。
それでは、今後、金利が上がるか下がるかといえば、これ以上に下がるというよりは上がる可能性のほうが高いのではないでしょうか。そうであるとすると、県債を発行して資金を調達する場合、なるべく期間の長いものを多く発行し、金利負担をなるべく長期にわたって低く抑えたほうがよいと考えるのが一般的ではないでしょうか。
もちろん、県財政は民間企業と異なり、必要以上に資金を調達することはできません。それでも同じ額の資金を調達するに当たっても、今後の金利が今よりも上がるのであれば、なるべく長期で調達したほうが有利と考えられます。
しかしながら、この考えは資金を調達する側の考え方です。資金を運用する側、つまり県債を引き受ける側としては逆の考え方を取る可能性が高いのではないでしょうか。なぜなら、将来金利が上がるなら、低金利で長期の運用をするより、短期の運用をしながら徐々に金利を上げていったほうが有利と考えられます。
このように、資金を調達する側と運用する側では真逆の考え方を取る可能性があり、お互いの落としどころを見いだすのが簡単ではないと考えられます。
そこでお尋ねいたします。
今後の金利見通しを踏まえ、発行する債券の期間を短期のものから長期のものにわたり、どのような考え方で発行を行う予定なのか、お伺いします。
また、先ほど述べたように、県が一方的に債券の発行を希望しても、それを引き受ける側には異なる思惑があるはずです。こうした点について、引受先、投資家とどのような意見交換をしているのか、伺います。
11:
◯総務局長(林全宏君) まず、県債の発行計画についてであります。
来年度の愛知県債の発行計画は、現在策定を進めている最中であり、具体的にお示しすることができませんが、本年度と同様に、数千億円規模の資金調達に適している市場公募債を中心とするほか、金利の見通しを立てることが難しいことを踏まえ、複数の年限での発行や投資家層の厚い十年債を毎月発行することで、金利変動リスクの平準化を図るよう考えております。
また、県債は発行する額が市場において十分な需要を伴うことが重要であるため、年限ごとの発行額は、これまでの実績や投資家の意向も踏まえて配分し、さらに、発行の時点における金利の状況や投資家の需要等に応じて発行額の増額等を行うため、年限をあらかじめ定めないフレックス枠も引き続き設定することを考えております。
次に、引受先、投資家との意見交換についてであります。
県債の中心となる市場公募債の発行に当たりましては、銀行や保険会社など幅広い投資家に対して、本県の強固な経済基盤や産業基盤、そして、高い財政力を背景とした健全な財政運営などについて分かりやすく説明した上で、直接意見交換などを行うIR活動を行っております。
また、実際に県債を販売する金融機関から常に情報収集を行っており、投資家はそれぞれ様々な事情により、購入を希望する年限は長期から短期まで一様ではないという状況を把握しております。
県債の安定的な発行に向けては、IR活動のほかにも、投資家の信認をいただくため、国内、海外の複数機関から格付を取得し、現在、地方債で最も高い国債と同格の格付を得ております。
これらの取組により、愛知県債は投資家から非常に高い評価をいただいており、不断の努力によりこれを維持するとともに、常に市場の動向を的確に把握して機動的な起債運営を行うことにより、安定的な県債発行ができるものと考えております。
12: ◯十九番(
黒田太郎君) それでは、要望させていただきます。
今、局長もおっしゃっていただいたように、愛知県債の信用度が非常に高いということで、これを維持していただくための努力、これはもう議会、行政一丸となってやっていく必要のあることだと思いますが、今現在は、この高い信用度が非常に交渉としては有利に進める材料になると思いますので、それを踏まえまして、しっかりと投資家の方々と交渉していただければと思います。
以上でございます。
13: ◯議長(
坂田憲治君) 次に、第二号議案令和四年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第四款福祉医療費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
朝日将貴議員。
14: ◯四番(
朝日将貴君) 歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費、少子化対策推進事業費のうち、結婚支援推進事業費について伺います。
昨年十一月議会の一般質問では、少子化という社会問題を解決するために、直接的に効果のある事業の一つとして、本県における結婚支援の取組について質問をさせていただきました。
本県では、婚活ポータルサイト、あいこんナビを開設し、婚活イベントを主催する団体を出会い応援団、従業員の結婚支援に積極的な企業を婚活協力団体として登録いただき、より多くの出会いの場を提供できるよう取り組んでおり、また、結婚支援について理解を一層深めるため、企業や県民の皆様を対象とした結婚応援セミナーを開催しております。
そこで、今年一月二十八日に開催された本県主催の結婚応援セミナーに私もオンラインで参加させていただきましたので、その感想や意見を踏まえて質問させていただきます。
このセミナーの前半は、婚活コンサルタントの澤口珠子先生によるウイズコロナ時代の結婚支援を考えると題した基調講演でした。
講演で特に関心を持ったのは、婚活支援は平均初婚年齢を参考にするのではなく、初婚ピーク年齢を参考にする必要があるとのことでした。つまり、男性の平均初婚年齢は三十一・二歳ですが、初婚のピークは二十七歳。女性の平均初婚年齢は二十九・六歳ですが、初婚のピークは二十六歳であり、このピーク年齢においては初婚者の七割近くの方が既に結婚しているため、年齢がたてばたつほど結婚相手の候補者の絶対数が少なくなることを積極的に啓発していく必要があるとのことでした。
このことから、企業による結婚支援としても、意識すべきは平均初婚年齢ではなく初婚のピーク年齢であるとの考え方を理解してもらった上で、その年齢の前後の従業員さんたちが結婚しやすい職場環境にあるかをいま一度見詰め直してもらうことが大切であるとのお話でした。
平均初婚年齢になってから婚活を始めていては遅いという現実を捉え、年齢の若い世代に結婚を意識したライフプランを考える機会を提供していく必要があると再認識することができました。
また、セミナー後半の意見交換会では、出会い応援団と婚活協力団体との交流をもっと活性化させるべきとの意見が聞かれました。コロナ禍においては対面での婚活イベントの実施が困難となっていますが、こうした状況にあるときこそ、アフターコロナを見据えて、県が企業に結婚を希望する従業員が結婚しやすい環境になるよう働きかけを行い、出会い応援団と婚活協力団体の交流を活性化させる準備を進めるべきではないかと考えます。
そこでお伺いいたします。
来年度の結婚支援推進事業としてはどのような取組を行うのか、お伺いをいたします。
15:
◯福祉局長(
岡本範重君) 結婚支援の取組についてお答えします。
本県では、婚活ポータルサイト、あいこんナビを活用した出会いの場の提供に取り組んでおり、今年度は四月から十二月末までに開催された四百二回の婚活イベントに三千六百六十人が参加し、五百三十一組のカップルが成立しております。
来年度は、あいこんナビの利便性の向上を図るため、システムを改修することとしており、改修に当たりましては、婚活イベントを主催する出会い応援団と従業員の結婚支援に取り組む婚活協力団体からも御意見をお聞きし、出会い応援団と婚活協力団体との交流が促進されるよう取り組んでまいります。
さらに、結婚支援は若い世代の方々へのアプローチが肝要なため、新たに大学生等を対象に、就職から結婚、子育てなどをイメージしていただくライフプラン形成セミナーを開催してまいります。
県といたしましては、こうした取組を着実に推進し、市町村や企業等と連携を図りながら、希望する人が結婚できるよう支援してまいります。
16: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
小木曽史人議員。
17: ◯一番(
小木曽史人君) 私からは、歳出第三款県民環境費第五項環境対策費の環境活動推進事業費及び資源循環推進事業費について質問をいたします。
県は、持続可能な愛知の担い手を育成する人づくりを旗印に、これまでも未就学児童、小中学生、高校生、大学生、社会人と各世代に応じた環境学習事業を継続して推進をしており、今回提出された来年度予算案でも環境対策費としておのおの予算計上されていると承知をしております。
中でも、まず、環境活動推進事業費のうち、環境学習等行動計画推進費に含まれるもりの学舎施設を活用した環境学習の取組についてお伺いをいたします。
もりの学舎施設は、愛・地球博記念公園内に立地をしており、未就学児童向けのもりの学舎ようちえんというインタープリター自然体感推進事業のみならず、子供から大人まで楽しめるインタープリターによる様々な自然体験プログラムを実施する拠点であります。
私は、令和元年十二月議会の一般質問で、未就学児童に対する自然環境教育の推進について、その課題と今後の取組拡大の県の考え方をお聞きし、未就学児童プログラムの周知、インタープリター不足の解消、幼保教育現場での環境教育の自前化促進といった課題に対し、しっかりと先を見据え、予算を確保しながら事業を進めていってほしいと要望いたしました。
当局からは、インタープリターの養成を含めた指導者育成研修の対象を環境学習施設職員等にも拡大し、様々な施設で自然体感学習ができるよう機会の拡充を図っていきたいとの答弁をいただきました。
また、令和二年三月の県民環境委員会における委員からの質問に対し、もりの学舎施設の利用促進について、各種プログラムの受入れ枠の拡大、プログラムの質のさらなる向上、積極的なPRを通じて来館者数を増やしていきたいと答弁をされております。
つまり、県としては、積極的なPRとプログラムのブラッシュアップもさることながら、指導者であるインタープリターという人員リソーセスを養成、確保することで受入れ枠を拡大し、取組をより多くの皆さんに周知、体験していただこうとしていると理解できます。
しかしながら、もりの学舎施設の来館者数は、令和元年度は年間延べ約三万四千人でしたが、コロナ禍で令和二年度は年間延べ約一万一千人、今年度は持ち直しの兆しが見られ、一月末現在で約二万五千人となっていると伺っております。
一方、もりの学舎の受入れ枠を広げるために必要な人材であるインタープリターは、コロナ禍の中、令和二年度に二十名養成研修を実施したものの、登録者の中にはそれぞれの諸事情で辞められる方もお見えになり、現状、インタープリター登録者数は二年前の五十四名から増加しておらず、むしろ五十名と減少していると伺っております。
こうした状況の中ではありますが、このもりの学舎施設が立地する愛・地球博記念公園に、いよいよ来年度、ジブリパークが開園します。十一月一日に先行三エリアが開園、再来年度には残り二エリアが開園を予定しており、愛・地球博記念公園にこれまでにない多くの方が来園されると見込まれております。
これは、県内外の多くの方に公園内にあるもりの学舎施設における自然体感プログラムを含む環境学習の取組をPRし、そして、実際に体験、利用してもらう絶好の機会です。この好機を逃すことなく、もりの学舎施設の活用については、これまで以上にしっかりとビジョンを持ちつつ、計画的、戦略的に取組を進める必要があると考えます。
そこでお尋ねをします。
想定されるジブリパーク開園による来園者の増加を踏まえ、今後、もりの学舎施設を活用した取組をどのように実施していくお考えか、もりの学舎施設の利用者増を見据えたインタープリター等、施設人員リソーセスをどのように確保していくのかも含めてお伺いをいたします。
次に、資源循環推進事業のうち、あいち環境塾の取組について伺います。
先ほど取り上げた未就学児童向けを含め、小中学生、高校生、大学生への環境学習事業は、どちらかといえば、体験や知識習得をはじめとしたインプットが中心。
一方、社会人向けのあいち環境塾事業は、その目指す姿として、環境を広義に捉え直し、持続可能な社会及び環境首都あいちの実現に向け、社会への還元を目的に地域で活躍できるリーダーを育成するという、より実社会にコミットした事業であると認識をしております。
そういった意味で、本事業は、環境を取り巻く諸課題解決のトレンドを取り入れた知識習得としてのインプットもさることながら、
具体的課題解決の研究成果を発表し、社会に還元するアウトプットが期待されている内容となっており、御存じのとおり、環境省が後援する二〇二〇年度持続可能な社会づくり活動表彰において、環境大臣賞を受賞しております。
入塾生は、こうした内容を期待し、自主的に参加費用を負担していることからも、志を高く持っている方が多く、環境分野における課題解決や社会貢献など、自身が思い描く取組の社会還元を強く望んでいると推察できます。
そして、塾を修了した卒塾生が自らの学びと研究を社会に発信し、リーダー的存在として活躍し、持続可能な社会の構築に向けた取組の輪を広げ、次世代に継承していくといった好循環を生むような仕組みとなっていることがあるべき姿であり、そう考えると、本事業の究極的な評価指標は、卒塾生を何人社会に輩出したかではなく、どれだけの卒塾生が社会で活躍しているかだと言えるのではないでしょうか。
そこでお伺いをします。
本事業を発展的に継続実施していくに当たっては、卒塾者が社会でその後どのような活動を実施したかなど、社会とのマッチングを追跡調査して、事業自体が社会ニーズに合った人材育成ができているのか、しっかり評価、分析しつつ、いわゆる社会への還元指標を踏まえて事業内容をブラッシュアップしていく必要があると考えますが、あいち環境塾事業を県としてどのように分析、評価し、来年度に向けて事業を実施していくのか、お聞かせください。
18:
◯環境局長(
岡田守人君) ジブリパーク開園を見据えたもりの学舎施設を活用した取組についてお答えします。
もりの学舎は、愛・地球博記念公園内の豊かな自然の中にあり、周辺で採取できる四季折々の虫や植物などを展示するとともに、未就学児童等を対象とした自然体験プログラムの提供を行うなど、誰でも自由に利用していただける施設です。
特に来館者の多い土日、祝日には、インタープリターと呼ばれる森の案内人と一緒に自然遊びをしたり、木の実などを使って工作を行うなど、ふだん自然と接することが少ない子供たちに楽しみながら学んでいただいております。
来年度は、十一月のジブリパークの開園により、親子連れをはじめ、多くの方々の来園が期待されており、もりの学舎の利用拡大を図る大きな契機になると考えております。
そのため、ジブリパークへの来園者に対して、もりの学舎のパンフレットを配布するなど、もりの学舎への来館を促すとともに、フィールドとして活用する自然環境の保全にも留意しつつ、プログラムの回数を増やしたり、来館者のみで自然を楽しむことができるメニューを追加するなどの対応を行ってまいります。
また、受入れ体制の整備につきましては、二〇〇七年度からインタープリターの養成研修を実施しており、これまで百三十三名のインタープリターを養成してまいりました。コロナ禍の影響等もあり、現在の登録者数は五十名となっておりますが、これら未登録の方に登録を呼びかけるとともに、引き続きインタープリターを養成するなど、受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。
ジブリパークの開園を契機に、より多くの方々に御来館いただき、自然環境に対する関心を高めていただけるよう、各種プログラム等の充実に努めてまいります。
次に、あいち環境塾の取組についてお答えいたします。
あいち環境塾は、県内の社会人を対象に、資源循環や気候変動など各分野で活躍する第一人者を講師に招き、環境に関連する幅広いテーマについて学んでいただくとともに、二十年後の未来を見据え、塾生同士で議論を行い、地域や社会に向けた提言をまとめるなど、半年間にわたって活動を行うものです。
卒塾後に行っているアンケート結果では、自分の会社で新たな環境ビジネスを企画、提案できるようになった、地域の環境活動に積極的に参加するようになったといった意見が寄せられており、卒塾後も企業や地域での環境行動につながっているものと考えております。
また、卒塾生が、生態系の保全や耕作放棄地への植樹といった地域の課題解消に向けて、自主的に実践活動を行ったり、卒塾生の有志や塾生の指導を行ったアドバイザリー講師が中心となって設立したNPOがワークショップを開設するなど、卒塾生の活躍の場も年々増加しております。
一方、県では、先ほどのアンケート結果やアドバイザリー講師からの意見などを基に、毎年度、事業の評価、検証を実施し、次年度以降のカリキュラムの見直し、改善等を行っております。
例えば、さらなる活躍の場が広がるよう、二〇一九年度からは、卒塾生の主体的な実践活動に対する支援を開始するとともに、今年度から、これからの企業活動で必要とされるSDGsやESG経営に関する専門的な講義を追加したところです。
来年度は、環境を意識した企業経営やCO2排出量の算定など、より実践的なテーマをカリキュラムに追加することとしており、今後も社会情勢の動きに即した講義内容や、さらなる卒塾生の支援策等を検討しながら、持続可能な社会を支える人づくりを進めてまいります。
19: ◯一番(
小木曽史人君) 御答弁ありがとうございます。
それぞれについて要望させていただきます。
来年度、愛・地球博記念公園の来園者増は間違いないと想定される中、現状の受入れ体制を見ると、先ほど申し上げたインタープリターの登録者数五十名というのは少し心もとない気もいたします。例えばインタープリターによるものではなくても、指導者育成研修を受けた環境施設職員等を活用したり、学習内容をもう少しライトなプログラム編成を考えたりといった工夫もできると思います。
ぜひ来園者増を見据えたもりの学舎施設の取組・事業内容を多くの方に理解してもらい、触れ合う機会を増やす仕掛け方、リソーセスの確保を含めた環境整備を計画的に進めていただくよう、改めて要望いたします。
あいち環境塾については、事業開始以降、既に三百名弱の方が卒塾していると伺っております。重要なのは、卒塾後、その方たちがどうしているのか、どれだけの方がどういった研究・実践活動が具体的に、例えば企業とのマッチングで成果、形となったのか見える化する、それによりさらに環境塾に入りたいと考える入塾希望者が増えるといった好循環につながると考えます。
毎年度、事業を評価、検証し、カリキュラムの見直しや改善を図っているとのことですが、繰り返しになりますが、実社会への還元の視点から、卒塾生への積極的な追跡調査をかけつつ、課題を抽出して、環境分野のリーダーとして活躍する可能性が大いに期待できる卒塾生を支援する施策を実施していただくよう要望し、質問を終わります。
20: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
中村竜彦議員。
21: ◯五番(
中村竜彦君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第四項高齢福祉費のうち、高齢者社会参加推進事業費についてお伺いをいたします。
本県においても高齢化が急速に進行しており、昨年十一月に総務省が公表いたしました令和二年国勢調査によりますと、二〇二〇年十月一日現在の本県の六十五歳以上の人口は百九十万七千三百九十二人であり、前回調査の二〇一五年と比較をいたしますと、十二万九千六百八十五人の増加、七・三%の伸びとなっております。
県の総人口に占める六十五歳以上の割合の推移を見ますと、一九九〇年には人口の一〇%に満たなかったものが上昇し続け、二〇一〇年には二〇%を超えて、二〇二〇年には二五%と急速に増加をし、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、いわゆる団塊ジュニアの世代が六十五歳となる二〇四〇年には三〇%を超えると予測をされております。
一方で、二〇一八年に経済産業省が公表した将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会の報告書においては、就労やボランティア活動、趣味や稽古事など、社会参加や社会貢献活動を行っている高齢者ほど自立を維持しやすく、また、外出頻度を増やすことで歩行障害と認知症の発症リスクが大幅に軽減できるなど、社会参加は健康の維持に役立つという調査結果が報告をされております。
また、内閣府がまとめた令和三年版高齢社会白書では、全国の六十歳以上の方に行った調査によると、就労またはボランティア等、何らかの活動のいずれも行っていないとする人の割合が、六十代の方では約三割、七十歳以上の方では約五割を占めており、これらの調査結果を勘案しますと、一人でも多くの高齢者の方が気軽に社会参加できる環境づくりが必要ではないかと思うわけであります。
こうした中で、同じく令和三年版高齢社会白書によれば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会への影響について、六十歳以上の方に行った調査結果も出ておりまして、仕事をする日数や時間数が減ったとする割合が約三割、ボランティア活動を辞めた、またはボランティア活動をする日数や時間数が減ったとする割合が約二割、さらに、友人、知人や近所付き合いが減ってしまったとする割合が約六割に達しており、感染防止のための外出自粛等の結果、高齢者と社会や人とのつながりが減っていることが浮かび上がっております。
私の地元の老人クラブの皆さんからは、新型コロナウイルスのせいで集まりが全くできない、毎日どこにも行かずにテレビばかり見ているとぼけそうであるとか、今後集まりを再開したとしても、コロナ前のように皆が戻ってくるのか心配だ、また、ぽっかり二年空いてしまったので、役員の引受手が見つからないなどの不安の声を伺っております。
新型コロナウイルス感染症の拡大により家に閉じ籠もりがちとなる中、高齢者の方は情報機器の扱いに不慣れな方も多く、ウェブによるオンラインミーティング等の活用も難しいことから、社会活動に参加する機会が一層減少し、参加意欲も低下している方が増えているのではないかと懸念しているところであり、何らかの手助け、支援が求められていると思います。
まだまだ今後の新型コロナウイルス感染症の県民への影響が見通せない状況ではありますけれども、今後も高齢化の一層の進展が見込まれる中、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えて、誰もが行き着く先、道であります県民一人一人が高齢になっても健康で生き生きと暮らしていけるよう、趣味やスポーツ、ボランティア活動など様々な社会活動に参加することができる環境を整えていくことが大切だと考えます。
県におかれましては、二〇一九年度に有識者による高齢社会懇談会を開催し、懇談会での意見を踏まえて、二〇二〇年度から三年間、高齢者の社会参加を推進するための新たなモデル事業を市町村に委託して実施されていると、さらに、高齢者に地域活動への関心を持っていただくために、昨年の十二月から情報発信を始めたとも聞いております。
そこでお伺いしたいと思いますけれども、高齢者の社会参加を推進するため、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
22:
◯福祉局長(
岡本範重君) 高齢者の社会参加の推進の取組についてお答えします。
本県では、高齢者を取り巻く様々な課題に対応し、高齢者の社会参加を促すため、高齢者の就労、生きがいづくりの一体的支援、多世代交流を通じたシニアの活躍推進、高齢者の移動支援の三種類のモデル事業を二〇二〇年度から三年間にわたり、県内十二市町に委託して実施しているところです。
モデル事業の最終年度となる来年度には、市町村職員や県民の皆様を対象とした活動報告会を開催し、取組内容等を広く発信するとともに、モデル事業で得られたノウハウを取組事例集としてまとめ、県内全域への横展開を図ってまいります。
また、県内各地で社会活動に率先して取り組んでいる高齢者の下を一般公募した学生が訪問し、高齢者が活躍する様子を動画にまとめてSNS等で情報発信する取組を昨年十二月から新たに始めたところです。
引き続き、この活動を通じて、社会に関わるための第一歩がなかなか踏み出せない高齢者の社会参加を後押しするとともに、若い世代の方々にも高齢者との交流や多世代での地域活動に関心を持っていただけるよう取り組んでまいります。
今後とも、高齢者が生き生きと輝く社会の実現を目指し、地域における高齢者の社会参加を推進してまいります。
23: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
加藤貴志議員。
24: ◯十一番(加藤貴志君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第六項保健医療費のうち、不妊・不育専門相談事業費の中のグリーフケアを含む相談支援及びピアサポート活動の実施について質問させていただきます。
国において、今年四月から不妊治療を望む男女の経済的負担軽減のため、保険適用範囲が人工授精や体外受精などにも広がります。この保険適用により患者の自己負担は原則三割で済むようになります。
愛知県では、不育症の方の経済的負担の軽減を目的として、今年度から保険適用外の不育症検査のうち、先進医療として実施される検査費用の一部助成制度を創設いたしました。不妊治療への金銭的な負担が軽減されることで、治療を受けたいと思われる方が増えると想定されます。
ここで留意すべき点は、治療を受ける人の増加に伴い、流産、死産を経験される方の数も増えてくるのではと思われます。定義にもよりますが、日本全国で年間約十五万人が流産、死産を経験しているというようなデータもあります。
流産、死産で受ける当事者の精神的ダメージは計り知れない一方、そのような、特に母親が抱える悲しみを癒やす、寄り添うようなケア体制が十分かというと、まだそうではないと思います。
そこで、最近耳にすることが多くなってきたグリーフケア、グリーフケアとは、悲しみのケアを意味し、大切な人や物をなくしたことによる辛い心情を理解し、回復へ寄り添い、サポートする、されることです。
グリーフケアでは、当事者に対する傾聴や共感の姿勢が大変重要ですが、医療機関やスタッフによる対応に差が出てくることがあります。しかし、本来ならできるだけ対応に差が出ないようケアを担う人材、質の確保が大切になります。今後、グリーフケアを浸透、充実させるためには以下のような課題が考えられます。
医療機関としっかり連携した周知活動、内容の充実。流産、死産を経験した当事者とその家族への医療施設での情報提供の徹底。自治体での相談窓口の設定。グリーフケアにしっかり質を持った対応できるケア人材の育成などです。
現時点、流産、死産を経験した人に対するグリーフケアは愛知県として行っていませんが、来年度、現在、不妊・不育専門相談事業を進めている中に、このグリーフケアを導入すると伺っております。
そこで、二点お尋ねします。
グリーフケアに関する相談支援体制の導入に至る背景とその狙いは何でしょうか。グリーフケアを進めるに当たり、具体的にどのような事業を実施するのか、また、どのようなことを課題として見ているのかをお伺いいたします。
25: ◯保健医療局長(吉田宏君) グリーフケアの導入に至る背景と狙いについてでございます。
グリーフケアとは、流産、死産などでつらい経験をされた方に対し、その深い悲しみを理解し、寄り添うことを通じて回復に向けた支援をすることでございます。
県では、深い悲しみや苦しい気持ちを受け止める相談の場を設け、支援を行うことは大変重要であると考えております。
国からも、本年四月からの不妊治療の保険適用を進める中で、流産、死産によりつらい経験をされた方の心理・社会的支援の必要性が示されました。
県では来年度、グリーフケアに関する専門の相談窓口を設けるとともに、市町村の担当職員も適切に対応できるよう支援していくことで、深い悲しみを抱く方の回復を支援し、安心して生活できる社会の実現に取り組んでまいります。
次に、グリーフケアに関する事業内容と課題についてでございます。
県では、不妊、不育に関する相談窓口でございます不妊・不育専門相談事業を、名古屋大学医学部附属病院へ委託して実施しております。来年度、これに加え、新たにグリーフケアに関する相談事業を実施いたします。
この事業は、専門の研修を受けた相談員を配置し、電話やメールを活用した相談を通じ、様々な悩みを受け止め、必要に応じて精神科など適切な支援先につなげ、相談者の気持ちに寄り添った支援を実施してまいります。
また、市町村など相談支援等に携わる担当職員を対象に研修会を実施し、職員の知識及び技術の向上を図ってまいります。
この相談事業を必要とする多くの方に御利用いただくためには十分な周知が課題と考えております。このため、一般県民向けの公開講座や産婦人科医療機関等を通じ、事業の周知にしっかり取り組んでまいります。
26: ◯十一番(加藤貴志君) 一点要望させていただきます。
失ったものからの回復は人それぞれ必要な時間が異なってきます。この相談事業が当事者と医療関係者、社会、行政がしっかりと連携できる取組、当事者に寄り添える制度に発展することを要望し、質問を終わります。
27: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
松本まもる議員。
28: ◯三番(松本まもる君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第二項生活保護費、生活保護扶助事業、生活保護費支弁金についてお尋ねいたします。
コロナ禍は、私たちの生活を一変させ、今までとは違った生活を誰もが強いられています。仕事は会社からテレワークとなり、通勤の概念がなくなった人々も発生し、可能な限り自宅で仕事をし、出社せずに極力自宅での作業に切り替わっている方もお見えになります。
町なかでは、ただでさえ人通りも少なくなり、飲食店では夜の集まりさえも自粛され、既に瀕死の状態で営業を続けておられます。
このことは、もう今さら日本のみならず、全世界で多少の違いがあるものの、誰もが認めざるを得ない事実であります。国の協力金で命をつなぎ、数少ない顧客のために店を開け、僅かばかりの売上げの中で必死に営業を続けているのは飲食店以外でも同様であり、この出口の見えない中でさらに苦しんでいる人々がお見えになります。
いわゆるホームレスと言われ、様々な事情で住まいという形あるものから切り離され、雨露をしのいで転々と居場所を変えながら暮らしている方々であります。我々が想像、また、実際に遭遇しているホームレスと言われている方々のイメージは、大変失礼を承知で申し上げますと、なかなか近寄り難い風貌で、夜の暗がり等で対面すると、これも大変失礼ながら、つい目を背けてしまうこともあります。また、年齢で申し上げますと、比較的、私個人のイメージではありますけれども、五十代以降の年配の方が多いように思われます。
私も実際、鉄道の主要駅などでお見かけし、人ごとながら、この寒空の中でどこで寝泊まりをしておられるのか心配になってくるものの、彼らには我々を受けつけない強烈なオーラを放っているホームレスの方々もお見えになります。
そのような中から、そういった方々が自身の意思でそこから抜け出したいときに、最後のとりでの一つに生活保護制度があります。仕事をする上でお体に支障があったり、身元保証人や住まいがないため、住民票の提出ができなかったりと様々な理由で仕事に就くことができない人々がお見えになりますが、生活保護を受けるのに住民票は不要であり、必要な住まい等を確保するための費用も支給されるため、新たなる船出に当たって大切な制度だと認識しています。
今回、全世界が直面しているコロナ禍の中で、勤めていた会社から解雇、また、倒産し、住まいの寮や社宅を退居させられ、ある日突然ホームレス生活を余儀なくされた人々が大量に発生しているのではないかと考えられますが、実態はどのようになっているのか。特に経営の厳しい飲食店などから、いわゆるバイト切りや派遣切りといった正規労働者ではなく、いわゆる調整弁的な雇用で失職してしまった方、特に若者が大勢発生し、路頭に迷っているのではないかと考えます。
そこで、コロナ禍における県全体の生活保護受給者数の推移はどのようになっているのか。
続いて、先ほどの生活保護制度は、コロナ禍の中で誰もが様々な苦労をして生活をしておりますが、その中で、制度を利用できる可能性があるにもかかわらず、制度を利用していない人々の中に若者がいるのではないか。生活保護制度は、住まいがない状態でも今いる場所で申請する現在地保護が適用され、申請し、認定条件のそれぞれのハードルを越えれば認定されるはずですが、自治体によっては取扱いがばらばらだと聞いております。特に若者の申請に関しては、親元に帰ればなどと諭したり、就職を促したりと、申請をためらわせるような対応が行われてはいけないと思います。
そもそも若年層の生活困窮者は、虐待や親との関係が悪く、その頼りたい親すら生活困窮者であり、やむなく家を出ざるを得なかった若者も大勢いるのではないかと考えます。
そもそも若者は、制度を知っていても、生活保護を周りに知られることを苦痛に感じ、申請すらしていないのではないかと考えられます。そのような中で、彼らが行き着く先の一つにネットカフェがあり、今さらですが、ネットカフェ難民との言葉も認知され、一晩ごとに宿代を払い、狭いブースの中で日々生活を送っている、時代を象徴しているホームレスの一つの在り方だと考えます。
しかしながら、中には、これも様々な事情で自らそれを望み、緊急避難的に次のステージのために準備基地と割り切って暮らしている人々はいいにしても、仕事がなくなり、日銭暮らしでそこからなかなか出ることのできない、特にやはり若者がいるはずでございますが、実際に数や宿泊理由まで行政で把握することは不可能であります。
コロナ禍以前になりますが、東京都が二〇一七年に実施した調査でも、住居がなく、ネットカフェなどを寝泊まりするために利用している人が四千人お見えになります。その四千人の半数が二十代から三十代の若年層だったと調査結果が出ています。
もともと若年層の間で住まいの困窮は広がっており、それが最初の緊急事態宣言のとき、ネットカフェに休業要請が行われて可視化されたとのことで、例えばアパートの家賃を滞納してネットカフェに移るとした場合は、元いた住所に住居の実態がないと分かると、自治体は住民票を削除することもあります。履歴書を書くときにはどうしても住所を書かなければならなく、面接などをクリアして実際に就職するという際にも、住民票を出してくれと言われ、住民票すらないネットカフェ難民はそもそも就業すらできない状態で、できたとしても住民票が要らない、不安定で低収入の仕事に就くことが多く、負のスパイラルからなかなか抜け出せなくなっているのではないでしょうか。
そういった若者は、今回、コロナ禍の公的な支援で典型的だった昨年の特別定額給付金がありますが、住民基本台帳のデータに基づき給付されたので、住民票のない人は受け取ることができず、さらなる格差を生んでいるのではないかと考えます。
一部の自治体は融通を利かせて、ホームレスやネットカフェで暮らす人々にも給付金を届けたとも聞いておりますが、全体としてはほとんどもらっていないのではないかと考えます。公的なサービスはほとんど住民票にひもづいているので、家がないと支援が受けづらい仕組みになっています。
若者やホームレスに限らず、様々な人が様々な事情やそれぞれの場所でコロナ禍、また、コロナ禍以前から生活に困窮しています。その中で、最後のセーフティネットである生活保護制度は、今の生活から何とか抜け出し、人生の再チャレンジを望む人たちにとって利用しやすい制度でなければなりません。
そのような中で、コロナ禍に対応した生活保護制度の運用はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
29:
◯福祉局長(
岡本範重君) 初めに、コロナ禍における生活保護受給者数の推移についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症の流行が始まった二〇二〇年四月と直近の数値である二〇二一年十二月時点の県全体の生活保護受給者数を比較しますと、七万五千九百九十八人から七万六千三百六十二人へと一年八か月で三百六十四人、〇・五%の微増となっております。
次に、コロナ禍に対応した生活保護制度の運用についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症の影響による生活保護受給者につきましては、感染症の終息により収入が元に戻る方も多いと考えられます。このため、国の通知により、コロナ終息後に生活保護から早期に自立いただけるよう、一時的な収入減少により保護が必要となる場合には、従前処分が必要であった通勤用自動車を保有したままでの保護の受給が可能とされております。
また、コロナ禍においては、新たに就労の場を探すことが困難な場合もあることから、働く能力がある申請者に対し、求職活動を行っているかの審査を保留する取扱いも認められております。
県といたしましては、コロナ禍に対応するため、国の通知による弾力的な運用を徹底し、生活保護制度の適正な実施に努めてまいります。
30: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
日高章議員。
31: ◯七番(日高章君) 私からは、歳出第三款県民環境費第三項社会活動推進費のうち、中小企業女性活躍推進モデル事業費について伺います。
近年、経済界における女性活躍の推進は社会的な強い要請となっている中で、ワーク・ライフ・バランスが職場の環境を変えるための重要なキーワードとなっています。女性に限らず、男性もワーク・ライフ・バランスを大切にするというのが基本的な考え方でありますが、女性が希望どおりに働くためには、まずは出産や子育てと仕事を両立できるような労働環境が整わなければならないという課題があり、今日ではこれを積極的に解決しようという動きが大企業を中心に進みつつあります。
そして、くしくも明日三月八日は、国連が定めた国際女性デーであります。国際女性デーは、女性の参政権を求める声から生まれたものですが、現在では、幅広く女性の権利を守る動きへと変わってきました。
働き方改革の呼び声の下、女性が、女性だからという理由で制限されることなく、生き生きと働ける環境の実現に向けて取り組む企業が増えてきています。そこには、女性にとって働きやすい環境づくりは、男女ともに働きやすい環境づくりにもつながり、結果として生産性や企業価値の向上につながるものという考え方が基本にあります。
私も、この考え方に大いに賛同するがゆえに、積極的に推進する立場でここに質問をするところであります。
このような社会的背景から、我が国では二〇一六年四月より女性活躍推進法が全面施行されました。しかしながら、同法では、常時雇用する労働者数が三百人以下の中小企業は、一般事業主行動計画の策定、届出が努力義務にとどまっていたため、大企業と比較して改善されにくい状況にありました。
そのような中で、二〇一九年六月には同法が改正され、本年四月からは一般事業主行動計画の策定・届出義務が、常時雇用する労働者数百一人以上の企業にまで拡大されることとなり、中小企業における女性活躍を推進する枠組みは整備されつつあります。
しかし、実際には、それぞれの企業の具体的な取組状況や、より規模の小さな企業の状況は経営者によって様々であると感じています。女性の活躍推進の取組を経済界全体で着実に前進させるためには、これまでは比較的出遅れていた中小企業においても女性活躍の重要性を十分に理解し、むしろ効果的な経営手段という考え方を持って、積極的に取組を加速させていくことが求められます。
また、中小企業における女性の管理職登用に目を向けると、大企業と比較して登用率が低い状況が続いています。その中でも、本県の中小企業における女性管理職登用状況はより登用が進まない傾向が強く、その理由として、モノづくり企業が多くを占めることが挙げられています。しかし、そもそも業種によって女性が活躍しにくいという考え方こそ改めていく必要があります。
別の視点では、県下の中小企業においては深刻な人材不足の状況にあり、これが常態化しているという大きな問題があります。このような問題に対しても、過去には男性が適任とされていた職種や職場をはじめ、あらゆる場面で女性が登用されることで、その活躍によって人材不足という課題を解決できる可能性が十分にあると言えます。
このような問題に対しては、私の地元、大府市では、ミューぷらん・おおぶという男女共同参画を目的としたNPO法人が、様々な女性問題解決のための取組の中で、とりわけ女性活躍推進に向けては、地元自治体と連携して地域の経済団体や工業団地等の会合、場合によっては個別の企業などに積極的に出向いてセミナーを開催するなどして精力的に活動しています。
同法人は、設立以来、経済界や自治体と効果的に連携してこのような取組を地道に継続しているので、徐々にその成果が上がり、地域におけるその状況は改善傾向にあると伺っています。このような事例は、課題解決に向けての参考になるかもしれません。
一方、本県は、女性の活躍促進に向け、トップの意識表明や採用拡大、職域拡大、育成、管理職登用のほか、ワーク・ライフ・バランスの推進や、働きながら育児、介護ができる環境づくりなどの取組を行っている企業等をあいち女性輝きカンパニーとして県が認証することにより、働く場における女性の定着と活躍の拡大を推進しています。
そこで伺います。
あいち女性輝きカンパニーにおける中小企業の認証状況はどのようか、また、今後の中小企業におけるさらなる女性活躍に向けて、どう課題を認識し、対応していくのかについてお尋ねをします。
また、中小企業女性活躍推進モデル事業について、具体的にどのように進め、女性の活躍にどうつなげていくのかという点についても伺います。
以上で質問を終わります。
32: ◯県民文化局長(水野直樹君) あいち女性輝きカンパニーにおける中小企業の認証状況と中小企業におけるさらなる女性活躍に向けた課題認識及び今後の対応についてお答えします。
まず、あいち女性輝きカンパニーの認証状況について、制度を創設した二〇一五年時点では、認証企業数が七十二社、そのうち従業員数三百人以上の中小企業は三十社、全体に占める割合は四二%でありましたが、現在では、認証企業数が一千三十七社、そのうち中小企業は七百七十三社、全体に占める割合は七五%であり、中小企業における女性活躍に向けた機運は着実に高まってきております。
次に、さらなる女性活躍に向けた課題でありますが、あいち女性輝きカンパニー認証企業についても半数近くが名古屋市内の企業であるなど、地域により差が生じているとともに、県内企業の九九・七%を占める中小企業においては、まだ取組が十分に進んでいるとは言えない企業も多いことが挙げられます。
また、各地域の商工会議所の皆様との意見交換においては、中小企業等では、他の企業の女性の活躍の取組を知る機会が少ない。優秀な女性に活躍してもらうため、より身近な企業の好事例を提供し、機運の醸成を図るのがよいなどの意見をいただいております。
こうしたことから、来年度、中小企業女性活躍推進モデル事業を実施し、女性の活躍に取り組む企業を県内各地域に一層広げていくとともに、とりわけ中小企業に対して、地域の身近な企業の取組を積極的に紹介するなどにより、女性の活躍促進を図ってまいりたいと考えております。
次に、中小企業女性活躍推進モデル事業について、具体的にどのように進め、女性活躍にどうつなげていくのか、お答えします。
中小企業女性活躍推進モデル事業は、市町村への意向調査を基に、県内の三か所をモデル地域として選定し、モデル地域において、意見交換会の開催、リーフレットの作成、セミナーの開催などを行っていくものです。
まず、意見交換会を市町村、商工会議所、地元企業等が連携して複数回開催し、それぞれの地域における企業規模や業種などの特性や課題等を踏まえ、地元中小企業への効果的な働きかけの方策を検討していただきます。
この意見交換会を通じて、市町村や地元経済団体などがネットワークを築き、女性活躍の効果や課題解決の可能性の認識を共有することにより、企業へのきめ細やかな働きかけにつながるものと考えております。
その上で、三地域それぞれにおいてネットワークを活用して、意欲的な企業や従業員の方などを紹介するリーフレット作成や、地元先進企業の取組や行政の施策等を紹介するセミナーの開催などの事業を実施していくことにより、地域の企業が情報を共有し、お互いに刺激を受け、女性活躍に取り組む機運が醸成されることを目指しております。
また、市町村の男女共同参画課、商工産業振興課、まちづくり課などと商工会議所、商工会、企業や民間団体等が一体となり連携を深めることにより、事業終了後も女性活躍に向けて取り組む企業の裾野を広げていっていただきたいと考えております。
このように、モデル地域において地元の市町村と経済団体等が連携して、中小企業の女性活躍に向けた働きかけを実施するとともに、県においてその成果をウェブページなどで県内全域に積極的に発信し、他の市町村へも波及させていくことにより中小企業のさらなる女性活躍を促進してまいります。
申し訳ございません、最初の答弁の中で、従業員数につきまして誤った答弁をいたしましたので、訂正いたします。
あいち女性輝きカンパニーの認証状況について、制度を創設した二〇一五年度時点では、認証企業数が七十二社、そのうち従業員数三百人以下の中小企業は三十社でございます。失礼いたしました。
33: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
桜井秀樹議員。
34: ◯十六番(桜井秀樹君) 私からは、大きく二点について順次伺います。
まず、一点目として、第二款第一項第一目企画事業費のSDGs未来都市計画推進費の中から、特に愛知県SDGs未来都市計画の取組状況について伺います。
この計画は、愛知県が二〇一九年七月に内閣府からSDGs未来都市の選定を受け、計画期間を二〇一九年から二〇二一年度で、SDGsの達成期限である二〇三〇年の愛知県のあるべき姿やSDGsの達成に向けて、今後三年間に先導的に進める取組及び特に注力する先導的な取組を記載するとともに、関連するSDGsの目標や重要業績評価指標(KPI)等を設定していると承知をしております。
そして、期間中は、知事を本部長とする愛知県SDGs推進本部を中心に、計画に基づく取組の推進や進行管理を着実に行い、経済、社会、環境の三つの側面の調和を取りながら、活力と持続力を兼ね備えた大都市圏を目指すとされておりました。
また、翌年二〇二〇年二月には、この取組を進める上で多くの県民にSDGsへの理解及び関心を高めるため、愛知県SDGsセミナーを愛知県産業労働センター(ウインクあいち)にて開催をし、基調講演では、一般社団法人中部SDGs推進センターの代表理事である戸成司朗氏によるSDGsの歴史的意義と企業と地域に及ぼす影響と題して、基本的な考えから取組に当たっての留意点等を伺いました。
そして、SDGsにおける十七の持続可能な開発目標では、経済、社会、環境の三つの側面の調和を取りながら、多岐にわたり取組を進めることから、全体の取りまとめを政策企画局が一元的に取りまとめを行うことで全体の進捗を管理する体制は、行政という縦割りを打破する意味においても大変有効であると感じました。
しかし、そんなSDGsセミナーが開催された数週間後には、世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症が発生をし、取組への影響が懸念されたところであります。そして、スタートしたこの愛知県SDGs未来都市計画の期間の三年が今月末となるわけであります。
そこで、今月末で計画期間の三年が経過する愛知県SDGs未来都市計画の取組について、以下二点について伺います。
一点目として、この三年間の取組の成果について伺います。
計画の中で示されている経済面、社会面、環境面で、それぞれ具体的な数値目標を掲げて取り組んできたと承知をしていますが、どのような成果があり、課題も含めた評価について伺います。
また、この計画が策定された半年後に、世界を震撼させ、いまだに出口が見えない新型コロナウイルス感染症が発生をいたしました。このコロナ禍の影響についても併せて伺います。
次に、二点目として、今後の愛知県SDGs未来都市計画についてであります。
計画期間の三年が三月で終了いたしますが、SDGsの取組は二〇三〇年まで続くと承知をしています。そのような中、一昨年、国が二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すという方針を示したことを受け、今後、愛知県SDGs未来都市計画の中でどのように反映していくのか、伺います。
また、令和四年度の取組も含めた今後の取組についても伺います。
次に、第三款第三項第一目男女共同参画推進事業費、女性の活躍促進に向けた取組から伺います。
この四月より改正育児・介護休業法などが順次施行され、ますますワーク・ライフ・バランスの推進やテレワークの推進など働き方改革を進めるための様々な取組が求められてくると感じております。
私は、この議案質疑におきましては、一昨年は、これまでの女性活躍社会の取組や課題について確認をし、昨年は、女性管理職比率の向上に向けた推進事業について確認をさせていただきました。
改めて申し上げますが、私自身、男女共同参画社会の実現に向けては、我々男性側の意識改革が重要であると考え、とりわけ昭和と言われる時代を生きた私にとってはとても重要であると感じております。
家庭内でも一緒で、夫婦間も対等なパートナーとして捉え、尊重し、支え合うことで、来るべき介護になることを想定して、お世話をしていただく環境を整える必要もあると感じ、意識した家庭生活に努めております。
また、女性が働きやすい職場になればなるほど、女性の社会進出が増え、労働力確保にもつながり、男性にとっても働きやすくなると言われております。
加えて、私の時代は妻が専業主婦でしたので、小遣いも必要最低限で抑えられていましたが、妻がフルタイムで働くことで小遣いアップにつながるとも言われております。
多くの効果が期待される女性の活躍促進に向けた取組から、以下三点について伺います。
一点目として、令和四年度の新規事業として、あいち女性リーダー育成推進事業が掲げられております。先日の議案説明会でも御説明いただき、また、事前に配付していただきました予算の概要参考資料でも記載されておりますが、役員登用の育成、講演会やワーキンググループを開催するとされておりますが、改めて事業の狙いと期待する効果について伺います。
そして、二点目として、昨年質問させていただきました今年度の新規事業として取り組まれましたモノづくり企業女性管理職登用推進事業の成果と今後の取組について伺います。
最後の三点目といたしましては、事業の継続性としての観点で、令和三年度の新規事業、モノづくり企業女性管理職登用推進事業について、次年度、令和四年度は実施しないとのことでありますが、新規事業を単年度で終えてしまう考え方などについて伺います。
この質問の趣旨は、一点目と二点目の質問に関係をいたしますが、次年度の新規事業に、役員になるための育成事業を行うとされております。私は普通、管理職を経て役員になると理解する中で、令和三年度に取り組んだ管理職登用も含め、ある程度軌道に乗って、そして多くの管理職が誕生し、次のステップとして役員登用につなげていくべきと考えるからであります。
しかし、先ほど触れましたが、今年度実施した管理職登用事業は令和四年度には実施されていなく、単年度、一年で終えてしまうことが非常に残念でなりません。
そこで、今年度のモノづくり企業女性管理職登用推進事業を終了し、来年度、新たにあいち女性リーダー育成推進事業を実施する考え方と、今後どのように継続的に取り組んでいくのか、伺います。
以上、よろしくお願いします。
35: ◯政策企画局長(沼澤弘平君) まず、SDGs未来都市計画の成果と評価についてのお尋ねであります。
本県は、SDGs未来都市に選定されたことを受け、二〇一九年八月に二〇一九年度から三か年を計画期間とする愛知県SDGs未来都市計画を策定し、SDGsの達成に向けた取組とともに、SDGsへの理解を深めていただくための啓発活動に取り組んでまいりました。
未来都市計画には、経済、社会、環境の三側面から、四十一項目に及ぶ重要業績評価指標、いわゆるKPIを設定しております。新型コロナウイルス感染症の影響により、イベント参加者数等の指標について一部達成困難なものもありますが、目標達成、または目標の達成に向けて進捗している指標は約九割となっており、計画は全体としておおむね順調に進捗していると認識をしております。
そうした中、昨年七月に実施をした県政世論調査では、SDGsについて、聞いたことがあり、内容も知っていると回答した人の割合は、二年前の七・七%から四二・二%に大幅に上昇するなど、県民の皆様のSDGsへの理解は大きく進んでおり、今後こうした状況を踏まえ、県民、企業等の皆様の具体的な行動を促進していくことが必要と認識しているところであります。
次に、未来都市計画の今後の取組についてお答えをいたします。
現行のSDGs未来都市計画については今年度末で計画期間が終了することから、二〇二二年度から二〇二四年度までの三か年を計画期間とする第二期計画を今月下旬に策定をする予定でおります。
第二期計画では、カーボンニュートラルやデジタル化などの新しい課題にも対応しつつ、新たな数値目標や施策を盛り込んでまいります。また、カーボンニュートラルについては、来年度に改定するあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇を踏まえて、計画期間の途中でも未来都市計画のさらなる充実を図ってまいります。
第二期計画の初年度となる来年度は、県民や企業等の皆様にSDGsの重要性について十分認識していただき、様々な課題に対して主体的に行動していただくための取組を進めてまいります。
具体的には、SDGsに積極的に取り組む企業、大学、NPO等が参加し、それぞれの活動を発信する日本最大級のSDGs推進フェア、SDGs・アイチ・エキスポを引き続き開催するとともに、身近にできるSDGsの取組を分かりやすく掲載したSDGs取組事例パンフレットの作成などに取り組んでまいります。
また、昨年九月には、企業等の取組を見える化し、行動を促進するため、SDGs登録制度を創設し、現在、四百八十余りの企業、団体等に登録をいただいております。今後さらに登録数の拡大を図るとともに、登録企業、団体を対象にした交流会の開催などにより、企業、団体間のパートナーシップ構築も促進をしてまいります。
36: ◯県民文化局長(水野直樹君) あいち女性リーダー育成推進事業について、事業の狙いと期待する効果をお答えします。
本県において、企業等の管理職に占める女性の割合は一三・五%で全国三十四位、上場企業の女性役員の割合は六・三%で全国二十八位であり、女性リーダーのさらなる育成を推進する必要があります。また、企業や経済団体、学識者等で構成するあいち女性の活躍促進会議では、女性が活躍するため、様々な女性のロールモデルを示すことが重要などの意見をいただいているところです。
そこで、来年度、あいち女性リーダー育成推進事業を新たに実施し、まず、女性リーダー講演会を開催し、現役の会社役員や経営者などから、今後、企業の役員等になっていく候補者の方々に対して、御自身のキャリアなどについて語っていただきます。
また、働く女性等への情報発信として、県内企業の社長などのリーダーからのメッセージ動画を作成し、講演会の様子と併せてウェブページに掲載して、県内企業で働く女性や、これから就職を考える女性に向けて広く情報発信してまいります。
さらに、県内企業の人事担当者等によるワーキンググループにおいて、女性役員登用の課題の整理や取組事例の収集等を行います。
これらの取組によりまして、次世代の役員候補となる女性の皆様がロールモデルを知り、自身のキャリアを描く後押しとなるよう、しっかりと事業を実施してまいりたいと考えております。
次に、今年度のモノづくり企業女性管理職登用推進事業の成果と今後の取組についてお答えします。
モノづくり企業女性管理職登用推進事業では、女性管理職登用に向けた取組を企業に調査、ヒアリング等しており、今後、効果的な手法等をウェブページで情報発信することとしております。
調査等の成果の発信として、例えば管理職登用に向けてどのように取り組んでいいのか分からないという企業に向けては、女性の管理職を新たに登用した企業の取組や、ICT化により管理職の労働時間を削減した企業の取組などを御紹介する予定です。
また、女性活躍に取り組むためのアイデアが欲しい企業向けには、環境整備・業務効率化や意識啓発等のカテゴリー別に取組を紹介するなど、企業の皆様が使いやすい形で発信してまいります。
さらに、先日、豊田市と共催で女性活躍推進フォーラムを開催し、先進企業による講演や好事例等の紹介を行ったところ、参加者からは、重い製品を扱う製造現場の女性リーダーをつくるには、ユニバーサル設備と意識改革が必要だと分かった、根気強く取り組むことが大切だと思ったなどの声をいただくことができました。
今後の取組としましては、今年度の事業の成果を活用し、広く県内企業に対し周知するとともに、市町村が企業に働きかける際に利用していただくなど、さらなる女性活躍を進めてまいります。
次に、今年度のモノづくり企業女性管理職登用推進事業を終了し、来年度新たにあいち女性リーダー育成推進事業を実施する考え方と、今後どのように継続的に取り組んでいくのか、お答えします。
女性の活躍に向けては、女性のキャリアアップを後押しする取組や、企業の職場環境整備や登用などを働きかける取組、また、中学生や高校生等の若い世代に対するキャリア教育など、各種の事業を様々な角度から取り組んでいく必要があると考えております。
こうした考えの下、モノづくり企業女性管理職登用推進事業を今年度実施してまいりましたが、現段階の課題の抽出や様々な取組事例の収集は終え、年度内にそれらを情報発信できることから、今後は中小企業女性活躍推進モデル事業や各種セミナー等を通じて、その成果を活用していただけるよう働きかけるなど、有効活用してまいります。
一方で、既に一定の女性管理職が登用されるなど、女性活躍が進んでいる企業に対しまして、さらに取組を進めていただくという観点も重要であることから、来年度は、役員等を育成するあいち女性リーダー育成推進事業を実施してまいります。
今後とも、働きかける対象や企業の規模、業種なども考えながら、全体として一体性、継続性を持って事業を推進し、女性の活躍が一層進んでいくようしっかりと取り組んでまいります。
37: ◯十六番(桜井秀樹君) それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。
それでは、要望させていただきます。
まず、SDGsであります。今回は第一期となる計画期間の最終年度での確認をさせていただきました。今後も同様にしっかりと掲げた目標に照らし合わせて確認をしていただき、PDCAを回していただくことをお願いいたします。
あわせて、カーボンニュートラルの実現に向けた取組との関係であります。
目標こそSDGsは二〇三〇年、カーボンニュートラルは二〇五〇年と異なりますが、取組を進めるに当たっての体制であります。SDGsは、先ほども触れましたが、十七のターゲットが多岐にわたり取組を進めることから、全体の取りまとめを政策企画局が一元的に行っております。同様に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組についても、全体の進捗管理を担う部署が必要であるとも感じております。
現在は、地球温暖化を中心に環境局、そして、産業関係については経済産業局が担っていると承知をしていますが、カーボンニュートラルの実現に向けては、そのほかにも農林水産業、建設に係るカーボンニュートラルなど、大変幅が広く、SDGs同様に全体を取りまとめる部署が必要であり、御検討をお願いいたします。
次に、男女共同参画社会の推進についてであります。
新規事業の継続については予算上の課題もあろうかと思いますが、ぜひ継続して取り組んでいただけるよう、植えた種に芽が出て、そして花を咲かせて実がなるまで育てていただくよう期待をいたします。
そして、先ほども触れられましたが、あした、三月八日は国際女性デーであります。一八五七年、ニューヨークで起きた被服工場の火災によって多くの女性たちが亡くなったことを受けまして、女性の低賃金、長時間労働に抗議する集会が三月八日に開かれたことが起源だそうです。
その後、国連において、三月八日は女性の権利と平等のために闘う記念日となり、賃金、労働の向上を示すパンと、女性の尊厳、人権の確保を表すバラをシンボルに、世界各国で様々な行動が行われるそうであります。ぜひ所管部署であります県民文化局内でも、象徴となるバラを飾っていただき、そして、この取組が広がることを期待し、質問を終わります。ありがとうございました。
38: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
杉浦正和議員。
39: ◯六番(杉浦正和君) 私からは、歳出第二款総務企画費第四項市町村振興費のうち、東三河「新しい人の流れによる新たな魅力と価値」創造事業費についてお伺いいたします。
東三河の地域づくりの主体となる愛知県、八市町村、東三河広域連合、経済団体、大学等で構成される東三河ビジョン協議会により、昨年十二月に東三河振興ビジョン二〇三〇が策定されました。
このビジョンで示す二〇四〇年将来像では、地域活力や新たな魅力、価値の創造に向け、多様な働き方、多様な形でつながりを望む地域外の人の受入れを進めていく、また、産業を支える人材の育成、確保を行う等により持続可能な産業を構築していくなどとしております。
このため、ビジョンでは、東三河地域の転出超過数を半減する目標を進捗管理指標に掲げ、東三河への移住を促す取組を地域づくりの各主体が連携、協力し、地域が一体となって強力に推進していくこととしております。
その具体化を図る取組として、県では、来年度当初予算に東三河「新しい人の流れによる新たな魅力と価値」創造事業費を計上し、首都圏、名古屋圏といった大都市の企業、個人を対象とした関係人口の創出や、移住、定住の促進に取り組むとされており、ビジョンに即した効果的な取組であると高く評価したいと思います。
首都圏の企業に対しましては、既に今年度、意識調査を実施されたと聞いております。その調査結果によりますと、全体として、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした本社の地方移転等を検討する動きは活発でなく、また、東三河地域への認知度は相対的に低いものであったとのことであります。
本社の地方移転等の検討に当たっては、人材確保や採算性、新事業展開など様々な経営的視点から判断されるものと考えられます。そのため、この調査により明らかとなった東三河地域に関心を持った企業に対しては、企業が欲する情報の提供を行うことなどにより継続的に東三河地域への一層の関心を促し、長期的な視点で進めていくことが重要であります。
一方で、大都市の個人に目を向けますと、二〇二〇年五月十五日に公表された内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の調査によりますと、東京圏在住者の約半数が地方圏での暮らしに関心を示していることが明らかになったほか、本年一月二十八日に公表された二〇二一年の住民基本台帳人口移動報告によりますと、東京都特別区では、日本人については、一九九六年以来、実に二十五年ぶりに転出超過となっていることが分かったところであります。
こうした中で、来年度事業の実施に当たっては、まずは首都圏からの人の流れを東三河地域まで確実に波及させ、移住につなげていけるよう、移住に関心を持つ方々のニーズの把握や、東三河での暮らしのイメージの訴求などの取組を行っていくことが重要であると考えております。
そこでお伺いします。
来年度事業におきまして、東三河地域への移住促進に向け、大都市にお住まいの方のニーズ等を把握するためにどのような取組を考えているのか、お伺いいたします。
また、移住、定住を促進するためには、県の取組に加え、移住対象地域にとなる東三河の各市町村においても予算を確保するなど、積極的に本事業に取り組んでもらうことが必要であると考えますが、本事業の実施にどのように市町村が関与するのか、お伺いいたします。
40:
◯総務局長(林全宏君) 東三河地域への移住促進に向けた大都市住民のニーズ等の把握の取組についてお尋ねをいただきました。
この事業は、昨年十二月に策定した東三河振興ビジョン二〇三〇に基づき、県、市町村、関係団体が連携して広域的課題に取り組む重点プロジェクトとして、来年度から三か年かけて実施するものであります。
初年度である来年度は、大都市、とりわけ首都圏にお住まいの方のうち、移住に関心のある方を対象に、インターネットを活用した移住に関する意識調査を実施し、移住先に求める暮らしや住まいなどに関する様々なニーズを把握、分析することとしております。この結果は、移住先に東三河地域を選んでもらうために何が必要か、今後検討していく材料としてまいります。
また、今回の意識調査は、移住に関心のある方に東三河の魅力を直接知っていただく絶好の機会でありますので、東三河で実現できる豊かな暮らしをイメージできるPR資料を提供するなど、工夫を凝らし、東三河を移住の選択肢に加えていただけるような機会にしていきたいと考えております。
次に、事業の実施への市町村の関与についてお答えします。
本事業の実施に当たっては、地元市町村、移住・定住促進にノウハウのある民間企業、大学、経済団体等で構成するプロジェクトチームを組織し、先ほどお答えした意識調査の結果や、それを踏まえた具体的な取組などについて関係者が情報共有し、十分議論を尽くしながら進めていきたいと考えております。
申すまでもなく、移住、定住を促進するためには、移住者の受入れ対応を行う個々の市町村の取組が非常に重要であります。このプロジェクトチームでの議論を通じて、市町村と移住希望者の生の声に基づく最新の情報の共有が図られ、各市町村のそれぞれの地域の実情を踏まえた効果的な移住・定住施策の展開につながっていくことを大いに期待しております。
また、県としても、今後、このプロジェクトチームの検討成果も踏まえながら、市町村とも十分に連携して、東三河地域への移住・定住促進が図られるよう取り組んでまいります。
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41: ◯四十番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
42: ◯議長(
坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
43: ◯議長(
坂田憲治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十四分休憩
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午後一時開議
44: ◯議長(
坂田憲治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
平松利英議員。
45: ◯八番(平松利英君) 私からは、歳出第三款県民環境費第五項環境対策費のうち、あいち地球温暖化防止戦略費についてお伺いします。
国は一昨年、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言するとともに、昨年六月、地球温暖化対策の推進に関する法律を改正し、法の基本理念に二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を位置づけました。また、昨年十月、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で従来の二六%削減から四六%削減に引き上げるという大変高い目標を掲げた地球温暖化対策計画を策定しました。
この計画では、地方公共団体の基本的な役割として、再生可能エネルギー等の利用促進と徹底した省エネルギーの推進、脱炭素型の都市・地域づくりの推進、循環型社会の形成、事業者、住民への情報提供と活動促進を図ることなどが掲げられており、こうした国の方針からも本県の果たすべき役割は今後さらに高まっていくものと考えております。カーボンニュートラルの実現には、こうした温室効果ガスの排出を減らす取組に加え、排出された温室効果ガスを森林整備や緑化により吸収、貯蔵、固定化する取組も重要になってまいります。
本県は、二〇一八年二月に策定したあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇に基づき、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で二六%削減するという目標を掲げ、暮らし、事業活動、自動車、再生可能エネルギーの推進など様々な取組を行うとともに、吸収源対策として森林の適正な保全を図るため、間伐等の森林整備や林業の振興、県産木材の利用拡大等に取り組んでまいりました。特に木材の利用は、本県のモノづくりの原点であるとともに、地域経済の活性化にも資するものであります。また、本県の森林は、その多面的機能により脱炭素社会の実現に貢献するものであります。
昨年の九月議会において、私も提出者の一人となり、愛知県木材利用促進条例の制定を議員提案したところ、その趣旨、内容が認められ、満場一致で可決、成立しました。本条例は今年の四月一日から施行され、今後具体的な取組が進むものと期待しております。こうした削減対策や吸収源対策の取組は今後ますます重要になってまいりますが、本県は日本一の産業県であり、活発な経済活動の結果として、最新年度である二〇一八年度における本県の温室効果ガス排出量は二〇一三年度比で三・五%削減にとどまっているものとお聞きしております。二六%削減というこれまでの目標達成も厳しい状況にある中、国の削減目標の引上げを踏まえたさらなる温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルの実現に向けては、従来の延長線上の取組では非常に困難であると思われます。こうしたことから、本県のこれまでの温室効果ガスの状況や取組を踏まえ、本県の地球温暖化対策等の基本となるあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の取組内容をブラッシュアップし改定していくということは、誠に時宜を得たものであると考えます。
そこでお尋ねいたします。
あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の改定内容はどのようなものか、また、その進め方についてお伺いいたします。
46:
◯環境局長(
岡田守人君) あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の改定内容とその進め方についてお答えいたします。
今回の改定内容につきまして、主なポイントは三点ございます。
一つ目は、国が温室効果ガス排出量の削減目標を引き上げたことを踏まえ、本県の削減目標を見直すこと、二つ目は、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正により義務化された再生可能エネルギーの利用促進などの目標を新たに設定すること、三つ目は、こうした見直しに対応した施策の実効性を高めるため、国の新たな政策に基づく取組に加え、本県独自の新たな取組などを戦略に反映させることであると認識しております。このため、改定の進め方につきましては、現在実施中の基礎調査において、地域の脱炭素化に向けた先進的な取組や再生可能エネルギーの導入ポテンシャルなどを把握した上で、二〇三〇年度に向けた温室効果ガス排出量や再生可能エネルギー導入量の将来予測を行うこととしており、これらの調査結果や、経済界、産業界からの意見聴取、カーボンニュートラル戦略会議等での議論を踏まえ、国の目標や施策等との整合性も勘案し、本県の新たな目標を設定してまいります。また、全国から募集しているカーボンニュートラルの実現に資する革新的で独創的な事業・企画アイデアの中から新たなプロジェクトを創出し、これらの事業をしっかりと戦略に位置づけ、本県の地球温暖化対策を積極的に進めてまいります。
47: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
おおたけりえ議員。
48: ◯十七番(おおたけりえ君) それでは、第四款福祉医療費第九項医薬費の中で、ひきこもり支援について伺います。
ひきこもりの方は、内閣府の全国調査による推計を愛知県に換算しますと、本県でひきこもり状態にある人は、十五歳から三十九歳で約三万三千人、四十歳から六十四歳では約三万六千人と推計されますが、必ずしも医療機関や相談窓口に結びついてはいないため、正確な数を把握することは非常に困難だと言われております。
中高年のひきこもりは、本人及び親の高齢化や生活困窮など本人のみならず家族をめぐる問題等、複雑化、多様化しており、深刻な問題となっております。ひきこもりの問題は、家族や当事者自身からの相談のほか、ほかの家族構成員の介護や生活困窮などの相談からひきこもり状態にある人を発見することもあります。そのような場合、民生委員や包括相談員など地域の関係機関が丁寧に家族や本人に寄り添った対応をすることが重要です。
また、ひきこもり当事者や家族への支援は、現在、県内では七十八団体ほどのNPO等の民間団体でも取り組まれております。その活動の内容や規模はそれぞれの団体により様々ですが、主な活動内容としては、面接相談や電話相談、居場所づくり、訪問、外出の付添い、職場訪問、職場体験などの支援を行ってみえます。また、県がNPO法人なでしこの会へ委託し、ピアサポート事業も実施されています。
しかし、支援体制は地域により充実度に濃淡があり、行政や市民団体が熱心に活動しているところもあれば、なかなか支援体制が整っていないところもあるのが現状です。本県では昨年度より、一番身近で当事者を支援する市町村が実施するひきこもり対策を支援するため、専門的な知識を持つ支援員を派遣したと伺っております。その取組の成果と今後の取組について伺います。
次に、ひきこもり支援の第一歩となる家族支援の強化について伺います。
コロナ禍の中、家族相談会を行っている保健所において、職員がコロナ対応を優先せざるを得ない状況の中、その多くが中止になっておりまして、当事者家族の方々から中止にせずに支援を継続してほしいという声が届いております。コロナ対応に人員を割かれてしまうという点は理解するものですし、これまでの家族相談会では、それぞれの家庭の話を聞くだけで改善策は提案されないままであることに対して不安の声も聞きますので、これを機に、運営主体やスタッフの配置はもちろん、専門的な講師の選定、オンラインでの実施も含めた家族支援体制の在り方について改善してはと考えます。
そこで、参考になる事例を調べてみました。兵庫県では、クラフトと呼ばれるプログラムを使い、遠方にお住まいの方のためにオンラインと本部の会場を併用して十回コースの研修を行っているそうです。このプログラムは、親をはじめとした家族をひきこもり支援の中核を担う人として捉え、引き籠もる本人を元気にするために、受容や共感、効果的なコミュニケーション手法など家族ができることを学びます。
県内では今年度、蟹江町にてあいち福祉振興会の主催で八回のコースで行われており、先日参加させていただきました。研修の中では、実際に家庭で起こった問題行動の分析を、例を参考にしながらそれぞれ自分で配付されたプリントに記入してみます。そして、望ましいコミュニケーションを増やしていくにはどうしたらいいかを考えます。トレーニングにより、家族としてするべきこと、しなくていいことが分かってきまして、普通に子育てにも役立つ知識だと感じました。また、自分自身の言い方や関わり方を変えることで変化が起こるという希望を感じることができ、次に何をしていこうかなど、専門家のサポートを受けながらよりよい関わり方を模索してくことで、自身の支援スキルが上がっていくように感じました。一緒に受けられた方々の声も聞いてみましたところ、やはり効果を感じている方が多かったのが印象に残りました。
また、山口県宇部市では、家族教育心理プログラムとして、基礎編全六回で、対話の在り方や問題行動への対処方法、ポジティブコミュニケーションで好ましい行動を増やしていく方法等を理解していくそうです。参加者の評判もよいと聞きますので、このような家族をエンカレッジできる支援の充実をしてはどうかと考えます。
そこで、この機会に来年度の実施に向けて、コロナでも中止にしなくて済む、そして、家族が支援される側でなく一番身近な支援者として支援スキルを向上できる家族相談会の在り方を検討されるお考えについて伺います。
49: ◯保健医療局長(吉田宏君) ひきこもり対策の御質問のうち、初めに、市町村支援員の取組成果と今後の取組についてお答えいたします。
精神保健福祉センターに配置しております市町村支援員は、昨年度、県内三十市を訪問し、今年度は十五町村を訪問いたしました。各市町村のひきこもり相談窓口、支援体制の状況や課題等についての聞き取りの結果、担当職員の知識やスキルの不足やひきこもり状態の方の居場所づくり支援の内容が十分でないことが分かりました。これらを踏まえまして、精神保健福祉センターが開催しておりますひきこもり相談対応者研修におきまして、知識やスキルに関する内容を充実させるとともに、ひきこもり状態の方が利用できる居場所づくり支援を行っている市の活動を紹介するなど、各市町村において実施できるよう支援しております。
来年度につきましては、市町村において困難事例に対して多職種専門チームが参画した事例検討会を実施してまいります。また、市町村職員の知識向上のための研修内容を充実させ、市町村のひきこもり支援体制の整備が加速されるようしっかりと取り組んでまいります。
すみません。答弁に誤りがありましたので訂正させていただきます。
昨年度、市町村支援員の訪問件数でございますが、私、三十市と申しましたけれども、三十七市の間違いでございました。大変失礼いたしました。
次に、家族相談会についてでございます。
ひきこもり状態にある方の御家族がひきこもり状態にあることについての理解を深め、関係機関に相談するなど適切な対応をすることにつながる家族相談は大変重要な取組であると考えております。県では各保健所において、御家族に対する個別の相談に加えまして、ひきこもり状態の理解と対応等を学ぶひきこもり家族教室を実施しております。二〇二〇年からの新型コロナ感染拡大以降、保健所においては感染状況を踏まえながら、個別相談等の支援を中心に工夫しながら実施してまいりました。来年度につきましては、保健所の個別相談に加えまして、精神保健福祉センターにおきまして、ウェブを活用するとともに、御家族が自ら対応方法を身につけることができる演習を行うなど、家族支援の充実を図ってまいります。
50: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
杉江繁樹議員。
51: ◯十番(杉江繁樹君) それでは、私からは、歳出第二款総務企画費第一項政策企画費のうち、愛知万博二十周年記念事業の実施についてお伺いいたします。
愛知万博、愛・地球博は、中部国際空港開港と同じ年の二〇〇五年三月二十五日から九月二十五日までの百八十五日間にわたり、百二十一か国、四つの国際機関、地方公共団体や企業、さらには国内外のNPO、NGO、多くの市民団体など多様な参加を得て開催されました。来場者数は、当初目標の千五百万人を大幅に上回る約二千二百万人となり、大盛況のうちに幕を閉じました。
愛知万博は、自然の叡智のテーマの下、環境をテーマとした博覧会として人類が直面する地球規模の課題解決の方向性と人類の生き方を発信し、国内外から高い評価を受けることになりました。その愛知万博において県は、愛知の文化的魅力を会場全体を使って表現し、開催地愛知を世界に向けて発信する愛知県ウイークを実施しました。その中で行われたあいち山車・からくり総揃えでは、私の地元である常滑市からも山車が出展し、私自身も地元の山車組の一人として参加し、EXPOドームで山車の組み上げ、解体をしましたし、オープニングではやしの演奏もさせていただきました。まさに、愛知の山車祭りが日本一であることを世界に示した圧倒的なスケールのイベントが実施される万博のパワーが多くの方々の記憶に強く刻まれており、私や地元の方々にとっての愛知万博の一番の思い出となっています。
愛知万博は、この地域に様々な成果をもたらしました。例えば、愛知万博で実施された自然の尊さを訴える様々な展示、催事をはじめ、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rやエコマネーの取組は、県民の皆様の環境に対する意識を大きく変えることになりました。また、県内の市町村を公式参加国のホームシティー、ホームタウンと位置づけ、地域を挙げたホスピタリティーあふれる参加国の受入れや幅広い国際交流を行う一市町村一国フレンドシップ事業が実施されるなど、市町村を中心とした草の根レベルでの国際交流を活発化させるきっかけとなりました。さらに、この地域に国内外から多くのお客様を迎えることで、愛知を全世界に強く印象づけるとともに、この地域の知名度を大きく向上させることになりました。そして、何よりも地域一丸となった取組により愛知万博を成功に導くことができたことは県民にとっての誇りであり、この経験は地域に大きな自信を根づかせることになりました。このように、愛知万博がもたらしたインパクトは、多面的で計り知れないものがありますが、これらの成果、そして、そのときの感動を地域の財産として後世へ伝えていくことが大切であると考えます。
そうした中、愛知万博の会場であった愛・地球博記念公園では、愛知万博の理念を次世代に継承する、日本が世界に誇るスタジオジブリの世界観を表現した唯一無二の公園施設ジブリパークの整備が進められています。二〇二二年十一月一日には、青春の丘エリア、ジブリの大倉庫エリア、どんどこ森エリアの三つのエリアが第一期オープンし、そのおおむね一年後には第二期として、もののけの里エリア、魔女の谷エリアも整備される予定です。これによって愛・地球博記念公園の魅力がさらに高まると思います。
早いもので、愛知万博の開催から十七年がたとうとしています。これまでも、万博開催後一周年、五周年、十周年といった節目の年には県として記念事業を実施してきたと承知しておりますが、愛知万博の開催二十周年となる二〇二五年においても記念事業を実施すると伺っております。コロナを克服し、勢いのある愛知が戻り、当時を思い出すことができる事業であることを望みます。
そこでお尋ねいたします。
愛知万博二十周年となる二〇二五年に県が実施する記念事業について、どのような内容を想定しているのか、また、来年度はどのように準備を進めていくのかをお伺いいたします。
52: ◯政策企画局長(沼澤弘平君) 愛知万博二十周年記念事業についてのお尋ねであります。
自然の叡智をテーマに二〇〇五年に開催された愛知万博は、環境面はもとより、市民参加や国際交流など、この地域に様々な成果をもたらしました。その愛知万博を振り返り、理念と成果を未来に継承していくことは大変重要なことと認識しております。二〇二五年には愛知万博開催から二十周年を迎えることから、会場地であった愛・地球博記念公園において愛知万博二十周年記念事業を実施したいと考えております。
愛・地球博記念公園では、ジブリパークが今年十一月に第一期オープンし、そのおおむね一年後には第二期オープンとしてフルオープンします。そのジブリパークの国内外からの集客力を生かし、愛知万博二十周年記念事業の様々な事業、イベントとジブリパークを絡めることで二〇二五年をジブリパークの第三期オープンと位置づけ、本県のさらなる魅力向上につなげてまいります。
具体的な内容は来年度以降検討していくことになりますが、オープニング行事やジブリパークと連携した大型イベント、万博メモリアルシンポジウム、市町村デー、海外友好提携・相互協力自治体催事などを想定しており、また、それらのイベントの期間以外に実施する協賛事業を広く公募していきたいと考えております。
こうした記念事業に向けた準備としては、来年度はイベントの具体的な内容の検討を進めつつ、会場運営計画や観客誘致計画などを作成し、記念事業の基本計画として取りまとめてまいります。また、記念事業の運営主体として、本県をはじめ関係団体で構成する実行委員会を立ち上げます。県内外から多くの方々に記念事業に御参加いただき、愛知万博に関わるイベントを楽しんでいただくとともに、ジブリパークをはじめとした本県の魅力を感じていただけるよう開催準備を進めてまいります。
53: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
佐藤英俊議員。
54: ◯二十四番(佐藤英俊君) 私からは、歳出第三款県民環境費第二項文化学事振興費のうち、国際芸術祭「あいち二〇二二」開催事業費について質問いたします。
あいちトリエンナーレから国際芸術祭あいちと名前を変えて本年七月三十日から開催する国際芸術祭でありますが、前回は大きな混乱をもたらしました。今回の芸術祭の成功は必須と望まれています。
あいちトリエンナーレのあり方検討委員会の調査報告書には、観客動員数も前回より増え、収益もプラスであり、総じて成功したという評価でありましたが、内容においては多くの県民の方々から非難を浴びるものでありました。それは、あいちトリエンナーレ二〇一九の企画展、表現の不自由展・その後でありました。各方面からの抗議、意見が殺到し、脅迫行為も受け、僅か三日間で展示が中止となりました。最後の一週間で再開することとなったわけであります。後に芸術監督があいちトリエンナーレ二〇一九を表現の自由について世の中に広く問いかけた芸術祭だったと自己評価していました。これには違和感を表す方々も少なくありません。確かに、あいちトリエンナーレ二〇一九をめぐるこれまでの議論の多くは表現の自由に関するものでありました。しかし、あいちトリエンナーレ二〇一九の中での表現の不自由展・その後はほんの一部であり、これが展覧会のメインの展示では決してなかったのは、この企画展の展示規模を見れば確かなことであります。また、そのほかの作品群との関わりも希薄であり、芸術監督は当初より表現の自由を問うようなキュレーションもしていなかったのは明確なことであります。
あいちトリエンナーレ二〇一九では、芸術監督に多大な権限が与えられ、作家の選定を行ったことが大きな混乱を招いた要因でありました。今回の国際芸術祭あいち二〇二二では、前回の苦い経験を踏まえ、国際芸術祭あいち組織委員会が整備され、芸術監督に森美術館館長の片岡真実氏を迎え、テーマを、スティル・アライブ今、を生き抜くアートのちからとして、七月三十日から十月十日まで、愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区で開催されます。そして、去る二月十五日には早々に、参加する現代美術作家の大部分が発表されました。有名作家も多数いる中、期待が高まる一方で、今回は本当に大丈夫か、県民の方々も心配されているのではないかと思う次第であります。
そこで質問をいたします。
国際芸術祭あいち二〇二二へ参加する作家の選定はどのように行われているのか伺います。また、今回の国際芸術祭への理解を深め、前回の不自由展のイメージを持った県民の皆さんに御来場していただくためにも、参加作家の情報をはじめ、国際芸術祭あいち二〇二二について広く県民に対し周知していく必要があると考えます。本年七月三十日の開幕に向け、参加作家の情報をはじめ、あいち二〇二二全般について県民の皆さんに対してどのように周知していくのかお伺いします。
55: ◯県民文化局長(水野直樹君) まず、国際芸術祭あいち二〇二二の作家の選定はどのように行われているのかについてのお尋ねでございます。
あいち二〇二二の作家の選定につきましては、二〇一九年度にあいちトリエンナーレのあり方検討委員会からいただきました芸術監督の権限の見直しについての提言を踏まえて、芸術監督が決定権を持っていた作家の選定方法を見直し、片岡芸術監督が学芸部門の責任者としてキュレーターたちと協議し、チームとして作家を選定し、最終的には組織委員会の最高責任者である大林会長が決定しております。
また、今回の作家の選定では、国内のキュレーター三名に加え、世界各国の経験豊富なキュレーターや美術館長など九名にもキュレトリアルアドバイザーとして参加していただき、新型コロナの影響で海外へリサーチに行けない片岡芸術監督や国内のキュレーターに代わって今回のテーマ、スティル・アライブにふさわしい作家を推薦していただきました。その上で、総勢三百組近くの候補作家の中から、片岡芸術監督を中心にキュレーターチームとしてミーティングを行い、協議を重ね、テーマ、コンセプトに合う作家を選定し、これまでに七十七組を発表してきたところでございます。
次に、県民の皆様への周知についてであります。
より多くの皆様に御来場いただき、あいち二〇二二を楽しんでいただくため、あいち二〇二二の情報を積極的に発信してくことが重要であると考えております。そこで、今年度は、会場地となります一宮市、常滑市、有松地区において、片岡芸術監督から地元関係者を中心とした皆様に、現代アートとは何かや、今回のテーマ、コンセプトなどについて説明する機会を設けたほか、県内の企業を対象にあいち二〇二二についての説明会も開催してまいりました。
さらに、来年度は、七月三十日の開幕を間近に控えた五月から六月にかけて、県民の皆様を対象に片岡芸術監督とあいち二〇二二の参加作家とによるトークイベントを開催してまいりたいと考えております。トークイベントは、芸術文化センターをはじめ、一宮市、常滑市、有松地区で開催し、それぞれの会場で展示を予定している作家の情報を中心にあいち二〇二二の内容を説明するとともに、作家からの話を県民の皆様に直接聞いていただくことにより現代アートについての理解を深めていただきます。
また、名古屋駅や金山総合駅といった主要駅や芸術文化センター周辺を中心にデジタルサイネージやポスターなどによる情報発信を積極的に行うとともに、会場地の歴史や文化、見どころについてもSNS等を活用してしっかりと発信するなど効果的な広報活動を行い、より多くの方に御来場いただけるよう取り組んでまいります。
56: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
鳴海やすひろ議員。
57: ◯十八番(鳴海やすひろ君) 歳出第三款県民環境費第二項文化学事振興費のうち、文化活動事業費補助金に関連して伺います。
佐藤議員、局長の答弁と一部発言が重複した説明となりますがお許しをいただきたいと思います。
本年七月三十日から開催される国際芸術祭あいち二〇二二は、スティル・アライブをテーマに掲げ、過去、現在、未来という時間軸を往来しながら、本県の誇る歴史、地場産業、伝統文化の再発見、生きることの意味を考えながら、人生のどの一瞬であっても明日を生きるためのポジティブなエネルギーにつながる、心躍る出会いや体験の場になることを目指すとされ、本県のさらなる魅力発信を力強く後押しするものと大いに期待をしているところです。また、日頃より文化活動事業費補助金を活用して、文学や美術、音楽や生活文化といった様々な文化芸術分野で地域を活性化いただいている団体の方からも、国際芸術祭あいちを心待ちにしているといった声を耳にします。
そうした団体の皆様からいただく声の中で多くの要望をいただいたストリートピアノの設置について県のお考えをお聞きします。
ストリートピアノとは、町なかなどの公共の場所に設置された誰でも自由に弾くことができるピアノのことで、街角ピアノとも呼ばれており、音楽を通じて人と人とのつながりを生み出すといった趣旨が込められているそうです。また、鉄道の駅に設置されているものは駅ピアノ、空港に設置されているものは空港ピアノと呼ばれており、現在ではNHKのBS放送でも駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノという番組を放映され、先週は、セントレア空港に設置されているひこうピが特集されました。私の知人にもこのピアノ番組の放送を大変楽しみにしている方がおられます。その方は、ピアノの演奏もさることながら、演奏後のインタビューで演奏者が、人生でつらいことがあってもピアノを弾くことで前を向いて生きていくことができたという声に感動されるそうです。上手でなくてもピアノに向き合うことに生きがいを感じている方がおられるということです。
もともとは二〇〇八年にイギリスから始まったストリートピアノは、日本では二〇一一年の鹿児島の商店街での活性化を目指す取組から始まり、全国各地に大きな広がりを見せ、話題となっています。日本で有名になり始めた大きな理由が、ユーチューブやティックトック、ツイッター等SNSでの発信であります。チャンネル登録者数百九十四万人、累計再生回数が四億七千万回を超える有名なユーチューバーもお見えになり、そうした方が演奏を始めると多くの通行人が足を止め、ピアノを囲み、スマートフォンでその演奏している姿を撮影する光景があっという間に広がります。こうした動画が配信されると何千万人もの人が視聴し、ストリートピアノのすばらしい音色と共に地域の魅力も発信され、まちの知名度向上にもつながっています。
本県にも自治体の公共事業として設置されているピアノや民間事業者が独自に設置された二十数台のストリートピアノがあり、県民や観光客の皆様に喜ばれています。豊橋市の事業で豊橋駅東西自由連絡通路に設置されたピアノは、駅を行き交う方々の心を豊かにし、好評だそうです。また、先月まで刈谷駅北口周辺で行われていたかりやストリートイルミネーションにおいてもストリートピアノが設置され、地元、愛知教育大学の学生さんの演奏では、大変寒い中でも多くの人々が足を止め、大盛況だったそうです。こうした様子は動画で見ることができますので、お時間があるときにぜひ御覧いただければと思います。有名なユーチューバーだけではなく、かわいい子供が人前で緊張し、照れながらも一生懸命演奏するほほ笑ましい姿や、その雰囲気を感じていただけると思います。
私は、古くからの友人であり、現在、犬山城下町にストリートピアノを設置し、出会いや文化の創造、まちのにぎわいの創出に取り組む久世高裕犬山市議を訪ね、現地を見させていただきました。感染症対策が徹底された会場では、真っ白なグランドピアノを多くの観光客が取り囲み、音楽を通じて初めて出会う人々が交流する姿や情緒あふれる町並みに溶け込むピアノの音色がとても心地よく感じました。演奏していた方に伺うと、この真っ白なピアノを動画で見かけ、どうしても弾きたくて初めて犬山の地へ足を運んでみたところ、ピアノと同等、それ以上に、犬山城からの美しい景色や地元のグルメのおいしさに感動しました、また友人を誘ってゆっくりと訪れたい、ストリートピアノがきっかけでとても思い出に残る休日となったとの声を聞くことができました。こうした方々がSNSで拡散することで、若い世代の観光客が増えてきているそうです。
また、コロナ禍において学校等での演奏会が中止を余儀なくされる中で、通気性もよいストリートピアノ会場を活用した発表会を開催されていることも多いそうで、練習を頑張ってきた子供たちやその家族、地域住民の笑顔があふれる場となるなど、地域コミュニティーの新たな拠点となっている一面もあります。
しかしながら、民間事業者が設置したストリートピアノの取組に行政の支援はなく、運搬費や感染症予防の衛生用品、定期的に必要となるピアノの調律等の費用は自費で行っているとのことでした。本県のさらなる魅力発信につながっていく観光コンテンツとしての可能性を秘めたストリートピアノの設置を支援し活用していくことが重要ではないかと考えます。本県で一九九一年度から実施されている文化活動事業費補助金では、これまでストリートピアノが助成対象になったことはないと聞いていますが、こうした新しい分野にも目を向けるべきであります。
そこで、今後は公民連携、協力しながら、県が主導する事業として実施されてはいかがでしょうか。使用するピアノは、県内の統廃合された学校で使われなくなったものなどを活用しながら、まずは国際芸術祭あいちの最寄り駅や駅周辺の商店街などに、県政百五十周年記念事業のPRなども兼ねた、愛知県でしか弾くことができない唯一無二のラッピングが施されたストリートピアノを設置すれば機運も高まることだと思います。
東京都庁に設置してあるおもいでピアノは全国的にも有名で、連日多くの方が訪れる観光名所となっています。また、ジャズ発祥の地としてストリートピアノを公共事業として先進的に進める兵庫県神戸市では、地下鉄海岸線の十か所ある全ての駅にストリートピアノが設置され、鉄道利用者の増加にもつながっているそうです。
こうした取組はきっと、本県が進めるビッグプロジェクトの魅力や情報発信にも貢献してくれるはずです。さきの我が団の富田団長の代表質問に対して知事から、来県した皆さんに駅に降り立った瞬間からジブリパークのある愛知に来たというわくわく感を感じてもらえるようにしたいとの答弁がありましたように、名古屋駅や藤が丘駅など交通アクセスの結節点が候補地となっている、パークをイメージした歓迎装飾を施したおもてなしの雰囲気がある場所にジブリのキャラクターでラッピングされたピアノを設置することができれば、国内外から多くのストリートピアニストが集まり、音楽という言語に頼らない交流を通じてジブリパークは世界中の音楽ファンにも発信されます。有名ストリートピアニストが中心となって活動している愛知ストリートピアノを盛り上げる会という団体の方の話によると、現在、全国で最も多く弾かれている楽曲はその時々の人気アニメだそうですが、最も長く愛され世代を問わず演奏されているのは圧倒的にジブリの楽曲が多いとの調査結果もお示しをいただきました。また、戦国武将をモチーフとした数多くのアニメなどともタイアップしたピアノを設置し、来年の大河ドラマに合わせた徳川家康公や、私の地元中村区の豊臣秀吉・加藤清正公生誕の地、武将観光の愛知をアピールすることも期待できるのではないでしょうか。
様々、先に要望を申し上げましたが、このストリートピアノや音楽の力は、先行きの見えないコロナ禍での窮屈な毎日から生まれる閉塞感を和ませ、ストレスを癒やし、日常に潤いを与えてくれるものだと改めて感じました。まさに、国際芸術祭あいち二〇二二が目指す、人生のどの一瞬であっても明日を生きるためのポジティブなエネルギーにつながる、心躍る出会いや体験の場になるものと思います。
そこで、こうしたストリートピアノのように県民が気軽に文化芸術に触れられる機会を提供する活動が地域に広がっていくことが必要であると考えますが、ストリートピアノの設置を支援し活用していくため、今後どのように取り組んでいくのか、県のお考えをお聞かせください。
58: ◯県民文化局長(水野直樹君) ストリートピアノのように県民が気軽に文化芸術に触れられる機会を提供する活動が地域に広がり、皆様に活用していただけるよう、県としてどのように取り組んでいくのかについてであります。
町なかに設置されたピアノを誰もが自由に弾き音楽を楽しめるストリートピアノは、心に潤いをもたらし日々の生活を豊かにする取組の一つであると考えられます。こうした中、本県では、愛知県文化芸術振興条例の基本理念に、県民が等しく文化芸術を鑑賞し、これに参加し、また、これを創造することができるような環境の整備を掲げており、毎年度、県内で活動する文化団体の各種文化活動に対して愛知県文化活動事業費補助金により助成を行っております。さらに、今年度からは、条例の基本理念を踏まえ、補助事業を見直し、誰もが参加・鑑賞可能な文化芸術事業という募集区分を設けております。この新たな区分では特に、多様な人々が等しく文化芸術に親しむための工夫や配慮があり、県民の参加や鑑賞機会の提供に貢献している事業に補助金を交付することとしており、今年度は、音楽、演劇、舞踊、伝統芸能、美術、メディア芸術、文学、生活文化など様々な分野の五十二の事業に対して、一事業当たり二十万円、合わせて一千四十万円の補助金を交付決定しております。
ストリートピアノのように県民が気軽に文化芸術に触れられる機会を提供する活動を行う団体から補助金の申請があった場合につきましても、活動の本拠が愛知県内にあり、かつ、営利を主たる目的とした活動ではないなどの要件を満たせば、外部の専門家による企画審査会での選考対象になり得るものと考えております。本県としましては、県民が気軽に文化芸術に触れられる機会を提供する活動が地域に広がり、皆様に活用していただけるよう、引き続き支援してまいります。
59: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
田中泰彦議員。
60: ◯二十五番(田中泰彦君) 私からは、歳出第二款総務企画費第二項総務管理費のうち、行政デジタル化推進費についてお伺いいたします。
少子・高齢化や地域の人口減少が進み、また、住民ニーズが多様化する中、行政の抱える課題はますます複雑化し、多岐にわたるようになりました。さらには、一昨年来の新型コロナウイルス感染症への対応では、行政の非効率さが顕在化したところでもあります。そうした中、デジタル技術は、ICTや、利用費用の低価格化や、利便性向上、選択肢の増加などを背景として、私たちの生活に深く浸透しております。そのため、行政の課題解決に向け、最も有効な手段の一つとしてますます注目されるものとなっています。
行政におけるICTの活用はこれまで、効率化やコスト削減といった視点で推進されてきました。その間、パソコンやインターネットが飛躍的に普及するとともに様々な情報システムが整備され、行政の事務の効率化やコスト削減には一定の効果があったものと考えられます。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、新型コロナウイルス感染症対応では、国や地方の情報システムがばらばらで十分な連携がなかった、マイナンバー等デジタル基盤に関する制度や手続の所掌、所管が複数の省庁に分散していた、各省庁でデータ利活用の推進が図られていたものの省庁横断的な視点が十分ではなかったなど、行政機関同士の不十分なシステム連携に伴う非効率、度重なるトラブルの発生など、デジタル後進国であることが明らかになったのは記憶に新しいところです。
今後、社会環境の変化や、多種多様なニーズを踏まえ、豊かな県民生活と活力のある地域社会を実現するためには、急速に発展、進歩するICTを積極的、効果的に活用し、デジタル化、DXの取組を進めていく必要があると考えます。そして、DXの推進に当たっては、まずはDXの定義を明らかにし、その上で全員が共通認識の下、推進していくことがとても重要であると考えます。
昨年九月、我が党主催で、デジタル社会の未来、日本のデジタルトランスフォーメーションと題し研修会が開催されました。株式会社東芝、当時、執行役上席常務CDOであり、この三月より代表執行役社長CEOに御就任されました島田太郎氏に御講演をいただきました。その中で島田氏は、DXのプロセスについて、一足飛びにDXすることは難しく、正しいことを正しいタイミングで実施することが重要との発言があり、着実なデジタル化をしていかないとDXにはつながらないという旨の発言もありました。また、DXは特定の人だけが取り組んでも達成できるものではなく、みんなで取り組む活動であるともおっしゃってみえました。
私も、令和三年六月議会の一般質問において、DXの定義に触れさせていただきました。その際にも、様々な文献より、DXとは変革であり、その変革のための手段としてデジタル化などの要素が含まれると発言、それらのことより、デジタル化や各技術は、あくまでも変革のために必要なツールであります。DXの取組は様々な分野にわたります。ただ単にデジタル技術を使えるようにするということではなく、変革につながっていくということを念頭に、それぞれの行政分野、事業ごとの対象や目的に応じて取り組んでいくことが重要であります。つまり、DXを推進するためには、一、DXという大きなビジョンをみんなで正しく共有、二、各所属における現場レベルの個々の業務へデジタル化やICTの活用を積み上げていくこと、それらのプロセスが重要であります。こうした積み重ねが県庁内のDXを進め、働き方改革にもつながっていき、その結果、愛知県民にとってよりよいサービスにつながるものと考えます。
しかしながら、私の昨年六月の一般質問後の議会の活動においてもデジタル化イコールDXと受け取れるようなやり取りや、DとXというアルファベットを取りあえずつけたのではないかと感じるような場面に立ち会うことがありました。そのたびに県庁全体でDXに対する認識が共有できているのかと疑問を感じることもありました。
愛知県では、デジタル化、DXに全庁を挙げて取り組んでいるとされており、来年度当初予算にもあいちDX推進プラン二〇二五関連施策として各局の取組が、総額四十八億五千万余円が計上されております。そのうち、県行政の効率化、DXの推進のための施策の一つとして、行政デジタル化推進費には、新たにICTの活用による行政の課題解決に向けた実証実験の実施費用が計上されております。具体的には、庁内からICTを活用して解決したい課題を募集の上、解決策を提案できる民間事業者を募集、マッチングし、実証実験という形で実際にICTを実装して効果を図るとのことであります。
こうした個々の現場の課題を拾い上げ、デジタル化、DXの取組につなげることは、大変有意義な取組であると考えます。島田氏のお言葉みんなである現場職員を含めた全職員がデジタル化、ICTの活用は手段であり、それらをいかにDXにつなげていくかが重要であるという認識を共有し進めていただきたいと思います。
そこでお伺いをいたします。
課題解決策を提案し、実証実験を行う民間事業者はどのような事業者を想定しているのか、また、行政の課題解決に民間事業者をマッチングし、実証実験を行うことでどのような効果を見込んでいるのかをお伺いいたします。
61:
◯総務局長(林全宏君) ICTの活用による行政の課題解決に向けた実証実験についてお答えいたします。
県民ニーズが多様化し、本県においても様々な行政課題を抱える中、民間事業者が持つICTに関する様々なノウハウを活用することは課題解決に向けた有効な手段の一つであると考えられます。
そこで、来年度より新たに実施するICT活用課題解決支援事業では、各所属のICTを活用して解決したい課題と民間事業者が提案する解決策をマッチングした上で実証実験を実施し、民間事業者と連携して課題解決を図ってまいります。このうち、課題解決策を提案し、実証実験を行う民間事業者につきましては、課題解決のためのアイデアやツール、実証実験を運営できる体制を有していれば、規模や形態を問わず、スタートアップ企業やNPO法人などを含め幅広い事業者から提案を募集してまいりたいと考えております。
次に、本事業の実施により見込んでいる効果についてでございます。
本事業においては、行政内部からは発想が困難な、民間事業者の最新の知見や技術を生かした解決策の提案が期待できること、また、提案された解決策については、実証実験を通して、実際に活用する現場の実態や課題の状況に応じた改善、改良を図ることができることから、より効果の高い解決手法の導入につなげることができるものと考えております。さらには、広く庁内に課題を募集することや、今後実際の解決事例を庁内に周知することにより、ICTを活用して解決できる課題の掘り起こしにもつながるものと考えております。こうした各所属の課題解決を着実に積み重ね、庁内全体のデジタル化、DXにつなげてまいります。
62: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
鈴木雅博議員。
63: ◯二十六番(鈴木雅博君) 私からは、歳出第二款総務企画費第四項市町村振興費のうち、山村振興ビジョン推進費についてお伺いいたします。
本県では、過疎化が進む三河山間地域の活性化のため、二〇〇九年から三次にわたり山村振興ビジョンを策定し、三河山間地域の振興のため様々な施策に取り組み、その結果、移住者や観光交流人口の増加など一定の成果を上げてきました。
しかしながら、昨年十一月に公表された二〇二〇年国勢調査の人口等基本集計によれば、三河山間地域の人口は約九万八千人と、二〇一五年国勢調査の約十万五千人から五年間で約七千人が減少するなど、国立社会保障・人口問題研究所などの予測を上回るスピードで人口減少、高齢化が進んでおります。私の地元豊田市でも、山間地域の人口減少、中でも十代、二十代の人口減少が急速に進み、二〇一五年と比べ十代では約四千百人から約三千三百人に、二十代では約三千八百人から約三千百人と大幅に減少し、これは、三河山間地域で減少した約七千人のうち、豊田市山間地域の十代、二十代だけで約千五百人と全体の約二一%にもなり、若年層の大幅な減少は、集落の維持、存続に関わる危機的な問題となっております。
このように、進学や就職を契機とした若年層の都市部への転出や自然減による予測以上の人口減少、少子・高齢化によって、三河山間地域の活力低下がますます深刻な状況となってきております。特に、地域の担い手となる若年層の流出にも歯止めがかかっていないことから、今後はより一層強力な対策を迅速にかつ継続して実施していくことが重要であると考えます。
私は昨年二月議会の議案質疑において、三河山間地域を元気で豊かにするためには、活力の維持、向上を目指す攻めの地域づくりが必要不可欠であると申し上げました。今こそ攻めの地域づくりに、より一層力を入れて行うことが重要であり、その根幹となる事業が二〇一六年度から実施されている三河の山里サポートデスク事業であると考えております。この事業は、農林就業を含む起業などの実践と移住、定住の促進などを地域一体となって支援し、三河山間地域にチャレンジ精神あふれる起業家を数多く呼び込むことで、移住者の増加はもちろんのこと、三河の山里サポートデスクの支援を受けた三河山間地域のなりわい、にぎわいづくりの先駆者となる三河の山里なりわい実践者が地域に新たな担い手やなりわい、産業をつくり出し、活気とにぎわいをもたらしたと聞いており、大変心強く感じております。私の地元豊田市においても、二〇一六年度に本事業を活用した三河の山里なりわい実践者が、山間地域で病気や障害を持った人が住み慣れた地域で安心して暮らせるように、足助地区にデイサービス型地域活動支援センター畦道を立ち上げ、二〇二二年度には、同地区の古民家を改修し、新たに就労支援施設よりみちを立ち上げる活動を行うなど、地域の課題解決だけでなく、新たな移住者の雇用にも大いに貢献していただいております。
また、三河の山里サポートデスク事業では、より多くの方に三河山間地域の魅力を発信するあいちの山里アントレストアを開催しており、私も九月に星が丘テラスで開催されたあいちの山里アントレストア二〇二一を視察させていただきました。会場では、三河の山里なりわい実践者などの起業家の取組だけでなく、三河山間地域の素材で作ったこだわり商品販売やワークショップを通して都市部の方に直接山里の魅力や暮らしぶりが発信され、当日も多くの方でにぎわい、その方々が三河山間地域のファンになっていくのを目の当たりにしました。そして、私自身もスタッフの方々からいろいろと教えていただき、新たな発見と三河山間地域の奥深さを改めて感じるのと同時に、山里の魅力や暮らしぶりを継続して発信していくことの重要性を改めて認識しました。
全国的な人口減少の中、こうした地域で活躍できる人材の確保は今後ますます難しくなる中で、効果的に志ある人材を確保、支援する三河の山里サポートデスク事業のような取組はより一層重要であり、人口減少、少子・高齢化が予測を上回るスピードで進む三河山間地域の活性化のためには、本事業を途切れることなく長期的に継続して地域の活力創出を図っていくことが大変重要であると考えております。
そこでお尋ねいたします。
来年度、県では、当初予算に計上されている山村振興ビジョン推進費のうち、あいちの山里くらし・ひと・しごとを未来へつなぐ事業費の中で、三河の山里サポートデスク事業を引き続き実施すると聞いておりますが、これまでの事業の中でどのような支援を行い、また、その効果をどう評価しているのかお伺いいたします。また、来年度実施される事業はどのような内容か、これまでの事業との違いを含めお伺いいたします。
64:
◯総務局長(林全宏君) 三河の山里サポートデスク事業における起業希望者への支援及びその効果についてのお尋ねをいただきました。
この事業ではこれまで、三河山間地域に移住して新たななりわいづくりに挑む起業希望者を募集、選定し、資金面、経営面、技術面から支援を行ってまいりました。具体的には、起業プランの実現に向け、経費の一部を支援するほか、税務、法律等の専門家や先輩起業家による専門的、技術的な指導、助言などの伴走支援を行っております。また、名古屋市内の商業施設においてテストマーケティングを実施し、起業希望者の都市部での活動内容のPRと販路開拓の支援なども行っております。
本事業でこれまで五十四名の起業家を支援し、うち、今年度の支援者を含め五十一名が三河山間地域に定着して活動を行うなど一定の成果を上げてきたところであります。この中には、本事業で支援した先輩起業家の活動が契機となり、移住して起業活動を行う方も増え、移住者が新たな移住者を呼び込む好循環ができるなど、地元市町村からも移住、定住に大きな効果があると高い評価をいただいているところであります。
次に、来年度実施する事業の内容及びこれまでの事業との違いについてであります。
これまでは、三河山間地域での起業、なりわいづくりに重点を置き、地域の特性を生かした様々な起業プランを持つ起業家を支援してまいりました。そうした中、議員御指摘のとおり、三河山間地域の人口減少は予想を上回るスピードで進行しており、これまで実施してきた地域における共同作業や、伝統文化、芸能の維持、継承が困難になりつつあるほか、事業主の高齢化や後継者不足による休廃業や店舗の撤退の増加が懸念されるなど、地域の担い手不足、ひいては地域の活力低下が深刻化してきております。このため、引き続き三河山間地域での起業、なりわいづくりを進める中で、来年度からは、これまで支援の対象としてきた地域の特性を生かしたプランに加え、こうした地域課題に特に焦点を当てた起業プランを支援対象としてきめ細やかな伴走支援を行うことで、より地域のニーズにマッチした起業家の創出、育成に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、これまで支援してきた起業家の方々や、地域おこし協力隊など地域で活躍する多様な人材のネットワークづくりを進めることにより、多様化、複雑化する地域課題の解決につなげ、元気で豊かなあいちの山里づくりに取り組んでまいります。
65: ◯二十六番(鈴木雅博君) 御答弁ありがとうございました。要望させていただきます。
来年度実施される事業は、地域課題の解決に向けた起業活動を行う方々に対して支援を行うことに加えて、現地で活動されている方々のネットワーク強化を重点的に実施していくという点については、これまでにない考え方で大いに期待したいと思います。起業家のネットワークを契機とした新たな動きが一層活発となることで、この地域が起業活動にチャレンジできる場所、そして、様々な起業家が活動する場所であるということを広く県内外に発信することが起業を志す方などの移住促進に結びつき、ひいては三河山間地域の活力維持、向上につながるものと考えております。
県も財政状況が厳しい中ではありますが、三河山間地域が安心して住み続けられる地域、そして、住みたくなる地域となるように、まさに攻めの地域づくりとして、三河の山里サポートデスク事業を途切れることなく長期的に実施されることを要望いたしまして質問を終わります。
66: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
黒田太郎議員。
67: ◯十九番(
黒田太郎君) 歳出第四款福祉医療費第六項保健医療費のうち、歯科口腔保健推進費、また、第九項医薬費のうち、歯科医療推進事業費補助金及び地域歯科保健推進費補助金について伺います。
口は健康の入り口と言われることがあります。それぐらい口腔内の健康状態を保つことで体全体が健康になるということがこれまでもいろいろな研究から立証されてきました。例えば、歯周病を予防することが糖尿病の予防につながるとか、認知症の予防につながるといったことがよく言われるようになりました。口腔衛生の向上が体全体の健康改善につながるのであれば、県民の口腔衛生向上のために税金を使い、県民の健康改善を目指していくのは合理的で、県民にとっても納得度の高い税金の使い方と言えるのではないでしょうか。そういう目で令和四年度予算案を見ると、口腔衛生向上のために使われると見られる事業費が幾つかあります。歯科口腔保健推進費、歯科医療推進事業費補助金、地域歯科保健推進費補助金などです。
そこでお尋ねをいたします。
こうした事業費はそれぞれどのような取組をするものなのかお伺いいたします。また、目的や支払い先が異なることで事業費が分かれるとしても、県民の口腔衛生向上という大目的は同じはずであり、このことを県として統括的に把握する必要があると思いますが、誰がそうした機能を果たしていくのかお聞かせください。
68: ◯保健医療局長(吉田宏君) 口腔衛生向上のための取組についてでございます。
口腔衛生向上のため、歯科口腔保健推進費によりまして、若い世代を対象とした口腔ケアに関する講座や働く世代の歯と口の健康づくりに向けた市町村等との連携会議の開催のほか、ライフステージごとの歯科疾患対策などを行っております。
次に、歯科医療推進事業費補助金は、愛知県歯科医師会が運営する障害児者の歯科診療を行います愛知歯科医療センターの運営などに係る費用を補助する事業でございます。
また、地域歯科保健推進費補助金は、愛知県歯科医師会が行います歯科健康教室や歯科口腔保健の推進に向けたマスメディアを活用した広報などに係る費用を補助する事業でございます。
次に、統括的な状況把握についてでございます。
県では、県民の生涯にわたる歯と口の健康の維持増進を目指し、歯科口腔保健対策のさらなる推進を図るため、二〇一五年度に愛知県口腔保健支援センターを設置しております。この支援センターは、健康対策課内に設置し、歯科医師等を中心として本県の歯科口腔保健に関する普及啓発、歯科検診の推進、歯科疾患の予防など、現状の把握から事業実施まで一元的に対応しております。今後も、支援センターと愛知県歯科医師会、市町村などの関係機関との連携を深めまして、本県の歯科口腔保健のさらなる推進に努めてまいります。
69: ◯十九番(
黒田太郎君) 御答弁ありがとうございました。
重複をお許しください。要望をさせていただきます。
やはりそもそも目的があって各事業があるという姿だったはずだと思うんですが、どうしてもその事業が独立をしてそこに予算がついてしまうと、それぞれが目的化してしまうという可能性がなきにしもあらずというふうに思いますので、おっしゃっていただいたような統括の部分をしっかり目を光らせていただくことをお願いしまして発言を終わらせていただきます。
70: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
辻秀樹議員。
71: ◯二十八番(辻秀樹君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費のうち、保育士修学資金貸付事業についてお尋ねいたします。
我が国の待機児童解消に向けた取組につきましては、二〇一三年度からの待機児童解消加速化プラン、二〇一八年度からの子育て安心プラン、二〇二一年度からの新子育て安心プランの下、全国の各自治体では保育の受皿を着実に拡大しており、厚生労働省の資料によれば、新プランによる保育の受皿拡大量は二〇二一年度から二〇二四年度末までの四年間で約十四万人分が拡大する見込みとなっております。二〇二一年四月時点での全国の待機児童数は五千六百三十四人、調査開始以来、三年連続で最小、二〇一七年の二万六千八十一人から四年間で二万四百四十七人減少し、全国の待機児童数は、約五分の一へと着実に減少する一方、いわゆる保育利用率、利用児童数を就学前児童数で除した数は年々上昇していることから、保育を希望する全ての子供たちを誰一人として取り残すことがないようにするためには、今後も待機児童の解消のため、引き続き必要な受皿の確保を進めていく必要があると考えます。
保育の受皿の確保では、保育士の確保ができないために保育所の増設や既存の保育所の運営に重大な影響が生じている現状から、保育士の育成、確保は重要な課題です。
厚生労働省の推計によれば、全国の保育士登録者数は二〇一九年十月時点で百六十万七千人ですが、実際に社会福祉施設等で保育に従事している方々は六十二万六千人、約三九%程度にとどまっています。
一方、全国の保育士の求人動向では、厚生労働省の職業安定業務統計によれば、直近の二〇二一年十月時点での全国における保育士の有効求人倍率は二・六六倍、四万八千名を超える有効求人数があります。新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した二〇二〇年の前半には、求人数が四万人を割り込んだ時期もありましたが、全職種平均の一・一六倍と比べると、保育士の有効求人倍率は依然として二倍を超える高い水準で推移していると言えます。
他方、求職者数は減少傾向であり、求人数と求職者数の差は縮小しておらず、保育の担い手不足の課題はまだまだ深刻であると認識させられます。
本県の保育所等は、二〇二一年四月現在で千九百二十七か所、定員十九万一千五百六十七人であり、その定員は五年間で一万七千七百五十七人増加しているにもかかわらず、保育所等への入所希望者は増え続けていることから、二〇二一年四月時点での本県の待機児童数は百七十四名であり、全ての待機児童の解消には至っていないのが現状であります。二〇一九年十月から幼児教育、保育の無償化が実現したことからも、今後の保育所等入所希望者の推移を的確に把握しながら、着実な保育所等の整備や保育人材の育成、確保等に引き続き取り組んでいくことは重要であります。
本県では、日本一子育てしやすい愛知の実現に向けて、あいちはぐみんプラン二〇二〇─二〇二四に基づき、保育士等の養成、処遇改善による離職防止、潜在保育士の再就職支援を三つの柱として、保育人材の育成、確保に取り組んでいます。その本県の保育人材の育成・確保対策のうち、保育士修学資金貸付事業では、保育士の養成施設の入学者を対象とした修学資金の貸付けなど、新たに保育士資格を取得しようとする学生等を支援する人材確保対策が推進されています。保育士資格を取得するためには、大学、短期大学、専門学校など、児童福祉法に規定される指定保育士養成施設、以下は養成施設といいますが、この養成施設において、保育士養成課程を履修し卒業する必要があります。しかしながら、文部科学省のホームページを見ると、国公私立大学の授業料等の推移から、その授業料だけで、国立大学では五十三万五千八百円、公立大学では五十三万六千三百六十三円、私立大学では九十三万九百四十三円と高額な負担が求められ、保育士資格の取得を希望する学生には、養成施設に入学、卒業するまでの間の学費等が大きなハードルであると考えられます。
また、厚生労働省の検討会資料によれば、養成施設の卒業者のうち、約半数は保育所には就職しておらず、さらに、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査から分かることでは、その半数以上が勤務年数五年未満であり、早期離職の傾向も顕著であることが課題として考えられます。
保育士修学資金貸付事業は、これらの課題に対応した効的な施策の一つであると考えております。自民党愛知県議員団保育議員連盟では、愛知民間保育協議会の皆様から毎年、子育て支援の充実を推進するための要望をお受けしており、保育士の確保対策の一つとして、この保育士修学資金貸付事業について現行の貸付定員枠の拡充などを求めるお声をお聞きしております。本県には、二〇二一年四月時点において、大学、短大、専門学校など三十六の養成施設があります。これらの養成施設における実情を把握するため、先般、名古屋市内の保育専門学校において聞き取り調査を行ってまいりました。保育士を目指す学生にとっては、学費の負担は困難なハードルであり、そのため学生は、奨学金などの学費支援を受けており、そのうち、保育士修学資金貸付けでは、県内保育所での就業定着など一定の条件により返還免除となるため、これを希望する学生は多いとのこと。しかしながら、現在の保育士修学資金貸付事業の定員枠は県内六十五名までであり、養成施設で平均一・八名までしか利用することができず、本校においても希望する学生でこれを受けられない学生もいることから、保育士修学資金貸付事業の拡充を図ってほしいとのお声をお聞きいたしました。
こうした県内の保育現場や養成施設や学生からのお声を踏まえ、来年度以降、保育士修学資金貸付事業の定員枠を拡充していくべきではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。
本県の待機児童解消に向けた保育の受皿確保に必要不可欠な保育人材の育成、確保のため、保育士資格の取得を目指す学生の修学を容易にし、その学生の卒業後の進路を保育従事に促し、その後の就労定着を図る保育士修学資金貸付事業のさらなる強化を行う必要があると考えますが、県は来年度にどのような取組を行うのかお伺いいたします。
以上です。
72:
◯福祉局長(
岡本範重君) 保育士修学資金の貸付けについてお答えいたします。
この貸付けは、保育士養成施設に在学し、保育士資格の取得を目指す学生に対して学費等として最大百六十万円を無利子で貸し付け、卒業後一年以内に保育士登録を行い、県内の保育所等において五年間引き続き従事した場合は返還が免除されるものでございます。
二〇一三年度の事業開始以来四百三十五人に貸し付け、在学中の百八十三人を除く二百五十二人のうち約八割の二百人に県内の保育所等で就労いただいております。本県では依然として保育士が不足しており、より多くの学生が保育士資格を取得できるよう支援していく必要がありますことから、来年度修学資金の新規貸付枠を、これまでの六十五人から約二倍となる百二十人に拡充することといたしました。県といたしましては、こうした取組を積極的に進め、待機児童の解消に向け、引き続き保育士の確保に努めてまいります。
73: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
神戸健太郎議員。
74: ◯四十六番(神戸健太郎君) 第四款福祉医療費第六項保健医療費の中で、まず、看護職員人材確保支援事業費についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大期においては、医療現場ではコロナ医療と一般医療の両立が求められ、新型コロナウイルスの陽性確認前から回復途中、療養解除まで切れ目ない対応が求められます。そのような中、医療体制の確保、とりわけ看護人材の確保には大変な努力をされていることと思います。
昨年十月、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部から、第五波の経験を踏まえて今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備についてという事務連絡が発信されました。この中で、今後も中長期的には感染拡大が繰り返される可能性があることを前提にして、都道府県に対して保健所等による医療調整を含めた総合的な保健・医療提供体制の整備が求められました。特に、感染拡大期のコロナ受入れ病院の病床確保や、臨時の医療施設、宿泊療養施設などの新設によって緊急的に看護人材ニーズが高まった場合には、従来の医療機関内の人材調整では対応が困難になることが想定されるため、潜在看護師を活用した追加人材の雇用に加えて、複数施設間の応援体制を整え、円滑に人材確保を行えるようにすることが求められました。
医療現場におきましては、新型コロナウイルス患者に対応する看護職員は、通常の看護ケアに加えて、防護服の着用や病棟の清掃、消毒など様々な感染対策を行わねばならず、高齢の入院患者が多くなればさらに介護ケアも必要となり、看護職員の負担はますます増加します。また、新型コロナウイルス患者は症状に応じて入院から自宅療養まで療養の形態が異なっており、それら広範囲に対応できる知識や技術を身につけた看護職員の確保は非常に困難な状況にあると聞いております。
一方で、病院以外の様々な場所、例えば、ワクチン接種会場や宿泊療養施設、保健所の相談窓口などでは、多くの潜在看護師が活躍していると聞いております。医療現場からしばらく離れていた潜在看護師がこれからも継続して力を発揮するためには、復職支援が大変重要であると考えます。これまで愛知県では、コロナ対応病床の増床や宿泊療養施設の新設などがあった場合には、看護協会や民間の人材派遣会社などを活用して看護職員の確保を行ってきましたが、来年度より、今回の国からの通知を受けて、看護人材の確保と派遣調整を一元的に管理する体制の構築を目指すと聞いております。
そこでお尋ねをいたします。
新型コロナウイルス患者に対応する看護人材について、これまでの人材確保の状況と、今回新たに構築しようとする一元管理の仕組みが目指す姿についてお尋ねします。
続いては、ワクチン接種体制確保事業費についてお尋ねします。
新型コロナワクチンの接種については、現在、県を挙げて三回目接種が精力的に進められているところであります。また、五歳から十一歳の小児へのワクチン接種についても今月から多くの市町村で本格的に接種が開始されております。今議会に提出されている来年度の当初予算にも計上されているとおり、大規模集団接種会場の運営、高齢者施設等への巡回接種や小児接種の個別接種の促進など、県独自の取組を様々に展開し、ワクチン接種のさらなる加速化が図られることを大いに期待しているところであります。
一方、発症予防や重症化予防に大きな効果があるとされるこの新型コロナワクチンについても、残念ながらほかのワクチン同様、まれではあるものの副反応による健康被害が生じることを避けて通ることはできません。そのため国では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり障害が残ったりした場合に備えて、予防接種法の規定に基づき、健康被害の救済制度を設けています。しかしながら、申請書類の確認や申請された事例に対する審査会の開催が必要なため、認定までに期間を要することが指摘されているところであります。特に、今回の新型コロナワクチンについては、メッセンジャーRNAワクチンという初めて使われるタイプのワクチンであるため使用実績も少ないことから、ケースによっては認定までの期間が長期に及ぶことも懸念されます。
そこで確認させていただきます。
健康被害救済制度により、新型コロナワクチン接種後に副反応が疑われる症状を発症した県民の方が救済申請を行った件数はこれまでに何件あるのでしょうか。また、そのうち国において健康被害救済の審査が完了し救済認定された件数は何件あるのかお答えください。
ワクチン接種後の副反応の症状については、アナフィラキシーのように数日程度の短期の治療で症状が収まるケースもあれば、症状によっては長期にわたる通院や入院が必要となるケースもあると聞きます。その場合には、肉体的、精神的な苦しみはもちろん、長期の入院、通院による医療費等の経済的な負担も重くのしかかってまいります。そうした負担を少しでも軽くするためにも、国には健康被害救済制度の迅速な運用が望まれるところでありますが、実際にはそうした対応がなされているとは言い難い状況だと受け止めております。長期にわたる通院や入院に要する医療費による経済的な負担を強いられ苦しんでいる県民の方への支援体制をしっかり整えてこそ、接種を希望する県民の皆様に安心して速やかに接種を受けていただくことができるのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
新型コロナワクチンの接種後、副反応が疑われる症状に苦しんでいるにもかかわらず、国の健康被害救済制度の認定を直ちに受けることができない方々を県として独自に支援していくお考えがあるのかお答えください。
以上であります。
75: ◯保健医療局長(吉田宏君) 新型コロナウイルス患者に対応する看護人材の確保の状況と一元管理の仕組みについてでございます。
新型コロナウイルス感染症による医療逼迫時におけるコロナ対応病床の増床や宿泊療養施設の新設を円滑に進めるためには、看護人材の確保が要であります。コロナ対応病床の増床においては、コロナ患者への対応は通常の医療より人手が必要であり、自らの病院内で看護職員を十分に確保できず迅速な対応が困難な状況もございました。また、宿泊療養施設の新設においても、看護協会や民間の人材派遣会社に委託をしておりますが、安定的な運用のためには対応する看護職員の迅速な確保が大変重要な課題でございます。
そこで、県内の医療機関の看護職員や潜在看護師で派遣可能な者を事前に登録して名簿を作成し、医療機関から看護職員の応援要請があった場合に、様々なニーズに応じて派遣調整を行う仕組みを整備いたします。調整役は愛知県看護協会に委託し、看護協会が派遣可能な看護職員を一元的に管理する仕組みを事前につくっておくことで、迅速かつ円滑な看護職員派遣体制を確立いたします。
76: ◯感染症対策局長(杉原武君) 初めに、ワクチン接種に係る健康被害救済制度及び申請件数等についてお答えします。
健康被害救済制度は、予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種によるものであると厚生労働大臣が認定したときに、自己負担分、数万円くらいの医療費のほか、通院、入院の日数に応じて月額三万五千円程度の医療手当等が給付される制度です。新型コロナワクチンの接種が始まった昨年二月十七日から本年二月末日までに本県から国へ健康被害救済申請があった件数は、アナフィラキシーによるものが三十三件、心筋炎によるものが五件、しびれや関節痛など生活に支障を来す症状によるものが四十件、合計七十八件となっております。このうち認定された件数はアナフィラキシーによる十七件であり、残る六十一件は現在なお審査中となっております。
次に、副反応が疑われる症状に苦しんでおられる方々への支援についてお答えします。
新型コロナワクチン接種を大加速していくためには、県民の皆様に安心して接種を受けてもらえるような環境を整備することが必要であります。その一つに国の健康被害救済制度がありますが、申請から認定までにある程度の期間、おおむね半年程度がかかることが課題としてあるとの意見も出されております。しかしながら、接種との因果関係の立証にはある程度時間が必要であり、確認できない段階では、医療費の自己負担分等の手当で一人数万円くらいという額であるとはいえ、国でも県でも公的な主体が税金を使って医療費等の支援を行うことはそう簡単にはいかないものと考えております。
一方、県では、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の切り札であるワクチン接種を一人でも多くの方に受けていただけるよう強く推奨しており、副反応等による健康被害が生じた県民の方に対して医療費等の負担軽減を図っていくことも必要であると考えております。
こうした観点から、県としましては、接種後に副反応等の健康被害を生じ、健康被害救済を申請した方に対する県独自の取組につきましても、詳細な実態の把握も含めて速やかに検討してまいりたいと考えております。
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77: ◯四十一番(
南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
78: ◯議長(
坂田憲治君)
南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
79: ◯議長(
坂田憲治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時三十二分休憩
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午後三時二十分開議
80: ◯議長(
坂田憲治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
朝倉浩一議員。
81: ◯二十番(朝倉浩一君) 歳出第四款福祉医療費第七項生活衛生費第四目獣医務事業費のうち、狂犬病予防費について質問いたします。
令和二年十月決算特別委員会において、狂犬病予防費について、野犬捕獲への取組について質問いたしました。県では、美浜町をはじめとする知多半島地域については、野犬捕獲の重点地域として愛知県動物愛護センター知多支所において野犬等の捕獲に取り組んでいただいております。毎年、捕獲おりを新規購入し、犬が警戒心を持ちにくい大型の捕獲おりを購入したり、野犬の捕獲に努めていただいておりますが、昨年の捕獲状況と今後の対応を伺います。
次に、第六項保健医療費第三目疾病対策費の感染症対策事業費のうち、感染症予防事業費について質問いたします。
犬におけるエキノコックス症の発生についてですが、二〇一四年四月四日付で愛知県阿久比町にて獣医師が検出するとともに、県の調査により二〇一八年三月二十七日には、阿久比町、南知多町、知多市にて捕獲された野犬から犬のエキノコックス(多包条虫)が検出されたことを受け、感染症法に基づき、エキノコックス症を診断した旨の届出がありました。
エキノコックスとは、もともと北海道のキタキツネにいる寄生虫の名前で、北海道は流行地域とされています。ヒトのエキノコックス症とは、エキノコックス属条虫の幼虫(包虫)に起因する疾患で、人体各臓器、特に肝臓で包虫が発育し、諸症状を引き起こす。また、ヒトには成虫に感染しているキツネ、犬などのふん便内の虫卵を経口摂取することで感染をいたします。
現在、エキノコックスが北海道全域に分布しており、多包性エキノコックス症は国民の健康に脅威を与える感染症となっております。そのために感染症法では、エキノコックス症を四類感染症全数把握疾患に指定し、全患者発生例の報告を義務づけております。
愛知県では、県内のエキノコックス感染状況を把握する目的で野犬のエキノコックス症に係る周辺検査を実施しております。調査は、知多半島で捕獲された野犬等を対象として、ふん便中におけるエキノコックス虫卵の顕微鏡検査を開始しましたが、二〇一八年三月末までの検査件数は二百四十五検体で、全ての検体でエキノコックス虫卵は検出されませんでした。
一方、国の調査研究協力の一環としてPCR法によりふん便中に含まれるエキノコックスの遺伝子を検索したところ、二〇一七年四月から二〇一八年三月までに採取した五十六件中三件の野犬のふん便からエキノコックス遺伝子が検出をされました。その後も本県の調査により、二〇二〇年二月に一件、二〇二〇年四月に二件、二〇二一年二月に一件、二〇二一年三月に一件の陽性事例がありました。犬の陽性事例は累計九件です。
そこで、改めてエキノコックスについて伺います。
知多半島では、野犬のふん便からエキノコックスが検出されていますが、知多半島以外でも検出されているのか、伺います。
また、北海道では、キツネにおけるエキノコックスが問題となっている中、知多半島においてもキツネやタヌキ等の野生動物が生息をしており、エキノコックスに感染する可能性があると考えられますが、これらの動物に対するエキノコックスの検査は実施していますでしょうか。
また、エキノコックスを不安に感じている住民に対し、どのように不安解消に取り組んでいくか、お伺いいたします。
82: ◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、知多半島地域の野犬の捕獲状況と今後の対応についてお答えいたします。
県では、二〇一四年度から成犬の捕獲にも有効な大型の捕獲おりを導入しており、知多半島地域では現在二台が設置済みでございます。
昨年の捕獲状況についてでございますが、美浜町では、成犬九頭、子犬十三頭の計二十二頭、知多半島全体では、成犬百七十七頭、子犬二百十七頭の計三百九十四頭を捕獲いたしました。
県では、来年度以降も大型の捕獲おりをさらに導入、活用し、効率的な野犬の捕獲に努め、地域の安全の確保を図ってまいります。
83: ◯感染症対策局長(杉原武君) 感染症予防事業費に関する質問のうち、初めに、エキノコックスの検出状況についてお答えします。
エキノコックスの検査につきましては、知多半島を調査地域として、県衛生研究所において二〇一四年六月に顕微鏡による虫卵検査を開始し、二〇一八年四月からは遺伝子を検索するPCR検査も追加しました。また、二〇一九年四月からは調査範囲を拡大して、中核市である岡崎市及び豊田市を除く西三河地域に、知多地域及び西三河地域と隣接する豊明市を加えた十九市町において検査を実施しております。
この結果、二〇二二年二月末までに七百九十七検体を検査し、九例の陽性事例が判明しております。一例目は虫卵検査が陽性でしたが、二例目以降はPCR検査のみ陽性であり、虫卵は見つかっていません。また、いずれも知多半島内の市町で捕獲された野犬であり、これまでのところ知多半島以外の地域での陽性事例はありません。
次に、野生動物に対するエキノコックス検査についてお答えします。
イヌ科の野生動物は、エキノコックスに感染したネズミを食べることで感染することから、キツネやタヌキも感染する可能性があります。本県では、狂犬病予防法に基づいて、捕獲された野犬等のふん便を用いて検査を実施しておりますが、二〇一四年六月からの八年間において陽性事例は九例であり、陽性率も一・一%と北海道のキツネの約四〇%と比べて非常に低い数値となっています。このため、野生動物を捕獲しての調査までは行っておりませんが、偶然、野犬捕獲用のおりにキツネやタヌキが捕獲されることがあり、ふん便が採取できる場合は、キツネやタヌキについてもエキノコックスの検査を実施しているところです。
これまでにキツネ十八検体、タヌキ五検体の計二十三検体について検査を実施しましたが、陽性となった事例はありません。
最後に、県民に対する不安解消の取組についてお答えします。
エキノコックス症は、人と動物に共通する感染症で、感染したキツネや犬の便により汚染された食物や水等を人が偶発的に飲み込むことにより感染します。
本県におけるエキノコックスの状況は、陽性率が低いことや、県内での人への感染事例もないことから過度に不安になる必要はないものと考えております。
また、エキノコックス症は正しい予防方法を行えば予防できます。具体的には、野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと、野犬や野生動物にはむやみに触れないこと、沢や川の生水は飲まないことや、山菜や野菜、果物等はよく洗ってから食べることなどです。
正しい知識と予防方法を啓発するため、本県ではウェブページにおいて、感染経路や感染予防方法を周知しているところです。さらに、関係市町と連携しながら市町村の広報紙を活用して住民に直接周知するなど、より効果的な啓発を実施してまいります。
また、来年度、国立感染症研究所が知多半島で実施を予定している調査研究事業に協力することで、国立感染症研究所の調査結果も活用しながら、県民に対する不安解消に努めてまいります。
今後も、こうした取組を着実に進めることで県民の皆様の安心・安全の確保を図ってまいります。
84: ◯二十番(朝倉浩一君) 御答弁ありがとうございました。
簡単な要望でありますが、日本では北海道で十人から二十人程度の患者の報告があると聞いておりますが、人から人への感染はありませんが、半田市には有名な童話作家、新美南吉がおりまして、ごんぎつねという作品がありまして、このごんぎつねのゆるキャラがごん吉くんってあるんですけど、いろんなこういったことで風評が起こらないようにお願いしたいと思いますし、エキノコックス症の検査体制や予防対策をしっかり行っていただきたいと思います。そういったことを御要望して終わります。ありがとうございました。
85: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
岡明彦議員。
86: ◯三十一番(岡明彦君) 私からは、第三款県民環境費第六項自然環境費、生物多様性保全の推進について伺います。
二〇一〇年、愛知・名古屋で開催された生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)で二〇二〇年に向けた生物多様性に関する世界目標が採択されました。その目標は、開催地にちなみ愛知目標と言われてきました。
本県は、その愛知目標の達成に向けてこれまで様々な取組を進めてきたところであり、次の二〇三〇年に向けても生物多様性保全に関する取組の先頭を走り続けることは重要だと思います。
また、二〇二〇年以降、世界の金融市場ではESG投資が存在感を増していることは御承知のとおりです。
ESGとは、環境(エンバイロンメント)、社会(ソーシャル)、企業統治(ガバナンス)の英語の頭文字を取った言葉ですが、これからの時代、ESGを実践するのは企業経営の常識となり、ESG投資が投資のスタンダードとなると言われております。
これまでESG投資においては、気候変動の問題とその解決に向けたカーボンニュートラルへの取組が重視されてきましたが、それに加えて、最近注目が高まっているのが生物多様性です。なぜならば、現代社会が最重要の課題としている気候変動と生物多様性は別々の問題ではないからです。生物多様性と気候変動は、同じコインの裏表と言い換えることもできると思います。その関係を分かりやすく説明した日経研月報、これは一般財団法人日本経済研究所が発行しているものですが、その二〇二一年十一月号のレポートを紹介いたします。
生物多様性と気候変動との関連性は強い。温室効果ガスの排出は人間の土地利用の変化や工業化が大きな要因であるが、それらは森林の減少や海洋汚染といった自然へのネガティブインパクトを引き起こすことで、さらなる気候変動に繋がっている。また、気候変動に伴う異常気象は大規模な自然災害を発生させたり、野生生物の生育地を脅かしたりという形で生態系に影響を与えている。生物多様性と気候変動は相互にリンクした関係であり、どちらか一方のみの対応では不十分で、どちらも同時に取り組まなければいけない課題というのが国際社会における共通認識になってきている。
とあります。
引用が少々長くなりましたけれども、本県が世界を相手にした企業立県であることを考えれば、生物多様性の保全に関わる取組の遅れは、即愛知の未来、愛知の発展にダメージをもたらすことを考慮すべきと思います。
そこで、三点お尋ねいたします。
一つ目です。大村知事は、海外の先進自治体に呼びかけ、二〇一六年八月、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合を設立し、COPの場などで活動を続けてきました。愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合としてこれまでどのような成果を上げ、今後どのような活動をしていくのか、伺います。
二つ目です。生物多様性の保全を進めるには、自治体が適切な方向性や将来像を示した上で現場での具体的な活動を促進していくことが重要であると考えます。そこで、県内市町村の地域戦略策定状況はどうなっているのか、伺います。
三つ目です。県内各地域における生物多様性保全の活動の活性化に向けて、県民、そして市域を構成する主要な一員である企業が積極的な取組をすることは重要だと考えます。県は、企業の認証制度を創設するとのことですが、この制度は企業のどんな活動を評価し、企業の取組をどのように促進するのか、また、県民の活動促進についてはどのように取り組むのか、伺います。
87:
◯環境局長(
岡田守人君) まず、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合の活動についてお答えいたします。
本県の呼びかけにより二〇一六年八月に設立された連合は、本県をはじめ、ブラジルのサンパウロ州、カナダのケベック州など九団体が参加し、二〇一六年十二月にメキシコで開催されたCOP13やその後のCOPの準備会合の場において、メンバーによる生物多様性保全に関する先進的な取組や、愛知目標の達成に向けた自治体の役割の重要性を繰り返し発信してまいりました。
その結果、自治体の役割に対する生物多様性条約事務局や条約締約国の理解が深まり、二〇一八年のCOP14以降、愛知目標に続く世界目標の検討過程において、自治体が意見を述べる機会が認められることとなり、昨年十月に中国の昆明で開催されたCOP15の第一部の開会式において、連合は、条約事務局に諮問する機関や他の国際組織と共同で自治体の役割の重要性に関する声明を発表することができました。
また、閣僚級会合では、世界の主立った国際機関の代表と共に知事が連合の代表として今後も自治体としてしっかりと貢献していく旨のビデオメッセージを発信しました。
今年開催される予定のCOP15第二部は、二〇三〇年を目標とする新たな世界目標が採択される重要な節目となりますので、この会議にも連合として参加し、引き続き自治体の声を世界に向けて発信したいと考えております。
今後も、本県が主導する連合として先進的な取組事例を発信したり、他の国際組織との連携を強化するなど、世界の生物多様性保全の促進と新たな世界目標の達成に貢献してまいります。
次に、県内市町村の地域戦略の策定状況についてであります。
生物多様性の保全は、自然環境の状況や課題を踏まえた地域ごとの取組が重要であり、市町村の地域戦略策定を促進するため、本県では、二〇一六年から市町村に対して研修会の開催や助言、提案を行う専門家の派遣などを行ってまいりました。その結果、戦略を策定した市町村の数は、十年前の二〇一二年一月の二市から現在二十市町となり、県内五十四市町村のうち三七%で策定済みとなっております。これは、全国平均が八・四%であることから、本県では市町村の地域戦略策定が進んでいる状況となっております。
今後は、昨年二月に策定したあいち生物多様性戦略二〇三〇に掲げる市町村による地域戦略策定を二〇三〇年度までに四十市町村にするという数値目標の達成に向けて、引き続き市町村の地域戦略の策定支援を行ってまいります。
最後に、企業及び県民の活動促進に向けた本県の取組についてお答えします。
二〇一〇年のCOP10以降、本県では、多様な主体の連携による生物多様性の保全を推進するため、企業やNPO、大学、市町村等と共に県内九地域で生態系ネットワーク協議会を設立し、保全活動に取り組んでまいりました。現在、協議会には延べ二百九十四の団体が参加し、企業の敷地を活用したビオトープの創出や、植樹、外来種の駆除、観察会など、各主体の連携により様々な活動を実施しています。
また、COP10から十年の節目となる昨年度には、県内における保全活動の優れた取組事例を募集し、企業、NPO等による百四十三の取組をあいち・なごや生物多様性ベストプラクティスとして表彰しましたが、こうした優れた取組が県内各地で大きく広がっていくことが望ましいと考えております。このため、企業の取組促進に向けて新たに企業の認証制度を創設し、企業の取組意欲の向上と他企業への波及を図ってまいります。
本制度では、保全活動の実践をはじめ、地域への普及啓発や環境配慮型経営などを評価することとしておりますが、特に取組の発展性や継続性が認められる場合には、優良企業として認証することも検討しております。企業の規模や業種にかかわらず、県内の多くの企業に認証制度を御活用いただくことで、企業の保全活動を一層促進してまいりたいと考えております。
また、県民の皆様の活動促進に向けては、生物多様性に関心のある方々に生物多様性サポーターズとして登録いただき、県から保全活動情報を提供するとともに、活動団体の取組発表の場となるフォーラムを開催するなど、活動の裾野を広げる取組を進めてまいります。
こうした取組により、企業や県民の皆様の生物多様性に対する意識の向上を図り、県内全域での保全活動のさらなる活性化につなげてまいります。
88: ◯三十一番(岡明彦君) 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
本県では、現在、本県内の生息、生育する種のうち、絶滅のおそれがある千四百一種を掲載、説明しているレッドデータブック、また、県内で生息、生育することが確認されている外来種千三百九十六種を掲載、説明しているブルーデータブック、さらには、県内で生息、生育する動物や植物の全種リストを取りまとめたグリーンデータブックの三種のデータブックを作成しています。この三種のデータブックを持ち得ている都道府県は愛知県のみです。事グリーンデータブックは他県に誇る先駆的な取組で、生物多様性の保全活動を行うに当たっての自然環境の基礎情報となります。
また、先ほど答弁いただきました生態系ネットワーク協議会ですが、議員視察もさせていただきましたが、生物多様性保全に資する活動を大変粘り強く行っているさまを拝見させていただきました。また、生物多様性あいち学生プロジェクトが支援するユース世代の活動も着実に広がっております。
このように、ベースが整いつつある状況をぜひとも追い風にしていただきまして、県が昨年改定したあいち生物多様性戦略二〇三〇に沿った取組が勢いよく進むよう、県の懸命なイニシアチブに期待をするところです。
その上で、新たに始める企業の認証制度については、多くの企業が立地している本県の特色を踏まえ、企業の力を生物多様性の保全に生かせるよう、また、企業の取組意欲が高まるよう、効果的な制度にしていただくことを要望して質問を終わります。ありがとうございました。
89: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
山本浩史議員。
90: ◯五十番(山本浩史君) 私からは、歳出第二款総務企画費第六項防災安全費のうち、災害対策事業費について伺います。
間もなく東日本大震災の発生から十一年を迎えます。この震災により犠牲となられた方々に対し、改めて哀悼の意を表します。
その後も、二〇一六年の熊本地震や二〇一八年の北海道胆振東部地震など、全国各地で大規模地震が発生し、そのたびに長期化する避難所生活への対応や迅速な支援物資の提供、自治体間の応援体制の在り方など様々な課題が浮き彫りになり、それらを教訓として法律の整備や新たな制度が設けられてきました。
かねてから南海トラフ地震はいつ起こってもおかしくないと言われており、甚大な被害が予想される本県にとっては、過去の地震災害から得られた教訓を基に災害対策の改善、充実を図りながら不断の努力を重ねていく必要があり、その方法の一つが防災訓練であると考えます。
大規模地震が発生した場合には、県や市町村が国やライフライン事業者等の関係機関と連携し、また、住民の協力を得ながら地域が一体となって災害に対応していくことが求められることから、本県では毎年、防災週間に合わせて市町村と共催で実働型の総合防災訓練に取り組んでまいりました。
県内の市町村では、災害リスクや地域の実情がそれぞれ異なることから、総合防災訓練の場で地域の特殊性に応じた訓練を実施することで地域防災力の一層の向上が期待できます。
例えば、二〇一九年度に豊橋市で実施された総合防災訓練では、豊橋駅周辺の帰宅困難者を一時避難場所や帰宅困難者等支援施設などに誘導する訓練が行われましたが、東日本大震災において首都圏で多数の帰宅困難者が発生したことを踏まえ、東三河の玄関口である豊橋駅を抱える豊橋市が意欲的に取り組んだ訓練となりました。
また、防災訓練のもう一つの目的として、住民が防災訓練に参加することで防災意識の高揚を図るところにあります。
総合防災訓練を通じて、避難場所、避難路の確認、家具の固定等、住民の方々が各自で自助の取組を進めるとともに、避難所の開設・運営訓練等に実際に参加することで、地域住民同士の共助について考えていただく絶好の機会になると考えます。
来年度の総合防災訓練は豊川市で実施する予定ですが、県が豊川市で総合防災訓練を実施するのは三十五年ぶりとのことです。この訓練が豊川市の地域防災力の向上に資する実りある訓練となることを期待しているところです。
そこで、来年度、県が豊川市と共催で実施する総合防災訓練ではどのような訓練を目指していくのか、伺います。
91: ◯防災安全局長(中川喜仁君) 来年度、豊川市で実施する総合防災訓練についてお答えいたします。
県では、国や市町村等防災関係機関のほか、民間企業、ボランティア団体、住民等、多くの方々の参加、協力の下に、大規模地震を想定した総合防災訓練を実施しており、来年度は九月四日に陸上自衛隊豊川駐屯地訓練場をメイン会場に実施いたします。
県の地震被害予測調査によれば、豊川市では、地震発生から最短で七十七分後に最大三・五メートルの津波が沿岸部を襲うと予測されています。このため、来年度の訓練では、臨海地区の企業に働く方々の安全を確保するため、豊川市が二〇一九年度に御津町佐脇浜に整備した避難用高台を活用し、津波避難訓練を実施することを検討しております。
また、豊川市では、二〇一七年度から防災ドローン航空隊を結成し、災害情報収集能力を強化していることから、ドローンによる被害状況の的確な把握と防災関係機関との情報共有及び連携を図る訓練を行うこととしております。
さらに、市内の中学校において、新型コロナウイルス感染症に対応した避難所の開設・運営訓練を地域住民の参加の下で実施するほか、市民の皆様が自助、共助について気づき、考えるきっかけとなるよう、自主防災組織やボランティア団体が参加する訓練内容を検討してまいります。
県といたしましては、大規模地震が発生した場合における迅速、的確な災害応急対策を実現するとともに、地域の方々が自ら、あるいは共同して防災活動に関わる契機となるよう、豊川市での総合防災訓練の実施に向けてしっかりと準備を進めてまいります。
92: ◯五十番(山本浩史君) ありがとうございます。
それでは、再質問させていただきます。
加藤副知事がこの三月に勇退されるとのことであります。加藤副知事は、一九八〇年に入庁され、四十二年に及ぶ県庁人生の多くを総務部門と防災部門で過ごされました。総務部門では、法務文書課に長く在籍されており、法務行政のプロフェッショナルであったと伺っております。また、防災部門では、災害対策課長の職にあった二〇一一年三月に東日本大震災が発生し、この大災害に際して支援物資の手配や救援部隊の編成、被災者の受入れ体制の整備など、ありとあらゆる手段を講じ、本県からの被災地支援の先頭に立って取り組まれ、今日までの復興支援につながる取組を強力に推し進められてきました。当時の現場の混乱と御苦労は大変なものであったと思います。
その後も、防災局次長、防災局長、そして、総務部長と、県行政の要にあって本県の行政運営に多大な尽力をされてきました。四年前の二〇一八年四月に副知事に就任されてからは、最初の二年間は東三河担当を務められました。この間、広い東三河の管内をくまなく足を運ばれ、地域の声に耳を傾け、東三河のために御尽力いただきました。
東三河県庁では、地元の市町村、経済団体、大学などと構成する東三河ビジョン協議会において、東三河地域の将来ビジョンの策定とその実行計画として主要プロジェクト推進プランを策定され、地域と一体となって様々な振興施策に取り組み、実績を上げられました。
後半の二年間は、新型コロナウイルス感染症の渦中にあって、防災や産業振興、行政改革などを担当され、全庁を挙げたコロナ対策の推進体制の整備に努められるとともに、感染症対策と両立する社会経済活動の継続に今現在も全力で取り組まれております。
加藤副知事の誠実なお人柄と、大きな危機に直面した困難な状況下にあってもなお仕事に対する前向きな姿勢や強い使命感は、職員の模範となるものであります。
最後に、加藤副知事にこのたび御勇退されるに当たって、本県の防災危機管理についての思いや、御自身の経験を踏まえた後輩職員に対する助言などをお伺いして、私の質問とさせていただきます。
93: ◯副知事(加藤慎也君) ただいま山本議員から身に余るお言葉をいただき、大変恐縮をいたしております。また、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、四十二年の県職員としての多くを、山本先生がおっしゃられたとおり、条例等の審査を行う法務部門、そして、危機管理や災害対策を行う防災の分野に従事をさせていただきました。
この間、二〇一一年三月の東日本大震災には災害対策課長として、二〇一六年四月の熊本地震には防災局長として、これらの大災害の被災地の支援等の業務に当たったところでございます。その中で痛感いたしましたのは、やはり迅速に被害情報を集め、支援が必要な被災地に的確に救出救助部隊や物資を届けることがいかに大切かということであります。
現在、本県におきましては、発生が危惧されております南海トラフ巨大地震への備えとして、愛知県基幹的広域防災拠点やゼロメートル地帯の広域的な防災活動拠点の整備が進められております。こうした拠点を活用して被災地に支援を届けることができるよう、しっかりと計画を定めて、そして、訓練を積み重ねることにより、危機に強い、県民の皆様の命を守ることができる愛知づくりを進めていただきたいと思います。
大きな危機に直面した場合であっても、職員の皆様が協力し合い、前向きに責任感を持って取り組めば、必ずその使命を成し遂げることができます。危機に直面したときに人や組織の真価が問われると言われますが、職員の皆様には、危機に対峙する気力と能力があると期待をいたしております。
そして、私は二年間、東三河担当の副知事として東三河の多くの現場を訪問し、東三河の皆様の声をお聞きし、心を合わせて東三河の振興に携わらせていただきました。昨年十月には東三河振興ビジョン二〇三〇が策定され、私も強く実感いたしておりました、東三河の多様な自然やバランスの取れた産業、歴史、伝統文化などの特徴を生かして豊かに輝き続けるための新たな地域づくりが地域の皆様と連携、協働の下、始まっております。東三河が日本一元気な愛知、全ての人が輝く愛知の重要な一翼を担って、さらに発展していくものと確信をいたしております。
最後に、私がこうして任期を全うすることができますのも、大村知事の卓越したリーダーシップと職員の皆様の御協力、そして、県議会議員の皆様方の御指導、御助言のおかげでございます。心から感謝を申し上げまして、私の答弁とさせていただきます。誠にありがとうございました。(拍手)
94: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
安井伸治議員。
95: ◯二十一番(安井伸治君) 私からは、歳出第二款総務企画費のうち、第六項防災安全費、犯罪被害者等支援事業費についてお伺いをいたします。
二〇一七年、警察委員会において犯罪被害者等支援条例の制定を要求させていただきました。私の中では、犯罪被害者支援というと真っ先に思い浮かぶのが、名古屋市千種区で起きた闇サイト殺人事件であります。というのも、妻が被害者である磯谷利恵さんが当時書かれていたグルメブログのファンであったこと、そしてまた、その後の利恵さんのお母様の犯罪被害者支援の活動が非常に痛々しく心に残っているからであります。
犯罪被害者支援を考えるとき、犯罪者にかけられる税金の額と被害者にかけられる税金の額のあまりにも大きな差を考えなければなりません。名古屋市の犯罪被害者支援条例に尽力した後輩でもあり友人でもある宇田幸生弁護士の著書の中で、ある犯罪被害者の方は、犯罪者が税金で十年二十年と刑務所内とはいえ命が保障された下で生活ができる。それならば犯罪被害者である私も刑務所とは言わないが、保養所のような施設で日常に近い精神状態、生活状態を取り戻したい、と語っておられました。
それほど犯罪被害者の方、また、その御遺族は一生精神的にも経済的にも苦しみ続けるという現実を考えていかなければならないと思います。
そこで質問です。
犯罪被害者等支援条例に基づいて実施される支援について、例えば、ホームヘルパーによる家事支援や介護支援、居住の安定、公判出席のための旅費補助など、犯罪被害者等が安心して暮らすことができる内容を組み入れていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、本県の犯罪被害者等見舞金では、過失犯は支援の対象外となっています。しかし、被害者から見れば、加害者が故意であっても過失であっても、被害の大きさやその後の生活状況は変わらないのに、なぜ故意犯に限定されているのでしょうか。
それは、過失犯の多くは交通事故である場合が多いからという理由が考えられます。つまり、交通事故の場合、車や自転車の自賠責保険、任意保険、または労災保険や過失について広く賠償責任を保障する賠償責任保険によって保障されることが理由ではないかと思われます。
しかし、二〇二〇年十月に大阪の商業ビルから高校生が飛び降り自殺を図った際、路上にいた通行人が巻き添えで亡くなった事故で、高校生を容疑者死亡のまま重過失致死容疑で書類送検をしたというニュースがありました。こうした事故の場合、本県の犯罪被害者等見舞金給付要綱に照らし合わせると、重過失でも過失犯でありますので、支援の対象外となってきます。
そこで質問です。
先ほど例に出した飛び降り自殺巻き添え事故のような保険等の対応が難しい重過失致死の事案においては、犯罪被害者等見舞金の対象に加えていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
96: ◯防災安全局長(中川喜仁君) まず、犯罪被害者等支援条例に基づいて実施する支援についてであります。
犯罪被害者とその御家族が精神的なショックや経済的困窮など様々な困難を乗り越え、安全に安心して暮らしていくためには、社会全体で途切れのない支援を行っていくことが重要であります。このため、犯罪被害者等支援条例では、支援についての基本的な方針や支援に関する施策などを定める指針を策定することとしております。
この指針の策定に当たっては、本県の実情に応じた実効性のある内容とするため、学識経験者や弁護士、犯罪被害当事者団体等から成る有識者会議を設置するとともに、パブリックコメントを実施し、県民からの御意見をいただくこととしております。
議員お示しの支援のうち、例えば、居住の安定については、県営住宅への優先入居制度の活用などが考えられます。また、ホームヘルパーなど日常生活に係る支援や公判出席のための旅費支援など、県だけでは行き届かない支援についても、国、市町村、民間支援団体その他の関係者と連携し、犯罪被害者に寄り添った支援となるよう対応方法を検討してまいります。
次に、犯罪被害者等見舞金についてであります。
本県の犯罪被害者等見舞金は、殺人など故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の御遺族、または重傷病や精神疾患を負われた犯罪被害者に対して、経済的負担の軽減を図るため速やかに給付するものです。
議員お示しのとおり、本県の犯罪被害者等見舞金制度では、過失による行為を対象としておりません。また、本制度の創設に当たって参考とした国の犯罪被害給付制度においても、同じく過失による行為を対象としておりませんが、飛び降りの巻き添えとなった被害者の方には、その事情を鑑みて給付された事例があると伺っております。
このような注意義務を著しく怠ったことにより人を死傷させた重過失致死に当たる事案については、国の犯罪被害給付制度における事例を踏まえながら、県警察とも連携し、本県の見舞金制度を運用してまいりたいと考えております。
97: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
嶋口忠弘議員。
98: ◯三十三番(嶋口忠弘君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費第三目児童相談センター費のうち、児童相談センター管理運営事業費について伺います。
児童相談所における児童虐待相談対応件数は、全国的にも年々増加の一途をたどっているところであり、これまで国、都道府県、市町村においてそれぞれ対策を強化してきたにもかかわらず、深刻な児童虐待事案も後を絶たない、依然として深刻な社会問題となっています。
本県の児童相談センターにおける二〇二〇年度中の虐待相談以外の相談を含む相談対応件数は一万九千百二十七件で、二〇一九年度に比べ八百二件の減少となっており、その中の虐待に関する相談対応件数は、過去最高を更新した二〇一九年度の六千四十五件から僅かに減少し、ほぼ横ばいの六千十九件となっています。
本年度、二〇二一年度の相談件数は五月末頃の発表になると思いますが、コロナ禍の影響も懸念されるところであります。
相談対応件数の増加は、見方を変えれば、これまで表面になかなか出てこなかった事案が児童虐待防止対策強化の取組の結果として、児童虐待の早期発見、早期対応につながった成果として現れたものとも考えられます。
児童虐待は、子供の心身に深い傷を残すだけでなく、人格形成にも多大な影響を与えることから、早期の発見、対応により子供が安心して暮らすことができる社会の実現がさらに求められています。
本県では、これまでも児童虐待相談に確実かつ迅速に対応できるよう、専門的中核機関である児童相談センターの専門職員の増員や、職員の専門性の向上、弁護士との連携など、児童相談センターの体制強化を図るとともに、里親制度の普及や里親への支援体制の充実など、虐待を受けた子供たちに対する社会的養育体制の整備を進めてきています。
加えて、あいち小児保健医療総合センターなどの県内医療機関や警察等との連携強化、県民に向けた児童虐待問題や相談先の周知などを行うオレンジリボンキャンペーンなど、児童虐待の早期発見や防止に向けた取組を進めてきています。
二〇二一年度の対応としては、国の児童虐待防止対策体制総合強化プランを踏まえ、児童福祉司二十六人、児童心理司十五人の専門職の増員、研修の充実など、児童相談センターの体制強化、また、市町村の相談支援機能の強化を図るため、市町村向けの児童虐待対応マニュアルの作成や実務研修開催等、市町村職員の専門性の向上を支援するとともに、警察への児童虐待事案の全件情報提供等、関係機関との連携強化に取り組んでいくとなっていました。
こうした取組を着実に推進していくことは非常に重要なことと認識しておりますが、児童虐待の早期発見や防止に向けては、相談につながらないケースを一件でも減らすため、時代に合った多様な相談の受皿を充実させ、SOSをこれまで以上にしっかりと吸い上げる仕組みが求められるところであります。
そこで伺います。
来年度予算案では、現状の課題解決に向けた予算案と捉えておりますが、児童相談所の体制強化につながるSNSを活用した新たな相談支援の仕組みが計画されていると認識しておりますが、具体的にどのような取組を行っていくのか、伺います。
99:
◯福祉局長(
岡本範重君) 児童相談所における新たな相談支援の取組についてお答えいたします。
全国的に増加傾向が続く児童虐待相談に対応するため、現在、国において、従来の児童相談所全国共通ダイヤル一八九による電話相談に加え、新たにSNSを活用した全国一元的な相談支援体制の構築が進められており、今年十一月から運用が開始されることとなっております。
このSNS相談は、一般的な子育てから虐待まで幅広く対応し、画面上で対話形式による相談を行うことで利便性の向上を図るものであります。
本県では、民間事業者に委託し、社会福祉士等の資格を持つ専門相談員が土日祝日を含む毎日、午前十時から午後八時まで相談を受け付けるとともに、受付時間外であっても児童虐待などの緊急相談の場合には、画面上でダイヤル一八九への架電を促し、適切な支援につなげてまいります。
コミュニケーション手段として広く普及するSNSの活用により、若い世代をはじめ、誰もが相談しやすい体制整備に努めてまいります。
100: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
福田喜夫議員。
101: ◯三十五番(福田喜夫君) 私からは、歳出第二款総務企画費第六項防災安全費のうち、防災ヘリコプター管理運営事業費についてお伺いします。
予算に関する説明書(一)の百十ページです。
愛知県防災航空隊は、平成七年一月の阪神・淡路大震災を契機として翌年の平成八年四月に発足し、隊員は県内の消防本部から派遣され、同年七月に運航管理業務を中日本航空株式会社に委託し、県営名古屋空港の同社の格納庫、事務所を賃貸借して、平成八年十月から二十四時間体制で業務を開始したと承知しています。
防災航空隊の運営に当たっては、県下五十四市町村で組織する防災ヘリコプター運営協議会を設置し、今日に至っています。
今回、防災ヘリコプターの運航を名古屋市に委託する予算案と委託議案が提出されました。令和元年度の決算特別委員会において、平成三十年度決算を確認しましたが、総額は二億六百九十六万四千五百二十七円で、運航委託先の中日本航空株式会社には一億五千十八万九千九百四十円の支出がされ、その内容は、ヘリコプターの操縦士、整備士、運航管理者の人件費のほか、航空隊の事務室やヘリコプターの格納庫等の賃借料、毎年の機体検査にかかる費用との答弁がありました。
ほかにも、保険料千六百八十二万八千余円、燃料費千百九十九万三千余円、防災航空隊員を派遣してもらっている市町村への支給に充てる防災ヘリコプター運航調整交付金が千二十九万六千円、耐空検査に伴う機体修繕が八百十七万二千余円、飛行場の着陸料、被服資機材の購入費、事務所の光熱水費等で九百四十八万三千余円の支出内容でした。
今回、防災ヘリコプター管理運営事業として計上されている予算額は五億九千二百二十七万二千円が計上され、平成三十年度決算額と比較すると単純に二・八六倍の額となります。
そこでお伺いいたします。
今回の予算額の内訳はどのように積算されているのか、そして、名古屋市へ防災ヘリコプターの運航を委託する効果は何か。
次に、愛知県防災ヘリコプターはベル式412EPI型で、名古屋市の保有する二機のヘリコプターはエアバス社AS365N3型と機種が異なり、また、名古屋市には県の防災ヘリコプターの操縦免許を持ったパイロットがいないと承知していますが、四月一日からどのように運航されるのか。
また、国の基準であるダブルパイロットとする場合、さらにパイロットの養成が必要になってきますが、そのために名古屋市とどういう協議をされているのか。
また、愛知県防災航空隊は、県内消防本部から派遣される隊員でチーム編成しています。当初から平成二十九年度までは二十四時間運航勤務で、毎日チーム編成が変わる体制の勤務と承知しています。名古屋市に委託すると異なる機体に相互の隊員が搭乗し、活動することになります。航空隊は、特に危険が伴う高度な活動を要する業務のため、搭乗するチームメンバーを固定できる体制とすべきと考えますが、委託後の勤務体制について、名古屋市との協議はどのようになっているのか、お伺いします。
次に、名古屋市航空隊の格納庫は、ヘリコプター二機のスペースと承知していますが、委託した場合の愛知県防災ヘリコプターの格納庫や事務所はどうなるのか、また、機体の整備はどこで誰が行い、整備に必要な機体、エンジンやホイストなどの大量の予備パーツの管理はどうされるのか、お伺いします。
最後に、運航を名古屋市に事務委託した場合、知事の防災ヘリコプターの運航に関する権限は存続できるのか、それとも名古屋市長に一任されるのか、確認の意味でお伺いします。
以上です。
102: ◯防災安全局長(中川喜仁君) 初めに、防災ヘリコプター管理運営事業費予算の内訳についてであります。
本県の防災ヘリコプター、わかしゃちの運航に関する来年度予算は約五億九千二百万円で、その内訳は、名古屋市への委託費が四億二千五百万円、県の執行経費が一億六千七百万円となっております。名古屋市への委託費は、わかしゃちを運航するために必要となる操縦士や整備士の人件費、資格取得や民間業者からの教官派遣など、操縦士等の養成費や隊員の被服、装備品の購入費等であります。
県の執行経費としては、格納庫賃料、機体に係る保険代や修繕費などとなっております。なお、名古屋市への委託費のうち、操縦士等の養成に係るものなど二億六千四百万円及び県の執行経費のうち、事務所移転経費などの千六百万円の合計二億八千万円は、新体制への移行に伴う一時的な経費であります。
次に、運航委託による効果についてであります。
事務の委託により本県と名古屋市のヘリコプター三機を一体的に運用することで、運航体制の強化や安全性の向上を図ることができます。具体的には、二人操縦士体制の確保による安全性の向上や、ヘリコプターの点検期間を調整し、長期の運休が生じないようにすることで、緊急出動への即応体制の強化及び隊員の訓練時間の確保による事案対応能力の向上などがあります。
さらに、夜間離着陸訓練を重ねることにより、県内で夜間運航を行うエリアを順次拡大していくことが可能となります。こうしたことにより、安全かつ安定的なヘリコプターの運航が可能となり、県内の防災力の向上が図られます。
次に、四月一日からの運航と操縦士の養成についてであります。
委託後の運航については、県と市のヘリコプター三機を一体的に運用し、常時二機の運航体制を構築してまいります。新たな操縦士の養成については、年度当初から資格取得のための教習を予定しておりますが、その期間は、わかしゃちの法定点検や特別修繕の期間と重なっております。そのため、その間の事案については、名古屋市のヘリコプター二機を用いて県内全域を対応してまいります。
さらに、操縦士の養成に当たっては、実際の出動に際し、本県の地勢や気象の特性などについて把握しておく必要があるため、経験豊富な民間業者の教官による訓練を行うことで、効果的に技術の習熟が図られるよう名古屋市と調整しており、早期に安全な運航体制を確立してまいります。
次に、隊員の勤務体制についてであります。
現在、本県の防災ヘリコプターの運航は、法定点検等による運休期間を除き原則毎日運航しており、活動に必要な人員を確保するよう、土日も含め交代で勤務する体制となっております。このため、ヘリコプターに搭乗するメンバーは固定されておりませんが、どの隊員の組合せであっても全ての業務に対応できるよう必要な訓練を行っております。名古屋市も同様の勤務体制となっており、委託後もこれまでの勤務体制を継続することで名古屋市と調整を進めております。
次に、ヘリコプターの運航委託後の格納庫、事務所の場所及び機体の整備に関してであります。
機体の格納庫については、県営名古屋空港内の民間業者から賃借し、事務所については、隊員が名古屋市の消防航空隊事務所で勤務する予定となっております。
また、機体の整備については、飛行前後の日常点検のような維持管理は名古屋市が行いますが、法定点検や修理、改修などは県が行います。なお、予備のパーツについては、名古屋市の消防航空隊事務所の敷地に資機材庫を新たに設け、管理してまいります。
最後に、事務委託後の運航に関する権限についてであります。
今回の事務委託は地方自治法に基づくものであり、運航に関する権限は名古屋市に移り、活動時における指揮命令系統が一元化されることになります。
名古屋市への委託内容には、県と県内全ての市町村等で構成する愛知県防災ヘリコプター運営協議会で定める事務も含まれており、この協議会において運航状況等の検証を行うこととしております。
さらに、名古屋市と本県との間で委託事務の連絡調整について、定期的、または臨時に会議を開催する規定を設けており、委託後も引き続き県としてしっかり運航に関与してまいります。
103: ◯三十五番(福田喜夫君) 要望させていただきます。
五年前の二〇一七年三月五日、長野県防災ヘリコプターが墜落し、隊員九名が亡くなる事故が発生しました。謹んでお悔やみを申し上げますとともに、事故の検証結果を生かして、防災ヘリコプターの運航や活動に当たる必要があります。
そこで、防災ヘリコプターの運航委託後は、国の示す基準にあるように、ダブルパイロットで安全な運航の実現と県内全域の防災力が向上するような体制を早期に確立していただきたいと思います。
そして、将来的には、運航コストの削減と三機同時運用が容易に行えるように、ヘリコプターの機種を統一したり、搭乗するチームの隊員を固定するような勤務体制に移行し、より高度な活動が安全に行えるよう取り組んでいただけますよう要望して、質問を終わります。
104: ◯議長(
坂田憲治君) 進行いたします。
河合洋介議員。
105: ◯三十六番(河合洋介君) 私からは、歳出第二款総務企画費第二項総務管理費のうち、知多総合庁舎・知多福祉相談センター集約化整備事業費についてお伺いをしたいと思います。
県有施設の更新につきましては、これ、幾度となく議論に上がってございますし、たくさんある施設の中、移り行く時代の要請に合わせてしっかりと応えていってほしいというふうに思っております。
ある施設は建て替えと、ある施設は耐震化、あるいは免振工事を施して長寿命化、あるいは縮小、廃止なども含めて施設総量も適正化していく、こういったものも県としては目指されていると、議論されているかと思います。
その際、様々なセクションごとにそれぞれ所有をしている複数の県有施設を一か所に集約をしていく。この施設の集約化という手法は、県有財産である施設を適正に更新していくのに有効な手段であるのと同時に、我々県民目線からしても、県民サービスの向上という面において、単純に分かりやすくなる、利用しやすくなるといった利点も多いように感じます。
今回御提案をされております議案の中には、新総合庁舎の整備ということで、今回私が取り上げております知多総合庁舎、そして、豊田加茂総合庁舎がそれぞれ福祉相談センターとの施設を集約化して整備をしていくと、こういう提案が含まれておりますので、私からは、とりわけ地元でもあります知多総合庁舎についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
この知多総合庁舎及び知多福祉相談センターというのは、知多半島の中央部に位置をしまして、半田市の出口町、宮路町と、町名は違うんですけれども、県道を挟んで本当に目の前の本当に近い施設であります。現状、この知多総合庁舎には、知多県民事務所、そして愛知県の県税事務所ですね、知多事務所、そして知多農林水産事務所、そして知多教育事務所が入っております。あと、敷地内には、もともと地方税の滞納整理機構でもありました、現在は解散をされておりますけれども、同様の業務を行っておる任意団体も入っております。
私も年に数回は必ずお邪魔をしますけれども、三階建ての建物でかなり老朽化をしていると感じますし、職員さんたちのデスクなんかを見てもかなり狭隘化しているようにも感じます。
もちろん、それぞれ重要なセクションでございます。県民事務所の所掌する事務だけを見ましても、防犯、防災、消防、環境関係、リサイクルなんかもそうですけれども、そして労働相談などなど、相談に訪れる県民の皆さんも少なくありませんし、市町村の担当や事業者の皆さんも各種の申請、あるいは届出等に訪れる方も少なくありません。
もしものとき、もちろん昨今、危惧をされております災害、大きな災害の際は、この知多方面の拠点としての役割もあるんだというふうに感じます。
また、今回統合される知多福祉相談センターにおきましては、先ほど来、今も嶋口先生からもお話がありましたが、児童虐待防止という拠点でもありますし、生活保護やDVの相談、あるいは障害の皆さんの全般の相談や手帳の判断業務などなど、特に現代、多くの問題を抱える重要なセクションでもあります。
こちらの福祉相談センターにおいては、執務の三分の一ぐらいをプレハブで賄っておるような、大変相談に訪れる県民の皆さんにとっても、あるいは働いていらっしゃる職員の皆さんにとっても大変忍びないような老朽化の現状もあると思います。
今後は、児童虐待防止の流れからいたしましても、児童福祉司や児童心理司など専門職員の皆さんなど、増員も見込まれるようなセクションでもあると思います。こうした重要な機能を有する施設を一か所に集約をするということで、大いに期待をしているところであります。
そこで、まず伺いますが、今回、このように知多総合庁舎、知多福祉相談センターを集約化していくに当たり、本年度既に基本設計が行われておりまして、新年度は詳細設計に入ってくるものであると理解をしております。ここに至った経緯について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
それから、もう一つお聞かせください。こうした集約化の作業、これ、業務の効率化と置き換えてもいいかもしれませんが、こうしたことは今後も大いに私は進めていってほしいと考えております。
見渡しますと、この辺りの地域、今回話題に挙げさせていただいております知多総合庁舎の辺りは、名鉄住吉町駅の西側辺りなんですけれども、ほかにも愛知県の保健所があります。そしてまた、今まさに建て替えに入っているところですが、半田警察署も今回の想定をしている知多総合庁舎の本当に隣地、現状の総合庁舎の北側にあります。県立半田高校もすぐ西隣にありますし、国の施設でありますが、税務署やハローワーク、簡易裁判所はぴかぴかに建て替えられたばかりですけれども、この辺りというのは公共施設がたくさんありまして、住民からしますと、まさに官庁街だなと、官公庁がたくさんあるなと、こういうような感じの地域であります。
私は、今後、施設の更新を考えていくに当たり、今回、定数ぎりぎりでの集約化、設計というだけでなく、将来的には、先ほどのお話、児童虐待の話でも定数増が見込まれているようなセクションも多くございます。そして、防災機能の拡張や様々、保健所は今現在、長寿命化をしていくような予定だというふうに聞いてはおりますが、将来にわたって別セクションの入居なども場合によってはあるかもしれないと思っています。
そこで伺いたいと思いますが、このような地区は県内ほかにもあると思います。今後のさらなる集約化の可能性も含め、どのように施設の更新に取り組んでいかれるのか、県の考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
106:
◯総務局長(林全宏君) 初めに、知多総合庁舎と知多福祉相談センターの集約化の経緯についてお答えいたします。
知多総合庁舎は、建築後五十三年が経過し、老朽化が著しく、長寿命化に向けた基本調査では、躯体の健全度が残り二十年程度であり、長寿命化改修工事を実施しても、おおむね二十年以内には建て替えの検討が必要となります。加えて、現状は執務スペースの不足に対し、二棟のプレハブ建物で対応しており、狭隘化も課題となっております。
また、知多福祉相談センターは、建築後四十九年と老朽化が進んでおります。さらに、執務スペースの大部分をプレハブで賄っており、従来から狭隘化対策が課題となっていることに加え、児童虐待防止対策の強化を図るため、児童福祉司や児童心理司などの専門職員のさらなる増員が見込まれております。
このように、両施設は老朽化、狭隘化という課題を抱えており、特に執務スペースの狭隘化は長寿命化改修をしても解消が困難であります。
そこで、本県の庁舎の老朽化対策の取組方針の一つである施設総量の適正化を図りながら、両施設の課題を解決するため、この二施設を集約した新庁舎の整備を進めることとし、今年度は基本設計を実施しているところであり、来年度については実施設計を行ってまいります。
次に、今後の県有施設の更新等についてであります。
本県では、高度経済成長期等に集中的に整備した施設が更新や大規模改修の時期を迎えつつあり、厳しい財政状況の中で、施設の安全・安心を確保しながら、維持、更新に係る経費の軽減・平準化を図っていく必要があります。
こうしたことから、施設の老朽化対策を軸とした中長期的な県有施設の利活用最適化に係る基本的方向性を取りまとめ、二〇一五年三月に愛知県公共施設等総合管理計画を策定しました。
この計画に基づき、行政庁舎や公の施設などの庁舎等については、二〇二〇年度までに躯体の健全度と設備等の老朽度を確認する基本調査を実施し、この調査により判明した施設ごとの状況を踏まえ、二〇二一年三月に愛知県庁舎等施設長寿命化計画を策定しました。
この計画では、長寿命化の実施を基本としておりますが、コンクリート強度がない等、改修が技術的に困難な場合や、改修を行っても狭隘化や機能的な陳腐化を解消的できない場合、改修に多額の費用を要する場合などには、更新も一つの選択肢として視野に入れながら、施設ごとに適切な対応を検討しております。
なお、集約化等の検討については、これまで累次の行革大綱において集約等を実施してきましたが、今後の課題や将来的な施設の在り方も考慮しつつ、必要に応じて施設の集約化や移転、未利用・低利用施設の転用、国や市町村の庁舎、民間施設の活用なども検討しながら、施設総量の適正化を進めてまいります。
107: ◯三十六番(河合洋介君) 御答弁いただきました。ありがとうございます。
今、二つ目のお話の御答弁の中には、それぞれの施設によってしっかりと適切に更新をしていく上で、集約化など様々な可能性も排除せず検討いただくというふうなお話がありました。
地元としても非常に歓迎をして、今回の集約化、施設の更新を見ております。ぜひ利用者の身からしますと、その辺りにいけば、ワンストップじゃないですけど、県の施設がたくさんあるというようなイメージの地域でもあるわけです。
例えば、新施設の駐車場を近隣の公共施設と共有して使っていくだとか、今回あえて触れませんでしたけれども、知多福祉総合センターの跡地の利用についてだとか、あとは、将来必ず訪れる県の施設である保健所の更新も、今回は長寿命化、現有地、現有施設を長寿命化していくという方向だと思いますが、長寿命化はあくまでも少し寿命が延びるということでありますので、それを超すと、また今後どうするかという議論が必ず出てまいりますので、ぜひ新しい新知多総合庁舎を、今回、実施設計、詳細に入っていくとは思います。この新施設では防災の拠点としてどのような機能を持っていくのかですとか、屋上にヘリポートはつくのかとか、あるいは将来増員が見込まれるセクションですので、現状の定数の中で積算した平米数だけで本当にいいのかどうか、将来の集約化を含めたら、もう少し遊びを持った設計でもいいんじゃないかとか、いろんな議論が出てくるんじゃないかというふうにも思います。
ぜひ、あらゆる可能性を排除せずに、いろんなセクションからの意見を聞くのが総務局ですので、大変なお立場かと思います。国や市の施設もありますし、ぜひ様々な御検討をいただくようにお願いして、私からは発言を閉じたいと思います。よろしくお願いします。
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108: ◯四十番(丹羽洋章君) 本日はこれをもって散会し、明三月八日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
109: ◯議長(
坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
110: ◯議長(
坂田憲治君) 御異議なしと認めます。
明三月八日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十七分散会
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