• 森下豊(/)
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  1. 愛知県議会 2021-02-01
    令和3年2月定例会(第5号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和3年2月定例会(第5号) 本文 2021-03-05 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 51 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 2 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 3 :  ◯三十八番(佐波和則君) 選択 4 :  ◯環境局長岡田守人君) 選択 5 :  ◯防災安全局長山田哲夫君) 選択 6 :  ◯労働局長橋本礼子君) 選択 7 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 8 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 9 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 10 :  ◯八番(平松利英君) 選択 11 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 12 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 13 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 14 :  ◯知事大村秀章君) 選択 15 :  ◯四十番(田中泰彦君) 選択 16 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 17 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 18 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 19 :  ◯四十四番(野中泰志君) 選択 20 :  ◯農業水産局長中根俊樹君) 選択 21 :  ◯都市整備局長中川喜仁君) 選択 22 :  ◯知事大村秀章君) 選択 23 :  ◯四十四番(野中泰志君) 選択 24 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 25 :  ◯五十六番(水谷満信君) 選択 26 :  ◯環境局長岡田守人君) 選択 27 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 28 :  ◯知事大村秀章君) 選択 29 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 30 :  ◯十二番(加藤貴志君) 選択 31 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 32 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 33 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 34 :  ◯スポーツ局長(飯田靖君) 選択 35 :  ◯知事大村秀章君) 選択 36 :  ◯十二番(加藤貴志君) 選択 37 :  ◯四十一番(丹羽洋章君) 選択 38 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 39 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 40 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 41 :  ◯五十番(山本浩史君) 選択 42 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 43 :  ◯スポーツ局長(飯田靖君) 選択 44 :  ◯農業水産局長中根俊樹君) 選択 45 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 46 :  ◯知事大村秀章君) 選択 47 :  ◯五十番(山本浩史君) 選択 48 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 49 :  ◯四十番(田中泰彦君) 選択 50 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 51 :  ◯議長神戸洋美君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長神戸洋美君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問 2: ◯議長神戸洋美君) これより一般質問を行います。  通告により質問を許可いたします。  佐波和則議員。     〔三十八番佐波和則君登壇〕(拍手) 3: ◯三十八番(佐波和則君) おはようございます。通告に従い、順次質問いたします。  まず、循環型社会の形成に向けた取組の推進についてであります。  将来にわたって安定的な成長を続けていくため、大量生産、消費・廃棄型の社会から、資源を無駄なく有効に利用する循環型社会への転換が課題となっています。  我が国では、二〇〇〇年以降、循環型社会形成推進基本法の制定をはじめ、各種リサイクル法が導入され、循環型社会構築に向けた整備が行われてきました。これと並行して、社会の環境意識も高まり、企業等の環境対策を後押しする市場環境が整ってきたことから、資源の有効利用に資する技術や製品、サービスを提供するビジネスが拡大しています。  こうした中、廃棄物の回収、再資源化やエネルギーの有効利用を行い、地域内でネットワークを構築していくことは効率的で実効性が高く、地域特性も生かしやすいメリットがあり、地域の産業振興にも有効であると考えます。  本県では、二〇〇五年開催の愛知万博の理念、成果を継承し、持続可能な社会づくりのさらなる推進を目指して、あいちゼロエミッション・コミュニティ構想を策定し、未利用資源、未利用エネルギーの効率的な活用を図る全国に先駆けた事業モデルの展開に取り組むとともに、二〇一二年十月に新・あいちエコタウンプランを策定し、あいち資源循環推進センターを拠点とした人材の育成から循環ビジネスの発掘、創出、事業化まで支援する施策の推進を図ってきました。  一方、東日本大震災を契機として、電力エネルギーの逼迫に対応し、廃棄物のエネルギー利用の重要性が再認識されるとともに、バイオマス資源の活用など低炭素社会づくりや自然共生社会づくりとも一体となった資源循環の取組が一層求められました。  さらに持続可能な社会の実現に向けて、二〇一五年の国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)が設定されるなど、資源効率性の改善や廃棄物の大幅な削減などに取り組んでいくことが、今まさに世界的な潮流となってきています。  本県は、日本を代表するモノづくり県として、自動車産業を中心とした厚い産業集積や、全国有数の農業基盤、豊かな森林資源を有するなど、都市地域と産業地域、農業、畜産、林業地域といった地域がバランスよく調和し、全国的に見ても非常に高い資源循環ポテンシャルを持っています。  こうした地域ポテンシャルを十分に生かし、これまで培ってきたモノづくりをはじめとする各種の資源循環の取組を加速、発展させ、環境首都あいちとしての役割を発揮していく必要があり、循環型社会を目指す新たな計画として、二〇一七年三月にあいち地域循環圏形成プランを策定しました。  これは、廃棄物等の適正な処理を前提としつつ、資源循環そのものや地域の特性などに対し、従来からの見方や捉え方を変えることで、これまで未利用であった資源循環を最適な規模で循環させることができ、地域循環圏を形成することで、廃棄物を自然界に排出せずに環境保全と経済活動を両立させるゼロエミッションの推進にも資するだけでなく、低炭素社会の構築、地方創生、そしてイノベーションにつながることが期待されます。
     あいち地域循環圏形成プランでは、あいち資源循環センターの機能を強化し、二〇二一年度を目標年次として、愛知のポテンシャルを生かし、資源循環モデルの新展開、環境ビジネスの振興支援、人づくりと情報発信の強化、多様な主体の連携の四つを施策の柱に取組を展開しています。  このうち、資源循環モデルの新展開では、産学行政の協働拠点であるあいち資源循環推進センターを核として、地域に根差した新たな循環ビジネスの発掘、創出、事業化から円滑な事業継続、事業の普及展開に至るまで一貫した支援が進められています。  私は、日本一のモノづくり県である本県は、新たな環境ビジネスが生まれ、発展していく土壌があり、この土壌を生かし、新たな循環ビジネスの芽を育て、花を咲かせるために継続的で手厚い支援が必要であると考えます。  また、資源循環モデルの新展開では、これまで培ってきた資源循環の取組の幅広い普及や、産業、技術の集積を生かしたモノづくり循環をリードする取組を促進、また、持続可能な地域づくりにつながるための循環モデルとして三つの広域循環モデルの具体化に向けて取組が進められています。  具体的には、地域で発生する食品廃棄物、未利用木材、家畜ふん尿などのバイオマス資源を利用した地域循環圏の実現に向け、一、地産地消の推進と一体となった食品循環ループ、二、森林保全対策等と連携した里山循環圏モデル、三、農畜産場を核とした分散型バイオ活用モデルという、三つの広域循環モデルを創設し、具体的に賛同する事業者や有識者から構成される地域循環圏づくり推進チームを二〇一七年度一チーム、二〇一八年度に六チームを立ち上げ、現在、各推進チームにおいて二〇二一年度を目途に事業の具体化を目指して取り組んでいると伺っています。  さらに、人づくりと情報発信の強化では、産業技術の集積や豊かな自然環境などの愛知の資源を活用した持続可能な社会づくりに向け、ビジョンと志を持つ人材を育成することが何よりも大切とし、企業や大学、行政などの様々な分野において環境を基調とした地域づくりのリーダーの育成を目指しているあいち環境塾を二〇〇八年度から開講し、今年度までに二百六十八名の方が卒塾されました。  このたび、あいち環境塾が二〇二〇年度持続可能な社会づくり活動表彰──主催は公益社団法人環境生活文化機構──において、環境大臣賞を受賞されたことは、大変喜ばしく、誇らしく思っています。  今回の受賞を契機として、これまで以上に持続可能な社会づくりのビジョンと志を持つ方が集い、学び、意見を交わすことを通じてお互いの裾野を広げ、分野を越えた協働の可能性を発見する交流の場としてあいち環境塾のさらなる充実を期待しています。  私は、持続可能な地域づくりに最も必要なものは、地域の様々な資源を活用して経済を動かし、歴史や文化を生み出す人と人とのつながりであると考えます。そこには、人々が安全で安心して暮らせること、安定した雇用や暮らしの基盤の維持があってこそ、その地域を愛し、住み続けてくれる人を育て、その人と人がつながって持続可能な地域が実現されていくものと思います。  そのためには、あいち環境塾の卒塾生のネットワークを構築し、地域を愛し、地域のために盛り上げていこうとする熱意を持った卒塾生の皆さんが、今後キーパーソンとなって地域を引っ張っていただくことが重要であり、あいち環境塾で構築した人とのつながりを基に、地域内外で協力し合える人々と連携し、持続可能な地域づくりの輪を広げていく必要があると考えます。  そこでお尋ねします。  あいち地域循環圏形成プランに基づき、これまでの取組を進めてきた新たな循環ビジネスの発掘、創出、事業化から円滑な事業継続、事業の普及展開に向けた支援を継続的に行っていくことが重要と考えますが、これまでの取組状況とその成果について伺います。  また、三つの新たな広域循環モデルの具体化について、これまでどのような成果が得られ、今後の具体化に向けてどのような課題があるのか伺います。  さらに、職場や地域における活動を担う人材の育成は必要不可欠と考えますが、あいち環境塾について今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いします。  次に、次期あいち地域循環圏形成プランの策定についてであります。  これまでに述べた現行のあいち地域循環圏形成プランは、来年度目標年次を迎えます。県は、現在のプランに基づき、これまでの食品廃棄物などのバイオマス資源の循環や人づくりを推進してきたところですが、今後は新たな環境課題への対応も必要になってくると思います。  特に、近年世界的に問題となっているプラスチックごみに関しては、国は二〇一九年五月にプラスチックの資源循環を総合的に推進するプラスチック資源循環戦略を策定し、戦略の第一弾として使い捨てのプラスチックの使用削減など、その排出量削減に向け、容器包装リサイクル関係法令の改正により、七月にプラスチック製のレジ袋を有料化したところであります。  一方で、新型コロナ感染症への対策として、新たな生活様式により、外出の自粛や在宅勤務が増えたことにより、家庭から排出されるプラスチックごみが増加傾向にあるのではないかと思われます。  今後、国は、プラスチックごみの排出抑制やリサイクルを促進するため、家庭から出るごみについて新たな分別区分、プラスチック資源を設け、自治体が一括回収するほか、プラスチック製品の設計から提供、リサイクルに至る各段階での対応を促す制度を織り込んだ新たな法律を制定するとしています。  このように、プラスチックごみ問題をめぐる社会情勢が日々刻々と変化する中、県においても、昨年一月に、ごみは持ち帰り、自治体の回収ルールに従い処分する、ごみ拾いなど環境活動の実施、参加や呼びかけを行うなど、消費者、事業者、行政が取り組む事項を取りまとめたプラスチックごみゼロ宣言を発表したところであり、各主体が一体となってプラスチックごみの削減や循環利用を促進していくことが重要であると考えます。  そこでお尋ねします。  新たな環境課題を踏まえ、二〇二二年度以降の次期あいち地域循環圏形成プランの策定において、どのような施策の展開を考えられているのか、お伺いします。  次に、愛知県再犯防止推進計画について伺います。  社会構造や経済状況の変化に伴い、近年、犯罪は多様化、複雑化、巧妙化し、さらに犯罪年齢は低年齢化し、子供たちが犠牲となる痛ましい事件も発生しています。  このような状況の中、犯罪の発生を防止するためには、警察による取組だけでなく、県民一人一人が生活の安全に関する意識を高め、日常生活の中で犯罪対策を実践するとともに、県民、事業者、ボランティア団体、NPO、行政など地域社会全体が連携、協力して取り組み、犯罪のない安全で安心できるまちづくりを進めていかなければなりません。  全国の刑法犯認知件数は、一九九六年から毎年最多を更新し、二〇〇二年には約二百八十五万四千件に達し、国は警察官等を大幅に増員するとともに、地域におけるボランティア団体に対する支援を充実するなど、国民と一体となって身近な犯罪の抑止に取り組んできました。  こうした取組の成果もあって、二〇〇三年以降は十八年連続で減少しており、二〇二〇年には約六十一万四千件と戦後最少を更新しました。  その一方で、刑法犯により検挙された再犯者が二〇〇六年に約十五万人と最多となり、その後は減少傾向に転じて、二〇一九年は二〇〇六年と比べて三七%の減となりました。しかし、それを上回るペースで初犯者の人員も減少し続けたことから、刑法犯検挙人員に占める再犯者の割合、再犯者率は一九九七年以降上昇し続け、二〇一八年には四八・八%となり、統計法を取り入れた一九七二年以降最も高い状況となっています。  また、本県における刑法犯認知件数は、戦後最多の約二十二万五千件を記録した二〇〇三年以降減少傾向にあり、二〇二〇年には約四万件と約二割までに減少しました。  しかし、再犯者率については、二〇一八年が四七・一%、二〇一九年には四七・四%と再犯者率は約五割で推移しており、罪を犯した人の立ち直りを支える取組は今後ますます重要になってくると考えます。  二〇〇七年版犯罪白書では、全検挙者のうち約三割に当たる再犯者によって約六割の犯罪が行われていたこと、再犯者による罪は窃盗、傷害及び覚醒剤取締法違反が多いこと、就労、教育、保健医療、福祉等関係機関や民間団体等とも密接に連携する必要があること、犯罪者の更生に対する理解を促進していく必要があるなど、再犯防止対策の必要性と重要性が指摘をされました。  以降、国においては様々な取組が行われ、二〇一四年十二月には犯罪に戻らない・戻さない~立ち直りをみんなで支える明るい社会へ~を宣言し、犯罪や非行をした者を社会から排除し、孤立させるのではなく、責任ある社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会環境を構築することが不可欠であるとし、再犯防止の鍵となる仕事と居場所の確保に向けた具体策を示しました。  さらに、二〇一六年十二月に施行された再犯の防止等の推進に関する法律では、地方公共団体は再犯の防止等に関し、国との適切な役割分担を踏まえ、その地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有することが定められました。  その背景には、犯罪や非行をした人の中には、住居や就労先を確保できないまま出所する人や、貧困、孤独、疾病、障害、厳しい生育環境など様々な生きづらさを抱えた人が十分な支援を受けることができず、再び犯罪等を行ってしまうという実態があり、同法では再犯防止のために国、地方公共団体、民間協力団体等が連携して支援することが必要とされました。  県においては、罪を犯した人が立ち直り、地域社会の一員として共に生き、支え合う社会づくりを推進し、また県民が犯罪により被害を受けることを防止し、誰一人取り残すことのない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、再犯防止推進法に基づき、二〇一八年六月に愛知県再犯防止連絡協議会を設置しました。  さらに、同年十月からは、国と地方公共団体の協働による地域による効果的な再犯防止対策の在り方を検討するため、国の地域再犯防止推進モデル事業として、犯罪をした者が抱える就労や居住、福祉といった個別具体的な課題を掘り起こし、これらを解決するために、弁護士や職場定着の支援員が中心となって、寄り添い弁護士制度による社会復帰支援モデル事業と刑務所出所者等の職場定着支援モデル事業を実施しましたが、円滑な社会復帰及び再犯、再非行防止のために必要な取組であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  寄り添い弁護士制度による社会復帰支援モデル事業及び刑務所出所者等の職場定着支援モデル事業の実施内容及び効果検証結果について伺います。  愛知県再犯防止推進計画は、二〇二一年度から二〇二五年度までの五年間を計画期間として、「国・民間団体等との連携強化」、「就労・居住の確保」、「保険医療・福祉サービスの利用の促進」、「非行の防止及び学校等と連携した修学支援」、「犯罪をした者等の特性に応じた効果的な支援」、「民間協力者の活動の促進、広報・啓発活動の推進」を六つの大きな柱として施策を展開していくこととしています。  私は、毎年、保護司の方々、協力雇用主並びに更生保護女性会の皆さんと懇談する機会があり、中でも、就労の確保、非行の防止や学校と連携した修学支援、民間協力者としての活動について御苦労されていることも多く、社会復帰支援や職場定着支援等について、さらなる取組の強化が期待されます。  まず、就労の確保について伺います。  刑務所に再び入所した者のうち、約七割が再犯時に無職であった者となっています。また、仕事に就いていない者の再犯者は、仕事に就いている者の再犯者と比べて約三倍と高く、不安定な就労が再犯リスクとなっています。  そのため、就労の確保は、経済的自立のための重要な取組であり、適切な就労先が見つからず、生活困窮者となって再び犯罪に手を染めないためにも、就労を確保し、生活基盤を安定させていくことが重要と考えます。  改善更生に協力する民間の事業主である協力雇用主の開拓、拡大等の取組によって、県内では、協力雇用主の数は近年増加し、千社を超えていると伺っていますが、犯罪を犯した者等を雇用した場合の経済的負担やトラブル等が発生するリスクを考えて、実際に雇用することに不安を感じている協力雇用主も少なくないことや、協力雇用主としての活動についても、従業員や地域住民からの理解を得られないことを背景に、実際に雇用している協力雇用主はいまだに一部にとどまっています。  そこでお尋ねします。  雇用した場合であっても、社会人としての基本的な態度が身についておらず、働く中で様々な問題が発生し、就労しても早期に退職してしまう者も少なくなく、就労後の定着に向けた取組を充実させていく必要があると考えますが、今後、県として就労の定着化等に向けてどのような支援活動を行っていくのか伺います。  次に、学校における支援についてであります。  我が国における高等学校進学率は九八・五%であるのに比べ、少年院入院者の二八・九%、刑務所入所受刑者の三七・四%が中学校を卒業後に高等学校に進学していません。また、非行等を原因とする高等学校を中退する者も多く、少年院入院者の三六・八%、入所受刑者の二四・六%が高等学校を中退している状況にあります。  県においては、非行の未然防止のため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充に努めるとともに、中退者等については若者の就労支援機構と連携した就労支援の提供等を行い、非行を犯した少年に対しては立ち直りを支援するため、農作業やボランティア活動を通した居場所づくりを推進しています。民間団体においても、子ども食堂の経営やボランティアによる学習支援等が行われています。  将来を担う少年たちの健全育成を図るためには、非行の未然防止や早期対応を充実させるとともに、非行を繰り返さないように少年を取り巻く環境の中で適当な居場所や公的な支援へのつながりにくさといった課題を抱える非行少年等が、退学等により居場所を失い、必要な支援からも遠ざかってしまうことがないようにすることが重要と考えます。  そこでお尋ねします。  少年院や少年鑑別所を出院、退所した少年たちの立ち直りを支援するため、修学支援や居場所の確保等を進めることが大切であり、少年たちの周囲の一層の理解と受入れ体制を整える必要があります。  少年院等を出院、退所した少年たちの立ち直り支援のうち、学校における支援について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。  最後に、民間協力者の活動についてです。  地域における再犯防止の推進については、民間協力者の活動に大きく支えられていると言っても過言ではありません。  例えば、地域において犯罪を犯した者についての指導、支援に当たる保護司、犯罪をした者等の社会復帰を支援するための幅広い活動を行う更生保護女性会などが再犯防止に携わっていただいており、そういった民間協力者は再犯防止を推進する上で欠かせない存在として協力をいただくことが必要不可欠と考えます。  特に、刑務所などの矯正施設から退所者のうち、高齢者や障害者については、介護や生活支援、住まいの場として福祉施設の確保など特別な配慮が必要な場合もあり、社会復帰を円滑に進めるために福祉サービスを担う民間協力者と連携し、適切なサービスを受けられるよう調整を図ることが必要と考えます。  そこでお尋ねします。  地域における矯正施設を退所した高齢者や障害者の社会復帰に向けた支援について、県としてどのように対応されていくのか、お伺いします。  以上で、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯環境局長岡田守人君) あいち地域循環圏形成プランに基づく循環ビジネスの支援に関する取組状況と成果についてお答えいたします。  本県では、新たな循環ビジネスの発掘、創出への支援として循環ビジネスに関して豊富な知識と経験を持つコーディネーターによる相談窓口を設けており、プランの計画期間である二〇一七年度以降の三年間で延べ千百十件の相談に対応いたしました。  また、事業化への支援として、先導的、効果的なリサイクル施設の整備等に対し、三年間で三十三件の補助を行い、そのうち四件が資源循環や環境負荷低減に貢献する優れた取組を表彰する愛知環境賞を受賞しております。  さらに、事業の継続や普及展開につきましては、ビジネス拡大の機会を提供するため、県内外で開催される大型展示会への出展を支援しており、三年間で百五社が出展し、四百四十八件の商談があり、七社が契約に至りました。  今後も、引き続き循環ビジネスの発掘から普及展開まで一貫した支援を行うことで、循環型社会のさらなる推進に取り組んでまいります。  次に、新たな広域循環モデルの成果と課題についてお答えいたします。  バイオマス資源の有効活用に向け創設した三つの広域循環モデルの具体化を目指すため、バイオマス資源の排出、リサイクル、利用に関わる事業者と学識経験者を構成員とする七つのチームを立ち上げ、検討を進めているところであります。  食品廃棄物の活用モデルでは、飼料等の製造、利用を目指すチームにおいて、腐敗しやすい食品廃棄物から栄養価や保存性が高い乾燥飼料の製造技術の開発、施設整備が着実に進んでおりますが、乾燥飼料の販路拡大を図ることなどが課題となっております。  未利用木材の活用モデルでは、付加価値の高い製品の製造、利用を目指すチームにおいて、竹から従来品に比べて高性能の活性炭を製造する技術を開発しましたが、より安価で効率的に製造する方法を確立することなどが課題となっております。  家畜排せつ物の活用モデルでは、メタンガス発電の事業化を目指すチームにおいて、効率的な発酵技術を開発し、今年度から発電事業を開始しましたが、肥料となる副産物の利用先拡大を図ることなどが課題となっております。  その他のチームにおいても、製品の製造技術の開発などは進んでおりますが、製品の材料となるバイオマス資源の安定的な確保、製品の販売先の確保、従来品と比較した場合の品質や価格などの解決すべき課題があります。  今後、これらの課題の解決に向け、事業化検討や施設整備に対して補助金により支援をするとともに、チーム間での情報交換の場の提供や先進事例に関する情報提供を行いながら、事業の具体化を進めてまいります。  次に、あいち環境塾の今後の取組についてお答えいたします。  持続可能な社会づくりに向け、職場や地域においてリーダーとして活動できる人材を育成するため、あいち環境塾を開講しておりますが、卒塾生は、職場では習得した知識を生かして活躍しているものの、地域の活動にはつながりにくい状況となっております。  このため、昨年度から、卒塾生の地域での活動に対して専門家による助言、指導などの支援を開始したところであります。  これにより、卒塾生が地元の企業、大学等と協力をして環境学習の進め方を自治体へ提案したり、ボランティアと共に山林の間伐、植樹による景観づくりや環境学習の拠点整備を行うなどの成果が得られました。  また、来年度から、本県のウェブサイトあいち資源循環ナビに、具体的な活動手法や取組成果などの情報交換を行う場を設けるとともに、あいち環境塾に実践活動のためのより専門的な知識やノウハウの習得を目指す、卒塾生を対象としたコースを新たに設置するなど、持続可能な社会を支える行動する人づくりを進めてまいります。  最後に、次期あいち地域循環圏形成プランの施策の展開についてお答えいたします。  現在、新たな環境課題となっているプラスチックごみについて、プラスチック製品の製造品出荷額等で全国一位のシェアを誇る本県においては、プラスチックごみの削減やさらなる循環利用を促進することは大変重要な課題であると考えております。  このため、県内におけるプラスチックの製造から処分までの実態を把握することが必要と考え、今年度、プラスチック製品の製造メーカー、使用事業者、リサイクル事業者などに対し、アンケートやヒアリング調査を実施したところであり、その結果、プラスチックごみを循環利用する上で、原料としての品質や量の確保、リサイクルを繰り返すことによる強度の低下、再生品の市場創出・拡大などの課題が明らかになってまいりました。  この調査結果を踏まえ、来年度策定する次期プランにおいては、プラスチックごみを資源として循環利用する新たなビジネスモデルを創設し、事業者の連携により、事業の具体化を進めてまいりたいと考えております。 5: ◯防災安全局長山田哲夫君) 愛知県再犯防止推進計画に関するお尋ねのうち、寄り添い弁護士制度による社会復帰支援モデル事業についてであります。  本県では、罪を犯した人の立ち直りを支え、社会の一員として復帰することができる仕組みづくりに向け、二〇一八年度から三か年にわたりモデル事業に取り組んでまいりました。  具体的には、逮捕から裁判の終結まで、罪を犯した人が置かれた社会環境を熟知する弁護士の協力を得て、刑事司法の検察、裁判、矯正、更生保護の各段階において住居や就労先を確保するとともに、医療、福祉サービスにつなげるなど、社会復帰を目指す者に寄り添った切れ目のない支援を実施いたしました。  この結果、社会的信頼が高い弁護士が相談者として関わることで、当事者においては生活基盤の確保はもとより、債務整理など法的な手続も含めた支援が得られたほか、矯正期間や保護観察所においては、関係行政機関や雇用主の協力を得て円滑な社会復帰を実現するなど、当事者はもとより、全ての関係者から高い評価と取組の継続を望む声が寄せられております。  このため、本年度策定する愛知県再犯防止推進計画に、弁護士会や協力雇用主会と関係機関が連携した支援体制の強化を位置づけるとともに、来年度、新たに寄り添い弁護士制度による社会復帰支援事業を創設し、これらの取組を推進していくことといたしました。  今後も、再犯防止の推進に向け、関係機関と連携、協力し、罪を犯した人が責任ある社会の構成員として、円滑に社会復帰できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 6: ◯労働局長橋本礼子君) 刑務所出所者等の職場定着支援モデル事業についてお答えいたします。  刑務所等を出所された方などに対しましては、矯正施設、保護観察所及び公共職業安定所等が連携して包括的な就労支援を実施しているところでありますが、就職しても短期間で離職するケースが多いことなどが指摘されております。  そうした中、県では、国から本モデル事業の委託を受け、二〇一八年度には、刑務所出所者等及び協力事業主を対象に必要とされる支援メニューの調査を行い、二〇一九年度からは、その結果を踏まえ、就職後からおおむね三か月間、職場定着に向けてきめ細かなサポートを行ってまいりました。  具体的には、再犯防止の支援活動等に実績のあるNPO法人に業務委託いたしまして、名古屋保護観察所から支援対象とするよう要請を受けた刑務所出所者等御本人に対して、職場の人間関係や業務に関する悩みへの助言を、また、雇用主に対しまして、御本人から聞き取った状況を踏まえた助言を行いました。二〇一九年度には七十二名、二〇二〇年度上半期で四十名の方を支援してまいりました。  支援の効果を名古屋保護観察所とともに検証しましたところ、就職後三か月以内に離職した者の割合が六割弱から半減し、就職後六か月以上継続して就労している者の割合が増加するなど、職場定着に高い効果があったものと考えております。  次に、今後の取組についてであります。  国では、本モデル事業の成果等を踏まえ、二〇二〇年度から名古屋保護観察所はじめ二十二都道府県の保護観察所において同様の支援をスタートさせておりますが、国の支援は保護観察等を受けている期間に限られていることから、就職の時期によっては十分な支援が受けられないケースが生じております。  そこで、県といたしましては、来年度、国の支援が終了した対象者の方に対しまして引き続き相談支援を行うことで、雇用継続のフォローアップを実施することとしております。  また、刑務所出所者等の就労の場の確保を促進する取組の一つとして、来年度から、県の入札等に関する評価項目に、協力雇用主の登録及び保護観察対象者等の雇用を加えることを可能としたところであります。  今後とも、保護観察所等国の機関と連携し、刑務所出所者等の就労の定着化の支援を行ってまいります。 7: ◯教育長長谷川洋君) 少年院や少年鑑別所を出院、退所した少年たちに対する学校における立ち直り支援についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、このような児童生徒への立ち直り支援として、居場所を確保することや、進路などで自分の将来に対する希望を持てるようにすることが大切であると考えております。  小中学校では、このような児童生徒を復学させる際、入所前に抱えていた学校生活や人間関係等に関する課題の解決を図るために、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、関係機関との連携を強化し、必要な受入れ体制を整えております。そして、復学後に再び非行を起こさないような生徒指導に努めております。
     また、こうした児童生徒が将来の希望を持てるようにするために、進路相談はとても重要であります。復学した中学校では、入院中の学習状況等を把握して、学習評価や出席日数などに配慮した上で、進路相談を行っているところであります。  また、高等学校においては、丁寧に相談に応じるなどいたしまして、学び直しを希望する生徒に対しては、関係機関と連携しながら、定時制や通信制高等学校等の入学相談に応じるなどの支援も行っております。  今後も、少年院等を出院、退所した児童生徒に対しましては、一人一人に寄り添った支援をしていくことで、社会において孤立することなく、社会の一員として活躍できるよう支援に努めてまいりたいと考えております。 8: ◯福祉局長服部克己君) 矯正施設を退所した高齢者や障害者の社会復帰に向けた支援についてお答えをいたします。  刑務所などの矯正施設を退所した後、福祉的な支援が必要となる高齢者や障害者に対しましては、福祉に関わる関係機関や民間団体等との連携により、切れ目なく福祉サービスを提供することが重要であります。  そこで、本県では、地域生活定着支援センターを設置いたしまして、こうした退所者を適切な福祉サービスにつなぐ事業を実施しております。  具体的には、矯正施設へ入所中から退所後の住まいや必要となる支援について聞き取りなどを行い、民間の福祉事業者と連携して、本人の状況に応じた福祉施設の確保や、介護保険、障害福祉サービス等の利用に向けた支援を行うとともに、退所後も引き続き相談支援を行っているところでございます。  また、支援センターでは、今年度から矯正施設退所者の受入れに協力いただける施設を確保するため、福祉事業者を対象とする研修会を開催するとともに、支援センター職員が福祉施設を巡回訪問して制度への理解を深めていただく、地域ネットワーク強化事業に取り組んでいるところでございます。  さらに、来年度からは、起訴猶予などで矯正施設への入所には至らず、留置施設等を釈放された後に、自立した生活を営むことが困難な者についても支援センターの支援対象に加えてまいります。  今後とも、支援の充実に取り組み、福祉サービスを必要とする矯正施設退所者の社会復帰と地域生活への定着を支援いたしまして、再犯防止につなげてまいります。 9: ◯議長神戸洋美君) 進行いたします。  平松利英議員。     〔八番平松利英君登壇〕(拍手) 10: ◯八番(平松利英君) 尾州産地のメッカ、一宮市選出の自由民主党、平松利英です。  新型コロナの影響で巣籠もり生活を多くの方が強いられております。その関係で外出する機会が減り、おしゃれをする機会も減りました。服が売れません。尾州産地も大変な、深刻な打撃を受けております。  一日も早い終息を願うものでありますが、そのような中、大村秀章愛知県知事は、毎議会、また記者会見においても尾州製品を愛用していただいていることを宣伝していただいております。  今日も尾州マークの入ったマスクを大村知事は着用いただいております。心から感謝を申し上げつつ、私も、尾州マークの入ったマスクを今日は使いまして、また、尾州のスーツに身をまといながら、通告に従い、順次質問をさせていただきます。  初めに、少子化対策における不妊治療の支援についてお尋ねいたします。  この一年余り、新型コロナウイルスの感染拡大は健康被害にとどまらず、日本を含む世界経済に深刻な打撃を与えています。生活様式が変わり、テレワークが進むなど、働き方にも大きな変化をもたらしました。  そして、このコロナ禍において、出生数の動向にも注目すべき著しい変化が起こっています。  日本の出生数は一九七五年に二百万人を割り込み、それから四十一年後の二〇一六年には百万人を割り込みました。これは、単純計算で毎年二万四千人ずつ減少してきたことを意味しますが、このペースであれば八十五万人を割り込むのは二〇二二年になる計算です。  しかしながら、二〇一九年の出生数は八十六万四千人であり、二〇二〇年には八十五万人を割り込む可能性が高まっています。  実際、厚生労働省の人口動態統計速報によりますと、昨年の出生数は前年比で二万六千人近く下回りました。速報値には外国人も含まれるため、確定値を待たねばなりませんが、八十五万人どころか、八十四万人をも割り込む可能性が否定できない数値が出てきたのです。  また、今年の出生数を推測するに当たりヒントとなるのが、昨年五月以降の妊娠届出数であります。こちらの妊娠届出数にあっては、コロナ禍の影響をまともに受け、さらに厳しい数字が出てきています。  厚生労働省の発表によりますと、昨年五月から十月の全国の妊娠届出数は前年同期比八・二%減の三万七千件もの大幅減で推移しており、仮に十一月以降も同水準で推移すれば、今年の出生数は七十七万人前後まで落ち込む計算となり、少子化の急加速状況が如実に見えてきます。コロナ禍によって、少子化が一般的な想定より一気に十年以上前倒しで進む状況であることが分かります。  加えて、コロナ禍は婚姻数の下振れも招いており、令和元年の婚姻数は約六十一万六千組であったのに対し、昨年の婚姻数は約五十三万八千組と、実に前年比マイナス一二・七%、七万八千組の大幅減となっており、本年以降の出生数のさらなる下押し要因になるなど、コロナ禍により極めて厳しい数字が続きます。  コロナ禍において、喫緊の課題は感染症対策と経済活動の両立を図る政策であることに疑いの余地はありませんが、異常事態である急速な人口減少をどう乗り切るかも重要な課題であると私は注目しています。  少子化の影響は、経済的影響と社会的影響の二つに分けられます。  経済的影響としては、まず、十五歳以上六十五歳未満の生産年齢人口の減少による労働力供給の減少です。少子化は、将来的な労働力が減少していることを意味し、現在の生産年齢人口に属する人々が高齢者層に移ることにより、労働力の供給がより困難になることを意味します。  また、貯蓄を取り崩していく退職者の割合の増加により、貯蓄率の低下と重なって投資を抑制し、労働生産性の上昇を抑制する要因になります。加えて、少子・高齢化が進むことで、年金など社会保障への現役世代の負担が増大することも大きな問題です。少子化を解消しなければ、日本経済全体に重大な影響を与えます。  社会的影響としては、独身の方や子供のいない世帯が増加し、家族の形も大きく変化、多様化します。特に、独身高齢者の増加は、介護など社会的扶養の必要性を高めることになります。  子供の人数が減少することで子供同士の交流の機会が減少し、保護者による過保護化が進み、子供の社会性が養われにくくなるなど、子供の健やかな成長への影響が懸念されます。  地域によっては過疎化の進行により、住民に対する基礎的なサービスの提供が困難になる自治体が出てくることも懸念されます。  以上のように、少子化は経済的にも社会的にも悪影響を及ぼすため、以前よりその対策は様々打ち出されてきました。しかし、コロナ禍による少子化の急加速を防ぐためには、経済支援を含め、若い世代が安心して結婚、出産、子育てができる社会環境をちゅうちょなく速やかに構築することが不可欠であります。  少子化が進むからといって出産は強要できません。しかし、子供を産みたくても授かれないという人たちを、公助により助けることはできます。  そこで、少子化対策には様々な取組がある中で、不妊治療に関する補助制度に注目して質問をしてまいります。  不妊治療に関する補助制度としては、人工授精に要した費用を助成する一般不妊治療費助成制度と、より成功率が高いものの高額な治療費が必要となる体外受精、顕微授精に要した費用を補助する特定不妊治療費助成制度があります。  一般不妊治療の多くは健康保険が適用されますが、特定不妊治療は健康保険が適用されません。その費用は一回につき五十万から八十万円かかることもあり、経済的な負担が大きくのしかかります。  そのため、特定不妊治療費助成事業に注目が集まる中、政府は健康保険適用について令和四年度当初からの実施に向け作業を進めており、本年一月から来年三月までは保険適用までのつなぎの政策として、特定不妊治療費助成事業が拡充されます。助成金額の増や所得制限の撤廃、第二子を望む場合も制度が適用されるなど不妊治療を希望されるカップルにとり、とてもうれしいニュースであります。  しかし、制度の拡充が図られるものの、狭間や隙間が存在します。その具体例として、私の元に相談があったケースを紹介させていただきます。  長年赤ちゃんを授かることができなかった御夫婦は、主治医より自然妊娠の可能性が極めて低いと診断されたため、不妊治療に取り組みました。しかし、一般不妊治療では子供を授かることがかなわず、高額治療となる特定不妊治療を受ける決断をされました。  採卵し、顕微授精後に胚を凍結し、移植を予定していたところ、主治医も驚きましたが自然妊娠をすることができました。天にも昇る気持ちになるほどうれしかったそうです。  しかしその後、自然妊娠した受精卵は育つことなく、誠に残念ながら流産してしまいました。夫婦はあまりに大きな精神的ダメージを受けたことは言うまでもありません。  苦しみ、悩み、悲しみに明け暮れる中、顕微授精にかかった費用について助成金申請手続を進めていたところ、自然妊娠により中止した場合は助成の対象にはならないと説明を受けたとのことです。  流産による精神的ダメージを受けた上に、助成金も受け取れないという二重のショックを受け、全てに見放されてしまったと絶望。もう不妊治療を続けられる精神状態ではなく、赤ちゃんを授かる夢は諦めると涙ながらに私に話してくれました。  流産や死産は精神的ダメージが大きく、不育症の女性は一五%もの方が抑うつ状態や不安障害を発症するとの研究報告がある一方で、カウンセリングなど適切な支援により、八割以上が最終的に出産していると言われています。  コロナ禍にあって、急激な少子化が進行する今、繰り返しになりますが、出産は強要できませんが、子供を産みたくても授かれないという人を公助により助けることはできます。  来年四月からは保険適用となる見込みですが、現在妊活しているカップルにとって一年は長く、保険適用まで待っていたら時間切れになるという方がどれほど多いことか分かりません。一か月が勝負という方たちへ寄り添う姿勢が必要ではないでしょうか。  不妊に悩み、可能性を信じ治療を受け、苦悩の末に妊娠できたカップルの感激はどれほど大きいものであるか。そして、無事出産を迎え、我が子を胸に抱いた瞬間の喜び、不妊に悩むカップルが一人でも多くその喜びを体験されることを願うものであります。  そこで提案させていただきます。  本県はSDGs未来都市に選定されている愛知県であります。誰一人取り残さないというSDGsの基本理念の下、新しい命を生み出そうとする人たち、また生まれてこようと懸命に頑張る小さな命を取り残すことなく本県が支援していただきたい。大村知事のスローガンでもある全ての人が輝くあいちを実現するため、国の光が届かない制度の隙間にこそ、本県ならではの独自の光を当て、支援の手を差し伸べていただきたいと切に願います。  そこでお尋ねします。  はじめに、日本産科婦人科学会の調査によると体外受精で生まれた子供は二〇〇八年には五十人に一人でありましたが、二〇一八年では十六人に一人が体外受精で生まれています。本県において特定不妊治療費助成事業及び一般不妊治療助成事業の実績はどう推移しているか、お伺いします。  次に、国は特定不妊治療費助成事業の見直しにより、子供を望む方への支援の幅を拡大しましたが、子供を持ちたいと希望をされる方の悩みは様々であります。県としては、そのような方への支援についてどのように取り組んでいくのか。さらに、特定不妊治療や不育症への対応は今後も充実していくことが必要であると思われますが、本県の対応についてお伺いします。  次に、都市部における木材利用の促進についてお伺いします。  木材は、木目や色艶など見た目が温かく感じる、ストレスを和らげリラックスさせる、湿度を調整して過ごしやすい環境を作る、断熱性を持ち、衝撃を吸収するなどの効果を持つ人に優しい優れた素材です。  この一年は新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの方が在宅勤務や外出自粛で家にいる時間が長くなったことから、住宅に求められる機能のうち、快適さや癒やしといった部分が重視されるようになり、ぬくもりや安らぎを感じることができる木材のよさが改めて注目されたのではないでしょうか。  木材が産出される森林に目を向けますと、我が国の森林のうち人工林は、戦後植栽されたものが多くを占めており、その半数が利用期を迎えております。  この充実した森林資源を利用し、健全な森林を維持することは、水源の涵養や土砂災害の防止、地球温暖化の防止など森林が持つ公益的機能の適切な発揮につながることから、切って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用を進めていくことが重要であります。  さらに、国民病とも言われる花粉症について、中でも広く知られている杉花粉症への対策として、間伐や皆伐で樹木を切り倒すことにより花粉の発生源を直接減らすことができますし、皆伐した後には花粉飛散量の少ない品種の苗木を植栽していくことにより、花粉の飛散量の抑制にもつながります。  未来に向けて人に優しい森づくりをさらに前進させるという観点でも、森林資源の循環利用に対する期待は大きいと考えます。  平成二十二年に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されました。これにより、国が率先して木材利用に取り組むとともに、都道府県や市町村が木材利用の方針を策定し、その方針に沿った取組を進めることで全国各地に公共建築物での木材利用の事例が増えております。  例えば、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場である国立競技場の屋根は、鉄骨と木材を組み合わせたハイブリッド構造を用いることで、観客席からも木材が見えるように作られています。  また、新たな木材製品の開発が進んでおり、例えば、板を交互に重ね、貼り合わせたCLTは、床や壁に使うことで、鉄筋コンクリートなどと比べて建物重量が軽くなり、基礎工事の簡素化が図れることや、養生期間が不要であるため、工期の短縮が期待できるなどの利点があります。  このほかにも、防火や耐火性能を有する木材製品も開発され、建築物の木造、木質化に係る木材利用の可能性が広がってきています。  さらに、昨年度からは、市町村が行う森林整備等を進めるために森林環境譲与税が始まりました。この森林環境譲与税は、森林のない市町村にも配分されており、都市部では木材利用への活用も始まっております。  一方、気候変動、自然災害といった課題が経済成長や社会問題にも波及している中で、持続可能な開発目標(SDGs)への関心が社会全体で高まっています。  令和二年版森林・林業白書では、森林、林業、木材産業とSDGsの関係について、約四十ページにわたって特集されています。  その中で、木材利用については、SDGsを構成する十七の目標のうち、持続可能な生産・消費形態の確保という目標に直結するなど、合わせて七つの目標の達成に貢献するものとされています。  また、菅総理大臣は、昨年十月二十六日に、第二百三回臨時国会所信表明演説において、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。  樹木は、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、伐採された後も、木材として住宅や家具等に利用されている間は炭素を貯蔵した状態となっています。  また、木材は、鉄やコンクリート等の資材に比べて、製造や加工に要するエネルギーが少ないことから、その利用は、製造及び加工における二酸化炭素の排出削減につながります。  このように、木材の利用は脱炭素社会の実現にも貢献するものであります。  本県では、一昨年、私たちは、木材の利用を山村(やま)と都市(まち)をつなぐかけ橋とし、健全で活力ある森林(もり)づくりと都市(まち)づくりを進めていきますを開催理念に掲げて、全国植樹祭を開催しました。  また、先日公表されました食と緑の基本計画二〇二五においても、持続可能な社会の実現に貢献する循環型林業の実現に向け、都市部における木材利用を推進することとされています。  県ではこれまで、公共施設や公共工事などでの県産木材利用に取り組んでこられています。記憶に新しいところでは、令和元年八月にオープンしたアイチ・スカイ・エキスポのエントランスホールやベンチなどにふんだんに県産木材が使われており、木のよさを感じることができる空間となっています。  私の地元の一宮市でも、先ほど述べた森林環境譲与税を活用して木材利用に取り組んでおり、国営木曽三川公園を構成する一三八タワーパークにあるツインアーチ一三八の展望室内部を木質化する事業を行っております。  この内装木質化によって、木の香りと居心地のよさによる利用者の増加を図りたいとのことです。なお、リニューアルオープンは三月二十日春分の日です。濃尾平野が一望できる木質化された癒やしの空間、ツインアーチ一三八展望室をぜひ多くの方にお楽しみいただければと願うものであります。  このように、木材利用に関する関心や期待が高まっている中、持続可能な社会の実現に向けて、特に需要の多い都市部でのさらなる利用促進を図っていく必要があると考えます。  そこでお尋ねします。  都市部における木材利用の促進に向けて、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。  最後に、尾張西部の幹線道路整備についてお伺いします。  私の地元である一宮市は、古くは絹、綿織物の産地として栄え、明治以降、毛織物の産地として繊維産業都市に発展を遂げるとともに、市内外を結ぶ交通網の整備が進みました。  日本の大動脈である名神高速道路や東海北陸自動車道、名古屋市とつながる国道二十二号や名古屋高速道路一宮線など幹線道路が整備され、この地域の経済活動を支えています。  しかし、経済活動の拡大等に併せて交通量が増大し、高速道路や市内の幹線道路での渋滞が頻発しています。  一宮市はいよいよ本年四月から中核市に移行します。また九月一日には市政百周年と大きな節目を迎えます。  一宮市が引き続きこの地域の中心的役割を果たし、さらに活力ある都市となるためには、渋滞対策等道路整備による人流、物流の効率化が重要であり、現在、国や県などで取り組まれている道路整備の進捗には心から感謝申し上げますとともに、その成果に大いに期待するところであります。  中でも、名神高速道路と東海北陸自動車道の結節点である一宮ジャンクションに新設する一宮稲沢北インターチェンジについて、いよいよ今月末に開通と決まり、インターチェンジの形が見えてきました。  特にこのインターチェンジは一宮市のみならず稲沢市にも大いに意義あるインターチェンジであります。懸案の渋滞箇所の一つである苅安賀駅付近の西尾張中央道と名鉄尾西線との交差箇所を回避できることにより、さらなる交流が促進され、大きな効果がもたらされると期待に胸を膨らませているところであります。  そこで、まずお尋ねします。  一宮稲沢北インターチェンジの開通による地域への様々な整備効果をどのように考えているか、お尋ねいたします。  次に、これからの展開でありますが、名神高速道路の一宮インターチェンジから一宮ジャンクション間の慢性的な渋滞緩和に向け、NEXCO中日本において既存幅員の中で六車線に増設する対策が進められていることや、さらに、この地域の南北軸である国道二十二号の渋滞緩和に資する名岐道路の計画が大きく進展していることは大変喜ばしく、早期整備を切に願うところであります。  名岐道路については、一宮市と岐阜市を結ぶ全体計画のうち、名古屋高速道路一宮中入口付近から東海北陸自動車道一宮木曽川インターチェンジまでが優先整備区間として位置づけられており、国道二十二号の上を立体構造として、一宮市両郷町付近の国道二十二号へ接続する中間インターチェンジを設ける計画と聞いています。  名岐道路が整備された際には、この中間インターチェンジと小牧インターチェンジを結ぶ国道百五十五号バイパスを利用する車両が拍車をかけて増大することは明らかです。  現在、江南市、大口町、小牧市において延長約四・八キロメートル全線にわたり国道百五十五号バイパスの四車線化整備に取り組んでいただいていますが、名岐道路の進捗状況を鑑みますと、令和元年十二月議会でも質問しましたとおり、現在事業化されている区間より西側、つまり千秋町から両郷町までの区間においても事業化に向けた準備を始めていただかなければ、中間インターチェンジ開通に間に合いません。この四車線化の実現により、渋滞に悩まされる市内幹線道路の交通量の分散化にも寄与するものと考えております。  また現在、一宮市中心市街地などから名古屋高速道路一宮線を利用するためには、一宮中入口か、一宮東入口、さらに南の西春入口を利用することになりますが、その入り口へ接続する東西線はいずれも激しい渋滞を引き起こしており、多くの時間帯で信号を三回待たねば右折できない状況が発生しています。  その上、新たに設置予定とされる両郷町中間インターチェンジにおいては、市中心部からの接続道路となる国道百五十五号バイパスが未整備となっています。周辺道路として県道一宮犬山線が通っていますが、現在すでに激しい渋滞を引き起こしており、この状態で中間インターチェンジが開通すれば、間違いなく周辺一帯でさらなる渋滞を起こします。  先週二月二十三日に一宮市内で開催されました名岐道路の都市計画案を作成するための基本方針等の説明会においても、両郷町周辺一帯の交通集中による渋滞対策を求める地元住民の切実な意見が上がったことも受け止めねばなりません。  以上のように、発生集中する交通を名岐道路へ導き、地域の渋滞を緩和するためには、この地域の東西軸である国道百五十五号バイパスがその役割を担います。  小牧インターチェンジから中間インターチェンジまでの区間を四車線化整備し、併せて国道二十二号の西側に位置する市中心市街地と接続する県道一宮各務原線まで整備延長するなど、先を見越した整備計画を着実に進め、機能強化を図っていただきたいと強く望むものであります。
     そこでお尋ねします。  名岐道路を見据えた国道百五十五号バイパスの整備について、現在の整備状況と今後の取組方針をお伺いいたします。  質問は以上です。理事者からの前向きで明快な答弁を御期待申し上げ、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 11: ◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、本県における不妊治療費助成事業の実績の推移についてでございます。  まず、特定不妊治療費助成事業でございます。これは体外受精、顕微授精などを対象とするもので、国において二〇〇四年度に制度化され、初年度の助成件数は約九百件、助成額は約八千八百万円でございます。  二〇一五年度からの直近五年間の平均としましては、助成件数五千七百件、助成額は約九億円となっております。  次に、一般不妊治療費助成事業でございますが、これは特定不妊治療の前段階でございます人工授精を対象として二〇〇七年度から実施している県単独の事業でございまして、初年度は約二千八百組の夫婦に対し約三千七百万円を助成いたしました。  二〇一五年度からの直近五年間の平均としましては、約三千五百組の夫婦に対し約四千四百万円の助成を行いました。  なお、来年度におきましては、両事業とも制度の拡充による対象者や助成額の大幅な増加を見込んでおります。  次に、子供を望む方に対する県の取組と今後の対応でございます。  不妊症や妊娠しても流産を繰り返す不育症で悩んでいる方の抱える問題は多岐にわたりまして、県としましてもこうした問題に取り組むことは大変重要であると考えております。  今年一月、国は特定不妊治療費助成事業について、所得制限の撤廃や助成額の増額などの拡充を行いました。  これに合わせまして、本県独自の取組であります一般不妊治療費助成事業について所得制限の撤廃などの拡充を行ったところであります。  また、こうした経済的な支援に加えまして、本県では、不妊症や不育症に悩む方が治療前に抱く不安や疑問などに対応したり、治療中のセカンドオピニオン的な役割を担う相談窓口を設けております。  この窓口では、不妊症などを専門とする医師や助産師が電話やメール、面接を通じまして、相談者に寄り添った対応をすることで精神的な支えとなるよう取り組んでおります。  県としましては、これらの取組を着実に実施し、子供を望む方にきめ細やかな支援が行きわたるよう、引き続きしっかり取り組んでまいります。 12: ◯農林基盤局長(平田誠君) 都市部における木材利用の促進についてお答えします。  木材は、再生産可能な材料であり、その利用は、議員お示しのとおり、SDGsの達成や脱炭素社会の実現に貢献するものであります。  木材利用を増やしていくためには、建物の多い都市部でその利用を促進することが大変重要だと認識しており、様々な施策に取り組んでいるところでございます。  まず、県では、県産木材の利用促進に向けた全庁的な取組計画であるあいち木づかいプランを毎年策定し、率先して木材利用に取り組んでおります。  また、昨年度から始まった森林環境譲与税の使い道として、都市部の市町村では木材の利用が期待されていることから、市町村での木材利用促進に向け、市町村職員等を対象に木材利用に関する知識、技術の習得のための研修を実施するとともに、木材利用の優良事例を紹介するなど、積極的な情報提供にも取り組んでおります。  さらに、民間施設での木材利用を進めるため、木の香る都市(まち)づくり事業として、都市部を中心に商業施設や子育て支援施設などPR効果の高い施設等の県産木材利用に対して助成を行っております。  これらの取組に加えて、これまで木材利用が進んでいない建築物の木造、木質化に向けて取組を始めたところでございます。  まず、木造建築に精通している技術者が少ないことから、県内の建築士や木材関係者が中心となって設立された木材利用を推進する協議会と連携して、木造建築技術者を育成する講座を開催し、今年度七十名の参加をいただいたところです。  さらに、新たな取組として、県産木材の利用を促進していく上での技術面、流通面、コスト面の長所や短所を洗い出し、その一つ一つを精査することによって戦略的な対応策の検討を進めてまいります。  本県は木材の生産地であり、消費地でもあることから、こうした取組を通じて、都市部における木材利用の促進にしっかりと取り組んでまいります。 13: ◯建設局長鎌田裕司君) 初めに、一宮稲沢北インターチェンジの整備効果についてであります。  一宮稲沢北インターチェンジは、地域の活性化に寄与する目的で地方公共団体が主体となって高速道路のインターチェンジを整備する制度を活用し、二〇〇九年度から愛知県が中日本高速道路株式会社と共同で事業を進めてきたもので、間もなく、今月二十八日に開通いたします。  これまでは、一宮市南西部や稲沢市、名古屋港方面から東海北陸自動車道へのアクセスは、一宮稲沢北インターチェンジから約三・五キロメートル北に位置する尾西インターチェンジを利用する必要がありました。  今回の開通により、この区間にある西尾張中央道の十五か所の信号交差点や踏切を通過することなく、直接利用が可能になります。  当地域から東海北陸自動車道へのアクセス性、利便性が格段に向上し、岐阜、富山方面への広域的な交流促進や物流の効率化が図られるとともに、西尾張中央道をはじめとした周辺道路の渋滞緩和が期待されます。  また、一宮稲沢北インターチェンジ付近においては、既に開通を見込んで新たな物流施設が立地しているとともに、現在一宮市においてインターチェンジへの利便性が高まることを生かし、企業誘致を図るための地区計画を定める都市計画が進められており、産業拠点の形成、地域の活性化にも寄与するものであります。  次に、名岐道路を見据えた国道百五十五号バイパスの整備についてであります。  名岐道路については、国道二十二号の中で特に渋滞している一宮市街地部の渋滞緩和を図るとともに、リニアインパクトを広域的に波及させることを目的に、名古屋高速道路一宮線と東海北陸自動車道を結ぶ区間を優先整備区間として、現在、本県において都市計画及び環境影響評価の手続を進めております。  この名岐道路の整備効果を尾張西部地域全体に波及させるためには、議員御指摘のとおり名岐道路の中間インターチェンジへのアクセス強化を図る必要があり、その主要なアクセス道路は、小牧市、江南市、一宮市を結ぶ国道百五十五号バイパスとなります。  現在の整備状況は、国道二十二号東側のうち、江南市五明町交差点から東へ大口町、小牧市に至る約四・八キロメートル区間の四車線化事業を進めております。  また、江南市五明町交差点から西へ一宮市の国道二十二号までの約四キロメートル区間については、現在、暫定二車線で供用しており、円滑なアクセスを確保するためには、この区間の四車線化整備が必要であります。  さらに、一宮市中心市街地が位置する国道二十二号の西側は未整備であり、中心市街地から中間インターチェンジへのアクセス道路として、一定区間の整備が必要となるものと考えており、周辺道路の交通状況を見極めつつ、整備区間の検討を進めております。  今後とも、一宮市をはじめとする尾張西部地域の活性化や経済活動を支えるため、名岐道路の進展と併せ、国道百五十五号バイパスの整備に向けた取組を進めてまいります。 14: ◯知事大村秀章君) 平松利英議員の質問のうち、私からは都市部における木材利用の促進についてお答えをいたします。  なお、マスクは同じく尾州のマークのついたマスクでございます。スーツも一宮の尾州のスーツでございます。靴もいつも一宮の毛織会社の靴が多いんですが、今日は名古屋のマドラスです。  それでは申し上げます。  昨年度の全国植樹祭では、天皇陛下から木材の利用や健全な森づくりの輪が、ここ愛知から全国へ、そして未来に向けて大きく広がっていくことを願うとのお言葉を賜り、木材利用について改めて思いを強くしたところでございます。大変感動的な全国植樹祭でありました。  そういう中で、本県では昨年度から県産木材を利用したPR効果の高い民間施設に対しまして、木の香る都市(まち)づくり事業で補助、支援を行っているところでありまして、昨年十二月に、支援先の一つである名古屋市緑区徳重のあおぞら学童保育クラブを視察してまいりました。  このクラブは、木造施設のよさや木に囲まれて生き生きと過ごす子供たちの様子などをSNS等で発信をしており、これをきっかけに木造の学童保育施設の取組が名古屋市内でもさらに広がっておりますし、また、沖縄県など県外にも広がっているところでございます。  木材利用を進めていく上で、行政のみならず、民間による情報発信の重要性をも実感をしております。  また、先日、事業者を選定いたしました新体育館には、設計には隈研吾氏が携わり、施設デザインは名城公園の木々、森と調和をし、緑の一体感を創出する樹形のアリーナとする提案をいただいております。  まさに、東京で今造っている新国立とシンクロするようなデザインでございます。  そういうことで、今後とも様々なところで木材利用が進むよう、官民を挙げてしっかりと取り組んでまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 15: ◯四十番(田中泰彦君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 16: ◯議長神戸洋美君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 17: ◯議長神戸洋美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時二十四分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 18: ◯副議長(青山省三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  野中泰志議員。     〔四十四番野中泰志君登壇〕(拍手) 19: ◯四十四番(野中泰志君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。  一問目は、本県農業の発展についてお伺いいたします。  まず初めに、スマート農業の推進についてお伺いいたします。  日本政府は、二〇一八年六月に発表した未来投資戦略二〇一八の中で、農業分野の重点施策として、データと先進技術のフル活用による世界トップレベルのスマート農業の実現を掲げました。農業データ連携基盤を介した農業者間での生育データの共有やきめ細かな気象データの活用など、ソサエティー五・〇を具現化する技術の開発が進み、多様な事業者がデータを共有、活用できる環境も整いつつある今日、我が国の農業が直面している担い手不足や労働力不足などの喫緊の課題をはじめ、土地改良事業についてもコスト低減を図りつつ、農地の大区画化や汎用化、畑地化等の実施を強化し、担い手が使いやすい農地の整備と集積、集約化を併せて推進するなど、地域の基幹産業である農業の生産性を抜本的に高め、これによる所得向上を通じ、農家の魅力を高めていくために、国策として日本の農業をどうしていくべきかを示しました。  また、農業の現場をプロダクトアウト一辺倒から、消費者を起点としたマーケットイン重視に変え、バリューチェーン全体で利益を高めていくことなどが提言されていることには特に注目したいところであります。  スマート農業とは、データやロボット、AIを活用するなどして、超省力化と高付加価値化を狙う農業のことと認識しております。農業は、大きく見れば食産業の中の一つの分野であります。膨大なデータの利用、加工、分析は、農業の現場ばかりか、それを取り巻く流通や加工、販売にまで大きな変化を迫っています。食を基軸として、農産物の生産から製造と加工、流通、販売まで付加価値の連鎖を構築したビジネスシステムであるフードバリューチェーンの構築こそ、今もって日本の農業に欠けている視点であり、そのことが農業が衰退してきた一つの要因でもあると考えます。  片や、流通業界も農業界と同じく、経営者が高齢化していて、旧態依然とした古いビジネスモデルに安住しています。作る側と食べる側との間にあって、青果物の流通の大動脈を担ってきた卸売市場は、その開設や運営を許可する改正卸売市場法が二〇二〇年六月に施行され、業界再編が始まっています。今回の改正のポイントは、第三者販売が解禁されたことです。旧法で卸売業者は、仲卸業者や売買に参加する権利を持つ業者以外への販売を原則的に禁止されていました。それが流通インフラが整備されたり、鮮度の高い商品を求める声が高まったりしたことを背景に、卸売業者は、小売業者や消費者に直接販売できるようになったと同時に、仲買業者が農家や産地から直接仕入れることも可能になりました。つまり、卸売業者にとっては、今後、仲買業者が競合相手として入ってくることとなり、流通業界における競争が一段と激しさを増すことになりました。農家にとってみれば、金をかけて作物や管理に関するデータを集めても、データを活用して栽培した農作物に付加価値をつけて、個々に販売していくのは難題です。  一方、流通業者は、そうしたデータをリアルタイムで欲しがっています。データから出荷されてくる時期や量、品質などが見えてくるからです。ゆえにスマート化の前提は、技術ではなく、経営戦略である点が大切なのであって、どんな技術を入れたかよりも、それを農家がどう使いこなすのかが重要であると考えます。  本県農業の発展には、技術の開発、普及とともに意欲ある人材の確保、育成が重要な課題であると考えますが、技術については、農業総合試験場が開発を担当し、それを普及指導員が現場で農家と一緒になって実証することで普及を図ってきました。  こうした取組により、本県では農家数が減少する中でも、農業産出額は三千億円以上を維持していることは評価に値すると思っております。  しかしながら、スマート農業技術などは、民間企業も参入し、激しい競争の中、新しい技術が次々と生産現場に提案されている今日、試験場や普及課といった県の組織もそれに対応できるスピード感のある組織に改めていく必要が生まれてきたと考えます。  私の地元豊川市では、JAひまわりスマート農業研究会が中心となって、スプレーギクの国際競争力を高める産地革命と題して、スプレーギク生産農家がスマート農業の実証に取り組み、データを活用した高度な環境制御による収量向上を目指していますが、栽培改善にうまくデータを活用できている農家はまだまだ少ないのではないかと感じております。  原因の一つとして、AIが活躍できるためのデータの蓄積が圧倒的に足りないことや指導員の経験が足りないことではないかと推察いたします。  私は、スマート農業の中核となるものこそデータであると考えます。膨大なデータの蓄積と分析を基にビジネスを展開する流れは、農業も例外ではないのではないでしょうか。東三河の農業は、施設園芸を中心に集約型の農業を展開し、付加価値の高い農産物を作り出してきました。これまでは、農家の経験と勘に頼ってきた農業生産、この経験と勘で積み重ねた農業技術は伝えにくい。一方、データを使えば大勢に一気に伝えられる。先人たちが育ててきた細やかな農業の在り方をデータを用いることでどのように継承し、発展させていこうとするのか、課題は山積しております。  農家の方にお聞きしますと、気象や作物の生育、農薬や肥料の使用などのデータを細かに取っている農家はごく僅かであり、せいぜい大学ノートにメモ書き程度のものが主流だとお聞きいたしました。  例えばフルーツトマトの栽培の成否の鍵を握るのは、生育を阻害しないぎりぎりの線を狙って、水やりを極力控える技術、この技術も今もってそれぞれの農家の経験と勘が頼りの世界であります。  しかし、その技術は、今の場所だから通用するのであって、土壌や気候が少しでも異なれば安定して作ることはできません。彼らが頼っている経験と勘は、その場所で培われたものであって、条件が変われば通用しないことが多いと言われております。  データがこれからの農業にとって大きな原動力になる今日、データの活用が、この産業が抱えている根本的な問題を乗り越える手段になり得ると考えますが、こうした動きを加速するためには、まずは農業のデータを収集しなければなりません。  そのためには、県と農協の連携が重要であると考えます。農協は、農業者にとって唯一の組合であり、加盟農家は、トマトやキュウリなどの品目ごとに部会を構成しており、多品目かつ大量の野菜や果物をそろえることができ、さらに全国にそのネットワークを持っているからです。その利点を生かし、全国からの情報を収集できることも農協の強みであると思います。担い手のほぼ全てがデータを利用する時代が到来しようとしています。  そこでお伺いをいたします。  県は、今後どのような体制でスマート農業技術の開発と普及に取り組んでいかれるのか、お答えください。  続いて、新規就農者の確保、育成についてお伺いします。  農業で目下最大の難題は、高齢になった農業就業者がこれから一斉に辞める大量離農による影響を最小限に抑えながら、産業としてどう再構築するかであると考えます。  日本の農家の平均年齢は、世界でも突出して高く、実質的な定年は七十歳以上です。この問題を放置しておけば、産業として崩壊しかねないという懸念を抱かざるを得ませんが、農業就農者の高齢化で大量離農を迎える日本の農業の危機は、それが農業の変革にとっての最大のチャンスともなると言えるのではないでしょうか。このチャンスを生かせるかどうかが、まさにこの国の農業の命運を左右すると言っても過言ではないと思います。日本の農家はほとんどが先祖代々からの百年企業であります。まずは、農家の跡継ぎの育成が肝要でありますが、安定した食料の供給の観点からの新規就農者の確保、育成は必要であります。  本県では、人材については、これまでに農業大学校において実習を中心とした教育で、農業後継者を中心として、本県農業を支える人材を輩出してきました。また、各農林水産事務所には、平成二十四年度にワンストップ相談窓口として、農起業支援センターを設置し、就農希望者などの支援を行い、毎年二百人程度の新規就農者を確保していると伺っております。  一方で、二〇二〇センサスによれば、本県の農業経営体数は、五年前の四分の三となっており、これまで以上に安定的な人材の確保、育成を図る必要があると考えます。  将来の農業の担い手である農業高校生、大学校生に対し、先端技術の体験の場を提供するなど、スマート農業を学ぶ機会を充実させたり、農福連携を推進することで担い手不足が見込まれる農業分野で活躍が期待される高齢者、障害者、生活困窮者等の就農、就労支援を進めることなど、施策の充実が求められると思います。  そこで、新規就農者の確保育成に向けた体制を今後どのように強化していくのか、伺います。  続いて、昨年九月議会において、東三河地域の幹線道路のうち、国道百五十一号の整備について質問し、進捗状況と今後の取組について前向きな御答弁をいただきました。東三河地域は、自動車の輸入台数、金額とも二十七年連続日本一を記録する三河港があり、愛知のモノづくりを支える地域であります。中でも豊川市は、平成十八年から二十二年にかけて、一宮町、音羽町、御津町、そして、小坂井町の宝飯郡四町と三度の合併を行い、人口十八万人の東三河地域の拠点都市となったことにより、国道百五十一号や東三河環状線のような地域の動脈となる幹線道路の整備に加え、都市ににぎわいをもたらし、市民生活を支えるまちの中の道路、すなわち街路にも目を向け、まちづくりの観点から街路を整備し、市街地を活性化していくことも以前に増して重要になったと考えます。  そこで、豊川市の中心市街地を東西に貫き、都市形成の屋台骨とも言える都市計画道路姫街道線の街路整備について質問させていただきます。  姫街道は、古くから東海道の脇街道として、人や物の往来を支えてきた歴史ある街道であり、現在では、県道国府馬場線として豊川市民の暮らしや交流を支え、まちの発展に大きな役割を果たしてきた街路であります。  沿道には、豊川市役所総合体育館、市民病院などの公共施設が集積しており、日本三大稲荷と知られ、国内外から多くの観光客が訪れる豊川稲荷へもアクセスしており、また、沿線の豊川西部地区と豊川駅東地区では、豊川市により土地区画整理事業が行われ、豊川公園では、運動施設などのリニューアルが進められております。加えて、スズキと日立製作所の工場跡地では、大型商業施設や文化施設の建設計画が進められているところであります。これらの新たな沿線開発により、今後、豊川市はますます東三河地域の拠点としてにぎわい、魅力ある都市へと発展していくものと期待されております。  さらに、近年、全国各地で自然災害による甚大な被害が頻発し、当地域も南海トラフ巨大地震の発生が危惧されるなど、防災、減災への備えが叫ばれる中、姫街道線は、被災直後から避難、救助、物資供給などの応急活動のために緊急車両の通行を確保する道路として、緊急輸送道路に位置づけられました。令和二年四月には、まちの防災性向上が求められる中、災害対応の拠点となる豊川市防災センターが市役所内にオープンしたことにより、地域住民の安全・安心な暮らしに欠くことのできない本市にとっての大動脈と言える大変重要な役割を担う道路として期待をされております。  このように、沿線で新たなまちづくりが進み、同時に姫街道線の重要性は一層高まっておりますが、姫街道線は四車線道路として都市計画決定されているものの、現在、二車線の未整備区間が残っており、姫街道線の西側の八幡地区では、県により二車線の道路を四車線に拡幅する街路事業が進行中であります。  一方、姫街道線の東側では、姫街道踏切と呼ばれるJR飯田線及び名鉄豊川線の二路線が並行して走る踏切と交差しており、いまだ事業化されておりません。姫街道踏切は、自動車ボトルネック踏切に指定され、朝、夕を中心に渋滞が非常に激しいことから、道路が鉄道の下をくぐるアンダーパス化による早期の渋滞解消が求められておりました。今回の一般質問に向けて、工事区間の地元市議会議員に同行し、沿線の皆様から御意見をお聞きしたところ、以前と比べアンダーパス化事業についての理解が深まっており、早期事業着手を望む声を多くの方々からお聞きをいたしました。  六年前、大村知事から前向きな御答弁をいただき、今日まで関係職員の皆様の地道な御尽力の賜物であると思います。改めて感謝を申し上げます。  そこでお尋ねします。  都市計画道路姫街道線について、現在、県が整備を進めている八幡工区の進捗状況と姫街道踏切部のアンダーパス化に向けた取組についてお伺いいたします。
     以上、檀上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20: ◯農業水産局長中根俊樹君) 本県農業の発展についてのお尋ねのうち、まず、スマート農業技術の開発と普及の体制についてであります。  本県では、これまでに農業総合試験場が民間企業や大学と共同で安くて使いやすいスマート農業技術の開発を進めてまいりました。昨年十二月に策定しました愛知県農林水産業の試験研究基本計画二〇二五で、高収益、省力生産を可能にするスマート農業の実現を重点研究目標の一つに掲げて、スマート農業技術の開発と現場への普及を強力に進めることとしております。  スマート農業技術の開発につきましては、来年度、農業総合試験場に研究戦略部を新設し、研究や現場で得られる膨大なデータの分析を進めるとともに、大学や民間企業とのネットワークを構築して、生産技術だけでなく、流通や経営管理などを含めたスマート農業に関する共同研究を戦略的に進めてまいります。  また、スマート農業技術の現場への普及につきましては、同じく農業総合試験場に普及戦略部を新設し、各農林水産事務所の農業改良普及課の司令塔として戦略的に県内各地でスマート農業技術の検証に取り組み、スマート農業の核となる膨大なデータを集めて、研究部門にフィードバックいたします。そこで分析して得られた成果を現場での指導に活用し、研究開発と同時進行で迅速な普及を図ってまいります。  このように、研究と普及の連携をより一層強化する体制を整備することで、現場データをフル活用しながら、高収益、省力生産を実現するスマート農業技術の開発と普及に取り組んでまいります。  次に、新規就農者の確保、育成に向けた体制の強化についてでございます。  新規就農希望者に対する相談や情報提供は、現在、各農林水産事務所の農起業支援センターで行っております。過去五年の平均では、約二百五十人の新規就農者のうち、約八十人が農起業支援センターの支援を受けて就農しており、この農起業支援センターは一定の成果を上げております。  こうした中、最近では、どこで、何を作りたいのか、曖昧な相談者や農業の知識や経験が少ない相談者が増えております。このため、来年度、農業大学校に設置する企画研修部に新たな就農相談窓口を設け、校内にある農場を活用した農作業の見学や体験実習などにより、相談者に農業の基礎知識を学んでいただくとともに、将来の目標や必要となる技術や資金調達など就農に向けた具体的なビジョンづくりをサポートしてまいります。  また、就農ビジョンが明確になった方には、県内各地域の農起業支援センターにおいて、農地の確保をはじめ、研修先の農家の紹介、栽培技術や経営管理手法の習得、販路の確保などを市町村やJAと連携しながら、実際に就農するまで支援してまいります。  さらに、就農後も経営に必要な農業機械の免許取得や最新のスマート農業技術に関する研修など、農業者のレベルに応じた様々な研修を農業大学校で実施いたします。  こうしたきめ細やかなサポートを実施することにより、将来の本県農業の担い手となる新規就農者の確保や育成にしっかりと取り組んでまいります。 21: ◯都市整備局長中川喜仁君) 都市計画道路姫街道線についてであります。  豊川市の都市形成に重要な役割を果たしてきた姫街道線は、西側の国道一号を起点として、東側の国道百五十一号までの区間、約七・八キロメートルが四車線の道路として都市計画決定されております。このうち起点側の上宿交差点から主要地方道東三河環状線までと、終点側の豊川市役所付近から姫街道踏切を通過して、国道百五十一号に至る区間が現在二車線であり、両側に歩道を備えた四車線道路への拡幅整備が必要となっております。  現在、起点側については、筋違橋交差点から東三河環状線までの約六百五十メートルを八幡工区として都市計画事業認可を取得し、市民病院や新たに計画されている商業・文化施設からの交通需要にも対応できるよう、拡幅整備を行っております。昨年末には必要な用地の取得を全て終えましたので、今後、現道の通行を確保しながら工事を進め、二〇二二年度の事業完了を目指してまいります。  次に、終点側のうち、JR線及び名鉄線と交差する踏切部についてでありますが、この地区では、豊川駅東土地区画整理事業によるまちづくりが進められており、市の中心部における踏切交通渋滞の解消と歩行者の安全確保のため、歩道を備えた道路のアンダーパス化についての必要性を強く認識しております。これまでに道路の安全性や構造、工事の方法などについて、公安委員会、豊川市、鉄道事業者などと協議を重ねてまいりました。今後は、地域住民などの御意見を反映させた都市計画変更案の作成に向けて、今月十五日に地元説明会を開催するなど、必要な手続を進めてまいります。  県といたしましては、都市交通の円滑化及び安全な歩行空間の確保を図るとともに、緊急輸送道路の機能強化につながる八幡工区の整備推進と踏切部アンダーパス化の早期事業化にしっかり取り組んでまいります。 22: ◯知事大村秀章君) 野中泰志議員の質問のうち、スマート農業の推進について、私からもお答えをいたします。  その前に、午後のマスクは豊川のPRキャラクターのいなりんがバラの花束を持っているマスクということでございます。  さて、本県は、全国屈指の施設園芸の産地であります。このため、県では、スマート農業の第一歩として、現在使っているハウスをそのまま活用して、低コストで飛躍的に生産性の向上を図ることができるあいち型植物工場の普及を推進してまいりました。また、現在、先進農家と県や大学、民間企業、国の研究機関で構成するコンソーシアムを結成し、全国でも取組事例の少ないキュウリの水耕栽培のICT化に取り組んでおります。それぞれの構成員が持つ先端技術を巧みに組み合わせることにより、キュウリの収穫量の増加と労働時間の短縮などの成果が上がってきております。  最近では、二週間先の収穫量を正確に予測する技術の確立にもめどが立ち、今後は、需要に応じた計画的な出荷の実現に向けて取り組んでまいります。  こうした取組の成果を他の品目や他の産地へ迅速に広げていくことにより、スマート農業技術を活用する産地を数多く育成して、本県農業全体の振興を図ってまいります。 23: ◯四十四番(野中泰志君) 知事をはじめ、御答弁誠にありがとうございました。  私からは、一点要望をさせていただきます。  アンダーパス化事業は、豊川市にとって大変大きな事業であり、完成までに長い年月がかかるとともに、広範囲にわたることから、地元にとっても用地の協力など、大きな負担がかかってまいります。また、工事中には、新たな迂回道路も必要になるのではないかと考えております。  そこで、今月十五日に開催する地元説明会などにおいては、地権者に寄り添った丁寧な説明に努めていただき、地元の理解をしっかりと得ながら、早期事業化に向けて着実に進めていただくことを要望し、質問を終わります。 24: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  水谷満信議員。     〔五十六番水谷満信君登壇〕(拍手) 25: ◯五十六番(水谷満信君) それでは、通告に従い、大きく二点について、あいち生物多様性戦略について、高齢化社会に向けた認知症施策推進について、順次お伺いをいたします。  まず初めに、あいち生物多様性戦略についてお伺いいたします。  二〇一〇年十月に愛知・名古屋において、いのちの共生を未来にをテーマに生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10が開催され、歴史的な成果を得ることができました。その一つが、今後十年間に国際社会が生物多様性の保全と持続可能な利用を進めていくための世界目標である戦略計画二〇一一から二〇二〇の愛知目標が採択をされました。また、同時に開催された生物多様性国際自治体会議において、地方自治体と多様性に関する愛知・名古屋宣言がなされることにより、公園や里山など緑地や河川、ため池といった水辺など、具体のフィールドを持つ自治体の役割が強く認識をされました。そして、愛知目標では、二〇五〇年までの長期目標として、自然と共生する世界、二〇二〇年までの短期目標として、生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施するとされ、五つの戦略目標と、この目標実現に向けた具体的な二十の個別目標が示されました。  本県においては、愛知目標の達成に向けて、二〇一三年三月にあいち生物多様性戦略二〇二〇を策定いたしました。この戦略では、人口約七百五十万人を抱え、産業活動が盛んな特色を踏まえ、環境と経済の調和を図るこれまでにない仕組みとして、生態系ネットワーク形成とあいちミティゲーションを両輪に人と自然との共生を目指すあいち方式を中核的取組として掲げることで、県民、事業者、NPOの皆様や行政といった地域の様々な分野の人々が共通の目標の下に協働して、地域本来の自然環境を保全、再生し、人と人とのつながりを育みながら、生き物の生息環境をつなぐ取組を進めてきました。  基本目標として、人と自然が共生するあいちの実現を示し、様々な立場の人々が生物多様性への意識を高め、協働によって生き物がすむ場所が確保され、本来、その場所にいるべき野生の生き物と人が共に生きていくことができる愛知を目指し、二〇二〇年までに生物多様性の損失を止めるための効果的な行動が実施されることにより、その効果が確認できる状態となっていることを目指すとされました。  行動計画においては、二〇二〇年までの目標である生物多様性の損失を止めるための具体的な行動実施に向けて、五つの行動計画を柱とし、二百十四の行動計画と三十二の数値目標を設定するとともに、推進ツールの活用により効果的な取組を進めてきました。これまでに県内九つの地域における生態系ネットワーク協議会の活動や土地利用の転換や開発を行う際、自然環境への影響を緩和するミティゲーションへの取組、公共事業による緑化対策などが行われ、私の地元の天白川改修においても、基本理念として、里とまちを流れ、都市を潤し、自然と人を育む川づくりを掲げ、水害に対して安全であるとともに、上流域の里地と下流域のまちの住民が流れを通じて自然と触れ合い、自然と暮らしが融合した潤いある川づくりを進められることで、自然と触れ合うことのできる河川として、コンクリートの河川護岸から緑豊かな河川へとなってまいりました。  一方、世界に向けて愛知県は、愛知目標の達成に貢献するため、大村知事の呼びかけにより、メキシコ州政府連合、スペインのカタルーニャ州、カナダのオンタリオ州とケベック州及びブラジルのサンパウロ州とともに愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合を二〇一六年八月に立ち上げました。連合には、その後、メキシコのカンペチェ州、韓国の江原道、中国の江蘇省も加わり、それぞれの取組について成果や課題を共有することで、自らの取組を強化するとともに、COP13及びCOP14において共同声明を発信し、世界の自治体の生物多様性保全の取組の活性化を促してきました。  そこでお伺いします。  あいち生物多様性戦略二〇二〇の取組は十年間行ってきましたが、その成果と課題をどのように捉えているのか、お伺いいたします。  続いて、二〇一五年九月、国際連合の全加盟国である百九十三の国は、よりよき将来を実現するために、今後十五年間かけて極度の貧困、平等、不正義をなくし、私たちの地球を守るための計画、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、いわゆるSDGsを採択いたしました。このアジェンダは、十七の目標、百六十九のターゲットから成る持続可能な開発目標を掲げています。SDGsは、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する問題が織り込まれており、より大きな枠組みと解釈することができ、愛知目標とはお互いに補うような関係にあります。海洋と陸域の生物多様性に対処する目標十四の海の豊かさを守ろう、十五の陸の豊かさを守ろうについては、特に関連が深く、中でも愛知目標と内容が一致するターゲットは、目標年次も二〇二〇年とされております。  生物多様性や生態系は、社会経済の基礎であり、その保全は、持続可能な社会を実現することと密接で切り離せないことから、愛知目標達成はSDGsの達成につながるものとも言えます。  このため、国内外の企業では、SDGsで示された社会課題をビジネスチャンスと捉え、経営戦略に取り込もうとする動きが始まっています。また、事業者は、生物多様性の保全や持続可能な利用に積極的に取り組むことで、短期、長期的なリスクを回避、低減し、チャンスを獲得することができるとも思われます。例えば生物多様性に配慮した新製品やサービス等の開発、消費者や投資家へのアピールなど、事業者が生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組むことは、特に経営戦略面でのメリットが大きいと言えます。  一方、二〇一九年五月に公表された国連の報告書では、今後、十数年でおよそ百万種の生物が絶滅するおそれがあり、生物多様性の劣化の原因に対処するための社会変革に向けた緊急かつ協調的な努力が必要であるとしています。そうした議論を踏まえつつ、愛知目標の次の目標を決めるCOP15が今年、中国で開催される予定になっております。愛知県は、それに先立って、二月十五日、現行の戦略に代わる新たな戦略として、あいち生物多様性戦略二〇三〇を策定しました。  そこでお伺いいたします。  あいち生物多様性戦略二〇三〇はどのような特徴があり、具体的にはどのような取組を行うのか。また、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合としての取組をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。  次に、二点目の質問といたしまして、高齢化社会に向けた認知症施策推進についてお伺いをいたします。  我が国では、高齢化の急速な進展により、今後、認知症高齢者の大幅な増加が見込まれております。先般、厚生労働省が行った推計によりますと、全国の認知症高齢者の数は、二〇一五年に約五百二十五万人であったものが、二〇二五年には約七百三十万人になると見込まれております。  さらに、団塊ジュニアの世代が六十五歳になり始める二〇四〇年には、最大で約九百五十三万人になるとされております。これがどれくらいの数字が分かりやすくイメージできるよう割合に置き換えてみますと、六十五歳以上の高齢者における認知症の方は、二〇一五年、約七人に一人から、二〇二五年には約五人に一人となり、さらに二〇四〇年には約四人に一人となります。また、これを本県に当てはめてみますと、認知症高齢者の数は二〇一五年に約二十八万人であったものが、二〇二五年には約三十九万人、二〇四〇年には、最大で約五十五万人に達するとの推計となります。こうしたことから、認知症は誰もがなり得るものであり、家族や身近な人が認知症になることなども含め、多くの人にとって身近なものであると言えると思います。  こうした中、心配されるのは、認知症高齢者の行方不明者であります。昨年に発表された警視庁の資料によりますと、二〇一九年の一年間に警察に届出があった認知症高齢者の行方不明者は、全国で延べ一万七千四百七十九人に上り、七年連続で最多を更新したとのことであります。  また、本県においても市町村が把握している高齢者の行方不明者の数は年々増加をしております。二〇一九年度の一年間では、行方不明者事案は四十一の市町で発生しており、八百十九人の方が行方不明となりました。このうち、ほとんどの方が無事発見されておりますが、二十五人の方は亡くなった状態で発見され、また、いまだに見つかっていない方もおられるとお伺いしております。  こうしたことから、行方不明対策は認知症高齢者の方の命に関わる重要な行政課題であるとも言えます。  本県では、二〇一七年に国立長寿医療研究センターの協力を得て、認知症の方の御家族や地域の方に向けて認知症の方の行方不明にどのように備えるかを分かりやすく解説したリーフレットを作成し、配付しております。そのリーフレットには、御家族へのメッセージ、道に迷う認知症の方の気持ち、家族の備え、家族以外の協力が記載されており、これによりますと、御家族の備えとしては、例えばお住いの市町村に認知症の方が御自宅に帰れなくなったり、行方不明になったときに探してくれる地域のネットワークがある場合には、そこに事前に御本人のことを登録しておくことや、御本人の衣類や持ち物など、外からは目立たない部分に名前や連絡先を書いておくこと、それから、高齢者の方の外出を感知する機器や電波を利用して居場所を特定しやすくするGPSなど、位置情報システムの活用などが有効であるとのことです。  私の住んでいる名古屋市におきましても、例えば認知症高齢者の方が行方不明になった場合、あらかじめ登録をいただいている市民の方、おかえり支援サポーターといいますが、このサポーターや協力業者に行方不明になった方の身体的特徴や服装等の情報をメールで配信し、情報提供を呼びかける取扱いを行っております。  また、認知症の方が行方不明になった場合、御家族の方が早期にその方の位置情報を把握することができるように、GPS機器を利用する場合などの助成なども行っております。  こうしたICTを活用した捜索システムの普及を図ることにより、認知症の方の事故を未然に防ぐとともに、御家族の身体的及び精神的負担を軽減することができると思います。  そこでお伺いいたします。  このように、認知症高齢者の行方不明者への対策は進みつつありますが、今後、認知症の方が増加するに伴い、認知症の行方不明者対策についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  次に、認知症高齢者の方が地域で安心して暮らしていくためには、行方不明対策以外の取組も重要となってまいります。私の住んでいる地域におきましても、高齢化が急速に進み、独り暮らしの認知症の方、御夫婦ともに認知症の方などがおられますが、地域の方の見守りや生活の支援を行い、ヘルパーさんではできない不足した家事などをお手伝いしていることがあるとお聞きしておりますが、認知症が進むにつれて対応の厳しさを感じているそうです。  また、認知症が進行するに従って、買物をすることやATMの操作をするといったことが少しずつ難しくなってきたというお話を伺います。  このようなとき、例えばスーパーマーケットへ買物に見えた高齢者の様子から認知症の可能性を感じた場合、まずは温かく見守り、必要な場合は、その場できるサポートを行う。そのような対応が様々な場面でできれば、認知症の方は住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができると思います。  そこで、スーパーや金融機関の方にお話をお伺いすると、認知症と思われる方が何度も同じものを大量に買っていかれることがあるが、どう対応していいか分からないとか、通帳を何度も紛失するが、なかなか手続を理解してもらえない、話しかけてもなかなか言葉が出てこないので、対応が難しいなどの御苦労があるようです。  企業においては、従前より全国で進められてきた認知症サポーター養成講座により、認知症への理解促進を進め、認知症サポーターのあかしであるオレンジリングをつけていただいている従業員の方をお見かけすることも増えてまいりました。しかし、認知症の方の病状や行動、心理症状は様々であり、また、業務の特性に応じた対応も必要となってまいります。  こうした中、国は、二〇一九年六月に策定した認知症施策推進大綱において、認知症になってからもできる限り住み慣れた地域で普通に暮らしていただくための取組を推進することとしております。  本県においても、地域社会の中で認知症の方やその御家族が慣れ親しんだ暮らしを送るためには、医療、介護サービスの提供者だけではなく、地域の企業においても認知症の方の意思をできるだけ酌み取り、必要に応じて手助けのできる環境づくりを進めていく必要があります。そのためには、認知症への理解が必要であり、特に認知症の方と関わりの多い小売業や金融機関、公共交通機関などで働いてみえる方に対して、認知症の理解促進を図っていくことが重要であると考えます。  そこでお伺いいたします。  地域や企業における認知症への理解促進について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたしまして、私の檀上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 26: ◯環境局長岡田守人君) あいち生物多様性戦略二〇二〇の成果と課題についてお答えいたします。  本県は、COP10の開催地として、愛知目標の達成に向け、生き物の生息、生育環境を水辺や緑でつなぐ生態系ネットワークの形成と、開発に伴う自然への影響を緩和するあいちミティゲーションを戦略の中核的な取組として多様な主体との連携により推進してまいりました。  具体的な成果といたしまして、まず、生態系ネットワークの形成については、県内全域をカバーする九つの地域でNPOや企業、大学、行政など、地域の様々な主体を構成員とする協議会を順次設立し、ビオトープの整備や地域在来種の植樹、外来種駆除、啓発フォーラムの開催など、各地で地域本来の自然の保全、再生に取り組んできました。現在、九つの協議会に延べ二百八十を超える団体が参加し、各地域で精力的に活動しています。その一例を挙げますと、知多半島臨海部の企業緑地では、学生や企業などの連携によりビオトープ整備等を進めた結果、企業ごとに分断されていた緑地がつながり、近年ではキツネやウサギの生息が確認されるようになりました。この取組は、昨年、緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受けるなど、成果が広く認められています。  次に、あいちミティゲーションにつきましては、一ヘクタールを超える開発を行う事業者に対して、自然への影響緩和策を取り入れるよう指導しており、二〇一三年度から二〇一九年度までに二百十八件の開発事業のうち百六十件で地域在来種を使った植栽やビオトープ整備が実施されるなど、取組が定着しつつあります。  こうした取組により、戦略で掲げた二百十四の行動計画のうち、九割の項目において順調に進捗、または進展があったとの結果となりました。このように成果が上がった一方、課題としては、保全活動による生態系の回復状況を検証しながら活動をさらに展開していくこと、また、昨年七月の県政世論調査で五〇%強にとどまった生物多様性という言葉の認知度をさらに高め、多くの県民の皆様に自然環境に配慮した行動を取っていただくことなどが重要だと考えております。  次に、あいち生物多様性戦略二〇三〇についてお答えします。  戦略二〇三〇は、これまでの取組成果やSDGsの理念、さらには世界で行われているポスト愛知目標の議論の流れを踏まえ、二〇三〇年を目標とした方向性と行動計画を示すものでございます。二〇五〇年を見据えた長期目標を人と自然が共生するあいち、二〇三〇年までの目標を生物多様性を主流化し、あらゆる立場の人が連携して最大限の行動を取ることにより、生物多様性の保全と持続可能な利用を社会実装し、その回復に転じるとし、先ほど申し上げました課題を踏まえ、生態系ネットワークの形成と生物多様性主流化の加速を中核的な取組として十項目の重点プロジェクトに取り組んでまいります。  まず、生態系ネットワークの形成につきましては、現在、県全域で生態系ネットワーク協議会を中心に様々な保全活動が行われていますが、活動場所における生き物の生息、生育状況を継続的にモニタリングし、その結果を踏まえて、保全活動を発展、展開させ、生態系ネットワークの形成をさらに推進してまいります。  また、生物多様性主流化の加速につきましては、県民の皆様の日々の暮らしや事業者の社会経済活動の中に生物多様性が組み込まれ、社会全体で自然環境に配慮した行動が当たり前になることを目指します。戦略を推進するために重点プロジェクトとして、生物多様性に関わる県民の皆様やNPO、企業等に必要な情報、例えば生き物の生息、生育状況や人材などの情報を提供するシステムを構築し、積極的に情報を発信、共有してまいりますとともに、このシステムを活用して、多様な主体との連携により、湿地や里山の保全活動の促進、希少な動植物の保全や外来生物対策の強化、鳥獣の保護管理の推進などに精力的に取り組んでまいります。  最後に、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合としての取組についてお答えします。  今年、中国で開催される予定のCOP15に向け、昨年四月からスコットランド政府の主導により、世界の自治体の声を取りまとめるウェブ会議が進められており、本県が主導してきた連合は、共催者としてこの活動に参画し、昨年八月末には、自治体の声を集約したエジンバラ宣言を公表することができました。  本県では、この宣言への賛同を国内自治体に呼びかけましたところ、五十を超える自治体から賛同署名をいただきました。こうした取組は、COP15において、自治体の役割の重要性をさらに認識されることにつながるものと期待しているところでございます。  今後もメンバーとの情報共有、議論を深め、COP15やその準備会合に参加し、サイドイベントの開催などを通じて、生物多様性保全における自治体の役割の重要性を発信してまいります。 27: ◯福祉局長服部克己君) 認知症高齢者の行方不明対策についてお答えをいたします。  認知症高齢者の方が行方不明になったときには、重大な事故となる前に早期に発見することが大変重要であります。  このため、本県では、市町村において認知症高齢者の見守りネットワークが構築されるよう、国立長寿医療研究センターの協力を得て、対応マニュアルの作成や先進事例を紹介した研修会を開催するなど、市町村に働きかけを行ってまいりました。  その結果、現在では五十二の市町で見守りネットワークが構築されております。また、議員お示しの見守りネットワークへの事前登録制度につきましては、二〇一九年度までに三十九市町で、また、GPS等の位置情報システムにつきましては、四十一市町で導入されており、県では、こうした取組の実施に必要な経費に対し助成を行っているところであります。  今後、ますます認知症高齢者は増加していくと見込まれておりますことから、見守りネットワークの強化を図ることが必要であります。  そこで、見守りネットワークの構成員の活動をコーディネートする市町村に設置された認知症地域支援推進員の資質の向上と活動を支援するため、来年度から新たにeラーニングや活動事例の動画配信、推進員同士の意見交換などを行うことができる多機能総合型研修プラットフォームを国立長寿医療研究センターの協力により構築してまいります。  こうした取組を進め、認知症高齢者の方が行方不明となった際に早期発見ができるよう、地域の見守りネットワークの体制強化に努めてまいります。  次に、地域や企業における認知症の理解促進の取組についてお答えをいたします。  本県では、二〇〇五年から認知症を正しく理解し、認知症の方やその御家族を応援するボランティアである認知症サポーターを市町村等と協力して養成してまいりました。その結果、これまでに約六十五万人の方に認知症サポーターになっていただいております。  さらに、二〇一九年度からは、サポーターのスキルの向上を図るため、より実践的な認知症サポーターステップアップ研修を開催しております。  また、認知症と接する機会の多い小売業や金融機関、公共交通機関の職員を対象として、その業種別に認知症の方への対応方法を学び、支援する行動につなげる本県独自のワンアクション研修を昨年度から実施しており、昨年度は千四百十一名の方、今年度はコロナ禍ではありますが、六百十二名の方に受講していただいているところであります。  さらに、来年度におきましては、愛知県認知症本人大使を募集し、認知症への理解促進のためのPR活動に参加していただくほか、九月の世界アルツハイマー月間に合わせて、本人大使の講演や企業における取組発表などを内容とする認知症県民フォーラムを開催し、広く県民の皆様に認知症に関する理解を深めていただくことといたしております。  県といたしましては、こうした取組により、認知症の方やその御家族が地域で安心して暮らし続けられるよう、認知症に理解の深いまちづくりを進めてまいります。 28: ◯知事大村秀章君) 水谷満信議員の御質問のうち、私からも愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合の取組についてお答えをいたします。  本県で開催をされましたCOP10におきまして、生物多様性保全における自治体の役割が注目されたことを踏まえ、私自身もCOP11から継続して国際自治体会議に参加をさせていただいて、さらにCOP13からは、海外の先進的な自治体とともに設立した連合として、自治体の役割の重要性等を発信してまいりました。  こうした取組によりまして、二〇一八年のCOP14以降、愛知目標の次の世界目標の検討において、自治体の参加が認められるようになりました。今年、中国・昆明で開催される予定のCOP15は、新たな世界目標が採択される重要な節目となりますので、この会議にも連合として参加をし、二〇三〇年に向けて自治体の果たすべき役割について、世界の自治体や条約の締約国等としっかりと議論を尽くしてまいります。国内外の様々な自治体や団体と連携し、新たな世界目標における自治体の役割をしっかり果たしていくことを通じまして、COP15以降も世界の生物多様性保全の推進に貢献をしてまいりたいと考えております。 29: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  加藤貴志議員。     〔十二番加藤貴志君登壇〕(拍手) 30: ◯十二番(加藤貴志君) 公明党豊田市選出の加藤貴志です。  昨年春から日本でも拡大し始めた新型コロナウイルス感染症、それから約一年が経過いたしました。非日常のいわゆるニューノーマルな生活、また、新型コロナウイルスに危機感を抱える日々が日常化する中、一縷の望みとして、コロナワクチンの接種が開始されました。この状況下、自らのことは自らで守る自助に社会の重心が傾いている感がします。しかし、その中で自助努力だけでは状況改善が困難な弱い立場にある人、孤立したまま困難を深めている人を置き去りにしないような支援、つまり社会的孤立の防止を行うことが重要になってきていると思います。コロナ禍、そして、コロナ後も見据えた上で三つのテーマに関し、通告に従い順次質問させていただきます。  まず一つ目は、ヤングケアラーへの支援についてお伺いします。ヤングケアラー、最近、メディアで報道されることもあり、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
     まず、言葉の定義ですが、ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいる場合、大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話、介護、感情面でのサポートなどを行っている十八歳未満の子供と表現することができます。この表現だけを聞くと、家族の世話や面倒を子供たちが見るのは当たり前、一昔前はそんなこと当たり前だった、普通だったと思う方は少なくないかと思います。  しかし、その一昔前と現在の環境は大きく違ってきています。昭和のよき時代にあったような隣三軒は家族同然、地域ぐるみ、大家族という環境が多かった時代、困ったときは互いに助け合うということは現代社会では望めなくなってきている感がします。他人に相談がしにくい、一人で問題を抱え込みがちなヤングケアラーが抱える困難さは注視されるべき社会問題ではないでしょうか。  ここで、ヤングケアラーの事例を幾つか紹介させていただきます。  一人目は、既に一九八〇年代末には世界に先駆け、ヤングケアラーの実態調査や支援に乗り出したイギリスの文献からピックアップしたイギリス人生徒、二人目、三人目は日本人生徒です。  一人目は、脳卒中で倒れた母と一緒に暮らす十六歳の高校生。家で母を介護するのに多くの時間が割かれ、宿題をする時間も取れず、とうとう二月に学校を中退しました。そもそも修了試験の課題をこなす時間的余裕もなく、卒業も諦めました。母の面倒を見るため、他の選択肢はありませんでした。介護を始めたのは九歳のとき。学校の宿題はもちろん、食事の用意から食事を母の口に運んであげること、洗濯、皿洗い、母の入浴の手伝い、掃除など、とにかく全て。学校にいるときも母のことが絶えず心配で、頻繁に家に電話をかけて様子を確認していました。たまに電話がつながらないときもあり、心配で早退したことも数え切れないほどありました。心配してくれた先生のコメントは、遅れを取り戻すため、補習を受けることもできるけど、家族の問題で学校を休まないようにとのことだけ、教育福祉の人は、学校を休むなんてとんでもない、ヘルパーを頼ってみればと言うだけ。お金があればできるかもしれないけど、お金がない私にはどうやって介護支援を頼めというの、そのように思いながら、実現困難なアドバイスは無視、とにかく母のことを見ることが最優先で、学校には行けませんでした。もし母が脳卒中で倒れていなかったら、周りの友達と同じように学校に行き、ちゃんと卒業でき、大学にも行け、違う人生を歩めていたかもしれないと思います。  二人目は、病気や障害のある家族をケアする高校二年生。母親が統合失調症で金銭管理ができず、ライフラインが止まり、挙句の果てに夜中に叫び出し、寝ることもできず、登校できない。  三人目は、高齢家族をケアする高校一年生。母親の実家で親族と同居、寝たきりの祖父の食事、排せつなどの介護を毎晩行い、病院へも同行している。  あるヤングケアラー経験者のコメントが印象的でした。ヤングケアラーは、低温やけどのようなもの、つまり気がつかないうちに重症化するようなものという表現を聞き、なるほどと理解できました。本人が気がつかないうちに重症化するということがポイントで、そうであるなら、解決の方向としては、重症化する前に本人が早く気がついて助けを求めるようになれる、あるいは第三者が早めに状況に気がつき、本人に声かけをし、サポートをするかだと思います。ヤングケアラーが行う介護行為自体が問題ということではなく、それが同年代の子たちが経験しているような学校生活を普通に送れない、成長過程にある子供が年齢や成長度合いに応じた体験ができない、または過度なケアを強いられていないかを重視されるべきではないかと考えます。振り返ると、自分はヤングケアラーだったというコメントをよく聞きます。さきの事例でもあったように、自身ではどうにもならない家庭環境でも、適切な支援体制が周りにあれば解決の糸口があるのではと感じるとともに、自身が支援の必要性に気づき、周りに声を出しやすい環境整備、つまり孤立を防ぐような手だてがあればいいのではないかということです。  この観点で、福祉分野が取り組むべき点はもちろんですが、ヤングケアラーに当てはまる年代の小学校高学年から高校生と接点が多い教育分野が果たす役割も非常に大きいと感じます。ヤングケアラーの存在は徐々に認識されてきていますが、まだその理解度、対処方法は手探り状態だと思います。厚生労働省は、ヤングケアラーの実態把握のため、教育現場、中学、高校生に向け全国調査を行いました。愛知県内でも中学四十一校、高校二十一校が対象になったと伺っています。  そこでお尋ねします。  教育現場では、教師に対する研修制度が随時社会状況を捉えた内容で行われていると理解しています。現時点、教育現場でヤングケアラーに対する理解を促すような研修内容はあるのでしょうか。もしまだない場合、今後どのように進めていくお考えでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。  さきに事例でも述べたように、家族介護を続けることで登校できなくなり、不登校、最終的には中退となる場合も考えられます。実際は、不登校など大きな問題になってからでないと支援になかなかつながりにくいというのが現状です。しかし、本来はいかにその前段階で子供たちの変化に気づき、声かけをできるかが大変重要になってくると考えます。例えば親が授業参観や保護者面談に来ない、いじめ、忘れ物が多い、遅刻、欠席が多い、学業の停滞など教員が事前に気づくことができる兆候は生徒自身から発せられていることもあると聞きます。いよいよ頑張れなくなって、不登校や問題行動に至ってから支援を開始するよりも、その前段階で必要なサポートや声かけを行っていくことが大切だと考えます。  そこでお伺いいたします。  教育現場では、ヤングケアラーなど、家庭事情を考慮されるべき、学業に影響が出てきている、あるいは出てくると予測される児童生徒への支援を、早期発見を含めどのように行っているでしょうか。  昨年、埼玉県が行った高校二年生、五万五千人への調査によると、約四%、つまり二十五人に一人なので、割合としてはクラスには必ず一人はヤングケアラーがいるという結果が出ました。えてして同年代の友達に介護の話題はぴんとこず、一緒に過ごす時間も少ないと話題が合わない、相談できる人もいないという孤独を感じるようになる生徒も多いようです。せめて学校全体でヤングケアラーに対する理解を深める取組があればとか、相談できる人がいればという意見も多くありました。また、ヤングケアラーは、小学から高校までと対象年齢に幅があり、学校教育の観点では、高校年代は県、小中学校は市町村が管轄しています。つまり、ヤングケアラーへの取組において、県は各市町村との連携が必須となります。  そこでお伺いします。  各自治体との連携ということで、ヤングケアラーへの支援では、県に強いリーダーシップを示していただき、教育界一丸となって取り組むべきと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるでしょうか。  また、学業と家庭生活を両立しなければいけない児童生徒への支援は、福祉分野でも取り組むべきことが多いと思いますが、その点、福祉分野との連携をどのようにお考えでしょうか、教育長の御所見をお聞かせください。  続いて、福祉観点から述べたいと思います。ヤングケアラーに至る背景は様々ですが、親、祖父母の病気、障害、精神疾患、独り親世帯などの環境が多いようです。さきに述べたとおり、若年であり、抱え込み介護になりやすい、つまり、ほかに頼れる人、相談できる人がいない、いたとしても無理解や羞恥心が邪魔をし、SOSが出せない、子供が行政支援にたどり着くのは容易ではないと考えられます。そもそも様々な行政支援制度の認知が十分でなく、ヤングケアラーの存在も理解してもらいにくい。そのことでますます将来への不安や孤立感が増していくということにもなります。また、相談したくても要介護者が、例えば精神疾患を患っている場合、あえて相談しなかったという割合の児童生徒は九割にも上るという調査結果もあります。  作成中のあいち福祉保健医療ビジョン二〇二六には、共生、包括的支援、予防、早期発見、適切な役割分担と連携の重要性という文言があります。この文言は、まさにヤングケアラーへの支援に取り組む際のキーワードだと思います。  福祉分野で介護は重要視されている分野です。そこには要介護者と介護者という二面性がありますが、いずれも現状は大人を対象にしたもので、介護をする若年層、ヤングケアラーはその視点に入っていないのではと思います。大人の介護者は、人生で得た様々な経験を生かし、柔軟に対応できるすべを持っていますが、ヤングケアラーにそれを求めるのは酷で、彼らは、ケアラーである前に成長過程にある子供です。子供らしく生きる権利があり、彼らを支えていく支援が必要だと考えます。また、ヤングケアラーを取り巻く環境は、複合的な要素が絡み合っているからこそ、当事者や関係者に必要な情報提供と支援策が求められていると思います。  そこでお尋ねします。  福祉の観点でヤングケアラーをどのように認識されているでしょうか。さきにヤングケアラーの年代と最も距離が近い教育現場での取組について幾つかお尋ねしましたが、ヤングケアラーに至る背景を考えると、福祉観点でできることは多くあると思います。その中でもやはり教育現場との連携が必須だと考えられますが、ヤングケアラーへの支援の現状並びに今後どのように取り組んでいくのかをお伺いします。  最後に印象的な声かけを御紹介させていただき、次のテーマに移りたいと思います。  家族の介護をするあなたの行為自体は尊いことだし、介護される人も周りの人も随分助かっていると思います。でも自分のことを考えて、一人で抱え込まずに頑張り過ぎないように気をつけてください。ところで、あなたに寄り添って、あなたをしっかりサポートする人、ちゃんといますか。この存在の有無にヤングケアラー本人が気がつけば、自身への福祉の必要性を考えるきっかけになると思います。  二つ目は、母乳バンクの整備促進についてお伺いします。  初めて聞く方も多いかもしれない母乳バンクとは何かをまず説明したいと思います。  母乳バンクとは、母親が母乳を十分に出せない場合、赤ちゃんが病気になるのを防ぐために別の母親がボランティア提供してくれた母乳、ドナーミルクを提供する取組のことをいいます。その赤ちゃんとは、早産などで小さく生まれてきて、新生児特定集中治療室、いわゆるNICUの管理下にあるような新生児、特に千五百グラム未満の極低出生体重児です。ドナーミルクは、ドナー希望者が日本母乳バンク協会に連絡後、各地の病院でドナー登録します。その後、自身で搾乳をし、冷凍された母乳が日本橋母乳バンクに送られ、品質確保のため細菌検査、低温殺菌で保管され、全国の連携病院からの要請に応じて提供される仕組みです。でも他人の母乳を我が子に飲ませるのはちょっとという意見は医療現場、母親にもあるようです。だからこそ、安全、品質確保が重要になります。ドナーミルクを提供される方の健康状態も面談、血液検査等でチェックされ、合格しないとドナーにはなれません。また、何重もの検査をクリアしたドナーミルクだけが、厳重な管理の下保管されており、そのことは、日本橋母乳バンクを視察した際、目の当たりにしました。  本テーマを調査するに当たり、小児科医で日本母乳バンク協会の水野代表理事、藤田医科大学の宮田准教授にお会いし、意見交換を行いました。そもそも低出生体重児は、体の機能に未熟な点が多く、免疫力も弱いため、様々な病気を併発する合併症が起こりやすいとも言われています。二〇一八年の愛知県衛生年報によると、低体重児二千五百グラム未満、五千九百五十八人のうち千五百グラム未満の極低出生体重児は県内で四百二十七人、七%とのことです。特に極低出生体重児では、栄養吸収に必要な腸に異常が現れる壊死性腸炎──腸の一部が壊死する症状で、赤ちゃんの生死に関わる病気です──のリスクがありますが、その発生リスクは、母乳の場合、粉ミルクのそれよりも三分の一になると言われており、母乳には腸を早く成熟させる物質が含まれているようです。世界的に見ても母乳バンクの歴史は百年以上と古く、現在も世界中で増え続けている取組です。周産期医療体制の充実、産後の母子支援という観点からも母乳バンクの整備は当事者への有効な支援方法ではないかと考えます。  ドナーミルクの活用自体については、医学界でもその有効性が認められています。しかし、その供給が全国のNICUからの需要に追いついていないのが実情と伺いました。そのNICU、県内に二十か所整備されています。七か所の総合周産期母子医療センター、十二か所の地域周産期母子医療センター及びあいち小児保健医療総合センターです。ドナーミルクについては、安定供給の面で安全、品質の確保は最重要課題です。厚生労働省は、二十二年度までの三か年計画で、母乳バンクの整備に必要な実証データを集める研究を行っているところです。  一方、愛知県では、作成中のあいち福祉保健医療ビジョン二〇二六に周産期医療体制の充実が盛り込まれています。  また、定期的に愛知県周産期医療協議会が開催され、その中の調査研究事業の一つとして、ドナーミルクを安全に使用するための体制構築に関する調査研究事業が行われていると聞きました。  そこでお尋ねします。  現在、その調査研究事業の実施状況はどのようになっているのでしょうか。  先ほど述べた協議会でドナーミルクに関するアンケートを行った際、ドナーミルクを利用できる状況であれば利用したいと考えている小児科は約六割、愛知県に母乳バンクが必要と考える小児科は約七割との回答があったようです。ドナーミルクを提供したいという善意のドナー、ドナーミルクは増えている一方、その行為に一〇〇%満足に応えることができる母乳バンクの体制にはなっていないようです。マンパワーや資金が十分でなく、国内唯一の母乳バンクである日本橋母乳バンクで受入れから検査、管理、受注、発送まで一人でボランティアにより全ての作業をされている状況を見ても明らかでした。実際、細菌検査費、容器、輸送費、機材準備などにも費用がかかり、それらは最低限必要なものです。しかし、現時点、母乳バンクが持ち出しをしている部分も多くあると伺いました。母乳バンクが全国に広がれば、極低出生体重児にも母親にとっても希望の光になると考えられますし、赤ちゃんによいものは単純に与えてほしい、これこそ出産直後に母乳がなかなか出ず、不安な思いをされているお母さんの切なる思いであり、母子への必要な支援だと思います。公的サービスの意味合いが強い小児医療でドナーミルクを必要とする極低出生体重児に支援を行うことができる母乳バンクの存在は非常に大きいと考えます。  また、この考えは、作成中のあいち福祉保健医療ビジョン二〇二六とも合致する方向性と捉えることもでき、かつ全国に先駆けて県として母乳バンクを設立する意義は非常に大きいのではないでしょうか。  そこでお尋ねします。  母乳バンクの取組に対し、県としてどのような課題があり、その対策を今後どのように行っていくのか、御所見をお伺いします。  最後、三つ目は、障害者スポーツの推進についてお伺いします。  近年、メディアに取り上げられる機会も増え、社会の関心が高い障害者スポーツですが、障害者がスポーツを本当に身近に体験できる環境になったかというと、まだそうではないと思います。また、健常者が障害者スポーツをどれだけ知っているかというと、まだ認知が十分されていないというのが実情ではないでしょうか。  このような状況を一転させ、障害者スポーツの立ち位置を違う次元に導く可能性がある一つの起爆剤が東京パラリンピックなのかもしれません。例えばパラリンピックでも長い歴史を持つ競技種目のボッチャ──今では一度は聞いたことがある種目名──どのように行われるか、メディア等を通じ見た方も多いのではないでしょうか。二〇一六年、リオパラリンピックにおいて、日本が初めて銀メダルを獲得し、その後、一気に知名度が上がったという記憶があります。私もボッチャを体験したことがありますが、これが意外と難しく、非常に高い戦略と技術が求められる奥深い競技だと感じました。ボッチャは障害者スポーツですが、一方で、健常者にとっても十分楽しめる競技です。  何が言いたいかというと、知る機会、体験できる機会がなければ興味も湧かないだろうし、競技者、競技種目への理解も深まらない、社会の認知度も高まらないのではないかということです。逆に言うと、接する機会や実体験は、その種目のみならず、障害者スポーツの推進、振興に大いに役立つのではないかと思います。その意味で、パラリンピックが開催される今年は、日本にとって障害者スポーツのさらなる促進に大きな意味を持つ年になるかもしれません。とりわけ二十六年アジアパラ競技大会を開催予定の愛知県にとっても、障害者スポーツ振興の機運醸成の地ならしができる重要な年になると思います。しかし、機運は自然につくられるものではなく、仕掛けをし、つくり出す必要があると思います。そのため、県は様々な政策を進めていくと聞いております。その第一歩として、今年度、本県では、障害者スポーツの推進を行うに当たり検討会議が新たに設置されたと伺いました。  そこでお尋ねします。  その検討会議ではどのような検討が行われ、その検討を踏まえ、今後、障害者スポーツの推進に向けどのような取組を行っていくのか、お伺いします。  先ほどボッチャを例に出しましたが、障害者スポーツの推進において、障害者がスポーツに触れる環境をつくっていくことは非常に大切だと思います。スポーツそのものがリハビリとなり、スポーツを通じ、社会性を様々な角度で体験することで人生に充実感も生まれるのではないかと考えます。しかし、一方で、健常者に障害者スポーツを理解してもらうため、言葉、映像による説明だけで理解度が十分深まるかというと疑問です。何事も体験に勝るものはないと思います。  そこでお伺いします。  健常者が障害者スポーツへの理解を深めるには、障害者スポーツを実際に体験できる機会をつくることが重要だと考えますが、御所見をお伺いします。  二〇二六年のアジアパラ競技大会まで残り五年半しかありません。競技大会である限り、大会を目指す選手は勝負にこだわりを持って挑むと思います。そのためには、ステップを踏んだ強化策を実行する必要があります。  愛知県は、昨年度から国際的に活躍できるアスリートの発掘、育成、強化を目指し、あいちトップアスリートアカデミーを開設しました。しかし、現時点、その対象は健常者であり、障害者は入っていません。この点に関し、私は、十九年六月の教育・スポーツ委員会の一般質問で、障害者のトップアスリートの育成にも力を入れてもらいたいと要望をしました。うれしいことに、来年度からアカデミーにパラアスリート部門が新設されると伺いました。二十六年、そして、その先も見据えた上での事業だと思います。  そこでお尋ねします。  二〇二六年のアジアパラ競技大会やその先の国際的なパラスポーツ大会に向けて、地元出身のパラアスリートの育成をどのように進めていくのか、お伺いします。  未来へ向けてという意味では、教育現場において、障害者スポーツへの理解促進、そして、それを通じ、障害者に対する心のバリアフリーを育むことも重要なのではないでしょうか。例えば、障害者アスリートの学校への出前講座などを通し、児童生徒が実体験、触れ合うことで障害者スポーツに対する理解も早く進むと思います。  そこでお尋ねします。  二十一年度から始まるあいちの教育ビジョン二〇二五第四次愛知県教育振興基本計画では、障害者スポーツへの理解促進を促す取組はまだ十分とは言えないと思います。この点、教育現場で何か取り組んでいることはあるでしょうか。ある場合、その効果と課題、今後への生かし方に関し、教育長の御所見をお伺いします。  以上、理事者からの明確、前向きな答弁を期待し、檀上からの質問を終わります。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手) 31: ◯教育長長谷川洋君) 初めに、教育現場におけるヤングケアラーに関する研修についてお答えいたします。  学校では、ヤングケアラーの概念が広く知られる以前から、遅刻や欠席が多かったり、宿題が提出できなかったりするなど、学校生活に課題のある児童生徒に教育相談を行う中で、家庭環境に起因するケースがあることを把握しており、その都度、対応をしてまいりました。  ヤングケアラーは、比較的新しい概念であるため、現在、県教育委員会では、ヤングケアラーに特化した研修は実施をしておりませんが、支援を必要とする児童生徒を早期に発見できるよう、福祉分野の専門的知識や経験を持つスクールソーシャルワーカーと連携、協力した研修など、様々な機会を通じて、教職員の理解を深めているところでございます。  次に、ヤングケアラーなど、様々な家庭状況を考慮しなければならない児童生徒への支援についての取組についてお答えいたします。  ヤングケアラーをはじめとした家庭環境などに配慮が必要な児童生徒を支援するためには、こうした児童生徒を早期に発見し、専門機関等と連携しながら対応することが重要であると考えております。  現在、各学校では、教職員による日常的な観察や生徒面談、生活アンケートなどにより、支援が必要な生徒の早期発見に努めているところであります。また、支援が必要な生徒に対しては、適切な支援ができるよう、県教育委員会では、スクールソーシャルワーカーを県立学校に配置するとともに、市町村教育委員会に対して、スクールソーシャルワーカーの配置を支援する事業を実施しております。実際に県立高等学校における支援の中には、祖父母の介護、家事のため欠席が多くなっている生徒に対して、スクールソーシャルワーカーが行政サービスにつなげ、状況の改善に努めたケースもございました。こうした外部の専門家を活用することにより、支援を必要とする生徒に対して、専門機関と教職員が連携して対応できる体制を構築しております。  次に、今後の取組についてお答えいたします。  厚生労働省が現在まとめているヤングケアラーに関する全国調査の結果を踏まえながら、ヤングケアラーを含め、家庭環境等に課題を抱える児童生徒を適切に支援できるよう、教育相談体制の一層の充実を図ることが必要であると考えております。  県教育委員会では、来年度、市町村教育委員会が配置するスクールソーシャルワーカーについて、現在の二十八市町から中核市を除く全四十九市町村へ支援できる体制を整えるとともに、これまで九名であった県立学校のスクールソーシャルワーカーを十一名に拡大し、外部専門家を活用した支援体制の充実を図ってまいります。  また、ヤングケアラーの支援に関する情報を福祉部局と共有しながら対応を検討するとともに、学校が児童生徒に対して行う生活アンケートの中にヤングケアラーに関する項目を入れるなどいたしまして、児童生徒自身がヤングケアラーであることを自覚したり、周囲の友人が気づいた場合に大人に伝えたりできるよう、各学校や市町村教育委員会と連携した取組について検討してまいりたいと考えております。  次に、教育現場における障害者スポーツの理解促進に向けた取組についてであります。  県教育委員会では、二〇一八年度から、スポーツ庁の委託事業として、オリンピック・パラリンピック教育推進事業を実施しておりまして、毎年度、小中学校十二校、高等学校五校、特別支援学校一校、合計十八校を教育推進校に指定して実践を行っております。  推進校では、車椅子バスケットボールやボッチャなど、パラリンピック競技の体験会や出場経験のあるアスリートを講師に招いた講演会などの実践が行われました。その成果として、今年度、ボッチャの体験会を実施した高等学校の一つでは、パラリンピックへの興味を問う質問に関して、実施前は四六%が興味があると回答していたものが、実施後には八一%まで高まっております。そのほかにも各校における様々な取組により、共生社会への理解や多様性を尊重する態度の育成が図られてきました。こうした成果を踏まえ、東京オリンピック・パラリンピックの後も障害者スポーツの理解促進を図る取組の継続に努めてまいります。 32: ◯福祉局長服部克己君) ヤングケアラーへの支援についてのお尋ねのうち、まず、認識についてお答えをいたします。  厚生労働省の調査研究によりますと、ヤングケアラーとは、年齢や成長に見合わない重い責任や負担を負って、本来、大人が担うような家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしている十八歳未満の子供と定義をされております。また、ヤングケアラー御本人や周りの大人がケアを行うことは当然のことと考え、そのような問題に全く気づいていなかったり、不安や不満を言い出せない子供も多くいると指摘をされております。  そのため、こうした子供の存在に回りの大人は早く気づき、子供の思いを聞き、福祉サービスなど必要な支援につなげ、過度な負担を軽減していくことで、子供らしく健やかな成長ができるよう支援をしていくことが重要であると認識をしております。  次に、支援の現状と今後の取組についてお答えをいたします。  ヤングケアラーは、早期発見と適切な支援につなげることが重要でありますので、小中学校、福祉事務所や民生児童委員など、児童や家庭を支援する関係機関で構成する市町村の要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協におきまして、構成機関が発見したヤングケアラーについては、介護サービス等の適切な支援につなげているところでございます。  しかしながら、厚生労働省の調査研究の中で、要対協におけるヤングケアラーの認知度は十分でないということが指摘されましたことから、ヤングケアラーの理解促進と早期発見を図るため、調査研究で示されたヤングケアラーの概念や早期発見のためのアセスメントシート案を要対協の構成機関に周知をいたしているところであります。  また、本年度、厚生労働省がヤングケアラーの実態をさらに正確に把握するため、文部科学省の協力を得て、全国の中学二年生、高校二年生の一部を対象とするアンケート調査等を実施しております。ヤングケアラーへの支援につきましては、本人だけでなく、家族全体の支援に合わせて取り組む必要がありますことから、今後、実態調査の結果を踏まえた国の動向を注視しながら、教育委員会や保健医療局など関係部局と連携いたしまして、ヤングケアラーへの支援に取り組んでまいります。 33: ◯保健医療局長(吉田宏君) 母乳バンクについてのお尋ねのうち、まず、調査研究事業の実施状況についてでございます。  母乳バンクは、母乳が出ない場合にボランティアから集めた母乳を殺菌後、保存した、いわゆるドナーミルクを主に出生体重千五百グラム未満の未熟児に提供する仕組みで、重い腸の病気を防ぐことができると言われております。これまで母乳バンクについては、東京の昭和大学が中心となって設立した日本母乳バンク協会により普及が進められてきました。  本県でも周産期母子医療センターの専門医から構成される周産期医療協議会におきまして、今年度から藤田医科大学を中心に調査研究事業が行われております。この研究は、県の助成事業でもございまして、ドナーミルクの必要量の把握や多くの病院で使用する際の問題点を明らかにすることを目的としております。現在、三病院が研究に参加しておりますが、今後、さらに三病院が参加に向けて手続を進めております。  次に、母乳バンクの課題と対策についてでございます。  まず、課題につきましては、ドナーミルクを使用する病院の拡充、ドナーミルクの安全な管理運用などが上げられます。このうち、病院の拡充につきましては、産科、小児科の先生方に対して、ドナーミルクの有用性について理解を深めていただけるよう努めてまいります。  また、ドナーミルクの安全な管理運用につきましては、藤田医科大学の調査研究事業の結果も踏まえまして、周産期医療協議会の御助言をいただきながら対策を検討してまいります。  県といたしましては、今後とも安心・安全な妊娠、出産と子供の健やかな成長のため、周産期医療体制をしっかり整備してまいります。 34: ◯スポーツ局長(飯田靖君) 障害者スポーツの推進についてのお尋ねのうち、まず、障害者スポーツ推進検討会議の検討内容と今後の取組についてお答えをいたします。  東京二〇二〇パラリンピックの開催や二〇二六年アジアパラ競技大会の開催に向けた検討を契機といたしまして、本県の障害者スポーツをより一層推進していくため、今年度、障害者スポーツ推進検討会議を立ち上げ、有識者や障害者団体、スポーツ関係者、医療関係者、経済界などから幅広く意見を伺い、今後の取組について検討をいたしました。  会議では、障害者スポーツをもっと知ってもらい、地域での交流体験をしてもらうことで、障害者スポーツの底辺を広げていくことが大切であり、加えて、人々から注目される地元のスター選手を育てることも必要であるなど、貴重な御意見をいただいたところでございます。  これらの意見を踏まえまして、来年度、スポーツ、医療、経済界など、様々な分野とネットワークをつくり、ウェブサイトによる障害者スポーツに関する情報の発信、交流の場や地域のコミュニティーを活用した交流の場を創出していくとともに、国際大会等で活躍できる地元出身のパラアスリートの発掘、育成にも取り組んでまいります。  次に、障害者スポーツの理解促進に向けた取組についてお答えをいたします。  障害のない方に障害者スポーツに対する理解を深めていただくには、障害のある方とない方が一緒にスポーツを体験できる機会をつくることが大変重要だと認識をしております。  本県では、これまでボッチャなどの障害者スポーツを体験していただく障害者スポーツ参加促進事業を実施してまいりました。この事業は、モリコロパークの体育館などを利用いたしまして、障害のある方が初めてスポーツに触れたり、障害のない方が障害者スポーツを体験できる場として実施をしてまいりました。  来年度からは、こうした体験の場を県内の各地域へ広げていくため、新たに地域のスポーツ活動の拠点であります総合型地域スポーツクラブにおいて、障害者スポーツを通じて交流を深められるプログラムを展開してまいります。  身近な地域で誰もが障害者スポーツを体験でき、一緒にスポーツを楽しめる機会をつくることにより、障害者スポーツに対する理解を一層深めてまいります。  次に、地元出身のパラアスリートの育成についてお答えをいたします。  本県では、オリンピックやアジア競技大会など、国際大会で活躍できる地元出身のアスリートを発掘し、将来に向けて育てていくため、昨年度、あいちトップアスリートアカデミーを開校いたしました。このアカデミーに来年度からパラアスリート部門を新設し、パラリンピックやアジアパラ競技大会で活躍できる地元出身のパラアスリートの発掘、育成に取り組んでまいります。  パラアスリート部門では、スポーツ能力の高い障害のある子供たちや事故で障害を負ったアスリートにパラ陸上競技や車椅子バスケットボール、ボッチャなどの競技を体験していただき、その中から適性の高い人を選考いたします。そして、選考したアカデミー生を対象に、競技団体による専門的な実技指導や大学や医療等の関係者によるパラアスリートに必要な知識やトレーニングの方法等を学ぶ講座を実施して、トップアスリートに育ててまいります。このパラアカデミーから国際大会等で活躍できる地元出身のパラアスリートを数多く輩出していきたいと考えております。 35: ◯知事大村秀章君) 加藤貴志議員の質問のうち、私からも障害者スポーツの推進についてお答えをいたします。  障害者スポーツは、障害の理解促進や障害のある方の自立と社会参加の促進に大きく寄与するものであり、全ての人が生涯輝き、活躍できる愛知には欠くことのできないものと考えております。誰もがスポーツに触れ、障害のある方もない方も共に活躍ができるよう、障害者スポーツのより一層の推進が必要であると認識をしております。  このため、より多くの県民の皆様に障害者スポーツを知っていただき、支えていただけるよう、体験と交流の場を県内の隅々まで広げ、愛知から世界に羽ばたくパラアスリートの育成もしっかりと進めていくことで、愛知が日本の障害者スポーツをリードしてまいりたいと考えております。  そして、現在、二〇二六年アジアパラ競技大会を愛知・名古屋で開催することを検討しておりますが、この大会を開催することになりますと、頂点を目指すパラアスリートの夢の舞台であるだけでなく、アジア最大の交流の場でもありますので、愛知から世界に向けて障害者スポーツを盛り上げていく絶好の機会となります。開催の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 36: ◯十二番(加藤貴志君) 答弁ありがとうございます。  私からは、一点、ヤングケアラーへの支援に関し、要望をさせていただきます。
     ヤングケアラーについては、社会認知がまだ十分されていないというのが現状だと思います。福祉分野、教育現場、児童生徒たちへの理解度向上にリーフレット作成やホームページなどを用いた啓蒙も有効かと思います。相談しやすい体制の整備ももちろんですが、きちんとした情報提供もぜひ御検討いただければと思います。また、重要な役割を果たすスクールソーシャルワーカー、そのスクールソーシャルワーカーは、子供と家族を教育、福祉、心理、医療などの社会資源につなぐことができる役割を果たします。また、異なった立場の人々が連携することで解決の可能性が高まります。教員の要支援生徒への対応力向上を目的にスクールソーシャルワーカーが、教員に対し、ソーシャルワークに関する校内研修を行っていると伺いました。ヤングケアラーへの支援は、同時に要介護者を支援するということにもつながると思います。双方に十分な支援が届くことを望むとともに、社会的に孤立している人、しそうな人を早期に見つけ出し、支援につなげることが喫緊の課題と考えます。今後も引き続き教育、福祉連携で実態把握と支援策の検討がされることを強く要望させていただきます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 37: ◯四十一番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 38: ◯副議長(青山省三君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 39: ◯副議長(青山省三君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 40: ◯議長神戸洋美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  山本浩史議員。     〔五十番山本浩史君登壇〕(拍手) 41: ◯五十番(山本浩史君) 今定例会一般質問最後の質問でございます。  それでは、通告に従って質問をいたします。  東日本を襲った、あの大震災から間もなく十年となります。  復興庁が昨年九月に発行した復興の状況と取組によれば、避難者数は発災直後の約四十七万人から約四万人に。仮設住宅等の入居戸数は最大約十二万四千戸から約一千戸まで減。地震・津波被災地域では、生活に密着したインフラの復旧はおおむね終了し、住まいの再建も、災害公営住宅や宅地の整備がおおむね完了しているとしています。  一方、引き続き、被災地の発展基盤となる復興道路・復興支援道路等の交通・物流網の整備や、復興まちづくりを着実に進めるとされ、令和二年度の国の復興特別会計予算は二兆七百三十九億円となっており、十年間の取組により、復興に向け着実な前進が見られるものの、まだ道半ばであることが分かります。  いかに、地震、そして何よりも津波が大規模であったのか、また、復興が困難を極めてきたのか、この復興の十年の足跡はそれを物語っていると感じます。  我が国は、総延長約三万五千キロに及ぶ長い海岸線を有しており、諸外国と比べても、国土面積当たりの海岸線延長は非常に長いとされています。  ウェブサイトに公開されている、国土交通省の海岸統計を基に作成された、環境省の平成二十九年版環境統計集三章都道府県別海岸延長のデータによれば、本県の海岸線総延長は約六百六十九キロと海岸線を有する三十九都道府県のうち全国二十位です。  しかし、視点を変え、国土を津波、高潮、波浪等の被害から防護するために海岸法の規定に基づき知事が指定した海岸保全区域の延長に目を向けると、約五百五キロで全国九位となり、さらに海岸線総延長のうち、この海岸保全区域の占める割合は約七五・四%となり、全国で唯一、七五%を超え、一位となります。つまり、本県の海岸の大半は、何らかの防護施設をもって守らなければならないということを示しています。  これまでも、三河湾・伊勢湾沿岸海岸保全基本計画並びに遠州灘沿岸海岸保全基本計画をはじめ、第三次あいち地震対策アクションプランに沿って、海岸保全事業が進められてきたところですが、先ほど述べた海岸線に関する数値からも、本県にとっての津波高潮対策の重要度の高さを読み取ることができます。  今回は、こうした海岸をはじめ、港、そして海を切り口に順次質問いたします。  初めに、第三次あいち地震対策アクションプランに関連して、本県太平洋岸における津波対策について伺います。  現在、第三次あいち地震対策アクションプランの二〇一五年度から五年間の取組状況についてのフォローアップシートが公開されています。計画期間は残り約三分の一ですが、そこに記載の河川・海岸堤防等の耐震化等の推進について、河川堤防の耐震化は進捗四六・二%、海岸堤防の耐震化は二八・九%と、進捗状況から推測すると、目標年次である二〇二三年に向けて、さらなる努力が必要であると感じています。  コロナ禍にあっても、こうした防災面でのハード対策は事業進捗が滞ることのないよう、着実に前進させることが大切であり、引き続き、河川・海岸堤防等の耐震化の推進について、しっかりと取り組んでいかなくてはなりません。  また、発生が危惧される南海トラフ地震による津波発生時には、本県の防波堤ともなり得る太平洋岸の一部地域における津波対策について、東日本大震災から十年経過し、南海トラフ地震の発生確率も三十年以内に、七〇%から八〇%と言われる中、これまで毎年、対象の日出地区から堀切・小塩津地区及び赤羽根漁港周辺の地元住民からも海岸堤防の早期完成の要望書が出されており、一日も早い防護が切望されています。  特に、日出地区から堀切・小塩津地区については、前回質問で取り上げた際にも申し上げましたが、既に小学校は移転し、その跡地には一時避難場所として津波避難マウンドが建設されるなど、地元での対策は行われています。さらに、防災訓練などの参加率も高く、ソフト面での対策にも力を入れています。  過去四回にわたり一般質問で取り上げてきたところですが、太平洋岸の日出地区から堀切・小塩津地区及び赤羽根漁港周辺の津波対策について、アクションプランの目標年次に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  引き続き、本県太平洋岸に関して、あと大きく二点質問します。  本県では現在、アジア競技大会二〇二六に向けて着々と準備が進められています。  競技会場の調整状況については、二〇一九年にオリンピック中核二十八競技のうち、調整が整った三十五競技会場が仮決定されており、二〇二〇年十二月にパリオリンピック追加四競技が決定したことから、実施競技に追加するとともに、中核二十八競技のうち、会場調整中であった競技も含め、調整が整った十競技会場を仮決定予定とのことです。パリオリンピック追加競技として追加されたサーフィンについては、本県太平洋岸の大石海岸ほかが仮決定予定として追加されたところです。  本県が二〇一九年三月に公表したアジア競技大会を活用した地域活性化ビジョンの冒頭部分、はじめににおいて、知事は、単に大会を開催するだけではなく、大会を契機とした様々なレガシーを生み出し、地域の活性化を促すことが重要であると述べられており、まさに私も、大会開催の大きな意義であると受け止めております。  サーフィンは海岸や海という自然が競技会場というスポーツであり、特に地元住民の理解が重要です。また、愛好者の団体、地元自治体、サーフィン業組合、漁協、そして、海岸管理者である本県建設局等々、多くの関係者の理解と協力があって初めて成り立つ競技です。  これまでも仮決定予定の当該地域では、ISAワールドサーフィンゲームスをはじめ、競技団体が主催する大きな大会が開催されてきましたが、今回のアジア競技大会という、国をはじめ公的機関が深く関わる大会が開催されるのは初めてであり、これまで以上により周到な準備と会場整備が不可欠です。  当然ながら、南海トラフ地震への備えとして、避難路の確保は必須であり、また、地元住民との摩擦を起こすことなく、また、大会運営そのものをスムーズに進めるためには、海岸における動線の確保も必要です。競技会を成功に導くためには、関係者との十分な意見調整が鍵になると考えます。  そこで、まず、今後早い段階でそのような場を設けるべきであると思いますが、県の考えを伺います。  また、アジア競技大会を活用した地域活性化ビジョンでは、地域に密着した特定競技の普及、支援の推進として、愛知・名古屋大会において、県内各地で行われる各競技を盛り上げていくとともに、各市町村のスポーツ振興や活性化に貢献するため、○○のまちなど、市町村が定めた特定の競技を重点的に普及、支援する仕組みを構築するとしています。現在この取組の状況と今後の展開方法について伺います。  次に、太平洋岸に関して二点目、太平洋岸自転車道のナショナルサイクルルート指定に関する県の取組について伺います。  平成二十八年、自転車活用推進法が成立し、翌二十九年五月から施行されました。本法律は、自転車が二酸化炭素等を発生せず、災害時において機動的であること、自動車依存の低減により、健康増進、交通混雑の緩和等、経済的、社会的な効果、交通体系における自転車による交通の役割の拡大、そして、交通安全の確保を基本理念とし、国や地方自治体、事業者や国民の責務を定めています。  こうした国の動きを受け、本県では愛知県全域を対象とした愛知県自転車活用推進計画を昨年二月に策定しました。本計画の計画期間は、第二十回アジア競技大会、二〇二六愛知・名古屋を見据え、二〇二六年度までとし、都市環境、健康、観光、安全に関する関連計画と相互に連携することで、本計画の目的達成につなげていくとされています。このように、自転車の活用推進は、様々な分野において、その効果が期待されており、取組の重要性が増しています。  その取組の一つとして、本県ではサイクルツーリズムの促進を掲げ、太平洋岸自転車道のナショナルサイクルルートの指定に向け、必要な取組を進めてきました。  太平洋岸自転車道は、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県の各県の太平洋岸を走る延長約一千四百キロの自転車道構想です。東京オリンピック・パラリンピックまでの環境整備を目指し、看板や路面標示等の案内の充実、ホームページなどの情報発信の強化、魅力施設や受入れ環境の充実に取り組んできました。  また、ナショナルサイクルルート制度は、走行環境や休憩・宿泊機能、情報発信など、様々な取組を連携させたサイクルツーリズムの推進により、日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため、ソフト、ハード両面から一定の水準を満たすルートを国が指定することで、日本を代表し、世界に誇り得るサイクリングルートとして、国内外にPRを行い、サイクルツーリズムを強力に推進していくものとされています。  現在、茨城県霞ヶ浦湖岸、滋賀県琵琶湖岸、広島県から愛媛県にかけてのサイクリングロードの三か所が指定されています。ルートにおける取組の継続性を評価する必要があることから、新たなルートの指定の有無の確認については、国の自転車活用推進計画期間内に一回とし、三年から五年ごとに実施することになっています。  指定の効果は主に三点挙げられ、一点目は、国や日本政府観光局によるプロモーション、二点目は、社会資本整備総合交付金等により、地域の取組に対して重点的に支援、三点目は、ナショナルサイクルルートとしてのブランド価値の向上とされています。  こうしたメリットを通して、地域による情報発信、ロゴマークの設置等、ナショナルブランドを活用した誘客を狙えることになります。  現在、国土交通省自転車活用推進本部において、太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートの候補ルートとされ、第三者委員会による審査に入ることが発表されております。  令和二年十一月議会の一般質問では、本県では既に矢羽根等の路面標示や主要な交差点などにおける案内看板の設置は終わり、ナショナルサイクルルートの指定に必要な整備を完了しており、さらに今後とも国や関係自治体としっかり連携しながら、太平洋岸自転車道のナショナルサイクルルート指定を目指していくとの答弁がありました。  ナショナルサイクルルートは、ハード、ソフト両面からサイクリング環境の水準維持等の取組が評価されることからも、その維持管理は重要です。  太平洋岸自転車道の個別路線である国道四十二号及び県道田原豊橋自転車道線では、時期によっては、道路脇から自転車の走行空間付近まで草が繁茂し、サイクリストが快適、安全に走行することができない状況が見受けられます。  また、夏になると一斉に草が生い茂ることで、場所によってはサイクリストが車道中央近くを走行している光景が見られます。  ナショナルサイクルルートには、指定要件である走行環境などの取組を継続して実施することが求められております。  そこで、太平洋岸自転車道におけるナショナルサイクルルートの指定、さらには指定後の維持管理として、自転車の安全な走行環境の確保のための除草などが必要と思われますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、三河港の振興について伺います。  近年、自動車産業は、コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化の頭文字を取り、CASE、ケースと呼ばれる新たな領域での変革が進められており、自動車メーカーのみならず、異業種の参入による競争の中で、百年に一度の大変革期を迎えています。こうした中で、愛知のモノづくり企業は勝ち抜いていかなければならず、まさに、これから百年を生き抜く岐路に立たされていると言えます。  愛知のモノづくり企業を代表するトヨタ自動車は、リーマンショック直後の二〇〇九年三月期、戦後初となる営業赤字に陥りましたが、超円高やタイの洪水、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断等の危機等を乗り越え、二〇二〇年三月期では、営業利益二兆四千四百二十八億円を確保するに至っています。  コロナ禍において、豊田社長は、トヨタだけでなく、連なるサプライチェーンの雇用と人材を守り抜くとし、国内三百万台の生産を維持し、また、コロナ危機への対応に向けて、どんな環境でも持続できる体制とするため、新しいトヨタに生まれ変わるスタートポイントに立つと明言されています。  田原市内臨海部に立地するトヨタ自動車の国内最大規模の工場である田原工場は、トヨタ単体の工場では唯一、材料の調達から加工、製造する一貫生産工場であり、本社等に集積するサプライヤーから遠隔地であるため、同工場を頂点にした東三河地域等におけるサプライチェーンの巨大なピラミッド構造が生産を支えていると言えます。  田原工場では、年間で完成自動車約三十万台、エンジン約三十七万基が生産されるとともに、プライベートバースを持つため、国内の移出入と海外への輸出を可能とし、北米向けにおいては年間約八十七万台を輸出する拠点になっています。この輸出台数は、トヨタ自動車が欧州やアジア等に輸出する名古屋港の輸出台数と同じ規模です。  こうした中、部品及び完成自動車の輸送において、一日当たり一千便、往復二千台を超える物流トラックが田原工場と名古屋、西三河等を毎日往復しております。このほかにも、県内外の部品サプライヤーは、トヨタ生産方式を支える供給責任を果たし、それを支える物流企業の輸送力と定時性、速達性が必要とされる道路によりトヨタ自動車田原工場の生産は支えられています。  現在、豊橋市明海町と田原市臨海部では、トヨタ、アイシン、デンソーなど、トヨタグループをはじめ、約二百社の企業の約二万五千人に及ぶ従業員が昼夜通勤し、製造品出荷額二・四兆円を誇る産業集積に成長しています。この成長とともに、通勤車両や企業の立地による物流車両の増加によって、明海中央交差点付近では四車線の二十四時間交通量が、平成二十七年道路交通センサスによれば、約三万五千二百台に及び、主要地方道豊橋渥美線の本線と平面交差点が交通をさばき切れないため、慢性的な交通渋滞が発生しています。  国、県、市等による三河港エリア渋滞対策推進協議会は、主要地方道豊橋渥美線における豊橋市明海町周辺の交通渋滞問題に対し、渋滞に応じた道路改善に努めており、一定の成果も出ていますが、その効果は限定的であり、現在の道路構造である限り、さらなる物流の効率化と渋滞解消は困難であると言わざるを得ません。  当地域は、昭和四十九年の都市計画において、都市計画道路東三河臨海道路が位置づけられ、これが現在の道路整備の基となっています。  計画のうち、豊橋市明海町船渡埠頭から多門田交差点までは幅員五十五メートルから六十五メートルで決定されています。参考図によると、かさ上げ式の区間は、本線が四車線、側道が四車線で計画されていますが、現在、海軍橋北交差点から多門田交差点までは、主に本線四車線の平面形式で整備されている状況です。  こうした道路状況の中、道路ユーザーである田原臨海企業懇話会七十社と三河湾明海地区産業基地運営自治会百三十社は、グローバルな企業競争の中で生産性を高め、生産コストや物流コストを削減するため、国、県、市と連携し、道路を賢く使いながら生産する取組に努力しています。しかし、交通渋滞の改善にも限界があり、現道を生かしつつ、生産性向上等のために、(仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路に直結する道路構造になるような、立体化の計画として明確に位置づけ、整備されることを強く望んでいるところです。  なお、本日はコロナ禍の中であり、臨海企業の方々の議会傍聴はかないませんでしたが、現在、ウェブサイトのライブ中継を見守っていただいていると伺っています。私も、早期に立体構造の道路整備による根本的な対策が必要であると考えております。  (仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路は、重要港湾の三河港と東名高速道路の三ヶ日ジャンクションとを結ぶとともに、愛知県、静岡県との連携強化も図る重要な道路であり、現在、国において概略ルート検討等について調査が進められているところであり、地元もこの実現を大いに期待しております。  令和二年八月、三河港振興会の会員でもある田原臨海企業懇話会、三河湾明海地区産業基地運営自治会並びに豊橋市と田原市により、国土交通省及び財務省に対する幹線道路整備に関する提案書が提出されております。その中で、(仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路の三河港への接続に当たっては、主要地方道豊橋渥美線を立体構造で併せて整備し、かつジャンクション形式で接続することにより、渋滞のない道路構造とすることを含め、早期実現を提案しております。  私としても、交通渋滞がなく、グローバル経済の中で企業の競争力を支えるスムーズな流れを確保するためには、十分な検討が必要であり、早期実現に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そこでお尋ねします。  (仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路における国の調査状況と県としての取組について伺います。  最後に、本県の漁業振興、海の幸について伺います。  海は、時に津波や高潮により我々の生命や財産を奪う、畏怖すべき存在ですが、一方で、様々な海の恵みをもたらしてくれる存在でもあります。  本県では、生産力に優れた海から、季節ごとの特色を持った水産物がたくさん水揚げされ、四季折々の旬の食材として、我々の食卓を彩っています。  春めいてきたこれからの季節は、うまみをたっぷりと含んだ、アサリ、バカガイ、トリガイ、タイラギなどの貝類がおいしい季節です。  夏になると、きらきらと輝き、透き通ったシラスがたくさん水揚げされ、アナゴやタコも旬を迎えます。  秋には、ワタリガニに身が詰まり、イワシも脂が乗っておいしくなり、外海ではヤリイカも取れ出します。  そして、冬になるとノリ養殖が始まり、香りのよさで名高い愛知産の新ノリを味わうことができます。本県が名産地である高級食材のトラフグやナマコも解禁されます。  こうした四季折々の地元の旬の水産物を食すとき、海の恵みの豊かさを実感し、それぞれの季節の息吹を味わうことができます。  世界中からあらゆる食材がスーパーマーケットでいつでも手に入る現代では、食べ物から季節感を得ることがなかなか難しくなっています。  地元の海からもたらされる旬の水産物は、私たちに四季を感じさせてくれる数少ない食材ではないかと思います。  そして、そんな地元の水産物を届け、私たちの食卓と海の季節感とをつないでくれる漁業は、大変重要な産業であり、これからも大切に育てていかなければなりません。  一方、水産物に旬があるということは、裏を返せば、漁業における収入は、季節により大きく差があるということになります。  例えば、シラス漁業は、春から秋にかけて出漁されますが、冬にはほとんど仕事がなくなるとも聞いています。  また、ノリ養殖業は、年間を通じて仕事をされていますが、収入が得られるのは冬のごく僅かな期間だけです。  かつては、特定の季節だけで一年の糧が得られた時代もありましたが、今は様々な水産物の資源が減少しており、加えて、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビといった回転ずしなどでおなじみの食材は、チリやノルウェー、中国、ベトナム、インドネシアなど、様々な国から輸入されており、それらに押されて、水産物の値段もなかなか上がらず、漁業にとっては大変難しい時代となっているのが現状です。  言うまでもなく、漁業は決まった給料が保証されているわけではなく、季節やその年の状況によって収入が大きく異なるため、毎年、毎月が勝負の不安定な産業であると言えます。  こうした中、漁業者数は年々減少しています。海に大きな夢をかけられる一方で、安定した収入が望めない状況により、若い人材が跡を継ぎにくくなっているのも、大きな要因ではないかと思います。  このような状況のままでは、産業として衰退し、将来、四季折々の新鮮な地元の海の幸を届けることができなくなるのではないかと大変危機感を抱いております。  愛知の漁業をこれからもしっかりと存続させ、将来にわたって水産物を安定的に供給していくためには、豊漁や不漁に左右されない、安定的な収入が得られる、時代に即した漁業経営が重要であると思います。  そこで伺います。  本県の海の幸を届ける漁業者の経営安定に向けて、県は今後どのように取組を行っていくのでしょうか。  以上、壇上からの質問といたします。ありがとうございます。(拍手) 42: ◯建設局長鎌田裕司君) 太平洋岸の津波対策についてであります。  初めに、日出地区から堀切・小塩津地区の津波対策につきましては、海岸線の背後にまとまった集落があり、地盤高が想定される津波高より低い約九百メートルの区間を第三次あいち地震対策アクションプランに位置づけ、最大約七メートルの高さの海岸堤防を整備することとしております。  また、当地区は三河湾国定公園に指定されていることから、豊かな自然環境の保全や景観への調和に配慮するとともに、津波時においても粘り強い堤防となるよう、整備する海岸堤防の陸側に一体的に盛土した上で植樹を行う緑の防潮堤として整備してまいります。  昨年度までに事業区間の用地取得を全て完了し、関係機関との協議も整いましたので、今後は、今年度の国の第三次補正予算などを活用し、堤防工事に着手してまいります。
     次に、赤羽根漁港周辺における津波対策についてであります。  赤羽根漁港においては、想定される津波で浸水のおそれがあり、民家が密集している漁港の西側、約四百メートルの区間をアクションプランに位置づけ、新たに防潮壁を整備するとともに、流入する県管理河川精進川については、水門を新設することとしております。  今年度は、防潮壁の設置工事に取りかかっているところであります。  今後とも、太平洋岸における地域の皆様の安全・安心の確保に向け、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用し、スピード感を持って津波対策に取り組んでまいります。  次に、太平洋岸自転車道についてであります。  ナショナルサイクルルートは、国内外から訪れる多様なサイクリストが安全に利用できる走行環境を維持していくことが重要であります。  現在、ナショナルサイクルルートの候補となっている国道四十二号や、県道田原豊橋自転車道などの草刈りは、利用者の安全な通行確保を目的に、草が一斉に伸びる夏場に年一回実施しております。  これに加え、定期的な道路パトロールにより、通行に支障があると確認された箇所について、緊急的な草刈りを実施しております。  また、地域の方々に費用をお支払いして、年二回以上の草刈りを行っていただくマイタウン・マイロード事業については、より多くの方に活用していただけるよう、本年一月、手続の簡素化と要件の緩和を図ったところであります。  今後は、田原市、豊橋市内の国道四十二号などでも、本事業により地域の皆様に維持管理に参画していただき、ナショナルサイクルルートの走行環境の向上など、地域として盛り上げていただけるよう働きかけてまいります。  一方、草刈りだけでなく、道路に雑草が生えなくする工夫も重要であります。  田原市和地地内の田原橋自転車道では、波などにより沿線の砂浜から路面に打ち上げられた砂が堆積し、雑草繁茂の原因となっております。このため、砂が堆積しないように、路面をかさ上げする対策を今年度末までに完成させる予定であります。  これらの取組により、ナショナルサイクルルートの指定並びに指定後の自転車の安全な走行環境の確保に努めてまいります。  次に、三河港の振興に係る、(仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路における国の調査状況と県の取組についてであります。  浜松三ヶ日・豊橋道路は、東名高速道路と名道路、三河港を結び、三河港から高速道路への時間短縮を図るとともに、渥美半島へのアクセスを強化する大変重要な道路であります。  本道路については、二〇一八年に、国及び関係自治体で構成する浜松三ヶ日・豊橋道路連絡調整会議において、おおむねの起終点として、東名高速道路の三ヶ日ジャンクションと三河港が示され、その後、国が概略ルートや構造の検討を行う計画段階評価に着手しました。  昨年には、三ヶ日ジャンクションから三河港に至る三つのルート帯案が公表され、ルート帯の比較評価やインターチェンジを計画する上で重視すべき事項などについて、道路利用者や三河港振興会の会員企業などへのアンケート、地元自治体などへのヒアリングが実施されました。  今後は、アンケート調査結果などを踏まえ、早期に一つのルート帯への絞り込みが行われるとともに、地域の主要幹線道路と接続するインターチェンジの位置が示されることを期待しているところであります。  三つのルート帯いずれの案においても、県道豊橋渥美線が終点になるものと示されたことを受け、本県におきましても、周辺の土地利用状況、将来の交通量推計など、基礎的な調査に着手いたしました。  豊橋渥美線との具体的な接続形状については、現在の都市計画を踏まえつつ、三河港の明海地区、田原市方面へのアクセスも考慮し、国とも調整を図りながら、検討を深めてまいります。  今後とも、三河港の物流ネットワークを強化し、三河港振興につながる浜松三ヶ日・豊橋道路の早期実現に向けて、国や関係機関と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 43: ◯スポーツ局長(飯田靖君) アジア競技大会についてお答えをいたします。  まず、サーフィン競技の実施に当たり、関係者と調整する場を設けることについてでございます。  これまでに仮決定した三十五の会場及び新たに仮決定をする十の会場につきましては、競技団体や施設管理者、地元市町村などと調整を重ね、了解を得られた会場を仮決定しているところでございます。  今後、会場運営計画や輸送計画の策定など、具体的な準備を進めていくに当たっては、より多くの関係者と協議を行っていく必要がございます。  特に、自然を舞台に行うサーフィンやセーリング、一般道を通行止めにして行う自転車競技やマラソンなどを実施するに当たっては、道路や海岸の管理者はもとより、会場となる地域にお住まいの方々や、競技エリアで事業を行っている方々など、多くの皆様の御理解と御協力をいただかなければなりません。  そこで、こうした競技を中心に、競技団体、市町村、施設や道路、海岸の管理者、地元住民の代表といった方々が参画をし、意見調整するとともに、一体となって大会を盛り上げていく場を早い段階から競技ごとに設置してまいりたいと考えております。  次に、アジア競技大会を活用した地域活性化ビジョンにおける、地域に密着した特定競技の普及、支援の推進に向けた取組についてお答えをいたします。  二〇一九年三月に策定をいたしました地域活性化ビジョンでは、スポーツの力を生かす、アジアと強くつながるといった、地域活性化に向けた四つの視点の下、スポーツで愛知をブランディングする、アジアと愛知の次世代を育むなど、四つの目標を設定いたしました。  その具体化を図るため、昨年度から、地域に密着した競技の普及、支援の推進、ボランティア体制の構築、アジア各国との交流、友好の促進などの先導的な取組を進めているところでございます。  地域に密着した競技の普及、支援の取組の一つといたしまして、自転車競技のロードレースの会場であり、自転車のまちを目指している新城市と連携いたしまして、自転車競技大会の招致やプロ選手による小学校での自転車教室の開催、町なかへのPRフラッグの掲出などを行っております。  また、今年度は、自転車の走行時の安全性を確保するため、自動車が自転車を追い抜く際、一・五メートル以上の距離を取ることを促す取組、自転車競技のことを知ってもらう動画の作成を実施しているところでございます。  今後は、自転車のまち新城の取組をモデルとして、例えば、田原のサーフィン、碧南市のビーチバレーなど、地域に密着している特定の競技を推進している市町村が○○のまちと広く知られ、そして、その競技を核とした活動がしっかりと地域に浸透するよう、市町村と連携して取り組むことで、アジア競技大会の盛り上げはもとより、スポーツの振興と地域の活性化につなげてまいります。 44: ◯農業水産局長中根俊樹君) 漁業者の経営安定に向けた取組について御質問をいただきました。  議員御指摘のとおり、水産業の持続的な発展のためには、水産資源の状況に左右されない漁業経営の安定化が必要であり、県では今後、養殖業の振興に力を入れてまいりたいと考えております。  今年度から新たに、三河湾の西三河や渥美の漁場において、漁業者の方と連携してカキの養殖試験を行っております。カキを海中につるした円筒形の籠で育てるシングルシード式という養殖方法を導入しておりますが、経過は順調で、今年の冬には食用サイズである八センチ程度までに育つものと考えております。  来年度からは、養殖施設の規模を三倍程度に拡大して試験を行い、地域ごとの環境に応じた養殖方法の確立や作業の負担軽減、販路の拡大など、様々な課題の解決に向けて取り組むとともに、県内各地への養殖技術の普及を図り、二〇二四年度には市場に出荷することを目指しております。  アサリの養殖についても、カキと同じく海中につるした籠や、干潟に設置した網袋の中で育てる養殖試験を三河湾で行っております。いずれの方法も、ほかの生物に食べられないため、生き残る数が多いことや、短期間で身がふっくらするなどの成果が確認されており、来年度はカキ同様に規模を拡大して試験を続けてまいります。  また、ノリ養殖においては、近年は鳥や魚による食害が課題となっており、漁業者が対策として行う養殖施設へのネットの設置についても支援してまいります。  さらに、ワカメの養殖についても、もととなるワカメの種糸を安定的に供給するため、種糸を作る期間を従来の半年から三か月に短縮できる技術の導入を進めており、シラス漁業者などの仕事が少ない冬場の収入確保の一助になればと考えております。  こうした養殖業を振興する取組を進め、漁業と養殖業の両方を営む多角経営を推進することで、一年を通じた安定的な漁業経営の実現を図ってまいります。 45: ◯建設局長鎌田裕司君) 私が先ほど答弁いたしました中で、一点訂正させていただきます。  太平洋岸の津波対策の答弁の中で、緑の防潮堤の用地買収の状況につきまして、昨年度までに用地取得を全て完了しと発言いたしましたが、昨年までにと訂正させていただきます。 46: ◯知事大村秀章君) 山本浩史議員の質問のうち、アジア競技大会について私からもお答えをいたします。  その前にこのマスクですが、田原市の関連のものが手元になかったものですから、これは南知多町師崎の切り絵の作家──森下議員からも御紹介をいただきまして──が作った、今日は海の質問、漁業の質問がありましたので、タイのマスクをやってまいりました。  さて、昨年十二月にパリオリンピックでの実施が追加決定したブレイキン、ブレイクダンスですね、そして、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの四競技につきましては、開催都市契約に基づきまして、愛知・名古屋で開催するアジア競技大会でも実施をしていくことになります。要は、オリンピック競技はやるということでありますので、開催をいたします。  そのサーフィンでありますが、サーフィンは田原市の大石海岸(ロングビーチ)を会場として仮決定することとしておりまして、この大石海岸は二〇一八年にアーバンリサーチISAワールドサーフィンゲームスが行われました。議員の御質問の中であったとおりでございます。この大会は、サーフィンの世界最高峰の大会でありまして、日本での開催は二十八年ぶりでありました。  そして、団体で日本が見事優勝を果たしまして、参加四十二か国の頂点に立ったということでありまして、私も名誉大会長として会場に駆けつけ、最終日、ちょうど優勝の瞬間に立ち会って、選手の皆さんと優勝カウントダウンをしたときに砂浜で万歳をしたのを本当に覚えております。よくこんな場に立ち会えたなと思って感動いたしました。とても思い出深い大会であります。  また、八日間で五万人もの方々に御来場いただくなど、大変盛り上がった大会でありました。また、初日は太平洋上に台風が来ておりまして、台風の影響でふだんの波の倍以上のビッグウェーブが来て、海外の選手とか大会関係者が日本にもこんなビッグウェーブが来るのかと言っておられましたけど、大変すばらしいことだったなというふうに思います。  このように、国際的なスポーツ大会の開催は、スポーツの振興や国際交流の推進、インバウンド観光の振興、さらには新たな産業の創出による地域経済の活性化にもつながる大変重要な機会となります。  二〇二六年に愛知・名古屋で開催するアジア競技大会は、東京オリンピック・パラリンピックの次なる大きな目標となる大会でありますので、国内外から注目を集めて、大いに盛り上がり、地域の活力や県全体の元気につながるすばらしい大会となるよう、競技団体や市町村、組織委員会と一体となって、しっかりと準備を進めてまいります。 47: ◯五十番(山本浩史君) 知事をはじめ、数々御答弁いただきまして、ありがとうございます。  一点、太平洋岸自転車道、ナショナルサイクルルートに関して要望させていただきます。  平成二十六年二月議会において、県管理道路の維持管理の取組について一般質問を行いました。  答弁では、道路の路肩を通行する自転車の安全な走行の確保や身近な道路はきれいであってほしいという沿線の方々の声の高まりから、この道路管理の実施方法を見直す必要が生じてきた、次年度から交通量の多い道路や地域の顔となる道路などの路面清掃車による清掃と、これまでの手作業による土砂の除去等を使い分け、道路環境に応じた効率的、効果的な路面管理に努めてまいりたいと、前向きなお答えをいただきました。  当時も今も変わらず、こうした管理の在り方が、現在取組を進めているナショナルサイクルルートにも生かされていくものと思います。引き続きサイクルルートの適正管理に努めていただきますよう強く要望して、質問を終わります。 48: ◯議長神戸洋美君) 以上で一般質問を終結いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 49: ◯四十番(田中泰彦君) 本日はこれをもって散会し、三月八日は休会とし、三月九日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 50: ◯議長神戸洋美君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 51: ◯議長神戸洋美君) 御異議なしと認めます。  三月八日は休会とし、三月九日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時十三分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...