5: 【
小山たすく
委員】
減収補填債などの県債の活用を通常の財源の確保のためではなく止血的に使っている。こうした対応は今まで行ったことがあるのか。
6: 【
財務部長兼
財政課長】
県税収入が当初予算を下回り減額補正するのは、リーマンショック時の平成20年度及び平成21年度以来、11年ぶりである。
また、今回のように、年度の途中に減額補正するのは、平成10年度6月補正以来、22年ぶりとなる。前回の事例も、税制改正を受けた県税収入の減額に対し、減税補填債という特例の県債を活用して対応した。なお、昨年度は年度中に県税収入の増加や地方財政措置の増額、繰越金及び県債の活用などにより、1,030億円の財源を確保し、2月補正予算に計上した。
一方、本年度は、県税収入は減少が見込まれ、地方財政措置の増額分も地方交付税の増額分も、既に9月補正予算に計上している。また、9月補正予算に計上した県債は315億円で、今の減収への対応であり、本年度内の財源確保にはつながっていない。
7: 【
小山たすく
委員】
県税や県債の補正は、毎年度2月補正予算で対応してきたが、今回9月補正予算で県税を減額する理由は何か。
8: 【
財務部長兼
財政課長】
法人二税や特別法人事業譲与税は、税収の大宗を占める3月期決算法人の確定申告の実績を踏まえ、9月補正の段階で、ある程度の全体の趨勢を把握することが可能である。
一方、2月補正まで待って見極めれば、さらに多くの実績を取り込むことができ、精度は上がるが、減収補填するための県債などの財源調達は、年度末に集中する。
今回の減収額が非常に巨額であり、また、国が年度末の起債の集中を避けるため資金繰り支援策を講じたことから、この制度を活用して円滑に資金調達を図っていきたいと考え、異例の対応ではあるが、9月補正予算で県税を減額補正することとした。
9: 【
小山たすく
委員】
来年度の地方財政措置の見込み、特に臨時財政対策債について伺う。
10: 【
財務部長兼
財政課長】
総務省は本年9月末に、来年度予算の概算要求に併せて、地方財政収支の8月仮試算を公表している。これによると、地方税及び地方譲与税は、前年度から3.6兆円、マイナス8.3パーセントの大きな減収が地方財政全体で見込まれている。これをカバーすべき地方交付税も、その原資の国税が大幅に減少する見込みであることも踏まえ、国の一般会計からの加算を勘案しても、0.4兆円の減と見込まれている。
地方交付税の代替として措置される臨時財政対策債は3.7兆円の増額と、前年度から倍以上に増加すると仮試算が示されている。
11: 【
小山たすく
委員】
臨時財政対策債が収入の大きな割合を占める傾向にならざるを得ない状況で、実務的なデメリットはないのか。
12: 【
財務部長兼
財政課長】
臨時財政対策債は、平成13年度に臨時の対応として設けられた地方交付税の代替措置である。その元利償還金の全額を後年度国が財源保障するものであり、将来、自主財源のみで償還しなければならない通常の県債とは一線を画するものである。
本来あるべき姿は、地方交付税として交付されることであり、こうした臨時の措置が20年にわたっていることから、国に対する要望でも、可能な限り抑制して速やかな廃止を求めている。
臨時財政対策債も形式的には県債であり、県が自ら金融機関や地方債市場から資金調達しなければならないが、現在は超低金利が継続しており、円滑な資金調達ができている。
しかしながら、この臨時財政対策債だけでなく、全国の地方債全体の資金調達量が増加してくると、金利の上昇など、資金調達に何らかの支障を来すことがないよう、十分注意していく必要がある。
本県は、発行時期の平準化、投資家向け広報の充実などにより、愛知県債の円滑な発行を通じた資金調達に細心の注意をもって取り組むとともに、国に対しては、より低利な調達が可能な公的資金の確保などを引き続き要望していきたい。
13: 【
小山たすく
委員】
本年度内の歳入の確保に、今後どのように取り組んでいくのか。
14: 【
財務部長兼
財政課長】
まず、新型コロナウイルス感染症への対応は、国が補正予算で措置した新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの国庫支出金を最大限確保していくように努めていく。
また、県債は、9月補正予算において、国の資金繰り支援策を活用して315億円計上したが、年度末にかけて、さらなる発行が可能となるよう国と協議していく。例えば、今後減収が懸念される地方消費税は、現在国の資金繰り支援策の対象には含まれていないが、対象に加えられないか、全国知事会を通じて国に要請している。
また、執行段階の経費の節減など歳出面での取組と併せて、年度内に財源を可能な限り確保し、基金残高の回復につなげていきたい。
15: 《一般質問》
【
藤原宏樹委員】
行政手続のオンライン化を進めていくため、本県における押印廃止の具体的な取組はどのような状況であるのか。
16: 【
総務課長】
押印の廃止をめぐる動きが非常に加速しており、本県も知事から行政手続における押印廃止の方針が示された。
県の行政手続において、押印が必要となる手続がどれぐらいあるのか調査する必要があるので、手続の種類や件数、押印の根拠が法律なのか条例なのか規則なのかを確認している。今後この調査結果を基に押印廃止に向けた検討を進めていきたい。
17: 【
藤原宏樹委員】
内閣府によると、国の押印の必要な行政手続は約1万種類である。本県はどれくらいの種類を想定しているのか。
18: 【
総務課長】
現在調査中であり、数字は答えられないが、他県の例によると、岡山県では、押印が必要な手続数は約3,000種類と聞いている。
19: 【
藤原宏樹委員】
押印廃止は、どれくらいの時期に実現していくつもりであるのか。
20: 【
総務課長】
現在調査中であり、今後の調査結果を速やかに検証して、できるだけ早期にスピード感を持って押印廃止に取り組むことで、県民の利便性向上に努めていきたい。
21: 【
藤原宏樹委員】
押印廃止による効果をどのように想定しているのか。
22: 【
総務課長】
押印廃止の取組がここまで加速したのは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の中で、人と人との接触を減少させることが必要となり、社会全体でテレワークやデジタル化が推進されていることが大きいと考える。
このような中、行政手続における書面、押印、対面を前提とした制度を見直し、オンライン、デジタルで完結できるようにしていくことが重要である。
このため、見直しの障害の一つである押印を廃止することにより、手続のオンライン化が推進され、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のみならず、業務の見直しや効率化が図られ、県民や事業者の利便性の向上に資する効果がある。
23: 【
藤原宏樹委員】
行政手続の調査を踏まえて押印の廃止を検討していくとのことであるが、県の行政手続には国の制度に基づき行っている手続が多くあると想定される。そのような手続は、今後どのように対応していくのか。
24: 【
総務課長】
国の制度に基づいて県が実施する手続は、法令等を所管する府省において、押印見直しの検討がされており、見直しが決定されたものは一括法で改正されると報道されている。
国の動きを注視する必要があるが、法令等により押印が義務づけされている手続についても、押印廃止に向けて、国へ法改正を要望していくことも検討する必要がある。
25: 【河合洋介
委員】
本年は現行のあいちICT戦略プラン2020の最終年に当たり、現在、次期ICTプランの策定に向けて、中間取りまとめ案を作成し、9月11日に有識者の意見を聴いたと思うが、どのような意見があったのか。
26: 【情報政策課長】
有識者からは、「国の早い動きを受けて直ちに動ける組織が必要であり、県の組織体制の強化が大事である」、「デジタル化はスピードが速いので人材育成が大事である」、「それぞれの取組に成果目標を設定し、ロードマップをつくって進捗管理を行うのがよい」、「必要に応じて短いスパンで計画の見直しをすべきである」といった意見があった。
27: 【河合洋介
委員】
本年9月11日に示された次期ICTプランの中間取りまとめはどのような特徴があるのか。
28: 【情報政策課長】
まず、現行のあいちICT戦略プラン2020は、観光・交流拡大、産業革新、暮らし安心・安全、ICT基盤強化の四つのテーマに、データ社会の対応を加えた五つの項目を重点施策として、これらが抱える課題に最新のICTを活用して解決を図るため、戦略的に施策を展開するとしている。
次期ICTプランは、行政の効率化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、データの活用、県域のICT活動支援を視点に掲げ、この三つの視点の下で各種施策に取り組むことにより、デジタル化やDXを推進するとしている。
現行プランは業務分野ごとの施策にどのようにICTを活用するのかの観点から構成している。これに対して次期ICTプランは、そうした取組に加えて、国のデジタルガバメント実行計画、デジタル手続法などを受けての行政手続のオンライン化、あるいはAIやロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)といった最先端のICT技術の目覚ましい進展を活用した業務改革に重点を置いて、行政のデジタル化を強力に推進するとしている。
29: 【河合洋介
委員】
次期ICTプランは本年12月に策定と聞いており、10月にパブリックコメントを行うようである。そして、各界や市町村等関係者との意見交換を経て、11月に次回の有識者会議を開催という、非常にタイトなスケジュールである。
そこで、各界や市町村等関係者とはどのように意見交換を行っていくのか伺う。
30: 【情報政策課長】
次期ICTプランの取組事項に関係する各種団体や市町村などに対して、これまでの有識者会議で
委員に示した案を基に、本年10月中に個別に意見交換を行いたい。
31: 【河合洋介
委員】
策定しただけではマニュアルをつくっただけ、目標を掲げただけなので、その後どのように実行していくのかが非常に肝要である。
次期ICTプランの策定後はどのように取り組んでいく予定なのか。
32: 【情報政策課長】
デジタル化を推進するためには、次期ICTプランを策定した後、速やかに施策を実行に移す必要があり、次期ICTプランの策定作業と並行して愛知県デジタルトランスフォーメーション推進
委員会(仮称)を本年10月中にも立ち上げる予定である。推進
委員会の詳細は、庁内横断的にデジタル化等を強力に推進できるよう、現在、検討、調整作業を進めている。
33: 【河合洋介
委員】
デジタルガバメント、行政のDXを進めていくためには、非常に強い思いや決意が必要である。あいちICT戦略プラン2020が策定されたのは平成28年であるが、5年、10年経てば、ICT分野では化石のようなものである。しっかりとした中間目標を設定し、随時見直しを図っていくような、スピード感ある計画、組織体制にしてもらいたい。
次に、マイナンバーカードの普及について伺う。
デジタルガバメントを構築するに当たっては、国民のほぼ全員がマイナンバーカードを取得してマイナポータルを利用することが大前提の制度設計になっている。
まず、県内市町村におけるマイナンバーカードの交付状況を伺う。
34: 【市町村課長】
本年8月末時点での本県人口に対する交付枚数率は17.5パーセントである。本年5月末時点と比べて3ポイント増加している。また、全国の8月末時点での交付枚数率は19.4パーセントで、5月末時点と比べて2.7ポイント増加している。本県の状況は、5月末時点と同様、全国と比べて少し低い交付枚数率となっている。なお、8月末時点で、名古屋市を除く県内市町村の中で最も交付枚数率の高い市町村は、半田市で25.8パーセント、5月末時点と比べると5ポイント増加している。
35: 【河合洋介
委員】
国はマイナポイントを機に申請数が少しずつ伸びていると公表しており、申請から交付まで時間が少しかかるとしている。県内の申請の状況はどのようになっているのか。
36: 【市町村課長】
本県の本年8月末時点での人口に対する申請率は、23.4パーセントである。また、全国の8月末時点での申請率は25.4パーセントで、本県の状況は全国と比べて少し低い申請率となっている。なお、申請率も、名古屋市を除く県内市町村で最も高いのは半田市で、8月末時点で30.9パーセントである。
37: 【河合洋介
委員】
半田市は申請が30パーセントを超えていて、全ての住民の約3分の1が申請していることは、多いと思う。
半田市長の話によると、非常に地味な作業だが、区長に協力してもらったり、公民館で申請を手伝ったりするなど、地道にやった結果であると言っていた。さらに、半田市の職員には強制的ではないが、市民へ説明したり、サービスを提供する側として、積極的にカードを取得するよう半田市長からお願いしているそうである。
マイナンバーカードの取得について、県は、市町村ごとにばらつきがある現状を鑑みて、どのような立場で、どのような役割を担っているのか。
38: 【市町村課長】
現在、市町村課では、マイナンバーカードの適正な交付に関する市町村からの問合せや質疑に対する助言、総務省からの照会に関する対応などを行っている。また、市町村が策定しているマイナンバーカード交付円滑化計画に関して、毎月市町村から報告されるマイナンバーカードの交付実績を取りまとめ、総務省へ回答している。
この交付円滑化計画の達成に向けた取組が今後より一層求められることから、マイナンバーカードの取得促進につながる取組事例を、情報政策課と連携しながら市町村に情報提供するなど、市町村のマイナンバーカード交付円滑化計画の達成に向けた取組をしっかり支援していきたい。
39: 【河合洋介
委員】
国では、ホームページで先進県や先進市町村の取組を紹介している。本県でも田原市や小牧市の取組が紹介されており、啓発活動の予算は国が措置するとしている。そういうものを上手に使っている市町村の例をぜひ県内市町村に情報提供し、市町村と連携を取って底上げを図ってほしい。
次に、県庁内の職員のマイナンバーカード取得状況を伺う。
40: 【職員厚生課長】
知事部局等の職員のマイナンバーカード取得率は、本年3月末現在では24パーセントである。
41: 【河合洋介
委員】
本年3月末以降は調査していないのか。
42: 【職員厚生課長】
実施していない。
43: 【河合洋介
委員】
行政セクションの職員は、住民に対して、今後、行政手続のデジタル化を推進し、住民サービスを向上させていくことを説明する立場であるため、マイナンバーカードの普及促進に向けて一人一人が行動に移してもらいたい。
最後に、国は来年3月にはマイナンバーカードの取得率を50パーセントにするという目標を掲げている。令和5年にはほとんど全ての国民が取得するようにと運転免許証を引き合いに出して加速させていく動きを見せている。このマイナンバーカードの現状を鑑みて、今後の普及についての考えを伺う。
44: 【情報政策課長】
マイナンバーカードの普及促進について、県は、約800万円の国の補助金を活用して、本年9月から始まったマイナポイントを活用した消費活性化策を通じて様々な啓発に努めている。具体的には、9月26日の新聞に、紙面の3分の1のスペースを占めるカラー広告を掲載した。また、若年層向けにインターネットの
検索サイトでの広告も実施している。そのほか各種のSNSへの広告の掲載、電車の中づり広告、ショッピングセンターへのチラシの設置等を順次行い、マイナポイント事業を契機としたマイナンバーカードの取得を県民に広く働きかけていきたい。これら以外にも、広報あいち、あるいは消費生活情報誌のあいち暮らしっく、
FMラジオのAICHI SATURDAY TOPICSなどの県の広報媒体でのお知らせも行っている。そうした中、本年度末にはマイナンバーカードが健康保険証として使えるようになるため、この点も、マイナポイントの広報の際に県民への周知を図っていきたい。
新しい内閣の下でデジタル施策のさらなる展開が進められる中、喫緊に取り組む事項の一つとしてマイナンバーカードのさらなる活用が挙げられているので、今後も市町村と連携して、マイナンバーカードの取得促進に取り組んでいきたい。
45: 【河合洋介
委員】
全体的なデジタルガバメントを進めていくに当たっては、マイナンバーカードの取得が重要であることを認識したうえで、今後も取得促進に取り組んでもらいたい。
46: 【長江正成
委員】
ジブリパークは、本年7月に起工式が行われ、永続施設として整備することで合意している。愛・地球博記念公園は東京ディズニーランドの約4倍の、194ヘクタールの面積である。また、アメリカ生まれのディズニーランドやユニバーサルスタジオは米国やアジアなど複数あるが、ジブリパークは日本生まれのオンリーワンの施設になると思われる。あわせて、関東や関西と比べて弱かった中部の訪日観光が、これをきっかけに大化けする可能性も秘めていると報道されたことがあるため、開業が楽しみである。
先日閉幕したジブリの大じゃない博覧会は、新型コロナウイルスの影響があったと思うが、4万5,000人の来場者があったと聞いている。そこで会場の混雑はどのようであったのか。また、ジブリパークの建築模型やスケッチ画などの展示コーナーに対する来場者の評価はどのようであったのか伺う。
47: 【ジブリパーク推進課長】
この博覧会は、本県及び株式会社中日新聞社の共催により、愛知県美術館ギャラリーにおいて、本年7月22日から9月3日までの会期で開催した。ジブリ作品の人気の高さを反映して、38日間の会期中に、4万5,000人の来場があり大いに盛り上がった。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策として完全予約制を導入して、1時間当たり210人の定員制限を設けたが、土日・祝日などはほぼ定員に達していた。なお、新型コロナウイルス感染症対策は、いわゆる3密を避けるための定数制限のほか、体温の測定、マスクの着用及び手指の消毒等の徹底を図るなど配慮した。
新型コロナウイルスの感染拡大が一旦落ち着きを見せた中で始まった博覧会ではあったが、会期中に本県でも再び新規感染者数が増大して、緊急事態宣言が出されるなどしたため心配したが、会場内では感染等はなく無事に閉幕した。
この博覧会ではジブリパークの展示コーナーが設けられ、ジブリパークのデザイン画などが26枚とジブリの大倉庫及びエレベーター棟の建築模型が展示された。このデザイン画の多くや建築模型は初めて一般公開されたものであり、反響も大きく、例えばツイッターなどSNS上で、ジブリパークについて、「さらに楽しみになった」、「わくわくする」、「開業が待ち遠しい」などの感想が数多く投稿された。このことから、令和4年秋のジブリパーク開業に向けた気運の醸成に大きく貢献したものと考えている。
48: 【長江正成
委員】
開業1年前となる来年度は、何らかの展覧会やイベント等の開催予定はあるのか。
49: 【ジブリパーク推進課長】
来年度においても、ジブリパーク開業に向けた気運の醸成を図る取組を実施していきたい。その内容は、例えば、本年度新型コロナウイルス感染症の拡大により延期となったジブリの大博覧会を開催することなどが考えられる。その具体的な内容や開催方法、時期は、株式会社スタジオジブリやジブリパークの運営を担う予定の株式会社ジブリパークなどとも相談して調整していきたい。
50: 【長江正成
委員】
ジブリパークの開業に係る県の内外に向けたPRはどのように考えているのか。
51: 【ジブリパーク推進課長】
ジブリパークの開業について、県民のみならず、広く国内外に周知し、また、多くの人の来園を促す上では、開業の一定程度前からの積極的なPRが重要である。ジブリの大じゃない博覧会の開催目的の一つにも、このジブリパークのPRがあった。
開業を見据えたPRの展開は、映画やイベント、三鷹の森ジブリ美術館などのPRにおいてノウハウを蓄積している株式会社スタジオジブリと、本県を地盤に大きな広告宣伝力を有する株式会社中日新聞社が参画する株式会社ジブリパークが中心となって、その内容、手法、時期などを含めた総合的な計画を検討する。この中で本県も政策企画局のみならず、観光コンベンション局などと連携し、一丸となって積極的なPR及び情報発信に取り組んでいきたい。
52: 【長江正成
委員】
ジブリという価値のあるものが、入場券はただであってはいけないと思う。少しでも入場料を取り、多くの人に来てもらえれば、広い公園内に、さらに六つ目、七つ目のエリアという形でジブリパークの拡張も考えられると思うが、従前の愛・地球博記念公園を知らない県外の人の期待を高めるために、県はこの先どのような取組を進めてくのか。
53: 【ジブリパーク推進課長】
ジブリパークは愛知万博の理念と成果を継承しつつ、愛・地球博記念公園の唯一無二の価値を有する都市公園として、より多くの人に愛され続ける公園にするために整備するものである。ジブリパークはショーやアトラクションを主体とする一般的なテーマパークとは異なり、来場者自らがジブリの映画の中に入り込むことで、その世界観を実体験し楽しむ施設を目指している。
愛知万博開催時に建てられたサツキとメイの家は、このような実体験を楽しむ施設として今日も愛・地球博記念公園にあり、現在は県有施設として指定管理者制度に基づき管理されているが、万博開催後15年が経過した現在でも平均して年間10万人以上訪れるほどの人気施設である。この人気は県内にとどまらず、県外からの来訪者も多いと聞いている。また、東京都三鷹市の市有施設である三鷹の森ジブリ美術館も指定管理者制度により管理されているが、こちらも平成13年に開館以来、現在でも年間約65万人前後が訪れている。こうした美術館の運営やPRのノウハウをジブリパークにも生かしていきたい。
ジブリパークの開業に向けては、株式会社ジブリパークとも連携して、県の内外、さらには海外からも多くの人に訪ねてもらえることを目指して、整備の基本理念とともにパークの具体的なイメージと魅力をしっかりとアピールして、多くの人の期待感を高められるように努めていきたい。
54: 【高木ひろし
委員】
本県における寄附の受入額は毎年少ないのか。どのような形で寄附を活用する事業を示しているのか。また、どのような事業に寄附を使っているのか。
55: 【
財務部長兼
財政課長】
本県では、ふるさと納税制度が創設された平成20年度にふるさとあいち応援寄附金制度をつくり、寄附を受け入れている。ふるさと納税制度を利用できる個人からの寄附は、平成20年度から昨年度までの12年間で95件、合計で1,276万3,000円の寄附があった。昨年度は6件で37万4,000円、平成30年度は2件で30万5,000円、平成29年度は6件で161万3,000円、平成28年度は6件で53万6,000円、平成27年度は9件で73万7,000円である。なお、平成29年度は1件で88万円という高額な寄附があり、額が大きくなっている。
また、寄附を活用する事業の提示方法であるが、ふるさとあいち応援寄附金は、地域の振興、県民生活の充実、防災対策の推進、医療・福祉の充実、環境の保全、産業の振興、農林水産業の振興、社会資本の整備、教育の充実、全体的な取組の10分野を設定して、分野を選んで寄附してもらっている。この分野別の内容は、ふるさとあいち応援寄附金のウェブページで、主な取組を写真つきで紹介している。例えば、産業の振興では、県内産業の技術開発を支援する事業と、スタートアップエコシステム形成に向けた支援について、写真つきで紹介している。
また、寄附申込書には、10の分野と合わせてその他の欄も設けており、寄附者が希望する取組を任意に記載できるようにしている。
ふるさとあいち応援寄附金は、ふるさと納税を利用できる個人だけではなく、企業や団体からも受け入れている。平成20年度から昨年度までの合計で111件、2,329万4,000円の寄附があり、分野別で最も多いのが全体的な取組で、40件、771万8000円である。次いで教育の充実で15件、349万9,000円、3番目が医療・福祉の充実で10件、249万6,000円である。また、分野別ではなく、寄附申込書のその他欄に具体的な取組の記載があったのは、22件、897万3,000円となっている。
56: 【高木ひろし
委員】
新型コロナウイルス感染症対策として、医療従事者を応援するための基金がこのメニューの一つとして加えられた結果、非常に多くの寄附が集まったと聞いた。現在どれぐらいの寄附が集まっているのか。
57: 【
財務部長兼
財政課長】
本年5月補正予算において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる入院医療機関に対して、医療従事者の応援をするため、入院患者1人当たり100万円から400万円を交付する愛知県医療従事者応援金制度を創出した。
あいち医療応援基金は、愛知県医療従事者応援金に対して、入院患者1人当たり10万円を上乗せして交付するための財源として、広く寄附を募ることとし、本年5月1日から寄附の受付を開始している。本年10月2日時点で、件数では個人から961件、企業・団体からは124件、合計1,085件、金額では総額5億7,105万円の寄附があった。
58: 【高木ひろし
委員】
昨年度までは寄附が少なかったが、あいち医療応援基金に多くの寄附があった要因はどのように分析しているのか。
59: 【
財務部長兼
財政課長】
愛知県医療従事者応援金は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、風評被害や感染リスクが拡大する中、入院医療機関において懸命に働いている医療従事者への支援として、その処遇改善を促進する目的で設けたものである。
今回これに上乗せする形で設けた寄附は、返戻品等はないが、本年5月以降現在まで、途切れることなく多くの人から、多額の寄附があるのは、医療従事者を応援するために、その上乗せを行うという趣旨、使途に対する共感から、より多くの人から気持ちを寄せてもらった結果であると考えている。
また、企業・団体からは、生徒会活動による寄附の呼びかけ、医療従事者応援を目的としたチャリティーオークションや定期預金の販売の企画等、趣旨を踏まえた独自の取組を通じた寄附も集まっている。
さらに、お金だけでなく、子供たちからは医療従事者へのメッセージカードなども届いており、人々の共感の輪の広がりやつながりを感じている。
60: 【高木ひろし
委員】
今回の医療従事者の応援に非常に多くの寄附が集まったことを転換期として、ふるさと納税を集めるための取組を強化するきっかけにしてもらいたい。今回のように、県民のニーズを機動的に捉えて、人々の共感を得られるような具体の事業を提示するほか、様々な広報手段を使ってPRしていけば、ふるさと納税制度のプラス面を大いに活用できると思う。
今後、厳しい財政状況の中で、県として事業の原資を確保していく一助にもなるのではないかと思う。人々の寄附に対する関心は、阪神淡路大震災以降、ボランティア活動と同様に日本でもかなり高まってきている。寄附文化の醸成が根づいてきているので、県も取り込んでいくために、クラウドファンディングのような形で、ふるさと納税の活用による原資の確保に力を入れるつもりはないのか。
61: 【
財務部長兼
財政課長】
本県では、文化振興基金や子どもが輝く未来基金など、特定の事業目的のために寄附を受け入れる基金を設置して、多くの人から寄附が集まり、有効に活用している。こうした基金は、プロジェクト型と言えるものであり、例えば子どもが輝く未来基金は、昨年度に、個人と法人を合わせて3,783万6,000円の寄附があり、子ども食堂開設への助成や児童養護施設入所児童等の大学入学準備金への支援などに活用している。
また、クラウドファンディングのような形で、ふるさと納税制度活用事業として、個別具体の事業を提示し、寄附を募ることについては、クラウドファンディングを新たな自主財源確保策の例示として掲げている、あいち行革プラン2020の個別取組事項にも合致する。
寄附額を増やすために事業を構築するのでは本末転倒になってしまうが、今後、県が実施すべき新たな事業で、ふるさと納税制度の本来の趣旨にかない、多くの人に共感してもらえるものがあった場合には、ふるさと納税制度の活用も検討するよう各局に助言していきたい。
62: 【高木ひろし
委員】
ふるさと納税をうまく活用していくためには、新型コロナウイルス感染症に対する医療関係者への応援のように機敏な企画力が要る。県の各部局が意識を持って、ふるさと納税を使って資金を集めること、市町村と違って広域の自治体としての課題を見つけて取り組むことが肝であるので、医療従事者応援を一つのいい材料にして、全庁的にふるさと納税を活用する面でのアイデアとその制度化に取り組んでもらいたい。
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