昨年12月定例議会で、総務局長は、マイナンバーカードを使った消費活性化策や予定されている健康保険証との一体化などが相まって、マイナンバーカードの普及につながると答弁している。また、県としても、マイナンバーカードの取得や消費活性化策の実施について、県民への普及啓発に努めるとともに、マイナンバーカードの交付窓口となる市町村が円滑に事務を進められるように、情報提供や助言に努めると答弁している。
そこで、マイナンバーカードの必要性について、県の考えを伺う。また、県民の利便性向上に寄与するような施策や、市町村との連携も踏まえて、今後のマイナンバーカードの普及について県としてどのように対応するのか伺う。
8: 【
情報政策課長】
マイナンバーカードは、身分証明書として利用できるほか、電子申請等様々なサービスに利用できるものであり、マイナンバーカードに搭載された電子証明書を利用できる場面は、今後ますます拡大していく方向である。
昨年のデジタル・ガバメント閣僚会議では、利用分野の拡大として、マイナンバーカードの健康保険証利用が図られることになり、あわせて、市町村における交付の円滑化や公務員のマイナンバーカード取得のほか、住民への周知広報に取り組み、マイナンバーカードの普及を図っていくとされている。
情報政策課では、これまで、県のウェブページや本庁舎公開イベントで、ポスターの掲示や、チラシの配布を行うほか、各市町村向けの広報紙である愛知だよりに掲載するなど周知を行ってきた。
今後も、マイナンバーカードのICチップを活用した電子証明書などの機能に加えて、今後予定されるマイナンバーカードの利活用分野の拡大に合わせ、より多くの県民が利便性を享受できるよう、マイナンバーカードの取得促進を引き続き図っていく。
なお、本年9月からマイナンバーカードの取得者を対象に、買物に応じて国がポイントを付与するマイナポイント制度を活用した消費活性化策が始まるため、これを契機に、マイナンバーカードの利便性や安全性とともに、パソコン、スマートフォン等でマイナンバーカードの申請ができること、あるいはマイナポイントの予約申込みが行えることを県民に分かりやすく周知し、マイナンバーカード取得促進につなげていきたい。
9: 【
河合洋介委員】
現在策定中のあいちICT戦略プラン2020では、マイナンバー制度への対応として、一つ目に住民サービスの向上に資するように取り組むこと、二つ目に業務の効率化に取り組むことといった柱を掲げている。次期あいちICT戦略プラン2020においてもマイナンバーカードの普及について言及し、市町村と連携を図ってもらいたい。
10: 【
樹神義和委員】
本年5月27日に、AIとビッグデータを活用し生活全般をスマート化した、まるごと未来都市を構築するための国家戦略特別区域法の一部を改正する法律、いわゆるスーパーシティ法が成立した。なお、スーパーシティには二つのタイプがあり、一つは新規開発型であるグリーンフィールド型であり、都市の一部区域や工場跡地などで新たな都市開発を行い、新たな住民を集めるタイプのものである。もう一つは、既存都市型であるブラウンフィールド型であり、既にある街で住民合意を形成しつつ、必要な再開発、インフラ整備を行うタイプのものである。
本県においては、この法案成立に先立ち、昨年10月に愛知県国際展示場を核にMICEを誘致し、国際観光都市として付加価値の高い観光産業を育成するとともに、中部国際空港島を中心とする地域に、最先端の技術、サービスを積極的に導入し、イノベーションの創出を図るための拠点化を進めるための愛知県案を既に内閣府に提出している。この愛知県案は、グリーンフィールド型、または、ブラウンフィールド型のどちらに該当するのか。また、愛知県案の詳細について伺う。
11: 【
企画課長】
国が昨年実施したスーパーシティ構想の実現に向けた自治体アイディア公募に対して、本県は、昨年10月31日に中部国際空港及び周辺地域を対象とする構想案を提出した。
今回の国家戦略特別区域法の一部改正を受け、夏頃を目途に、国においてスーパーシティの意義や区域指定の基準を、国家戦略特別区域基本方針に定めることが予定されている。
そのため、スーパーシティとしての分類や、その手続上の効果についても、今後詳細が明らかになると考えている。
なお、本県の構想案は、既にある程度都市機能が整備されている中部国際空港と周辺地域を対象としているため、既存都市型であるブラウンフィールド型に該当するのではないかと考えている。
12: 【
樹神義和委員】
内閣府のホームページによれば、アイディアを募集した結果、56の自治体から提案があったそうである。しかし、本アイディア公募は、事業の選定は行わず、また、今後予定されるスーパーシティのエリア選定プロセスには一切影響するものではないとされている。
本県としては国のスーパーシティ構想のエリア選定に向けて、今後、正式な計画案の提出を考えているのか伺う。
13: 【
企画課長】
国家戦略特別区域法の一部改正によって創設される国のスーパーシティに関する制度は、夏頃を目途に区域指定基準を定め、国家戦略特別区域の基本方針の改定が行われる予定であり、制度の詳細は、これから明らかになってくると考えている。その内容を見極めながら、この制度の活用を視野に入れ、昨年、国に提出した構想案をブラッシュアップしていきたい。
その際には、新しい要素として、中部国際空港及び周辺地域を自動運転やMICEをはじめとする最先端の技術・サービスの実装フィールドと位置づける一方で、これにスタートアップの支援拠点であるステーションAiとの連携という要素を加えて、開発実証が実用化するサイクルを形成していく姿を目指していきたい。
14: 【
樹神義和委員】
スーパーシティに係る基本方針や区域方針は、国が定めると理解しているが、住民その他利害関係者の意向の確認や基本構想の作成は、本県で行うと理解してよいか。また、どのようなスケジュールで進めていくのか伺う。
15: 【
企画課長】
住民その他利害関係者の意向確認の方法や、基本構想の作成は政省令事項とされている。現在、9月の施行に向けて、国において検討が進められているが、国が6月10日に開催した国家戦略特別区域諮問会議の資料によると、スーパーシティの区域指定を受けた後に作成する基本構想は、事業の内容や事業主体、事業活動に必要と見込まれる特例措置、経済的、社会的効果などを記載するとされている。
また、住民その他利害関係者の意向確認の方法として、四つの方法が示されており、一つ目に関係者から構成される協議会の議決、二つ目に当該区域に係る議会の議決、三つ目に当該区域の住民の投票、四つ目にその他国家戦略特別区域会議が適当と認める方法とされている。
基本構想の策定や住民その他利害関係者の意向確認の実施主体は、国家戦略特別区域担当大臣、首長、事業者等で構成される国家戦略特別区域会議が主体になるとされているが、基本構想の作成方法や意向確認の方法などの詳細は示されていない。したがって、具体的な対応は、今後、詳細が明らかになり次第、検討していく。
スケジュールは、国が本年9月に公募を開始し、11月に締め切り、年内の区域指定を目指すと示しているため、基本構想の策定や地元利害関係者の意向確認、あるいは参加する事業者の公募は、その後、具体的な手続や作業に入っていくと考えている。
16: 【
樹神義和委員】
国会でのスーパーシティ法案の審議過程において、本人の同意なしに個人情報の目的外使用や第三者への情報提供が可能となる場合があることが問題視されていたが、本県が認定を目指している愛知県案においては、そのような可能性はあるのか。また、可能性がある場合は、どのような対策を講じるのか伺う。
17: 【
企画課長】
現時点で想定している構想案のサービスの中身は、個人情報を含めて、どのような情報を収集し、どう活用していくかについて、今後、具体的に検討する必要がある。個人情報の取扱いは、今後、国において基準や運用が明らかにされると考えているため、国の措置を踏まえて、適切に対応していく。
18: 【
樹神義和委員】
ビッグデータやAI等を活用した新たな未来都市の構築について、愛知から発信できることは非常に強みになる。一方で、利便性を優先するあまり、プライバシーの侵害になってはいけないため、そうした点に十分配慮しながら、最先端の技術を本県から発信する方策を進めてほしい。
19: 【辻
秀樹委員】
新型コロナウイルス感染症について、県は、本年3月17日から公式ウェブサイトに、愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイトを立ち上げたほか、LINE公式アカウント、愛知県新型コロナ対策パーソナルサポートを開設し、随時、最新の情報を提供しながら、県民への啓発や不安の解消に努めてきた。
愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト開設以降のアクセス数は、どのようになっているのか。
20: 【
情報政策課長】
愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイトのアクセス数は、サイトを開設した本年3月17日が10万アクセスであった。その後、感染が拡大し始めた3月下旬には1日当たり20万から30万アクセスであり、愛知県緊急事態宣言を発出した4月10日には1日当たり
90万アクセスを超える状況となった。
その後、1日当たり30万から50万のアクセス数で推移し、国の緊急事態宣言の区域から除外された5月15日には45万アクセスであった。その後は減少傾向となり、現在では8万アクセス前後で推移している。
21: 【辻
秀樹委員】
新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、県民の関心が非常に高くなり、本サイトから情報を得ている状況が、アクセス数から知ることができる。本サイト開設以来、県民に対する分かりやすい情報発信として、県はどのような工夫や改善を図ってきたのか伺う。
22: 【
情報政策課長】
本サイトを開設した本年3月17日は、県の公式ウェブサイトのトップページの最も目立つ位置にリンクを掲載した。
そして、4月10日に愛知県緊急事態宣言が発出された際には、トップページ上部に大きく表示して、黄色の背景に赤い文字を用いて、県民に、緊急事態の状態にあることを、目に見える形で伝わるように工夫した。また、本サイトでは、当初、新型コロナウイルス感染症の患者数の推移などを中心に掲載していたが、県民のニーズを考慮し、県民相談総合窓口に関する情報、あるいは、店舗に対する休業要請、休業に対する協力金に関する情報など、新型コロナウイルス感染症に関連する情報を集約して掲載した。
23: 【辻
秀樹委員】
今後、感染拡大防止と社会経済活動を持続的に両立していく中で、県民の関心が高いと考えられる具体的な事柄として、注意警戒領域であるイエローゾーンや、危険領域であるレッドゾーンの判断材料となる指標が、県から示されている。
基準項目として、一つ目は過去7日間平均の新規感染者数、二つ目は過去7日間の陽性率、三つ目は過去7日間平均の入院患者数であり、これらの指標は、最も県民の関心が高い事項と考えるが、本サイトのトップページを見ると、この指標や基準項目が目立たない。
県は、本サイトを活用して、今後、こうした指標等を分かりやすく、どのように県民に情報提供を行っていくか伺う。
24: 【
情報政策課長】
本サイトは、緊急的な対応として本年3月17日の時点では、総務局で立ち上げたが、その後、4月1日に保健医療局に新型コロナウイルス感染症対策室が設置されたことから、それ以降は、感染症対策局で本サイトの管理を行っている。
県民に分かりやすく情報提供を行う必要があることに関しては、感染症対策局に伝え、総務局としても、引き続き、ウェブページに関する技術面での支援等、助言を行っていきたい。
25: 【辻
秀樹委員】
行政が保有する新型コロナウイルス感染症の状況をオープンデータやオープンソースを活用して、情報発信していく動きが全国各地で広がっている。これは、陽性患者の数や検査件数などのデータをより分かりやすい形で公表するために、改善提案を受け入れて、スキルやノウハウを有する民間の知恵を活用して、情報発信するものである。オープンデータやオープンソースを活用した情報発信について、本県においても、引き続き検討するよう要望する。
次にLINE公式アカウント、愛知県新型コロナ対策パーソナルサポートについて伺う。
県は使いやすさを第一に考え、QRコードの活用などにより簡単な登録操作ができるように工夫するとともに、LINE株式会社で、バナー広告の掲載やメディアを通じた広告を行ったと聞いている。
これらの取組によって、現在のアカウント登録者数はどれくらいか伺う。
26: 【
情報政策課長】
愛知県新型コロナ対策パーソナルサポートは、本年3月17日から運用を開始し、現在、登録者数は約30万5,000人である。情報発信の有効な
ツールであると認識している。
27: 【辻
秀樹委員】
登録者数からパーソナルサポートに対する期待が非常に大きいことが分かる。多くの登録者に今後も有用なものとして利用してもらうためには、これまでの運用に改善を加えていく必要がある。
県民からは、チャットボット等から届くアンケートばかりではなく、多くの情報を発信してほしいという声もある。3月や4月は非常に情報発信も多かったが、5月に入ってからは情報発信も少なくなり、アンケートも徐々に減っていた。本年4月10日の愛知県の緊急事態宣言、4月16日の国の緊急事態宣言、5月8日の緊急事態宣言の延長、5月26日の緊急事態宣言の解除といったターニングポイントがあったが、パーソナルサポートでは、最後の緊急事態宣言の解除に関しての通知はあったが、そのほかの通知はなかった。
そのほかの通知も行うべきであったと考えるが、これまでの取組の検証として、県の見解を伺う。
28: 【
情報政策課長】
パーソナルサポートでは、自動的に発信される健康状態に関するアンケートのほか、本県からの独自の発信として、県の精神保健センターが実施する心の健康に関する相談の情報提供、あいちの買物ルールの設定、知事のメッセージ動画など、新型コロナウイルス感染症に対する県の施策に関する情報を随時提供している。しかし、本年4月10日の愛知県緊急事態宣言の発出時や、5月8日の緊急事態宣言の延長時は、パーソナルサポートでの情報発信ができず、5月26日の緊急事態宣言の解除を通知するにとどまった。
今後は各局と連携を図り、適切な情報を、適切な時期に県民へ発信できるよう努めていきたい。
29: 【辻
秀樹委員】
パーソナルサポートを開設したときには、PCR検査体制も現在のような充実した状況ではなかったため、個々の感染リスクに対する不安を解消することがこのアカウント開設の大きな目的の一つであった。PCR検査体制がしっかり整った今は、パーソナルサポートに求められる役割に一定の変化があると考えている。
登録者の関心を今後の新型コロナウイルス感染症第2波、第3波の備えにつないでいくためには、その時々のニーズに合わせた運用を考えていかなければならない。そこで新たな運用について、どのように考えているのか伺う。
30: 【
情報政策課長】
パーソナルサポートは、健康情報に関するアンケートを基に、それぞれの人の状況に応じた対処方法について情報提供を行っていくサービスとして開始したが、緊急事態宣言が解除された現在では、パーソナルサポートが行うべき情報提供も当初とは変化している。新型コロナウイルス感染症第2波、第3波の感染拡大が懸念される中、適切に情報を提供していく必要がある。
今後は、例えば、新型コロナウイルス感染症対策に関連して、熱中症予防の情報提供を行うなど、それぞれの時期に応じた適切な情報提供を、感染症対策局や保健医療局等と十分に連携して行えるよう、早急に検討したい。
31: 【辻
秀樹委員】
パーソナルサポートの運用を開始した頃とは、県民のニーズが変化しているため、貴重な情報提供の
ツールとして、引き続き活用してもらえるように取り組んでほしい。
また、新しい生活様式の中で、マスク着用の在り方など、新たに知りたいニーズが県民にあるため、新たな運用に早急に取り組んでほしい。
32: 【石塚吾歩路委員】
新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、国民生活では、いわゆる新しい生活様式に向けた動きが始まっている。働き方も、時差出勤やテレワークといった勤務形態が広がりを見せ、オンラインでの会議も普及しつつある。
行政の現場では、ICTを活用した効率化等が今後の大きな課題として、急速に脚光を浴びているが、6月定例議会で総務局長から、あいちICT戦略プラン2020に代わる次期ICTプランを策定していくとの答弁があった。
県職員の仕事の在り方はもとより、管理面や県民への情報発信、また、新しい技術を活用した県民参画などの情報施策は大切な要因となるが、この次期ICTプランの具体的な進め方などについて伺う。
33: 【
情報政策課長】
あいちICT戦略プラン2020を策定した2016年以降、官民データ活用推進基本法や情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律といった法律の制定、そしてデジタル・ガバメントの実現、5Gのサービス提供の開始など、社会情勢が大きく変化してきている。
さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大防止の中で、テレワークやオンライン会議等の活用など、ICTの活用が急速に社会経済活動の中に広がってきている。
行政としても、こうした社会の変化に的確に対応し、これまで以上にICTの活用を進めていくことが課題であると認識している。
さらに、本年6月22日の経済財政諮問会議で示された骨太の方針の骨子案や、6月26日に内閣総理大臣に提出された地方制度調査会の答申においても、地方行政のデジタル化の推進が柱の一つとして位置付けられている。そうしたことも次期ICTプランではしっかりと踏まえていく必要がある。
このような社会や国の動きを考えると、次期ICTプランの策定の進め方についても、これまで以上に丁寧な体制で進めていく必要がある。
具体的には、総務局長をリーダーとするICTプラン策定プロジェクトチームを新たに設置し、あいちICT戦略プラン2020の成果と課題の検証、そして、新規の取組項目、論点の検討などを早急に行っていきたい。また並行して、専門家の考えを聴きながら、年内の策定に向けて作業を進めていく予定である。
34: 【石塚吾歩路委員】
本年4月10日に愛知県緊急事態宣言を発出して以降、感染症の拡大を防止するとともに、感染終息までの間の県民生活や経済活動を守り抜くための補正予算を編成し、行財政運営に取り組んでいる。
以前から厳しい財政状況と言われているが、本年度の予算規模は、過去数年と比べてどうか、推移を確認したい。
35: 【財務部長兼財政課長】
過去3年の歳出規模の推移について、2018年度決算は、2兆4,820億円、昨年度最終予算は、2兆5,224億円、本年度の当初予算は、2兆5,722億円である。
いずれも、扶助費などの義務的経費の増加が続いている。さらに、本年度は、新型コロナウイルス感染症対策として、これまで5度にわたり、総額1,843億円の補正予算を計上してきた。これを、本年度当初予算に加えた本年度の6月補正予算後の歳出規模は、2兆7,565億円となっている。
36: 【石塚吾歩路委員】
近年の基金の残高の推移と、県債の発行額はどのように推移しているのか伺う。
37: 【財務部長兼財政課長】
過去3年間の年度末における基金の残高について、2018年度決算は2,976億円、昨年度最終予算は2,820億円。本年度の当初予算は1,401億円となっている。
本年度の当初予算時点では、基金残高が大きく減少しているが、これは、収支不足対策として、当初予算において基金を取り崩して活用しているためである。
また、本年度当初予算における1,401億円の基金残高のうち、財政調整基金及び減債基金任意積立分の残高は、合わせて609億円となっている。
さらに、本年度は、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算の財源として、財政調整基金を107億円取り崩しており、6月補正予算後の両基金の合計は、502億円となっている。
過去3年間の当初予算ベースの県債発行額は、2018年度は2,610億円、昨年度は2,509億円、本年度は2,380億円となっている。
県債発行額が増減する主な要因は、各年度の状況により様々であるが、2018年度から昨年度の101億円の減については、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債が減になったことが大きな要因である。また、昨年度から本年度の129億円の減については、計画的な施設整備の減少に伴う投資的経費の減に伴い、県債も大きく減ったことが要因である。
38: 【石塚吾歩路委員】
将来の財政負担として、県債残高及び債務負担行為額はどのように推移しているのか、また、財政構造の弾力性を示す経常収支比率はどうか伺う。
39: 【財務部長兼財政課長】
過去3年間の年度末の県債残高について、2018年度の決算では県債残高5兆3,866億円、昨年度の最終予算では5兆4,408億円、本年度当初予算では5兆3,691億円となっている。
このうち、あいち行革プラン2020における個別取組事項に位置づけている臨時財政対策債等の特例的な県債を除いた、通常の県債の実質的な残高は、2018年度決算では2兆711億円、昨年度最終予算では2兆943億円、本年度の当初予算では2兆279億円となっている。
次に、将来負担比率の算定に用いる債務負担行為に基づく支出予定額の過去3年の決算数値は、2016年度が1,364億円、2017年度は1,167億円、2018年度は971億円と推移している。
財政の弾力性を判断する指標の一つとして捉えられている経常収支比率の本県における過去10年間の推移は、おおむね93パーセントから103パーセントという高水準で推移している。直近の3年間の決算数値は、2016年度が99.6パーセント、2017年度が99.1パーセント、2018年度は95.7パーセントと高水準で推移している。
40: 【石塚吾歩路委員】
県財政は依然として厳しい財政状況が続いているが、このような中で、新型コロナウイルス感染症対策にもしっかりと取り組んでいかなければならない。そのために、事業の見直しや縮小を含めた、本年度予算の大幅な組替えや見直しを行う考えはあるのか伺う。
41: 【財務部長兼財政課長】
本県では、毎年度、当初予算で取り崩すこととした基金残高を回復させることを目的として、年度途中に生じた行政需要には的確に対応しつつ、年度内におけるできる限りの財源確保に努めている。
本年度については、当初予算で既に1,344億円の基金を取り崩しているが、さらに、新型コロナウイルス感染症対策で107億円の基金取崩しを追加で計上しており、基金の残高は大きく減少している。
現時点では、当初予算に計上した事業を一律に見直すことは考えてないが、本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、実施できなくなったイベントや事務事業がある。これらを精査の上、年度内の財源確保に努めていきたい。
42: 【石塚吾歩路委員】
新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波へ適切に備えていく必要がある一方、行財政改革の取組も着実に行う必要があるが、具体的にはどのように取り組んでいくつもりか伺う。
43: 【財務部長兼財政課長】
昨年12月に策定したあいち行革プラン2020では、環境変化に迅速・的確に対応するスピーディーでしなやかな県庁を掲げており、財政面に関しては、中期的な視点に立った規律ある財政運営を徹底するとしている。
具体的には、基金からの繰入れ運用を行わない予算編成の継続、また、通常の県債残高の維持、抑制、基金の残高確保、今後5年間の財政運営目標を定めている。
あいち行革プラン2020では、事務事業の合理化と行政サービスの向上をはじめとした9本の柱の下に、173の具体的な個別取組事項を位置づけているため、各局と連携、協力の下、まずはこれを着実に実施することを通じて、財政運営目標の達成に努めていきたい。
財政面では、税源の涵養、県税の適切な徴収、未利用財産の処分や貸付けなどにより、自主財源の確保に努めていくことと併せて、毎年度の予算編成を通じて、事務事業の見直しを徹底していきたい。
44: 【石塚吾歩路委員】
新型コロナウイルス感染症を踏まえつつ、新しい生活様式に合わせて、県の事務事業を見直していくことが必要である。
本年度の予算編成の大幅な組替えや見直しを行う考えはあるのか、改めて伺う。
45: 【財務部長兼財政課長】
今後の県の事務事業の立案に当たっては、社会経済活動を持続的に両立させながら、再度の感染拡大を防止するという観点から、三つの密を避けるなど、新しい生活様式を十分に踏まえた観点も重要になってくる。
一方で、これまで厳しい財政状況の中で、計画的に進めてきたプロジェクトや、愛知のさらなる成長のための様々な施策などもある。計画的かつ迅速に取り組み、新型コロナウイルス感染症の影響で、大変厳しい状況にある本県の経済、産業をより一層強く支えていくことも重要である。また、このことは、財政環境の悪化への歯止めや、税収の確保につながる。
現時点では、本年度当初予算に計上した事業を一律に休止や見直すことは考えていないが、行政改革革の取組は着実に進めつつ、当面は、新型コロナウイルス感染症への迅速かつ適切な対応に万全を期すことを最優先としながら、将来の本県の発展に資する事業を進めることにも、バランスを取って対応していきたい。
46: 【石塚吾歩路委員】
本年度の当初予算は、11本の柱がある中で、ジブリパークとステーションAiのプロジェクトの推進が重要施策である。
例えば、ステーションAiも、新型コロナウイルス感染症の影響で状況が変わってきたと聞く。いい意味でいろいろなものを見直すことが必要かと考えるが、総務局長の考えを伺う。
47: 【総務局長】
民間企業においても新型コロナウイルス感染症を機に、在宅勤務やリモートオフィスを進めており、県も同様に、時差出勤などに取り組んできた。県も当分は在宅勤務を続けていくため、補正予算においてパソコンを1,000台導入し、対応していきたい。ステーションAiは、新型コロナウイルス感染症の影響で開所時期が1年程度遅れるが、リモートオフィス等も取り入れながら、提案等を受け付けていくと経済産業局から聞いている。各部署において、新型コロナウイルス感染症の環境に適応した対応を行っていきたい。
48: 【小山たすく委員】
新型コロナウイルス感染症対策に当たっている、防災危機管理課、健康対策課、産業政策課等の職員は非常に過度な負担がかかっているのではないかと懸念している。そのような職員の超過勤務の状況を伺う。
49: 【監察室長】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の業務に携わった職員の時間外勤務の実績について、健康対策課では、本年3月の1人当たりの平均が19.5時間、前年同月比1.5倍となっている。また、4月は60.2時間で、前年同月比の約3倍、5月は54.8時間で、前年同月比3.6倍となっている。なお、保健所においては、4月は保健所の管内全てで感染者が発生したことから、前年同月比を超える状況となっている。
昨年4月1日から時間外勤務の上限規制が導入され、原則、月45時間、年間360時間とされ、例外として、大規模なイベントなどの一時的に繁忙期がある業務については、単月で100時間未満等となっている。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症への対応のため、職員の中には、月100時間以上の時間外勤務を行った者もおり、本年の3月は17人、4月は31人、5月は13人となっている。
なお、大規模な災害対応は上限規制の特例が適用されることから、新型コロナウイルス感染症対策も同様に特例が適用されるものと考えている。
50: 【小山たすく委員】
時間外勤務が最も多い職員は、月何時間勤務であったか伺う。
51: 【監察室長】
本年3月は208時間、4月は194時間、5月は192時間である。
52: 【小山たすく委員】
非常に過重な勤務であるので、それぞれの課の中でフォローしてほしい。また、専門性の高い部署によっては、その職員しかできない業務はあると思うが、特定の職員に過度な負担がかかる状況は、変えていかなければならない。
そこで、他局からの応援体制はどのようになっているのか伺う。
53: 【人事管理監兼人事課長】
他局からの職員応援については、人事局において業務内容を確認し、各局と人員の調整をして、できる限り速やかに必要な職員を配置している。
医療機関への補助金の交付や医療従事者のマスクやガウンの購入など、専門性をあまり必要としない業務もあるが、こうした業務には、各局の規模や業務状況などを踏まえて、事務職を中心として、全庁的に応援に当たっている。一方、医療体制の確保やPCR検査など、新型コロナウイルス感染症の専門的な知識が必要な業務については、他局の応援が難しいことから、保健医療局の内部の専門職の配置替えが中心となるが、獣医師や薬剤師などは、他局からの応援職員も可能な範囲で配置している。
今後も新型コロナウイルス感染症対策に迅速かつ適切に対応するため、人事局として応援職員の効果的な配置に努めていきたい。
54: 【小山たすく委員】
感染状況がある程度落ち着いているときに、仕事の割り振りなど、応援体制の在り方も含めて検討してほしい。
時間外勤務が100時間を超えている職員も多くいるが、代休などは取得できているのか伺う。
55: 【監察室長】
土日等の出勤は、確実に代休等で対応していると認識している。
56: 【小山たすく委員】
県職員は年次休暇もあるが、なかなか全部取得できないと指摘されている。現状で、年次休暇の取得率はどうか伺う。
57: 【監察室長】
昨年度の知事部局等の年次休暇の取得実績は、13.6日となっている。
そのうち、新型コロナウイルスの感染症拡大防止に携った保健医療局では、13.9日と平均を上回る取得である。
58: 【小山たすく委員】
療養休暇の中に、不妊治療が本県の場合は入っていない。
これは、国の人事院勧告に入っていないからであり、本県は病気に起因する不妊治療は対象になるとのことだが、一般的に、不妊治療を受けている者の多くは、特定の病気ではない。他県の状況を見ると、病気に起因しない不妊治療が対象になっている都道府県は21ある。他県では国に先駆けて導入しているところもあり、本県で導入すると、教職員や県内の市町村の対応も変わってくるため、前向きに検討してほしい。
次に、統合型リゾート(IR)について、IRの事業者の募集期間が終了し、1か月たっているが、募集結果が公表されてない。何社から応募があったのか。また、事業者名や国籍等を伺う。
59: 【地方創生課長】
意見提案があった民間事業者の数は、特定複合観光施設区域の整備、運営主体となることに関心を持つ海外を含めた法人等から4者が、個別のノウハウ、知見を有する国内法人9者から提案があった。
なお、募集要項で、個別の事業者名は公表しないこととしているため、具体的な事業者名は答えられない。
60: 【小山たすく委員】
募集要項の中の留意事項に、募集結果については全体概要を公表すると書いてある。この全体概要の内容や公表はいつ行うのか伺う。
61: 【地方創生課長】
現在、新型コロナウイルス感染症の影響により詳しく調査ができていないため、全体概要の内容や公表時期について回答できる段階ではない。
意見募集については、事業者から様々な項目について意見や提案をもらっており、現在、それらの考え方や根拠などを確認している。
また、国の基本方針が策定されておらず、今後、方針が策定されたときには、方針に見合ったものか確認をするため、必要に応じて、事業者に追加で意見をもらうことを考えている。
このため、結果の取りまとめにはある程度時間を要すると考えており、公表の時期について、現時点で明確に答えることはできないが、国の基本方針の策定状況などを見極めながら公表したい。
62: 【小山たすく委員】
募集要項に書いてある全体概要には、何が該当するのか伺う。
63: 【地方創生課長】
意見募集に参加した法人等の権利、競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれがないよう、アイディアやノウハウ等を取りまとめて公表したいと考えている。事業者側の権利も守る必要があるため、しっかりと考えながら行っていきたい。
64: 【小山たすく委員】
5月12日に、ラスベガス・サンズが日本市場から撤退していくと発表があった。これは日本の中のライセンス期間が短い等の状況もあるが、新型コロナウイルス感染症の影響も理由である。本県に応募があった事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響があっても募集状況に変わりはないのか伺う。
65: 【地方創生課長】
新型コロナウイルス感染拡大により、現地確認などに制約が生じたことから、民間事業者の市場性や事業性等の検討に限りがあったようである。
具体的には、各社とも空港島の現場を訪問できず、とりわけ海外の事業者は日本と本国の往来ができないため、社内の意思疎通に苦労していると聞いている。また、本県とのヒアリングについても、対面でなくウェブでの実施を基本としている。
こうしたことから、全世界に広がる新型コロナウイルス感染症拡大の影響は少なからず感じている。さらに、本業など経営全体への影響は、現時点では、事業者自身も見極めることができていないことから、今後、意見交換を通じて確認していきたい。
66: 【小山たすく委員】
県からも、事業者に、このまま続けられるか確認を取ってほしい。全体スケジュールについて、国は、現段階で日程は変えないと明言している。そのため、全体的なスケジュールが物理的に間に合わないのではないかとの懸念が常に付きまとっている。
そうした中で、大阪府は既に、半年間、募集期間を延長させ、開業を先送りすると発表している。和歌山県は、今始めないと国の募集期間に間に合わないため、3月30日に事業者募集を始めている。
仮に国が、期間を延長したとしても、それでも間に合わないという危険性がある中で、県として、いつ頃を最終的な期限と考えているか伺う。
67: 【地方創生課長】
現在、意見提案があった民間事業者と意見交換して内容確認している。この事業者の意見を正確に聞くことは、県としての検討を行う上において大変重要であり、現時点で最も優先すべき作業である。
新型コロナウイルス感染症が、社会、経済に多大な影響を及ぼしている状況の中、いまだ国の基本方針が策定されておらず、国への申請期限の時期が決定していないことも踏まえると、現時点で明確な時期を示すことはできない状況にある。
68: 【小山たすく委員】
物理的に間に合わなくなる懸念は非常にある。県も危機感を持たなければいけない。延長するしないにかかわらず、早めに決めないと動きが取れない。スケジュール感をよく考えて行ってほしい。
仮に国が、事業の募集期間を延長した場合、本県としても事業者選定のスケジュールを延長する可能性があるか伺う。
69: 【地方創生課長】
現在、意見提案があった事業者と内容を確認するなど意見交換を行っている段階である。
まずはそれに注力している。
70: 【小山たすく委員】
様々な課題が懸念されており、地域の状況をよく把握し検討してほしい。
71: 【長江正成委員】
市町村立の公立病院が、県内に何か所あるか伺う。
72: 【
市町村課長】
名古屋市の市立病院三つを含めて23の病院がある。
73: 【長江正成委員】
県は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りが悪化している二次救急医療を担う病院を運営する医療法人を支援するため、無利子、無担保の新たな融資限度5億円の制度を創設したが、市町村立病院も経営に非常に苦しんでいる。
市町村立病院については一時借入れによる資金手当が可能であると思うが、現在、どのような支援策があるか伺う。
74: 【
市町村課長】
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための取組に伴い利用者の減少や、手術の手控え等により、市町村立病院においても、医業収益に影響が出ていると聞いている。
公営企業において、一時的に資金が枯渇した場合や、手持ちの現金確保が手薄になった場合に、その資金手当として一時借入れの制度が設けられており、事前に議会で承認された限度額の範囲内で、借り入れることができる。
ほかの支援策として、一般会計からの繰り出しによる財政支援がある。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症により、今後の税収等が不透明ということもあり、多くの市町村においては、病院への繰り出しも、財源確保が容易ではないと想定される。
なお、国では、新たな企業債として、特別減収対策企業債が発行できるような制度が設けられた。
75: 【長江正成委員】
市町村立病院が公表している一時借入れを調べたが、多くの病院では活用されていない。
今回の新型コロナウイルス感染症において、新たに国が設けた特別減収対策企業債はどのような制度か、また、県内の市町村の活用状況はどのようになっているか伺う。
76: 【
市町村課長】
特別減収対策企業債は、償還年限が15年以内で、償還する利子の2分の1を一般会計から繰り出すことが認められている。また、その繰り出しに対して、特別交付税措置が講じられる。
特別減収対策企業債は資金不足の発生、または、拡大が見込まれることとなった場合に、随時借入れが可能であるが、現時点では借入れを希望する団体はない。
なお、この制度は、熊本地震のときに、電気や水道等のライフラインが被災したことで、病院も含め、事業を休止せざるを得ない公営企業が発生したことから設けられた制度であり、現時点で、そこまでの事態に至ったケースはないことから、この特別減収対策企業債の借入れを希望する団体はない。
77: 【長江正成委員】
特別減収対策企業債は、今回の新型コロナウイルス感染症への対応には適さない制度だと思う。病院は人的資源が大きく経営に影響する公営企業であり、熊本地震のようにインフラが被災した場合とは状況が異なり、適切な措置とは言い難い。
病院は欠くことのできない重要なインフラであり、経営難になることで地域へ医療の提供ができなくなることは避けなければならない。
県としても保健医療局や感染症対策局と市町村課が連携し、地域医療を支える公立病院に対しても丁寧な対応をお願いしたい。
また、秋には、PCR検査能力が1.5倍の1日1,300件に引き上げられると聞いており、新型コロナウイルス感染症第1波への対応の検証も含めて、総務局も保健医療局や感染症対策局とよく連携して、第2波に備えてほしい。
発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...