愛知県議会 2020-02-01
令和2年2月定例会(第5号) 本文
内容といたしましては、融資対象者を、新型コロナウイルス感染症の影響を直接的に、または間接的に受け、直近一か月の売上高等が前年同月または二年前同月の売上高等に比べて減少している中小企業者とし、資金使途を運転資金、融資限度額を五千万円、金利を年一・二%とするものであります。融資枠につきましては二千億円の枠を設けることで、万全を期し、中小企業者の資金需要に応えてまいります。
この措置は、新型コロナウイルス感染症の影響という非常事態に対応する臨時特例的なものであり、本県では、東日本大震災後の緊急つなぎ資金として設けたあいちガンバロー資金以来の取組となります。
ポイントは、無担保、五千万円、保証料率を県が肩代わりする、ゼロにするというものでございます。融資枠は二千億円を設定いたしました。
御議決をいただければ、直ちに愛知県内四十七の金融機関、そして、金融機関の店舗が、愛知県内千二百店舗ありますので、直ちに中小企業の皆さんをはじめ、きめ細かく対応できるというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
本県といたしましては、今後とも、中小企業の業況や資金繰りに細心の注意を払いながら、状況の変化にスピード感を持って対応し、中小企業の金融支援に全力で取り組んでまいります。
なお、この予算案につきましては、緊急に実施する必要がありますことから、できる限り速やかな御審議と御議決を賜りたくお願いを申し上げます。
また、私から、もう一つ御報告をさせていただきたいと存じます。
それは、昨日午後六時、私と河村名古屋市長とで共同記者会見を行いまして、県市共同で、新型コロナウイルス感染症クラスタープロジェクトチームを立ち上げましたので、御報告をいたします。
その設置目的ですが、名古屋市内において発生している患者クラスター、集団について、次の患者クラスター発生を防止することが感染拡大防止に極めて重要となります。そこで、この感染症の対策に関係する機関が速やかに情報共有を図り、密接に連携することで、クラスターを早期に探知し、対策を推進することを目的といたします。
具体的な業務は、患者クラスター発生の発見、感染源、感染経路の探索及び感染拡大防止対策の実施を担います。
さらに具体的に申し上げますと、まずは入院先医療機関の確保ということでありまして、感染症指定病院は十二か所、七十二ベッドでありますが、入院協力医療機関にお声がけをしておりまして、現段階で三十三病院、八十九床の協力をいただけることと相なっております。併せまして、愛知県内四十五病院、百六十一病床を確保しております。もっとこれはさらに増やしていけます。
そして、検査対応能力の増強でありますが、現在、名古屋市さんで二十余りプラスアルファということでありますが、愛知県の衛生研究所は今六十を、今度、機器を導入して九十六、一日当たりに増強し、さらに大学病院や病院、さらに県内の他の保健所等の協力を仰ぎますと、県とその協力で合わせて三百数十増やすことができますので、これでしっかりと対応をしていきたいというふうに思っております。
構成メンバーは、県、市、そして、厚生労働省の東海北陸厚生局に参加をしていただき、そして、感染症治療の最前線で活躍する医師を加えることで、専門的な意見をいただきながら、業務を進めます。
また、必要に応じまして、厚生労働省本省に設置されたクラスター対策班の派遣を依頼し、専門家チームの派遣支援を受けることにしております。
既に昨日六時前に、私から、厚生労働省事務次官と医政局長に電話をいたしまして、直接、この派遣を要請いたしました。この二人とも、私がかつて一緒に仕事をした仲間でありますので、直ちに専門家を集めて、チーム編成をして至急派遣するという返事をいただいております。しっかりと連携をして、対応していきたいと思います。
県といたしましては、今後も新型コロナウイルス感染の拡大防止に全力で取り組んでまいりますので、県議会及び県民の皆様の御理解と御協力を何とぞよろしくお願いを申し上げます。
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〔議案は別冊付録に掲載〕
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日程第三 一般質問
5:
◯議長(
神野博史君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
中根義高議員。
〔六十一番
中根義高君登壇〕(拍手)
6: ◯六十一番(
中根義高君) おはようございます。
それでは、早速、質問に入らせていただきます。
本年度を振り返り、本県での大きな出来事といえば、御即位後初の地方行幸啓となられました、天皇陛下、皇后陛下をお迎えしました第七十回全国植樹祭があります。
その式典において、天皇陛下から、木材の利用や健全な森林づくりの輪が、ここ愛知の地から全国へ、そして、未来に向けて大きく広がっていくことを願いと御言葉がありました。幾ばくかなりとも陛下の御言葉にかなうよう、願いを込めて、県産木材の利用促進について質問をさせていただきます。
まず、国が整備する低層の公共建築物は、原則全て木造で造らなければならないとする法律及び同法に基づく基本方針があることを、皆さん御存じでしょうか。
その法律とは、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律であります。
幾つかの基準はあるものの、国が整備する公共建築物のうち、低層の公共建築物については、原則として全て木造化を図ることや、低層、高層にかかわらず、人々の目に多く触れる部分を中心に内装等の木質化を推進することとされています。ここで言う公共建築物には、国や地方公共団体が整備する建築物ばかりではなく、学校法人や社会福祉法人などが整備する学校や老人ホーム、病院、体育館、図書館、あるいは交通事業者が整備する車両の停車場や高速道路の休憩所等についても、この法律における公共建築物に含めるとしていますので、随分と広範囲の建物が該当することになります。
この法律に基づき、本県でも、また県内の全ての市町村においても、公共建築物における木材の利用の促進に関する方針が策定されています。
本県の基本方針は、皆さん御存じのとおり、あいち木づかいプランです。
県が整備する低層の建築物については、原則木造化とし、木造化がなじまない、あるいは困難な施設については、内装等の木質化を進め、新たな木質部材を含む県産木材の利用に努めるとともに、公共工事においても、優先的に県産木材を利用しますとしており、その取組計画は、食と緑の基本計画二〇二〇にも位置づけられています。
市町村も含めた公共建築物の木造化・木質化での整備について、感覚的ではありますが、森林を持つ地域のほうが進んでいるように感じます。そこからは、地産地消や地元の林業、産業を守るというメッセージを感じます。
木材の利活用にあっては、森林のない都市の中で行ってこそ、その意義を強く発信できるのだと思っております。その最たるものは、東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場です。外周の軒びさしには四十七都道府県の木材が使われ、強いメッセージを発信しております。
県産木材の利用に、愛知県は頑張っているという話と、まだまだ遅れているという話の両方を聞くことがあります。
頑張っているという話は、大都市の中では、公共建築物の木造化率が上位にあることがその根拠です。一方で、まだまだ遅れているというのは、大規模な、あるいは中高層の木造化・木質化した建築物が増えてきた中で、愛知県には、それを象徴する建築物が見られないというのが指摘理由です。
大規模あるいは中高層の建築物の木造化・木質化は、まだまだ新しい分野ではありますが、世界を含めたこの分野のフロントランナーは、どんどん先へと進んでいます。公共建築物には、建築の新しい分野を先導し、その建築を通して得られた知見を公開することで、技術の普及や設計、施工ができる人材を育てていく役割もあるのだと思います。まずは最初の一棟を手がけなければ、PDCAを回すこともできません。このままでは、フロントランナーとの差が開く一方になってしまうのではないかと心配をしています。
さて、木材が持つ人への効果について申し上げれば、木の香り、視覚的な温かさや柔らかさ、そして、肌触り、それらがもたらすリラックス効果はよく知られているところです。
特筆すべきは免疫力の向上で、文部科学省の資料を引用いたしますと、インフルエンザによる学級閉鎖数の調査では、鉄筋コンクリート校舎に比べ、木造化・木質化された校舎では、学級閉鎖が約三分の一に抑えられたという報告があります。加えて申し上げると、机や椅子を杉の無垢ものに変えた調査でも、免疫力が高まったという報告があります。ほかにもストレス緩和効果や授業への集中力、足の冷え、けが対策など、一日の大半を過ごす子供たちにとって、よい効果が幾つも報告されています。
また、老人ホームを対象に行われた調査でも、木材使用率の多い施設では、インフルエンザの感染軽減に加えて、転倒による骨折を防ぐことや、不眠を訴える人の割合が少ないという報告もあります。これから七十五歳以上の高齢者の方が激増していくのを前に、やはり注目していく点であります。
また、二〇一五年に施行された改正建築基準法では、延べ面積三千平米を超える建築物や木造三階建ての学校等の耐火基準が条件によって緩和され、木造で造りやすくなる変更が加えられました。
文部科学省でも、木の学校づくりの推進として、木造校舎の構造設計標準ですとか、木造三階建ての校舎の手引、木の学校づくりの構想からメンテナンスまでなどの技術資料がホームページにも掲載をされています。
木造にするとコストがかさむと言われる方もいらっしゃいます。実際のところどうなんだろうと常々感じていたところですが、保育園と小学校の建物について、木造と他構造とのコスト比較を行った報告書がありました。その結果は、保育園については、木造と鉄骨造で比較したところ、空間の狭い保育室では木造のほうが安く、空間の広い遊戯室では同等の工事費となるとしています。小学校では、木造と鉄筋コンクリート造で比較したところ、木造のほうが安くなるとしています。ここまで来ると、もはや木造化・木質化に取り組まないという
選択肢はないだろうと思います。
また、東京都港区では、みなとモデルと言われる取組が行われています。一定規模以上の建築物に対し、内装の木質化を促し、その木材使用量に相当するCO2固定量を建築主に認定するという取組です。内装の木質化に使用する木材には、港区が協定を結ぶ全国七十六の自治体で産出された木材を使用しており、協定を結んだ自治体では、伐採後に再び植樹をする森林整備が進められています。
このような取組は、県内でも、大口町が保育園の建設に豊根村の木材を使用するなど、広がりつつあるように思われますし、CO2固定量の認定は、本県でも実施しております。
本年度から、国の森林環境譲与税が始まりました。森林を持たない平野部の自治体がどのような活用をしていくのか、大変気になるところです。また、県には、木材利用をする市町村への支援もその役割として期待されているところであります。
そこで質問をいたします。
公共建築物における県産木材の利用促進について、まず、県の公共建築物における県産木材の利用促進についてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、市町村の公共建築物における県産木材の利用促進について、市町村支援にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
続いて、民間の建築物における県産木材の利用について進めてまいります。
民間の建築物を見てみますと、床面積ベースで、三階建て以下の低層住宅の約八割が木造であり、国産材はその半分にとどまっています。一方で、四階建て以上の中高層住宅、いわゆるマンションなどは、ほぼ全てが鉄骨造や鉄筋コンクリート造の非木造になっています。また、オフィスや店舗等の非住宅においても、ほぼ非木造という状況にあります。
消費者の意識調査として、都市部において、どのようなところに木材が利用されていることを期待するかを尋ねた調査では、学校や図書館などの公共施設に次いで、駅やバスターミナルなどの旅客施設、ホテルなどの宿泊施設、ショッピングモールなどの大型商業施設が挙げられました。非住宅分野の建築は、相対的に都市部に多く、その都市部における木造化の動きが近年、加速化しておりますが、その内在的な需要を裏づける結果とも言えます。
木材は弱い、燃えるというイメージが強く、非住宅の分野で木材利用を進めるためには、木造化や耐火基準に対応できる部材や設計技術が課題としてありました。
現在は、こうした課題に対応できるよう、コンクリートより軽く、かつ断熱性が高く、工期短縮が可能な直交集成板、いわゆるCLTや耐火性能を向上させた木質耐火部材など、新たな木質建築部材の開発が進んでいると伺っています。これら耐火性能を備えた新たな建築素材が登場してきたことにより、CLTを活用して建てられた中高層ビルやマンションの事例も見られるようになってまいりました。今後、様々なシーンでの可能性が広がってくるものと思われます。
また、近年、SDGsへの取組によって、環境に配慮していることが企業ブランドを高めるとして、店舗を木造にするなど、積極的な利用が見られるようになってきました。木材利用に対して、潮目が変わったと言えるほどの大きな変化が起きているとも感じます。
そこで質問をいたします。
民間における非住宅分野での県産木材の利用促進にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
続いて、大項目の二つ目、花の王国あいちの推進について質問を進めてまいります。
二月の愛知県といえば、フラワーバレンタインです。
二月十四日に先立ち、フラワーバレンタインプロモーションが開催されました。花男子という東三河のフローリストグループによるパフォーマンスが行われたほか、たくさんの花に囲まれたベンチで写真を撮るカップルの姿など、イベントは大変に盛況でありました。奥様へ贈るブーケ作りには、大村
知事も登場されました。ちなみに
知事が作られたブーケは、当日お誕生日を迎えられました会場の女性に手渡されました。外国籍の方でありましたが、体いっぱいに喜びを表現される姿と、抱きつかれて戸惑う
知事の表情とが大変に印象的でありました。
さて、本県の花卉産出額は、一九六二年から五十七年間連続で、全国一位であります。二〇一八年の産出額は五百四十三億円、二位の千葉県が百九十三億円でありますから、実に二・八倍以上の差があることになります。また、菊やバラ、洋ラン、観葉植物など品目別に見ても、産出額が全国一位のものが多くあり、まさに花の王国あいちであります。
日本全体の花の消費について、総務省の家計調査報告を参考に見てみますと、一九九七年は、一世帯当たり一万三千円ほどを切り花に支出していました。しかし、以降は減少傾向にあり、二〇一八年は八千円ほどと、ピーク時の六三%程度にとどまっています。世帯主の年齢別で見ると、若年層ほど購入額が低く、二十九歳以下では、実に二千円ほどとなっており、国内における長期的な花の消費の減少が心配される状況にあります。
加えて、県庁所在市順位では、名古屋市は、二〇一七年が三十一位、二〇一八年が四十三位、二〇一九年は持ち直して二十七位と、四十七都道府県の中では、真ん中よりも下が定位置になってしまっている感があります。
こうした中で、本県では、花の王国あいちパワーアッププロジェクトとして、暮らしの中に花を取り入れる花いっぱい県民運動と、花と緑のイベントの開催を両輪とした取組を展開してまいりました。さきに触れましたフラワーバレンタインプロモーションも、その一つであります。
大村
知事は、日本一花贈りをしている
知事と言われます。本年度の大相撲名古屋場所では、優勝された横綱鶴竜関へ、副賞として、バラなど二百本の大きな花束を贈呈されました。あれほど大きい花束を見たのは初めてでありますが、大きさでいったらどうでしょう。ゴルフ用の傘を逆さまにしたよりも大きいぐらい、重さは二十キロ弱、それを正面、向こう正面の皆さんに、
知事がこうやって見せるものだから、
知事、大丈夫かなと心配するぐらい、まさに
知事の見せ場の一つではなかったかと思うところでありますが、大変なものでありました。
また、昨年大いに盛り上がりましたラグビーワールドカップでも、名古屋駅のコンコースや豊田のスカイホールに赤や白、ピンクのカーネーションでできた巨大なラグビーボールが登場し、写真スポットとして、SNSによる情報発信に一役買っておりました。
このようなスポーツシーンを活用した花のPRは、花とこれまであまり縁がなかった方々、特に若い世代の方々に、愛知の花を知っていただける機会であります。また、花を使った写真スポットなどは、インスタ映えを意識する若い人々、家族連れに人気が高く、新しい花のファンをつくる非常に効果的な方法であり、まさに、新たな需要の掘り起こしに有効であると考えます。
そして、今年は、東京オリンピック・パラリンピックの年であります。愛知県出身、あるいはゆかりの選手の活躍にも期待が高まるところであります。
そして、聖火リレーも、四月の六日と七日の二日間で、県内十五市、十九区間を百七十人以上のランナーが聖火をつないでまいります。
また、十一月十九日から二十二日には、モータースポーツの最高峰、世界ラリー選手権・日本ラウンドが愛知、岐阜を舞台に開催されます。
まさに世界的なスポーツイベントがめじろ押しの一年となります。こうした機会を捉えて、日本一の愛知の花を全国や世界に向けてPRしていくことも必要ではないかと思います。
そこで質問をいたします。
二〇二〇年度のスポーツシーンにおける花の活用についてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
続いて、花と緑のイベントについて進めてまいります。
花と緑のイベントとしては、これまで、あいち花フェスタが、生産者をはじめ、花卉関係者との連携で開催されてきました。花の品評会やディスプレー展示などにより、愛知の花の品質の高さや産地の魅力を発信し、花の王国あいちの認知度向上にも大きく貢献してきました。
一方で、花卉業界の方々からは、様々なお悩みをお伺いしております。
流通に関わる方からは、ドライバー不足からくる人件費の上昇は、もはや経営努力の範囲を超えている。でも、輸送費の値上げ分が花の売価に上乗せされたら、花は高いと、消費者の花離れを加速させてしまうのではないかと、悩みは尽きないそうであります。
また、冠婚葬祭の場においても変化があるそうです。派手と言われる愛知の結婚式でありますので、これまでは確実な消費が期待されていたところでありますが、かつてのような規模で行われる結婚式はまれになってきており、最近では、披露宴も身内で小ぢんまりというスタイルが増えてきているとのことでした。
葬儀についても同様です。本県の生産の多くを占める菊は葬儀での需要が中心ですが、最近では、祭壇の花も個人が好きだった花を使うなど、菊以外の花を使用していることが多くなり、また、樹木葬など、故人を送る方法も様々になってきました。
生産者団体の方からは、面白いランの花ができたと、
ヒットの予感に期待したことがあったそうです。しかし、注文が入るのはコチョウランばかりで、自分たちの思いや熱意を伝えられなかったとして、殊に悔しい思いをされたことがあったとのことでした。
生産者、流通、小売、消費者を結びつけ、それぞれの思いや、思い描くライフシーンを提案し合う場づくりが今こそ求められていると感じます。こうした中で、新たな花と緑のイベントとしてのあいち花マルシェが開催されます。
そこで質問をいたします。
二〇二〇年度のあいち花マルシェをどのようなイベントとしていくのかお伺いいたします。
以上、質問してまいりましたが、最後に、森岡副
知事にお尋ねをいたします。
森岡副
知事におかれましては、二〇一四年四月に愛知県副
知事に就任されて以降、農林水産部門を所管され、県産木材の利用促進に向け、愛知県木材利用促進連絡会議の座長として、あいち木づかいプランを策定されるなど、本県の農林水産業の発展に向けた取組を強力に牽引してこられました。
また、本県初の民間出身副
知事として御苦労も多かったのではないかと思いますが、トヨタ自動車株式会社常務役員、トヨタホーム株式会社代表取締役社長としての御経験を生かし、産業振興はもとより、次代を担う産業人材の育成にも積極的に取り組んでこられたと承知をしております。
そして、忘れてならないのが行革であります。
森岡副
知事をリーダーとするチーム森岡により策定が進められました第六次行革大綱、しなやか県庁創造プランに続き、昨年十二月には、新たな行革大綱、あいち行革プラン二〇二〇が策定をされ、来年度から取組がスタートすることとなっております。
森岡副
知事におかれましては、この三月末をもって、愛知県副
知事を退任されるとのことでありますが、これまでの六年間を振り返り、県政の発展のためにどのように取り組んでこられたのか、また、今後の愛知県に対する期待や県職員に対する助言などをお伺いいたします。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
7:
◯農林基盤局長(
水野康弘君) 県産木材の利用促進に関するお尋ねのうち、まず、県の公共建築物における取組についてお答えいたします。
公共建築物に木材を利用することは、シンボル性があり、展示効果が高いことから、県民の皆様に木材のよさや使い方を理解していただく上で、大変効果があるものと考えております。
このため、県では、森岡副
知事を座長として、庁内各局を構成員とする愛知県木材利用促進連絡会議において、あいち木づかいプランを策定し、公共建築物及び公共工事で利用する木材における県産木材の割合を、二〇一五年度の四〇・七%から二〇二〇年度には六〇%とする目標を掲げ、全庁挙げて、県産木材の積極的な利用に取り組んでいます。
その結果、今年度の県産木材の割合は、全体で六五%と目標を上回る見込みです。
主な取組といたしましては、第七十回全国植樹祭において、天皇、皇后両陛下がお座りになられたお野立所や特別招待者席に県産木材をふんだんに使用したほか、八月にオープンした愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポにおいて、エントランスホールの天井などの内装やベンチに使用しております。
あいち木づかいプランは、来年度が五か年計画の最終年度となることから、現計画をしっかり総括し、課題を整理した上で、二〇二五年度に向けた新たな目標を定めた次期計画を策定し、公共建築物での県産木材の利用をより一層推進してまいります。
次に、市町村の公共建築物における県産木材の利用促進のための支援についてお答えいたします。
本県では、全ての市町村が、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、木材の積極的な利用のための方針を定め、木材利用に取り組んでおり、県といたしましては、様々な支援をしているところであります。
具体的には、次世代林業基盤づくり事業により、県産木材を利用した施設整備に支援しており、本年度は、瀬戸市の小中一貫校、にじの丘学園の内装木質化や大口町立西保育園の木造・木質化に助成をしております。
また、都市部の市町村での木材利用が一層進むよう、新たに国の森林環境譲与税を活用し、市町村職員を対象として、集成材を使って広い空間を確保した木造施設や、一般に流通している木材を使ってコスト縮減を図った木造の建物などの先進的な事例を紹介する研修会を開催しております。今後も、こうした取組を通じて、市町村の公共建築物における県産木材の利用が進むよう努めてまいります。
次に、民間における非住宅分野での県産木材の利用促進についてお答えいたします。
二〇一八年に全国で着工された建築物の木造率は、住宅分野の六五・四%に対し、商業施設やオフィスなど非住宅分野では八・九%と、低くなっております。
この理由は、一般の木材製品では耐火基準を満たすことが難しいことや、非住宅分野で木造化に関する知識を有する建築士が少ないことなどが挙げられます。
近年では、防火や耐火性能等を有する木材製品が新しく開発されているほか、コンクリートより軽く、工期を短縮できるCLTの生産体制が整ってきています。
また、木造・木質化を進める技術者の育成につきましては、県内の建築士や木材業界の方々が中心となって、先月十九日に、環境都市実現のための木造化・木質化推進あいち協議会が設立されました。今後は、名古屋大学などとともに、本県もこの協議会に加わり、産学官連携の下、建築士等を対象として、木造・木質化に関する法令、構造などの専門的な知識を習得するための座学などを行い、毎年三十名程度の木造建築技術者を育成してまいります。
併せて、あいち森と緑づくり事業の中で、今年度、新たに木の香る都市(まち)づくり事業を創設し、病院やカフェなど、民間施設の木造化、内装木質化、木製備品導入に対する支援を始めたところでございます。
県といたしましては、こうした取組を通じ、今後、木材需要拡大の要となる、民間による非住宅分野での県産木材の利用促進を図ってまいります。
8:
◯農業水産局長(
中根俊樹君) 花の王国あいちの推進についてのお尋ねのうち、スポーツシーンにおける花の活用についてであります。
本県は、五十七年連続花卉産出額日本一を誇る花の王国あいちであり、本県の花の需要を拡大するために、二〇一三年度から、県内の花卉関係団体と連携して、暮らしの中に花を取り入れる、花いっぱい県民運動を展開しております。
この運動の取組の一つとして、議員お示しのとおり、注目度が高く、多くの人が集まるスポーツイベントに着目し、イベント会場内にインスタ映えする写真スポットを設置するなど、若い世代はもとより幅広い世代の方々に、花の魅力を効果的に伝える取組を毎年実施しております。
今年は、四月六日、七日の二日間にわたり、東京二〇二〇オリンピック聖火リレーが県内各地で行われます。
愛知県内外で注目されるこのイベントを絶好の機会と捉えて、瀬戸市の出発式会場と豊田市の聖火の到着を祝うセレブレーション会場のステージを愛知の花で飾るほか、走り終えた聖火ランナーに、五輪をイメージしたミニブーケをプレゼントするなど、聖火リレーを愛知の花で盛り上げます。
このほか、例年メディアに多く取り上げられております大相撲名古屋場所、名古屋ウィメンズマラソンに加え、今年は、十一月に開催されるFIA世界ラリー選手権、ラリージャパンにおいても、
知事からビクトリーブーケを贈呈するなど、全国から集まる多くの方々に、愛知の花の魅力をアピールしてまいります。
次に、二〇二〇年度のあいち花マルシェについてであります。
これまで開催してきましたあいち花フェスタでは、来場者の皆様に、日本一を誇る愛知の花を見て、触れて、知っていただき、花の王国あいちを広くPRしてまいりました。
今回新たに計画しておりますあいち花マルシェは、これらの取組に加え、会場の皆様に、会場内で気に入った花を買っていただくことをコンセプトとしております。
来年度は、消費者が集まりやすい都市部において、花の農家や生花店などの花卉関係者と消費者が一堂に会し、マスメディアや各種イベントとタイアップして、様々な花の楽しみ方を提案するイベントを二回開催いたします。
まず、八月は、名古屋市内で、花キューピットの愛称で親しまれている一般社団法人JFTDによる、全国のフラワーデザイナー約百名がその技術を競うジャパンカップと連携して、マルシェを開催いたします。会場では、フラワーデザイナーによるオリジナル作品や、来場者の選んだ花でデザイナーが作る花束を購入できるなど、フラワーデザインの魅力を楽しめるイベントといたします。
また、十一月は、安城市内で、切り花や鉢物、花壇苗など、様々な花を幅広くそろえたマルシェを開催いたします。会場では、県内各地から集められた花の品評会、寄せ植えやフラワーアレンジメントの体験教室、インスタ映えする花のディスプレー展示に加え、花の農家との対面販売、品評会に出品された花のオークションなどを実施し、お気に入りの花を楽しみ、手に取り、購入できるイベントといたします。
今後、開催地の市、JAグループ、生産者などの花卉関係者、マスメディアの方々と実行委員会を設立し、会場にお越しいただいた皆様が、楽しみながら、愛知の花を購入いただけるイベントとなるよう、しっかり準備を進めてまいります。
9: ◯副
知事(
森岡仙太君) 中根議員からの御質問に答弁させていただきます。
中根議員には、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、この三月末をもって、副
知事を退任させていただくことになりました。
副
知事就任してからの六年間を振り返りますと、私は、県内各地、様々な地域、場所を訪問いたしました。製造業、商業をはじめ、農業、林業、水産業など、様々な仕事に携わる方々にお会いをしまして、じっくり話を聞いて、親交を深めることができました。それぞれの分野で頑張り、業界を支えているすばらしい方々がおみえになり、大変勉強になりました。ありがとうございました。
今、改めて多くの方々のお顔を思い出しますとともに、これからも御活躍されることを祈念したいと思います。
次に、県勢発展のためにどのように取り組んできたかということでございます。
愛知県にとり大事なことは、県民の皆様が、それぞれ夢を持って、豊かに、楽しく生活ができるということであります。
そのためには産業を発展させ、仕事をつくり、雇用を確保していくということが最も重要であります。
世の中は、グローバル化あるいはデジタル化ということで、大きなうねりの中にあります。ある意味では、先を見通すことが非常に難しい時代であります。
本県の基幹産業であります自動車産業は、CASEやMaaSといった、百年に一度の大変革期を迎えております。本県の産業をさらに発展させ、仕事をつくり、雇用を確保していくためには、イノベーション競争に打ち勝ち、この変革期を乗り越えていかなければなりません。
このような先を見通すことが非常に難しい時代、そういう時代こそ、やるべきことは人を育てることであります。仕事を進めるのは人であります。どういう人材をどのように育てるのかは重要であります。
そこで、大村
知事の強い意向を受けまして、私は、特に人材育成に力を注いでまいりました。産業人材育成・確保促進プロジェクトチームを立ち上げ、産業人材の育成、今後の人材育成の在り方に関する指針の策定に取り組んでまいりました。
次に、今後の愛知県に対する期待でございます。
言うまでもなく愛知県は、世界に誇る産業集積地であります。日本をリードする成長エンジンであります。今後とも、産業首都愛知の役割を果たし、愛知が持つ大きな力、勢いをさらに一層拍車をかけて、日本を力強く引っ張っていっていただきたいと思っております。
愛知県では、二〇二二年にジブリパーク、そして、ステーションAiがオープンいたします。二〇二六年にはアジア競技大会が開催されます。そして、二〇二七年にはリニア中央新幹線が開通いたします。こうした大きなプロジェクトを着実に結実させ、この愛知が、世界の中で大きな存在感を発揮していただきたいと思っております。
職員の皆様へのアドバイスとなりますが、こうしたビッグプロジェクトを進めるためには、生じる課題、問題を着実に解決していくことが重要となってまいります。問題解決こそが社会を進歩させ、前進させていくものであります。
職員の皆様は、問題を明確化して、そして、目標を定め、現状を分析し、その対策をやり抜くというプロセス、いわゆる問題解決の実践を常に心がけていただきたいと思っております。そのためには、問題を解決しようという気迫が必要であります。愛知県職員の皆様には、その気力と能力があるというふうに思います。頑張っていただきたいと思います。
最後に、私がこうして副
知事の職を務めることができましたのも、大村
知事の卓越したリーダーシップと、職員の皆様の御協力、何よりも県議会議員の皆様方の御指導、激励のおかげでございます。心から感謝を申し上げまして、私の答弁とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
10: ◯六十一番(
中根義高君) 各御答弁をいただき、ありがとうございました。
それでは、各項目について要望をさせていただきます。
まず、県産木材の利用促進についてであります。
この十年で、木造建築を取り巻く環境は随分とさま変わりをしてまいりました。
本県の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針にあります低層という言葉でありますが、三階、階数が三階以下、または高さが十六メートル以下云々と定義をされています。すなわちでありますが、四階以上で、高さ十六メートルを超えるものは木造ではなくてもよいということになってしまい、それが本県において、規模の大きな、シンボリックな木造建築物が見られないことにつながっているのではないかとも感じるところであります。
中高層建築物の木造化は、耐火も含め、技術的には可能であります。民間でのプロジェクトも多数立ち上がっておりますし、建築事例もどんどんと増えてきております。愛知県においても、まずは一棟、木造の中高層建築物の整備に着手をしていただきたいと要望をさせていただきます。
続いて、花の王国あいちの推進についてであります。
一九九〇年に行われた大阪花の万博は、復興から高度成長の中で、生活にゆとりが生まれた日本に、花のある暮らしを提案しました。二〇〇四年に行われた浜名湖花博は、ガーデニングという新たな文化を根づかせるきっかけとなりました。生活スタイルの変化、人口減少を迎えた中で、新たなムーブメントを提案していくのは、生産額日本一の愛知の役割であろうとも思います。
今回、あいち花マルシェのサマーステージが、日本一のフローリストを決めるジャパンカップも開催されるということでありますが、フローリストの世界では、アジアチャンピオン、世界チャンピオンを決める大会があるともお伺いをしております。本年度オープンした愛知県国際展示場は、保税エリア内という特性を持った会場でもあります。世界大会にはうってつけではないかと感じているところでもあります。
そして、最後に、森岡副
知事、ありがとうございました。
私自身、林業や森林の現場を訪問する中で、二度ほど、副
知事にお目にかかる機会がありました。一度目は、うっすら雪が残る冬の森林を山頂まで登ってこられたときでありました。二度目は、現場から帰ってきた林業関係者とお話をされている姿でありました。その方の話は、半分愚痴のようなものも含まれていたのかもしれませんが、膝を突き合わせ、その話をずっと聞いておられました。副
知事が背中で語られるその姿に、私たちは感動し、とても多くのことを学ばせていただきました。
報道によれば、副
知事退任後も、本県の顧問として御助言をいただけるとお伺いをしております。森岡副
知事への感謝と、これからのますますの御活躍、そして、変わらぬ県政の御助言をお願いいたしまして、
発言を閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。
11:
◯議長(
神野博史君) 進行いたします。
佐波和則議員。
〔三十八番
佐波和則君登壇〕(拍手)
12: ◯三十八番(
佐波和則君) まずは、モノづくりの技能の継承と魅力発信について伺います。
少子・高齢化による日本の人口減少は、さらに進行すると言われています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇〇八年の一億二千八百八万人をピークに、二〇四〇年に一億一千九十二万人、二〇六〇年には九千二百八十四万人まで減少すると予測されています。これに伴い、生産年齢人口、十五歳から六十四歳の割合は、二〇〇八年の六四・五%から、六〇年に五一・六%まで減少すると見込まれており、こうした状況では、消費額が減少し、内需市場の縮小が避けられないばかりか、国内産業の稼ぐ力が徐々に弱まっていくことも懸念されます。
二〇一九年度版ものづくり白書によると、国内製造業の従業員数は、一九九七年から二十年間で二〇%以上減少しています。中でも、国内企業の九九・七%、雇用者数の七割を占める中小企業は、日本の産業競争力の原動力としての役割を果たしてきていますが、経営者の高齢化と後継者不足、労働力の確保難などにより、事業継続が困難な状況に直面しており、産業競争力や地域雇用を維持する上で大きな課題となっています。
こうした状況の中、人手不足が与える影響を、単にマンパワー不足、低下の問題だけではなく、団塊世代の大量退職に端を発した技能継承問題との絡みを重視すべきであると考えます。このままでは、人を確保しても、技能継承が進みにくい状況にあると思わざるを得ません。
また、IoTの普及やビッグデータの活用、AIの導入など、第四次産業革命と言われる異次元の技術革新が急速に進んでいます。既にAIの導入は、様々な産業へ広がりを見せており、移動、交通手段となる自動走行の研究は、実証実験の段階に入っていることは御承知のとおりであります。
また、IoTを活用して、生産現場を含むサプライチェーン全体を機器、製品のレベルまでネットワーク化し、設計、生産から小売、保守まで、膨大なデータを管理し、効率化を図るシステムの構築も具現化されています。
このようにデジタル
ツールやロボットなどの利活用を通じた自動化により、人はより付加価値の高い仕事へとシフトしていくことが期待されます。
一方で、製造業における人材不足について、国内外で競争力をつけるには、直接モノづくりに携わる産業人材だけでなく、モノづくりとAI、IoTを組み合わせて活用できるスキル人材の雇用、育成が急務と考えます。
また、人材不足による経営への影響が深刻化している中、技能継承が多くの製造業で課題となっております。
モノづくりにおいて、技能と技術は、いずれも重要不可欠なものでありますが、特に技能は、人に内在する暗黙知を主体とする能力であり、かつその人固有のものであり、実際の体験等を通じて、人から人へと継承されていくものであります。この技能の習得、継承は一朝一夕に身につくものではなく、長い時間を要するものであります。特に中小企業においては、熟練の技能者によって守られてきたすばらしい技能を継承できずに、途絶えてしまうこともあり、一度失ってしまうと、その技能を復活させることは非常に困難であります。
冒頭紹介しました二〇一九年度版ものづくり白書によると、熟練の技能者は、製造業の経営にとってなくてはならない存在となっており、企業規模が小さくなるほど、その果たす役割は大きなものとなっております。まさにモノづくりの基盤を支えるのが技能と言っても過言ではありません。
技能継承の重要性について、九割以上の企業が重要であるという認識があるものの、八割の企業が、将来の技能継承に不安を抱えております。中小企業の技能継承のサイクルを絶やさないためには、計画的なOJTを実施することに加え、指導を受ける側の従業員が、新しい技能や知識を身につけようとする意欲を高めることができ、指導者とコミュニケーションがとりやすい環境の中で、モノづくりの心をしっかりと伝えていくことが効果的であります。
また、長期的な視点に立てば、将来の愛知を担う若者のモノづくりに対する意識を高めるため、小中学校の頃から、モノづくりに触れる機会を増やすなど、理解を深め、魅力を感じ、何かを作り上げたいという意欲を持ってもらうような取組も必要であると考えます。
そこでお尋ねします。
モノづくりとAI、IoTを組み合わせることのできるスキル人材の育成は必要不可欠と考えますが、どのように認識され、今後、どのように対応されていくのか伺います。
さらに、次世代への技能継承やコミュニケーションを通したモノづくりの心を伝えられる取組、若い人たちへのモノづくりの魅力発信も必要と考えますが、今後、どのように取り組んでいかれるのか伺います。
加えて、次世代を担う人材育成を進めるためには、小学校におけるプログラミング教育や、小中高校を通じた統計教育を充実するとともに、高等教育、社会教育を含めて、モノづくり基盤となる実践的、体系的な教育、学習活動により、新たな価値を生み出すことができる取組を進めていく必要があります。
本県では、グローバル化やデジタル化の進展、女性の活躍促進等、本県のモノづくり産業のニーズの変化を踏まえ、二〇二一年四月から、県立工業高校を、新しい時代にふさわしい学校名に改称し、併せて未来を見据えた新しい学科、コースを創設するとされています。工業高校の魅力向上を図ることで、新しい時代に生き抜く力を身につけた、たくましい若者の育成につながるものと期待しています。
そこでお尋ねします。
新時代に対応した工業高校の魅力向上に向けて、今後、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、スケジュール感を含めて、教育長に伺います。
本県は、古くからモノづくり産業が発展し、第三次産業革命による産業構造の展開にも的確に対応した地域であり、今では、最先端の航空宇宙産業やロボット産業に至る、厚みのある産業集積を有し、製造品出荷額等が四十二年連続全国一のモノづくり県であります。
また、モノづくり愛知を支えている優れた技能者は、自らの感覚と経験を駆使して、自動車や機械製品の部品加工などを行い、その技術は、機械でもなし得ない精度を誇ります。モノづくり現場では、時にそうした精密さが求められることから、機械化や自動化が進む中でも、技を持った技能者が欠かせない存在となっています。
本県は、技能検定合格者の累計が全国一であり、毎年開催される技能五輪全国大会でも、愛知県選手団は非常に優れた成績を残しており、まさに高い技術や技能に裏づけされた技能の中心地と言えます。
二〇一四年度に開催された技能五輪・アビリンピックあいち大会は二十八万九千人、技能五輪全国大会、二十二万人、全国アビリンピック、六万九千人と、過去最高の来場者を集め、大いに盛り上がりました。
そして、この大会の感動を継承し、さらに技能尊重機運を高めるために開催されたあいち技能五輪・アビリンピック二〇一九大会では、大会史上初となる技能五輪全国大会の四十二職種中三十二職種と、全国アビリンピックの二十三全種目の五十五競技を、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポにおいて開催するなど、全ての会場を合わせて約十九万人の方に来場いただきました。県選手団は、十五年連続の最優秀技能選手団賞を受賞し、アビリンピックでは、二年連続のメダル獲得数全国一位、さらに女性の活躍賞も、技能五輪・アビリンピックともに県選手団が受賞するという輝かしい結果を収め、数多くの出会い、感動、交流が生まれたことは記憶に新しいところであります。
私は、技能五輪へのチャレンジは、技能重視の風土づくりの一環として取り組むものと考えますが、取組に当たり、技能とは何かと自分なりに整理すると、もちろん技や知識も入りますが、人柄も技能の大事なファクターだと考えます。選手は、やる気と人柄が大切で、訓練は、技だけに特化せず、心・技・体のバランスに重点を置いて強化するべきだと思います。もちろん技能五輪に参加する以上、入賞は大きな目標ですが、その目標に向かって創意と工夫を凝らし、技能の総合力を上げ、やり切る強い気持ちを育てることも大切であります。その上に、思いやりある感謝の気持ちが加わることで、選手やコーチを終えて職場に配属された以降、必ず職場における改善の核となり、現場力が向上し、技能重視の風土につながるものと思っています。
現在、多くの企業でも、自動化やロボットの活用が広がっていると思います。確かに自動化やロボットは、正確に一定速度で、記憶させられたとおりに動き、人間よりも優れている点はあります。ただし、動きを記憶させるのも人間です。その人の技能以上の動きはできません。しかし、その人の技能が向上することで、自動車やロボットに高度な動きを記憶させられます。すなわち、どのような環境になろうと、技能向上、人材育成は重要だと考えます。
ここで、モノづくりに携わり、技能重視の風土づくりに取り組まれている方々と、技能継承について話し合う機会がありましたので、技能五輪全国大会に初出場された選手の声も含めて紹介します。
皆さんからは、著しい環境変化への対応や技能の継承など、苦労話を含めて、様々な取組を伺うことができました。技能五輪に関しては、まだまだ技能五輪への参加企業が少ない。参加企業が増えることで、国内での競争力が激化し、企業間における切磋琢磨が国際大会で活躍できる人をつくり、世界で勝負できる企業を育てることになるとの話を伺い、共感しました。
また、選手は、技能五輪全国大会に出場する際、自分なりの目標を立て、その目標に向かって訓練を行っては失敗の繰り返しで、身体は疲弊し、心が折れそうになったことも幾度とあった。また、大会が近づくことで焦りが出て、逃げ出したい気持ちにもなった。しかし、その都度、支えていただいた関係者のおかげで、技能五輪全国大会で、目標に掲げた品質、時間に課題を仕上げることができたと、ほほ笑んでくれました。さらに、今回の経験を通じて、もちろん技能や知識が向上したと思うが、それ以上に感謝の気持ち、やり切ることの重要性を学んだ。今後は、社内外の企業の選手と合同訓練などの交流を通じて、多面的に視野を広げて、人間力を上げていきたいとも語っていただき、力強く、かつ頼もしく感じました。
モノづくりのすばらしさを知ることが増えることは、技能の裾野を広げることにつながり、裾野が広がれば、技能重視の風土が広がっていくものと思っています。
日本のモノづくりは、多くの中小企業に支えられており、そこにある独創的な、優れた技能を有する人材は、愛知、日本の技術を支え、国際社会での競争力の源泉であります。技能への関心の高まりを背景に、中小企業の全国大会等への参画しやすい環境づくりを推進し、おのおの企業の技能を発信できる仕組みづくりが必要と考えます。
また、小中学生の子供たちが技能競技大会に接し、観戦できることは、モノづくり分野での活躍を将来の夢として描く機会となることから、学校関係者等との連携の下、一人でも多くの子供たちが接する機会をつくってほしいと思っています。
加えて、愛知県は、二〇二五年の技能五輪国際大会の招致を目指すとしています。
知事は、昨年九月定例県議会の提案説明において、日本一の産業県である本県にとって、技能が極めて重要であることに鑑み、引き続き国際大会の招致を目指してまいりたいと表明されました。技能五輪国際大会は、世界の青年技能者が幅広い職種で技能を競う、世界最大級の職業教育訓練と技能の祭典であります。私自身、ぜひとも二〇二五年大会の招致を実現していただきたいと思っています。
そこでお尋ねします。
次代を担う若者にモノづくり技能を継承し、技能尊重機運を高めるため、とりわけ中小企業の選手の育成強化や、来場者の増加につながる広報活動も重要な視点と考えており、これらについて、二〇一九年度の取組をどのように総括し、二〇二〇年度の開催に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
また、二〇二五年技能五輪国際大会の招致に向け、県は、これまでどのように取り組み、今後、どのように取り組んでいかれるのか伺います。
二つ目は、生物多様性保全の今後の取組について伺います。
二〇二〇年が幕を開け、生物多様性の世界目標である愛知目標の成果が総括、評価される、重要な時期を迎えました。
今から十年前の二〇一〇年十月、生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10が開催され、自然と共生する社会という理念が示されるとともに、二〇二〇年までの十年間に、国際社会が生物多様性保全と持続可能な利用を進めていくための世界目標である新戦略計画、いわゆる愛知目標が採択されました。
本県は、COP10の開催地として愛知目標の達成に積極的に貢献していくため、あいち生物多様性戦略二〇二〇を二〇一三年三月に策定し、愛知県独自の取組として、多様な主体の連携により、地域本来の自然環境を保全、再生して、生き物の生息環境をつなぐ生態系ネットワーク形成など、先進的な取組であるあいち方式を、全国に先駆けて進められていることは承知しています。
また、国際社会に向けても、こうした取組を発信し、二〇一六年八月からは、生物多様性保全に取り組む世界のサブナショナル政府と愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合を設立し、本県がリーダーシップをとり、地域の取組から、世界の生物多様性保全の流れをつくり出すということを目指して活動をしています。
私は、二〇一四年十二月の代表質問において、COP10の開催から五年目となる大きな節目を迎え、愛知目標の達成に向けた生物多様性保全の取組について伺いました。
知事からは、あいち生物多様性戦略二〇二〇に基づき、地域の皆様の協働により、緑地や水辺の整備に取り組むことで生き物の生息空間をつなぐ生態系ネットワークの形成を進めています、具体的には、河川の流域圏を基本に県域を九つに分け、各地域で大学や企業、NPOなどを構成員とする生態系ネットワーク協議会の設立を進め、県内六地域において延べ約百五十の企業、NPO、大学、自治体などが活動に参加されており、こうした取組を県全域に広げ、根づかせながら末永く続けていくことが課題であるとの答弁をいただきました。
こうした生物多様性保全の取組については、地域のNPO、企業等の様々な主体の参画が重要であると考えます。
私は、先日、長野県を訪問いたしましたが、そこでは、様々な主体のパートナーシップで工夫した取組が行われていました。
長野県の自然環境は、日本の屋根と言われる三千メートル級の高山や里地、里山、湖沼など変化に富み、その恵みの下で多様な生物が育まれています。この豊かな自然環境を守るため、同県では、二〇一二年二月に、生物多様性ながの県戦略を策定し、人と自然が共生する信濃の実現に向けた取組が進められています。
現在も、様々な市民団体が自然環境の保全活動を行っておりますが、多くの団体で活動資金やマンパワー面で課題があり、積極的な活動が展開できなかったと伺いました。このため、市民団体と企業、学校などが協働して行う人と生きものパートナーシップ推進事業を二〇一五年度から開始し、生物多様性を社会全体で支え合う仕組みづくりが進められています。
この事業は、支援したい企業等と支援を受けたい団体、学校が県の仲介で協定を結び、保全活動の活性化を推進しているもので、継続的な保全活動を支えるとともに、様々な主体が連携して取り組むことにより、地域社会や経済への貢献につながる、よい取組であったと感じました。
一方、私の地元である知多半島において、臨海部の企業緑地群、グリーンベルトを一つの大きな緑地と捉え、地域共通の宝として、より豊かな生態系を育んでいこうとする機運が芽生え、学生を核に、企業や大学、NPO、行政など多様な主体の連携により、企業緑地で生態系を保全、再生する、命をつなぐプロジェクトが実施されています。
命をつなぐプロジェクトの最大の特徴は、学生組織を中心としていることです。社会人中心のプロジェクトの場合、失敗のリスクを回避するため、長い時間をかけて物事を進めたり、事前の調査に時間をかけるのが普通でありますが、失敗を恐れずにまず挑戦し、失敗したら改善することで、スピーディーな行動を実現する、学生ならではの強みが生かされています。結成以来十年間、足を止めることなく歩み続けてきたこのプロジェクトは、管理者が異なる企業緑地群を地域共有の財産と見立て、生態系ネットワーク形成のためにビジョンを共有し、緑地同士をつなぐ整備の推進や、地域への生物多様性啓発活動の展開など、各方面から高い評価を受けていると伺っております。
そして、その仕組みづくりや仕掛けづくりが功を奏し、今や百人を超す学生メンバーを有する組織が、知多半島臨海部という枠組みを超えて、知多半島全域に広がり、学生組織そのものが、地域の担い手として生み出すシステムへと成長していると強く感じています。
一部を紹介いたしましたが、この取組は、これまで多くの表彰を受けており、本年一月に、県が環境省や名古屋市とともに開催したあいち・なごや生物多様性EXPOにおいても、優良な保全活動の事例として紹介されたとともに、県が昨年八月に策定した、愛知県SDGs未来都市計画の先導的取組のモデルにもなったと承知しています。
この計画では、今後、この学生が参画する多世代連携の手法を愛知県全体に広げるとともに、生態系創造の担い手と企業とのマッチングシステムの導入によるあいちミティゲーションの機能強化や、県民参加型の生物多様性モニタリング調査による生態系ネットワークの検証を導入すること等で、あいち方式にSDGsの理念を取り込むとともに、そうした視点に立って、二〇三〇年への生物多様性保全に関する行動計画の検討を進めるとされています。
さらに、COP10以来、本県が培ってきた国際的なネットワークを生かして、若者の国際交流により、命をつなぐプロジェクトを世界に発信することで、世界のSDGsの推進にも貢献するものと思います。
そこでお尋ねします。
命をつなぐプロジェクトでは、具体的にはどのような取組が行われ、どのような成果があったのか伺います。
また、県として、このプロジェクトの成果も踏まえ、さらに国際的なネットワークも生かした上で、今後、ユースの人材育成とあいち方式の成果発信にどのように取り組み、生物多様性保全を推進していくのかお伺いします。
以上で質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手)
13:
◯労働局長(
井上貴弘君) モノづくりの技能の継承と魅力発信についてお答えいたします。
初めに、モノづくりとAI、IoTを組み合わせることのできるスキル人材の育成についてであります。
産業人材の育成、確保に向けましては、二〇一四年度に、庁内関係部局で構成をする産業人材育成・確保促進プロジェクトチームを設置し、時代の要請に応えるべく、様々な取組を進めております。
近年、AIやIoTといった技術革新が急速に進み、そうした技術スキルを持つ人材の育成が必要であるとの認識の下、プロジェクトチームでは、現在、モノづくり基盤を支えるIT人材の育成を柱の一つに掲げ、重点的に施策を実施しているところであります。
具体的には、現在再編、整備を進めております高等技術専門校におきまして、産業構造の変化や求人状況、企業ニーズ等を踏まえ、IoTやロボットなどの新たな技術に対応できるよう順次、訓練科目の見直しを図っております。今年度から、IoT人材の育成を目指し、名古屋校にマイコン制御やシステム設計等を学んでいただく組込みシステム科を立ち上げました。また、来年度建て替え工事に着手する岡崎校においても、整備後には、産業用ロボットを活用した生産システムの構築、運用管理及び改善ができる人材を育成するロボットシステム科等を開設する予定であります。
さらに、企業の在職者等を対象に、年間を通して機動的に実施する短期の訓練におきましても、来年度は、IoT人材を育成するため、マイコンプログラミングや画像処理等の新たなコースを設定することに加え、定員を今年度の八百人から一千二百人へと大幅に拡充して、実施してまいります。
今後とも、産業人材育成・確保促進プロジェクトチームを中心に検討を進め、IoT人材など、時代の要請に応じた人材の育成、確保に向けた施策の充実に努めてまいります。
次に、次世代への技能継承、モノづくりの心を伝える取組やモノづくりの魅力発信についてお答えします。
本年度、県が行った中小・小規模企業訪問ヒアリングにおいて、人材育成の課題の中では、依然として指導人材不足の回答が最も多く、若手技能者を育てるための指導や実践的な研修を望む声が寄せられるなど、技能継承については、中小企業自身で解決しにくい問題と認識しております。
そのため、県では、昨年度から、あいち技能伝承バンクに登録した企業OB等の熟練技能者を講師として中小企業等に派遣し、次代を担う若手技能者の技能向上を図っております。この熟練技能者は、若手技能者を直接指導する中で、単なる技術的な指導にとどまらず、長年の経験に裏打ちされたモノづくりに対する姿勢や心構え、手作業の大切さや工夫の楽しさなども伝えております。
指導を受けた若手技能者からは、自分をさらに高めて、視野を広げていきたい、モノづくりに対する向き合い方など、精神的なことも学べたという声があり、モノづくりの心がしっかりと伝えられていると認識しております。
また、モノづくりの魅力発信については、技能の重要性やモノづくりの楽しさを肌で感じてもらうため、小中学生を対象に、少年少女技能大会、アイチータ杯を開催するとともに、技能五輪メダリスト等を小中学校へ派遣し、モノづくりをテーマとした講話や、モノづくりを実際に体験する参加型授業を行っております。
さらに小中学校の教員に対しましても、地域のモノづくり企業への理解を深め、子供たちにその魅力を伝えていただくとともに、学校で行う職場体験につなげていただけるよう、愛知ブランド企業の見学会を実施しております。
県といたしましては、今後とも若手技能者への直接指導による技能継承に加え、次代を担う小中学生がモノづくりの魅力に触れ、モノづくりに対する意識が高まるような取組を進めることで、モノづくり愛知の基盤となる人材の育成につなげてまいります。
次に、技能五輪・アビリンピックにおける選手の育成強化や広報活動に係る取組でございます。
今年度の全国大会では、中小企業や学校等から多くの選手が出場できるよう、訓練経費等の助成に加え、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポで合同公開練習会を開催することにより、選手の育成強化に取り組みました。
こうした結果、愛知県は、技能五輪で十五年連続最優秀技能選手団賞を受賞し、アビリンピックでは、二年連続でメダル獲得数が全国一位という、すばらしい成績を収めました。中でも、中小企業に所属の選手は、技能五輪では、建築大工職種と理容職種の金メダルをはじめ、六職種で十個のメダルを、アビリンピックでは、家具種目で銀メダルを獲得することができました。
また、鉄道主要駅でのポスター掲示や車内広告、街頭ビジョンなどを活用した広報に努めたことにより、来場者数は十八万七千四百七十人に上りました。
来年度の大会に向けては、中小企業等が行う訓練の支援や合同公開練習会の開催など、引き続き選手の育成強化にしっかり取り組んでまいります。
さらに、今年度の大会より大幅に成績を上げた都道府県選手団に対して、その努力や進歩をたたえる特別賞を創設し、選手のさらなる奮起を促すことで、日本全体の技能の底上げにもつなげたいと考えております。
また、カウントダウンイベントや市町村を通じた広報、SNSの活用など、広報活動のより一層の充実を図るとともに、教育委員会との連携をさらに深め、より多くの学校による見学と、高校生や特別支援学校の生徒による競技解説の拡充に取り組み、来場者の増加に努めてまいります。
こうした取組により、本県選手の活躍と大会の成功に向けて、開催準備をしっかりと進めてまいります。
次に、二〇二五年技能五輪国際大会の招致に向けての取組についてであります。
国際大会の開催は、日本の技術、技能の高さを世界に発信するとともに、技能の重要性を訴え、技能を支える人材の育成や確保に向けた取組を促進する貴重な機会であり、愛知県のみならず、日本の産業力の強化に大きく資するものであります。
本県では、これまで
知事が先頭に立って、厚生労働省に対し、愛知での国際大会の開催意義を訴えるとともに、速やかに招致方針を決定するよう働きかけてまいりました。
また、昨年十一月には、地元経済団体等六団体との連名の要請書により、日本経済団体連合会や日本労働組合総連合会などの中央団体に対し、国際大会招致への理解を求めるとともに、支援を要請いたしました。さらに、選手の所属する企業や大会競技に関連する団体等九十三社、団体を訪問し、招致への支援と協力を依頼してまいりました。
現在、国においては、招致方針の決定に向けた手続が進められているところであります。また、中央団体や選手の所属する企業等からは、いずれも積極的に協力する旨の意向が示されております。
今後は、引き続き企業、団体への協力要請を行うとともに、技能五輪全国大会や若者を対象とするモノづくり体験イベントのほか、日本、愛知を世界に発信する国際フォーラムなど、あらゆる機会を通じて、国際大会招致の機運の醸成を図ってまいります。
そして、国の方針が決定された後には、十月にアイルランドで開催されるWSI(ワールドスキルズインターナショナル)総会や世界各地域における競技大会の場などを活用し、WSI加盟国・地域に、日本、愛知への支援を働きかけるなど、国や経済団体等と一体となって、招致活動に全力で取り組んでまいります。
14:
◯教育長(
長谷川洋君) 新時代に対応した工業高校の魅力向上に向けた取組とそのスケジュールについて、お尋ねをいただきました。
これまで、愛知のモノづくり産業を担う人材育成に大きな役割を果たしてきた工業高校の名称を、二〇二一年四月に工科高校へと変更し、新たにIT工学科を四校、ロボット工学科を六校、環境科学科を四校に設置いたします。
新設する学科では、特色ある教育課程を編成することとしておりまして、来年度は、それを実践するための最新の設備、施設を整備してまいります。
まず、IT工学科には、自動運転システムに関する技術を身につける新たな実習を設定し、その実習に必要な地図を作成できる自律走行ロボットなどを整備してまいります。
また、ロボット工学科には、ロボットに必要な動きをプログラミングする実習を設定いたしまして、企業の生産ラインを想定した産業用ロボットの実習装置を整備してまいります。
環境科学科には、品質検査の実習やSDGsに関する学習を設定いたしまして、三次元測定機や万能試験機などを整備してまいります。
こうした新たな工業教育を展開するためには、指導に当たる教員も最新の知識、技術と技能を習得していることが必要であります。
そこで、来年度、新たに愛知総合工科高校専攻科の授業で使用しているITやロボットに関する先進的な機器を実際に操作し、指導方法を習得する実践的な研修会を全ての工業高校の教員を対象として開催いたしまして、先端技術を身につけた教員を養成してまいります。
教育委員会といたしましては、こうした取組によりまして、工科高校の魅力を高め、その魅力を中学生にしっかりと伝え、二〇二一年四月には、大きな夢と高い志を持った新入生を迎え入れ、工科高校の新たなスタートを切りたいと考えております。
15:
◯環境局長(
森田利洋君) 生物多様性保全の取組に関する御質問のうち、まず、命をつなぐプロジェクトの取組と成果についてお答えいたします。
COP10の開催地として、本県では、愛知目標の達成に向け、あいち方式として、生態系ネットワークの形成を進めるため、県内全域をカバーする九つの協議会を順次設立し、保全、再生活動を推進してまいりました。
このうち、知多半島においては、他の地域に先立つ二〇一一年に協議会を設立し、その取組の一つとして、知多半島臨海部の企業緑地における生態系保全活動、命をつなぐプロジェクトが始まりました。
このプロジェクトは、ユース、学生を中核といたしまして、企業、大学、NPO、行政など多様な主体の連携の下、企業緑地において、ビオトープの整備やアニマルパスの設置、生物調査などを実施するとともに、その活動状況をフリーペーパーで発信する取組でございまして、県としても、主体間の連携の橋渡しや、活動費の助成により支援してまいりました。
この取組によりまして、それまで企業ごとに分断されていた全長約十キロメートルに及ぶ企業十二社の緑地帯がつながり、キツネやウサギの生息が確認されるなど、生態系の保全、再生の成果が上がっております。
また、学生の働きかけによりまして企業が連携したことや、学生が入れ替わっても活動が長年継続していること、学生の視点や工夫によりまして、地域の保全活動が活性化していることなどの点も高く評価をされまして、二〇一九年の国立環境研究所等主催の第四十六回環境賞審査委員会特別賞をはじめ、これまで数々の表彰を受けております。
次に、今後の生物多様性保全の推進についてお答えいたします。
まず、ユースの人材育成についてでありますが、命をつなぐプロジェクトの取組は、生態系の保全、再生という効果はもとより、人材育成、企業の社会貢献活動の活性化にもつながり、環境面だけでなく、社会、経済の面においても大きな効果があったと考えております。
そのため、昨年八月に策定いたしました愛知県SDGs未来都市計画におきまして、ユースを核とした県民と企業の協働による生態系保全活動を先導的取組として位置づけまして、命をつなぐプロジェクトの手法を全県域に拡大する、生物多様性あいち学生プロジェクトを昨年十二月に始動したところでございます。
このプロジェクトによりまして、大学生等が、ワークショップを通して自然環境の現状や課題を学ぶとともに、様々な保全活動に参加し、情報発信を行うことによりまして、ユースの人材育成と県内全域の保全活動の活性化を図ってまいります。
また、環境分野で協定を締結している海外自治体とのネットワークを生かしまして、大学生を相互に派遣し、生物多様性保全の取組を学び合う事業を実施しておりまして、これまでの韓国・江原道、中国・江蘇省に続き、来年度は、ブラジル・サンパウロ州に学生を派遣するなど、引き続きユース人材の交流、育成に取り組んでまいります。
次に、あいち方式の成果発信につきましては、国内では、今年一年を通じて、連携事業や先進優良事例の発表等を行うとともに、十月に中国で開催予定のCOP15や、その準備会合に参加し、世界に対し、強く訴求してまいります。
また、SDGsの理念や次の世界目標の議論も踏まえまして、来年度、新たな生物多様性戦略を策定し、多様な主体の一層の参画の下に、生物多様性の保全に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
16:
◯知事(
大村秀章君)
佐波和則議員の質問のうち、今後の生物多様性保全の取組について、私からもお答えをいたします。
本県は、これまでCOP10の開催地として、県独自のあいち方式による取組を通じて、生物多様性の保全に尽力してまいりました。その取組成果を基に、私自身がCOP11から継続して国際自治体会議に参加をし、COP13からは、海外の先進的な自治体と組織した、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合としての活動も加え、自治体の役割の重要性等を世界に向けて発信してまいりました。
次の世界目標が採択される重要な節目の会議となるCOP15は、十月に中国・昆明で開催される予定ですが、その中国から、この一月に、江蘇省の連合への加盟を得たところでありまして、メンバーの協力関係をより深めまして、COP15での議論に貢献をしていきたいと考えております。
また、COP15には、本県のユース代表を派遣し、活動状況の発信や世界ユース団体との交流を行うなど、人材育成と成果発信に併せて取り組んでまいります。
今後も、若い世代の参画を促し、生物多様性保全の活動の輪を次の世代へとしっかりと引き継いでいくとともに、国際的には、愛知目標から、いよいよ次の世界目標へよりよい形でバトンタッチされるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
17: ◯三十八番(
佐波和則君)
知事はじめ、それぞれ御丁寧に答弁をいただきまして、ありがとうございました。
生物多様性の保全の取組について、一点要望させていただきたいと思います。
あいち方式の成果検証や生態系の現状分析、ユースの活動拡大やマッチングシステムの導入等の検証結果を踏まえて、多様な主体が連携した生物多様性の保全の取組を、幅広いSDGsの取組につなげていただくための新たな生物多様性戦略の策定だというふうに思っております。ぜひその策定と、PDCAサイクルをしっかりと回していただくことを要望しておきたいと思います。
また、あいち学生プロジェクトの出発点は、環境の取組でありますが、多世代連携という視点を入れることで、人材育成という社会的な側面と、企業の社会貢献といった経済的な側面を統合する契機となるというふうに思っております。ぜひ命をつなぐプロジェクトのノウハウなどを生かし、生物多様性からSDGs全体への視野を広げていただける仕組みづくりに積極的に取り組んでいただき、機運を高めていただくことも併せてお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
18: ◯四十番(
寺西むつみ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
19:
◯議長(
神野博史君)
寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
20:
◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十一分休憩
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午後一時開議
21: ◯副
議長(
堀嵜純一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
神谷和利議員。
〔十番神谷和利君登壇〕(拍手)
22: ◯十番(神谷和利君) それでは、
議長のお許しをいただきましたので、大きく二項目の質問をさせていただきます。
大項目一は、教育環境整備GIGAスクール構想への対応についてでございます。
最近、片仮名で表される日本語の中でソサエティー五・〇というのが登場します。議員各位はもう既に御存じのことと思いますけれども、狩猟社会、農耕社会、工業社会、そして情報社会、これに続く人類史上第五の社会の在り方として、ソサエティー五・〇と呼ばれているものでございます。
ソサエティー五・〇とは、世界に先駆けた超スマート社会であり、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題、両方を解決する人間中心の社会と解説されています。
日本政府は、IoTやAI、クラウド、ドローン、自動走行車、無人ロボットなど活用を推進して、これらの最新テクノロジーの活用により、最終的には少子・高齢化、地域格差、貧富の差などを、そういった課題を解決し、一人一人が快適に暮らせる社会を実現することがソサエティー五・〇の真の目的であると言っています。
最新のテクノロジー、どういうものか、一つ一つは理解できますが、それらが絡み合ってどう活用されるのか、どんな社会になるのか、具体的には想像がなかなかつかないものでございます。
しかし、今年一月、ラスベガスで開催されました世界最大級の家電・技術見本市、CES二〇二〇で、トヨタ自動車の豊田章男社長が、東富士に二千人規模の未来のまちを一から建設すると発表して、話題となりました。
このウーブン・シティと呼ばれる実証都市こそ、まさにソサエティー五・〇、世界に先駆けた超スマート社会の実験なんだとイメージができた次第でございます。
さて、教育環境の整備に話を戻します。
昨年十二月十三日、令和元年度補正予算が閣議決定されました。その中には、GIGAスクール構想の実現として、二千三百十八億円が計上されています。
文部科学省の資料によれば、GIGAスクール構想とは、ICTを活用した先端技術等の効果が求められている。しかし一方で、現在の学校ICT環境の整備は遅れており、自治体間の格差も大きい。令和時代のスタンダードの学校像として、全国一律のICT環境整備が急務である。このため、一人一台端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともに、並行してクラウド活用推進、ICT機器の整備調達体制の構築、利活用優良事例の普及、利活用のPDCAサイクル徹底等を進めることで、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びを、全国の学校現場で持続的に実現させるというものでございました。
端的に言えば、令和時代のスタンダードな学校像として、全国一律のICT環境を整備するものであります。
GIGAスクール構想・推進事業の一つは、校内通信ネットワークの整備でございます。希望する全ての小中高校、特別支援学校などで、高速大容量の通信ネットワークが整備されるよう、費用の二分の一を補助するというもので、補助金交付は令和元年度補正予算限りでございます。
GIGAスクール構想・推進事業の二つ目は、児童生徒一人一台端末の整備です。
国公私立の小中、特別支援学校の児童生徒が使用するパソコン端末を整備するために、一台当たり四万五千円を補助するというもので、児童生徒の三分の二の台数が補正予算の対象であり、残り三分の一については、現行の教育のICT化に向けた環境整備五か年計画に基づく地方財政措置を活用して、令和五年までに整備することとなっております。
私の地元の豊田市では、公立の小中、特別支援学校全百四校の校内LANの改修修繕費と、児童生徒数の三分の二、小学校四年生から六年生と中学校全学年用の二万四千台と教員用三千台のタブレット端末の整備費を、令和元年度三月補正予算で四十八億円、令和二年度当初予算で七億円、総事業費五十五億円を計上し、そのうち国からの補助金が二十二億円、残り三十三億円は市単独費で賄い、令和二年度中に整備するという議案が、ただいま上程をされております。残り三分の一、小学校一年生から三年生までの一万二千台については、令和三年度から五年度の予算で整備すると聞いております。
平成三十年度学校における教員の情報化実態調査によると、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数は、愛知県は七・五人で、全国四十七都道府県で最下位であります。
公立小中学校におけるICT環境整備は市町村の判断でありますが、全国一律のICT環境を整備するという国の方針に対応して、県教育委員会としては、市町村に対して積極的に働きかけを行っていると聞いております。
公立小中学校における校内通信ネットワークの整備について、市町村は都道府県を通じて国に申請することとなっております。
また、児童生徒一人一台端末の整備についても、市町村は都道府県を通じて国に申請、国は都道府県を通じて補助金を交付することとなっております。
そこで、一点目の質問でございます。
今現在、愛知県内の市町村における公立小中学校の校内通信ネットワークの整備並びに児童生徒一人一台端末の整備について、補助金の申請状況はどうなっているかお伺いをいたします。
国は、補助金交付の措置要件として、効果的・効率的な整備のため、国が提示する標準仕様書に基づく都道府県単位を基本とした広域・大規模調達計画を上げています。つまり、調達計画がなければ補助金が交付されないということでございます。
さきに紹介した豊田市のような中核市では、単独の調達が可能であると思われますが、県内全ての市町村が独自に調達計画を策定するのは難しいのではないでしょうか。
そこで、二点目の質問として、一人一台端末整備に関する県内市町村に対する支援について、考えをお伺いいたします。
平成三十年度学校における教員の情報化実態調査によりますと、授業にICTを活用して指導できる教員の割合は六三・七%で全国四十三位、児童生徒のICT活用を指導できる教員の割合は六六・〇%で、全国三十九位と低い水準にあります。
このように、教育現場では全ての教員が授業にICTを利活用できるわけではありません。そのため、教育の情報化を進めるために、一定の資質、能力を備えたICT支援員の必要性が高まっています。
ICT支援員とは、学校でICTを利用した授業が円滑に進むように、教員や児童生徒のICT利活用を援助する役割を持った人のことでございます。また、研修におけるICT利活用の支援や学校の校務における利活用の支援も行っております。
本県の令和二年度当初予算によれば、試行的に県立高等学校にICT支援員を配置するということでございますが、公立の小中、特別支援学校にも、当然、ICT支援員は必要でございます。
そこで、三点目の質問として、教員の負担軽減やフォローという観点から、ICT支援員の充実を含め、ICT機器の活用における教員の資質向上についてどのように取り組んでいくかお伺いをいたします。
続きまして、大項目二は、WRC世界ラリー選手権日本ラウンド、ラリージャパンに向けてでございます。
私は昨年、令和元年六月定例議会において、WRC世界ラリー選手権日本ラウンドの招致の現状と、愛知県の取組について一般質問させていただきました。
そして、九月二十七日、二〇二〇年世界ラリー選手権の日本開催が正式決定され、ラリージャパンの開催が現実のものとなり、大いに期待しているところでございます。
世界ラリー選手権(WRC)は、国際自動車連盟(FIA)が一九七三年に創設したラリーの最高峰として君臨する世界選手権であり、ラリーが盛んな欧州や南米では、F1に勝るとも劣らない人気を誇っています。
ラリーの舞台となるのはサーキット場ではなく、競技のために封鎖した一般道路です。ラリーは、複数のスペシャルステージと呼ばれる閉鎖された競技区間を、市販車をベースに改造したラリーカーが一台ずつ全開で走り、その所要時間をゼロコンマ一秒まで計測し、タイムを競う競技であります。大会の順位は各スペシャルステージの合計タイムで決定されます。
また、ドライバーとコース状況を読み上げるコ・ドライバーがペアとなって協力し、極限までコースを攻略するのもラリーの特徴でございます。
また、スペシャルステージとスペシャルステージの間の移動区間はリエゾンと呼ばれ、一般道を通常の交通規則を守って走行することになっております。
世界ラリー選手権(WRC)は、毎年一月から各国を転戦し、十一月の最終戦まで、今年は十三ラウンド開催されます。現在、一月のラリー・モンテカルロ、二月のラリー・スウェーデンを終えまして、来週からは、ラリー・メキシコが開催されようとしているところでございます。
ラリージャパンと呼ばれる日本ラウンドは、本年十一月十九日から二十二日に愛知県、岐阜県で開催され、WRC最終戦であり、各種の年間チャンピオンシップが決定する、世界中が注目する大会となるはずでございます。
ラリージャパンの開催は、二〇〇四年から二〇〇七年、そして二〇〇八年、二〇一〇年に北海道で開催されて以来、十年ぶりの開催となります。二〇一〇年の道央開催では、四日間で四十七万人余の観客動員数となったと記録が残っております。
ラリーは広い範囲の一般道路を封鎖して開催され、ラリー期間中は開催地周辺に駐車場や観戦ポイントなど、様々な施設や場所が設置されます。そのため、地元自治体、警察、そして住民の協力なしには成り立ちません。
また、世界選手権ともなると、数百人から千人規模のオフィシャル、マーシャルと呼ばれるコースの安全管理、観客の管理などを担当する人たちが必要となってまいります。オフィシャル、マーシャルたちはほとんどが手弁当のボランティアであります。ラリーを開催した実績がない場所で、いきなり世界選手権を行うのは到底不可能でございます。
そのため、令和元年十一月九日、十日にテストイベントとして、長久手市の愛・地球博記念公園を中心に、豊田市、岡崎市、新城市、設楽町及び岐阜県恵那市に広がるエリアで、セントラルラリーが開催されました。
競技区間にある七つのスペシャルステージには観戦ポイントが設けられ、三十四台のラリーカーによるタイムアタックの迫力に約四万人のファンが観戦に詰めかけ、注目度が非常に高いことがうかがい知れました。
議長のお許しをいただきましたので、そのセントラルラリー、スペシャルステージがどんなものであったか、パネルで紹介したいと思います。
スペシャルステージのコース自体も高評価でありまして、三河湖や稲武といった愛知県のステージでは、民家の軒先ぎりぎりに疾走し、あるいは、このように神社の鳥居の前で九十度曲がるといった、日本独特の町並みを、山里の町並みをラリーカーが走り抜ける、こういった映像は海外からも大変評価を得たところでございます。パネルは静止しておりますので、車が止まっておるわけではございません。すごいスピードと爆音で通過していく、そういうものでございます。
ラリージャパンの大会本部が置かれる愛・地球博記念公園には、ラリーチームの拠点となるサービスパークも設置される予定でございます。
サービスパークには、ラリーカーをメンテナンスするためのテントが設営され、競技期間中は、早朝にサービスパークを出て、そして午前の競技に向かい、日中に一旦サービスパークに戻ってメンテナンスを行った後、再び午後の競技に出ていき、夕方戻ってくるというようなスケジュールになるのではないかと想定されます。
サービスパークでは、三百八十馬力を誇るモンスターマシン、ワールドラリーカー、この白い車はまさしくワールドラリーカー、トヨタのヤリスでございます。ワールドラリーカーに接近できる、そして同時に、有名ドライバーからもサインがもらえる、ラリーファンにとっては人気のポイントになります。
それでは、まず、中項目一は、ラリージャパン開催に向けての準備について伺ってまいります。
ラリージャパン運営事務局の公式サイトによれば、観戦チケットは五月頃の発売開始を予定しているということですので、それまでには競技スケジュール、コース、イベントなどの詳細が決定されることとなります。
現在、ラリージャパン開催に向けて、運営主催者側はもちろん、開催自治体となる愛知県及び名古屋市、岡崎市、豊田市、新城市、長久手市、設楽町、そして岐阜県及び中津川市、恵那市では、着々と準備が進められていることと存じます。
大村
知事は、昨年十月二十四日に開催されました東京モーターショー二〇一九でのWRCラリージャパン二〇二〇開催決定発表記者会見において、自動車産業の要所と言える愛知県で、世界ラリー選手権が開催されることを大変喜ばしく思い、成功のために尽力し、協力を惜しみませんと語られ、
愛知県議会令和元年十二月
定例会の冒頭でも、今後、日本を代表するモータースポーツの中心地として、世界に大きくアピールする大会にしていけるよう、しっかり取り組んでまいりますと述べられました。
そこで、一点目の質問は、愛知県は大会成功に向けてどんな取組をしていくのか、開催自治体である名古屋市、岡崎市、豊田市、新城市、長久手市、設楽町に対してどんな協力をお願いしていくのか、ラリージャパンの開催に向けて、主催者と県、開催自治体との役割分担についてお伺いします。
二点目の質問は、前に述べたように、ラリージャパンを運営するに当たっては、重要な役回りを担いますオフィシャル、マーシャルという千人規模のボランティアが必要でございます。ボランティアの募集と研修はどうなっているのかお伺いをいたします。
続きまして、中項目二は、ラリージャパン開催中の交通対策について伺ってまいります。
前に述べたように、ラリーチームの基地であるサービスパークは大迫力のワールドラリーカーや有名ドライバーと間近に接近することができる人気スポットでございます。
したがって、サービスパークが設置される愛・地球博記念公園は、ラリーファンが連日殺到することが予想されます。
また、スペシャルステージが開催される山間地域のギャラリースポットには、昨年のセントラルラリーの十倍以上の観客が押し寄せることになります。もちろん公共交通機関はありませんので、自家用車での来場となり、公道での迷惑駐車やそれによる交通渋滞が懸念されるところでございます。
そこで、三点目の質問として、会場周辺の駐車場対策、渋滞対策をどのように考えているかお伺いします。
前に述べたように、ラリーコースのうち、スペシャルステージとスペシャルステージの間の移動区間はリエゾンといいます。ロードセクションとも呼ばれ、スペシャルステージのようにタイムアタックするのではなく、一般道のほかの車に混じって走行するため、その国の交通法規を守らなくてはなりません。
ラリージャパンが開催される十一月中旬から下旬は、足助の香嵐渓をはじめ、山間地は紅葉シーズン真っ盛りであります。昨年のセントラルラリーにおいても、交通渋滞のためキャンセルされたスペシャルステージや時間変更となったスペシャルステージがあったと聞いております。
ラリー車は、このようなど派手な車でございます。このど派手なラリーカーがパレードよろしく数十台も一般道を通行すれば、注目を集めないわけはありません。
リエゾン観戦はラリージャパンの名物と言われるように、スペシャルステージとスペシャルステージの間や、サービスパークのある愛・地球博記念公園との、そして、山間地のスペシャルステージの間の沿道は、リエゾン観戦の観客でさらに交通渋滞を招くことが予想されるわけでございます。
これでは、ラリージャパン運営自体に支障を来すだけでなく、沿道の住民にとって大迷惑でございます。
そこで、第四点目の質問といたしまして、リエゾン区間の移動における交通渋滞への対策を伺います。
以上、明確な答弁を期待いたしまして、壇上での質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
23:
◯教育長(
長谷川洋君) 教育環境整備GIGAスクール構想への対応についてのうち、まず、小中学校の校内通信ネットワークと児童生徒一人一台端末の整備に関する各市町村の補助金の申請状況についてお答えをいたします。
県教育委員会といたしましては、昨年十二月十九日の国によるGIGAスクール構想の公表後、市町村を個別に訪問したり、説明会を開催するなど様々な機会を捉えて、国の補正予算の積極的な活用を働きかけてまいりました。
その結果、校内通信ネットワークの整備に関する補助金につきましては、二月十八日時点での文部科学省調査によりますと、四十三の市町村から、総額で八十九億円余の交付申請希望額が提出をされております。
また、児童生徒一人一台端末の整備に関する補助金につきましては、三月九日までに文部科学省に交付申請希望額を提出することになっておりまして、現在、集計中でありますが、一月末時点での事前の調査によりますと、ほぼ全ての市町村が二〇二三年度、令和五年度までに、全ての児童生徒一人一台端末を整備するという国の方針に沿った整備を検討している状況にございます。
次に、児童生徒一人一台端末の整備に関する県内市町村に対する支援についてであります。
国は、GIGAスクール構想の中で、児童生徒用端末については、都道府県において市町村の要望を踏まえた統一仕様により選定し、広域調達を行うことを推奨しております。
県教育委員会におきましては、現在、他県の事例などを情報収集し、共同調達の方法を検討しているところでございますが、できる限り早い時期に、共同調達の具体的な枠組みを市町村にお示ししたいと考えております。
また、地域によっては、校内通信ネットワークや児童生徒用の端末を大量に整備した実績がなく、ICT環境整備を推進する体制が必ずしも十分ではない市町村もあるとお聞きしております。
今後、このような市町村を支援するため、民間企業の知見を活用した相談・支援体制の構築についても検討して、全県的にICT環境の整備が円滑に進むよう努めてまいりたいと考えております。
最後に、ICT機器の活用における教員の資質向上への取組についてお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、愛知県は、授業にICTを活用して指導できる教員の割合が、全国と比べて低い水準にございます。教員のICT活用指導力の向上は不可欠であると認識しております。
また、文部科学省の新時代の学びを支える先端技術活用推進方策では、教員のICT活用指導力の向上とともに、教員をサポートするICT支援員を積極的に配置、活用していくことが必要であるとされております。
県教育委員会では、教員のICT活用指導力の向上を図るため、今年の八月に、県内全小学校のプログラミング教育担当教員を対象として、最先端のICT機器を活用したプログラミング教育を実際に体験できる民間企業と連携した研修会を実施いたします。
また、来年度、小中学校において、先行してICT教育に取り組んでいる大府市に研究委嘱をいたしまして、ICT機器を活用した授業づくりとICT支援員との連携を進めてまいります。
教育委員会といたしましては、こうした取組を通して、各市町村教育委員会とともに、教員のICT活用指導力の向上とICT支援員の活用促進を図ってまいります。
24: ◯スポーツ局長(飯田靖君) 続きまして、FIA世界ラリー選手権日本ラウンド、ラリージャパンについてお答えをいたします。
初めに、主催者と県、開催自治体との役割分担についてでございます。
ラリージャパンの競技は、国際自動車連盟(FIA)と日本自動車連盟(JAF)の公認のもとで、トヨタ・モータースポーツ・クラブ、そして、株式会社サンズが主催者となって行われます。主催者は、コースの設定や観戦ポイントの設置、観客輸送計画など、大会に係る全ての運営を行います。
本県は、このラリージャパンの成功に向けまして主催者の取組に協力いたしますとともに、競技が行われる市町と連携をいたしまして、広報、PRやメイン会場である愛・地球博記念公園を中心とした大会の盛り上げなどの支援を行ってまいります。
また、競技区間のスペシャルステージ──SSでございますけれども──が予定されている愛知県内の岡崎市、豊田市、新城市、長久手市、設楽町、そして岐阜県の中津川市、恵那市においては、観戦ポイントの設置が予定されております。
各市町が工夫を凝らしてそれぞれ盛り上げイベントなどを行うほか、名古屋市内においては、ラリージャパンの始まりを告げるイベントでありますセレモニアルスタートが行われる予定でございます。
県といたしましては、引き続き、主催者、関係市町などの関係者と連携、協力しながら、十一月の本番に向け、ラリージャパンの開催準備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ラリージャパンの運営に重要な役割を担うオフィシャル、マーシャルなどのボランティアの募集と研修についてお答えをいたします。
ラリー競技を開催するためには、競技の運営スタッフでありますオフィシャルや、コースの安全管理などを行うマーシャルの確保が不可欠でございます。
このオフィシャル、マーシャルの仕事には公認審判員のライセンスなどが必要な場合もございまして、その役割を担っていただくボランティアには、経験や一定の専門性などが求められるものでございます。
一方で、今回のラリージャパンは、日本で十年ぶりの大規模な国際ラリー大会でございますので、千人を上回る非常に多くのボランティアに協力をいただく必要がございます。
そのため、オフィシャル、マーシャルのボランティアの募集に当たりましては、経験のある人だけではなくて、モータースポーツを応援していただける方々などにも幅広く声をかけていく必要があると考えておりまして、県といたしましても、主催者と連携いたしまして、多くの方がボランティアに応募いただけるよう、広報などに協力してまいりたいというふうに考えております。
また、研修につきましても、オフィシャルやマーシャルの仕事をするのに必要となるライセンスを取得していただいたり、ラリー競技に関する知識や技術を深めていただけるよう、多くの方に専門的な内容の講習を受けていただく必要がございますので、県といたしましても、研修会場の確保など支援をして、協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
さらに、こうした専門性の高いボランティアに加えまして、観戦客のおもてなしだとかイベントの補助などをお願いするボランティアの活動も多くあると考えております。
今後、本県といたしましても、主催者、開催自治体と連携し、ボランティアに協力いただける方の確保にしっかりと努めてまいります。
次に、会場周辺の駐車場対策、そして渋滞対策についてお答えをいたします。
ラリージャパンの成功に向けましては、メイン会場や各SS(スペシャルステージ)の観戦ポイントまでの円滑な交通アクセスの確保が大変重要であるというふうに考えております。
メイン会場となる愛・地球博記念公園への交通アクセスにつきましては、主催者が、公園駐車場をサービスパークなどとして利用する計画であることから、観戦客の皆様には、主にリニモなど公共交通機関の利用をお願いすることとなります。
また、予約制のパーク・アンド・バスライドも実施することとしております。
さらに、周辺の駐車場に限りがあることをホームページなどを通じて広く周知徹底をいたしまして、自家用車での来場を御遠慮いただき、渋滞が発生しないよう啓発してまいりたいと考えているところでございます。
また、各SSにおける観戦ポイントは公共交通機関から遠く、アクセスはパーク・アンド・バスライドにほぼ限られます。
このため、地元市町の公共施設や地元企業の駐車場などを対象として、パーク・アンド・バスライド用の駐車場の確保について、現在、関係者間で調整を進めているところでございます。
今後、順次ラリージャパンのコースや観戦ポイントが決定、そして発表されていくことになりますけれども、これにあわせて、県といたしましても、主催者や関係市町と連携、協力して円滑な交通アクセスの確保に努めるとともに、公共交通機関の利用を強く働きかけるなど、渋滞対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、競技区間でありますSSとSSを結ぶリエゾン区間の渋滞対策についてお答えをいたします。
世界ラリー選手権は、三日から四日にわたって二十本前後のSSを走行し、合計距離は三百から四百キロメートル、リエゾンを加えた走行距離は千から二千キロメートルにもなります。
ラリーのコースは、一般的にSSよりもリエゾンの区間のほうが距離は長く、また、ラリーカーは一般車と同じ道路を走行することから、このリエゾン区間の渋滞対策も大変重要となってまいります。
このため、まずはリエゾン区間で違法駐車が発生しないように、自家用車で訪れる観戦客に周知徹底を図ることが重要でありまして、警察と緊密に連携をいたしまして、広報、PRに力を入れてまいります。
また、駐車場待ちだとか駐車場を探す車が原因となって渋滞が発生することも予想がされます。さらに、紅葉狩りなど観光目的の車による渋滞の発生も予想がされるところでございます。
そうした状況をできるだけ緩和するため、主要なアクセスポイントに誘導員を配置したり、リエゾン区間を走行する時間帯を観光目的の車が少ない早朝に設定するなど、様々な場面を想定いたしまして渋滞対策を進めてまいります。
加えて、主催者がリエゾン区間を設定するに当たりましては、事故渋滞を避けるため、迂回ルートも併せて検討することとなっております。この迂回ルートの臨機応変な活用を含め、渋滞をできるだけ起こさないよう、関係者と対策をしっかりと協議してまいります。
25:
◯知事(
大村秀章君) 神谷和利議員の質問のうち、FIA世界ラリー選手権、ラリージャパンについて、私からもお答えをいたします。
今年の十一月に、歴史と伝統を誇るFIA世界ラリー選手権が愛・地球博記念公園をメイン会場として、愛知、岐阜で開催をされます。
主催者の想定によりますと、今年のラリージャパンには、愛・地球博記念公園を含め観戦エリアに三日間で約九万人、沿道を含めると四十万人もの観戦客が国内外から訪れることが想定をされております。
この十一月十九日から二十二日という期間は、これはFIA、そしてラリージャパンの主催者が我々に示してきたものでありまして、世界ラリー選手権の最終戦でここで優勝が決まるということ、そして季節的にも紅葉のシーズンでいいなとは思いましたけれども、あわせて、ちょっと待てよと、これ、香嵐渓の紅葉の真っ最中だなということで、これはただでさえ三河山間部紅葉シーズンで、一番、十一月後半は車が集まってくる時期でありますので、そういった神谷議員の御指摘、御懸念は全くそのとおりでありまして、そういう意味で、先ほど来、スポーツ局長からも答弁申し上げましたが、渋滞対策等々は万全を期していき、交通アクセスしっかり確保していきたいと思いますが、主催者側もその点を本当にやっぱり懸念しておりまして、そういう意味でコースの設定も、本来、三河山間部とか岐阜でももっとたくさんSSのコースを用意していたんですが、少し減らして、万博公園の中にサイクリングコースだとか、あと、園内道路がありますので、そこを実はつないでタイムアタックのコースにするというのをできるだけ長くとって数を稼ぐということで今、主催者も考えているようでございます。いずれにしても、しっかりと成功させていきたいというふうに思います。
そういう中で、愛知県としましても、競技主催者の株式会社サンズや岐阜県などとともに、PRや盛り上げイベントを主催するラリージャパン実行委員会を設立し、国内外から訪れる多くの観戦客を最高のおもてなしでお迎えをしたいというふうに思っております。
特に、ラリーカーの整備を行うサービスパークが設置され、実際の競技のスペシャルステージ(SS)も行われるメイン会場の愛・地球博記念公園では、関係市町と連携をいたしまして、ブース出展やPRイベントなどで会場を大いに盛り上げ、観戦客にモータースポーツの楽しさを満喫していただきたいと考えております。
先ほど申し上げましたように、この万博公園の中でSSがありますので、本当に間近に見られるということと、そして大芝生広場を二つ造って、ステージも造りましたので、そこは本当に多くのお客さんに来ていただけると思っております。こういうイベントのために整備したかなという感がありますけれども、ぜひお越しをいただきたいと思います。
また、サービスパークやSSの様子は百五十以上の世界の国や地域に放送されるなど、愛知を世界に発信できる絶好のチャンスとなります。本県の魅力をしっかりアピールするとともに、世界一の自動車産業の集積地として、自動車文化、モータースポーツの一層の発展をリードできるように全力で取り組んでまいります。
26: ◯十番(神谷和利君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。
特にラリージャパンにつきましては、今、大村
知事より、すばらしい御答弁をいただきましたので、何も要望することはございませんが、GIGAスクール構想については、一点だけ要望を述べさせていただきます。
質問の中で、教育用コンピューター一台当たりの生徒数というのが、愛知県が全国で最下位という残念な結果であることを述べさせていただきましたが、これは、国がこのICT整備に対する補助を普通交付税の中に算入しているというようなことで、手当てをしておるということでございました。
ところが、愛知県は地方交付税の不交付団体が、財政が強いものですから、多くございまして、令和元年度では、全国の市町村の中で不交付団体というのはわずか八十五しかございませんが、そのうちの二十が、実は愛知県の市町村でございます。
そういった不交付団体が児童生徒のコンピューターを買おうと思うと、全て自前で、単独費で買わなければいけないということで最下位だったという結果だと私は推察をするところでございますが、このたびのGIGAスクール構想で、国が補助金を出していただけるということでございまして、先ほどの御答弁にあったように、ほとんど全ての公立小中学校では、一人一台のコンピューターを令和五年までには備えるということでございます。
ということは、令和三年度から、それ以降は、学校の教室の中にコンピューターがあふれてくるわけでございまして、そんな中で、ICT利活用を指導できる教員、三分の一はそれができないということでございます。
御答弁の中では、研修をしたりとかというふうに言われましたが、このICTを活用することによって教員の多忙化解消だとか、そういったことも一つの目的でございます。
ICT利活用ができない先生たちにたくさんの研修を押しつけて、かえって負担が増えるようなことになってもこれは本末転倒でございますので、取りあえずはICT指導員を充実させていただいて、対応していただくことを要望しまして、私の
発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
27: ◯副
議長(
堀嵜純一君) 進行いたします。
政木りか議員。
〔四十三番政木りか君登壇〕(拍手)
28: ◯四十三番(政木りか君)
議長のお許しをいただきましたので、私からは、自転車の交通安全対策についてと愛・地球博記念公園についての二項目について、順次お尋ねをいたします。
自転車は、年齢を問わず乗れる乗り物として世界中で乗られています。日本では、自転車は車道の左側を走行することが原則として定められていますが、一九七〇年以降、自転車の歩道通行が条件付で認められ、車道が危険な場合は、歩道の通行も認められています。これはノルウェーを除き諸外国には見られず、特異な政策です。
自転車は、歩道を通行するときには、歩道の車道寄りをいつでも止まれる速度で徐行する、歩行者の妨害になるときには、一時停止するか、一旦自転車を降りて自転車を押して通行する、歩道内で自転車同士が擦れ違う場合は、相手の自転車を右に見ながら左側通行で擦れ違うという基本ルールがありますが、よく見かけられるのは、歩道内の自転車のベルを鳴らして歩行者に道を空けさせる行為ですが、危険回避や見通しの悪い場所などで、道路標識が設置されている場所での使用以外は、ベルを鳴らすこと自体、禁止されています。
また、歩道内で歩行者を立ち止まらせたり、道を譲らせるような方法で自転車を走行させることも歩行者の通行を妨げることでありますが、こうした行為が道路交通法違反になることをどれだけの人が知っているでしょうか。
日本では、自転車はほとんどの人が子供のうちに乗れるようになり、中学生になると、通学には欠かせない地域もあり、さらに、高校生ともなれば行動範囲も広域になり、大人も子供も交通費のかからない乗り物として重宝され、広範囲に利用されています。
通学や通勤、買物などの生活の足としてはもちろん、趣味や健康づくりの
ツールとしても、子供からお年寄りまで幅広い年齢層に広く利用されています。
そんな中、名古屋市内の都心部では、通学通勤以外にも、料理宅配サービス、ウーバーイーツに代表されるような、自転車を使ったデリバリーサービス事業者の進出や、その営業エリアの拡大などに伴って、自転車の利用者は増加しつつあります。
また最近では、簡単で素早い移動手段として、自転車を共有するという概念のもと、シェアサイクルが事業化され、昨年五月には、アプリでバイクシェアサービスを利用するカリテコバイクという電動アシストつきシェアサイクルサービスがスタートし、観光客の利用を見越した自転車のシェアリングサービスも登場しています。
こうしたことを背景として、街角では縦横無尽に自転車で走る姿を日常的に見かけますが、信号や一旦停止を守らず交差点に飛び出したり、携帯電話を見ながら、またイヤホンで音楽を聴きながら運転したり、雨の日には傘を差しながら片手で運転したりする自転車の利用者も多く、自転車の交通ルールが十分に守られているとはとても言えない状況にあります。
皆さんは、自転車に乗れるようになったとき、誰に教えてもらいましたか。身近な人の乗り方を見よう見まねで、自然に乗れるようになりましたか。
交通安全基本計画では、交通安全思想の普及徹底は、交通安全教育指針等を活用し、幼児から成人に至るまで、心身の発達段階やライフステージに応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を行うとしています。
交通安全教育、普及啓発活動については、国、地方公共団体、警察、学校、関係民間団体、地域社会、企業及び家庭がそれぞれの特性を生かし、互いに連携を取りながら、地域ぐるみの活動が推進されるように促すとなっています。
愛知県は、交通死亡事故者数ワーストワンを十七年ぶりに脱却はしたものの、依然として交通事故数が多いことには変わりありませんし、令和元年の死傷者数三万七千百六十七件のうち、自転車の死傷者数は七千五十六件で、そのうち自転車が第一原因で死傷した数は千三百四十五件です。
自転車を含め、県内の交通事故は減少傾向にありますが、こうした状況を考えますと、今後、交通事故をさらに減少していくためには、自転車の安全利用を徹底していくことが不可欠であると考えます。
最近では、働く女性が増えた分、子供を預けてそのまま出勤しやすい自転車の活用がどんどん増えています。保育園、幼稚園の送り迎えに、毎日の買物に、子供と自転車で一緒に移動できれば、時間もお金も節約できて一石二鳥です。
二〇〇九年七月に県の公安委員会規則が改正され、自転車の三人乗りが解禁となり、幼児二人が同乗できる特別な構造または装置を有する自転車、幼児二人同乗用自転車に六歳未満の幼児二人を乗せることが認められました。
それに伴い、自転車用チャイルドシートは頑丈になり、重く大きくなった分、普通の自転車は自力で長時間こぐことが大変になったため、最近では圧倒的に電動アシストつき自転車が増えてきています。
従来のママチャリと言われていた自転車から電動アシストつき自転車に買い替え、自転車用のチャイルドシートをハンドルに一人、後ろに一人乗せてひた走る子育て世代の姿をよく目にします。
ところが、従来の自転車は、車体の重さは平均十六から二十キログラム程度でしたが、電動アシストつき自転車の車体は二十六から三十五キログラム程度の重さがある上、自転車用チャイルドシートが一つ三・一から三・九キログラム、前後ろそれぞれにつけると、自転車の総重量は四十キロほどになり、そこに子供二人と運転者の三人が乗って走行するわけですので、一台の自転車で百キロを超えることになり、乗降時に自転車が転倒して、子供にけがを負わせてしまうリスクもあることから、今まで以上に注意が必要です。
前のハンドルにつけるタイプのチャイルドシートは体重が十五キログラム未満まで、後ろの荷台につけるチャイルドシートは体重が二十二キログラム未満まで、しかも六歳未満の使用と限定されていることから、大人と一緒に自転車で移動したい場合には、六歳以上は必然的に自分で自転車に乗らざるを得ません。
六歳児は一体どうしたらいいのでしょうか。六歳となるのは、保育園、幼稚園の年長児ですが、未就学児には誰が自転車の安全な乗り方を教えてくれるのでしょうか。私たち大人でも、いつの間にか、何となく乗れてしまっている自転車の正しい運転ルールをどこまで子供に教えられるのでしょうか。
保育園や幼稚園から実際に伺った話の中では、上の子供が双子の御家庭に、下の子供が生まれ、三人同時に幼稚園に送り迎えすることになった方は、自転車の前には下の子供を、後ろには双子のうちの一人を乗せ、もう一人の子供は、自転車の後ろから走って追いかけ、途中で双子の子供を交代させながら毎日通園しているという切実なお話を伺いました。
働く女性が増えたことで、一方では、そんなしわ寄せが生じてしまっているのが実態なのかと思うと、何とも複雑な思いに駆られます。
小学校に上がれば、子供たちは交通安全教室などで横断歩道の渡り方や歩道の歩き方、横断歩道の待ち方などを学ぶ機会はありますが、自転車の交通安全となると、小学校の三年生になってやっと子供たちに意識させるという内容になっていると伺いました。
幼、小、中、高、大学、成人、社会人になっても自転車には乗りますし、運転免許返納した高齢者は、さらに自転車に依存することから、県民全員が自転車の安全な乗り方を覚える機会が必要と考えます。
今議会で上程されております来年度予算にも、自転車通行帯の整備がありますが、これまでに整備されている自転車通行帯もあるなど、幾つも種類があります。現在、自転車通行帯を正しく通行するルールを知っている県民が実際にどれだけいるのでしょうか。
私の住むナゴヤドーム周辺の地下鉄ナゴヤドーム前矢田駅のある大きな交差点では、五差路となっている交差点の歩道橋下に自転車横断帯があり、自転車横断帯を自転車に乗っていない一般の歩行者がゆっくり横断してしまい、渋滞を引き起こしています。
一人は自転車にまたがりながら、また、ほかの人はショッピングカートやベビーカーを引きながら横並びに歩くなど、数え上げれば切りがありませんが、どれが正しい通行の仕方なのかが曖昧で、イベントなどで県内外から訪れる来訪者にも説明がつかない状況にあります。
また、そのほかにも、名古屋市内には、既に一部の地域において自転車の通行環境が整備されており、通学通勤時をはじめ、自転車を運転する様々な人に利用されておりますが、一方向への誘導のための矢羽根など、道路標示が青くカラー舗装されている場所もあれば、ガードレールが設置され相互通行の表示がされている場所もあり、それぞれの通行帯ごとに指示表示が違うなど、混在しており、自転車の利用者が意味も分からないまま通行し、ぶつかりそうになっている場面も日常的に見かけます。
私たち地元の生活者は、国と市のそれぞれの道路管理者が造った自転車通行帯や自転車道があるため、正しい通行の仕方が分かりにくく、大変困っています。
そんな状況の中、子育て世代や小学校に上がる前の幼稚園児、保育園などの先生方からの要望もあり、先日、私の地元であります名古屋市東区の幼稚園で自転車の交通安全教室を開催していただき、講師として県警から、自転車の交通安全対策を専門とする警察官で構成される部隊B─Forceの皆さんが来て、実演をしてくれました。
隊員の皆さんは、園児に対し、実技を交えながら園児に理解しやすい言葉で、自転車の安全な乗り方を基礎から教えてくれました。
年長児は全員、自分で自転車に乗れるということでしたので、実際に園児が使っている自転車や、日頃、通園時に保護者が使っている電動アシストつき自転車を使い、実技指導していただいたことによって、保護者の皆さんも一緒に自転車の扱い方を学べるきっかけとなり、とても有意義な時間になりました。
子供用ヘルメットもただかぶらせるだけでなく、正しいつけ方があることも知ることができ、かぶり方を意識していなかった保護者からは驚きの声も上がりました。それもそのはず、園児は全員ヘルメットを持っていましたが、お母さん方は全員ノーヘルメットであったことは驚きの実態でした。
また、幼稚園の目の前にある歩道と押しボタン式の横断歩道で自転車の安全な渡り方など、所管の東警察の交通課とともに実地で指導していただき、園児自身が、どっちの手で挙げればいいの、横断歩道は自転車で走って渡っていいのと自らの疑問を警察官に投げかけるなど気づきの場となり、園児にも、保護者にも大変好評でした。
幼稚園児などの未就学児は、初めて自転車にまたがるとき、まずは保護者がお手本となって自転車の乗り方を教えるなどして、乗り方を覚え始める年代であり、こうした幼い頃から自転車の乗り方を教えることはとても大切なことだと思います。まさに鉄は熱いうちに打てということです。
今回来てくださった隊員の皆さんは、自転車の交通安全対策を専門に活動しており、幅広い知識や技術をお持ちだと思います。
安全な自転車を選び、ルールを守った運転で快適な子育てライフを送るためにも、子供の保護責任者である親と未就学児への自転車の交通安全の啓発など、今後も自転車の安全利用を広く広めていただくために、こうした方々による活動をぜひ活性化させていただきたいものです。
そこで、警察本部長にお尋ねをいたします。
自転車の交通安全対策を専門とする部隊B─Forceの概要と活動状況についてお伺いいたします。この自転車対策部隊の課題と今後の運用方法についてもお尋ねいたします。
また、現在設置されている自転車通行帯もあり、今後も自転車通行帯の設置が進められますが、未就学児やその親や保護責任者に対する自転車の交通ルールについて、県としてどのように周知していくのかお伺いいたします。
次に、愛・地球博記念公園の都市公園としての役割を今後どのように考えているのかお伺いいたします。
本県は、現在、愛・地球博記念公園の中にジブリパークを計画中ですが、先日の我が党の杉浦孝成団長の代表質問で、ジブリパークの整備についての質問に対し、ジブリ作品の世界観を具現化し、国内外からの多くのお客様をお迎えするため、公園の表玄関にふさわしい北口の再整備をはじめ、園内のゲストサービス機能を向上させるなど、公園全体のホスピタリティーを高めますと
知事は御答弁されました。
男女を問わず、子供から大人、お年寄りまで幅広い年代の方々に来場していただくためには、愛・地球博記念公園全体が、その世界観をどのように演出するかが大変重要な課題であると考えます。
振り返ってみますと、愛・地球博記念公園は、愛知青少年公園として一九七〇年に開業して以来、青少年の健全な育成を目的に、野球場やテニスコートなどのスポーツ施設や文化、レクリエーション施設などを備えた青少年の活動の場として、また、県民の憩いの場として、多くの県民に親しまれてきました。
その後、二〇〇五年、平成十七年には、三月二十五日から九月二十五日の百八十五日間、愛知万博の主会場として活用されたことを契機に、万博後の二〇〇六年に県営都市公園として開園し、通称モリコロパークとして、健康で精神的な豊かさと楽しさに満ち、県民とともに成長、進化し続ける二十一世紀型の公園、サスティナブル・パークを目指して、施設整備や運営が行われてきました。
これからも、サスティナブル・パークとして成長、進化し続けるためには、時代が求める新しいニーズへの対応が不可欠であり、子供も大人も未来に向けて、夢と希望が感じられるような空間づくりを進めることが求められていると考えます。
二〇〇五年に開催された愛知万博では、持続的成長が可能な人類と自然が共生できる社会の方向性を様々な方法で展開され、愛知の技術力を駆使し、日本の国力を示す最大の場として、未来への夢と希望が凝縮された空間に、全国から、そして世界各国から二千二百五万人の来場者が訪れ、大成功を収めました。
実際に会場では、音声認識で接客する人間そっくりの案内ロボットや、次世代ロボットによる実証、展示、森林体感プログラムなどによる環境学習、一市町村一国フレンドシップ事業による国際交流や、市民の自主的、主体的な活動により愛知万博の運営を支えるボランティア活動、また、来場者への園内移動サービスとして、当時最先端技術を用いたIMTSによる新交通システムなどの取組が展開されていました。
時を経て、現在では、愛知県における最近の新たな取組として、今年度から、知の拠点あいち重点プロジェクト、近未来自動車技術開発プロジェクトとして、日本初の自動運転モビリティーによるサービス実用化に向けた技術研究開発が進められており、その実証実験の場として愛・地球博記念公園が活用され、自動運転の走行試験が行われております。
このような取組が実用化されれば、現在運行している園内バスを補完する形で自動運転車両を運行させるなど、さらなる来場者サービスの向上につながるのではないかと個人的には大変期待しています。
また、愛知万博のパビリオンの一つとして、二〇〇五年、日本国際博覧会協会で設置された、映画となりのトトロに登場するサツキとメイの家は、会期中、大変な人気を博し、万博閉幕後も愛知万博のレガシーとして本公園に受け継がれ、十五年の時を経た現在でも多くの来訪者を迎えています。
二〇一〇年に、愛・地球博記念公園の北入り口付近に整備された地球市民交流センターは、市民参加や市民協働、交流活動の拠点として、個人から団体まで多くの県民が、環境問題や国際交流など、楽しみながら主体的に学べる場として、今も広く利用されています。
そのほかにも、本公園のもりのゾーンには、愛知万博開催に合わせて整備された日本庭園や親林楽園、林床花園のほか、ひろばのゾーンには、野球場や多目的球技場、テニスコートなどの運動施設、また公園全域を自転車で巡ることができるサイクリングコースなどがあり、県内外の広域エリアから年間おおむね百六十万人の来園者でにぎわいを見せています。
そして、愛・地球博記念公園としてさらに進化するために、スタジオジブリ作品の世界観を表現したジブリパークを本公園に整備することが二〇一七年五月に発表され、今年の一月からは、いよいよ二〇二二年秋のオープンに向けて準備工事が始まったところです。
愛知青少年公園時代から連綿と受け継がれてきた本公園の目指す姿を進化させていくものであると思い、大いに期待するところであります。
今後は、ジブリパークエリアと連携して公園関連整備も進められるようですが、ジブリパークができると、愛・地球博記念公園は全体としてはどのようになるのかと関心を持たれている県民は多いと思います。
愛知万博後、現在に至るまで、愛・地球博記念公園はモリコロパークと呼ばれ、広く県民に愛されてきた都市公園としての機能や位置づけがあったはずです。
しかしながら、ジブリパークの整備を契機に、あたかも愛・地球博記念公園全体がジブリパークというテーマパークのようになってしまうようなイメージを持たれている県民もいるのではないでしょうか。
また、これまで公園の中で培ってきた環境や交流、市民参加や市民協働の取組など、その役割がこれからどうなってしまうのか、これまでのモリコロパークはどうなってしまうのかと心配する声も耳にします。
愛知万博のレガシーを受け継いでいくのはモリコロパークであって、ジブリパークというのは、五つのゾーンで、公園全体約百九十四ヘクタールのうち約七ヘクタールであることから、私としては、本公園は引き続き、愛・地球博記念公園、通称モリコロパークとしてあり続けるものと理解しています。
そこでお伺いいたします。
愛・地球博記念公園の中にジブリパークがオープンする中で、二〇〇五年の愛知万博以来、本公園が担ってきた役割を引き続き果たすためにどのように取り組んでいくのか伺います。愛・地球博記念公園のさらなる発展に向けた意気込みをぜひお聞かせください。
以上、壇上からの質問といたします。(拍手)
29: ◯警察本部長(後藤和宏君) 自転車の交通安全対策を専門とする部隊の概要等についての御質問にお答えをいたします。
自転車は、身近で便利な乗り物として広く利用されておりますが、その反面、交通ルールが浸透しにくく、交通事故の当事者となるケースも少なくないことから、県警察におきましては、二〇一六年四月に、第一交通機動隊に自転車による交通安全活動を専門とした部隊、通称B─Force──バイクのBのB─Forceでございますけれども──このB─Forceを設置し、自転車の安全利用の促進に努めているところでございます。
この部隊は、七人の隊員で構成されておりまして、街頭における自転車利用者に対する広報啓発や交通指導取締り、自転車教室等の交通安全教育、さらには、自転車が関係する重大事故発生時における現場調査やその結果を踏まえた再発防止対策の立案などを活動内容といたしております。
昨年中の活動状況について申し上げますと、交通安全教育や広報啓発活動を百七十二回、延べ約三万八千四百四十人に対して実施いたしましたほか、検挙や指導を三千八百六十件、自転車関連の重大事故発生時における現場調査を五十五回実施したところでございます。
特に、小学校における交通安全教育につきましては、低学年を含め五十回、延べ約一万二千七百人に対して実施するなど、重点的に推進したところでございます。
基本的な交通ルールは、年齢の早い段階から身につけていくことが重要でありますことから、今後も引き続き、自転車を含めた交通安全教育を積極的に推進してまいります。
次に、このB─Forceの課題と今後の運用方針についての御質問にお答えをいたします。
B─Forceは本年四月に設置から四年を迎えるところでございますが、小学校等からの交通安全教育の依頼が増加傾向にあるなど、その存在が県民の皆様方に徐々に浸透している状況もうかがえるところであります。
こうした中、課題といたしましては、このB─Forceが名古屋市北区を拠点とする第一交通機動隊に設置されておりますことから、その活動範囲は必然的に名古屋市内やその周辺の尾張地域が中心となり、三河地域における活動は手薄とならざるを得ないことが挙げられるところであります。
昨年の地域別の活動状況を見ますと、交通安全教育は名古屋市内で五十三回、尾張地域で四十回、それぞれ実施しておりますことに対しまして、三河地域では十四回にとどまっております。
また、検挙や指導の件数につきましても、名古屋市内の千九百件、尾張地域の千八百二十六件に対しまして、三河地域は百三十四件と低調でございます。
そこで、県警察では、本年四月に岡崎市を拠点とする第二交通機動隊に、四人の隊員でB─Forceを新たに設置し、三河地域における自転車の安全対策の強化を図ることといたしております。
B─Forceの三河地域への拡充によりまして、県内の広範囲において自転車の交通事故実態に応じた交通安全教育や交通指導取締り活動を効果的に推進し、県民の皆様方の自転車安全利用意識の高揚を図ってまいります。
30: ◯防災部長(内田康史君) 私からは、未就学児やその親などに対する自転車の交通ルールの周知についてお答えいたします。
本県では、国、県、市町村、関係団体など二百七十の機関で構成する愛知県交通安全推進協議会を設置し、県民総ぐるみで交通安全県民運動に取り組んでおります。
この協議会には、幼稚園や保育所の県域団体、愛知県交通安全母の会など地域婦人団体に参画をいただいておりますので、こうした団体、構成メンバー等を通じて、未就学児やその保護者等への交通安全意識や安全行動の浸透を図っております。
そうした中で、自転車の安全利用につきましても、交通安全県民運動の年間の運動重点の一つに、歩行者・自転車の交通事故防止を掲げ、毎年五月を自転車・二輪車安全利用月間として、県警察や市町村等との連携のもと、各地域で広報啓発活動を重点的に行い、自転車の交通ルールの遵守や交通マナー、モラルの向上を呼びかけております。
また、協議会では、家庭や学校・地域の役割を明記した交通安全行動指針を定め、自転車利用者に対して、家庭では、交通ルールを守る、ヘルメットの着用に努める、学校や地域では、正しい乗り方やルールを身につける機会を設けるなど、それぞれの立場で交通ルールを身につける取組を推進しています。
これらに加え、県としては、自転車の基本的なルールの周知と安全な利用を推進するため、自転車シミュレーターを活用した参加体験型の自転車安全利用出張講座を県内各地で実施しております。
自転車の事故を防止するためには、未就学児をはじめ、幅広い世代に自転車通行帯の通行方法を含めた交通ルールをしっかりと理解していただくことが重要でありますので、引き続き、関係機関、団体等と連携、協力を図り、様々な機会を通じて周知を図ってまいります。
31: ◯都市整備局長(鎌田裕司君) 愛・地球博記念公園の今後の取組についてであります。
愛・地球博記念公園は、前身の愛知青少年公園時代から多くの県民に親しまれてきており、二〇〇二年に愛知万博の開催を見据えて、博覧会の理念と成果を継承する、青少年公園の歴史を活かす、新しいニーズに対応する、多様な自然環境を育むという四項目を基本方針とする都市公園として、都市計画決定をしております。
そして、愛知万博終了後は、この基本方針のもと、具体的な整備、活用に当たり、県民と共に成長、進化し続ける二十一世紀型の公園、サスティナブル・パークを目指して取組を進めてまいりました。
特に注力してきたのは、管理運営面における県民参加の取組であります。多くのボランティアのおもてなしにより大成功した愛知万博の成果をもとに、七十を超える多くのNPOや市民団体などと行政で構成された公園マネジメント会議を中心として、公園の管理運営を行ってまいりました。
本公園での森づくり、環境学習や様々なイベントによる交流活動は、公園マネジメント会議による県民参加、協働の自主的な取組として運営されています。
また、近年では、全日本うまいもの祭り、クラシックカー・フェスティバルやスイーツマラソンの開催のほか、FIA世界ラリー選手権の会場に予定されるなど、様々な形態のイベントが民間団体などにより実施されており、県内外から多様な世代の方々にレクリエーションや健康づくりの場として楽しんでいただいております。
この愛・地球博記念公園の中に、ジブリパークを新たな公園施設の一つとして整備し、より多くの来園者に楽しんでいただくことは、愛・地球博の理念と成果の継承を一層進化させていくものであります。
ジブリパークの整備、運営に当たっては、都市公園としての機能や自然環境を損なうことなく、未供用地や既存施設等を有効活用し、現在ある公園施設や市民団体などによる園内の緑化、環境活動のほか、四季を通じて人気を博している様々なイベントやボランティア活動などと共存を図ってまいります。
また、年間約二百八十万人もの来場者をお迎えすることとなるため、公園北口の再整備や園路の改修、駐車場の増設など、公園の機能を高める施設の整備も進めてまいります。
愛・地球博記念公園とジブリパークが有機的に結びつき、相乗効果を発揮することで、世界に類を見ない唯一無二の価値を有し、愛知県民をはじめとして多くの人たちに愛され、後世に引き継がれていくすばらしい公園として成長、進化していくよう、しっかりと取り組んでまいります。
32: ◯四十三番(政木りか君) 自転車の販売店でお聞きしたところ、様々調査させていただきましたが、今現在の自転車の利用者さん、これから購入する、購入を考えている方たち、最近の主流は電動アシストつき自転車であるとの回答でした。
今後、移動
ツールも新しくますます出てくることが予想されますから、こういったことも含めて、どんな乗り方をすればいいのかということを、警察の皆さんからまた指導していただきたいと思います。
それでは、要望させていただきます。
家庭や学校、その他社会全体での自転車教育に、その充実に向けて、ぜひ保護者である保護責任者に対して、自転車の交通ルールの徹底をしていただくように強く要望をさせていただきます。
自転車に乗り始める未就学児に対して、自転車の安全な走行の仕方を保護責任者である親も一緒に学習する機会を設けていただき、子供も大人も自転車によって加害者にも被害者にもならないよう意識の向上のためにも、積極的に指導のする場を設けていただきますよう要望いたします。
また、国、県、市町村など、それぞれの道路管理者が設置した自転車通行帯などについては、通行の仕方がまちまちであるため、一貫性がなく、統一した通行ルールが定められていません。国とも調整しながら整備を進めていただきたいと切に願っております。
また、愛・地球博記念公園は、昨年の全国植樹祭のときにも登場しておりました森の妖精のモリゾー、キッコロが住む公園という設定で、モリコロパークとして十五年近く多くの人々に楽しんでもらってきた都市公園ですので、愛知万博のレガシーを受け継ぎ、これまでも、そしてこれからも存在し続けるということをしっかりと県民に伝えていただき、一部ジブリパークとなるエリアはできますが、そういったところも正確に周知していただけるよう努めていただきたいと思います。
今年はラリージャパンも開催されますし、愛・地球博記念公園はたくさんの来場者がこれからも訪れることと思います。
そういったところで、ぜひ交通安全対策についても、また、せっかくサイクリングコースもあることですから、愛・地球博記念公園内で定期的に自転車の交通安全教室を実施していただきたいと、そのようなことも併せて要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
33: ◯副
議長(
堀嵜純一君) 進行いたします。
鈴木まさと議員。
〔三十五番鈴木まさと君登壇〕(拍手)
34: ◯三十五番(鈴木まさと君)
議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。
シュレッダーダスト処理の件についてであります。
ある自動車解体業者を訪ねた際、シュレッダーダストは、遠く九州や関東にまで運んで処理しているから運搬費が高騰して困っているんだよと、それが結果的に、自動車解体の際の費用に跳ね返ってくるんだという声でありました。
プラスチックごみの処理が問題になっておる昨今でありますが、今日は特に、プラスチックごみを含むシュレッダーダストについて質問したいと思っております。
ここで、シュレッダーダストとは、使用済みの電化製品の雑品スクラップや、使用済み自動車を破砕し金属類などを回収した後に残るゴムやプラスチックのことであります。
自動車の場合ですと、解体する際、使える部品は取り除き、最後に残った車の中の椅子やダッシュボードなどを破砕したプラスチックや金属類が該当します。
その処理方法は、原材料に戻したり、燃料として燃やして再利用するなどの方法が取られているところであります。
特に、外国に輸出されていた雑品スクラップがバーゼル法の影響で輸出できなくなり、国内で処理する必要が出てきたというのが、昨今の情勢であります。
まず、新聞から、幾つか関連する記事を取り上げたいと思っております。
二〇一九年二月七日、日刊自動車新聞でありますが、中国の輸入規制が破砕事業者の業務を圧迫という記事であります。
自動車シュレッダーダストの最終処分に深刻な問題が浮上してきた。中国やアジア各国の産業廃棄物輸入規制などにより、これまで海外で処分されていた雑品スクラップが行き場をなくし、国内の破砕事業者に廃家電などのシュレッダーダストが滞留し始めております。
これを受けて、自動車リサイクル事業者が手がける使用済み自動車の解体工程で、再生利用する素材などを回収した、いわゆる廃車ガラの破砕業者の取引が遅れている地域がある。早急な対応が求められる。
大きな要因は中国の廃棄物輸入規制で、資源性廃棄物の雑品スクラップ、廃プラスチック、古紙が輸出できなくなったことがあります。
経済産業省と環境省が雑品スクラップの不適正輸出などを背景に、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、いわゆるバーゼル法を一部改正しました。これにより、恐らく雑品として輸出していたと思われる中国系業者が取り扱わなくなったことだと指摘しております。
中国は、長年にわたって雑品スクラップを輸入して、再資源化してきました。日本から中国への鉄スクラップ輸出量は年間百五十万トンから二百万トンで、このうち約九〇%が、雑品スクラップと言われております。
しかし、中国系企業が取り扱わなくなり、事業環境が大きく変わりました。中国への輸出が難しいとなれば、東南アジアはどうかということでありますが、こういう記事を朝日新聞、令和元年七月三日号から紹介いたします。
廃プラの輸入規制、東南アジアで次々。資源ごみとして輸出入される廃プラは、日本など先進国からの最大の受入れ先だった中国が輸入を禁じた影響で、東南アジアに流入しております。
ベトナム北部の港町ハイフォン周辺には、廃プラの入った輸入コンテナ五千個以上が三か月以上放置されております。税関関係者は費用がかかり過ぎ、送り返すこともできない。こうしたコンテナはベトナムの全国に二万個以上、主に日本、香港、タイからのものだといいます。プラスチックごみは大量に輸出しておる先進国側の対応を抜きに根本的な解決はないと。インドネシアでは、昨年の輸入量が前年比一四一%に、ごみ処理もリサイクルも自分たちの国ですべきと。
こういうのが外国の状況だといたしましても、国内の状況はといいますと、日刊自動車新聞、二〇一九年二月七日号から、中国の輸入規制が破砕事業者の業務を圧迫という記事を紹介いたします。
複数の大手自動車リサイクル事業者が、廃車ガラの引渡しに支障が生じておると悲鳴を上げ始めた。廃車ガラをシュレッダー処理する破砕事業者に多くの雑品スクラップが集まり、引取りができない状況に陥ったためであります。破砕業者が廃車ガラをシュレッダー処理した後の保管場所がなくなり、結果として、シュレッダーにかけられない状況となっているためであります。
破砕業者が抱える問題は、中国やアジアに輸出されてきた廃家電などのシュレッダーダスト廃棄物が国内に集積していることであります。さらにシュレーダーダストの処分場が逼迫し、余力のある遠隔地へ運ぶケースが昨年以上に増えており、輸送手段のトラック確保ができないこともあり、取引が遅れる原因になっております。
こういう状況を紹介した上で、今度は、環境省環境再生・資源循環局の報告書を紹介いたしたいと思っております。
外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する調査結果についてということでありますが、平成二十九年末より、外国政府において実施されておる使用済みプラスチック等の輸入禁止措置等の影響による国内の産業廃棄物処理の逼迫を受け、平成三十年八月及び平成三十一年三月にアンケート調査を行ったところ、処理施設における処理能力の逼迫の状況が続いておるとの指摘が多く寄せられております。
これを受けて、令和元年八月から九月に、都道府県等及び産業廃棄物処理事業者に対してアンケート調査を実施し、結果を取りまとめましたので、公表いたします。
主な調査結果の概要としては、一部地域において上限超過等の保管基準違反が見られることなどから、引き続き、廃プラスチック類の適正処理に支障が生じたり、不適正処理事案が発生する懸念が継続しておる。
そして、こういう現場からの声を取り上げておるところでもあります。
処理費用の増加に関して、破砕業者の処理料金を値上げした事例がある。廃タイヤの処理費用が、一本百円から二百円に値上げした。
処分業者における新規取引、受入れの制限等に関して、廃プラスチックが有価で引き渡すことができなくなり、焼却処分されることが増えております。このため、焼却施設の処理能力が逼迫し、搬入車両台数の制限を行わざるを得なくなっております。
産業廃棄物処理業者への定期立入りにおいて、業者によっては処理前の産業廃棄物の保管量に増加が見られ、理由を尋ねると、輸出できなくなった影響で県内の焼却処分業者が取引量を制限しておる旨の釈明を受けることがあります。
廃プラスチック類、または木くずの破砕処理物の処理先、主として燃料利用が受入れ制限を行うようになった。
また、愛知県で発生した産業廃棄物が、遠く九州や関東にまで運ぶ事例などを念頭に置くと分かりやすい話でありますが、広域移動の増加については、遠方まで運搬せざるを得ないという話を聞くことがあり、引き続き、廃プラスチック類や小型家電類の流れが滞留傾向にあるものと考えております。このため、従前と比較しての処理費用の高騰化も依然として解消されていないと思われる。
施設整備、技術開発の財政支援等に関しては、中国政府が廃プラスチック類や廃家電の輸入を制限するため、国内に廃棄物があふれ、廃棄物処理施設が不足する懸念があることから、廃プラスチック類の焼却施設などの廃棄物処理施設整備に係る助成制度の拡充を要望したい。
プラスチックのリサイクル施設導入補助事業等、プラスチックに関する補助事業の説明会をぜひ開催していただきたい。
ペレットは、引き続き中国への輸出が可能であることから、ペレット製造施設への補助金等の助成事業を検討していただきたい。
許認可に係る変更手続の緩和に関しては、従来輸出されておった廃プラスチック類が今後焼却施設に回ることで、可燃系の廃棄物が増加傾向にあり、近い将来、既存の焼却施設の能力を超過するおそれがあります。そのため、処理量の増加などに伴う変更許可手続等について緩和を検討していただきたい。
そして、再生プラスチック利用促進等に関しては、廃棄物の発生抑制が実際に進むよう、製品生産者や廃棄物排出者に対するインセンティブの付与、または規制の強化など実効的な取組を希望する。また、廃プラスチック等については、サーマルリサイクルからマテリアルリサイクルへ大きく転換できるよう、排出事業者、廃棄物処理業者、行政に対して共通認識を図れるような施策や取組を国が指導してほしい。
廃プラスチック等、再生製品の安定した市場の確立につながる企業の技術開発や実証実験を支援するため、国やNEDOによる補助、助成、委託研究の制度を拡充していただきたい。
そして、報告書では、今後の国の対策として、外国政府の動向も踏まえながら、引き続き、廃プラスチック類の処理逼迫状況や不法投棄等に関する実態把握及び自治体を含めた情報共有を進めていく。
加えて、一つ目に、プラスチック資源循環戦略に基づき、プラスチックの資源循環を促進。二つ目、廃プラスチック類のリサイクル施設等の処理施設の整備を速やかに進め、国内資源循環体制を構築。三つ目、事前協議制等の域外からの産業廃棄物搬入規制を行っておる自治体に対し、搬入規制の廃止、緩和、または手続の合理化、迅速化を促すと。四つ目、排出事業者に対し、適正な対価の支払いを含めた適正処理の推進について周知するとともに、自治体に対しては、排出事業者への指導の強化を依頼。五つ目、市町村に対し、ごみ処理施設等での廃プラスチック類の受入れを積極的に検討するよう依頼。六つ目、優良認定処分業者での保管料の上限を引上げし、優良認定業者による処分を推進。
身近な声を基に、様々な動きを新聞記事や政府の報告書から抜粋して紹介いたしましたが、ここで質問いたします。
愛知県内でのシュレッダーダストに関する認識をお伺いいたします。また、具体的な事例として、どんなことを把握しておるのかお伺いしたいと思っております。
次に、学校のプールについてお伺いいたします。
これは、ある学校に行った際に、ずっと使われていないであろうプールを拝見したのがきっかけでありました。
全国の小中学校で老朽化したプールを廃止し、水泳の授業を公営プールや民間のスイミングスクールなどで行う動きが広がっております。
文部科学省が数年ごとに行っておる体育・スポーツ施設現況調査によると、全国的に小中学校それぞれ、平成八年から二十七年の間に一千百校がなくなったとのことであります。つまり全国的に見ても、プールを減少させる自治体が増えております。
なぜかというと、プールは改修の費用が大きいためで、外部委託で専門のインストラクターの指導により子供の水泳上達が見込めるという声があるからであります。
さて、千葉県佐倉市においては、二つの小学校においてプールを廃止し、水泳指導を民間スイミングスクールに委託しました。
財政健全化に資する事業再編モデルを立案するため、老朽化の進む学校プールと市民プールの共同利用や水泳授業の民間委託拡大等に関する調査委託を行っておるとお伺いしておるところであります。この背景には、プールの老朽化とその対策という課題があります。
まず、私が見聞きするプールの施設面からの声を紹介いたします。
愛知県においては、昭和四十年代から五十年代にかけての人口急増期に建設された学校施設が多く、築三十年以上の校舎や体育館がたくさんある状況であり、プールも同様に老朽化が進んでおるところであります。そして、老朽化すればするほど、維持管理費もかさんでいくところでもあります。
次に、水泳を行う子供たちの面から紹介いたします。
年間の水泳授業は、小学校では八時間から十時間、中学校では九時間から十二時間程度であります。六月から九月に水泳授業は行われるわけでありますが、梅雨時期の低温や猛暑などの影響で、授業が中止になることもあります。もちろんその際には、別の日に入れ替えて授業を実施しております。
水泳の授業は何人くらいの先生が必要になるのかといえば、プール全体がくまなく監視できるよう十分な数を配置する体制で指導を行っておるところであります。
例えば三学級の学年であれば、二人がプールの中で、一人がプールサイドから指導する体制で、最後の一人がプールに入っている全ての子供を死角がないような監視台等で監視するという複数体制であります。しかしながら、教員不足の昨今、監視役の先生確保に難儀するのが現実であります。
そして、夏休みのプール開放も減少傾向が続いて、PTA事業として開催が困難になってきました。この理由には、他市での小学校のプールでの死亡事故等で責任問題が発生したり、夫婦共稼ぎでの家庭増大でプール開放事業が維持困難になったことが考えられます。
ここで一歩立ち止まって考えると、一般プール開放が減少すればするほど、プールの利用度が下がり、プールを改修してリニューアルしても活用されなくなってきておるというふうに解釈もできるわけであります。
次に、もっと掘り下げて論を進めたいと思っております。
教員の水泳指導研修についてであります。聞くところによれば、主にプールの衛生管理、水泳指導の心得等の講義や、実際にプールに入水し、低学年から高学年までの授業づくりや指導方法、教具の使い方についての研修を行っております。
校内におきましても、研修担当や体育担当、水泳指導担当、または学年主任が中心となり、文部科学省発行の水泳指導の手引や各小学校に配付した副読本、体育の学習などを活用しながら活動計画や授業での課題づくり、身につけさせたい動きのポイントを確認するなど、教職員間の研修を行っておる学校もあると聞くところであります。
特に最近では、競泳の技術革新は目覚ましく、流体力学にのっとった泳ぎ方、また、人間の体についての研究も並行して進み、指導法も大きく変わりました。この水泳指導の世の中の変化に適応していく必要もあります。
そして、水泳授業を行うに当たっては、授業時間中の水泳指導と安全確保の監視だけでなく、授業前や授業後に水質管理や安全維持のための多くの点検や作業を行う必要があることが分かり、改めてプールの授業を行う教員に多くの労力がかかっていることが分かりました。
さらに、効果的で安全な指導を行うために、学校の内外で指導方法や安全に関する研修も必要であり、様々な準備をしておるわけであります。
小中学校の教員の皆さんは以前にも増してやることが多くなり、とても時代に即した新しい水泳指導方法の講習を受けていただく時間をつくることも容易ではなかろうかと思っておるところであります。
ですので、先生方の負担を減らすためにも、水泳指導の外部委託を考える時期に来ておると感じるところであります。
ここで、様々な事例を紹介いたします。
神奈川県海老名市では、市営の温水プールを新築して、市内の小学校全体を対象に指導する予定だそうであります。拠点校に室内プールを建てた例と使わなくなったプールを釣堀にした例もあります。これは、使わなくなったプールは防火用水等で壊せないケースだそうであります。
三重県松阪市では、平成二十八年度にプールの在り方検討会が開催され、民間プール施設の活用を検討することとなり、平成三十年度には、民間プール施設活用実証モデルとして、小学校一校を指定することとなりました。
その検証会議では、児童及び保護者、教員からのアンケートが報告されました。
一つ目、児童からは、コーチの教え方がよかった、違う泳ぎ方もぜひ覚えたい。二つ目、保護者からは、子供に泳ぐ力がついた、顔をつけることができるようになった。三つ目、教員のほうからは、学校プールの水質管理や施設管理がなくなったという意見もありましたが、インストラクターとの打合せの時間が十分に取れなかったことから、教員がどのようなタイミングで指導に入るかが難しかったという意見も取り上げられました。
そして、水泳授業を民間委託にするに当たってのメリット、デメリットはこのように報告されております。
民間委託を行うメリットとしては、屋内プールのため、季節や天候に左右されず実施できること。インストラクターによる専門性の高い指導によって、泳ぐ力の向上も期待できること。
一方、デメリットといたしましては、松阪市を含む他市の事例を見ますと、一時間の授業を行うために、移動時間を含めると三時間程度かかること、教育課程に準ずるようインストラクターとの綿密な打合せや資料の作成に相当な時間を要することなど、学校運営上、様々な課題が挙げられておるところであります。
また、コスト面といたしましては、インストラクターによる指導料は、児童一人一回当たり千五百円から千七百円程度。さらに、移動のためにバスを借り上げる学校もあるため、全ての児童が民間施設で指導を受けるとなると、極めて高額の費用がかかること。
加えて、市内全ての児童が十時間程度の水泳授業を民間施設で実施するとなると、受け入れる施設が使用可能かどうかという課題もあります。
最後に、小中学校におけるプール設置の法令上の位置づけを整理しておきます。
小学校の学習指導要領では、一年生・二年生は水遊びの領域、三年生・四年生は浮く・泳ぐ運動の領域、五年生・六年生は水泳運動の領域として位置づけられておるところであります。また、中学校では水泳の領域として位置づけられております。
このことから、教育課程を円滑に実施するために適切な水泳場の確保という観点から、各学校にプールが設置されておることになろうかと思っております。
こういう目的によってプールの必要性が生まれてくるわけでありますが、しかし、プールを一つずつの学校に一つずつ造る必要があるのでしょうか。
地域によっては、近くに民間のスポーツクラブがあれば、そこを活用するということも考えられますし、あるいは、二校、三校一緒に更新しなければというときには、ある一か所に屋内プールを造って、そこを一年間利用するようなカリキュラムを組んでいくということもできると思います。
屋外プールでの授業は、冒頭で述べたように、天候とか気温の制約を受けることから不安定であります。年間を通じて使用できる屋内プールを複数の学校が共用して、夏場の使用だけでなくて、年間を通じて活用するという方法があります。
以上述べたように、老朽化したプールを一つずつ更新するという考え方から、今ある民間のプール施設を有効活用したり、拠点となる学校プールを全天候型にしたり、全天候型の公営プール施設を活用したりと、今ある社会資源を有効活用することが必要と考えておるところであります。
そこで質問です。
小中学校を所管する各市町教育委員会に、プール更新に関する計画立案を促すことはいかがでしょうか。また、小中学校と同様な課題を抱えております県立高校のプール更新計画を策定すべきと考えているところでありますが、いかがでありましょうか。
さらに、小学校の水泳授業の民間導入についての考え方をお伺いしたいと思っております。
最後に、質問要旨を述べますと、更新時期を迎えておりますプールに関して、ただ更新するのではなく、基本的に今ある社会資源を生かす方向で民間プールの活用、全天候型公営プールの活用、拠点校における全天候型プール建設という方向でプール事業を再編してはどうかという質問でありました。
以上をもちまして質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
35:
◯環境局長(
森田利洋君) シュレッダーダストに関する認識についてお答えいたします。
シュレッダーダストのうち、自動車シュレッダーダストは、使用済み自動車からフロン類、エアバッグ類、さらに金属等の有価物を回収した後に残る破砕ごみであり、自動車リサイクル法によりまして、自動車製造事業者等の義務として、国内で処理される仕組みが整備されております。
一方、使用済みの電化製品や電気設備等の雑品スクラップにつきましては、その一部がこれまで未処理で海外に輸出されておりましたが、中国等の輸入規制によりまして、国内において破砕し、有価物を回収し、その後に残るプラスチック主体の混合物であるシュレッダーダストを処理することが必要となってきております。
県では、中国等の輸入規制により懸念されるこうした廃プラスチックの県内での滞留状況等を把握するため、雑品スクラップを含め、廃プラスチックを取り扱う産業廃棄物処理業者等延べ約三百事業場に対して、二〇一八年以降、四回にわたり調査を実施しており、直近の昨年十一月の調査結果では、処理料金の上昇など影響があるとする事業者は多いものの、事業者による努力も進みつつあり、保管量は減少傾向にあります。
また、県内の自動車リサイクル法の許可を受けた破砕業者に対しましても、雑品スクラップの破砕を兼業している三十五事業場を含む全四十九事業場に立入検査等を行っておりますが、これまでのところ、シュレッダーダスト等の過剰保管など、処理が滞っている事案は確認されておらず、環境省が昨年十一月にまとめた全国の状況と同様に、その影響は落ち着いてきているところと認識しております。
しかしながら、諸外国の輸入規制は拡大傾向にございますので、処理が必要となる廃プラスチックや雑品スクラップ等の増加が想定されるものと認識しており、引き続き実態把握に努めるとともに、排出事業者における排出量削減やリサイクルの徹底、業界団体との連携による産業廃棄物処理業者における適正処理の確保を図ってまいります。
36:
◯教育長(
長谷川洋君) 最初に、小中学校におけるプール更新に関する計画についてお答えをいたします。
民間プールの活用や複数の学校による共有化、拠点化につきましては、各市町村を取り巻く状況が様々でございますことから、それぞれの実情に応じて適切な利用計画を策定しているものと考えております。
そうした中、こうしたプールを含めた学校施設の長寿命化計画は、文部科学省が二〇二〇年度までのできるだけ早い時期に策定するように求めておりますので、学校設置者である市町村において鋭意、現在計画策定が進められておりまして、既に二十四市町において策定済みでございます。残りの三十市町村においても、来年度末までの策定を予定しているところであります。
この計画の策定が、二〇二一年度以降は、国の交付金の補助採択の前提条件となりますため、県教育委員会といたしましても、各市町村教育委員会の学校施設担当課長会議などの場を活用して、計画の策定を強く働きかけているところでございます。
次に、県立高等学校のプールであります。
高等学校の学習指導要領においては、現在、水泳は
選択授業となっておりますため、これを
選択していない学校のプールの使用頻度は極めて低くなっております。
このため、県教育委員会といたしましては、プールの老朽化や使用状況を踏まえまして、その在り方について検討しているところでございまして、今後とも、各学校の教育ニーズを十分配慮しつつ、計画的な改修あるいは廃止について、引き続き検討をしてまいります。
次に、小学校における水泳授業の民間委託についてお答えいたします。
水泳は、学習指導要領において、小学校低学年では水遊び、中学年では浮く・泳ぐ運動、高学年から高等学校までは、水泳を領域として、中学二年生までは必修と位置づけられております。このため、ほとんどの小中学校にプールが設置されております。
県教育委員会が昨年六月に実施した調査によりますと、既に民間委託を実施している自治体が七市町村あります。今後、実施を検討している自治体が七市町村ございました。
これらの市町に聞き取りをしたところ、水泳授業の民間委託は、天候に関係なく授業ができることや効率的な技術指導、上手な教え方ができるといった、議員御指摘のメリットに加えまして、インストラクターも含めた監視体制によって、より安全な指導ができるといった声がございました。
また、その一方で、今後の導入を検討している市町からは、授業時間の確保が困難な中、学校から民間プールへの移動に多くの時間を要することへの懸念の声がありました。また、指導も含めた委託に係る経費が高額となるため、施設は活用するものの、指導のほうは教員が行うということを検討している市町もございました。
県教育委員会といたしましては、民間委託も水泳授業の有効な手段の一つと考えております。一方で、地域の実情は様々でありますので、民間委託を導入した自治体への聞き取りや先行事例の効果を検証するなどいたしまして、各市町村教育委員会への情報提供に努めてまいります。
37: ◯三十五番(鈴木まさと君) 御回答どうもありがとうございました。
シュレッダーダストの処理促進について再質問したいと思っております。
二〇〇五年に施行された自動車リサイクル法は、二〇二〇年に、五年に一度の見直しの時期を迎えておると聞いておるところであります。
これまで自動車リサイクル法は、おおむね順調に推移しておると言われてきておりましたが、国内の自動車リサイクルは最大の課題に直面しておると。関係者からは、円滑な使用済み車の適正処理に向けて、自動車リサイクル法の見直しを求める声が上がっておるとも聞いておるところであります。
二〇一九年八月十九日の日刊自動車新聞の記事によりますと、破砕業者の団体であります日本鉄リサイクル工業会では、シュレッダーダストの処理場が国内に少ないのが問題だと。日本から中国に輸出されておりました雑品スクラップは、年間百五十万トンから二百万トン、こうした量を国内処理するには、焼却施設をはじめ、既存施設の数では明らかな能力不足が生じておりますと。
雑品スクラップの処理などを海外に依存してきた我が国において、外国政府の使用済みプラスチックの輸入規制により、雑品スクラップ由来のプラスチックの国内処理量が増加し、結果的に使用済み自動車由来のプラスチックリサイクルにも影響を与えております。
こうした現状を打破し、国内処理循環をより一層進めるために、産業廃棄物処理業者から上がっておる様々な意見を踏まえ、国に要望していただきたいと思っておりますが、県としての見解をお伺いしたいと思っております。
38:
◯環境局長(
森田利洋君) 再質問についてお答えいたします。
諸外国による廃プラスチック等の輸入規制の拡大は、短期的には、国内での廃プラスチックの滞留や処理の逼迫を回避していくことを必要といたしますが、中長期的には、限られた資源を国内、県内で循環利用するシステムを確立していく好機でもあります。
県では、一般社団法人愛知県産業廃棄物協会などと制度的な課題等について意見聴取や協議を行い、その結果を踏まえまして、昨年七月及び十一月に、環境省に対して廃プラスチック類に係る処理の円滑化等についての要請を行ってきております。
要請のうち、処理体制の強化につきましては、廃プラスチックの排出事業者に対する食品リサイクル法と同様の排出量削減やリサイクルの目標設定の制度化、リサイクル施設整備に係る許可要件の緩和や助成制度の拡充、廃プラスチックリサイクル燃料の民間事業者での利用を促進する施策の推進などでございます。
この要請も踏まえまして、環境省は、来年度、廃プラスチックの選別やペレット化などの高度リサイクル設備導入への補助事業の拡充等を予定しております。
また、本県でも来年度から、廃プラスチック処理施設整備への助成枠を別途措置し、事業者の積極的な取組を支援してまいります。
今後も、廃プラスチック等の資源循環の確立に向けまして、その発生処理状況や関係業界の取組意向などを踏まえつつ、引き続き、国に対して施策の提案や要請を行ってまいります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
39: ◯四十一番(田中泰彦君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
40: ◯副
議長(
堀嵜純一君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
41: ◯副
議長(
堀嵜純一君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十八分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時三十分開議
42:
◯議長(
神野博史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
荻原宏悦議員。
〔十二番荻原宏悦君登壇〕(拍手)
43: ◯十二番(荻原宏悦君) では、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
まず初めに、介助犬、キャリアチェンジ犬の啓発について質問をいたします。
本県は、二〇一九年七月に内閣府からSDGs未来都市に選定をされ、二〇三〇年の愛知県のあるべき姿として、人が輝き、女性や高齢者、障害のある人など全ての人が活躍する愛知を目標の一つとして掲げました。
また、二〇二六年にアジアパラ競技大会が開催される可能性を鑑みれば、障害のある方が一人でも多く社会参加をし、生き生きとした生活が送れるユニバーサルシティーを目指すべきだと考えます。
では、介助犬について簡単に説明をいたします。
補助犬の中の一つで、障害者の自立と社会参加促進のためトレーニングをし、身体障害者補助犬法の下、厚生労働大臣指定法人から認定を受けた犬のことをいい、手や足に障害を持った方の日常生活を助けます。具体的には、冷蔵庫の中のペットボトルを取ったり、靴を脱がせたり、落とした物を拾ってくれたりします。
日本介助犬協会の資料では、日本の肢体不自由者の数はおよそ百七十五万人、そのうち介助犬を必要としている人は約一万五千人いるとされていますが、介助犬の頭数はまだまだ不足しており、介助犬の育成、普及が強く求められています。
各市町の行政機関でも、介助犬の活用が周知徹底されていないこともあり、必要とされている人に介助犬を紹介されないケースもあると聞きます。介助犬は、法律でも福祉用具等として福祉用具の中に位置づけられています。県として、繰り返し定期的に情報発信をする必要があると考えます。
我が国では、介助犬候補として、年間数十頭の犬たちが誕生していますが、実際に障害者とマッチングでき、介助犬となるのは、そのうちの二割から四割です。介助犬にならなかった犬も、それぞれの特性を生かし、家庭犬や、介助犬の啓発をするPR犬、セラピー犬、病院で患者の方に寄り添う病院犬などになり、キャリアチェンジ犬として活動しています。病院犬は、動物介在活動や動物介在療法を目的とした大学病院で勤務犬として貸与されています。聖マリアンナ医科大学病院では、入院患者を癒やすキャリアチェンジ犬のミカ、その後継のモリスが活躍をしており、次のような報告がされています。手術室に行きたがらず泣いていた少年が、病院犬のリードを持つと笑顔で手術室に行けるようになった。また、終末期の患者が亡くなる終日前、ミカに会えて幸せという言葉を残したと。
続いて、セラピー犬の活躍にも触れます。
犬山市在住の八歳の少女ゆめかさんは、重度知的、身体障害があり、不安感が強く、母親が付きっきりでしたが、二年前からセラピー犬ノイヤーと暮らすようになり、一人でいられるようになりました。母親の昭子さんは、娘の笑顔が増え、ノイヤーの世話の手伝いをしようとするなど、自立心も芽生えたと話しています。
ここで、シンシアの丘について紹介をしたいと思います。社会福祉法人日本介助犬協会は、二〇〇九年五月、愛知県長久手市に全国で初となる介助犬専門訓練施設、介助犬総合訓練センターシンシアの丘を開所しました。センターからは、これまでに三十二組の介助犬使用者、介助犬ペアが誕生をしています。現在、全国で稼働している介助犬が六十数頭であることを考えると、その存在意義は重要で、愛知県内にある介助犬専門訓練施設シンシアの丘の存在価値をより高めることは、本県にとっても大いに意義のあることと考えます。
また、同センターは、介助犬の育成、普及に携わる人材の養成を目指し、二〇〇五年度より研修生制度を実施しており、研修生の学びの場ともなっています。
日本での最先端、最大の訓練センターとして、全国各地の介助犬を生み出しています。昨年開催された第九回介助犬フェスタには、七千七百名を超える来場者がありました。また、これまでに見学会や視察を実施し、延べ四万人以上の来訪者を受け入れていることは、介助犬への関心が高まっている証左です。
介助犬と暮らすことは、世話が必要となり、デメリットではないかとの心配の声もありますが、それは杞憂です。それを裏づける二人を紹介します。
仙台市在住の我妻進之さんは、椎間板ヘルニアによる車椅子生活、そして、失業。失意から抜け出すためスポーツを始めました。そして、介助犬グレープが来てからは、外出が苦にならなくなり、練習も進むようになりました。そして今、障害者カヌーとパラバドミントンと合わせて二種目での東京パラリンピック出場を目指しています。
先日、私がシンシアの丘でお会いをした丹羽さんは、介助犬ケビンと出会い、朝起きてから寝るまでが楽しいと言われています。職場では介助犬を認めてもらい、一緒に出勤をしています。上司の亀谷さんは、介助犬が職場にいることで、皆が丹羽さんに話しかけるようになり、明るい雰囲気のよい職場になりました。ケビンは皆の癒やしですと語っています。
介助犬やキャリアチェンジ犬の社会に与える効果は、私たちが考える以上に大きなものがあります。介助犬の認知度はまだ低く、介助犬が必要だと思われる人は一万五千人にも関わらず、実働頭数は全国で六十七頭、全四十七都道府県のうち、介助犬が実働しているのは二十六都道府県で、約五五%にとどまっています。
本県においても、実働頭数三頭なのが現状です。本県における頭数の推移も、二〇一五年五頭、二〇一六年四頭、二〇一七年三頭、二〇一八年三頭、二〇一九年三頭となっており、ほとんど拡充がされておらず、最初に申し上げたように、啓発活動に課題があるように思います。
一方、二〇〇二年に施行された身体障害者補助犬法は、公共施設や交通機関、飲食店、医療関係などに対し、補助犬の同伴を拒まないよう求めています。日本補助犬情報センターの二〇一七年度の調査によると、補助犬使用者のうち二百六人から得た回答では、二〇一七年四月からの約半年間で、同伴拒否を一度は経験したという割合が、飲食店で約三五%、タクシーで約一七%、宿泊施設で約一三%に上っています。
また、同センターの調査で、補助犬法について国民に聞いたところ、知らないと答えた人は七割を超えました。受入義務を知らない人が多いことが同伴拒否につながっている可能性も考えられます。
二〇一二年になりますが、長久手市が補助犬の啓発活動のため、市内の飲食店、スーパー、物販店舗、コンビニ、医療機関などに補助犬ステッカーを店舗に貼り出してもらえるかアンケートを取ったところ、百二十五店舗中八十五店舗に断られました。率にすると七割です。
今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催をされます。そして、二〇二六年には、本県でアジア競技大会が開催をされます。まだ決定はしていませんが、アジパラ競技大会も開催されると思われます。アジア各国から多くの外国人が愛知県に来られます。そのときに、全ての人が暮らしやすい、多様性の先進都市愛知県をアピールできるように、今からそういった環境を整えていく必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
本県における介助犬推進の実績と課題、そして、今後の介助犬やキャリアチェンジ犬のPR活動と、補助犬法の周知の取組についてお伺いをします。
続いて、外国人児童生徒の学習・就労支援について質問をします。
愛知県における二〇一九年十月一日現在の人口は七百五十五万二千八百七十三人、内訳として、日本人七百二十五万九千八百三十五人、外国人二十三万九千六百九十四人、国籍不詳五万三千三百四十四人となりました。二〇一八年十月から二〇一九年九月までの人口増減を日本人外国人別に見ると、日本人は八千二百四十三人減少、減少率は約〇・一%でした。一方、外国人は二万一千九百三十一人増え、増加率は約一〇%でした。そして、御承知のとおり、愛知県は日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が日本で一番多く、九千百人です。また、この児童生徒数は増加をしており、日本語教育支援の拡充が必要だと考えます。
私は、今年の一月、地元の豊橋市立岩田小学校に視察に行ってきました。全校生徒数約九百名、そのうちの約二百名が外国籍児童です。内訳は、ブラジル国籍とフィリピン国籍が約百名ずつです。外国籍児童が多いことと、さらに多国籍、多言語化が進んでおり、現在豊橋市が配置しているバイリンガル相談員の数では対応し切れない状況となっています。
一月時点での在籍児童の国籍は、ブラジル、フィリピン、パラグアイ、アフガニスタン、スリランカ、ネパール、韓国、インドネシアの八か国です。そして、最もバイリンガル相談員が授業以外で時間を取られてしまうのが、転入・転出時の手続における父兄とのやりとりです。
岩田小学校では昨年度、転編入、転出、除籍の手続だけで百十九名、それ以外の在学証明書の発行や、一時帰国の手続などを含めると二百名を超えます。さらには、編入手続の説明には、一人当たり二時間かかります。なるべく効率よく行う工夫もしているとのことですが、その仕事量は想像以上です。こうした授業時間外の対応を含め、外国人児童生徒への支援は、学校にとって喫緊の課題であり、今まで以上に日本語教育への支援の拡充が必要と考えます。
そこでお尋ねいたします。
外国人児童生徒の初期段階における日本語教育の支援について、今後どのように取り組み、拡充していくかお伺いします。
次に、外国人高校生の就学と学習と就労について質問をします。
愛知県進路応援ガイドブックによると、愛知県内の外国籍中学生の卒業後の進路状況は、高校等進学率八三%、就職率一%、その他一六%です。
愛知県県民文化局県民生活部統計課によると、二〇一九年五月一日現在の愛知県内の中学生の高等学校進学率は九八・四%です。日本人中学生と外国籍中学生とでは、高校等の進学率は一五・四%の差があります。二〇一八年、文科省実施の日本語教育が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査では、中途退学率は、日本語指導が必要な高校生等九・六%に対して、全高校生等が一・三%、進路状況について、大学の進学率は、日本語指導が必要な高校生等が四二・二%に対して、全高校生等が七一・一%、就職者における非正規就職率は、日本語指導が必要な高校生等が四〇%に対して、全高校生等が四・三%、進学も就職もしていない者の率としては、日本語指導が必要な高校生等が一八・二%、全高校生等が六・七%です。以上の統計データからも、いかに外国人生徒への支援が必要かが分かります。
二月十七日、地元のNPO法人主催の日本語教室に見学に行ってきました。教室の前半の時間帯では児童生徒を対象、後半は社会人を対象で、この日はトータルで二十名ほどの参加でした。代表の方に、高校生の就職について伺いました。ちょうどその方は、定時制高校でも日本語を教えています。就職をするには、日本語が大丈夫だと企業を納得させないといけないので、日本語検定を受けさせているとのことでした。今年は十四名受験をし、十二名がN1もしくはN2に合格をされたそうです。すばらしい結果ではないでしょうか。ところがです。この時点ではまだ就職が決まっていませんでした。では、このまま決まらなかったらどうなるのかお聞きをすると、今のアルバイトの時間を少し長くして、継続するだろうとのことでした。最終的な結果ではありませんが、残念でなりませんでした。
毎日新聞の報道によると、高等学校の全日制課程における外国人生徒等に係る入学者選抜による合格者数は、多い順から東京都百十六人、神奈川県百十一人、大阪府八十五人、愛知県二十六人、ただし、令和元年度は三十人です。
対して、定時制課程において、外国人生徒等に係る受験上の配慮を受けて合格をした生徒の数は、平成三十年度百一人、令和元年度百十三人です。外国人生徒に関する入学者選抜については、この三月から、全日制課程で実施校、定員数を拡充し、定時制課程においても、前期選抜で行っていた学力検査の漢字にルビなどの配慮を後期選抜にも拡大をすると聞いております。
今後、外国人高校生が増加することは喜ばしいのですが、先ほど数字でも示したとおり、中途退学や非正規での就職など、外国人高校生の状況は決してよくありません。入学はできても授業についていけなかったり、言葉の問題や卒業後の進路など、改善しなければならない課題があります。そのような課題に対応するため、高校入学後の支援が大切であると考えます。
そこでお尋ねをします。
外国人高校生への学習・就労支援への取組についてお伺いをします。
続いて、橋梁の老朽化対策について質問をします。
自然環境の変化に伴い、水害や土砂災害などが頻発する中、国は、防災のための重要インフラ等の機能維持や、国民経済、生活を支える重要インフラ等の機能維持の観点から、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策として、二〇一八年度から二〇二〇年度までに集中的に実施する防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に、おおむね七兆円を充てています。
その一方で、高度経済成長期を中心に整備された多くの社会資本が今後一斉に高齢化し、維持管理費や更新費の急増が懸念されているところです。特に道路は、日常生活や地域の交流、社会経済活動の基盤となる重要な社会資本であります。
本県は、モノづくり産業等の分野を中心とした活発な経済活動や、日々の安全で快適な県民活動を支える道路整備にいち早く取り組んできており、本県が管理する橋梁約五千二百橋のうち、半数近くが一九五〇年代半ばから一九七〇年代半ばにかけて集中的に建設をされました。このことから、現時点で供用後五十年以上経過をした橋梁の割合は約四割ですが、二十年後には約八割となり、老朽化が急速に進んでいくことは確実です。
橋梁は、老朽化などに伴う損傷や変状が起こると、甚大な被害が生じる可能性があり、県民の生命、財産を危うくするのみならず、経済活動にも支障を及ぼします。
このため国は、二〇一三年に道路法を改正し、橋梁などの道路構造物について、五年サイクルの定期点検を道路管理者に義務づけました。本県においては、こういった橋梁の老朽化に対する状況を踏まえ、従来の日常的な道路パトロールによる維持管理に加え、二〇一四年度に道路構造物長寿命化計画を策定し、橋梁などの道路構造物について、計画的な点検や修繕を実施するとしています。
二〇一四年度から昨年度にかけ、全国の道路管理者が実施した一巡目の点検の結果や措置の状況を国土交通省が取りまとめた道路メンテナンス年報によると、老朽化などにより早急に措置すべきと判断された橋梁は、国土交通省、道路会社及び地方公共団体を合わせ、全国で約七万橋あるとされています。このうち地方公共団体分は約六万三千橋で、これらについて、昨年度までに全国の地方公共団体が修繕に着手した橋梁は二割で、修繕が完了した橋梁は約一割にとどまっているとのことです。
そこでお尋ねします。
本県が管理する橋梁の一巡目点検の結果はどうであったか、また、点検結果を受け、現在、どのように修繕に取り組んでいるのか、伺います。
さらに、今後、橋梁の老朽化対策についてどのように取り組んでいくのか、県のお考えをお聞かせください。
最後に、可搬式オービスの効果的な運用について質問をします。
昨年の十二月暮れ、私の娘の同級生の父親が夜間歩行中に車にはねられ、亡くなりました。折しも、その娘さんが、嫁ぎ先の九州から孫を連れ、お婿さんと帰省をしているときでした。本来なら、娘夫婦とかわいい孫とで楽しい年末を過ごすはずだったのです。しかし、一瞬にして、その幸せは消えてしまいました。しかも、この御夫婦には障害があり、お互いに助け合いながら生活をされていました。残された奥さんの悲しみ、苦しみ、悔しさ、また、これからの生活への不安はいかばかりのものでしょうか。
亡くなってしまった人はもう二度と戻ってきません。もう二度と元の生活には戻れません。そして、ある日突然に交通事故によって命を絶たれてしまった本人の無念、悔しさ、また、その遺族の苦しみ、それを思うと本当に悔しくてなりません。
県警や県民の皆様の努力もあり、交通事故による死亡者は年々減少をしてきていますが、それでも、昨年は、愛知県内で百五十六名の方が命を落とされています。一人でも大切な命が奪われてはいけません。交通死亡事故をなくすには、まずは交通ルールを守り、軽微であっても交通事故をなくすこと、そのためには、当たり前ですが、皆が交通ルール厳守の意識を高めることが大事です。
私もドライバーとして毎日のように運転をしますが、かなりむちゃな運転をする車を見ます。歩行者を無視したり、信号を守らず無理に交差点へ進入したり、割込みやウインカーを出さずに車線変更をしたり、明らかにスピードオーバーだったりと、こういったルール違反に対しての日頃からの安全運転への啓発が必要だと思います。
県警としても、様々な取締りを行い、交通事故防止に取り組んでいることは承知をしています。
昨年中の当県の交通死亡事故における法令違反別の上位の件数を見ると、歩行者妨害等が十七件、信号無視が十二件、最高速度が十一件となっています。三番目に多いスピードオーバーは重大事故に直結をするので、取締り強化をする必要があります。
速度違反の取締りにおける可搬式オービスは、設置する際の場所的な制約が少ない点から、様々な道路において活用が可能で、交通安全意識の啓発にも有効だと考えます。
そこでお尋ねをします。
可搬式オービス五台の運用状況と、今後、増台していかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いします。
以上、壇上からの質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
44: ◯福祉局長(平田雅也君) 介助犬、キャリアチェンジ犬の啓発についての御質問のうち、初めに、本県における介助犬推進の実績と課題についてお答えいたします。
介助犬や盲導犬などを総称して身体障害者補助犬といいますが、こうした補助犬の育成については、国が指定する訓練事業者が行っております。
県におきましては、障害のある方の社会参加の促進を図るため、補助犬としての訓練が終了し、県内にお住まいの使用者へ無償貸与した場合に、その育成に要した費用に対し、一頭百五十万円を上限として、訓練事業者に助成をしております。
介助犬につきましては、二〇〇二年の身体障害者補助犬法の施行以降、九頭分を助成しているところであり、現在の実働頭数は、県内で三頭となっております。これに対しまして、盲導犬の助成実績は五十四頭であり、現在の実働頭数は三十四頭となっている状況です。
このように介助犬の実働頭数が少ないことから、県民の方や介助犬を必要とされる方への認知度の向上が課題であり、物の拾い上げや運搬、衣服の着脱などの補助など、身体に障害のある方の自立と社会参加を支える大切なパートナーとなるその介助犬の役割を、広く県民の皆様に周知していく必要があると考えております。
次に、今後の介助犬やキャリアチェンジ犬のPRと補助犬法の周知についてお答えいたします。
県では、これまでも、介助犬の認知度の向上を図るために、県内で介助犬の訓練を行っている社会福祉法人日本介助犬協会へ委託をして、県民の方が多く集まる商業施設などにおいて、介助犬の普及啓発のイベントを開催しております。
また、障害のある方の最初の相談窓口となります市町村職員に対し、市町村障害保健福祉主管課長会議などを通じて、介助犬についての周知を図っております。
さらには、昨年十月に開催した愛知県社会福祉大会における福祉介護フェアでは、ブースを設け、介助犬と触れ合う機会を提供したところ、多くの方の関心を集め、介助犬の理解を深めることができました。今後とも、こうした集客力のあるイベント等での啓発の機会が増えるよう、関係局へ積極的に働きかけてまいります。
一方、議員お示しのとおり、介助犬にはならない、いわゆるキャリアチェンジ犬が介助犬の普及啓発を行うPR犬や、入院患者の情緒的安定等を目的とした病院勤務犬として活躍している状況がございます。こうした取組についても、介助犬の普及啓発と併せて紹介をしてまいります。
次に、身体障害者補助犬法の周知についてであります。
法施行から十七年余りがたちましたが、依然として店舗等への入店拒否に関する相談が県へ寄せられており、法の趣旨や内容に関する理解促進を一層図っていく必要があると考えております。特に理解を深めていただきたい飲食店などの関係団体に対しては、リーフレットや店舗に掲示していただくステッカーなどを配布しておりますが、今後とも機会を捉え、周知を図ってまいります。
県といたしましては、障害のある方の社会参加促進に向けて、介助犬をはじめとする身体障害者補助犬の認知度向上や、法の理解促進が一層進むよう、普及啓発にしっかりと取り組んでまいります。
45:
◯教育長(
長谷川洋君) 初めに外国人児童生徒への初期段階における日本語教育への支援の拡充についてお答えいたします。
愛知県は、日本語指導が必要な外国人児童生徒数が日本で最も多く、一九九〇年代から現在まで増加し続けております。そのため、本県の多くの市町村教育委員会では、来日して間もない子供たちが安心して日常生活を送り、学習に取り組めるよう、日本語の習得を目的とした日本語初期指導教室を設置いたしまして、外国人児童生徒への日本語教育を推進してまいりました。この教室は日本語習得に大きな効果を発揮するだけでなく、外国人児童生徒が日本の生活習慣等を学ぶ重要な場となっております。
議員お示しの豊橋市におきましては、中学生段階で来日する生徒が比較的多いことから、県内では他に例のない中学生だけを対象にした日本語初期指導教室を設置し、中学校の教科学習への円滑な移行を支援しております。
このように、日本語初期指導教室は多くの市町村において重要な役割を果たしてまいりましたが、日本語指導を行う人材の確保が難しい、教室が少ないといった課題があることも聞いております。
県教育委員会では、さらに市町村における日本語初期指導を充実させるため、文部科学省の支援事業を活用し、来年度、外国人児童生徒日本語教育支援事業補助金を創設いたします。今後は、この補助金を活用した市町村の取組を検証し、成果を紹介することによりまして、初期指導教室の新設、増設と、より一層の充実を促してまいります。
次に、高等学校における外国人生徒への学習支援、就労支援の取組についてであります。
県立高校においては、これまで日本語によるコミュニケーション能力が十分身についていない外国人生徒の学校生活をサポートするため、外国人生徒教育支援員を配置し、外国人生徒の学習活動や学校生活の支援に努めてまいりました。
今年度は、延べ百六名の外国人生徒教育支援員を全日制高校十三校、定時制高校二十三校に配置し、授業中の通訳や教材の翻訳などに取り組んでおりまして、来年度は、さらに配置校、配置時間数を拡充してまいります。また、多言語対応の小型通訳機につきましては、現在配備している定時制高校二十三校に加え、外国人生徒等選抜を実施している全日制高校十一校にも配備をしてまいります。
また、定時制・通信制高校に三名の就労アドバイザーを引き続き配置いたしまして、就職先やインターンシップ先の開拓など、外国人生徒の就労支援に取り組んでまいります。
今後は、外国人生徒に対する学習支援や就労支援の成果を学校間でしっかりと共有して、支援の充実を図ってまいります。
46: ◯建設局長(林全宏君) 橋梁の老朽化対策についてのお尋ねのうち、まず、本県における一巡目点検の結果と、現在の修繕の取組についてであります。
本県で管理する橋梁は五千二百三十六橋であり、一巡目点検に二〇一四年度から着手し、昨年度までに全て完了しました。
点検結果は、国土交通省が示す統一的な四段階の区分で評価し、健全な状態を判定区分一、予防保全の観点から措置を行うことが望ましい状態を判定区分二、早期に措置を行うべき状態を判定区分三、通行止めをするなどの緊急に措置を行うべき状態を判定区分四としております。
一巡目点検の結果、判定区分一が約四割の千九百四十五橋、判定区分二が約五割の二千八百橋、判定区分三が一割弱の四百九十一橋であり、判定区分四の橋梁はありませんでした。現在、判定区分三の橋梁四百九十一橋について、二〇一五年度から集中的に修繕を進めており、昨年度末における着手率は約八割、完了率は約五割で、全国の地方公共団体を大きく上回っております。さらに、今年度末には着手率は九割を超え、完了率は約六割となる見込みで、着実な成果を上げております。
次に、今後の老朽化対策の取組であります。
昨年度、国土交通省が今後三十年間の維持管理費を試算した結果によると、橋の機能や性能に不具合が生じてから修繕を行う従来の維持管理に対し、判定区分二の段階で修繕を行う予防保全型の維持管理は、費用を約三割削減できるとされています。
また、国土交通省は、地方が行う道路構造物の老朽化対策を集中的に支援するため、道路メンテナンス事業補助制度を来年度に創設すると発表しました。
本県としましては、この制度を活用し、老朽化対策に必要な予算を確保するとともに、判定区分三の橋梁の修繕を早急に完了させ、判定区分二の修繕を行う予防保全型の維持管理を一層推進することにより、維持管理費の縮減を図る効率的なメンテナンスサイクルの持続的な運営に取り組んでまいります。
47: ◯警察本部長(後藤和宏君) 可搬式オービスの運用状況等についての御質問にお答えをいたします。
車両の走行速度が速くなれば、危険回避が遅れることに加えまして、事故発生時の被害が大きくなるなど、速度違反は交通死亡事故の大きな要因の一つでありますことから、議員お示しのとおり、最高速度違反の取締り強化は必要であります。
可搬式オービスは、速度の測定と同時に違反車両を撮影するため、車両を停止させて取調べを実施する必要がなく、道路幅員の狭隘な生活道路においても速度取締りが可能となりますことから、登下校時間帯における通学路や、保育園等の園外活動の経路など、県民の皆様からの要望を踏まえた取締りを実施いたしております。
県警察では、可搬式オービスを全国最多の五台保有し、その運用によりまして、二〇一八年中は四百三十九回、昨年、二〇一九年中は千五百七十六回、本年も、一月末現在で百二十二回の速度違反取締りを実施いたしております。
さらに、運転者の緊張感を醸成し、速度抑制効果を高めるため、取締りを実施する日などを県警察のツイッターやホームページに掲載するなどの広報を実施いたしております。
引き続き、可搬式オービスも有効に活用しつつ、速度違反の取締りを推進するとともに、今後の交通事故情勢や取締り体制などを考慮し、可搬式オービスの増台につきましても必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
48:
◯知事(
大村秀章君) 荻原宏悦議員の質問のうち、外国人児童生徒への学習・就労支援について、私からもお答えいたします。
愛知県は、これまで外国人を生活者として受け入れるため幅広く施策を進めてまいりましたが、その中でも外国人の子供たちへの学習・就労支援には特に力を入れてまいりました。
二〇二〇年度には、文部科学省が実施する支援事業を活用いたしまして、外国人児童生徒日本語教育支援事業補助金を創設し、市町村が設置をしている日本語初期指導教室に関わる日本語指導員の人件費や、多言語翻訳機等の配備を支援してまいります。
また、外国人児童生徒が多数存在する小中学校に配置をしております日本語教育適応学級担当教員につきまして、現行の配置基準では一校当たりの上限を設けておりますが、来年度はこの上限を撤廃するとともに、三十人増員をいたします。
さらに、高等学校に在籍する外国人生徒への就労支援につきましては、今年度から新たに外国人生徒が多く在籍する定時制・通信制高校に就労アドバイザー三名を配置いたしました。また、巡回による就職相談を実施するとともに、ハローワークや経済団体等と連携して連絡協議会を開催し、外国人生徒が将来の見通しを持って高校生活を送ることができるよう、チームとして就労支援に取り組んでまいります。
今後も外国人児童生徒への学習・就学支援の充実を図り、全ての人が輝く愛知の実現に取り組んでまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
49: ◯十二番(荻原宏悦君) 要望をさせていただきます。
介助犬・キャリアチェンジ犬啓発に関してでございます。
愛知県内における介助犬に関する正確なデータがなく、有効な対策が取りにくい状況となっております。法律や介助犬に対する認知度などの調査の実施を要望いたします。
また、昨年、ジャイアンツの菅野投手が、東京ドームの五万人のファンが見守る中、介助犬サポート大使に就任をしました。大きな宣伝効果があったと思います。
本県では、二〇二六年、アジアパラ競技大会の開催が予想をされております。そこで、シンシアの丘PR犬を、アジアパラ競技大会PR大使に任命をしていただきたい。
以上、二点を要望し、私の
発言を終わります。
50:
◯議長(
神野博史君) 進行いたします。
山下智也議員。
〔五十番山下智也君登壇〕(拍手)
51: ◯五十番(山下智也君) 皆様、お疲れさまでございます。私にとりましては、改選後初めての一般質問となりますとともに、本
定例会最後の質問者となります。この場に立つことができることに対して、御支援をいただく皆様に感謝を申し上げ、順次質問をさせていただきます。
初めに、経済活動を支える小牧市周辺の主要幹線道路の整備についてお尋ねをいたします。
愛知県をはじめとする中部地域でありますが、航空機及び航空機部品の生産額は、我が国の全体の五割以上、機体部品に絞れば約八割が生産されている、我が国唯一の航空宇宙産業の集積地であります。
また、国際戦略総合特区アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区に指定され、地域を挙げて航空宇宙産業のさらなる集約と生産能力の拡充に取り組んでおり、アメリカのシアトル、フランスのトゥールーズに肩を並べる航空宇宙産業の世界三大拠点の形成に向け、さらなる飛躍を目指しております。
とりわけ、特区の中核にあります小牧市周辺の地域は、航空関連部品や工作機械メーカーなどが立地しており、岐阜県南部から名古屋港周辺に至る地域とともに連携をし、県域を越えた活発な経済活動により国際戦略総合特区アジナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の拠点となっております。
また、昨年には、県営名古屋空港に隣接するあいち航空ミュージアムにおいて、第二次世界大戦で活躍をした英国の主力戦闘機であるシルバースピットファイアの復元機が世界一周飛行中に飛来し、ミュージアム内に展示されたことで、多くの来場者が訪れ、航空機産業と連携したイベントも開催をされております。
このような魅力ある地域に位置する小牧市は、名神高速道路小牧インターチェンジへのアクセスに優れ、中部圏を中心とした広域への配送に適しており、近年、国内有数の規模を誇る物流施設や工場等が立地をしていることから、小牧市周辺の地域とともに、さらなる発展が大いに期待されるところであります。
現在、県内において取扱貨物量が日本一を誇る名古屋港につながる名古屋環状二号線など、新たな道路網の整備が進められており、小牧市周辺の地域の経済活動をさらに広域的に展開するためには、高速道路のインターチェンジと企業の生産拠点や物流拠点をつなぐ幹線道路ネットワークが必要であります。
こうした中、当地域を南北に貫き、私の自宅のすぐ近くを通ります国道四十一号についてであります。
国道四十一号でありますが、旧飛騨街道として、かつては富山から信州、飛騨へブリを運んだ街道ともその一部とほぼルートを同じくし、現在もブリ街道と呼ばれております。また、ブリは成長すると名前が変わる出世魚であることから、出世街道と呼ばれることもあるそうです。
近年では、ノーベル化学賞を受賞された白川英樹さんが青年期まで過ごした高山市、ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんが研究生活をしたスーパーカミオカンデのある飛騨市、ノーベル生理学医学賞を受賞された利根川進さんが幼少時に住んでいた富山市、ノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんの出身地である富山市を通ることから、岐阜県と富山県が共同でノーベル街道という呼び名を広めようとしております。
また、ノーベル化学賞を受賞された野依良治さん、ノーベル物理学賞を受賞された小林誠さん、同じく益川敏英さん、ノーベル化学賞を受賞された下村脩さん、ノーベル物理学賞を受賞された天野浩さん、同じく赤崎勇さんは、愛知、名古屋にゆかりのある方々であります。
そのような意味では、国道四十一号は、起点である名古屋市から終点である富山市まで、まさしくノーベル街道と呼ぶにふさわしい国道であると思います。ぜひ本県においても御検討いただきたいと思います。
そして、国道四十一号は、今年度、国において物流上重要な重要物流道路に指定をされ、小牧市周辺の地域において、平常時だけではなく、災害時を含めた経済活動に重要な役割を担っております。
さらに、国道四十一号は、小牧市周辺の地域とともに、国際戦略総合特区アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区のもう一つの拠点である岐阜県各務原市へのアクセスとなる岐阜県方面との連携強化に寄与する木曽川に架橋予定の新愛岐大橋とも道路ネットワークを形成し、県境を越えた広域的な交流を支える幹線道路でもあります。
また、当地域においては、東西軸の幹線道路となる国道百五十五号バイパスは、国道四十一号と接続し、名神高速道路小牧インターチェンジや名古屋高速小牧線へつながることから、高速道路インターチェンジへのアクセス道路としても活用され、周辺地域の物流活動などにも欠くことのできない道路となっております。
しかしながら、当地域にはこのような道路網があることから、その利便性を生かした産業集積や沿線開発が進み、現在、国道四十一号など幹線道路では慢性的な渋滞が発生し、地域の経済活動に少なからず支障が生じている状況であります。
国道四十一号の小牧インター付近から北へ、大口町を経て犬山市に至る区間や、国道百五十五号バイパスの江南市の名鉄犬山線との踏切交差部付近、同じく小牧市の国道四十一号の村中交差点付近から東側の小牧原交差点付近までの区間など、多くの交差点や踏切などで渋滞をしております。
特に今年は暖冬ということもあり、凍結による通行止めはありませんが、国道百五十五号バイパスが国道四十一号の上をまたぐ形で架けられている陸橋が一旦通行止めになると、周辺の生活道路を含めて付近は大渋滞となり、住民から多くの苦情が私の事務所に入ってまいります。
国道百五十五号バイパスの村中高架橋の凍結による通行止めの問題については、当局も問題意識を持って取り組んでおられることは承知をしておりますが、少しでも柔軟性を持った運用ができるよう、これまで以上に改善の努力を重ねていただきたいと思います。
こうした渋滞によって人や物の円滑な流れが確保されず、とりわけこの地域の強みであるモノづくり産業を支える物流において経済損失が発生している状況は、一刻も早く解消すべき喫緊の課題であると考えます。
小牧市周辺の地域が元気な愛知を牽引し、日本経済の要として、これまで以上に広域的な経済活動の展開を進め、よりポテンシャルを高めていくためには、高速道路とネットワークを形成する主要幹線道路の渋滞解消や交通円滑化など、道路網のさらなる機能強化や充実が必要不可欠であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
名神高速道路小牧インターチェンジや名古屋高速小牧線への主要アクセス道路となる、現在事業中の国道四十一号名濃バイパス六車線化事業及び小牧市内の国道百五十五号バイパスの四車線化事業並びに、岐阜県との連携強化に資する新愛岐大橋整備事業の進捗状況と、今後の取組についてお伺いをいたします。
次に、愛知県官民データ活用推進計画についてお尋ねをいたします。
昨今、データ社会の到来と言われていることは、皆様、御承知のとおりであります。我が国における超少子高齢社会における諸課題の解決のために、データを活用した新ビジネスとイノベーションの創造や、さらにはデータに基づく行政、農業、医療介護、観光、金融、教育等の改革を進める必要から、データ流通の拡大が求められております。
そうした背景の下、平成二十八年十二月に官民データ活用推進基本法が成立し、データ流通環境の整備や、行政手続のオンライン利用の原則化など、官民データの活用に資する各種施策の推進を国の取組として義務づけております。
それを受けて、平成二十九年五月には、世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画が閣議決定をされ、平成三十年一月にデジタル・ガバメント実行計画が決定されました。
こうした動きの中、令和元年五月にはデジタル手続法が成立し、同六月には、政府は、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を閣議決定いたしました。
デジタル手続法では、オンラインの原則や添付書類の撤廃を実現するための情報システム整備計画の作成を国に義務づけており、国は、デジタル・ガバメント実行計画を令和元年十二月に改定し、これをもって、情報システム整備計画として国、地方公共団体、民間を通じたデジタル・ガバメントを推進していくこととしております。
ここでいうデジタル・ガバメントとは、電子行政に関するサービス、プラットフォーム、ガバナンスなどの全てがデジタル社会に対応した形に変革された状態とされております。
この実行計画には、地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進という項目があり、地方公共団体においても、国と同様に行政手続のオンライン化やオープンデータの推進が求められております。
そこで、本県におきましても昨年の六月定例県議会の一般質問において、我が党の伊藤辰夫議員から、愛知県における官民データの活用について質問させていただいておりますが、その際、二〇二〇年度中を目途に愛知県官民データ活用推進計画を策定されると答弁をいただいております。
その後、計画の検討が進められ、県のホームページを見ますと、昨年十二月から今年の一月にかけてパブリックコメントが実施されており、その際に示された計画案では、愛知県行政の進め方として、五つの項目が柱として示されております。
一つ目にオープンデータの推進に係る取組、二つ目に行政デジタル化に係る取組、三つ目に行政手続オンライン原則化に係る取組、四つ目にマイナンバーカードの普及及び活用に係る取組、五つ目にデジタルデバイド是正に係る取組が掲げられております。そして、官民データの活用を推進するに当たっては、活用できるデータを提供することが重要であるため、県が保有する情報を活用しやすい形で提供するオープンデータの推進を最重要取組として位置づけるとなっております。
まずは、行政としてオープンデータを提供することが重要であるということは理解いたしますが、一方で、提供されたオープンデータが活用されなければ意味がありません。
そこで、オープンデータの活用に目を向けてみますと、オープンデータを活用する取組が全国各地で行われていると聞いております。例えば、アーバンデータチャレンジという、大学や民間企業などが連携して、主に地方自治体のオープンデータを活用して地域社会の課題を解決しようという取組が全国規模で行われると聞いております。
特に、本県においては、アイデアソン、アイデアとマラソンを掛け合わせてつくられた造語、ハッカソン、ハックとマラソンを掛け合わせてつくられた造語等のデータ活用イベントの開催数が多かったことや、応募数が最も多く、オープンデータを使った防災啓発アプリなどが入賞したことなど、その取組が活発であるということで、二〇一八年度に愛知ブロックがベスト地域拠点賞を受賞したそうであります。
こういった大学や民間等の取組が発展していくためには、行政が持つデータを広くオープンにしていくこと、多くのデータが提供されることが重要であり、その進展に伴って、それを利用する仕組みが現在できつつあるというふうに認識しているところであります。
こうした中、官民のデータ活用という観点で関係があると思われるものとして、先日、我が党の有志で、札幌市において行われている行政と民間企業がデータを共有して利活用する一般社団法人札幌圏地域データ活用推進機構(SARD)の取組を見てまいりましたので、県が行うべきオープンデータの枠組みを少し外れるかもしれませんが、そのお話をさせていただきたいと思います。
理事長には札幌市の副市長が就任しており、北海道銀行、北海道新聞、札幌商工会議所、札幌観光協会、さっぽろ産業振興財団、イオン北海道、フュージョン株式会社、北海道アルバイト情報社などが会員となっております。その取組例でありますが、札幌市を訪れた観光客の行動履歴や購買データなどを分析し、的確な観光マーケティングにつなげるものであります。札幌市内の携帯電話の利用状況から分析した国籍、時間帯、エリア別の観光客滞留データや、補助金を元にキャッシュレス決済用の端末などを市内の飲食店に無償提供して、キャッシュレス決済で集めたデータを利用するなど、オープンデータの活用に加え、民間企業の持つデータやノウハウを付加することによって、新たなビジネスモデルを創出するという非常に有効な取組であると感じました。将来的にはぜひ本県においても検討をしていただきたいなというふうに思います。
さて、本県に話を戻しますと、オープンデータを拡充していくということは、県が積極的に取り組んでいるスタートアップの育成にもつながるものと考えられます。
国内において実際にオープンデータを活用し、企業化された取組として、研究施設による肥料や農薬の使用量データを使ったクラウド型農業生産管理
ツール、アグリノート、AED設置場所の情報を使った緊急通報共有アプリ、Coaido119や、介護施設の情報を使った介護事業所
検索サービス、ミルモなどがあります。本県においても、これらに続くスタートアップの事例が誕生することを大いに期待しております。そのためには、まず行政ができることとして、オープンデータに積極的に取り組んでいくことが重要だと思います。
そこでお尋ねいたします。
このように県民や事業者等がデータを活用しやすいよう、オープンデータの推進が求められていますが、本県におけるオープンデータの進捗状況はどのようになっているのかお伺いをいたします。
また、このたび、官民データ活用推進計画を策定することで、これまでの取組に加え、さらなるオープンデータの推進を期待しております。
そこで、二点目の質問として、今後のオープンデータの推進をどのように進めていくのか、また、住民や事業者等が必要とする多くの情報は市町村が保有していると思われますので、併せて県内、市町村のオープンデータをどう促進していくのかお伺いいたします。
ここまで、官民データ活用推進計画の中心となるオープンデータの推進について質問をさせていただきましたが、オープンデータを推進するためには情報をデータで保有する必要があることから、行政のデジタル化を進める必要があり、併せて行政手続のオンライン化を進め、情報を入手する段階から電子データを取得して保有することが求められます。
こうしたことから、本県の官民データ活用推進計画においても、取組の柱として、行政のデジタル化、行政手続のオンライン原則化に取り組むこととされております。これらの取組を進めることは、冒頭でも触れました国のデジタル・ガバメント実行計画において、地方公共団体の官民データ活用推進計画を、デジタル・ガバメント構築のための総合的な戦略と位置づけられていることからも明らかなように、本県のデジタル・ガバメントを実現することへとつながっていく重要な取組であると思います。
そこで、三点目の質問として、オープンデータの推進に併せて、行政のデジタル化や行政手続のオンライン化など、官民データ活用推進計画をどのように進めていくのかお伺いをいたします。
以上で、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
52: ◯建設局長(林全宏君) 小牧市周辺の主要幹線道路の整備について、三点お尋ねをいただきました。
初めに、国道四十一号名濃バイパス六車線化事業についてでございます。
国道四十一号の名古屋高速道路小牧北出口付近や、小牧市村中交差点南側に発生していた渋滞対策として、これまでに、国において、村中交差点の北向き左折レーンの追加や、右折レーンの改良が実施されております。
続く村中交差点以北の渋滞対策につきましては、二〇一三年度より、村中交差点から犬山市の五郎丸交差点までの約七キロメートル区間について、現道幅員三十メートルの中で、四車線から六車線に改良する事業が進められております。
このうち、村中交差点から大口町の中小口三丁目交差点までの延長約三・六キロメートルは本年度までに整備が完了したことから、渋滞が緩和し、物流の時間短縮効果が現れてきております。
現在は、中小口三丁目交差点から扶桑町の高雄道塚交差点までの延長約二・五キロメートルにおいて鋭意工事が進められており、残る未着手区間、約〇・九キロメートルも含め、本県として引き続き国に協力し、全区間の早期完成に向けて取り組んでまいります。
続いて、小牧市内の国道百五十五号バイパスの四車線化事業についてであります。
現在、村中交差点付近につきましては、立体交差部が暫定二車線で開通しており、その西側となる国道百五十五号バイパスと交差する県道小口名古屋線に設置する右折車線について、引き続き残る用地買収に努めているところでございます。
また、村中交差点の東側となる、合瀬川から原川までの延長約〇・八キロメートルの自才前工区につきましては、現在、橋梁工事を進めております。
さらに、東側の県道名古屋犬山線の交差点を含む延長約〇・四キロメートルの小牧原新田工区については、交差点北側の区間において、これまでに東向きの車線の拡幅工事を実施したところであり、引き続き四車線化に必要な用地買収に取り組むなど、事業進捗に努めてまいります。
最後に、新愛岐大橋整備事業についてお答えいたします。
現在、岐阜県の施工により、岐阜県側から橋梁下部工事を行っており、愛知県側につきましては用地買収を進めているところであり、岐阜県と連携しながら事業促進を図ってまいります。
今後とも、名神高速道路小牧インターチェンジなどへのアクセス強化となる国道四十一号や国道百五十五号並びに県境を結ぶ新愛岐大橋など、地域の経済活動を支える主要幹線道路の整備にしっかりと取り組んでまいります。
53: ◯総務局長(横井篤史君) 愛知県官民データ活用推進計画について、三点の御質問をいただきました。
まず初めに、本県のオープンデータの推進状況についてお答えをいたします。
本県では、情報化施策の指針として、二〇一六年三月に策定したあいちICT戦略プラン二〇二〇におきまして、新たな産業創出に役立てるよう、県が保有するデータを広く公開するオープンデータを推進していくこととしております。
具体的取組といたしましては、県の公式ウェブサイトでありますネットあいちに愛知県オープンデータカタログサイトを設けております。昨年度、庁内のデータの保有状況について調査を行うとともに、オープンデータカタログへの登録の働きかけを行ったこともあり、登録データ数は増加をいたしておりまして、二〇一九年四月一日現在で、統計データなどを含め、三千百二十六ファイルをオープンデータとして公開をいたしております。
次にオープンデータの推進についてのお尋ねでございます。
オープンデータの推進は、データを公開すること自体が目的ではなく、住民の利便性向上や地域経済の活性化につなげることが目的でありますので、活用が期待されるニーズの高いデータを積極的に提供していくことが重要であると考えております。
国において、オープンデータに関する調査などを実施した結果、必要性やニーズが高いと判断された医療、介護、子育てや観光に関するデータなど、優先的に提供する項目として十九項目が推奨され、それらに掲載するデータの詳細や並び順などを定めた標準のフォーマットとして推奨データセットが提示されております。
本県においては、今年度、介護など三項目を増やし、二〇一九年十二月末現在で、十九項目中九項目をオープンデータとして提供をしております。
今後も国の標準フォーマットに合わせるよう努めながら、推奨データセットに掲げられた項目を中心として、公開する項目を増やしてまいりたいと存じます。
続いて、県内市町村の状況でございますが、ほとんどの市町村が個々にウェブサイトでオープンデータを提供しておりますことから、本県と名古屋市を除く五十三市町村で構成するあいち電子自治体推進協議会において、県内市町村の窓口としてオープンデータカタログサイトを設け、県民の皆様の利便性向上を図っているところでございます。
また、協議会においては、個々の市町村が運行するコミュニティバスについて、バス停の位置や時刻表などの情報を共通のフォーマットで登録することにより、経路
検索アプリに反映することができるようにするなど、オープンデータの活用の取組を進めております。
今後も協議会の活動を通じまして、市町村に対する先進的な取組の情報提供や、ワーキンググループによる提供データ共通化の検討などを実施し、市町村におけるオープンデータの取組を促進してまいります。
最後に、官民データ活用推進計画の進め方についてお答えいたします。
県の持つ限られた経営資源をこれまで以上に効率的、効果的に投入し、行政の効率化を進め、県民サービスの向上につなげていくためには、行政のデジタル化や行政手続のオンライン化を進めていく必要がございます。
こうした中、本県におけるデータ活用に関する施策を推進するため、国の求める期限より一年前倒して、今年度中に官民データ活用推進計画を策定することとしました。
行政のデジタル化では、昨年十二月に策定したあいち行革プラン二〇二〇に掲げた、タブレットでの資料閲覧を可能とするペーパーレス会議システムの活用促進、電子決裁率の向上、テレワークを進める上で必要となる資料の電子化の取組を進めてまいります。
また、行政手続のオンライン化では、行政手続の棚卸しにより対象手続のリスト化を行い、費用対効果を見極めながら、優先度の高いものから順に、電子申請・届出システムを活用してオンライン化が進むよう取り組んでまいります。
国のデジタル・ガバメント実行計画の中では、行政手続のオンライン化に関する地方公共団体向けガイドラインの作成などが予定されていることから、今後、国の動向を注視するとともに、AIやIoTといった新しい技術への対応を進めながら、本県におけるデジタル・ガバメントの実現を目指してまいります。
54: ◯五十番(山下智也君) それぞれ答弁をいただきましたが、要望をさせていただきたいと思います。
小牧市周辺の主要幹線道路の整備についてでありますが、着実にそれぞれの事業が進んでおりますことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。
その上で要望、提案をさせていただきたいと思いますが、まず、国道四十一号名濃バイパス六車線化事業については、局長の答弁のとおり鋭意工事が進められております。引き続きスピード感を持った取組をお願いしたいと思います。
また、名古屋高速小牧北出口の渋滞についてでありますが、国道四十一号名濃バイパスの六車線化事業の進捗状況と、渋滞の状況をそれぞれ把握しながら、あるべき対策を検討していただきたいと思います。日頃よく利用させていただくんですけど、最近はあまり渋滞をしていないなというふうに、北出口、減っているかなというふうに感じておりますが、検討をしていただきたいと思います。
次に、国道百五十五号バイパスについてであります。
国道四十一号と交差する百五十五号バイパスでありますが、朝夕を中心に、国道四十一号の名古屋方面に右左折する車線が大変な渋滞となっております。
そこで、要望でありますが、名古屋方面に右左折する車線を二車線化、複線化するなどの検討、研究を各方面としていただきますよう強くお願いをしたいと思います。
また、国道百五十五号バイパス小牧原の交差点についてでありますが、交差点が変則となっており、整備済みの箇所から、なるべく早い段階で供用することができるように要望させていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
55:
◯議長(
神野博史君) 以上で一般質問を終結いたします。
─────────────
56:
◯議長(
神野博史君) これより第八十四号議案令和元年度愛知県一般会計補正予算の審議に入ります。
57: ◯四十番(
寺西むつみ君) ただいま議題となっております第八十四号議案は委員会の付託を省略されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
58:
◯議長(
神野博史君)
寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
59:
◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております第八十四号議案は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
これより第八十四号議案を採決いたします。
60: ◯四十一番(田中泰彦君) 第八十四号議案は原案のとおり可決されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
61:
◯議長(
神野博史君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
62:
◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認めます。よって、第八十四号議案は原案のとおり可決されました。
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63: ◯四十番(
寺西むつみ君) 本日はこれをもって散会し、明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
64:
◯議長(
神野博史君)
寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
65:
◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認めます。
明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は
文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時四十一分散会
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