愛知県議会 2019-12-16
令和元年総務企画委員会 本文 開催日: 2019-12-16
このうち、内部統制の対象とする事務は、地方自治法で必須とされているのが、財務に関する事務であり、そのほかに総務省令で定める事務及び知事が認める事務があるが、総務省令で定める事務は、現時点で定められる予定はないと聞いている。そのため、現在は、年度内の方針策定に向けて、財務に関する事務を対象とすることとして、具体的な検討を進めている。
7: 【
村瀬正臣委員】
体制の整備に向けた具体的な整備内容を伺う。
8: 【
総務課主幹(
行政改革)】
体制の整備は、地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドラインで全庁的な体制の整備及び業務レベルのリスク対応策の整備の二つの要素が示されている。
まず、全庁的な体制の整備は、内部統制を全庁的に推進するための推進部局、また、取り組みの評価を行う評価部局を設定することが示されており、推進部局と評価部局は異なる部局が担うことが望ましいとされているので、本県でも、別の部局で推進と評価の役割をそれぞれ担う方向で検討を進めている。
また、業務レベルのリスク対応策の整備は、財務事務に関して、日々の業務の中で事務上のミスが発生しないよう、各種規定などを整えて、しっかりとチェックを行うとともに、仮にミスが発生した場合は、発生理由に応じた改善策を講じ、各種規定などを充実してチェック機能を向上していくサイクルを回す仕組みを整備する。
9: 【
村瀬正臣委員】
改正後の地方自治法の施行は来年4月1日だが、評価報告書の作成及び議会への評価報告書の提出はどのようなスケジュールで行うのか伺う。
10: 【
総務課主幹(
行政改革)】
来年度が制度運用の初年度になるので、運用の結果、評価報告書を作成して議会に提出するのは、2021年度からとなる。
11: 【
村瀬正臣委員】
報告書の作成はまだ先になるが、しっかりとした準備をお願いしたい。また、評価方法によっては、事務量が非常に多くなることもあるので、通常の日常業務に支障のない方法を考えて、人件費などのコストも含め、バランスのとれた運用を要望する。
次に、これまで
県と市町村で協働して取り組んできた
愛知県地方税滞納整理機構が、本年度末で設置期間を満了して廃止され、来年度からは新たに
県税事務所の職員を市町村に派遣すると聞いているが、
愛知県地方税滞納整理機構のこれまでの取り組みと実績を伺う。
12: 【
税務課主幹(徴収・間
税調査)】
愛知県地方税滞納整理機構は、2007年度に実施された所得税から住民税への税源移譲に伴い、個人住民税の収入未済額が大幅に増加したことから、個人県民税及び個人市町村民税を初めとした市町村税の収入未済額の縮減を目指した積極的な滞納整理と、市町村税務職員の徴収技術の向上を目的として、2011年度に県内を6ブロックに分けた任意組織として設置した。
設置期間は、当初は3年間としていたが、2014年度と2017年度にそれぞれ3年間延長している。設置期間を定めたのは、長期の支援は
県への依存につながり、地方分権の観点からも、市町村が自立した徴収体制の強化が図られるための必要な一定の期間において行われるべきとの考えによるものである。
愛知県地方税滞納整理機構には、参加市町村から、それぞれ税務職員1人が原則1年間派遣され、
県税務職員の指導、支援のもとで、参加市町村から引き受けた個人住民税を初めとした市町村税の高額で徴収困難な滞納案件の積極的な滞納整理を実施してきた。
実績としては、設置した2011年度から昨年度までの8年間で、参加市町村から引き受けた約351億円のうち、約55パーセントに当たる約196億円を徴収している。
13: 【
村瀬正臣委員】
私は以前、江南市職員として勤めており、江南市も
愛知県地方税滞納整理機構の設置当初から参加し、毎年職員を派遣していた。高い徴収実績があり、また、職員が派遣されることにより職員のレベルも上がり、市町村にとってはありがたい組織である。
そうした中で、
愛知県地方税滞納整理機構を廃止するに至った理由を伺う。
14: 【
税務課長】
愛知県地方税滞納整理機構を本年度末の設置期間満了をもって廃止する理由は、設置目的である個人県民税の収入未済額の縮減及び市町村税務職員の徴収技術の向上に、一定の成果が得られたと判断できたためである。
まず、個人県民税の決算時点での収入未済額は、
愛知県地方税滞納整理機構設置以前の2010年度は266億円だったが、昨年度末には102億円となり、税源移譲前の2006年度の121億円を下回る水準まで縮減できている。
また、
愛知県地方税滞納整理機構での業務を経験した300人を超える市町村税務職員が派遣元の市町村に戻り、滞納整理の中核となって市町村の徴収技術の向上に努めたことなどから、市町村税の滞納繰越分の徴収率が、機構設置前の2010年度から2017年度までの間に、県内市町村全体で9.1ポイント向上しており、多くの参加市町村でも徴収率の向上が図られている。
これらの理由により、
愛知県地方税滞納整理機構を本年度末の設置期間満了をもって廃止することとした。
15: 【
村瀬正臣委員】
着実に収入未済額を縮減して、一定の成果が得られたことはよくわかるが、市町村によっては、引き続き
県の徴収施策に期待をしていると思う。
愛知県地方税滞納整理機構廃止後の市町村への徴収支援策を伺う。
16: 【
税務課長】
来年度から、市町村の徴収力を維持、強化するため、三つのメニューにより支援を行う。
一つ目は、
県と市町村の職員交流制度による
県職員の市町村への派遣である。市町村では、
愛知県地方税滞納整理機構での業務を経験した職員が定期的な人事異動により、徴収業務から離れてしまうことがある。そこで、市町村職員全体の徴収技術の維持、向上を図るために、希望する市町村に対して、
県のベテラン徴収職員を、年間60日を限度として派遣する。派遣された
県職員は、市町村で滞納整理のための研修や市町村税の滞納案件の滞納整理方針の策定、また、滞納案件の事後フォローなどを行い、目標管理、事案管理及び行動管理による徴収マネジメントにより、市町村職員全体の徴収技術の維持、向上に取り組む。
二つ目は、
県と市町村の職員交流制度による市町村職員の
県税事務所への受け入れである。従来、
愛知県地方税滞納整理機構が行ってきた市町村の徴収職員の育成を、今後は名古屋東部
県税事務所特別滞納整理室などで行い、年間60日を限度として、希望する市町村の職員を受け入れ、
県税のベテラン徴収職員の指導のもとで徴収技術を向上させる。
三つ目は、市町村税徴収支援アドバイザー制度の拡充である。従来、税務課と名古屋東部
県税事務所特別滞納整理室に、市町村税徴収支援アドバイザーの職員を配置して、市町村からの滞納整理の相談や職員研修の実施依頼に対応していたが、これを拡充し、市町村の滞納整理全般の相談窓口として、それぞれ市町村の最寄りの
県税事務所にも市町村税徴収支援アドバイザーを配置して、市町村が相談しやすい体制をつくる。
17: 【
村瀬正臣委員】
市町村職員の徴収能力の強化を図ることは非常に心強いが、来年度からの新たな市町村徴収支援策の実施に向けた準備状況を伺う。
18: 【
税務課長】
来年度からの新たな市町村徴収支援策は、全市町村に周知するとともに、意向調査を実施しており、相当数の支援希望があった。効率的、効果的な実施に向けて、現在、調整を行っているが、来年2月に、支援を希望する市町村の担当者を集めて、事前の説明会を開催する予定である。また、支援マニュアルや研修資材などは、本年度内に策定を完了させ、来年度当初から円滑な徴収支援ができるように進めている。
今後とも、
県税全体の収入未済額の7割以上を占める個人県民税の徴収対策として、市町村との協働、連携を強化して、引き続きさらなる縮減に取り組んでいく。
19: 【
村瀬正臣委員】
市町村職員の徴収力のさらなる強化につながる支援を確実に進めるよう要望する。
20: 【浅井よしたか
委員】
神奈川
県で、リース契約の満了により返却したハードディスクが盗難されて情報が流出した事件に関連して伺う。この事件は、リース契約満了後、リース会社からデータ消去作業を請け負った会社の作業管理体制、社員管理体制が原因であるとの報道がされている。神奈川
県だけの問題ではなくて、全国の自治体にも関係する問題だと思う。
愛知県が保有するサーバーやパソコンなどの情報機器の台数を伺う。
21: 【
情報政策課主幹(
行政情報)】
知事部局では、約600台のサーバーを利用している。また、情報政策課で運用管理しているネットワーク基盤に接続しているパソコンは約1万4,000台、外部記憶装置は約600台、スキャナー機能がある複合機は500台ある。これらを合計すると約1万6,000台である。
22: 【浅井よしたか
委員】
神奈川
県では、情報機器の調達方法がリース契約だったことで、今回のような事件が発生したと考えられるが、
愛知県の情報機器の調達方法を伺う。
23: 【
情報政策課主幹(
行政情報)】
大規模なシステム、例えば税務システムや総務事務・人事管理総合システム、県営住宅管理システム、庁内クラウドシステムなどはサーバーとパソコン全てをリース契約で調達している。また、庁内に配備する1人1台パソコンも全てリース契約で調達している。こうした機器は、一般に費用負担の平準化を考慮しリース契約で調達することが多いが、中には買い取りで調達しているものもある。
24: 【浅井よしたか
委員】
本年12月11日の新聞記事によると、12月10日時点では、本県では過去3年間で、問題となっている富士通リース株式会社との契約が17所属で21件、株式会社ブロードリンクが関係している取引が7所属で7件あり、まだ調査が完了しておらず、今後も富士通リース株式会社や株式会社ブロードリンクとの取引が見つかるかもしれないとのことだが、本県の調査結果を伺う。
25: 【
情報政策課主幹(企画・地域情報)】
今回の神奈川
県の事案を受け、全庁調査したところ、過去3年間にサーバー等情報機器を廃棄または返却した実績があったのが171所属で、そのうち富士通リース株式会社との契約は18所属22件だった。また、株式会社ブロードリンクに関するものは、7所属7件だったが、直接取引の事例はなかった。
26: 【浅井よしたか
委員】
今回の事例は、一義的にはリース会社に責任があると思うが、
愛知県は何社のリース会社と契約しているのか。
27: 【
情報政策課主幹(
行政情報)】
情報政策課が本年2月に行った情報システム全庁調査によると、リース契約の相手は30社程度である。主な相手先としては、NECキャピタルソリューション株式会社、株式会社JECC、NTTファイナンス株式会社などである。
28: 【浅井よしたか
委員】
本県では、リース期間が満了してハードディスクを返却する場合のデータ処分に関して、リース会社とどのような契約をしているのか伺う。
29: 【
情報政策課主幹(企画・地域情報)】
本県では、
愛知県情報セキュリティポリシーの中で、サーバー等の情報資産を廃棄またはリース業者に返却する場合には、データを復元不可能な状態にしてから廃棄、返却するか、業者に守秘義務を課してデータを復元不可能な状態にさせるように定めている。この規定を受けて、リース契約では、契約書に
愛知県情報セキュリティポリシーを遵守するように規定した情報セキュリティに関する特約条項を添付し、仕様書には返却時の作業として返却されたデータを復元不可能な状態にすることと記載するように、情報政策課が指導している。これは、本庁、地方機関ともに同じ扱いである。
30: 【浅井よしたか
委員】
リース契約は、全ての部局が一括して契約しているのか。または、部局ごとで契約し、契約書を情報政策課がチェックしているのか。
31: 【
情報政策課主幹(企画・地域情報)】
リース契約は、それぞれの所属で契約しており、全庁一括ではない。各所属の契約に関しては、情報機器を廃棄、返却するときに、
愛知県情報セキュリティポリシーの規定どおり、情報セキュリティ対策を適切に行っているのか、各所属で確認した結果を毎年情報政策課に報告させている。また、情報セキュリティ内部監査として、書面による監査を100所属程度、さらにその中から10から20程度の所属を対象として、情報政策課職員が現地に行って実施する所属監査を毎年実施して、実態の把握に努めている。
32: 【浅井よしたか
委員】
各部局、地方機関も含めて、情報政策課が確認していることは理解した。
今回の場合、直接契約をしたリース会社の下請の会社が問題を起こしたようだが、本県では、リース会社の下請の会社に対するチェックは実施しているのか。
33: 【
情報政策課主幹(企画・地域情報)】
県が直接契約するのはリース会社である。そのリース会社から、消去業者に、実際の作業を委託する形になっているが、消去等の作業をどの事業者が行うのか、また、事業者との契約は、リース物品の所有者であるリース会社が決めるものであり、
県とリース会社との契約では、
県として直接の契約者に対して、データ復元不可能な状態にすることを求めているが、リース会社がどの事業者にどのような作業をさせるのか報告することまでは、一律には求めていない。
34: 【浅井よしたか
委員】
そういったことを今後求めていくことは検討するのか。
35: 【情報政策課長】
今回の事案を受けて、今後、情報機器のデータ復元を不可能な状態にすることの確実な履行をどのようにしていくか、
県でも、担保できるような方法、対策を早急に考えていく。
新聞報道等にあるとおり、
県から出る前に全て消去や廃棄ができればよいが、物理的、組織的に難しい。ただ、情報セキュリティポリシーでは、まずは、各所属で行えることは行い、それが無理であるならば、業者に委託させて消去させるべきと定めているので、例えば、業者にデータを消去してもらう場合には、消去、廃棄したかどうかの証明書を出させることや、リース会社にどのような業者に消去を頼むのかを確認することが考えられる。
県として、データの消去を確実にさせられるような方法を早急に検討していきたい。
36: 【浅井よしたか
委員】
本年12月6日に、総務省が全国の自治体に、重要情報が含まれる記憶媒体を処分する際には、物理的に壊すか、強い磁気を当てて使えなくするように求める通知を出している。神奈川
県の再発防止策は、職員の立ち会いの徹底とのことだが、職員の補填や、知識の問題もあり現実的にできるのか疑問である。
そのため、処分をしっかりと科していくことも考える必要がある。本県では、同じような事案が発生した場合、契約業者に対する指名停止などの処分は、どうなるのか伺う。
37: 【情報政策課長】
直接契約しているのはリース会社であり、リース会社とは、データの消去を確実に行うよう求める契約を締結しているため、契約の一般論として、データの消去を行うという部分に関して、不完全履行があったと考えられる。契約は、地方自治法に基づいて行っているので、その内容が地方自治法施行令の指名停止の条件に該当するかどうかで判断することになる。
38: 【浅井よしたか
委員】
契約で不完全履行があった場合の処分は、どの部局が考えるのか。
39: 【情報政策課長】
直接契約を結んだ部局が法令に基づいて考える。
40: 【浅井よしたか
委員】
部局ごとで考えると、基準が統一されないのではないか。
41: 【情報政策課長】
リース契約だと一般競争入札になると考えられる。一般競争入札の場合、地方自治法施行令に、条件に該当する場合には、3年以内に入札に参加させないことができる条項があるので、その条項を勘案して、決定すると考えられる。
42: 【浅井よしたか
委員】
今回の神奈川
県のような事案の場合、相当重い処分を科すべきだと思うので、しっかりと研究して、早急に対応してほしい。
また、自治体が管理している個人情報の管理に対しても、大変不安が広がっている。税務管理とか県営住宅の管理など、非常に大事な情報が多くあると思う。外部からの技術的な侵入の可能性もあるし、現在は、情報の管理に、クラウド方式やシンクライアント方式、データセンター方式など、新しい仕組みがふえている。
県が保有している個人情報の管理のセキュリティのレベルを向上する取り組みはどの所属がどのように行っているのか。
43: 【情報政策課長】
外部からの進入やマルウエアなどの対策は、情報政策課がネットワークで外部からのウイルスを遮断する形で行っている。
個人情報等に関しても、情報政策課が
愛知県情報セキュリティポリシーを定め、情報の管理、廃棄及び消去の際には情報が漏れないように、万全の体制を期すよう対策をとっている。
44: 【浅井よしたか
委員】
技術革新が次々にあるので大変であるが、情報政策課は、プロのアドバイスを聞き、県民に本県の情報管理は安心だと思われるように、研究してもらいたい。
45: 【小木曽史人
委員】
先ほどの答弁の中で、情報機器の調査結果として、過去3年で、廃棄、返却した実績があるものは171所属、富士通リース株式会社への返却実績が18所属22件、株式会社ブロードリンクとかかわりがあるものは7所属7件とのことであったが、情報の流出に関しては、今回調査した結果、問題がなかったのか。今後、本県が返却したものから情報が流出したという事案が発生する可能性はあるのか。
46: 【情報政策課長】
自前で消去した所属や、証明書をもらっている所属もある。今のところ情報の流出は確認されていないが、あのような犯罪行為があったことを踏まえると、今後、情報の流出が100パーセント発生しないとは言えない。
47: 【小木曽史人
委員】
今後、
県としては、株式会社ブロードリンクに関する調査の結果を待った上で、問題があったかどうかを報告するのか。
48: 【情報政策課長】
株式会社ブロードリンクや富士通リース株式会社から
県に対して調査結果が送付されると思うが、その調査結果の内容は報告する。
49: 【田中泰彦
委員】
自衛隊は、国防、国際貢献、災害派遣など多くの役割を担っており、
愛知県内では、本年2月から発生しているCSF(豚コレラ)対策の防疫業務で、現地で大変重要な役割を担っている。
自衛隊の人材不足の影響が大きい中で、優秀な人材を確保するために、自衛隊は、市町村から自衛官募集の適齢者情報の提供を受けているが、自衛隊は、それを効率よく把握することが必要である。自衛隊法第97条には、都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補の募集に関する事務の一部を行うとある。
そこで、自衛隊の募集対象者の適齢者情報の紙媒体または電子媒体による提出を求める防衛大臣からの依頼に対して、県内市町村の情報提供の状況を伺う。
50: 【市町村課主幹(行政)】
自衛隊の募集対象者の適齢者情報の紙媒体または電子媒体による提出を求める防衛大臣からの依頼に対する県内市町村の対応状況等を把握するために、本年11月15日付けで県内市町村に対してアンケートを行っている。
アンケートの回答によると、県内全54市町村のうち、紙媒体による提供を行っている団体が2団体ある。ほかの52団体は、住民基本台帳法に基づく住民基本台帳の閲覧により対応している。この52団体のうち、31団体は自衛隊が必要とする適齢者情報を、年齢等によって住民基本台帳からあらかじめ抽出した上で閲覧に供する、抽出閲覧によって対応している。
51: 【田中泰彦
委員】
自衛隊の募集対象者の適齢者情報の紙媒体または電子媒体による提出を求める防衛大臣からの依頼に対する
愛知県の考え方を伺う。
52: 【市町村課主幹(行政)】
自衛官募集事務は、法定受託事務として自衛隊法の規定により知事及び市町村長が行うことになっている。募集事務を行うに当たり、自衛隊と積極的に連携、協力して行うべきと考えている。その上で、提出を求められている適齢者情報は、個人情報である住所、氏名、性別、生年月日であり、また、自衛隊法施行令第120条では、防衛大臣が市町村長に対し資料の提出を求めることができると規定されている。
このことから、防衛大臣の求めに応じて、適齢者情報を紙媒体または電子媒体で提出するかどうかは、各市町村の個人情報保護条例の規定に基づいて、市町村で判断することが適切と考えている。したがって、各市町村の個人情報保護条例に基づいて、市町村長ができると判断した場合には、自衛官募集対象者情報を紙媒体等で提供することは可能であると考えている。
53: 【田中泰彦
委員】
本県は、本年、CSFの防疫業務で自衛隊の協力を得ていることもあり、積極的に自衛隊員の募集事務に協力する体制がとれるとよいと思う。今後、自衛官募集対象者情報の提供に関して、市町村に対してどのような取り組みを行っていくのか伺う。
54: 【市町村課長】
本県の考え方は、本年11月15日付けで各市町村に通知した文書の中で、自衛隊は、災害発生時等には住民の生命、財産を守る役割を担っていることや、近年、自衛隊の募集状況が非常に厳しく、質の高い人材確保がこれまで以上に重要になっている点を明記している。また、来年度以降の募集に向けて、防衛大臣からの依頼文書や
県の考え方等を十分踏まえて、改めて各市町村で対応を検討し、首長まで相談してもらうことを要請した。さらに、今後の対応を市町村が検討する際に参考にしてもらうためにアンケート調査を行い、取りまとめ結果を市町村にフィードバックした。
今後も、自衛官募集対象者情報の提供に対する本県の考え方を、いろいろな機会を通じて各市町村に伝えるとともに、各市町村の対応状況を適宜把握し、情報提供を行って、適切に助言をしていく。また、各市町村が首長まで相談し、検討しているのかも、今後しっかりフォローをしていく。
55: 【田中泰彦
委員】
首長が把握していない自治体があったとも聞いているので、しっかりと対応し、
県としてフォローする体制をとってほしい。
来年度以降、紙媒体または電子媒体での情報の提供の状況がどのようになるのか伺う。
56: 【市町村課主幹(行政)】
本年11月15日付けで行ったアンケートの回答によると、まず、防衛大臣からの依頼に応じて、自衛官募集対象適齢者情報を紙媒体または電子媒体で来年度に提供予定の市町村は、本年度は2団体だったが、来年度は新たに6団体ふえて、合わせて8団体である。次に、現在対応を検討中の団体が20団体、今後対応を検討する予定の市町村が18団体で、防衛大臣からの依頼文書や本県からの通知文書を踏まえて、全団体のうちの7割の団体が現在検討中または今後検討する予定である。
57: 【田中泰彦
委員】
全国の4割の市町村が紙媒体又は電子媒体により適齢者の情報提供を行っているが、
愛知県内で紙媒体又は電子媒体により適齢者の情報提供を行っている市町村は、4割を大きく下回っているので、引き続き各市町村に対するフォローを行うことを要望する。
次に、県民事務所を初めとする地方機関の課題を伺う。
58: 【
総務課主幹(
行政改革)】
県民事務所には、海部と知多の県民センターの位置づけ、権限の問題がある。海部と知多の県民センターは、尾張県民事務所の支所の位置づけとなるので、権限が尾張県民事務所と同等ではない。例えば、経理事務はセンター内で完結せず、重要事項は、尾張県民事務所長の決裁を受ける必要がある。また、災害時の体制として、県民事務所に災害対策本部の方面本部が設置されるが、海部と知多の県民センターは、尾張方面本部の支部の位置づけになるので、地域での災害対応の決定権限がないこともあり、本庁組織の再編の目的である課題に迅速着実に取り組むことができる体制といった面で、課題がある。
また、市町村との連携として、これまでも県民事務所や県民センターには地域主幹を配置して、市町村との連絡窓口としての役割を果たしているが、今後、大規模なプロジェクトが本格化すると、市町村との調整が必要な場面もふえてくることを見据えると、市町村とのさらなる連携づくりも課題であると認識している。
59: 【田中泰彦
委員】
本年12月13日の総務企画
委員会の災害対策本部方面本部の見直しに関する質問に対して、尾張、西三河、東三河の3方面本部、海部、知多、新城設楽の3支部体制から、支部を方面本部にすることで6方面本部制に見直すとの答弁があった。3支部が権限の部分で、迅速に対応できるようになる中で、県民事務所を初めとした地方機関の見直しは考えているのか。
60: 【
総務課主幹(
行政改革)】
現在公表している次期行革大綱の素案で言及しているが、本年4月の本庁組織の再編を踏まえて、地方機関、特に県民事務所の見直しを行う方向で検討を進めている。
61: 【田中泰彦
委員】
地方機関の見直しのスケジュールを伺う。
62: 【
総務課主幹(
行政改革)】
見直しの時期はなるべく早くと考えており、来年4月からの新体制を目指している。
63: 【田中泰彦
委員】
検討している見直しの内容及びその効果を伺う。
64: 【
総務課主幹(
行政改革)】
現在検討している見直しの内容としては、海部と知多の県民センターを、尾張県民事務所の支所ではなく県民事務所として独立させたいと考えている。
その効果としては、海部と知多の県民センターを尾張と同格の県民事務所にするので、地域の課題に権限を持って迅速着実に取り組むことができるようになること、また、この地域は県民事務所だが、この地域は県民センターであるといった不統一感がなくなり、県民、市町村にとって簡素でわかりやすい体制になると考えている。
65: 【田中泰彦
委員】
県民センターから格上げし、県民事務所になったときに、それぞれ所管する事業及び各市町村との関係性が新しくなると思うが、市町村との関係性は、どのように構築をしていくのか。
66: 【
総務課主幹(
行政改革)】
市町村との連携は、本年4月、本庁組織の再編に合わせて、地域主幹を尾張県民事務所、西三河県民事務所、海部県民センター及び知多県民センターに配置して、所管市町村にきめ細かく対応できるような体制を組んでいる。
来年度からは、海部県民センター及び知多県民センターを県民事務所に改めて、防災体制の整備も、現地即応性の強化を図る方向で進めているが、さらに、現地で対応したほうが効率的、効果的な遂行が可能となる市町村に関する事務を、本庁の市町村課から県民事務所に移管して、市町村に対する県民事務所の機能強化も図っていく。
今後、第20回アジア競技大会を初めとするさまざまな大規模事業が本格化する中で、市町村との調整が必要な場面が増加することも予想されるので、県民事務所が市町村との連絡調整の窓口となり、市町村と顔が見える関係性になるように、引き続き必要な対応を行っていく。
67: 【田中泰彦
委員】
地域主幹が本当にそうした役割を担っていけるのか。
災害対策本部方面本部の見直しに関しては、防災安全局からも、市町村と顔が見える関係性は大変重要で、関係強化に努めており、今後も継続して取り組んでいくとの答弁があったが、組織をつかさどる総務局としては、市町村と顔が見える関係性づくりのためにどのように取り組んでいくのか伺う。
68: 【
総務課主幹(
行政改革)】
今回の県民事務所の見直しに当たっては、防災安全局と連携して検討を進めており、災害対策本部方面本部の見直しとの共通の目的は、地域の課題に迅速着実に対応すること及び現地即応性の向上である。
災害対策本部方面本部の主要な目的が、市町村への支援であるので、平時でも、随時、地域主幹が地域を回って顔が見える関係性をつくることや、市町村に関する事務を県民事務所に移管して日々顔を突き合わせて作業することで市町村と顔が見える関係性の強化を図りたい。
平時の体制である県民事務所と災害時の体制である災害対策本部の方面本部は表裏一体の関係であり、今回の県民事務所の見直しが、災害対策の体制の強化にもつながると考えている。また、今後災害対策本部方面本部の機能が強化されることによって平時の市町村との関係強化にもつながるとの考えで取り組みを進めている。
69: 【田中泰彦
委員】
次に、本定例議会の飛田常年議員の一般質問の中で、人材育成に関する質問に対して、人事局長から、現在は国、市町村、民間に職員を派遣しており、これからもさらにふやしていきたいとの答弁があったが、
県職員の市町村への派遣の目的を伺う。
70: 【人事課主幹(人事)】
派遣された職員は、市町村の職員の立場で住民に直接対応する業務を行ったり、時には
県に対してさまざまな物を言う場面があったり、そうした経験をする中で身につけた現地、現物、現場目線は、
県行政に戻って大いに役立つものである。
また、
県と市町村とのパイプづくりの面でも効果は大きいと考えている。
71: 【田中泰彦
委員】
現在、何人の
県職員が市町村に派遣され、これからどのくらいふやす予定なのか。また、派遣先では、どのような業務を行っているのか。
72: 【人事課主幹(人事)】
現在は、89人の
県職員を市町村へ派遣している。派遣先での業務内容等はさまざまであり、相手方もある話なので、将来に向かって、どれくらいの職員をどこに、又はどのような業務に拡大していくのかを、明確に示すことはできないが、職員により多くの経験を積ませるために、数年の期間で派遣全体を拡大しながら、一層効果的な人材育成に取り組んでいきたい。
73: 【田中泰彦
委員】
各県民事務所で市町村と顔が見える関係性をつくるためには、市町村で活躍した職員の力も必要になってくると思う。また、県民事務所を初めとした各地方機関には、ある程度の権限が必要になると思うが、その点に関してはどのように考えているのか。
74: 【
総務課主幹(
行政改革)】
今回の県民事務所の見直しは、現地で権限を持って判断できる体制の整備を目的に進めているが、市町村でしっかり人的ネットワークをつくってきた人材を取り入れて進めていくことも重要であり、そうしたことを積み上げていくことで、県民事務所の地域での存在感も高まると考えられるので、今後も必要な体制の見直しを進めていきたい。
75: 【市川英男
委員】
本定例議会の代表質問の知事答弁の中で、次期行革大綱は、これまでさまざまな方面から意見をもらいながら議論を進める中で、人材育成の重要性に対してとりわけ多くの人から意見をもらったとの答弁があった。この意見を踏まえ、森岡副知事をリーダーとするチームで検討した結果、次期行革大綱の素案では、人財力と表現されたと理解している。
次期行革大綱の素案では、人財力の点で、来年度には新たな人材育成ビジョンを策定し、業務改善を通じた人材育成を重点的に推進するとしている。次期行革大綱の計画期間は来年度から5年間と聞いているが、新たな人材育成ビジョンの策定に向けたスケジュールを伺う。
76: 【人事課主幹(人事)】
新しい人材育成ビジョンは来年度に策定する。策定の内容をできる限り早く人事異動に反映するとなると、2021年4月の人事異動に反映することになる。
そのため、来年度の早い時期に職員へのアンケートや他
県の事例調査等を行った上で、夏から秋ごろには素案を完成させ、最終的には、来年12月までには新たな人材育成ビジョンを策定する。
77: 【市川英男委員】
業務改善を通じた人材育成は、現在の人材育成ビジョンにはどのような形で位置づけられているのか、また、それが新しい人材育成ビジョンではどう位置づけられていくのか伺う。
78: 【人事課主幹(人事)】
業務改善を通じた人材育成の考え方は、現在の人材育成ビジョンにはなく、新たな人材育成ビジョンの中で新たに取り入れていく。
職員が業務改善を行うためには、担当している業務全般を見える化して、無駄なことをやっていないか、見直しできる部分はないかをよく考えて、効率的な仕事の進め方を工夫する必要がある。このプロセスが、仕事の内容や背景、法的な根拠を深く理解し、その上で効率的な仕事の進め方を考えることになるので、非常に大きな人材育成の効果がある。
こうしたことから、業務改善に取り組んだ職員を人事評価制度の中で積極的に評価して、業務改善に前向きな風土づくりにつながる仕組みを検討するなど、新しく策定する人材育成ビジョンに業務改善を通じた人材育成の取り組みを位置づけて、しっかりと進めていく。
79: 【市川英男委員】
行財政改革・地方創生調査特別委員会が、自治研修所での職員研修を2回調査したと聞いているが、その際、調査した委員からはどのような意見があったのか伺う。
80: 【人事課主幹(人事)】
行財政改革・地方創生調査特別委員会の
委員からは、幅広く意見があり、例えば、民間企業等への職員派遣は、派遣期間の延長や、人数を拡大すべきとの意見や、研修を受講した成果をしっかりフォローしていくべきとの意見があった。また、ジョブローテーション制度や、職員定数の課題に対する認識に関する質問がされた。
81: 【市川英男
委員】
ジョブローテーション制度の実施目的を伺う。
82: 【人事管理監兼人事課長】
ジョブローテーション制度は、採用1年目から7年目までの若手職員を対象に、職務経験を通じて幅広い視野や知識を身につけさせ、みずからの適性を考えてもらうことを目的として、実施している。
83: 【市川英男
委員】
自治研修所での職員研修の企画立案を今後どのように行っていくのか伺う。
84: 【人事管理監兼人事課長】
職員研修は、現在、自治研修所が主体となって企画立案を行っており、研修を企画立案する際は、職員からのアンケート結果を踏まえて、次年度に向けた研修内容の見直しを行っている。
そうした中、次期行革大綱の中で、人財力の強化に力を入れて取り組んでいき、来年度、新たに人材育成ビジョンをなるべく早い時期に策定することを踏まえて、研修企画をブラッシュアップして、人材育成に関する諸施策と、職員研修との連動性を高めていく必要がある。
人材育成は、業務を通じて行う人材育成と自治研修所の職員研修のセットで行うものと考える。このため、従来は、職員アンケートを踏まえた研修効果の検証や、新たに研修で取り入れるべき内容の検討を自治研修所が中心に行っていたが、今後は、人事課が積極的に参加し、さらに効果的な研修ができるようにしていく。
85: 【市川英男
委員】
次期行革大綱の素案では、
県の将来を担う若手・中堅職員に関して、現行のジョブローテーション制度を見直すとともに、ジョブローテーション終了後は、将来を見据えて特定の行政分野に軸足を置いた人事異動を実施するとしている。
ジョブローテーション制度の課題はどう認識しているのか、また、制度をどう見直していくのか伺う。
86: 【人事管理監兼人事課長】
ジョブローテーション制度では、若手職員にいろいろな業務を経験させて自分の適性を見出させる目的で、人事異動を行っている。
課題としては、専門性が育たないことがある。今後は、若手職員を税務、福祉、防災などの専門家として育成していくため、中堅職員になったら、適性を見出したある一定の行政分野に軸足を置いた人事異動を検討していく必要がある。
ジョブローテーション制度の見直しは、新たに策定する人材育成ビジョンの中で今後検討する。職員は、自分のキャリアをどのように形成するのかを検討する必要があるので、その点も含めて、しっかりと人材育成ビジョンに職員キャリア形成を位置づけて取り組んでいく。
87: 【市川英男委員】
意欲と能力のある優秀な職員を年次にかかわらず積極的に登用し、適所に配置することの具体的な内容を伺う。
88: 【人事管理監兼人事課長】
これまでは人事異動を年功序列で行ってきたが、それでは適材適所の配置が難しいため、今後は、能力やその人物に合った業務につけられる状態にあれば、年次にかかわらず業務に配置していく。人事異動の中で進めていくので、現時点で具体的な形は示すことは難しいが、意欲、能力がすぐれた職員をこれまでよりも早くポストに配置し、育成していくことになると思う。
いずれにしても、年功序列の部分は一部残るので、そういった仕組みや風土を踏まえながら、特にすぐれた職員をこれまでより早くポストへつけていく。
89: 【市川英男
委員】
年功序列で行ってきたものを変えるのは危険性が伴う。同時に、変えていかないと若い職員が成長しないと思う。
これまでの人事異動の考え方を変えることに対する課題を伺う。
90: 【人事管理監兼人事課長】
年次にかかわらずポストに配置すると、これまで部下だった職員が、次の日から上司になる可能性があることが、一番懸念される。そのため、現在は、その点も踏まえて、どう進めていくのかを検討している。
91: 【市川英男
委員】
50代のベテラン職員は、どのような形で活躍していくのか伺う。
92: 【人事管理監兼人事課長】
50代の職員は、管理職と一般職が混在している。管理職の職員はマネジメント分野で活躍してもらう一方で、一般職の職員には、人事評価制度を通じて目標を決めて、しっかりと業務を行ってもらう。また、特定の行政分野で長く業務を行っているため、自分の経験や培った知識を部下職員に教えることなどに能力を発揮してもらう。
職員のモチベーションを下げないように人事を進めていくことの必要性は、職員全体で同じであるが、特に50代については注意していく。
93: 【市川英男
委員】
本定例議会の一般質問で、森岡副知事から、県庁職員の間に業務を改善しようとする意欲、意識が着実に浸透してきているとの答弁があった。新たな人材育成ビジョン策定に当たっては、業務を改善しようとする意識が職員にさらに浸透する内容にすることを要望する。
94: 【日比たけまさ
委員】
持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年9月の国連持続可能な開発サミットで採択された、2030年を期限とする先進国を含む国際社会全体の17の開発目標である。先進国、途上国、民間企業、NGO、有識者など、全ての関係者の役割を重視し、誰一人取り残さない社会の実現を目指して、社会、経済、環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むものとされ、我が国では、平成28年12月にSDGs推進本部が決定したSDGs実施指針で、八つの優先課題と140の施策が盛り込まれ、率先して取り組んでいく方針が決定された。
この中で、地方公共団体におけるSDGsの達成に向けた取り組みの推進は、平成29年12月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版及びSDGs推進本部が決定したSDGsアクションプラン2018での日本のSDGsモデルの方向性で位置づけられ、昨年2月から3月にかけ、SDGsの達成に向けた取り組みの提案を公募し、昨年6月、SDGs未来都市の29都市及び自治体SDGsモデル事業の10事業が選定された。そして本年7月、第2回として、SDGs未来都市31都市及び自治体SDGsモデル事業10事業が選定された。
本県は、本年7月にSDGs未来都市として選定されたことを受け、本年8月30日に、
愛知県SDGs未来都市計画を策定、公表したが、SDGs未来都市に応募した背景を伺う。
95: 【企画課主幹(企画)】
SDGsは、経済、社会、環境の幅広い分野にわたっており、本県では、これまでもSDGsの理念を通じたさまざまな施策を実施していた。そうした中で、本県がSDGsの達成に向けて取り組むことは、三つの意義があると考えている。
一つ目は、グローバル化が進む中、世界から選ばれる地域となるためには、国際目標であるSDGsの達成が不可欠であること、二つ目は、本県が重要政策の一つとして取り組む地方創生を推進する上でも、SDGsの理念は重要であること、三つ目は、地球上の誰一人として取り残さないというSDGsの考え方は、本県が目指す全ての人が輝く
愛知と方向性を一にするものであることである。本県にとって大きな意義のあるSDGsを、地域を挙げて推進していくためには、県内の市町村や企業、大学、NPO、さらには、県民の機運醸成を図ることが重要であり、国のSDGs未来都市に選定されることが有効であると考えた。
また、昨年12月に、
愛知学長懇話会で、中部大学の学長から、
県としてもSDGs未来都市に応募してほしいと提案されたこともあり、SDGs未来都市に応募した。
96: 【日比たけまさ
委員】
計画の推進に向けては、SDGsに対する県民の認識、理解が求められるが、現状をどのように把握しているのか伺う。
97: 【企画課主幹(企画)】
国民を対象に二つの民間企業が行った調査では、SDGsの認知度は、一つが16パーセント、もう一つが31パーセントで、認知度はまだ低い状況である。
こうした中で、本県が、県内居住の18歳以上の男女を対象に、本年7月に実施した県政世論調査の結果によると、SDGsという言葉を聞いたことがあるとの回答は、全体の25パーセントにとどまり、このうち、聞いたことがあり、内容もよく知っているとの回答はわずか2.5パーセントとなっている。こうしたことから、まずは県民にSDGsを周知し理解してもらうことが必要である。
なお、このSDGsという言葉を聞いたことがあるとの回答を年齢別に見ると、最も高いのが18歳、19歳の32.1パーセントである、次代の地域づくりを担う若い世代の認知度をさらに伸ばし、中高年層に広げていくことが重要と考えている。
98: 【日比たけまさ
委員】
SDGsはその理念からして、一人でも多くの県民に浸透が図られることが大切だと思う。
本年の9月定例議会では、理解促進に向けた取り組みである県民向けワークショップやセミナーの開催、パンフレットの作成のための補正予算が可決されたが、現在の取り組み状況を伺う。
99: 【企画課主幹(企画)】
政策企画局が本年度中に実施する普及啓発事業のうち、セミナーは、一般県民を対象に来年2月に名古屋地区での開催を予定している。内容は、SDGsの基礎を学んでもらうとともに、SDGsを自分事として捉え、SDGs達成のためにあすからできることを考えてもらうきっかけになるものとしていく。
また、ワークショップは、来年の2月から3月にかけて、三河地区と名古屋地区の2カ所で開催し、体験型のカードゲームによりSDGsを身近なものとして楽しみながら学ぶことができる内容にしていく。
パンフレットは、県民にSDGsや
愛知県SDGs未来都市計画を理解してもらうよう、わかりやすい内容とし、約1万5,000部を作成して市町村や大学、高等学校、商工団体、図書館、各県民事務所などに広く配布する予定である。
100: 【日比たけまさ
委員】
ワークショップやセミナーの開催は、啓発活動の象徴的な取り組みであると思う。
SDGsの浸透を願う県民を一人でも多くふやすためには、草の根的な活動も大切だと考えるが、どのような取り組みを行っているのか伺う。
101: 【企画課主幹(企画)】
SDGsの達成のためには、ワークショップやセミナー以外にもさまざまな手法を用いて、県民に普及啓発を図ることが重要である。
このため、
県が実施している県政お届け講座のテーマの一つとしてSDGsを登録し、県民からの依頼に応じて
県職員を派遣してSDGsや本県の取り組みの説明を行うこととしており、既に申し込みがある。
また、SDGsの認知度向上に向けて、
県職員の名刺にSDGsのロゴを掲載するよう、各局に働きかけるとともに、
県が記者発表する事項のうちSDGsの理念に合致するものは、SDGsのロゴや関係するアイコンを記者への配付資料に記載するよう各局に依頼している。
さらに、SDGsの達成に向けて、全庁一丸となって取り組むため、庁内各局の職員に対する研修を行うとともに、今後、作成、改定する
県の個別計画等もSDGsの理念を反映するよう、各局に働きかけている。
このほか、環境局では、SDGsの木製ピンバッジを作成し、各種イベント等で配布するとともに、SDGsの17の目標をわかりやすく解説したパネルを作成し、各種イベント等で掲示する。
102: 【日比たけまさ
委員】
国際連合のSDGsバッジを着用していたときに、何のバッジなのかとたびたび尋ねられてはSDGsの取り組みを説明してきたが、本年10月に受領した
愛知県のSDGsバッジを着用してからは、従来の問い合わせに加えて、SDGsに関心のある人から、そのバッジを見たことがないが、どこのSDGsバッジなのかとの問い合わせも多くなり、より多くの人に本県のSDGsに対する取り組みを伝えることができている。県庁内でも一部の職員にしか配付されていないと聞いている。環境局の所管になるが、ぜひ多くの人に着用してもらうようにしてほしい。
先日、昨年度の自治体SDGsモデル事業に選定された長崎
県壱岐市を調査してきた。特徴の一つとして、2030年の壱岐市の経済や生活の具体的なイメージ、AIやIoTを活用したスマート農業、ドローンを使った輸送、移動は自動運転のバス、遠隔の医療受診など2030年の未来を描くプロモーション動画を作成して、市内全域をカバーするケーブルテレビに定期的に放映することで、壱岐市の目指すSDGsの浸透を図っている。
一方で、本県のSDGs未来都市計画は、包括的な内容で目指す未来図や理念が県民に伝わりにくいと感じる。広域自治体と基礎自治体の役割が違うので、難しい面があることは理解している。
そこで、SDGsの理念浸透を図るために、県内でSDGs未来都市に選定された名古屋市、豊橋市、豊田市を初め各市町村との連携が重要になると考える。連携に向けての取り組みを伺う。
103: 【企画課主幹(企画)】
県全域でSDGsの達成に向けて取り組んでいくためには、県内のSDGs未来都市である名古屋市、豊橋市、豊田市はもとより、県内の市町村との連携が重要であると考えている。こうした考えのもと、本年12月3日には、県内の全市町村に参加を呼びかけて、
愛知県SDGs未来都市等担当者会議を開催し、本県や県内のSDGs未来都市などの取り組みを紹介し、情報の共有を図った。また、名古屋市、豊橋市、豊田市とは、来年2月から3月にかけて開催する普及啓発のセミナー、ワークショップの共催や、それぞれの取り組みの広報面での協力などの連携を進めていく。
本県としては、こうした取り組みを通じて県内の市町村の機運を一層高め、SDGsの実現に向けてオール
愛知で取り組んでいく。
104: 【日比たけまさ
委員】
壱岐市の取り組みのもう一つの特徴は、壱岐なみらい創りプロジェクトと呼ばれる住民との対話形式による戦略テーマの決定、離島振興モデルづくりである。このプロジェクトの中心は高校生で、彼らの自由な発想を原点に事業化が進められている。
一例として、空き家で民泊事業との原案から、遊休施設を活用した交流スペースの設置につながり、テレワークセンター開設に発展した。現在、このセンターの部屋は全て企業で埋まっており、ここをスタートアップ拠点として利用した企業がさらに事業を拡大し、地元の古民家をリノベーションした新オフィスに移転する事例まで発展している。
このように、地元の若い世代が自分たちの島の未来に向けた持続可能な開発について考え、行政がサポートする、SDGsの理念浸透に向けた好循環が生まれている。また、子供たちへの働きかけによる環境への取り組みも検討している。
SDGs理念浸透の鍵の一つに、学生や子供世代への教育的な観点も含めた取り組みがあると考えるが、現在の本県の課題認識と今後の展望を伺う。
105: 【企画課主幹(企画)】
県政世論調査の結果が示すとおり、SDGsに対する認知度は低いことから、当面はSDGsの普及啓発が大きな課題であると認識している。
特に、SDGsは、2030年に向けて持続可能な社会をつくっていくための目標であり、次代を担う学生や子供たちにSDGsを意識した行動を実践してもらうことが重要である。
本年度は、幅広い年代層を対象とした普及啓発を行っていくが、今後は、若い世代向けの啓発も
県教育
委員会などと連携しながら検討していく。
また、普及啓発とあわせて、SDGsの推進に資する取り組みを着実に実施することも重要であり、
愛知県SDGs未来都市計画に位置づけた事業、施策を初めSDGsの達成に向けた取り組みを、全庁を挙げてしっかりと進めていく。
106: 【小木曽史人
委員】
人材の育成、人財力の強化は、次期行革大綱の中間取りまとめでも、現在の第六次行革大綱の改革を継続する中で、特に仕事の進め方や働き方、組織のあり方等を不断に見直しながら、経営資源を一層効果的、効率的に投入し、生産性や行政サービスの向上につなげていくとしている。
こうした人材育成を含む行革大綱の土台となるのは、職場環境であり、そのための快適な働きやすい職場環境づくりを進めていくことが重要だと考えている。より快適な働きやすい職場環境づくりには、上司、部下、同僚、先輩、後輩など、風通しのよい職場の人間関係づくりが必要だが、昨今、パワーハラスメント事案が連日のように報道され、社会問題化している。
職場でのパワーハラスメントは、厚生労働省によって、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為と定義されている。
国でも本年6月に、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律が改正され、企業職場でのパワーハラスメント防止措置が事業主に義務づけられた。具体的な施行時期は未定だが、今後具体的対応をとる事業主が増加すると考えられる。事業主に義務化されたものには、相談体制の整備、相談したことによる相談者の不利益取り扱いの禁止、パワーハラスメント防止研修の実施、事業主みずからのパワーハラスメント理解の深化と労働者に対する言動注意などがある。
県庁内でも相談窓口の設置や職員向け研修など、いろいろなパワーハラスメント防止の取り組みを行っていると思うが、
県職員の職場でのパワーハラスメント防止対策として、どのような認識で、具体的にどのように取り組んでいるのか伺う。
107: 【監察室長】
パワーハラスメントは、それを受けた職員個人にとっては、その尊厳を、人格を不当に傷つけられる行為である。また、職場全体にとっては、職場の雰囲気を壊し、秩序を乱し、公務能率を低下させる行為である。個人にとっても、職場にとっても大きな悪影響を与えるものだと認識している。そうした認識のもと、本県では、パワーハラスメントを未然に防止し、また、万が一発生した場合には適切な対応を行う目的で、職場におけるパワーハラスメントの防止及び対応を定めて、平成23年4月から運用している。これに基づいて、所属長等の管理監督者に対して、パワーハラスメントを未然に防止する責務を課し、また、さまざまな相談窓口を設置して、職員が相談しやすい体制を整えている。
108: 【小木曽史人
委員】
過去のパワーハラスメントの相談件数を伺う。
また、その相談内容や対応結果等をどのように集約、蓄積、分析して、研修等にどのようにフィードバックしているのか伺う。
109: 【監察室長】
直近の3年間で把握している知事部局の職員のパワーハラスメントの相談件数は、平成29年度が2件、昨年度が4件、本年度が9件である。
職員から相談があった場合は、相談者のプライバシーに十分配慮しつつ、相談者本人、周辺の職員に対して聞き取りを行い、事実関係を整理した上で、パワーハラスメントに当たるとされる六つの類型に該当するかどうかを人事課監察室で判断している。
また、パワーハラスメントの防止策として、自治研修所や職場単位で実施する研修で、本県での相談事例や、新聞等で報道されたパワーハラスメントの事例を具体に示しながら、職員に対して意識啓発と周知徹底を図っている。
110: 【小木曽史人
委員】
パワーハラスメントは、職場風土に根づきやすく、実際にパワハラに遭ったり、または見聞きしたりしていても相談窓口には届かず、そのままになっているケースが多く見られるのは肌で感じている。
今後、パワーハラスメント防止の取り組みが全国で加速し、職員の意識がさらに高まることが考えられる中で、匿名の職場環境アンケート調査により、パワーハラスメントを含むハラスメント全般や職場環境に関するあらゆる問題の現状を把握し、洗い出してみるのも職場環境改善の取り組みの一環として有効な手段だと思う。例えば、これまでパワーハラスメントに遭ったことがあるか、見聞きしたことがあるか、どんな内容だったか、誰に相談したか、どうやって解決したか、もしくは解決できなかったかを匿名で調査することで、まずは現状をしっかり把握して、今後とるべき対策につなげることができると考えている。
そこで、こうした匿名のアンケート調査を実施するなどして、現状を把握する考えがあるのか伺う。
111: 【監察室長】
本県では、パワーハラスメント以外のセクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、介護に関するハラスメントについても、各種の相談窓口を設置して、職員が相談しやすい環境を整えている。
アンケート調査は、現状把握を行うに当たっての一つの手法であると思うが、既に本県では、部下職員が匿名で管理職を評価する、部下からの評価制度が導入されている。また、それぞれのグループで職員がそのグループの協力体制、風通しなどを評価するグループ診断制度を導入している。
こうした制度を活用することで、職員の声を把握し、問題の解決に向けた対策が講じられていると考えている。
112: 【小木曽史人
委員】
パワーハラスメントは風土に根付いており、専門的な職場や各部局によって意識の差にばらつきがあると考えられるので、全部局に対してアンケート調査を実施して、現状を的確に把握し、実態を知るのがまず課題解決の入り口だと思う。
第六次行革大綱の取組実績では、本年度7月31日の時点で、主な進捗管理指標の状況の一つとして、精神疾患による長期病休者率が2015年度は0.65パーセントだったが、昨年度は0.74パーセントと微増している。この数値は職員数全体の母数が減っていることも一因であるし、精神疾患での長期の病休の原因には家庭や職場、いろいろな人間関係など複合的要因が重なっているということも承知しているが、より快適に働きやすい職場環境づくりを積極的に進めることが、こうした数値を徐々に下げていくことにつながると思っている。
次期行革大綱の中心に据えられる人材育成の根幹を支えるのは、風通しのよい、働きやすい職場環境であり、9本の柱の中の人材の育成・活用と働き方改革の推進を実際に取り組んでいく中で、非常に重要な要因である。そうした意味で、パワーハラスメントに対しては、それが存在するとの前提で、匿名アンケート調査も含めて、積極的に現状を把握していく姿勢で取り組むことを要望する。
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