6: 【
災害対策課主幹(
調整・
支援)】
災害救助活動を行っていく上で協力してもらう関係団体としては、応急仮設住宅の関係では、一般社団法人プレハブ建築協会、一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会、公益社団法人愛知県宅地建物取引業協会、一般社団法人愛知県建設業協会等、物資の輸送活動では、一般社団法人愛知県トラック協会、東海倉庫協会、日本通運株式会社名古屋支店を初めとした民間物流事業者、医療活動では、日本赤十字社愛知県支部、愛知県災害医療コーディネーター等がある。このようなさまざまな企業や団体に協力してもらい、救助活動を実施する。
7: 【
村瀬正臣委員】
ほかにもいろいろなところと災害協定を締結していると思うが、今後、本県と名古屋市が救助を実施することになり、例えば、応急仮設住宅の整備に関して、大規模災害時に同じ関係団体へ本県と名古屋市から依頼することになる。その窓口は、どのように
調整されるのか伺う。
8: 【
災害対策課主幹(
調整・
支援)】
大規模災害時には、本県と名古屋市から同じ時期に、同じ関係団体に協力を依頼することになる。災害救助を混乱することなく、迅速かつ円滑に進めていくためには、事前に、本県、名古屋市、関係団体間で発注ルール等を順序立てて整理しておくことが不可欠である。このため、今回の名古屋市の指定に際し、事前に名古屋市、関係団体と応急仮設住宅の供与や物資の調達、輸送方法等について、配分の方針や調達手順、おのおのの役割等を協議し、窓口や依頼のルールを明確に定めている。
また、先ほど
委員から質問のあった7対3という配分の目安についても、本県が担当する名古屋市以外の市町村と名古屋市のシェアを、一つは人口比である約519万人と230万人、もう一つは南海トラフ
地震時の想定避難者数である155万人と57万人、この二つを勘案して、本県と名古屋市の配分比を7対3にし、本県が総括窓口となって資源を配分することにした。
さらに、災害時の対応については、本県の
災害対策本部に名古屋市と関係団体の連絡
調整員の派遣を受け、災害救助法資源配分チームを設置し、物資や応急仮設住宅等の供給について、協力して
調整・配分作業を行う。
今後も、名古屋市や関係団体と情報共有や連携を密に行い、必要な改善、見直しを順次行うとともに、協力体制と作業の流れを確認するための訓練等も実施し、災害時に被災者の迅速かつ円滑な救助が実施できる体制の強化に努めていく。
9: 【西久保ながし
委員】
後づけのペダル踏み間違え時安全運転
支援装置補助制度について質問する。
本年9月定例議会の代表質問で質問したが、知事の答弁は「市町村と連携しながら前向きに検討していく」というものであった。あれから2カ月半がたち、予算編成の時期に来ているので、これまでどのような議論がされてきたのか確認したい。
この制度は、県レベルでは、東京都、福井県、兵庫県、徳島県、熊本県、鳥取県が実施しており、県内では、豊田市、みよし市、安城市、刈谷市、碧南市、豊橋市、春日井市で実施している。名古屋市も来年度から実施するという報道もある。そのほか、県の動向を見ている市もたくさんある。国も本年度の補正予算に盛り込んで実施するという報道もある。
報道ベースであるが、国は、国土交通省がつくっている評価制度の基準を満たすもので、補助額が検討されている。また、既に実施している自治体と併用できる制度にすることも検討されている。
本県では、国が表明する以前から議論してきているが、実施の方向で検討しているのか伺う。
10: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
高齢運転者による交通事故が全国で相次いでおり、高齢者の安全運転を支える取り組みとして、安全運転
支援装置の設置補助制度の創設は大変重要である。
本県の補助制度に関する考え方は、まずは、より広範に普及を図ることが重要であり、このため、より多くの県民に
支援を行うことができるよう、市町村と協力して取り組みを進めていくことが必要である。本県では、現在、豊橋市や豊田市を初め県内7市で、後づけの安全運転
支援装置の補助が始まっており、先月開催された県・市懇談会の場でも、県と市町村の折半で県内一律の補助制度を創設するよう要望があった。
また、課題となっていた安全性の確保については、国は安全運転
支援装置の性能認定制度について、来年度からの実施を検討するとしていたが、早期普及に向け、これに先立ち、一定の機能があると認められる製品について先行個別認定を行うこととし、本年10月から申請の受け付けを開始し、12月中旬には認定対象装置を選定し、その結果を公表する。
このため、補助制度については、速やかに、より多くの県民に普及が図られるよう、国の先行個別認定の結果を参考に、より多くの市町村の取り組みを後押しできるよう検討している。
11: 【西久保ながし
委員】
端的に、県の補助制度として検討していると捉えてよいか。
12: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
そのとおりである。
13: 【西久保ながし
委員】
実施に向けては、当然市町村と連携をしっかりとっていかないといけない。これまでどのぐらいの市町村と意見交換し、どのような受けとめだったのか。また、来年度まで時間もなく、具体的にどのように進めていくのか。
14: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
これまで市町村の交通安全担当者が集まる会議等で、本県として補助制度の創設を前向きに検討していくことを伝えるほか、先駆的に取り組んでいる県内7市はもとより、ほかの市町村担当者とも、各自治体の取り組み状況や今後の対応等について、個別に意見交換を行った。
市町村の受けとめや反応は「国や県の動向を注視している」、「国の制度がはっきりしない以上対応を考えられない」等の意見が多くあった。
本県としては、まずは、国が検討を進めている補助制度がどのようなものになるか、しっかりと情報収集し、それを踏まえ国の補助制度の活用等を研究し、より多くの市町村と連携を図ることができる制度となるよう検討を進めていく。
15: 【西久保ながし
委員】
もう予算要望を出している状況だと思うが、本来であれば、例えば、何歳以上を適用にするのか、どのぐらいの対象人数がいるのか、補助額をどのぐらいにするのかといったことを意見交換したかった。予算編成上、なかなか答弁できないだろうが、どのような項目を議論してきたかぐらいは示してほしかった。我々が意見を言う段階がない。
これは、東京都豊島区池袋で
発生した事故が発端であり、本県でも、名古屋市熱田区金山町やあま市で、死者は出なかったが、多くの人がけがをする事故があった。他人事ではなく、これから高齢運転者もふえていくので、ぜひ国の補助制度をうまく併用し、県内全域で広く実施できるような制度をつくるよう強く要望する。
16: 【
田中泰彦委員】
次期行革大綱の中で「災害時の現地即応性のさらなる向上を図るため、災害時に県民事務所に設置される方面本部の見直し」という1文を追加した理由はどのようなものか。
17: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
次期行革大綱では、県民事務所は災害時の現地即応性のさらなる向上を図るため、災害時に県民事務所に設置される
災害対策方面本部の見直しを行うとしている。
追加した理由は、昨年の西日本豪雨、本年の台風第15号、第19号等により、全国各地で大規模な風水害が
発生している。本県でも、
災害対策本部の設置回数が増加している。また、平成29年の豊橋市の竜巻被害、昨年の台風第24号の新城市での避難指示や豊根村富山地区の孤立状態等、局地的、突発的な災害に対応する執行体制を検討する必要がある。さらに、ゼロメートル地帯や三河山間地域など地域特有の災害リスク等による、局地的、突発的な災害への即応性も確保する必要があることを理由としている。
18: 【
田中泰彦委員】
局地的、突発的、それぞれの地域事情が違うとのことだが、見直し内容はどのようなものか。
19: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
見直しの内容は、行革大綱の改革の視点の一つである現地、現物、現場目線の取り組みを実践するため、より現場に近い場所で災害応急対策を実施する体制として、組織をシンプルなものに改め、現在の尾張、西三河、東三河の3方面本部、海部、知多、新城設楽の3支部体制を、支部を方面本部とすることで6方面本部に見直し、災害時の現地即応性のさらなる向上を図るよう検討している。
20: 【
田中泰彦委員】
それぞれの地域でしっかり対応できるようにとのことだが、道路、河川、砂防等、被災後は、情報収集や状況把握等、各方面本部と現場の建設事務所との連携が重要である。各市町村、各建設事務所と方面本部との関係性やあり方を防災安全局はどのように考えているのか。
21: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
災害
発生時に方面本部は、公共インフラを所管する建設事務所、災害対応の実施を担う市町村、それぞれからの情報を収集、集約し、被災状況を把握した上で、災害対応の方針を決定しており、これら三者が緊密に連携することは極めて重要である。
22: 【
田中泰彦委員】
地元での対応を緊密にするとのことだが、現状はどうか。
23: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
現状は、まず方面本部が市町村から被害情報を収集する。建設事務所は、災害時に県民事務所長を本部長とする
災害対策本部方面本部の構成機関として行動しており、実務的には、方面本部の開設と同時に連絡
調整員を方面本部に常駐させ、公共土木施設の被災状況や応急復旧の作業状況等を報告し、方面本部に集まる他機関との
調整を実施している。また、方面本部における対応策の決定は、方面本部長を長とする方面本部員会議で決定している。
具体的な活動事例としては、緊急輸送等、多くの防災関係機関が活動を行うために不可欠な道路については、方面本部に報告された通行可否の情報等をもとに、建設事務所長を初めとする各地方機関の長で構成する方面本部員会議を開催し、市町村や建設事務所から収集した情報をもとに、救命救助活動や救急搬送、緊急物資の輸送に必要な経路を設定し、優先順位を定め、該当する路線の啓開作業を進める。
24: 【
田中泰彦委員】
名古屋市との関係はどのような形になるのか。
25: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
名古屋市は、県庁の
災害対策本部で対応する。
26: 【
田中泰彦委員】
名古屋市に緑政土木局があるが、各建設事務所に相当するのが緑政土木局になるのか。もちろん市、県、国の河川等いろいろあるが、現地、現場で対応するのは名古屋市の場合はどこで、県庁の
災害対策本部とどのように連携するのか。
27: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
緑政土木局で対応する。
28: 【
田中泰彦委員】
協定を結んでいる団体、企業等とのやりとりは、名古屋市と本県はそれぞれどこが行うのか。
29: 【
災害対策課主幹(
調整・
支援)】
関係団体等との窓口は本県が総括窓口となり、資源配分の
調整等は本県が行う。名古屋市の協定に基づく分は、協定の中で名古屋市が事業者、建設会社等に依頼する。
30: 【
田中泰彦委員】
本県とも名古屋市とも協定を結んでいる団体もたくさんあると思う。そのような場合、どこが窓口になるのか。本県が一括で名古屋市に情報を与えるのか。
31: 【
災害対策課主幹(
調整・
支援)】
本県と名古屋市と両方結んでいる場合、一旦、本県が総合窓口となり対応するが、実際の活動では、名古屋市の市道の場合、名古屋市から団体に依頼する。取り合いのないよう本県が総合
調整し、それぞれが依頼することになる。
32: 【
田中泰彦委員】
実際、今まで想定したような状況で訓練を行ったのか、あるいは、これから行うのか。訓練は協定を結んでいる一つの団体と行えばいいわけではなく、本県と名古屋市とで連携する訓練は行ったのか。
33: 【
災害対策課主幹(
調整・
支援)】
大方針として、7対3という資源配分は決定しており、個々の依頼方法も、県が総括窓口で資源配分を行うことになるが、個々の細かい部分は、今後詰めていくところも残っている。
34: 【
田中泰彦委員】
恐らく今の状況であれば、災害が起きた場合、名古屋市からも本県からもそれぞれ団体に連絡が入ることが想定される。まだそれに対応した訓練を実施したことがないことが確認できた。
次に、次期行革大綱の方面本部の見直しという部分に関し、見直しでどのような変化があるのか。連携が改善される部分は、どのようなことが考えられるのか。
35: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
これまで方面本部の支部は、災害時に市町村から収集した被災情報を方面本部へ報告し、方面本部からの指示に基づいて対応を進めていた。
今回の見直しで、3方面本部3支部を6方面本部にすることで、地域ごとに災害対応の決定を行うことが可能となる。災害時に、道路を初め公共インフラの復旧に当たる建設事務所とも直接情報を共有し、地域の実情に即して対応方針を決定し、活動を実施することが可能となる。
36: 【
田中泰彦委員】
方面本部の組織が3方面本部3支部から6方面本部に組織や制度が変わっても、愛知県と各地域との顔の見える関係性、人間関係ができてないと、いきなり実施しようとしてもなかなか難しい部分があると思う。顔が見える関係づくりのため、防災安全局として動いていることがあれば教えてほしい。
37: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
災害対応を迅速かつ円滑に実施するに当たり、日ごろから市町村と顔の見える関係をつくっていくことは極めて重要である。
平時に、総合防災訓練や津波避難訓練、緊急物資輸送訓練、被災地自治体を応援する
支援訓練等、各市町村が直面する現場でのさまざまな事態を想定した訓練を実施することで、より一層、顔の見える関係の強化に努めている。今後も、このような取り組みを継続して取り組んでいく。
また、市町村における地域強靱化計画や災害時の受援計画の策定等、各市町村が抱える地域の課題を解決する仕組みづくりも、直接市町村へ赴き、現地、現物、現場目線で各市町村が直面する課題を共有した上で、ともに対応策を検討し、よりきめ細やかな
支援に努めていく。
38: 【
田中泰彦委員】
エリアごとのそれぞれの訓練は、今までどれぐらいの頻度で行ってきたのか。
39: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
総合防災訓練は年1回、津波避難訓練も年1回、緊急輸送訓練は広域輸送拠点ごとに実施している。被災自治体
支援訓練は年1回、本年度は南知多町で実施した。
40: 【
田中泰彦委員】
顔が見える関係づくりに訓練は大事である。県組織のあり方は総務局所管になると思うが、防災安全局から総務局に対し、顔の見える関係づくりのために組織をこうしてほしいなど、検討や発信をしているのか。
41: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
市町村は基礎的自治体として、現地、現物、現場を熟知している。県民事務所は、災害対応の実施を担う市町村との顔の見える関係づくりを行い、地域の課題に的確に対応することが求められている。
42: 【
田中泰彦委員】
災害対策本部の立ち上げのタイミングについて、本年9月定例議会の
委員会で質問したが、答弁は、名古屋気象台の発表する気象予警報で、順次、体制を拡充していくというものであった。その後、伊藤
委員が、いち早く市町村との連携をとるため、状況把握する観点から、県民事務所長の宿舎住まい、所長、次長の事務所宿泊について質問し、地方機関の強化の一環として検討するという答弁であった。
宿舎住まい、事務所の宿泊等について、その後、特に予算等を検討しているのか。
43: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
方面本部長となる県民事務所長の危機管理待機体制は、現在、実現可能な体制の検討を進めており、その中で、実施した場合に必要となる経費も含めて検討している。
間取りの違いや地域ごとで相場が異なるので、価格には一定の幅があるが、それぞれの事務所所在場所の近くのアパート1室を賃借したり、ホテル1部屋を年間通じて確保する経費として、1室当たり100万円から200万円前後必要となる。
44: 【
田中泰彦委員】
予算の検討も含め、物理的な問題点、課題点があると思うが、現実的にさまざまな点を含め、泊まり込みの体制ができるのか伺う。
45: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
県民事務所等が方面本部として災害時における地域拠点の役割を果たすためには、本部長である事務所長が速やかに管内の被害状況等を把握し、職員に的確に指示することが必要である。そうした体制をとるため、勤務時間外にあっても方面本部長や本部長を補佐し代行する幹部職員が速やかに参集できる環境にあることは大変重要である。
所長や幹部職員の速やかな参集を確保する方法としては、事務所近くに公舎またはアパートなどの宿舎を設け、そこに赴任する居住方式、ホテル等の宿泊施設に交代で宿泊待機する危機管理待機当直方式が考えられる。
居住方式の場合は、年間を通じて宿舎を離れることが困難となるが、介護や子の養育等、何らかの事情で宿舎を離れざるを得ない場合のバックアップ体制をどう確保していくかが課題になる。危機管理待機当直方式の場合は、所長の代行者として職員の指揮をとることができる、少なくとも課長級以上の幹部職員を一定数以上確保することが必要となり、防災部門以外の課長等にも防災に関する専門知識を習得させ、災害時に適切な指示ができるよう育成していく必要がある。
こうした課題もあり、現在、ほかの自治体の事例も参考にしながら、実現可能な体制の検討を進めている。
46: 【
田中泰彦委員】
本年9月定例議会の
委員会では、千葉県の例を出して質問した。その後起きた台風第19号の被害のときもそうだったが、各都道府県が各市町村に対し、迅速に情報把握し、集約して対応することが必要になってくる。
神奈川県では、自衛隊の給水機が来て、県の対応が間に合わず帰してしまった例もあった。現地、現場の人は、そんなことは本当にどうでもよく、とにかく目の前のことを助けてほしい状況だと思う。
協定を結んでいる団体から、協定を結んだが1回の訓練もないという話を聞いたことがある。現地、現場で即時対応、即応性を高めることに対し、宿泊方式による体制確保や幹部職員の配置等についてどう考えているのか伺う。
47: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
県民事務所が今回の見直しを機に危機管理体制をさらに充実し、建設事務所を初めとする方面本部を構成する地方機関や、市町村、協定事業者等とも連携して対応することで、早期復旧や被災者の早期の生活再建につなげていくことは極めて重要な考え方であり、そのために、平時から顔の見える関係をつくっていかなければならない。
県民事務所の即応性に関しては、方面本部長の危機管理待機体制について、引き続き実現可能な体制の検討を進めていく。
また、建設事務所を初めとする方面本部を構成する地方機関相互の連携強化については、防災分野に限らず、地方機関同士の日常的な取り組みの中で、地域情報の集約と地方機関間の連携を図っていくことも大切であり、県民事務所等の単位で現在開催している地域連絡
調整会議の場も活用し、密接な意思疎通を図っていく。
市町村との関係でも、市町村防災会議との円滑な連絡を図るため、方面本部単位で設けられている防災連絡会議の一層の活用や、防災行政を推進する上で必要な計画の策定等、地域で抱える課題について直接市町村に赴いて
支援する等、より顔の見える関係づくりに努めていく。
48: 【峰野 修
委員】
本年は伊勢湾台風から60周年であり、愛知県もそこから学び、ハード整備はかなりやってきた。ただ、最近の自然災害、台風に関しては、各地で特徴のある被害が出ている。今回は台風第19号にポイントを絞って質問する。
まず、本年11月7日に
委員会で栃木市を視察した。栃木市に流れている永野川、赤津川、巴波川、思川の四つが合流して渡良瀬川になり、利根川になっていく。今回の水害は、上流で起きており、本流の下流では余り起きていない。利根川本流はかなり丈夫で、特に渡良瀬川には遊水池があり、そこでプールされ天然のダムのようになった。逆に、上流の栃木市の中小河川が合流する場所では排水し切れず、内水氾濫が起こった。これが特徴ではないかと思う。そのときの説明では、上流部では降雨量が過去最高となる500ミリメートルで、今までよりも150ミリメートルも多く、上流部に降った雨が一気に下流に流れてきた。下流は300ミリメートルぐらいで、かつて降ったことがあるとのことだが、今回の台風第19号では局所的、集中的に降ったことで、ふだんの川の状況から見ると越水しなさそうな場所が越水した。
その次の週、11月15日に宮城県へ行った。宮城県庁に派遣されている本県河川課の職員から説明を受け、翌日に丸森町の災害復旧に当たっている議長、町会議員の案内で現場を視察した。ここも似たような越水被害だった。阿武隈川があり、支流として流れている新川、五福谷川、内川の三つの川の合流点に丸森町があった。阿武隈川の水が非常にふえ排水できないので、そこへ水がたまるしかない状況となり、丸森町役場も2メートル近く床上浸水した。
最近の日本の自然災害は、局所的、集中的に起きる印象がある。日本で起きた災害の中から、愛知県はどのような教訓を学んで、どのように取り入れていくのかという視点が大事である。本県として、台風第19号の課題を検証しているのか伺う。
49: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
台風第19号では、長野県から関東、東北地方を中心に、直轄河川で7河川12カ所、県管理の中小河川で67河川128カ所が決壊する等、甚大な浸水被害が
発生した。これらの浸水被害により、避難がおくれたり、避難行動中に浸水域で逃げ場を失う事態が多く生じており、特に高齢者の避難や
支援のあり方が課題として指摘されている。
国は、9月の千葉県における大規模停電を契機に、台風第15号の課題を検証するため、10月に検証チームを設置しているが、今回、台風第19号による被害の課題となった事項についても検証の対象に加え、本年度内に対応策をまとめる方針としている。
本県としても、国の検証結果と対応策を踏まえ、避難の実効性の確保など、今後の対策強化に役立てていく。
50: 【峰野 修
委員】
検証した場合は、それを具体的にどう生かしていくかまで含めて取り組むことが大事である。
災害にあっても、うまく被害をまぬがれた場合がある。一番有名な例は、東日本大震災のとき、岩手県釜石市が「とにかく逃げろ、まず自分の命を守れ」と防災教育を徹底しており、3,000人ぐらいの子供の中で死者は3人であった。その3人も学校で亡くなったのではなく、外にたまたまいて亡くなった。悲劇として言われるのは宮城県石巻市で、学校が避難指示を間違え、水の来る方向に逃げてしまった。事例は違うが、消防団がひとり暮らしの高齢者が家のどこに寝ているかまで把握しており、
地震で家が倒れたときそこをピンポイントで捜索して救助し、死者が出なかったという話を聞いたこともある。
いい例をできるだけ参考にしながら、本県の中でどのように教育していくのか、そこまで詰めて検証してほしい。
宮城県も本当に大変だと思う。今回は内陸部の川が氾濫したことにより、一番被害の大きいのが丸森町である。小さな3軒の集落が土砂崩れで全部潰れ、全員が死亡したが、ほとんど報道されていない。
その人たちの命を守るための行動として、行政として何ができたのかを検証しなければならない。先ほどの答弁の中で、地域特有という言葉が使われた。本県の中でいろいろな被害の可能性がある。海抜ゼロメートル地帯の災害と山地災害とは性格が全然違うので、できるだけ個別、具体的な対応を検証してほしい。
丸森町役場は浸水して機能しなかった。地下に電源があったからだと思うが、本県内の市町村役場が持っている災害リスクをどのように把握しているのか伺う。
51: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
丸森町の庁舎は、阿武隈川が決壊した場合の浸水想定区域内に所在しており、今回、阿武隈川は破堤しなかったが、結果的に2メートル近く浸水した。固定電話がつながらなくなり、職員も登庁できないことも相まって、役場の機能が一時的に麻痺したと聞いている。
災害が
発生した場合、市町村庁舎も被災するおそれがあることから、あらかじめ業務の継続性を確保する観点から、
災害対策本部が設置される庁舎や医療機関等、特に災害時に重要な役割を果たす建物にあっては、非常用電源を整備しておくことは極めて重要である。また、その際にはそれぞれの庁舎がある場所の災害リスクに応じ、建物の水密化等、対策をあらかじめ実施しておくことが重要となる。
本県54市町村のうち、
災害対策本部を設置する庁舎が洪水あるいは高潮の浸水想定区域内にある市町村は22市町村ある。このうち、想定浸水深以上の高さに非常用電源設備を設置したり、設備のある区画を水密化する等の既に対策が実施されている市町村は19あり、残る3市町は、江南市、岩倉市、扶桑町であるが、1市は来年度措置を実施する予定で、残る2市町は近年予定されている庁舎の建てかえ計画とあわせて検討を進めていくと聞いている。
引き続き、国の緊急防災減災事業債等の
支援策の活用等、県内市町村の業務継続性の早期確保を促していく。
52: 【峰野 修
委員】
非常用電源の燃料備蓄は、何日間という目安があるのか。
53: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
国からは、72時間供給なしで連続運転できるように言われている。本県も国の方向性に従い、市町村に同様の措置を実施するよう促しているが、全てのところが72時間化対応に至っていないのが現状である。
54: 【峰野 修
委員】
本県はどのような目安で行っているのか。
55: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
本県も同様に72時間化を進めており、本庁舎、西庁舎、自治センターは72時間化の対応が完了している。建設事務所や保健所、県民事務所の入る総合庁舎は鋭意72時間化を順次進めている。
56: 【峰野 修
委員】
まだ完了していないのか。
57: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
そのとおりである。
58: 【峰野 修
委員】
県の主立った施設を72時間対応にする措置は、いつまでに完了するのか。
59: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
はっきりと時限を定めているものではなく、第3次あいち
地震対策アクションプランの計画期間中に達成したい。
60: 【峰野 修
委員】
第3次期間中に完了年次を決めたいのか、完了したいのか。
61: 【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
期間中に達成する。非常用電源の72時間化と庁舎の窓ガラスの飛散防止対策については、防災安全局で財政当局に予算要求し、毎年一定額を計上している。本庁は整備が済み、地方機関も災害時に重要な役割を担う庁舎を優先的に措置している状況であり、この計画期間中にやり切る目標でいる。
62: 【峰野 修
委員】
非常用電源は非常に大事である。浜岡原子力発電所は2,000億円近くかけ、防潮堤や非常用電源を整備している。そのぐらいの意気込みでやってほしい。
今回の内水氾濫をどのように受けとめ、どのように被害を防ぐのか。特に逃げおくれを避けることについて、防災安全局の考えを伺う。
63: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
本年、西日本豪雨等の教訓から全国的に導入した新たな5段階の警戒レベルに基づき、警戒レベル3で避難準備、高齢者等の避難開始、レベル4で全員避難の勧告または指示等、住民がとるべき行動基準を明確にし、避難行動を促す取り組みを開始している。
本県では、避難の実効性を確保するため、警戒レベルでとるべき行動をわかりやすく解説したチラシを活用し、市町村と協力し、広報や回覧板で周知するほか、豪雨時に県民一人一人がいつどこでも避難行動がとれるよう、みずから守る防災情報メールサービスや市町村防災
支援システムを用いて、アラーム情報を県民に即時に伝達している。
また、これらの自助の取り組みに加え、高齢者や障害者等の要配慮者を地域でお互いに支え合う共助により住民全体の避難行動につなげていくため、コミュニティーで手づくりハザードマップを作成したり、大雨行動訓練を実施するみずから守るプログラムの取り組みを推進するほか、地区の取り組みが地域全体の取り組みとして根づいていくよう、防災訓練や避難訓練等、住民参加の実践的な訓練の展開に努めている。
64: 【峰野 修
委員】
問題はどこまで周知できているかである。
建設局の所管であるが、土砂災害警戒区域、いわゆるレッドゾーン、イエローゾーンというものを5年ぐらいかけて周知しているが、住民にとって災害は一緒である。行政の仕分けとは、受け取る意味が違う。新しい情報で、レベル4で全員避難という資料ももらったが、受け取る側は、以前の情報はどうなったのという素朴な疑問があると思う。情報を伝える側も整理して言わないと、実効性の薄い話になるので注意してほしい。
地域住民が命を守るために一番有効な方法は、地域の人たちが組単位で集まり、このときはどうしたらいい、どういう避難経路でいきましょうという具体的な相談をしておくことである。みずからのハザードマップをみんなでつくることを一大運動として、県内全域で取り組んでほしい。
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