一方で、日本へ来て観戦を望む者の9割以上が開催地以外の地方への小旅行も望んでいるという民間事業者の調査結果もあり、本県としても誘客のチャンスと捉えていくことが必要である。大会期間中には、首都圏周辺以外の地方では混雑や費用高騰の影響を受けにくいとの見方もあり、本県としても、観戦客の誘客、あるいは、大会前後の時期の誘客につなげるため、現在、海外での旅行博覧会への出展や旅行会社、メディアへの個別セールスなどで、本県の地理特性や航空路線、交通機関などの旅行環境、さらには観光資源、
イベントなどを積極的にPRしている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会によりどのような影響が出てくるのか見通しが難しい面があるが、政府からの情報収集や旅行会社などとの情報交換を行いながら、今後も本県の観光の魅力について、観光プロモーションなどの機会やウエブサイト、SNSなどの媒体を効果的に活用して情報発信を行っていく。
5: 【
平松利英委員】
クラウディングアウトは、政府が旗振り役となり日本全体で対応する必要がある。本県としては、日本への関心が高まるオリンピックイヤーの機会を捉え、埋もれることなく本県をしっかりPRしていくことが今後の誘客促進につながることから、引き続き積極的にPRするよう要望する。
6: 【しまぶくろ朝
太郎委員】
厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プランに基づく都道府県プラットフォームについて、本県は、来年度からの全国展開に先駆けモデル地域に選定されており、本年10月9日に設置したあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームでは、来年度からの3年間における事業実施計画を本年度中に策定すると聞いている。
そこで、就職氷河期世代に対するこれまでの県の取り組み状況や、第1回あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおける各構成員からの
発言等を踏まえ、就職氷河期世代への支援にはどのような課題があるか伺う。
7: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
就職氷河期世代への支援に関する取り組みは、ヤング・ジョブ・あいちにおいて、おおむね45歳未満の若年求職者に対する就職支援メニューをワンストップで提供している。ヤング・ジョブ・あいちの支援による昨年度の就職者数は6,680人で、このうち35歳から44歳までの就職者数は全体の約4パーセントに当たる292人であり、就職氷河期世代の就職は厳しい状況にある。
また、座学研修と職場実習を組み合わせた就職支援塾を実施していたが昨年度の参加者116人のうち就職氷河期世代は7人であり、就職決定者47人の中に就職氷河期世代はいない状況であった。
この事業では、公共職業安定所での告知や転職
イベントでのチラシ配布などにより周知を図っていたが、非正規雇用や派遣などで長く働いている人は求職活動に消極的であり、このような人には届きにくい面があった。
次に、本年10月9日に設立したあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームの第1回会議では、構成員から、就職氷河期世代に対する認識、プラットフォームに対する期待など、多岐にわたり
発言があった。その中でも、企業の中途採用に対する抵抗感は減っており、非正規労働者にも大変よい経験を積んでいる人もいるので、積極的に企業とマッチングする機会を見つけていきたいとの意見があった一方、ニートやひきこもりへの支援は知恵を絞らないと難しいといった意見もあった。
以上のことから、就職氷河期世代への支援においては、企業の中途採用を後押しする取り組みの実施や、求職活動に消極的な人への支援策のさらなる周知、長期無業者、ひきこもり状態の人への支援に関する専門的な知見を有する団体との密接な連携が課題である。
8: 【しまぶくろ朝
太郎委員】
次に、これらの課題に対応するため、事業実施計画にはどのような方向性を持たせるのか。
9: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームの事業実施計画は、来年2月中旬の策定に向けて作業を進めているが、課題を踏まえ、企業に対し、就職氷河期世代の採用を後押しする取り組みを盛り込みたい。
具体的には、現在公共職業安定所で就職氷河期世代の求職者に限定した求人や、一般求人に就職氷河期世代の応募を歓迎する旨を明記したいわゆる歓迎求人という求人が開始されており、本年8月末の開始から11月末までに限定求人数は全国で609人、このうち愛知県内は40人、歓迎求人は全国で2,039人、このうち愛知県内は1,047人となっている。こうした求人への取り組みを、経済団体や業界団体を通じて企業への働きかけを検討したい。
一方、就職氷河期世代に対しては、各種支援策を効果的に周知するため、これまでの広報手段を精査するとともに、その家族や支援者にも周知して、本人に伝わる方策を検討していく。
また、長期間の無業状態やひきこもり状態の人には丁寧なアプローチが必要となるので、地域若者サポートステーションやひきこもり支援団体と連携して、支援対象者一人一人に支援策が行き届く取り組みを検討したい。
この事業実施計画は来年度から3年間の計画であるが、支援対象者の状況や就労ニーズは多様である。支援が直ちに就職に結びつくケースばかりではないので、息の長い支援が必要である。
10: 【しまぶくろ朝
太郎委員】
社会全体で見ると、人手不足感が広がっている。この売り手市場の中で本当に支援すべきは誰なのかに重きを置いて事業実施計画を推進してほしい。
11: 【
神谷和利委員】
現在、さまざまな業種で人手不足が深刻な状況であると報じられている。本県の有効求人倍率は、令和元年10月の愛知労働局発表によると1.89倍と、依然と高い水準にある。しかし、そのような雇用情勢にありながら、採用しても早々に離職する若者は多く、人手不足に悩む本県企業にとって問題である。
新規学卒者の離職の状況はどのようか。
12: 【
労働福祉課主幹(
勤労者福祉)】
令和元年10月に発表の厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況調査によると、全国の就職後3年以内の離職率は、中学卒が62.4パーセント、高等学校卒が39.2パーセント、大学卒が32.0パーセントであり、最近の推移は、横ばいの状況が続いている。
また、毎年度、中小・小規模企業の現状やニーズを把握し県の施策に反映させるため訪問ヒアリング調査を実施しているが、本年度の調査では、「若者の定着が悪く先行きが不安になる」、「新入社員のイメージしていた仕事と実際の仕事との間にギャップがあり、雇用のミスマッチが起きている」などの声があり、新規学卒者の早期離職に苦慮している状況が伺える。
13: 【
神谷和利委員】
若者の離職理由はさまざまなものがあるが、効果的な定着支援を行うためには、若者の離職理由を把握し的確な支援を行う必要がある。
若者はどのような理由で早期離職するのか、また、それに対して県ではどのような定着支援を実施しているのか。
14: 【
労働福祉課主幹(
勤労者福祉)】
若者の早期離職の理由は、県が平成29年度に実施した愛知県の職場定着に関する調査において、採用1年目、2年目、3年目で離職した若者に聞いたところ、いずれも「仕事上のストレスが大きい」ことが最大の理由であった。そのほか、「会社の将来性・安定性に期待が持てない」、「労働時間が長い」、「給与に不満」等の理由もあった。
このため県では、企業内で若者に寄り添って相談できる人材の育成が喫緊の課題であると認識し、若者職場定着サポーター養成支援講座を開催している。本年度は9月に名古屋市内で、10月に刈谷市内でそれぞれ開催し、企業の経営者、人事労務担当者など合わせて180人が参加した。
この講座では、雇用コンサルタントにより、採用や育成、定着の観点から働き方改革についての講義の後、ワークショップ方式によりさまざまな企業の人が各社の実情を情報共有し、課題解決に向けた議論を行った。
また、直接企業に赴くアウトリーチ型の支援として、若者の職場定着に課題を抱える企業に対しキャリアコンサルタントをアドバイザーとして派遣している。本年度は、これまでに2社に対し10回派遣を行った。この支援内容をもとに定着モデルを創出し、他社への普及を図りたい。
さらには、本年度からは新規事業として、県内企業の入社3年以内、40歳未満の若手社員、中途採用者を対象にオリエンテーリングセミナーを11月に開催している。このセミナーでは、職場でのコミュニケーションのあり方やビジネスマナー等を身につけ、社会人として成長していくための目標設定を行うとともに、グループワークによりチームワークの重要性を学び、職場定着に必要なコミュニケーション力の向上を図った。
今後は、来年2月に企業の経営者、管理職等を対象とした若者職場定着シンポジウムを新たに開催する。内容は、長く働きたくなる企業の魅力づくりや活力のある働き方のための基調講演、パネルディスカッション、アドバイザー派遣で創出した定着モデルの事例発表などを行う。
15: 【
神谷和利委員】
本年度新規事業を実施して、これまでどのような成果が得られたか、また、今後どのように生かしていくのか。
16: 【
労働福祉課主幹(
勤労者福祉)】
従来の県事業は、若者職場定着サポーター養成支援講座を初め、企業に働きかける定着支援を中心に行ってきた。しかしながら、離職理由を企業と若者の双方に聞くと、企業は若者の個人的な理由を挙げ、若者は職場のストレスと労働条件を挙げるといったミスマッチが起きていた。そこで、本年度の新規事業のオリエンテーリングセミナーでは、グループワークを通じて若者に直接働きかけ、「若者の失敗を否定しないでほしい」、「若者の意思や意見を尊重する風潮を職場に構築してほしい」といった企業に望む声や、「不満があっても現実、現状を見る大切さや自分で工夫して取り組む必要性がわかった」といった自己改革の気づきなど、企業が定着を進める上でポイントとなる若者の本心を聞くことができた。この声を若者職場定着シンポジウムで企業に紹介し、定着対策に役立ててもらう。
今後は、本年度の取り組みの成果を生かし、企業と若者の双方に働きかけ、コミュニケーションの大切さを伝え、相互理解を進めることにより定着支援の効果を高めたい。
17: 【
神谷和利委員】
就職を受け入れる側と就職する側のミスマッチは解消して、若者の定着支援に結びつけていかなければならない。大企業は自社でミスマッチ解消のセミナーを実施できるが、中小企業はなかなかできない。そのような場を設けることが県の一つの役割であるので、本年度の新規事業をもとに、さらに発展してほしい。
18: 【
犬飼明佳委員】
本年11月15日に開会式を迎えた第57回
技能五輪全国大会及び第39回全国障害者技能競技大会、いわゆる全国アビリンピックは、同時に愛知県国際展示場(アイチ・スカイ・エキスポ)で行われた。多くの選手が一堂に会して競技に取り組む姿は、非常に迫力があり、前回大会とは比べものにならないくらい多くの人が来場した。特に、
技能五輪とアビリンピックの競技が行われた日は、多くの小・中・高校生も来場しており、小中学生に対する、ボランティア高校生による競技説明も行われており、次代を担う子供たちの姿に感動して、本当に愛知県で開催をしてよかった。
また、成績も、本県は大変優秀な成績をおさめた。
技能五輪全国大会、そして全国アビリンピックが、2020年度も本県で、史上初となる2年連続開催となる。本県選手の活躍が大いに期待されることはもちろんのこと、本年の大会の経験を生かして、よりよい大会にしていかなければならない。
そこで、今大会の開催の成果について伺う。
19: 【
技能五輪・
アビリンピック推進室主幹(
全国大会)】
あいち
技能五輪・アビリンピック2019では、愛知県選手団は、
技能五輪で金賞12人を初め93人が入賞し、15年連続となる最優秀技能選手団賞を受賞したほか、アビリンピックでも金賞4人を初め15人が入賞するなど、2年連続メダル獲得数全国1位という素晴らしい成績をおさめたほか、女性の活躍が著しい都道府県選手団に対する特別賞についても、
技能五輪、アビリンピックともに本県選手団が受賞し、技能王国愛知を大いにアピールすることができた。
大会期間中には、アイチ・スカイ・エキスポを初め4
市9会場において、選手及び選手関係者を初め、小中学生や一般の人など、延べ18万7,470人が来場した。来場者にとっては、一度に多くの競技を見学でき、若者がものづくりに真剣に取り組む姿や障害者の持つ高い能力を見て、技能についての理解を深めることができた。
そのうち、学校クラス単位で来場した約2,000人の小中学生等に対しては、県内高等学校、特別支援学校の生徒合計145人が31競技において競技解説ガイドを行うとともに、技能士98人を37競技に配置し、来場者の理解促進に努めた。
見学した小中学生からは、「ガイドを通して多くのことを知ることができた」、「自分の将来について考える参考になった」などの意見があり、子供たちの技能への関心を高めることができた。
さらに、開会式後には
技能五輪とアビリンピックの選手による史上初となる交流会を、県内企業から県産品茶菓を提供してもらい開催した。地域や障害の有無を超えた交流の輪を広げるとともに、県産品のPRができたと考える。このように、今回の大会は滞りなく実施することができ、全日程を成功裏のうちに終えることができた。
20: 【
犬飼明佳委員】
来年度もさらに学校単位での社会見学が増加するように、市町村や教育委員会に働きかけて取り組んでほしい。
今回、15年連続の最優秀技能選手団賞に輝いた。大企業を中心とした工業系、機械系の職種が大きな柱になっていると思う。生業系の職種の人材の育成について、本県は、2012年に
技能五輪全国大会や全国アビリンピックへの出場を目指す選手の訓練を対象に、中小企業や団体、学校などが行う訓練の講師謝礼や材料費などの経費に対する助成を行う制度を創設した。
来場者数や選手育成の取り組みなどについて、今大会の成果を踏まえた来年度開催に向けての課題と取り組みについて伺う。
21: 【
技能五輪・
アビリンピック推進室主幹(
全国大会)】
来年度の大会への課題としては、参加県として引き続き技能王国の名に恥じない優秀な成績をおさめるとともに、大会の主催者としては、大会の開催を通じて日本全体の技能の底上げに貢献していくことや、技能のすばらしさと障害者への理解、認識をより一層深めてもらうことと考える。このため、まず、参加県として、引き続き、中小企業や団体等に対する選手育成支援事業助成金や合同公開練習会等を通じて、大会を目指す選手の育成支援にしっかりと取り組んでいく。
また主催者として、小中学生に技能のすばらしさや障害者への理解、認識を深めてもらい、次代を担う人材の育成を図るため、市町村の教育長などへの協力要請をより積極的に行うなど市町村との連携を深め、より多くの小中学生の来場促進を働きかける。
また、今大会以上に多くの人に来場してもらい技能の重要性を理解してもらうため、来年度の開催に向けても、市町村広報、電車の中吊り広告、SNSやホームページの活用など、より多くの情報発信に努め、広く大会の周知を図る。
さらに、選手団の努力や進歩をたたえ、さらなる奮起を促すことにより技能の底上げに貢献していくため、新たに本年より大幅に成績を向上させた選手団をたたえる特別賞を創設し、本県のみならず各都道府県の選手たちの成績向上を図ることで日本全体の技能の底上げにつなげていきたい。今大会の関係者等の意見を聞きながら、2年連続で開催する来年度の大会をさらに進化させるよう取り組んでいく。
22: 【
犬飼明佳委員】
今大会の大きな特徴の一つが、全国初となる
技能五輪とアビリンピックの同一会場での開催である。垣根のない会場づくりが非常によかった。多くの来場者がアビリンピックを観戦して、ひたむきに取り組む選手へエールを送ったと思う。
アビリンピック開催による障害者雇用への理解促進についてどのように取り組んでいくのか。
23: 【
技能五輪・
アビリンピック推進室主幹(
全国大会)】
今回のアビリンピックでは、
技能五輪のメイン会場と同じアイチ・スカイ・エキスポで同時期に開催したことにより、これまでの大会では特定の人たちにしか見てもらえなかった競技を多くの人が見ることができた。これにより、障害者の高い技能水準や技能日本一に向けてひたむきに頑張る姿を目の当たりにして、障害者に対する意識と障害者雇用に対する理解の向上につながった。
また、アビリンピックと同時に開催された障害者ワークフェアにおいても、139社・団体が出展しており、その中には実際に障害者を雇用している企業、その好事例の紹介、就労支援への取り組み紹介などが展示されている。多くの人が障害者雇用への関連知識を深めた。
さらに、特別支援学校の生徒15人が活躍した学生競技解説ガイドについても、事前に企業訪問等を行い、指導を受けたことにより、学校にとっても企業との新たな交流が生まれ、今後の生徒の就職に向けてよいきっかけづくりができたと聞いている。
技能五輪全国大会と同時開催する来年度の大会においても、障害者に対する意識の向上と障害者雇用に対する理解促進に向けて、取り組みをしっかりと進める。
24: 【
犬飼明佳委員】
この大会を一過性のものにするのではなく、大会を通じていかに人材を育成していくか、各業界の裾野を広げていくかが重要である。人材不足や後継者問題を抱える業種、そして、業界団体や中小企業、また、学校等への人材育成のさらなる支援や継続した支援をこれからもしっかりと取り組んでほしい。
25: 【藤原宏樹委員】
国もインバウンドに力を入れており、本県でも2020年に外国人来県者数400万人という大きな目標値を掲げ、それぞれの取り組みを行っている。
外国人観光客だけでなく本県に対する国内全体の観光客に向けての情報発信について伺う。
本県は、平成27年度より、一般社団法人愛知県観光協会と連携して公式観光情報ウエブサイトAichi Now及びSNSを活用して多言語で情報発信を実施している。このウエブサイトを見ると、花見、花火、お祭りなど季節の旬の特集を初めとして、歴史や武将関係の施設、産業観光など、幅広く情報提供を実施していることがわかる。
また、多言語の対応についても、英語、中国語、韓国語、タイ語で行われている。
この平成27年度より展開をしているAichi Nowの閲覧者数、また、5年間での閲覧数は増加しているのか伺う。
26: 【
国際観光コンベンション課主幹(
イベント・
国際観光)】
Aichi Now開設以来、ページビュー数は毎年順調に増加しており、観光情報発信媒体として認知度が上がってきている。4月のページビュー数で比較すると、2017年は40万ビューであったが、昨年は倍の80万ビュー、本年は100万ビューとなっている。
27: 【藤原宏樹委員】
このAichi NowやSNSを活用して多言語での情報発信が行われているが、利用者にとって使い勝手がよく有益な内容としていくことが重要である。
利用者に高い関心を持ってもらうための工夫や情報発信の取り組みで新たな観光スポットやこれまで気づかなかったような魅力を発信する仕組みについて伺う。
28: 【
国際観光コンベンション課主幹(
イベント・
国際観光)】
Aichi Nowでは、利用者の関心が高いと思われる季節ごとの旬の特集記事や
イベント情報などを掲載している。また、SNSでの情報発信が効果的であるため、英語圏や台湾、香港などへはフェイスブックやツイッターを活用し、また、中国へはウェイボー及びウィーチャットを活用するなど、国や地域別に効果的な媒体での情報発信を行っている。
新たな観光スポットの魅力発信については、外国人の反応がよかったコンテンツを分析し、海外プロモーションに活用している。例えば、国府宮はだか祭は外国からのアクセスが多いことから、現地の旅行博覧会などにおいても積極的にPRしている。
また、徳川家康と服部半蔵忍者隊の英語版動画を制作しウエブサイトに掲載したところ、アクセスが大変多くあった。忍者に対する外国人からの関心の高さを確認する機会となり、海外プロモーションでの忍者隊の活用が有効であると改めて認識できた。
今後も、引き続きウエブサイトへのアクセスやSNSへの反応の分析に努め、外国人旅行者の誘客施策に活用したい。
29: 【藤原宏樹委員】
国に合った対応、性別、年齢層などターゲットを絞った観光戦略も大変重要である。また、時代に合った取り組みも重要である。インスタ映えやインフルエンサーなどを視野に入れ取り組んでいくことが重要であるが、県の考えを伺う。
30: 【観光振興課主幹(企画・観光振興)】
最近では、インスタグラムを初めとするSNSの情報を参考に旅行先を決める傾向が高いとの調査結果も出ている。このため本県では、本年度からあいち観光資源ブランド力強化事業の中で、SNS上で多くのフォロワーを持っており消費活動に強い影響を与えるインフルエンサーと呼ばれる人たちを招請し、県内の人気のある観光施設等で体験や見学を行って、その様子を魅力の伝わる記事としてまとめ、インスタグラム上で情報発信する事業を始めた。
31: 【藤原宏樹委員】
Aichi Nowのビューが年々増加し、100万ビューを突破したとのことであるが、他県と比べてどのような評価をしているのか伺う。
32: 【
国際観光コンベンション課主幹(
イベント・
国際観光)】
日本各地、日本の各地域で独自性のある情報発信が行われているが、本県としては、特に現在、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなど時代のニーズに合った媒体での効果的な情報発信に努めている。
そうした中で、公益社団法人日本観光振興協会が実施した2018年観光関連サイト閲覧者数ランキングによると、Aichi Nowは、都道府県公式観光情報サイトのパソコンからの閲覧者数はランキングで第16位、スマートフォンからの閲覧者数は第5位となっており、スマートフォンからの閲覧者数が多くなっている。
33: 【藤原宏樹委員】
都道府県別の生産力は愛知県が東京都に次いで2番目となっており、東京都を意識しながら、本県の魅力も感じて観光に力を入れていかなくてはならない。来年度、外国人の観光客数400万人、全体の来県者数5,000万人を目標としているが、現状をどのように分析しているのか伺う。
34: 【観光振興課主幹(企画・観光振興)】
直近の昨年の来県者数は4,114万人で、8割強の達成率であり、あいち観光戦略の計画当初の2016年が3,817万人であったので、一定の数値の伸びはあるが、目標の5,000万人はまだ達成していない状況である。
35: 【藤原宏樹委員】
今後、来県者数5,000万人達成に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。
36: 【観光振興課主幹(企画・観光振興)】
目標の達成に向けては、本県の魅力をさらに高めるため、新たな観光資源の発掘や磨き上げ、効果的なプロモーションが必要である。このため本年度からレストランバスや星空観光などのナイト観光プログラムの開発の支援を行ったり、伝統工芸品である七宝焼や鳴海絞りなどの現地体験プログラムのプロモーションを支援したりする取り組みを開始した。また、来年度から愛知デスティネーションキャンペーンを通じて県内の観光関係者や交通事業者と築いたネットワークを継承、発展させる取り組みにより、観光資源の発掘、磨き上げを行っていく予定である。さらに、インターネットを通じた広報も、インスタグラムなどに加え、ネット動画の効果的な活用などデジタルマーケティングも強化することを検討する。
37: 【藤原宏樹委員】
2022年には、県の一大プロジェクトであるジブリパークが一部供用開始される予定である。今後、本県の観光は、今までの豊かな観光資源に加えて、世界から注目される施設が整備されることになり、国内からはもちろん、世界からも注目される観光地になれると信じている。
そこで、Aichi Nowを中心とした情報発信の
ツールが大きな役割を果たすことになる。ジブリパークが整備されてから慌てて情報発信を見直すのではなく、攻めの観光行政で取り組んでほしい。今後、来県者数7,000万人、8,000万人という目標が設定されるかもしれない。今の段階から3年後を見据え、強い発信力のある愛知を目指すことを強く要望する。
38: 【塚本 久委員】
愛知県にはあいちロボット産業クラスター推進協議会があり、会長には大村知事、会員数は503社・団体で、開発側130、利用側141、開発・利用側102、支援機関130である。その中には、製造・物流等分野ロボット導入実証ワーキンググループ、医療・介護等分野ロボット実用化ワーキンググループ、無人飛行ロボット活用ワーキンググループの三つのワーキンググループがある。
先日、県のドローンの取り組みに関する新聞報道があった。本年10月28日にドローンを使い南知多町で医療物資を配送する実証実験を行い、課題を検証し、来年度中にビジネスモデルの構築を目指しているとのことである。ドローンの技術を実社会で活用するため、県が本年度から始めたプロジェクトの一環で、名鉄グループドローン共同事業体が受託している。実験場所は篠島で、インスリンが緊急に必要になったと想定し、LTE通信を使った自動運行で幅約1.5メートルのドローンを3.5キロメートル離れた師崎港から海上50メートルを飛行した。約15分後に着陸し、配送した物資に問題はなく、今後、所要時間やコスト、安全性を検証しながら課題を抽出していくとしている。
ドローン物流を巡っては、第三者所有の土地の上空を飛行させるには許可が必要なことから、事業化が進んでいない現状がある。実験に参加した大同大学講師の橋口氏は「中身の損傷もなく、海を越えることができた。物流基盤が弱い地域の助けになるよう、早急に事業化に結び付けば」と期待のコメントをしていた。
その後、本年11月15日に豊田
市で廃線跡を利用した日用雑貨の配送、11月27日に新城
市で山間部過疎地域へのAEDの輸送という内容で実証実験が行われており、これまで、3地域で実証実験を行い、社会実装に向けたさまざまな課題を解決するための取り組みを行っているところである。
ドローンはさまざまな分野で幅広い活用が期待されている。
現在、既に活用されている分野もあるようだが、どのような形で活用されているのか。
39: 【次世代産業室長】
テレビ番組や観光PRのためのプロモーションビデオ等、多くの場面でドローンによる空撮映像が活用されている。
また、農業分野においても、従来、有人ヘリコプターやラジコンヘリで農薬散布等が行われているが、近年、機体の価格が安いことや操縦技術が容易であることから、ドローンの活用が進んでいる。さらに、測量の分野では大規模な土木工事における測量にドローンが活用され始めている。
なお、インフラの点検、例えば、目視による橋梁の点検など、ドローンで点検ができる技術開発が進んでおり、国でドローン活用に向けた検討が進められている。
40: 【塚本 久委員】
災害時の空撮や目視できないトンネル内でのドローンの活用は非常に有効である。一方、今後、人口が減少していく中でロボットを活用した取り組みは必要であるが、スピード感が大切である。
今後、新たなビジネスモデルを創出していくことが重要であると考えるが、ドローンの新たなビジネスモデルの実用化に向けて、県はどのような取り組みを行っているのか。
41: 【次世代産業室長】
県では、ドローンは無人飛行ロボットという位置づけであり、あいちロボット産業クラスター推進協議会の下部組織である無人飛行ロボット活用ワーキンググループにおいて、最新の技術動向や開発事例、また、法規制の動向などの情報を共有し、新たなビジネスモデルの実用化に向けてさまざまな取り組みを行っている。
まず、現在、知多
市の名古屋港南5区、西尾
市の矢作川浄化センター及び
長久手市の愛・地球博記念公園の3カ所を実証エリアとして、ドローンの開発や実証実験を希望する企業に提供している。提供開始が2015年7月からで、本年11月までに延べ65社、456回の研究や実証実験が行われている。
さらに、本年度から来年度にかけて近未来技術等社会実装事業として荷物輸送をテーマにした三つの実証実験を実施している。一つ目は、南知多町において師崎港から篠島までの3.5キロメートルについてインスリンを運ぶ想定、二つ目は、豊田
市において名鉄三河線の廃線跡を活用した日用品を配送する想定、三つ目は、新城
市において山間部過疎地域でAEDを輸送する想定で、それぞれ実証実験を行っている。
この3カ所の実証実験を通じて、実用化に向けた課題の抽出や整理を本年度行い、来年度に向けて新たなビジネスモデルを創出できるよう検討していきたい。
42: 【塚本 久委員】
ドローンが実用化されるのか大きな問題があると考える。ドローンが第三者所有の土地の上空を飛ぶ場合、許可が必要になるが、どのような対応をしているのか。
43: 【次世代産業室長】
民有地の上空を飛ぶ場合は、その民有地の所有者の許可が必要となるため、現在の実証実験は、第三者の許可が必要のない場所で行っている。
44: 【塚本 久委員】
このような開発や実証実験の支援を踏まえ、産業振興の観点から今後、県はどのように取り組んでいくのか。
45: 【次世代産業室長】
従来から実施している名古屋港南5区などの企業等に対する実証エリアの提供、本年度のようなさまざまなテーマによる実証実験の実施などの取り組みを引き続き実施していくことで、新たなビジネスモデルの創出を促進するとともに、これらの事例を無人飛行ロボット活用ワーキンググループなどにおいて広く情報発信していくことで、ドローンを活用した新たなビジネスに県内企業の参入を促していきたい。
また、今後は、地域課題に合わせたビジネスモデルが生まれることも考えられることから、県内の市町村との連携を強化し、県内各地域においてドローンの実証実験が可能な環境を順次整えていきたい。
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