海外との連携をうたっているが、海外にとって、愛知と連携するメリットは何か。ビジネスの世界ではメリットがないと成り立たないが、そこはどう考えているか。
8: 【
スタートアップ推進課主幹(
スタートアップ)】
本県は、自動車産業を初めとするものづくり産業分野において、世界有数の産業集積を有している。昨年10月に策定したAichi-Startup戦略において、本県ものづくり企業が保有する先端技術と
スタートアップ企業が保有する斬新なアイデアを融合させることにより、革新的サービスや新市場を生み出し、新たなイノベーションを創出する土壌形成を図るとしているが、海外の
スタートアップにとっても、本県のものづくり企業との事業連携は、新たな付加価値やビジネスチャンスを生むことにつながり、メリットが高いと考えている。
9: 【
森井元
志委員】
地元に受け入れられ、人材交流などを通じたにぎわいを創出するなどの貢献を行いつつ、
スタートアップの中核的支援拠点になることを期待しているが、支援拠点の重要な役割として、人材育成が挙げられる。そこで、支援拠点が子供たちにとって刺激的なものとなり、かつ、子供たちが利用できるようにすることは考えているのか。
10: 【
スタートアップ推進課主幹(
スタートアップ)】
スタートアップの創出には、起業家マインドの醸成、アントレプレナーシップ教育などの起業家の養成に向けた人材育成は不可欠である。大学を初めとする関係機関と連携し、こうした機能も展開できる施設としながら、子供向け施設見学会や起業体験講座の開催などの工夫を今後検討していきたい。
11: 【
森井元
志委員】
海外のベンチャー企業に肩を並べるような企業を育成していくという壮大なスケールを感じるので、しっかりと取り組んでほしい。また、将来につながるよう、子供たちの世代に刺激を与える施設にしてほしい。
12: 【
平松利英委員】
スタートアップ・エコシステムの形成に向け、県は昨年10月にAichi-Startup戦略を策定するとともに、
スタートアップの各展開段階に応じた各種ソフト事業に取り組んできた。また、ハード事業として、ステーションAiを整備する。
そこで、ステーションAiはどういった施設であるのか、また、県内全域にどういった成果をもたらすのか。
13: 【
スタートアップ推進課主幹(
スタートアップ)】
これまではソフト事業による
スタートアップ支援を行ってきたが、
スタートアップ・エコシステムの形成には、人的・技術的な交流の促進を初めとした
スタートアップに対する包括的な支援を提供することが必要である。その仕組みを提供する場として、ステーションAiを位置づけている。
ステーションAiでは、この地域で優秀な
スタートアップの創出・育成を図るとともに、世界から有力な
スタートアップ、優秀な人材を呼び込み、
スタートアップと
スタートアップ、または
スタートアップと県内のものづくり企業、大学、研究機関等との交流・連携により、新たな付加価値の創出を図っていく。
具体的には、ハード面として、シェアリングオフィスやコワーキングスペースを初めとしたオフィス機能、試作品作製が行えるラボ機能、研究開発機能、行政支援窓口、カフェ・レストラン、宿泊機能等を設置するとともに、ソフト面として、愛知県、パートナー企業、大学・研究機関による支援プログラムを実施していく。
ステーションAiがもたらす成果は、県内全域の企業、大学、研究機関に参画してもらうことにより、県内全域に広く普及させていきたい。また、ステーションAiとともに、各種参画機関が持つ技術・研究成果に係るテーマ・分野に特化したサテライト支援拠点を整備し、ステーションAiを中核とした全拠点のネットワーク化を図ることで、県内全体で
スタートアップコミュニティを醸成する構想も持っている。
14: 【
平松利英委員】
コワーキングスペースやインキュベート施設等、
スタートアップを支援するための施設は、民間事業者も取り組んでいるが、行政として取り組むのはなぜか。
15: 【
スタートアップ推進課長】
スタートアップ・エコシステムの形成における世界の先行事例を見ると、シリコンバレー、オースティン等を代表とする大学・研究機関を起点に
スタートアップ・エコシステムの形成が図られる大学・研究機関先導型、ベルリンを代表とする都市の魅力によりクリエイティブな人材が集積し、その多様な人材の交流・連携により形成される都市魅力先導型、シンガポール、中国を代表とする行政が主導して形成を図る国家・行政先導型の三つの類型があることが明らかになった。
自動車産業において100年に一度の大変革期を迎えている中、施策として新しい産業を起こしたいと考えており、県の積極的な関与により誘導していく行政主導型が有効であると判断した。
16: 【
坂田憲治委員】
本拠点と早期支援拠点の違いについて伺う。
17: 【
スタートアップ推進課長】
本拠点は、昭和区鶴舞に2021年度中にオープンする、ワンストップによる総合的な拠点である。早期支援拠点は、本拠点の整備が完了するまでの間、現在行っている
スタートアップキャンプ、アクセラレートプログラム、マッチングプログラムなどの
スタートアップ支援を集中的に展開する拠点である。民間施設を借りて来年1月を目途に開設したい。
本拠点ができるまでの間も、
スタートアップ・エコシステム形成に向けた取り組みをしっかりやっていきたい。
18: 《一般質問》
【
犬飼明佳委員】
就職氷河期世代への活躍支援は、支援対象者が高齢を迎える前に取り組むべき課題である。
そこで、就職氷河期世代におけるヤング・ジョブ・あいちの実績はどうなっているのか。また、平成29年度及び昨年度に実施した就職支援塾の実績はどうなっているのか。
19: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
ヤング・ジョブ・あいちの利用状況は、平成16年度の開設以降、リーマンショックにより急激に雇用環境が悪化した時期を除き、年間利用者数はおおむね5万人前後で推移しており、就職者数は、近年は6,500人前後となっている。
このうち、昨年度における、いわゆる就職氷河期世代におおむね該当する35歳から44歳までの人の実績は、利用者数が全体の約10パーセントで5,345人、就職者数が全体の約4パーセントで292人となっている。
就職支援塾は、事業を開始した平成28年度は35歳未満の若年求職者が支援の対象であったが、平成29年度及び昨年度については、対象を就職氷河期世代である45歳未満の非正規雇用労働者等まで拡大して実施した。
平成29年度は参加者146人のうち就職氷河期世代は28人、就職決定者45人のうち就職氷河期世代は1人であり、昨年度は参加者116人のうち就職氷河期世代は7人、就職決定者47人のうち就職氷河期世代はいなかった。
20: 【
犬飼明佳委員】
リーマンショック以降、ヤング・ジョブ・あいち全体の利用実績は当時と比べて下がっている。また、就職氷河期世代の正規雇用就職者数は4パーセントと厳しい状況が続いている。その中で、就職支援塾の非正規雇用者の参加人数も少ない上、就職実績はゼロと非常に厳しく残念な結果である。
そこで、就職支援塾の広報のあり方、支援メニュー等に問題がなかったか、事業の実施に当たりどのような課題があったと考えるか。
21: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
公共職業安定所(ハローワーク)と連携した求職者への告知や転職イベントでのチラシ配布に加え、民間就職情報サイトへの広告掲載を通じて参加者を募集したが、想定を下回る結果となった。これらの方法は、求職活動を積極的に行っている20歳代の人には一定の効果があったが、非正規雇用や派遣などで長く働き、正規雇用を半ば諦めた人のように、求職活動に消極的な人には届きにくかったと考えられる。
また、職場実習先を初めとする企業側は、中途採用に当たってはできる限り若い年齢層を希望する傾向が強いため、マッチングがうまくいかなかったと考えられる。
22: 【
犬飼明佳委員】
若年者に対する取り組みと就職氷河期世代に対する取り組みには違いがあると思う。どの世代をターゲットにし、どうアプローチするかも深く考えてほしい。また、支援企業の開拓も、従来のやり方ではなく、就職氷河期世代も念頭に置いて進める必要があると思う。
自力でなかなか就職できない人にとって、精神面でのサポート、特に臨床心理士によるカウンセリングは非常に重要である。そこで、あいち若者職業支援センターの相談の利用状況はどうなっているか。また、相談が平日だけだが、土曜日に相談を実施するなど、相談事業を拡充できないか。
23: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
県がヤング・ジョブ・あいちで運営するあいち若者職業支援センターでは、求職者本人及びその家族を対象に、キャリアコンサルタントや臨床心理士による相談を実施している。
あいち若者職業支援センターにおける相談の利用状況については、昨年度は2,176件で、このうち臨床心理士による相談件数は1,781件と全体の約8割となっている。臨床心理士による相談は、県職員1名を配置し、事前予約制により対応しており、現在の予約状況は、3週間から1カ月程度先まで予約済みとなっている。予約を受け付ける際には、相談内容に応じてキャリアコンサルタントによる相談も案内しているが、相談者の中にはリピーターも多く、ほかの相談員を希望しない状況がある。
あいち若者職業支援センターの相談事業の拡充については、建物を管理する愛知労働局からは、あいち若者職業支援センター単独での土曜日の開庁や、同じビルで第1・3土曜日に開庁しているハローワーク名古屋中のフロア内で相談事業を実施するのは難しいと聞いている。
また、ヤング・ジョブ・あいちにおける県と愛知労働局による一体的な支援という面を踏まえ、愛知新卒応援ハローワーク及び愛知わかものハローワークを運営する愛知労働局及びハローワーク名古屋中との調整も必要であり、引き続き相談していきたい。
24: 【
犬飼明佳委員】
平日は仕事があることも多いので、土曜日に窓口を開設することがこれからの時代ますます必要になってくると思う。また、年度内、または来年度に臨床心理士をふやし、相談窓口の拡充に取り組んでほしい。
本県は、厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プランに基づく都道府県プラットフォームを、全国に先立ってモデル的に実施する地域として厚生労働省から選定されたとのことである。そこで、本県における就職氷河期世代の支援対象者は何人か。また、あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームはどのような方向性で支援に取り組むのか。今後のスケジュールはどうなっているか。
25: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームは、不安定就労を余儀なくされている人や、長期間無業の状態にある人に対する就職・正社員化の実現に向けた取り組みを、官民が一体となって推進するための母体となるものと考えており、第1回の会合を本年10月9日に開催する。今後、これまでの取り組みにおける課題への対応について、構成団体から意見や要望をもらいながら、来年度から2022年度までの3年間の事業実施計画を本年度中に策定していきたい。
県内の支援対象者数については、厚生労働省の推計によると、不安定な就労状態にある人が約3万2,000人、長期間無業の状態にある人が約2万3,000人とされている。また、政府の骨太の方針では3年間で正社員を30万人ふやすことを目標に掲げていることから、事業実施計画にはこれらの数値を踏まえ、具体的な数値目標を盛り込む予定である。
26: 【
犬飼明佳委員】
ハローワークなどへ来所できない人に対して、地域の相談窓口との連携やアウトリーチ型支援、さらに自治体の福祉部局を中心としたひきこもりや自立支援との連携が必要だと思うが、どのように取り組むのか。
27: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
外出できない人などへの支援については、福祉、医療、就労の各分野の知見に基づく支援が不可欠であるとともに、各支援機関の緊密な連携により、福祉と就職を切れ目なくつなぎ、職場定着までの伴走型支援により、支援対象者の社会参加や就職を実現する必要がある。
本県がモデル地域に選定された厚生労働省就職氷河期活躍支援プランでは、不安定な就労状態にある人や長期間無業状態にある人の就職や正社員化の実現を目的とする県レベルのプラットフォームとは別に、社会参加に向けた支援を必要とする人への支援を目的とする市町村レベルのプラットフォームを構築する。この市町村レベルのプラットフォームでは、ひきこもりの状態にある人や、生活困窮に陥っている人など、就労の前段階となる社会参加に向けた支援に取り組むため、自立相談支援機関、就労準備支援機関のほか、地域若者サポートステーションやハローワーク、地域の経済団体と連携を図る。
今回設立するあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームでは、福祉局や保健医療局とともに、市町村レベルのプラットフォームの取り組みと連携して対応していきたい。
28: 【
犬飼明佳委員】
今後、正規雇用者数の増加目標等が策定されていくと思うが、実効力の高い策となることを要望する。そして、目標の達成に向けて、切れ目のない、きめ細かな伴走型の支援を行うために、支援体制・相談体制を充実していかなければならない。愛知県が全国のモデルであるため、各機関の支援・相談が切れ目のないように、連携を強化していくことを要望する。
29: 【嶋口忠弘委員】
人手不足対策について伺う。あいちビジョン2020の策定から5年が経過するが、ビジョン策定以降、本県においては、就業者数が大きく増加している一方で日本人の人口は前年から減少しており、東京一極集中に歯どめがかかっていないとも言われている。また、AI、IoT等、技術の進展に伴う第4次産業革命の到来や、訪日外国人の旅行者の急増など、社会経済環境にはさまざまな変化が見られている。
そこで、あいちUIJターン支援センターの運用状況、実績、成果及び今後の取り組みの方向性を伺う。
30: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
県外からのUIJターン就職を支援する拠点として、平成29年度に東京都と名古屋市にあいちUIJターン支援センターを設置した。センターでは、求人情報を提供する県内企業と、センターに登録したUIJターン希望者とのマッチングを支援している。
昨年度は東京圏や関西圏の大学や短期大学を168校訪問し、民間就職イベントに7回参加するなど、UIJターン希望者の掘り起こしを図った。新規登録求職者は420人、昨年度3月末時点の登録求職者の累計は
928人であった。
登録求職者のうち就職に結びついた人は昨年度は53人、本年度は9月末現在で26人である。
県内企業における人手不足の解消に向けて、県内のみならず県外からも人材を確保するためには、より多くの求職者にセンターを利用してもらい、県内企業への就職に結びつけていくことが重要である。
今後、センターのさらなる利用促進を図るため、大学の就職支援窓口を通じて、就職内定をもらえなかった大学4年生を中心にアプローチを強化するとともに、県内企業に対しては引き続き求人の開拓をしっかり取り組んでいく。
31: 【嶋口忠弘委員】
県内中小企業の求人情報を掲載しているマッチングサイトの活用状況について伺う。
32: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
マッチングサイトは、あいちUIJターン支援センターのホームページの一部を改修して、本年6月1日から運用を開始している。
マッチングサイト部分のアクセス数は、集計する機能がないため不明であるが、あいちUIJターン支援センターのトップページへのアクセス数は、マッチングサイトの運用を開始する前の本年4月及び5月のアクセス数は1日平均で約50件だったが、運用開始後の6月から9月までのアクセス数は1日平均で約120件と増加している。
33: 【嶋口忠弘委員】
移住支援金は、東京23区で5年以上就業または在住し、移住後1年以内にマッチングサイトの求人情報に応じて就職した人に、一世帯最大100万円を上限として支給されると聞いている。愛知県内では50市町村が移住支援金の制度を始めているが、現在の支給状況について伺う。
34: 【
就業促進課主幹(
地域雇用対策)】
移住者は、本年6月1日に運用を開始したマッチングサイトに掲載された求人に応募・就職し、3カ月在籍した後に支給申請することができる。このため、9月末現在では申請及び支給実績はない。
今後、県内企業と東京圏の求職者のマッチングを促進するために、引き続きダイレクトメールなどにより企業に対して求人情報の掲載を働きかけるとともに、UIJターン希望者に対しては、民間就職情報サイトにおける広告掲載をふやすなど、移住支援金の周知に一層取り組んでいく。
35: 【嶋口忠弘委員】
多様な人材を確保するためにも、粘り強く取り組んでほしい。
36: 【藤原宏樹委員】
東三河地域の産業振興について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか。
37: 【産業振興課主幹(地域産業)】
東三河県庁では、農業の一大産地という地域の特色を生かし、東三河振興ビジョンに基づき農商工連携を積極的に推進しており、豊富な農林水産資源を活用した新たな商品開発とその販路拡大に向けた取り組みへの支援を行っている。
新たな商品開発への支援として、農商工連携により開発されるスイーツやパン等の新商品の試作品を一堂に集めて、全国的な著名人や地域の食文化研究家等の専門家から評価、助言を受ける試作品評会を開催し、商品力、市場競争力の向上を図っている。
また、販路拡大の支援として、金融機関等が実施する展示会等に東三河総局としてブースを設置し、農商工連携で開発された商品の展示を事業者とともに行い、商品の知名度の向上やバイヤーとの取引のきっかけづくりを行っている。
そのほか、地元飲食店と協力して特産品を使用したメニュー開発を行い、一定期間、一般客に提供した。
38: 【藤原宏樹委員】
東三河地域のさらなる産業振興を図るため、本年度、新たにどのような取り組みを行っているのか。
39: 【産業振興課主幹(地域産業)】
産学官が連携した名産品開発ワーキンググループを本年8月に設置し、愛知大学の学生や地元企業等の協力のもと、名産品の開発を行っていく。豚コレラにより悪影響を受けている地元養豚業者を応援し、産業振興につなげるために、豚肉を使用して新商品開発を行う。
また、特産品の消費拡大と販路拡大の取り組みの一環として、キッチンカー事業者と協力して、特産品を活用したコラボメニューを開発し、道の駅などで販売会を行う。
さらに、地元企業と高校生とのマッチングを行い、若者のアイデアを活用することにより地元企業の産業力強化につなげていきたい。今後、県立三谷水産高等学校初め3校の高校生が企業とともに商品開発に取り組む予定である。
40: 【藤原宏樹委員】