愛知県議会 2019-09-01
令和元年9月定例会(第2号) 本文
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ウィンドウで開きます) 令和元年9月定例会(第2号) 本文 2019-09-26 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 : ◯議長(
神野博史君) 選択 2 : ◯議長(
神野博史君) 選択 3 : ◯議長(
神野博史君) 選択 4 : ◯議長(
神野博史君) 選択 5 : ◯議長(
神野博史君) 選択 6 :
◯公安委員(小笠原剛君) 選択 7 : ◯議長(
神野博史君) 選択 8 : ◯八十四番(伊藤辰夫君) 選択 9 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 10 :
◯警察本部長(
後藤和宏君) 選択 11 : ◯四十番(
寺西むつみ君) 選択 12 : ◯議長(
神野博史君) 選択 13 : ◯議長(
神野博史君) 選択 14 : ◯議長(
神野博史君) 選択 15 : ◯五十八番(西久保ながし君) 選択 16 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 17 :
◯教育長(長谷川洋君) 選択 18 : ◯議長(
神野博史君) 選択 19 : ◯五十二番(市川英男君) 選択 20 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 21 :
◯警察本部長(
後藤和宏君) 選択 22 :
◯教育長(長谷川洋君) 選択 23 : ◯四十一番(田中泰彦君) 選択 24 : ◯議長(
神野博史君) 選択 25 : ◯議長(
神野博史君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午前十時開議
◯議長(
神野博史君) 皆さん、おはようございます。
ただいまから会議を開きます。
この際、申し上げます。
本日九月二十六日は、当地方に甚大な被害をもたらしました伊勢湾台風から六十年目に当たります。
あの悲惨な災害の記憶を風化させることなく、伊勢湾台風で亡くなられた方々の御冥福を祈って、黙祷をささげたいと思います。御起立願います。
〔全員起立〕
2: ◯議長(
神野博史君) 黙祷。
〔黙 祷〕
3: ◯議長(
神野博史君) 黙祷を終わります。御着席願います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
4: ◯議長(
神野博史君) それでは、直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
公安委員就任挨拶
5: ◯議長(
神野博史君) この際、さきに公安委員に就任されました小笠原剛公安委員から挨拶があります。
小笠原剛公安委員。
〔公安委員小笠原剛君登壇〕
6:
◯公安委員(小笠原剛君) 七月二十一日付で公安委員に就任をいたしました小笠原剛でございます。
公安委員会制度を十分理解し、職務に励みたいと思いますので、皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう心よりよろしくお願い申し上げます。
簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 一般質問並びに第百八号議案令和元年度愛知
県一般会計補正予算から第百三十四号議案教育
委員会の委員の選任についてまで及び決算第一
号平成三十年度愛知県一般会計歳入歳出決算か
ら決算第十七号平成三十年度愛知県用地造成事
業会計決算まで
7: ◯議長(
神野博史君) 次に、第百八号議案令和元年度愛知県一般会計補正予算から第百三十四号議案教育委員会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成三十年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十七号平成三十年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。
なお、第百十三号議案地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第一項の規定に基づく職務権限の特例に関する条例の一部改正について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第二項の規定により教育委員会の意見を徴しましたところ、異議ない旨の回答を、また、第百十七号議案職員等の旅費に関する条例等の一部改正について及び第百十八号議案非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例等の一部改正について、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、いずれも妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
これより、一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。
通告により質問を許可します。
伊藤辰夫議員。
〔八十四番伊藤辰夫君登壇〕(拍手)
8: ◯八十四番(伊藤辰夫君) それでは、自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、県政の諸問題について順次質問をしてまいります。
まず、質問に入ります前に、ことしは私の地元、名古屋
市南区でも多くの犠牲者を出しました伊勢湾台風から六十年目の節目の年に当たります。
改めて追悼の意を表しますとともに、今を生きる者として、災害の教訓を次の世代に伝え、災害に屈することのない安全・安心な県土をつくっていく責任を強く感じるところであります。
一方、最近では、去る八月に九州北部を中心に発生した豪雨被害に引き続き、今月九日に千葉
市付近に上陸した台風十五号が多くの地点で観測史上最大の暴風となり、人的・物的被害の発生はもとより、大規模な停電により市民生活に大きな混乱をもたらしました。
被災された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地域の一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
それでは、県政の諸問題について、順次質問をいたします。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
まず、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
先般、内閣府が発表した本年四月から六月期の実質の国内総生産は、海外経済の減速等から外需が成長率を押し下げたものの、個人消費と公共投資が堅調に増加したことにより、前期比〇・三%増、年率換算では一・三%の増となり、内需を中心とした緩やかな回復を示す結果でありました。
一方で、海外経済の減速を受けて、企業収益は減益基調となっており、全国の上場企業の本年四月から六月期の連結経常利益は、全産業ベースで前年同期比五%の減、製造業に限れば、二八%もの大幅な減となっております。
このように、我が国の景気は輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復をしており、先行きにつきましても、雇用・所得環境の改善が続く中で、回復が続くことが期待されております。
しかしながら、米中貿易摩擦のさらなる激化や円高の進行が我が国の経済に与える影響も懸念されるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
このような景気情勢等を踏まえ、本年度及び来年度の県税収入について、どのような見通しをされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、今後の財政運営についてお伺いいたします。
本県の財政は、依然として単年度の歳入だけで歳出を賄うことができない状況が続いており、本年度当初予算においても、この収支不足に対応するため、千百七十六億円の基金の取り崩しを計上して編成されたところであります。
来年度に向けては、本年度内に可能な限りの財源を確保し、基金を回復して、来る当初予算の編成に対応していくことが求められておりますが、平成三十年度決算における実質収支や本年度の地方交付税等の決定状況からは、財源確保の状況はいまだ十分なものとは言えません。
そうした中にあっても、IoT、AI等による産業構造の変化を捉えた次世代産業の育成、振興や、愛知の未来を切り開くためのさまざまなプロジェクトを積極果敢に展開するとともに、福祉、教育など県民の暮らしに直結する事業や、防災・減災対策など県民の安全・安心を確保する事業についても、着実に進めていかなければなりません。
こうした施策を円滑かつ持続可能な形で進めていくため、健全な財政基盤を確保することは、ますます重要になってくると思われます。
県はこれまでも、臨時的、緊急避難的措置である基金からの繰入運用の解消や、通常の県債残高の抑制など、財政健全化に向けて着実に歩みを進めてきましたが、当初予算における収支不足は依然として多額であります。
今後は、時代の変化に対応した積極的な政策展開と財政健全化の歩みをとどまることなく両立して取り組んでいくことが求められます。
そこでお尋ねをいたします。
来年度にかけての財政状況をどのように認識され、今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、次期行革大綱の策定についてお伺いいたします。
二〇二〇年度からの次期行革大綱につきましては、去る九月十二日に中間取りまとめが公表され、十二月の策定に向けて作業が進められております。
厳しい財政状況が続く中、人材、資産等の限られた経営資源を活用しながら、いかに県政を取り巻くさまざまな環境変化に対応していくかが重要であります。
そのため、我が党県議団から八月二十六日に提出いたしました県の重点施策に関する要望では、職員の負担増加にも配慮しながら、県の持つ限られた経営資源を最大限に活用する取り組みを一層強力かつ速やかに進めていくとともに、次期行革大綱を策定し、不断の行財政改革に取り組むことを要望したところであります。
こうした中、中間取りまとめにおいては、改革の視点として三つのS、すなわちスマート、スピーディー、サステーナブルを設定し、これらの視点に基づく取り組みにより環境変化に的確に対応していく方針が打ち出されました。
このうち、スマートの視点は、人材の育成や効果的な人員配置に取り組みながら、県の持つ限られた経営資源をこれまで以上に効率的に活用していこうとするものであり、我が党が主張してきた考えに合致するものであります。
また、スピーディーの視点は、大変わかりやすいものと評価しております。急速な少子・高齢化やグローバル化といった社会経済情勢のスピードに行政もしっかりとキャッチアップしていく必要がありますので、スピーディーに政策課題に取り組む視点は、今後、一層重要になってくるものと考えます。
さらに、サステーナブルの視点につきましても、変化への対応はもとより、変化を受けてもびくともしない安定的な行財政運営が変わらず重要であるということは言うまでもありません。
このように設定された三つの改革の視点は、現行のしなやか県庁創造プランの改革の視点である、県の持てる経営資源をフルに活用、民間、地域の総力を結集、たゆまぬ見直しで持続可能な財政運営をさらに前進させたものと言えるのではないでしょうか。しなやか県庁創造プランが順調に進捗する中で、次の時代に進むに当たり、よりふさわしい視点とされたものとお見受けいたします。
そこでお尋ねをいたします。
次期行革大綱の中間取りまとめにおける三つの改革の視点について、どのような考えで設定されたのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、活力と魅力あふれる愛知の実現についてであります。
まず、アジア競技大会の開催に向けた取り組みについてお伺いいたします。
去る九月二十三日に豊田スタジアムにおいてラグビーワールドカップの試合が行われ、強豪のウェールズとジョージアの熱戦が繰り広げられました。このような世界レベルの試合が本県で開催されたことを、愛知県民として誇りに思います。
国際的なスポーツ大会の持つ強力な集客力と情報発信力、地域経済への効果など、改めて感じたところでありますが、この勢いがぜひ来年の東京オリンピック・パラリンピック、そして二〇二六年の第二十回アジア競技大会につながることを期待します。
アジア競技大会については、ことしの五月に組織委員会が立ち上がり、開催に向けた準備が本格的にスタートいたしました。
その一環として、今月初めには大会の公式SNSを開設し、大会の魅力や大会関連イベントの案内など、さまざまな情報を随時発信するとともに、来月には大会のエンブレムデザインの募集も始まります。
また、大会の方向性と基本的枠組みを示した大会開催基本計画の案もでき上がり、十一月には主催者であるアジア・オリンピック評議会(OCA)へ提出されると伺っております。
今後はこの基本計画に沿って、具体的で実効性のある個別の計画をつくり、それを着実に実施することが必要になってまいります。
さらに、計画づくりとあわせて、今後重要となってくるのが大会の開催機運の盛り上げであり、地元が一丸となって取り組んでいかなければなりません。
先週の二十一日には、名城大学ナゴヤドーム前キャンパスにおいて、第二十回アジア競技大会キックオフフォーラムが開催され、競技体験等を通じた大会のPRがされておりました。
このほかにもさまざまなイベントを通じて、大会のPRを行っているとは思いますが、今後は県内だけではなく、国内全体やアジア全域に向けても周知を図り、機運を盛り上げていくことが大切であります。
そこでお尋ねをいたします。
アジア競技大会の大会開催基本計画の推進に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、また、大会の開催機運を盛り上げていくため、どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいち技能五輪・アビリンピック二〇一九についてお伺いをいたします。
いよいよ十一月十五日から、あいち技能五輪・アビリンピック二〇一九が開催されます。メーン会場は八月三十日に開業しましたアイチ・スカイ・エキスポであり、ここでは、技能五輪全国大会と全国アビリンピックの合計六十五競技中五十五競技が行われます。これだけの規模の競技が同時に同一会場で開催されることは、史上初とのことであります。
日本で有数の展示面積を誇るこの施設において、全国から選手や見学者をお迎えするべく、開催準備が進められておりますが、改めて今回の愛知での開催の意義について、三点ほど触れたいと思います。
一つ目は、競技を一つの会場で同じ日に集約して実施することによる効果であります。
これまで技能五輪全国大会と全国アビリンピックは、二〇一四年のあいち大会も含め、多くの場合、大会日程を一週間程度ずらして、会場も分散して開催しておりました。
今大会では、アイチ・スカイ・エキスポに五十五競技を集約して実施することにより、多様な選手、関係者の交流を生み出すとともに、見学者が一度に数多くの競技に触れることができ、技能のとうとさと障害者への理解を深めるまたとない機会になると考えます。
二つ目は、ことし、来年と二年連続で大会を開催することによる効果であります。
日本一の物づくり県である本県が技能尊重の機運の醸成や産業人材の育成についても日本全体をリードしていくべきであり、この大会を二年連続で開催することによって、本県における産業人材育成の取り組み強化を図るとともに、それを全国へ発信する絶好の機会となります。
三つ目は、アイチ・スカイ・エキスポにおける大規模イベントの開催能力の発信であります。
アイチ・スカイ・エキスポを全館利用して行うイベントは、今大会が初となるとお聞きをしております。アイチ・スカイ・エキスポは国内最新の施設であり、今大会は同施設の利便性を全国に示す貴重な機会となると考えております。
そこでお尋ねをいたします。
あいち技能五輪・アビリンピック二〇一九の開催を約二カ月後に控え、大会の主催者として、また、参加県の一つとして、どのように取り組んでおられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいちの花の需要拡大についてお伺いいたします。
現在、中国・北京
市において、国際園芸博覧会が開催されており、その中の日本展示館において、今月十四日からあす二十七日まで本県が展示を行っております。日本展示館は身動きがとれないほどの大盛況であったと伺っており、本県のすばらしい花をPRできたと思います。
さて、愛知県の花は一九六二年以降、五十六年間連続して全国一の生産を誇り、二〇一七年の産出額は五百五十七億円と、第二位の千葉県の約三倍と大きく引き離しており、まさに本県は花の王国であります。
本県の花の生産の特徴は、作付面積の九割以上が施設栽培で行われ、一年を通じて安定的な出荷が行われているという点であります。また、県内全域で生産がされており、菊、バラ、洋ラン、観葉植物など、全国第一位の品目が多数あります。
しかしながら、産出額の推移を見てみますと、一九九八年の七百六十三億円をピークに減少しており、二〇一一年を底にやや持ち直したものの、現在ではピーク時の約七割にとどまっております。
その要因としましては、担い手不足と高齢化による生産量の減少、輸入切り花の増加、スーパーやホームセンターにおける低価格競争等による国内単価の下落が挙げられます。
こうした中、県は生産面の取り組みとして、国の産地パワーアップ事業や、県が独自に創設したあいち型産地パワーアップ事業等を活用し、生産施設への整備の支援を進めるとともに、あいち型植物工場の推進により、生産技術の高度化に取り組んでおります。
しかし、消費面においては、一世帯当たりの切り花の年間購入金額は全国的に減少しており、特に若年層ほど購入金額が低いことから、国内における花の消費の減少が懸念されております。
今後、花の王国あいちを維持、発展していくためには、生産力の強化はもとより、需要の拡大に特にしっかりと取り組んでいくことが必要であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
あいちの花の需要拡大について、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいちトリエンナーレ二〇一九についてお伺いいたします。
四回目となる国際芸術祭、あいちトリエンナーレ二〇一九が情の時代をテーマに掲げ、去る八月一日に開幕しましたが、企画展の一つであります表現の不自由展・その後が、開幕前日の内覧会からその内容に対する抗議が殺到したことなどにより、開幕わずか三日で中止となりました。本来、来場される皆様方に楽しんでごらんいただくべき芸術祭でこうした問題が起きたことは、まことに残念でなりません。
これまで他の公立美術館等で展示中止や不許可となった作品を集め、その理由とともに展示し、表現の自由、不自由について議論する場をつくるとの趣旨から、ある程度の抗議は事前に想定されていたと思います。
しかし、開幕以降、会場となる愛知芸術文化センターや県庁への抗議にとどまらず、県内の小中学校や保育園、幼稚園といった安全・安心が最優先にされるべき教育現場にもガソリンをまくとのメールが届くなど、結果的に県民の皆様に大きな不安を与えてしまったことは、大変遺憾に思うところであります。
また、その展示内容についても、不快感を示す声が多く寄せられており、表現の不自由展・その後に関する企画・準備段階から一連の経過について、詳細な検証が必要であります。
我が党といたしましては、県が行う文化芸術振興施策の柱として二〇一〇年に始まり、四回目を迎えたトリエンナーレが大きな混乱を招いたことを深刻に受けとめ、芸術活動への公金を使った支援のあり方、危機管理体制のあり方等について幅広く検証を行い、その方向性を示す必要性があると考えます。
こうした中、県では先月、第三者委員会であるあいちトリエンナーレのあり方検証委員会を設置し、今回の騒動に係る一連の経過を整理し、課題の抽出をされると伺っております。しっかりと検証を行っていただきたいと切に願うものであります。
そこでお尋ねをいたします。
あいちトリエンナーレ二〇一九について、これまでに出された検証委員会の中間報告や九月二十一日に開催された国内フォーラムにおける意見等を踏まえ、今期末に向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。
まず、スタートアップ支援についてお伺いいたします。
本県の主力産業である自動車産業においては、電動化や自動運転の実用化が急速に進むなど、百年に一度の大変革期を迎えております。また、AIやIoT等のデジタル技術の飛躍的な進化がそのほかの産業にも大きな変革をもたらし、社会のあり方そのものを根底から変えていくことが予想されます。
こうした産業、社会の変革への対応については、企業に委ねるのではなく、行政を初め、地域全体で取り組むことが肝要であると考えます。
こうした歴史的な転換期にあって、本県産業が今後も持続的な成長を遂げ、日本のみならず世界の産業、経済をリードしていくためには、斬新なビジネスモデルや最先端技術の導入によりイノベーションを引き起こし、成長のための知見やノウハウを蓄積、拡張させていくことが不可欠であります。
そのイノベーション創出の主要な担い手として、新たなビジネスモデルや技術を用い、短期間で急成長を目指すスタートアップが注目されております。
我が国では、メルカリや楽天といった会社がかつてスタートアップとして注目を集めました。また、当地域からもトレーニング器具、シックスパッドで有名なMTGが新規株式公開を果たしたほか、AIによる最適配送ルートサービスを提供するオプティマインドを初めとした大学発スタートアップも生まれております。
こうしたスタートアップの活躍を起爆剤として、本県でスタートアップ・エコシステムの形成を目指すAichi─Startup戦略が昨年十月に策定されました。この戦略に基づき、地域の大学、経済団体、行政等の関係者が一丸となって、起業の成長段階に応じた各種支援を実施しております。
また、本県におきましても、スタートアップ支援の世界的な先進地にあるテキサス大学オースティン校と連携した支援プログラムを提供するなど、さまざまな支援策を実施しているところでありますが、社会経済の劇的な環境変化に対応していくためには、さらに取り組みを推し進め、この地域にスタートアップ支援の中核的な拠点を設置するなど、支援を加速、拡充していく必要があると考えております。
そこでお尋ねをいたします。
スタートアップ支援拠点、ステーションAiの整備に至った経緯と今後の展開について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、リニアインパクトを生かす広域幹線道路ネットワークの整備についてお伺いいたします。
本県を含む中京圏は、国土の中心に位置する恵まれた地理的条件に加え、東名・名神高速道路など広域交通ネットワークの整備等を背景に、日本一の産業集積を誇る世界でも有数の産業圏域として発展してきました。
さらに、二〇二七年度にはリニア中央新幹線の東京─名古屋間の開業が予定されていることから、首都圏との交流が大幅に拡大することによって、これまで関係の弱かった地域との交流可能性が大きく高まるものと期待しております。
こうした中、本県はこのインパクトを生かし、国内外から人、物、金、情報が集まり、活発な活動が展開される中京大都市圏の実現を目指していくこととしております。
この実現には、圏域内の結びつきをさらに強め、後背圏の拡大を図るとともに、物流・交流拠点へのアクセスを多重化することが重要であり、そのためにも名古屋都市圏の環状道路や放射状の広域幹線道路ネットワークの整備が急務であります。
現在、環状道路としては、国際産業戦略港湾の実現に向けて取り組んでおります、名古屋港への重要なアクセス道路ともなる、名古屋環状二号線の整備が進められております。
さらに、放射状の道路としては、国際拠点空港である中部国際空港と名古屋高速道路を経由して名古屋駅を結ぶ西知多道路の整備や、岐阜方面との交流・連携強化に資する名岐道路の計画が進められております。
こうした広域幹線道路ネットワークの整備とともに重要なのが名古屋駅と名古屋高速道路の接続であります。
しかしながら、現状では、名古屋駅最寄りの錦橋出口は慢性的な渋滞が発生している上に名古屋駅と逆の方向を向いており、また、笹島方面から名駅入り口を利用するには細い一方通行の道を通らざるを得ないなど、名古屋駅と名古屋高速道路の連絡がよいとは言えない状況となっております。
また、名古屋高速道路は利用台数が年々増加傾向にありますが、都心環状線の渋滞も同様に増加傾向にあることから、リニア開業後に想定される利用台数の増加によってさらに渋滞が悪化することが懸念されます。
そこでお尋ねをいたします。
リニアインパクトを生かす広域幹線道路ネットワークの整備について、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、G20愛知・名古屋外務大臣会合についてお伺いをいたします。
去る六月二十八日、二十九日に、G20大阪サミットが開催されました。日本が議長国を務めたこのサミットでは大阪首脳宣言が採択され、自由、公正、無差別な貿易体制の維持、発展の重要性など諸問題について、G20が一致して力強いメッセージを発信いたしました。
また、このサミットに関連して開催される八つの関係閣僚会合のうち、既に五つが滞りなく開催され、閉幕しております。
そうした中、いよいよ十一月二十二日、二十三日に、本県において外務大臣会合が開催されます。八つの関係閣僚の会合の最後を締めくくる大変重要な会合であり、世界の主要二十カ国のほか、招待国等を合わせて合計三十程度の国、地域等の外務大臣、政府関係者が一堂に会するとともに、国内外から多数のメディアが集まる大規模な会合であります。
この会合の開催まで残り二カ月ほどとなりました。その成功に向け、来訪される方々の受け入れに万全を期すなど、地元が一丸となって取り組みを進めていかなければなりません。
また、この会合を機に多くの方々に愛知を訪問していただくことは、この地域に親しんでいただく絶好の機会となりますので、このチャンスを最大限に活用して、愛知・名古屋の多彩な魅力を世界に向けて、ぜひ積極的に発信していただきたいと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
G20愛知・名古屋外務大臣会合の成功に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、次代を担う人づくりについてであります。
まず、特別支援教育の充実についてお伺いをいたします。
大村知事は、全ての人が輝く愛知を目指して、これまで特別支援教育の充実にスピード感を持って、積極的に取り組んでこられました。中でも、これまで懸案であった知的障害特別支援学校の教室不足の解消に向けた新設整備や、長時間通学の解消に向けたスクールバスの増車、分校、分教室の設置等の取り組みについては、大村知事のリーダーシップが遺憾なく発揮されたものと高く評価しているところであります。
さきの六月定例議会では、我が党の山本浩史総務会長の代表質問において、渥美半島先端地域からの長時間通学の課題について、知事からできるだけ早期にこの渥美半島先端地域を含む田原市内において、特別支援学校の高等部に相当する教育が可能となるよう整備を進めてまいりたいと前向きな御答弁がありました。
このような特別支援学校における長時間通学の解消の取り組みについてでありますが、現在、県立の聾学校は名古屋市内に二校、一宮
市、岡崎
市、豊橋
市にそれぞれ一校と、合わせて五校設置されておりますが、通学区域が広域に及んでいるのが実情であります。私の地元に近い知多地域に住む聴覚障害のある子供たちは、一宮聾学校まで通学していると伺いました。
聴覚障害のある子供たちにとっては、言語や社会性を早期に獲得するため、幼児期からの専門的な聴覚障害教育が大切であると聞いております。
こうした専門的な教育を受けるために知多地域から一宮聾学校に通う幼稚部、小学部の幼児、児童は、自力通学や寄宿舎の利用が難しいため、保護者の送迎が不可欠であり、自家用車あるいは公共交通機関で、保護者と一緒に長い時間をかけて通学している状況にあります。
幼稚部に入学してから小学部卒業までの期間、長時間の送迎をすることは、幼児、児童本人にとっても、保護者にとっても、大変な負担となっております。
そこでお尋ねをいたします。
一宮聾学校に通学している知多地域の聴覚障害のある幼児、児童の長時間通学の解消に向け、どのような方策のもと取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、私立高等学校授業料の実質無償化についてお伺いをいたします。
現在、公立高校の授業料は年収九百十万円未満の世帯で無償化されておりますが、私立高校の授業料は世帯の年収に応じて一定の負担が求められており、公私間で格差が生じております。
子供たちが将来の夢の実現のために私立高校に進みたくても授業料が負担となり、諦めざるを得ない場合もあるのではないでしょうか。
そうした生徒が公立、私立を問わず、自由に学校を選択できる環境を整えていくことが必要であると考えております。
安倍総理は、さきの通常国会冒頭の施政方針演説において、二〇二〇年四月から、公立だけはなく、私立も実質無償化すると明確に述べておられました。
これは現在、世帯の年収に応じて支給されている私立高校生への就学支援金を私立高校の平均授業料である年間四十万円を勘案した水準まで大幅に引き上げて、私立高校の授業料の実質無償化を実現しようとするものであります。
これにより、各都道府県がそれぞれの財政状況等に応じて、国の就学支援金に上乗せをしている授業料軽減補助の一部あるいは全部が国費で賄われることになります。
本県においては、現在、授業料軽減として、年収二百七十万円未満の世帯に対して年間十万一千四百円、年収三百五十万円未満の世帯に対して年間十六万八百円、年収五百九十万円未満の世帯に対して年間八万七千円の上乗せ補助を実施しているとともに、父母負担をさらに軽減するため、入学納付金についても別に補助を行っております。
これは全国トップレベルの私学助成であり、これからの新しい時代に対する人づくりの重要性という観点から誇るべき施策でありますが、公私格差の是正に向け、さらなる充実が必要と考えます。
父母負担の一層の軽減を図るため、国の制度の拡充により国費で賄われることになった財源を活用し、授業料軽減や入学納付金補助金のさらなる拡充が図られることを期待しております。
そこでお尋ねいたします。
国が実施する私立高等学校授業料の実質無償化に伴う本県の私学助成のあり方について、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。
まず、豚コレラ対策についてお伺いをいたします。
本年二月に豊田
市の養豚場で豚コレラの発生が確認されてから半年以上がたちました。
この間、本県では、田原
市、瀬戸
市、西尾
市及び
長久手市で継続的に豚コレラが発生しており、延べ五
市四十五農場で約六万三千頭の豚を対象に、殺処分や埋却等の防疫措置が行われました。
防疫措置には多数の県職員、自衛隊、国、地元自治体や関係団体の皆様に御協力をいただき、迅速な対応のおかげで、発生農場の防疫措置は全て終了いたしました。農場での力作業に加え、猛暑の中、防護服を二枚重ね着し、ゴーグル、手袋を着用しての作業は、相当な負担であったと思います。作業に従事された皆様方には、大変御苦労さまでございました。
また、関連農場を含め、経済的被害を受けられた農場の方々に対して、殺処分された家畜の手当金初め損失相当額の補助や金融機関からの借入資金の無利子化など、速やかに予算措置をしていただきました。
そうした取り組みにより、豚コレラが発生した農場においても新たに豚を導入し、経営再開に向けた動きが見られるようになりました。
しかしながら、今なお継続的に豚コレラが発生しており、三重県や福井県、さらには埼玉県、長野県の農場でも発生が確認されました。
また、野生イノシシに至っては、岐阜県、愛知県、三重県、福井県、長野県、富山県、石川県、滋賀県、埼玉県の九県で豚コレラ陽性の野生イノシシが見つかっており、県内でも徐々に陽性エリアが拡大するなど、新たな市町村への感染拡大の可能性も否定できない状況となっております。
このように、豚コレラウイルスの侵入経路も特定されておらず、野生イノシシの感染が広がっている状況では、豚コレラの終息のめどが立たず、今後も養豚農場への感染が拡大することが懸念されております。県内の養豚農家からは一層の不安の声が上がっており、豚へのワクチン接種についての要望も上がっております。
そのような中、先週、江藤農林水産大臣から豚へのワクチン接種の方針が示されましたが、実施までに解決しなければならない課題も多いとお聞きしております。
そこでお尋ねをいたします。
豚コレラの発生予防の対策にどのように取り組んでいかれるのか、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
次に、大規模災害時の後方支援を担う新たな防災拠点の確保についてお伺いいたします。
昨年の西日本豪雨や北海道の胆振東部地震など、近年、大きな災害が全国各地で発生しており、被災地の悲惨な状況や、懸命に救出・救助活動等に当たられている自治体の職員や、自衛隊の方々の姿を見るにつけ、改めて自然災害の脅威と災害対策の重要性を認識するものであります。
本県におきましても、南海トラフ地震やスーパー伊勢湾台風など、巨大な災害が発生する危険性が指摘されており、大規模災害から県民の生命を守り、社会経済活動を維持していくためには、災害の発生直後から各被災地域において、救出活動や応急復旧活動を展開していくことが不可欠であります。
このため、本県では、県と市町村がさまざまな防災拠点を確保し、相互に連携して被災地域での活動を実施する体制をとっておりますが、南海トラフ地震の発生など、本県だけでは対応できない事態が発生した際の受援と後方支援の体制については、一層の強化が必要であると考えます。
こうした事態が発生した際には、国や自治体が協力し、自衛隊はもとより自治体消防で編成される緊急消防援助隊や警察災害派遣隊、さらには国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC─FORCE)や、厚生労働省の災害派遣医療チーム(DMAT)等の広域支援部隊が派遣されるとともに、応急復旧機材や緊急支援物資が供給される体制が整えられております。
これら全国から供給される人員や資機材を最大限に生かし、被災地域の活動を迅速かつ効率的に展開していくためには、これらを受け入れ、被災情報に基づいて仕分けを行って、県内各地の防災拠点に送り出していく、後方支援を行う拠点が必要であります。
救出・救命活動については、生存率の境界と言われる発災後七十二時間を目標に集中的に投入することが求められており、航空輸送や幹線道路ネットワークの結節点に位置し、災害に強い高速輸送経路が確保されている必要があります。
また、長期にわたり継続して人員と物資を被災地域の活動拠点に供給する必要がありますので、隊員の休息や宿営、物資の集積や仕分け、燃料や資機材の補給等の総合的な支援機能を確保していくことも必要であります。
さらに、いつ発災しても活動を開始することができる常時運用体制も必要でありますので、京都府や富山県が採用しているように、消防、防災の人員を育成する消防学校を中核施設として活用し、公園や運動施設等のオープンスペースを併設することで、部隊や物資の集結・集積用地として活用することが極めて有効な手法ではないでしょうか。
そこでお尋ねをいたします。
本県としても、このような視点から南海トラフ地震など大規模災害時に全国から支援を受け入れ、県内各地の防災拠点の後方支援に当たる新たな防災拠点を確保すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、治安対策についてお伺いいたします。
まず、犯罪情勢についてでありますが、近年、刑法犯の認知件数は減少傾向にあり、昨年は十一年連続となっていた侵入盗の認知件数が全国ワースト一位を返上しました。
その一方で、住宅を対象とした侵入盗は二千七百三十六件と十二年連続で全国ワースト一位となっており、県民の体感治安に影響を及ぼす犯罪が多発していた状況にあります。
本年におきましては、八月末時点において、刑法犯、侵入盗及び住宅対象侵入盗の認知件数がいずれも昨年の同時期と比べて減少しており、その中でも、住宅対象侵入盗は昨年の同時期と比べて七百十件減少し、全国ワースト五位で推移をしております。
今後も県民が犯罪により不安を感じることがなくなるよう、さらなる取り組みを期待しております。
続いて、交通事故情勢についてでありますが、昨年の交通事故死者数は百八十九人と前年と比べて十一人減少し、六十八年ぶりに百人台にまで減少させることができましたが、全国ワースト一位の返上には至りませんでした。
本年の状況はといいますと、昨日現在の交通事故死者数は百二人となっており、昨年に比べて三十八人減少し、全国ワースト二位で推移しているところであります。本年はぜひとも全国ワースト一位を返上していただきたいと思います。
また、暴力団情勢につきましては、山口組が分裂して四年が経過しましたが、依然として六代目山口組と神戸山口組の両団体による対立抗争状態は解消されておりません。県民に危害が及ぶことがないように、しっかりと対応していただきたいと思います。
最後に、大規模行事についてでありますが、本年六月に開催された第七十回全国植樹祭では、天皇、皇后両陛下の御身辺はもちろんのこと、県民の安全を確保することができました。
今後も現在開催中のラグビーワールドカップ二〇一九に加え、十一月にはG20愛知・名古屋外務大臣会合が開催されますので、テロ等の違法行為の防止や、国内外要人の身辺の安全確保とともに、県民の皆様の安全を守ることに全力で取り組んでいただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
後藤警察本部長は御着任されて一カ月余りとなるわけでありますが、本県を取り巻く治安情勢を踏まえた上で、県民の安全・安心を確保するためにどのような取り組みを進めていかれるのか、御所見と抱負をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。明快な御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
9: ◯知事(
大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団の伊藤辰夫幹事長の質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。
まず、本年度の県税収入についてであります。
主要税目であります法人二税につきましては、全体の約七割を占める三月期決算法人の本年三月期の申告実績を見ますと、現時点では、おおむね見込みどおりに推移している状況であります。
今後の景気や企業収益の動向に十分注意を払いながら、引き続き県税収入の確保に全力で取り組んでまいります。
続いて、来年度の県税収入の見通しについてであります。
来年度は、地方消費税の税率引き上げによる増収の一方で、法人二税につきましては、上場企業の二〇二〇年三月期の業績予想が県内の主要企業が円高の影響などにより減益に転ずるほか、全体的にも減速が見込まれており、加えて、地方法人課税の見直しに伴う法人県民税法人税割の税率引き下げの影響も出てまいりますことから、現時点におきましては減収が見込まれます。
こうした状況を踏まえ、今後の国内外の経済や税制改正の影響等を注視しながら、来年度の税収を慎重に見きわめてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
来年度は、法人二税収入の減収が見込まれる一方で、都市部の高齢化等に伴い、医療、介護などの扶助費の増加が避けられないことから、引き続き厳しい財政状況が続くものと認識しております。
来年度の予算編成に向けましては、まずは本年度の当初予算で取り崩すこととした基金の残高を本年度内にできる限り回復させることが必要であり、経費の効率的執行やさらなる財源確保に取り組んでまいります。
また、今後につきましては、急速に進む時代の変化に迅速かつ的確に対応しながら、中期的な視点に立った規律ある財政運営を徹底してまいりたいと考えております。
具体的には、引き続き毎年度の予算編成を通じて財源の確保や歳出の見直しに取り組み、臨時的・緊急避難的措置である基金からの繰入運用を行わない予算編成を継続します。
また、県債の管理につきましては、各年度に必要な公共投資を確保し、社会資本整備に取り組みながら、総務省が示す積み立てルールに基づく減債基金への積み立てを含め、県債の実質的な償還を着実に進めてまいります。
これにより、満期一括償還分積立額を除く通常の県債の実質的な残高について、これまで縮減してきた水準を維持、抑制するよう努めてまいります。
さらには、県の幅広い施策を通じて経済、産業を活性化させ、地域の雇用を維持、拡大し、税収の確保につなげることにより、健全で持続可能な財政基盤の確立を目指してまいります。
次に、次期行革大綱の策定についてお答えいたします。
次期行革大綱の中間取りまとめに当たりましては、さまざまな環境変化に迅速かつ的確に対応し、日本一元気な愛知づくりを支える行財政運営を実現するため、三つのS、スマート、スピーディー、サステーナブルを改革の視点とし、しなやか県庁をさらに進化させてまいりたいと考えております。
一つ目のS、スマートは、効率的な経営資源の活用であります。経営資源は限られているため、ICTの活用等により業務効率化や働き方改革を推進するとともに、県の将来を担う人材の育成に取り組み、生産性の向上につなげる必要があります。
二つ目のスピーディーは、現地・現物・現場目線の取り組みであります。環境変化のスピードは非常に速いため、現地・現物・現場目線を徹底し、業務改善や組織体制の見直し等を行いながら、一層、迅速、的確に政策課題や県民ニーズに対応する必要があります。
三つ目のサステーナブルは、持続可能な行財政運営であります。先を見通すことが非常に難しい中でありますので、財政の健全化を一層進めるなど、行財政全般においてあらゆる環境変化に耐え得る県庁づくりを推進する必要があります。
大綱の策定に向けましては、これらの三つの視点のもと、今後、個別の取り組み事項や数値目標等を検討してまいります。引き続き、県議会の皆様方を初め、さまざまな皆様方から御意見等をいただきながら検討を深め、本年十二月の大綱決定を目指してまいります。
次は、アジア競技大会の開催に向けた取り組みについてであります。
初めに、大会開催基本計画の推進につきましては、この計画では、実施が決定しているオリンピック中核二十八競技について、調整が整った三十五の競技会場を仮決定したところです。
今後は、まだ実施が確定していない競技と、その競技会場について、アジア・オリンピック評議会などと協議を進めるとともに、この計画に沿って輸送や警備など個別の運営計画の検討を進め、万全の準備につなげてまいります。
次に、大会の開催機運の盛り上げに向けましては、来年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、スポーツに対する関心が高まります。この機会を捉えて、今年度作成するエンブレムや、二〇二二年、中国の杭州大会との共同PR動画を活用しながら、日本全国、アジア各国へ積極的な広報や情報発信を展開してまいります。
また、昨年、政府としてアジア競技大会に協力する旨の閣議了解をいただいたところですが、国による一層の機運の醸成や、大会運営に必要な人的、資金的な協力を得ていくため、東海四県の国会議員を中心に、現在、第二十回アジア競技大会推進議員連盟の設立準備をしていただいております。
この議員連盟にはスポーツに造詣の深い国会議員の方々にも御参画いただきたいと考えており、こうしたさまざまな取り組みを着実に行うことで、アジア競技大会の開催機運を盛り上げ、大会の成功に結びつけてまいります。
続いて、あいち技能五輪・アビリンピック二〇一九についてお答えいたします。
まず、大会の主催者の立場からは、本大会が出場選手にとって競技に集中して実力を発揮でき、選手間の交流が思い出に残る大会となるよう、また、見学者には技能のとうとさと障害者への理解を一層深める機会としていただけるよう、万全の準備を整えたいと考えております。
具体的には、出場選手が競技に集中できる環境となるよう、会場に近い宿泊施設の確保や、宿泊施設と会場を結ぶシャトルバスの準備を進めており、競技外での選手の負担を軽減してまいります。
また、技能五輪全国大会と全国アビリンピックの合同開会式後に史上初となる都道府県選手団の交流会を開催し、両大会の選手が地域の垣根や障害の有無を超えたきずなを築く機会を提供します。
見学者に向けましては、技能のとうとさと障害者に対する理解を深める助けとするため、技能士や高校生等による競技解説ガイドを各会場に配置する準備をしております。
次に、参加県の立場からは、本県選手団の技能五輪最優秀技能選手団賞の十五年連続受賞を目指して、選手が所属する中小企業や学校等に対する訓練経費の助成に加え、アイチ・スカイ・エキスポで合同公開練習会を開催し、競技力の強化にしっかりと取り組んでおります。
大会の成功と本県選手団の活躍により、この地域の技能尊重の意識をさらに高め、次代を担う産業人材の育成につなげてまいります。
次に、あいちの花の需要拡大についてのお尋ねであります。
全国的に花の需要が低迷する中、圧倒的な産出額を誇る本県が率先して花の需要拡大に取り組むことが重要であり、私が先頭に立ち、あいちの花をPRしているところです。
まず、県内向けには、今月のあいちの花のPRなど、暮らしの中に花を取り入れる花いっぱい県民運動とあいち花フェスタなどのイベントを車の両輪として取り組んでまいりました。
今後はマスメディアや花卉関係団体などとの連携を強め、会場で気に入った花を購入できるような直接消費に結びつく催しを検討してまいります。
また、首都圏でのフラワーバレンタインは、会場で男性が女性にメッセージを添えて花を贈り、来場者の方々と感動を共有する本県独自のパフォーマンスが好評であり、若い世代を中心に全国に広がりつつあります。
今後も消費が落ち込む二月に購買意欲を喚起するイベントとして定着するよう工夫を重ねてまいります。
さらに、海外に向けましては、北京国際園芸博覧会への出展を通じ、あいちの花を大いにPRしました。
今後は、会場で人気を集めたグロリオサなど海外での評価が高い品目を中心に、生産者や市場と連携して戦略的に輸出拡大に取り組んでまいります。
これらの取り組みを花卉関係者の方々と生産から消費まで一体的に進め、一層のあいちの花の需要拡大を図ってまいります。
続いて、あいちトリエンナーレ二〇一九についてお答えをいたします。
これまでの経緯等につきましては、九月二十日の提案理由説明におきまして述べさせていただいているところでありますが、九月二十一日に開催されました表現の自由に関する国内フォーラムでは、出展作家や県民の皆様からさまざまな御意見をいただき、また、昨日開催されました第三回のあいちトリエンナーレのあり方検証委員会においては、私に対して、事実関係を丹念に検証、整理し、中間報告をいただきました。
そのまとめによりますと、展示作品を見ていない人がSNS上の断片画像を見て電凸攻撃に及んだこと、二次的影響として、海外作家等は検閲と批判、今後のあいちトリエンナーレのみならず、国内の芸術祭、国公立美術館への海外作家の出品拒否を誘発しかねないリスクがあるとの現状認識がされた上で、芸術祭全体としては、今のところ不自由展問題を除けば成功している、これまでに入場者数約四十万人、前回を約二割上回る、現代的で時代性を帯びた企画、作品が多く、各方面から高評価、とされました。
不自由展の企画と展示の妥当性については、次のとおり報告されました。
過去に禁止となった作品を手がかりに、表現の自由や世の中の息苦しさについて考えるという着眼は今回のあいちトリエンナーレの趣旨に沿ったものである。
しかし、でき上がった展示は鑑賞者に対して主催者の趣旨を効果的、適切に伝えるものだったとは言いがたく、キュレーションに多くの欠陥があった。特に強く批判を浴びた三つの作品はいずれも作者の制作意図等に照らすと展示すること自体に問題はない作品だったが、作品の制作の背景や内容の説明不足などや展示の場所、展示方法が不適切、すなわちキュレーションに失敗し、またSNS写真投稿禁止の注意書きを無視する来場者が続出したため来場していない人たちから強い拒絶反応と抗議を受けた。
混乱を防ぐために入り口にSNS写真投稿禁止と表示したが、それでネット上の流布を抑止できるという想定は、そもそも非現実的だったし、それでも徹底して禁止するという仕組みを考えなかったなど、総じてSNSによる拡散を抑止しようとする意欲と決意が希薄だった。
予算不足と準備の時間の不足が重なり、シンポジウム等の事前のエデュケーションプログラムが企画されなかった。また、展示をガイドツアーで行う等の工夫を考える時間的余裕もなかった。
展示された二十三作品の過半が実は二〇一五年の不自由展に出されなかったものだった。それにも関わらず芸術監督は不自由展実行委員会に展覧会内展覧会の形式で展覧会の開催を業務委託したが、他の方式を事前に検討しなかった。
また、準備プロセスの問題として、
誤解を招く展示が混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為にある。そしてその背景にはそれを許す組織体制上の数多くの欠陥があった。
芸術監督の不適切な判断や行動に起因する今回のようなリスクを回避、軽減する仕組み、ガバナンスがあいちトリエンナーレ実行委員会及び県庁に用意されていなかった。
不自由展は不自由展実行委員会との協議を経て開催三日を経て中止された。なお、これは脅迫や電凸等の差し迫った危険のもとの判断でありやむを得ないものであり、表現の自由、憲法第二十一条の不当な制限には当たらない。
と整理しています。
その上で、展示の再開に向けては、
条件が整い次第、速やかに再開すべきである。脅迫や電凸等のリスク回避策を十分に講じること。展示方法や解説プログラムの改善、追加、さまざまな背景を説明した上でガイドツアー方式で鑑賞をいただく、など。写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する。
なお、特に海外作家へのコミュニケーションのやり方に留意すべきである。一部の海外作家はこれまでの海外事例に照らし、今回の中止判断がテロ対策や安全管理を表面上の理由とする実質的検閲と認識。
県民及び出展作家への徹底した情報公開と意見聴取を続けるべきである。今回の事案は来場者や県民よりも来場していない人たちがネット上の断片映像や誤った情報に接して混乱を招き、また、県民に不安を与えた。また、出展作家に対しても、中止の連絡や説明等が遅れ、また不十分であった。再開に向けては、県民及び作家から広く賛否両論を聴取し、それを公開し、双方が反対の考え方を持つ人々の意見をよく聞くべきである。
さらに、
次回以降のトリエンナーレに向けて、運営体制を抜本的に見直すべきである。あいちトリエンナーレの場合、県庁が中心とならざるを得ないが公金を使う難しさを解決する方法として例えばアーツカウンシルを設けるべきである。
などの御提言をいただきました。
これらの御提言を真摯に受けとめ、早速、本日からトリエンナーレのあり方検証委員会をあり方検討委員会へと改組し、再開を目指してその具体的な条件について検討し、整理していただきたいと存じます。そして、それを踏まえて表現の不自由展実行委員会及びその関係者、作家、アーティストの皆さんとしっかり協議、話し合いを進め、我々として最善を尽くしてまいりたいと考えております。
また、検討委員会には、十月以降、次のトリエンナーレの体制等についても検討し、適切な提言をいただきたいと存じます。
そして、十月五日、六日には国際フォーラム情の時代における表現の自由と芸術を開催し、表現の自由に関する新しいルールを模索し、できれば世界の人々に対して、表現の自由を守るためのあいち宣言(あいちプロトコル)を提案したいと考えております。
いずれにしましても、十月十四日までの残りの会期を最後まで多くの方々に最先端の芸術作品を楽しんでいただけるよう、安全・安心な運営に全力で取り組んでまいります。
次は、スタートアップ支援についてお尋ねをいただきました。
本県では、Aichi─Startup戦略を着実に推進するための中核となる支援拠点のあり方について、本年二月からスタートアップ支援拠点検討調査を行ってまいりました。
このたび、本調査の中間報告を受け、検討を重ねた結果、名古屋市昭和区の元愛知県勤労会館跡地にスタートアップ支援の中核拠点として、ステーションAiを新たに整備することといたしました。
整備手法につきましてはPFI方式、運営手法についてはコンセッション方式を採用し、民間ノウハウを活用することとしております。
また、機能については、オフィス機能、ラボ機能、カフェ、レストラン、宿泊機能とともに行政支援窓口などを備えたワンルーフ・オールインワン型の国内唯一の施設として整備を進めてまいります。
この拠点では、アメリカ、中国、フランス、シンガポール等の主要な大学や支援機関と連携して、世界と直結するプロジェクトを展開することにより、世界から優秀な人材やスタートアップを呼び込み、企業や大学等と交流できる場としてまいります。
一方、本拠点整備までの間、スタートアップ支援を切れ目なく行うため、来年一月から名古屋市内に早期支援拠点を開設します。
ステーションAiを核として、スタートアップを起爆剤に次々とイノベーションを創出する、愛知独自のスタートアップ・エコシステムの形成にしっかりと取り組んでまいります。
続いて、リニアインパクトを生かす広域幹線道路ネットワークの整備についてであります。
リニア開業は、プラスの影響がさまざまな分野に及ぶと期待される一方、ストロー現象なども懸念されることから、それを抑えるとともに本県の強みをさらに生かす取り組みとして、生産拠点と交流拠点である名古屋港、中部国際空港や名古屋駅などとの結びつきを強め、拠点間の連携を強化する道路整備が必要であると考えております。
こうした中、名古屋港への重要なアクセスとなる名古屋環状二号線は来年度の開通見通しが公表され、工事の最盛期を迎えております。
中部国際空港につながる西知多道路は、一部区間を国と県により整備を進めるとともに、未事業化区間の国による整備を積極的に働きかけております。
また、名古屋から岐阜・北陸方面へのアクセスとなる名岐道路については、早期事業化に向け計画の具体化を図るよう、国に対して強く要望しております。
さらに、名古屋駅と名古屋高速道路のアクセス性向上も重要な取り組みであり、名古屋高速道路の出入り口や渡り線の追加などにしっかりと取り組んでまいります。
今後もリニア開業による人口五千万人規模の大交流圏の西の拠点としての強みを最大限活用し、日本一元気な愛知のさらなる発展につなげるため、産業経済活動の基盤となる広域幹線道路ネットワークの整備に全力で取り組んでまいります。
次に、G20愛知・名古屋外務大臣会合についてお答えをいたします。
この会合は、主要各国の外務大臣が国際社会の諸課題について議論し、世界経済の安定と成長を図る重要な会合です。開催地として世界に貢献できるよう会合を支援するとともに、この貴重な機会に愛知・名古屋の魅力を広く発信するため、名古屋市や地元経済団体等と共同で設置したG20愛知・名古屋外務大臣会合推進協議会を主体に必要な事業を進めているところです。
まず、開催支援といたしまして、案内デスクの設置などにより、来訪者の方々におもてなしを提供いたします。また、県内高校生が各国外務大臣に提言を行う交流事業についても準備を進めております。
次に、魅力発信の取り組みとして、会合会場における展示スペースの設置などを通じて、愛知が世界に誇る産業力や技術力、武家文化に代表される歴史、伝統文化、豊かな観光資源等をアピールいたします。
さらに、会合開催に向けた機運の醸成を図るため、カウントダウンボードの設置、ポスターの掲出なども実施をしているところであります。
このほか、本県では会合会場等におけるドローンの飛行禁止条例を今議会に提案させていただくとともに、県警察を初め関係機関等と連携し、会期中の会場周辺の交通量を四五%減らす取り組みも進めております。
十一月二十二日、二十三日の会合開催まで残り二カ月を切りました。引き続き地元が一丸となり、会合の成功に向けた取り組みを進めてまいります。
次は、特別支援教育の充実についてのお尋ねであります。
私は知事就任以来、特別支援教育の充実に力を注ぎ、これまで、二〇一四年にいなざわ特別支援学校、二〇一八年に大府もちのき特別支援学校、そしてことし四月には瀬戸つばき特別支援学校の三校の知的障害特別支援学校を新設開校し、過大化による教室不足の解消を図ってきました。
さらに、二〇二二年には西尾市内に本県初となる知的障害と肢体不自由の学級を併置する特別支援学校を新設開校いたします。
また、東三河山間地域の長時間通学の解消を図るため、二〇一四年には田口高校の施設内に豊橋特別支援学校山嶺教室を開校しましたが、田原市内への特別支援学校高等部の設置についても早急に取り組むこととしております。
伊藤議員御指摘のように、聾学校は聴覚に障害のある子供たちが言語や社会性を獲得する上で重要な役割を担っておりますが、現在、知多地域から一宮聾学校へ一時間半をかけて長時間の通学をしている児童がいることについては承知しており、解決すべき重要な課題であると認識しております。
今後は、聾学校に通う幼児、児童、生徒の通学環境の改善が図られるよう、知多地域への分校、分教室の設置も含め、しっかりと取り組みを進めてまいります。
続いて、私立高等学校授業料の実質無償化についてお答えいたします。
本県では、家庭の経済状況にかかわりなく、公立、私立を問わず、学びたい学校を自由に選択できる環境を整えることが大切であるとの考えのもと、私学振興に取り組んでまいりました。
このうち、父母に対する助成としましては、授業料軽減補助や入学納付金補助等がありますが、授業料軽減補助については、国の就学支援金に県の補助金を上乗せする形でより充実して実施するとともに、入学納付金補助については県独自で実施しております。
具体的には、授業料、入学納付金ともに年収三百五十万円未満の世帯の実質無償化を実現し、年収六百十万円未満の世帯については私学平均相当額の三分の二、年収八百四十万円未満の世帯については二分の一を補助することにより、父母負担の軽減を図っております。
今回の就学支援金制度の拡充につきましては、今後も国の動向を注視する必要がありますが、制度の拡充により県の上乗せ補助金の一部が軽減されると見込まれることから、その財源をもとにさらなる父母負担の軽減について検討してまいりたいと考えております。
こうした取り組みにより、授業料を初めとした父母負担の公私間の格差が縮小し、進路選択の幅が広がることが期待されます。
今後も引き続き、さまざまな観点から私学助成の充実を図り、親の経済格差が子供の教育の格差につながらない環境づくりに努めてまいります。
次は、豚コレラ対策についてのお尋ねであります。
ことし二月以降、豚コレラの発生農場における防疫措置の実施や感染拡大の防止に全力で取り組んできたところですが、国の調査ではいまだ明確な侵入経路は明らかになっておらず、また、イノシシの感染拡大も続いている状態であります。
発生予防対策としましては、まずは各農場における飼養衛生管理基準の遵守、消毒の徹底、野生動物が侵入しないような防護柵の設置について、繰り返し農家に指導しております。特にイノシシで陽性が確認されている地域の農場におきましては、早期出荷対策により豚舎を空にした上で、農場の衛生管理強化を図るなどの指導をしているところです。
さらに、農業団体等が新たに設置する車両消毒施設に助成することにより、産地にウイルスを持ち込ませないよう対策を講じてまいります。
また、養豚農家への豚コレラ感染リスクを下げるためには、イノシシによる豚コレラウイルスの拡散を防止することが重要であります。
このため、今後、イノシシへの経口ワクチンの散布地域を西三河南部と東三河に拡大するとともに、あわせて、全県でイノシシの捕獲を強化し、個体数を削減してまいります。特に渥美半島ではイノシシの根絶を目指しており、今年度の捕獲数は昨年度に比べ、現時点で三割増となっておりますが、今後は効果的な捕獲のために移動防止柵を設置するなど、さらなる捕獲強化を図ってまいります。
なお、養豚農家から要望のありました豚へのワクチン接種につきましては、先日、江藤農林水産大臣より予防的ワクチンの接種に向け、防疫指針の改正作業に着手するとの発言があり、その手続が進められているところでありますが、これにつきましてはこれまでも申し上げておりますように、私もそうですが、農業関係者、そして食肉の市場流通関係者が懸念しておりますのは、ワクチンを接種した豚の流通制限。今は地域限定、その県限定だと、ワクチンを打つと。その豚肉、内臓、革製品という流通制限がついております。
そうした場合に、豚肉及び内臓、生産物は全国流通でありますから、それで本当に売れるのかと。せっかく生産した畜産物が売れるのか、売れない蓋然性が非常に高いということを前提にしながら、それは余り大きく言わずに、ワクチンを打ちますかと、それは県の判断ですよということは、私は非常におかしいと申し上げているんです。至極真っ当のことを申し上げていると思います。
なので、こうした流通制限と風評被害、当然、それに伴って取引価格が下落するに決まっていますので、そうしたことをどうしてくれるんだということであります。
ということでありますが、しかしながら、国は現段階では県が決定し、自治事務として接種することとしておりますけれども、今回の事態は既に日本の畜産については国家レベルの危機事案でありますので、接種するとした場合には、国の責任において行う緊急ワクチンとして位置づけるべきであり、あわせて、接種後の取引価格の下落や風評被害の防止も、国の責任においてオールジャパンで対応するのは当然のことだと思っております。
このことは先日、先週ですが、江藤大臣にも直接、そして農水省の幹部にも直接強く要請したところでありまして、きっちりとした対応を迅速に行われることを引き続き強く求めてまいります。
本県としましては、今後ともあいちの養豚業、養豚にかかわる関係業界を守るために、全庁職員が一丸となり、死力を尽くしてまいります。
私から最後の答弁でありますが、大規模災害時の後方支援を担う新たな防災拠点の確保についてであります。
災害時に県民の生命と財産を守り、被害を最小限に食いとめていくためには、直ちに救出救助部隊を投入するとともに、緊急支援物資の輸送や応急復旧活動を展開していくことが重要です。
このため、本県では、市町村と協力して約百三十カ所の防災拠点を確保し、県内全域の災害応急体制を整えてまいりました。
しかし、南海トラフ地震など、広域かつ甚大な災害が発生した際には、全国から人員や物資等の支援を受け入れ、被災地域の防災拠点に迅速かつ的確に供給する後方支援が不可欠となります。
このためには、津波や高潮等による被災リスクが低く、かつ高速輸送が可能な空港や高速道路網に直結し、活動要員のベースキャンプ機能、物資の備蓄と中継・分配機能及びこれらを制御する本部機能をあわせ持つ、新たな防災拠点を確保していくことが極めて重要と考えております。
また、常時は人員や物資の集結・集積用地を公園やグラウンド等として活用し、本部機能を担う中核施設については防災に関する教育・訓練施設として、二十四時間の危機管理体制を確保することも重要と考えます。
本県としても、全国の防災機関と連携、連動して災害対応活動を展開していくために、後方支援を担う新たな防災拠点の確保に向けて、しっかりと検討を進めてまいります。
以上、御答弁申し上げました。
10:
◯警察本部長(
後藤和宏君) 治安対策についてお答えをいたします。
良好な治安は県民生活の礎であり、県民の皆様が安心して暮らせる安全な愛知を確立することは、私どもの使命であります。
まず、犯罪の抑止につきましては、県民の皆様に大きな不安と被害を与え、犯罪組織が敢行する、侵入盗や特殊詐欺等の対策に重点を置きつつ、予防と検挙を両輪とした各種対策を講じてまいります。
次に、交通死亡事故の抑止につきましては、交通事故死者数全国ワースト一位の返上に向けて、最高速度違反、あおり運転等の悪質、危険な行為の取り締まりと抑止や、関係機関等と連携した広報啓発活動、道路管理者と連携した道路交通環境の整備などの各種対策を一層強力に推進してまいります。
次に、暴力団の壊滅につきましては、対立抗争事件の続発防止はもとより、主要幹部の取り締まりとともに、資金的基盤の実態解明や排除活動を強力に推進してまいります。
最後に、大規模警備の完遂につきましては、県民の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめながら、テロ等違法行為の未然防止に向けた警備諸対策を強力に推進してまいります。
このほかにも重要な課題はございますが、いずれにいたしましても、関係機関、団体、事業者、県民の皆様の理解と協力を得ながら、さまざまな治安事象に的確に対応し、安心して暮らせる安全な愛知の確立に向けて、全力を挙げてまいりたいと考えております。
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11: ◯四十番(
寺西むつみ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
12: ◯議長(
神野博史君)
寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
13: ◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時十九分休憩
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午後一時開議
14: ◯議長(
神野博史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
西久保ながし議員。
〔五十八番西久保ながし君登壇〕(拍手)
15: ◯五十八番(西久保ながし君) それでは、新政あいち県議団を代表し、県政の諸課題について順次質問してまいりますが、まずはこの夏、台風十五号を初め豪雨災害で被災されました皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りし、質問に入ります。
初めに、子供や高齢運転者の交通安全対策について伺います。
交通事故死者数ワーストワンの返上は本県の至上命題であり、特に交通弱者を巻き込む不条理な交通事故は何としても根絶させなければなりません。残念ながら、先日、名古屋市内でも、高齢のタクシー運転者が通行人七名をはね、軽傷を負わせる事故が発生してしまいました。
ことしに入ってから、四月には東京都池袋で高齢者が運転する車が暴走し、親子二名が死亡した事故や、五月には滋賀県大津
市で、直進車と右折車が衝突し、巻き添えで移動中の保育園児ら十六名が死傷するという痛ましい事故が相次いで発生をしております。
こうした交通事故はどこでも起こり得る事故であり、対岸の火事と捉えるのではなく、機敏な対応をとる必要があると考えます。
国はこうした昨今の事故情勢を踏まえ、本年六月十八日に関係閣僚会議で未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策を決定し、全国の都道府県に対策の推進を強く求めております。
この緊急対策では、まず、未就学児等への対策として、子供が日常的に移動する経路の安全を確保するための緊急安全点検と、その結果を踏まえた道路交通環境の整備が掲げられております。
また、こうしたハード対策だけでなく、地域ぐるみでの子供の見守り活動などのソフト対策にも言及しており、次代を担う子供たちのかけがえのない命を社会全体で守っていく対策となっております。
次に、高齢運転者への対策でありますが、安全運転サポート車の普及推進及び後づけの安全運転支援装置の普及など、高齢者の安全運転を支える対策を加速するとともに、運転に不安を覚える高齢者等への支援策や、高齢者の移動を伴う日常生活を支える施策の充実などが盛り込まれております。
国は、ペダル踏み間違え時に加速を抑える装置等、後づけできる安全運転支援装置の開発を自動車メーカー八社に求め、既に一部のメーカーでは実用化されております。
東京都では、七月三十一日から来年八月末までの期間限定で、急加速を抑制する装置を取りつける際の補助制度をいち早く発表いたしました。
東京都がこうした補助制度を創設した背景には、池袋の事故が引き金になっているとは思いますが、交通事故死者数全国ワーストワンの本県こそ、こうした交通安全対策を機敏にとっていく必要があると思います。
本県においても、西三河五
市を初め県内七
市が東京都と同様の補助を実施予定であり、そのほかの自治体も検討中であると聞いております。
これまで交通安全の取り組みは県内一体となって取り組んできており、こうした安全運転支援装置の普及に向けた取り組みも、スピード感を持って市町村と連携し、進めるべきと考えます。
そこで伺います。
国の緊急対策を踏まえ、子供や高齢運転者の交通安全対策をどのように進めていくのか伺います。
次に、外国人材の受け入れ、共生に向けた取り組みについて伺います。
新たな在留資格、特定技能を創設する改正出入国管理法が施行され、初年度となる二〇一九年度は最大で約四万八千人、五年間で約三十四万五千人の外国人労働者を新たに受け入れることになります。
将来的にも人口減少が進む日本社会にとって必要なことと理解はしますが、一方で、懸念事項も散見をされます。
厚労省によると、二〇一八年十月時点で外国人労働者数は約百四十六万人であり、六年連続でふえており、技能実習生はそのうちの約三十万八千人であります。
こうした中、近年、技能実習生たちが単に安価な労働力として苛酷な働き方を強要されている実態も明らかになってきております。
賃金不払いや違法な長時間労働等、劣悪な労働・生活環境の中での事故やトラブルに加え、転職の自由はなく、その苦しさから失跡した若者は二〇一三年から五年間で二万六千人に及びます。
また、法務省の調査でも最低賃金割れなどが指摘されておりますし、昨年の労働基準監督署の監督、指導では、五千百六十カ所で労使協定を超えた残業の法令違反があり、悪質な十九件は書類送検したという報道もあります。
こうした状況を見ると、国際貢献という名のもとに、現実的には人手が足りない企業が単に安価な労働力として技能実習生を受け入れるケースが多く見られます。
こうした劣悪な労働環境のまま、外国人材をふやしていくことは、問題をさらに深刻化させるため、早急に受け入れ体制を充実していく必要性を強く感じます。
また、以前、ベトナム人技能実習生等の日本での生活実態を描いた「夢をつかみにきたけれど」というドキュメント番組を見ました。
彼らの多くは日本での成功を夢見てやってきた若者たちがほとんどですが、そこで稼いだ多くのお金を母国の家族のもとへ仕送りし、自分たちは最低限の生活をして暮らしており、当然、その苦しさから失跡する若者も多くいました。
彼らは、会社と寮を行き来するだけの生活で、さまざまな悩みや寂しさを抱え、ベトナム人僧侶のもとへ心のよりどころとして集まっていました。こうした居場所も必要ですが、私は地域社会との共生の必要性を強く感じました。
本県は全国で二番目に多い外国人労働者を抱え、今後もふえ続ける中、適正な受け入れと共生社会の形成は避けて通れない道です。外国人労働者の労働環境、生活環境の整備はもちろんのこと、単なる労働者としてではなく、一緒に生活する地域生活者として共存していく風土、仕組みづくりが必要と考えます。
そこで伺います。
外国人材の適正な受け入れをどのように行っていくのか、また、生活者として地域に定着し、ともに安心して暮らし、活躍できるようにするため、県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、将来に向けた先端技術の取り組みについて伺います。
本年七月にAI、IoTに関する講演会に出かけてまいりました。興味を抱いたのは、後継者もなく、廃業に追われるケースが多い金型メーカーが先端技術を活用して、事業展開している点でありました。
この金型メーカーは二十名ほどの会社ですが、IoTを活用した金型メーカー六社連携による金型共同受注システムを構築、運用しています。将来的には、国内外へ連携する会社をふやし、AIを使い、各社に仕事を最適配分する仕組みにしていきたいと熱く語ってみえました。社長はその若い知恵と発想で、厳しい金型メーカーを立て直そうとしています。その姿勢に中小企業の生き残りのヒントがあるのではないかと感じています。
また、以前、中小企業の社長とお話ししたときに、将来に向け先端技術を学ばせるため、若い社員が欲しいが、大手にとられてしまうと嘆いておられました。こうした中小企業の皆さんに先端技術をともに導入できるよう、IT関連企業をもっとこの愛知に誘致すべきと以前から要望してまいりました。
二〇一八年の情報通信業基本調査によると、東京都では、情報通信業を含む企業数は全国の五一%、従業員数は七〇%を占める一方、愛知県は企業数が四%、従業員数は三%にとどまっております。
今、日本経済を牽引している自動車産業も百年に一度の大変革期を迎え、異業種連携でこの難局に立ち向かっています。自動車業界では、CASEと呼ばれる、コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化への対応に全力で取り組んでいますが、その先には、自動車だけでなく、さまざまな移動手段を使い、予約、決済するMaaSを軸としたスマートシティー構想の動きも本格化し始めています。MaaSの時代には、車は主役でなく、脇役になるとも言われております。
そのときの愛知の物づくりはどうなっていくのか、どのように支援をしていくのか、また、将来、愛知県全域をMaaSモデル地区として推進する構想も持っておく必要があると思います。MaaSの先進国、フィンランドは、人口五百五十万人と愛知県より少し小さい国ですので、愛知県はモデル地区としては最適だと思います。
そうした新しい社会実現に向け、また、日本一の物づくり愛知を継続、発展させていくためには、必要不可欠な先端デジタル技術への対応や、国内外から愛知へ頭脳の集積をスピード感を持って進めなければなりません。目指すは米国のシリコンバレー、中国の深センではないでしょうか。
昨年の二月議会で、この先端技術に関する質問の答弁として、知事からは、世界から最先端の頭脳を集め、情報交換を活性化する旨の答弁がありました。
そこで伺います。
今の産業界の危機感とスピード感はすさまじいものがあります。県としてそれに追従できる取り組みが必要と考えますが、こうした先端技術の取り組み、また、国内外からのIT関連企業の誘致や最先端の頭脳の集積について、これまでどのような認識のもとに取り組みを進めてこられたのか、また、今後、MaaS等の新時代も見据え、何に力点を置いて取り組んでいくのか伺います。
次に、プラスチックごみ対策について伺います。
二〇一五年南米コスタリカ沖で鼻にストローが詰まったウミガメを発見し、取り出す映像を見ました。亀は苦しみもがき、およそ十センチのストローが取り出されました。人間がごみを捨てることにより起こる悲惨な光景であります。
また、ことし、日本では、奈良公園で死亡した九頭の鹿の胃からビニール袋が見つかっており、最近では、タイで死亡したジュゴンの赤ちゃんのおなかからも見つかっており、プラスチックごみ問題はますます深刻さを増してきています。
プラスチックごみは世界で年間八百万トンも海に流され、これまでの総量は約二億トンとも言われ、数百万平方キロの範囲に散らばっており、しかも、ごみの大部分は米粒ほどのマイクロプラスチックになっていると言われております。
このマイクロプラスチックが近年、私たちが食べる魚の体内から大量に見つかっており、私たちの体内にも蓄積されているのではないかと懸念されております。
日本のプラスチックごみは、プラスチック循環利用協会によると、二〇一七年、年間九百三万トンで、八割以上は有効利用されているということですが、そのうちの年間百五十万トンを資源という位置づけで、中国を中心としたアジア諸国に輸出してまいりました。
しかしながら、中国等が環境汚染などを理由に、二〇一七年以降、輸入規制を始めており、日本やアメリカではプラスチックごみの行き場がなくなりつつあることも懸念をされております。
本県では早々、中間処理業者等に対する立入検査を行った結果、不適正処理は確認されなかったということですが、今後も注視が必要と考えます。
また、日本は一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界二位であり、日本こそがこの問題に真正面から向き合う必要があると思います。
このような状況の中、プラスチックごみ問題に真剣に取り組む方たちもいます。
私の近くの総菜屋さんでは、プラスチックごみ問題に関心を持ってもらおうとキャンペーンを行っています。容器やポリ袋を持参する常連客をヒントに、本当にお店に有料のプラスチック容器が必要なのかどうかを考えてもらうきっかけとしたかったと始めたそうであります。
こうした活動で、容器やポリ袋持参の輪を広げています。私はこうした地道な取り組みが広まっていくことが重要だと考えております。
この問題は、企業、行政、個人それぞれの立場で真剣に取り組む必要があります。企業の中には、素材をプラスチックから紙にかえるところもあり、また、多くの団体、個人が海岸のごみ拾いなどの取り組みをしております。
海洋学者たちが現実的な解決策として言われていることは、ごみを捨てないよう世界中の人を説得する方法だそうであります。社会問題化している今こそ、県民運動として取り組む必要性を感じています。
そこで伺います。
まず、プラスチックごみが中国等に輸出できなくなっている状況において、県としてどのような対応をしているのか伺います。そして、県として、社会問題化しているプラスチック問題をどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、愛知の学校教育について伺います。
本年もあいち教育ビジョン二〇二〇の点検、評価がされたところでありますが、愛知の教育が目指す基本理念は、自らを高めることと社会に役立つことを基本的視点とした愛知の人間像の実現であります。
そして、目指す人間像は、ともに生きる、自分を生かす、学び続ける、愛知をつくる、世界に羽ばたくとし、さまざまな取り組みが展開をされています。まさに愛知らしい人間像を求めていると思います。
その人間像を形成するための一つの手段として、平成二十七年度からの五年間に、愛知総合工科高等学校の新設を初め、総合学科、学科改編、コース制、統合、中高一貫校等、四十校にわたり改善を図られたことは、社会環境の変化に的確に対応していると思いますし、小中高におけるキャリア教育の推進も体系的、系統的に進められており、着実に成果につながっていると思います。
私は学校教育というのは、これからの時代や社会がどういう人材を求めているのか、そして、その一方で、子供たちのニーズや、将来どういう職業につきたいか、その双方の思いがマッチングできるようなものになっていることが望ましいと思っています。
小中学校を卒業し、高校選択をするときに、とりあえず普通科ではなく、中学校の時期は自分の将来をどうしたいのか、真剣に考える転換期とすべきと考えます。そのためにも、職業観、勤労観を養うこの時期のキャリア教育は、さらに充実する必要があると思います。
今年度の計画の中で、家庭、地域、関係機関との連携促進がありますが、その中で、例えば、技能者による物づくりの実演、講話や生徒が実際に体験するモノづくり魂浸透事業等は、自ら考えるきっかけづくりとなる意義深い取り組みだと思います。
また、現在の社会は、急速に進むグローバル化や、AI・IoT化に対応できる人材が必要となってきています。企業の海外展開や外国人材の雇用、外国人観光客の増加に伴い、日常的に英会話の必要性も高まっていますし、製造現場ではAIやIoT化が進み、従来以上に新たな能力が求められております。
これは製造現場に限らず、さまざまな業種に共通して言えることでもあると思います。こうした社会が求める人材は、急速に進む環境変化に伴い、従来以上に高い専門性が必要となってきております。
こうした急速に進むグローバル化や、AI・IoT化などに対応するために、総合工科高等学校専攻科のように即戦力となる人材の育成や、AI、IoT等、最先端の技術を学ぶ学科の創設など、生徒のニーズはもちろん、社会が求める、より専門的な高等学校づくりが必要と考えます。
そこで伺います。
みずから自分の将来を考える力を養う中学校でのキャリア教育の質の向上、そして、次代を見据えた高等学校づくりに向けて、今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。
次に、行財政改革の取り組みについて伺います。
現在の産業界では、大変革期を迎え、従来にない厳しい環境のもと、従業員一人一人の意識改革も含め、果敢な取り組みをしております。行政は住民サービス第一であり、産業界同様とはいきませんが、住民サービスを守る中で、まだまだ工夫すべきところは多いと思います。
二〇一四年度までの行財政改革では、職員定数の大幅な削減など固定費削減に取り組み、そして、その後の五年間はしなやか県庁創造プランにより、人材を初め、県の持つ経営資源を最大限に活用する取り組みを進めてきました。本年度で終了するこのしなやか県庁創造プランの進捗状況は、おおむね良好と伺っております。
一方で、次期行革大綱の中間取りまとめでは、時代の流れ、環境の変化に的確に対応するしなやか県庁を一層推し進め、あいちビジョンに基づく地域づくりを切れ目なく下支えし、日本一元気な愛知づくりを推進する行財政運営の実現を改革の目標としております。
そして、第一回の策定懇談会での意見では、仕事に対する投入時間等を指標に生産性を上げるべき、一人一人の改善力を高めるべきなどの意見や、職員からも、先進的な民間企業を参考にテレワークを進めるべきなど、前向きな意見が出ております。
そうした意見も踏まえ、改革の視点として掲げられているのは、環境変化に対応するための三つのS、スマート、スピーディー、サステーナブルであります。
一つ目のSは、ICTの活用等により、県が持つ限られた経営資源をスマート、効率的、効果的に投入し、生産性を向上する。二つ目のSは、現地・現物・現場目線の取り組みにより、スピーディー、迅速に対応する。三つ目のSは、将来にわたり、あらゆる環境変化に耐え得るサステーナブル、持続可能な県庁づくりとしています。
この三つのSの考え方の中には、効率的、効果的、生産性、あるいは現地・現物・現場目線など、行政と民間の垣根を払拭し、変化を恐れず行政スタイルを思い切って変えていこうとする姿勢を感じています。
私が大切だと思っていることは、スピードと創造性です。世の中のスピードはすさまじい速さで動いていきます。県庁内でもAIやRPAの導入により、スピード感は増してきます。
そして、それぞれの業務の目的を達成するためには、過去の延長線でやっていては達成できません。そこには常に創意と工夫で新しいことを考え出す、創造性豊かな人材が必要となります。
これは民間も行政も変わりのないことで、ぜひさらなる人材育成に力を入れ、民間の経営感覚も兼ね備えた体制で、効率的でより質の高い公共サービスを提供できる県庁を目指していただきたいと思います。
そこで伺います。
効率的な働き方、生産性を意識した業務の進め方、創造性豊かな人づくりなど、従来の延長線ではなく、行政スタイルを思い切って変えていくような取り組みを期待しますが、次期行革大綱に込めた思いや、重視している点、そして、今後どのように策定を進めていくのか伺います。
次に、防災・減災対策について伺います。
平成二十年八月末豪雨で、私の地元、岡崎
市では一時間の雨量が八月の観測史上一位を更新する百四十六・五ミリに達し、岡崎
市は全地域に避難勧告を出しましたが、深夜だったため、実際に避難所へ避難した人はたったの五十一人でした。
昨年七月の西日本豪雨など、過去の大規模な豪雨災害において指摘されているのが避難率の低さ、逃げおくれです。避難率は一%にも満たないところもあったようであります。必ずしも避難所へ避難することだけが命を守る行動とは言えませんが、余りにも低い数値に驚きます。
私は一昨年、プッシュ型の土砂災害緊急速報メールを二度受け取りましたが、そのときに思ったのは、自分のいる場所がどのような危険があり、いざというときにどこへどのように避難すればよいのかということを知っておくことがいかに大切かということであります。
最近の報道記事で、豪雨災害から身を守るために必要な四指針という興味深い記事を見つけました。
まず、一点目は、自分が暮らす地域の過去の災害歴や地理的な特徴、ハザードマップを確認しておくこと。二点目は、どこにどういうルートで逃げるかなど、自分なりのルール、避難方法を決めておく。三点目は、豪雨のときは自分から情報をとりに行く。四点目は、あらかじめ決めたルール、方法に基づき避難する。
今、私たちはこの基本的なことが身についているのでしょうか。少なくとも身についていれば、いざというときにみずからの命を守る行動がとれると思います。
そして、もう一つ大切なことは、周りで声をかけ合い、避難を促すということです。さらに、人はより近い人に声をかけられることにより、避難行動がとれるということであります。
国交省が五月より推進している逃げなきゃコールも広めるべきと思います。これは離れた場所に暮らす御家族の住所をあらかじめ登録しておき、災害時、避難情報を受け取り、家族に避難誘導を促すものであります。
本県でも、逃げおくれゼロを目指し、五段階のわかりやすい避難情報を整理し、既に運用しています。また、市町村防災支援システムを活用し、緊急速報メール、SNS、登録メール、Lアラートの配信も完備されており、避難情報は従来以上に、県民に届く仕組みが整ってきたと思います。
あとは実際に安全な場所に逃げる行動につながる一歩踏み込んだ仕掛け、働きかけが必要と考えます。例えば、家族で避難行動を話し合う防災家族会議の日を県として設定することもよいと思います。
そこで伺います。
本県として、県民一人一人がいざというときに安全に避難行動がとれるようにするため、今後、具体的にどのように取り組みを進めていくのか伺います。
次に、SDGsの取り組みについて伺います。
SDGsのバッジをつけていると、そのきれいなバッジは何ですかとよく聞かれます。そのくらい、世間ではまだまだ浸透してないのが実態だと思います。
SDGsとは持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダということで、人間、地球、繁栄のための行動計画であり、普遍的な平和の強化を追求するものであります。簡単に言えば、全世界全ての人たちが持続的に人らしく生きるための開発目標とも言えると思います。SDGsの精神の中に、私たちは、最も遠くに取り残されている人々にこそ、第一に手が届くよう、最大限の努力を行うというすばらしい一文があります。
具体的には、二〇三〇年を期限とする包括的な十七の目標、例えば、貧困をなくそう、飢餓をゼロになどであります。そして、それぞれの項目の目標を達成するために、百六十九のターゲットが掲げられています。例えば、貧困をなくそうの項目には、二〇三〇年までに、現在一日一・二五ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせるなど、七項目の具体的なターゲットが示されておりますが、どれも簡単に達成できるものではありません。
国や自治体、企業や団体、そして全ての人が本気を出して取り組まない限り、机上の空論になりかねません。当然、国家同士の連携はもちろん、誰一人取り残さないという理念からすれば、全ての人への理解活動や、一人一人のライフスタイルの見直しなど、あらゆる立場で持続可能な未来に向けてイノベーションを探求していくことへ意識改革を行う必要があると思います。
本県も七月にSDGs未来都市に選定され、知事を本部長として愛知県SDGs推進本部を立ち上げました。特に本県からは、経済面で、日本一の産業の革新・創造拠点、社会面では、全ての人が活躍する愛知、そして、環境面では、環境首都あいちの調和をとりながら、持続力を兼ね備えた大都市圏を目指す旨を提案し、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市、地域として選定をされました。
そして、これを柱に三年間の愛知県SDGs未来都市計画が八月末に取りまとめられましたが、県が指針を示し、リードするものの、全ての県民がこのSDGsの取り組みを理解し、県民と一丸となって進める必要を強く感じています。
そこで伺います。
県民への周知はもちろんのこと、先般策定された愛知県SDGs未来都市計画に基づき、今後三年間、県としてどのようにSDGsの取り組みを進めていくのか、また、特に、どのような取り組みに重点を置いて進めていくのか伺います。
次に、保育・介護人材の確保について伺います。
国立社会保障・人口問題研究所の平成二十九年推計によると、二〇三〇年における日本の総人口予測は約一億一千九百万人へと減少し、三人に一人が六十五歳以上の高齢者という社会になります。
根本的には、人口減少につながる少子化に歯どめを打たなければなりませんが、残念ながら、二〇一八年の出生数は、調査開始以来最も少ない九十一万八千三百九十七人と三年連続の減少となっております。
また、本県が行った少子化に対する県民意識調査では、五年前の調査に比べ、少子化に危機感を感じていないと答えた方が増加する一方、独身者の中で結婚の意思があると答えた方は減少しており、少子化対策も難しい環境にあります。
特に心配なことは、生産年齢人口が二〇一五年には約七千七百二十八万人でしたが、二〇三〇年には約六千八百七十五万人と、約八百五十三万人もの減少が見込まれていることであります。
本県でも約二十一万人の減少が見込まれていますが、もう既に現在でもほとんどの産業で、人手不足が深刻な状況となっております。
こうした厳しい環境の中、本年十月より実施される幼児教育、保育の無償化により高まる保育ニーズによる保育人材の確保と、県内の二〇一八年度の有効求人倍率が平均で六・二五倍と、全産業平均の一・七八倍を大きく上回っている介護人材の確保について伺います。
本年四月の本県の待機児童数は二百五十八人、潜在的な待機児童数は二千四百七人、また、特別養護老人ホーム入所待ちの方は二〇一七年四月時点で七千三百三十九人もおり、ともに施設整備とあわせ、保育・介護人材が相当必要な状況にあると思います。
保育所や介護施設等、建物ができても人材が確保できなければ、この問題は解決できません。ともに処遇、待遇、職場環境が他の業種に比べ厳しいことが人材確保の難しさに拍車をかけているのだと思います。
厚労省の調査では、保育士資格を取得して卒業した人の就職先の約半数が保育所以外ということであります。また、現在保育士をやめている人の約六割は、保育士へ復職したくない理由、例えば賃金が希望と合わない、責任の重さ、休暇が少ない、とりにくいなどが解消されれば、保育士に戻りたいとの結果も出ており、潜在的な保育人材は存在し、処遇、待遇、職場環境を整備すれば、保育士確保の道は開けるのではないかと思います。私の周りでは、行事を控えた備品の作製など、家に持ち帰っての業務が大変といった声をよく聞きます。
また、介護人材は、団塊の世代が全員後期高齢者に入る二〇二五年度には三十四万人不足、本県でも約一万一千人が不足となり、厚労省は、今後、介護人材を年間六万人程度確保する必要があるとし、介護職員の処遇改善、多様な人材の確保、育成、離職防止、外国人材の受け入れ環境整備など、総合的な介護人材確保策に取り組む姿勢を示しております。
そこで伺います。
全産業で人手不足に陥っている現状において、他産業に比べ処遇、待遇、職場環境が厳しい保育・介護人材の確保に、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
最後に、あいちトリエンナーレについて伺います。
トリエンナーレについては、さまざまな問題が提起されておりますが、県としてトリエンナーレに何を求めてきたのか、そして、今の状況がそうした方向に合っているのか、一度、原点に立ち返って考える必要があると思います。
本来のトリエンナーレの主な目的は、文化芸術活動を通じて日常生活への浸透を図ることや、地域の魅力の向上を図ることなどにより、県民の心の豊かさを育むことだと思います。残念ながら、今回は一部の企画展で問題が起こり、本来のトリエンナーレのあり方まで問われる事態となってしまいました。
既に検証委員会が開催され、客観的・専門的見地から総合的に検証をいただいておりますが、そもそもトリエンナーレをやろうと進めてきたのは本県であります。全てを検証委員会に任すのではなく、当事者意識を持ち、みずからの立場でも検証すべきと考えます。
そこで、四点について伺います。
一点目は、今回の問題について、県としての考え方であります。
今回、脅迫という特殊事情があったにせよ、混乱を招いたことは事実であり、実行委員会の中心である県が当事者意識を持って問題に正面から立ち向かい、問題の把握、原因追及を行い、情報発信と説明責任を果たすべきと考えます。
本県として、今回のような事態が起こった原因はどこにあると考えているのか伺います。
二点目は、中止の判断についてですが、今回、知事は中止の決定について、テロの予告や脅迫とも受け取れる内容の電話が殺到したための緊急避難的措置としています。京アニ放火事件から間もない時点での今回の脅迫への対応としてはやむを得ない判断と考えます。
一方で、表現の不自由展・その後の実行委員会を初め、あいちトリエンナーレの参加作家や一般の皆様からも再開を求める声が上がっていると聞いておりますが、昨日、条件を整えた上で再開を目指したいと発言されましたが、知事としては、表現の不自由展・その後の展示を今後どのようにしていかれるつもりなのか、改めてこの議会の場で考えを伺います。
三点目は、実行委員会、芸術監督の役割と権限についてであります。
主催者であるあいちトリエンナーレ実行委員会の役割は、芸術監督の選任、事業計画、予算等の決定であり、テーマ、コンセプトの決定や、作家の選定、企画内容の決定は、芸術監督に権限がある仕組みとなっています。芸術監督の権限が強い状況では、本来、本県がトリエンナーレに求める姿とかけ離れてしまうおそれもあり、好ましくないのではないかと感じています。
企画等は当然、芸術監督に委ねる部分は大きいと思いますが、最終的には検閲の問題もありますが、実行委員会でトリエンナーレの目的やテーマ、コンセプトに沿っているかなど十分な議論がなされ、決定されるべきと考えます。
今後、どのような仕組み、役割、権限のもと、進めていくべきと考えているのか伺います。
四点目は、公的なお金を使用しての事業のあり方についてですが、県のさまざまな事業は、より多くの県民に支持されることが基本であり、そうした意味からすると、今回のトリエンナーレの企画展の一部である表現の不自由展・その後は、結果的に大きなトラブルを引き起こすとともに、賛否両論となるような状況になってしまい、ふさわしいものであったのか疑念が残ります。
よって、今後、公的なお金を使用しての芸術祭のあり方について検証委員会に任すだけでなく、本県としても一度、ゼロベースで議論、方向性を打ち出した上で、前に進むことが重要だと考えます。その際、このトリエンナーレには多くの子供たちやボランティアが参加していることも十分配慮して考えていく必要があると思います。知事の考えを伺います。
以上、新政あいち県議団を代表し、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりましたが、明快な御答弁を期待しまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
16: ◯知事(
大村秀章君) 新政あいち県議団の西久保ながし幹事長の質問にお答えします。
初めに、子供や高齢運転者の交通安全対策についてお答えをいたします。
昨今、子供が犠牲となる事故や、高齢運転者による事故が全国で相次いでおり、交通事故死者数全国ワースト一位の返上を目指す本県といたしましても、これら悲惨な事故の抑止を図ることが喫緊の課題と考えております。
このため、国や市町村、県警察等で構成する愛知県交通安全対策会議において、本年度の交通安全実施計画に基づき、子供の安全についてはゾーン30を初めとする十五対策、高齢者の安全運転についてはシニアドライバーズスクールを初めとする二十四対策を着実に推進するとともに、国の緊急対策を踏まえ、必要な対策を追加し、強化を図る方針としております。
子供の追加対策につきましては、幼稚園や保育所が日常的に利用する経路の危険箇所について、施設の管理者や道路管理者、県警察等が合同で緊急安全点検を実施し、今月内に対策が必要な箇所の抽出を完了させ、本年度から順次防護柵の設置などの対策に着手してまいります。
また、高齢運転者の追加対策につきましては、日常の安全運転を支えるセミナーや安全運転サポート車の普及促進イベントを県内各地で開催し、交通安全意識のさらなる向上を図ってまいります。
さらに、安全運転支援装置の普及に向けた補助制度についても御質問をいただきました。国が今後創設する性能認定制度を踏まえて、市町村と連携を図りながら、そうした対応について、前向きに検討を進めてまいりたいと考えております。
今後も、関係機関と緊密に連携してこれらの対策を強力に推進し、交通事故のない安全・安心な愛知の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、外国人材の受け入れ、共生に向けた取り組みについてであります。
本県では現在、東京都に次いで全国で二番目に多い二十六万人を超える在留外国人が生活する中、本年四月に改正出入国管理法による新たな在留資格、特定技能が創設され、今後、さらに多くの外国人材が本県で就労し、居住することが想定されております。
そこで、本県では、名古屋出入国在留管理局や愛知労働局などの国の機関や経済団体、労働者団体などを構成員として本年二月に立ち上げた外国人材適正受入れ・共生推進協議会において、外国人の適正な雇用の促進や多言語での生活情報の提供など、労働環境や生活環境の整備について一丸となって取り組んでおります。
また、本県の外国人相談窓口であるあいち多文化共生センターでは、本年四月から通訳を増員し、アジア圏を中心に対応言語を五言語から九言語に多言語化するとともに、今後は協議会のネットワークも活用し、在留手続、雇用、医療、福祉、教育など幅広い相談にも対応できるよう、機能の拡充を図ってまいります。
さらに、町内会役員や外国人雇用企業の関係者などを対象として養成した地域多文化コーディネーターにかけ橋となっていただき、外国人県民の地域活動への参加を促すとともに、新たに、愛知県社会福祉協議会等と連携して県内全ての民生委員にあいち多文化共生センターに関する情報を提供し、外国人対応に活用していただくなど、外国人県民が地域の一員として受け入れられる環境を整備してまいります。
こうした取り組みにより日本人県民と外国人県民がともに理解し、ともに輝く、豊かで活力に満ちた多文化共生社会を実現してまいります。
続いて、将来に向けた先端技術の取り組みについてお答えをいたします。
AI、IoTなど先端デジタル技術の活用がイノベーションの源泉となる中、IT関連など最先端技術を開発、提供する企業を育成するとともに、国内外から誘引し、本県の強みである物づくり企業との連携を図るなど、新たなイノベーションを創出する環境をスピード感を持って整えていくことが重要であると考えております。
こうした認識のもと、昨年十二月にあいち産業労働ビジョン二〇一一─二〇一六の追補版を策定し、新たな施策の柱として、イノベーションの促進、生産性の向上を設定いたしました。そして、自動運転のビジネスモデルも含めた実証実験など、近未来技術の社会実装に向けた取り組みのほか、知の拠点あいちにおける自動車産業のCASE、MaaSへの対応などをテーマとした産学行政連携の共同研究プロジェクトや、製造現場におけるIoT技術者の育成といった取り組みを今年度から新たに推進しております。
また、イノベーションの担い手として、スタートアップの重要性が非常に高まっていることから、その創出、育成、誘致に特に力点を置くこととしております。
そのため、この九月にスタートアップ推進課を新設したほか、世界トップクラスの支援機関との連携を図るための覚書をパリ
市の経済開発公社、パリ・アンド・コーと、フランス最大の工学系高等専門大学校、IMTアトランティック、そしてシンガポール国立大学と相次いで締結し、さらに、中国の清華大学ともきょう、この本会議の後に午後四時から、この協定を締結する予定となっております。
また、今議会にスタートアップの支援拠点の整備を提案するなど、迅速かつ的確な施策展開を図ってまいりたいと考えております。
こうした取り組みを通じて、IT関連のスタートアップなど、多くの企業や優秀な人材を国内外から集積させるとともに、自動車を初め物づくり産業との連携、融合を図ることにより、愛知発のイノベーションが次々と生まれるように全力を挙げてまいります。
次に、プラスチックごみ対策についてであります。
まず、中国等の廃プラスチックの輸入規制に伴う対応についてお答えをいたします。
世界最大の受け入れ国であった中国が廃プラスチックの輸入規制を二〇一七年から開始したことに伴い、本県からの廃プラスチック輸出量は、推計ですが、二〇一六年度の約十九万六千トンから二〇一八年度は約十三万六千トンと約六万トン減少しております。
こうした中、県ではこの影響を把握するため、昨年来継続して調査を実施しており、輸出業者において保管量が増加しているのに伴い、産業廃棄物処理業者においても過剰保管等の不適正事例は確認されていないものの、保管量の増加、処理料金の上昇など、影響があるとする事業者がふえております。
今後、各国の輸入規制が拡大傾向にあること、有害廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約の改正により、二〇二一年から汚れたプラスチックごみの輸出に当たり、相手国の同意が必要となったことから、国内で処理すべき量の増加が、これは想定をされるということであります。
こうしたことから、県としては、まずは処理の滞留に伴う不適正処理防止の対策を確実に行うとともに、将来を見据え、廃プラスチックを循環利用する体制を整えていくことが重要と考えております。
このため、排出事業者に対して廃プラスチックの排出量の削減やリサイクルの徹底を強力に要請するとともに、輸出業者や産業廃棄物処理業者に対しては、業界団体や市町村とも連携し、適正な処理を指導、誘導することで、保管量の削減を図ってまいります。
また、事業者においては立入指導等も踏まえ、廃プラスチックの焼却や分別、リサイクルを行う施設の新増設の動きも出てきており、国とともに先端の施設の整備や廃プラスチックを有効活用する新たな循環ビジネスの事業化を積極的に支援、促進することで、廃プラスチックの県内での資源循環体制の構築を図ってまいります。
続いて、プラスチック問題に対する認識と今後の取り組みについてであります。
海岸に漂着しているプラスチックごみは、レジ袋、食品の包装、容器、ペットボトル、発泡スチロールのかけらなどであり、その多くは使い捨て、ワンウエーの製品となっております。
プラスチック問題の解決には、ごみとなりやすいプラスチック製品をなくしていくこと、そして、出てしまったプラスチックごみは適正に処理し、海や山など環境中に排出しないことが求められます。
県では、一九九三年に設置した事業者団体、消費者団体や市町村等百十一団体で構成するごみゼロ社会推進あいち県民会議を中核に、リデュース、リユース、リサイクルの3Rの徹底やレジ袋の有料化など、プラスチックごみの削減に向けて、地域を挙げた取り組みを推進してきております。
引き続き、事業者において取り組まれつつあるプラスチック代替製品の開発や詰めかえ製品への転換などを促進しつつ、消費者におけるこうした製品を選択するマインドの醸成を図ってまいります。
また、プラスチックごみの環境中への排出、いわゆるポイ捨ての防止に向けては、一九九四年に制定した空き缶等ごみの散乱の防止に関する条例に基づき、県民意識の高揚に取り組んでおります。
県民一人一人に海ごみ等の実態とその影響を認識し、みずからの行動につなげていただくため、海ごみゼロウィークにおける全県での清掃活動の展開、海ごみ問題を学ぶ啓発動画や学習プログラムのSNSへの配信など、取り組みの強化を図っております。
さらに、来年一月に開催予定のごみゼロ社会推進あいち県民大会において、プラスチックごみ削減に向けた県民宣言を採択、発信すべく、現在、県民会議において検討を進めており、全県民を挙げた一大運動となるようしっかりと取り組んでまいります。
続いて、行財政改革の取り組みについてであります。
現行の行革大綱であるしなやか県庁創造プランでは、量的削減余地が狭まってきたとの認識のもと、民間活力の活用や県の持つ経営資源を最大限に活用する取り組みを進めております。
その中で、デジタル化の進展などを受け、ロボティック・プロセス・オートメーションによる業務効率化やサテライトオフィスの設置など、従来の業務の進め方を大きく変える取り組みにも既に着手しております。
議員御指摘のとおり、世の中はすさまじい速さで動いており、行政においても、従来にも増して創造性やスピードが求められる時代となっております。
そこで、次期行革大綱の中間取りまとめでは、サステーナブルな県庁づくりのほか、スマート、スピーディーを改革の視点とし、しなやか県庁をさらに進化させてまいりたいと考えております。
スマートの視点では、ICTを一層活用しながら創意と工夫によるさらなる業務効率化を進め、生産性の向上につなげるとともに、職員が常に問題意識を持ち、自主性とチャレンジ精神をさらに高めていけるよう、人材育成に取り組んでまいります。
また、スピーディーの視点では、現地・現物・現場目線の取り組みを徹底するとともに、民間など多様な主体との連携を一層進め、政策課題や県民ニーズに迅速に対応してまいります。
大綱の策定に向けましては、パブリックコメント等に続き、今後、経済界や労働団体等の皆様と意見交換を実施してまいります。県議会の皆様方を初め、さまざまな皆様方からの御意見等をいただきながら検討を深め、本年十二月の大綱決定を目指してまいります。
次に、防災・減災対策についてお答えいたします。
災害から県民一人一人の命を守るためには、公助の取り組みはもとより、みずからの命はみずからが守り、地域でお互いを支え合う自助、共助の取り組みを促進していくことが極めて重要です。
このため、日ごろから地域において身近な災害のリスク、避難する場所やタイミングなどを家族や住民同士で共有し、さまざまな訓練を通して自主的に避難する意識を身につけていただくことが不可欠であります。
本県では、こうした取り組みを住民全体の避難行動につなげていくため、町内会などのコミュニティーごとに浸水区域や避難時の危険箇所を確認するとともに、家族会議で役割の分担や避難ルートを話し合い、手づくりハザードマップを作成して、大雨行動訓練を実施する、みずから守るプログラムの取り組みを市町村や地域の防災リーダーと連携して一層推進してまいります。
さらに、これら地区の取り組みが地域全体の取り組みとして根づいたものとなるよう、市町村と共催する防災訓練などにおきまして、小学校など地域の避難所を会場として、住民参加のもと、地域の災害リスクに即した実践的な訓練を広く展開してまいります。
今後も市町村や関係機関とともに地域に入り、防災リーダーと協力して住民の家庭やコミュニティーにおける自主的な取り組みを支援し、防災意識の高い愛知の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。
続いて、SDGsの取り組みについてであります。
愛知県SDGs未来都市計画では、SDGsの目標年次である二〇三〇年の本県のあるべき姿に向けて、二〇一九年度から二〇二一年度までの三年間に進める主要な取り組みを位置づけております。
具体的には、経済面では、スタートアップと既存企業の連携によるイノベーションの創出、社会面では、女性や高齢者、障害者、外国人などの活躍促進、そして、環境面では、あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇の推進などを掲げるとともに、関連するSDGsのゴールや重要業績評価指標、いわゆるKPIなどを設定しました。
また、重点取り組みとして、COP10で採択された愛知目標の達成に向け、全国、世界に先駆けて取り組んできた生物多様性保全に係るあいち方式の発展・確立プロジェクトを掲げております。
これは、次代を担う学生、企業、NPO等の連携を拡充することなどにより、環境ビジネスの創出や県民の活躍の場の提供、環境に配慮した行動の進展など、経済、社会、環境の三側面の取り組みを促進するものです。
私が本部長を務める愛知県SDGs推進本部を通じて、SDGs未来都市計画で位置づけた取り組みやKPIの進行管理をしっかり行ってまいります。
また、今議会には、SDGsの認知度を高めるため、一般の方を対象に情報発信を行うとともに、環境分野でSDGsに取り組む団体等と連携したセミナーを開催するための予算を提案したところであり、県民への普及啓発や、企業、大学、NPOなど関係機関との協働を進めてまいります。
地球上の誰一人として取り残さないというSDGsの考え方は、本県が目指す全ての人が輝く愛知と方向性を一にするものであり、地域全体で持続可能な発展を実現できるように、全庁を挙げてSDGsの推進に取り組んでまいります。
次に、保育・介護人材の確保についてであります。
本県では、保育人材の確保のため、保育士の養成、処遇改善による離職防止、潜在保育士の再就職支援に取り組んでまいりました。
特に処遇改善につきましては、二〇一三年度以降、民間の保育所等で働く保育士の給与を約一三%、月額約四万一千円引き上げるとともに、技能や経験に応じて月額最大四万円まで改善を行っております。
また、保育士の負担軽減を図るため、二〇一七年度から保育補助者の雇い上げに対して、昨年度からは清掃や片づけ等を行う保育支援者の雇い上げに対しても助成を行うなど、職場環境の改善に努めているところであります。
次に、介護人材の確保につきましては、参入促進、資質の向上、労働環境と処遇の改善を三つの柱に、介護のイメージアップや元気な高齢者などのボランティアの育成、市町村等が実施する研修や介護ロボット導入事業所への支援等を行ってまいりました。
今年度からは外国人材を受け入れる介護施設等を支援するため、留学生に対する奨学金制度への助成等を行うほか、本年十月の消費税率引き上げに伴う介護報酬の新たな加算制度により、経験、技能のある介護職員に重点化を図りながら、一層の給与改善を進めてまいります。
さらに、介護職員の負担軽減を図るため、介護事業所における介護記録から報酬請求までの業務の効率化につながるソフトウエア、タブレット端末等のICT機器導入に対して助成する補正予算案を今議会に提案させていただいているところであります。
少子・高齢化により生産年齢人口が減少する中、増加、多様化する保育・介護ニーズに適切に対応するためには、質の高い人材を安定的に確保することが重要であると認識しておりますので、今後とも市町村等と連携を図りながら、保育・介護人材の確保にしっかりと取り組んでまいります。
私からの最後の答弁になりますが、あいちトリエンナーレについてお答えをいたします。
これまでの経緯等につきましては、九月二十日の提案理由説明におきまして述べさせていただいているところでありますが、九月二十一日に開催されました表現の自由に関する国内フォーラムでは、出展作家や県民の皆様からさまざまな御意見をいただき、また、昨日、二十五日に開催をされました第三回のあいちトリエンナーレのあり方検証委員会におきましては、私に対しまして、事実関係を丹念に検証、整理し、山梨座長から中間報告をいただいたところであります。
そのまとめによりますと、展示作品を見ていない人がSNS上の断片画像を見て電凸攻撃に及んだこと、二次的影響として、海外作家等は検閲と批判、今後のあいちトリエンナーレのみならず、国内の芸術祭、国公立美術館への海外作家の出品拒否を誘発しかねないリスクがあるとの現状認識がされた上で、芸術祭全体としては、今のところ不自由展問題を除けば成功している、これまでに入場者数が約四十万人、前回を約二割上回る、現代的で時代性を帯びた企画、作品が多く、各方面から高評価、とされました。
不自由展の企画と展示の妥当性については、次のとおり報告されました。
過去に禁止となった作品を手がかりに、表現の自由や世の中の息苦しさについて考えるという着眼は今回のあいちトリエンナーレの趣旨に沿ったものである。
しかし、でき上がった展示は鑑賞者に対して主催者の趣旨を効果的、適切に伝えるものだったとは言いがたく、キュレーション
これは見せ方、展示実施でありますが、
キュレーションに多くの欠陥があった。特に強く批判を浴びた三つの作品はいずれも作者の制作意図等に照らすと展示すること自体に問題はない作品だったが、作品の制作の背景や内容の説明不足などや展示の場所、展示方法が不適切、すなわちキュレーションに失敗し、またSNS写真投稿禁止の注意書きを無視する来場者が続出したため来場していない人たちから強い拒絶反応と抗議を受けた。
混乱を防ぐために入り口にSNS写真投稿禁止と表示したが、それでネット上の流布を抑止できるという想定は、そもそも非現実的だったし、それでも徹底して禁止するという仕組みを考えなかったなど、総じてSNSによる拡散を抑止しようとする意欲と決意が希薄だった。
予算不足と準備の時間の不足が重なり、シンポジウム等の事前のエデュケーションプログラムが企画されなかった。また、展示をガイドツアーで行う等の工夫を考える時間的余裕もなかった。
展示された二十三作品の過半が実は二〇一五年の不自由展に出されなかったものだった。それにも関わらず芸術監督は不自由展実行委員会に展覧会内展覧会の形式で展覧会の開催を業務委託したが、他の方式を事前に検討しなかった。
また、準備プロセスの問題として、
誤解を招く展示が混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為にある。そしてその背景にはそれを許す組織体制上の数多くの欠陥があった。
芸術監督の不適切な判断や行動に起因する今回のようなリスクを回避、軽減する仕組み、ガバナンスがあいちトリエンナーレ実行委員会及び県庁に用意されていなかった。
不自由展は不自由展実行委員会との協議を経て開催三日を経て中止された。なお、これは脅迫や電凸等の差し迫った危険のもとの判断でありやむを得ないものであり、表現の自由、憲法第二十一条の不当な制限には当たらない。
と整理しております。
その上で、展示の再開に向けては、
条件が整い次第、速やかに再開すべきである。脅迫や電凸等のリスク回避策を十分に講じること。展示方法や解説プログラムの改善、追加、さまざまな背景を説明した上でガイドツアー方式で鑑賞をいただく、など。写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する。
なお、特に海外作家へのコミュニケーションのやり方に留意すべきである。一部の海外作家はこれまでの海外事例に照らし、今回の中止判断がテロ対策や安全管理を表面上の理由とする実質的検閲と認識。
県民及び出展作家への徹底した情報公開と意見聴取を続けるべきである。今回の事案は来場者や県民よりも来場していなかった人たちがネット上の断片映像や誤った情報に接して混乱を招き、また、県民に不安を与えた。また、出展作家に対しても、中止の連絡や説明等が遅れ、また不十分であった。再開に向けては、県民及び作家から広く賛否両論を聴取し、それを公開し、双方が反対の考え方を持つ人々の意見をよく聞くべきである。
さらに、
次回以降のトリエンナーレに向けて、運営体制を抜本的に見直すべきである。あいちトリエンナーレの場合、県庁が中心とならざるを得ないが、
これは議員も御指摘しておりますが、
公金を使う難しさを解決する方法として例えばアーツカウンシル
これは第三者委員会でございますが、
アーツカウンシルを設けるべきである。
などの御提言をいただきました。
これらの御提言を真摯に受けとめ、早速、本日からトリエンナーレのあり方検証委員会をあり方検討委員会へと改組し、再開を目指してその具体的な条件について検討し、整理していただきたいと存じます。そして、それを踏まえて、表現の不自由展実行委員会及びその関係者、作家、アーティストの皆さんとしっかりと協議、話し合いを進め、我々として最善を尽くしてまいりたいと考えております。
また、検討委員会には十月以降、次のトリエンナーレの体制等についても検討し、適切な提言をいただきたいと存じます。
そして、十月五日、六日には国際フォーラム情の時代における表現の自由と芸術を開催し、表現の自由に関する新しいルールを模索し、できれば世界の人々に対して表現の自由を守るためのあいち宣言(あいちプロトコル)を提案したいと考えております。
いずれにいたしましても、十月十四日までの残りの会期を最後まで多くの方々に最先端の芸術作品を楽しんでいただけるよう、安全・安心な運営に全力で取り組んでまいります。
以上、御答弁申し上げました。
17:
◯教育長(長谷川洋君) 中学校でのキャリア教育の質の向上、そして、次代を見据えた高等学校づくりについてお尋ねいただきました。
中学校におけるキャリア教育は、みずからの将来を思い描きながら、目的意識を持って生徒が活動に取り組めるようにすることが大切であります。
本県では、全ての公立中学生に、三年間のうち一度は職場体験学習を行うこととしており、生徒みずからが希望する体験先と連絡をとるなどのより主体的な取り組みも実践されております。
今後も、地元の産業界の御協力をいただきながら、生徒が自分の将来を真剣に考えて勤労観や職業観を育み、高等学校へもつながるようなキャリア教育となるよう努めてまいります。
次に、高等学校については、産業界の代表者や学識経験者などの有識者で構成する愛知県産業教育審議会において、毎年、産業教育の今後のあり方等について審議していただいております。
本年二月の答申では、生産現場のデジタル化など、急速な技術革新に対応できる専門性の高い人材の育成は、物づくり産業の集積する本県にとって喫緊の課題であるとの意見をいただいたところであります。
教育委員会といたしましては、こうした課題に対応し、本県の次代を支える人材を育成するため、産業界のニーズの変化を踏まえた工業高校の学科の見直しを進めてまいりたいと考えております。
18: ◯議長(
神野博史君) 進行いたします。
市川英男議員。
〔五十二番市川英男君登壇〕(拍手)
19: ◯五十二番(市川英男君) 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題についてお尋ねいたします。
質問の第一は、財政運営についてであります。
今後の財政運営についてお伺いいたします。
我が国の景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復しておりますが、先行きについては、通商問題をめぐる緊張の増大が世界経済に与える影響や、金融資本市場の変動の影響などに留意する必要があるとされており、とりわけ、輸出型産業が集積している本県の県税収入への影響が心配されます。
また、この十月から消費税及び地方消費税の税率が一〇%へ引き上げられます。これに伴い、さまざまな税制改正、制度改正が予定されており、本県の歳入、歳出への影響は、来年度以降、本格化してくるものと考えております。
総務省では、先月末の国の概算要求時に、令和二年度地方財政収支の仮試算を公表いたしました。この試算によりますと、来年度は、地方税等については地方消費税の税率引き上げ等を反映して〇・八兆円の増を見込み、また、地方交付税は〇・六兆円の増、地方一般財源総額は一・三兆円の大幅な増加となっています。
これは幼児教育の無償化など、人づくり革命に伴う歳出増や社会保障費の自然増を織り込み、一般財源を増額して、自治体財政にしわ寄せを与えないよう配慮しているものと考えられます。
しかし、一方で、骨太の方針二〇一八で定められた地方歳出の目安は二〇一八年度と実質同水準とされており、今後の国の予算編成において、果たして十分な財源がしっかりと確保されるのか、慎重に見ていく必要があります。
こうした中、今後も本県の成長を加速させるプロジェクトを強力に推進しつつ、活気ある温かな地域づくりを実現していくためには、こうした制度改正の影響を的確に把握し、時には国へ意見しつつ、安定的な財政運営の確保に努めていく必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
地方財政に関する大きな制度改正の影響が見込まれる中で、今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、支え合う地域づくりについてであります。
まず、就職氷河期世代の活躍支援についてお伺いいたします。
就職氷河期世代と呼ばれる現在三十代半ばから四十代半ばの一九九〇年代前半、バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職期を迎え、就職活動を行った方々は、希望する職につけず、今日においても不本意ながら、非正規雇用などの不安定な仕事についている、あるいは無業の状態にあり、中には、社会参加への機会や自信をなくし、ひきこもり状態になってしまわれた方もおられます。このままでは将来、高齢の生活困窮者の増加や、社会保障費の膨張などの問題が加速化し、深刻化することが大いに懸念されます。
こうした中、政府は本年六月二十一日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、いわゆる骨太の方針において、就職氷河期世代支援プログラムを盛り込み、本格的な対応に乗り出したところであります。
このプログラムでは、全国におよそ百万人いると言われる就職氷河期世代の非正規雇用労働者や無就業者等を対象に、処遇の改善や社会参加を促す取り組みを推進することにより、今後三年間で三十万人の正規雇用化を図ることを目標としております。
また、二〇二〇年度予算の概算要求においては、ハローワークにおける相談窓口の設置や、専門担当者による就職相談から職場定着までの一貫した伴走型支援、ひきこもりや生活困窮者など社会的に孤立しやすい方に積極的に手を差し伸べるアウトリーチ支援が盛り込まれるなど、厚生労働省を中心に、具体的な取り組みの検討が進められております。
少子・高齢化の進行により生産年齢人口が減少し、人材不足が深刻化する中で、就職氷河期世代の方々に対して、人生の再チャレンジに向けた支援をしっかりと行い、活躍の場を設けていくことは、この世代の方々の生活を安定させることはもちろんのこと、地域の活力を高めていく上でも大変重要であると思います。
本県は製造業を中心として我が国を代表する産業の集積地であり、強い産業競争力を背景とした良質な雇用環境に恵まれた地域であります。こうした本県の強みを生かし、就職氷河期世代の課題解決に向けて全国をリードしていくことも、この愛知の大きな役割であると考えております。
そこでお尋ねいたします。
就職氷河期世代の活躍支援について、県としてこの課題をどのように捉え、また、どのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、幼児教育、保育の無償化についてお伺いいたします。
いよいよ本年十月、来月から、いよいよ幼児教育、保育の無償化が始まります。幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する三歳から五歳までの全ての子供たちの利用料、ゼロ歳から二歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象に利用料が無償化されます。
また、認可外保育施設や一時預かり事業、病児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、多様な保育施設、サービスについても一定額が無償化されます。
これにより、子育て世帯の経済的負担が大幅に軽減され、少子化の一因である子育てに係る経済的不安の解消が進むものと大いに期待しております。
一方、無償化を機に潜在的な保育ニーズが喚起され、保育所への入所希望児が急増すれば、待機児童の解消が遠のくとともに、保育士不足がより深刻化する懸念もあります。
さらに、認可保育所への入所を希望しても入ることができず、認可外保育施設を利用する子供たちが少なからずいることから、国の基準を満たさない認可外保育施設であっても、五年間の経過措置として、無償化の対象に認められました。
このため、こうした施設を利用する子供たちの安全や保育の質をいかに確保するかが課題となっています。
また、無償化の実務を担う市町村からは、かねてより準備期間が足りないとの声が上がっており、本年五月の子ども・子育て支援法改正以降、順次、国から無償化の実務的な手続に関する通知が示されました。
市町村では、これらの通知を受けて、保護者や保育所等への説明や条例改正など、無償化に向けた準備をわずか数カ月間で終えることが求められており、県としてもこうした市町村の取り組みをしっかりと支援していく必要があります。
無償化の円滑かつ着実な実施に向けて、これらの課題に対し、県としてぜひとも適切な対応をお願いしたいと考えております。
そこでお尋ねいたします。
幼児教育、保育の無償化が始まろうとしている今、市町村の準備は万全なのか、そして、待機児童対策を初めとした課題に対しては、県は今後どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、子育てにおける切れ目のない支援についてお伺いいたします。
最近の社会環境として、少子化、核家族化の進展や、地域のつながりが希薄になっていると指摘されております。
こうした状況のもと、女性は妊娠や出産という人生の大きな節目となる出来事を迎えることとなり、身近なところで赤ちゃんに接する機会を得ることなく親になることで、育児の基本的ノウハウが不足し、子育てにつまずくリスクが高まりがちです。
また、大家族であった時代には、妊娠や出産に関する不安の相談相手として、また、困ったときに助けてもらう人として、里帰り分娩に代表されるように、妊産婦は実家を頼るということが当たり前のこととして考えられてきました。
しかし、近年は、頼るべき親がまだ現役として就労していたり、出産年齢の上昇による親の高齢化など、実家を頼りにくい状況が生まれており、さらに、個人の生活が重視されるようになったことで、御近所が助け合い、地域全体で子供を育てるという意識が弱くなっているとも聞きます。
このように、身近な支援者がいない状況においては、妊産婦の育児不安や孤立感、負担感が一層強くなり、産後鬱のおそれも高まります。
こうした中で、子供の健やかな成長のためには、母親が安心して育児に取り組めるよう、妊産婦や子供のいる家庭に対し、丁寧に寄り添った支援が求められていると考えます。
県では、福祉医療施策の羅針盤となるあいち健康福祉ビジョン二〇二〇において、子育て家庭への支援の充実を課題の一つに掲げ、地域の子育て支援を充実し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を行うとしています。
一方、国においては、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供するために、保健師等の母子保健にかかわる専門職を配置し、妊娠、出産、育児に関する相談に応じ、必要な情報提供や助言、支援プランの策定等を行う子育て世代包括支援センターの二〇二〇年度末までの全国展開を目指しており、市町村において順次設置が進められている状況にあります。
そこでお尋ねいたします。
妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のために、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、魅力ある地域づくりについてであります。
まず、SDGsの普及啓発についてお伺いいたします。
SDGsとは、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズの略称であり、二〇一五年九月の国連サミットにおいて採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダに定められた国際社会全体の持続可能な開発目標のことであります。
このSDGsでは、十七のゴールと百六十九のターゲットが掲げられるとともに、地球上の誰一人として取り残さないことを理念とし、先進国、途上国を問わず国際社会全体で、経済、社会、環境にかかわる諸課題の解決に統合的に取り組もうという考え方です。
国では、SDGsの理念に沿った基本的・総合的取り組みを推進しようとする都市、地域の中から、特に経済、社会、環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市、地域をSDGs未来都市として選定、支援しており、愛知県は本年七月にSDGs未来都市に選定されたところであります。
本県において世界共通の目標であるSDGsを達成するためには、県民一人一人がSDGsを認識し、SDGsのための行動を実践していくことが必要不可欠です。
しかしながら、大手広告代理店が本年四月に発表した全国の十歳代から七十歳代の男女計約六千六百名を対象としたSDGsに関する生活者調査によると、SDGsの認知度は約一六%であり、本県においても普及啓発に力を入れていくことが急務であると考えます。
また、二〇三〇年に向けて持続可能な社会をつくっていくためには、次代を担う子供たちにもSDGsへの理解を深めてもらうことが重要であります。
一方、SDGsの普及啓発に当たっては、同じく、SDGs未来都市に選定された名古屋市、豊橋市、豊田市を初めとした県内の市町村や、企業、大学、NPO等のSDGsに取り組む団体とも連携、協力して進めていくことが大切であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
SDGs未来都市としての選定を受け、SDGsの達成に向けて、県民への普及啓発や県内の市町村等との連携にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、中小企業の事業承継支援についてお伺いいたします。
経営者の高齢化が進み、団塊世代の経営者の大量引退時期が到来する中、後継者難に伴う廃業の増加によって、企業が有する貴重な技術やノウハウ、雇用の喪失に加え、サプライチェーンへの影響などが懸念されており、中小企業の事業承継は喫緊の課題となっています。
中小企業庁の推計では、二〇二五年度までに平均引退年齢の七十歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約二百四十五万人とされ、うち約半数の百二十七万人が後継者未定であるとし、現状を放置すると二〇二五年までの累計で約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性があると試算しています。
また、各地域の中小企業は、単に経済活動の主体であるにとどまらず、地域のにぎわいや活力創出の担い手としても重要な存在であるため、中小企業の減少は地域の活力が損なわれることにもなります。
まさに事業承継問題の解決は、地域経済及び地域社会の持続的発展を左右するものと言えます。
こうしたことから、国は今後十年間程度を事業承継の集中実施期間と位置づけ、各都道府県に商工会、商工会議所、金融機関等の身近な支援機関で構成する事業承継ネットワークを構築して、早期、計画的な事業承継に関する経営者の気づきを促すための事業承継診断の実施、診断で掘り起こされた経営者の悩みや課題等に対して、事業承継コーディネーターや中小企業診断士などの専門家による支援を行うことにより、円滑な事業承継を推進することとしています。
本県においても、平成二十九年十月に公益財団法人あいち産業振興機構とともにあいち事業承継ネットワークを立ち上げ、以降、支援機関の協力を得て、事業承継診断を当初の目標を超えて実施するなど、事業承継問題に対する取り組みが積極的に行われております。
また、昨年度からは専任のコーディネーターをブロックごとに配置して、きめ細かな相談体制を整備し、経営者向けあるいは支援機関向けのセミナーを開催するほか、士業専門家と連携した個社支援にも取り組んでおり、今後、さらに支援事業の展開が期待されます。
そこでお尋ねいたします。
県はこれまでの事業承継支援を踏まえ、今後、支援を展開するに当たり、どのようなことを重視し、取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいちトリエンナーレ二〇一九についてお伺いいたします。
情の時代をテーマに掲げて開催しております国際芸術祭、あいちトリエンナーレ二〇一九は、八月一日の開幕後、二カ月近くが経過しましたが、前回を上回るペースで多くの来場者にお越しいただいていると伺っております。
一方で、企画展の表現の不自由展・その後がテロ予告や抗議が殺到したことなどにより、開幕わずか三日で中止となったことにつきましては、皆様方に安全・安心に楽しんでごらんいただくべき芸術祭として、まことに残念でなりません。
二〇一〇年の初回以降、本県の文化芸術振興のリーディングプロジェクトとして、心豊かな県民生活と活力ある愛知の実現のための一翼を担ってきたあいちトリエンナーレでありますが、四回目となる今回、展示内容や行政のかかわり方など、さまざまな意見が寄せられる状況となっています。
あいちトリエンナーレを本県のみならず、我が国を代表する国際芸術祭として継続していくためには、十分な検証を行っていただくとともに、何が必要なのかを県民の皆様に示すことが重要であると考えます。
県は先月設置した第三者委員会であるあいちトリエンナーレのあり方検証委員会からの提言や、九月二十一日開催の国内フォーラムで出された意見などを踏まえて、今後の対応を決めていくと伺っています。
そこでお尋ねいたします。
あいちトリエンナーレ二〇一九について、閉幕までの残り半月余りをどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、安心な地域づくりについてであります。
まず、地域強靱化計画についてお伺いいたしますが、先月末の九州北部地方を襲った大雨や、今月の台風十五号など、各地で大きな災害が発生しています。被災された方々にお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を願うところであります。
今回の台風では、大規模停電や断水が発生し、公共交通機関においても大きな影響を受けるなど、改めて地域強靱化の重要性を認識したところであります。
特に昨年は、大阪府北部地震、西日本豪雨災害、台風第二十一号、北海道胆振東部地震など、全国各地で大きな災害が発生し、多くの人命と財産が失われたほか、関西国際空港の閉鎖や北海道全域の電力供給が停止したブラックアウトなど、これまで経験したことのない事態が生じ、防災・減災、国土強靱化は一層重要性を増し、喫緊の課題となっています。
このため、国は電力や空港、鉄道など、暮らしと経済活動を支える重要インフラが災害時にその機能を維持することができるよう、昨年十月に全国で緊急点検を実施し、十二月には、その点検結果等を踏まえ国土強靱化基本計画を見直し、エネルギーのリスク分散や気候変動の影響を踏まえた治水対策などの施策を追加することで、中長期的な視点から強靱化の取り組みを深化させています。
また、短期的な取り組みについても、緊急点検結果に基づき、重要インフラを対象として、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を取りまとめ、直ちに実施に移すことで取り組みの加速を図っています。
県においても、二〇一五年八月に地震、津波を対象として愛知県地域強靱化計画を策定するとともに、翌年三月には風水害などのリスクを加えて拡充を図り、さまざまな対策を進めてきておりますが、昨年末からは国の基本計画の見直しを踏まえた作業を進めていると伺っております。
一方、全国の地域強靱化計画の策定状況を見てみますと、都道府県レベルでは、四十七全ての都道府県で策定を完了しているものの、市区町村レベルでは、策定済みまたは策定中の自治体が本年九月一日現在、全国千七百四十一市区町村中二百七十三市区町村で約一五%にとどまっており、本県でも、策定済みは名古屋市、豊橋市、豊川市、田原市の四市、策定中は設楽町の一町と、全国同様、余り進んでいない状況にあります。
県土全体の強靱化を図っていくには、県はもとより、県内全ての市町村が同じ方向性で取り組みを進めていくことが重要であり、そのためには県による積極的な支援のもと、各市町村における地域強靱化計画の策定を促進していくことが必要と考えます。
そこでお尋ねいたします。
このような状況を踏まえ、県として地域強靱化計画をどのように見直していかれるのか、また、市町村の地域強靱化計画策定をどのように支援していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、民間ブロック塀等の対策についてお伺いいたします。
昨年六月に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀や組積造の塀の倒壊により、通学途中の児童を含む二名のとうとい人命が失われました。
その記憶が残る中、ちょうど一年後の本年六月十八日に山形県沖を震源とするマグニチュード六・七、新潟県村上市で震度六強、山形県鶴岡市で震度六弱を記録する地震が発生し、ブロック塀等の倒壊が報告されました。幸いにも被害に遭われた方はいませんでしたが、危険なブロック塀等の安全対策の重要性を改めて認識した次第であります。
こうした中、本県では、大阪府北部地震での被害を踏まえ、県が管理する施設や学校において、ブロック塀等の除却などの対策が進められております。
一方、民間のブロック塀等については、名古屋市を初めとする特定行政庁六市を除く四十八市町村において、各市町村が設定した重点対策区域を対象に、県、市町村、建築関係団体が協力し、ブロック塀等の安全パトロールが実施されております。
昨年九月に公表されたパトロール結果によれば、四千八百カ所のブロック塀等の点検を行い、基準に不適合なブロック塀等が三千二百七十五カ所、率にして実に約七割あるとのことです。
これらのブロック塀等の所有者に対して注意喚起をするとともに、自己点検の実施や是正を促したとのことでありますが、重点対策区域以外にも基準に不適合な危険なブロック塀等は数多く存在しており、幅広く安全対策を促進する取り組みが望まれるところであります。
また、ブロック塀等の自己点検の結果、不適合な箇所があった場合に除却や改修工事を促すためには、まずは資金面等への支援が重要なことであると考えられます。
そのような状況のもと、県は今年度、市町村が指定する路線等に面する危険なブロック塀等の除却や改修工事費に対する補助制度を創設いたしました。この制度の活用により、特定行政庁六市を含む市町村のブロック塀等の安全対策がより一層進むことを期待しているところであります。
そこでお尋ねいたします。
本県では、民間のブロック塀等に対して安全パトロールの実施や補助制度の創設など、これまでさまざまな安全対策が行われておりますが、これらの取り組みがどのような状況であるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、交通安全対策についてお伺いいたします。
テレビや新聞等で連日報道されておりますように、先月、茨城県内の常磐自動車道において、あおり運転の末に車を停止させ、運転者の男性を殴るなどした男と、それに関与した女が逮捕されました。
公開された被害車両のドライブレコーダーの映像を見ますと、高速道路を蛇行したり幅寄せして、無理やり停止させ、恫喝している様子や、車からおりてきて、本線上を歩き、被害者を殴打している様子などが鮮明に映っております。
後方からほかの車両が突入するなどの最悪の事態には至らなかったものの、目を疑うような悪質かつ危険きわまりない行為であり、私はその理不尽さに激しい憤りを覚えました。
あおり運転は、平成二十九年六月に神奈川県内の東名高速道路で一家四人が乗車した車が本線上で停止させられ、その直後に後続車に突入されて夫婦二人がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生したことを契機として、大きくクローズアップされました。
それ以降も全国であおり運転の発生がたびたび報道されており、あれだけ大きな犠牲が出てしまったにもかかわらず、いまだこうした悪質、危険な運転をする人が後を絶たないことは残念でなりません。
こうしたことを背景に、最近では、自衛策としてドライブレコーダーを購入される方が急増していると聞きます。つまり善良なドライバーは、みずからが交通事故の当事者にならないよう注意するだけでは足りず、あおり運転の被害に遭うかもしれないという不安とも常に闘っているわけであります。
また、あおり運転の被害者の遺族が厳罰化等の法整備を訴えていることや、先月末には警察庁がその検討を始めたとの報道もありますが、こうした行為に対する抑止力を高めていくためには、厳罰化の必要性は極めて高いと私も感じています。
いずれにいたしましても、善良なドライバーが交通事故に気をつけながら気持ちよく運転することができるよう、可能な対策を早急かつ最大限に講じていく必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
全国的にあおり運転が社会問題となる中、こうした行為の抑止に向け、どのように取り組んでおられるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、活力ある地域づくりについてであります。
まず、子供、若者の自立・活躍支援についてお伺いいたします。
本年五月に川崎市で発生したひきこもり傾向にあった五十代の男による無差別児童殺傷事件、六月に東京都練馬区で起きた元農林水産事務次官によるひきこもり傾向にあった四十代長男の殺害事件、これら立て続けに発生した大変悲惨な事件はいまだ記憶に新しく、いずれの事件も早期に適切な支援が受けられていれば、防ぐことができたのではないかと考えます。
また、本年三月に豊田市で小学校六年生の女児二人が、七月には岐阜市で中学校三年生の男子生徒が、それぞれいじめを原因としてマンションから飛びおり自殺するなど、この地域でも子供の大変痛ましい事件が後を絶たず、こうした報道を見るたびに、私たち大人がもっと早く子供たちの悩みに気づいてあげられなかったのかと残念でなりません。
子供、若者を取り巻く社会情勢が大きく変化する昨今、子供、若者をめぐる課題は、ひきこもりやいじめ、自殺のほかにも、貧困、虐待、不登校、SNS被害など多岐にわたり、大変憂慮すべき状況となっております。
こうした課題に対応するためには、困難を抱える子供、若者の心に寄り添いながら、自立に向けた地域における重層的で切れ目のない支援が必要であり、そのための支援体制を早急に整備することが重要であります。
一方で、未来を担う子供、若者が健やかに成長し、夢や希望を持って活躍できる社会を実現するためには、子供、若者の社会性や自主性を培いながら、社会全体で応援していくことが必要と考えます。
県では昨年、あいち子ども・若者育成計画二〇二二を策定し、子供、若者の活躍を新たな視点として盛り込み、全ての子供、若者が持てる能力を発揮し、活躍できる社会づくりに取り組んでいると伺っております。
そこでお尋ねいたします。
困難な状況を抱える子供、若者の自立に向けた支援体制の整備について、どのように取り組んでいかれるのか。また、夢や希望を持った子供、若者の活躍を後押しするため、どのような取り組みを実施していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、魅力ある県立高等学校づくりについてお伺いいたします。
まず、県立高等学校教育推進実施計画についてお尋ねいたします。
近年、グローバル化や情報化などにより社会が急速に変化し、子供たちの進路選択に対するニーズが多様化しており、学校教育においてもこのような時代の変化やニーズを的確に捉えて、学校づくりを進めていく必要があります。
こうした中、教育委員会は平成二十七年三月に策定した県立高等学校教育推進基本計画(高等学校将来ビジョン)を踏まえた第一期の県立高等学校教育推進実施計画を策定し、これにより、愛知総合工科高校や、昼間と夜間の二部制単位制定時制高校として城北つばさ高校の新設、小牧工業高校の航空産業科などの学科改編等、さまざまな取り組みが進められてきました。
私たち公明党愛知県議員団で城北つばさ高校を訪問した際には、アルバイトの単位認定など特色ある制度を背景に、自分のペースで真剣に学習を進めており、学校から、中学のときに不登校で成績の振るわなかった生徒が一日も休まず登校し、試験でも高得点をとっているという話を聞くことができました。現在、開校三年目を迎え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど外部人材の活用も進み、学校教育の一層の充実に尽力されていると聞いています。
また、愛知総合工科高校にも訪問しました。最新の施設、設備と最先端の教育を行う、まさに本県工業高校の核となる学校でありました。
専攻科については、我が国初の公設民営化を導入した学校であり、高度な知識や実践的な技術、技能を身につけた人材を育成しており、生徒が充実した設備で力を伸ばして、現場で活躍したいと実習に臨む姿を見て、大変頼もしく思いました。
いずれの学校も、時代の変化や子供たちのニーズに対応した特色ある教育活動を展開しておりますが、近年、少子・高齢化による社会構造の変化に伴い、今まで予想してこなかった新たな課題も指摘されており、学校教育もこれらに迅速に対応していく必要があります。
そこでお尋ねいたします。
第一期県立高等学校教育推進実施計画は本年度で計画期間が終了しますが、この五年間の取り組みをどのように評価し、今後、魅力ある高等学校づくりをどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
最後に、貧困の連鎖の解消についてお伺いいたします。
魅力ある県立高等学校づくりが進められる一方で、県内には人間関係をうまく築くことができない、授業についていけないなどの理由で高等学校を中退した方や、中学校卒業時に将来の夢を描けずに進学や就職ができなかった方、日本語にふなれで、就学や就職に困難を抱えている外国籍の若者などが数多くいます。
こうした若者は将来の展望を描くことが困難になっており、とりわけ、高校卒業資格を得られていないことは、就職やキャリアアップに不利となり、将来的な貧困を招く大きな要因になると考えられます。
貧困問題の根本的な解決に向けては、将来を担う子供たちがその置かれている境遇にかかわらず、一人一人の能力、適性などに応じた教育を受けて、生きる力を身につけ、社会的、経済的に自立を果たしていくことが必要です。
教育委員会では、高等学校を中退した方や、中学校卒業後の進路を決められなかった方、日本語にふなれな外国人の方などを対象とした、若者・外国人未来応援事業を平成二十九年度から実施しており、この事業は子供の貧困対策の具体的な取り組みの工程を示す子どもが輝く未来へのロードマップにおいて重点事業に位置づけられ、学習支援と相談、助言により、キャリアアップを支援するものと伺っています。
そこでお尋ねいたします。
将来的に貧困の連鎖を生じさせないために重要であると考えられるこうした取り組みを今後どのように展開していかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、公明党愛知県議員団を代表いたしまして、県政各般にわたるさまざまな課題について質問してまいりました。知事初め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
20: ◯知事(
大村秀章君) 公明党愛知県議員団の市川英男幹事長の質問にお答えをいたします。
初めに、今後の財政運営についてであります。
本年十月の消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、さまざまな制度改正が予定されておりますが、これらにより来年度以降の本県の予算編成に大きな影響が生じてまいります。
まず、歳入面では、地方消費税率の引き上げによる増収の一方で、地方法人課税の見直しに伴う法人県民税法人税割の税率の引き下げによる減収が見込まれます。
また、歳出面では、本年十月から導入される幼児教育の無償化の影響が通年で生じるとともに、新たに県立大学や私立専門学校などを対象に、高等教育の無償化が開始されることとなります。
制度の詳細を国の予算編成に委ねられた事項も多いことから、今後の国の動向を注視し、本県の歳入、歳出への影響をしっかりと見きわめるとともに、こうした制度改正の影響は、地方交付税の算定に反映される仕組みでありますので、交付税の必要な総額が確保され、地方の財政運営に支障が生じることのないよう、機会を捉えて国へ強く要請してまいります。
来年度も医療、介護などの扶助費の増加が続く一方で、円高の影響などにより法人二税収入の減収が見込まれることから、引き続き厳しい財政状況が続くものと認識しております。
このため、まずは本年度内の財源確保に取り組み、本年度当初予算で取り崩すこととした基金残高の回復に努めるとともに、行財政改革の取り組みを着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。
次は、就職氷河期世代の活躍支援についてのお尋ねであります。
少子・高齢化が進行する中で、愛知県が持続的に発展していくためには、就職氷河期世代を含めた全ての人々が将来に希望を持って働き、安心して暮らしていける社会を築くことが大変重要です。
本県では、これまで若者の就職支援、職業訓練やリカレント教育、ひきこもりや生活困窮者への支援、さらには二〇一六年度から就職氷河期世代を対象とした職員採用試験を実施するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
こうした取り組みをより一層推進するため、七月には関係局で情報を共有し、横断的に取り組みを進める庁内の検討組織を立ち上げたところであります。
また、七月の全国知事会議においてプロジェクトチームの設置を提案し、私をリーダーとして、三十三道府県の知事で構成するプロジェクトチームが設置されました。そして、八月二十七日には第一回の会議を開催し、国が責任を持って取り組むべき事項を就職氷河期世代の活躍支援に向けた提言として取りまとめ、翌二十八日に私から厚生労働省や内閣官房などに要請してまいりました。
就職氷河期世代への支援は、私が国会議員であったころからの長年の課題でありますが、人生百年時代と言われる中で、一人でも多くの方が希望する職を得て活躍していただくためには、厚い産業集積と安定した雇用環境を有する本県が大きな役割を果たしていかねばならないと考えております。
こうした中、九月十三日には、愛知県が就職氷河期世代の方々の就職、正社員化の取り組みを官民一体となって推進する都道府県プラットフォームを全国に先駆けてモデル的に実施する地域として、厚生労働省から選定されたところであります。
こうした取り組みも有効に生かしつつ、国や市町村、企業等と連携し、就職氷河期世代に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。
続いて、幼児教育、保育の無償化についてお答えいたします。
幼児教育、保育の無償化は、子育てに係る経済的負担を軽減するものであり、子育て世代を応援する大変重要な施策であります。
無償化に向けて、県といたしましては、市町村や保育関係団体への説明会を開催してきましたほか、市町村の事務費やシステム改修費への助成など、実務を担う市町村の支援に取り組んでまいりました。
また、市町村では、保護者や事業者への説明や周知、保育料を規定する条例の改正や、無償化の対象となる保育施設と児童の認定など、無償化に向けて必要な準備を進めてまいりました。
県といたしましては十月一日からの無償化に向け、市町村と緊密に連携を図り、万全を期しているところであります。
次に、無償化による保育ニーズへの対応につきましては、今年度策定する愛知県子ども・子育て支援事業支援計画に無償化の影響を見込み、その上で必要となる保育施設の整備や保育士の確保を図り、待機児童の解消に取り組んでまいります。
また、認可外保育施設の質の確保につきましては、今年度から新たに巡回指導や研修を実施するほか、職員を増員して指導監督体制の強化を図ったところであります。
さらに十月末からは、立入調査結果を県のホームページで公表することにより指導事項の速やかな改善を促し、保育の質の確保、向上につなげてまいります。
こうした取り組みを着実に進め、無償化の円滑な導入を図るとともに、安心して子供を産み育てることのできる社会の実現を目指してまいります。
次は、子育てにおける切れ目のない支援についてであります。
健やかな子供の成長のためには、妊産婦の方お一人お一人や、その御家族に寄り添った切れ目のない支援が不可欠です。
市町村が設置する子育て世代包括支援センターは、妊娠、出産、育児に関する相談に保健師などが継続的に対応するなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援のための拠点であります。
本県では、その設置促進と支援体制の充実に向け、未設置の市町村に対して設置を働きかけるとともに、設置済みの市町村に対しては妊娠、出産、育児に関する地域特有の課題を整理し、市町村の状況に応じた事業のあり方を検討するための会議を開催しております。
また、妊産婦の方への効果的な支援のためには、市町村の保健及び児童福祉部門だけでなく、地域の医療機関などの協力が不可欠でありますことから、関係者が参画する会議を開催し、情報交換や連携を促進しております。
さらに、複雑多様化する相談に適切に対応するため、保健師などの母子保健にかかわる行政の専門職や、地域の医療関係者などの資質向上を図るための研修を実施しております。
こうした取り組みにより、現在、県内四十二市町において子育て世代包括支援センターが設置され、二〇二〇年度末までには全ての市町村において設置が完了する見込みとなっております。
今後とも市町村と連携して、妊娠期から子育て期にわたる一人一人に寄り添った切れ目のない支援を行い、子供が健やかに成長できる日本一子育てしやすい愛知の実現を目指してまいります。
次に、SDGsの普及啓発や県内の市町村等との連携について御質問をいただきました。
SDGsは経済、社会、環境の国際的な目標であり、その内容は技術革新やまちづくり、飢餓や気候変動など多岐にわたっています。
本県がSDGs未来都市としてSDGsを達成するためには、県民の皆様一人一人がSDGsへの理解を深め、SDGsを意識した行動を実践していただくことが重要です。
このため、本県ではSDGsの認知度向上に向け、SDGsや未来都市計画のパンフレット等を作成して広く情報発信を行うとともに、SDGsを具体的に解説するセミナーや、SDGsを楽しみながら学ぶワークショップを開催したいと考えております。
また、環境面からのSDGsの普及啓発と担い手育成のため、生物多様性を初めとする環境保全に積極的に取り組む企業、大学、NPOなどと連携したセミナーを開催してまいりたいと考えております。
さらに、本県と同様にSDGs未来都市に選定された名古屋
市、豊橋
市、豊田
市と連携した普及啓発イベントの開催や相互のPRを行うとともに、市町村職員向け研修会の開催などにより、県内の市町村へSDGsの取り組みを働きかけていくことも考えております。
今後とも、国や市町村、企業や関係団体、大学やNPOなどと連携、協力し、大人はもとより次代を担う子供たちを含めたあらゆる方々を対象に、その年齢や関心の度合いなどに応じた学びの機会を提供することにより、SDGsの普及啓発に全庁を挙げて取り組んでまいります。
続いて、中小企業の事業承継支援についてお答えいたします。
経営者の高齢化が年々進み、今後、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えます。本県が今後も産業競争力を維持、強化していくには、事業承継をスムーズに進めることが重要な課題であります。
本県では、二〇一七年十月のあいち事業承継ネットワークの立ち上げ以降、商工会議所の経営指導員などが経営者と相対して事業承継の気づきを促す事業承継診断をこれまでに約一万一千件実施したほか、専任の事業承継コーディネーター等を設置して各種セミナーの開催、士業専門家と連携した個社支援等に取り組んでまいりました。
今後はこうした事業承継の気づきを与える取り組みに加え、事業者が個々に抱える経営課題への対応といった踏み込んだ支援が円滑な事業承継を進める上でますます重要になります。
そこで、個々の経営課題の解決に向け、士業団体の協力を得て、中小企業診断士や税理士、公認会計士等の知見やノウハウを十分に活用した専門家の派遣を伴う個社支援により一層力を入れてまいります。
加えて、商工会、商工会議所、金融機関等の支援機関に対して事業承継に関する専門的な知識やスキルの向上を目的とした研修会やセミナーを開催することにより、個社支援に適応できる人材の育成も行ってまいります。
こうした取り組みを通して、円滑な事業承継を地域全体で着実に進めていきたいと考えております。
次は、あいちトリエンナーレ二〇一九についてであります。
これまでの経緯等につきましては、九月二十日の提案理由説明におきまして述べさせていただいたところでありますが、九月二十一日に開催されました表現の自由に関する国内フォーラムでは、出展の作家さんや県民の皆様からさまざまな御意見をいただき、また、昨日、二十五日に開催されました第三回のあいちトリエンナーレのあり方検証委員会におきましては、私に対しまして、事実関係を丹念に検証、整理し、中間報告をいただいたところであります。
そのまとめによりますと、展示作品を見ていない人がSNS上の断片画像を見て電凸攻撃に及んだこと、二次的影響として、海外作家等は検閲と批判、今後のあいちトリエンナーレのみならず、国内の芸術祭、国公立美術館への海外作家の出品拒否を誘発しかねないリスクがあるとの現状認識がされた上で、芸術祭全体としては今のところ、この不自由展問題を除けば成功しているとされております。それは、これまでに入場者数が約四十万人と前回を約二割上回る、現代的で時代性を帯びた企画作品が多く、各方面から高評価を得ているとされました。
不自由展の企画と展示の妥当性については、次のとおり報告されました。
過去に禁止となった作品を手がかりに、表現の自由や世の中の息苦しさについて考えるという着眼は今回のあいちトリエンナーレの趣旨に沿ったものである。
しかし、でき上がった展示は鑑賞者に対して主催者の趣旨を効果的、適切に伝えるものだったとは言いがたく、キュレーション
見せ方、展示実施ですが、
に多くの欠陥があった。特に強く批判を浴びた三つの作品はいずれも作者の制作意図等に照らすと展示すること自体に問題はない作品だったが、作品の制作の背景や内容の説明不足などや展示の場所、展示方法が不適切、すなわちキュレーションに失敗し、またSNS写真投稿禁止の注意書きを無視する来場者が続出したため来場していない人たちから強い拒絶反応と抗議を受けた。
混乱を防ぐために入り口にSNS写真投稿禁止と表示したが、それでネット上の流布を抑止できるという想定は、そもそも非現実的だったし、それでも徹底して禁止するという仕組みを考えなかったなど、総じてSNSによる拡散を抑止しようとする意欲と決意が希薄だった。
予算不足と準備の時間の不足が重なり、シンポジウム等の事前のエデュケーションプログラムが企画されなかった。また、展示をガイドツアーで行う等の工夫を考える時間的余裕もなかった。
展示された二十三作品の過半が実は二〇一五年の不自由展に出されなかったものだった。それにも関わらず芸術監督は不自由展実行委員会に展覧会内展覧会の形式で展覧会の開催を業務委託したが、他の方式を事前に検討しなかった。
また、準備プロセスの問題として、
誤解を招く展示が混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為にある。そしてその背景にはそれを許す組織体制上の数多くの欠陥があった。
芸術監督の不適切な判断や行動に起因する今回のようなリスクを回避、軽減する仕組み、ガバナンスがあいちトリエンナーレ実行委員会及び県庁に用意されていなかった。
不自由展は不自由展実行委員会との協議を経て開催三日を経て中止された。なお、これは脅迫や電凸等の差し迫った危険のもとの判断でありやむを得ないものであり、表現の自由、憲法第二十一条の不当な制限には当たらない。
と整理しています。
その上で、展示の再開に向けては、
条件が整い次第、速やかに再開すべきである。脅迫や電凸等のリスク回避策を十分に講じること。展示方法や解説プログラムの改善、追加、さまざまな背景を説明した上でガイドツアー方式で鑑賞をいただく、など。写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する。
なお、特に海外作家へのコミュニケーションのやり方に留意すべきである。一部の海外作家はこれまでの海外事例に照らし、今回の中止判断がテロ対策や安全管理を表面上の理由とする実質的検閲と認識。
県民及び出展作家への徹底した情報公開と意見聴取を続けるべきである。今回の事案は来場者や県民よりも来場していない人たちがネット上の断片映像や誤った情報に接して混乱を招き、また、県民に不安を与えた。また、出展作家に対しても、中止の連絡や説明等が遅れ、また不十分であった。再開に向けては、県民及び作家から広く賛否両論を聴取し、それを公開し、双方が反対の考え方を持つ人々の意見をよく聞くべきである。
さらに、
次回以降のトリエンナーレに向けて、運営体制を抜本的に見直すべきである。あいちトリエンナーレの場合、県庁が中心とならざるを得ないが公金を使う難しさを解決する方法として例えばアーツカウンシル
第三者委員会というものでありますが、
アーツカウンシルを設けるべきである。
などの御提言をいただきました。
これらの御提言を真摯に受けとめ、早速、本日からトリエンナーレのあり方検証委員会をあり方検討委員会へと改組し、再開を目指してその具体的な条件について検討し、整理していただきたいと存じます。そして、それを踏まえて、表現の不自由展実行委員会及びその関係者、作家、アーティストの皆さんとしっかりと協議、話し合いを進め、我々として最善を尽くしてまいりたいと考えております。
また、検討委員会には十月以降、次のトリエンナーレの体制等についても検討し、適切な提言をいただきたいと存じます。
そして、十月五日、六日には国際フォーラム情の時代における表現の自由と芸術を開催し、表現の自由に関する新しいルールを模索し、できれば世界の人々に対して、表現の自由を守るためのあいち宣言(あいちプロトコル)を提案したいと考えております。
いずれにしましても、十月十四日までの残りの会期を最後まで多くの方々に最先端の芸術作品を楽しんでいただけるよう、安全・安心な運営に全力で取り組んでまいります。
次に、地域強靱化計画についてのお尋ねであります。
強靱化の取り組みは、災害から得られた知見や社会情勢の変化などを反映し、不断の見直しを行っていくことが重要であり、本県においても国の重要インフラの緊急点検結果や基本計画の変更を踏まえ、災害のリスクに即して脆弱性の再評価を進めているところです。
今後はこの結果をもとに河川・海岸堤防や道路、電力、ガスなどの重要インフラのさらなる強化、広域的な防災拠点の整備、防災教育や人材育成の充実など、県民の命を守り、社会機能と産業を維持していくために必要な施策を盛り込んでまいります。
さらに、国の三か年緊急対策を踏まえ、中長期的な視点から数値目標を見直すなど、強靱化施策の充実と加速を図り、本年度内の完了を目標に見直しを進めてまいります。
加えて、県土全体の被害を最小限にとどめ、県土の強靱化を実効あるものとするためには、国や県はもとより、各地域の強靱化を担う市町村における取り組みも不可欠であります。
県としても、私が本部長を務める全庁的な愛知県地域強靱化推進本部のもとに新たな支援体制を設け、それぞれの地域が直面する災害リスクの解消に必要な施策情報を提供するなど、市町村における地域計画の策定を促進してまいります。
今後も県として強靱化施策を着実に推進するとともに、県内市町村の取り組みを牽引することで、県土全体の強靱化に向け、総力を挙げてしっかりと取り組んでまいります。
続いて民間ブロック塀等の対策についてであります。
本県では、昨年の大阪府北部地震後に、特定行政庁六
市を除く四十八市町村と連携して、市町村が定めた重点対策区域を対象に安全点検パトロールを実施いたしました。
このパトロールにおいて点検した四千八百カ所のうち約七割の三千二百七十五カ所で不適合と判定され、市町村により対策の進み方に差があるものの、本年八月末までには四十八市町村の合計二百四十七カ所において、除却等の対策が行われたところであります。
県といたしましては、より一層の対策が進むよう、成果を上げている戸別訪問などの実施について、さらに市町村に働きかけてまいります。
また、民間ブロック塀等の対策を促進していくためには、資金面の支援も重要であります。大阪府北部地震前の二十二市町から新たに二十八の市町村で補助制度が創設され、現在、五十の市町村でブロック塀等に対する補助が実施されております。
こうした中で、本県では、危険なブロック塀等の対策に取り組む市町村を支援するため、今年度から民間ブロック塀等除却費補助金を創設いたしました。八月末現在で五百二十三件、総延長約九キロメートルに対して補助を行っており、着実に民間ブロック塀等の対策を進めているところでございます。
今後も引き続き危険なブロック塀等の除却などを促すとともに、相談窓口や資金面の支援等により、市町村や建築関係団体と連携して、民間ブロック塀等の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。
そして、私から最後の答弁となりますが、子供、若者の自立、活躍についてお答えをいたします。
本県では、昨年八月にあいち子ども・若者育成計画二〇二二を策定し、子供、若者が健やかに成長し、それぞれ自立、活躍できる社会を目指してを基本理念に、さまざまな取り組みを行っております。
中でも、困難な状況を抱える子供、若者の自立に向けた支援につきましては、関係機関が連携し、継続的な支援を行うことが必要であることから、教育、福祉、雇用等のさまざまな分野の公的機関や団体等がネットワークを形成し、効果的な支援を行う子ども・若者支援地域協議会の市町村への設置を促し、現在、十六の市町に設置いただいております。
引き続き、協議会の立ち上げプロセスや運営のポイント等について学ぶ研修会や会議を開催することによりさらに多くの市町村に設置していただき、子供、若者に寄り添った支援体制を整備してまいります。
また、夢や希望を持った子供、若者の活躍を後押しする取り組みといたしましては、今年度新たに、高校生が社会問題等について意見交換する、未来をつくるユース会議を七月に名古屋と豊橋で開催いたしました。
会議で取りまとめた提言は、十二月に開催する子ども・若者育成支援タウンミーティングにおいて、高校生の代表から発表をしていただきます。
タウンミーティングでは、実際に困難を乗り越えて活躍されている著名人をお招きし、子供、若者への応援メッセージを届けていただくとともに、提言を発表した高校生も参加して、パネルディスカッションを実施することといたしております。
今後も、愛知の未来をつくる子供、若者が夢や希望を持って前進することができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上、市川英男幹事長の御質問に対して御答弁申し上げました。
21:
◯警察本部長(
後藤和宏君) あおり運転の抑止に向けた取り組みについてお答えいたします。
あおり運転はドライバーに大きな不安を与えるなど、悪質、危険な行為でありますことから、その抑止に向けた取り組みを推進しているところであり、先日も東名高速道路において、前方を走行する車にエアガンを発射するなどした者を器物損壊罪で逮捕したところであります。
主な取り組みといたしましては、高速道路中心に県警ヘリコプターとパトカーが連携をした空陸一体の手法も活用するなどにより、必要な車間距離を保たない車間距離不保持違反の取り締まりを推進しているところでありまして、本年は八月末現在で、全国で三番目に多い七百九十六件を検挙いたしております。
このほか、例えば、警音器を乱用する行為や道路上で物を投げる行為を道路交通法の警音器使用制限違反や道路における禁止行為の規定によりそれぞれ検挙し、幅寄せ行為には刑法の暴行罪を適用するなど、法律を多角的に適用した厳正な取り締まりにより、あおり行為の抑止に努めているところであります。
また、県警ホームページにおいて、あおり運転に該当し得る行為や罰則、さらには被害に遭った際の対処方法を掲載しておりますほか、パーキングエリアで道路管理者等と連携したキャンペーンを開催し、あおり運転が暴行罪等にも問われるおそれのある犯罪であることを周知するなどの広報啓発活動も推進しております。
今後ともあおり運転に対する厳正な取り締まりを推進するとともに、あらゆる機会を通じてその悪質性、危険性について広く周知し、抑止に取り組んでまいります。
22:
◯教育長(長谷川洋君) 初めに、第一期の県立高等学校教育推進実施計画の取り組みの評価と、今後の学校づくりについてお答えをいたします。
教育委員会では、第一期実施計画に基づき、愛知総合工科高校、城北つばさ高校、新城有教館高校の新設、十九校での学科改編、十八校でのコース新設により地域や生徒のニーズに応える、特色ある学校づくりを進めてまいりました。
また、キャリア教育コーディネーターやスクールソーシャルワーカーなど外部人材を活用したチーム学校の推進など、さまざまな取り組みにより、高等学校教育の充実を図ることができたと考えております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、第一期実施計画の策定後、社会の変化やニーズの多様化は急速に進んでおり、AI、IoT等の技術革新に対応したSTEM教育の充実や、AIの研究開発を担う科学技術系人材の育成などが求められております。
現在、教育委員会では、来年度からの五カ年を計画期間とする第二期の実施計画の策定を進めております。
この計画では、新しい学習指導要領を踏まえた主体的、対話的で深い学び、この視点からの授業改善や、生徒の多様なニーズに応える定時制・通信制教育等の充実、そして、理数教育に特化した新時代に対応する学科の設置などに重点的に取り組むこととしております。
こうした取り組みにより、県立高校が魅力ある学びの場となるよう高等学校教育のさらなる充実を図り、新たな課題に果敢に挑戦するたくましい社会の担い手を育成してまいりたいと考えております。
次に、将来的に貧困の連鎖を生じさせないための支援についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、県教育委員会では、若者・外国人未来応援事業を二〇一七年度から開始し、就職やキャリアアップに有利となる高等学校卒業程度認定試験の合格等を目指した学習支援を行っております。
この二年間で学習支援を受けた九十七名のうち、二十七名が高等学校卒業程度認定試験を受験し、十二名が合格をいたしました。合格者の中には、三年ほど引きこもっていた若者や、大学進学を目標に努力を続けてきた外国籍の若者もおり、キャリアアップを支援できたものと思っております。
今年度は、就学や就職に困難を抱えるより多くの若者への支援が可能となるよう、従来の名古屋、豊橋、豊田の三地域に、新たに春日井及び知多地域を加えて、五地域で実施しております。
県教育委員会といたしましては、これまでも関係機関や団体等とも連携し、リーフレットやチラシの配布による事業周知に努めてまいりましたが、今後は、義務教育終了以降も切れ目のない支援を行うため、高等学校等と一層の連携を図り、支援を必要とする方に直接この事業の情報が届けられる仕組みを構築してまいりたいと考えております。
また、希望者がより身近なところで学習支援を受けられるよう、実施地域を子どもが輝く未来へのロードマップ、この中で目標に掲げる九地域まで拡大し、社会的、経済的な自立に向けた支援の充実を図ってまいります。
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23: ◯四十一番(田中泰彦君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
24: ◯議長(
神野博史君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
25: ◯議長(
神野博史君) 御異議なしと認めます。
明九月二十七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時十二分散会
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