二つ目の通電遮断は、感震ブレーカー作動時に冷蔵庫が止まることや照明が消えることへの不安があり、そのために普及が進んでいないとされている。
三つ目の費用負担への抵抗感は、分電盤タイプの感震ブレーカーは、一般の分電盤よりも高額であること、また、既存の分電盤に追加設置する場合にも2万円程度の費用負担が発生するため、設置につながっていないということである。
このため、感震ブレーカーが大規模地震時の電気火災対策に有効であることを広く周知し、普及に向けて啓発活動に取り組むことが重要である。
5: 【
日比たけまさ委員】
感震ブレーカーの普及を進めるに当たり、具体的にどのような取り組みを行っているのか。
6: 【
消防保安課主幹(
消防・
予防)】
感震ブレーカーは、まだ余り知られておらず、まずは広く周知することが必要である。
このため、県、市町村、
消防機関で組織するあいち防災協働社会推進協議会で作成した家庭での防災・減災対策をPRする冊子に感震ブレーカーの有効性を盛り込み周知に努めてきた。また、あいち防災フェスタや中部ライフガードテック等の防災イベントでは、県民が感震ブレーカーのデモンストレーション機器を体験し、その効果を実感してもらうなどの取り組みを行っている。
今後は、地域の実践的な防災リーダーとして活動しているあいち防災リーダー会の協力を得て、家具固定等の耐震対策とあわせて、感震ブレーカーの普及啓発に一層取り組んでいく。
また、名古屋大学等と連携して行う防災人材を育成する研修である防災・減災カレッジの活用や、地域防災力向上に尽力してもらっている損害保険会社の協力を得るなどし、幅広く普及啓発活動に取り組んでいく。
7: 【
日比たけまさ委員】
県内市町村ではどのような取り組みを行っているのか。また、県と市町村との連携についても伺う。
8: 【
消防保安課主幹(
消防・
予防)】
市町村にも感震ブレーカーの必要性を認識してもらい、広報等で普及啓発を行ってもらっている。また、一部の市町村は、感震ブレーカーの設置に関する補助を実施しており、本年度から犬山市、みよし市、長久手市及び扶桑町の4市町が加わり、現在は名古屋市始め12市町で補助が実施されている。今後もより多くの市町村に補助制度を導入してもらえるよう情報共有に努めていく。
また、市町村担当者を集めた会議で感震ブレーカーのデモンストレーションを行うなど、感震ブレーカーの有効性の認識をさらに深めてもらうとともに、市町村が実施する防災イベントで、家具固定の啓発とあわせて、感震ブレーカーの普及啓発を行ってもらえるよう、今後も市町村との連携強化に努めていく。
9: 【
日比たけまさ委員】
本県が公表した南海トラフ地震による被害は、理論上最大想定モデルの場合、火災焼失家屋約10万1,000棟、火災死者約2,400人となっている。私たち一人一人がこのことを真摯に受けとめ、自身でできる対策をしっかりとることが求められている。その一つが感震ブレーカーの設置であるので、更なる普及啓発に取り組んでほしい。
県内で感震ブレーカーの設置を支援する市町が増加しているという答弁もあった。他県では、神奈川県、静岡県、和歌山県、徳島県で、市町を支援する県の補助事業が実施されているので、本県でも検討を進めてほしい。
続いて、高齢運転者に起因する交通事故対策について伺う。
本年4月19日、東京都豊島区池袋で87歳の男性が運転する乗用車が赤信号を無視して暴走し、母子2人が死亡、男女8人が重軽傷を負う大変衝撃的な事故が発生した。これ以降、連日のように高齢運転者による事故の報道があり、高齢者の運転に関する様々なデータが紹介されるとともに、社会的に大きな議論が起こっている。
本県における交通事故のうち、高齢運転者の割合や事故の状況はどのようになっているのか。
10: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
本県の運転免許人口は、昨年12月時点で約510万人であり、そのうち65歳以上の高齢者は約109万人で、運転免許人口の21.3パーセントを占めている。運転手側に第一原因のある交通死亡事故は昨年149件発生しているが、このうち65歳以上の高齢運転者によるものは39件で26.2パーセントを占め、運転免許人口に比べ5パーセント程度高い値となっている。
また、どの年齢層で事故発生件数が多いのかを比較するため、運転免許人口10万人当たりの発生件数を見ると、65歳未満では2.7件、65歳以上は3.6件、75歳以上では5.7件となっている。65歳未満と比較すると、65歳以上では1.3倍、75歳以上では2.1倍と、加齢に伴い死亡事故を起こす割合が高くなることが明らかである。
次に、昨年、高齢運転者が第一原因となった人身事故6,326件の原因を多い順に見ると、第一に、左右の安全確認をせずに交差点に進入した等の安全不確認が約69パーセント、第二に、脇見運転や考え事をしていた等の前方不注意が約18パーセント、第三に、相手が譲ってくれると思い動静注視を怠った等の判断の誤りが約7パーセント、第四に、ハンドル操作やアクセルとブレーキ操作の誤り等の操作不適が約6パーセントとなっている。
このうち、昨今話題となっているブレーキとアクセルの踏み間違いによる人身事故は91件、約1.4パーセントとなっており、死亡事故は内数で3件であった。
11: 【
日比たけまさ委員】
高齢運転者の事故の割合が高い傾向は、これまでもあったと思う。防災安全局は、高齢運転者への対策としてどのようなことに取り組んできたのか。
12: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
本県では、愛知県交通安全対策会議で、平成28年度に策定した第10次愛知県交通安全計画に基づき、年度ごとの実施計画を策定している。この計画に基づき、国、県警察、関係機関がそれぞれの役割を明確にし、道路交通環境の整備や交通安全思想の普及徹底、車両の安全技術の推進などの交通安全対策に取り組んでいる。
防災安全局では、主に交通安全思想の普及徹底に取り組んでおり、これまでも四季の交通安全県民運動や地域で行う交通安全講座などで、高齢者や家族で高齢者の運転や運転免許証の自主返納について話合いをしてもらうよう働きかけを行ってきた。
また、県のホームページで、県内市町村が行っているコミュニティバスの無料乗車券の交付等の運転免許証自主返納の支援制度や、県警察が取り組んでいる認知症などの病気に関する運転適性相談等の周知に努めている。
本年度は、新たに、高齢者がよく利用する病院や調剤薬局など100か所以上の医療施設で、夜間の交通事故防止に効果のある反射材の着用促進や運転免許証の自主返納制度を周知する動画を放映するなど、高齢運転者対策の一層の強化を図っていく。
さらに、例年秋に、歩行者、自転車利用者及び自動車運転者全ての高齢者を対象とした啓発イベントを実施しているが、これに加えて、本年夏に、安全運転サポート車の試乗、バーチャルリアリティー体験、身体機能チェックなど、対象を高齢運転者に特化した啓発イベントを県警察や市町村、民間企業等と連携して開催していく。
13: 【
日比たけまさ委員】
この問題は、社会的に大きな議論が起こっている。小池百合子東京都知事が東京都議会の代表質問で、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐ装置等を後付けする高齢者に対し、購入設置費用の9割程度を補助することを明らかにしたとの報道がある。
本県として、この件についての見解も含め、何らかの対策を行う考えがあるのか伺う。
14: 【
県民安全課主幹(県民安全)】
国では、池袋や滋賀県大津市で発生した死亡事故等、昨今の交通事故情勢を受け、本年6月18日に関係閣僚会議を開催して未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策の実施を決定し、都道府県及び政令指定都市に通知した。この緊急対策の一環として、高齢者の安全運転を支える対策の更なる推進に向け、経済産業省、国土交通省、警察庁からそれぞれ対策の方向性が示されている。
経済産業省では、本年10月に施行される自動車税減税等に合わせ、安全運転サポート車の購入の促進を図っていくこととしている。
国土交通省では、衝突被害軽減ブレーキの国内基準を定め、このブレーキの新車への義務付けについて、本年内をめどに結論を得るとしている。東京都で補助制度創設が検討されている後付けの安全運転支援装置については、その開発を促進するとともに、性能認定制度を創設し、来年度からの実施を検討するとしている。
警察庁では、安全運転支援機能を有する自動車のみに限定した運転免許制度の導入について、本年度内に結論を得るとしている。
本県では、これらの関係省庁による緊急対策の動向を注視し、県経済産業局や県警察など愛知県交通安全対策会議の構成機関で情報を共有し、速やかに対策を講じることができるよう適切に対応していく。
15: 【
日比たけまさ委員】
池袋で発生した交通事故の犠牲者である女性の夫であり、女児の父親が会見で発した「最愛の妻と娘を突然失い、ただただ涙することしかできず絶望している。少しでも運転に不安がある人は、車を運転しないという
選択肢を考えてほしい。」という言葉が心に突き刺さっている。
今後高齢化社会が進む中で、痛ましい事故が再び起こらないようにするためにも、高齢運転者の交通事故防止対策は大変重要である。即効性のある対策は難しいと思うが、非常に大きな問題であり、進めていかなければならない対策であるので、関係局や県警察等と連携を図るとともに、国に対してしっかり意見を言うことも含め取り組んでほしい。
16: 【
水野富夫委員】
県民事務所は災害発生時にどのような対応をしているのか。
17: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
県民事務所及び本庁共に、県防災情報システムを通じて収集した災害情報を共有しており、県民事務所は災害時に県
災害対策本部の方面本部として、県民事務所長を方面本部長に、管内市町村の支援を行う。例えば、市町村
災害対策本部の被災状況の把握では、現地での情報収集を支援する。また、市町村の避難所運営に対し職員を派遣し、方面本部で対応できない場合は、県
災害対策本部から職員を派遣する。
実績としては、平成23年の台風第15号の際に、主に尾張地域の19市町村に41人の職員を県民事務所から派遣して情報収集を行った。
18: 【
水野富夫委員】
情報収集をいかに早期に行う手立てはどのようなものか。
19: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
県防災情報システムや、昨年度から稼働し各市町村に導入を促進している市町村防災支援システムへの入力により、情報をいち早く県
災害対策本部に集約し、意思決定の判断を行っている。
20: 【
水野富夫委員】
県民事務所は何を行っているのか。情報収集するだけか。
21: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
要員と市町村の防災担当者との研修を行うなど、ふだんから顔の見える関係を構築している。
東海豪雨以降大きな災害は発生していないので、不備な点があれば対策を強化していく。
22: 【
水野富夫委員】
平成20年8月末に発生した岡崎市の豪雨災害は、大した被害ではなかったのか。
23: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
岡崎市の豪雨の際にも県民事務所から派遣を行った。岡崎市には8月29日の午前6時から午後5時までの間に2人を派遣した。それ以降も、岡崎市及び幸田町に県民事務所から市町村の支援チームとして人を派遣した。
24: 【
水野富夫委員】
県民事務所は岡崎市に対してどのような対応ができたのか。岡崎市から情報を得るだけの一方通行の対応ではなかったか。
25: 【
災害対策課長】
現行の
災害対策体制は、平成20年4月からのものである。県
災害対策本部条例を改正し、県民事務所による市町村支援の強化というコンセプトのもと、方面本部体制をとる組織改正を行った。
市町村
災害対策本部が担う県への情報提供や避難所運営について県も支援しており、方面本部は先遣・情報収集チームや支援チームを組織して支援を行う。平成20年8月末豪雨の際は、岡崎市
災害対策本部に4人、幸田町
災害対策本部に3人の職員を派遣し、支援を行った。また、平成23年の台風第15号の際は尾張県民事務所から21人を派遣し、全体で41人の職員を派遣した。また、本庁からも名古屋市に2人派遣した。
現行の体制は、大規模災害時における市町村の支援を担う位置づけとなっている。
26: 【
水野富夫委員】
今の答弁は、総論を言っているだけである。岡崎市の豪雨災害では、国道1号が通行どめであった。県民事務所はどのような対応をしたのか。今のような県民事務所の在り方なら不必要である。市町村と親密な連携を図ることが県民事務所の一番大事な役目である。
県民事務所から人を送っているとの答弁であったが、建設局との連携が何もできていない。これは東海豪雨の際に証明されたが、その反省がなされていない。
県民が安心を抱くことができる県民事務所の在り方を考えてほしい。
27: 【
災害対策課長】
県民事務所と市町村間の連携や、建設局など本庁関係局と防災安全局の連携をしっかり心得ながら
災害対策行政を進めていく。また、災害時にしっかり連携がとれるように、引き続き訓練の参加や研修などを通じて、市町村と顔の見える関係を築いていく。
28: 【峰野 修委員】
例えば、市役所に
災害対策本部が設置された場合、そこに県職員は派遣されているのか。
29: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
気象警報の発表段階では、重大な被害が発生するような場合を除き、県職員は派遣していない。
30: 【峰野 修委員】
県の
災害対策要員は、どのような災害の場合はどう対応するのかといったマニュアルはあるのか。
31: 【
災害対策課主幹(
災害対策・
通信)】
愛知県
災害対策実施要綱に基づき、気象警報の発表等により、第一非常配備、第二非常配備準備体制・警戒体制、第三非常配備という体制で対応している。
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