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  1. 愛知県議会 2019-02-01
    平成31年2月定例会(第2号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成31年2月定例会(第2号) 本文 2019-03-04 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 20 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長松川浩明君) 選択 2 :  ◯議長松川浩明君) 選択 3 :  ◯九十八番(伊藤勝人君) 選択 4 :  ◯知事大村秀章君) 選択 5 :  ◯警察本部長加藤達也君) 選択 6 :  ◯四十一番(寺西むつみ君) 選択 7 :  ◯議長松川浩明君) 選択 8 :  ◯議長松川浩明君) 選択 9 :  ◯議長松川浩明君) 選択 10 :  ◯七十八番(高橋正子君) 選択 11 :  ◯知事大村秀章君) 選択 12 :  ◯警察本部長加藤達也君) 選択 13 :  ◯議長松川浩明君) 選択 14 :  ◯八十九番(渡会克明君) 選択 15 :  ◯知事大村秀章君) 選択 16 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 17 :  ◯警察本部長加藤達也君) 選択 18 :  ◯四十番(近藤ひろひと君) 選択 19 :  ◯議長松川浩明君) 選択 20 :  ◯議長松川浩明君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長松川浩明君) おはようございます。  ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問 2: ◯議長松川浩明君) これより一般質問を行います。  通告により質問を許可いたします。  伊藤勝人議員。     〔九十八番伊藤勝人君登壇〕(拍手) 3: ◯九十八番(伊藤勝人君) おはようございます。自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、大村知事の県政運営に臨む基本姿勢と県政の諸問題について、順次質問をしてまいります。  質問の第一は、今後の県政運営についてであります。  初めに、県政運営に臨む基本姿勢についてお伺いをいたします。  大村知事は、二月三日の愛知県知事選挙において、二期八年の実績と積極的な政治姿勢が評価され、見事再選を果たされました。しかも、知事選史上最多の得票数と、八割を超える過去最多の得票率を得られましたことはまことにすばらしい結果であり、心からお祝いを申し上げます。  この結果は、選挙戦を通して、大村知事がこれまでの実績をもとに県内五十四市町村の全てを、都市部だけでなく山間部の奥地から離島までくまなく回られ、各界、各層から広範な支持を集められた結果だと思っています。  知事は、今回の選挙戦において、二〇二七年のリニア中央新幹線の開業を見据えたまちづくりを進め、二〇二二年のジブリパーク開業等を起爆剤にさらに成長を目指すと力強く訴えてこられました。これまでに打ち出された大型事業等の施策を今後四年間でどう結実させていかれるのか、その取り組みが期待されているところであります。  我が党県議団といたしましても、県政の最大会派としてともに手を携え、力を合わせて県民福祉の向上と活力にあふれた魅力ある愛知づくりを目指して、大村知事を全力で支援させていただくことをお約束するものであります。  さて、本年は元号が平成から変わる節目の年であります。本県にとっても、これからの四年間は新しい時代へのスタートとなります。本県を新しい時代に向かって力強く前進させ、さらに豊かな地域へと発展させるためには、知事の強いリーダーシップと行政手腕にかかっているといっても過言ではありません。  そこでお尋ねをいたします。  大村県政三期目のスタートに当たって、新しい愛知づくりをどのように進めていかれるのか、知事の抱負と決意をお伺いいたします。
     次に、新しいあいちビジョンについてお伺いをいたします。  大村知事は、このたびの選挙の公約であるあいち重点政策ファイル330プラス1において、ジブリパークを二〇二二年に実現、リニア大交流圏の形成など十二の政策の柱のもと、具体的な施策を示されました。  知事が選挙戦で訴えられてこられた日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくっていくためには、知事の思いや政策を行政の計画、ビジョンに落とし込み、県庁全体が一丸となって、具体的な施策を着実に実行していく必要があります。  現在の本県の総合計画に当たるあいちビジョン二〇二〇は、五年前の二〇一四年三月に策定されました。ビジョンの中で、知事は二〇二七年に予定されているリニア中央新幹線の東京─名古屋間の開業を見据えた大都市圏づくりの方向性を示され、この五年間、みずから先頭に立って、さまざまな政策の実現に取り組んでこられました。  この間、経済・雇用環境は比較的良好な状況が続き、県内総生産は大阪府を抜いて全国二位になるなど、目に見える成果があらわれてきたのではないかと感じております。  その一方で、本県を取り巻く社会経済環境を見渡しますと、さまざまな変化が生じてきています。  例えば、これまで増加が続いておりました本県の人口は、二年前に初めて自然減に転じております。間もなく訪れる人口減少社会に向けて、将来像をどう描き、地域づくりをどのように進めていくかが、今後、本県にとって重要なテーマとなってまいります。  また、長寿社会の到来により、九十歳、百歳まで生きることが珍しくない世の中になる中で、働き方や学び方、余暇の過ごし方など、生き方に対する人々の価値観も大きく変わっていくのではないかと考えられます。  さらに、近年、我が国ではIoTや人工知脳(AI)といった第四次産業革命と言われる技術革新の波が押し寄せ、大きな社会変革を迎えようとしております。  また、ジブリパークやアジア競技大会など、ビジョン策定時にはなかったビッグプロジェクトも動き出しています。  こうした中で、現行のあいちビジョン二〇二〇について、二〇二〇年度で計画期間が終了となることから、今後、新しいあいちビジョンの策定に向けた検討が進められるものと伺っております。  そこでお伺いをいたします。  新しいビジョンについて、これからの愛知の課題をどう認識され、どのような方針で策定していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、行財政運営についてであります。  初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねをいたします。  まず、県税収入の見通しについてであります。  我が国の経済は、企業収益が過去最高の水準で推移する中で、設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、経済の好循環は着実に回りつつあります。先行きにつきましても、地域や中小事業者を含めた経済の好循環のさらなる拡大が期待をされておりますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があります。  こうした経済情勢の中、来年度の当初予算案における県税収入は、本年度の当初予算額を百億円上回る一兆一千八百十七億円が計上をされております。  そこでお尋ねをいたします。  来年度の県税収入をどのような見通しのもとで計上されてみえるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  続いて、今後の財政運営についてお伺いをいたします。  平成三十一年度の当初予算では、県債残高を前年度から四百億円以上縮減した上で、財政調整基金の残高を確保するなど、財政の健全化にも配慮された予算編成であったと認識をしております。  しかしながら、二カ年にわたる財源確保を行った上で、一千億円を超える基金の取り崩しを計上しなければ予算が編成できない状況については、今回も変わりませんでした。リーマンショック時の急激かつ大幅な税収減に見舞われてから十年が経過をしておりますが、依然として厳しい状況が継続しております。  こうした中にあっても、県民の多様なニーズに的確に応えつつ、中長期的な視点を持ちながら、地域の活性化に向けた取り組みや将来の税源涵養に向けた取り組みを着実に推進することが求められております。とりわけ防災・減災対策を初めとする県民の安全・安心な暮らしを確保するための施策はおろそかにはできません。近年、自然災害が多発する傾向にある中で、災害復旧など多額の負担が必要となる突発的な事態に対しても、迅速かつ的確に対応するための財政基盤が必要であると考えます。  そこでお尋ねをいたします。  決して余裕があるとは言えない財政状況の中でも、愛知の将来の発展を目指すとともに、それを支える財政基盤の確立に向け、今後の財政運営についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見を伺います。  次に、行財政改革の取り組みについてお伺いをいたします。  本県は、昭和六十年以降、累次の行革大綱のもとで積極的に行財政改革に取り組んできました。特に戦後初の赤字決算となった平成十年度に策定された第三次行革大綱以降は、職員定数や事務事業等の大幅な削減に取り組み、厳しい財政状況に対応してきたところであります。  現在は、平成二十六年十二月に策定されたしなやか県庁創造プランに基づく取り組みが進められておりますが、これまでの取り組みの結果、もはや職員定数の削減を初めとした量的な削減余地は極めて限られているのではないのか、現場ではむしろ人が足りないのではないのかといったことを懸念しております。  不断の行財政改革に取り組むことは重要でありますが、我が党県議団といたしましては、人材、資産、財源等の県の持つ限られた経営資源を最大限に活用しながら行財政改革を一層強力かつ速やかに進めていくことに加え、職員定数の管理については、職員の皆さんの負担増加にも配慮することをあわせて要望しているところであります。  また、組織については、本年四月に局制の導入を初めとした本庁組織の再編を実施することが決定されましたが、これにより知事部局の皆さん方が仕事をしやすく、県民の皆さんにとってわかりやすくなることが期待をされています。  しなやか県庁創造プランの取り組みは、五年間の計画期間のうち四年が経過し、来年度が最終年度となっております。まずは、今後の一年余りの間に取り組みの総仕上げを行っていくことが肝要でありますが、それとあわせて、プラン終了後の行財政改革の推進の方向性を定めていく時期ではないのかと思います。  このたび、知事の選挙公約において、AIやロボティクスなどICTの活用や働き方の見直し等を軸とした次期行革大綱の策定が盛り込まれたところであります。今後、愛知の未来を切り開く投資を行っていくためには、現場の声を十分にくみ取りながら、それを下支えする行財政改革を進めていくことが必要不可欠であると思います。  そこでお尋ねをいたします。  しなやか県庁創造プランによるこれまでの取り組みの成果をどのように認識してみえるのか、また、プラン終了後の行財政改革にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。  初めに、地球温暖化対策の推進についてお伺いをいたします。  私はこの冬に自動車で福井にまいりました。その際には例年と状況が違っていました。積雪が少なく、ノーマルタイヤでも走行することができました。気象庁によれば、北陸から九州北部にかけての日本海側では積雪の減少傾向が見られるとのことであります。これも地球温暖化の影響ではないのかと感じたところであります。  また、昨年夏は、日本各地において記録的な猛暑が続き、大雨やたび重なる台風により大きな被害が発生をいたしました。  気象庁はこうした異常気象の原因の一つとして、地球温暖化の進行を掲げております。海外でも、異常気象による災害が発生し、甚大な被害をもたらしており、世界気象機関(WMO)は、本年一月の北米における極端な寒波や、オーストラリアでの猛暑等の一連の異常気象について、地球温暖化との関連を指摘しています。  これらの状況を踏まえますと、世界各地で地球温暖化の影響があらわれており、早急に実効性のある対策を進めていく必要があります。  昨年十二月に開催されました国連気候変動枠組条約第二十四回締約国会議(COP24)において、温室効果ガスの排出削減に向けた新たな国際枠組み、パリ協定の運用のための実施指針が採択され、我が国を初め、世界各国が共通ルールのもとで地球温暖化対策を本格的に実施することとなっております。  本県では、昨年十月に制定をした愛知県地球温暖化対策推進条例のもと、あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇に基づき、県民、事業者、市町村など全ての主体の参加により地球温暖化対策を推進しているところであります。  本県には、愛知万博を初めとする国際的環境イベントを通じて醸成された県民の高い環境意識や厚い産業、技術の集積といった強みがあります。豊富な太陽エネルギーや、自動車の利用率が高いことを背景に、住宅用太陽光発電施設の設置基数やEV、PHV、FCVの総普及台数が全国一という地域資源、そして特徴を捉え、愛知らしさを生かした取り組みを積極的に推進すべきと考えています。  そこでお尋ねをいたします。  本県の特性を生かした愛知ならではの地球温暖化対策をどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、水素エネルギーを活用した社会づくりについてお伺いをいたします。  石油や天然ガスといった化石燃料は、我が国の近代化、さらには、戦後の高度経済成長を支えてきた重要な資源であります。  その一方で、化石燃料の大量消費に伴うCO2などの温室効果ガスの増加は、昨今の世界的な異常気象や、それに伴う自然災害に見られるように、我々人類の生存にとって深刻な影響を与えると言われております。  また、化石燃料を初めとする天然資源に恵まれない我が国は、その約九割を海外に依存している構造的な脆弱性を抱えております。特に石油は、約九割を中東地域から輸入しているため、政治情勢の変化によって、安定的な確保に大きな影響を受ける状況にあります。  こうした中、私は、地球温暖化等の環境負荷とエネルギーセキュリティーという二つの問題を解決するためのキーワードとなるのは水素であると考えております。  水素は、利用段階ではCO2を排出いたしません。また、水素製造過程でCO2を集中的かつ効率よく削減したり、太陽光発電等の再生可能エネルギーを利用することでCO2排出量削減に貢献ができます。  また、水素は現在、天然ガスやナフサ等の化石燃料からつくられておりますが、海外の安価な資源や再生可能エネルギーからも製造できるため、水素製造にさまざまな原料を用いることで、リスクの少ない調達先を選択することが可能となります。  日本の水素技術は世界最先端であり、水素関連の特許の数と質の高さは他国の追随を許さないと言われておりますし、水素製造プラントや水素ステーション等のインフラ整備を進めることで、新たな設備投資を、あるいは雇用を生み出します。  自動車産業を初め、さまざまな分野で物づくりを支える企業や、トップレベルの理工系人材が集まる大学が集積している本県において、水素を活用する技術開発やインフラ整備等に積極的に取り組むことで、本県産業のさらなる振興につながっていくのではないかと思います。さらに、その先、エネルギー輸出国、考えるだけでもわくわく楽しい思いをするのではないのでしょうか。  これらの観点から、我が党県議団は、昨年十二月三日に大村知事にお渡しした、あいちの魅力向上に関する提言の中で、臨海部に大規模な水素エネルギーの供給拠点を構築し、大規模水素発電所を整備建設して、県内の産業、物流、家庭等に水素や電気を供給するとともに、水素を起点とした新しい産業と雇用を創出すべきであると提言をいたしました。  そこでお尋ねをいたします。  水素の重要性に鑑み、本県として水素エネルギーを活用した社会づくりにどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、愛知県国際展示場のオープニング行事についてお伺いをいたします。  愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポは、開業までおおむね残り六カ月となりました。世界に開かれた国際展示場として、平成の先の時代において我が国で最初にオープンする大規模展示場として、大いに期待される施設であります。  このため、開業時に開催されるセレモニーや、最初に行われるイベント、いわゆるこけら落としは、展示会業界や県民から大いに注目を集めていると思います。やるからには世間の耳目を驚かせるぐらいのことをやってほしいものだと思っておりましたが、先日、大村知事から、開業の日を八月三十日とし、初日に式典を行い、続く八月三十一日、九月一日の二日間には、オープニングイベントとして、eスポーツを中心としたイベントを開催するとの発表がありました。  eスポーツとは、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦を行うスポーツ競技のことであります。既に海外では、プロスポーツの一つとして発展しつつあり、昨年夏に開催されたジャカルタ・アジア大会でも公開競技として採用されております。  最近の報道でも、eスポーツの国内市場が急速に拡大していることや、本年、茨城県で開催される国体において、文化プログラムとして競技の実施が決まるなど、eスポーツに関する話題が大きく取り上げられるようになっております。  eスポーツイベントの成長性とも相まって、新しい施設のイメージを印象づけることとなりますので、愛知の魅力やアイチ・スカイ・エキスポのポテンシャルを大いに発信していただきたいと思います。  そこでお尋ねをいたします。  愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポのオープニング行事をどのような催し物としていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、中部国際空港二本目滑走路の早期実現についてお伺いをいたします。  昨年十二月議会の我が党の代表質問において、中部国際空港二本目の滑走路に向けた取り組みについて質問を行い、知事からは力強い御答弁をいただきました。また、本県議会といたしましても、中部国際空港二本目滑走路の建設促進についての意見書を採択したところでもあります。  中部国際空港に関しては、その後もエアアジア・ジャパンの台北線就航を初め、新規就航や増便の明るいニュースが相次ぎましたが、私は同空港の航空ネットワークは今後も十分伸びる余地があると考えております。  現在は中国便が充実しておりますが、欧州便は二路線、北米便は一路線と、まだまだ拡大の余地はあると思いますし、アジア路線もさらなる充実を期待するところであります。また、ことしの秋には、LCC向けの新しいターミナルもオープンをいたします。訪日外国人など旅客の増加への対応はもとより、我が国随一の産業経済力を誇る中部地域の玄関にふさわしい国際空港として、航空路線の充実、そして、何よりも二本目滑走路がぜひとも必要と考えます。  また、知事がこれまで訴えてこられた日本一元気な愛知づくり、そして、具体の取り組みである国際展示場やジブリパーク等の施策の効果をより一層高めていくためにも、この地域の重要な基盤である中部国際空港の機能充実、二本目滑走路の早期実現は喫緊の課題であります。  そこでお尋ねをいたします。  中部国際空港二本目滑走路の早期実現に向けて、知事の決意をお伺いいたします。  質問の第四は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。  初めに、豚コレラ対策についてお伺いをいたします。  昨年九月に岐阜県の養豚場で、我が国では二十六年ぶりとなる豚コレラが発生して以来、野生イノシシにおける豚コレラの感染が広がっていました。  本県においても、昨年十二月に犬山市で、本年一月には春日井市で豚コレラに感染した野生イノシシが確認される中、去る二月五日に豊田市の養豚場で豚コレラを疑う事例が発生をいたしました。国の検査の結果、二月六日に豚コレラであることが確定したことから、県は、国の防疫指針に基づき、豊田市の発生農場と田原市の関連農場の防疫方針を決定し、県職員はもとより、陸上自衛隊、国や地元自治体、関係団体等の三千六百人を超える方々の協力により、二月十二日に防疫措置を完了いたしました。  しかしながら、翌日の十三日には田原市の関連農場から五キロメートルほど離れた養豚団地で、二例目の豚コレラが発生をいたしました。  県においては、豚コレラの感染拡大を防ぐため、国の方針に基づき、団地内で飼養されている全ての豚を対象とする防疫方針を決定し、関係する農家の御理解を得て、防疫措置を進めました。この殺処分の規模は、豊田市の事例の二倍以上の一万七千頭という大規模なものでしたが、県は陸上自衛隊に災害派遣を要請し、合計で七千三百四十八名の方々の御尽力により、二月二十四日に防疫措置を完了いたしました。防疫措置に携わられた皆様方の御尽力に心から敬意をあらわしたいと思います。  特に災害派遣要請に基づいて殺処分に御協力をいただいた自衛隊の皆さん、国や他県の獣医師の皆さん、さらには、家畜伝染病発生時の基本協定に基づいて埋却等に御協力をいただいた県農業土木研究会を初めとする民間事業者の皆さんには大変お世話になりました。これだけ大規模な頭数にもかかわらず、防疫措置を無事完了できたのは、皆さんのお力のおかげであります。また、動員の約半数を占める県職員の皆さんも、現地でなれない殺処分等に従事していただいており、今後もメンタル面のケアを初め、健康管理に十分配慮していただきたいと思います。  こうした豚コレラの防疫措置が完了した一方で、殺処分を余儀なくされた養豚農家では、手塩にかけて育てた豚を失い、その経営基盤を失ってしまいました。また、発生農場から半径三キロメートル圏内の農場等が監視対象農場となり、豚の移動が制限されるなど、経済的にも大きな打撃を受けており、本県の養豚農家は大変な苦境に立たされております。  そこでお尋ねをいたします。  県は豚コレラ対策に今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、愛知県医療療育総合センターの役割についてお伺いをいたします。  心身障害者コロニーは、心身の発達に障害のある方々の入所を基本とした総合的な障害者福祉施設として、昭和四十三年に春日井市内に開所されました。  当時の桑原幹根知事が、愛知県文化会館や愛知県立芸術大学、愛知県がんセンター等の大きなプロジェクトを進める中、心身に各種の障害のある人々が人としてその生活を、それぞれの成長に応じて営むことができるよう、系統的、機能的に一貫した福祉対策を実施することを目的に、コロニーの建設に着手されました。  医療、療育、教育、授産、職業訓練、研究等の施設が順次整備され、これらの施設の有機的な連携のもとに、各人の能力を開発して社会復帰を図るとの理念のもと、世界に誇るコロニーが完成をいたしました。  以後、コロニーは、医療、福祉、教育等を提供できる理想的な受け皿として、障害のある方々やその御家族等のよりどころとなってまいりましたが、世界的なノーマライゼーションの理念の普及とともに、国における障害者施策が、大規模な施設への入所を基本とする施設福祉から、障害のある方々が地域で生活することを基本とする地域福祉へと大きく転換されました。  そのため、本県では、平成十九年にコロニー再編計画を策定し、入所者の地域移行を計画的に進めながら、地域で生活する障害のある方々にとって、必要なときに専門的な医療、療育を受けられる拠点施設となるよう、コロニーの再編整備をすることとされました。  しかしながら、重度の障害のある方々の受け入れ先となる重症心身障害児者施設等が地域に不足していたことから、大村知事は、平成二十六年四月に設置された障害者福祉減税基金を活用し、民間の社会福祉法人による施設整備を後押しされました。  このように、入所者の受け入れ先を確保しつつ、丁寧に地域移行を図りながら再編整備を進めてこられたわけでありますが、今回の本館棟の完成に伴い、さきに開所したこばと棟及びリハビリセンター棟とともに、この三月に医療療育総合センターとして全面開所されることとなりました。コロニーの開所時の目的や理念は引き続き継承されていくことと思いますが、その上で、障害のある方々が地域で安心して生活できるよう、医療、療育の提供体制をさらに充実していくことが望まれます。  そこでお尋ねをいたします。  地域で生活する障害のある方々に対して、新たな医療療育総合センターではどのような役割を担い、また、どのような支援を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、大規模災害に備えた社会資本の機能強化についてお伺いをいたします。  昨年は、大阪北部地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震など、全国各地において大規模な自然災害が立て続けに発生し、改めて自然災害の脅威を思い知らされる一年でありました。西日本豪雨におきましては、大規模な土砂災害を引き起こした花崗岩地質の表層崩壊や、河川の合流部で浸水被害を拡大させたバックウオーター現象、北海道胆振東部地震においては、全道の二百九十五万世帯の停電、いわゆるブラックアウト等が発生しました。  こうした一連の災害は、住民の生命、財産を危険にさらすとともに、重要インフラの機能に支障を来し、社会生活や経済活動に多大な影響を及ぼしました。また、リスク情報の切迫感が伝わらず、人的被害を拡大させる要因となったことも指摘をされております。  こうした状況を受け、政府は、今後あらゆる災害に際して、重要インフラがその機能を維持できるよう、緊急点検を実施する方針を表明いたしました。  昨年十二月には、点検結果を踏まえ、総事業費約七兆円となる三か年緊急対策が閣議決定され、今国会において第二次補正予算が成立したところであります。  三か年緊急対策では、ハード対策として河川、砂防等については、大規模な浸水、土砂災害、地震、津波等による被害の防止や最小化に向けた施設設備に、道路、港湾等については、災害時の避難や救助、迅速な復旧に不可欠な交通ネットワークの確保に取り組むこととされております。  また、ソフト対策では、洪水等のリスク情報の周知を徹底するなど、国民等の安全確保に資する体制を強化していくこととされております。
     今後は、これらの対策を積極的に活用しながら、各地域において強靱化の取り組みを進めていくことが求められております。  こうした中、世界有数の自動車・航空宇宙産業を初めとする物づくり産業が集積し、我が国の経済を牽引する本県ではありますが、一方では、ゼロメートル地帯や河川流域の低平地と中山間地が多くを占めており、災害リスクの高い県土特性を有しております。多くの県民の生命と財産を守ることはもちろんのこと、サプライチェーンの寸断など社会経済に甚大な影響を及ぼす事態を何としでても回避しなければなりません。  そこでお尋ねをいたします。  大規模災害に備えた社会資本の機能強化についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、治安対策についてお伺いをいたします。  昨年の犯罪情勢を見ますと、刑法犯認知件数は五万五千八十件と、前年に比べて一万四百三十一件の減少となり、ピークであった平成十五年の四分の一以下にまで減少しました。また、侵入盗の認知件数は四千八百五件と、前年に比べて二千四十五件の減少となり、十一年連続となっていた全国ワーストワンを返上することができました。  このように犯罪は確実に減少していると言えますが、侵入盗のうち空き巣、忍び込み等の住宅対象侵入盗の認知件数は二千七百三十六件と全国ワースト一位であるほか、特殊詐欺についても被害額が昨年に比べて増加しており、本年も引き続き犯罪の抑止に向けた強力な取り組みが必要であります。  また、暴力団情勢につきましては、山口組の分裂に起因する緊張状態がいまだ継続しているものと認識しております。万が一にも県民の皆様が暴力団の対立抗争事件に巻き込まれることのないよう、対策に万全を期すとともに、社会全体で暴力団を排除するための機運を醸成していく必要があります。  交通事故情勢につきましては、昨年の交通事故死者数は百八十九人と、前年に比べて十一人減少し、六十八年ぶりに百人台にまで減少させることができましたが、残念ながら全国ワースト一位の返上には至りませんでした。本年も子供や高齢者といった交通弱者の保護を徹底するなど、交通事故の抑止に向けた各種対策を一層推進することが必要であります。  このように、県民の皆様に強い不安感を与える住宅対象侵入盗や特殊詐欺等の犯罪を抑止し、社会をむしばむ暴力団を壊滅し、さらには、痛ましい交通事故を減少させ、安心して暮らせる社会を実現することは県民の皆様の切実な願いであります。  そこでお尋ねをいたします。  県民の安全・安心を確保するため、治安対策にどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。  次に、大規模行事の警備についてお伺いをいたします。  本年は、六月に第七十回全国植樹祭、九月から十月にラグビーワールドカップ二〇一九、十一月にはG20愛知・名古屋外務大臣会合と、本県において大規模行事が相次いで開催されます。  全国植樹祭については、天皇、皇后両陛下の御臨場が恒例となっている三大行幸啓であり、本県での開催は、昭和五十四年の第三十回全国植樹祭以来、四十年ぶり二回目となります。天皇陛下への御即位後間がない御来県となることから注目を集める行事となり、多くの県民が両陛下を歓迎することが予想されます。  また、ラグビーワールドカップ二〇一九は、豊田スタジアムで四試合が開催され、国内外から多くの観客が来場することが期待されております。  さらに、G20愛知・名古屋外務大臣会合は、我が国が主催するサミットとしては史上最大規模であるG20大阪サミットに伴う関係閣僚会合の最後を締めくくる、世界から注目を集める会合であります。  このような大規模行事に際しては、国際テロやサイバー攻撃等の違法行為の発生が懸念されるため、伊勢志摩サミットの開催当時には、行事の円滑な進行を確保するため、本県においても交通規制等が行われたと承知をしております。  そこでお尋ねをいたします。  大規模行事の警備を完遂するため、どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。  最後の質問は、次代を担う人づくりについてであります。  県立高校における愛知の産業社会を担う人づくりについてであります。  全国に産業立県として知られる本県の物づくりの歴史は古く、千年以上の歴史がある瀬戸焼や、江戸時代から明治時代にかけて流通した三河木綿など、古くから物づくりの文化が根づいてきました。  こうした物づくりの伝統は、近代以降、繊維産業における自動織機等の技術革新や輸出産業の拡大によって、現在の自動車産業や航空機産業への隆盛へとつながっております。  現在、私たちの社会は技術革新やグローバル化が急速に進み、産業構造や雇用環境が大きく変化をしております。また、少子・高齢化の進展による労働人口の減少は産業界における人材不足を招いており、大変深刻な状況となっております。  こうした中、本県の次代の産業社会を担う人材育成には、物づくりの伝統の確実な継承とともに、新たな時代に対応できる人づくりが求められております。物づくり愛知の伝統を継承するためには、若者たちに高度で専門的な知識、技術を身につけさせるとともに、高い倫理観や互いに切磋琢磨して技術を高めていこうとする向上心等を含めた人間力を育成していくことが不可欠であります。  こうした意味で、高校生は新たなことを吸収する柔軟性と将来の可能性に富み、社会人、職業人としての生き方を自覚し始める時期であり、高校における産業教育の持つ意味は極めて大きいと言えます。  大村知事は、さきの選挙における公約において、全ての人が輝く愛知を掲げ、さまざまな産業分野を担う人材の育成を目指す専門高校教育の充実を目指しておられます。  そこでお尋ねをいたします。  県立高校において、愛知の産業社会を担う人づくりをどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。明快な御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)     〔知事大村秀章君登壇〕 4: ◯知事大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団の伊藤勝人団長の質問にお答えをいたします。  最初に、このたびの知事選挙におきまして、自由民主党愛知県議員団の皆様には力強い御支援をいただき、また、ただいま丁重なお祝いの言葉をいただきました。そして、これからもともに手を携え、力を合わせて進んでいく、全力で御支援をいただけるという心強いお言葉をいただきました。まことにありがとうございます。心から御礼を申し上げます。今後の県政運営につきましても、引き続きお力添えをいただきますように何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  それでは、質問にお答えを申し上げます。  初めに、県政運営に臨む基本姿勢についてお尋ねをいただきました。  私は、日本一元気な愛知をつくるという決意のもと、二期八年間、全力で県政運営に取り組んでまいりました。  御質問いただきました伊藤勝人議員、自由民主党愛知県議員団初め、県議会の皆様、そして、県民の皆様の御理解と御協力をいただき、社会インフラの整備は順調に進み、日本一の産業力を強化し、雇用も三十万人増加することができました。その結果、愛知の経済総生産(GDP)は、八年前の二〇一〇年度から一七%伸びて四十兆円となり、大阪を抜いて全国二位となりました。  また、教育、医療、福祉、女性の活躍、子供・子育て支援、高齢者・障害者福祉など、愛知を支える人づくりについても大きく前進をさせることができました。  続く三期目の四年間は、さらにその勢いを加速して、ホップ、ステップ、ジャンプで大飛躍のアーチをかけ、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくってまいりたいと考えております。  今まさに愛知では、リニア中央新幹線、産業首都、ジブリパークに象徴される日本の未来をつくる取り組みが動き出し、大きく飛躍のときを迎えております。時代の流れを着実に見通し、これらのプロジェクトをしっかりと前へと進めることで愛知の経済・産業力を強化し、若者、女性、高齢者、障害者の雇用、活躍につなげていく。そして、人づくりが進み、地域が元気になるという愛知の今のいい流れ、好循環をさらに前進させ、日本一元気な愛知、全ての人が輝く愛知、県民の皆様全てが豊かさと多様な文化、スポーツ、歴史を享受できる日本一住みやすい愛知を実現し、未来へ輝く進化する愛知をつくってまいります。  世界も常に進化、発展をいたしております。世界は立ちどまりません。そうした世界の流れにあらがうことなく、その波をしっかりと乗りこなしていかなければなりません。  アフリカに生まれた人類が進化しながら世界中に広がっていった旅路のように、これからも愛知がさらに進化、発展をしていく、まさに未来へのグレートジャーニーを、県民の皆様と手を携え、ともに歩んでいきたいと考えております。  今後とも、現地・現物・現場主義を貫いて、常にアンテナを高くし、県民の皆様の声に耳を傾けながら、自由民主党愛知県議員団初め、県議会の皆様とも十二分に連携をして、全力で県政運営に取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  続いて、新しいあいちビジョンについてお答えをいたします。  時代は今、デジタル化とグローバル化という大きなうねりの中にあり、本県が引き続き産業首都あいちとして我が国の発展をリードしていくためには、AI、IoTなどの技術革新や、百年に一度と言われる自動車産業を取り巻く変化、訪日外国人の急増といった社会経済情勢に的確に対応していくとともに、国連が掲げた世界共通の目標であるSDGsの理念も踏まえて、愛知の地域づくりに取り組んでいく必要があります。  また、今後、少子・高齢化の進行に伴い、労働力が不足していくことが見込まれる中で、子供、若者、女性、高齢者、障害のある人、外国人など全ての人が活躍する社会をつくり、また、人生百年時代を見据えて、健康で安心して暮らしていける社会を実現していくことが重要と考えております。  さらに、リニア中央新幹線について、二〇二七年度に東京─名古屋間が開業し、その後、大阪まで全線開業いたしますと、首都圏、中京圏、関西圏の三大都市圏が一体化した人口七千万人のスーパー・メガリージョンが誕生し、愛知はそのセンターとしての役割が期待されます。  そのため、ジブリパーク、アジア競技大会といった国の内外から人を呼び込むプロジェクトを地域の活力につなげ、東京圏に負けない魅力ある大都市圏をつくっていくことが不可欠となります。  そこで、新しいあいちビジョンについては、リニアの全線開業が想定される二〇四〇年ごろの社会経済を展望し、二〇三〇年までに取り組むべき重点政策の方向を示してまいりたいと考えております。  来年度から検討をスタートし、有識者や市町村など幅広い意見を聞きながら課題や論点を整理した上で、二〇二〇年秋のビジョンの策定を目指してまいります。  次は、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。  来年度の県税収入につきましては、各種経済指標や主要企業への聞き取り調査の結果などをもとに、税制改正の影響も考慮して積算したところであります。  主要税目であります法人二税収入に大きな影響を及ぼします上場企業の本年三月期の業績予想は、米中貿易摩擦などを警戒し、慎重な見通しを立てている企業が多いことなどから、連結経常利益全体では前期をやや上回る水準にとどまっております。  こうした企業収益を反映し、法人二税収入につきましては、本年度当初予算額に比べ百五十六億円の増収を見込んだところであります。  一方、個人県民税につきまして、本年度から実施されました個人県民税所得割の名古屋市への税源移譲が平年度化することなどにより八十五億円の減収を見込んでおりますことから、県税全体では、本年度当初予算額から一%増となる一兆千八百十七億円を計上したところであります。  今後、通商問題の動向や為替・株式相場の変動が輸出型企業の多い本県経済へ与える影響を注視しながら、県税収入の確保に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。  続いて、今後の財政運営についてであります。  本県では、リーマンショックによる未曽有の税収減を経験し、平成二十一年度に地方交付税の交付団体となって以降、多額の基金取り崩しを計上することで予算を編成しており、厳しい財政状況が継続しております。  近年、県税収入はリーマンショック後の落ち込みから徐々に回復はしてきたものの、税収増に対応して地方交付税等が減少する仕組みであるため、一般財源の増加幅は限られております。  一方、歳出では医療、介護等の扶助費の増加が続き、公債費も高どまり状態にあるため、平成三十一年度においても多額の基金の取り崩しに依存する予算編成を行わざるを得ませんでした。  そのような中でも、今回の予算では、県債残高の縮減や基金残高の確保など、財政の健全化に向け、着実に歩みを進めることができたと考えております。  この先、ますます都市部で進展するであろう高齢化に伴い、今後も扶助費の増加が避けられないことから、こうした厳しい状況は続くものと考えております。  このため、引き続き歳入歳出全般にわたって行財政改革に全力で取り組み、限られた財源を真に必要な事務事業に投入する財政運営に努めてまいります。  加えて、日本一元気な愛知を目指した幅広い施策により、経済、産業の活性化を進め、地域の雇用を維持、拡大し、税収の確保につなげることにより、健全で持続可能な財政基盤の確立に向けて取り組んでまいります。  次に、行財政改革の取り組みについてお答えをいたします。  しなやか県庁創造プランでは、愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化や、愛知県国際展示場のコンセッション方式による運営など、民間活力の活用に積極的に取り組んでまいりました。  また、根源的問い直しを通じた事務事業の見直しを徹底するとともに、限られた人員の効果的な配置や、女性の管理職への積極的な登用などによる活躍促進に取り組んでおります。  さらに、組織につきましては、全ての人が輝く日本一元気な愛知をつくるため、県政のあらゆる分野にわたる政策課題に迅速、着実に取り組むことができる簡素でわかりやすい体制へ本年四月に本庁組織を再編することとし、今議会に関係条例の改正を提案させていただいております。  このように、しなやか県庁創造プランでは、量的な削減余地が狭まる中で、より一層効果的、効率的な行財政運営を実現するための取り組みを着実に進めることができました。  一方で、ICTの進展や働き方改革の取り組みの広がりなどにより、今後、本県を取り巻く環境にさまざまな変化が生じることが見込まれます。再編後の組織の機能を最大限に発揮し、こうした環境変化に的確に対応しながら持続可能な行財政運営を行うためには、現地・現物・現場目線で政策課題を把握しつつ、引き続き行財政改革に取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、来年度中にAI、ロボティクスを活用した業務改革や働き方の見直し、さらなる民間活力の活用などを盛り込んだ次期行革大綱を策定し、しなやか県庁創造プランの計画期間終了後も、不断の行財政改革に全力で取り組んでまいります。  次は、地球温暖化対策の推進についてのお尋ねであります。  まず、県民の高い環境意識を生かし、家庭からの温室効果ガス排出量の一層の削減に向け、クールアンドウオームシェアへの参加や省エネ製品への転換など、各取り組みの効果を見える化し、賢い選択を促すあいちクールチョイス県民運動を市町村と一体となって加速してまいります。  また、環境配慮住宅(ZEH)の普及に向けて、新たに断熱性能を高める外壁等を補助対象とするとともに、設置基数が全国一の住宅用太陽光発電施設において、余剰電力の固定価格買い取りがことし十一月から順次終了するため、この電力の自家利用を通じ排出量の削減を図る好機と捉え、蓄電池やEV等充給電設備の導入を強力に促進いたします。  あわせて、本県独自の自動車税の課税免除の期限を二年間延長し、全国一のEV、PHV、FCVの普及を一層後押ししていきます。  さらに、旅客・貨物運送事業者等へのEV等の導入補助では、最近の実態を踏まえ、割賦販売車両も対象とするなど利便性を向上いたします。  また、排出量の削減効果が大きいEV、PHV、FCVのバスや、環境性能とともに、全ての人に移動しやすさをあわせ提供し、持続可能な開発目標(SDGs)の理念に合致するハイブリッドのユニバーサルデザインタクシーを追加し、運輸部門の削減につなげてまいります。  加えて、厚い集積を有する産業・業務部門において、新たな地球温暖化対策計画書制度により、事業者のさらなる取り組みを促進するなど、本県の特性を生かした対策を積極的、総合的に進め、環境首都あいちとして低炭素社会への転換をしっかりとリードしてまいります。  続いて、水素エネルギーを活用した社会づくりについてであります。  水素エネルギーは環境問題、資源問題への対応とともに、産業競争力の強化にも重要であると認識しております。  しかし、水素は現時点では化石燃料に比べ高価なことから、供給と利用のさらなる促進による水素の低価格化が必要であります。  供給側では、安価な原料から製造された水素の輸入や、太陽光発電などを活用するCO2フリー水素の大量製造の実証実験が国家プロジェクトとして開始されたところであります。  また、利用側としては、水素の大量消費のため、燃料電池車や水素発電等の普及促進が求められており、こうした観点から、本県は燃料電池車の普及に不可欠な水素ステーションの設置促進に取り組み、その数は現在整備中のものも含め、二十カ所で全国一であります。  また、水素発電などについては、本県が主催する水素エネルギー社会形成研究会において、さまざまな視点で研究するとともに、知の拠点あいちでは水素製造・利用技術の開発も推進しております。あわせて、再生可能エネルギーなどから低炭素水素を製造、輸送、利用するサプライチェーンの普及拡大を図っております。  これらの取り組みをさらに発展させ、産業や雇用を創出するとともに、県民の皆様が安心して暮らせる水素社会を実現してまいります。  次に、愛知県国際展示場のオープニング行事についてお答えをいたします。  ことしの八月三十日から三日間を予定するオープニング行事は、アイチ・スカイ・エキスポの名称と開業について、国内外の展示会等の主催者や県民の皆様に対し、広く発信することを目的としております。  初日の式典には、国内外から来賓をお招きしてテープカット等を行い、二日目と三日目には、議員もお触れいただきましたように、一般の方向けのオープニングイベントとして、eスポーツを中心としたイベントを予定しております。  このイベントの実行委員会には、私ども愛知県、そして、展示場運営事業者のほか、eスポーツ事業に多くの実績を有する株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー、東海テレビ放送株式会社等が参画し、これまでに類を見ない大規模なイベント、日本国内では最大規模のイベントにすることを想定しております。  また、多くの国から人が集まる国際的なイベントにするとともに、eスポーツとエンターテインメントを本格的に融合させた日本初のイベントとすることを考えております。  さらに、今回のイベントの様子は、アマゾンドットコムが運営する世界最大規模の動画配信サービス、ツイッチにより世界中にライブ配信されることとなっておりまして、発信力の高いイベントになるものと考えております。  このように国際色豊かで発信力にすぐれたeスポーツイベントの開催により、アイチ・スカイ・エキスポの知名度を高め、さまざまな催事の誘致につなげることで国際的な交流拠点としてまいります。  続いて、中部国際空港二本目滑走路の早期実現についてであります。  中部国際空港の二本目滑走路早期実現に向けては、三県一市、経済界、空港会社一丸となって取り組んでまいりました。  特に需要拡大に向けましては、昨年十一月、国などに対して航空ネットワークの充実に向けた要望も行い、二月一日には中部空港に本社を置くエアアジア・ジャパン初の国際線として、台北便の就航が実現いたしました。そして、三月二十三日には、私が五年越しで働きかけてまいりましたガルーダ・インドネシア航空のジャカルタへの直行便が就航する予定でありまして、今年度の旅客数が過去最高の更新も視野に入るなど、着実に成果が出てきております。  ことし秋には、空港の新ターミナルと国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポがいよいよオープンし、また、ラグビーワールドカップ、技能五輪全国大会・全国アビリンピックなどの大規模なイベントも予定しております。二〇一九年は中部空港の需要拡大にさらなる弾みをつける好機でありまして、地域の関係者と手を携えて、エアポートセールス、利用促進活動により一層精力的に取り組んでまいります。  二〇二七年度のリニア開業を見据えますと、ことしは二本目滑走路の実現に向けて道筋をつける正念場の年であります。地域で二本目滑走路の具体の絵姿の検討を加速するとともに、国に対しても積極的な取り組みを求めるなど、最大限の運動を展開していく所存であります。  次は、豚コレラ対策についてお尋ねをいただきました。  昨年九月に我が国で二十六年ぶりとなる豚コレラが岐阜県で発生して以来、県内の養豚農家に対しましては、養豚場に出入りする人や車両の消毒の徹底を初めとする飼養衛生管理基準の遵守徹底を図ってまいりました。
     こうした中で、本県で一例目となる豚コレラが豊田市で発生し、二例目が田原市で連続して発生したことは極めて深刻な事態と認識しております。  豚コレラ発生後の県の対応は、議員がお触れになられたとおりでございますが、県職員はもとより自衛隊、国、地元自治体、民間事業者などの御協力により、防疫措置を完了いたしました。関係者に心から感謝御礼申し上げたいと存じます。  なお、防疫業務に従事した県職員に対する身体面及びメンタル面の健康保持には、相談窓口を設けてしっかりと対応しております。  次に、今後の豚コレラ対策でありますが、引き続き飼養衛生管理基準の遵守徹底を図るとともに、感染拡大を防止するため、発生農場等と交差汚染した可能性のある農場を監視対象農場として豚の移動を制限することに加え、消毒ポイントの設置や散水車による道路洗浄などの防疫対策に取り組み、豚コレラウイルスの封じ込めを図ってまいります。  また、野生イノシシ対策につきましては、養豚場への侵入防止対策として、農場周辺への防護柵等の設置を支援するとともに、拡散防止対策として、岐阜県と連携しながら防疫ラインの設置と経口ワクチンの散布に取り組んでまいります。  次に、養豚農家の経営再建についてでありますが、発生農場、関連農場及び豚の移動等が規制されている農場では経営の悪化が懸念されております。今議会の開会日、先週の二十五日には、こうした農家の皆様の経営再建に向けた緊急対策として、つなぎ融資を促進する議案を提出し、直ちに御議決をいただいたところであります。  今後も農家支援策、防疫体制の強化、感染拡大防止対策など、さらに必要なことがあれば、その内容がまとまり次第、今議会に追加で予算案を提出することも検討してまいります。  県といたしましては、全庁一丸となって、死力を尽くして豚コレラ対策に取り組み、本県の畜産をしっかりと守ってまいります。  続いて、本年三月に全面開所を迎えました愛知県医療療育総合センターの役割についてお答えをいたします。  心身障害者コロニーは、医療、福祉から教育まで幅広くサービスを提供する、入所を基本とする総合的な施設でありましたが、障害者福祉のあり方が施設福祉から地域福祉へと転換する中、民間法人の力をおかりし、地域で不足する重症心身障害児者施設等を整備しつつ、入所者一人一人に合わせた地域への移行を丁寧に行い、新しい医療療育総合センターとして開所することができました。関係された皆様方の御協力に心から感謝いたします。  このセンターでは、地域の障害者施設や医療機関で対応困難な方々に、高度で専門的な医療、療育を提供するとともに、在宅で療養している方々を短期で受け入れるレスパイト入院等の受け入れ体制を強化し、御家族の負担を軽減してまいります。  また、長期の入院療養を要した方々が在宅で生活できるよう、中央病院に在宅医療支援部を新たに設け、安心して地域の医療機関で受診できる環境づくりを進めるとともに、NICUに長期入院している方々を受け入れ、在宅移行につなげる後方支援病院としての役割も担ってまいります。  新しい医療療育総合センターは、障害児者の医療、療育の拠点として、これまでコロニーが培ってきた経験等を継承し、障害のある方々が身近な地域で安心して生活していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、大規模災害に備えた社会資本の機能強化についてであります。  大規模災害時において県民の生命と財産を守るとともに、迅速な復旧・復興を果たし、中部圏の社会経済を確実に維持することは、国全体にとっても非常に重要な課題であると認識しております。  これまでも、愛知県地域強靱化計画に基づき、地震対策、洪水・高潮対策及び土砂災害対策などハード対策、さらには、リスク情報の提供などソフト対策にも取り組み、大規模災害に備えて総合的な県土保全対策を推進してまいりました。  今回、本県におきましても、災害時における重要インフラの機能維持に関する緊急点検を実施いたしました。これにより、ハード面では、河川における堆積土砂の掘削や樹木の伐採、停電時に海岸樋門等を操作するための非常用電源の確保、ソフト面では、住民みずからの避難行動につながる簡易型河川監視カメラの設置など、必要な対策を取りまとめたところであります。  今後、国の第二次補正予算も活用し、これらの対策をスピード感を持って集中的に実施するとともに、愛知県地域強靱化計画に基づく取り組みを一層加速してまいります。引き続き、さまざまな大規模災害に備え、ハード、ソフト両面から社会資本の機能強化に全力で取り組んでまいります。  私からの最後の答弁となりますが、県立高校における愛知の産業社会を担う人づくりについてであります。  日本一の産業集積を誇る本県は、安定した雇用環境により平成三十年三月に県内の高校を卒業して就職した生徒数は約一万二千人、このうち県内企業等に就職した者の割合が実に九六・三%と、就職者数、そして県内就職率ともに全国一位であります。  これは、本県の高校における職業教育が長年にわたり産業界のニーズに応える人材育成を着実に進めてきた成果でもあると考えております。  現在、本県では、平成二十七年三月に策定した高等学校将来ビジョンに基づき、職業教育の充実を進めております。その一つが平成二十八年度開校の愛知総合工科高校であり、翌年度から全国で初めて公設民営化した同校の専攻科であります。  来年度、この四月からでありますけれども、本県初の学科として航空産業科を小牧工業高校に、エネルギーシステム科とエネルギー化学科を名南工業高校に設置してまいります。また、そのさらに一年後の四月には、豊橋工業高校にロボット工学科を設置してまいりたいというふうに思っております。  さらに、去る一月下旬に開催した愛知県産業教育審議会では、外部有識者や産業界などの方々から、ICTを活用したスマート農業や物づくり女子の育成に向けた取り組みなどを進め、今後の職業教育のあり方等についてさまざまな御提言をいただいたところであります。  今後は、こうした提言も踏まえ、県立高校における職業教育のさらなる充実に努め、産業首都あいち、未来へ輝く進化する愛知の創造に向け、本県の産業社会を支える人づくりを推進してまいりたいと考えております。  以上、御答弁申し上げました。 5: ◯警察本部長加藤達也君) 治安対策についてお答えいたします。  昨年は、防犯と検挙を両輪とした各種施策に取り組んだ結果、刑法犯認知件数を前年と比較して一五・九%減少させることができ、特に侵入盗の認知件数は、議員お示しのとおり十一年連続となっていた全国ワースト一位を返上することができました。  しかしながら、住宅対象侵入盗の認知件数は依然として全国ワースト一位であり、また、特殊詐欺の被害額が前年と比較して増加するなど課題も残されておりますことから、犯罪の防止に向けた取り組みを一層強化し、被害が拡大する前に被疑者の早期検挙を図るなど、引き続き防犯と検挙の両面から犯罪抑止対策に取り組んでまいります。  暴力団情勢につきましては、昨年七月に弘道会関係者による神戸山口組傘下組織幹部に対する刃物使用の傷害事件が発生するなど、依然として予断を許さない情勢にありますことから、各種法令を活用した取り締まりを徹底するとともに、資金的基盤の実態解明や、官民一体となった暴力団排除活動を強化し、暴力団の壊滅に取り組んでまいります。  交通事故死者数は減少傾向を維持することができたものの、全国ワースト一位という厳しい結果となったことを受け、綿密な交通事故分析に基づき、交通指導取り締まりの強化、高齢者等の交通弱者に配意した道路交通環境の整備、歩行者保護を初めとした交通安全意識を高めるための広報啓発活動を推進するなど、効果的な交通死亡事故抑止対策を推進してまいります。  本年も、各種施策を強力に推進し、安心して暮らせる安全な愛知の確立に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、大規模行事の警備を完遂するための県警察の取り組みについてお答えいたします。  県警察といたしましては、大規模警備の完遂を本年の最重要課題の一つに掲げ、テロ等違法行為の未然防止、国内外要人の身辺の安全と関連行事の円滑な進行の確保、県民生活への影響を最小限にとどめる適切な交通対策の推進の三点に重点を置いて対策に取り組んでおります。  初めに、テロ等違法行為の未然防止につきましては、地域住民の皆様や事業者等から不審情報がすぐにお知らせいただけるような協力関係を構築するとともに、関係機関と連携して、水際対策、爆発物原料対策、サイバー攻撃対策を推進する愛知県テロ対策パートナーシップ協議会を設立するなど、官民一体となった対策を推進しております。  次に、国内外要人の身辺の安全と関連行事の円滑な進行の確保につきましては、幅広い情報収集と分析に基づく不法事案の未然防止や管理者対策など、いかなる事態が発生しても的確に対処できるよう、訓練等の事前準備を徹底してまいります。  最後に、県民生活への影響を最小限にとどめる適切な交通対策の推進につきましては、国内外要人の車列等の安全かつ円滑な進行を確保するとともに、一般交通に対する影響を最小限にとどめるため、交通情報板や横断幕等を活用した交通規制に関する情報の提供等の効果的な広報を徹底して交通総量の抑制を図るなど、関係機関等と連携した適切な交通対策を推進してまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6: ◯四十一番(寺西むつみ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 7: ◯議長松川浩明君) 寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 8: ◯議長松川浩明君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 9: ◯議長松川浩明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  高橋正子議員。     〔七十八番高橋正子君登壇〕(拍手) 10: ◯七十八番(高橋正子君) 私は、新政あいち県議団を代表して、当面する県政の諸問題について質問してまいります。  質問に入ります前に、去る二月六日以降、豊田市及び田原市で相次いで発生した豚コレラにつきましては、殺処分などの防疫措置が速やかに実施されました。新政あいち県議団を代表いたしまして、発生から現在に至るまで、国や県、市、農家の皆様など、関係者各位の昼夜を問わない防疫活動への御尽力に敬意を表しますとともに、今回の発生農家の皆様の一日も早い経営再建を心から願います。  それでは、質問に入ります。  まずは、大村知事におかれましては、三期目の御当選おめでとうございます。得票率が本県知事選挙で過去最高を記録したことは、これまでの二期八年の実績や成果を多くの県民が評価し、大村県政続投を願う大きな結果であります。大村知事一番の公約である日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくるために、大村知事とともにオール愛知で未来に向かってチャレンジしてまいりましょう。  そこで、大村知事が新しい発想で取り組んでおられる行政改革についてであります。  本県では、昭和六十年に愛知県行政改革推進計画を策定して以来、今日まで行革を積極的に推進してきた経緯があり、大村知事が初当選された平成二十三年は、平成二十二年から五年計画で策定された第五次行革大綱の取り組み中でありました。しかしながら、第五次行革大綱策定後には、企業の想定レートをはるかに超える円高、東日本大震災の影響などで、本県の経済は苦境に陥っていました。税収の大幅な回復が見込めず、本県の厳しい財政状況は深刻化し、長期化するものと見込まれたことから、行財政体制の立て直しは急務でした。  その中で、新知事がこの未曽有の危機に下した一手は、進行中の大綱に深掘りの視点を設定し、改革すべき四十六項目を絞り込んだ行革大綱に係る重点改革プログラムの推進で、これが本県の行革の考え方を大きく変えたのではないかと思っています。  特に、この重点改革プログラムの基本的な考え方で、これまで県直営としていた分野について、民間に委ねるべき業務は民間に委ねる、民間からの提案やアイデアの活用を進める民間活力の導入拡大や県有資産の適正管理といった深掘りの手法、発想は、県道路公社が管理する有料道路について民間事業者に運営権を設定する日本初の有料道路コンセッションや、愛知総合工科高等学校の開校と専攻科の公設民営化へとつながってきました。  第五次行革大綱は行革効果額千二百七十九億円を捻出し、平成二十六年度に終了。平成二十七年度からは第六次行革大綱に引き継がれ、柔軟性と決して折れることのない力強さをあわせ持つ県庁を築いていきたいとの思いで命名されたしなやか県庁創造プランとして、現在二百四項目が進行中であります。同プランも五年間の計画期間で、平成三十一年度が最終年となります。昨年夏にはしなやか県庁創造プランに基づく平成三十年度の取り組み状況も公表されましたので、最終年はその進捗状況を検証し、当初の計画を遂行していただくものと思っています。  先ごろの知事選挙の折に発表されたあいち重点政策ファイル330プラス1の中でも、現行の愛知県第六次行革大綱、しなやか県庁創造プランの推進徹底と、次期行革大綱、二〇二〇から二〇二四の策定も視野に入れると約束しておられます。  行政運営の大原則は、最少の経費で最大の効果を発揮することにあります。しなやか県庁創造プランも平成三十年度当初予算までの行革効果額の累計は百五十五億円で、当初の目標の百億円を大きく上回り、新たに設定した数値目標である百八十億円も、平成三十一年度当初予算において百八十二億円と達成されました。量的削減が困難となり、第五次行革大綱での行革効果額に比べるとかなり小さくなっているものの、しっかりと取り組んでいる成果が出ているものと思われます。  そこでお尋ねいたします。  しなやか県庁創造プランの成果はどのようなものとなっているか、また、この四月からの本庁組織再編を踏まえ、仕事の進め方から組織のあり方まで、絶え間なく続く不断の取り組みである行政改革について今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、観光振興施策について伺います。  愛知県には、自然、歴史、文化、産業、グルメ、スポーツなど、観光集客の要素となる資源に恵まれているにもかかわらず、その魅力を観光客に伝え切れていない現実があるようです。昨年九月、名古屋市が実施した都市ブランドイメージ調査の結果が公表され、全国の八大都市、札幌、東京二十三区、横浜、京都、大阪、神戸、福岡、名古屋の中で、名古屋は魅力度、行きたいと思うまちのいずれも最下位という、しかも二回連続の残念な結果となりました。  ビジネスが目的で愛知県を訪れる人は多い一方、観光県としての潜在能力も高いはずの愛知、名古屋をアピールすることは、二〇二七年のリニア中央新幹線の開業で、リニア大交流圏の西の拠点としてのプレゼンス、存在感と経済的影響力を高めていく観点からも重要であり、今後より一層観光振興への取り組みが求められます。  そこで、観光あいちの魅力を平成二十九年度から三十一年度までの三カ年計画で総事業費三億五千万円をかけて全国展開する大型観光キャンペーン、愛知デスティネーションキャンペーンに注目します。デスティネーションとは目的地、行き先という意味で、愛知デスティネーションキャンペーンは、JRグループと愛知県、県内各市町村、観光事業者などが協働で地方の新しい旅先を提案し、地域の観光資源再発見の契機とすることを狙いとしています。  今回の愛知デスティネーションキャンペーンは、「未来クリエイター愛知 想像を超える旅へ。」をキャッチフレーズに、平成二十九年度にプレキャンペーンを、そして、三十年十月一日から十二月三十一日までを集中キャンペーンとして展開しました。本県は、日本の礎を築いた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を初めとした英傑たちの歴史遺産、長い歴史の中で培われた高度な物づくり文化、世界を牽引する最先端テクノロジー、醸しの技術が育てた個性あふれる食文化に、山車や花火などに代表される祭りと伝統文化があります。さらに、山あり海ありの自然など、多彩な観光資源にあふれていることも全国にPRしたところです。  本県では、平成二十八年二月に策定したあいち観光戦略に基づき、二〇二〇年までに来県者数五千万人、観光消費額一兆円などの数値目標を掲げておりますが、今回のデスティネーションキャンペーンによりこれらの目標にどこまで迫るのか期待されるところです。ことし三十一年秋には、三年目のアフターキャンペーンも開催され、集中キャンペーンの経済波及効果をさらに維持し、県全体に効果が行き渡る取り組みが必要となってくると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今回の集中キャンペーンを活用し、本県への観光客数の増加などに取り組まれた成果はどのようなものであったのか伺います。また、来年度のアフターキャンペーンにどのように取り組まれるのか、さらに、愛知デスティネーションキャンペーンで得た成果と課題を今後の本県の観光振興施策にどのように生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、職場のパワーハラスメント、以下、パワハラ対策について伺います。  みんなの前で大声でどなられる、挨拶しても無視される、処理し切れない量の仕事を無理やりやらされる、自分にだけ仕事が回ってこない。同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為、職場のパワハラが社会問題になっています。  直近の平成二十九年度に全国の都道府県労働局に設置した総合労働相談コーナーに寄せられたいじめ、嫌がらせに関する件数は七万二千件に達し、六年連続で労働相談のトップを独走しています。愛知県においても、職場のいじめ、パワハラに関する相談は年々増加しており、あいち労働総合支援フロアの労働相談コーナーなどにも、平成二十九年度は五百九十件と、ここ二年間で百五十七件の増加。あっせん事件においても、いじめ、パワハラの解決を求めるものが平成二十九年度は六件あり、ここ五年間で十六件に上っています。  パワハラ対策の強化は時代の要請だと考えます。職場におけるハラスメントでは、セクハラやマタニティーハラスメントは既に男女雇用機会均等法などで防止措置が義務づけられています。ところが、自殺者まで出ているパワハラは定義の曖昧さもあり、防止措置を企業に義務づける法規制がなく、これまでは企業の自主的な対策に委ねられてきました。  そんな現状の中、昨年十二月、厚生労働省はパワハラを許されない行為と位置づけ、全ての企業に防止措置を法律で義務づけていくと公表。企業に求める具体的な防止措置は指針で定め、一番悩ましいとされるパワハラの定義の曖昧さについては、業務上の指導とパワハラの境界が判別しにくいとの企業の声に、パワハラの具体例も新たに示す方針とのことです。これまでも大企業と中小企業とではパワハラ対策への取り組みにも差があり、指針では処分規定の就業規則等への明記も求めるわけですから、パワハラ防止に関するノウハウが乏しい中小企業にとって、対策の策定は大きな課題です。  そこでお尋ねいたします。  職場におけるパワハラ防止の法規制を契機に、労使一体となった職場のパワハラ防止対策に取り組む必要があると考えますが、県内の九九・七%が中小企業である本県にあって、中小企業への支援をどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、女性の活躍促進について伺います。  二〇一八年の女性就業者は全国で二千九百四十六万人で、就業率は全年齢ベースの五一・三%と、五十年ぶりに五割を超えたことがこの二月一日に総務省が発表した労働力調査でわかりました。  女性の就業率は、出産や育児を理由に三十歳代で下がり、四十歳代で再び上がるM字を描く現象が日本の就業構造の特徴です。今回の労働力調査で年齢別の女性就業率を見ると、二十五から三十四歳が七七・六%で前年比一・九ポイント、三十五から四十四歳は七五・八%で二・五ポイントそれぞれ上がっています。これは、着実に仕事と育児を両立できる働き方が広がりを見せているあかしであり、出産、育児で退職する女性の減少は、M字カーブの谷底の落ち込みが浅くなる傾向でわかります。  そして本県でも、昨年七月に総務省が発表した二〇一七年度就業構造基本調査によると、年代別の女性就業率は、これまでM字の谷底だった三十から三十四歳で前回の二〇一二年の調査と比べて六・二ポイント高い七〇・九%に、三十五から三十九歳も二・七ポイント高い六九・一%になり、全年代を合計した女性の就業率は五三・一%と二・四ポイント上昇しています。さらに、育児をしながら仕事をする女性の比率も五九・九%と、全国平均の六四・二%よりは低い傾向にあるものの、前回調査より九・六ポイント上昇したことは大きな前進です。  当地は、製造業を中心とする豊かな産業県ゆえに働く男性が多く、安定した生活環境が維持できてきたことが、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきの古典的な考えに賛成の人の割合が全国平均よりも高い傾向にあるゆえんだと言われてきました。ところが、ここに来て変化の兆しが見えます。平成二十六年の県政世論調査では、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきの考えに反対の人は四〇・三%だったのが、同じ項目で平成二十九年に調査したところ、反対の人は四六・二%に増加しています。また、女性が職業を持つことについての考えも、平成二十六年は、職業を持ち続けるほうがよいが三〇・七%、それが二十九年には三八・四%にアップし、男女共同参画社会に向けての意識改革が進んでいることを物語っています。  こうした結果は、女性が元気に働き続けられる愛知を目指して平成二十五年九月に設置されたあいち女性の活躍促進プロジェクトチームが全庁を挙げて取り組んできた施策の成果だとも思います。  平成二十六年夏に、本県の一万一千社を対象に職場での女性の活躍について現状と認識をアンケート調査した女性の活躍状況「見える化」調査では、女性の活躍推進の取り組みに何もしていないと答えた企業が四割弱ありました。女性管理職の占める割合についても、製造業では登用ゼロの企業が八割あり、中には女性が担当できる仕事が限られていると消極的な回答も三割近くありました。その後、その職場に変化はあったのでしょうか。  本県では、女性の活躍促進プロジェクトの一環で女性管理職養成セミナーも平成二十四年から開催し、今年度までに二百四の団体から管理職を目指す四百三十一人の受講者がありました。また、女性の活躍に取り組む企業をあいち女性輝きカンパニーとして認証し、現在では五百社を超えました。五年前に行った女性の活躍状況「見える化」調査の中で、女性の管理職や正社員がふえている企業ほど売上高や経常利益が伸びているケースが多いとの傾向が明らかになったことは注目です。  そこでお尋ねをいたします。  私はかねてより、あいち女性の活躍促進プロジェクトチームを設置して五年が経過したタイミングでこれまでの取り組みの成果を検証する必要性を本会議の場でも申し上げてきましたが、県として県内女性の活躍の現状をどのように把握、検証していくのか、また、五年間の成果を踏まえ、さらにどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、高校生への消費者教育について伺います。  二〇二二年四月、民法に定められた成年年齢が十八歳に引き下げられ、十八歳から親の同意がなくても自由に契約をすることができるようになります。例えば、携帯電話の契約、ひとり暮らしの部屋を借りる、クレジットカードをつくる、高額商品を購入するためにローンを組むといった契約を自分一人で結べるようになるわけです。  これまでは民法の規定により、十八歳、十九歳の未成年者が親の同意なく結んだ契約は、未成年者を保護する目的で取り消しの適用ができたものを、成年年齢が引き下げられるとそれが適用できなくなります。  現に安易な契約でトラブルに巻き込まれる二十代の多さは、愛知県内の平成二十九年度消費生活相談窓口への相談状況からも見てとれます。例えば、十八歳から二十一歳までの相談件数に限っては、十八歳二百二件、十九歳二百八十三件に対し、親の同意なしで契約が結べる成年二十になると、一挙に四百八十七件、二十一歳でも四百四十三件とはね上がり、契約金額の累計は十八歳の二千百万円、十九歳の三千四百万円から、二十になると四倍強の一億五千二百万円に。こうした契約トラブルの現状から、若年者の消費者被害防止、救済のためにも、これまで以上に十八歳成年になる直前の時期、すなわち高等学校等における消費者教育の充実が必要であると感じます。  消費者教育は、学習指導要領において、高等学校では公民科、家庭科、商業科の時間を充て取り組まれてきました。本県では平成二十二年度から、消費者教育研究校をモデル校として毎年三校程度指定し、実践的な消費者教育を実施しています。その研究校における授業の取り組みは、あいち消費者教育リポートや消費者教育推進フォーラムで報告され、県内の全ての中高、特別支援学校で活用が図られるようになっています。  消費者庁では、成年年齢を十八歳に引き下げる民法改正法を受け、文部科学省、法務省、金融庁と連携して若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムを作成。二〇一八年度から二〇二〇年度までの三年間を消費者教育の集中強化期間とし、二〇一六年に消費者庁が作成した高校生向けの消費者教育教材、社会への扉の活用を通じて、二〇二〇年までに全ての都道府県の全高校で消費者教育を実施し、実践的な能力を身につけることを目指すとしています。  そんな中、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループからは、高等学校での消費者教育の現状と課題についても報告され、例えば、一、実際には消費者教育に割かれている授業時間が少ない、二、学校教育での学習がどの程度効果があったか明確ではない、三、消費者被害防止に係る学習に関しては、悪質商法や消費者保護に係る制度など、消費生活の分野は変化が早く、教育を担当する学校教員にとっても指導への負担が多い、四、適切な教材に関する情報提供が十分ではないと、消費者教育の難しさを挙げています。  そこでお尋ねいたします。  本県ではこれまでに消費者教育研究校として二十七の県立高校が実践モデル校となり、消費者教育を授業の中で取り入れてきた実績があります。成年年齢十八歳引き下げに対応するための県立高等学校での消費者教育を、本県のこれまでの取り組みの成果を踏まえた上で、さらにどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、医師確保対策について伺います。  病院勤務医の過重労働や、診療科間の負担の違いで開業する医師の増加、診療負担が軽い傾向にある診療科への偏在、勤務条件のよい都市部の民間病院に流れる研修医、そして、二十四時間対応が求められる苛酷な勤務や訴訟リスクから、なり手不足が深刻な産婦人科医など、地域医療の崩壊も招きかねない医師不足が深刻です。  国の平成二十八年医師・歯科医師・薬剤師調査によると、本県の人口十万人当たりの届け出医師数は二百十八・六人と全国平均二百五十一・七人をかなり下回っており、とりわけ東三河北部医療圏、新城市、設楽町、東栄町、豊根村では百二十八・九人と、医師数が全国平均の半分という医療情勢は憂慮すべき状況です。
     ところが今、この医師不足はこうした中山間地域のみならず、都市部の中核的な病院や、産科、小児科などの特定診療科においても課題となり、医療提供体制の維持、存続が脅かされる状態が続いています。  本県では、医師不足対策を検討する際の参考とするために、県内病院における医師不足を原因とした診療制限の状況把握調査を、県内の全病院に対して平成十九年度から毎年実施しています。十二年目となる本年度も、昨年十一月に結果の公表を行ったところです。その結果は、特に影響の大きい診療科の休止や時間外救急患者の受け入れ制限のほか、比較的影響が軽度の診療時間の短縮など、何らかの診療制限をしている病院が、平成二十九年の三百二十三病院中六十五病院から、平成三十年は三百二十五病院中七十五病院、率にして二三・一%と過去最高を更新しました。  診療制限に追い込まれる病院は、医療法人よりも県立や市町村立を初め、日本赤十字社、厚生農業協同組合連合会などの公的医療機関が顕著で、公的病院四十五病院中二十九病院、率にして六四・四%と、地域医療を支える公的病院での医師不足が課題です。  本県では平成二十七年四月から、医療体制の維持、向上に向けて医師不足の解消を図り、医療の地域間格差や診療科偏在の是正を役割とする愛知県地域医療支援センターを設置。また、医師確保対策のため、大学医学部に地域枠を設け、将来医師不足地域の公的病院で活躍する医師の養成や、医師不足病院への医師派遣に対する補助を行ってきたところです。さらに、勤務先を求める医師に病院を紹介するドクターバンク事業や、出産、育児で職場を離れた女性医師の復職支援などの医師確保にも努めるとしています。  そこでお尋ねをいたします。  地域医療支援センターが設置されて間もなく四年になりますが、医師不足で診療制限をする病院の割合は引き続き高い状況です。本県の医師確保対策のこれまでの成果をどのように認識され、今後実効性ある取り組みをどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、無縁社会に向けた対応について伺います。  平成二十七年国勢調査によると、本県の六十五歳以上の単身世帯は二十八万七百六十四世帯で、六十五歳以上の者がいる世帯の二四%を占め、ここ二十五年で五倍にふえています。地縁、血縁といったさまざまな人間関係が希薄化し、特に、急速に進んだ高齢者の単身化は深刻で、身寄りもなく、誰にもみとられずに息を引き取る孤独死の問題は無縁社会という言葉で表現され、注目を集めるようになりました。  身寄りがないだけで介護施設に入所できない、病院に入院できない、アパートが借りられない。死亡後の亡きがらや遺留品は誰に返せばいいのか。こうした身元引受人がいない方への対処について明文化された規則や整備もなく、人としての必要な処遇が受けられない現状に、身寄りのない当事者はもちろん、各自治体も民生委員も、ケアマネジャーも成年後見人も皆苦慮しています。  一方、身寄りのない方が入院を断られるケースが見受けられることに対しては、平成三十年四月、厚生労働省が各都道府県に向けて、身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することは医師法に抵触すると、拒否しないように通知を出しました。  健康状態などへの不安から単身高齢者がアパートを借りられないことに対しては、本県では県営住宅で高齢者などの住宅セーフティネットとして単身者向けの募集を行っています。平成二十八年度は四十七戸、平成二十九年度は七十六戸と募集をふやして対応していますが、並行して問題となっているのが県営住宅での孤独死の増加です。県営住宅における高齢単身者の入居は全体の二割弱であり、こうした中、孤独死された方は年間二十人程度に上り、その多くが六十五歳以上です。孤独死されると、家財道具などの遺品は相続財産とみなされ、引き取り手がなくても処分できず、長期にわたって住居を占拠し、入居募集が停止になるなど、対応に苦慮していると聞いています。  このように身寄りのない独居高齢者に関しては課題も山積し、相談援助活動については地域の民生委員が担いますが、法的に支える仕組みとしては成年後見制度が有効です。しかし、後見人は医療同意や身元引受人にはなれず、死亡後の対応もできません。権限には限界があり、身寄りのない方の支援体制が整っていないだけに、成年後見人の権限拡大などの検討も必要になってきます。現在でも家族にかわって身元保証人になったり死後の手続を行ってくれるNPO法人や民間企業はありますが、都市部に集中し、費用も高額だったりで、一般的な利用は難しいと思われます。  そこでお尋ねをいたします。  社会問題化している無縁社会について、その対策を行政に求められるときが来ると思いますが、身寄りのない高齢者に対する支援のあり方が模索されている今日、全ての人が輝く愛知を目指す知事の御所見をお伺いいたします。  次に、南海トラフ地震対策について、二項目にわたりお伺いいたします。  一項目めは、地震の前兆と疑われる異常現象への対応であります。  ことし一月、中央防災会議の防災対策実行会議が開催され、南海トラフ巨大地震の震源域で前兆と疑われる異常現象が起きた場合の防災対応のあり方に関する報告書が示されました。それによりますと、東西に長い震源域のどちらか半分でマグニチュード八クラスの地震が先に起きる半割れの場合、その時点では被災を免れている残り半分の地域でも巨大地震と津波が連動するかもしれないとして住民に避難を呼びかける内容です。避難を呼びかけるのは、地震発生から三十分以内に三十センチ以上の津波が押し寄せる地域の住民等が対象です。  異常現象は、住民に避難を呼びかける半割れのほか、震源域の一部で巨大地震の前震と疑われるマグニチュード七クラスの揺れを観測する一部割れ、断層でひずみが観測されるゆっくりすべりの三つのケースを想定し、いずれかの現象を確認した場合、気象庁はおおむね三十分後に臨時情報を発表し、その後、南海トラフ巨大地震の発生の可能性が高まったと判断すれば、最短で二時間後に発生の可能性が相対的に高まったとする臨時情報を出すことにしています。  今回の報告書では、臨時情報が気象庁から発表された場合、必要に応じて自主避難や地震に備えながら通常の生活を送るとしていますが、半割れのケースは、一部の地域とはいえ一週間の避難を基本とした避難が求められます。今回の異常現象が起きた場合の避難は、大地震が起きるかどうかわからない不確かな中での避難となり、しかも、期間は一週間とされていることから、該当地域の住民の方々は戸惑うことになります。加えて、臨時情報が出て避難しても地震が発生せずに空振りとなる可能性や、反対に、一週間が過ぎて避難から戻った後に地震と津波が発生するおそれもあります。  そこでお尋ねをいたします。  政府では、異常現象を観測した場合における住民や自治体、企業などの対応をまとめた指針、ガイドラインを二〇一九年度に策定するとしており、各自治体はその指針を受けて、地域の特徴と事情に即して具体的な防災対応を検討、実施することが求められることとなりますが、南海トラフ沿いの異常な現象が観測された場合の防災対応について、本県として今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、知事の御所見をお伺いいたます。  二項目めは、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてであります。  愛知県は二〇一四年度から、災害時の避難や緊急輸送に重要な役割を果たす幹線道路、いわゆる緊急輸送道路沿いの古い建築物に耐震診断を義務づけています。これは、震災時に建築物の倒壊で道路が寸断され、避難や復旧を妨げるのを防ぐためです。診断対象は、災害時に救急活動の車両や救援物資搬送車が通る国道など、県内の緊急輸送道路五十路線、計八百七十三キロの沿道建築物。具体的には、二〇一八年十二月末現在で、一九八一年(昭和五十六年)以前に建てられた建築物のうち、原則として道路幅員の二分の一以上の高さの建築物五百九十五棟が対象となり、本県では建築物の所有者は二〇一八年度を期限に耐震診断を受けて結果を報告することとなっています。  そもそもこの緊急輸送道路における建築物の耐震化は、二〇一一年の東日本大震災のとき、倒壊したビルが道路を寸断して消防車が現場に到着できなかった教訓からです。その後、二〇一三年の耐震改修促進法の改正で、自治体が指定する道路沿いの建築物について耐震診断を義務づけられるようになったという経緯があります。  現在、全国四十七都道府県のうち耐震診断を義務づけているのは、東京、大阪、神奈川、滋賀、高知、徳島、香川、三重、広島、岡山、福島、岐阜、京都、島根、佐賀、そして愛知の十六都府県だけで、全国での診断の実施には踏み切れていないようです。しかし、全国各地で頻発する地震。当地でも南海トラフ巨大地震が三十年以内に発生する確率は七〇から八〇%と、防災・減災対策は待ったなしの状況になっています。  二〇一六年の熊本地震の際、倒壊した建築物が緊急輸送道路を塞ぎ、救助に支障が出たとの報告もありますが、その熊本県は緊急輸送道路沿道の建築物の耐震診断の義務化をしていなかったそうです。仮に診断の結果、耐震性が低いと判断されても、改修の義務までは課されませんが、倒壊を防ぐためにはぜひとも耐震改修をしてもらう必要があります。  そこでお尋ねをいたします。  緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務化に当たり、診断結果を二〇一八年度までに報告するよう所有者に求めていますが、本県の現状と課題をどのように認識しておられるのか、また、今後診断から改修の促進に向けて県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  最後は、高齢者の交通死亡事故抑止対策について伺います。  二〇一八年の本県の交通事故死者数は百八十九人で、二〇一七年の二百人よりも十一人減少しました。実に百人台となったのは一九五〇年以来六十八年ぶりとのことですが、残念ながら交通事故死者数全国ワーストの返上には至らず、十六年連続ワーストを更新する結果となってしまいました。しかし、ことしに入り、三月三日現在、本県の交通事故死者数は二十一人で、一位の千葉県との差は七人。ことしこそはワースト返上をぜひ実現したいものです。  さて、本県の交通事故死者数の着実な減少の一つの要因は、県警察が近年取り組む啓発や取り締まりの形を大きく変え、これまでの交通事故発生データを抑止に生かした分析の高度化です。平成二十九年四月に警察本部内に設置された交通死亡事故抑止総合戦略室では、過去十年間に起きた全ての人身交通事故の情報が蓄積された交通事故分析システムを活用し、各署ごとに管内の事故発生傾向や多発地点を細かく分析して活動方針に生かしているとのことであります。  限られた警察人員が効率よく先回りして事故を防ぐ、違反取り締まりは事故が多く起きる場所、時間帯などを踏まえて実施するなど、長年蓄積された事故発生データの分析をもとに、より効果的で無駄のない警察活動へのシフトが、今、交通事故抑止に大きな成果をもたらしています。その分析の高度化を、交通事故対策の喫緊の課題である高齢者対策にどのように生かしておられるのでしょうか。  本県の昨年の六十五歳以上の高齢者の死者数は百三人で、全体の約五五%を占めていますが、このうち歩行中や自転車乗用中であった方が七十九人と、約八割、七六・七%を占めています。これらの方は、買い物や散歩など、ふだんの生活の中で事故に遭うケースが多く、しかも、自宅から五百メートル以内の地域での事故が多いことが分析の結果です。  また、県警察では昨年九月、老年学や交通心理学などの有識者から成る検討委員会を発足し、本年三月までに高齢者の交通安全対策の総合的な構想、グランドデザインを策定するとしています。  そこで、警察本部長に、高齢者に特化した交通事故抑止対策の取り組みについてお尋ねいたします。  交通事故死者数の半数以上を占める高齢者の交通死亡事故の抑止に向け、どのように交通事故分析の高度化を図り、その結果をどのように今後の対策に生かしていかれるのかお伺いいたします。また、全国的にも珍しい、警察による高齢者に特化した構想、グランドデザインをどのようなお考えで策定され、今後の高齢者の交通安全対策にどのように取り組んでいかれるおつもりかお伺いいたします。  以上、新政あいち県議団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりましたが、明快な御答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔知事大村秀章君登壇〕 11: ◯知事大村秀章君) 新政あいち県議団の高橋正子団長の質問にお答えいたします。  まずは、さきの知事選挙におきまして新政あいち県議団の皆様に厚い御支援をいただきました。また、ただいまは過分なお祝いの言葉をいただきましてありがとうございます。これからも皆様とともに日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくる。そして、オール愛知で未来に向かってチャレンジしてまいりますので、今後とも何とぞよろしくお願いを申し上げます。  さて、まずは行政改革についてお答えをいたします。  私が知事に就任した平成二十三年以降、第五次行革大綱を深掘りする重点改革プログラムを策定し、徹底した行財政改革に取り組みました。その結果、第五次行革大綱の計画期間で千二百七十九億円に上る行革効果額を生み出すなど、大きな成果を上げることができましたが、長年にわたる取り組みにより、職員定数の削減を初めとした量的な削減余地は狭まってまいりました。  そこで、しなやか県庁創造プランでは、愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化を初めとした民間活力の活用に加え、限られた人員の効果的な配置や、女性の管理職への積極的な登用など、人材、資産、財源等の県の持つ経営資源を最大限に活用することで、より一層効果的、効率的な行財政運営を実現するための取り組みを着実に進めてまいりました。  さらに、組織につきましては、県政のあらゆる分野にわたる政策課題に迅速、着実に取り組むことができる簡素でわかりやすい体制へ本年四月に本庁組織を再編することとし、今議会に関係条例の改正を提案させていただいております。再編後の組織の機能を最大限に発揮し、社会経済情勢の変化に的確に対応しながら、全ての人が輝く日本一元気な愛知をつくるための施策を推進していくためには、現地・現物・現場目線で政策課題を把握しつつ、引き続き行財政改革に取り組む必要があると考えております。  そこで、来年度中にAI、ロボティクスを活用した業務改革や働き方の見直し、さらなる民間活力の活用などを盛り込んだ次期行革大綱を策定し、しなやか県庁創造プランの計画期間終了後も不断の行財政改革に全力で取り組んでまいります。  次に、観光振興施策についてであります。  本県では観光あいちの実現に向け、観光客の大幅増加、定着化を目的として、平成二十九年度より愛知デスティネーションキャンペーンに取り組んでまいりました。特に今回の集中キャンペーンでは、全国に強力な宣伝力を持つJRグループさんの全面的な協力を得ながら、本県観光の魅力を力強く発信するとともに、市町村を初め、地域が一体となって、首都圏、関西圏を初めとした全国から大規模な誘客を図ってきたところであります。この結果、昨年は大規模災害などの影響で全国的に国内旅行は低調となる中、大手旅行会社からは本県への送客は比較的堅調であったと伺っております。  また、今回の愛知デスティネーションキャンペーンにおける最大の成果は、それぞれの地域が熱意を持って観光資源の発掘、磨き上げを行い、地域の魅力を再認識することで、観光に対する意識や意欲がより向上し、県内観光関係者が一丸となって観光誘客に取り組むことができたことではないかと考えております。  来年度のアフターキャンペーンにつきましては、各地域と個別にヒアリングを行い、今回の集中キャンペーンの結果をよく分析し、課題を把握し、より効果的に実施できるよう工夫して進めてまいりたいと考えております。  今後は二〇二七年度のリニア中央新幹線の開業を見据え、長期的視点に立って県内全体でこの成果と課題を共有しつつ、今回のキャンペーンで魅力向上を図った観光資源をさらに磨き上げるとともに、ニーズを捉えたプロモーションを継続的に実施することで着実に観光振興を図ってまいります。  続いて、職場のパワーハラスメント対策についてお答えします。  職場のパワーハラスメントは、労働者の尊厳や人格を傷つけ、人権にかかわる許されない行為であり、あってはならないものであります。また、企業にとっても職場全体の生産性や意欲の低下など、経営上の大きな損失につながるものであると認識しております。  これまで職場のパワーハラスメントについては法規制がされていない中で、国、県ともにその防止のための周知啓発活動を行ってまいりました。こうした中、国におきましては、事業主に対してパワーハラスメントを防止する措置を義務づける法改正に向けて準備が進められております。あわせて、国の新年度予算ではハラスメント撲滅対策を集中的に行うこととし、ノウハウに乏しい中小企業に対しては、セミナーや個別企業訪問による支援も盛り込まれております。  県といたしましても、国の法改正等の動向を踏まえて、愛知労働局とも連携をし、中小企業に対する周知、支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。具体的には、中小企業の事業主及び労働者への周知活動として、労使のための労働法ガイドブック等の啓発資料により改正内容や取り組み方法の解説を行ってまいります。また、県内各地で開催する労働講座においてパワーハラスメントを特集として取り上げるとともに、働き方改革の一環としてもパワーハラスメント対策を位置づけたセミナーを開催してまいります。  あわせて、増加するパワハラ相談に適切に対応するため、相談窓口に配置している労働相談員の資質向上研修を行い、これらの啓発活動、取り組み支援を総合的に実施することによって、中小企業のパワーハラスメント対策をしっかり支援してまいります。  次に、女性の活躍促進についてのお尋ねであります。  本県では女性の活躍を促進するため、平成二十五年九月に部局横断のプロジェクトチームを設置し、翌二十六年度に実施した女性の活躍状況「見える化」調査結果を踏まえながら、女性の活躍に向けた機運の醸成、保育サービスの一層の充実、ワーク・ライフ・バランスの推進、女性の再就職及び起業の支援など、全国に先駆けてさまざまな先進的な事業を推進してまいりました。また、昨年新たに中長期の視点からプロジェクト事業の進捗を把握する工程表を作成し、計画的、効果的な事業展開を図っております。  その結果、女性の活躍促進宣言やあいち女性輝きカンパニーの認証があいち男女共同参画プラン二〇二〇の策定時に掲げた目標を大幅に上回るとともに、女性有業率も上昇するなど、本県の女性活躍は着実に進んでいるものと考えております。  一方で、製造業が盛んな本県では、管理職に占める女性の割合や女性役員のいる上場企業の割合が全国平均を下回るなどの状況があり、今後さらなる女性活躍を促進するためには、実態を踏まえた新たな視点からの取り組みも必要であります。そこで、前回の「見える化」調査から五年が経過する来年度、改めて働く女性へのヒアリング調査や県民、企業へのアンケート調査を実施いたしまして、女性活躍の現状とともに、県民意識の変化、企業における女性活躍の課題などを把握してまいります。そして、これまでのプロジェクト事業の必要性や効果を再検証した上で、さらに事業を深化、充実させ、女性が元気に働き続けられる愛知の実現を目指してまいりたいと考えております。  続いて、高校生の消費者教育についてであります。  社会経験が不足する若者を中心に、マルチ商法やデート商法などによる消費者トラブルが多発しております。成年年齢の引き下げに伴い、こうしたトラブルが十八歳の若者にまで広がることが懸念されるため、学校現場における消費者教育の充実が重要であると考えております。  本県では、これまで消費者教育研究校として指定した高校において、県の消費生活相談員が講師となり、契約の基礎知識や消費者被害の実態、消費者保護制度などについての実践的な授業を行うとともに、その実践例を取りまとめ、県内全ての中学、高校、特別支援学校に提供してまいりました。  授業を受けた生徒へのアンケート調査には、契約とは何か理解が深まったとか、うまい話には裏があり、慎重な行動が大切だと気づいたなどの声があり、消費者被害から身を守るために必要な知識が身についているというふうにうかがわれるところであります。  成年年齢の引き下げが三年後に迫る中、こうしたこれまでの取り組みを踏まえ、消費者庁が作成した高校生向けの教材、社会への扉も活用した授業を、十八歳で成人となる生徒が入学する二〇二〇年度までに全ての県立高校、特別支援学校で実施してまいります。この授業を円滑かつ効果的に行うため、県消費生活総合センター内に新たに消費者教育コーディネーターを配置するとともに、県の消費生活相談員のほか、弁護士、司法書士など、消費者問題に詳しい専門家の力もかりてまいりたいと考えております。次代を担う若者たちが消費者トラブルに巻き込まれることなく夢や目標に向かって進んでいけるよう、消費者教育にしっかりと取り組んでまいります。  次に、医師確保対策についてお答えいたします。  地域医療の確保、充実のためには、医師の確保が必要不可欠であります。そこで、本県では平成十八年度から医師不足で困っている病院に医師を紹介するドクターバンク事業を開始し、平成二十一年度からは、医師が不足する地域の病院で働く地域枠医師の養成を進めてまいりました。さらに、平成二十七年度からは県庁内に地域医療支援センターを設置し、大学と連携して地域枠の医学部定員を拡大するとともに、女性医師の離職防止や再就業支援を行う医療機関への補助など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。  こうした取り組みにより、県内の医療施設従事医師数は平成十八年の末から平成二十八年の末の十年間で二千三百八十七人ふえ、一八・一%増加をし、一万五千五百九十五人となっております。着実に成果は上がってきているというふうに思っております。そして、地域枠医師につきましては現在まで二百名近くが入学しておりますので、今後地域の病院への赴任が本格的に始まることにより医師不足が徐々に解消されていくものと考えております。  このような中、昨年七月の医療法の改正に伴いまして、来年度新たに都道府県医師確保計画を策定することとされましたので、県といたしましては、県内医師の偏在状況等を踏まえた実効性のある対策を検討し、この計画に盛り込んでまいりたいと考えております。今後とも医師確保対策にしっかりと取り組み、県民の皆様に安全・安心な医療を継続して提供してまいります。  続いて、無縁社会に向けた対応についてであります。  急速に高齢化が進展する中、地域における高齢者の孤立は大きな課題であり、介護予防や生きがい対策に加え、生活支援を着実に推進していく必要があると考えております。特に単身高齢者が地域で生活をしていくに当たっては、医療、介護に加え、さまざまな制度に基づく支援が必要であり、市町村の地域包括支援センターや社会福祉協議会といった専門機関のみならず、地域住民や民生委員、NPO法人、民間事業者など、さまざまな主体が連携し取り組みを進めていくことが求められております。  このため、本県では、市町村と郵便局や新聞販売店など、家庭訪問の機会の多い事業者などが連携して安否確認などを行う高齢者見守りネットワークの構築を進めるとともに、買い物や調理代行といった生活支援の担い手の発掘等を行う生活支援コーディネーターの育成を図ってまいりました。また、成年後見制度についての相談や利用するための手続援助などを行う成年後見センターの設置に向けた啓発や研修を行うなど、市町村における体制整備が着実に進むよう支援を行ってきたところであります。さらに、高齢者のニーズに応じた必要なサービスに的確につなぐことができるよう、地域包括支援センター職員の研修会を開催し、専門職の資質向上を図ってまいりました。  身寄りのない高齢者の課題はさまざまでありますが、こうした取り組みを重ね、地域の人と人とのつながりを高められるよう、引き続き本県の高齢者施策の基本となります第七期愛知県高齢者健康福祉計画に基づき、市町村とともに着実に取り組みを進め、高齢者が健康で生きがいを持ち、安心して暮らせる社会の実現を図ってまいります。  次に、南海トラフ地震対策についてお尋ねをいただきました。  まず、地震の前兆と疑われる異常現象への対応についてであります。  大きな被害が想定される南海トラフ地震への対応は、本県にとって喫緊の課題であります。今回中央防災会議の防災対策実行会議において示された報告書は、大規模地震の発生の可能性が不確実ではあるものの、平常時と比べて相対的に高まったと評価された場合に、事前の防災対策をとることにより被害の軽減を図ろうとするものであります。特に、南海トラフの想定震源域内のいずれか一方のプレート境界で大規模地震が発生したいわゆる半割れの場合、残りの被害を受けていない領域では、その後に発生する大規模地震に備えて、津波の到達までに明らかに避難が完了できない地域の住民や、避難に時間を要する高齢者などの要配慮者に一週間を基本とする事前の避難を求める内容となっております。  現在国では、内閣府が中心となりまして防災基本計画の見直しの検討が行われており、今年度内に自治体等の防災対応の検討を促すガイドラインの案を策定することとしております。本県といたしましては、このガイドラインに基づいて、市町村や防災関係機関等の意見を聞きながら、市町村等への速やかな情報伝達と住民の方々の的確な避難につながる地域の実情に即した防災対応を検討し、国が予定している二〇二〇年度内の本格運用に向けて、地域防災計画の修正等を行ってまいります。  地震防災対策は、突発的に発生する地震への備えが基本であることには変わりはありません。安全・安心な愛知をつくることは全ての基本でありますので、備えあれば憂いなしを念頭にいたしまして、引き続き地震防災対策をソフト、ハードの両面から全庁を挙げて推進してまいります。  私からの最後の答弁になりますが、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお答えいたします。  本県では、愛知県建築物耐震改修促進計画におきまして、地震で倒壊すると緊急輸送道路を閉塞するおそれのある建築物の所有者に対し、今年度末までに耐震診断の実施と結果の報告を義務づけております。現在の状況といたしましては、対象となる建築物五百九十五棟のうち、県所管分は全て期限内に実施される見込みでありまして、その他の七つの所管行政庁分を含め、県全体では約九割の実施を見込んでおります。所管行政庁からは、耐震診断が実施されない主な理由として所有者に診断実施の必要性を御理解いただけないと聞いており、県としても建築士等の専門家を派遣する等、関係市と連携を図りながら県全体の進捗を図ってまいります。  次に、診断から改修に向けての取り組みであります。  地震による被害を防ぐためには、耐震診断の結果を耐震改修の実施につなげていくことが重要であります。このため、県では平成二十七年度に市町村と連携した緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修費補助制度を創設し、改修を促進しております。現在対象建築物のある十八市町のうち五市で補助制度を創設しておりますが、残る十三の市町に対しましても制度創設を強く働きかけているところであります。  また、建築関係団体等と連携し、建築物の耐震化をテーマとしたシンポジウムや耐震改修相談会を開催しておりまして、緊急輸送道路沿道建築物の所有者にもダイレクトメールにより参加を呼びかける等、引き続き周知啓発に取り組んでまいります。  大規模地震発生時に緊急輸送道路の機能を確保するため、沿道の建築物の耐震化は極めて重要でありますので、今後も市町村や建築関係団体等と連携し、しっかりと耐震化の促進に取り組んでまいります。  以上、御答弁申し上げました。 12: ◯警察本部長加藤達也君) 高齢者の交通事故分析の高度化についての御質問にお答えいたします。  県警察では、平成二十七年から交通事故分析システムを導入し、地理情報を活用して交通事故の発生実態を視覚的に把握するなどの分析を行っております。平成二十九年には交通取り締まりや広報啓発活動の実施状況に関するデータを登録できるようシステムの改良を行い、交通事故の発生実態に即した交通街頭活動の実施状況について検証を可能といたしました。  高齢化の進展に伴い、高齢者の交通死亡事故の抑止は喫緊の課題となっており、交通事故分析の高度化は今後もますます重要性が高まっていくものと考えております。こうした中、当県では昨年十月末の時点で、高齢の歩行者、自転車利用者が交通事故死者数全体の四割以上を占めておりましたことから、これらについて分析をしたところ、約半数の方が自宅から五百メートル以内の場所で事故に遭われていることがわかりました。  そこで、昨年十一月、国勢調査の年齢層別人口データを本システムに取り込む改良を行いました。これは、高齢者の人口が多い地域を地図上に色の濃淡で段階的に表示するものであり、高齢歩行者等の人身交通事故発生状況の表示と重ね合わせることで、高齢者の居住実態と人身交通事故の発生状況の関係を可視化できるようにしたものであります。交通死亡事故は必ずしも人身交通事故が多発している場所で発生するとは限らないことから、このたびの改良を契機として、高齢者が多くお住まいの地域やその周辺においては高齢歩行者等の交通死亡事故が発生しやすいとの予測のもと、交通街頭活動等を強化し、高齢者の交通安全の確保を図ってまいりたいと考えております。  次に、高齢者の交通安全対策グランドデザインについての御質問にお答えいたします。  昨年の交通事故死者数全体に占める高齢者の構成率は五四・五%であり、十年前と比較して九・二ポイント、二十年前と比較して二〇・五ポイント増加いたしております。今後も高齢化のさらなる進展が見込まれる中、交通事故死者数の減少傾向を定着させるためには、高齢者の交通事故実態等を踏まえた各種対策を産学官が連携して総合的かつ統一的な構想のもとで進めていくことが不可欠であります。こうした考えに基づき、県警察では高齢者の交通安全対策の中長期的な構想としてグランドデザインを策定することとしたものであります。  昨年九月に有識者や関係行政機関で構成される調査検討委員会を発足させ、交通安全の確保に向けた高齢者のニーズや企業の貢献の可能性の把握等を目的としたアンケート調査のほか、関連文献の調査研究等を実施し、今後の高齢者の交通安全対策について検討を重ねてまいりました。  グランドデザインにつきましては、この検討結果をもとに、公共交通と高齢者の移動手段の確保、運転免許の自主返納をしやすい環境づくり、企業による交通安全への参画、ドライバーの歩行者等保護意識の醸成など、七項目を今後の高齢者の交通事故抑止の柱と位置づけた上で、それぞれの推進すべき具体的な対策について策定を進めているところであります。本年度末までに策定し公表することとしておりますが、今後はこれに示された対策について関係行政機関等に対する働きかけを行うとともに、相互の連携を強化し、実現可能なものから実施してまいりたいと考えております。 13: ◯議長松川浩明君) 進行いたします。  渡会克明議員。     〔八十九番渡会克明君登壇〕(拍手) 14: ◯八十九番(渡会克明君) 議長のお許しをいただきましたので、私は、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題についてお尋ねいたします。  質問に入る前に、今般の豚コレラにより甚大な被害を受けられました養豚農家を初め、関係の皆様方に心からお見舞い申し上げます。また、昼夜を徹して対応していただいた県職員を初め、国、地元自治体、JA、自衛隊、農業土木研究会、建設業界など、多くの皆様方に御礼を申し上げたいと思います。  大村知事におかれましては、先月緊急要望いたしました被害農家の方々への経済的支援のため、つなぎ融資の予算措置をされるなど、スピード感を持って手を打っていただき、高く評価したいと思います。知事は農林水産省で全国の農林水産行政を担当された御経験もあり、手塩にかけて育てた豚を殺処分しなければならなかった養豚農家の方々の深い悲しみを誰よりも御理解いただいているものと思っております。  感染原因の究明等、今後講ずべき課題もあると思いますが、何よりも、今現在養豚農家の皆様方が物質的にも精神的にも大変つらい思いをされておられます。県として引き続き養豚農家や周辺地域の皆様方に対し丁寧にフォローしていただきますことを初めに強く要望させていただきます。  さて、大村知事には、このたびの愛知県知事選挙において、二期八年間にわたる県政運営の実績と、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくるというメッセージが県民の皆様から高く評価され、過去最多の得票数を得てめでたく当選されましたことを心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。
     大村知事は今回の知事選挙を、アフリカで誕生した人類が世界中に広がり躍進したグレートジャーニーになぞらえ、常に前進して進化し続ける愛知をつくっていくと述べられました。大村知事が今回の知事選挙で訴えられた進化する愛知をつくるための政策集、あいち重点政策ファイル330プラス1に掲げられた各種施策の実施に大いに期待をしたいと思います。  この代表質問では、こうしたことを踏まえ、県政の諸問題について順次質問をしてまいります。  質問の第一は、県政運営についてであります。  初めに、今後の財政運営についてお伺いいたします。  平成三十一年度の当初予算は、かねてより私たち公明党が求めてまいりました医療、介護、子育て、また、教育や中小企業支援など、県民の暮らしを足元から支える施策にしっかりと取り組むとともに、ジブリパークの整備や第二十回アジア競技大会の開催など、本県の潜在能力を一層高めるプロジェクトを着実に前へ進める予算であると受けとめております。  一方で、期待された県税収入は百億円の増にとどまっており、千百七十六億円に上る基金を取り崩すこととされております。基金の取り崩し額は、平成三十年度当初予算の千二百八十三億円から縮小はしましたが、依然として多額であり、厳しい財政状況が継続しているものと認識をしております。  私たち公明党では、活気ある温かい地域づくりを目指して、地域でお互いに支え合いながら、若者も高齢者も元気で安心して暮らせ、さらには女性や青年が大きく活躍できる地域づくりを進めることに重きを置いております。このことは、景気の変動を初め、本県財政を取り巻く環境変化に左右されることなく、持続的に進めていかなければなりません。そのためには、積極果敢な施策展開の一方で、常日ごろから財政健全化とのバランスをとっていくことが重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  平成三十一年度当初予算編成において財政の健全化にどのように取り組み、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、本庁組織の再編についてお伺いいたします。  知事は十二月県議会におきまして、県政を推進する組織のあり方について、本県を取り巻く社会経済情勢が大きく変化していることを踏まえ、幅広く検討していくことを明らかにされました。そして先日、平成三十一年四月に実施する本庁組織の再編が発表され、今議会に関係条例の改正が提案されているところであります。  今まさに、急速な高齢化やAIを初めとする先端技術の進展など、本県を取り巻く環境に大きな変化が生じようとしている時期であり、そうした中で、本年八月の国際展示場の開業やジブリパークの整備、第二十回アジア競技大会の開催などを着実に推進し、障害がある方や高齢者が元気に安心して暮らすことができ、女性や若者が大きく活躍できる地域づくりを進めていかなければなりません。  今回の本庁組織の再編は、十七の局で構成する局制の導入を初めとする大規模かつ大胆な組織改革であり、県の仕事を関連する分野ごとにまとめることで、県民にとってわかりやすい組織とするものであります。私は、大村知事の三期目のスタートに当たり、常に前進し、進化し続ける愛知をつくっていくために組織体制を強化し、県民の皆様とともに未来の愛知をつくっていこうとする知事の積極的な姿勢が示されたものと受けとめており、高く評価したいと思います。  特に、私はかねてから、スポーツを障害の有無で隔てることなく、スポーツを総合的に推進し、地域の振興や豊かな県民生活の実現に生かしていくためには、スポーツ行政を知事部局に一元化することが必要であると申し上げてまいりました。今回のスポーツ局の設置は、まさに我が意を得たりという感があります。このスポーツ局の設置により県民のスポーツ活動の振興を図り、障害の有無に関係なくスポーツ環境を整備することが可能となり、二〇二六年のアジア競技大会の成功に向け、今後ますます本格化する取り組みを強力かつ円滑に推進されることが期待されるところであります。  そこでお尋ねいたします。  今回の本庁組織の再編におけるスポーツ局設置の狙いと、今後のスポーツの推進に関する意気込みについて、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、支え合う地域づくりについてであります。  まず、幼児教育、保育の無償化についてお伺いいたします。  本年十月から、幼児教育、保育の無償化が予定されております。幼児教育、保育の無償化とは、三歳から五歳までの全ての子供たちと、ゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化するもので、認可外保育施設やベビーシッター、病児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、幅広い保育サービスについても、保育の必要性の認定を市町村から受けた場合、一定額が無償化されるものであります。  国立社会保障・人口問題研究所が平成二十七年に実施した出生動向基本調査によれば、若い世代が理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由となっており、経済的負担を軽減することは重要な少子化対策の一つであります。  今回の無償化は、本年十月に予定される消費税率引き上げによる財源を活用し、利用者負担の軽減範囲を一気に拡大するもので、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入することにより子育て世代を応援し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換するものであります。  しかしながら、無償化に関する実務の多くを市町村が担うことから、保護者への周知や無償化に伴う各種システムの改修等、市町村の事務負担の増大や、また、認可保育施設と比べ保育士の配置や設備等に係る基準が緩やかな認可外保育施設も無償化の対象とされたことから、こうした施設においていかに保育の質を確保するかが課題となっております。  幼児教育、保育の無償化は、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、教育負担の軽減を進めるため、私たち公明党が一貫して主張してきた施策であります。無償化してよかったと多くの県民の方々に喜んでもらえるよう、県としてこうした諸課題へ的確に対応し、着実な実現へ向けて万全を期していただきたいと考えます。  そこでお尋ねいたします。  幼児教育、保育の無償化の円滑な実施に向けて、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、多文化共生社会づくりについてお伺いいたします。  法務省の在留外国人統計によれば、愛知県内の外国人住民数は、平成二十五年以降毎年増加を続け、昨年六月末現在で二十五万千八百二十三人と過去最高を記録しております。こうした中、中小企業等の深刻な人手不足を踏まえ、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設する改正出入国管理法が昨年十二月八日に成立し、今後さらなる外国人の増加が見込まれるところであります。  この法改正に先立ち、大村知事がリーダーを務めた全国知事会議のプロジェクトチームは、外国人材の受入れ・共生に向けた提言を取りまとめ、新たに受け入れる外国人材への日本語教育など、多文化共生社会の実現に向け、国が責任を持って取り組むよう、法務大臣を初め、関係省庁に対し強く要望されたところであります。そうした働きかけもあり、十二月二十五日には関係閣僚会議において、本年四月からの新制度開始に向けた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策が了承されたところであります。  この総合的対応策では、外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動、生活者としての外国人に対する支援、外国人材の適正・円滑な受け入れの促進に向けた取り組み、新たな在留管理体制の構築の四つの柱のもと、百二十六の施策が盛り込まれていますが、具体的な方策についてはいまだ明らかになっていない部分もあり、不安の声が上がっているのも事実であります。日本人と同等額以上の報酬や適正な労働条件の確保、悪質なブローカーの排除、技能実習など既存制度の実態把握とその改善など、実効性のある具体策が求められるところでありますが、中でも外国人の方の生活上の相談に対応することが重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  本県として新たな外国人材の受け入れ、共生に向けどのように取り組んでいかれるのか、中でもとりわけ重要である一元的な相談窓口についてどのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、魅力ある地域づくりについてであります。  まず、AI等の先端技術の進展を踏まえた県の取り組みについてお伺いいたします。  昨今、人工知能、いわゆるAIの性能の飛躍的な向上により、さまざまな分野でAIの適用領域が拡大しております。二〇四五年には、人工知能が人間の知能を上回る技術的特異点、いわゆるシンギュラリティーを迎えると言われており、AIにより私たちの生活や社会が大きく変化していくと予想されております。  そこで、AIの活用について三点お尋ねをしてまいります。  まず、AI等の先端技術の進展を踏まえた産業振興についてお伺いいたします。  近年、IoTによって収集した世界中のビッグデータをAIによって高速、精緻に分析し、生産性の向上や新たなビジネスモデルにつなげていくことがさまざまな産業分野において進んでおります。これまでにない市場をみずから開拓して成長していく新規事業者が登場し、既存のビジネスの枠組みを壊すいわゆるディスラプション──創造的破壊というそうでありますが──が起きていると言われています。例えば、ユニコーンと呼ばれる企業価値十億ドルを超える米国、中国の急成長企業は、最先端技術を活用した新たな製品やサービスを次々と顧客に提供することによって市場を獲得、拡大し、大きく成長するなど、その存在感をますます増しています。  御承知のとおり、本県の製造品出荷額等は約四十五兆円と、四十年連続日本一を誇る物づくりの世界有数の一大拠点となっております。しかしながら、世界ではクラウド、AI、モビリティー、ビッグデータ、ロボティクス、IoT、サイバーセキュリティーの頭文字をとったCAMBRICが今後の経済社会の大きな潮流になるとされており、本県の基幹産業である自動車産業においても、自動運転やコネクテッド、また、シェアリングや電動化の広がりの中で、百年に一度の変革期を迎えていると言われています。  私は、こうした激変する環境に対応しつつ、新しいサービスやビジネスモデルの創出を通して、今後も本県が我が国の産業を牽引していくためには、AI等の先端技術のキーテクノロジーを付加価値の源泉として活用し、競争力強化につなげていくことが何より重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  こうしたAI等の先端技術の進展を県としてどのように認識し、今後の産業振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、AIを活用した子育て支援についてお伺いいたします。  昨年八月に、熊本県においてAIを活用した子育て支援情報の提供システムの実証実験が開始されたと聞き、早速調査してまいりました。このシステムは、スマートフォンの無料通信アプリLINEを活用して、子育てに関する県民からの問い合わせや相談にAIが二十四時間三百六十五日リアルタイムで回答する仕組みで、スマホを介して質問、回答のやりとりを数回行い、最終的に市町村のホームページの具体的な情報に誘導するものであります。一般的な検索サイトとの違いは、AIが対話を通じて相談者の知りたい情報を自動的に絞り込み、適切に案内する点にあります。熊本県では、市町村や、従業員の子育て支援に積極的に取り組むよかボス企業と協働して事業を進めており、本年四月の実用化に向け、システムに入力する想定問答の作成と調整を行っている状況にあるとのことでありました。  核家族化や都市化に伴い、若い子育て家庭が孤立感や不安感を感じやすい状況にある中、AIを活用することによって不安や悩みをいつでもどこからでも気軽に相談でき、瞬時に県内全域の情報が得られる環境を整備することは大変に意義のあるものであります。誰もが安心して子育てができる社会を実現していく上で、ぜひ本県においても取り組みを進めていただきたいと考えます。  そこでお尋ねいたします。  今後こうしたAIを活用した子育て支援についてどのように取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、AI技術を活用できる人材の育成についてお伺いいたします。  我が国を代表する産業県である本県が、将来にわたり引き続き物づくり愛知として全国を牽引していくためには、AI分野の振興に計画的、組織的に取り組んでいく必要があります。その際重要となるのが、AI技術を習得し、積極的に活用できる人材の確保であります。そのため、人材の育成、とりわけこれまで全国に先駆けてSTEM教育に取り組み、成果を上げつつある県立工業高校におけるAI人材の育成はますます重要になると思われます。  職業教育には、継承すべき精神や知識、技術を次代に伝えていく役割とともに、時代の変化を的確に捉え、進取の気性や技術革新に対応する知識や技術など、新たな時代を築く資質、能力を育成する役割が求められております。これまでも県立工業高校は、産業界や大学等と連携して物づくりの高度な技術、技能を学ぶ技の探求講座などの実践的な教育に取り組んできました。  しかし、これからはさらに先進技術であるAI技術に関する教育を推進し、学んだ技術を活用できる人材を計画的に育成していく必要があると考えます。社会の変化は求める人材も変化させます。子供たちが将来、今まさに社会が求めている仕事、いわば時の仕事につけるように、スピード感を持って学習環境を整えていく必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今後県立工業高校におけるAI技術を活用できる人材の育成をどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、次期愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定についてお伺いいたします。  我が国における人口の減少と東京圏への一極集中に歯どめをかけていくため、二〇一四年にまち・ひと・しごと創生法が施行され、本県では二〇一五年に人口ビジョンとまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しました。二〇六〇年時点でも七百万人程度の人口を確保するという長期的な展望のもと、これまで知事が先頭に立ってさまざまな政策に取り組んでこられたところであります。その総合戦略については、来年度が計画期間の最終年度となることから、県では来年度中に新たな人口ビジョンと総合戦略を策定されるとのことであります。  しかし、本県の人口を取り巻く環境は、現行戦略の策定時の四年前と今とでは大きく異なってきていると考えます。本県では人口増加が見込まれている地域がある一方で、既に人口減少が始まっている東三河のように、今後人口減少を受け入れざるを得ない地域も出てまいります。こうした人口減少地域であっても、一人も置き去りにしないとの決意を持って、そこに住む人々や移住してきた方々が安心し、夢を持って暮らし続けていけるような環境をつくっていかなければなりません。  その実現には、インフラ整備だけではなく、地域の魅力や活力を高めることのできる文化、芸術を根づかせることや、地域を担う子供たちの教育環境の整備など、さまざまな角度からの取り組みが重要と考えます。将来にわたって住み続けたいと思える地域づくりこそが地方創生のかなめであり、次期総合戦略では、人口が減少していく地域へも十分目配りをしながら持続可能なまちづくりを進めていくことが大切な視点ではないかと考えます。  平成二十九年九月、京都大学と日立製作所が共同で、AI技術を活用し、持続可能な日本に向けた政策を提言しております。これは、百四十九の社会要因の因果関係モデルを構築し、二〇五二年までの三十五年間で約二万とおりの未来シナリオ予測を行い、都市集中型と地方分散型とを比較したものであります。それによれば、都市集中型を選択した場合には、投資の集中により財政は持ち直すものの、出生率の低下や格差の拡大がさらに進行するとの予測が出され、持続可能な社会の実現には地方分散型の政策を選択するのが望ましいとされております。地方分散型を選択した場合には、出生率が持ち直し、格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大するとの提言でありますが、実際のところ、地方分散型の持続可能な社会を実現していくことは容易なことではありません。  そこで鍵を握るのが、先ほど申し上げたAI等の先端技術の活用だと思います。地方に住む若者や女性、障害者など、働きたい方が最大限に力を発揮できるよう、テレワークの導入を促進するほか、地域の働き手が減少していく中で、例えばロボット等を導入して労働力を補ったり、自動運転やドローンなどを活用して地域の交通や物資の輸送手段を維持することも検討していく必要があると思います。もちろんすぐに実現できるものばかりではありませんが、将来を見据え、こうしたことを総合戦略においてきちんと方向づけ、実現に向けて着実に前に進めていくことが重要と考えます。  そこでお尋ねいたします。  現行のまち・ひと・しごと創生総合戦略のこれまでの取り組みの成果と課題についてどのように捉え、次期総合戦略ではどういったところに重点を置いていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、安心な地域づくりについてであります。  まず、防災意識の向上についてお伺いいたします。  昨年は一年間を通じて多くの自然災害に見舞われた年となりました。地震災害では昨年六月の大阪府北部地震や九月の北海道胆振東部地震、風水害では七月に西日本豪雨が発生し、本県においても、台風第十二号、二十一号、二十四号とたび重なる台風により、農作物等を中心に大きな打撃を受けたところであります。  近年、全国各地で毎年のように大きな災害に見舞われている中、本県では幸い平成二十年八月末豪雨以来、災害救助法が適用されるような大きな災害が発生しておりませんが、それゆえ、私は県民の皆様の中の防災に対する意識が希薄になっていないか危惧するところであります。現在私たち公明党では、命を守る、命の安全保障という観点から、防災、減災を政治の主流に位置づけ、中長期的には、行政や住民、企業が我が事として過去の災害の歴史や教訓を学ぶなど、災害リスクに関する知識と心構えを共有し、社会全体でさまざまな災害に備える防災意識社会へと転換していく必要があると考えております。  そうした中、ことしは本県が伊勢湾台風の被害を受けてから六十年の節目の年に当たります。昭和三十四年九月二十六日に襲来した伊勢湾台風では、死者、行方不明者の合計は本県だけで三千二百六十名、全国合わせて五千名以上に上り、昭和九年の室戸台風、昭和二十年の枕崎台風と並ぶ昭和の三大台風に数えられる大災害であります。伊勢湾台風の六十年の節目に当たり、被害に遭われた方々に哀悼の意を表するとともに、この災害を風化させることなく後世に伝えることは当然の責務でありますが、この機会を捉え、県民の方々に改めて防災の意識を高めていただく取り組みが必要ではないかと考えます。  防災では、行政などの公的機関による公助と、みずからが身を守る自助及び近隣や地域で助け合う共助の三つが相まって地域の防災力が高まります。地震や台風といった災害の種類に関係なく、自分の命は自分で守り、困った人がいたら地域で支え合う自助、共助の意識を醸成させる絶好の機会になると思います。  そこでお尋ねいたします。  本県が伊勢湾台風の被害を受けてから六十年の節目の年に当たり、県民の自助、共助の意識を醸成する取り組みにどのように取り組んでいかれるおつもりか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、今後の住宅対象侵入盗対策についてお伺いいたします。  安全で安心な地域を実現するためには、治安が良好に保たれていることが不可欠であります。県警察では、本年の基本目標を安心して暮らせる安全な愛知の確立と定め、最重要課題の一つに犯罪の抑止を掲げ、侵入盗を初め、多発する犯罪の予防及び徹底検挙に取り組むとしておられます。こうした中、本県の状況は、刑法犯認知件数につきましては減少傾向が継続しており、特に十一年連続で全国ワースト一位となっていた侵入盗については、昨年ワースト一位を返上することができました。しかしながら、住宅を対象とした侵入盗に限定しますと、減少傾向にはあるものの、十二年連続して全国ワースト一位が続いている状況にあります。  侵入盗の中でも住宅を対象とする手口には、家人等が不在の住宅に侵入する空き巣、夜間、家人等の就寝時に侵入する忍び込み、家人等が在宅し、昼寝、食事等をしているすきに侵入する居空きの三つがあると承知をしております。いずれの手口も、万が一家人が犯人と鉢合わせになるようなことがあれば、犯人から危害を加えられるおそれが高まるものと思われます。  昨年中の住宅を対象とした侵入盗の被害実態に目を向けますと、空き巣が約七割、忍び込みと居空きが約三割を占めるなど、家人の不在時のみならず、在宅中に犯人が侵入した事例も数多くあると認識しております。  また、侵入手口については、無締まり箇所からの侵入が約三割、ガラスを割って侵入する手口が約五割を占めており、比較的容易に侵入できそうな住宅を狙った犯行が多く見られる一方で、大型のバールを使用して玄関や勝手口の扉をこじ破り侵入するという粗暴な手口も確認されているとのことであります。こうしたことから、県民の皆様が最も安全・安心を実感したい場所である住宅を対象とした侵入盗は大きな不安を生じさせるものであると考えています。  私は、こうした住宅を対象とした侵入盗を防止するためには、県民の防犯意識を高め、自主的な防犯活動を促進するとともに、警察が行う取り組みを地域全体に浸透させたり波及させたりすることが極めて重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今後住宅を対象とした侵入盗をさらに減少させるためにどのような被害防止対策に取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。  質問の第五は、活力ある地域づくりについてであります。  まず、生産性向上と国土強靱化のための東三河地域のインフラ整備についてお伺いいたします。  東三河地域は、豊かな自然や歴史に培われた伝統文化、農業、工業、商業のバランスのとれた産業構造を有し、製造品出荷額等や農業産出額は全国的にも有数の規模を誇る地域であります。また、当地域の三河港は、輸入自動車で金額、台数とも二十六年連続日本一を誇る、我が国を代表する自動車流通港湾として東三河地域の成長を力強く下支えしております。この三河港の背後では物流の大動脈である新東名高速道路が開通し、東西方向の物流体系が大幅に円滑化され、新城インターチェンジ周辺を初め、沿線では新たな工業団地の整備が進められております。  一昨日には、東三河と遠州、南信州とを結ぶ三遠南信自動車道の佐久間川合インターチェンジから東栄インターチェンジまでの間が開通し、愛知、静岡、長野をつなぐ広域幹線道路ネットワークが広がりつつあり、三河港を中心とする生産活動圏域のさらなる拡大が見込まれ、当地域のポテンシャルも一層高まることが期待されています。  一方、三河港では、完成自動車を初めとした取扱貨物量の増加により、岸壁や保管用地が不足しており、特に、主要な物流拠点である豊橋市の神野地区においては効率的な利用が十分に図られておらず、また、三河港と高速道路間の移動には時間がかかり、企業の生産活動に支障となっています。  昨今の少子高齢、人口減少の大波を乗り越えるためには、生産性の向上により成長力を底上げすることが重要であり、東三河地域においてもすぐれた地域資源を生かし、今後とも地域の活力を維持、向上していくためには、AIの活用も視野に入れた生産性向上のためのインフラ整備を強力に進める必要があります。  加えて、近年頻発する大規模な自然災害が人間の安全保障や社会経済活動への大きな脅威となっており、国土強靱化への取り組みとして、災害時における企業の経済活動を維持することができるインフラ施設のさらなる強靱化が非常に重要となっております。  そこでお尋ねいたします。  東三河地域が持つポテンシャルを最大限に発揮し、愛知のさらなる成長を支えるための生産性向上と、災害時に備えた国土強靱化のためのインフラ整備を今後どのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、あいちトリエンナーレ二〇一九についてお伺いいたします。  いよいよことしの八月からあいちトリエンナーレ二〇一九が開催されます。二〇一〇年に始まったこの芸術祭も今回で四回目となりますが、国内最大規模の国際芸術祭としてこの地域に根づきつつあることには感慨深いものがあります。  私はこのように受け入れられてきた最大の要因は、まちなかや県内各地での展開が成功していることにあると考えます。特に二〇一三年の第二回以降、名古屋市以外の岡崎市や豊橋市を主会場の一つとしたことにより、県民のみならず県外の方々にも、現代芸術を切り口として、それぞれの都市の個性的な町並みや歴史的建造物といった歴史や文化を知っていただく機会となったと感じています。  二〇一六年の第三回に会場となった私の地元豊橋市では、スペイン風の円形ドームが特徴的な豊橋市公会堂や、豊橋駅からすぐの農業用水路上に建てられました珍しい構造の水上ビルなどでの展示が多くの来場者を楽しませるとともに、豊橋市の魅力の再発見にもつながったと感じております。  昨年七月に開催した文化・スポーツ・観光振興対策特別委員会に出席された津田大介芸術監督からは、今回のテーマである情の時代に込められた御自身の思いとともに、これまで三回のレガシーを引き継ぎながら、新たに音楽プログラムを取り入れ、現代美術と舞台芸術の複合的な展開を再構築したいという意気込みをお聞きいたしました。  会場については、名古屋市内のまちなか会場を、これまでの長者町から、名古屋駅からも近く、古い町並みや下町情緒あふれる四間道・円頓寺地区に変更されました。また、日本の物づくりの中心地であり、会期中にラグビーワールドカップが開催される豊田市を初めて会場とするなど、これまでと違った新しいトリエンナーレが期待されます。  津田芸術監督は、これまでの三回があいちトリエンナーレの第一期だとすると、今回から新しい第二期に入っていくことを示したいとおっしゃっており、どのような新しい展開が繰り広げられるのか、八月の開幕を今から大変楽しみにしているところであります。  そこでお尋ねいたします。  開幕まで五カ月を切ったあいちトリエンナーレ二〇一九について、現在の進捗状況と、トリエンナーレのさらなる発展に向け今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  以上、公明党愛知県議員団を代表しまして、県政各般にわたるさまざまな課題について質問してまいりました。知事初め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔知事大村秀章君登壇〕 15: ◯知事大村秀章君) 公明党愛知県議員団の渡会克明団長の質問にお答えをいたします。  まずは、さきの知事選挙におきまして公明党愛知県議員団の皆様に厚い御支援をいただきました。また、先ほどは質問の中で過分なお祝いのお言葉をいただきましてありがとうございました。これからも皆様とともに日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくると、常に前進して進化し続ける愛知を一緒につくってまいりたいと考えておりますので、今後とも何とぞよろしくお願いを申し上げます。  そして、質問に入る前に、冒頭、今般の豚コレラ対策についてもお触れをいただきました。私ども、多くの関係の皆様、県職員ももちろんでありますが、関係の皆様の御支持、御支援をいただいて防疫措置を二例完了させていただきました。これは大変つらい思いをしながらの作業ということでありましたが、完了することができたということで、心から御礼申し上げたいと思います。  この上は、渡会団長もお触れをいただきましたが、何よりも養豚農家の皆様が物質的にも精神的にも大変つらい思いをされておられるということでございます。今一番つらい立場にある方、厳しい立場、そして弱い立場にあるこうした農家に寄り添って、何としてもこの養豚農家の皆さんに経営再建に向けて取り組んでいただくということで、私ども、その点を第一義に考えてしっかり取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
     それでは、質問に順次お答えをさせていただきます。  初めに、今後の財政運営についてであります。  平成三十一年度当初予算は、引き続き厳しい財政状況の中ではありましたが、将来にわたり持続的かつ積極的に施策展開するための基盤として、財政健全化を着実に推進することも念頭に予算編成を進めてまいりました。  まず、県債残高は、社会資本整備などに充当する通常の県債と臨時財政対策債などの特例的な県債の残高がともに減少し、平成三十一年度末残高は前年度末を四百三十二億円下回る見込みであります。このうち通常の県債残高は、必要な公共投資を確保しつつ、縮減に努めてきたところであります。しなやか県庁創造プランにおきましては、平成三十一年度当初予算時点において平成二十六年度決算の水準よりも減少させるとの目標を掲げておりますが、同期間で二千二百億円以上減少させることができ、この目標を達成いたします。  また、財源調整に活用可能な基金につきましては、平成三十年度当初予算で予定をしていた取り崩しを全額取りやめ、さらに財政調整基金に積み立てを行いました。その結果、平成三十一年度当初予算において千百七十六億円を取り崩した上でなお八百十億円の残高を確保できる見込みとなりました。  今後も行財政改革の手を緩めることなく、限られた財源を重点的かつ効率的に配分するとともに、県政のあらゆる分野の取り組みを通じて経済、産業を強くし、雇用の確保、ひいては県税収入の増加につなげることにより、健全で持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。  次に、本庁組織の再編についてお尋ねをいただきました。  スポーツ関係業務につきましては、これまでスポーツを活用した地域振興や二〇二六年のアジア競技大会の開催準備は振興部が、学校体育のほか、競技力向上や国民体育大会、県のスポーツ施設の管理等は教育委員会が、そして、障害者スポーツは健康福祉部がそれぞれ所管するといったように、複数の部にまたがって実施をしてまいりました。しかしながら、今後はアジア競技大会の開催に向けて本格化する開催準備や選手育成などの事業を円滑に実施するため、スポーツに関する施策を一体的に推進する体制を整備していく必要があります。  そこで、今回の再編により、障害者スポーツを含むスポーツ関連業務を知事部局へ一元化し、スポーツ局を設置することといたしました。これによりアジア競技大会の成功に向けて県庁一丸となって取り組むとともに、スポーツが備える多様な力を健康づくりや産業振興、観光・文化振興など、愛知及び日本、アジアの活性化に生かすことができると考えております。さらに、アスリートの育成やスポーツ大会の招致など、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に進めることで、障害を持つ方を含め、全ての人が輝くスポーツ王国愛知の実現を目指してまいります。  次は、幼児教育、保育の無償化についてお答えをいたします。  幼児教育、保育の無償化は、子育てに係る経済的負担を軽減するとともに、子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障するものであり、子育て世代を応援する大変重要な施策であると考えております。県といたしましては、本年十月からの無償化の円滑な実施のため、実施主体である市町村に向けた予算として、無償化する保育料等の県負担分や、システム改修や保護者の方々への周知等、無償化に必要となる事務費への補助金を本議会に提案させていただいております。また、先月には、今後準備すべき業務等について市町村職員を対象とした説明会を開催したところであり、今後とも引き続き適時適切な情報提供を行うなど、市町村の取り組みをしっかりと支援してまいります。  また、認可外保育施設につきましては、無償化を機により一層の保育の質の確保、向上に取り組むため、県として職員を増員し、指導監督体制の強化を図るとともに、新たな取り組みとして、保育士資格を有し保育現場での経験豊富な保育専門員による巡回指導の実施や、保育事故防止のための研修会の開催、睡眠中の事故防止のための機器購入に対する助成などを積極的に進めてまいります。  こうした取り組みを着実に進め、幼児教育、保育の無償化の円滑な実施に向け、実務を担う市町村をしっかりと支援し、県として万全を期してまいります。  続いて、多文化共生社会づくりについてであります。  本県では東京都に次いで全国で二番目に在留外国人が多く、また、日本語指導が必要な外国人児童生徒も全国で突出して多いことから、これまで日本語教育の充実や外国人県民が安心して暮らせる環境の整備に積極的に取り組んでまいりました。そうした中、改正出入国管理法による新たな在留資格、特定技能が本年四月から創設されることに伴い、今後さらに多くの外国人材が本県で就労し居住することが想定されるところであります。そこで、本県では一月十五日、関係する行政機関や経済団体、労働者団体などで構成する新たな協議会を立ち上げ、相互に連携し、地域が一丸となって外国人材の労働環境、生活環境の整備、日本語教育の充実に取り組むことといたしました。  また、来日した外国人の方々に行政、生活上のさまざまな情報提供や相談をワンストップで行う窓口の整備はとりわけ重要であります。このため、あいち国際プラザ内の多文化共生センターにおいて通訳を増員いたしまして、これまでのポルトガル語、スペイン語など、五言語から、ベトナム語、ネパール語など、アジア圏を中心にさらに多言語化を進めるとともに、入国管理局、ハローワークなど、新たな協議会のネットワークも活用し、在留手続、雇用、医療、福祉、出産、子育てなど、幅広い相談にも対応できるよう機能の拡充を図ってまいります。また、住民に身近な相談窓口である市町村に対して助言や相談マニュアルの提供、職員研修の実施などのサポートを行ってまいります。国、市町村等と連携してこうした取り組みをしっかり進めることにより、外国人県民の皆様が安心して働き暮らすことができる多文化共生社会を実現してまいりたいと考えております。  次に、AI等の先端技術の進展を踏まえた産業振興についてお答えをいたします。  AIなどの先端技術の加速度的な進展は、大容量データの取得、分析、利活用を可能にし、こうしたデータがあらゆる産業と結びつくことを通じて、生産効率向上や革新的な製品、サービスの創出を実現するなど、産業の競争力や構造、さらには経済社会のあり方にも大きな変化をもたらすものと認識しております。  本県はこれまで世界から人、物、金、情報を呼び込み、新たな産業、雇用や投資を生み出す愛知型の成長モデルを磨き上げるとともに、物づくり現場に良質、大量のリアルデータを集積してまいりました。このため、本県産業が引き続き競争力を維持、強化していくためには、こうした現場データとAIなどの先端技術を連携、結合することで新たなイノベーションを次々と創出し、持続的な成長を実現していくことが重要であると考えております。  こうした観点から、今年度、AIなどの先端技術を有するスタートアップの発掘、育成、誘引や、県内物づくり企業との連携を進めるとともに、海外先進地の知見を取り込みながら、スタートアップを起爆剤としたイノベーションの創出に努めております。さらに、来年度からAIなどの先端技術が製品開発や実用化の重要な鍵となる自動運転、ドローン、ロボット分野について実証実験を積み上げ、二〇二〇年を目途として社会実装された姿を愛知から世界に発信できるよう、実用化支援に取り組むことといたしております。県としては、こうした取り組みを通じ、先端技術がイノベーションと豊かさにつながる好循環を生み出しまして、この愛知から日本の未来をつくってまいりたいと考えております。  続いて、AIを活用した子育て支援についてであります。  少子化の進行や共働き世帯の増加、地域社会のつながりの希薄化など、子育てをめぐる状況が大きく変化する中、子育てへの不安感を解消し、誰もが安心して子供を産み育てることができる環境をつくるためには、AI等の先端技術を積極的に活用し、子育てに関する相談や情報提供を行っていくことは重要な取り組みであると認識しております。  子育て支援につきましては、保育事業や母子保健事業、地域の実情に応じた子育て支援事業など、市町村が主体となって多様な取り組みが行われておりますことから、AIを活用して子育て支援情報を提供するためには、子育てに関する広範にわたる質問と回答などのデータのシステムへの入力、更新について、市町村の皆さんの協力を得ることが不可欠であります。また、AIの活用につきましては、他の自治体と共同してシステムを開発、導入することによってより低コストで効率的な導入が可能であると考えられます。本県におきましては、県内の全市町村が参加するあいちAI・ロボティクス連携共同研究会を本年一月に設置したところでありますので、この研究会において市町村の意見をお聞きするとともに、熊本県や他の先行事例も参考にしつつ、AIを活用した子育て支援についての検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、次期愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定について御質問をいただきました。  本県の総人口は現在七百五十五万人に迫り、人口ビジョンの想定を上回るペースで推移しており、特に社会増は年間二万人前後が続くなど、地方創生の取り組みは着実に成果が上がっているものと認識をいたしております。一方で、人口の動向は二〇一七年に初めて自然減に転じたほか、若年女性を中心とした東京圏への転出超過が拡大をしており、東三河地域における人口流出も続いていることから、こうした状況にも引き続き重点を置いて対応していく必要があると考えます。また、AIなど、第四次産業革命と言われる技術の進展を地域の持続的な発展につなげていくことも重要な視点であります。  こうした社会の変化を捉えつつ、次の総合戦略では、少子化の流れを食いとめる結婚・出産・子育て支援や、若者の流入、定着を図るための次世代産業の振興やスタートアップ支援、文化、芸術など、地域の魅力の磨き上げや発信等を充実させていく必要があると考えております。また、東三河地域の産業振興や就業支援などに加えて、人口減少、高齢化が進む三河山間地域等における生活基盤の確保や移住、定住の促進にもしっかりと取り組んでいかなければなりません。  こうした地方創生の取り組みの実効性を上げ、県全体の活力をさらに高めていくためにも、テレワークやロボット、自動運転などのICTやAIの活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。未来に輝く進化する愛知をつくるため、東京一極集中にストップをかけるとともに、全ての県民の皆様が安心し希望を持って暮らしていただけるよう、有識者や市町村等、幅広い意見を聞きながら、来年度に新しい人口ビジョンと総合戦略を策定してまいります。  次は、防災意識の向上についてお答えをいたします。  昭和三十四年に襲来した伊勢湾台風は、我が国の防災対策法制の最も基本となる災害対策基本法が制定される契機となった、日本の自然災害の歴史においても特筆すべき災害であります。また、この台風の襲来から六十年が経過をし、御遺族の方々や被災された方々も年齢を重ねられ、災害を経験された方が減りつつある中、その記憶を風化させることなく次の世代に伝えていくことは我々の責務であります。  近年、集中豪雨や台風等による被害が全国各地で相次いで発生しており、また、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しております。また、南海トラフではマグニチュード八から九の大規模地震が今後三十年間に七〇%から八〇%の確率で発生すると言われており、本県でも仮に発生すれば大きな被害の発生が予測されております。こうした大規模災害が危惧される中、県民の生命、財産を守るためには、行政による公助はもとより、住民一人一人が自発的に防災活動を行う自助や、同じ地区内の居住者等が連携して防災活動を行う共助が大切であり、全ての県民の皆様が過去の災害に学び、災害に備えていただく必要があります。  このため、伊勢湾台風から六十年を機に、犠牲者を慰霊するとともに、災害の教訓を後世に伝えるための行事を開催いたします。また、近年の大規模な風水害を踏まえた意識啓発や防災教育を市町村や防災関係機関と連携しながら実施することにより、県民一人一人の自助、共助の意識が一層醸成されるようしっかりと取り組んでまいります。  続いて、生産性向上と国土強靱化のための東三河地域のインフラ整備についてお尋ねをいただきました。  三遠南信地域の玄関口ともなる東三河地域が、観光、産業経済、環境、防災等、幅広い分野で地域力を向上させることは、日本一元気な愛知の実現の大きな柱の一つであります。広域幹線道路網の整備が進み、生産活動圏域が拡大する当地域では、道路整備とともに三河港の機能強化に取り組み、物流効率化により生産性を高めることが重要であります。  道路におきましては、昨年国が重要物流道路制度を創設しており、平常時、災害時を問わない安全かつ円滑な輸送を確保するため、物流上重要な道路を指定し、機能を強化することとしております。県といたしましては、この制度を積極的に活用し、三遠南信自動車道、名豊道路等の整備促進や、仮称でありますが、浜松三ヶ日・豊橋道路の早期事業化を国に働きかけるとともに、国道百五十一号宮下立体等の三河港へのアクセスとなる道路整備を加速させ、陸上輸送力の強化を図ってまいります。  また、背後圏域の拡大により貨物量の増加が見込まれる三河港では、神野地区等において岸壁の整備や保管用地の拡張、港湾施設の強靱化等を推進するとともに、来年度から着手いたします港湾計画の改訂におきましては、より効率的な港湾物流を目指し、急速に進歩する情報通信技術の活用等、ソフト対策も含め検討を行ってまいります。  今後も東三河地域のポテンシャルを最大限に生かし、愛知のさらなる成長を支えていくため、陸海一体の総合的かつ強靱で安定的な物流ネットワークの構築を進めてまいります。  私からの最後の答弁となりますが、あいちトリエンナーレ二〇一九についてであります。  早いもので今回で四回目のトリエンナーレとなりますが、これまで三回のあいちトリエンナーレでは、子供から大人まで幅広い年代の皆様に最先端の現代アートに触れていただく機会を提供するとともに、まちなか会場の一つでありました名古屋市中区の長者町では、まちのにぎわいを取り戻す一助となるなど、地域のまちづくりや活性化にも大いに貢献できたと考えております。  そして、ことし八月一日に開幕をいたしますあいちトリエンナーレ二〇一九に向けましては、これまで津田芸術監督を中心に、名古屋市内、豊田市内の具体的な展示会場の検討やアーティストの最終選考作業を進めておりまして、今月末、この三月末にはその全体像を発表してまいります。そして、四月一日からいよいよチケットの先行販売を開始いたしますので、何とぞ県議会の皆様にもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ということでございますが、今回のトリエンナーレでは、舞台芸術の一つとして新たに音楽プログラムを取り入れまして、その目玉となるミュージックアンドアーツフェスティバルでは、多彩なジャンルのアーティストが音楽ライブやパフォーミングアーツなどをメーン会場の愛知芸術文化センターで繰り広げることとなります。また、四間道・円頓寺エリアでも商店街の一角に特設ステージを設置し、会期中、日がわりで音楽ライブを開催することといたしております。こうした取り組みにより、音楽ファンにも足を運んでいただいて来場者の裾野を広げるとともに、にぎわい感のあるトリエンナーレを創出してまいります。  これまでの開催で培われた現代美術と舞台芸術の複合的展開、まちなかや県内各地での展開といった愛知の独自性は継続しつつ、新たなプログラムにも挑戦することであいちトリエンナーレをさらに発展させ、驚きや感動に満ちた魅力あふれる芸術祭になるようしっかりと取り組んでまいります。  以上、御答弁申し上げました。 16: ◯教育長平松直巳君) 県立工業高校におけるAI技術を活用できる人材の育成についてお答えいたします。  教育委員会では、物づくり愛知の未来を担う理数工学系人材を育成するため、STEM教育の推進を掲げ、平成二十九年度からさまざまな取り組みを実施いたしております。その中心的な取り組みとして、県立高校五校をあいちSTEMハイスクールに指定し、理工系大学と連携してSTEM四分野の学習を取り入れたカリキュラムの開発を行っております。  この研究指定校の一つである豊橋工業高校では、豊橋技術科学大学や愛知工科大学との連携のもと、AI技術の習得も視野に入れた本県初となるロボット工学科を平成三十二年度に設置する準備を進めております。あわせまして、名古屋芸術大学とも連携し、工業デザインの分野を取り入れ、STEM四分野にロボットとアートを融合したSTREAM教育について研究しているところでございます。さらに、大学だけでなく、新たな技術開発を進める地元企業と連携して、AI技術の基礎、基本を学ぶ講座を開設したり、生徒が企業に出向いて、AI技術の開発に携わる研究者や製造現場で働く技術者から直接AIの仕組みや活用方法を学んだりするなどの取り組みを行っております。  教育委員会といたしましては、こうした豊橋工業高校における取り組みを先行モデルとして、今後他の地域の工業高校においてもAI技術を活用できる人材育成の取り組みを進めてまいりたいと考えております。 17: ◯警察本部長加藤達也君) 住宅を対象とした侵入盗の被害防止に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。  住宅対象侵入盗の認知件数につきましては、議員お示しのとおり十二年連続全国ワースト一位という厳しい状況にありますことから、県警察では県民の皆様の防犯意識の高揚を促す取り組みや、被害を未然に防止するための防犯環境づくりを推進いたしております。  まず、防犯意識の高揚を促す取り組みといたしましては、四季の安全なまちづくり県民運動や参加体験型防犯教室の開催、メール配信によるタイムリーな情報提供を実施しているほか、小学生が毎日自宅の戸締まりをチェックするカギかけラリーなどの取り組みを推進いたしております。  次に、被害を未然に防止するための防犯環境づくりの取り組みといたしましては、警察官が各御家庭などを直接訪問し、防犯対策の助言をする防犯診断を進めており、昨年中は延べ約五十万件を実施いたしました。この取り組みでは、確実な戸締まりや補助錠設置の働きかけを初め、防犯性にすぐれたCP建物部品の活用等の助言を行っているほか、地元で活動するボランティア団体との合同防犯診断も実施いたしております。  また、平成二十九年七月に開始した簡易設置式防犯カメラ運用事業では、侵入盗の多発地域に対し、短期集中的に防犯カメラ五十台と、防犯カメラ設置推進地区と明示した防犯プレートを多数設置し、被害の未然防止と地域における防犯力の向上を図っております。これまでにこの防犯カメラを設置した地区では侵入盗の被害が大幅に減少しており、住民の皆様からも安心感を得たなどの声もいただいておりますので、来年度は事業の拡充を図るべく、さらに防犯カメラ五十台分の増設、整備等に要する費用を予算案に計上させていただいております。  県警察では、今後もこれらの取り組みを継続的に推進することで防犯意識のさらなる高揚を図るとともに、県民の皆様と連携した取り組みにより、自主的な活動を促しながら防犯対策を浸透させ、住宅対象侵入盗を防止するための環境づくりに努めてまいりたいと考えております。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 18: ◯四十番(近藤ひろひと君) 本日はこれをもって散会し、明三月五日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長松川浩明君) 近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 20: ◯議長松川浩明君) 御異議なしと認めます。  明三月五日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後三時九分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...