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  1. 愛知県議会 2018-09-01
    平成30年9月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成30年9月定例会(第3号) 本文 2018-09-28 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 57 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長松川浩明君) 選択 2 :  ◯議長松川浩明君) 選択 3 :  ◯四十五番(中根義高君) 選択 4 :  ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 選択 5 :  ◯産業労働部長伊藤浩行君) 選択 6 :  ◯知事大村秀章君) 選択 7 :  ◯議長松川浩明君) 選択 8 :  ◯一番(大嶽理恵君) 選択 9 :  ◯産業労働部労政局長藤田昇義君) 選択 10 :  ◯健康福祉部長平田雅也君) 選択 11 :  ◯振興部長野村知宏君) 選択 12 :  ◯一番(大嶽理恵君) 選択 13 :  ◯健康福祉部長平田雅也君) 選択 14 :  ◯四十番(近藤ひろひと君) 選択 15 :  ◯議長松川浩明君) 選択 16 :  ◯議長松川浩明君) 選択 17 :  ◯副議長鈴木喜博君) 選択 18 :  ◯三十一番(新海正春君) 選択 19 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 20 :  ◯建設部長河野修平君) 選択 21 :  ◯知事大村秀章君) 選択 22 :  ◯三十一番(新海正春君) 選択 23 :  ◯副議長鈴木喜博君) 選択 24 :  ◯五十二番(市川英男君) 選択 25 :  ◯建設部長河野修平君) 選択 26 :  ◯警察本部長(加藤達也君) 選択 27 :  ◯健康福祉部長平田雅也君) 選択 28 :  ◯五十二番(市川英男君) 選択 29 :  ◯副議長鈴木喜博君) 選択 30 :  ◯二十二番(山田たかお君) 選択 31 :  ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 選択 32 :  ◯農林水産部長(高橋智保君) 選択 33 :  ◯環境部長(森田利洋君) 選択 34 :  ◯建設部長河野修平君) 選択 35 :  ◯二十二番(山田たかお君) 選択 36 :  ◯四十一番(寺西むつみ君) 選択 37 :  ◯副議長鈴木喜博君) 選択 38 :  ◯副議長鈴木喜博君) 選択 39 :  ◯議長松川浩明君) 選択 40 :  ◯十七番(福田喜夫君) 選択 41 :  ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 選択 42 :  ◯企業庁長(松井圭介君) 選択 43 :  ◯防災局長(相津晴洋君) 選択 44 :  ◯環境部長(森田利洋君) 選択 45 :  ◯警察本部長(加藤達也君) 選択 46 :  ◯振興部長野村知宏君) 選択 47 :  ◯知事大村秀章君) 選択 48 :  ◯十七番(福田喜夫君) 選択 49 :  ◯議長松川浩明君) 選択 50 :  ◯六十五番(川嶋太郎君) 選択 51 :  ◯産業労働部長伊藤浩行君) 選択 52 :  ◯健康福祉部長平田雅也君) 選択 53 :  ◯知事大村秀章君) 選択 54 :  ◯六十五番(川嶋太郎君) 選択 55 :  ◯四十番(近藤ひろひと君) 選択 56 :  ◯議長松川浩明君) 選択 57 :  ◯議長松川浩明君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時十分開議 ◯議長松川浩明君) おはようございます。  ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百十七号議案平成三十年度       愛知県一般会計補正予算から第百五十五号議案       土地利用審査会の委員の選任についてまで及び       決算第一号平成二十九年度愛知県一般会計歳入       歳出決算から決算第十六号平成二十九年度愛知       県用地造成事業会計決算まで 2: ◯議長松川浩明君) 第百十七号議案平成三十年度愛知県一般会計補正予算から第百五十五号議案土地利用審査会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成二十九年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十六号平成二十九年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  中根義高議員。     〔四十五番中根義高君登壇〕(拍手) 3: ◯四十五番(中根義高君) おはようございます。  九月議会一般質問のトップを務めさせていただきます。  質問に入ります前に、本年相次いで発生しております自然災害について申し上げます。  西日本を中心とした豪雨災害、大阪北部地震や北海道胆振東部地震では、各地に甚大な被害がもたらされました。また、本県におきましても、今月四日に襲来いたしました台風二十一号により、死者二名、重傷者三名のほか、家屋の一部損壊や道路の土砂崩落、停電などの被害をこうむりました。現在接近中の台風二十四号については大きな被害が発生しないことを祈るばかりであります。
     これらの自然災害でお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様の生活が一日も早く回復されますことをお祈り申し上げます。  今回、森林、林業について質問をさせていただくわけでありますが、改めて災害に強い森林づくりについて、その必要性を強く実感しているところであります。高まる県民の防災意識と呼応し、森林が持つ災害防止などの公益的機能を発揮させていくためにも、伐採後の植栽や間伐といった林業活動がしっかりと行われ、林業の振興が図られていくことが必要と考えます。  しかし、木材価格がピークだったのは昭和五十五年。それから林業は長い低迷の中にあります。やってももうからない、もうからないから山に手をかけられない。人の手が入らない不健康な人工林が災害の危険を高めるとは聞いても、手を出せないというのが実情ではないでしょうか。  そのような中ではありますが、山間部を走ると、山は以前よりも明るく、地面には下草や灌木が茂っており、山がきれいになったなと実感します。針葉樹林だけではありません。集落に覆いかぶさるように鬱蒼と茂っていた広葉樹や竹やぶなど、荒れてしまった里山がきれいにさっぱりと整備された姿も目にします。山を守り、間伐を実施するに当たり、あいち森と緑づくり事業が果たしてきた役割にはとても大きなものがあったと感じています。  しかし、まだまだ手が入らず、引き続きこの事業を必要としている箇所が多数存在しています。このあいち森と緑づくり事業は、平成二十一年から十年を時限として実施されており、ことしがその最終年度でもあります。この事業期間の中でも、人工林のみならず、一体となった広葉樹林の整備を事業に加えるなど、進化しており、さきに公表された事業評価報告書からも、この事業に県民から高い評価が寄せられていることがわかります。  また、アンケートに答えた県民の九割近くから、森と緑を守り育てる取り組みの継続が必要との回答を得ていることからも、愛知の森と緑を県民共有の財産として将来に引き継いでいくことへの理解に大きな役割を果たしてきたと感じます。  あいち森と緑づくり事業を継続してほしい、でも、森林環境譲与税ができたらどうなってしまうんだろう。そんな不安の声をさまざまいただいておりました。そんな中、今回大村知事から事業の継続を表明いただきましたことは、関係者にとって大変に力強い希望となっています。  来年六月二日には、愛知県森林公園において全国植樹祭が開催されます。その開催理念は、「木材の利用を山村と都市をつなぐ架け橋とし、健全で活力ある森林づくりと都市づくりを進めていく」と発表がありました。  この開催理念を将来に向けて継承していく中で、あいち森と緑づくり事業が県民の意見や時宜にかなった変化を取り入れながら、さらに大きく進化していくこと、まちでの木材利用の推進と山での森林整備の推進とが相互に関係し合う仕組みを構築していく契機となることを期待します。  そこで質問をいたします。これまでの十年間の実績やこれからの変化を見据え、あいち森と緑づくり事業の主要事業である人工林の間伐及び全国植樹祭の開催理念を継承した木材利用の推進についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  あいち森と緑づくり事業の継続が表明される一方で、森林、林業を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。  関係法案の審議は、次期通常国会で審議されるとのことでありますが、来年、平成三十一年度は森林環境税、森林環境譲与税の創設が予定され、森林環境譲与税については、県や市町村への譲与開始が予定されています。  また、ことし五月に成立した森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムが施行されることや、さらには改正森林法に基づく林地台帳の公表も運用が開始されることから、来年は大きな変化がもたらされる年度となることが予想されます。  この新たな森林管理システムは、山主さんが御自身で森林を管理することが難しい場合には、林業経営に意欲と能力のある林業家さんに委託しましょう、その仲介には市町村が立ちましょう、林業経営が難しい地形であれば、針葉樹と広葉樹がまじった自然林に戻していきましょうというものです。  これらの新たな制度下では、これまで林政の経験を余り持たない市町村もそれぞれの施策の役割を担うことになります。市町村の職員については、林務の担当者がいない、もしくは、いてもほかの業務との兼任で十分な体制とは言えないところがほとんどのように見受けられます。県としてさまざまな対応への柔軟な対応と、これまで以上に寄り添った支援を行っていく必要があると考えます。  森林環境譲与税では、市町村がそれぞれの森林の実情に合わせて使い方を決めることとされていますが、制度上森林のない市町村にも譲与がなされることになります。このような市町村では、制度の趣旨から公共施設での県産木材の利用を考えてほしいと願いますし、広域での調整という点から、県の役割は大きいと考えます。  また、森林整備を担う林業従事者もこれまで以上に必要となってまいります。日本の林業従事者数は全国で四万五千人程度。農業と同様に高齢化が課題だと聞いております。  私の地元にある岡崎森林組合は若い人が多く、若い人全員が地域外からのIターンです。額田林業クラブが平成二十八年度の全国林業グループコンクールで林野庁長官賞を受賞するなど、熟練の林業家の方が持つ情熱と経験、若い人のやる気とがよい相乗効果を生み出しています。  若手の人材育成としては、本県には林業系の学科を持つ高校として、田口高校、安城農林高校、猿投農林高校の三校があります。ことしの夏には、三校の生徒さんが県の森林・林業技術センターで大型林業機械の操作を体験されたとも伺いました。高校で得た林業の技術や知識をさらに高めたいと思っても、本県には林業大学校などの専修学校がありません。そのため、岐阜、三重、静岡、長野など、他県へ行かなければならないというのは大変に残念なことです。  また、昨年、林業事故での死者数は全国で四十名、うち本県の事故死者数は三名でありました。林業従事者数が全国で四万五千人程度であることを考えると大変に高い数値です。新たな人材を育成し、産業としての発展をなそうとするときに、安全性の確保は絶対の条件であります。後づけの安全講習に終わらせない、プロの林業家、施業者の育成となる安全への施策をお願いしたいと思います。  このように、森林環境譲与税を初めとして林政に大きな変化が起きようとしている中で、これまで森林整備等を主体的に実施し培ってきた県のノウハウは大変に重要なものであります。  そこで、二つ目の質問になります。市町村が森林環境譲与税を活用して行っていく森林整備等の取り組みが着実に進むよう、県はどのような支援をしていくのかお伺いいたします。  ここからは視点を変え、林業の振興について進めてまいります。  昨年六月に閣議決定された未来投資戦略二〇一七では、林業を成長産業に生まれ変わらせるという方針が示されました。人工林の森林資源量はこの半世紀で五倍に増加し、戦後植林された杉やヒノキが五十年を超え、人工林の約半数が主伐期を迎えているという現状がその背景にあります。  林業を成長産業へとしていくためには、思い切ったアプローチが必要なのだと思います。その考え方には、ヨーロッパの林業施策が参考になろうかと思います。  ドイツの森林面積は、日本の生産林、つまり人工林の面積とほぼ同じです。昭和五十年代、両国の木材生産量はほぼ同じでした。そこから日本は平成十四年に底を打つまで減少へと進んでいった一方で、ドイツは木材生産量を伸ばし、木材の輸入国から輸出国に転換、林業及び木材関連産業は成長産業に位置づけられるようになりました。  両者の違いはどこにあったのでしょうか。その一つは林道にあります。ドイツでは、林道などの路網の整備に力が入れられてきました。かつては公費を山に捨てているといった批判もあったようですが、林道の密度が一定以上になってくると、その整備効果があらわれ、伐採、搬出のコストが下がります。かくして国際競争力をつけたドイツの林業は、グローバル化の波にも乗り、輸出産業に変化しました。  この伐採、搬出のコストを日本とオーストリアとで比較すると、オーストリアの伐採・搬出コストが日本の三分の一から三分の二程度と低い一方、林内路網の密度は日本の四倍以上となっています。ドイツに至っては、この林内路網の密度が日本の五・五倍以上あり、人体の血管のように山中に道を張りめぐらせることの必要性を如実に物語っております。加えて、災害が頻発する昨今においては、これらの林道が山間部集落の孤立を防ぐ補完道路ともなります。  また、育てた木を丸太に切り出すことが林業ではありません。農業の六次産業化と同じように、木材関連産業を含めた視野で、最終消費者に商品としてたどり着くところまで、お金が山に返ってくるところまでが林業だと再認識する出口戦略が必要です。経済を川の上流、下流に例えたとき、川下、川中から川上へと経済の循環があること、つまり、山主にもきちんと利益が還流していくことが、成長産業への道筋がうまく回り出すか否かの本質だと思います。  こうした中、林業の成長産業化を進める一つの方法として、ICT技術を活用したスマート林業への取り組みがいよいよ始まろうとしています。中でも飛行機から行うレーザー計測の活用には大きな期待を寄せています。  現在の林業では、土地の境界、施業界がはっきりしないことが大きな障害になっています。山に詳しい地域の御長老がお元気なうちに土地の境の話を聞き、記録し、地域で共有することが急務です。航空レーザー計測で得られた地形や林相の変化を反映させた図面の作成を契機に、地域で境界の話を始めるきっかけづくりにしていく必要があります。森林環境譲与税を活用し、早い段階で境界の確定に取り組む事業を実施したいという声もあります。今後、この上空からのレーザー計測が、森林管理を必要とする全県に拡大していってほしいと思います。  そして、あいち森と緑づくり事業や森林環境譲与税を活用して行うさまざまな森林整備の事業においても、現在の森林の状況を把握、記録しておくことは重要で、計画の立案から事業効果を検証していく上での基礎資料となります。  特に間伐作業においては、施業前と施業後の二つのデータを突き合わせ、なくなった木の先っぽの数を数えれば、何本間伐したのか、どこの木を切ったのか一目瞭然となるため、現地検査や報告書作成のために費やしている膨大な労力を削減することが可能になるのではないかと期待します。  このように、ICTを活用したスマート林業の取り組みで得られるレーザー計測の情報や開発ソフトなどは、災害復旧を含め、さまざまな場面で活用できる可能性がありますので、必要とする人が誰でも活用できるようにすべきだと考えます。  このスマート林業の取り組みは、全国でもまだ始まったばかりと聞いています。これからますますの発展が期待されますので、本県が他を牽引する意気込みで取り組みを進めてほしいと考えております。  そこで、三つ目の質問になります。林業の成長産業化を実現していくため、県としてICTを活用したスマート林業にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  続いて、二項目めの質問、中小企業の事業承継とIoTの活用へと進めてまいります。  御承知のとおり、小規模事業者を含めた中小企業が全企業に占める割合は九九・七%、雇用の七〇%を占めています。本県の中小企業の数は約二十二万社、従業員数で約二百二十七万人。まさに本県経済の屋台骨であり、地域の底力であります。  しかし、この中小企業がなくなってしまうかもしれない、そんな危機が目の前に来ています。ことし一月、中小企業庁から、現状を放置すると、中小企業、小規模事業者廃業の急増により、二〇二五年ごろまでの十年間累計で約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性がありますというコメントが出ました。  平成七年、今から二十三年前、何歳ぐらいの経営者が多かったのか。そのボリュームゾーンは四十七歳でした。それから二十年後、平成二十七年のボリュームゾーンは六十六歳、つまり、二十年間ずっと同じ人が経営をしてきていることが推察できます。中小企業の経営者が引退をする平均年齢は七十歳前後だと言われますので、今後五年から十年の間に、中小企業経営者の大量引退という問題が起きることが予想されます。  平成二十八年に発表された日本政策金融公庫総合研究所の調査では、六十歳以上の経営者の六割近くが自分の代での廃業を予定していると回答する驚くべき結果が示されました。つまり、経営者の引退がそのまま企業の廃業につながっていく危険性が高いということであります。  環境が変化する中で経営を継続されていくことは大変な御苦労だと推察いたしますが、廃業となって、それまで蓄積してきた技術やノウハウといった個々の企業の財産が失われることは、地域の経済、社会が衰退していくことにもつながってまいります。  一方で、明るい希望を感じさせる調査もあります。中小企業庁の調査では、経営者の年齢が低いほど投資意欲等が強いという傾向が見られます。中でも経営者が三十代の中小企業は、ほかの年齢層と比べて一番売上高を向上させているという結果になっています。つまり、事業をしっかりと継承しつつ世代交代を進めることができれば、後継者が攻めの経営に転ずるといった中小企業の活性化も期待できるということであります。中小企業が存続していく上で、後継者の存在が大きな鍵になります。  市場環境など、先行きが不透明な中、黒字経営であっても子供に継がせることをちゅうちょする経営者がふえているということはさきに述べたとおりであります。また、若者側でも、商売を家業と捉える意識の希薄化や、跡取りと言われることに距離を置きたがる傾向が強まっており、後継者選びが難航する中小企業が少なくありません。株式の買い取りや相続税の負担も、実子や血縁者に二の足を踏ませる一因となっています。  この中小企業の事業承継に対し、平成三十年度の税制改正で、ことし四月から国は大きくかじを切りました。事業承継時の納税負担を支払い猶予という形でゼロにするなど、中小企業の事業承継税制を大幅に拡充、緩和しました。  私たちの世代ではホットな話題であり、この事業承継の話をすると、既に取り組み始めている人がいる一方で、手をつけることに不安を感じている人もいます。不安に思う理由は、改正前の制度の手続が煩雑であったり、税制の適用後五年間で平均八割の雇用維持ができなければ、猶予されていた税金の支払いが求められるなど、企業にとって使いにくい要件があったりしたためです。事実、利用数を見ても、全国で年間五百件程度にとどまっておりました。  しかし、中小企業経営者の大量引退の危機が差し迫る中で、残された時間はあとわずかです。しくじるわけにはいきません。国は、大幅に拡充、緩和した今回の制度の利用を年間数千件にまでふやしたい意向を持っていると聞いております。  今回の改正は、今後十年間の時限措置であり、その適用を受けるためには、最初の五年以内に特例承継計画の提出を必要としております。  昨年四月から、事業承継税制の認定とその申請窓口は国から県へ移管されました。本県では、産業空洞化対策減税基金による補助制度で中小企業を支えている実績を出しています。その一方で、これから中小企業自体の廃業が進むことになるとすれば、それは支援として十分であるとは言えません。県においても、今回の改正内容を積極的に周知する必要があると考えますし、事業承継がスムーズに進むよう、県としての支援も必要と考えます。  そこで質問をいたします。今回改正された事業承継税制について、県内中小企業経営者への周知をどのように行っているのかお伺いいたします。また、さまざまな課題を抱える中小企業に対し、円滑な事業承継を促すためには、事業承継税制に加え、他の支援策も重要であると考えますが、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。  次に、現在中小企業が直面している切実な課題に人手不足があります。募集をかけても来てくれない。人を選んで採用なんて言っていられないと悲痛な訴えを聞きます。有効求人倍率の高まりを喜んでばかりはいられない状況に来ています。長期的な視野に立っても、人口減少、生産年齢人口の減少から、人手不足は中小企業が抱える課題として常態化していくように感じます。  人手が足らない中、限られた労働力で時間生産性を上げていくためのアプローチとして、IT、IoTといわれる先端技術の導入も一つの方策になるのではないでしょうか。中小企業白書の二〇一八年版によれば、IT、IoT等の導入をした企業ほど売り上げ、利益、労働生産性が増加の傾向にある割合が高いという分析から、攻めのIT、つまり、IT、IoTをコストの削減だけではなく、売り上げや付加価値の拡大につなげていくことが提唱されています。  また、本年六月に閣議決定された未来投資戦略二〇一八では、フラッグシッププロジェクトの一つに中小・小規模事業者の生産性革命が位置づけられており、調達、生産、販売の合理化や生産性向上に必要なIT導入の本格的な展開を進めていく方向性が示されています。  こうした国の方針に先駆けて、既に独自の取り組みを進めている県内の中小企業もあります。ある自動車部品のメーカーでは、自身の工場にIoTを導入し、生産性を約三割向上したことで、設備投資や人件費を四億円以上削減することに成功しました。その経験をもとに、中小・小規模企業にそのノウハウを普及する新たなベンチャーを設立し、国内にとどまらず海外でも活動をしておられます。  また、ある機械製造のメーカーでは、生産現場の設備設計、製造といった本業に加え、先端技術導入に必要な知識、ノウハウを教育する新規事業を立ち上げました。さらに、企業間で情報を共有し連携していくことを目的とした全国組織を設立するなど、積極的な取り組みを展開しています。  具体的な事例、例えば生産現場で機械が異常停止した場合、その原因をチェックシートに書き込むという作業に、切削油を使用する行程や両手を使う作業の場面では、AIスピーカーを使った音声入力にすることで簡略化することができるなど、まずは知ってもらうことが有効なのではないかと思います。  実際に取り組むことで、導入検討の勘どころがわかってくると、新たな技術や商品の開発、販路の開拓など、中小企業持ち前の創意工夫からその活用の領域は広がり、IT、IoTは中小企業になくてはならない技術へと成長していくのではないでしょうか。  本県の中小企業が人手不足の課題、大企業との生産性格差の課題等を乗り越え、競争力の強化ができるよう、IT、IoTの導入、普及を後押ししていくことは大変に重要なことだと考えています。  そこで、二つ目の質問となります。中小企業のIT、IoTの導入促進について、県はどのように認識し取り組んでいくのかお伺いをいたします。  以上、壇上からの質問を閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) 4: ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 森林整備と林業の振興について三点御質問をいただきました。  まず、あいち森と緑づくり事業についてお答えいたします。  あいち森と緑づくり事業は、議員お示しのとおり、平成二十一年度から十年間の計画で事業を進めてきており、今年度は計画の最終年度を迎えることから、これまでの実績や成果等を事業評価報告書に取りまとめ、五月に公表いたしました。  この中では、人工林の間伐や里山林の整備を初め、いずれの事業も計画どおりの成果を上げる見込みと評価されております。  一方で、依然として間伐が必要な森林が多くあることに加え、平成二十六年の大雪や本年の大型台風の際に、倒木による通行どめや停電等の被害が発生したことを受け、防災面でも有効である間伐に対する県民のニーズは今後ますます高まっていくものと思われます。  このため、平成三十一年度からの次期あいち森と緑づくり事業におきましては、より防災効果の高い、公道・河川沿い、集落周辺の間伐を重点的に実施していくことといたします。  また、木材の利用を山村と都市をつなぐ架け橋とするという全国植樹祭の開催理念を継承していくため、多くの方が木に触れて、そのよさを感じていただくことができるような、PR効果の高い愛知県産木材を利用する建築等に支援することで、木材利用を一層促進してまいります。  次に、市町村が森林環境譲与税を活用して行う森林整備等に対する県の支援についてお答えいたします。  議員お示しのとおり、森林環境譲与税は平成三十一年度から市町村及び都道府県に対し譲与される予定となっています。  この森林環境譲与税は、森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、林業の担い手の不足等によって森林整備が進まないという現状を踏まえて、国において導入が検討されてきたものでございます。  森林環境譲与税については、市町村は間伐や木材利用などの森林整備やその促進に関する費用に充てるものとされており、都道府県は森林整備等を実施する市町村の支援に関する費用に充てるものとされております。  本県では、三河山間地域を中心とする市町村においては人工林の間伐、都市部の市町村においては木材利用の促進などが主な取り組みになるものと考えられます。  こうしたことから、今後本県においては、市町村職員の技術力向上に対応するため、間伐業務に係る設計、積算や現場における安全管理、出来形管理などについての研修を検討してまいります。また、市町村が円滑に木材利用を進めるに当たり必要な、木材に関する基礎知識や、木材製品の生産から流通、加工までの一連の流れなどについての研修を充実させてまいりたいと考えております。  さらに、今後は農林水産事務所と市町村との意見交換や情報提供などの場をこれまで以上にふやし、事業を進める上での課題に対して、随時県と市町村が協力して対応してまいります。  県といたしましては、こうした取り組みを着実に進めることで、市町村が行う森林整備をしっかりと支援してまいります。  次に、ICTを活用したスマート林業の推進についてお答えいたします。  本県の森林は、三河山間地域を中心に、戦後盛んに植林され、それらの森林資源が利用可能な適齢期を迎えています。  また、都市部には名古屋市を初めとする大きな木材消費地が控えており、さらに、ことし八月には豊田市内で大型製材工場が本格稼働し、県内の森林から切り出された木を加工する体制は格段に強化され、県産木材の利用を促進する条件が整ったところです。  このため、本県ではこれを機にスマート林業を推進することとし、まずは林野庁が先駆的な取り組みとして公募したスマート林業構築推進事業にいち早く応募し、全国で五件の枠の中の一件として採択されたところでございます。  三カ年計画で実施する本事業では、まず、本年度に本県林業の新たな事業展開の方針となるあいちのICT林業活性化構想を作成することとして、学識経験者や木材の生産、流通、加工各分野の関係者等を構成員とする委員会により検討を進めております。  この活性化構想には、レーザー計測で得られる詳細な森林情報と地形情報を活用した森林境界の確定作業の促進や効率的な林道整備計画の作成に加え、製材工場の需要情報と生産者側の伐採計画を円滑にマッチングする方法などを盛り込んでいく予定です。  この構想を今後の県の施策に反映し、ICTの導入により木材の生産、流通、加工それぞれの分野が連携を図る愛知版スマート林業を実現し、本県林業の活性化を図ってまいります。 5: ◯産業労働部長伊藤浩行君) 事業承継支援の取り組みについてのお尋ねのうち、初めに事業承継税制の周知についてお答えいたします。  事業承継税制は、非上場株式を相続または贈与により取得した後継者の税負担を軽減する制度ですが、平成三十年度の税制改正で、これまであった軽減措置とは別に、今後十年間に限って納税猶予の対象となる株式の上限撤廃や雇用要件の弾力化などの特例措置が設けられました。  こうした国による制度の大幅な拡充は、中小企業の経営者がこの期間内に事業承継に取り組む強力なインセンティブを付与するものであり、県としても積極的にその活用を促していくことが重要と考えております。  特に、昨年度、事業承継を控えた中小企業を対象に実施いたしました実態調査では、七二・四%の企業が事業承継税制を知らないと回答しており、制度の利用促進に向けては、経営者に対する強力な働きかけが必要と考えているところです。  このため、県ではホームページ等による制度の内容の周知はもとより、春と秋に実施します百社を超える県内中小企業への訪問ヒアリングや、金融機関など、関係機関による事業承継のネットワークを活用して、経営者に対して直接、制度の活用を促す取り組みを進めております。  また、商工会、商工会議所の経営指導員や税理士を対象とした研修会に県の担当職員を派遣して、納税猶予に必要な特例承継計画を作成する際の指導や助言のポイントを解説するなど、支援する側の能力向上にも力を注いでいるところです。  県といたしましては、今後もこうした取り組みを着実に推進し、事業承継税制の中小企業経営者への周知に努めてまいります。  次に、中小企業の円滑な事業承継を促すための取り組みについてお答えいたします。  県内の中小企業においては、経営者の高齢化が進む中にあって、後継者が未定の企業も多く、このまま放置すれば、近い将来、休廃業に至る企業が急増し、地域経済や雇用に深刻な打撃を与えるおそれがあることから、円滑な事業承継の促進が喫緊の課題となっています。  このため、県では商工会、商工会議所、金融機関等で構成されるネットワークを活用し、経営者に対して事業承継の準備状況をヒアリングする事業承継診断や、事業承継の取り組みを喚起するセミナーの開催などに取り組んでいるところです。  また、今年度から新たに、事業承継に精通した専任のコーディネーターとして、中小企業診断士等をあいち産業振興機構に配置し、支援が必要な企業の把握や個別指導に努め、これまで八企業の個社支援を完了するとともに、現在二十四の企業に対し継続した個社支援を行っているところです。  加えて、昨年に実施した企業承継の実態調査において、支援ニーズとして後継者の育成が最も関心が高かったことなどを踏まえ、今年度、新たに後継者育成塾を開講しています。また、意欲的な後継者が多く集まる商工会、商工会議所の青年部が実施する研修活動などに対する補助メニューの中に事業承継枠を設け、若手後継者の育成支援を強化しているところです。  国においては、補助制度の拡充や税制面の後押しにより中小企業の事業承継を加速させることとしており、県といたしましても、円滑な世代交代、事業承継に向けて、承継の準備段階から承継後の成長段階まで切れ目のない支援に集中的に取り組んでまいります。  続いて、中小企業のIT、IoTの導入促進に向けた認識と取り組みについてお答えいたします。  県実施の調査では、三六%の企業がIoTを導入できる業務があるのかわからない、三一%の企業が導入予定はないと回答するなど、依然として多くの中小企業においてIT、IoTに関する理解の向上や利活用に向けた具体の動機づけが大きな課題となっているものと認識しております。  一方、中小企業においては、人手不足の顕在化、情報処理技術の発展を背景として、従来人手に頼っていた業務をIT、IoT技術によって省力化、効率化することが喫緊の課題となっており、いかに迅速、的確に対応できるかが競争力の鍵となっています。  全国一の産業集積を誇る本県は、効率的な生産技術やノウハウを持つ現場と、大量、良質なデータが厚く蓄積していることから、IT、IoT導入のニーズが大きく、かつ、それが実現する大きなポテンシャルを有しています。  このような点に着目し、県では平成二十八年度からIoT推進ラボを運営し、愛知県立大学との連携のもと、中小企業からの相談に対応するとともに、最新の技術・製品動向や具体の導入事例の情報提供、企業ニーズと技術シーズのマッチングを図り、IT、IoTに関する理解の増進、成功事例の創出に努めております。こうした取り組みからは、プレス機械の保全予知システムや、介護用おむつのIoTセンサーの開発といった事例も生まれております。
     また、生産現場の省力化、生産性向上を目指し、経営幹部や工場長を対象として、ロボットシステム構築の勘どころから工程設計、運用ノウハウまでを習得する研修を実施するとともに、導入効果を実感していただくため、先進企業の現場見学会を開催するなど、製造業におけるIT、IoTの利活用を後押ししております。  県としましては、今後もこうした取り組みを着実に推進し、中小企業の省力化や生産性向上を実現するIT、IoTの導入を支援してまいります。 6: ◯知事大村秀章君) 中根義高議員の質問のうち、あいち森と緑づくり事業につきまして私からもお答えをいたします。  平成二十一年度から十年計画で取り組んでまいりました本事業につきまして、七月に私から継続を発表させていただきました。  次のあいち森と緑づくり事業では、引き続き人工林の間伐に重点的に取り組むとともに、高齢化した人工林の若返りを図るため、あいちニコ杉などの少花粉苗への植えかえに対する支援を新たに行ってまいります。  また、都市における緑地の保全、創出や県民参加による緑づくり活動などに加え、緑地の活用や都市緑化の普及啓発を支援してまいります。  さらに、NPO等による森と緑の保全活動や環境学習、生態系ネットワークを形成するための取り組みを支援するとともに、新たに生態系の維持・回復状況のモニタリング調査を実施してまいります。  森と緑は県民共有の貴重な財産であります。引き続きあいち森と緑づくり事業に取り組みまして、山からまちまで緑豊かな愛知を実現してまいりたいと考えております。 7: ◯議長松川浩明君) 進行いたします。  大嶽理恵議員。     〔一番大嶽理恵君登壇〕(拍手) 8: ◯一番(大嶽理恵君) それでは、通告に従いまして、一般質問を今回は三テーマさせていただきたいと思います。  まず初めに、中小企業のメンタルヘルス対策について伺います。  最近の人材不足で社員一人一人の負荷が増大し、過重労働になり鬱病を発症してしまった、職場がみんないらいらしている、人間関係もうまくいっていないという声が頻繁に聞かれます。メンタルヘルス対策は個人だけの問題でなく、企業、そして社会全体で取り組まなければいけない大きな課題となっております。  実際に現在、メンタルヘルス対策として企業側が何を実施しているかと伺いますと、やはり従業員規模の大きい企業ほど積極的に取り組まれている傾向があります。電話やメールによる相談窓口を設ける、社内報やパンフレットを配布するという形式的なものから、社員に対するメンタルヘルス教育の充実やストレスチェックの実施、メンタルヘルスに関する社内の諸制度の整備やそのスタッフの充実などを進めているところもあります。  では、実際どのようなケアが必要なのでしょうか。厚生労働省の示すメンタルヘルス指針では、柱となる四つのケアが示されております。  一つ目はセルフケアです。労働者自身が、ストレスとはどんなもので、ストレスを避けるにはどうしたらよいか、そして、ストレスがたまってしまったサインにはどのようなものがあるか、サインがあらわれたらどうしたらいいのかなど、心の健康を維持増進するための知識を習得し、それを実行するケアを指します。  二つ目はラインケアです。残業が多い労働者に、心の健康のために残業を減らして早く帰りなさいと言っても、根本的な仕事量が減ったり、仕事のやり方が変わったりしなければ、早く帰ることはできません。そこで、実際にその労働者の過重労働を改善する立場にある管理指導者が、仕事量の軽減など、具体的な方策を講じたり、相談に乗ったりすることを指します。  三つ目は、事業場内産業保健スタッフ等によるケアです。産業医や保健師、カウンセラー、衛生管理者などの産業保健スタッフと呼ばれる職場の健康を守る専門職が、労働者の健康や安全のために会社がすべきことを企画立案し、会社に提言をしたり、セルフケア、ラインケアを効果的に実施するために、心の健康づくりに関する専門的な知識を提供したり、実際に相談に乗ったりします。  四つ目は事業場外資源によるケアです。外部の精神科病院やクリニック、カウンセリングルーム、公的機関である精神保健福祉センターや保健所など、専門的な知識を有する機関の支援を受けることを指します。  これらの四つのケアを各機関が連携しながら推進し、メンタルヘルスに理解のある職場づくりを進めていくことが必要です。  また一方で、ストレスになりにくい職場づくりも必要です。私たちも日ごろから経験していることですが、自分のやりたい仕事であれば、多少忙しくても余り負担に感じないですし、自分のペースで進めている仕事であれば、さほどストレスを感じません。逆に、やりがいを感じないような仕事や、スケジュールを完全に管理されてしまっている仕事などは、ささいな仕事でも大きなストレスを感じるものです。そのような場合、単に少し仕事量を減らしたり仕事を易しくしたりすることよりも、仕事に対する達成感や裁量度を上げることのほうがメンタルヘルスの改善につながる場合もあります。  加えて、幾ら達成感や裁量度がある仕事であっても、過度にならないようにしなければなりません。現在では、心の負荷がかかるほどの労働を防ぐため、長時間労働を規制する基準が示されております。一カ月に百時間を超える労働をしている場合は医師の面接等が必要です。労使における三六協定の遵守など、当然の部分に加え、このような時間を意識しながら長時間労働を避ける対策を行うことが必要であるとされております。  初期段階におけるストレスを抱えた方の発見も大変重要です。平成二十七年十二月より、労働者五十名以上の事業所においては、一年以内ごとに一回、ストレスチェックを実施することが義務づけられるようになりました。これは、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、検査結果を集計、分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境改善につなげることや、ストレスの高い方を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することなどにもつなげていく必要があります。  このストレスチェックは、従業員規模が五十人未満の事業者では努力義務のため、なかなか実施されていない現状がありますので、この対策も講じなければなりません。  また、職場復帰のための支援も非常に大事です。心の健康問題により職場を長期に休むことを余儀なくされるといった事態は、残念ながら多くの企業で発生しているのが現実です。鬱病の生涯罹患率は、男性で一一から一三%、女性で一五から二一%程度であることが明らかになっております。最も効果的な治療法の一つが、仕事や雑事から離れた休息であると一般に考えられており、この療養期間後の職場復帰をスムーズにできるよう支援を行う必要があります。  療養生活に入ってしまったら、あとはもとどおり働けるようになるまで放置という考え方では、療養者は復帰までの道筋が見えず、長引く療養生活、周囲からのプレッシャーなど、焦りを感じ、よくなるはずの病気もよくなりません。安心して療養生活を送ってもらえるような手だてを講じ、病状が回復した段階から無理のない職場復帰支援のプランを作成し、再発が起きないように支援していくことが必要です。  近年、メンタルヘルス対策に取り組む企業は着実に増加をしております。また、経済産業省が健康経営という概念を積極的に打ち出し、労働者の健康を保持、増進することは企業の経済的利益に直結する経営課題であると認識する経営者もふえてきております。これは、働く方々が職場で誇りと尊厳を持ちながら能力を発揮することをサポートする取り組みです。行政、企業、県民の皆さんと一体になった社会運動として広げて、それぞれの働く場で生き生きとした職場づくりが進むことを期待いたします。  そこで、県内における中小企業のメンタルヘルス対策の状況と、その充実のため、県としてのこれまでの取り組みについて伺います。  また、中小零細企業は、まずストレスチェックを行うことが大事ですが、行っていたとしても、それを活用することや、独自で産業保健スタッフを雇ったり、事業場外支援である外部機関との連携をとること、職場復帰支援の十分なサポート体制等を整えられない現状があります。これらについて、行政としてサポートを充実する考えについて伺います。  次に、児童の放課後や夏休み等の居場所について質問いたします。  放課後児童クラブは、放課後に保護者が働いていて留守になる家庭の児童が、年齢や発達の異なる子供たちで一緒に過ごし、発達段階に応じたさまざまな体験をしながら安心して過ごせる場です。  親が子育てしながらでも働くことを継続できる社会になりつつある今、放課後児童クラブの需要は年々右肩上がりで増加をしております。厚生労働省の調査では、平成二十年に約八十万人の登録者であったのに対し、平成二十九年度では約百十七万人の登録があり、今後もまだまだ増加する見込みです。  まず、親が働いている全ての小学生が希望したら放課後児童クラブを利用できるようにすることが必要であると思いますが、本県の放課後児童クラブの必要性と役割に対する認識について伺います。  さて、小学生を持つ共働き家庭の子育て支援上の課題として、小四の壁を取り上げたいと思います。小四の壁とは、放課後児童クラブの対象が三年生までのところが多く、四年生になると放課後児童クラブに入れなくなるという課題です。  このような課題に対して、国は平成二十七年度から、小学四年生以上も放課後児童クラブを利用できるように、対象を六年生までに拡大いたしました。大変有意義な変更であると思いますが、それに伴う受け皿整備が不十分で、平成二十九年度では全国で一万七千百七十人の子供が希望しても入れない、そしてそのうち約四五%が四年生以上という状況です。  まだまだ四年生以上は放課後児童クラブに行かなくても自由に地域で遊ぶべきであるとか、一人で家にいても大きいのだから大丈夫などという意見も根強くあり、六年生までの放課後児童クラブの必要性が軽視されており、待機児童を減らす取り組みに本腰が入っていないのは大きな課題であると思います。  国の統計によると、就労を希望しているのに働けない女性は三百四十二万人いるとされております。今後、高齢者や女性の就労が進まなければ、本県の就労者は、二〇一五年に約四百六十万人であったのに対し、二〇三〇年には約四百四十万人となり、約二十万人減少するとの推計が出ております。  仕事と子育ての両立が国を挙げての課題となる中で、女性の就業を促すだけでなく、子供がいろいろな体験をできる場を一人も入れない子がいないように確保することが重要であると思います。  待機児童解消のためには、場所の確保や人の確保が重要です。場所の確保について各市町村は苦労されており、学校の空き教室を使うだけでは足らず、お隣静岡県の浜松市では、教育委員会の御理解により、普通教室を放課後は児童クラブに使うという形で居場所を確保することになったそうです。何とか全員入れるようにできることは全部やるという、このくらいの意気込みが必要であると思っております。  そこで、本県における放課後児童クラブの待機児童数と、この解消の見込みについて伺います。また、県内市町村における六年生までの受け入れ状況について伺います。  次に、夏休みの放課後児童クラブのあり方について伺いたいと思います。  パート勤めの保護者など、ふだん学校のある日は子供が帰る時間までに仕事を終えて帰宅しているので、放課後児童クラブに行かなくてもよいが、夏休みは朝から夕方まで家庭に親がいない状況であり、放課後児童クラブを利用したいという方も多くみえます。県として、夏休みの子供の居場所としての放課後児童クラブの必要性をどう認識してみえるのか、また、夏休みだけ入所希望される方が入所できるように対応できているのか伺います。  次に、放課後児童クラブの人手不足の解消について伺います。  県内全体において、ここ数年は人手不足が深刻になっておりますが、放課後児童クラブを取り巻く環境を見ても、それは深刻な状況です。放課後児童支援員の資格は、保育士、社会福祉士、教諭などの資格を有する者や高等学校卒業者等であり、かつ、二年以上児童福祉事業に従事した方等も、研修を修了することによって取得可能です。放課後児童支援員の研修を行う責務のある県として、この人手不足をどのように認識してみえるのか伺います。  また、小学校六年生までの対象児童が放課後児童クラブで安心して過ごせるために、放課後児童支援員の増員が必要だと思いますけれども、県としてどのように取り組まれるのか伺います。  最後に、全ての児童を対象とした放課後児童対策について伺います。  近年、共働き家庭が増加している中で、親が働いていない子供も、遊ぶ友達が放課後児童クラブに行っていたり、安全に遊べる場が少ないという状況があり、子供が安心してさまざまな体験活動ができる場の重要性は増してきていると思います。  本県では、放課後児童クラブと放課後子ども教室の一体型の拡充を進めてみえると思いますが、全ての児童を対象とした放課後児童対策の重要性に対する認識と今後の取り組みについて伺います。  次に、三問目として東三河振興について伺います。  私の住む東三河地域は、豊根村から田原市まで、歴史的に豊川の水を介したつながりがあり、一番大きな都市である豊橋市を中心として、行政や産業においても昔から協力し合いながら進めてきた地域であると思います。産業面でも農工商それぞれがまだまだ伸び代が大きく、ポテンシャルのある地域です。  一方で、東三河は県内で人口減少がいち早く進んでいる地域であり、県内他地域と比べても特に若者の流出が著しい状況に、地域の人たちは危機感を抱いております。また、東三河の方々は、県庁が名古屋にあることで声が届きにくく、施策がおくれているという認識を少なからずお持ちであったと思います。  こうした中、東三河の振興を今後の愛知県全体のさらなる飛躍に向けた大きな柱とし、地域資源を生かした振興施策を推進する東三河県庁が平成二十四年四月に設置され、県による意欲的な取り組みが始まりました。  平成二十五年三月には、東三河県庁を中心に地域づくりの各主体が一緒になって、東三河振興ビジョンが策定され、その実施計画である推進プランが毎年一つから二つ策定をされております。  平成二十四年に策定したプランでは広域観光の推進、平成二十五年度は地域産業の革新展開、再生可能エネルギーの導入推進、平成二十六年度はスポーツ大会を活かした地域振興、地域連携事業の戦略展開、平成二十七年度は地方創生事業の広域展開、平成二十八年度は新東名インパクトを活かした地域振興、平成二十九年度は人が輝き活躍する東三河の実現、世界・全国レベルのスポーツ大会等を活かした地域連携、ここ六年間で九本ものプランを策定し、その都度成果の検証等が行われております。  各プランに掲げられた取り組みは、県、市町村、経済界、大学等の地域全体の取り組みであることもあり、東三河の各市町村が行っている事業が多くを占めております。このため、東三河にお住まいの方々に、東三河県庁があってどうなったのか、暮らしにどう貢献しているのか見えにくくなってしまっている現状に歯がゆさを感じるところもありますが、実際には東三河県庁は、地域のさまざまな取り組みに積極的にかかわって着実に成果を積み上げております。  そこでお尋ねいたします。東三河県庁が設置され、これまでどのような事業に取り組んでこられ、どのような成果があったのかお尋ねします。  次に、東三河ビジョンの今後の取り組みについて伺います。  東三河の各市町村長、関連団体、東三河県庁の方々が集まる東三河ビジョン協議会が年三回開催をされております。この会議では、東三河振興ビジョンの実施計画である推進プランの策定が行われており、私たち東三河選出の県議も傍聴をさせていただいております。  この会議では、毎年三月に翌年度策定する推進プランのテーマを決め、事務局である東三河県庁の企画調整課で推進プランの原案を作成し、各市町村の担当者の集う企画委員会で意見を出してもらい、手直ししたものをビジョン協議会にかけて決定されます。非常に丁寧な進め方で、六年前に取り組みが始まったころは、何を重点的に進めるか戦略が見えていなかった時期でありますので、このやり方で議論を深めることは有意義であったと思います。  しかし、東三河県庁のこの五年間の取り組みの中で、東三河として取り上げる主要なテーマもある程度絞られてきたのではないかと思います。私は、毎年テーマを選定していくよりも、東三河の観光や物販面でのブランド力の強化と産学官の連携等による東三河の産業振興に重点を置いて取り組むことのほうが、東三河地域の新たな活力を生み出すことがよりできると考えております。また今後は、これまでのような一年で二つほどプランを策定し、三年という短い期間で検証するというやり方よりも、大きなプロジェクトという形で、五年、十年のスパンで腰を据えて取り組むほうが、より東三河の振興につながるようにも思います。  東三河振興ビジョン策定時に、毎年三年スパンの計画策定をしていくという方針が掲げられていることは承知をしていますが、市町村等にもそうした声があれば検討することも考えてはどうかと思っております。  東三河県庁の企画調整課の職員さん方は、これまでの取り組みを通じて、各市町村や関連団体の動向によく精通をされております。プラン策定も重要でありますが、今後はその力をプラン実行のための活動により積極的に使っていただきたいと思っております。  以上、テーマの重点化と計画期間の弾力化を通じたプランのより積極的な実施について御提案申し上げましたが、何はともあれ、県が中心となって積極的に取り組んでいただくことが重要でありますので、先ほど申し上げた重点化すべき二つの大きなテーマについて、今後どのように取り組んでいくかをお伺いしたいと思います。  テーマの一点目は、東三河の観光や物販面でのブランド力の強化でございます。  東三河というと、観光地としてもまだまだ知名度が低く、広域の観光ルートができていても、まだまだ人を呼び込む力が不十分であると感じております。これまで豊橋市がアンテナショップを出す際に、他の東三河の市町村も品物を置いていただくなどの検討がされておりますし、PRのための冊子やホームページもつくられましたが、さらに東三河県庁が主体となって積極的に取り組むべきと考えております。  次に、テーマの二点目は、産学官の連携等による東三河の産業振興です。  現在、県、豊橋市等が出資する第三セクター、サイエンス・クリエイトや豊橋技術科学大学、愛知工科大学等との連携で、農業技術や産業人材を呼び込むなど、さまざまな取り組みが進められてきております。  また、あいち産業振興機構の事業の中で、中小零細企業の経営相談を行う愛知県よろず支援拠点豊橋サテライトは、東三河の中小零細企業の方が多く利用されており、評判もとてもよいです。今後もっと中小企業の支援拠点として機能強化してはと思います。  私は以前、島根県松江市にあります、まつえ産業支援センターに視察に参りました。松江市は人口二十万人の都市ですが、域内の企業が、新産業への取り組みや技術開発、企業のマッチング等を連携して取り組んでみえました。  東三河も、地域の一大拠点として東三河産業労働センターや東三河産業人材育成センターを併設し、ウインクあいちで行っているような中小企業支援や、産業労働部が行っている産業人材育成連携コーディネーターによる地域とのマッチングなどを行い、産学官の連携モデルを全国に示せるような取り組みをしていくべきだと考えます。  そこでお尋ねをいたします。東三河振興ビジョンに沿って、東三河ブランドの強化や産学官の連携等による東三河の産業振興について今後どのように取り組まれていくのか伺います。  以上、三つのテーマについて伺ってまいりました。前向きな御答弁をお願いして、壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 9: ◯産業労働部労政局長藤田昇義君) 初めに、県内における中小企業のメンタルヘルス対策の状況と、県としてのこれまでの取り組みについてお答えをいたします。  本県が実施した平成二十九年労働条件・労働福祉実態調査によりますと、メンタルヘルス対策に取り組んでいる県内企業の割合は、一千人以上の企業では九〇・九%であるのに対しまして、三百人未満の企業では三九・五%で、企業規模が小さくなるほどその取り組みの割合が低くなっており、メンタルヘルス対策が十分ではない状況にございます。  こうした中、本県では、中小企業の事業主や人事労務担当者を対象に、グループディスカッションなどを取り入れたメンタルヘルス対策セミナーを開催するほか、職場において取り組むべき事項をわかりやすく解説したガイドブックを作成、配布してまいりました。  また、平成二十七年十二月から、ストレスチェックの実施が労働者数五十人以上の事業所で義務化されたことを受けまして、二十八年度、二十九年度には、ストレスチェックの活用などをテーマに、その重要性や先進企業の取り組みを紹介する心の健康経営支援フォーラムを開催したところでございます。  さらに具体的な取り組みを進めようとする中小企業に対しましては、産業医や社会保険労務士などの専門家を職場へ派遣して、個別に社内研修や助言などを行うアドバイザー派遣事業を実施しておりまして、二十九年度からは、派遣要望が多いことに対応いたしまして、アドバイザーの派遣回数も拡充をしてきたところでございます。  次に、中小零細企業に対する支援についてお答えをいたします。  中小零細企業におきましては、資金や専門的知識を有するスタッフの不足などから、具体的な取り組みが進んでいない事業所もございます。こうした中小零細企業に対する支援といたしまして、独立行政法人労働者健康安全機構愛知産業保健総合支援センターでは、県内十四カ所に地域窓口でございます地域産業保健センターを配置し、産業医の選任義務のない労働者数五十人未満の小規模事業場の事業主やそこで働く人を対象といたしまして、産業保健サービスを提供しております。  具体的には、同センターでは事業主の求めに応じ、ストレスチェックの結果、高ストレスであるとされた労働者に対しまして、医師が面談指導を行っております。また、医師、労働衛生工学の専門家が産業保健スタッフとして企業を個別訪問し、メンタルヘルス対策等の健康管理の状況を踏まえ、総合的な助言、指導を行っております。  県といたしましては、中小零細企業に対しまして、きめ細かくメンタルヘルス対策の必要性を啓発していくということが大切であると考えております。昨年度から商工会議所、商工会に依頼し、経営指導員を通じた啓発活動を始め、今年度も国などの支援制度を紹介しながら周知を図っているところでございます。  今後ともセミナーの開催、啓発冊子の作成、アドバイザーの派遣などの取り組みとともに、地域産業保健センターを初め、各種支援メニューの周知を図り、より一層中小零細企業のメンタルヘルス対策の取り組みが進むよう支援してまいりたいと考えております。 10: ◯健康福祉部長平田雅也君) 児童の放課後等の居場所についての御質問のうち、初めに放課後児童クラブの必要性と役割についてお答えいたします。  女性の就業率が高まり、共働き家庭がふえる中、放課後児童クラブは、子供たちが放課後安心して安全に過ごすために必要な場であると認識しております。また、放課後児童クラブでの生活や遊びを通じて基本的な生活習慣を身につけるとともに、社会性や主体性を育み、児童の健全育成を図る上で大変重要な役割を担う場であると考えております。  次に、放課後児童クラブの待機児童数と解消の見込み等についてであります。  本県の放課後児童クラブの待機児童数は、本年五月一日現在七百六十七人で、前年の九百二十六人から百五十九人減少しております。  県といたしましては、待機児童の解消に向けて、市町村とともに計画的な施設整備に取り組んできたところでありますが、近年の女性の就業率の上昇など、放課後児童クラブに対するニーズの高まりに対して、受け皿整備が追いついていない状況にあります。  このため、あいちはぐみんプランを本年三月に見直し、来年度末までに新たな受け皿として約五千人分を上乗せし、整備目標を約一万人から約一万五千人に改定したところであります。  現在は、この計画に基づく受け皿整備が着実に進むよう、ヒアリング等により市町村への働きかけを行っており、引き続き待機児童の早期解消に努めてまいります。  また、六年生までの受け入れ状況につきましては、平成二十七年四月の制度改正以降、順次対象年齢が引き上げられておりまして、本年五月一日現在、県内千百五十三クラブのうち、六年生まで受け入れているクラブが九百九十四クラブで、全体の八六%を占めております。  残りの百五十九クラブにつきましては四年生までの受け入れとなっておりますが、こうしたクラブのある七市町に対しましては、早期に六年生までの受け入れができるよう働きかけを行っているところであります。  次に、夏休みにおける放課後児童クラブの必要性とその対応状況についてであります。  議員お示しのとおり、ふだんは放課後児童クラブを利用しない方でも、夏休み期間中は利用を希望する方も多くなりますことから、こうしたニーズに的確に対応できるよう取り組む必要があると認識しております。  市町村においては、ニーズの増大に対して、夏休み分をあらかじめ見込んだ定員設定をしたり、夏休み期間中のみ定員を一時的にふやすなどして対応しており、県といたしましては、こうした市町村の取り組みに対しまして、運営費補助を上乗せするなどの支援を行っております。  夏休み期間中の児童の受け入れ状況について、本年九月に市町村に調査したところ、三十四市町村において全ての利用希望者の受け入れができているとの回答がありましたが、対応できていない市町村もありますことから、引き続き市町村と連携し、夏休み期間中の待機児童の解消に努めてまいります。  次に、放課後児童支援員の人手不足に対する県の取り組みについてであります。  国の基準では、放課後児童クラブ一クラスに放課後児童支援員を一名以上配置することとなっており、本県では昨年五月一日現在、四千九百四十一人の放課後児童支援員が配置され、全てのクラスで基準を満たしております。  しかしながら、市町村からは支援員を募集してもなかなか集まらない、あるいは新規の開設の際に支援員が足りないといった声もお聞きしておりますので、人材確保は非常に厳しい状況にあると考えております。  放課後児童支援員を十分に確保するためには、賃金の引き上げなどの処遇改善や、職業としての認知度を高めることが重要でありますことから、市町村に対して処遇改善に係る支援制度の活用を働きかけるとともに、放課後児童支援員の仕事について多くの人たちに知ってもらえるよう、その活動を紹介してまいります。
     最後に、全ての児童を対象とした放課後児童対策の重要性と今後の取り組みについてであります。  放課後児童クラブと放課後子ども教室を一体的に実施することは、同一小学校で共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が、学習やスポーツ、文化活動などの放課後子ども教室のプログラムに参加し、学校内で一緒に遊んで交流したり、地域の方とのかかわりやさまざまな体験ができるものであり、次代を担う人材育成の観点から大変重要な取り組みと認識しております。  本県といたしましては、あいちはぐみんプランにおいて放課後児童クラブと放課後子ども教室の一体的な実施を促進しており、新たに開設する放課後児童クラブについては、学校の余裕教室等を活用した一体型を設置するよう市町村に働きかけてまいりました。その結果、放課後子ども教室と一体で実施されている放課後児童クラブは、昨年五月一日現在で三百四十二クラブであり、平成二十七年の九十五クラブと比較して大きく増加しております。  引き続き放課後子ども教室を所管する教育委員会とも連携しながら、一体型の拡充に取り組んでまいります。 11: ◯振興部長野村知宏君) 東三河振興に関するお尋ねのうち、まず、東三河県庁のこれまでの取り組みと成果についてお答えいたします。  東三河県庁では、県や地元市町村、経済団体、大学などで構成する協議会を設置し、東三河振興ビジョンを策定するとともに、ビジョンの推進に向けて、広域観光やスポーツ大会など、さまざまなテーマの推進プランを策定し、地域と一体となって、計画的に東三河振興に取り組んでまいりました。  中でも広域観光の推進につきましては、地域が連携して取り組むことで特に高い相乗効果が期待できることから、これまでにも重点的に取り組んできたところであり、奥三河DMOの設立や、もっくる新城など道の駅の整備の支援、新東名高速道路の開通による利便性向上のPRなどを実施してまいりました。  こうした取り組みにより、平成二十九年の東三河地域の観光入込客数は二千二百九十万人と、平成二十四年比で約一〇%増加しており、着実に成果が上がっているところでございます。  また、スポーツ大会を生かした地域振興にも力を入れており、奥三河パワートレイルを初めとする三つのスポーツ大会を新たに立ち上げました。これらにより、平成二十九年のスポーツ大会の観客数は十六万四千人と、平成二十六年比で約三〇%増加し、東三河振興の柱の一つに育っているところでございます。  今後とも、地元市町村を初め、地域の関係者と連携を図りながら、東三河県庁設置の効果をさらに発揮できるよう取り組みを推進してまいります。  次に、東三河ブランドの強化と産学官の連携等による東三河の産業振興についてお答えいたします。  東三河ブランドの強化については、平成二十七年度に策定した地方創生事業の広域展開をテーマとする主要プロジェクト推進プランの中で、「ほの国」東三河ブランド戦略の推進を施策の柱の一つとして位置づけ、さまざまな取り組みを進めております。  例えば、鉄道ファンに人気の高い飯田線や、東三河で生産が盛んな花卉は、東三河のよさをアピールする重要なコンテンツであることから、東京において特別にプロモーションを実施するなど、東三河地域のブランド力の向上を図っております。  さらに、今後は東三河の快適な暮らしも貴重なブランドと捉え、東三河の住みやすさや経済的な豊かさなどをデータとともに広くPRしてまいります。  一方、東三河の産業振興につきましては、将来ビジョンの重要施策に地域産業の革新展開を掲げ、新たな商品等の開発にさまざまな主体が連携して積極的に取り組んでいるところでございます。これまでに東栄町の山菜であるイタドリを活用したゼリーや、豊川市の千両サツマイモを活用したパイなどが商品化されたほか、現在全国一位の生産を誇る大葉、バラ、菊について、収穫作業等を支援するロボットの開発を進めております。  また、産業人材の育成、確保のため、東京圏に在学中の学生を対象に、東三河地域の企業訪問ツアーを実施するほか、東三河での働き方、暮らし方を紹介するイベントを産学官が連携して開催しております。  東三河は豊かな自然や農産物に恵まれ、農商工のバランスのとれた産業構造を持つなど、他の地域にはないすぐれた地域資源を有する地域でございますので、今後とも地元の市町村や産業界、大学等と連携を図りながら、これらの地域資源を活用し、東三河地域の振興に積極的に取り組んでまいります。 12: ◯一番(大嶽理恵君) 前向きな御答弁ありがとうございました。  それでは、再質問をさせていただきます。  児童の放課後や夏休み等の居場所について再質問させていただきます。  待機児童の解消について積極的に図っていくという御答弁をいただきました。  この問題は、放課後児童クラブを利用する児童の見込み数の算出が非常に重要であると思っております。  毎年待機児童が発生している状況を見ますと、放課後児童クラブに対する需要の見込みが正確に行われていないことが待機児童発生の原因の一つであり、この改善が必要ではないでしょうか。一から二年前に正確な見込み数がわかっていれば、施設整備なども間に合うと思います。保育園等に入園している時点からニーズ調査をしたり、事前のニーズ把握に力を入れていくべきではと思いますが、お考えを伺います。  もう一点伺います。  人手不足の解消について、県としてしっかりと取り組むという御答弁をいただきました。  子育ての終わったシニア世代も含めて、積極的に参画してもらうことが大事だと思います。幅広く放課後児童支援員を確保するためのPRの拡大と研修を、各市町村単位など、さらに受講しやすいように工夫し、門戸を広げてほしいと思いますが、お考えを伺います。  加えて、障害のある児童の受け入れがふえている中で、障害特性に合わせて対応するための研修の充実も必要だと思います。これについてもお考えを伺います。 13: ◯健康福祉部長平田雅也君) 再度の御質問のうち、初めに、放課後児童クラブのニーズの把握についてお答えいたします。  放課後児童クラブの実施主体である市町村においては、子ども・子育て支援事業計画策定時に国が作成した手引に基づき、管内の推計児童数、ひとり親、共働き家庭等の就労状況や、五歳児のいる家庭を対象とする放課後児童クラブの利用意向等把握調査、さらには、女性の就業率の上昇や、宅地開発や大規模マンションの建設など、さまざまな要因を踏まえたニーズの把握に努めているところであります。  現在市町村においては、二〇二〇年度からの五カ年計画である第二期子ども・子育て支援事業計画策定におけるニーズを把握するための調査の準備を進めております。県といたしましては、市町村に対してそれぞれの地域の実態を分析、検証し、正確なニーズを把握するよう働きかけを行ってまいります。  次に、放課後児童支援員の確保等についてであります。  放課後児童支援員の確保のためのPRにつきましては、支援員の仕事を広く知っていただくため、県ホームページによる活動の紹介や、市町村が実施している放課後児童支援員の一日体験などの優良事例を他の市町村へ紹介するなどにより、市町村の取り組みを支援してまいります。  放課後児童支援員認定資格研修につきましては、本年度は県内八カ所で計十三回、千五百人を対象に実施しております。今後とも研修会場や研修の実施時期などについて、受講者アンケートなどにより意向を把握し、より受講しやすい環境整備に取り組んでまいります。  また、障害のある児童の特性に応じた研修につきましては、放課後児童支援員認定資格研修や、五年以上の実務経験者を対象としたキャリアアップ研修において、発達障害など、特別な配慮を必要とする児童への理解をテーマとした研修を行っておりますが、研修内容のより一層の充実を図ることにより、今後ともしっかりと取り組んでまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 14: ◯四十番(近藤ひろひと君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 15: ◯議長松川浩明君) 近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 16: ◯議長松川浩明君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 17: ◯副議長鈴木喜博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  新海正春議員。     〔三十一番新海正春君登壇〕(拍手) 18: ◯三十一番(新海正春君) 皆さん、こんにちは。  通告に従いまして、二つのテーマの質問をさせていただきます。  まずは特別支援教育の推進についてお聞きをいたします。  今議会で、我が党の坂田幹事長の代表質問において、次期特別支援教育推進計画の策定に向けた理念などについては伺いましたが、私からはその具体的な取り組みについて質問をさせていただきます。  文部科学省の通知によれば、特別支援教育は障害のある幼児、児童、生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、幼児、児童、生徒の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものとされ、それぞれの障害に応じた支援が大変重要であります。  特別支援教育の重要性が増してくる中、対象となる幼児、児童、生徒の増加に伴うさまざまな課題が顕在化してくるようになりました。  そのような状況に対して、愛知県は平成二十六年三月に愛知県特別支援教育推進計画を策定し、特別支援教育全般にわたるさまざまな課題解決に向けて取り組んでこられました。これにより、課題であった特別支援学校の教室不足解消を初め、スクールバスの増車や重複障害学級の増設、小中学校では特別支援学級の設置基準の改善や通級指導教室の拡大、また、高校においては特別支援学校との人事交流や通級による指導が始まるなど、特別な支援を必要とする児童生徒の学習環境が大きく向上しました。  私の地元岡崎市では、知的障害の児童生徒を対象とした県立みあい特別支援学校が平成二十一年四月に開校し、ことしで開校十周年を迎えました。開校当初、児童生徒数は百八十五名でしたが、現行計画が策定された平成二十五年度には二百三十七名まで増加し、開校五年目にしてすぐに教室不足の状況でありました。しかし、現行の計画に基づき、校舎の増築による教室不足の緩和が図られることとなったことは大変喜ばしいことであります。  また、肢体不自由児が通う岡崎特別支援学校への長時間通学についても、スクールバスの増車に加え、県の支援による本年四月の刈谷市立刈谷特別支援学校の開校や、平成三十四年度に西尾市内に新たな特別支援学校が開校されることなどにより抜本的な解消が図られることに期待をしております。  一方で、私が平成二十八年二月議会一般質問において、岡崎特別支援学校が風化すると危険な花崗岩の多い三河地域の土砂災害警戒区域に建っていて、校舎の裏が土砂災害特別警戒区域の山に囲まれていることや、災害の避難路が大変急な坂道になっている中、年々重度の子供がふえ、重複障害の子供が四分の三を超え、避難には車椅子やストレッチャーを使うため、慌てて逃げるときに事故の発生も懸念されることや、切土斜面のモルタルに亀裂があることなどの問題点をお話しし、早急な移転を要望いたしました。大村知事には移転の必要性を御理解いただいていると思いますし、教育長には現地視察もしていただきました。  肢体不自由のある児童生徒を対象とする岡崎特別支援学校は、今までと同様に愛知県三河青い鳥医療療育センターの隣に建てることが望ましいため、私からも岡崎市に用地確保の検討をお願いし、真剣な検討をしていただきましたが、隣地での用地確保は難しい状況でした。  平成二十八年の一般質問から二年半が経過し、今までは幸いにも大きな被害が発生しておりませんが、学校関係者や保護者の不安は大きく、早期の移転を強く望んでみえます。私も、学校の移転は子供たちの安全を確保するためにも待ったなしの課題であると思っていますので、さまざまな可能性を探り、早急に検討していただくことを願っております。  大村知事には障害者対策や災害対策に積極的に取り組んでいただき大いに感謝するところですし、教育委員会としてもこれまでにいろいろと検討をしていただいていることと思います。早急な移転の検討とともに、より具体的に進めるためにも、次期特別支援教育推進計画にもしっかりと盛り込んでいただくことも並行して要望してまいりましたので、大いに期待をしております。  皆さん御承知のように、昨今では雨の降り方が大きく変わり、狭い範囲に豪雨が集中的に長時間降ることによって、全国各地で土砂災害による大きな被害が発生しております。この地域で大きな被害を出した平成二十年八月末豪雨が再び発生する可能性もありますし、想定外では済まされないように思います。  それに加えて、地震による被害も全国各地で発生しており、先日の北海道胆振東部地震による甚大な被害は記憶に新しく、心よりお見舞いと早期復興を御祈念申し上げます。  本県においても南海トラフ地震による大きな被害が心配されておりますし、豪雨と連動したより大規模な土砂災害の発生も心配されます。  岡崎特別支援学校の児童生徒の障害の状況を考えたとき、児童生徒の安全確保を図るためには安全な場所への移転が必要と考えております。これは現行計画策定後の状況の変化により新たに生じてきた課題と言えますが、重要な変化には着実で的確な対応が必要とも考えております。  次に、さきの文部科学省の通知によりますと、特別支援教育は知的なおくれのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児、児童、生徒が在籍する全ての学校において実施されるものとされています。  そこで、発達障害について見てみますと、文部科学省の調査によれば、知的なおくれはないものの、発達障害の可能性のある特別な教育支援を必要とする児童生徒が小中学校の通常の学級に六・五%の割合で在籍すると推計されます。そうした児童生徒は、知的なおくれがないために、その特徴が周囲から理解されないことがあり、その場合には過小評価や叱責等の不適切な対応が生じる可能性があります。  そうした不適切な対応が積み重なると、その児童生徒は否定的な自己イメージを持ったり自尊心が低下したりすることによって、情緒の不安定や反抗的な行動などを招くことがあるとされています。  このような二次的な障害を招かないためにも、学校ではまず教員が特別な支援が必要な児童生徒一人一人の状況を正しく理解し、適切な支援を行うことが非常に重要であり、このことは小中学校だけでなく高等学校においても同様にしっかりと対応する必要があります。  特別支援教育は、知的なおくれのない発達障害の可能性のある幼児、児童、生徒も含めて、特別支援学校だけでなく、幼稚園、小中学校、高等学校など、全ての学校において実施されるものであり、対象となる幼児、児童、生徒の数が増加する中、特別支援教育の果たす役割はますます大きくなっていると考えます。  これらの新たな課題への対応については、現在検討されている次期計画において、解決に向けた具体的な方策が示されるものと期待をしております。  そこでお尋ねをいたします。岡崎特別支援学校の移転も含めて、現計画からの継続課題及び、さらに新たに発生した諸課題に対して、次期特別支援教育推進計画において具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  次に、広田川及びその支川の河川整備についてお伺いをいたします。  本年七月の平成三十年七月豪雨では、西日本で大きな被害が発生しましたし、その後も不安定な気象や台風による豪雨が各地で発生をいたしております。今も猛烈な台風二十四号が接近しつつあり、大変心配をしております。  岡崎市南部及び幸田町を中心とした西三河南部は、世界でも有数の自動車産業に関連する企業が多く立地するなど、物づくり愛知を担う重要な地域の一つであり、一たび水害が発生すると、社会経済に与える影響は甚大となります。  この地域には、広田川とその支川である占部川、砂川などが流れていますが、近年では平成二十年八月二十八日から二十九日にかけて、気象庁の岡崎観測所で時間雨量百四十六・五ミリを記録して平成二十年八月末豪雨と命名された猛烈な雨が降り、流域では五百戸を超える家屋が床上浸水するなど、大変大きな被害が発生しました。幸田町でも、赤川との合流点付近で広田川が破堤し、床上・床下浸水などで約百二十棟の家屋が被災をしております。  こういった被害を解消するため、床上浸水対策特別緊急事業、いわゆる床上事業により、広田川と砂川は県が、占部川は岡崎市が緊急的、重点的に河川整備を進め、大きく前進したところであります。床上事業により、広田川では中流部まで河川整備が進みましたし、上流の幸田町では、地域の安全・安心につながり、企業誘致や区画整理による計画的な市街地整備等により、人口五万人を目指したまちづくりが進んでおります。  平成二十四年には、JR東海道線に町民待望の新駅である相見駅が開業し、その駅前では五十四・二ヘクタールの区画整理が整備されるなど、今後さらに発展していく地域であります。このため、この地域の安全・安心を確保する河川整備の促進は大変重要であると考えています。  さらに、矢作川下流圏域河川整備計画に位置づけられている菱池遊水地は幸田町に計画されていますが、広田川全体の洪水を軽減させることができるため、幸田町のみならず、広田川に流れ込む支川である占部川、砂川、上地新川、柳川などの流域である岡崎市南部地域の排水能力が向上することにもなり、この整備を進める効果は非常に高いと考えます。  菱池遊水地整備については地権者の御協力が大切でありますが、役員の御尽力により、基本的な考え方にはほぼ御理解をいただいているようにお聞きしておりますし、幸田町と地権者の代表者で構成する地権者代表者会が、地権者全員の同意書を取りまとめるべく鋭意活動していただいているともお聞きしております。また、昨年度末の三月には、遊水地地権者の代表者に参考となる用地単価を御提示いただきましたので、地元としても実現に向けての機運が高まっている状況にあり、より具体的な取り組みを期待しています。  次に、砂川においても、床上事業により大きく整備が進み、浸水被害の軽減が図られました。これにより、西三河南部の新たな医療拠点となる大学病院や商業施設などが建設される岡崎駅南区画整理地区の排水能力を向上させることができ、地域の発展につながっていくものと考えております。  しかし、この区間の上流部では、まだ四つの橋が未改修となっているため、川幅が狭い箇所があり、洪水が流れにくい状況となっていますので、しばしば浸水被害が発生しております。  ことしは異常気象の影響により、全国各地で集中豪雨や台風により大きな災害が発生しておりますし、来年もこの状況が続くように思い、大変心配をしております。今後この地域を集中豪雨が襲う可能性もありますので、大変心配しております。  そこで質問をいたします。広田川の本川及び菱池遊水地とその支川である砂川の整備について、進捗状況と今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。  以上をもちまして、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 19: ◯教育長平松直巳君) 特別支援教育の推進についてお答えいたします。  平成二十六年三月に策定した現在の特別支援教育推進計画に基づき、この五年間、特別支援学校の新設や教育環境の整備、小中学校における特別支援学級や通級指導教室の増設など、学校種ごとの支援の充実のための取り組みを着実に進めてまいりました。  議員御指摘のとおり、近年、特別支援学校だけでなく、幼稚園、保育所、小中学校、高等学校においても発達障害を含めた特別な支援を必要とする幼児、児童、生徒の数は増加しております。  そこで、今後はこれまで取り組んできた学校種ごとの成果を生かして、障害のある子供たち一人一人の教育的ニーズに応じ、幼稚園、保育所から小中学校、高等学校までの一貫した支援が可能となるよう、各地域の特別支援学校を核とし、校種間の連続性、つながりを意識した取り組みを進めてまいります。  具体的には、学校種間の人事交流を通じた教員の専門性向上、個別の教育支援計画を確実に作成、引き継ぐための体制づくり、特別支援学校と小中高等学校との交流及び共同学習の充実、高等学校における通級指導教室の設置拡大など、特別支援学校のセンター的機能を生かした取り組みを進めてまいります。  このほか、卒業後の生活も見据えて、就労意欲向上のためのキャリア教育の推進や就労アドバイザーの増員による就労支援の充実を図ってまいります。  今後、年内に次期計画を策定し、関係部局と連携して、本県の特別支援教育のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。 20: ◯建設部長河野修平君) 広田川の本川及び菱池遊水地とその支川である砂川の整備についてであります。  初めに広田川本川につきましては、河口から砂川合流点を越えた十三・六キロメートル付近までの整備がおおむね完了しており、現在は上流の菱池遊水地計画地までの約一・四キロメートルについて、維新橋の架けかえを含めた河道改修を実施しております。  また、菱池遊水地につきましては、これまでに基本設計が完了し、現在、計画地にある農業用排水機場の移設に必要な調査を進めるとともに、用地確保に向けた地元調整を行っているところであり、今後、下流の進捗状況を踏まえ、用地買収に着手してまいります。  次に、砂川につきましては、広田川合流点から二・五キロメートル付近の砂川橋下流までの整備が完了しており、今後上流にある道路橋四橋とJR東海道本線の鉄道橋の改築を実施してまいります。  このうち道路橋につきましては、下流から順次架けかえを実施していくこととしており、現在は最下流にある砂川橋の設計を行っているところであります。  また、鉄道橋につきましては、砂川に並行して鉄道と交差する岡崎市の都市計画道路若松線と一体的な施工を行うこととし、JR東海に設計を委託しているところであります。  今後ともこの地域の安全・安心と発展を支えるため、広田川本川及び菱池遊水地とその支川である砂川について着実に整備を進めてまいります。 21: ◯知事大村秀章君) 新海正春議員の質問のうち、特別支援教育の推進につきましては、私からもお答えをいたします。  現在の特別支援教育推進計画のもと、懸案でありました特別支援学校の教室不足や長時間通学の解消に向けまして、特別支援学校の新設や分教室の設置、そしてスクールバスの増車などの取り組みを鋭意進めてまいりました。
     来年四月には瀬戸つばき特別支援学校を開校し、さらに、平成三十四年度を目途に、本県初となります知的障害と肢体不自由の両障害に対応する特別支援学校を西尾市内に整備することといたしております。  そうした中で、岡崎特別支援学校につきましては、長時間通学の解消のめどは立ったものの、新海議員御指摘のとおり立地上の課題がありますことから、児童生徒の安全確保や学習環境の改善を図るため、できるだけ早い時期に適切な場所へ移転できるよう具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。  次期計画におきましては、こうした特別支援学校の整備を含め、多様な学びの場における支援、指導をさらに充実させるための取り組みを盛り込み、共生社会の実現に向けた特別支援教育を引き続きしっかりと推進してまいりたいと考えております。 22: ◯三十一番(新海正春君) それぞれ御丁寧な御回答をいただきましてありがとうございます。また、大村知事には特別支援学校の移転について前向きなお話をいただいたと私は思っておりますけれども、それによってやはり保護者、また学校の関係者も不安の解消につながっていくのではないかなと大変感謝をしておる次第であります。  県立高校が、実は土砂災害危険箇所の基礎調査というのが二十九年度で九〇%まで終わったんですが、その中で高校が五校と特別支援学校の一校が学校の中にそういう土砂災害の区域があるということで、ただ、その中でも岡崎特別支援学校だけがやはり被害の心配があるところだということもありますので、本当に知事に温かいお話をいただいたんですが、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思っております。  次に、広田川の関係なんですが、本当に対策を進めていただいておるんですが、やはり遊水地のことでちょっと要望させていただきたいと思っております。  遊水地、幸田にあるんですが、幸田を初め、岡崎の南部地域全体の治水のことで大きな効果のあるものでありますので、これにつきましてもぜひよろしくお願いしたいと思います。また、その付近に、幸田町のほうでもあそこを水がないときにうまく使えないかということも検討されておるやに聞いておりますので、その辺もぜひ配慮いただけたらありがたいなというふうに思っております。  これをもちまして一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 23: ◯副議長鈴木喜博君) 進行いたします。  市川英男議員。     〔五十二番市川英男君登壇〕(拍手) 24: ◯五十二番(市川英男君) それでは、通告に従いまして、三項目にわたって質問をさせていただきたいと存じます。  まず初めに、県管理道路の路面下空洞調査についてお伺いいたします。  平成二十八年十一月、JR博多駅前で発生いたしました地下鉄工事によります大規模な道路陥没事故、これを契機に道路陥没の危険性が報道などにより多く取り上げられるようになりました。  しかし、この事件前からもさまざま道路陥没事故は起きております。平成二十六年八月、お隣三重県津市内の国道において、乗用車が陥没してできた穴、長さ、幅、深さともに約二メートルにタイヤをとられ、路上にひっくり返りました。乗用車を運転していた男性は頭や胸などを打ち、ドクターヘリで病院に運ばれ、後続車と対向車の計二名の運転手も軽傷を負う形になりました。  陥没は台風に伴う大雨の影響と見られ、管理事務所は事故前にこの現場付近を通行どめにしました。通行どめを解除する前に職員がパトロールをしましたが、その際陥没はなかったそうであります。しかし、道路は陥没しており、事故は起こってしまいました。  また、昨年十二月には、新潟県の県道において、走行中の軽乗用車が陥没した路面の穴に転落いたしました。現場は片側一車線、全長五・四メートルの橋であります。陥没部分は長さ約二メートル、幅約三メートル、深さ約一メートル。橋の底部が経年劣化したため、路面を支えていた土砂が川に流出し、陥没したと見られております。  この事故で運転していた女性が足と頭を打撲し、同乗していた一歳の息子は幸いけがはなかったそうであります。ふだんから走りなれた道路に突然陥没が発生しているとは、母子の驚きと恐怖は想像以上であったと思います。  陥没の原因はさまざまでありますが、その一つとして下水道管などの道路地下に占用している物件の老朽化による破損が多いと言われております。国土交通省の調査によりますと、全国の道路陥没は年間約一万件発生しており、その中でも老朽化した下水道管に起因する陥没が年間約四千件も発生しているとのことです。そのような中で、いかに未然にこのような事故を防ぐか、大変に大事なところであります。  本県の管理道路では、従来から実施しているパトロールカーによります定期点検、全ての管理道路を週一回以上の頻度で路面の状況を点検していると伺っており、加えて、道路緊急ダイヤル、#九九一〇などを通じて道路利用者から情報提供をいただきながら、早急な陥没等の路面異常の発見、迅速な補修に努めていると聞いております。  しかしながら、従来からのこのような道路表面のみを点検する活動では、未然の対策としては不十分であります。県民の皆様の生命、財産を脅かす可能性があるだけでなく、本県は日本一の物づくり県であり、そのサプライチェーンは道路交通によって支えられていることから、一たび予期せぬ道路陥没が発生すれば、地域の社会経済活動にも甚大な被害が生じる危険性があります。道路利用者の安心・安全の確保には、道路路面下に存在する陥没につながる大きな空洞を事前に発見する調査の実施が不可欠であります。  私は、平成二十九年二月の議会におきまして、この路面下空洞調査の実施について当局の考えを伺ったところ、調査を進めていくという回答でありました。この路面下空洞調査は、道路の路面下という見えない場所を調査するものですが、現況交通への影響を考えますと、いたずらに掘り起こして空洞を調査することは非常に困難であります。そのため、レーダー等の新しい技術を使い調査しているのが全国の一般的な調査となっていると伺っております。  そこでお伺いいたします。本県では昨年度より路面下空洞調査に着手したとのことですが、その結果どうであったか。また、この調査は高度な技術とノウハウをもって進めるべきだと考えますが、今年度の調査についてはどのような方針で進められるのかお伺いいたします。  次に、来日外国人の犯罪についてお伺いいたします。  現在本県では、平成二十八年度から平成三十二年度までの五年間を計画期間とするあいち観光戦略に基づいて、来年二〇一九年に豊田スタジアム等で開催予定のラグビーワールドカップ二〇一九日本大会を通じた外国人観光客の誘致に力を入れられているところであります。  国においても、平成十九年一月に施行された観光立国推進基本法の規定に基づいて、観光立国の実現に関する基本的な計画として観光立国推進基本計画が策定され、平成三十二年、二〇二〇年初めまでに訪日外国人を二千五百万人とすることを目標とされました。  しかしながら、平成二十九年には既に目標を上回る約二千八百万人を超え、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を好機としてこの目標は上方修正され、オリンピックイヤーまでに四千万人の訪日外国人旅行者を目指し、主にアジアの方々の入国ビザの緩和など、各施策が推進されているところであります。  観光立国の実現は、世界の観光需要の取り込みから、地域活性化、雇用の拡大、さらには諸外国との相互理解の推進も同時に期待できます。  一方、産業の国際競争力の強化や日本経済の発展、また、人口減少や少子・高齢化に伴う労働者不足問題への対策として、外国人労働者の受け入れが話題となるようになりました。  外国人材の登用は、事業の海外展開や外国人目線の商品開発、また、従業員の意識改革など、さまざまメリットがあると言われております。医療、福祉、運輸、建設業などを中心とした非製造業では慢性的に求人が増加しており、製造業の新規求人数も、二〇一六年後半以降、鉱工業生産の緩やかな上昇を背景に増加しております。  このような情勢の中で、国において本年六月に決定した経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の原案で、外国人の新たな在留資格を設けることを明記し、単純労働の分野に就労を目的とした外国人労働者の拡大を認める方針を示しました。  大村知事はさきの本議会提案説明の中で、新たな在留資格の創設に伴う外国人材の受け入れは、多くの外国人が生活者として広く全国に定着していくことであり、地域の社会経済に想像を超える非常に大きなインパクトを与えることになりますとおっしゃられました。私も全く同感であります。  このような流れの中で、法務省が公表している全国の在留外国人数について、平成二十年末時点では約二百十四万五千人、リーマンショックや東日本大震災を背景に、平成二十四年末には二百三万四千人と、約十一万人減少となりますが、平成二十九年末時点では約二百五十六万二千人と、過去五年間で約五十三万人、二六%ほどの増加となりました。  では、本県はどうなっているか調べますと、全国数値とほぼ同様の傾向であります。平成二十年末では約二十二万八千人、二十四年末では約十九万六千人と三万人ほど減少しますが、平成二十九年末には過去最高の約二十四万三千人と増加しております。この数は都道府県別に見ても、東京に続いて全国第二位の数値となっています。  外国人観光客の誘致の推進におきましても、人手不足の解消におきましても、愛知県が外国人の方々に魅力ある県として大いに来ていただき、定住していただかなくてはなりません。  しかし、一方で、どうしても避けて通れないのが治安の悪化という問題です。国際犯罪組織が日本へ浸透するおそれがあることや、犯罪も地下銀行、偽装結婚などさまざまであり、その手口も巧妙化しつつあると聞いております。日本人、外国人にかかわらず、本県で生活する方や観光で来られる方、全ての方にとって安心な地域づくりを進めていく必要があります。この点、治安はどのような情勢になっているのかお伺いしたいと存じます。  最近の外国人検挙数は増加傾向にあると思われますが、検挙された外国人の内訳、また、犯罪傾向はどうなっているのか。現状を踏まえ、取り組みの対策についてもお伺いいたします。  最後の項目の質問です。病児・病後児保育についてお伺いいたします。  我が国の総人口は、平成二十九年に一億二千六百七十一万人となり、八年連続で前年を下回る状況にあります。また、一年間の人口減少数も過去最多を更新するなど、我が国は本格的な人口減少社会を迎えるに至っております。  こうした中、平成二十八年の出生者数は九十七万六千九百七十八人となり、明治三十二年の統計開始以来初めて百万人を割り込みました。また、一人の女性が一生のうちに産む子供の数を推定する合計特殊出生率も、平成十七年に過去最低の一・二六を記録いたしました。近年はわずかながら増加傾向に転じているものの、依然として低い水準が続いており、少子化対策の強化は待ったなしであります。  一方、女性の社会進出は一段と活発になり、女性の就業率も上昇傾向にあります。特に二十歳代から三十歳代にかけて、出産や子育ての時期にある女性の就業率はここ数年大きく上昇しており、総務省の平成二十九年就業構造基本調査によりますと、二十五歳から三十九歳の女性のうち、働く人の割合は七五・七%と過去最高を更新し、今後もこの傾向は続くものと思われます。  こうした子育て世代の女性の就業率の上昇により、当然のことながら保育園等に対するニーズも大幅に上昇しております。本県の保育所等への入所申込数は、子ども・子育て支援新制度が始まりました平成二十七年四月時点で約十四万六千人でありましたが、本年四月には約十五万六千人に達し、この三年間で実に約一万人も増加いたしました。今後も女性の就業率の上昇によりさらなる保育のニーズの増大が想定されますことから、保育所等への入園希望者全てが入園でき、待機児童を出さないように、増大する保育ニーズに的確に対応した保育の受け皿整備を着実に進めていく必要があります。  また一方で、子育て世代の女性たちが仕事を続けながら無理なく子育てを行える環境を整えていくためには、保育の受け皿確保だけではなく、病児・病後児保育や休日保育、夜間保育など、多様な保育サービスの充実を図っていくことも大切なことではないかと考えます。  我々公明党は代表質問において、犬飼幹事長から全国で百万人訪問・調査運動として、本年四月から六月までの三カ月間にわたり、子育て、介護、中小企業、防災・減災の四つのテーマについて、有権者の方々の御自宅や企業を訪問し、直接お話を伺いながらアンケート調査を実施した旨、話がありましたが、その中で、働きながら子供を安心して産み育てることのできる社会を実現するためには、経済的な支援、保育の受け皿整備による待機児童解消だけでなく、病児・病後児保育や休日保育、夜間保育など、多様な保育サービスの充実が必要であるといった声も数多くいただきました。  また、愛知県におきましても、さまざまな保育サービスに対する県民の関心やニーズについて、平成二十五年度の少子化に対する県民意識調査の中で調査を行っております。この調査は、県内在住の二十歳から四十九歳までの男女三千人を対象に実施したものでありますが、その結果、子育てに利用したいサービスとして病児・病後児保育を挙げた人は一七・四%と、休日保育などのさまざまな保育サービスの中で最も高く、また、女性が子育てをしながら働く上での問題点として、子供の病気など、急用が入ったとき、職場で柔軟な対応ができないを挙げた人が六割以上もいるなど、病児・病後児保育に対する関心やニーズの高さを示す結果となっております。  昨夜まで元気だったのに朝方に体調が急変したり、朝は元気に保育園や幼稚園に行ったのに突然体調が悪くなったりすることは、小さな子供にはよくあることです。こうした際に保育の受け皿となる病児・病後児保育は、働きながら子育てをする女性にとって、まさに子育て支援のセーフティネットとしての役割を担う極めて重要な保育サービスであります。  私の地元である春日井市では、現在、診療所に併設された病児・病後児保育施設が三カ所ありますが、人口三十万人を超える規模の割には少ないのではないかと感じています。どこに住んでいても手軽に利用できるよう、病児・病後児保育施設のさらなる整備促進が必要であります。  病児・病後児保育施設のさらなる整備促進を通じて、子育て世代の働く女性たちが安心して子育てのできる環境を整えていくことは、ひいては出生率の上昇につながり、少子化に歯どめをかける有効な手段の一つであると確信しております。  そこで、病児・病後児保育の拡充に向けて、県として今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  以上をもちまして、壇上からの私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 25: ◯建設部長河野修平君) 県管理道路の路面下空洞調査についてのお尋ねのうち、まず昨年度の調査結果についてであります。  本県では、道路の陥没事故を未然に防ぐことを目的として、昨年度より路面下空洞調査を試行しております。  調査対象としては、道路陥没が急増すると言われる下水道管を布設した後三十年が経過した道路のうち、緊急輸送道路であり、かつ、交通量が一日一万台以上である区間約百八十キロメートルとし、三カ年で調査を行うこととしております。  昨年度は、このうち豊橋市、一宮市、岡崎市の三市において、道路延長約七十五キロメートルの調査を実施しました。調査は、まず予備調査として、地中レーダーを搭載した探査車を走行させ収集したデータを解析することにより、空洞と思われる箇所のおおむねの大きさと深さを把握しました。  次に、その中から道路の陥没につながる可能性が高いとされる、広がりが大きく、かつ、路面から浅い七十二カ所について交通規制を行い、路面にあけた穴から小型カメラを挿入するなどの詳細調査を順次行うこととしました。  昨年度はそのうち五十二カ所について調査を実施し、その結果、補修が必要な空洞を三十五カ所、将来空洞になるおそれのある地盤の緩みを十一カ所把握しました。それ以外の六カ所については古い埋設管などで、陥没につながるものではありませんでした。  なお、三十五カ所の空洞につきましては現在補修を進めており、十一カ所の地盤の緩みにつきましては経過を観察してまいります。  次に、今年度の調査の方針についてであります。  交通規制を伴う詳細調査は、費用の面だけではなく、道路を利用される皆様へ御迷惑をおかけすることから、予備調査段階でいかに正確に空洞や地盤の緩みを把握できるかが重要となります。  路面下空洞調査の分野では日々技術革新が進められていることを踏まえ、今年度は企業の技術力をより的確に審査する手法を採用することで、予備調査の精度をさらに向上させ、効率的な調査を実施してまいります。 26: ◯警察本部長(加藤達也君) 最近の外国人の検挙人員等及び取り組んでいる対策についてお答えします。  平成二十九年中の愛知県における来日外国人の検挙人員は千百三十九人と、平成二十四年の七百七十七人と比較して、この五年間に約四七%増加しております。  平成二十九年中の検挙人員を国籍別に見てみますと、ベトナムが三百三十三人、中国が二百十八人、ブラジルが百六十八人、フィリピンが百三十人となっており、上位四カ国で全体の約七五%を占めております。中でもベトナムは一昨年中国を抜いて最多となっており、平成二十四年中の検挙人員と比較しますと、五年間で約三倍に急増しております。  来日外国人の検挙人員を罪種別に見てみますと、窃盗犯と出入国管理及び難民認定法違反が検挙人員全体の約五四%を占めており、最近ではクレジットカードや身分証の偽造、違法薬物に関連した事件、さらに殺人等の凶悪事件も発生しております。  来日外国人犯罪対策としては、犯罪を犯す来日外国人の多くが不法滞在者であることに着目し、身分証の偽造・密売事件や、彼らに対して住む場所や働く場所等を提供する犯罪インフラ組織の摘発を進めるなど、取り締まりを徹底し、犯罪を犯す来日外国人が定着や活動しにくい環境づくりに取り組んでおります。 27: ◯健康福祉部長平田雅也君) 病児・病後児保育における今後の取り組みについてお答えをいたします。  病児・病後児保育事業は、病気のため保育所や小学校へ行くことのできない子供を、病院や診療所等に付設された専用施設において一時的に預かる事業であり、働きながら子育てをする保護者の方々にとってはなくてはならない子育て支援事業であります。  県といたしましては、あいちはぐみんプラン二〇一五─二〇一九に具体的な設置目標を定めるとともに、市町村に対して施設整備費や運営費の一部を支援することにより、病児・病後児保育施設の計画的な整備を推進してまいりました。  その結果、県内の病児・病後児保育施設数は、計画策定時の平成二十六年度に六十カ所でありましたが、順次整備が進められ、本年四月一日には長久手市と飛島村に新たに一カ所ずつ開設され、八十六カ所となりました。さらに、今年度内には名古屋市熱田区と蟹江町に一カ所ずつ整備される予定であるため、八十八カ所まで設置が進み、はぐみんプランに掲げている八十六カ所の設置目標を上回る見込みであります。  しかしながら、提携医療機関の確保や、保育士、看護師等の人材確保が困難などの理由により、一カ所も設置されていない市町村が九市町村ございます。このため、県といたしましては、近隣市町村による共同設置や広域利用の調整などについて、市町村の保育主管課長会議や、地域ごとの保育課題を検討する地域別市町村担当者会議などにおきまして引き続き働きかけを行ってまいります。  また、既に病児・病後児保育施設が設置されている市町村につきましても、さらなる整備や施設間の相互利用を促してまいります。  こうした取り組みにより、県内のどこに住んでいても病児・病後児保育を利用できるよう、環境整備に努めてまいります。 28: ◯五十二番(市川英男君) 要望を一点申し上げたいと思います。道路陥没の問題です。  今、建設部長から昨年度に比べて少々前向きな答弁をいただきましたが、本年七月二日の東京新聞で掲載されておりました文面を、少し長くなりますが抜粋して紹介したいと存じます。  国交省の九州整備局の話であります。   熊本地震で道路陥没が多数発生。業務はその主な原因とされる路面下の空洞調査だった。目に見えない空洞を捉える調査は、電磁波を利用したレーダーを搭載した特殊車両を走行させて行う。ただし、レーダーは下水道管やがれきなどにも反応するため、得られたデータを見きわめる能力が重要になる。発注者の同局──これは国交省です──熊本河川国道事務所などによると、調査対象は熊本県の中心地、熊本市内を縦断する国道約百三十キロだった。調査会社は、空洞の可能性ありとして六十六カ所を抽出した後、各現場で手押し式の機械を使って本当に空洞かどうか詳細に調べた。その結果、うち二カ所が空洞だと報告した。   ところが、同じ時期、隣接する同市郊外の国道約四百四十キロの調査をした別の会社は百四十三カ所もの空洞を見つけていた。一キロ当たりの発見数で比べると、二十倍以上の差があった。こんなに違いが出るのはおかしい。中心部の調査は正確か。同事務所の担当者は疑問を感じ、郊外を調べた会社に中心部の一部を実際に調べてもらった。その結果、半分に当たる約七十キロを探査しただけで、二カ所どころか約五十カ所の空洞があったと報告があり、そのうち七カ所で実際に地面を掘って調べたところ、いずれも空洞が確認された。中には人の体がすっぽり入るほどの大きなものもあり、放置すれば陥没する危険性もあったという。   一連の経過を問題視した同事務所は検証委員会を設置し、調査方法などを検証。同事務所の担当者は、業者の選定で技術提案の文書から十分能力があると思ったが、見抜けなかった。検証委員会がまとめた報告書では、熊本中心地を調査した会社のデータ分析の仕方について極めて曖昧などとし、適切に業務を行っていないと批判。本業務は成果として不十分であり、速やかに再調査を行う必要がある。 と、このように提言したという記事が載っておりました。  私は、県当局におかれましても、しっかりとこの点、全国的なところの事例をしっかり調べていただければ、いろいろとわかってくるはずだと思います。そして、できれば県当局においてもしっかり研究、勉強していただきながら、万が一のことがあったら本当に人の命の問題ですので、これを強く要望させていただいて質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。 29: ◯副議長鈴木喜博君) 進行いたします。  山田たかお議員。     〔二十二番山田たかお君登壇〕(拍手) 30: ◯二十二番(山田たかお君) それでは、通告させていただきました四項目について順にお伺いをいたします。  初めに、農地の価値向上、矢作川用水の更新整備に向けた取り組みについてお伺いいたします。  愛知県の真ん中を流れる矢作川の中流から下流域に広がる岡崎平野の農業を支える用水の歴史は古く、私の地元西尾市を潤す古川用水や吉良用水など、矢作川下流の低平地では、大小二十八もの用水が開削をされました。また、矢作川では、明治用水や、豊田市南西部の丘陵地に水を導く枝下用水が開削をされ、数多くの農業用水が矢作川から取水するようになり、さらに昭和に入ると、下流低地部の水田地帯で基盤整備が積極的に行われ、用水使用量がふえたことから、この地域はたびたび干ばつに見舞われました。  加えて、昭和三十年代の高度経済成長期に入ると、建設ブームや伊勢湾台風後の災害復旧のために、コンクリートの材料として矢作川の砂が大量に採取されたため、川底が低下し、それまでの取水口では取水が困難になりました。  そのため、昭和三十八年に、国営かんがい排水事業矢作川地区により、矢作川の支流である巴川上流に新たな水源施設として羽布ダムが建設されました。これに続き実施された矢作川第二地区では、矢作川下流部に点在する占部用水など、二十八カ所の取り入れ口を、細川頭首工などの取水施設を新設して統合し、約五十六キロメートルの幹線水路を整備することで、昭和五十四年に矢作川用水として生まれ変わりました。  こうして整備された矢作川用水の恩恵を受け、県や市町により実施された圃場整備や支線水路の整備などとの相乗効果により、当地域の農業生産性は飛躍的に向上し、農業経営の近代化が進みました。  現在水田においては、二年かけて米、麦、大豆を一作ずつ順番に作付する二年三作のブロックローテーションが広く定着しております。中でも西尾市の麦生産の技術力は高く、県内トップの生産量を誇っており、市内で最も多く生産されているのは愛知県農業総合試験場で生まれたきぬあかりで、現在では作付の八〇%を占める主力品種となっております。さらに、二十八年度からパンなどの製造に適した新品種ゆめあかりの試験栽培に着手し、来年度からは大規模な栽培が本格的に始まるなど、大きな取り組みも進んでいるところです。  また、畑地においては、野菜ではニンジン、キュウリ、タマネギ、果樹ではイチジク、梨などの高収益作物の栽培が積極的に進められています。  とりわけ昨年一月に開催された第一回全国ニンジンサミットin碧南のきっかけとなった、甘みが強く形のきれいなニンジン、へきなん美人や、LINEのスタンプにも登場するキャラクター「きゅりん。」の愛称で売り出し中のキュウリ、三河みどり、日本一の生産量を誇る西三河イチジクなどは、全国展開に向けてブランド化が図られており、このうち西三河イチジクでは海外への販路開拓も検討されています。  このように、当地域は県内でも有数の優良農業地域になっていますが、昨今の全国的な農業情勢の例に漏れず、担い手不足や農業者の高齢化、耕作放棄地の増加に加え、グローバル化の進展による競争力の低下など、農業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。  こうした中、国は、先月末に発表された平成三十一年度農林水産関係予算概算要求において、担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進、水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施、強い農業のための基盤づくりとスマート農業の実現等の重点項目を挙げ、担い手への農地集積・集約化の加速化や、高収益作物を中心とした営農形態への転換を目指して各種施策に取り組むとしています。  基幹作物の水稲や高収益が期待できる畑作物の高品質かつ計画的、安定的な生産を図るためには、必要な時期に必要な量のかんがい用水を確保することが大変重要になります。ただ、こうした水利用を実現するためには、まず何よりも地域農業を支える動脈とも言える羽布ダムや細川頭首工などの基幹水利施設が健全な状態で保全されていなければなりません。  矢作川用水は通水から約五十年が経過しており、これまでに機能低下の著しい施設については、平成六年度から二十三年度にかけて、国営かんがい排水事業新矢作川用水地区により改修されたところですが、本事業では対象とならなかった施設についてもその後老朽化が進行し、維持管理に支障が出ると伺っております。  加えて、いつ発生してもおかしくないとされる南海トラフ地震への備えも必要になります。ことしの二月、政府の地震調査委員会から、南海トラフで今後三十年以内にマグニチュード八から九の巨大地震の発生について、これまで七〇%程度とされていた確率を七〇から八〇%に引き上げると発表されたこともあり、矢作川用水の早期耐震化を望む声が日に日に増しています。  そうした中、国は、羽布ダムや細川頭首工等の基幹水利施設を対象として、平成二十六年度から二十九年度にかけて、国営事業化に向けた基礎的な調査を行う地域整備方向検討調査を行い、本年度から詳細な検討を行う国営土地改良事業地区調査に着手したと聞いております。  そこでお伺いいたします。国が実施しました地域整備方向検討調査で判明した課題についてお伺いします。  次に、矢作川用水の用水計画についてお伺いします。
     さきに述べましたように、農業を取り巻く環境は、グローバル化の進展により競争力が低下し担い手不足が進むことや、農業者の高齢化、農業に従事しない人への相続などにより耕作放棄地が増加をしています。このことが農村地域の暮らしに大きな影響を与えています。  地域の声を言葉にすれば、農地を所有していても価値がないばかりか、水路の管理作業に出ることへの負担、利用しない農地の管理費の負担が重くのしかかり、農地を所有していることは負の財産を持っているという意識の人がふえてきました。最近ではただでいいから農地をもらってくれという話も出てきています。  これらの問題は特に畑地で発生しています。水田は省力化が進み、現状では事業性のある土地として担い手に管理してもらうことができています。つまり、畑地も事業性のある土地としてよみがえらせることができれば、担い手に預かってもらうことができることになります。  一方、当地域でも担い手に預かってもらうことができている畑地もあります。その最大の違いは用水が設置されているかどうかです。実際に担い手からは、用水があれば作付ができる作物の種類がふえ、収益を上げることができるという声をいただいています。  羽布ダムや細川頭首工などの基幹水利施設の更新整備、耐震対策に万全を期すのはもちろんのこと、多様な営農計画に対応できるよう、矢作川用水の柔軟な水利用が望まれるところです。  水利権には長い歴史の中で培われたルールがあり、一口に柔軟な水利用といいましても、全てを一朝一夕に満足することは現行制度の中では簡単ではないことを十分に承知しており、その実現のためには長いスパンで取り組む必要があると認識しております。  当地域におきましても、作付品種の多様化による経営規模拡大や高収益作物への転換を目指す農家から、営農形態に応じた用水配分を求める声が上がっています。このほかにも、水田地域に点在する畑や冬場の畑利用への用水手当を求める農家もあり、刻々と変わる農業情勢や地域の実情に即した水利用の実現が強く望まれるところです。  そこでお尋ねをいたします。矢作川用水の国営事業化に当たり、用水計画の作成方針についてお伺いをいたします。  次に、豊かな海の実現についてお伺いをいたします。  愛知県が抱える伊勢・三河湾は、湾の入り口が狭い閉鎖性海域であり、人口が増加していた高度成長期には、環境に対する意識が低く、産業が一気に発展し、一年中赤潮が発生するような栄養分が多過ぎる海でした。その結果、悪臭や海産物に対する影響もあり、国は海域環境を改善するため、海水中のCOD、窒素及びリンを大幅に減らすため、いわゆる水質総量削減の施策を進めてきました。  これらの対策により、伊勢湾、三河湾の水質は、長期的に見ると全窒素及び全リンは改善傾向にあるとのことであります。実際に近くに住んでいる者として、感覚的にも水がきれいになったと感じています。  一方、直接的な影響があるかどうかはわからないところでありますが、海産物の生産が著しく減少してきたことも事実であります。海の生物は海中にあるリンや窒素を栄養源としているものもあり、これらが減少したことにより生産量が減少したことも考えられます。漁業者からも、近年魚がとれなくなってきたとか、三河湾でとれる魚が昔よりも痩せているといった話を聞きます。  他の地域に目を向けますと、同様に水質の悪化が進んでいた瀬戸内海でも総量削減の対策が行われました。対策の効果によりきれいな海を取り戻すことはできましたが、一方で、流入負荷削減による栄養塩の低下で海の生産力が低下し、漁業やノリ養殖業へ影響を及ぼしている現象が見られるようになりました。  こうした状況に対処するために、瀬戸内海などでは、漁業者の要望や海の環境に詳しい専門家の意見を踏まえ、下水道からの窒素やリンの濃度を適正に管理運転することで海域に栄養塩を供給する取り組みが行われています。  このような状況を受け、愛知県漁連は、漁業者が生き残るため、伊勢・三河湾がきれいな海だけでなく、豊かな海として再生できるよう、早急に所要の措置を講ずることを平成二十九年四月に要望しました。要望の一つに下水道の管理運転等の栄養塩類の適切な管理が挙げられていました。  これを受け、県は下水道の放流水リン濃度増加に係る試験運転を平成二十九年十一月から平成三十年三月まで実施していただきました。この結果として、私の地元の西三河地区の漁業者からは、ノリ、アサリとも試験運転の効果があったと実感していると意見をいただいています。  そこでお伺いをいたします。瀬戸内海などで行われている栄養塩の適正管理の取り組みを踏まえ、本県が昨年度実施した下水道の放流水におけるリン濃度の増加に係る試験運転の成果をどのように評価しているのかお伺いいたします。また、豊かな海を実現するためには、下水道の放流水におけるリン濃度の増加に係る試験運転を継続して実施することが必要であると考えますが、県の所見をお伺いいたします。  続いて、代表質問でもお答えをいただいたところでありますが、私は特に県の事務事業に係る地球温暖化対策の推進についてお伺いをいたします。  愛知県はこれまで、一九九四年三月、県の地球温暖化対策を体系化した計画としてあいちエコプラン21を全国に先駆けて策定いたしました。また、二〇〇〇年三月には、地球温暖化対策推進法の全面施行を踏まえ、あいちエコプラン二〇一〇に改定いたしました。さらに、京都議定書が発効する直前の二〇〇五年一月には、あいち地球温暖化防止戦略を策定し、二〇一〇年度における温室効果ガス排出量の基準年度比六%削減を目標に掲げ、その達成に向けた取り組みの方向性を示しました。  その後、あいち地球温暖化防止戦略が目標年次を迎えたこと、また、二〇五〇年ごろを見越した本格的な低炭素社会の実現に向けたさらなる取り組みが求められたことから、中長期的な方向性を示す新たな戦略として、二〇一二年二月にあいち地球温暖化防止戦略二〇二〇を策定。地球温暖化防止に関する取り組みを総合的かつ計画的に進めてきました。  国際社会では二〇一五年十二月、二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定が採択をされ、我が国では二〇一六年五月、新たな温室効果ガス削減目標を定めた地球温暖化対策計画が閣議決定されました。また、二〇一五年十一月には、これまでの地球温暖化の進行を抑制するための対策に加えて、気候変動の影響に対処するための対策である、気候変動の影響への適応計画が閣議決定されました。  一方、世界や日本全体の温室効果ガスが増加する中、本県においても二〇一三年度の温室効果ガス排出量が一九九〇年度と比較して増加しており、さらなる取り組みの推進に向けて新たな削減目標を定めたあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇を策定しました。そして、目標は二〇三〇年度の県内の温室効果ガス総排出量を二〇一三年度比で二六%削減することとしています。取り組みの視点としまして、県民、事業者、市町村など、全ての主体による積極的な取り組みの推進、関係部局と連携したあらゆる施策の実施による取り組みの推進としています。  県市町村に期待する取り組みとして、みずからの事務事業から発生する温室効果ガスの低減に向けて率先的、積極的に取り組み、成果を県民、事業者、地域全体へ波及するとしています。また、再生エネルギー等の利活用の推進として、廃棄物やバイオマスなどの未利用資源、未利用エネルギーを活用した地域循環圏の形成を推進するとしています。  県は、みずから率先して積極的に取り組む事務事業として、過去にはESCO事業、県有施設の屋根貸しなどによる太陽光発電施設設置を進めてきましたが、新たな戦略では、県有施設におけるLED照明等の高効率・省エネルギー型の機器、設備や再生可能エネルギーの率先的な導入を推進しています。  また、設備導入により得られたコストやCO2の低減効果等の情報を積極的に発信することにより、企業や市町村など、地域全体への波及を図ることとしています。また、愛知県地球温暖化対策推進庁内会議による県庁内の関係部局との情報共有や施策連携を推進することにもなっています。  一方、地球温暖化対策事業の推進にはお金がかかります。ESCO事業のようにトータルとして事業費の削減ができるものについては、それぞれの担当部局が研究をして取り組むことができますが、地球温暖化対策を行うことによって事業費が拡大するものについては、それぞれの部局では推進しにくい事情があります。  私が調査した矢作川浄化センターの未利用汚泥については、二〇一六年十月の建設委員会一般質問の回答にもあるように、四分の三が未利用であるとのことですが、浄化センターの事業として利用することは費用対効果の面で難しく、研究の段階から進むことができないとのことでありました。  県の事務事業として温暖化対策を進められる事業は、対策費としてそれぞれの事業費に地球温暖化防止の観点を追加して、その分の予算を追加しなければ推進しにくいと考えます。また、それができるのは営利を目的としない公共事業だからこそではないかと考えます。  また、先ほど指摘しました矢作川浄化センターの未利用の廃棄物を利用することは、再生可能エネルギーにより水素を生み出すことにもつながり、あいち低炭素水素サプライチェーンの実現にも一役買うと考えています。  そこでお伺いいたします。県の事務事業に係る地球温暖化対策の推進状況はどうか。また、他部局と連携し、民間に率先して効果の出る政策を進めるべきではないか、県の御所見をお伺いいたします。  最後に、道路、橋梁の維持管理についてお伺いをいたします。  私はこれまで、建設委員会や決算委員会において何度も道路や河川の維持管理についてお伺いをしてきました。それは、管理が不十分と苦情を受ける機会が多くなってきているからであります。実際自分が確認しに行っても、通れないぐらいに草が茂っていたり、河川堤防の草が竹林になっていたり、大きな木が生えて森のようになっているようなところもあります。  過去の私の質問の回答においても、数年に一度しか手を入れていない、もしくは何もしない場所もあるとのことでした。多くの場所で地面のアスファルトのすき間から草が生え、アスファルトそのものを破損していたり、アスファルトが割れてしまい、パズルのように剥がれてしまうところや、わだちができているところもあります。今にも河川堤防を破損しそうな大きな木が生い茂っている場所も見受けられます。街路樹の高木が成長して、大型台風に耐えられず、先日の台風二十一号でも倒木があるなど、今すぐに手を入れなければ道路や河川は破損し、災害による被害も免れない状況にあります。  そもそも道路は年々少しずつ完成し延長していますし、老朽化が進めばアスファルトのすき間から生えてくる草などがふえ、路面は劣化し、管理費は年々増加していくはずであります。この状況を放置すれば、壊れなくてもよいところが破損し、本来なら管理費のみで済むところが修理を必要とすることになるという負のスパイラルに陥ってしまうのではないでしょうか。  県有資産の建物や橋梁においては、長寿命化計画を立て、今後耐用年数を延ばしていく計画です。道路や河川には耐用年数という考えはないかもしれませんが、長寿命化計画と同様、どんなメンテナンスをすれば最小のコストで長く使えるかを研究し、一刻も早い対策を進める必要があります。また、管理の手法においても、毎年同じ手法をとっておられますが、より効果的な手法を試していく必要があるとも考えられます。  ひどいところは一時的に費用がかかっても対処し、トータルコストを削減するなどの対応が急務です。道路や河川の管理の状況について、それぞれの立場で認識は分かれるところでしょうが、取り組まなければならない課題は同じと考えます。  道路舗装や橋梁の長寿命化計画では、膨大な道路構造物を予算制約下で適正に管理していくために、予防保全型の維持管理を推進し、計画的な修繕を行うことによって修繕費等を削減、平準化することが急務となっていますが、道路舗装については、わだちやひび割れが目立ち、予防保全的な軽微な補修ではとても維持していけないところが目立ちます。  そこでお伺いをいたします。道路舗装や橋梁の長寿命化計画についてどのような取り組みをしていくつもりですか。また、道路の日常管理において、草刈り費削減について県の取り組みをお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 31: ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 農地の価値向上について二点お尋ねをいただきました。  まず、一点目の矢作川用水を対象として国が実施した地域整備方向検討調査、矢作川沿岸地域で判明した課題についてお答えいたします。  本調査では、西尾市を初めとする五市一町に広がる約七千ヘクタールの農地に用水を供給する羽布ダムや細川頭首工、幹線水路などの基幹水利施設を対象として、大規模地震に対する耐震診断と、老朽化の状況を調べる機能診断を実施しております。  このうち耐震診断の結果としましては、羽布ダム本体は耐震性を有するものの、ダムの取水設備や細川頭首工を初めとする四カ所の頭首工及び上水道と共用している南部幹線水路などにおいて部分的に耐震性の不足が判明いたしました。また、機能診断の結果としましては、ポンプなどの機械設備や電気設備の機能低下、金属製のゲートなどの腐食、コンクリート構造の劣化など、老朽化の進行が判明しております。  あわせて本調査では、担い手農家などへ営農面の課題について聞き取りを行っており、その中では、経営規模拡大に伴う水需要の集中により、地域によっては用水が不足し、これに伴う給水栓の操作などに労力がかかるため、さらなる経営規模拡大の妨げになるとの意見が出ております。  これらの課題を踏まえて、国は本年度から着手した国営土地改良事業地区調査において施設計画や経済性を検討し、国営事業計画案を作成することとしております。  次に、矢作川用水の国営事業化に当たり、用水計画の作成方針についてお答えいたします。  用水計画の作成には、まず、国、県、市町、関係土地改良区、JA、担い手農家などで構成する営農検討会を設置し、経営規模拡大や、ニンジン、タマネギなどの高収益作物への転換を目指す農家の意向を考慮し、作付品種や面積、作付時期などを取りまとめた営農計画を作成いたします。  次に、この営農計画に基づいて当地域に必要な用水量を算定した用水計画を作成し、これをもとに現況の施設能力をチェックし、この能力が不足する場合には、用水配分を調整する施設を新設するなどの施設計画を立てることとなります。  県といたしましては、地域のニーズを的確に把握し、使い勝手のよい水利用を可能とする用水計画、施設計画となるよう、国や関係機関としっかり調整してまいります。 32: ◯農林水産部長(高橋智保君) 豊かな海の実現についてのお尋ねのうち、初めに、本県が昨年度実施した下水道の放流水におけるリン濃度の増加に係る試験運転の成果についてでございます。  議員お示しのとおり、瀬戸内海沿岸におきましては、豊かな海を実現するため、漁獲量の低迷やノリの不作の要因の一つとして栄養塩の減少を取り上げ、栄養塩を適正に管理する取り組みが推進されてきました。  こうした中、本県におきましても漁業関係者の要請を受け、漁場における栄養塩をふやすための取り組みとして、昨年十一月から本年三月までの間、矢作川と豊川の浄化センターにおいて、水質汚濁防止法の総量規制基準の範囲内で放流水中のリンの濃度を増加する試験運転を実施してまいりました。  この取り組みの評価でありますが、まず、環境への影響につきましては、環境部において調査、分析したところ、放流水の水質は水質汚濁防止法に定める規制基準に適合していたことを確認するとともに、放流先の海域の水質については、試験運転による悪影響は見られなかったとの結果でありました。  また、漁業への影響につきましては、農林水産部において調査、分析したところ、浄化センター周辺海域においてはリンの供給が観測され、西三河地区で品質のよいノリが生産されるとともに、アサリについても実入りはよくなったものの、リン濃度の増加によるものかどうか判断できないとの結果となりました。  なお、漁業者の皆さんからは、ノリ、アサリとも効果を実感しているとの意見を伺っておりますが、その成果を科学的に分析できる調査結果を得られていないのが現状でございます。  次に、下水道の放流水におけるリン濃度の増加に係る試験運転の継続についてであります。  漁業関係団体からは、本年度も試験運転を実施するとともに、開始時期については昨年度の十一月から十月に前倒ししてほしい旨の要請を受けているところでございます。また、矢作川及び豊川の浄化センター以外の浄化センターにおいても試験運転を実施してほしい旨の要請を受けております。  試験運転の継続につきましては、関係部局において昨年度の調査結果を分析し、検討を進めてまいりましたが、九月中旬に本年度も試験運転を実施することを決定し、開始時期についても要請どおり十月からといたしました。  また、矢作川及び豊川の浄化センター以外の浄化センターにおきましては、リン濃度を上げる余地が少ないため実施できないものと判断いたしました。  今後は、本年度の試験運転に当たり、環境及び漁業への影響調査を引き続き実施してその効果を分析し、次年度以降の実施を判断してまいります。  県といたしましては、豊かな海を実現するため、こうした栄養塩の適正管理の取り組みに加えまして、これまでの干潟、浅場の造成や漁場保全活動などの水産多面的機能の強化に引き続き取り組み、本県漁業の振興にしっかりとつなげてまいります。 33: ◯環境部長(森田利洋君) 県の事務事業に係る地球温暖化対策についてお答えします。  まず進捗状況でございますが、愛知県庁の環境保全のための行動計画であるあいちエコスタンダードにおきまして、県の事務事業における平成三十二年度の温室効果ガス排出量について、平成二十六年度を基準年度とした削減目標を設定しております。  事業特性によりエネルギー使用構成が異なる水道事業、下水道事業及びそれら以外の一般事務事業のそれぞれごとに目標を設定しておりまして、平成二十九年度実績で水道及び下水道事業は達成しているものの、一般事務事業では、目標が五・八%の削減に対し、二・一%の増加となっております。  一般事務事業では、猛暑等による空調設備の使用増加や新たな施設の供用開始など、避けられない増加要因があったものの、引き続き目標達成に向けた着実な取り組みが必要でございます。  そのため、温室効果ガスの削減効果の高い、施設の新築、増改築の際の最大限の省エネ化、約一二%の削減が見込まれます長時間使用照明のLEDへの切りかえの推進、公用車への次世代自動車の導入など、施設・設備面での対策とともに、昼休みの消灯等のエコアップ行動の徹底など、各所属、各職員における取り組みまで、各施設のエネルギー使用実態やそれぞれの取り組みの削減効果をこれまで以上に見える化しながら確実に推進し、目標の達成につなげてまいりたいと考えております。  次に、他部局との連携による効果的な取り組みについてであります。  お示しの県有施設の未利用エネルギーの活用も重要な視点でございます。そのため、地域の再生エネルギーを活用して、低炭素な水素の製造、輸送、利用を促進する低炭素水素サプライチェーンや、地域の未利用エネルギーを活用する地域循環圏形成の取り組みを進めていく中で、その活用についても関係部局とともに検討を進めてまいります。  さらに、建物の一次エネルギー消費量の約七五%削減を目指す環境調査センター・衛生研究所のZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)化など、他のモデルとなる取り組みも通じまして、県内での取り組みを率先、牽引してまいりたいと考えております。 34: ◯建設部長河野修平君) 道路舗装や橋梁の長寿命化計画の取り組みについてでございます。  本県では、道路舗装や橋梁などの道路構造物について、長寿命化計画に基づき定期的な点検による健全性の把握と計画的な修繕を進めております。  まず道路舗装についてであります。従前の長寿命化計画に加えて、本年三月からは新たな考え方を取り入れた道路舗装保全マニュアルによる運用を開始いたしました。五年サイクルの定期点検の結果、損傷が大きいものは抜本的な修繕を実施し、軽微なものは状況に応じた補修を実施してまいります。  次に、橋梁についてであります。本県で管理する約五千二百橋を対象に、五年サイクルの定期点検を平成二十六年度から実施しております。昨年度末までに約八割について点検を終えており、今年度は残りの八百六十八橋を実施し、計画どおり一巡目の点検を完了する予定であります。  一巡目の点検の結果、早期措置が必要と確認された橋梁については、おおむね三年後までの期間を集中治療期間と位置づけて修繕を進めているところであります。  引き続き定期的な点検を実施し、軽微な損傷を早期発見、補修する予防保全型の維持管理を推進することにより構造物の長寿命化を図り、ライフサイクルコストの低減に努めてまいります。  次に、道路の草刈りに関する取り組みについてであります。  歩行者や自動車の安全な通行の妨げにならないよう、また、道路の美観を守るために、原則として年に一回、草が一斉に伸びる春から夏の時期に草刈りを行うようにしております。これに加えまして、道路パトロールにおいて通行に支障があると確認された箇所につきましては緊急的な草刈りも行っております。  さらに、自分たちの通る道を自分たちできれいにしたいという地域の皆様方に草刈りを委託するマイタウン・マイロード事業などにより、地域の自治会や市民団体、企業の皆様に貢献していただいております。  一方、草刈りだけではなく、道路に雑草が生えないようにする工夫も重要でございます。新しく道路を築造する際には、舗装とのすき間から草が生えないようにした歩車道境界ブロックの使用や、道路ののり面などをコンクリートで覆うことを標準化し、雑草の抑制対策に取り組んでおります。  また、供用中の道路につきましても、路肩や中央分離帯などにおいて雑草が通行の妨げとなっている箇所にコンクリートや防草シートの施工を進めており、さらに、木材チップや砕石などを敷き詰めることによる対策を試行してまいります。  今後ともこうした取り組みを進めることで、トータルコストの削減を図ってまいります。 35: ◯二十二番(山田たかお君) それでは、幾つか要望をさせていただきます。  まず一点目であります。農地の価値向上についてでありますが、水利についてはしっかり調整をさせていただくということでありました。ただ、水利権のある田んぼだけでも水が足りないというのが現状でありまして、もとがないのを幾ら調整してもなかなかそれが実現できるかどうかというのは非常に不安な要素がございます。ほかの水源を求める、悪水を再利用するとかいろんな方法があるかと思いますけど、あらゆる方法を試していただいて、水を確保することが最も重要と考えますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  そして、二点目、豊かな海の実現であります。  実際、漁師さんの話を聞くと非常に厳しい状況にありまして、もう漁師さんをやめなきゃいけないぐらいの状況にあるんです。この栄養塩の問題もすごくありがたいことで、ことしも続けていただけるということでありましたので、ぜひお願いをさせていただきたいと思いますけれども、これは一年やって様子を見て、また一年ということであります。ほかにも原因があるかもしれませんし、ありとあらゆる方向から手を打っていただかないと、一度海から上がってしまうとなかなか漁師さんに戻るのは大変難しいことでありますので、ほかの先進地域や研究機関とも協働していただいて、ぜひ原因の究明と対策をしていただきたいというふうに思います。  そして最後、道路や河川の管理でありますけれども、いろいろな対策をしていただくということであります。ただ、私が現地というか道路や河川を見ていると、年々日に日に悪化していくのが手にとるようにというか、どきどきするぐらいいろんなことが起こるわけです。決められた予算の中で一生懸命やっていただいているのは本当によくわかりますけれども、今のままではなかなか追いつかんのじゃないかなというふうに感じておりますので、新しい道路も次々できてまいりますので、維持管理にもう少し力をいただけるといいかということを思いますので、ぜひよろしくお願いします。  以上で終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 36: ◯四十一番(寺西むつみ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 37: ◯副議長鈴木喜博君) 寺西むつみ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 38: ◯副議長鈴木喜博君) 異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時三十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時十分開議 39: ◯議長松川浩明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  福田喜夫議員。     〔十七番福田喜夫君登壇〕(拍手)
    40: ◯十七番(福田喜夫君) 新政あいちの福田喜夫です。  質問に先立ち、本年発生した大阪北部地震、西日本豪雨など、各地の豪雨災害、そして、北海道胆振東部地震や台風二十一号で被災されました皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。  では、通告に従いまして順次質問してまいります。  初めに、愛知用水の調整池やため池の耐震対策についてお伺いします。  まず、愛知用水について歴史を振り返ってみたいと思います。  愛知用水は昭和二十二年、知多半島へ農業用水をという願いに加え、中京圏の水道用水と工業用水の確保という地域全体を発展させるため計画されました。そして、水源となる長野県王滝村と木曽町におけるダム建設、岐阜県八百津町で木曽川から水を取り入れる兼山取水口から南知多町まで自然流下する幹線水路約百十二キロメートルとその支線水路約一千十二キロメートルの建設と、幹線水路の水を調整する調整池の造成、そして用地取得などを行うもので、これは昭和のピラミッド建設と言えるほど壮大な事業で、戦後の疲弊した日本単独では実現できないほど莫大な費用が必要であったため、世界銀行から融資を受けるとともに、海外の専門家の技術援助を求めて、昭和三十年、事業主体となる愛知用水公団、現在の水資源機構が設置され事業が始まりました。  昭和三十二年、水源地の長野県牧尾ダムと木曽川からの取水口である岐阜県八百津町の兼山取水口、そして水を通す水路の工事が始められ、昭和三十六年九月に愛知用水は完成しました。  愛知用水はポンプなどの動力は一切使わず、高低差を利用して水源地から知多半島まで水を流すため、水量を調整する必要があったことから、中間地点の愛知郡東郷町に東郷調整池が建設されました。東郷調整池は一般的に愛知池と呼ばれ、約七・四キロメートルの周遊路はウオーキングやハーフマラソン大会が盛んに行われ、湖面ではボートのレガッタ競技が行われています。この夏もインターハイ漕艇競技の会場となり、開会式直後には大村知事にも現地を御視察いただきました。  さて、愛知用水は水資源機構が所有していますが、支線水路は愛知用水土地改良区が管理運営しています。また、みよし市にある三好池は水資源機構が所有していますが、愛知用水土地改良区が管理運営しています。  知多市にある佐布里池は、昭和四十年に愛知県水道部、現在の愛知県企業庁が建設した工業用水専用の貯水池で、愛知用水から取水して、その水は隣接する知多浄水場から四市町の工場などに日量約四十万立方メートルが供給されています。  また、犬山市にある入鹿池は愛知用水の水源でもあり、農業用ため池として二市二町に及ぶ約六百二十ヘクタールの農地へかんがい用水を供給しています。入鹿池の貯水量は約一千五百万立方メートルと、現在日本で二番目に大きなため池で、平成二十七年に世界かんがい施設遺産にも登録されています。  これら規模の大きい調整池や農業用ため池は、基本的に人工湖として土を転圧して堤防がつくられています。平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災以降、これらの安全性について調査検討が進められているとお聞きしています。  特に東日本大震災では、福島県須賀川市にあるかんがい用ダムの藤沼湖の堤防が決壊して、死者、行方不明八名、流域の家屋や田畑などに甚大な被害を発生させました。このため池決壊災害により、全国各地のため池の耐震調査が行われました。  農業用ため池は、愛知県の実施した調査結果を県下の市町村に提供され、堤防が決壊した場合の浸水区域や浸水深さを明示するとともに、避難場所などを加えてため池ハザードマップとして住民に公表されています。また、流域の安全確保のために、計画的に堤防の耐震補強工事が進められています。市町村の公表するため池ハザードマップはそれぞれのホームページにアップされていますので、誰でも見ることができます。  大規模なため池のうち、三好池については、ため池ハザードマップと愛知用水三好支線水路緊急対策地区の事業の効用に関する説明資料が公表され、現在耐震補強工事の準備が進められているとお聞きしていますが、愛知用水の調整池である愛知池、佐布里池及び農業用ため池の入鹿池についてはため池ハザードマップが公表されていません。  堤防の安全性やハザードマップが確認できないことから、私の地元東郷町では愛知池は大丈夫かとの問い合わせもあります。また、地域の防災拠点である尾三消防本部庁舎、特別消防隊、消防指令センターも愛知池の堤防下エリアにあり、愛知池の安全確認が必要となっています。  そこでお尋ねします。県として愛知池、入鹿池の安全性についてどのように把握し、また、安全性に問題がある場合、耐震工事の計画はどのように進めているのかお伺いします。また、企業庁の管理する佐布里池についても同様にお伺いします。  次に、産業廃棄物の不適正処理等についてお尋ねします。  まず、東郷町で発生した産業廃棄物中間処理事業所の火災についてであります。  この火災は、平成三十年八月七日午後三時ごろ、産業廃棄物として中間処理され、山積みされた大量の廃プラスチックから出火。火災は大量の黒煙と悪臭を発生させ、産業廃棄物四千立方メートル、事務所一棟、大型重機三台を焼失し、三日後の八月十日午前八時四十分に鎮火しました。  現場は愛知用水調整池である愛知池の東側約三百メートルにあり、平成二十四年八月、愛知県が産業廃棄物処分業として許可した業者の施設で、取扱品目は廃プラスチック、がれき類、木くずなど八品目となっています。  地元の尾三消防本部は、火災の延焼拡大を防止するため、八月七日の出火から約三十分後の午後三時三十六分、愛知県防災ヘリコプターを要請して、午後四時ごろから約一時間半、愛知池の水を防災ヘリで十三回くんで空中から消火活動を実施し、周囲への延焼阻止が行われました。この活動は火災の状況を報道するテレビにたびたび映し出されました。  また、地上の消火活動は長時間活動の様相を呈したため、七日午後八時三十五分に豊田市消防本部と尾張旭市消防本部に応援要請するとともに、翌日八月八日午前八時十分には名古屋市消防局に応援要請され、大型高所放水車を初め、延べ十二台、五十八名の消防隊員が消火活動に加わり、八月八日午後五時十五分に火勢は鎮圧されましたが、大量の残存物から白煙が上昇し、出火から五十六時間経過した八月九日早朝時点でも遠くから白煙の上昇が確認できる状況でした。その後も残火処理活動が続き、八月十日午前八時四十分に鎮火しました。実に六十五時間四十分に及ぶ消火活動が行われました。  尾三消防本部は、八月七日午後三時三十六分、愛知県防災局に火災速報と同時に防災ヘリを要請、さらに環境部へは七日午後四時ごろ、事業者から火災の連絡があったと記録がありました。  火災現場は県民の飲料水を取水している愛知池に近く、また、大量の放水により二級河川境川の支流前川や近くのため池へ汚水流入のおそれもあり、さらに、大量の黒煙が広範囲に滞留して、特に日没以降、東郷町からみよし市方面に風向きが変わり、東名高速道路東名三好インターチェンジ付近でも煙って異臭が確認できるなど、大気の汚染も時間とともに拡大していきました。  そこで、後日私が愛知県環境部、尾三消防本部、東郷町環境課などに今回の事後調査を行った結果、それぞれ個別の活動をされましたが、火災初期から合同現地対策本部が設置されていなかったことで東郷町との情報の共有化がなされなかった。確かに出火翌日には愛知県から東郷町に河川での消火排水調査結果や苦情のあった地域での排ガス調査結果が報告されましたが、やはりリアルタイムに情報共有が必要で、特に排ガス調査結果は火災初期から活動している消防隊員の安全性にもかかわってきます。  また、このような施設が愛知県に申請される場合、一定の種類・規模以上でないと市町村への意見聴取が行われず、情報が提供されないことから、地元消防本部には建築確認申請があれば消防同意の段階で把握はできますが、産業廃棄物処理の内容や取り扱う品目はわからない、つまり許可行政庁である愛知県しか施設の全容が把握できません。  また、今回は平日の昼間に火災が発生しましたが、これが夜間、休日であった場合、県や市町村の関係部局の対応にどの程度の時間差が生じるのか検証する必要があると思います。  今回のような火災の場合には、必要に応じて県の所管部局が現地に向かい、合同現地対策本部の一員として個別の対応と事態に対する指導、助言が必要であると考えます。また、情報が集中する消防本部に合同現地対策本部を設置することが望ましいと思います。  そこでお尋ねします。今回のような火災が発生した場合、県はどのように対応しているのか、また、消防体制の充実強化のためにどのような支援を行っているのかお尋ねします。そして、事前対策として、種類や規模にかかわらず、県が許可した全ての産業廃棄物施設について、当該市町村や消防本部に通知する制度が導入できないか、御所見をお伺いいたします。  次に、同じく東郷町で発生した産業廃棄物の不法投棄についてであります。  今回の事案は、所有者のいる空き地にがれきを含む土砂が大量に不法投棄され、所有者から警察に対して被害届を提出され、また、東郷町にも連絡されたもので、ほぼ同時に四カ所に投棄されたものです。うち二カ所は東郷町の所有する土地でもあります。  被害者からは、町内の防犯カメラやコンビニなどの防犯カメラに何度も往復している同一の土砂運搬車両が写っていないか、また、土砂を分析すればどこの地域の土砂か判明するのではないか、また、産業廃棄物を取り扱う業界団体にも協力を要請したらどうかなど、意見が寄せられています。  そこでお尋ねします。愛知県環境部として産業廃棄物の不法投棄事案の把握方法とその未然防止対策はどのように行っているのかお伺いします。  また、この種、産業廃棄物の不法投棄事案の取り締まり状況と、県警察としてどのように対応されているのか、県警本部長の御所見をお伺いします。  最後に、世界ラリー選手権日本ラウンドについてお伺いします。  世界ラリー選手権──以後、WRCと言います──WRCの日本招致については、新聞報道によれば、ことし一月十一日にJAF公認クラブ、トヨタ・モータースポーツ・クラブを初めとする招致関係者が大村知事を訪問され、二〇一九年に愛知県、岐阜県でWRC日本ラウンド開催について協力要請され、その後、招致関係者がJAF(日本自動車連盟)に対して開催申請をしたと伺っております。  また、本年二月定例愛知県議会振興環境委員会でのスポーツ振興課の答弁要旨やモータースポーツ専門誌などで公表されている内容では、ことし一月三十日に招致関係者が愛知県と岐阜県及び両県の関係市町を対象に説明会を実施し、開催計画の概要が示されました。  これによると、名古屋市、岡崎市、豊田市、新城市、長久手市、設楽町及び岐阜県恵那市、中津川市が関係市町に位置づけられております。その中で新城市については、モンテカルロオートスポーツクラブと愛知県も主催者となっている新城ラリーを十四回の開催実績があり、昨年も五万人を超える観客が観戦に訪れ、新城地域の活性化や地域振興の起爆剤となっており、本年は十一月三日、四日の日程で、全日本ラリー選手権最終戦として十五回目の開催に向け準備が進んでいるとお聞きしています。  また、岐阜県の恵那市は日本で唯一女性だけのラリー競技、L1ラリーの開催実績があり、地域振興スポーツとしてラリー競技の可能性は広がりを見せています。  その後、三月六日から招致関係者が関係市町を対象に個別調整に入り、詳細な開催計画の説明が行われ、加えて地元住民に対しても、開催計画など、説明と相談を行っているとお聞きしています。また、基本的に一般公道を走行するラリー競技は道路使用許可を必要とすることから、県警察に対しても説明会が開催され、その後も関係自治体や県警察との調整や協議、相談が進み、日本のモータースポーツを統括するJAF(日本自動車連盟)は、F1やWRCなど、世界のモータースポーツを統括するFIA(国際自動車連盟)に対して、WRC日本ラウンドの二〇一九年の開催に向け、国際カレンダー登録申請を行ったと伺っています。  なお、二〇一八年のWRCカレンダーを調べたところ、ラリー開催百七年の歴史を誇るモンテカルロラリー初め、全十三戦が世界各国で開催されています。八月二十二日には東京でWRC日本ラウンド招致準備委員会が活動経過報告会を開催され、二〇一九年WRC日本ラウンドの主催はトヨタ・モータースポーツ・クラブで、開催日程は第一希望が十一月十四日から十七日、第二希望が十一月七日から十日、第三希望が九月十二日から十五日でカレンダー申請され、大会名称はラリー・ジャパンとのことで、開催場所は長久手市の愛・地球博記念公園、モリコロパークを起点に、愛知県五市一町と岐阜の二市でWRC日本ラウンドを開催すると発表されました。また、二〇一九年WRC日本ラウンドが正式に決まれば、二〇二二年まで四年間の開催となることもあわせて発表されました。  二〇一九年九月からはラグビーワールドカップが開催されます。県内では豊田スタジアムで試合が行われ、愛知県にとって二つのジャンルのワールドカップがほぼ同時に開催されることとなります。また、二〇二〇年にはワールド・ロボット・サミットの開催と同時にロボカップ・アジア・パシフィック大会の招致も進んでいます。  そして、二〇二二年度にはWRC日本ラウンドのメーン会場である愛・地球博記念公園にジブリパークが開園する予定となっており、世界のモータースポーツファンのみならず、愛知県を訪れる子供から大人まで全ての人々が楽しめる夢のようなイベントがめじろ押しとなっています。  そこへ日本中から、いや、世界中から多くのギャラリーや観光客の皆さんがこの愛知を訪れることは、地域の振興のみならず、観光面でも愛知県にとって大きなチャンスであり、そのためにも私は愛知県として積極的に二〇一九WRC日本ラウンドの実現と開催支援を期待するものであります。  そこでお尋ねします。まず、二〇一九年にWRC日本ラウンドが開催されるためには今後どのようなスケジュールとなっていくのか、また、愛知県としてWRCに関する調査研究についてどのように取り組んでいるのか、そして、主催者や関係自治体に対してどのように支援していく予定なのか知事の御所見をお伺いいたします。  以上、質問項目に対して理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 41: ◯農林水産部農林基盤局長勝又久幸君) 愛知池及び入鹿池の安全性についてどのように把握し、また、安全性に問題がある場合、耐震工事の計画はどのように進めているのかについてお答えいたします。  まず、愛知池につきましては、独立行政法人水資源機構が平成二十六年度から二十七年度にかけて、国の大規模地震に対するダム耐震性能照査指針に基づき耐震診断を実施しております。  この耐震診断は、南海トラフ地震の理論上最大想定モデルと過去地震最大モデル及び猿投─高浜断層帯を震源とする想定地震モデルの三つの地震動に対して実施いたしました。この結果、いずれの地震動に対しても耐震性を有していることが確認されております。  次に、入鹿池につきましては、江戸時代にため池としてつくられた後、幾度かの改修を経て現在に至っているので、近代的な工法で造成したダムとは異なり、堤体の土質が多様であることから、国のダム耐震性能照査指針を単純に適用できないと考えられました。  このため県では、平成二十四年度に地震工学や地すべり対策などを専門とする四名の学識経験者を中心とした入鹿池耐震性検証委員会を立ち上げ、ボーリングによる堤体内部の土質調査方法や想定地震動の設定、また、それに対する解析方法などについて詳細な助言を受けながら、三年間をかけて検証を行ったところでございます。この結果、入鹿池についても、愛知池と同様にいずれの地震動に対しても耐震性を有していることを確認しております。 42: ◯企業庁長(松井圭介君) 佐布里池の安全性と耐震工事の計画についてお答えをいたします。  企業庁におきましては、南海トラフ地震及び近傍の加木屋断層を震源とする直下型地震を想定地震といたしまして、平成二十六年度、平成二十七年度に国の耐震指針に基づく耐震診断を実施しております。その結果、堤体が液状化により一割程度沈下するものの、堤体の決壊や池の水があふれ出すことはないなど、安全性に問題はないことを確認しております。  しかしながら、想定される最大規模の地震においても、できる限り堤体の沈下や変形を生じさせないよう、今般耐震工事を実施することといたしました。  具体的な工事計画としましては、堤体の液状化を抑制するため、堤体の池側に押さえ盛り土を施工いたします。工事はことしの冬から池を空にした後に着工し、平成三十二年度末の完了を予定いたしております。  なお、耐震工事は、愛知用水の水を管理し、ダム工事の専門知識と施工経験が豊富な水資源機構へ委託して実施してまいります。 43: ◯防災局長(相津晴洋君) 火災が発生した場合の県の対応と消防体制の強化のための支援についてでございます。  火災が発生した場合、総務省消防庁が定める要領に基づき、大規模な火災や人的被害のおそれの高いもののほか、社会的影響度が高い火災につきましては、消防本部が速やかに県に報告することになっております。  これを受けまして、火災現場に関係する部局がある場合は直ちに情報提供するとともに、当該部局と連携し、みずからの判断や消防本部の求めに応じて職員を現地に向かわせるなどの迅速な対応をとっているところであります。  県としては、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防学校における教育訓練、防災ヘリコプターによる消火・救助活動、消防団の資機材整備に対する助成、消防団への加入促進などにより支援しているところでございます。  今後も火災の発生には迅速かつ適切に対応するとともに、市町村の消防体制の充実強化に向けまして着実に取り組んでまいります。 44: ◯環境部長(森田利洋君) 私からは、まず、産業廃棄物処理に係る施設の情報の市町村等への提供についてお答えいたします。  他人の産業廃棄物を処理するためには、事業者は産業廃棄物処理業の許可を取得する必要があり、また、その処理に用いる一定の種類・規模以上の施設については、処理業の許可とは別に施設の設置許可を取得する必要がございます。  本県では、本県と同様の権限を持ちます名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市の四市以外の地域に設置される産業廃棄物処理施設に係る許可業務を行っておるところでございますが、許可申請前の事前相談の段階で施設を設置する市町村の条例や他法令への適合状況を市町村の環境担当部署や消防本部等に確認し、その結果を県に報告するよう申請者に指導しているところでございます。  また、処理業の許可を有する事業者が設置許可を要しない選別施設や圧縮施設などを設置するに当たりましては、事後の届け出でよい場合もございます。この場合においても事前相談と同様に市町村などに確認するよう指導しているところでございます。  これらの手続によりまして、関係する市町村や消防本部におきましても必要な指導等が行われるとともに、産業廃棄物処理に関する事業内容も把握されるものと考えております。  さらに、本県ではことし一月から、許可後の届け出情報なども含めまして全ての産業廃棄物処理に係る施設の最新の情報につきまして、県のウエブサイト上で見える化したマップの運用を開始し、施設が取り扱う産業廃棄物の種類や施設の処理能力など、具体的な情報を容易に閲覧できる環境を整備しました。  今後、県内の市町村や消防本部に対しまして、この新しい仕組みを周知し、消防体制の強化に役立てていただけるよう努めてまいります。  次に、産業廃棄物の不法投棄事案の把握方法とその未然防止対策についてお答えいたします。  まず、産業廃棄物の不法投棄の監視体制といたしまして、本庁及び七カ所の県民事務所等に設置しております不法投棄等監視特別機動班により、また、夜間及び休日につきましては、県から委託した民間警備会社の監視パトロールにより、過去に不法投棄された場所や不法投棄されるおそれのある場所を重点的に監視しているところであります。  このほか、地域における環境の状況を把握し、その保全活動を推進していただくため、全市町村に配置しております地域環境保全委員や地域住民の皆様、市町村などから情報提供をいただいております。  また、不法投棄を初めとする不適正な処理の防止を図るため、毎年六月及び十一月を産業廃棄物の適正処理に係る指導強化月間と定め、期間中にはヘリコプターによるスカイパトロールにより地上からの監視が困難な場所を中心に県内を広域的に監視するとともに、県として監視を強力に行うという姿勢を示すことにより不法投棄の抑止力となることを期待いたしまして、これらの取り組みについて積極的に広報を行ってございます。  こうした監視活動や情報提供によりまして、平成二十九年度には二十一件の産業廃棄物の不法投棄事案が発見されておりまして、こうした事案に対しましては、警察とも連携を図りながら国の機関や市町村との合同立入検査などを迅速に行い、投棄された物の撤去を強力に指導し対処しているところでございます。  いずれにいたしましても、不法投棄を初めとした産業廃棄物の不適正処理につきましては早期発見、早期対応が重要でございます。日ごろの産業廃棄物処理業者への立ち入り、指導はもちろんのこと、監視活動を確実に継続することで不法投棄事案の把握とその未然防止に努めてまいります。 45: ◯警察本部長(加藤達也君) 初めに、不法投棄事案の取り締まり状況についてお答えいたします。  平成二十九年中、不法投棄事案は百四十二件、百七十人を検挙しており、そのうち事業活動に伴って発生した産業廃棄物に係る検挙は四件、九人でありました。それ以外は家庭ごみ等の一般廃棄物に係る不法投棄の検挙であります。  また、本年は八月末現在、不法投棄事案全体では九十六件、百六人を検挙しており、そのうち産業廃棄物に係る検挙は八件、十一人でありました。  次に、警察の対応についてお答えいたします。  不法投棄事案につきましては、廃棄物を投棄された土地地権者の方からの相談や、投棄状況を目撃された一般の方からの通報のほか、愛知県を初めとする関係機関からの情報提供等により捜査の端緒を得た場合には所要の捜査を行い、被疑者や犯罪事実の特定をして検挙しております。  今後とも不法投棄事案の取り締まりにつきましては、愛知県を初め関係機関との連携により積極的な取り締まりを推進してまいりたいと考えております。 46: ◯振興部長野村知宏君) WRC世界ラリー選手権についてお答えいたします。  まず最初に、今後のスケジュールについてでございます。  WRCの日本への招致につきましては、本年一月十二日にWRC日本ラウンド招致準備委員会が設立され、JAF(日本自動車連盟)やWRCを主催するFIA(国際自動車連盟)との調整が進められてきました。  この八月二十二日には、招致準備委員会が日本自動車連盟を通じまして、国際自動車連盟にWRCの愛知、岐阜での開催を申請したところでございます。  今後は十一月三日、四日に国際自動車連盟の関係者が来日し、新城ラリーなどを視察する予定となっております。この視察を経て、十二月上旬には国際自動車連盟において開催地の最終決定がなされ、公表されるものと聞いております。  次に、WRC世界ラリー選手権の調査研究についてでございます。  日本では二〇〇四年から二〇一〇年まで北海道でWRCが開催されており、その経緯や実績を参考にしながら、本県で開催された場合に想定される交通アクセスの課題や観客のおもてなしの方法などについて検討しております。  また、海外で実際に開催されている現状を把握するため、八月にドイツで開催された世界ラリー選手権に職員を派遣し、メーン会場の施設配置、観客の安全対策、駐車場の確保、都市の装飾などについて調査を実施したところであります。こうした調査の結果は、関係市町や岐阜県と実務的に共有しており、愛知、岐阜でWRCが開催された場合の取り組みに生かしてまいりたいと考えております。  次に、WRC世界ラリー選手権日本ラウンド開催に向けた主催者、関係自治体に対する支援についてお答えいたします。  本県ではことしで十五回目を迎える新城ラリーを、新城市などと協力しながら、五万人以上の観戦客が訪れる日本最大級のラリーイベントとして盛り上げてきた実績がございます。二〇一三年の第十回大会からは県営新城総合公園にメーン会場を移し、迫力あるレースを間近で見られるようにするとともに、公園内でステージイベントを開催したり、地元産品のブース出展を行うなど、誰もがラリーを楽しめる環境をつくってまいりました。また、より多くの観戦客にお越しいただくため、名古屋市中心部でのラリーカーパレードや観戦ガイドなどによるPRなども行っております。  WRCは、この十二月に開催が決定すれば、来年秋の開催まで準備期間が約一年と大変短くなっております。そのため、これまでの新城ラリーの経験やノウハウを活用して、国内はもとより海外から多くのラリーファンに来ていただけるよう、県としましても主催者や関係市町とともに大会の盛り上げにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 47: ◯知事大村秀章君) 福田喜夫議員の質問のうち、WRCにつきまして私からもお答えをいたします。  WRCの日本ラウンドが二〇一九年に愛知県において開催されることになりますと、これは私ども愛知にとって大変誇らしいことでありまして、心から歓迎をしたいというふうに考えております。  世界一の自動車産業の集積地である本県には、自動車文化やモータースポーツのすばらしさを世界に発信していくというミッションがあると考えております。  自動車レースの最高峰の一つでありますWRCは、日本の自動車関係者、モータースポーツファンの皆様がかねてから待ち望んでいる大会であります。WRC日本ラウンド招致準備委員会や岐阜県、そして関係市町の皆さんと協力をし、日本を代表するモータースポーツの中心地として、この地域から世界に発信できるラリーをつくっていけるよう、大会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 48: ◯十七番(福田喜夫君) 要望させていただきます。  先ほどは二〇一九年世界ラリー選手権日本ラウンドの取り組みにつきまして知事からも御答弁をいただき、まことにありがとうございます。  愛知県にとって、新城ラリーで蓄積した地域振興策が世界ラリー選手権日本ラウンドの招致により県下全域に波及効果が上がるように、事前のPR事業はもとより、自動車で来県される皆様への案内や、海外からはぜひともセントレアを利用していただくとともに、公共交通機関の利便性向上と、各地域で英語、中国語、スペイン語などの言語対応、そして愛知県の観光ルート案内など、しっかり取り組んでいただきますようによろしくお願いします。  次に、愛知用水の調整池や農業用ため池の震災対策は、愛知用水が農業用水とともに水道用水、工業用水などにも活用されていることからそれぞれ所管は異なりますが、愛知県が中心となって、水資源機構、愛知用水土地改良区、県企業庁などが現在の想定にさらに安全率を上げていただいて、巨大地震に対して万全を期していただくようにお願い申し上げます。
     最後に、産業廃棄物に起因する火災や不法投棄は、地元市町村では到底対応に限界があります。関係機関が積極的に対応することが、火災の早期終息と周辺地域の環境保全につながるとともに、監視体制の強化が不法投棄抑止につながるものと思いますので、今後も県、警察、消防、市町村の連携強化をお願いし、質問を終わります。 49: ◯議長松川浩明君) 進行いたします。  川嶋太郎議員。     〔六十五番川嶋太郎君登壇〕(拍手) 50: ◯六十五番(川嶋太郎君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。  まず初めに、水素社会実現に向けて、水素エネルギーの利活用について質問をいたします。  水素エネルギーの利用という言葉を聞いて、皆様はどのようなイメージを持たれるでしょうか。トヨタ自動車のMIRAIに代表される燃料電池自動車(FCV)をイメージされる方が多いのではないかと思います。そして、自動車産業において、EV化と自動運転の二つが主流となっている現在、FCVによる水素エネルギーの利用は、一般の県民にとっては余り関心事ではなくなっているようにも感じます。  しかし、水素エネルギーの利活用は、我が国にとって非常に大きな可能性を持った重要な分野であると私は考えております。水素エネルギーの利活用は三つの点で日本の弱みを補い、強みを生かすことができると考えます。  一点目は、エネルギーセキュリティーの問題であります。  日本は天然資源に乏しく、現在、一次エネルギーの九〇%以上を海外から輸入する石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に依存しています。そのため、価格面や安全、確実に輸送できるかなど、海外情勢に左右されやすいといった不安定要素があります。水素がエネルギー源として利用できれば、化石燃料への依存度を下げることができ、また調達先も多様化させることができるので、エネルギーセキュリティーに貢献できます。海水を電気分解することでも水素をつくることができるので、ある意味日本には原材料は無限にあると言えると思います。  二点目は、環境負荷低減に寄与することができるという点であります。  先ほども申しましたが、日本は一次エネルギーの九〇%以上を化石燃料に頼っています。これを水素に置きかえることができれば、CO2の排出を減らすことができます。また、水素は今後再生可能エネルギーを普及させていくために必要となる変動吸収、電力貯蔵の役割を果たすことができます。  電気はつくる量と使う量が同じでないと周波数は安定しません。今月六日未明に発生した北海道胆振東部地震では、北海道最大の苫東厚真火力発電所が被災し、運転を停止したため、電力の需給のバランスが崩れ、他の発電所も緊急停止いたしました。  再生可能エネルギーも、導入量が多くなれば需給バランスに影響を及ぼすこととなります。日本経済新聞の九月一日の記事では、九州電力がことしの秋にも太陽光や風力の発電事業者に稼働停止を求める出力抑制を実施する可能性が高まっているとの記事がありました。日照条件のよい九州ではメガソーラーの建設が相次いだため、晴天昼間の発電量が需要に対して多くなり過ぎる可能性が出てきたのです。  そこで、余った電気を使い、水を電気分解して水素として貯蔵できれば、出力抑制することなく発電能力を十分に発揮させることができます。さらに、再生可能エネルギーを使って生成した水素は完全なカーボンフリーのエネルギーとなりますので、CO2削減に大きく貢献することができます。  余った電気の貯蔵法としては蓄電池の活用も考えられますが、蓄電池は長期的な保存には向いておらず、季節をまたぐような長期的変動を吸収するには、水素に変換し貯蔵することが有効であります。  三点目は、水素の利活用は日本の産業競争力を高めるという点であります。  水素は水などさまざまな物質の形で存在しており、原料は得やすい一方、取り扱いが難しく、高い技術力が必要であります。日本は燃料電池分野の特許出願数は世界一位であり、世界最先端の技術を保有しています。また、利用面では、燃料電池自動車(FCV)、燃料電池バス、燃料電池フォークリフトが既に市場導入されており、さらに家庭用燃料電池、エネファームが二〇〇九年に世界に先駆けて販売開始されています。技術力、経験値ともに世界をリードしていると言えます。  地球温暖化防止が喫緊の課題である現在、その解決策の一つとして水素の利活用を日本から発信することができれば、産業強化に大いに貢献すると考えます。  世界における水素の利活用を見てみますと、二〇一七年一月にスイス・ダボスにて、エネルギー、運輸、製造業の世界的な企業十三社によって水素関連技術の普及に向けた広範なビジョンの提供、共有を活動目的とする、民間トップによるグローバルな活動団体である水素協議会が発足しています。二〇一八年三月時点では三十九社にて構成され、日本からはステアリングメンバーとしてトヨタ自動車、ホンダ、川崎重工業、岩谷産業、JXTGエネルギー、サポートメンバーとして丸紅、三菱商事、三井物産、豊田通商が参加しています。  水素協議会は二〇一七年十一月に発表した報告書、水素市場の拡大の中で、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す二度Cシナリオ達成のためには、二〇五〇年までにエネルギー起源CO2排出量の六〇%削減が必要であるとの前提のもと、その実現に水素が活用されることにより二・五兆ドルの市場及び三千万人の雇用が創出されると試算しています。  また、十月二十三日には経済産業省、NEDOが主催する水素閣僚会議が東京で開催されます。二十六の国、地域から各国の閣僚クラス、政府関係機関、民間企業等が参加し、グローバルな水素の利活用に向けたビジョンの形成、共有をテーマに会議が行われます。  こういった状況から考えると、今後水素の利活用は世界で確実に進んでいくものと思われます。  国内の状況を見てみますと、国においては昨年十二月に、二〇五〇年を視野に将来目指すべきビジョンと、その実現に向けた二〇三〇年までの行動計画を示した水素基本戦略が決定されました。  水素基本戦略では、目標として従来のガソリンやLNGと同程度の水素コストの実現を掲げ、その実現に向け、水素の生産から利用まで各省にまたがる政策群を共通目標のもとに統合しています。また、水素を再生可能エネルギーと並ぶ新たなエネルギーの選択肢として提示し、世界最先端を行く日本の水素技術で世界のカーボンフリーを牽引するとしています。  また、ことし七月三日に閣議決定された第五次エネルギー基本計画においても、水素基本戦略に基づき、足元ではモビリティーにおける水素需要の拡大を加速するとともに、中長期的な水素コストの低減に向け、水素の製造、貯蔵、輸送、利用まで一気通貫した国際的なサプライチェーンの構築、水素を大量消費する水素発電の導入に向けた技術開発を進め、脱炭素化したエネルギーとして、水素を運輸のみならず、電力や産業等、さまざまな分野における利用を図っていくとしています。  私は愛知県としても、未来を担う次世代産業として水素の利活用に向けた取り組みを積極的に行うべきだと考えます。  そこで、何点か質問をいたします。まず初めに、モビリティーにおける水素利用についてであります。既に普及段階に入っているモビリティーの分野は、水素利用を社会に浸透させる重要な役割を持っていると思います。  そこで質問ですが、FCVや燃料電池バス、燃料電池フォークリフトの普及促進、また水素ステーションの設置の拡大に向けて今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、水素関係の研究、技術開発についてであります。  水素の利活用を広げていくためには、FCVや水素ステーションの機器の低コスト化や、水素発電のための技術や製品の開発など、さまざまな研究開発が必要となってきます。私は、県内企業の持つ高い技術力を生かすチャンスがここにあると思います。  そこで質問ですが、水素の利活用に関する研究、技術開発について県としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、企業投資の呼び込みについてであります。  ESG投資という言葉をお聞きになったことがあると思います。ESGとは、環境、エンバイロンメント、社会、ソーシャル、企業統治、ガバナンスの略であり、この三つの基準を使って企業活動を分析し投資をするものであります。  二〇〇六年に国連が世界の投資家や運用機関に署名を呼びかけた責任投資原則という取り組みにおいて、六つの原則のうち第一の原則として、ESGを投資の分析と意思決定のプロセスに組み込むことが挙げられています。  責任投資原則には、二〇一六年四月の時点で千五百を超える機関が署名し、運用資産の総額は六十二兆ドルにも達しています。日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人も署名をしており、このほど炭素効率のすぐれた企業に重点投資する新たな運用を始め、一・二兆円を投じたとのことであります。  地球温暖化防止に資する企業には投資が集まるという環境ができている現状を捉え、補助金を出す、税を優遇するといった発想ばかりでなく、投資が集まるよう、県として水素の利活用に取り組む企業の、特に情報発信力が弱いと思われます中小企業の情報発信をしてはどうかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  最後に、水素社会実現に向けた象徴的取り組みについてであります。  皆様は横浜市が運営する風力発電所、ハマウィングを御存じでしょうか。横浜市では再生可能エネルギーの利用促進や温暖化防止対策の一環として、市民一人一人が具体的な行動を起こすきっかけとすることを目標として風力発電事業を行っており、住民参加型市場公募債ハマ債風車の発行による市民参加と、グリーン電力証書を活用することなどによる企業の事業協賛という二つの特徴があります。温暖化防止に向けた市民啓発として非常にすぐれた象徴的な取り組みであると思います。  私は、愛知県において水素社会を実現するためには、県民、そして県内企業の理解が不可欠であり、そのために、愛知県、県民、企業が一体となった象徴的な取り組みをすべきだと考えます。  そこで質問ですが、愛知県において象徴的な取り組みとして再生可能エネルギーを使った水素生成と利活用の事業に取り組んではどうかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  続きまして、介護における多様な担い手の取り組みについて、介護予防・日常生活支援総合事業における住民主体のサービスについて及び公的保険外サービスについてお伺いをいたします。  近年、地域包括ケアシステムの構築が進む中、医療と介護の連携・協力体制が整ってきております。ことし四月の診療報酬、介護報酬の同時改定の大きなポイントの一つは、医療と介護の連携を積極的に評価することであり、今後さらなる連携強化が図られるものと思います。  このように専門職の連携は進んでいるものの、これからの高齢化や人材確保の問題等の課題を考えたとき、また、一人一人の生活を支えるといった視点で考えたとき、公的な医療保険、介護保険だけでは十分には支え切れないのではないかと私は考えます。特に要支援やその手前の方々、まだアプローチの仕方によっては活動的に生活できる方々のニーズに応えることは、公的保険制度の得意とするところではないと思います。  私は、介護予防の分野においては、保険制度だけに頼らず、地域住民の方々や企業の持つ力を活用していくべきだと考え、大きく二点についてお伺いをいたします。  まず初めに、介護予防・日常生活支援総合事業──以下、単に総合事業と呼びます──における住民主体のサービスについてであります。  平成二十七年四月から施行された介護保険制度改正によって、要支援の方に提供される介護予防給付のうち、訪問介護、通所介護が保険サービスから外され、総合事業として市町村の管轄になるとともに、従前の介護事業者によるサービスに加え、緩和した基準によるサービスや住民主体による支援など、多様なサービスを提供することができるようになりました。  総合事業は平成二十七年度から実施することとなりましたが、条例により平成二十九年四月まで実施を延期することができました。本県においては、初年度である平成二十七年度から実施した市町村はわずかに二市のみであり、平成二十八年度実施は十市町、残りの四十二市町村は期限である平成二十九年四月からの実施となっています。  国は早期の実施を呼びかけ、早期に実施したほうが予算が優遇されるようインセンティブを用意したにもかかわらず、このような結果となったのは、総合事業に取り組むことの難しさのあらわれだと思います。特に制度改正で新たにできた多様なサービスにどう取り組むのか、それぞれの市町村で大いに悩まれたことと思います。  私は総合事業のうち、従前相当サービス以外の多様なサービス、特に住民主体による支援が新たな地域の支え合いの仕組みをつくる一助となると期待し、注目をしています。  今回の質問に当たり、厚生労働省で総合事業の実施状況などについてお話を伺ってまいりました。厚労省では平成二十九年六月時点のデータを集め分析しておられました。多様なサービスの実施状況は、訪問型サービスでは八百八十三市町村で一万一千百五十九カ所、また、通所型サービスでは千六市町村で一万六十一カ所の事業所で実施されていました。  内訳を見てみますと、訪問、通所ともに基準を緩和したサービスが最も多く、実施主体も介護サービス事業者が訪問、通所とも約六割といった状況でありました。住民主体による支援は訪問型サービスで三・七%、通所型サービスで九・〇%と低調で、制度改正の狙いとは裏腹に、ボランティアなど、地域住民の参加は今のところ余り得られておりません。  厚労省によると、市町村で住民主体の支援がうまくいっていないところの多くは、新たな制度ができたので、これからは掃除や洗濯はボランティアにやってもらいますといったように、制度設計ありきで役割を押しつけるようなアプローチになっているとのことでした。一方、うまくいっている市町村では、介護保険料の推計や人材確保の難しさなど、介護に関する情報や課題を住民や団体と丁寧に話し合い共有化した上で、介護事業者等と住民等との役割分担などを話し合う中で、住民主体によるサービスを構築しているとのことであります。  また、ボランティア団体の人手不足や金銭面といった悩みに寄り添い、フォローすることで力を発揮してもらう、つまり、新しいサービスを生み出すのではなく、既存の地域資源を強化するというアプローチもうまくいっているそうであります。  ここからわかることは、住民主体のサービスをつくることは、基準をつくり報酬を決め、やりたい人は申請を出してといった介護サービス事業者をつくるアプローチとはベクトルが逆で、地域住民やボランティア団体に寄り添い、悩みを解消し、活動を強化していくといった手法が重要であるということであります。そして、地域住民やボランティア団体の課題解決には、介護関係の部門だけでなく全庁的な取り組みが必要であり、また、そういった取り組みをノウハウ化していくことが今後の行政課題であると言えます。  そこで質問ですが、現在愛知県では幾つの市町村において、総合事業における住民主体による支援の取り組みが行われているのか、また、具体的な取り組み状況と課題についてどのように把握しているのかお伺いをいたします。そして、担当職員の研修や成功事例の共有など、県内市町村の住民主体による支援の取り組みをどのようにサポートしていかれるのかお伺いをいたします。  続きまして、公的保険外サービスについてお伺いをいたします。  公的保険外サービスとは、簡単に言えば民間企業の高齢者向けサービスのことであります。介護保険制度で提供されるものが介護サービスじゃないのかと考える方もいるかもしれませんが、高齢者が抱える生活課題を解決してくれるものであれば、保険外のものであれ、それは立派な介護サービス、社会資源であると広く捉える視点が重要であると私は思います。  特に軽度者の自立支援を考えた場合、本人の意欲がとても重要になってきますので、ケアマネや家族に言われて仕方なく行くデイサービスより、自分で選んで進んで参加する民間企業のサービスのほうが効果的であるケースも多々あると思います。  公的保険外サービスの創出に成功している事例として、本県豊明市の取り組みを具体的に二つ紹介したいと思います。  一つはスーパー銭湯の無料送迎バスを利用した取り組みであります。緑区の徳重にある楽の湯の送迎バスが豊明市内の一部の地域を走っていたが、乗車率が非常に悪かった。それを見かけた職員が、送迎バスがある民間施設は高齢者が毎日外出できる場所になり得ると考え、すぐに市からアプローチ。バスの乗車率向上の協力、住民への周知を申し入れました。  その後、定期ミーティングを重ね、送迎バスの新たなルートを提案するとともに、送迎バスのチラシ、販促用の割引チケット等を共同で制作。地域住民が集まる場で職員が直接配布を行った結果、協力開始以降、送迎バスの利用者数、乗車率ともに対前年度比で二倍から二・五倍になったとのことであります。  もう一つは買った商品を無料配送するスーパーの取り組みです。  豊明市では、愛知県の地域包括ケアモデル事業として、豊明団地における産学官連携の地域包括ケアモデル、けやきいきいきプロジェクトを実施する中で、買い物は自分の目で見て選びたいが、買った商品を持って階段を上ることが難しく、一度にたくさん購入できないというニーズを把握しました。  そこで、駅前のコープに市からプロジェクト会議への参加を依頼。従来の個人宅配の使いにくさ等、高齢者のニーズをともに検討し、店舗で購入した商品を無料でその日のうちに配達するふれあい便をスタート。サービスを使った買い物方法を市がケアマネジャーや住民に周知し利用を促したところ、事業開始後、対事業開始月で利用者数は三・二倍に、客単価は二一%増となったとのことであります。  これらの取り組みにおいて、豊明市は高齢者のニーズに合ったサービスの創出に協力するとともに、サービスの情報を高齢者に届ける役割を果たしています。また、サービスは全て企業の営利事業として行われ、豊明市の金銭的負担はゼロであります。そして、これらの取り組みにより総合事業に移行した介護予防サービスの伸びを抑えることに成功しています。  豊明市における公的保険外サービスの活用の取り組みは、高齢者にうまく情報を伝えられない、高齢者のニーズがわからない民間事業者と、どんなサービスがあるかわからない、利用するきっかけがない高齢者とを、行政の持つ情報と信頼でつなぐというもので、企業はもうかり、高齢者は元気になり、行政は社会保障費を抑えられるという三方よしの取り組みとなっています。また、全ての企業に門戸を開いているという点で行政の中立性を担保しているということでありました。  私は豊明市の取り組みを県内市町村に広げ、今後の高齢化の進展に備えるべきだと考えます。  そこで、何点か質問をいたします。まず、愛知県として公的保険外サービスの必要性についてどのように捉えておられるのかお伺いをいたします。  次に、公的保険外サービスへの取り組みを他の県内市町村にも普及させるべきと考えますが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、県内に多くの店舗を持つような大手企業とは市町村だけではなかなか難しい部分もあると思いますので、県が主体となって連携をし、市町村におろしていくような形で取り組んではどうかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  最後に、公的保険外サービスの利用を選択肢の一つとしていくためには、介護相談の入り口となるケアマネジャーの理解が不可欠であると考えますが、ケアマネジャーへのアプローチをどのように行っていかれるのかお伺いをいたします。  以上で壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 51: ◯産業労働部長伊藤浩行君) 水素社会実現に向けた取り組みのうち、まず、燃料電池自動車(FCV)等の普及促進及びそのインフラである水素ステーションの設置拡大への取り組みについてお答えいたします。  本県ではあいちFCV普及促進協議会を設置し、愛知県、県内全自治体、自動車メーカー、水素供給インフラ関連企業が連携しFCV等の普及に取り組むとともに、本県におけるFCVや燃料電池フォークリフトに対する導入補助等を実施してまいりました。その結果、本県におけるFCV及び燃料電池フォークリフトの普及台数はいずれも全国一となっております。  また、FCVの普及に不可欠となる水素ステーションの整備に対して、補助制度により資金面での支援を行うことで、現在では十六カ所で商用の水素ステーションが運用されているほか、四カ所のステーションの整備が進められており、今年度末には合計二十カ所において運用される予定です。  なお、今後十年間における水素ステーションの戦略的設置、効率的な運営への貢献を目的に、本年二月に、自動車メーカー、インフラ事業者、金融機関等が参画する日本水素ステーションネットワーク合同会社、ジェイハイムが設立されました。今後はジェイハイムとも連携を図りながら、FCV等の普及、水素ステーションの整備促進にしっかりと取り組んでまいります。  続いて、水素の利活用に関する研究、技術開発についてお答えいたします。  本県では、水素利活用分野のさらなる拡大を図るため、平成二十八年度から実施している知の拠点あいち重点研究プロジェクトの中の近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクトにおきまして、水素を製造、利用するための基盤となる技術などの開発を推進しております。  このプロジェクトには、七大学、四研究機関のほか、中小企業十八社を含む企業二十社の合計三十一機関が参画し、八つのテーマで技術開発を進めております。例えば水素炎を用いる加熱炉の開発です。速い燃焼速度、高い水蒸気濃度等、水素の特徴を生かした、CO2排出量が少なく熱効率の高い加熱炉を開発し、自動車や窯業など、さまざまな分野の部品生産過程において低炭素化につなげるものです。これらの技術開発プロジェクトを着実に進めることにより、水素製造の低コスト化や水素関連産業の創出、拡大につなげてまいりたいと考えております。  続いて、水素の利活用に取り組む企業の情報発信についてお答えいたします。  本県では、産学行政連携のもと、水素エネルギーをめぐる諸状況について情報共有し、水素エネルギー社会の形成に向けた機運を醸成することを目的に、愛知県水素エネルギー社会形成研究会を平成二十七年三月に設置し、現在では一千名を超える会員数を擁しております。本研究会の取り組みの一つとして、これまでに十五回、セミナーにより水素に関連するさまざまな情報を提供してまいりました。  現在水素の利活用に取り組んでいる企業の多くは大企業でありますが、中小企業の中にもうまく利活用している企業もございます。今後は中小企業の取り組み内容についてもセミナー等で広く紹介してまいりたいと考えております。  また、今年度は知の拠点あいち重点研究プロジェクトの研究期間の最終年度となりますので、水素に関する技術開発の成果につきましても、今年度末に予定しております成果報告会や、日本最大級の異業種交流展示会メッセナゴヤを初めとする各種展示会への出展など、さまざまな機会を捉えて情報発信してまいりたいと考えております。  最後に、愛知における再生可能エネルギーを使った水素生成と利活用事業の取り組みについてお答えいたします。  本県では、企業も参画するワーキンググループを平成二十七年六月に立ち上げ、中部国際空港島における水素利活用モデルの構築を進めております。その取り組みの一環として、空港島の貨物地区において、再生可能エネルギー、具体的には太陽光発電を利用して水素を生成し、燃料電池フォークリフトに充填する水素供給設備が整備されつつあります。また、貨物地区で業務を行う企業への燃料電池フォークリフトの導入も予定しております。  県といたしましては、こうした取り組みを着実に進めるとともに、各地のイベント等において県民の皆様や企業に対して広く情報発信していくことにより県内全域への拡大に努め、水素社会の実現につなげてまいりたいと考えております。 52: ◯健康福祉部長平田雅也君) 介護における多様な担い手についての御質問のうち、初めに県内市町村における住民主体によるサービスの実施状況についてお答えします。  平成二十九年四月一日と平成三十年四月一日の実施状況を比較しますと、御自宅に伺って行う訪問型サービスでは、十一市町で実施されていたものが十六市町へ、また、御本人が施設等に出向く通所型サービスでは、十三市町で実施されていたものが十七市町となっており、いずれも増加しているところであります。  県では、毎年度各市町村に対し四月時点の介護予防・生活支援サービス事業の実施状況を照会し、住民主体によるサービスの取り組み状況と課題について把握しているところであります。  具体的な取り組み状況として、訪問型サービスでは清掃、ごみ出し、買い物代行など、また、通所型サービスでは体操教室、レクリエーションなどが行われています。  また、課題としては、サービスを提供できる住民団体がない、住民主体のサービスを行うための仕組みづくりができていない、住民が必要とするサービスの需要が把握できていないといったことが挙げられており、県としても担い手の確保や住民意識の醸成の必要性などが課題であると認識しているところであります。  次に、住民主体による支援の取り組みへのサポートについてであります。  県では新しい総合事業の制度が開始された平成二十七年度から、事業の実施主体である市町村や地域包括支援センターの職員を対象に、制度の基本的な考え方や事業の内容について理解を深めていただくための研修を実施してきたところですが、昨年度から全体研修に加え、新たに地区別研修を組み込み、より具体的な取り組みにつなげていただくための研修としております。  特に昨年度は、新しい総合事業に位置づけられた住民主体による多様なサービスをテーマとし、地区別研修では厚生労働省が設置した地域づくりによる介護予防推進支援事業アドバイザーを講師にお招きし、グループワークにより住民が主体的に活動する必要性や効果について理解を深めていただくとともに、全体研修においては、豊明市、半田市に好事例の発表をしていただきました。研修後のアンケートでは、今後の取り組みに生かせると答えた出席者が大多数を占めており、成功事例を通じてノウハウを共有していただけたのではないかと考えております。  引き続きこうした研修を継続することにより、市町村において住民主体によるサービスの取り組みがさらに実施されるようサポートしてまいります。  次に、公的保険外サービスの必要性についてであります。  地域のニーズが多様化する中、多様な実施主体によるサービスの提供が求められており、選択肢の一つとして民間企業による高齢者向けサービスが地域に提供されることは非常に意義があることと考えております。  民間企業が自身の持つ企画力やノウハウを生かし、地域のニーズを把握し、サービスを創設し提供していただくことにより、住民の方の介護予防につながるとともに、住民のニーズに即した多様なサービスが効率的、効果的に提供されるだけでなく、企業においても顧客の増加が図れるなど、市町村、住民、企業それぞれにメリットがあるものと認識しております。  次に、公的保険外サービスへの取り組みを県内市町村に普及することについてであります。
     民間企業による公的保険外サービスへの取り組みについては、議員お示しの豊明市の活用事例がございますことから、市町村職員や地域包括支援センター職員を対象とした研修の場において好事例として紹介してまいりたいと考えております。  さらに、地域において多様な主体による生活支援の担い手の養成、発掘といった地域資源開発やネットワーク化など、多様なサービスの推進を担っている生活支援コーディネーターに対しても情報提供することにより市町村における取り組みを促してまいりたいと考えております。  次に、公的保険外サービスに関する大手企業との連携についてであります。  本県では、高齢者・障害者支援、健康づくりなどの健康福祉に関する取り組みを連携して進めていくため、大手企業と包括協定を締結しているところでございます。このうち高齢者支援に関して協定を締結しました大手スーパー、コンビニエンスストア、日本郵便などの企業におきましては、高齢者の見守り活動や買い物支援などに積極的に取り組んでいただいているところでございます。  県といたしましては、公的保険外サービスの活用について、市町村からの要請に基づき、協定を締結した企業を初め、大手企業に対し働きかけをしていくことは可能であると考えており、市町村の取り組みが進むよう支援してまいります。  最後に、公的保険外サービスの利用を選択肢の一つとしていただくためのケアマネジャーへの対応についてであります。  地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムの構築に向けて、ケアマネジャーは高齢者の多様なニーズに対応するため、介護保険サービスだけでなく、公的保険外サービスなどの地域の社会資源の種類や量を把握し、高齢者と家族の意向も踏まえてケアプランの作成を初めとするケアマネジメントを行う必要があります。  そのため、ケアマネジャーの実務研修において、社会資源の活用についての講義をカリキュラムに組み込むとともに、専門研修、更新研修においても、地域の社会資源の活用に関する演習や事例検討を実施しているところでありますが、こうした研修を通じて企業などによる公的保険外サービスの把握と活用ができるよう努めてまいります。  県といたしましては、高齢者の自立支援に向けての適切なケアマネジメントを実践するため、引き続き地域における社会資源の活用にかかわるケアマネジャーの育成に取り組んでまいります。 53: ◯知事大村秀章君) 川嶋太郎議員の質問のうち、水素社会の実現に向けました取り組みにつきまして私からも答弁をさせていただきます。  本県が引き続き成長を持続していくためには、長期的視野に立ったエネルギーの安定化を図るとともに、本県の基幹産業であります自動車産業の高度化を推進していくことが重要であります。  そのため、水素製造等に関するさまざまな技術開発を推進するとともに、燃料電池自動車(FCV)の普及等による水素エネルギーの活用促進を図るため、そのインフラとなります水素ステーションの整備を推進しておりまして、その数は全国一となっております。今年度もさらに四カ所設置をしていきたいというふうに思っております。  さらに、地球温暖化対策の観点から、再生可能エネルギー等から低炭素水素を製造し輸送、利用いたします低炭素水素サプライチェーンの具体化に取り組んでいるところであります。  この四月には、トヨタ自動車を初めとする県内企業等の連携によりまして、知多市の下水処理場で発生するバイオガスなどを活用して低炭素水素を製造して、燃料電池フォークリフトで利用する知多市・豊田市再エネ利用低炭素水素プロジェクトが開始をされたところであります。  このような取り組みを今後とも続けていくことによりまして、圧倒的な産業集積を誇る日本一の産業県である愛知が、県民の皆様の理解を深めつつ水素社会の実現に向けて、全国といいますか世界のモデルとなるような、そうした形でリードをしていけるようにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。 54: ◯六十五番(川嶋太郎君) 御答弁をいただきました。  要望させていただきたいと思います。  水素の利活用についてでありますが、非常に前向きなお言葉をいただいたなというふうに思っています。先日行われた議長の主催の講演会の中でも、やはり世界のいろんな事業のプラットフォームを得たものが一番利益を得るというようなお話があったように覚えています。そういった意味におきましては、日本、そして技術力の高いこの愛知というのは、水素においては今のところ一番前にいるのではないかなというふうに思っています。  そして、昔では二番じゃだめなのかみたいな話がありましたけど、やっぱり一番じゃないとだめなわけで、そういう意味では、しっかりと水素の分野、一番前にいる日本、そして愛知県がそれを引っ張っていくような取り組みをぜひともしていただければなというふうに思います。ぜひともその点で取り組みをしっかりとしていただくことをお願いしたいなというふうに思います。  それで、介護に関する部分でありますけれども、公的保険外サービスについて、介護保険だけじゃなくて公的保険外サービスもという言い方をしましたが、本来は実は逆であって、民間のサービスで営利事業として成立するものを公的なところがやる必要はないわけです。だから、本当のことを言えば、公的なところがどんなことをできるのかというのをきちんと見定めて、こういうところは皆さんが利益を出してやってくださいという形でやっていただいて、その上で、それでもやはりこれは公でやらなくてはいけないですよねという部分を保険事業がやるというのが本来の姿だというふうに思っています。  ただ、ついつい制度があると考え方が反対こになってしまうので、そういった意味において、いろんな視点を持ってぜひともこの介護の問題を考えていただきたいなという思いの中で今回の質問をさせていただきました。人材確保や認知症の問題等々、本当に大きな課題があるなと思っていましたが、今回はあえてちょっと皆さんの頭をやわらかくしてもらいたいという思いの中で今回の質問をさせていただきました。ぜひとも民間企業との連携とか、こっちのほうが実は前かもしれないというような発想の中で全庁を挙げてお取り組みをいただきますように要望して終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 55: ◯四十番(近藤ひろひと君) 本日はこれをもって散会し、十月一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 56: ◯議長松川浩明君) 近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 57: ◯議長松川浩明君) 御異議なしと認めます。  十月一日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時三十三分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...