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  1. 愛知県議会 2018-02-01
    平成30年2月定例会(第5号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成30年2月定例会(第5号) 本文 2018-03-05 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 59 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長(中野治美君) 選択 2 :  ◯議長(中野治美君) 選択 3 :  ◯議長(中野治美君) 選択 4 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 5 :  ◯議長(中野治美君) 選択 6 :  ◯二十四番(石井拓君) 選択 7 :  ◯教育長(平松直巳君) 選択 8 :  ◯振興部長(野村知宏君) 選択 9 :  ◯議長(中野治美君) 選択 10 :  ◯三十五番(西久保ながし君) 選択 11 :  ◯産業労働部長(吉澤隆君) 選択 12 :  ◯産業労働部労政局長(藤田昇義君) 選択 13 :  ◯農林水産部長(高橋智保君) 選択 14 :  ◯産業労働部労政局長(藤田昇義君) 選択 15 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 16 :  ◯三十五番(西久保ながし君) 選択 17 :  ◯議長(中野治美君) 選択 18 :  ◯十五番(わしの恵子君) 選択 19 :  ◯教育長(平松直巳君) 選択 20 :  ◯健康福祉部長(長谷川洋君) 選択 21 :  ◯県民生活部長(鳥居保博君) 選択 22 :  ◯十五番(わしの恵子君) 選択 23 :  ◯教育長(平松直巳君) 選択 24 :  ◯四十番(中根義高君) 選択 25 :  ◯議長(中野治美君) 選択 26 :  ◯議長(中野治美君) 選択 27 :  ◯副議長(峰野修君) 選択 28 :  ◯四十五番(山本浩史君) 選択 29 :  ◯振興部長(野村知宏君) 選択 30 :  ◯警察本部長(加藤達也君) 選択 31 :  ◯建設部長(河野修平君) 選択 32 :  ◯四十五番(山本浩史君) 選択 33 :  ◯副議長(峰野修君) 選択 34 :  ◯三十二番(犬飼明佳君) 選択 35 :  ◯教育長(平松直巳君) 選択 36 :  ◯環境部長(菅沼綾子君) 選択 37 :  ◯建設部長(河野修平君) 選択 38 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 39 :  ◯三十二番(犬飼明佳君) 選択 40 :  ◯副議長(峰野修君) 選択 41 :  ◯五十番(高桑敏直君) 選択 42 :  ◯振興部観光局長(加納國雄君) 選択 43 :  ◯産業労働部長(吉澤隆君) 選択 44 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 45 :  ◯五十番(高桑敏直君) 選択 46 :  ◯四十一番(近藤ひろひと君) 選択 47 :  ◯副議長(峰野修君) 選択 48 :  ◯副議長(峰野修君) 選択 49 :  ◯議長(中野治美君) 選択 50 :  ◯七十番(森下利久君) 選択 51 :  ◯振興部観光局長(加納國雄君) 選択 52 :  ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 選択 53 :  ◯振興部観光局長(加納國雄君) 選択 54 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 55 :  ◯七十番(森下利久君) 選択 56 :  ◯議長(中野治美君) 選択 57 :  ◯四十番(中根義高君) 選択 58 :  ◯議長(中野治美君) 選択 59 :  ◯議長(中野治美君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時十分開議 ◯議長(中野治美君) おはようございます。  ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 諸般の報告 2: ◯議長(中野治美君) この際、諸般の報告をいたします。  本日、知事から追加提出されました議案は、各位のお手元に送付いたしました。  以上、御報告いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第二 第八十八号議案副知事の選任について及び第       八十九号議案副知事の選任について(提案理由       の説明) 3: ◯議長(中野治美君) 次に、第八十八号議案及び第八十九号議案、いずれも副知事の選任についてを一括議題といたします。  直ちに、知事の提案理由の説明を求めます。  大村知事。     〔知事大村秀章君登壇〕 4: ◯知事(大村秀章君) このたびの二月定例県議会におきまして御審議をいただきます案件は、去る二月二十日に提案したところでございます。  本日は、森岡仙太副知事及び中西肇副知事が本年三月三十一日をもって任期満了となることに伴い、後任者として、副知事の森岡仙太及び総務部長の加藤慎也を選任いたしたく、その同意議案につきまして追加提案をいたした次第でございます。  よろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
           ─────────────     〔議案は別冊付録に掲載〕      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第三 一般質問 5: ◯議長(中野治美君) これより一般質問を行います。  通告により質問を許可いたします。  石井拓議員。     〔二十四番石井拓君登壇〕(拍手) 6: ◯二十四番(石井拓君) おはようございます。自由民主党の石井拓です。  議長より発言の許可をいただきましたので、通告書のとおり質問させていただきます。丁寧かつ明快な御答弁をよろしくお願いいたします。  それでは、一、民俗文化財の保存と継承について質問いたします。  本県は、地理的には東部の三河山間部及び豊橋、岡崎の両平野、西部の濃尾平野、その間の東部丘陵に分けられます。山間部の生業や交通の拠点に集落が営まれ、主要河川である木曽川、庄内川、矢作川、豊川などにより形成された沖積平野や河岸段丘面が古くからの生活の場となってきました。そして、太平洋に張り出す知多半島、渥美半島、この両半島に挟まれた伊勢湾、三河湾が生業だけでなく、古くから海上交通に利用されてきました。  また、歴史的には、関東と関西の中間に位置し、古代より近畿からの文化の流入が常にあったことに加えて、我が国の政治的、社会的大変動の時代である中世以降、東西文化の結節点として大きな影響を受けています。  このような地理的、歴史的な特徴を背景に、本県には地域の特徴を示す貴重な文化財が数多く残されており、長い間大切に継承されてきました。  これらは、地域の歴史や文化を理解する上で重要であるとともに、将来の文化の発展の基礎となるものであります。文化財を適切に保存し、次世代に継承するとともに、積極的に公開して活用することは極めて重要なことであります。  本県では、昭和三十年の愛知県文化財保護条例公布後、その時々の文化財保護の施策などについて対応して、貴重な文化財の保護に努められてきたところであります。  成熟社会への移行が進む今日では、貴重な文化財は指定文化財として保護措置がとられますが、地域活性化の核としてその地域の文化財を幅広く活用し、人づくりや地域づくりに役立てようとする考え方が現在、浸透してきております。  その一方で、生活様式の変容や価値観の多様化、少子・高齢化や過疎化、あるいは農村の都市化など、社会の構造的変容はさらに進み、地域で継承されてきた文化財が後継者不足のためその存続が危ぶまれ、価値が理解されないまま十分な保護措置がとられていない例も少なくありません。  ここで少し私の地元、碧南市の話をさせていただきます。  民族文化財であり、お祭り、祭礼で使われる山車が市内に三台あります。そのほかにお祭りで欠かせないもので、碧南市の無形民俗文化財であるチャラボコがあります。ちょっと楽しい名前でございます。  チャラボコは、山車や花車のように豪華ではありませんが、木製で屋根つき、前後一間半ほどで、前輪が一輪車で後輪が二輪の引き車に花を飾って、太鼓をくくりつけて、笛と太鼓でおはやしを奏して地域を練り歩きます。おはやしのリズムは、相撲太鼓のように軽快なリズムで、太鼓の皮を目いっぱい張って、高い音が出るほどよいとされています。演奏者は小学生を募って、毎年、祭礼に合わせて練習しております。  碧南にはこのようなチャラボコがあって、春なり秋なりの祭礼を行う神社におのおのあり、二十台前後あると言われております。  昭和六十一年にこのチャラボコとみこの舞う神楽の保存と継承を図るために、各地区にある保存会がまとまって、碧南チャラボコ神楽連絡協議会が発足しました。当初はチャラボコ部二十一団体、神楽部二十二団体で構成されていましたが、神楽部については、毎年代表がかわるなどして、数年で解散してしまいました。チャラボコ部の活動はその後も続き、チャラボコの歴史や伝承の検証、碧南ばやしなどの新しいおはやしの作曲などをしてきました。  平成七年、チャラボコ連合保存会という形で、碧南市の無形民俗文化財の指定を受けましたが、指定を受けることによって、祭礼だけの準備で、それを務めるのに精いっぱいのところ、ほかの行事で演奏を行うことや市全体の保存会の活動に時間をとられたくない、そういった理由で、加盟団体も随分減ったと聞いております。  もちろん、今でも地域住民にとって、神社や氏子組織で各地域のチャラボコは維持され、祭礼となればチャラボコの音が聞こえ、気持ちが浮き立つ思いがいたします。地域にとってはなくてはならないものですが、それを継承する後継者不足や、演奏者である小学生の参加不足、楽器の更新など、問題は常にあります。  今後、文化財を適切に継承していくためには、地域がみずからの文化財を再認識するとともに、行政だけでなく、地域社会にかかわるあらゆる主体、実施団体、保存会、地域コミュニティーが参画して、地域の文化財の保護を担っていくことが必要です。おのおのの主体が地域の文化財の保護活動を通じて、地域文化の継承に積極的にかかわることで、地域振興や地域コミュニティーの活性化、地域の特性、アイデンティティーの確立にもつながっていきます。  これらの課題に応えるために具体的な方策として、国のほうでは、文化庁の文化審議会文化財分科会企画調査会の報告書(平成十九年十月)において、歴史文化基本構想が提唱されました。  この歴史文化基本構想は、各地方公共団体、市町村において、文化財保護に関するマスタープランとして、文化財、その周辺環境も含めて総合的に保存、活用するために策定することを推進するものであります。また、文化財保護施策に限らず、文化財を生かした地域づくりに資するものとして活用することも推進しております。  この歴史文化基本構想において、文化財の保護、活用に関して、このように書かれております。   文化財は人々の営みと関わりながら価値を形成してき  たものであり、文化財同士も相互に関連性を持っている  ものです。こうした地域の多様な文化財を継承していく  ためには、個々の文化財について、その単体としての価  値を把握し、指定等により保護していくことに加え、指  定の有無や類型の違いにかかわらず、文化財の価値を総  合的に把握し、それらの関連する文化財と周辺環境を一  体として保護していくことがますます必要とされていま  す。さらに、文化財の顕著な価値だけを評価するのでは  なく、地域独自の視点から評価することも必要です。 とあります。  つまり、地域に存在する文化財を、指定、未指定の区別なく的確に把握し、文化財をその周辺環境まで含めて、総合的に保存、活用する必要があるということです。  本県において、平成二十八年三月に出された愛知県文化財保護指針において、市町村へこの歴史文化基本構想の策定を働きかけるとともに、適切な指導、助言を行っていくとされております。  また、この愛知県文化財保護指針では、文化財指定されていない未指定の文化財に関してもこう述べています。   文化財保護法における文化財の概念自体は、非常に広  い範囲を包含しているが、一般的に文化財と言えば、  国、地方公共団体指定の文化財を指す場合が多い。行政  施策の対象となる文化財も指定、保存のための調査や埋  蔵文化財の発掘調査等を除けば、いわゆる指定文化財に  対する施策が中心となっている。   一方、指定等の保護措置はとられていないが、県民に  とって大切な文化財は数多く存在すると考えられる。本  県ではこのような未指定文化財の把握についての意識が  希薄であったが、こうした未指定文化財についても今後  は保護していく必要がある。そのためには、どこにどの  ような文化財が存在するか、全体的・網羅的に把握する  ことを目的とした文化財の悉皆調査 悉皆というのはことごとく皆という意味でございますが、  を行う必要がある。加えて、将来的に東海・東南海地震  により甚大な被害を受ける可能性のある本県において、  災害が発生した際の対応としても、未指定文化財を含め  た文化財の網羅的把握が求められている。 とあります。  これにより民俗文化財の調査が進み、本県あるいは市町村において文化財あるいは伝統行事が再認識され、その地域の県民にとって地域振興や地域コミュニティーの活性化がかない、住民の定住や民生、福祉、子育てにおける地域協働社会の確立が促進されると思います。  また、本定例会に提出されています第十八号議案愛知県文化芸術振興条例に関しても、その第八条に、県は、伝統芸能(雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能をいう。)及び民俗芸能(山車祭り、棒の手、田楽、獅子舞その他の地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)の継承及び発展を図るため、これらの芸能の公演、活動等への支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとするとあります。  本県において一層文化財の保護と継承が進められ、県民にとって欠くことのできない大切な地域コミュニティーの強固な下地が醸成されるものと思います。  そこでお伺いします。  本県には、古くからさまざまな祭りなど、民俗文化財が大切に受け継がれてきましたが、社会構造の変容や価値観の変化により、今日、多くの文化財と、それを守ることにより伝えられてきた伝統的な地域の社会組織が失われつつあります。  こうした状況の変化から、民俗文化財の保存、活用について新たな方策を講じ、文化財を適切に後世に引き継ぐことが必要だと思うが、県としてどのようにお考えになっていますか。どのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。  次に、二、リニアインパクトについて質問いたします。  リニア中央新幹線は、現在、平成三十九年度の開業を目指して工事が進められております。リニアが開業することで、本県は首都圏と四十分で結ばれ、時間短縮による経済効果など、県民の生活面、経済面に大きな変化と影響を及ぼすことが予想されます。本年度予算でも、名古屋駅スーパーターミナル化推進費補助金を初め、リニアインパクト関連事業推進費など計上され、リニアインパクトの広域化に向けた取り組みの効果を期待するところであります。  リニアインパクトには、首都圏へのアクセス、関西、西日本へのゲートウエー化、リニア新幹線以外の交通インフラの整備、変容などが考えられ、県民にとっては大きく期待されるところであります。  しかし、よい面ばかりではありません。いわゆるストロー現象を懸念するという声がよく聞かれております。  ストロー現象とは、交通ネットワークを整備した結果、経路上の大都市が繁栄し、小都市が衰退してしまうことで、地方の人口や資本、都市機能が大都市に吸い寄せられることであります。  言葉の由来は、瀬戸大橋開通前の開発計画策定の会議場で、本州側と四国側の経済効果を表現した意見の一つでこのような言葉が使われたと言われております。発言者は実際、コップにストローを差して飲んで見せた上で、そのようなことをされておりました。ストロー現象。そのときは中身はアイスコーヒーだったそうですけれども、今は水でございます。  リニア開業により、地方都市は、仕事、学校、公共施設、買い物、娯楽など、都市機能と今から申し上げますけれども、それを失い、人口も減少し、衰退するのではないかという心配です。人口減少が懸念されている当世において、それが加速しかねないということであります。観光の面でも便がよくなり、人がたくさん来ることが期待されていますが、便がよ過ぎて、宿泊や食事の機会などは減少するのでないかという懸念もあります。  本県におけるこのストロー現象は三種類あると思います。  一つ目は、首都圏、東京へのストロー現象で、愛知、名古屋から首都圏へ都市機能と人口が移動してしまうのではないかということ。  二つ目のストロー現象として、リニア停車駅である名古屋駅へのアクセス、利便性がよいほうから順番に、地域や市街地としての発展に優劣が明確についてしまうのではないかということに思います。  名古屋市内でいえば、名古屋駅近郊に近ければ近いほうに都市機能と人口が集中してしまいますのではないかと思います。不動産屋はチラシに、リニア名古屋駅まで何分と、このような広告も出されるかもしれません。  名古屋市外、尾張地域も、鉄道など公共交通機関の駅、路線によって、名古屋駅へのアクセス、時間的に早いほうから順番に優劣が明確についてしまうのではないかと思います。  しかし、尾張地域は一部を除けば、全体として名古屋駅に近いので、リニアインパクトによる経済効果や都市機能の発展に期待が持てると思います。あくまで今言っているのは私の考えでございます。予測でございます。  問題は三河地域です。ストローに吸い込まれてしまうのではないかと思います。  三つ目のストロー現象。三河地域などが特にそうですが、名古屋駅へのアクセスのよいJR東海道本線、名鉄本線の沿線にある地域と、JR東海道本線の駅のない、あるいは名鉄の支線の沿線地域とで優劣がつけられ、西三河内や東三河内という地域の中でストロー現象が起きてしまう懸念があります。これこそが地方都市が衰退すると言われる最たる状態ではないかと、そうなるのではないかと心配されるところです。  このような地方都市こそ、実は自動車や工作機械、産業のサプライチェーンをなして本県の経済を下支えし、常に物づくりに励み、地場産業の技術を継承し、加えて、農業、水産業も県下一を誇る地域であります。そういった地域が衰退するのは本県としても大きな損失となるのではないかと大変な懸念をしております。  リニア名古屋駅まで四十分、四十分圏内。西尾と碧南はもう少しあるんですけれどもね。名鉄西尾線は安城市内まで、名鉄三河線は高浜市内まで四十分。  三河地方においては、東海道新幹線駅の三河安城駅、豊橋駅を利用して、名古屋駅へのアクセスを向上させるという考え方もあります。また、豊田市北部や東三河北部では、中津川など別のリニア中央新幹線中間駅へのアクセスも期待されていますが、パーク・アンド・ライドを含めて、道路ネットワークの充実を図る必要があります。  中部国際空港セントレアにおいても、首都圏空港としての位置づけとして、名古屋駅とのアクセス向上も期待されますが、その反面、首都圏へのストロー現象として、名古屋市近郊の県民は羽田空港を利用することが増加し、セントレアの利用促進が図れないという心配もあります。  リニア開業はこの地域にとって多くの影響があり、よい面はよりよく、悪い面は対策を早急に講じなければならないです。人口減少社会において、人口増を維持し、日本一元気な愛知にしていかなければなりません。重要なのは、名古屋駅から離れている地域において、名古屋駅への鉄道アクセスをより近く、速達化することであります。  名古屋駅への鉄道アクセスについては、国のほうもこの地域の鉄道ネットワークの充実強化に関して、平成四年に運輸政策審議会答申第十二号、名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画についてというタイトルでございますが、そこで指し示されております。  これによって名古屋市市営地下鉄の延伸や、名鉄三河線などの複線化、新線の建設が描かれております。例えば、複線化路線として、豊田市駅から知立駅間は、名鉄でございますが、目標年次までに整備することが適当である路線、知立駅から碧南駅間は、目標年次までに整備の推進を図ることが適当である路線と位置づけられております。平成四年でございますので、今から考えれば、随分昔の話でございます。  この基本計画は、リニア中央新幹線の計画の前のもので、目標年次も平成二十年度となっております。現状とは合わない部分もありますが、しかし、これに基づいて、西三河地域の鉄道の重要性は国も認められているものだと考えられます。また、この基本計画に基づいて、各地域では市町村や商工会議所、商工会などが鉄道各社への要望も続けておると聞いております。  私の地元碧南市も含めた組織として、名鉄三河線複線化促進期成同盟会があり、碧南市、刈谷市、知立市、高浜市の各市長とその四市の商工会議所、商工会の会頭で組織されております。最近では、二年ごとに、名鉄、名古屋鉄道株式会社に対して要望会を開催しております。  昨年十月四日に行った要望会の内容には、名鉄三河線刈谷市駅から碧南駅までの複線化、沿線各地の地域資源を活用した利用促進、リニア中央新幹線開業に向けた速達化としての名古屋駅直通特急の運行、通勤通学者に向けた便の増発と名古屋駅への直通便の再設定、刈谷駅における新幹線利用者に向けたJR乗り継ぎの利便性の向上などがあります。  あくまで地域の要望でございます。ただ、地域の皆さんはそのようなことを考えて、常に要望活動を行っているということです。  本県としても、リニアインパクトを県内に広域的に波及させるため、先ほどの運輸政策審議会答申第十二号の基本計画に基づき整備されてきた鉄道ネットワークを再検証して方策案を取りまとめ、さまざまな取り組みを行われています。  平成二十六年度に愛知県が策定した、リニアを見据えた鉄道ネットワークの充実・強化に関する方策案では、既存鉄道路線の直通運転化、高速化などにより、名古屋駅から四十分圏内の拡大などを目指すため、名鉄三河線の複線化など、名古屋駅と豊田市間の速達化に向けた検討を進めるとしています。  また、この方策案において、名古屋駅からの四十分交通圏内に含まれていない西三河南部地域や東三河南部地域においては、リニア開業後も引き続き東海道新幹線が広域的な移動を支える交通手段になる見込みであることから、東海道新幹線駅のアクセス向上のための取組を促進するとあります。つまり、この地域の県民のために、新幹線駅への鉄道などを使ったアクセス向上を考えていこうじゃないかとなっております。  しかし、ほかの新幹線駅の乗客人数と比較すると決して多くない現状を踏まえて、ひかりやこだまの停車本数の増加に向けてさらなる需要喚起、つまり、新幹線駅の乗降客増加のため、駅周辺の地域の開発や、例えば、観光、三河湾リゾートや、醸造業や食文化を紹介する竜の子街道など、観光資源の充実など、利用促進を図っていくことが重要であります。三河安城駅は国際空港セントレアに一番近い新幹線駅であることも忘れてはなりません。  先月の二月八日には、安城市と安城商工会議所が中心となって、そして、この地域の商工会議所、商工会が加わり、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)へ、地域住民の利便性及び地域経済の活性化並びに観光の促進のため、新幹線三河安城駅ひかり停車について要望書が提出されています。その際には、千三百社を超える地域の賛同者の名簿も提出されたとのことです。  そこでお伺いします。
     リニア開業を見据え、リニアインパクトを広域的に波及させるため、東西三河地域の鉄道ネットワークの充実、強化に向けて、どのように取り組んでいくのかをお聞かせください。  以上で、私からの壇上における質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 7: ◯教育長(平松直巳君) 民俗文化財の保存と継承についてお答えいたします。  各地域で大切に守られてきた文化財は地域社会のきずなやにぎわいをつくり出すものであり、その保存と継承は重要な課題であると認識いたしております。このため、平成二十八年三月に愛知県文化財保護指針を策定し、適切な保護に向けた文化財保護行政のあり方について、必要な視点や考え方を示したところであります。  特に、民俗文化財につきましては、議員御指摘のとおり、生活様式や意識が変化する中で、担い手の減少や資金不足から存続が危ぶまれたり、価値が理解されないまま、消滅の危機に瀕しているものもございます。  こうした課題への対応として、地元の民俗芸能保存団体を小中学校に招き、児童生徒が鑑賞するだけでなく、体験、練習、発表を行う伝統文化出張講座を実施し、伝承活動を支援するほか、県内さまざまな民族芸能保存団体の発表の場として、愛知県民俗芸能大会を開催しているところであります。  また、本県には、ユネスコ無形文化遺産に登録された五つのお祭りを初め、地域で大切に受け継がれてきた多くの山車祭りが存在しており、平成二十七年十二月には保存団体、市町村、県が一体となり、あいち山車まつり日本一協議会を設立いたしました。  この協議会では、保存団体共通の課題である保存と継承について意見交換をするほか、魅力発信のためのイベントやシンポジウムの開催に加え、この一月にはクラウドファンディングを活用し、山車や祭礼用具の保存修理に必要な資金調達を支援する取り組みを始めたところであります。  さらに、地域に存在する文化財をその周辺環境まで含めて総合的に保存、活用を考える歴史文化基本構想の策定を県内市町村に働きかけており、現在までに二市が策定済み、三市が策定中となっております。  教育委員会といたしましては、今後とも、文化財保護指針に基づき、民俗文化財を初めとする文化財保護を総合的に推進してまいりたいと考えております。 8: ◯振興部長(野村知宏君) リニア開業を見据え、三河地域の鉄道ネットワークの充実、強化に向けての県の取り組みについてお答えいたします。  一つ目は、名古屋駅と豊田市間の速達化でございます。  世界的な物づくりの拠点である西三河地域は、今後も本県の成長エンジンとしての役割が期待されております。中でも、県内製造品出荷額等の約三割を占める豊田市は、中心部が名古屋駅から直線でおおむね三十キロに位置し、名古屋市との鉄道による移動者数が多いにもかかわらず、所要時間が四十分を超えております。このため、名古屋駅、豊田市中心部駅間の所要時間を短縮し、名古屋駅からの四十分交通圏域の拡大を図るため、名鉄三河線の速達化について検討を進めております。  これまで、三河線に急行などの電車を運行させた場合の需要動向や、所要時間の短縮等による利用者便益など、速達化の具体化に向けた調査、検討を行いました。そして、その結果を名古屋鉄道に説明し、事業着手の働きかけを地元の豊田市とともに行ってまいりました。  今後は、名古屋鉄道との協議、調整を進める中で、事業規模、事業スキーム等を速達化の実施に向けて検討してまいります。  二つ目に、東海道新幹線駅の利活用の促進についてでございます。  名古屋駅からの四十分交通圏に含まれていない西三河南部、東三河南部地域は、リニア開業後も引き続き、東海道新幹線が広域的な移動を支える重要な交通手段になると見込まれます。  県といたしましては、JR東海に対し、地域の発展に欠かせない新幹線ひかり号の豊橋駅への停車の増便や、三河安城駅への停車を要望しているところでございます。  さらに、今年度、豊橋駅において、その現状や課題の把握のためのアクセス性向上の調査を実施しております。来年度は、三河安城駅でも同様な調査を実施してまいります。  今後ともリニアインパクトが三河地域にも広域的に波及するよう、こうした取り組みを進めてまいります。 9: ◯議長(中野治美君) 進行いたします。  西久保ながし議員。     〔三十五番西久保ながし君登壇〕(拍手) 10: ◯三十五番(西久保ながし君) それでは、通告に従いまして、三項目について質問をしてまいります。  まず初めに、AI、IoT等の先端技術の取り組みについて伺います。  本県は製造品出荷額等四十年連続日本一の、自他ともに認める物づくり王国であります。しかしながら、直近の産業界では、AIを活用したIoT等、情報通信分野におけるさまざまな先端技術開発が加速し、競争も激化してきております。  ここで少し産業界の世界的な動向について触れたいと思います。  本年一月、米国・ラスベガスで、世界最大の家電・情報通信技術見本市(CES)が開催をされました。CESは一九六七年から毎年開催され、これまではテレビやビデオなど家電製品を主流とする最先端技術の見本市でしたが、近年では、AI技術を活用した製品やソフトウエア、ネットサービス、電動化が進む次世代自動車の出展がふえてきております。こうした見本市を舞台として、これまでは異業種と言われていた業種が、今や垣根を越えてタッグを組むという動きが加速をしてきています。  日本では、こうしたAIやIoT等、先端技術の開発や活用が世界に比べておくれをとっていると言われております。その一方で、世界的に最も有名な米国のシリコンバレーに次いで、近年では、中国の北京、深センが急速に躍進をしてきております。  話を戻しますが、産業界では既にパラダイムチェンジが始まっており、これまでのような単にすぐれた製品をつくる物づくりから、AIやIoTを活用し、顧客のライフスタイル全般を対象とした、高い付加価値が備わったサービスをつくるコトづくりを競う時代へと変革してきております。  今後、日本の産業界は、これまで培ってきた現場力を核とした物づくりの強みを生かしつつ、新たな付加価値を提供していくことが重要となります。もはやAIやIoTの活用は、待ったなしの状況に来ております。  そこで質問ですが、このように急速に加速するAIやIoT等の現状を本県としてどのように認識し、対応していかれるのか、伺います。  次に、本県の先端技術の活用に向けた取り組みについて伺います。  昨年六月、名古屋大学が新たな先端技術を生み出すための産学連携の拠点をJRゲートタワーに新設いたしました。新拠点では、AIやIoT、ロボットなどの分野で新産業を創出するとともに、学生ベンチャーや企業関係者が交流し、未来の産業を支える人材を育てていくことを目指しています。  本県では、経済産業省から選定を受け、愛知県IoT推進ラボを設立し、先進的なモデル事業の創出や製造現場へのIoTの導入など、IoTの活躍促進に取り組んでいます。そして、来年度からは新規事業として、新たなビジネスモデルの創出や技術革新を起こすベンチャー企業を支援するため、先導的ベンチャー支援事業を実施すると伺っております。  そこで質問ですが、この先導的ベンチャー支援事業の具体的な取り組みについて伺います。また、事業をきっかけに、本県のAI、IoT関連事業の支援をどのように進めていこうとされるのか伺います。  最後に、IT関連企業の本県への集積について伺います。  平成二十八年の情報通信業基本調査によれば、IT関連企業事業所数は、全国総数二万五千九百六十一事業所に対し、首都圏で一万六千五百二十九事業所、全体の約六四%を占め、本県は千二百六十七事業所で、約五%にすぎません。また、従業員数は全国総数で百六十一万五千五百十三人に対し、首都圏で百二十四万八千九百四十七人、約七七%を占め、本県は四万九千五百七十七人で、わずか三%です。この数値を見ると、いかにIT関連企業が首都圏に集中しているかうかがえます。  私はこの首都圏一極集中に危機感を感じています。先ほども申し上げましたように、これからはAIやIoTを活用し、コトづくりを競う時代へと大変革していくわけですので、製造現場の近くにIT関連企業が少ないということは弱点になると思います。  こうしたIT関連企業が首都圏一極集中する中で、本県の主要産業である自動車産業では、今、百年に一度の大転換期との認識のもと、AIやIoTといった先端技術を駆使し、自動運転やEV化に取り組んでいます。EV化は、エンジンが要らないなど、構造がシンプルになり、ガソリン車に比べ、部品点数が約四割減るという分析もあります。  本県はまさにこの自動車産業に携わる就業者が他県に比べ圧倒的に多く、産業構造が急速に変わることで、企業の倒産や従業員の雇用に大きな影響が出てくることが懸念をされます。こうした産業界のパラダイムチェンジが進む中、新たな産業、雇用創出、確保のためにも、IT関連企業の集積を積極的に推進すべきと考えます。  また、中小企業経営者の中には、先端技術を学ばせる優秀な人材を採用したいが、そうした人材は大手企業を希望する者が多く、中小企業では確保できない実情も伺いました。そうした中小企業の支援のためにも、IT人材の活躍の場がふえていくことが重要だと思います。  IT関連企業は、ビジネスパートナーを探すのに都会が有利な面もありますが、一概にそれだけではないと思います。  先日、IT企業の地方誘致に積極的に取り組んでいる徳島県の神山町でお話を伺いました。神山町は人口約五千人で、かつては限界集落と言われていたそうです。その神山町では、従来の企業誘致ではなく、人口をふやすことで地域活性化につなげる人材誘致という視点から集落再生を目指しています。全国屈指のブロードバンド環境を生かして、空き家や古民家、遊休施設をサテライトオフィスとして展開し、現在はIT企業の地方誘致における理想的モデルとまで呼ばれております。  今回見学させていただいたのは、閉鎖された元縫製工場をサテライトオフィスに改修し、共同の仕事場としてIT企業関係者等が集い、交流を通して新たな価値を創出しています。県職員もその一角に事務所を構え、その活動をサポートしています。  そこには、限界集落というより、空き家や古民家をおしゃれに改修したサテライトオフィスがところどころにあり、新しい息吹が芽生え始めていると感じました。山村の多い本県としても、こうした方法でIT関連企業を呼び込み、集積することも大変参考になると思います。  昨年本県が出した愛知に住みたくなるブックを見ますと、東京と比較した項目もたくさんあります。例えば、住宅価格は東京二十三区の半分以下、家賃は東京の六割以下、駐車場料金が三分の一以下、通勤時間が一日当たり三十分以上短いなど、企業活動をするにはさまざまな好条件が整っています。とりわけ、IT関連企業にとって、現地現物を基本にソフトウエア開発をすることは大変重要であり、産業集積日本一の製造現場を持っている本県での企業活動は優位性が非常に高いと思います。  そこで質問ですが、IT関連企業の集積についてどのように認識をし、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。  次に、中小企業の人材育成支援について伺います。  本県には、約二十二万社の中小企業があり、約百八十四万人の方々が働き、この愛知の物づくりを支えています。その中小企業に対する本県が行ったアンケート調査結果によれば、多くの企業で人材確保、人材育成が大きな課題となっています。この中小企業対策については、我が団として研究会で取りまとめ、中村団長の代表質問でも触れましたが、私からは人材育成に絞って伺いたいと思います。  今回、私たちはアンケート調査結果の課題を検証するために、中小企業関係団体の皆さんと意見交換を行いましたが、やはりアンケート調査結果同様に、人材確保、人材育成が大きな課題となっていることを再認識いたしました。  経営資源の乏しい中小企業にとって人材は貴重な財産であり、いかに人材を育成していくかは、中小企業が事業を継続していく上で根幹にかかわる非常に重要なことであります。そして、人材育成には多大な時間と費用がかかり、中小企業が単体で行うことは難しい場合もあるため、人材確保と同様に、愛知県、市町村、支援機関等と連携し、取り組むことが重要であります。  本県には物づくり産業が多く、長年にわたる就業経験によって得られた技術、技能や専門的な知識、ノウハウ等を持っている、即戦力として活躍できるスキルの高いシニア人材も多く、その能力を役立てたいと考えるシニア人材と中小企業をマッチングすることが重要な視点だと思います。  こうした物づくり愛知を築き、支えてこられた多くのシニア人材の皆さんは団塊の世代と呼ばれ、既に六十五歳を超え、多くの人が会社を去っています。しかしながら、六十五歳から七十四歳までの要支援、要介護者はわずか四%にすぎません。元気な高齢者が多いのが実態であります。私の先輩たちもそれぞれに人生を謳歌されていますが、話を聞けば、フルタイムでなければ、自分が培ってきたものを教えることぐらいできるわなとの声も聞きます。  愛知県内には、こうした元気で、経験豊かで、能力が高く、かつ行動的な高齢者がたくさんみえます。労働力不足が深刻化している本県の中小企業において、高齢者が働きやすい環境を整備し、能力を最大限生かし、生きがいを持って活躍できる就業機会を提供することが必要であります。  代表質問でもお示ししましたように、六十五歳以上の高齢者のうち、約八割が高齢期にも高い就業意欲を持っていながら、現実の就業比率は全体で約二割と非常に低い状況となっています。そして、就業意欲を持つ多くの高齢者の特徴的なことは、一つは、フルタイム雇用でなく、パートタイム的な働き方を望んでいること。もう一つは、単に収入を得ることだけでなく、自分の知識や経験を地域社会へ役立てたいという社会参加や社会貢献に意義を見出す高齢者も少なくないということであります。  こうした高齢者の気持ちを考えますと、フルタイムではなく、必要なときに必要な期間だけ、必要な能力を発揮できる働き方が望ましいようであります。  本県には、人材育成の仕組みとして、本県独自事業として熟練技能者派遣事業と、国の事業としてものづくりマイスター派遣事業があります。  熟練技能者派遣事業の概要は、若手技能者のスキルアップを目的として、中小企業等が希望する職種について熟練技能者を講師として派遣し、実技指導を行うもので、指導時間は一回三時間程度で、五日以内であります。そして、ものづくりマイスター派遣事業の概要も、高度な知識、技能を持ったものづくりマイスターを中小企業等に派遣し、人材育成を図るというもので、目的はほぼ一緒であります。  今後も国の制度は併用していけばよいと思いますが、いつまで継続されるか不透明なことを考えると、本県独自の熟練技能者派遣事業を充実させることが必要であります。本日は、この熟練技能者派遣事業について伺います。  二十八年度の実績は、八事業者が五職種で三十六日、延べ人員百五十六人ということですが、県内には約二十二万社を超す中小企業がある中でこの実績では、中小企業の人材育成に対する要請に応えることはできません。  この事業の具体的な方法は、県が年に一度、募集期間を設け、その期間中に中小企業が申請をし、決定後、その都度、必要な職種の熟練技能者を探し、派遣する方法で行っています。  私は、その都度、熟練技能者を探すのではなく、本県には数多くの熟練シニア人材がいるわけですので、登録制のシニア産業人材バンクを設立し、柔軟な運用とすることで、能力を役立てたいと考えるシニア人材と中小企業のマッチングを活性化させることが重要であると思います。  そこで質問ですが、登録制のシニア産業人材バンクの設立についてどのように考えているのか、伺います。  次に、運用面について伺います。  現行では、派遣募集期間が年一回となっていますが、中小企業の人材育成の時期は、新入社員受け入れ時や期間従業員を受け入れ時等、企業によりさまざまであり、派遣募集期間が現行の年一回では、十分な対応ができないと思います。必要なときに随時受け付け、派遣できるような柔軟な対応が必要であります。  また、指導時間についても、職種や能力により異なるため、現行の一回三時間程度で五日以内という制約も柔軟に対応する必要があるのではないかと思います。  ただし、現在の限られた県負担による講師派遣では、こうした中小企業のニーズに応えることはできません。柔軟な対応や、さらに拡充するには、みずからの企業をより強固な体制とするための必要な資金と捉え、応分の企業負担を求めていくことも必要ではないかと思います。  例えば、現行の一回三時間程度で五日以内を県負担の上限とし、それ以上は企業負担とするなど、費用負担の考え方もあわせて整理、検討する必要があると思います。  自社だけではなかなか人材育成まで手が回らない中小企業にとっては、費用負担をしてでも、能力の高い熟練技能者の派遣を望む声は多いと思います。  そこで質問ですが、こうした運用面についてどのように考えているのか伺います。  最後に、地理的表示保護制度について伺います。  昨年十二月十五日、西尾抹茶に続き本県二件目の八丁味噌が地理的表示保護制度、いわゆる地域ブランド、GI登録がされました。本県にとって喜ばしいことである一方、江戸時代からの製法を守り続けている、私の地元、岡崎の老舗二社が外れるなど、大きな課題を残したと言わざるを得ません。  まず、初めに、地理的表示保護制度、GIについて触れておきたいと思います。  GI制度とは、地域の伝統的生産方法を持った特産品を地域ブランドとして保護する制度であり、模倣品の排除などを目的とした、大変重要な制度であります。GIは欧州で認知度が高く、欧州委員会の調査によれば、登録のない一般商品に比べ、価格が二・二倍になるとも言われています。  日本でも対応を急いでおり、EUとのEPAが妥結した昨年十二月には、これまで四十八品目であった登録が、八丁味噌を含め、一気に十品目ふえ、五十八品目となり、さらに、二月に一品目追加され、現在では五十九品目が登録をされております。しかしながら、今回の決定で岡崎の老舗二社は欧州で八丁味噌を名乗れないばかりか、国内ではGIマークは使用できません。  ここで岡崎の八丁味噌について少し紹介をしますと、八丁味噌の由来は、江戸時代、岡崎城から西へ八丁、約八百七十メートルの距離にある八丁村、現在の八帖町で二軒のみそ蔵がつくったことから、その八丁村の名前から八丁味噌と呼び始めたのが起源と言われております。  その特徴は、八丁村の気候風土の中で先祖たちの経験と試行錯誤の結果、導き出されたのが、二夏二冬、二年以上の熟成期間ということでした。ほかにも、石積み、大豆こうじづくり、木おけなど、先祖たちが築いてきた伝統を守り続けています。  見学をされた方も見えると思いますが、木おけ一杯のみそは約六トン。積み上げる石の山は約三トン。熟練した職人が崩れないようにバランスよく石を積み上げた姿は芸術的に見えます。  今回の八丁味噌GIブランド登録をめぐってはさまざまな報道がされておりますが、少しこれまでの経緯を申し上げたいと思います。  GI申請については、平成二十七年六月一日に岡崎市の老舗二社を中心とする八丁味噌協同組合、以後、八丁組合が申請し、少しおくれて六月二十四日に、愛知県内四十三社で構成されている愛知県味噌溜醤油工業協同組合、以後、県組合がそれぞれ申請をしました。しかしながら、製法の違いなどから、審査は統一に向け約二年の調整が続きましたが、溝が埋まることはありませんでした。  報道によれば、八丁組合は六百年以上守ってきた二年以上熟成させる二夏二冬基準など、厳格な製法を盛り込むよう求めていましたが、学識者会議では、長期熟成によるまろやかさなど微妙な味の違いは数値にあらわしにくいとの意見や、県組合の各社も数十年を超す実績があり、農水省は一夏以上熟成させることを含めた県組合の製法を認め、結果的に、昨年十二月、GIブランドに認定されたのは県組合からの申請でありました。  農水省は海外で偽造品が出回る事態を避けたかったと言われますが、双方の製法の違いを認め、双方を認定する方法はなかったかなど、国の調整不足は否めないと思います。  途中で八丁組合側が申請を取り下げた形になっていますが、八丁組合側は、争いがある場合、認めないと言っていたはずなど、不信感を拭えない状況であり、国に対して不服申し立てをする構えでいます。確かに、ガイドラインにも、GI制度に登録申請するには、地域での合意形成が前提条件となりますと記載をされております。  地域での合意形成がなされないまま登録決定されたことは大変遺憾に思います。そして、少なくとも、申請者含め、関係者が理解できる判断基準等を示すべきではないかと思います。  今回のGI登録決定までにはさまざまな難しい背景もあったと思いますが、創業数百年もの歴史と伝統を守り続けてきた、日本でも屈指の老舗企業がGI登録から外れたことは、そもそも、伝統的生産方法を持った特産品を地域ブランドとして保護するというGI制度の趣旨に反するどころか、国や本県にとって大きな損失であると思います。自国のかけがえのない伝統的な地域ブランドは何としても全て守っていくという強い姿勢を感じられないのが残念であります。  本県としても、国の判断とはいえ、いいともあいち運動を推進し、ブランド力強化に力を入れているわけですので、GI登録に積極的にかかわる必要があると思います。  そこで質問ですが、今回の国の判断を本県としてどのように受けとめているのか、また、今後、国に対してどのように対応していこうと考えているのか、伺います。  次に、GI制度について、県の対応について伺います。  GIへの登録申請は、生産者団体が全国九カ所あるGIサポートデスクの協力を得て、農林水産大臣に申請する方法となっています。ですから、現在の制度上は県が絡まない仕組みとなっていますが、GI制度は、国はもちろんのこと、県内の特産品を地域ブランド商品として保護し、積極的に海外へ販売していくためにも大変重要な制度であり、県としてもしっかり関与して、GI登録を進める立場にあると思います。  GI登録申請をできる要件は、同じ区分、種類の農林水産物等と比較して差別化された特性を有した状態で、おおむね二十五年、生産または加工された実績が必要とのことであります。県内には、そうした条件にかなう特産品は絞られますので、その特産品を扱う団体にGI制度の趣旨を説明し、理解を深め、申請に向け積極的に支援すべきだと思います。  現在GI登録されている五十九品目の中には、特産松阪牛や但馬牛、夕張メロンなど全国的に有名なものから、吉川ナスや山内かぶら、美東ごぼうなど余り知られていないものもありますが、要件さえ整えば登録可能であります。報道では、平成二十七年六月以降、百五十弱の申請が行われているということであります。  なお、県別には、福井県が五件、鹿児島県が四件と上位を占めており、本県は二件となっておりますが、県として積極的に関与すれば登録もふえ、今後、海外展開を有利に進めることができるはずであります。できれば、県庁内にGIブランド登録推進チームでも立ち上げ、強力に推進すべきではないかと思います。  そこで質問ですが、このGI制度に積極的に関与していくべきと考えますが、県として今後どのように取り組んでいかれるのか伺い、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 11: ◯産業労働部長(吉澤隆君) AI、IoT等の先端技術の取り組みに関する御質問のうち、まず、AIやIoT等の現状の認識についてお答えいたします。  従業員百名以上の企業を対象に行われた総務省の調査によれば、アメリカやドイツ、イギリスでは六〇%前後の企業がIoTの製品や技術を導入または提供しているのに対し、日本企業は二五%程度にとどまっているとの結果があります。  こうした現状からすれば、製造業を初め産業の裾野が広い本県においては、大量のデータをAIを用いて処理し、IoTを用いて人、物などのさまざまな主体につなげていくことにより、より高い付加価値を生み出していく余地は大きいと考えられます。  次に、今後の対応については、本県に不足していると言われているAIやIoTといった技術の中核部分である革新的なソフトウエアを開発、提供する企業を県内で育成し、また、首都圏、世界から誘引するとともに、県内のすぐれた物づくり企業との連携を深めていくことが重要であると考えられます。  このため、物づくりを含む県内企業と、AIやIoT関連のすぐれたソフトウエア技術を持つ企業を引き合わせ、これまでに考えつかなかったような新たなビジネスモデルをともに構築し、ユーザーに普及していく仕組みとして、例えば、IoT分野では愛知県IoT推進ラボ、AIを中心とする自動運転分野ではあいち自動運転推進コンソーシアム、ロボット分野ではあいちロボット産業クラスター推進協議会といった県が運営する各種の協議会をさらに活用することにより、AIやIoTの産業現場での開発、導入を一層促進してまいります。  続きまして、先導的ベンチャー支援事業の具体的取り組みについてお答えいたします。
     本事業は、愛知県での事業展開を計画する、創業間もないスタートアップと言われる企業の皆様を対象に行うものです。  スタートアップとは、これまでに考えつかなかったような技術やビジネスモデルを用いて、社会を大きく変え得る商品、サービスを創出して、急速かつ大きな成長を目指す企業をいいます。  県内外から幅広くビジネスプランを公募し、選定したスタートアップに対して五カ月程度の短期集中支援を行うことにより、事業化につなげていくことを目指します。  具体的には、まず、メンターと呼ばれる著名事業家などによるメンタリングと呼ばれる個別面談や、知的財産や資金調達などの経営マネジメントの専門家からのアドバイスを受け、ビジネスプランのブラッシュアップを行います。そして、プログラム終盤には、その成果をベンチャーキャピタルや物づくり企業などに対して提案することにより、資金調達や物づくり企業との事業提携といった具体的な事業展開につなげていくことを目指すものです。  次に、本事業をきっかけとしたAIやIoT関連事業の支援についてお答えいたします。  本事業をきっかけに成長したスタートアップに、先ほど申し上げました本県が運営する各種の協議会に参画していただくことにより、AIやIoTの産業現場での開発、導入を一層促進する効果が期待されます。  また、本事業を、物づくり企業を含めた大手企業、大学、金融機関、既に成功している先輩起業家など、なるべく幅広い県内の経済主体の参加を得つつ、また、こうした主体による類似の取り組みと連携、協働して実施していくことにより、より大きな波及効果を発揮することを狙ってまいります。  こうした取り組みを通じて、AIやIoT関連のすぐれた人材や技術を愛知に呼び込み、物づくり企業と連携していく中で新たなイノベーションを起こし、それがさらなるスタートアップを誘因するインセンティブとなって成長を続けていくといった、イノベーションが循環する仕組みを愛知全体として根づかせていくことを目指します。  最後に、IT関連企業の集積についてお答えいたします。  議員御指摘のIT関連企業、つまり情報通信業を営んでいる企業は、東京を初めとする首都圏に集中していることに加え、人材面でも、県内の大学や高校を卒業し、首都圏に流出している学生のうち一定割合は、首都圏のIT関連企業に就職していると推察されます。  一方で、本県はユーザーとなる物づくり企業が多く集積し、マーケットとしての魅力があることに加え、首都圏と比較して住みやすい環境にあるなど、IT関連企業やIT人材が事業を行う場所として優位性があると考えております。  こうした優位性を生かすとともに、各種の支援策を講ずることによりIT関連企業の立地を促し、成長を支援し、すぐれた人材の育成、誘引を図ってまいります。  具体的には、企業立地の面では、産業空洞化対策減税基金を活用した立地補助金により、IT関連企業が県内に研究所を新増設する場合の費用を補助いたします。  また、愛知県を含む自治体や経済団体で構成するグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会では、外資系IT関連企業が県内に事業所を新たに設立する場合の経費の一部を助成いたします。  さらに、新あいち創造研究開発補助金により、IT関連企業のさらなる成長のために必要となる研究開発費用を補助いたします。  人材面では、先ほど申し上げました先導的ベンチャー支援事業に加え、東京と名古屋に設置したあいちUIJターン支援センターを活用し、首都圏からの人材還流を促進いたします。  このような取り組みにより、IT関連企業の集積形成を促し、愛知の強みである愛知の物づくり企業の集積との相乗効果により、本県産業をより強固なものにすることを目指してまいります。 12: ◯産業労働部労政局長(藤田昇義君) 中小企業の人材育成支援のうち、まず、シニア産業人材バンクの設立についてお答えいたします。  県では、中小企業等の人材育成を支援する取り組みの一環として、平成二十七年度から、中小企業等に対して熟練技能者を実技指導の講師として県費負担により派遣する、熟練技能者派遣等事業を実施しております。  これまで延べ七十四の企業、大学に対して延べ八十三人の講師を派遣してまいりましたが、こうした中で、熟練した技能を持ち、指導力にすぐれた企業OBを初めとするシニア人材の存在が明らかになってまいりました。  そこで、新年度は、これらの優秀な人材をあいち技の伝承士として登録し、中小企業等に講師を派遣、紹介する、あいち技能伝承バンクとして運用してまいりたいと考えております。  次に、バンクの運用面についてお答えいたします。  あいち技能伝承バンクでは、県費負担による講師派遣を引き続き実施するほか、新たに、中小企業等が自己負担で技能実習等を行う場合に、このバンクに登録したあいち技の伝承士を講師として紹介することといたします。  県費負担による講師派遣の募集は年一回でございますが、企業負担の講師紹介については随時受け付けをすることから、中小企業等が必要とするタイミングで指導を受けたり、一度指導を受けた講師に継続指導を受けたりすることが可能になります。  引き続き有能なシニア人材を講師として発掘しつつ、産業人材育成課内に設置している愛知県産業人材育成支援センターのコーディネーターが調整役となって中小企業とのマッチングを行い、シニア人材を活用した中小企業の人材育成を支援してまいります。 13: ◯農林水産部長(高橋智保君) 地理的表示保護制度についてのお尋ねのうち、初めに、今回の八丁味噌の登録に対する県としての受けとめと国への対応についてであります。  地理的表示保護制度、いわゆるGI制度につきましては、地理的表示に加えて、GIマークを活用することにより他の産品との差別化が図られるほか、国が不正使用の取り締まりを行うため、生産者は訴訟等の負担なくブランドを守ることができるメリットがあり、地域ブランドの保護や活用に有効な制度であると認識しております。  このGI制度の登録につきましては、議員お示しのとおり、団体が直接国に申請する仕組みとなっているため、八丁味噌の登録におきましても、県として国の判断における審査状況等を十分に承知していないところであります。  しかしながら、八丁味噌は愛知の食文化を代表する貴重な地域資源でありますので、国においては、GI登録における審査の経過などを関係団体に十分に説明され、納得が得られるよう調整を図っていただきたいと考えております。  また、今後は、GI制度への理解と信頼を高めるため、関係する複数の団体がある場合には十分な調整を行うことや、審査の経過や判断の根拠を十分に説明することなどを国に要請してまいりたいと考えております。  次に、GI制度に係る県としての今後の取り組みについてであります。  本県におきましては、GI制度が創設された平成二十七年度以降、国のGIサポートデスクや生産者団体と連携しながら説明会などを開催して、制度の普及啓発に努めてきたところであります。  当初は申請を見送る団体が多くありましたが、登録事例がふえる中で、地域ブランドを有する団体における制度の理解が進み、申請手続を進める団体が出てまいりました。また、日EU・EPAなどの発効を見据え、海外における地域ブランドの保護制度として、輸出に取り組む団体などの関心も高まっているところでございます。  こうした中、県といたしましては、平成二十八年三月に策定した食と緑の基本計画二〇二〇の重点プロジェクトの一つに位置づけているいいともあいち・ブランド力強化プロジェクトにおいて、県産農林水産物のブランド力の強化による需要拡大に取り組んでおりまして、今後は、GI制度のさらなる普及啓発に努めてまいりたいと考えております。  具体的には、部内の関係各課で構成するプロジェクトチームを中心として、地域ブランドを有する団体を支援するための方策を検討するとともに、GI制度に関する相談会などを開催してまいります。  こうした取り組みによりGI制度の活用を促進し、地域ブランドの保護に努めるとともに、県産農林水産物のブランド力の強化や輸出促進にしっかりとつなげてまいります。 14: ◯産業労働部労政局長(藤田昇義君) 先ほどの私の答弁で、熟練技能者の派遣先といたしまして、延べ七十四の企業、大学というふうに申し上げましたが、延べ七十四の企業、学校でございますので、修正をさせていただきます。申しわけございませんでした。 15: ◯知事(大村秀章君) 西久保ながし議員からの質問のうち、AI、IoTの今後の対応について私からも答弁をいたします。  本県は自動車を中心とした産業にイノベーションを起こし、人、物、金、情報を呼び込み、新しい産業や雇用、消費、投資を生み出していくという愛知型の成長モデルを磨き上げてきたところであります。本県が引き続き成長を持続していくためには、自動運転など新たな技術革新をもたらすAIやIoTといった最先端技術を開発、提供する企業を県内で育成するとともに、首都圏や世界から誘引をし、県内物づくり企業との連携を深める環境を整えていくことが重要であると考えております。  このため、産業界、大学など、関係するさまざまな主体と連携をし、県内物づくり企業とAIやIoTなど最先端の技術を有する企業が連携する環境づくりに取り組むことにより、世界から最先端の頭脳を集め、情報交換を活性化し、知の集積がイノベーションと豊かさにつながる好循環を生み出すことにより、産業首都あいちをより強固なものにしてまいりたいと考えております。 16: ◯三十五番(西久保ながし君) 二点、要望したいと思います。  中小企業の人材育成についてですが、長年培ってきた技術とか技能というのがすごいものだということも、私も近くで見て感じてきましたので、そうした能力が少しでも県の技能伝承ということで生かせるような仕組みになっていくということで、これは大変意義深いというふうに思っています。  できるだけ早く登録に力を入れていただきたいんですが、登録したら終わりでは宝の持ち腐れになりますので、ぜひしっかりとその人たちが能力を発揮して、中小企業の皆さんの力になるように、運用面にも力を入れていただきたいと思います。  それから、GIの制度については、これは本当に難しい問題がたくさんあったと思いますが、数百年にも及ぶこの歴史、伝統文化を守ってきたものが認められずに海外戦略が優先されたということは、私は非常に残念に思っております。日本人が一番大事にしてきた歴史、伝統文化、こういったものをないがしろにするような、私は社会風土をつくってしまってはいけないというふうに思います。  国がしっかりと調整機能を果たすのはもちろんですが、県も、県内で起きていることなので、知らぬ存ぜぬでは私はいかんと思います。やっぱり積極的に手を差し伸べて、相談に乗ってあげられるような姿勢が欲しいと思います。  これまで、本当に長きにわたって、この愛知県のためにも頑張ってこられた人たちが悩み苦しんでいるわけですので、そういった温かい行政運営にもこれからしっかりとやっていただくことを要望して終わります。 17: ◯議長(中野治美君) 進行いたします。  わしの恵子議員。     〔十五番わしの恵子君登壇〕(拍手) 18: ◯十五番(わしの恵子君) 通告に従い、最初に、子供の貧困対策について質問します。  子供の貧困は、社会問題となっています。それは、子供にとって機会の不平等が最も大きくあらわれるからです。原因は、政府が進めてきた雇用、福祉、社会保障の切り捨てによる貧困と格差の拡大です。  こんな中で、愛知県が二〇一六年十二月に、県内全域の小中学生について三万三千人を対象に生活実態を調査。大村知事が子供の貧困問題は世代をまたいで連鎖させないという決意を持って臨まれたことを私は高く評価します。  子どもの貧困対策検討会議が提案した子どもが輝く未来に向けた提言は、県内の全ての子供が夢と希望を持って成長できるよう、一、教育の機会の均等、二、健やかな生育環境、三、支援体制の充実の三つの視点から、四十八の取り組みを示しています。この提言を受け取った知事は、今後の愛知の施策の道しるべとして、しっかりと目を通させていただき、実現してまいりたいと述べられました。  そして、提言を取りまとめた検討会議では、委員から、子供たち固有の社会的関係を学校が十分に受けとめて、家庭環境の違いにかかわらず、子供たちが希望を持って日々の学級、学年で仲間とのかかわり、学習にチャレンジできる、そういう学校環境が基本と、他の委員からも、今回の提言では、教育の機会の均等が最初になっており、子供が未来への希望を抱くことができるよう、教育の機会をどう保障していくのかが非常に重要であると意見が出されています。  そして、詳細分析結果を見ると、学校の授業についてわかると答えた子供の割合は、小五、中二とも保護者の所得が高いほど高く、大学、大学院までの進学希望でも、所得区分が高くなるにつれて高くなっています。一方、貧困家庭の子供は、小五のときから既に大学、大学院まで進学することを諦めている傾向があります。  だからこそ提言では、学校において高校、大学への進学や社会での自立が可能な基礎学力を身につけられるよう指導を充実させる。その基礎的環境づくりとして、義務教育段階における少人数学級のさらなる充実を図ることを第一に掲げています。  しかし、今議会の知事の提案説明の中には、少人数学級のさらなる充実については掲げられていません。これまでの少人数学級の実績については、教師にとっても、一人一人の児童にかかわる機会がふえ、児童にとっても、わからないことや困ったことにすぐ対応してもらえることがより多くなったなど、先生方からも大変高く評価されていることは御存じのことと思います。  そこで質問ですが、子供の貧困調査を行った検討会議の提言の中では、少人数学級のさらなる充実を図ることとありますが、私としても、小中学校の少人数学級を拡充して、親の経済的状況に左右されず、全ての子供たち一人一人が行き届いた教育を受けられるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  次に、スクールソーシャルワーカーの拡充と活用についてです。  提言では、学校に通える環境づくりとして、子供の抱えるいじめ、不登校などの課題、家庭における問題や高校中退等に対応するため、小中学校及び高校におけるスクールソーシャルワーカーの充実を図ること、また、奨学金制度に関する保護者への情報提供に努めることを挙げています。  文部科学省は、いじめ、不登校、児童虐待、暴力などの諸課題の解決を図るためのコーディネーター的な存在として、スクールソーシャルワーカーの活用を進めています。  そこで質問です。  スクールソーシャルワーカーの意義とその配置について、そして、今後どのように拡充していくのか伺います。  次に、学習支援事業、子ども食堂支援事業は、各地で市民や学生らのボランティアで進められ、大きな成果を上げています。とりわけ、我が子と向き合う時間がとれず、勉強も見てやれない、生活にゆとりがなく、子供においしいものをつくってあげられないなどの悩みを抱えたひとり親家庭、生活困窮者世帯にとって、大切な子供の居場所づくりにもなっています。  私も両事業を視察しましたが、学習支援事業については、スタートした当初は落ちつかない子供たちが、人の話を聞き、自分の意見も言え、勉強もわかるようになり、成績も向上していると、学習面だけでなく、親ともつながって、生活支援やその世帯を支える大切なものであります。子ども食堂については、県内マップがつくられるほど各地での活動が進み、あいち子ども食堂ネットワークも結成されています。  子ども食堂も伺いました。友達同士、仲よく食事をしていた子供たちは、おいしいよと元気いっぱいでした。月に一回でも食事をいただき、後片づけもやらなくてもよい、うれしいですと、お母さんの笑顔に心がほっとしました。  このように、子ども食堂は、子供にも親にとってもかけがえのない大切な居場所であり、何よりの子育て応援だと実感しました。一人一人の子供たちを見守り、子供たちの貧困を何とかしたいと、無料学習塾や子ども食堂の活動に参加されるボランティアスタッフや大学生、元教師等の社会的活動が広がることはすばらしいことだと思います。  そこでお聞きしますが、ひとり親家庭の子供を含む生活困窮者世帯の子どもの学習支援事業について、どのような状況なのか、今後の取り組みについてはどのようにお考えか、伺います。  次に、子供の貧困をなくすには、親の低賃金や不安定雇用の改善、教育無償化、社会保障など、総合的な改革が必要ですが、医療分野では、子供の医療費無料化が最優先の課題です。そこで、私は、子供の医療費無料化に限って質問します。  子供が病気やけがをしたとき、お金を気にしなければならないことほど、つらいことはありません。病気にかかりやすい乳幼児がいる家庭、ぜんそくやアトピーなど、通院の回数が多い子供のいる家庭にとっては、医療費が大きな負担となっています。特に貧困家庭にとって、子供の医療費窓口無料は切実です。  しかし、政府は、窓口負担の無料化、軽減に取り組む自治体に、国庫負担を減額するペナルティーを科しています。来年度から一部廃止を決めましたが、全廃ではありません。全国知事会は昨年八月、厚生労働省に全廃を要望しました。  愛知県の子供の医療費の無料化については、二〇〇八年四月から、通院では小学校就学前、入院では中学卒業まで実施されていますが、その後の拡充は全くされていません。  そのため、通院では、五十四自治体全てが県基準を拡大し、中学卒業まで無料は、四十九自治体が取り組んでいます。そして、現在、入通院とも十八歳まで無料は、東郷町、飛島村、南知多町、設楽町、東栄町、豊根村の六自治体が実施しています。安城市は、入院についてのみ無料です。  住んでいる自治体によって子供の医療費助成を受けるのに格差があるのは問題ではないでしょうか。県内のどこに住んでいても、同じように子供の医療費助成が受けられるようにすべきです。  そこで質問です。  子供の貧困対策を進めようとしている愛知県は、緊急的には、通院、入院とも中学卒業までの無料化を直ちに実行すべきですが、いかがですか。そしてさらに、十八歳までの医療費無料化を検討すべきと思いますが、答弁を求めます。  二つ目は、一時保護所を含む児童相談センターについてです。  一月二十三日、愛知県西三河児童・障害者相談センターの一時保護所で保護していた豊橋市の十六歳の少年が施設の居室内で自殺という記事が報道されました。児童を保護し、子供の安全・安心を守る一時保護所で、子供の命を守り切れなかったことはあってはならないことで、大変残念に思います。  そこで、数点に及び質問します。  第一に、児童相談センターと一時保護所についてですが、全国では、二百九児童相談所に対し、百三十六の一時保護所があります。東京都は、児相が十一に対し、一時保護所は七となっています。神奈川県は、児相が五に対し、一時保護所は三となっています。  ところが愛知県は、十カ所の児童相談センターに対し、一時保護所は児童相談センターとは別に設置され、しかも、二カ所に集中しています。このような状況では、保護した児童に対し、担当する児童相談センターの職員が日常的に接する機会が保障されておらず、児童相談センターの役割が十分に果たせないのではないですか。お答えください。  第二に、亡くなった少年が暮らしていた一時保護所は、定員が四十八名のマンモスの保護所で、うち、少年のいた男子棟は、定員十四人に対し、少年を含む十一人が入所していました。  一時保護所は、家庭から切り離された子供たちが暮らす場所であることから、何よりも子供に安心感と安全を提供する機能を十分担えることが必要です。一カ所に四十八名もの定員は、問題を抱えた一人一人の子供たちに寄り添ったきめ細やかな対応ができるのか心配するものですが、いかがですか。  第三に、この一時保護所は混合処遇といって、虐待を受けた子供たちと、それ以外の非行等の子供たちも一緒に暮らしています。  この問題では、昨年四月に行われた国の新たな社会的養育の在り方に関する検討会にて、行動様式等が異なる子供の混合処遇とならないよう、自治体の他の一時保護所と、入所児童の受け入れについて、役割分担の実施を掲げています。  そこで質問ですが、県は一時保護所での混合処遇による問題について、どのようにお考えでしょうか。  第四に、住みなれた家庭から突然切り離されて集団生活に入る子供は、同じ一時保護所で一緒に暮らす子供たちとの関係でも不安を感じやすいと考えます。  そこで、できる限り学習権の保障や、運動や遊びの保障、季節ごとの行事、例えば、七夕祭りやクリスマス会、おひな祭りなど、仲間たちと一緒に楽しめる催しなども行われるべきと思いますが、どのようにされているのでしょうか。  第五に、児童相談センターにおける児童虐待相談件数は、ここ数年、ふえ続けています。子供たちに寄り添い、きめ細やかな対応をするためにも、職員の力は欠かせません。そのため、数年前と比較しても、職員の数は相当ふえていると思います。特に、単独の建物となっている知多、刈谷、一宮の児童相談センターについては、古いばかりか、狭くて大変だとお聞きしています。さらに、改正児童福祉法のもとで、さらなる職員増が必要です。  そこで質問ですが、虐待で苦しむ子供たちや非行等の子供たち、保護者との面談や相談活動を行う児童相談センターが十分な機能を果たせるよう、これら三つの児相については建てかえを行い、その際には一時保護所も併設する。そうすれば、一時保護所のマンモス化の解消もできると考えます。  また、児童相談センターから一時保護所に児童を移送するときも遠くて大変。何よりも、児相で子供の担当になった職員がいつもそばにいて、子供の様子を見ることができないという問題もあるとお聞きしますので、ぜひとも改善していただきたいと思います。いかがでしょうか。  ことし一月二十九日の中日新聞、くらしの作文、みんな、楽しくの記事には、三十八歳の母親が児童相談所で、母と娘、そして児童福祉司、児童心理司さんが一緒になって話し合ったことに対し、全てを捨て、ひとり親家庭となり、現在の地に引っ越し、勇気を振り絞って児童相談所に電話をした、貧困と見通しの立たない将来への不安で泣いてばかりだった、つらいとき、困っているときは助けを求めていいんだと心境をつづっていました。  そして、私は、児相の職員が、生活苦にあえぎ、絶望のふちにいる家庭、生きることを放棄したいような崖っ縁に立たされている児童の抱えている苦悩に立ち向かって悪戦苦闘し、それを親、児童と共有し、一緒になって乗り越え、再び児童と家族が生きる希望と夢を持って人生にチャレンジしている姿に、児相の仕事が本当にとうといと、ヒューマンな仕事だと誇りを持っていますと語った手記を読んで、胸が熱くなりました。児童相談センターの職員の果たす役割は本当に大切だと改めて思いました。  そんな思いを酌んでいただき、児童相談センターと一時保護所のあり方について見直しをしていただくよう強く求めて、質問とさせていただきます。  最後に、ヒバクシャ国際署名について、大村知事に日本共産党県議団の議員として、三度目の質問をさせていただきます。  昨年七月七日、人類史上初めて、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が、国連加盟国の三分の二に当たる百二十二カ国の賛成で採択されました。  昨年十二月、国際NGO、ICANがノーベル平和賞を受賞。NHKは、   メンバーたちは、二十代から三十代の世界の若者たち  が中心。四年前、核兵器の非人道性について話し合う国  際会議に参加したメンバーは、核兵器を法的に禁止する
     ために、インターネットやSNSを駆使して、世界中の  NGOと連携し、条約に賛同する国を少しずつふやして  いった。折しも北朝鮮が核兵器の開発を推し進め、これ  にアメリカが軍事力の行使も辞さない構えを見せる中、  ノーベル平和賞の選考委員会は、世界は、今かつてない  ほど核兵器が再び使われるおそれがある。核兵器がもた  らす壊滅的な結末に注目を集め、条約の採択に尽くした  努力をたたえると、ICANの功績を評価した。 と報じています。  こういう中で、二月十四日付の中日新聞に、核兵器禁止条約採択~なぜ日本は署名しないのか~という愛知県知多市八幡中学二年の女子生徒の記事が目に飛び込んできました。     〔パネル図を示す〕  これです。  これは、子どもと先生の新聞コンクールに応募された九千二百十六作品から、中日大賞に輝いた八作品の一つです。  簡単に紹介したいと思います。  ここですけど、この小さな部分ですけれども、ここに載っています。  核兵器禁止条約になぜ日本は署名しないのか疑問が湧き、今回の切り抜き作品で考えることにしました、そして、条約ができたことを伝える記事と、署名しないという日本の反応、被爆者の声をテーマにまとめましたと紹介し、最後に、彼女は、被爆した方々のつらい経験と思いを知り、世界から核兵器をなくすにはどうすればいいのか、ずっと考えていきたいと結んでいます。  知事もお読みになったと思いますが、愛知の中学二年の女子生徒に代表されている切々とした思いを受けとめ、ぜひとも、ヒバクシャ署名に賛同されることを願います。  ことし一月八日現在、ヒバクシャ国際署名に署名をされた自治体首長の数は千十五首長で、この中には二十の県知事が含まれています。また、愛知県内では、二十三の市町村長が署名をされています。  核兵器廃絶への世界の願いが強まる中、平昌にて平和の祭典、オリンピックが開催されました。平和で友好的に行われ、北朝鮮とは対話の可能性も大いにあると、世界が期待し、見守っていました。今こそ愛知から政府に対し、核兵器禁止条約の参加を迫り、核兵器廃絶の世論を盛り上げるべきです。  愛知県は共産党県議団議員へのこれまでの答弁の中で、国際情勢を踏まえた国の考えがあると述べていますが、地方自治体の首長である知事が直接答弁をされていません。  そこで、改めて知事に伺います。  平均年齢八十歳を超えた被爆者が命がけで集めているヒバクシャ署名、また、先ほど紹介したように、愛知の中学二年生の女子生徒に代表されるように、将来を担う若者たちの願いです。  大村知事もぜひヒバクシャ国際署名に賛同して、署名をしていただきたい。愛知県から日本政府に対して、核兵器禁止の批准を迫るべきだと考えますが、答弁を求めます。  これで、壇上からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 19: ◯教育長(平松直巳君) 子供の貧困対策についてのお尋ねのうち、まず、小中学校の少人数学級の充実についてお答えいたします。  本県では、きめ細かな指導により学習習慣や生活習慣の定着を図ることを目的として、平成十六年度から小学校第一学年で、平成二十年度から小学校第二学年で三十五人学級編制を行っております。  また、中学校進学とともに学級担任制から教科担任制となるなど、教育環境が大きく変化することに伴う学校生活への不適応や、学習のつまずきを防止する目的で、平成二十一年度から中学校第一学年でも同様に、三十五人学級編制を行っております。  さらに、本県におきましては、個に応じたきめ細かな指導を重視するために、こうした少人数学級とあわせて少人数指導を推進し、少人数教育の充実に取り組んでおります。  本県の児童生徒数は全国と比べて緩やかな減少にとどまっており、少人数学級のさらなる拡充のためには、多くの新たな教員の採用や教室の整備が必要となりますことから、国の法制度化による支援が不可欠であると考えております。  今後も国に対し、教職員定数の拡充が図られるよう強く要請してまいります。  次に、スクールソーシャルワーカーについてお答えいたします。  スクールソーシャルワーカーは、学校が社会福祉等の専門家を活用することで、児童生徒の家庭環境等の改善を図り、充実した学校生活を送ることができるようにするために配置しているものであります。  本県では、平成二十八年度から小中学校へのスクールソーシャルワーカー配置のための補助制度を設け、市町村における配置促進を図っているところであります。平成二十八年度は九市町、今年度は十四市町が、この制度を活用してスクールソーシャルワーカーを配置しております。  また、県立高校におきましては、平成二十七年度に二名、二十八年度からは六名のスクールソーシャルワーカーを拠点校に配置しており、要請に応じ、全ての高校に派遣できる体制をとっております。  教育委員会といたしましては、今後も多様な課題を抱える児童生徒に適切な支援ができるよう、スクールソーシャルワーカー未配置の市町村に配置を働きかけるとともに、県立高校における支援・相談体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 20: ◯健康福祉部長(長谷川洋君) 私からは初めに、ひとり親家庭の子供を含む、生活困窮世帯の子どもの学習支援事業についてお答えをいたします。  子供たちの学習支援事業としては、県や市が実施する生活困窮者自立支援制度による子どもの学習支援事業や、ひとり親家庭の子供に対し市町村が実施する子どもの生活・学習支援事業の取り組みがあり、現在、県内の二十九市町において、いずれかの学習支援事業が行われております。  これらの学習支援事業は、学校の勉強の復習や宿題の習慣づけ、学力向上を目的とした学習支援の場であるとともに、子供が安心できる居場所として、重要な役割を担うものと考えております。  県では、生活困窮者自立支援制度の子どもの学習支援事業の拡充を図るため、来年度、県が実施する町村域で新たに五カ所ふやし、九町で実施する予定としております。  また、市町村の学習支援事業をサポートするため、愛知県社会福祉協議会が運営するボランティアセンターにおいて、学生や元教師を中心に二〇二二年までに五百人の学習支援ボランティアの確保を目指す事業に、引き続き助成をしてまいります。  県といたしましては、市町村や社会福祉協議会と協力しながら、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもの学習支援事業の取り組みが県内全市町村に広がるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、子ども医療費についてお答えをいたします。  本県の子ども医療費助成制度につきましては所得制限なし、一部負担金なしで、通院については小学校就学前、入院にあっては中学校卒業までと、全国でも高い水準にあります。  実施主体である市町村におきましては、県の助成制度をベースとして、地域のニーズを踏まえたそれぞれの政策的判断により、順次助成対象の拡大を図っているところであります。  県といたしましては、子ども医療を初めとする福祉医療制度は、限られた財源の中で持続可能な制度として、まずは現行制度を維持することが課題であると考えております。  なお、子ども医療につきましては、医療保険のさらなる充実、あるいは新たな支援制度の創設など、全国一律の制度となるよう国に働きかけてまいりました。  こうした要望の結果、国民健康保険の減額調整措置につきましては、平成三十年度から、未就学児までを対象とする医療費助成については行わないということになりました。  今後とも引き続き国に対して要請をしてまいります。  次に、児童相談センターについて、五点お尋ねをいただきました。  まず、一時保護した児童に対する児童相談センターの役割についてお答えをいたします。  一時保護した児童に対する児童相談センターの役割は、それぞれの心身の状況や置かれた環境に応じて、必要な指導方法や支援内容を定めた援助方針を作成し、この援助方針に基づき、親子再統合に向け、児童や家庭を支援することになります。  そのため、一時保護所に保護された児童につきましては、担当する児童相談センターの児童福祉司や児童心理司が定期的に訪問し、面接やカウンセリングを通じて、きめ細やかな児童のケアを行っているところであります。  また、日ごろの一時保護所における児童の学習や生活面などの状況についても、児童相談センターの担当職員が一時保護所に勤務する児童指導員等と緊密に連携し、情報共有を図りながら、適切にケアを行っているところであります。  県といたしましては、こうした児童一人一人に寄り添う対応により、一時保護した児童に対する児童相談センターの役割は十分果たしているものと考えております。  次に、一時保護所の定員に関する御質問についてお答えをいたします。  一時保護所は、尾張、三河地域の二カ所にあり、入所定員は合わせて七十八人であります。  なお、詳細な場所は、保護者の不適切な行動により児童の保護に支障を来すおそれがあることから、児童の安全を確保するため、公表いたしておりません。  三河地域にある一時保護所の定員につきましては、小学二年生までの幼児が生活する幼児棟に二十人、小学三年生以上の男子棟に十四人、女子棟に十四人の合計四十八人となっております。  一時保護所におきましては、各棟ごとに専任の児童指導員等を配置し、児童を担当する児童相談センターとも連携を図りながら、それぞれの児童の状況に応じたきめ細やかな支援を行っているところであります。  次に、混合処遇についてお答えをいたします。  一時保護所への入所理由は非行や児童虐待などさまざまでありますので、児童それぞれの状況に応じた対応が必要であります。  本県では、児童が落ちついて生活できるよう、虐待を受けて入所した児童と、非行により入所した児童ができる限り接しないようにするために、入所理由等からより注意深く丁寧な生活指導が必要と思われる児童については、個室を活用するなどして、混合処遇の問題に十分配慮しながら、適切に対応しているところであります。  続きまして、一時保護所における学習などについてであります。  一時保護所に保護された児童は学校に通うことが難しいことから、一時保護所においては、教員OBを二名配置し、児童の年齢や学力に配慮した適切な教材を使い、毎日の日課として学習指導を行っております。  また、生活指導として、毎日、午後に運動の時間を設けましてバスケットボールなどの運動をするとともに、テレビやゲーム、読書などの自由時間を設けております。  さらに、七夕やクリスマス会といった季節の行事等を随時開催し、児童の心に残る思い出づくりにも心がけているところであります。  最後に、児童相談センターの建てかえについてお答えをいたします。  議員お示しの三つの児童相談センターにつきましては、愛知県公共施設等総合管理計画に基づき、長寿命化対策を進めることとしており、その中で執務スペースの狭隘などのふぐあいについても改善を図ってまいります。  このうち、刈谷児童相談センターは、今年度、施設長寿命化基本調査を実施したところ、建物のコンクリートに著しい劣化は見られず、長期の継続使用が可能であるとされたところであります。  なお、今年度、刈谷及び一宮の児童相談センターにつきましては、人員増に伴い、執務室を拡大する改修を行ったところであります。  また、一時保護所については、平成二十七年度に、三河地域に加え、尾張地域の一時保護所を開所し、大幅に定員をふやしたところでありますので、当面、新たな一時保護所の増設は考えておりませんが、現在、国において検討が進められております一時保護ガイドラインを踏まえまして、今後、対応が必要となった場合には、一時保護のあり方を検討してまいりたいと考えております。  なお、児童虐待相談件数の急増に迅速かつ的確に対応するため、児童相談センターの児童福祉司や児童心理司、保健師の専門職員を今年度は十六人、来年度はさらに十六人増員し、児童相談センター全体の体制強化を図ったところであります。  限られた人員の中で、児童相談センターの職員は、児童の安全、命を守ることを第一に、強い使命感を持って、複雑、困難な事情を抱える児童一人一人に寄り添って、懸命に取り組んでおります。  今後とも児童相談センターの専門職員の確保や人材育成を図るなど、児童相談センターの機能強化にしっかりと取り組んでまいります。 21: ◯県民生活部長(鳥居保博君) ヒバクシャ国際署名についてお答えいたします。  ヒバクシャ国際署名は、被爆者が呼びかけ人となって国連に提出するため、国際的な署名活動を展開しているもので、核兵器を禁止、廃絶する条約の締結を全ての国に求める内容となっております。  改めて申し上げるまでもなく、核兵器がもたらします破滅的な結果を踏まえれば、核兵器の廃絶は人類の誰もが願う、共通の切なる思いでございます。  しかしながら、核兵器禁止条約をめぐりましては、昨今の国際情勢などを踏まえた国の考え方があり、全ての国に条約の締結を求めるヒバクシャ国際署名や、日本政府への条約批准の働きかけについては、慎重な対応が必要と考えております。 22: ◯十五番(わしの恵子君) それぞれお答えをいただきましたけれども、一点だけ再質問をさせていただきます。少人数学級に対する教育長の答弁です。  少人数学級の効果を認めておられながら、きめ細かな指導に効果が上がっていると認めておりながら、広げていくという答弁ではありませんでした。  少人数学級は多くの教員の配置が必要だとか、教室の不足、そういうことを原因に挙げられたと思いますが、そして、国がストップしているから、国に対して引き続き要望していきます、そう言われました。私は、国に要望していただくのは、当然のことだと思います。  だけれども、このままでは、愛知県がせっかく子供の貧困調査を行って、検討会議の委員の方からも、教育の機会均等が必要だと提言が出されました。にもかかわらず、これまでどおりの答弁ということでは、本当に残念な思いです。  少人数学級を拡充することを初めから否定するものではないでしょうか。私は、子供に向き合う姿勢が不足しているのではないかと思います。  そこでお聞きしますが、少人数学級を拡充するために、多くの教員の採用が必要であるということですので、私は、順次段階的に、少人数学級を拡充することはできないのかと思います。  具体的には、最初の年は、例えば小学三年生、そして次年度は中学二年生に広げる、こういうやり方をすれば、一度に大量に先生を雇わなくても、そしてまた、多大なお金を使わなくてもやれるのではないかと思いますが、お答えください。 23: ◯教育長(平松直巳君) 少人数学級について、重ねてのお尋ねでございますが、少人数学級を順次拡充する場合におきましても、新たに多くの教員を採用した上で、将来にわたって配置を継続していく必要がありますことから、国の法制度化による恒久的な支援は不可欠であると考えております。  したがいまして、今後も国に対し、教職員定数の拡充が図られるよう、強く要請をしてまいります。  なお、本県の小中学校では、児童生徒が基礎学力を確実に身につけられるよう、全ての学年において一学級を複数の教師で指導するチームティーチングや、一学級を二つ以上の学習集団に分けるなどの少人数教育を実施しているところであり、今後も少人数学級とあわせて、少人数教育の充実に取り組んでまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 24: ◯四十番(中根義高君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 25: ◯議長(中野治美君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 26: ◯議長(中野治美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時十分開議 27: ◯副議長(峰野修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  山本浩史議員。
        〔四十五番山本浩史君登壇〕(拍手) 28: ◯四十五番(山本浩史君) 通告に従い大きく三点について質問します。  初めに、移住・定住施策の推進について伺います。  総務省統計局が本年二月に発表した人口推計によれば、平成二十九年九月の確定値で、前年同月に比べ総人口が二十二万五千人減少しています。中でも、十五から六十四歳人口、いわゆる生産年齢人口は五十九万八千人減少している一方で、六十五歳以上の人口は生産年齢人口の減少数に近い、五十六万二千人増加しています。  言うまでもなく、人口の減少は労働力の減少、さらには消費の縮小という負のスパイラルに陥るため、日本経済、地域経済にとって極めて憂慮すべき問題です。さらに、生産年齢の大幅な減少が負のスパイラルをさらに加速させており、こうした状況が既に全国で急速に進んでいるというのが現在の日本であると思います。  本県は全国都道府県において数少ない、人口の増加している自治体です。しかし、一方で、県内市町村ごとの人口増減には大きな格差があり、全体の底上げなしには持続的な発展は望めないと考えます。  本県が二〇一五年十月に公表した愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略には、県内市町村別人口の増減がグラフで掲載されています。     〔パネル図を示す〕  これは国勢調査のデータをもとに、一九八〇年を百とした二〇一〇年の人口増減率をあらわしています。縦の赤いラインが百であり、ここに届いていない青色の自治体が減少している自治体です。  一九八〇年から二〇一〇年比では、多くの自治体で人口が増加しており、具体的には、増加自治体が四十七自治体、減少自治体は七自治体です。特に、東三河山間地域である設楽町、東栄町、豊根村、また、南知多町の減少幅が大きくなっていることがわかります。  一方、本データは一九八〇年からといういささか過去のデータであることから、近年のデータを比較してみます。本県の統計課が平成二十二年の国勢調査をまとめ、平成二十三年十二月に公表したグラフがあります。     〔パネル図を示す〕  先ほどは一九八〇年から二〇一〇年比でしたが、これは、二〇〇五年から二〇一〇年の市町村別の人口増減率をあらわしています。グラフに入るラインから右側が人口減少自治体です。先ほどの表では、減少自治体が七自治体でしたが、十五の自治体で人口が減少しています。  次に、本県の統計課が平成二十七年の国勢調査をまとめ、平成二十八年十一月に公表したグラフがあります。     〔パネル図を示す〕  これは、二〇一〇年から二〇一五年の市町村別の人口増減率をあらわしています。同じように、グラフに縦に入るラインから右側が人口減少自治体ですが、減少自治体は十五から二十二へとふえ、実に県内約四割の自治体へと増加しています。もはや人口減少問題は、山間地域に加え、多くの県内自治体が直面する課題になりつつあると考えられます。  さて、本県は物づくりの県であり、製造業を初め、良好な職場にも恵まれていることや、名古屋市を核とした大都市圏を形成していることから、こうした地域への県内からの人口移動が、人口増加自治体の人口増に拍車をかける一因ともなっているとも考えられます。  生活しやすく魅力ある地域づくりの結果、県内自治体間で人口が移動することは自然の流れであると言えますが、一方で、結果的に県内自治体間での人の奪い合いということが強化されるような流れが生じれば、健全で持続的な本県の発展において憂慮すべきものであると言えるのではないでしょうか。  本県政策企画局が平成二十八年十月に公表した愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略と関連施策には、総務省のデータに基づく全国都道府県における人口増減のグラフが掲載されています。     〔パネル図を示す〕  これは、二〇一五年一月から十二月までの一年間における人口の自然増減、社会増減が示されています。本県はグラフのほぼ中央です。  言うまでもなく、注目すべきは、極めて突出した社会増を誇る東京都と、グラフで隣接する埼玉県、神奈川県、千葉県です。東京一極集中については、平成二十六年十二月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略で次のように分析されています。   地方と東京圏の経済格差拡大等が、若い世代の地方か  らの流出と東京圏への一極集中を招いている。首都圏へ  の人口集中度が約三割という実態は、諸外国に比べても  圧倒的に高い。地方の若い世代が、過密で出生率が極め  て低い東京圏をはじめとする大都市部に流出することに  より、日本全体としての少子化、人口減少につながって  いる。   人口減少は、地域経済に、消費市場の規模縮小だけで  はなく、深刻な人手不足を生み出しており、それゆえに  事業の縮小を迫られるような状況も広範に生じつつあ  る。こうした地域経済の縮小は、住民の経済力の低下に  つながり、地域社会の様々な基盤の維持を困難としてい  る。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会  開催を前に、東京一極集中と地方からの人口流出はます  ます進展している。   このように、地方は、人口減少を契機に、人口減少が  地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加  速させるという負のスパイラルに陥るリスクが高い。そ  して、このまま地方が弱体化するならば、地方からの人  材流入が続いてきた大都市もいずれ衰退し、競争力が弱  まることは必至である。 としています。  こうした流れを食いとめるために、さまざまな施策が展開されているところですが、今回は拡大する本県の人口減少自治体における、主に、大都市圏からの移住・定住促進という観点に絞り質問いたします。  まち・ひと・しごと創生本部が策定したまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、総合戦略には、東京都への転入超過を是正するために、地方への新しい人の流れをつくるとし、地方移住の推進を政策パッケージに掲げています。  二〇一四年に内閣官房が行った調査によれば、東京在住者の約四割が地方への移住を検討している、または、今後検討したいと考えており、多くの方が地方移住について関心を寄せている結果が示されています。  総務省が各都道府県及び市町村に聞き取り調査を実施し、移住相談窓口等において受けた相談件数をまとめていますが、平成二十七年度が全国で十四万二千件であるのに対し、翌年度の二十八年度は二十一万三千件と、一・五倍に増加しています。  なお、総務省では、地方への新しい人の流れをつくるため、平成二十七年三月に、東京駅八重洲口近くに地方への移住関連情報の提供、相談支援の一元的な窓口として移住・交流情報ガーデンを開設し、また、全国の仕事や住まいなどのデータを一元的にわかりやすく提供する全国移住ナビも開設し、運用を始めています。  現在、大都市圏からの移住、定住を促進するため、全国の都道府県、市町村で、独自の取り組みも進められています。  隣接する静岡県では、移住・定住情報サイトゆとりすと静岡を運営しています。そのトップページには、中京圏の皆様に朗報!の見出しで、栄、中日ビルへの月一回の移住相談デスク開設のお知らせが掲示されています。  三重県では、三重県移住・交流ポータルサイトええとこやんか三重を開設し、三重移住相談デスクin名古屋を開催しています。  岐阜県では、移住・定住ポータルサイトふふふぎふを開設運用し、名古屋市内のレストランにおいて、岐阜県産の食材を使った料理を囲んでの移住相談が受けられるビュッフェセミナーを開催しています。  県内自治体で注目すべきは、南知多町です。  先ほど申し上げたとおり、総務省では、平成二十七年三月にウエブサイト全国移住ナビを開設しました。これは、関係省庁と連携し、全国の自治体と共同して構築するもので、居住、就労、生活支援等に係る総合的なワンストップのポータルサイトです。  南知多町は、冒頭、述べたとおり、県内でも三河山間地域に次ぎ、人口減少の大きな自治体ですが、総務省が開設しているこの全国移住ナビにおいて、二月現在、市区町村プロモーション動画アクセスランキング一位、市区町村ローカルホームページのアクセスランキングも断トツの一位です。大都市圏からの問い合わせも多くあると伺っています。  また、私の地元、田原市では、人口増加と地域活性化を図るため、田原市定住・移住促進奨励金制度を設け、定住、移住のための住宅取得を支援するなどしています。  現在、本県では、厚労省の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用し、産業首都あいち実現に向けた中堅・中小企業の競争力強化による雇用創造プロジェクトを展開しています。  この厚労省の事業は、各都道府県の提案する事業から、コンテスト方式により安定的な正社員雇用の創造効果が高い事業を選定し、プランを選定された都道府県は、地域の関係者で構成する協議会を設置した上で、最大三年間、事業を実施するというものです。  本事業の求職者向け就職支援として、本県では、あいちUIJターン支援センターを運営委託し、事業推進を図っています。  就職イベント等を通して潜在的なUIJターン希望者を掘り起こし、県内企業の魅力発信や個別相談等のきめ細かな就労支援を行うというもので、本県企業への人材確保のみならず、移住・定住施策としても期待するところですが、しかし、一方で、本事業の本年一月末現在の実績によれば、その受け入れ先の職場は約七四%が名古屋市内であることを初め、約九七%が人口増加自治体への就職であり、人口減少する県内四割の自治体の移住、定住には結びついていないのが現状です。  そこで伺います。  本県において人口減少自治体が増加する状況に対し、どのような問題意識をお持ちでしょうか。また、こうした自治体への移住、定住の促進が必要だと考えますが、県では今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。  次に、高齢運転者の交通事故防止対策について伺います。  日本では、近年の急速な高齢人口の増加とともに、高年齢層の自動車免許保有者が増加しています。警察庁のまとめによれば、この十年間で七十五歳以上の運転免許保有者数は倍増しており、今後さらなる増加が推計されています。  平成二十八年における都道府県別・年齢別運転免許保有者数は、六十五歳以上の保有者数で比較した場合、本県は全国で二位、七十歳以上では全国一位、七十五歳以上についても全国一位となっており、また、七十五歳以上の保有者数については、平成十八年が十三万四千三百人だったのが、平成二十八年には三十一万一千五人と、二・三倍以上増加しています。  これは単に七十五歳以上の人口が増加していることにとどまらず、七十五歳以上の免許保有率が平成十八年の二四・七%から二十八年には三七・二%に増加していることも大きな要因であると思われます。  こうした流れは今後も続くことが予想されるため、高年齢者の交通事故防止対策は、本県の交通安全施策において今後ますます重要性が増してくるものと思います。  特に近年は、高速道路の逆走が大きな問題となっています。高速道路の逆走は重大な事故に結びつきやすく、死傷事故となる割合が高速道路での事故全体に比べ約五倍、死亡事故となる割合が約四十倍になると言われており、平成二十三年から二十八年まで、年間二百件前後で推移しています。  国土交通省の取りまとめた分析では、免許人口当たりの逆走件数について、五十九歳までのドライバーが十万人当たりおおむね〇・一程度であるのに対し、七十五歳から七十九歳が一・四一、八十歳から八十四歳が二・四七、八十五歳以上が三・八六と急激に増加していることがわかります。七十五歳以上の割合は、免許保有者の六%であるのに対し、逆走した運転者の四五%を占めています。また、最後まで逆走の認識がないドライバーにおいては、高齢者が九割以上を占めているとしています。  自動車の運転は、信号や歩行者、周囲の交通状況等々、的確に把握し、瞬時に判断しなければなりません。加齢に伴うさまざまな状況を認知する能力の低下は誰にでも起こり得ることだと思いますが、事故に結びつくことのないよう、適切な対策が求められています。  こうした中、昨年三月十二日、高齢運転者による交通事故を防止するため、更新時の高齢者講習を合理化、高度化するとともに、臨時認知機能検査等の新たな制度を盛り込んだ改正道路交通法が施行されました。  具体的には、七十歳から七十四歳の高齢者講習は、講習時間を三時間から合理化して二時間とし、七十五歳以上の方の高齢者講習は、講習時間を二時間三十分から、認知機能検査の結果に応じて、合理化した二時間の講習、または高度化した三時間の高齢者講習のいずれかを受講することとなりました。  また、信号無視や一時不停止、また、みずからの不注意により人身事故の当事者となった七十五歳以上の高齢運転者は臨時に認知機能検査を受け、その低下がうかがわれる場合などには、自動車学校での講習などを受けていただくという制度も導入されました。  こうした制度がしっかりと機能すれば、認知機能の低下による交通事故の抑止が期待されます。しかし、当該制度が導入されたことで、新たな問題が生まれております。  それは、高齢運転者の免許更新です。  七十五歳以上の高齢運転者の免許更新は、有効期限の半年前から認知機能検査を受け、その結果に応じた高齢者講習を自動車学校で受講し、警察署などで免許の更新を行うこととなっています。  まずは自宅近くの自動車学校などに電話して、認知機能検査を予約し、受検することとなりますが、高齢運転者人口の増加に加え、新たな高齢者講習の実施による負担増加等により、現在でも、自動車学校によっては、予約した日から認知機能検査を受検できるまで数カ月待ちとなっており、その後、高齢者講習についても、予約した日から受講日まで、さらに数カ月待たなければならないという状況になっております。  国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、二〇一〇年に約六十六万人であった愛知県の七十五歳以上の人口は、二〇四〇年には百二十万人を超えると推計されており、今後ますますの増加が見込まれております。  であるにもかかわらず、さきに申し上げたとおり、免許更新に必要な高齢者講習制度は破綻をしかねない状況に陥っております。加えて申し上げますと、臨時認知機能検査についても、現在、県内六カ所でしか行われておらず、その利便は十分なものとは言いがたい状況にあります。  こうした状況を踏まえ、我が党議員団からも早急な改善を強く申し入れているところです。  そこで、警察本部長にお尋ねいたします。  今後、七十五歳以上の高齢運転者人口がさらに増加する中、高齢運転者の免許更新を円滑に行うため、また、新たな制度である臨時認知機能検査の受検に係る利便を高めるため、どのような対策を講じられるのか伺います。  最後に、主要地方道豊橋渥美線、臨海田原四区につながる区間の整備促進について伺います。  田原市の浦町から臨海田原四区方面への約一・三キロメートルのバイパス未整備区間の整備促進については、平成二十三年十一月議会において一般質問いたしました。  当一・三キロ区間は、平成四年に渥美半島縦貫道路として事業計画の説明会が行われ、平成五年には用地測量に着手したものの、その後、事業進捗のない状況が十年近く続きました。  そのような後、平成十九年には事業が再開される運びとなり、事業の早期着手と早期完成のために県と市で調整した結果、暫定二車線の平面交差での整備に変更し、完了まで十年ほどという県の説明でありました。  一方、当時、既に東京製鐵も臨海田原四区の工場建設に取りかかっていたこともあり、田原市としては一日も早い供用開始を求め、平成二十一年に県を初め、国等へも緊急要望を行い、その結果、一・三キロを一体的に進めるという県の回答をいただきました。  新東名高速道路を初め名豊道路などの広域幹線道路については着実に整備が進んでいるものの、それらと企業をつなぐ主要な国県道の整備が改善されないことで、これに伴う輸送コストの増大や、当該地域における生活道路の安全確保など、さまざまな問題をいまだに抱えています。  当時の答弁では、国からの交付金を活用して事業を実施しているところであり、このうち、西側の〇・三キロメートルについては、浦片土地区画整理事業と歩調を合わせ、調査や設計を進め、前年度からは区画整理組合に対し、公共施設管理者負担金の支払いを始めたところで、今後も区画整理事業の進捗にあわせて適切に対応していく、残る区画整理区域の東側約一キロメートルについては、平成二十一年度に道路設計を実施し、一部区間の用地調査に着手したところで、今後も、バイパス区間全体の事業を着実に進めていきたいとの答弁を得ています。  あれから六年余が経過し、現在は主要地方道豊橋渥美線から西側の四百六十メートル区間は、長らく交渉を続けてきた用地の取得が完了して、道路本体工事を残すのみと伺っています。一方、残りの八百五十メートル区間についても、複数の地権者の方々から早く用地協力をしたいとの声が寄せられています。平成五年に用地測量に着手し、二十五年経過する中、一・三キロ区間の一日でも早い供用開始が待ち望まれています。  そこで、この一・三キロ区間について、今後どのように進捗を図っていくのか、県のお考えを伺います。  以上で、壇上からの質問といたします。(拍手) 29: ◯振興部長(野村知宏君) 移住・定住施策の推進について、人口減少自治体が増加する状況に対する県の問題認識と、今後の取り組みについてのお尋ねでございます。  本県の人口は増加しているものの、その一方で、人口減少市町村の増加については、重要な課題であると認識しております。  本県では、人口ビジョンやまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、UIJターン支援センターや、愛知の強みである住みやすさの発信をするなどして、人材を呼び込む取り組みを進めているところでございます。  特に、人口減少が先行して進んでいる東三河地域では、地域への新しい人の流れをつくることを目指した推進プランを、平成二十七年度に市町村、経済団体等とともに策定いたしました。このプランに基づきまして、首都圏の学生を対象として、東三河地域の企業をめぐる体感ツアーなどの取り組みを進めているところでございます。  加えて、三河山間地域におきましては、起業実践者を支援する三河の山里サポートデスクを関係市町村の協力を得て運営するとともに、交流居住に関する全国組織、移住・交流推進機構に参画し、全国に本県の交流居住の取り組みをPRしております。  また、県内市町村におきましても、例えば、津島市の津島神社への参道を核とした門前町再生事業、田原市のサーフタウン構想、南知多町の最先端のまち、南知多プロモーターが発信する南知多町イノベーション事業など、移住、定住の促進につながる地方創生の取り組みが行われております。  本県では、こうした市町村の事業に対し、地方創生推進交付金の活用に向けたセミナーや個別相談会などを通じ、積極的に支援しているところであります。
     今後とも、市町村の人口減少の状況や国の地方創生の動向を把握しながら、引き続き関係部局や市町村と連携して、移住、定住につながる施策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 30: ◯警察本部長(加藤達也君) 高齢運転者の交通事故防止対策についてお答えいたします。  現在、高齢者講習につきましては、指定自動車教習所に委託して実施しておりますが、高齢者講習の対象者の増加に加え、昨年三月の改正道路交通法の施行に伴う高齢者講習の実施方法の変更や事務手続の煩雑化などの負担増加により、受講申請から受講まで、相当の日数を要する事態となっております。  したがいまして、県警察においては、指定自動車教習所へより一層の高齢者講習の実施を働きかけているほか、速やかに受講できない方に対しまして、受講可能な教習所を案内するなどの対応を行っているところであります。  今後、さらに高齢運転者の増加が見込まれており、このような事態の解消に向けては、高齢者講習の委託先である指定自動車教習所の負担軽減が必要不可欠であると認識しているところ、指定自動車教習所等に委託している運転免許更新時の認知機能検査の直営化、高齢者講習等の予約方法の合理化などを指定自動車教習所協会等と検討してまいります。  また、現在六カ所の会場において直営で実施しております臨時認知機能検査につきましても、対象となった方の受検に係る利便向上を図るため、警察署での実施を初めとした実施会場の拡充を検討してまいります。 31: ◯建設部長(河野修平君) 豊橋渥美線の田原四区につながる区間の整備についてお尋ねをいただきました。  豊橋渥美線は、豊橋市中心市街地から物流拠点である三河港臨海部を経由して渥美半島の先端に至り、産業・経済活動を支える幹線道路であります。  現在、田原市浦町の童浦小学校南交差点から田原四区につながる臨港道路田原線までの延長約一・三キロメートルの区間をバイパス道路として整備を進めております。  整備に当たっては、童浦小学校南交差点から現道の豊橋渥美線までの八百五十メートルの東側区間と、現道の豊橋渥美線から臨港道路まで四百六十メートルの西側区間に分けて進捗を図っております。  このうち、先行して整備に着手した西側区間につきましては、残る一件の用地買収が本年二月に完了したところであり、引き続き工事を進め、平成三十一年度内の供用を目指してまいります。  また、東側区間につきましても、平成二十六年度に着手した用地買収は取得率が約七割となっており、早期に工事着手できるよう、用地の確保に努めてまいります。  三河港臨海部に広がる企業の生産性向上のためには、物流を支えるアクセス道路の強化が重要でありますので、今後とも豊橋渥美線の整備にしっかりと取り組んでまいります。 32: ◯四十五番(山本浩史君) それでは、要望させていただきます。  移住・定住施策の推進について。  本県は日本の中央に位置しまして、交通の利便性もよく、さまざまな産業が発展しています。全国的に見ても、非常に魅力のある地域ですので、ぜひ多くの方により深く県内自治体を知っていただき、市町村とも連携して、移住、定住を促進していただくことを要望いたします。  高齢運転者の交通事故防止対策について。  非常に前向きな御答弁をいただいたと認識しています。今後の一層の努力を期待いたしますし、また、ぜひ早期に改善をお図りいただきますように要望いたします。  そして、最後に、主要地方道豊橋渥美線、臨海田原四区につながる区間の整備促進についてでございます。  計画当初の予定からは随分時間がたっております。ぜひ今後、着実に事業を推し進めていただきますように要望いたします。  以上で質問を終わります。 33: ◯副議長(峰野修君) 進行いたします。  犬飼明佳議員。     〔三十二番犬飼明佳君登壇〕(拍手) 34: ◯三十二番(犬飼明佳君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次三項目について質問をいたします。  初めに、県立高校の通級指導教室についてであります。  小中学校において、各教科の指導は主として通常の学級で受けつつ、障害による学習上、生活上の困難を改善、克服するための特別な指導を特別の場所、いわゆる通級指導教室で受ける、通級による指導が制度化されています。そして、先般、学校教育法施行規則が改正され、平成三十年度から高等学校においても同様に、通級による指導の制度を導入することが可能となりました。  文部科学省の調査によると、平成二十七年度の通級による指導を受けている児童生徒数は、小学校で約八万人、中学校で約九千五百人となり、高等学校においても、通級による指導のニーズが高まっていると考えられます。本県においても、連続した多様な学び場の整備が喫緊の課題であります。  そこでまずお伺いします。  本県における小中学校の通級による指導を受けている児童生徒数の近年の状況はどうかお伺いします。  本県では、県立高校一校をモデル校として、今年度から二年間、通級による指導の円滑な導入に向けた研究が進められています。  私は先日、このモデル校を自由民主党の杉浦先生とともに視察をさせていただきました。  モデル校では、今年度、二名の生徒が週二時間、自立活動スキルトレーニングという名称で、通級による指導を受けていました。  授業は、特別支援学校から人事交流で来られた教諭が主担当、モデル校の教諭が副担当となり、二人の生徒に対してマンツーマンで指導していました。  指導例として、目標を立て、改善に取り組む自己チェック。一人の生徒は、学級担任から授業中の居眠りの指摘を受け、夜十時の就寝等の自主目標を設定。チェックリストに毎日丸印がついており、現在は居眠りがなくなったとのこと。この自己チェックの目的は、日々の目標の達成を積み重ねることで、自己をより改善することができたという自信につなげることでした。  次の例としては、おなかから声を出すことを心がける発声トレーニング。腹式呼吸は、自律神経のうち副交感神経を高め、情緒の安定につながる効果も期待できるとして、取り入れていました。  また、会話中に第三者が唐突に話しかけてくるという場をロールプレーしながら、適切な行動を学んでいました。これは実際に教室であったケースで、クラスメートが戸惑ったことを学級担任から聞き、スキルトレーニングに取り入れたものでした。  生徒の集中力が持続するよう小まめに声をかけたり、小さな変化も逃さず、励ましや褒める言葉を送り続ける先生の姿が大変に印象に残りました。  授業後、これまでのさまざまな取り組みを伺いました。  そこで、モデル校の成果と課題を踏まえ、通級による指導を他の高校へ展開していく上で取り組むべき三点についてお伺いをいたします。  最初に、学習指導について。  同校を視察する学校関係者からは、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症など、通級による指導を希望すると予想される生徒に対し、県立高校の教員で指導が可能なのかとの質問が多いということでした。  モデル校では、特別支援学校で二十年以上の経験がある教諭と、副担当の教諭が、個々の生徒の状況に合わせ、学習指導内容を作成、見直し、改善を加えて、教材の準備等、毎回工夫をしていました。  通級による指導は、対象生徒に合わせてカリキュラムをつくる必要があり、教員の負担が相当大きいと感じました。高校の通級による指導の拡充と継続のためには、学習指導の内容を含め、教育委員会が主導し、現場の負担を軽減していくことが重要となります。  そこで伺います。  教育委員会として、通級における効果的な指導方法や評価方法をどのように普及していくのかお伺いします。  次に、学校体制について。  通級による指導を実施する高等学校では、特別支援学校との人事交流や連携をさらに促進していく必要があると考えます。あわせて、モデル校では、副担当の教員がスキルトレーニングの授業とあわせ、国の実施する研修にも参加し、専門性の向上に取り組んでいました。通級による指導を担当する人材の育成が急務であり、その中心的な役割を担うのは、各高校の特別支援教育コーディネーターであると考えます。  また、他の教員の理解、協力も重要です。モデル校では、教員向けに通級だよりを発行し、生徒の活動や通級による指導などの情報を発信しつつ、協力と情報提供を呼びかけていました。そうすることで、生徒の日常の出来事を生かし、さきのようなスキルトレーニングに取り入れていました。  さらに、医療的なケアや生活上の相談も含め、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門家による支援は不可欠であります。  そこでお伺いします。  特別支援教育コーディネーターを中心に、通級による指導につながる研修の開催等、人材の確保、育成にどう取り組んでいくのか。また、養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを含め、学校の体制をどのように構築していくのかお伺いします。  次に、保護者や中学校等との連携について伺います。  通級による指導の対象生徒の選定について。  モデル校では、一、学校生活において、何らかの困難さを本人が自覚し、担任等に相談している生徒で、二、一部授業において、個別の指導を本人、保護者が同意している生徒を対象にしています。  しかし、この選定が大変難しく、生徒が希望しても保護者は反対したり、その逆もあるとのこと。小学校から中学校への通級と違う点は、高校には入試があります。生徒も保護者も受験をして入学した自尊心があります。自分だけ週二時間、違う教室で授業を受けることに抵抗感もあると思います。そうしたことから、より丁寧な説明が必要であります。  さらに、入学者が決定してから支援が必要な生徒のリサーチには、二、三カ月は要するとのこと。丁寧さとともに、スピードも必要となります。したがって、中学校からの個別の支援計画の引き継ぎが重要になります。確実に引き継がれることが、生徒にとっても切れ目のない支援につながります。  しかし、現実は、生徒、保護者のさまざまな思いや、個人情報の保護の観点からも、スムーズに進んでいないと伺いました。高校と中学校の関係に任せるのではなく、県教育委員会の要請で、市教育委員会から個別の教育支援計画等の情報が提供される仕組みをぜひともつくっていただきたいと思います。  そして、通級による指導が実施できる高校の拡充について検討を進めていただきたいと思います。  例えば、現在、配慮の必要な生徒が多く、独自の工夫をしている県立高校や、千葉県や山梨県でモデルとしている単位制や定時制高校も、通級による指導の指定校として検討を進めていただきたいと思います。  学びたい、学び続けたいと願う生徒のために、連続した多様な学び場として、通級による指導の指定校の拡充を具体的に進める必要があります。  そこで伺います。  生徒、保護者の通級のニーズを把握するために、中学校と連携し、個別の教育支援計画を円滑かつ迅速に引き継ぐ仕組みをどのように構築するのか。そして、通級による指導を実施する高等学校を県内でどう展開していくのか、お伺いします。  次に、二項目めとして、環境調査センター・衛生研究所の建てかえについてお伺いします。  名古屋市北区の環境調査センター・衛生研究所は、現在、PFI手法を取り入れ、民間事業者が持つノウハウの活用やコストの削減を図りつつ、新施設の建設工事が進められています。  私が同施設を初めて視察したのは平成二十四年でした。昭和四十七年三月に竣工し、既に四十年が経過。老朽化が進み、前年には学習ゾーンの環境学習プラザが現在の東大手庁舎に移転したこともあり、古く閑散とした印象でありました。  以来、私は、一日も早く建てかえを行うとともに、環境問題について学び、体験でき、県民に親しみを持ってもらえる施設となるよう、これまで本会議、委員会等で取り上げてきました。  そうした中、県は、新施設を本県の環境行政、衛生行政の拠点施設としての機能を維持向上すること、環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とすること、さらに、県民に親しみを持ってもらえる施設とすることの三つの特色を持たせる方針を示されました。  来年度はいよいよ新施設が完成し、平成三十一年度には業務を開始しつつ、現施設の解体工事や外構工事を行い、平成三十二年四月には全面供用を開始する予定であり、完成を大変楽しみにしております。  そこで二点お伺いします。  まず、環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とすることについてです。  県では、新施設の建物本体の一次エネルギー消費量を七五%削減し、公共施設で全国トップクラスのZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)を目指すとされています。  新施設は、エネルギー消費量を大幅に削減し、エネルギー問題に対する一つのモデルとなります。エネルギー消費量を抑えるということは、温室効果ガス排出量の抑制につながり、地球温暖化対策としても大変有効なものとなります。  先般策定されたあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇では、二〇三〇年度に本県の温室効果ガス総排出量を二〇一三年度比で二六%削減する目標が掲げられました。  本県の温室効果ガス排出量の状況を見ると、産業部門から排出される温室効果ガスは、事業者による自主削減の取り組みなどにより減少をしています。しかしながら、業務用ビル、店舗などの業務部門や、一般住宅の家庭部門においては増加しており、二〇三〇年度までにそれぞれ四九・五%、四七・一%削減する、非常に高い目標が設定をされています。  新しい環境調査センター・衛生研究所は、新しい戦略の目標達成のためにも、環境に配慮した建築物のシンボルとしてアピールしていくことは大変重要と考えます。  そこで伺います。  今回の新施設は、新エネ・省エネ施設として、また、地球温暖化対策に有効な施設として、どのような施設としていくのか。さらに、県民、事業者、市町村に対してどのようにアピールしていくのか、お伺いします。  次に、県民に親しみを持ってもらえる施設とすることについて。  私は先般、埼玉県環境科学国際センターを視察しました。平成十二年に開設し、環境学習、試験研究、国際貢献、情報発信の四つの機能を持っています。  特に環境学習では、体感型展示施設も設置。地球をイメージした直径三メートルの球体スクリーンによる映像や、自動車の模型に乗り、エコドライブの体験。また、四十名が座席に座り、映像を見ながら、クイズを通し、地球温暖化などの学習ができるメディアワークショップ。学校の見学では、これが一番盛り上がるとのこと。また、実験教室等も開催し、センターの研究職員が講師となり、内容についてはベーシックなものから時々の話題まで、臨機応変に工夫をされていました。  教育委員会と連携し、小中学校の校外学習等にも活用され、年間で百から百五十校が利用。展示物を見るだけでなく、さわったり、動かしたり、クイズに答えたり、一時間三十分ほどのパッケージで楽しく環境について学べる工夫がされていました。  また、地元市民公園が隣接し、センター主催の環境イベントや地域行事の際には施設を開放し、地元住民との交流にも取り組んでいました。  課題として、体験型展示物等が老朽化をし、改修費用がかさみ、逆にパソコンブースや実験室の稼働率が上がっており、今後はタブレット型端末等を活用した参加型展示や実験施設の設備拡充が必要になってくるとのことでした。環境活動の継続した参加を促していくには、ソフト面の充実やアップデートが大変重要であると改めて感じました。  本県の環境調査センターについて、私は平成二十七年二月県議会で、県民に親しみを持ってもらえる施設としていくことの必要性を質問しました。これに対し、県から、小中学生が環境問題について学習したり、最新技術を導入した新エネ・省エネ設備を多くの方々にごらんいただけるような見学ルートを設定することについて、検討を進めていきたいとの前向きな答弁をいただきました。  ぜひ実現に向けて、この施設の特徴を生かし、見学や体験型展示のツールとしてタブレット型端末の導入や、充実した実験施設の整備など、実際に本物を見て、触れて、楽しみながら学ぶことができる施設整備をしていただきたいと思います。  私は、新施設が環境首都あいちのランドマークとして、環境問題に興味のある県民の期待に応えることはもちろんのこと、小中学生や御家族、幅広い多くの県民に親しみを持ってもらえる施設とし、生きた環境学習の場として、持続可能な未来の愛知を担う人材づくりの拠点施設にするべきであると考えます。  そこで伺います。  県民に親しみを持ってもらえる施設として、新しい環境調査センターで、県では、建てかえ後の環境調査センターにおける環境学習の効果的な実施についてどのような工夫をし、進めていくのか。また、より多くの県民に来館していただくために、どのように取り組んでいくのか、お伺いをします。  最後に、新川下流域の治水対策について伺います。  私の地元、名古屋市中川区には、その区の名前の由来となった中川運河を初め、庄内川、新川、戸田川、福田川等、七河川が流れています。  今回取り上げる新川は、約二百三十年前の一七八四年から一七八七年にかけて、庄内川の氾濫を抑え、庄内川の右岸側の排水をよくするために開削された河川であり、現在においても、治水のかなめの河川となっています。  県が平成十九年十月に策定した新川圏域河川整備計画では、下流域は東海通の日の出橋から上流域の国道一号の三日月橋までの約一・六キロメートルの区間において、河道拡幅と築堤を実施することとなっています。  この区間は、右岸が港区、中川区、左岸は中川区となっており、昔から漁村として栄えた地域であり、今も川沿いまで多くの建物が連なっています。  当地域は、ゼロメートル地帯の低平地に位置し、これまでの幾多の水害に見舞われてきました。  特に、昭和三十四年の伊勢湾台風では、高潮により沿岸で甚大な浸水被害が発生。堤防の決壊など甚大な被害があったことから、その復旧工事として堤防が築造されました。川沿いの建物の近くでは、コンクリート製の壁状の堤防で対応されているところも現地で確認ができます。  近年では、平成十二年に東海豪雨が発生。名古屋気象台では、時間最大雨量九十三ミリ、総雨量五百六十七ミリもの大雨を記録し、西区では新川左岸が約百メートルにわたって破堤したのを初め、各地で甚大な被害が発生しました。この東海豪雨を契機に、新川では、河川激甚災害対策特別緊急事業により緊急的な対策として、河床を掘るなどの大々的な河川整備が行われました。  話を戻しまして、現在、日の出橋から三日月橋までの区間で、右岸側では下流より堤防工事が行われており、日の出橋から約一・二キロメートル上流の位置では、名古屋市が新たな道路をつくるため、正江橋を建設しています。  一方、左岸側の中川区では、用地買収が進められています。この地域は、これまでに地盤沈下が進行し、堤防のコンクリートの老朽化も進んでおり、伊勢湾台風を経験した地元の方からも心配の声をいただいております。  また、日の出橋から約〇・八キロメートル上流の位置には両郡橋があり、県にお聞きすると、東海豪雨後に整備にあわせて現在の橋梁にかけかえられた際に、急いで整備をする必要があったため、仮橋としてかけかえられたとのこと。堤防の整備に当たっては、本橋にかけかえる必要があります。
     昨年十月に、台風二十一号が超大型で強い勢力を保ったまま静岡県に上陸しました。名古屋気象台によりますと、この日は大潮の時期に当たっており、もしも台風の最接近時が名古屋港の満潮時間と重なっていれば、高潮による浸水被害が発生したおそれがありました。今後、地球温暖化により台風の大型化が懸念される中、高潮対策を進める必要があると考えます。  先日の代表質問で、我が党の小島団長が質問された中小河川緊急治水対策プロジェクトにもこの新川が位置づけられ、中川区内の当地域の護岸工等の整備も進められることになりました。  新川下流域は低平地に多くの住宅や企業などが集まっている地域であります。住民の生命と財産を守るために、高潮や大雨、さらには、南海トラフ地震への備えが大変重要となります。  そこでお伺いします。  現在整備を進めている新川の日の出橋から三日月橋の区間の治水対策について、現状と今後の進め方についてお伺いします。  以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 35: ◯教育長(平松直巳君) 通級による指導について、四点お尋ねをいただきました。  まず、本県の小中学校において、通級による指導を受けている児童生徒数についてでございますが、平成二十九年度は小学校が四千五百五十七人、中学校が四百九十二人となっており、五年前の平成二十四年度と比較いたしますと、小学校で一・七倍に、中学校では二・三倍に増加いたしております。  次に、高校における通級の指導方法や評価方法の普及についてお答えをいたします。  本県では、議員お示しのとおり、今年度から二年間、県立高校一校において、通級指導の実践的な研究に取り組んでおります。  この研究指定校では、週に二時間、特別支援学校における自立活動の取り組みを参考にした選択科目、スキルトレーニングを設定し、その中で、生徒が日常の行動や他者とのコミュニケーションにおいて抱えている課題について、一人一人の状況に応じた目標を設定し、その課題の克服に向けた指導や支援を行っております。  教育委員会といたしましては、この研究指定校における研究成果や特別支援学校における取り組みなども参考にして、実践事例集として取りまとめ、各県立高校に指導方法や評価方法を普及、還元してまいりたいと考えております。  次に、高校における通級指導のための人材の確保や育成、校内体制の構築についてであります。  本県では、各高校の特別支援教育コーディネーターを対象に年三回の研修会を実施し、具体的な事例研究を通じてソーシャルスキルトレーニングについての理解を深めているほか、県総合教育センターにおいて、自立活動セミナー、発達障害の理解と支援に係る講座やユニバーサルデザインの授業セミナーなど、特別支援教育に関する実践的な講座を開講いたしております。  また、平成二十六年度から高校と特別支援学校との間で人事交流を行っており、平成二十九年度は、特別支援学校から高校に四名、高校から特別支援学校に一名がそれぞれ勤務校を移し、相互の教育内容の理解と指導力の向上を図っております。  この人事交流は、特別支援学校の教員が高校の教育活動の中で専門性を発揮することにより、周囲の教員が特別支援教育に関する実践的な知識やスキルを学ぶという効果を期待しており、また、高校の教員が特別支援学校において専門性を身につけ、その後、高校の特別支援教育を推進するリーダーとして活躍してもらうことも狙いといたしております。  今後もこれらの取り組みを通じて、高校における通級指導を担当できる人材の確保、育成に努めてまいりたいと考えております。  また、議員御指摘のとおり、通級指導は全ての教職員の共通理解のもと、組織的に行っていくことが必要であります。  今後、通級指導を導入するに当たりましては、校長、養護教諭、特別支援教育コーディネーター等を構成員とする校内支援委員会等を中心に、学校医、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を含め、全ての教職員が一つのチームとなって通級指導を支えていく校内体制を構築してまいりたいと考えております。  最後に、個別の教育支援計画の引き継ぎと、今後の通級指導の展開についてお答えをいたします。  高校に入学した生徒やその保護者に対しては、これまでも入学後に支援情報の引き継ぎの重要性を周知し、保護者や生徒から具体的な支援についての要望を受ける機会を設けてまいりました。  また、今年度から二年間、津島市と高浜市をモデル地域として、それぞれの市内の中学校と高校を対象に、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする生徒の支援情報の引き継ぎ方法や活用の仕方等について研究を進めております。  教育委員会といたしましては、来年度に策定を予定しております新たな特別支援教育推進計画にも、幼少期から社会参加までの切れ目のない支援を重要な柱として位置づけ、モデル地域における研究の成果も踏まえて、中学校、高校、市町村教育委員会の連携を強化し、支援情報の引き継ぎ率の向上を図ってまいりたいと考えております。  また、平成三十年度から高校における通級指導が制度化されることも踏まえまして、平成三十一年度以降、地域バランスや全日制、定時制の課程の違いなどを考慮しながら、通級指導の実施校の拡大についても検討をしてまいります。 36: ◯環境部長(菅沼綾子君) 環境調査センター・衛生研究所の建てかえのお尋ねのうち、まず、新エネ・省エネ施設として、また、地球温暖化対策に有効な施設として、どのような施設としていくのかについてお答えいたします。  新施設には、太陽光発電を初め、太陽熱集熱システムや高効率の冷暖房設備、人の体温を検知し、照明のオン、オフを自動で制御するLED照明、施設のエネルギー使用状況をリアルタイムに把握することができるビルエネルギー管理システム、いわゆるBEMSなど、さまざまな最新の環境技術を導入いたします。  また、このBEMSなどを利用して、各部屋の使用時間、使用人数などの実態に合わせた温度や明るさ、換気の設定などを行い、無駄なエネルギーの消費を削減いたします。  その結果、現在の施設と比較して、建物本体で使用する一次エネルギー消費量を、省エネ設備により五一%、太陽光発電の活用により二四%、合わせて七五%を削減することができる施設となります。  これを温室効果ガスに換算すると、年間五百三十トンの削減となり、杉の木三万八千本が吸収する量に相当します。これはナゴヤドーム八個分を超える面積の森林が吸収する量となります。  次に、県民、事業者及び市町村へのアピールですが、施設に整備する最新の環境技術の内容や効果を多くの方に積極的にPRすることにより、エネルギーの消費が少ない建物や住宅の普及促進を図り、地球温暖化対策への取り組みが地域全体に広がるよう啓発を行ってまいります。  具体的には、光熱水費の削減効果などを取りまとめ、月一回発行しております環境かわら版や、ホームページなどにより情報発信するほか、施設の見学会や、事業者、市町村を対象とした会議などの機会を捉えて、わかりやすく説明してまいります。  続いて、建てかえ後の環境調査センターを県民の皆様に親しみを持ってもらえる施設にしていくことについてお答えいたします。  新施設では、一階に一般の県民の方々が自由に御来館いただけるスペースを設け、そこに本県の環境の歴史から今日の地球環境問題まで、環境について楽しくわかりやすく学ぶことができるような展示設備を整備してまいりたいと考えております。  こうした展示と、環境調査センターの業務である環境調査、分析の現場や、先ほど申し上げました最新の新エネ・省エネ設備の見学とあわせて、環境調査センター全体を一体的に活用し、ストーリー性のある効果的な環境学習を展開してまいりたいと考えております。  平成三十二年四月の全面供用開始に向け、来年度は、教育機関等関係者との調整を行いながら、映像などの活用や、子供たちが参加して主体的に楽しく学べるような展示内容、見学コースの設定、展示エリアに隣接する実験室や会議室の活用方法などの検討を進めてまいります。  また、地域の皆様はもちろんのこと、多くの県民の皆様に気軽に足を運んでいただける施設となるよう、実験や体験などを交え、楽しく新施設や環境について知っていただけるイベントの実施などの工夫を凝らした取り組みについても検討してまいります。  こうしたさまざまな環境学習の機会を設けるなど、新たな環境調査センターが県民の皆様に親しみを持ってもらえる施設となるよう取り組んでまいります。 37: ◯建設部長(河野修平君) 新川下流域の治水対策についてであります。  新川は、東海豪雨規模の洪水に対応した整備が完了していることから、現在は主に高潮や地震、津波への対策を進めております。  このうち、日の出橋から三日月橋までの約一・六キロメートルの区間では、伊勢湾台風と同規模の高潮に対応する高さまで堤防をかさ上げすることにあわせ、東海豪雨を上回る規模の洪水にも対応した河道の拡幅を行うこととしております。  整備に当たっては、下流の日の出橋から建設中の正江橋までの約一・二キロメートルを第一期区間、正江橋から上流の約〇・四キロメートルを第二期区間として進めております。  第一期区間では、平成五年度から用地買収に着手しており、まとまって用地が取得できたところから工事を順次実施しております。  右岸側につきましては、これまでに日の出橋から両郡橋までの工事が完了し、現在はその上流、両郡橋から正江橋までの区間で工事を進めております。  また、左岸側につきましても、平成二十八年度から正江橋下流の一部区間で工事に着手しております。  なお、両郡橋の改築につきましては、県が費用の一部を負担し、名古屋市が工事を実施することとなっており、橋梁部の用地が取得でき次第、着工できるよう、市と調整を進めております。  第二期区間につきましては、第一期区間の整備のめどが立った後に着手してまいります。  一方、地震、津波への対策としましては、平成二十六年度に策定した第三次あいち地震対策アクションプランに日の出橋から三日月橋までの区間を位置づけていることから、今後、堤防の地盤強化を行ってまいります。  今後とも沿川住民の皆様の安全・安心を確保するため、早期の効果発現に向けて、堤防の整備などを着実に進めてまいります。 38: ◯知事(大村秀章君) 犬飼明佳議員の質問のうち、環境調査センター・衛生研究所の建てかえにつきまして、私からもお答えをいたします。  新施設は、環境行政、衛生行政の原点である安全・安心を支える科学的、技術的拠点として、その機能の維持向上を図ることはもちろんのこと、公共施設では全国トップクラスのゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)を目指すという高い環境目標を掲げて、今年度からPFI方式により整備を進めているところであります。  施設の全面供用開始は平成三十二年四月の予定でありますが、来年度は、施設の建設を進めながら、環境調査センターでの効果的な環境学習ができるよう、展示内容の検討をしっかりと行ってまいります。  県といたしましては、小中学生を初め多くの県民の皆様がこの生まれ変わった環境調査センターを訪れていただいて、最新の新エネ・省エネ設備や本物の環境技術に触れ、世界の環境問題と人とのつながりを学んでいただく場としても積極的に活用し、環境首都あいちを支える持続可能な未来のあいちを担う人づくり、人材づくりに取り組んでいきたいと考えております。 39: ◯三十二番(犬飼明佳君) 知事初め、さまざま、答弁をいただきました。  新しい環境調査センターにつきましては私も大いに期待をしておりますので、これからも引き続きよろしくお願いをいたします。  私からは、県立高校の通級指導教室について要望させていただきます。  今後、通級による指導ができる指定校の検討を進めていただきたいんですけれども、そのためには学校の体制づくりということが必要であります。  先日、モデル校とは別の県立高校にお伺いをいたしました。この学校は通常学級において、発達障害や肢体不自由の生徒等、特別な支援や配慮が必要な生徒さんが一割以上、在籍をされていました。  校長先生を中心に週二回、会議を行いながら、校内研修や情報共有をしながら、一人一人の状況に合わせて工夫しながら、授業や指導を行ってこられました。  校長先生に通級による指導ができるのか、率直にお伺いをしてきました。教育委員会がやはりどれだけ力を入れるのかにかかっているというお話がございました。その上で、多くの課題がある中で特に重要となるのが、保護者の理解、協力が得られるかどうかということが課題として挙がっておりました。  同校では、現在、高校入学後、生徒や保護者から相談があればいいんですけれども、相談がないケースも非常に多いということで、そうした場合は、中学校からの個別支援計画の引き継ぎもありませんので、出身中学に何回も足を運びながら生徒の状況を確認したりとか、学校の中で生徒の様子を見ながら、声をかけて相談指導を行っているということでありました。  また、そうした中でも、生徒や保護者からサポートも断られることもあって、歯がゆい思いをされている現場の先生のお話もお伺いしました。  教員からこの保護者に話をすることで、逆に反発を招くこともあるようで、そういった際には、養護教諭やスクールカウンセラー、また、スクールソーシャルワーカー等専門家から話をすることで、保護者の理解が進んで信頼関係ができて、この協力が進んだケースもあるということでした。  ただ、残念ながら、スクールカウンセラーもスクールソーシャルワーカーも月数回の配置ということで、いつもいないということでありました。  このような課題を抱えた県立高校は多くあるかと思います。発達障害を抱える生徒さんが鬱病を発症されたというお話もお伺いいたしました。必要な配慮や支援が届かずに二次障害を引き起こすような事態は、これは断じて避けていかなければなりません。  要望でありますが、通級による指導ができる指定校の検討に際しましては、まず、非常勤の養護教諭の加配やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常駐、これを必須としていただいて、生徒、保護者との信頼関係を構築できる体制をつくっていただくことを要望して終わります。 40: ◯副議長(峰野修君) 進行いたします。  高桑敏直議員。     〔五十番高桑敏直君登壇〕(拍手) 41: ◯五十番(高桑敏直君) それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を通告順に従い進めさせていただきます。  最初に、本県の観光振興についてであります。  本県の観光振興は物づくり産業の育成とともに、経済を支える重要な課題であります。日本の産業集積地と言っても過言でない本県は、過去ではとかく雇用や出荷額といった産業県としての実績に目が行き、企業支援により一層強い産業県を目指すことさえできればそれでいいといった、観光振興事業は二の次であった感がありますが、大村知事を初め担当部局は、観光振興の担う役割が単に訪問客の消費や宿泊といった経済効果だけでなく、認知し、訪問していただき、愛知のよさを知っていただくことは本県のイメージアップにもつながることから、定住促進をする愛知の住みやすさ発信事業や留学生地域定着促進事業の一助となる波及効果の大きな事業であることは既に十分に御認識であることは重々承知しておりますが、質問させていただきます。  本県訪問客をふやし、知名度を上げることは、実に大変重要なことであります。まずは知ってもらうこと、そして、さまざまな情報媒体から観光先の目的地の一つとして本県を選んでもらい、実際に足を運び訪れ、そのよさを感じ知ってもらうこと、そのきっかけをつくるのが観光振興事業であります。人口減少時代に定住を促す愛知の住みやすさ発信事業や、Iターン・Uターン促進事業にもつながっていくことにもなります。  また、二〇二七年、東京─名古屋間開通予定のリニア新幹線によるストロー現象も心配されています。東京から愛知への旅客より愛知から東京への旅客が多くなってしまい、今のままでは愛知の消費力が東京に奪われてしまわないかという心配であります。  観光振興により愛知の潜在的魅力を発見していただき、ぜひ東京圏から愛知への流れをつくり、東京の消費力を愛知で発揮していただきたいものです。  さて、本県には、国内外からの観光客を迎えるため、多くの観光案内の拠点が設置されています。二〇一五年十月、中部国際空港株式会社と株式会社JTB中部が共同で、中部国際空港旅客ターミナルの二階到着ロビーにセントラルジャパントラベルセンターを開設し、JR券の発券、販売、鉄道・バス乗車券のクレジットカード販売や、中部地区を中心とした旅行ツアーの販売をできるようにし、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で対応できる、本県を含む中部五県一市が共同して設置運営する観光案内所と一体化させることにより、観光客の利便性を向上させています。  翌二〇一六年五月には、株式会社エイチ・アイ・エス中部営業本部は、訪日外国人旅行客に向け、主に個人の訪日旅行客をサポートするナゴヤツーリストインフォメーションセンターを名古屋駅前の大名古屋ビルヂング十六階に開設しています。  このナゴヤツーリストインフォメーションセンターでは、名鉄観光サービス株式会社とも連携し、明治村、ラグーナテンボス、トヨタ産業技術記念館といった中部エリア観光商材を紹介、販売しています。  また、個人旅客向けのオプショナルツアーの販売、ホテル、旅館など宿泊先やレストランなどの予約、パンフレットの取りそろえと観光案内、有料手荷物預かりサービス、無料のインターネットWi─Fiサービス、SIMカードの販売などのサービスのほか、二〇一七年十月現在で海外七十五カ国、百五十六都市、二百七十一拠点の株式会社エイチ・アイ・エスのネットワークを生かし、昇龍道プロジェクトなどの中部地区における観光商材を紹介するプロモーション活動も行っています。  そのほかにも、本県を訪問した観光客へのサービス拠点は、名古屋市内では金山、大須、港区、名古屋駅構内、オアシス21に、名古屋市以外では豊田市、西尾市、蒲郡市などにもあり、随分充実しているように思います。  しかし、これらは全て本県に来ていただいた旅客へのサービスが主体であり、その前の段階、つまり愛知県を観光先に選んでいただけるようしむける工夫がより必要と思います。つまり、まずは認知度を上げる施策の充実が必要です。京都、奈良、東京、大阪、北海道、福岡と比べ、愛知県、名古屋市は知名度において負けているのではないでしょうか。  東京圏は世界一の大都市として、京都、奈良は古都、歴史のまちとして、北海道は東南アジアの方々にとっては雪、あるいは避暑地としての魅力、大阪は京都、奈良の玄関口として関空がある地としてですが、人口五百五万の福岡県、人口百五十五万の福岡市にある福岡空港は平成二十八年実績で年二千二百万人の乗降客数がいるのに対し、中部新国際空港は年一千九十六万人と、約二倍以上の差があります。中部新国際空港の利用を高めるためにも、相乗効果が高い観光産業振興策は必須、緊急性の高いものと思います。  観光産業の育成を考えるとき、三年前、京都市観光課を調査したときの担当者の言葉を思い出します。今、京都は国際観光都市としての地位がありますが、それは寺院などの有形資産が良好に保存されていることももちろんでありますが、一九九三年からJR東海が始めた「そうだ 京都、行こう。」の長年のキャンペーンの効果を見逃してはいけません、今、それが花開いているのです、そして、海外からの誘客は、国内での観光地としての認知度が上がってからではないでしょうかとの言葉でした。  この「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンは一九九三年から二〇一六年までの二十年以上に及ぶ長い期間、テレビで放映され続け、私たちの頭の中に今も残っています。「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンは、ナレーションが流れる中、京都の観光地各地を撮影した映像が流れ、映像はCMにタレントを出演させず、世界一の絵はがきをつくるという発想で制作されたそうであります。そして、キャンペーンで放映された寺院、仏閣、神社などには観光客が多く詰めかけ、その影響力は大きなものであったそうです。  このような息の長いキャンペーン事業は、企業誘致策と同じく、二、三年といった短期間で費用対効果を見るのではなく、五年、十年、あるいはそれ以上の年月で見るべきであり、継続して行うことが本県観光のブランド力を確立する上で欠かせないものと考えます。  そこでお聞きいたします。  本県観光の知名度を向上することにより、多くの観光客にお越しいただくため、どのような事業展開をしていくのかお伺いいたします。  次に、本県の自動運転推進施策についてであります。  昨年十月二十九日より十一月二日まで、集約型まちづくりの推進、環境に配慮した公共交通施策、次世代自動車の普及、コンテンツ産業の活用などを調査目的とし、海外調査団として、アメリカの西海岸のポートランド市、サンフランシスコ市、ロサンゼルス市を訪問してまいりました。  その中でも私にとって衝撃的であったことは、アメリカ・カリフォルニア州における次世代自動車の普及についてでありました。事前に、本県で行われている自動運転の実験の様子や、東京都にある自動運転開発会社、あるいは国土交通省を訪れ、我が国の自動運転における立ち位置、状況について事前調査をした上で訪米したのですが、自動運転にはAIやGPS、3Dマップが不可欠であり、この分野ではIT系企業が活躍することは当然でありますが、グーグルやウーバーといったIT系企業が自動運転車を活用したサービス分野などにも進出し、大きな利益を得るための準備を着実に進めようとしていることをひしひしと感じ、そして、その進捗スピードについて危機感を抱き、帰国してまいりました。  率直に申せば、国内での事前調査段階では、自動運転はまだまだ先のことであり、実施には十年かかるようなイメージでいましたが、カリフォルニア州における次世代自動車の普及施策、現状を見た後は、まさしく二〇二〇年の東京オリンピックに間に合うのではないかと感じた次第であります。  日本の物づくり産業と米国のIT企業のしのぎを削る競争が展開されており、どちらが先に一歩を進め、自動運転自動車やFCVといった新しい産業カテゴリーの主導権を握るのかで、その分野におけるルールづくりも決定してしまい、自動車産業県、愛知県としては注視し、支援して、必ず日本の自動車産業界がリードできるようにしていかなくては、その役目を果たすことはできません。  今まで本県はさまざまな助成・育成策を講じ、県内企業などの手助けをしてきました。二〇一三年、自動車安全技術プロジェクトチームを、アイシン精機、トヨタ自動車、三菱自動車、デンソーら民間企業と、愛知県立大学、名古屋大学や、中部運輸局、豊田市、愛知県と、産官学がそろい、設置し、その中で、究極の交通安全技術と言われる自動運転についても、実証実験の実施及び支援を行ってきています。  また、二〇一五年八月には国家戦略特区の区域指定を受け、二〇一六年には県事業として自動走行実証推進事業を、昨年、二〇一七年にはさらにあいち自動運転ワンストップセンターとあいち自動運転推進コンソーシアムを設置し、自動運転の実証実験についても十市町について実施してきています。  このあいち自動運転コンソーシアムという考え方は、あいち自動運転ワンストップセンターを軸とし、二月現在で、三十四の自治体、二十七の企業、三大学、二関係団体の合計六十六の機関を結びつけ、自動運転に係るイノベーションの誘発、新規事業の創設、ビジネスモデルの創出を目的としています。  このように、本県の自動運転開発事業は一歩一歩、着実に推進していますが、しかし、問題は、法規制による開発や普及への障害であります。水素自動車でも、自動運転車でも、開発に立ちはだかる法規制は開発行為をおくらせ、他国の企業にその分野での主導権を奪取されてしまい、日本の企業が下請になってしまう危機感を醸成させています。  つまり、新しいアイデアをいち早く具現化させ、その分野での主導権を握ることは企業戦略として当たり前でありますが、国といった法を作成する権能の持つ機関が積極的にスピード感を持って、官民連携で法改正、事業展開していかなくては、せっかくの機会を他国に奪われてしまうという愚行をしかねないわけであります。  サンフランシスコで見聞してきましたカリフォルニア州におけるグーグル、ウーバーといった米国IT企業の自動運転分野での進捗状況と比べ、我が国の事業進捗状況はおくれているという印象を持ちました。  シェアリングとコネクテッドといった新しい自動車社会における概念は、自動運転車の開発によって飛躍的に伸びる可能性があることは明白です。  シェアリングは一台の車を複数人で所有することであり、渋滞緩和のみだけでなく、高齢者などの運転弱者救済に役立つことは確実で、また、各個人が車を所有しなくても車で移動できるようになるわけです。  シェアリングした車は一台で十五台分の働きがあると考えられており、車種選択より運転手の態度、目的地到達時間など、サービス環境に価値観がとってかわるという、車への価値観の変化の可能性があります。
     となれば、いち早くカーシェアリングに適した車づくりが必要となり、ドライバーに適した車を提供するより、シェアリングカーでどんなサービスを提供するかが新しい課題となってきます。  また、コネクテッドカーはICT端末としての機能を有する自動車のことであり、地図サービスやエンターテインメントなどのサービスに加え、技術進展により車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積、分析することが可能になり、自動運転への活用も期待されています。  これらのビッグデータから得られる分析結果と各種サービスとをマッチングさせることが大きな価値を創出することは、パソコンやスマートフォンの世界を見ても明らかであり、こうした動きが自動車に起ころうとしています。  自動車メーカーは当然、これらの分野の囲い込みに必死ですが、現にスマホのカーナビアプリを利用し、車自体にはカーナビをとりつけない若者もふえてきています。  また、携帯の例でいえば、スマホになって機種が何でも構わなく、共通に使えるアプリがあればよいという考え方に社会がなってきています。車もどこのメーカーの車かは関係なくなる可能性があります。  このようになってくると、ハードウエアは何でもよい、ソフトで勝負となったとき、ハードウエアは携帯と同じく、安売り合戦になることが予想されます。  自動車産業界はこれらの可能性を考えながら、将来設計をしていかなくてはならない状況があると思います。このカーシェアリングとコネクテッドといったシステムが、自動運転の普及とともに飛躍的に伸びる可能性があります。車種、購入される台数の減少、今後、大きな成長が期待できる各種情報やサービス分野での利益の喪失が想定できるのです。  このように、愛知県が強力に進める自動運転については、近年、自動車関連企業にとどまらず、世界的なIT企業など、異業種からの参入も本格化し、世界規模で競争激化の状況にあると考えます。  こうした中において、引き続き本県の自動車産業がイニシアチブを持って、日本、そして世界の産業をリードしていく必要があります。  そこで質問します。  自動車産業の世界的集積地である本県において、自動運転の実用化に向け、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。また、世界的なIT企業などの競争激化が進む中、今後、県内企業のビジネス展開をどのように図っていくのかお伺いいたします。  次に、水素ステーションの整備促進に向けた本県の取り組みについてであります。  先ほども申し上げましたように、私は昨年、平成二十九年度県議会海外調査団の一員として、米国・カリフォルニア州を訪問し、FCVの普及支援状況に関しても同州の状況を調査してまいりました。  カリフォルニア州は公共交通が余り発達しなかった歴史もあり、自動車の利用頻度も高く、究極の車社会とも言われています。また、盆地という地形的な問題もあったことから、大気汚染物質の削減を重要課題と位置づけ、厳しい排出ガス規制、ゼロエミッションビークル規制を設けています。  この規制は、一定数以上の台数を販売する自動車メーカーは、一定割合の無公害車の販売を義務づけており、未達成のメーカーには厳しい罰則が科せられるものとなっています。  この無公害車とは、ことしからは電気自動車とFCVのみが該当となり、同州では二〇三〇年度までに、四百万台の普及を目指しているとのことです。  また、州政府は、無公害車の普及に向け、毎年二千万ドル、日本円で約二十二億円の金融支援を行うとしており、この中で、無公害車の購入者に対しては五千ドル、日本円で約五十五万円のキャッシュバックが行われ、また、水素ステーション事業者に対しては、設備投資、運営維持費の両面での支援が行われていました。  また、さらに、水素ステーションの安全基準に関する法規制面についても日本と異なる面が見られました。安全基準を強化し過ぎるとコストがかさむため、日本と比較して緩やかな基準により設備などは簡略化されており、日本の場合には通常の水素ステーション整備に四億円程度かかるのに対して、同州では二億円程度で整備できるとのことでありました。ステーションでの水素充填についても、ガソリンと同じようにセルフで行われており、低廉な費用で運営が可能となっておりました。  一方、日本の自動車メーカーは、同州のFCV購入者に三年間で一万五千ドル、日本円で約百六十五万円相当の燃料代のサービスを行っているとのことです。また、トヨタ自動車は、同州の、特に港湾地域において、大型商業トラックからの大気汚染物質排出が環境問題となっていることから、現地において総重量三十六トンのFC大型トラックの実証実験を行っておりました。  こうした官民の取り組みの結果、現在、カリフォルニア州にはFCVがトヨタのMIRAIを中心に三千台超が普及し、また、水素ステーションは三十一カ所整備されているとのことでありました。当県で開発、製造、販売されるFCVがこのように海外で受け入れられたことは、とても喜ばしいことと思っています。  カリフォルニア州は国家に相当する強い行政権能を持っており、ZEV規制のような思い切った規制を行うことができるため、本県とは単純に比較できない面があるのは承知をしておりますが、我が国のFCV、水素ステーションについて見ると、国が安全面での規制を定めており、現在、見直しが行われています。  水素ステーションの整備運営については、ベース部分を国が補助しており、県はそれに上乗せして補助しておりますし、また、国の主導により水素ステーションの整備を加速するための新会社が民間事業者により設立されるなど、整備に向けた取り組みが進められています。  こうした枠組みの中で、県の役割は、民間事業者と連携し、水素ステーション整備を後押していくことと考えています。  しかしながら、我が国は世界に先駆けて、水素ステーション、FCVに代表される水素・燃料電池技術を実用化してきていますが、我が国におけるFCVの一層の普及のため、必要な対策をとっておかないと、FCV、水素ステーションに関するイニシアチブを、将来海外に奪われることになりかねないと心配しております。  水素の意義、重要性は、燃焼時に二酸化炭素を排出しないという環境特性を有していることだけでなく、再生可能エネルギーなどの多様な一次エネルギーから製造可能であることや、製造した水素を貯蔵、運搬、利用することができるといった特性を有していることから、エネルギー資源の乏しい我が国にとって、エネルギー安全保障の切り札となり得る夢のエネルギーであります。  したがって、このエネルギーとしての水素は、コストや安全性などの課題はまだあるものの、エネルギー革命を起こす可能性があり、化石燃料にとってかわる新しいエネルギーとして、その利活用を増大していく必要があるものと考えています。  このため、水素需要の拡大を図る観点から、とりわけFCV、燃料電池フォークリフト、燃料電池バスの普及について、自動車関連の分厚い産業集積を有している当県としてしっかり支援していく必要があり、支援に当たっては、自動車メーカーや水素ステーションのインフラ事業者との情報共有をしっかり行う必要があります。  申し上げるまでもなく、こうした燃料電池車両の初期需要の創出には、水素供給のインフラ整備が最重要課題です。これまで県は、整備や運営に対し、国に上乗せする補助制度を設け、水素ステーション事業者の支援に努められてこられた結果、現在、全国一の整備数であることは評価できるところです。  しかしながら、先ほど申し上げましたような役割のもとで本県が引き続き全国をリードし続けるためには、一層の取り組みが求められるものと考えています。  そこでお伺いいたします。  水素需要を先導するFCVの今後さらなる普及のため、水素ステーションの整備促進にどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。  以上、三点について質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 42: ◯振興部観光局長(加納國雄君) 本県への観光客の誘致に向けた事業展開についてお答えいたします。  現在、愛知の魅力を国内外の方々に知っていただくため、ハート・オブ・ジャパンのブランディングである物づくり文化、武将のふるさと愛知など、本県ならではの魅力的な観光資源を活用して、各種の施策に取り組んでいるところでございます。  特に、閲覧回数が順調に伸びている愛知県公式観光情報ウエブサイトAichi Nowにおいては、多言語によって愛知の魅力の情報を発信するとともに、最新の話題をタイムリーに発信できるSNSを利用して、県内在住の外国人による情報も国内外に向けて発信しております。  また、これまでの産業県としてのイメージに加え、観光県としての理解が全国に浸透するよう、本県出身の松平健さんを起用して、モノスゴ愛知で待つ県のプロモーション動画も作成し、本県らしいテーマと親しみやすい内容で、広報・宣伝活動を実施しているところでございます。  さらに、観光集客を確実なものにするため、本年度からJRグループによるデスティネーションキャンペーンを核とした大型観光キャンペーンを実施しております。愛知の魅力を知る方々を全国に広げ、キャンペーン終了後も県内各地の観光素材の磨き上げを行い、また、新しい愛知の魅力の創出などにも取り組み、本県への継続的な集客を確かなものにしてまいります。  国は、観光ビジョンの中で、訪日外国人旅行者数を二〇三〇年に六千万人まで伸ばすことを挙げております。本県としましても、二〇二七年度のリニア中央新幹線の開業を見据え、リニア大交流圏の西の拠点として観光県あいちを積極的に発信し、知名度向上に取り組んでまいります。  今後も、産業観光、武将観光など本県の強みを生かした観光振興策を展開することで、本県観光のブランド力を一層高め、国内外からの来県者数の拡大に向けた事業展開を図ってまいります。 43: ◯産業労働部長(吉澤隆君) 本県の自動運転推進施策に関する御質問のうち、私からは県内企業のビジネス展開についてお答えいたします。  自動運転、電動化、シェアリングサービスなど、自動車産業を取り巻くビジネス環境は根底から変化し、百年に一度の大転換期を迎えていると言われております。とりわけ自動運転につきましては、今後、一層の技術革新や市場拡大が見込まれることから、従来の自動車関連企業にとどまらず、電機メーカーやIT企業など、異業種からの参入が近年相次ぎ、世界規模での競争が加速しております。  こうした中、本県自動車産業が激しい環境変化に的確に対応し、引き続き我が国の経済を牽引していくためには、まずは世界的な市場や技術動向などの最新の情報を正確に収集、分析し、これらを県内の中堅・中小企業等と共有した上で、今後出現する新しいビジネスに地域の企業がしっかりと参入できる体制づくりを推進していくことが重要であると考えます。  このため、本県の自動運転に関する産学行政の連携組織として昨年十月に立ち上げたあいち自動運転推進コンソーシアムを母体に、センサーやソフトウエアなどの部材、システム、コネクテッドカーの実現に不可欠な通信基盤などのインフラ、データ、高齢者の移動サービスやシェアリングサービスなどのモビリティサービスの三つの分野で研究会を立ち上げます。  今後、新しいビジネスの展開に関心を持つ有志企業等を中心として、本研究会において最新情報を把握する中で、その可能性や具体化に向けた課題等についてテーマごとに検討する事業化可能性調査を行うなど、新ビジネスの創出を推進してまいります。  さらに、こうした活動を通じて、県内企業等が研究開発や実証実験の段階に進んでいく際には、新あいち創造研究開発補助金等の県の支援策を活用して、事業化に向けしっかりとバックアップしてまいります。  続きまして、水素ステーションの整備促進に向けた取り組みについてお答えいたします。  まず、水素ステーションをめぐる新たな動きとしては、昨年までに策定された未来投資戦略や水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版に沿って整備を加速させる仕組みをつくるとの国の方針のもと、水素ステーション事業者、自動車メーカー、金融投資家等、十一社による新会社が設立されたことが本日午前中に公表されました。今後四年間で八十カ所の整備を目指すとされており、今後の整備に弾みがつくことが期待されます。  本県といたしましては、こうした全国的な動きを捉え、県内になるべく多くの水素ステーションが整備できるよう、新会社及びその傘下の水素ステーション事業者等の意向を可能な限り把握し、必要な支援を着実に行ってまいります。  具体的には、まず、資金面での支援として、二十七年度より本県独自に運用している補助制度を活用して、三十年度には、新会社案件を含む新たに五基予定されている水素ステーションの整備費と、営業している全ステーションの運営費を支援することにより、事業の下支えをしてまいります。  次に、整備計画の具体化に向けては、水素ステーションの整備の可否を左右する、採算性を満たす適地の確保が重要となります。このため、水素ステーション事業者、県内全市町村等で構成するあいちFCV普及促進協議会の枠組みを活用して、用地情報を保有する市町村と事業者との間に県が立ち、両者の調整を行うなどの支援を行ってまいります。  また、水素ステーション事業者の裾野を拡大するため、特定の地域に強みを持ったガソリンスタンド等、新規参入が期待される事業者を対象に、支援策などの必要な情報を提供する説明会を開催するほか、関心の高い事業者に対する個別訪問による働きかけなどにより、新たな事業者の発掘を図ってまいります。  本県といたしましては、FCVのさらなる普及に向けて新会社や事業者のニーズを的確に捉え、その取り組みを着実に後押しすることにより、水素ステーション整備を引き続きしっかりと促進してまいります。 44: ◯知事(大村秀章君) 高桑敏直議員の質問のうち、自動運転の推進につきまして、私からもお答えをいたします。  本県は、昨年、二十八年度は十五の市町、そして今年度は十の市町と、国内に類例を見ない大規模な自動運転の実証実験を全国に先駆けて積み重ねてまいりました。終了いたしました二十五カ所の実証路線の総延長は約六十三キロ、総実走距離は三千五百キロを超えたところであります。  今年度は技術内容をさらに高度化させ、昨年度行いました、いわゆるレベル3におきましても、全国初となるETCレーンの走行を含む信号交差点での右折、車線変更、明暗のあるトンネルなど、さまざまな道路環境下での走行を数多く実現させてきました。  また、昨年十二月に幸田町におきまして、全国で初めて一般公道における遠隔型、いわゆるレベル4の実証実験を成功させ、二月は二月五日に春日井・高蔵寺ニュータウン、そして二月二十二日に名古屋市におきましても、レベル4の一般公道での実証実験を成功させてまいりました。  さらに実用化を見据え、常に最先端の取り組みを行っていきたいと考えております。  そういう中で、来年度は、今回、予算にも提案させいただいておりますが、遠隔操作のステーションから、今は一カ所で一台ということでありますが、複数台の遠隔型自動運転車両の同時使用や、高度な通信システムを活用し、さらに一歩進んだ実用レベルでの実証実験を行っていきたいと考えております。  自動運転社会はもうすぐそこにある未来だと確信をいたしております。自動車産業の一大集積地である私ども愛知が引き続き日本、そして世界をリードする存在であり続けるために、自動運転のさらなる高度化や活用を推進してまいります。 45: ◯五十番(高桑敏直君) 知事からも御答弁いただき、本当に御丁寧に御答弁していただき、ありがとうございました。私から一点だけ要望させていただきます。  観光振興についてであります。  申し上げましたとおり、一番危惧することは、やはり二〇二七年開通予定のリニア新幹線によるストロー現象であります。それまでに知名度アップの長期観光戦略を立てていただき、東京からの観光客を呼び込み、愛知県で消費していただけるよう事業展開することを切にお願い申し上げまして、質問、要望を終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 46: ◯四十一番(近藤ひろひと君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 47: ◯副議長(峰野修君) 近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 48: ◯副議長(峰野修君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 49: ◯議長(中野治美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  森下利久議員。     〔七十番森下利久君登壇〕(拍手) 50: ◯七十番(森下利久君) 通告に従いまして、観光振興と民泊について二点質問をいたします。  私は観光振興の立場から、今回、愛知県の観光予算について質問をいたしてまいります。  まず、愛知県は、物づくり日本一の生産出荷額四十六兆円、四十年の長きにわたる生産県であります。  愛知県ホテル・旅館生活衛生同業組合の新年会で、大村知事さんは、次世代の自動車産業、航空宇宙産業、ロボット産業、AIなど、日本一住みやすい愛知の物づくりを目指すこと、ことしも日本一元気な愛知、全ての人が輝く愛知の実現を目指し、県民の皆様に笑顔で元気に過ごしていただけるよう全力で取り組み、また、愛知の魅力の発信と観光振興と産業競争を一層強力にしてまいりますと御挨拶されております。  昨年から中部国際空港島の東側に、約六万平米の国際展示場を二〇一九年の九月に開業予定で建設中であります。国内最大の展示場は、東京ビッグサイトの展示面積九万六千五百四十平米であります。愛知県の国際展示場は、国内四番目の大きさの展示場になります。  日本初の国際空港島内の展示場で、抜群のアクセスと利便性となり、アジアを中心に海外、国内の主要都市からセントレアへの集客が見込まれます。  さらに、商業施設、ホール、会議室、空港島の宿泊施設が活用を期待されております。  空港島内には、ボーイング787の初号機を中心とした複合商業施設がことし整備をされる予定であります。この施設は、子供も大人も楽しく学べる空間づくりや演出により、航空に対する興味、関心、憧れを喚起し、次世代を担う人材育成や航空機産業の発達にもつなげていく施設となります。  国際展示場がこれら周辺施設と連携をしつつ、多彩なイベントの開催により全ての産業の発展に寄与していくことと、大いに期待をいたしております。そして、この積み重ねが国際空港を生かした、アジアを中心とした観光発展につながるものと思っております。  私は常々、愛知県は物づくり日本一生産出荷額の、物づくりの王者の県と思っております。愛知の観光をより発展させるのに展示場を有効利用し、相乗効果による観光産業に力を入れてほしいと思っております。  そこで、ことし、平成二十九年度の観光費の総額予算は九億五百三十万円、そのうち、観光振興費は五億五千百万円であります。  内訳は、あいち観光戦略推進費は千三百万円、観光施設等の補助金が五千八百万円、観光地域活性化支援事業費は二千四百十万円、三事業合わせて、愛知の観光に対する地域支援事業費は九千五百十万円であります。  その他の愛知県大型観光キャンペーン事業費負担金が一億二百万円と、国際観光コンベンション推進事業費一億四百六十万円で、合わせても全部で三億円であります。  観光振興費五億五千百万円のうち、名古屋城本丸御殿整備費補助金一億五千七百四十万円と名古屋まつり負担金の五十万円で、一億五千七百九十万円であります。  数年前まで観光予算はおおむね五億円でありましたが、現在は九億円であります。三年前、あいち観光戦略と重点プロジェクトを加速させるため、愛知県の魅力を発信し、観光客の誘客に積極的に取り組み、観光産業を一兆円観光産業に成長させようと観光元年と名づけ、観光のプロ、加納局長をお招きし、あれから三年が過ぎました。  新聞各社が各都道府県から独自に集めた観光関連予算資料で見ると、愛知県は、全国の四十七都道府県のうち四十三番目であります。  他県で、例えば、沖縄県の観光関連予算は七十八億五千九百九十四万円、沖縄県予算の一・〇六九%、鹿児島県も観光関連予算は四十七億八千百三十一万円、県予算の〇・五九〇%、東京都、百七十九億九千万円、都の予算の〇・二五九%であります。愛知県が九億五百三十万円、愛知県の予算の〇・〇三六%であります。  これらの数値は人件費も含めたことで、どこまで観光関連とするのか都道府県に任されているもので、単純には比較できないかもしれませんが、今後とも観光予算の増額には力を入れていただきたいと思います。  これからの観光振興には、次世代の観光づくりと観光振興を担う観光人材の育成や教育指導等、観光を取り巻く環境変化を的確に捉え、地域みずからが観光資源の魅力をPR、情報を発信するなどの活動を積極的にしなければなりません。官民一体で観光地づくり、観光マネジメントを強化していくには活動費が必要で、その後押しと地域の協力が重要となります。  あいち観光戦略では、訪日外客誘致、本県観光のブランド化、観光交流拠点県として機能強化と、MICE、スポーツ大会を通じた誘客促進など、六つの戦略と重要プロジェクトに取り組んでおられますが、経済状況の変化や民泊新法などの新しい動きも的確に対応していく必要がございます。  観光振興については、確かに観光局ができ、以前よりはいろいろな事業項目を掲げて、活動する意欲を感じます。あいち観光戦略を挙げて、各地域と一緒になって事業をより効果的に実行し、着実に本県への観光集客を進めていかなければなりません。物づくり日本一の愛知が観光県あいちとして飛躍するには、あいち観光戦略を着実に実行する必要があると考えますが、どうでしょうか。  そこでお尋ねをいたします。  観光集客を確実にするために、あいち観光戦略をどのように進め、観光県あいちの実現をしていくのか、加納局長のお考えをお伺いいたします。  次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法の施行に係る対応について質問をしてまいります。  二〇二〇年までに訪日外国人旅行者四千万人を目標に掲げて、予測を超える訪日外国人旅行者の増加が見込まれ、受け入れ態勢の整備が求められております。
     既に外国においては民泊が広く普及し、国内においても広まりを見せておりますが、民泊については数々の問題が生じたため、新たな法律として平成三十年六月十五日をもって、住宅宿泊事業法が施行をされます。  この法律は、外国人の旅行者の増加に伴い宿泊施設が不足するので、その対策として、自宅やマンション、アパートの空き部屋に有料で人を宿泊させるための法的な根拠として策定されたものであります。  民泊は、外国人旅行客が増加する中で現在の宿泊受け入れ施設では不足するので、観光客の受け入れ、観光振興という切り口で考えられたと聞いております。東京、大阪など、宿泊施設の稼働率がかなり高いため、ホテル、旅館不足で、救済対策、民泊は有効的であることは理解ができます。  一方、愛知県内においての稼働率は、旅館が三〇%、リゾートホテルが五〇%程度であり、確かにビジネス・シティーホテルにおいては八〇%と高い稼働率を示しておりますが、全体において六〇%の稼働率と伺っております。  そうした状況において、民泊は現在不足している宿泊施設の補完的受け皿として、地域経済活性化に効果があることは認めますが、地域の観光産業業者、特に既存の宿泊業者との公正、公平な競争環境の確保の必要性に鑑み、民泊事業の営業日数については、既存宿泊業者の年間客室の稼働率を超えない範囲で、営業に配慮されるべきと思われます。  そこで質問をいたします。  本県ではどの程度、宿泊施設が不足していると考えているのか、稼働率はどのようになっているのか、お伺いをいたします。  本来、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を営むためには、旅館業法に基づく許可を得て行わなくてはなりません。そして、営業するに当たっては、旅館業法のほかに消防法、建築基準法等の規制も受けます。  今回は、民泊新法により民泊を行うことを知事に届けることで旅館業法の規制を外すというもので、そのために、地域におけるトラブルが懸念をされます。実際、既に東京、大阪、京都などでは、訴訟問題までになっている事例が見受けられております。  現在の民泊は、旅館業法の規定による許可を受けずに営業していれば、違法行為となるわけでありますが、現在、どのように把握しておられるのか、お伺いをいたします。  民泊には、家主が自分の宿泊客の世話をしている施設と、家主が居住をせず、空き家、空きアパート、マンション等を活用するものがあり、民泊はネットで宿泊予約が一般的であり、こうした家主が居住していない民泊施設では、管理者と対面することなく宿泊させることから、思わぬ落とし穴があると思われております。  例えば民泊では、三人、四人部屋なのに、定員の倍以上の宿泊客が泊まり、夜中に大声を出したり騒いだりして、既に東京、大阪、京都などでは、地域住民やマンションなどの入居者とトラブルが発生しているようであります。  現行の旅館業法の規定に基づく旅館・ホテル営業者と今回の民泊営業は、有料で人を泊まらせることにおいては同じ業態であります。  旅館、ホテルは、旅館業法の規定により治安、衛生、安全面など、厳格な規定により多額な経費をかけております。また、旅館・ホテル営業者は、日々、周辺住民の生活環境と調和を図り、利用客、地域住民の安心・安全の確保に努めております。  一方、家主不在型の民泊では、地震、火災等の発生には、誰が宿泊客に緊急連絡をするのか。本当に安全・安心が確保ができるのでしょうか。  そこでお伺いをいたします。  家主不在型の民泊では、緊急事態のときに安心・安全を確保するために、どのような体制をとるのか、お伺いをいたします。  また、安心・安全確保には、外国人旅行者の宿泊についてはパスポートの提示義務を明示するなどして、テロへの拠点にならないよう厳格な管理が必要であると思います。外国人旅行者にとっては、パスポートは身分証明であり、それを提示させることなく滞在させることは、どこの誰かもわからない人が他人の家に入り込むことになり、外国の例にあるように、テロへの影響が懸念をされます。地域住民の安全・安心の確保については、十分な配慮が必要であります。  一旦事件が起これば、被害者は厳重な警護もつかない善良な一般の県民、市民であり、また、それが観光地なら、集客が一気に冷え込んでしまいます。  近年、訪日外国人観光客の急増により、観光を取り巻く投資環境が地方でも変化をいたしております。県内においては、ホテル、旅館の新たな建設など、外国人旅行客の受け入れのための宿泊施設の増加が、東京オリンピックの開催される二〇二〇年度まで続くと思われます。その後の客室過剰状態さえ予見をされるところであります。  そのような状況にあっても、旅館業者はもともと民泊をそのものに反対してきたわけではありません。旅館・ホテル営業者は、地方公共団体が開催いたします大きな大会など、一時的な集客の増加が認められ、宿泊施設が不足する場合には、市町村の要請により住宅に人を泊める、いわゆるイベント民泊については、やむを得ないとの理解をいたしてまいりました。  しかしながら、このたびの民泊新法につきましては、年間営業日数も多く、利用者や地域住民の安心・安全への対応がはっきりしていないのであります。  そのために、民泊新法を補完する意味でも、本県も条例を制定していただきたいと思います。新法決定の際に、参議院におきましても附帯決議された事項も含みまして、民泊新法を適切に運用していただくためにも、十分な対応をしていただきますようお願いいたします。  そこで、本県の民泊新法に関する条例制定についてのお考えをお伺いいたします。  私の地元は南知多町で、春、夏、秋、冬、一年を通して、県内一番の南端の温泉郷で楽しく皆さんに親しんでいただけるよう、観光地として頑張っております。  あいち観光元年を宣言してから、三年が経過をいたします。先ほどの民泊絡みの宿泊事業者も大変な時代を迎えております。今後、観光振興に向けた取り組みについて、知事さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  明確な御答弁を期待いたしまして、壇上での質問を終わります。(拍手) 51: ◯振興部観光局長(加納國雄君) あいち観光戦略をどのように進め、観光県あいちを実現していくのかの御質問にお答えします。  観光振興のアクションプラン、あいち観光戦略のもと、訪日外国人旅行客の誘致を初めとする重点プロジェクトを着実に進めており、平成二十九年の本県への外国人来県者数が平成二十六年の百二十三万人から約二倍の二百五十五万人まで伸びるなど、観光戦略で目標に挙げた二〇二〇年の四百万人に向け、おおむね順調に増加しております。  あいち観光戦略に基づき推進する本県の観光振興施策につきまして、平成三十年度は、愛知県国際展示場の施設整備など、MICE、スポーツ大会を通じた誘客の促進に向けた事業費を含めますと、観光振興予算全体では二百四十五億円を超える規模となっております。  愛知には産業観光、武将観光など、ほかにはない魅力的ですばらしい観光資源が豊富にありますので、県内各地の取り組みとの連携を強化し、創意工夫を重ね、ニーズを的確に捉えていくことが重要と考えております。  また、訪日外国人旅行者が増大する中、本県では東アジアからの訪問客が約八割を占めている状況でありますが、今後は一人当たり滞在時間が長く、観光消費額が高い欧米からの誘客も図るため、英国で開催される旅行業者向け見本市への出展などを行ってまいります。  あいち観光戦略の重点プロジェクトを着実に進め、他部局の観光関連事業との連携も一層強化していくとともに、県内各地において日本版DMOとして観光集客を図る取り組みなどが活発化していることから、これらの取り組みに対して積極的に支援してまいります。  愛知は多くの魅力的な観光資源と温かく情熱を持った人々を有する県であり、誇りを持って観光客の誘致にしっかり取り組んでまいります。  続きまして、民泊新法の施行に係る対応のうち、宿泊施設の稼働率などに関してお答えいたします。  観光庁が実施している民泊旅行統計調査によりますと、平成二十八年一月から十二月における本県の宿泊施設の客室稼働率は、シティホテル八〇・五%、ビジネスホテル七六・六%、リゾートホテル五四・三%、簡易宿所四七・五%、旅館三一・四%、宿泊施設全体は七〇・二%になっております。  宿泊施設の過不足については、利用者ニーズが多様化しており、宿泊施設のタイプ別により違いがあると考えております。 52: ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 民泊に関する御質問のうち、まず、旅館業法の許可なく営業している民泊の現状についてお答えいたします。  現在、民泊を行うためには、旅館業法による許可が必要でありますが、許可なく営業している民泊につきましては、住民等からの通報により把握し、保健所において指導等の対応をしているところでございます。  今年度、保健所への通報により把握した件数は、一月末までに、県で六件、名古屋市で七十四件でございます。  なお、中核市である豊橋市、岡崎市及び豊田市においては、通報はありませんでした。  県保健所では、通報があった際には直ちに現地確認を行い、民泊を中止させるとともに、営業を継続する意向がある場合には、旅館業法に基づく許可を得るよう指導しております。  次に、家主不在型の民泊において緊急事態が発生した際の安心・安全を確保するための体制についてお答えいたします。  本年六月に施行される住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法では、家主が同居する民泊と、家主が同居しない民泊を想定しております。  いずれの民泊であっても、宿泊者の安全を確保するために、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災や地震等の災害が発生した場合の連絡先の外国語表示などが義務づけられております。  家主が同居しない民泊では、家主にかわり、管理業者が宿泊者の安全を確保することになります。この管理業者は、国土交通大臣の登録を受けた者であり、常時、宿泊者と連絡がとれて、民泊施設へ速やかに駆けつけられる体制を整えることとされております。万一、火災や地震などの緊急事態が発生した際には、管理業者により迅速な対応がとられるものと考えております。  最後に、本県の民泊新法に関する条例制定についてお答えいたします。  本県では、法施行に向けて保健所職員の研修を行うとともに、昨年十月には、十三の関係課室による住宅宿泊事業法関係連絡調整会議を設置し、情報共有を図るなど、庁内の体制を整えております。  法施行後は、宿泊者の安全確保、近隣住民からの苦情対応など、事業者の責務が確実に遂行されるよう、保健所による事業者への指導を徹底し、苦情等が発生した際には、関係課室が連携して、迅速かつ適切に対応してまいります。  一方、民泊新法では、騒音等による生活環境の悪化を防止するため、国が定める基準に従い、都道府県が条例により、地域の実情に応じて、民泊の実施を制限することができるとされております。  国が定める基準では、民泊新法の目的の一つが民泊の普及であるため、過度な制限を課すべきではなく、地域の実情に応じて区域及び期間を指定して、制限を行うこととされております。  したがいまして、条例の制定につきましては、制限が必要となる区域と期間を見きわめる必要がありますので、慎重に検討してまいりたいと考えております。  県といたしましては、国及び市町村などの関係機関との連携を密にして、民泊新法の適切な運用を図ることにより、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。 53: ◯振興部観光局長(加納國雄君) 先ほど、私の稼働率の答弁の中で、観光庁が実施している宿泊旅行統計調査によりますとということで、私、民泊旅行統計調査と間違えました。失礼いたしました。 54: ◯知事(大村秀章君) 森下利久議員の質問のうち、観光について私からもお答えをいたします。  二〇一五年をあいち観光元年と宣言いたしまして、観光を私も愛知県の新たな戦略産業として位置づけ、あいち観光戦略の目指す姿、「発見、感動、伝えたい観光県─あいち」の実現に向けまして先頭に立ちまして、国内外からの観光客の誘致に取り組んでまいりました。  来年度予算案には、愛知の夢を育んでいくため、ジブリパーク構想の推進を初め、さらなる愛知の魅力向上につなげていく事業費を盛り込んでいるところであります。  また、インバウンド需要が世界的に拡大する時代となり、都市間競争に勝ち抜き、この地域の持続的な発展に結びつけていくため、MICE、スポーツ大会などを通じた誘客の促進や、民間活力を活用した新たな魅力の創出にもしっかりと取り組んでまいります。  ことし十月からは、全国規模となる愛知デスティネーションキャンペーンを展開してまいります。愛知のすばらしい魅力を県内外に向けて力強く発信し、この地域が一丸となってたくさんの観光客をお迎えできるよう、愛知の観光を引き続き大いに盛り上げてまいりたいと考えております。 55: ◯七十番(森下利久君) それぞれ、今、御答弁をいただきました。  知事さんも、二〇一五年に、いわゆる観光元年を設定して、しっかりと動いていくということでございますけど、私は、観光にはやはり先立つものは金ということで、予算がないとなかなか難しいのかなと、こんなふうに思っていまして、二点要望させていただきます。  それぞれ、皆さん方から御答弁をいただきましたけれども、観光局ができて、以前よりはいろいろな事業が旗上げをして、活動する意欲は感じます。  そういうことで、三年前、観光元年と名づけ、旗上げをしました。そして、その後、あいち観光戦略の中で、各地域と一緒になって事業をより効果的に実行し、観光客の集客をふやすと、こういうことを言っておられます。  確かに、関連事業は進んでおり、二〇二七年のリニアの新幹線の開業、あるいは国際展示場の建設、セントレアの二本目の滑走路等には取り組んでいただいております。  確かに物づくりは、四十年間、日本一の産業県で生産県であります。先ほど、私の前におります高桑議員さんが観光振興の質問をされました。その中で、産業だけに力を入れるのではなくて、観光産業にも力を入れよと、すごい力強い後押しをいただきました。私も全くそのとおりだと思っております。  そうした中、平成三十年度の観光予算、ことしは七億五千百万円で、昨年より大幅な減額であります。観光関連の予算、先ほども申し上げましたけど、全国、何と四十三番目でありまして、まことに残念な観光予算であると思っております。  先ほども申し上げましたが、他県、特に沖縄県は人口が百三十八万人でありまして、県の予算は約六千億円であります。そして、その中で、観光関連予算は七十八億円であります。愛知県の県政財政の規模から考えれば、百億円以上あってもいいのではないかなと私は思っております。  そうした中、観光元年に始まり、あいち観光戦略、そして、観光あいちと名称あるいは看板はかわっても、観光予算はなかなか増額をされません。仏つくって魂入れずではないかなと、私はこんなふうに思っています。  確かに、物づくりは日本一の産業県でありますけど、その産業県と肩を並べるような観光の愛知、観光事業を発展させるには交流人口をふやしてもらうことと、地域の活力と元気、やる気を与えるには、事業の予算額が拡充をしないとなかなか、やっぱりその事業に取り組んでおる人たちの後押しができないのかなと、そういうことで、私は予算の拡充を強く要望いたします。  その中で、先ほど山本浩史議員の質問にありました南知多、残念ながら、ここ五年、千八百人の人口が減少いたしております。  私は南知多町の師崎の出身であります。人口減少が一番問題になっておるのは、若者がやっぱり働く場所がないと、そういうことで、企業とか会社がないので、学校を卒業すると、毎年、四百人とか五百人がよそへ移っていく。これが人口減少の一番大きな問題であると。  その中で、風光明媚なこの南知多町は、観光産業に力を入れていけば、これが需要として町の起爆剤になる。だからこそ、私は観光の後押しをしっかり、県もやっていただきたい。  そういうことで、産業は四十年も日本一な県でありますから、力はあるわけですので、そういう中で何とか産業県と並ぶような観光県にぜひともしていただきたい。ここを知事さんに強く要望いたしておきます。  それから、いよいよ、これから全国で民泊新法が六月十五日から施行されます。二〇二〇年の東京オリンピックを見据えて、訪日外国人旅行客へのホテル、旅館が不足をする。そのために、今整備が求められておるわけでございます。  家主の不在型で許可をとらずに営業したり、こういうことはいろいろと説明がございますけど、ネットなどで安易に予約ができ、宿泊者が誰ともわからない状況の中で、残念ながら、先日、大阪で二十七歳の女性が、民泊施設初の監禁殺人事件が報道されました。非常に残念なことであります。二度とこうした犯罪事件などが起こらないように条例の制定をしっかりしていただいて、安全・安心で健全な民泊施設を望むものであります。  家主不在の民泊では、安全・安心、経営者の確保のために十分な配慮をしていただいて、条例制定を強く要望いたしまして終わります。 56: ◯議長(中野治美君) 以上で一般質問を終結いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 57: ◯四十番(中根義高君) 本日はこれをもって散会し、明三月六日は休会とし、三月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 58: ◯議長(中野治美君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 59: ◯議長(中野治美君) 御異議なしと認めます。  明三月六日は休会とし、三月七日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時六分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...