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総務県民委員会 本文 2017-12-25 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 : 【
長谷川参考人】 選択 2 : 【岩村進次委員】 選択 3 : 【
長谷川参考人】 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 《参考人の
意見陳述》
【
長谷川参考人】
本日は、気象台が提供している
防災気象情報について、少し細かいところも含めて紹介させていただきます。
自然災害を軽減するに当たっては、気象庁が発表しています
各種防災気象情報がトリガーとなっていろいろな対応を始めることが多いと思いますが、その辺りについて話を進めてまいります。せっかくですので最初に
名古屋地方気象台の紹介を、次いで
気象関係の
防災情報、さらに、
地震津波関係の
防災情報を紹介いたします。
まず、
名古屋地方気象台ですけれども、創設されたのは今から130年ほど前の明治23年で、当初は愛知県に属する
名古屋一等測候所として創設されました。場所は今の
NHK名古屋放送局付近、地下鉄の栄駅近くです。3年後に
名古屋地方の
天気予報発表を開始し、しばらくして大正12年、1923年、これは関東大震災が起こった年ですが、この年の1月に現在地、千種区日和町に移転しています。名古屋市は東側が丘陵地になっていますが、その一つの丘といいますか小さな山の頂上に気象台を設置しています。日和町は引っ越した当時は別の町名だったのですが、
町名改正の時、気象台があるのでこの名前になったそうです。その後、昭和13年に国の機関に移管され、次の年に現在の名称である
名古屋地方気象台になりました。昭和36年、1961年には
名古屋気象レーダーが
運用開始になっています。ちょうどこの2年前、御承知のように
伊勢湾台風の大災害がこの地方にありました。これを契機に国の
防災対策の基本を定める
災害対策基本法が制定され、気象庁では、やはりこの辺りの雨雲の動きを的確に捉えるということで、
気象レーダーを設置したということです。当時、
レーダーは最新鋭の科学的な
観測装置で、気象庁は全国的に
レーダー観測していますが、
名古屋地方気象台には全国でかなり早い時期に設置されました。今はもう撤去された
富士山頂の
富士山レーダーよりも名古屋はさきに設置されています。
この本庁舎は気象台で一番古い建物で、大正11年建設の築95年になりますが、基本的な構造は当時のままです。ここには事務室、会議室があります。もう一つ、
現業庁舎という昭和36年建設の建物があり、2階の現業室という部屋で24時間職員が詰めて
天気予報を出しています。屋上の白い球のようなものの中に
気象レーダーが設置されています。なお、昭和36年の2年前の
伊勢湾台風で、これ以前の
木造庁舎は屋根が剥がれたり、大破したりしたため、この新しい建物を建てました。これは現業室の様子です。予報官がいろいろな資料を見て
天気予報や警報を出している現場です。これは
名古屋地方気象台の主な業務を箇条書にしたものです。まずは気象の現在の状況を確認するための
気象観測を行っています。気温や風を測り、また、天気や雲は職員が目で見て観測します。
レーダー観測は雨雲を見る、
高層観測は上空の風などの状況を確認するものです。
天気予報では、今日、明日、明後日までの予報を出す
短期予報、それから1週間後までの
週間予報、さらに、もう少し先まで予報する
季節予報というものを出しています。そのほかに、
地震津波関係の業務や、いろいろな
観測施設の
維持管理、県内に幾つか観測点がありますのでそこに出向いて点検・管理しています。
部外機関との
連絡調整、一般の人への
出前講座・講演会、
周知啓発活動も行っています。
さて、
地方気象台が気象庁という組織の中でどういう位置づけになるかということです。トップに
気象庁長官がおり、その下が次長で、
内部部局は東京の
気象庁本庁内の部署です。総務部のほかに、技術系の予報部、観測部、
地震火山部、
地球環境・海洋部、という四つの部があり、ここで施策を企画立案して全国に展開します。
予算関係業務や
国会関係の対応なども
気象庁本庁で行っています。地方では組織のレベルが二つあり、まず、
管区気象台、
沖縄気象台とありますが、
全国六つのブロックを
地域ごとに統括しています。
管区気象台は、札幌、仙台、東京、大阪、福岡にあります。これに
沖縄気象台と、これらが各地域の都道府県に原則一つずつある
地方気象台を統括しています。そのほか測候所あるいは、
航空気象という航空機の
安全運行のためにいろいろな情報をエアラインなどに提供する気象台もあります。また、
施設等機関として
気象研究所や
地磁気観測所、
高層気象台などといった施設があります。このような組織構成の中で
地方気象台は業務をしています。
天気予報を出すまでの非常に大まかな流れは、まず、現在の大気の状況、天気の状況を正確に知るため、
地上気象観測、それから
海上気象観測や上空の観測等を行っています。このデータに基づき、あとはスーパー
コンピュータで数値計算し、いろいろな処理をして予想を出してきます。ただ、そのまま
天気予報がダイレクトに出るわけではありません。やはり予報官がその内容をチェックし、経験的なものも加味して、最終的に予報を出したり、警報を出したりしています。
コンピュータ予測は東京にある施設で全部を一括してやっています。
地方気象台は、この観測の部分と予報の部分について業務を行っています。
観測の細かい話になりますが、
地上気象観測、いわゆる
アメダスと言われる観測点があります。
気象レーダーで雨雲の様子が分かります。
高層気象観測は、
ラジオゾンデといって風船に
気象観測器を付けたものを飛ばし、上空の風や気温などを観測します。海上の
気象状況も非常に大事ですので、気象庁で2隻持っています専用の観測船で観測します。宇宙からは
気象衛星ひまわりで連続的に非常に広範囲の雲の状況を観測しています。
地上気象観測を行う
アメダスは、いろいろな要素の観測をしていますけれども、全国に約1,300か所あり、
愛知県内には全部で20か所あります。大体20キロメートル間隔ぐらいで満遍なく展開しています。
これは露場といって地上の観測をする場所ですが、周りの
構造物等の影響を避けるために、ある程度広い場所を確保した上でこのように
観測機器を設置しています。温度・湿度はこういった電子的なセンサーで観測します。雨量計は、筒の下のシーソーのようなところに一定の量の雨がたまったらししおどしの原理で反対側に傾き、その傾く回数を数えて雨量を計る装置です。風については、本庁舎のてっぺんに装置が付いていますが、これも周りの影響を受けないよう、測風塔というおよそ地上から10メートルぐらいの場所に設置して風向と風速を測っています。
レーダーですが、ドームは雨と風を避けるための覆いでこの中にパラボラアンテナがあり、15秒に一回転、ぐるぐる四六時中回っていて、こういった雨雲の状況が分かります。上空の風観測は先ほど
ラジオゾンデを紹介しましたが、最近はまた違った
観測機械が開発されていまして、ウィンドプロファイラという装置から上空に向かってある種類の電波を発射し、それがはね返ってくるのをキャッチしますが、風の具合で電波が微妙に変化するので、上空でどちらの方向に風が吹いているか、どのくらいの強さかということが測れます。
天気予報とはちょっと違いますが、植物、動物の
生物季節観測も行っています。特に有名なものとしては、桜の開花日を観測してお知らせしています。
生物季節観測は季節の移り変わりを見るために昔から行っており、
生活情報の一つとしても使われています。
次に、
防災気象情報の話に進みたいと思います。先ほど出した図ですけれども、観測の後、
コンピュータの計算から予報に至るまでの話をしたいと思います。
大気の状態が変化する仕組み、言い換えますと天気は何によって変化するかという大まかな説明図です。大本は太陽が地球に降り注いでいる熱、光線が
エネルギー源です。地表のいろいろな場所で熱を受け、場所によって温まり方が違うために温度の
ばらつきが出てきます。その
ばらつきを解消するために空気の移動が起こり、これが風になるわけです。地球ではもう一つ重要な要素として水蒸気、水の存在があります。水は冷えると水滴になって、上空では雲になります。このようないろいろな要素が複雑に絡み合って天気が変化していくのですが、その変化は物理的な法則に従います。実際の
天気予報ではこういった物理法則を踏まえて
コンピュータで計算するわけです。具体的には、ちょっと細かい話ですが、地球上の大気を
南北方向、それから
東西方向、それから
上下鉛直方向に非常に細かく区切りまして、各々のところで気温などいろいろな要素について、その隣同士、上下で相互作用を行わせるとどうなるかを一つずつ計算しています。
数値予報という言い方をしていますけれども、こんな形で現在の
天気予報の基盤、一番コアなところは成り立っています。これは
数値予報によって
コンピュータから出て来た天気図で、余り一般にはなじみがないかと思いますが、テレビなどで見られる
地上天気図に近いものはこの左上の図です。その他は、将来の時刻でどのように気圧の具合が変わっていくか、あるいは風の具合が変わっていくかという図です。先ほど申しましたように、こういった資料を見て、最終的には予報官が判断し、いろいろな予報を出しています。
これは定時的に出している
天気予報の表です。1日に3回、午前5時、それから午前11時、午後5時に、対象区域や
内容ごとに何種類か出しています。
これは
大気現象の
スケールと
気象情報の関係を示した図です。先ほど天気が変わる仕組みを簡単に申し上げましたが、いろいろな
気象現象は、規模、
スケールが様々に違っています。高気圧や低気圧、台風といったものはおおよそ100キロメートルから1,000キロメートルという非常に大きな範囲に影響を与えますが、集中豪雨や積乱雲、さらに竜巻に至ると、かなり規模が小さくなっていきます。規模が小さくなると現象の時間
スケールも違ってまいります。このように非常に幅広い範囲の現象に対応させる形で、気象庁は
天気予報、情報を出しています。ここで一つ覚えておいていただきたいのは、空間的、時間的に規模の小さな現象ほど、いつどこで発生するかを正確に予測することは今の
技術レベルでも非常に困難ということです。
予想が100パーセントでなければどうするかというと、現在の状況をずっと監視し続けなければいけません。いろいろな図を予報官が監視して、今どこで大雨が降っているか、この先どうなりそうかを見て、それまでに出した予報とずれがあった場合は直ちに修正し警報を出すというような作業を行っています。
このような作業を経て発表する
防災気象情報の種類をまとめていますけれども、重大な災害が起こるおそれが著しく大きい場合には
特別警報、これは一番上のクラスの警報ですが、これはある地域では数十年に一度起こるか起こらないかという、非常にまれな現象について、しかし、それだからこそ、非常に危ないというときに出されるものです。
特別警報は平成25年、今から4年前に
運用開始され、
東海地方では平成26年に三重県で一度出ています。愛知県には、幸いまだ一度も出ていません。警報、注意報は、重大な災害あるいは災害が起こるおそれがある場合に発表されるもので、これは割と頻繁に出ているものです。それらを補完するため、更に細かい説明をする
気象情報がいろいろあります。今申し上げた以外に
土砂災害警戒情報ですとか、
洪水予報、あるいは
竜巻注意情報等があります。
この図では、現象が予想され、雨が強くなり危険な状態になっていくのを、警報、注意報に着目した流れで示しています。そのとき、これらの
防災気象情報を的確に利用して災害を防ぐため、一般の住民にはいろいろなことを行動に移していただきたいということを右側に書いてあります。この間には行政として県や各市町村の
災害対策があります。いわゆる公助の部分ですが、今、こちらでは気象台と自治体との連携がますます重要であるということで頻繁に情報交換しており、市町村の首長さんと意思疎通を日頃から図るため、県内の全市町村に
気象台長がお邪魔していろいろな
意見交換もさせていただいています。
話がちょっと変わりますけれども、最近、大雨が増えたのではないかということを皆さんもお感じになっているかと思います。これは過去40年ぐらいの
アメダスの1,000地点のデータを集め、その状況を調べたものです。1時間に50ミリ以上、あるいは80ミリ以上の、非常に激しい雨、あるいは猛烈な雨が発生した回数を棒グラフにして示していますけれども、このように年々
右肩上がりで増加していることが客観的なデータからも分かります。
さて、大雨でどういった災害が発生するかというと、委員の皆様方もよく御存知のことかと思いますが、傾斜地では
土砂災害、
がけ崩れ等が起き、平地では排水能力を超える雨が降ると水がはけなくて浸水被害が起こります。河川が海に流すキャパシティーを超えてしまうほどの雨が降ると、川が氾濫します。
本年度から一般にも提供を始めましたが、気象庁では、こういった
各種大雨に関連する災害について、今、あるいはこの先1時間、数時間にわたってどのくらい危険になるのかを、地図上に色で分けた危険度として示した情報を提供しています。
ここに御紹介した各種の情報は、気象庁の
ホームページ等で一般の人にも御覧いただけるようになっています。やはり一番のポイントは、こういう細かい
予測情報は、行政としての国、県、市町村の
防災担当部署で十分に活用いただくことも大事ですけれども、災害時は行政が住民一人一人をサポートしきれない現実がありますので、こういった誰でも見られるようなものを県民一人一人が御覧いただき、御自分のところの
安全状況、危険状況を確認して適切に対応していただければと思っています。
気象関係の
防災情報はこれまでといたしまして、次に、
地震津波関係の
防災情報を紹介したいと思います。地震が起こると、大体テレビなどで何々地方で地震がありましたとテロップが出ます。時間がたつと、実際にどの辺でどのぐらいの震度であったか、さらに地震がどの場所でどのくらいの規模、マグニチュードで起こったかという情報も出てきます。これらの情報が一連の順番で発表されるわけですが、それより前に
緊急地震速報が、いきなり普通の画面に効果音が流れて地図等で表示される場合もあります。そもそも
自然現象としての地震はどういうものかという教科書に載っているような話ですけれども、日本列島の地下には固い岩盤があるわけですが、大本のプレートの移動により非常に大きな力が掛かり続けています。強固な岩盤であっても、いつかその限界を超えた時、ひびが入って広範囲にわたって割れますが、この割れたところを断層と名付けています。ある平面を境にその両側で岩盤が食い違うことで地震が発生し、それが地表まで伝わって我々の体に感じるような揺れになります。地震波の性質にちょっと触れておきますと、最初に初期微動、P波と呼ばれるガタガタという小さな揺れが到達し、しばらくして主要動、S波というグラグラという揺れが遅れて到達します。いろいろな地震のマグニチュードは、大まかに言えば1違うとエネルギーが約30倍違います。断層面は、非常に簡略化して長方形で示した場合の長さや幅は、マグニチュードが1違うと3倍ぐらい違います。これは過去の大きな地震の規模に応じて長方形で表したものですが、例えば平成23年の東日本大震災ではこのぐらいの面積の地下の岩盤が破壊されました。これはマグニチュード9.0でしたが、もうちょっと小さい、例えば阪神淡路大震災を起こした地震はマグニチュード7.3ということで、断層の大きさからするとこれほど違うわけです。エネルギーも恐らく500倍近く違うはずですが、非常に人口が密集したところの真下で地震が起こった場合には大きな被害が発生するということです。
地震関係の情報の話に戻して、最初に震度情報が出ます。昔は気象庁の職員が体感で震度3とか4とか5とか計っていましたが、今は計測震度計という機械で観測していまして、現在全国に4,000点以上の観測点があります。これは常時観測していて、地震があったらすぐに気象庁にデータが伝送され、情報発表します。この4,000点以上の内訳ですが、多数を占めているのは地方公共団体設置のものです。これは阪神淡路大震災の被害に鑑みて総務省消防庁が補助事業を創設し、自治体への普及が一気に進んだという事情がありました。
震度はある場所で実際にどのぐらい揺れたかの情報で、救援活動や発災後の緊急対応、初動に関して非常に重要です。そのほか、地震の起こった場所、マグニチュードの規模を正確に評価する必要もあるため、震度計観測網とは別に全国に300か所以上展開された地震計のデータで震源とマグニチュードを算出しています。実際に気象庁で処理している作業画面がこちらです。左側の図は、横は時間軸、縦が揺れの幅を観測点ごとに示したもので、心電図のような表示だと思っていただければよいです。先ほど説明したP波やS波、あるいは揺れの大きさを各観測点で計測し、それらのデータを突き合わせて、地震はこの辺で起こった、マグニチュードはどのぐらい、という計算をしています。これらの作業結果から気象庁はいろいろな地震情報を出すわけですが、震度速報が出て、地震情報、震源、マグニチュード、それから各市町村の震度情報と、おおむね1分半から5分ぐらいかけて順次発表してまいります。一方で、地震に伴う災害として非常に重要な津波ですが、海で大きな地震が起こった場合はまず大体3分ぐらいで津波警報・注意報を発表します。その後、細かい予想の内容や実際に津波がやってきたかどうかという観測情報を順次発表していきます。いろいろな情報がテレビ等を通じて皆様の元に届けられるのは、このような流れになっています。テレビの画面では、まず警報が出ると沿岸に警報や注意報の種類に応じて色づけで表示されます。その後、これは津波予報区と呼んでいますが、原則各県一つ以上の津波予報区でどのぐらいの規模の津波がいつ頃来るかを示します。実際にどのぐらいの津波が来たかという観測データも示されます。
次に、津波警報を出す仕組みを簡単に御紹介いたします。海底の下の岩盤で地震が発生すると海底地形が変形し、その上に載っている海水もそれに応じて盛り上がったりへこんだりします。海面の凹凸が周りに広がって沿岸に到達するのが津波です。この動き自体は、今は
コンピュータで計算、予測できるところまできていますが、地震が発生してから計算しているのでは間に合わないので、あらかじめ地震の起こりそうな場所に断層を想定し、一つずつこういった計算を行い、どのくらいの津波になるかという結果を計算機の中に全部ため込んでおきます。およそ10万通り以上のシミュレーションをやっていますけれども、実際の地震の時には、発生した地震に一番対応する結果を引き出して、津波警報を3分ぐらいで出すという仕組みになっています。実際の津波の監視はいわゆる検潮所で行っていますが、名古屋の検潮所は名古屋港ガーデンふ頭にあります。この建物の中に、導水管という管で海とつながった井戸がありまして、その水面の上下を電波式の
観測装置で測ります。この観測結果は気象庁のホームページで随時御覧になれます。なお、名古屋検潮所は昭和34年の
伊勢湾台風の高潮で国内最高潮位389センチメートルを記録した場所で、その意味でもここは非常に貴重な検潮所です。
こういった一連の地震情報、津波警報等を発表する現場を御紹介します。
名古屋地方気象台では発表作業自体は行っておらず、東京の
気象庁本庁が全国一括して行っています。ただし、
コンピュータやデータ伝送回線の性能が非常に良くなったことに基づきますけれども、東京も御承知のように地震に対して非常にぜい弱な場所であり、気象庁が潰れたら情報が出せなくなるのを避けるため、大阪
管区気象台に本庁と全く同じ解析及び情報発表のシステムを入れており、地震発生時には東京と独立して作業しています。結果は2か所から出すことはできませんので、発表官署は東京と大阪でひと月ごとに交替しますが、このような形でいわゆるBCPの強化を図っています。
緊急に国民の皆様にお知らせする必要がある大きな地震のほかに、日本列島では非常に多数の小さな地震が発生しています。地震活動といいますが、その状況も気象台で毎日解析しています。この図は東北地方を上から見ているものですが、色の付いた雲のような部分が小さい地震が起こった場所で、多数の地震が起こっています。これは垂直に切った断面図で、東北地方の太平洋側から斜めの線がありますけど、いわゆる太平洋プレートが潜り込んでいる様子が非常によく分かります。この解析結果は大学等研究機関に提供され、いろいろな研究に活用されています。この図は昨年9月27日の1日に日本周辺に発生した地震を示すものですが、御覧のようにもう全国どこでも起こっています。その数は726回で、うち震度1以上の身体に感じるようなものは僅か5回だけですが、知られずに起こっている地震は日本列島の地下ではこんなに多数、毎日あるということです。愛知県も身体に感じる地震は非常に少ない地域ですけれども、やはり小さい地震は起こっていますので、大きな地震がいつ起こっても不思議ではないと、これは全国どこでも言えることですが、私はそういう印象を持っています。
緊急地震速報は、皆さんも何回か実際に受信された経験があると思いますが、地震波のP波、S波という性質を利用して、震源に近い観測点でいち早くP波をキャッチして震源の場所とマグニチュードを算出し、それを基に離れたところでの震度を推定、計算して発表するものです。
緊急地震速報は大体数秒から数十秒ぐらいで発表し、例えば列車の運行を制御するようなことが一番の活用方法としてありますが、一般の人でも自分の身を守るために揺れる前に身構えてもらう、あるいは安全なところに退避してもらうという効果があり、10年以上前に導入されています。これは数秒の世界で発表する必要がありますので、全自動のシステムになっています。先ほどの地震情報、津波警報は、最後に職員がチェックしてこれでオーケーというようにボタンを押すわけですが、
緊急地震速報は完全自動ですので、かなり品質には注意してシステムを作っています。それでも誤報が出るときもあり、4年前には奈良県周辺に非常に大きな揺れを予想し、
緊急地震速報を発表して西日本を中心に電車が止まるなどいろいろな影響がありましたが、結果として揺れなかった、誤報を出して世の中に大変な御迷惑をお掛けしたということで、直後に担当部署の課長と部長が陳謝しています。当時の課長は私で、当時の部長は現
気象庁長官です。こういった予測技術はどんどん改善する必要がありますが、100パーセントでは当然ないので、まずは利用する人に、各種情報がどのぐらいの成績、能力を持つものかを知っていただくとよいと思っています。
そろそろ話も最後になってきましたけれども、もう一つ、最近発表している情報として長周期地震動に関する情報があります。これは、高層ビルの上層階が地上よりもより揺れる地震動で、この災害を軽減するためにどうしたらよいかということを、気象庁は関係機関と連携して行っています。
南海トラフの巨大地震が心配されているところでもあり、今後は長周期地震動に対する備えも必要と思います。
最後になりますが、これは地震災害での死因で典型的なものを三つ並べています。大正12年の関東大震災の死因の大部分は火災による焼死、それから阪神淡路大震災では、強い揺れによる古い建物の倒壊による圧死、東日本大震災では巨大な津波による溺死など、地震によって様々な災害の起こり方があります。
こういった被害を抑えるために、一番肝心なのは、大きな地震が来る前に家を強くし、揺れた時に棚が倒れてこないよう固定するなど、自分がけがをしない部屋を作る。地震が実際に発生したときは、地震が過ぎるのを待つしかありませんが、できるだけ自分の身を守る行動をとる。地震が終わった後は、その時の被害状況によりますけれども、屋内にいることが危険な場合は外に出る、避難場所に移動するとか、津波が心配なときは速やかに海岸から高台に移動していただく。このような心掛けを、本当に万が一大きな地震があったときは忘れないようにしていただければ、相当の人的被害は抑えられるだろうと思います。大地震は自分の一生のうちに何度も経験するものではありませんけれども、お話ししたようなことを常に意識してもらうためには、日頃からの周知広報・啓発、あるいは学校での防災教育などが非常に重要になってきますが、この辺りはどこかの機関が一人だけ頑張るというものではとても成り立ちません。いろいろな行政機関、それから民間、一般の国民を含めて意識を高く持ってもらうことが何よりも重要ではないかと思います。これは地震に限らず、
気象関係の災害でも全く同じことが言えます。これら非常に多岐にわたる
防災気象情報は気象庁のホームページに誰でも見られる形で掲載していますので、どうぞ御利用下さい。
2: (主な質疑)
【岩村進次委員】
名古屋地方気象台として、今後の豪雨に備えるためにどの程度の河川整備が必要となると考えているのか。
3: 【
長谷川参考人】
名古屋地方気象台は河川整備についてのプロではないが、国土交通省や愛知県との共同で指定河川の
洪水予報を出している。その範囲で言えば、河川流量の予測はかなり難しいと聞いている。どのぐらいの雨が河川の上流、中流、下流で降るかによって変わるし、どういう経過で下流に流れていくか、ケース・バイ・ケースだと思う。
近年、短時間で非常に激しい雨が降ることが増えてきているが、経験からこのぐらいの雨が降るだろうとは言えるものの、今後その範囲内で収まるかどうかは予測が難しい。特に今後、地球温暖化の影響等も心配されており、そこまで全部考慮して河川改修をすることになると、専門家ではないが、堤防にかなりの強度を持たせなければならないと思う。関係機関では十分考慮した上で河川整備を進めていると思う。
残念ながら
名古屋地方気象台としては質問に対する直接の答えは持ち合わせていないが、もし来年の夏に大雨が降ったときには、住民の被害を減らさなければいけないという意味で、浸水被害は避けられなくても、人命だけでも何とか救うためには避難するに越したことはないので、
名古屋地方気象台が出す情報や河川事務所等から出る情報をうまく住民にも使ってもらえるよう、今後とも力を入れていきたいと思う。
発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...