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  1. 愛知県議会 2016-12-01
    平成28年12月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成28年12月定例会(第3号) 本文 2016-12-06 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 55 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 2 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 3 :  ◯二十八番(渡辺周二君) 選択 4 :  ◯振興部観光局長加納國雄君) 選択 5 :  ◯産業労働部長吉澤隆君) 選択 6 :  ◯建設部長市川育夫君) 選択 7 :  ◯二十八番(渡辺周二君) 選択 8 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 9 :  ◯一番(大嶽理恵君) 選択 10 :  ◯農林水産部長加藤正人君) 選択 11 :  ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) 選択 12 :  ◯警察本部長桝田好一君) 選択 13 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 14 :  ◯知事大村秀章君) 選択 15 :  ◯一番(大嶽理恵君) 選択 16 :  ◯四十番(石塚吾歩路君) 選択 17 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 18 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 19 :  ◯副議長森下利久君) 選択 20 :  ◯六十六番(川嶋太郎君) 選択 21 :  ◯振興部長植田昌也君) 選択 22 :  ◯知事大村秀章君) 選択 23 :  ◯六十六番(川嶋太郎君) 選択 24 :  ◯副議長森下利久君) 選択 25 :  ◯十二番(岡明彦君) 選択 26 :  ◯県民生活部長(川島毅君) 選択 27 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 28 :  ◯建設部長市川育夫君) 選択 29 :  ◯警察本部長桝田好一君) 選択 30 :  ◯知事大村秀章君) 選択 31 :  ◯十二番(岡明彦君) 選択 32 :  ◯副議長森下利久君) 選択 33 :  ◯二十四番(政木りか君) 選択 34 :  ◯産業労働部長吉澤隆君) 選択 35 :  ◯知事大村秀章君) 選択 36 :  ◯二十四番(政木りか君) 選択 37 :  ◯四十一番(中根義高君) 選択 38 :  ◯副議長森下利久君) 選択 39 :  ◯副議長森下利久君) 選択 40 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 41 :  ◯三十五番(西久保ながし君) 選択 42 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 43 :  ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) 選択 44 :  ◯産業労働部長吉澤隆君) 選択 45 :  ◯知事大村秀章君) 選択 46 :  ◯三十五番(西久保ながし君) 選択 47 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 48 :  ◯八番(今井隆喜君) 選択 49 :  ◯農林水産部農林基盤局長(山本信介君) 選択 50 :  ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 選択 51 :  ◯知事大村秀章君) 選択 52 :  ◯八番(今井隆喜君) 選択 53 :  ◯四十番(石塚吾歩路君) 選択 54 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 55 :  ◯議長鈴木孝昌君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長鈴木孝昌君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百四十四号議案平成二十八       年度愛知県一般会計補正予算から第百八十一号       議案愛知県スポーツ会館の指定管理者の指定に       ついてまで 2: ◯議長鈴木孝昌君) 第百四十四号議案平成二十八年度愛知県一般会計補正予算から第百八十一号議案愛知県スポーツ会館の指定管理者の指定についてまでを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  渡辺周二議員。     〔二十八番渡辺周二君登壇〕(拍手) 3: ◯二十八番(渡辺周二君) おはようございます。  通告に従い、三項目について、順次質問させていただきます。  私は、小林功団長とほか七名で、愛知県議会欧州調査団員として、去る十月三十日から十一月六日まで、イギリス及びドイツを訪問し、欧州における地方自治体のさまざまな先進事例について調査をしてまいりました。  そこで、私からは、今回の調査のテーマの一つであるクルーズ船の誘致について、順に質問してまいります。  我が国においては、観光を、力強い日本経済を取り戻すための極めて重要な成長分野と位置づけ、観光立国の実現に向け、施策を推進しているところであります。  ことし三月に策定された明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年に四千万人とするとともに、二〇三〇年には六千万人にするという大胆な目標を発表しております。  こうした中、ことしの一月から十月までの訪日外国人旅行者数は二千十一万人となり、初めて二千万人を突破しております。このように、近年、訪日外国人旅行者数は急速に増加しておりますが、その原因として、クルーズ船の寄港増加が挙げられます。
     我が国においては、二〇二〇年にクルーズ船で入国する外国人旅客数百万人の実現に向け、官民一体となり取り組みを進めてきたところであり、昨年、我が国へクルーズ船により入国した外国人客数は、前年比二・七倍の百十一万人と目標を大幅に前倒しして達成しております。  また、外国のクルーズ船運航会社による我が国への寄港回数は九百六十五回、日本船社も含めると千四百五十二回となり、いずれも過去最高となっております。  こうした状況を受け、明日の日本を支える観光ビジョンにおいては、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年には五百万人とする目標を掲げております。  また、八月二日に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策においては、二十一世紀型のインフラ整備として、大型クルーズ船受け入れのための港湾整備が盛り込まれており、インフラとしての港整備も今後進んでいくことと思われます。  国内においてはこのような動きのある中、十月三十一日、イギリス南部のサウサンプトン市を訪問しました。  このまちの市内の人口は約二十五万人と比較的規模の小さな港町です。イギリス南部に位置するこのまちは、ロンドンを含む千五百万人の人口と一体化しており、港を有効活用することで、例えば自動車の輸出台数としては英国トップとなっています。  歴史的には、一八四〇年にロンドンとの間に鉄道が開業したことからこの港の発展が進み、海外から多くの船が入港しました。一九一二年には、豪華客船タイタニック号がこの港からニューヨークに向けて出港しており、タイタニック号のイギリス側の起点としても有名なまちです。  私どもは、このまちのジェフ・ウォルターズ経済開発部長に、クルーズ船を活用した地域の再開発、復興について説明を聞くことができました。ウォルターズ氏が市役所に勤め始めた二十年前のクルーズ船の寄港件数はわずか二隻であったのが、港の整備などさまざまな努力を重ね、二〇一五年には何と四百五十隻、乗客数が百七十七万人に急増したとのことです。  ウォルターズ氏の言葉によれば、クルーズ船は、多くの皆様を本市にお招きする好機であり、市の知名度を上げ、評判を高めてくれる絶好の機会とのことでした。  サウサンプトンはロンドンにも近く、豊かな南東部にあるということに加え、鉄道により、英国の中部、北部とのアクセスを有しているということや、サウサンプトン空港があり、ヨーロッパ西部の大都市ともつながっているというアクセスのよさがあることなど、交通アクセスのよさの点では、日本の真ん中に位置し、陸海空の交通ネットワークに恵まれた本県とも似た環境にあります。  サウサンプトンは、このような地理的優位性を生かし、四カ所のクルーズターミナルを設置するなど、自治体の努力もあってこのような急成長につながったものと思います。  また、経済効果、雇用効果や寄港時の歓迎行事についても聞き取りをしたところ、クルーズ船一隻による市の経済効果は、一隻当たり千五百人から二千人ぐらいいるクルーが、下船時にする買い物なども含めると相当な額になっている、歓迎行事は特に行っていないが、まちを有名にするという意味では非常に大切なものと考えており、受け入れ体制も重要とのことでした。  三十年前は、富裕層の高齢者が主な乗客であったが、現在はファミリー向け、平均的な所得者向けの船を展開している会社もあり、船会社がさまざまなターゲット層に合わせて運航を展開しているなど、最近の傾向も聞くことができ、本県のクルーズ船誘致・受け入れを考える上でも大変有意義な調査となりました。  さて、日本におけるクルーズ船の寄港状況を見ますと、国土交通省がまとめた二〇一五年の日本の港別の寄港回数によりますと、一位の博多が二百五十九回、二位の長崎が百三十一回、三位の横浜が百二十五回、四位の那覇が百十五回に達し、本県のクルーズ船の寄港先となっている名古屋港は三十四回と、九位という状況です。  日本に来るクルーズ船の多くが中国・韓国発であり、九州、沖縄が有利であること、クルーズ船利用者の重要マーケットの首都圏にある横浜港に寄港回数が多いことはやむを得ないことかもしれませんが、日本を代表する港である名古屋港にももっと多くのクルーズ船が来てもよいのではないでしょうか。  サウサンプトンの話に戻りますが、クルーズ船利用者が百七十七万人に達し、専用ターミナルも四つにまで拡大された実績を見ると、名古屋港においてもまだまだ伸び代があると考えます。  名古屋港は、日本有数の貿易港であり、大型クルーズ船が着岸する金城ふ頭は、自動車の輸出とクルーズ船の着岸を同じ埠頭で行わなければいけないなどさまざまな課題はありますが、報道機関などによりますと、国などが進める計画に、金城ふ頭の再編改良事業が位置づけられており、将来的に、あおなみ線の金城ふ頭駅近くにクルーズ船を寄港させる岸壁を整備されるなど明るい話題もあります。  また、三河港においても、蒲郡地区の水深十一メートルの岸壁整備が進むなど、大型クルーズ船の寄港にも対応した取り組みが進んでおり、本年十月には、クルーズ船ぱしふぃっくびいなすが来航し、来年三月には、神野地区に飛鳥IIが来航するなど、県内全域でクルーズ船の誘致、受け入れに向けた機運が高まっています。  しかしながら、インフラ整備には長い時間がかかることから、本県がまずやるべきことは、現在のインフラを最大限生かした取り組みを進めていくことです。つまり、サウサンプトンで、クルーズ船寄港時の取り組みは地域を有名にするには非常に大切なものと言われたように、多言語における観光情報の提供など、日本らしいおもてなしの心で受け入れに取り組むことにより、国内外の来訪者の皆様に満足いただける寄港地となるのではないでしょうか。  また、海外での知名度がまだまだと言われている愛知、名古屋を、クルーズ船の行き先を決める運航会社や旅行会社にまずは知っていただくことも必要と考えます。  そこでお尋ねします。  クルーズ船の誘致のためには、寄港時のおもてなしや地域情報の提供など、地元の受け入れの取り組みを地域の関係者が一体となって行うことが大切と考えますが、本県においては、寄港時にどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。  次に、クルーズ船のさらなる誘致に向け、寄港地としての愛知、名古屋の魅力をクルーズ船の運航会社などに発信する必要があると考えますが、どのように取り組み、誘致をしていくか、お伺いします。  続いて、二つ目の英国のEU離脱に向けた国民投票の影響について伺いたいと思います。  今回の愛知県議会欧州調査団では、英国のEU離脱に関する国民投票の結果による我が国の産業への影響についても、ロンドンの日本大使館やデュッセルドルフのジェトロ事務所を訪問し、現状を伺う機会がございました。  本年六月二十三日に実施された、EU離脱の是非を問う国民投票の結果、離脱支持が多数を占める結果となった際には、世界の金融市場に影響が広がり、我が国においても為替や株式市場において大きな動きがあったことは記憶に新しいところです。  その後、テリーザ・メイ首相が就任し、離脱プロセスが円滑に進められるよう検討が進められており、メイ首相は、十月の保守党集会において、EUの基本条約であるリスボン条約五十条に基づくEU離脱の正式な通告を二〇一七年三月末までに行うことを表明しております。しかしながら、我々調査団の聞き取りでは、国民投票が行われて約半年が経過している現時点においても、EU離脱に向けたスケジュールや方向性などは不透明な部分が多く、今後の動きを注意深く見守る必要があるとの声がありました。  現在、我が国からは約千社の企業が英国に進出し、本県からも、自動車産業を初め、多くの物づくり企業が英国に製造や販売の拠点を設けており、EUの巨大な単一市場のメリットを生かした事業活動を行っております。  こうした単一市場のメリットである資本や人、物、サービスの自由な移動に何らかの制限が加わることになれば、英国やEUへの進出企業はもとより、英国と取引のある企業や、その関連企業など多くの企業の事業活動に影響が及ぶことも考えられます。  また、現在はやや落ちつきを見せているとはいえ、国民投票直後には、一時一米ドル九十九円台まで円高が進むなど、為替市場にも大きな影響がありました。  こうした世界的な為替市場の変動リスクは、現在においても払拭されるものではなく、今後の動向次第では、世界経済全体への影響、さらには我が国経済、とりわけ輸出産業の多い当地域の産業への影響が懸念されるところです。  そこでお尋ねします。  英国のEU離脱が本県産業に与える影響についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  続きまして、物づくり愛知を支える刈谷パーキングエリアにおけるスマートインターチェンジのアクセス道路整備についてお伺いします。  アベノミクスによる経済の好循環の実現のためには、厳しい財政制約といった今のマクロ経済環境のもと、需要と供給のバランスをとる必要があり、地域においても、官公庁による公需の下支えから民需中心の持続的経済成長へとかじを切っていくと同時に、長期的な展望に立った効果的、効率的な社会資本の整備や維持管理を行っていく必要があります。  そういう状況の中で、今後の社会資本、土地活用については、活性化と集約、いわば攻めと守りをキーワードとした総合的な計画が必要であります。  私は今回、攻めの社会資本整備を行うことで、県の経済基盤を確立すべきではないかという観点から質問させていただきます。  国土交通省が取りまとめた国土のグランドデザイン二〇五〇では、人口減少に加え、人口の地域的な偏りが加速することにより、二〇五〇年には現在の居住地域の六割で人口が半分になると推計しており、人口減少による都市機能の維持が困難になることが課題であるとされております。  一方で、愛知県は人口増加が長らく続いており、現在でも全国の中でトップクラスの人口増加率になっております。なぜなのか、一言で言えば、製造業が堅調であり、雇用の多い状態が続いているからですが、産業首都と称される愛知県は、自動車、航空機、ロボットなど昔からその時代の最先端となる産業が栄えてきました。輸送面でも新幹線や国際空港、貿易港などの交通網が整備されているため、製造品を全国、海外に輸送しやすいメリットもあります。  そのため、ほかの地域から、また、近年では、国外からも仕事を求めて若い労働力が流入しており、完全失業率につきましても、推計値でありますが、労働力調査参考資料によりますと、今年度の四月から六月期平均で二・三%と、全国百万人以上の労働力人口のある都道府県で一番低い失業率でございます。  それでは、将来にわたって元気な愛知を持続させるためにはどうしたらよいのか。大村知事がおっしゃるように、本県は日本一の技術と伝統を誇る産業の中心地であります。そして、産業を維持、発展させる活性化を図るためには、道路ネットワークの充実は重要な施策であります。物流はあらゆる生活活動において重要な役割を果たし、その物流の効率化は状況に応じて絶えず進める必要があります。  現在、日本では車移動のうち約四割の時間は渋滞に巻き込まれており、国土交通省は二百八十万人分の労働力に相当する社会的損失だとしております。  物流の効率化には、高速道路や地域高規格道路といった信号もなく高速移動ができるような規格の高い道路が整備され、さらに、それらと一体的に県道などの幹線道路につながっていることが大変重要であります。  そうした中、本県ではことしの二月に、新東名の豊田東ジャンクションから浜松いなさジャンクションまでの間が開通し、大きな効果をもたらしており、また、名古屋第二環状自動車道西南部・南部区間においては平成二十四年度に着工するなど、着実に高速道路網の整備が進んでいます。  高速道路は、沿線地域の人、物、情報の流れを飛躍的に高め、地域の生活にゆとりと潤いをもたらし、産業の発展やまちづくりなどにも貢献するばかりではなく、高速道路を利用することで一般道の交通量が減少し、沿道の環境改善にも大きく寄与します。  一方で、高速道路は、自動車が高速で走行するためにつくられた道路であるため、一般道からの流入を制限しております。そのため利用したくても近くにインターチェンジがないといった意見を多く聞きます。実際、日本の高速道路において、平野部では、インターチェンジの平均間隔は約十キロメートルであるのに対し、欧米諸国では四・五キロメートルとなっており、日本では高速道路が通っているのにインターチェンジが少ないために利用しにくい状況にあります。  そこで、せっかくつくった高速道路をたくさんの人に有効利用してもらうための一つの方法として、スマートインターチェンジの設置があります。  スマートインターチェンジは、高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バスストップから乗り降りできるように設置されるインターチェンジであり、通行可能な車両は、ETCを搭載した車両に限定しているインターチェンジです。  既存施設を活用することで従来のインターチェンジに比べて低コストで導入できることに加え、地域住民や地元企業の近くにインターチェンジができることで、高速道路を利用しやすくなるといった多くのメリットがあります。  近年、徐々に高速道路網が発達してきましたので、インターチェンジ周辺は交通利便性のよさを生かした企業進出が多く見られます。  また、インターチェンジ周辺への企業立地や大型店舗の進出に伴う雇用機会の創出により、活性化が図られている地域もあります。  ほかにも、高速道路のインターチェンジと観光地が近くになれば、観光面でも鉄道駅、空港、港からの移動が短縮されることから、目的地への経路選択の幅が広がり、より柔軟な行動が組めるため、観光客数の増加が各地で見られております。そのほかにも、災害時には復興支援物資を運ぶための緊急輸送道路としての機能もございます。  一方で、インターチェンジはできたが、それを利用する車を処理する幹線道路ができていない、あるいはつながっていないということでは、物流の効率化や産業の活性化を妨げるどころか、周辺の生活道路に通過交通が入り、その地域の皆さんが迷惑になるばかりであり、インターチェンジがあってもそこからの幹線道路が整備されていなければ意味がないとは申しませんが、効果が発揮されないわけであります。  現在、県内でスマートインターチェンジを整備中のものとして、豊田市の上郷サービスエリア、名古屋市の守山パーキングエリアがあり、準備計画中であるものは刈谷パーキングエリアや岡崎市において計画が進んでおります。このほかにもまだ計画中の箇所もあると聞いております。  とりわけ私の地元で計画されておりますスマートインターチェンジは、年間一千万人の来場者数を誇る刈谷ハイウェイオアシスに整備を予定しており、今後の来場者数の増加にもつながるものと期待されております。  西三河地域は、自動車関連の工場が多いこともあり、伊勢湾岸自動車道の豊明インターチェンジと豊田南インターチェンジでは、朝と夕方に慢性的な渋滞が発生しており、効率的な物流や人の流れが阻害されています。  そのため、その中間の位置に計画されています新たなインターチェンジが渋滞解消につながり、より経済の活性化になるのではと期待しております。  先ほど申し上げました、整備中、準備中のスマートインターチェンジが完成したときには、スムーズな車の流れを確保する、あるいはスマートインターチェンジを賢く使うためには周辺の幹線道路も整備され、ネットワーク化されていることが必要だと思います。  高速道路につながる幹線道路のネットワークができるということは、沿線地域における直接的な交通の改善のみならず、物流、観光など、その地域の国際競争力の強化や地域活性化の推進の原動力となるものと考えております。  そこでお尋ねします。  刈谷パーキングエリアにおけるスマートインターのアクセス道路となる名古屋岡崎線及び宮上知立線のバイパス整備の刈谷市とその周辺における現状と今後の取り組みについてお伺いします。  以上で、壇上での質問を終わらせていただきます。(拍手) 4: ◯振興部観光局長加納國雄君) まず、クルーズ船の寄港時の対応についてお答えします。  日本各地をめぐる外航クルーズは、それぞれの寄港地での滞在時間は異なりますが、名古屋港では八時間程度の滞在となる場合が多いことから、乗船客の皆様には短い滞在時間を有効に過ごしていただけるよう、しっかりとおもてなしを行うことが大切であると考えております。  このため、本県では、名古屋市、名古屋港管理組合、名古屋商工会議所から成る名古屋港外航クルーズ船誘致促進会議に参画し、クルーズ船受け入れの取り組みを進めてまいります。  具体的には、寄港時に和太鼓の演奏などの歓迎行事を行うとともに、臨時の観光案内所を設置し、観光パンフレットの配布や、問い合わせへの対応などを英語、中国語などの多言語で行っております。  また、地元名産品の販売所の開設、フリーWi─Fi環境の提供、さらにクルーズ船の着岸地からあおなみ線金城ふ頭駅までのシャトルバスの提供など、お越しいただいた皆様が愛知、名古屋の魅力に触れていただき楽しんでいただけるよう、地域が一体となって寄港時の取り組みを進めております。  次に、クルーズ船寄港地としての魅力発信についてお答えします。  寄港地として選ばれるためには、港湾施設の整備とともに、寄港時間中訪問していただける県内の魅力的な観光資源を積極的に紹介していく必要があります。  このため、ことし十月、中国・上海で開催された外航クルーズ船の運航会社や港湾関係者が一堂に会したクルーズ会議に名古屋市とともに初めて参加し、名古屋港の港湾施設や観光地、なごやめしなどをPRいたしました。  さらに、この機会を利用して、名古屋港を初め、日本各地の港湾への寄港実績がある外航クルーズ船の運航会社、旅行会社を訪問し、本県の観光資源をしっかりとPRしてまいりました。  訪問した会社からは、愛知、名古屋にはテーマパークやお城、産業観光施設など、さまざまな魅力があることがよく理解できたとの声をいただき、情報発信の大切さを感じております。  来年三月には、アメリカ・フロリダ州で開催される世界最大級のクルーズ見本市にも出展し、世界のクルーズ船運航会社や旅行会社に対して、愛知、名古屋の魅力を発信することにしております。特に、大型クルーズ船が着岸する金城ふ頭では、来年の春には、日本で初めてのレゴランドや複合商業施設メーカーズ・ピアが開業し、近隣のリニア・鉄道館も含め、一大観光拠点となります。  また、三河港周辺には、県内有数の温泉地やラグーナテンボス、豊川稲荷、東三河一円で行われる手筒花火などがあり、短い滞在時間を最大限に活用した観光モデルコースの提案も行ってまいります。  本県としましては、引き続き、クルーズ船寄港地としての魅力を発信し、関係団体と連携してさらなるクルーズ船の誘致に努めてまいります。 5: ◯産業労働部長吉澤隆君) 英国のEU離脱による本県産業への影響についてお答えをいたします。  愛知県から英国には、二〇一五年十二月末現在、自動車メーカーを初め四十六社が進出し、八十拠点において事業活動を行っています。また、英国は、県内貿易港からの輸出額が、輸送用機器を中心に三千二百六十七億円となっており、欧州における主要な貿易相手国となっております。  県では、国民投票後の本年九月、県内中小企業二千社を対象に、英国のEU離脱に関する影響についてアンケートを実施したところ、マイナスの影響があると回答した企業が一一・五%あった一方、現時点では影響はないとする企業が五九%、影響はわからないとする企業が二八・五%ありました。多くの中小企業において、英国とEU加盟国との間で今後複数年にわたって進められる離脱交渉の状況や、その影響を見きわめようとする姿勢がうかがわれました。  また、国民投票の結果を受けて円高が急速に進行したことから、本年八月、大村知事がリーダーを務める全国知事会円高是正・デフレ対策プロジェクトチームにおいて、為替市場の安定に向けた為替・金融緩和政策や、デフレからの完全な脱却に向けた経済対策、持続的な経済成長の実現を求める緊急提言を取りまとめ、関係府省庁に対して要請を実施したところです。  県といたしましては、本県から英国に進出している企業が、EU域内において安定的に事業活動が維持、拡大できる環境の整備が進められるよう、引き続き、情勢を注視するとともに、ジェトロ等と連携し、進出県内企業の事業活動や為替市場に及ぼす影響の把握に努め、適時適切に対応してまいります。 6: ◯建設部長市川育夫君) 刈谷パーキングエリアにおけるスマートインターへのアクセス道路となる名古屋岡崎線及び宮上知立線のバイパス整備の現状と今後の取り組みについてであります。  刈谷市及びその周辺地域は、自動車産業を初めとする物づくり産業の一大集積地となっており、この地域に展開する企業活動の持続的成長を支えるためには、効率的な物流ネットワークを構築する必要があります。  本県といたしましても、刈谷市が進める高速道路へのスマートインターの整備は物流の効率化にとって有効な取り組みであると認識しており、その事業化に向け、国など関係機関と協力し調査検討を行うなど、しっかりと支援してまいります。  また、アクセス道路となる名古屋岡崎線や宮上知立線のバイパス整備を進めることにより、スマートインターのさらなる事業効果の向上につなげてまいりたいと考えております。  このうち、名古屋岡崎線バイパスは、名古屋市と岡崎市を結ぶ東西の幹線道路であり、刈谷パーキングエリア付近から豊田市を経て安城市に至る約七・四キロメートルが整備済みとなっております。  豊明市方面とのアクセスを向上させるため、刈谷市との間で未整備となっている約一・二キロメートル区間については、これまでに現地測量や道路設計などを進めてまいりました。  今年度は東側約〇・五キロメートルの道路計画案が固まり、地元の了解も得られましたので、用地測量に着手してまいります。また、その西側の約〇・七キロメートルにつきましては、境川を渡る橋梁の予備設計などを実施しているところであります。  これらの区間については、来年度から国の交付金で事業化できるよう取り組んでまいります。  次に、宮上知立線バイパスであります。  宮上知立線バイパスは、豊田市と刈谷市を結ぶ南北の幹線道路であり、刈谷市南部方面からのアクセスを向上させるため、現在、名古屋岡崎線バイパスの南側において未整備となっている約二・二キロメートル区間の事業を進めております。  このうち、豊田市内の約一・一キロメートルについては、中田地区の圃場整備事業の進捗に合わせ用地買収を進めており、用地取得率が八割を超えたことから、まとまって用地が確保できた箇所から道路築造工事にも着手してまいります。  また、刈谷市内の約一・一キロメートルのうち、北側約〇・四キロメートルについて用地取得率は既に約八割に達しておりますが、未買収箇所が点在していることから引き続き用地の買収に努めてまいります。残る南側約〇・七キロメートルについても道路設計及び公安委員会との協議が完了していることから、早期に用地測量に着手できるよう地元調整を進めてまいります。  これからも刈谷市を初めとする関係市とも協力しながら、西三河地域の物流機能強化を図る道路整備にしっかりと取り組んでまいります。 7: ◯二十八番(渡辺周二君) それでは、一点、スマートインターチェンジのアクセス道路整備について要望をさせていただきます。  アクセス道路となる名古屋岡崎線及び宮上知立線のバイパス整備の現状と今後の取り組みにつきましては、大変よくわかりました。今後も引き続き、スピード感を持って積極的な事業推進をお願いいたします。  刈谷市においても、このスマートインターの計画に合わせ、周辺の道路整備として、市道南北縦貫道路の計画を進めております。県道整備につきましても、刈谷のスマートインターのオープンに合わせていただけるよう、何とぞ、要望を私から強くお願いさせていただきます。  以上です。 8: ◯議長鈴木孝昌君) 進行いたします。  大嶽理恵議員。     〔一番大嶽理恵君登壇〕(拍手)
    9: ◯一番(大嶽理恵君) 通告に従い、大きく四点、東三河の農業振興、中小企業の人材育成、人材確保、音響信号の設置、県立学校施設や整備の老朽化について伺います。  最初に、皆様にお伝えしたいことがあります。  本日は、盲導犬を連れた仲間が応援に来てくれました。議会事務局に確認したところ、議会に盲導犬が入ったのはこれで二回目のことだそうです。遠距離を勇気を持ってバスに乗って傍聴に来てくださったこと、感謝をしたいと思います。  それでは、質問に移ります。  まず初めに、東三河の農業振興について伺います。  東三河の振興は、農業の振興なくしては語れません。大葉、バラ、菊、シクラメン、トマト、イチゴ、米、キャベツ、メロン、柿、ミカン、イチジクなどさまざまな作物が栽培されており、畜産も盛んな愛知県内の産出額の約半分を占める農業王国です。  これも、地元の各方面、農家の方々の御努力のたまものと思っております。今後もこの地域の農業のますますの発展を願いますが、苦しい状況や悲鳴、将来の不安など聞こえてまいります。  また、一方で、人々に安全・安心な食材を提供する喜びの声も伺いました。先祖代々から命を守る使命とともに、土地、農業を継承し農業王国愛知を築き上げてきた、決して裕福ではなく、地道な農業者の方々のために愛知県はすべきことがまだまだたくさんあると思います。  県では、現在、消費者に愛知県産農林水産物をアピールするため、いいともあいち運動としてPRを行い、ブランド化にもつながっております。また、花の王国あいちとして、全国一の産出量を誇る花卉の販売額向上のため、花を贈ろうというPRやフラワーバレンタイン、花いっぱい県民運動など、消費拡大につながる取り組みもされております。  また、技術面においても、愛知県農業総合試験場やその支所である東三河農業研究所においては、露地野菜の化学肥料削減技術の開発やスプレー菊新品種の開発などに取り組まれておりますし、東三河の農業改良普及課でも大葉の農薬を減少させる取り組みや、音羽米等のさらなるブランド力強化、バラやイチゴのハウス内の環境制御技術や新規就農者の支援など、各農協さんと連携しながらさまざまな取り組みが行われており、東三河の農業の振興につながっているものと理解をしております。  東三河は、全国でも誇るべき農業の一大産地です。  県としては、東三河の農業振興についてどのような認識を持ち、どのような支援や協力を考えていらっしゃいますか、東三河の大好きな知事に伺います。  次に、今後一番大事なのは、後継者問題であると考えます。  一般の産業でも団塊の世代の大量退職に伴う熟練技能の消失が大きな課題となり、技能を継承していく取り組みが積極的になされております。  農業経営の場合、定年退職に伴う一時期に集中した労働力の退出はありませんが、しかし、定年がなくても高齢化に伴い、いつかは経営活動から離脱せざるを得ないのであり、そのような熟練技術を持った篤農家の技術やノウハウを確実に次の世代に受け渡していくことは非常に重要です。農家の子弟とともに、農外からの新規参入者の募集とその人材育成について、どのようにお考えか、伺います。  また、農業は、命や健康に直結する生命産業です。私たちの健康はまず食が基本です。そのためには、基本である土壌づくりの大切さをもっと重視してほしいという声がありました。生きた土壌から生きた作物ができ、生きた作物から人は命をいただきます。  自然のミネラルたっぷりの新鮮な作物を食べることは、予防医療にもつながることと考えます。愛知県では、農業の支援が土を使わない大規模な次世代型の施設園芸に偏りがちという農業者さんの声を聞きます。  昨日の代表質問で、農業試験場の研究機能を強化するという答弁がありました。ぜひ、しっかりと力を入れていただき、その成果を大規模ではないが地道に頑張っている個々の農業者へ還元していただきたいと思います。  県民の健康のもととなる、安全・安心につながる化学肥料や農薬を極力使わない、自然に近い農産物を安定して供給できるよう技術指導を充実するとともに、農業者に身近で利用しやすい窓口にしていくべきだと考えますが、お考えを伺います。  次に、人材育成・人材確保支援について伺います。  中小企業支援の重要性は私が申し上げるまでもなく、県内企業の九九・七%が中小企業であり、働いている人の七〇・四%は中小企業に勤めていることから、中小企業の活性化が地域の活性化につながります。  特に、私の住む東三河は、県内でも中小企業の比率の高い地域です。中小企業を経営している方やお勤めの方に、今後、中小企業が生き残っていくために大事だと考えているものはと伺うと、人材育成や人材確保を挙げる方が多くみえました。  しかし、実際は、十分な時間がかけられなかったり、中長期的、体系的に対応できていなかったり、就業時間に抜けて講習等に参加をすると現場が回らなくなってしまったり等の課題が挙げられました。  自社で既に十分な人材育成プログラムができ上がっている企業や、系列会社で人材育成プログラムを提供しており、それを上手に活用している企業もありましたが、多くの企業では、もっと充実したいけれども実際はなかなかできていないという状況のようです。  県では、今年度から産業人材育成支援センターを設置、ひと育ナビ・あいちというポータルサイトをつくり、必要な情報を一元化するとともに、コーディネーターを二名、県内各地へ派遣して、支援の充実を図られておりますが、個々の支援を必要としている企業にはまだまだ行き届かないという印象を持っております。  そこで、産業人材育成支援センターの今までの実績を踏まえ、中小企業の人材育成支援を今後どのように充実されるのか、伺います。  次に、今進められている東三河での地域ぐるみの取り組みを紹介いたします。  東三河地域では、東三河県庁策定の東三河振興ビジョンの取り組みの中で、社会人キャリアアップ連携協議会という東三河地域の産学官連携で立ち上げられた組織を中心に、東三河地域の中小企業の人材育成を各市の商工会議所や商工会、豊橋技術科学大学、愛知大学、愛知工科大学、豊橋創造大学、サイエンス・クリエイト、東三河県庁等の協働で、この地域の人材育成活動の一層の活性化を図る取り組みが動き出しております。  この地域全体で人材育成を充実していこうという試みは、広域な経済団体である東三河広域経済連合会の東三河産業アカデミーを初めとした活動からスタートしたものですが、商工会議所など構成機関が実施する人材育成講座を目的別、受講対象別に整理した上で、足りない分野の新たな講座の開設につなげるとともに、自治体、産業界からの需要のある研修や、技科大等が持つ事業化、製品化の可能性のある技術などの情報提供をしようとされております。  現在は、わざわざ名古屋など遠くに研修を受けに行っていたようなものでも、身近な地域で気軽に良質な研修が受けられると、人材を地域に呼び込むことにもつながります。  今後は、人材マップの作成や講座の有効活用のための仕組みの構築を目指してみえ、各中小企業の経営者の方がそれぞれの社員に、どの時期にどのような人材育成をしていくかカリキュラムを作成できるよう支援するとともに、それぞれの企業の課題に即した人材育成手段のアドバイスができる体制をつくることなどを目指しておられます。  また、就職活動中の方なども講座を受けられますが、これらの研修を受けることが就職につながり、企業の人材確保にも資するような仕組みや、社員の方が研修を受けることで賃金に反映されたり、ポイントがもらえるなどモチベーションが上がる仕組みになるといいと絵図を描かれており、今後が楽しみな取り組みでぜひ進めていただきたいと感じております。  このように、東三河が地域一体となって人材育成していこうとする取り組みをモデル事業のようにして支援し、その取り組みから各地域に広げていくなど、しっかりと力を入れていくべきだと考えますが、県としてのお考えを伺います。  次に、音響信号の設置について伺います。  私の住む町内には、目の見えない方がみえます。失明されてから一年ほどたちますが、前向きに捉え、就労支援施設に通い始められました。人になるべく頼らずに自分でできることをふやしたいと願っており、将来的には単独歩行を希望されています。  現在は、盲導犬を連れて、町内の福祉ボランティアさんに付き添われて近所を散歩し、より多くの自分の行きたいところに自分で行けるようになるよう御努力を続けてみえる姿を拝見しますと、その勇気に感銘を受けます。  その方は、警察署、市役所など、いろいろなところに直接行って相談を持ちかけ、私の事務所にも来てくださいましたが、何とか仕事場に通うのに使う信号交差点に音響信号、これは皆さん御存じのピヨピヨ、カッコーの音が鳴る視覚障害者用の付加装置のことですが、それと点字ブロックをつけてほしいと訴えられました。警察も市も親身になってくださり、音響信号の設置に向けて話は進んでいるものと理解をしております。  さて、同じ市内の別の方の話ですが、年々弱視になってきており、通勤に毎日使う横断歩道の信号が年々見にくくなっているため、以前、警察と地元自治体に要望書を提出したけれども、毎年予算がない、順番に行うと言われたが整備される兆しもなく十年ほどそのままになっており、諦めていたという方がみえました。  音響信号があれば、横断歩道を渡る際も判断する情報がふえ、より安全に渡ることができます。実際に、一緒に自宅から名鉄の駅、JRの駅、ドラッグストア等、必要最低限の生活動線を歩いてみました。音響信号がない状態でどのように横断歩道を渡ってみえるかというと、車の音が自分の近くを何台か通ったときに、自分の前を通ったか横を通ったかで、どちらの信号が青になっているのかを理解し、自分が横断できるかどうかを判断しているそうです。最近は、電気自動車のように、音がほとんどせずに発進する車もあり、より危険は増している状況です。  ぜひ皆様もアイマスクで体験してみてください。車が通過していても気づかずに飛び出してしまうかもしれないという不安が拭えないのは私だけではないと思います。  今年度、我が県では、障害者差別解消推進条例が施行されました。また、さきの議会では、障害に応じたコミュニケーション手段の利用の促進の条例も制定されました。  障害のある方が、買い物、仕事、病院など、自由に自分の生きたいところに行けるよう、合理的配慮をしていく必要があります。また、お年寄りや子供たちからも、音が鳴ったら青になったことが目だけでない補助情報としてわかり助かるという声もあり、安全対策にもつながるため、積極的に整備していくべきと考えます。  ここで問題であるのは、音響信号をつけてほしいときに訴える窓口がわかりにくいことです。  私がいろいろな方に伺ったところ、多くの視覚障害のある方は音響信号があればとても助かると思ってみえるものの、どこに訴えればいいのかわからず、現状で我慢をしているという状況のように見受けられます。  本来、視覚障害のある方が日常的に横断されている信号交差点には、音響信号やエスコートゾーンといわれる視覚障害者の方を横断歩道で誘導する点字ブロックなどが整備されるべきであり、また、視覚障害のある方が、ふだん接する行政機関に、信号機に音響信号をつけてほしいといえば、警察に速やかに情報提供され、設置の検討が進むことが望ましいと思います。  そこで、音響信号の整備についての現状と、今後、住民の声をよりきめ細やかに把握するための取り組みについてどのようにお考えか、警察本部長に伺います。  最後に、学校施設や設備の老朽化への対応について、これまでも各議員から指摘されていることではありますが、伺いたいと思います。  先日、豊川特別支援学校に伺いましたところ、びっくりした光景がありましたので少しお話をさせてください。  皆様御存じのとおり、豊川特別支援学校は過大化が大きな問題でありましたが、昨年、豊橋市がくすのき特別支援学校を開校され、そちらに生徒が分散したことで、十分とは言えないまでも環境改善が進みました。先生方も熱心で、保護者の方からもよい評判を聞くものです。  私は授業参観をさせていただいたのですが、それぞれの特性に応じて、生徒さんが楽しそうに授業を受けておられました。  先ほど申し上げたびっくりした光景というのは、授業の中ではありません。それは、各クラスを回っている際に見ました光景です。  豊川特別支援学校には小学部がありますが、アスレチックと滑り台、土管の中を通ったり、登ったりして遊べる山の遊具も使ってはいけませんという文字が遊具に張ってあったり、ロープで囲われていて遊べない状況でした。老朽化して、修繕や更新の予算もなく、仕方なくそのような対応をしているとのことでした。また、廊下に数カ所も雨漏りのところがあったり、トイレのドアの板の表面が一部剥がれていたり、内壁や外壁も相当な傷みがあり、もっと手を入れていくべきではないかと感じました。  その後、市内の御津高校のイベントに参加する機会があり、老朽化はどのように対応されていますかと先生に伺ったところ、開校してまだ三十年のところですが、実はこことここが老朽化していてと話され、現地を見せてくださいました。  その後にも市外の数校伺いましたが、やはり同じように老朽化は十分に対応できていないような感触を受けました。  国府高校にも先日伺いましたが、やはり老朽化していて対応してほしいという箇所が多くあり、また、高校の体験入学の際にも、子供のアンケートで校舎が古いという記載があったとのことでした。未来を担う子供たちが快適に学校生活を送るためにも、老朽化対策にもっと力を入れていくべきだと考えます。  県の担当課の方に伺ったところ、施設の維持修繕について、教室など授業に支障のある箇所は早急に対応するが、優先順位の低いものは後回しになり、遊具の優先順位は低くなっているとのことでしたが、遊具は、子供の外で遊ぶ意欲を高め、体力づくりにも役立つものです。使用禁止のロープを張ったままの状態は恥ずべきことと考えますが、遊具の更新の考えを伺います。  また、雨漏りなどの修繕についても、先送り、後回し、予算の都合上ということで、学校施設内で小さな事故が起きかねません。いつか大きな事故につながるのではないかと心配をいたします。  各学校からの修繕要望への対応について担当課に伺ったところ、各学校には、修繕費として約百七十万ほど自由に対応できる予算があり、また、それ以外は、各学校から要望を五つ挙げていただき、その中から教育委員会で必要性を判断、選定して予算配分をしており、また、緊急なものについては、これとは別に、必要に応じて予算措置しているということでしたが、各校は五つ以上直してほしいところがあったとしても五つしか提出できず、その提出した五つの要望も総数の三割程度しか修繕されていないとのことで、それでは余りに不十分ではないかと感じております。  学校の老朽化対策については、全庁の計画として、平成二十七年度に愛知県公共施設等総合管理計画が策定され、それに基づいて、学校の個別施設計画を平成三十二年度までにつくることになっているとのことです。  現在は、その計画実施までの間の喫緊の老朽化対策として、今年度は十六棟の大規模な改修事業の設計を行い、今後工事等を予定しているそうです。  小規模な修繕では対応が追いつかないため、根本的な改善策として大規模な改修工事を行うということですが、ほかの建物はそれまで待ってほしいということならその時期を明示し、それまでもつだけの修繕は行うべきだと考えます。  各学校を見て回って感じたり、校舎を使っている子供たちの声を聞けば聞くほど、今の現状よりは修繕予算をふやして環境改善を図るべきだと感じます。愛知県は子供の過ごす学校の雨漏りも直せないほどの財政状況でしょうか。  教育の現場において、環境整備も子供たちの情操教育の一つだと考えます。  子供を持つ親として、未来を担う子供たちを見守る大人として、豊かな環境で一番長い時間を過ごす学校が快適に過ごせることを強く望みます。  さきの決算特別委員会で、教育委員会実施の事業について、もう少し予算をかけずに行うべき事業など委員から指摘がされておりました。現在行われている事業を見直し、子供が快適に過ごせる環境を整えるための修繕予算を捻出するなり、全体の教育費を増額するなりして対応すべきだと考えますが、お考えを伺います。  以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手) 10: ◯農林水産部長加藤正人君) 東三河の農業振興に関するお尋ねのうち、まず、新規参入者も含めた担い手の確保、育成についてであります。  東三河地域を初め、本県農業の持続的な発展のためには、多様な担い手の確保、育成が重要な課題であります。  このため、食と緑の基本計画二〇二〇において、十二の重点プロジェクトの一つとして、次代の「やる気」応援!農業担い手プロジェクトを位置づけ、各種の取り組みを実施しているところであります。  具体的には、県内八カ所の農業改良普及課に設置した農起業支援センターを核に、市町村や農業団体等と密接に連携しながら、産地での受け入れ体制の整備を進めるとともに、就農希望者に対する青年就農給付金の活用や知識・技術習得の支援に取り組んでおります。  また、国や農林漁業団体と共催して、名古屋市内で就農相談会を実施するとともに、東京や大阪などで開催される民間の就農相談会にも農業団体と連携して出展し、広く新規参入者の募集を図っているところであります。  さらに、就農後につきましては、普及指導員による現地指導に加え、農業大学校において、農業経営に必要な知識、技術などを新規就農者に習得させるニューファーマーズ研修を行うなど人材育成に努めているところでございます。  今後とも意欲ある人が活躍できる農業の実現に向け、新規参入者、農業後継者など、多様な人材の確保、育成に積極的に取り組んでまいります。  次に、技術指導を身近で行うこと等による安全・安心な農産物の供給に資する環境保全型農業の推進についてであります。  環境保全型農業の推進は、食品の安全・安心に対する県民の皆様の信頼を確保するために重要な課題でありますことから、食と緑の基本計画二〇二〇においても主要な施策に位置づけ、さまざまな取り組みを進めているところであります。  具体的には、堆肥による土づくりに加えて、化学肥料と化学農薬の低減に取り組む生産者をエコファーマーとして県が認定し、環境に優しい農業生産を推進しております。  認定を受けようとする生産者には、その経営規模の大小にかかわらず、普及指導員が取り組み計画の作成段階から実施に至るまできめ細かくフォローをしております。  これまでに累計で五千四百三十九人を認定しており、その約半数は東三河地域の生産者の方でございます。  また、防虫ネットや天敵昆虫の活用により、農薬の使用量を減らすことができるいわゆるIPM技術や、堆肥や緑肥作物を用いて、化学肥料を減らす栽培技術等についても農業総合試験場において開発や実証を行い、普及指導員が関係団体と連携して産地への導入を進めております。  県といたしましては、普及指導員による個々の生産者の皆様への指導、支援を基本に、引き続き環境保全型農業の推進に取り組んでまいります。 11: ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) 中小企業の人材育成、人材確保のうち、まず、産業人材育成支援センターの実績と中小企業の人材育成支援についてであります。  県では、産業人材育成支援センターを本年四月に設置し、長年製造業に携わった二名のコーディネーターが企業、団体等を訪問し、研修等の産業人材育成情報の提供や指導員の派遣などの支援を行っております。  実績といたしましては、この十月末現在で、県内全域の三百四の中小企業や団体を訪問し、県内の訓練・研修情報を一元的に発信するポータルサイトひと育ナビ・あいちを初めとした県の人材育成支援策の活用を促すとともに、人材育成の相談を受けた企業等に対しまして、高等技術専門校でのオーダーメード訓練や熟練技能者の派遣など五十一件の支援を行いました。  また、森岡副知事を塾長といたしまして、中小企業の経営者に人材育成の重要性を啓発し、意識改革を図る経営塾を三回シリーズで実施しております。これまでに二回の開催で延べ五十人が参加し、参加者からは、これまで経営者向けの勉強会がなかったので大変ありがたい、自分の不足部分を知ることができ、気づきのきっかけとなったなどの声をいただいております。  今後は、これまでの活動から得た支援ノウハウや、支援団体や関係機関とのネットワークを活用しながらコーディネーターが継続して訪問し、企業の要望に対応したきめ細かい情報提供や提案を行うなど、人材育成支援の充実を図ってまいります。  次に、東三河地域における地域一体となった人材育成の取り組みへの支援についてであります。  社会人キャリアアップ連携協議会による人材育成の取り組みにつきましては、サイエンス・クリエイトが中心となって、大学、自治体等のメンバーとして参加し、大学や経済界が実施する講座情報の一元的な発信や企業ニーズに即した講演会を開催していると伺っております。  県では、東三河県庁が協議会設立当初からその一員として議論に参加し、県が主催する講座情報の提供等、産業人材の育成、確保に向けた地域の連携強化に協力しております。  また、労政局内にあります産業人材育成支援センターのコーディネーターが直接企業に伺う形で、東三河地域で、十月末までに四十二企業、団体を訪問し、四件の相談、支援を行っているところであります。  今後、産業人材育成支援センターと社会人キャリアアップ連携協議会とが情報共有を図り、東三河の企業に対しまして、県が実施する熟練技能者の派遣事業や指導人材の紹介、高等技術専門校における実技訓練や安全講習といった基礎的な訓練の活用を促進するとともに、協議会が持つ講座情報等を県のポータルサイトで紹介するなど、相互の連携を図り、取り組みを進めてまいりたいと考えています。  以上でございます。 12: ◯警察本部長桝田好一君) 音響信号の整備についてお尋ねがありました。  議員お示しのとおり、視覚障害者用付加装置、いわゆる音響信号でございますけれども、につきましては、歩行者用灯器の表示に合わせてピヨピヨ、カッコーなどの音響を発する装置を既存の信号機に付加するものでありますけれども、当県内におきましては、本年十一月末現在で一千三百三機の信号機に整備をしております。  この装置につきましては、周辺の環境にも配慮しつつ、駅や役所、福祉施設、病院など、視覚障害のある方々が日常的に利用される施設の周辺にある信号機を中心に、御要望を踏まえながら整備を進めているところであります。  視覚障害者用付加装置の整備に関する要望につきましては、視覚障害のある方々やその関係団体と平素から接する機会の多い行政機関を通じていただいておりますほか、警察署に対しましても直接いただいてもいるところでございます。  今後とも関係機関と緊密に連携し、これらの要望の把握に努め、必要な場所に視覚障害者用付加装置の整備を進めてまいりたいと考えております。 13: ◯教育長平松直巳君) 県立学校の施設や設備の老朽化への対応について二点お尋ねをいただきました。  まず、遊具の更新の考え方についてお答えをいたします。  特別支援学校における遊具につきましては、子供の運動技能の向上につながるとの観点から、開校時にブランコや滑り台などを設置し、その後は各学校において、国土交通省通知の都市公園における遊具の安全確保についてに準じて随時点検を実施するなど、安全確保に努めております。この点検等においてふぐあいが見つかった場合は、学校において、まずは遊具の使用を中止し、使用実態や劣化の状態を踏まえ修繕を行いますが、劣化の程度によりましては、教育委員会として必要に応じて現地調査を行い、学校と対応策を協議した上で、更新または修繕、撤去することといたしております。  なお、議員御指摘の豊川特別支援学校の遊具につきましても、学校と協議して、既に修繕に必要な措置を講じたところでございます。
     次に、施設修繕に係る予算についてでございます。  県立学校施設の整備につきましては、これまで、建物及び体育館つり天井の耐震対策や、特別支援学校の過大化による教室不足に対応するための新設校の整備を最優先に進めてまいりました。  こうした中、維持修繕につきましては、老朽化している外壁の改修や防球ネットの改修、増設など、児童生徒や近隣住民の安全にかかわる緊急性の高い事案を優先して対応してまいりました。  現在、県立学校施設長寿命化計画の策定を進めており、中長期的な老朽化対策に取り組むことといたしておりますが、早急に対策が必要な建物につきましては、今年度から大規模改造工事に係る先行設計を行い、来年度から順次工事を行うことといたしております。  この大規模改造工事の実施に当たりましては、必要な小規模修繕についてもあわせて実施するなど、効果的、効率的に執行してまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、教育環境を保持するためには、小規模修繕などの維持管理は重要であると考えておりますので、教育費全体で事業の必要性や緊急性をしっかり見きわめ、選択と集中を図りながら必要な予算を確保して、施設整備の適正な維持管理に努めてまいります。 14: ◯知事大村秀章君) 大嶽議員の質問のうち、私から東三河の農業振興についての認識と支援についてお答えをいたします。  東三河地域は、農工商のバランスのとれた産業構造を有しておりますが、とりわけ農業生産におきましては全国屈指の地域でありまして、野菜、花卉、果樹、畜産などさまざまな分野で多くの産地が形成されております。本県農業のまさに柱であり、農業振興の重要な地域であると認識しているところでございます。  農業をめぐる情勢は、担い手の高齢化や農業従事者の減少、人口減少による国内需要の縮小、グローバル化の進展など大きな転換期を迎えております。東三河地域におきましても、さらなる生産性の向上などに取り組み、競争力ある農業を実現していく必要があると考えております。  このため、意欲のある農業者等が高収益化を図るための取り組みを支援する産地パワーアップ事業や、地域ぐるみで高収益型の畜産を目指す畜産クラスター事業、また、ICTを活用して、比較的低コストで既存の施設の生産性を飛躍的に向上させるあいち型植物工場の導入促進などを積極的に進めているところであります。  さらに、各産地の状況にきめ細かく対応するため、県と産地の関係者が一体となって、五年後を目途とした産地戦略を取りまとめ、各種事業を効果的に活用して産地の生産力のパワーアップを図るプロジェクトを推進しておりまして、東三河地域では現在、トマト、大葉などについて四つの産地で取り組んでおります。  こうした施策事業を着実に進め、東三河地域を初め、本県農業振興に全力で取り組んでまいります。 15: ◯一番(大嶽理恵君) 最後に要望させていただきます。  まず一点目、知事から御答弁いただきましてありがとうございます。東三河は農業振興の重要地域であり、振興に努めていくという御答弁、ありがとうございました。  技術を受け継ぐ人材育成や継承支援、健康のためより低農薬や農薬を使わない技術革新、農業者への技術支援など、普及指導員を増員して個々の農業者と顔の見える関係を築いていただきたいと思いますので、今後一層の御努力をよろしくお願いいたします。  次に、中小企業の人材育成についてです。  本庁と東三河での取り組みと情報共有を図っていくとの御答弁いただきました。  現状では、ひと育ナビ・あいちとキャリアアップ連携協議会の双方に、研修、講座の検索機能を持つホームページがあったり、お互いの情報を知らなかったりという現状です。同じ目的を目指しているわけですので、今後しっかりと情報共有をして一元化できるところは一元化して、より中小企業の方々のためになる人材育成のサポートとなるよう、連携そして機能強化を図っていただきたいと思っております。  三点目の音響信号についてですが、名古屋では、要所要所に音響信号がついていて大変便利さを感じました。まだまだ地方では足りなくて自立行動ができない状態ですので、視覚障害者の要望に応え、必要といわれたところにはできるだけ早く、必ずつけてほしいと思います。それによって、視覚障害者の方の行動範囲や生活圏が広がり、あらゆる可能性が広がってくるものと思います。  最後に、学校の修繕について要望します。  遊具の修繕は対処してくださるとのこと、ありがとうございます。  学校施設について、利用者からの不満の声が大きいということは、整備が行き届いていないということだと思います。児童生徒がその学校で過ごすのは、一定の限られた期間だけです。その時期に、不便、不足を感じさせないように環境整備をするのが私たち大人の役割だと思いますので、私立高校や市町村が管轄する小中学校に見劣りしないような施設営繕をお願いいたします。  以上です。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 16: ◯四十番(石塚吾歩路君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 17: ◯議長鈴木孝昌君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 18: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 19: ◯副議長森下利久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  川嶋太郎議員。     〔六十六番川嶋太郎君登壇〕(拍手) 20: ◯六十六番(川嶋太郎君) それでは、通告に従い質問をさせていただきます。  私は、去る十月三十日から十一月六日までの八日間、我が党の小林功議員を団長とする精鋭八名から成る愛知県欧州海外調査団の一員として、イギリス、ドイツの二カ国を訪問させていただきました。  イギリスでは、英国日本大使館及びジェトロロンドン事務所において、主にイギリスのEU離脱による影響につて、サウサンプトンシティカウンシルにおいて、クルーズ船の誘致について、グリニッジバラカウンシルにおいて、自動走行実証実験について、ミルトンキーンズカウンシルにおいて、ラグビーワールドカップ二〇一五の開催状況についてそれぞれ調査をし、また、ドイツでは、ジェトロデュッセルドルフ事務所及びフランクフルト総領事館において、主にイギリスのEU離脱の影響や、ドイツの見本市事情について、カールスルーエ運輸連合において、公共交通システムについて、メッセ・フランクフルトにおいて、大規模展示場についてそれぞれ調査をしてまいりました。  今回、私は、さきに質問されました我が党の渡辺周二議員とともに調査団を代表して、海外調査及び事前の国内調査をもとに質問をさせていただきたいと思いますが、通告にもありますとおり、本議会に条例が提案されております愛知県国際展示場に絞って質問をさせていただきたいと思います。  大規模展示場については、公明党の犬飼議員とともに調査担当ということで取り組ませていただきました。  先ほども述べました海外調査のほか、国内の事前調査では、国の機関としては国土交通省観光庁、経済産業省、財務省関税局を、大規模展示場としては東京ビッグサイト、幕張メッセ、ポートメッセなごやを、展示会主催者としては日本展示会協会の石積忠夫会長が社長を務めるリードエグジビションジャパン株式会社を調査いたしました。また、十月二十九日には、ポートメッセなごやで開催されたメッセナゴヤの開催状況を調査してまいりました。御協力をいただいた皆様に、この場をおかりして改めて感謝を申し上げたいと思います。  愛知県国際展示場は、以後、国際展示場と申し上げますが、二〇一九年秋に常滑市の空港島に開業予定の敷地面積六万平方メートルの大規模展示場であり、コンセッション方式を活用した管理運営を行うとのことであります。  国際展示場は、交流による新たなビジネスマッチングの機会や、イノベーションの創出のための産業インフラであり、物づくりなど愛知の産業力をさらに飛躍させるための重要な施設であると考えます。  昨日の我が党の代表質問に対し、知事からも、自動車、航空宇宙、ロボットなどの主要産業分野や環境、新エネルギーといった新しい分野で展示会、イベントを積極的に誘致、開催することで、新たな交流、ビジネスマッチングを生み出し、本県産業経済のみならず、我が国の発展に寄与したいとの大変意欲的な答弁をいただいたところであります。  今回調査を行う前には、もともと敷地面積十万平方メートル規模を予定していたものが六万平方メートルと小さくなったことで、この規模で大丈夫なのか、また、柱や間仕切りが可動しないということ、シャッターがあるというようなことで、使い勝手が悪いのではないかといった展示場のハードの面が主たる問題になると考えておりました。  しかし、ドイツでの調査では、実はそのようなことはささいなことであり、もっと根本的な問題があることに気づかされました。それは、展示会に対する考え方が日本とドイツで全く異なるということであります。  日本では、展示会というと出会いの場、きっかけの場と考えている人が多いのではないかと思います。私がメッセナゴヤにおいて、あるブースでどのくらい出展していることが商売につながっておりますかとお聞きしたところ、一日大体何人ぐらいと名刺交換をしますと、その後、連絡があるのが大体何件ぐらい、そして、契約がとれるのがこのくらいですというような具体的な数字をお示しいただいて、丁寧に教えていただきました。  出展企業は、その場で商売をするということよりも、自社の製品や技術を披露することで商売につながるきっかけを得ようとしているわけです。つまり、日本の展示会の多くは、実物が見られるリアルな広告として機能していると私は思います。  それに対し、ドイツの見本市は第一に商談の場であり、契約の場であります。  見本市に出展する企業は、見本市開催前に取引先と電話やメール等によって契約に向けた準備を既に進めており、最終的に見本市において商品等を実際に確認した上で、フェース・ツー・フェースで契約を行います。ドイツでは、契約という重要場面ではフェース・ツー・フェースが原則であり、多くの商談相手が一堂に会する見本市は大変効率がよい、商売のしやすい場所だと言えます。業種等にもよりますが、見本市で年間の売り上げの七割から八割も契約を締結する企業もあるそうです。  このように、本気の商談の場であることがドイツの見本市を活気あるものにしていると思います。それぞれの企業の決裁権者が参加しているので、新規取引先候補との出会いは単なるきっかけ以上のものとなり、ビジネスに発展する可能性が高くなります。利益を生む場所でありますので、人、物、金の動きは、日本的な展示会よりもはるかに活発であり、地域に及ぼす経済波及効果もより大きなものとなっております。  同じ大規模展示場を使ったイベントでも、コンセプトの違いによって、企業を引きつける吸引力や経済波及効果が大きく変わってくることを今回の調査で学ばせていただきました。  私は、愛知県がつくる国際展示場は単なる貸し館ではなく、企業間取引であるビー・ツー・ビーを中心とした商談、契約の場としての展示場文化を愛知から発信し、ビジネスの発信地、集積地となるというコンセプトを持つ施設にしていくことが必要であり、そして、そのコンセプトのもと、コンセッションでは、海外企業を含めてビー・ツー・ビーの展示会を誘致できる企業を求めるべきだと考えます。  そこで質問ですが、県としては国際展示場のコンセプトについて、どのような考えを持っておられるのか、お伺いをいたします。  続きまして、今回の調査から見えてきた課題について順次お伺いしてまいります。  まず初めに、交通アクセスについてお伺いいたします。  私は、国際展示場の最大の弱点は、名古屋駅からの距離であると思っております。  ドイツでは、大規模展示場は市街地の中、もしくは市街地に近接して立地しており、今回訪問したメッセ・フランクフルトはフランクフルトの中心部に位置しています。交通アクセスも大変よく、メッセ・フランクフルトの中央に近郊電車Sバーンの駅があり、また、都市間交通を担うドイツ鉄道の駅からは一キロ、ドイツの高速道路アウトバーンからは二キロ、空港からも五キロの距離となっております。  出展者からすれば、お客さんが来てくれなければ商売になりませんし、イベントによっては何万人という来場者が来るわけですから、交通アクセスのよさは展示会の成功の大きな鍵を握っていると言えます。  空港を利用する来場者にとって、国際展示場は最高の立地であります。しかし、特に名古屋駅を経由して来られる来場者にとっては距離があると言わざるを得ません。名古屋駅が県外からのアクセスにすぐれていることから考えると、名古屋駅から来場者をいかに運ぶのかが大きなポイントになり、そして、国際展示場を遠くて行きにくい場所だと感じさせないこともリピーターの確保のために重要だと思います。  名古屋駅─セントレア間の物理的距離はいかんともしがたいですが、時間的距離を縮める工夫は幾つもあると思います。例えば、名鉄の臨時便の増発や、直行バスの臨時運行、また、西知多道路の整備や空港島及び前島周辺の渋滞対策などの道路インフラの整備などが挙げられます。  宿泊施設の確保やアフターコンベンションを考えたとき、空港周辺の施設だけで対応することは困難で、やはり名古屋を視野に入れなくてはならず、時間的な距離の短縮は不可欠であると考えます。  また、距離がある分、交通費の負担も来場を阻む心理的な障壁となると考えられます。名古屋駅と中部国際空港を往復すると千七百四十円、特別車を利用すると二千四百六十円かかります。決して安いとは言えないと思います。また、車の場合では、高速道路、空港島連絡橋、駐車場さらにガソリン代とかかり、積み重なると結構な額になってきます。  特に出展者は、物品の搬入等で空港島連絡橋は何度も往復することが予想されますので、例えば定期券のようなものを用意するなどのアプローチも必要ではないかと思います。  幕張メッセは、東京から遠いという印象を持たれてしまったために苦戦している部分があるとのことでした。オープンまでに、時間的距離と交通費の二つの要素に対し、どのような対策をとるかで国際展示場のイメージが決まっていくのではないかと私は考えております。  そこで質問ですが、空港島への交通アクセスの確保について、県はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。  次に、展示場を商談の場にするために、必要な機能の充実についてお伺いをいたします。  先ほども述べましたとおり、ドイツでは、見本市は商談の場であります。ビジネスが決まる場所にすることで展示会の求心力が大きくなります。そのために必要な機能として、まず、クローズで商談できる場所が挙げられます。展示場内のブースでも商談はできますが、細かい内容を詰め、最終的にサインをするとなれば、オープンの場では難しい場合も多くなると思います。  メッセ・フランクフルトでは、各ホール内に会議室が整備されており、多くの契約がそこで行われているそうです。こうした会議室は、出展者及び展示会主催者がVIP対応の部屋として使うことも想定され、ビジネスのために非常に重要な設備となります。ホールになるべく近い場所に確保することが円滑なビジネスにつながると思います。  また、出展者へのサポート機能の充実も必要であると思います。  展示会の開催予定や参加企業等の情報発信、会場案内サインやパンフレットの多言語化、ブースがつくりやすい電気、水道等の配置などさまざまありますが、私は、特に展示会主催者や出展者に、愛知の国際展示場はビジネスが決まる場所であるというイメージを持ってもらうために、ビジネスマッチングのための相談支援を行うべきだと考えます。  また、空港立地を生かすために、海外からの出展者を募ることができるよう、誘致活動やサポート体制の整備が重要となります。  メッセ・フランクフルトでは、三十の子会社と五十五のセールスパートナーが世界の百七十五カ国に広がって事業を行っております。空港立地という観点からは、国際貨物の取り扱いについても便宜を図っていく必要があると考えます。  空港島は、国の総合保税地域の許可をとっておりますので、関税の手続をとらず、外国貨物のまま展示会場への搬入が可能でありますが、より柔軟にビジネスができるよう、特区制度の活用も視野に入れて検討していくべきだと考えます。  そこで質問ですが、国際展示場におけるビジネスを活発にするために必要な機能の充実強化について、県としてどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。  次の課題として、近隣商業施設との連携についてお伺いをいたします。  展示会を成功させるには、国際展示場という展示スペースだけでなく、ほかにも多くの機能が必要となってきます。国際展示場は、特に会議場が少ないことは弱みだと思います。  メッセ・フランクフルトには、ホール内の会議室のほかに二軒のコングレスセンターがあり、非常に重要な施設であるとのことでした。この点については、新たに建物をつくるのではなく、空港周辺のホテルの利用を検討してみてはどうかと考えます。  また、飲食場所の確保も重要な課題となります。イベントによっては何万人という来場者が訪れるわけですから、地域のありとあらゆる資源を活用する必要があると思います。空港内施設や近隣のホテル、ショッピングセンターなどと連携を図るとともに、ケータリングの手配なども必要となってきます。キッチンカーの配置も視野に入れた会場周辺のインフラ整備もあわせて行っていかなくてはなりません。  また、食事は私たちにとって楽しみの一つであります。食事のおいしいところに人は集まります。課題としてだけでなくチャンスとして捉え、なごやめしなどの地域の食や愛知県産農産物を発信していく場として大いに活用していくことも重要であると思います。  さらに、食事だけでなく、ショッピングなどの需要にも対応するため、空港島と前島を結ぶシャトルバスを走らせることで、出展者、来場者の満足度を上げることができると思います。  展示会に必要な機能を全て自前で賄うのではなく、空港周辺の商業施設とうまく協力、連携することで、展示場の満足度を上げていくという視点を持って、取り組んでいただきたいと思います。  そこで質問ですが、展示会開催に当たって、空港内及び前島の商業施設とどのように連携、協力を図っていかれるのか、お伺いをいたします。  最後に、代表的展示会の創設についてお伺いをいたします。  今回の調査では、国内の主要展示場である東京ビッグサイトと幕張メッセを、また、世界第三位の屋内展示面積を持つメッセ・フランクフルトを視察いたしましたが、東京ビッグサイトには二年に一度開催される、我が国最大級の自動車イベントである東京モーターショー、幕張メッセにはアジア最大級の規模を誇る、IT技術の国際展示会であるシーテックジャパン、そして、メッセ・フランクフルトには二年に一度開催される世界最大のモーターショーである国際自動車ショー、また毎年二月に開催される世界最大の消費財見本市であるアンビエンテといった展示場全館を使用する、いわば展示場の顔というべき展示会がありました。これらの展示会は、それぞれの展示場の知名度向上に大きな役割を果たしていると私は感じました。  国際展示場においても、他の展示場に引けをとらない展示場の看板となる展示会を開催することが重要であると思います。そして、それは中部国際空港に隣接しているという特色を生かしたものであるべきだと考えます。  また、国際空港であるからには、世界各国から出展者が集うものでなくてはなりません。今、セントレアは国際空港とは言いつつも国際路線はアジアに偏っており、国際ハブ空港として目指すべき姿とはかけ離れていると感じています。私は、国際展示場を国際路線拡大の起爆剤にしていけたらと考えております。  国際路線の維持には、ビジネス客の確保が最も重要な課題であるとお聞きしたことがあります。国際展示場でビー・ツー・ビーの展示会を多数開催し、そこに海外の出展者やバイヤーに集ってもらうことで、国際路線の維持、拡大につながっていくのではないかと考えます。  また、展示会の開催ということでは、もう一つ提案があります。それは、愛知県の中小企業が多数参加する展示会を企画してはどうかということであります。  ドイツでは日本と同様に、中小企業が経済の中で重要な役割を果たしており、ドイツの企業数、全体の九九%以上、総生産高の五二%、総売上高の三九%、雇用の六〇%を占めております。これら中には、ヒドゥンチャンピオン、隠れたチャンピオンと呼ばれる、ニッチな分野で高いシェアを持ち、EU域内はもちろん域外の新興国市場も含め、グローバルに活躍している企業も多く存在しています。見本市は、こうした中小企業のビジネスの場であるとともに、リクルーティングの場としても活用されております。  ドイツでは、見本市に学生など若い人を受け入れる仕組みができており、中小企業によっては採用活動を見本市会場でやっている企業もあるそうです。学生にとっても名前は聞いたことはないが、高い技術力のある有望な企業を知ることができるよい機会となっております。  愛知県もドイツと同じく一般には名を知られていないが、高い技術を持った中小企業が多数存在しています。展示会を通じて、県内中小企業にビジネスマッチングの場を提供するとともに、中小企業に学生などへの情報発信の場、採用活動の場として利用していただき、さらに、展示会を通じて技術力の高い中小企業が愛知に多数立地していることを国内外に発信し、愛知がビジネスの場として魅力的であることをPRすることで、愛知の物づくり産業の発展に資することができるのではないかと考えます。  そこで質問ですが、本県の展示場の特色を生かした代表的な展示会の創設と、県内中小企業の情報発信の場としての展示会の活用について県の考えをお伺いいたします。  以上、愛知県国際展示場について、海外調査及び事前の国内調査で得られた知見をもとに質問をしてまいりました。  展示会産業は、宿泊、飲食、交通、小売、建築、人材派遣など、非常に多くの分野に経済効果があり、さらにこの効果が定期的に生み出されるという点で、非常に有望な産業であります。それゆえに、日本においても海外においても、大規模展示場は激しい都市間競争を繰り広げております。この都市間競争に打ち勝つために、どのような課題があるのか、私ども、精いっぱい調査をしてまいりました。  理事者各位の国際展示場にかける熱意のこもった御答弁をお願いいたしまして、壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 21: ◯振興部長植田昌也君) 国際展示場に関する御質問のうち、まず交通アクセスについてお答えいたします。  展示場の立地する空港島への名古屋からのアクセスは、主に名鉄常滑・空港線と知多半島道路等の有料道路がございます。展示場へは、一日最大で約四万二千人の来場者を想定しており、円滑な輸送手段を確保することが重要であります。  これまで空港島に一日最大約六万九千人が来場した二〇一二年の国際航空宇宙展では、現在の道路、鉄道で大きな混乱がなく対応できております。また、過去の大型集客イベント時には、対岸部へ駐車場を分散し、シャトルバスでピストン輸送を行うなどの対応をしたこともございます。
     本年度実施している調査の中で、交通の円滑化に向けた検討を行うとともに、展示場開業後は、イベントの主催者、県警察など関係者と調整し、円滑な来場ができるよう対応してまいります。  なお、有料道路の料金は、十月一日から有料道路コンセッション導入に合わせ、空港連絡橋の通行料が半額に、知多半島道路の通行料も平日の通勤時間帯が約三〇%割引になりました。鉄道についても、過去の大型イベントでは往復割引乗車券を発行した例もあり、鉄道事業者と連携を密にして対応を図ってまいりたいと考えております。  次に、国際展示場におけるビジネスを活発にするために必要な機能の充実強化についてお答えいたします。  当地域は、自動車、航空宇宙、ロボットなど、裾野の広い産業が集積しており、中堅・中小の企業などからは、展示会がこの地域で数多く開催されることへの期待も高く、商談、ビジネスマッチングの機会の場を提供していくことが重要であります。  また、欧米などで行われている商談重視の展示会を誘致、企画していくことは、国内外からのアクセスが至便という本県展示場の特色を生かした取り組みの一つであります。  本県展示場の商談機能としては、各ホールに商談室を二室、共用の大中小の会議室十八室を備え、通常の展示会で必要とされる商談やセミナーなどに対応できる設備を備える予定であり、展示ホール、会議室が一つの建物に集約されますので、容易に行き来できるようになります。  また、運営事業者の選定に当たっても、例えば海外企業とのネットワーク、海外からの出展企業へのサポート体制、保税の活用なども念頭に置き、国際空港隣接という特色が生かせるよう検討を進めてまいりたいと考えております。  続いて、展示場周辺機能との連携についてお答えいたします。  本県展示場には、大中小の会議室、カフェスペース、キッチンカーが駐車できるスペースなど、展示会開催に必要な機能を備える予定です。  また、空港島の展示場周辺には、空港会社所有のホールや会議室、五十を超える商業施設、合計千五百室を超える宿泊施設があり、対岸部には大型商業施設が立地し、空港島とは無料シャトルバスで連絡しています。  今後は、ボーイング787の試験機を展示する新たな複合商業施設が整備されるとともに、空港ターミナル周辺にはホテルが相次いで立地し、既存の施設と合わせ約三千室以上になる予定です。  本県展示場において、国内外からの展示会やイベントが活発に開催され、将来にわたり定着させていくためには、これらの周辺機能を一層充実させ、空港周辺地域の魅力を高めることが重要です。展示会開催期間を通じて、来場者が快適に過ごしていただけるよう、観光振興やにぎわいづくりについても常滑市、空港会社など、関係者とも連携しながら取り組んでまいります。  最後に、代表的な展示会の創設と情報発信の場として展示会の活用についてお答えいたします。  当地域は、先ほど申し上げましたとおり、自動車、航空宇宙、ロボットなど物づくりの分野で高い技術の集積があり、さまざまな情報発信や交流、ビジネスマッチングの機会を提供していくことが本県展示場の重要な役割になると考えております。  二〇二〇年に、本県での開催が決定したワールドロボットサミットは、まさにそうした趣旨に合致するものであり、今後もさまざまな分野での展示会の企画、誘致、開催と、展示会を通じたビジネスチャンスの拡大を地道に積み重ねながら、愛知ならではの展示会を育て上げていくことが重要であると考えております。  また、展示会による情報発信の機会が増加することは、企業の技術力のアピール、商機の拡大につながるとともに、次の世代の物づくりを志す若者の人材育成、活躍の機会の拡大につながります。各地の展示会の中には、地域の学生を展示会に招聘して、ビジネスの現場や技術に触れる機会を持たせる取り組みもあり、そうした取り組みを参考に、中堅・中小企業の情報発信の観点も十分意識して、展示会運営に取り組んでまいりたいと考えております。 22: ◯知事大村秀章君) 川嶋太郎議員の質問につきまして、私からもお答えを申し上げます。国際展示場のコンセプトを中心に申し上げたいと思います。  この展示場は、愛知の産業力をさらに高めるための核となる産業インフラでありまして、できる限り多くの企業に御利用いただくことが必要であります。  そのため、施設面では建設コストを低く抑えながら、六万平米の展示ホールと会議室を一つの棟の中に集約するなど、高い機能性を確保いたします。  運営面では、ローコストオペレーションを実現し、首都圏、大阪の展示場と比較をして、低い利用料金を設定するとともに、コンセッション方式を採用し、長期的視点に立って営業活動や、創意工夫を生かした自由度の高い運営ができる事業者を選定してまいります。  その上で、我が国初の国際空港隣接型の展示場として、国内外からのアクセスのよさを生かした国際的な展示会の企画、誘致や、圧倒的な物づくりの集積を背景とした技術の交流やビジネスマッチングなど、本県展示場の特色を生かした運営を目指してまいります。  そして、展示場を核に、空港島及び周辺地域の商業、宿泊、にぎわいなど、諸機能のさらなる集積を図り、この地域が新たな交流、にぎわい、集客の拠点となり、本県全体の発展に重要な役割を果たしていけるようにこれからも積極的に取り組んでまいります。 23: ◯六十六番(川嶋太郎君) 答弁いただきました。幾つか要望させていただきたいと思います。  使用料等、料金が安いということが、これまでも再三お話に上がっておりましたが、いろんなところでお話を聞いてきて思うことは、料金が安いということが大きなインセンティブにはなり得ないということが正直な感想であります。やはり、その場所にどれだけの魅力があるのか、商売の場としてきちんと成り立っているのかということのほうが、実は料金が少し高い、少し安いとかということよりも圧倒的に重要だということを正直感じているところであります。  もちろん、低廉な料金で使っていただけるということは、非常にいいことだとは思います。しかし、今のところ、そういう意味では物ができているわけでもありませんし、図面がきっちりあるわけでもないので、そういったことについて、さらに先の部分についてお話が出てこないことは理解をいたしますが、ただ、それであぐらをかくようなことになっては困りますので、ぜひとも、ここの場所で商売になるんだ、ここの場所に来ればちゃんとうちは利益が得られるんだ、そういった仕掛けづくりをこれからもしっかりと取り組んでいっていただきたいということは一点要望させていただきたいと思います。  あと、アクセスの問題でありますが、おおむね問題がないというような御回答でありましたが、ただ、現に展示場協会さんの中でも不安な声が出ているということは御理解をいただきたいというふうに思います。  アクセスが悪いということを言いたいわけではありません。知事の答弁にもありましたとおり、日本の中心であるセントレアというのは、日本各地から同じような時間で、一番遠い北海道からでも、沖縄からでも同じような時間で来られるわけです。そういった意味では、非常に立地としてはいいということ、これは展示場協会の中でもお話を聞いてきましたが、非常に有利な地だと思うと。しかも、名古屋駅が周辺からのアクセスが至便であるということも、大阪、東京を結んで、非常に至便であるということも、これも非常に有利な点だと。  ただ、セントレアと名古屋駅間だけがそういう不安を、まだ始まっていないものですから、どういうふうな感想を持たれるのかというのは、まだこれからわかりません。ですけれども、それが心配ないよということを早い段階から協議をしていただいて、大丈夫だということをぜひとも打ち出していっていただきたいというふうに思います。  幕張メッセが残念だったのは、京葉線ができたのが遅かったということです。ですから、あそこへの交通アクセスは本当に少なかったんです。それで、もう遠いというイメージがついてしまった。イメージを払拭することを必死にやられています。名刺にも東京駅から最速二十三分というような名刺をつくって活動されているんですけれども、それでも一旦ついたイメージというのは、なかなか拭い去ることができません。  ぜひとも、まだうちはこれからつくるわけですから、まだ時間がありますので、そこに向けて、いかに早い、交通アクセスに対して、大丈夫ですよという発信ができるように、さまざまな事業を進めていっていただきたいなというふうに思います。  あと、利用率の二五%収支均衡ということに関して、ぱっと聞くと、こんなことぐらい大丈夫じゃないのと思われるかもしれませんが、実は、例えば五つに区切ったうちの二つを使っていて、そうすると二つ使っているうちの反対側が、その展示会と余りにもイメージがかけ離れたものというのは入れないんですね。そうすると、そこの部分には、お客さんを入れられないということも起こってきます。幕張メッセでもそんなようなお話はお聞きをしてまいりました。そうなると、展示場というのは、実は稼働率を一〇〇%にすることはまず不可能で、いっぱいいっぱいですと言いながら、稼働率七〇%とか、そのくらいの稼働率になってくるわけです。ですので、二五%というのを楽勝のハードルだというふうに思っていただくと困るなということも視察の中で思ってまいりました。  あと、二〇二〇年のオリンピックの振りかえ需要ということですが、これは一過性のものになる可能性も非常に高いです。ですので、愛知県でやる意味がある、僕も代表的な展示会の創設と申しましたが、ああ、ここでやるんだというようなものを、やはり仕掛けていかないとうまくいかないと思います。県としてもしっかりとその部分に携わっていっていただきたいなというふうに思います。  最後ですけれども、視察をして感じたのは、国際展示場は非常に地域への経済波及効果だったり、影響力、また、国内外の知名度向上等々、非常に大きな可能性を秘めています。であるからこそ、一番最初の走り出しで転ぶということだけはないように入念な準備をしていただいて、国際展示場が、ああ、なるほど愛知につくってよかったなと言っていただけるものになるように、部局を越えて最大限の努力をしていただきますように、最後に要望して終わります。 24: ◯副議長森下利久君) 進行いたします。  岡明彦議員。     〔十二番岡明彦君登壇〕(拍手) 25: ◯十二番(岡明彦君) 通告に従い順次質問いたします。  平成十七年、公明党の推進で、文字・活字文化振興法が施行。国や自治体に対し、公共図書館や学校図書館の充実、学校教育における言語力育成の取り組み、民間団体の活動支援や財政措置などが明記されました。  文字・活字文化振興を推進してきた公明党の一員として、本離れが進む現状を鑑み、本県の文字・活字文化振興の中心となる愛知県図書館について質問します。  近年、つながる図書館、支え合う図書館が注目され、図書館の多様な機能面が再評価されています。  例を挙げます。昨年八月二十六日、鎌倉市図書館の司書のツイートが話題になりました。もうすぐ二学期、学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい、マンガもライトノベルもあるよ、一日いても誰も何も言わないよ、九月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。  このツイートは、サードプレイス、第三の場としての図書館機能を物語っています。  サードプレイスとは、アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが唱える考えで、同氏は自宅と職場、子供にとっては学校での役割が解放されるサードプレイスがあってこそ、心豊かな生活ができると訴えます。そして、合理化の余り孤立化が進む現代を憂う同氏は、地域社会を活性化させる拠点として、自由に交流できる居酒屋、カフェ、そして図書館に注目、サードプレイスに期待を寄せています。  今、全国で図書館が話題になっています。生涯学習支援、青少年活動支援機能を一体化させた図書館、武蔵野プレイス。町内全体を図書館と考え、商店や個人宅を私設図書館化した活動が注目される小布施町立図書館。市民意見反映型図書館の伊万里市民図書館。患者の視点に立つ癒やしと情報の図書館、静岡県立静岡がんセンター内のあすなろ図書館。課題解決型図書館である鳥取県立図書館。ビジネス支援サービスに特化した大阪府立中之島図書館等々、枚挙にいとまはありません。  一方、本県の市町村図書館も新展開が始まっています。介護予防等に効果があるとされる回想法の拠点で知られる昭和日常博物館を併設した北名古屋市東図書館。日本屈指のジャズコレクションを持つ複合型の岡崎市立中央図書館。小牧市ではツタヤ図書館が進出するや否やで図書館のあり方が激しく論じられ、また、豊川市ではデジタル図書館がスタートし、そして、豊橋市ではまちなか図書館構想が動き始めています。  こういった動きの中で、愛知県図書館は県民の知の拠点、いわゆる拠点図書館としてどういう役割を果たすべきか。平成二十六年に策定された県図書館の基本的な運営方針には、県図書館の役割として、愛知県の隅々まで図書館サービスを届けます、市町村立や公民館図書館の運営を支援します、図書館や関係諸機関のネットワークをつくります、図書館活動を支える県図書館の体制を整えますとあります。  運営方針に定めた十年のうちの三年目、行動計画の前半五年の折り返しとなっている今、運営方針に沿った行動計画の着実な遂行が求められます。  他の都道府県図書館が教育委員会所管である中で、愛知県図書館は、奈良、三重県とともに全国でも珍しい知事部局の所管です。知事部局所管ならではのフレキシブルな事業展開を期待し、県図書館の課題を取り上げ、四点質問します。  その一つは、司書の採用についてです。  県図書館の運営を支えていくのは司書職員です。また、県図書館の司書職員は、県内の図書館職員を研修、育成していく役割を担います。専門的な司書スキルが伝承されねばなりませんが、現在は二十代後半から三十代の司書職員が全くいない状態です。  そこで伺います。  十年先を見据え、県図書館の司書職員の採用計画を考えていますか。  その二は、会議室の有効活用であります。  県図書館の図書購入予算は徐々に削減、二十年前と比較をして現在は約三割の五千百八十七万円です。ちなみに、本県の図書購入費は、名古屋市、豊田市、安城市、豊橋市、一宮市、岡崎市に次いで七番目、愛知県の隅々まで図書館サービスを届けますというこの役割を担うには脆弱な図書購入予算と言わざるを得ません。  県図書館は拠点図書館として、市町村図書館への貸し出し体制も整えていますが、本県には、市町村図書館が整備されていない町村が六つあり、そこに居住する県民に図書館サービスを届ける役割も求められます。  一方、県図書館の来館者数は二十年間右肩下がりで、平成七年度の九十八万人に対して平成二十七年度は六十万人です。  他県図書館では、県民が図書館と出会うツールとして自主事業を活発に行っています。  奈良県立図書情報館では、企画展示に合わせて、地元企業等とタイアップしたマルシェや書籍販売も行っています。三重県立図書館では少子化対策課とタイアップして、本好きな独身男女のための出会いイベント、いわゆる本を縁にした婚活イベントを行っています。  一方、事業予算の少ない愛知県図書館では、目玉となるような自主事業は見られません。  そこで、二つ目の質問です。  県内市町村図書館への貸し出し体制を支えるため、また、自主事業を充実するため、みずから財源を生み出す工夫をして図書購入費と事業費の充実を図ってはどうでしょうか。県図書館の五階にある大中小の会議室を一般に貸し出しし、その使用料を図書購入費や事業費に充てることは考えられないでしょうか。ちなみに、奈良県立図書情報館では、会議室等の貸し出しで年間約一千五百万円を稼いでいます。  その三は、県立学校図書館への運搬費負担についてです。  県立学校の図書館への図書貸借は、全国的には往復の運搬料が無料になっているところが多いのですが、本県は、往路は県図書館負担ですが、返却時は学校側の負担です。  平成二十五、二十六年度後半、学校側の負担を無料にしたキャンペーンをした結果、県図書館から学校図書館への貸し出し数が約二倍になりました。このことからは、県立学校側の県図書館への期待を知ることができます。  ちなみに、教育委員会所管ではない奈良、三重県も原則運搬料は無料になっています。公共施設の中でも特に多くの県民が利用する図書館を若い人が身近に感じられるよう、県立学校との往復運搬料を無料にすることはできませんか。お尋ねをします。  その四は、生涯学習機能についてです。  運営方針には、愛知県図書館は生涯学習施設の中核とうたわれています。高齢化が進展する中、県図書館の自主事業に、学び続ける高齢者向けの事業はほとんどありません。一方、奈良県立図書情報館では、長年高齢者等向けのパソコン講座が活発に行われ、本年から始まった学び直し講座、図書館学校では定員の三倍を超えることがありました。  また、三重県立図書館は県生涯学習センターの一階にあります。十年先を見据えれば、愛知県図書館と教育委員会生涯学習課との連携は不可欠です。  今後どのように、生涯学習施設としての取り組みをするおつもりか、お尋ねをいたします。  続いて、専門家から日本のバージェスと呼ばれ、世界的に価値があるといわれる県内の貴重な化石、南知多の深海動物化石群に関する質問をします。  我が国を代表する国立科学博物館には、南知多の深海動物化石群コーナーが設置されるなど、この化石標本は、本県にとって貴重な自然史系文化財です。また、本年、日本地質学会から愛知県の化石にも認定されています。  この化石群の価値につきましては、日本古生物学会の前会長で、大路樹生名古屋大学博物館長のお話をパネルと標本を添えて紹介いたします。  深海の動物化石が見つかることは、日本だけでなく世界的に見てもとても珍しい、それが知多半島の最先端の地層からたくさん産出しています。  例えば、このヒトデは世界で二例目。     〔パネル図を示す〕  これです。ほかにはカリフォルニアでしか出ておりません。     〔パネル図を示す〕  これは、深海に生息する、生きている化石として有名なウミユリの化石です。このような、ほぼ完全な形で産出するのも非常に珍しいと言われています。  また、四十センチ大の大きな魚の化石もたくさん産出をしております。四十センチ大の化石の魚です。また、世界中で知多半島のこの地層からしか出ていないものも大変よい保存状態でたくさん見つかっています。  来日したアメリカの有名な研究者からは、この化石群がカナダで有名な化石層であるバージェス化石層と比較される日本のバージェスというべきものだという言葉をもらっています。愛知の方がほとんど御存じないのですが、学術的に見て非常に貴重な、世界的な宝の山が県内に存在しているのです。  さて、この化石標本は、豊橋市自然史博物館、瑞浪市化石博物館にも一部収蔵されていますが、かなりは本県在住の東海化石研究会会長、蜂矢喜一郎氏、同顧問の水野吉昭氏が保管しています。  お二人とも専門的な知識を持つ在野の研究者で、蜂矢氏は本県に保管場所があれば、返却することを条件に重要な標本を瑞浪市化石博物館へ預けています。また、水野氏は、南知多の標本だけではなく、日本各地の化石標本を五万点以上お持ちです。  この標本群は、学術的にも日本屈指のコレクションとして知られ、国立科学博物館初め、群馬県立博物館等の専門家が定期的に訪れています。  氏は保管には十分に注意を払っていますが、博物館等の収蔵庫とは比較にならないプレハブ倉庫で保管をしております。両氏とも六十歳代半ば、家族が継承することは各種困難が伴い、いずれ散逸の危機が訪れるだろうと今後について危惧を抱いています。  ここで、貴重な標本が海外流出した残念な事例を紹介します。  平成二十一年、名古屋女子大学の八田耕吉先生の昆虫コレクション、大型標本箱二百三十箱の標本と段ボール箱にして三百五十箱の本が台湾の大学に送られました。その経緯を、八田先生は同年六月発刊の「日本の科学者」に、定年前の私の宝物の安住の地を探す、昆虫標本と蔵書を外国の大学に寄贈と題して寄稿しています。  同氏は、家内から、あなたが死んだ後は、この本や標本はごみとして捨てるだけというきつい言葉をいただいていると記しながら、概要、日本のほとんどの大学は標本管理に恵まれた環境ではなく、愛知県の豊橋市自然史博物館には、優秀な昆虫専門の学芸員がいるものの、限界があると寄贈の理由を記しています。  愛知の宝ともいうべき南知多の深海動物化石群の化石標本を流出、散逸させない体制づくりは重要です。  県立博物館がない本県で、最適な管理・保管体制をとることができるのは、豊橋市自然史博物館等の自然史系博物館など、限られたところだけ。  近年、東日本大震災の津波による文化財の散逸が話題になりましたが、災害によらずとも、本県では十年単位の時間軸の中で散逸の危機が進行しています。  改めてコレクションを持ち、研究、紹介することの意義を確認したく存じます。  一つに、観光振興に資するということです。  福井県立恐竜博物館は、入館者数が年間百万人超え間近です。国立科学博物館の年間入館者数は二百万人ですから、同館が地の利がない福井県勝山市にあることからするとすごい数です。同館は、学芸員による研究体制を充実させつつ、県の観光戦略の目玉として全国展開のPRを行い、あわせて北陸新幹線開業効果を取り込み、来館者数をふやしています。調査開始二十七年を経て、恐竜化石群が天然記念物指定される報道のあったことは御案内のとおりです。  観光立県を目指す本県も、アジア競技大会の開催、リニア開通に合わせて、南知多の深海動物化石群を観光資源として活用することもできるのではないでしょうか。  二つ目に、人類の未来のための教材となるということです。  これにつきましては、京都大学名誉教授で三重県総合博物館長の大野照文先生の言葉を紹介します。  愛知の大地は数億年の地質学的営みの結果生まれたものであり、その大地に住む動植物の多様性も、やはり数億年の進化の歴史の上に育まれたものです。その歴史を知るために、自然史系文化財はなくてはならない証拠となる。  また、自然史系文化財の中には、地震や津波など有史以前の大災害記録の刻まれたものが多数あり、これらは未来に起き得る想定外の事態に備える上で、重要な情報を提供してくれます。  また、著名な学識者の多くが、博物館などで自然史系文化財にふれたことが、その後の研さんの動機づけになったと回顧しています。自然史系文化財は、次世代を担う子供たちの教育にとっても大きな役割を果たします。 と。
     翻って、今回この質問をするに当たり、全国の博物館等百二十五館を対象にアンケート調査を行いました。その結果、収蔵スペースがいっぱいになっている館が百九館あることがわかりました。また、厳しい財政状況にあっても新たな収蔵スペース確保に取り組む姿もありました。  福井県の第二恐竜博物館構想、京都府の新博物館整備計画など、施設整備を目指しているところもありましたが、多くは自治体の遊休施設や廃校、空き教室の活用等で急場しのいでいます。どの自治体も必死に文化財を守ろうとしています。  そこでお伺いします。  県内にある宝とも言うべき、南知多の深海動物群の化石標本等の自然史系の文化財については、散逸を防ぐとともに長期的な視野に立って、保管、収蔵する方向性を考えるときが来ていると思いますが、現在、県内で自然史系の資料を保管、収蔵している施設は幾つあるんでしょうか。お伺いをします。  昨年の文教委員会では、私の質問に対して、自然史系の化石等は文化財であるとの明快な答弁をいただきました。つまり、県の文化財保護指針における保護対象となるわけで、同指針には未指定文化財の悉皆調査の必要性が明記されています。  今回の調査を通して、県内には、この化石標本を初め、貴重な自然史系の標本やコレクションを持つ多数の研究者がいることがわかりました。  まずはともあれ、本県文化財保護指針にのっとり、県の自然史系の文化財の現状がどうなのか、実態調査を開始すべきと思いますが、教育委員会として今後どのように取り取り組まれるつもりか、伺います。  続いて、県営都市公園における民間活力の活用についての質問に移ります。  県営の都市公園である大高緑地は、私の地元名古屋市緑区にあって、約百ヘクタールの面積を有し、県民のスポーツレクリエーションの場、憩いの場として貴重な存在となっています。  この公園に七月、ディノアドベンチャー名古屋がオープンしました。十月には、公明党の県議団調査で伺いましたが、動く恐竜模型を設置した森の中を探索する新施設は、県営都市公園では初めて公募により導入された民間施設として、夏休みや休日を中心に多くの皆さんに来ていただいています。  その人数は、開園後五カ月後の十一月三十日の時点で、八万九千六百一人に達したばかりか、波及効果もあらわれており、開園後五カ月間の公園来園者数は、対前年、同期間比で約一割増加。さらに、大高緑地内の交通公園のゴーカート利用者は、同じく五カ月間に六万九千二百人の利用があり、これは対前年の同期間比が二割以上の増となっています。  七月の開園式には地元の幼児が招待されて、公園内に歓声が飛び交いました。このように、子供たちに喜んでもらうことほどうれしいことはありません。  また、大高緑地観光協会の坂野國廣会長からは、開園以来、当協会の売店も休日を中心に忙しくなりました、全面開業にさらなる期待を寄せたいと伺いました。民間活力によって、大高緑地の新たなにぎわいが創出されたと考えます。  一方、民間施設ではありませんが、愛・地球博記念公園にあるサツキとメイの家は、愛知万博においてスタジオジブリの協力のもとに建設されたものですが、映画となりのトトロをモチーフにした世界を体感できる施設として人気を博しており、愛知万博後は百万人を超える観覧者がありました。  また、他県の例ではありますが、富山県の富岩運河環水公園には、運河とこれを取り巻く芝生や植栽を見渡すことができるガラス張りのカフェがありまして、世界一美しいスターバックスと称されるなど、マスコミでも話題になりました。北陸新幹線開業後は、県外からこのカフェを目当てに来る観光客も多いと聞いております。  このように、民間ノウハウを生かしたユニークな施設は、本県の都市公園の魅力を高め、既に利用していただいている皆さんの公園への親しみを深めるとともに、広域から新たな利用者を呼び込み、県営都市公園の魅力を多くの県民の皆さんに広める役割も果たしていくものと思います。  そこでお尋ねします。  県営都市公園における民間活力の活用について、今後どのように進めていくのか、県の考えを伺います。  最後に、県警と地方公共団体との連携による見守り力向上について質問します。  新たな防犯機能を持つ機材として、ドライブレコーダーが注目されています。ドライブレコーダーの映像が犯罪捜査、犯人検挙に一役買っていることは御承知のとおりですが、ドライブレコーダーの副次的な効果を活用し、犯罪抑止のための見守り活動強化を図る先進事例を紹介します。  平成二十八年九月、兵庫県尼崎市はひったくりなどの街頭犯罪対策として、ごみ収集車のドライブレコーダーの映像を県警に提供する協定を市内三警察署と結びました。  同市は、ひったくり認知件数において、四年連続県下最多。神戸市を超える認知件数となっており、これまでもひったくり撲滅作戦をする中で、平成二十六年には市バスのドライブレコーダーの映像を県警に提供する協定書を結ぶなど、犯罪抑止に取り組んできました。  今回は、ごみ収集車へ対象を広げることで、小さな通りも移動するごみ収集車の特性を生かし、犯罪や事故の防止につなげていきたいとのこと。こうした取り組みの結果、同市は、ひったくり認知件数が神戸市を下回り、県内ワーストワンを返上、市バスのドライブレコーダー効果もあって、駅前などでひったくりも大きく減ったとのことでした。  私は、導入が急速に進むドライブレコーダーにより、見守り体制の広域化と細分化が進展をして、犯罪抑止力向上が期待できると考えます。  プライバシーの保護には当然十分配慮した上で、公共のバスやごみ収集車のドライブレコーダーを、県民の安心・安全を見守る目として活用することは、犯罪に強いまちづくりをしていく上にも効果が高いのではないでしょうか。  また、尼崎市と市内三署が、ドライブレコーダーの防犯活用についての協定書を取り交わす締結式を大きくとり行ったことによる市民への周知効果も、大きいものだったと思います。  さて、名古屋市議会十一月定例会で、公明党の近藤和博市会議員が、同市の市バス、ごみ収集車のドライブレコーダーによる犯罪抑止力向上に向けた取り組みについて質問。近藤市会議員は、尼崎市と市内の警察三署が、犯罪抑止効果を高めるためドライブレコーダーを活用する協定書を結んだように、名古屋市も県警と連携した新たな防犯対策を、協定の締結を視野に入れて進めないかと尋ねました。  市当局からは、このような取り組みは犯罪防止に有効な手段だと考える、犯罪発生時に市バスやごみ収集車のドライブレコーダー情報を、県警からの要請に応じて提供していることを防犯キャンペーンなどで周知していきたいとの趣旨の答弁がありました。その上で県警との協定については、他都市の事例を参考に課題を整理したいと答えました。  そこでお尋ねします。  県警は、ドライブレコーダーを活用した防犯対策等の効果についてどのようにお考えですか。  尼崎市と三署が事件、事故のドライブレコーダーの情報提供を含め、犯罪及び交通事故抑止効果を高める協定書を結んだように、県警が名古屋市など地方公共団体と連携した取り組みを同様の協定締結を視野に入れて進めていくことについて、どのようにお考えかを伺います。  以上、理事者各位の明快な答弁を御期待申し上げ、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 26: ◯県民生活部長(川島毅君) 愛知県図書館についての御質問のうち、まず、愛知県図書館の司書職員の採用についてお答えをいたします。  愛知県図書館の職員七十二人のうち、司書は常勤職員三十五人、再任用職員一人、非常勤嘱託員が三十人であり、このスタッフによって蔵書約百二十三万冊、来館者年間六十万人を超える図書館の運営を行っております。  このうち図書館運営の中核を担う常勤の司書職員は、全庁における行政合理化推進の中で採用抑制を行った結果、三十五人中、本年度採用した一名を除く三十四人が四十歳以上という年齢構成となっております。  県立図書館は、みずから図書等を収集、保存し、一般の県民の方々の利用に供するとともに、県内の市町村図書館に対しては資料の紹介、提供、資料検索システムなどの情報サービスの実施、職員の研修などで支援を行っており、その役割を果たすためには、図書分類を初め、図書館に関するさまざまな専門知識を有する司書職員を配置し、そうした専門知識とともに、レファレンスなど図書館サービス提供に係るノウハウの継承が必要となります。  愛知県図書館では、今後十年間で十五人程度の定年退職者が見込まれる中で、その補充に当たっては民間経験者等の採用制度も活用しながら、職員のいない年齢層で職員を採用するなど、専門知識やノウハウをきちんと継承できる体制づくりに努めてまいります。  次に、県図書館の会議室の一般貸し出しについてお答えをいたします。  愛知県図書館の五階には、講演会にも使用できる定員百五十名の大会議室一室、定員三十名程度の教室型の中会議室一室、少人数の会議、打ち合わせに利用できる小会議室二室の合計四つの会議室がございます。  現在は、図書館内の会議、打ち合わせのほか、図書館関係団体の会議や、県の各部局が実施する講演会等の行事や会議などのために使用しており、利用率は約五割となっております。  県図書館は、地下鉄丸の内駅から徒歩五分の場所にあり、周辺には多くのオフィスもあり、会議室として一般利用が見込める立地にはありますが、駐車場の収容台数が二十三台と少ないなどの課題があります。  しかしながら、議員御指摘の施設を貸し出して事業費の財源を生み出す工夫をするという視点は重要と考えられますので、公の施設として図書館の目的に沿った一般の方々の会議室の利用のあり方について研究の上、どのような対応ができるのか検討をしてまいります。  三つ目の県立学校図書館への図書運搬料の負担についてお答えをいたします。  現在、県内の学校の生徒に愛知県図書館を活用していただくため、学校図書館から愛知県図書館の図書を借りたいと申し込みがあった場合、愛知県図書館が送料を負担して貸し出しを行っております。この場合、図書を返却するときは、学校図書館が返送料を負担することになっております。  議員が御質問の中で御紹介いただいた三重県は、県図書館からと市町村図書館、または拠点校に図書を配送し、各学校が市町村図書館等に図書を受け取りに行き、返却もそのルートを使うという方法をとっております。  愛知県の県立学校は、百七十五校と数も多いことから、こうした三重県の事例などを参考に、まずは、県立学校との間の合理的な配送の仕組みができないかを検討する必要があると考えております。  愛知県においては、愛知県図書館と市町村図書館との間に図書の相互貸し出し制度があり、定期的に搬送する仕組みを持っております。これを活用し、三重県と同様の仕組みを構築することが考えられますが、市町村図書館、県立学校図書館とのさまざまな調整が必要となるため、県立学校を所管する教育委員会などと連携を密にし、県立学校の生徒に図書館をより一層御利用いただくため、どのような方法がとり得るのか検討してまいります。  最後に、図書館の生涯学習施設としての取り組みについてお答えをいたします。  愛知県図書館は、図書の貸し出しを通して、県民の方々の学習を支援するとともに、必要に応じて講演会や講座などを開催して学習機会の提供を行うなど、県民の生涯学習施設としての基本的役割を担っております。  また、図書館を活用して、県民の皆様により生涯学習への関心を高めていただくため、資料や情報を上手によりよく活用するための講座の開催、読書会やビブリオバトルなどの本を通じたコミュニケーションの場の提供などにも取り組んでまいりました。  議員御指摘のとおり、高齢化が進展する中で、高齢者の生きがいづくりとして、学び続けることを支援していくことは重要でございます。  今後、愛知県図書館として、生涯学習のさらなる支援に向けて、生涯学習を所管する教育委員会との連携を一層深め、どのような取り組みが必要かを検討してまいります。 27: ◯教育長平松直巳君) 化石などの自然史系文化財の保護について、二点お尋ねをいただきました。  まず、自然史系の資料を保管、収蔵している施設の数でございますが、県内には博物館法の規定により登録または指定された施設が四十九館あり、このうち収集、保管、展示する資料を主として自然科学に関する資料、または、人文科学及び自然科学に関する資料としている施設は、名古屋市科学館、豊橋市自然史博物館、豊橋市地下資源館及び半田市立博物館の四館でございます。  次に、自然史系の文化財の実態調査についてお答えをいたします。  化石などの自然史系の文化財につきましては、天然記念物として保護措置がとられることとなっております。現在、天然記念物は、県内に国指定が二十六件、県指定が六十二件、市町村指定が四百八件の、合わせて四百九十六件ございますが、このうち化石の指定文化財は市町村指定の三件にとどまっております。  議員お示しのとおり、平成二十八年三月に策定した愛知県文化財保護指針におきまして、県内には指定等の保護措置はとられていないものの、大切な文化財が数多く存在すると考えられ、こうした未指定文化財を今後保護していくためには、全体的、網羅的に文化財を把握する悉皆調査を行う必要がある旨、記載をいたしております。  教育委員会といたしましては、自然史系も含めた未指定文化財の総合的把握のための実態調査については、文化財保護の観点から調査対象をどこまで広げるのか、調査を実施するための人材をどう確保するのかなど、さまざまな課題がございますので、県文化財保護審議会委員等の専門家の意見を十分お聞きをしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 28: ◯建設部長市川育夫君) 県営都市公園における民間活力の活用についてお尋ねをいただきました。  本県の県営都市公園におきましては、これまでも広域的なレクリエーションの場としての整備や、各種イベントの誘致、さらに県民協働の推進などにより、魅力の向上に取り組んでまいりました。  しかしながら、一部の公園においては、施設の老朽化や県民ニーズの変化により、魅力が低下した施設や未利用の区域もあることから、新たな利活用の検討を進め、それぞれの公園の持つポテンシャルを十分に生かしていくことが必要であると考えております。  このことから、平成二十六年十二月に策定した県の第六次行革大綱である、しなやか県庁創造プランの個別取り組みの一つとして、県営都市公園において民間活力の活用など新しい利活用方法を検討することを位置づけたところでございます。  この取り組みの一環として実施した、大高緑地のディノアドベンチャー名古屋につきましては、来場者の方々に大変好評をいただいており、本施設の来場者を対象に実施したアンケートによりますと、半数以上の方が大高緑地を初めて訪れたと回答するなど、大高緑地の知名度アップにも大きく役立っているところでございます。  これらのことを踏まえ、今後も県営都市公園への民間活力の活用を積極的に進めることとし、まず今年度は、新城総合公園などにおいて、公園利用者へのアンケートを実施しており、自然の中で遊ぶことができる施設や体験型の施設などへのニーズが高いことを確認したところでございます。  また、民間事業者による公園施設の設置管理への参入意向などを把握する調査も進めており、これらの調査結果を踏まえ、民間施設導入の効果が高いと判断したところから、順次具体化してまいりたいと考えております。 29: ◯警察本部長桝田好一君) 県警と地方公共団体との連携による見守り力向上につきまして、二点お尋ねをいただきました。  初めに、ドライブレコーダーを活用した防犯対策等の効果についてお答えいたします。  ドライブレコーダーを搭載した車両が、昼夜を問わず走行することで、事件や事故が発生した際、ドライブレコーダーの記録が決め手となり、犯人の検挙に至った事例もあることから、犯罪捜査への有用性や犯罪抑止への効果が期待されると考えております。  次に、地方自治体と連携した取り組みを、協定締結を視野に入れ、進めていくことについてお答えいたします。  地方自治体と連携した取り組みにつきましては、例えば名古屋市からは既に、凶悪犯罪等が発生した場合に、現場付近を走行していた車両のドライブレコーダーの記録を提出していただいているところであり、捜査に活用させていただいております。  こうした地方自治体からの協力による犯人の早期検挙が、住民の皆さんの安全・安心の確保や犯罪の抑止につながることとなりますので、一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。  協定につきましても、市町から御提案があれば、前向きに検討してまいりたいと考えております。 30: ◯知事大村秀章君) 岡明彦議員の質問のうち、県営都市公園における民間活力の活用について、私からもお答えいたします。  緑豊かで広大な敷地を有し、広域的なアクセスにすぐれた県営都市公園は、各公園の特性を生かした集客施設の整備などにより、観光誘客の受け皿として大きく成長する可能性を秘めております。  県営都市公園の持つこうした可能性を最大限発揮するためには、集客に関しさまざまなノウハウを有する民間の力を活用することは極めて有効であると考えております。  こうしたことから、平成二十八年二月に策定したあいち観光戦略において、県営都市公園の活用、民間活力の活用を、観光県─あいちを実現するためのプロジェクトとして位置づけ、その取り組みを進めているところであります。  本年七月、この取り組みの一つして、大高緑地にオープンしたディノアドベンチャー名古屋は、民間のユニークな施設とその情報発信力により、県内のみならず県外からも幅広く集客することで、当初の見込みを上回る来場者、ほぼ大体想定の倍ぐらいということでお越しをいただいております。  そして、先ほど部長が言いましたが、アンケートを取りますと、名古屋市内の方が三割、名古屋市外から七割、県外から二割近い方が来ているということで、私も少々驚いておりますが、そういった広域からの集客も実現をしております。  大高緑地の未利用樹林地が、民間の創意工夫により樹林の保全を図りつつ、集客施設へと生まれ変わったものでありまして、大きな成果であると考えております。  これからもそれぞれの公園の特性を踏まえながら、こうした民間との連携を一層加速させることで、県営都市公園の新たな魅力を創出し、県内外の多くの方々にお越しをいただいて、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。 31: ◯十二番(岡明彦君) 丁寧な御答弁、大変にありがとうございました。  それでは、二点要望いたします。  東日本の震災地では、被災者を支える移動図書館が人間の復興に大きく貢献をしています。また、矯正施設、特に少年の矯正施設の読者を支える図書館サービスも立ち直りの一助として注目されています。  申し上げましたとおり、地域の図書館への期待は今後ますます大きくなっていくと思います。それらの活動を支える拠点図書館として、また、県民の幸せづくりを支える拠点図書館として、県図書館の機能充実を、加速度を増して図っていただくことを要望したいと思います。  二点目です。  本年六月、日本学術会議が国立自然史博物館の必要性との提言をしました。  実は、こういった専門家の声明や提言や報告というのは六十年前から続いておりまして、自然史系文化財の保護、研究が、我が国の学術的な課題であるというふうにも言えると思います。だからこそ、県立博物館を持たない本県の取り組みは、他の都道府県よりも格段に丁寧さが求められると思います。  県内の自然史系の資料を保管、収蔵する施設がわずか四館しかない本県として、博物館機能をどう担保するのか、長期的な視野に立って、仮にですが、国立自然史博物館構想が現実のものとなれば、その誘致を考える等、自然史系文化財の保護を着実に、粘り強く進めていただくことを要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。 32: ◯副議長森下利久君) 進行いたします。  政木りか議員。     〔二十四番政木りか君登壇〕(拍手) 33: ◯二十四番(政木りか君) 通告に従い、自動走行の推進についてと、次代を担う科学技術人材の育成支援について順次質問してまいります。  それでは、まず初めに、自動走行の推進についてお伺いいたします。  私どもは、十月三十日から十一月六日にかけて、私を含め十二名の議員で海外調査団を編成し、アメリカのフロリダ州及びテキサス州を訪問してまいりました。  事前に国内の事例調査や勉強会を行った後、クルーズ船の誘致に関する調査、大規模展示場に関する調査、そして、自動走行に関する調査を幅広いテーマで現地を訪れて生の声を伺ってまいりました。  フロリダ州マイアミでは、世界屈指のクルーズ船運航会社であるロイヤル・カリビアン・インターナショナルにて、クルーズ船誘致に係る調査をし、圧倒的なボリュームがある中国人旅行客の誘致に向けたアプローチ方法などを伺いました。  また、テキサス州ヒューストンでは、民間主導でホテルや駐車場なども一体で運営している大規模展示場のジョージRブラウンコンベンションセンターや、官民連携で企業誘致に取り組むグレーターヒューストンパートナーシップなどで調査を行ってまいりました。  そして、州都のオースティンでは、市役所を訪問した際、ちょうどアメリカ大統領選挙の終盤戦であり、期日前投票が行われておりました。今思えば、トランプ大統領の誕生に向けた、アメリカ社会の動きを目撃することとなったわけでありまして、大変意義深いものとなりました。  詳細につきましては、今後、調査団員みんなで分担して作成する報告書にしっかりと書き込みをしたいと考えておりますので、私からは自動走行に絞って質問をさせていただきます。
     テキサス州では、一人一台自動車を保有している究極の車社会であると伺いました。州都のオースティン都心部に入るエリアでは、著しい交通渋滞が地域の大きな課題となっており、テキサス州はこれに対して、自動走行車を活用したライドシェアリングによる渋滞緩和、また、駐車台数を減少させ、余った駐車スペースを有効に活用するといったまちづくりの手法を考えているというお話でした。  さらに、日本でも話題となっているグーグル社の公道実証実験にも話が及びました。  グーグルの実験車は二台、州からの走行許可をいただいており、主に郊外で実証実験を行っていると聞いているとのことでした。ただ、その後実験に対して州政府との連携や関与などはなく、政府ではいつどこで走行しているかは把握されていないという状況でした。  また、テキサス農工大学では、トラックが隊列走行するための自動追尾の実験や、信号の切りかえのタイミングが無人運転にどんな影響があるかなど、七百にも及ぶプロジェクトを進めているとのことでした。  安全性の問題や自動走行を実現するために必要な、社会インフラの費用負担など、さまざまな課題について情報交換を行うことができました。  オースティンと比較してみますと、産官学の連携や行政関与に関しましては、愛知県では現在、名古屋大学や市町村、そして県とが一丸となって自動走行の推進に取り組んでおり、この点でむしろ愛知県における先進性を理解したところです。  オースティン訪問の際に、あわせて愛知県の認知度を確認いたしました。そうしましたところ、トヨタとイチローのことはよく知られておりましたが、愛知県という名前自身の知名度はいまだ十分ではないと感じました。若干ショックを受けるとともに、愛知県にとって観光情報の提供とPRの重要性を痛感したところでございます。この分野でも自動走行に絡めて、何らかの打ち出しはできないものかと考えたところです。  また、私ども調査団は海外調査を行う前に、自動走行の研究をしている名古屋大学と東京大学にも事前調査を行いました。研究者から、技術開発の状況と日本企業の流れ、実際の実験車に搭載された機器、センサーによってどんな情報が収集でき、解析できるのか、さまざまな情報収集と調査を行いました。  また、国に対しても事前に関連調査を行いました。国は、自動走行の推進に関連して、本年五月に官民ITS構想・ロードマップを作成し、二〇二〇年までに高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現を目指しています。  また、経済産業省及び国土交通省では、今年度からスマートモビリティシステム研究開発・実証事業を実施しており、このうち専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証を民間企業や大学等とともに、研究開発と実証を進めております。  この端末交通システムは、鉄道やバスなど基幹交通システムと駅から自宅や目的地との間、地域内といった短・中距離を補完するラストワンマイルモビリティとも呼ばれる次世代の交通システムとのことです。  本事業では、公共的な利用を前提とし、専用空間を確立することにより、自動走行技術を取り入れた地域の活性化等につながる新しい交通手段の実現と社会実装を目指しており、導入場所の特徴や事業性などを鑑みて、小型電動カートと小型バスという乗車人数の異なる車両を用いて、地域に応じた運行管理システム等の開発を行うこととしております。  国は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、二年後の二〇一八年には研究開発された端末交通システムの社会実装に向けて、実際に端末交通システムが求められている地域の環境で実証評価を行うことを予定しております。  専用空間を確立することなどにより、安全性を確保できることを前提条件とし、実証場所の提供、関連機関への調整、事業化に向けた検討、社会受容性の検証等を行うということは、今後その方向に向けて日本全体が大きく動いていくということになります。  このように、自動走行に関連する海外先進地の状況や、我が国の研究開発支援の動向などを調査してみますと、自動走行は、これからのまちづくり、あるいは地域の新しい中核となる有効なツールとなり得るのではないかと考えています。  これからますます高齢化社会は進行します。特に、中山間地域では、若い人は雇用を求めまちに移転し、残った高齢者はどんどん移動や生活が困難になり、子供のいるまちに引っ越していく人がふえてしまうなど、ますます過疎化に拍車がかかっている地域もあると伺いました。  なかなか容易に移動できない高齢者の方々がふえ、あるいは高齢者になっても移動手段としての生活の足がないため運転免許の返上はせず、加齢とともに起こる運動機能の低下に気づかずに事故を起こしてしまう確率は高くなります。  自動走行は、一般的には自動運転と呼ばれていますが、今ほぼ毎日と言っていいほど新聞やテレビなどで報道されております。これは、自動走行に係る技術開発が絶え間なくどんどん進歩し、これまで映画などの空想の世界のことのように思っていたことが、今、現実に近づいてきている。それほど驚異的に進化する世界が報道されているということは、自動走行が実現した際の社会や暮らしに与える影響が余りにも大きいことがその背景となっているのではないでしょうか。  自動走行が実現すれば、いろいろな分野で大きな変化をもたらします。では、私たちの社会や暮らしにどういった影響を与えるかを考えてみますと、まず第一に挙げられるのは、人や物の移動に関してであります。  自動走行が実現すれば、中山間部の必ずしも公共交通が整備されていない地域や、高齢者など移動を容易に行うことができない、いわゆる交通弱者と言われる方々の移動の自由度が飛躍的に高まるほか、さらに、ITSなどを活用することで、渋滞の解消や円滑な物の移動にもつながり、人、物の道路交通社会のあり方が大きく変化するとものと予測されます。  第二のインパクトは、交通安全です。自動走行は、究極の安全技術と言われています。自動走行になると、事故の原因と言われているドライバーのミスがなくなるため、事故の大幅な削減が期待されています。  現在、本県は、残念ながら十三年連続交通死亡事故者数ワーストワンが続いておりますが、自動走行によって運転支援が実現すれば、こうした事故が軽減、解消されていくことと大きく期待されます。  さらに第三に挙げられるのは、産業に与える影響です。本県の基幹産業である自動車の完成メーカーや部品メーカーのみならず、自動走行車そのものを開発している企業、走行システムの開発メーカー、移動サービス企業、地図製作会社、保険会社などのソフト開発企業、ITSとも関連する社会インフラ、通信系企業などなど、ありとあらゆる産業分野に多大な影響を与えるものと考えられます。  また、自動走行は、地域の有効な観光資源となり得るものと考えられ、世界への打ち出しも可能ではないかと思っています。  こうしたことを踏まえて、私は、全国に先駆け自動走行を中核とした愛知県独自の地域モデル、愛知モデルの構築をぜひお考えいただきたいと思います。  具体的に私が考えます愛知モデルとは、自動走行をまちづくりの一つの有効なツールとして捉え、まちづくりと一体となった活動としていくものです。  とりわけ郊外での高齢化が進行する団地や過疎化が進む中山間地域での移動手段の確保、また、観光ニーズへの対応など、それぞれ地域が抱える課題の解決を図るためのツールとしていくことが考えられます。  また、愛知独自の愛知モデルへは、県や市町村などの行政機関の参加はもとより、多くの企業や大学などが参画し、連携して、地域が一体となって取り組んでいくことが必要と考えます。さらに、愛知独自の愛知モデルの展開が一過性に終わることのないように、事業の継続性に留意していくことも必要と考えます。  こうした愛知独自の愛知モデルの実現は、愛知県下の地方自治体へのバックアップと協力体制を構築しなければならず、容易ではないかもしれませんが、こうした方向性、考え方を持って、県と市町村とが一体となって自動走行の推進に取り組んでいくことが必要ではないかと考えます。  そうした中、先週水曜日、十一月三十日に自民党の経済構造改革に関する特命委員会が開催され、中間報告案がまとめられました。  十二月一日の日本経済新聞によれば、第四次産業革命の柱に自動走行システムを据え、運行ルールを全く設けない、仮称、フラッグシップ特区の創設を検討し、地域の中核企業を規制緩和などで支援し、完全自動走行、いわゆるレベル四の早期実現に向け、税制改正も検討するとの方向性が示されました。  政府の二〇一七年の予算案に盛り込まれれば、技術革新は加速度を増し、自動走行システムは世界最速の社会実装へ走り始めます。  第四次産業革命の社会実装は、過疎や中山間地域を初めとする高齢者の日常生活の足の確保、暮らしの利便、安全・安心の充実、地方創生の実現など、暮らしの向上、地域活性化、イノベーションの加速が図られます。  国は、二〇一七年一気にギアアップし、二〇二〇年に向けて、トップギアのまま全速力で走り抜くロードマップを描いているということです。  こうした流れをくみ、物づくり立県の愛知県としては、関連企業への波及効果を鑑み、世界各国の間で熾烈な開発競争が繰り広げられている自動走行システムの世界的な中心地となるべく、いち早く取り組む必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今年度愛知県では、県内十五カ所で実証実験、四カ所でのモニター調査を実施し、そのニーズや課題、社会受容性を検討しているところでありますが、県は、自動走行の推進に向け、現在どのような取り組みを行い、どのようなことがわかってきたのか。また、国や世の中の状況を受けて、今後自動走行をどのように推進していくのか、お尋ねいたします。  続きまして、次代を担う科学技術人材の育成支援についてお伺いいたします。  本県は、すぐれた科学技術の創出や生産現場でのたゆまぬ改善活動等により、日本一の物づくり産業県へと発展してまいりました。最先端の科学技術分野では、本県は多くのノーベル賞受賞者を輩出しております。これらの偉業は、第一線の研究現場で努力されている研究者に勇気を与えることに加え、多くの県民に夢や希望を抱かせるものであります。  また、一方、工場等職域における技術の改善により、製品の品質向上などに貢献した現場の方々を表彰する、文部科学省の創意工夫功労者賞においては、今年度全国で九百七十八名の方が受賞されておりますが、本県からは三百十六名もの方が受賞され、都道府県別の受賞者数は、平成四年から二十五年連続全国一位となるなど、多くのすぐれた科学技術人材により、本県の物づくり日本一は支えられております。  その一方で、本県の十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は、二〇一〇年から二〇三〇年までの二十年間で、約四十万人減少する見込みとなっております。  中国を初めとするアジア諸国など、新興国における科学技術力の向上により世界的な競争が激化する中で、本県物づくり産業が今後も世界をリードしていくためには、将来を見据えて戦略的に科学技術人材を育成していくこと、すなわち、小中学校のころから物づくりや科学技術への関心を高め、理数好きの子供たちの裾野を拡大していくことが重要であると考えます。  こうした中、愛知県はことし二月、イノベーションの推進と知的財産の創出、集積、活用の好循環により、本県の競争力を高めることを目的とした、あいち科学技術・知的財産アクションプラン二〇一六─二〇二〇を策定いたしました。  イノベーションの源泉となるのは人の創造力であることから、同プランにおいては、次代を担う科学技術人材の育成の支援を施策の一つとして挙げ、さまざまな具体的取り組みを進めるとされておりますが、とりわけ、科学技術人材の育成に大きな役割を担っている少年少女発明クラブの活性化支援は重要であると考えております。  少年少女発明クラブは、昭和四十九年、当時の社団法人発明協会の会長であり、ソニーの創業者である井深大氏の熱意により、同協会の創立七十周年記念事業として開始されました。  これは、日本が将来にわたり科学技術創造立国として、持続的な発展を実現するには、物づくりに携わる人材の育成が不可欠であり、次代を担う青少年に物づくりに親しむ環境を整えることが重要であるとの井深氏の提唱を具体化し、この愛知県の地に、我が国最初の発明クラブとなる刈谷少年少女発明クラブが誕生いたしました。  子供たちは、指導員からさまざまな科学技術の知識を学び、その知識を活用して、大人では想像もつかないような豊かな発想による創意工夫に富んだ作品を多数製作し、数々のコンテストで優秀な成績をおさめていると聞いております。  先月二十四日の新聞紙面で、ことし三月、第七十四回全日本学生児童発明くふう展で内閣総理大臣賞を受賞した刈谷少年少女発明クラブに所属する中学三年生の太田匠郎さんの記事が作品の写真入りで掲載されておりました。  太田さんは、駅のホームでベビーカーが動いてしまい、転倒する事故が多いという話を聞き、自分が幼いころに乗せられていたベビーカーを倉庫から引っ張り出し、自分のアイデアをもとに何度も試行錯誤を重ね、自動ブレーキつきのベビーカーを製作し、この作品のブレーキ制御の方法が創設四十二年の名門発明クラブに、初の特許権取得をもたらしたとのことでした。これは本県の発明クラブのレベルの高さがうかがわれる内容でした。  また、この記事には、豊田佐吉氏が部下たちに口癖のように言った、まずはやってみよ、失敗を恐れるなという言葉と、初めから完全なものにしようとせず、アイデアはまず形にして、欠点は何度でも改良すればよいとの教えが書いてありました。  子供のころから創意工夫し、試行錯誤を繰り返して物づくりをすることは、子供たちの夢と希望と将来の仕事につながる有意義なものであります。太田さんの作品は、まさにそのようにしてでき上がったものであり、太田さんは、将来は物づくりの道に進みたいと考えているという言葉が書いてありました。  こうした中、全日本学生児童発明くふう展の世界大会ともいうべき世界青少年発明工夫展が来年七月に名古屋市で開催されると、公益社団法人発明協会から発表されました。  世界青少年発明工夫展は、世界二十カ国から科学的素養の高い青少年が集うとのことで、本県の子供たちが科学技術への関心や創造性と国際感覚を養う大変いい機会になると期待しております。  将来の物づくり愛知を支えてくれるであろう青少年に、小さいころから物づくりにかかわる機会をふやし、将来の仕事につながるよう、技術を磨く支援が必要と考えます。  そこでお尋ねいたします。  県として、世界青少年発明工夫展の開催を機に、少年少女発明クラブの一層の振興に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。  以上、一点目、自動走行について、二点目、次代を担う科学技術人材の育成支援について伺いまして、私の壇上からの質問とさせていただきます。(拍手) 34: ◯産業労働部長吉澤隆君) まず、自動走行の推進に向けた現在の取り組み及び今後の推進の方向性についてお答えをいたします。  本県では、自動車安全技術の面から交通安全対策を推進する産学行政連携による自動車安全技術プロジェクトチームを設置し、その取り組みの一環として、平成二十六年度から産業労働部が大手自動車部品メーカーや名古屋大学などが公道で行う自動走行の実証実験のワンストップの窓口となり、警察や道路管理者などの関係機関との調整を行っております。  また、昨年八月には、自動走行実証プロジェクトとして、無人タクシー、無人配送の新サービスの実現を目指した国家戦略特区の区域指定を受け、ことし六月から自動走行実証推進事業として県内十五カ所におきまして実証実験を行い、そのうちの四カ所で県民の皆様に実際に御乗車いただき、自動走行に関する県民のニーズや社会的な受容性を把握するモニター調査を行っているところでございます。  現在のところ、九カ所での実証実験と三カ所でのモニター調査を終了したところです。そのうち、既に実施した約百名のモニターの方からは、高齢者の移動支援となる、あるいは交通事故の削減に資する、あるいは公共交通過疎地での代替手段となるなど、自動走行への期待として多くの声が寄せられ、また、七割以上の方から乗り心地について、違和感を感じることはなかったという御感想をいただいております。  残りの六市におきましても、自動走行のニーズ、課題の抽出、検証を引き続き行ってまいります。  自動車産業の一大集積地である本県といたしましては、日進月歩で進歩していく自動走行にかかわる先端技術を活用した実証実験を、大学や市町村など関係機関との一層の連携を図りながら、全国に先駆け実証することで、自動走行に関する県民のニーズの把握や社会的な受容性を醸成するとともに、自動走行に関する新たな産業の創出につなげてまいりたいというふうに考えております。  続きまして、世界青少年発明工夫展の開催を機とした少年少女発明クラブの振興策についてお答え申し上げます。  愛知県は、全国一の二十三の少年少女発明クラブが設置され、三千名を超える小中学生が参加するなど、全国で最も活動が活発な地域であります。  本県では、自動織機を発明し、この地域の産業の礎を築いた豊田佐吉氏が、明治三十一年に日本初の動力織機の特許を取得した八月一日を愛知の発明の日と定め、この日を中心に知的財産をテーマとした講演会を開催しているほか、県内で開催される科学工作教室など、約三十の協賛行事と連携し、創意工夫や知的財産を大切にする機運の醸成に努めておるところでございます。  こうした中で、来年七月二十七日から二十九日まで創造性と国際感覚を養う世界青少年発明工夫展が開催されることは、一体的に開催されるロボカップ二〇一七名古屋世界大会や、愛知の発明の日記念講演会等とも相まって、子供たちの科学技術への関心の涵養を図る絶好の機会となるというふうに考えております。  県といたしましては、参加国の青少年と県内の少年少女発明クラブの子供たちとの交流の場づくりの支援を初め、一連の行事を一体的に広報するなどして、より多くの子供たちが参加できる環境整備に努めることとしております。  さらに、世界青少年発明工夫展を機に、県全体において高まることが見込まれます科学技術への関心や交流、これを基礎といたしまして、少年少女発明クラブが設置されていない地域での出張発明クラブの開催や、指導員の交流などによります活動内容の質的な向上につなげることによりまして、少年少女発明クラブの一層の活性化、拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 35: ◯知事大村秀章君) 政木議員の質問のうち、自動走行の推進について私からもお答えいたします。  自動走行につきましては、私も今年度、あま市と春日井市におきまして、実際に自動走行車へ試乗いたしましたが、信号での停止や発進の動作も非常にスムーズでありまして、自動走行技術は着実に進歩しているものと実感をしたところでございます。  特に春日井市では、無人タクシーを想定した初めての試乗となりましたが、高齢者の移動支援、買い物支援などで近い将来、一つの重要なツールになるものと感じたところでございます。  こうした実証実験を積み重ねていくことで、高齢化や過疎化の進む地域での移動手段の確保、観光ニーズへの対応など、地域が抱えるさまざまな社会的課題解決の有効なツールとして、自動走行のシステムを活用していくことも検討し、世界一の集積を誇る本県自動車産業のさらなる成長を促し、日本の経済発展をリードしてまいりたいと考えております。 36: ◯二十四番(政木りか君) ただいま自動走行に係る知事みずからの力強い御答弁をいただきました。  愛知県は、昨年四月二十二日にアメリカ合衆国・テキサス州との友好交流及び相互協力に関する覚書を交わされました。このたびの我が愛知県議会での訪問は、テキサス州にとっても大変有意義なものであるとの評価もいただきました。  また、物づくりの愛知県として世界に知られるように、今後、自動走行日本一を目指して、先駆的な取り組みをし、自動走行の推進によって、それぞれの地域のまちづくりや観光につなげるよう、部局を越えてオール愛知でお考えいただきたいと思います。  そして、自動走行によって実現する交通システムが、特に三河山間部を初めとする過疎地域や離島などでの交通手段として、高齢者や交通弱者が自分で自由に移動できるような移送の足になるよう期待して質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 37: ◯四十一番(中根義高君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 38: ◯副議長森下利久君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 39: ◯副議長森下利久君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 40: ◯議長鈴木孝昌君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  西久保ながし議員。     〔三十五番西久保ながし君登壇〕(拍手) 41: ◯三十五番(西久保ながし君) それでは、通告に従いまして、三項目について質問してまいります。  初めに、今春開校しました愛知総合工科高等学校専攻科について質問をいたします。  物づくりの強い現場を担う人材を育てようと大きな期待を受け開校したのが総合工科高等学校であります。特に、同時に開校した二年課程の専攻科は、より高度な技術、技能を身につけ、即戦力として活躍できる人材を育てるため、物づくり現場の第一線で活躍している社会人を講師として迎え、より実践的な教育をするのが大きな特徴であり、強みであります。  そのような総合工科高校ですが、二度の入札不調が重なり開校が一年延期となったため、今春スタートし、八カ月がたちました。中でも、専攻科は、来年度から本格的にスタートする国内初の公設民営化も管理法人が名城大学に決まり、現在、その準備に奔走していると伺っています。  まず、一点目に伺いたいのは、専攻科の生徒の募集についてであります。  開校が一年おくれ、待ちに待った総合工科高校の専攻科ですが、募集定員四十名に対して入学者が三十四名と六名欠員でのスタートと伺い、大変残念に思っています。  建設費、設備費に多額な費用をかけ、今後、愛知の工業教育の中核を担う位置づけにある専攻科であるのに、即戦力として期待される、いわゆる金の卵である少数精鋭の四十名がそろっていないことが残念でなりません。  少しきつい言い方になりますが、私は生徒募集に対する取り組み姿勢に課題があるのではないかと思っています。専攻科への入学は、まだ就職実績もなく、本科の生徒が卒業するまでの三年間はとりわけ定員確保が難しいことは想定がついていたはずであります。  教育委員会としてもさまざまな面から募集活動を行ったと思いますが、期待を担う専攻科ですので定員確保は必達と考え、一年開校がおくれたことを逆にチャンスとし、高校に対し、専攻科の特徴や魅力、優位性など、徹底した理解浸透活動を行い、受験・入学促進を粘り強く行うべきだったと思います。  また、ことしの九月、十月に行われた来年度の入試については、募集定員四十名に対して合格者四十三名と伺いましたが、この合格者の中には大学等と併願している受験生もいるため、入学確定とは言えず心配が続きます。さらに、本科からの卒業生が出ない再来年度も厳しい状況は続くと思います。
     本来は愛知の工業教育の中核を担う専攻科ですので、入学する生徒には一定の能力が必要だと思いますが、定員ぎりぎりの志願状況で誰もが簡単に受かってしまうようでは困ります。第一希望で定員を超えるような多くの生徒が競い合うレベルの高い専攻科となるよう一層の努力をお願いいたします。  そこで、一点目の質問ですが、欠員になったことをどのように受けとめているのか、また、今後欠員を出さないため、どのように取り組んでいくのか、伺います。  二点目は、専攻科の特徴の一つでありますデュアルシステムについて伺います。  このデュアルシステムは、企業における三カ月程度の実習と学校における学習を並行的に行い、生産現場で牽引役となれる人材の育成を目指すもので、生徒たちにとっては体で覚える貴重な体験でありますし、即戦力を目指す専攻科の大変重要な教育活動ですので、ぜひ充実をしてほしいと思います。  このデュアルシステムは、計画では就職も見据え二年生で実施することになっていると伺っていましたが、本年は、生産システムコースの一年生六名が五月から七月にかけて延べ二十三日間で実施したと伺いました。受け入れていただいた企業六社は、全て同校の教育活動を支援するあいちT&Eサポーターズ登録企業であります。  本年は、生産システムコースのみ実施したということで、他の三コースは実施しないと伺っています。生産システムコースは二年生でも計画どおり実施すると伺いましたが、このようにコースによってデュアルシステムの実施回数に違いがあることを受験生は知っているのでしょうか。  そこで質問ですが、なぜ生産システムコースだけ一年生でも実施したのか、その狙いを伺います。また、このデュアルシステムは専攻科の重要な教育活動の一つでありますので、公平性を確保し、全てのコースで同様に行うべきと考えますが、どのように考えているのか、伺います。  また、あいちT&Eサポーターズの登録企業数は現在五十七社でありますが、私なりに業種をコースごとに層別しますと、少ないコースは七社、多いコースは二十六社と偏っています。各コースの定員は十名ですので、生徒を各社一人ずつ預かっていただくには、コースごとに最低十社が必要となり、今の状況ではデュアルシステムの運用に支障が出てしまいます。単に企業数をふやすのではなく、専攻科の四つのコースでデュアルシステムがしっかり運用できるよう、それぞれのコースに合った技術を持ち合わせた最低必要企業数十社をきちんと確保することが必要不可欠であります。  そこで、登録企業についてどのように考えているのか、伺います。  最後に、専攻科の教員体制と教育内容について伺います。  いよいよ来年度から公設民営化が本格的にスタートをいたします。私の認識では、公設公営であれ、公設民営であれ、運営権が民営化されるのであって、本来、教育内容が大幅に異なるのは好ましくないと思います。本年度生徒と来年度生徒の間での公平性はよく考えていただきたいと思います。  本年度は、社会人講師は六名で、大学三名、企業三名でともに臨時講師ということで、社会人講師が行う実習等に十分な時間がとれなかったと伺いました。本来、臨時であれ、常勤であれ、社会人講師による実習時間は、本年度生徒と来年度生徒の間で差異があるのは公平性の観点から好ましくないと思います。来年度から公設民営により民間企業からの社会人講師は統括者を含め、予定では八名が常勤し、講義、実習時間が十分に確保できるということであります。  デュアルシステムと同様、社会人講師による本年度生徒と来年度生徒の初年度の教育時間にかなりの差ができることは残念でありますが、二年間で公平性が保たれるよう補完していただきたいと思います。  そして、公設民営の柱となります八名の民間企業からの社会人講師がいまだ確定していないと伺い、公設民営化スタートまで残すところ四カ月に迫り、本当に大丈夫なのか大変心配をしております。こうした準備は、公設公営の段階から早く民間企業にアプローチしておく必要があったと思います。国内初の公設民営化事業の位置づけを重く受けとめ、しっかりスタートできるよう全力を注いでいただきたいと思います。  そこで質問ですが、民間企業からの社会人講師の確保について、現在の状況、今後どのように取り組むのか、伺います。また、本年度生徒と来年度生徒との教育内容の公平性担保をどのように考えているのか、伺います。  次に、技能五輪・アビリンピックについて伺います。  二〇一四年に本県で技能五輪・アビリンピック全国大会が開催されてから二年がたち、現在では二〇一九年、二〇二〇年の二年連続開催が決定し、さらには、二〇二三年の国際大会招致に向けての議論が始まったところであります。  まずは、一四年度のあいち大会を振り返りますと、会場は県内八市十四会場で開催され、来場者は、目標十八万人を大幅に上回る過去最多の二十八万九千人を超える方々が来場し、メダル数も技能五輪、アビリンピックともに全国一位を獲得いたしました。  また、ボランティアによるおもてなしなど、全体としては成功裏に終えることができたと思います。一方で、私なりに感じている疑問も含め数点質問をしたいと思います。  一点目は、会場分散開催についてであります。  一四年度のあいち大会は八市十四会場で開催し、開催市の応援や併催行事等で盛り上がった一方で、私はいまだに誰のための技能五輪なのかということでは疑問を抱いています。三年前にも申し上げましたが、選手の移動の大変さや、より多くの子供たちに多くの競技を見てもらうには十四会場は多過ぎると思います。  私の聞く限りでは、選手の皆さんは開会式と競技場が遠く移動に苦労したり、全国から応援に来た人たちも分散会場を回るのに移動にかなり苦慮したと聞いています。  また、小中学生の子供たちも今回一万八千人来場したということですが、本県の小中学生のわずか三%であります。会場を絞れば人数がふえるということではありませんが、少なくとも多くの競技を見られたはずであります。  私は会場の選定については、まさに全国からやってくる選手の皆さんや将来を担う子供たちがより多くの競技を見られることを重点に決定すべきと思います。  一九年には国際展示場もできると思いますし、国際大会は基本的に一カ所での開催が求められますので、国際大会も見据え考えていく必要があると思っています。  そこで質問ですが、今回の分散開催の評価、課題、そして、今後会場をどのように考えているのか、伺います。  次に、技能五輪とアビリンピックの同時開催について伺います。  一四年度のあいち大会は一週間ずらしての開催でした。私もアビリンピックの競技も見て回りましたが、障害があるとは思えないほどの身のこなしや手さばきに驚かされました。私が訪れたときは、残念ながら子供たちの姿は見かけませんでした。こうした障害者のすばらしい能力、頑張っている姿を子供のときから見ることは、差別意識を自然に持たない心を生み出す一つのよい機会になるのではないかと思ったところであります。  子供たちの来場は一万八千人ということですが、アビリンピック会場を訪れた子供たちはごくわずかだったと思います。技能五輪と同時開催していれば、もっと多くの子供たちにアビリンピックも見てもらえたのではないかと残念に思っています。  本県は、昨年障害者差別解消推進条例を制定し、社会全体で障害者への差別や偏見をなくしていこうとする取り組みを進めています。  また、技能五輪の記念誌の中に感動的な文面がありました。そこには、障害者だからと一線を引いて諦めず、若造にしては頑張ったなどとほめたりしない、対等な立場でともに生き、ともに努力して汗をかき、ともに笑い、ともに涙する志士たちが暮らす場所、愛知、ここには他者を勇気づける人々が息づき、日々挑戦を続けていますとありました。ぜひ、この言葉を言葉だけに終えることなく、今後本県で開催されるさまざまな大会において、課題はあると思いますが、障害者と垣根のない大会運営で真に障害者と差別のない愛知の実現を目指していきたいものです。  そこで質問ですが、二〇二〇年に開催される技能五輪、アビリンピックの同時開催についてどのように考えているのか、伺います。  次に、今後の全国大会のあり方について質問いたします。  二〇一四年に開催後、今後二〇一九年、二〇年の二年連続開催が決定したわけでありますが、これまでの本県としての考え方は、五年に一度くらいの頻度で開催していきたいと理解をしています。  全国大会の開催は、近年、開催地を変えていく地方開催方式を推進していますので、五年に一度ぐらいが適切という考え方もあります。二年連続開催は喜ばしいことではありますが、ぜひ長期ビジョンを持って進めていただきたいと思います。  長期ビジョンを考えるのであれば、例えば、将来的には高校球児が目指す聖地甲子園のように、技能五輪選手が目指す聖地国際展示場とし、毎年国際展示場の定常イベントとして物づくり愛知で開催することも一つの考え方であると思います。また、定着という観点から考えますと、忘れたころにやってくる五年は長過ぎると思います。トリエンナーレのように三年という考え方もあります。  また、国際大会を見据えた取り組みも重要であります。国際大会をやる以上、日本の高い技術、技能を世界へ発信する意味からも圧倒的な強さを示す必要があります。しかし、現状では、全国大会で勝っても国際大会では勝てない状況が近年ますます顕著になっています。  その原因の一つは、全国大会と国際大会では求められる技術・技能要素が全く異なる競技もあり、国際大会に向けて少しでも長くの訓練時間を確保したいということになります。過去の実績を見ても、国際大会までの期間が長いときには成績がよく、短いと成績が悪いとの分析もあります。そう考えますと、全国大会と国際大会の開催時期をハンドリングできる国際大会の前年にプレ五輪的に開催することも一案だったのかもしれません。  申し上げたいことは、戦略的に長期ビジョンを持って考えていくことが重要なのではないかということであります。  そこで質問ですが、二年連続開催は全国初ということですが、連続開催の狙い、意義をどのように考えているのか、また、今後、技能五輪、アビリンピックの全国大会について、どのような長期ビジョンを持っているのか、伺います。  最後に、国際大会招致について伺います。  二三年の国際大会招致に向けては、基本構想策定業務を技能五輪全国大会の企画運営を手がける株式会社アサツーディ・ケイに委託することが決まり、今後、日本及び愛知に招致する理由、意義や大会基本コンセプトなど、企画提案内容を煮詰めていくことになると思いますが、全てを業者に任せるのではなく、根本的な考え方については、県としてしっかりと検討をいただきたいと思います。  今後の国際大会は、二〇一九年はロシアに決まり、二〇二一年は既にスイス、中国、南アフリカの三カ国が意思表明をしたということであります。スイスはコンパクトで質の高い大会を売りに、そして、中国は初の国際大会、南アフリカはアフリカ大陸初の開催を売りにしているということであります。恐らく二〇二三年も各国激しい競合となると思います。  日本での開催実績は、東京、大阪、静岡の三回ありますので、四回目となります日本、愛知での開催をかち取るには相当苦心しなければならないと思います。  前回の静岡大会では、ユニバーサル技能五輪国際大会として、ユニバーサル社会の実現に向けて大会史上初めて技能五輪国際大会とアビリンピックの国際大会を同時開催し、障害のある人の職域拡大と障害の有無にかかわりのない貢献をアピールいたしました。  私は、愛知大会も基本理念としては、誰もが地域社会の一員として支え合っていくユニバーサル社会の実現の考え方は継承しつつ、愛知らしさを出していくことが必要だと思っています。  アビリンピックは、現時点において国では検討する位置づけになっていないということですが、ぜひユニバーサル社会の実現に向けて同時開催も念頭にアビリンピックの国際大会招致も積極的に国を動かしてもらいたいと思います。  そして、愛知らしさのキーワードとなるのは、物づくりを未来へつなぐ子供たちの参画、人材育成だと思います。そういう意味では、併催イベントとして先日行われました少年少女技能大会、アイチータ杯を記念大会として規模を拡大し実施することも一案かと思います。  そこで質問ですが、国際大会の基本構想を策定する上で愛知らしい大会をどのように考えているのか、さらには、愛知県へ招致する思いや期待する効果について伺います。  最後に、介護・生活支援ロボットについて伺います。  この件については、昨年の十二月にも質問いたしましたが、さらに普及促進が進むよう改めて質問をさせていただきます。  前回も申し上げましたが、団塊の世代全員が後期高齢者を迎える二〇二五年になりますと、介護職員不足は全国で約三十八万人、本県でも約二万四千人が不足すると予測をされています。  労働力人口が減少していく中で、他の産業に比べ労働条件が悪く、離職率の高い介護職員を確保していくことは並大抵のことではないことを認識し、ロボットが補える部分を積極的に活用し、共存、協働できる体制を真剣に考えていかなければならないと思います。  介護・生活支援ロボットの分野は、産業用ロボットのように企業が効率化を求め、積極的に進める分野と違い、行政が積極的にリードしないとなかなか前進しないのが現状であります。先回は、新規参入や相談体制について質問しましたが、きょうは視点を変え、ロボットの安全認証について伺いたいと思います。  少し前になりますが、つくばにあります生活支援ロボット安全検証センターを訪ね、国内における安全認証の現状について話を伺ってまいりました。生活支援ロボットは、人との接触頻度が高くなるため、本格的な導入に向けて対人安全の技術やルール整備、また、安全対策を証明する制度の必要性が求められてきました。そのため、経済産業省とNEDOは、平成二十一年度から平成二十五年度にかけて生活支援ロボット実用化プロジェクトを実施し、生活支援ロボットの安全に関するデータの収集を初め、安全検証試験方法及び認証手法の確立に向けた取り組みをしてまいりました。  その成果として、日本の提案が採用される形で平成二十六年二月に生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482が発行をされました。これにより生活支援ロボットは、国際安全規格に基づいた認証を取得することができるようになりました。  現在では、パナソニック株式会社が開発した離床アシストベッド、リショーネを初め、サイバーダイン社の装着型ロボットスーツHAL、また、ホンダ歩行アシストなど、五社七種類のロボットが製品認証を取得しています。  こうした安全認証を取得しますと、国際安全規格による安全要求を満足していることが客観的に証明され、利用者に対して高い安心と信頼性を得ることができ、購入の判断材料になることはもちろん、製造者に対しては、製品を市場に受け入れやすくするなどメリットがあります。そして、何より今後国内外に売り込んでいくには商品の強みとなり、必要不可欠なことだと思います。  現在、このセンターでは、ロボットの安全検証のために開発した試験方法・装置を活用し、生活支援ロボットなどの試験を実施しております。人体ダミーを使い、ロボットが誤って人や障害物に衝突したときの衝突された人やロボットに搭乗している人の障害レベルや発生確率を検証するなど、十八の試験機による安全検証を行っています。  こうした試験、研究を通じて、メーカー等に製品の普及を促すことや生活支援ロボットの安全検証をより確実なものとし、国際安全規格の取得につながる取り組みを行っています。  この国際安全規格の認証取得は法規ではありませんが、今後、中小企業が参入しやすく、また、国内外に広く普及させていくためには、今から認証を受けることを念頭に積極的に取り組む必要があると思っています。生活支援ロボットの購入についての国民調査の上位三項目は、操作が簡単、価格が安い、安全認証を取得していることが購入の判断基準になっています。  こうした施設こそロボット先進県愛知にあるべきと感じたところであります。県内の大手の企業については、自社で試験、研究できる設備を持っているところもありますが、中小企業は持ち合わせていないのが実情であります。  また、ことし四月にはISOより具体的な規格が必要との声が上がり、経済産業省が日本工業規格JIS規格を制定するなど、安全への取り組みは加速をしております。二〇二〇年にはワールドロボットサミットの開催も決定し、ロボットの安全も話題になってくると思いますので、ぜひ安全認証の分野でも、他県をリードする取り組みをお願いしたいと思います。  そこで質問ですが、県としてこうした安全認証への動きをどのように捉え、安全技術開発やリスクアセスメントに関する取り組みをどのように進めているのか、また、県として安全の試験、研究が行える施設、設備の現在の整備状況と将来的な整備について、知の拠点も含めどのように考えていくのか伺い、壇上からの質問を終わります。(拍手) 42: ◯教育長平松直巳君) 愛知総合工科高等学校専攻科についてのお尋ねのうち、まず、生徒募集についてお答えをいたします。  愛知総合工科高校は、本県の工業教育の中核となる学校であり、その専攻科について全国初の公設民営化を導入することで、地域産業界と強く連携したこれまでにない教育体制を構築し、産業現場のリーダーとなる人材を育成していくことを目指しております。その専攻科の開校初年度の入学者が定員を満たさなかったことは、教育委員会としても大変残念に思っております。  そこで、本年度は専攻科の教育内容を説明したリーフレットを作成し、県立工業高校の機械系、電気系の学科で学ぶ三年生全員に配付するとともに、工業系の学科を設置する私立高校にも配付いたしました。  また、六月と十月には、総合工科高校において生徒や保護者合わせて約百名の参加を得て専攻科の施設見学を兼ねた説明会を開催いたしました。さらに、夏休みに県内の工業高校生を対象とした実技講習会を開催し、生徒が最新の施設、設備に触れる機会を設けるなど、専攻科の魅力を周知することに努めてまいりました。  その結果、過日実施した平成二十九年度入試では、定員四十名に対し推薦入試、一般入試合わせて五十四名の志願者があり、選抜を実施したところでございます。  議員御指摘のように、本科からの卒業生が出るまでは生徒募集にさまざまな工夫が必要ですので、指定管理法人となる名城大学と連携しながら、本年度の取り組みに加えまして、公設民営化によって可能となるハイレベルな講師陣による指導体制や指導内容等の新たな魅力を積極的に周知するとともに、専攻科の生徒がそれぞれの出身校でその魅力を後輩に伝える機会を設けるなど、愛知総合工科高校専攻科がより多くの高校生の進学希望先となるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。  次に、デュアルシステムについてでございます。  専攻科には生産システムコース、情報システムコース、自動車・航空産業コース及びエネルギー産業コースの四つのコースを設けております。  このうち、生産現場における自動生産システムの保守、制御や生産工程の改善などについて学ぶ生産システムコースでは、まず、実際の物づくり現場における生産活動全体の流れを知ることが必要でありますことから、生産システムの専門家の御意見をお聞きし、一年生前期でデュアルシステムを実施することといたしました。  生産システム以外のコースは、情報や自動車・航空産業、エネルギーなど、学習内容がより特化した分野となるため、一年生の段階で各分野の基礎となる知識や技術を学んだ上で、二年生においてデュアルシステムを実施することといたしております。  各コースの教育目標を達成するためには、コースごとの専門性を踏まえた教育が必要であり、教育効果の観点からデュアルシステムの実施方法を含めた教育活動にはそれぞれのコースの特色があらわれてまいります。生徒募集に当たりましては、こうした教育内容の違いについて十分に理解した上で入学してもらえるよう、学校説明会やリーフレット等によって募集の段階からより丁寧に志願者に周知してまいりたいと考えております。  また、あいちT&Eサポーターズの登録企業についてでございますが、産業現場の見学や体験、講師派遣や研究協力など、専攻科の教育活動を支援していただいており、デュアルシステムを実施する上においても大変重要な存在でございます。  現在の登録企業は、生産システムコースに関する分野が多くなっておりますが、この中には自動車や航空機、情報機器に関する材料や部品などを製造している企業もあり、自動車・航空産業コースや情報システムコース等も支援していただけるものと考えております。  しかしながら、専攻科では、それぞれの分野において高度な知識や技術、技能を身につけ、産業現場を牽引していく人材の育成を目指しておりますので、各コースの学習内容によりマッチした多くの企業に登録していただくことが必要であります。現在も登録企業はふえつつありますが、引き続き地域産業界に働きかけ、さらに多くの企業に登録いただき、各コースのデュアルシステムがより円滑に実施できるようにしてまいりたいと考えております。  次に、公設民営化に向けた民間企業からの社会人講師の確保と教育内容についてでございます。  民間人材の確保については、地域の経済団体に働きかけ、名城大学と連携しながら協力の意向を示された企業二十社と具体的な交渉を進めつつあるところでございます。  現在、これらの企業等を個別に訪問し、物づくり現場で設計、開発を行う技術者や技能五輪のメダリスト、またはその指導者、現代の名工の熟練技能者など、専攻科において教員となる人材の派遣をお願いしているところであり、これまでに幾つかの県内有数の物づくり企業から前向きに検討するとの回答をいただいております。  具体的な教員としての登用は、企業と名城大学との契約になりますが、県といたしましても、専攻科の物づくり教育を実施するために必要な民間人材が十分に確保できるようしっかりと取り組んでまいります。  また、教育内容の公平性の観点からも、本年度の一年生のうち希望する生徒には授業以外の時間において資格取得のための講習会の開催や物づくり競技大会への出場にかかる指導など、民営化のメリットを生かし、民間人材から広く学ぶ機会を設けてまいりたいと考えております。 43: ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) まず、技能五輪・アビリンピックあいち大会二〇一四の分散開催の評価と今後の会場の考え方についてであります。  一昨年のあいち大会二〇一四は、県内八市で広域開催し、各市で物づくり体験を初めとした各種併催行事が実施されました。百三十一の小中高校からの団体見学一万八千人余を含む二十八万九千人という過去最多の来場者数を記録するなど、県全体で盛り上がることができたという点は大いに評価できると考えております。  一方で、全体で四十一職種のうち、二から三職種のみを実施する会場が多く、おのおのの会場も離れていたことから、一部の職種しか見学できなかったという声や応援に行くのに不便を感じたという声があり、分散会場の課題であると感じております。  このため、二〇一九年度、二〇二〇年度の大会では、見学者や選手、応援者の利便性の向上を図るため、できるだけ多くの競技を集約して開催する方向で調整を図ることとし、その中で、県内全体で盛り上がりが図られるよう工夫してまいりたいと考えております。  次に、二〇二〇年の技能五輪全国大会と全国アビリンピックの同時開催についてであります。  技能五輪とアビリンピックは、ともに都道府県との共催方式になった平成十四年度以降、ほとんどの大会で一週間ほど会期をずらして開催しております。両大会は、主催団体が異なり、また、使用する機材の共有を図っているなど、同時開催に向けてはさまざまな課題があるものと認識しております。  一方で、同時開催は、技能五輪の見学者がアビリンピックを見学したり、PRを同時に行うことで多くの方に障害者の頑張っている姿を見てもらい、障害者への理解を深める機会となるなど、メリットや効果も大きいと思いますので、同時期に同じ会場で行えないか検討、調整してまいりたいと考えております。  次に、連続開催の狙いや長期ビジョンについてであります。  本県は、製造品出荷額等が三十八年連続一位を続ける日本一の物づくり県であり、産業人材の育成や技能尊重機運についても日本全体をリードしていく能力と責務があると考えております。本県では、あいち大会二〇一四の効果を一過性に終わらせないために、全国各地で開催するという国の方針の中にあっても、この愛知で今後定期的に全国大会を開催し、産業人材の育成や技能尊重機運について本県における取り組みの定着と全国への発信を行おうという考え、ビジョンのもと進めることとしたものであります。  また、二年連続開催により選手を輩出する企業や団体、競技を見学する学校、生徒に技能五輪を定着させるとともに、簡素でコンパクトな大会モデルを構築し、定期的開催のキックオフとしようとするものであります。  さらに、国際大会は、昨年のブラジルの例によりますと、五十九カ国・地域から一千二百名の選手を含む約八千名の関係者が集まり、全国大会の二倍の四日の競技日数を初め、併催行事も含めて約十三日間にわたる大規模な大会であり、より大きな効果が期待されますので、全国大会の連続開催の実績をもとに、その招致、開催につなげたいと考えております。  最後に、国際大会の基本構想を作成する上での愛知らしい大会についての考えや効果についてであります。  本県の物づくりを支えているのは人であり、技能士の集積も厚く、企業内職業訓練などの産業人材育成の取り組みや物づくりの心に触れる産業観光も非常に盛んであります。  国際大会の招致に当たっては、物づくりを支える人材の裾野を広げ、我が国の産業人材育成を一層進めるとともに、本県の強みやよさを国内外に向けて発信する機会として大きな効果を得られるような大会を目指してまいりたいと考えております。  このため、物づくり愛知らしい大会として、国際大会の開催に合わせ、子供向け競技大会や物づくり体験などの人材の裾野を広げる取り組み、日本の物づくりを担う人材育成につながる取り組み、さらに、本県、我が国の産業や施設、国際貢献を紹介する取り組みを実施するなど、日本や愛知の物づくりを支える仕組みを世界に向けて発信できるような内容を提案していきたいと思っております。  こうした取り組みは、技能五輪国際大会の主催団体であるワールドスキルズのビジョンの方向性とも一致しており、国際大会の招致に当たって強みになり得ると考えております。  また、健常者と障害者が一緒に働くユニバーサル社会の実現は重要な課題であることから、さきにお話ししました全国大会の同時開催の実現を調整するとともに、国際アビリンピックの招致につきましても、国と話し合っていきたいと考えております。
     大会開催を一つの契機として、次代を担う子供たちなどが技能の仕事に憧れを抱き、将来技能者を目指す人がふえること、そして、ユニバーサル社会の実現につながることを目指してまいります。 44: ◯産業労働部長吉澤隆君) 介護・生活支援ロボットに関するお尋ねのうち、まず、安全技術開発やリスクアセスメントに関する取り組みについてお答えをいたします。  人と共存して作業するロボットは、その実用化のために特に安全性が求められます。議員御指摘の流れも受け、国においてはこの四月にJIS規格を制定するなど、安全性確保に対する取り組みを進めてきているものと認識いたしております。  そこで、本県では、こうした安全性評価に関する最新情報の収集に努め、企業に提供するなどの支援を行っております。具体的には、ロボットの開発に取り組む企業やこれから取り組もうとする企業を対象として、サービスロボットの安全技術の基本である国際規格やJISに基づくリスクアセスメントに関する基礎知識や開発に当たっての実務手法などを学ぶ研修や安全規格の内容、認証取得方法、認証を取得した企業の事例などを紹介するセミナーを開催いたしております。  また、国際安全規格の認証の取得を希望する企業に対しましては、おのおのの企業が抱える課題に対して個別に解決策を指導する専門家の派遣を実施しております。  続きまして、安全の試験研究が行える施設、設備の整備状況と将来的な整備についてお答えいたします。  本県では、知の拠点、あいち産業科学技術総合センターと刈谷市にある産業技術センターにおきまして、ロボットの使用環境下における動作機能や安全機能を評価するため、ロボットに対する電波の影響やロボット自身が発する電磁ノイズを測定する電波暗室や高低温、高湿度の環境を再現する環境試験機を初め、振動試験機、荷重試験機を設置し、これまでに企業が開発する介護ロボットなど四機種の評価試験を実施いたしました。  また、今年度から新たに知の拠点あいち重点研究プロジェクトとして、名古屋大学が中心となりロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システムの構築に着手いたしました。  介護・生活支援ロボットを実用化するためには、ロボットが持つリスクを許容可能なレベルまで低減するリスクアセスメント作業が必要となりますが、個別の安全規格が十分に整備されていないため、作業に長い時間を要するなど課題が出てまいりました。このプロジェクトは、このような課題を解決するためリスクアセスメント作業の効率化を図るシステムを開発し、ロボットの早期製品化につなげていくものです。  今後も企業の開発動向や民間試験機関の設備の整備や活用の状況などを踏まえた上で、安全性試験を行うための機器整備に対する企業のニーズを見きわめつつ、知の拠点などにおける試験機器の充実も含め、介護・生活支援ロボットの実用化に向けた支援策の強化について検討してまいります。 45: ◯知事大村秀章君) 西久保ながし議員の質問のうち、技能五輪全国大会、アビリンピック、そして、またロボットについて私からもお答えいたします。  本県は、日本の産業経済をリードする産業首都でありまして、物づくりを大切にするDNAが受け継がれている地域であります。技能五輪全国大会では、十二年連続で最優秀技能選手団賞を獲得し、全国アビリンピックでも三大会連続でメダル獲得数全国一ということで、ことしの山形大会もそういうことでございました。また、国際大会でも目覚ましい活躍をしております。日本一、世界一を決める技能競技大会の開催地として、本県ほどふさわしい地域はないと確信をいたしております。  本県では、大規模展示場が二〇一九年秋に空港島に完成しますので、二〇一九年度の技能五輪全国大会と二〇二〇年度の技能五輪全国大会及び全国アビリンピックのメーン会場として活用したいと考えております。子供たちが物づくりの楽しさ、すばらしさを実感できるような愛知らしい大会を目指して地域を挙げて盛り上げを図ってまいります。  そして、この二〇一九年度、二〇二〇年度の全国大会をステップにいたしまして、二〇二三年の技能五輪国際大会の招致を国に働きかけ、その実現に取り組んでまいりたいと考えております。  続いて、介護・生活支援ロボットについてお答えをいたします。  本県では、平成二十六年の十一月にあいちロボット産業クラスター推進協議会を設立し、医療・介護分野を初め、三つのワーキンググループにおける活動のほか、ロボットの実用化に必要となる実証実験の支援や実証評価の場の提供などに努めているところであります。  こうした取り組みが評価をされまして、二〇二〇年においてオリンピック、パラリンピックに続くロボットのオリンピックともいうべきワールドロボットサミットの開催地が先週金曜日の二日にこの愛知県、そして愛知県のこの国際展示場に決定をしたわけでございます。  このワールドロボットサミットでは、国内外から高度なロボット技術が集結するとともに、現場での課題を解決することで人々の理解を深め、具体的な活用方法が生み出される絶好の機会となります。  ワールドロボットサミットの開催を機に、生活など、さまざまな場でのロボットの利用促進や本県及び日本のロボット産業のさらなる発展につなげてまいります。 46: ◯三十五番(西久保ながし君) 答弁ありがとうございました。  一点要望したいと思います。  総合工科の専攻科の件ですが、私、個人的には非常に期待をしておりますので、よろしくお願いします。  それで、即戦力となる人材育成のポイントというのは二つあると思っています。  一つはデュアルシステムで、企業へ出向いて現地現物で教えてもらうということ、それから、もう一つは、学校で社会人講師に教えてもらうこと、この二つをやっぱり充実していくことだろうというふうに思っています。  そういう意味では、デュアルシステムに協力をいただける企業もいつでも受け入れオーケーということでは恐らくないと思いますので、ぜひしっかりと余力を持って企業数というのを確保してもらいたいなというのが一つ。  それから、もう一つは社会人講師ですが、社会人講師が教える時間枠というのは当然決まっているわけでありますので、これが常勤、非常勤問わず必ず社会人講師が教えてくれるという、ここが欠員にならないことだけは四月までに確実に押さえていただきますようにお願いをし、終わります。 47: ◯議長鈴木孝昌君) 進行いたします。  今井隆喜議員。     〔八番今井隆喜君登壇〕(拍手) 48: ◯八番(今井隆喜君) 自民党県議団所属の今井隆喜です。通告に従って大きく二項目質問をいたします。  それでは、早速質問に移ります。  まず初めに、明治用水の整備についてお尋ねいたします。  私の住む安城市の自宅からすぐ近くに明治用水の東井筋があります。今はパイプライン化され、水路の上部は自転車、歩行者のための緑道として市民に開放されていますが、かつては大きな開水路であり、当時の資料を見ると、地域の子供が魚をとったり、プールがわりに泳いでいたそうであります。  その東井筋沿いには私の通った安城中部小学校があり、校庭にはミニ明治用水と呼ばれるせせらぎが今も残されております。小学校のころ、私もヤゴやカエルなどをとったりして遊んだりしました。  また、小学校の授業では、明治用水の歴史や役割なども学び、その当時に読んだ「安城が原の水音」は、今でも私が大切にする本の一冊となっております。放課後には友人と明治用水緑道を自転車で走り、時には豊田市の水源公園まで足を伸ばしたりしたことが懐かしく思い出されます。  その明治用水が先月、世界かんがい施設遺産に登録をされました。この世界かんがい施設遺産とは、建設から百年以上が経過した農業用水路などで、歴史的、技術的、社会的に大きな価値があるものを国際かんがい排水委員会が登録する国際的な表彰制度であります。平成二十六年度に創設され、これまでに世界八カ国、四十七カ所が登録をされており、本県では昨年十月に登録をされた入鹿池に続き二つ目となるものでございます。近々、明治用水を管理する明治用水土地改良区が農林水産省に出向き、登録証を受け取る予定となっており、明治用水に少なからず御縁のある私としても大変誇らしく、また、うれしく思っているところでございます。  ここで少し明治用水の歴史に触れてみたいと思います。明治用水は江戸末期に安城市和泉町の豪農、都築弥厚が三十キロメートルにも及ぶ新たな水路によって矢作川から水を引き、松や雑木が生い茂る不毛の台地とされていた安城が原、五ヶ野が原を潤す壮大な計画を立てたことに始まります。  残念ながら、長年の激務により弥厚は病死し、計画は一時頓挫することになりますが、弥厚の志を引き継いだ多くの先人たちの並々ならぬ努力によって計画から七十年を超える歳月を経て、明治十三年に通水を開始いたしました。  疎通千里利澤萬世、この言葉は開通式式典において時の内務卿松方正義が明治用水土地改良区に贈ったとされる言葉でございます。今も会館の玄関口に掲げられておりまして、水路を通すこと千里、その恩恵は萬世にも及ぶという意味であります。まさにその言葉どおり、明治用水完成後の農業の発展は目覚ましく、今までため池や小河川に頼らざるを得なかった約二千三百ヘクタールの水田地帯は、明治四十年には八千ヘクタールを超える一大農業地帯へと変貌いたしました。  地域の人々は、安定的に流れる明治用水を上手に利用して米の増産にとどまらず、麦、野菜の栽培や養鶏、養蚕などの安定した経営を行い、いわゆる多角的農業を展開していきました。このことで安城市は理想的な農業国として名をはせた北欧のデンマークの名を冠した日本デンマークと呼ばれることとなり、小学校の教科書にも載る優良農業地帯となったのであります。  戦前、この日本デンマークには、全国各地から農業関係の視察者が次々に訪れたことから、安城駅前には旅館、食堂、演芸場、映画館などがずらりと建ち並んでいたと聞いております。当時そうした視察者をもてなした安城芸者は今でも伝統文化として引き継がれ、安城の歴史と魅力を発信してくれております。  戦後は、昭和二十五年度から国営明治用水農業水利事業により明治用水頭首工が、また、昭和四十五年度から国営矢作川総合農業水利事業により幹線水路が、近代的な鉄筋コンクリートづくりへと改築されていきました。日本が食料増産から高度経済成長期へと移り変わる中、当地域では農業用水のみならず都市用水の需要が高まってきたことから、こうした改築事業と矢作ダムの完成に合わせ、明治用水には都市用水も流れることとなりました。  このことにより、明治用水は西三河地域の生活を支える地域の水へと生まれ変わり、トヨタを初めとする自動車関連産業を発展させる産業の大動脈として本県の製造品出荷額全国第一位を三十八年間維持するというすばらしい成果の一翼を担うこととなったのであります。  明治用水の歴史の紹介は以上ですが、順風満帆と思える明治用水にも頭を悩ませる大きな問題があります。  明治用水の水源である矢作川は、木曽川や豊川に比べて川の水を農業用水や都市用水として利用する割合が高いため、これまでにもまるで年中行事のように取水制限を繰り返してきました。  さらに明治用水の水がめである矢作ダムには平成十二年九月の東海豪雨などにより大量の土砂が流入するなどしてダムの貯水量を大きく減らしている状況にあります。  本年度、関東地方の利根川水系では、記録的な少雪に五月以降の少雨が重なったため、六月中旬から長期にわたる取水制限が行われたことはテレビや新聞などで大きく取り上げられたところでございます。  実は、矢作川においても、六月から七月にかけての少雨により七月下旬から矢作ダムの貯水量は減少の一途をたどり、このままでは水需要のピークを迎える夏場を乗り切れないのではと心配をされておりました。幸い八月上旬のまとまった降雨により貯水量は回復し、取水制限には至りませんでしたが、昨今は集中豪雨があったかと思えば降雨のない期間が続くなど、雨の降り方が極端になっており、渇水リスクは一段と高まっていると感じられます。  こうした中、明治用水土地改良区では、幹線水路や主要な分水地点に遠方から監視制御を行う水管理施設を早くから導入することで、限られた水資源を効率的に送水することに力を注いでまいりました。  しかし、昭和五十八年に設置した現在の水管理施設は既に三十年を経過し老朽化が著しく、故障が多い上に交換部品が製造中止になっているものもあり、そのかわりとなる部品の調達に翻弄するなど、日々の維持管理はもとより渇水時や漏水事故などの緊急時に迅速な対応ができないなどの支障を来していると伺っております。  さらに、本県では、大規模地震の発生が危惧されているところでございます。ここで改めて愛知県が平成二十六年五月に発表した愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果を見てみますと、明治用水が流れる地域においての最大震度は震度七から六強、死者数は六千八百人とされております。こうした大規模地震が発生した際には明治用水も決して無傷ではありません。  また、明治用水は、農業用水だけでなく都市用水との共同施設であるため、被災時には約百三十億円の農業生産、そして、約十一兆円の工業生産に影響を与えるなど、甚大な被害の発生が憂慮されております。  こうしたことから、明治用水頭首工や幹線水路などの基幹的水利施設の大規模地震対策及び水管理施設の更新整備を行うことを目的として平成二十六年度より事業が開始された国営総合農地防災事業矢作川総合第二期地区の早期完成が当地域の悲願であり、先人たちが築いたかけがえのない地域資源を後世へと継承することが将来にわたり安全・安心な暮らしに資するものと考えるところでございます。  そこで、明治用水の大規模地震対策と水管理施設の更新を行う国営総合農地防災事業矢作川総合第二期地区の進捗状況についてお伺いをいたします。  次に、農業水利施設への理解促進に関する取り組みについてお尋ねをいたします。  今回の世界かんがい施設遺産登録を受け、私なりに明治用水の歴史や役割を振り返ったところでありますが、関連する文献を読み進めるにつれ、改めて水の大切さを考えさせられました。  明治用水地域の水田は、給水栓をひねれば水が当たり前のように出てくるわけですが、その背景には都築弥厚の計画に始まり、幾多の変遷を経て整備された幹線水路等の農業水利施設が管理者である明治用水土地改良区の日々のきめ細やかな操作、地道な保全管理によって成り立っていることを忘れてはなりません。  また、水田や畑などの農地は、米や野菜などの農作物をつくるだけのものではなく、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成などの多面的な機能を有しています。例えば、あぜに囲まれている水田は、大雨のときに雨水を一時的に貯留し、時間をかけてゆっくりと下流に流すことでダムのように洪水を防止する役割を果たしております。  この他にもさまざまな生物が生物のすみかとして、さらには四季折々の美しい農村風景を醸し出すなど、その恩恵は広く国民にもたらされております。  このような農地の有する多面的機能を将来にわたり維持、発揮するためには、農地が農地として適切に管理されなければなりませんが、そのためには、安定した農業用水の供給が必要であることは言うまでもありません。  本県の農業用水は、木曽川、矢作川、豊川を初めとする河川の水を利用しており、県内にくまなく整備された用水路などの農業水利施設が、全国三番手グループの農業産出額を誇る本県の農業の発展を支えております。  しかしながら、近年、用水路はごみや汚水の流入を防ぐとともに水管理の合理化を図るため、開水路からパイプラインへと姿を変え、次第に目に触れることのない流れへとなり、農業者の高齢化や都市化、混住化も重なり、農業や農業水利施設に対する県民の理解が希薄になっているのではと感じているところでございます。  こうしたことから、水の大切さや水を運ぶ農業水利施設、そして、施設を整備する農業農村整備事業に対する理解を一層深め、私たちの日々の暮らしには欠かせない身近なものとして幅広い世代でその認識を共有するための取り組みを推進する必要があると考えます。  そこで、農業水利施設の必要性を広く県民に啓発する活動の取り組み状況についてお伺いをいたします。  続いて、二項目め、食品の衛生管理HACCPについて質問をいたします。  HACCPとは、ハザード・アナリシス・アンド・クリティカル・コントロール・ポイント、つまり、ハザード・アナリシス、危害分析、クリティカル・コントロール・ポイント、重要管理点の頭文字をとって名づけられ、一九六〇年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式であります。  この方式は、国連の食糧農業機関と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会から発表され、各国にその採用が推奨されている国際的に認められたものでございます。  我が国では、一九九六年五月に食品衛生法の一部を改正し、総合衛生管理製造過程の承認制度が創設されました。総合衛生管理製造過程では、食品の安全性を確保するため以外に、施設、設備の保守管理と衛生管理、防虫防そ対策、製品回収時のプログラム等、総合的な衛生管理が文書化され、そのとおりに実行することを要求しています。  また、関連する制度等としては、これまで衛生管理の基準の中で食品衛生法に基づく管理運営基準と従来型の衛生管理基準との選択制導入や支援策として食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(HACCP支援法)、対米国、対EU等に向けた輸出食肉及び水産食品などに対する国の輸出認定の仕組み、民間認証ISO等がございます。さらに、普及のため厚生労働省、農林水産省、地方自治体においてもさまざまな取り組みが行われてきました。  施行から二十年以上が経過したHACCPですが、これまで先進国を中心に制度化は着実に進められてまいりました。EUでは、二〇〇六年に法的拘束力のある欧州委員会規則により、規模、業種に関係なく一次産品を除く全ての食品事業者に対してHACCPによる衛生管理の導入を義務づけており、アメリカでは、二〇一一年に成立した食品安全強化法により、食品の製造、加工、保管、包装事業者にHACCPに類似した危害要因分析及び予防管理を含む食品安全計画の作成、管理が求められ、また、国内で消費される食品全てについては二〇一六年九月より義務化が順次施行されております。  他の国でも農林水産物及び食品の輸出額上位十五カ国の約半分近くが一部義務づけ及び奨励などの対応をとっており、導入を検討する国もふえてきている状況でございます。  こうした取り組みのもとで、現在の国内のHACCPの導入状況を見てみると、農林水産省の食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査では、平成二十七年度従業員数が五人以上の製造業が調査対象では、全ての工場または一部の工場で導入、または導入途中と回答した企業が食品販売金額百億円以上の大規模層で、約九〇%を占める一方、同五十億円以下の中小規模層では約三五%ととどまっており、中小規模層の普及が進んでいない状況がわかっております。  また、厚生労働省が地方自治体を通じて実施した調査では、平成二十六年度食品製造業のほか、集団給食施設、従業員数四人以下の事業者等の状況は、HACCP導入率は約一五%弱となっており、報告書ではHACCP導入に関心はあるが具体的に検討していないとした施設の割合が多いこともわかっております。  国内では、HACCPの取り組みについて一律の統一基準というわけではないので少しわかりにくい部分がありますが、大きくくくれば、HACCPに関するさまざまな制度や普及促進策により、HACCPの導入は大規模事業者を中心に年々進んできたものの、中小規模事業者でのHACCPの導入は、まだまだ進んでいないという現状がわかりました。  そこで、愛知県内におけるHACCPの取り組みについて三点質問いたします。  まず一点目は、現在愛知県内におけるHACCPの導入状況はどうか。  続いて、二点目は、現在国において食品衛生管理の国際標準化に向けた動きがあると聞いております。グローバルな食の安心・安全な基準の統一化を見据え、検討が行われているとのことでございます。  そうした中で、厚生労働省は本年三月から関係業界の状況を把握するため、検討会を開催し、各業界団体からヒアリングを行ったとのことであります。検討会の中間報告では、業界団体からHACCPの導入の必要性に一定の理解を示しつつも、業種ごとの特性や事業者の規模等を踏まえた配慮や支援の必要性について多くの意見が出されたとのことでございます。  また、制度化に向けては、小規模事業者を含む食品等事業者が円滑かつ適切にHACCPによる衛生管理に取り組むことが可能となるよう十分な準備期間を設けることが必要であるとの声もあったとのことであります。  ここで二点目としてお聞きをいたします。  現在、国が検討している制度化の内容とはどんなものか、また、今後想定されるスケジュールとはどのようになっているのかお聞きをいたします。  三点目は、これまでの説明で示したように、我が国ではこうした取り組みによって国内の食品の安全性の確保はさまざまな角度から実施されてきており、今後も食品業界団体の方々と継続して取り組んでいかなくてはならないことは言うまでもありませんが、近年は、食品の流通形態は国内のみならず、その視点を世界に向けた動きも加速してきております。  ユネスコは二〇一三年十二月四日、和食を無形文化遺産に登録することを決めました。今、日本食が世界中でその地位を高めてきております。少し前の日経の記事でありますけれども、こんな記事がありましたので紹介をいたします。   日本の食卓は随分と無国籍状態になっている。大手ス  ーパーや、ちょっとした食品専門店の店頭で、気軽に世  界中の食品が手に入るようになった。酒類、飲料、瓶・  缶詰、調味料、菓子、加工食品、あらゆるカテゴリー  で、食のボーダーレス化が着々と進んでいる。日本の食  品メーカーの視点で、人口減少と高齢化で先細りが懸念  される日本国内の「食」マーケットだけを見るならば、  文字通り海外からの「浸食」だ。   しかし、視点を変えて外側から見ると、世界、特に中  間層が成長するアジアでは同様にボーダーレスな「浸  食」が急速に進んでいて、そこには日本企業にとって大  きなビジネスチャンスが広がっている。アジア各地のス  ーパーマーケットにはどこでも日本発の食品がずらりと  並んでいる。実際、縮み志向に陥りがちな日本から、元  気なアジア市場に積極的に打って出て、成功を収めてい  るプレーヤーも少なくない。  タイでは、日系と現地系資本が入り乱れて千件以上の日本食レストランがあり、日本食はブームを超えて定着をしている。ベトナムでは、即席麺が年間五十億食も食べられ、そのうち六〇%以上のシェアを持つのは日本の食品企業とのことであります。インドネシアの人口は二億四千万人、世界第四位の人口規模の国の主食は米でありますが、近年は所得水準の高まった中間層を中心にパン食が拡大し、その火つけ役は名古屋市内の企業であるとのことであります。シンガポールでは、お茶のペットボトル飲料市場で日本企業がシェア六〇%を持っております。
     また、一方で、大手企業のこうした動きとは別に日本の地域ブランドをアジアに売り出しているという動きもあるとのことであります。その一つが北海道です。  北海道の食品産業関係者は、訪日外国人による北海道人気を背景に、TPPによる関税撤廃を地域産業への脅威と考えるのではなく、逆に北海道ブランドの食品をアジアへ売り出す好機と考えているとのことであります。見逃してはならないのは、アジア中間層人口の爆発的拡大とTPPやASEAN経済共同体などの国境を越える経済自由化の動きの影響だということでした。  そういう視点で見てみると、近年の食品製造の現場での外国人労働者の増加や急激に増してきている訪日外国人客に対する対応、さらには、今後四年後に控えるオリンピック、パラリンピックの開催等も見据えると、我が国の食品衛生管理の水準が国際的に見ても見える形で遜色のないものであることをもっと広めていかなくてはならないと言われております。  また、国内での食中毒の発生状況を見ると、厚生労働省による食中毒統計調査では、年間で事故数は約二千件、患者数は約二万人で推移しており、近年は下げどまりの傾向が見られておりますが、今後、高齢化人口の割合の増加に伴って食中毒リスクが高まっていくことも懸念をされております。  ここまで聞くと、HACCPを導入すれば日本の食品はさらに安心・安全が確立をされ、かつ世界にも堂々と羽ばたいていける、そんなふうにも聞こえますが、それは正直間違いなく、一部の体力のある企業や団体などでは今後取り組み次第では十分に期待が持てると思います。しかしながら、一方で、業界団体は、弱小企業の集合体であることがほとんどで、中間報告の中でも指摘をされているように、一律の制度化に対し多くの課題があることも見落としてはなりません。  先行きの見えづらい制度化の中で、こうした観点から最後三点目の質問といたしまして、HACCPの制度化において県としてどのような効果が期待できると考えているのか、また、制度化にどのように対応していくのか、お聞きをいたします。  以上をもちまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 49: ◯農林水産部農林基盤局長(山本信介君) まず、農林水産省の直轄事業として行われている国営総合農地防災事業矢作川総合第二期地区の進捗状況についてでございます。  明治用水は、農業用水だけでなく工業用水の供給も担っていることから、大規模地震の発生により頭首工や幹線水路などの基幹水利施設が損壊し、用水の供給が停止した場合、県内の産業に深刻な影響を与えることとなります。  また、幹線水路は市街地を流れ、国道一号線やJR東海道本線、名鉄本線などと交差しているため、水路が被災した場合はそこからあふれ出した水が広範囲に及び、多くの家屋や公共施設などを浸水させるばかりでなく、重要な交通・物流インフラが寸断するなどの甚大な被害を及ぼすおそれがあります。  このため、矢作川総合第二期地区では、頭首工の基礎や柱及び幹線水路を鋼材などで補強する耐震工事が進められているところであります。  また、災害時のみならず渇水時にも安全かつ迅速な水管理ができるよう、最新の遠方監視・制御施設の導入や非常電源の確保、緊急遮断弁の設置などが計画されており、これらの水管理施設の整備と合わせて地区全体の平成二十八年度末までの進捗率は、計画どおり事業費ベースで一二・五%となる予定であります。  明治用水は、当地域の発展を支える重要な施設であるとの認識のもと、事業が着実に推進するよう県として引き続き国にしっかりと働きかけてまいります。  次に、農業水利施設の必要性を広く県民に啓発する活動の取り組み状況についてでございます。  本県では、明治用水を初めとする農業用水の歴史や重要性について広く県民の皆様に理解していただくことを目的に、平成三年度より毎年八月一日から始まる水の週間に合わせて、あいちの農業用水展を開催してまいりました。  今年度は、全国最大規模の農業用ため池で、世界かんがい施設遺産に登録されている入鹿池を臨む博物館明治村においてあいちの農業用水展を実施したところ、七百名を超える方々に参加していただいたところです。  そのほか、今年度は、その入鹿池を初め、愛西市の鵜戸川や豊田市の羽布ダムにおいて釣り大会やウオーキング大会などを開催いたしました。参加された皆様方に農業水利施設を身近な地域資源として認識していただけたものと考えております。  このようなイベントのほかにも農業水利施設の役割や重要性をお伝えするため、県内で最も多くの農業用排水機場を抱える海部地域内の主要な排水機場五十四カ所を紹介したトランプを作成し、小学校の教材に活用していただいております。  また、農業用水を利用した小水力発電の啓発や普及拡大を目的に発電を開始した地区から順次小水力発電カードを作成し、施設を訪れた皆様に配布をしております。  こうしたさまざまな取り組みが農業水利施設に対する理解促進はもとより、地域間交流の促進や地域の活性化につながることも期待されることから、引き続きさまざまな機会を捉えて幅広い世代へ啓発活動を進めてまいります。 50: ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) HACCPについての御質問のうち、まず、本県におけるHACCPの導入状況についてお答えいたします。  HACCPは、食品の製造工程ごとに微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測した上で、リスクのある工程を継続的に監視、記録するシステムでございます。これを導入することによりまして、従来の品質管理方法である最終製品の抜き取り検査に比べ安全性に問題のある製品の出荷をより効果的に防止することが可能になると認識しております。  国におきましては、平成八年度にHACCPを適切に導入した施設の認定制度を設けましたが、対象食品を乳製品や食肉製品等に限定していることなどから、昨年度末時点での認定施設数は全国で四百九十五件、本県では七件にとどまっております。  そこで、各自治体におきましては、地域の実情に応じて対象業種や認定基準等を定めた自治体版HACCP認定制度を設けるようになり、これまでのところ二十七の都道府県が導入しております。  本県におきましても、平成十五年度に食品工場など比較的規模の大きな施設を対象とした愛知県HACCP導入施設認定制度を設け、昨年度末時点で七十九施設が認定を受けております。  また、平成十七年度には小規模な施設においてもHACCPの考え方を導入できるよう、本県独自の制度として施設基準等を緩和したリスク管理優秀店認定制度を設けており、昨年度末時点で飲食店など千二百三十六施設が認定を受けております。  次に、国が検討している制度化の内容と今後想定されるスケジュールについてお答えいたします。  国におきましては、近年の食品流通のさらなる国際化や平成三十二年の東京オリンピック開催等を見据え、HACCPの制度化、すなわちHACCP導入の義務化の枠組みについて検討するため、本年二月に食品衛生管理の国際標準化に関する検討会を設置し、十月に中間取りまとめが公表されました。  これによりますと、義務化の対象とされますのは、食品の製造、加工、調理、販売等を行う事業者であり、衛生管理の基準としましては、従来のHACCP認定制度の基準のほかに小規模事業者においても導入が可能となるように、より緩やかな基準も別に設けることとされております。  また、今後の課題といたしまして、十分な準備期間を設けるとともに、事業者へのきめ細やかな支援を行うことなどが挙げられております。  今後のスケジュールにつきましては、今月にも予定されております検討会からの最終取りまとめを受け、平成三十年の通常国会において関係法令の改正法案が提出される見込みと承知をしております。県といたしましては、今後とも国の動向を注視してまいります。  次に、県として期待するHACCPの制度化による効果と制度化に対する県の対応についてお答えいたします。  まず、効果といたしましては、HACCPの制度化により県内の食品関連施設の衛生管理や従事者等の意識が向上し、県全体の食品衛生のレベルアップが図られ、より安全・安心な食品の提供につながることが挙げられます。  また、今後の県の対応といたしましては、保健所等の講習会や施設への立入検査時になどにおきまして、事業者への情報提供に努め、県内の食品関連施設、特に小規模な施設がHACCPの制度化に円滑に対応できますよう支援してまいりたいと考えております。なお、現在本県で実施しております二つの認定制度につきましては、そのあり方について検討してまいります。  県といたしましては、今後とも食品関連施設における食品衛生のより一層の向上を図り、県民の皆様の豊かで健康的な暮らしの支えとなる食の安全・安心の確保に努めてまいります。 51: ◯知事大村秀章君) 今井隆喜議員の質問のうち、明治用水の整備について私からもお答えをいたします。  百年以上の歴史を持つ明治用水は、本県そして三河地区の発展を支えるかけがえのない財産でありまして、昨年の入鹿池に続きまして今回の世界かんがい施設遺産に登録されたことは、その歴史的価値や社会的価値とともに明治用水を長きにわたり守ってこられた多くの方々の御努力が世界に認められたということで、大変私もうれしく思っております。私も子供のころから明治用水を見てまいりました。また、今も明治用水緑道のそばに住んでおりまして、夏には町内の皆さんと一緒に草刈りもやっておりますので、大変思い入れがございます。大変誇りとするところでございます。  今後も日本一元気な愛知の発展を支えるため、明治用水の耐震対策などを進める国営総合農地防災事業矢作川総合第二期地区が着実に推進するよう、県としても国にしっかりと働きかけ、また、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。 52: ◯八番(今井隆喜君) ただいま知事からも答弁をいただきましてありがとうございます。  知事の安城市の御自宅の目の前にも中井筋沿いに手づくりの環境施設の水の駅二十一枚田があり、日ごろ地域の方々や子供たちが明治用水に親しんでいる姿を見ることが多いと思います。本当に心温まる御答弁ありがとうございます。  矢作川総合第二期地区におきましては、事業費ベースで進捗率が一二・五%ということでありました。大災害時の被害額を考えれば事業の一層の促進は言うまでもありません。改めて一日も早い事業完了を強く要望したいと思います。  また、農業水利施設の啓発に関しては、さまざまな取り組みをされていることとお聞きをいたしました。今後も引き続きお願いをいたします。  先日、明治用水土地改良区の神谷理事長にも話をお聞きいたしましたが、明治用水土地改良区では、先人の言葉で、水を使うものはみずから水をつくれとのことで、五百二十四ヘクタールの水源涵養林を現在も維持管理しており、現在は林道整備が進められ、今後は流域全体での子供たちの環境学習や流域住民交流や環境団体等の活動を積極的に行っていきたいとのことでありました。  また、私の住む安城市では、上部の緑道を利用してサイクリングイベントや今週末予定をされている安城シティマラソンも行われるなど、緑道の利用を通じて啓発活動に努めております。  今後、県としてもそういった取り組みに対しましてもしっかりと御支援いただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 53: ◯四十番(石塚吾歩路君) 本日はこれをもって散会し、明十二月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 54: ◯議長鈴木孝昌君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 55: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。  明十二月七日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時五十分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...