• 森下豊(/)
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  1. 愛知県議会 2016-09-01
    平成28年9月定例会(第5号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成28年9月定例会(第5号) 本文 2016-09-30 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 71 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 2 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 3 :  ◯二十二番(丹羽洋章君) 選択 4 :  ◯健康福祉部長長谷川洋君) 選択 5 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 6 :  ◯二十二番(丹羽洋章君) 選択 7 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 8 :  ◯七十四番(西川厚志君) 選択 9 :  ◯振興部長植田昌也君) 選択 10 :  ◯振興部観光局長加納國雄君) 選択 11 :  ◯警察本部長桝田好一君) 選択 12 :  ◯四十番(石塚吾歩路君) 選択 13 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 14 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 15 :  ◯副議長(森下利久君) 選択 16 :  ◯十三番(下奥奈歩君選択 17 :  ◯県民生活部長川島毅君) 選択 18 :  ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) 選択 19 :  ◯農林水産部長加藤正人君) 選択 20 :  ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 選択 21 :  ◯振興部長植田昌也君) 選択 22 :  ◯十三番(下奥奈歩君選択 23 :  ◯副議長(森下利久君) 選択 24 :  ◯六十八番(伊藤辰夫君) 選択 25 :  ◯振興部観光局長加納國雄君) 選択 26 :  ◯建設部建築局長(尾崎智央君) 選択 27 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 28 :  ◯六十八番(伊藤辰夫君) 選択 29 :  ◯副議長(森下利久君) 選択 30 :  ◯三十一番(犬飼明佳君) 選択 31 :  ◯教育長平松直巳君) 選択 32 :  ◯健康福祉部長長谷川洋君) 選択 33 :  ◯環境部長(菅沼綾子君) 選択 34 :  ◯農林水産部長加藤正人君) 選択 35 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 36 :  ◯三十一番(犬飼明佳君) 選択 37 :  ◯四十一番(中根義高君) 選択 38 :  ◯副議長(森下利久君) 選択 39 :  ◯副議長(森下利久君) 選択 40 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 41 :  ◯二十三番(石井拓君) 選択 42 :  ◯防災局長(加藤慎也君) 選択 43 :  ◯建設部長(市川育夫君) 選択 44 :  ◯二十三番(石井拓君) 選択 45 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 46 :  ◯四十六番(寺西むつみ君) 選択 47 :  ◯建設部長(市川育夫君) 選択 48 :  ◯政策企画局長(平岩昭彦君) 選択 49 :  ◯知事(大村秀章君) 選択 50 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 51 :  ◯四十番(石塚吾歩路君) 選択 52 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 53 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 54 :  ◯四十一番(中根義高君) 選択 55 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 56 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 57 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 58 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 59 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 60 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 61 :  ◯四十番(石塚吾歩路君) 選択 62 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 63 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 64 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 65 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 66 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 67 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 68 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 69 :  ◯四十一番(中根義高君) 選択 70 :  ◯議長鈴木孝昌君) 選択 71 :  ◯議長鈴木孝昌君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時十分開議 ◯議長鈴木孝昌君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百九号議案平成二十八年度       愛知県一般会計補正予算から第百四十三号議案       愛知県立愛知総合工科高等学校の専攻科の指定       公立国際教育学校等管理法人の指定についてま       で及び決算第一号平成二十七年度愛知県一般会       計歳入歳出決算から決算第十六号平成二十七年       度愛知県用地造成事業会計決算まで 2: ◯議長鈴木孝昌君) 第百九号議案平成二十八年度愛知県一般会計補正予算から第百四十三号議案愛知県立愛知総合工科高等学校の専攻科の指定公立国際教育学校等管理法人の指定についてまで及び決算第一号平成二十七年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十六号平成二十七年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  丹羽洋章議員。     〔二十二番丹羽洋章君登壇〕(拍手) 3: ◯二十二番(丹羽洋章君) おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、質問をさせていただきます。  まず、大きな一番、子供の貧困対策と貧困の連鎖の断絶についてお伺いいたします。  我が国の子供たちの貧困率は想像以上に深刻であると言えます。相対的貧困率は、一九九〇年代半ばごろから上昇傾向にあり、二〇一二年の厚生労働省国民生活基礎調査によると一六・一%と、一九八五年の調査開始以来最も高く、OECD(経済協力開発機構)加盟三十四カ国の中でも六番目に高い数字になっており、六人に一人、三百二十五万人の子供たちが相対的貧困状態にあるというのが現状であります。特にひとり親世帯、その中でも母子世帯の貧困率は非常に高くなっております。  さて、その相対的貧困ですが、今日でもなお絶対的貧困と混同されてしまっているのではないかと思わざるを得ないことがあります。
     相対的貧困の定義ですが、世帯収入から税金や社会保険料等の非消費支出を差し引いた手取り収入が可処分所得であり、この可処分所得を世帯人数の平方根で割ったものが等価可処分所得と言われ、世帯員の生活水準をより実態に近い状態であらわす数字であると言えます。この等価可処分所得の中央の値は、二〇一二年当時で名目二百四十四万円であり、この半分の百二十二万円に届かない人の割合を示すのが、いわゆる相対的貧困率であり、この所得で生活をしている状態であると相対的貧困状態にあると言われます。  世帯員の人数で言うと、単身世帯で百二十二万円、二人世帯だと百七十万円、三人世帯で約二百十万円、四人世帯だと二百四十五万円以下の可処分所得、つまり、単身では月々十万円、四人家族だと約二十万円以下で暮らしている人が相対的貧困状態であると言われます。その状態にいる子供たちが六人に一人いるということであります。  一方で、貧困という言葉から、食べるものにも着るものにも住むところにも困っているというような、人として生きていくのにぎりぎりの極限状態にあるような場合を想像する方もいらっしゃると思いますが、そのような状態を絶対的貧困といいます。  先ほど申し上げました相対的貧困は、そうした絶対的貧困とは違い、まともな食事をとることができないですとか、病院に行けない、習い事や学習塾に行けない、野球、サッカー、スイミングといったスポーツクラブに入れない、部活動のための費用の余裕がない、修学旅行に行けない、大学や高校、専修学校に進学できない、友達と遊びに行けないといったような、世間一般でいうごく普通の暮らし、その社会での平均的な暮らしができない、そんな状態にあることを相対的貧困、相対的に貧困であると言ったほうがわかりやすいかもしれません。  このような相対的貧困は、食うや食わずといった絶対的貧困と比べると生活の苦しさは伝わりづらいかもしれませんし、見落とされがちかもしれません。  また、この貧困問題について、三世代にわたって生活保護受給世帯が既にあらわれるなど、祖父母、父母、子と世代がかわっても、その状態から脱することができないことがあるといった貧困の連鎖がより根深い問題としてあります。その連鎖を断ち切らなければなりませんし、断ち切らないと社会的なコストの増大にもつながりかねないといった側面もあります。  子供の貧困を家庭の経済的な困窮として捉えるだけでなく、それぞれの家庭を取り巻く社会環境や子供たちの生育環境全般にわたる複合的な課題として捉えて、貧困の連鎖の断絶に取り組んでいかなければなりません。  そんな中、我が国においては、子どもの貧困対策の推進に関する法律が平成二十六年一月施行され、本県では、平成二十七年三月に子ども・子育て支援事業支援計画、子どもの貧困対策推進計画、児童虐待防止基本計画の三つの計画を一体的に作成したあいちはぐみんプラン二〇一五─二〇一九が策定されました。そして、本年十二月、愛知子ども調査及びひとり親家庭等実態調査を行うとされております。  そこでお伺いいたします。  愛知子ども調査を本年十二月に行うわけでございますが、調査の目的と狙いはどのようなものであるのか、また、調査結果を今後どのように活用されていくつもりなのか、調査結果によっては、昨年策定されたばかりのはぐみんプラン二〇一五─二〇一九の計画期間内の早期見直し、改定まで見据えられておられるのか、お伺いいたします。  また、少子化対策などは数値目標を掲げて取り組んでおりますけれども、子供の貧困対策も何かしらの数値目標を掲げて取り組むべきだというふうに考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。  次に、愛知子ども調査の調査対象についてお伺いいたします。  予定されている調査は県内全域を対象区域とし、対象児童生徒は、小学校一年生の保護者、五年生の児童と保護者、中学二年生の生徒と保護者で、約一〇%程度の割合で行うとされています。ただ、他都市の調査状況を見ますと、学齢期の児童生徒だけでなく、就学前の乳幼児の保護者まで対象に含めているケースもあります。  また、ことし、我々自由民主党愛知県議員団の一期生で、子供の貧困対策に先駆的に取り組まれております東京都足立区にお邪魔して勉強してまいりました。その際に、子供の貧困対策は、学齢期と就学前の二つに重点を置いて取り組んでいるということで、就学前の子供たち、また、その保護者に対して貧困対策としての支援策を講じておりました。  そこで、調査対象に就学前の子供たち、また、その保護者が入っていないのはなぜか、調査のかわりに何らかの形でデータの収集をするおつもりがあるのか、ひとり親家庭等実態調査において、それらは網羅されるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。  就学前の子供たち、その親の状態を把握する必要があるのは、子育て世代が孤立することなく子供を養育できるように、妊娠届け時から支援を要する世帯を把握し、子供の貧困のシグナルを早期に発見して、関係機関と連携して効果的な対策を実施する必要があるからです。また、乳幼児期は子供にとって健やかな発育の基盤となる時期であり、貧困のリスクとなる健康格差が生じないように必要な対策を図っていく必要もあるからです。  そこで、子供の貧困対策として、就学前の乳幼児はもちろんのこと、妊産婦から切れ目のない支援が必要だと思いますが、本県としてどのように御認識され、現在どのように対応されているか、お伺いいたします。  貧困の連鎖を断ち切るための一つの方策として、子供たちが家庭環境や経済状況に左右されることなく、自分の能力、可能性を伸ばし、夢に挑戦ができるように、基礎的、基本的な学力の定着に向けた取り組みは必要不可欠です。  貧困の状態にある子供たちは、各種習い事、野球、サッカーといったスポーツクラブや学習塾に通うこともままならず、進学や職業選択を考えたとき、現実問題として経済的な面からハンディキャップが横たわっていると言わざるを得ません。  平成二十一年度の文部科学白書には、全国学力・学習状況調査の結果から、就学援助を受けている児童生徒が多い学校は、就学援助を受けている児童生徒が少ない学校よりも平均回答率が低い傾向があるということと、世帯年収が高いほど正答率が高いということが記されております。  この結果から、低所得者世帯が増加すると就学援助世帯の増加につながり、それが学校成績の格差、学力格差につながり、そして進学機会の格差とつながっていき、格差が世代移転し、固定化していく可能性を示していることがうかがえます。  そこで、特に義務教育期間において、経済的な理由や家庭の事情などで家庭での学習が困難であったり、学習習慣が身についていなかったりする子供たちへの地域住民などへの協力による学習支援や体験活動の機会を充実していくことが重要であると思いますが、どのように認識され、具体的にどのような取り組みをされているのか、また、今後どのように取り組まれていくのか、教育長にお伺いいたします。  また、あいちはぐみんプラン二〇一五─二〇一九にも、生活保護世帯や生活困窮世帯の子供などの学習機会の確保や学習支援の充実などがうたわれております。現在、具体的にどのような取り組みをしているのか、どのような課題があるのか、また、今後どのように取り組まれていくのか、健康福祉部長にお伺いいたします。  次に、児童養護施設を十八歳で退所しなければならない子供たちに対しての支援についてお伺いいたします。  児童養護施設の子供たちは、その多くが幼いときからさまざまな事情があり、児童養護施設に入所し、そこで育ち、そして社会に出ていきます。児童養護施設への入所は児童福祉法で定められており、現在、児童福祉法の支援対象年齢は十八歳未満で、年限が二十歳未満となっております。  現在、国において、この年齢をいずれも二歳ずつ上げて、養護施設の入所可能年齢の上限を上げる方向で議論がなされていると伺っております。その背景には、例えば東京都の調査によりますと、この十年間で児童養護施設を退所した子供たちのうち、調査時点で把握が可能であった退所者の約四〇%が、退所時についた職を一年以内にやめており、さらに三年間では七〇%が離職していることが明らかとなっております。こうした離職者は、より劣悪な職業・生活環境に置かれているのではないかと推測されますし、私も同じようなケースを地元で実際耳にしております。  職業的・社会的自立のための能力と生活基盤の形成が現行の十八歳未満での支援では極めて困難ではないのか、それ以降も継続した支援が必要ではないかといった議論も同時になされたと聞いております。  そこで、児童養護施設を十八歳で退所する子供たちに、生活の基盤である住宅の支援を初め、相談体制の充実など、児童養護施設退所後の支援体制について、本県としてどのようにお考えになっているのでしょうか。本県の現状と課題、そして今後の対策、取り組みについてお伺いいたします。  子供の貧困を家庭の経済的な困窮としてだけでなく、地域社会における孤立や健康上の問題など、それぞれの家庭を取り巻く生育環境全般にわたる複合的な課題として捉えると、子供の貧困対策には、行政を初め、NPOや民間団体、地域社会、そのほかの関係機関・組織との連携が必要不可欠であります。また、個別の案件に対応していくにしても、そうした関係機関の連絡調整、連携なくして解決、改善が図られるものではありません。  そこで、子供の貧困対策のみならず、子供たちの健全育成といった観点からも、複雑性、複合性を有する困難を抱えた子供たちの支援を行っていくのに、庁内はもちろんのこと、コーディネーター的な役割を果たす組織や連携体制の強化、もしくは仕組みづくりも必要であると考えます。本県としてどのように認識されているのか、具体的にどのように取り組まれているのか、また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いいたします。  子供の貧困という言葉を使わないほうがよいのではないかという指摘もございます。表現としてわからないわけではありませんが、貧困という言葉を条例や施策、制度、事業などに使っていくと、対象となる子供たち、また、その保護者に対して、貧困というレッテルを張ることにつながりはしないか、貧困という言葉が意識や潜在意識に刷り込まれてしまい、差別につながりはしないだろうか、その状態から抜け出そうとする思いなどに水を差すことになりはしないかという懸念でございます。  既に国では、子どもの貧困対策の推進に関する法律という名称にはなっておりますけれども、本県として施策などを実施していく際に、この貧困という言葉を何かほかの言葉に置きかえてみるといったお考えはないか、お伺いしたいと思います。  続きまして、大きな二番、教職員をめぐる諸課題についてお伺いいたします。  一年先を思う人は花を育てなさい、十年先を思う人は木を育てなさい、百年先を思う人は人を育てなさいという先人の言葉があります。人を育てるには時間がかかりますし、長期的な視野が必要であるとも言われてきました。また、人が人を育てるわけですので、育てる側の人、つまり、学校教育で言えば、教職員の能力、スキル、資質、情熱といったものが大変重要になってくることは異論がないものと思います。  教職員は、言うまでもなく人間です。その教職員が人間を教育する立場である人間である以上、すぐれた人間性や豊かな人間性、高い人間力などが期待されるのは自然なことであると思います。また、その一方で、教職員も人間である以上、いわゆる人の子であり、決して聖人君子でもスーパーマンでもありません。今日、学校教育に対する保護者や県民の期待がより一層高まる中、その期待に応えるためにも、教職員の資質、能力の向上は急務であり、不可欠であります。  教職員の処遇面を見ますと、今から四十二年前、当時の田中角栄内閣の際に、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、いわゆる人材確保法が制定され、教員の給与が基本給で一二%、諸手当を含めれば、一気に約二五%引き上げられました。その結果、当時、先生にでもなるか、先生にしかなれないといった、でもしか先生と自虐的に呼ばれた教職員の世界に有能な人材が集まるようになりました。以来、教職員は、行政職職員よりも給与面で優遇されてきたわけですが、近年になりますと、財政難もあり、行革推進法や骨太の方針二〇〇六などを経て削減され、今では一般公務員と変わらぬ水準となってきております。  また、教職員の勤務環境を見ましても、家庭や地域の教育力が低下すると言われている中、子供たちをめぐる生活・教育環境は時代や社会の状況を反映してますます複雑化してきており、学校や教職員に対する過度な期待や学校教育が抱える課題の一層の複雑化、多様化が進んできているように思います。  そうした状況下で、未来を担う子供たちにより充実した教育を提供することを可能にするためには、教職員の資質向上はもとより、優秀な人材の確保、育成、教職員の職務のあり方、勤務のあり方、人員増、もしくは業務の精選、縮減といった教職員の勤務状況、環境、処遇の改善などが必要不可欠であると考えます。  そこで、以下の諸点についてお伺いいたします。  二〇一四年OECDの調査で、日本の教職員の一週間の労働時間は、世界平均の三十八時間を大幅に上回る五十四時間であると公表されました。同様に、教員勤務実態調査等によっても、今日の教職員は多忙な状況に置かれ、時間外勤務が増大、常態化し、子供たちと向き合う時間が十分確保できないなど、教職員の多忙化問題として顕在化してきております。特に、中学校においては、実質的に義務的な業務となっております部活動指導業務の時間がふえており、教職員の多忙化の一因になっていると言われております。  そこでお伺いいたします。  本県として、なぜこんなに教職員は多忙なのか、その原因をどのように分析しているのか、今後どのように改善しようとお考えになられているのか、具体的にどのように取り組まれていくのか、お伺いしたいと思います。  次に、教職員の職務の精選、見直しについてお伺いいたします。  我が国の教職員は、教員の勤務実態調査結果でも明らかなように、児童生徒への教育指導のみならず、多種多様な業務に携わり、勤務時間内に処理し切れないほどの業務を抱えている状況にあります。教職員がこれまでのように一人で教科指導、生活指導、部活指導、地域と連携など、全てをこなすのは不可能ではないかと私は思います。  その一つとして、不登校やいじめなど、子供たちが抱える問題は複雑・多様化しており、家庭環境などに問題の根があるケースもあり、個々の教員にその対応を委ね、解決を図るのは無理があるように思います。教職員は教育のプロであっても、決して福祉・家庭支援などのプロではありません。  そこで、多忙化解消の一つの方策として、餅は餅屋という考え方で、福祉の分野は福祉のプロに任せたほうがよいのではないかと思います。そうした考えのもとで、教育と福祉の連携の拡充、あわせて複雑で複合的な問題の解決には、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの拡充は必要不可欠であると考えます。  また、その一方で、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの資質向上も求められてきております。耳にする中には、大いに改善が必要ではないかというケースも聞こえてきております。  そこで、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの資質向上も必要であるというふうに考えますが、どのように取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。  次に、少子化の進行で、我が国において、全児童生徒数が毎年約十万人程度減少している中で、特別支援学校に通う児童生徒、特別支援学級に在籍する児童生徒、通級指導を受けている児童生徒は年々一万から二万人増加してきております。  本県においても、平成二十五年度の数字ではありますが、特別支援学級に在籍する児童生徒数は八千六百三十九人であり、平成十五年度の四千七百四十九人と比較すると約一・八倍にふえております。同様に、通級指導教室対象の児童生徒数は三千三百十八人であり、平成十五年の五百七十五人と比較すると約五・八倍の増加となっております。  そうした中、通級指導教室の拡大や担当教員の配置拡大の要望の声がありますけれども、本県としてどのように受けとめておられますでしょうか。どう認識されていらっしゃいますでしょうか。そして、今後どのように対応されていかれるのか、お伺いしたいと思います。  あわせて、特別支援教育コーディネーターは、現在、ほぼ全ての小中学校に配置されておりますけれども、学級担任などを兼務しているケースが大半でありまして、研修などで専門性を身につける時間的な余裕がないですとか、コーディネーター業務の負担が大きいといった声が現場からあります。本県の現状はどのようになっているのか、改善策などどのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。  昨今の財政難の折、教職員の給与削減策を受け入れるだけでは、処遇の悪化、モチベーションの低下などを招き、今後、教職員に優秀な人材を確保できなくなる事態を招くのではないかといった心配の声もあります。勤務時間内に到底処理し切れない業務が常態化し、それにあわせて時間外勤務が常態化、増大化している中で、教職員にはいわゆる残業手当はなく、四%の教職調整額などがあるにせよ、処遇など改善すべき点はあるように思います。どのように認識されているのか、お伺いしたいと思います。  近年の社会情勢の急激な変化、子供たちを取り巻く環境の変化、日本の未来を担う子供たちに対する学校教育への期待、要望の高まりなどといった課題に適切に対応できるように、学校教育の質の向上を図るためには、先ほど申し上げました教職員の処遇改善に加え、教職への情熱と豊かな人間性を持った教職員を確保するとともに、指導力向上のための研修の充実など、次代の人づくりを担う指導力の高い教職員の育成は必要不可欠であります。  そこで、愛知県版の総合的な教職員の人材確保・育成計画などを策定するお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。  以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯健康福祉部長長谷川洋君) 初めに、子供の貧困対策のうち、愛知子ども調査の関係についてでございます。  愛知子ども調査は、経済的に困窮している家庭の生活実態やさまざまな課題を把握し、経済的な要因が子供の生活実態に及ぼす影響等を明らかにすることを目的として行い、本県特有の課題を浮き彫りにすることを狙いといたしております。今後、調査結果を活用して、実効性のある子供の貧困対策につなげてまいりたいと考えております。  また、はぐみんプランと一体的に策定した子どもの貧困対策推進計画を必要に応じて見直すこととしており、その際は、愛知子ども調査の結果も踏まえつつ、現在の数値目標であるスクールソーシャルワーカーの配置人数等に加えまして、必要に応じて、新たな数値目標の設定についても検討してまいりたいと考えております。  次に、愛知子ども調査に就学前の子供が調査対象に入っていないということについてでございます。  就学前の乳幼児期は、子供の健やかな発育、発達及び健康な体づくりの基盤となる時期でありますので、就学前の子供たちの状況を把握することは必要であると認識しております。  愛知子ども調査は、小学校、中学校を通じて行う予定でございまして、今回の調査では、乳幼児期に年齢が一番近い小学一年の保護者への調査の中で、就学前の子育て支援の状況や支援ニーズ等を調査項目に加えていくこととしております。  また、この愛知子ども調査では、調査を補足するため、当事者等へ聞き取り調査の実施を予定いたしております。この聞き取り調査の対象に乳幼児期の子供の保護者や保育士等を含めることを考えております。  なお、愛知子ども調査と同時期に行うひとり親家庭等実態調査では、未就学児のいるひとり親家庭を含めて調査を行う予定といたしております。  次に、妊娠期からの切れ目のない支援についてお答えをいたします。  家庭の経済状態にかかわらず、身近な地域で妊娠期から子育て期にかけて切れ目のない支援を行うことは、子供の貧困対策としても大変重要なことであると認識をしております。  本県におきましては、市町村が妊娠期から子育て期にわたるさまざまな悩みを相談できるワンストップの拠点として、子育て世代包括支援センターを整備しておりまして、このセンターが県内全域に拡大するよう、人材の養成など市町村に対する支援を行っているところでございます。  また、市町村においては、出産後全ての家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん事業を実施しており、その中で養育環境を把握し、特に支援が必要と判断される家庭には、個別に指導や助言を行う養育支援訪問事業を実施しております。  県としても、支援を必要とする家庭に対し、市町村が福祉部門や医療機関と連携して対応できるよう、各保健所に連携促進会議を設けまして、市町村とともに切れ目のない支援を行う体制の強化を図っております。  次に、子供の学習支援についてでございます。  各自治体が実施する学習支援事業としては、生活困窮者自立支援制度の子どもの学習支援事業やひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業のほか、教育委員会が実施する地域未来塾や放課後子供教室があり、現在、県内の四十市町において、何らかの学習支援事業が行われております。  この学習支援事業を全ての市町村に広げていくことが課題であると考えておりまして、いまだ学習支援事業に取り組まれていない市町村に対し、県教育委員会とも連携しながら、地域の実情に応じた学習支援を実施されるよう、県内外の優良事例を紹介するなどいたしまして、今後も引き続き助言、情報提供に努めてまいります。  次に、養護施設等を退所した後の支援体制についてお答えをいたします。  家庭養育が困難になったため、児童養護施設等へ入所した児童について、退所後、経済面を含めた社会的な自立を支援することは、貧困の連鎖を防ぐために重要なことであります。このため、本県では、施設退所後の児童に対しまして、電話相談や家庭訪問による支援を行う家庭支援専門相談員を全ての児童養護施設に配置する、この経費を国とともに負担しているところでございます。  また、施設退所後、就職する児童等の自立を促進するため、指導員のもとで共同生活を営む住居を提供し、支援を行う自立援助ホームの整備、運営に要する経費を助成し、その設置拡大に努めているところでございます。  児童養護施設に入所している児童が退所後に安定した自立生活を行うためには、個々の状況に応じた継続的な支援が必要でございます。このため、今年度、大学等へ進学や就職する児童を対象に、家賃や生活費等を貸し付け、五年間継続して就労した場合には返済を免除するという事業を創設いたしました。  県としては、自立援助ホームの設置や退所者への貸付事業などを推進し、児童養護施設を退所した児童に対するより一層の支援に努めてまいりたいと考えております。  子供の貧困対策に係る連携体制についてでございます。  子供の貧困は複合的な問題であることから、関係機関が連携して支援体制を整備する必要がございます。県では、子どもの貧困対策推進計画におきまして、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援、この四つの支援を柱といたしまして、福祉部局と教育委員会など関係部局が連携しながら支援の充実に努めております。  今後、より一層連携強化を図るため、県庁内に部局横断的な庁内連携会議を設置し、情報共有を図るとともに、市町村や民間団体等を含めた連携組織の設置についても検討をしてまいります。  最後に、貧困という言葉の使い方についてであります。  子供の貧困という用語は、法律や国の大綱にも用いられまして、社会的な政策課題として一般的に定着しつつあります。一方、貧困という言葉は、使い方によっては人を傷つけたり、差別や偏見を助長しかねないデリケートな言葉でございます。  愛知子ども調査の検討会議におきましても、アンケート調査に回答する子供や保護者が憂鬱になるような、ダメージを与えるような質問はするべきではないといった御意見をいただいております。  今後、具体的な施策を進めるに当たりましては、対象となる方々にとりまして、この言葉がどのように受けとめられるかを十分に留意いたしまして、慎重に配慮しながら適切に対応してまいります。 5: ◯教育長平松直巳君) 初めに、貧困状態にある子供たちへの学習支援等についてお答えをいたします。  経済的な理由などで家庭での学習が困難な子供たちに学習支援や体験活動の場を設けることは、教育環境の改善を図る上で大変重要であり、これを地域住民の協力により実施することは、地域全体で子供たちを見守り、孤立しがちな保護者を支援することにもつながるものと考えております。  そこで、県教育委員会では、市町村が地域住民の協力を得て、原則無料で放課後や土曜日などに学習や体験の場を提供する放課後子供教室や地域未来塾の設置を推進しております。放課後子供教室については、年々設置数が増加し、今年度は県内半数の小学校区で設置され、主に小学生を対象に地域住民による体験・交流活動や学習支援が実施されております。  また、昨年度から取り組み始めた地域未来塾は、昨年度の二市から、今年度は十市町の中学校区に設置が広がり、元教員や大学生が教え手となって、主に中学生の学力向上が図られております。  これらの授業を効果的に実施するためには、地域と学校のつなぎ役として、市町村が設置しているコーディネーターが重要な役割を果たしておりますので、今後は、コーディネーターの資質向上を図るとともに、すぐれた取り組みを各市町村に周知することにより、放課後子供教室や地域未来塾のさらなる設置拡大と充実に努めてまいります。  続きまして、教職員をめぐる諸課題について、六点お尋ねをいただきました。  まず、教員の多忙化の原因と今後の取り組みについてでございます。  日本の教員は、諸外国と異なり、教科指導から部活動指導まで一体的に行うことが特徴となっております。一方、近年は、社会や経済の変化に伴い、学校の抱える課題が複雑化、多様化し、学校や教員に求められる役割が拡大する傾向にあります。  また、部活動につきましても、安全管理の面から常時教員の立ち会いが必要となるなど、従来の業務も質、量ともにふえる傾向にあり、こうしたさまざまな要因が重なって、多くの教員の在校時間が長時間になっているものと考えております。  さらに、学習指導要領の見直しに伴い、教員には指導力の一層の向上とそのための研さんの時間の確保が課題となっておりますことから、本県では、本年六月以降、有識者等によるプロジェクトチームで多忙化解消に向けた取り組みを検討しているところでございます。  今後、十一月中にプロジェクトチームの提言をまとめていただいた上で、今年度中に多忙化解消プランを策定し、市町村教育委員会とともに具体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、スクールソーシャルワーカー等の資質向上についてであります。  県教育委員会では、スクールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーの連絡協議会を毎年それぞれ開催し、事例研究や情報交換を通して、効果的な相談や連携のあり方等について研修を行っております。  また、スクールカウンセラーのスーパーバイザーを配置して、経験が少なかったり、学校との連携に課題を抱えたりするスクールカウンセラーに対して、個々に指導、助言を行い、力量を高めているところでございます。  引き続き、こうした全体及び個別の研修を計画的、継続的に実施し、スクールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーの資質や能力の一層の向上を図ってまいります。  また、チーム学校を推進するためには、スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーが相互の専門性を生かして連携していくことも必要でありますので、互いの役割について理解を深める研修も実施してまいりたいと考えております。
     次に、通級指導担当教員の配置拡大についてでございます。  通級指導担当教員につきましては、国の加配により配置することとしており、教職員定数改善を受け、毎年度順次拡充を進めているところでございます。  平成二十八年度は、前年より七人増の小学校二百四十四人、中学校に十九人、合わせまして二百六十三人を配置し、二百六十三教室を設置しております。しかしながら、市町村からは現状を超える通級指導教室の設置を強く求められておりますので、担当教員のさらなる拡充が必要であると認識いたしております。  国は、平成二十九年度の概算要求におけまして、通級指導担当教員の拡充を図ることとしておりますことから、国の予算の状況を的確に把握し、引き続き本県における通級指導担当教員の配置拡充に努めてまいりたいと考えております。  次に、特別支援教育コーディネーターについてであります。  特別支援教育コーディネーターは、各学校の校長が教員の中から指名するもので、外部の関係機関との連絡調整、保護者の相談窓口、校内委員会の運営や推進といった役割を担うこととされ、校務分掌にも位置づけられております。  各学校においては、コーディネーターとなった教員がその役割を十分に果たすことができるよう、授業の持ち時間数や校務分掌の軽減を図るなど、できる限りの配慮をしているところでございます。  県教育委員会といたしましては、今後、コーディネーターを複数指名することなどにより業務の分担を促すことで負担軽減を図ってまいりますとともに、専任の特別支援教育コーディネーターを各学校に配置できるよう、国に対して新たな教職員定数改善計画の策定を引き続き要請してまいります。  次に、教職員の処遇等の改善についてであります。  公立学校の教員給与の制度設計は文部科学省が行っており、議員お示しの教職調整額についても、昭和四十七年施行の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法に基づき、給料月額の四%分が支給されております。  しかし、この支給額の算定が、当時の文部省調査による教員の時間外勤務時間を根拠としていることや、教員に一律に支給されていることなど、今日の教員の勤務実態に合わないとの指摘もされているところでございます。  こうした中、国では、平成二十年度以降、職務負担に応じた手当を充実させることで、教員の士気高揚、教育活動の活性化を図ることを目的として、部活動指導手当等の教員特殊業務手当を増額するなどの見直しを行ってきております。  この間、県でも、国の動きに合わせて支給額の改定を行ってまいりましたが、今後も国の動向を注視し、さらなる増額が行われる場合には、引き続き的確に対応してまいりたいと考えております。  最後に、教職員の人材確保・育成計画の策定についてでございます。  県教育委員会におきましては、広い教養と豊富な専門知識・技能を備えた人を初めとする六つの愛知が求める教師像を定めております。  教員採用選考試験においては、これらの教師像を選抜の指針として採用選考を行っております。また、採用後は、県総合教育センターを中心に、教職経験や職務に応じた研修等を実施し、体系的、総合的に教員の資質、能力の向上に努めております。  教員の人材育成につきましては、平成二十七年十二月の中央教育審議会答申において、教職キャリア全体を俯瞰して身につけるべき資質能力を明確化した教員育成指標の策定が求められているところでございます。  今後、国から示される策定指針を踏まえ、愛知が求める教師像にふさわしい人材の育成に向け、大学等と協働して教員育成指標を策定し、養成、採用、研修それぞれの段階における具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。 6: ◯二十二番(丹羽洋章君) 御答弁ありがとうございました。  それでは、一点要望して終わらせていただきたいと思います。  ただいま教職員の多忙化解消、処遇改善、資質の向上に関して、現状と今後の取り組みについての御答弁をいただきました。  学校教育に対する保護者や県民の期待に応えられるよう、多忙化解消や資質向上など、それぞれの取り組みが着実に進められることを期待いたします。  なお、次代の人づくりを担う指導力の高い教職員の育成には、教育委員会が主催する研修が不可欠でありますが、官製研修への参加だけではなく、先進的な学習指導方法を学んだり、さまざまな講習の受講など、自主的な研究や研修も重要であると考えております。  しかし、現場からは、そうした研修に参加する旅費が足らないといった声も上がってきております。多忙化解消や指導力向上のための研修の充実などの取り組みに合わせ、研修に参加するための旅費の確保など、教育環境の充実にもしっかりと取り組んでいただくよう要望して、質問を終わります。 7: ◯議長鈴木孝昌君) 進行いたします。  西川厚志議員。     〔七十四番西川厚志君登壇〕(拍手) 8: ◯七十四番(西川厚志君) それでは、通告のとおり、順次質問をしてまいります。  最初は、アジア競技大会について、三つの観点からお伺いをいたします。  先日は、各党の代表質問に対する答弁で、大会成功へ向けての知事の力強い意気込みを改めてお聞きし、大変頼もしく感じ入った次第ではありますが、やはりまず、この間の経緯について避けて通れないのは、県、市の足並みの乱れであります。  私としては、一言で言えば、OCAの意向を確認しながら、時間を要してでも不確定要素を払拭しようとした県側と、九月二十五日の段階までに最低限の全体の枠を描くべきと主張した名古屋市との双方引くに引かれぬせめぎ合いであったと解釈いたしております。  ただし、今回に限って言えば、県の真意は酌み取れるものの、議会に対する姿勢の点から振り返ると、誠意ある対応を示したのは名古屋市側であったと言い切れるのではないのでしょうか。  実際、私自身、アジア大会における県、市の共催合意及び開催構想等について、県当局から資料が届いたのが十日前の九月二十日でありました。一方、名古屋市では、八月の中ごろには、既に費用面も含めたつぶさな資料をベースに、議員と担当職員が話し合いの場を持っております。  費用の件については、この後、取り上げますが、その資料によれば、五月十三日、JOCへ立候補意思表明書を提出後の県、市の交渉経緯が時系列で事細かく整理され、抜粋をしてみますと、県の第一回、七月五日付の提案を受けて、即座に市は対案を提示、熟慮を重ねたのか、県からの再提案は八月一日、これに対しても市からの対案は、八日後の九日、しかも二本の妥協案でした。お互いの調整がつかない中、八月二十二日、県からの再々提案に対して、二十五日には市からの最終通告と続きます。これを読み込む限り、早期に議会や市民に説明を果たそうとする河村市長と大村知事らしからぬ、どこか煮え切らない姿勢が見てとれます。あげくが、九月五日の名古屋市立候補取り下げという事態へ至ることとなりました。  そこで、最初の質問ですが、ひとときでもこうした事態を招いた原因は何であったと捉えるのか。きょう現在、県、市の溝は本当に埋まったのか、そして、この間の県当局と県議会の関係のあり方として、振り返るべき点をどのように考えるのか、明らかにされたいと存じます。  次に、大会経費についてでありますが、ことし五月十四日付西日本新聞の記事からです。  二〇二六年に予定されているアジア競技大会について、福岡県小川知事は、既存施設活用などの経費抑制策を検討したが、多額の財政負担が必要との結論を得たと述べ、大会誘致を見送る考えを正式に表明した、総事業費は少なくとも六百億円で、入場料やスポンサー収入を除く約四百五十億円を地元で負担する必要があるとし、さらに経費が膨らむことが懸念される、国の財政支援も不明と述べた。以上であります。  既に五月の時点で粗々の総事業費を見込み、諸収入や地元負担額をはじき出し、いち早く断念を決意された姿勢は、誘致を進めた諸団体や県民の皆さんにも、恐らくこれはこれで理解の得られる結論であったことと思います。  対して、このたびようやく県、市の折り合いがついた財政計画では、大会主催者負担経費として八百五十億円、内訳は、運営経費四百四十億、競技会場仮設整備費百十億、選手村仮設整備費三百億と明記され、諸収入で二百五十億の確保に努め、行政負担の上限は六百億とすることがうたわれております。  この際、県、市の負担割合や瑞穂公園陸上競技場の整備方針については言及いたしませんが、ここでは、全体経費の八百五十億円についてお伺いをいたします。  先ほどの名古屋市議会で議論のベースとなった資料によれば、七月五日、県からの最初の提案が千百五十億、その後、二百億の圧縮で九百五十億、さらに百億圧縮して八百五十億、こんな流れで合意に至るわけですが、その主な圧縮部分はほとんど競技会場の仮設整備費が占め、当初の試算よりも三百億円減額されたことになります。当然、現時点では多くの不確定要素によって明言できかねるのは承知をいたしますが、当初予定した千百五十億円、これを八百五十億まで圧縮できた根拠並びに大幅に整備費の削られた競技会場について、出場選手の意欲をもそぐことにつながることはないのか、それでも十分なパフォーマンスがかなえられるレベルにあるのか、お伺いをいたします。  そして、招致を断念した福岡では、入場料やライセンス契約料、スポーツ振興くじ助成金など、収入で賄える額は約百五十億円規模の試算であったのに対して、今回、二百五十億を計上した根拠についても御説明ください。  三点目は、選手村の整備方針についてお尋ねいたします。  現在、選手村の最優先候補地としては、名古屋市港区の名古屋競馬場が検討されており、弥富トレーニングセンターへの移転の可能性調査のスケジュールは年内に中間報告がなされ、今年度中に移転の可否が決定されると聞いております。既に開催構想のイメージ図には、十階建て相当の集合住宅が幾棟か建ち並び、緑あふれる心地よさげな雰囲気も手にとるように伝わります。  私自身、かつて子供のころ、よく父親に連れられた鉄火場の熱気は今でも忘れることはありませんし、長年地元で愛されてきた土古競馬場の移転には一抹の寂しさは残るものの、もしもここに選手村の整備が決まれば、ぜひ要望させていただきたいのは、競馬関係者、愛知県、名古屋市、地元の皆さん、その全てにとってプラスとなる跡地利用の考え方であります。  バブル時代に計画された広島大会では、当時、民間不動産会社が建設途中の集合住宅を一時借り上げ、仮設内装を施し、宿舎等として使用したとの記録があります。ただし、広島の場合には、七千人規模の集合住宅であり、愛知・名古屋大会はその倍以上の一万五千人収容を想定し、果たして同様の手法がとれたとしても、景気的、規模的に大会後の全戸完売が見込めるのか疑問であります。  県、市にとって最も手っ取り早いのは、県営住宅、市営住宅としてストックする方策なのかもしれませんが、それが地元にとって活性化につながるとはとても言いがたいのではないのでしょうか。かつて、あおなみ線の駅名について議論のあった地域だけに、ぜひ駅前を中心とする地元の皆さんの心情は聞き届けていただきたいと願うところであります。  そこで、選手村の候補地が名古屋競馬場に決定したと仮定してお尋ねをいたします。  現在、選手村の整備方針として、特に大会後の跡地利用について、県はどんな考えをお持ちか、地元の皆さんの思いをどのように反映しようとするのか、お聞かせください。  次の項目に移ります。  三十五年前のちょうどきょう、昭和五十六年九月三十日は、西ドイツで行われたIOC総会において、一九八八年開催のオリンピック招致を目指した名古屋市が韓国・ソウルに負けたまさにその日でありました。以降、雌伏のときを経て、平成九年六月、雪辱を果たすがごとく、二〇〇五年の愛知万博誘致決定の瞬間は、私自身、当時はまだ議員の身ではありませんでしたけれども、一人の愛知県民としてうれしく、誇らしい思いに浸ったひとときでもありました。  さて、ここで、本県における愛知万博以降の主な国際会議、国際イベント、いわゆるMICEの誘致実績を御紹介いたします。  二〇一〇年のCOP10、二〇一四年のESDユネスコ世界会議、二〇一七年、来年のロボカップ大会、二〇一九年のラグビーワールドカップ、そしてアジア競技大会、これらは見事、本県単独、あるいは名古屋市、ラグビーについては、豊田市とともに主体となって誘致に成功した例であり、今後は、二〇二〇FIFAフットサルワールドカップ、また、二〇二三年の技能五輪国際大会が本県誘致活動中の主な大会となります。  しかしながら、反面、東京オリンピックの際のセーリング競技、ことしのサミット及び関係閣僚会合、来年のアジア開発銀行年次総会、二〇一八年の世界女子ソフトボール選手権、これらについては残念な結果となってしまいました。  私も当然、こうした自治体間の誘致合戦が必ずしもそれぞれの地域の力量だけではなく、テーマ性や地域性、そして、時には全て国の裁量によることも承知はするものの、ここでは、ことしの誘致に失敗した伊勢志摩サミット関係閣僚会合と二〇一九年、二〇年の連続誘致を目指す技能五輪全国大会、この二つに絞って、私の思いを述べさせていただきます。  まずは、技能五輪ですが、前回、本県選手団のすばらしい活躍が記憶に新しい、第二十六回愛知県大会が二十三年ぶりに開催されたのが二〇一四年の二年前になります。大村知事が言われるように、日本の物づくりをリードする県として、今後は五、六年間隔での本県開催を目指すことは、私も意義あることと思いますし、よって、一九年の本県誘致には賛意を送ります。その上で、全国初の取り組みとなる二年連続開催の意向も、私ども県議団の要望する国際大会誘致を見据えた知事の御英断であると受けとめるところであります。  私の個人的な思いとしては、会場スペースなどの開催要件を満たし、何よりも、およそ五億円の持ち出しが必要となる負担を考えれば、他県にとってはいささか腰が引ける仕事なのではないのでしょうか。全国初の連続開催に向けた関係各位の努力に大いに期待を寄せるところであります。  一方、関係閣僚会合です。  サミット本体については、伊勢志摩が選ばれたことに特に驚きはありませんし、むしろ我が国のメッセージ性に富んだ候補地選定であり、愛知・名古屋の誘致活動に何ら問題があったとは私も思ってはおりません。  しかしながら、従来は国主導で選定されてきた関係閣僚会合の開催地が、今回から公募制となり、今回、十四の都市が名乗りを挙げる中、愛知・名古屋のほか、札幌、静岡、浜松、京都、熊本、別府、宮崎が選考漏れ、逆に、応募もせず、国から開催地として指名を受けたのが、仙台、倉敷、北九州、富山の四市でありました。私も正直、公募選考のあり方として、このいきさつには承服しかねる部分もあり、先日、国に対し、選定漏れの理由をお伺いさせていただきました。  外務省経済局政策課の回答によれば、大まかに三点。国際社会が直面するさまざまな課題や地方創生の観点を踏まえた点が一つ。誘致を表明した各市町に優先順位はつけず、宿泊施設、会議場、交通アクセス、警備など総合的判断の結果であることが二つ目。そして、一部でささやかれた名古屋市の推し進める市民税減税が国の機嫌を損ねたわけではない、これが三つ目。以上、まさしく予測どおりいんぎん無礼な紙切れ一枚でありました。  そこでお伺いいたします。  前置きが長くなりましたが、まずは、今回の関係閣僚会合の選定に漏れた点について、県当局として、どのような誘致活動を行ったのか、そして、何ゆえ、十もある開催地の一つにも選ばれなかったと分析するのか。あくまでも自分たちはベストを尽くしたと言い切れるのであれば、国に対して今何を言うべきと思うのか、お聞かせください。  そして、きょうは、たまたま技能五輪大会を例に挙げましたが、どちらかといえば、他府県には手が出しにくい仕事、まだまだほかにもあるかもしれませんが、開催県にはそれなりの負担がついて回る誘致事をこの愛知県が積極的に引き受けようとする姿勢、こうした意気込み、意欲を本当に国は理解しているのか。ひょっとしたら、私のひねくれた思いなのかもしれませんが、どこか本県が物わかりのよい下請先として見られているのではないか。国においては、もう少し総合的な判断基準があってもよいのではないか。そして、我が県は、このことを国に対して強く主張し、特に、今回の選考漏れを受けて、私としては、今後はむしろ恩着せがましく働きかける、そんなずうずうしさこそが求められるべきとの思いが芽吹いた次第でもあります。  そこで、今後、大型の国際会議、国際的イベントを初めとするMICEを誘致するに当たっては、どのような方針で対象を選び、どのように誘致活動を展開されていくのか、お考えがあれば明らかにされたいと存じます。  最後の項目は、交通事故の抑止に向けてです。  まず、さまざまな機会で繰り返し私が申し上げるのは、県内の交通事故死者数について、右肩下がりの減少傾向で推移する限り、全国ワーストワンであるとか、何年連続だとか、殊さらに警察関係者が卑屈になる必要は全くないということであります。  特に、毎年の年の瀬風物詩のごとく、県内交通事故死者数何とか県より何人多く、ことしも全国ワーストは脱せぬ見込み、そんなマスコミ報道は、場合によっては、他県での事故発生をひそかに期待させてしまうことにもつながりかねず、ならば、もっと多方面からのデータもあわせて報じていただきたいと願うのが私の常々の思いでもあります。  これも繰り返すことになりますが、例えば、昨年二十七年中の死者二百十三人、この数字は、本県の県人口全国四位の七百四十六万人、これを十万人当たりの死者数に直すと二・八六となり、全国では四十二位。さらに、全国四位の免許人口五百六万人、これを一万人当たりで見れば、〇・四二で四十三位。同様に、全国一位の県内車両台数は五百五十五万台、一万台当たりの死者率は〇・三八で四十位。実際、こうした指標が公にされることはほとんどありません。かつ、毎年結構な予算を計上し、被害対策、加害対策双方の啓発活動はもとより、交差点改良や信号機のLED化、また、老朽化、摩耗化した標識、標示の新設、更新、そして、ITSの実証実験もいよいよ始まったところであり、ワーストワンとされた平成十五年の四百二十八人から見れば、着実に関係各位の努力は実を結び、十二年間でおよそ半減したことは評価したいと思います。  しかしながら、いま一つ気がかりなのは、順調に右肩下がりで推移してきたグラフが、ここ三年、二百件台から二百十件台で下がりどまり、ことしもきのう現在、対前年比マイナス四人で百四十五人、このままの推移を考えると、やはり二百人前後という状況にあります。  そこで、まずは、県警本部長の御認識をお聞かせいただきたいと存じますが、今申し上げました、いずれも全国上位の県人口、免許人口、車両台数などなどは、当然事故を起こしやすい、起きてもおかしくない我が県の交通環境であるとも言えます。そして、何よりも、重量一トンを超える鉄の塊を失敗や誤りを犯す存在の人間が操る以上、不謹慎ではありますが、本県の交通環境のもと、二百という数字が限界だとの見方もできなくはありません。本部長の忌憚のないお考えをお聞かせください。  そして、もしも歴代本部長のごとく、それでもその時々の数値目標、直近で言えば、第十次交通安全計画ですが、平成三十二年には年間百五十五人を切ることに何ら決意は変わらないとおっしゃるのであれば、具体的対策についてもお述べいただければと思います。  さて、四年前、私は、警察委員会の県内視察で平針の運転免許試験場を訪れた際、ふとした興味本位で本県の運転免許保持者に占めるゴールド免許保有者の割合をお聞きいたしました。当時二十四年八月末で五七・九%、ちなみに、同様のデータ集計をとる静岡、京都、大阪と比べてもゴールド率は本県が最も高く、かつ免許人口十万人当たりの死者数の対比では、京都、静岡よりも低いとのことで、当時の交通部長いわく、よって、事故件数とゴールド率には一定の因果関係が推察され、優良運転者の育成は、交通事故抑止に有効な施策の一つであると議事録にも残っております。  実際、さらに自分なりに検証を進めてみたところ、十年前、平成十八年の本県ゴールド率五三・三%、死者数三百八十九人、その五年後、平成二十三年、ゴールド率五七・五%、死者数二百七十六人、直近平成二十七年、ゴールドは五八・八%、死者数二百十三人、ここ十年のスパンで見る限り、死者数の推移がおよそ右肩下がりで来たのは申し上げたとおり。対して、ゴールド率を線グラフで示せば、ほぼきれいな右肩上がりとなり、その相関は推察の域を超え、明らかな因果関係にあるとの結論に至ったところであります。極論として、本県ドライバーが全員ゴールドとなれば、それは事故死者ゼロ社会の到来です。  ただ、こうした議論に水を差したがる方が言うのは、ペーパードライバーの方の存在ですが、私に言わせれば、事故を起こしやすいだろうという邪推は、この際、何の意味を持たず、無事故、無違反を続けたからこそ、結果、ゴールドとなるのであり、ペーパーであろうがなかろうが、重要なのは、誰もが事故を起こさない、違反を犯さない、そうした意識づけの徹底にほかなりません。  事故が減ったからゴールド率が上がったのか、あるいはゴールド率が上がったから事故が減ったのか、人によって意見の分かれるところでありますが、いずれにせよ、この際、全県を挙げてゴールド率の向上を促す新たな試みも有効なのではないのでしょうか。  一つ、俗人的な表現になりますが、あめとむちでいえば、今や道路交通法の厳罰化、すなわちむちは行き着くところまで来た感がするのに対して、あめ、ゴールド免許のメリットは、この間ほとんど手心が加えてこられなかったような気もいたします。  最も知られるのは、免許更新時の手数料の減額や講習時間の短縮、有効期間の二年延長、また、民間保険、車検やレンタカーの割引も該当します。また、主に、ロードサイド店舗で幾らかの優遇を受けられるSDカードの発行も挙げられますが、認知度、サービス感はともにいま一つです。  そこで、最後の質問です。  年間事故死者数もここへ来て停滞傾向にある中、さらなる交通事故の抑制には思い切った取り組みが必要であり、その原点は、やはり全てのドライバーがハンドルを握る際の集中力を高める環境づくりであります。  今私が申し上げたゴールド免許のあめの部分、つまり次の免許更新時には、誰もがゴールドを目指そうと思えるような呼び水的な制度の検討も十分値するものと考えますが、本部長の見解をお示しください。  以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 9: ◯振興部長植田昌也君) まず、私から、アジア競技大会に関する御質問のうち、県と名古屋市との関係についてお答えいたします。  本県と名古屋市の間で一時期議論が平行線となった原因についてですが、県、市の負担割合を一対一とする本県と、三対一または二対一と主張する名古屋市との調整がなかなかつかなかったことがございます。  また、本県が一定の条件のもとに粗々に積算した大会主催者負担経費の取り扱いについて、アジア・オリンピック評議会(OCA)から契約条件が全て示されていないなど、不確定要素が多い中、本県としては、より精査した上で公表すべきと考え、名古屋市は、粗々であってもその時点で公表すべきと考えていたこともございます。  このような中、名古屋市が一旦立候補表明を取り下げましたが、名古屋市の共催復帰に向け、真摯に協議を行い、九月二十日に共催復帰について合意し、九月二十五日には、県、市そろってOCA総会に出席し、開催都市に選定されたところであります。  県議会の皆様には御心配をおかけいたしましたが、今回のことは、アジア競技大会というオリンピックに次ぐ大規模な大会を県、市共同で開催するに当たり、互いの意見を真摯に調整する過程で生じたことであり、県、市に溝が生じたとは考えておりません。  今後とも、議会や県民の皆様には、適宜その時点で提供できる情報をお伝えするとともに、引き続き名古屋市と協力して大会の成功に向け、開催準備をしっかりと行ってまいります。  次に、負担経費及び収入についてです。  まず、経費につきましては、不確定要素が多い中、さまざまな前提条件を想定し、試算を行ってまいりました。その中で、運営経費四百四十億円については、過去大会の分析を行い、今回との違いを加味したこと、さらに、競技会場仮設整備費百十億円については、規模や質、単価を当初の見積もりから見直したことにより経費を圧縮しております。  本県といたしましては、現時点において、この額で競技が実施できると考えておりますが、今後、OCAや国内外の競技団体と相談しながら、実際の大会運営に即した経費の積み上げを行ってまいります。  また、大会主催者収入のうち、行政負担を除く入場料収入やスポンサー収入等二百五十億円につきましては、同等規模と想定した仁川大会の二百四十四億円を参考に見積もったものであります。  今後、愛知らしく簡素、質素で、機能的かつ合理的な大会を基本として、費用の圧縮に努めるとともに、経費を精査してまいります。  さらに、行政負担以外の収入につきましても、最大限確保できるよう、大会の魅力拡大や関係者との調整に取り組んでまいります。  最後に、選手村の整備方針についてです。  選手村につきましては、今後、本県と名古屋市の関係部局による検討体制を構築し、選手村の整備方法や後利用の検討等について、共同で取り組むこととしております。  その中で、選手や大会関係者が滞在できる選手村施設の確保はもちろんですが、地元住民の皆様の意向も踏まえた後利用のあり方も検討してまいります。そのため、県民、とりわけ地元の住民の皆様に対し、丁寧な説明を行った上で御意見をお伺いしてまいりたいと考えております。 10: ◯振興部観光局長加納國雄君) 関係閣僚会合についての誘致活動の内容と誘致できなかった理由などについてお答えいたします。  二〇一六年開催のサミット及び関係閣僚会合につきましては、二〇一四年の八月に名古屋市と共同で立候補し、地元経済団体等とも連携して二〇一六年愛知・名古屋サミット誘致推進協議会を立ち上げて、国に対する要請活動を行いつつ、知事みずからも政府関係者に誘致を働きかけるなど、地域が一丸となった誘致活動を展開してまいりました。  サミット及び関係閣僚会合の開催地の選定理由につきまして、国は特に明らかにしておりません。結果として、関係閣僚会合についても、開催地とならなかったことは残念だったと思っております。
     しかしながら、当地でのサミット開催はできませんでしたが、本県はサミットの玄関口となり、特に中部国際空港では、知事みずから各国首脳等をお出迎えするとともに、MRJの展示、FCVによる車列の先導、県産の花卉による装飾などにより、愛知の魅力を発信いたしました。  さらに、この機会を捉え、アウトリーチ国や国際機関の首脳等に御参加いただき、レセプションを開催したほか、インドネシアのジョコ大統領初め、ベトナム、スリランカ、ラオスの四カ国の首脳と知事との個別会談など、大きな成果を上げることができたものと考えております。  本県では、今後も引き続き国等に対して、すぐれた国際会議の開催環境と実績を強くアピールし、各種会議等の誘致を積極的に展開してまいりたいと考えております。  続きまして、本県が誘致すべきMICEの選択に関する方針と誘致活動の内容についてお答えいたします。  MICEの誘致、開催は、ビジネスイノベーションの創出や経済の活性化とともに、国際観光都市としての魅力の向上にもつながり、当地域に新たな飛躍をもたらすものと考えております。  この観点から、本県は、これまでも生物多様性条約のCOP10やESDユネスコ世界会議などの大規模国際会議や技能五輪全国大会など、環境首都あいち、物づくり王国愛知にふさわしいMICEを誘致してまいりました。  昨年四月には、名古屋市を初め、地元の大学関係者や経済界とともに、愛知・名古屋MICE推進協議会を設立し、国際会議を初めとするMICEの誘致を進めております。  今後も引き続き、日本の玄関口セントレアを含むすぐれた交通アクセス、豊富な国際会議の開催実績のほか、世界有数の産業集積、六名のノーベル賞受賞者を輩出するなど、充実した教育・研究環境など、この地域の魅力を強力にアピールすることが重要であると認識しております。  さらに、二〇一九年秋には、空港島に展示面積六万平米の日本で初めての国際空港隣接型となる大規模展示場が開業いたします。アジアを中心に、海外、国内の主要都市からの良好なアクセスに加え、空港島や近隣には宿泊施設や商業施設など、充実したMICE環境が整っております。  県といたしましては、これらのすぐれた地域の強み、受け入れ環境を十分に活用し、愛知の国際的知名度の向上と地域の活性化につながるような国際会議や展示会、イベントなどを国内外から積極的に誘致してまいりたいと考えております。 11: ◯警察本部長桝田好一君) 交通事故抑止についてお尋ねをいただきました。  初めに、第十次愛知県交通安全計画に示された交通事故死者数の目標とその実現に向けた具体的対策についてお答えをいたします。  愛知県では、昭和四十六年以降、交通安全計画を策定し、交通死亡事故の抑止に向けた対策に取り組んでおります。  過去の目標の達成状況を死者数について見ますと、第七次と第九次の計画では目標を達成できなかったものの、第八次の計画では目標を達成することができたところでございました。  第十次愛知県交通安全計画では、平成三十二年までに交通事故死者数を百五十五人以下とするという目標が掲げられておりますが、近年で最少の交通事故死者数は平成二十六年の二百四人でありますので、四十九人の差があるところであります。  今後、高齢者人口の増加が見込まれる中、意欲的な目標ではありますが、人優先の交通安全思想が普及し、文字どおり県民総ぐるみで交通死亡事故抑止に取り組むことができましたら、その達成は可能であると考えております。  県警察におきましては、高度な交通事故の分析に基づき、参加・体験・実践型の交通安全教育、信号無視や横断歩行者妨害など交差点関連違反の取り締まり、信号灯火のLED化など、交通安全施設整備を総合的かつ効率的に講じてまいります。  また、交通安全教育や広報啓発はさまざまな主体により実施することができますことから、自治体や企業等との連携を一層緊密にし、交通安全思想の普及徹底に努めてまいりたいと考えております。  次に、優良運転者の運転免許証、いわゆるゴールド免許制度についての見解についてお答えいたします。  ゴールド免許の制度は、一定の期間、運転免許の行政処分の対象となる点数が付加されていない運転者にさまざまな優遇措置を講じることで、免許保有者の無違反を奨励し、もって交通事故の抑止を図ることを目的として平成六年に導入されたものです。  具体的な優遇措置といたしましては、運転免許の更新期間の延長や運転免許の更新時講習の簡素化などが挙げられます。  また、本県におけます取り組みといたしましては、平成十三年からゴールド免許の保有者であれば、住所地を問わず、県内全ての運転免許更新窓口で更新ができることとしているところでございます。  さらに、自動車の任意保険では、ゴールド免許による割引制度が設けられているなど、さまざまな主体によるゴールド免許に対する特典が設けられているものと承知しております。  ゴールド免許の保有者となることを目指すことで、その無違反が促され、結果として交通事故の抑止が期待されますことから、優遇措置について、広報啓発やその拡大の働きかけ等に努めてまいりたいと考えております。  また、交通安全教育や交通指導取り締まりなどを複合的に行うことで、運転者の交通違反を減少させ、もって交通死亡事故の抑止を図ってまいりたいと考えているところでございます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12: ◯四十番(石塚吾歩路君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 13: ◯議長鈴木孝昌君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 14: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 15: ◯副議長(森下利久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  下奥奈歩議員。     〔十三番下奥奈歩君登壇〕(拍手) 16: ◯十三番(下奥奈歩君) 日本共産党、下奥奈歩です。通告に従い、質問させていただきます。  最初に、若者支援について質問します。  若者支援の一つ目、奨学金についてです。  日本は、大学の学費が世界から見て異常に高い学費となっています。国立大学の昨年の年間授業料は年間五十三万円で、四十年前から十五倍値上がりしています。それに追い打ちをかけるように、安倍政権は、国立大学の学費を今後十五年間にわたって上げ続けるというとんでもない道に踏み出そうとしています。  財務省が国立大学への運営交付金を大幅削減して、自己収入で賄うようにと提案をしました。大学の自己収入の主力は、学生から集める学費です。自己収入で賄うということは、学費値上げにつながることになってしまいます。毎年値上げをしていけば、十五年後には四十万円増になる可能性もあります。しかし、逆に、交付金を毎年一・五%、百六十億円ずつふやせば、学費を十年後には半額に引き下げられます。  そこでお聞きします。  知事は、日本の学費が異常なほど高いという認識はありますか。また、さきに述べた学費そのものを下げていく提案について、どうお考えでしょうか。基本的な認識をまずお伺いします。  学費そのものの引き下げと同時に重要なのが、奨学金改革です。日本は、給付制奨学金もないという世界でもまれな特異な国になっています。  昨年の十一月にOECDが発表した教育に関する調査では、日本は授業料が高額で、学生支援体制が比較的未整備の国々に分類されました。そのため、日本の学生は、奨学金という名の借金を背負わされて、卒業時に三百万円が普通になり、大学院に進学すれば、一千万円もの借金を背負ってしまうというケースもふえています。卒業したら、待っているのは借金の返済という異常なことになっています。  日本共産党愛知県委員会は、奨学金返済の実態調査を行いました。その調査の中で、月々の返済について、かなり大変が二四・一%、どちらかといえば大変が四二%となり、七割近い方が奨学金の返済について大変だと感じていることがわかりました。  また、アンケートに寄せられた声の中に、返済するなら奨学金の意味がない、奨学金は経済的余裕のない家庭が利用するものであることをわかってほしい、私たちの世代は就職が思うようにいかないし、就職してもブラックな職場で長く続かない子もいます、奨学金を返済したくても仕事がないし、給料が低いなど、たくさんの不安の声が寄せられています。  奨学金問題の是正について、今、各地で取り組みが進められています。  岐阜県では、県出身大学生等のUターン促進のための奨学金制度を創設することになりました。長野県では、経済的な理由で進学を諦めている学生を支援しようと、全国で初めて入学一時金に相当する給付型奨学金を二〇一四年度から創設しました。  ほかの県は、独自に学生に対して支援しています。財政力のある愛知県で、MRJ支援や大規模展示場に使えるお金があるのなら、ぜひそのお金を愛知の学生たちの支援に使い道を切りかえ、若者がお金の心配なく学べる環境をつくるべきと考えます。  そこでお聞きします。  昨年の九月の一般質問で奨学金の質問をした際、意欲と能力がある学生などが経済的理由により進学を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境づくりとして、奨学金制度の充実が図られることは必要なことと思っておりますと答弁がありました。安心して学ぶ環境をつくるためにも、県独自の奨学金給付制度や無利子や減免など、返済支援制度を創設するべきと考えます。県の考えを改めてお示しください。  続いて、若者支援の二つ目、最低賃金について質問します。  日本の若者が働いても働いても貧困で苦しいというその根本にあるのは、賃金の絶対的な低さです。  日本共産党愛知県委員会が若い世代の働く実態調査を行いました。その中で、二人に一人が四百万円以下で生活していることがわかりました。また、アンケートに寄せられた声の中に、給料が低い、パートなのに社員がやらされるようなことをやらされている、昇給が少ない、業務内容に対して給料が少ないと思うという声がありました。そして、東三河の若者からも、従業員は労働に見合わない給料に希望をなくし、職場を去っていきますという声を聞きました。  このように、若者たちの間で格差や貧困が広がっているのに、最近、とんでもない貧困たたきがありました。愛知の若者たちがそれに反撃して、貧困で諦めなきゃいけない社会を変えたい、最低賃金千円にと声を上げています。  こういう中で、愛知県では、最低賃金が二十五円上がり、八百四十五円になりました。一カ月なら十五万円弱です。しかし、若者や愛知県労働組合総連合が求める時給千円には及びません。  私たちは、中小企業の社会保険料減免や賃金助成など、抜本的に中小企業支援を強化することを大前提にして、最低賃金を今すぐ千円に引き上げ、さらに、全国どこでも千五百円を目指し、愛知の若者が苦しまなくていい社会をつくることが何よりも大切だと考えます。  そこでお聞きします。  県として、若者の声を真摯に受けとめ、国に対し、最低賃金の大幅な引き上げを求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いします。  続いて、長時間労働の問題について質問します。  ことしの二月に、昨年、厚生労働省が過重労働解消キャンペーンの重点監督を行い、愛知労働局が東海地区で実施した調査結果を発表しました。そして、違法な時間外労働があった事業所は、東海地区全体で三百三十三事業所であることが明らかになりました。うち愛知県は、その約半数の百五十八事業所で、百時間以上、超えていました。過労死ラインを超えた長時間労働が横行していることがわかります。  日本は、三六協定を結べば残業を命じることができることになっています。限度基準もありますが、特別条項というものがあり、それによって幾らでも残業できる青天井になっています。  私たち日本共産党の志位和夫衆議院議員が国会で長時間労働の実態を告発して、トヨタ自動車が、厚労省が過労死ラインと呼ぶ八十時間の残業を三六協定で認めていることが明らかになりました。ほかにも、NTT東日本や王子製紙など、大企業が率先して長時間過密労働を行っていることも明らかになりました。愛知で大企業が率先し、労働者を過労死ラインを超えて長時間労働させている実態は異常だと考えます。  そこで伺います。  異常な労働環境を改善するために、大企業に対し、知事が長時間労働をやめるように申し入れることや、長時間労働ではなく、まともな労働時間で人間らしい労働環境をつくるキャンペーンを、愛知県として積極的に行うべきではないでしょうか。見解を伺います。  次に、東三河にかかわる重要問題、愛知の農業を壊すTPP交渉からの撤退を求めることに関して質問をします。  安倍政権は今、TPP大筋合意の後のTPP協定批准案など、臨時国会での国会承認を狙っています。TPPで関税を撤廃される農林水産物は八二・三%の品目に上り、農産物重要五品目でも二八・六%の品目で関税撤廃が約束されています。まさに農業破壊協定です。  私の住む豊橋を含む東三河は、農業が盛んな地域です。TPP協定が批准されてしまえば、農産物に大きな影響を与えてしまいます。私は、地元豊橋と田原の農家の方とTPP問題について懇談をしました。そこで、キャベツやブロッコリー関税撤廃で大きな打撃を受けてしまう、畜産農家は、TPPを見据え、自分たちの代でやめると言っている、知り合いの農家を訪ねたら、もう廃業していたという地元の切実な声を聞きました。また、食の安全は守られるのかという不安の声もありました。  愛知の農業を壊し、食の安全や命を脅かすという百害あって一利なしのTPP協定交渉からは撤退しかないと考えます。  そこで、二点伺います。  一点目、愛知県知事として、東三河を含め、県内農業全体を守る立場に立って、TPP協定批准を断念、撤退すべきと国に対して言うべきではないでしょうか。知事の基本的な考えを改めてお聞かせください。  二点目、資材や燃料の高騰で経営が厳しいという農家も多い、価格補償がなく、不安が大きいという話を聞きました。子供たちの前で経営が厳しい話をしてしまい、後継ぎの話が難しいという話もありました。TPPによる農業潰しではなく、農家の暮らしを守り、経営を安定させる価格補償や所得補償を充実させ、農業を次の世代に安心して引き継ぐ環境をつくることが大事だと考えます。  若者が安心して農業に励め、暮らせる条件を抜本的に整える農業政策に転換すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  続いて、東三河の医療に大きくかかわる、いわゆる地域医療構想について質問します。  地域医療構想は、国から都道府県に対して策定が求められているものです。愛知県も、地域医療構想案が発表されて、パブリックコメントが行われました。これは、国が医療費の削減を最大の目的とし、病床の機能分化とベッド数の削減で、患者を病院から施設へ、施設から在宅へどんどん締め出していく方針を進めるものです。  東三河南部は、特にベッド削減数がひどく、影響が大きい地域です。今、現在の病床数六千六百五床で、平成三十七年の必要病床数を五千二百十四床として、全体で千三百九十一床のベッド削減が構想の中で示されています。  地域医療構想では、長期にわたる入院の慢性期を減らして、在宅に、としています。しかし、その実態は、ひとり暮らし、老々世帯が多く、若い家族がいても、仕事をしているとか、看護の知識も経験もない家族には、二十四時間病人の世話をするのは、肉体的にも精神的にも大きな負担です。  また、東三河南部圏域地域医療構想調整ワーキンググループの会議の中でも、在宅医療について、住まいの問題や医師不足、介護負担などについて懸念の声が続出しています。  こういったもとで、東三河地域などでは、ベッドを減らすのではなく、むしろ充実の方向でこそ検討すべきです。医療全体を底上げしてほしいという東三河の関係者の声を十分酌み取った、深刻な、リアルな現状を踏まえた地域医療構想にすべきだと考えます。  そこで、二点伺います。  一点目、今述べてきた点も含め、知事は、地域医療構想についてどう認識していますか。国言いなりの強権的な病床削減、患者追い出しを狙った制度は中止、撤回し、必要な医療体制の維持、拡充を図る考えかどうか、見解を伺います。  二点目、また、医療法で病床数の是正を要請し、従わない場合には知事がペナルティーを課すことができ、公立病院には命令、指示ができますが、知事は絶対にしないとお約束できますか。答弁を求めます。  最後に、アジア競技大会について質問します。  九月二十五日のOCA総会で開催地が愛知・名古屋に決定しました。日本共産党は、開催地が決定した以上は、OCA総会の決定を尊重し、スポーツを通し、国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めるものです。同時に、今回の開催過程にはさまざまな問題があり、不安と疑問の声も多く各方面から出され、無条件で信任できるものではありません。  まず、このアジア競技大会は、日程ありきで進められています。しかし、OCA規則第四十四条で、開催都市について、OCA総会は、できるだけ最低八年前までに開催を決定するものとするとしています。今、十年前の時点で県民、議会と議論することなく、焦って立候補を決める必要は全くありませんでした。  また、大会の内容について、多額の県民の税金を使うにもかかわらず、大会費用の試算と根拠が全く示されてきませんでした。そして、名古屋市長が市と県の負担割合や費用を示さない県当局のやり方に対し、懸念を示し、取り下げの意向を示すという事態も起こりました。そこで、やっと県当局は、負担割合と費用を公表するに至りました。  この一連の経過は、愛知県の進め方が無計画で無責任であることをはっきり示しています。さらに、アジア競技大会推進の背景として、国際競争力の強化やリニアなどのアピールが強調され、大規模展示場、中部空港二本目滑走路など、大型開発の口実にもなっています。  私たちは、アジア競技大会そのものについて、スポーツを通じて、アジアを含めた国際平和と友好を促進し、スポーツの振興やアスリートたちの願いに寄り添うものであってほしいと考えます。  そこで伺います。  第一に、この間の一連の経過について明確な、丁寧な説明を求めます。  第二に、開催決定のシステムに疑問があります。不透明であり、正確に説明を求めます。  第三に、大会のあり方、基本姿勢について、スポーツの大会は県民が主人公です。十分に県民の声を聞き、スポーツの発展や環境の保全、アジアの平和友好に貢献するよう議論すべきですが、どう考えますか。  第四に、不明瞭な点があり、不確定要素が数多くある大会事業総額や費用、県、市の負担額について、どのようにコンパクトにするのか、明快な答弁を求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) 17: ◯県民生活部長川島毅君) 若者支援についてのお尋ねのうち、大学の学費についてお答えをいたします。  経済協力開発機構、いわゆるOECDが加盟国における教育の状況を毎年調査しており、それによれば、学費の中心となる授業料は、日本の国公立大学等は高いグループに分類されていると承知をしておりますが、税負担の水準や大学の進学率など、それぞれの国の事情の中で決められているものと認識をしております。  また、国立大学の授業料について、文部科学省では、従来から教育の機会均等の理念を踏まえながら、大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点、私立大学の授業料の水準など、社会経済情勢等を総合的に勘案して改定を行ってきていると承知しております。
     次に、奨学金についてお答えをいたします。  平成二十七年九月議会において御答弁申し上げたとおり、意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境づくりとして、奨学金制度の充実が図られることは必要なことと思っております。  大学生の奨学金制度は、主に文部科学省が所管する独立行政法人日本学生支援機構において、奨学金貸与事業が実施されておりますが、より安心して学ぶ環境をつくるため、文部科学省では、貸与人員の増による無利子奨学金の充実、返還月額が卒業後の所得に連動する新たな所得連動返還型奨学金制度の導入、給付型奨学金の創設など、制度の充実に向けた検討が進められております。  県としましては、国に対し、全国知事会などを通じて、奨学金制度の充実強化が図られるよう要請しており、今後とも国の検討状況を見守ってまいります。 18: ◯産業労働部労政局長間所陽一郎君) 最初に、若者支援のお尋ねのうち、最低賃金についてであります。  県民の暮らしを豊かにし、地域を活性化していくためには、地域経済を支えている労働者の賃金の底上げを図り、結婚や子育てがしやすく、安心して働ける環境を整えていくことは非常に大切であると考えております。  最低賃金につきましては、国の中央最低賃金審議会において、各都道府県の賃金水準や失業率、物価指数などから引き上げ目安額が示され、それをもとに地域の労使双方が参加する地方労働局の地方最低賃金審議会において、地方労働局長が金額を決定することとなっており、今年度は全国加重平均で二十五円の引き上げと、平成十四年度以降最大の引き上げとなっております。  賃金引き上げの環境を整えるためには、地域経済の好循環を進めていくことが重要であり、賃金の決定においては、労使の十分な議論、合意が必要であると考えております。  次に、長時間労働の問題についてのお尋ねであります。  時間外労働は、労働基準法に基づく、いわゆる三六協定を労使間で締結し、労働基準監督署に届け出ることで、法の範囲内で行うことができるものです。  しかし、一方で、長時間の労働は心身の疲労回復を阻害し、過労死や精神的な不調につながるおそれがあり、子育てや介護等との両立をも困難にするとともに、企業にとっても優秀な人材の確保や定着に悪影響を及ぼすと考えられることから、その是正は大変重要な課題であると認識しております。  県といたしましては、平成二十七年二月に愛知労働局と県、労使関係団体とともに、時間外労働の抑制や休暇取得の推進を盛り込んだ愛知働き方改革に向けた共同宣言を行うとともに、中小企業を対象に、適正な労働時間管理や働き方改革をテーマとした労働講座を県内各地域で開催するなど、長時間労働の是正に向け、周知啓発に努めております。  さらに、あいちワーク・ライフ・バランス推進運動を七月一日から展開しており、その中で、長時間労働による過労死等を防止し、労働者が健康で充実した生活を送るために、一人一人の働き方の見直しを行うことを目標の一つに掲げ、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進など、各労使、経済団体等を通じて、積極的に賛同を呼びかけているところであります。  特に、十一月の第三水曜日には、当日を愛知県内一斉ノー残業デーとして、知事みずからが定時退庁を呼びかける街頭啓発活動を行うとともに、市町村と連携した啓発を進めることとしており、時間外労働の削減に向けた機運の輪を地域、企業に広げるよう取り組んでまいります。 19: ◯農林水産部長加藤正人君) 農業分野のTPPに関するお尋ねのうち、まず、県内農業を守る観点からのTPPに対する考え方についてであります。  本県は、付加価値の高い物づくりを行っている日本一の産業県であり、世界のGDPの約四割というかつてない規模の経済圏、人口八億人という世界市場が創出されるTPPにしっかりと対応する必要があると考えております。その一方で、農業関係では、関税引き下げ等による国内生産への影響、その中でも、畜産分野での影響が懸念されるところであります。  このため、県といたしましては、肉質と発育にすぐれた新たな系統豚の開発を行うほか、乳用雌牛の増産や、畜産クラスター事業による施設整備の支援など、高収益型の畜産を実現するための取り組みを進めているところであります。  今後とも、TPPの発効を見据えつつ、こうした攻めの対策にしっかりと取り組むとともに、国に対しても万全の措置を求めてまいります。  次に、農業政策についてであります。  農林水産分野におけるTPP対策として、国では、攻めの農林水産業への転換とともに、経営安定、安定供給のための備えを進めることとしております。  その中で、自然災害による収量の減少や、価格低下などによる収入の減少を補填する新たな収入保険制度や、畜産の価格補償制度の充実が検討されております。  県といたしましては、農業者の減少や、TPPを初めとするグローバル化の進展など、本県農業が大きな転換点にあることを踏まえ、本年三月に食と緑の基本計画二〇二〇を策定いたしました。  この中で、新たに、次代の「やる気」応援!農業担い手プロジェクトを初め、本県の強みや特徴を生かした十二の重点プロジェクトを掲げ、効果的な施策の展開を図っているところであります。  今後とも、国の制度も有効に活用しながら、生産者が将来に希望を持てる競争力の高い農業の実現を目指して、しっかりと取り組んでまいります。 20: ◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 地域医療構想についての御質問のうち、まず、本県の認識についてお答えいたします。  今後、急速な高齢化の進行に伴い、複数の慢性疾患等を抱える高齢者が大幅に増加するなど、疾病構造の変化が見込まれております。  地域医療構想は、このような状況に対応するため、いわゆる団塊の世代の方々が七十五歳以上となる平成三十七年を目標年次として、将来のあるべき医療提供体制の姿を明らかにし、地域医療関係者の皆様と一丸となってその実現を目指すものであり、決して御指摘のような病床削減等を目的としたものではないと認識しているところでございます。  次に、医療法上の知事の権限についてお答えいたします。  地域医療構想は、将来の医療需要の変化を踏まえた医療機関の自主的な取り組み及び医療機関相互の協議により、その実現を図っていくものであると考えております。このため、県では、構想区域ごとに、仮称ではございますが、地域医療構想推進委員会を設置し、地域医療関係者の皆様と連携を図りつつ、構想の実現に向けた協議を進めてまいります。  一方、医療法では、協議が調わない場合の知事の権限として、医療審議会の意見を聞いた上で、公的医療機関等に対し、不足している病床の機能区分に係る医療を提供するよう指示できると規定されております。  また、同じく、公的医療機関等に対しては、正当な理由がなく稼働していない病床がある場合に、その削減を命ずることができるという規定も設けられております。  これらの権限は、不足している医療機能の充足や未稼働病床の削減を求めるものであり、稼働している病床を削減させるものではございませんが、いずれにしても、本県といたしましては、地域医療構想の実現に向け、医療機関の自主的な取り組みや協議を支援し、県民の皆様が将来にわたり安心して医療を受けられる体制づくりを着実に進めてまいりたいと考えております。 21: ◯振興部長植田昌也君) アジア競技大会に関する御質問のうち、まず、名古屋市の共催復帰の経緯についてお答えいたします。  開催構想策定に当たり、大会経費については、アジア・オリンピック評議会(OCA)から契約条件が全て示されていないなど不確定要素が多い中、本県では、さまざまな前提条件を想定し試算を行い、名古屋市と協議をしてまいりました。  また、県と市の負担割合につきましても、本県は一対一、名古屋市は三対一あるいは二対一など、さまざまな考えにより議論をしてまいりました。  このような中、名古屋市は、大会経費及び負担割合について、粗々なものであっても公表すべきと主張していたのに対し、本県としては、不確定要素が多いため、より精査できた段階で公表すべきとの考え方を示しておりました。そうしたところ、九月五日に名古屋市は一旦立候補の取り下げを表明されました。  これに対し本県は、日本オリンピック委員会(JOC)への立候補意思表明書の提出やOCA・JOC評価委員会の現地視察の受け入れなど、共催を前提に招致活動を行ってきたため、九月六日以降、名古屋市の共催復帰に向け真摯に協議を行ってまいりました。その結果、九月二十日に大会主催者負担経費や負担割合などについて県、市で合意をし、九月二十五日のOCA総会に知事と河村市長がそろって出席し、愛知・名古屋の開催が決定されたところです。  次に、開催決定システムについてですが、大会主催者であるOCAの説明によると、開催都市を公募して決定する方式から、公募を行わず、開催を希望する都市の中から大会運営能力があると見込まれる都市を見きわめた上で招待する方式に変更したと伺っております。  今回も、JOCが三月に行った国内立候補都市の募集に対して、五月に立候補意思表明書を提出したところ、七月二十一日、二十二日にOCA・JOC評価委員会が当地を視察に訪れ、高い評価をいただきました。名古屋市とともに招待を受けて参加した九月二十五日のOCA総会では、知事を初めとする関係者がプレゼンテーションを行い、その結果、愛知・名古屋での開催が決定されたところです。  続いて、アジア競技大会を開催するに当たっての大会のあり方、基本姿勢についてお答えします。  開催構想でも記載しているとおり、アジア競技大会は、スポーツを通じ、アジアの人々が尊敬や友情によって結びつき、アジア地域の親善及び平和に寄与するすばらしいスポーツ大会と認識しております。  こうした国際的な大会を成功させるには、県民はもとより、OCAやJOC、国内外の競技団体、市町村、スポンサーなど、さまざまな関係者の意見を聞きながら進めていかなければならないと考えております。  OCA総会でお示しした開催構想をもとに、こうした方々の意見を伺いながら、アジア競技大会の成功に向け取り組むとともに、スポーツ振興や国際親善などにつなげられる取り組みについても検討してまいります。  最後に、大会主催者負担経費と行政負担額の圧縮についてです。  大会主催者負担経費八百五十億円のうち、運営経費四百四十億円につきましては、仁川大会との比較で経費の全体額を見積もったものであり、個別の項目を積み上げたものではありません。また、競技会場仮設整備費百十億円と選手村仮設整備費三百億円につきましても、OCAからの条件が不明確な中、他の国際大会を参考に一定の想定を置き、積算したものであります。  このため、経費を精査していくためには、OCAや国際競技団体など関係者と調整しながら、競技会場や選手村の計画を具体化していく必要があります。その際には、できるだけ経費を圧縮できるよう調整してまいります。また、県、市の行政負担額ができるだけ少なくなるよう、入場料収入やスポンサー収入等の確保に努めてまいります。 22: ◯十三番(下奥奈歩君) 答弁いただき、ありがとうございます。  最後に、三点要望します。  一点目、奨学金について、これだけ多くの若者の声があるにもかかわらず、県は、国の検討状況を見守ってということで、見るのは国のほうであって、県内の若者のほうは見ないという、県の国言いなりの態度がよくわかりました。  もっと若者の声を聞き、誰もがお金の心配なく通え、そして、卒業後も奨学金という名の借金に苦しまなくてもいいように、県独自の奨学金給付制度、無利子や減免など返済支援制度の創設を強く求めます。  二点目、地域医療構想について、県民をごまかす答弁をしてはいけません。県が示した構想案では、先ほども申し上げましたとおり、東三河は千三百九十一床病院のベッドが削減されるという計画になっています。また、二十七日の代表質問の際、地域医療構想について、知事は答弁の中で、できるだけ入院せずに住みなれた地域へということも言っており、患者追い出しであることは明らかです。  また、医療法の規定により、公立病院に知事が指示、命令することに対し、今まで健康福祉部とのやりとりでは、自主的に判断してもらう、知事がすぐに命令するわけじゃないとしていました。しかし、本当に命令しませんねと聞くと、法律に書いてあることは事実であり、社会情勢が変わってくるし、将来のことまではわからないと言いました。  さらに、本日の答弁でも、知事が公立病院に対し指示、命令を行い、従わない場合はペナルティーを課すということも、約束をするという答弁がなかったので、こういうペナルティーを課すということが、きょうこの中ではっきりしたと思います。余りにもひど過ぎます。地域医療を崩壊し、県民の命を脅かす地域医療構想ではなく、ベッドをふやし、医師や看護師も充実させて、誰もが安心して医療を受けられる体制をつくることを強く求めます。  三点目、TPPの問題について、今の国会でも影響は小さいとする政府試算の根拠が崩れそうな疑惑が大問題になっています。TPPの影響は甚大です。特に、先ほど答弁の中にもありましたように、畜産への影響は大きいことは明らかです。東三河や知多の畜産を先頭に、愛知県農業への支援強化をしていくことと、農業を守るためにもTPP交渉からの撤退を国に対して言うべきということも改めて強く求めます。  最後に、大企業優遇や国言いなりの県政ではなく、若者が諦めなくてもいい社会と希望を持てる県政の実現、県民の立場に立って、命、暮らし、福祉、医療を守る県政の実現を求め、要望とします。 23: ◯副議長(森下利久君) 進行いたします。  伊藤辰夫議員。     〔六十八番伊藤辰夫君登壇〕(拍手) 24: ◯六十八番(伊藤辰夫君) それでは、通告に従いまして、順次質問をいたします。  初めに、訪日外国人旅行者の誘客についてお尋ねをいたします。  平成二十年十月、議員提案により愛知県観光振興基本条例が制定されました。県は、この条例に基づき、平成二十二年度から二十七年度までを計画期間とする愛知県観光振興基本計画を策定し、各種施策に取り組んできました。そして、本年二月には、同計画の期間満了に伴い、最新の国の動向や社会経済情勢の変化を踏まえ、平成二十八年度から五年間を計画期間とするあいち観光戦略を策定いたしました。  この戦略は、観光を本県の新たな戦略産業と位置づけ、あいち観光元年宣言を受けて、県が取り組むべき具体的なプロジェクトを盛り込んだアクションプログラムとなっています。  あいち観光戦略の目指す姿には、「発見、感動、伝えたい観光県─あいち」を掲げ、この目指す姿に近づくため、戦略的な情報発信、幅広い県民参加、重点・牽引型という三つの視点を備え、訪日外客誘致に向けたプロモーションと受入態勢の強化、観光資源の充実とブランド化の推進、観光交流拠点県としての機能強化、MICE・スポーツ大会を通じた誘客推進、戦略的な観光ひとづくり、民間活力の活用の六つの戦略のもと、それぞれに重点プロジェクトを掲げており、各施策に着手したところと認識しております。  国においては、訪日外国人旅行者数が三年連続で最高記録を更新し、二〇一五年には過去最高となる千九百七十三万人になったことから、三月三十日に内閣総理大臣を議長とする明日の日本を支える観光ビジョン構想会議において、観光先進国への新たな国づくりに向け、明日の日本を支える観光ビジョンを取りまとめました。  このビジョンは、世界が訪れたくなる日本を目指し、二〇二〇年の訪日外国人旅行者目標数を二〇一五年の約二倍となる四千万人へと大幅な上方修正を行うとともに、新たに外国人リピーター数を二千四百万人にふやすことを掲げており、政府一丸、官民一体となって観光ビジョンの実現に向けて各種施策に取り組んでいます。  この新たな観光ビジョンの前書きに、まず、我が国の豊富で多様な観光資源を誇りを持って磨き上げ、その価値を日本人にも外国人にもわかりやすく伝えていくとあるとおり、先日のリオデジャネイロ五輪の閉会式では、有名なアニメキャラクターを使って、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックをPRしたわけですが、これも我が国の知名度向上、イメージアップにつながる積極的な取り組みのあらわれの一つと言えます。  こうした取り組みの効果などにより、ことしの訪日外国人旅行者数も八月まで各月で前年同月を上回り、順調に増加してきております。  私は、このような訪日外国人旅行者数増加という上向きの流れを維持し、さらに加速していくためには、本県としても愛知のよさをより多くの人々に知っていただき、愛知に来たいと思ってもらえるような直接、間接の情報発信を積極的に行うことが重要であると考えます。  本県にはさまざまな観光資源がありますが、例えばインターネットの観光情報サイト、トリップアドバイザーが七月に発表した、行ってよかった!工場見学&社会科見学ランキング二〇一六という日本全国の産業観光施設に関する人気調査では、トヨタ産業技術記念館の一位を初め、リニア・鉄道館が六位、トヨタ会館が九位など、上位二十位までに愛知県内の五つの施設がランクインをしています。  また、SNSによる発信がきっかけで誘客につながった事例では、海外のメディアからもその人気ぶりが発信された東山動植物園で暮らすゴリラのシャバーニが挙げられると思います。この結果、東山動植物園には、イケメンゴリラとして大人気となったシャバーニ目当てのお客さんがたくさん訪れ、昨年開催されたシャバーニの誕生日イベントには五百人ものファンが駆けつけたそうです。また、ことしの夏公開されたハリウッド映画のポスターに起用されるなど、シャバーニの人気は続いております。  情報発信次第でゴリラのシャバーニのように意外な観光資源が話題となり、海外のメディアで取り上げられることにより人気が出て、本県への訪日外国人旅行者の誘客につながることがあるのではないでしょうか。  これらの例示を上げるまでもなく、本県には、国宝犬山城に代表される歴史的な施設や、ことしの秋のユネスコ無形文化遺産登録を目指している県内五地域の山・鉾・屋台行事、既に全国的な知名度が高くなっているなごやめし、徳川家康と服部半蔵忍者隊による名古屋城や中部国際空港でのおもてなし、各種アトラクションが人気のラグーナテンボスに加え、来年四月には名古屋市港区にレゴランドが開設されるなど、発信すべき情報が盛りだくさんです。  そこでお尋ねをします。  あいち観光戦略の戦略I、訪日外客誘致に向けたプロモーションと受入態勢の強化では、情報発信の充実・強化を重点にプロジェクトとして挙げており、訪日外国人旅行者の誘客に向けては、「ハート・オブ・ジャパン~テクノロジー&トラディション」をキャッチワードとし、ウエブページやSNSを活用した発信、海外での観光説明会や商談会の開催など積極的に行われていますが、どのような情報発信をこれまで行ってこられたのか、また、それに対する反応についてお伺いします。  続けて、お尋ねをします。  外国人旅行者の誘客に向け、さらなる情報発信の充実強化が必要不可欠と考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。  次に、県有施設の耐震化について質問をいたします。  平成二十三年の東日本大震災の記憶が新しい中、本年四月に熊本地震が発生いたしました。この地震では、マグニチュード六・五の前震の後にマグニチュード七・三の本震が直撃し、震度七を二回観測したほか、多くの余震により建物の全半壊が約三万七千棟、土砂災害や宅地被害も数多く発生し、現在までに関連死を含め百十四名の方がお亡くなりになっております。改めて御冥福をお祈りします。  この熊本地震では、自宅が被害に遭われた方や、たび重なる余震により自宅での生活に不安を感じられた方など、非常に多くの方が避難所での生活を送られていました。地震直後には避難された方が十万人以上にも上ったとのことであります。  自宅を失われた方に向け、熊本県は、九月二十六日付の情報でありますが、応急仮設住宅を十六市町村に百九団地四千二百九十三戸を整備することとしており、現在のところ約九〇%が完成したとのことです。しかしながら、現在でも三百五十名以上の方が避難所生活を送られているようでありますので、応急仮設住宅の早期完成を切に願う次第であります。  本県では、この熊本地震の発生直後から建築技術職員などを派遣し、被災建築物応急危険度判定、被災宅地危険度判定の業務や、その後の応急仮設住宅の建設に従事されたと聞いております。  応急危険度判定は、被災後にこのまま建物を使用してよいのか、立ち入りを注意あるいは禁止すべきなのかといった判断を技術的観点から行うものであります。また、応急仮設住宅の建設は、避難所生活を解消させるためにも早期の対応が望まれるものであります。  こういった熊本県の応急対策に本県の職員が携わることができたのは、熊本県の皆様のお役に立てただけではなく、南海トラフ巨大地震の発生が危惧されております本県にとっても貴重な実体験であったと思います。派遣された職員の皆さんが熊本県で得た経験や教訓を職員間で共有し、いざというときに活用できるよう期待しております。  さて、今回の熊本地震では、災害発生時の防災拠点である市役所などが地震による建物本体の損傷で使用制限を受けるなど、防災拠点としての役割が果たせない事例が多く発生いたしました。  幾つか事例を挙げますと、昭和四十年に建設された宇土市役所は、四階部分が完全に押し潰されて倒壊寸前となり、建物への立ち入りが禁止され、建物内部に書類等が取り残される事態となりました。幸いにも、地震の発生が夜間であったため、人的被害は発生しませんでしたが、その後の応急・復旧活動に大きな影響を与える事態となりました。  宇土市役所ほどの被害ではありませんでしたが、昭和三十七年に完成した人吉市役所は、倒壊のおそれがあるため使用停止となり、窓口業務を六百メートル離れた別館に移すことになりました。  また、昭和四十七年に完成した八代市役所は、壁や柱に多数のひび割れが発生し、使用禁止となり、その後の事務は市内の十四カ所に分散して対応することになりました。  これらの市役所は、いずれも昭和三十年代から四十年代に建設された旧耐震基準の建物でしたが、小中学校の耐震化を優先したことで市役所が後回しになったり、財源不足で建てかえがおくれたりしたことで耐震化がなされていませんでした。改めて防災上の拠点となる公共施設の耐震化が重要であるとの認識を深めた次第であります。  また、熊本地震では、建物本体の被害のほか、内外装材の破壊、脱落、ガラスの破損、飛散、照明、空調、高架水槽、受変電設備等の設備機器の落下、転倒、エレベーターの閉じ込めなど、建物本体以外の仕上げ材や設備機器、いわゆる非構造部材等と称される部分についても多くの被害が報告されています。  その中でも、避難所として予定していた公共施設が使用できなくなった事例が発生しております。指定避難所である益城町総合体育館は、平成十年に完成した新耐震基準の適合施設であり、建物本体の損傷はありませんでしたが、メーンアリーナのつり天井や照明が落下し、使用不可となりました。緊急対策が完了するまで一カ月以上避難所として使用できない状況が発生しましたが、それでも多くの避難者がアリーナ外のエントランスや廊下にダンボールを敷いて生活をされていました。  グランメッセ熊本は、指定避難所ではありませんでしたが、当初多くの避難者を受け入れました。しかし、四月十六日に発生した本震において、ガラスや天井が落下するなど被害が生じ、避難所は閉鎖され、避難者の多くは屋外の駐車場にとどまるような事態となりました。  また、施設名称は公表されていませんでしたが、国土交通省の調査では、七つの公共施設の天井脱落に関する報告がなされています。このようなつり天井の脱落による被害は、平成七年の阪神・淡路大震災、平成十三年の芸予地震、平成十五年の十勝沖地震、平成十七年の宮城沖地震など発生しております。  また、平成二十三年の東日本大震災では、東京の九段会館、川崎市のシンフォニーホール、茨城空港ターミナルビルなど、震源から遠く離れた建物や新しい建物にもつり天井の脱落被害が発生しました。これらは、建物本体の被害がほとんどないにもかかわらず、つり天井の被害が発生し、中でも九段会館では、死者二名、重軽傷者三十一名の痛ましい事故となりました。このような被害状況を受け、国土交通省は、平成二十五年七月に建築基準法を改正し、新たに建設する建物については、大規模なつり天井の安全性の強化を義務づけられたところです。  さて、本県では、平成二十六年十二月に南海トラフ巨大地震を想定した第三次あいち地震対策アクションプランを策定いたしました。このアクションプラン中の対策の柱、一、命を守るにおいては、県有施設の耐震化の推進が位置づけられ、具体的には、構造体の耐震改修と非構造部材等の耐震化状況の把握と耐震化の推進の二項目が挙げられています。まさに、これらは熊本地震で突きつけられた公共施設の耐震化に向けた教訓そのものであります。  そこでお伺いをいたします。  まず、一般県有施設の建物本体の耐震化の推進についてであります。  さきに述べたとおり、熊本地震では、防災拠点施設の耐震化を先送りにした結果、残念なことに建物に致命的な被害が生じ、被災後の対応に支障を来す事例が多数ありました。本県におきましては、旧耐震基準で建築された一般県有施設で耐震改修工事が必要とされた建物について、平成十四年度から耐震改修を計画的に実施し、平成二十七年度までに完了する予定であると聞いておりましたが、その実施状況はどうであったのか、お伺いをいたします。  続いて、一般県有施設の非構造部材等に関する耐震対策であります。  過去の地震においては、内外装材、ガラス、設備機器、昇降機などの非構造部材等の被害が生じております。これまで述べてきたように、熊本地震や東日本大震災では、つり天井の脱落による施設の使用停止や人的被害などが起きております。  そこで、第三次あいち地震対策アクションプランで位置づけられた一般県有施設の非構造部材等の耐震化について、今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。
     以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 25: ◯振興部観光局長加納國雄君) 訪日外国人旅行者の誘客に向けたこれまでの情報発信とそれに対する反応についてお答えします。  昨年度開設した愛知の公式観光情報ウエブサイト、Aichi Nowにおいては、多言語による発信として、日本語のほか、英語、中国語の簡体字、繁体字、韓国語、さらにことしの八月末からは、新たにタイ語のホームページを開設いたしました。あわせて、愛知県に在住の外国人、日本人によるSNSを活用した情報発信を進めております。  また、海外の旅行会社やメディアに対する情報発信として、訪日外国人旅行者数が七割強を占める東アジアをターゲットにして、昨年度から本県単独で観光説明会、商談会を開催しております。ことしは、韓国、台湾、中国の広東省で実施したほか、台湾と広東省では国際旅行博にも初めて出展し、現地の一般の方々へのPRも進めております。さらに、ことしから年四回程度、観光説明会などに参加した海外の旅行会社に対して、愛知の季節ごとの旬な観光モデルコースを紹介するメールマガジンを配信しております。  こうしたことから、Aichi Nowのページ閲覧数は、ことし三月末の月間約六万ページから、八月末には月間約四十万ページと大幅に増加しており、最新の地元情報を発信しているフェイスブック等のSNSも、八月末で十三万人を超えるフォロワーに支持されております。  こうした取り組みにより、ことし上半期の訪日外国人旅行者数は、前年同期比で全国は約二八%の増加であるのに対して、本県では約三二%の増加と全国を四ポイント上回り、実数では二十八万人増加の百十六万人が本県を訪れております。  次に、訪日外国人旅行者の誘客に向けた今後の情報発信の充実強化の取り組みについてです。  本県には、議員御指摘の産業観光施設、城や史跡、山車、からくり、なごやめしを初め、現在整備中のあいち航空ミュージアム、鎌倉時代から奥三河の各地に大切に伝承されている花祭といった日本文化、一万本の桜が秋の紅葉と相まって絶景が広がる小原の四季桜や、四谷の千枚田などの美しい自然、古くから盛んな醸造文化など、特有な魅力ある観光資源が数多くあります。  このため、十月中旬から県内を旅行した外国人みずからが発見し感動した、とっておきの愛知を撮影した写真をフェイスブックやツイッターなどのSNSを活用して投稿していただくセルフィーキャンペーンを予定しております。この取り組みにより、外国人旅行者の琴線に触れた本県の魅力を世界に発信するとともに、多くの外国人旅行者に来県を促す動機づけにしたいと考えております。  また、十月、十一月には、中国を初め訪日外国人旅行者数が増加しているアジア五カ国・地域の旅行会社やメディア、有力なブロガーを招請し、中国は温泉、ベトナムは神社など、各市場の特徴やトレンドに合わせて県内各地を視察、体験していただき、本国での旅行商品造成や情報発信を促すこととしております。 26: ◯建設部建築局長(尾崎智央君) 一般県有施設の耐震化についてお尋ねをいただきました。  まず、建物本体の耐震化の状況でございます。  一般県有施設については、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築された建物のうち、延べ面積二百平方メートル以上で県民の方が利用する施設及び災害対策・救護などに使用する施設、計五百七十三棟を対象に、平成八年度から耐震診断を実施いたしました。  この結果、建物の構造安全性の指標であるIs値が〇・六未満である耐震性の低い建物が二百三棟あることが確認されました。このうち、対象施設の所管部局が耐震診断の結果を踏まえ、建てかえや廃止などを行うとした七十八棟を除き、残る百二十五棟について耐震改修を実施することといたしました。  建物本体の耐震改修工事については、平成十四年度からその耐震性能や用途、利用状況などを勘案し、優先度を判断しながら計画的に進めてまいりました。平成二十七年度には、消防学校雨天訓練場を初め十五棟の耐震改修工事を行い、対象とした百二十五棟全ての耐震改修を完了したところでございます。  次に、一般県有施設の非構造部材等の耐震化についてお答えいたします。  大規模な地震が発生した場合、建物本体に耐震性があっても、内外装材や建築設備などが落下すれば、人命が失われたり、業務の継続に支障を来すおそれがあります。熊本地震においても、大規模なつり天井が脱落し、避難所として使用できない事例が多数ございました。  平成二十五年七月に改正された建築基準法では、人が日常的に利用する場所に設置されている高さ六メートル、面積二百平方メートルを超えるつり天井については、構造計算による安全性の確認や振れどめ等の対策が義務づけられたところです。一般県有施設については、建てかえや廃止などを検討中の施設を除き、この基準に該当する天井が十三施設十八室ございました。  そこで、昨年度は、施設管理者と協議の調った愛知県図書館と自治研修所の二施設において、つり天井及びこれに付随する照明器具、空調機器などの固定方法や老朽化の状況等について調査を行い、改修方針などを検討する基本調査を実施いたしました。今年度は、これら二施設の改修工事を行うための実施設計と残る十一施設の基本調査を行っているところであります。  今後も、つり天井及びこれに付随する建築設備の耐震化を計画的に実施していくとともに、その他の非構造部材等につきましても、平成二十六年度に策定された愛知県公共施設等総合管理計画に基づき、各施設の長寿命化に向けた取り組みを進めていく中で、脱落防止等の対策を講じてまいります。 27: ◯知事(大村秀章君) 伊藤辰夫議員の質問のうち、訪日外国人旅行者の誘客について、私からもお答えをいたします。  私は、今月七日から中国の広東省を初め、アジア各国を訪問し、県議会の皆様方とともに交流を深めてまいりました。  広東省では、交流と協力を推進するための覚書に基づき、中国を代表する国際旅行博の一つである二〇一六中国国際旅遊産業博覧会に参加してまいりました。博覧会会場では、徳川家康と服部半蔵忍者隊と一緒になって、本県ブースのみならず、広東省最大手の旅行会社が設けたステージでも愛知のPRを行ったところ、中国メディアや現地の方々に大変好評でありました。  また、観光説明会、商談会の冒頭で行った忍者隊による演武が現地旅行会社やメディアに大きなインパクトを与えた様子でありまして、商談会では、熱心に質問する姿が見られるなど、本県のPRに大きな効果があったと考えております。  今後も、引き続きこうした海外での観光説明会、商談会を初め、一人でも多くの外国人に届くような情報発信を国・地域別に実施し、本県への誘客に努めてまいります。 28: ◯六十八番(伊藤辰夫君) それぞれ御答弁をいただきありがとうございました。  一点要望させていただきます。  訪日外国人誘客に向けた情報発信、インターネットを活用したり、あとは海外でのPR事業等、積極的にされているという御答弁をいただきました。  海外の観光客は、為替の変動なんかでいろいろ障害はあるかと思いますけれども、国が挙げて取り組んでいることでありますので、今後も着実にふえていくんだというふうに感じております。来訪者も、団体ツアーだけじゃなくてリピーターとか個人客もふえて、それがさらにどんどんと地方に広がりを見せていくというふうに思っております。  本県も、このようなチャンスを生かして、引き続き積極的な情報発信を行うことで、知名度向上、外国人観光客のさらなる誘客に努めていただけるよう要望いたします。ありがとうございました。 29: ◯副議長(森下利久君) 進行いたします。  犬飼明佳議員。     〔三十一番犬飼明佳君登壇〕(拍手) 30: ◯三十一番(犬飼明佳君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、三項目について質問いたします。  まず初めに、ステップアップハイスクールの開校準備についてお伺いいたします。  私は、かねてよりこの本会議場で、小中学校で十分に力を発揮できなかった子供たちが将来の夢や希望をかなえることができる県立高等学校の設置を訴えてまいりました。  平成二十六年度の愛知県内の中学校不登校生徒数は六千八百九十四人、また、卒業後の進路が決まっていない無業者数は七百六十七人、平成二十七年度は七百五人と若干減少したものの、依然全国最多となっております。  発達障害やさまざまな障害がある生徒、また、障害手帳がなくても特別な支援が必要な生徒もいます。心の病を抱えたり、貧困世帯で生活する生徒、日本語の習得がおくれている外国人生徒等、さまざまな理由で不登校を経験したり、高校に進学しても中途退学をする生徒は大勢います。  このような多様な学習歴を持つ生徒が自分のペースで学ぶことができる学校がいよいよ来春開校することとなりました。それが二部制単位制の定時制高校、ステップアップハイスクールでございます。この九月定例議会で、学校名は、愛知県立城北つばさ高等学校と議案提出されました。私は、この名のとおり、まさに生徒たちが名古屋城の北部から希望の大空に力強く羽ばたいていく学校となることを心より期待しております。  そこで、まず、城北つばさ高校の生徒を支える体制づくりについて、順次お伺いいたします。  私は、これまで東京都の桐ヶ丘高校や六本木高校、兵庫県の阪神昆陽高校等、モデルとなる複数部制、単位制高校を視察してきました。印象に残っている一つとして、桐ヶ丘高校では、中学校時代に不登校を経験した生徒にこの学校を選んだ理由を伺いました。彼女は、学校見学に来たとき、先生が親身になって話を聞いてくれたことがうれしかった、中学の成績は問わず、やる気を重視してくれるこの学校で頑張ろうと前向きになったとのことです。熱意ある先生との出会い、そして、再チャレンジできる場所があるということが、彼女に新しい道を切り開く勇気を与えたと私は強く感じました。  熱意ある教職員の募集や加配等、これが大きなポイントとなってきます。また、多様な背景を抱える子供たち一人一人と向き合うためには、教職員とともに専門家の配置も大変重要です。生徒のメンタル面等を支えるスクールカウンセラー、また、子供の家庭環境による問題に対処するため、家庭と行政、福祉関係施設などをつなぐスクールソーシャルワーカー、さらに、日本語の習得がおくれている外国人生徒をサポートする外国語支援員など、子供たちへの熱意と愛情に満ちた教職員、専門家の体制づくりこそがステップアップハイスクール、城北つばさ高校の成功の鍵となります。  そこでお尋ねします。  教職員の配置やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、また、外国語支援員やボランティアスタッフ等、生徒を支える体制づくりについて、どのように進めていくのか、お伺いいたします。  現在、教育委員会では、来年四月の開校に向けて準備を進められております。八月二十一日には、開校予定地の愛知工業高校内で保護者、生徒向けに学校説明会が開催され、私も参加いたしました。百名ほどが参加されており、私は、改めて保護者、生徒のこの学校に対する関心の高さを実感いたしました。本格的に進路を決めていく秋、冬には再度学校説明会が必要であります。  説明会の前半は、教育委員会から学校のコンセプトや学習スタイル、カリキュラム等の説明があり、後半は質疑となりました。この質疑の中で、気になる質問が二つありました。  一つは、通級指導教室を利用する生徒の保護者の方から、受験科目についてでありました。作文、面接とともに、学力検査が英語、数学、国語の総合問題で四十五分となります。保護者の方からは、現在、中学校で行動が遅く、時間内にテストを終わることが困難な場合がある、受験に向けて時間内に行動する訓練が必要になるとかなりのプレッシャーを感じている様子でありました。私がこれまで視察をしてきました六本木高校では、作文と面接のみで学力検査はありません。学力以上に生徒の思いを大切にする面接重視の入学者選抜もぜひ検討していただくようにお願いをいたします。  そして、もう一つの質問は、母子世帯の方からでありました。学校での費用に対する心配の声でした。この日はちょうどスカイブルーをあしらった爽やかな制服も披露されました。しかし、こうした制服も経済的負担の一つになるとこの方は感じたかもしれません。  制服については、この学校は単位制のため、年齢層も幅広くなり、アルバイトや仕事から直接登校する場合もあり得ます。六本木高校や阪神昆陽高校は、標準服としています。制服は着用を義務づけますが、標準服は着用を推奨する服となります。私は、城北つばさ高校も標準服にしたほうがこの学校の実態に即していくと思います。また、制服以外にも、修学旅行や学校行事にかかる費用も含め、あらゆる部分で経済的配慮が不可欠となります。  そこでお尋ねします。  これまでの学校説明会でどのような声が出ているのか、また、入学者選抜の学力検査での配慮や経済的配慮等に対しどのように取り組んでいくのか、さらに、今後の学校説明会をどのように実施していくのか、お伺いをいたします。  次に、学習意欲が増す環境づくりについて伺います。  城北つばさ高校は、愛知工業高校の建物を継続して使用します。学校説明会のときは、ちょうど教室の壁の塗り直し等の改修を行っておりました。しかし、校舎自体は建設から四十年以上が経過をし、中には昭和二十年代に建設した校舎もあります。壁面には黒ずみやひびがあり、非常に暗い雰囲気となっておりました。また、トイレは、工業高校のため、男子トイレが多く、生徒用の便器数は、男子百四十九個、女子二十九個と大きく偏っています。女子生徒の増加を見越し、トイレの男女差の是正と、あわせて洋式化も進めていただきたいと思います。新しい気持ちで出発する生徒の気持ちに応えるため、新しい学校としての大規模改修が必要であります。  そこでお尋ねします。  来年度の開校に際して、今年度はどのような施設整備を行っていくのか、さらに、大規模改修について、トイレ改修を含めどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、二項目めとして、介護人材の確保について伺います。  急速に少子・高齢化が進行する中、労働力人口の減少と介護ニーズの増加が予測されます。私は、介護現場で今後ますます人材不足が深刻化することを懸念しております。本県の高齢化率は全国平均を下回り、県民の年齢構成が比較的若いと言われております。しかし、国立社会保障・人口問題研究所によると、より急激に七十五歳以上の高齢者人口が増加していくことが推計されております。  このような超高齢社会にあって、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせる社会を実現する上で、本県における介護人材の確保は、他県にも増して重要な、そして喫緊の課題です。  ところが、私が介護事業者からお聞きする限りでは、せっかく介護職として新たに職員を採用できても、職場の人手不足により休みづらい、体力的にきつい、あるいは賃金が低い等の理由により短期間で離職してしまう方も多いとの切実な声を耳にします。実際に、厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査によりますと、平成二十七年七月における全産業平均の勤続年数が十二・一年であるのに対し、社会福祉・介護事業は七・六年と大幅に短くなっております。また、単純な比較は難しいとは思いますが、医療業の八・九年と比べても、やはり短いという結果が出ております。  介護の仕事は、専門性に基づき、高齢者の尊厳の維持と自立を支えるものです。みずから工夫した結果がサービス利用者の生活の質の向上としてあらわれるという点で創造性に富む職種であります。本来、専門職として現場経験を積み、スキルアップもして、介護の分野で長期間にわたって活躍していただきたい介護職員について、残念ながら現実は必ずしもそうなっていない状況がうかがわれます。  そこでお尋ねします。  県内における介護職員について、その離職の状況がどのようになっているのか、お伺いします。  次に、介護職員の離職防止のための職場環境改善に関して伺います。  介護職員の方が離職されるケースとして、利用者をベッドから車椅子に移乗させたり、入浴させることなどにより、腰に負担がかかり、腰を痛め、仕事を続けることが困難になるといった身体的負担を原因とするものが多いとよく耳にします。  また、職員が基準ぎりぎりの人数しかいない事業所では、少しの体調不良など個人的な理由ではなかなか休みづらい状況や、残業が続く職場環境の中でモチベーションが維持できず、ストレスが高まり、その負担感に耐え切れず離職したというお話も耳にいたしました。  介護現場における離職は、一人が離職するとそれが残った職員の負担増となり、新たな離職につながる悪循環を招く深刻な問題です。離職を防止するためには、職員の身体的負担の軽減や業務効率化を図り、職場環境の改善を進めていく必要があります。  その職場環境の改善に向けた一つの方向が、介護ロボットに代表される新技術の活用であると思います。昨年、私が健康福祉委員会の県外視察で訪れました湘南ロボケアセンターでは、最新のロボットが一堂に集められ、展示、体験、販売されていました。介護職員が装着することで、腰への負担を軽減し、高齢者の移乗を支援するもの、パワーアシストや自動減速機能などで乗車している高齢者の安全な移動を支援するもの、居室に設置することで高齢者を別室からモニタリングする見守り支援タイプや、相手が発するであろう言葉を予測し、高齢者が会話を楽しむことができるコミュニケーションロボットなど、これまでにもさまざまなロボットが開発されており、私は、多くの場面でロボットが活躍していくことに大きく期待をしております。  また、職場環境の改善に向けては、ロボットなど新技術の活用とともに、人員配置の強化など、業務の一層の効率化が求められます。現状では、本来の業務である介護のほか、清掃や配膳など直接的な介護の業務でない雑多な業務を含め、多忙をきわめております。専門職としての力が十分に発揮できない状況にあります。定められた介護報酬の中での対応のみならず、介護専門職にはその専門分野に専念してもらう仕組みを考えていく必要があります。  そこでお尋ねします。  県では、平成二十七年度から地域医療介護総合確保基金等を活用し、各種の介護人材確保対策に取り組んでいますが、介護職員の離職防止のための職場環境改善に関して、どのように取り組まれているのか、現状と今後の展開についてお伺いをいたします。  最後に、食品ロスの削減についてお伺いいたします。  食べられる状態なのに捨てられる、いわゆる食品ロス。農林水産省によりますと、日本では年間一千六百七十六万トンの食品廃棄物が発生をしており、このうちの四割近い六百三十二万トンが食品ロスと推計されております。  また、私たちの家庭から出るごみを見てみますと、一般廃棄物は可燃ごみと不燃ごみ等に分かれています。可燃ごみとして出されるいわゆる生ごみは、家庭から出るごみのおよそ三分の一を占めており、生ごみを減らすことはごみ全体の減量に大きな効果があります。もったいない、そして、ごみの減量、こうした観点から、既に先進的な自治体ではさまざまな食品ロス削減の対策が行われています。  今回、私は、長野県の取り組みを調査してきました。環境省の調査では、平成二十六年度時点で長野県は、県民一人一日当たりのごみ排出量が八百三十八グラムで、少なさランキング全国一位となっています。ちなみに、全国平均は九百四十七グラム、本県は九百三十四グラムで全国十七位となっております。  長野県では、ごみの排出量を平成二十九年度までに県民一人一日当たり八百グラム以下にすることを掲げ、”チャレンジ八〇〇”ごみ減量推進事業に取り組んでいます。キャッチフレーズは、あと三十八グラム、たったミニトマト二個分!!、このように身近な食品に置きかえてできることから始めようと県民に働きかけ、大々的にごみ減量キャンペーンを行っております。  具体的には、家庭で買い過ぎない、つくり過ぎない、また、外食するときは頼み過ぎないことを呼びかけています。例えば、家庭でのエコクッキングの推進や、飲食店等には協力店として登録していただき、小盛りメニューの導入や持ち帰りへの対応、また、食品ロスを減らすためのステッカー等を掲示し、来店者への啓発を推進しています。  また、県内自治体の中でも松本市は、さらに先進的な取り組みをしています。宴会の食べ残しを減らすため、乾杯後の三十分と終了前の十分は自席で食事を楽しむ三〇・一〇運動を推進、この事例をもとに長野県では、宴会たべきりキャンペーンをCMや広報紙を活用し、県下全域に展開をしております。さらに、教育現場でも松本市は、食品ロスをテーマに、小学校三年生に環境教育を実施しました。日本の自給率や世界の食料不足、捨てられるごみの実態、食品の三Rなどなど、スライドを活用しわかりやすく授業を実施、この実施後には給食の食べ残しが最大で三四%削減されました。  また、食品ロスの意識の継続に向け、家庭での振り返りができるように冊子を作成し、あわせて家庭での意識変化の調査も行いました。環境教育後、六六・三%が自宅で話をし、子供も保護者も約半数の方が意識や行動の変化が見られたとの調査結果となりました。保護者のコメントでは、食品に対して感謝の気持ちが持てるようになった、食べ残しが減り、家計も助かります、子供から注意され、冷蔵庫の中をチェックするようになった、手本になるように気をつけていきたい等々、子供だけではなく保護者にも大きな影響を及ぼす事業となりました。この意識をいかに継続していくかが課題です。  松本市の結果を踏まえ、長野県では、一・二年生向けに食への感謝などをテーマにした「きゅうしょくだいすき」との電子紙芝居を作成し、県内全ての小学校に配付、約二分三十秒とコンパクトにまとまっているため、給食の時間やホームルーム等、日常的に繰り返し活用することで意識の継続に役立てているということでした。  私は、県と市町村、学校、民間事業者、そして県民が一体となったこうした取り組みが長野県のごみ排出量少なさランキング全国一位に結びついていると実感をいたしました。これらの先進事例を参考に、ごみ減量に向け、本県の食品ロス削減の具体的な取り組みを実施していくべきであります。  また、一方で、食品廃棄物には事業者のリサイクルへの取り組みも重要です。愛知県内では、例えばユニー株式会社が肥料の製造業者やその利用者と連携して、店舗から排出される野菜くずを堆肥に再生利用し、それらを使って生産された野菜を再びユニーの店舗で販売する食品リサイクルループを構築しました。この取り組みを各地に展開したことなどが評価されて、平成二十五年度には愛知環境賞銀賞を受賞しております。食品ロス削減を図るためには、こうしたリサイクルの有効利用も大変重要であります。  食品ロス削減は、今や国際的にも大きな問題となっております。昨年九月、国連では、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダを採択し、この中で、二〇三〇年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させる目標が掲げられました。  さらに、本年四月には、新潟で開催されたG7農業大臣会合の宣言において、食料の損失及び廃棄が経済、環境、社会において非常に重要な世界的問題であると明記されました。  私は、この世界規模の重要課題に対し、愛知県が先頭に立って、県民、市町村、学校、民間事業者等が一体となり、食品ロス削減の取り組みを進めるべきであると考えます。  そこで、以下の三点についてお尋ねします。  一点目として、食品ロスの削減を図るためには、食品廃棄物の発生抑制とともに、リサイクル等の有効利用を図っていくことが重要です。県として、この両面から食品ロスの削減に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。  二点目として、食品ロス削減を図るために重要な県民の意識啓発には、食育の果たす役割が大きいです。食品ロス削減に向けて、食育の観点からどのように取り組んでいくのか、お伺いします。  そして、三点目として、小中学校において、学校給食や食育等を通して、食品ロスの削減を加速させるべきと考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 31: ◯教育長平松直巳君) ステップアップハイスクール城北つばさ高校の開校準備について、三点お尋ねをいただきました。  まず、生徒を支える体制づくりについてお答えいたします。  教職員につきましては、不登校生徒や学び直しへの対応を担う学校でありますことから、親身になって生徒に寄り添う熱意ある教員を他の県立高校から公募いたしますとともに、通常の配置に加えて、課題を抱える生徒を支援するための教員を特別に配置してまいります。  議員御指摘のとおり、教職員だけでなく心の問題を抱える生徒や家庭環境等に複雑な背景のある生徒への専門家による支援体制を整備していくことは不可欠でありますので、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについて、同校を拠点校と位置づけて配置をしてまいります。  また、日本語指導を必要とする外国人生徒が一定数入学することが想定されますので、学習活動や学校生活等の支援をするために、外国人生徒教育支援員を重点的に配置してまいります。  さらには、学習障害を初めとする障害のある生徒が入学してくることも想定されますので、障害に応じた特別な支援を行う支援員についても重点的に配置してまいります。  このほか、地域や学校等とも連携し、ボランティアによるさまざまな学習支援が受けられるよう調整を進めてまいります。これらの取り組みにより、入学者のさまざまなニーズに応えられるよう、手厚い指導体制や相談体制を整えてまいります。  次に、学校説明会と生徒に対するさまざまな配慮についてでございます。  まず、学校説明会については、五月に二回、八月に二回実施いたしました。参加者からは、教育相談の体制や外国人生徒の支援体制、入学者選抜の内容や難易度等、多くの質問をいただき、城北つばさ高校への関心の高さを改めて実感しているところであります。十二月には、中学生、保護者、中学校教員を対象に五回目の学校説明会を実施し、具体的な教育課程等を示す予定であります。  次に、学力検査における配慮についてでありますが、障害のある受験生に対しては、中学校長から提出される受検上の配慮に関する申請書に基づいて、検査時間の延長など、その障害に応じた必要な配慮をしてまいります。  また、経済的配慮といたしましては、学校行事等の実施に当たり、保護者負担の軽減に十分配慮してまいります。さらに、城北つばさ高校では、新たな制度として、一定の条件を満たすアルバイトを単位として認定することとしており、学業に支障のない範囲内で就業し、単位を修得しながら、得た収入を学校生活の費用の一部に充てることを可能といたしております。
     なお、制服につきましては、学校への帰属意識を育てたり、高校生としての自覚を高めたりする効果があり、とりわけ昼間定時制では、制服の着用を望む生徒、保護者も多いことから、全員に制服を着用させる予定でございます。ただし、年齢の高い生徒や経済的に極めて困難な家庭の生徒については、柔軟に対応してまいりたいと考えております。  次に、施設整備の取り組みについてでございます。  今年度は、来年四月以降に城北つばさ高校で使用することとなります普通教室の床と天井の張りかえや、壁の塗装、生徒昇降口の塗装などの内装工事を既に実施したところでございまして、引き続き玄関の内装工事や門扉等の塗装を行い、入学生を迎えたいと考えております。  また、校舎本体につきましては、屋上防水や外壁改修などの大規模改修工事を実施する必要があると考えておりますが、来年度までは愛知工業高校も校舎を使用いたしますので、できるだけ学校運営上の負担とならない時期に改修工事を実施したいと考えております。その際には、トイレの改修をあわせて行い、洋式化も図りながら、男女のトイレを再配置して、女子トイレをふやしたいと考えております。  続きまして、食品ロスの削減に向けた小中学校の取り組みについてお答えいたします。  食品ロスの削減に向けましては、次代を担う子供たちに対して、小中学校段階から食べ物を大切にする心を育成していくことが重要であると認識いたしております。そのため、本県独自に学校食育推進の手引等を作成し、小中学校において、給食時間における指導のほか、各教科等と連携した食育の授業や、穀物や野菜の栽培体験などを通して、生活全般にわたって食べ物を大切にし、生産や調理にかかわる人々に感謝する心を育てたり、好き嫌いをせずに栄養バランスのとれた食事をすることの大切さを学ばせるよう指導いたしております。  これらの食育の取り組みが徐々に浸透してきたことで、例えば県内の学校給食の食べ残し、残食率は、平成二十二年の六・二%、一食当たりの残食量二九・二グラムから、昨年には四・四%、二十・七グラムへと減少してきております。  今後も、他の生き物の命により自分の命が支えられていることを考えさせる実践や、児童給食委員会による残食ゼロ運動などのすぐれた取り組みを全ての学校に定期的に情報提供するなど、食育の一層の推進に努めてまいります。  また、各家庭に配布するわが家の愛であ朝ごはんコンテストに関するリーフレットを活用するなどして、家庭においても食品ロス削減への理解が深まるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。 32: ◯健康福祉部長長谷川洋君) 県内における介護職員の離職状況についてお答えをいたします。  平成二十七年度に公益財団法人の介護労働安定センターが実施をいたしました介護労働実態調査によりますと、本県の介護分野の離職率は年間で一七・六%となっておりまして、全国の一六・五%と比べて約一ポイント高くなっております。また、この調査によりますと、介護職員の働く上での悩み、不安といたしまして、第一位が人手が足りないとなっており、以下、仕事の内容の割に賃金が低い、休暇がとりにくい、身体的負担が大きいなどが続いておりまして、介護現場の厳しい勤務環境に対する職員の負担感が強くあらわれております。  次に、介護職員の離職防止のための職場環境改善に関する取り組みについてお答えをいたします。  介護職員の離職を防止し、職場定着を図るためには、介護現場における職員の負担感を少しでも減らせるような職場環境の改善が必要でございます。現状の取り組みでございますが、本年一月に介護事業所の管理者を対象として、働きやすい職場環境づくりを目的とする労務管理の研修を開催し、百四十二人の方に参加をいただきました。  また、介護職員が子育てをしながら働き続けられるよう、介護施設内に設置する保育所の運営費に対する助成制度を昨年度に設けまして、十七の保育所に助成をしたところでございます。  さらに、職場環境改善や人材育成等に取り組む優良な事業所を県が認証、評価する制度を設けまして、本年三月に百二の事業所に対して、知事から認定証を交付いたしました。  こうしたこれまでの取り組みに加えまして、出産、子育てなどのための短時間勤務でありますとか、出産・育児休暇制度を職員が利用しやすくするため、補助的な業務を担う代替要員を確保するあいち介護サポーターバンクを新たに設置することといたしまして、必要となる補正予算案につきまして、今議会に提案をさせていただいているところでございます。 33: ◯環境部長(菅沼綾子君) 食品ロスの削減についてのお尋ねのうち、食品廃棄物の発生抑制やリサイクル等に向けた取り組みについてお答えいたします。  家庭等から出る食品廃棄物は、一般廃棄物として市町村が処理を担っており、その削減や有効利用を進めるためには市町村の取り組みが重要であります。  県では、廃棄物処理法に基づき策定した愛知県廃棄物処理計画において、食品廃棄物を含む一般廃棄物の排出量の削減を目標の一つに掲げ、市町村における取り組みを促してまいりました。  その結果、例えば、ごみ処理費用の一部を上乗せしたごみ袋の有料化を通じた発生抑制の取り組みは、現在、常滑市を初め十四市町で実施されております。また、最近では、大府市において、民間の廃棄物処理業者が市と協力し、食品廃棄物からメタンガスをつくり発電する施設がことしの一月から本格稼働しております。さらに、豊橋市でも、家庭から出る食品廃棄物の有効利用の取り組みとして、市内全域における生ごみの分別収集を来年四月から開始する予定であります。  県といたしましては、こうした取り組みを他の市町村に広めていくことが重要でありますので、県内の全市町村、消費者団体、事業者団体等で構成するごみゼロ社会推進あいち県民会議の活動などを通じて、専門家による食品廃棄物の削減に関する講演会の開催や、先進的なリサイクル施設の視察、また、食べ切りを推進する協力店制度の紹介などを行い、食品廃棄物の発生抑制、リサイクルにつながる取り組みを一層強化してまいります。 34: ◯農林水産部長加藤正人君) 食育の観点から食品ロス削減に向けての取り組みについてお答えいたします。  本年三月に愛知県食育推進会議が作成したあいち食育いきいきプラン二〇二〇では、県、市町村、関係団体等が連携、協力して、もったいない意識の浸透を図り、環境に配慮した食生活の実践に取り組む人づくりを推進することとしております。  これまで、県のホームページ、食育ネットあいちや、パンフレット、あいちエコ食スタイルにおいて、食品ロス削減の具体的な方法について啓発を行うとともに、市町村等が行う食材の無駄を出さない料理教室の取り組みをあいち食育いきいきレポートで紹介するなど、情報を発信してまいりました。  さらに、今年度は、県発行の消費生活情報誌、あいち暮らしっくにおいて、もったいない食品ロスを掲載したほか、新たに開催するいいともあいち交流会を初め、食にかかわるイベントにおいて、パネルやパンフレット等により広く啓発を行ってまいります。  また、具体的な取り組みの働きかけという観点では、地域における食育推進活動を担う一千名を超える食育推進ボランティアの役割が大きいと考えております。食育推進ボランティアに対する研修等において、新たに食品ロス削減に関する知識の習得や取り組み事例の共有を図り、各地域における食育推進活動の中で県民の皆様に実践を働きかけることといたします。  今後とも、あらゆる機会を通じて啓発に努めるとともに、食育推進ボランティアによる活動等を通じ、食品ロスの一層の削減に努めてまいります。 35: ◯知事(大村秀章君) 犬飼議員の質問のうち、介護人材の確保のうち、介護現場へのロボットの導入支援についてお答えを申し上げます。  介護職員の離職防止には、職員の身体的負担の軽減や業務の効率化など、職場の環境改善を進めることが重要でありまして、その方策の一つとして、介護ロボットの導入は大きな効果があると考えております。  このため、本県では、昨年八月にあいちサービスロボット実用化支援センターを開設し、大府の国立長寿医療研究センターと連携をいたしまして、医療・介護支援ロボットの開発や実用化の支援に取り組んでいるところであります。  議員御指摘のとおり、腰にかかる負荷を軽減する移乗支援型ロボットや、利用者を居室に行かずに確認できる見守り型ロボットなど、さまざまなタイプのロボットが実用化されつつありますが、市場化されて、市場投入されて間もないこともありまして、普及はまだ十分とは言えない、これからといった状況でございます。  介護ロボットの普及を促進するため、本県では、今年度新たに地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、介護事業所が介護ロボットを導入する際の経費の一部を助成する介護ロボット導入支援事業費補助金を創設することといたしました。この制度を活用していただくことにより、介護現場で働く方々の身体的負担が少しでも軽減され、離職防止につながればと考えております。  なお、介護人材の安定的な確保、定着を図るためには、やはり介護報酬により職場環境改善の取り組みを適切に評価されることが望ましく、ロボットの導入についても介護報酬に組み入れるよう、国に要請をしているところでございます。  県といたしましては、介護ロボットの導入を促進することにより、介護現場の職場環境改善、そして離職防止を図り、喫緊の課題であります介護人材の確保にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。 36: ◯三十一番(犬飼明佳君) さまざまに答弁をいただきました。大村知事からも、介護ロボットの導入を含めた御答弁もいただきました。  介護ロボットの導入、そして普及が進むことで、介護職の方の夢があり、希望がある職場になっていくということに対して期待をしておりますので、知事のリーダーシップのほど、またよろしくお願いをいたします。  私からは、城北つばさ高校と食品ロスについて要望させていただきます。  まず、城北つばさ高校、成功していくことは、現在県のほうでも検討されている今後の定時制高校、また、通信制高校のあり方や拡充ということに大きくつながっていくと思います。教育長からも、教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等、重層的な体制をつくっていくという力強い答弁をいただきました。  このスクールカウンセラーについては、教員の負担を除いていくとかということも含めて、生徒と向き合っていくには非常に重要な役割を果たされるというふうに思います。ただ、大事なことは、いつもスクールカウンセラーが学校にいて、生徒に寄り添っていくという体制をつくることにあるというふうに思います。どうかこのスクールカウンセラーが城北つばさ高校においては常駐できるように体制を整えていただきたいということを要望いたします。  また、入学者選抜の学力検査について、さまざまな配慮をしていただくという答弁をいただきました。あのとき質問された保護者の方も、少し安心されているというふうに思います。ただ、先ほども申し上げましたけれども、どのような生徒も希望が持てるように、面接と作文による入学者選抜ということもぜひ御検討いただきたいと思いますので、要望させていただきます。  最後に、食品ロスの削減の取り組みですけれども、今回答弁をしていただきました農林水産部、そして環境部、教育委員会、さらに、これまでの質疑の中では、未利用食品のフードバンク等への活用ということは健康福祉部の所管ということにもなっています。非常に広範囲にわたっております。  こうした個々での取り組みということはしていただいているんですけれども、県としての方針や目標、計画、また、県民運動として広がるようなキャッチフレーズ等、残念ながら見えてきていないというふうに思います。  要望でありますけれども、食品ロス削減について、どの部局が中心となっていくのかという司令塔をぜひつくっていただき、その上で各部局が連携した取り組みができる体制をつくっていただくことを要望いたしまして、発言を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 37: ◯四十一番(中根義高君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 38: ◯副議長(森下利久君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 39: ◯副議長(森下利久君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 40: ◯議長鈴木孝昌君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  石井拓議員。     〔二十三番石井拓君登壇〕(拍手) 41: ◯二十三番(石井拓君) 自由民主党の石井拓です。  議長より発言の許可をいただきましたので、通告書のとおり一般質問をさせていただきます。  時刻も夕刻に近づき、大変皆様お疲れのところ、おつき合いいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  一、活断層調査についてを質問します。  私たち日本国民全てにとって、自然災害の恐ろしさ、人間の無力さを思い知らされた東日本大震災の発災から五年が経過し、ことし四月、熊本地震が起きました。震度七を超える地震が四月十四日と十六日とで二回、その後、誘発的に熊本県から大分県に至るまでの地域で地震活動が活発に起こり、この八月末までに震度五以上の地震が二十回以上、震度一以上では二千回を超えて発生しております。  東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震は、いわゆる海溝型地震であります。それに対して熊本地震は断層型地震であります。  本県では、海溝型地震である南海トラフを震源とする地震に対し、その準備も第三次あいち地震対策アクションプランなどによる取り組みにより着々と進められております。それに加えて、今回の熊本地震の状況を知り、早速、防災拠点となる市町村庁舎の耐震化、住宅の耐震化、家具などの固定の促進、避難所の収容能力の向上や避難所外避難者への対策、支援物資などの物流対策、罹災証明書発行事務の体制整備など、被災地における経験をもとに課題への対応について検討を開始されました。スピーディーかつ的確に防災対策を講じていただけるよう要望するところであります。  この断層型地震でありますが、本県でも過去に数多く起こっております。記録にある古いもので、七一五年、和銅八年、遠江国地震。震源地は、遠江国といっても、調べると愛知県です。東三河です。そういったものがありますが、そこから数えてマグニチュード五以上の断層型地震は十件を超えています。その中で、特にその規模と被害が大きかったものは、三河地震、濃尾地震、天正地震の三つであると思います。  三河地震は、一九四五年、昭和二十年一月、震源地は三河湾、渥美半島北部の海底、深溝断層と言われています。マグニチュード六・八、震度七、死者二千三百六人、全壊家屋七千二百二十一戸とのことです。  濃尾地震は、一八九一年、明治二十四年十月、震源地は岐阜県本巣市、根尾谷断層帯の上だそうです。マグニチュード八・〇、震度七、死者七千二百七十三人、愛知県では二千六百三十八人、全壊家屋九万三千四百二十一戸、そのうち愛知県では三万九千九十三戸となっております。  天正地震は戦国時代です。一五八六年、天正十三年十一月、震源地は伊勢湾、木曽川河口付近、諸説あるようですけれども、伊勢湾断層か養老断層かと言われております。マグニチュード八・〇前後、震度七、アバウトな記録でありますが、死者七千から九千人、全壊建物九千から一万四千軒、高さ二メートルの津波も起こったと言われております。  数値や位置関係は、地震学者、飯田汲事先生の論文や、県当局の出している資料を参考にさせていただきました。  三河地震での死者二千三百余名のほとんどは、幡豆郡と碧海郡です。特に、西尾市と安城市に集中しています。狭い範囲で大きな被害が起きています。濃尾地震や天正地震は、愛知、岐阜、三重から北陸、近畿地方にも被害が広範囲に及んでいます。震源地となった活断層の長さの違いか、あるいは連鎖、連動しやすい活断層なのかもしれません。  三河地震は、一九四四年十二月に起きた南海トラフ地震である昭和東南海地震から、正月を挟んでわずか三十七日後に起きております。誘発地震と言われています。戦時中の情報統制により、この二つの地震は、隠された大震災とも呼ばれております。三河地震の後、一九四六年十二月には昭和南海地震、そして一九四八年六月には福井地震が連続して起きていると、こういったもので、誘発性があるんじゃないかという懸念もあります。このように、過去において本県でもこのような断層型メガクエーク、巨大地震が発生しております。  これから申し上げることは、あくまで私の意見です。本県における活断層及び過去の断層型地震に対して危惧する事項として、次の三点を挙げさせていただきます。  一点目は、活断層の集合体、帯状のものが一定の方向を向いて愛知県土を縦断している点です。南は三河地震を引き起こした深溝断層から西三河南部を通って知多半島へ、そして尾張西部を抜けて、濃尾地震を引き起こした岐阜県の根尾谷断層帯のほうへ、そして、先ほど述べた福井地震の福井県のほうへ帯状に連なっております。また、県土の北東、恵那山方面から猿投山周辺を経て境川まで、これも活断層が帯状に一定方向に連なって縦断しております。大規模な断層型地震が起きると、この活断層同士が連鎖、連動して地震被害が広範囲に広がる可能性もあるんじゃないかと危惧しております。  二点目、過去の大規模な断層型地震で県内に震源地があるものは、同じ場所、あるいはその付近で繰り返し起きていると考えます。先ほど来申し上げています三河地震、震源地が三河湾でしたけれども、その場所を基準に考えると、ほかにも冒頭述べた遠江国地震、これは座標を見ると豊川市の南部ぐらいじゃないかなと私は思いますけれども、そして、江戸時代の前期、貞享年間の地震、これは豊橋市の南部じゃないかと、座標をグーグルアースでかざすと大体そこら辺になってきますので、学者じゃありませんけれども、心配はしております。そして、江戸末期の一八六一年、文久西尾地震、これは文字どおり、西尾市の西部。そして、一九九七年、平成九年の地震、新城市の中部にも大きな地震がありました。そして、天正地震、これも木曽川河口でしたけれども、その場所を基準に考えると、平安時代の一一二四年の保安年間の地震、江戸時代前期、一六八一年の天和年間の地震、これも日光川河口付近であるかなと。江戸時代後期、一八〇二年、尾張地震、これも日光川河口付近かなとなっております。規則的な周期はありませんけれども、江戸時代からそれらの地震を見れば、次の地震が百年以内の場合もあれば、二百年以内の場合もあるということが言えます。  そして、三点目です。中央構造線、皆さんも御存じのとおり、本県にも存在しているということです。熊本地震は、中央構造線の上で起きました。本県における中央構造線は、長野県の南アルプスの西側から静岡県との県境を経て本県に入って、豊川沿いに三河湾に出て、渥美半島に沿って西へ、そして三重県の伊勢市あたりから紀伊半島、四国、そして九州へ、大分から熊本とつながっております。先ほど三河地震の震源地付近で繰り返し大規模な地震があったんじゃないかと申し上げましたが、これも中央構造線の上、もしくはその付近である、これも一つ言えます。  このように、本県においても、過去に活断層による大規模地震は多く存在します。私は、いたずらに脅威をあおっているわけじゃありません。県当局に対して、過剰な地震対策をお願いするつもりもありません。私たち一人一人が歴史を知り、学び、そして自分の足元を知る。その機会を県民の皆さんに提供することが大事じゃないかなと思っております。  本県における活断層調査はこれまでどうでしたでしょうか。平成七年の阪神・淡路大震災が起きた直後、平成七年から八年度にかけて、知多北部及び衣浦東部地域、平成九年度に尾張西部地域、平成十年度に尾張北東部及び西三河北西部の活断層調査を実施されました。  これらの地域においては、ボーリング調査、トレンチ調査、音波探査などを駆使し、行われたと思います。三十余の断層に対して、その位置と向き、活動度を示してきました。しかし、東三河の山間部や中央構造線付近については、断層が見られるけれども、活断層であるかという確実度という表現がありますが、これが今なお低く、明確になっていないと思います。  本県が前回調査してから二十年が経過しています。その間に東日本大震災などの巨大地震も経験しました。当時に比べて活断層に対する考え方、特徴の捉え方、調査技術も変わってきているのではないでしょうか。  昨今、名古屋市の中心街を南北に走る三つの断層、堀川断層、尼ケ坂断層、笠寺起震断層が大学の論文などで示されました。断層かどうか、活断層かどうかはまだこれから調査ということですが、このように未知の断層、活断層も潜んでいるのならば、継続して調査を行っていく必要があるのではないかと、そう思っております。  そこでお伺いします。  本県の今まで行ってきた活断層調査についての概要と今後の調査について、どう考えているのか、御所見をお伺いします。  続きまして、二つ目の質問に入ります。二、衣浦港の整備についてを質問いたします。  初めに、衣浦港について紹介します。  衣浦港は、五市、半田、碧南、刈谷、西尾、高浜、三町、武、美浜、東浦の市町が隣接する南北約二十キロにわたる水域に、昭和三十四年から臨海部土地造成が進められ、昭和四十六年の衣浦港高潮防波堤の完成以降、現在までに着実に発展を遂げ、物づくり愛知を支える工業港として重要な役割を担っております。  特に、この地域は、製造業の占める割合が高く、現在では、臨海部の造成地に約五百二十社も事業所が立地し、そこでは約二万六千人の方が働いております。  衣浦港には、国内最大級の中部電力石炭火力発電所が立地し、県内の電力の二分の一をカバーするなど、エネルギー供給拠点として重要な役割を担っております。また、成長産業として期待されている航空宇宙産業も立地しており、平成二十三年には、国際戦略総合特区としてアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区にも指定されております。  このような立地企業は、燃料や原材料の調達、製品の積み出しなど、衣浦港を利用しており、まさに港と立地企業が一体となって地域経済を支えております。  さらに、私の住む碧南市における工業用地の状況についてですけれども、臨海部の工業用地には新たに企業立地できるような余地はなく、内陸部での用地の確保も困難であるため、平成二十六年十二月に臨海部の県有地を碧南市が取得し、その後、用地造成を行い、分譲を開始しました。非常に多くの企業に関心を持っていただけると聞いております。  このような衣浦港ですが、平成二十二年八月には、全国に百三港ある重要港湾から、国が港湾政策において選択と集中を行い、重点的に投資するために指定した重点港湾、これ、全国で四十三港のうちの一つに選ばれております。三河港ももちろん選ばれております。今後も衣浦港は、愛知の物づくりを支える物流拠点として、その役割は大変重要であり、産業活動の場となる用地の確保が必要であると考えております。  平成二十六年三月には衣浦港港湾計画も改定され、港湾整備についても着々と進められているところでありますが、港湾計画にも課題として取り上げられている外貿貨物量の増大や大型化した船舶への対応のため、埠頭用地、貨物保管用地のさらなる確保が必要になっております。場所が足りないということです。船舶の大型化は、水深十二メーターのバースが必要となり、衣浦海底トンネルよりも南へ、埠頭など港湾施設の再編が必要となっております。  そこで、大いに期待されるのが、外港地区に設けられた衣浦ポートアイランドです。以下、衣浦PIと申し上げます。親しみを持ってPIと申し上げます。  平成三年八月策定の衣浦港港湾計画において、一般及び産業廃棄物としゅんせつ土砂を埋立処分するために用地として位置づけられ、翌年度から一期エリア約四十七ヘクタールが着手され、順次埋め立てが行われてまいりました。  衣浦PIには、高潮防波堤を挟んで北側に一期エリア、南側に二期エリア、二期エリアは約六十五ヘクタール──二つ合わせると百十二ヘクタールとなりますが──が計画されて、一期エリアにおいて現在埋め立てが進められて、二期エリアについては、このたびの、先ほど申し上げた平成二十六年の港湾計画の改定で、海の海面処分の用地として位置づけられ、これから整備となります。完成すれば、百十二ヘクタールですから、三河湾の中で二番目に大きい島となりますけれども、もちろんビーチも民宿もございませんので、港湾施設として活用していくという計画になっております。  さて、衣浦港周辺の地域は、物づくりの産業活動でどうしても廃棄物が発生しております。私の地元碧南市におきましても、古くから窯業、鋳物業、醸造業など伝統的地場産業が盛んであり、多くの中小企業が地元経済を牽引しております。しかし、産業活動で発生する廃棄物の処分については大変御苦労されているという事実があります。  この廃棄物処分という点において、衣浦港は大きな役割を担っており、衣浦PIの一期エリアにおいては、衣浦港周辺市町と地元経済界が第三セクター方式による廃棄物最終処分場を平成十一年二月から運営しております。しかしながら、廃棄物の最終処分は平成二十三年二月に受け入れを終了し、現在は武豊町の衣浦港三号地廃棄物最終処分場のほか、このエリアのほかへ廃棄物を搬出しております。  今後とも、地元の生活環境の保全と産業活動の持続ある発展のために、自区域内で廃棄物処理が重要であり、次期処分場の確保に向けて、周辺市町と商工会議所をメンバーとした衣浦ポートアイランド廃棄物最終処分場確保促進協議会において検討を進めているところであります。  衣浦三号地廃棄物最終処分場の埋立期間は、平成三十五年四月までとなっております。この点において、切れ目のない対応を切にお願いしていきたいと思います。  そこで、現在埋め立てが進められている衣浦PIの一期エリアの将来の利活用に向けた県の取り組み、衣浦港港湾計画に位置づけられている二期エリアの計画の内容についてをお伺いいたします。  さて、港湾計画にも示されている衣浦港の重要課題として、港湾アクセス道路の整備があります。背後圏とのアクセス、東西軸、南北軸を強化するために、背後圏における道路整備と連携しながら臨港交通体系の充実を図る必要があると、そのように港湾計画には書かれております。国道二百四十七号線を初め臨港道路中央埠頭西線など各臨港道路、衣浦豊田道路、名浜道路などの整備促進です。  ここで、港湾アクセスとしてでもある衣浦トンネルと衣浦豊田道路についてお伺いします。
     衣浦トンネルは、衣浦港の中央埠頭を東西に結ぶ約一・七キロの有料道路で、我が国初めての沈埋式海底道路トンネルとして昭和四十八年に開通しました。その後、港湾の取扱貨物量の増大や周辺道路の整備の進展に伴い、平成十五年に既存の二車線から四車線化されました。もう一本海底トンネルをつくったんです。  また、衣浦豊田道路は、碧南、高浜、刈谷、知立及び豊田の各都市を縦貫し、自動車産業のサプライチェーンをなす衣浦臨海工業地帯と内陸工業地帯を結ぶ幹線道路であります。そのうち、知立市新林町から豊田市生駒町間の約四・三キロが有料道路として平成十六年に整備されました。いずれの有料道路も当地域の発展に大きく貢献しており、早期の供用開始を実現するために、道路整備特別措置法に基づく有料道路事業として整備したものと理解しております。  これは、路線ごとに設定した料金徴収の期間の中で得られる料金収入をもとに建設に要した費用の償還を行っていく仕組みであり、その料金徴収期間は、衣浦トンネルで平成四十一年十一月二十九日、約十三年後まで、衣浦豊田道路では、平成四十六年三月五日、約十七年と半年後までとされております。もとより地元としては、建設費の償還を完了し、早期に無料開放されることを期待するところでありますが、両路線の実質収入は、現在当初に想定した計画料金収入を下回っていると聞いております。  そして、いよいよあした十月一日から、日本初の有料道路コンセッションとして、この両路線を含む愛知県道路公社が管理する八路線において、民間事業者による運営が開始されます。  料金収入が当初の計画を下回る状況の中で民間事業者の運営に委ねられるということになりますが、収入の不足分を補うためにこれらの路線の料金徴収期間が延長されることはないか、料金徴収期間が変わらなければ、料金が値上げされるのではないかといった懸念があります。  そこで、民営化後の両路線の料金徴収期間や料金がどうなるのかをお伺いします。  以上で私の壇上からの質問を終わります。前向きな答弁を何とぞどうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 42: ◯防災局長(加藤慎也君) 私からは、活断層調査についてお答えします。  本県では、これまで活断層に関する調査を実施してまいりました。最近では、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、平成七年度から平成十年度にかけて、知多北部、衣浦東部地域など、議員御指摘の三地域について、過去の文献や資料の収集、分析、空中写真の判読や現地調査、さらにはボーリング調査などの活断層に関する調査を行っております。  平成八年度には、それまでの調査結果を集約した愛知県活断層アトラスという冊子を作成いたしました。現在は、この内容を県のホームページにも掲載し、県民の皆様に県内の活断層の分布図とともに、家屋の耐震補強など、活断層に関する情報の提供をいたしております。  その後、平成十一年度から平成十三年度にかけて、それまでの県の調査結果や各種研究機関などが調査研究した県内の活断層に関する文献や資料の収集、分析を行い、県内全域の活断層の過去の活動時期などを取りまとめ、愛知県防災会議に報告しております。  一方、国においては、平成九年八月に調査計画を策定の上、平成十七年四月までにマグニチュード七以上の地震を引き起こす可能性のある全国の九十八の活断層帯を対象に、個々の断層帯ごとに地震の規模や発生確率などの評価を行っております。この九十八の活断層帯の中には、本県に大きな影響を及ぼすおそれのある屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯、養老─桑名─四日市断層帯、伊勢湾断層帯が含まれております。  その後、国においては、活断層の評価手法を見直し、対象をマグニチュード六・八以上のものに拡大するとともに、個々の活断層だけでなく地域単位で評価を行うこととし、平成二十五年二月に九州地域、平成二十七年四月に関東地域、平成二十八年七月には中国地域の活断層の地域評価結果を公表したところであります。  本県といたしましては、この地域の活断層調査を早期に実施するよう、国に対し積極的に働きかけを行い、その結果が公表された場合には、県民の皆様にその内容を周知するとともに、その備えとして、建物の耐震改修や家具の固定が促進されるよう啓発活動を行ってまいります。 43: ◯建設部長(市川育夫君) 衣浦ポートアイランドについて、二点お尋ねをいただきました。  まず一期エリアの将来の利活用に向けた取り組みについてであります。  一期エリアは、現在埋立造成中であり、衣浦港高潮防波堤の北側約四十七ヘクタールを三つの工区に分け、東側の工区において一般廃棄物及び産業廃棄物を受け入れ、残りの二つの工区では、しゅんせつ工事により発生する土砂を受け付けております。  廃棄物につきましては、予定していた受け入れ量に達したため、平成二十三年二月に受け入れを終了しており、しゅんせつ土砂の受け入れについては、平成二十七年度末現在、約九〇%の進捗率となっております。  この一期エリアにつきましては、平成二十六年三月改定の衣浦港港湾計画において、不足する貨物保管スペースを確保するための埠頭用地などとともに、船舶の大型化への対応や大規模災害時に背後地域への緊急物資受け入れのための水深十二メートルの耐震強化岸壁を位置づけております。  このため、土地造成後の利活用につきましては、現在、衣浦港の中央部付近で分散して取り扱われているバルク貨物を一期エリアで新たに確保する埠頭用地に集約し、このことにより利用可能となった中央部付近の埠頭用地を他用途に転換するなど、港湾機能の再編を進めることとしております。  今年度は、こうした再編に向けた利活用に対する企業ヒアリングを実施しているところであります。また、埠頭用地の物流機能を強化するため、碧南側からの連絡道路のルートや構造に関する検討を進めており、さらに、一期エリア北側に計画している耐震強化岸壁については、国による早期整備を要請しているところであります。  次に、二期エリアの計画についてであります。  二期エリアについては、衣浦港港湾計画において、港湾及びその周辺地域において発生の見込まれる一般廃棄物、産業廃棄物及びしゅんせつ土砂を合わせて六百五十万立方メートルを埋立処分するため、衣浦港高潮防波堤の南側に海面処分用地六十五ヘクタールを位置づけております。そのうち百三十六万立方メートルについては一般廃棄物及び産業廃棄物、五百十四万立方メートルについてはしゅんせつ土砂により埋立造成することとしております。  この二期エリアは、一期エリアとあわせて、将来の衣浦港の物流、産業の中核となる空間形成を目指すこととしております。本県といたしましては、衣浦港ポートアイランド全体の将来の利活用の実現に向けて、まずは埋め立てが概成している一期エリアの土地造成を完成させ、早期に利用が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、民営化後の衣浦トンネルと衣浦豊田道路の料金徴収期間と料金に関するお尋ねでございます。  有料道路コンセッションは、構造改革特別区域法において、道路整備特別措置法の有料道路事業の特例として、民間事業者による運営が制度化されたものであります。  しかしながら、料金徴収期間につきましては特例がありませんので、道路整備特別措置法による国土交通大臣の許可を受けて道路公社が設定した料金徴収期間の中で運営事業を実施することになります。このため、今回のコンセッションに係る実施契約においても、各路線の事業期間は路線ごとに設定した現行の料金徴収期間の満了日までとしております。  次に、料金につきましては特例があり、国土交通大臣の認可を受けて定めた料金の上限の範囲内で民間事業者が定めることとされております。このため、コンセッションの実施契約においても、道路公社が国土交通大臣の認可を受けた料金を上限とすることを規定しておりますので、料金はその上限の範囲内で民間事業者が設定することになります。  今回の有料道路コンセッションは、現行の有料道路制度を基本としつつ、利用者サービスの向上や地域活性化の取り組みにおいて、民間事業者の創意工夫を生かすことができる事業でありますので、民間事業者による適切な管理運営が図られ、地域活性化の取り組みが進むよう、県としてもしっかりと支援してまいります。 44: ◯二十三番(石井拓君) 前向きな答弁、そして詳細な答弁をありがとうございます。  まず、活断層について、そして衣浦港について、一、二要望を申し上げて終わりたいと思いますが、今回、活断層のこの質問をするのにいろいろな資料を見させていただきました。そして、もちろん県の今までの対応もそうです。  先ほど申されたとおり、愛知県活断層アトラス、このきちっとした図と、そして詳細な解説がありました。しかし、また、途中申し上げたとおり、まだまだ日進月歩する調査である必要があると思いますので、この活断層アトラスが、この色が書きかわるぐらいまた調査を進めていただき、県民の皆さんにお示しいただきたいと思っております。  衣浦港に関しまして、東日本大震災が起きたとき、優良企業が本当に出ていってしまうんじゃないかと思いました。そのようなこともなく、現在操業をしっかりとやっていただき、この地域の産業を支えていただいておると思います。まずは、平成二十六年に改定していただいた港湾計画、これの遂行全てにあると思いますので、ぜひとも遂行していただきたいと思っております。  最後に、有料道路コンセッション、衣浦トンネル、そして衣浦豊田道路についての説明もいただきました。これもまた地元住民の皆さんからの声を出させていただいておりますが、もちろんこの有料道路コンセッション、知事が言われますとおり、売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしという形で進めていただきたいと思いますし、民間事業者に対して、また民間の発想でしっかりと経営を行っていただきたいと思っております。そのような意味で、この民間事業者の方にエールを送り、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 45: ◯議長鈴木孝昌君) 進行いたします。  寺西むつみ議員。     〔四十六番寺西むつみ君登壇〕(拍手) 46: ◯四十六番(寺西むつみ君) 通告に従いまして、私からは、リニア開業とアジア競技大会など広域連携事業開催を見据えた名古屋都市圏の幹線道路等の整備について、以下、二つの視点から質問をいたします。  先週末、九月二十五日日曜日に、ベトナム社会主義共和国のダナン市において開催されたアジア・オリンピック評議会総会(OCA総会)において、二〇二六年のアジア競技大会の開催地として、愛知県、名古屋市による共同開催が決定しましたことは、マスコミ各社を初めインターネットによるニュースでもヘッドラインのトップニュースとして上がるなど、本県のみならず我が国にとっても、東京二〇二〇、東京オリンピック・パラリンピックの先を見据えたまことにすばらしい喜ばしいニュースであり、本県においても、スポーツを通じたまち、人、暮らし、そして仕事の活性化に向けて、新たなマイルストーンが見えてきたと言えます。  これまでのまちづくりは、二〇二七年度のリニア開業を念頭に、いわゆるリニアインパクトをいかに効果的かつ効率的に県下の隅々にまでその影響を行き渡らせるかが県政振興施策の重要な鍵でありました。とりわけ、東京一極集中への懸念から、通称ストロー現象と呼ばれる人材や仕事が東京へ流出してしまうことに危機感を抱いてきました。  このたびのOCA総会におけるアジア四十五カ国の国と地域による決定は、本県がこれから十年の時をかけて、アジアの時代、リニアの時代の拠点となることを暗示していると言っても過言ではありません。特に、大都市圏である名古屋市においては、アジア競技大会の中核となるメーンスタジアム、選手村、メディアセンターを抱えることになると想定されており、同時に、現在第二滑走路の建設を目指す中部国際空港と直結する名古屋駅は、リニア開業目前、まさに愛知県の未来へ向けた夜明け前といった様相であります。  また、特に、私の地元選挙区でもある名古屋市中村区、名古屋駅の東側では、今春に開業した新生、大名古屋ビルヂングや、この六月にオープンしたJPタワーなど高層ビルが建ち並び、さながら、首都東京の副都心新宿や米国の中規模都市をほうふつとさせる景観となってきたとの声も聞かれます。  現在、リニア中央新幹線の名古屋駅が地下に設置される予定のJPゲートタワーの建設も佳境に入ってきており、二〇二〇年東京オリンピック閉幕後の物づくり日本を支えるエンジンとなり得る期待が一層高まっています。  二〇二七年度にリニア中央新幹線が開業すると、およそ五千万人規模の大交流圏が誕生することになると言われておりますが、その西の玄関口が名古屋駅であり、現在、名古屋駅のスーパーターミナル化に向け、関係各機関において調整が進められています。  この中では、名古屋駅東側だけではなく、名古屋駅西側のターミナルとしての機能強化も議論されていると聞いています。均衡ある名古屋駅周辺のまちづくりのためには、ぜひ名古屋駅周辺全体、かつては駅裏と言われていた名古屋駅西側地域の効果的な活用と、名古屋駅を抱く東西周辺の町並みがバランスのとれた機能強化を図ることが今後のまちづくりにおいて最も重要な視点であると考えているのは、専門家や学識経験者のみならず、地元に暮らす私たち住民も同様であります。  そこに、さきに述べた第二十回アジア競技大会の二〇二六年開催が決定いたしました。これにより、誘致決定前と決定後とでは、まちづくりに関する計画はその前提がおのずと変化するものと考えられます。  例えば、およそ一万五千人規模と言われている選手村は、名古屋駅の西側、南方に位置する現在の名古屋競馬場を弥富市にある競走馬のトレーニングセンターへ移設し、その跡地を選手村として活用するとのアイデアがあると聞いております。アジア競技大会閉幕後の跡地の再活用を鑑みれば、現在の名古屋競馬場は、新リニア駅のできる名古屋駅から直線距離にして車でおよそ七分程度、高速道路利用者の最寄りランプは、現在、中村区と中川区の区境に黄金ランプがありますが、アジア競技大会開催やリニア開業後を想定した場合、その利用規模に耐え得るのか否か、また、県内外からの利便性そのものについても、近隣住民の一人として期待感と同時に不安も感じます。  ここで、今後期待される跡地利用について、あくまでも試案でありますが、私の拙い知見をベースとした御提案をさせていただきたいと思います。  現在の名古屋競馬場から徒歩数分のところに愛知県武道館があります。また、競馬場の東側に隣接する公園、グラウンドと野球場は名古屋市の管理下にあり、地域の方々にとって、スポーツを通じた憩いの場として親しまれています。名古屋競馬場がもし移転した場合、その跡地をアジア競技大会のための仮設の選手村として利用し、アジア競技大会閉幕後は、このエリア一帯をスポーツゾーンとして、名古屋都市圏の新たな都市機能を持つ拠点として、人、まち、暮らしのあり方をデザインすることが考えられるのではないでしょうか。  仮設選手村の跡地およそ二十万平米には、スポーツゾーンの核となる、例えば災害時対応型の大型集客スポーツ競技施設を民間活力との連携により設置し、同時に、ゾーン内には、例えばスポーツ医療などによる医療・福祉機関や施設、例えば教育機関やスポーツに関する国際機関、または商業施設など、近年の欧州に見られる日々の暮らしに溶け込んだ大型集客スポーツ競技施設のあり方は、アジア競技大会閉幕後の愛知、名古屋へのスポーツツーリズムなどを見据えたまちづくり、人づくり、仕事づくりにおいて、大変いい事例になるのではないかと考えております。  東の横綱、首都東京が東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向かって、国と民間企業等が中心となり、フルサポートするナショナルトレーニングセンターを開設するなど、トップアスリートを育成し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでのメダル獲得を目指し、我が国における一大スポーツ拠点であるとするのなら、西の横綱を目指す私たち愛知県は、二〇二六年アジア競技大会に向けて、老若男女を問わずスポーツを愛する全ての人々、スポーツが得意な人も苦手な人も、健常な方も障害のある方も、スポーツを仕事としている人もそうでない方も、スポーツにかかわる全ての人々に利用していただける愛知、名古屋のスポーツゾーンを、四十五の国と地域による多様性のスポーツ競技大会、二〇二六年アジア競技大会のレガシーとして次の世代に残していくことができるのではないかと大いに期待するところであります。  とはいえ、二〇二六年のアジア競技大会終了後の選手村跡地の利用については、まずその大前提となる名古屋競馬場の移転計画に関して、所管する愛知県競馬組合議会における議論の進捗を見守り、議会の結論を待たなければなりません。今後、より活発な議論が展開されることを期待してやみません。  さて、平成十九年に名古屋高速道路公社が実施した名古屋高速道路のこれからの渋滞対策についてのパブリックコメントがあります。このパブコメは、同公社が平成十八年に学識経験者を中心として設置した名古屋高速道路の交通マネジメントに関する調査研究委員会、委員長、松井寛名城大学教授による名古屋高速道路都心環状線・大高線の渋滞対策に関する提言に基づいた渋滞緩和によるCO2排出量の削減を目的とした内容でありました。当時はまだリニア開業の計画も、アジア競技大会の誘致も、いわんや二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催も決まっていない時代背景での調査設計であります。  しかしながら、そこでまとめ上げられた内容を精査してみますと、リニア開業が発表されて以降、顕著に見られる名古屋都心、栄中心部から名古屋駅への経済重心の移動による、いわゆる栄地区の地盤沈下と称される現象を名古屋高速道路のパブコメ結果をベースにして解消できる可能性を見出すことができます。  残念ながら、この段階では、名古屋駅西地区のポテンシャルを具体的に生かすところまでの結論には及んでいませんでしたが、その後、リニア開業に向けて、平成二十六年度から開催されているリニア・高速道路アクセス向上調整会議において、名古屋駅と名古屋高速道路のアクセスの観点から、名駅入り口、錦橋出口周辺から錦通方面、新洲崎ジャンクション、白川出入り口周辺から広井町線方面へのスムーズなアクセス検討、黄金出入り口周辺から、現在整備中の椿町線を介した駅へのアクセス性の向上策の検討なども実施していると聞いております。  これら名古屋駅と名古屋高速道路のアクセス性向上策については、名古屋高速道路都心環状線・大高線の渋滞対策に関する提言の中で示されている渋滞対策とともに実施することにより、リニア開業に伴い予想される名古屋高速道路の交通量増大に対して大きな効果が発揮できるとともに、名古屋駅西口のポテンシャルも有効に活用できるものと期待しています。  リニアインパクトを生かして、名古屋駅周辺をさらに活性化させていくためには、人、物、金、情報のネットワークを、名古屋市内とともに県内にもバランスよく構築していくことが必要不可欠であることは、大村知事もさまざまな場面でのプレゼンテーションやスピーチの機会に言っておられます。知事のお考えを現実のものとするためには、スーパーターミナル名古屋駅と県内、名古屋市内に点在するアジア競技大会の会場予定地を含む交流拠点を連絡する広域道路ネットワークの構築が極めて重要と考えます。  ここで、私から御提案申し上げたいことは、名古屋駅を起点に、名古屋市瑞穂区や熱田区、中川区、南区、港区など、名古屋市の南西部を中心に配置されると思われるアジア競技大会の主要施設を効率的に結ぶには、既に一部では検討が始まっている名古屋市内外におけるLRTなどの輸送機関の設置はもとより、名古屋高速道路の渋滞緩和を鑑み、かつ現在の名古屋市都心部が抱える問題の一つでもある名駅地区一極集中による栄地区の地盤沈下への対応策として、栄地区に新たなランプを設置することと同時に、さきに述べたアジア大会開催中の主要施設から開催後の新たな施設利用へのアクセスを見据えた黄金ランプの位置づけの再考、例えば、黄金ランプから新リニア駅ビル西側へ、現在建設工事中の椿町線などと連動した直結乗り入れなどの名古屋駅西側スペースの効果的な活用であります。  そこで、まず一点目としてお尋ねいたします。  第二十回アジア競技大会の開催とリニア開業を見据え、名古屋高速道路網を中核とした名古屋都市圏の幹線道路整備について、今後どのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。  さて、昨日までの一般質問において、我が党の青山省三議員、山下智也議員がそれぞれマレーシアへの有志による調査団について触れておられましたが、私もその調査団に同行させていただいておりました。  マレーシアのマハティール前首相が提唱したルックイースト政策を掲げてこれまで成長を続けてきた同国は、既に五年前に首都機能移転を実現しております。首都クアラルンプール市からは車で移動時間およそ三十分、現在のプトラジャヤと呼ばれる新都心を建設し始めたのが今からおよそ十年前。当時、私はビジネスマンでありましたが、建設工事中のプトラジャヤを訪れ、その斬新なアイデアと実行力、強力なリーダーシップ、アジア諸国が秘めたエネルギーに大変な驚きを覚えました。  東京、品川と名古屋を結ぶリニアは、移動時間およそ四十分。アジアで首都機能移転を最も成功させた国とも称されているマレーシアの事例は、リニア時代に突入することにより移動の概念が大きく変化するであろう将来、本県は十分に我が国の首都機能の一翼を担えるゾーンに入るものと考えられます。  アジア競技大会二〇二六年の開催権を獲得し、そのスタートラインに立った今こそ、愛知県と名古屋市との十分な連携が図られるときであると考えます。幸いにも、愛知県と名古屋市には、近年、国際的な事業へのチャレンジを通じて培ってきた豊富な経験があります。一九八八年の名古屋オリンピック誘致では、開催権を獲得する寸前で投票により競合国の韓国・ソウルに敗れたものの、二〇〇五年の日本国際博覧会、愛・地球博では、賛否両論、多種多様な意見を集約し、自然の叡智をスローガンに、当初の目標来場者数一千五百万人を上回るおよそ二千二百五万人の来場者が詰めかける大成功をおさめました。  二〇二六年のアジア競技大会開催まで十年。その間、私たち愛知県、そして名古屋市は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックがさまざまな課題を克服し、乗り越え、いかにして成功をおさめていくのか、そのプロセスを目の当たりにすることができます。  そして、二〇一八年にインドネシア・ジャカルタで開催される第十八回アジア競技大会、二〇二二年に中国・杭州で開催される第十九回アジア競技大会と多くのケーススタディーの機会が与えられています。競合国との激しい誘致合戦を繰り広げることなく全会一致により手にすることができたこの二〇二六年アジア競技大会という未来への扉を開く鍵と、十年間という十分な助走時間、この二つの幸運を私たち愛知県、名古屋市はどのように生かすべきなのでしょうか。  そこでお伺いいたします。  これから十年の時をかけて、アジアの時代とリニアの時代、二つの時代の拠点となり得る愛知県と名古屋市が一体となって、ポスト・アジア競技大会を見据え、私たちが暮らすこの圏域や都市のグランドデザインをこれまで以上に共有し、連携を深めていくことが必要不可欠になると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上、二点についてお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 47: ◯建設部長(市川育夫君) 名古屋都市圏の幹線道路の整備についてお尋ねをいただきました。  リニアの開業効果を広く県内外に波及させるためには、玄関口となる名古屋駅のターミナル機能を強化するとともに、名古屋駅と中部国際空港、さらには、周辺主要都市との結びつきを強化する幹線道路ネットワークの充実が不可欠であり、アジア競技大会開催決定を契機として、そのスピードを加速する必要があると考えております。  このうち、名古屋駅のターミナル機能を強化するためには、名古屋都心部に路線網が整備されている名古屋高速道路へのアクセスを向上させることが効果的であります。このため、名古屋高速道路から名古屋駅の東西両側への接続方法等について、国、名古屋市、名古屋高速道路公社とともに、公共交通の利便性の向上や駅周辺の交通の円滑化に向けた観点から、新たな出入り口の追加も含めて検討を進めているところであります。  次に、名古屋駅から広がる幹線道路ネットワークを充実させるためには、まずは名古屋高速道路と一体的に機能し、ネットワークのかなめとなる名古屋環状二号線を早期に全線開通させる必要があります。このため、唯一の未開通区間である西南部・南部区間の一日も早い完成を経済界とともに国に強く働きかけてまいります。  また、名古屋高速道路を経由して名古屋駅と中部国際空港とを結ぶ西知多道路を今年度新規事業着手したところであり、リニア開業までの全線開通を目指して、国と連携しながら順次整備を進めてまいります。  さらに、名古屋駅と周辺主要都市との結びつきを強化するため、名岐道路を初めとする名古屋都市圏の幹線道路ネットワークのあり方や事業の効果、整備の進め方について、今年度から二カ年をかけて調査してまいります。  これからも、アジア競技大会の開催やリニア開業を見据えつつ、国を初め関係機関と連携を図りながら、名古屋都市圏の幹線道路ネットワークの充実に向けて全力で取り組んでまいります。 48: ◯政策企画局長(平岩昭彦君) 私からは、愛知県と名古屋市のグランドデザインの共有、連携についてお答えをさせていただきます。  本県は、リニア中央新幹線開業後の二〇三〇年ごろを展望するあいちビジョン二〇二〇におきまして、リニア開業により形成される大交流圏の中で、当地域が首都圏にも対抗し得る独自の強みを発揮しながら求心力を発揮していくことを目指しております。  このため、大都市名古屋を中心に社会的、経済的な結びつきが強く、一体性の強い産業集積を有するおおむね八十から百キロ圏を中京大都市圏と位置づけ、世界の中で存在感を発揮できる大都市圏づくりを進めているところでございます。  このビジョンにおいては、オリンピックイヤーの二〇二〇年度、リニアが開業する二〇二七年度をターゲットといたしまして、全国的、世界的な情報発信力のあるイベント等の誘致開催により、戦略的、重点的に地域ブランドの確立、情報発信力の強化に取り組むこととしております。  今般のアジア競技大会の開催決定は、こうした戦略を具現化、加速するものとして、大都市圏づくりの大きな推進力になるものと認識をいたしております。  ビジョンの策定過程におきましては、名古屋市とも十分に意見交換を行い、考え方を共有してきたところでございます。今後とも、県、市が大きな方向性を共有し、ベクトルを合わせ、一つ一つの事業におきまして適切な形で役割分担、連携が図られるよう努めてまいります。 49: ◯知事(大村秀章君) 寺西議員の質問につきまして、私からもお答えをいたします。  愛知県、名古屋市の連携についてでございます。  愛知県、名古屋市は、これまでもベクトルを合わせ、協力して地域づくりに取り組んでまいりました。そのような中、愛知・名古屋での開催が決定をいたしましたアジア競技大会は、拡大するアジアとの交流を一層深める機会となり、アジアのスポーツの発展や、友好と平和の促進に寄与するとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの次の目標となるものであります。  また、二〇二七年度のリニア開業のインパクトを生かした交流人口の拡大や国際競争力の強化、大会開催を通じた人づくりなど、愛知、名古屋はもとより、日本全体の成長への貢献にもつながる非常に大きな意義を有するものであり、ぜひとも成功に導いていかなければなりません。  さらに、アジア競技大会は、愛知、名古屋のまちづくりにさまざまなインパクトをもたらすものであり、リニア開業との相乗効果を十分に発揮させ、その波及効果を将来のこの地域の発展につなげていくためには、今後、愛知県と名古屋市がベクトルを合わせて政策に取り組むことがこれまでにも増して重要なものになってくると考えております。  今後も、しっかりと県と市がベクトルを合わせた上で、それぞれの施策における役割分担と連携を一層図りながら、国内外から人、物、金、情報が集まり、活発な活動が展開される大都市圏づくりを着実に進めてまいります。 50: ◯議長鈴木孝昌君) 以上で質問を終結いたします。        ───────────── 51: ◯四十番(石塚吾歩路君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれの所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 52: ◯議長鈴木孝昌君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 53: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。  なお、議案付託表は議席に配付をいたしました。        ─────────────        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会の設置
    54: ◯四十一番(中根義高君) ただいま議題となっております決算第一号から決算第十二号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 55: ◯議長鈴木孝昌君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 56: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第一号から決算第十二号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会に付託された決算    決算第一号 平成二十七年度愛知県一般会計歳入歳出         決算    決算第二号 平成二十七年度愛知県公債管理特別会計         歳入歳出決算    決算第三号 平成二十七年度愛知県証紙特別会計歳入         歳出決算    決算第四号 平成二十七年度愛知県母子父子寡婦福祉         資金特別会計歳入歳出決算    決算第五号 平成二十七年度愛知県中小企業設備導入         資金特別会計歳入歳出決算    決算第六号 平成二十七年度愛知県就農支援資金特別         会計歳入歳出決算    決算第七号 平成二十七年度愛知県県有林野特別会計         歳入歳出決算    決算第八号 平成二十七年度愛知県林業改善資金特別         会計歳入歳出決算    決算第九号 平成二十七年度愛知県沿岸漁業改善資金         特別会計歳入歳出決算    決算第十号 平成二十七年度愛知県港湾整備事業特別         会計歳入歳出決算    決算第十一号 平成二十七年度愛知県流域下水道事業          特別会計歳入歳出決算    決算第十二号 平成二十七年度愛知県県営住宅管理事          業特別会計歳入歳出決算        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任 57: ◯議長鈴木孝昌君) これより一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任を行います。  委員の選任については、議席に配付してあります文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 58: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付しております文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会委員      深谷 勝彦    神戸 洋美      原よしのぶ    川嶋 太郎      いなもと和仁   山田たかお      ますだ裕二    塚本  久      長江 正成    嶋口 忠弘      安井 伸治    柴田 高伸      園山 康男        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任 59: ◯議長鈴木孝昌君) 次に、一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。  正副委員長の選任については、議席に配付してあります文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 60: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付してあります文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────   一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長      委員長  長江 正成      副委員長 川嶋 太郎        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会の設置 61: ◯四十番(石塚吾歩路君) ただいま議題となっております決算第十三号から決算第十六号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 62: ◯議長鈴木孝昌君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 63: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第十三号から決算第十六号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会に付託された決算    決算第十三号 平成二十七年度愛知県県立病院事業会          計決算    決算第十四号 平成二十七年度愛知県水道事業会計決          算    決算第十五号 平成二十七年度愛知県工業用水道事業          会計決算    決算第十六号 平成二十七年度愛知県用地造成事業会          計決算        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会委員の選任 64: ◯議長鈴木孝昌君) これより公営企業会計決算特別委員会委員の選任を行います。  委員の選任については、議席に配付してあります文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 65: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付してあります文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会委員      三浦 孝司    峰野  修      青山 省三    堀嵜 純一      藤原 宏樹    犬飼万壽男      南部 文宏    西川 厚志      森井 元志    天野 正基      朝倉 浩一    市川 英男      わしの恵子        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任 66: ◯議長鈴木孝昌君) 次に、公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。  正副委員長の選任については、議席に配付してあります文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 67: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付してあります文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────   公営企業会計決算特別委員会の正副委員長      委員長  三浦 孝司      副委員長 峰野  修      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第二 請願(一件)
    68: ◯議長鈴木孝昌君) 次に、請願を議題といたします。  本議会に提出されました請願一件については、お手元に配付してあります請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。        ─────────────      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 69: ◯四十一番(中根義高君) 本日はこれをもって散会し、十月三日から十月十三日までは委員会開会等のため休会とし、十月十四日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 70: ◯議長鈴木孝昌君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 71: ◯議長鈴木孝昌君) 御異議なしと認めます。  十月三日から十月十三日までは委員会開会等のため休会とし、十月十四日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時三十分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...