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  1. 愛知県議会 2015-12-11
    平成27年文教委員会 本文 開催日: 2015-12-11


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成27年文教委員会 本文 2015-12-11 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 95 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  【辻 秀樹委員選択 2 :  【義務教育課長選択 3 :  【辻 秀樹委員選択 4 :  【義務教育課長選択 5 :  【辻 秀樹委員選択 6 :  【義務教育課長選択 7 :  【辻 秀樹委員選択 8 :  【義務教育課長選択 9 :  【辻 秀樹委員選択 10 :  【義務教育課長選択 11 :  【岡 明彦委員選択 12 :  【高等学校教育課長選択 13 :  【岡 明彦委員選択 14 :  【高等学校教育課長選択 15 :  【岡 明彦委員選択 16 :  【生涯学習課長選択 17 :  【岡 明彦委員選択 18 :  【生涯学習課長選択 19 :  【岡 明彦委員選択 20 :  【文化財保護室長選択 21 :  【岡 明彦委員選択 22 :  【鈴木 純委員】 選択 23 :  【義務教育課長選択 24 :  【鈴木 純委員】 選択 25 :  【義務教育課長選択 26 :  【鈴木 純委員】 選択 27 :  【義務教育課長選択 28 :  【鈴木 純委員】 選択 29 :  【高等学校教育課長選択 30 :  【鈴木 純委員】 選択 31 :  【高等学校教育課長選択 32 :  【鈴木 純委員】 選択 33 :  【高等学校教育課長選択 34 :  【鈴木 純委員】 選択 35 :  【高等学校教育課長選択 36 :  【鈴木 純委員】 選択 37 :  【渡辺 昇委員】 選択 38 :  【保健体育スポーツ課長】 選択 39 :  【渡辺 昇委員】 選択 40 :  【保健体育スポーツ課長】 選択 41 :  【渡辺 昇委員】 選択 42 :  【保健体育スポーツ課長】 選択 43 :  【渡辺 昇委員】 選択 44 :  【財務施設課長】 選択 45 :  【渡辺 昇委員】 選択 46 :  【財務施設課長】 選択 47 :  【富田昭雄委員】 選択 48 :  【義務教育課長選択 49 :  【富田昭雄委員】 選択 50 :  【義務教育課長選択 51 :  【富田昭雄委員】 選択 52 :  【義務教育課長選択 53 :  【教育長】 選択 54 :  【富田昭雄委員】 選択 55 :  【財務施設課長】 選択 56 :  【富田昭雄委員】 選択 57 :  【財務施設課長】 選択 58 :  【神野博史委員】 選択 59 :  【特別支援教育課長】 選択 60 :  【神野博史委員】 選択 61 :  【財務施設課長】 選択 62 :  【神野博史委員】 選択 63 :  【財務施設課主幹(振興・募集計画)】 選択 64 :  【神野博史委員】 選択 65 :  【財務施設課主幹(振興・募集計画)】 選択 66 :  【神野博史委員】 選択 67 :  【財務施設課長】 選択 68 :  【神野博史委員】 選択 69 :  【財務施設課長】 選択 70 :  【神野博史委員】 選択 71 :  【財務施設課長】 選択 72 :  【神野博史委員】 選択 73 :  【山田たかお委員】 選択 74 :  【財務施設課長】 選択 75 :  【山田たかお委員】 選択 76 :  【財務施設課長】 選択 77 :  【山田たかお委員】 選択 78 :  【財務施設課長】 選択 79 :  【山田たかお委員】 選択 80 :  【高等学校教育課長選択 81 :  【山田たかお委員】 選択 82 :  【教育企画室長】 選択 83 :  【山田たかお委員】 選択 84 :  【高等学校教育課主幹(振興・奨学)】 選択 85 :  【山田たかお委員】 選択 86 :  【直江弘文委員】 選択 87 :  【高等学校教育課長選択 88 :  【直江弘文委員】 選択 89 :  【高等学校教育課長選択 90 :  【直江弘文委員】 選択 91 :  【高等学校教育課長選択 92 :  【直江弘文委員】 選択 93 :  【高等学校教育課長選択 94 :  【義務教育課長選択 95 :  【直江弘文委員】 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 《一般質問》 【辻 秀樹委員】  私は12月定例議会の本会議の一般質問で、子ども・子育て支援を求めるとともに、子供たちの教育の充実を要望した。特に、人間形成の基礎を培い、生きる力を養う幼児教育は、今後の愛知の地方創生に向け、非常に重要であると考えられるため、愛知の幼児教育の充実について伺う。  本県では、平成23年6月に策定した「あいちの教育に関するアクションプランII」の次期計画として、第三次愛知県教育振興基本計画(仮称)を策定することとしており、現在、計画の中間取りまとめが出され、今後の愛知の幼児教育の充実に関する重要性が明記されている。  愛知県幼児教育研究協議会では「愛知の幼児教育指針」を策定し、保育者のこれからの実践力の向上に向けた取組について、様々な協議が行われていると聞いている。  その中で、実践力向上に向けての協議内容、また、まだ実行段階だと思うが、どのような成果が確認され、今後その成果をどのように県の幼児教育へ普及浸透を図っていくのか伺う。 2: 【義務教育課長】  「愛知の幼児教育指針」は、学識経験者や保護者、公立並びに私立の幼稚園、保育所などの多くの幼児教育関係者に参画してもらい、平成24年度に策定した。指針では、これからの幼児教育の基本方針として、幼稚園や保育所等における3歳児から小学校入学前までの幼児期に育てたい力を示している。  この指針を具体化するため、愛知県幼児教育研究協議会では、まず、幼児教育と小学校教育の接続上の課題について協議を深め、平成25年度末に小学校入学前6か月から入学後の4か月の接続期における教育課程・保育課程(アプローチカリキュラム)の編成の手引きを取りまとめた。  また、平成26年度から保育者に求められる資質と専門性を明らかにして、その向上に資する取組について協議し、現在、まとめているところである。  県幼児教育研究協議会の協議で得られた成果をまとめた冊子は県のWebページに公開するとともに、幼稚園教育担当者連絡会や県が主催する幼稚園、保育所等及び幼児教育施設関係者が参加する研修会等で紹介し、幅広い活用を働きかけている。 3: 【辻 秀樹委員】  就学前の幼稚園や保育所等と就学後の小学校との連携は、切れ目のない教育の推進という点で非常に重要である。幼保と小学校との交流活動、また、教育・保育の内容など、就学前の接続期における幼児教育課程と小学校教育とをつなげるための教育課程や保育課程の編成等が非常に重要になってくると思う。  こうした中で、「あいち はぐみんプラン2015-2019」では平成26年度の幼稚園等と小学校との連携・接続が現状57パーセントにとどまっており、平成31年度に75パーセントの達成が数値目標として明記されているが、今後、目標の達成に向け、どのような取組により推進していくのか。 4: 【義務教育課長】  小学校と幼稚園等との連携・接続の現状は、児童が幼稚園や保育所等に出かけて手づくり絵本の読み聞かせをしたり、幼児が小学校に出かけて運動会や音楽集会などの行事に参加したりするなど、児童と幼児との交流がほとんどの小学校で行われている。また、小学校と幼稚園・保育所等が授業参観や保育参観、研究会を合同で開催するなど、教員と保育者との交流も進んできている。  連携・接続が57パーセントにとどまっている小学校との教育課程の連携・接続の強化を図るには、こうした取組の充実はもとより、幼児教育や小学校教育の関係者に連携・接続の重要性を深く理解をしてもらうことが重要であり、そのための研修が一層重要であると考えている。  県では、これまで、5歳児後期から就学前の時期までに、自分のことを自分でしようとする力や、面白いと思うことに自分から取り組もうとする力などを育むための具体例をまとめた手引書「小学校教育を見通した幼児期の教育を考える」を作成し、幼稚園や保育所等での研修資料として配付し、その活用を働きかけてきた。  また、本年度は、小学校1、2年生で学習する生活科の教育課程研究集会で、小学校と幼稚園の教諭がともに参加し、子供たちの幼児期の学びと育ちをつなぐため、文部科学省が作成したパンフレット「スタートカリキュラム スタートブック」を活用しながら、小学校と幼稚園等との連携・接続に関する協議を深めてきた。  今後も、小学校と幼稚園の教諭等が情報を共有する機会を継続して保障することに加え、幼稚園教育担当者連絡会等で、子供たちの豊かな成長につながる小学校と幼稚園、保育所等の教育課程の連携・接続のより良い取組を周知し、目標値である75パーセントの達成に努めていく。
    5: 【辻 秀樹委員】  一つの小学校に複数の幼稚園から集中的に子供が入ってくる地域や、非常に広域的に小学校に就学する地域など、地域ごとに様々な実情等があると思うので、小学校との連携・接続には、地域の実情に十分留意し、しっかり進めることを要望する。  次に、幼児期の教育の充実のためには、その担い手である幼稚園教諭・保育士・保育教諭の資質及び専門性の向上が必要不可欠だと思う。愛知県幼児教育研究協議会でも大きなテーマの一つと聞いているが、幼稚園教諭・保育士・保育教諭の資質の向上及び専門性の向上には、教育委員会だけでなく、県庁内の他部局との連携を図る必要があると思うが、関係部局とどのように連携を図っていくのか伺う。 6: 【義務教育課長】  幼児期は子供たちが生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であるため、幼稚園だけでなく、保育所や認定こども園等においても、義務教育及びその後の教育の基礎となる力を育む幼児教育が重要である。  本年度より、子ども・子育て支援新制度が施行され、幼稚園・保育所からこれらの機能を一体化した認定こども園への移行も進み、とりわけ幼保連携型認定こども園が増えており、多様な保育のニーズに応えるだけでなく、そうした場の教育の質を高めていくことも重要である。  そこで、幼児期の子供たちに関わる全ての幼稚園教諭、保育士、保育教諭が教育と保育の両方の理論と実践力を身につけるための研修が不可欠であり、私立幼稚園や保育所等を所管する関係部局と連携することがとても大切である。  県教育委員会では、関係部局はもとより、国公立幼稚園、私立幼稚園、公立保育所、民間保育所などの多様な関係者を構成員として愛知県幼児教育研究協議会を組織しており、それぞれの立場を踏まえた本県の幼児教育の充実に向けた研究を重ねている。  本年度は、子供たちの姿から、思いや成し遂げたい行動への欲求を読み取る力、食物アレルギーや保護者対応等の今日的な課題に応じる力など、専門性を高めるための園内研修や、幼稚園と保育所同士、また、幼稚園、保育所等と小学校との合同研修の推進等について、協議を深めている。  こうした協議を踏まえ、関係部局と連携して、県教育委員会が主催する愛知県幼稚園等新規採用教員研修や保育技術講座などへの保育教諭等の参加を検討し、一人一人の資質及び専門性を高めて幼児期の教育の質の確保に努めていく。 7: 【辻 秀樹委員】  次に、「愛知の幼児教育指針」にあるように、特別な支援を要し、障害のある子供たちに対しては、一人一人の個性に合わせたきめ細かな対応が重要になってくる。また、第三次愛知県教育振興基本計画(仮称)の中間取りまとめでも、幼児、児童生徒の個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成率を改善することが明記されているが、作成率の現状、また、これをどのように引き上げ、改善していくのか伺う。  また、第三次愛知県教育振興基本計画(仮称)に、就学前と就学後の接続連携にはこれらの計画を切れ目なく引き継いでいくことが重要であり、個別の教育支援計画の引継率を改善することが明記されているが、引継率の現状と今後の引継率向上に向けた取組を伺う。 8: 【義務教育課長】  県教育委員会では、特別な支援が必要な幼児の育ちを第一に考え、保護者や関係機関との連携を密にし、今後の幼児の成長に一番望ましい方向を見いだしていくことが何よりも大切であると考えている。  こうした中で、個別の教育支援計画は、障害のある幼児、児童生徒一人一人が学校を卒業するまでの長期的な視点に立ち、医療、福祉等の関係機関と連携しつつ、一貫して的確な教育的支援が受けられるよう、保護者と幼稚園や学校等が作成していくものである。  また、個別の指導計画は、幼児、児童生徒一人一人が障害の状況に応じたきめ細かな指導が受けられるよう、当該幼児、児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、学校での具体的な指導内容及び方法を、幼稚園や学校等が作成するものである。  個別の指導計画は、公立幼稚園84.6パーセント、公立保育所94.2パーセント、私立保育所86.1パーセントと高い作成率となっているが、保護者と作成する個別の教育支援計画の作成率は、公立幼稚園67.3パーセント、公立保育所63.7パーセント、私立保育所42.1パーセントとなっており、まだまだ十分とは言えず課題となっている。  そこで、幼稚園や保育所等で作成された個別の教育支援計画や個別の指導計画が、保護者の理解の上で、入学先の小学校に継承され、継続的なきめ細かな支援が実施できるようにすることが重要であり、県教育委員会では、今後、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成が一層進み、有効に活用されるよう、学校教育担当指導主事会や幼稚園教育担当者連絡会等で周知啓発に努めていく。 9: 【辻 秀樹委員】  最後に、県内の幼稚園に通う子供たちの89パーセントが私立幼稚園に通っているという現状を踏まえ、愛知の幼児教育の充実を図るためには、私立幼稚園と教育委員会との連携が非常に重要になってくると思う。これまでも公私の協調をしてきたと思うが、更に私学との連携を強化して愛知の幼児教育の充実を図ってほしいが、今後の私学及び県関係部局とどのように連携強化に取り組んでいくのか。 10: 【義務教育課長】  公立幼稚園や私立幼稚園、また、保育所や認定こども園等全ての幼児教育施設において、幼児教育の充実を図るためには関係部局との連携強化が重要であると考えており、県教育委員会としては、愛知幼児教育研究協議会のほか、関係部局と連携し、公立、私立幼稚園の新規採用教員を対象として絵本や紙芝居等を効果的に活用する方法や小学校教育との連携などについて学ぶ研修の在り方についての運営協議会を開催したり、法改正により義務付けられた保育教諭の初任者研修等の進め方についての検討会議も開催している。  今後も関係部局と連携し、より質の高い幼児教育の充実と発展に努めていく。 11: 【岡 明彦委員】  先日、学び直しが必要な生徒が多く入学する県立学校2校の授業参観をしたが、普通科に新たに導入されたコース制、道徳教育指導参考資料である「明日を拓く」に紹介されている道徳教育の実践、加配教員の措置等で展開が可能になったきめ細かな授業など、複数の教育活動の実践で着実に成果が出ていると実感した。  授業参観後の教職員懇談では、スクールソーシャルワーカーや法律家のことが話題になり、改善されてきているものの、今なお同校で起こる難題に対しては、専門家のアドバイスや対応を望みたいとのことだった。  今年度、県ではスクールソーシャルワーカーを導入し、まずは、定時制・通信制高校に対応するため、起工業高等学校及び刈谷東高等学校に各1名を配置しているが、両校とも、昼間定時制を持っており、対応すべき事案も多いと思うが、今年度の活用状況及び好転事例を併せて伺う。 12: 【高等学校教育課長】  今年度から、家庭環境など複雑な背景を抱える生徒に対し、生徒が置かれた環境に働きかけて生徒の抱える問題の解決に向けた支援を行うため、スクールソーシャルワーカー2名を拠点校である起工業高等学校及び刈谷東高等学校の昼間定時制課程を持つ2校に配置した。  拠点校での事案に対応するとともに、ほかの学校からの派遣要請に基づき、ほかの定時制・通信制高校にも出かけて相談にあたっており、起工業高等学校が尾張地区、刈谷東高等学校が知多三河地区の定時制・通信制高校を中心に担当している。  本年度11月末時点では、2人のスクールソーシャルワーカーが実人数で49人の支援にあたった。この人数は、スクールソーシャルワーカーの相談において、1人が1回ということではなく、1人で何度も相談したり、市役所やいろいろな関係機関に出向いたりするケースも含めたものである。  このうち、明らかに状況が解決し、好転したという生徒は9名おり、また、その他の生徒も現在継続して支援を行っており、スクールソーシャルワーカーの存在が生徒の支えになり、学校生活が続くか心配をしていた生徒が学校生活を続けている。  学校からは、スクールソーシャルワーカーの支援により、学校・家庭が外部の専門機関と連携することができ、家庭の状況が改善され、明らかに生徒の学校生活に取り組む意欲が向上したと大変喜ばれている。  具体例として、母子家庭の姉妹で、生徒は姉で、母親が自宅アパートに寝泊まりをせず、お金も入れないため、電気、ガス、水道等が止められていた。姉妹はよそでお風呂に入ったり洗濯したりするため遅刻や欠席が多く、単位の取得が思うようにいかず、アルバイトで何とか生活をしているという状況だった。  そこでスクールソーシャルワーカーが水道局に掛け合い、姉妹がアルバイトでためていたお金で水道代を支払い、その後すぐに水道が使えるよう対応した。また、母親が申請をしていなかった手当もスクールソーシャルワーカーが市役所に掛け合い、遡って給付をしてもらえることになった。  また、自宅アパートは清掃されておらず、ごみがたまり、トイレも風呂も使える状況ではなかったため、本人の了解を得て児童相談所の職員や学校の職員、スクールソーシャルワーカーが協力し、3日間かけて片づけと清掃を手伝った。  その結果、8月下旬には母親と面談を行うことができ、9月には遅刻欠席がほとんどない状態で登校できるようになり、非常に改善した事例となった。  こうした事例では、教員だけではどこに相談をしたらいいのか、また、どうしたらいいのか分からないことから、スクールソーシャルワーカーがいてくれたおかげだと大変喜ばれている。 13: 【岡 明彦委員】  初年度ではあるものの、それなりの活用がなされていると思う。しかし、スクールソーシャルワーカーは非常勤で週2日の勤務と聞いており、また、ほかの県立高校の定時制、通信制高校は現在29校ある。それらを、現在の2人でカバーすることは、現実的に不可能であり、実際、ほかの学校からは、派遣要望に十分に応えきれていないとの声も寄せられている。  全日制高校も含めた全ての学校のニーズに応え、スクールソーシャルワーカーの一層の活用を進めるため、教育委員会は今後の展開をどう考えているのか。 14: 【高等学校教育課長】  この2名は定時制課程全体を対象としているが、拠点校の活動が中心となっている。起工業高等学校は昼間定時制が2学級であるが、刈谷東高等学校は昼間定時制が5学級と非常に大きく、さらに夜間定時制も1学級、加えて通信制もあることから、対応すべき事案が非常に多くなっており、指摘のような状況になっていると承知をしている。  スクールソーシャルワーカー制度は始まったばかりであり、今後、理解が深まるにつれ、ほかの学校からのニーズも年々高まってくると予想している。  指摘のとおり、現在の2名ではなかなか対応できないため、教育委員会でも課題と認識しており、今後、スクールソーシャルワーカー2名の配置の検証を行い、各学校のニーズに応えられるよう、全日制も含めて配置の拡充に向けて努力をしていきたい。 15: 【岡 明彦委員】  文部科学省は「チーム学校」の実現を目指しているが、本県においてもスクールソーシャルワーカー等、専門家の積極的な活用による学校の総合力、教員の指導力の強化を要望する。  次に、マナーやしつけなど、本来家庭で教育されるべき基本的な倫理感に起因する問題が教育現場に持ち込まれており、家庭の教育力の低下をもたらした問題の顕在化として憂いている人も多いと思う。  先般、自分は津島市立南小学校で保護者を対象とした「親の育ち」家庭教育研修会に参加した。県のあいちっこ「親の学び」学習プログラムを活用した講座で、「子供の褒め方、叱り方を考えてみましょう」などをテーマに、ロールプレイ方式で保護者4、5名が1チームで、家庭や親の役割や子供への接し方について学び合いをしていた。  また、悩みを語り合う場や親自らが課題解決をしていく機会の確保にもなっていた。テキストも大変よくできており、作成した生涯学習課と編集委員に敬意を表したいと思う。  「親の育ち」家庭教育研修会の実施状況と研修会で寄せられた保護者アンケートの代表的な意見にはどのようなものがあるか、また、講師であり、授業の推進役である子育てネットワーカーの養成をどのように行っているのか。 16: 【生涯学習課長】  「親の育ち」家庭教育研修会は、平成25年度から家庭の教育力の向上を図るため、子育てネットワーカーを講師として、あいちっこ「親の学び」学習プログラムを活用したワークショップ型の家庭教育研修会として年間で50回行っており、平成26年度の受講者数は2,317名だった。  参加者アンケートでは、「家での自分の行動を振り返ってどきっとしたが、新たな子育ての第一歩を踏み出そうと思った」、「一人で悩んでいたが、みんなの意見を参考に、また、頑張ろうと思った」などの意見が出るなど、8割以上の参加者から好評を得ている。  子育てネットワーカーの養成は、基礎講座とスキルアップ講座を隔年で行い、順次養成しており、現在希望した50名が講師登録している。 17: 【岡 明彦委員】  評価の高い事業だと思うが、今後この研修会をどのように展開していくのか伺う。 18: 【生涯学習課長】  研修会の参加者は、小学校や幼稚園、保育所の保護者が中心であり、開催場所や開催時間などを検討し、より参加しやすい環境を整えていきたいと考えている。 19: 【岡 明彦委員】  研修会終了後に講師の子育てネットワーカーと話をしたが、社会的に孤立した保護者が大変多く、子育ての悩みに直面し、孤立した親に対してどのように学習機会を提供するのかという大きな課題にどう立ち向かえばよいか悩んでいた。また、研修会に参加している保護者はお母さんばかりで、今話題になっているようにお父さんの子育て参加も重要だと思う。  この、すばらしいプログラム教材を、孤立した保護者に一人でも多く伝えるため、例えば、ショッピングセンターなど、若い親世代が日常的に使う場所での研修会やイベントを開催したり、県が力を入れて立ち上げた、あいちイクメン推進事業と協働するなど、保護者の学習機会の確保に向け、部局の壁を乗り越えて衆知を集めた取組をしてほしい。  また、子育てネットワーカーは子育てをサポートする意味で非常に優位な社会資源であり、県内各地でより一層の活躍ができるよう、家庭の教育力の向上に向けた取組を粘り強く行ってほしい。  次に、現在策定中の愛知県文化財保護指針について伺う。  愛知県には化石や鉱物など貴重な自然史財が多くあり、詳しい方も多いと認識している。南知多の師崎層群の深海生物化石群集は、地層が1,600万年前のもので、光の届かない海にすむ生物が現在とほとんど変わらない状態で存在したことを証明する深海生物化石群として世界で初めて発見された。  また、学術的な価値だけではなく、保存状態の良い化石を産出する群集として世界遺産となっており、名古屋市科学館の特別展「生命大躍進」でも展示されているカナダのバージェスけつ岩の化石と比較して、専門家から日本のバージェスと呼ばれている。  しかし、こうした学術的に貴重な化石は、文化財保護法上、保護対象であるにもかかわらず、流出、散逸の危機に見舞われてもおかしくない状況にあり、紹介した師崎層群の深海生物化石も大半は年齢の高い研究者の個人所有になっている。  過去、愛知県を代表する自然史系の文化遺産が他県に流出した例として、渥美層群貝類化石コレクションがある。田原市赤羽根町で産出する約44万年前の貝類化石は、鵜飼修司氏という個人が一生かけて収集、整理をされ、その結果470種、20万点がコレクションされた。  これは種数、点数はもとより、学術的に整理された標本として世界的水準と認められていたが、鵜飼氏が亡くなられた後、他県で保存されることになり、本県に戻ることはなかった。  現在、県で策定中の文化財保護指針では、今後の方針として未指定文化財の把握、現状確認調査や、それに対応できる人材育成などを建造物以外にも拡充することを検討するとしているが、県として、今後、化石や鉱物など貴重な自然史財へどのように対応していくのか伺う。 20: 【文化財保護室長】  化石、鉱物などの自然史財の資料の取扱いについては、文化財保護法上、保護対象であるにもかかわらず、その取組が十分に進んでいない状況である。  しかし、化石や鉱物などの資料は、日本列島のルーツ、成り立ちを示す地質現象として、また、過去の生物の姿を知ることのできる貴重な財産、歴史の証人であることから、文化財保護指針の策定を踏まえ、今後、化石や鉱物など自然史財の把握などについても検討していく。 21: 【岡 明彦委員】  愛知県の貴重な宝というべき文化遺産への対応は大変重要であり、後世への伸び代を考えると更に重要性は増すと思う。  徳川美術館は、文化遺産が散逸せず愛知県内に残ったことで日本を代表する美術館となった好例だと思う。県内の児童生徒のみならず、外国人旅行客にまで知られる同館のコレクションは、尾張徳川家を始め、多くの方々の尽力により、散逸、流出を免れた大名コレクションである。  県内の自然史財の対応に対する課題は様々あると思うが、徳川美術館の例に倣い、県として積極的な保護への取組を期待する。 22: 【鈴木 純委員】  来年度の文部科学関係概算要求のポイントの中に、新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化の推進という項目があり、今年度に対し8億円増の9億円が予算要求されていた。そこには、児童生徒の発達の早期化、自己肯定感の低さ、小1プロブレム、中1ギャップなどの課題に対応するための小中一貫教育の推進、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援策の調査研究の実施などがうたわれており、フリースクール等で学ぶ子供への支援の在り方に関する実証研究の新規事業には5億円が、小中一貫教育推進事業には小中一貫教育の導入に向けた先導的取組の支援として、6県から41県増の47都道府県に対し、予算規模2億円増の3億円程度が予算要求されていた。  学校教育法等の一部を改正する法律が本年6月24日に公布され、来年度施行される小中一貫教育制度について、今回の学校教育法等の改正で措置が可能となった義務教育学校及び小中一貫型小学校・中学校(仮称)の概要を伺う。 23: 【義務教育課長】  小学校高学年から中学校の時期は思春期を迎え、いわゆる中1ギャップと呼ばれる心身の発達や変化が大きく、精神的に不安定な時期であることから、小中学校間の段差をなくし、小中学校で長期的視点に立った一貫性のある教育として、現在、全国で1,130校が小中一貫教育を実施している。  学校教育法等の一部が改正されたことに伴い、小中一貫教育を行う学校は義務教育学校と小中一貫型小学校・中学校(仮称)の二つの類型となっており、いずれも9年間を通した教育目標を設定している。また、9年間の系統性を確保した教育課程として、前期6年、後期3年の区分だけでなく、「4・3・2」あるいは「5・4」など、柔軟な学年段階の区切りを設定することができる。  しかしながら、義務教育学校は一人の校長のもとで一つの教職員組織であるのに対し、小中一貫型小学校・中学校(仮称)では学校ごとに校長を中心とする教職員組織があり、また、義務教育学校の教員は、原則として小・中学校教員免許を併有しなければならない。  さらに、どちらの類型でも、校舎の形態は、小学校と中学校の校舎の全部、又は、一部が一体的に設置されている施設一体型と、それぞれの校舎が同一敷地、又は、隣接する敷地に別々に設置されている施設隣接型、校舎が隣接していない、又は、異なる敷地に別々に設置されている施設分離型等がある。 24: 【鈴木 純委員】  日経グローカル2015年6月15日号に、「2016年度から小中一貫教育が制度化へ 先行自治体に学ぶ課題」という特集記事があり、この中で、小中一貫教育の先行自治体は成果を上げているが、連携に伴う作業負担は重く、普及の是非は教育現場の負担をいかに解消するかにかかっているとのことだった。  平成18年度に小中一貫教育を導入した東京都品川区では、要領の策定等に約300人の教員が参加し、2年近くを要したとのことであり、文部科学省がまとめた平成26年5月1日現在の小中一貫教育の実施数は、全国合計で施設一体型148校、施設隣接型59校、施設分離型882校、その他41校となっている。都道府県・政令市ごとの集計では、取組に大きな差があり、推進している県とほとんど取組をしていない県と明確に分かれている。義務教育学校の教員は原則として小学校と中学校の免許の併有が必要とのことだが、本県は、小学校教員に占める中学校免許併有教員の割合が全国平均59.9パーセントに対し79.6パーセント、中学校教員の場合も全国5番目に高い状況にあり、小中一貫教育を導入しやすい状況にあるが、愛知県は名古屋市も含め2校しか小中一貫教育を行っている学校がなく、取組をしていないグループに属している。  そこで、愛知県で取組が進んでない要因を伺う。 25: 【義務教育課長】  本県で小中一貫教育を行っているのは2校のみであり、その一つの飛島村立小中一貫教育校飛島学園は、義務教育9年間を「4・3・2」制とし、9年間で計画的に指導する英語教育を導入し、小学校5、6年生段階から、国語等の一部の教科を教科担任制とするなどの小中一貫教育を行っている。その結果、思いやりのある異学年交流が進んだり、教員の授業改善の意欲が高まったりするなど、一定の成果が上がっていると聞いている。  飛島村は、もともと小学校と中学校が1校ずつの地区で、比較的施設一体型の小中一貫教育に移行しやすい環境にあったが、飛島学園を開校するまでには学校施設等検討委員会や小中一貫教育研究会等を設置し、小中一貫教育の意義や新校舎の構想案を周知したり、開校2年前から開校準備委員会を設置して校内体制を整備するなど、大変な労力を費やしたと聞いている。  本県では複数の小学校から児童が入学する中学校が多く、飛島学園のような施設一体型の小中一貫教育の実施には、飛島村以上の多大な労力、また、建設費が必要になると予想される。  一つの小学校の児童が複数の中学校に進学している地域では、全国で最も多く取り組まれている施設分離型の小中一貫教育を実施する場合、小中一貫教育カリキュラムの作成に加えて、就学区域の見直しや、それに伴う地域住民の理解を得るという課題もある。  さらに、学校が離れていることで小中学校教職員間での打合せや授業等を実施する際の移動時間が必要となり、教職員の負担が増すおそれがあることなどが、本県において小中一貫教育が進んでない要因であると考えている。 26: 【鈴木 純委員】  文部科学省の来年度予算の概算要求では、小中一貫教育に向けた先導的取組を47都道府県に拡大して支援するとのことであるが、来年度から学校教育法等の一部を改正する法律が施行されるに当たり、小中一貫教育に対する今後の方向性を教育委員会ではどう考えているのか。 27: 【義務教育課長】  文部科学省が平成27年2月に発行した、小中一貫教育についての実態調査の結果では、小中一貫教育によって、中学校への進学に不安を覚える児童が減少したり、いじめや不登校が減少したりする等の中1ギャップが緩和されたという成果、また、小中学校の教員が合同の授業研究を行い、分かる授業について互いに研さんを積むことで児童生徒の学力向上への寄与も期待できることが報告されている。
     現在、本県では成果が伴う小中一貫教育の取組は進んでいないが、小中学校間で小学6年生の中学校の授業や行事・部活動への参加、中学校教員の小学生向けの授業の実施、また、小中学校の教員が相互に授業参観をし合う等の小中連携の取組が積極的に行われている。  県教育委員会としては、課題の多い小中一貫教育を推進するよりも、まずは、各地域の特性を吟味しながら、より一層小中連携の取組が進むよう、各市町村の先進的な事例を把握し、学校教育担当指導主事会等で紹介し、周知啓発を図っていきたい。  一方で、文部科学省が平成28年度予算で概算要求している小中一貫教育推進事業は、県内市町村の意向を調査した上で、希望する市町村に委託して調査研究を行ってもらい、有効性や課題を洗い出し、解決の方法等を検討していきたいと考えている。 28: 【鈴木 純委員】  国の概算要求には大幅に増額された高大接続改革の推進の項目もあり、小中高それぞれの学校の多様化とともに、縦への連携や多様性も考えていかなければならない時代であることから、有効性や課題をしっかり検証し、子供たちの教育に何が必要なのかを考えてほしい。  次に、中高一貫教育については、ゆとり教育や大学入試の改善などが報告された平成9年の中央教育審議会の第二次答申で取り上げられ、学校教育法の一部改正が施行された平成11年4月より、選択的に導入することが可能となっているが、趣旨及び制度の概要について伺う。 29: 【高等学校教育課長】  中高一貫教育は、中学校と高等学校の6年間を接続し、6年間の学校生活の中で計画的、継続的に一貫した教育を行うことにより、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的として、平成11年度から導入された。  同一の設置者が一つの6年制の学校として設置する中等教育学校、同一の設置者が中学校・高等学校を併設する併設型中高一貫教育、また、異なる設置者間でも実施可能な形態で中学校と高等学校が教育課程の編成や教員・生徒間の交流等の連携を深める連携型中高一貫教育という三つの実施形態がある。  また、中学校と高校の接続では、入学者選抜を行わなかったり、学力検査を課さないなどの簡便な入学者選抜によって接続する制度となっている。 30: 【鈴木 純委員】  基本的には高校入試が念頭にあったと聞いており、文部科学省によれば、全国約5,000の高校のうち1割の500校程度を目標に平成25年度450校、平成26年度は大きく伸びて541校となったとのことだった。  その中で1番多いのは私立の併設型で324校、公立では連携型が83校となっているが、本県の公立の中高連携の現状及び今後の取組の考えを伺う。 31: 【高等学校教育課長】  平成16年度に北設楽地区で田口高校と設楽中学校、津具中学校、豊根中学校及び東栄中学校の一高校と四中学校が連携型の中高一貫教育を実施しており、これが本県の最初の事例である。  また、平成22年から新城東高校作手校舎と作手中学校の作手地区が一対一という形で中高一貫教育を実施しており、現在2地区で連携型の中高一貫教育を実施している。  内容としては、中学校と高校の教員を相互に派遣し、高校の先生の中学校での授業参加、文化祭や部活動での生徒の交流、また、林業などの体験学習を中学生と高校生が一緒に行うなどの取組により、地域に根ざした人材を育成し、地域の学校としての活力を増し、成果を上げている。  これらの成果を踏まえ、今後他地域においても、新たに連携型中高一貫教育を実施して、県立高等学校の活性化を図っていきたいと考えている。 32: 【鈴木 純委員】  小中一貫教育も中高一貫教育も、今回の法改正の附帯決議で、安易に学校の統廃合を行わないようにとあり、教育上の特性を十分に生かすという観点で検討してほしい。  また、よく省庁の縦割りの弊害が指摘されるが、子供の成長に対して、義務教育と高等教育という点では県教育委員会と各市町村教育委員会は横割りの関係となっている。先日調査した大分県では、大分教育ネットワークが構築されており、教育専用の回線は県立学校も各市町村立学校も利用でき、県と市町村教育長で組織する大分県教育情報化推進本部が設置されていた。本県と大分県は規模も成り立ちも違うが、県内市町村の教育委員会と情報共有を積極的に図り、様々な連携を強化してほしい。  次に、平成27年3月に策定された県立高等学校教育推進基本計画及び現在パブリックコメント実施中の第三次愛知県教育振興基本計画(仮称)の中間取りまとめでは国際バカロレア教育の推進がうたわれている。  本委員会県外調査では、公立高校として初めて国際バカロレア・ディプロマ・プログラム、いわゆるIBDPの認定校となった東京都立国際高等学校を訪問し、その意義と取組の経緯を調査した。  文部科学省によると、国際バカロレアのプログラムは年齢などにより四つに分かれており、国際的に認められる大学の入学資格である国際バカロレア資格が取得可能なIBDPの認定校は、平成27年11月2日現在、国内で26校、世界では2,920校となっている。  日本では、昭和54年から大学入学資格として、学校教育法に基づき、国際バカロレア資格を有する者で18歳に達した者を、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者として指定している。平成25年度からは、国際バカロレア機構の協力の下、ディプロマ・プログラム、いわゆるDP科目の一部を日本語でも実施可能とする日本語DPの開発、導入に着手しており、沖縄と仙台の2校が認定を受けているとのことであるが、IBDPについて県はどのように考えているのか。 33: 【高等学校教育課長】  文部科学省は2018年までに国際バカロレア認定校を200校まで増加させることを目指しており、本県においても、本県の高校生が海外の大学に進学しやすい環境を整えることや国内外への大学進学を目指す海外帰国生徒や外国人生徒の受入れなど、グローバル時代に対応するため、県立高校の認定に向けて研究を進めていきたいと考えている。 34: 【鈴木 純委員】  高等学校将来ビジョンのサブタイトルにも、「グローバル社会を生きる多様な高校生のために」とあるが、IBDPは魅力あるものと思う。  国においても、平成25年の日本再興戦略や平成26年のまち・ひと・しごと創生総合戦略に国際バカロレアの普及拡大がうたわれ、目標数200校とされており、また、日本経済団体連合会など、経済界からもそうした提言があると聞いている。  こうした中で、文部科学省では8月にIBDPの導入を促進するため、学校教育法の施行規則の改正等により教育課程の特例措置を新設し、9月には国際バカロレア認定のための手引書作成や必要な教員の確保に向けた取組等を推進しており、本県でも、今月、1日ワークショップを開催したと聞いている。  将来ビジョンなどでは、研究していくという記述にとどまっているが、県として、今後の取組はどうなっているのか。 35: 【高等学校教育課長】  現在、全国の認定校は26校のうち14校がインターナショナルスクールであり、残る12校の高等学校のうち11校が中高一貫の6年間の課程であり、11校は私立と国立大学附属であるが、唯一東京都立国際高校が、公立の3年間の課程でチャレンジをしている。  学校教育法第1条で規定されている普通の県立高等学校がIBDPの認定校となるためには、まず、ディプロマ・プログラムの三つのコアプログラムである論文の作成、知の理論と呼ばれる100時間以上の討論、体験活動に加え、日本の科目で言えばおおむね国語、外国語、社会、理科、数学及び芸術の六つのディプロマ科目から一つずつ科目をとり、高校2年生・3年生の2年間で履修する必要があるほか、さらに日本の高校の最低74単位ある卒業単位の両方を満たす必要があり、このことが非常に高いハードルになっており、なかなか国の思うように増えていかない要因となっている。  今年度から日本語ディプロマ・プログラムが導入されており、従来は英語、スペイン語、フランス語のいずれかで全ての科目を行わなければならなかったが、日本語ディプロマ・プログラムでは、英語とそれ以外の1科目は英語で指導しなければならないが、残りの科目は日本語で指導してよいことになり、かなりハードルが下がった。  また、文部科学省は、ディプロマ・プログラムと日本の高校の卒業科目の双方を履修しやすくするため、従来のディプロマ・プログラムでは、日本の卒業単位に数えられるものの上限は20単位だったが、今回36単位まで増やすことになった。  このように、ハードルはかなり低くなったものの、実際には3年間の高校の教育課程の中ではかなり厳しい状況であり、英語以外の1科目として、例えば数学を英語で教えることのできる教員の確保や育成が必要であるため、なかなかすぐに取り入れていくのは難しい。  しかしながら、本県の高校生の海外大学進学や外国人の日本の大学に住みたいという希望などもあり、グローバル時代に対応した制度とするため、国際バカロレア資格の取得を目指すコースの設置について県立高校においても積極的に検討を進めていきたい。 36: 【鈴木 純委員】  実際に都立高校でやっており、愛知県の国際教育、特に語学は教育委員会の努力もあって大変高いレベルにあると認識しているが、教職員のレベルの問題でできないのは一番良くないことであり、教職員もしっかりトレーニングを受け、今の時代に即応したバカロレア教育を受けられるように是非進めてほしい。  最後に、県小中学校長会や愛知県教員組合等から教育予算について各項目にわたり要望を受けた中で、教職員研修充実のための旅費等がシーリングで毎年減額されており、平成6年の3割以下になっている状況だとのことである。  旅費の性質上圧縮にも限界があると思われるが、こうした各種の要望項目に対し県として前向きに検討してほしい。 37: 【渡辺 昇委員】  今定例議会本会議の一般質問で教育長は、今年度の本県小中学校における組体操の実施状況調査やけがの発生件数について回答するとともに、組体操を安全に実施するための指針を作成し、市町村教育委員会へ示していく考えがあるとのことだった。  調査結果では、今年度、本県の小学校では全校の79.1パーセントに該当する563校で組体操が行われ、中学校では全体の27.5パーセントに減るものの、それでも84校で行われている。  組体操は、子供たちが一つの目標に向かって協力して演技することにより、その喜びと感動を共有できるわけであるが、今年度組体操での骨折等のけがが小学校77人、中学校27人で、計104人と、かなりの数が報告されている。  安全を担保した教育活動こそ第一に求められるわけであるが、学校では組体操をどのような指導体制で実施しているのか。 38: 【保健体育スポーツ課長】  運動会等で実施される組体操は、特別活動の体育的行事の一部として実施され、体育の授業の学習内容と関連を図り、教師間の協力体制を整え、学校全体の取組として指導がなされているものと認識しており、実際の指導場面では、児童生徒の体格や体力を考慮したグループ編成や役割分担を行い、練習時を含め、補助者となる教員の配置を増やすなどの体制で実施されている。 39: 【渡辺 昇委員】  近年の事故件数の推移、演技内容、また、今回の調査の分析結果を伺う。 40: 【保健体育スポーツ課長】  しっ皆調査の結果では、平成25年度は小学校94名、中学校22名の計116名、平成26年度は小学校139名、中学校37名の計176名、平成27年度は小学校77名、中学校27名の計104名の児童生徒が骨折等のけがをしており、3年間だけの数字ではあるが、平成27年度は1番少ない人数となっている。  これは6月に発出した体育活動中の事故防止に関する教育委員会の通知や、組体操の事故に関する様々な報道を受け、各学校が実施内容や指導の見直しを図り、児童生徒の負担やけがのリスクが軽減されたことが一因ではないかと思う。中には、安全への配慮のため安全マットを導入したとの報告も複数あった。  演技内容は、「ピラミッド」や「タワー」だけでなく、二人組でバランスをとって行う「サボテン」や数人で腕をつなぐ「扇」のような演技も行われており、「ピラミッド」と「タワー」では小学校38名、中学校17名、それ以外の演技では小学校39名、中学校10名がけがをしていた。  この結果、「ピラミッド」や「タワー」以外でも想定より多くのけがが発生していることが判明した。 41: 【渡辺 昇委員】  組体操における安全対策について、どのような考え方で指針を作成していくのか伺う。 42: 【保健体育スポーツ課長】  組体操の実施に当たっては、学校全体で指導計画を確認し、児童生徒の発達段階や体力、集団の状況等を考慮すること、万が一の場合にも補助者の手が届き、安全性が確保される高さにとどめること、比較的簡単だと思われる演技などでも安全指導を十分に行うこと、及び危機管理対応マニュアルを周知し、緊急連絡体制を整えることなどの安全対策を講ずることを基本的な考え方としていきたい。  こうした考え方に基づき、できる限り早期に指針を作成し、来年度春以降実施される運動会等に間に合うよう、市町村教育委員会に示していきたい。 43: 【渡辺 昇委員】  体育祭や競技大会は事故が全くないのが珍しく、事故はあるものと思わなければいけない。そして、例えば近くに救急車を配置したり、医師の派遣や最寄りの病院との連携など、救急体制を整えることが必要だと思う。学校にも危機管理意識を強く持って組体操の実施に臨むよう事故防止の通知をするとともに、各市町村教育委員会へ指導してほしい。  次に、現在、特別支援学級は、小学校では1人でも障害を持った子供がいれば設置されているが、中学校では3人必要というルールがある。障害に応じた子供の問題を解決するためには、中学校特別支援学級新設基準を撤廃すべきと考えるが、教育委員会の考えを伺う。 44: 【財務施設課長】  中学校における特別支援学級の新設には、原則障害に応じた3人の子供が必要となっており、3人そろわない場合には、障害を持っている子供は学区外の障害者の特別支援学級に通学するか、学区内の学校でほかの障害者の方と一緒に特別支援教育を受けているのが実態である。  今年度から小学校では3人という新設の基準をなくし、1人でも障害を持つ児童がいれば、障害に応じた指導ができるようにしたが、中学校においても1人でも学級が新設設置できるよう、保護者から強い要望を受けている。  また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が平成28年4月1日に施行され、障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の不提供の禁止が求められていることから、障害のある中学生も学区内にある中学校で学べるように検討を進めていきたいと考えている。 45: 【渡辺 昇委員】  中学校は原則3人必要とのことだが、状況によっては3人未満でも設置するのか。 46: 【財務施設課長】  そのとおりである。原則は3人で市区町村の中に該当する障害種別の学級が設置されていない場合には1人でも新設できるようになっているが、市町村の中に一つもないという制約があることから原則という表現にしている。 47: 【富田昭雄委員】  最近、三重県の通信制高校で国の就学支援金の不正受給が発覚したとの新聞報道があった。私立の通信制高校の話であるが、本県では中学3年の進路指導でこうした高校に多くの生徒を進学させており、県ではこの問題をどう捉えているのか。  また、教育委員会から提出された、県立高等学校通信制課程における入学者数及び卒業者数の推移の資料によると、入学者の半分程度しか卒業しておらず、通信制高校に進んだ生徒の約4割が学校をやめている。中学3年の進路指導で多くの生徒がこうした通信制高校に行くのは大変不思議であるが、県はどのように考えているのか。 48: 【義務教育課長】  中学校での進路指導は、中学校の3年間を見通して、生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路選択できるよう、学校の教育活動全体の中で、計画的、継続的な進路指導を進めている。  まず、中学校1年生の段階では、各種の適性検査を実施するとともに、進路学習として職業調べ、上級学校調べを行い、自分の将来を見据えた進路についての基礎的な知識や情報を身につけることを最初に指導している。  中学校2年生の段階では、職場体験や職業人と語る会、さらに、高等学校訪問等の体験活動を通じ、自分の進路に対する具体的な方向性や自己を見いだす学習を行っている。  中学校3年生の段階では、卒業生との進路懇談会、高等学校等で実施している入学説明会や体験入学への積極的な参加、また、学校学科説明会や進路説明会の開催等を通じて、生徒本人はもとより保護者に対しても進路選択に関わる多くの情報提供を行っている。  その中で、生徒の進路希望を尊重して、年間を通じて何度も行われる生徒との個人面談や保護者との懇談会を通じて具体的な進路相談を行うとともに、進路決定に向けた適切なアドバイスを行っている。中学校では生徒自身が進路を自己選択、自己決定できるよう、継続的な指導と相談、援助活動に努めており、生徒や保護者の希望に沿った指導をしていると考えている。  また、進路選択として通信制高等学校を選ぶ生徒もおり、この中には通信制の高校のみを選択した生徒もいると推測しているが、こうした生徒にも、生徒本人が自分の生き方を見つめ、自分の進路を自己決定していけるよう指導してきており、正確で多様な情報提供を行う中で進路決定してきたものと考えている。 49: 【富田昭雄委員】  通信制高校へ入学する生徒が、具体的にどういう職業観を持っており、どう指導しているかということである。全日制高校が全てではないが、様々な職業があり、それに向かって進むために通信制高校に行くならよいが、そうした指導もなく、良い高校がないからといって、通信制高校に押し込んだ結果、半分くらいの生徒がやめたということではないのか。  実際、今回の新聞で不正受給したとされる高校では実態がないのに就学支援金を申請してお金をもらっていた疑いが持たれている。行く高校がないからといって金もうけが目的ではないかと疑われるような高校に押し込むことは、子供たちが先々、非正規雇用となったり、社会的な保護を受けなければならないといった要因になるのではないかと思う。  愛知県では計画進学率93パーセントを立てながら、実績は17年連続90パーセントの全国最下位で、6パーセント、3,500人の生徒が通信制に行っている。なぜこれが改善できないのか分からない。多種多様な生徒一人一人に指導をしているとのことだが、今年度の調査でも全日制高校に94パーセントの生徒が進路を希望しているのに、実績では90パーセントになってしまうことについてどう考えているか伺う。 50: 【義務教育課長】  進学に関する希望調査は9月と12月に実施しており、昨年度第1回の9月の実施状況調査で通信制を希望していた生徒の実数は384人、第2回の12月の段階では584人で、最終的に通信制高校に進学した生徒は約600人である。若干の数字の移動はあるが、中学校では適切に本人や保護者に情報提供し、学ぶ意欲を重視していく中で、生徒が通信制高校を希望した数字であると考えている。  生徒と保護者、進路指導担当、あるいは、担任が何度も相談を重ねる中で進路選択を進めるのが中学校の進路指導であると考えている。 51: 【富田昭雄委員】  様々な要因があると思うが、一つは不登校、もう一つは経済的な理由で生徒自身が思ったような学ぶ環境ができないという問題がある。私学関係者から入手した資料によれば、本県において平成26年度中に30日以上欠席した生徒が、全日制の高校へ入学した数は、公立110人、私立143人とのことであるが、こうした不登校生徒は中学3年生全体で2,300人になるとのことである。実態及び対策はどうなっているのか伺う。 52: 【義務教育課長】  不登校生徒に対する進路指導について、最も大切にしているのは生徒本人との面談である。担任や学年主任はもとより、不登校生徒についてはスクールカウンセラー、進路指導主事、時には、養護教諭、管理職も加わって、保護者と本人の希望をしっかり受けとめることに時間をかけている。  そして、進路選択に向けた面談は、決して3年生になったから進めていくわけではなく、1年生から系統立てて行っており、早い段階からゆっくり丁寧に進めている。  その中で、特に3年生になった時には、不登校生徒が進学可能な学校や不登校生徒の受入制度のある学校を保護者に丁寧に説明するとともに、心の状態が揺れることもある不登校の生徒の状態を判断しつつ、学校見学会や体験入学の段取りを行っている。時には、高校や専修学校等にお願いをして、実際に教師がそれらの学校に生徒を連れて行き、生徒の学ぶ意欲を確認している。そうすることで、安心して自分の進路選択の材料を見つけている。  もちろん、学力に関する問題もあると思う。不登校生徒にとって心配されるのは、学力であり、生徒の学習が繰り返し行われるよう、様々な機会の中で、家庭訪問しながらしっかりサポートしている。 53: 【教育長】  不登校の生徒がたくさんいるのはそのとおりであるが、その中にいる学ぶ意欲のある生徒については、できるだけ受けとめていくことが必要だと思っている。  こうした中で、全ての生徒が全日制高校に進学することはなかなか難しいことから、通信制、定時制等含めて全体で考えていくことが必要だと思っている。全日制では、これまで不登校の生徒は学校に出席していないため、内申書、調査書で評価できないことが一つのネックになって全日制の高校へ入れないという生徒がいたが、昨年度から、そうした生徒にもきちんと面接等を実施し、別途評価をして力や意欲があれば、入学できるよう制度を見直したところである。
     また、不登校の生徒の定時制高校への入学は、本県では昼間定時制の高校が2校あるが、非常に倍率が高く、不登校の生徒の学びたいという意欲が反映されているのではないかと思う。  今後、現在倍率が高くなっていることや愛知工業高等学校の機能が、順次愛知総合工科高等学校へ移っていく状況を踏まえ、その跡地を活用し、平成29年度にステップアップハイスクールという、単位制の高校を新設し、不登校の生徒も受けられるようにしていきたい。  また、ステップアップハイスクールだけではなく、そのほかについても地域的なバランスもあることから、昼間定時制高校などを増やしていくように、県として検討していきたい。 54: 【富田昭雄委員】  様々な問題を抱える生徒が進学できるようにするには、昼間定時制や単位制など、受皿となる高校をつくることが1番の解決策であると思うので是非検討してほしい。  次に、不登校の生徒の中には、経済的な理由で、中学校の学習がなかなか前に進まない生徒もおり、以前、こうした生徒たちに対し、公立で夜間塾みたいなものを土曜日の夜にやっているというようなことも聞いたが、こうした経済的困窮者への対応は実施しているのか。 55: 【財務施設課長】  経済的に困窮することで学力が一定の水準に達してない生徒がいると聞いており、文部科学省では、現在生涯学習課で所管している学校支援地域本部事業の中で、大学生などのボランティアを活用した地域未来塾という、塾に行けないような家庭環境の生徒を少しでも学力が充実するよう支援する事業が始まっている。  また、厚生労働省でも、生活困窮者の子供に対して学習支援を行うような事業もあることから、市町村の教育委員会や福祉部局と連携を図りながら、対応を図っていきたいと考えている。 56: 【富田昭雄委員】  授業についていけない生徒が相当多いと聞いているが、現在塾に通うのが当たり前という状況の中で、なかなか塾に通えず、授業に遅れていくことを心配している方もおり、ボランティアでやってもらえるような塾があれば、是非取り組んでほしい。  また、ステップアップハイスクールの話が出たが、そうした受皿として、私学の定員割れに対する教育委員会としての取組や要請はあるのか。  公立高校への計画進学率が92.5パーセントで、全体で計画進学率93パーセントを達成しようすると、私学が取り組めないのであれば、公立・私立の定員配分比率2対1の枠は、厳格に2対1ではないことから、ある程度私学にも対応してもらい、公立の枠を増やすべきではないか。この場合の定員配分比率の計算には、昼間定時制や単位制も含めた数で枠は捉えるのか、実態を是正する取組について私学との話合いをしているのか伺う。 57: 【財務施設課長】  計画進学率は、現在定時制を含めず全日制で整理しており、欠員分は、私学との間で年に何回か開催する実務者会議の中で、少しでも子供たちが全日制に行きたいという思いが実現できるよう、経済的な問題で全日制に行けない子供が出ないよう、また、学力が不足している生徒や不登校の生徒が全日制に行けるようにするため、公立・私学を問わず不登校の子供が進学できるような学校、枠を増やしていこうという話合いをしている。 58: 【神野博史委員】  小中学校では言語障害や自閉症といった障害のある子供を対象に通級という個別の指導を行っているが、自分の地元の東海市でも担当教員が不足していると教員の間でも声があがっている。  通級による指導の現状を伺う。 59: 【特別支援教育課長】  通級による指導は、通常の学級に在籍する言語障害、自閉症、情緒障害、難聴、LD、ADHDなどの障害のある児童生徒を対象とし、各教科などの授業は通常の学級で行い、週に1時間から8時間程度、障害の状態に応じて個別に特別な指導を行っている。  例えば、情緒障害のある児童生徒が、通級による個別の指導を受け、自分の気持ちをコントロールする方法を学ぶなど、障害の状態の改善や克服につながるといった効果が見られている。  こうしたことから、通級による指導のニーズは年々高まっており、この10年間で通級による指導を行う、いわゆる通級指導教室は3.7倍、対象児童生徒数が5.1倍となっている。  今年度は、県内に261の通級指導教室を設置し、基本的には1教室に1人の教員を配置し、約4,000人の児童生徒の指導をしている。 60: 【神野博史委員】  まだまだ教員が足らないという声が大きい。県ではどう考えているか。 61: 【財務施設課長】  通級指導担当教員については、国の定数改善を活用しながら、県としても重点的に取り組んできており、その増員に努めている。  この10年間では191人増やしており、平成27年度には261教室となっているが、毎年、通級による指導の希望者が増加しており、現段階で全ての希望者に対応できていない。  通級指導担当教員の増員については、毎年国に要望しているが、特別な支援が必要な子供たちによりきめ細かな支援ができるよう、今後国への要望を強めるとともに、国の改善があった場合には、最大限それを活用し、支援体制の充実を図っていきたいと考えている。 62: 【神野博史委員】  通級による指導は、個別に教員が対応することで生徒が安心して学習できる等のメリットがあるので、今後も指導や担当する教員を是非増やしてほしい。  次に、養護教諭の定数の現状について伺う。子供たちを取り巻く環境が大変厳しく、いじめや不登校の問題がある中で、保健室にいる養護教諭は、こうした問題への相談に応じる機会も非常に多く、様々な活躍をしているのが実情だと思う。  現場の対応も大変厳しくなっていると思うが、小中学校の養護教諭の複数配置基準はどのようになっているのか。 63: 【財務施設課主幹(振興・募集計画)】  養護教諭の複数配置基準は国の措置によるものであり、小学校で児童生徒851人以上、中学校で生徒801人以上が複数配置基準となっている。 64: 【神野博史委員】  基準を下回った場合には削減されるということだと思うが、県ではどのような緩和措置を設けているのか。 65: 【財務施設課主幹(振興・募集計画)】  本県では、県独自の措置として前年度に小学校851人以上、中学校801人以上の複数配置校で、かつ、当該年度の児童生徒数の減少が基準から20名以内にある場合には、2年間を上限として複数配置を継続する緩和措置を行っている。 66: 【神野博史委員】  自分が相談を受けた学校は基準の20人を少し超えてしまい、1人に削られたとのことだった。  養護教諭のいる保健室は、生徒がいろいろな相談をしたりする居場所にもなっているのが実情であり、どうしても必要なので基準自体を何とかできないのかという相談もある。県独自の緩和措置を実施しているが、国にも851人と言わず、基準を下げるよう要望活動を行うとともに、県の緩和措置ももう少し基準を下げるよう、努力してほしい。  次に、特別支援学校の老朽化対策であるが、本年8月に、半田特別支援学校に視察に行った。  同校は、昭和53年開校で37年を経過しており、外壁のクラック、廊下の天井の塗装や床シートの剥がれのほか、雨漏りするところもあり、一部はそのままになっているため、何とかしなければならない箇所も見受けられた。  このような学校における施設の維持、修繕はどのように行われているのか。 67: 【財務施設課長】  ガラスの破損などの簡易な修繕については、学校ごとに建物の面積に応じた予算配分を行っており、その範囲内で、学校の裁量により修繕を行っている。  また、屋上防水や外壁塗装のような修繕工事については、各学校からの整備要望により、財務施設課で持っている予算の範囲内で優先順位をつけて個別に対応しているが、どの学校も老朽化が著しく、なかなか対応が追いつかない状況である。 68: 【神野博史委員】  部分的な修繕工事では追いつかない状況であれば、効率性の観点から見て大規模な修繕をしなければならないと考えるがどのように考えているか。 69: 【財務施設課長】  これまで耐震工事を最優先にやってきており、耐震対策に併せて必要最小限の改修を行ってきたが、特別支援学校については、平屋建てや二階建ての建物が多く、耐震性能は問題ないとするAランク建物である。このため、耐震対策に併せて行ってきた必要最小限の改修も行われていない建物が多くなっている。半田特別支援学校も建物は全てAランク建物であり、手が入っていない状況である。 70: 【神野博史委員】  高等学校を含めた県立学校施設の老朽化対策は、現在、愛知県公共施設等総合管理計画の考え方に沿って、県立学校施設の改修計画を策定して対策を講じていくと聞いている。児童生徒の安全に関わるような喫緊に必要な対策は、直ちに講じていくべきだと考えるが、県ではどのように考えているか。 71: 【財務施設課長】  県立学校の老朽化対策については、長寿命化計画の中で対応していくこととしており、できるだけ計画の早期の策定に努めていきたいと考えている。計画策定の際には、特別支援学校で普通教室に転用されていた特別教室を本来の形に戻すことも含め、現在、県立学校施設に求められる機能、性能の確保についても、検討していきたい。  喫緊の安全に関わる建物、特にAランク建物は、耐震対策に併せた必要最低限の改修も行われていないため、こうした40年以上経過しているAランク建物で一刻も早い対策が必要なものは、計画の策定を待つことなく対策を講じていきたいと考えている。 72: 【神野博史委員】  教育現場の環境は子供たちを健全育成する上で重要な要素であるので、できる限り理解と支援をお願いする。 73: 【山田たかお委員】  今月地元の普通科高校を視察したが、その学校ではプールが8年間使えない状況と聞き、がくぜんとした。西尾市は高校の選択肢が少なく、水泳部に入りたい子供にとって、希望する高校に水泳部がなく、不本意な選択を迫られている。こうした状況についてどのように考えているのか。  また、別の学校では体育館の屋根から雨漏りしており、自分も確認したが、下から見ると光が見える状態だった。緊急に対策をする必要があるが、どう考えているのか。 74: 【財務施設課長】  学校運営に支障が生じないように施設の適正な管理運営に努めていくことは、教育委員会の大切な責務の一つであると考えている。  しかしながら、県では耐震対策を最優先に取り組んできており、平成28年度の完了を目指し、現在耐震対策を進めている。その後は、指摘のあった天井やプールなどの工作物についての老朽化対策を始めとした施設の適正な管理に取り組んでいきたいと考えている。 75: 【山田たかお委員】  体育館は非常に緊急性が高いので、早急に確認してほしい。 76: 【財務施設課長】  喫緊の必要性のあるものについては、愛知県公共施設等総合管理計画における個別施設計画の策定を待つことなく対応したい。 77: 【山田たかお委員】  長寿命化は、今50年から60年ぐらいの寿命と考えられているものを、最長90年に延ばすもので、長寿命化により、トータルの維持コストを下げることができるとのことであるが、90年の寿命として、学校数が174校ある中では、平準化しても毎年2校ずつ改築や建て替えをしなければ追いつかず、その上で長寿命化も進める必要がある。概算で一つの学校を直すのに50億円かかるとすると、毎年建て替えの分で100億円、さらに改築の費用まで考えると、今の教育委員会の予算から見てもばくだいな金額になる。  しかし、そうしなければ長寿命化計画も完成をしないと思う。地元の西尾市では、公共施設の長寿命化計画を実際に策定しており、長寿命化計画に取り組むことで計算上数十年間は建て替えをしなくてもいいということになっている。建設した時期が重なる学校もあると思うので、事業を平準化する作業を行い、建て替え予算のほか、長寿命化に向けた予算をきちんと取る必要があると思うが、どう考えているか。 78: 【財務施設課長】  長寿命化計画は、建物の寿命を延ばし、それにより単年度当たりのコストが少しでも下がるようにすることが一つの目的であり、もう一つの大きな目的として、本県の場合、昭和40年代から50年代の生徒急増期に建設した建物があり、それらの建物を一気に60年や70年で改築するとなると、大変な予算が必要となり、とても予算化できない。このため、そうした建物の改築等を、建てた学校が少ない時期の建物の改築等に合わせ、平準化することで実現可能な予算にしていくことがある。  したがって、長寿命化計画では、寿命を延ばすことによるトータルコストの削減はもとより、建て替えの時期も、長寿命化・延命化するための工事も、手の入れ方を区分けすることによって、例えば、ある一定の年数が来たら即改築をするもの、10年延ばすもの、20年延ばすものというような形で、少しでも実現可能な予算となるよう、平準化などの対策を練っていくことが計画の大きな要素である。 79: 【山田たかお委員】  非常に多くの費用がかかると考えられるので、しっかり計画を組んで進めてほしい。  次に、本年11月に発生した県立五条高校におけるUSBメモリーによるデータの持ち出しの件について、県はどのように対応したのか伺う。 80: 【高等学校教育課長】  本年11月9日に県立五条高校で、3年生350人の模擬試験の成績データの入ったUSBメモリーを学校外で紛失し、関係の生徒、保護者に多大な心配をかけ、誠に申し訳ないと思っている。11月13日には地区ごとに行われている全ての県立学校校長会に高等学校教育課指導主事が出向き、直接学校長に対して再発防止のため、確認事項を全職員に徹底するよう指示したところである。  具体的には、成績の電子データの学校外への持ち出しをしない、テストの答案を採点のため持ち帰る場合は持ち出し簿に記入して管理職の許可を得る、持ち出したものは自動車内に放置することが決してないようにする、また、成績データ以外で、個人情報を含む電子データには必ずパスワードをかけることなど、幾つかの約束事を全職員に徹底するよう求めたものである。  また、11月16日付けで再発防止を徹底する通知を出し、非常勤講師も含めた全教員を対象に、各学校が適正な個人情報の管理保有状況にあるか調査も実施したところである。  再発防止に向け、あらゆる機会を通じて、二度とこうしたことが起こらないよう、しっかりと取り組んでいきたい。 81: 【山田たかお委員】  持ち出した教員を肯定するわけではないが、ほかの不祥事とは違い、この件は、教員が非常に多忙な中、一生懸命仕事に取り組む中で起きてしまったのではないかと推察される。  自分は以前、保険会社の仕事をしており、個人情報を多く扱っていた。当初は自分でデータを持ち歩くこともあったが、非常にリスクが高いため、データを毎回ダウンロードする形でクラウドに置くことにし、これにより、データが残ることはなく、表示が消えれば基本的に消えてしまうので、流出することはほぼなくなった。  第三次教育振興基本計画(仮称)の中にもあるが、個人情報など大事なデータは是非クラウド化やサーバーに置くなど、持ち歩かなくても済むような方法をとってほしいが、どう考えているか。 82: 【教育企画室長】  クラウドはそれぞれの施設の中に自前のサーバーを持たず、インターネット等の情報処理サービスをインターネット経由で利用するものである。本県では、情報企画課が推進している「あいちICTアクションプラン2015」の中で、クラウドコンピューティングにより効率的で災害に強い業務システムに転換することを目標の一つに掲げている。  クラウドを導入するメリットは、自前のサーバーを持たないことで機器の導入や維持コストが削減できるといった面やデータがクラウド内に保管されるということで、現場での保管のリスクがなくなるということがある。  通常は専門業者のデータセンターにデータを保管することになるが、データセンターは地震に強い場所や津波等の心配のない場所につくられるため、災害に強いといわれており、教育の分野でも、総務省が文部科学省と連携して教育現場におけるクラウドの導入についてのガイドブックを作成しているところである。  本県の県立学校の情報化に関しては、県立学校情報化推進計画を策定しており、計画は来年度第3期計画が終期を迎えることから、来年度、情報化推進計画を改定する予定である。  一方、県立学校では、各学校に校内LANサーバーを置き、校内ネットワークや情報機器の管理を、学校、教員にさせており、それがある意味、先生の多忙化の一つの要因にもなっているという指摘もある。また、洪水や津波等の危険性の高い地域の学校もあり、災害時のデータ消失対策の強化という観点からもクラウドの導入は有効ではないかと考えている。  既に県立学校では、校務支援システムというネットワークシステムを導入している。このシステムで成績処理を行っている学校のデータは、データセンターで保管しているので、学校に万が一のことがあっても、一定の成績はデータセンターの中に残っており、こうした仕組みも既に導入している。来年度の次期情報化推進計画の策定に際しては、クラウドの先進事例等を研究し、情報機器の更新時に併せて導入を検討するよう研究していきたいと考えている。 83: 【山田たかお委員】  情報管理だけでなく、教員の負担も減り、子供たちのためにもなるので是非進めてほしい。  次に、県立一色高等学校の普通科には、情報管理やパソコンの利用法を習得する情報活用コースがあるが、使用されているパソコンは随分古く、Windows Vistaという規格のOSで動いている。  学校にある通常のパソコンはリース契約のため、定期的に更新されているようだが、このパソコンは国の補助金により買取りで購入されたとのことで現在更新予定がないとのことだった。  キャリア教育の観点からも非常に重要な機器であるにもかかわらず、学校の管理運営上、外部とのネットワークを切断して使うしかなく、非常に残念なことである。この点についてどのように考えているか。 84: 【高等学校教育課主幹(振興・奨学)】
     県立高校のパソコンは、リース契約により6年経過後に更新するルールで事務を進めているが、平成21年度の国の緊急経済対策による補正予算で、一部の県立学校で買取りの形で整備した。これらのパソコンは、リース契約の6年更新ルールでは、平成27年度末までに更新することになるが、今年度の更新ができなかったため、次年度以降、速やかに更新する必要があると考えている。 85: 【山田たかお委員】  お金をかけなければ子供たちの教育は充実しないと思うので、是非しっかりと予算をとっていってほしい。 86: 【直江弘文委員】  来年4月に愛知総合工科高等学校が開校することになり、大きな期待を抱いている。  開校に向けては、様々な努力をされており、科目設定を行うに当たっては教育委員会だけでなく産業労働部、特に、次世代産業室と一緒に企業を回ったと聞いている。  企業は将来の雇用先であり、企業から、どのような基礎的技術、先端技術を教えたらよいかを十分調査して科目を設定したと思うが、同校の理念、目的及び経過等について伺う。 87: 【高等学校教育課長】  愛知総合工科高等学校は、日本一のモノづくり県である本県の産業を更に発展させるため、本県の工業教育の中核となる高等学校と位置づけ、現在の愛知工業高等学校と平成22年度まで建築場所にあった東山工業高等学校の2校を統合し、来年4月に星が丘に開校する予定である。  愛知総合工科高等学校では、モノづくり産業の基盤を支える技術者、技能者を育成するため、豊富な実習を取り入れ、産業界や大学などと連携した専門的な学習を行い、実践的なモノづくり教育を行うことで、質量ともに日本一の本県工業を担う、将来のスペシャリストの育成を目指している。  また、産業労働部次世代産業室とも連携し、JAXAや県内の航空宇宙産業関連企業にも協力をお願いし、実践的なモノづくり教育を行う予定であり、教育課程の編成には委員会を設置し、県内屈指の機械メーカーや電機メーカーの企業内学園で実際に指導されている方にも入ってもらい、助言してもらいながら実践的な教育課程の編成作業を進めてきた。  現在、教育課程は固まっており、具体的な実施に向けた準備を進めている。 88: 【直江弘文委員】  企業が求めているのは、工業教育の基礎的な学力と最先端の技術に適応できるという技術力を高める学習だと思うが、これまで、学校はアカデミックなものであり、社会はもっと泥臭いものであるというような、学校と社会は違うという戦後教育が定着してきたものと認識しているが、今後生徒が就職する際には即戦力でなければ意味がないと思う。企業を回った感想はどうか。 89: 【高等学校教育課長】  企業の声を新しい学校の計画に生かそうと、実際にたくさんの企業の声を聞いており、その中で、特に共通して意見があったのは、例えば、旋盤やフライス盤を使った金属加工などでも、特に基礎的な技術・技能を高等学校でしっかりと覚えさせてほしいとのことだった。  産業現場では最新の設備で実際にやっているが、単に機械の目盛りを合わせてボタンを押すというようなことだけではなく、何かそこから工夫することやトラブルが起きたときには基礎・基本を知らないと対応ができないことから、高等学校では基礎・基本の技術・技能をしっかりと身につけてほしい、また、職場では1人ではなく、仲間とともに仕事をしなければならないという意味で、工業人としてコミュニケーション能力をしっかりと身につけてほしい、また、言われたことをやるだけではなく、自分で課題を見つけて解決していく力を身につけた人材を育ててほしいという声をもらっている。  こうしたことを、教育課程の中で是非生かしていきたいと考えている。 90: 【直江弘文委員】  是非、現場と意見交換しながら、現場の声が学習に生きてくるような学校にするとともに、新しいタイプの学校であることから、全国的にも注目を集めると思うので、頑張ってほしい。  企業からは基礎的な力をつけてほしいとのことであるが、ほかの一般の工業高校では50年前の旋盤、ボール盤、フライス盤を使って基礎を教えている。これで基礎的な力が身につくのか。施設設備の交換や購入状況を伺う。 91: 【高等学校教育課長】  工業高校、農業高校ともそうだが、産業教育施設の施設設備については、かなり古いものも実際に扱っており、いかに更新していくかは大きな課題だと認識している。  愛知総合工科高等学校が最新の設備で開校することから、これを一つのきっかけとして、本県の産業教育施設設備を計画的に新しいものにしていけるよう努力をしていきたい。 92: 【直江弘文委員】  本県では11月に国家戦略特別区域の計画が認定され、愛知総合工科高等学校の専攻科で民間校長にすることが認められた。実際どういう方が校長になるのか分からないが、民間企業と大学とお互いにコラボし、新しい工業教育を実現してほしい。  次に、本年9月に教育委員会の職員2人がアメリカに視察に行ったとのことだが、目的と成果を伺う。 93: 【高等学校教育課長】  本年9月に高等学校教育課及び義務教育課の職員がアメリカ合衆国の学校教育の事情を視察した。  目的は、米国学校教育の教育相談体制と西海岸の非英語圏の移民の子供たちの教育に関する状況について、先進的な取組をしているサンフランシスコとロサンゼルスの状況の調査であり、現地で保育園、小学校、高等学校、教育委員会等を訪問して説明を受け、意見交換を行うなどの視察を行った。  その成果として、まず、教育相談体制については、サンフランシスコ、ロサンゼルスの両都市とも、心身に問題を抱えていたり、あるいは家庭に問題があったりする生徒を普通に学校に通わせるために、スクールソーシャルワーカーが中心となっていた。このスクールソーシャルワーカーは日本のものとは少し違い、仕事の幅がもう少し広く心理カウンセリングも行っていた。  このスクールソーシャルワーカーと教師、そして、スクールカウンセラー、養護教諭、保護者や地域、医師等専門機関、専門の人々が連携して個々の生徒一人一人の健全育成に取り組んでいた。なお、スクールカウンセラーも日本と少し仕事が違い、進路相談や学業に関する相談をする人のようである。  特に、心身の快適な状態をいう言葉をウェルネスというようであるが、高等学校ではウェルネスセンターという施設を設置し、そこにスクールソーシャルワーカーらが常駐し、随時相談を受けたり、行政の福祉部門やNPOなどの校外の社会資源につなげたりするなど、生徒の相談に応じてすぐ対応できるようになっていた。  また、学校医が定期的に学校を訪問するなど、医療との連携も進んでおり、こうした結果、ウェルネスセンターの充実とともに、退学者が減っていくなど、年々成果が上がっており、調査した高校の授業の様子も大変落ちついていた。  また、ロサンゼルスでは、学校、警察、福祉施設などが、生徒の個人情報のデータベースを共有しており、1人の生徒に関して、いつどこが対応したかがすぐに分かるようになっており、関係の専門機関が連携しやすい仕組みが整っていた。  また、連携の中心になるスクールソーシャルワーカーは、それぞれの出身の大学院の研究室と密接につながっており、常に最新の知見に触れ、また、教授から日々指導を受ける状況であり、スクールソーシャルワーカー自身がスキルアップをする機会が保障されていた。  また、スクールソーシャルワーカーを目指す大学院生をインターンとして受け入れるなど、この人材を育成するシステムが非常に整っていたというところが大変良かったと聞いている。  専門家と密に連携し、生徒の健全育成に地域を挙げて取り組んでいる状況を視察し、改めて、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの有効性が確認でき、カウンセラーをバックアップする体制、育成する体制を整えることが大事だと感じたとのことである。  日本ではどうしても1人の教員に全ての面の指導を期待してしまうが、やはり、複数の教員や心理や福祉の専門家がチームを組んで、分業してより効果的な指導や援助を行う必要性が高いと思う。すぐに両都市のような仕組みをつくることは難しいが、今後もスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの配置及びその活用の充実に努め、一歩ずつでもその「チーム学校」の理念に近づけていきたいという感想を持った。 94: 【義務教育課長】  カリフォルニア州では、アメリカ入国の背景にどのような理由があっても外国人児童生徒に適切に教育を施すという基本的な方針を掲げており、外国人児童生徒が将来にわたり、アメリカで生活していくためには、働く上での専門用語等を英語で理解する必要があることから、英語教育の指導プログラムを活用した指導が行われていた。  そして、この外国人児童生徒の英語力を測る「カリフォルニア イングリッシュ ランゲージ デベロップメント テスト」の結果に基づき、保護者と相談しながら、授業中の取り出し指導や授業後のアフタースクール等、英語教育が充実していた。  また、英語力を伸ばすためには、母語の能力をしっかりと身につけさせることが重要であるとの考えから母語指導にも力を入れていることが分かった。  さらに、アメリカに初めて来た外国人家庭に対して、周りの保護者が教育の重要性やアメリカでの生活等について説明し、定住化に向け、地域ぐるみで児童生徒や保護者を支援している。  最近では、外国人児童生徒の国籍も多様化しており、13歳から17歳の生徒が英語を全く話せない状況で入国することも少なくなく、こうした生徒への英語教育のための指導プログラムの新たな開発が課題であるとのことであった。  本県と比較した場合、本県は日本語指導を必要とする外国人児童生徒が全国最多であり、こうした子供たちも、将来地域社会で自立し、安心して生活していけるようにするためには、日本語の学習が極めて重要であり、本年度は、カリフォルニア州で活用されている外国人児童生徒の英語力測定に相当する、DLAと呼ばれる児童生徒の日本語能力を把握するツールの活用を、外国児童生徒連絡協議会や教育課程研究集会において市町村教育委員会及び小・中学校に働きかけてきた。  このツールを活用して得られた、「話す」、「読む」、「書く」、「聞く」の言語能力の評価をもとにJSLと呼ばれる日本語指導カリキュラムを活用した個別の支援計画を作成し、指導・支援を行うことで外国人児童生徒の持つ日本語能力を高め、個々の可能性を十分に発揮させることが可能である。  しかしながら、DLAやJSL等のツールの活用は、まだ一部の市町村教育委員会や学校にとどまっており、県としては市町村教育委員会及び学校に対して引き続き活用を働きかけていくとともに、日本語指導プログラム等の開発についても研究を進めていき、各学校の取組を支援していきたいと考えている。 95: 【直江弘文委員】  自分も7、8年前にアメリカを視察したことがあるが、アメリカは戦後の日本の良い時の教育制度を大量の視察団を送り込んで、そっくりまねしたのだと思う。  視察した職員はびっくりしたと思うが、アメリカは規律が徹底しており、先生は背広を着て、ジャージ姿で教壇に立つような先生はおらず、教室も私語がなく、生徒は先生を尊敬している。アメリカでもいじめはいまだにあるが、以前はもっとひどかったため、どんどん専門家集団をつくって今のような形になった。県でも、今回の視察をもとに心と体を快適にする日本版の方法をつくるよう、努力してほしい。  不登校問題も去年は中学3年生で2,300人との話があったが、潜在的には8,000人ぐらいだと思う。大切な若い人たちが漂流しており、大変な問題である。不登校になる理由は、いじめだけではなく、先生や友達等との人間関係をつくるのが苦手なこと、経済的な問題など、複雑多岐にわたっている。  死に至ることもあるいじめは犯罪であり、今の体制では更に出てくると思われる。アメリカのように、専門家集団をつくり、専門家の知恵を借りながら、校長、教頭を中心にしたいじめ防止対策委員会を学校にきちんとつくって、いじめを芽のうちに摘み、徹底的にいじめをなくすようにしなければならない。担任が一番子供のことをよく分かっているので、しっかり把握してもらい、学校全体で担任をバックアップしなければならない。  戦後70年で、分別のつかない子供に自分で考えて行動しろというような状況になっており、これでは子供は自分の欲望の赴くままに行動してしまう。アメリカのようにいじめを徹底的に解明し、芽のうちに摘むということをやらないと今後若い人たちが将来目標をなくすことにもつながり、本当に不安である。  今回職員がアメリカの先進的なやり方を学習したと思うので、是非それを生かし、目標と希望を持って子供たちが将来設計できるよう、頑張ってほしい。 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...