10: 【
神戸洋美委員】
最近、携帯電話、特にスマートフォンが急速に普及しており、学校でもLINEによるいじめなどが問題になっていると聞いている。また、スマートフォン等によるインターネットの利用を通じて、青少年が犯罪やトラブルに巻き込まれ、殺害されてしまったり、青少年のとんでもない画像が拡散されてしまうような事件が後を絶たない。青少年が所有する携帯電話・スマートフォンのうち、スマートフォンの占める割合は現在どのようになっているか。また、青少年の携帯電話などから危険なサイトにつながらないようにフィルタリングをかけるというシステムがあるが、利用状況はどうなっているか。
11: 【
社会活動推進課長】
県内のデータはないが、平成26年3月に公表された内閣府の平成25年度のインターネット利用環境実態調査の結果によれば、青少年が所有する携帯電話・スマートフォンのうち、スマートフォンの占める割合は、小学生では1割台後半、中学生では約5割、高校生では8割台前半となっており、この数年でスマートフォンを所有する青少年が急増している。また、有害情報をブロックするフィルタリングについては、携帯電話・スマートフォンのフィルタリング利用率は、小学生で6割台前半、中学生で6割強、高校生で約5割、小中高いずれにおいても減少傾向となっている。また、携帯電話に比べ、スマートフォンのフィルタリング利用率は低いという状況であり、本県も同様の傾向にあるものと思われる。
12: 【
神戸洋美委員】
フィルタリングの利用が減少している結果には不安を覚える。一昨年、私が青少年保護育成審議会の委員を務めていた時、同審議会の中で警察から青少年保護育成条例の改正の求めがあったが、保護者の代表から強い要望もあったこともあり、私としても、積極的に取り組むべきであると
発言した。その後、条例改正がなされたが、その条例改正の趣旨と内容を確認したい。
13: 【
社会活動推進課長】
平成24年に開催した青少年保護育成審議会では、「情勢は変化していくが、今行えることは行うべき。」という意見が多く、その後、教育委員会や学校の関係者に直接確認したところ、「指導の明確な根拠がほしい。現行の努力義務の条例でなく、義務化した条例にしてほしい。」との声が異口同音に聞かれ、改めて教育・警察現場が求めていることを実感し、同審議会の委員とも調整を図り、青少年インターネット環境整備法を補完する条例改正を行い、平成25年7月から施行されている。条例改正は、一言でいうと、携帯電話・スマートフォンのフィルタリングの普及・利用促進を狙いとしており、携帯電話事業者・販売代理店の責任を強化している。具体的には、まず、青少年かどうかを確認すること、提供できるフィルタリングサービス及びフィルタリングソフトウェアの内容の説明、無線LANによるインターネット接続により有害情報を見てしまう危険性等の説明を携帯電話事業者・販売代理店に義務付けた。また、保護者がフィルタリングサービスを利用しないとの申出をする場合に、理由を記載した書面の提出を義務付けることにより、携帯電話販売時のフィルタリング解除の手続の厳格化を図るものである。なお、条例が遵守されるよう、事業者等に対して報告を求め、立入調査を行い、場合によっては、勧告・公表もできることとされている。
14: 【
神戸洋美委員】
条例改正により携帯電話事業者等へ義務付けがなされたが、フィルタリングの利用率から見て、効果が上がっていないように思う。携帯電話事業者等への周知は十分に行っているのか。また、条例改正後、携帯電話事業者等への立入調査の状況はどのようになっているのか。
15: 【
社会活動推進課長】
条例改正については、電気通信事業者協会及び携帯電話事業者に対して説明するとともに、警察、教育委員会を含めた関係行政機関、市町村、青少年関係団体等に
文書で周知している。さらに、警察の全面的な協力を得て、県内にある約1,300の販売店全てを警察署から訪問してもらい、周知徹底を図っている。また、条例改正後は、条例調査員による販売店への立入調査を行っており、その都度、条例の遵守がなされているかを確認し、必要な指導をしている。昨年度は、県内で合計261の販売店に対して立入調査を行ったが、現在までのところ、勧告・公表に至るような悪質な販売店はない。
16: 【
神戸洋美委員】
今後も、販売店への立入調査を継続してほしい。条例改正は、青少年への指導・規制の手段として大きな武器になると思うが、条例改正後において、これだけ多くの事件が発生することを考えると、まだまだ足りない点が多くあると考えられる。青少年をインターネットの利用に伴う犯罪やトラブルなどから守るための更なる対策について伺う。
17: 【
社会活動推進課長】
販売店への立入調査の際の販売員からの聞き取りからは、保護者が子供からフィルタリングの解除をせがまれたりすることや、保護者より子供の方がスマートフォンの知識があることなどによって、保護者の10人のうち7人から8人がフィルタリングの解除を申し出ている実態があるということが判明している。県としては、保護者の認識・役割が最も重要であると考えており、本年度は、国の緊急雇用創出事業基金を活用し、保護者や教員向けに、実際のスマートフォンの端末に触れてその危険性を認識するとともに、正しい使い方などを習得するための講師派遣型の教室を来年3月まで開催することとしている。条例改正及びこの体験型の事業は国からも注目されており、先般、内閣府の所管する会議において本県の取組の説明を求められたところである。青少年の健全育成のためには、各種法令や条例による規制とともに、啓発による意識喚起を図ることが必要であり、今後とも、青少年の適切なインターネット利用に関し、効果的な対応ができるよう、教育委員会、警察、青少年関係団体等と更に連携・協力を図っていきたい。
18: 【
神戸洋美委員】
私自身もまだスマートフォンではなく、普通の携帯電話を使っているが、子供の方がスマートフォンの使い方について知識を持っていることや、子供が親の言うことを聞かないという問題もあると思う。厳しすぎるぐらいの対策によって、結果的にそれが子供自身の命を守ることにつながることが伝わればよいのではないかと思う。今回、このような質問をした理由として、先日、名古屋市内にヌード撮影スタジオができて、警察が許可したとのPRがされていると匿名のメールを受け取ったということがある。すぐに警察に問い合わせたが、許可は必要なく、届出だけで設置可能ということが分かったので、青少年が立ち入らないよう見回りをしてほしいと要望したところであるが、軽い気持ちで高校生や中学生が撮影し、その画像がネット上に流れ、深刻な事件に発展するおそれがある。青少年のスマートフォンの利用率が上がっている中、入口のところで防いでいくことが必要であるので、あらゆる手段で子供たちを守るよう、引き続き取り組んでほしい。
19: 【
渡会克明委員】
あいち男女共同参画プラン2011-2015について伺う。同プランの進捗状況については、毎年9月議会に年次報告書が提出されており、昨年の報告書によれば、数値目標36項目のうち、6項目が目標を達成している。男女共同参画社会の実現に向けては、政策・方針決定過程への女性の参画割合を高めることが重要であり、同プランでは、県の審議会等委員に占める女性委員の割合を平成27年度末までに37.5パーセントにするという数値目標を掲げている。先日、公表された平成26年4月1日現在の県の審議会等における女性委員の割合は、36.75パーセントで、前回より上昇しているが、今後、数値目標の達成に向け、どのように取り組んでいくのか。
20: 【
男女共同参画推進課長】
審議会等委員に占める女性委員の割合は、平成26年4月1日現在で36.75パーセントとなっており、昨年4月1日現在と比べると0.08ポイント上昇し、毎年着実に上昇しているが、目標達成に向けては、0.75ポイント上げる必要があるので、引き続き、登用拡大に向けた取組が必要であると考えている。これまでも、委員の選任・改選がある場合は、男女共同参画推進課と所管課室とで事前協議を実施し、登用が進んでいない審議会については、その理由や今後の具体的な対応を確認し、登用率の向上をお願いしてきている。登用が進まない審議会の中には、審議会委員を構成する団体や専門家に女性の適切な人材がいないといった理由もあるなど、なかなか困難なケースもあるが、人口の半分を占める女性の意見を県の政策・方針決定に反映していくことは大変重要であることから、構成する団体に女性の人材の発掘をお願いするなど、関係部局と連携して、37.5パーセントの数値目標の達成に向け、引き続き努力していきたい。
21: 【
渡会克明委員】
知事が女性の力が不可欠と言っているように、男女がそれぞれに力を発揮できることが大事であるので、県民生活部で庁内の連携をとって、引き続きしっかりと進めてほしい。女性の活躍促進に向けた課題に取り組むため、昨年9月に吉本副知事をリーダーとするあいち女性の活躍促進プロジェクトチームを立ち上げ、今年度は、16の新規事業を含む32のプロジェクト事業を全庁を挙げて実施していくと承知している。県民生活部においては、1,500万円ぐらいの予算で7の新規事業を実施するとのことであるが、進捗状況を伺う。
22: 【
男女共同参画推進課長】
まず、あいち女性の活躍促進会議についてお答えする。女性の活躍を促進するためには、まずは、気運の醸成が必要であると考えて、経済団体、労働団体、企業等の代表で構成するあいち女性の活躍促進会議を今年2月に前倒しして開催し、愛知の女性の活躍促進に向けて、多岐にわたる率直な意見をいただいた。今年度は、会議の開催を通じて、女性の活躍は企業の経営戦略であるという考え方が浸透するよう企業トップの意識改革を図っていきたいと考えている。二つ目として、県内企業における女性の活躍状況や活躍によるメリットの見える化を図るための実態調査と先進事例調査である。この調査は、県内に本社を置く企業等1万1,000社を対象としたアンケート調査等であり、現在回答を回収中であるが、本年12月頃には結果を取りまとめて公表できる予定である。三つ目としては、本県の主要産業である製造業等に従事する女性の技術者や研究者を拡大することを目的とした、女子中高生の理系!きっかけシンポジウムというもので、8月19日に開催する予定で、現在参加者を募集しているところである。その他、秋から冬にかけて、女性管理職養成セミナーや男性管理職向けワークショップなどの開催を予定しており、今後とも、準備が整ったものから速やかに実施をしたいと考えている。
23: 【
渡会克明委員】
テレビ番組で、女性が結婚をしてから、出産をして、育児をして、復職をするところまで支援を行うという企業の取組が紹介されていた。スーパーバイザーという立場の先輩の女性社員が、女性社員の上司も同席の上で女性社員のヒアリングを行い、事細かに要望を聞いて、適切なアドバイスをする。そういう取組によって、女性社員の上司にとっても女性社員の仕事への意欲を再認識するという効果があるとともに、女性社員にとってもスーパーバイザーのように後輩の応援をしたいという意欲を高めるという効果もあるということであった。県内企業を対象とした調査では、30社の先進事例の聞き取り調査を行うとのことであるが、いろいろな業種を対象にするとともに、先進的な取組を行っている民間企業が全体をリードしていくようにすることが大切であろうと思う。調査結果の活用については、どのように考えているのか。
24: 【
男女共同参画推進課長】
県内企業を対象にした調査であるが、1万1,000社を対象にした実態調査と30社程度を対象にした聞き取りによる先進事例調査を行うものである。まず、実態調査については、従業員や管理職に占める女性の割合、女性社員の就労継続状況などの就業実績、企業の業況、育児に関する支援制度の状況といった実態のほか、女性の活躍促進のための取組状況、課題、メリット、県に対する期待等についてアンケート調査を行うことにより、県内企業の女性の活躍の現状や活躍に向けた今後の課題、効果的な取組について、業種や規模別などに捉えることができるととともに、女性の活躍状況と業況・経営状況との関係なども把握できるのではないかと考えている。
一方、先進事例調査については、様々な業種・規模における具体的で身近な先進的取組事例をまとめるものであり、企業トップ、活躍している女性本人、その上司へのインタビューなども行う。これらの実態調査と先進事例調査の結果は、ホームページ等で広く公表していきたいと考えている。また、調査結果の活用については、実態を明らかにすることにより経営者の意識を変えていくことや、具体的な先進事例を紹介することにより企業の自主的な取組が促進されるものと考えている。また、県としても、調査結果により、課題や必要な取組、行政に対する期待などが明らかになることから、今後の施策を考える上で大変参考となるものと考えている。いずれにしても、結果については、あらゆる機会を捉え、企業等に紹介し、女性の活躍に向けた取組が加速されるよう積極的に働きかけをしていきたい。
25: 【
渡会克明委員】
調査の結果をどのように具体的な取組につなげていけるのかが非常に大事であると思う。そのために報告書も分かりやすくなるように検討してもらいたい。本県は、性別による固定的な役割分担の意識が他県と比べて若干高いと思うが、これからは、女性の活躍を促進し、先進県になってほしい。今後、どのように取組を進めていくのか。
26: 【女性の活躍促進監】
女性の活躍を進めていくことは、少子高齢社会の進展により生産年齢人口が減少していく中で、地域社会や地域経済を維持し、発展していくには不可欠である。また、女性の視点や考え方を企業経営や地域づくりに反映していくことは、新たな創造や商品開発にも役立つと考えており、審議会等における女性委員の登用促進や幾つかの新たなプロジェクト事業にも力を入れている。女性の活躍促進には、いわゆる性による固定的役割分担意識の解消、経営者や管理職の意識改革、女性自身のキャリア形成、子供の頃からのキャリア教育、ワークライフバランスの推進、子育て環境の整備など、様々な課題を解決していく必要がある。したがって、県民生活部だけでなく、県庁全体で、こうした問題に取り組んでいく必要がある。吉本副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームにおいては、私もサブリーダーになっており、関係部局としっかり連携・調整しながら、今年度実施事業の効果の検証とともに、チーム全員で知恵を出して、今後とも取り組んでいきたい。国においても女性の活躍促進が成長戦略の中核とされている。本県としても、市町村や経済団体、企業、学校等との十分な連携・協力を図りながら、積極的に女性の活躍促進に取り組みたいと思うので、委員の協力をよろしくお願いする。
27: 【
渡会克明委員】
県内企業を対象にした調査の結果のほか、県の取組について、随時いろいろな形で発信して県民の理解を深めることが大事である。継続的な取組をお願いしたい。女性も頑張り、男性も頑張るということだと思うが、部長としてサポートしていくという決意を伺う。
28: 【県民生活部長】
意識の部分を変えていくことが大事と考えている。県から発信できるもの、国から発信するもの、企業側から発信するもの、いろいろあると思うが、できるだけ速やかな形で、意識の改革に沿うものを発信していきたい。県内企業を対象にした調査については、大企業については自ら動き出している中で、県内全体に意識の醸成、改革を浸透させていくためには、中小企業をいかにしっかりと巻き込んでいくかが非常に大事である。知事、吉本副知事が、この問題に熱心であるし、優秀な職員も配置しているので、知事、副知事、職員をサポートして進めていきたい。
29: 【
渡会克明委員】
次に、防災局の関係で伺う。黒煙が発生するトラブルを今年に入って3回も起こしている企業があるなど、県民の不安が高まっている。本県には臨海部・臨海工業地帯に工場、倉庫、タンク、塔など様々なものがある。先般、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社が、ガスタンクは地震時にもおいても安全であるとの報告を国にしているが、都市ガス会社は国の所管であって、県への報告義務はない。しかし、周辺住民などは、都市ガス会社のタンクの中に何が入っているのか分からないなど、不安に思っている。地域住民への周知や安全の担保といったことについてはどのようになっているのか。
30: 【産業保安室長】
都市ガス大手3社については、国が直轄で許認可等を行っており、本県においては報告等は受けていない。しかし、経済産業省の産業構造審議会の保安分科会ガス安全小委員会において、3社の設備が南海トラフ巨大地震の最も過酷なケースにおいてもガスの製造設備等に重大な被害は発生しないと考えられるという報告がなされたことは承知している。高圧ガス保安法に基づく事業所への安全対策についてであるが、国の審議会であったように、高圧ガスタンクの中には高い圧力のガスが入っており、設備そのものが圧力容器として十分な肉厚・強度を有しており、相当程度の地震動に耐えることができる構造となっている。過去の大きな地震においてもタンクが倒壊するといった大きな事故災害が発生することは無かったわけであるが、さきの東日本大震災では千葉県内の製油所で、LPGタンクが倒壊し、爆発火災が発生して、その後数日間にわたり燃え続くという大きな災害となり、我々を含め高圧ガス関係者を大いに驚かせた。この事故については国が詳細な原因調査を行い、原因が明らかになってきたので、本県としても、これらの結果を踏まえ、このような事故災害が起きないよう関係事業所を指導しているところである。
31: 【消防保安課主幹(消防・予防)】
石油コンビナート地区には、消防法などの個別規制に加え、石油コンビナート等災害防止法があり、事業者や行政関係者は総合的な防災対策を推進することと位置付けられている。事故の発生時の対応としては、まず、事業者に迅速な通報義務が課されていること、また大型消防車などを備えた自衛防災組織の設置などが義務付けられているほか、消火栓などのハード設備の設置も義務付けられている。そして県では、自衛隊、警察機関、関係市町村、事業者などを構成員とする石油コンビナート等防災本部を設置しており、総合的に防災対策を推進することとして防災計画を立てている。近隣の住民への周知については、こういった石油コンビナート区域は、通常一般の人が立ち入ることのできない施設ということで、何があるのかよく分からないということが確かにあろうかと思う。最近になって、県で毎年実施している石油コンビナート等防災訓練において、自治会の代表者や自主防災会の関係者などに訓練の参観をしてもらうなど、理解を深めてもらうようにしている。
32: 【
渡会克明委員】
地域の住民に分かってもらっていることが大事であるので、啓発・訓練を含めて引き続きよろしくお願いする。
南海トラフ地震について、以前は、東海、東南海、南海地震という言い方をしていたが、どういうタイミングでそういう言い方になったのか。
33: 【防災危機管理課長】
地震の名前であるが、当初、県の被害予測調査を始めた時は、東海地震、東南海地震、南海地震の三つの名前を挙げていた。これは、東日本大震災が起きた直後は、東海地震あるいは東南海地震が単独で起きる、あるいは、東海・東南海地震が連動して起きるという考え方が主流であった。したがって、愛知県も東海、東南海に南海を加えた3連動をベースにして調査を行うという形で進めた。ところが、国においても、東日本大震災の検証の中で、従来単独で動いたものが、連続して、広がって動くというような議論になって、その過程で、東海地震、東南海地震、南海地震のいわゆる3連動地震の外側に、例えば、宮崎県の日向灘まで一緒に動く4連動、静岡の富士川の河口断層が一緒に動く5連動など、数が段々増えていき、よく分からなくなってしまった。結局、国としては、これら一連の地震は全て南海トラフという所のどこかで起きるということで、ちょうど東日本大震災から1年から1年半くらいで、立て続けに国がいろいろな報告書を出す中で南海トラフ地震という表現をしていくこととなった。県としても、今後はそういう名称を使っていくことになるのではないかと思っている。県の被害予測調査については、3連動地震の名前で始めたので、今回はそういった形で整理したものである。
34: 【
渡会克明委員】
防災に関する意識調査の結果によると、地震発生時に不安や危険に思うことの上位に食料・飲料水の確保などの問題がある。我が家も水の備蓄に取り組んでいるが、どの程度の備蓄が必要か。
35: 【防災危機管理課長】
備蓄の日数であるが、従前、国は3日分程度と言っており、愛知県もそういうことで進めていた。この3日という数字は、過去に起きた大きな地震で、例えば阪神淡路大震災の時に、最初の3日間くらいはなかなか救援物資が届かなかった。したがって、それは各自の備蓄の物で賄う。4日目ぐらいからは、他地域から水・食料が届き始めるので、最低3日ということで日数が示されていた。東日本大震災後は、超広域災害になった場合、本当に3日で足りるのかという議論もあって、国も最近は3日というよりも、1週間、できれば10日と、少しずつ、個人や家庭での備蓄を増加してほしいと言っている。学者によっては1か月という声もあるが、なかなかそういう訳にもいかないので、3日分は最低限備蓄し、更に余裕があれば、1週間、10日と増やしてほしいというように、今後は周知をしていきたい。
36: 【
渡会克明委員】
広域に被災した際における水、食料、衣料等の物資の被災者への円滑な提供について、マニュアル化、運送事業者等との連携など、県及び県内市町村において、どのような状況になっているのか、把握していれば教えてほしい。
37: 【災害対策課長】
食料品メーカー、運送事業者などと協定を結んでおり、可能な限り速やかに物資を手配して搬送する仕組みとしているが、実際に物資がうまく搬送されるのかという問題はある。東日本大震災では、テレビでも報道されたように、例えば、道路が被害を受けているなどの理由があったと思うが、物が届いたけれども1か所に留まって本当に必要なところに届かないといったこともあった。実際の災害時において物資の搬送が確実に行われるよう、一つ一つ確認していくことが必要である。
38: 【
渡会克明委員】
防災道路、輸送道路の対策は建設部を含めて一生懸命取り組むわけであるが、防災を所管している防災局としては、様々な状況の中で住民の命を守るためにマニュアル等がしっかりできているか、市町村の取組状況を把握すべきである。市町村の取組の具体的な状況について伺う。
39: 【災害対策課主幹(調整・支援)】
把握している限り99の協定を市町村や事業所と結んでいる。その内容については、物資の輸送を始めいろいろとあり、所管課もいろいろとあるが、協定を結んで対応できるようにしている。
40: 【
渡会克明委員】
県としてしっかり把握しなければならないことである。市町村は、地域の事情に応じて様々な取組を行っているので、県としてそうしたことをしっかり把握しないといけない。そして、必要であれば情報提供をする。そのために、県としてマニュアルをしっかり作り、それを基にして指導するというのは不可能なことではないと思うが、どうか。
41: 【災害対策課長】
委員の指摘の点については今後しっかり取り組んでいきたい。
42: 【
渡会克明委員】
私が住んでいるところでは自治会という枠組みで、地域住民が企業・事務所と連携して避難訓練を行った。地域を守っていこうということを考えたときには、地域の事業者にも参加してもらい、みんなで防災計画や避難の方法を考えるというような共助が大事になってくる。このような点について、県の取組や方針はどうなっているのか。
43: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
本県では県民運動については、あいち防災協働社会推進協議会を設立し、愛知県を始め行政・消防機関、事業者団体、自主防災組織、地域の団体、ボランティア団体などの40の団体を構成員として、防災知識の普及啓発や安全への備えの促進、連携による地域防災力の向上といったことを柱にして、取組を進めているところである。具体的には、毎年、防災協働社会を推進するための大会として、あいち防災フェスタを開催しており、平成24年度からは、防災の人材を育成していくために、この団体を主催者とし、関係団体が一致協力して防災・減災カレッジを開催するという形の県民運動的な取組を進めているところである。
44: 【防災危機管理課長】
今、全県で地域の連携に取り組んでいるが、委員指摘のとおり、地域において企業の果たす役割は非常に大きい。これまで自主防災組織は町内会を中心に組織され、組織率は非常に高いが、実際、昼間に地域に行くと、例えばお年寄りの人や女性などが多く、働き盛りで力のある人は、会社勤めで地域にいない場合が多い。よって、昼間に大きな災害が起きた場合は、その地域に立地する企業に、きちんと地域住民のフォローも含めて取り組んでもらうことが、非常に地域の防災力を向上する上で有効であると思う。委員指摘のような企業と地域の自主防災会が一緒に訓練をする試みは、まだまだこれからかもしれないが、今回の災害対策基本法の改正の中で、地区防災計画という新しい考え方が生まれ、県や市町村が作る防災計画の下の、例えば町内会レベルの地区の防災計画についても、地区防災計画として法律で位置付けられ、愛知県防災会議においても、地区防災計画を充実させていくことを盛り込んだところである。したがって、今後、地区防災計画の策定も含め、地域における共助の充実を図っていきたい。
45: 【
渡会克明委員】
防災に関する意識調査結果の話をしたが、例えば、9月1日の防災の日の夜に家族全員によるファミリー防災会議を開催することを広めるなど、意識調査の結果を県民の様々な具体的な取組につなげてほしい。そういったことを考えるのも県の防災局の仕事だと思うが、局長の考えを伺う。
46: 【防災局長】
県民運動的に盛り上げていくことは非常に大事なことである。そのため、あいち防災協働社会推進協議会を立ち上げて取り組んでいるところであるが、今後、このような場を更に活用して、きめ細かい啓発の取組を、第3次地震対策アクションプランの検討の中に盛り込んでいきたい。
47: 【
渡会克明委員】
県民の具体的な取組につながるよう丁寧に啓発していくことが大事であるので、しっかりとアクションプランに盛り込んでいくことを要望する。
48: 【野田留美委員】
災害時の防災関係機関との連携強化と防災情報システムの運用等について伺う。災害時において迅速かつ的確な応急対策を実施するためには、防災関係機関相互の情報共有が必要であるが、平成23年9月の台風15号の災害対策では、多くの問題点があると感じた。庄内川の古い堤防が決壊して、150センチ以上の水位の濁流が農場に流れ込み、車も農機具も全て押し流されており、県立守山高校まで一帯が水につかった状態であった。そこで、被害状況の写真を撮り、守山区の災害対策本部に電話をしたところ、対応した職員は「そのような情報は本部から届いていないので災害対策はとれない。」とのことであったため、どこに連絡したら対策をとってもらえるのか教えてほしいと聞いたところ、「名古屋市の本部に連絡してほしい。」とのことであった。このため、名古屋市の災害対策本部に電話したが、ほとんど話し中の状態で機能している様子が感じられなかったので、仕方なく市長に連絡してトップダウンで対応してもらった。この時は、堤防が破堤して、守山高校が陸の孤島になっているなどの状況をこの目で確認しており、その後に台風が来るという状態であったので、大至急これを処置しなければならないという必死の思いであったが、名古屋市の災害時の対応にはあきれ返るばかりであった。守山土木事務所の職員は庄内川の堤防が破堤した現場を目撃していたにもかかわらず、消防にも警察にも連絡していなかったことが後で判明した。後で確認したところ、誰かが通報するだろうと思い込み、結局誰も通報しなかったとのことであった。また、後に名古屋市守山区の災害対策本部の対応について調査したところ、対応した職員はふだんから市民との間でトラブルを起こしている職員であったとのことで、これについては驚きを隠せなかった。県は、国、県機関、市町村、防災関係機関を結んだ、災害時に強い通信インフラとして高度情報通信ネットワークを整備し、このネットワークを利用した防災情報システムで災害情報を収集し、情報共有を図り、災害対応に当たると承知している。こうしたシステムは非常に有効だと思うが、大規模災害時には、被害状況を報告する市町村は災害対応に当たるため、システムへの入力がおろそかになるのではないかと心配している。また、災害の対策をとらないと言ってしまう職員がいる場合、なすすべがない。このように、市町村から情報が上がってこない場合にはどのような対応を行うのか。
49: 【災害対策課主幹(災害対策・通信)】
防災情報システムは、市町村、防災関係機関、県機関をつなぎ、被害情報、避難勧告・指示、避難所の情報等を入力してもらい、これを集計し、報道発表している。重要なことは、災害対応に当たる者は、同じ質、量の情報を共有して動かなければいけないということである。このために、このシステムを使って、関係機関間のネットワークによって、リアルタイムで同じ情報を共有できるというのが、このシステムの特長である。委員指摘のように、実際の災害対策現場においては、災害応急対策に忙殺される。小さな市町村では、入力する余裕がないということもある。本県では、このような場合には、県の職員を派遣して、市町村の被災の状況を報告させたり、県の職員が代行してこのシステムに入力するという措置をとっている。先ほどの平成23年の15号台風は相当の被害があったが、この時も名古屋市のみならず全県で41名の職員を派遣して情報収集に当たったところである。
50: 【野田留美委員】
災害時の防災行政無線である高度情報通信ネットワークを市町村の職員がきちんと使えるよう平常時から対策をとっておくことが必要と考えるが、高度情報通信ネットワークが災害時に円滑に活用されるよう市町村に対してどのような取組を行っているのか。
51: 【災害対策課主幹(災害対策・通信)】
災害対策課には無線通信技師がおり、6月からの出水期を前に、市町村及び消防本部全ての機関に出向いて操作訓練等を行っている。また、毎月1回抜き打ちで操作訓練を行っている。さらに、防災行政無線全般の技術以外に、防災情報システム固有の習熟も必要であり、このシステムの研修を出水期前に市町村向けに実施して徹底を図っている。
52: 【野田留美委員】
防災行政無線の取扱いの指導に当たっては、相応の無線の資格を持った職員が行っているのか。
53: 【災害対策課主幹(災害対策・通信)】
災害対策課には、第一級陸上特殊無線技士の資格を有した職員がおり、指導に当たっている。また、市町村には第二級陸上特殊無線技士以上の資格を有した職員を必ず置いている。そのために、毎年講習会を実施し、資格を取ってもらっている。
54: 【野田留美委員】
史跡や地名は、先人から現在を生きる私たちに地震、津波、台風、洪水等様々な災害の教訓を伝える大切なメッセージである。例えば、私の地元の守山区の吉根地区は台風15号において内水氾濫が起きて、甚大な被害を被っている。元々の字名が川田という地名であったのが、住宅地になったことから、桔梗平というおしゃれな地名に変わっており、新住民はそのようなことは知らずに住んでいた。そこで、過去の災害事例から学ぶ取組としてどのようなことを行っているのか伺う。
55: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
本県では、昨年度、緊急雇用創出事業基金事業を活用し、歴史地震記録に学ぶ防災・減災ガイドの作成とそれを利用した広報啓発業務を実施した。この事業の背景としては、東日本大震災等にあったように、過去の地震による被害の記録や津波の浸水記録等の歴史地震の記録に学ぶことの重要性が再認識されたことがある。このため、地域に眠る歴史地震記録を調査、収集、分析して、歴史地震記録が継続的に集積・活用できるよう防災・減災ガイドを県全域編のほか、名古屋編、尾張編、海部編、知多編、西三河編及び東三河編を作成しているが、この中には、歴史地震記録のほか、一部水害を含めている。また、このような教訓をPRするため、啓発部隊を結成し、市町村のイベント等71か所で、防災・減災ガイドの配布、地震防災啓発DVD、防災紙芝居の上演などの啓発活動を行った。収集した歴史地震記録のデータについては、データベース化されており、今後、県民から提供される過去地震記録の情報を追加していく取組を進めていきたい。
56: 【野田留美委員】
歴史地震記録に学ぶ防災・減災ガイドを活用して、普及啓発に取り組んでいるとのことであるが、地名は暮らしの中で大変身近なもので、取り組みやすい題材であると思うので、災害に係る地名ガイドの作成ができるとよいと思う。
また、市町村職員と連携を図って、災害時にきちんと高度情報通信ネットワークが機能するように、日頃からの災害対策力の向上に努めてほしい。
57: 【西川厚志委員】
6月4日付けで国の国土強靱化地域計画策定モデル調査の実施団体に愛知県・名古屋市が選定されたという報道があった。今後は、愛知県・名古屋市で国土強靱化基本法に基づく地域計画を策定していくことになるが、この地域計画は現在策定中の第3次あいち地震対策アクションプランの上位の計画になるということである。地域計画策定のポイント、名古屋市との協調体制、この地域計画を策定することによる第3次あいち地震対策アクションプランの策定時期への影響など、現在の取組状況を伺う。
58: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
まず、国土強靱化地域計画のポイントである。この地域計画は、地域が直面する大規模自然災害等の様々なリスクに対する脆弱性の評価を行って、実施すべき取組を明らかにしていくことである。これについて、内閣官房国土強靭化推進室は、国土強靱化に関する施策の計画的かつ効果的な推進を図るため、関係府省庁の協力を得つつ、必要な支援を行っていくということである。また、名古屋市との協調体制については、今後、それぞれ地域計画を策定していく中で、国の支援を受けながら連携していくものであり、その進め方についても現在協議を進めているところである。また、第3次あいち地震対策アクションプランへの影響についてであるが、国土強靱化地域計画と第3次あいち地震対策アクションプランは、同時期に策定を進めていくことから、共通する部分は整合を取りながら進めていくことにより、年内に策定する第3次あいち地震対策アクションプランの内容や策定時期について影響が生じないように進めていきたい。
59: 【西川厚志委員】
次に、国土強靱化地域計画を策定するメリットについて伺う。国土強靱化基本法においては、基本理念として、国土強靱化に関する施策の推進は、東日本大震災から得られた教訓を踏まえ、必要な事前防災及び減災その他迅速な復旧復興に資する施策を総合的かつ計画的に実施することが重要であると規定されている。例えば、国土強靱化地域計画の策定によって、この地域の悲願でもある基幹的広域防災拠点の整備の予算が措置される等の予算上の措置はあるのか。
60: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
個別の事業に対するメリットということであるが、国土強靱化地域計画は国土強靱化の観点から他の計画の上位計画とされ、そのため内閣官房国土強靭化推進室においては、国土強靱化に関する施策が計画的かつ効果的に推進され、適切に計画が見直されるように、関係府省庁の協力を得つつ、必要な支援を行っていくということである。したがって、今回の国土強靱化地域計画の中で個別事業について、どのように位置付けていくのかは明らかにされていない。
61: 【西川厚志委員】
私の認識では、国土強靱化というのは、現政権が言い始めたことで、それまでの民主党政権より公共事業に手厚くしていこうとするものと認識しているが、そうではないのか。
62: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
国土強靱化地域計画については、現在、モデル調査の実施団体に選定され、今後、どのように策定していくかについて、細かな点については、内閣官房の意見を聞きながら進めていくことになる。こうした中で、モデル調査の中で考えていることは、本県は、広大なゼロメートル地帯がある、人口が集中する大都市地域である、産業が集積している、物流ネットワークの要である、ということが地域特性としてある。これらの地域特性を前提に、あらゆる災害リスクを見据えて、最悪の事態に陥ることが避けられるような強靱な行政機能、地域社会や地域経済を事前につくりあげていこうとする国土強靱化に取り組むことになっており、個別の事業についての位置付けについてはこれからである。
63: 【西川厚志委員】
これからも推移を見守りたい。次に、関連して、地震対策アクションプランについて伺う。かねてから民間戸建て住宅の耐震改修に関する改修補助の進捗状況に着目しているが、毎年目標に対する進捗状況がすこぶる悪い状況が続いている。今回も今年の3月に中間報告が出て、耐震改修補助の平成26年度までの目標を見ると、1万6,000戸、うち実績が1万356戸ということで目標達成度は65パーセントにとどまるという結果となっている。第3次あいち地震対策アクションプランを策定するに当たって、民間戸建て住宅の耐震改修率の進捗率の悪さを防災局としてどのように受け止めているのか。事業の実施主体は建設部であるが、地震対策アクションプランを策定する主体である防災局として耐震改修率の実績についてどのような見解を持っているのか伺う。
64: 【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
5月30日に被害予測調査結果とその減災効果を示したところであるが、建物の耐震化は建物被害の軽減や死者数の減少に非常に有効な対策であるため、現在策定中の第3次あいち地震対策アクションプランにおいても重点的な項目に位置付け、数値目標を定めていきたい。進捗管理については、愛知県地震対策会議において策定していくので、その中で着実に推進していきたい。
65: 【西川厚志委員】
今の答弁では、問題意識がそれほどあるのかと感じざるを得ない。この補助事業がいつから始まったのか分からないが、監査委員の決算審査報告書を見ると、「民間住宅耐震改修費補助金において、申請戸数が見込みを下回ったため、執行率が低く、かつ多額の不用額を生じている。この事業は、第2次あいち地震対策アクションプランに位置付けられた、地震防災対策の一つであるので、なお一層、市町村と連携して、安価な工法の普及啓発を実施するなど、当該制度の利用促進を図るよう要望する。」と平成19年度から平成21年度まで3年連続で審査意見が付記されており、続く平成22年度から平成24年度においても、民間住宅耐震改修費補助金の不用額について申請戸数が見込みよりも少なかった旨の報告がされている。恐らくこんな事業はほかにはないと思う。民間住宅の耐震改修費補助金は建設部の事業であるが、防災局としても、もう少し真剣に取り組む必要があるのではないか。
66: 【防災危機管理課長】
委員指摘のとおり建設部所管の事業であるが、防災局としても、建物の耐震化は非常に減災効果が高いという思いはあるので、建設部と一体となってできることは何か検討していかなければならない。建設部が耐震改修の無料診断を行って、それに伴って必要な耐震改修を行っていくわけであるが、話を聞くと、平均すると1軒当たり250万円から300万円必要であり、建設部でも補助などの取組をしているが、高齢世帯を中心に進捗が芳しくない状況である。建設部では、これまで家を丸ごと一軒耐震改修する場合を対象としていたが、部分的な耐震化、現状の耐震レベルを上げるようなものも補助対象とするなど、より補助ができるように工夫している。防災局としては、家具の固定の取組と併せて、重要な取組として、建設部と連携して工夫していきたい。
67: 【西川厚志委員】
今後注意深く見守っていくので、防災局としても建設部と共同で良い知恵を出していくよう要望する。
68: 【中村すすむ委員】
交通安全計画について、県民生活部の取組を伺う。現在、平成23年度から平成27年度までを計画期間とする第9次愛知県交通安全計画が推進されているところであるが、毎年度の具体的な活動については、実施計画が定められている。しかし、実施計画には、どのレベルを目指してどういう活動をしていくといった踏み込んだ表現が見当たらず、実施計画としてはどうなのかという感じがした。安全計画と実施計画の二つを合わせて、数値目標は、27年度までに、年間の死者を185人以下、死傷者数を5万5,000人以下というもの一つしかなく、5年間の計画期間が終わった段階でこの数値をクリアしたかどうかだけの判断になってしまうのではないかと感じた。安全計画は5年間の数値目標がついており、毎年の実施計画には事細かに取り組む内容が書かれているが、そういう活動の評価を毎年積み上げていって、最終年度には、185人以下、5万5,000人以下になるといったストーリー性が見えない。実施計画にある毎年の活動については、どのような評価を行い、活動の継続、廃止等の判断をするのか、そのような実施計画の評価の仕方について伺う。
69: 【
地域安全課主幹(地域安全)】
県民生活部においては、四季の交通安全県民運動や、随時実施する街頭啓発活動、テレビ・ラジオコマーシャルの放送、交通安全教育ボランティアの派遣、シミュレータを活用した参加体験型の出張講座など、様々な広報・啓発活動を実施している。これら県内一円で実施している事業の実績については、実施回数や対象者数、登録企業数などを把握・分析するとともに、講座関係については受講者アンケートにより評価を実施している。実施する事業はいずれも意識啓発に関するものであるので、その効果を数値等で明確に把握することは困難であるが、講座のアンケート結果等を見ると交通安全意識の向上につながっているものと考えている。なお、毎年、次年度の事業を検討するに当たっては、時々の交通事故情勢を踏まえることは当然であるが、アンケート結果等も参考に、必要に応じて内容の充実や実施方法の見直しを行っている。また、この10年間、交通事故死者数は減少しているが、意識啓発事業の効果を数値で評価することは難しいところである。現在、県民運動等の活動状況やパートナーシップ企業として登録された事業社名は、ホームページ上で公表しているので、その他の事業の実績等についても、公表等の方法も含めて検討していきたい。
70: 【中村すすむ委員】
事業の評価について、我々に具体的に伝わるようにしてほしい。先ほどの答弁は、当該年度の活動について評価を行った上で次年度どうするのかということについて、今後、我々に資料や情報を提供することを検討するということであると考えてよいか。
71: 【
地域安全課主幹(地域安全)】
委員指摘のとおり、数値等で発表できるものについては、公表していきたい。
72: 【中村すすむ委員】
5年たって蓋を開けてみたら185人になってましたというようなことではないと思うが、我々から見るとそういう管理手法に見えるところがあるので、是非毎年実施計画を組むときの情報提供をきめ細かくお願いしたい。
2点目であるが、県民生活部においても警察においても、交通死亡事故の大きな原因となっている高齢者とドライバーに対する事故防止対策が今年度の目玉となっていると思う。県民生活部で何を行うかというと、先ほどの説明にあった活動や、川柳のコンテストを実施して高齢者にも参加していただく事業、シミュレータを使った参加体験型講座の開催などである。また、ドライバー対策の方は、重点対策市町村におけるいろいろな啓発活動や、スーパーマーケットとの連携や、通学路の安全対策などを重点的に行っているようである。効果があることであると思うし、川柳のコンテストのような県内全体に広めていく活動も必要かもしれないが、高齢者、ドライバーにターゲットを絞ってより細かいところに入っていく活動がこれからは必要になってきているのではないかと思う。県がやれることではなくて、市町村に任せるところが多いと思うが、高齢者の個別訪問などの市町村が行っている効果的な事例を他の市町村に情報提供していく、あるいは財政的に厳しい市町村に対して支援をするといったことを行った方がいいのではないかと思う。県としては、有効な取組の情報を市町村から吸い上げて、それを他の市町村に広げていくというような考えはないか。
73: 【
地域安全課主幹(地域安全)】
本県では、平成24年度に実施したドライバー対策事業で、事故が多発する市町村に重点を置いて啓発活動を行ったものを始め、今年度実施する交通安全川柳を活用した高齢者への広報啓発事業や、統一的なデザインを用いたドライバーへの啓発キャンペーンも同様に、事故が多発している重点対策市町村を中心に広報車を巡回することとしており、地域を絞った対策として一定の効果があるものと考えている。また、県としても、ボランティア派遣、出張講座など、各地域へ出かけていき、きめ細かな対策も実施しているが、個別訪問のように個々の高齢者等を対象とした、更にきめ細かい対策となると、その必要性は理解しているが、県としてはなかなか実施が難しいところである。こうしたことから、委員指摘のような先進事例もあるので、県民事務所管内ごとに市町村、警察本部、警察署、県の担当課長等が一堂に会する会議を開催し、市町村が実施する取組の情報を共有したり、意見交換等を通じて、関係者の連携を一層強化して、交通安全に取り組んでいきたい。
74: 【中村すすむ委員】
よく検討して取り組んでもらいたい。地域を絞って効果をあげていくという活動もあると思うが、県の役割としては、県自ら動くところ、市町村等で動いてもらうところを選別しながら進めていった方がよいのではないか。警察等と連携しながら新たな活動を始めるのであれば、効果が上がるような活動にしていってほしい。
75: 【県民生活部長】
交通安全計画は、昭和46年から続いており、現在は、第9次の交通安全計画となっている。平成27年度までの第9次の5年間の計画の中で、死者を185人以下にする、死傷者を5万5,000人以下にするという計画を立てて、これに沿って毎年度の実施計画を、知事をトップとする交通安全対策会議を開催し、関係者が集まって決めているところである。県民生活部の事業は啓発が中心であることから、質問に直接答えかねる部分もあったが、例えば、ハード対策などは具体的な数値でもって計画を取りまとめている部分もあり、毎年毎年、対策を積み重ねていくということで取り組んできている。ただ、11年連続でワースト1位が続いているという状況もあり、委員から指摘されたようなきめ細かい取組の提案も貴重だと思う。とにかく、やれることは何でもやるというスタンスで進めていきたい。なお、今議会の代表質問で、知事からできるだけ早く交通安全条例(仮称)を作っていきたいという答弁をしている。交通事故の現状は11年連続のワースト1位であり、現在も今年2回目の交通死亡事故多発警報発令中で、非常に厳しい情勢である。条例と事故の減少は直結しない部分もあるが、今一度、県民の注意を喚起し、一丸となって取り組んでいくという意味の旗印のような形での条例を早く制定し、一層の交通安全を進めていきたい。
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