愛知県議会 2014-02-01
平成26年2月定例会(第5号) 本文
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日程第三 一般質問
5:
◯議長(
久保田浩文君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
山下智也議員。
〔六番
山下智也君登壇〕(拍手)
6: ◯六番(
山下智也君) 皆様、おはようございます。
早速ではありますが、通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。
初めに、いじめ防止対策推進法への対応についてお伺いをしたいと思います。
平成二十四年の全国の小中高等学校等のいじめの認知件数が文部科学省より昨年の十二月に公表されましたが、資料によりますと、いじめの認知件数が過去最多の十九万八千百八件に上り、前年度の二・八倍になっております。
このように、いじめの認知件数が急激にふえた理由は、平成二十三年十月に発生しました大津市の中学生のいじめ自殺事件を受け、平成二十四年八月に全国一斉のいじめの緊急調査が行われ、各学校がより積極的に、かつ丁寧にいじめの把握に努めた結果であると受けとめられております。
しかしながら、調査結果を見てみますと、都道府県の間で認知件数にかなり大きな差がありまして、いじめの把握方法やいじめかどうかの判断の違いが影響しているとの指摘があります。こうした状況から考えますと、まだまだ把握できず埋もれているいじめがあるのではないかと私は思っております。
いじめ問題への対応力は、その国の教育力や国民の成熟度をあらわすものであると言われますが、大人社会の中にも、また、大人の言動にもいじめと同様のことが起きており、子供たちに少なからず影響を与えていると言えます。この点は、我々大人も十分に気をつけなければならないと思います。
いじめに苦しむ子供たちを救うためには、学校、家庭、地域、関係機関等が連携し、力を合わせ、まさに社会総ぐるみで取り組んでいかなければならないのは言うまでもありません。
これまでも何度かいじめを苦にして自殺をするなど、いじめが社会問題として大きく取り上げられた事件がありましたが、子供たちの心身などに重大な危機が及ぶいじめを背景とした事件は後を絶たない状況にあります。
こうした中、子供たちがいじめを苦にして自殺するような事件は絶対に阻止したいという切実な思いが、昨年九月二十八日に施行されたいじめ防止対策推進法の実現に結びついたと思っております。
本県では、平成六年に西尾市の中学生がいじめを苦にしてみずから命を絶つという痛ましい事件がありました。この事件の反省をもとに、県教育委員会では、いじめはどの子供でも起こり得る問題であり、全ての子供がいじめの被害者にも加害者にもなり得るということを踏まえ、いじめ対応マニュアルの作成やスクールカウンセラーの学校への配置、二十四時間いじめ電話相談の充実など、子供たちの発する小さなサインを見逃さないような取り組みや、深刻ないじめ事案に対応するための体制整備を進めてこられたことは承知をしております。
また、本県のいじめの認知件数が毎年全国でも上位にあるのは、いじめアンケートや面談方法を工夫するなど、ささいないじめでも見つけ出し、対応するように努めてきた結果だと考えており、その取り組みは評価をしたいと思います。
しかし、全国の調査結果でも指摘をされましたように、先生や保護者など周りの大人が気づかないうちに深刻化してしまういじめや、表面化しにくいインターネットを介したいじめなど、掘り起こせていないいじめがまだまだあるのではないでしょうか。
先日、学校関係者とさまざまな意見交換をさせていただきましたが、先生方も表に出てこないいじめに対して、いかに気づくかという点に苦労をされておりました。
子供たちにとって、学校はまさに安心して生活できる場でなくてはならないと思います。そのためには、子供たちの心身を深く傷つけるいじめそのものを減らし、未然に防いでいくとともに、いじめに対して適切に対応していくことが大切であります。
いじめ防止対策推進法でも、学校におけるいじめの未然防止や早期発見、早期対応が柱の一つとなっております。いじめを未然に防ぐためには、学校は、子供たちの豊かな情操と道徳心を養い、集団の中で人間関係をつくる力や他者との意思の疎通を図るコミュニケーション能力を身につけられるよう、道徳教育や体験活動等に積極的に取り組んでいくことが大切であります。
教育は、道徳と知恵の二つの基盤の上に立たなければならないというフランスの十八世紀の詩人セバスチャン・シャンフォールの言葉がありますが、私個人の意見として、これまで以上に道徳教育に力を入れていくべきであると考えております。
また、早期発見、早期対応のためには、子供たちが悩みや困っていることを相談しやすい雰囲気や体制をつくることが必要であります。そして、いじめの被害者や加害者に適切な指導、支援を行うには、児童生徒が抱える心の問題や背景にある家庭環境などにも踏み込んでいく必要があります。
それゆえ、いじめを把握した場合やいじめの疑いがある場合は、学校だけで対応するのではなく、心理や福祉の関係の専門家等と連携して対応していくことが今後ますます重要になってくると考えます。
さらに、いじめ事案の中には、犯罪行為として取り扱われるべきものや、子供たちの生命や財産に被害が及ぶものもあります。
こうした事案は、警察や児童相談所等と連携をとって解決に当たらなければ、適切な対応はできないと考えます。
子供たちをいじめから守り、子供たちが心身ともに健やかに成長していくために、今後、県としても学校の取り組みを支援するとともに、いじめ防止等の対策に一層力を入れていく必要があると思います。
そこで、二点お伺いをいたします。
一点目は、いじめ防止対策推進法の施行を受け、五カ月が経過いたしましたが、学校及び教育委員会ではどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
二点目は、学校と関係機関との連携についてどのように進めていくのかをお伺いいたします。
次に、ワーク・ライフ・バランスの推進、男性の育児参加の促進についてお尋ねをいたします。
ライフスタイルの変化や経済のグローバル化など、社会や経済の構造が大きく変化をする中、企業間の競争は激しさを増しております。また、少子・高齢化が急速に進展し、労働人口の減少に伴い、近い将来には高齢者一人を一・三人の現役世代が支える状況になると予想されております。
このような中、日本が経済成長を持続するために貴重な労働力をいかに確保するかは喫緊の課題であり、この課題に対応するために、これまで十分に生かされていなかった女性を初め、年齢や性別にかかわりなく、多様な人材の活躍を促進していくことが求められます。
国においては、仕事と生活の調和の実現に向けた取り組みは少子化の流れを変えるとともに、多様な人材が仕事につけるようにし、企業の活性化、ひいては社会を持続可能で確かなものとするために必要な取り組みであるとの認識のもと、労働時間等設定改善法を制定し、労働時間の短縮や有給休暇取得促進などに取り組んでいるところであります。
しかしながら、働き方の現状を見ますと、国の毎月の勤労統計調査によれば、一般正社員の年間総実労働時間は二千時間程度までに下がった後、この十年間は同水準で推移をしており、労働時間の縮減は進んでおりません。
また、国の労働力調査や少子化社会対策白書によれば、平成二十四年に週六十時間以上働く男性の割合は、三十歳代は一八・二%、四十歳代は一七・五%となっており、男性の全世代の平均である一四・二%を上回っている状況であります。つまり、子育て世代の男性の約五人に一人が週六十時間以上の長時間労働を行っているという現状であります。
この状況は、仕事と育児などの両立が難しい環境にあるだけでなく、自分自身の健康にも不安を生じかねないということが言えると思います。
実際、最近は、メンタルヘルスの不調が原因で欠勤、休職をする従業員の数がふえているというようなことも、私自身、企業の方からよくお聞きをいたします。
さらに、男性の育児休業の取得状況は、平成二十四年の国の雇用均等基本調査によれば一・八九%となっており、愛知県が行った調査でも一・五%と低調なまま推移をしております。
また、国が行った平成二十三年社会生活基本調査によれば、六歳未満の子供を持つ男性の育児や家事にかかわる時間は、一日当たり平均約一時間で、欧米諸国と比べて三分の一程度となっており、男性の育児参加が進んでいないことがわかります。
私自身にも三歳になる息子がおりますが、大変恥ずかしいですが、仕事の都合などでほとんど育児に参加をすることができておりませんし、また、家事に至ってはほぼゼロでありますので、今回の質問を契機にできることから参加をしてみようと思います。
さて、一方、女性の就業状況は、国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、第一子の出産後約六割の女性が出産や育児を機に離職をしていると言われておりまして、仕事と育児の両立が難しい状況であるということがうかがえます。
こうした女性の就業状況は、三十歳代で谷となり、四十歳代で上昇するM字カーブを描いており、結婚、出産、育児などの事情で職を離れる女性が多いことを示しております。本県のM字カーブを見ますと、子育て世代である三十歳代の就業率は、全国に比べてさらに低くなっております。
このように、働き方に関する意識や環境が必ずしも社会構造の変化に対応し切れておらず、男女とも仕事と生活の調和がとれない状況が依然として出生率の低下や心身の疲労等、さまざまな問題を生じているのではないかと思います。
このような状況は、今後、人口減少や社会の多様化が進む中で、本県が持続的に発展していくためには決して好ましい状況ではありません。年齢や性別にかかわりなく多様な人材の活躍を促進するためには、長時間労働などの働き方を見直し、男女がともに仕事と育児等、仕事以外の生活との調和を図ることができる社会の実現を目指していく必要があります。
昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略では、女性の活躍促進が打ち出され、これまで生かし切れていなかった我が国最大の潜在力である女性の力を最大限発揮できるようにするとしております。
具体的には、例えば二〇二〇年に二十五歳から四十四歳の女性の就業率を現在の六八%から七三%に引き上げること、男性の育児休業取得率を一・八九%から一三%に引き上げることなどの目標を掲げております。
本県では、昨年、吉本副知事を迎え、女性が元気に働き続けられる愛知の実現を目指して、あいち女性の活躍促進プロジェクトチームが設置されました。このプロジェクトチームで検討された課題の一つである男性を含めたワーク・ライフ・バランスの促進、とりわけ、男性の育児参加の促進を図るため、本県が率先して取り組むこととし、男性職員に対する育児参加支援を既に推進されているとお聞きしております。
具体的には、男性職員本人を初め、上司や同僚の意識改革と職場全体でサポートする職場環境づくりを上司が率先して行い、男性職員本人に働きかける取り組みを積極的に進めていくとのことであります。
ところで、最近は、育児に参加する男性をイクメンと呼んでおります。厚生労働省が進めるイクメンプロジェクトのホームページによりますと、イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性や、将来そんな人生を送ろうと考えている男性のことだそうであります。イクメンがもっと多くなれば、妻である女性の生き方が、子供たちの可能性が、そして、家族のあり方が大きく変わっていき、そして、社会全体ももっと豊かに成長していくはずですとあります。私は、このイクメンプロジェクトを積極的に広めるとともに、トップがリーダーシップを発揮しながら、長時間労働などの働き方の見直しや職場風土の改革に取り組むことが、男性も含めたワーク・ライフ・バランスの実現につながるものと考えます。
そこでお伺いいたします。
企業経営者や一般県民に対してイクメンの認知度を高め、男性の育児参加に対する理解を促進することに関し、県としての考え方と取り組みについてお伺いをいたします。
最後に、愛知県営水道事業についてお伺いをいたします。
初めに、震災時のライフラインの確保対策についてであります。
平成二十三年三月十一日、午後二時四十六分、仙台市の東方約七十キロの太平洋の海底を震源とする東北地方太平洋沖地震、東日本大震災が発生しました。地震の規模はマグニチュード九・〇で、日本周辺では観測史上最大であり、最大震度は宮城県栗原市の震度七でありました。
この地震により、場所によっては高さ十メーター以上の巨大津波が発生し、さらには、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下などにより、北海道の南岸から関東南部までの広範囲にわたる被害が発生し、全てのライフラインが寸断される事態となりました。
テレビで見る現地の状況は、押し寄せる津波、流される車、逃げ惑う人々など、大変だとか恐ろしいというよりも、現実の出来事として捉えることのできない、まるで悪夢か特撮映画を見ているような気持ちで映像にくぎづけとなっていたことを覚えております。
あの大震災から間もなく三年が経過しようとしておりますが、今でも自分のふるさとに帰ることができず、仮設住宅などで不自由な生活を余儀なくされている人が大勢いるという現実を私たちは決して忘れてはならないと思います。
申し上げるまでもなく、震災時に最も大切なことは人の命であり、人の命に直結するライフラインの維持と確保だと私は思います。東日本大震災では、水が出ない、電気がつかない、ガスが使えないなど、被災者の方々は非常に不自由な生活を余儀なくされました。
国の報告によりますと、震災発生後のピーク時では、停電世帯は約八百万戸、断水世帯は約百八十万戸であったとされております。
具体的に、例えば愛知県全体の世帯数は約三百万戸でありますので、停電世帯が愛知の約二・七倍、断水世帯は愛知の約六割と、いかに大きな数字であるか御理解いただけると思います。
災害はいつどこで起きるかわかりません。私たちは、この大震災を貴重な教訓として真摯に受けとめ、事前に可能な限りの対策を講じていくことが必要であります。
そこで、今回、私は、本県の震災時におけるライフラインの確保対策、とりわけ、企業庁が行っている県営水道事業についてお尋ねをしてまいります。
県営水道事業は、市町村に対して飲料水である水道水を供給する、つまり、水の卸売であります。その供給量は一日当たり百四十万立方メートルであり、愛知県民の約七割に当たる五百万人の方々が県営水道の水を使用しているとお聞きをしております。
また、この地域は南海トラフ巨大地震により広域的な災害をこうむることが懸念されておりますので、早急な対応が必要な地域でもあります。言いかえれば、県営水道が地震により被災した場合、五百万人の県民の方々の生活に影響を与えることになるわけであります。
そこでお伺いいたします。
県営水道は、日ごろから地震防災対策を進められていることと思いますが、これまでどのような対策を実施されてきたのかお伺いいたします。
さて、一昨年の平成二十四年十二月に中央自動車道の笹子トンネルで発生した天井板落下事故以来、インフラ施設の老朽・劣化による強度低下が心配されているところであります。
物には寿命というものがあります。水道管においても、老朽化した管を更新していくことは不可欠でありますので、更新に合わせて耐震性の高い管に取りかえていくことは、地震防災対策を進めていく上で重要な要素となります。
そこで、県営水道の管路の更新をどのように進めていかれるのか、あわせてお伺いをいたします。
次に、震災時における浄水場の電源確保対策についてお尋ねをいたします。
もちろん、電気は電力会社が各家庭や工場などに供給を行っており、震災時には迅速に復旧していただけるわけでありますが、ここでは、県営水道の十二の浄水場のうち、飲み水である水道水を供給している十一の浄水場における電源確保の取り組みについてお伺いをいたします。
東日本大震災では、送電線の鉄塔が倒壊するなどにより、広範囲かつ長期間の停電が発生いたしました。県営水道で消費する電力量は年間約十二万七千メガワットアワー、一般家庭の約三万五千軒分に相当するとお聞きしたことがあります。
万が一、これらの浄水場が停電となった場合、水道水の供給が停止されることになりますので、県民生活に大きな支障が生じることになることは、先ほど申し上げたとおりであります。
こうしたことから、耐震対策はもちろんのこと、電源確保対策をしっかりと行っていくことも危機管理上欠かせない要素であると私は思います。
そこでお伺いいたします。
県営水道の浄水場では、東日本大震災の教訓を踏まえ、震災時における電源確保対策をどのように講じておられるのかお伺いいたします。
さて、この東日本大震災により原子力発電所が被災したことから、今日に至るまで電力供給が不安定な状態となっていることは、皆様御承知のとおりであります。
こうした中、非常に多くの電力を消費する浄水場を抱える企業庁では、平成二十六年度から犬山浄水場と尾張西部浄水場で実施する尾張地域のPFI事業において、これまで尾張東部丘陵から知多半島に至る愛知用水地域や三河地域におけるPFI事業で実施をしてきました浄水場で発生する汚泥を処理する排水処理業務だけでなく、犬山浄水場に新たに電源確保のための設備を導入し、地域の電力需要に貢献するとのことであります。
私の地元は小牧市でありますが、小牧市の水道は、その約七割の水を隣接する犬山市にある愛知県営犬山浄水場から供給をされております。
この犬山浄水場は、木曽川や濃尾平野を見おろす犬山市北東部の高台に位置し、浄水処理能力三十四万四千三百立方メートルの県営水道の中で最大規模を有する浄水場であります。処理能力が大きいこともあり、県営水道の浄水場の中でも最も多くの電力を消費し、その量は年間約三万七千メガワットアワー、一般家庭約一万軒分に相当するとのことであります。
そこでお伺いをいたします。
この犬山浄水場のPFI事業において、企業庁はどのような電源確保対策をされ、どのような効果を期待しておられるのかお伺いをいたします。
水は命の源であります。命の水を供給しておられる企業庁長の明快な答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
7:
◯教育長(
野村道朗君) いじめ防止対策推進法を受けた学校及び県教育委員会の取り組みについてお尋ねをいただきました。
本県では、従来から、いじめはどの学校でもどの子供にも起こり得るという認識のもとで、早期発見、早期対応に努めておりますけれども、昨年の九月二十八日に施行されたいじめ防止対策推進法では、各学校において、いじめ防止に対する基本的な考えや具体的な取り組みなどを示した学校いじめ防止基本方針の策定とか、特定の教員が抱え込むことのないよう、組織の設置が義務づけられることとなったところでございます。
それを受けまして、各学校では、県教育委員会が示した策定の指針等に基づき、学校いじめ防止基本方針を年度内を目途に策定しているところでございまして、組織の設置についても、従来の教員中心のいじめ・不登校対策委員会にスクールカウンセラーをメンバーに加えるなど、より実効性の高いものとなるよう充実を図ることといたしております。
一方、県教育委員会といたしましても、私立学校も含めたいじめ防止等のための対策が総合的かつ効果的に推進できるよう、現在、知事部局と合同のワーキンググループを立ち上げ、愛知県いじめ防止基本方針の策定を進めているところでございます。
また、特に重大ないじめの事案が起きた場合に、今年度から派遣することといたしましたいじめ対応支援チームを小中学校だけでなく県立学校にも対象を広げ、学校への支援体制を充実してまいります。
このことに加えまして、いじめの問題については、議員御指摘のとおり、早期発見、早期対応とともに未然に防ぐことが重要でございまして、そのためには、子供たちの道徳性、社会性を育むことが非常に大切でございますので、来年度は、学校における道徳教育や体験活動等にかかわる授業を一層充実させてまいりたいと考えております。
次に、いじめ問題に関する学校と関係機関との連携についてお尋ねをいただきました。
いじめは、児童生徒の心の問題だけではなく、家庭の環境改善や犯罪被害の防止、人権擁護など、幅広い観点を踏まえた対応が大切でございます。
推進法でも、児童相談所や警察、法務局などの関係機関の代表で構成するいじめ問題対策連絡協議会、こういった協議会の設置が求められておりまして、本県としても、来年度、この協議会を立ち上げることといたしておりますので、その協議を通じて、各学校における関係機関との一層実効性ある連携を図ってまいりたいと、このように考えております。
また、こうした関係機関との連携の一環といたしまして、去る二月五日に県警本部と県教育委員会で学校警察連携制度に関する協定を結んだところでございます。この協定では、児童生徒の健全育成を目的として、学校と警察が相互に連絡、相談する連携体制について取り決めておりまして、これを契機に各地域で学校と警察との連携を深めていくことといたしております。
私からの答弁は以上でございます。
8:
◯産業労働部労政担当局長(
森鋭一君) 男性の育児参加の促進についての御質問でございます。
人口減少社会において社会経済の活力を維持するためには、女性の活躍を促進していくことが不可欠でございます。
しかし、現実には、女性の多くが仕事と育児の両立に悩み離職をしており、また、男性の子育て世代における長時間労働の改善も進んでおらず、みずからの心身に不安を抱えたり、育児や家事に参加することが難しい状況にあります。
子育て世代は働き盛りでもありますが、男性自身にとっても、働き方の見直しによる長時間労働の是正や有給休暇の取得促進などは、仕事以外の生活の充実につながるとともに、心身の健康保持にもつながります。
こうしたことから、働く人の心身の健康を保持し、育児をしながら、男女がともに安心して働き続けることができるよう、男性も育児休業をとることができる職場環境づくりを進めていく必要があると考えております。
本県では、平成二十四年一月にあいち仕事と生活の調和行動計画を策定し、目標の一つとして、安心して子育て等ができる職場づくりを掲げ、男性の育児休業の取得を促進しております。
これまでワーク・ライフ・バランスに関するキャンペーン活動など、さまざまな啓発事業を行ってまいりました。
平成二十六年度は、新たにイクメンの認知度を高め、男性の育児参加を促すため、仕事と育児との両立支援取り組み強化推進事業を実施いたします。
具体的には、男性の育児休業取得率向上を目指し、街頭啓発キャンペーンを実施するとともに、労働団体や経済団体、行政等で構成するあいちワーク・ライフ・バランス推進協議会のもとに、専門組織としてあいちイクメン応援会議を設置いたします。
この応援会議では、人生を豊かにする育児体験を持つ男性をイクメン大賞として、男性が育児休業等をとりやすい職場づくりをしている企業をイクメンサポート企業大賞として表彰する事業などの企画等を行ってまいります。
さらに、中小企業の経営者等を対象としたセミナーを名古屋市内と西三河及び東三河地域で実施し、イクメンに対する理解を促進いたします。
このようなイクメンを応援する事業を実施することにより、男性の育児参加を促進し、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進を図ってまいります。
私からは以上でございます。
9:
◯企業庁長(
丹羽健一郎君) 県営水道事業につきまして、四点お尋ねをいただきました。
初めに、地震防災対策の実施状況についてであります。
企業庁では、平成七年の阪神・淡路大震災を教訓として、平成九年度から河川などを横断する水管橋の耐震化対策を重点的に進めてまいりました。
また、十四年四月には、東海地震の地震防災対策強化地域が拡大されましたので、市町等の水道と連携して、大規模地震に効果的かつ迅速に対応できるように、愛知県営水道地震防災対策実施計画を十五年一月に策定しまして、計画的な実施に努めているところでございます。
この実施計画では、一週間程度での応急給水、遅くとも二週間での平常給水を目標に掲げており、これに基づき、ハード面の対策としては、水管橋や水を集中管理する浄水場の建築物の耐震補強、緊急用に水道水をためておく広域調整池の整備、市町等の水道管と直接結ぶ支援連絡管の整備などを、また、ソフト面の対策といたしましては、市町や住民の方々と連携して、給水車や仮設の給水栓を利用した訓練などを実施してまいりました。
さらに、平成二十一年度からは、浄水場の沈殿池等の構造物について耐震診断を行い、現在、この結果をもとに浄水場の新たな耐震補強を計画的に実施しているところでございます。
次に、管路の更新についてお答えいたします。
現在、県営水道の管路は約七百六十キロメートルございます。この管路は、昭和四十年代から五十年代前半にかけて集中的に建設しておりますので、今後十年の間に法定の耐用年数である四十年を超える管路が約四百七十キロメートル、全体の約六割に相当することになります。
このことから、早急に管路更新を実施していくことが必要でありますが、この施設整備を短期間で一気に行うには膨大な費用を要しますので、管路の耐震性、老朽劣化度、さらには布設の場所など、総合的に判断を行った上で計画的に実施していくこととしております。
また、定期的な点検、修繕や腐食防止対策により管路を少しでも長く使用できるよう、いわゆる長寿命化にもしっかり取り組んでまいります。
続いて、県営水道の浄水場における災害時の電源確保対策についてお尋ねをいただきました。
議員お示しのとおり、現在、県内には水道用の浄水場は十一カ所ございます。その受電方式は、使用する電力の規模により二種類ございまして、六カ所は、一般の家庭と同様に電柱、いわゆる高圧回線から受電をしており、残りの五カ所は、使用電力が多いため、大規模な事業所と同様に直接鉄塔から特別高圧回線により受電をしております。
特別高圧回線は、二回線の送電線により受電しておりますため、一方の回線が切れても他方の回線により対応できることから、信頼性も高く、停電リスクが少ないとされておりました。
このため、企業庁としては、これまでは電柱から高圧回線で受電している六カ所の浄水場に非常用の自家発電設備を設置し、万一の場合の備えとしておりました。
しかしながら、東日本大震災では、特別高圧回線においても最大八日間の停電が発生いたしましたので、その教訓を踏まえ、この受電方式の浄水場五カ所についても速やかに非常用自家発電設備を設置することとし、平成二十八年度には全て完了する予定となっております。
最後に、犬山浄水場のPFI事業についてでございます。
犬山浄水場は、ほかの浄水場と異なり、木曽川の水を約八十メートルくみ上げる大規模な導水ポンプ所があり、議員お示しのとおり、県営浄水場の中で最も電力を使用する浄水場でございます。
そのため、今回のPFI事業では、ガスの自家発電設備を設置し、その廃熱を排水処理業務に利用するコージェネレーションの導入やメガソーラーを設置し、エネルギーの有効活用を図ってまいりたいと考えております。
この事業は、平成二十八年度までに施設整備を行い、二十九年度から二十年間、運営と維持管理を行うものであります。
企業庁といたしましては、できる限り電力を自力で賄い、使用を抑えるといった事業を実施することにより、現在、犬山浄水場で使用している電力のうち、一般家庭約三千軒分に相当する年間約一万一千メガワットアワーを減ずることができますので、地域の電力需給に貢献できるものと考えております。
今後とも、水道水の安定供給はもとより、PFIの活用など効率的な事業展開に努め、健全な事業の運営に精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
10:
◯知事(
大村秀章君) 山下議員の質問のうち、ワーク・ライフ・バランスと男性の育児参加につきまして、私からもお答えをさせていただきます。
少子・高齢化が急速に進む中、活力ある地域社会を支えるため、県民誰もが夢と希望を持って活躍できる社会を実現していくことが重要でございまして、そのためには、働く人のワーク・ライフ・バランスの推進が不可欠と考えております。これは、議員御指摘のとおりでございます。
昨年十一月二十日には私も参加をいたしまして、愛知県内一斉ノー残業デーの街頭PRを実施いたしました。こういった取り組みに加えまして、平成二十六年度には、女性の活躍促進などの施策を積極的に取り組んでいくことといたしております。
男性が育児に参加することは、本人のワーク・ライフ・バランスの実現に加えまして、パートナーである女性が社会において活躍することを支えることにもなるわけでございまして、また、さらには、企業にとりましても、働き方の見直しによる効率的な仕事の取り組みが広がることにより、生産性を高め、業績の向上にもつながるものと考えております。
そこで、来年度は、民間企業におけるイクメンを応援する事業を新たに実施いたしまして、男性の育児参加を促し、県民のワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
11: ◯六番(
山下智也君) それぞれ前向きな答弁をいただきましてありがとうございました。順次要望をさせていただきたいと思います。
まず初めに、いじめの防止対策について、教育長より充実を図っていくという前向きな御答弁をいただきまして、大変ありがたいというふうに思っています。ぜひ、道徳教育の充実というお話もありましたが、積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。
それから、県警との協定というお話もありました。その点につきましても、しっかりと連携をしていただけますようにお願いを申し上げたいと思います。
それから、男性の育児の参加についてということで、大村知事初め労政担当局長から答弁をいただきました。
私もイクメンになれるように頑張っていきたいというふうに思いますが、さまざまな要因が絡んでいるというふうに思っていますので、なかなか一筋縄ではいかない問題もあるのかなというふうに正直思うわけでありますが、何はともあれ、ただ、こういったことを継続してやっていくということが大変重要だというふうに思っておりまして、この件につきましても、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
それから、最後の水道事業についてでありますが、大変前向きな御答弁をいただいたというふうに思います。公営企業であります企業庁でありますので、基本的には、県民の皆様からの税に頼るのではなく、いわゆる民間企業と同じような感覚で、水道水を販売して財源を確保しているわけであります。それにも増して、愛知県という公の看板も背負っているという点があるわけであります。
そのような中で、今回、PFI事業で実施する電源確保対策であるガスコージェネレーションやメガソーラーというのは、公の看板を背負っている企業庁がみずから実施するものであり、私自身も期待をしておりますし、大変有意義ですばらしいことだというふうに思います。
しかしながら、県民の方々にとっては、これら地震防災対策や管路の更新、さらには、PFI事業の費用が水道料金にはね返るようでは本末転倒になってしまうと思います。公営企業として健全経営に取り組みながら、さらに効率的な事業運営に努められることを強く要望したいというふうに思います。
いずれにいたしましても、水がなければ私たちは生きていくことができないわけでありますので、企業庁におかれましては、今後とも必要な対策を迅速かつ効率的に実施をし、引き続き県民の皆様に安全で安心な水道水を提供していただきますように要望して、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
12:
◯議長(
久保田浩文君) 進行いたします。
小山たすく議員。
〔三十四番
小山たすく君登壇〕(拍手)
13: ◯三十四番(
小山たすく君) 通告に従いまして、私からは、防災教育とあいち小児保健総合センターについて伺います。
初めに、防災教育のうち、施設整備などのハード面の整備と並んで被害軽減、とりわけ、人的被害の軽減に直結する県民の意識啓発についてお伺いいたします。
なお、本議会におきましては、防災に関する質問が多くなされておりますので、既に同趣旨の答弁がなされている質問につきましては割愛をして、質問をさせていただきます。
平成二十四年、内閣府が発表した南海トラフ巨大地震による被害想定では、従来の二連動、あるいは三連動地震による被害を大幅に超える被害想定が公表され、愛知県における最大被害も、全壊棟数三十八万八千棟、死者二万三千人という結果が出され、県民に大変な衝撃を与えました。
この内閣府調査については、その後、昨年の十月三十日に大阪府が独自の被害想定に基づき、死者数を国想定の十三・七倍に当たる約十三万人とする被害想定の引き上げを行い、ことし二月三日には、名古屋市が国想定よりも津波高は低下するものの、津波による浸水被害は国想定の四倍に及ぶという独自の想定を公表し、死者数も増加する可能性が高いという想定を公表しております。一方、本県全体の被害想定については、ことし六月に本県独自の試算結果が公表される予定となっております。
そこで、このいわゆる被害想定について、初めに幾つか指摘をしたいと思います。
私は、東日本大震災の発生以後、この間、何度か現地へボランティアと調査に訪れ、県や市町の職員や社会福祉協議会の職員、ボランティア団体のスタッフ、地元消防団や仮設住宅に入居されている方など、さまざまな方から意見を聞くことができ、自分なりに幾つかの課題に対して整理をすることができました。
また、理論的な裏づけとして、我が団の研修会における名古屋大学の福和伸夫教授や、釜石の奇跡を指導した群馬大学の片田敏孝教授からも話を聞く機会もあり、災害が発災する前の日ごろの防災教育の重要性と、いかに災害と向き合うかという県民の意識改革の重要性を改めて認識したところであります。
さて、それらを踏まえ、冒頭に申し上げた、従来の予想を大きく超える被害想定の公表や被害想定の引き上げが果たして県民にとっていい影響を与えているのでしょうか。
もっと平たく言えば、被害想定が引き上げられることが県民の前向きな防災意識の向上につながっているのかということでありますが、私は、むしろ、その結果を地域や家庭の防災行動に結びつけようとする積極的な捉え方をする方よりも、想定被害の防止に満たない施設や体制への不安を募らせる方のほうが多いのではないかと思います。
このことは被害想定の捉え方の問題であると思いますが、最大被害の最大という前提や仮定の条件が崩れ、いつの間にか地震が起これば必ずその被害が生じるのではないかという錯覚に陥っているということに尽きるのだと思います。
実際、最大被害が生じるのは、最悪の条件が幾つも重なったある特定の条件下に限られますし、国の被害想定においても、幾つものパターンの中で東海地方が大きく被災するケースにおいても、全国の死者数は八万人から三十二万人と四倍の開きがあり、南海トラフの広い震源域において考えられる四国地方が大きく被災する場合の死者数は三万人からと、想定死者数においても十倍の開きがあります。
この想定被害の捉え方については、本県では大きな問題にはなっておりませんが、他県では、被害の大きさに今の段階から既に避難を諦めてしまう避難放棄者や、不安に駆られて引っ越しをしてしまう震災前過疎などの問題が生じている地域もあります。このことを本県に当てはめれば、住宅のほかに臨海部の企業誘致や維持にも影響が懸念されるのではないかと思います。
自身の反省も込めて申し上げれば、私たちの想定被害に対する向き合い方が、行政ではなく一人一人が減災対策を実施し、どの程度被害を軽減させていくのかという視点よりも、より甚大な被害に対するインパクトに重きが置かれているのではないかと思います。
国の被害想定においても、被害想定の公表とあわせて防災対策により見込まれる被害軽減度が示されており、現行の建物の耐震化を一〇%向上させれば全壊棟数を四割削減できることや、地震発生後速やかに適切な場所に避難を開始すれば津波による死者数を八割減少させることなどが記載されています。
私は、このことにこそ県民にとっての被害想定公表の意味があると思いますし、不安だけでなく安心感も与えるための被害軽減効果をより積極的にアピールしていかなくてはならないと思います。
もちろん、減災対策のためには、施設整備などのハード面の整備は不可欠であります。物理的に逃げる場所がなければ避難のしようがありませんので、そうした施設は早急に整備する必要があると思いますし、時間や費用が余りかからずに整備できるものや、他の施策の資源を有効活用できるものは、積極的に整備を行っていくべきであると考えます。
一方で、どの程度の発生確率に合わせた対策をとるべきかについては議論の余地があると思います。現実的には、千年確率の震災への対策を全て行うことはできない以上、より発生確率の高い被害への対応とせざるを得ませんし、その確率において生じる被害軽減にある程度限定して取り組まざるを得ないのだと思います。
こういう言い方をすると、では、千年確率の震災が発生したらどうするんだという質問が返ってきそうですが、そこは割り切って考えるしかないのだと思います。
わかりやすい例を出せば、私たちは、毎日車に乗って生活をしていますが、車の事故による死者数は年間四千人に上ります。南海トラフ地震における本県の最大死者数は二万三千人ですが、車の事故死者数を千年確率に換算すれば死者数は四百万人となり、確率論で言えば、巨大地震や津波よりもはるかに高い割合になります。
しかし、私たちは、リスクがあるからといって車に乗らないわけではありません。また、同様に、私たちは、遠方に移動する際、飛行機を利用しますが、飛行機に搭乗する際には、発生確率は低くても発生したらほぼ助からない墜落のリスクと飛行機で移動する便利さの両方を受け入れて乗っています。
つまり、防災対策も同様に、それぞれの便益とリスクを内在化させ、全体合理性の中で冷静に議論する必要があるのだと思います。
また、そこで施設によらずに被害を軽減させる補完的な意味を果たすのが防災教育であるのだと思います。
繰り返しになりますが、私は、防災施設の整備を否定するつもりはありませんし、一定の施設整備は重要だと考えております。しかし、立派な施設ができたことでかえって危機意識の低下につながり、被害に遭われた方がいるのも事実であります。
私が現地で伺った話では、岩手県の宮古市田老地区では、過去の津波被害の対策として、高さ十メートル、総延長二・四キロもの巨大防潮堤が整備されていたため、今回の震災の際も、津波が来ても防げるという安心感からかえって多くの方が逃げおくれたと言われていました。
また、宮城県南三陸町では、一度は避難した消防団員の方が避難を渋るお年寄りを避難させようと説得に行き、そのさなかに津波の被害に遭われてしまったことや、同様に、家族が心配をして親を迎えに行った際に一緒に津波にのまれてしまったという話も伺いました。
話を伺った南三陸町の元消防団長は、一般的なルールでは、自分の命の危険が高い場合は他人の救助を諦めることとされているが、目の前で逃げおくれた人を見かけたり、残っている人がいるとわかったら、それを見捨てることはできない。ましてや、それが知っている人ならなおさらだが、使命感から命を落とす若者をこれ以上出さないよう、避難する側のルールを徹底させなければならないと言っていたのが印象に残っております。
厳しい言い方をすれば、自分が適切な避難行動をとらないことによって他者を巻き込む可能性があるということであり、本県でも懸念されることではないかと思います。
本県では、被災直後から被災地に職員を派遣し、現地での課題やノウハウを持ち帰り、本県の防災に還元できるものが既にある程度整理されていることと思います。
一方、その中には、行政のみの対応では対応し切れないものが数多くあり、県民の理解と協力がなくては効果を発揮できないものがあると思います。
県民の主体的な防災が結果としてみずからの減災につながり、県民の意識の向上があってこそハードの効果が発揮されることからも、さらなる県民の意識向上や啓発に努めることが必要であります。
県もその重要性は十分認識されていると思いますが、一方で、防災意識の高い人ほど研修会等に参加をし、本来内容を周知したい人ほどそういった会に参加してもらえないという矛盾に苦慮されていると思います。
このことについては、何か特効薬があるわけではなく、地道な活動を通し、それこそ昨日野田議員が指摘していた姿勢の防災教育を浸透させていくしかないのだと思います。
また、冒頭指摘したとおり、災害を正しく恐れ、県民がどう災害と向き合っていくのかという一つのきっかけとして、被害予想の公表に伴い、実現可能な適切な防災対策による被害軽減度のパターンを幾つか想定し、その効果をより広く積極的に周知し、県民の前向きな防災意識の向上に向けて取り組むべきであると思います。
そこで伺います。
県として、県民の意識を高めるための防災教育・啓発の取り組みの現状を伺うとともに、六月に公表が予定される地震等被害予測調査の結果の公表に当たっては、減災対策を講ずることで被害が軽減されることをより積極的に県民に周知する必要があると思いますが、県の所見を伺います。
次に、あいち小児保健医療総合センターの三次救急化に向けた取り組みについて伺います。
大府市にあるあいち小児保健医療総合センターは、県内唯一の小児専門病院として多くの専門医を擁し、全国トップレベルの高度で先進的な医療を提供することによって、県外からも患者が訪れるなど、県内の小児医療の中核を担う病院としての役割を果たしております。
また、小児センターでは、現在、土曜、日曜、月曜日の週三日間、知多半島医療圏を中心に近隣地域医療圏の二次救急を担っていますが、平成二十六年度は、医師、看護師等を増員し、二次救急を三百六十五日二十四時間化する全日化の方針が示されています。
これは、あいち小児センターの三次救急化を念頭に、二次救急の全日化を通じて段階的な医師、看護師等の確保に努めるとともに、二次救急患者の受け入れ実績を積み重ね、スタッフの育成を行い、あいち小児センターが将来目指す三次救急の土台構築を行うための移行措置であるとされています。
この動きに合わせ、県では、国の基金を活用して三次救急の中核となる小児救命救急センターを整備するため、新年度に救急棟の新設工事に着手し、平成二十七年度中の運用開始を予定しています。
また、あわせて、現あいち小児センターの本館改修工事を実施し、出生前に診断された胎児の異常に対応するための新生児特定集中治療室(NICU)を併設した周産期医療部門を整備し、胎児、新生児を中心とした周産期の患者を受け入れる体制も構築することによって、あいち小児センターが周産期から小児救急まで、小児医療を幅広くカバーする県小児医療の中心的施設となることが目指されています。
この三次救急の体制整備の背景には、本県の小児救急医療体制の不足が挙げられます。日本小児科学会の試算によれば、本県の小児人口から必要とされる小児集中治療室(PICU)は、県全体で二十八床とされていますが、現在整備されているのは、第二赤十字病院の二床のみとなっています。
また、小児重症患者の入院先として、大人のICUや小児科の一般病棟が利用されており、県内全域から重篤な小児患者を二十四時間体制で受け入れるための小児救急救命センターの整備は、本県にとって喫緊の課題であります。
しかし、同時に、三次救急を支える体制づくりのためには、高度な技術を持った医師や看護師等の医療技術者の確保が不可欠でありますが、本県では、県内病院の小児科のうち、何らかの診療制限を行っている病院の割合は約一二・四%であり、既に小児科における医師不足による影響も顕在化している状況にあるため、新たな医師の確保には困難が予想されます。
そこで伺います。
本県では、小児救急体制の整備に向け、不足している小児救急医の養成を行うため、毎年三千万円の予算を確保し、名古屋大学における小児集中治療学の寄附講座を開設するなど一定の対策がとられていますが、あいち小児センターの三次救急化に向け、不足する医師初め多くの医療技術者をどのように確保していくのか、また、現状の確保状況について伺います。
また、医師初め医療従事者の確保、定着のためには、医療従事者の負担軽減など、勤務環境の改善を図ることも重要であると言われていますが、医師等を確保する面からも、一次・二次医療との適切な役割分担と連携が不可欠であると思われます。
とりわけ、二次救急の患者の多くが軽症患者であることはよく報道がされますが、豊田市の例では、一般救急に関してではありますが、三次救急の受診者のうち八六%を軽症患者が占めるという状況が先日発表されています。
こうした状況が勤務医の苛酷な勤務状況をつくり出し、勤務医不足を招く原因の一つともされるとともに、医療提供の面からも、重篤な患者への対応に支障が出かねないと懸念されるところであります。
あいち小児センターの三次救急化に当たっては、こうした課題への対応をより一層推進し、医師確保やあいち小児センターの専門性を生かした質の高い医療を提供する面からも、知多半島医療圏のみならず、県全体の一次・二次救急との連携が必要となると思われますが、三次救急に向けた県内医療機関との連携の取り組みの現状について伺います。
最後に、あいち小児センターの収支見込みと県立病院が地域に果たす役割について伺います。
一般に小児の救急医療の提供は、診療報酬上は薬剤などが原則大人と同じ収入でありながら、より多くのスタッフが必要とされることや、薬剤の量が一回当たり大人の半分や四分の一にとどまることなどによるロスが大きいこと、特殊な医療器材を使用しなければならないことなど、採算をとることが難しい事業であると言われていますが、今回の整備計画終了後のあいち小児センターの収支はどう見込んでいるのか、まず伺います。
次に、県立病院の果たす役割について伺います。
現在、県では、ことし三月で閉院予定の尾張診療所を除く四つの県立病院を運営していますが、その経営状況は、中央病院以外は全て赤字であり、病院事業全体で見れば、平成二十四年度決算で五・八億円の赤字となっています。
一方で、今回の三次救急も含め、過疎医療や病床不足地域における医療の提供など、公的な政策的医療の提供には、単に収支の赤黒で判断できない側面もあるのではないでしょうか。
もちろん、民間病院と同様に効率的な運営に努め、赤字は圧縮しなくてはいけませんが、民間でできないものを公共で賄うという公の役割というものもあるはずであります。また、そのことが一般会計から予算を繰り入れることの正当性にもつながっているのではないかと考えられます。
採算性が厳しい政策的医療を提供しながら経営を健全化していくことは、相反する目的を同時に目指すものであり、大変に難しい課題であると思います。全国の公立病院も同じ課題を抱えていると思われますが、経営基盤の強化と公的な役割のどこで線引きをし、バランスをとるかは、その県の医療に対する考え方のあらわれでもあるのではないかと思います。
本県においては、少なくとも公的な医療が果たす本来の役割の確保と財政的な観点からの視点が本末転倒とならないよう、少し長い目で見る必要があると思いますが、知事として、県立病院が地域に果たす役割をどのように考えているのか伺います。
また、県として、あいち小児センターにおいて三次を行うことを決めた以上、県を挙げての支援が必要であると思います。病院事業庁に任せるだけではなく、知事としても、医師、看護師等の医療スタッフの確保を初め、できる限りの支援をいただきたいと考えますが、知事の考えを伺います。
以上、理事者各位の誠意ある答弁を求めまして、私の壇上からの質問を終わります。(拍手)
14:
◯防災局長(
小林壯行君) 初めに、県民の皆様の意識を高めるための防災教育・啓発についてのお尋ねでございます。
大規模な災害が発生すれば、東日本大震災や阪神・淡路大震災の例を引くまでもなく、行政の力、いわゆる公助だけでは十分に対応できないことが想定されます。
そして、平成二十五年五月に公表されました国の南海トラフ巨大地震対策についての最終報告におきましても、住民一人一人が主体的に行動する自助が重要とされているところでございます。
県といたしましては、平成十九年度に、知事を会長に、事業者団体や地域団体、ボランティア団体で構成されるあいち防災協働社会推進協議会を設立し、関係機関と連携しながら、防災フェスタの開催など、県民の皆様の意識を高めるため、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
平成二十四年度からは、この協議会が主体となり、防災・減災カレッジを開催し、二年間で合計延べ二千四百三十一名の方が受講されるなど、防災人材の育成にも努めるところでございます。
また、若者への防災教育・啓発が重要でありますことから、平成二十二年度から教育委員会とも連携いたしまして高校生防災セミナーを開催し、高校生を対象とした地域の防災力向上に貢献できる防災リーダーの育成を図っております。
さらには、今年度から防災訓練において、自助の取り組みの一環としてシェークアウト訓練を取り入れたところでございます。
防災に係る教育、啓発は、さまざまな世代に対し、あらゆる機会を捉えて生涯を通じて行っていくことが必要でありますので、今後も引き続き、あいち防災協働社会推進協議会の関係機関とも連携を図りながら、粘り強く取り組みを進めてまいります。
次に、地震等被害予測調査の公表に当たり、あわせて、県民の皆様に減災効果についても周知すべきではないかとのお尋ねであります。
被害予測調査の目的は、被害の様相を明らかにすることと同時に、議員御指摘の、どういった対策を行えばその被害が軽減できるかをお示しすることが必要であると考えております。
国が平成二十四年八月二十九日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定においても、建物の耐震化率及び家具の転倒・落下防止対策の実施率が一〇〇%の場合は、建物倒壊による本県の死者数一万五千人が二千五百人に減少すると推計されております。
また、全員が発災後すぐに避難を開始し、既存の津波避難ビルを有効活用すれば、本県の津波による死者数六千四百人が六百人に減少するとの減災効果も示しております。
そこで、本県の被害予測調査においても、地震、津波による被害想定だけではなく、建物の耐震化や家具等の転倒・落下防止対策、あるいは津波からの避難の迅速化などによりどんな減災効果があるかについても、あわせてお示ししてまいりたいと考えております。
以上でございます。
15:
◯病院事業庁長(
二村雄次君) あいち小児保健医療総合センターの救急についてお尋ねをいただきました。
まず、小児三次救急実施のための医師の確保についてお答えをいたします。
緊急かつ重篤な患者に対する小児の三次救急を実施するためには、何はさておきましても、救急専門医、小児集中治療専門医など、小児及び新生児の救急医療の経験が豊富な医師の確保が重要であります。
このため、現在、小児の三次救急を行っている病院に勤務しております専門医三名を新年度早々に招聘できますよう、事務手続を行っているところでございます。
同時に、救急医療及び集中治療に経験が深く、中心的な人材となっていただく看護師も、新年度早々に採用いたしまして、看護体制の強化を図ってまいります。
また、常時昼夜を問わず救急患者を受け入れるためには、看護師を初めとする多くの医療スタッフを確保する必要がございますので、平成二十七年度四月採用に向けた試験を早期に実施できますように準備を進めてまいります。
加えて、小児救急の核となる医療スタッフの育成も喫緊の課題でございますので、救命救急センターを設置する病院へ看護師を派遣しまして、実地に救急業務を経験させるための研修を行ってまいりたいと考えております。
また、平成二十六年度に着任する予定の救急専門医や小児集中治療専門医が中心となりまして院内研修を行いまして、人材育成に取り組んでまいります。
このように、小児三次救急実施に向けての職員の確保につきましては、万全を期してまいりたいと考えております。
次に、地域の医療機関との連携についてお答えをいたします。
あいち小児センターでは、小児専門病院としての機能を効率的かつ効果的に発揮するために、従来から地域医療機関との連携強化に努めております。実際には、医療連携室を設置いたしまして、登録医制度を設けております。そして、県内に限らず県外からも多くの登録をいただいております。
この登録医の先生方には、二次救急の開始に当たりまして、あいち小児センターの救急医のホットラインをお知らせしておりまして、一刻も早く救急患者の受け入れ要請に応えられるようにしております。
しかしながら、現在実施しております二次救急では、外科系の緊急手術の対応ができておりませんので、新年度早々には、新たに着任する医師の協力を得まして、外科系救急の充実に努めてまいります。
さらに、平成二十七年度中には、あいち小児センターが小児の三次救急を担う小児救命救急センターとして活動することになりますので、重症、重篤な患者を二十四時間三百六十五日受け入れまして、適切な診療を行うことが求められます。そして、地域の小児基幹病院や大学病院、一般の救命救急センターなどとの連携が特に重要になります。
このため、来年度から対応する二次救急の二十四時間三百六十五日実施の実績を積み重ねることによりまして、小児基幹病院等との連携をより強固なものにしていくとともに、効率的な患者の振り分け方策につきましても確立してまいりたいと考えております。
また、あいち小児センターが救急搬送を円滑に受け入れるためには、消防機関との連携も欠くことができませんので、消防機関との日常的な情報交換を進めるほか、独自で救急搬送ができる体制を整えてまいりたいと考えております。
最後に、整備計画終了後の収支の見込みについてお答えをいたします。
現在の整備計画では、小児三次救急につきましては、平成二十七年度中に開始いたしまして、翌二十八年度から本格的に実施していく予定でございます。
また、新生児及び母体に対応する周産期医療につきましては、救急棟が整備でき次第、本館を改修いたしまして、二十八年度中に開始をして、翌二十九年度から本格的に実施できるものと考えております。
小児三次救急につきましては、議員御指摘のとおり、不採算の医療と言われておりますが、あいち小児センターにおきましては、全ての診療体制が整う平成三十年度以降は、手術件数の増加や小児特定集中治療室管理料などの取得などによりまして、収益の増加を図り、経常損益の黒字化の達成に向けて努めてまいりたいと考えております。
16:
◯知事(
大村秀章君)
小山議員の質問のうち、県立病院の果たすべき役割とあいち小児センターが実施する小児三次救急への支援につきまして、私からお答えをさせていただきます。
県立病院の役割は、民間医療機関では経営的に対応が困難な政策医療や、地域の民間医療機関のみならず、公的病院でさえも限界のある高度で専門的な医療を提供することであると認識をいたしておりまして、あいち小児センターは、質の高い小児医療のみならず、疾病予防や相談、生活実践指導などの一貫したケアを行っており、既存の医療機関では対応が十分できづらい小児への保健医療を担っていると認識をいたしております。
県内唯一の小児専門病院として、小児の三次救急医療を提供することで、県民の皆さんが安心して子供を産み育てる支えとなることも、あいち小児センターの役割であると認識をいたしております。
このため、平成二十六年度は、当面職員を増員いたしまして、二次救急の全日化を進めまして、来るべき三次救急への対応に備えていきたいというふうに考えております。
また、三次救急の実施に当たりましては、医師の確保、特に小児や新生児専門の救急医や麻酔科医が必要となりますので、これまでも、あいち小児センターの医師確保や若手医師の育成につきましては、愛知県内医学部を持ちます四大学などの関係者との協議の場を設けるなどの対応をしてまいりました。
今後とも、三次救急施設として本県の小児医療を支えていけるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
17: ◯三十四番(
小山たすく君) それぞれ御答弁をいただきまして、要望させていただきたいと思います。
まず、防災教育についてですが、先ほど少しお話もさせていただきましたが、やはり被害の結果がどうかということよりも、その被害に対してどう減らしていくかという、その方策のほうがむしろ重要でありますので、ぜひともそこは県民の皆さんと一緒になって、これは県民の皆さんが、防災は行政の役割だということではなくて、一緒にやっていけるように、自分たちがどうすれば被害を減らしていけるのか、そして、自分たち、あるいは家族を守っていくにはどうすればいいかということがわかるような、ぜひそうした幾つかのパターンも出していただきながら、被害の想定の公表にあわせて、ぜひそういったものも広くアピールをしていただきたいというふうに思っております。
それから、小児センターのことについてでありますが、今、知事からも答弁をいただきました。前向きな答弁をいただいたというふうに思っております。
政策医療を担っていく病院というものが、やはり私は、先ほど申し上げましたとおり、公的の果たす役割というのが当然あるというふうに思っておりますので、今、県も含めてどんどん民間に移行していくものが多い中で、やはり分野によっては公がしっかり守っていかなければいけないという分野があるというふうに思いますし、また、この政策医療のところでいけば、確かに採算が悪い面があるわけでありますが、まさにそうした金額ではなく、しっかりと果たす役割のほうに目を向けていかなければいけないのではないかなというふうに思っております。
そうした中で、先ほど病院事業庁長のほうからも、平成三十年以降は収益の増加が見込まれる、手術等のということでお話もありましたし、現在三名の医師の確保はめどが立っているというようなお話もありました。
そうした中で、これから三次救急という採算がなかなか厳しいと言われる事業に愛知県が、小児センターが手を挙げて担っていくということを決めた以上は、しっかりと愛知の子供を守っていくんだというところで、ぜひまた体制の整備にも努めていただきたいと思いますし、また、少し長い目で見て、小児センターをすばらしい医療を提供する施設として、県としてしっかりと育てていくということもぜひお願いをしたいというふうに思っております。
また、知事におかれましては、これから医師確保であるとか看護師の確保というのは大変な事業になるというふうに思っておりますので、ぜひともまた知事のネットワークを生かしていただきながら、確保等々で御尽力をいただければということを要望いたしまして、終わります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
18: ◯三十九番(
原よしのぶ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
19:
◯議長(
久保田浩文君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
20:
◯議長(
久保田浩文君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
21: ◯副
議長(
鈴木正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
川嶋太郎議員。
〔四十四番川嶋太郎君登壇〕(拍手)
22: ◯四十四番(川嶋太郎君) それでは、
議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
先月十七日、久保田
議長主催の講演会において、「観光振興と地域活性化について」との演題にて、公益社団法人日本観光振興協会中部支部長の須田寛様の御講演を皆様とともに拝聴させていただきました。
観光は文化活動であり、人的交流が目的であるとともに、観光は経済活動であり、年間生産額は自動車産業とほぼ同等の約五十兆円、雇用約四百万人の日本経済を牽引する基幹産業であること、また、観光を振興することで地域の交流人口が増大し、地域社会を活性化することができるとともに、観光を振興することで全国に満遍なく、それぞれの観光地にあり、中小企業が九九・八%を占める観光産業が活性化し、それによって地域経済が活性化されることなどを勉強させていただきました。
国が外国人観光客の誘致を第一のテーマとしたビジット・ジャパン・キャンペーンを開始して十年が経過し、昨年は訪日外国人観光客数が一千万人を超えるまでになりました。ぜひとも大勢の外国人観光客の皆様に愛知にお越しいただき、地域社会の活性化と地域経済の活性化につなげていきたいと感じた次第であります。
私は、地域社会の活性化と地域経済の活性化ばかりでなく、さらに加えて、外国人観光客に期待したいものがあります。それは、実際に見て感じた上で、日本の、そして、日本人のよさを海外に向け情報発信してほしい、日本に来て、日本のファンになって、日本の魅力を海外に伝えるスポークスマンになってほしいということであります。
メード・イン・ジャパンという言葉が高品質をあらわす代名詞として、自動車や電化製品といった輸出品とともに世界中に広まりました。しかし、つくった製品を自分の分身のように思える、物づくりに愛情を注ぐといった日本人独特の感性までは伝えることはできませんでした。
私は、これからの日本の課題の一つは、私たち日本人の考え方や感じ方を外国の方々に正確に伝え、理解してもらうことだと思っています。グローバル化した世界の中で、日本と日本人に対する理解が深まることは、経済活動においても、外交の分野においても、必ず有益に働くと思います。
IT化の進展によって、大量の情報が瞬時に世界規模で行き交うようになっています。多くの外国人観光客の皆様にありのままの日本を、そして、愛知を見ていただき、私たち日本人のおもてなしの心を感じていただき、それを世界に向けて発信していただきたい、そんなことを希望しつつ、外国人観光客誘致について幾つか質問をしてまいります。
まず、留学生初め、県内在住の外国人による情報発信についてであります。
外国人観光客誘致にまず必要なことは、何といっても、日本に、愛知に関心を持ってもらうことであります。二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、これからますます日本に注目が集まります。このタイミングを逃すことなく、しっかりと世界に愛知をアピールしていかなくてはなりません。
外国に対する観光プロモーションはこれまで盛んに行われ、効果を上げてまいりましたが、さらに観光客数を伸ばそうと考えたとき、今までとは異なる
ツールも必要となってくるのではないかと思います。私は、愛知県に住んでいる外国人の方々による情報発信が有効ではないかと考えます。
愛知県内の在留外国人数は、平成二十四年末で十九万五千九百七十人であり、県民総人口の二・六四%を占め、近年、多国籍化が進んでいます。実際に愛知で生活を送る中で母国との違いを感じていらっしゃる外国人の方々に、日本人とは異なる視点で、県内観光地の情報はもちろんのこと、私たちでは気づくことのできない日本や日本人のよさ、愛知の魅力をお伝えいただければ大変効果的だと思います。
また、情報を発信する側も受ける側も同じ国の人であれば、より届く、より伝わる情報になることが期待できるでしょうし、留学生は、学校を卒業後、母国に戻る方も多いと思いますので、現地における情報発信にも御協力いただけるのではないかと考えます。
そこで質問ですが、本県では、留学生初め、県内在住の外国人を活用してどのような情報発信を行っているのか、また、今後どのように取り組んでいかれるおつもりかお伺いをいたします。
次に、無料公衆無線LAN環境の整備についてであります。
ことしになって、私は、iPadを買いました。先月、高知県庁に調査に行った際、持っていったのですが、非常に便利なものだと実感いたしました。飛行機を待つ間に高知県のホームページを確認したり、到着後、高知県庁の写真を撮ってフェイスブックにアップしたり、調査後、ホテルまでの道順を調べたり、夜、ホテルで帰りの飛行機の時刻を確認したり、翌朝、高知駅までの道順を調べたりと本当に大活躍でした。これさえあれば、パソコンもカメラも地図も時刻表も要りません。観光のためのガイドブックさえも必要ないかもしれません。ただし、電池が残っていてインターネットがつながっていればという条件つきであります。
スマートフォンやタブレット端末の普及が進み、旅行に携帯する外国人観光客もふえています。先月開催されたソチオリンピックをテレビで見ましたが、スマートフォンで写真を撮っている人の姿が数多く見られました。
彼らは、日本においても、通信手段として、記録媒体として、そして、情報収集、情報発信の手段として、スマートフォンやタブレット端末を使用したいと考えるはずです。しかし、外国人観光客にとって、日本ではなかなか使いづらいというのが現実のようであります。
観光庁が二〇一一年に外国人旅行者にアンケート調査を行ったところ、旅行中困ったこととして、無料公衆無線LAN環境を挙げる回答が三六・七%でトップであり、旅行中最も困ったことという問いに対しても二三・九%でトップでありました。
二月二十五日の中日新聞朝刊の「ソチの教訓、東京へ」という記事では、アメリカのフリージャーナリストの意見として、日本は、家庭向けのインターネットは普及しているが、無料の公衆無線LANサービスは少ない、整備されれば、世界中の観光客に喜ばれるとのコメントが掲載されていました。この方は日本語が堪能で、来日経験もある方だそうです。
私は、課題がはっきりしているのだから、外国人観光客の誘致のため、一刻も早く無料公衆無線LAN環境を整えるべきだと思います。そして、愛知に来ていただいた観光客に、経験したこと、感じたことなどをタイムリーに情報発信していただき、さらにそれらの情報に触れた方々が日本、愛知に関心を持ち、観光客として愛知に訪れるという好循環を生み出していくよう努力すべきだと思います。
半田市のタケショウという自販機の管理会社が無料公衆LANサービスのアクセスポイントにもなる飲料自販機を開発し、二〇〇四年から設置を進めてきたそうであります。観光地はもちろん、日本中どこにでもある自販機を利用するというアイデアはなかなかのものだと思います。県としても、このような民間の取り組みを参考にしながら積極的に進めていただきたいと思います。
そこで質問ですが、外国人観光客にも無料で利用できるLAN環境の整備について、本県の状況と対応はどうなっているのか、また、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
次に、トイレの整備についてであります。
私は、学生のときに中国を一カ月間旅行したことがあります。そのときに困ったことの一つとして、トイレがありました。なかなか見つからなかったり、びっくりするほど汚かったり、チップが必要だったが小銭がなかったり、大変開放的であったりと、本当にいろいろと苦労をいたしました。
トイレは、誰もが一日に何回かお世話になるところであり、旅の快適性、利便性において重要な要素であります。トイレを心配しなくてよければ安心して旅行を楽しめると思います。外国人観光客にとって、きれいでわかりやすく、利用しやすいトイレが整備されていることはとても有意義なことだと思います。
観光客のためのトイレ整備ということで、高知県観光振興部おもてなし課では、おもてなしトイレ認定制度というものを行っているということで調査に行ってまいりました。
御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、おもてなし課は、昨年公開の映画、「県庁おもてなし課」のモチーフになった部署でありまして、観光客の受け入れ体制の整備が業務内容であります。
おもてなしトイレは、観光客が利用可能なトイレで、個人宅のものを除いたものが募集の対象で、基準は六項目あり、清潔であること、明るい、五十ルクス以上、においがない、もしくはにおいを消す対策をとっている、トイレットペーパーの予備を用意している、洋式トイレが一カ所以上ある、利用者へのおもてなしがされているの六つであります。利用者へのおもてなしについては、一輪挿しで花が飾ってあるとか、音楽を流しているとか、何か一工夫をしてくださいということでありました。
トイレの管理者から申し込んでいただき、トイレGメンが抜き打ちでチェックをし、基準をクリアしたトイレをおもてなしトイレと認定し、認定シールを進呈します。平成二十四年七月から募集を開始し、認定件数が五百七十四カ所、観光施設、宿泊施設、コンビニ、道の駅、店舗、公衆トイレなどが認定されています。
認定制度の効果としては、観光客が安心して利用できること、施設側の美化意識が高まったことなどが挙げられ、また、近隣の方が、せっかくおもてなしトイレに認定されたのだからきれいにしましょうと花を飾るようになった事例もあったそうであります。県民意識の向上と言うが、ただ言うだけではなかなか向上していかない。地道な取り組みにはなるが、こうした小さい制度、取り組みを通じて、少しずつ意識が向上していけばとのお話でありました。
高知県のおもてなしトイレ認定制度は、県がお墨つきを与えるという形で、県のブランド力を利用して民間の取り組みを促し、さらに観光客へのおもてなしという県民意識の向上につなげていこうというもので、愛知県においても参考になる点が多いと感じました。
私が観光政策としてトイレについて考えるようになったきっかけは、平成二十一年度の山村問題懇談会であります。「山間地域の観光振興について」というテーマだったのですが、そこで、穂積新城市長がトイレについて
発言をされました。観光は、対外的に見れば、イメージを輸出し、評判を輸出して、それに対してお金を払って来ていただき、また来たいという気持ちを持って帰っていただくという産業であると考えている。その点でも、これまでのメード・イン・ジャパンというものをもう一歩深めて、日本人のセンスを、センス・オブ・ジャパンを売っていくのが観光であると思っている。それを象徴する施設を県域全体に広域的な観点から整備していくのであれば、お金は余りかからないが、しかし、それによって一点突破ができ、大きなイメージアップにつなげていくことができるのはトイレではないか。日本の物づくり、おもてなし、美意識、衛生観念、そういったものが全て詰まっているシンボルとして、愛知県観光認証トイレといった統一のレギュレーションをつくって、それを県全体で推し進め、山間地から離島まで全て整備されているとなれば、まるで愛知県のイメージが違ってくると思うという内容でありました。
私は、外国人観光客に快適に旅行を楽しんでもらうためにも、そして、日本人のおもてなしの心を感じてもらうためにも、トイレの整備に取り組んでいく必要があると考えます。
そこで質問ですが、観光地などにおけるトイレの整備について、県ではこれまでどのようにとり行ってきたのか、また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続きまして、ケアマネジャーについて、地域包括ケアシステムを構築していく上で、ケアマネジャーの果たす役割について考察しつつ質問をしてまいりたいと思います。以下、ケアマネと呼びます。
地域包括ケアシステムとは、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、医療、介護、予防、生活支援、住まいを一体的に提供するシステムであります。国としても強力に推し進めていこうというものでありますが、現状、その理念、考え方といったものが示されているだけにすぎず、実際には、具体的な形になっているものではありません。
地域ごとに人口構造や社会資源の量などが異なっており、当然、課題やその解決方法も地域ごとに異なってくるわけですから、それぞれの地域に合ったやり方を考え、実行してくださいという状況にあります。
こうした状況の中、県は、県内市町村の地域包括ケアシステム構築をサポートするため、あいちの地域包括ケアを考える懇談会の提言を踏まえ、先導的なモデル事業を三カ年にわたって実施することとし、平成二十六年度予算において、地域包括ケアモデル事業の実施に四千六百十一万二千円、モデル事業報告会などの開催に二百二十六万円を計上しております。
地域包括ケアシステムの最大のポイントは、高齢者が住みなれた地域で暮らせるよう、さまざまな職種が連携して高齢者の在宅生活を支えるという点にあると思います。この点、私は、この多職種連携において主体的な役割を担うのがケアマネであるべきと考えます。
理由は三つあります。
一つは、仕事の内容であります。もともと、ケアマネの仕事は、利用者の状況や課題を把握し、さまざまな介護サービスを調整してケアプランをつくり、利用者の自立支援をすることであります。まさに、多職種連携を前提としているのです。また、医師や介護職など、実際にサービスを提供している職種では時間的に余裕がないと思います。さまざまなサービスを有機的、包括的に機能させるために、その橋渡し役としてケアマネが担うべきだと考えます。
二つ目に、経験が挙げられます。ケアマネ試験を受けるには、基本的に、医師、看護師、社会福祉士など、受験資格として法律に定められた資格を持ち、なおかつ五年以上の実務経験が必要であります。つまり、ケアマネは資格と経験を兼ね備えているのです。多職種との連携を円滑に、そして、効果的に行うには、学校で学び、単に資格を持っているというだけでなく、やはり一定の実務経験が必要ではないかと考えます。
三つ目には、数が挙げられます。県内のケアマネの数でありますが、登録者が二万六千六百四十二人、私もその一人であります。そのうち約七千百人が介護保険事業所で従事をしております。担い手の確保を考えると、既に一定数の有資格者がいるということは重要なポイントであると思います。
以上、三つの理由から、私は、地域包括ケアシステムを構築していく上で、ケアマネが多職種連携のかなめとなるべきであり、これが現実的な
選択肢だと考えます。
しかし、私は、現状、ケアマネには多職種連携のかなめとなるだけの実力がないのではないかと危惧をしています。なぜなら、ケアマネはその名のとおり、ケアをマネジメントするのが仕事ではありますが、制度上、構造上の問題から、マネジメント能力を十分に発揮できない状況にあるからです。
介護保険制度において、居宅介護支援というものがケアマネによるケアプラン作成費となるのですが、厚生労働省が行っている介護事業経営概況調査によると、平成二十四年度決算額を調査した平成二十五年度のデータでは、居宅介護支援の収支差率はマイナス三・一%であり、赤字であります。過去のデータを見てみますと、平成十六年度でマイナス一二・九%、平成十九年度でマイナス一五・八%、平成二十二年度でマイナス四・〇%となっており、介護保険制度が始まって以来、実は一度も黒字になっていないのであります。
また、居宅介護支援事業所のほとんどは他の介護サービス事業所と併設になっています。つまり、ケアプランの作成だけでは採算が合わないため、他の介護サービス事業所と併設して、全体として利益を出すという仕組みになっているんです。
さらに言えば、ケアプランに位置づけられないとサービスが提供できない介護サービス部門と、ケアプランだけでは採算がとれない、採算が合わない居宅介護支援部門がもたれ合いの関係となり、結果として、自分の法人のサービス利用を前提にケアプランがつくられるようになるといった状況が生まれてくるのです。
このような状況の中でのケアプラン作成においては、本当の意味でのマネジメントが行われず、経験を積み重ねてもマネジメント能力が高まらないのではないかと思います。もちろん、しっかりと頑張って仕事をされているケアマネさんも多くいらっしゃいますが、制度上、赤字体質であり、構造上、マネジメント能力が十分に発揮できず、よって、経験によるレベルアップがされにくいというのがケアマネの置かれた状況であります。
私は、地域包括ケアシステムの構築に向け、多職種連携の担い手としてケアマネの実力をアップさせることが大変重要であると考えます。そして、そのために二つのことが必要であると思います。
一つは、研修の充実であります。ケアマネになるには法定資格が必要ですが、持っている資格によって、医療系とか、介護系、福祉系などと呼ばれることがあります。そして、持っている資格によって、どうしても知識や経験に差が出てしまいます。実力アップのためだけではなく、包括的に知識を習得するためにも研修の充実は大変重要であります。
現在、都道府県は、ケアマネの研修に大きく関与しています。まず、ケアマネ試験の合格者に対して実務研修を実施しています。この研修を修了して初めてケアマネとして登録できます。また、就業後一年未満の方が対象の任意研修である実務従事者基礎研修や、資格者証の更新のため五年ごとに必要になる専門研修課程I、IIを行っています。さらに、上級の研修として、ケアマネの実務経験五年以上で専門研修を修了した方を対象とした主任介護支援専門員研修も実施しています。これらは国で定められた研修であり、県が実施をしています。
このような状況を踏まえると、私は、県がケアマネのレベルアップに積極的にかかわるべきだと考えます。
そこで質問ですが、県では、国で定められた研修以外に、県独自で現在どのような研修を行っているのか、また、地域包括ケア推進に向け、多職種連携を目的とした研修を行っていくべきだと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
ケアマネのレベルアップについて必要なこと、もう一つは、地域での交流であります。ケアマネのところには介護サービスの利用を考える地域の方々が相談に訪れます。そして、医療機関に比べると、生活全般にわたる困り事が相談されます。つまり、ケアマネは、地域の高齢者が何に困っているかという情報を集めることができるのです。この情報収集力を生かすためにも、ケアマネは、所属する事務所や施設の業務を行うだけではなく、地域包括ケアの現場である地域に出て研修、意見交換を行い、他の事務所、施設のケアマネや他の職種の方々ともっと交流をすべきだと思います。地域の困り事に精通したケアマネが地域で交流することによって、さまざまな可能性が生まれてくると思います。
例えば、ケアマネそれぞれの持っている情報を合わせ分析することで、地域の高齢者個々人の課題を超えた地域特有の課題を抽出することができるでしょうし、さらに、課題解決に向け、町内会長や民生委員、社会福祉協議会などと協力して、地域に新しいサービスを生み出すことができるかもしれません。地域に出て、ケアマネ同士やいろいろな職種の方々と活動することで、ケアマネの力量も上がってくると思います。
そこで質問ですが、県として市町村と協力しながら、ケアマネがそれぞれの地域で研修や意見交換を行い、また、他の職種の方々と交流することのできる場をつくっていくことで、ケアマネのレベルアップを目指していくべきだと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
23: ◯産業労働部長(
小山和久君) 外国人観光客の誘致についてお答えいたします。
まず、県内在住の外国人を活用した情報発信についてです。
留学生など本県在住の外国人の方々は、日本人では気がつかない本県の魅力を知り、本県に親しみや愛着を持っていただいていると思われますことから、こうした方々による情報発信は大変に効果があるものと考えます。
そのため、本県も参加する中部国際空港利用促進協議会では、留学生など県内在住の外国人の方を県内観光地にお連れし、その感想や写真をフェイスブックや御自身のブログに掲載していただく情報発信事業を平成二十四年度から実施しているところであります。
外国人がみずからの言葉で母国へ向けて行う情報発信は反響も大きく、来年度も引き続き同様の事業を行うこととしております。
さらに、今後、本県が海外観光プロモーションで使用する外国語のパンフレットなどを作成する際には、留学生の方からアドバイスをいただくなど、外国人の視点を取り入れ、海外の方々が本県を訪れてみたくなるような心に響くものにしていきたいと考えております。
次に、公衆無線LAN環境の整備についてです。
現在、日本で使われている公衆無線LANは、基本的には日本語での会員登録を必要とするため、外国人旅行者が利用するには大変不便であると聞いております。また、公衆無線LANが使える環境を整えるには、設置や管理に費用がかかることもあり、現在県内でその環境が整っているところは、中部国際空港、一部の商店街や店舗にとどまっております。
急速に進むネット社会において、外国人観光客のニーズも多い公衆無線LAN環境を整備することは、本県への外国人観光客の増加につながるものとして重要であると考えております。
本県では、観光施設の充実を図るため、市町村に対し、観光案内所などの新設、改修の中で、公衆無線LANの整備についての支援もございますが、ホテル、店舗など民間事業者の方々へも外国人観光客のニーズを伝え、公衆無線LANの環境整備を働きかけてまいります。
次に、トイレを初めとする観光客受け入れ環境の整備についてですが、使いやすい清潔なトイレが旅行の快適性、利便性を高める重要な要素であることは御指摘のとおりです。
本県では、市町村が行う観光地の公衆トイレの新設、改修について支援をしておりますが、今年度も、本宮山県立自然公園などの公衆トイレ整備への支援を行ったところです。
また、トイレは整備するだけでなく、小まめな清掃など、心を込めた管理を行い、観光客の方々に気持ちよく使っていただけるよう維持していくことが大切です。
さらに、お年寄りや小さなお子さん連れの方など、全ての観光客の皆さんが安心して旅を続けていただけるためには施設のバリアフリー化も必要で、こうしたソフト、ハード両面からの取り組みがまさにおもてなしの心であると考えます。
本県では、市町村、観光事業者など百六十七団体から成るおもてなし県民会議を設置し、全県挙げてのおもてなし機運の醸成に努めておりますが、昨年十二月に開催した会議では、バリアフリーをテーマに情報交換を実施いたしました。
今後とも、こうした会議の場を通じて、本県を訪れる方誰もが再びこの愛知を訪れたくなるよう、環境整備が促進されるよう、構成員相互の情報交換や情報提供に努めてまいります。
24: ◯健康福祉部長(伊藤輝明君) 介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーについてのお尋ねのうち、初めに、県独自の研修と多職種連携を目的とした研修についてお答えをいたします。
地域包括ケアを推進するに当たっては、地域の保健、医療、福祉にかかわる多くの職種の方々が協働して支援ネットワークを構築することが求められておりますが、そのための一つの手法として、地域のケアマネジメントにかかわる多様な専門職の方々が適切に意見交換するための地域ケア会議、これの活用が有効であると考えております。
この地域ケア会議におきましては、会議の流れを調整し、合意形成や相互理解をサポートする進行役の役割が非常に重要でございますが、その一翼を担う者として、主任介護支援専門員、いわゆる主任ケアマネジャーの能力が期待されております。
そのため、本県では、独自の研修として、主任ケアマネジャーの資格取得後のフォローアップを目的とした主任介護支援専門員資質向上研修を行っております。
本県には、現時点で主任ケアマネジャーが千九百五十一人おりまして、このうち延べ五百十名の方がこのフォローアップ研修を修了しております。
また、地域包括ケアでは、医療と介護の連携が非常に重要となりますが、近年、介護福祉士など福祉関係職種出身のケアマネジャーがふえ、医療知識が不足しているため、医療との連携が十分に行われていないと言われております。
そこで、このような状況を改善するため、平成二十五年度から名古屋大学に助成を行い、ケアマネジャーのための医療知識向上推進事業を実施しております。本年度は、名古屋大学に相談窓口を開設し、ケアマネジャーからの医療に関する相談を電話やファクス、面談などで受け付けております。
二十六年度には、さらに、ケアプラン作成に必要な医療知識向上のためのセミナーと、少人数で事例検討しながら学ぶワークショップも開催することとしており、そのために必要となる予算計上もお願いしております。
県としましては、これらの研修などを通じてケアマネジャーの資質向上を図り、地域包括ケア推進に向け、多職種連携の担い手としての役割が果たしていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ケアマネジャーの地域における研修、意見交換や交流できる場を通じたレベルアップについてお答えをいたします。
ケアマネジャーは、業務遂行に当たって、常に公正中立の立場で、利用者の人格を尊重し、自立支援を目指すことが法令で規定されております。したがいまして、ケアマネジャーは、介護事業所の意向に左右されることなく、利用者を支援する上で解決すべき課題をみずからが的確に把握し、その結果をもとに多くの職種の方々と連携して、利用者本位のサービスを提供していくことが求められます。
このような職務を担うケアマネジャーのレベルアップを図るために、効果を上げた支援事例の研修や、相談窓口の設置、困難事例を抱えるケアマネジャーへの支援などが多くの市町村で行われております。
また、ケアマネジャーが多くの職種の方々と連携するためには、常日ごろから医療機関や介護事業所、地域包括支援センターと連絡をとり合うとともに、課題解決が困難な事例などは積極的に地域ケア会議に諮り、多くの職種の方々と情報の共有や意見交換を行うことが必要だと考えております。
県では、これまで、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会を通じて、ケアマネジャーに対して専門研修や更新研修を行っておりますが、本年度からは、国が新たに策定した研修ガイドラインに沿って、施設においては、在宅復帰へのアプローチの視点を持った在宅サービスとの連携、居宅においては、地域のケアチームとの連携や地域資源の把握など、こういった内容を盛り込んだ研修を行っております。
今後も、ケアマネジャーがそれぞれの地域で研修や意見交換を行い、また、他の職種の方々と交流できる場をつくるために、愛知県社会福祉協議会や市町村と密接に連携をし、協力をし、取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
25:
◯知事(
大村秀章君) 川嶋議員の質問のうち、外国人観光客の誘致につきまして、私からもお答えをいたします。
日本一元気な愛知をつくっていくためには、国内外の方々を引きつけるよう、この愛知の魅力に磨きをかけ、広く情報発信をし、多くの方々を呼び込んでいくことが重要であると考えております。
本県は、三英傑を輩出した歴史文化や物づくりの伝統を生かした産業文化、また、豊かな食文化などの観光資源はもとより、観光ボランティアガイド数が日本一でありまして、おもてなしをする温かい心を持って観光客の方々をお迎えできる環境が充実していると考えております。
こうした愛知のよさを海外へ売り込むため、これまでも、私みずから、海外を含め、積極的にPRを行ってまいりました。来年度は、訪日観光客の増加が著しいタイへ出かけまして、直接愛知の魅力をアピールすることも考えております。
今後とも、川嶋議員御指摘のように、県内観光施設のさまざまな環境整備を促進いたしますとともに、本県の文化、観光の魅力、そして、何よりも県民の皆様が持っておられるおもてなしの心を広く発信することによりまして、外国人観光客の誘致に努めてまいりたいと考えております。
26: ◯四十四番(川嶋太郎君) それぞれ御答弁をいただきました。要望させていただきたいと思います。
観光振興のほうについて、トイレの整備を取り上げさせていただきましたが、これ、外国人観光客向けという話でしましたが、国内観光客向けにも大変有効なものではないかなというふうに思っています。やはり旅行のプランを組むときに、どこでトイレに行けるのかということは、やっぱり非常にたくさん考えなくてはならない部分だと思いますので、そういった意味で、快適に旅行のできる愛知ということを前に出していくのに、一つ、おもしろい分野なのかなというふうに思いますので、ぜひともさまざま御検討いただければなということを要望したいと思います。
そして、ケアマネの研修についてでありますが、今回は、法定研修以外の部分でどういうことをやっていくのかというような聞き方をさせていただきましたが、法定研修の部分でも、カリキュラムはきちんといろいろ決まっています。自分も受けたのでわかっていますけれども、何か工夫するところがあると思うんですね。ぜひともこの点も御検討いただきたいなということを要望させていただきたいと思います。
そして、地域での交流ということについてですが、ケアマネも大変忙しい中ですので、言うはやすし行うはかたしなのかなということは重々承知していますけれども、県としても知恵を出してほしいな、そんなことを思う次第であります。
自分なりにもいろいろ考えてみたんですけれども、例えば、社会福祉法人が協働して地域貢献事業というような形でケアマネの地域活動を行ってもらうのはどうなのかなというのも考えました。
少し前に、社会福祉法人の内部留保、ため過ぎではないかというようなことが問題になりました。施設の改修や建てかえ等のために一定程度の内部留保は絶対必要であります。ですけれども、税の優遇を受けているという点で地域への還元ということを求められているのも事実であります。そういった意味で、地域への還元という部分で、施設で雇っていらっしゃるケアマネさんに地域で何ぞしてもらいたいというようなことを仕掛けていってもおもしろいのかなと。そういう事業スキームづくりを県のほうで提案をしてみてはおもしろいのではないかなということを考えました。
これですと、県はそんなに予算を使わなくてもよくて、事業者としても、内部留保の批判への対応ということにもなりますけれども、やはり一番では、地域での信頼やつながりをアップさせるということが施設にとってもプラスであろうと思いますし、実際、地域に出て、ケアマネさんにとっても、こういう形であれば、勤務として活動ができるということで、それぞれにメリットがあるのではないかなというふうに私なりには考えてもみました。
いずれにせよ、人づくり、人を育てるということは非常に時間がかかります。地域包括ケアシステムも、とりあえず県として三年間、モデル事業をやって、その先を見据えてということになってくると思うんですが、ぜひともケアマネ、人づくりという部分も意識した上で、これから取り組んでいかれるように要望して、終わります。
27: ◯副
議長(
鈴木正君) 進行いたします。
浅井喜代治議員。
〔六十六番浅井喜代治君登壇〕(拍手)
28: ◯六十六番(浅井喜代治君) それでは、通告に従い、三項目について、順次質問いたします。
質問の第一は、中部国際空港建設実現のために取得した幡豆地区の開発用地のその後についてであります。
二〇〇五年の中部国際空港の開港、そして、愛知万博の開催という二大事業からはや九年が経過しました。この間、航空宇宙産業特区の採択、あるいはリニア中央新幹線計画の具体化などが公表され、本県の元気な産業競争力は、我が国をリードするものとして、愛知への期待がさらに高まっているのではないかと感じています。
そんな年月の経過の中で、何かエアポケットに落ち込んで忘れられてしまったような開発事業があります。それは、空港建設のための埋立用土砂採取用地として、また、地域の産業振興のための工業用地・住宅用地確保のための開発用地として位置づけ、企業庁が幡豆地区に百五十ヘクタールの土地を取得し、そして、平成十三年一月三十一日に臨時の記者会見を開き、当時の神田知事から中止が発表された開発事業であります。
この事業の経過を簡単に振り返ってみますが、具体的には、常滑沖の公有水面に海上空港、今のセントレアでありますが、これを建設するため、幡豆地区から搬出する五千万立方メートルの土砂を埋立材として利用するというその計画のもとに、平成十二年に国の埋立免許の許可を受けたものであります。
また、土砂を採取した跡地については、西三河地域の産業用地需要に応えるために工業用地を造成するという事業でありました。
私は、空港の開港と愛知万博の成功から二年が経過した平成十九年二月議会において、平成十三年一月の事業中止の記者会見で、知事、神田知事ですけれども、県として、幡豆町住民を裏切る結果となってしまったことへの謝罪と、このことの責任は、オール県庁で総合的に対応すると表明をされました。この
発言を前提として、県として、事業推進に協力をいただいた多くの関係者の方々に対し、その後の経過を適切に説明し、同時に、その土地利活用を実現する具体的な計画の進捗状況を確認するため、県は、幡豆地域の土地利活用の今後をどう考えているかについて質問しました。
企業庁長からは、公共的または公益的な用途、あるいは民間での利活用も含め、幅広い視点から有効な利活用方策について、地元幡豆町の意見を聞きながら、なお検討していく旨の答弁でありました。
また、神田知事からも、断腸の思いでの厳しい
選択であったことを振り返り、これからも企業庁ともども真剣に取り組んでいきたいという答弁でありました。
その知事の答弁から今日までさらに七年が経過し、この間には、県のリーダーが神田知事から大村知事へとバトンタッチされ、また、市町村合併が進む中、幡豆町も平成二十三年四月には、西尾市、一色町、吉良町と合併し、新しく西尾市となりました。
合併後の平成二十四年五月には、西尾市長を初めとする関係者が、具体的な内容を深めた総合的な利活用策の策定推進を知事に要望し、知事からは、市と検討会などを設けて、意見交換をしながら進めていきたいとのお話があったと承知しております。その後、企業庁は、市との意見交換の場として勉強会を立ち上げ、これまで五回ほど開催しているとのことでありますが、残念ながら、具体的な利活用について進展があったとは聞こえてきません。
一方、合併後の西尾市では、平成二十五年三月に、新しい西尾市のまちづくりの指針となる総合計画、第七次西尾市総合計画が策定されました。この総合計画においては、企業庁が買収した百五十ヘクタールの土地の利用計画は、周辺環境や自然との調和に配慮して、製造業等の産業集積を図ると位置づけられております。しかし、県では、具体的な計画が示されずに、企業庁が五十億円の巨額を投じた貴重な財産がそのまま放置されているのが現状であります。
以上、お話をしてまいりましたが、こうした経過の中、今、私、地元の県会議員として、どうその責任を果たせばいいのか、そんな思いであります。
現在、県では、世界と闘える愛知、日本一元気な愛知の実現に向け、二〇三〇年ごろの社会経済を展望し、これを踏まえた新しい地域づくりビジョンの策定に取り組んでおられるということですが、本県の産業力、経済力をさらに高め、次世代産業の立地環境を整えるために、その用地の確保が大いに期待されているところであります。このような視点からも、この百五十ヘクタールの土地が有効に利活用されることを期待しております。
そこで、以下の二点について伺います。
第一点は、企業庁を初め県は努力を続けておられることとは思いますが、私が土地利活用についてお伺いした平成十九年の二月議会から時間も経過しておりますので、再確認をする意味も含めまして、平成十三年一月の土砂採取事業の中止以降、具体的に企業庁はどのような取り組みをしてこられたのか、また、幡豆地区の開発を進めていく上で、いまだどのような課題、問題点があるのかお聞かせください。
第二点は、西尾市、特に幡豆地区においては、百五十ヘクタールという広大な土地だけに適切な管理をしていただきたいと願っておりますが、現在どのように対応しておられるのか、あわせてお伺いいたします。
質問の第二は、日本型直接支払制度についてであります。
日本の農業、特に稲作を中心とする土地利用型の農業においては、利水、治水など、水とのかかわりなしにこれを考えることはできません。また、農村集落の成り立ちからその生活のありようまで、全てが稲作を中心とする農作業を前提としてでき上がってきたと言っても過言ではないと考えております。
そこで、一つの例として、私の地元の農業用水について少しお話をさせていただきます。
西三河は、矢作川の流域に当たり、その水の恵みのもと、農業を中心に発展してきたところであります。
そんな中、明治、大正、昭和にかけて、さまざまな利水のための事業が進められてきました。長年にわたり、それぞれの地域が別々に河川に取水口を設けて、そのために争いが絶えなかったということから、大正四年にこの取水口を整理統合して、安定して取水ができるようにするための大規模な堰が設置されました。その後、昭和八年に県営事業によって近代的な鋼鉄製の堰が整備されましたが、新田の開発や食料の増産体制の中、水不足が当たり前というような状況が続きました。特に昭和十九年と二十二年には大干ばつに見舞われたことから、矢作川の最大の支流である巴川の上流において、昭和二十七年から羽布ダムの建設工事が始まりました。そして、十一年の歳月と三十二億円の事業費を投入して、昭和三十八年にこれが完成したところであります。
続いて、国営事業により矢作川用水の幹線水路が建設され、作手高原から流れる巴川の清流がおよそ八十キロも離れた吉良の地まで流れてくるようになりました。その後も矢作川水系では、矢作ダムの建設と矢作川総合水利事業が実施され、農業用水に加え、水道用水と工業用水も供給されることとなり、西三河地域の発展に大きく寄与しているところであります。
昨年四月七日、羽布ダム竣工五十周年記念式典が旧下山村で開催されました。私は、地元の土地改良区の理事長として出席させていただきましたが、この席には、建設当時に水没のために移住された方々を初め、水源地域の皆様が招かれており、来賓を初め関係の方々がその献身的な御協力に改めて感謝の言葉を述べておられました。
会場でいろんな方のお話を聞くとともに、建設当時の写真を見せていただきながら、現在の工事の状況と比べると、いかに大変な、難儀な工事であったのか、また、移転を余儀なくされた住民の皆様の当時の家族写真などを目にすると、いかに大勢の方々の協力があったのかということを知ると同時に、会場への行き帰り、自身、車を運転しながら、当たり前のことですけれども、やっぱり水は、雨水も排水も全てが山から海へ、この山や川、そして、田んぼや畑を通って流れてくるんだな、そんな当たり前のことを思いながら、また、だからこそ水源地域の山や農地などの適切な管理、保全が重要であり、そこに暮らす人たちの生活が豊かに続くことが下流に暮らす者の安心と安全の支えとなるんだと、改めてそう思いました。
私は、今後とも引き続き、水源地域を初めとする中山間地域の大切さをしっかりとPRすると同時に、水源地とその下流の地域住民の交流を一層深めていかなければと考えております。
しかし、この中山間地域の主要な産業である農業の現状を見てみますと、農地は傾斜地が多くを占め、狭隘で経営規模は小さく、生産条件が平たん地域に比べて極端に不利な状況にあります。また、人口減少や高齢化の進行も早く、農作業そのものが難しくなり、耕作放棄地がふえる、こうして農地の多面的機能が失われていくことが本当に心配であります。
こんな中、国の政策として、平成十二年に中山間地域等直接支払制度が創設されたことにより、農地ののり面や水路の管理、周辺隣地の下草刈りなど、集落ぐるみでの活動が行われ、耕作放棄地の発生防止、多面的機能の維持に一定の効果を発揮してきたと思っています。
今、国においては、この制度の法制化が検討されているとのことであります。ぜひともこれが、中山間地域の方々が安心して農地の保全に取り組んでいただける強力な政策につながることを期待しています。
農地は、食料を安定的に供給するという本来の機能に加え、国土の保全や地下水の涵養、また、農村の景観や生物多様性の保全など多面的機能を有しており、農家の方々に限らず、県民の全てがその恩恵を受けています。
これまで、貴重な地域資源である農地は農家の方々によって大切に守られてきましたが、中山間地域に限らず平野部においても、都市化の進展に伴う集落機能の低下により、農家だけではこうした取り組みを続けていくことが難しくなっております。
そうした中で、国は、昨年十二月、我が国の農政改革のグランドデザインである農林水産業・地域の活力創造プランを策定し、国内外の需要拡大、農林水産物の付加価値向上、生産現場の強化、多面的機能の維持・発揮を政策の四本柱として、強い農林水産業と美しく活力のある農山漁村をつくり上げるとの方針を打ち出しました。
このプランでは、生産コストの削減など、農業の生産現場を強化し、競争力を高めていくために新たに設置する農地中間管理機構を通じて、担い手への農地集積を加速するとしております。
私は、この政策が確実な成果を上げる上での重要なポイントは、いかに担い手が効率的な農業経営を行い、安定的な経営を続けることができるか、そのための対応ができる政策かどうかという点にあると考えております。
今後の経営規模拡大によって、担い手には、みずから耕作する農地の作付、収穫、水管理、草刈りなどにより多くの労力と費用がかかってくると思われます。そうした一方で、農地集積が進むことにより担い手以外の農家の農業への関心が薄れていき、そして、非農家の地域に対する意識も一層低下し、これまでの地域共同活動として行われてきた水路の管理や農道の補修整備、草刈りなど、農村集落の伝統的な活動が続けられなくなってしまうことが心配です。もしそのようなことになれば、地域が共同で維持管理すべき施設まで担い手任せとなり、効率的な農業経営や規模拡大ができなくなることにもなりかねません。
このため、生産性の高い土地利用型農業を着実に推進するためには、担い手は、本来の農業生産活動に専念できるようにし、農村地域の維持活動に関して大きな負担を強いるような状況にならないよう、地域共同活動の体制を整備していく必要があります。
これまで、農家と地域住民が一体となって取り組む農地や水路、農道などの貴重な地域資源を保全する活動としては、農地・水保全管理支払事業が実施されてきました。私は、この事業により、さまざまな年齢層や職業の人たちが一緒に汗をかくことで、地域資源の保全はもとより、人と人とのつながり、地域のきずなが強固になるというすばらしい効果も発揮されてきたものと考えております。
こうした中、農林水産業・地域の活力創造プランにより創設される日本型直接支払制度の柱となる多面的機能支払事業については、これまでの農地・水保全管理支払事業をさらに発展させる施策となると聞いております。
そこでお尋ねいたします。
日本型直接支払制度において新たに創設される多面的機能支払事業について、どのような効果が期待されるのか、また、県はこの事業にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
質問の第三は、三河湾内の漁業振興についてであります。
三河湾では、ノリ養殖や小型底びき網など、さまざまな漁業が営まれております。春の訪れとともにイカナゴ漁が始まります。ちなみに、ことしは、一昨日、おとといの三月二日に解禁をされ、きょうのここへ来る朝のラジオのニュースで、好調な漁となっているというような報道がなされておりました。
また、浜では潮干狩りが始まりました。こちらも順に解禁をされておりますけれども、時期がちょっと早いせいか、いま一つ量が少ないということで若干心配をしておりますが、このアサリを求めて、地元はもちろん遠方からも多くの方たちが訪れます。
夏には、エビ煎餅の原料となるアカシャエビが水揚げされ、秋になるとガザミやスズキなど、多くの魚が市場をにぎわします。
冬には、島周りなどでナマコ漁が行われ、ナマコの腸からつくられるこのわたは、三河湾の名産品であります。
また、三河湾はノリの産地でもあり、秋になると浜一面にノリ養殖の網が設置されます。これが三河湾の夕日を受けて、海面がきらきら輝いているさまが冬の風物詩と言えるとも思います。そして、十一月には、やわらかくて、口に入れると何とも言えない潮の香りがあふれるノリがとれ、三月ごろまでノリ養殖が営まれています。
このように、私たちは、三河湾から四季折々に海の恵みを受けております。
しかし、三河湾は外海との海水交換が悪い閉鎖性水域である上に、高度経済成長期に沿岸域の干潟や浅場が急速に埋め立てられたことで、その環境は悪化しました。環境の目安となる赤潮の発生は、昭和四十年代後半に急速に増加し、平成に入ってから減少はしたものの、今でも毎年赤潮が発生しています。
この赤潮のもとになる植物プランクトンが海底に沈み、そこで分解されるときに酸素を消費するため、特に夏には海水中の酸素が少なくなる貧酸素水塊が発生します。県の水産試験場の水質調査結果や、三河湾の自動観測ブイの情報によりますと、六月から九月にかけて、三河湾の海底付近では、毎年広範囲に貧酸素水塊が発生しています。時には、この水塊が岸に押し寄せて、大量の魚介類が死んでしまうことがあります。平成二十三年八月下旬には、豊川河口で約二千トンものアサリの稚貝が死んだという報道がありました。
さらに、燃油の高騰や魚価の低迷など、漁業経営を圧迫する要因もあります。漁船燃料の軽油は、一リットル当たり平成十六年一月に六十五円であったものが、平成二十五年十一月には百二十円と一・八倍にまではね上がっております。小型底びき網漁業では、一日操業すると数百リットルという、ドラム缶何本という単位で使用するということであります。したがって、燃油の高騰は、漁業経営に直接大きなダメージを与えております。
また、魚の価格については、愛知県の産地市場での生鮮魚一キログラム当たりの平均単価で見てみますと、平成十六年には魚類は百三十九円でしたが、平成二十三年には百十一円と約三〇%も下がっております。ノリの価格についても、過去十年の全型一枚、全型とはコンビニのおにぎりがこの半分の量になります、この一枚が平均単価九円から十円で推移し、低迷をしております。
このような状況の中で、三河湾内で操業する漁業者の多くが小型底びき網からアサリ漁業へ転業したり、これまでノリ養殖とアサリ漁業を兼業していた人がノリ養殖を廃業し、アサリ漁業に専念するようになっています。したがって、アサリ漁業への依存度が非常に高くなっており、漁業者の生活を直接左右する重要な業種となっております。
このアサリ漁業は、海沿いの地元の干潟や浅場で営まれており、短時間で漁場へ行くことができ、操業時間も他の漁業に比べると比較的短時間となるので、経費に大きな比重を占める燃料費が少なくて済みます。また、価格も堅調に推移している上に、アサリの漁獲量は安定していることから収益性が高く、アサリ漁業の重要性がますます高まってきています。
さらに、環境面でも、アサリは、赤潮のもとになる植物プランクトンを食べて成長するため、三河湾の環境改善にも役立っております。
農林水産統計によりますと、平成二十四年のアサリ類漁獲量は、全国で二万七千三百トンとなっておりますが、このうち愛知県は一万七千五百六十二トンで、全国の六四%を占め、圧倒的な漁獲量を誇り、九年連続で日本一となりました。
これは、漁業者が豊川河口の六条潟で発生するアサリ稚貝を広い範囲に大量に放流したり、資源を維持するためにとる期間を限定すると同時に、大きさや量に制限を設けたり、ヒトデなどアサリにとって有害な生物を駆除するといったさまざまな取り組みによってできたものだと思います。
そこでお尋ねします。
県では、平成二十五年度からあさりとさかな漁場総合整備事業を創設し、その中で、干潟・浅場造成に積極的に取り組んでいるということでありますが、三河湾内の漁業、特に本県の主要漁業であるアサリ漁業を支え、さらなる振興を図るため、県として今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
29:
◯企業庁長(
丹羽健一郎君) 幡豆地区内陸用地造成事業に関して、二点お尋ねをいただきました。
まず、これまでの利活用に向けた取り組みと開発を進める上での課題についてであります。
平成十三年一月の土砂採取事業の中止後、住民の方々の御意見をお聞きするためのアンケートや、有識者に対するヒアリングを実施し、利活用のための基礎的な資料を作成いたしました。それをもとに、十五年度に学識経験者、地元関係者など、幅広い分野の委員の方々から成る土地利活用調査委員会から具体的な三つの土地利活用の構想案が提案されました。
一つ目は、レクリエーションやスポーツ活動の場を提供する案、二つ目は、医療・福祉サービス施設を誘致する案、三つ目は、先端技術を有するエコビジネス企業などを誘致する案でございます。
もともと、この幡豆地区の開発は、外部に土砂を売却する土砂採取事業を前提とした計画であり、土砂採取事業を行わず、採算性を確保することは困難な面がございます。
また、企業訪問などを通じまして、この土地のPRに鋭意努めておりますけれども、現在まで企業からの具体の引き合いもない状況にございます。さらに、この地区は保安林解除についても課題があります。
こうした状況において、県庁内での各部局との意見交換や、議員お示しのとおり、平成二十四年度からは、地元西尾市との意見交換を進めているところでございます。
この中では、開発における課題の再整理や、幅広い用途の可能性などについて議論を行っており、まだ新たな利活用の案を見出すに至っておりませんが、今後とも議論をさらに深め、企業の意向も聞き取りながら、利活用の検討をしてまいります。
次に、土地の維持管理についてでございます。
地区の周辺には人家もあり、環境保全のため外周に防護柵を設置して、不法侵入や不法投棄を防止するとともに、職員による月一回以上の定期パトロールを実施しているところでございます。
また、水質汚濁の防止をしっかり行うとともに、周辺の草刈りの実施や、必要に応じて倒木のおそれのある枯れ木や竹の伐採を行っております。
さらに、大雨や台風時には、土砂崩れが発生するおそれがある箇所や、民地に隣接する箇所などを中心に緊急パトロールを実施し、住民の皆様の安全の確保に努めているところでございます。
また、一部の土地について、西尾市の住民の方々に、炭焼きや、市内で行われる三河鳥羽の火祭りで利用するカヤの栽培などに御利用していただいたり、安城七夕まつりの飾りつけ用の竹を無償で関係者の方々に提供させていただいております。
今後とも、住民の皆様の御意見をお聞きしながら、円滑かつ適切な土地の管理に努めてまいります。
以上でございます。
30: ◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 日本型直接支払制度のうち、多面的機能支払事業についてお答えをいたします。
まず、本事業に期待される効果でございます。
この事業は、現在、農村地域の共同活動を公的資金で助成しております農地・水保全管理支払事業を来年度から拡充するものでございまして、助成の対象は、新たに設けられる農地維持支払と、従来の事業内容を踏襲し、名称を変更いたします資源向上支払の二つに区分されております。
このうち、新たに設けられる農地維持支払は、農地のり面の草刈りや水路の泥上げ、農道の砂利補充など、農業生産に直結する基礎的な共同活動を助成するものでございます。
従来の制度では、こうした基礎的な活動とあわせて、植栽による景観形成など、農村環境を保全する共同活動に農家と非農家が一緒になって取り組まなければ助成の対象とされておりませんでした。このため、そうした体制づくりが難しい地域にとってはハードルが高い事業要件になっておりましたが、新たな制度では、こうした基礎的な活動に農家だけで取り組む場合についても助成の対象とするよう拡充されるものでございます。
これによりまして、今後、農地集積に伴って担い手に集中するおそれがある水路、農道等の管理を地域で支える共同活動が格段に取り組みやすくなりますので、より多くの地域でこの農地維持支払に取り組んでいただくことによって、多面的機能の維持・発揮とあわせて、担い手への農地集積が一層円滑に促進されるものと期待をしております。
また、従来は助成の対象地域から外れておりました農振農用地区域以外の農地につきましても、市町村が必要と認める場合、取り込むことが可能となりますので、都市部や都市近郊地域における農業の多面的機能の維持・発揮にも寄与するものと考えております。
次に、本事業に対する県の取り組みでございます。
現在の農地・水保全管理支払事業では、県内の農振農用地のおよそ四割に当たる約二万五千ヘクタールにおきまして、三百十七の活動組織により、農家と非農家を合わせて三十七万人近くの方々に大変活発な活動を展開していただいております。
今後の多面的機能支払事業におきましては、こうしたこれまでの成果を十分に踏まえつつ、今回の制度拡充の目的が十分に達成されるよう、対象地域の拡大と活動組織への一層の支援に努めてまいりたいと考えております。
こうした中におきまして、本事業の推進体制といたしまして、去る二月十日に市町村、土地改良区など六十四の団体を会員とする愛知県農地水多面的機能推進協議会が設立されたところでございますので、同協議会を初め、国、関係機関と十分な連携のもとで、本事業の着実な推進に努めてまいります。
以上でございます。
31: ◯農林水産部長(中野幹也君) 三河湾内の漁業、特に本県の主要漁業であるアサリ漁業の振興についてお答えをいたします。
三河湾のアサリ漁業を支え、さらなる振興を図るためには、漁場の整備と保全及びアサリ稚貝の安定的な確保が重要であると認識しております。
まず、漁場の整備につきましては、県の食と緑の基本計画二〇一五の重点取り組みである干潟、浅場の造成に今後もしっかりと取り組み、アサリを初めとする魚介類の生育の場の確保と水質浄化機能の向上を図ってまいります。
また、漁場の保全につきましては、漁業者の皆さんが漁場を耕したり、アサリの外敵生物を除去するといった干潟の保全活動に対して支援することといたしております。
次に、アサリ稚貝を安定的に確保するためには、豊川河口の六条潟で発生するアサリ稚貝を最大限に有効活用することが必要であります。そのために、アサリ稚貝の資源量や成長の状況を調査して、適切な時期に漁業者の皆さんが稚貝を採捕できるよう管理に努めてまいります。
さらに、六条潟でアサリ稚貝が大量発生する仕組みを明らかにする試験研究にも取り組んでまいります。
このような総合的な取り組みにより、本県主要漁業である三河湾のアサリ漁業のさらなる振興を図ってまいりたいと考えております。
32:
◯知事(
大村秀章君) 浅井議員の質問の中で、三河湾内のアサリ漁業の振興につきまして、私からもお答えをいたします。
私は、マニフェストにおきまして、水産資源の保護・育成を進め、伊勢湾・三河湾の海の幸を活かした日本一の食文化の宝庫を目指すというふうに掲げておりますが、この愛知の海は、まさに豊富な水産資源、漁業資源の宝庫だというふうに思っております。県の魚でありますクルマエビ、それから、日本一のガザミ、また、タコ、それからフグ、それからスズキ、コウナゴ、また、シラスなどなど、まさに海の幸にあふれているというふうに思っておりまして、その中でも、特に、議員も御指摘になりました全国一の漁獲を誇る本県のアサリ、その大宗を占めるのは三河湾でございますが、全国のアサリの水揚げの六割を超える量が三河湾でとれるということは、まさに特筆すべきものではないかというふうに思います。
ちなみに、吉良の、一色もそうですが、吉良の梶島のアサリというのもブランドでありますし、渥美のアサリもブランドだと思いますが、私は個人的には、矢作川の河口の噴き出し口でとれるのが一番うまいと思っておりますけれども、それはそれといたしまして、こうした愛知の四季の魚も選定をし、そのPRにも努めているところでございます。
また、将来にわたってアサリが安定して漁獲されるためには、漁場の整備と保全が大変重要でありますことから、干潟、浅場の造成につきまして、平成二十五年度にあさりとさかな漁場総合整備事業を新たに創設いたしまして、外海の魚礁整備とともに、内湾での干潟・浅場造成にこれまで以上に力を入れて取り組むこととしたところでございます。
さらに、アサリ漁業の操業に欠かせない水温などの海域情報をリアルタイムに発信できるよう、三河湾の自動観測ブイの更新整備も進めているところでございます。
このような取り組みとともに、アサリ稚貝の安定的な確保や、六条潟でのアサリ稚貝の発生メカニズムの研究を進め、今後とも、日本一の本県アサリ漁業の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。
33: ◯六十六番(浅井喜代治君) 三河湾内の漁業振興について要望させていただくということで、答弁をいただく前に進行係に返事をしましたが、結構な答弁をいただきまして、要望することがなくなってしまったという、実際そんな気持ちですけれども、二、三要望させていただきます。
最近の新聞報道でありますけれども、県下の蒲郡市におきまして、漁業の後継者、今、操業者がいるうちに後継者を育てなきゃ後が続かんというようなところから、年間三百万の所得保障をするというような制度を新年度から始められるというようなことを報道されておりました。
また、同じ蒲郡市の県立の三谷水産高校で、国の補助制度だと思うんですけれども、農商工等連携事業、こうした事業に県の水産試験場はもちろん、民間企業、あるいは漁業組合も一体となって、通常、市場に流通しない、商品価値がないというとちょっと語弊がありますけれども、こうした魚介類を利用して、何とか新しい商品を開発して、そして、漁業振興につなげていこう、こんな活動をしておられるということを新聞報道で見ました。本当に漁業者にとってありがたいというか、すばらしいことだと思いますけれども、裏を返せば、漁業環境、非常に厳しいと、待ったなしの状況で対策を打っていかないかんということのあらわれだというふうにも言えると思います。ちょっとあまのじゃくな、へそ曲がりな見方かもしれませんけれども、なかなか漁業環境、厳しいわなということだと思います。
また、アサリ漁業の重要性、そっちへ漁業者がシフトしておるということは十分お話しさせていただきまして、答弁の中でも御理解をいただいておるところでございます。
このアサリの稚貝に関しましては、ウナギとその稚魚であるシラスとの関係と同じようなことで、自然環境の中で、豊川河口の六条潟で県の特採の許可をいただいて、漁業者がそこで採捕し、漁場に大量にまくということで、いわば育てる漁業といいますか、そんな活動をしておみえになります。
そうした意味から、この干潟、六条潟の自然の貴重な財産をしっかりと守っていく、このことがもし損なわれるようなことになると湾内漁業が成り立たなくなってしまうんじゃないかと、そんな心配もいたします。
また、そうした意味では、浅場、干潟の造成プラス三河湾の浄化を進めることも漁業振興につながっていくということだと思います。
また、ちょっと方向は違いますけれども、私、海のことは国の専決と思っていましたら、海の管理に関する条例を制定して、県の条例で、条例制定をしておるところも、国内にはそういった県もあるようであります。そうしたことをさまざまな角度から検討いただいて、総合的な対策を打っていただきますことを要望して、終わります。ありがとうございました。
34: ◯副
議長(
鈴木正君) 進行いたします。
市川英男議員。
〔三十一番市川英男君登壇〕(拍手)
35: ◯三十一番(市川英男君) それでは、通告に従い、順次質問をしてまいります。
初めに、県営名古屋空港についてお伺いいたします。
皆様もよく御存じのとおり、県営名古屋空港は、平成十七年に我が国初の本格的な小型航空機の拠点となる都市型総合空港として開港いたしました。
これまで、コミューター航空やビジネス機などの拠点化を図るため、フィンガーコンコース、ターミナル機能の一階への集約、日本で初めてのビジネス機専用ターミナルなど、整備が進められてまいりました。
こうした工夫と努力によって、開港後丸九年が経過しましたが、その間、空港の運営は安全かつ安定して行われ、コミューター航空の利用者からは、名古屋中心部から近い、駐車場が無料、そして、搭乗までの移動距離が短く、使い勝手のよい空港との評価もお聞きしております。
現在就航しているフジドリームエアラインズは、全国六都市に一日十四往復を運航し、一月末には利用者が五十万人を超え、さらに、この三月三十日からは新たに山形便を一日一往復就航します。
また、ビジネス機についても、利用者のプライバシー保護を初め、CIQを含めた航空機への搭乗時間がわずか十五分程度という、我が国トップレベルの機能と利便性を備えたビジネスターミナルの効果等により、年間七十機程度の利用を確保、維持するなど、その役割を着実に果たしてきております。
このように、県営名古屋空港は、コミューター航空やビジネス機などの拠点としてその利用が拡大しつつあり、地元市町にとっても、手軽に利用でき、大変身近に感じる空港として成長しております。
一方、平成二十三年十二月に県営名古屋空港周辺地域は、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区に指定され、この特区構想の中心となる国産リージョナルジェット機MRJの最終組み立て地として、小型航空機の開発、生産、運航、整備の一貫体制が形成されることが期待されております。
航空機の部品点数は三百万点と自動車の百倍以上あると言われており、大変裾野が広く、地域への波及効果が期待される産業で、他の産業への技術波及効果も高い成長分野であります。
一般財団法人日本航空機開発協会の平成二十二年度民間輸送機に関する調査研究によれば、世界の航空機産業の市場規模は、今後二十年間で約三百兆円になる見込みとも言われております。
さらに、世界の航空需要は、今後二十年間で二倍以上の伸びを示し、そのシェアはアジアが最大になると予想されております。特に、MRJのようなリージョナルジェット市場は、今後二十年間で約五千機の新規需要が見込まれております。
このような状況を背景に、先月十二日には、三菱重工業株式会社が、次世代リージョナルジェット機、MRJの量産に向けた拠点展開構想を発表し、この中で、生産拠点を中部地区に置き、その中心として、名古屋空港に隣接する新工場を建設する計画を持っているとのことです。
県においては、空港に隣接する国有地を取得し、さらに、航空機の生産、整備に必要となる工場用地を確保するため、三カ所に分散している空港駐車場を一カ所に集約・立体駐車場化し、残った駐車場用地と国から取得する国有地を合わせた七ヘクタール余を一体的に整備して、平成二十六年度中に事業者に引き渡す計画であり、着実に民間航空機生産・整備拠点の誘致が進められております。
こうした民間航空機の生産・整備拠点の中核としての役割を県営名古屋空港が担っていくためには、駐車場や駐機場など、既存空港施設との折り合いをつけながら空港を再整備することによって、民間航空機を生産する工場用地を生み出していく必要があります。
一方で、既存の県営空港の駐車場は、二十五年度において、大型連休やお盆、さらには、年末年始の繁忙期には、駐車場の容量が非常に厳しい状況であったとお聞きしております。今後進められる立体駐車場の整備期間中は、駐車場が不足し、駐車できない車両が発生することになり、最悪の場合、コミューター航空の利用者が航空機へ搭乗できない事態が発生することも考えられるわけであります。
そこでお伺いいたします。
県営名古屋空港の円滑な空港運営を確保しつつ、民間航空機の生産・整備拠点の誘致を実現するため、どういったスケジュールで立体駐車場の建設工事を行い、空港利用者へ影響を極力抑えた駐車場運営を展開していくのか、また、立体駐車場完成後の運営について、県当局の考えをお伺いいたします。
次に、環境調査センター・衛生研究所の建てかえについてお伺いいたします。
環境調査センターと衛生研究所は、それぞれ本県の環境行政と衛生行政を科学的、技術的に支える重要な調査研究機関であります。この調査センターと衛生研究所の沿革を振り返ってみますと、まず、環境センターは、昭和四十五年に名古屋市千種区で公害調査センターとして発足した後、昭和四十七年に現在の名古屋市北区に移転しました。また、衛生研究所は、昭和二十三年、県庁内で発足。名古屋市中区、千種区を経て、昭和四十七年に現在地に移転しております。
環境センターと衛生研究所は、昭和四十七年三月に竣工した同じ建物の中に設置され、約四十二年が経過いたしました。一口に四十二年間と申しますが、この時間は大変長いものであり、環境調査センターにおいて、昭和四十年代は、産業活動に起因する大気汚染や水質汚濁などの公害問題に対応し、昭和五十年代は、近隣騒音、交通公害などの都市生活型公害や廃棄物の処理に係る問題にも対応してきました。
平成七年四月には、公害調査センターから環境調査センターに名称を改めるなど、時代の流れの中で、環境調査センターは確かな環境技術を駆使し、大気や水質などの分析、検査、調査、研究を行ってきたところです。
また、最近では、ダイオキシン類や放射能の分析、検査であるとか、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五の測定など、新たな環境課題にも対応しているところであります。
特に放射能の分析検査では、東日本大震災以降、県民の皆様の不安解消のため、測定回数、測定地点を大幅に増加させるなど、監視・測定体制の強化が図られました。
また、PM二・五の測定では、県外からの広域的な汚染の影響を把握するため、東海地方の広域汚染実態を調査するなど、先駆的な取り組みが行われております。
一方、衛生研究所におきましても、平成二十一年に世界的に流行した新型インフルエンザや、毎年頻発するノロウイルスによる集団食中毒の発生時において、迅速な検査の実施により県民の皆様の健康被害の拡大防止に大きな役割を果たしております。
特に最近では、目まぐるしい社会情勢の変化や国際化の進展の中で、中国産冷凍ギョーザによる中毒事件、さらには、広域的な食中毒事件など、食品の安全性を揺るがす事件が相次いで発生するとともに、強毒性の新型インフルエンザなどの感染症の発生が懸念されることから、これらの健康危機管理事例の発生時においても重要な役割を担っております。
このように、これまで県民の皆様の健康や命を守る大変重要な役割を果たしてきた環境調査センター、衛生研究所でございますが、平成二十四年度には、名古屋市北区の現地で施設を建てかえるための基本調査が実施されました。
この基本調査では、新施設の配置などの検討に加え、新エネ・省エネ施設の導入検討が行われたところであります。この新エネ・省エネ施設の検討に関しては、平成二十四年六月議会において、我が党の犬飼議員からも指摘のあったところであります。
現在、建築物のエネルギー使用量の削減は、国におけるエネルギー関係の議論でも大きな課題として取り上げられているなど、建築物における新エネ、省エネの取り組みは、いよいよその重要性を増しているところでございます。
県においては、来年度から、環境調査センター及び衛生研究所について、PFI手法を用いた施設整備を行うための準備を進めることとされているところでありますが、私は改めて、今この時期に、二年前に最先端の環境配慮型施設の建設を指示された知事の先見性を評価させていただくとともに、ぜひともこれを実現していただきたいと強い期待をしております。
そこでお伺いいたします。
まず、新施設について、PFIを用いた施設整備の具体的なスケジュールはどうなっているのでしょうか。また、県は、新施設を環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とするとの方向性を示されておりますが、現在、どのような新エネ・省エネ施設を検討されているのかお伺いいたします。
最後の質問です。県立高校の今後のあり方についてお伺いいたします。
今や国民的な教育機関となっている高等学校は、生徒にとって年齢的なこともあって、人格形成や社会とのかかわりを強く意識する時期に当たっており、今後の社会を支える人材の育成という観点から、そのあり方が大変重要なものであります。
本県においては、社会の変化や生徒の多様化に適切に対応していくこと、少子化の進行により生徒数の減少が見込まれていたことから、平成十三年度から十年間にわたって、県立高等学校再編整備計画に基づき、高等学校の再編統合を進めるとともに、総合学科の設置、普通科コース制の導入、専門学科の改編など、魅力と活力ある学校づくりを進め、学校の特色化についても一定の成果を上げてこられました。しかし、その後も社会経済状況は変化し続けており、常に時代のニーズや生徒の一層の多様化を踏まえた特色化が必要であると考えております。
国においても、昨年十月に公表された教育再生実行会議の第四次提言において、高等学校は、生徒の多様性を踏まえた学校の特色化を推進すべきとの意見が示されております。
具体的には、グローバルリーダーとなるための国際的素養と総合力を育成する学校、科学技術人材としての素養の育成を目指し、先進的な理数系教育を行う学校、学び直しへの支援、考える力の育成、学習意欲の喚起を図る学校などが挙げられております。
いずれも重要な視点でありますけれども、私自身、今後特に重要と考えられる点を幾つか述べてみたいと思います。
まず初めに、キャリア教育の充実についてです。
高校生もいずれ社会に出ていくわけであり、一人一人が社会の一員としての役割を認識して、個性や持ち味を最大限に発揮しながら、自立して生きていくために必要な能力や態度を育てるキャリア教育を充実させることが極めて大切であると思います。そうした点からも、職業学科は、直接社会とつながる実習やインターンシップ等を通じて、職業観、勤労観の育成に努めております。
また、農業科、商業科などの学科では、経済産業社会の六次産業化に対応し、企業とコラボレートして商品開発を進めているという記事をよく目にしています。現在では、目的意識の高い生徒が集まってきていると伺っておりますが、そうした社会の変化に対応した能力を育成する授業の一層の工夫を進めていくことが重要であると思います。
総合学科では、将来の職業について考えさせたり、社会的に自立するために必要な能力や態度を育成したりすることを目的とした産業社会と人間という科目があり、その受講を通して職業意識を高めております。
また、生徒みずからの進路を真剣に考えて、多様な科目から選んだ授業に意欲的に取り組んでおり、そのことはキャリア教育を進める上で大変有効であると伺っております。
県下には、総合学科が県立では九校あると聞いていますが、まだ通学区域にない地域もあり、愛知県内の全ての地域にバランスよく設置していくことが必要であると考えます。
普通科高校においても、どのようにキャリア教育を進めるかが大きな課題であると思います。私の地元春日井市の春日井高校には、普通科高校の特色づくりの一つとして、コスモサイエンスコースが設置されておりますが、地元の大学との連携や、校外の研究施設等における実験、実習等を通じて、自然科学に対する興味、関心を高め、それまで漠然と理系を志望していた生徒が、例えば、環境に対する講義を聞いたことで、将来、環境を意識した自動車の開発に携わりたいという進路希望を持つようになるなど、職業に対する意識を向上させるなどの成果があったと伺いました。
普通科コースについては、このような成果が上がっているものもありますが、希望者が少なく、時代のニーズに合わなくなってきているものもあり、新たなニーズに応えたコースの設置も視野に入れて改廃を行うべきだと思います。
また、コースだけでなく、普通科全体におけるキャリア教育も重要であり、インターンシップの充実や教育課程の見直しも含め、大胆な改革が必要であると考えます。
次に、定時制高校についてであります。
県では、愛知工業高校の校地に新しいタイプの定時制高校が開設される予定ですが、ほかの地域にも、不登校生徒や中途退学者、日本語指導が必要な外国籍生徒などの学び直しのための学校が必要であります。
また、昼間定時制高校の志願倍率は依然として高く、それぞれの地域に設置を進めるべきであると思います。さまざまな課題を抱えた生徒に対してきめ細かな指導を行い、社会人として必要な知識、技能を習得させ、自立した社会生活が送れるように努めていくことは、高等学校教育に課せられた喫緊の課題の一つであります。そうした視点から、定時制全体の教育課程についても改善していく必要があるのではないかと考えます。
このほかにも、今日のグローバル化や高度情報化の進展などを踏まえて、社会をリードする人材の育成も大切であります。県では、スーパーサイエンスハイスクールを中心に行われている理数教育や、急激なグローバル化に対する人材を育成するためのあいちスーパーイングリッシュハブスクール事業などを実施されておりますが、こうした取り組みをさらに充実させていくことが重要であります。
これからの高校教育について、幾つかの私の考えを述べさせていただきました。
これまで、本県の公立高校は県民の信頼に支えられ、全体としてはうまくいっていたと思います。しかし、五年後、十年後の時代に即した一層特色ある学校づくりを進めていく必要があります。
そこでお尋ねいたします。
来年度、今後の高校教育のあり方についての検討会議を立ち上げ、基本計画を策定されるということでありますが、時代のニーズに対応した特色ある県立高等学校、学校づくりをどのように考え、どのような方向を目指そうとしておられるか、教育長の御所見をお伺いします。また、特に教育改革の中でキャリア教育をどのように推進していくおつもりかお伺いします。
以上で壇上からの私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
36: ◯地域振興部長(近藤正人君) 県営名古屋空港についてのお尋ねでございます。
立体駐車場の建設につきましては、ゴールデンウイーク明けの五月十二日ごろから建設に着手し、本年十二月の供用開始を目指して必要な手続を進めてまいります。
建設に着手してから約八カ月間は空港ターミナルビル前の平面駐車場を閉鎖するため、空港全体の一般駐車場の台数が現在の千三百五十台から約七百台までに減少することになりますので、このままでは駐車することができず、航空機に搭乗できない旅客が発生することが危惧されております。
このため、空港のホームページで駐車場の混雑程度を随時お知らせするとともに、できるだけ空港アクセスバスや送迎により御来港いただくよう、県内の自治体の広報紙、ケーブルテレビや新聞などで広報するほか、航空旅客の皆様には、航空会社から直接メールによりお願いするなど、あらゆる手段を使って駐車場の駐車台数が大きく減少することを周知徹底し、混乱の回避に努めてまいります。
あわせて、空港アクセスバス事業者に対しましても、増便や車両の大型化による利便性の高い運行を行っていただくよう働きかけてまいります。
なお、立体駐車場完成後の駐車場運営につきましては、分散している駐車場を空港ターミナルビル前に集約することにより利用者の利便性が高まる反面、現在の平面展開から五階建てとなることで、駐車場の誘導方法を工夫する必要があるといった新たな課題なども想定されますことから、限られた駐車場容量において円滑な空港運営が行えることを大前提に、年度当初からさまざまな検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
37: ◯環境部長(杉浦健二君) 環境調査センター・衛生研究所の建てかえに関しまして、まず、施設整備のスケジュールについてお答えします。
今年度のPFI検討調査結果を踏まえまして、来年度からは、PFI手法を用いた施設整備を行うための準備を進めてまいります。
平成二十六年度は、PFI事業の外部アドバイザーを選定した上で、民間事業者の参加意欲も把握しながら、事業内容の具体化を図ってまいります。また、新施設の平面や空間の構成、機能や性能等を具体的に定める基本設計を実施いたします。
二十七年度中にはPFI事業者の募集を始め、二十八年度にPFI事業者を選定し、その後、PFI事業者による実施設計を経て、二十九年度から三十年度にかけて建設工事を行い、供用開始は三十一年度を予定しております。
次に、新施設における新エネ・省エネ施設についてでございますが、まず、新エネルギー関係では、集光型太陽光発電システムや、太陽光・太陽熱同時利用ハイブリッドシステムなどの最新の太陽光発電や風力発電に加え、一年を通じて温度が一定である地中熱──地面の中の熱でございますが──を利用した空調システムなど、再生可能エネルギー設備を積極的に導入していきたいと考えております。具体的には、地中と外気の熱交換を行うアースチューブ、クールピットや、地下水を利用した井水熱利用ヒートポンプの導入を検討しております。
また、省エネ設備では、LED照明に加え、有機EL照明の採用や、発電の際に生じる廃熱を回収利用する燃料電池コージェネレーション、さらには、BEMS、ビルエネルギーマネジメントシステムと呼ばれる建物全体のエネルギー利用をコンピューターにより最適管理するシステムを導入するなどして、省エネルギーを徹底していきたいと考えております。
さらに、階段や各部屋の配置といった平面計画の工夫や、高断熱ガラス、自然通風の導入、屋上・壁面緑化などによっても、建物内への外気からの熱の侵入が大きく違ってまいりますので、こうした面でもさまざまな工夫を検討してまいります。
38:
◯教育長(
野村道朗君) 教育委員会には、県立高校の今後のあり方について、二点お尋ねをいただきました。
初めに、時代のニーズに対応した特色ある県立高等学校づくりの方向性についてでございます。
本県では、平成十三年度に策定をした県立高等学校再編整備計画に基づきまして、魅力と活力ある学校づくりを進め、一定の成果をおさめてきたというふうには考えておりますが、今後につきましても、中学校卒業者数の変化を初め、議員御指摘のとおり、時代の変化や要請に対応したさらなる改革が必要でございます。
まず、中学校卒業者数につきましては、県全体では、前計画で最少であった年度の数を下回るということはございませんが、地域によっては大幅な減少も見込まれますので、こうした地域への対応が必要になってくると、このように考えております。
また、生徒の学力や目的意識が一層多様化していることに対応するため、総合学科はもとより、柔軟な教育課程を持つ新しいタイプの全日制高校や、昼間、夜間の定時制高校などの今後の展開方向についても検討していかなければならないというふうに考えております。
それとともに、科学技術人材の育成を目指した先進的理数教育の充実や、国際的に活躍できるグローバル人材の育成を積極的に推進するほか、職業学科や普通科コース制につきましても、時代のニーズに合わせて魅力のあるものに改編していくことも課題であるというふうに思っております。
基本計画は、こうした課題を念頭に置き、今後五年、十年先を見据えたグランドデザインとなるよう、来年度、外部有識者や学校関係者などから成る検討会議を立ち上げまして、御意見をいただきながら取りまとめてまいりたいと考えております。
次に、教育改革の中で進めていくキャリア教育についてのお尋ねでございます。
高等学校におけるキャリア教育につきましては、これまでも、普通科も含めた全ての県立高等学校において、産業界と連携した社会人講師による授業やインターンシップなどを実施してまいりましたけれども、参加生徒数や実施日数などにつきましては、さらに充実していく必要があると、このように考えております。
このため、今後も専門学科等におきましては、地元の商工会議所等の協力を得ながら、成果の発表の場となるあいちさんフェスタを各地域で開催するなど、生徒に将来のスペシャリストとして活躍することを自覚させるとともに、インターンシップなどの実践的教育を一層推進してまいらねばならないと、このように考えております。
また、普通科高校におきましても、小中高を通じてみずからの将来を考えるキャリア教育ノート、これの活用促進や、総合学科のキャリア教育科目でございます「産業社会と人間」の導入など、キャリア教育の充実を図る必要がございます。
いずれにいたしましても、キャリア教育は、職業観、勤労観を育て、道徳性、社会性を培っていく上で極めて重要でございます。このため、基本計画におきましても、キャリア教育を柱の一つに位置づけて、その推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
39:
◯知事(
大村秀章君) 市川議員の御質問のうち、環境調査センターと衛生研究所の建てかえにつきまして、私からもお答えをさせていただきたいと存じます。
市川議員御指摘のように、建築物のエネルギー使用量の削減というのは、国のエネルギーの関係の議論でも大きな課題として取り上げられておりまして、建築物における新エネ、省エネというのは本当に重要だというふうに認識をいたしております。
そういう中で、環境調査センター・衛生研究所につきましては、民間の経営ノウハウによる効率化と先進的な技術力の活用が期待できるPFI手法による建てかえを進めてまいることといたしております。
その建てかえに当たりましては、東日本大震災以降、エネルギー問題への関心が大変高まっている中、建築分野におきましても、議員御指摘のように、エネルギー使用量の削減が重要なテーマとなっておりますので、新施設では、新エネ、省エネの設備を積極的に導入をし、新しい時代のモデルを提示していきたいというふうに考えております。
最新のビル設計におきましては、建築物におけるエネルギー消費量を省エネ性能の向上により削減するとともに、再生可能エネルギーの活用による発電で賄い、外部から導入するエネルギー消費量をゼロに近づけるゼロ・エネルギー・ビルディングという考え方がございます。
新施設では、研究施設では全国トップレベルのゼロ・エネルギー・ビルディングになるようチャレンジをしていきたいと考えておりまして、まさに環境首都あいちにふさわしい、全国モデルとなる新エネ・省エネ施設を実現していきたいというふうに考えております。
40: ◯三十一番(市川英男君) それぞれ御答弁をいただきました。最後、知事のほうからも、この環境調査センター・衛生研究所につきまして答弁をいただきました。一点だけ、この環境調査センター・衛生研究所の建てかえについて要望を上げさせていただきます。
ちょうど二年前、私も、我が党の犬飼議員とこの環境調査センター・衛生研究所に行かせていただきまして、第一印象は、とにかく、ひどく老朽化で暗いというイメージでありました。とにかく、この新しい施設、今、知事の答弁の中でもありましたとおり、最先端の環境配慮型施設となりますので、竣工後は、多くの県民の皆様方、また、全国から見学に来ていただけるような、この新エネ・省エネ技術の普及に役立つ、こういった施設にぜひともされるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
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41: ◯三十八番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
42: ◯副
議長(
鈴木正君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
43: ◯副
議長(
鈴木正君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
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午後三時三十分開議
44:
◯議長(
久保田浩文君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
山本浩史議員。
〔八番山本浩史君登壇〕(拍手)
45: ◯八番(山本浩史君) 当初は、本
定例会一般質問の大トリであるというふうに聞いていましたので、大きなプレッシャーを感じ準備を進めてまいりましたけれども、先日、
発言通告の順番を見てみましたら、最後から二番目でございました。しかしながら、自民党会派の最後を締めるようにしっかりと頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。
通告に従いまして、今回大きく、高校生の食について、並びに道路の維持管理について質問いたします。
初めに、高校生の食について、食育の取り組みと公立高校における学食の設置可能性について質問いたします。
食は、人が生きていく上で基礎となる営みであり、健康な生活を営むためには健全な食が欠かせません。近年、偏った栄養摂取、朝食欠食など食生活の乱れや、肥満・痩身傾向など、子供たちの健康を取り巻く環境が大きく変化してきていると言われています。また、増加しつつある生活習慣病と食生活の関係も指摘されています。
文科省が平成二十二年三月に公表した食に関する指導の手引第一次改訂版では、食習慣と学力、体力等との関係が取り上げられており、毎朝朝食を食べる子供のほうが学力調査の平均正解率が高い傾向にあることが明らかになりました。調査した小学校六年生と中学校三年生の全ての教科において明らかになったということです。また、毎日朝食を食べる子供のほうが体力合計点においても高い傾向にあることがわかってきました。
国では、食育を推進するため、以前から食品安全委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省などが中心となり、さまざまな取り組みを進めてきました。平成十七年六月、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけ、食育基本法を制定いたしました。
食育基本法では、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むための食育推進が喫緊の課題としています。生活習慣の変化による生活習慣病を初めとするさまざまな疾病の防止はもとより、高齢化により増大する医療費の抑制、また、介護問題等さまざまな見地からも、生活の基礎となる食育の推進が必要であると考えられます。
農業が盛んな本県において、食育の推進については、農林水産部が所管し、他の部局と連携し取り組んでいます。一方で、多くの都道府県では、健康保健福祉に関係する部署が所管しており、このことからも、食育の目的は将来にわたる健康づくりであると言えます。
とりわけ、子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼすと同時に、生涯にわたる食習慣を形成し、健全な心と身体を養い、豊かな人間性を育んでいく基礎となるため、特に重点的に取り組まなければなりません。
平成二十年三月の小中学校の学習指導要領の改訂、また、平成二十一年三月の高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改訂では、いずれも食育が盛り込まれ、学校における食育の推進が明確に位置づけられました。
学校における食育の中核となるのは、平成十七年四月に始まった栄養教諭制度です。栄養教諭制度は、学校における食育の推進役として、また、指導体制のかなめとして新たに設けられた制度ですが、以前からあった学校栄養職員は、学校給食法を根拠に学校給食の管理のみが本務であるのに対し、創設された栄養教諭は、学校教育法を根拠とし、児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどることを本務としているため、本来的な使命は異なっております。
そのため、栄養教諭は、学校栄養職員と同等以上の栄養に関する専門的知識、能力を有し、児童生徒の心理や発達段階に配慮した指導ができるよう、教育の専門家としての資質、能力も求められます。
栄養教諭の配置は、全ての義務教育諸学校において給食を実施しているわけではないことや、地方分権の趣旨等から、地方公共団体や設置者の判断によることとされており、また、公立小中学校の栄養教諭は県費負担教職員であることから、都道府県教育委員会の判断によって配置されています。本県においても、年々拡充し、食育の推進体制を整えております。
栄養教諭の指導対象は小中学校であると考えられがちですが、学校教育法第六十条二項において、高等学校等についても栄養教諭の設置は可能であることが示されています。
また、栄養教諭免許の授与要件軽減措置の対象は、当初、小中学校等義務教育諸学校に在籍する学校栄養職員に限られていましたが、平成十九年六月の法改正により、高等学校の学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員等にも対象が拡大されました。
免許授与要件軽減措置の対象が高等学校等の職員まで広げられた一方で、学校給食にかかわる職員に限定されており、これは、いかに食育において給食という食の現場が重要なものかをあらわしていると捉えることができると考えます。
県内小中学校、夜間定時制高校及び特別支援学校の完全給食実施率は一〇〇%です。しかし、文科省二十四年度の統計データでは、全国的に公立小学校ではおおむね完全給食が実施されているのに比べ、公立中学校ではばらつきが見られ、公立中学校における完全給食の一〇〇%実施は、愛知県のほか、千葉県、富山県、香川県の四県のみであり、他県では、多くの自治体で九〇%を超えている一方で、大阪府では一四・七%、次いで、神奈川県二四・九%、滋賀県五三%、兵庫県五三・八%、以下、高知県、和歌山県、京都府、三重県、広島県、奈良県がいずれも六〇%台と、本県では当たり前の中学校における学校給食は、自治体によっては決して当たり前ではないことがわかります。
そのような中、特に完全給食実施率の低い大阪府では、中学生の成長の源となる食を充実させ、教育力の向上につなげるため、府内での中学校給食を広げるべく、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年間で総額二百四十六億円の債務負担行為を予算計上し、市町村へ財政的な支援を進めています。
また、神奈川県の川崎市では、昨年十一月に中学校給食推進会議を設置し、中学校完全給食の平成二十八年度導入に向けた実施スケジュールの検討を始めました。
こうした自治体はほかにも増加しており、文科省の調査による中学校における完全給食実施率も年々上昇しています。こうした自治体においては、より多くの食に関する調査や議論がなされ、取り組みに至っています。
現在、中学校の給食導入を検討している兵庫県伊丹市教育委員会は、昨年七月に生徒や教職員計約三千八百人に実施したアンケート調査の結果を速報値として取りまとめ、公表していますが、立場によって考え方が異なるという興味深い結果となりました。
給食実施については、保護者の九〇・七%が必要、どちらかといえば必要と回答し、否定的な回答は四・九%にとどまりました。給食への期待する点として、栄養バランスがとれ、十分な栄養価がある給食が最も多く、次に、衛生管理等の食の安全性、続いて、温かくおいしい食事が上位となりました。
一方、教職員は、五九%が必要と思わない、どちらかといえば必要と思わないで、肯定的な回答は三三・四%にとどまっています。課題として、給食費未納への対応が最も多く、次に、食物アレルギーへの対応、続いて、教職員への負担増が上位に上がりました。
公立中学校においては、給食を通じ、こうしたさまざまな議論が全国で行われている一方で、高等学校となると状況は一変いたします。お弁当が当たり前である公立高校においては、多くの人を巻き込みながら食について議論が交わされることは少なくなります。
これは、給食の実施について法的な根拠のある小中学校とは状況が異なることにも大きな要因があると考えられますが、しかしながら、人の成長過程においては、中学校から高校にかけて突然食のあり方が根本から変わるわけではなく、本県の食育推進プランにあるように、切れ目のない食のあり方を推し進めることこそ本来の形であると思います。
中学校までは、完全給食一〇〇%を生かし食育を推進していますが、高校に行くと、食育が生徒と家庭任せとなり、推進体制がとりにくくなるのが本県の現状ではないでしょうか。
高校生は、食欲も旺盛で、身体的にも精神的にも大きく成長する時期であり、さらに、学業やスポーツに対して厳しく取り組む時期であるため、それを支える食の大切さは言うまでもありません。
また、厚労省による朝食の欠食率についてのデータによれば、義務教育期間である十四歳までは低い数値を保ちますが、それ以降の高校生期間に悪化し、さらに二十代となると、全年代を通じて最も欠食率が上昇する時期となります。こうしたことからも、中学校卒業後の食育への取り組みが極めて重要であると言えます。
さて、愛知県では、食育基本法に基づき、平成十八年に第一次食育推進プランを策定し、さらに、平成二十三年五月に開催された愛知県食育推進会議において、二次プランが策定されました。
この二次プランの基本コンセプトは、啓発から実践へであり、これは、平成十八年度に作成した第一次プランに基づき食育を推進した結果、県民の食育に対する認知、関心は高まったものの、食生活での実践はまだこれからとし、次のステップとして、県民一人一人が主体的に食育を実践するよう、関係者が連携、協力して取り組みを進めるとし、さらに、あらゆる世代の県民が生涯にわたって健全な食生活を送れるよう、乳幼児から高齢者に至るまで、ライフステージと生活場面に応じた切れ目のない食育を進めるとしています。
この改定においては、新たな取り組みの一つに、高等学校における食育の充実も盛り込まれました。その取り組みとして、保健体育や家庭など、教科の中で食育の観点から指導を行うため、地域の人材を積極的に活用するとともに、適切な啓発資料の活用や、教職員に対する研修の充実を図り、また、将来、食育の指導的立場に立つことが期待される農業、家庭、看護、福祉などの専門学科で学ぶ高校生について、望ましい食生活や食の安全など、食育に関連した指導を充実するとあります。
一方、今年度の入学生から年次進行により段階的に適用されている高等学校学習指導要領総則においては、学校における食育の推進について、保健体育科はもとより、家庭科、特別活動などにおいても、それぞれの特質に応じて適切に行うよう努めるとされており、この高等学校学習指導要領総則編の解説において、特に学校における食育の推進においては、食に起因する健康課題に適切に対応するため、正しい知識と望ましい食習慣を身につけることにより、生涯にわたって健やかな心身と豊かな人間性を育んでいくための基礎が培われるよう、栄養のバランスや規則正しい食生活、食品の安全性などの指導が一層重視されなければならないとし、また、これから心身の健康に関する内容に加えて、自然の恩恵、勤労などへの感謝や、食文化などについても、教科等の内容と関連させた指導を行うことが効果的であり、食に関する指導に当たっては、関係する教科等の取り組みを中心としつつ、地域や学校の事情に応じた栄養教諭等の専門性を有する教職員及び地域の有識者の協力を得るとともに、特別活動の一環として学校給食を実施する場合は、これを活用するなど、適切に行うことが重要であるとしており、これは本県のプランよりも踏み込んだ内容であると感じます。
県の推進プランに盛り込まれた高等学校における食育の充実は、高等学校学習指導要領の推進を図るものであると理解していますが、取り組みはまだ始まったばかりであり、現状は、年間数時間の食育に関する学習や、本年度十一月に発行された高校生向け学校食育の啓発資料などだけです。
また、本県の食育推進計画を作成し、その実施を推進する食育推進会議は、委員二十九人以内で組織すると条例により規定されていますが、高校関係者は含まれていないのが現状です。
本県では、ほかにも、教育委員会が平成二十四年二月に愛知県学校食育推進の手引を発行しており、愛知県の学校における栄養教諭を中核とした食育推進の基本的な考え方や、具体的な実践例などをわかりやすくまとめています。
一方、文部科学省の平成十九年三月発行、食に関する指導の手引は、まえがきにおいて、高等学校においても、食育の推進は必要であることから、本書も参考にしつつ、子どもの発達段階に応じて各教科において食に関する指導にあたられることを望むと、高等学校における指導についても触れています。
また、愛知県学校食育推進の手引策定の際に参考とされた神奈川県教育委員会が平成二十年三月に作成した学校における食育指導ハンドブックでは、高校生を含めた食育推進体制が示されており、児童生徒の食の課題を明らかにするとともに、学校や家庭における食育推進に資することを目的として、神奈川県内の小学生から高校生を対象に定期的に食生活実態調査を行うなどし、施策に役立てています。
先ほど申し上げた本県の学校食育推進の手引では、その中で高等学校については具体的に触れられておらず、高等学校でも生かせる内容が含まれているだけに、次回の改訂時には、切れ目のない食育の推進と、食の自立の準備期間としても重要な時期である高等学校まで対象が広がることを期待いたしております。
いずれにしても、高校生の食については、これまで国においても県においても、余り目が向けられてこなかったというのが実情だと思います。
そのような中、昨年十二月、今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議の最終報告が取りまとめられました。この会議は、文部科学省により設置され、今後の学校における食育のあり方について、今までの取り組み状況を踏まえつつ、中長期的な目標及びそれを実現するための具体的な事業や指導方法等について検討する有識者による会議であり、この取りまとめでは、スーパー食育スクールと食育の教科書が提唱され、二十六年度予算要求され、注目されています。
この中では、高等学校における食育についても提案がなされています。この取りまとめでは、これまで学校における食育は、給食を実施している小中学校を中心に取り組まれてきたが、今後はそれに加え、就学前と高等学校にも目を向けた一貫的な食育を考える必要があると提言されました。
また、当面の具体的な取り組みの一つであるスーパー食育スクールの提案の中では、現在の食育事業は小中学校が中心であり、高等学校における食育の取り組みは十分とは言えないと、これまでの学校における食育の課題に触れた上で、二十代、三十代の朝食欠食を改善させ、次の世代の親となる高校生の食育の取り組みを充実させることが重要であり、高等学校においても、スーパー食育ハイスクール構想も考えられるとし、さらには、高等学校は、地域や小中学校と連携する幅広い可能性を持っており、農業に関する学科、家庭に関する学科、総合学科などの特色を生かして、地域ブランドの開発や、地域の食文化の継承と発展の活動を行うことや、海外の学校との交流を促進し、国際的な視野を持ったグローバル人材の育成を図ることも可能であるとし、高等学校における食育についても記述されています。
こうしたことを踏まえ、次の点について伺います。
現在の県立全日制高校の食育への取り組み状況はどうなっているのでしょうか。また、その中での課題についても伺います。
次に、現在、高校生の食に関する実態調査はどのように行われているのでしょうか。また、それに基づく対策や指導指針の策定等、行うのかどうか伺います。
次に、県立全日制高等学校の学食の可能性について伺います。
食育は、これまで述べてきたとおり、学校においては給食を中心に行われてきました。一方で、通常給食を行っていない公立の全日制高等学校においては、食育への取り組みがおくれていることは否めず、先ほど述べたとおり、文科省の有識者会議最終報告においても、現在の食育事業は小中学校が中心であり、高等学校における食育の取り組みは十分とは言えないとされ、これまで学校における食育は、給食を実施している小学校を中心に取り組まれてきたが、今後はそれに加え、就学前と高等学校に目を向けた一貫的な食育を考える必要があると提言されました。
こうしたことから、さらなる食育への取り組みがこれから行われていくものと思いますが、そのような中、高校生の食の現場として考えるのは、学食であると思います。全国的に私立の高等学校では設置例のある学食ですが、他県の状況を調査したところ、全日
制公立高校でも設置例があるということがわかりました。
具体的には、県が高校の自主性を重んじ、無償で民間事業者や同窓会、PTAに場所を貸し、保健所の許可をとり、学食を運営している例が見られます。特に埼玉県では、学食を提供している公立高校が多く見られ、近年では、少子化等による生徒数の減少から民間事業者による運営は難しくなっているようですが、そうした学校においても維持に努力しているそうです。公の統計データはありませんが、全国に目を向ければ、ほかにもこうした公立の全日制高校も少なからず存在することがわかってきました。
そこで、本県の県立高校において、こうした学食運営の相談等が学校や関係者からあった場合には対応が可能かどうか伺います。
次に、道路の維持管理について質問します。
初めに、道路の維持管理のうち、県管理道路の路面清掃の取り組みについて伺います。
道路は、社会経済活動や地域の交流、日常活動の基礎となる社会資本であり、何よりも沿線に住んでいる人たちにとっては一番身近な社会資本として、維持管理に力を注いでいるところだと思います。
しかしながら、県が管理する道路を走ってみますと、路肩付近に堆積した土砂から雑草が茂っていたり、ごみや空き缶などが散乱している箇所が見受けられます。これは、危ない、汚いという印象を県民に与えるのみならず、安全面でも大変危険な状態であると考えられます。
自転車側が加害者となる歩行者との事故が社会問題となり、自転車は原則として、歩車道の区別のある道路では車道を通行しなければならなくなるなど、自転車走行時における対策がとられるようになっている現状を考えますと、自転車のスリップ事故につながるような危険性の放置は見過ごすことができないと思われます。
また、私の住んでいる渥美半島は、サーフィンの世界大会が開催される太平洋ロングビーチ、島崎藤村の叙情詩「椰子の実」のモチーフともなった花と潮騒、ロマンが香る伊良湖岬や恋路ヶ浜など多くの観光スポットがあり、現在、こうした観光資源を生かしながら、田原市の花でもある菜の花をキーワードに、県が管理する国道四十二号と国道二百五十九号によって渥美半島をめぐる渥美半島菜の花浪漫街道と銘打った取り組みを展開しております。
その中で、地域の方々が国道沿いに菜の花を咲かせたり、花壇をつくるなどしておりますが、交通量が多く、容易に取り除くことができない路肩付近にたまった土砂から雑草が茂るなどしており、せっかくの取り組みに水を差す状況も見受けられます。
このように道路の路面状態は、利用者の安全な通行、地域の美化や住民の生活環境に密接にかかわっていますが、県は、厳しい財政状況の中で維持管理レベルを見直し、ここ十年以上路面清掃車による清掃を中止していると聞いております。
しかしながら、路面清掃を初め道路の維持管理業務については、時代の流れや地域住民のニーズを踏まえ、財政事情が苦しい中でも知恵を絞って見直していく必要があるのではないでしょうか。
先ほど例で申し上げました私の地元では、今年度、市街地の国県道で試行的に路面清掃が行われ、住民の方から、まちがきれいになった、これなら胸を張って人を迎え入れられる等々、多くの喜びの声を聞きます。
そこで、路面清掃車による路面清掃については実施していくべきと考えますが、県では今後どのように取り組んでいくのか伺います。
最後に、道路維持管理のうち、道路標示について伺います。
本県における本年の交通事故死者数は、二月二十三日現在、四十人に達し、残念ながら全国ワーストワンとなっています。本県過去の交通事故死者数のピークは、死者数九百十二人を記録した昭和四十四年です。その後は年々減少傾向にあり、昨年の交通事故死者数は二百十九人で、一昨年より十六人減少しました。二位の兵庫県と三十二人差の全国ワースト一位であったのは残念ですが、着実に死者数を減少させていることに関しては、地道な交通安全対策が成果を上げているものと考えられ、今後とも継続的かつ着実に取り組んでいかなければなりません。
死者数に関しては、昭和四十四年のピークから大きく減少してきましたが、死傷事故件数、死傷者数においては、推移としては現在減少に転じているものの、いまだに死者数のピークであった昭和四十四年をも上回っており、さらなる努力が必要であると考えられます。
交通安全対策には、道路交通環境の整備等ハード面、また、交通安全思想の普及徹底等ソフト面での対策があり、いずれの取り組みも欠かせませんが、今回は道路標示について伺います。
県民生活に直結する交通安全対策である道路標示の適正な更新は、予算確保について、これまでも自民党会派として、都度その充実を求めてきたところであり、リーマンショック以降の厳しい財政状況の中でありながら、事業進捗が図られてきました。
来年度当初予算においては、過去五年間の当初予算と比較しても最も多い五億三千八百七十万円が見込まれ、さらなる事業進捗による交通安全の確保に期待いたしております。
一方で、更新目安である四年を経過したストック数は、平成二十五年三月末現在で一万七千八百九十一キロあり、全体の六七・三%と、まだまだ多くの箇所で更新が滞っており、これらを適正に更新するためには年間六千七百キロの事業量が必要となります。平成二十五年度における事業量が千六百八十五キロであることから考えても、更新の比率は約四分の一となり、更新箇所の選別が必要となっているのが実情です。
歩行者、自転車、車問わず、県民の誰もが日常的に最も身近に接する機会の多い道路標示について、引き続きの予算確保と適正な更新が求められますが、そこで、今後どのように事業進捗を図り、交通安全の確保に努めていくのか伺います。
以上、壇上からの質問といたします。(拍手)
46:
◯教育長(
野村道朗君) 高校生の食についてお尋ねをいただきました。
初めに、全日制高校の食育への取り組みでございますけれども、議員御指摘があったとおり、現在の学習指導要領では、学校における食育の推進について、家庭科を初め、保健体育科、特別活動などにおいても、それぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとなっております。
このため、家庭科では、食事の役割や栄養、調理に関する内容を一層充実させているところでございます。また、保健体育の授業やホームルーム活動の中で、望ましい朝食のとり方など、食に関する事項を取り扱っている学校や、市町村が主催をしております出前食育講座や調理実習などを活用している学校も見受けられます。
こうした学校の取り組みを支援するために、県教育委員会では、本年度、食育の教材として、間食、ダイエット、朝御飯について掲載をしたリーフレットを作成いたしまして、全生徒へ配付し、授業等でも活用してもらっているところでございます。
また、従来から開催をしております小中学校及び特別支援学校の食育推進者研修会に、本年度から新たに高等学校の教職員も参加できるようにしたところでございます。
議員御指摘のように、学校における食育は、これまで小中学校を中心に取り組んでまいりましたけれども、そこに高等学校も加えて一貫した食育を推進することや、学習内容を一層充実させていくことが今後の重要な課題でございます。
したがいまして、今後、高等学校におきましても、小中学校での食育について理解を深めるとともに、生涯を通じて食生活の向上に役立つ食育など、学習内容の充実にも努めてまいらねばならないと、このように考えております。
次に、高校生の食に関する調査についてでございますが、食育推進計画に基づいて、全日制高校の第二学年を対象に、朝食の欠食、バランスのよい食事及び就寝時間につきまして、毎年調査を実施しているところでございます。
小中学生に比べて朝食の欠食率が高いことなど、この調査によって得られた結果を踏まえて、本年度は、先ほど申し上げました高校生向けの食育リーフレットとともに、これを各学校の授業などで活用してもらうための教員向け手引も作成したところでございます。
しかしながら、高等学校での本格的な食育はまだ始まったばかりでございますので、取り組みの内容とか、力の入れ方などは学校によってさまざまでございます。
したがいまして、今後におきましては、食に関する実態調査や各学校での取り組みの成果などを踏まえまして、全ての高等学校で食育が充実して行われるようにするために、取り組みの指針となるようなものの策定についても考えていかなければならないと、このように思っております。
最後に、学食運営についての御質問をいただきました。
全日制高等学校の生徒の多くは、昼食として弁当などを持参しておりますけれども、昼食を持参していなくても、多くの学校では売店や立ち売りによりパン等の販売を行っております。
議員から御指摘がありましたけれども、他県の事例のように、同窓会等が運営する学食を校内に設置するということにつきましては、土地、建物の使用が学校運営上支障がないと判断される場合で、同窓会等により食堂施設及び調理設備を整備していただけるのであれば、対応は可能と考えております。
以上でございます。
47: ◯建設部長(平井雄二君) 道路の維持管理のうち、路面清掃についてであります。
本県の路面管理につきましては、道路を利用する人々が安全に通行できることを最優先とし、路面清掃車による清掃の中止後も、作業員の手作業により、部分的に路肩に堆積した土砂を除去するなどの清掃に努めてきたところであります。
しかしながら、車道の路肩を通行する自転車の安全な走行の確保や、身近な道路はきれいであってほしいという沿線の方々の声の高まりから、この路面管理の実施方法を見直す必要が生じてまいりました。
このため、来年度から、交通量の多い道路や地域の顔となる道路などの路面清掃車による清掃と、これまでの手作業による土砂の除去とを使い分けることで、交通量や地域状況など、道路環境に応じた効率的、効果的な路面管理に努めてまいりたいと考えております。
48: ◯警察本部長(木岡保雅君) 道路標示についての御質問にお答えをいたします。
横断歩道、停止線、はみ出し禁止等の道路標示の中には、耐用年数を超えているものも多いのが実情でございます。しかしながら、これらを全て更新するには多額の予算が必要となりますことから、一度に全てを整備することは極めて困難な状況にありますので、議員お示しのとおり、更新場所を適切に選別することが必要となってまいります。
そこで、私どもといたしましては、道路標示の摩耗等が交通事故の発生につながることがないように、更新整備に当たりましては、摩耗が著しく、緊急に更新する必要性が認められるものや、特に交通の安全の確保が必要な通学路、事故危険箇所などから優先して整備することとしておりますほか、道路管理者との連携をさらに強化し、道路補修等の際にあわせて事業を行うなど、効率的な整備に努めているところであります。
交通安全施設整備に係る予算につきましては、可能な限り速やかに執行するとともに、今後も必要な予算の確保に努め、交通環境の早期の改善を図って、道路交通の安全を確保してまいりたいと考えております。
以上でございます。
49: ◯八番(山本浩史君) 一点、道路維持管理について要望いたします。
維持管理は、修繕が必要な箇所をためればためるほど、その間の行政サービスは低下いたしますし、また、後々の費用負担も積み上げられ、最後はなかなか手がつけられなくなります。ぜひ今後とも計画的に、また、継続的に取り組んでいただきますよう要望いたします。
また、高校生の食について、特に学食については、現在、公立高校は、先ほど申しましたとおり、弁当が当たり前という感覚が一般的だと思います。もちろん、お弁当にはお弁当のよさがありますが、ほかにも
選択肢があるということを今回明らかにすることが目的の一つでもありました。
大変真摯な御答弁ありがとうございます。これからの高校生の食の充実に期待し、質問を終わります。
50:
◯議長(
久保田浩文君) 進行いたします。
いなもと和仁議員。
〔三十二番いなもと和仁君登壇〕(拍手)
51: ◯三十二番(いなもと和仁君) 二月定例議会一般質問の一番最後に質問する時間をいただきましたことを心より感謝の気持ちを込めて、以下二つの質問をいたします。
まず初めに、医薬品のインターネット販売についてであります。
良薬は口に苦し、毒にも薬にもなるといった薬にまつわることわざ、格言はたくさんあり、薬は我々の生活に不可欠なものであります。また、日本人ほど薬が好きな国民はなく、七十歳で一日平均六種類もの薬を服用しているとのデータもあります。飲む量が減るということは、症状が改善されたということでありますけれども、量が減ると不安になり、先生、わし、薬が減ったら不安で寝れえせんがね、もっとぎょうさん薬を出してちょうと言って、たくさんの袋いっぱいに薬を入れて持って帰る、そんな患者さんの姿を数多く見てまいりました。
議場の皆様におかれましても、今まで一度も薬を服用したことがない方は恐らくおみえにならないことと思います。今では、治療だけでなく、予防薬としても健康維持に大変重要なものとなっております。
かつて上映されました吉永小百合さん主演の映画「おとうと」では、昭和の時代の薬局が舞台となりましたが、ちょうどこの今の時期、寒い日にはストーブで芋や餅を焼き、お客さんはもちろん、近所の人も集まり、焼けた芋や餅を食べながら、薬や病気の相談だけでなく、よもやま話に花が咲き、地域の情報が集まるよろず相談薬局、パパママ薬局として長く地域医療にかかわってまいりました。
その後、日用品や食料品なども取り扱うドラッグストアや、病院、医院の処方箋を専門に調剤する調剤薬局などに薬局も営業形態を変えてまいりました。
そして、薬のインターネットでの販売が事実上解禁され、薬の販売方法がより大きく変わろうとしております。
一口に医薬品といっても、薬局、薬店で売られている一般用医薬品と、処方箋によって調剤される医療用医薬品に分けられます。今回は、薬局、薬店で売られている一般用医薬品、いわゆる大衆薬のインターネット販売について、数点お尋ねをいたします。
安倍総理のアベノミクスが目指す規制改革の目玉として、医薬品のインターネットでの販売解禁が挙げられました。市販薬のインターネット販売のルールを整備した上で、将来的には全面解禁を目指し、消費者が手軽に医薬品を購入できるようにすると同時に、インターネット上での商取引を促進し、日本経済の活性化につなげたいとの思惑でありました。
インターネット販売については、大手通販会社やドラッグストア、薬業界、消費者団体より、利便性や安全性の面からいろいろな意見が出されており、今回の質問では、そのいい悪いをお聞きするつもりはございません。
それでは、ここで、これまでの経緯をざっとお話しいたします。
これまで医薬品のインターネット販売は、ビタミン剤などに限られておりました。どんな医薬品にも常に副作用のリスクが存在するため、薬剤師によるアドバイスを受ける対面販売が安全だとされていたのがその理由であります。
二〇〇九年に施行された改正薬事法により一般用医薬品が三つに分類され、販売方法が変わりました。特に副作用のリスクが高い胃腸薬や育毛剤など約百品目を第一類医薬品、リスクが比較的高い風邪薬や鎮痛剤など約八千百五十品目を第二類医薬品、リスクが比較的低いビタミン剤や整腸剤など約二千九百三十品目を第三類医薬品とし、第一類医薬品は薬剤師のみ、第二類医薬品と第三類医薬品は、薬剤師または改正薬事法で新設された一般用医薬品を販売する資格を持つ登録販売者が販売できることになり、厚生労働省は、このうち、第一類医薬品、第二類医薬品を薬局での対面販売とし、インターネットでの販売を禁じてまいりました。
最高裁が昨年一月、第一類医薬品、第二類医薬品について、インターネット販売を一律に禁じた厚生労働省の省令を違法との判決を下し、これにより医薬品のインターネット販売は事実上解禁され、第一類医薬品と第二類医薬品についても、インターネットで販売されるようになりました。
一方で、冒頭お話ししたように、厚生労働省は、新たなルールづくりの検討に入り、第一類医薬品のうち、一般用としてのリスクが確定していないものや劇薬を除き、現在の一般用医薬品約一万一千二百品目のうち、九九%を超える医薬品がインターネット販売できるよう制度変更されるとのことであります。
次に、インターネット販売でのメリットとデメリットについてであります。
まず、メリットとして、購入する場所、時間の制限がない。これは、忙しくて店舗の営業時間内に行くことができない、近くに薬局がない人が、二十四時間いつでもどこにいても注文することができることであります。
また、水虫薬や妊娠検査薬、デリケートゾーンへの薬など、他人の目を気にしなくても購入できることなどが挙げられております。
デメリットは、当然ながら、誰もが気軽に購入できるようになるため、医薬品に関する情報が十分に提供されないことによる健康被害の発生や、違法サイトが広がり、にせ薬を買わされることなどが懸念されております。
例えば、海外で暮らした経験があり、現地で使用した医薬品を帰国後も引き続き使用したい場合や、日本で販売されていない新しい医薬品を入手したい場合などには、輸入手続をかわって行ってくれる輸入代行業者は大変助かるものであります。しかしながら、輸入代行と称していながら、実際には無許可で医薬品を輸入して、購入者に十分な情報を提供しないまま販売した結果、使用者に健康被害が生じた事例が幾つもあります。
国は、以前からインターネットを使って販売されている製品の買い上げ調査や、インターネット上で取り扱いがある無承認医薬品に関する情報を発信するなどして注意喚起に努めるとともに、疑わしいホームページを見つけた方に国等へ通報してもらう制度を設けて対応しておりますが、今後、インターネットを利用して医薬品を販売するサイトがふえていく中で、一般の消費者が誤って違法なサイトを利用してしまうことも容易に推測されます。
このような状況の中で、海外に目を向けてみますと、不正なインターネット販売サイトを識別するために、イギリスでは、全国薬剤師協議会が定めたルールを守っているネット薬局に登録してもらい、ロゴマークを発行し、そのロゴマークはそれぞれの販売サイトに表示され、消費者がクリックすると協議会サイトにつながり、本物かどうか確認できる登録認証システムがあります。
薬事法では、一般用医薬品の販売は、薬局、薬店の所在地の都道府県の知事の許可を取得した実店舗、実際の店舗で行うこととされ、インターネット販売でも、店舗に貯蔵、陳列している医薬品を販売することになっており、また、医薬品のインターネット販売には、郵便等販売の届け出も必要とされております。
この郵便等販売は、離島に住む人や、漢方薬の継続使用など、全国からの注文に応じて発送する販売方法として以前より行われており、消費者にも大変喜ばれております。
そこで、以下の点についてお尋ねをいたします。
まず、現状をしっかりと把握することが重要だと思いますけれども、現在の届け出状況はどのようになっているのか、また、今年六月十二日に施行されます改正薬事法では、従来とどこが変わるのか、さらに、法改正を受けて、今後県としてどのように取り組むのかお尋ねをいたします。
次に、訪問看護ステーションについてお尋ねをいたします。
四月からの診療報酬改定は、二〇二五年問題への対応が大きなテーマになりました。時々入院、ほぼ在宅の医療に向けた改革が本格的に動き出しました。
我が国では、いわゆる団塊の世代の方々が全て七十五歳以上となる平成三十七年に向け、高齢化が急速に進行し、特に高齢夫婦世帯、高齢者単独世帯がふえてまいります。
国の社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、平成三十七年における全国の七十五歳以上の高齢者人口は二千百七十九万人、全人口の一八・一%となります。また、世帯主が七十五歳以上の夫婦だけの世帯及び単独世帯の数は八百十七万八千世帯、これは、世帯主が七十五歳以上の世帯で、子供、孫などが同居されている世帯も含めた数である千百八十六万七千世帯の約七割になるとのことであります。
本県は、他県に比べ比較的若い世代が多い県ではありますが、今後、高齢化が大幅にふえていくことになります。これも国の推計でありますが、平成三十七年の愛知県の七十五歳以上の人口は百十六万六千人、平成二十三年に比べますと約五十万人増加、一・七七倍になるとのことであります。
このような状況の中、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して暮らしていくために、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が求められております。
そのため、本県でも、地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の取り組みを先導するモデル事業を来年度から実施することは、今後の高齢化対策に大変重要な施策であります。
高齢化が進行するにつれて入院される高齢者がふえてまいりますが、こうした方々が、病院での治療が終わり、住みなれた自宅へ戻りたいと希望された場合、自宅に医師が訪問して治療を受けられる診療所や、看護師が訪問して看護を受けられる訪問看護ステーション、ホームヘルパーを派遣する訪問介護事業所などの連携によって、在宅での療養生活を支える体制が、県内において、地域の実情に応じて整備されていくことは大変心強いものであります。
しかしながら、診療所は医療面での対応、訪問介護事業所は介護面の対応がそれぞれ中心であることから、訪問看護ステーションが医療と介護両方にかかわるものとして、今後その役割がますます大きくなると考えております。
昨年十二月二十日に、国の社会保障審議会介護保険部会においてまとめられました介護保険制度の見直しに関する意見におきましても、訪問看護は、地域包括ケアシステムの根幹をなすサービスの一つであり、特に医療ニーズのある中重度の要介護者が住みなれた地域での在宅生活を継続するための必須のサービスであると記載されております。
訪問看護は、訪問看護ステーションだけでなく、保険医療機関である病院や診療所の看護師も行っておりますが、介護認定を受けられているかどうかなどの状況によって、介護保険の適用、あるいは医療保険の適用、それぞれの場合があります。
例えば、介護認定を受けた高齢者の方の場合、ケアマネジャーがその方の主治医と相談しながらケアプランを作成し、訪問看護ステーションなどの看護師がそのケアプランに基づき、主治医の指示を受けて自宅を訪問し、できるだけ自宅で自立した日常生活が送れるよう看護を行います。そして、訪問看護ステーションなどに介護報酬が支払われるわけであります。
今後、医療と介護の連帯を進め、県民の方によりよい在宅医療、介護の環境を提供していくためには、訪問看護ステーションの充実とともに、あわせて、実際に在宅患者の看護にかかわっている看護師の確保や資質の向上を図っていくことがぜひとも必要であります。
そこでお尋ねをいたします。
まず、一点目でありますが、訪問看護を行っている訪問看護ステーションなどの現状、事業所数及びその利用状況はどのようになっているのか、また、看護師の確保や資質の向上のために県としてどのような対策を講じているのかお尋ねをいたします。
そして、二点目といたしまして、県が来年度から実施しようとしている地域包括ケアモデル事業の中に訪問看護ステーションモデルがありますが、このモデルにおいて、訪問看護ステーションがどのような役割を果たすことによって地域包括ケアシステムを構築されようとしているのでしょうか、お尋ねをいたします。
どちらも人の命に直接かかわる重要な問題であります。明快な御答弁を期待して、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
52: ◯健康福祉部健康担当局長(加藤昌弘君) 医薬品のインターネット販売についてお答えをいたします。
まず、インターネット販売の現在の届け出状況についてでございます。
ことしの二月十五日現在、電話やファクス、インターネットを使って医薬品の販売を行う郵便等販売の届け出があるのは、県内の全薬局、薬店四千二百二十二施設のうちの三百九十七施設、さらに、その中でインターネット販売を実施しているのは九十七施設でございます。
次に、薬事法改正により従来から変更となる内容についてでございます。
昨年十二月に薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律が成立し、ことしの六月十二日の法施行後には、新たなカテゴリーとして対面販売が義務づけられました要指導医薬品を除き、全ての一般用医薬品についてインターネット販売が可能となります。
今回の法改正により変更された点でございますが、まず、販売を行うインターネットのサイトには、従来から掲示すべき事項でありました店舗の名称や許可番号に加え、店舗内の写真や、販売時に勤務している薬剤師の氏名等を掲示することが義務づけされます。
また、実際に販売を行う際には、薬剤師等が医薬品を使用する方の状況に応じた情報を提供することや、購入者がその情報を理解した旨の連絡を受けてから医薬品の発送を行うことになります。
さらに、販売者には、電話により相談を受けるなどのインターネット以外の方法による相談体制の整備や、販売記録の作成及び保存を新たに求めるなど、一般用医薬品のインターネット販売のルールが改められたところであります。
次に、法改正を受けての本県の取り組みについてお答えをいたします。
県としましては、県民の方々の健康を守るとともに、安心してインターネットを利用して医薬品を購入していただけるよう、今回の法改正を踏まえ、適切に対応していく必要があると認識しております。
このため、法改正に伴う政省令が本年二月上旬に公布されたことを受け、実際に販売業者に対して指導等を行う保健所の担当職員への説明会を開催したところであります。
また、今月中にインターネット販売に関する国のガイドラインが示される予定でありますことから、詳細が判明次第、関係団体等への制度説明・周知を図ってまいります。
既にインターネット販売を行っている業者及び今後新たにインターネット販売を行う業者に対しては、適正な販売が行われるよう、インターネットサイト上の表記内容等の確認とともに、必要な指導を確実に行ってまいります。
なお、厚生労働省は、ホームページに、医薬品のインターネット販売を行う業者の
一覧を掲載することとしており、本県といたしましても、国と連携して、違法な事例に対しては速やかに改善指導を行うとともに、県民の皆様が違法な販売業者から医薬品を購入することがないよう啓発にも努めてまいります。
今後とも、県民の皆様の健康を守るため、新たなルールに基づいた適正な医薬品販売が行われるよう、監視、指導等に万全を期してまいりたいと考えております。
続きまして、訪問看護ステーションについての御質問のうち、現状と看護師の確保や資質向上対策についてお答えをいたします。
訪問看護ステーションの事業所数でございますが、介護保険制度が始まった平成十二年度末に県内で介護保険事業の指定を受けていた事業所は二百十カ所でございましたが、平成二十六年二月末現在、四百二カ所となっております。また、訪問看護ステーションと同様に、訪問看護ができる保険医療機関も三千四百五十七カ所から五千四十カ所に増加をしております。
利用状況につきましては、介護保険の実績分だけではございますが、訪問看護ステーションと保険医療機関を合わせまして、平成十二年度、約五十一万回であったものが、平成二十四年度には約九十五万回に増加をしております。
また、訪問看護ステーションに勤務する看護職員数については、平成十二年十二月末時点では九百九十四人でございましたが、平成二十四年十二月末時点では千九百七十人となっており、ほぼ倍増しております。
次に、訪問看護師を含めた看護師の確保対策でございますが、病院、診療所だけではなく、訪問看護ステーションへの再就職希望者も対象として、ナースセンターが行います無料職業紹介事業や看護職カムバック研修を実施しております。
また、訪問看護ステーションに勤務する看護師の資質の向上のための対策については、特に訪問看護で求められる退院後や終末期の患者に対する看護やケアの習得を目的に、人工呼吸器を装着した患者に対する対応などの実務研修を行っております。
さらに、訪問看護職員養成講習会において、在宅ケアマネジメントや急変時、終末期の看護等に必要な知識や技術について、講義や実習を行っております。
今後とも、訪問看護ステーションに勤務する看護師の確保や資質の向上に一層努めてまいりたいと考えております。
53: ◯健康福祉部長(伊藤輝明君) 私からは、地域包括ケアモデル事業における訪問看護ステーションの果たす役割についてお答えをいたします。
訪問看護ステーションモデルは、医療資源が限られている山間部などを想定しておりまして、医療と介護の双方にかかわる訪問看護ステーションを中心に、高齢者の在宅療養を支えていただくモデルでございます。
このモデルにおきまして、訪問看護ステーションには、主治医の指示のもと、日常的な医療処置を担うことによりまして、在宅医療提供体制を確保していただくとともに、地域包括ケアシステムの中でかなめとなります医療と介護の連携を図るために、在宅医療や介護サービスに携わるさまざまな職種が参加する研修会の開催などに取り組んでいただくことにしております。
さらに、市町村や地区医師会と連携をして、地域包括ケア全体のマネジメントを行っていただくことによりまして、医療資源の限られた地域においても、地域包括ケアシステムの構築が着実に進められるようにしてまいりたいと考えております。
なお、ほかのモデルにおきましても、それぞれ訪問看護ステーションの役割は重要でございますので、各地域における関係機関との連携をしっかりと図り、地域包括ケアシステムの構築が円滑に進められるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
54: ◯三十二番(いなもと和仁君) それぞれ前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。
それでは、一点要望させていただきます。
厚生労働省の調査では、調査の対象となった一般用医薬品をインターネット販売している二百一のウエブサイトのうち、四割が薬の相談に応じていないということがわかりました。
具体的には、サイトに記載された相談先の電子メールアドレスに薬について相談したものの、四一・三%のサイトから回答がなく、二〇一〇年度調査の無回答二六%、二〇一一年度の三四・三%より対応が悪化しているとの報告でありました。
一般用医薬品による副作用が疑われると報告された事例は毎年二百五十件前後あり、五年間で千二百二十件ありました。これらの報告された事例は、一定以上の重い症状のものであり、死亡例も五年間で二十四件報告されております。
この数は、実際に店舗で専門家のアドバイスを受けても起こった事例であり、インターネット販売の普及により今後ますますふえることが危惧されます。医薬品の購入に際し、安易に購入するのでなく、医薬品の怖さを考え、賢い消費者になることが必要であります。
最終的には消費者の自己責任ということになりますが、県民が安全に医薬品を購入できるよう、さらに監視・チェック体制の強化をしていただくことを要望して、質問を終わります。
55:
◯議長(
久保田浩文君) 以上で一般質問を終結いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
56: ◯三十九番(
原よしのぶ君) 本日はこれをもって散会し、明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
57:
◯議長(
久保田浩文君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
58:
◯議長(
久保田浩文君) 御異議なしと認めます。
明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は
文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十五分散会
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