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  1. 愛知県議会 2013-02-01
    平成25年2月定例会(第7号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成25年2月定例会(第7号) 本文 2013-03-08 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 99 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 2 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 3 :  ◯六十五番(神戸洋美君) 選択 4 :  ◯環境部長(西川洋二君) 選択 5 :  ◯六十五番(神戸洋美君) 選択 6 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 7 :  ◯七十六番(伊藤勝人君) 選択 8 :  ◯県民生活部長大野明彦君) 選択 9 :  ◯七十六番(伊藤勝人君) 選択 10 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 11 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 12 :  ◯地域振興部長近藤正人君) 選択 13 :  ◯県民生活部長大野明彦君) 選択 14 :  ◯副知事(片桐正博君) 選択 15 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 16 :  ◯地域振興部長近藤正人君) 選択 17 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 18 :  ◯五番(藤原宏樹君) 選択 19 :  ◯産業労働部長(木村聡君) 選択 20 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 21 :  ◯二番(稲垣昌利君) 選択 22 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 23 :  ◯二番(稲垣昌利君) 選択 24 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 25 :  ◯二十二番(安藤正明君) 選択 26 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 選択 27 :  ◯二十二番(安藤正明君) 選択 28 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 29 :  ◯十二番(野田留美君) 選択 30 :  ◯農林水産部長(中野幹也君) 選択 31 :  ◯十二番(野田留美君) 選択 32 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 33 :  ◯三十二番(市川英男君) 選択 34 :  ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 選択 35 :  ◯三十八番(川嶋太郎君) 選択 36 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 37 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 38 :  ◯議長(小林功君) 選択 39 :  ◯二十四番(近藤ひろひと君) 選択 40 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 41 :  ◯二十四番(近藤ひろひと君) 選択 42 :  ◯議長(小林功君) 選択 43 :  ◯三番(日比たけまさ君) 選択 44 :  ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 選択 45 :  ◯三番(日比たけまさ君) 選択 46 :  ◯議長(小林功君) 選択 47 :  ◯二十五番(飛田常年君) 選択 48 :  ◯農林水産部長(中野幹也君) 選択 49 :  ◯二十五番(飛田常年君) 選択 50 :  ◯議長(小林功君) 選択 51 :  ◯十四番(鈴木まさと君) 選択 52 :  ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 選択 53 :  ◯十四番(鈴木まさと君) 選択 54 :  ◯議長(小林功君) 選択 55 :  ◯四十三番(青山省三君) 選択 56 :  ◯産業労働部長(木村聡君) 選択 57 :  ◯四十三番(青山省三君) 選択 58 :  ◯議長(小林功君) 選択 59 :  ◯十九番(西久保ながし君) 選択 60 :  ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 選択 61 :  ◯十九番(西久保ながし君) 選択 62 :  ◯議長(小林功君) 選択 63 :  ◯七十一番(高橋正子君) 選択 64 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 65 :  ◯議長(小林功君) 選択 66 :  ◯六十三番(峰野修君) 選択 67 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 選択 68 :  ◯六十三番(峰野修君) 選択 69 :  ◯三十九番(坂田憲治君) 選択 70 :  ◯議長(小林功君) 選択 71 :  ◯議長(小林功君) 選択 72 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 73 :  ◯四十九番(みやけ功君) 選択 74 :  ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 選択 75 :  ◯四十九番(みやけ功君) 選択 76 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 77 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 78 :  ◯農林水産部長(中野幹也君) 選択 79 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 80 :  ◯農林水産部長(中野幹也君) 選択 81 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 82 :  ◯五十番(岡江智子君) 選択 83 :  ◯産業労働部長(木村聡君) 選択 84 :  ◯五十番(岡江智子君) 選択 85 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 86 :  ◯十五番(犬飼明佳君) 選択 87 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 88 :  ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 選択 89 :  ◯十五番(犬飼明佳君) 選択 90 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 91 :  ◯五番(藤原宏樹君) 選択 92 :  ◯企業庁長(中野秀秋君) 選択 93 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 94 :  ◯三十六番(浅井よしたか君) 選択 95 :  ◯教育長(野村道朗君) 選択 96 :  ◯三十六番(浅井よしたか君) 選択 97 :  ◯三十八番(川嶋太郎君) 選択 98 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 99 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯副議長(澤田丸四郎君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予       算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結       についてまで 2: ◯副議長(澤田丸四郎君) 第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結についてまでを一括議題といたします。  この際、第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  神戸洋美議員。 3: ◯六十五番(神戸洋美君) 私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費における環境学習等行動計画の推進についてお伺いします。  環境問題と私たちの暮らしや産業活動は密接につながっています。  例えば、私たちは日々の暮らしの中で、食事、洗濯、入浴などで水を使い、生活排水を出します。また、いろいろなものを消費し、生ごみから粗大ごみなどさまざまなごみを出します。さらには、冷暖房や自動車などの使用にエネルギーを消費し、直接あるいは間接的に温室効果ガスの二酸化炭素を排出します。そして、自然の魚や木材を消費することで生物多様性にも影響を与えています。  こうした環境に与える影響は、産業活動ではさらに大きく、日本一の物づくり県である本県にとって環境問題は大変重要な問題であると考えております。  したがって、環境問題を自分たちの問題として捉え、私たちに何ができるかを私たち一人一人が考え、何よりもみずからの行動に結びつけていくことが大切です。  このため、愛知県では、東大手庁舎内にあるあいち環境学習プラザや愛・地球博記念公園内のもりの学舎といった環境学習の拠点施設を整備し、環境学習講座や自然体感プログラムを行うとともに、ウエブページによる環境学習情報の発信、あるいはNPOやボランティア団体が実施している環境学習や環境保全活動への支援など、さまざまな取り組みを進めてこられましたが、まだまだ十分ではないと私は思います。  こうした中で、平成二十三年六月に、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律、いわゆる環境教育等促進法が改正公布されたことから、愛知県では、この二月に全国の自治体で初めて環境教育等促進法に基づく行動計画として、愛知県環境学習等行動計画を策定、公表されたところであります。  折しも、来年の平成二十六年十一月には、環境学習、環境教育を主要なテーマの一つとして、持続可能な社会の担い手づくりについて話し合うESDユネスコ世界会議が愛知県で開催されます。この世界会議の開催地として、愛知県は、こうした持続可能な社会を目指して、みずから進んで環境問題に取り組む人づくりを進めていくことが求められています。  私は、幼児教育の現場にも携わっておりますが、感受性が豊かな幼児期に、自然との触れ合い体験を初めとするさまざまな体験を通して、自然に対する感性や環境を大切に思う心を培うことが大切だと考えております。
     幸い、私どもの園では、南に庄内川、西に神社があり、緑の多い環境ですので、恵まれた自然の中で以前から環境教育を行ってきました。三十年前の幼稚園周辺は、田んぼや畑ばかりで、四季折々の自然に触れながら過ごしました。  春になれば、花壇のダンゴムシを捕まえ、堤防での草すべり。梅雨時になれば、カエルの大合唱を聞き、隣の神社でカタツムリ探し。夏は、庄内川の河原で遊び、ザリガニをとりに出かけました。秋は、神社でドングリや枯れ葉を拾い、冬は園庭の桜のつぼみが寒さに震えながら、やがて来る春を待っている様子を観察するなど、園児が自然との触れ合いの中で自然への感性を育み、生き生きと育っていく姿を見ますと、環境学習は大変大切だと実感しております。  ところが、園周辺も区画整理事業によって、田んぼ一面だった景色は住宅地に変わり、堤防も補強工事や草刈りで整備され、自然環境は変化してきました。隣の神社も以前、ホームレスがしばらく住みついたことがあり、奥まで一目瞭然となるように、鬱蒼としていた木々が伐採され、わずかとなってしまいました。安全整備は必要なことですが、子供たちにとって大切な自然体験の場が失われつつあります。  食べ物も同様です。昔は、周囲の自然から、キュウリやナス、米などがいつ収穫できるのか、また、とれたての野菜や果物を味わう感動がありました。我が園も畑を借りてサツマイモを栽培しています。六月にサツマイモの苗を子供たちと植えますが、上手に植えることができず、後からもう一度植え直しで、二度手間だと職員からブーイングが起きます。でも、いつ植えて、いつ収穫できるかを体験させたいのです。  今はスーパーマーケットに行けば、一年中野菜や果物が並び、四季の移り変わりがわかりません。自分たちで育てるからこそ味は格別ですし、残さず食べるという食育にもつながります。  最近は、子供だけでなく、若い保護者の方々もファミコンゲームで育ってきた世代であるため、かなりの方が自然体験をされておりません。そこで、我が園では六年前から、親子で森の探検をしようと、NPO法人の森づくりの会の皆様の御指導をいただき、毎年十一月に出かけています。山道を歩き、おいしい空気を胸いっぱい吸い、葉っぱやドングリを拾う。でも、これらの木々も手入れをしなければ森が荒れてしまい、自分たちの生活にも影響を及ぼすということを親子で理解してもらうことが環境教育につながります。  アンケートからは、特に御両親の感動が伝わってきます。幼いころの体験は一生忘れないものですし、大自然から与えられた美しい環境を次世代に伝えていくためにも環境学習は重要です。  今、幼いころの自然体験の大切さについて述べましたが、自然体験に限らず、日々の暮らしや産業活動における環境とのかかわりについて、みずから考え、みずからの問題として環境問題に取り組んでいくためには環境学習は大変重要だと考えております。  このたび、県が作成されたこの計画の持つ意味は大変大きいものがあり、県としてもそうした思いで策定されたと思います。  そこでお伺いします。  第一点目として、愛知県環境学習等行動計画では、環境学習等を推進するため、どのような点に力を置いているのでしょうか。  第二点目として、この行動計画の内容をどのように実現していくかが重要であり、行動計画の取り組みを推進していくための体制はどのようになっているのかお伺いします。 4: ◯環境部長(西川洋二君) 愛知県環境学習等行動計画に関し、御質問をいただきました。  まず、その力点でございます。  この計画は、御質問にもございましたように、全国の自治体で最も早く策定し、愛知県の地域づくりを進める上で大変大切と考えております。環境意識の高い人、環境に配慮した地域づくりを実践する人を育てることを狙いとしたものでございまして、地域における環境学習の推進、学校における環境教育の推進、そして、推進主体の連携・協働の強化の三つを取り組みの柱としているところでございます。  このうち、実際に活動しておられるNPO、学校などの関係者の方々からは、推進主体の連携、協働が活動の普及のために特に重要だと指摘されておりまして、この計画ではこの点を重点取り組みとしております。  具体的には、県として、さまざまな団体の活動内容をウエブページで広く提供し、参加希望者への情報提供とともに、団体相互の交流、結びつきを促進してまいりますし、来年度には、東大手庁舎にございますあいち環境学習プラザに相談業務、テーマに沿った講師の派遣、活動場所の紹介等を行うコーディネーターを新たに設置し、例えば、環境の専門家を求める学校と専門家のいるNPO、企業とのマッチングを行うなどの取り組みを進めることとしております。  また、行動計画では、活動の内容として、座学ではなく、議員御指摘のように、自然体験などの体験型の学習活動を重視しておりまして、県が設置しております愛・地球博公園内にございます自然体験の学習拠点でございますもりの学舎などの取り組みを推進していくこととしております。  さらに、来年のユネスコ世界会議を念頭に置きまして、ESDの理解を深めることを目指し、ESDの視点を取り入れた地域活動や、学校における教育活動の促進とともに、ユネスコスクールの普及に力を入れていくこととしております。  次に、その行動計画の推進体制という点でございます。  行動計画を策定し、その推進をフォローしていくため、事業者、NPO、市町村、学校関係者、そして、学識経験者等から成ります愛知県環境教育等推進協議会という組織を設置いたしておりますので、その協議会が中心となりまして、それぞれの主体の取り組み状況をアンケートなどで毎年把握、評価し、県内における環境学習、環境教育の現況をしっかり見きわめながら、行動計画を着実に推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 5: ◯六十五番(神戸洋美君) ただいま御答弁をいただきました。  連携、協働の強化は大変重要な取り組みであると思います。テーマに沿った講師の派遣ですとか、コーディネーターを設けるということでありましたので、ぜひそういうところに力を入れていっていただきたいと思っております。  私たち幼稚園でもそうなんですけど、森の探検ができるのは、日本山岳会の方たち、専門家のインストラクターですとか、そういう方たちがいらっしゃるからこそその活動ができるわけでありまして、本当にそういう間を取り持って、コーディネーターの方、また、専門家の方のきちんと御意見を聞いてやっていくということは本当に確実な学習になっていくと思います。  また、協議会が中心になって、アンケートで状況を把握しながらということでありましたので、ぜひ子供たちの置かれている状況をよく知った方々に環境学習の講師として来ていただいて、また、効果的な学習環境ができるのではないかと思います。  また、先ほど言いましたように、コーディネーターについては、地域や子供たちの年齢に応じたきめ細かな運用をしていただいて、そして、子供たちが本当に自分たちの意識の中で、環境って大事なんだ、自分たちがちゃんとやっていかなきゃいけないんだということが、本当にお仕着せではなく自然な形で心の中に芽生えていくような、そんな学習を目指して努力をしていただきたいと思います。  私も現場におる人間でありますので、そのこともしっかり自分も力を入れながら努力をしていきたいと思います。  以上、要望して終わります。 6: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  伊藤勝人議員。 7: ◯七十六番(伊藤勝人君) 第四款県民生活費第二項文化学事振興費第三目陶磁美術館費についてお尋ねをいたします。  陶磁資料館は、昭和五十三年六月に開館をして、古代から現代までの愛知の焼き物と日本陶磁の歴史、その歴史と関連深い外国陶磁器をも鑑賞できる日本有数の陶磁専門の施設であります。  これまで、歴史的、美術的に貴重な陶磁資料を収集、保存するとともに、展示事業として、陶磁の歴史を知るための常設展示を初め、日本の代表的な陶磁をテーマに沿って展示する特別企画展や、外国陶磁、現代陶芸などを紹介する企画展を年に数回開催するなど、県民の皆様に鑑賞の場を提供しております。  また、施設は、本館、南館、西館の展示施設、陶芸館、古窯館、茶室があり、展示面積や収蔵資料において、国内の主要な類似施設の中では最大規模の施設となっております。  にもかかわらず、こうした中、入館者数は開館十六年目の平成六年に初めて十万人を超え、平成七年度には十二万八千五百七十人となりましたが、生活様式の変化や近年の厳しい社会経済情勢により、平成七年度をピークに平成二十年度は七万三百四十人まで落ち込みました。  このため、陶磁資料館では、入館者の増加を図るため、さまざまな方策に取り組まれ、平成二十三年度は十万三千三百八十六人となっております。  ところで、私は、以前、有田焼の偉いお方にお会いをしたときに、瀬戸の隣から参りましたとお話ししたところ、御説明に窮します。有田の焼き物は、茶わんをたくさんつくって、それが海外へ渡って、世の中の変遷を経て残ったのが有名になった。瀬戸の焼き物のほうが芸術性は高いと謙遜を含めてへりくだって言われたことがあります。目からうろこでありました。  以来、この陶磁資料館を見る目が変わりました。こんないい施設があることをもっと県民の皆さんや、国内はもとより海外にも発信しなければならないと改めて思ったところです。  陶磁資料館は、ことし六月に開館三十五周年を迎えることから、六月一日から愛知県陶磁美術館に名称を変更することになっております。また、六月一日の三十五周年記念式典では、記念講演会の開催や、現在公募しております愛称とマスコットキャラクターのお披露目などを行うと伺っておりますが、記念式典に係る予算はいかほどのものか、またその内容は、お尋ねをします。  そこで、間もなく陶磁美術館となる陶磁資料館の発展を願い、提案をいたします。  陶磁資料館では、現在三月十五日締めで愛称とマスコットキャラクターを公募しておりますが、選定したマスコットキャラクターを陶器で作成して、お土産グッズとして販売してはいかがなものかと思いますが、当局の御所見を伺います。  次に、美術館になるのを機会にもっと多くの人に知ってもらうために、発信力のある人、例えば、中島誠之助さんのような著名人に名誉館長に就任していただいて、「なんでも鑑定団」を誘致する、そんなことも発信力として強くなってまいりますので、さまざまな企画やサプライズを考えながら物事を進めていってほしい、そう思うがゆえに当局の御所見を伺っておきます。 8: ◯県民生活部長大野明彦君) 陶磁資料館に関する御質問のうち、まず、開館三十五周年記念式典の開催経費についてお答えいたします。  二十五年度予算として百五十四万八千円を計上しており、六月一日の記念式典、講演会の開催に要する経費のほか、愛称、マスコットキャラクターの選考や、そのデザイン化に要する経費が含まれております。  なお、式典当日には、茶会などにぎわいのある記念イベントを開催する予定としており、県民の皆様には、名称変更して新しく生まれ変わる陶磁美術館にお出かけいただきたいと考えております。  次に、陶磁資料館の活性化の取り組みのうち、まず、陶器製のマスコットキャラクターの作成についてお答えいたします。  マスコットキャラクターは現在公募中であり、その選定は四月下旬を予定しておりますが、まずは皆さんから親しまれるキャラクターを選定することが大切であると考えております。  陶器で作成できるかどうかは、選定されたデザインにもよりますが、立体化できるものであれば陶器製のグッズとしても販売し、普及できればよいと考えております。  デザインが決まりましたら、採算性なども含めて、その可能性について検討してまいりたいと考えております。  続きまして、著名人の活用による情報発信についてお答えいたします。  陶磁資料館では、館の活性化と魅力度アップを目指して、平成二十二年度から三カ年計画のにぎわい創出プロジェクトを進めております。  これまで、魅力ある企画展の開催、南館の子供向けリニューアル、地元陶芸作家コーナーの設置、毎月第三日曜日を陶芸ふれあい体験日として、月がわりでテーマを設定した陶芸教室の開催、周辺文化施設や大学等との連携事業の実施などのさまざまな取り組みにより、平成二十年度に約七万人であった入館者が、平成二十三年度には十万人まで回復し、今年度も同水準が見込まれるなど、一定の効果があらわれております。  今後も引き続きこうした取り組みを充実させ、六月の名称変更を機に、より一層県民の皆様に親しまれる施設にしたいと考えております。  こうした中、議員から御提案のあった著名人の活用については、地元陶芸界の意向や条件面などの課題もありますので、今後研究してまいりたいと考えております。 9: ◯七十六番(伊藤勝人君) 百五十四万八千円、多いんですか少ないんですかね。これで何をなさろうと思っておられるのかちょっとわかりません。  そして、今、グッズの提案をしました。そこの中で、立体化できるかできないかというものを見ながらというお話でありました。  ガンダムもゲゲゲの鬼太郎もさまざまな世の中に出回っているグッズなんていうのは、最初は平面で描かれた絵ですよ。ましてや、陶芸をなさっているような方々が平面のものを見て、陶芸なんてものは全ては立体的なものでしょう、見て、それを立体的なものにできないなんて話は、僕はないような気がしています。一つのアイデアとして物を言いました。  百五十四万円の予算を組んで物事をなさろうとする発想の中では、そんなユニークと言われるとそれまででありますけれども、そんな発想をできないのかなということを思っています。ぜひぜひやってみてください。何かをしていかないと、先ほどの数字の中でも申し上げましたけれども、何百何十人までを数字として入場者がありましたという答えを出さなくてはならない、最後の数字まで出さなくてはならないような来場者じゃないですか。ファンの一人として、もう少しにぎわいのあるような、多くの方々に来ていただけるようなアイデアを、アイデアというのはお金がかかりませんから、出していっていただければということを思っています。  そして、採用された方の中から一名様に、著名陶芸作家、加藤清之さんの作品を贈呈というのがありますね。すばらしいアイデアじゃないですか。好事家にとっては、もう固唾をのむようなすばらしいことじゃないですか。が、じゃ、今ここにおられる皆さん方でそのことを御存じの方ってどれほどありますか。発信力が弱いということを言わざるを得ないと思うんですね。それも全てがアイデア不足ではなかろうか、そんな思いを抱いています。  せっかく三十五年のイベントをなさる、名前も資料館から美術館に変更されるということでありますので、知事、財政担当者、今少し愛知県が持っているすばらしい施設としての陶芸の今の資料館を美術館になさっていくということでありますので、もっと大きなことを言えば、モリコロや、あるいはトヨタさんの自動車のすばらしい展示場を含めて、今この議会の中で一番にぎわしているリニモの問題までを含めていきますと、あのあたり一帯へ人が大勢来ていただけるような企画を考えていく。  先般ありました、自動車の免許証の受け取れるところが平針から向こうへという話があって、突然平針で建てかえるような話にもなってきました。もっともっと、リニモを愛知県が第二の桃花台線にしないようにするというトータルで部局横断的に物を考えていけば、一つの起爆剤として、美術館にしていただいたということがあるじゃないですか。もっともっとあのあたりを大きく捉えていただいて、さらに愛知県が、知事がおっしゃっている発信をもっともっとしていただくように御要望申し上げて、終わります。 10: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  筒井タカヤ議員。 11: ◯百三番(筒井タカヤ君) 歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、リニモについて、さらに第四款県民生活費第二項文化学事振興費のうち、愛知芸術文化センターについて、順次質問してまいります。  まず初めに、リニモの赤字の債務保証について、債務保証は県のほうでなされる、これについてただしてまいります。  御承知のとおり、リニモは、名古屋市藤が丘から愛知万博跡地、愛・地球博公園を通り、八草までを往復する磁気浮上式の交通機関であります。  こうした地域性から、名古屋市名東区と長久手市は隣接地域でもあり、人と物との交流関係、利害関係も含めて極めて深い関係にあります。  これまでの長久手市議会における議会の議事録を見て、今でも長久手市議会で話題となっているリニモ赤字の際の県の債務保証について、率直に質問してまいります。  リニモについては、今議会の一般質問において、地元出身の同僚議員でもあります石井芳樹議員が詳細に質問もなさっておられ、私自身も石井議員の質問への真剣さと詳細な資料に基づく内容の深さには一目置き、感心いたした次第です。  ただ一点だけ、石井議員があえてストレートに表現されなかった点に絞り、質問します。  この議場にお座りの片桐副知事にお尋ねいたします。  平成十三年、当時は長久手町の参事として長久手町の第一回定例会三月議会において、小池みつ子議員が、リニモが営業を始めて赤字が出るようになったときの債務保証の質問をされています。当時の町長に対する質問に答弁されたのが、当時長久手町参事であった片桐氏です。現在の片桐副知事です。  その答弁の議事録の全文をここで申し上げます。   愛知高速鉄道につきまして、赤字が出た場合に、責任  割合について、あらかじめどういう話し合いをしている  かというお尋ねでございます。   もともとこの事業は、先ほど公室長が説明いたしまし  たように、将来黒字転換するという前提のもとで事業が  計画されております。   したがいまして、現時点で赤字になった場合、誰がど  れだけの責任を負うかという話し合いをしておりませ  ん。   当然、黒字になるよう関係者一丸となって経営ができ  るかどうかのチェックが軌道法の手続許可、特許の手続  の過程でされていくものというふうに考えております。   それから、もう一点、債務保証についてのお尋ねがご  ざいました。   債務保証については、会社が任意で建設のための資金  を借り入れるわけですけれども、これについての債務保  証は県のほうでなされるものというふうに思っておりま  す。  以上、長久手町議会における答弁であります。  一番最後のくだりを問題として、今に至る長久手町議会から長久手市議会でもさらに議論が続いています。  片桐副知事は、当時参事として出向いておられて、町議会で債務保証は県のほうでなされると発言なさっておられます。この言葉はどのように理解したらよいのかと私はいろいろと思案を重ねました。  一つの考えとしては、リニモが赤字になったら全面的に県が負担するものかとも考えられる。この理解の仕方がごくごく普通だと思われます。  ある一面では、県が債務については考えてくれるとも推測しました。片桐副知事が、御自身がかつてなされました発言でありますので、御本人から詳細な御所見をもって、質問にお答えをいただきたい。  私の質問は、再度申し上げますが、当時の平成十二年に、県から出向されておられた片桐参事が明確に、債務保証は県のほうでなされるという答弁があったから、当時の町議会も安心、納得したんです。それが今、県のほうで債務保証をしてくれないこともあって、小さな長久手市の財政を圧迫していることを御理解いただきたい。県が責任を持って決着をつけてほしいと述べているのです。  県当局の責任者からの明確な答弁を求め、質問を終えます。  次に、リニモの沿線開発について質問します。
     石井芳樹議員の質問において、県農業総合試験場の北側を宅地開発することでもって居住人口をふやす案件について話がありました。  県職員の考える案とは、八百戸ほどの中規模の宅地開発でもってよしとすることに失望でいっぱいであります。  石井議員が言うまでもなく、公共の土地を提供、開発して住宅をつくったら、長久手市及び近隣の日進市における土地区画整理事業の住宅開発に対し悪い影響を与える、それ以外何物でもない、実にばかげた話をこの本会議場でもって平気で語る部長がここにいることこそが問題であるのです。もっと地域に合った素案を考えていただきたい。  平針の運転試験場の長久手市への移転の案を議会で語っていながら、どこかのゼネコンやコンサルタントの提言でもって、地元の長久手市や天白区関係者に十分なる意見も聞かず、PFI構想に飛びつく今の愛知県は、どこか間違っていると思っているのは私一人ではないと信じます。  愛知県は、みずから考えることをしなければだめになってしまいますことをあえて苦言をもって申し上げます。  リニモ沿線の開発には、各種の病院、団地構想等があってもいいのではないかと思います。  一つに、上下水道と道路等の公共施設は、長久手市に一部負担していただく。特に、名古屋市内の中規模も含む病院では、老朽化が進んで対応にも困っている医療機関が多数あります。  県が述べておられた、県有地等も含めて、低い土地代金で賃貸しして、相当数の医療施設を集中させる、さらに高齢化による総合リハビリ施設等も充実させるように、長久手市、名古屋市、医療機関に呼びかける提案です。  今の医療施設を売却すれば、さらに充実、拡大する医療施設が誕生することにつながることは、私は大いに期待します。  ここで問題となってくるのは、医療圏域の問題です。  この場合、移動した医療機関については、もともと存在していた医療圏域に特別に帰するということに配慮すれば可能なことだと考えます。問題となることがあれば、じっくりと時間をかけて解決していけばよいのではないでしょうか。  そこでの前提は、土地を採算ベースに見合う特別に配慮された土地の賃料が大前提であることを申し添えます。  一つの提言として御検討いただけますでしょうか。  以上です。  次に、愛知芸術文化センターについてお尋ねします。  一つ、天井の安全対策。  愛知芸術文化センターの劇場施設についてお聞きします。  まず、ホールの天井の安全対策です。  一昨年の東日本大震災では、各地のホールで天井が落下する被害が相次いだと聞いています。全国の国立文化施設が加盟する全国公立文化施設協会の調べによると、東北三県のホール九十三館のうち、十九館で天井落下の被害があったと言っています。  また、こうしたホールの天井落下の被害は、東北のみならず首都圏まで広がっています。  こうした施設は、大勢の観客が一度に集まる場所であるだけに、例えば、公演の最中などに地震があり、天井が崩落すると大変なことになります。  現在、つり天井などには法令の基準がないこともありまして、国も東日本大震災における被害を重く見て、新たな天井脱落対策を検討していると聞いていますが、それがどのようなものかについてお尋ねします。  こうした中で、愛知芸術文化センターのホールの天井は大丈夫だろうかと心配する声も耳にしています。私自身も心配するうちの一人です。  そこでお尋ねします。  こうした状況を踏まえ、愛知芸術文化センターのホールの天井について、地震の際の安全性についてどのように考えているのか、また、もし対策が必要であるのであれば、来年予算でどのように対応するのか、そして、その対策を行えばどの程度の地震まで天井落下の被害は出ないのかお尋ねします。  東海・東南海地震も含めての対策についてであります。  二つ目、劇場施設の今後のあり方についてです。  劇場の使い勝手についてお尋ねします。  愛知芸術文化センターの芸術劇場は、利用率も高く、多くの県民の皆様に親しまれている施設でもありますが、もう少し使い勝手がよくならないかと感じるところがいろいろあります。  例えば、ホールの座席の椅子の位置が互い違いになっておらず、前後でそろえてあるため、前が小柄な人であればよいが、少し体格のよい人が来ると前がよく見えません。  最近では、若者の体格も著しく向上しており、観客に若い人の多い公演でも前が見えないようなことが多くあります。  さらに、愛知芸術文化センターには、外国のオペラやコンサートが多いが、こうした公演は外人のお客様もたくさんいらっしゃいます。こうした舞台公演は、チケットの価格も高額なことが多く、高いチケットを買い、楽しみにしていた公演で、大柄な外人の方が前にいると、みずからの運の悪さを嘆くのみであります。  こうした不快な思いをさせずに公演を楽しんでいただける座席に改善すべきであると思います。  このほか、大ホールには女性トイレが少な過ぎることに加えて、出入り口付近にあるため、行列が出入り口近くまで来ることが数多くあり、みっともないと思っております。トイレの増設や位置の変更など、検討すべきではないかと思います。  さらに、安全上の観点から、大ホールは避難路やホワイエが狭く、公演後に観客が一斉に動いたときにはすし詰め状態になるし、また、出口から出たらすぐの場所にあるフォーラムにある階段が手すりもなく、大勢の観客が動いたときに将棋倒しになったりする危険が大変あります。ここはスロープに改善されるべきだと思います。  観客の観点から見たときに、このように改善すべきと思うところがたくさんあります。こうした改善はどれも大きな改築になるので、容易にはできないと思いますが、計画を立てておかないと進んでいかないので、利用状況や財政状況を勘案しながら考えてほしいと思っています。  そこで、例えば十年後、二十年後に向けて、快適に安全な施設に改修していくことについて、どのように考えているのかお伺いします。  三番目、防災訓練についてです。  先日、愛知芸術文化センターが消防署と合同で避難訓練を実施したという新聞が掲載されていました。記事によると、はしご車やヘリコプターも出動しての大規模な訓練であったと、こういう報道をテレビでも新聞でも見聞きします。  愛知芸術文化センターのように多くの人が集まる施設で火事や地震が起きたときに円滑に誘導できないとパニック状態になります。防災訓練をこのように実施するのは大切なことであると思います。  しかし、本当に重要なことは、実施した後に必ず毎回きちっと反省会を行い、改善点を洗い出し、積み重ねていくことです。文書化して次の担当者に申し送りをし、問題を共有してほしいのであります。  そこでお伺いします。  毎回の訓練の統括をどのように行っており、その反省点をどのように生かしているのか伺います。  また、現在行っておられる訓練は、大規模といっても、毎年の参加者が職員百五十人ぐらいであったと聞いています。愛知芸術文化センターのホールは千人規模の観客が入る施設であり、それだけのお客さんが動く中で、実際にスムーズに避難させることができるかどうか、そういった訓練をしないと本当の課題は見えてこないと思います。  もちろん、オペラやコンサートなどで訓練を行うことはできないと思いますので、例えば、県が主催する行事で事前に了解をとって、行事の最後に訓練を行うことなど、方法は幾らでもあるのではないかと思います。  そこでお尋ねします。  職員ではなく、千人規模の観客が要る状態での訓練も実施すべきと思うが、どのように考えているのか質問します。  以上であります。 12: ◯地域振興部長近藤正人君) 農業総合試験場など県有地を活用して、名古屋市内等の医療施設をリニモ沿線に移転させたらどうかという御提案についてお答えをいたします。  リニモの利用者拡大のためには、沿線における大規模な住宅開発や大型商業施設などの誘致が不可欠であると考えております。  そうした中、地域振興部として、リニモ沿線に位置する農業総合試験場の用地における住宅開発について、事務的に検討した経緯がございますが、これは、あくまでもリニモの利用者拡大につながるような規模の開発が可能かどうかの部内検討を行ったものであり、具体の絵姿を想定したものではございません。  議員御提案のリニモ沿線への医療施設の移転につきましては、現在までのところ、医療施設の関係者などからは特に御要望をお聞きしておりません。  いずれにいたしましても、こうした開発につきましては、地元市の意向が最重要であり、地元市の意向に配慮することなく進めることはできないと認識してございます。  今後とも、リニモを生かした良好なまちづくりや、リニモの利用促進に向けましては、庁内関係部局と沿線市とで連携をしてしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 13: ◯県民生活部長大野明彦君) 愛知芸術文化センターについて、三点の御質問をいただきました。  まず、ホール天井の安全対策についてお答えいたします。  御指摘のように、東日本大震災では、多くのホールでつり天井が落下するという被害がありました。  国土交通省では、この被害を踏まえ、昨年七月に新たな天井脱落対策の試案を公表し、先月二十七日から建築基準法施行令の一部改正などに関するパブリックコメントを開始しており、五月ごろには新基準を公布する予定であるとのことであります。  愛知芸術文化センター芸術劇場の三つのホールの天井もつり天井構造であることから、国の新たな対策の内容を踏まえ、さらに万全の対策を講ずる必要があると判断して、来年度、天井脱落対策のための費用を予算計上したところであります。  具体的には、大ホール、小ホールについては、建築基準法施行令の新たな天井脱落対策を踏まえた実施設計費を計上し、また、コンサートホールについては、音響効果の点から、天井板に特殊な素材を使用しているため、その強度などを検証する詳細な調査が必要であり、そのための検討費を計上しております。  そうした上で、国が定める新しい基準に沿った耐震対応にしっかりと取り組み、利用者の安全を確保してまいりたいと考えております。  次に、観客の観点から見た快適、安全な施設への改修についてでございます。  芸術劇場については、女性用の洋式トイレを大ホール、コンサートホールにおいて順次ふやすなど、利用者の皆様の御要望を踏まえた改善に努めております。  御指摘のあった座席の配置や、女性用トイレの増設、スロープの設置などは、いずれも大がかりな改築になるため、長期的な視点で今後の検討課題としていきたいと考えております。  最後に、防災訓練についてでございます。  愛知芸術文化センターでは、年に二回、防災訓練を実施しております。反省点については、昨年度から、委託業者やテナントの職員なども含めた参加職員の意見を集めて記録し、次回の訓練内容の改善に反映させております。  今後とも、こうした総括をきちんと積み重ね、効果的な防災訓練を行っていきたいと考えております。  議員から御提案をいただきました千人規模の観客を入れた形での訓練は、観客の皆様の御理解や主催者側の協力を得ることなど課題もございますので、今後どのような形でより実践的な訓練をしていくのか、検討してまいりたいと考えております。  以上で私からの答弁はこれで終わります。 14: ◯副知事(片桐正博君) リニモに関する長久手町議会におきます私の答弁に関して御質問をいただきました。  お答えしてまいりたいと思いますが、お示しをいただきました質疑でございますけれども、これは、リニモの事業がうまくいかずに破綻した場合どうなるかとのやりとりの中でお答えをしたものというふうに記憶をしておるところでございます。  債務保証という言葉を使っておりますけれども、これは万一経営が破綻した場合、金融機関からの借り入れに対しては県が損失補償を行う旨を申し上げたものでございます。事実、平成十六年に至りまして、会社が金融機関から長期借り入れを行うに当たりましては、県といたしましては、議会の御同意を得た上で金融機関と損失補償契約を締結しているところでございます。  したがいまして、現在でも、これは仮定の話でございますけれども、万一リニモの会社が破綻するというようなことになれば、その損失は県が補償するという法的責任を負っているところでございます。  しかしながら、リニモにつきましては、これまでも幾度と申し上げてきておりますけれども、この地域の重要な社会インフラ、交通インフラであり、貴重な財産でございますので、県と沿線市が連携、協力いたしまして、会社は破綻させない、会社は破綻させないという共通の認識のもとで、二十年度からの第一次支援を、経営支援を現在行っているところでございます。  以上でございます。 15: ◯百三番(筒井タカヤ君) 残り二分の質問時間であります。  片桐副知事からは、当時の長久手町議会におけるところの答弁の足らざるところをきちんと補っていただいたというふうに理解をいたしました。真意が伝わるように、この機会を通じて、また、長久手市議会のほうにも、市民にも伝わればというふうに理解をいたしました。  そこで、お尋ね、もう一遍いたしますが、ぜひとも、今、最後のくだりでおっしゃったとおり、長久手の走るリニモについて、県はあくまでも見捨てないという基本姿勢があれば、もっともっといろんな構想もできるだろうと思いますので、そういった意味での広いものを今後とも堅持いただきたい、こういうふうに求めます。  質問ですが、一点、今、答弁で、リニモの沿線開発についてお話がありました。もちろん私は、今後、健康福祉部、また、病院事業庁長とも話をしたり、長久手市ともしてまいりますが、大きな構想のもとで、あそこの長久手市が福祉と医療のまちというふうに宣言しておりますので、市長のほうも、そういった意味では、今後どんどんと乗り気になって、いろんな構想を深めていくだろうと思います。そういったときには、ぜひとも、その要望、陳情等も含めたものを取り入れていただくようなものとして広く考えていただけるかどうか、以上、質問です。 16: ◯地域振興部長近藤正人君) リニモ沿線への医療施設等の移転につきまして、再度のお尋ねでございます。  リニモの利用者をふやすという、こういう観点からは、医療施設については、リニモ沿線の住宅、商業店舗などと一体のまちづくりとして検討すべきであるというふうに考えております。  重ねての答弁となりますが、いずれの開発といたしましても、まずは地元の意向が重要でございますので、今後とも、沿線市としっかりと連携、協調して、リニモを生かした良好なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 17: ◯副議長(澤田丸四郎君) 次に、第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第六款健康福祉費から第八款農林水産費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  藤原宏樹議員。 18: ◯五番(藤原宏樹君) 私からは、歳出第七款産業労働費第三項観光費のうち、東三河地域観光推進事業費についてお伺いをいたします。  ご当地グルメでまちおこしの祭典、B―1グランプリ全国大会は、いよいよことしの十一月九日、十日の二日間にかけて豊川市で開催がされます。  平成十八年に始まったこの大会は、豊川大会で八回目を迎えますが、昨年十月、北九州市で開催された第七回大会には六十一万人もの来場者がありました。  回を重ねるごとにメディアや国民の注目が高まり、規模も大きくなっております。B―1グランプリ全国大会は、ご当地グルメでまちおこしを行っている団体が年に一度お披露目をする場であります。全国大会へ出店するためには、大会を統括するB級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会、通称愛Bリーグの正会員になることが必要であり、本県では、いなり寿司で豊川市をもりあげ隊と高浜とりめし学会の二団体がそれぞれ正会員として出展資格を有しております。  全国では、この二団体を含め、現在六十五団体が資格を有しており、毎年それらの団体がまちおこしのツールとなる自慢のご当地グルメを出展しております。  全国大会は、安くておいしいB級グルメが話題を呼び、郷土料理を通じ、まちおこしを目的とするこの大会は、今や国民的イベントに成長してきたところであります。  ちなみに、大会史上最多を記録した昨年の北九州大会での来場者は、冒頭述べたように六十一万人であり、その内訳を述べさせていただきますと、日帰り客五十五・九万人、市内宿泊客四・一万人、市外宿泊客一万人と推定がされました。  一方、経済効果に目を向けてみますと、市内での消費活動は、市内交通費五・五億円、会場外での飲食費五・二億円、宿泊費一・四億円、土産購入費一・四億円など、計十四・八億円とあり、これらに会場運営に伴う現地調達、滞在費を加えた市内への直接効果額を十六・六億円とし、関連業種への一次、二次波及効果を九・九億円と推計され、北九州大会の経済効果としては二十六・五億円ということであります。  当然、開催県に対する経済効果も期待することができると考えることから、開催地だけのイベントとしてだけでなく、周辺地域はもちろんのこと、県としての事業として取り組んでいく必要性があるということであります。  これらの思いは、昨年六月定例議会一般質問にて取り上げさせていただき、県としてもB―1グランプリは、地域の知名度やイメージの向上、地域経済の向上に貢献していると認識し、愛知県全体としてのイベントとして取り組んでいくとの答弁をいただきました。  その後、昨年十一月二十九日には、市長を初めとするB―1グランプリ豊川実行委員会が知事表敬訪問をさせていただき、開催日程決定の報告と開催支援要請のお願いをさせていただき、大会運営に当たって県の支援が決まり、大村知事が実行委員会の名誉会長に、東三河県庁の永田副知事に顧問に就任をしていただきました。  こういった流れの中、開催地豊川市としては、現在、大会に向けてどのように動いているのか触れさせていただきたいと思います。  まず、予算面では、豊川市として大会に対し九千七百七十五万円を計上しております。
     次に、周知、PRとしては、ホームページはもちろんのこと、のぼり旗、ポスター、チラシ、DVDなどを活用し、さらにはキャラバン隊を編成し、積極的にPRをしております。  市役所の正面玄関には、前回開催の北九州市から受け継いだ金の扇を展示し、一般開放もしてあります。  また、豊川駅、東西自由通路には、電子看板によるカウントダウンボードを設置しており、もう既にカウントダウンが始まっており、本日ですと大会まで二百四十五日と表記がしてあり、開催地としては、B―1グランプリに対する機運は大変高まってきているのが現状であります。  次に、大会当日の会場案としては、JR豊川駅最寄りの豊川稲荷周辺と、名鉄諏訪町駅最寄りの市役所周辺、諏訪地区の二つのエリアを拠点といたします。  そのエリア間をつなぐ約二キロの道路沿いに大小七会場を置き、出展団体数は全国六十五団体を想定しております。  その二つのエリア間の回遊性を促すため、会場間ルートは歩行者天国にし、七会場だけでなく、周辺商業施設や商店街などと連携した関連イベントを開催し、まち全体で雰囲気づくりをしていく考えであります。  続いて、開催地豊川市と周辺地域との連携について触れさせていただきます。  愛知県東三河総局では、東三河振興ビジョンを現在策定しており、その中間取りまとめとして、主要プロジェクト推進プラン、広域観光の推進において、大規模イベントであるB―1グランプリを東三河の広域観光プロモーションのチャンスと捉え、来場者へ東三河の観光情報を発信し、東三河全体のファンづくりやリピーターづくりなど、将来につなげていくプロモーション強化の絶好の機会と位置づけがなされております。  東三河広域連携の具体的な動きとしては、一点目に、臨時駐車場であります。東三河地域の特性として、来場には車利用の多いことが予想されます。実行委員会としては、郊外の幹線道路沿いに臨時駐車場を設け、シャトルバスや鉄道を使ってのアクセスを考えております。したがいまして、国道一号線や国道二十三号バイパス周辺となる豊橋市や蒲郡市への協力をお願いしております。  二点目は、人的支援であります。先ほどの豊橋市や蒲郡市に臨時駐車場を設けた場合には、当該駐車場の担当や発着するシャトルバスについても管理をお願いしております。また、各市内の駅や交通ターミナルなどでの案内係などについても、スタッフとしての御担当をいただきたいとお願いをしております。  三点目が、ボランティアであります。B―1グランプリの大会運営にボランティアとして積極的にかかわり、東三河全体での盛り上げに寄与していただきたいとお願いをしております。  四点目が、B―1グランプリで使用する購入チケットであります。このチケットは、地元の商店街や商業施設、観光施設などでも使用可能とし、経済効果の広がりを期待するものであります。その広がりを東三河全域に及ぼすため、東三河の各市町村において、チケットの取り扱い可能な店舗や施設の紹介とともに、チケットに係る事務を役所や商工会議所、商工会などで実施可能か検討をお願いしております。  以上のように、豊川市としての動き、そして、東三河広域連携についての流れを述べさせていただきました。中部地区では初となる全国イベント、B―1グランプリ全国大会開催に向け、当日来場になる方々に少しでも満足いただけるよう、現在必死に準備が進められ、計画がされていることが御理解いただけたと思います。  しかしながら、規模が大きくなるほど、全国大会を円滑に運営し、成功に導くことは困難になります。豊川大会を成功させるためには、地元豊川市が最大限の努力を行うことはもちろんですが、私は、東三河地域全体、そして、県の力強いバックアップも成功には欠かせない要素であると考えます。  県は、平成二十五年度当初予算において、愛知県として豊川大会を支援していくという強い意思を示されました。具体的には、豊川大会の実行委員会への負担金及びPR活動の支援などとして約四百四十万円が計上されたところであります。  これに豊川大会を盛り上げる関連事業を合わせると全体で約四千五百万円となり、開催市が所在する県の支援としては過去に例のない水準となりました。このことは、東三河県庁が中心となって、県が豊川大会を全面的に支援していくという姿勢のあらわれであり、地元選出の私としては大変心強く思っております。  そこでお伺いいたします。  B―1グランプリ豊川大会に対し、県として、今後具体的にどのように支援していくのかお伺いいたします。 19: ◯産業労働部長(木村聡君) B―1グランプリ豊川大会の支援についてお答え申し上げます。  B―1グランプリ全国大会は、国内各地から多くの出展者、来場者が訪れる一大イベントでありまして、交流人口の拡大や知名度の向上を通じまして、開催地の経済活性化に大きく貢献するものと考えられます。  また、ことしの豊川大会は、豊川市はもとより、東三河地域を初めとする県内各地の観光資源をPRする絶好の機会になり得るものと期待されます。  このため、東三河県庁が中心となりまして、東三河振興ビジョンを策定する中で、広域観光の推進を主要プロジェクトとして位置づけまして、大会の成功に向け、積極的に取り組む方針を打ち出してまいりたいと考えております。  この一月には、大会の実行委員会の名誉会長に知事が、顧問に永田副知事がそれぞれ就任し、東三河県庁及び産業労働部の職員が同委員会に参画をいたしたところでございます。そして、平成二十五年度予算に実行委員会への負担金を計上し、資金面からもその運営を支えていくこととしたところでございます。  実行委員会などを通じて県に期待される役割でございますが、県内外に向けた豊川大会の周知と、大会が開催されるという機会を東三河地域や県全体の観光振興に結びつけていくことでございます。  豊川大会の周知につきましては、既に知事が先頭に立ちまして、東京や大阪の観光イベントでPRするなどの情報発信を行っておりますが、今後とも、県や関係団体が出展するイベントなどの機会を捉えまして、広くプロモーション活動を展開してまいります。  また、豊川大会を契機とした観光振興の取り組みといたしましては、今後、東三河地域の観光地を周遊する旅行商品の造成を支援いたしますほか、大会当日に本県の観光の魅力を総合的に発信するイベントを併催してまいります。  いずれにいたしましても、全国から注目を集めます豊川大会は、東三河地域の活性化や本県の観光振興にとって大変有意義なイベントでございますので、地元豊川市さんを初め、関係者の皆様と密接に連携しながら、大いに盛り上げてまいりたいと考えております。  以上でございます。 20: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  稲垣昌利議員。 21: ◯二番(稲垣昌利君) それでは、私からは、歳出第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費のうち、第二目地域保健福祉費の地域包括ケア推進費についてお伺いいたします。  我が国の高齢化は、今後非常に速いスピードで進んでまいります。国立社会保障・人口問題研究所が公表しております日本の将来推計人口によりますと、二〇六〇年には六十五才以上の人口の割合である高齢化率が現在の二三・七%から四〇%近い水準へ高まるのに対し、高齢者を支える生産年齢人口の割合は六三・三%から約五〇%へと大きく減少いたしまして、高齢者一人を一・三人で支える社会構造になると想定されます。  一方、本県の高齢化率は、現時点では二一%となっており、全国の二三・七%に比べ低い状況となってはおりますが、今後本県におきましても、他県以上に急速に高齢化が進行するものと予測されております。  また、今後、ひとり暮らしの高齢者や高齢者夫婦のみの世帯が急増していくことで、家庭における介護力が低下していくものと予想されております。  今からわずか十二年後、二〇二五年には、団塊世代が七十五歳以上の後期高齢者になるのとともに、生産年齢人口、労働力人口とも減少する一方、必要とされる介護職員数は倍増すると推計されております。  このような状況を踏まえ、私は、本県において、今後の急速な高齢化にきちんと対応していくことができるのか、常々心配をしていたところでありました。  そこで、高齢化が加速する中で、寝たきりゼロを目指して、高齢者への医療と福祉に先進的な取り組みを進めてこられたという広島県尾道市にあります公立みつぎ総合病院を以前調査してまいりました。  地域包括ケアのメッカと呼ばれているみつぎ総合病院では、行政部門であります保健福祉センターを併設いたしますとともに、病院の一部といたしまして、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、そしてグループホームやリハビリ施設などが一体となった保健福祉の総合施設を運営しておりまして、これらを活用しながら、住民の方々に対し、健康づくりや在宅医療、リハビリテーション、介護、福祉、寝たきりゼロ作戦などを総合的に提供する取り組みを進めてこられました。  そして、こうした取り組みが、現在、国が各地域で構築されることを目指しております地域包括ケアシステムのもとになったとのことであります。  さらに、みつぎ総合病院では、五百人を超える地域住民の方々が病院ボランティア、施設ボランティアといった形で、長年にわたって高齢者の方々や病院を支え続けてこられたということも伺いまして、病院を中心に、みつぎ総合病院が築き上げられたネットワークが医療、福祉を中心とした地域づくりの一つの答えではないかと大いに感心したところでございます。  ただ、こうした先進事例は、言うまでもございませんが、一朝一夕にでき上がったものではなく、長年の努力の積み重ねを背景としたものであります。  また、地域包括ケアシステムは、中学校区を基本とする三十分圏内、人口数万人の日常生活圏モジュール数個から構成される市町村レベルのエリア規模でマネージされるべきであり、市町村の役割が重要でありますが、医療について責任を担っている県の支援なくして単独で進めるのは難しく、県のリードが必要であると強く感じておりました。  また、地域包括ケアシステムのあるべき姿というものも、地域の実情に応じてそれぞれ異なるものだとも承知をいたしておりますが、だからこそ、我が愛知県において、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを速やかに進めていく必要があるのではないかと改めて感じる次第でございます。  そこでお伺いをいたします。  本県におきましても、今年度から地域包括ケアシステムの確立に向けた検討を始められていると伺っておりますが、現在の検討の状況とあわせて、今後どのようなスケジュールで、どういった取り組みを進めていかれるのか、これは新たな取り組みでございますので、なるべく具体的な御答弁を求めます。 22: ◯健康福祉部長(五十里明君) 地域包括ケア推進費についてお答えをいたします。  今後の急速な高齢化に対応するためには、地域において、医療から介護、予防、生活支援、住まいを切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築することが必要であります。  このシステムは、それぞれの地域ごとにつくられるものでございまして、その取り組みを支援するため、県では、平成二十四年六月に、あいちの地域包括ケアを考える懇談会と、その下部組織であります愛知県地域包括ケア推進研究会を設置し、本県における地域包括ケアのあり方について、検討を行っているところでございます。  現在の検討状況でございますが、懇談会や研究会からは、地域によって在宅療養支援診療所などの社会資源の状況が異なることや、医療と介護の従事者で互いの理解が不十分であるなどの指摘がございましたことから、今年度は、地域包括ケアの核となります医療と介護の連携に焦点を当て検討を行ってまいりました。  また、そのための基礎資料として、県内全ての診療所や居宅介護支援事業所などの関係機関を対象として、在宅医療の実施状況や連携を進める際のポイントなどについてアンケート調査を行った結果、在宅医療においては、緊急時に対応できる体制の確保や、連携においては、ケアマネジャーの医療知識の向上などの課題が明らかになったところでございます。  来年度は、懇談会などにおきまして、これら諸課題の対応策について十分議論していただき、地域特性を踏まえた包括ケアの愛知モデルの確立に向け、提言をまとめていただく予定といたしております。  さらに、その後、提言をもとに県内各地域でモデル事業を実施していただき、その成果の検証を行うなど、支援を進めてまいりたいと考えております。 23: ◯二番(稲垣昌利君) ただいま御答弁をいただきまして、来年度から本格的に検討を進めていくということでございますので、要望をさせていただきます。  地域包括ケアという概念は、もともと寝たきりゼロ作戦の提唱者で知られる公立みつぎ総合病院の山口医師によって昭和五十年代に使われ始めたものであると認識しておりますが、昭和四十年代に、いわゆるつくられた寝たきりがあり、当時は介護がわからず不適切であったり、医療とリハビリテーションが適切に行われていなかったり、閉じこもった生活や不適切な住環境の中で暮らさなければならない状況でございました。  そういった中で、治療だけでなく、健康づくりから寝たきり予防まで、包括的に取り組むことにより、住民が安心して生活できる地域医療ケアシステムをつくり上げてきたものであると思っております。  高齢者及び障害者の自立支援をするために、国民健康保険診療施設と行政が一体となり、地域の中で構築してきたのです。  さまざまな取り組みを通して、昭和五十五年には寝たきりが三・八%であったものが、昭和六十年に一・〇%となり、平成十八年には一・一%、十九年に一・二%とはなったものの、平成二十年には再び一・〇%と減少させてまいりました。  早朝・ナイト訪問などにより二十四時間ケアを実現し、老人医療費の伸び率を鈍化させております。  今述べさせていただきましたように、大変時間をかけて成果を上げてきたことでありまして、これから取り組む愛知県としましては、迫りくる超高齢社会に向けて早急に取り組まなければならないと思っております。  昨年六月に開催されたという、今、御答弁にもありました第一回あいちの地域包括ケアを考える懇談会の中で、その冒頭、知事が、今後特に都市部では団塊世代が一気に高齢化していく、介護の体制整備は三大都市圏の課題である、地域包括ケアの愛知モデルをつくっていきたいと思いを述べられております。  懇談会の議事録を読まさせていただきましたが、会議の内容が、何となくですけど、全体的に病気になってからの対応に主眼が置かれていたように私は感じたんですけれども、みつぎ総合病院の成功は、寝たきりゼロなどの予防の医療のほうに力を入れていたからこその成功であるんじゃないかと思っております。つまり、地域包括ケアは、病気になる以前からの段階からしっかりと考えていくべきであると思います。  ぜひとも、県におかれましては、その点も十分に考慮いただき、市町村に対しての支援、そして、強いリーダーシップで、知事の言われる地域包括ケアの愛知モデルを早急に策定していかれますことを要望いたしまして、終わります。 24: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  安藤正明議員。 25: ◯二十二番(安藤正明君) 私からは、歳出第八款農林水産費第三項土地改良費について、二点お伺いをいたします。  朝晩はまだまだ冷え込みますが、日中は気温も上がり、桜の季節がもうそこまでやってきています。  桜は、私の地元弥富市の市の木ですが、毎年、桜咲く四月初旬になると、桜の名所として市民に親しまれている筏川沿いの文化広場でやとみ春まつりが開催され、弥富市特産の金魚の展示、即売会や歌謡ショー、キャラクターショーなど、数々のイベントに家族連れを初めとした多くの方々が集まり、大変なにぎわいとなります。  また、秋には、十四山スポーツセンターを初め四つの会場で弥富市健康づくりフェスティバル、通称健康フェスタが開催され、健康講座、駅伝大会など、多くの方々が参加されますが、四つの会場の一つ、宝川の三ツ又池公園では、ふるさと水郷ゾーンとして魚釣り大会などが実施され、これも大盛況となります。  この春、秋のお祭りが開かれる筏川、宝川は、いずれもかつての風景を今にとどめる水郷地帯の主役です。  水郷と言いましたが、弥富市は、木曽川下流域に位置し、古くは江戸時代の新田開発によってできた水郷地帯で、豊かな水に恵まれたことから、かつては漁業やノリの養殖を初めとした水産業が盛んで、今でも金魚の取扱量は日本一を誇っています。  一方で、豊かな水に恵まれているということは、水害の危険と隣り合わせであるということでもあります。  特に、弥富市を初めとする海部地域では、昭和の高度経済成長期に進行した地盤沈下によって海抜ゼロメートル以下となり、豪雨のときはもちろんのこと、常時の排水さえ自然に日光川へ、伊勢湾へ流れることはなく、ポンプにより強制的に排水しなければならなくなりました。  また、この地盤沈下により、大きく沈むところと少ししか沈まないところの差ができ、排水路の勾配確保ができなくなり、その機能が大幅に低下してしまいましたが、海部地域では、こうした排水ポンプや排水路の大半を農業農村整備事業により整備してまいりました。  この農業農村整備事業の予算が、御案内のとおり、平成二十二年度の国の当初予算では極端に削減され、その後も引き続き予算の抑制が続きました。  私は、これまで長年、土地改良施設の管理、運営に携わってきましたが、こんなことは初めてで、組合員ともども大きな不安を感じたことを鮮明に覚えています。  昨年の五月に弥富市で、農業農村整備事業により整備した新孫宝排水機場の竣工式が行われました。この排水機場には、二千四百ミリと日本でも有数の大口径ポンプ二台が備えつけられており、既設の孫宝排水機場と合わせた最大排水量は毎秒四十七立方メートル、これは、例えて言えば、五十メートルプールを一分弱で空にできる能力を持っているのですが、これにより宝川より三メートル以上高い日光川に排水することができます。  常時の排水でも、排水機が一週間稼働しなければ、弥富市から愛西市に広がる農地のみならず、住宅や公共施設、道路までが水没してしまいます。  平成二十二年度当時、新孫宝排水機場の工事は仕上げの段階に入っていましたが、予算削減の影響でポンプの稼働が一年、二年とおくれるのではないかと本当に心配しておりました。  幸い、国や県が厳しい予算状況の中でも防災対策を重点的に進めてきたことから、昨年、予定どおり竣工式を迎えることができましたが、その一方で、防災対策以外の農業農村整備事業には十分な予算手当てができず、事業の進捗に大きな支障を来しているとの声を多くの方から聞いているところです。  そこでお尋ねをいたします。  こうした状況の中、新政権のもと、国は、緊急経済対策として二十四年度補正予算を成立させ、これと二十五年度当初予算をあわせて、農業農村整備事業の復元を図ることとしていますが、県は、この国の予算編成を受け、どのように事業を進めていくのかお伺いをいたします。  次に、土地改良施設の耐震点検調査ときめ細やかな防災・減災対策についてお伺いいたします。  東日本大震災から間もなく二年がたとうとしています。あの日の津波の映像は、三方を天井川に囲まれた海抜ゼロメートル地域に住む私にとって驚愕そのものでありました。  東日本大震災では、津波により多くの排水機場が損壊し、その排水能力を失いました。また、福島県では、ため池、藤沼湖が決壊し、死者、行方不明者八名の大惨事が発生したことに加え、岩手県、宮城県、福島県、三県のため池約一万二千五百カ所のうち約千八百カ所の堤防に亀裂が入るなど、農地や土地改良施設にも大きな被害が発生しています。  農業用ため池二千六百七十二カ所、農業用排水機場四百二十三機場がある本県に目を向ければ、昨年八月二十九日に国の中央防災会議から公表された南海トラフの巨大地震の被害想定では、最悪のケースではありますが、家屋の全壊約三十九万棟、死者数二万三千人の被害が推計されており、土地改良施設の管理者や付近に住む住民からは、身近にある施設は大規模地震に対して大丈夫なのか、また、地震で損壊したらどういう被害が生じるのか等の声が多く寄せられるようになりました。  こうした不安を解消するために、土地改良施設の現状を早急に確認し、耐震対策が必要であれば整備を図るとともに、避難路、避難所などの減災対策を進めることで、施設の安全性とともに地域の安全度の向上を図り、地域住民が安心・安全に暮らしていける環境を整えていく必要があるのではないでしょうか。  土地改良施設といっても多種多様ですが、とりわけ海抜ゼロメートル地帯を中心に地域の生命や財産を守っている排水機場や、一たび決壊すれば甚大な被害が発生するため池については、施設を管理する土地改良区や市町村から耐震対策に対する要請が強くなっています。  県としては、これらに応えられるよう積極的に耐震対策を進めていくべきと考えていますが、対策を行う前に、まず、施設の老朽化度などの現況把握と、被災時に住宅や公共施設などの周辺地域への影響の大きさなどを考慮して、優先度の高いものから順次耐震点検調査を行い、耐震性が不足すれば速やかに耐震対策工事を実施していくべきものと考えます。  また、排水機場は、管理者が常日ごろ点検を行い、適正に管理をしていますが、電気、機械など全てに精通しているわけではありません。このため、専門的知識を持つ技術者が行う国の事業要件に満たない規模の点検と、それに伴う補修に対して県が助成することによって、施設の長寿命化が図られることにもつながります。  さらに、海抜ゼロメートルの農村地帯では、津波に襲われ、浸水被害が発生した場合の避難所が少ないのが現状で、耐震性のある排水機場の屋上などを津波避難所として有効に活用するような減災対策が進めば、住民の不安も解消されるのではないかと思われます。  そこでお尋ねをいたします。  今後、土地改良施設の耐震対策を進めていく上での前提となる耐震点検調査についてはどのように進めていくのか、また、国の事業要件に満たない規模の点検や補修など、きめ細やかな防災・減災対策をどのように行っていくのかお伺いをいたします。 26: ◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 農業農村整備事業について、二点のお尋ねをいただきました。  まず、農業農村整備事業費を大幅に増額している国の予算編成を受けて、本県はどのように事業を進めていくのかとのお尋ねでございます。  議員お示しのとおり、平成二十二年度以降、国の農業農村整備事業費が大幅に削減され、厳しい状況が続く中におきまして、本県では、防災対策に重点を置く一方で、多くの事業において、継続地区の工事期間を延長したり、地域から強い御要望がある新規地区の採択を抑制するなど、県予算の編成、事業の推進に大変苦慮してまいりました。  こうした中で、国の経済対策でございます平成二十四年度の大型補正予算と二十五年度当初予算案を活用いたしまして、積極的な県予算を編成し、事業を推進することといたしました。  具体的には、引き続き防災対策に重点を置くとともに、これまでやむを得ず予算を抑制してまいりました圃場の大区画化や、老朽化した用水施設の更新、農業集落排水を初めとする生活環境整備などについて、しっかりと推進してまいりたいと考えております。  さらに、新たな社会的要請に応える小水力発電にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、土地改良施設の耐震対策についてのお尋ねでございます。  議員お示しのように、土地改良施設、中でも、排水機場やため池の耐震対策は極めて重要でありますので、国の耐震基準に基づき所要の対策に努めているところでございます。
     しかしながら、こうした施設の耐震性の検証は数が膨大であることから、全国的に十分進んでおらず、大きな課題となっております。  こうした中、国は、経済対策としての平成二十四年度補正予算と二十五年度当初予算案において、全国の排水機場やため池を集中的に点検するための調査費などを大幅に増額いたしております。  これを受けまして、本県では、市町村の御要望に基づき、排水機場百四十二カ所とため池二百十カ所の耐震点検調査を実施する予定でございます。  また、この調査では、公共事業の採択要件を満たす全てのため池、千三百十九カ所ございますが、この老朽化の程度や下流の人家、公共施設の所在など、基礎データの収集整理を行いますとともに、決壊した場合、甚大な被害が想定されるため池二百三十二カ所について、ハザードマップを作成することといたしております。  また、あわせてお尋ねをいただきました公共事業の採択要件に満たない簡易な点検や、小規模な補修、津波避難施設の整備につきましては、県単独土地改良事業の活用を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 27: ◯二十二番(安藤正明君) 一点要望いたします。  昨年五月、岩手県釜石市、陸前高田市へ被災後の復旧復興の視察調査に行ってまいりました。  特に印象に残りました陸前高田市では、三階建ての市庁舎、あるいはそれに隣接する体育館、図書館、消防署など、全て津波の被害でめちゃめちゃな状況でございました。  私が訪れた陸前高田市の地は、土地が低かったのかわかりませんが、排水機場もそこにございました。陸前高田市排水機場でございます。こちらのほうも建物自体は残っておりましたが、中はめちゃめちゃな状態で、とてもとても使えるような状態ではございませんでした。  県内には四百二十三の排水機場がございます。今、御答弁で百四十二カ所耐震検査を行うということでございますが、海部地域には百三十カ所の排水機場がございます。耐震検査、何カ所かしていただけると思うんですが、その次、耐震工事等に取りかかっていただきまして、強固な排水機場にしていただけるとは思いますが、その次でございます。八月二十九日、中央防災会議で南海トラフ巨大地震の被害想定が発表されております。海部地域では四メートルの津波が来ると言われております。建物が頑丈でも中が水浸し、浸水してしまっては機能、役割は果たせないわけでございまして、農業農村整備事業の次のステージとして、排水機場の配電盤等のかさ上げ、そしてまた、遮水等を行っていただけるよう要望いたしまして、質問を終わります。 28: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  野田留美議員。 29: ◯十二番(野田留美君) それでは、私からは、歳出第八款農林水産費第一項農業総務費のうち、新規就農・経営継承総合支援事業費に関し、農業を支える多様な担い手の育成、確保についてお伺いいたします。  二〇一〇年世界農林業センサスによれば、我が国の農家は約二百五十三万戸ありますが、そのうち農産物を販売している農家、いわゆる販売農家は約百六十三万戸となっております。この販売農家が我が国の農業を支えているわけですが、国は、二〇一〇年から二〇三〇年の二十年間で販売農家の数が六四%も減少し、経営主の平均年齢は六十四・五歳から七十一・七歳になると推計しています。高齢者のみで農業を営む農家の増加も避けられないと見通しております。  本県の農業産出額は約三千億円で全国第六位に位置しています。しかしながら、六十五歳以上の農業者が約六割を占めるなど、担い手の将来を考えると憂慮すべき事態となっています。  私は、今年度において、県内の農業高校、安城農林高校、猿投農林高校などを視察する機会がありました。これらの農業高校においては、女子生徒の割合が以前より多くなってきており、農業に対する関心が高まっているように見受けられました。  また、最近では、北海道の農業高校を舞台とした荒川弘さんの「銀の匙」というコミックが大変話題となっております。  このコミックは、マンガ大賞二〇一二で大賞を受賞し、今後、アニメ化がされると公表されています。  このような影響もあって、若い人の農業への関心が高くなっているのかもしれません。農業に興味を持つ人がふえることはよい傾向だと思いますし、農業後継者の就農意欲につながっていけばますますすばらしいと思います。  また、三十代、四十代の新規参入者の中には、有機、無農薬栽培を志す人が多いと聞いています。農業ブームの影響か、健康志向の人がふえている結果であろうと推測できます。  本県では、昨年四月に知事がマニフェストに掲げられました農起業支援センターを就農に関するワンストップ窓口として県内八カ所に設置されました。その中で、農業を志す若者や企業などから相談件数が大幅に伸びたと伺っております。  そこで質問いたします。  まず、昨年四月以降の農起業支援センターの就農相談実績がどのくらいになっているのかお伺いいたします。  さて、国は、本年度四月から新規就農者の倍増を目標に掲げ、新規就農・経営継承総合支援事業、いわゆる青年就農給付金制度を始めました。これは、四十五歳未満の人を対象にして、就農のための研修期間中二年間と、経営が不安定な経営開始直後五年間の最長七年間にわたり、一人当たり年間最高百五十万円の給付金を給付して若い人たちの就農支援を強化するものであります。  しかし、私は、給付金を給付するだけでは新規就農者の着実な増加にはつながらないと考えています。  農業を新たに始めるには、農地を確保し、栽培技術や農業経営に必要なノウハウをしっかりと身につけるとともに、地域に受け入れられることが重要なポイントであると考えます。  農業を志し、新たに参入した人たちの定着を図り、プロ農家に育てるには、給付金の給付に続くフォローアップが重要であると思います。  大都市である名古屋市においても、農家の後継者がUターンし、親とは違う作目で新たにミニトマト栽培を始め、その加工品の開発や直売に生き生きと取り組んだり、都市という立地を生かし、イチゴ狩り園を開園し、盛況を博しているなど、農業の展開に新しい兆しも見えてきています。  これらを数少ない成功事例にとどめることなく、持続可能な力強い農業を本県で実現するには、志を持つ若い人はもとより多様な担い手の確保が必要と考えます。  平成二十一年十二月に改正農地法が施行され、企業が農地を借りることが可能となりました。農林水産省の調査によりますと、新たに農業参入した企業などの一般法人は全国で一千四十九に上り、農地法改正後に急増しています。  しかしながら、実際に農業に携わってきた私から見ますと、経営にたけた企業といえども、農業を全く新規に始め、もうけを上げるのは簡単なものではないと思います。  そこで質問いたします。  県では、多様な担い手の定着に向けて、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。 30: ◯農林水産部長(中野幹也君) 農業を支える多様な担い手の育成、確保についての御質問のうち、まず、農起業支援センターの就農相談実績についてでございます。  昨年四月に各農林水産事務所の農業改良普及課八カ所に設置した農起業支援センターでは、農家の後継者のほか、新たに農業を始めようとする方や、企業、NPOなどに対し、地域の農業技術に関する情報提供や、営農計画の作成支援、経営開始資金の借り入れや、青年就農給付金に関する相談などを行っております。  昨年四月から本年一月末日までにおける個人の方からの就農相談件数は七百十八件、一カ月当たり七十二件で、昨年度と比較いたしまして一・九倍にふえており、現在までに相談者のうち九十九名の方が就農を果たされております。  また、企業、NPOなどからの相談件数も五十二件、一カ月当たり五件と昨年度と比べ一・三倍にふえており、現在までに五社の企業とNPO一団体が農業に参入をされております。  次に、多様な担い手の定着についてのお尋ねでございます。  農業の担い手の育成、確保には、若者はもちろんのこと、企業やNPOなど多様な担い手の農業参入を支援し、その定着を図る必要があるというふうに考えております。  そこで、農起業支援センターにおきましては、市町村、農業団体、さらには、地域の農業者と一緒になって、農地の確保など、就農者の受け入れ体制を整えるとともに、就農後の技術指導などのフォローアップにも努めているところでございます。  また、農業を志す青年に研修期間中や就農直後の所得が不安定な時期に、年間最高百五十万円を給付いたします青年就農給付金制度につきましては、二十四年度は百七十九名に給付を予定しているところであり、二十五年度はその一・八倍となる三百十名の給付対象者を見込むなど、その積極的な活用を図っているところでございます。  さらに、新規就農者や就農希望者に対し、県では、普及指導員による重点的な現地指導や、農業大学校における農業技術に関する講座の拡充などを行い、就農後の定着を図るため、しっかりとサポートをしていくこととしております。  また、企業等の農業への参入につきましては、農地法の改正後に本県で新たに農業に参入した企業等の数は五十二団体と、全国第三位の高水準となっております。  県としては、引き続き農業経営に意欲のある企業等に対しまして、地域に適した農作物の栽培方法や、病害虫の防除などの技術指導とともに、地域の農業者や産地との連絡調整についても支援を行ってまいります。  県といたしましては、今後とも、本県農業を支える多様な担い手の参入と定着に向け、しっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 31: ◯十二番(野田留美君) それでは、私から一点要望させていただきます。  農業というのは、いかに持続可能であるかが大変重要です。それは、日本人が農耕民族であり、生活していくための手段として農業が主体であった長い歴史が物語っていると思います。  担い手不足は深刻な問題であり、農業後継者のほか、新規参入者等も支援しているわけですが、もう一度、なぜ農家の子が農業を継がないのか、認識する必要があるかと思います。  こうした農業後継者に対する支援についても一層の配慮を求めるとともに、引き続き、農業を支える多様な担い手の育成、確保に努めていただくように要望いたします。  これで終わります。 32: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  市川英男議員。 33: ◯三十二番(市川英男君) それでは、私からは、歳出第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費のうち、地域包括ケア推進費の中の在宅医療についてお伺いいたします。  我が国の高齢化が世界に例のないスピードで進行しておりますことは、皆さん御存じのとおりでございます。いわゆる団塊の世代の方々が後期高齢者となる二〇二五年には、七十五歳以上人口が二千百六十七万人となり、これは二〇一〇年の一千四百十八万人に比べまして、およそ一・五倍となっております。  高齢者人口は、都市部ほど増加が著しいと見込まれ、本県では、二〇二五年には七十五歳人口が百十六万人、二〇一〇年の六十五万人に比べ約一・八倍と大幅な増になると推計されております。  今後、医療と介護を必要とする高齢者が他県を上回るペースでふえていくものと考えられます。  高齢者には、生活習慣病と言われる循環器疾患や糖尿病などのほか、がんや認知症、骨粗しょう症、排尿障害のような高齢者特有の疾病があり、高齢者人口が増加する中、結果としてこのような疾病を持つ患者さんがふえてきました。  一方、医療の進歩により在宅酸素やがん患者に対する緩和ケアなどが実現され、重症化して入院しても症状が安定すれば、私たちは疾病を有したまま病院を退院し、在宅で療養生活を送ることができるようになり、必要に応じて通院によって医療を受けることもできるようになりました。  しかし、高齢者を取り巻く現実を見ますと、独居や老々世帯の増加に代表されるように、家族形態の縮小化など社会構造の変化により、家族による療養のサポートをする力が衰えており、通院すら難しい方々がふえているのも現実であります。  在宅で安心して療養生活を送っていただくために、こうした患者さんや患者を支える家族のQOLの維持向上を図り、療養生活を支えるとともに、患者さんや家族が希望した場合には、自宅で終末期を過ごすことを可能にする医療体制の構築が求められております。  平成二十年に厚生労働省が行った終末期医療に関する調査においても、六〇%以上の国民が終末期においても可能な限り自宅での療養を望んでいるものの、同時にほぼ同じ割合の六〇%以上が最期まで自宅での療養は困難であると考えており、その理由として、家族に負担がかかる、また、症状が急に悪くなったときの対応に自分も家族も不安があると答えた割合が多いという状況であります。  このため、国から、地域の診療所で訪問診療を行う医師による診察や、歯科診療所からの歯科医師による訪問での口腔内診療、訪問看護ステーションから看護師による看護、地域の薬局からの薬剤師による医薬品の提供や薬剤指導など、異なる経営主体の多数の職種のサポートを受けて療養生活を送るという在宅医療についての形態が示されております。  これは、例えて言うならば、自宅の部屋が病室となり、道路が病院の廊下で、訪問看護ステーションが病院のナースステーション、地域の薬局が病院の薬局と同じようになることを目指していますが、それぞれ経営主体も異なり、職種も異なることから、在宅患者の医療を支える医療資源の連携には相当な知識と経験を必要とするものであります。  このため、地域における医療の連携体制の構築のためには、一人一人の患者さんに必要な医療を必要な時期に提供するためのコーディネート機能の充実が求められます。  そこでお尋ねいたします。  地域におけるこれらの医療資源の連携のためには在宅医療を十分に理解し、これに取り組んでいく意欲と、地域でさまざまな機関をまとめる能力を持つリーダーの育成が急務であると考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 34: ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 地域包括ケア推進費の中の在宅医療についての御質問にお答え申し上げます。  本県といたしまして、在宅医療を実施するためには、地域で経営主体が異なるさまざまな機関をまとめる能力を持つリーダーがかなめであると考えております。  一方、厚生労働省では、まずは都道府県単位で人材育成を実施する必要があるとして、昨年十月に各都道府県の在宅医療従事者及び行政担当者を対象に研修会を実施したところであります。  本県からは、この研修に医師を五名、県職員一名と在宅医療を推進している市から二名の合計八名を参加させました。  在宅医療の中心となるリーダーにつきましては、市町村がそれぞれの実情に応じた研修を実施し、養成をしていく必要があります。  このため、本県では、国の研修に参加した医師等を中心として、ことしの二月に多職種による連携の意義などについての研修を、医師、歯科医師、薬剤師、看護師及び市町村の職員など約百七十名の方の参加を得て実施をしたところであります。  来年度は、具体的に市町村において研修を実施するための準備として、地域ごとに異なる医療資源や地理的条件を踏まえた研修プログラムの策定と、その開催をモデル的に三市町村で実施する計画としております。  その後は、この研修の実施結果を踏まえ、研修プログラムの内容及び研修の状況を県下全市町村に伝達し、それぞれの市町村においてリーダーの養成研修が実施できるよう積極的に取り組んでまいります。  以上であります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 35: ◯三十八番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 36: ◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 37: ◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 38: ◯議長(小林功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  近藤ひろひと議員。 39: ◯二十四番(近藤ひろひと君) 第六款健康福祉費第三項児童家庭費第一目児童福祉総務費の子育て支援対策基金事業費について質疑させていただきます。  子育て支援対策基金事業について、この基金は二〇〇八年、平成二十年ですが、国が創設いたしました子育て支援対策臨時特例交付金、いわゆる安心こども基金による特別対策事業を財源として、本県では、平成二十一年三月に子育て支援対策基金として設置されました。これまで市町村の保育所の整備、充実、認定こども園の設置促進などの成果があったと認識しております。  国の基金創設の三年前、二〇〇五年、平成十七年に次世代育成支援対策推進法、通称次世代法が二〇一五年までの十年間の時限立法として制定されました。その背景は、日本経済社会に深刻な影響を与える急速な少子化の進行が理由であったわけであります。  ここで、少子化への国と県の対応を検証させていただきたいと思います。  平成二年、一・五七ショック、いわゆるこれは平成元年の合計特殊出生率が昭和四十一年、ひのえうまの一・五八を下回ったことを指します。  これを受けて、国では、平成六年、エンゼルプラン、それから、緊急保育対策等五か年事業、愛知県では、これを受けまして、平成九年に愛知県保育対策等推進計画を策定、国で平成十三年待機児童ゼロ作戦、これに呼応しまして、愛知県は、同年に二十一世紀あいち福祉ビジョンを策定しております。  以下、少しはしょらせていただきまして、平成二十二年、国、子ども・子育てビジョン策定、同年、愛知県、あいちはぐみんプラン、それぞれ平成二十二年から二十六年、以上のように平成二年の一・五七ショックに端を発して、現在まで二十年にもわたり、国も愛知県も少子化対策をしてきたわけですが、先日の我が党の中根議員の一般質問にありましたように、日本の人口は平成二十七年がピークで、それから減少となる見込みであります。  平成十九年の都道府県別将来推計人口によれば、愛知県は人口減少が始まるのが他県よりも遅いとはいえ、平成二十三年度出生率が一・五二と全国の一・三九を上回っておりますけれども、二〇三〇年には人口減が始まると予測されています。  現在の施策は抜本的解決には至っていないことが理解できるわけであります。しかしながら、現代社会において子供を持つ親は夫婦共働きであることから、保育所の不足は単に少子化対策としてだけでなく、社会構造の変化に対する施策といえ、待機児童がいるという現実を直視すれば、保育所の充実・整備は当然必要な施策であり、二十二年度を終了としていた国における実施期限が延長され、平成二十五年度も継続されることは大変ありがたいことだと思っております。  平成二十四年度の待機児童数は、名古屋市や中核都市を除く県所管の市町村では百四十九人とさほど多くもありませんが、名古屋市の千三十二人、豊田市の二十六人を合わせますと千二百七人、待機児童の解消は、名古屋市、あるいはその周辺市町を中心に、引き続き子育て支援における重要な課題となっていると思います。  私の地元日進市も、今も人口が増加し、この四月に、ありがたいと申しましょうか、小学校、中学校が併設で同時に開校するほどの子供が増加しております。
     待機児童数に関して言いますれば、四月一日を起算日としているために、報告としては待機児童はゼロというふうになっておりますが、名古屋市などへ通勤する途中に保育所へ預けたいなどというニーズもあるなど、検証すべき課題は大変多くあります。  いずれにしましても、こうした待機児童が発生する地域においては、保育所の整備を進めることが大変有効な手段だと思います。  そこでお伺いをいたします。  こうした市町村における待機児童の解消に向けた保育所整備の取り組みをどのように支援していかれるかお答えください。 40: ◯健康福祉部長(五十里明君) 子育て支援対策基金事業費のうち、市町村の保育所整備への取り組みに対する支援についてお答えをいたします。  本県では、平成二十一年度以降、この子育て支援対策基金を活用した民間保育所の新設や増築などの整備を市町村に対して積極的に働きかけるなど、待機児童解消に向けた対策を重点的に進めてまいりました。この基金により、本年度までに新設、増築などで定員四千四十五名分の民間保育所の整備が行われました。  しかしながら、平成二十四年四月一日現在においても、県内の待機児童数は十市町で千二百七名となっておりまして、保育ニーズの拡大にはまだまだ追いついていないのが現状でございます。  こうした待機児童を抱える市町に対しましては、基金を十分に活用するよう働きかけておりまして、平成二十五年度は三十三カ所の整備計画が出されております。  本県といたしましては、今後の新たな計画にも十分対応できるよう予算を計上しており、引き続き待機児童の解消に向けしっかりと取り組んでまいります。 41: ◯二十四番(近藤ひろひと君) 再度発言をさせていただきます。  基金を活用した待機児童対策についてのお話をいただきました。保育所の整備・充実は、確実に子育てをする方々の負担軽減につながり、間違いなく成果を上げていると思います。  しかし、先ほども申し述べたように、人口の将来推計では減少となっております。ほとんどの県民、国民は、将来、日本の人口が減っていくと思っていると思います。その証拠に、通常の会話や新聞、テレビ、そうした報道、あるいはこの議会でも当たり前のように少子・高齢化という言葉が使われます。しかし、それでよいのでありましょうか。  健康福祉部の新年度予算の中で少子化対策推進事業費二百二十六万八千円、中身をお聞きしましたので申し上げますと、はぐみんデー普及啓発事業、子育て支援ポータルサイト管理運営費、子育て家庭優待事業費、このほかに子育て支援事務費の中にいわゆる次のはぐみんプランを策定する際の調査等のための事務費が計上されております。  金額の多寡ではありませんが、少子化に対してどう対応していくか、その根本が今必要なことではないかと思います。  さきの十二月議会、我が党の吉田議員が代表質問で少子化対策をどのように進めていこうとしているのかとの問いに、はぐみんプランに基づき総合的な取り組みを行っており、プランはおおむね順調に推移している、今後は、効果的な事業展開により、はぐみんプランの目標である子育てに明るい愛知の実現を目指して、少子化対策を着実に進めていきたいと大村知事は答弁されています。  そのあいちはぐみんプランも二十六年度までの計画であります。  はぐみんプランの計画の一方で、子育て制度に含まれない、こうした健康福祉部の管轄に含まれないいろいろな問題が本来はあるのではないかと思います。愛知県は、平成十九年に愛知県少子化対策推進条例を制定しています。その前文を少しここで読みたいと思います。   だれもが安心して子どもを生み育てることができ、そ  の喜びを実感し、次代の社会を担う子どもが健やかに成  長することは私たちの願いである。   今日、結婚や出産に対する個人の考え方の変化や経済  的に不安定な若者の増加による未婚化や晩婚化の進展、  子育てへの負担や不安から、急速に少子化が進行し、人  口構造にひずみを生じさせ、ひいては人口が減少すると  いう事態に直面している。  以下、ちょっと省略させていただきまして、ここにありますように、少子化の要因と言えることは、ここで抜粋してみますと、結婚や出産に対する個人の考え方の変化、これが一つであろうかと思います。そして、もう一つ、経済的に不安定な若者の増加による未婚化や晩婚化の進展、そして、最後に、子育てへの負担や不安、こうしたものが少子化の要因であると思います。  最後に言いました子育てへの負担や不安、これに対しては、行政はしっかりと対応していると言えると思います。  しかしながら、先ほど申し上げた二つの考え方、あるいは経済的な問題、これらに対する、これは健康福祉部だけの問題ではありません。全庁を挙げ、そしてまた、国を挙げての少子化対策が必要だということをはっきりと示していると思います。  今ここで声を大にして申し上げたいのは、もちろん個々の施策も大切でありますけれども、本当にこの日本がこの将来続くのか、そうした議論のためにも少子化対策のことをここにおられる多くの皆様が改めて認識をしていただいて、どうしたらいいのか、一つは、教育だとか、そうした問題かと思います。  私は、交通安全のことも議場で多く議論されますけれども、幼少のころに近くの公民館で交通事故の模様を八ミリ映像か何かで見た覚えがあります。そのときの大変ショッキングな映像を見たおかげか、私は、今、何も言われなくても、いわゆる法律化される前もシートベルトを着用しましたし、スピードに対する恐怖があります。  そうした幼年時にいろいろな形で考え方を刷り込む、必要なことをしっかりと織り込む、そうしたことが必要ではなかろうかと思います。  こうした少子化の問題も、今、若者が、自分たちが大人になったとき、親になったとき、どんなことをしていくべきか、しっかりと教えていく必要が我々の責務だと思います。  どうか元気な愛知を施策として打ち出していかれる大村知事におかれましては、リーダーシップをしっかりと発揮していただき、また、先ほど申し上げましたように、議場におられる方々が多くの議論をしていただくことをお願いしまして、質問を終わります。 42: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  日比たけまさ議員。 43: ◯三番(日比たけまさ君) 歳出第七款産業労働費第四項労政費のうち、若年者雇用促進対策費及び緊急雇用創出事業基金事業費について伺います。  毎年、この時期になると企業への就職内定率が話題となります。間もなく二月一日時点での数値が発表されると思いますが、現時点で公表されている数字では、厚生労働、文部科学両省が一月十八日に発表した数字として、大学七五・〇%、これは平成二十四年十二月一日時点の数字で、前年同期比三・一ポイントの増となっております。  厚生労働省では、この数値の上昇について、リーマンショック後の採用抑制が底をつくとともに、大企業志向が薄れて、中小企業に目を向ける学生がふえたためと分析しているそうであります。しかしながら、依然内定を得ていない学生が約十一万人に上ると推計され、就職戦線は厳しい様相を呈しております。  また、新卒者と中小企業の雇用のミスマッチという問題も長年言われております。私は、このミスマッチの解消に向けた取り組みこそ、雇用問題の解決策のみならず、中小企業の活性化、そして、地域の活性化策につながるものと考え、主にこうした観点から順次質問いたします。  初めに、若年者雇用促進対策費について伺います。  株式会社リクルートワークス研究所の第二十九回ワークス大卒求人倍率調査(平成二十五年三月卒業予定者対象)によると、従業員規模一千人以上の企業の有効求人倍率は〇・七三と求職者が圧倒的に多く、就職が困難である一方、一千人未満の規模では一・七九と逆に欲しい人材が圧倒的に不足しているという状況です。  また、昨年十一月には、この春卒業した大学生約五十六万人について、同じ約五十六万人分の正社員の求人があったにもかかわらず、約二十万人が正社員として就職していなかったことが内閣府の推計でわかったとの新聞報道がありました。  内閣府によると、就職したのは約三十六万人、一方、就職しなかった約二十万人の内訳は、未就職、未進学が九万人、大学院などへの進学が八万人、パート、アルバイトのような就職が二万人、不明が一万人。内閣府は、進学した八万人を除く十二万人については、中小企業の魅力が学生に伝わっていない部分があるとしております。  なぜ学生は大企業志向になるのでしょう。その理由は、大企業特有の安定性や処遇面があることは否めないものの、そもそもどのような中小企業があるのか学生が知らないことであり、学生に提供すべき情報が決定的に不足していることが挙げられます。  これを裏づけるデータとして、岐阜市にあるNPO法人G―netが昨年公表した岐阜の中小企業と若者の就職白書を紹介します。なお、後ほどG―netの活動についても触れたいと思います。  G―netが昨年一月、平成二十四年三月卒業を控えた岐阜県内大学に在学する学生百六名を対象にとったアンケート調査によると、八九%の学生が就職活動の際に中小企業を視野に入れていると回答したそうです。また、企業を見る上で大事にしていることについては、仕事内容、やりがい、職場の雰囲気が上位三項目で、給与はその次、企業の規模、福利厚生はさらに下位に位置づけられるという意外な結果があらわれます。  一方、就職活動を始める際、会社を調べるために利用したツールについての調査では、ほぼ全ての学生がリクナビ、マイナビといったサイトを利用し、大学への求人情報を参照する学生は二〇%にも満たなかったそうです。  ここで、リクナビ、マイナビについて簡単に紹介します。  リクナビは株式会社リクルートが、マイナビは株式会社マイナビ、旧毎日コミュニケーションズが提供する学生向けの就職活動ポータルサイトで、就職活動をする学生から見れば、いわばバイブル。両サイトに掲載されている企業が自分の進むべき企業と考えていると言っても過言ではありません。今から約二十年前にさかのぼりますが、私の就職活動の際もそうでした。  しかしながら、両サイトに掲載される企業の中で地元中小企業の掲載件数はごくわずかに限られているのが現状です。  さきに紹介した岐阜の中小企業と若者の就職白書によると、岐阜県内の企業数約八万三千社に対して、両サイトに掲載されている県内に本社を置く企業数はわずか百六十三社、すなわち、学生が地元中小企業に出会う接点が限りなく少ないのです。  さらに、サイトで企業を検索する際の検索条件は、主に業種、勤務地、従業員数、売上高、待遇などとなっています。多くの企業の中から条件に当てはまらないものを削っていき、自分の進みたい企業を探していくわけですから、この条件で比較するのであれば、大企業に目が行くのは明白です。  すなわち、現在、学生が主に利用しているツールに頼った就職活動をすると自然と大企業志向になっていくのです。学生が関心を示す信用性の高い新たな情報ソースが必要でないかと感じます。  そこで、県内中小企業に関する情報を学生にいかに提供するのか、行政としてどのようにサポートするかについて伺います。  質問の一点目は、今年度から開始された、学生に中小企業に目を向けてもらうための取り組みについて、その概要と実績及び課題並びに二十五年度に向けた改善点について教えてください。  また、若者の就職支援の拠点であるヤング・ジョブ・あいちのホームページや、SNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用するなど、県が主体となって学生などにより多くの中小企業の情報を提供することが重要であると考えますが、現状と来年に向けた取り組みについてお伺いします。  さて、繰り返し述べますが、新卒者と中小企業の雇用のミスマッチ問題を解消することは、若者の安定した雇用につながるのみならず、中小企業の活性化、そして、地域の活性化にもつながります。  こうした取り組みを実践するNPO法人G―netに先日訪問してきましたので、活動内容に触れながら、次に、緊急雇用創出事業基金事業費の活用について伺います。  G―netにおける活動の原点は、代表である秋元祥治氏が学生時代に見た岐阜市内の経済の衰退化とそれに対する市民の反応です。  岐阜市内の百貨店が衰退し、空き店舗がふえる現状を行政や人のせいにしては何も解決できない。そこで、秋元氏は、自分の問題として地域の問題に主体的に取り組み、挑戦をする人材を育てること、このことが地域を活性化する鍵となると考え、二〇〇一年十月に学生団体を立ち上げ、二〇〇三年五月、NPO法人化を行いました。  主な活動は、長期実践型インターンシップコーディネート、ホンキ系インターンシップです。  ホンキ系インターシップでは、意欲の高い学生が半年程度、長期にわたり地域に愛される中小企業に弟子入りし、戦力として活躍する。学生が見習いではなく、魅力ある経営者の下で就業経験を得ることを目的としております。  受け入れ企業の選定については、将来に対する明確なビジョンと起業家精神を持ち、夢ある若者を応援する三十代から四十代の岐阜を中心とした地元企業経営者に厳選しております。  受け入れ企業の中には、魅力的な事業を展開していても優秀な人材集めに苦戦している企業も多く、インターン生を受け入れ、学生の仕事に対する熱心な姿勢や素朴な疑問に向き合うことで業務革新を進め、新規事業を生み出すきっかけが生まれているそうです。  G―netがホンキ系インターンシップを導入した企業に対し、組織変化と事業成果の側面から導入前後の社内環境の変化についてアンケートをしたところ、業務プロセスが改善された、社内風土が変化したと回答した割合が七割近くに上ったそうです。  一方、参加するインターン生は主体的に行動し、みずから設定した課題を解決できる意欲あふれた学生を対象とするとともに、大学側にも積極的に声かけをする中で、現在では二十の大学と連携をしているそうです。  こうした若者の力を活用し、地域を活性化するG―netへの注目は年々高まっています。  愛知県においても、平成二十二年度、二十三年度にふるさと雇用再生特別基金事業を活用した地域産業における長期実践型インターンシップコーディネート事業としてG―netを受託したと聞きました。行政がこうした若い起業家をどんどん育て、地域産業の活性化につなげようという試みは大変すばらしいことです。  平成二十五年度は、新規施策として起業支援型地域雇用創造事業の展開を計画されています。この事業は、地域の産業、雇用振興策に沿って雇用創出に資する事業を民間企業やNPOに事業委託し、失業者の雇い入れを行うもので、起業十年以内の企業が対象になると伺っております。  一方で、緊急雇用創出事業基金は、その継続性が不確実なことから、軌道に乗っていない企業に対して過度な委託をすると基金がなくなった際の雇用が危ぶまれるなど、一定の配慮が必要と感じます。もっと言うと、額は少額でもいいので、ある程度の期間は安定的、継続的に支援することができると望ましいと思いますし、支援する企業に対しては、行政として金銭以外にも継続的なフォローが必要でないかと考えます。  そこで、質問の二点目として、起業支援型地域雇用創造事業の特徴と県として留意すべき点についてお伺いします。  質問の三点目は、同じく緊急雇用創出事業基金を活用した若年者雇用対策として、今年度も実施されている未就職卒業者就職支援を来年度は対象人員を絞って実施されるようですが、より高い効果を得るためにどのような工夫を考えているのかお伺いします。  最後に、緊急雇用創出事業基金の活用に対する県の思いについてお伺いします。  私は、昨年度、産業労働委員会の場において、平成二十四年度において延長が決まった当該基金の活用にて、過去三年間の成果と反省を十分に踏まえ、雇用された方が次の就職につながるような効果的な事業の策定を要望し、労政担当局長からは、当該基金は、厳しい県の財政環境の中において、雇用確保を図る上で虎の子の財源であり、基金に積んだお金の使途については、三年間の経験を踏まえ、産業労働部はもとより県庁内各部局及び各市町村において適切な使い方を検討するようしっかり働きかけるとともに、効果的な雇用創出を図っていきたいと力強い回答をいただいたと記憶しております。  そこで、虎の子の財源であった基金をどのように活用できたのか、無理に事業に使ったことはなかったのか、今年度の評価と二十五年度に向けた思いを改めてお伺いします。 44: ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 若者雇用についてのお尋ねのうち、まず、学生に中小企業に目を向けてもらうための取り組みでございますが、今年度新たに就職活動に入る前の学生を対象に二つの事業を実施いたしました。  一つ目は、大学生一日職場体験支援モデル事業です。  これは、中小企業に興味を持ってもらうきっかけづくりとしてモデル的に実施した事業で、体験プログラムの作成や当日の進行など、県が委託した事業者がサポートすることで、受け入れ企業の負担を軽減しながら、仕事現場を学生に体験していただくものであります。  八月から九月には夏休み中の三年生、先月二月には春休み中の二年生を対象に実施し、夏春合わせて、物づくり分野を中心に中小企業十二社の職場を五十五人の学生が体験いたしました。  二つ目は、中小企業経営者と学生との交流会の開催です。  こちらは、業界団体などから推薦いただいた中小企業経営者と公募で集まった学生が膝詰めで交流を行うもので、名古屋駅前のウインクあいちで四回開催し、全体で十六名の経営者の方と八十五名の学生による活発な意見交換が行われました。  いずれの事業も、参加した中小企業の関係者、学生からは好評でありましたが、これらの事業をさらに多くの学生に周知、参加していただくためには、大学との連携を図りながら進めていく必要がございます。  そこで、来年度は、大学のキャリアセンター等に積極的な協力を求めながら、一日職場体験については、学生が参加しやすい夏休み期間に集中開催し、また、経営者との交流会については、大学の学内行事に組み込む形での開催を工夫するなど、改善を図って実施してまいりたいと考えております。  次に、ヤング・ジョブ・あいち等における学生への中小企業の情報についてのお尋ねであります。  ヤング・ジョブ・あいちは、名古屋市栄の中日ビル十二階に県と愛知労働局が共同設置した若者向けの就職支援拠点でありますが、そこで取り扱っている求人情報や企業情報は、中小、中堅企業に関するものが大部分を占めております。  個別企業の情報については、今年度からヤング・ジョブ・あいち内にある新卒応援ハローワークが中小、中堅企業など百八十五社に関する情報を企業PR情報シートとして取りまとめ、求人情報とともにホームページで発信しているところであります。  来年度においては、国が若者採用等に積極的な中小企業等に対し若者応援企業としての宣言を求め、宣言した企業の詳細な情報を学生等へPRする事業を始めます。  ヤング・ジョブ・あいちにおいては、この若者応援企業の情報もホームページを通じて学生へしっかり発信し、情報提供の拡充を図ってまいりたいと考えております。  次に、緊急雇用創出事業基金事業に関するお尋ねのうち、まず、起業支援型地域雇用創造事業についてであります。  この事業は、先月末、国の補正予算成立に伴い、国の交付金を財源とする緊急雇用創出事業基金事業の中の一つのメニューとして新たに創設されたもので、現在、各部局や市町村からの事業提案を受け付けているところでございます。  この事業は、失業者の就職支援に加え、将来的にこの地域の安定的な雇用の受け皿を創出することも目的としていること、そのため、委託先が地域に根差した起業後十年以内の法人等に限定されたこと、委託先で雇用された失業者が委託期間満了後に正社員に継続雇用された場合には、基金から一時金の支給があることなどを大きな特徴としております。  従来の基金事業とは異なる要件が課せられており、要件に合致した事業の立案や委託先の掘り起こしが課題となっております。  県といたしましては、こうした点に留意しながら、この事業を適切に活用し、継続的な雇用創出を図ってまいりたいと考えております。  次に、未就職卒業生に対する就職支援事業についてであります。  この事業は、就職が決まらないまま卒業せざるを得なかった若者たちをできるだけ早期に正規雇用に結びつけるため、平成二十二年度から緊急雇用創出事業基金を活用して実施しているものであります。  今回は、国の補正予算による追加交付額が全額起業支援型を前提としているといった財源上の制約や、新卒者の就職状況が二年連続で若干改善しつつあり、最悪期は脱したと見込まれることなどを勘案し、百二十人規模で実施することとしたものであります。  この事業は、これまで年度当初に事業者と契約し、その後、事業者が未就職卒業生を募集することから、支援開始時期が七月からとなり、卒業後、支援開始までの間に約三カ月、空白期間が生じておりました。  今回は、事業者との契約を二十四年から二十五年の複数年度契約として実施時期を前倒しし、二月に契約、三月末から支援を開始することで、卒業後、直ちに切れ目ない支援が実施できるよう工夫したところであります。  最後に、緊急雇用創出事業基金事業全体の評価と来年度に向けた取り組みについてであります。  基金事業は、もともとリーマンショック以降に発生した失業者に緊急的、短期的な雇用機会を提供することを目的としておりましたが、雇用情勢が最悪期を脱する中で、国も基金事業終了後の安定的な雇用につながるという観点からの事業立案を求めるようになってきております。
     県といたしましては、こうした国の方針も踏まえ、今年度は、基金事業に従事することで一定の技能、技術が身につく人材育成効果の高い事業や、基金事業の経験を生かした再就職が期待される事業が各部局、市町村において立案、実施されるよう努めているところでございます。  それぞれの事業で雇用した失業者の方々の事業終了後の就職状況等につきましては、事業完了後に御報告いただくことになっておりますので、現時点では把握できておりませんが、一定の成果は上がっているかと存じております。  来年度につきましては、継続雇用を重視した起業支援型が新メニューとして加えられておりますので、これもしっかり推進し、本県の雇用の安定を図ってまいりたいと考えております。  私からは以上であります。 45: ◯三番(日比たけまさ君) 御答弁いただき、ありがとうございました。  要望をさせていただきます。  初めに、新卒者と中小企業のミスマッチ解消に向けた取り組みについて、先月、私の地元春日井で行われましたかすがいビジネスフォーラムにおける春日井市、春日井商工会議所、中部大学の取り組みを紹介します。  このフォーラムは、さらなる飛躍とネットワークづくりの原点をテーマに、尾張地区最大級!見つかる、つながる商工展として、春日井及び近郊のすぐれた技術、製品、サービスなどの紹介、新たなビジネスマッチングの機会創出による産業の地産地消の推進、産学連携創出などを目的としております。  ことしは、百三十社百五十四ブースの市内外の企業が参加をいただき、大変盛況なフォーラムが開催されましたが、ここに地元中部大学文系学部に在籍する二年生の約八割に当たる五百五十五名が就職活動への第一歩として参加をしました。  今回の取り組みは、企業側の学生が地元企業に勤めてほしいというニーズと、大学側の学生に企業と仕事のイメージづくりや地域の企業に触れ合うことで地域の特性を理解させたいという考えが合致して行われたものでした。  学生は、事前のワークショップにて準備をしっかり行っており、各ブースでは熱心に質問をするとともに、企業担当者の説明に聞き入っていました。また、中部大学では、県の産業労働部とも連携し、愛知ブランド企業による物づくり講座を参加学生全員が聴講しました。  学生にとっては、将来の職業選択及び就職活動の大きな指針となったようですし、学生の熱心な態度と雰囲気は参加企業側にも大いに刺激になった模様です。  さらに、フォーラム全体も例年以上に盛り上がりを見せたことから、春日井市としても評価をしているとのことでした。  学生のレポートも少し拝見させていただいたところ、これまでの中小企業のイメージが、下請、受注したものを製造しているだけ、世間的には活躍できないといったものから、独自の技法を使い、すぐれている、世界的に進出している、中小企業が不安定とは限らないへと、実際の目で見、話を聞き、製品に触れることで印象が大きく変わったことがうかがえます。  情報があふれ返る現代社会において、雇用のミスマッチ解消に向けては、直接顔を合わせる場を形成することが非常に大切であると感じます。リアルな生情報は、企業、学生とも真に必要な情報の共有ができ、お互い満足できる就職活動、採用活動が行われると思います。  そこで、愛知県という信用力を生かした情報サイトの活用、しかも、学生が関心を持てるような企業紹介を行い、そこから直接顔を合わせる場につなげていただきたいと思います。  ヤング・ジョブ・あいちのフェイスブックを拝見しますと、先ほどの時点で「いいね!」を押している件数が百二十二件、もっともっとふやしていただきたいと思います。  さらに言えば、産官学が協力して学生の背中を強く押すぐらいの姿勢で臨まないといけません。費用と労力がかかる手法となるだけに、ぜひとも行政にはより積極的にかかわっていただくことを要望します。  次に、緊急雇用創出事業基金の二十五年度の目玉となる起業支援型地域雇用創造事業について、その趣旨は大いにうなずけるものの、実際に委託する業務の発掘や採択方法を考えると、従来に比べかなりハードルが上がったなという印象を持ちます。実務レベルで混乱を来すことはないのでしょうか。  関係者からは、年度末近くに急遽募集があったことから十分な検討ができていない、使い勝手が余りよくないのではないかといった声も聞こえます。それこそ無理やり使う事業が出てこないのかという不安があるのは私だけでしょうか。  緊急雇用創出事業基金事業は、国からの交付金による事業ではありますが、言うまでもなく、もとをただせば国民の皆様が納めていただいた血税です。主管部署として県庁内各部局及び各市町村と連携をとって、虎の子財源を有効に活用していただくことを要望して、質問を終了します。 46: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  飛田常年議員。 47: ◯二十五番(飛田常年君) 歳出第八款農林水産費第一項農業総務費のうち、あいちの農林水産物輸出拡大戦略事業費と第八款農林水産費第六項水産業費のうち、海域情報施設整備事業費及びあさりとさかな漁場総合整備事業費についてお伺いいたします。  まずは、あいちの農林水産物輸出拡大戦略事業費について質問します。  少子・高齢化社会の到来による国内市場の縮小が懸念される一方で、アジア諸国には、人口増加や経済発展に伴う富裕層の増加により今後伸びていくと考えられる有望なマーケットが存在します。  国においては、平成二十四年の農林水産物の輸出額四千四百九十七億円を平成三十二年までに一兆円に拡大する目標を掲げております。輸出促進を攻めの農林水産業を進めるための重点項目の一つに位置づけ、農林漁業者等が輸出拡大を図る取り組みに対するきめ細やかな支援、日本食や食文化を戦略的に発信するプロジェクトへの支援等に取り組むこととしております。  二十四年度補正と二十五年度を合わせた十五カ月予算で見ると、前年度予算を倍増するなど、輸出促進に大変力を入れております。  県においては、先ごろ上海で愛知フェアを開催し、大変盛況であったと伺いました。地元の新聞にもカラー写真入りで二度も記事が掲載され、私も何人かの知り合いから上海での愛知フェアの記事を読みましたよとか、すごく盛況でよかったですねなどと声をかけられました。  私の地元蒲郡市からも、きしめんやうどんを製造している株式会社金トビ志賀が出展したのですが、目新しさが上海の消費者から評価され、完売したと聞いております。多くの自治体が中国でのイベントを控える中で、勇気を持って開催し、成功をおさめられたことに敬意を表したいと思います。  しかし、中国は、北から南まで広い国土でさまざまな作物が栽培されており、植物防疫上の観点から、農産物については、日本から輸出できるものは、梨、リンゴ、米、茶の四品目しかありません。  このうち、米については、指定された施設で薫蒸が必要であり、輸出は限られたものとなっており、さらに、東日本大震災に伴う福島第一原発事故により、梨、リンゴ、茶を輸出できない状況が続いています。また、畜産物についても輸出できません。  この事業費については、昨年も質問させていただき、大変期待を持っていたのですが、もともと輸出できる農産物が四品目と少ない上に、東日本大震災の影響で輸出できないのではどうしようもありません。  確かに中国は新たな市場として有望だと考えますが、このように輸出できる品目がかなり限られております。  一方で、中国以外に目を向けますと、香港、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなど、アジアでは輸出先として有望な市場が多く存在しております。  中でも、香港は中国の特別行政区でありますが、関税がかからず、日本からの輸出の制限がなく、加工食品に加えて農産物など生鮮食品の輸出も可能であります。  昨年八月に開催されたアジア最大級の国際食品展示会、香港フード・エキスポにおいては、日本食品はすごく人気があり、どのブースも大盛況で、試食や商談などで盛り上がったと聞いております。長年培った日本ブランドの人気が高く、香港の企業も、日本食品を扱えばビジネスチャンスが広がると考えているようです。  今、世界無形文化遺産としてユネスコへの登録を目指す和食が国際舞台で脚光を浴びています。登録の可否は、早ければことし秋に決まる見通しとのことであります。今こそ農林水産物の輸出促進につながる好機と捉えて、積極的に輸出促進に取り組んでいただきたいと考えます。  そこでお尋ねいたします。  県では、これまでの取り組みの成果を踏まえ、県産農林水産物の輸出促進に向け、今後どのように取り組んでいかれるかお伺いをいたします。  次に、歳出第八款農林水産費第六項水産業費のうち、海域情報施設整備事業費及びあさりとさかな漁場総合整備事業費の二点についてお伺いをいたします。  本県は、伊勢湾、三河湾、渥美外海といった豊かな海に恵まれて、アサリやガザミ、車エビなど、さまざまな水産物が漁獲されております。  以前、私は、田原市にある県の栽培漁業センターを調査し、その苦労や努力を目の当たりにして、栽培漁業による八種類の稚魚や稚貝を育て、漁場に放流することで現在の漁業も成り立っているのだと実感をさせていただきました。  平成二十二年の農林水産統計によりますと、特にアサリは全国シェアの約六割を占め、圧倒的な漁獲を誇っています。これは、三河湾の奥に位置する豊川河口域にある奇跡の干潟と呼ばれる六条潟の存在が大きく寄与しているようです。  三年前にNHKで放送されておりましたが、六条潟では、天からの恵みの雨が豊川流域の森林を経由し、生き物に必要な栄養豊かな水として河口域まで流れることで豊かな生態系が育まれ、アサリ稚貝など多くの生物が発生するとのことです。  中でも、アサリ稚貝については、毎年三千トンも発生するそうです。漁業者の皆さんが地元の漁場へ放流し、管理するなどの有効利用を図ることで日本一のアサリを支えていると聞いております。六条潟は、三河湾の浄化とアサリの稚貝を発生させる奇跡の干潟であり、絶対なくしてはならないと思います。  一方、この奇跡の干潟で、平成二十三年八月下旬に約二千トンにも及ぶ大量のアサリ稚貝がへい死したとの衝撃的な報道がありました。蒲郡市にある愛知県水産試験場が調査した結果、閉鎖性の海域である三河湾は、もともと海水の交換が悪く、赤潮が海底に沈んで分解されるときに海水中の酸素が使われて、生物の存在が困難になる海水、いわゆる貧酸素水塊が海底に形成され、それが六条潟に押し寄せたことが大量へい死の原因であるとのことでした。  水産試験場のホームページには、夏期になると貧酸素水塊情報が掲載されておりますが、三河湾の一部地域のみならず、広範囲にわたって貧酸素水塊が存在している場合があります。すなわち、三河湾は、貧酸素水塊の恐怖にさらされており、いつまた六条潟でアサリ稚貝の大量へい死が起こるとも限りません。  さらに、愛知県環境白書によると、平成二十三年度の赤潮発生延べ日数は百五十三日と年間を通じて発生が認められ、中には、ノリ養殖に被害を与えるものもあると聞いております。  このように、三河湾では、赤潮や貧酸素水塊が毎年発生し、時には漁業生産に悪影響を及ぼしています。人工的に赤潮や貧酸素水塊を除去または発生させないことができればいいと思うのですが、今の段階では無理のようです。今は、タイムリーに海の環境をモニタリングし、漁業者の方へ情報提供することが必要であると思います。  三河湾には、水温などをモニタリングする自動観測ブイが設置されておりますが、現在の自動観測ブイは、水産試験場でデータ補正が必要なため、十日ごとに取りまとめてしか提供できないことに加え、最近では、データが欠落していることもあり、大切な情報発信に支障を来していると聞いております。  そこで、平成二十五年度予算において海域情報施設整備事業費が新たに計上されておりますが、具体的な事業の内容についてお伺いをいたします。  次に、三河湾では、昭和二十年から昭和五十三年の間に、経済成長に伴う沿岸開発により干潟が千二百六十ヘクタール失われました。その後、三河湾では、こうした失われた干潟や浅場の大規模な造成が国と連携して全国に先駆けて行われましたが、その再生は約六百ヘクタールにとどまっております。  干潟は、海水をきれいにする水質浄化機能があるだけでなく、多くの魚介類の稚魚が生息する保育機能も有しております。ここで生まれ育った魚介類は、やがて渥美外海の漁場に移動し、おいしい水産物として漁獲されます。  しかし、渥美外海は、平たんな砂地が広がる地形のため、魚の隠れ家や集まる場所が少ないと聞いております。このため、県民の皆様に豊かな海の恵みを提供するためにも、内湾と外海を通じた漁場の整備が必要であると思います。  そこで、水産資源の増大を図り、本県水産業をさらに発展させるため、漁場の総合的な整備が必要であると考えますが、あさりとさかな漁場総合整備事業費では、県としてどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。 48: ◯農林水産部長(中野幹也君) まず、県産農林水産物の輸出促進についてでございます。  海外における愛知の農林水産物の知名度向上や販路の拡大を支援し、輸出促進を図ることは、本県農林水産業の振興を図る上で大変重要なことであると認識をしております。  このため、昨年七月に設置した農林水産物の輸出に関する総合的な取り組みを行う農林水産業国際競争力強化センターの主要事業として、本年一月に開催した愛知フェアin上海では、議員お示しのとおり、大変大きな成果を上げることができました。  しかし、中国へは輸出できる品目が限られておりますことから、来年度は、梨、イチゴ、トマト、米、茶など、農産物の輸出も可能な香港において、販売促進会と商談会を行う愛知フェアを開催したいと考えております。  また、中国・上海でも人気の高かった煎餅、リキュール、みそ、みりんなどの調味料についても、引き続き出展を予定するとともに、新たに抹茶、漬け物などの加工食品についても、飲み方や食べ方を提案しながらの試食、販売を計画するなどして、香港の消費者へしっかりとPRしてまいりたいと考えております。  さらに、香港の次を見据え、一人当たりGDPがアジア諸国で最も高く、日本食が広がりつつあるシンガポールにおいて、マーケティング調査を実施してまいります。  県としましては、今後とも、経済成長著しいアジア諸国において、積極的に県産農林水産物の輸出促進に取り組んでまいります。  次に、水産業費に関するお尋ねのうち、まず、海域情報施設整備事業費の内容についてでございます。  県では、平成二年度に水温や酸素濃度などを観測する自動観測ブイ三基を三河湾に設置し、アサリ漁業やノリ養殖業の操業支援として海域情報を提供してまいりましたが、老朽化が著しく、御指摘のような問題が生じており、その更新整備が喫緊の課題となっております。  このため、今回、三基のブイ全てを更新することとし、加えて、赤潮の指標となるクロロフィルを測定項目として追加することや、得られた情報を水産試験場のホームページやモバイルネットあいちでリアルタイムに提供するなどの機能向上を図ることといたしました。  これにより、貧酸素水塊や赤潮が発生した場合に、アサリ漁業での稚貝の管理や、ノリ養殖では、網の張り込みや摘み取りなどにおいて、これまで以上に迅速な対応ができ、漁業被害の軽減に大きな効果が期待されます。  さらに、観測されたデータは試験研究にも活用し、三河湾の環境改善に生かしてまいりたいと考えております。  次に、あさりとさかな漁場総合整備事業費についてでございます。  これまで県は、内湾では、水質浄化機能を有した干潟、浅場の造成を、外海では、魚を集め、操業の効率化を図る魚礁の整備に取り組んでまいりましたが、将来にわたる県全体の水産資源の底上げを図っていくためには、議員御指摘のとおり、干潟、浅場のより一層の造成が必要であり、また、耐用年数を過ぎた魚礁の更新が必要となってきております。  そこで、県といたしましては、内湾と外海における一体的かつ効果的な漁場整備をこれまで以上に推進する必要があると考え、平成二十五年度からは、新たにあさりとさかな漁場総合整備事業費を創設し、三河湾におきましては、水質浄化機能に加えまして、アサリ漁場や魚が産卵し稚魚が育つ場としても適した干潟、浅場の造成に積極的に取り組むことといたしました。  また、渥美外海におきましては、魚を集めるだけでなく、内湾で稚魚として育った後、外海に分布することになる魚を育成するため、その餌となる生物をふやす機能を持つ新たな魚礁を整備してまいります。  このような総合的な事業の実施により、内湾から外海まで県域全体で水産資源の増大を図りますとともに、三河湾の浄化を推進し、日本一のアサリ漁業を初め、本県水産業の振興にしっかりと取り組んでまいります。 49: ◯二十五番(飛田常年君) 一点要望します。  愛知県は、物づくりの県と同時に、農業、水産業も盛んな県であります。  まず、農業についてでありますが、現在、中国へは農産物の生鮮食品は輸出できない状態にあるようですが、加工品については順調に輸出が進んでいるようです。日本製品は本当にクオリティーが高いと思います。まだまだ中国へも今以上に進出していただきたいと思います。また、あわせて香港へも積極的に輸出をふやしていただければと思います。  国も輸出促進で攻めの農林水産業と位置づけている以上、愛知県としても、県内の多くの農業生産者や組合に声をかけていただき、さらに香港だけでなく、東南アジアでの輸出先を開拓していただきたいと思います。  水産業におきましては、三河湾を浄化し、漁場を整備することで三河湾や伊勢湾の漁獲量をふやし、それがさらには水産業の発展につながることだと思います。  来月には潮干狩りの解禁になります。楽しみにしている人もたくさんおりますので、さらなる三河湾の浄化に努めていただくことを要望して、終わります。 50: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  鈴木まさと議員。 51: ◯十四番(鈴木まさと君) 第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費第六目あいち健康の森健康科学総合センター費について、四点質問いたします。  あいち健康の森は、国立長寿医療研究センターやあいち健康プラザ等の国内有数の健康づくり、医療、福祉の専門施設が集積しておる大府市、東浦町にまたがる約九十ヘクタールの地域でありまして、各施設が連携、協力することで相乗効果を発揮し、県民の健康づくりの拠点を目指して整備された地域であります。  地元市町の間では、あいち健康の森を活用したウェルネスバレー構想を基本構想として、先端医療企業誘致を含むまちづくりを進めておると聞いております。  本日は、あいち健康の森の中心施設であるあいち健康プラザとげんきの郷についてお尋ねしたいと思っております。  まず、あいち健康プラザであります。  私の地元である岡崎市には、健康づくりの拠点施設となっております岡崎げんき館が平成二十年に開設いたしておりますが、この施設は年間約三十万人の利用があり、健康づくりプログラムを含め、市民の評判も非常によい施設となっております。  そして、聞くところによりますと、この施設のオープンに当たっては、健康づくりプログラムは、あいち健康プラザから健康度評価等の技術支援を受けておるとのことであります。  そこでお尋ねします。  一点目、まず、あいち健康プラザの健康づくりの処方と言われる健康度評価はどういうものなのかお尋ねしたいと思っております。  また、この健康度評価を初めとしたあいち健康プラザの高い健康づくり技術について海外にも評判が伝わっておるため、海外からも多くの視察があるとのお話をお伺いしております。  そこでお伺いいたします。  二つ目、あいち健康プラザには、どのような国々からどのような目的の視察があるのか、現状についてお尋ねしたいと思っております。  このような健康度評価を初めとしたあいち健康プラザの高い健康づくり技術は、大変有益な技術であると思っております。  そこでお尋ねいたします。  三番目、現在、あいち健康プラザの健康づくり技術の普及活動はどのようになっておられるのか、また、県は、あいち健康プラザの健康づくり技術を県内の他の市町村にどのような方策で広めていくのか、所見をお伺いしたいと思っております。  次に、げんきの郷についてであります。  げんきの郷は、あいち健康の森の関連施設として立地し、年間二百万人を超える方が訪れるJAあいち知多が運営しておる国内最大級のファーマーズマーケットであります。この施設は、安くて新鮮な地元野菜が手に入ることから、多くの人でにぎわっており、地産地消のモデルとなるのではないかと思っております。  そこでお尋ねします。  農と食をテーマとするげんきの郷は、あいち健康の森の中でどのように位置づけをされ、県民の健康づくりに生かされているのかお伺いいたします。
     以上で一次質問を終わります。 52: ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) あいち健康の森健康科学総合センター費のうち、まず、あいち健康プラザで実施しております健康度評価についてお答えを申し上げます。  健康度評価は、利用者の方に診察、血液検査及び体力測定等を受けていただき、個人個人の健康状態に応じた医学データに基づいて、有酸素運動や筋力トレーニングなどの運動と栄養を組み合わせた健康づくりメニューを提供するものであります。  高血圧などの疾病のある方や高齢の方に対しても、この健康度評価により健康づくりのための安全な運動メニューを提供することができます。  現在策定中の健康日本21あいち新計画におきましても、運動を行うことで高血圧などの疾病の進行を抑える重症化予防をテーマとしておりますが、そのためにも、健康度評価に基づく健康づくりメニューの活用は大変有効なものであると考えております。  次に、あいち健康プラザへの海外からの視察等の状況についてお答え申し上げます。  平成二十二年度以降、アジアを中心に八カ国百五十七名の方が視察に訪れておられます。これらの国々は、将来の高齢化社会に対応した健康づくりに取り組まなければいけないという課題認識を持って、高齢者の健康づくりのための運動の重要性とその取り組みについて視察に来られております。  あいち健康プラザでは、高齢者にとっても有効な個人個人の健康状態に合わせて運動を処方する健康度評価について説明し、視察に訪れた方々からも高い評価をいただいていると承知をしております。  また、あいち健康プラザでは、独立行政法人国際協力機構(JICA)により、高齢化に伴う生活習慣病予防の研修事業を受託し、アジア諸国からの研修生についても積極的な受け入れを行っております。  次に、あいち健康プラザと市町村との関係についてお答え申し上げます。  あいち健康プラザの健康度評価等の健康づくり技術は、議員お示しの岡崎げんき館以外にも、北名古屋市、刈谷市の健康づくり施設にも活用され、各施設のオープンに当たって、市から依頼を受けたあいち健康プラザの職員が現地に赴き、市の職員に技術支援を行い、協力しながら施設を立ち上げ、その後の運営についても継続的に支援を行っております。  また、議員御指摘のとおり、一人でも多くの県民の方がこうした健康づくり技術を活用することができますよう、本県では、平成二十四年度から三カ年計画で市町村健康づくり技術支援事業を立ち上げ、本年度は八市町に対し、それぞれの市町の状況に応じ、健康度評価の評価手法や、健康関連施設の有効活用方法等についての技術支援を実施いたしました。  来年度も引き続きこの事業を実施し、市町村の行う健康づくりの取り組みを支援してまいりたいと考えております。  最後に、げんきの郷は、あいち健康の森の中でどのように位置づけをされ、県民の健康づくりに生かされているのかについてお答えを申し上げます。  県民の健康づくりを推進するため、現在策定中の健康日本21あいち新計画においても、食の観点から一日当たりの野菜摂取量の増加を目標に掲げております。県民の方々が野菜を十分摂取できていない実態がある中で、げんきの郷では、地元でとれた野菜の販売や体験農園により、みずから採取した野菜をみずから食べるなど、多くの県民の方々が野菜を食べる楽しみを体験していただいているところであります。  あいち健康の森には、運動、食、医療、介護などに関連する施設が集積をしており、県民の健康に関する関心と意識を高める場でありますが、さらに相互の連携を深めるため、あいち健康の森連絡会議を開催し、連携のための取り組みを検討しているところであります。  げんきの郷は、食を通じた健康づくりの中心的な施設として、あいち健康の森に欠くことのできない施設であると考えております。  以上であります。 53: ◯十四番(鈴木まさと君) 一点要望をさせていただきたいと思っております。  げんきの郷があれば、農家が野菜の販売を直接できるようになります。これが非常に大切なことでありまして、これで生産から販売まで営め、年収一千万円を超えるような大規模農家がこの周辺には育成されておると聞いておるところであります。これが農業再生のモデルになるのではないかと、そういうふうに思っておるからであります。  さらに、一坪農園、もしくは家庭菜園などと地域によって呼び名は違いますが、健康のために野菜づくりを楽しもうという市民の皆さんが栽培したちょっとした野菜もこちらで販売できることで、自分のつくった野菜を買ってくれる人がいた、そういう喜びが栽培意欲向上を通じて健康な体づくりに生かされておると、そういうふうに理解しておるところであります。  日本では、高齢化社会を迎え、健康志向の高まりを背景として、さまざまな健康産業が花盛りとなっておるところであります。言いかえれば、成長産業となって新しい雇用機会を提供しておるところであります。  そして、隣国の韓国や中国なども、これから確実に高齢化社会を迎えるに当たって、現在、あいち健康の森で先進モデル的に取り組まれておるいろいろなノウハウや成果が世界に生かされるときが必ず来ると思っておるところであります。  そのためには、あいち健康の森の各施設がお互い連携、協力、融合したものを生かし、シリコンバレーならぬウェルネスバレーを形成することが絶対に必要であると思っています。  諸外国にまで健康産業のノウハウ輸出ができるようになれば、雇用創出へとつながって、知的立県となります。既に諸外国からの健康の森への視察も受け入れているとのことであります。そこで外国の皆様からいただいた意見をもとに、近い将来を見据え、さらなる視察環境の整備にも取り組んでもらいたいと思っております。  以上で終わります。 54: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  青山省三議員。 55: ◯四十三番(青山省三君) 私からは、第七款産業労働費第二項商工業費のうち、げんき商店街推進事業費と中小企業金融対策貸付金の二点お伺いいたします。  最初に、げんき商店街推進事業費についてお伺いいたします。  リーマンショックと欧州危機により円高傾向が続き、経済は低迷をしたままで、消費は伸びず、規制緩和以降、郊外への大型商業施設の進出や、消費者、生活者ニーズの多様化と経営者の高齢化、後継者難など、内外の影響と課題により商店街は停滞、衰退移行に歯どめがかからない状況になっております。  しかし、近年は、政府の経済対策の効果もあって、個人消費は少しずつ持ち直しの動きが出てきましたが、景気は自立性に乏しく、しばらくは厳しい状況が続くものと思われます。  こうした状況を踏まえ、愛知県では、げんき商店街推進事業費を計上して、商業機能強化に向けた取り組み及び地域コミュニティーの担い手としての役割に着目した取り組みにより活性化を目指す商店街を支援するため、まちづくりの観点から商店街活性化の主体的役割を持つ市町村が計画的に行う商店街活性化事業等に対して、今年度に引き続き支援をしていかれるとお聞きしております。  加えて、商店街の防災、減災の観点から、昭和五十六年以前に建築された老朽化したアーケード、アーチの耐震補強、撤去等をげんき商店街推進事業の対象に加えるとお聞きしております。  そして、地域の交流、にぎわいや文化の中心であった商店街は、近年、大型店の進出や後継者不足による空き店舗の増加などの影響で大変厳しい状況に置かれています。  一方、商店街は、日常の買い物の場でもあると同時に、子育て支援や防災、防犯などの面で地域社会に貢献しており、そうした商店街の活性化を図っていくことは、引き続き重要な課題であると考えています。商店街の活性化に向け、今後、県としてはどのように一層支援をしていかれるかお伺いをいたします。  続いて、中小企業金融対策貸付金について質問をさせていただきます。  バブル経済の崩壊以後、景気は低迷し、日本経済の停滞も長期化している状況の中、二〇〇八年には、アメリカの投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻をして、世界的な金融危機が発生しました。  さらに、二〇一〇年には、欧州ソブリン危機が起き、EUの通貨ユーロが不安定になり、アメリカのドルも依然として不安定のまま、日本の円がますます買われるようになり、円高がさらに進みました。  国内企業の輸出産業は、円高の打撃を少なくするために海外への流出を活発化してきました。企業が海外に流出していくことは、長期的に見ても経済環境をますます悪化させる要因となります。ましてや、海外進出などもできない中小企業においては、なお一層苦しい経営が続いています。  そんな状況の中、国において、中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関の返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸し付け条件の変更等を行うよう努めることなどを内容とする法律、中小企業金融円滑化法が平成二十年秋以降の金融危機、景気低迷による中小企業の資金繰り悪化等への対応策として、平成二十一年十二月に平成二十三年三月までの時限立法として施行されましたが、終了期限を迎えても中小企業の業況、資金繰りは依然として厳しく、改善されないことから、平成二十四年三月まで延長されることになりました。  そして、景気が改善されない中、再延長された中小企業金融円滑化法の期限も今年度三月で終了するため、愛知県としても極めて厳しい経営環境にある中小零細企業に対する資金繰りを支援するために、中小企業金融対策貸付金の制度をさらに充実されたとお聞きしています。  そこで、愛知県は、これら制度融資の円滑な運用のため、金融機関や愛知県信用保証協会に対してどのように働きかけをしているかをお伺いします。  また、国内市場が縮小する中、海外市場で勝負をし、アジアの経済成長を取り込もうとする中小企業が増加していますが、こうした企業に対して支援する制度はありますが、制度融資においては、愛知県は今後どのように支援をされていくつもりかお伺いいたします。 56: ◯産業労働部長(木村聡君) まず最初に、商店街の活性化に向けた支援についてお答え申し上げます。  商店街の厳しい状況に鑑みまして、県では、これまで補助制度などを活用し、商店街のにぎわいの創出や商機能強化に向けた取り組みを支援してまいりました。  そうした取り組みに加えまして、平成二十三年五月に策定いたしました新あいち商店街プランでは、商店街を地域コミュニティーの担い手と位置づけまして、子育て、防災、防犯など、社会貢献の取り組みを通じて活性化を図ろうとする商店街に対しまして、げんき商店街推進事業費補助金などを活用し、支援を行っているところでございます。  また、東日本大震災を契機として、地域の安心・安全に対する社会的な関心が高まったことを踏まえまして、平成二十五年度からは、新たに老朽化したアーケード、アーチの耐震補強等の取り組みを補助対象に加えることとさせていただきました。  県といたしましては、市町村との連携のもと、にぎわいの創出とともに、往来の安全性の確保に向けた取り組みを支援することによりまして、地域コミュニティーの核となります商店街の集客の維持拡大につなげてまいりたいと考えております。  続きまして、中小企業の金融支援のうち、県融資制度に関する金融機関や県信用保証協会への働きかけについてお答え申し上げます。  県は、従来から県制度融資の適切な運用を図りますため、新たな制度の導入や既存制度の改正に当たりましては、それらの制度設計の段階から金融機関や県信用保証協会と協議を重ね、できる限り現場のニーズや運用の実態を反映するよう努めているところでございます。  また、制度の概要が固まった後は、県制度融資を取り扱う全ての金融機関や県信用保証協会の担当職員を対象とする説明会を開催いたしまして、県の政策意図や制度の具体的な内容の周知徹底を図っているところでございます。  中小企業金融円滑化法の期限到来を控えます去る二月には、金融機関の代表者を招いて開催いたしました金融懇談会におきまして、知事から直接来年度の改正事項を周知いたしますとともに、中小企業から新たな借り入れ、借り入れ条件の変更等の申し込みがあった場合には、引き続き個別企業の実情に応じて、できる限り弾力的かつ機動的に対応していただくよう要請したところでございます。  県といたしましては、今後とも、夏の時期や年末などの資金需要期におきまして、金融機関に対し、中小企業金融の円滑化を文書で要請するなどの取り組みを行いまして、中小企業の資金繰りをきめ細かく支援してまいりたいと考えております。  次に、県制度融資を活用した海外展開を図る中小企業の支援についてお答え申し上げます。  このところ、過度の円高は是正されつつございますが、総じて見ますと、生産拠点を海外に移転する親企業の求めに応じ、あるいはみずから新たな市場の開拓を目指して、アジアの新興国への事業展開に取り組む中小企業が増加しているところでございます。  人口減少に伴う国内市場の縮小が懸念されます中、成長著しいアジアの経済活力を取り込むことは、中小企業にとりましても重要な課題でございます。  このため、県では、海外展開によって利益を生み出し、その利益を県内事業の維持拡大につなげようとする中小企業に対し、支援を強化することといたしました。  具体的には、来年度から経営の安定を支援するサポート資金の円高対応緊急枠におきまして、海外向けの新製品の開発や販路の開拓、さらには、海外における事業拠点の設置などに取り組む中小企業を新たに融資対象に追加いたします。  近年、地域の金融機関は、アジアの新興国に支店を開設する、あるいは現地の金融機関と業務提携を行うといった取り組みを進めておられます。  県といたしましては、それらの金融機関と連携しながら、金融面からも海外展開を図る中小企業をしっかり支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 57: ◯四十三番(青山省三君) ありがとうございました。  それでは、要望させていただきます。  商店街が活性化していくには本当に大変なことですので、市町村への支援のみでなく、熱心に活性化に取り組んでいる商工会や発展会にもげんき商店街推進事業費などが適用できるようにより一層支援していただくよう要望しておきます。  それから、中小企業金融対策貸付金の制度ですが、金融機関や愛知県信用保証協会は、元気のいい、天気のいいのに傘を貸してくれるという、そういう状況が続いておりまして、本当に零細企業の皆様にはなかなか融資をしてくれないのが事実でございます。できるだけきめ細かく多くの企業に支援をしていただくように要望して、終わります。 58: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  西久保ながし議員。 59: ◯十九番(西久保ながし君) それでは、私から、歳出第七款産業労働費第五項職業能力開発費の職業能力開発総務費について伺いたいと思います。  今、愛知県は、引き続き日本経済をリードしていくために、次世代の物づくりの基盤をしっかり築いているところであります。その一つとして、日本をリードしてきた自動車産業に加えて、新たに航空宇宙産業にも力を入れているわけであります。  航空機の特徴は、生産台数は決して多くありませんが、品質管理基準が極めて高く、高品質で多品種、少量生産の部品を必要といたします。ですから、単純にロボット化することはできず、人のたくみの技に頼る部分もかなり必要になってまいります。  ある機関紙に、現代の名工であります板金職人の藤井洋征さん、六十七歳の方ですが、記事が載っておりました。新幹線の顔とも言えるあの流線型の先頭車両など、実に五十年にわたり数多くの形を金づち一本で生み出してきた本当にすばらしい方であります。  一昨年、JAXAと超音速航空機の翼の型を共同開発されました。長さ六メートルにも及ぶ翼を厚さ六ミリの金属板を打ち出してつくり上げたわけですが、作業を終えた藤井さんは、〇・数ミリという精度でつくり上げなければならないという本当に難しい仕事だったけれども、ようやく一人前になれた気がしたと語っておられました。  このように、次世代産業である航空機といえども、新しい技術だけでは成り立たないということを改めて再認識した事例であります。  今後、次世代産業を推し進めていく上で、こうした卓越した技能を持つ人材の育成というのは決して忘れてはいけない観点だと思っております。  物づくりは、言うまでもないことですが、技術と技能が車の両輪のごとくうまく回り合って初めてよいものができるわけであります。技術は、文章で簡単に蓄積でき、インターネットなどの進展によって伝達の速度は相当速くなっております。一方で、技能は、人が体験や経験を積まないと習得できませんので、かなりの時間を必要としますし、人を介すだけに、一旦その技能を失えば、取り戻すことは容易ではありません。  こうした技能、ノウハウが物づくりの生産現場を支えてきたことは言うまでもないことですし、今後とも、優秀な技能集団が生産現場を牽引していかなければなりません。  そういう中で、今、生産現場では、団塊の世代の優秀な技能者が退職の時期を迎えて、どんどん生産現場から去り始めております。企業では、そうした技能、ノウハウを伝承するために、人材育成などさまざまな努力をしておりますが、体制の不十分な中小零細企業では、日々の生産に追われ、人材育成が十分できていないというのが現実であります。  ある調査では、中小の経営者の約七三%の方が技能継承に不安を持っているということであります。一方で、職場を去った団塊の世代の優秀な技能者の中にはまだまだ働ける方もたくさんおります。  こうした企業や退職者のニーズを把握して、マッチングする機関をつくって、優秀な技能者を指導員として企業に直接派遣し、技能の維持向上を図ることが今まさに求められております。技能レベルの低下というのは、企業はもちろんですが、物づくり愛知にとっては死活問題になりかねません。  昨年末、町工場の集積地であり、日本の物づくりを支えてきた東京大田区の取り組みを伺ってきたんですが、やはり後継者不足、技能の衰退など、技能の伝承について大きな問題意識を持たれておりました。  そして、来年度は、一つの取り組みとして、区内のたくみのわざを持っている方を集めて、そのわざを公表し、行政が窓口となって、たくみのわざを持った人と企業をマッチングさせて、マッチングできたら直接指導に出向くことを考えているということでありました。  当然、当初は、競争相手に技能、ノウハウを教えることは抵抗感もあったそうですが、大田区のたくみのわざをどう残すかという課題に真正面から向き合い、出した結論だそうであります。  そうした中で、厚生労働省は、二十五年度の新規事業の中で、ものづくりマイスター制度を創設するということでありますが、これは国が、企業のOBを含め、すぐれた技能者をものづくりマイスターとして認定して、地域の団体の協力を得て、中小企業や業界団体などに派遣をして、直接技能指導を行うというふうに聞いております。  そして、ここ愛知県でも、次世代の物づくりを見据えて、現在、新技術の研究開発などに積極的に取り組んでおりますが、私は、もう一つの車輪であります技能の維持向上についても、もっと積極的に取り組むべきだと思っております。  現在の職業能力開発協会や技能士会の取り組みは理解をしておりますが、今の愛知の取り組みは、技能面がまだまだ手薄だというふうに思っております。  そこで、一点伺いたいと思います。  こうした熟練技能者の技能を受け継いでいく人材育成について、厚生労働省が二十五年度から開始するこのものづくりマイスター制度の活用を含めて、県としてどのように取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。よろしくお願いします。 60: ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 本県は、技能士の国家検定に合格した方が二十九万七千人、その人数は日本一、中でも、特にすぐれた技能を有する特級技能士、これは全国の四分の一を占めておりまして、これらの方々が物づくり愛知の技能を支えていただいております。  こうした方々は、みずから研さんを積まれるとともに、技能検定やその指導、あるいは企業内、業界団体における職業訓練などを通じまして、その技能の伝承に努めておられます。  このような技能伝承の地道な活動は、法律に基づき設置されました県職業能力開発協会や、技能士の方々が自主的に結成してみえます県技能士会連合会によって組織的に支えられておりまして、県は、この両団体を支援することを通じまして、技能の伝承や技能人材の育成を図っております。  また、本県では、県職業能力開発協会及び技能士会連合会と連携いたしまして、熟練技能者の方々を工業高校等に派遣し、教師や生徒を指導していただくような、そんな取り組みも進めております。  そうした中で、国では、来年度から全国の熟練技能者をものづくりマイスターとして認定し、地域における若年技能者の人材育成に活用する事業を開始することを予定いたしております。  国は、現在、この事業に地域で協力する受託者を公募しており、本県では、県職業能力開発協会が受託に向けた準備を進めております。  県職業能力開発協会では、企業の定年退職者等も含め、県内の熟練技能者を幅広く掘り起こし、ものづくりマイスターとして県内の中小企業等へ派遣していくことなども計画しており、県としては、これを積極的に応援していく方針であります。  こうした取り組みを通じまして、熟練技能者からの技能伝承を着実に進め、愛知の物づくりの基盤強化を図ってまいりたいと考えております。  私からは以上であります。 61: ◯十九番(西久保ながし君) ありがとうございました。一点要望を申し上げたいと思います。  十年後の愛知の物づくりを想像しますと、技術面というのは、恐らく今さまざまな取り組みをしておりますので、それが実を結んで、飛躍的に私は進歩すると思います。  一方で、技能面は、今の取り組みだけでは、恐らく愛知県全体の技能レベルという面でいけば、私は下がるというふうに思っております。
     そういった問題意識を中小の経営者の方々も持たれておりますし、ぜひ物づくり県としては、そういったことにもっと問題意識を持っていただきたいな、危機感を持っていただきたいなというふうに思います。  国の取り組みをしっかりとやっていくということですが、私は少し残念に思っています。国の行っていくマイスター制度、これこそ愛知から発信をかけて国を動かすような事業だったというふうに私は思っておるんです。  ですから、国の指針に沿うだけではなくて、愛知県にはOBを含めて本当に優秀な方がたくさんおられます。ぜひそういった財産をしっかり生かしてもらうとともに、愛知として、ぜひ知恵、工夫を出して、強力に取り組んでいただきたいというふうに思います。  そして、来年は、いよいよ技能五輪の全国大会がこの愛知県で行われます。そういう意味からも、ぜひもっともっと技能を大切にする、技能を尊重するという、そういう機運をぜひ高めていただきたいですし、そういう風土を愛知からぜひつくっていただくことを県としてしっかりやっていただくことをお願いし、終わりたいと思います。 62: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  高橋正子議員。 63: ◯七十一番(高橋正子君) 歳出第六款健康福祉費第四項高齢福祉費のうち、高齢者地域福祉推進事業費補助金についてお尋ねをいたします。  高齢者地域福祉推進事業費補助金一億一千六百二十二万四千円、これは老人クラブ活動事業への支出金で、平成二十五年度予算の重点施策でもあります。  今、我が国は、世界に類を見ない速度で高齢化が進み、本県でも、平成二十四年十月一日現在の人口は七百四十二万五千九百五十二人で、平成二十年と比べ二万七千六百二十五人ふえ、〇・四%の増加となっています。  このうち、六十五歳以上人口は百五十五万七千六百九十九人で、平成二十年と比べ十四万八千六百五人ふえ、一〇・五%の増加、六十五歳以上人口の総人口に対する割合は二一・二%と、実に五人に一人が六十五歳以上であります。  本格的な高齢社会の中、高齢者がいかに健康で生きがいを持って暮らしていくかということが大きな課題であり、今から五十年前、仕事中心の生活から地域生活に戻ってくる高齢者に、みずからの健康を維持し、生きがいを高め、奉仕などの社会活動をしましょうとの呼びかけで全国各地に結成されたのが老人クラブでした。  結成後は、どの地域でも活発に老人クラブ活動が展開され、クラブ数も加入者も増加の一途をたどり、ピーク時には、平成十年のクラブ数十三万四千二百八十五、会員数は八百八十六万九千八十六人を記録。  ところが、時代は刻々と変化し、お年寄りの境目とされた六十歳代の生活スタイルや関心の変化など、高齢者を取り巻く社会環境が大きくさま変わりしていることを背景に、シニア世代の集積であった老人クラブにも過渡期が。ピークから十三年後の平成二十四年三月三十一日現在では、クラブ数は二万五千百二十九クラブが減り、会員数も二百十九万四千三百四十七人減少することになりました。そして、六十歳以上人口のうち、老人クラブに入会している加入率の全国平均は、現在一七・一%。ちなみに、一位は富山県の四六・五%で、二位は岐阜県の三〇・七%、三位は石川県の三〇・三%で、このベスト三までしか三〇%を超えていません。  さて、本県の場合はというと、クラブ数は名古屋市を含めて六千二百一クラブ、会員数は四十五万三千四百二十五人で、クラブ数、会員数ともに何と全国一位です。しかも、さかのぼれば、過去十年間、都道府県別の一位を誇っているのは快挙です。しかし、本県でも老人クラブの弱体化は年々進み、名古屋市を除くデータで老人クラブ数がピークだった平成十二年の四千九百四十クラブと比べると、平成二十四年は四千四百七十一クラブに、会員数はピークの平成十六年の三十九万六千九百二十六人から三十六万一千九百二十二人に減少しています。  クラブ総数、加入者数ともに本県は全国一位といえども、加入率に関しては二二・四%と全国では第十七位、高齢者の五人に一人しか老人クラブに入会していないことになります。  その要因を本県の担当者に聞くと、年金制度の改正に伴い再就職をする人が増加傾向にあること、近所づき合いが希薄化する一方で、趣味などライフスタイルが多様化していること、六十歳を過ぎても若くて元気、老人という感覚がないこと、会社員だった人には地域となじみがなく、参加しにくい状況をつくっていることが推測されるとのことでした。  実際に地域の中でも、老人クラブ会員の多くは七十五歳以上の後期高齢者と言われる世代で、リーダーとなると八十歳が中心とも聞きます。  要は、こういう人たちをサポートする、後ろで支えてくれる世代が足りないということで、新規加入を促進はしているものの、組織の中身がわからない、活動に魅力を感じない、老人クラブの名称に抵抗がある、あげくの果てには、入会すると役員にさせられる、老人クラブに加入するにはまだ早いとの理由で、六十代から七十代前半は入会に難色を示すそうです。  こんな状況から、組織の活性化と加入率の低下で解散や休会するクラブもあり、老人クラブの活動の意義を重んじてきた歴史的背景からして、行政側も存続の後押しと活動の支援として、補助金の支給対象のクラブ会員数を五十人から三十人に引き下げています。  昨今では、特に子供たちを地域全体で見守る活動や、ひとり暮らしや高齢者世帯など、閉じこもりがちな高齢者のもとを訪ねて、話し相手やお手伝いをする友愛活動など、老人クラブは重要な役割を担っています。  となれば、今後は適齢期を迎える団塊の世代にいかに老人クラブ活動に興味を持ってもらえるかが課題であります。  特に退職したばかりの団塊の世代は、老人クラブという名称に難色を示し、元気な高齢者にとっても、老人、この呼び名には、地域貢献をしたいと考えていてもどうも抵抗感があるようです。  そこで、愛知県老人クラブ連合会では、愛知いきいきクラブを愛称として積極的に使用することで、老人クラブのイメージアップを図ることにしています。  高齢者人口がふえているのに老人クラブの活動は盛り上がらないというこの逆転現象の中で、高齢者が参画する社会づくり、地域づくりを考えていく必要があります。このシニアパワーを社会全体の中で生かしていくために、五十年の歴史を持つ老人クラブのあり方をいま一度考えていくべきときに差しかかっていると思います。  多様な価値観とライフスタイルを身につけた団塊の世代が高齢者の仲間入りをすることで老人クラブのあり方も変わってきます。  本県では、第五期愛知県高齢者健康福祉計画の中でも、平成二十六年までに老人クラブ活動の活性化を図るとともに、年々減少している老人クラブの会員確保を図ることを目標に、新たな取り組みを始めるとしております。  そこでお尋ねをいたします。  これからの老人クラブ活動が目指すものは何と考え、社会問題ともなっている加入率の大幅な低下や、六十代から七十代前半の若手会員の加入促進をどのように進めていかれるのでしょうか。また、平成二十四年度で県内の老人クラブ数は六千を超え、加入者も四十五万人を超えるこの一大組織の社会的有効活用をどのように考えるのか、見解をお聞かせください。  以上です。 64: ◯健康福祉部長(五十里明君) 高齢者地域福祉推進事業費補助金における老人クラブの活動についてお答えいたします。  まず、これからの老人クラブが目指す活動と若手会員の加入促進についてでございます。  本県では、従来から老人クラブ活動の活性化を図るため、老人クラブが積極的に行うべき主要事業として、地域をより豊かにする活動である友愛活動、清掃・奉仕活動、環境活動、交通安全活動、また、個人的な豊かさを求める活動である文化・学習サークル活動、スポーツサークル活動の六事業を定め、四事業以上実施した場合に助成することにより、これら事業の実施を促しているところでございます。  また、現在、全国老人クラブ連合会では、老人クラブ活性化三か年計画を策定し、その中で、活動の牽引者として期待される六十歳代、七十歳代前半の若手会員の加入促進に向けた若手リーダーの養成や、若手会員の組織化などの取り組みを大きな柱の一つにしておりまして、愛知県老人クラブ連合会が各市町村老人クラブ連合会に対し、こうした取り組みについて呼びかけをしているところであります。  県内におきましても、クラブ会員を年齢、体力によって六十歳代の活動の実行部隊であるセカンドクラブ、七十歳代の中心的な構成世代であるシニアクラブ、八十歳以上の気くばりシニア、この三つに分けまして、それぞれで活動を行うなど、先進的な取り組みを実施し、効果を上げているクラブもあると聞いております。  本県といたしましては、こうした県内市町村や他都道府県などの好事例を情報収集し、関係者に積極的に情報提供することにより加入促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、老人クラブの社会的な有効活用についてでございます。  老人クラブの新たな取り組みとして、一部の地域において閉じこもりがちな高齢者を誘い合って参加するサロン活動や、会員の特技を生かした生活支援ボランティアなどを行っており、今後はより多くの地域においてこうした取り組みを広げていただきたいと考えております。  また、現在、ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者の増加に伴い、各市町村において高齢者を見守るネットワークを構築し、孤立防止やさまざまな問題の早期発見を行おうという取り組みも始まっており、こうした取り組みに自治会や民生委員などと共同して、多くの老人クラブが積極的な見守りの担い手として活動していただくなど、高齢者の知識や能力、活力を生かして、地域社会へ積極的にかかわっていただきたい、そのように考えております。 65: ◯議長(小林功君) 進行いたします。  峰野修議員。 66: ◯六十三番(峰野修君) 歳出第八款農林水産費第五項林業費のうち、森林整備加速化・林業再生事業費とあいち森と緑づくり基金積立金についてお伺いいたします。  初めに、愛知県産木材の利用促進についてであります。  まず、戦後の木造公共建築物をめぐる経緯、背景を見てみます。  昭和二十五年、衆議院における都市建築物の不燃化の促進に関する決議により、新しく建築する官公庁は、原則として不燃構造とするということが決議されました。その翌年には、木材の需給対策が閣議決定され、森林の過伐傾向は、国土の保全に対する危惧のみならず、木材資源の枯渇を招くとの理由から非木造化が唱えられ、昭和三十年には、木材資源利用合理化方策の閣議決定により、国、地方公共団体が率先して建築物の不燃化を促進することとされ、その波は全国に広がっていきました。  このような変遷を経て、我が国の木材自給率は著しく低下し、昭和三十年、九五%であった自給率は、昭和三十九年の木材輸入の自由化、さらに昭和四十六年から為替の変動相場制移行という影響を大きく受け、平成二十三年には二七%となってしまいました。  国内には多くの森林資源があるにもかかわらず、その木が使われないために、森林の整備が停滞し、まことに憂慮すべき事態となっています。  こうした事態を打開するため、国において、平成二十一年五月、森林整備加速化・林業再生事業が創設され、各都道府県においては、この事業による基金を造成して、間伐の促進、林内路網の整備を初め、木材加工流通施設の整備等、木材の生産から流通、加工に至る一体的な取り組みを支援しているところであります。  また、国は、平成三十二年に木材自給率を五〇%とする目標を掲げ、住宅に加えて公共建築物の木造化を促進することと、大きく方針を変換いたしました。また、国土交通省内に木材利用推進室を新設いたしました。  特に公共建築物の木造化は、木材利用に対する理解を深める上で極めてシンボル性が高いところから、平成二十二年に新たな法律が制定され、国、県、市町村が率先して木材を利用することが定められました。  この法律では、県や市町村において、木材利用の基本方針を定めることができるとされており、東三河地域では、昨年六月一日、新城市の策定を皮切りに、五市二町一村、全ての市町村で策定が済んでおります。  また、この地域の公共施設としては、新城市の黄柳川小学校が木造で建設され、ことし四月に開校予定であり、子供たちは、新しい木造校舎で学べることを楽しみに待ち望んでおりますし、念願がかないました設楽町役場は、全て平家建てでございまして、県内唯一の木造の庁舎がことし十二月に完成する予定であります。ぜひ御見学にお越しください。  こうした木造の公共施設がつくられることにより木のよさに対する県民の理解が進み、県産木材の利用が促進されることを大いに期待するものであります。  そこでお尋ねします。  県は、平成二十五年度において、県産木材の利用促進に向けどのような取り組みを進められるのかお伺いいたします。  次に、森林整備における、特に企業の社会貢献について御質問いたします。  平成二十四年版の森林・林業白書によりますと、近年、地球温暖化対策や生物多様性への関心が高まる中、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、企業による森林の整備・保全活動が広がっているとあります。  ここで、企業による森林の整備・保全活動の事例を二つほど紹介します。  全国に展開する大手ショッピングセンターでは、財団をつくり、一九九一年から国内外で植樹活動を続けており、ことしは、お客様とともに一千万本の節目を迎えると聞いております。また、私の地元にある企業では、千年の杜プロジェクトとして、国内外の自社工場内にある五十万本の苗木を植える活動を進める一方、社会全体の環境意識の向上を目指し、社外への苗木の寄贈を展開しています。  寄贈した苗木は、全て社内で従業員の方がドングリ等、苗を育てて配布されております。また、無料だそうであります。  この企業は、東日本大震災の復興に関連して、昨年、瓦れきを活用した森づくりを岩手県大槌町で開催しています。また、オイスカ等でも海岸林再生プロジェクトとして、クロマツの苗を種から育てて、海岸林として再生させようと、すばらしい取り組みも行われております。  このように、大きくニュースに取り上げられるような取り組みとともに、各地でさまざまな森づくり活動が行われており、企業による森づくり活動の実施箇所数は、さきの森林・林業白書によりますと、平成十六年度の四百九十三カ所から平成二十二年度には千二百九十九カ所へと大幅に増加しています。  本県においても、既に県有林を企業の森林整備活動の場として提供していると伺っております。また、平成二十一年度から実施しているあいち森と緑づくり事業において、その財源を県民の皆様方とともに企業にも税として御負担いただいております。  この事業により、地域や企業による環境保全活動への支援、森林所有者では難しかった森林の手入れが着実に進むといった大きな成果が上がっております。  来年度、一応の区切りとなる五年目を迎えることになりますが、奥地を初め、整備が必要な森林はまだ多く、事業の継続を望む声が大きいので、私は、今後ともこの事業が末永く続き、さらに発展していくことを強く願っております。  ところで、この事業と企業とのかかわりでありますが、先ほど申し上げましたように、税を御負担いただいていることに加え、事業の趣旨に賛同された多くの企業からあいち森と緑づくり基金への御寄附もいただいております。こうした森林整備活動や寄附など、さまざまな形で企業が森林にかかわっていくことは、森づくりにとって極めて望ましいことであり、今後ますます広がっていくことを期待しております。  そこでお尋ねします。  県有林での企業による森林整備活動とあいち森と緑づくり基金に対する企業からの寄附の状況はいかがでしょうか。また、今後、県は、森林整備における企業の社会貢献をどのように促進していくのかお伺いします。 67: ◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 県産木材の利用と森林の整備に関しまして、二点お尋ねをいただきました。  まず、県産木材の利用促進でございますが、議員お示しのとおり、県や市町村が県産木材の利用に率先して取り組みますことは極めて重要と考えております。  このため、県におきましては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づきます基本方針といたしまして、あいち木づかいプランを策定し、公共施設等で使用する県産木材の利用率を五〇%とする目標を掲げ、その達成に向けて全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。  また、市町村の基本方針につきましても鋭意取り組んでいただいておりまして、県内五十四市町村のうち十九市町村で策定されておりますが、引き続き全ての市町村で策定していただくよう積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  こうした中で、国は、平成二十四年度の緊急経済対策として、森林整備加速化・林業再生事業のメニューに県や市町村がこの基本方針に基づく木造公共施設の整備を行います場合、それに対する助成措置を新たに追加したところでございますので、このメニューを活用いたしまして、平成二十五年度に新築されます新城市の道の駅の休憩施設や、建てかえが予定されております豊橋市の社会福祉施設高山学園などの木造建築に助成をする計画としております。  また、あいち森と緑づくり税を活用した取り組みにおきましても、従来の県内公立小中学校へ県産木材を利用した机、椅子の導入に加えまして、市町村から御要望が強いロッカー、げた箱、教壇などにつきましても、平成二十五年度から助成対象に加える予定といたしております。  次に、森林整備における企業の社会貢献についてのお尋ねでございます。  企業が社会貢献活動の一つとして森林整備に取り組んでいただきますことは、県民の皆様の森林に対する御理解を深めていただく上でも有意義なものだと考えております。  このため、本県では、平成十九年度から海上の森を初めとする県有林を企業の社会貢献活動の場として活用していただいております。現在、二十一企業の社員や御家族によりまして、約六十ヘクタールの県有林において、一企業平均約二十人、年に四日間程度、間伐や下草刈りの作業を継続的に行っていただきますとともに、間伐材を使った木工体験などにも取り組んでいただいております。  次に、あいち森と緑づくり基金に対する企業からの御寄附でございますが、平成二十年度の基金創設以来、さまざまな業種や団体から延べ二十七件の多くの御寄附をいただいておりまして、あいち森と緑づくり事業に活用させていただいております。  県といたしましては、今後とも、より多くの企業が森林整備を通じて社会貢献活動に取り組んでいただくことができるよう、企業間の情報交換会や森林整備に関する研修会などを開催いたしますとともに、ホームページ、パンフレットなど、さまざまな方法での情報提供に一層努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 68: ◯六十三番(峰野修君) 御答弁いただきまして、ちょっと要望をさせていただきます。  木材自給率が九〇%台のときの山主さんの手取りのお値段というのは、大体一立方メートル当たり三万円近くございました。現在では、立方メートル当たり二千五百円ぐらいであります。まさに木材価格がいかにすさまじい下落をしたかということであります。これでは林業経営は成り立ちません。  ぜひ、こういう国の方針の変更と私は思っております、そういう木造化ということに対して県としてもしっかりと、国土交通省の方針ということだと思いますので、各部局でしっかりと御相談いただいて、また、あいち森と緑づくり税そのものも、やはり県の独自の施策でありますので、その辺の現実に柔軟に対応していただきたいと。国の施策、それから、愛知県、しっかりと協調して効率的な事業運営をお願いいたしまして、私の質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 69: ◯三十九番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 70: ◯議長(小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 71: ◯議長(小林功君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十九分開議 72: ◯副議長(澤田丸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  みやけ功議員。 73: ◯四十九番(みやけ功君) 第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費第五目疾病対策費、がん対策費について、二点お伺いいたします。  日本人の死因の一位は、一九八一年より三十二年間、連続、がんが一位であります。今や日本でがんで亡くなる人は、年間で約三十万人、そして、日本人の二人に一人はがんになっているのが現状であります。  がんにかかった場合の苦しみや痛みは、本人だけでなく家族にとっても非常に大きなものであり、がんにかかる人を少しでも少なくするとともに、がんにかかられた方が適切な医療を受けたり、可能な限り高い水準の療養生活を送ったり、あるいは社会に復帰できるよう、県、医療機関、がん患者及び県民が一体となって取り組んでいく必要があります。  こうしたことから、去る九月議会において、四会派共同で愛知県がん対策推進条例を提案し、都道府県で二十一番目のがん対策の条例が成立したところであります。  本県の条例は、がんの予防、医療及び研究といったがん対策全般の方向性を広く示しておりますが、特に、がん医療の高度化の推進とともに、がん患者の方々の視点に立ったがん対策の推進を条例の柱としております。  その第一は、女性に特有のがんに係るがん対策の充実であります。女性に特有のがんは、比較的若い世代の三十代後半から四十代及び五十代といった年齢で多くかかることから、早期発見、早期治療が大切であります。しかし、検診や治療に関して女性特有の心理的な制約が影響しているとも考えられ、女性が検診等を受けやすい環境の整備に取り組むことなどを条文に掲げております。
     まず最初にお尋ねいたします。  提案されております当初予算案には、がん対策費に、条例に対応する形で女性に特有のがん対策の推進事業費を新規事業として計上しておりますが、具体的にどのように事業を行っていかれるのかお尋ねいたします。  また、がん対策推進条例では、小児がんに係るがん対策の充実も個別に条文で掲げております。小児がんについては、一般のがん診療連携拠点病院等に比べ、十分な医療等を提供する体制が整っていないことから、拠点化による医療提供体制の整備や、相談機能の充実が求められています。  この条例のせいかどうかわかりませんが、いや、この愛知県がん条例の成果であると信じたいのですが、条例制定後の本年の一月に、厚生労働大臣により全国で十五の医療機関が小児がん拠点病院として選定され、その一つといたしまして、東海北陸信越ブロックの小児がん拠点病院として名古屋大学医学部附属病院が選定されました。この選定は、これら地域の小児がん患者や御家族の方々にとって大変喜ばしいことであります。  一方、医療とは少し離れますが、がん患者及びその家族に対する相談支援、特にがん患者、またはがん治療経験者の方による相談支援は、不安を持ちながら、がん医療を受けておられる方々にとって大変心強いもので、患者の方々の立場に立ったこれからのがん対策ではなくてはならないものと考えておりますので、こうした施策を講ずべきことについても条文で掲げております。  そこで、第二の質問をお尋ねいたします。  当初予算案のがん対策費では、この条文に対応する形でがん患者・家族に対する相談支援事業を新規事業として計上されておりますが、具体的にどのように事業を行っているのかお伺いいたします。  以上、二点質問させていただきます。 74: ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) がん対策費のうち、女性に特有のがん対策推進事業費についてお答えを申し上げます。  近年、女性特有のがんであります乳がん、子宮がんは、罹患数の伸びが他のがんより大きいものとなっております。また、乳がん、子宮がんは、早期に発見し、早期に治療することにより生存率は高くなり、完治する場合も多いとされております。  一般的に、胃がんや肺がんは、高齢になるほど罹患率が高まっていくのに対し、女性特有のがんのうち、乳がんでは、三十代後半から急激に罹患数が増加し、また、子宮がんでは、二十代後半という非常に若い年代から徐々に罹患数がふえていくという特徴があります。  若い世代の女性は、がんは自分には無縁のものと捉えている方も多いと思いますが、こうしたことから、若いうちから定期的に検診を受けることが重要であります。  このため、来年度、特に若い女性を対象として受診を勧めるためのフォーラムを開催することとしております。また、女性は、女性特有の心理的な制約が働いて、がん検診の受診や、医療機関の受診においてちゅうちょする方も多いと考えますことから、こうした問題を解消するために、女性医師やがん治療経験者等を交えた検討会を開催し、女性が検診や医療を受けやすい環境改善の取り組みの方向性について明らかにしてまいりたいと考えております。  今後とも、女性特有のがんに対しましては、女性の方々の視点を重視した対策を進めてまいりたいと考えております。  次に、がん患者・家族に対する相談支援事業についてお答えを申し上げます。  がん患者の方々の悩みや不安は、医療だけでなく、生活、教育など多岐にわたり、また、当事者でないとわからないような苦しみも多いとお聞きをしております。こうした不安や苦しみを抱えながら、がん医療を受けておられるがん患者や家族の方々にとって、患者の方々と同じ目線に立って話を聞いたり、みずからの体験に基づいて助言を行うことのできるがん治療経験者による相談支援は非常に心強いものであります。  このため、来年度は、がん患者・家族に対する相談支援事業として、がん患者支援活動を行っている団体に委託し、相談支援事業を行ってまいります。具体的には、市町村の保健センター等において、相談員を二名配置する相談会を尾張地域と三河地域で毎月それぞれ一回実施を予定しております。  なお、がん患者や家族の方々に対する医療上の相談につきましては、県の支援によりがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターで実施をしております。  こうした取り組みを通じ、少しでもがん患者の方々が安心して療養できる体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上であります。 75: ◯四十九番(みやけ功君) やる気満々の御答弁ありがとうございました。  一点要望させていただきます。  三十年以上も日本人の死因のトップであるがん、本県の三大死因も、一位、がんが二九・五%、これは二〇一一年の資料ですが、二位が、心臓疾患等が一四・二%、脳が三位で九・六%、その他もろもろということで、やはり三大死因のパーセンテージの示すとおり、がんは本県における死亡の最大の原因であり、さらには、全国のがん死亡率が二八・五%という数字を上回るような愛知県の特徴かもわかりません。  よって、このがん対策は、県民の方々の生命、健康にとって重大な問題であるため、今回の条例で定めた各条項を一つ一つ着実に進めなくてはなりません。そして、がんになっても安心して暮らせる愛知県を大至急実現しなくてはなりません。  執行部といたしましても、こうした視点に基づき、しっかりとがん対策に取り組んでいただくことを要望させていただきます。  以上です。 76: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  筒井タカヤ議員。 77: ◯百三番(筒井タカヤ君) 歳出第八款農林水産費第二項畜産業費のうち、名古屋競馬への県支援について質問します。  私は、県議会から選出されて、愛知県競馬組合議会に参加させていただいております。当競馬組合議会の議長は伊藤勝人議員でもあります。  もともと名古屋競馬場が公営競馬として成り立っているのは、戦後の混迷期における県、市町村の財政に少しでも助けとなるような財源をつくり出す目的でした。大いに公営競馬事業は繁栄した時代もありました。収益金は県、市町村に配分されて、社会事業、公益事業として貴重な財源となり、大変にありがたいものがあり、貢献もしました。  今となっては昔々の話となりました。ここ数年、競馬ファンの急減と、ファンの高齢化と、社会的な変化の背景もあって、常の売り上げの低下は、かつての面影は全くありません。  さらに、名古屋競馬弥富トレーニングセンターの施設老朽化と耐震不足は、修理費も思うように手当てができず、まことに深刻な状況であります。  現在、名古屋競馬場のあり方を根本的に見直しする第三者委員会によって調査、審理がなされております。また、あいち産業振興機構による経営診断報告書が提出されました。全国にある公営競馬と言われる各地方競馬も、同様にどこでも厳しい運営が続いております。近いうちにどの時期で廃止するかを幾つかの公営競馬事業の運営管理者が模索しているのが実情のようであります。  大村知事は、愛知県競馬組合の最高責任者の管理者です。そして、同競馬組合議会に出席されて、愛知県、名古屋市、豊明市の各議会から選出された議員の声に慎重に耳を傾けられておられます。それゆえ、各議員が委員会等において発言、発信する声も真剣にお聞きのはずであります。  今や全国の公営競馬と同じように、名古屋競馬も長い年月を経て寿命を迎え、根も朽ち果てて倒木寸前のような自然状況を迎えております。公営競馬も終えんが近いと結論づける発信が続いております。大村知事は、この三月の愛知県競馬組合議会でもって、そろそろ最終の方向性の決断を示されると存じます。  ここで、基本的な姿勢についてだけ大村知事に確認をさせていただきます。  公営名古屋競馬事業が今後も回復見通しが立たない状況下であります。赤字を出した時点で即廃止の決意を県議会において表明なさっておかれるべきと存じます。それとも、赤字を出してでも愛知県は補填して、しばらく様子を見るお考えかどうか、これについての確認事項として質問をいたします。  以上であります。 78: ◯農林水産部長(中野幹也君) 愛知県競馬の行う競馬事業、名古屋競馬について御質問をいただきました。  愛知県競馬組合では、経営再建の取り組みにより平成十七年度から黒字転換を果たしてまいりましたが、景気低迷や、議員お示しのような理由により、基金繰り入れを除けば、平成二十一年度から実質的な赤字が継続しており、他の地方競馬と同様に経営は大変厳しい状況にあります。  一方で、地方競馬を取り巻く状況を見ますと、平成二十五年度から日本中央競馬会、すなわちJRAの馬券を販売できるようになって、手数料収入が期待できますとともに、JRAのインターネット投票システムであるIPATを利用した名古屋競馬の馬券販売も一年を通じて可能となり、売り上げの増加が期待できます。  さらに、今後、施行者の判断により払い戻し率を設定することが可能となり、あいち産業振興機構の経営シミュレーションによれば、平成二十六年度からは相当額の単年度黒字化が予想されております。  現在、愛知県競馬組合では、本県初め構成団体が設置いたしました名古屋競馬経営改革委員会における有識者の御意見も取り入れながら、さらなる経費削減策や売上振興策を検討いたしますとともに、インターネット業者への手数料引き下げや、売り上げが低調な時期の開催日数の削減を行うなどして、二十五年度の黒字化を目指しているところでございます。  経営改革委員会では、今後さらなる経営改革の手法や、売り上げに連動した年度途中における支出管理の手法、さらには、事業の存廃を判断するためのメルクマールの検討などが予定をされております。七月ごろには検討結果の最終報告をいただく予定でございますので、その内容を踏まえまして、構成団体として名古屋市及び豊明市とも協議を行い、今後の事業の存廃について判断をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 79: ◯百三番(筒井タカヤ君) 質問いたします。  今、御答弁いただきましたが、お話のとおり、いろんな施策でもって一時的な、今、危機を脱するような黒字化が出たという経緯もありました。しかし、それは今お話しいただいたとおり、インターネット、そしてまた、払い戻し率を下げるというような考え方でありますが、インターネットをやってみて、売り上げが少し向上したけれども、でも、また下がってきた。一番もうかっているのは誰か。インターネット業者がほくほく顔になっているだけだ。これでは、公営競馬をやっていて、インターネット会社のために我々は貢献しているようなものだ。こういった意見が、委員がほとんど発言をしている内容であります。  同時に、また、一時的に収益を上げるために払い戻し率を下げる。要するに、ファンが買った競馬の還元金を減らすということであります。そうすれば、どうなるか。一時的にはそれで効果があるでしょうけれども、よくよく考えてみたら、危険ないろんな掛け率をやってみて、払い戻し率が少ないんだったら、もうこれはやめようじゃないかという声が当然起こるはずであります。この危険性を秘めた物事を今綱渡り的にやっているのが状況であります。  そして、今急がれるべきは、いろんな委員会だとか提言だとかの会合の資料が届いてきております。でも、もうあと数年でこの考え方、いろいろインターネットのお金を少し下げてもらうとか、払い戻し率を下げるだとかの対策で黒字はちょっと維持ができるけれども、そこから先の年数がもう赤字だというはっきりとしたものが出されてきております。このことを我々は知っているはずです。とするならば、この見通しはもう年度を切ってやっていかなければいけないなというのがほとんどの各委員の結論なんです。  ここで質問しておりますのは、愛知県は、この公営競馬事業において赤字が出た時点で廃止を決断する意思を表明するのか、それとも、赤字が出てもなおかつしばらく様子を見るために、どれだけの期間かわかりません、ずっと赤字を県税でもって補填していくのか、この決断をする時期にあります。  私は思います。公営競馬におけるところの赤字補填は、県税でもって、県民の税金でもってすべきではない。だから、赤字が出た時点でもって廃止決意をする、こういったものが必然であろうと思いますが、この点だけはっきりしないと、ずるずるべったでまた議論が続くわけであります。その点についてのいわゆるお示しをいただきたい、決意を示していただきたいということを求めたいのであります。もう一度答弁してください。 80: ◯農林水産部長(中野幹也君) 名古屋競馬について再質問をいただきました。  名古屋競馬の存廃につきましては、関係者の雇用への影響などもあり、将来見通しを踏まえて慎重に判断する必要があるというふうに考えております。その際には、先ほどお答えしましたように、JRAとの相互発売の開始、さらには、施行者の判断による払い戻し率の設定など、収支改善に向けた動きもございますので、その動向も十分に注視しなければいけないと考えております。  愛知県競馬組合は、平成二十五年度の黒字化を目指しているところでございます。また、現在、有識者から成る名古屋競馬経営改革委員会におきまして、経営改革の方策について御議論をいただいている途中でもございます。七月に予定をされております最終報告をいただいた上で、名古屋市及び豊明市とも協議し、判断すべきものであるというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。 81: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  岡江智子議員。 82: ◯五十番(岡江智子君) 私からは、歳出第七款産業労働費第二項商工業費のうち、産業空洞化対策減税基金事業費の新あいち創造研究開発補助金についてお伺いいたします。  私は、先日、新興国の領事館の方にお会いする機会がありました。その折、   新興国では、日本の技術を各分野でまねしたいと努力  し、やっと完成したかと思うころに、日本の技術は十  年、二十年先に進んでいる。また、日本製品の完成度の  緻密さは世界一である。中小企業の方たちがつくられる  小さなねじ一個にも、新興国の企業にはかなわないすご  い技術力が使われている。愛知県にはそうした中小企業  の多くが集まっている。しかしながら、現状、中小企業  は、経営資源に限りがあるため、苦しんでおられる。で  は、新興国が資金を出すから我が国に来ないかと声をか  けても、答えは、日本で何とか頑張ると断られる。技術  力に敬服しているだけではなく、日本人魂を感じ、感服  している。 と言われました。  このところ、行き過ぎた円高こそ是正されつつありますが、新興国とのコスト競争や市場の成長性の違いなどから、親会社である大企業が生産拠点を海外に移転し、それに伴い、厳しい経営環境に直面している中小企業は少なくありません。その一方で、まさに日本人魂を発揮し、この地での生き残りをかけ、限られた経営資源の中で自社の技能、技術、ノウハウを生かして、新製品、新商品の開発に取り組もうとする果敢な中小企業もあります。  私は、そうした中小企業の一隅を照らす取り組みに手を差し伸べることこそが現在の県政に最も期待される政策であると考えます。  県は、今年度から産業空洞化対策減税基金を活用し、中小企業を含め、研究開発や実証実験に取り組む県内企業を支援する新あいち創造研究開発補助金を創設されました。この補助制度は、単純な生産部門はともかく、いわゆる頭脳部門は県内に残し、付加価値の高い物づくりの継続や拡大を通じて、産業空洞化に対応しようとするものであると伺っております。  産業空洞化対策としては、直接的な雇用機会につながる企業立地の支援が注目されますが、大きな設備投資を伴わない研究開発や実証実験は、中小企業にとってもそれほどハードルが高くなく、そうした未来への投資を支援する取り組みも地道な産業空洞化対策として極めて重要であると考えます。  この補助制度では、あいち産業科学技術総合センターなどの公設試験研究機関が、採択された中小企業が実施する研究開発や実証実験に対し、技術指導などを通じてそれらの取り組みの成果が上がるようきめ細かいサポートを行っておられるとも伺っております。  私は、大変厳しい経営環境の中で、リスクを背負って新製品、新商品の開発に取り組む中小企業にとって、こうした県の支援はさぞかし心強いものであろうと考えます。  そこでお伺いします。  新あいち創造研究開発補助金では、これまでに中小企業においてどのような取り組みが進められているのか、また、県として今後どのように中小企業支援に取り組んでいかれるかお考えをお伺いいたします。 83: ◯産業労働部長(木村聡君) 産業空洞化対策減税基金を活用した中小企業の研究開発、実証実験の支援についてお答え申し上げます。  本年度の減税基金に基づく新あいち創造研究開発補助金では、全体で五十九件、総額七億六千万円の申請案件を採択いたしました。その四分の三に相当する四十五件は、中小企業、団体からの申請案件となっておりまして、多くの意欲ある中小企業の皆様の研究開発、実証実験を支援できたものと考えております。  各企業の研究開発、実証実験は現在も続いておりますが、これまでに御報告いただいた進捗状況といたしましては、例えば、マスコミ報道でも取り上げられましたが、高浜市の陶器瓦組合が三州瓦の製造段階で発生する瓦の規格外品が地震液状化対策に有効であることを実証いたしました。  また、田原市の中小化学メーカーが、繊維製造に係る既存技術を生かし、光は通す一方で、熱は通さない遮熱ネットを開発し、太陽光発電の効率向上を実現したケースもございます。  これらは、いずれも地域の大学やあいち産業科学技術総合センターの技術支援を受けながら、産学行政の連携体制のもとで実施されている取り組みでありまして、今後、プロジェクトが継続される中でさらなる成果が期待されるところでございます。  当地における高付加価値の物づくりの維持拡大を図ります研究開発、実証実験のソフト支援は、企業立地、再投資のハード支援とあわせまして、本県の産業空洞化対策の車の両輪をなす重要な政策でございます。  県といたしましては、来年度におきましても、新あいち創造研究開発補助金を活用いたしますとともに、あいち産業科学技術総合センターが個々の中小企業のニーズに応じたきめ細かい技術支援を行うことによりまして、資金、技術の両面から研究開発、実証実験に取り組まれる中小企業の皆様をしっかり支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 84: ◯五十番(岡江智子君) 心強い御答弁ありがとうございました。車を初め、IT機器、電化製品など、日本は世界のトップを走ってきましたが、近年の厳しい経済状況の中で、生き残りをかけ、新製品、新商品の開発に取り組む愛知を支える中小企業の研究開発、実証実験への支援は大変意義ある制度であると思います。  ただいま伺った実例は、補助金により見事な開発がなされた事例であると思います。物づくり愛知の頭脳部門への新あいち創造研究開発補助金は愛知県政らしい制度であります。  一隅を照らすとは、まさに物づくり各分野で努力をする中小企業が、ひいては日本の産業を支え、オンリーワン企業として活躍されたり、世界へ進出していく日本企業の底力となるということではないでしょうか。  今後、こうした中小企業の研究開発、実証実験への補助をする県の取り組みとしての新あいち創造研究開発補助金が有効に活用され、雇用につながり、産業空洞化に少しでも歯どめができますようしっかりと取り組んでいただけますことを要望といたします。ありがとうございました。 85: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  犬飼明佳議員。 86: ◯十五番(犬飼明佳君) 私からは、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費、子育て支援対策基金事業費について及び、同じく第六款健康福祉費第八項医薬費、災害時医薬品等安定供給確保事業について順次質問いたします。  まずは、第六款健康福祉費第三項児童家庭費の中の子育て支援対策基金事業費につきまして、保育士の確保との観点から伺います。  働きたいと思っても子育てとの両立が難しく、仕事を諦めるママさんたち、その大きな原因の一つが、保育所不足です。この保育所に子供を預けて働きたいという保護者の増加に対し、待機児童の解消は子育て支援における重要な課題となっています。  その背景及び待機児童数の推移につきましては、先ほど近藤議員がお示しになられましたので、割愛をいたしますが、御質問の中にありましたとおり、県として子育て支援対策基金を活用して市町村における保育所を拡充する、そして、定員をふやす取り組みは、待機児童対策として非常に有効であり、今後においてもしっかりと実施していただきたいと思います。  それとあわせまして、このような保育所整備による量的拡大を図っていく一方、そこに働く保育士の確保が非常に重要になってくると私は考えます。  平成二十四年四月現在の県内の待機児童数は千二百七人でございます。それでは、その待機児童数に対して何人の保育士が必要か、試算をいたしますと、待機児童のおよそ八割が一・二歳児です。この一・二歳児に対する保育士の配置基準六対一に基づき、児童六人につき一人の保育士を配置すると仮定しますと、およそ二百人の保育士の確保が早急に必要であると推察されます。
     しかし、保育士を取り巻く環境は大変厳しいものとなっています。私は、先日、民間保育所に勤務している保育士の方にお話をお伺いしました。女性が多い職場のため、出産を機に退職される方が多く、これは御自身の子供自体を預ける場所がないことも一因のようですが、慢性的な人手不足となっております。  また、延長保育も始まり、時間外勤務等も強いられ、仕事量の負担も増し、さらに過酷な労働条件となっている。しかも、給与面については、公立と比較し、民間のほうが低いとのこと。それでも子供が好きだから保育士として働いているとの思いを語っておられました。  このようなケースは、当然、各自治体や各事業者によって千差万別ではあります。しかし、厚生労働省が実施しました平成二十三年賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の平均勤続年数は八年四カ月、さらに、民間保育士の平均給与は月額二十二万円でした。この数字が過酷な労働環境の一端を物語っていると思います。このことを報じた当時の読売新聞に帝京大学の村山祐一教授は、保育士のやる気に頼っており、体力面、気力面の負担に見合う賃金ではない、長時間労働で五年、十年と勤続しても、年収は余りふえず、長く働き続けにくい環境であると指摘されております。  待機児童の解消には保育士の確保は欠かせない事業であります。そのためには、厳しい環境下にある保育士の処遇改善、そして、保育経験者や保育士の有資格者の掘り起こしと次世代の人材育成が喫緊の課題です。  こうしたことから、さきに成立した国の補正予算において、保育士確保のための施策として四つの事業が新しく盛り込まれました。  一つ、保育士・保育所支援センター開設等事業、二つ、保育士等処遇改善臨時特例事業、三つ、認可外保育施設保育士資格取得支援事業、そして、四つ、保育士修学資金貸付事業の四事業です。しかしながら、これら新規事業についての内容が、国から各県に示されたのが本年一月になってからということで、他県においては新年度予算で十分に対応できないところがあると伺っております。  そこでお尋ねいたします。  これら事業についての本県の新年度予算における対応と、事業の中で特に中心となる保育士・保育所支援センター開設等事業及び保育士等処遇改善臨時特例事業の概要についてお伺いします。  また、給与等処遇改善として実施する保育士等処遇改善臨時特例事業については、安心こども基金における事業の実施期限が平成二十五年度限りとされております。平成二十六年度以降の対応が未定となっていることから、保育所の経営者がこの事業を取り組むに当たってちゅうちょするのではないかと考えられますが、この点につきましても県としてどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。  続きまして、第六款健康福祉費第八項医薬費第四目医薬安全費のうち、災害時医薬品等安定供給確保事業についてお伺いします。  本県では、さきの東日本大震災の教訓を踏まえ、南海トラフ巨大地震などの大規模な災害が発生した場合に円滑な医療を提供するための調整役として、平成二十四年十二月一日付で愛知県災害医療コーディネーターを任命されたところであります。大村知事のもと、災害医療に携わる関係者が被災地の情報を共有し、連携して災害医療に取り組むための体制が整備されたものと思います。この災害コーディネーターと連携し、地域における医療活動の拠点となるものが災害拠点病院であります。県は、災害時に病院機能を維持するために必要な設備整備を計画的に進めるなど、災害医療体制の充実強化に努められております。  この本県の災害医療体制を医薬品の分野で支えているのが、医薬品及び衛生材料等の流通備蓄であります。本県では、災害時に備え、解熱鎮痛剤、殺菌消毒剤など、七十二品目の医薬品を十カ所の備蓄場所に、また、注射用器具、脱脂綿など四十六品目の衛生材料等を五カ所の備蓄場所に、それぞれ愛知県医薬品卸協同組合と中部衛生材料協同組合に委託し、備蓄されております。これらの備蓄量は、おおむね二日分となっており、災害時には、市町村や医薬機関等からの要請を受けて、この備蓄医薬品の中から県が提供する体制となっています。この備蓄は、災害時医療品等安定供給確保事業として実施されているものであり、一定の評価をしております。  一方、災害時における薬剤師の果たす役割は、処方箋、医薬品の調剤や服薬指導など、大きなものがあると考えております。  例えば、東日本大震災では、多くの方が避難をする際に必要な薬を失い、体調の不調や健康不安につながるケースが見られました。そうした中、被災地の薬剤師会が全国から多くの支援薬剤師の方々を受け入れ、医薬救護所や避難所への派遣を調整されました。また、全国から届けられた支援医薬品の仕分けや供給を行い、医薬救護所等での処方箋調剤や服薬相談など、災害時の医療体制を支えられました。改めて薬剤師の医療救護活動の重要性が注目されたところであります。  しかしながら、現場で災害医療活動を行った薬剤師さんからは、例えば、長時間に及ぶ停電や電話回線の混雑などにより、自治体や医療関係団体との連絡体制が確保できず、正確な被災地の情報を受けることができなかった、また、停電により調剤機器が使用できないため、処方箋調剤に対応できなかったなどといった改善すべき点も指摘されております。  こうした経験を踏まえ、日本薬剤師会がまとめた報告書によりますと、地区薬剤師会が経営する薬局や、地域の中核的な病院の隣接にある薬局などに災害時の薬剤師活動に必要となる衛星電話などの資材を整備し、災害拠点薬局として活用することが提案されております。災害時の医療活動における薬剤師の役割が大きくなっている中で、薬剤師の災害医療活動を支えるこうした災害拠点薬局を県として整備していく必要があると思います。  本県では、平成二十五年度当初予算に災害拠点薬局整備費補助金を計上され、こうした拠点の整備に取り組むこととされました。  そこでお伺いします。  県は、この災害拠点薬局をどのように整備されていくのかお伺いいたします。 87: ◯健康福祉部長(五十里明君) 子育て支援対策基金事業費のうち、保育士確保対策についてお答えをいたします。  まず、新年度予算への対応と保育士の確保のための新規事業の概要についてでございます。  保育所整備とあわせまして、保育所で働く保育士などの確保や処遇の改善は大変重要なものと認識しておりますことから、本県では、平成二十五年度当初予算において、保育士確保に係る新たな四事業全てを予算計上したところでございます。  このうち、お尋ねのありました保育士・保育所支援センター開設等事業につきましては、社会福祉法により都道府県福祉人材センターに指定しております愛知県社会福祉協議会に保育士・保育所支援センターを開設し、コーディネーターを配置して、潜在保育士の就職や活用支援等を行うものでございます。  また、保育士等処遇改善臨時特例事業につきましては、民間保育所の保育士の人件費の改善に要する費用を交付するものであり、現在、国の保育所運営費負担金において、保育士などの平均勤続年数により加算されている民間施設給与等改善費に加え、一定の上乗せ相当額を市町村を通じて助成するものであります。  次に、保育士等処遇改善臨時特例事業における平成二十六年度以降の対応についてでございます。  平成二十五年二月、国において開催された全国厚生労働関係部局長会議などにおいて、平成二十六年度についても予算を確保し、平成二十七年度以降は、子ども・子育て支援新制度の中の施設型給付で対応する旨、説明を受けております。  本県といたしましても、今回の民間保育所の保育士処遇改善は、増加しております保育ニーズに必要な保育士確保のため重要でありますことから、基金のさらなる延長と、新制度での民間保育所運営費の処遇改善が図られますよう、今後も国に対して強く要望してまいります。 88: ◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 災害時医薬品等安定供給確保事業費のうち、災害拠点薬局整備についてお尋ねをいただきました。  本県におきましても、南海トラフ巨大地震が発生した場合は、大きな被害が出ることが想定されており、災害医療活動において、医療救護所での処方箋調剤、避難所での服薬相談など、薬剤師の果たす役割は大きなものがあると認識しております。  こうした中、災害時に避難所など現場での薬剤師活動に必要となる機材や物資をあらかじめ地域の薬局に準備しておくことが必要であると考えております。  このため、来年度予算におきまして、県内三カ所程度の薬局に、通信手段確保のための衛星電話、非常用電源である発電機、医療救護所に併設し、医薬品の受け渡しや保管をするために必要なテントなど、災害時に必要な機材等を整備し、薬剤師の災害医療活動を支える基盤づくりを推進していきたいと考えております。  整備の対象といたしましては、非営利の団体を考えており、今後、愛知県薬剤師会とも十分相談をしてまいりたいと考えております。  以上であります。 89: ◯十五番(犬飼明佳君) 子育て支援対策につきまして一点要望をさせていただきます。  厚生労働省によりますと、全国では平成二十四年四月時点で待機児童数が二万四千人と言われております。これは、保育所へ申し込みをしても入所できない児童数です。しかし、初めから入れないと諦めて入所の申し込み自体をしない、いわゆる潜在的な待機児童は全国では八十万人以上とも言われております。  先ほど示しました本県の待機児童数千二百七人の中にも、この潜在的なニーズは含まれておりません。待機児童ゼロへ向けた抜本的な対策を講じるには、この潜在的な待機児童のニーズを的確に捉える必要があります。  市町村においては、平成二十七年の子ども・子育て支援新制度創設に向けてのさまざまな調査を二十五年、二十六年で実施することとなっております。県といたしまして、ぜひこの待機児童の潜在的なニーズ、この調査を各市町村に推進していただき、それに基づいて中長期のビジョンを描いていただきますように要望して、終わります。 90: ◯副議長(澤田丸四郎君) 次に、第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第九款建設費から第十五款予備費まで及び第二条繰越明許費から第六条歳出予算の流用まで並びに第二号議案平成二十五年度愛知県公債管理特別会計予算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結についてまでに対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  藤原宏樹議員。 91: ◯五番(藤原宏樹君) 私からは、第十六号議案平成二十五年度愛知県用地造成事業会計予算に関連してお尋ねいたします。  企業庁の企業誘致に関しては、さきの我が党の代表質問、一般質問でもお伺いをしましたが、私からは、地元の東三河地域の企業誘致に絞って、その取り組みについてお伺いをさせていただきます。  企業庁は、本県の産業発展のため、これまで県内の内陸部と臨海部で工業用地を造成し、企業誘致を進めてまいりました。このうち、私の地元東三河においても、東名高速道路のインターチェンジ周辺を中心とした内陸工業用地の開発や、三河港の港湾整備と一体に整備が進められた臨海部での工業用地に加え、埠頭用地、下水道処理用地などの公共用地の造成が行われてきました。  こうした中、トヨタ自動車やスズキ自動車、三菱自動車など、自動車メーカーの大手三社が三河港を輸出拠点とし、さらに、フォルクスワーゲンやボルボ、フィアットなど、欧州の自動車メーカーが輸入拠点として進出するなど、三河港は、自動車輸出入台数では世界トップクラス、輸入自動車については二十年連続で国内一位の取り扱いを誇っているところであります。  また、この一月には、三河港とウラジオストクを結ぶ新規のコンテナ定期航路も開設されており、今後、コンテナ取扱数の大幅な増加が見込まれるなど、現在進められているコンテナヤードの整備とあわせて、三河港の発展に大きく寄与するものと期待しております。  このように、三河港は、我が国の中央に位置するという地理的優位性を生かし、企業進出も三百社を超えるなど、首都圏や近畿圏もカバーする全国に向けた物流の結節点としての役割を果たしております。  しかしながら、特に重化学工業からIT産業等を除いた産業である重厚長大型産業の工場立地を想定した臨海用地については、経済のグローバル化に伴う生産拠点の海外展開に加え、リーマンショック後の景気低迷、円高の進行、さらには、東日本大震災の影響などにより取り巻く状況は厳しいものがあります。  こうした中、最近の動きとしては、三井化学が、当初、石油化学工場の建設を予定していた田原一区の用地八十ヘクタールを活用してメガソーラーの建設が始まりました。さらに、ことしに入ってからも、三菱商事によるメガソーラー計画が公表されており、田原地区は、一躍国内トップクラスのメガソーラー集積地となるなど、知名度アップによる観光面も含めて、東三河地域の活性化につながるものと期待しているところであります。  一方、内陸工業用地についても、豊橋若松地区は、平成十年度の分譲開始以降、これまで苦戦が続いておりましたが、接続する名豊道路の建設工事の進捗に伴い、順次分譲が進み、昨年二月には、最後の一区画に浜松市の物流企業が立地したということにより完売になったと聞いております。  このような中、平成二十六年度には、新東名高速道路の愛知県区間の開通に伴い、新城インターチェンジの開設も予定され、当地域の交通の利便性は飛躍的に高まるため、今はまさに東三河地域の企業誘致にとって大きなチャンスの時期にあると確信しております。  そこで、二点お伺いいたします。  まず、一点目として、このような好調な企業立地状況の中、企業庁では、現在、新規の内陸工業用地として豊川大木地区の開発が進められております。そこで、本事業の企業立地の見通しについてお伺いをいたします。  二点目は、東三河地域における企業誘致について、企業庁は今後どのように取り組んでいくお考えがあるのかお伺いをいたします。 92: ◯企業庁長(中野秀秋君) 東三河地域における企業誘致の取り組みについて、二点お尋ねをいただきました。  まず、豊川大木地区の現在の進捗状況と今後の企業立地の見通しについてであります。  豊川大木地区の開発については、豊川市や地元関係者との協議を重ねる中で、用地取得の見込みや企業立地の見通し、さらには、事業の採算性などの開発要件が整ったことから、平成二十三年十二月に開発を決定したところであります。豊川大木地区は、東名高速道路豊川インターチェンジから約四・五キロメートルに位置し、開発面積は十三・一ヘクタールで、このうち九ヘクタールを工業用地として分譲するものであります。  進捗状況といたしましては、昨年十一月に調整池の築造工事に着手し、現在、本体工事の契約手続を進めているところであり、平成二十六年度中の工事完了を目指しております。  また、企業立地の見通しについては、本年二月からの募集を開始いたしましたが、これまでに豊川市と連携した積極的な誘致活動が功を奏し、七区画のうち、既に六区画のお申し込みをいただいたところであり、残り一区画につきましても、早期の企業立地に努めてまいります。  次に、東三河地域における企業誘致への今後の取り組みについてであります。  企業庁が現在分譲中の面積は、造成済みの面積で申し上げますと百九十・三ヘクタールでありますが、このうち東三河地域は、全体の七割近い百二十六・三ヘクタールであります。  そのうち、百四・五ヘクタールが臨海用地であります。臨海用地の企業誘致につきましては、三河港に近接し、工業用水などの産業インフラが整備されていることや、大規模な用地を提供できることなどのメリットをしっかりとPRしてまいります。  また、最近のメガソーラーの立地も踏まえ、再生可能エネルギー関連の企業など、新たな業種も視野に入れて誘致活動に取り組んでまいります。  一方、内陸用地二十一・八ヘクタールの企業誘致につきましては、議員お示しのとおり、平成二十六年度に新東名の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションまでの区間が開通し、交通アクセスが格段に向上すると見込まれますことから、物流関連の企業などもターゲットにしながら、積極的な誘致活動を展開してまいります。  企業庁といたしましては、これらの用地は東三河地域の将来の発展のための大切な資産であると考えておりますので、今後とも地元市と密接に連携を図りながら、企業誘致を着実に進めてまいります。  以上であります。 93: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  浅井よしたか議員。 94: ◯三十六番(浅井よしたか君) 通告に従いまして、歳出第十一款教育費第一項教育総務費第四目学校教育指導費の中から、あいちグローバル人材育成事業費について伺ってまいります。  現在、本県では、急速に変化する国際情勢の中で本県が今後も継続的に発展していくために、今年度末をめどに五年間にわたるあいち国際戦略プランの策定が進められています。その中のあいちグローバル人材育成事業では、高いレベルで英語を使いこなせる人材として高校生を育成するスーパーイングリッシュハブスクール事業や、小中高生によるイングリッシュキャンプなどを実施し、本県の将来を担う若い世代をグローバル人材として育成するとしています。つまり、世界共通語である英語力の向上を目指し、本県英語教育の改革、充実に取り組むということであります。  ところで、かねてより日本人の英語力については、英語教育を受ける時間の長さの割になかなか上達しないという指摘がされてきたところであります。確かに我々日本人の英語力は、英語力の測定方法として国際的に定評のあるTOEFLの国別ランキングの最新データでも、世界百六十三カ国中百三十五位と大変低く、アジア三十カ国においても二十七位に甘んじている状況です。  こういった事実に対して、日本語と英語では語順や文章構成が大きく異なるため、そもそも日本人には大きなハンデがあるなどという言いわけのような理由も時々聞かれますが、日本語と類似した文法構造を持つ韓国語を母国語とする韓国人の多くが、我々日本人よりもはるかに流暢に英語を使いこなすのを目の当たりにしたり、TOEFLやTOEIC等の平均点でも我が国を大きく上回っている現状を見ますと、やはり文法や英文和訳に偏ってきたとされる英語教育の弊害が主な要因なのかもしれません。  もちろん、そんな我が国の英語教育も、私が中高生であった三十数年前に比べれば、授業や入学試験にリスニングなどが導入され、その比重が徐々に増大するなど、少しずつではありますが、改善が図られてきたのも事実であります。また、大変おくればせながらではありますが、平成二十五年度の高校入学生から実施される高等学校の新学習指導要領においては、英語の授業は全て英語で行うことを基本とする、つまり、英語を学ぶから英語で学ぶへの転換が図られることとなりました。  一方、地方自治体においても、英語力の向上を目指し、平成十五年の群馬県太田市への外国語教育特区認定を皮切りとして、数年前からさまざまな英語教育改革への取り組みが行われてきました。  本県内にも意欲的な取り組みを進めている自治体が幾つか存在しますが、それらの中でも豊橋市は、平成十八年度から構造改革特区制度を活用して、英会話のできる豊橋っ子の育成を目指した先進的な英語教育を推進していますので、その概要を紹介させていただきます。  まず、取り組みの目標としては、中学校卒業時に英語で自分の意思や考えを伝えたり、受け取ったりする英語運用能力を身につけ、臆することなく外国の人々とコミュニケーションを図ろうとする子供の育成と、その英語運用能力を基盤として、異なる文化を持った人々と相互理解を深めながら、お互いを尊重し合い、身近な外国の人々とも共生して快適に暮らそうとする共生の心を持った子供の育成を掲げています。  子供の発達段階に合わせて三つのステージを設け、それぞれの段階ごとに設定した目標の達成を目指しており、第一ステージを小学校三・四年生、第二ステージは小学校五・六年生として、年間三十五時間を英会話の授業に充てています。  第一ステージにおいては、スクールアシスタントと呼ばれる地域に住む英語に堪能な人材と学級担任が指導に当たり、第二ステージでは、外国人英語指導助手(ALT)と学級担任とが指導を行っています。  ALTなどの確保に当たっては、年間一億円以上の予算を投入して、可能な限りALTによるネーティブな英語に触れられる時間をふやすよう努力されています。  第三ステージの中学校三年間でも、従来の英語科の時間数を週四時間に拡充し、小学校での英語教育の成果を踏まえて、スピーチ、ディベート、ディスカッションなどを用いて、互いの思いや情報を伝え合う活動の充実に取り組んでいます。  豊橋市の取り組みの中でも特筆すべきなのは、これまで十分とは言えなかった小学校と中学校との連携を実現し、七年間一貫した豊橋市英会話カリキュラムによる英語教育を実践している点です。  さらに、私がとりわけ先進的だと感じるのは、小学校と中学校との連携実現にとどまらず、平成十九年度からは、市内の小中高、ここでいう高校とは豊橋市内にある全ての県立高校でありますが、これらの学校による小中高連携教育推進協議会を設立して、例えば、小中学校の英語の授業を高校の先生が見学に行ったり、その逆も行ったりするなど、さまざまな形での連携を進めていることであります。  そして、本年秋には、全国の行政関係者並びに現役の教師の皆さんを対象に、これまで英語教育に関して積み上げてきた成果や課題、今後の方向性等について発表する研修会を二日間にわたって豊橋市内で開催する予定とのことであります。内容としては、現在までの成果発表のほか、小中高の公開授業やパネルディスカッションなども行い、我が国の英語教育の今後のあり方を全国に向かって発信をするという意気込みで現在準備が進められています。  今、御紹介したように、豊橋市教育委員会を事務局とする小中高連携教育推進協議会は、大変精力的な活動を展開していますが、一方で、もちろん課題も抱えています。  一例を挙げますと、豊橋市内の高校には、当然ほかの市町村からも入学者がありますが、小中学校での英語教育の違いによって、高校入学時点での英語力に格差がついてしまう問題です。このことは、豊橋市内の県立高校の校長先生からも同様な指摘がされており、やはり豊橋市内の中学校出身者と比べて近隣市町村の中学校出身者との間には、英語へのなれや親しみという点で明らかに異なる印象を持たれるそうです。  今後は、早急に同じ地域に暮らす生徒たちが同水準の英語教育を受けられるようにしていく必要があると思います。小中学校教育の監督権限は市町村教育委員会にあることは十分承知しておりますが、やはり県教委にも担っていただくべき役割があるのではないかと私は考えております。  以上を踏まえまして、順次三点の質問をさせていただきます。  一点目の質問です。  私が調査をいたしましたところでは、現在、県内の小中学校で行われている英語教育は、英語教育の開始学年や授業内容、そして、小中の連携状況などにおいて、市町村ごとにかなりばらつきがあると感じますが、県教委として、その現状をどう把握して、どのように評価しておられるのかお伺いをいたします。  二点目の質問です。  英語力を向上させるためには、小中学校の連携はもちろん欠かせませんし、小中高による教育連携も不可欠です。  そこで伺います。  先ほど御紹介しましたように、現在、豊橋市で進められている小中高連携教育推進協議会を、例えば、県内十二に分かれている校長会エリアごとに設置をして、教育連携を積極的に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか、御所見を伺います。  三点目の質問を行う前に、本県民の英語力の一端を示すと思われる大学入試センター試験における本県受験生の英語の成績について、若干触れさせていただきます。  私が調べましたところでは、センター試験の受験者数が一万人を超える全国十一の都道府県のうち、本県受験生の成績は、平成二十一年、二十三年とも余り芳しくなく、残念ながら下位グループに位置をしているようであります。また、四位までの上位グループは、二年とも神奈川県、東京都、大阪府、千葉県が占めているそうであります。  その要因として、本県受験生は他県に比べて国公立志向が強いため、センター試験の受験割合が高く、受験者数が極めて多いということも影響しているというふうにも言われますが、そうは言っても、こういった事例を耳にしますと、来年度から始まるあいちグローバル人材育成事業への期待はますます高まるわけであります。  ただ、英語教育の成果はもちろん一朝一夕にあらわれるものではなくて、一定の期間が必要であります。その間、指導者の資質向上にも絶えず取り組まなくてはなりませんし、TOEICなどの国際的な基準による進捗評価や、高校入試問題の改革なども重要な課題であります。  そこで、三点目の質問をいたします。  今回のあいち国際戦略プランは五カ年計画となっておりますが、私は、英語教育においては、例えば、来年度、小学校三年生に進級する児童が高校を卒業するまでの期間に相当する、少なくとも十年間程度にわたる長期計画が必要だと考えます。県教委としては、国際戦略プラン終了後についてはいかがお考えなのでしょうか、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。 95: ◯教育長(野村道朗君) あいちグローバル人材育成事業にかかわりまして、三点のお尋ねをいただきました。  まず、英語教育における小中学校の連携、小学校での開始学年や授業内容の違いについてお答えをいたします。
     平成二十四年度から完全実施となりました中学校の学習指導要領には、地域の小学校の実情に応じて英語科第一学年の指導計画を作成するように書かれておりまして、小中学校間の接続ということが重視をされております。  これに基づきまして、県内では、中学校の英語科教員が校区の小学校に出向いて授業を行ったり、中学校配置のALT(外国語指導助手)が小学校を巡回したりするなどの取り組みを進めている小中学校もございます。  また、県内の五つの市町村では、英語教育をより重視し、教育課程特例校として授業時間数をふやしたり、開始学年を早めたりするなど、学習指導要領の基準によらない先進的な取り組みを進めておりますが、あわせて、小学校と中学校とを系統的な教育課程でスムーズにつなぐことで、子供たちが中学校の英語科の学習に抵抗なく入ることができるというふうに聞いております。  英語教育における小中学校の連携、さらには、小学校での開始学年や授業内容の違いの実態につきましては、詳細まで把握しておりませんが、その地域の実情に応じて取り組まれていると考えております。  とはいえ、県教育委員会といたしましては、英語教育を進める上で小中学校の連携は大変重要であると、このように考えておりますので、今後は実態の把握に一層努めながら、市町村教育委員会に対し、小中学校間の連携を進めていくよう働きかけを強めてまいりたいと、このように考えております。  次に、地区内の小中高が連携した英語教育の取り組みについてのお尋ねでございます。  豊橋市におかれましては、議員お示しのとおり、平成二十一年度から豊橋市小中高連携教育推進協議会を立ち上げる中で英語教育分科会を設置され、小中学校と高等学校の英語科教員が連携しながら英語授業のあり方を研究する会を開催するなど、小中高を通してつながりのある英語教育が行われるよう取り組んでいるところでございます。  一方、本県で新年度から実施する予定のスーパーイングリッシュハブスクール事業では、県内を十二地区に分けて、地区ごとにハブスクール校を設置するというふうに考えております。このハブスクール校でございますが、地域内の高校だけではなく、地域全体の児童生徒の英語によるコミュニケーション能力を高めるための中心的な役割を果たしていくことを目的の一つというふうにしているところでございます。  このために、ハブスクール校を中心に、小中高を通じて同じ方向で英語教育を進めていくことが重要であると、このように考えておりまして、市町村教育委員会とも連携しながら、各地区において小中高の連絡協議会といった組織を設置していく考えでございます。その設置に当たりましては、豊橋市の取り組みも参考にさせていただきたいと、このように考えております。  最後に、国際戦略プラン終了後はどうするのかというお尋ねをいただきました。  グローバル人材育成事業につきましては、国際戦略プランに位置づけられておりますので、五カ年計画で進めていく予定といたしております。しかし、今後、グローバル化の一層の広がりが予想される中で、グローバル人材の育成、とりわけ、英語教育の充実につきましては、重点的かつ継続的に取り組まなければならない重要な課題となっております。  このため、グローバル人材育成事業の実施に当たりましても、英検やTOEICといった外部検定試験結果等の客観的データも活用しながら、事業のあり方を毎年検証し、改善に努めてまいりたいと考えております。  また、プランの計画期間終了後の取り組みにつきましては、本事業の成果と課題を踏まえながら、英語教育の充実に向けて検討してまいりたいと、このように考えております。  以上でございます。 96: ◯三十六番(浅井よしたか君) 教育長から御答弁をいただきました。実態の把握にしっかりと取り組んでいただけるということで、大変ありがたいなというふうに思っています。  ただ、一点要望を申し上げたいと思うんですが、県教委の皆さんから時々お聞きすることで気になることがありまして、それはどういうことかといいますと、市町村の教育、つまり、義務教育の課程は市町村の教育委員会の監督権限の中であるから、県教委からは指示や命令はできないんですと、こういうことをおっしゃいます。もちろん、そのことは私も承知をしておりまして、全ての市町村で小学校三年生から英語教育を実施してくださいというような指示や命令を出す立場ではないというのはよくわかっております。  ただ、あくまでこの事業というのは、本県の若者の英語力を向上させて、グローバルな人材を育成するということですから、そのためになるのであれば、義務教育は市町村であるとか、それから、高校は県だという分担分けに必要以上にとらわれずに、まさに垣根を越えて、もちろん県教委からの命令や指示ではなくて、熱意で垣根を越えて、一体となった取り組みをぜひ進めていただきたいなというふうに思っております。  やはり着実に事業の成果を上げるためには、県だけが旗を振っていても、小中学校時点での英語教育の充実というのは非常に大切だというふうに思いますから、ぜひ現場にも足を運んでいただいて、一層コミュニケーションを深めていただいて、丁寧に現状把握を行っていただいて、市町村の英語教育充実のために県として何ができるのかということもぜひ前向きな検討をしていただきたいと思います。  それぞれの市町村の思いを十分尊重していただきながら、しかし、県教委がリーダーシップを存分に発揮していただいて、市町村に対して、この事業への理解や賛同を得るための努力を徹底して行っていただくという県教委の熱意によって市町村教育委員会をしっかりと巻き込んで、まさに全県的事業としてこの事業を推進していただくことを強く要望して、終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 97: ◯三十八番(川嶋太郎君) 本日はこれをもって散会し、三月十一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 98: ◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 99: ◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認めます。  三月十一日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時五十五分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...