• "五十里明"(/)
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  1. 愛知県議会 2012-12-01
    平成24年12月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成24年12月定例会(第3号) 本文 2012-12-06 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 55 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長小林功君) 選択 2 :  ◯議長小林功君) 選択 3 :  ◯二十四番(近藤ひろひと君) 選択 4 :  ◯農林水産部長中野幹也君) 選択 5 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 6 :  ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 選択 7 :  ◯病院事業庁長二村雄次君) 選択 8 :  ◯知事大村秀章君) 選択 9 :  ◯二十四番(近藤ひろひと君) 選択 10 :  ◯議長小林功君) 選択 11 :  ◯七十二番(仲敬助君) 選択 12 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 13 :  ◯総務部長中西肇君) 選択 14 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 15 :  ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 選択 16 :  ◯知事大村秀章君) 選択 17 :  ◯七十二番(仲敬助君) 選択 18 :  ◯議長小林功君) 選択 19 :  ◯四十一番(佐藤一志君) 選択 20 :  ◯教育長野村道朗君) 選択 21 :  ◯四十一番(佐藤一志君) 選択 22 :  ◯三十八番(川嶋太郎君) 選択 23 :  ◯議長小林功君) 選択 24 :  ◯議長小林功君) 選択 25 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 26 :  ◯四十六番(いなもと和仁君) 選択 27 :  ◯防災局長(小林壯行君) 選択 28 :  ◯建設部長(近藤隆之君) 選択 29 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 30 :  ◯県民生活部長(大野明彦君) 選択 31 :  ◯知事大村秀章君) 選択 32 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 33 :  ◯十五番(犬飼明佳君) 選択 34 :  ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 選択 35 :  ◯防災局長(小林壯行君) 選択 36 :  ◯環境部長(西川洋二君) 選択 37 :  ◯知事大村秀章君) 選択 38 :  ◯十五番(犬飼明佳君) 選択 39 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 40 :  ◯六十二番(森下利久君) 選択 41 :  ◯環境部長(西川洋二君) 選択 42 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 43 :  ◯知事大村秀章君) 選択 44 :  ◯六十二番(森下利久君) 選択 45 :  ◯三十九番(坂田憲治君) 選択 46 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 47 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 48 :  ◯議長小林功君) 選択 49 :  ◯三十五番(浅井よしたか君) 選択 50 :  ◯総務部長中西肇君) 選択 51 :  ◯防災局長(小林壯行君) 選択 52 :  ◯三十五番(浅井よしたか君) 選択 53 :  ◯三十八番(川嶋太郎君) 選択 54 :  ◯議長小林功君) 選択 55 :  ◯議長小林功君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長小林功君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百五十六号議案平成二十四       年度愛知県一般会計補正予算から第百八十五号       議案豊橋コンテナターミナルの指定管理者の指       定についてまで 2: ◯議長小林功君) 第百五十六号議案平成二十四年度愛知県一般会計補正予算から第百八十五号議案豊橋コンテナターミナルの指定管理者の指定についてまでを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  近藤ひろひと議員。     〔二十四番近藤ひろひと君登壇〕(拍手) 3: ◯二十四番(近藤ひろひと君) 皆さん、おはようございます。  大変せわしい十二月議会、発声練習十分でございますので、通告に従いまして、質問させていただきます。  最初に、農業振興についてお伺いをいたします。  今から六十年前、慢性的な水不足でありました知多半島地域へ水を引く大工事が始まりました。愛知用水であります。  昨年は通水五十周年ということで、県下でさまざまな催しがありましたが、ことしの七月中ごろ、半田市青年会議所さんが企画をしましたOMOIYARIジャーニーでは、約百人の子供たちが愛知用水の源流、牧尾ダムから自分たちの住む地域まで水がどのように流れるか、二泊三日で体験する催しが行われました。  二日目に東郷町の愛知池に立ち寄られるということで私も同席させていただき、愛知用水についてお話を聞きましたが、愛知用水建設にかかわられた講師のお話は、建設の苦労話のほか、水から食に及び、そして、人口がふえている今、食料の確保はとても大切だと話されました。  はたと思いました。日本においては少子・高齢化で人口が減っているとつい考えがちでありますけれども、九十億人になるとされる世界での人口の増加を考えますと、私たちは、グローバルな視点から食料に対してもっと危機感を持つべきだと思い知らされました。
     一九六五年度に七三%であった日本の食料自給率は、昨年二〇一一年度は三九%となっており、一九九九年に成立した食料・農業・農村基本法で自給率の向上を図ることが盛り込まれましたように、国として食料の安定供給確保に関して自給率のアップ、また、食料安全保障におけるグローバル化の進展、経済の高度化、食料品の生産流通の複雑化など、さまざまなリスクに対応する必要がありますが、愛知県としても、そうしたことを考慮しながらも、現実的には農地の有効活用をしっかり進めなければならないと考えます。  私は、昨年の六月議会でも農業政策について質問をさせていただき、その答弁にありました農起業支援センターの設置、農業体験農園などの成果が着実に出ていると承知しております。  私の地元日進市でも、もともと仕事を持つ主婦の方が、市民菜園をきっかけに日進アグリスクールに通われ、さらには県の農業大学校での研修を経て、今年度、お勤めをおやめになり、認定就農者として農起業され、現在、約六・五アールの農地でトマト、ミニトマトのハウス栽培を始められております。  また、農家要件をお持ちで定年退職された方も同様にアグリスクールに通われて、専業農家として再出発をされておられるなど、大変喜ばしいことだと思っております。  今回の質問に当たって、改めて県のホームページを見ますと、ほかにも農業に関する多くの情報、青年就農給付金制度、耕作放棄地・遊休農地解消措置、認定農業者、雇用創出農業研修、ニューファーマーズ研修、農起業支援センターにおける企業等を対象として農業参入相談、愛知県の新規就農支援情報、農地保有合理化事業などなど、多くの取り組みをしておられ、農業政策に関してはさまざまな要素が組み合わされると認識しておりますが、シンプルに考えますと、耕作放棄地をどのように再生していくか、また、再生する農地と働き手とのマッチング、すなわち、担い手の確保をどうするかがポイントだと思われます。  そこで、まずお伺いをいたします。  本県における耕作放棄地の現状とこれまでの対策並びに今後どのように取り組んでいくのかをお伺いします。  また、耕作放棄地対策の観点から、担い手の確保についてどのような状況にあり、今後さらにどのように取り組んでいかれるかをお伺いいたします。  次に、障害者福祉についてお伺いをいたします。  平成十八年に障害者自立支援法が制定、施行されました。応能負担から応益負担へ、障害の種類別に法律があったものをあらゆる障害についてこの法律で対応する、市区町村を事業の母体とする、障害者も自立できる社会を目指すという四つの柱を持つ法律であります。  ことし、障害者自立支援法を障害者総合支援法とすることとなり、障害者の定義を難病等を追加し、平成二十六年四月一日から、重度訪問介護の対象者の拡大、ケアホームのグループホームへの一元化などが実施されると聞いておりますが、もとの自立支援法は、障害者施策の縦割りの解消、施設及び在宅のサービス体系の見直し、財源を義務的経費とすることにより国と都道府県の責任の明確化を図ったことが評価されております。  これらの四つの柱に関して、幾つか質問させていただきたいと思います。  障害者自立支援法の施行によって、これまで単に扶助費など、行政が直接的に支援していた内容から、障害者の自立に至るためにさまざまな議論を経ることができたと思います。健常者は、障害者の心、気持ちを理解できたのではないかと私は思います。  そうした中で、障害者が健常者と同じように暮らせる社会を目指すこととなり、バリアフリー、ノーマライゼーションという考え方も今ではかなり広がったと感じるところであります。  市町村では、啓発活動として研修会やさまざまな行事を主催したり、あるいは各種団体、施設も独自のお祭りなど催しを開かれ、障害者の方々と健常者が普通に触れ合う場が随分多くなってきております。  私の地元日進市でも、授産施設のイベントで中学校の吹奏楽部の皆さんが演奏をされ、大変盛り上げてくださったり、また、つい先日も、精神障害者の施設の方々が毎年開かれているコンサートでことしも何百人もの人々が駆けつけてくださっております。地域が一体となって障害者を支える環境ができつつあると大変うれしく思うところであります。  続けて地元のことを述べさせていただけば、来年平成二十五年度に開校が予定されております小中学併設校の隣地には、ことしの春、一足早く、障害者相談支援センター、子ども発達支援センター、地域生活支援センター、また、尾張東部五市一町の委託を受ける尾張東部成年後見センターから成る複合施設、日進市障害者福祉支援センターが開設されました。  障害をお持ちの方、御家族の皆様の不安を素早く対応できるようになりました。この開設に向けまして、これまで県の御協力は大変ありがたい限りで、地元の人間としてここで感謝申し上げたいと思います。  障害者福祉施策については、私の地元以外でもそれぞれの市町村で多くの取り組みがなされ、障害をお持ちの方が地域で暮らせる社会に近づいていると認識しております。  また、就労についても、障害者の雇用の促進等に関する法律で、事業主に対して、その雇用に対する労働者に占める身体・知的障害者の割合が一定率以上になるよう義務づけられており、平成二十五年度からは民間企業で現行の一・八%から二・〇%に引き上げられるなど、従来と比べ障害者の方々が社会で活躍される場面も多くなってきております。  しかし、そうした地域、あるいは企業に溶け込む環境がある一方で、障害をお持ちの方が就労先、あるいは入所施設などでの人間関係のトラブルに巻き込まれ、特に虐待ということが社会問題化されました。  昨年、障害者虐待防止法が成立し、本年十月一日から施行されていると認識しております。  そこでお伺いをいたします。  就労先や入所施設での障害者虐待防止に向け、市町村を初め、地域の関係機関との連携と県の取り組み状況はどうなっているでしょうか、お答えください。  また、昨今、障害者に対する理解が深まり、多くの施策によってとてもよい環境が整いつつありますが、障害をお持ちの方の御家族、親御さんの不安、一番の心配は、御自分が亡くなられた後、子供がどうなるかということであります。  先ほど紹介しました日進市障害福祉センター内にも尾張東部成年後見センターがありますが、親亡き後に障害者が安心して地域で生活していくためには成年後見制度が重要であると考えます。この制度に対して県としての取り組みをお聞きします。  次に、障害者自立支援法の柱の一つ、精神障害の種類別に法律があったのを、あらゆる障害についてこの法律で対応するに関して、特に精神障害者に対する支援についてをお伺いいたします。  御承知のとおり、障害は身体、知的、精神の三つがあります。同じように扱われていると思われますが、しかし、例えば、先ほど述べました障害者雇用率制度にある説明書きの文言には、精神障害者については雇用義務はありませんが、雇用した場合は、身体障害者、知的障害者を雇用したものとみなされますとの記述があるなど、精神障害についての理解が少しおくれている気がしてなりません。  精神障害は外見ではわかりにくいこともあり、病気としての認知がおくれてきたこともあると考えられますが、一説には、精神疾患もより早期な発見により重度にならずに済むとのことであり、私がお聞きした話では、精神疾患と思われる子供を病院に連れていきたいが、本人が拒むので何とかならないかとの相談に、現在の市町村、あるいは保健所などの窓口では近くの医療機関を紹介する程度で、相談者にとって十分な対応ができていない実態があるようであります。  結果的に暴力行為に至って初めて救急精神病院に収容されるなど、入院が必要となる症状にまでほっておかれるケースが多いということで、何とかならないものかと思うところであります。  我が国の精神科入院医療の状況について資料を見ますと、少し古いですが、平成二十年の患者調査では、精神疾患の患者数は外来、入院を合わせて三百二十三万人、外来については、平成八年の百八十五万人から平成二十年には二百九十万人と百万人以上ふえているということであります。  平成十八年、三障害を対象にする障害者自立支援法が施行され、精神障害のある人の地域生活を支えるための福祉サービスのメニューの充実が図られたことにより、障害者自立支援法のサービスを利用している精神障害が認められる人の数は増加しております。グループホーム、ケアホームや宿泊型自立訓練のような居住系サービスの利用者も多く増加していると聞いております。  このように、国の方針は、ほかの医療同様に入院から地域移行へと進められており、地域に戻った患者さんにはアウトリーチが有効であると言われております。  特に医療、福祉、生活支援までを行うACT、日本語で包括型地域生活支援プログラムと申しますが、現在、全国に十九カ所ほどの病院、クリニックなどで実施をされている現状があります。  私は、その実践現場として、浜松市のぴあクリニック、富山市の富山市民病院、谷野呉山病院を視察し、その取り組みをお聞きすると同時に、実際に訪問に同行させていただき、二カ所で計六名の重度の統合失調症、あるいは鬱病の患者さんとお話しする機会を得ました。  そこで、ACTなどアウトリーチがとても有効であると感じ、こうしたことを推進していくことが必要であると考えます。このことを県ではどのようにお考えかお伺いをいたします。  富山市民病院の視察では、ACT導入により精神病科の病床数を百床から五十床に減らすことができたとお聞きしました。  愛知県では、県全体で決められている精神科の病床数があるため、全面改築により城山病院の病床数を見直しするとお聞きしております。  そこで、この際、愛知県としてのアウトリーチモデルケースとして、城山病院においてACTを導入するお考えはありませんか、いかがお考えでしょうか。  また、先ほども述べましたように、保健所や行政窓口に相談に伺ってもなかなか十分な回答が得られない、地域で活動しているNPOなどが、そうした本人や家族など、相談を受けている現状があるとお聞きしております。こうした団体が行う相談事業に対する支援も必要だと考えますが、県としての御所見をお伺いいたします。  私は、たまたまこうした議員としての立場から、多くの障害者の方々、あるいは施設の関係者とお話をすることができております。一般の方々は、こうした障害について余り知るところではないと思います。  身体、あるいは知的の障害は比較的認知度が高く、例えば、健常者も車椅子を利用される障害をお持ちの方を見かけたら、声をかけ、押すなど、お手伝いをすることもあると思います。しかしながら、事精神障害の場合は、まだまだ一般にも理解されていないのが現状だと思います。  そこで、私は、精神障害者の方々への理解を深めるために広く県民に対して啓発が必要だと思いますが、県の御所見をお伺いします。  農業振興につきましては、大村知事がお務めになられました農林水産省の管轄、障害者支援は厚生労働副大臣時代にかかわられた専門分野だと思っております。それぞれ愛知県政における重要案件ですので、ぜひとも前向きな御答弁を期待して、壇上からの質問を終わります。(拍手) 4: ◯農林水産部長中野幹也君) 農業の振興についてのお尋ねのうち、まず、耕作放棄地対策についてお答えをいたします。  本県の耕作放棄地の現状は、二〇一〇年の農業センサスによりますと、その面積は八千三百七十八ヘクタールで、五年前より減少し、増加傾向に歯どめがかかったものの、耕地面積の一〇・六%に相当しており、耕作放棄地対策は、本県が引き続き取り組むべき農政の重要課題の一つであると考えております。  県といたしましては、市町村、農業関係団体と連携して耕作放棄地対策協議会を設置し、地域が一体となって国の交付金を活用した農地の再生作業を支援するとともに、担い手への農地の貸し付けや農作業委託を推進しているところであります。また、担い手がいない地域では、市民農園としての活用、和牛の放牧など、多様な形態の農地利用を推進いたしております。  さらに、市町村や農業委員会による農地の適正利用の指導、中山間地域における集落ぐるみでの農地の保全管理に対する支援も行っており、こうしたさまざまな取り組みの結果、平成二十三年中には六百十四ヘクタールの耕作放棄地が解消されたところでございます。  県といたしましては、今後とも耕作放棄地の発生抑止に一層努めますとともに、地域の特性や農地の条件を考慮して、農地の再生や担い手の確保、多様な形態の農地利用の促進など、さまざまな施策を推進することによりまして、耕作放棄地対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、耕作放棄地対策の観点からの農業における担い手の確保についてでございます。  県におきましては、就農希望者を対象とした普及指導員による営農計画の作成支援や、農業大学校における就農のための講座など、さまざまな取り組みを実施してきており、平成二十三年度には、近年にない二百四十五人の方々が新規に就農するとともに、十八の企業等が農業に参入をいたしております。  また、農起業支援センターの設置に加え、国の青年就農給付金制度の効果もあり、本年度においても就農相談が大きくふえているところでございます。  さらに、本年度から各市町村では、集落や地域の話し合いによって地域の中心となる担い手を明確にし、そうした担い手に高齢化などにより耕作が難しくなった農地を集積することなどを定める人・農地プランの作成を進めておりますので、県としても積極的にプランの作成を支援し、担い手の確保に一層力を入れてまいります。  県といたしましては、今後とも、耕作放棄地対策の面からも市町村等と連携し、農業の担い手の確保にしっかりと取り組んでまいります。 5: ◯健康福祉部長(五十里明君) 障害者福祉に関する御質問にお答えをいたします。  まず、障害者虐待防止に向けた市町村を初め、地域の関係機関との連携と県の取り組みについてでございます。  本年十月から施行された障害者虐待防止法では、障害者虐待を養護者による虐待や障害者福祉施設従事者等による虐待、事業主等による虐待の三類型としておりまして、各市町村や県が通報、届け出の対応窓口となり、障害者虐待の防止に向けた啓発と虐待を受けた障害者からの相談や保護などに当たっております。  虐待事例に対しましては、警察、学校、医療機関など、県内のさまざまな関係機関が連携して対応する体制が不可欠であり、このため、県では、こうした関係機関や市町村を構成員とする障害者虐待防止連携会議を法施行前の八月に開催し、障害者虐待防止への対応や関係機関の役割と連携体制の確認を行ったところであります。  また、法の施行にあわせ、県内の障害福祉施設従事者や市町村の相談支援窓口職員を対象として、障害者の権利擁護に関する理解や虐待防止にかかわる資質向上のための研修を実施いたしまして、虐待への相談や支援に適切に対応できる人材の育成を図ってまいりました。  さらには、障害福祉課内に障害者権利擁護センターを開設し、障害者を雇用する事業主等による虐待についての通報、届け出の受け付けを行うほか、嘱託弁護士を配置し、対応が難しい虐待事例への法的バックアップ体制の整備にも努めてきたところであります。  今後とも、関係機関との連携の強化や相談窓口職員への研修の充実などにより、障害者虐待の防止と適切な対応を図るための体制の強化に一層努めてまいります。  次に、障害者の成年後見制度に対する県としての取り組みについてお答えいたします。  知的障害や精神障害など、障害のある方の財産管理やさまざまな福祉サービスの利用に関する契約を支援する成年後見制度は、障害者の権利を擁護するための制度として重要なものであると、そのように認識をいたしております。  成年後見制度は、まずは障害者にとって身近な市町村や相談支援事業者が相談の窓口となっておりまして、県内に十カ所ある市の社会福祉協議会やNPO法人が運営する専門機関であります成年後見センターにつなぐことにより、専門的な相談や手続の支援などを行っているところであります。  県におきましては、平成二十四年度から新たに成年後見制度利用推進事業として、市町村職員や相談支援事業の従事者、福祉サービス事業者、さらには成年後見の支援を行おうとする事業者に対する研修を実施しております。  また、家庭裁判所への申し立て手数料や、後見人の報酬にかかわる市町村の経費に助成するなど、県といたしましても、制度の利用促進に努めているところでございます。 6: ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 精神障害者に対する支援のうち、地域で生活されている精神障害のある方へのアウトリーチについてであります。  精神障害のある方が住みなれた場所で安心して暮らしていただくために、訪問診療、訪問看護を中心としたアウトリーチは大変重要な方策であると認識をしており、現在、地域保健医療計画の精神疾患の医療体制の中に位置づけるための作業を進めております。  議員から御紹介のありましたACTにつきましては、医療だけでなく、福祉や生活支援等も含めた包括的な支援を行うものであり、地域生活の安定や利用者の満足度等について一定の効果があると言われております。  一方で、その立ち上げに当たりましては、ACTの活動全体を包括して評価する報酬体系がなく、現行の診療報酬を中心とした収入に頼らざるを得ない面があることから十分な活動ができないなどの課題があると言われており、本県におきましては、残念ながらACTを実施する事業者はないという現状にあります。  県といたしましては、精神障害のある方が地域の中で安心して生活を送るためのアウトリーチの体制を整備していきたいと考えており、この中でACTの位置づけについても検討してまいりたいと考えております。  次に、精神障害に関する相談についてであります。  精神障害のある方からの相談につきましては、相談者の不安等を取り除くとともに、相談から精神科の専門医への診療につなげ、早期発見、早期治療を図る上で大変重要であると認識をしており、保健所や精神保健福祉センター等において積極的に取り組んでいるところであります。  一方、精神障害者の家族の方への支援も重要であります。家族の方からの御相談につきましては、行政としても対応はさせていただいておりますが、同じような経験をされた方や同じ境遇のある方に話を聞いてほしい、気持ちをわかってほしいという要望があり、こうした要望に対しては、NPO等の団体がより身近な存在として家族の方の気持ちを受けとめていただいていると認識しております。  精神障害のある方やその家族の方が安心して地域で生活をしていくために相談機能の充実を図るとともに、NPO等の団体が果たしている役割を十分に踏まえ、今後、こうした団体に対しどのような支援ができるか、検討を行ってまいりたいと考えております。  次に、精神障害のある方への理解を深めるための啓発についてであります。  障害のある方が障害のない方と同等に生活し、活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念のもと、精神障害のある方の地域生活を進めるためには、精神障害者に対する偏見や誤解を取り除いていくことが重要であると考えております。  このためには、できるだけ多くの方に精神障害のある方との交流を通じて正しい理解を深めていただくことが大切であります。  本県では、精神障害のある方と地域の住民が一堂に会して楽しめるこころの健康フェスティバルを、毎年地区をかえ、県内を巡回する形で開催をしてきたところであります。  また、県内の各地域でも、精神科病院、NPO、事業所等により、病院祭りですとか、盆踊り大会、コンサート、バザーなど、精神障害のある方と地域の住民との触れ合いや交流により理解を深める取り組みが数多くなされております。  今後とも、引き続きこうした地域に根差した取り組みを着実に実施し、精神障害者への理解の促進に努めてまいりたいと考えております。  以上であります。 7: ◯病院事業庁長二村雄次君) 私からは、城山病院でのACTの実施についてお答えいたします。  城山病院におきましては、現在、退院後の患者を在宅でケアするために訪問看護を実施しておりまして、年間二千三百件以上の実績がございます。  しかし、一方で、ACTを実施するためには、精神保健福祉士を初め、さまざまな職種の専門家で構成するチームでの対応となりますので、人員の確保を含めた体制の整備が必要となってまいります。  また、現行の診療報酬体系の中では、ACTそのものの評価がされていないという収益面での課題もございますので、現在のところ、城山病院においてはACTは実施してございません。  ACTは、国が推し進めている精神障害者の入院から地域生活への移行に向けた支援をするための重要な取り組みの一つでございまして、私といたしましても、その必要性を十分に認識しているところでございます。  今回の改築を機に、患者が城山病院を退院された後に住みなれた地域で安心して生活を続けられるように支援する仕組みを構築しまして、短期間のうちに再入院となるようなことを防ぐことが重要でありまして、その仕組みの一つとしてACTも考えるところでございますが、ACTの実施には収支面等の経営上の課題がございますので、国の施策の動向を見ながら、今後研究してまいりたいと考えております。 8: ◯知事大村秀章君) 近藤議員の質問のうち、農業における担い手の確保につきまして、私からもお答えを申し上げます。  御質問にありました耕作放棄地の解消や発生の抑止を図り、農業生産の基盤としてしっかりと将来に引き継いで行くためには、幅広い担い手を確保することが不可欠だというふうに考えております。  このため、私もマニフェストに農起業支援センターの設置を掲げまして、ことしの四月に県内八カ所にこの農起業支援センターを設置し、担い手の確保に積極的に取り組んでいるところでありまして、十月までの七カ月の間に個人相談は四百七十件、また、企業からの相談も四十七件ございます。ともに昨年同時期に比べて一・八倍にふえておりまして、こうした相談が就農につながり、ひいては耕作放棄地対策に結びつくよう、引き続ききめ細かな支援に努めていきたいというふうに考えております。  本県は、いつも私、申し上げるんですが、農業産出額は全国三番手グループに位置しておりまして、直近の二十三年度も全国六位ということでございましたが、中部地区最大の農業県でもございます。したがいまして、農業の振興、そして、それを支える担い手につきまして、しっかりと今後とも確保し、元気な愛知をつくっていきたいというふうに思っております。  また、障害者福祉施策につきましても重要な指摘をいただきまして、基本は部局長から答弁申し上げたとおりでございますが、引き続きしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上でございます。 9: ◯二十四番(近藤ひろひと君) それぞれ御答弁をいただきました。知事からも前向きなお話をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  要望させていただきます。  農業振興についてでありますけれども、耕作放棄地対策、そして担い手対策、これにつきまして着実に進めていただいていることがよくわかります。  ただ、根本的には、農業をやって果たしてもうかるのかということがあると思います。  現在、まさに総選挙の争点にもなっておりますTPPでの農業の議論がより深まって、日本国内でどう農業が生きていくのか、そのことも含めて考えていただければとは思いますけれども、実は、私、今回の質問に当たりまして、また幾つかの視察に行ってまいりましたので、ちょっとここで紹介させていただきたいと思います。  たまたま、農業だけではなくて福祉政策ともかかわるところへお伺いをしております。
     金沢の子育て農業応援団というところでは、日常生活支援サポートハウスとして活動しておられるところでありますけれども、地域交流イベントの一環で農業体験、いわゆる市民菜園も導入したというところであります。  それから、西尾市、旧幡豆郡一色町にありますめぐみ農場というところは、広大な耕作放棄地を譲り受け、ニホンミツバチ、菜の花を育てるプロジェクトを立ち上げて、農業を再生しようという任意団体が頑張っておられるというところであります。  ここでの耕作者は、スタッフ以外はいわゆるネットで呼びかけたフリーの方や、趣味で農作業をしたいという高齢の方、障害の方も一部お越しであるというふうにお聞きしています。  こうしたことがこれから徐々に新しい農のあり方、いわゆる担い手のなり手でもあるのかなということも思います。こうした両方ともの内容を見ますと、自然と触れ合い、癒やしをするという効果が考えられているということだと思います。  ただ、こうしたことは、いわゆる本格的な農業とはややかけ離れた部分でありますので、ここでもっていわゆる農業体験的にやっていただくことで、これから新しい農業につかれる方たちの道筋になればということもありますので、こちらの方たちも応援していただければと思います。  また、三重県の伊賀市にあります、これはよく皆さん御存じかと思いますが、モクモク手づくりファームというところも訪れました。  こちらは、いわゆる養豚農家が集まられて、ハムなどの加工を手がけられたことがきっかけ、そして、現在のテーマパーク的な形に進化をし、そして、さらにレストランを経営されております。  非常に評判が評判を呼んで、そのレストランで使われるいわゆる食材については、全て自前か、ないしは協力農家から仕入れているということで、大変安定的な販売先として農家の方たちからありがたがられているということがあります。  なかなかこの成功事例をすぐまねするというわけにはいきませんし、難しい部分は多いかと思いますけれども、愛知県でもこうしたことが取り入れられればなということも思います。  もう一つは、半田にあります社会福祉法人むそう、こちらは、どんな重い障害でも地域で生活することができるということを目指し、施設センターが一カ所、ケアホーム三カ所、就労の場を六カ所と活動を広げられ、現在は、自然養鶏、いわゆる平飼い、鶏を平飼いしております。それから、シイタケ栽培、こうしたところを本当に障害のある方が個々の特性に合った仕事をしておられるということを見てまいりました。  こちらも、ここでつくった農作物を、御自分のところで喫茶店やパン、それからラーメンなどに使って販売をしておりまして、非常に、いわゆる愛知方式なのかなということを思います。こうした例が広がることを期待したいと思います。  視察先の件をちょっとはしょって御紹介しましたけれども、農業については、先ほども申し上げましたように、大変根本的にはもうかるようなシステムづくり、そして、本当に日本としてどのように食のことを考えるかが大きな問題だと思います。多くの議論を期待したいと思います。  それから、障害者支援について少し触れさせていただきます。  障害と申しますと、健常であるうちは他人事であるように思われると考えます。しかしながら、私ども、年をとりますと目が見えなくなりますし、腕は上がらなくなる、足は突っかえる、そうしたいわゆる障害の方たちと同じ症状になるということがあります。  医療技術の発達により不治の病は激減しましたけれども、闘病生活がずっと長引く、そうした傾向にあるわけでありまして、いつか自分が、身近な人がそうした立場になるかもしれないという視点で障害者の福祉を考える必要があると思います。  事精神疾患につきましては、先ほど来いろいろ議論いただいておりまして、その重要性も御認識いただけたことかと思いますけれども、浜松のぴあクリニックで私が同行させていただきました重度の精神疾患の方、こうした方は、実はなかなか、先ほどの相談窓口での話のとおり、患者さん本人が認識がないがために診療を受けられなくて、ずっと重い状態であったというふうに聞いております。  そしてまた、富山市民病院でお伺いをした八十歳の御高齢のお母さんと、それから息子さん五十歳、この方が障害者でありますけれども、お姉さんがおられて、その方々が一生懸命ずっと見てしまったがために大変ひどい状態になってしまったと。保健所さんが発見したときには、髪の毛は伸び放題、お風呂にも入っておらず、爪はぐるぐる巻くぐらい伸びたという状態で発見されて今に至っているということであります。  そうしたことをいわゆるACT、こうしたもののアウトリーチにより救われるということもケースとしてはあると聞いております。ぜひともこういった方向での検討をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 10: ◯議長小林功君) 進行いたします。  仲敬助議員。     〔七十二番仲敬助君登壇〕(拍手) 11: ◯七十二番(仲敬助君) それでは、通告に従い、順次質問をしてまいります。  さきの九月定例県議会においては、民主党から提案をし、全会派議員各位の賛同を得て、自動車諸税の抜本的見直しについての意見書を議長名で国に提出をしたところであります。  この意図するところは、自動車市場の縮小、低迷に歯どめをかけ、産業の空洞化や雇用の喪失を少しでも防止することであり、自動車産業が衰退すれば、私たち愛知県民の暮らしが大変なことになるとの強い危機感を議員各位全員が共有した上での行動でありました。  この意見書の趣旨に書かれております市町村を初めとする地方への代替財源を確保した上で自動車取得税及び自動車重量税廃止を実現することは、愛知県の物づくりを支えてきた産業基盤を崩すことなく、同時に県の税収源を守っていくことを意味します。  この自動車二税については、本年六月十五日の三党実務者間会合合意において抜本的な見直しを行い、消費税率の八%への引き上げ時までに結論を得ることとされておりますが、現在始まっている衆議院選挙の大波にかき消されることのないように、今から大きな声を上げておくべきだと考えています。  大村知事におかれては、さきの十月五日、東京で開かれました全国知事会の地方税財政常任委員会に出席され、自動車取得税、自動車重量税の廃止を強く訴えられたことが新聞に掲載されておりました。  しかし、その時点では、自動車二税の多くは地方自治体の収入となっているとして、全国知事会の地方税財政常任委員会総意としての国への提言は、自動車取得税は堅持すべきだとして原案を覆すことができなかったことは残念でありました。  けれども、大村知事が、消費税が増税され、自動車取得税が今のままでは、自動車産業の業績が悪化し、経済や雇用が大きな打撃を受けると強く情報発信をされたことについては、愛知の叫び声として国に届いたものと受けとめるところであります。  消費税率が八%に上がる前までに何としても全員の総意として取り組んでいかねば、私たちの地域の経済が、そして雇用が立ち行かなくなります。  再度繰り返しになりますが、税制改正の議論が国政選挙で棚上げとなってしまっている現在、議論を立ち消えさせないためにも、さらには自動車二税の廃止が実現するまで、地方から声を上げ続けていく必要があると思っています。  全国では、愛知と意見を同じくする広島県のようなところもある一方で、自動車部品メーカーがたくさんあるような県であっても、例えば、山梨県では、地方税財源として自動車取得税などから十二億円の税収があり、代替財源なしに見直すことは断じてあってはならないという意見もあります。  しかしながら、地方財政への配慮がないままでは納得できないからという理由で、知恵も出さず、議論もせずに自動車二税の問題がこのまま置き去りになることは断じてなりません。  自動車二税は、もともと道路をつくるためだけに集める道路特定財源だったものが、二〇〇九年度に一般財源化されており、本来は課税の根拠を失っているものであります。自動車への課税が行き過ぎると国内での販売力を弱め、角を矯めて牛を殺す結果になりかねない、つまり、いつまでも地方財源の打ち出の小づちではあり得ないことを認識すべきなのでございます。  さきの十月十日に、中部経済連合会など地元経済団体や連合愛知の幹部の皆さんが、自動車取得税や自動車重量税の消費増税にあわせた廃止について、大村知事に要請しました。  この中で、過去に消費税率が三%から五%に上がったときに、国内での車の生産台数が百万台減少したというお話がありました。今回も消費税率が五%から八%に上がる際に、自動車取得税や重量税をそのまま放置しておくことになれば、自動車関連産業の五百万人の雇用のうち、四十万人ほどの雇用がなくなり、大きな経済の停滞を引き起こすと言われております。  ここで、大村知事にお伺いをしたいと思います。  知事には、高い次元に立って、自動車二税の廃止を何としても実現し、景気の下振れや国内生産の空洞化を食いとめる取り組みをしていただきたいと願うところでありますが、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお聞かせください。  さて、一番目の大きな項目として、産業政策に関して提案も含め質問してまいります。  県の産業政策としての取り組みである産業空洞化対策減税基金については、県当局としては精力的に展開をされているところであります。  七月には、研究開発、実証実験の支援として五十九件を補助対象案件として決定し、さらに、九月上旬には、高度先端分野の企業立地や県内企業の再投資への支援として二十四件の補助対象案件も決定し、総額五百九億円の投資と六千名余の常用雇用者の維持、創出が見込まれるなど、県当局の積極的な取り組みには感心をしているところであります。  この産業空洞化対策減税基金に基づく補助制度は、大規模投資案件等の誘致、中小企業の投資案件へのきめ細かい支援、研究開発、実証実験の支援に分類されておりますが、とりわけ、新あいち創造産業立地補助金Aタイプと呼ばれる市町村と連携する県内再投資の支援制度については、この経済状況の中で、まさに時宜を得た補助制度ではないかと思います。  このAタイプの補助制度の補助率は、市町村が土地を除く固定資産取得費用の五%で、県が五%の合計一〇%となっております。中小企業が補助を受けるためには、まず、市町村の窓口において申請書を受理してもらうことがまず第一関門となるわけですが、市町村においては、こうした補助制度がまだつくられていないところや、補助制度はつくられているものの、窓口の担当者によっては十分に理解できていないケースもあるようです。  また、こうしたせっかくの補助制度が愛知県下の全ての中小企業には情報として伝達されていなくて、知らない中小企業も多いようです。  さらには、市町村の窓口としても、立地に関する助言ができる適切な担当者がいない等、課題があるのではないかと私は思っているところであります。  ここで、一つ目の質問です。  今後も、この補助制度は継続されていくと考えますが、県下にたくさんある中小企業にどのように情報を伝えていくのか、また、本補助制度の活用に向け、市町村との連携をどのように図っていこうとされているのかお伺いをいたします。  次に、国内の物づくり産業の空洞化はいや応なしに進行していると身をもって体感した事例を紹介し、課題提起と質問をしてまいります。  去る八月の二十八日から三日間、仲間の永井議員と樹神議員の三名で、タイ王国に進出している中小企業のA社を訪問して、お話を聞いてきました。  A社は、静岡県に本社を置く従業員数二十人ほどの金型設計・製作会社であり、メーカーからのコスト削減要求が厳しく、もはやこのまま日本にとどまっていても生きていけない、日本国内にとどまるも地獄、外国に出るも地獄、それならいっそのこと、華僑ならず和僑として海外で生きる道を求め続けるしか生きるすべはないとの決断をして、タイに進出してきたと社長さんは私たちに熱く語りかけてくれました。  海外のホットな情報をどのようにして入手できるのかわからない状況の中で、日本での仕事の合間を見つけてはタイ、ベトナム、インドネシア等に何度か渡り、手探りで視察し、既に進出してきている会社にみずから聞き取り調査を行いながら、タイが有望と判断したとのことでした。また、タイ進出に当たっては資金繰りが簡単ではなく、大変厳しいものがあったと振り返るその顔には苦労がにじみ出ていました。  タイに進出して以降、レンタル工場で頑張りながら、一年ほど経過した最近になってやっと商社からの紹介もあって、現地での仕事もふえてくるようになったとの話でありました。  タイでは多くの工業団地が整備され、世界中のメーカーが集積してきており、仕事にめぐり会うチャンスは日本よりも多く、日本に持ち帰ってやれる仕事もあり、静岡本社で頑張っている従業員の雇用維持にもつながる可能性が見えてきたと笑顔を見せて語ってくれた瞬間が印象的でした。  さて、本県が取り組んでいる産業空洞化対策減税基金は、さきに述べましたように、産業活性化策として、県内にとどまって何とか県内での雇用を守っていこうとする経営戦略を誘発し、それを後押しする県の取り組みであります。  前述のA社の場合は、海外市場の真ん中に飛び込んでいけば、新たな仕事をつかむチャンスとともに、ある程度の付加価値がある仕事をつかめた場合には、県内での仕事として振り向ける可能性もあり、そのことによって日本での雇用維持につながるケースがあるという事例になります。  今回の現地でのヒアリングにより、中小企業にとっては、刻々と変化していく経済や政治に関する現地の情報が県内ではどうすれば手に入るのか、また、進出を決断するにしても、融資の相談に乗ってくれる金融機関が少ないなど、課題が明確になってきました。  現地での視察を終えて、私は、県内の物づくり産業の空洞化に対しての産業政策としては、県内にとどまって設備等を増強して雇用を守ることとあわせて、ASEANなどの国外に出て、現地での仕事量を確保しながら、付加価値のある仕事はUターンさせて、県内の雇用を維持していくやり方の両輪の制度があればよいのではないかと思ったところであります。  ここで、二つ目の質問です。  中小企業のこうしたニーズを踏まえて、タイを初めとするASEANの投資情報を調査し、しっかり提供するとともに、ASEAN地域を初め、海外に進出しようとする企業に対し、金融面でも支援していくことが重要であると思いますが、県としてどのように対応していかれるのかお伺いします。  中小企業の海外展開を支援する拠点として、県には現在、パリ、サンフランシスコ、上海の三カ所に海外産業情報センターがあります。タイ、バンコクにもかつて県の海外事務所がありましたが、中国の目覚ましい経済発展に伴う本県企業の進出支援や、中国人観光客の誘致などの目的で、中国、上海に移設された経緯があります。  これまで申し述べてきたASEAN諸国の重要性に鑑み、県にはそれらの地域への対応を含め、センターの配置の見直しを検討していただくように、先ほどの質問とあわせて強く要望いたしておきます。  次に、二番目の大きな質問に移ります。  ことしの七月から日本に在留する外国人の新しい在留管理制度がスタートしましたが、これに関して幾つかの質問をしてまいります。  四方を海で囲まれた我が国では、例えば、ヨーロッパ諸国と比べて国境に対する意識が随分と薄いように感じます。仕事の関係上、フランスで長い間生活をしておりました私の経験では、今でこそユーロ通貨で統一されており、ヨーロッパ諸国間を結ぶ高速道路上には国境検問はなくなっておりますが、それ以前は国境をまたいで移動するには大変緊張したものです。  ビザなしのパスポートだけでは三カ月以上は同一国には滞在できない決まりがあるため、あっちこっちの国を渡り歩いている人もいましたが、やがてはチェックされ、強制送還になる人もいたようです。  フランスでは、不法滞在者に対しては警察が厳しくチェックをします。例えば、私が救急車を呼んだときですが、痛くて苦しんでいる私本人に対して、一緒に来た警察官が、まずパスポートの提出とあわせて滞在許可証の提示を求め、滞在目的を質問された、そんな経験があります。  さて、日本においても、外国籍の住民の居住を正しく把握するため、七月九日から、改正入管難民法と改正住民基本台帳法に基づき、在留期間が三カ月を超す外国籍住民に外国人登録証明書にかわる在留カードが交付されるようになりました。居住を確認して住基台帳に移し、住民税などの課税や人口把握につなげるとともに、不法滞在、不法就労の抑制を図るほか、住民票の発行など、外国籍住民の利便性も高まります。  しかしながら、これまでの外国人登録方法がどちらかというと甘かったため、新制度の導入には課題があると聞いております。  ここで、一つ目の質問です。  各自治体が外国籍住民に郵送した仮住民票が宛先不明で戻るケースが相次いでおり、多くの自治体が正確な居住実態を把握できないまま、外国籍住民を住民基本台帳に登録、移行される事態となっているとの新聞報道がありましたが、愛知県内の市町村では仮住民票の返送率はどのような状態になっているのか、また、把握できない外国人数はいかほどかお伺いいたします。  また、あわせて、今後の取り組みについて、どのように考えておられるのかお伺いをいたします。  不法滞在者の状況ですが、平成二十四年一月一日現在における日本全体での不法残留者数は、法務省発表データによれば六万七千六十五人で、このほか相当数の不法入国者が存在すると見られています。  入出国管理は国の仕事でありますが、一旦入国して外国人が不法行為をすれば警察の仕事になります。就労目的で来日する外国人は依然として多く、不法に就労している者も多いと聞きます。さらに、不法就労するよりも効率的に金銭を得るために、他の犯罪に手を染めるようになる外国人もいると聞きます。  ここで、二つ目の質問として、県警本部長にお伺いをいたします。  外国人の居住実態が把握できない現実がある中で、愛知県内のオーバーステイなどを含む不法滞在者についてもその把握は難しいと思いますが、こうした困難な状況下における不法滞在者の取り締まりの現状についてお伺いいたします。  あわせて、外国人によるさまざまな犯罪実態の中で、不法滞在者がかかわった犯罪の割合はどのようになっているのかお伺いをいたします。  また、日本では、昨今の不況を反映して、多くの企業で人件費の削減が進められておりますが、そのために企業が不法滞在者を不当に安い賃金で労働に従事させるなどの問題が表面化していると聞きます。  ここで、三つ目の質問です。  不法滞在者や就労資格のない外国人を雇用する不法就労助長に対する取り締まりについてどのようになされてきたのか、これまでの実績をお伺いします。  これまでの外国人登録法では、市町村で外国人登録証明書が交付され、予防接種や就学の案内などが送られていましたし、証明書は就労などの際の身分証として使われてもきました。  新制度では、不法滞在者は、こうした支援や情報提供の枠外に置かれることになり、仕事や住居を探すのも難しく、医療、教育といった行政の支援を受けられなくなってしまいます。不法滞在者であっても、日本で長らく暮らし生活基盤を築いている場合もあると考えられますし、生活面ではサポートをするといった柔軟性も必要かとも思うところであります。  実際、外国人の子供の就学については、本年七月に文部科学省から、居住地等の確認に際して在留カードの提示がない場合でも柔軟に対応し、就学機会の確保に努めるよう通知が出されたと聞いております。  ここで、四つ目の質問です。  医療機関において、外国人が診察、あるいは治療を受けようとした場合、不法滞在者であるかどうか確認できるのか、現場での対応を含めてお伺いいたします。  入管法は、外国人の情報を正確、継続的に管理することを目的に改定されました。外国人が日本人と同様の住民基本台帳に登録され、行政サービスが受けやすくなりますが、その一方で、住所変更を随時自治体に届け出る義務が課され、おくれると罰金や在留資格取り消しの処分を受けるなど、これまでより管理が厳しくなると言われております。  最後の質問であります。  外国人の方に新しい在留管理制度について理解を深めてもらう取り組みも重要となってくると思います。しかし、それ以上に、国内に滞在している六万七千人以上の不法滞在者を一人でも減らしていかねばなりません。  外国人が医療機関を受ける場合など、さまざまな機会に在留資格を確認するようにしていけば、不法滞在者を発見できると考えますが、県警としてはどのように取り組んで行かれるのかお伺いいたします。  以上、グローバル化が進展する中では、県内においても、県警の活動のみならず、産業政策、医療、教育など、行政のさまざまな分野において、これまでのように内向きな視点だけでは解決できない課題が山積みとなってきております。グローバル化にあっては国境の線引きはますます重要になってくるとは思いますが、愛知県内で発生する課題解決に向けては、市町村、県、あるいは国の役割の範囲はそれぞれあるとは思いますが、線引きをすることなく、県が中間に立って連携プレーで解決を図っていくことが望まれます。  当局各位の連携ある答弁を期待しまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 12: ◯産業労働部長木村聡君) 私からは、まず、産業空洞化対策減税基金に基づく新あいち創造産業立地補助金Aタイプに関するお尋ねについてお答え申し上げます。  減税基金に基づく新あいち創造産業立地補助金のうち、市町村と連携して県内企業の再投資を支援するAタイプは、長年にわたり地域の経済と雇用を支えてきた企業の流出防止を図ろうとするものでございます。  このAタイプを含めまして、減税基金に基づく補助制度につきましては、昨年度末以降、知事が出席をいたしました再投資促進セミナーを初めとする県主催の説明会に加えまして、市町村、商工会議所、商工会など約二百六十の関係機関の機関紙やホームページなどを通じまして、延べ十八万社以上の企業に対し情報提供を行ってまいりました。  こうした補助制度の周知を経まして、九月には、本年度第一回分として、立地支援の補助制度全体で中小企業十九社を含みます二十四社、総投資額五百九億円、六千人余の雇用維持・拡大効果が見込まれる補助対象案件を決定したところでございます。  そのうち、Aタイプの対象案件は中小企業十二社を含む十四社で、総投資額百七十八億円、雇用の維持・拡大効果は五千人余となりましたが、このAタイプにつきましては、その後も多くの市町村や企業から申請や問い合わせをいただいているところでございます。  県といたしましては、中小企業を含め、できるだけ幅広い企業に補助制度を有効に御活用いただけますよう、引き続き関係機関との連携のもと、きめ細かい情報提供に努めてまいりたいと考えております。  次に、市町村との連携についてでございます。  新あいち創造産業立地補助金Aタイプを御活用いただくためには、市町村におきまして、これに対応する支援制度を御用意いただくことが前提となります。このため、県では、これまでさまざまな機会を捉えまして、市町村に対し、既存制度の見直し、あるいは新たな制度の創設を働きかけてまいりました。  その結果、Aタイプの対象となる地域は、十一月末時点で全五十四市町村のうち二十一市町となり、本年度中には三十市町に達する見込みとなっております。  県といたしましては、今後とも市町村に対し、制度創設等に向けた情報提供や相談への対応を行いますほか、市町村と共同して行う説明会や個別企業訪問等の機会を捉えまして、双方の制度を一体的にPRすることによって、多くの県内企業の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
     次に、中小企業の海外展開支援についてお答え申し上げます。  円高やデフレの継続など、厳しい国内の経済情勢を背景といたしまして、多くの企業が成長著しいアジアの新興国における事業を拡大する中で、中小企業においても取引先の要請に応じて、あるいはみずからが新しい市場を求めて海外展開を図る動きが活発化しているところでございます。  こうした中、最近では、中国において日本製品の販売不振が問題となり、中国プラスワンとして、タイ、ベトナムなどのASEAN諸国への進出ニーズが一層大きくなってきたところでございます。  このため、県では、ジェトロなどの関係機関との連携のもと、セミナーを通じまして、最新の現地経済情勢や投資環境、法制度や商慣行等に関する実践的な情報提供を行いますほか、あいち産業振興機構に専門の相談窓口を設けまして、貿易、投資に係る手続、知的財産の保護、販路開拓の進め方などに関する個別相談にきめ細かく対応しているところでございます。  一方、金融面では、地域の銀行や信用金庫が海外の金融機関と業務提携し、本県中小企業の現地での事業活動を支援する動きが広がっているところでございます。県といたしましては、それらの銀行や信用金庫と連携しながら、海外展開を図る中小企業を金融面からも支援することが重要であると考えておりまして、来年度に向け、制度融資の中でそうした中小企業を支援する方策を検討してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 13: ◯総務部長中西肇君) 私からは、外国人の新しい在留管理制度についてのお尋ねのうち、住民基本台帳制度に係るものにつきましてお答えいたします。  本年七月九日に施行されました住民基本台帳法の一部改正により、外国人住民につきましても日本人と同様に住民票が作成されることとなりましたが、施行日において、できる限り実態と合致した外国人の住民票が作成されるよう、各市町村では、外国人登録制度によりまして登録された外国人につきまして、仮住民票を作成、送付し、住民票の記載内容や居住実態等を調査したところでございます。  平成二十四年四月一日現在の県内の旧外国人登録法に基づきます登録者数は約二十万一千人でございますが、この登録者をもとに、市町村では、個人または世帯を単位といたしました仮住民票を普通郵便や簡易書留などの方法で約十三万五千件発送し、そのうち約八%に当たる一万一千件が宛所不明などにより返送されたところでございます。  市町村におきましては、これまで居住の実態が確認できなかった約三千三百件につきまして住民票等を消除したところでございますが、県としましては、残りの返送分につきましても速やかに実態調査を行っていくよう市町村に求めてまいります。そして、より正確な実態把握のため、返送されなかったものにつきましても、各市町村におきまして実態調査を実施していただくよう、県として助言してまいりたいと考えてございます。  また、外国人住民の住民基本台帳を適切に整備していくためには、やはり外国人の皆様の方々にこの制度をよく理解していただくことが重要でございますので、制度の周知につきましてもより努めていただくようあわせて助言してまいります。  以上でございます。 14: ◯警察本部長沖田芳樹君) 初めに、不法滞在者の取り締まりの現状についてお答えいたします。  全国の不法残留者は、法務省によりますと、平成五年の二十九万三千八百人をピークとして、その後は減少いたしております。しかし、その実態は、雇用主が管理する住居に居住したり、住居と稼働先の間を車両により移動するなど、摘発を免れるため潜在化しているほか、捜査が身近に及んだことを察知すればすぐに転居するなどしており、その把握は年々困難となっております。  こうした状況において、私どもといたしましては、入国管理局等の関係機関と連携して不法滞在者の取り締まりを実施しているところであり、県内の検挙、摘発数にあっては、平成二十年の二千二百八十七人をピークに、昨年は七百九十三人、本年十月末現在では五百五人となっております。  また、来日外国人の検挙者数に占める不法滞在者の割合についてですが、昨年の数字で申し上げますと、県内における交通犯を除く全検挙者二万五百人のうち、来日外国人は九百六十二人で、このうち不法滞在者は二百三十四人であり、来日外国人検挙者数に占める不法滞在者の割合は二四・三%となっております。  その内訳を見ますと、殺人、強盗などの凶悪犯は三〇・八%、暴行、傷害などの粗暴犯は五・五%、侵入盗などの窃盗犯は七・一%、覚醒剤などの薬物事犯は二八・九%となっております。  次に、不法就労助長の取り締まりについてお答えいたします。  不法入国者や不法残留者等の不法滞在者が働くことや、短期滞在、留学、家族滞在等の在留資格の外国人が働くこと、さらには、働くことが認められている在留資格であっても、その資格の範囲を超えて働くことはいずれも不法就労になります。このような働くことが認められていない外国人を事業所等で働かせたり、あっせんしたりすることは不法就労助長罪となり、不法滞在する外国人のインフラの一つとなっております。  このため、私どもといたしましては、入国管理局や労働局等の関係機関との情報交換や、事業所等への指導啓発活動を推進するとともに、積極的な取り締まりを行っているところでございます。  こうした結果、昨年の不法就労助長事件の検挙は六件で、本年は十月末までに、不法滞在者をアパートに居住させ、自動車部品の加工をさせていた事件など、七件を検挙いたしております。  最後に、不法滞在者の発見についてお答えいたします。  一部の法律では、在留カードにより本人確認や就労できる在留資格であるかを確認することが求められておりますが、それ以外の場面ではこうしたことは法令上は求められておりません。  私どもは、不法滞在者を一人でも減らしていくため、街頭活動を通じて発見に努めるとともに、入国管理局と連携して合同摘発を積極的に実施しておりますが、自治体の広報紙、ケーブルテレビ、ラジオ、インターネットなどを活用して、不法滞在者に関する情報の提供を県民の方々に広く呼びかけているところでございます。  今後とも、県民の方々の御理解と御協力をいただきながら、関係機関等と連携して、不法滞在者の発見、検挙に努めてまいります。 15: ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 外国人の在留管理制度のお尋ねのうち、医療機関での対応の実態についてお答えを申し上げます。  不法滞在の外国人の方でありましても、不慮の疾病に対する医療提供につきましては、我が国の医療機関では、まずは診療を最優先で行うこととなっております。  その際、医療費の支払い手続の中で、まず健康保険証の提出を求めますが、保険証のない場合も自費診療として会計処理を行うことが可能であることから、特に外国人であっても保険証がない理由を積極的に聞き取ることはしておりません。  また、診療の際に個人を特定するために、氏名や生年月日、住所が必要となりますが、自己申告を尊重し、特にパスポートや在留カードの提示を求めていないのが実態であります。  したがいまして、診療行為に関して当該外国人が不法滞在者であるかを確認することは通常行っていないというのが実態であります。 16: ◯知事大村秀章君) 仲議員からの御質問のうち、自動車諸税の抜本的見直しについて、私からお答えを申し上げます。  昨年、私は、円高対策、産業空洞化対策ということもありまして、関係県の知事との連携のもと、自動車税制の抜本的な見直しということに取り組ませていただきました。  その結果、自動車重量税の負担軽減、エコカー減税の拡充、また、エコカー補助金の復活が実現をし、本県はもとより、全国的に自動車産業を含む幅広い業種で生産が増加をし、雇用の改善といったことも見られたわけでございます。  しかしながら、円高基調が続き、そして、この九月にはエコカー補助金が終了し、また、中国における日本車の販売不振の問題が発生するなど、自動車産業をめぐる経済環境は大変厳しい状況になっております。  こうした中で、本年八月に成立をいたしました消費税法の改正法におきまして、消費税率の引き上げが五%から八%、八%から一〇%ということで決定をされた一方で、自動車取得税・重量税につきましては、それに先立つ六月の三党実務者間会合合意におきまして、この二税の抜本的な見直しを行って、消費税率八%への引き上げのときまでに結論を得るということにされたわけでございます。  仲議員も御指摘されましたように、かつて平成九年の四月に消費税率が三%から五%に引き上げられた際に、平成八年度から九年度にかけまして、国内の自動車販売台数は七百二十九万台から六百二十八万台へと百一万台減少をいたしました。  今後、平成二十六年から二十七年度にかけまして、実際に消費税が増税される一方で、自動車取得税・重量税が現行のまま維持されるということになりますと、生活必需品となっている自動車ユーザーの負担はさらに増加をいたしまして、その国内市場が冷え込むことによって、地域の経済、雇用が大きな打撃を受けることも懸念をされます。  今現在、自動車の国内販売はもう五百万台を切っておりまして、これがさらに前のときのように百万台も減少するということになりますと、この地域の産業、雇用に与える影響は極めて大きいというふうに考えております。  一方、この両税、二税の廃止が実現をいたしますと、自動車の国内販売は七十万台増加をし、関連産業を含めまして四・八兆円の生産が誘発され、二十一万人の雇用が創出されるという試算もございまして、また、家計の負担軽減を通じた消費へのプラスの効果も期待をされるわけでございます。  昨年に続きまして、この地域の経済界、労働界の皆さんから要請をいただいた私は、県議会におきましても、自動車取得税・重量税の廃止を求める意見書を全会一致で、九月議会、御議決をいただいたことを受けまして、またことしも関係県の知事に改めて呼びかけを行いまして、十月二十九日に、昨年は七県でございました、今回は一県ふえまして八県の知事の連名で、平成二十五年度税制改正において、自動車諸税の抜本的な見直しを求める緊急声明を発表させていただきました。  確かに自動車取得税・重量税は、財政事情の厳しい地方自治体にとって貴重な財源でありますけれども、目先の財源にこだわることによって地域の経済活力や雇用が失われるということになれば、まさに本末転倒だというふうに考えます。  私は、平成二十五年度税制改正は、この二税がつくられた昭和四十年代以来、四十年以上にわたって続いてきた自動車取得税・重量税を廃止する、まさに最大の機会だというふうに考えております。  国政の先行きは予断を許しませんが、私といたしましては、この衆議院選挙後に本格化する税制改正の検討に向けまして、さらに多くの知事に働きかけをし、賛同の輪を広げていきたいというふうに思っておりますし、そうした有志の知事や本県の政労使の皆さんと一体となって、政府、国、また、各党に働きかけをいたしまして、何としても、今回、この自動車税制の抜本的な見直しを実現していきたいというふうに考えております。  何とぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。 17: ◯七十二番(仲敬助君) それぞれ御答弁をいただきました。また、大村知事におかれては、自動車二税廃止に向けて大変な御努力をいただいている、また、その決意に対する御答弁もいただきました。そのことを十分承知した上で、一点だけ知事への要望を申し上げたいと思います。  最近の知事を見ておりますと、風格が出て、落ちつきも出てきたのかなと私自身は思っておるところでございますが、ただ、全国知事会で大村知事の発言要旨を文面で拝見しますと、例えば、こう発言されております。今回の委員会原案は了承できない、私は断固反対する、複数の県が反対しているが、多数決で押し切ったということでよいかと、こういう感じを、ただ文面を見ますと、何となく、どんと机の上をたたいて怒っておるんじゃないかと思って冷や冷やっとするわけでございます。  私も自分の選挙区で大村知事のことは長く見ておりますから、何となく熱血漢であるということは非常によくわかるのでございますが、どうぞお願いしたいのは、やはりそれぞれの県の知事さん、知事さんになられる方は、やはりマネジメント感覚もお持ちだろうと思いますし、経営という面での感覚もそれぞれの知事さんもお持ちであろうと思いますから、恐らく、近視眼的に今さえ財源があればいいというふうなことでもないと思いますので、どうぞ知事におかれては、時間はかかっても相手を説得していくというふうなひたむきな努力とあわせてこの自動車税二税の実現に御努力いただきますことを心からお願い申し上げまして、要望とします。よろしくお願いします。 18: ◯議長小林功君) 進行いたします。  佐藤一志議員。     〔四十一番佐藤一志君登壇〕(拍手) 19: ◯四十一番(佐藤一志君) 通告に従い、順次質問をいたします。  最初に、我が党の吉田真人議員の代表質問でも取り上げ、県当局の考えをお伺いしましたが、私からも本県のスポーツ振興について焦点を絞ってお伺いしたいと思います。  まずは、本県スポーツの一年を振り返ってみますと、一月二十八日から二月一日の五日間、名古屋市、長久手市、豊橋市において、本県初の国民体育大会冬季大会であるゆめリンク愛知国体の開催をスタートに、七月下旬からロンドンオリンピックが開催され、このオリンピックでは、日本選手団が過去最高の三十八個のメダルを獲得し、日本の底力と日本選手のきずなの強さを改めて実感いたしました。  本県にゆかりのある選手が二十名参加して、そのうち五名がメダルを獲得し、六名が入賞するなど、活躍をいたしました。  その興奮が冷めやらない先ごろ、隣の岐阜県においてぎふ清流国体が開催されました。オリンピックで活躍した選手も多く出場し、本県においても、陸上四百メートルの中野弘幸選手、リレーの市川華菜選手、ボートの榊原春奈選手らが出場し、活躍して大いに盛り上がりました。  これにより本県は、男女総合成績、女子総合成績ともに、地元である岐阜県、来年度国体を開催する東京都に続き、三位という好成績を残しました。スポーツ愛知の競技レベルの高さを全国に示すことができたのではないかと感じております。  そして、先日には、知多地区である大府市を活動の拠点としている女子レスリングの吉田沙保里選手が、ロンドンオリンピックでの三回連続金メダルを含めた世界大会十三連覇の偉業から国民栄誉賞を贈られ、私たちも誇りに感じております。  このすばらしい偉業でこの一年が締めくくられようとしていますが、これからはフィギュアスケートの浅田真央選手や鈴木明子選手の活躍から目が離せないと思っております。  これらのことは、県民のスポーツへの関心やその重要性に対する認識も高まったのではないかと思っております。スポーツは、人格の形成、体力の向上、健康長寿の礎であるとともに、地域の活性化など、明るく豊かで活力に満ちた社会を形成する上で欠かせないものであると私は思っております。  そこで、県内の陸上競技場について調べてみました。現在、愛知県内での公認陸上競技場は、一種で瑞穂公園陸上競技場の一カ所、第二種として、知多運動公園陸上競技場、安城市陸上競技場、豊田市運動公園陸上競技場の三カ所を初め、第三種が七カ所、第四種が四カ所の、第四種以上では十五施設があります。そのうち、県管理が一宮総合運動場と岡崎総合運動場の二施設であり、その他の施設はそれぞれの市や大学が管理しています。  施設整備については、第一種、第二種は、走路一周四百メートルで八レーンから九レーンあること、三千メートル障害の施設があること、収容人員では、一種は一万五千人、二種は五千人以上であるのに対し、第三種または第四種の施設は、走路一周が四百メートルなくてよい場合もあり、六レーン以上でよく、障害の施設もなくていい、収容人員も相当数とそれぞれ大きな違いがあります。  開催される競技大会も、第一種は、日本選手権、国体、国際大会を開催することができます。第二種においては、陸連の加盟団体の選手権大会、地方における国際的大会を開催することができますが、三種以下ではそのような大会を開催できないとのことであります。  そんな理由から、第一種や第二種競技場は維持するため相当額の費用がかかるようになり、五年に一回の更新時には特に大規模な改修等でどの施設も多額な費用が必要となっております。  そこで、私の地元であります知多市の運動施設の状況について少し説明させていただきます。  知多市にあります知多運動公園陸上競技場は、昭和四十八年に第二種の公認陸上競技場として建設され、これまで多くの大会を開催し、子供から大人まで、また、各市町村の多くの人々に利用されてきました。  現在では、平成十三年に半田市の半田運動公園陸上競技場が第二種公認陸上競技場として建設されましたが、それまでの三十年近く、知多地区を中心に尾張地区に至るまでのスポーツの振興に対し、大きな役割を担ってきたと思っております。  しかしながら、第二種公認であります知多運動公園陸上競技場も、知多市の財政が厳しい状況にあるため、公認を更新するための工事費が重荷になっていると聞いております。  なお、先ほどお話ししました半田市の半田運動公園陸上競技場は、平成二十三年から、第二種を維持するために数億円の改修費用が必要なため、第三種公認陸上競技場に変更されました。  知多運動公園陸上競技場は、昨年二十三年度、利用者は四万一千九百六十九人であり、近々の五年間でも年四万人前後の人々の利用があります。中でも、高校駅伝愛知県大会は陸上競技場を発着点として開催しており、他にも東海学生陸上春季大会、県陸上ジャンプ大会、愛知県中学選抜混成陸上大会など、知多市だけではなく県内外の多くの皆さんに使用されております。  しかし、その反面、更新前年度である二十三年度には八千万円近い工事費が必要になりました。その他管理費、備品購入費、修繕費も必要となり、現在、財政厳しい知多市では大変負担となっております。  さらに、昭和四十八年に、知多運動公園内の野外水泳プールである知多海浜プールは、五十メートルの公認プールでありますが、来年度は公認を行わないと聞いております。このプールも、同時期に開所された常滑市の常滑プールとともに、子供たちを初めとする数多くの人々に利用され、知多地区の水泳競技の振興に対し大きな役割を担ってきたと思っております。しかし、五十メートル九コースの公認のプールであった常滑プールも三年前に廃止されたと聞いております。  愛知県においては、岡崎市の北部にある愛知県岡崎総合運動場については、昭和四十三年に開場され、四十年以上が経過しているようです。施設の老朽化が進んでいるため、将来の負担や利用状況を検証し、施設の見直しに取り組むとしている第五次行革大綱を深掘りする重点改革プログラムの項目になっております。  先日開催された外部有識者による公開ヒアリングにおいて、県教育委員会から見直しの方向性の説明がありましたが、近隣市において陸上競技場を含む立派な総合運動公園が整備されている状況の中、県が果たしてきた役割が薄まってきたとのことでした。  県は地元への移管を検討しているようですが、全面的に移管ができない場合は、県有施設としての役割等がある施設を一部存続する等の見通しを図るようです。  このように、県も第四種である岡崎総合運動場についても見直しを進めているようですが、知多運動公園を初め、それぞれの施設はランクを維持するため、大変な努力をしています。県は、特に陸上競技場についてどのように考えているんでしょうか。  愛知陸上競技協会が競技会を行う場合は、基本的には第二種以上の競技場で開催すると聞いております。現在、第二種公認の陸上競技場は、県内に知多市、安城市、豊田市の三競技場であります。もし知多市が第二種の公認を更新しないことになると、名古屋市を除き、知多地区を含む尾張地区に第二種の競技場がなくなることになります。  昨今の厳しい財政状況を考えますと、県を初め、各市町村も施設の維持管理に苦労しているようです。  そこで、教育長にお伺いいたします。  県は、市町村が管理する陸上競技場のこれらの現状や問題点についてどのように受けとめ、どのように考えているのかお尋ねをいたします。  次に、運動部活動についてであります。  先日、私のところに電話がありました。内容は、私には六年生の子供がいるが、サッカーが大好きで地域のクラブチームに所属しています。中学校ではサッカー部に入りたいが、子供が行く中学校にはサッカー部がないとのことでございました。  調べてみますと、知多市内には五つの中学校があり、その中の一校だけサッカー部がありません。その理由を確認すると、その中学校でサッカーをする生徒の多くが地元のクラブチームに所属していることが原因だそうです。  競技団体の規定から、公式試合を公正に行うために一つのチームにしか登録できず、そのチームでしか試合ができない、参加できないということは理解できますが、生徒の希望する競技が部活動にないということは大変残念なことであります。  私は、私自身の体験からも、運動部活動は授業とは別に、集団生活における規律や社会性を育てるために大切な活動であると考えております。運動部活動の果たしている役割の大きさは誰もが認めているところであり、今後も支援し、推進していく必要があると考えます。  以前、運動部活動の顧問不足解消や生徒の技術向上を目的に、東京の杉並区の中学校において、休日の指導を企業に委託する事例が報道されていました。この取り組みは、運動部の保護者が休日の指導をスポーツコーチの派遣業者と契約を結び、生徒一人当たり一回五百円を支払うというものです。  学校は、運動部の顧問の不足や負担に頭を痛めているところでありましたが、本県も同様の課題があるのではないでしょうか。学校の部活動とは別に、クラブチームでスポーツを行うことや企業へ委託するなどの取り組みは必要なことであると思いますが、学校の運動部活動を通じて生徒を鍛えて、育てることも重要であると考えます。  そこで、教育長にお伺いします。  県は、運動部活動の指導者について、どのような課題があり、また、その課題にどのように対応しているのかお伺いをいたします。  次に、特別支援学校整備のうち、知的障害者養護学校の過大化への対応についてお伺いします。  本県の県立知的障害養護学校では、児童生徒数の増加によって多くの学校で在籍者数が四百人以上となる大規模な状態、いわゆる過大化が顕著になってまいりました。  この問題については、これまでにも何度となく本議会で取り上げており、昨年九月議会の一般質問においても、私から、地元の知多半島にあります半田養護学校の過大化について、対応をどのように進めていくかお伺いしました。  その際、教育長から、知的障害養護学校の過大化解消に順次取り組んでいくとの答弁をいただきましたが、現在の取り組みはどのようになっているのでしょうか。  半田養護学校の児童生徒は年々増加し、昨年度は四百三十一人、本年度は四百五十一人と全国でも有数の大規模校となっています。来年度もさらにふえる見込みであるようですが、これに加えて、半田養護学校の校区内に定員四十名の知的障害児入所施設が平成二十五年に開所する予定とのことです。児童生徒数の一層の増加が見込まれます。  こうした過大化の進行によって、学校現場では教室の確保に大変苦慮をしています。断腸の思いで特別教室を転用して普通教室を確保したり、間仕切りを入れて教室数をふやすなどしてこれまで何とかしのいできましたが、学校からは、これ以上教室を確保する場所がないという切実な声が届いています。  このように教育環境の悪化は深刻であります。過大化への対応はまさに喫緊の課題でありますが、半田養護学校に関する具体的な対応はいまだ示されておりません。  また、他の特別支援学校にも共通する問題ではありますが、半田養護学校には、多くの児童生徒がスクールバスを利用しているものの、知多半島全体が通学区域になっておりますので、子供の住む場所によっては通学に長い時間が必要となっています。  そのような中でも、子供たちは頑張って学校生活を送り、先生方も毎日の授業だけでなく、卒業後の職場開拓のために事業所を一軒一軒訪問するなど、一生懸命取り組んでおられる姿を拝見しますと、現在の状況が速やかに改善されることを願うところであります。  こうしたことを踏まえ、さきの六月議会における代表質問において、我が党の杉浦議員が今後の本県の特別支援教育の進め方について質問を行い、教育長から、本県の特別支援教育の推進方策について、今後早急に検討していくとの答弁がされました。  特別支援教育の推進に当たっては多くの課題がありますが、とりわけ、半田養護学校を初めとする知的障害養護学校の過大化解消は待ったなしの課題であり、今後の検討がおくれることがあってはなりません。  保護者や地域の皆さんからも、狭いところで多くの子供が学んでいる姿を見るにつけ、何とかならないものかと早急な対応を強く望む声をいただいており、私も心を痛めています。
     教室を間仕切るといった小手先の対応ではなく、新たに学校をつくるなど、抜本的な対策の実現をお願いしたいところであります。  そこでお尋ねします。  県は、現状として、知的障害養護学校の過大化への対応をどのように進めているのか、また、今後の検討の中で、半田養護学校については対応をどのように考えていくつもりなのか、教育長にお伺いし、以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20: ◯教育長野村道朗君) 愛知県のスポーツ振興についてお尋ねをいただきましたが、そのうち、まず、市町村が設置する陸上競技場の現状認識等についてお答えをいたします。  県内には、設置年度はそれぞれ異なりますが、議員御指摘のとおり、国際大会等が開催できる第一種公認の名古屋市瑞穂公園陸上競技場を初めといたしまして、公認を取得している陸上競技場が十五施設ございます。  公認を取得している陸上競技場は、五年ごとに公認を更新するための工事が必要でございまして、多額の経費がかかりますことから、公認のランクを下げて更新した陸上競技場も見受けられるように、どの自治体も公認の維持には苦労しておられるのが現状でございます。  しかし、県の施設とあわせまして、このような広域的な役割を果たす市町村管理の陸上競技場が県内の主要地域に配置されておりますことが本県全体の陸上競技振興のためには必要不可欠であると、このように認識をいたしております。  その意味で、長年にわたり、尾張、知多地区の陸上競技の普及、振興に大きく寄与してきた知多運動公園陸上競技場が知多市の御尽力によりまして第二種公認として維持されたことは大変意義深いものと、このように考えております。  いずれにいたしましても、今後とも、県、市町村がそれぞれに果たしている役割を十分に認識し、連携、協力しながら施設の機能維持に努めてまいりたいと、このように考えております。  次に、運動部活動の指導者についても御質問をいただきました。  運動部活動は、体力の向上のみならず人間関係の大切さを学ぶことができる活動でございまして、学習指導要領にも学校教育の一環と位置づけられているところでございます。  教育委員会といたしましても、その意義や位置づけを踏まえまして、学校長の責任のもとで適切な指導者を得て学校全体で推進をしていくことが重要であると、このように考えております。  しかしながら、御指摘のとおり、学校によっては指導者が見つからず、十分な活動ができないといった種目があったり、専門種目ではない部活動の顧問となって、指導に不安を感じる教員もいるといった、こういうような課題がございます。  このため、対応策の一つといたしまして、外部指導者の効果的な活用に努めているところでございます。教育委員会の予算措置や国の制度を利用するなどいたしまして、名古屋市を除く県内の中学校では八割以上、県立高等学校では九割以上の学校で外部指導者を活用している状況となっております。  また、運動部を指導している教員の中で経験の浅い者に対しましては、運動部活動指導者研修会というのを毎年度実施いたしまして、指導力の向上を図っているところでございます。  今後も、運動部活動の意義を踏まえまして、外部指導者の活用を充実させますとともに、教員につきましても、部活動指導力の向上を図りながら、学校における部活動を充実させてまいりたいと、このように考えております。  次に、特別支援学校の整備についてお答えをいたしたいと存じます。  知的障害養護学校につきましては、議員お示しの半田養護学校を初め、その他の地区におきましても過大化解消が喫緊の課題となっているところでございます。  現在の取り組みでございますが、尾張地区におきましては、一宮東養護学校及び佐織養護学校の過大化を解消するため、稲沢市内に、平成二十六年度開校を目指して、県立の特別支援学校の建設工事を進めているところでございます。  また、東三河地区におきましては、豊川養護学校の過大化を解消するために、豊橋市の御決断をいただきまして、平成二十七年度に豊橋市立の特別支援学校が開校予定となっております。  半田養護学校につきましては、平成二十一年度にまとめた知的障害養護学校の今後の方策IIにおきまして、知多地区の県有施設を活用した養護学校の設置について検討するということになっておりますが、今後、関係市町の意見も伺いながら、早急に検討の結果を取りまとめてまいりたいと、このように考えております。  いずれにいたしましても、知的障害養護学校の過大化や長時間通学への対応を初め、本県の特別支援教育にかかわる課題を総合的に整理していく中で、県全体の特別支援教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 21: ◯四十一番(佐藤一志君) 教育長、ありがとうございました。  陸上競技場については、先ほど話をしたとおりで、ランクを維持するのに相当数、特に更新前年度は非常に多額なお金がかかるということで、各市町、本当に苦労しているところであります。  これは、ランクを下げてくると競技場で大きな大会ができなくなる、そんな思いでいっぱいであります。私自身、これから知多市の子供たちが、また、愛知県の子供たちが大きな競技場で競技ができる、そんな夢を持って子供たちが練習に励んでいるところを見ますと、ぜひ愛知県が愛知陸上競技協会と協力をして、統括的に管理していただくのがいいんじゃないかなと、そんなふうに思います。ぜひ御検討いただくよう御要望申し上げます。  また、部活については私も調べました。サッカー部、愛知県だけでもたくさんないところがあります。しかし、この中学校については十年前まであったんですよね。それが、こういうクラブと部活と共有できないということで、そこの部員数が足らなくなってサッカー部をやめ、柔道をするようになりました。  そういう意味で言えば、義務教育の中で、クラブチーム、また、中学校の中のクラブ競技が、部活ができないというのは何か不自然なような気がしてどうしてもしようがないんですね。  ぜひこの辺のところも、これはクラブチームとの競技の、団体のもととの話になるとは思いますけれども、御検討をいただければありがたいなと、そんなふうに思っております。  最後に、半田養護学校でございますけれども、先ほど言いましたように、半田校区、知多半島の東浦のほうで入居のできる施設がこの二十五年度に開所します。一遍で四十人も入れるところでありますので、その生徒たちが半田養護学校にもし来るということになれば、本当に大変なことになります。  先日、学校祭でお邪魔をさせていただきました。子供たちの本当の笑顔と熱演に涙したところであります。その帰りに校長先生からお話を聞きました。今、作業所を半分にして教室に変えましたと。そんなたくさん生徒たちが来ています。その生徒たち、それじゃ、作業所はどうしたんですかと聞いたら、外のプレハブをつくりましたと、そのプレハブの中でやりますというお話でございました。  本当に生徒の過大化により狭隘化が進んでいる現状を見ると、教育環境の悪さが本当に目につくわけであります。真剣に半田養護学校の新設というんですか、新しい学校をつくっていただいて、お聞きすると、知多北部で二百三十名ぐらいの、今、生徒さんが通っているそうでございます。知多北部を中心に新しい養護学校を強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 22: ◯三十八番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 23: ◯議長小林功君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 24: ◯議長小林功君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 25: ◯副議長(澤田丸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  いなもと和仁議員。     〔四十六番いなもと和仁君登壇〕(拍手) 26: ◯四十六番(いなもと和仁君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をいたします。  まず初めに、防災対策について、二つの項目で質問をいたします。  第一問は、津波火災対策についてであります。  早いもので、昨年の東日本大震災から二回目の冬を迎えようとしております。まだまだ多くの行方不明の方がおみえの中で、被災された方も、そして、被災地においても大変厳しい生活を送ってみえるとお聞きしております。寒さに負けず頑張っていただきたいと心から願っております。  この東日本大震災の後、各地で津波避難ビルの指定がふえております。本年八月一日時点、県内十三市町で、名古屋市内六百三十六棟を含む八百十九棟が津波避難ビルに指定されております。  津波からはより早く、より高い場所へ逃げることが重要でありますが、特に沿岸地域や高台のない平野部では、津波避難ビルはまさしく命を守るとりでであり、今後より多くの津波避難ビルの指定の確保が求められております。  そんな中、東日本大震災の被害検証の中で、津波がまちを襲った後、大規模な火災の発生が報告されております。私も、テレビで海が炎上し、家屋が激しく燃えている映像を中継で見ておりました。あるテレビ局の調べによりますと、津波によって引き起こされた火災が百三十一件あったと言われております。  津波火災発生のメカニズムでありますが、火種といたしまして、製油所や海のタンクから流出した重油以外に、家庭用プロパンや車の電気系統などが考えられております。  まず、重油の場合でありますが、海水の上に漂う重油はそれだけではなかなか引火せず、また、たっぷり水を含んだ木材も簡単には引火いたしません。しかし、重油が木材にまとわりつくと簡単に引火し、あっという間に燃え広がる。それは木材がろうそくの芯のような役割を果たすことから生ずる現象だと考えられております。  また、津波により家庭から流出したプロパンボンベが破損してガスが噴き出る。その状態でボンベが金属製の障害物と衝突し、その衝撃で発生した火がガスに点火。また、車も同様に衝撃で電気系統がショートして火花が散り、これが引火して火災を引き起こします。東日本大震災で発生した津波火災のうち、三二・三%が車両火災が原因であったとの調査結果もあります。  東日本大震災の際、石巻市門脇小学校では、津波によって校庭に流入した瓦れきや自動車等が炎上し、校舎の三階は開口部から流入したと思われる火災でかなり激しく焼けただれておりました。  これ以外にも、津波から逃げようとして避難していた建物で津波火災が発生し、多くの人たちが再避難を余儀なくされた事例も報告されております。  南海トラフ巨大地震が心配されている当地域でも、県内には工業地帯や漁港も多く、貯蔵タンクや漁船が流され、それらが津波避難ビルにぶつかり、火災を引き起こすことも考えられます。  また、津波避難ビルに指定された学校の校庭には、避難してきた人の多くの車が、そして、公営住宅や民間マンションには日常的に多くの車が駐車してあります。それらの車や家庭用プロパンも津波火災の原因となり得ることなど、東日本大震災の教訓を生かすことが重要であります。  冒頭に申し上げましたとおり、津波避難ビルはまだまだ不足して十分とは言えません。また、津波避難ビルは本来避難施設として想定されてない施設を活用するケースが多く、その安全性の確保も課題であります。  今後、市町が津波避難ビルを指定する動きがさらに加速する中、安全な津波避難ビルを指定するために、現在県が行っている南海トラフ巨大地震の被害予想調査において、安全だと信じて避難した建物などにも津波火災が燃え移り被害を拡大するという点を考えれば、当然、津波火災についても想定の対象とすべきだと考えております。そして、この結果を地域防災計画などに反映していくべきだと考えますが、県のお考えをお尋ねいたします。  次に、堤防の緊急点検を踏まえた結果と今後の取り組みについてお尋ねいたします。  今年七月に九州北部を襲った梅雨前線による豪雨により、福岡県柳川市内を流れる矢部川では、堤防の高さに迫るような高い水位が長時間継続し、パイピングにより堤防が弱くなって決壊しました。すさまじいばかりの氾濫と、川岸に建てられた結婚式場が流されていく様子は、四カ月たった今も鮮明に焼きついております。  私は、この光景を見て、東海三県下で死者九人を出した十二年前の東海豪雨を思い出しました。二〇〇〇年九月十一日から十二日にかけての降水量が名古屋市内では年間降雨量の約三分の一に当たる五百六十七ミリに達し、新川では、堤防に水が浸透したことが原因で名古屋市西区内において百メートルに渡り決壊したのを初め、県管理河川において八河川十カ所で堤防が決壊しました。特に、新川流域、庄内川流域、天白川流域、境川流域で甚大な被害を受けました。  当時、名古屋市会議員であった私も、先輩、同僚の議員とともに西区枇杷島などに復旧の手伝いと被害調査に行きましたが、水が引いた後のおびただしい泥と強烈なにおいがいまだに忘れられません。  ことしの流行語の一つにもなりました、これまでに経験したことのないような大雨、特に地球温暖化の影響もあり、雨が局地的に、そして、長時間にわたり大量に降る最近の傾向の中で、これまで以上に洪水による河川の決壊も心配されております。  洪水による河川の決壊のメカニズムといたしまして、地盤内に水がしみ込み、パイプ状の水の道ができ、放置しておくと水の道が広がり、堤防が滑り決壊するパイピング破壊、堤防内に水がしみ込み、堤防が弱くなって決壊する浸透破壊、河川の流れで堤防が削り取られ決壊する侵食破壊、河川の水が堤防からあふれ決壊する越水破壊が挙げられ、多くはその複合によって起こると考えられております。  今回の矢部川の決壊の後、各地でもいろいろな被害形態が確認されていることから、これらを踏まえ、全国の堤防等の緊急点検が実施されました。  中部地方整備局が管理する十三水系の河川における緊急点検の結果においても、木曽川、庄内川、矢作川、豊川の四河川において、特に、矢部川や新川において決壊の原因となったパイピングにより堤防が決壊するおそれのある箇所、浸透によって堤防が弱くなって決壊するおそれのある箇所が新たに見つかりました。  そこで、まず、それらの点検結果についてお尋ねいたします。  また、この結果に対しまして、国は優先順位をつけながらハード対策を実施するとのことであり、できるだけ早く対応していただくのは当然でありますが、幾ら堤防が強化されても、想定を上回る大雨が降る場合も当然出てまいります。  そこで、河川改修等のハード面だけでなく、ソフト面での対策も必要であると考えますが、県としてソフト対策についてどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  次に、ネットストーカーに対する取り組みについてお尋ねをいたします。  神奈川県逗子市でフリーデザイナーがストーカーにより刺殺された事件はまだ記憶に新しいところであり、亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、このような痛ましい事件が二度と起こらないことを心から願うばかりであります。  ストーカー規制法の施行から十二年が経過いたしました。ストーカー規制法では、電話やファクスを繰り返すことを規制の対象にしておりますが、メールについては明確な規制がないことが法の不備であるとマスコミでも報道されているところであります。  今回の事件では、加害者から実に千回を超えるメールが送りつけられていたとのことで、国会でも法改正の動きが始まりましたが、残念なことに衆議院解散でただいまとまっております。一刻も早い法整備を望んでおります。  愛知県では、十月末現在、八百六十六件のストーカー相談があったとお聞きをしておりますが、被害者の保護や行為者に対する警告や検挙などを積極的に行っているとのことで、県民も大変心強く思っております。  しかし、最近、ネットストーカーまたはサイバーストーカーともいうべき新たな手口のストーカーが社会的問題となりつつあります。  ネットストーカーとは、電子メールやBBS、電子掲示板などを主に、インターネットを利用して一方的に好意等を抱いた相手にしつこくつきまとう人物を示します。  ネットストーカーのストーキング手口といたしまして、相手のユーザーがどこで何をしているかを逐一追跡し、匿名で利用しているサービスを本人と突きとめたり、メールアドレスや電話番号、顔写真といった個人情報を不当に入手したり、あるいはネット上で攻撃を行うことが挙げられております。  また、ネットストーカーがストーキングを始めるきっかけといたしまして、電子掲示板、ブログ、SNSでのもめごとによって激しい憎悪を抱いたりすることや、オンライン上で公開されている他者のプロフィールを見て、その人物に恋愛感情を抱いたりすることが挙げられております。  その被害の種類といたしまして、これはネットいじめと重複しているものもありますが、メールの大量送信、被害者に成り済まし個人情報を暴露する、ホームページやブログで誹謗中傷、わいせつな言葉などを書き込むなどが実際に行われております。  リアルな社会で出会っているわけでもなく、電車の中や会社で見かけたわけでもないのに出会えてしまうのがネット社会であり、昨今のスマートフォンの普及により、今後、出会い系サイトや高額請求、脅迫取り立て等、より悪質な手口の犯罪がふえることが予想されております。  そこで、警察本部長にお伺いをいたします。  まず、警察が一般的なストーカー事案を認知した場合、どのような対応をされておられますのか、また、ネットストーカーを取り締まる上での課題と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。  最後に、愛知県公立大学法人中期目標の策定についてお尋ねいたします。  今日、大学をめぐる環境は大きく変化しております。十八歳人口の減少と、大学、学部の新設を背景とした大学全入時代を迎え、まさに生き残りをかけた大学間競争が一段と激しさを増しております。  また、グローバル化や情報化などの社会環境の大きな変化や、長引く景気低迷に伴う先行きの不透明さから、高等教育機関である大学に対する県民や国民の皆様の関心や期待感がこれまでにないほど高まっております。  特に、地域の発展を支える産業界からは、次代を担う人材像として、高い専門知識や技術を身につけることもさることながら、広い視野や教養を備え、いろいろな局面に柔軟に対応していくことのできる人材を求める意見が多くを占めるようになっております。  一方、文部科学省の諮問機関であります中央教育審議会におきましては、去る八月二十八日に、「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」という答申を公表し、全国の国公私立大学に対し、さらなる大学改革を求めたところであります。  こうした大学をめぐる環境変化の中、愛知県公立大学法人におきましては、平成十九年度の法人設立以降、今年度までの六年間、第一期中期目標に掲げられた質の高い教育・研究の推進、地域連携の強化、自主・自律的な大学運営の実現という三つの基本的な目標の達成に向けて、最重要課題でありました県立大学と看護大学との統合、学部・学科の再編を初め、教育研究センターや地域連携センターの設置など、質の高い教育研究を推進するための基本的な体制を整備するとともに、各学部における専門教育に加え、幅広い見識を養う教養教育や学部間連携による教育研究活動の推進など、特色ある活動に取り組んでこられました。  こうした取り組みにつきましては、毎年、知事から県議会に報告していただく愛知県公立大学法人評価委員会の業務評価の結果では、課題とされた事項について成果を上げた上で、計画を着実に実施していることを積極的に評価するとの評価を受けておられ、大学改革が着実に推進されているものと理解をしております。  そうした中、平成二十五年度からの第二期中期目標の議案が今議会に提出されたわけでありますが、その中身を拝見させていただきました。  それによりますと、まず、目標の位置づけといたしまして、第一期中期目標が大学統合や学部・学科再編により基本的な教育研究体制を整備する期間であったことに対しまして、第二期では、研究教育の質を向上、深化させる取り組みを丁寧に積み上げ、大学の真価を高める期間としております。  また、グローバル化や少子・高齢化、情報化など、将来の予測が困難な時代の中にあって、自立した個人として時代に向き合い、地域、世界に貢献できる人材を育成する教育の充実に重点的に取り組むこととしております。こうした取り組みを通じて、競争力のある魅力あふれる大学づくりを目指すこととしております。  そこでお尋ねをいたします。  県としては、競争力のある魅力あふれる大学を目指して取り組みを強化していく上で、特に県立大学において、具体的にどのように取り組みを進めることが必要と考えておられるのかお伺いをいたします。  これで私の壇上からの質問を終わります。(拍手) 27: ◯防災局長(小林壯行君) 被害予測調査における津波火災への対応についてでございます。  東日本大震災では、議員御指摘のとおり、避難していた建物が津波火災に巻き込まれるといった案件がございました。
     こうしたことから、現在県で進めております南海トラフの巨大地震等に係る新たな被害予測調査では、津波火災についてもその想定を行う予定であります。  津波火災に関しましては過去の事案も少ないこともあり、東日本大震災を踏まえて研究者が調査研究を行っている段階であります。したがいまして、現時点では、例えば、市町村ごとの津波火災発生件数などを推計することは難しい状況ではございますが、津波火災の出火要因や被害状況について可能な限り分析してまいりたいと考えております。  そして、その結果を踏まえ、今後見直すことになります愛知県地域防災計画などにおきまして、津波避難施設や一時避難場所の指定の際などに留意すべき事項として、津波火災についても盛り込んでまいりたいと存じます。  以上でございます。 28: ◯建設部長(近藤隆之君) 堤防の緊急点検につきまして、二つの御質問をいただきました。  まず、国が管理する河川の点検結果についてお答えをいたします。  国土交通省は、本年七月の九州北部豪雨災害を踏まえ、過去に漏水のあった箇所などを中心に、既存の資料により堤防の緊急点検を実施し、九月四日にその結果を公表いたしました。  愛知県内では、約二百キロメートルの堤防を対象に点検が実施されており、議員お尋ねのパイピングにより堤防が決壊するおそれのある箇所は五・三キロメートル、浸透により堤防が弱くなって決壊するおそれのある箇所は四・七キロメートルとなっております。  国は、これらの結果を受け、河川の背後地の人口や資産などを踏まえ対策を実施することとしており、県内では今年度、安城市や岡崎市内の矢作川において、パイピングや浸透に対する対策に着手する予定としております。  一方、県が管理する河川につきましては、国が管理する河川と比べ、洪水時に高い水位が長時間続く河川が少ないことから、今回のような緊急点検は行っておりませんが、毎年、出水期前に職員が徒歩による堤防の点検を実施しており、危険箇所の早期発見と早期対策に努めているところでございます。  次に、ソフト対策についてでございます。  近年、全国各地で頻発する突発的で局地的な豪雨、いわゆるゲリラ豪雨や巨大化する台風の上陸など、自然の猛威に対して、ハード整備だけで人命や資産を守ることには限界があり、情報提供や避難誘導などのソフト対策の充実が一層求められております。  県はこれまで、市町村などへの情報提供のほかに、雨量や河川の水位、河川監視カメラの画像などの情報を県民の皆様に直接インターネットにより提供してまいりましたが、新たに本年九月から事前登録された方の携帯電話へ雨量水位情報などのメールサービスを開始いたしました。  現在、約四千七百名の方が登録され、九月の台風十七号の際には情報がとても役に立ったという声もいただいておりまして、これからも提供する情報の充実に努めてまいりたいと考えております。  また、東海豪雨災害を契機に、住民の皆様の水害に対する意識の底上げを図り、適切な避難行動を促すための取り組みに着手し、平成二十三年度にはみずから守るプログラムとして取りまとめ、地域の方がまちを歩き、避難する際のハザードマップを作成する活動や、そのマップを使いみずから避難する訓練への支援を実施しているところでございます。  さらに、小学生に対して水害に関する専門家による授業を実施するなど、幅広い世代への普及啓発にも努めているところであり、今後とも、こうした取り組みを一層充実させ、地域の防災力の向上に努めてまいります。  私からは以上でございます。 29: ◯警察本部長沖田芳樹君) 初めに、一般的なストーカー事案を認知した場合の対応についてお答えいたします。  ストーカー事案に関する相談件数は、本年十月末では八百六十六件で、前年対比二百五十七件増加しておりますが、被害者の安全を最優先に考え、行為者に対し必要な措置をとっております。  具体的には、ストーカー規制法違反や脅迫罪等により七十三件を事件として検挙するとともに、交際の強要などの義務のない行為や、粗野、乱暴な言動等に対してストーカー規制法に基づく書面警告を二百七十五件行い、そのうちのほとんどである二百七十一件については、その後の行為がおさまっております。  次に、インターネットを利用したストーカー事案は、相談全体の約三割に当たる二百七十八件ございまして、このうち脅迫罪などで十三件を事件として検挙しております。また、書面警告を百四件行い、そのうちの一件を除く百三件については、その後の行為がおさまっております。  インターネットを利用したストーカー事案は、スマートフォン等の普及によりまして、約八割の県民の方々がインターネットを利用している現状から、今後、その増加が懸念されるところでございます。  この種事案の取り締まり上の課題につきましては、インターネットを利用していた方が何の落ち度もないのに突然被害者になることもあり、さらに、行為者の特定には相当の困難を伴うため、迅速かつ慎重に捜査を行わなければならないと考えております。  今後の取り組みといたしましては、県民の方々を対象としたサイバー犯罪防止講話や広報啓発活動の中で、メールアドレスや電話番号、顔写真といった個人にかかわる情報を慎重に取り扱う、被害に遭ったときには早期に警察に相談するなどの注意喚起を行っていくとともに、サイバー犯罪に対する捜査能力の向上を図り、被害を防止することを最優先に、組織を挙げて迅速かつ的確な対応を行ってまいります。 30: ◯県民生活部長(大野明彦君) 愛知県公立大学法人の中期目標の策定に関連して、第二期における県立大学の取り組みについてお答えいたします。  具体的な取り組みとして特に力を入れてまいりますのが、地域で必要とされるグローバル人材の育成であります。  県立大学は、平成二十一年度に外国語学部に国際関係学科を新設し、また、本年度、国のグローバル人材育成推進事業に東海地域の二大学のうちの一校として採択されるなど、これまでもグローバル人材の育成に力を入れてまいりましたが、第二期目標期間においては、特に学生の英語力の強化や海外留学の支援などに一層努めることが必要と考えております。  また、時代や社会の要請に的確に対応し、がん看護など特定の専門看護分野のスペシャリストである専門看護師、認定看護師など、高度な専門知識と実践力を有し、指導的役割を果たすことができるすぐれた看護師の養成や、車を安全で快適に走らせるためのITSやロボット技術を身につけた次世代産業の担い手の育成に努めてまいります。  第二には、公立大学の重要な使命でもある多様な地域連携の強化であります。  本県や他の自治体の審議会等への積極的な参画や政策提言、大学、企業との共同研究の強化など、地域社会との多様な連携を充実させ、地域の課題解決や活力創出に貢献するとともに、県民の皆様に大学の取り組みやその成果をわかりやすく情報発信し、存在感と信頼感を高めていくことが重要であります。  競争力のある魅力あふれる大学を実現するためには、こうした取り組みを積極的に進めるとともに、県立大学の教職員が一丸となって、教育、研究の質のさらなる向上や、業務の継続的な改善を推進していくことが必要であると考えております。 31: ◯知事大村秀章君) いなもと議員の質問のうち、愛知県公立大学法人の中期目標の策定につきまして、私からもお答えを申し上げます。  本県は、日本を牽引する製造業の一大集積地として重要な位置を占め、輸送用機器を中心に、大企業、中小企業問わず、海外との経済活動が盛んであり、また、全国的に見ても外国籍の県民の方が多い状況にございます。  こうしたことから、語学力やコミュニケーション能力、異文化を理解する力などを身につけ、グローバル社会で活躍できる人材の育成が大変重要であるというふうに考えております。  急速に変化する国際情勢に対応いたしまして、世界と闘える愛知の実現を目指していく中で、県立大学におきましては、当地域の発展の牽引役として、外国語学部を中心に全学を挙げて、グローバル人材の育成にしっかりと取り組んでいただくことを大いに期待しているところでございます。  以上でございます。 32: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  犬飼明佳議員。     〔十五番犬飼明佳君登壇〕(拍手) 33: ◯十五番(犬飼明佳君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をいたします。  初めに、災害時における医療体制についてお伺いいたします。  内閣府が平成二十四年八月に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定によりますと、愛知県では、最も被害が大きくなるケースでは、約二万三千人の死者が出ることが想定されております。その何倍もの数に上る負傷者が発生し、多くの医療機関も被災することを考えると、本県の災害医療の充実強化は喫緊の課題です。  東日本大震災では、地震が発生した直後から多くの医療関係者が被災者の医療に尽力をいたしました。四十七都道府県から約三百八十チーム、千八百人のDMATと呼ばれる災害派遣医療チームが被災地へ参集しました。  災害急性期に被災地内外において、関係機関やほかの医療チームなどと連携しながら、病院内での支援活動やドクターヘリによる患者搬送、広域医療搬送などの活動に従事をしました。愛知県からも二十チーム、九十五名の隊員が派遣されました。  また、DMAT以外にも、日本医師会を初め、日本赤十字社、大学病院、日本病院会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会などの医療関係団体が多数の医療チームを派遣し、被災者の医療や健康管理などに大きな役割を果たしました。  これらの医療チームは、災害発災直後の急性期における初期対応はもとより、避難所や救護所において慢性疾患を持つ被災者の中長期な医療支援に対しても大きな役割を果たしました。  しかし、一方で、国の災害医療等のあり方に関する検討会報告書によりますと、幾つかの課題も浮かび上がりました。例えば、各種医療関係団体から派遣される医療チーム、これらのチームの調整を行うために都道府県レベルでの組織が必要ですが、その立ち上げに多くの時間を要しました。  また、病院や避難所への医療チームの派遣を調整する際に、受け入れる地域の体制が不十分であったことや、DMATからの引き継ぎが十分でない事例、そして、関係者間での情報の共有に支障を来したことなどが指摘されています。  こうした中、宮城県の石巻医療圏では、昨年二月に災害コーディネーターとして石巻赤十字病院の石井正医師が任命されました。震災を想定して、事前に関係者と災害時の医療提供体制について準備を行っていましたが、まさにその一カ月後、現実に災害が起こりました。地域の医療機関が機能不全に陥る中で、コーディネーターとして医療関係者を取りまとめ、参集した医療チームの配置調整などを円滑に運用しました。特に、全国から駆けつけた一万五千人の医療者を指揮し、市内全三百カ所の避難所へ医師らの派遣を行うなど、災害医療のモデルケースとして高く評価されています。  愛知県では、十一月二十六日に愛知県災害医療コーディネーターの任命について発表がありました。災害医療コーディネーターが災害医療の円滑な実施に非常に有用であることは、宮城県石巻医療圏での成功例から実証されています。  しかし、東日本大震災で示された課題に対応しなければなりません。災害時の医療提供に当たっては、災害医療コーディネーターを中心に災害医療に携わる全ての関係者が情報を共有すること、そして、連携して災害医療に対応するための調整機能を整備することが必要です。  そこで、一点目として、今回の愛知県災害医療コーディネーターの任命を手始めとして、県は今後どのように災害時における医療体制の整備を進めていくのかお伺いいたします。  次に、東日本大震災では災害拠点病院が注目をされました。災害地に地域の医療の拠点となり、被災地の救急患者の受け入れ機能を担う重要な医療機関となります。しかし、インフラ整備に関する課題が明らかにもなりました。  震災では、電話やインターネットなどの通信機能が途絶したことにより、緊急時の医療機関の状況を把握する手段である広域災害情報システムでの情報把握が困難な状態に陥りました。この結果、災害拠点病院の被災状況や患者の受け入れ状況などの情報の把握に時間を要する事態を招きました。  また、被害が広範囲にわたり、ライフラインの途絶が長時間となったために、災害拠点病院の自家発電機用の備蓄燃料が不足する事態や、水道設備の断水により医療用の水の確保が困難となる事態が発生しました。  災害拠点病院は、被災地の救急患者を受け入れ、応急治療や手術などを行うとともに、透析などの慢性疾患患者への医療提供も担う必要があります。だからこそ、一定程度の自家発電機の発電能力と医療用の水の確保は非常に重要な課題であります。  厚生労働省は、東日本大震災の課題を踏まえ、平成二十四年三月に災害拠点病院の機能を強化する指定要件の改正を各都道府県に通知しています。  この通知では、災害拠点病院は、災害時の通信手段の確保に向け、インターネット接続が必要な広域災害情報システムの活用も考慮し、衛星回線インターネットが利用できる衛星電話を保有することが求められています。  また、電源の確保については、停電が解消されるまでの間、必要な医療を提供するため、通常時の六割程度の発電容量の確保と三日分程度の燃料の備蓄が求められています。  また、医療用の必要な水の確保については、適切な容量の受水槽の保有や、停電時にも使用可能な井戸設備の整備などにより、災害時の診療に必要な水の確保に努める必要があるとされています。  私は、本年三月の健康福祉委員会において、災害拠点病院の衛星電話の配備計画について質問をいたしました。当時、災害拠点病院三十四病院中九病院において配備計画がない状態でありました。全病院への配備と保有台数の拡充を早急に行うよう強く要望したところであります。  そこで、二点目として、衛星電話の配備、自家発電装置の整備、医療用の水の確保など、災害拠点病院が災害時に病院機能を維持するために必要な設備整備について、本県の災害拠点病院の状況と今後の整備計画について、県の考えを伺います。  次に、二点目といたしまして、東日本大震災で被災をされた方々への支援についてです。  東日本大震災が発生して一年九カ月が経過しようとしています。復興庁の取りまとめによれば、十一月一日現在の震災による避難者数は全国で三十二万四千八百五十八名という非常に多くの方々が住みなれた土地を離れ、不自由な生活を強いられています。  本県においても、十一月三十日現在で五百三十八世帯千二百四十六名の方が避難生活を余儀なくされており、このうち、福島県からの避難者が全体の約三分の二を占め、八百一名で最も多く、次いで、宮城県の二百三十五人、岩手県の七十八人となっており、中には、茨城県と千葉県といった関東地方からも百三十二人の方が避難をされています。  こうした方々が地元に戻るためには、被災地の復興が果たされることが前提となります。福島県内では、一日も早い環境の回復を目指して、放射性物質で広範囲に汚染された土地の除染を進めています。また、岩手県や宮城県においては、災害復興住宅の整備に当たって、新たに工事するだけでなく、雇用促進住宅やUR賃貸住宅を買い取るなどにより早期整備を目指しています。  しかし、来年度に避難者の方が入居できるのは一部に限られ、多くの方は平成二十六年度、あるいは二十七年度にならざるを得ない状況であります。  本県では、東日本大震災発生後、速やかに被災地域支援対策本部を立ち上げ、全庁を挙げてさまざまな支援に取り組んでいます。  その中で、避難されてこられた方々に対し、昨年度は、NPOに運営を委託する形で愛知県被災者支援センターを設置しました。昨年の今ごろは、被災者の御家庭に暖房器具の提供を行ったり、ことしの二月には、大きな交流行事を開催し、当日は、知事みずから被災者の方々に激励をされるなど、さまざまな支援を行ってきました。  しかし、そのような交流行事に、御高齢であったり、交通の便が悪いといったさまざまな理由により容易に参加できない方もいらっしゃるとお聞きしております。今後、そうした方々が孤立しない取り組みも必要です。  また、被災者の中には、地震や津波で家族を亡くされた方や家屋を失った方だけでなく、原発事故に伴って強制的に避難を余儀なくされた方、また、自主的に避難された方など、さまざまな原因、御事情があると推察されます。  愛知県被災者支援センターが被災者の方々の手記を取りまとめた『気持ちを手紙に』という冊子には、そうした方々のさまざまな思いがつづられています。被災者の方への支援に当たっては、こちらで暮らす被災者お一人お一人の気持ちを酌んだきめ細やかな対応が必要であると考えます。  そこでお尋ねします。  今年度において被災者支援に努めているとのことですが、県としてどのような支援を行っているのかお伺いします。  また、東日本大震災の発生から一年九カ月が経過しようとしています。今回の震災でふるさとから遠く離れ、本県で生活をしている方々においては先行きが見えない不安を抱えておられます。  そこでお尋ねいたします。  今後も安心して暮らしていけるよう支援が必要と考えますが、どのようなお考えであるかお伺いいたします。  最後に、県有施設の照明器具の省エネ化についてお聞きします。  福島原発事故後の原発停止により電力不足が懸念されておりますが、昨年夏、冬、ことしの夏と、火力発電の増強と県民、企業の懸命の節電努力により電力危機は何とか回避されてきました。この冬についても、この地域では何とか電力供給は維持できる見通しと聞いております。これには、工場の操業シフトなど、地域を挙げて節電に取り組んだ県内の企業と従業員、さらには県民の総合力が大きく貢献をしています。  しかし、その一方で、火力発電への依存度が増加したことが発電のためのCO2排出量の増加につながっていることが懸念されます。電力が足りるということも非常に大切ではありますが、温室効果ガスの増加による気候変動問題も避けては通れない重要な問題であります。この二つの問題を考え合わせれば、節電によるCO2削減が今後極めて重要な課題となってくるものと想像されます。  そして、県には、大規模事業者の一員として、この課題に対して率先して取り組み、県民、企業に対して模範を示していく必要があります。  そこで、まずお伺いいたします。  県有施設での一年間の電気使用量及びそこから排出されるCO2の量はどのようになっているのかお伺いします。  次に、節電のためには電気を無駄遣いしないというふだんの態度も大切でありますが、中長期的には電気を消費するさまざまな機器を高効率なものにかえていくことが重要であります。  もちろん、そのためには設備投資に伴う経費負担が生じますが、技術の進歩によって、時とともに新たな技術が導入可能になってくるという点に常に注目をしておく必要があります。  最近注目される省エネ技術の代表例として、我々の生活に欠かすことのできない照明機器があります。照明は、一つ一つの消費電力、いわゆるワット数は小さいものの、何といっても使用時間が長いため、一日当たりの消費エネルギーは相当大きくなっています。一般的にオフィスビルでは、全エネルギー消費の約二割を占めると言われています。  従来広く使われてきた白熱電球については、投入されたエネルギーのほとんどが熱になってしまい、効率はよくありませんでした。しかし、数年前から電力使用量が五分の一くらいで済む電球型蛍光ランプというものが登場しており、価格もかなり安くなってきています。さらに、まだいささか値段は高いものの、蛍光ランプよりもさらに省エネで寿命も長いLED電球もかなり出回るようになってきております。  また、オフィスなどで広く使われている蛍光灯には、十年ほど前からHF型という従来品より三、四割省エネになる機種が出回るようになり、さらにここ一、二年の間では直管型LEDというものも出始めております。  私は、先日、神奈川県が進めている照明の省エネ化の取り組みを調査してきました。神奈川県では、平成二十一年から二十二年度にかけ、県庁舎の事務室や廊下の一部に試行的に直管型LEDを設置し、その性能を検証しました。今年度は、より幅広く導入した際の省エネ効果や導入費用などのシミュレーションを行うための全庁的な照明設備のデータベースを作成しました。  そして、そこでの検討を踏まえ、先般、リース方式により七万本のLED照明の導入を行いました。これは全庁舎の蛍光灯約六十万本の一割強に当たり、その内訳としては、出先機関が九千本、学校が約五万九千本、警察署等約二千本となっております。  特に、長時間にわたり照明を使用する施設で効果が高く、神奈川県では、年間八千万円程度の電気料金が削減できました。そして、必要なリース料については、この八千万円で支払ってもなお余りあるとのことでございました。  このように、県が率先して新技術を取り入れていくことは、世間に対するアピール効果が大きく、また、省エネを通じて県の経費削減にもつながります。  私は、本県においても、環境対策と行財政改革の両面から、全ての県有施設の照明器具の実態を調査の上、省エネ化の取り組みを加速すべきであると考えます。  そこでお尋ねします。  県有施設のLED等の照明器具の導入による省エネ化についての現状及び、今後、環境と経費削減の両面を考え合わせて、どのように取り組んでいくおつもりかお伺いします。  以上、壇上から質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34: ◯健康福祉部健康担当局長加藤欽一君) 災害医療に関する御質問についてお答えを申し上げます。  まず、災害医療の体制整備についてであります。  愛知県では、南海トラフ巨大地震などの大規模な災害が発生した場合に、円滑に医療を提供するための調整役として、本年十二月一日付で愛知県災害医療コーディネーターを任命したところでございます。  災害医療コーディネーターに調整機能を十分に発揮していただくためには、災害医療に携わる関係者が被災地の情報を共有し、連携して災害医療に取り組むための体制を整備する必要があります。
     そこで、災害発災時は、二次医療圏単位で保健所に地域災害医療対策会議を設置することとしております。この会議では、地域災害医療コーディネーターを初め、地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等の医療関係者や、市町村、消防機関等の行政機関が集まって情報を交換し、地域に参集した医療チームや医薬品等の必要物資の重複や不均衡が起きないよう調整を行うこととしております。  そのため、保健所長を中心に、災害医療コーディネーターを初め、地域の災害拠点病院や二次救急医療機関、地区医師会などの関係者が災害時に円滑に医療を提供するネットワークを平時から構築できるよう検討を行っていくこととしております。  県庁におきましては、県の災害対策本部のもとに災害医療調整本部を設置し、本部災害医療コーディネーター初め、県の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等の医療関係者が集まり、県外から参集した医療チームや県内の医療機関や医療関係団体が編成した医療チームを県内の被災地へ適切に配置するための調整を行います。  また、地域の二次医療圏を超えて対応が必要な負傷者等につきまして、県内または県外医療機関への患者の広域搬送の調整を行うなど、全県的な調整機能を担うこととしております。  今後は、こうした調整機能を効果的に発揮するため、災害医療コーディネーター初め、関係者と十分に調整を図り、課題を整理し、対応してまいりたいと考えております。  次に、災害拠点病院の機能強化についてであります。  現在、災害拠点病院のうち、衛星電話を保有していない病院は三十四病院中五病院でございます。また、自家発電装置の能力が国の基準である通常の六割程度の発電量及び三日間分程度の燃料備蓄のいずれかを満たしていない病院は十六病院でございます。  医療に必要な水の確保につきましては、災害時に利用可能な井戸を保有していない病院のうち、受水槽の容量が一日以下となっている病院は六病院でございます。  こうした国の基準を満たしていない災害拠点病院につきまして、愛知県地域医療再生計画に整備計画を位置づけているところであり、国庫補助制度も活用しながら、災害拠点病院が実施する整備事業に対し助成をすることとしております。  この結果、通信設備につきましては、平成二十五年度中に全ての災害拠点病院が病院用及びDMAT等の医療チーム用に複数の衛星電話を保有する体制が整います。  また、自家発電装置及び医療に必要な水の確保につきましては、平成二十六年度中に、今後建てかえ計画のある病院でありますとか、敷地上の制約から燃料タンクや井戸設備などの整備が困難な六病院を除きます二十八病院について、必要な設備が整備される見込みであります。  こうした取り組みによりまして、平成二十六年度中には、災害拠点病院に求められる基本的な機能はおおむね整備される見込みでございますが、そのほかにも食料や医薬品の備蓄なども必要となりますので、災害拠点病院が災害時に十分な病院機能を発揮できますよう、引き続き県としてもその実現を強く指導してまいります。  以上であります。 35: ◯防災局長(小林壯行君) 東日本大震災の被災者支援のお尋ねのうち、まず、今年度の支援の内容についてであります。  本県では、大震災発生後、速やかに被災者の方々への住宅の提供や生活資金の貸し付けなど、さまざまな取り組みを行うとともに、昨年の六月十三日からは、NPO法人に運営を委託して愛知県被災者支援センターを開設し、定期的な情報提供や交流会の開催などを実施してまいりました。  発災後一年を経過してからこれまでの間、本県に避難されている被災者の数は一貫して千二百五十名前後と横ばいの状況が続いておりますことから、今年度も昨年度と同様、NPOに運営を委託して愛知県被災者支援センターを通じた支援を継続しているところであります。  そうした中で、今年度は、センターが毎月一回発行しております情報誌あおぞらの編集委員に本県に避難されている被災者の方に加わっていただいたり、被災者みずからが企画されます交流会の開催の実現に協力するといった形で、避難生活の長期化に伴って変化、多様化する被災者の方々個々のお気持ちをより尊重した支援を心がけております。  また、特に御高齢でひとり住まいの被災者の方が約四十人程度おみえになります。これらの方におきましては孤立化が懸念されますので、本年十月からセンターの職員が市町村等の職員と連携して訪問し、体調管理や困り事相談などといった最近の状況を直接把握する取り組みも行っているところでございます。  次に、今後の支援についての考え方でありますが、厚生労働省が応急仮設住宅の供与期間を一年間延長したことを受け、県営住宅の提供及び被災者用賃貸住宅借上制度のいずれも入居期間を平成二十六年三月まで一年間延長し、本県で継続して生活していただける環境を整えたところでございます。  このように、被災者の皆様が本県でお過ごしになられる期間が長期化するにつれ、安定した生活を営むに当たっては、お住まいのコミュニティーとのつながりや働く場の確保がより重要な要素となるものと考えております。  したがいまして、被災地の復興の状況やさまざまな支援の情報を提供するといった行政による支援とあわせて、お住まいの地域のコミュニティー組織等、被災者支援の主体となり得る身近な民間組織に協力を仰ぎながら、地域が一体となって支援をしていくよう取り組んでまいります。  また、働く場の確保の取り組みといたしましては、本年八月に愛知労働局が作成した東日本大震災被災者対象求人情報一覧表を提供いたしました。  今後も、愛知労働局と連携して、こうした求人に関する情報を被災者の方々にお届けしてまいります。  以上でございます。 36: ◯環境部長(西川洋二君) 県有施設における照明器具の省エネ化に関するお尋ねのうち、まず、県有施設の電気使用量、排出されるCO2の量についてでございます。  まず、電気使用量でございますけれども、学校や警察署を含めまして、直近の平成二十三年度では一億六千六百万キロワットアワーでございます。ちなみに、これは一般の家庭約四万世帯分になります。なお、この電気使用量は対前年度比で見ますと四・七%の削減ということでございます。  また、CO2の排出量でございますけれども、電力由来の排出量は約六万一千トンで、都市ガス、重油などの燃料から生ずる量も含めた県有施設全体のCO2排出量の五二%と半分以上を占めておるところでございます。  次に、今後の取り組みについてでございます。  御指摘のとおり、照明器具は技術進歩が著しく、大きな省エネ効果が見込まれますことから、その導入を積極的に進めるべきと考えておりまして、県有施設において機会あるごとに省エネ型のものに更新してきております。  例えばでございますけれども、白熱電球となっておりました議事堂の二階、三階の廊下につきましてはLED照明へ、西庁舎の執務室の蛍光灯につきましては全て高効率で省エネタイプのHF型蛍光灯へ交換いたしております。  今後でございますけれども、大多数を占める旧タイプの蛍光灯の省エネ化をどう進めていくかということが課題と考えておりますけれども、LED照明器具の標準化、省エネ型照明器具の価格などの動向を踏まえ、導入した場合のCO2排出量、電気料金の削減効果をしっかり見きわめた上で対策を進めていく必要があると認識いたしております。  そのために、まず、県有施設の照明器具の設置状況、ワット数など、現状を把握するために必要となる全庁的な調査を行っていきたいと考えております。そして、その結果を踏まえまして、御質問にございましたリース方式も含めまして、省エネ型の照明器具の導入を検討してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。 37: ◯知事大村秀章君) 犬飼議員の質問のうち、災害時における医療体制の整備につきまして、私からもお答えを申し上げます。  南海トラフの巨大地震が発生した場合は、愛知県では大きな被害が出ることが想定をされておりまして、災害時の医療体制の整備は大変重要な課題であると考えております。  そのため、災害医療に精通した医師を愛知県災害医療コーディネーターに任命をさせていただきまして、災害時に適切な医療を提供するための調整役を担っていただくことといたしました。  十二月三日には、県の災害医療調整本部に入っていただく本部の災害医療コーディネーター七名の方に対しまして、私から直接辞令をお渡しさせていただきまして、災害時の円滑な医療提供に存分に力を発揮していただくよう要請をしたところでございます。コーディネーターの皆様方からは、災害時の医療の調整役としての職責を果たしたいという強い決意表明をいただきました。  今後は、愛知県災害医療コーディネーターを中心に、災害医療に携わる全ての関係者が協力、連携をいたしまして、災害時に調整機能が十分に発揮できる体制を整備してまいりたいと考えております。  なお、愛知県の新たな災害医療の体制につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして関係者と十分に協議を進め、県民の皆様に安心していただけるよう、今年度改定をいたします愛知県地域保健医療計画の中にしっかりと位置づけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 38: ◯十五番(犬飼明佳君) 私から二点要望させていただきます。  まず、災害時における医療体制についてですが、ソフト、ハード両面での整備拡充に対しまして、知事からも力強い、また、前向きな答弁をいただきました。  ハード面の部分で、衛星電話についてなんですけれども、平成二十五年度中に全ての災害拠点病院が病院用とDMAT用で複数保有する、こういった答弁がございました。  災害拠点病院が現在三十四カ所で、DMATが平成二十五年度中に六十チームになるということも聞いております。合計九十四カ所になるかと思います。  災害はいつ起こるかわかりません。発電機や医療用の水、こうしたこともあわせまして、さらにスピードアップをして、全配備をしていただきますようにお願いいたします。  もう一点でありますけれども、県有施設の照明器具の省エネ化についてですが、エネルギー政策の転換ということは、今やっております、このたびの衆議院選挙の争点の一つということにもなっておりますが、省エネ化、また、再エネ化の推進は、日本全体の喫緊の課題であることは間違いありません。  また、厳しい本県の財政状況を鑑みますと、経費削減につながる行財政改革には積極的に取り組む必要もございます。  今回私が提示いたしましたLED化の提案も、証明器具が高価なため、初期費用という部分では重い負担にならざるを得ませんが、しかし、民間資金を活用したリース方式、こうしたことを導入することで初期費用も抑えられ、さらに導入後の電気消費量、これも抑制でき、節電とコストダウンを同時に実現できることも期待ができます。  まず、全庁の調査を行うとの答弁がございましたが、調査結果に基づいたシミュレーションも早急に行っていただきますようにお願いをいたします。  全庁挙げた取り組みを行うことがこうした部分でのスケールメリットを創出していくことになりますので、ぜひとも知事の御決断、また、リーダーシップで全県有施設のLEDなどの照明器具の省エネ化を推進していただきますように要望しまして、私の発言を終わります。 39: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  森下利久議員。     〔六十二番森下利久君登壇〕(拍手) 40: ◯六十二番(森下利久君) 通告に従いまして、私からエネルギー政策について、順次質問をいたします。  私たち平成二十四年度愛知県議会海外調査団は、小林秀央団長以下十五名にて、十月二十一日より十月二十八日まで、ドイツ、フランスのエネルギー対策、航空産業、電気自動車などの調査研究の一員として、ドイツのエネルギーの政策の状況と長期的な計画、課題、再生エネルギーの促進、原子力発電のあり方などを調査してまいりましたので、報告をさせていただきます。  ドイツのエネルギー政策、そして、震災後の日本のエネルギー問題について質問をいたします。  十月二十二日、ベルリンのドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省を訪問いたしました。そこで、ベッカー氏より、ドイツのエネルギー政策の現状と、長期的な計画の課題であります再生可能エネルギーの開発状況の促進のための施設等についての説明を受けました。  ベッカー氏は、昨年、日本に来て、東京の経産省、環境省、NEDOに訪問され、そのとき、初めて名古屋市や豊田市を訪れ、よい対応をいただいたと言っておりました。  持続可能なエネルギーについては再生エネルギーが大切であり、これから二十年後、三十年後を考えた場合、化石エネルギーに頼るのではなく、再生エネルギーが必要で、そのためには目的を掲げ、二〇二〇年には三五%、三〇年には五〇%、四〇年には六五%、そして二〇五〇年には八〇%までの再生エネルギーの電力需要を可能にする目標を掲げております。  そのためには、再生エネルギーをどういう固定電力買取制度にするのか、固定的エネルギーをつくれば、国に必ず買ってもらえる再生エネルギーを優先させることが決定をされました。  そこで三点が決まりました。  一つ目は、買い取り制度、再生エネルギーを自分で発電したら必ず国が買い上げる法律が決定。二つ目は、再生エネルギーのグリッド、連絡を優先する送電線の拡張であります。三つ目は、風力発電に対する資金繰りなどの支援をする。買い取り、法律、連携の三つが有効な手段であると説明を受けました。  二〇一一年のドイツの発電割合は二〇%だが、二〇五〇年までには再生エネルギー八〇%までの目標を掲げて取り組んでいるということであります。なぜ伸びたかというと、三つの措置が決まったからであります。特に太陽光と風力が伸びました。これからも目標に向かって全力で取り組んでいかれると説明を受けました。  次に、ドイツのハインリヒ・ベル財団を訪問いたしました。ベル財団は、今は別名緑の財団とも言われております。環境担当者のラモナ・シモンさんに説明をいただきました。  ドイツは、十七基の原子力発電所がありますが、二〇一一年七月までに八基を中止し、残りの九基も二〇二二年までの十年後までに停止をすると言われております。  一九八七年、ロシアのチェルノブイリ発電事故が起き、子供たちは特に危ないから外に出るなと言われたそうであります。それは、放射能を多く含む雨が南ドイツに降ったからであります。  それ以来、ドイツは、原発は危険なものと言われ、一九八〇年代から反原発運動が起きました。その理由は、原発の最終処分に困ることから最終貯蔵地の候補地が幾つかありましたが、国民の反原発運動が起き、処分場ができませんでした。  一九八二年、原発に対する国民反対運動が起き、現在の緑の党が連邦議会で初議席を獲得いたしました。それ以来、社民党と連立を組み、一九九二年、原発廃止が可決をされ、さらに二〇〇二年には、四つの大手発電業者も一緒に脱原発を決定いたしました。その後、保守系政党にかわり、脱原発・廃止を決定しました。  二〇一〇年秋、第二次メルケル政権が脱原発を十五年延長しようとしましたが、世論調査で七〇%のドイツ人が反対をしたため、取りやめました。その半年後、福島原発事故が起き、その後の州選挙で保守系が選挙で負けたことにより方向転換が決まりました。最初に原発をとめると言ったときは二〇三二年が最終予定でしたが、福島原発の事故後、十七基の原発のうち八基をストップさせ、残り九基も二〇二二年までに全て廃止することと決定をいたしました。  不足する電力については、現在の発電所の稼働率を上げ、休止している発電所を再稼働させる。また、ピークロードを変えるために、最新式の火力発電や天然ガス、石炭などで効率をよくし、発電を賄おうとしております。  二〇〇二年、再生可能エネルギー法が成立、電力の買い取り制度を取り入れましたが、当初五%だったものが二〇%になりました。問題は、発電量が足りないのではなく、需要と供給のタイミングであります。  ドイツは、太陽光発電で日中五〇%ほど電力を賄っております。しかしながら、再生エネルギーにも問題があります。例えば、自然相手の天気次第発電の太陽光発電では、発電力がないわけではなく、天気のよい日には五〇%は賄えますが、雨降りや曇りには発電力は大きく減少いたします。また、風力発電も、風のあるときないときにより発電力が異なります。このような状況をいかに対応していくのかが今後の課題であります。  このような状態をなくし、安定した供給のために、発電量が読めない、予定できないことがネックとなる最大の問題であります。それを支えるためにも、ガス、石炭、火力発電が必要でありますが、買い取りの再生エネルギーが優先され、事業者は前向きになれず、ジレンマになっているのが現状であります。  また、買い取り価格も低下をしてきました。ドイツは原発を廃止し、フランスから購入をすることはうそであり、ドイツは電力輸出国、フランスにも電力を輸出していると言われておりますが、現況は、フランスとの関係を見ますと、電力を輸入している量のほうが多いと言われております。  再生エネルギーの導入に伴う一般家庭が一年間に支払う料金の負担は、八十ユーロから百四十ユーロぐらい値上がりをしております。日本円に換算すると、月に千円ぐらいの値上がりになります。  電力料金が値上がりしているのは、再生エネルギーの影響だけではなく、ほかの燃料の値上がりも理由の一つになっております。  太陽光発電も、設置場所について、土地があっても州用地がほとんどで、広大な農業用地は法律により利用規制等があり、使用できない状況にあります。  電力買い取り価格は年によって違いますが、二〇〇八年には三十六ユーロ、二〇一二年には十六ユーロと値下がりをしました。太陽光施設の買い取り価格も、五年間で六〇%も値下がりをしておりますと言われております。  今後、買い取り価格やバイオマス、洋上風力など、まだまだ再生エネルギーについても問題があるように見えますと言っております。  ドイツは、もともと褐炭と石炭を豊富に産出している国で、この石炭資源は歴史的にドイツの工業の発展に大きく寄与いたしておりましたが、一九六〇年代以降は、石炭は安い輸入石油に押され、主役の座を追われました。  しかし、政府は、一九七三年の石油危機を契機に石炭への再転換を打ち出し、石炭産業を保護しております。二〇一〇年現在でも石炭の生産量は、国内エネルギーの生産量の三五%を占めております。  二〇〇九年十月の第二次メルケル政権が誕生し、同政権は、このまま脱原発政策を進めた場合は、早ければ二〇一二年、電力不足となる需要想定を踏まえ、原子力法の改正など、一連の法案が連邦下院で採択、三十二年とされた原子力発電所の運転期間は平均十二年間延長されることになりました。  ドイツの電力事業を調査いたしましたが、脱原発で国のエネルギー政策を再生エネルギーだけで国の経済、産業界を担うことはできない。国民の皆さんの安全・安心のためには、脱原発を掲げながら、化石エネルギー、そして再生エネルギーをうまく取り入れて、安定した供給のできる政策に今後も取り組んでいかなければなりません。国民のニーズに応えていかなければならないと思います。  二〇一〇年の各国の原子力発電の状況は、第一位はアメリカの百四基、二位がフランスの五十八基、三位は日本の五十四基、第四位が韓国の二十基、第五位がドイツの十七基、六位が中国の十三基であります。  ドイツは、世界第五位の原子力発電国でありますが、既に八基の中止、二〇二二年までに九基も廃止を決めました。  現在の日本は、福島原発を除き五十基の原発がありますが、日本は地震国であり、いろいろなところに活断層があり、今、問題となっております。  原発稼働は、政府が決定権を持っておりますが、愛知県としては、原発はありませんが、原発を廃止するにはそれに見合った電力が必要であります。  当然、今、経済産業を支えていくには電力需要が経済のかなめであります。それには再生エネルギーが重要な鍵を握っております。  十月二十三日、ドイツのハンブルク三菱パワーシステムズヨーロッパ社、柴田昌明副社長を訪問いたしました。三菱パワーシステムズ社は、三菱重工ガスタービンやコンバイン、サークルなどの原動機製品を欧州向けに受注拡大を図るために、二〇〇七年十月、イギリス、ヨーロッパに設立をし、三菱重工業グループで七百種類以上の製品を製造いたしております。アイスランド、スペイン、オーストラリア、イタリア、トルコ、エジプト等に支店があり、EUのみならず、中東でも事業を展開いたしております。  我々が調査に訪問したハンブルク支店は、二〇〇八年四月に設立、主に風力発電がヨーロッパで盛んで、ドイツ、デンマークを中心に進められております。中でも、ハンブルクは、風力発電のシリコンバレーと呼ばれるほど、各社の開発センターが進出をしております。風力発電の専門家やエンジニア、研究機関が集中している地域であります。  MPSE社も、風力発電をグローバルに開発するために、現地で採用したエンジニアを中心に活動いたしております。  最大出力七メガワット、高さ百七十六メートルの風車の羽根は、通常一分間に十回転とするが、発電の効率を上げるためにギアボックスで約百倍の千回転ほどに上げるために、ギアボックスにかかる負担が大きく、故障の原因になることが多いそうです。そのために、ギアボックスを使用しない新しい油圧トランスミッションを使用し、あわせて電気機械のコンバーターの故障も多いことから、コンバーターも使用しない世界最大級の風力発電をハンブルクと日本との連携をとりながら開発中であります。  現在取り組んでいるプロジェクトとして、日本では、既存の二・四メガワットの陸上風車を洋上に設定をし、ギアボックスを油圧ドライブ方式に改修をし、実証実験中であります。海外では、七メガワットの実証機を二十五年春にスコットランドに設置する予定であります。  二〇一四年、日本の福島県にも最新の風車を設置するプロジェクトがあるそうです。こうした実証実験を一年間し、その後、量産に入り、二〇一五年に七メガワット機を年間百機、五年間で五ギガワットを目標に取り組んでおります。  イギリスでも三十二ギガワットの計画とのこと、これまで三百キロワットの風車の建設に始まり、六百キロワット、千キロワット、二・四メガワット、七メガワットの風車を開発してきましたが、今後は十メガワットを目指しております。  七メガワットの大型風力発電には、風車の羽根にカーボンを使用し、軽量化に努める工夫をしてまいりました。一つ一つの部品が壊れても、人力で運べる部品交換がスムーズに行えるようにメンテナンス性を重視しているそうであります。  洋上風車を設置するには、コスト面では浅いほうがよいようでありますが、さまざまなタイプがあり、固定式の場合は水深七十メートルにも設置が可能で、日本のように水深が深い場合は浮体式になります。  十メガワットの設置費は、風車のみで十五億円ほど、設置費を含めると三倍の四十五億円くらいかかるのではないかと言われております。  ギア式から油圧式にかわって耐久年数が延びると言われましたが、陸上の場合は二十年で設計をされておりますが、洋上では二十五年の耐久年数で設計をされております。  現在、銚子沖で実証実験中でありますが、日本では、水深の問題や台風の襲来の諸問題もあり、台風について、世界の基準で一番厳しい基準は、風速七十メートルとする日本では、直撃の場合、それを超えることがあるので、スマートヨーという技術を開発し、台風に耐える設計をしております。
     日本の場合は、台風と雷があるので、風車にとって余りよい環境ではありませんが、MPSE社の場合は、経験があるので、耐えられる設計になっておるとのことであります。  今後、風力発電の普及が進めば産業の裾野は広がり、ドイツでの再生エネルギーを二〇五〇年までに目標八〇%にすることは可能だと言っております。  風力発電が一番コスト面では安く、今は補助金があるのでいいけど、最後には補助金がなくなっても設計できるようにしていかなければなりません。そうしなければ、電気料金がどんどん高くなります。  最初は政治がリードしていますが、その後は経済というように、政治面と経済面の協力が必要になります。その点、ドイツはバランスがとれております。  もう一点、再生エネルギーは発電できないときがあるので、使い勝手が悪い。したがって、貯蔵・蓄電型のエネルギーにしていくことが必要であります。さらに、コストを下げるために故障をしないようにする、技術面において信頼性を高めていかなければならないと熱心に私たちに指導していただきました。  私は、ことしの六月二十二日の一般質問で原発のことを質問いたしましたが、今、世界中で原子力発電が三百基あります。世界第一位の百四基のアメリカも、二〇三五年までに風力、太陽光等のクリーンエネルギーの供給を目標五〇%にすると二〇一一年に発表いたしました。フランスも、原子力エネルギーへの依存度を五〇%に削減すると公表いたしました。  日本も、脱原発を掲げ方向転換をしましたが、福島原発事故以後、事故処理をする技術が世界的にないということが問題であると思います。  当然、施設があれば、事故が起きることを想定して、原発を処理する施設、技術が重要であると思います。何度も言っておりますが、世界中で原発処理技術が確立できていないことが一番大きな問題だと思います。  原発稼働も大事でありますが、それ以上に、万一、原発事故が起きたときの核燃料の処理技術、処理施設が最も重要であります。  十一月十六日、衆議院が解散をし、十二もの政党が名乗りを上げ、十二月十二日の投票日を目指して、原発廃止を掲げている政党が九党あります。  日本経済を考えたとき、現状のエネルギーを確保するには代替エネルギーをどうするのか、その一方で、エネルギー政策と密接にかかわる地球温暖化対策をどのように進めていくのか、明確な政策が出ておりません。  ただいま選挙真っ最中、今回、衆議院選挙は、今後の日本の進むべき方向、大きな問題が山積をいたしております。次の四つの柱があります。各政党にとっても国民にとってもはっきりと明確な方向を示していただきたいと思います。  消費税で景気対策、外交問題、TPP交渉、そして原発問題であります。  忘れてはならないのが、東日本復興・復旧であります。福島原発は、ヨーロッパだけではなく、世界で事故処理について注目の的となっております。今回のドイツ、フランスのエネルギー対策でも大きな問題になっております。  現在五十基ある原発を廃止するまでに事故が起きないとは保証がありません。そこで、大村知事さんには、全国の知事会において、原発事故処理について議論をしていただくことが必要だと思います。  一方、原発で発電できない電力を賄うのに、現状では火力発電に頼るしかなく、もう一つ、大きな課題としてCO2の削減も生じます。  こうしたことから、再生可能エネルギーの拡大普及が今後の重要な取り組みであることは明白であります。そして、そのエネルギーの大量普及のためには、設置に当たってのさまざまな規制を緩和していくことが求められます。  例えば、ソーラー太陽光発電など、広大な土地が必要になります。土地利用の規制緩和が必要不可欠と思います。  国は、原発廃止を掲げながら、代替エネルギー案を示していません。太陽光発電を推進しながら、土地利用については、特に農地利用については方向性を示していません。  国は、地方分権、地方分権と言っていながら、その方向性すら明らかになっておりません。一日も早く権限を県の裁量に任せるべきであると思います。  そこでお伺いをいたします。  原発にかわる電源を確保するには、地球温暖化への対応も考えると、化石エネルギーではなく、ソーラー発電など再生エネルギーの大量導入をしていく必要があると考えます。そのためには、各種の規制緩和を進めることが重要であると思いますが、県としてどのような取り組みをしていくのかお伺いいたします。  また、先日、田原市の三井化学所有地八十万平米、約二十六万四千坪、太陽光風力発電事業のたはらソーラー・ウインドの共同事業の起工式が報道されました。  この事業は、三井化学ほか七社の事業、総投資額百八十億円をかけ、発電量年間六万七千五百メガワット時、田原市の総世帯の九〇%に当たる約一万九千世帯の使用電力量に相当いたします。  このプロジェクトは、愛知県から新あいち創造研究開発補助金の補助事業として採択され、田原市からは企業立地の奨励金制度が対象となりました。  そこで、新あいち創造研究開発補助金とはどういう制度であり、たはらソーラー・ウインドの共同事業においてどのような取り組みを支援するのかお尋ねをいたします。  また、田原市の企業立地奨励金制度はどのようなものかお尋ねをいたします。  最後の質問となります。  我が国は、エネルギーの政策の根幹がいまだ不確定な状況でありますが、東日本大震災、福島第一原発発電の事故を踏まえ、大村知事さんは、原発、エネルギー問題をどのようにお考えなのかお伺いをいたします。  以上をもちまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) 41: ◯環境部長(西川洋二君) エネルギー政策についての御質問のうち、私からは、再生可能エネルギーに関する規制緩和についてお答えいたします。  再生可能エネルギーの導入を具体的に促進するためには、ことし七月から導入されました固定価格買取制度などによる支援とともに、各種の法規制の緩和も大変重要であると考えております。  このため、県といたしましては、全国三十六道府県等で組織いたしております自然エネルギー協議会、そして中部圏知事会議などを通じまして、土地利用や許認可の基準等に関する規制緩和の推進を国に働きかけてまいりました。  そのかいもございまして、ことし四月でございますけれども、国の行政刷新会議において、エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針が取りまとめられております。  その方針では、百三の項目につきまして改革の内容や実施時期が掲げられておりまして、太陽光発電設備を設置する場合に敷地の全面的な利用を可能とするために、工場立地法の適用除外とすることや、小水力発電に係る河川法の手続の簡略化など、一部既に実施されつつあるものもございます。  また、その方針において国として検討していくこととなっております、例えば、議員の御質問にもございましたけれども、農地利用に関しましては、優良農地の確保に支障を生じさせないことを前提とし、耕作放棄地を使用するなど、地域の農業振興に資する場合については、農地制度における取り扱いを明確化すべく検討していくこととされております。  そこで、県といたしましては、今後さまざまな関係者の声をしっかり聞きながら、この方針の早急な実施とともに、さらなる規制緩和に向けた検討を引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。 42: ◯産業労働部長木村聡君) 私からは、たはらソーラー・ウインド共同事業に対する支援についてお答え申し上げます。  新あいち創造研究開発補助金は、産業空洞化対策減税基金を原資とする補助制度の一つでございます。具体的には、新エネルギー・環境のほか、次世代自動車、航空宇宙など、将来の成長が見込まれる分野において、企業が行う新技術・製品の研究開発や、その成果を実用化に結びつけることを目的といたします実証実験の取り組みに対し、大企業の場合は、補助率二分の一以内、二億円を上限として、中小企業の場合は、同じく三分の二以内、一億円を上限として、それぞれ助成を行う制度でございます。  この補助制度につきましては、外部有識者を中心といたします審査委員会における審査を経て、去る七月に今年度分として、たはらソーラー・ウインド共同事業を含め、五十九件、総額七億六千万円の補助対象案件を決定させていただきました。  たはらソーラー・ウインド共同事業は、三井化学株式会社など、太陽光、風力発電に関するノウハウを有する七社が、国内最大規模となる五十メガワットの太陽光発電と六メガワットの風力発電を組み合わせた、我が国には類例のないハイブリッド型の発電を行う事業でございます。  この事業では、同一気象下において異なる種類の太陽光パネルの発電状況の比較が行われますほか、太陽光と風力を合わせて、発電量の安定化、最大化を図る方法などの検証が行われる予定となっております。  県では、そうした取り組みの先進性、実現可能性や社会的な意義を評価し、補助対象案件として採択したところでございまして、今後、実証実験を通じて、効率的かつ安定的な発電システムが確立され、本県、そして我が国の再生可能エネルギーの普及促進につながることを期待したいと考えておるところでございます。  また、お尋ねのございました田原市の企業立地奨励金制度は、同市が指定する区域におきまして、企業が事業所の新設または増設を目的として、土地、家屋または償却資産を取得する場合、当該企業に対し、その三年分の固定資産税に相当する奨励金を交付する制度であると、このように承知しているところでございます。  私からは以上でございます。 43: ◯知事大村秀章君) 森下議員の質問の中で、原発エネルギー問題についてどういうふうに考えているのかというお尋ねをいただきました。  愛知県議会海外調査団によるドイツのエネルギー政策に関する詳細な調査を踏まえまして、質問をいただいたわけでございます。  原子力発電につきましては、安全性の確保が大前提でありまして、福島第一原子力発電所の事故を踏まえれば、中長期的にその依存度を低減させていくとともに、その過程においても徹底した安全対策が講じられなければならないというふうに考えております。  もとより、電力、エネルギーは、国民生活、産業活動の生命線でありまして、資源小国である我が国におきましては、その安定供給の確保に万全を期していかなければならないと考えております。  その際、まず、再生可能エネルギーにつきましては、コストの高さや出力の不安定さを克服しつつ、最大限活用していくことが重要であると考えております。あわせまして、化石燃料につきましては、資源の安定的で安価な確保を図りつつ、地球環境問題に十分配慮しながら使っていくことが必要であります。  今回の総選挙におきましては、争点の一つとしてこの原発・エネルギー問題が大きく取り上げられているわけでございますが、今後、国におきましては、こうした視点を踏まえ、安全性、安定性、経済性、そして環境との調和を総合的に満足できる電力供給の将来像と、それを実現する工程を早急に示し、実行していただくことを強く求めていきたいというふうに考えております。  私といたしましては、太陽光や小水力など、本県の特性を踏まえて、再生可能エネルギーの拡大に力を注ぐとともに、エネルギーをつくる創エネの分野だけではなく、エネルギーを蓄える蓄エネ、そして賢く使う省エネ、そうした分野でも研究開発や普及に取り組んでいきたいというふうに考えております。  先ほど来、部長から答弁申し上げましたが、この産業空洞化対策減税基金の実証実験、研究開発でも、こういったエネルギー分野の企業さんの研究、実証実験の後押しをしておりまして、これはまた引き続きこうした取り組みに地道に、かつ、また着実に進めていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。 44: ◯六十二番(森下利久君) 要望と訂正を一点お願いしたいと思います。  先ほど、私、衆議院議員の選挙日の投票日が十二月十二日と申し上げたようでございますので、十二月十六日の投票日の間違いでありますので、謹んで訂正をお願いしたいと思います。  それで、エネルギー対策について、それぞれ御答弁をいただきました。知事さんからも積極的な御答弁をいただきました。  このエネルギーというのは、日本の将来を左右する重要な問題でございます。そうした中、今回、田原のソーラー・ウインド事業についての新あいち創造研究開発補助金、そして田原市の企業立地の奨励金など、いい制度でありますので、これからも恐らく新しい事業者さんが出てくると思いますので、そうした方々にもこの支援の輪を広げていただけたらありがたいなと、こんなふうに思っております。  そして、ただいま衆議院選挙真っ最中であります。問題は山積しておりますので、各政党ほとんどがこの原発問題を掲げております。脱原発をするというのは相当な年数がかかるわけでありますから、代替エネルギーが大前提であると、そんなふうに思っておりますので、愛知県は物づくりの製造県日本一であります。安定した供給できる電力が必要であります。エネルギー問題なくして国益なし、そして日本の繁栄なし。反対だけではなく、代案を出していただきたい。物づくり愛知、エネルギー対策を全国に先駆けて全力で取り組んでもらうことを強く要望いたしまして、終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 45: ◯三十九番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 46: ◯副議長(澤田丸四郎君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 47: ◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 48: ◯議長小林功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  浅井よしたか議員。     〔三十五番浅井よしたか君登壇〕(拍手) 49: ◯三十五番(浅井よしたか君) 通告に従い、順次伺ってまいります。  まず、最初の質問は、公共施設及びインフラの維持、更新に関する長期財政支出見通しについてであります。  これまでも各種インフラの老朽化問題については、本県議会でも、橋梁や県立学校校舎等の老朽化を中心に何度も取り上げられてきたところであります。  そんな中、今月二日には、中央自動車道笹子トンネルで大規模な天井崩落による大惨事が発生してしまい、老朽化が進む社会インフラへの適切な対処の重要性が改めて大きな議論を呼んでいます。  今回の事故の詳細な原因究明はこれからでありますが、現時点での報道によれば、開通後三十五年経過したことによる経年劣化が主要因の可能性が高いとのことであります。  言うまでもないことですが、今回のような大惨事を二度と起こすことなく、住民の命を守るために、公共施設及びインフラの老朽化の実態を正確に把握した上で、優先順位を明確にした維持、更新に取り組むことが、今、国や地方自治体に求められています。  しかし、そのような現状であるにもかかわらず、現在の国、地方の財政状況は大変厳しい状態にあり、どの地方自治体にあっても、投資的経費を初め、歳出の削減等を進めるなど、財政の健全化の確保に苦労している状況です。  地方自治体が健全な財政運営を行っていくためにも、今後、公共施設やインフラ資産に係る更新費用がどの程度になるかを推計し把握した上で、公共施設及びインフラ資産のあり方について検討していくことは極めて重要であると私は認識をしています。  そういった認識のもとで、今回の質問では、長期にわたる財政支出見通し策定の必要性や、そのための方策について論じながら、迫りくる、まさに待ったなしの社会資本老朽化問題を取り上げてまいります。  この問題への本県の取り組み状況を伺う前に、まず、国や他の自治体の進捗状況を申し上げます。  初めに、総務省の動きについて簡単に御報告いたします。  総務省は、全国百十一市区町村の協力を得て行った将来のインフラ更新費の調査結果を本年四月に公表しました。この調査は、財団法人自治総合センターが昨年三月に示した地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書の考え方をもとに行われ、調査対象としては、二〇〇九年度までに建設、整備された五十平米以上の学校、庁舎、公営住宅等の公共建築物並びに道路、橋梁、上下水道などのインフラ資産であり、河川や港湾等は含まれておりません。  詳細な調査方法の説明は省略をいたしますが、おおむね今後四十年間を視野に入れて試算した、将来必要になるであろう公共施設やインフラの一年当たりの更新費用と、現在の年平均費用とを比較したものであります。  それによれば、将来の更新費用は現在の二・六倍にもなり、新規の建設投資をストップし、用地取得額や新規整備費を全て既存施設の更新に充ててもなお費用が足りなくなるとしています。つまり、新設どころか、一部の社会資本は利用を諦めざるを得ないということであります。  同様に、国土交通省でも独自の試算が行われています。二〇一一年度の国土交通白書によれば、国土交通省所管の道路、港湾、空港、公営住宅、下水道、公園、治水、海岸等の社会資本八分野の国及び地方自治体の事業を対象に、二〇〇九年度までの投資実績をもとに推計したところ、その更新費用は二〇六〇年度までの五十年間で百九十兆円にも達すると試算をしています。社会資本の長寿化対策などを適切にとらなければ、二〇三七年度には維持管理・更新費すら賄えなくなる可能性があり、新規事業に回す財源がゼロになるとも指摘をしています。  このほかにも、東洋大学の根本祐二教授による試算によれば、国交省所管以外の公共インフラ、例えば、学校や図書館、病院、上水道などの公共施設を加えると、更新費用は総額何と三百三十兆円にも上るとの指摘もされていますので、あわせて御紹介をしておきます。  次に、社会資本老朽化問題に対する先進的な取り組みをしている自治体の一つである大阪府の例を簡単に述べさせていただきます。  御存じのとおり、大阪府は、ある意味では本県以上に厳しい財政状況の中で、大都市間の国際競争に打ち勝つためのインフラ整備を進めるとともに、老朽化した既存インフラの更新も視野に入れなければならない状況にあります。  そんな中、本年三月、おおむね三十年先を見通しながら、当面十年間のインフラ政策の方向性を示す都市整備中期計画をまとめました。その狙いは、建設事業を見直すとともに、維持管理の重点化を図るなど、建設と維持管理のトータルマネジメントを行うためとのことです。  大阪府の試算によると、二〇一一年度から二〇三〇年度までの二十年間で橋梁などのインフラに予防保全策を講じれば、維持管理費は五千百億円におさまりますが、保全策を講じずに更新をしていけば八千四百億円も必要になり、差し引き三千三百億円もの財政縮減効果があるとのことです。この試算結果を財政課に示したところ、財政課も納得をして、維持管理費の大幅増額が認められたとのことであります。  この事例は、大阪府の土木建設関係のものですが、やはり現状を把握した上で将来予測を立てることは大変重要でありますし、何といっても、具体的な数字をつかむことの意義や必要性が非常によくわかる事例であります。  それでは、現状の本県の取り組み状況について確認をさせていただきます。  まず、二〇一〇年度から総務部が中心となって第五次行革大綱の取り組みの一つとして、「県有施設を戦略的に利用・管理・保全する仕組の構築」というテーマで、県有施設全体の現状を調査し、その結果を踏まえた利用の最適化、計画的な保全管理などの仕組み構築に取り組んでこられたところです。  そして、本年二月に策定された県有施設利活用・保守管理プログラムによれば、現在は、中長期的な施設の利活用の方向性や、中長期的な利用に必要な保守等の概要、そして、財政上の影響を試算する財政計画などに取り組んでおられると承知をしております。  一方、総務部の取り組みとは別に、建設部においても、建設部所管の公共施設、インフラについて、それぞれ十年間から五十年間ほどを見通した長寿命化計画を現在策定中であると伺っています。  改めて申すまでもないことですが、本県の財政状況は、リーマンショック以降、五千億円もの減収に見舞われ、その後も円高、デフレ、大震災などの影響もあって、依然として厳しい財政状況下にあります。  しかし、世界と闘える地域をつくっていくためには、港湾、空港やそれらへのアクセス道路の充実を初めとする各種インフラ整備への投資を着実かつ早急に進めていかなくてはなりません。そしてまた、発生が危惧される大地震への備えも、これも怠るわけにはまいりません。つまり、これからも必要な新規投資は当然ゼロではありませんので、徹底した選択と集中が不可欠であります。  そのためにも、まず、私は、さまざまな社会資本整備を始めてから半世紀近くになろうとする今こそ、三十年先から五十年先を見据えて、本県が管理をする公共施設及びインフラの維持、更新に関する財政支出見通しの策定に少しでも早く着手すべきと考えます。  もちろん、その試算は、建設部関係の施設のみならず、教育委員会所管の県立学校を初めとする全部局が管理する公共施設、また、病院事業庁所管の県立病院や企業庁所管の上水道など、全ての施設、インフラを網羅した見通しであるべきであります。そして、その試算結果を県議会や県内の市町村、県民に公表することにより、問題意識、危機意識を共有化することが不可欠だと考えています。
     繰り返しますけれども、何をおいても客観的にまず現状把握をして、具体的な数字をつかむことが極めて重要です。具体的な行動に移すには、スケジュールと規模感が必要ですし、全く数字を示さずに、漠然と老朽化が大変だ、大変だと騒いでいても、リアリティーもなく、何も進みません。  さらに、数字を示すことでさまざまな抵抗も抑えやすくなるはずですし、県民にとっても我々県議会にとっても今ある県有施設を全て維持すべきなのか、そしてまた、本当に維持できるのかなどという問題に直面をすることで、現実味のある危機意識が生まれるはずです。  これまで経験したことのない少子・高齢化社会、低成長社会における公共施設のあり方や民間活力の生かし方について、県民を巻き込んで率直に議論していくことが必要な時代に既に入っているのですから、もう先送りするわけにはいきません。  ここで伺います。  まず、一点目の質問ですが、社会資本老朽化問題に関する本県のこれまでの取り組み状況を改めてお示しをいただきたいと思います。  二点目の質問です。  私が今申し上げてきた公共施設及びインフラに関する長期財政支出見通しの策定の必要性について、本県のお考えをお聞かせください。また、長期見通しの策定は、数カ月という短期間では到底不可能ですので、具体的な全体スケジュールをつくることや、総務部を中心とするまさに全庁的な組織体制の整備、充実も欠かせないと考えますが、いかがお考えでしょうか、あわせてお答えください。  続いて、広域防災拠点整備のあり方について伺ってまいります。  本年十月三日の朝刊各紙に、中部圏への基幹的広域防災拠点整備候補地として、名古屋市三の丸地区、県営名古屋空港、名古屋港、静岡県庁、静岡空港の五カ所が掲載されました。  この案は、五県の自治体、民間団体など百九機関と有識者で構成される東海・東南海・南海地震対策中部圏戦略会議の中に、本年五月に設置された検討会によって示されたものです。ちなみに、この検討会は、学識経験者七名と十四の行政機関などで構成されておりますが、自治体としては、愛知、岐阜、三重、静岡、長野の五県と名古屋、浜松、静岡の三政令市が構成メンバーとなっています。  そして、その後、十一月五日には、これらの五カ所が中部圏地震防災基本戦略の中で正式に承認され、当日行われた防災担当大臣と大村知事との会談においても、大臣から地元の要望を尊重し、来年三月までには国として決定をしたいとの発言がありました。  今後、中部圏戦略会議では、五カ所の基幹的広域防災拠点候補地については早急に検討会議メンバーを固め、今年度末をめどに、例えば、倉庫や通信設備等、具体的で詳細な整備内容の詰めを行うとしています。また、広域防災拠点整備については、新たに各県ごとに検討会議を設置し、今月中にも第一回会議を開催し、今年度中には整備場所を選定する方針とのことです。  その広域防災拠点整備計画ですが、現状案では、愛知、岐阜、三重、静岡、長野の五県に広域防災拠点を二十二カ所配置し、それぞれをネットワーク化することで、災害発生直後の迅速、円滑な対応を目指すとしています。  私は、今回示された基幹的広域防災拠点整備エリアからは大きく外れた豊橋市選出でありますので、今後、豊橋、東三河地域はもとより、年々連携を深め、数年内の広域連合発足も視野に入れている三遠南信地域に広域防災拠点がどのように整備されるのかという点についても大いに関心を持っています。  そこで、今回の質問では、これから議論が本格化し、今年度中には候補地の案が決定をされる予定の広域防災拠点整備のあり方について伺ってまいります。  具体的質問に入る前に、東日本大震災発生を機に変化した広域防災拠点整備に関する基本的考え方について触れさせていただきます。  これまで国は、内陸直下型の大規模地震である阪神・淡路大震災を教訓に、都市部の市街地の大火災や交通インフラなどの甚大な被害を想定して、首都圏、関西圏の臨海部の埋立地に基幹的広域防災拠点を整備してきました。  しかし、東日本大震災で明らかになったのは、海溝型巨大地震が発生した場合には、臨海埋立地に立地する基幹的広域防災拠点は津波などにより十分な機能を果たすことができなくなる可能性が高いということです。  このことから、基幹的広域防災拠点及び広域防災拠点の整備は、臨海部での一カ所集中型ではなく、内陸部を含めた複数地区で相互に補完し合う分散配置が望ましいとの考えに変わってきています。  この変化に影響を与えたのは、東日本大震災において大変有効に機能したと評価されている岩手県遠野市の広域防災拠点であります。  先日、岩手県に伺い、実際にどのように機能したのか、また、広域防災拠点整備のあり方などについて調査を行ってきましたので、若干ここで御報告をさせていただきます。  遠野市の広域防災拠点は、津波等で沿岸部が被災した際の後方支援拠点との位置づけで、岩手県防災局長OBである現在の遠野市長が二〇〇七年に整備をされたものです。県庁のある盛岡市から沿岸部までに要する移動時間と比べて約半分ほどで移動できる距離にあり、ヘリコプターでは十分ほど、自動車でも一時間弱とのことでした。  私が、今回お話を伺ったのは、三・一一の震災時に岩手県防災危機管理監として知事を補佐し、緊急対応の実質的な指揮をとられた越野修三氏であります。越野氏は、陸上自衛隊第十三師団で作戦部長として阪神大震災の際にも神戸市で救援活動に当たられたほか、二〇〇八年六月に発生した岩手・宮城内陸地震等の災害時にも対応された貴重な御経験をお持ちの方であります。  今回の大震災も、自衛隊の活動なしには乗り越えられない大災害でしたが、その自衛隊と岩手県との調整役も務められ、円滑な連携の実現に尽力された功労者であります。現在は、岩手県庁に席を置く傍ら、これまでの経験を生かして、著名な軍事アナリストで静岡県立大学の特任教授でもある危機管理のエキスパートの小川和久氏とともに、静岡県など他県の防災対策に関してもさまざまな助言をしておられます。  越野氏のお話は、まさに実体験に基づいているわけですから、非常に具体的で説得力にあふれたものでした。この場で全てのお話の中身を御紹介できませんが、特に参考になった点にのみ触れさせていただきます。  まず、最も力説をされたのは、自衛隊との連携の重要性であります。今回の大震災では、災害史上初めて県庁の中に自衛隊災害派遣部隊の司令部が設置され、それにより自衛隊との連携が極めてスムーズに行われたとのことでした。  大規模災害が発生した場合、国内最大の組織力とマンパワーを持つ自衛隊の支援なくして対応は不可能であり、自衛隊との連携をいかに円滑に実施するかが初動対応を左右するとのお話でした。  そういう意味からも、二〇〇八年に行った自衛隊と岩手県との合同防災訓練は極めて有効であったそうです。遠野市の防災拠点を舞台に、自衛隊の東北方面隊から人員九百名以上、車両二百五十三台、航空機九機が参加した大規模な訓練だったそうで、越野氏によれば、三・一一の際には、この訓練をほぼそのまま実行すればよかったとのことでした。  ただ、岩手県と遠野市の間で防災拠点の運営システムが十分に確立をされておらず、地震発生当初は大変な苦労をされたそうです。やはり災害発生時には県主導でスムーズに防災拠点運営ができるように、市町村との徹底した事前協議や取り決めが欠かせないとも言われました。  さらに、広域防災拠点は、物資の受け入れ拠点であるだけでなく、その地域でのさまざまな調整機能の拠点ともなるため、分散させて何カ所もつくり過ぎると人の配置が非常に困難になり、コントロールできなくなるため、北海道に次ぐ面積を有する岩手県でさえも、いわゆる広域防災拠点は二カ所しか位置づけない方針であるとおっしゃいました。  中部圏全体で二十二カ所、岩手県の三分の一の面積である本県内に限っても六カ所も配置をするという現在の中部圏の整備案に関しては、その実効性に大変疑問を示されたこともつけ加えておきます。  その後に訪問した内閣府では、南海トラフ地震対策に関する国としての今後のスケジュールや、内閣府の基本方針について確認をしてきましたので、要点のみ申し上げます。  まず、今後のスケジュールですが、八月二十九日に発表された第一次被害想定に経済損失想定を加えた第二次被害想定を遅くとも今年度中には発表する予定とのことでありました。そして、来年度中には、南海トラフ地震対策大綱や応急対策活動要領を策定し、さらに、広域防災拠点の整備エリア確定も含む具体的な活動計画まで策定したいとのことであり、今年度末にまとめる予定の中部地方整備局案については、地元の要望や意見をしっかり集約して提案をしてほしいとおっしゃいました。  以上の調査を踏まえ、現状の中部圏案を見てみます。  まず、広域防災拠点の整備候補地としては、東三河地域の新城総合公園や東三河ふるさと公園、三河臨海緑地、豊橋公園、東名高速の赤塚パーキングエリア等を初めとする県内約三十カ所が例示されています。  しかし、これらの候補地には、全体の面積の割に平たんな土地が少ない公園なども含まれていますし、既に指定されている県の防災拠点との関係の整理も早急に必要です。また、例えば、三河港のように現在候補地に挙がっていない場所でも有効活用できる可能性もあり、候補地のリストアップはまだまだ十分とは言えません。その理由としては、やはり生きた情報を持っている地元自治体などとの意思疎通が現在までほとんど行われてこなかったことも一つの要因です。  ただ、幸いにして、中部地方整備局によれば、現状の整備案、つまり、愛知県内に限っても、約三十カ所の候補地の中から六カ所の広域防災拠点を決定するという方針は、あくまでも現時点での案であり、今後の三カ月で議論し、修正することは十分に可能であるとのことでありました。  そこで、一点目の質問をいたします。  現在計画されている広域防災拠点数に関しては、岩手県の越野防災危機管理監も疑問を示されましたが、いざというときに運営する拠点数として適切な数なのかという点について、再検討も必要と考えますが、いかがでしょうか、お答えください。  二点目の質問です。  広域防災拠点候補地に関する県内自治体の意向や情報を十分に収集するためには、早急に意見交換の場をつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、県境を超えた連携協議を深めることも大変に重要だと考えます。その点では、県庁の縦割り組織を超えて、今年度発足した東三河県庁ともしっかり連携し、東三河地域内のみならず、三遠南信地域も視野に入れ、最適な配置計画を立案し、中部圏の案に反映させるべきだと考えます。本県としての今後の取り組みを具体的にお示しください。  次が最後の質問です。  先ほども触れましたように、東日本大震災では、自衛隊に極めて重要な役割を果たしていただきました。中部圏でも、いざ南海トラフ大地震が発生すれば、やはり自衛隊員の皆さんに救援活動、救援物資の輸送などを初めとするさまざまな重要な役割を担っていただかなくてはなりません。  そうであるならば、豊川駐屯地や守山駐屯地などの自衛隊施設との連携シミュレーションをさらに具体化するとともに、駐屯地周辺にある演習場等の利用可能性についても、予断を挟まず、柔軟に検討すべきと考えます。このような自衛隊との一層の連携強化について、本県のお考えをお示しください。  以上、公共施設及びインフラの維持、更新に関する長期財政支出見通しについて並びに広域防災拠点整備のあり方について伺ってまいりました。県当局の前向きで明快な御答弁を期待して、私の壇上での質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 50: ◯総務部長中西肇君) まず、社会資本老朽化問題に関します本県の取り組み状況についてお答えさせていただきます。  本県では、県税収入の大幅な減少などによりまして、極めて厳しい財政状況が続く中ではございますが、老朽化した施設の改修等につきましては、社会状況の変化なども踏まえ、工夫を行いながら対応しているところでございます。  例えば、中小企業センター建てかえにおきましては、民間の資金やノウハウを活用するPFI事業により整備し、その際には、産業振興や勤労者福祉行政をめぐる状況の変化も考慮し、産業貿易館及び勤労会館の機能を同施設に集約することによりまして、両施設を廃止したところでございます。  また、老朽化の著しい愛知県心身障害者コロニーにつきましては、施設利用者の方々の地域生活への移行という観点を含めた機能見直しを行い、本県の障害者医療の拠点として再編し、そのための実施設計に着手したところでございます。  そして、県立学校につきましては、耐震化にあわせまして大規模改修も実施してございまして、また、建設部のインフラ資産につきましても、道路橋を初め、下水処理場、河川排水機場などの施設について、計画的な維持修繕や長寿命化などを進めているところでございます。  また、県の施設については、老朽化の進行とともに、今後、改修等の需要がさらにふえていくものと見込まれるために、既存県有施設の総量を縮小し、施設の効果的、効率的な利活用、保守管理を推進していくことも必要と考えてございます。  このため、現在、庁舎につきまして、今後とも活用するもの、あるいは廃止するものといった利活用の方向性を定めるとともに、集約、移転などの対応策を取りまとめた県有施設利活用・保守管理プログラムを順次策定しているところでございます。  次に、公共施設及びインフラに関する長期財政支出見通しについてでございますが、議員お示しのとおり、今後、県有施設につきまして、老朽施設が増大していくことが見込まれますので、中長期的な維持、更新の見込みを明らかにしていくことは必要であるというふうに認識してございます。  こうした中、現在、県では、全庁的な体制のもと、新たな公会計制度を平成二十五年度から導入することといたしてございまして、その中で、庁舎、学校などの建物だけでなく、道路、河川などのインフラ資産も含めました全ての県有資産について、固定資産台帳を整備してまいります。  こうした取り組みにより、個々の施設の老朽化の度合いが一定の条件のもとで把握できるようになりますので、このような基礎データのほか、施設の利用実態等も把握しながら、中長期的な見込みが明らかになるよう努力してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。 51: ◯防災局長(小林壯行君) 広域防災拠点整備のあり方についてお答えをいたします。  まず、広域防災拠点の拠点数についてのお尋ねであります。  中部地方整備局が事務局となり検討を進めております中部圏広域防災ネットワーク整備計画では、基幹的広域防災拠点のほかに、本県内に広域防災拠点を六カ所配置することとし、今後は、その六カ所において具体的な場所の選定を行うため、検討ワーキングが設置されることとなっております。  この広域防災拠点は、支援物資の集配や、自衛隊を初めとする国の広域支援部隊の一次参集拠点となる場所でありますので、例えば、愛・地球博記念公園、大高緑地など、広いオープンスペースをいざというときに活動拠点として転用できるよう、あらかじめ位置づけておくものでございます。  六カ所という拠点の数につきましては、岩手県遠野市での実績をもとに、中部圏で必要となる活動人数、物資量、面積等から中部地方整備局が算定いたしたものでございます。  今後は、検討ワーキングの場において、まずは具体的な場所の選定を行っていくこととしておりますが、そうした中で、必要に応じて六カ所にこだわることなく、本県としての考えを提案し、調整を図ってまいります。  次に、県内の意向や情報を収集する意見交換の場づくりと、三遠南信地域を視野に入れた東三河県庁との連携でございます。  今後設置される検討ワーキングの構成メンバーは、中部地方整備局、愛知県及び広域防災拠点の候補地とされている公園等の管理者で、内閣府や自衛隊等がオブザーバーとして参画する予定であります。  県といたしましては、今回の広域防災拠点の選定を行う上で、地域における意向や情報を収集し、活用することは必要なことと考えております。したがいまして、検討ワーキングとは別に意見交換のできる体制を整えるため、災害対策の方面本部である東三河総局、尾張県民事務所、西三河県民事務所等と調整を図ってまいります。  また、三遠南信地域を視野に入れた配置計画につきましては、検討ワーキングの上位会議である防災拠点のネットワーク形成に向けた検討会においては、愛知県、静岡県、長野県も構成員となっておりますので、県境を超えた全体的な調整に努めてまいります。  続きまして、自衛隊との連携強化についてであります。  南海トラフ巨大地震などの大災害時には、救援活動、救援物資の輸送活動など、自衛隊の部隊の活動は極めて重要なものと考えておりますので、自衛隊とは現在においても、災害発生時には県の災害情報センターに隊員を派遣いただくなど、情報共有に努めております。  また、自衛隊の演習場は、大規模災害発生時には自衛隊の応援部隊を展開する拠点と伺っておりますので、警察や消防など多くの応援部隊が集結する場所として活用することは、現時点では難しいものと認識いたしております。  したがいまして、広域防災拠点につきましては、公共的な施設である公園などから選定することといたしておりますが、発災時には自衛隊の活動が不可欠でありますので、自衛隊の拠点である駐屯地や演習場などとの距離等も念頭に置いて調整を図ってまいります。  なお、自衛隊は災害対応のかなめでありますので、日ごろの訓練や各種会議、意見交換の場を積極的に活用し、顔の見える関係を築いておくことが必要であると考えております。  例えば、総合防災訓練や津波・地震防災訓練では、陸上自衛隊第十師団長にも御参画いただくなど、積極的にかかわっていただいており、さらに、共同で図上訓練も実施しており、今後とも自衛隊との一層の連携強化に努めてまいります。  以上でございます。 52: ◯三十五番(浅井よしたか君) それぞれ御答弁をいただきました。残り時間もわずかでありますから、簡潔に要望を申し上げたいと思います。  まず、公共施設、そしてインフラの維持、更新に関する長期の財政支出見通しの策定の必要性についてでありますが、策定の必要性はあるということは一致した見解だなというふうに理解をさせていただきたいと思いますが、問題は、今後の進め方でありまして、見通しの策定というのは、先ほども申し上げましたが、短期間でできるものではありません。ですから、来年度から導入をされる新たな公会計制度をまず契機として、きちんとした整備をまず行っていただいて、そして、それと同時に、早急に具体的な策定プロジェクトチームを立ち上げることとか、それから、策定に向けてどれだけのスケジュールでやっていくのかということをしっかりと御検討いただいて、実際の作業に取りかかっていただきますように強く要望したいと思います。  それから、続いて、広域防災拠点整備についてでありますけれども、今の計画策定の作業の事務局は、確かに国交省の中部地方整備局でありますが、やはり本県民の生命、財産を守るために、県防災局が本当に主導的な役割を果たしていただいて、中部圏案をリードするんだと、そして、本県にとっても中部圏全体にとっても最適な案だというものを、計画を策定するために一層の御努力をお願いして、私の質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 53: ◯三十八番(川嶋太郎君) 本日はこれをもって散会し、明十二月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 54: ◯議長小林功君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 55: ◯議長小林功君) 御異議なしと認めます。  明十二月七日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時六分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...