• "五十里明"(/)
ツイート シェア
  1. 愛知県議会 2012-09-01
    平成24年9月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成24年9月定例会(第3号) 本文 2012-09-26 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 55 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長小林功君) 選択 2 :  ◯議長小林功君) 選択 3 :  ◯六十四番(酒井庸行君) 選択 4 :  ◯教育長野村道朗君) 選択 5 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 6 :  ◯知事大村秀章君) 選択 7 :  ◯六十四番(酒井庸行君) 選択 8 :  ◯議長小林功君) 選択 9 :  ◯二番(稲垣昌利君) 選択 10 :  ◯地域振興部長近藤正人君) 選択 11 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 12 :  ◯知事大村秀章君) 選択 13 :  ◯二番(稲垣昌利君) 選択 14 :  ◯議長小林功君) 選択 15 :  ◯二十一番(安藤正明君) 選択 16 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 17 :  ◯建設部長近藤隆之君) 選択 18 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長溝田大助君) 選択 19 :  ◯知事大村秀章君) 選択 20 :  ◯二十一番(安藤正明君) 選択 21 :  ◯三十九番(坂田憲治君) 選択 22 :  ◯議長小林功君) 選択 23 :  ◯議長小林功君) 選択 24 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 25 :  ◯四十八番(加藤喜久江君) 選択 26 :  ◯教育長野村道朗君) 選択 27 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 28 :  ◯四十八番(加藤喜久江君) 選択 29 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 30 :  ◯三十二番(市川英男君) 選択 31 :  ◯健康福祉部長(五十里明君) 選択 32 :  ◯産業労働部長(木村聡君) 選択 33 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 34 :  ◯建設部長近藤隆之君) 選択 35 :  ◯三十二番(市川英男君) 選択 36 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 37 :  ◯六十番(峰野修君) 選択 38 :  ◯地域振興部長近藤正人君) 選択 39 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長溝田大助君) 選択 40 :  ◯知事政策局長(石原君雄君) 選択 41 :  ◯知事大村秀章君) 選択 42 :  ◯六十番(峰野修君) 選択 43 :  ◯三十八番(川嶋太郎君) 選択 44 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 45 :  ◯副議長(澤田丸四郎君) 選択 46 :  ◯議長小林功君) 選択 47 :  ◯五十二番(安藤としき君) 選択 48 :  ◯産業労働部長(木村聡君) 選択 49 :  ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 選択 50 :  ◯総務部人事担当局長(戸田正彦君) 選択 51 :  ◯警察本部長沖田芳樹君) 選択 52 :  ◯知事大村秀章君) 選択 53 :  ◯三十九番(坂田憲治君) 選択 54 :  ◯議長小林功君) 選択 55 :  ◯議長小林功君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長小林功君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百六号議案平成二十四年度       愛知県一般会計補正予算から第百五十五号議案       公害審査会の委員の選任についてまで及び決算       第一号平成二十三年度愛知県一般会計歳入歳出       決算から決算第十七号平成二十三年度愛知県用       地造成事業会計決算まで 2: ◯議長小林功君) 第百六号議案平成二十四年度愛知県一般会計補正予算から第百五十五号議案公害審査会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成二十三年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十七号平成二十三年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  酒井庸行議員。     〔六十四番酒井庸行君登壇〕(拍手) 3: ◯六十四番(酒井庸行君) おはようございます。  きょうは、皆さん、何の日か御存じでいらっしゃいますか。昭和三十四年九月二十六日、伊勢湾台風の日でございまして、きょうはそのときとは打って変わってすばらしいお天気でありまして、暑さも和らいでまいりました。私の声も少しは和らいでまいりましたので。  ただ、政治的、経済的には大変、きょうこれから質問する教育もそうですけれども、大変緊迫したときを迎えています。  そこで、まず初めに、早速ですけれども、質問に入ります。  現在の中国情勢に対する県の対応についてであります。
     九月十一日の日本政府による尖閣諸島の国有化の閣議決定以降、中国国内では、デモなどの抗議活動が各地で発生し、一部が暴徒化し、日系の自動車販売店や、スーパー、そして日本料理店などに対する破壊行為、さらに邦人の負傷事件も発生をしております。  現在、報道等では、デモ等は鎮静化の様相を見せているようでありますが、私は、このような中国情勢について大変危惧を抱いております。  その昔、食通として知られる魯山人がこのようなことを言っております。  魚というやつはおもしろい、じっと目を離さずに見詰めているとなかなか焼けない、ちょっとよそ見をすると急いで焦げたがるとの名言を残しています。この名言のとおり、まさしく無人の領土も似ていて、豊かな海底資源を知った中国が尖閣の領有権を言い出して四十年間、日本政府は先方を刺激せぬよう、島にさわらずさわらせず、放置してきた尖閣諸島という孤島が、今、黒煙を上げ、日中関係という燃えやすい木造家屋を炎上させようとしております。  県は、日中国交正常化四十周年を記念し、九月十六日から江蘇省南京市内で開催予定の日中漫画交流事業を延期したとのことでありました。ほかの都道府県や市町村においても、さまざまな交流事業等が中止になるなど影響が出ており、これまでの日中の草の根の交流にも大きく水を差す結果になっております。また、日中国交正常化四十周年式典においても、中国より延期したいとの事実上の中止の要請がありました。  今や、中国国内における日本企業の現地法人の数は五千社を超えます。現地の売上高も三十兆円を超えます。こうした数字からも、生産拠点、市場として中国は経済的にも重要なパートナーであります。今回の反日デモ、暴動による騒乱で、工場や店舗などの日系企業が相次いで休業に追い込まれ、また、中国政府が既に経済制裁に踏み込んだ動きの一つとして、日本製品に対する通関検査を強化するなどし、部品の調達がおくれるなどの経済的影響は甚大であり、今後さらに拡大することが予想されます。  九月二十日に、日本自動車工業会会長であり、トヨタ自動車社長であります豊田章男氏も定例記者会見にて、日本の自動車の一部販売店で建物や展示車が放火されたことに対して、見るにたえない、自分の体が痛められるのと同じだ、単に日系ブランドというだけで、残念と悔しさをにじませ、自動車にかかわる全ての人々の情熱が踏み潰されたと率直な意見を述べられておられました。その上で、これまでパートナーである多くの中国の友人と一緒に成長してきたと思っている、一日も早い事態の収拾を願っているともコメントされております。  そもそも、今回、このような日中関係、中国情勢に陥った背景には、国内総生産(GDP)で中国が日本を抜き、世界第二位となるなどの経済的力関係の変化や、安全保障の面においてもアメリカが中国を意識し、アジアを重視するなど、幾つかの理由があると私は考えます。  こういった問題に対しては、外交力、経済力、防衛力などを合わせた国の総合力の回復なくして問題の鎮静化はないと思います。今の民主党政権では期待できないのは周知の事実であります。  せめて政府には、外交面においてもちろん我が国の主権をしっかり主張し、挑発をせず、挑発に乗らず、あおらず、そして決然と対応をし、平和国家として自負を堅持しつつ、諸外国の日本への支持を膨らますなど、毅然とした態度で外交に挑むことが実に大切であります。そのことを強く望むものであります。  また、外交は国の専権に属するものとはいえ、地方が中国と直接的、間接的に産業・経済活動、文化交流活動などで独自の取り組みを行われている現在、地方も中国問題に一定の見識を持った上で、必要があれば声を上げていかなければなりません。  こうした状況を受け、大村知事にお伺いをいたします。  知事は、常日ごろから世界と闘える愛知・名古屋をつくると言われ、世界に目を向けておられると思います。知事として、現在の中国情勢、日中関係をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。  次に、愛知県の教育に対する取り組みについてであります。質問の中身は、いじめ問題と少人数学級の効果についてであります。  昨今発覚しました滋賀県のある市と言いましょう。具体的な市の名前を出すことは、私としては控えたいというふうに思います。  いじめによる生徒の自殺事件を発端に、次から次へと全国各地でいじめが発覚し、今や深刻な社会問題になりつつあります。今回の議会においても、我が自民党は代表質問にてお尋ねをいたしました。  今回の滋賀県のいじめ問題は、これまでのいじめ事件と最も異なる点は、刑事事件として捉えていることであります。この事件で初め学校側は、いじめではない、けんかだというコメントをいたしました。文部科学省は、一九八六年、いじめを自分より弱い者に対して一方的に身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻的な苦痛を感じていることと定義していました。  しかし、二〇〇六年に、いじめとは、児童生徒が一定の人間関係がある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているものと変更されたのでありますが、補足として、けんか等を除くと記載をされております。  学校側のいじめではなくけんかだというコメントは、いじめとして認めたくないための言い逃れのように聞こえますが、この定義を正確に理解するならば、学校は子供たちに、他人に精神的な苦痛を与えることはいじめであり、犯罪とも呼べる行為であることをきちんと教えるべきであると思います。  いじめにより未来ある若い人の命が絶たれるということは、まさしく悲劇という以外の言葉しか見当たりません。また、いじめた生徒においては、自分のことは針で刺されば痛いと騒ぎ、他人にやりを突き刺しても平気でいるという、まさに傍若無人の振る舞いであり、厳しく対処していく必要があります。そうした事態を受け、各地方自治体や学校がいじめ対策に取り組み始めました。  岐阜県可児市においては、いじめ防止条例案を市議会に提出、条例で定めようとしております。また、三重県伊賀市においては、市民百三十三人をいじめ問題相談員に選び、子供や親の相談に乗り、学校や市教育委員会に伝えるなどの独自の取り組みを始めました。こうしたいじめ対策は、あの手この手と各地で展開をされております。  先日、健康福祉委員会の視察で訪れました福岡市のこども総合相談センターえがお館は、ゼロ歳から二十までの子供や保護者を対象に、子供に関するいじめ、虐待、心理ケアなどの諸問題に対して、保健、福祉、教育、警察の各分野が同センター内に配置されており、互いの連携がその場ででき、総合的、専門的な相談、支援を行う機関でありました。  さらに、教育相談部門では、スクールソーシャルワーカーを一部の学校区へ増員し、子供の抱える問題について、子供自身だけではなく、その取り巻く環境にも働きかけ、包括的な支援活動を行っておられます。  私の調査によれば、そもそもいじめは一九八〇年代後半から社会問題になってきたように思います。状況といたしましても、子供の自殺が大きく報じられると、各自治体の教育委員会が実態把握に力を入れ、文部科学省の調査件数もふえますが、日がたつと意識が薄れ、また事件が起きるという繰り返しで今日に至っているというふうに思います。  文部科学省の調査によれば、二〇一一年度中に全国でいじめと確認された件数は約七万件に上るそうであります。  では、そもそもいじめを引き起こす要因は何なんでしょうか。これについては、教育評論家や学識経験者の中でも実にさまざまな意見が出されております。価値観の多様化による子供の生活環境の変化や、学校と親との信頼関係の希薄化、ゆとり教育による弊害、教員の質の低下など、多岐に及んでおります。  また、一方、戦後から一貫して教育の均質化の名のもとに、国、文部科学省主導で行われてきた教育体制による教育制度のほころびとも捉えることができると思います。  私は、こうしたいじめ問題への対応についても、県教育委員会が現在まで積極的に取り組んできているということは承知をしておるつもりであります。そして、今後においても、県教育委員会がどのように市教育委員会と連携をし、いじめ問題に対応していくかが重要であると考えます。  こうした状況の中、平成二十五年度の予算に向けて、県教育委員会として積極的な施策を講ずることが必要であると考えます。  そこで、県教育委員会は、いじめ問題への対応をどのように考えておるのか、また、深刻ないじめ問題に対してどのような対策をとっていくつもりなのか、教育長にお伺いをいたします。  ここで、少し少人数学級についても触れます。  この九月六日付で文部科学省から公表されました少人数学級の推進など計画的な教職員定数の改善という資料では、いじめ問題への効果的な取り組みの一つとして、少人数学級の導入が挙げられておりました。少人数学級の実施は、不登校やいじめの減少はもちろん、学力の向上にもつながると考えます。本県における少人数学級の効果について、どのように考えているのかをお尋ねしたいと思います。  次に、こうしたいじめ問題に対して、県や市の教育委員会のみならず、警察も積極的に対策を講じていかなければなりませんと私は考えます。  交通事故、防犯対策なども大変重要でありますが、これからお尋ねをするいじめ、児童虐待、DVへの警察の対応も、人の命を守る上では警察としての役割は重要でありますので、質問をさせていただきます。  そこで、警察本部長にお伺いをします。  現在、県警にいじめに対応している相談窓口はどのようなものがあるのか。また、相談件数は何件あるのか。いじめ事件についてどのように対応するのか。また、警察として事件性があると判断されるようないじめを認めた場合、県警としてどのように対応していくのか。そして、現在、警察と学校との連携はどのような状況にあるのかお伺いをします。  次に、児童虐待とDV(ドメスティック・バイオレンス)についてお伺いをいたします。  児童虐待とは、家庭内で我が子に暴力を振るったり、また、食事を与えないなど、大変残酷な問題であります。中には、虐待が原因で子供が死亡するなどの痛ましい事件が連日のようにニュースとして取り上げられております。  この九月六日付の警察庁の発表においても、ことしの一月から六月までの上半期において、児童虐待を事件として対応したのは、全国的に昨年同期比に比べ六二%増の二百四十八件と、過去最多の件数だそうであります。  しつけの一環として親が子供に対したたくなどして指導することは、親としての責任かつ務めであり、愛情のあらわれでもあります。  しかし、そのしつけが行き過ぎることが問題であって、虐待としつけの境界を判断することは大変難しいことは事実であります。  もちろん、虐待を受けている子供がSOSを発信することができれば対応はできるのでありますが、やはり何よりも必要なことは、子供たちを周りにいる大人たちが温かく見守る社会、地域を構築することこそが虐待防止を減らすことにつながると私は思います。  また、DV事件(ドメスティック・バイオレンス)については、夫婦間での暴力、言葉自体はよく耳にいたしますが、児童虐待やストーカー事件と同じように報道されているのを私は余り目にした記憶がございません。  子供がいる夫婦では、夫の暴力が妻だけではなく子供に対しても及ぶことも考えられます。特に子供に暴行等が及んだ場合は、虐待として整然と保護するなどの緊急的な対応が必要だと思っております。  そして、夫婦間の暴力についてもDVとして世間で認識されつつありますが、事件として余り取り扱われない理由があるのではないかと考えます。DVが原因で児童虐待やいじめが起こることも多いと考えます。  まず、そこでお伺いをいたします。  児童虐待について、警察として把握する主な方法、また、把握した件数、そして、警察が児童虐待を把握した場合の対応について、もちろん児童相談所と連携した対応が重要だと考えますが、その連携はどのようになっているのか。  そして、警察の相談窓口にはDVの相談は実に多いと聞きます。DVの相談件数は年間何件ぐらいあるのか。また、実際に法律に基づいて措置したようなケースが何件あるのか。警察は、配偶者からの暴力が行われていると判断した場合、どのような対応をされるのか。夫婦間の暴力ということからなかなか難しい問題だと思いますが、どのように対応されるのか、以上についてお伺いをいたします。  以上で私から、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 4: ◯教育長野村道朗君) いじめ問題への対応と深刻な事案への対策についてお尋ねをいただきました。  いじめは、どの学校、どの学級でも起こり得る問題であると認識をいたしておりますので、ささいないじめも見逃さず、早期発見に努め、早期対応を図ることが基本であると、このように考えております。  このため、県教育委員会では、これまでも市町村教育委員会に対しまして、全ての小中学校でいじめ・不登校対策委員会を設置し、全校体制でいじめの早期発見、早期対応に努めるよう指導をしてまいりました。また、いじめを未然に防止する教育ももとより大切でございますので、子供たちに思いやりの心や正義感が育まれるような学級をつくるための教師用指導の手引を作成し、周知に努めてきたところでございます。  しかし、残念なことに、早期発見できずに長期間にわたり金品を要求されていたケースや、早期に対応しても、当事者同士の感情がもつれて解決に至らなかったケースなど、市町村教育委員会や学校だけでは対処することが難しい深刻ないじめの事案も幾つかございました。  こうした深刻ないじめにも的確に対応していただく必要がございますので、県教育委員会といたしましては、今後、国の動向についての情報収集にも努めながら、青少年の問題行動に高い見識を持つ専門家や、警察官、弁護士等を活用した学校支援の方策などを検討してまいりたいと考えております。  今後とも、いじめ問題につきましては、市町村教育委員会、学校としっかりと連携し、その対応に努めてまいります。  次に、少人数学級の効果についてもお尋ねをいただきました。  県教育委員会では、毎年度、少人数学級の効果を把握するためにアンケート調査を実施しておりますが、本年度の調査では、学習指導上の効果としては、つまずきへの素早い対応や、授業中の発言、発表の増加など、また、生活指導上の効果といたしましては、児童生徒の悩みや訴えへのきめ細かな対応、トラブルへの的確な対処などの項目におきまして、小中学校から高い評価を得ているところでございます。  県教育委員会といたしましても、少人数学級の実施により、学習、生活の両面において、一人一人の状況に応じた指導を行うことが可能であり、児童生徒の学校生活への円滑な適応を促し、基礎的、基本的な学習内容の定着等を図ることができると、このように考えております。  その一方で、少人数学級には少人数に応じた指導方法の工夫改善の必要性や、多人数で活動する経験の不足等の課題もあると認識をいたしております。  したがいまして、今後ともこうした課題への対応を図り、また、具体的な効果の検証も行いながら、少人数学級の効果をさらに高めてまいりたいと、このように考えております。 5: ◯警察本部長沖田芳樹君) いじめなどに対する警察の対応等についての御質問にお答えいたします。  まず、いじめに対応している相談窓口ですが、県内の少年サポートセンターに置かれたヤングテレホン、被害少年相談電話や、警察署の少年係といったものがございます。これらの窓口を通じて、少年や保護者の皆さんからいじめの相談を受理しており、その相談については、相談者の意向に沿って学校へ連絡するなど、問題の解消を図るとともに、相談者への継続的なカウンセリングを実施しております。  こうした形で警察で受理した相談件数は、本年八月末現在で百十七件となっております。  続いて、いじめに対する警察の対応についてでございますが、先ほど申し上げました相談対応に加えて、警察署の少年係やスクールサポーターが学校を訪問するなどして先生方と連携を図りながら、いじめなどの問題の発見に努めております。  次に、事件性があると判断されるいじめの対応につきましては、法にのっとり、厳正に対処することを基本方針としておりますが、その際には、被害少年や保護者の意向、学校における対応状況等を踏まえながら必要な事件化を図るなど、少年の境遇に応じた最善の措置をとってまいります。  続いて、学校との連携についてであります。  これまでも学校側に対して前兆段階から警察に情報を提供いただき、問題を共有して早目に対応を行うことができるよう努めているところですが、本年七月には、昨今の状況を踏まえまして、県教育委員会に対して積極的に警察に連絡するよう、改めて申し入れを行ったところでございます。  今後も、学校警察等連絡協議会やスクールサポーターを通じた情報交換を積極的に行い、いじめの問題に適切に対処してまいります。  次に、児童虐待事案についてですが、警察として把握する主な方法につきましては、児童虐待は家庭内で行われますことから、外部から発見することが困難であるという問題点があるため、学校、病院、児童相談所等の関係機関との連携や、民生委員、地域の方々からの通報、あるいは事件に際して児童を保護する場合など、さまざまな警察活動を通じて把握するように努めております。  これらを通じて、認知件数は、本年八月末現在四百二件で、過去最多の昨年同期より百三十一件増加いたしております。  児童虐待事案を把握した場合の対応についてでございますが、児童の安全の確認、確保を最優先として、まず、児童を保護し、事案に応じて、虐待行為者の検挙や、児童相談所へ一時保護を求めるなど、関係機関への通告、連絡を行っており、これらの件数も過去最多となっております。  続いて、児童相談所との連携についてですが、県の児童相談所に警察官OBを配置するとともに、名古屋市の児童相談所に警察官を派遣し、本部及び警察署と児童相談所との連携強化を図っております。  さらなる連携強化を図るため、今後は児童相談所と立入調査、捜索などの合同訓練も行い、児童虐待事案に適切に対応してまいります。  次に、DVの相談件数についてでございますが、平成二十三年中は千百八十六件となっております。これらの事案への措置につきましては、加害者の検挙八十三件、指導、警告二百十六件の計二百九十九件、被害者の保護対策などと合わせて千八百七十五件実施いたしております。  また、平成二十四年八月末では、相談件数は千四十二件で、これらの事案への措置につきましては、加害者の検挙五十七件、指導、警告三百一件の計三百五十八件、被害者の保護対策などと合わせて千六百八十五件を実施しており、いずれも前年に比べて増加いたしております。  次に、警察が配偶者からの暴力が行われていると判断した場合の対応についてでございますが、加害者に対しては、傷害などの犯罪に該当する場合には積極的な事件化を図り、それに至らないものは指導、警告を行っております。  また、被害者に対しては、例えば、あらかじめ被害者の電話番号を登録して、一一〇番をすれば警察がすぐに対応できるなどの保護対策を徹底いたしております。  次に、DV事案の問題点を踏まえた対応についてでございますが、当事者が同居する夫婦であり、将来の生活や子供の養育への不安から、被害申告や避難をちゅうちょするケースもございます。  私どもといたしましては、被害者の安全確保を念頭に置き、被害者に危険性を十分に説明した上、シェルターなどへの避難を説得したり、被害届が出されない場合でも積極的に事件化を図り、行為者を隔離することといたしております。  いずれにいたしましても、DV事案につきましては、地域住民の方々や関係機関との連携を密にして、被害を未然防止するため、組織を挙げて迅速かつ的確に対応してまいります。 6: ◯知事大村秀章君) 酒井庸行議員から、現在の中国情勢、そして日中関係についての質問をいただきました。  このたびの日本政府による尖閣諸島の国有化に端を発したデモ活動などなどにつきましては、今、鎮静化をいたしておりますが、一方で、日系企業に対する通関検査強化の動きや、また、日中間の航空旅客や観光客も激減するなど、その影響は広範囲かつ長期にわたるということを危惧せざる得ない状況になっていると思っております。  特に、この関係でいきますと、本県を初め、中部・北陸地域が一体となって、東海から北陸にわたる南北の観光ルートを昇龍道というふうに名づけまして、中国、台湾などの中華圏の方々をターゲットに、地域を挙げて観光インバウンドを強力に進めようとしているときだけに、大変残念でならないというふうに思っております。  また、本県からは、自動車関連産業を初め、多くの企業が中国に進出をしております。現段階で約四百七十の企業が中国国内で千の拠点、事業所を設けて活動しているわけでございまして、日本の中でも、東京に次いでかもしれませんが、相当大きなウエートがあるわけでございます。  そういった中で、日系企業の臨時休業とか、日本製品の不買の動きなどによりまして、中国国内での生産の減少や、日本車のシェアの低下などなどが懸念をされているわけでありまして、今回の日中関係の悪化が本県の産業経済に与える影響というのを、これも危惧をし、大変憂慮をしているということでございます。  そういう中で、本県におきましても、日中国交正常化四十周年を記念いたしまして、この九月の半ばに、日中漫画交流事業という形で、三十二年間にわたる友好提携、姉妹提携をしております江蘇省さんと連携をして、私自身も南京に行って、この漫画交流事業をやろうということであったわけでありますが、残念ながら、江蘇省と相談した上で延期という形にさせていただきました。  ただ、漫画そのものと額装したものを全部もう南京に送ってありますので、これは必ず近いうちに実施したいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、日中両国政府におかれましては、速やかに事態の沈静化と収拾を図って、日中関係の基本である戦略的互恵関係を確認した上で、関係正常化と日中友好促進に取り組んでいただくよう強く要請をしていきたいというふうに考えております。  なお、昨日、名古屋で中国の国慶節の祝賀会及び日中国交回復四十周年の祝賀会というのが開かれました。私も出席をして、挨拶をさせていただきました。  会合には、日中投資促進機構の会長であります豊田章一郎会長、それから、名古屋商工会議所の高橋会頭、また、東海日中貿易センターの深谷会長を初め、経済界の方、また、愛知県日中友好協会の後藤会長を初め、日中関係の団体の方、そしてまた、県議会からも澤田副議長さん、そして、日中友好議連の倉知会長さん、そしてまた、塚本県議を初め、多くの皆さんにお越しをいただきました。  その際、私、挨拶させていただいたんですが、いろんな日本側、中国側の主張は、あえて私、きょうはもう触れませんと。ただ、略奪と破壊行為、この暴動は現代文明社会においてあってはならないことだと、極めて遺憾であり、残念だということを申し上げました。  そういうことでありますけど、ただ、しかしながら、きのうの会合は、きょうここにお集まりいただいている皆さんは、これまでも日中友好に御尽力をいただいた方であり、また、これからも日中友好の促進にお力を尽くしていただく方々だというふうに思っておりますと、私自身も、国会議員のときからを含めて、日中友好について全力で取り組んできましたと。  だから、きょうここにおられる方みんな思いを共有して、今の試練を乗り越えて、日中関係の正常化、そして日中の友好の促進に取り組んでいきましょうということを申し上げさせていただきました。  こういう時期の祝賀会でありましたので、当初、私も複雑な気持ちで参りまして、何となしに最初は非常にかたかった、場の雰囲気もかたかったわけでありますが、やはり日中の友好促進に同じ思いを持つ者、方々の集まりということで、会が始まれば非常に打ち解けて、じゃ、我々、前へ向けてやっていこうという思いになったというふうに私は認識をいたしております。  そういう意味で、議員も御指摘のように、日中関係は、これは日本にとっても愛知県にとっても大変大事な関係だと思いますので、これからもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、また何とぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。 7: ◯六十四番(酒井庸行君) 要望をさせていただきたいというふうに思います。  今の知事のほうから御答弁をいただきました。お言葉にあったように、日中問題は長期化するという傾向にあるだろうと。そして、愛知県には四百七十社以上の企業も中国に出ているということを考えたときには、愛知県の経済、もちろんそれがイコール日本の経済にもつながるのでありましょうけれども、非常に危惧をするというお話でありました。私もそう思います。  その意味では、先ほど質問したときに、これは国の専権という部分があるけれども、直接的に、間接的に話をしている愛知県としては、やはり知事はその上に立って、アンテナを張って、しっかりと見詰めておいてほしいというふうに思いますので、ぜひともそのことをお願いしておきたいというふうに思っております。  そして、警察でありますけれども、警察の方々も本当にいろんな事案を含めて、交通問題もそうですし、いろんな形であらゆる事件に対応していかなければならないというふうに思っておりますけれども、今回、中国問題といじめ事件を取り上げました。
     これは、今の大変大きな問題でありますし、ということで取り上げたわけでありますけれども、警察というのはやはり、相談する人は、警察なら助けてくれるだろうという思いが強いだろうと思います。児童相談所、あるいは学校、いろんなところで相談してもなかなかというときがあったときには、警察なら何とかしてくれるだろうという思いが強くてそこに行くんだろうと思います。  特にDVなんかは物すごい件数ですね、千六百何件という数がありました。このことを考えると、先ほども申し上げましたけれども、警察の役割というのは非常に大きいというふうに思います。いろんなところで警察の対応が悪かったという話を聞きます。  このことはなかなか難しい状況でありましょうけれども、各署、あるいは警察の人たちに本部長からしっかりお話をしていただいて、本当に一つの命が助かるということになります、また、助からないということになってしまいますので、ぜひともお願いをしておきたいというふうに思っております。  そして、教育長のほうに御要望します。  いじめというのは本当に、先ほど申し上げましたけれども、大変憂慮すべき事態が起きているというふうに思います。  ここで、いじめ対策についての外国のケースを一つ御紹介いたします。  スウェーデンでありますけれども、法律で、校内で働く職員は、ある生徒がほかの生徒を侵害するような行為に対しては絶対に阻止しなければならないというふうに定めておるそうであります。そして、学習指導要領に当たる学習プランにも、校長は、いじめ対策プランを作成する責任があるといった具体的なことが書かれているということであります。  そして、アメリカでは、三十二州以上でいじめ防止法が定められておりますし、日本にもこんな意見もあります。  日本では、文部科学省が八月一日に、子ども安全対策支援室を設置しました。これだけでは不十分だということで、いじめ対策基本法を作成するべきではという意見があるそうであります。これも私はいいことだなというふうに思います。  条例などで基本法をつくれば、全国の学校で取り組むことにつながると私も考えています。そして、教師がいじめを知っていながら知らぬふりをすることが最悪なことだというふうに私も思いますし、これは教師の現場の人から聞きました。  教師にとって最も重要なことは、彼らが、現場が言うことは、重要な役割というのは、勉強を教えることはもちろんであるけれども、何よりもまず、生徒たちの生活の様子を把握することだというふうにおっしゃっていました。私もそのとおりだと思います。  そのために必要なことは、教師が生徒たちの様子を見抜く嗅覚というものを養わなければならないというふうにもおっしゃっておられました。  教師は、経験を積めば教えることというのは当然のごとくうまくなっていくわけでありまして、こうしたことから考えたときに、いじめ問題という対策に対しての根本的な解決ということを考えたときに、生徒たちの生活の様子を見抜くという嗅覚を養うための養育指導というか、教師養成教育というものに取り組んでみたらどうかなというふうに思っています。  以上で質問を終わりますけれども、それぞれ教育委員会、警察を含めて、いじめに対しての問題というのは非常に皆さんが注目をしておりますし、命ということにかかわってきておりますので、ぜひともそのことを心がけていただいて、対策をしていただきたいというふうに思っております。  終わります。 8: ◯議長小林功君) 進行いたします。  稲垣昌利議員。     〔二番稲垣昌利君登壇〕(拍手) 9: ◯二番(稲垣昌利君) 西尾市選出の民主党、稲垣昌利でございます。  ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問させていただきます。  まず、一つ目に、自治体クラウドの推進について質問いたします。  これまでも議会で取り上げられてまいりましたが、これから行政の効率的な運営を実現するに当たって、特に重要な課題であると考えておりますので、いま一度取り上げさせていただきます。  まずもって、自治体クラウドとはどういうものであるのか。コンピューターの話は専門家でないと難しいとお考えの方もおみえになると思いますので、まずは簡単に説明させていただきます。  総務省の資料によりますと、自治体クラウドとは、自治体がシステムのハードウエア、ソフトウエア、データなど、外部のデータセンターにおいて保有、管理し、ネットワークを経由して利用することができるようにする取り組みであり、複数自治体でシステムを共同化することによる割り勘効果、災害に強いシステムの構築等が実現できるというものであります。  これまでのシステムは、それぞれの自治体が所有するものから利用するものへと考え方を変え、さらに共同化や集約化によりコスト、業務を削減して、行財政運営の効率化を実現して、浮いたコストや資源を住民向けの新しいサービスに再投資するということであると理解しております。  この自治体クラウドは、平成二十二年七月に総務省が地方自治体業務に対してクラウドの導入を促進することは、行政コストを大幅に圧縮し、実質的な業務の標準化の進展を図るとともに、住民サービスの向上のための電子自治体の確立、我が国経済の活性化、国際競争力の向上の観点から喫緊の政策課題であるとして、総務大臣を本部長とする自治体クラウド推進本部を立ち上げました。  その結果、自治体クラウドの取り組みが注目されることとなりましたが、このクラウドを取り巻く環境も少しずつ変化をしてきておりますので、自治体クラウドへの取り組みがなぜ必要なのか、なぜ今取り組まなければならないのか、私なりに整理したものをお話しさせていただきます。  事の発端は、情報システム関連経費の高どまりに対応するため、システムを共同利用することにより割り勘効果によるコストの削減を図ろうというもので、総務省が事業を始めた平成十五年度ころには、まだクラウドという言葉が一般化しておらず、電子自治体業務の外部委託による共同アウトソーシング事業という形で実現しようとしていたものです。  その後、通信環境やクラウドに必要な仮想化、分散化といった技術の進展、データセンターの充実などによりクラウドという概念が広く浸透し、自治体クラウドこそがコスト削減に効果的であるということで、総務省による実証実験や自治体クラウド推進本部の設立などがされました。  次に、二つ目の重要な要因として、情報セキュリティー対策です。  インターネットやスマートフォンなど、モバイル端末の普及と歩調を合わせるようにサイバー攻撃が頻繁に発生するようになり、さらに、サイバー攻撃自体も高度化し、そのことが社会問題化してまいりました。  そこで、自治体が個々に対応していくのはコストと労力がかかり困難であるため、セキュリティー対策が施されたデータセンターを利用するクラウドが有効な手段とされました。  三つ目は、災害対策であります。  一年半前に発生した東日本大震災の衝撃的な映像が頭から離れませんが、地震や津波等からデータの消失、機器の損傷を免れ、業務を継続するためには、災害に強いシステムを構築する必要があります。  そのための方策の一つとして、堅牢なデータセンターの利用、遠隔地でのバックアップ保管が有効だと考えられます。  さらに、もう一つ、今後発生するであろう制度改正への対応策としても有効であると考えます。  特に喫緊の課題として、マイナンバー関連法案に対応するため、システムの大規模な改修が必要になります。国政の影響等もあり、不透明ではありますが、継続審議となったマイナンバー関連法案が可決されますと、住民記録、税、福祉など、幅広くシステムの改修が必要となります。  情報システムの改修を制度改正時期に間に合うよう効率的に、確実に、そして安価に実施するためには、標準のパッケージをカスタマイズせずに共同で利用していくことが最も有効な手段であると考えます。  これまでも制度が変わるたびに多くの自治体が、時には国の補助を受けながら、それぞれが抱える情報システムを多額の経費をかけて改修してまいりましたが、自治体クラウドに移れば、クラウドサービス事業者がパッケージを改修することで大半の対応が完了可能となります。また、経費がかかるような改修があったとしても、割り勘効果により単独よりも安く対応できることになります。  さらに、自治体の中には、職員の削減により情報関係職員が一、二名しかいない団体が県内でも幾つかあるように聞いております。こうした自治体においては、システムを維持することだけでも大変なことであり、システム改修を行っていくことは困難でありますし、できたとしても業者の言いなりになってしまうことが考えられます。こうした自治体において、自治体クラウドこそが情報システムを安定稼働させる唯一の解決策であるとかたく信じております。  これまで述べてきたようなことから、私は、県内の自治体においても、自治体クラウドを積極的に推進していくべきと考えます。  こうした中、愛知県では、県と市町村でつくるあいち電子自治体推進協議会において、自治体クラウドの推進を進めていると聞いております。  昨年度末に協議会で策定されたあいち自治体クラウド推進構想を拝見しましたところ、目標として、愛知県内の各自治体がみずからの事情に合った自治体クラウド方針を策定し、最も効率的なタイミングで実現して、IT経費の縮減及び災害対策の強化を目指すとなっております。  政令指定都市の名古屋市は別格としても、愛知県内には、二千人未満の自治体から三十万人以上の中核市まで、大小さまざまな自治体があることから、各自治体の自主性を尊重している点が特徴として挙げられると考えますが、自主性だけではなかなか実現が難しいものだと思っています。  共同化に当たっては、幾つかの市町村が集まる必要がありますので、まず、その枠組みづくりが必要ですし、複数自治体間の意見を調整して、一つに集約することも必要となりますが、その労力は相当なものになると考えられます。  これまで個々の市町村が単独で行っていた調達や運用を共同で行うためには、参加自治体間でシステムを標準化し、事務作業を共通化しなければなりませんし、費用の分担割合など、新たに自治体間でルールを設ける必要も生じます。また、システムを利用する現場の職員に対しても共同利用の考え方を周知し、標準のシステムに手を加えない、いわゆるノンカスタマイズの必要性を十分に認識してもらうことが必要です。  これらのことを考えますと、自治体クラウドを推進することは市町村だけで簡単にできるものではなく、県の積極的な関与が必要であると考えます。  そこでお尋ねをいたします。  県内市町村の自治体クラウド推進に対して、県はどのように取り組んでおられるのか、その進捗状況を含めてお伺いいたします。  また、県と市町村では、その役割、業務の違いもあり、県内市町村との共同化は難しいと思いますが、自治体クラウドは、市町村だけでなく愛知県庁にとっても有効で、積極的に推進すべき事項だと考えますので、県庁の情報システムにおけるクラウド化への取り組み状況についてもお聞かせください。  続きまして、重度障害者の地域生活支援について質問いたします。  重度の障害のある方が安心して地域生活を送るためには、医療的ケアを含めた地域での基盤整備が不可欠であり、このことにつきましては、私は、ことしの二月、県議会の議案質疑において、コロニーの再編整備とあわせて質問をいたしましたところです。  県では、三月に、障害のある人が多様な福祉サービスを積極的に活用しながら、自立した生活を営み、さまざまな形で社会参加や自己実現を図るための支援を進めることを目的として、第三期愛知県障害福祉計画を策定されました。この計画策定により、障害のある方が地域で安心して生活していくための施策が一層推進されることを期待するものです。  また、国の動きとしては、本年四月からは、障害者や高齢者に対し、介護職員がたんの吸引などの医療的ケアを将来にわたって安定して実施できるよう法制度が整備されました。  この法律の整備により、今回、介護福祉士の養成カリキュラムが改正され、平成二十七年度以降は、国家試験に合格し、実地研修を受ければ、たんの吸引を行えるため、そうした介護職員は増加していくこととなりますが、障害者施設の現場では、それまで待てない状況にあるという声も聞いております。  障害者の施設において、看護師以外にたんの吸引等が行える介護職員が確保されているということは、施設としての受け入れ体制としてはもとより、在宅で介護している御家族が病気になった場合など、重度の障害のある方を安心して預けられる施設や事業所などが身近な地域にあるという点からも、障害者の地域生活支援対策として大変重要なことであると考えます。  さらには、本年六月に、国において新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備として、いわゆる障害者総合支援法が制定、公布され、平成二十五年四月一日から一部が施行されることとなりました。  この法律においては、全ての障害児及び障害者が可能な限りその身近な場所において、日常生活を営むための必要な支援を受けられることが基本理念として掲げられたところであり、重度の障害児、障害者において、地域での生活が続けられるよう支援していくことの必要性が一層高まったと言えます。  しかしながら、重度の障害のある方々が地域で生活していくことは容易なことではありません。医療的ケアを含め、一人一人の障害の状態に応じたきめ細かい対応が求められるものであり、看護師等による医療的ケアが必要となる場合もあれば、家族やヘルパーなどによる介護において同様な医療的ケアを必要とする場合もありますが、日常的に医療的ケアが必要であるからという理由で、重度の障害のある方の地域生活や社会生活が取り残されることは許されません。  重度の障害を持つ方々の親御さんたちは、可能な限り地域でともに暮らしていきたいと願うものです。また、障害のある方自身も、いかに障害が重くとも、地域で個人として尊重され、医療的ケアや将来に不安を感じることなく生活していくことを望んでいるのです。  そのためには、居宅介護や生活介護、さらにはショートステイといった在宅生活を支えるさまざまなサービスの充実と、身近なところで日常的な医療的ケアが受けられる体制の整備がぜひとも必要となります。  一方、より濃厚な医療的ケアを必要とする重症心身障害児・障害者に対しては、医療と福祉の一体的な支援が受けられる施設が存在していることが、御本人にとっても、御家族にとっても将来にわたり安心を与える重要な柱であります。  そこでお尋ねをします。  県として、医療的ケアを必要とする重度障害者に対する地域生活の支援について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  最後に、愛知こどもの国について質問をいたします。  愛知こどもの国は、県政百周年を記念する事業の一つとして、昭和四十九年に設置された大型の児童遊園であります。園内には、こども汽車、ゴーカート、動物広場、芝生広場、プール、キャンプ場、ハイキングコースなど、さまざまな設備、遊具が設置されており、子供が自然の中で伸び伸びと遊ぶことができる施設であります。  建設時の基本計画を調べてみますと、建設の趣旨について次のような記載がございます。  建設当時は、急速な経済開発や都市化の進展により児童の良好な環境が少なくなっていた。地域の児童遊園など小規模な遊び場の整備は促進されていたが、豊かな自然の中での大型の遊び場は整備されていなかった。そのため、大型で自然を中心とした児童遊園として愛知こどもの国が設置されたとあります。  また、開園当時の写真を見ますと、中央広場付近にマイクロバスが列をなし、小学生による音楽パレードやマラソン大会などが開催されており、非常ににぎわっていた様子がうかがえます。  私自身も、愛知こどもの国をたびたび訪問させていただいております。太陽の光のもとで緑の大地を子供たちが元気よく走り回る姿を目の当たりにするたびに、愛知こどもの国のよさを実感しております。  しかしながら、少子化の進展、競合類似施設の増加、子供の遊びを取り巻く環境の変化、施設の老朽化などにより利用者数は減少を続けております。それでも年間三十万人以上の利用者があり、なくてはならない施設であると認識をしております。  このような中、県は、廃止を視野に入れてあり方を見直すべきという論点を平成二十三年八月に示し、さらに、十二月に策定した重点改革プログラムでは、施設全体の廃止も含めて検討し、改革案をまとめるとされました。  廃止を視野に入れてあり方を見直すべきという論点が示され、県民に意見を募集したところ、五十四件もの意見提出があり、ほとんどの意見が存続を希望するものでありました。  ここで、幾つかの意見を紹介させていただきます。  地域住民としては、なくてはならない大切な施設だと認識している。廃止を含む云々ではなく、存続を含むという前向きな検討をお願いしたい。旧幡豆町をPRする施設がなくなり、陸の孤島となりかねない。  昨年一年間、こどもの国主催の自然を楽しむ会に家族四人で参加した。ふだん家では体験できない貴重な体験をして、とても楽しい会だった。そんな遊びを通しての体験がいろいろできるこどもの国が廃止されてしまうのはとても残念である。市の財産、県の財産としていつまでも残すことを心より望む。  山から海も見えるなど、景色もよく、自然がいっぱいで、ほかにこんなに広い自然の中で遊べる場所はなく、廃止になるのはとても残念でならない。動物園やSLなど、人件費や整備、取りかえにお金がかかるというのであれば、それは廃止でもかまわない。どうかあさひが丘のように大自然の中で一日遊べるようなすばらしい施設は残していただきたいといった意見が寄せられました。  さらに、平成二十三年十月には、地域の周辺の住民の方一万五百七十九名から存続を求める署名が提出され、地元住民にとっても施設の廃止はとても受け入れることができないものであります。  一方、施設の地元である西尾市は、現在策定中の第七次西尾市総合計画において、愛知こどもの国を観光拠点の一つに位置づけており、児童の健康と情操教育の場として必要不可欠な施設であるため、当初は、施設全体の廃止、規模縮小は受け入れられず、引き続き県による適正な維持管理を要望しておりました。その後、市は、単に廃止は受け入れられないとの主張にとまらず、施設の存続のために具体的な提案を県に対して行っております。  また、地元住民からも存続を求める声は多く、その中で、地元から教育関係者や企業家を中心とした構成員により指定管理者となり得る運営団体が立ち上がり、より効率的な運営を図っていく旨の提言書が県に提出されました。市みずからもこの団体を支援し、愛知こどもの国の活性化を図っていくので、ぜひこの団体を指定管理者とされたいというものであります。  市は、各種行事を愛知こどもの国で開催するなど、集客に貢献していくとしているので、私からも市に対し、積極的に県や指定管理者と連携を図り、施設の活性化に努めるよう働きかけをしたいと思っております。  このように、地元としても、県に要望するだけでなくみずから汗をかくものでありますので、県も昭和四十九年にこの地を選んで、大型の児童遊園を設置した趣旨を考慮し、いま一度、愛知こどもの国をよくする方向で考えていただければと思います。  そこでお尋ねをいたします。  地元は、廃止ではなく何とか残してほしいとの意向でありますが、現在の検討状況はどのようかを伺います。  続きまして、利用拡大に向けた取り組みについて伺います。  愛知こどもの国には、こども汽車、ゴーカート、プール、キャンプ場などのお金を払って利用する施設がありますが、これら有料施設の利用者は、昭和六十一年度をピークに減少を続けており、近年の利用者数はピーク時に比べて約四割となっております。少子化の影響もあると思いますが、地元の人間としては寂しい限りです。  今回の見直しで、人件費の削減や設備投資を控えることなどによって将来負担の軽減を図り、施設の存続が図られたとしても、利用者がさらに減少することになれば、近い将来、再び廃止の問題が浮上することになります。行革の俎上にのった以上、将来負担の軽減は仕方ないと思います。しかし、経費節減だけでなく利用者増による施設の活性化を図っていかなければなりません。  そのためには、いかに愛知こどもの国の魅力を打ち出していくかであります。遊具や設備の更新が簡単にはできないという状況の中で、ソフト面の魅力、すなわち、多くの方に行ってみたいと思わせるようなおもしろいイベントが年間を通して開催されることが重要です。そうしたイベントを開催する中で、設備投資に回せるお金が生まれる仕組みができるのであれば一石二鳥であります。  現在でも、桜まつり、秋まつりの二大イベントを初め、週末の学校休校日を中心にさまざまなイベントが開催されていることは承知しております。  ところが、そうしたイベントのほとんどは小規模なもので、愛知こどもの国のにぎわいづくり、集客の面では苦戦しているのが実情ではないかと思います。  そうした中で、地元では、ことし二月にライオンズクラブが親子植樹会を開催し、五月には、愛知県植樹祭に合わせて、西尾市が旧幡豆郡三町との合併一周年記念イベントを実施いたしました。  両イベントとも大村知事にも御出席いただき、御自身のこどもの国での思い出話などをお聞かせいただいたことを覚えております。おかげさまで、いずれも大盛況でありました。  また、来年、西尾市制六十周年に当たります。現在、記念行事の開催を地元の青年会議所などが検討し、市にも働きかけていく予定であると聞いております。  このように、地元は、愛知こどもの国を盛り立てていこうとする意欲と、そのためのいろいろなアイデアを持っております。ただ、それを実現しようというときに、県や指定管理者から児童厚生施設であることなどを理由に断られてしまいますと、地元の熱意も一気にしぼんでしまいます。地元では、開園当初のにぎわいは無理でも、そのころに次ぐにぎわいを実現したいと切に願っております。  そこでお尋ねをいたします。  施設を存続するためには、利用者増による施設の活性化が不可欠であります。もちろん、地元からもさまざまなアイデアを出していくつもりではありますが、利用拡大に向けた県の考えを伺います。  以上、三項目についてお尋ねしましたが、明快な答弁をお願い申し上げ、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 10: ◯地域振興部長近藤正人君) 自治体クラウドの推進についてのお尋ねのうち、まず、県内市町村におけるクラウド化に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。  議員御指摘のとおり、自治体クラウドは、IT経費の削減、セキュリティーや災害対策の強化の面だけでなく、システムの大幅な改修を伴う法改正への対応においても有効な手段であると考えております。また、今後、社会保障と税の一体改革の議論が進むに伴い、さまざまな制度改正が予想されますことから、少しでも早くクラウドへ移行することが望まれます。  このため、現在、県と県内市町村で構成いたしますあいち電子自治体推進協議会、これにおきまして、各市町村が速やかにクラウドへ移行できるよう自治体クラウド推進支援事業を行っております。
     この事業では、住民記録、税、福祉などの業務を中心に、人口規模、地域性、既存のシステム環境などを考慮して県内市町村を八つのグループに分け、それぞれのグループにおいて、クラウド化に向けた研究、検討を進めているところでございます。  この中で最も取り組みが進んでいる東三河地区のグループでは、豊川市を初め五市町村が、自治体クラウド化の最終段階であります共同利用システムの選定、これを来月に行い、平成二十五年度以降、順次クラウドに移行する予定となっております。また、他の市町村につきましても、各グループごとで共同利用に向けた検討を進め、本年度内にはクラウド化方針を決定していただくこととしております。  県といたしましては、この事業を進める中で、システムの一般的な更新サイクルであります五年を目途に県内の市町村がクラウドに移行できるよう積極的に支援をしてまいります。  次に、県庁におけるクラウド化に向けた取り組みについてでございます。  一般に、県と市町村では、その役割、業務の違いからシステムの共同化は困難と言われており、また、都道府県同士においても、それぞれに規模の差や特徴がありますことから、各県が独自で開発を進めているのが実情でございます。  本県におきましても、県内市町村や他の都道府県と共同でシステムやデータセンターを利用するクラウド化ではなく、本県単独のクラウド化、いわゆる庁内クラウドの導入を目指しております。  こうした方針のもと、現在、大型コンピューターで稼働しております福祉や統計などの業務システムを、平成二十三年度から三カ年でクラウド技術を用いた共通サーバーシステムに移行する事業を進めておりまして、来年度末には大型のコンピューターを廃止する予定であります。これにより、平成二十六年度からは年間運用経費がクラウド移行前に比べて三〇%以上削減されるものと見込まれております。  また、このほかに、安全対策の観点から、大規模地震に備えまして、平成二十二年度に自治センター内に最新の技術を用いた免震の床や、七十二時間連続給電が可能な自家発電設備を備えたサーバー室を新設するなど、防災への備えの強化も着々と進めているところであります。  県といたしましては、今後とも、情報化の総合指針、あいちICTアクションプラン二〇一五の最重点施策であります自治体のクラウド化、これを実現するため、県内市町村及び県庁のクラウド化を計画的に推進してまいります。 11: ◯健康福祉部長(五十里明君) 初めに、重度障害者の方々に対する地域生活支援に関する御質問にお答えをいたします。  本県では、障害のある方が身近な地域で安心して生活できるよう、本年三月に第三期愛知県障害福祉計画を策定し、障害のある方の支援体制の整備に取り組んでいるところでございます。  この計画に基づきまして、障害のある方がどの地域においても重度訪問介護や居宅介護、生活介護といった必要なサービスが利用できるよう、NPO法人など多様な事業主体の参入を進め、サービス提供体制の充実を図っております。  特に、医療的ケアを必要とする重度の障害のある方を介護される御家族にとりまして、いつでも利用できる短期入所を確保することは、地域生活を続けるための重要なセーフティネットと考えております。  このため、県単独施策として、障害者支援施設に看護師等を配置するための経費を助成し、介護体制の充実を図りますほか、心身障害者コロニーや第二青い鳥学園の再編整備にあわせ、短期入所の病床を拡充することにいたしております。  さらには、心身障害者コロニーなどの専門機関が中心となり、地域の医療機関との間に医療ネットワークを構築し、重度の障害のある方の在宅医療を支えてまいります。  一方、本年六月に成立した障害者総合支援法に、常時介護を要する方に対する支援や、重度訪問介護の対象者の拡大などが盛り込まれたことは、たんの吸引などの医療的ケアに関する法整備とあわせまして、重度の障害のある方への支援を一層後押しするものと、そのように考えております。  県といたしましては、こうした国の流れも踏まえ、第三期の障害福祉計画を着実に推進することにより、医療的ケアを必要とする重度の障害のある方の地域生活を支える体制をしっかりと構築してまいります。  続きまして、愛知こどもの国に関する御質問にお答えをいたします。  まず、現在の検討状況についてであります。  愛知こどもの国は、昭和四十九年の開園以来、県立大型児童遊園として、本県の児童健全育成の推進に大きな役割を果たしてまいりました。  しかしながら、競合類似施設の増加や、施設の老朽化に加え、少子化の進行もあり、利用者数が減少し、あり方を見直すべき時期に来ております。  そうしたことから、行革大綱に係る重点改革プログラムにおいて、施設全体の廃止、地元移管、施設の一部廃止、一部地元移管、またはその他将来負担の軽減策も含め検討する、そのように位置づけられたものであります。  これを受けまして、地元である西尾市とはあり方についての協議、調整を行ってまいりましたところ、本年三月に地元団体が指定管理者となり、より効率的な運営と施設の活性化を図っていくので、引き続き県立施設として施設全体を存続してほしい旨の提案、要望がなされました。  県といたしましては、この提案、要望を真摯に受けとめ、現在、西尾市を初めとした関係者と精力的に協議、調整を進めているところであります。  今後とも、西尾市などと十分に意見交換の上、愛知こどもの国の今後のあり方について検討を進め、改革案をまとめてまいりたいと、このように考えております。  最後に、利用拡大に向けた県の考えについてであります。  愛知こどもの国は、百ヘクタールの広大な敷地にゴーカート、こども汽車などの乗り物、遊具や、プール、キャンプ場などを備える児童厚生施設であり、中学生以下の子供とその親から成る家族が主な利用者となっております。  これまでも利用拡大に向けた取り組みといたしまして、地元関係者とのあり方検討準備会議での提案をもとに、地元の県立鶴城丘高校の助言を受けて、花マップウォーキングを季節ごとに開催したり、名鉄こどもの国駅からのアクセスの改善を図るため、年間を通じた土日、祝日の送迎予約サービスを実施いたしております。  このように新たな取り組みも進めているところでありますが、子供のみの利用を想定した施設では利用者の拡大は難しく、施設利用を誘導するためには、若者や中高年をターゲットとして、子供を囲んで多様な世代が楽しめる取り組みも必要と考えております。  そうした中で、地元からは、あらゆる世代の集客が期待できるイベントといたしまして、音楽コンサートや市民駅伝大会の開催などの提案をいただいているところであります。  県といたしましては、愛知こどもの国のあり方の検討を進める中で、重要なポイントとなります施設のさらなる利用拡大の可能性や具体的な方策について検討してまいります。 12: ◯知事大村秀章君) 自治体クラウドの推進につきまして、私からもお答えをいたします。  市町村の自治体クラウド化は、情報システム上の市町村合併とも言えるものでありまして、市町村におけるIT経費を削減しながら、情報システムのセキュリティー対策や災害への備えが強化をでき、さらには、法改正への円滑な対応が可能となるなど、市町村経営上、大変有意義な事業だというふうに考えております。  しかしながら、この事業を成功に導くためには、システムの共同化が鍵となります。市町村は、これまで独自のやり方で独自のシステムを構築してきておりまして、複数の市町村で共同利用する新たなシステムに移行するための課題を当事者である市町村の皆さんだけで調整するというのはなかなか難しいのではというふうに考えております。  したがいまして、県といたしましては、こうした課題の解決に当たって、調整役として主体的に関与し、その役割を十分に果たすことで、県内市町村の円滑かつ速やかなクラウド化を目指し、進めていきたいと考えております。  以上です。 13: ◯二番(稲垣昌利君) 今、それぞれ御答弁いただきましたが、最後に御要望を申し上げたいと思います。  まず、自治体クラウドの推進についてでございますが、コストの削減、情報セキュリティー対策、災害対策、制度改正への対応策として、県庁のみならず県内市町村のためにも、今の大村知事の大変心強い御答弁のとおり、ぜひとも推進をしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  重度障害者の地域生活支援についてでございますが、知事のマニフェストの中で、障害者福祉施設の充実として、障害者福祉事業の愛知発ビジネスモデルをつくるとされており、並々ならぬ意気込みを感じ、期待をしております。  県有地等公有地を最大限活用して、民活で障害者福祉施設、事業所、グループホーム、ケアホームを四年で倍増させるということも明記をされております。  施設の拡充はもちろんのこと、人材の育成というのも大変重要なことであります。先ほど申し上げたたんの吸引の研修事業でも、愛知県は、受講者に高額な費用負担がかかります。東海北陸六県においては、無料で実施している県も多数あり、人材の育成に積極性が、そういったところは積極性が見られます。指導看護師の研修も含めて、研修実施の回数、費用など、より多くの方が受講しやすい環境を整えていただきたいと思います。  最後に、愛知こどもの国についてですが、ここは先ほど申し上げました県政百周年を記念する事業として、既存の自然環境を最大限に活用し、快適に子供たちが享受できる形で自然をつくり出すことを前提条件として、心身の健全な育成を促進できる環境をつくることを理念として開設されました。  愛知県は、二〇〇五年の愛・地球博、一昨年のCOP10、そして二〇一四年に開催される国連ESDの国際会議の開催地です。この会議は、ユネスコと政府が主催しまして、人類と環境の共生を探る教育活動の普及を目指すものであります。  近年、万博ですとか、COP10、ESDと、環境をテーマに継続してきた愛知県ですが、かつてその自然環境を最大限に活用しようとして選んだこどもの国という地を決してなくしてはいけないと思っております。  開設されたときの意義なども考えますと、廃止を視野に入れるなどではなく、愛される施設としていかに残して活用していくかを考えるべきだと思います。  例えば、県主催の各種行事の会場として利用したり、また、県の教育委員会としても、学校が行う野外活動実習の場などとして利用を促すなど、具体的な利用拡大策を施設所有者である県にも考えていただきたいと思います。  以上、三点の要望を申し上げまして、私の質問を終わります。 14: ◯議長小林功君) 進行いたします。  安藤正明議員。     〔二十一番安藤正明君登壇〕(拍手) 15: ◯二十一番(安藤正明君) 通告に従いまして、三点質問をしてまいります。  まず初めに、交通安全対策についてお伺いをいたします。  県庁の西玄関には、交通事故死亡者数の全国順位を記載した掲示板が設置してありますが、きょうもその掲示板を確認したところ、昨日現在百六十人、昨年対比プラス八人、愛知県は、残念ながら一番上のワースト一位の欄に掲示されておりました。  県警の目標は百九十人以下となっておりますが、残りあと三カ月、目標達成には非常に厳しい状況にあると考えますが、少なくとも昨年より一人でも多く交通事故の犠牲者を減少させるように強く強くお願いしてまいります。  交通事故抑止には、安全教育などソフト面の対策も重要と考えますが、交通安全施設の整備などハード面の整備も非常に重要だと考えます。  当初予算では、信号機の設置や標識、標示について、十分配慮された予算の編成をしていただきました。しかし、町なかでは、横断歩道の標示がかすれていたり、道路標識が日にやけるなどして色あせてわかりづらい箇所があったりします。また、事情があるにせよ、歩行者用信号機が整備されていない交差点も見受けられます。  自民党県政調査会でも申しましたが、私の地元の中学校に隣接した交差点では、歩行者用の信号機がないため、毎朝、校長先生が交差点で生徒の安全を見守っております。歩行者用信号機が設置されることによって、とうとい命が救われることが多くあるのではとも思っております。命の大切さを考えると、そのための予算も惜しむべきではないとも思ったりもします。  交通事故が多発する原因にはさまざまなものがあり、交差点内での運転者の安全不確認など、不注意による事故が最も多く、標識や標示の劣化が多発の大部分を占めているとは決して考えておりません。が、横断歩道が摩耗したり、とまれ標示が消えていたり、標識が薄くなったりすることが事故の要因の一つになっていることもあるのではないでしょうか。  さらに、道路において、交通ルールを運転者に示す手段というのが標識や標示であると考えますと、その役割を果たしている標識や標示が劣化等により薄くて見えにくくなってしまっているということは、運転者側の見落とし、交通ルールを守ろうとする気持ちの薄れにつながってしまうのではないでしょうか。  私自身、交通安全施設の整備というハード面の対策も重要だと認識しておりましたので、機会を捉えて、理事者側の交通安全施設整備についての考え方を質問してまいりました。また、我が自民党県議団も、交通事故の抑止対策には、やはり交通安全施設の整備が重要であるとの判断から、知事に積極的に交通安全施設の整備の要望もいたしておりました。  その結果、今回、補正予算では、道路標識や道路標示の更新事業の交通安全施設整備費として九千七百十九万七千円の予算が計上されました。県の財政状況が厳しい折、知事におかれましては、交通事故防止に対する交通安全施設の整備について、その必要性を理解していただき、予算の配分に御尽力していただいたことには感謝しております。  県警本部におかれましては、引き続きこれらの予算を効果的に活用し、痛ましい交通事故による犠牲者を一人でも多く減らしていかれるようお願いいたします。  そこで、警察本部長にお伺いします。  厳しい財政状況の中、多額の事業費を必要とする交通安全施設整備のうち、特に道路の標識、標示をどのように計画的に進めていかれるのか、また、今回上程されている補正予算を効果的に活用するため、どのような方針で整備されていく予定なのかお伺いします。  次に、名古屋港の防災対策についてお伺いします。  東日本大震災の発生を受けて、県では地震防災対策の見直しに取り組んでおり、その中で新たな地震被害の予測調査を実施しているとお聞きしていますが、先月二十九日、これに先立ち、国は、南海トラフの巨大地震による津波高や浸水域、そして、死者数や建物被害などの被害想定を公表しました。  愛知県の最大のケースでは死者数が約二万三千人となり、これは平成十五年に国が三連動地震で想定した約千九百人の約十二倍となるなど、これまでの想定をはるかに上回る推計結果となっております。  津波について申し上げますと、田原市で二十二メートル、豊橋市で十九メートル、伊勢湾や三河湾の沿岸では、南知多町で十メートル、西尾市や美浜町では七メートルの津波高となることが示されました。このうち、名古屋市港区の想定では、平成十五年の想定二・八メートルの約一・七倍に当たる最大五メートルの津波高となっております。  このような従来の想定を上回る推計結果を受け、私は、全国最大の取扱貨物量と貿易額を誇る我が国経済を支える物流拠点であり、また、背後に暮らす多くの県民の生命や財産を守る防災施設を有する名古屋港における防災機能の強化をハード、ソフトの両面からなお一層しっかり進めていく必要があると考えます。  特に高潮防波堤は、鍋田堤、中央堤、知多堤から成る全長七・六キロメートル、高さ約五メートルの防波堤であり、防潮壁や防潮扉とともに、背後地を浸水から守る名古屋港の津波・高潮対策のかなめとなる防護施設であります。  しかしながら、昭和三十四年に襲来した伊勢湾台風の被害を二度と繰り返すことのないように整備された高潮防波堤は、完成から約五十年が経過しており、施設の老朽化が進んで、防波堤の表面のコンクリートが剥離し、鉄筋が露出している箇所や、経年的な沈下が見られるなど、地震、津波への対応力が懸念されております。  東日本大震災においては、東北各地の港湾で地盤沈下が発生しましたが、国土交通省が三月に出した試算では、東海・東南海・南海の三連動地震が発生した場合、名古屋港の高潮防波堤でも二メートルから三メートル沈下する可能性があるとされております。  最近の新聞報道によりますと、現在、国土交通省において、南海トラフの地震、津波による推計結果との整合を図りながら、大規模地震に伴う沈下や津波への対策工法を決定した上で、二〇一四年度までの工事完了を目指して、本年度中にかさ上げ工事などに着手するとされております。  県としても、津波、高潮から県民の生命や財産を守り、この地域の産業活動の継続を図るため、名古屋港管理組合と連携して、早急に高潮防波堤の強化が図られるようしっかり取り組んでいただくようお願いします。  さて、昨年十一月議会でも質問いたしましたGPS波浪計についてであります。  南海トラフの巨大地震をめぐる本県における被害想定では、津波による犠牲者は、最悪の場合、六千四百人とされていますが、地震発生後、すぐに七〇%の人が避難したという想定では、半分以下の二千九百人になるとされております。速やかな避難の徹底により津波による死者は大きく減らすことができるわけです。  GPS波浪計は、大規模地震が発生した際、津波をいち早く正確に観測することができ、港湾を含む沿岸域での迅速かつ安全な避難に大変有効であります。全国で十五カ所に整備される中、愛知県の沖合には設置されていなかったのですが、昨年度、地元を挙げての要望の結果、国の第三次補正予算で、高知県室戸沖、宮崎県日向沖とともに伊勢湾口への新設が決定され、設置に向けた調査・設計費が予算化されました。  調査・設計費の内容や運用の見通しについては、設置場所の検討、調査とあわせて、ブイ本体、観測機器や通信システムなどの設計に着手する予定であり、本格運用までには設置後一年間の試験期間が必要との答弁をいただきました。そして、今年度予算において、GPS波浪計の設置工事費が措置されたと聞いておりますが、いつ起きてもおかしくない大規模地震による津波被害を軽減するため、一日も早い運用の開始が望まれております。  そこでお伺いします。  GPS波浪計の設置に向けた現在の進捗状況はどうなっているのかお伺いします。  また、名古屋港は、コンテナ貨物、バルク貨物、そして完成自動車を取り扱う総合港湾であり、未曽有の被害をもたらした伊勢湾台風や二度のオイルショック、百年に一度と言われた世界同時不況など、幾多の難局を乗り越えながらほぼ一貫して拡大を続けてきたことから、埋立地における産業活動の集積が非常に大きく、私の住んでいる弥富市においても、弥富埠頭や鍋田埠頭があり、完成自動車や中国・アジア向けコンテナ貨物の輸出入のため、約百五十の事業所で約二千五百人が働いております。四市一村にまたがる名古屋港全体で見れば、約千百の事業所で約三万五千人もの人々が働いております。  そこでお尋ねをいたします。  これら埋立地で働く人々を津波からがっちり守る必要があると考えられますが、県としてどのように取り組まれるのかお伺いをします。  最後に、海部地域の防災対策について伺います。  私の地元海部地域では、古くは江戸時代から木曽三川が運んだ肥沃な土砂が河口に堆積してできた干潟を堤防で囲い、新田を生み出す干拓事業が盛んに行われ、徐々に海岸線を沖へ沖へと延ばしていきましたが、その一番先にあるのが弥富市の鍋田干拓です。  鍋田干拓は、戦後の食糧増産と失業救済を目的に、農林省の国営事業として昭和二十一年に着手され、三十一年に締め切り堤防が完成、三十四年には入植後初めての実りの秋を迎え、順調なスタートを切ったかに思われたやさき、伊勢湾台風に見舞われました。  先ほど酒井議員からもお話がございましたが、伊勢湾台風は、昭和三十四年九月二十六日に紀伊半島に上陸した後、翌二十七日にかけて愛知県、三重県を中心に東海地方を襲いました。台風による猛烈な暴風雨と高潮は、関西線、近鉄線が至る所で水没し、どこが海か陸か見分けもつかないほどに大きな傷跡を残し、五千九十八名もの方が亡くなられたという、台風によるものとしては最も被害の大きい災害です。  弥富市には、この大災害で亡くなった方々の霊を慰めようと、昭和三十八年に立てられた伊勢湾台風殉難之塔がありますが、その碑文には、風速四十五メートルの烈風と五メートル三十一の高潮が渦巻く濁流の暗闇に、親を呼び、子を求める悲鳴もむなしくと当時の惨状を今に伝えています。  このとき、鍋田干拓には入植者の家族を含めて三百十八名の方が住んでおられましたが、このうち百三十三名の方が亡くなられ、農地ばかりか住宅まで流されるなど、壊滅的な被害を受けました。  私は、伊勢湾台風後の昭和三十七年生まれです。当時の状況は、地元の方のお話や新聞記事、写真などを通じてしかその状況を承知しておりませんが、亡くなられた方の中には、新しい命を宿していた女性が三十八名もおられたことなどを聞くにつけ、本当に胸が痛みます。  本日は、伊勢湾台風襲来から五十三年目を迎えることとなります。この場をおかりして、犠牲となられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。  余りに被害が甚大であったため、被災直後は、もはや干拓地をもとに戻すことは不可能と思われましたが、当時の農家の熱い思いが国、県を動かした結果、台風が襲来した翌三十五年には、災害復旧事業により伊勢湾台風並みの高潮に再び襲われても耐えられるような高さと構造を持った海岸堤防が復旧され、干拓地再生への第一歩が始まっています。  この伊勢湾台風という試練を乗り越えた鍋田干拓では、新たな問題が生じました。それは地盤沈下です。  地盤沈下は、昭和四十年代の高度経済成長期に地下水の過剰取水により加速的に沈下が進行し、昭和四十九年の愛知県公害防止条例による地下水揚水規制を契機に鎮静化したものの、鍋田干拓内の最も低いところでは地盤標高がマイナス二・四メートルとなるなど、海部地域に日本最大の海抜ゼロメートル地帯を生じさせる原因となりました。  この結果、伊勢湾台風後に復旧された鍋田干拓の海岸堤防は、干拓地を守る農地海岸としてだけではなく、海抜ゼロメートル地帯である海部地域を津波や高潮から守る最前線として重要な使命を負うこととなったのです。  先月二十九日に国の中央防災会議が公表した南海トラフ地震による被害想定の中でも最悪のケースでは、愛知県内の最大死者数が二万三千人に上るという衝撃的なものでした。この中で、海部地域については、地震により海岸や河川の堤防が沈下するなどした場合には、ほとんどの地域が二メートル以上浸水してしまうとの想定となっていますが、一方で、鍋田干拓の海岸堤防を含め、防波堤、防潮堤が機能すれば、浸水被害は限定的であるともコメントされています。  しかし、鍋田干拓の海岸堤防は、伊勢湾台風後の復旧工事で高潮対策に主眼を置いた構造でつくられたため、大規模地震の発生を想定しておらず、特に地盤の液状化が心配される海部地域では、津波が来る前に堤防が崩壊し、たちまち浸水してしまうのではないかと大変心配しているところです。  さらに、海抜ゼロメートル地帯では、降雨はもちろんのこと、常時の排水についてもポンプに頼らざるを得ないため、海部地域には約百三十カ所の農業用排水機場がその役目を担っているところですが、その中でも、鍋田干拓最南部にある鍋田南部排水機場は、最前線である鍋田海岸と一体となって、農地はもちろんのこと、住民の生命と財産を守るまさに地域の生命線として最も重要な防災施設の一つとなっています。  私は、これまで土地改良施設の管理運営に長年携わってきており、排水が川や海に自然に流れ出ることのない地域にとって、排水機場はまさに命綱であることを実感しているとともに、長年運転を続けて老朽化した排水機が機嫌を損ねるとうまく動いてくれないなど、耳にするたび、排水機場の維持管理や、補修、修繕、更新がいかに重要であるかを身にしみて感じているところです。  鍋田南部排水機場は、昭和五十年に運転を開始して以来三十七年にわたり、地元の土地改良区による小まめな補修や修繕を怠ることなく大切に使ってきたため、いざというときに動かないというようなことはないものの、その排水能力は運転開始当時の約六割と大幅にダウンしており、心もとないのが現状です。
     ところで、先月八月十四日にJAあいち海部鍋田支店集出荷場では、愛知県内で最も早く収穫されるあいち米の初出荷式が行われました。鍋田で育ち、艶もあり、甘くておいしいと評判のあきたこまちは、六月ごろの低温によりやや生育がおくれぎみでしたが、梅雨明け以降の高温と日照りに恵まれ、順調に生育し、おおむね平年並みに収穫ができたとのことです。  当日は試食会も行われましたが、伊勢湾台風、地盤沈下など多くの試練を乗り越え、これまで鍋田の農業を守ってこられた皆様に感謝しながら、私も新米でつくったおにぎりを三つ、そのおいしさを堪能させていただきました。  このように農業が頑張っている一方で、鍋田地域はもともと名古屋市に近く、平成十二年に伊勢湾岸自動車道の湾岸弥富インターが開通したことも契機となり、さまざまな企業の物流センターが進出し、産業、交通の要衝として飛躍的に発展を遂げています。  こうした発展に伴い、現在の海部地域の人口は約三十三万人と、伊勢湾台風が襲来した昭和三十四年当時の二倍以上となっています。  昨年の東日本大震災や、気象庁がこれまでに経験したことのないようなと表現した本年七月に九州地方で発生した一時間に百二十ミリを超えるような記録的な集中豪雨などの大災害が各地で頻発する中で、仮にこれまで経験したことのないような大規模地震や集中豪雨が海部地域を襲ったときに、最前線の海岸堤防や農業用排水機場が機能しなければ、伊勢湾台風とはレベルの違う極めて大きな被害が出るものと思われます。  そこでお尋ねいたします。  東海・東南海地震など大規模地震の発生が危惧される中、鍋田海岸を守る海岸堤防については、現在、耐震対策工事が実施されているところですが、この事業の全体計画と事業内容、進捗状況についてお伺いします。  次に、鍋田地域を浸水被害から守る主力として頑張ってきた鍋田南部排水機場の能力低下が著しいことから、現在、湛水防除事業鍋田二期地区で更新工事が進められており、一日も早い完成が待たれるところですが、この工事の進捗状況と、新たな排水機場が稼働できるのは何年度になるのかお伺いをいたします。  以上で壇上からの私の質問を終わります。(拍手) 16: ◯警察本部長沖田芳樹君) 交通安全施設の整備についての御質問にお答えいたします。  まず、標識、標示の計画的な整備について申し上げます。  本県は、道路標識や標示の現有数が全国で最も多い中にあって、耐用年数を超え、劣化が進んでいるものも多い現状で、これらを全て更新いたしますと多額の予算が必要となりますことなどから、一度に全てを整備することは困難であると考えております。  そこで、私どもでは、緊急性や必要性を判断しながら、腐食や磨耗など劣化の著しい道路標識等から優先して整備しているところでございます。  また、耐用年数が従来の二倍となる標識柱を導入したり、交通規制をきめ細かく見直して、標識、標示を削減するなど、安全施設の計画的な維持管理に努めております。  次に、補正予算の活用方針でございます。  このたびの補正予算については、交差点における交通死亡事故の抑止と、通学路における交通安全の確保のための道路標識及び標示の整備を行うことといたしております。  具体的には、交差点における死亡事故抑止では、本年上半期中に死亡事故を含め人身事故が多発した交差点の道路標識等を整備するものでございます。  また、通学路対策では、五月に実施いたしました通学路の緊急点検結果をもとに、標示の薄れた横断歩道や、老朽化した標識を整備するものであり、今後ともより安全な交通環境の整備に努め、交通事故による犠牲者を一人でも多く減らしてまいりたいと考えております。 17: ◯建設部長近藤隆之君) 名古屋港の防災対策について、二つの御質問をいただきました。  初めに、GPS波浪計の設置に向けた現在の進捗状況についてでございます。  GPS波浪計につきましては、波浪計からの電波を受信する陸上局は、田原市伊良湖町の伊勢湾海上交通センターに、また、波浪計は、その沖合二十五キロメートルの地点に設置することが決定されております。  この八月からは、平成二十五年度早期の設置を目指しまして、システム設計及び機器製作などに順次着手しているところで、設置後は、機器やシステムの調整に必要な約一年の試験運用期間を経て、本格運用される予定となっております。  また、これまでは中部地方整備局管内に設置されている三重県尾鷲沖と静岡県御前崎沖のGPS波浪計の波高や潮位などの情報が気象庁に提供され、津波情報に役立てられておりましたが、今回の伊勢湾口への設置にあわせて、本県などへの観測データの伝達や、その活用の方策についても検討が行われることとなっております。  本県といたしましては、GPS波浪計の一日も早い運用を国に働きかけるとともに、県民の迅速かつ安全な避難に役立てるため、観測データの市町村への提供など、その活用を国初め関係機関と調整してまいりたいと考えております。  次に、埋立地で働く人々を守る取り組みについてでございます。  埋立地は、防潮堤や防潮扉などの外側にあり、津波や高潮の影響を受けやすいため、そこで働く企業の従業員や観光客などの避難対策は重要な課題となっております。  現在、名古屋港においては、港の入り口で津波や高潮の勢いを弱め、埋立地への被災を軽減する高潮防波堤の機能強化、迅速かつ安全な避難に役立つ伊勢湾口へのGPS波浪計の設置や、避難路となる臨港道路などの施設整備が進められているところでございます。  また、関係行政機関と学識経験者で構成する名古屋港管理組合防災計画検討会を設置いたしまして、県が進めている地震動や津波高などの予測や、被害想定を踏まえた新たな防災計画を各市町村の計画と整合を図りつつ、策定することとしております。  本県といたしましても、名古屋港の防災施設の整備推進に努めるとともに、検討会の委員として、埋立地で働く人々の避難対策について、積極的に検討してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 18: ◯農林水産部農林基盤担当局長溝田大助君) 海部地域の防災対策に関しまして、二つの農地防災事業についてお尋ねをいただきました。  まず、鍋田干拓の耐震対策事業でございますが、全長七キロメートルの鍋田海岸堤防につきまして、平成七年度に調査いたしましたところ、現行の耐震基準である震度五程度の地震があった場合、七キロメートルのうち四・一キロメートルの区間で液状化による崩壊の危険性が判明いたしました。  このため、平成八年度より、国の補助事業である海岸整備事業と、法人事業税超過課税を財源とする県単独の緊急海岸整備事業をあわせて工事を進めており、平成十四年度からは、あいち地震対策アクションプランに位置づけ、事業の一層の推進に努めております。  この工事内容でございますが、地震時に液状化のおそれがある堤防直下の軟弱地盤層約十四メートルに、締め固められた砂を柱状に圧入して地盤の強度を増し、液状化を防止するサンドコンパクションパイル工法により実施しているところでございます。  工事の進捗状況でございますが、対策延長四・一キロメートルのうち、昨年度までに二・九キロメートルを実施し、本年度は事業費二億一千二百万円で〇・二キロメートルを施工することとしておりまして、本年度末に全体延長の約四分の三まで進捗する予定でございます。  なお、本事業は、国の現行の耐震基準に基づき震度五程度の地震を対象に対策を進めておりますが、平成十二年に国の耐震基準が一部見直され、発生確率は低いけれども、大きな被害が想定される一定の巨大地震において、津波が堤防を乗り越えないか照査することが盛り込まれましたので、これに基づいて東海・東南海の連動地震について検証いたしましたところ、堤防は一部沈下するものの、想定される津波が乗り越えることはない結果となっております。  次に、鍋田南部排水機場の更新工事についてでございます。  鍋田南部排水機場は昭和五十年度に設置され、以来三十七年間にわたり、海部地域南部の排水対策を担ってまいりました。しかしながら、海抜ゼロメートル地帯にあるため、使用頻度が非常に高く、老朽化による機能低下も著しいことから、平成二十二年度から県営湛水防除事業によりまして、新しい排水機場につくりかえる更新工事を進めているところでございます。  これによりまして、毎秒約七立方メートルに低下している排水能力を毎秒十一立方メートルに向上させ、地盤沈下にも対応した設計としております。  この事業の進捗状況でございますが、昨年度までに排水機場を支える基礎ぐいや吸水槽などの下部工事を終えまして、本年度は事業費二億二千五百万円で上屋建築やポンプ、電気設備などの主要工事に着手しております。  本年度末の進捗率は、事業費ベースで四四%となる予定でございます。また、新たな排水機場の稼働は平成二十六年度を予定しております。  議員お示しのとおり、海部地域の最前線にある海岸堤防や排水機場は、海部地域の防災対策に極めて重要な役割を果たしておりますので、今後ともこれらの施設の着実な整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 19: ◯知事大村秀章君) 名古屋港の防災対策につきまして、名古屋港の管理者である私からもお答えをさせていただきたいと存じます。  東日本大震災では、広範囲の港におきまして、岸壁や航路、コンテナターミナルなどが被害を受けて、我が国の海上物流ネットワークが寸断をされ、甚大な経済損失をこうむる結果となりました。  南海トラフの巨大地震の発生が危惧される中、名古屋港には、大規模地震時における緊急物資の輸送の拠点として、また、生産、物流の拠点として、本県のみならず日本経済全体を支える重要な使命があるわけでありまして、事前の防災対策により被害を最小限にとどめ、被災直後から港湾機能を速やかに回復させていかなければならないと考えております。  このため、高潮防波堤の機能強化や耐震強化岸壁の整備、海岸堤防の耐震対策を進めるとともに、防災計画の見直しを行い、津波からの避難対策などをしっかりと位置づけていきたいというふうに考えております。  さらに、国、港湾管理者を中心に関係者が連携をいたしまして、港湾機能の応急復旧から回復まで、時間軸に沿った港湾の業務継続計画の策定を進め、災害に強い名古屋港を実現してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 20: ◯二十一番(安藤正明君) それぞれ御答弁いただきましたが、海部地域の防災について、一点要望させていただきます。  今月は、各市町でも定例議会が開催をされております。地元弥富市の九月定例議会の一般質問である市議が、三連動地震や南海トラフ巨大地震等の災害が発生したときに、弥富市内で一番心配、危惧される場所、箇所はどこだという質問に対して、市当局は、鍋田南部排水機場を挟んだ鍋田海岸堤防だとし、引き続き海岸堤防の整備、排水機場の整備を県に強く要望していきますという答弁をしておりました。  海岸堤防の整備事業につきましても、湛水防除事業で今行われております鍋田二期地区の排水機場の整備にしましても、それぞれ事業計画があり、それに基づいて進捗しているという答弁を先ほど基盤整備担当局長からいただきましたが、災害はあす来るかもしれません。海部地域の住民の命と財産を最前線で守るためには、少しでも早い、一日でも早い完成、完了を強く要望しまして、質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 21: ◯三十九番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 22: ◯議長小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 23: ◯議長小林功君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時十分開議 24: ◯副議長(澤田丸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  加藤喜久江議員。     〔四十八番加藤喜久江君登壇〕(拍手) 25: ◯四十八番(加藤喜久江君) こんにちは。  通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。  アブ・ホイテというドイツ語があります。日本語に訳しますと、全てはきょうからという意味です。俳優、児玉清さんの著書でこの言葉と出会って以来、私はこの言葉が大好きになりました。そして、私自身、いつもアブ・ホイテ、全てはきょうからという前向きな気持ちで日々を送っております。  昨年五月、俳優の児玉清さんが七十七歳でこの世を去りました。読書家としても知られる児玉清さんは、御自身で蔵書二万冊を読破し、洋書については原書のまま読んでおられたそうです。  彼の著書によりますと、彼が本のとりこになった原因は、国民学校四年生のときに読んだ千葉周作や柳生十兵衛、佐々木小次郎などの剣豪物語にあったそうです。彼は、そうした物語を通して、主人公が苦難を乗り越え、創意工夫を凝らしながら新剣法を編み出していくプロセスに胸を躍らせたり、逆境を懸命に生き抜く勇気や努力に感動したり、世の中には人を陥れる悪いやつがいることや、生きていく上では知恵が大切であること、上には上があるということを学んでいかれたりしたようです。  そう考えますと、子供たちが幼いころからさまざまな人や本と出会うことは、その後の人生にとって大きな影響を与えるとともに、その人の見方や考え方の基盤をつくることにつながるのではないかと思います。子供たちが多くのすばらしい大人や本と出会い、すてきな人生を歩んでほしいと心から願っております。  さて、七月以降、連日のようにいじめの問題にかかわる報道が繰り返され、今日に至っています。私は、大津市の事件のみならず、その後も全国各地で発生しているいじめの問題や、いじめの問題を取り上げての解説やディスカッションなどを見たり聞いたりするたびに、子供たちの心のありさまや人とのかかわり方について考えさせられています。  いじめが発生したときの対応が大切なのは言うまでもありませんが、まずは、相手の命や心身の安全を脅かしてしまうようないじめの問題を起こさない子供たちを育てていきましょうという大人たちの姿勢が必要だと思います。そのためには、冒頭でお話ししましたように、小さいころからすばらしい人や本との出会いを通して、みずからの心の持ち方や、家族や他人の方とのかかわり方を学び、身につけていけるような環境づくりをしていくことが大切だと思います。  また、私自身の経験から感じていることがあります。私は、以前から、毎朝、ラジオ体操に行く道すがら、近くの鶴舞公園のごみ拾いを行っております。このごみ拾いは、当初、周囲からは売名行為のようにささやかれていました。ところが、この活動を毎日続けていく中で、皆さんの目が日を追うごとに優しくなっていくのを感じていました。今では、地域の方もごみ集めをしておいてくださったり、拾って私のところまで持ってきてくださったりしてくれるようになりました。夏休みには、ラジオ体操に来ていた子供たちが一緒にごみ拾いをしてくれました。  つまり、子供がどうか育つかは、子供たちを取り巻く大人がどう生きるかだということです。人はどう生きるのか、何が正しいことなのかを言葉で伝え、それを知識として記憶させることも必要でしょうが、子供の心を本当に育てたり、行動する力を育てたりしているのは、日ごろ、私たち大人の見せる姿そのものであると私自身の経験から強く感じています。その意味においても、私は、地域で子供を育てるという大人の意識がとても大切であると感じています。  次に、いじめが発生してからの対応に目を向けて話を進めたいと思います。  連日のように報道されています大津市のいじめの問題ですが、現在も第三者による調査が行われ、裁判で争われている事案ですので、この事案に対する個人の意見は差し控えたいと思います。  ただ、今回の事件が発生したのは昨年の十月のことでありながら、その問題が表面化したのはことしの七月です。その間半年以上、気づかれないまま経過していることを考えますと、問題が発生したときの対応に疑問を抱くのは、恐らく私だけではないと思います。乱暴な言い方になるかもしれませんが、放置していたことによって問題が大きくなったのではないかと思えてしまいます。  私は、いじめというものが簡単になくなるようなものとは思ってはおりません。人はひとりで生きていくことはできません。自分以外の誰かとかかわり合いながら生きていくものです。人と人とがかかわり合う中でささいなすれ違いが生じ、トラブルやいじめに発展することは当然考えられることです。  つまり、いじめは大人の社会でも毎日のように起きる可能性のある問題であるということです。したがって、こういったいじめ問題について考えていくことはとても大切なことだと思っています。  私は、いじめの問題は、早期発見、早期対応が基本であると考えています。起きてしまったいじめについては、少しでも早い段階でその状況に気づき、少しでも問題が小さいうちに解決を図る、そうした姿勢が一番のポイントになると思っています。  大村知事も、本会議初日の知事提案要旨発表の中で、滋賀県大津市でいじめを受けていた一人の中学生がみずから命を絶つという痛ましい事件が起きました、一人の子供がここまで追い込まれていたという事実は、子供の教育に携わる関係者のみならず、社会全体で重く受けとめなければならない問題であると思いますと発言され、知事御自身、このような痛ましい事件が二度と繰り返されることがないよう、夏休み直前の七月二十日に「みんなの力でいじめをなくそう」と題した県民へのメッセージを発表されました。  今回、私は、地元のさまざまな立場の方から、いじめの問題にかかわるそれぞれの思いや経験等についてお話を伺いました。さらに、多くの支援者の方からも、いじめ問題解決を願う熱い思いをいただきました。  この場をかりて、少し紹介させていただきたいと思います。  ある方はこんな話をしてくれました。以前は、おじいちゃんやおばあちゃんが孫に向かって、今から学校か、頑張れよなどと声をかけるなど、家庭や地域の中でたくさんの大人が子供を見守るという意識が自然に存在しました。子供たちからすると、自分は常に大人たちから見守られているという安心感の中で日々を送っていました。今は、保護者が仕事に忙し過ぎて、自分の子供すら見守るゆとりがないように感じています。そんなことをおっしゃっていました。  また、ある人は、地域の方々が三十人ほど学校に集まって、それぞれの目から見た学校や地域における子供たちの様子について語り合い、情報を交換し、共有し合う場を持ったというお話をしてくださいました。  こういう情報共有の場を持つことは、いじめの問題を早目に見つけたり、地域で子供たちを育てる意識を高めたりすることにつながるのではないかということでした。  さらに、あるお母さんは、実際に子供のころにいじめを受けていた事実や経験を話され、子供を育てる立場になり、自分自身の体験を子供に話しながら、子供を勇気づけたり、安心させたりするような会話を通して子育てをしておりますと語ってくださいました。  ほかにも、現役の学校の先生や、将来教育に携わる仕事につきたいと考えている現役の大学生、小中学校に通うお子様をお持ちのお母さんなど、多くの方々から直接お話を伺いましたが、皆さんそれぞれの立場から、今の子供たちの間に起きている問題を真剣に考え、熱い思いを語ってくださいました。困っている子供がいれば、何とかしてあげたいという思いはみんな同じだと思いました。  こうしたことから、家庭や地域と学校とが力を合わせて子供たちを見守る体制を強いものにしていけば、子供を取り巻く環境やいじめの問題はより早い段階で発見でき、その解決も円滑に図れるのではないかと考えるようになりました。つまり、大人が地域で子供を育てるという意識を持つことが問題解決の道ではないかと思います。  私も微力ながら、そろばんの教師を三十五年間続けておりますが、子供同士のけんかに遭遇したときなどは、お互いの言い分をまず聞いてから、子供みずからが、自分が正しいとか悪いとかの自覚を促し、悪かったことはすぐに謝るという姿勢をとらせ、お互いが握手できるところまで解決させる努力をします。  さて、やや話はそれますが、今回の大津の件について、私が気になっていることがあります。それは、こちらに用意しましたが、ノート二冊にわたります新聞記事が連日のように報道されていることについてです。  マスコミから流れてくる情報は、ある一面から捉えた事実の一部を切り取ったものであります。どう受けとめるかは受け手に委ねられているということは当たり前ではありますが、大津の報道に伴って暴力事件が発生したり、ネットによる個人攻撃が発生したりと、二次的、三次的な被害が生まれています。  何よりも、子供たちや学校を守るために動くべき大人が、かえって多くの子供たちや学校を不安にさせ、正常な学校生活への回復をおくらせている状況は何とかしなければならないと感じています。批判の矛先を特定し、みんなでたたく姿は、まさにいじめの構図に重なります。  重ねて声を大にして申しますが、子供は大人の姿を見て育ちます。今、一番大切なことは何か、その大事なことに目を向けて、大人たちが真剣に取り組む姿を見せなければなりません。  今、大人が子供たちに示す姿は、みんなで悪者を見つけて、みんなでたたくことではないはずです。みんなで力を合わせて、お互いが気持ちよく、安心して過ごせる環境をどうつくっていくのか、そのためにどう知恵を出し合い、一人一人がどう動くのかを示していくこと、それが大人としての使命ではないかと思います。  ある市町村では、子供のしつけは家庭でする、学校で学び、地域で子育てしていくというテーマを掲げ、地域の教育力を高める取り組みをされていることも聞きました。  そこで、愛知県では、いじめの問題に対応するための地域を含めた体制づくりについてどうお考えか、教育長にお伺いいたします。  続きまして、危険運転事故防止対策について、悪質で無謀な運転による交通事故をなくすためにはどのようにしたらよいか、警察本部長にお尋ねいたします。  今月五日、大変うれしいニュースが新聞紙面を飾りました。「危険運転 厳罰化探る」、「準危険運転罪を検討」といった大きな見出しで報じられたのは、法務省が無免許運転など悪質な死亡事故の罰則強化等を内容とした刑法改正案などを法制審議会に諮問することになったという内容でありました。
     昨年十月、名古屋市北区内でブラジル国籍の派遣社員が無免許、無車検、無保険で、さらには飲酒の上で自動車を運転し、一方通行道路を逆走、自転車で横断歩道を渡ろうとしていた大学生をはねて命を奪い、そのまま逃走するという極めて危険かつ悪質な死亡ひき逃げ事故が発生したことは、いまだ皆様の記憶に新しいことと思います。  また、被害者の親御さんは、本日、傍聴席にて議会で私の質問を聞いていただいております。今は、謹んでお悔やみを申し上げることしかございません。  がしかし、この事件を風化させないためにも、議会で取り上げ、今後このような事件が二度と起きないように、悲しむ人がふえないように、広く県民の方に働きかける必要が大切だと思います。皆様の御理解、御協力を呼びかけしたいと思います。  御両親の心情を察しますると、残念な気持ちと、いまだに子供が死んでしまった事実がわからない状態であるとともに、警察の初動捜査に対して数々の不信感を抱いたことが悔やみ切れないものになっています。  警察の方も日常、数々の事故に対応しておられ、大変なことはわかりますが、一人一人事故対応に際しましては、事故内容が千差万別でありますので、真摯な対応をお願いしたいと思います。そして、もしかして誤りがあった場合は、謝罪をすぐにしていただくと、少しは被害者家族の方の心も和らいだと思います。  優しい対応は、今後生きていく上での残された家族への思いやりを尽くしていただくことが人間関係に大切なつながりのもととなることを感じてやみません。  被害者の御両親は、無免許で、しかも、飲酒運転であったという事実を受け、事故発生直後から加害者に対してより刑罰の重い危険運転致死罪の適用を求めて、関係者から事故状況の話を聞いたり、署名活動を何万と集め、関係省庁への陳情などを行ってこられています。  この事件は、残念ながら危険運転致死罪の適用に必要な正常な運転が困難な状況には当たらないとされましたが、御両親は、危険運転致死罪がなかなか適用されないのは法律に不備があるからと、法改正に向けた活動を京都で起きました亀岡事故の遺族の方々とともにそのまま続けてこられ、ようやくこの記事となる法改正の動きにたどり着いたわけであります。十三日の新聞にも、本当の闘いはこれからというコメントを出しておられたそうです。  ただ、交通事故をめぐる厳罰化の動きに対しまして、厳罰化による事故の抑制効果は限られているといった慎重論があることも報道されており、法制審議会の結論が待たれるところであります。  厳罰化のための法律の改正につきましては、有識者を中心としました国の専門家にお任せすべきことではありますが、私も一国民として、国民の誰もが納得する法律にしていただきたいと思っております。  さて、本題の、今お話ししてきた事故に代表される悪質で無謀な運転による交通事故を全てなくす根絶対策につきましてもお尋ねいたします。  全国ワースト一位という交通死亡事故の発生状況から、今議会でも、交通死亡事故抑止やワーストワン返上対策についての質疑が多くなされております。さらに、今議会初日、大村知事の知事提案要旨にもありましたが、交通事故安全対策につきまして、本県では、ことし四月に交通死亡事故多発警報制度を導入し、県警察、市町村を初め、関係者が一丸となって交通安全対策を進めております。  しかしながら、県内の交通事故死者数は、高齢者の方々が犠牲になる事故や、交差点での死亡事故が多発し、全国ワースト一位という大変厳しい状況が続いており、残念ながら、去る九月十四日には四回目となる警報を発令せざるを得ない状況になっております。  このため、九月二十一日から始まっています秋の全国交通安全運動におきまして、交通死亡事故多発警報制度の効果的な運用や、高齢者と交差点に重点を置いた対策に積極的に取り組むことで、交通事故死者数の減少を目指してまいりたいと考えておりますとの知事の考えをいかに県民の皆さんに浸透させていくことが、我々議員が日々の地域活動の一つとして使命を果たすことが重要であります。  交通事故対策につきましては、なかなか特効薬がないことは皆様御案内のとおりですが、御質問や御答弁をお聞きしていて、どうして無免許運転の根絶が余り議論されないのだろうかという疑問が頭に残ります。  シートベルトを着用しましょう、飲酒運転をなくしましょうというフレーズでの広報啓発活動は目にし、耳にしますが、無免許での運転は違法ですといった内容での広報は、私自身、聞いた覚えがありません。飲酒運転などは交通事故に直結しますが、無免許運転は事故に直結しないなどという理由は考えられません。無免許運転も飲酒運転と同じく故意による極めて悪質な違反行為ではないでしょうか。  一昨年、つまり、平成二十二年の愛知県内の飲酒運転取り締まり件数は二千二百五十五件でありましたのに対し、無免許運転は一千九百八十三件で、この年までは飲酒運転の取り締まり件数が無免許運転のそれを上回っていました。しかし、ことしは、活動が功を奏したのか、飲酒運転の一千六百七十五件に対して、無免許運転は一千八百六十件と検挙数が逆転しているのです。  厳格な法治国家である我が国において、免許も持たずに車を運転することは犯罪であるということは国民誰もが知っていて当たり前で、そんなことはやらないはずだなどという理論は、今の日本では成り立たないようになっているのではないでしょうか。  そこで、まず、無免許運転という犯罪行為をどのように捉え、その根絶についてどのような対策をとっていかれるおつもりであるか、お示し願います。  冒頭にお話ししましたように、北区の事件はブラジル人が犯したものでしたが、違反ごとの検挙件数に占める外国人の割合を調べてみたところ、ほかの違反が全て一桁台の割合であるのに対して、無免許運転だけは一五%程度ととても高い割合を占めているのです。外国人が無免許運転をするとなると、当然日本の交通法規やルールを全く知らないで公道を走っていると言っても過言ではないと思うのですが、いかがでしょうか。  そこでお尋ねいたします。  外国人に対する交通法規やルールについての教養の必要性をどのように考えられて、どのように進めていかれるおつもりか、お示しください。  これにて一般質問を終わらさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 26: ◯教育長野村道朗君) いじめ問題への対応として、地域を含めた体制づくりについてお尋ねをいただきました。  いじめ問題の早期発見、早期対応、さらには早期解決を図るためには、学校や教育委員会、さらには関係諸機関の連携が重要でございますけれども、議員御指摘のように、地域の持つ教育力も大変重要な要素であると、このように認識をいたしております。  県教育委員会としましても、昨年度策定をいたしましたあいちの教育に関するアクションプランIIにおきまして、家庭、地域、学校のそれぞれの主体性ある取り組みと連携の強化というものを掲げ、地域の教育力の重要性について示したところでございます。  その具体的な取り組みといたしまして、県内の小学校では、総合的な学習の時間などで地域の方を講師に迎え、米づくりや伝統行事について学習をしたり、地域の人とともに挨拶運動や環境美化活動に取り組んだりしております。県内全ての中学校でも、地域のさまざまな事業所の協力を得まして、職場体験を実施しているところでございます。  また、本年度より県教育委員会が実施しております絆を育む学校づくり推進事業におきましては、老人会や町内会など、世代の異なる地域の人たちとともに、ボランティア活動やまちづくりといった活動を行っているところでございます。  このような活動を通しまして、地域の方々と子供たちとの心のつながりを深め、地域全体で子供たちを見守り、育む風土を醸成することによりまして、いじめ等の問題行動の防止にも資するよう努めているところでございます。  今後も、今まで以上に地域とともに歩む学校づくりを推進するよう、市町村教育委員会に対しまして指導、助言してまいりたいと、このように考えております。 27: ◯警察本部長沖田芳樹君) 初めに、無免許運転に対する考え、根絶に向けた対策についての御質問にお答えいたします。  無免許運転は、議員お示しのとおり、飲酒運転と同様、重大な犯罪行為であると認識いたしております。こうした無免許運転という悪質な行為を根絶するための対策につきましては、まず、徹底した取り締まりを行うことにより道路交通の場からこうしたものを排除してまいります。  また、中高校生といった自動車や二輪車の運転に関し興味を持ち始める年代の若者に対しては、学校や家庭を通じて、遵法意識の浸透と無免許運転の危険性を理解させるほか、運転免許の取り消し処分者も含め、単に無免許運転の罰則や行政処分の教示にとどまらず、交通事故の加害者となった場合の刑事責任や損害賠償責任など、社会的責任の重大性を認識させるよう努めてまいります。  さらには、本人のみならず、地域、職場、家庭において、適切な指導、助言が行われるよう広く県民に周知し、無免許運転をしない、させないという規範意識の確立と根絶機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。  次に、外国人の方々に対する交通法規や交通ルールについての教養の必要性と、今後どのように進めていくかとの御質問についてお答えいたします。  議員お示しのとおり、昨年中、本県において検挙した無免許運転のうち、外国人が占める割合は一五・四%と他の違反に比べ高くなっております。また、外国人による人身交通事故は千二十七件発生し、全体の二・二%を占めており、このうち無免許運転によるものが三十三件で、二件の死亡事故が発生しております。  こうした状況を踏まえ、外国人の方々に対する交通法令遵守のための教育や広報は極めて重要であると認識いたしております。  私どもといたしましては、県内に多くの外国人の方々が暮らしていることから、日本で円滑な日常生活を営むために必要な知識を身につけていただくことなどを目的として、外国人の方々が多数住んでいる地域の住民を対象に、交通安全教室や防犯教室などの各種警察活動を積極的に推進しております。  これに加え、北京語、ポルトガル語等に翻訳した交通ルールの手引などを作成し、講習会で活用したり、五カ国語に翻訳した交通ルールに関するホームページの閲覧などにより、交通法令の遵守、交通事故を起こした場合の措置、責任等について、広く周知、浸透されるよう取り組んでいるところでございます。  引き続き、内容の充実を図り、外国人の方々に対する交通安全教育をさらに積極的に推進してまいりたいと考えております。 28: ◯四十八番(加藤喜久江君) 教育長、警察本部長の真摯なる御回答ありがとうございます。  いじめにしましても、危険運転事故防止対策につきましても、全ては自分の心の持ち方一つでございます。何かを変えるためには、まずみずからが変わる必要があります。  私は、ごみ拾いで心を変えました。アブ・ホイテ、全てはきょうからという言葉で、全ての皆さんが明るく、元気よく、生き生きとした毎日を送られることを念じまして、質問を終わります。ありがとうございました。 29: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  市川英男議員。     〔三十二番市川英男君登壇〕(拍手) 30: ◯三十二番(市川英男君) 通告に従い、順次質問してまいります。  初めに、介護職員によるたんの吸引等の研修についてお伺いをいたします。  最近の疾病構造の変化や医療技術の進歩を背景に、医療機関内だけでなく、家庭や養護学校などの教育現場、特別養護老人ホームなど、福祉の場においても医療、看護を必要とする方々が増加していますが、その一方で、たんの吸引や経管栄養など日常的な医療ケアは医療行為であるため、医師または看護師、患者の家族以外の者が行うことは許されないという問題がありました。  こうした制度上の問題について、国は、平成十五年七月に、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について、平成十六年十月には、盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取り扱いについて、平成十七年三月には、在宅におけるALS以外の療養患者、障害者に対するたんの吸引の取り扱いについて、平成二十二年四月には、特別養護老人ホームにおけるたんの吸引等の取り扱いについて、厚生労働省医政局長から四つの通知が出され、当面必要な措置として一定の行為を実施することを運用によって認めてきたところであります。  しかしながら、こうした運用は、そもそも法律において位置づけるべきではないか、グループホームや有料老人ホーム、障害者施設などにおいては、そもそも十分な対応ができていないのではないかなど、さまざまな問題の指摘があり、国は、吸引等が必要な方に対して必要なケアをより安全に提供するため、介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度のあり方に関する検討会を設置し、その検討会の報告を受け、昨年六月二十二日の介護サービス基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律により、社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正が行われました。  この改正により、本年四月一日から所定の研修を修了した介護職員等は、医療関係者との連携が確保されているなどの条件のもとに、たんの吸引や経管栄養等に関する業務が法律上業として認められることとなったものです。  県においては、この改正法の施行を前にして、昨年度、たんの吸引や経管栄養等の業務に必要な知識、技能の修得のための研修会を県がみずから開催するとともに、経過措置として、運用通知により、これまでたんの吸引等の業務を行っていた方に対して、引き続きその業務を実施できるものと認定し、人材の養成や確保を図られてきております。  また、今年度からは、登録研修機関の制度も発足し、一定の要件を備えた民間の機関もたんの吸引等の研修が実施できるようになったところですが、小規模の介護サービスや障害福祉サービス事業者からは、こうした民間が実施する研修は受講料等の研修費の負担が大変である、介護職員等を研修参加させる間の代替職員の確保が困難といった声もあります。  特に、昨年度、県が実施した研修に申し込んだが、定員枠により受講できなかったという介護従事者からの声も聞こえてくる中で、今回の介護職員等によるたんの吸引等の業務に関する法的な整備を実効性あるものにするためには、まず何より業務に必要な知識や技能を修得していただくこと、事業者が積極的に介護従事者を研修に送り出していただくため、研修体制、運営の整備が重要であります。  そこでお伺いします。  一点目として、たんの吸引等の研修の講師となるべき指導看護職員等の養成について、どのように取り組まれたのか。  二点目に、研修の受講や経過措置による認定によりたんの吸引等ができる介護職員等を現時点においてどれぐらい確保できる見込みか。  三点目として、こうした人材の養成に関して、県として今後どのように取り組んでいかれるのか。  以上、三点についてお尋ねいたします。  次に、産業振興について、特に中小企業の人材確保支援についてお伺いいたします。  政府が今月発表した月例経済報告によれば、我が国の景気は、景気の動きに足踏みが見られるものの、復興需要が引き続き発現する中で、再び景気回復へ向かうことが期待されるとされております。  先般、発表された今年度四月から六月期GDPにおきましても、成長率速報値は実質〇・二%と四期連続の増加、年間換算では〇・七%成長となりました。  九月十一日に公表された法人企業景気予測調査によれば、二十四年七月から九月期の大企業景況判断は上昇すると回答した企業が下降すると回答した企業を上回り、プラス水準に改善しましたが、中小企業の景況感は依然としてマイナス水準にとどまっております。これは、中小企業には景気回復が必ずしも波及していないことのあらわれであると言えます。  一方、日本銀行名古屋支店が九月二十一日に発表した東海三県の金融経済動向によれば、設備投資が着実に増加し、住宅投資も底がたく推移しているものの、輸出や個人消費を中心に、最終需要の持ち直しの動きに一服感が見られることから、全体としてこの地域の景気は回復の動きが一服しているとされ、今後、海外経済の情勢や為替の動向とその影響について注視していくことが必要だと考えます。  こうした中、雇用情勢は改善の動きが続いてきましたが、一部に厳しさが残っております。七月の全国完全失業率は前月横ばいの四・三%となった一方で、若年層である十五歳から二十四歳の完全失業率四月から六月期は七・五%となり、前年同期比一・八%、ポイント上昇いたしました。  また、文部科学省の発表によれば、今春大学を卒業した者のうち二三%が非正規雇用となるなど、安定的な雇用についていないという実態も明らかになっております。  このような若年者の雇用環境が改善しない、あるいは安定的な就業に結びつかないという実態がある一方で、中小企業からは、希望する人数を確保できない、優秀な人材を確保したいといった切実な声が聞かれます。  株式会社リクルートワークス研究所の調査によれば、二〇一三年三月卒業予定の大学生の求人倍率は、従業員五千人以上の大企業では〇・六〇倍であることに対し、三百人未満の中小企業では三・二七倍と、求人数が求職数を大きく上回り、人材を求める企業側と就業を目指す若者の間に、いわゆる雇用のミスマッチが生じていることがうかがわれます。  社団法人日本経済団体連合会の調査によれば、中小企業の約六割が、優秀な人材確保のためには、自社の知名度、認知度を上げる、自社の成長力強化を図ることが必要であるとする一方で、大学生が中小企業への就職に抵抗がある理由としては、将来性、安定性に不安、仕事が厳しそう、イメージがよくないといった声が挙げられました。  私は、こうした調査結果は、中小企業ならではの魅力、仕事のやりがいが十分に浸透しておらず、単に規模が小さいことや、経済環境の変化を受けやすいといったマイナスのイメージだけが認識されていることによるものと受けとめております。中小企業は、それを支える人材がなくては成り立ちません。また、優秀な人材であっても、働く場がなければ能力を発揮することはできません。  県では、昨年度、今後五年間の産業労働施策の方向性を示すあいち産業労働ビジョン二〇一一―二〇一五を策定されましたが、このビジョンにおいては、産業と労働分野を一体的に捉えて施策を推進し、産業の活性化と雇用の安定、拡大の実現を同時に目指すこととされております。  本県が活力ある地域づくりを進めるためには、就業を希望する若年者や中小企業双方のニーズや意向を把握した上で、このビジョンに沿って、企業の経営基盤強化や人材の育成、雇用機会の拡大といった課題に並行的に取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。  そこでお尋ねいたします。  県は、今後、意欲ある若年者と優秀な人材を求める中小企業をつなぐため、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  続きまして、子供、女性に対する性犯罪根絶対策等について、警察本部長にお伺いいたします。  今月三日、名古屋市内で憎むべき犯罪が発生し、世間を驚愕させました。報道によりますと、男が同じマンションに住む小学生の女児を自宅に連れ込んで監禁し、そのことをとがめられないよう同居の父親を殺害したというのです。女の子を連れ込んで監禁するだけでも許せない行為であるのに、その子のいる同じ家の中で実の父親に手をかけて殺してしまうなどという、まさに人の行いとは到底思えない事件でした。ただ唯一、被害に遭われた女の子が、外傷的にはかすり傷程度で済んだことが不幸中の幸いであったように思います。  また、この事件の翌日、今度は広島県で小学生の女児を旅行かばんに押し込めて連れ去ろうとタクシーに乗り込んだところ、女の子の声がすることを不審に思ったタクシーの運転手さんの機転で男が逮捕され、女の子も無事保護されるという事件も起きております。  いずれの事件でも、女の子には全く落ち度もなく、たまたま通りかかった際に被害に遭われたわけで、御本人や御家族の皆様方には心からお見舞いを申し上げる次第です。  そこで、まず、この種の連れ去り事案の再発防止について、どのような対策をおとりになるのかお伺いいたします。  新聞等でははっきり報道されていないものの、今回の二つの事件がいたずら目的と思われることから、平成二十三年中の愛知県内における、いわゆる性犯罪の被害件数を調べてみました。すると、強盗強姦が七件、強姦が八十件、そして強制わいせつが三百六十六件の合計四百五十三件もの被害の届け出がなされているのです。事件の性質上、被害の届け出をされずに泣き寝入りをされている被害者の方も多くみえると思いますので、その実数たるや驚くべき数に上るのではないでしょうか。  また、こうした性犯罪には、子供や女性に対して声をかけたりつきまとったりする前兆となる事件があるとのことで、県警が把握した本年上半期の前兆事案の数は、十三歳以上の女性に対するものが千四百二十三件、十三歳未満の男女に対するものが三百八十三件の合計千八百六件もあり、二十三年の同時期と比較して六百七十五件も増加しているとのことです。  この前兆事案の増加傾向こそが今回の事件の発生を物語っていると言っても決して過言ではなく、前兆事案にしっかりと対応していくことこそが性犯罪被害の根絶につながるものと思います。  こうした情勢の中、県警では、本年四月に子ども女性安全対策課を新設され、性犯罪等の未然防止及び再発防止活動を進めていただいているとお聞きしております。設立からおおむね半年がたちましたが、子ども女性安全対策課のこれまでの実績と今後の取り組み方針についてお示しください。  また、あわせて、こうした性犯罪者は一種の病気であるとも言われ、極めて再犯率が高いとも聞いております。性犯罪の再発防止に向け、どのような対策をとってみえるのかお伺いいたします。  次に、被害者の心のケアについてもお尋ねします。  今回被害に遭われた二人の女児は、言葉では言いあらわせないほどの恐怖を味わったことにより、心にとても大きく、そして、とても深い傷を負われたことと思います。それは決して家庭や学校では癒やし切れないほどのものに違いありません。犯罪の被害に遭われた方々は、体のけが以上に心に大きな傷を負われ、夜眠れないとか、人前に出れない等の障害に長い間苦しまれるとお聞きします。治療を受けたくても、どこでどういう治療を受けたらいいのかの知識もなく、ただただひとりで家に引きこもってしまう方もおみえになるそうです。  こうした日々を一日も早く被害の呪縛から解放してあげる手助けも大変に重要かと思いますが、性犯罪を含め、犯罪の被害に遭われた方の心のケアについて、県警はどのように考え、どのような対策を進めてみえるのかお伺いいたします。  最後に、都市公園の施設についてお尋ねします。  一点目は、都市公園のスポーツ施設の利用についてです。  都市公園や県の教育委員会のスポーツ施設の多くは、ネットあいち施設予約システムにより予約をします。このシステムは、インターネットなどで簡単に申し込めるという利点があり、年々登録者数も増加しておりますが、その一方で、不便、不満を感じる点も多くあります。  私は、先日、私の地元の春日井市にある朝宮公園の野球場を利用しようと思い、実際に申し込みを行いました。その際の経験や、地元住民から寄せられた意見をもとに質問をさせていただきます。  まず気になったのが、登録手続の不便さです。システムを利用するには利用者登録が必要です。この登録や利用カード受け取りに際しては、本人確認のため免許証などを提示し、公園窓口で手続を行うこととなっていますが、利便性の観点から、わざわざ公園窓口に出向かなくても済むほかの方法もあるのではないでしょうか。  次に、システム操作にふなれな利用者のことも考え、もう少し気配りがあってよいものではないかと思います。それは、土日休日利用は当然ながら人気が高いため、抽せんとなることから、システムで抽せん申し込みを行います。しかし、抽せん前までなら申し込み内容を確認できるのですが、抽せんが終わった後は当選結果しか確認できません。しかも、初めて利用した私から見れば、抽せん結果の画面となっているのかどうかも非常にわかりづらい状態です。  また、メールアドレスを登録すれば、申し込み内容や当選結果がメールで返信されますが、抽せん結果については当選者にしか返信されません。当選の有無にかかわらず、申し込みはどうだったのか、抽せんは終了したのか、画面でもメールでも確認できるとより親切ではないでしょうか。  三つ目は、休日の野球場や競技場といったグラウンドの抽せん倍率の信じがたい高さです。インターネットなどで申し込みができるといった手軽さの反面で、抽せん倍率がある程度高くなることはやむを得ないことだと思います。  しかし、グラウンドは野球やサッカーなどの団体スポーツで利用されるので、利用希望者は、グループやチームのメンバーを総動員して、ほかの公園のグラウンドも含め、大量に何回も申し込みをします。その結果、朝宮公園の野球場では、休日で千二百倍といった抽せん倍率となっていると聞いています。個人が一回抽せん申し込みしたぐらいでは到底当たりません。  次に、利用直前や無断のキャンセルについてです。  都合が悪くなり、キャンセルを行うことはあるでしょうが、問題は、利用直前や無断のキャンセルです。キャンセル料が発生しないこともこの問題の原因の一つであると思いますが、グラウンドのように団体で利用する施設は、直前にキャンセルが生じたからといってすぐにメンバーを集めることはできないため、貴重な休日のグラウンドがあきのままとなってしまいます。無断キャンセルに至っては言うまでもありません。  朝宮公園のグラウンドでも、こうした直前や無断のキャンセル数は年間四十件以上あるとのことですが、私のところにも地元住民から、休日は抽せんを申し込んで当たらないのに、グラウンドがあいているというのはおかしいという意見が寄せられています。こうした利用直前や無断のキャンセルをした場合、抽せんに当たりにくくなるというペナルティーがありますが、その効果は万全とは考えられません。
     いろいろ現在の施設の利用制度や施設予約システムの問題点を述べてまいりましたが、こうした現状や問題点について、どのように受けとめ、対応していくのかをお伺いいたします。  二点目は、朝宮公園のプールについてです。  このプールは昭和五十三年に開業しました。当初は、スライダーを備えた公営プールは新鮮で評判を呼んでいましたが、三十年以上経過した今では目新しさも薄れています。また、周辺では、小牧市、春日井市に相次いで温水プールがそれぞれ開業し、料金が同額ではどうしても施設内容から見劣りがします。  近年は、プール営業期間を通して約八千人の利用で推移し、極端な落ち込みもないと聞いておりますが、このままの状況が続けば、徐々に利用客の足も遠のくのではないかと危惧されるところです。  また、春日井市からは、こうした市民ニーズの変化等もあり、プールを廃止し、グラウンドゴルフやソフトボールなど、多目的に利用できる広場の再整備の要望もあります。  そこでお伺いいたします。  県は、今後、朝宮公園プールについて、春日井市の要望も踏まえ、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  以上、私の壇上からの質問といたします。ありがとうございました。(拍手) 31: ◯健康福祉部長(五十里明君) 介護職員によるたんの吸引などの研修に関する御質問にお答えいたします。  初めに、介護職員に対する研修において講師となります指導看護職員等の養成の取り組みについてでございます。  議員御指摘のとおり、在宅や施設において、研修により必要な知識や技能を修得した介護職員が、医師の指示を受け、看護職員との連携のもとに、たんの吸引や経管栄養のケアをより安全に対応できるようになりましたことは、介護の現場にとって意義のあるものと、そのように考えております。  国は、今回の研修を推進するため、各都道府県において指導者となる看護職員を養成する目的で、指導者養成講習会を開催し、本県からは十名の方に参加いただきました。  この指導看護職員に講師となっていただき、県内の介護保険や障害福祉サービス事業所等の看護職員に対しまして、伝達講習会を開催いたしました。この結果、特別養護老人ホーム等で不特定多数の方にたんの吸引などのケアを行うための研修の講師を百十名、また、在宅などで特定の方にケアができるための研修の講師を五十七名養成し、指導看護職員の人材確保を図ったところでございます。  なお、今年度につきましても、国の指導者養成講習会へ県内から八名の看護職員等に参加いただいておりまして、今後、これらの方々の協力を得て、昨年度に引き続き伝達講習会の開催を予定しているところでございます。  次に、たんの吸引などができる介護職員の養成についての見込みであります。  今回の法改正におきましては、法施行日以前から施設等の現場でたんの吸引などを行っていた方に対しては、経過措置により県の認定を受け、引き続き業務を実施できることとされております。この経過措置により、本年八月三十一日現在で六千八百六名の多数の方が既に認定を受けておられます。  また、法施行前の昨年度、県が実施いたしました研修により、たんの吸引などができる介護職員を不特定と特定の両者を合わせて百三十三名養成いたしました。今年度からは、民間の研修機関として四カ所の介護福祉士養成施設や医療施設などに研修を実施していただいており、合計で百七十五名の介護職員を養成する見込みでありまして、昨年度を上回る人材の確保ができるものと考えております。  次に、人材養成に関する県としての今後の取り組みについてであります。  本県といたしましては、今年度からみずからの人材やノウハウを活用し、研修日程や場所などにも柔軟な対応が可能である民間の機関において、たんの吸引などのできる介護職員の養成を行っていただくことにいたしました。今までに登録されている研修機関だけではまだ足りないという指摘もございますが、現在、複数の事業所から研修機関の登録について具体的な御相談を受けており、当面は、これらの民間の研修機関における受講定員の確保、これに努めてまいりたいと考えております。  また、平成二十七年度以降の新しい介護福祉士制度におきましては、資格を取得し、就職した後に、各事業所等において、指導看護職員の指導のもとでたんの吸引などに関する研修を受け、認定されることが必要となってまいります。  このように、民間の研修機関の整備や、新しい介護福祉士の認定の取り組みを進めるためには指導看護職員等の確保が重要でありますことから、県といたしましては、その養成につきましても今後しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 32: ◯産業労働部長(木村聡君) 私からは、若年者の就業と中小企業の人材確保に対する支援についてお答え申し上げます。  県が四半期ごとに実施しております中小企業景況調査では、県の中小企業支援策につきまして、金融支援や経営相談への対応と並び、人材確保・育成といった雇用面での支援を期待する多くの声が寄せられているところでございます。  県では、こうした要望を受けまして、平成二十二年度から、大学生の物づくりに対する理解を深め、職業観の形成を促しながら、県内中小企業の採用活動を支援することを目的といたしまして、中小企業の経営者が大学に出向き、自社の経営理念や技術について、学生に直接PRする取り組みを推進しているところでございます。  これに参加した企業からは、学生に自社を売り込める貴重な機会になった、あるいは自社の知名度向上につながったとする御意見がありました一方で、学生からは、中小企業の強みを知ることができた、会社名ではなく企業理念が重要であると感じたなど、県の取り組みを前向きに評価する御意見をいただいたところでありまして、実際に御参加いただいた企業への就職につながったケースもございました。  こうした実施状況を踏まえまして、今年度におきましては、御参加いただく企業や学生を拡充し、若年者の就業促進と中小企業の人材確保に対する支援を強化することといたしております。  県といたしましては、引き続き産業労働ビジョンに沿いまして、産業分野と労働分野を一体的に捉えた施策を着実に推進することによりまして、中小企業を含む産業の活性化と雇用の改善、拡大の同時実現を目指してまいりたいと考えております。  以上でございます。 33: ◯警察本部長沖田芳樹君) 初めに、連れ去り事案の再発防止対策についての御質問にお答えいたします。  まず、中川区の事案につきましては、児童が通学途中に狙われましたことから、教職員、保護者等による見守り活動、通学路や集合場所の安全点検など、児童に対する犯罪の未然防止対策について、県教育委員会を通じて、県内全ての小学校に対し、注意喚起を促したところでございます。  また、広島県の事案につきましては、塾帰りに狙われたことから、保護者や塾職員による安全の確保など、子供を対象とした犯罪の未然防止対策について、大手学習塾十一社に対しまして、同じく注意喚起を促したところでございます。  さらに、通学路等における制服警察官やパトカーによる警戒活動を積極的に行っており、また、テレビやラジオを通じて広く県民の方々に連れ去り被害防止に関する広報も実施しております。  今後、警察署員やスクールサポーターによる通学路等の安全点検のほか、地域のボランティア団体の方々にも見守り活動の一層の強化をお願いするなどして再発防止を図ってまいりたいと考えております。  次に、子ども女性安全対策課についての御質問にお答えいたします。  子ども女性安全対策課新設後の実績といたしましては、四月の発足以来、八月末までに公然わいせつ、痴漢や盗撮などで九十四事件を検挙し、また、検挙に至らない事案についても、行為者に対して二百六件の指導、警告を実施しており、全国的に見ても高い実績を上げておるところでございます。  今後の取り組み方針といたしましては、性犯罪の前兆事案である声かけやつきまといなどの段階で行為者を特定して、検挙や指導、警告などの措置をとる先制予防的活動をさらに強力に推進いたしますとともに、小中学校、高校、大学、企業など、世代に応じた防犯教室の開催、あるいは身近な犯罪情報や不審者情報をメールで伝えるパトネットあいちなどを活用した情報発信の強化などを積極的に行ってまいります。  あわせて、性犯罪の再発防止に向けた対策といたしまして、十三歳未満の子供に対して一定の性犯罪を犯して刑務所に収容された者について、その出所情報の提供を受け、出所後、所在確認や面談を実施して、対象者が再び性犯罪を犯すことを防止するための対策をとっております。  最後に、犯罪被害者の心のケアについての御質問にお答えいたします。  警察は、犯罪被害に遭われた方々にとりまして、被害当初から最も身近で密接なかかわりを持つ機関でありますことから、犯罪被害に遭われた方々の視点に立ち、被害者の支援、捜査過程における精神的負担など二次的被害の防止、軽減と被害者の安全の確保に努めております。  犯罪の中でも、特に性犯罪は被害者の尊厳を踏みにじり、身体のみならず精神的にも極めて重い被害を与えるものでございます。このような状況から、警察では、被害者の方やその御家族の精神的な負担の軽減を図るため、相談窓口を設置したり、臨床心理士によるカウンセリングを実施しているところでございます。  まず、相談窓口といたしまして、二次的被害を軽減するためのワンストップセンターとして、一宮市内の病院内にハートフルステーション・あいちを設置し、平成二十二年七月から運用しているところでございます。  また、県警の住民サービス課においては、臨床心理士が犯罪被害による心や身体の不調に関する相談電話ハートフルラインを運用しております。  次に、臨床心理士によるカウンセリングにつきましては、犯罪等発生直後の危機的な状態にある被害者やその御家族に対しまして、昨年中延べ百十六回行っており、事件事故による心身の不調を和らげることや、事情聴取等による心身の負担の軽減に努めているところでございます。  このほか、被害者の方々が中長期的なケアを受けられるようにするため、民間被害者支援団体である被害者サポートセンターあいちの支援を受けられるようにするなど、被害者の方々のニーズに応じた途切れることのない支援を推進しているところでございます。 34: ◯建設部長近藤隆之君) 都市公園の施設について、二つの御質問をいただきました。  初めに、スポーツ施設の利用についてお答えをいたします。  まず、各施設の受け付け窓口でのみ実施しておりますシステムの利用者登録につきましては、御利用される方の負担を少しでも軽減するため、郵送による登録手続の導入を前向きに検討してまいりたいと考えております。  さらに、抽せん結果の確認や申し込み回数の制限など、システムの改修が必要となるものにつきましては、庁内関係部局との十分な調整や緊密な連携をとりながら検討を進めてまいります。  また、直前や無断のキャンセルにつきましては、他の申込者にとって大変迷惑となる行為でありますので、マナー向上の啓発はもちろんのこと、ペナルティーの強化など、実効性のある対応をしっかり検討してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、これらの御指摘の事項につきましては、公園を御利用される方々の御意見、御要望として真摯に受けとめ、利用実態や県民の皆様のニーズを適切に把握し、御利用される方々により満足していただけるよう、できることから順次改善に努めてまいります。  次に、朝宮公園のプールについてお答えをいたします。  朝宮公園のプールは、大人の利用者が多い近隣の温水プールとは異なりまして、地元の子供たちが夏休みなどに手軽に利用できる施設として、地域の皆様から根強い愛着を持って御利用していただいていると考えております。  このため、子供たちが楽しめるイベントを充実するほか、料金割引の導入など、さまざまな方策を指定管理者とともに進めることにより、今以上にリピーターをふやして、地域の皆様に親しまれ、魅力あるプールとして引き続き運営してまいりたいと考えております。  以上でございます。 35: ◯三十二番(市川英男君) それぞれ答弁をいただきました。  一点要望させていただきたいと思います。  介護職員によるたんの吸引等の研修についてでありますが、小規模の介護事業者などがみずからの介護職員を研修に,より積極的に参加できるように、ほかの都道府県の対応などを踏まえて、県として研修受講料の負担軽減や、代替職員の確保についても必要な対策について検討いただきたいというふうに思います。  また、指導看護職員等の確保というものは研修を進めていくためには絶対不可欠でございますので、県の責任として必要な人材養成を行っていくべきであり、予算措置を含めたしっかりとした対応をお願いしたい、これを要望させていただきまして、質問を終わります。 36: ◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。  峰野修議員。     〔六十番峰野修君登壇〕(拍手) 37: ◯六十番(峰野修君) 通告に従い、順次質問させていただきます。  質問の第一は、全国過疎問題シンポジウムについてであります。  県は、従来より、山村振興を県政の重要課題と位置づけ、全庁的にその取り組みを強化してまいりました。具体的には、平成二十年一月、山村振興推進本部を本庁に設置し、山村振興室が発足しました。引き続き、四月には、現地総合事務所として新城設楽山村振興事務所と名称変更し、山村振興課を増設いたしました。翌年、平成二十一年三月には、あいち山村振興ビジョンを作成いたしました。  その内容は、まず、状況分析から始まり、次に、目指すべき将来像として、一、安心して暮らし続けられる地域、二、愛知の産業活動の一翼を担う地域、三、個性豊かな魅力が誇れる地域、四、愛知の環境を支える地域の四項目にまとめ、その実現に向けての施策展開を図るとなっており、ことしで発足より五年目を迎えます。  初代の山村振興事務所長、大須賀さんは、常にその先頭に立ち、直接みずから現場に出かけ、地域のニーズを体で把握しながら、いろいろな提案をして、今日のさまざまな事業につなげていただきました。  当時、県会議員になりたての私に、このような言葉が非常に印象に残っております。山村振興に即効薬はありません。一つ一ついいと思うことを地道に繰り返し繰り返し実行していくしかありません。  その大須賀さんは、残念ながら二年前にお亡くなりになりました。私もこの言葉を胸に秘め、創意工夫と地道な努力、その積み重ねで少しでも貢献できればとの思いで今日までまいりました。壇上からではありますが、この場をおかりいたしまして、改めて感謝とお礼を申し上げます。  県の具体的な施策といたしましては、ヘリポートの設置、自治医科大卒業医師の重点派遣、過疎バス、予約バスの運行、地域情報格差対策、あいち森と緑づくり税事業、鳥獣害対策、観光・交流居住の推進等が行われております。  そして、本年四月に大村知事は、マニフェストにより東三河県庁を設置されました。その東三河総局の中へ、組織、機能を維持したまま新城設楽振興事務所として組み入れられました。新城林務課も移転し、新城市森林課とのワンストップサービス、その機能を持たせて、全体として現地での判断決定機能は強くなりました。  県は、これまでも過疎地域自立促進特別措置法や山村振興法に基づき、代行事業といたしまして、市町村道、農道や下水道整備を実施してきましたし、県職員の派遣や市町村職員の受け入れとの相互交流を行って成果を上げてきました。また、県の現地事務所などによる市町村へのきめ細かな助言、支援、事業実施が毎年毎年行われております。  しかしながら、地元の現実問題として、人口減少に歯どめがかからず、山間地域の小規模町村では、過疎化、高齢化対策を初め、直面する喫緊の諸課題の解決や、地方分権の中で増大する事務に対応しながら、少なくなった職員が献身的な努力をすることで全ての業務をこなしています。  このような状況の中で、消防、ごみ処理などは広域事務組合をつくり、共同で対応したり、東三河北部医療圏協議会で僻地医療を考える、また、新城、北設楽三町村では、共同で同一内容の森づくり条例が初めてできました。  東三河八市町村全体でも広域協議会をつくり、市町村の独自性を確保しつつ、広域連合も含めて、広域行政の今後のあり方について議論が始まっております。  今から十年前、平成十四年に国の第二十七次地方制度調査会において、当時の副会長、西尾勝氏が、現在の第三十次調査会会長でございますけれども、小規模な町村のあり方として、窓口サービス等を除き、県が事務を行うという事務配分特例方式を提唱いたしましたが、当時、町村会を初め地方から、地方分権の理念に反すると猛反対に遭い、消滅しました。  十年後の今日、大都市制度が盛んに議論されておりますが、この西尾方式がいいというわけではございませんが、小規模町村と県のあり方を地方分権、地域主権、道州制の制度議論の中にしっかりと位置づける必要があります。言葉を変えれば、過疎山村地域は、今までも人、物、環境面から大都市を支えてきております。その過疎山村地域を消滅の危機から救い、県がどのように支えていくのか、山村振興ビジョンの再検証とあわせて、各方面から全面的に議論すべき時期にあると思います。  このような現状を踏まえて、全国過疎問題シンポジウム二〇一二inあいちの質問に入ります。  今年度は、山村振興室関連で三つの注目される事業があります。  一つは、去る九月十五日、十六日に行われました「きてみん!奥三河in茶臼山」であります。ことしで三回目となり、地元の物産品の販売が軽トラ、テントなどで行われ、延べ一万五千名の来場者で盛り上がりました。奥三河と都市との交流事業として定着しつつある事業ですので、来年もぜひ継続していただきたいと思います。  二つ目は、昨日の代表質問でも取り上げられました「あいちの山里で暮らそう八十日間チャレンジ」事業であります。公募で選ばれた五人の山ガール、山娘さんが、それぞれの地域でひとり暮らしをしながら、山間地域の魅力を公式サイト、ツイッター等で積極的に情報発信していただいております。ぜひごらんになっていただきたいと思います。既に始まっておりまして、きてみん奥三河の会場の壇上で紹介され、それぞれの地域での取り組みを紹介していただきました。また、五人の山ガールたちは、地元の行事にも積極的に参加され、その地域の中に溶け込んで、積極的にPRに努めていただいております。その効果を期待しているところであります。  三つ目は、今回の質問のテーマであります全国過疎問題シンポジウム二〇一二inあいちであります。これは、総務省の主催で実行委員会がつくられまして、このシンポジウムがことし二十四回目でございます。初めて愛知県で開かれます。二週間後、十月十一日木曜日、新城文化会館大ホールで午後一時から五時まで全体会、翌十二日は、四会場で分科会が行われます。県議会開会中とは存じますが、御多忙中な折、皆様にもぜひ御参加していただきますよう、壇上からよろしくお願いいたしたいと思います。  今回のシンポジウムの中において、過疎地域優良事例表彰式では、北設楽郡設楽町田峰地区の田峰観音奉納歌舞伎谷高座において、伝統芸能の継承と国際交流が一体となった取り組みが総務大臣表彰を受けます。また、豊根村における大学生など外部人材を活用した地域活動への支援の取り組みが過疎地域自立促進連盟会長表彰を受けることとなっております。  さらに、シンポジウムとは直接関係ございませんけれども、北設楽郡の設楽町、東栄町、豊根村の三町村と本県や大学が連携し、車を持たない高齢者などの移動手段として、電話予約式のバスの導入を行った北設楽郡公共交通活性化協議会の取り組みが国土交通大臣表彰を受けるなど、本県及び各市町村の過疎地域での取り組みが活発に行われております。  他の都道府県では、愛知県に過疎地域はあるんですかというようにも思われております。今回のシンポジウムは、全国にこのような愛知の取り組みと意気込みを伝える絶好の機会であります。大村知事が開会式に御出席され、冒頭に歓迎の挨拶をしていただきますので、そのお気持ちをしっかりとアピールしていただきたい、心から期待しております。  そこで質問いたします。  まず第一に、本県で初めて開催されるこのシンポジウムの中で、どのように愛知らしさをアピールしていくのか、また、このシンポジウムの期待する効果は何かお伺いいたします。  二番目に、シンポジウムでの議論の成果を五年の節目を迎えましたあいち山村振興ビジョンにどう反映させ、展開していくのかお伺いいたします。  二番目の質問、次に、再生可能エネルギー、特に小水力発電について質問いたします。  昨年三月十一日、東日本大震災による福島第一原子力発電所の爆発事故以来、電気エネルギーの確保について、日本全体で根本的な見直しが始まっています。エネルギー資源をほとんど輸入に依存している我が国において、水力、太陽光、風力、バイオマス、地熱などの自然の力を利用した再生可能エネルギーの活用が注目されております。  個人的には、島国であり、海洋国家である日本で一番有力な自然エネルギーは洋上風力発電ではないかと思っておりますが、まだ実証実験が始まったところであり、技術面の問題、コスト高との問題もあり、克服しなければいけない課題がたくさんございます。イギリス等の取り組みにも学び、実用化を早急に進めていただきたいと思っております。  愛知県でも、自動車産業以外の新しい産業、次世代産業の四本柱の一つに位置づけておられますが、新産業創出の絶好のチャンスと捉えて、常滑市にある実証研究エリア、豊田市にできました知の拠点、産業技術研究所などを活用して、民間企業の技術開発を強力にバックアップしていただきたいと思っております。  この再生可能エネルギーの利用促進は、エネルギー自給率を高めるとともに、化石燃料に依存せず、二酸化炭素を発生しないことから地球温暖化対策としても有効であり、さらには、地域の活性化にも貢献するものと考えられております。  今回、私は、数多くの再生可能エネルギーの中で、特に小水力発電に焦点を当てて質問させていただきます。  まず、小水力発電という言葉は、去る七月、経済産業省の告示によりまして発足しました固定価格買取制度によりますと、中小水力という表現になっておりまして、二百キロワット未満が三十五円七十銭、千キロワット未満が三十円四十五銭、三万キロワット未満が二十五円二十銭となっています。ちなみに、太陽光は四十二円かと伺っております。  RPS法では、千キロワット以下を水力として認定しております。つまり、一般的には、千キロワット以下の発電を小水力発電と呼んでいいのではないかというふうに思います。  大きくは、小水力発電も売電型、電気を売る売電型と自家消費型、いわゆる自分たちの団体で使うという自家消費型に分かれます。それから、水の利用によっては、水利権のある農業用水や河川を使うのか、水利権のない河川や水流を使うのかという分け方もございます。  小水力発電の歴史は古く、私の地元新城市にも、明治四十五年、今から百年ぐらい前でございますけれども、豊川上流、寒狭川をせきとめたというか、堰をつくりまして、八百キロワット前後の中部電力の発電施設が三カ所あります。まだ現役で動いております。県内全域でも九カ所、五千四百七十キロワットの発電が行われております。非常に規模の小さな発電ではございますけれども、小水力発電の利点、特徴、まず、設備利用率が高い。太陽光が一〇%ぐらい、小水力は五〇%近い設備利用率でございます。発電単価が安い、イニシャルコストも安いということであります。環境負荷が少ない、地産地消であると。地産地消、いわゆるいろんなところに発電の可能性を秘めて発電ができるということであります。  短所として、安定した水量が必要、規模が小さい、どうしても発電規模は小さくなります。水利用の利害関係、水利権、法的な手続が非常に複雑であります。  現在、丸紅、デンソーなどの企業によりまして、売電型の小水力発電、それから、県、市町村、土地改良区、水資源機構、JAなど、自家消費型の小水力発電、それから、電柵、自宅の電源など、マイクロ水力発電の利用など、いろいろな可能性を秘めた取り組みが現在全国で同時進行中であります。ただ、残念なことに、太陽光発電と比べまして適地が限られ、実施の手続が煩雑なこと、小規模なことなどから、まだまだ普及がおくれています。  先日、岐阜県郡上市の白山、福井県の県境にありますまちでありますけれども、白山の麓にある石徹白地区を訪れ、NPO法人やすらぎの里いとしろの事務局、吉田さんから、小水力発電を通じた地域づくり活動のお話を伺ってきました。
     その話や新聞報道によりますと、この地区は、昭和三十年代まで二百十戸、千二百人の人々が暮らしていました。現在は約半分、百十戸、四分の一、二百七十六人まで減少し、石徹白小学校は、全校児童わずか十二人と廃校の瀬戸際にあります。  こうした状況に大きな危機感を抱いた住民の発意により、「三十年後も小学校を残そう」というキャッチフレーズで、豊かな自然や資源、昔からの暮らしの知恵を生かした地域づくりの取り組みを進めています。  その一つとして、白山の豊かな森林を源とする農業用水を利用した小水力発電事業を平成十九年にスタートし、現在、二カ所の小水力発電、最大出力が二・二キロワット──これは水車式であります──、それから〇・八キロワット──これはスクリュー式というやり方でやっております──が稼働しています。この発電所で発生した電力は、これまで休止状態にあった食品加工所や住宅に供給され、これをきっかけに操業を再開した食品加工所は、昨年新たに石徹白名産のトウモロコシのパウダーを開発したところ、大きな脚光を浴び、自然食ブームも手伝って大繁盛をしており、地域の雇用創出にもつながっています。  さらに、地元食材を使った料理やスイーツを提供するカフェの開店、暮らしの知恵が体験できるいとしろ青空学校の開校に波及するなど、期待以上の地域おこしにつながっています。  こうしたことが広く知られるようになり、石徹白の魅力がアップし、昨年は、何と四世帯九人の方が都会から移住してみえるということで、定住促進にもつながっております。  私が石徹白地区で伺ってきたお話は以上のような内容でしたが、石徹白地区では、小水力発電の導入が地場産業の振興や雇用創出、都市との交流、定住促進といった地域づくり活動の大きな引き金となっております。私は、この石徹白地区を見て、非常に参考になる進んだ事例だと大いに感心いたしました。  こうした中、私のふるさとであります東三河の山間部には豊かな緑と水資源がありますので、今後このような小水力発電を通じた地域おこしの取り組みをぜひこれからも具体的に検討して進めていくということを強く感じて帰ってまいりました。  中でも、農業用水を利用した小水力発電につきましては、もう既に二月議会、六月議会、それから委員会等でもそれぞれの先生方の御質問にもございまして、既存の農業水利施設を利用して整備することから工事の際の環境負荷が少なく、短期間で設置が可能であるといった地域の方々が取り組みやすい大きなメリットを有しております。  本県におきましては、昨年度に大規模用水を対象とする小水力発電の調査が行われ、その候補地として、愛知県内に百四十七カ所、全体の発電可能出力は一万一千二百六十キロワットと聞いております。そして、県では、こうした小水力発電の推進を図るためのさまざまな取り組みを鋭意進めていると伺っております。  そこで、まず、農業用水を利用した小水力発電の取り組みについて、何点かお伺いいたします。  第一に、本県では、農業用水を利用した小水力発電の総合的な推進を図る組織が八月一日に設置されたと報道されましたが、この組織の目的や取り組み内容についてお伺いいたします。  第二に、本年度から小水力発電機の具体的な設置場所の検討が進められているとのことですが、どのような地区で取り組まれているのかお伺いいたします。  第三に、本県から国に提案したと聞いております小水力発電の水利権協議に関する規制緩和について、その後の進展状況をお伺いいたします。  以上、農業用水を利用した小水力発電について質問してまいりましたが、最後に、全体に、再生可能エネルギーは、そのほかにも、太陽光、風力、バイオマス、地熱など、さまざまな種類があり、今後のエネルギー政策を考えますと、その一層の普及拡大が大きな課題であると思います。我々の地域にも未利用の再生可能エネルギーが大きく内蔵されており、今後その利活用が大きく期待されているところであります。  そこで、県におかれましては、再生可能エネルギーに対する基本的な考え方について、また、三河山間地域における意義を含めて御所見をお伺いいたします。  以上、私の壇上からの質問を終わります。県当局のわかりやすい、はっきりした、ゆっくりとした口調で大きな声での答弁を期待いたしまして、私の壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 38: ◯地域振興部長近藤正人君) この十月十一日及び十二日の二日間にわたり本県で開催をいたします全国過疎問題シンポジウム二〇一二inあいちについてのお尋ねをいただきました。  まず、愛知らしさのアピールについてであります。  今回のシンポジウムでは、過疎地域の方々と都市部の方々が一緒になって過疎問題を解決していく必要があるとの視点から、テーマを「過疎地域でともに歩む~外からのサポートと内なる価値~」とされたところであります。  本県ではこれまで、三河山間地域における過疎化、高齢化による地域社会の活力の低下を食いとめ、地域の活性化を図るため、全国でも珍しい取り組みとして、平成二十年に市町村、民間等と共同で愛知県交流居住センターを設置するなど、多様な主体との連携による取り組みを進めてまいりました。  今回、全国過疎地域自立促進連盟の表彰を受けます豊根村では、今でも都市部の大学生がとよねサポーターズを結成し、豊根村のPR活動や地域イベントの運営支援などを続けております。  さらに、現在実施しております「山里で暮らそう八十日間チャレンジ」事業も、都会で暮らす五人の女性スタッフが山里に暮らし、地元の方と一体となって情報発信を行い、地域の活性化を促すことを狙いとしております。  こうした取り組みは、まさにシンポジウムのテーマである外からのサポートの一つの手法と言えるものでありますので、この機会に大都市圏と過疎地域が近接する愛知ならではの取り組みとして、全国に向け積極的に発信し、アピールしてまいりたいと考えております。  次に、シンポジウムを開催することで期待される効果であります。  今回のシンポジウムでは、新城市、豊田市、設楽町、東栄町及び豊根村に全国からたくさんの参加者に訪れていただき、本県の過疎地域の実情を御理解いただきますとともに、地元で活動をしている団体の皆さんと地域活性化の優良事例などにつきまして意見交換を行っていただくことといたしております。こうした中から新たな連携、交流が生まれ、地域における機運の醸成が図られることとなりますので、これらを今後の地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。  次に、シンポジウムの成果を今後のあいち山村振興ビジョンにどう反映させ、施策展開をしていくかについてであります。  今回のシンポジウムでは、全体会だけではなく、二日目に各地で開催される四つの分科会においても、「過疎地域でともに歩む~外からのサポートと内なる価値~」をテーマに、都市部と過疎地域の連携などについて議論が行われます。こうした議論の中から、過疎地域の活性化に向けた地域間の連携のあり方に関してさまざまなアイデアが生まれてまいりますので、これらをシンポジウムの成果としてしっかり受けとめ、あいち山村振興ビジョンの施策体系の中に明確に位置づけてまいります。  その上で、多様な主体との連携による外からのサポートが幅広い分野で展開できるように工夫を凝らしながら、あいち山村振興ビジョンに掲げる将来像の実現に向けまして、具体の施策展開を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 39: ◯農林水産部農林基盤担当局長溝田大助君) 農業用水を利用した小水力発電の取り組みについて、三点お尋ねをいただきました。  まず、八月一日に発足した推進組織の目的、取り組み内容でございますが、一つには、市町村、土地改良区等の農業用水関係団体が設立し、会員相互の情報共有や、国、県に対する施策等の提案、要請活動を行う愛知県農業用水小水力発電推進協議会でございまして、百一の団体が会員となっております。  また、同日、この協議会の設立にあわせて、県におきましても、小水力発電に詳しい民間企業の技術者や、岐阜大学、中部電力、国、県等の関係機関で構成する産学官連携・愛知県農業用水小水力発電推進検討委員会を設置し、本県における農業用水を利用した小水力発電の進め方について多角的に検討するとともに、土地改良関係団体等への技術的な支援を行うこととしております。  次に、小水力発電機の具体的な設置場所の検討でございますが、現在、県において検討しております二地区と東海農政局、水資源機構、関係土地改良区等で検討されております九地区を合わせまして、十一地区ございます。  県が具体的な検討を進めております二地区は、矢作川用水の水源である羽布ダムと、千枚田で有名な新城市の四谷地区でございます。  また、東海農政局では、明治用水と濃尾用水の幹線水路で二地区、水資源機構では、豊川用水の大島ダム、宇連ダム及び幹線水路で五地区の検討が進められており、このほか、愛知用水土地改良区等でも二地区で導入に向けた検討が進められているところでございます。  最後に、小水力発電の水利権協議に関する規制緩和の進展状況でございますが、八月二十一日に国の構造改革特区推進本部が発表した政府の対応方針におきまして、本県から国に提案いたしました水利権許可権限の移譲と手続の簡素化について、今後前向きに検討を進めるとされております。  特に手続の簡素化では、既に許可されている水利権の範囲内で行う、いわゆる従属発電について、現在の許可制に変えて登録制とすることも盛り込まれております。  議員お示しの再生可能エネルギーの導入を促進することは、日本再生戦略の主要な施策として位置づけられており、国は、来年度の予算編成に向けて支援策を飛躍的に拡充することとしておりますので、事業の一層円滑な推進が図られるよう、規制緩和につきましても、その実現に向けて今後とも国に強く働きかけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 40: ◯知事政策局長(石原君雄君) 再生可能エネルギーについての基本的な考え方と、三河山間地域における意義についてお尋ねいただきました。  福島第一原発の事故以降、大規模集中型の発電施設のみに頼るのではなく、分散型のエネルギーシステムの構築が重要な課題となってきております。  再生可能エネルギーは、地域でエネルギーを生み出し、消費する地産地消型のエネルギーであり、同時に、環境面からは、地球温暖化対策の有効な手段でございます。さらに、産業面からは、技術革新と需要拡大が見込まれる次世代産業の有力な分野であり、積極的に普及活用していくことが必要であると考えております。  また、再生可能エネルギーは、太陽光、水力、バイオマスなどさまざまな形で地域性を持った資源として存在いたしておりますので、その普及拡大に当たりましては、それぞれの地域の特性を踏まえて取り組むことが必要であるというふうに考えております。  三河山間地域につきましては、豊かな自然環境や歴史ある文化によりまして、県土の保全、水源の涵養、そして観光、レクリエーションの場として重要な役割を果たしてまいりました。再生可能エネルギーの面でも、豊かな森林や河川など、大きなポテンシャルを持った地域であるというふうに認識いたしております。  したがいまして、それらの地域資源を再生可能エネルギーとして最大限活用していくとともに、環境学習の場や観光資源としての活用など、三河山間地域の活性化にもつなげていくといった多面的な視点を持ち、取り組むことが重要であると考えております。  以上でございます。 41: ◯知事大村秀章君) 峰野議員の質問のうち、全国過疎問題シンポジウムにつきまして、私からもお答えをいたします。  本県で初めて開催をいたします全国過疎問題シンポジウム二〇一二inあいちには、私も十月十一日の開会式の日に新城市で開催される全体会に出席をし、歓迎の挨拶をさせていただきたいと思っております。  本県では、三河山間地域が県全体を支える重要な役割を果たしているとの認識から、平成二十年に全庁が一体となって山間地域の振興に取り組むための組織として山村振興推進本部を設置し、その体制を整えるとともに、部局横断的に施策展開を図るための方針でありますあいち山村振興ビジョンを策定するなど、積極的な山間地域の振興に努めてきているわけでございます。  あいち山村振興ビジョンでは、毎年度、その進捗状況を検証し、全庁的な進行管理体制のもとで施策展開が図られておりまして、現在では、重点施策の目標達成率は約九〇%となっております。  今回のシンポジウムでは、こうした山村振興を県政の最重要課題の一つとして位置づけまして、推進をしていくという本県の姿勢をしっかりとアピールしてまいりたいというふうに考えております。  以上です。 42: ◯六十番(峰野修君) 要望をさせていただきたいと思います。  ただいま知事さん初め、政策局長、それから地域振興部長、農林基盤担当局長さんからそれぞれ御答弁をいただきました。  今回の質問で私が感じましたことは、一つは、一つのテーマに対して部局が違う場合がありまして、その場合に、例えばですけれども、小水力発電の場合ですと、農業用水を利用した小水力発電は農地計画課になります。ただ、一般の河川を利用した小水力発電になると、担当がまた変わっていくというか、そういった事例もありまして、それから、山村振興にかかわる場合でもそうでございますけれども、例えば観光ということだと、産業労働部に観光コンベンション課があります。それから、地域振興部にもそういう関係したところがありますという、非常に、今、大村知事の御答弁いただきました全庁的な、ないしは部局横断的なというところをぜひいま一度、もう少しその辺が、機能が発揮していただけるような点を御検討いただけるとありがたいかなと。  そういう意味では、やはり山村振興推進本部というのが、私は、機能が強化されるのが一番よろしいのではないかというふうに感じておりますので、ぜひその点を御検討いただきたいと思います。  それから、大村知事さんにおかれましては、なられてからこの方、私たちの地域に本当にお越しいただいておりまして、また、富山までわざわざ足を運んでいただいております。本当にフットワークのよさと、まず自分で現地を見ようと、その意気込みに私も大変感謝しております。引き続き、これからも我々の地域をしっかりと県全体で支えていただきたい、そんな思いを要望いたしまして、終わります。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 43: ◯三十八番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 44: ◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 45: ◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時五十分開議 46: ◯議長小林功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  安藤としき議員。     〔五十二番安藤としき君登壇〕(拍手) 47: ◯五十二番(安藤としき君) 通告に従いまして、航空宇宙産業の拠点・集積政策、障害がある方の雇用対策と交通安全対策、公契約条例の制定についての三項目について、順次質問をさせていただきます。  初めに、航空宇宙産業の拠点・集積政策についてお伺いをいたします。  昨年十二月、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区が国の国際戦略総合特区に指定をされました。この指定に向けては、知事の政府への働きかけとともに、我が民主党愛知県議員団も、地元選出の国会議員を初め、県連を通じ政府に対する要請を行い、国際戦略総合特区に指定されたことは、これからの本県の航空宇宙産業のさらなる発展に明るい道筋ができたと大変喜んでおります。  知事は、この指定を受け迎えたことしの二月定例議会において、航空宇宙産業に係る研究開発から製造、保守管理までの一貫体制の構築を進め、アメリカのシアトル、フランスのトゥールーズと並ぶ航空宇宙産業の世界三大拠点の一つとなることを目指す、今後は、この指定を弾みとして、航空宇宙産業を次世代の基幹産業として育成し、当地域の産業の一層の高度化と集積拡大を図り、日本の成長を牽引してまいりたいとの所信を述べられました。  私の選出地域には県営名古屋空港があります。子供のころから航空機になれ親しんできた私にとっては、航空宇宙産業の発展に向けた取り組みを進めることは、ライフスタイルの大きな部分を占めています。産業を大きく育成することは将来に向けた雇用の場を確保することにつながり、何よりも地域の自治体や県の財政安定につながります。  このため、これまで本会議や委員会において、航空宇宙産業の拠点集積について質問をし、アメリカのシアトル、フランスのトゥールーズを愛知県は目指すべきと申し上げてきました。このような発言を行ってきました私にとって、大村知事が大風呂敷ではなく、中部地域、愛知県をシアトル、トゥールーズに並ぶアジア最大、最強の航空宇宙産業クラスター形成に向けて取り組まれる考えを示されたことを大変うれしく思っています。  しかし、一方では、その実現に向けてさまざまな課題を解決しなければなりません。  県では、航空宇宙産業クラスターの形成を目指し、平成二十一年三月に策定し、目標年次を平成二十五年度に設定した愛知県航空宇宙産業振興ビジョンにより航空宇宙産業の現状と市場などの動向から課題を見つけ、振興策の方向性を示しています。ビジョンの中で県が課題として挙げられている研究開発のインフラ整備については、県営名古屋空港隣接地に建設された愛知県飛行研究センターにおいて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名古屋空港飛行研究拠点で実験用航空機「飛翔」による飛行実証実験が開始されましたが、継続的、連続的な航空機開発サイクル及び販売体制の確立や、認証の取得など中小企業の新規参入、機体メーカーと外注先での部品の往復に対する効率的な部品供給体制の構築などの課題にも引き続きしっかりと取り組んでいく必要があります。  アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区のPRリーフレットには、民間航空機の海外機体メーカーから完成機メーカーを目指すことを頂点とした将来イメージ図が掲載されています。まさに完成機とは、まずは国産初の小型ジェット旅客機MRJの製造です。  MRJは、当初の予定より少しおくれて、来年度後半に初飛行が予定されていますが、実機がまだない中、日本の技術力の高さを評価していただき、現在まで、オプションを含めて二百三十機の受注を受けています。  三菱航空機株式会社のプレスリリースでは、ことし七月にアメリカのスカイウエスト社から受注された百機の納入は、二〇一七年に開始し、二〇二〇年末に完了する計画が報じられています。  以前行われた議長講演会で伺った関係者のお話では、MRJの機体製造は三百五十機から四百機が採算ラインとされ、このクラスの機体の将来需要から千機以上の販売を目標とされています。  本格的な機体の最終組み立ては、県営名古屋空港に隣接の三菱重工小牧南工場で二〇一五年からの生産が予定されていますが、現在の敷地、施設で今抱えている受注機数の製造が引き渡し計画の期限までに可能なのか、私は大変危惧をしています。事実、MRJの開発が発表された以降、我が県、我が空港で機体の製造をと一種空港以外のほとんどのところの知事のトップセールスなど、さまざまな誘致活動が行われているそうです。  私は、国際戦略総合特区の効果を生かし、周辺地域へと大きく波及させる取り組みが必要であり、具体的な施策、対策にスピード感を持って取り組んでいくべきと考えます。  本県内でMRJの本格的な機体製造が行える体制を整え、国際戦略総合特区の効果を生かし、周辺地域へと大きく波及させ、さらなる拠点集積を図ることがシアトル、トゥールーズに匹敵するアジア最大、最強の航空宇宙産業クラスターの形成につながると思います。  そのためには、周辺地域への集積に対して、これまでの補助制度の活用に加え、本県独自の税制優遇などの優遇策が必要と考えます。具体的な施策の取り組みと支援についてお伺いをいたします。  また、航空宇宙産業クラスターの形成には、研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を構築することが大前提となります。次世代の航空機開発や認証取得に必要な研究、開発に取り組む企業の進出意欲を刺激する誘因策として、研究開発基盤の整備、集積、強化を図る必要があると考えます。  JAXAとの間でこの二月に協定が結ばれていますが、JAXAの高度な研究機能を今後どのように生かしていかれるのか、お考えをお伺いいたします。  次に、障害がある方の雇用対策と交通安全対策についてお伺いをいたします。  障害がある方もない方もともに暮らせる社会、共生社会の実現に向け、障害のある方がごく普通に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活ができる社会を実現するためには、職業による自立を進めることが重要となります。  しかし、一向に回復の兆しが見えてこない経済状況の中、本県の雇用環境は、七月の有効求人倍率が一・一九倍と緩やかに回復の兆しを見せているものの、特に障害のある方の雇用を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。  平成二十四年四月現在、身体、知的、精神の三障害の手帳所持者は、本県人口の四・四二%に当たる約三十二万八千人となっています。そして、障害のある方の雇用状況をあらわす数値に障害者雇用率があります。これは、障害者雇用促進法に基づき、民間企業、国、地方公共団体は、法定雇用率に相当する数以上の身体障害者または知的障害者の雇用を義務づけているもので、現在の公表数値では、愛知県内の民間企業の雇用率は一・五九%と前年を〇・〇四ポイント下回り、いまだ法定雇用率の一・八%を大きく下回っています。  一方、地方公共団体である愛知県知事部局の状況は二・三〇%と法定雇用率の二・一%以上の最低基準はクリアしていますが、都道府県知事部局の全国平均である二・四三%を下回った雇用率となっています。  全国的な状況では、神奈川県や大阪府、福岡県など、算定の基礎となる職員の数が本県と近い県では、いずれも雇用率が三・一九%から三・四〇%と地方公共団体の法定雇用率である二・一%を大きく上回る三%台の雇用が行われています。  この背景には、職員採用の障害者雇用率目標を三%とする計画や方針を立て、今後も三%台を維持するための計画的な採用が行われています。民間企業を牽引するにはまず自治体からと、障害者雇用促進法の法趣旨を理解し、各部局の理解と連携により、法定雇用率を大きく上回る障害者雇用が進められています。  障害者法定雇用率は、平成二十二年の七月から、週二十時間以上三十時間未満の短時間労働も労働者数に加えられる改正が行われ、来年四月からは、法定雇用率が民間企業は一・八%から二・〇%に、国、地方公共団体は二・一%から二・三%にとさらに高い達成率を求められる改正が行われ、ともに暮らす社会を目指し、ともに働ける場の確保を求めているものです。  そこで、四点についてお伺いをいたします。  一、今回の法改正により、来年四月から民間企業に対する法定雇用率が二・〇%と大きく引き上げられます。現状においても、本県民間企業の障害者雇用率が一・五九%と全国平均の一・六五%を下回り、法定雇用率である一・八%をも大きく下回る状況の中、障害者雇用を引き上げる具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  二、将来に向けて障害のある方の雇用の場を確保すること、これは、現在の民間企業への雇用確保に向けた働きかけとともに進めていかなければならない取り組みだと思います。特に知的障害がある方にとっては、現状でも大変厳しい状況と言われており、例えば焼却施設の廃熱を利用したマンゴー生産など、高付加価値の果実を生産する事業者を育成し、障害のある方の雇用の場を確保する取り組みなど、将来に向けた雇用の場を確保するための事業者、団体などを育成する取り組みについて、考えをお伺いいたします。
     三、私たち健常者においても職種に対する向き不向きがあるように、障害のある方にとっても障害の度合いはさまざまです。障害の度合いに応じ、必要なスキルや知識、経験を身につけ、就職に結びつけるために、農業や工業、事務系など、さまざまな職種に対応したコーディネートやマッチングなどの就労支援の取り組みが必要であると考えます。お考えをお伺いいたします。  四、県職員の採用においても、神奈川県や大阪府などのように具体的な目標設定を行い、愛知県みずからが計画的に障害のある方の雇用を促進し、県内民間企業の障害者雇用を牽引する必要があると思います。県職員の障害者採用には、障害者雇用促進法の目指すべき法趣旨を理解し、高い採用目標を掲げ、職種や配置に考慮して計画的に進めるべきだと考えます。お考えをお伺いいたします。  次に、視覚障害がある方の交通安全対策についてお伺いいたします。  視覚障害のある方が外出する際の道しるべ、それは歩道や交差点部に設置されている誘導ブロックです。このブロックは、方向性を示す筋状の突起がある誘導ブロックと、横断歩道手前や階段前、駅のホーム端などに設置され、危険箇所や誘導対象施設等の位置を示す丸い突起状がある警告ブロックがあります。  視覚障害のある方は、このブロックの突起部分を足裏の感触や白つえの感覚、音などを頼りに正確な歩行位置と歩行する方向を知ることができます。近年、全ての人々が利用しやすい道路空間のユニバーサルデザイン化を目指し、歩道部分などに視覚障害者誘導用ブロックの設置が大変多く見受けられます。  しかし、その一方で、誘導すべき導線としてつながっていなければならない横断歩道への設置は余り見られません。  実は、先日、こんな場面に遭遇しました。名古屋市内金山駅近くの片側二車線の交差点で信号待ちをしているとき、視覚障害のある方が誘導ブロックを頼りに横断歩道手前まで来られました。しかし、横断歩道に誘導するブロックがないため方向がわからず、ガードレールに接触したり、またもとの場所に戻ったりと大変迷っておられ、大変危険な状態でした。幸いにも、それを見かけたオートバイのドライバーが車を歩道にとめ、その方を誘導されました。しかし、これは、本来つながっていなければならない誘導導線が横断歩道部で切れていることが原因です。まさに、障害はこの方にあるのではなく、社会の側にあるのではないでしょうか。  愛知県庁正面の交差点でも歩道には誘導ブロックが設置されていますが、片側四車線の横断歩道には誘導ブロック(エスコートライン)が設置されていません。私には、とても目隠しでつえを頼りにこの横断歩道を渡る勇気はありません。  今議会には、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部改正により、移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める条例の制定が提案されています。  この条例は、県が管理する県道のうち、多数の高齢者、障害者等が日常生活において利用する駅や公的施設などを結ぶ路線を、国土交通大臣が指定した特定道路の構造基準が定められており、視覚障害者誘導ブロックの基準も定めるものです。  また、さきの二月議会では、同法の改正により道路標示に関する基準を定めた条例が制定され、横断歩道で視覚障害者の誘導を行うため、標示形状の基準が定められています。  視覚障害者誘導ブロックの歩道への整備は建設部の所管で、横断歩道の整備は警察本部の所管であることは承知しています。しかし、歩道部には視覚障害の方を誘導することを目的に誘導ブロックが設置され、車道を渡る横断歩道には誘導ブロックが設置されていない現状を視覚障害の方に理解してもらえるとは思えません。何より視覚障害の方を交通事故から守り、安全に誘導する。誘導導線がつながっていなければ整備目的は達成されません。  そして、さきの条例制定は、道路の構造の遵守すべき最低基準を定めているものであり、バリアフリー新法の特定道路に課されるだけでなく、その他全ての道路に対して適合の努力義務が課されていると法の趣旨から考えます。  横断歩道の誘導ブロック(エスコートライン)の整備について、今後どのように横断的な連携、協議を図り進めていかれるのか、警察本部長にお伺いをいたします。  最後に、公契約条例の制定に向けた取り組みについてお伺いします。  昨年十一月議会の代表質問において、公契約条例について知事のお考えを伺いました。知事は、公共工事の入札制度などでも、最近は環境や福祉に配慮した加点が行われるようになってきており、県と契約している業者には、労働条件の適正化はもとより、さまざまな面での法令遵守や社会的責任がより強く求められる場面がある。全国の議論をリードするくらいの気持ちで、幅広い観点から、県が締結する公契約のあり方について検討を始めていきたいと、今日の公契約に求められている状況認識とともに、公契約条例の制定に向け大きく踏み込んだ考えを示していただきました。  ことし四月には、公契約のあり方研究チームが設置され、専門家や県内各種団体の意見聴取、先行事例の収集、分析など六項目を研究内容として、部局横断的に調査・研究を行い、県としての対応が検討されています。  私が質問を行った以降も、公契約条例制定の動きは全国的に加速しており、神奈川県相模原市や東京都多摩市、国分寺市で条例制定がされており、公契約条例制定の検討を始めているのは、愛知県を初め県レベルでも多数存在する状況となっています。  公契約条例は、価格だけでなく、公正労働や障害者雇用、男女共同参画、環境、福祉など、政策目的型入札を実行することを明記したものであり、県が公契約条例を制定することで、県内市町村への条例制定への波及を推し進めるとともに、県内企業の法令遵守や社会的責任をより強く求めていくことにつながります。  そこで、公契約のあり方研究チームでの検討経過、内容をお伺いするとともに、研究チームの検討をいつごろまでに終え、いつごろ条例制定を目指しておられるのかお伺いいたします。  以上、航空宇宙産業の拠点・集積政策、障害のある方の雇用対策と交通安全対策、公契約条例の制定についての三項目について、壇上から質問をさせていただきました。  愛知県の財政状況が昨年度にも増して厳しい中、将来に向けた財源確保の施策の展開を進めるとともに、県民の安心・安全につながる施策の展開など、本県には重要かつ緊急的なさまざまな課題があります。  大村知事には、これからもさまざまな課題の解決に向け、しっかりと県政に軸足を置いて当たっていただきますとともに、明快な御答弁を期待して、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 48: ◯産業労働部長(木村聡君) お答え申し上げます。  まず、航空宇宙産業の集積を高めるための支援施策についてでございます。  アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区構想のうち、国産初のジェット旅客機となるMRJプロジェクトにつきましては、県としてこれまで、県営名古屋空港の隣接地に独立行政法人宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAの飛行研究拠点を誘致いたしますとともに、三菱重工業株式会社に対しまして、技術試験場の用地を提供する形で支援してきたところでございます。  県といたしましては、今後、このMRJプロジェクトを含めまして、本県の航空宇宙産業の集積をさらに高めていくため、国の設備等投資促進税制などとあわせまして、本年度に創設した産業空洞化対策減税基金に基づく補助金や、不動産取得税の一部を軽減する産業立地促進税制など、本県独自の施策を活用することによりまして、県内外の関連企業の新規立地や再投資を支援してまいります。  このうち、本年度末が適用期限となっております産業立地促進税制につきましては、県内市町村や企業のニーズなどを踏まえながら、国際戦略総合特区の構想実現に資するよう、来年度以降のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、JAXAの研究開発機能の活用についてでございます。  航空機や航空機部品の開発、製造には、航空機分野固有の認証制度に対応する高度な専門技術が求められ、また、飛行実証実験による評価を経て、安全性、信頼性を証明することが必要とされます。  このため、県では、我が国唯一の航空宇宙分野の公的機関でありますJAXAのすぐれた研究開発機能を活用することを目的といたしまして、愛知県飛行研究センターを整備し、昨年四月にその研究拠点を誘致いたしました。  また、本年二月には、地方公共団体としては初めて、産学行政が連携する研究開発、情報発信や人材育成などに関する連携協力協定を締結したところでございます。  この協定に基づき、まずはJAXAの研究者が講師となりますセミナーや研修会の開催、技術相談・指導への対応などを通じまして、JAXAが有する知見・研究成果の普及啓発や、専門人材の育成を図っていくことといたしております。  また、当地に配備されました実験用の航空機「飛翔」を活用し、県内企業が開発した航空機部品の飛行実証実験に御協力いただくことによりまして、それらの実用化を支援してまいりたいと考えております。  県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、JAXAの研究開発機能を最大限に活用しながら、当地の航空宇宙関連企業の高度化や集積拡大を図り、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の実現につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 49: ◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) 障害のある方の雇用について、まず、障害者雇用率を引き上げる具体的な取り組みについてお尋ねをいただきました。  本県では、愛知労働局と共同による障害者就職面接会の開催、企業の人事担当役員等を対象とした障害者雇用促進トップセミナーの実施、東三河にある愛知障害者職業能力開発校における職業訓練などのほか、障害のある方を新たに雇用した企業に対し、国による助成金支給が終了した後に、一定期間、障害者定着雇用奨励金を県独自で支給するといった取り組みを行っております。  また、身近な地域で就職支援を行う障害者就業・生活支援センターの活動を産業労働部と健康福祉部が共同で支援しております。このセンターについては、本年四月に新城市に新設されたことによりまして、県全体で十カ所となり、障害のある方々により利用していただきやすくなったところでございます。  さらに、県では、今年度新規事業といたしまして、障害者雇用アドバイザー派遣事業にも取り組んでおります。この事業は、障害のある方の雇用に初めて取り組もうとされる中小企業などに専門家を派遣し、業務の中から障害のある方にできる仕事を洗い出したり、障害のある方の受け入れ体制に関する助言等を行うものであり、今年度六十企業を対象に進めております。  来年四月から法定雇用率が引き上げられることになっておりますので、今後もこうした取り組みをしっかり進め、愛知県における障害のある方の雇用の促進を図ってまいりたいと考えています。  次に、将来に向けた雇用の場を確保する取り組みについてであります。  障害のある方の雇用の場の確保につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、企業に雇用が義務づけられており、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が法定雇用率未達成企業から納付金を徴収し、達成企業に対して調整金、報奨金を支給いたしております。こうした制度により、雇用される障害のある方の数は毎年着実に増加してきております。  一方、こうした法的な義務づけへの対応とは別に、障害のある方の働く場づくり自体を目的として、例えば、知的障害のある方が働くパンやお菓子の工房の開設など、新たな事業に取り組む動きも見られます。社会的起業家、あるいは企業の社会的貢献といった観点からのこうした動きも、将来に向けて障害のある方の雇用の場を確保する上では非常に重要であると考えております。  そこで、県といたしましては、そうした動きが具体的にあれば積極的に御相談に乗り、関係部局と連携を図りながら、どのような応援ができるか検討してまいりたいと考えております。  次に、障害の度合いに応じたコーディネート、マッチングなどの就労支援の取り組みについてお尋ねをいただきました。  身近な地域で就労支援などを実施しております県内十カ所の障害者就業・生活支援センターでは、各センターに就業支援担当者が二名配置され、障害のある方の特性をしっかり把握した上で、それぞれに合った職業準備訓練や職場実習のあっせんを行っております。  また、愛知障害者職業能力開発校においても、就職支援のための相談員を配置し、訓練生の希望や習得した能力、障害の状況などに応じたアドバイスを実施しております。  障害のある方の就職につきましては、それぞれの方々の状況に応じた就労支援が大切でありますので、今後ともきめ細かい対応に努めてまいりたいと考えております。  続いて、公契約のあり方研究チームについてお尋ねをいただきました。  このチームは、公契約のあり方について幅広く論点を整理し、県としての対応を検討するという知事の方針のもと、庁内二十三課室の課長級職員等により本年四月に設置したものでございます。  これまでに二回の会議を開催し、意見交換を行いながら、公契約をめぐる課題の整理や学識者等からの意見聴取、県における契約に係る実態調査などを進めております。  現在、研究チームでは、公契約のあり方をめぐる論点を整理しておりますが、今後、これをチームの中間報告として公表し、経済界や各種団体など幅広い関係者から意見をお聞きする段階へと検討を前進させてまいりたいと考えております。  条例制定についてのお尋ねもいただきましたが、この点につきましては、公契約に関して、今後、県としてどのような対応が必要になるのか検討を深めていく中で議論していくことになるものと認識いたしております。  私からは以上でございます。 50: ◯総務部人事担当局長(戸田正彦君) 障害のある方の雇用対策についてのお尋ねのうち、県職員の採用についてお答えいたします。  本県におきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨を尊重し、昭和五十三年度から毎年、身体障害者を対象とした職員採用を行ってきております。また、平成二十年度からは、他県に先駆けて、知的障害者の採用を行ってまいりました。さらに、昨年度からは、働き方に対する価値観の多様化や短時間勤務に対するニーズにも対応するため、身体障害者を対象とした非常勤嘱託員の採用を導入するなど、積極的な障害者の採用に努めているところでございます。  こうした取り組みの結果、地方公共団体の法定雇用率は二・一%でありますが、県の知事部局の雇用率は年々上がってきており、平成二十四年六月現在で二・三五%となっております。これまで障害のある方の採用については、前年度の雇用率を上回るよう採用計画を立てて取り組んでまいりましたが、来年四月からは法定雇用率が二・三%に引き上げられ、県としてもより積極的な障害者雇用が求められております。  したがいまして、まずは都道府県の雇用率の全国平均を上回ることができるよう、具体的な数値目標の設定を検討し、こうした目標に基づく計画的な採用に一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 51: ◯警察本部長沖田芳樹君) 横断歩道上の誘導ブロック(エスコートゾーン)の整備についての御質問にお答えいたします。  エスコートゾーンは、現在、中村区笹島交差点を初め県内百九十七交差点に設置されております。設置につきましては、視覚障害者の方の利用頻度が高い駅などの施設周辺で、主に音響式信号機が整備されている交差点を対象としております。設置数は、東京都に次いで全国で二番目となっており、本年度は、国道四十一号の豊山町青山江川交差点ほか二カ所に設置する予定でございます。  ただ、このエスコートゾーンは、歩道上の誘導ブロックと異なりまして、車道上に設置するため、通過車両による騒音の問題や設置費用が高額であるなど、さまざまな課題もございます。  しかしながら、視覚障害者の方々の安全を確保する上で大変重要な施設であると認識いたしておりまして、限られた予算の中ではありますが、視覚障害者団体の皆様や設置する周辺住民の方々の御意見、御要望を踏まえ、道路管理者との調整を図り、可能な限り整備を進めてまいりたいと考えております。 52: ◯知事大村秀章君) 安藤議員の公契約についての質問につきまして、私からもお答えを申し上げます。  これは、昨年の十一月議会の代表質問に対しまして、私からもお答えをさせていただいたわけでございますが、今回の御質問では、政策目的型入札という考え方をお示しいただきました。  こうした考え方は、県の契約のあり方を考えていく上で重要な切り口の一つではないかと考えております。リサイクル製品の率先購入などのグリーン調達や、障害者就労施設への製品の優先発注などなど、契約を通じて政策を推進しようとする取り組みは、個別分野では進んできていると認識をいたしておりますが、さらにこうした取り組みを拡大し、総合的に推進することが今後重要になってくるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、こうした点も含めまして、今後できるだけ早く庁内の研究チームとしての中間報告を公表することによって、公契約のあり方に関するいろんな論点整理をいたしまして、各界にその論点を投げまして、公契約のあり方に関する愛知発の議論を巻き起こし、ぜひ前に向けて進めていきたいというふうに考えております。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 53: ◯三十九番(坂田憲治君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 54: ◯議長小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 55: ◯議長小林功君) 御異議なしと認めます。  明九月二十七日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時二十八分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...