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  1. 愛知県議会 2008-02-01
    平成20年2月定例会(第5号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成20年2月定例会(第5号) 本文 2008-03-03 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 48 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長青山秋男君) 選択 2 :  ◯議長青山秋男君) 選択 3 :  ◯議長青山秋男君) 選択 4 :  ◯知事神田真秋君) 選択 5 :  ◯議長青山秋男君) 選択 6 :  ◯二十九番(大見正君) 選択 7 :  ◯環境部長林清比古君選択 8 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長伊藤明君) 選択 9 :  ◯二十九番(大見正君) 選択 10 :  ◯議長青山秋男君) 選択 11 :  ◯三十一番(久野てつお君) 選択 12 :  ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 選択 13 :  ◯警察本部長松尾庄一君) 選択 14 :  ◯三十一番(久野てつお君) 選択 15 :  ◯三十八番(酒井庸行君) 選択 16 :  ◯議長青山秋男君) 選択 17 :  ◯議長青山秋男君) 選択 18 :  ◯副議長加藤精重君) 選択 19 :  ◯二十五番(石黒栄一君) 選択 20 :  ◯教育長伊藤敏雄君) 選択 21 :  ◯地域振興部長的井宏樹君) 選択 22 :  ◯二十五番(石黒栄一君) 選択 23 :  ◯副議長加藤精重君) 選択 24 :  ◯二十二番(かじ山義章君) 選択 25 :  ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 選択 26 :  ◯教育長伊藤敏雄君) 選択 27 :  ◯知事神田真秋君) 選択 28 :  ◯二十二番(かじ山義章君) 選択 29 :  ◯副議長加藤精重君) 選択 30 :  ◯八十三番(岩田隆喜君) 選択 31 :  ◯総務部長(今井秀明君) 選択 32 :  ◯建設部建築担当局長(長瀬幸男君) 選択 33 :  ◯八十三番(岩田隆喜君) 選択 34 :  ◯三十七番(田辺克宏君) 選択 35 :  ◯副議長加藤精重君) 選択 36 :  ◯副議長加藤精重君) 選択 37 :  ◯議長青山秋男君) 選択 38 :  ◯六十番(三浦孝司君) 選択 39 :  ◯地域振興部長的井宏樹君) 選択 40 :  ◯農林水産部農林基盤担当局長伊藤明君) 選択 41 :  ◯知事神田真秋君) 選択 42 :  ◯議長青山秋男君) 選択 43 :  ◯六十六番(原田信夫君) 選択 44 :  ◯総務部長(今井秀明君) 選択 45 :  ◯議長青山秋男君) 選択 46 :  ◯三十八番(酒井庸行君) 選択 47 :  ◯議長青山秋男君) 選択 48 :  ◯議長青山秋男君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時二十分開議 ◯議長青山秋男君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 諸般の報告 2: ◯議長青山秋男君) この際、諸般の報告をいたします。  本日、知事から追加提出されました議案は、各位のお手元に送付いたしました。  以上、御報告いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第二 第七十九号議案教育委員会の委員の選任に       ついて(提案理由の説明) 3: ◯議長青山秋男君) 次に、第七十九号議案教育委員会の委員の選任についてを議題といたします。  直ちに知事の提案理由の説明を求めます。  神田知事。     〔知事神田真秋君登壇〕 4: ◯知事神田真秋君) おはようございます。  議員の皆様方には、二月十九日の開会以来、当初予算案を初め各議案につきまして熱心に御審議をいただき、まことにありがとうございます。深く感謝を申し上げます。  本日は、教育委員会の伊藤敏雄委員が三月三十一日をもって任期満了となることに伴い、その後任者の選任同意議案につきまして追加提案をいたした次第でございます。  よろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願いを申し上げます。        ─────────────
        〔議案は別冊付録に掲載〕      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第三 一般質問 5: ◯議長青山秋男君) これより一般質問を行います。  通告により質問を許可いたします。  大見正議員。     〔二十九番大見正君登壇〕(拍手) 6: ◯二十九番(大見正君) おはようございます。  早速、通告に従い、環境行政について二項目、生物多様性条約第十回締約国会議についてとあいち森と緑づくり税についてお伺いをいたします。  最初に、現在本県が誘致を目指しております生物多様性条約第十回締約国会議、以下COP10と呼びますが、これについてお伺いをいたします。  さて、最近では、昨年六月にドイツのハイリゲンダムで開催されました主要国首脳会議・G8サミットや、本年一月にスイスのダボスで開催されました世界経済フォーラム、通称ダボス会議などの世界の首脳が集まる国際会議では、地球環境問題が主要な議題として取り扱われており、今や安全保障や経済問題と並び地球環境問題が世界共通の課題となっております。  ことしの七月に北海道で開催されます洞爺湖サミットでも、地球環境問題が主要議題になるものと聞いており、我が国の役割が非常に大きいものとなっております。  この洞爺湖サミットで議論される地球環境問題は、最近、特に話題となっております皆様御存じの地球温暖化問題と、一般の方にはまだなじみの薄い生物多様性が取り上げられると聞いております。  私が注目をいたしておりますのは、生物多様性の問題であります。  生物多様性につきましては、その国際条約や会議も十分に知られておりません。世界には約百七十五万種類の生物が生存していると言われておりますが、これは名前がつけられている生物の数で、熱帯雨林の奥地や深海などの名もない生物を含めると、約三千万種を超える生物が生存すると言われております。  今、この地球上の生物が四十億年前に誕生して以来、六度目の危機に陥っていると聞いております。これまで絶滅の危機は、火山の爆発や隕石の衝突など自然的要因によるものと言われておりますが、今回の六度目の危機は、近年の人口増加に伴う食糧の確保や開発に伴う人為的なものであり、文献によりますと、世界で年間約四万種、一時間に直しますと、約四種類の生物が絶滅していると言われております。  このように、人為的影響により多くの貴重な生物が絶滅している状況を踏まえ、一九九二年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて、気候変動枠組み条約とともに署名されたのが生物多様性条約であります。そして、この条約を締結している世界の国がおおむね二年ごとに集まり、国際的枠組みを決定していくのが生物多様性条約締約国会議であります。  本県は、二〇一〇年に開催されるこの締約国会議・COP10の誘致を目指しておりますが、二〇一〇年は、国連が定めた生物多様性年であります。また、オランダ・ハーグのCOP6で決定されました生物の多様性が失われる速度を二〇一〇年までに顕著に減少させるという二〇一〇年目標の目標年でもあります。COP10は、この二〇一〇年目標にかわる新たな目標が検討される非常に大切な節目となる会議であると受けとめております。  COP10の開催地は、ことしの五月にドイツのボンで開催されるCOP9において決定される予定でありますが、我が党の代表質問の答弁で、知事もCOP9に誘致のために参加する旨を表明されておりますので、本県開催の決定を心待ちにいたしておるところであります。  本県がCOP10の開催地に決定されれば、世界各国から注目されることが予想されますが、私は、COP開催に当たり、この地域が国際会議にどのように支援、協力し、生物多様性の保全という課題に対し、どのように貢献をしていくのかの展望が必要だと考えております。  本県が昨年一月のCOP10の国内候補地に選ばれたのも、愛知万博の実績はもとより、藤前干潟や海上の森の保全など自然と共生する取り組みを進めたことや、この地域の行政と経済界の関係者が一体となって誘致活動を進めた姿勢が評価されたと聞いております。  また、本県は、工業、農業が盛んで、自然も多く残っているバランスのとれた多様な特性を持った地域だからこそ、生物多様性の保全という大きな課題に対し、きめ細かなホストができるものと確信いたしております。  折しも、現在、県、市、地元経済界から成るCOP10誘致委員会において、有識者から成る誘致構想策定委員会における検討を踏まえつつ、COP10に向けた地元の取り組み内容をまとめた誘致構想の策定作業を進めていると聞いておりますので、その内容について大いに期待をいたしておるところであります。  また、COP10開催に向けて期待をしておりますのが、二〇〇五年の愛知万博でのムーブメント、盛り上がりの再現でございます。  思い起こしますと、NPO、NGOが主体となって、環境、人権、平和などをテーマに企画運営された地球市民村、博覧会の運営に大きくかかわった三万人のボランティア、県内の当時七十一の市町村が百二十カ国の国々の方々をおもてなしした一市町村一国フレンドシップ事業など、従来の博覧会にない多様な主体の参加型の博覧会でありました。また、こうした取り組みが博覧会の成功を導いたものと受けとめております。  博覧会閉幕後も、ボランティアや森の案内人インタープリターなどで活躍した方が引き続き地域の環境活動等に貢献するなど、博覧会の理念をしっかり受け継いでおります。  COP10という国際会議と博覧会とは趣が異なるとは思いますが、COPのような大規模な国際会議への参加経験が県民の大きな自信と誇りとなるとともに、会議成功にも大きくつながるものと考えております。そして、そのことが環境問題に対する県民意識の一層の高まりと、これまで以上に積極的な活動に結びついていくことを期待しております。  私は、また、県民だけでなく、企業の参加も大いに期待をいたしております。生物多様性条約の目的の一つには、森林から得られる木材資源、海から得られる漁業資源などの生物資源の持続可能な利用が求められており、生物資源に企業活動が大きく依存している現状を踏まえると、COP10への企業の参加は不可欠と考えております。  博覧会でも、企業が太陽光、風力発電装置、燃料電池、エコカーなどの環境施設等の展示、利用や、それらの施設を紹介するバックヤードツアーにも大きくかかわり、博覧会の成功に大きく寄与いたしました。環境技術や国際感覚にたけた愛知の企業の取り組みがCOP10の国際会議開催の機会に世界に発信され、会議の成功につながることを望んでおります。  そこでお伺いをいたします。  一点目は、我が党の昨年九月の杉浦孝成議員の一般質問で、COP10の誘致構想について、その内容をお伺いいたしましたが、今回は、誘致構想策定委員会でどのような点に力を入れて構想内容を検討されているのか、お伺いいたします。また、あわせて、いつまでに誘致構想を作成し、それをどう活用するのか、お伺いいたします。  また、二点目は、COP10の開催には、愛知万博のムーブメントの再現や生物資源の持続可能な活用の観点から、県民や企業の参加が成功のかぎの一つと考えられます。今後、COP10開催に向けて、どのようにして県民や企業、市町村と連携をしていくのか、お伺いいたします。  次に、環境行政について、二項目として、あいち森と緑づくり税についてお伺いをいたします。  愛知万博のさまざまな事業を通じ、県民の皆様の環境に対する意識が高まり、環境先進県愛知の取り組みにも弾みがついたと考えております。万博の自然との共生の理念を継承し、引き続き環境意識の向上を図っていくことが重要であり、COP10の誘致につきましても、愛知の環境への取り組みを発信する絶好の機会ととらえております。  さまざまな環境への取り組みを愛知で、幅広い分野、地域で実施していくことが大切でありますが、その重要な対象の一つである森と緑につきましては、林業の衰退などによって手入れ不足の森林がふえており、また、都市部でも都市化の進展により身近な緑の減少が進んでおります。  森や緑は、人に安らぎを与えるとともに、土砂災害や風水害などの自然災害を防止したり、地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素の吸収や生存に欠かせない酸素の供給など、多面的な機能を有しております。  また、森や緑には、水をつくり出すという大切な面もございます。  私の地元の安城市は、かつてはキツネやタヌキが住む安城が原と呼ばれた荒れ野原でございました。明治十三年、一八八〇年になりますけれども、明治用水という用水が開削をされ、矢作川の水が引かれてから、安城市を初めとする碧海台地や豊田市、西尾市の一部は大きく発展をすることができました。  その明治用水では、明治四十一年、一九〇八年といいますから、今からちょうど百年前に、水を使うものはみずから水をつくれという先人の先見的な発想から、矢作川の上流、現在の豊田市下山地区に水源涵養林の育成事業を開始をしました。  矢作川流域には、「流域は一つ、運命共同体」というかけ声のようなものがございます。このかけ声は、流域の上流も下流も、都市部も農山村部も一緒に協力をしていこうというものであります。このかけ声に象徴されるように、水源涵養林の事業は、水の恩恵を受ける下流域に暮らす住民が水をはぐくむ上流の森と緑の恩恵を忘れることのないように、植林や間伐、下草刈りや林道の整備、保全を行うもので、現在は、長野県根羽村を中心に五百二十五ヘクタールの山林を所有し、管理をしております。  行政として安城市も、平成三年度から財源負担によりまして、最上流部の水源涵養と森林保全の取り組みである矢作川水源の森分収育林事業を行うとともに、野外センターを設置し、矢作川下流の市域に住む市内すべての中学生や市民が上流の森や緑の自然に触れ合うことで、その恵みを学習体験しております。  愛知県には、木曽川、矢作川、豊川など県民の暮らしや産業を支えてきた川があり、その水は豊かな森や緑がなければつくられません。決して派手さもなく、自己主張もしませんが、森や緑がもたらす恩恵は、川の水のほかにもさまざまな面で私たち県民が等しく受けているものであります。  今回のあいち森と緑づくり税は、この森や緑を県民共有の財産として明確に位置づけ、森林や里山林、都市の緑の整備、保全を新たな財源を新税に求めて進めるものであり、その趣旨については、県民の皆様にも十分理解がいただける施策であると感じております。  この新たな税は、個人県民税と法人県民税の均等割の超過課税で、県民一人当たり年間五百円、法人は五%の割り増しをお願いするものであり、税収としては年間約二十二億円、初年度は十五億円を予定し、当面五年間の課税期間で進めると聞いております。  導入のスケジュールとしては、二十一年度から徴税と事業を開始するもので、二十年度は、導入までの準備期間として、新たに設置するあいち森と緑づくり基金への寄附の受け入れや、総務部、環境部、農林水産部、建設部の各部局において、事業計画の策定やモデル事業の実施、普及啓発等を行っていくこととされております。  この中でも、特にモデル事業につきましては、二十一年度からの円滑な事業実施に向けた課題の整理や事業効果の見きわめ、また、新税の意義、効果について、県民の皆様への周知と理解の促進を図っていく上で非常に大切な取り組みであり、どういう内容のモデル事業を行っていくのかは重要なポイントであると思っております。  そこでお伺いをいたします。  各部局で取り組まれるモデル事業の具体的な内容はどういうものか、お示しをください。  次に、今回の新税は、手入れがおくれた森林の整備、保全をその議論のスタートにいたしておりますが、名古屋市を初めとする大都市が多く広がるという本県の特徴や、そうした都市部においてヒートアイランド現象の緩和に代表される緑化対策の必要性が高まっていることから、山間地域と都市地域とが森と緑をキーワードに結ばれる形となっております。  同様の趣旨の税である、いわゆる森林環境税については、既に全国で二十三県で導入され、さらに六県において四月から導入が決まっていると聞いておりますが、こうした他県の制度と比べると、山から町までの幅広い範囲を対象としている点が本県の制度の大きな特徴であると思っております。  このため、事業を実施する部局も複数にわたっており、貴重な税を使った事業を実施していくに当たっては、愛知らしい施策として、何にどのように取り組んでいくのか、また、事業効果の検証や、市町村、NPO、県民、企業との協働などについて、県庁内の部局が連携をしながら、総合的に検討、実施していくことが必要だと考えております。  一方、愛知の豊かな森や緑を次代を担う子供たちに残していくことは大切なことであり、子供たちに森林や里山林の大切さや都市に緑が豊かなことのすばらしさをぜひとも伝えていかなければならないと感じております。そのための環境学習や植林、緑を守り育てる環境保全活動に小中学校の児童生徒に参加してもらうことは、大変有意義なことだと考えております。  さらに、小中学校の児童生徒の参加に加えて、県内の林業や農業を学ぶ高校生の連携や活用を進めていくことも望ましいことではないかと考えております。  林業関係では、安城農林高校にある森林環境科、猿投農林高校の林産工芸科や田口高校の林業科で学ぶ生徒は、森林整備や保全のよき理解者であり、将来の林業の担い手候補でもありますので、新税を活用した森林や里山林の整備事業に可能な限りかかわる機会をつくってもらいたいと思っております。  また、農業関係では、稲沢高校や佐屋高校、半田農業高校、安城農林高校や渥美農業高校、新城高校にある園芸関係科を持つ高校で学ぶ生徒たちが野菜や草花の栽培ノウハウを活用して、都市緑化の手伝いをする機会があればよいと考えております。  事業概要では、都市緑化については、駐車場や屋上などの民有地緑化に助成することになっておりますが、まことに時宜にかなうものであります。事業効果の観点からは、これらの取り組みに加えて、地域のシンボル的な存在である学校などでの取り組みを加えることにより、都市緑化のPRと成果の確認、地域や家庭への普及といった点でより一層の効果があるのではないかと考えております。  こうした考え方から、新たな施策を進めていく上で、県教育委員会の積極的な協力が不可欠であると考えております。  そこでお伺いをいたします。  森と緑づくり税を活用した施策を進めていくための県の推進体制はどのようにしていくおつもりなのか、お聞かせください。  以上、環境行政についてお伺いをいたしました。理事者の明快な答弁を期待して、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 7: ◯環境部長林清比古君) 環境行政のうち、COP10について二点の御質問をいただきました。  まず、第一点目は、誘致構想の内容についてどのような点に力を入れ、いつまでにつくり、そして、それをどのように活用するのかについてのお尋ねでございます。  誘致構想の内容としましては、一つには、条約事務局が主催する国際会議への支援と、二つには、地元が企画する生物多様性の保全などに向けた取り組みの二点を中心に検討を進めております。  まず、一つ目の条約事務局が行う国際会議への支援としては、会議が円滑に行われることが第一でありますので、警備、救護体制、食品衛生などの面において、安心・安全の確保に万全を期してまいります。  また、会議の運営に当たっては、そのための環境配慮指針を策定し、参加者の輸送から会場運営、物品、サービスの調達、廃棄物の処理に至るさまざまな面で環境への負荷の低減を図るとともに、会議の参加者には、この地域の自然や観光資源、文化、芸術などに触れていただき、愛知の魅力を体感できるようなおもてなしの取り組みを検討いたしております。  また、二つ目の地元が企画する生物多様性の保全などに向けた取り組みであります。  COP10では、県民、企業を初めとする多様な主体が自主的に参加できる機会として、生物多様性をテーマとした講演会、シンポジウム、写真展、自然環境の大切さを学ぶエコツアー、食を通じて生物多様性について考える催し物の開催や、さらには流域リレーシンポジウム、里地里山フォーラム、スローライフツアーなど、多彩な関連イベントの提案がなされているところであります。  この誘致構想につきましては、現在、検討をお願いをいたしております策定委員会からの提言を受け、本年度中に作成してまいります。  こうして取りまとめた誘致構想をカナダにある条約事務局や国内の各国大使館などに送付し、PRに努めるとともに、ドイツ・ボンで開催されるCOP9の場で条約締約国に対し、COP10の本県での誘致、開催を強く働きかけてまいります。  また、県民や国内への周知を図ることも重要でございますので、この三月に愛知芸術文化センターで開催予定のシンポジウムや、五月の生物多様性の日における記念イベントなどの機会を通じて、COP10の開催機運を醸成し、地元の熱意を発信してまいりたいと考えております。  次に、第二点目のCOP10における県民や企業、市町村との連携についてでございます。  愛知万博と同様、このたびの国際会議においても、ボランティアによる会議支援、生物多様性保全の考え方の普及とその取り組みの推進、あるいは国際交流の拡大などの面で、県民、企業、市町村の方々の積極的な参画が不可欠であると考えております。  このため、COP10の本県への誘致決定後には、県民やNPO、企業、大学、メディア、市町村などに呼びかけ、多彩な主体がCOP10にかかわりの持てる体制づくりを行ってまいりたいと考えております。  具体的には、県民の参加については、国際会議支援に不可欠なボランティアの確保、育成に努めるとともに、また、県内各地で活動しているNPOなどの市民団体とも連携、協働し、その主体性を生かした講演会やシンポジウムを支援し、開催してまいります。  企業の参加については、地元の先進環境企業の団体である環境パートナーシップ・CLUBを初め、生物資源の利用にかかわりの深い食品や医薬品などの企業、業界に、例えば環境技術展などの出展、参加、協力を呼びかけてまいりたいと考えております。  また、市町村との連携については、愛知万博での一市町村一国フレンドシップ事業を継承し、海外との交流を続けている市町村も多くありますので、こうした取り組みを支援し、海外との友好の輪を広げていくことが重要と考えております。  いずれにいたしましても、COP10は、生物多様性の保全という私たちの生活基盤を支える重要な国際会議でございます。国内外から多くの方々が参加するまたとない大きなイベントでございますので、開催地となる愛知の総力を結集して、会議を成功に導き、地元に大きな成果がもたらされるよう、さまざまな取り組みを検討してまいります。  以上でございます。 8: ◯農林水産部農林基盤担当局長伊藤明君) あいち森と緑づくり税についてのお尋ねのうち、二十年度のモデル事業についてお答え申し上げます。  モデル事業の内容としましては、まず、森林の整備として、広葉樹などの自然植生を導入するための通常より強めの間伐を三河山間地域の奥地と公道沿いの人工林において、それぞれ四カ所ずつ実施してまいります。  また、里山林の整備として、利活用しやすい明るい森や林にしていくため、過密な樹木や竹の伐採、簡易な土どめさくによる林内整備などを尾張、三河の二カ所で実施してまいります。  さらに、都市の緑整備として、県民参加による植樹活動を尾張、三河の二カ所で実施するとともに、緑の環境学習として、県内の小中学校五校程度で、緑のカーテンとも呼ばれます植物の生育実習や環境学習プログラムの試験的な実施を計画しております。  こうしたモデル事業の実施を通して、二十一年度から本格的に実施する事業の進め方を検証していくとともに、具体的な取り組みを目に見える形でお示しすることで、県民の皆様方や森林所有者など関係の方々に新たな施策への理解を深めていただき、御協力いただけるよう努めてまいります。  次に、森と緑づくり税を活用した施策を進めるための県の推進体制についてでございます。  森林整備から都市緑化までの幅広い施策を効果的、効率的に進めていくためには、関係する部局の十分な連携が不可欠であると考えております。  このため、二十一年度からの本格的実施に向け、私ども農林水産部を窓口に、総務部、環境部、建設部、教育委員会など関係する幅広い部局で構成いたします庁内連絡調整会議を早期に設置し、計画の策定や制度の普及啓発などについて、十分に調整、連携しながら取り組んでまいります。  また、新たな施策における学校での取り組みには、小中学校における環境学習プログラムの実施や県民参加による植樹活動の実施などにより、次世代を担う子供たちに森や緑の大切さを学んでいただくこととしておりますが、お示しのありました林業や農業関係高校生の活動につきましては、教育委員会とも十分連携し、どのようなかかわりや取り組みが可能か検討してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、こうした事業計画や事業推進にかかわるさまざまな御意見を踏まえ、二十年度に設置いたしますあいち森と緑づくり委員会において、新たな施策に関する総合的な御検討をいただくこととしております。 9: ◯二十九番(大見正君) それぞれに御答弁をいただきました。  COP10につきましては、誘致委員会が検討しております構想案というのが本年度中にできるということでありました。  また、五月の末だというふうに聞いておりますけれども、ドイツのボンのCOP9で、次期開催国、COP10の開催地が決まるということでありますので、その誘致構想案というものが県民、私たち議会を含めてでありますけれども、目に触れる時間というのが非常に短いことになります。  できるだけ多くの御意見や衆知を集めて、皆さん方にも見ていただく中で、しっかりと機運を高めて誘致をしていくのが一番いいのかなというふうに思っておりますけれども、時間的な制約の中からそういう形になるということでありますので、これは決定をするということで期待をしながら、決定をした後に、開催までの二年間、時間を使いながら、しっかりと生物多様性の理解を深めるとともに、いろんな参加を願う啓発の中で、県民の皆さんの意見を聞くような機会をまたたくさん設けていただきたい、そんなふうに思っております。  特に愛知は、産業立県として押しも押されぬ国内での地位、また海外での評価というのもいただいておるところであります。その対極として、自然も非常に多く残っておるということで、開発と、それから保全という間に立って、常にいろんな議論がされてきたところで、そして、藤前干潟にしろ、海上の森にしろ、常に自然と開発と何とか折り合いをつけて発展をしてきた地域であると。ゼロか百かではなくて、いろんな議論の中でともに共存、発展を目指すことができた地域であるというふうに思っておりますので、そうした地域の特性、これは大いに学ぶべきところがきっとあるというふうに思っておりますので、世界の皆さんにもそうした点がしっかりと見ていただけるような、そういう会議にしていっていただきたいというふうに思っておるところであります。  そして、森と緑づくり税については、教育委員会の位置づけということを非常に強調させていただきました。子供たちにそうした自然の大切さを伝えるということは大変大事なことだというふうに考えておりますので、いろいろなかかわりを持ってもらうことで、小さいころにそういう体験をいっぱい積んでもらうということが非常に大事なことではないかなというふうに思っておりますので、課題、それぞれにたくさんあると思いますけれども、ぜひできるだけ多くのかかわりが持てるような施策を推進をしていただきたい、そのことを願うものであります。  特に、実業高校で学ぶ生徒さんというのは、間近になると社会へ出て行くわけでありますけれども、自分たちが学んでいることというのが地域の中でしっかりと役に立つんだ、これからの愛知の愛知づくり、あるいは日本の中で、自分たちの学ぶことがこれからの社会をつくっていく上で大変大切なことなんだということは、地域へ出ていろいろな活動をしながら、地域の皆さんに感謝をされたり、励まされたりする中でしっかりと身についていくものだというふうに思っておりますので、新税の使い方、ただ補助金を出すということだけでは非常にもったいないと思いますので、ぜひ参加をしてもらうこと、いろいろ考えてもらうこと、そうした形、県民を挙げて取り組むんだという意気込みが感じられるような事業、そしてできるならば、COP10開催の二〇一〇年には徴税が始まるわけでありますけれども、事業としてもいろんな取り組みがあちこちで始まり、それを県内外の皆さんや国外の皆さんにも見ていただけるような、そういう歩調の合った取り組みをしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 10: ◯議長青山秋男君) 進行いたします。  久野てつお議員。     〔三十一番久野てつお君登壇〕(拍手) 11: ◯三十一番(久野てつお君) 通告に従い、順次質問をさせていただきます。  初めに、健康長寿あいちの実現についてお伺いします。
     厚生労働省が平成十九年十二月に発表した平成十七年都道府県別生命表の概況によりますと、全国の平均寿命は、男性七十八・七九歳、女性八十五・七五歳であり、我が国は男女とも世界トップレベルの長寿国となっております。  本県におきましても、男性は七十九・〇五歳で全国の平均寿命を上回っており、女性は八十五・四〇歳と全国値より下回っているものの、平成十二年度の八十四・二二歳より一・一八歳伸びており、高い平均寿命となっております。  一方で、平成十九年十月発表の平成十八年人口動態の概況によりますと、女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、全国は一・三二、本県は全国を〇・〇四上回る一・三六でありますが、人口維持に必要とされる二・〇八にはまだまだ遠い状況であります。  また、総務省の発表によりますと、我が国の平成十九年九月現在の高齢化率は二一・四%と、現在約五人に一人が六十五歳以上の高齢者である高齢社会であり、世界に類を見ないスピードで少子・高齢化が進行していると言えます。本県におきましても、二〇一五年ごろを人口増加のピークとして、高齢者の割合が大きく増加していき、超高齢社会を迎える見込みであります。  こうした状況は、年金制度や社会保障に関する負担のあり方などさまざまな問題が発生する要因となり、高齢者にとっても、また若者にとっても大変な時代が来ると言えます。  そうした時代の到来を目前に控え、県民が長生きしたことに真に満足できる愛知県を実現するためには、高齢者を初めすべての県民が心身ともに健康で、その能力を最大限発揮できるように、健康づくり、医療、福祉及び産業のおのおのの分野で総合的な支援システムの構築が必要であると考えます。  一方、本県は、あいち健康の森を核として、県民の健康づくりを医療・福祉・産業支援と一体として推進するために、平成十八年三月、知事を座長とするあいち健康の森推進会議を開催し、長生きしてよかったと思える愛知づくりを目指し、健康長寿あいち宣言を発表しました。この宣言は、全世代にわたる健康づくり、活力ある地域社会づくり、健康長寿産業の育成を主な内容とし、県としての健康長寿実現のための決意をし、県民の健康づくり、医療や福祉の推進の道しるべとしているものであるとお聞きしております。  しかし、健康長寿社会実現のためには、行政の一方的な施策ではなく、県民一人一人が主体となり、健康づくりに取り組めるような環境づくりが必要であります。  このためには、健康長寿あいち宣言の内容や理念が県民にしっかりと周知され、また、県民がこの考え方を理解することから始まると思いますが、私は、まだまだその情報や考え方が県民に浸透していると感じるまでには至っていないように思います。  宣言は、これからの高齢社会において、県民にとっては重要な方向性を示すものであり、できるだけ幅広い年代の多くの県民がしっかりと情報を得ることにより、みずからの健康づくりをスタートできるものと考えます。  また、本県は、だれもが健康で長生きできる長寿社会の実現を目指し、県民の健康づくりや疾病の予防などの技術創出のためにあいち健康の森を整備してまいりました。  あいち健康の森は、大府市と東浦町にまたがる約八十ヘクタールのエリアでありますが、平成十六年三月に、我が国唯一の高齢者医療を目的としたナショナルセンターであります国立長寿医療センターが開設され、健康づくりの動機づけから、実践の支援、健康づくり、介護予防のための技術開発を行うあいち健康プラザや、医療部門と保健部門をあわせ持ち、先進的な小児医療を提供するあいち小児保健医療総合センター等が集積しております。  あいち健康プラザ及びあいち小児保健医療総合センターの建設費は、いずれも約三百億円と県が大きな財政負担をして整備をしております。また、あいち健康の森公園にも多くの整備費が費やされております。  このように、あいち健康の森は、県が大きな投資をして築いた健康づくりのための財産でありますので、各施設が持っている機能を最大限に生かし、その成果を県民の健康づくりに大きく役立てていくことが責務であると考えます。  特に、健康づくりに関しては、ただ長生きするだけでなく、できるだけ長く健康で自立した生活が送れるよう、いわゆる健康寿命の延伸が重要視されるようになってきております。  我が国では、死因の第一が悪性新生物、第二位が心疾患、第三位が脳血管疾患と三大死因すべて生活習慣病であること、四十歳から七十四歳の男性二人に一人、女性五人に一人が生活習慣病を引き起こす要因となるメタボリックシンドロームの該当者または予備軍であるという現状から、今、医療は治療から予防へと大きく転換しております。  あわせて、生活習慣の変化や高齢者の増加による生活習慣病の有病者、予備軍の増加を背景に、総合的な生活習慣病対策が急務であるという認識から、来年度からメタボリックシンドローム対策を初めとする各種の改革が実施されます。  その一環として、本年四月、四十歳から七十四歳を対象に、メタボリックシンドロームの該当者及びその予備軍を抽出し、抽出されたハイリスク者に対して重点的に保健指導を行う特定健診・特定保健指導が保険者に義務づけられ、現在、保険者はその準備に追われているところであります。  この制度は、健診受診率やメタボリックシンドロームの該当者及びその予備軍の減少率に目標を設け、その達成結果により、各保険者にインセンティブやペナルティーが課せられることになります。結果は都道府県ごとに分析することになり、まさに生活習慣病対策は地域間競争の時代となっております。  このように、医療のあり方が急速に転換していく中で、本県もこれまでどおりの保健医療の施策を続けていては、いずれ取り残されてしまうことが危惧されます。  県が平成十八年十一月に実施した調査によりますと、高齢者の健康管理について行政に力を入れてほしいものとして最も多いのが、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病や肥満などの生活習慣病対策。高齢化が進行する中で求められる産業について最も多いのが、早期に疾病を発見できる検査機器やがん治療の先端機器などの疾病を治療する機器であるという結果が出ております。  こうしたことから、県民の生活習慣病予防に関する関心もかなり高いものであると言え、若いころから高齢者まで全世代にわたる健康づくり、疾病予防対策が総合的に行われることの必要性を感じます。  以上から、本県におきましては、先ほど申し上げたあいち健康の森の技術を活用し、国や他県より一歩進んだ、地域間競争に勝てる施策展開が行われることを希望するところであります。  そこで、以下三点お伺いします。  一点目、私は、平成十七年十一月議会の一般質問で、健康長寿あいち宣言について伺いましたが、高齢化が進展する中での重要な施策も、県民に周知されなければ成果は上がらないと考えます。  つきましては、宣言は具体的にどのように周知してきたのか、また、その結果、県民の認知度はどのようになっているのかをお伺いします。  二点目、あいち健康の森は、県が大きな財政負担をして整備した施設でありますが、県民の健康づくりのため、どのような成果が出ているのかをお伺いします。  最後に、来年度は医療制度改革元年と呼ばれ、医療が治療から予防へと大きく変わろうとしていますが、これを受けて、県民の健康のためにどのような施策の転換を行っていくのかをお伺いします。  次に、交通安全対策についてお伺いします。  昨年、本県では、三年連続交通事故死者数全国ワーストワン返上に向け、年初から、県警本部、県当局及び市町村を初めとした各関係機関、団体などと県民が協力し、総ぐるみで交通安全対策に取り組みました。こうした取り組みの結果、昨年の事故死者数は、御承知のとおり、二百八十八人で、平成十八年との比較ではマイナス五十人と大幅に減少させることができました。全国ワーストワンはあと一歩のところで返上することができなかったことは大変残念ではありますが、実に五十四年ぶりに三百人を下回ることができたことは、歴史的に見ても大きな成果であったと思います。  さて、この交通死亡事故の特徴ですが、調べてみますと、年齢層別では、六十五歳以上の高齢者が百二十二人と四割以上を占めています。この割合は、過去五年間、徐々にではありますが年々増加してきています。また、このうち八割弱の九十五人が徒歩あるいは自転車使用の途中の、いわゆる交通弱者の方という結果でした。  こうした状況から、交通安全対策は高齢者の方々により重点を置く必要があることは間違いありません。問題は、高齢者の方々にいかにより効果的な対策を行っていくかということです。  現在の本県の高齢化率は一八・五%であり、全国の二一・四%に比べ低い率ですが、今後、確実に進展していくものと考えられます。また、私の地元南区は、名古屋市内でありながら二三%であり、三河山間三町村を除き県下で七番目の高い率となっており、高齢化の進展についても地域的にばらつきがあるのが実態です。都市部とその周辺では、御近所づきあいなど地域内コミュニティーの状況にも違いがあるでしょう。こうした地域性にも着目する必要があります。  当然のことながら、交通事故の実態として、事故が多発する場所、時間帯、事故原因などさまざまな角度からの分析、検討はなされていると思いますが、こうした各地域の状況、高齢者の方々の行動特性などをも踏まえたより重点的、効果的な取り組みが望まれるところです。  あわせて、高齢者の方々の交通安全を支援するための対策は、高齢者御本人に対するものと事故の相手方となる一般ドライバーに対するものの両面からの対策が望まれると考えます。  本年も既に二カ月を経過しました。昨日三月二日までの交通事故死者数は三十八人で、昨年比マイナス十人と昨年をさらに上回る減少となっています。しかしながら、私たちは、こうした結果に満足し、気を緩めることがあっては決してなりません。  そこで、本年も引き続き交通安全対策に強力に取り組んでいただきたいとの思いで、県警本部長にお伺いします。  警察が今年度の基本目標としている交通事故死者数の連続減少、そして、ことしこそは全国ワーストワンを返上するためにも、高齢者の立場に立ち、高齢者を交通安全から守るための対策として、どのように取り組んでいかれるのかをお伺いします。  次に、交番機能の強化についてお伺いします。  日本の警察が世界に誇るものの一つに交番制度があります。全国津々浦々、交番、駐在所が漏れなく配備され、地域住民を見守っていただいております。  本年の警察運営の基本目標に、本部長が掲げられた安心して暮らせる安全な愛知の確立の地域におけるかなめとして、交番、駐在所は常時警戒、有事即応の態勢をとっています。  私たち県民は、警察機関の中で、身近な存在である交番、駐在所、そして地域警察官、いわゆるおまわりさんに最も親しみを感じるとともに安心感を覚えます。  本県には、現在三百八十九の交番と百八十七の駐在所があります。従来の交番では、地域警察官がパトロールなどにより交番に不在となることが多い、いわゆる空き交番が生じておりましたが、昨年の四月には、すべての交番で六人以上の警察官が配置、強化され、空き交番は解消されたとお聞きしております。  しかしながら、昨年十月に県警が実施した県民意識調査では、三年前と比較して地域の治安が悪くなったとの回答が約四二%あり、治安に関する不安については、車上ねらい、ひったくりなどの屋外犯罪の増加や、空き巣、忍び込みなどの住宅侵入犯罪の増加に多くの回答が寄せられています。また、治安回復に向け特に力を入れてほしい警察活動については、パトカーによるパトロール及び警察官による徒歩、自転車によるパトロールにそれぞれ半数以上の方が回答を寄せています。  このように、地域住民は身近な治安に不安を感じており、それが解消できるのは、まずは地域警察官の姿が常に私たちの目に触れる存在であることだと思います。  地域警察官によるパトロールの要望に十分こたえるとすれば、その反射として、一時的に不在となる交番での対応についても考えていかなければなりません。もとより、交番で立ち番を望む回答も寄せられています。  警察官を今以上に増員することは直ちに望めないとは思いますが、例えば、現在既に百五十八交番に配置されている交番相談員制度のさらなる活用は一つの方策だと思います。交番相談員は、現在は、すべてが知識や経験を持つ元警察官で、交番において、事件・事故発生時の警察官への連絡、住民意見、要望の聞き取り、被害届の代書などさまざまな業務に対応されています。  交番相談員が配置された交番には、警察官によるパトロールや街頭における検挙活動が強化されるなど交番機能が強化される分、犯罪減少などの実効性も求められます。  そこで、警察本部長にお伺いします。  地域住民は、交番勤務の警察官に対して、パトロール等街頭活動の強化と交番在所の両方を望んでいますが、交番相談員の増員等、交番機能の強化に資する施策として、どのようなことを推進していかれるおつもりなのか、その取り組みについてお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 12: ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 健康長寿あいちの実現に関する御質問にお答えをいたします。  まず、健康長寿あいち宣言の周知についてでございます。  県民お一人お一人が健康であり続けることを願い、みずからの健康づくりに主体的に取り組んでいく機運を高めていきますことは、健康で活力ある社会を実現していくために大変重要であると、このように認識しております。  このため、みずからの健康づくりの道しるべとなります健康長寿あいち宣言の認知度を高めるために、本年度は、市町村が実施いたしますウオーキング大会で、約三万八千組のピンバッチとリーフレットを配布するとともに、健康長寿川柳を募集し活用するなど、積極的な周知活動を行ってまいりました。  次に、県民の皆様の健康長寿あいち宣言の認知度についてでございます。  宣言発表六カ月後の平成十八年十月に、六十歳以上の県民の方々に対して行いました愛知県高齢者調査での認知度は二〇・〇%でありました。来年度は、健康長寿あいちクイズの実施や健康長寿カレンダーの作成など、県民の皆様に一層宣言について理解していただくと同時に、楽しみながら健康づくりに主体的に取り組んでいただくための環境整備を行うことによりまして、健康長寿あいち宣言の認知度を上げてまいりたいと考えております。  次に、あいち健康の森における県民の皆様の健康づくりへの成果についてでございます。  あいち健康の森の中核施設でございますあいち健康プラザでは、県民の皆様の健康づくりに総合的に取り組んできたところでございまして、プールや健康度評価などの有料施設利用者で年間約五十万人、それから、来館者総数では年間約七十万人の方々に利用されているところでございます。  また、あいち健康プラザでは、健康づくりの先駆的取り組みにも力を注いでおりまして、疾病予防の専門家でございます医師、保健師、管理栄養士などが協力して、プールやフィットネスなどの運動施設を活用しつつ、地元市町などと連携して、生活習慣病の該当者とその予備軍を抽出して保健指導を行います県民トータルケア実施調査事業を昨年度から実施をいたしております。  平成十八年度の成果といたしましては、生活習慣病の該当者などが約二割減少したとの結果を得たところであり、今年度は、さらに指導方法を改良して取り組みました結果、生活習慣病の該当者などから改善された方々の割合がさらに高くなっているとの報告を受けております。  これらのデータやノウハウは国に報告されまして、平成二十年度から全国で始まる特定健診・特定保健指導の実施方法のモデルとして採択されておりまして、あいち健康プラザの事業成果が県民の皆様の健康づくりのみならず、国の新しい制度づくりにも活用されるなど、高い評価をいただいていると思っております。  次に、今後の施策展開についてでございます。  今回の医療制度改革の柱の一つとして、平成二十年度から特定健診・特定保健指導制度が導入され、医療保険者が保険加入者の疾病予防に大きくかかわっていくことになります。  本県といたしましては、健康長寿あいちの実現に向けた取り組みの一環として、国制度である四十歳から七十四歳までの特定健診・特定保健指導のほかに、小学生、大学生及び高齢者を対象とした事業を独自に展開し、都道府県レベルでは初めての取り組みといたしまして、全世代にわたる生活習慣病対策を推進してまいりたいと考えております。  中でも、学童期からの生活習慣病予防の事業では、特定の市町の小学校高学年児童を対象に血液検査などの診断を行った上で、プライバシーにも配慮しながら、あいち健康の森に立地するあいち小児保健医療総合センターなどと連携し、子供の特性に合わせた生活習慣改善や運動の指導をモデル的に実施いたしまして、生活習慣病を減らしていきたいと、このように考えております。  このほか、ウオーキングや食事などの健康づくりの目標管理、また、健康関連の情報収集ができる、そのようなホームページの作成、それから、若い女性の喫煙率低下に向けた普及啓発事業を行うなど、新しい施策を展開することによりまして、長生きしてよかったと思える健康長寿あいちづくりを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 13: ◯警察本部長松尾庄一君) 私からは、高齢者の交通事故防止と交番の機能強化についての久野議員の御質問にお答えをいたします。  まず、高齢者の事故防止対策についてです。  御案内のとおり、昨年の交通事故は、死者数、負傷者数及び人身事故件数をいずれも減少させたものの、全国で最も多い二百八十八名もの方が亡くなっておりまして、本年は昨年よりさらに減少させるよう、使命感を持って努力しているところであります。  死亡事故の実態としては、昨年は、議員お示しのとおり、高齢者の方が全体の四割を占めておりました。ことしは、二カ月ですけれども、それを上回り、三十八人のうち十八名と約半数、五割近くが高齢者となっており、その割合が増加しているところであります。  こうした現状から、議員お示しの高齢者の事故防止対策が交通死亡事故抑止にまさに重要な課題であると認識をしております。これは、高齢者に向けたものと一般ドライバーに向けたものとの二通りあるという議員の御指摘のとおりであると思います。  まず、高齢者に向けた対策であります。中でも、運転免許証を持っていない方が多く犠牲になっているという実態にありますので、こうしたふだん交通安全教育に接する機会の少ない高齢者に対する啓発活動を強化する必要があります。  そこで、高齢者の社交の場となっております理髪店、喫茶店、寺院、お寺さんなどの協力を得て、指導啓発を行ってまいりましたが、ことしは、こうした拠点をさらに大幅に拡大して、高齢者への啓発活動を強化してまいります。  また、現在、高齢者世帯を訪問し、交通安全の助言、指導をしていただいています高齢者交通安全協力員という方がおられますが、その数約千名でございます。ことしは、これら協力員の方々に交通安全の知識、技能をこれまで以上に深めていただくためのセミナーを開催し、より実効性のある啓発活動を推進してまいります。  このほか、女性警察官で編成している交通安全教育専従チーム「あゆみ」の体制を増強し、高齢者にもわかりやすい参加体験型の交通安全教室の実施回数をふやしていくよう計画をしております。  他方、一般ドライバーに向けた対策につきましては、高齢者を保護するために、悪質、危険な信号無視、一時不停止あるいは歩行者妨害といった交通違反の取り締まりを引き続き強化してまいります。  また、信号灯器のLED化を初め、老朽や磨耗が進行している標識、標示の整備を進め、うっかりミスの減少にも引き続き努めてまいります。  今後とも、あらゆる機会を通じて工夫を凝らした高齢者対策を推進し、さらなる事故死者数の減少につなげてまいりたいと思います。  次に、交番機能の強化についてであります。  交番機能の強化については、議員お示しのとおり、交番に対して地域住民の方々の願いとして、パトロールをしてもらいたい、一方、交番にいてもらいたいという一見すると相反するものがあることは承知しているところでございます。  この願いにこたえるため、交番等現場で勤務する地域警察官には、街頭で活動することを最優先で取り組むよう指示するとともに、交番を不在にしないために、交番勤務の地域警察官を増員するとともに、交番相談員の増員を図ってまいりました。  地域警察官の増員につきましては、十三年度県下で約四千百名余の地域警察官が現在では四千九百二十名と八百人近く増員をしているところであります。  交番相談員でありますが、現在、百五十八名ということで、来年度は三十五名の増員をお願いしているところであります。また、配置先の交番についても、管内の事案発生件数、来所者数などを勘案して選考しております。  今後とも、より多くの交番に交番相談員を配置することができるよう取り組んでまいりたいと思います。  しかしながら、交番相談員はあくまで交番の警察官をサポートするという補助的な役割を担うもので、真に交番機能の強化を図るには、やはり交番の警察官の活動いかんにかかっていると思っております。  このような観点から、先ほど申し上げました大量採用により数多く交番に配置されております若手警察官を中心として、職務質問あるいは通信指令、そういう技能指導員という者がおりますが、それを通じての同行指導、ロールプレイング方式による実践教養を実施するなど、執行力の強化を図るとともに、街頭活動の手段、方法についても、徒歩または自転車による警ら、パトロールですが、交番駐在所の前における立番警戒と声かけの徹底など、より多くの県民の方々が制服警察官の活動により安全・安心を実感していただけるように努めてまいる所存でございます。  以上でございます。 14: ◯三十一番(久野てつお君) それぞれ御答弁いただきましたが、一点要望をさせていただきたいと思います。  元気な愛知と言われる本県でありますが、元気な愛知のもとは、何より県民一人一人の健康が第一であると考えます。ですから、県民の健康づくりを支えるあいち健康の森やあいち健康プラザが今後とも質の高いサービスを提供し続けて、県民の方々に親しまれるとともに、先ほども述べましたが、県が大きな投資をした財産でありますので、一層新たな取り組みにチャレンジして、県民の健康づくりをリードして、健康長寿あいちの実現に向けて積極的な役割を果たしていただくように要望して、以上で終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 15: ◯三十八番(酒井庸行君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 16: ◯議長青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 17: ◯議長青山秋男君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議
    18: ◯副議長加藤精重君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  石黒栄一議員。     〔二十五番石黒栄一君登壇〕(拍手) 19: ◯二十五番(石黒栄一君) 通告に従いまして、教育行政について質問をさせていただきます。三点について質問させていただきます。  一点目に、道徳教育について、二点目に、子供たちのスポーツ活動及び武道教育について、三点目に、外国人児童生徒の日本語指導について質問をいたします。  初めに、道徳教育についてであります。  二月五日、六日の両日にわたり、私の所属する自民党教育問題議員連盟は、茨城県の教育事情を行政視察いたしました。私にとって大変意義のある視察となりましたので、その取り組みについて一部紹介しながら、本県の取り組みについて伺います。  茨城県では、全国初の試みとして、昨年四月から小中学校の道徳の時間の授業に加えて、県立高等学校において、一年生の全生徒に総合的な学習の時間の中で道徳の授業を毎週一時間実施されております。その授業の様子を水戸商業高校において、二つの教室を視察させていただきました。  初めの教室では、聾唖者中村久子さんと手足に障害のあるレーナ・マリアさんの生き方を取り上げておりました。中村久子さんについては手話を交えて、また、レーナ・マリアさんについてはプロジェクターを使って説明し、二人の前向きな生き方をもとに自分の生き方を考える授業でありました。  次の教室では、といし屋さんのおばあさんと、漆芸家、人間国宝大西勲さんを扱ったものでありました。こちらの授業は、共通のテキストをもとにして、教員と生徒が対話しながら進め、謙虚な心について考えを深めるものでありました。ワークシートに自分の考えを順次質問順に書き込み、授業の最後に自分を評価し、それを教員とともに確認しながら、人それぞれ、いろいろな見方、考え方があることを認識させたり、他人の忠告や助言を受け入れることを気づかせていくものでありました。  高校の説明によりますと、道徳の授業を始めてから生徒に落ちつきが出て、自分の考えや意見を発言できるようになった、また、相手の立場に立って考えることや、言葉遣いや服装の大切さを理解する生徒もふえ、部活動にもより活気が出てきたとのことであります。  私は、授業を拝見し、道徳授業は教員が一方的に教えるのではなく、教員が生徒の目線に立って、時間はかかっても生徒が納得できるような方法で進めていくことが生徒の心に深く残るものだと感じました。また、担任の先生のそれぞれの人間性も感じられ、これらの授業にとても新鮮さを覚えたのであります。廊下ですれ違う生徒全員がきちっとあいさつをし、私たち一行を歓迎してくれました。  茨城県では、道徳教育推進会議を知事が会長、教育長が議長となって開催し、道徳教育の施策を総合的に推進しておりました。また、地区別に連絡協議会、市町村別には推進協議会などを開催し、学校の教育力の向上と指導体制の充実に取り組んでおられました。  さらに、実践を豊かなものにするため、参考用資料として配付した高等学校道徳教育指導資料及び生徒用テキストを活用し、教員の実践セミナーを開始し、その実践を受けて教員は授業に臨むのであります。  校長を初めとして全教員が道徳の授業にかかわっており、教員も資料を探したり、指導方法などについて真剣に考えるようになったりして、それがそれぞれの個性的な授業づくりや特色ある学校づくりにつながっているとのことでありました。校長自身も授業に携わるために、教員と一緒に研究する機会ができ、その上、教員の気持ちも理解できて、校長の統率力が向上しているとのことであります。  私が今回視察してまいりましたのは高校の様子でありますが、三つ子の魂百まで、鉄は熱いうちに打てといいます。特に、心をはぐくむ道徳教育においては、家庭はもちろんでありますが、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校において、それぞれの段階に合わせた指導が大切と考えます。  本年二月十五日、文部科学省から示されました学習指導要領の改訂案でも、基本的な生活習慣、思いやりなどの道徳性を養い、主体的に判断し、適切に行動できる人間を育てることを目指し、道徳教育の充実が重要であるとされております。  本県においては、本年度から児童生徒に豊かな心を育てることをねらいとした地域とはぐくむモラル向上事業を立ち上げ、道徳教育を推進しておられます。  私が住んでいる岩倉市の曽野小学校もこの事業に取り組み、すべての学級で、保護者だけでなく、地域の方にも道徳の授業を見ていただき、それらを話題として、先生、保護者、地域の方や子供たちが一丸となって道徳をはぐくむ取り組みがなされているとのことであります。  道徳教育は、一朝一夕に結果が数字となってあらわれるものではありません。生徒の心に残る授業の構築が求められているのであります。  県の、地域とはぐくむモラル向上事業の取り組みの成果をお聞きしますと、道徳教育には県の指導が極めて重要であり、それが大きな成果につながってくると確信するものであります。これらの事業をさらに検証し、道徳授業の推進、充実を図っていただくことを願うものであります。  少子化、核家族化、また物が豊富にあり、何でも好きなものが手に入る現在、子供を取り巻く環境は非常に厳しいものであり、子供の将来を見据えた道徳教育の取り組みを願うものであります。  そこでお尋ねをいたします。  学校教育の基本は道徳教育と考えます。  本県における小中学校、高等学校の道徳教育の現状と今後の取り組みについて、教育長にお尋ねをいたします。  二点目に、子供たちのスポーツ活動及び武道教育について質問をさせていただきます。  いじめ、ひきこもり、いじめ自殺など、青少年にかかわるさまざまな問題が指摘されている現代において、スポーツの導入期である小中学校の体育としてのスポーツは、何よりも楽しく、日々興味のわいてくるものでなければなりません。そういった楽しいスポーツを体験していく中で、子供たちは、コミュニケーション能力や他人への思いやり、自己責任、克己心、フェアプレーの精神などを身につけていくものと思います。  そして、この時期を経て、一流選手を目指す人、健康の維持増進を目的にする人、レジャーとして行ったりする人、人との交流を求める人、精神を鍛えたい人などさまざまに分かれるのであります。そして、それぞれのスポーツニーズが生まれてくると思います。  スポーツの語源は、ラテン語のデ・ポルターレといいまして、気分転換や遊び戯れるといった意味と聞いております。つまり、スポーツの原点は遊びと言われています。遊びは楽しいものであります。楽しくなければ遊びとは言えません。それゆえ、楽しくなければスポーツとは言えないと思います。  スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的、精神的な要求にこたえ、生きがいのある社会の形成に寄与する世界共通の人類の文化の一つであります。参加の目的はいろいろありますが、スポーツを楽しく行わなければ長続きはしません。また、社会全体のスポーツ振興にはつながってまいりません。  私は、常々、小中学校において、スポーツを通して児童生徒が得るべきものは、身体的な健康と精神面の健康への基礎づくりと考えております。  しかしながら、一部の中学校の部活動においては、ともすれば技術向上に偏った勝つことのみに重点を置いた指導になっているようにも見受けられます。このような勝利至上主義の指導は、いじめや体罰などを生み出す可能性を多く含んでいると考えます。また、そういった指導がスポーツ嫌いの人間をつくり、中学校の部活動の妨げになっている場合もあると思うのであります。  最近、部活動が絡んだ事件、事故がよく報道されます。教師の生徒への暴力、生徒との飲酒、越境入学の指導、それを黙認した学校側、スキー合宿中、学生二人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故、これは引率講師が無資格者でありました。それに、文部科学省では、近年、教師による生徒へのセクハラがふえており、今後もさらにふえることを危惧しているとしております。  このようなことからも、指導者の資質向上への取り組みは大変重要なことだと思います。  また、職員が授業の準備などで忙しいのと自分のライフスタイルや家族を大事にする時代背景もあり、一部校長が部活動の顧問を頼みにくいこともあって、指導者不足に陥っていると感じるものであります。これも部活動の衰退に拍車をかけている要因でもあると思います。  それに、生徒数の減少や専門的な指導者の不足なども加わって、休部や廃部になったり、また、自分が参加したいと思ってもその部活動がないなど、子供たちのスポーツニーズにこたえ切れない状況も多くあるのではないでしょうか。  このような中で、文部科学省は、先日公表いたしました次期学習指導要領の案において、部活動について教育活動の一環として位置づけ、そして、その意義と取り扱いについて明記をしております。  また、武道教育に関することについても改正されており、中学校の一・二年に武道とダンスを必修化し、すべての生徒に履修させることとしております。保健体育科においては、武道の指導を充実し、我が国固有の伝統や文化により一層触れることができるようにすることが必要であるとされており、武道については、これまで以上に安全の確保に留意するとともに、必要な条件整備に努めるなどの取り組みが必要であるとしております。  私が調べたところ、日本武道協議会に加盟し、国内を統括する武道連盟は、柔道、剣道、弓道、空手道、合気道、銃剣道、なぎなた、少林寺拳法、相撲の九団体となっております。  そこでお尋ねをいたします。  県として、特に子供たちの多様なスポーツニーズにこたえるためにどのようなスポーツ振興を図っていかれるのか、また、中学校における武道教育では、生徒に何を求め、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。  三点目に、外国人児童生徒の日本語指導についてお伺いいたします。  過日の新聞報道にもありましたように、愛知県のことしの一月の求人倍率は一・八六倍と四十八カ月連続で全国一位となっており、人手不足の状況が続いております。その上、急速な高齢化社会も重なり、今後もさらに外国人労働者を受け入れていくことになると思います。  近年、外国人が中部地方、特に東海三県に多く在住されていることは、議場にみえる議員の皆様もよく御存じのことと思います。中でも、愛知県は、自動車産業を中心とした製造業が活気を帯び、多くの外国人が企業で就労されております。  愛知県に在住されている外国人は約二十一万人であります。国別人口順では、そのうち約七万六千人がブラジル人であり、これは全国一位となっております。次に、韓国・朝鮮、中国、フィリピン、ペルー、ベトナムと続きます。近年は、家族を呼び寄せ、一緒に住む人も多くなってまいりました。日本人社会との接点もふえてまいりました。それと同時に、さまざまな問題を抱えることにもなってきました。  外国人の家族の心配として、子供が日本語を話せず、学校の授業が全くわからない、また、日本人の子供たちとのコミュニケーションもうまくとれないといったことがあり、このような状況から、日本の学校へ行かない、行っても途中でやめてしまう児童生徒がいると聞いております。こういった子供は、犯罪に巻き込まれる危険性が高く、早急に解消しなければなりません。  現状では、民間の外国人学校は費用も高く、多くの外国人が通えない状況にあります。市町村の小中学校が外国人児童生徒の受け入れ態勢を整えていかなければならないと考えます。  学校での取り組みはもちろん必要でありますが、入学する前から基礎的な日本語を勉強したり、学校のルールなどを事前に教えておけば、入学への不安もなくなります。そして、入学後の子供の負担も軽くなり、ひいては学習意欲の向上につながるのではないかと思います。  一部の調査の結果ではありますが、日本人の中に、学校に外国人の子供がふえることは、外国人の対応に追われるなど、日本人の子供に影響が出るので好ましくないと回答した人もいますが、その一方、多くの人が歓迎する、有意義であると答えておられると聞いております。  外国人の子供たちが日本の学校に通うということは、日本人の子供たちにとって多文化共生社会を身近に体験し、理解できる大変よい機会となり、国際感覚が養われるという見解も多くあるとのことで、それには私も賛同する一人でございます。日本の将来を考えるとき、子供たちができるだけ早い段階から外国人とともに過ごすことは、外国人とのさまざまな問題を解消していく上で大変意義あるものと思います。  本県に目を向けてみますと、日本語指導が必要な児童生徒数は、平成十八年には約四千人で全国一位となっておりましたが、今後もさらに外国人の定住化が進み、家族やその子供が増加していくものと思います。  その対応として、現在、本県では、ポルトガル語対応五人、スペイン語対応に二人、合計七人の外国語児童生徒語学相談員を採用し、学校訪問などを通じて、日本語指導、生活適応指導を進めております。  また、年々増加している外国人児童生徒への対応として、本県は、各学校の日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍数に合わせて、日本語教育適応学級担当教員を配置していただいておりますが、外国人児童生徒の母国語を理解できる教員の配置とはなっていないのが現状であると聞いております。  そのために、県内の多くの市町村では、外国語が話せる人を語学相談員などとして採用し、外国人児童生徒の日本語教育に取り組んでおられます。  私の住んでいる岩倉市の現状をお話ししますと、市町村人口に占める外国籍の比率は、知立市、小牧市に次いで三番目でございます。平成十八年度末の外国人登録者数は二千六百九十九人、うちブラジル人が千九百十八人でありました。  その対応として、ポルトガル語を話せるパート職員を雇用し、窓口でのポルトガル語通訳、翻訳業務、外国人の生活相談、外国人の住んでいる周囲の住民の相談も行っております。  そのうち、日本語指導の必要な外国人児童生徒は、平成十八年九月一日には七十人が小中学校に在籍しており、そのため、ブラジル人を語学相談員として市独自に二名採用し、日本語指導や生活相談を行っております。その他国際交流員を採用し、小中学校及び児童館に派遣し、国際理解を深める教育などを実施されているとのことであります。  しかし、外国人児童生徒の中に日本語がわからない子供が多くあり、学校では、子供たちに対して、学校生活に少しでも早くなじむことができるよう努力をしていただいておるわけでありますが、一人一人の日本語能力の差が大きく、その対応に苦慮しているとのことであります。  現状では、外国人がふえればふえるほど、その市町村に負担が増すことになってまいります。比較的大きな企業が少ない市町村では、財政に大きな影響を受けることになるのであります。  外国人児童生徒への日本語指導などの学習支援は、日本と外国を結ぶ文化のかけ橋になり、それが日本の発展につながってくるものと考えます。そのためには、市町村だけに任せておくのではなく、国を初め県や経済界の支援も重要であると思います。  そこで、二点お尋ねをいたします。  一点目に、外国人労働者の増加は一時的なものではなく、特にブラジル人労働者の増加が著しいと推察します。外国人児童生徒の日本語指導や生活適応指導のためには、対応していただく教員の研修や、ポルトガル語など日常的な会話ができる教員の採用にも取り組んでいただくことが必要と考えますが、教育長の御所見をお伺いします。  二点目に、外国人児童が就学前に日本語が話せるようになることは、日本の生活ルールや習慣、文化の違いも早く覚えるようになり、その上、入学への不安もなくなり、外国人家族の安心につながると思います。就学前の児童への日本語指導などの学習支援は大変重要なものと思いますが、お考えをお聞かせください。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20: ◯教育長伊藤敏雄君) 教育について三点の御質問をいただきましたので、順次お答えをいたします。  初めに、道徳教育についてであります。  道徳教育は、命や人権を尊重する心、社会貢献の精神や規範意識をはぐくむなど、学校教育の担うべき一つの大きな柱であると考えております。  小中学校では、これまでも週一時間の道徳の時間において、体験活動を取り入れるなどの工夫された授業を行うことはもちろん、学校での教育活動全体を通して道徳教育に取り組んでいるところでございます。  議員お示しの地域とはぐくむモラル向上事業は、本年度、県内十八の小中学校で、道徳の授業を中心に、保護者や地域の方とともに、子供たちの命を大切にしようとする心や規範意識を醸成することをねらいとして実施をいたしております。  推進校では、保護者ばかりでなく、地域の方にも授業を公開し、また、その授業についての話し合いを行うことで、家庭や地域との連携が深まるとともに、道徳の授業について話題にする家庭もふえたと聞いております。  また、推進校の成果を生かし、今後、町内すべての小中学校で同様の取り組みを始めようとするなど、成果の普及も図られているところでございます。  高等学校における道徳教育につきましては、各教科に属する科目、特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じて、人間としてのあり方、生き方に関する適切な指導を行うこととされております。  このことを踏まえ、本県の各県立高等学校におきましては、現代社会の授業において、生命の尊厳さを考えさせたり、ほぼすべての県立高等学校で、ボランティア活動を通して奉仕の心をはぐくむなど、さまざまな機会で豊かな人間性を育てる指導を行っているところでございます。  また、来年度には、県内十二地域で、生徒や保護者、地域の大人がモラルやマナーについて意見交換を行う規範意識を育てる地域協働事業を実施する予定でございます。  こうした小中学校、高等学校における指導や授業の成果のさらなる普及を図るため、地域とはぐくむモラル向上事業と規範意識を育てる地域協働事業に取り組む小中高等学校の児童生徒や保護者の代表が一堂に会し、それぞれの活動状況の報告やシンポジウムを行うあいちフォーラムの開催を考えているところでございます。  県といたしましては、今後も、家庭、地域、学校の三者の協働を図り、小中高等学校の発達段階を踏まえて、道徳性を培う教育を一層推進してまいりたいと考えているところでございます。  次に、スポーツの振興についてでございますが、まず、学校体育の面から申し上げます。  体育の授業においては、体力の向上とともに豊かなスポーツライフを実現する資質や能力を培うことを目標にし、その充実を図っているところであります。  また、運動部活動は、より高い水準の技能や記録に挑戦する中で、議員お示しのように、運動の楽しさや喜びを味わい、豊かな学校生活を経験する活動であるとともに、体力の向上や健康の増進にも極めて効果的な活動であります。部活動を通して児童生徒に豊かな体験をさせるためには、指導者が運動に関する幅広い知識を身につけ、適切に指導に当たることが必要であります。  そこで、本県では、運動部活動指導者研修会や体育スポーツ実践講座などを実施して、指導者となる教員の資質や指導力を向上させることにより、学校体育の充実を図っているところでございます。  さらに、生徒数の減少や専門的な指導者の不足などにより活動が困難な運動部活動に対しては、専門性の高い外部指導者による指導や、公立中学校が近隣の高校等と連携して活動する事業を実施するなど、運動部活動の活性化も図っているところでございます。  次に、地域における子供のスポーツ振興の面から申し上げますと、多様なスポーツニーズを持つ子供たちのスポーツ環境の充実という観点から、多種目、多世代、多志向を特徴とする総合型地域スポーツクラブの育成を地域の実態において進めているところであります。  こうした総合型地域スポーツクラブの育成を初めとした地域におけるスポーツの振興と学校体育の充実との両輪により、子供たちのスポーツ振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。  次に、武道教育についてでございます。  武道は、我が国固有の文化として伝統的な所作が重視される運動で、礼儀、克己、公正などの態度を養うことができるものと考えております。  特に、中学校における武道教育におきましては、生徒に対して、自分で自分を律する克己の心や相手を尊重する態度、また、勝敗に対する公正な態度を養うとともに、武道に対する伝統的な考え方を理解させ、それに基づく行動の仕方を身につけさせることが必要であると考えております。  武道の指導におきましては、これまでも安全の確保に留意するとともに、武道指導者養成講習会等の実施による教員に対する武道指導の研修や武道の段位取得の促進により、指導者の資質向上を図っているところでございます。さらに、地域連携武道指導実践研究事業により、学習指導要領の改訂趣旨を踏まえた武道教育の一層の充実を図ってまいります。  今後とも、武道を含めて、さまざまなスポーツの振興によって、子供たちの健やかでたくましい心身の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。  最後に、外国人児童生徒の日本語指導についての御質問であります。  外国人児童生徒が日本での生活習慣や学校生活に早くなじむためには、適切な日本語指導や生活適応指導が必要でありまして、外国人児童生徒教育に関する教員研修を行うことや、語学力のある教員をふやすことが効果的であると考えております。  このために、外国人児童生徒の在籍する小中学校においては、担当教員のみならず、全校体制で外国人児童生徒への理解や対応の仕方、効果的な指導方法について職場研修を実施をいたしております。さらに、市町村では、日本語指導に関する研修や授業研究会を実施いただいているところであります。  県といたしましては、日本語教育適応学級の担当教員を対象に、外国人児童生徒教育講座を開設し、日常会話の語学演習や日本語指導法、適応指導等について学ぶ機会を設けているところでございます。  また、教員採用についてでありますが、本年度実施をいたしました平成二十年度教員採用選考試験から、小中学校において、ポルトガル語、スペイン語及び中国語の外国語が堪能な者を対象とした選考を導入し、約二十名の採用を予定しているところであります。外国人児童生徒の学習活動や保護者とのコミュニケーションの一層の改善に資することを期待をしております。  今後も、外国人児童生徒の教育の充実を図るため、こうした研修の充実や語学力にすぐれた教員の採用拡大を図るなど、外国人児童生徒の教育に関する資質と実践力を備えた教員の研修の充実や採用に努めてまいりたいと考えているところでございます。  以上であります。 21: ◯地域振興部長的井宏樹君) 就学前の児童への日本語学習支援についてお答えをいたします。  外国人の方々の増加と定住化が進みます中で、自治体が取り組まなければならない課題が多様化をいたしてきております。  県といたしましても、多文化共生社会づくりのさまざまな取り組みを進めておりますが、中でも、外国人の子供の教育問題は緊急度が高いものと考えており、就学前の子供への日本語学習支援につきましても、議員御指摘のとおり、大変重要と認識をいたしております。  私ども地域振興部では、平成十八年度から、先導的なモデル事業といたしまして、プレスクール事業を県内二カ所の小学校区で実施をしております。
     この事業ですが、小学校入学直前の外国人の子供を対象に、バイリンガルの指導員が平仮名、片仮名などの初歩の日本語や学習に必要な言葉の指導、学校のルールなどの生活指導を行うことによりまして、小学校生活へ早期に適応してもらうことをねらいとするものでございます。実施協力をいただいております市のほうからは、大変有用な取り組みとの評価もいただいております。  外国人の子供が将来への希望を持ち、その力を日本社会で発揮できるようになるには日本語の習得は不可欠でありますので、この事業のノウハウや成果の普及を初めといたしまして、積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。 22: ◯二十五番(石黒栄一君) それぞれ答弁をいただきましたが、再度要望させていただきます。  地域とはぐくむモラル向上事業ということで、十八の小学校で実施していただいておりますが、やはり早目にこの結果を検証して、その他の地域、学校にも早く広めていただきたいというふうに思うわけです。  それから、県内十二の地域で規範意識を育てる地域協働事業、これはこれからやられるということですが、この進展を注視していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  道徳教育は、県のやっぱり積極的な対応が必要ですので、ぜひお願いをいたします。要望いたします。  スポーツと武道でありますが、指導者の研修会の実践講座というのを開催しておられますが、指導者によって子供に与える影響というのは非常に大きいわけです。特に、指導者の定期的な講習というものは受けていただいて、子供のために頑張っていただきたい、また、資質向上にしっかりお願いをいたします。  最後の外国人児童生徒の日本語指導については、外国語が堪能なものを約二十名採用するという予定と聞いておりますが、二十名というとどのくらいまでが対応できるかちょっと不安であります。対象の学校はたくさんありますので、岩倉市に来ていただけるのか、ここら辺は本当に心配をしておりますが、この事業を早期にもっと実現に取り組んでいただきたい、これだけ要望して、終わります。 23: ◯副議長加藤精重君) 進行いたします。  かじ山義章議員。     〔二十二番かじ山義章君登壇〕(拍手) 24: ◯二十二番(かじ山義章君) 通告に従い、まず、看護師不足について質問させていただきます。  この問題については、議会において、医師不足と同様に再三取り上げられ、一定の改善策が講じられてきましたが、しかし、依然として恒常的な人手不足により、医師同様、長時間・超過密度労働は続いている状況であります。  当たり前のことですが、医療は病気に悩む患者のものであり、患者が説明を受け、自己責任のもとで選択した医療を患者と協力して担っていくのが医師、看護師であります。医療とは、このような説明と同意のもとで、患者と医師、看護師とが対等に行うものであると言われております。  ここ最近、地方の病院の産科、小児科などから医師がどんどんいなくなり、診療に支障を来し、科が閉鎖され、病院そのものが立ち行かなくなる事例も出始めました。また、看護師不足で一部の病棟を閉鎖する事態に追い込まれている病院もあります。この事態を放置すれば、病院の大崩壊を招きかねません。医師、看護師らは何を訴えているのでしょうか。  一般に、医師不足に関しては、新しく導入された臨床研修制度の影響や医師の都会志向が大きな要因と言われております。  これまでは、卒業した大学の付属病院で研修を受けることが慣例化しており、約七割の新人医師が大学病院で研修を受けておりました。しかし、新しい制度になり、免許取得後二年間の研修が義務化され、全国の研修病院を自由に選択できるようになりました。このため、大学病院で研修を受ける新人医師が激減し、結果、大学病院では医師不足となり、関連病院に出向させていた医師を引き揚げさせるため、関連病院の医師も減り、残された医師も激務に耐えられずやめてしまうという悪循環に陥ったのであります。  しかし、現役の医師の方にお話を聞きましたところ、医師不足の原因は、新しい臨床研修制度の影響だけではないことがわかりました。  朝から深夜まで神経をすり減らして働いているのに、外来の患者さんからは、こんなに長々と待たせやがってとどなられ、医者や病院は無駄な薬や検査でもうけていると言われ、入院の患者さんからは、看護師を呼んでも対応が遅いと苦情を聞かされるそうであります。その先生は、何人もの住民が軽い症状で深夜に外来に来る。結局眠ることができず、翌日も診療をしなければならない。いつ医療事故を起こしてもおかしくないと吐露していました。  言うまでもなく、実際に現場で働く医師の労働条件は過酷なのであります。  そして、医師不足と並んで病院の運営に影響を与えているのが看護師の不足であります。  御存じのとおり、看護師の仕事は絶対条件として、準夜、深夜の夜間勤務があります。医師と違い、看護師は当直明けには帰れますが、仮眠もとれない不規則な生活に耐えられずにいます。  平成十八年に、愛知県内の看護師約四千人に聞いた愛知県医療介護福祉労働組合連合会の調査によりますと、十分な看護の提供ができているかとの問いに、できていると答えた方はわずか八・一%、できていないは六四・六%で、できていない理由として、先ほど述べました人員が少な過ぎる、業務が過密のほかに、退職や異動で職場のメンバーが変わり、看護の蓄積がないとのお答えもありました。また、この三年間にミスやニアミスをしたことがあるかとの問いに、あると答えた看護職員は八九・三%、驚くことに約九割にも達しているのであります。  また、希望にあふれて入ってきた新人看護師は、十人に一人が一年以内に職場を去っています。その理由として挙げられるのが、養成所卒業時に得た技術と臨床の現場で求められる技術に大きなギャップがあり、看護技術への不安から早期退職に追い込まれるというものです。  このような現状を受けて、厚生労働省は、養成所での教育内容を充実し、学生の実践能力を強化するため、関係法令の改正、いわゆるカリキュラム改正を行う様子であります。  本県では、平成十七年十二月に愛知県看護職員需給見通しを策定し、平成十八年末には約四千七百人の看護師が不足するという見通しを立てました。  しかし、平成十八年の診療報酬改定において、看護職員配置基準が従来の十対一に加え、より手厚い看護配置となる七対一看護区分が新設されたことに伴い、病院の収入増加のため、大学病院や有力病院を中心に看護師の争奪戦が生じ、地域の中小病院を中心に看護師確保に大きな混乱が生じております。  このような状況を受け、この四月に予定される診療報酬改定では、七対一看護区分の見直しがされるようですが、看護師確保の混乱が解消するとは思われません。  看護師の数がふえるということは、患者への看護が手厚くなり、説明の時間やちょっとした配慮の余裕も生まれ、医療の質の向上が期待できます。手厚い看護を提供する病院に対して高い診療報酬が与えられるというのは理屈でありますけれども、しかし、病院現場に深刻な看護師不足の影響を与える形で制度の変更が行われるのは適切ではないと私は思うのであります。  そこで、順次四点についてお伺いいたします。  一点目として、県は、愛知県看護職員需給見通しを踏まえ、平成十八年度から新人看護師の離職防止対策として、院内教育を支援する職員を健康福祉部内に配置し、出張研修を実施されておりますが、今年度の実施件数と、昨年の二月議会で研修の拡充を図るとの答弁がございましたので、その内容についてお伺いをいたします。  二点目に、県は、医師会、看護協会等、関係団体の代表者などから成る愛知県看護職員確保対策検討会を平成十八年度に開催し、その中で、病院勤務の産科医の負担軽減策の一つとして活躍が期待される助産師の確保対策について、特に活発な議論がなされたと聞いております。  ついては、県内における助産師の養成状況や今後の確保対策についてお伺いをいたします。  三点目として、看護職員の養成については、現行の養成所や新設養成所への支援などの対策は当然必要ですが、看護職を目指すものへの教育の充実が求められ、養成所における教育の資質の向上が不可欠となります。  そこで、教育内容の充実などを目的としたカリキュラム改正について、県は、今後どのように養成所を指導していくのか、お伺いいたします。  四点目として、全国の看護職員の学校養成所の平成十八年における学生の対入学男子比率を見てみますと、大学が一〇・二%、短大が六・七%、養成所が一一%、隼看護師養成の高等学校衛生看護科及び養成所は二〇・九%であり、本県においては、平成十九年度に三年課程の養成所に入学した対男子比率は、看護師で九・七%、隼看護師で一三・八%と聞いております。看護職員の資格は男女の別なく獲得可能でありますが、どうしても女性に偏って考えられがちでありますが、この数字を見る限り、男子学生の看護職員に対する意欲はかなり高く思われます。  そこで、今後、男性がより看護職員を目指しやすくする環境を整備する必要があると思われますが、県の御所見をお伺いいたします。  次に、教員評価制度についてお伺いいたします。  学校教育の成果は、何より日々の継続的教育活動を通じて、直接児童生徒に接する教員の力によるところが極めて大きいと言えます。  特に、みずから学び、みずから考える力の育成や、いじめ、不登校の対応など、学校教育を取り巻くさまざまな課題が山積する中で、教員一人一人がみずからの資質能力を向上させながら、その力を最大限発揮することが大切であります。  もとより、資質能力は決して固定的なものではなく、研修や経験を積み重ねることにより、生涯にわたり向上が図られるものであります。そのためには、教員が意欲を持って教育活動に取り組むことができるよう、その能力や実績等が適切に評価されることが必要であると考えます。  現在、学校では、地域の期待を受け、伝統を尊重しながら、未来へ向けて特色ある学校づくりを進めており、また、教員一人一人もそれぞれの役割を果たすとともに、連携、協働して教育活動を行うことが求められております。  しかし、近年、教師の質の低下が著しく、保護者の不信感が高まっていると言われております。  内閣府が二〇〇五年九月に実施した学校制度に関する保護者アンケートでは、小中高校生の子供を持つ保護者に、現在の学校教育に対する満足度を尋ねたところ、不満が四三・二%に上り、満足の一三・〇%を大きく上回るという結果が出ております。子供が通っている学校の教員についても、不満が二八・四%で、満足の二七・三%を上回っており、さらに教員のどういう点が不満かを聞いたところ、指導力不足、学習以外の問題での対応力不足、責任感の欠如などが多く挙がっております。  一方、質を問われる教員の側にも悩みはあります。  文部科学省の調査では、精神性の疾患で休職した公立小中学校の教員は十年前の約三倍に上り、病気による休職者の過半数を占めております。ゆとり教育など相次ぐ制度改革に対し、教員はその準備に追われ、さらに近年は、理不尽な要求をしてくる保護者、いわゆるモンスターペアレントがふえ、その対応に苦しむ教員も少なくありません。  このような状況の中、文部科学省が二〇〇三年度から各都道府県・政令市教育委員会に教員の評価制度についての調査研究を委嘱し、愛知県も、二〇〇三年度に教員評価制度調査研究会議が教員一人一人の能力や実績等が適正に評価され、人事や給与等の処遇に適切に結びつけられる教員の新たな評価制度に関する実践的調査研究を行うことを趣旨として発足され、二〇〇六年一月には、そのまとめと研究指定校の試行結果、アンケート結果を発表いたしております。  まとめや結果については、後ほど述べさせていただきますが、まず、評価制度をめぐる各県の動向を調べてみましたところ、実施中のうち、給与や人事の処遇に反映をさせているのが、東京、大阪、神奈川、広島、奈良、愛媛、高知の七府県、試行中が本県や秋田、宮城、京都など三十八府県、検討中が二県であり、また、制度設計や運用、結果、苦情処理について、神奈川、大阪では、組合との協議によって制度設計がなされ、評価基準の客観性、合目的性、透明性など五原則の条件を一定程度確認しているところもあります。  本県も現在試行中であり、いずれ、この教員評価制度を導入すべく準備を進められているとは思いますが、さきに述べました教員評価制度調査研究会議のアンケート結果によると、この制度の基本となる評価シートについて、意欲・資質向上に役立つの項目については五一・九%が否定的であり、教育活動の充実に役立つとの項目では六〇・四%と半数以上の否定的な答えが出されております。  また、評価の活用についても、人事異動、校内人事に反映すべきが六六・七%、昇任に活用、反映すべきは八〇・一%、給与に活用、反映すべきでは八一・八%が否定する回答をしておられます。  まとめには、教職員の教育活動を適正に評価し、その評価を人事や給与等の処遇に結びつけられる制度として定着させるためには、継続して検討すべき課題が多くあると言わざるを得ないとありますが、実施中の都府県でも、個々の教職員がみずから抱える問題を隠すようになり、孤立化と閉鎖性を高める。授業観察時や日常的な助言等がなされず、評価のためだけの評価に陥っている。教育委員会と十分協議し、制度としては完成度の高いものをつくったとしても、学校長が趣旨をしっかりと理解し、教職員に丁寧に説明、評価をする力が必要などといった問題点が浮かび上がっています。  評価システムとは、教員を励ますものであり、評価が意欲向上につながる。例えば、成果だけでなく、結果を生み出すに至った要因や過程、能力や努力についてもしっかりと把握をし、児童生徒が見ている先生の姿あるいは保護者の皆さんが見ている先生方の姿、そういったものがしっかりと織り込まれた形でなければならないと思うわけであります。  合目的性、公正・公平性、客観性、透明性、納得性の五原則、苦情処理システム、労使協議制度の二要件の確保を無視して、機械的、一律、画一的な制度設計は行うべきではなく、多様な職種、職場を考慮し、取り組んでいかなければなりません。  そこで、順次お伺いいたします。  まず、教員評価制度の実施に向け、児童生徒の教育に直接携わる教員一人一人が学校教育の必要性を認識し、組織の一員として新たな課題に適切に対応できるようにするには、教員の資質能力の開発、向上こそが最終的に教育改革の成否を決することを認識し、そのための新しい人事評価制度であることを理解、周知させる必要があります。  教育委員会は、平成十八年二月に、「教職員評価制度の実施に向けて」というパンフレットを全教職員に対し配付をされたと聞いておりますが、県民に対してはどのように広報し、理解を得るための取り組みをしているのか、お伺いをいたします。  また、評価制度を核とした教職員の人材育成、能力開発のあり方全般についての見直し、検討を行い、研修等に関する具体的方策を明らかにする必要があります。  県として、県費負担教職員の服務監督権者である市町村教育委員会との協力、連携はどのようになされていくおつもりなのか、お伺いいたします。  次に、評価者が公平、公正で信頼の高い評価を行うことは、教員の評価制度の成否を左右する最も重要な点であります。教員の職務の特性を十分理解して行うことが何より重要であるとともに、評価者が面談等の際に、制度の内容を熟知し、教員に十分理解できるような指導助言や説明ができなければ、評価制度に対する信頼も得られません。  そこで、評価者自身が評価の重要性を認識し、みずからの評価能力を向上させるためには、評価者全員の研修機会を確保しなければならないと思いますが、この点はどう取り組むおつもりなのか、お伺いいたします。  最後に、評価結果の反映についてお伺いいたします。  教員が目標を持ち、申告し、結果として実績が生じたかを評価されることが資質能力向上につながると思われますが、例えば、学校としての組織目標の達成状況をどのように個人の評価に反映させていくのか、また、評価結果に対し教員から異論が出た場合、どのように対処していくおつもりなのか、お伺いをし、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 25: ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 看護師不足に関する御質問にお答えをいたします。  まず、本県独自の新人看護師の離職防止対策である出張研修についてでございます。  平成十七年に、愛知県看護職員需給見通しを作成するに当たり、県内医療機関を対象とした実態調査を実施いたしました結果、看護職員の退職率が上昇傾向にあることが認められ、さらに、二百床未満の病院の多くが新人看護職員に対する研修体制が整わない状況にあることがわかりました。  そこで、院内教育を支援する職員を昨年度から部内に四名配置し、出張研修を実施いたしております。  その実施状況についてでございますが、昨年度は、十三施設に対して延べ二十五回の研修を実施し、延べ五百十二名が受講し、今年度も二月末時点でございますが、二十九施設に対して延べ六十四回の研修を実施し、延べ一千百七十七名が受講をいたしております。  次に、研修の拡充内容についてでございます。  昨年度は、インフォームドコンセントや救急救命の看護技術などを実施しておりましたが、今年度は、これらに加え、安全確保の技術、感染防止対策、AED講習など、病院からの要望が特に多い項目を追加して実施いたしております。  次に、助産師の養成状況及び確保対策についてでございます。  まず、助産師の養成状況についてでございますが、平成十九年四月の入学定員は、養成所二校で四十五名、大学三校で二十九名の合計七十四名となっておりますが、この四月に、愛知県医師会が定員二十名の助産師養成所を新設することから、年間九十四名が養成されることになります。  次に、今後の助産師の確保対策についてでございます。  昨年度、本県が開催いたしました看護職員確保に関する検討会におきまして、助産師の養成数の確保と潜在助産師の活用が必要との意見が多く寄せられましたことから、県といたしましては、愛知県医師会の助産師養成所の早期設立に向けまして、学校の諸規定の整備や実習施設の確保などの支援を行ってまいりました。また、開校後の運営費につきましても助成することといたしております。  さらに、潜在助産師の活用につきましては、現在、就業のあっせんや相談業務などを行っておりますナースセンター事業により支援しておりますけれども、来年度にも、新たに現場復帰に必要な技術や知識を習得する実務研修を愛知県助産師会と共同で実施したいと考えております。  次に、カリキュラム改正に伴う養成所への指導についてでございます。  養成所での教育内容を充実し、学生の実践能力を強化するため、平成二十年一月に、保健師助産師看護師学校養成所指定規則が改正され、一部を除き、平成二十一年四月の入学生から新たなカリキュラムにより看護教育が実施されることになりました。  この改正は、医療の高度化、専門化や急速な医療技術の進歩など看護をめぐる環境が大きく変化する中で、単位数の増加や卒業時に習得している看護技術の到達度が今回新たに示されるなど、医療現場での実践能力をより高めるために実施されます。  一方で、看護教員に対しましても、教授方法や医療現場での研修など、これまで以上の自己研さんが求められております。  県といたしましては、三月中旬に開催する会議の場を活用して、改めて各養成所にカリキュラム改正の周知を行いますとともに、総合看護専門学校内に設置いたしました看護研修センターにおいて実務研修を実施するなど、看護教員の資質向上に努めてまいります。  次に、男子学生が看護職員を目指しやすくする環境の整備についてでございます。  平成十九年度の看護師等学校養成所の男子学生数は、入学者数三千五百六十二名のうち三百八十四名で、全体の一〇・八%を占めております。平成十年度におきましては、入学者数四千五百九十二名のうち男子学生数は二百六十二名、五・七%でありまして、約十年間でほぼ倍増しております。  こうした要因といたしましては、看護師が専門職として認知されたこと及び大学に看護学部が開設されたことに伴い、男性にとって学びやすい環境が整ったことなどによるものと理解をいたしております。  県立の養成所におきましても、看護職員の保健・医療・福祉分野での役割の重要性や、男性も女性も主体的に働くことのできる魅力的な職場であることを県内の高等学校へPRしているところであります。  また、看護の心を理解してもらうことを目的として、高校生を対象に実施しております一日看護体験研修への参加を男子生徒にも呼びかけるなど、看護職を目指す男子学生の確保に努めてまいりたいと考えております。 26: ◯教育長伊藤敏雄君) 教職員評価制度について御質問をいただきました。お答えをいたします。  まず、教職員評価制度の広報についてであります。  地域から信頼される学校づくりには、教育の直接の担い手である教員の資質能力の向上が不可欠でありまして、そのためには、教員一人一人の能力や業績を適正に評価し、教員に一層の意欲と自信を持たせ、人材育成に結びつけていくことが必要と考えております。  こうした観点から、本県では、平成十六年度に研究指定校において評価制度の試行を開始して以来、十八年度から順次対象を拡大し、現在では、すべての県立学校と公立小中学校において、この制度を試行しているところでございます。  県民の皆様に対する広報でありますが、これまでにも何度か県議会においても取り上げていただいておりますが、より多くの方に理解いただくため、この制度の検討状況を県のホームページに掲載をしたり、あいちの教育に関するアクションプランにもその取り組みを盛り込んでいるところでございます。  今後も、さまざまな機会を活用し、広くこの制度の理解を得てまいりたいと考えております。  次に、市町村教育委員会との協力、連携についてであります。  教員の人材育成や能力開発などのためには、小中学校に最も身近な存在である市町村教育委員会との協力、連携は不可欠であります。こうした課題をテーマとした教員の資質向上検討会議や教職員評価制度のあり方を検討する学校の組織運営に関する調査研究会議などにおいては、市町村教育委員会の代表者にも必ず委員として参加いただいておるところであります。また、市町村教育長や校長を対象とした説明会を実施するなど、今後も、市町村教育委員会との協力、連携を一層緊密にしてまいります。  次に、評価者に対する研修についての御質問であります。  教職員評価制度は、教員が主体的に目標を設定し、評価者との面談を通して意思の疎通を図り、目標の達成度を自己評価し、評価者による評価を本人にフィードバックする仕組みになっております。  こうした仕組みを評価者と被評価者の双方によく理解してもらうために、お示しにもありました全教職員へのリーフレットの配付や一般教員への研修を実施してまいりましたが、効果的な制度運用のためには、とりわけ評価者である管理職員がしっかりと理解することが重要であります。管理職員を対象とした研修では、この制度を特にテーマとして取り上げるなど、その理解と定着に努めているところでございます。こうした取り組みは、今後も積極的に行ってまいりたいと考えております。  最後に、組織目標と個人の評価とのかかわりについてであります。  学校全体の組織力の向上と教員の資質の向上が相伴って達成されるためには、学校全体での組織的な取り組みと個人としての取り組みが相互にリンクしていなければなりません。学校の組織目標を達成するために、組織の一員としての教員個々人がどのような目標を設定し、それにどう取り組み、どこまで達成したか、学校での役割やその貢献度などについても適正に評価することが必要であり、そのことが教員の人材育成や能力開発にもつながっていくものと思っております。  評価結果に対する被評価者からの照会や意見への対応につきましては、この制度を本格導入するための一つの課題であると考えております。校長の面談時間の十分な確保など、評価者と被評価者の双方がお互いに納得する制度を確立することが重要であり、試行を通して課題を一つ一つ解決しながら、より公平性、妥当性を高める制度となるよう、工夫、改善を図ってまいりたいと考えているところでございます。 27: ◯知事神田真秋君) 看護師不足につきまして、私からもお答えを申し上げます。
     医師不足と並んで、看護師不足もこのところ大変深刻であります。その要因は、先ほどお示しいただいたとおりでありますけれども、やはり一昨年の診療報酬上の七対一看護体制、これが大きな要因になったことは疑いのないところだと思います。  このところ、国あるいは厚労省のこうした制度見直しが地域医療を混乱に陥れるというケースが大変多く、心配をしておりますし、現に、私も知事会などを通じて、厚労省に対し、いろいろ制度の見直しなどを要請しているところでございます。  この七対一の関係は、先ほどもお示しのありましたとおり、私どもの要請が今回の診療報酬の改定に少し結びつき、前進したと思っております。この四月からそれが実行されることによって、多少は一部の大病院に流れることの歯どめにはなるのであろうと思っておりますけれども、今後のその推移は引き続きよく見ていかなければいけないと思っているところでございます。  愛知県といたしましては、従来からこの看護師不足に対応するために、これまで二百名以上が再就職を果たしております看護職カムバック研修、これを引き続き着実にやっていきたいと考えておりますし、先ほど局長が申し上げましたように、出張研修あるいは看護師の養成所の学生に対する修学資金の貸し付けなど、総合的に看護師の確保のために努力をしていきたいと考えております。 28: ◯二十二番(かじ山義章君) 御答弁をいただきまして、私からは要望させていただきたいと思います。  まず、看護師不足についてでありますが、今回、この質問をするに当たり、本当に多くの看護師さんからさまざまな意見、メッセージをいただきました。  その中で印象に残ったのは、患者さんのベッドサイドにつくり笑顔ではなく本当の笑顔で行けるようになりたいというメッセージをいただきました。今、医療現場で起きている、また、メッセージで訴えられているような事態のかなりの部分は、人手不足を解消することで解決されるのではないかと思っております。  しかし、若年人口の減少の問題、また、新人看護職員の早期離職の問題など、簡単に解決できる問題ではないことは認めざるを得ませんけれども、県として、引き続き重要課題に真摯に向き合って、解決への道筋の検討を継続していただきますようにお願いをいたしたいと思います。  教員評価制度については、いずれ、本県も導入される時期が来るとは思いますが、導入されたときに制度を固定的なものとしてとらえるのではなく、実施する中で、時代の変化に応じた対応などによって新たな改善点が生じた場合には、適宜適切に改善の行えるようなものにしていただきたい、そのように強く思うわけであります。  教員の、先生方の数値目標というのは簡単にはできないと思いますし、いい学校に何人入れた、また不登校を何人減らした、そういった議論に流されてはいけないというふうにも思います。  制度が導入されたときには、制度が適切に運用され、教員の資質能力向上が図られることにより、学校の活性化が促進され、ひいては愛知県の教育全体の向上にぜひつなげていただくことを要望し、質問を終わります。 29: ◯副議長加藤精重君) 進行いたします。  岩田隆喜議員。     〔八十三番岩田隆喜君登壇〕(拍手) 30: ◯八十三番(岩田隆喜君) それでは、通告に従いまして、順次お尋ねをいたします。  まず初めに、新地方公会計制度についてお伺いします。  行政機関の会計である公会計の改革が進行していますが、総務省は、二〇〇六年八月、全自治体に対して、原則として三年以内に貸借対照表、いわゆるバランスシートを初めとする財務書類を作成し、公表するよう求めました。  これまでのように、単年度の資金の出入りだけをまとめた決算とは違い、資産と負債を明らかにし、特別会計や公営企業会計、さらに第三セクターによる影響を連結して、自治体の財政状況を示すものとなります。  公会計の最も重要な利害関係者は、もちろん、その自治体の住民であります。しかし、従来の手法では会計情報の提供は十分ではありません。毎年度、予算と決算が公表され、議会の場で検討、議論されますが、住民の目から見れば非常にわかりにくく、公営企業や公社、第三セクターなどの情報が別々になっているため、全体像がつかみづらいということがあります。  そこで、企業会計の考え方、複式簿記や発生主義を取り入れた公会計を整備することで、資産や負債がどのくらいあるのか、さらに将来的な負担、例えば建物の建てかえや職員の退職金のため、どのくらいの資金を用意しておかなければならないのかなど、自治体の財政状況がわかるようにする必要があります。  また、公会計改革は、財政状況を他の地域、自治体と比較できるようにすることにもなります。  そのためには、統一した基準ですべての自治体が財務書類をつくることが前提であります。これにより、我が地域の人件費はどうしてこんなに多いのか、使われていない土地がこんなに多くあるのかなど問題点が顕在化します。また、行政の側からも、住民や他の地域から常に見られていることによって緊張感が生まれ、効率化など行財政改革の流れが強まります。  こうした観点から、公会計の整備は行財政改革の重要な手段となります。  また、一昨年の北海道夕張市の財政破綻を受けて、地方財政健全化法が制定されました。地方自治体財政が破綻する前に二段階で状況をチェックし、健全化を促す地方財政健全化法も二〇〇八年度決算から全面的に適用されることになります。破綻してから再建するのではなく、毎年四つの財政指標を公表することが義務づけられ、ある程度悪化した段階で警告が出て、早期是正をしていく仕組みであります。  しかし、この指標は財政破綻防止の観点から設定されたもので、財務処理から直ちに導き出されるものではありません。  総務省は、当初、財務書類の整備と財政健全化法の指標を関連づける考えではなかったようでありますが、昨年十月に、全国の自治体に公会計の整備推進についてという通知を出し、地方自治体財政健全化法実施に合わせて財務書類の整備を急ぐとともに、会計に関する知識の少ない一般住民の理解に資するため、簡潔な内容を提示することや注記などを活用して、健全化法の定める四つの指標を財務書類に提示することが望ましいとしております。  財政健全化法の四つの指標によって財政状況をチェックする一方、それと関連づけられた財務書類を作成、公表することによって、他の自治体との比較や年ごとの推移がわかるようになるのであります。  そこで、以下四点についてお尋ねいたします。  まず、一点目は、公会計の基準が複数存在していることに関してであります。  東京都など先進自治体が努力して独自の手法を確立していますが、基準は統一されることが望ましいものであり、基準モデルでやるのが好ましいと考えますが、本県としてはどういう取り組みをされているのか、お伺いいたします。  二点目は、昨年十月十七日に総務省から出されました公会計の整備推進についての通知への対応についてであります。  この通知では、都道府県人口三万人以上の都市は平成二十一年度より、それ以外の市町村は平成二十三年度より、財務書類四表の作成、開示が求められますが、本県の状況はどうなっているのか、また、県として市町村への支援策をどう考えているのか、お伺いいたします。  三点目は、財政健全化法と公会計の整備についてであります。  財政健全化法は、二〇〇八年度決算から全面的に適用されます。公会計の整備推進と財政健全化法の適用とは直接関係ないとは考えられますが、財務指標を適用する財務書類の計数が非常に重要な意味を持つことからいえば、今後、公会計改革を早急に進め、財政健全化法の判断指標に反映させるほうがよりベターと考えますが、御所見を伺います。  公会計に関する四点目の質問は、財政健全化法においては四つの指標が算出されますが、これらは、本県の普通会計のみならず、公営企業会計、一部事務組合も含めてのフロー指標の関係、さらに公社や第三セクターを含めた債務残高などストック指標も示すことになりますが、本県にかかわる団体も含めて、その準備はどうなっているのか、お伺いいたします。  質問の二番目は、改正建築基準法施行への対応等についてであります。  昨年六月二十日施行された改正建築基準法は、構造計算書偽装問題を受けて、その再発防止と建築物の安全性を確保するために、主に構造計算適合性判定制度の導入及び建築確認申請書類等の大幅な見直し、拡充を内容とするものであります。  この趣旨そのものは、確認審査の厳格化により、建築物の安全性に対する消費者の信頼を高めるという観点から理解できますし、大変重要なものであるとも認識しております。問題は、その運用について、十分な検討と準備、周知徹底がしっかりなされたのか、対処療法的な法改正ではなかったのかということであります。  結果として、二〇〇七年の県内の住宅着工戸数は、前年比一六・六%減の七万三千八百八十三戸で、五年ぶりの減少ということになりました。全国的にも住宅着工戸数などが激減し、その影響は経済成長率の減速へと不安視され出し、とりわけ、直接影響のある建築関連業種においては、建築確認のおくれによる工事の停滞により、決算の下方修正が相次いでいるということであります。  最近の報道では、住宅着工戸数は回復の兆しが見られ、この混乱も沈静化し出しているという状況のようでありますので、とりあえず安堵するわけであります。  しかし、計画から完成まで時間がかかる建築というものの特性を考えると、建材や住宅設備など幅広い関連業界に影響が出てくるのはむしろこれからであるとも言われます。  具体的な影響の例としては、東京の小学校が校舎建てかえのめどが立たずに、生徒募集説明会で約束した新校舎の供用にスケジュール変更を迫られるという切実な問題が起き、校長は、ことしの生徒募集の説明会で、来年七月から新校舎を使うと約束した。教育施設や内容の充実があってこその私学。約束を果たせないと困ると嘆いているとのことであります。また、福島県の大規模商業施設が建築確認前に工事着工していることが発覚し、その場で工事停止となり、施設オープン予定が大幅におくれるという結果になってしまったとの記事がありました。  こうした社会的にも経済的にも多大な影響を与えた今回の建築基準法改正について、建築確認業務を行っている担当部局はどのように認識しておられるのか、まずお伺いします。  また、県有施設の建築計画、改修計画に対する今回の法改正によるおくれはないのか、さらに建築確認前に工事着工した場合などについて、官と民とで取り扱いが異なることはないのか、お伺いいたします。  次に、構造計算適合性判定機関についてであります。  大型建築については、指定確認検査機関のほか、構造計算適合性判定制度による二重チェックを受けることになります。制度そのものは、県民の財産の保護の観点からは評価できますが、問題は、その判定員の確保が十分かどうかということであります。  偽装を見抜くにはそれ相当の知識を持った人材がかなり必要ですが、そんなに人材が余っているはずもなく、設計事務所などの職員が非常勤で業務を行っているのが現状だとの声もあります。  本県の適合性判定機関である愛知県建築住宅センターは、判定員の配置を含めて体制は十分整備されているのか、お伺いいたします。  さらに、来年度より構造設計一級建築士制度の運用が始まると言われております。法改正により建築士の業務量は確実に増している中で、新たに構造設計一級建築士としての業務量と厳しい資格審査よってますます処理できる建築量は厳しさを増すと考えられますが、県当局の認識を伺います。  一方、建築着工数の急激な減少を踏まえて、国は、資金繰りに苦しむ中小建設業者を支援するため、昨年十一月から十二月にかけて、一般の信用保証とは別枠のセーフティーネット保証五号の融資対象業種を大幅に拡大し、その結果、愛知県信用保証協会のセーフティーネット保証五号の建設業の十二月の保証承諾実績は、前月の十一月に比べ件数で約十六倍の百十三件、金額ベースで約十三倍、三十二億七千万円余となっていると聞いております。  この実績が示すように、国、県においては、金融支援に努力していただいておりますが、今後も中小建設業の経営環境は厳しいものになると思われますので、引き続き中小建設業者の資金調達に支障が生じないよう努めていく必要があります。  また、金融支援と同時に、構造技術に関する支援、相談などを行うことも中小建設業支援対策として大切なことであります。  県としても、昨年から、事前相談や講習会の開催などの対策をとってきており、この三月からは、さらに構造技術全般についての相談窓口も設置されるとの先日の知事さんの代表質問の答弁にあったところであります。このような相談窓口の設置は時宜を得たものと評価いたしますし、その効果を期待するところであります。  これまで申し上げましたとおり、住宅着工戸数などは前年並みの数値に近づきつつあり、建築確認件数についても全体として回復の兆しが見えます。しかしながら、構造審査が必要なマンション等の規模の大きな建築物は、前年に比べ件数が少ない状況が続いております。  このような状況を踏まえ、県として、今後、建築確認業務を円滑に進めるため、どのような対策に取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  次に、関連して、住宅耐震診断、耐震改修についてお尋ねいたします。  住宅耐震診断、耐震改修については、それぞれの目標値に及ばない結果となっております。県は、先般、改修を促進する一つの方策として、耐震診断時に耐震改修の概算工事費を示すこととされました。  一方で、報道によると、二〇〇四年に日本建築防災協会が耐震診断の手法を改定した結果、補強工事が必要と診断されるケースが増大し、同時に改修費用も増加するということが言われております。  このような状況の中、他の自治体において、耐震性を判断する評点が一・〇に満たない場合でも、改修工事を行えば独自に補助をする制度を導入しているところがあると聞いております。こうした簡易な改修であっても、家が傾いても完全につぶれることなく、命が救われる可能性が高くなるということであれば、非常に意味のあることと考えますが、県当局の認識をお伺いいたします。  以上で私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 31: ◯総務部長(今井秀明君) 公会計制度問題に関する御質問のうち、まず、基準についての本県の取り組みについてお答えいたします。  現在、総務省からは二つの公会計モデルが示されておりますが、そのうち基準モデルは、民間企業会計の考え方と会計事務をもとに、個々の取引情報を発生主義により複式記帳して財務諸表を作成することを前提としております。一方、総務省方式改訂モデルは、その目指す方向性は基準モデルと同様でありますが、公有財産や発生主義による取引情報を既存の決算統計情報を活用して策定することとしており、どちらのモデルを選択するかは各自治体の判断にゆだねられております。  基準モデルの導入には、開始時に貸借対照表を作成するため、道路を初めとして県の保有するすべての固定資産の再評価が必要となりますし、複式簿記に対応するため、現行の財務会計システムを抜本的に構築し直さなければなりません。しかしながら、このような大きな負担に見合う具体的なメリットがどの程度見込めるのか、はっきりしておりません。  現在、都道府県で方針を決定しておりますのは十六団体でございますが、このうち十三団体が、こうした理由から総務省方式改訂モデルを選択しているところでございます。  また、公会計制度を導入するに当たっては、財務情報について県民の方々に理解していただく上で、他県と比較できることが重要でございます。  こうしたことから、本県といたしましては、既に多くの県が採用を予定している総務省方式改訂モデルを基本として取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、総務省通知で求められている期限までの財務書類四表の作成、開示についての本県の状況についてでございます。  都道府県は、お示しのとおり、二十年度決算について、財務書類四表の作成が求められておりますので、できるだけ早く取り組みを進めてまいりたいと考えております。  また、市町村への支援策についてでありますが、公会計の整備には、専門的知識が必要とされることや資産の評価など事務処理に大きな負担がかかることから、市町村によってその取り組み状況にも温度差が認められるところでございます。  そこで、県といたしましては、市町村において、国の要請する期限までに新たな基準に基づく公会計の整備が円滑に実施できるように、県と市町村による共同の研究会を設置したり、実務者向けのセミナーを開催するなど、市町村の公会計の整備推進のための支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、財政健全化法と公会計の整備についてでございます。  財政健全化法における実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率の四つの健全化判断比率は、将来負担比率のように新たにストック面に着目したものもありますが、基本的には現行の官庁会計制度を前提に算定されているものでございます。  一方、現在導入を求められております新たな公会計制度は、お示しのとおり、民間企業の考え方や複式簿記、発生主義の考え方を前提としているものでありまして、両者の間にはよって立つ会計制度に違いがあるものと考えております。  しかしながら、自治体の財政健全化に向けて財政状況をわかりやすく住民の方々にお示しするという目的は、これは、公会計制度の整備と財政健全化法の考え方に共通していると考えておりますので、今後もそれぞれの取り組みを着実に推進してまいりたいと考えております。  次に、財政健全化法四指標においての団体も含めた準備についてでございます。  財政健全化法の健全化判断比率四指標のうち、新たにストック指標として示されました将来負担比率につきましては、地方公社の債務の一部や損失補償を行っている第三セクターの財務状況が指標に影響を及ぼすことになります。このため、それぞれの団体の債務等の状況が将来負担比率に正確に反映されるよう、第三セクター等に対しましても、二十年度決算からの全面適用に向けてきちんと準備していただくよう、関係部局とも連携をして、健全化法の内容の周知に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 32: ◯建設部建築担当局長(長瀬幸男君) 改正建築基準法施行への対応等についてのお尋ねをいただきました。  まず、建築基準法改正に対する認識についてでございますが、この改正は、構造計算書偽装事件の再発防止のため、必要な措置であったと思っております。  しかしながら、このような事態になりましたのは、国も認めておりますように、改正内容の周知の徹底が極めて不十分であったこともありますが、現場の実情にそぐわない制度設計上の問題が大きいものと考えております。  次に、法改正による県有施設の建築計画などへの影響についてでございますが、一部の施設において工事におくれが出ておりますが、おおむね計画どおりに進捗しております。  また、建築確認前に工事着工した場合の対応についてでございますが、建築基準法の規定におきましては、公共工事と民間工事とで取り扱いが異なることはございません。  次に、構造計算適合性判定機関の体制についてのお尋ねでございます。  財団法人愛知県建築住宅センターの判定員は、現在、常勤が五名、非常勤が七十四名の計七十九名で、国が示しました基準を上回り、想定される業務量を十分処理できる体制をとっております。また、判定員以外に判定業務を補助する常勤の補助員などが二十名在籍しておりまして、総勢九十九名で業務を行っております。非常勤の判定員が多くを占めてはおりますが、常勤の判定員と非常勤の判定員及び補助員とでチームを組みまして、効率的に判定業務を行っておりまして、体制は十分整っていると考えております。  次に、構造設計一級建築士についてでございます。  構造計算書偽装事件で失われました建築士制度の信頼の回復を図るため、建築基準法の改正と時期を同じくし、建築士法も改正され、新しく構造設計一級建築士の制度が創設されることとなりました。  これは、一級建築士の中で、構造設計に高度な知識、技術を有する人に構造設計一級建築士という資格を与えて、一定規模以上の建築物を設計をする場合には、この資格者の関与が義務づけられるというものでございます。  詳細は、今後、政省令で定められますが、構造設計一級建築士の負担増により建築活動の停滞が懸念される場合には、国に対して強く要請をしてまいりたいと、このように考えております。  次に、今後の建築確認の円滑化対策でございます。  法改正に伴い、構造基準が複雑になりましたことにより、設計者にもさまざまな戸惑いが生じております。これが停滞の一因ともなっておりますので、明日から構造設計者をサポートする相談窓口を開設し、建築構造に関するあらゆる相談に応じてまいります。  また、特定行政庁や指定確認検査機関において、法解釈や運用に差があり、確認審査に混乱がありましたことから、県として独自の統一的な運用基準を作成し、公表したところでございますが、今後は、この基準によりまして、確認審査を行うことといたします。  なお、相談窓口、運用基準とも活用していただくことが円滑化につながると考えておりますので、今後は、これらの周知を図ってまいります。  さらに、現在、各建設事務所で行っております構造審査、この四月から、本庁におきまして、構造に精通した職員が一括審査する体制に改めまして、審査技術の向上や判断の統一化を図り、審査の迅速化に努めてまいります。  最後に、耐震改修費補助についてお答えをいたします。  現在の耐震改修費補助制度は、東海地震や東南海地震が発生した場合にも、建物の倒壊による避難路の閉塞や出火を防止し、地域全体の安全を確保することを目的に実施しているものでございます。  御指摘のように、簡易な耐震改修でございましても効果は上がるものとの考えもありますが、県といたしましては、地域の安全確保のためにはどの程度の改修を行う必要があるのか、今後研究してまいりたいと考えております。  また、耐震改修費が高額となると改修に踏み切れないという状況もございますので、現在開発中の安価な耐震改修工法等の普及によりまして、耐震改修の促進を図ってまいります。  以上でございます。 33: ◯八十三番(岩田隆喜君) ただいまそれぞれ御答弁をいただきました。  数点要望を申し上げたいと存じますが、まず、公会計のほうでありますが、総務部長から御答弁がございましたように、財政健全化法では、平成二十年から四指標の適用が全面的になされるわけでありますが、平成十九年度の決算数値においても、つまり、時期的にはこの秋になるわけですが、トライアルでこの財政四指標を算出するということになっておるようでございます。
     これによってイエローカードが出ますと、聞くところによりますと、総務省は、そうした自治体を公表するというふうに聞いておりますので、県下の自治体においては問題はないとは存じますが、準備期間というのはそうありませんので、十分怠りなく進めていただきたいというふうに思います。  次に、建築基準法の関係でありますが、この改正によりまして、さまざまな影響があるのは県御当局も御認識のところであります。  例えば、狭小な敷地に建つ小さな住宅でも、三階を超えると構造計算適合判定検査が必要とされます。その費用はだれが持つのかといった問題があったり、あるいは使用している構造計算プログラムが改正法に適合しない部分があり、手計算でその確認作業がふえる、そうした問題もあるようでございます。  いずれにしましても、一つは、建築確認手続にかかわる業務の簡素化、二つ目には、構造計算判定の期間の短縮、さらに改正建築基準法の県民への周知の徹底などが必要だと考えますので、県当局も現在既に十分努力されているとは認識しておりますが、さらに進めていただきますことを要望いたしまして終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 34: ◯三十七番(田辺克宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 35: ◯副議長加藤精重君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 36: ◯副議長加藤精重君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 37: ◯議長青山秋男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  三浦孝司議員。     〔六十番三浦孝司君登壇〕(拍手) 38: ◯六十番(三浦孝司君) 一般質問もブービーになりましたので、ブービーメーカーで、多分、ゴルフのコンペをやると優勝の次はブービー賞がいい商品がもらえますので、知事から大変いい御答弁がいただけると思っておりますので、通告に従い順次質問させていただきます。  公共交通の利用促進についてお尋ねいたします。  本県では、ことしの五月末にも開催地が決定されるCOP10の誘致活動を初め、愛・地球博の理念とその成果を継承したさまざまな取り組みが行われており、また、今後もいろいろな展開がなされていくものと期待しているところであります。  昨今、このような取り組みの成果もあり、県民の方々の環境に対する問題意識は大変高まってきているのではないかと感じております。そして、県民の関心、問題意識が高まりつつある環境問題の一つの側面として、公共交通の利用促進対策も重要な課題であると考えております。  本県の温室効果ガスの排出量の実態を見てみますと、二〇〇四年度の温室効果ガス排出量は、基準年度である一九九〇年度に比べて九・九%も増加しています。そのうち、運輸部門におけるCO2の排出量は、二〇〇二年度をピークに燃費の向上や軽自動車の割合が増加していることから、やや減少傾向にあるものの、一九・五%増加しています。このような実態を見ましても、CO2排出量の約二割を占めている運輸部門のCO2排出量の削減に向けて果たすべき役割は大きいものがあります。  一人を一キロ運ぶときのCO2の排出量は、自家用車は鉄道の約九倍、バスの約三倍であり、鉄道やバスなどの環境負荷の小さい公共交通をより多くの方たちに利用してもらうことも地球温暖化対策の一つとして取り組まなければならないものと考えています。  確かに車はドア・ツー・ドアで、経路や出発時間が自由に選択できる便利な交通手段であることは言うまでもないことであります。また、本県は、自動車産業を中心に物づくりの拠点として発展し、かつ生産・営業活動の活性化など、自動車交通に支えられた地域構造の中で車の利便性を享受してきました。  しかしながら、一方で、七年連続して自動車保有台数全国一であり、自動車と鉄道、バスなどの公共交通機関との利用分担率も七対三と、東京都や大阪府と比較しても自動車の利用割合が極めて高く、飛躍的に車両台数が増加するにつれ、環境負荷増大、交通事故の多発、交通渋滞など、車に依存し過ぎた交通体系から生ずるさまざまな社会問題を抱えることになっているのも事実であります。  そうした課題に対応して、これまでも本県においては、ITS、すなわち高度道路情報システムの活用により、円滑かつ効率的な交通環境の整備を進めているとともに、あいち新世紀自動車環境戦略の取り組みにより、エコカー導入促進やバイオディーゼル燃料の普及などを展開してきているところであります。  しかしながら、根本的には、車と公共交通との適切な役割分担により共存、連携し、それぞれの長所や特徴を生かすことが重要ではないかと考えております。  世界に目を向けますと、ヨーロッパを中心に、毎年九月二十二日にカーフリーデーというイベントが行われています。これは、まちの特定地域においてマイカーの使用を制限し、公共交通、自転車、徒歩を中心とする車のない都市空間を体験してもらうことを目的としています。一九九八年にフランスで始まりましたが、二〇〇〇年からはEUの取り組みとしても行われており、また、さらに、二〇〇二年からは、カーフリーデーを含む毎年九月十六日から二十二日をヨーロッパモビリティーウイークと名づけ、この期間に環境や交通にかかわるテーマについてさまざまな催しが展開されています。  カーフリーデーについては、日本では、横浜市、松本市などを初め、本県では名古屋市で取り組まれております。  愛・地球博の理念継承やCOP10の開催誘致県として、このような先進的な取り組みを参考にされ、環境問題に対する意識が高まっているこの機に、本県としても、環境先進県として公共交通の利用促進に向けた対策をより充実していく必要があるものと考えます。  また、環境問題への対応のみならず、交通安全、渋滞、中心市街地活性化の観点からも、公共交通を利用促進することが求められています。  今後、高齢社会が進展していくことにより、高齢者が交通事故の原因者や被害者となる確率が高まることが予想されます。高齢者などのいわゆる交通弱者が増加し、その方たちの社会参加や通院などの移動手段の確保や買い物などの日常生活をより快適なものにしていくためにも、公共交通は大切な手段となります。  また、まちづくりの観点からも、郊外に分散した都市構造から、中心市街地、商店街の活性化など、鉄道の駅や基幹的なバス停を中心とした楽しく歩け、にぎわいのあるコンパクトなまちづくりに向けて、公共交通がそのツールとして果たす役割はますます増してきております。  そこでお尋ねいたします。  県として、新年度、公共交通と車との適切な使い分けを目指すエコモビリティライフについて、意識啓発活動などを進める予定と聞いておりますが、どのような方針に基づいて、どう取り組んでいかれるのか、お伺いします。  また、車と公共交通を適切に使い分けるためには、公共交通が便利で使いやすいものであることが前提にあることは言うまでもありません。公共交通の利便性の向上と意識啓発は、車の両輪として進めることがより効果的であると考えますが、エコモビリティライフの推進の中で公共交通の利便性向上をどのように位置づけ、対応されるのか、あわせてお伺いします。  また、愛知環状鉄道においては、今月から新豊田駅から三河豊田駅の二区間で複線化され、トヨタ自動車の通勤者の自動車通勤から電車通勤へと移行されます。しかし、二区間のみの複線化では、多額の投資に対し、効果は薄いと思われます。費用効果を高めるためにも、三河豊田駅から北野桝塚駅までを複線化することにより、通勤客の増大や一般客の利便性を高めることが環境問題や商店街の活性化につながるものと思います。  そのためにも、三河豊田駅から北野桝塚駅までを複線化されるお考えがあるか、お伺いします。  次に、県では、平成二十一年度からあいち森と緑づくり税を導入し、森林、里山林、都市の緑を一体的に整備、保全していくための新たな施策に取り組んでいくことを表明されました。改めて、知事の決断に敬意を表するとともに、その成果に大いに期待をいたします。  このことについては、多くの方の御質問がありましたので、私は、必要な要点四点を質問させていただきます。  一点目は、森と緑づくりの新しい施策の中で森林整備に重点が置かれております。検討されている事業として豊かな生命の森林整備事業があるが、この事業の仕組みと効果、課題をどのように認識しておられるのか。  十年間で一万五千ヘクタールの森林の間伐が計画されているが、確実に実施するためには、地権者の理解と施業界、境界の確認が不可欠であり、これには相当の時間と費用がかかると思いますが、どのように考えているのか。また、各市町村が取り組んでいる施策との整合をどのように図るのか。  特に、豊田市においては、市町村合併を契機に森林整備を市政の重要課題としてとらえ、平成十九年三月には豊田市森づくり条例を制定し、同時に豊田市百年の森づくり構想を策定し、未整備となっている森林の間伐を今後十年間で一掃するという意気込みで、豊田森林組合と協働して十九年度から取り組んでいます。  豊田市においては、林道から五十メートル離れた未整備の森林を対象としています。これに対して、県の計画では、林道から三百メートル離れた森林を対象とするようだが、県、市によって対象とするエリアが異なることは、地権者、県民には理解されないこととなります。  また、豊田市において、効率的に森林整備を進めるため、市内各地域において森づくり会議の設置を呼びかけ、団地化による森林整備を進めています。  ここでの課題の一つとして、森林所有者の多くが山林に対する関心が薄れたことや、相続で新たに取得した、あるいは不在地主の多発などで、自分の山の境界がわからない、今さら山をなぜ整備しなければならないのかなど、地権者に対する森林整備の必要性と森林の持つ公益的機能の重要性などを理解していただくために、豊田市と豊田森林組合が協働して地域説明会の開催などを通して、その理解を深めています。  森づくり会議の設立にかかわる人手が六人、施業計画の取りまとめに二十から三十人がかかわっています。こうした下ごしらえがあってこそ森林整備が進むものであり、森林組合は、森林整備の中核的な担い手としての使命を果たしたいとの思いで森づくり会議の設立や施業計画づくりに取り組んでいますが、こうした取り組みに対する収入源や支援策の見通しがない限り、組合としての取り組みは長続きはしないと豊田森林組合の関係者は言っています。  こうした目につかない部分に対する役割をだれが担うのか、県が森林組合などに委託する場合には適切な措置を講ずる必要があると思いますが、どのように考えておられるのか。  二点目は、公道沿い森林健全化事業については、公道から百メートル以内にある未整備の森林の整備を新税でもって間伐をするものの、間伐した木材は山林所有者のものであると聞いているが、山林所有者がその間伐材を売却した場合、税の公平性から見て問題はないのか、また、奥地林健全化事業との整合は図られているのかを伺います。  三点目は、森林整備技術者養成事業においては、即戦力となる森林整備技術者二百人を養成するという目標を立てておられますが、どのような手法で二百人を確保するのか。山仕事を専門に行う人を森林整備技術者とするならば、一朝一夕には一人前とはなりません。また、森林整備に従事する人の希望者が少ない状況にあります。この要因は、何といっても、安定した仕事量とそれに見合う賃金が確保できないことに加えて、住宅問題を初め就労環境の劣悪さが指摘され、俗に言う三Kと言われる職業となっています。  このような状況を考えると、二百人の確保は相当難しいと思われますが、どのような方法をもって行われるのか、伺います。  四点目は、里山林整備については、里山再生事業と身近な里山林整備事業が予定されています。これら里山林整備事業のねらい、事業推進の手だて、そして課題とその課題解決策をどのように考えているのかを伺います。  私が住む地域は、自動車部品を製造する工場が立地する中にあって、ところどころに里山があり、そこには多くの緑が残っています。ここには、ウグイスやメジロ、ホオジロなどの野生の小鳥が生息しています。この小鳥たちによって、私たちは季節の移り変わりを体感し、自然との共生を実感しています。このような里山、特に一ヘクタール未満の山林が開発などで都市部周辺に残る貴重な里山が年々少なくなる状況にあります。  そこで、里山林整備のうち、身近な里山林整備事業が検討されていますが、公益的機能の高い里山を保全するための施策として、里山林の市町村有林化が提案されています。この市町村有林化を進めるに当たって、どのような里山が対象となるのか、また、その推進役はだれが担うのか、そして、向こう十年間で市町村有林となる目標面積をどの程度見込んでいるのか。  いずれにしても、里山林の整備は都市緑化と大変深いかかわりを持つことから、関係部署や市町村との連携を十分に図り、進めていただくことを要望し、所見をお伺いします。  この政策についての具体的な内容、計画等は、来年度中に決定されると思いますが、さまざまな課題をきちんと解決していかなければ、仏つくって魂入れずになってしまうと思いますので、県当局の格段の御配慮をお願いし、質問を終わります。(拍手) 39: ◯地域振興部長的井宏樹君) 公共交通の利用促進についての啓発に係るお尋ねでございます。  本県といたしましては、COP10の開催誘致県としてふさわしい環境に優しい地域づくりの一環といたしまして、車と公共交通、自転車、徒歩などを賢く使い分けるライフスタイル、これをエコモビリティライフと呼ぶことといたしまして、広く県民の皆様への普及とその実践を目指してまいりたいと考えているところでございます。  公共交通の利用でございますが、環境はもとより、安心・安全、健康、まちづくりなど幅広い観点から促進すべきものと考えているところでございまして、あいち新世紀自動車環境戦略と相まって、環境に優しい交通行動を一層普及促進してまいりたいと考えているところでございます。  具体的には、推進の母体となります協議会を市町村や交通事業者、企業や大学などの参画のもとに設置をいたしまして、行動宣言や事業計画などを策定をするとともに、県民の皆様に対する機運の醸成や意識啓発を図るため、県民大会を開催するなど、新しい県民運動として展開をしてまいりたいと考えているところでございます。  次に、公共交通の利便性の向上についてでございますが、エコモビリティライフの実現に向けては、啓発活動とともに公共交通の利便性の向上が重要と考えているところでございます。  本県では、これまでも、公共交通と自動車の共存あるいは連携といった観点から、鉄道の複線化に対する支援、バス路線の維持対策、パーク・アンド・ライドの普及などに取り組むとともに、駅のバリアフリー化の推進や低床バスの導入支援、駐輪場の整備支援など、利便性の向上に努めてきたところでございます。  新年度には、新たにリニモ沿線をモデル地区として、GIS(地理情報システム)を活用したバス情報マップを作成し、乗りかえ利便性の向上を図りますとともに、県内唯一の路面電車であります豊橋鉄道における低床式車両の導入を支援したいと考えております。  また、エコモビリティの設置をいたします協議会においても、一層の利便性の向上に向け、交通手段と交通手段の間あるいは事業者間の連携や協力が進むように取り組んでまいる考えです。  最後に、愛知環状鉄道についてのお尋ねでございます。  今回の複線化の完成によりまして、全線四十五キロメートルの約三割が複線化をされたこととなるものであります。これによりまして、最も輸送需要の高い新豊田─三河豊田間に通勤シャトル列車が運行がされまして、朝の通勤時間の運行本数が一時間当たり四本から八本に倍増し、利便性が相当程度高まることになるものであります。  御指摘の三河豊田駅から北野桝塚駅までの区間の複線化につきましては、今後の需要の動向ですとか利用状況の変化などを見きわめつつ、会社の考えもお聞きをいたしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 40: ◯農林水産部農林基盤担当局長伊藤明君) 森と緑づくりのための施策についてのお尋ねのうち、豊かな生命の森整備事業についてでございます。  この事業は、林道などから遠い奥地や作業が難しい公道沿いの人工林について、通常よりも強目の間伐を行うことで自然植生を促し、広葉樹がまざった自然豊かな森林に誘導していくもので、林業活動では整備が困難な森林の健全化を図るものでございます。  この事業を進めるに当たっては、所有者の理解と施業区域の確認が課題と考えておりますので、市町村や地元関係者と協力して、所有者への説明や現地での立ち会いなどを行い、事業実施区域の確認、了解をいただきながら、円滑に事業を進めてまいりたいと考えております。  また、市町村の施策との整合につきましては、今後、各市町と個別具体的に調整し、互いの施策が補完し合って、それぞれの地域での森林整備の促進につながるようにしてまいります。  また、地域説明会の開催や計画の取りまとめ等についてはだれが担うのかとのお尋ねについてでございます。  事業の実施に当たっては、地域での説明会の開催や森林所有者の同意取りまとめ、事業実施区域の確認など、事前調整として必要な作業は大変多くございます。こうした作業は県が主体的に進めてまいりますが、地域に精通した市町村や森林組合の御協力は不可欠なものと考えております。  このため、事前調整に必要な事務や作業の一部については、市町村等への委託によりお願いしたいと考えております。  次に、間伐材の売却についてでございます。  公道沿いの森林整備により発生した間伐材を売却する場合、事業対象地そのものが手入れ不足で良質な材が少ないことや、一般的に木材価格が低く、運搬や売却にかかる経費も必要であることから、所有者にとって利益は発生しがたいと想定をしております。  このため、二十年度にモデル事業を実施する中で、公道沿いの森林や奥地林の整備により発生する間伐材の取り扱い、売却する場合の収支について検証し、その結果に対して、あいち森と緑づくり委員会でも御意見をいただきながら、対応を検討してまいります。  次に、森林整備技術者の確保についてでございます。  新たな施策による森林整備の実施に対し、県の入札参加資格者名簿では、森林組合を含め現在三十一社が登録されておりますが、県としては、できるだけ多くの事業体に参加、協力していただけるよう働きかけてまいります。  また、そうした事業体で雇用される技術者の方に、この施策による間伐作業に必要な技術、技能をできるだけ短期間で身につけていただくための実践的な研修を実施していくことで、必要な技術者の養成、確保を図ってまいります。  最後に、里山林整備についてでございます。  都市近郊の里山林は、長い間放置され、生活環境の保全や災害の防止などで公益的機能を十分発揮できない状態となっているものが多く、その整備、保全が求められております。  このため、地域の貴重な森であります里山林の整備、保存を進めていく上では、市町村による公有林化も有効な手だての一つであると考えております。  里山林整備事業のうち、市町村が推進役となって地域やNPOと協働して進める提案型里山林整備は、十年間で約三十カ所、一カ所当たりおおむね五ヘクタール程度を想定しておりますが、このうちの一部で、市町村の意向によりまして公有林化を見込んでおります。  いずれにいたしましても、具体的な内容は、来年度の計画づくりの中で検討をしていくこととしておりますが、豊かな生命の森整備事業と同様に、市町村と十分に連携、調整を図り、着実な事業推進に努めてまいります。 41: ◯知事神田真秋君) エコモビリティライフについて、私からもお答えを申し上げます。  環境に優しい交通行動を県を挙げて推進しようというものでございますが、先ほどお示しがありましたとおり、例えば愛知環状鉄道の複線化によりまして、世界的な自動車メーカーであるトヨタ自動車が自動車から鉄道への大規模な通勤転換をされようとしているわけでございます。これはもう大変大きな力になるものと考えております。このように、企業だとか、交通事業者、大学、NPO、県民の多くの皆様方の御参加をいただくことによって、実を上げていきたいと思っておるところでございます。  これまで、関係先に説明に上がっておりますが、市町村あるいは経済団体などからは、御賛同の御意見もちょうだいをしているところでございます。これをさらに広げて、県民こぞってのそうした運動にしていきたいと思っているところでございます。  当面、COP10が開かれます二〇一〇年をターゲットにいたしております。ITSの活用も含めて、多彩なエコモビリティ活動、こうしたものを国内だけではなく世界にも発信していきたいと、そうした意気込みで地域を挙げた取り組みとして進めてまいりたいと考えているところでございます。 42: ◯議長青山秋男君) 進行いたします。  原田信夫議員。     〔六十六番原田信夫君登壇〕(拍手) 43: ◯六十六番(原田信夫君) 早速、質問に入ってまいります。  最初は、国の財政政策の変化が愛知県に与える影響についてであります。  どうも最近は国がおかしい。それは、さきの三位一体の改革が、補助金の縮減と税源移譲規模の不均衡、そして地方交付税の大幅な削減など、地方を放置して国の財政再建を優先したことであります。  廃止、見直しが行われました補助金のほとんどが右から左に流れていく人件費や扶助費、交付税全体では五・一兆円の大幅な削減、地方財政の自由度を上げるというのは名ばかりでありまして、かえって窮迫させる原因となっていることはだれもが認めているところであります。  加えて、交付税の財源確保ができない国は、この代替として臨時財政対策債を地方に発行させ、その上に、算定根拠の数値を変更したのか、本来ならば、十八年度においてわずかに交付団体の愛知県もいつの間にか不交付団体とされるなど、財政実力と交付税との乖離が出てきていることであります。  また、十二月議会で大きな問題となりました法人事業税の一部国税化にまで手をつけるなど、どうも国の一貫した考え方や姿勢の崩壊が目立ってきているということであります。  一方では、先ほども質問がございましたけれども、〇九年四月実施、来年でございますが、地方財政の健全化法がスタートいたします。
     これは、国が全国の自治体に対しまして、普通会計だけではなくて、公営企業や公社、第三セクターまで対象に、単年度の、これまたフローにとどまらずストック面にも配慮をいたしました財政状況の判断指標を導入するものであります。  具体的な健全化指標は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つでありまして、自治体がずさんな財政運営による破綻から免れるため、これまでの自治体の会計構造のあり方に大きな枠をかけるということであります。  そこで、最初の質問でございますが、国の地方に対する財政政策が大きく変化しております一連の動きを県当局はどのように受けとめ、今後も国の指導に信頼を保持できるのかについての率直な見解、そして、地方財政健全化指標の導入への対処を今後どう進めていくのか、聞いておきます。  二つ目、愛知県財政の方向性と課題についてであります。  さきも言いましたように、今日、国の政策は突如変更をされます。こうした国の方向づけの変化で他府県が驚こうとも、最も元気のいい愛知県がばたつかないで済むような財政状態を確立するために、以下、税収構造と今後の税収見通し、歳出の今日的な傾向と課題、そして、財務面から見た財政の問題など、三点について財政当局に質問をしてまいります。  一点目、税収構造と今後の税収見通しについてであります。  歳入の根幹であります県税収入におきまして、個人県民税は比較的安定的に推移はしておりますものの、上下のぶれが激しいのは法人二税であります。平成に入り、法人二税が最低となった平成十二年度の三千五百九十億円と十九年度を比較すると、額にして約二千六百億円増、七三%もの伸びが税収全体を押し上げるために圧倒的な寄与をしているわけであります。  平成九年度から十九年度までのGDPと県内成長率、そして県税並びに法人二税の関係を見てまいりますと、GDPがおおむね一%未満だと県内の成長率はマイナスとなります。それを超えると、一%を超えますと県内成長率は急速に伸びまして、それが県税や法人二税の伸びに大きく波及してくるという構図なのです。  しかし、最近の法人二税の伸びは、県内全体への景気の波及効果の実感を超えるものがあります。これは、一概には言えないのでありますが、バブル崩壊以降における主要企業がリストラによって損益分岐点を低下させたことや、北米や新興国に対する輸出増などの要因があると思われます。  そうした税収構造から愛知県が留意すべきことは、一たん景気が減速し、企業収益が悪化した場合には、加速度的に税収が落ち込むということでありまして、そのリスクは他府県との比較において極めて大きく、平成十年、十一年のような法人二税の大幅な落ち込みによる財政危機がまさにそれに当たります。  来年度の国の経済予測は強気ですが、サブプライムローンの影響によるアメリカ景気の腰折れ懸念、原油価格や輸入原材料価格の上昇、そして株価の下落に円高、今日も相当進んでおりますけれども、厳しい材料がそろい始めていますことから、景気はいつピークアウトしてもおかしくはないと言えます。  そこで質問であります。  ここ十年間程度の税収推移を踏まえまして、愛知県の平均的な税収能力、とりわけ法人二税についてどう見ておられるのか、そして、諸情勢をかんがみた場合に、今後の中長期的な税収をどのように見通しているのかについても聞いておきます。  二点目、歳出の今日的な傾向と課題であります。  平成十年度と二十年度との対比で、一般会計当初予算におきます経費別推移の状況については、人件費、扶助費、公債費、いわゆる義務的経費は約一千九十億円、一〇%増、投資的経費は、逆に千三百五十億円、三〇%の減、そして県単独補助金も二百四十一億円、二〇%の減であります。  それらの具体的な特徴は、投資的経費や補助金などの切り詰め、人員削減努力によります人件費が若干下がったにもかかわらず、扶助費、公債費の両方で一千百四十億円もの支出増、すなわち、この数年間における税収増、さらには投資的経費の抑制や補助金の削減努力のほとんどが扶助費と公債費で吹っ飛んでしまったという図式であります。  まさに、高齢社会を賄うための医療費や社会福祉に対する財源確保、それから、平成五年から始まりました政府の経済対策への追随や減税の補てんなどによるものであります。  いずれにしても、扶助費の増加は甘受をしなければなりませんが、当局はもとより、議会サイドも事前に一歩踏み込んだ対応をしていたならば、少しは事態を緩和できたのかもしれません。ただ、この扶助費の伸びは長期間続くため、今後も歳出圧力への高まりが避けられないと思います。  問題は公債費です。これは、時の為政者が判断し、実施してきた各種事業に対する起債結果でありまして、それが国の指導を信頼したというのか、県の対応に甘さがあったのか、それとも、今日の実情をだれもが予測をできなかったとするのか、もっとほかに理由があるのかであります。  いずれにいたしましても、ここまで来たならば、今後、公債費に対する対処は誤ることができないということだけは確かであります。  そして、次なる課題は投資的経費であります。  これは、将来の愛知県の発展基盤を形成させるものであって、これを怠ったり軽く考えたりすることは決して許されません。  そこで、必要なことは、今後、すなわち中長期的に最低限必要な投資規模はどの程度が求められるのであろうかという点であります。これが把握をされまして、道路を初めといたしましたインフラ整備をどの時期にどの程度まで行うかが整理されなくては、適切な財源配分も何もあったものではなく、これまでのように、財政部門と関係部署が個別に渡り合うにとどまらず、広く知らしめた上での議論が極めて重要となります。  そこで質問であります。  税収が改善されている中で、ここ十年程度の歳出でこうも厳しい対応となった背景や理由、加えて、今後の扶助費の増加と公債費及び現段階で把握している向こう十年程度の投資的経費の需要規模など、それぞれ県当局の考え方と対応を聞いておきます。  三点目です。財務諸指標から見た財政の問題であります。  一つは、県債残高であります。  通常の県債は、平成十四年度からここ二十年度までは三兆一千億円台で推移をいたしておりますが、臨時財政対策債などの国の制度により発行せざるを得ない県債が急増したため、県債残高をなかなか減らせないというのが今日の実態であります。  このように、増加している臨時財政対策債などは平成二十年度で約七千五百億円に達していますが、これは、後から国が面倒を見てくれるから心配ないんだとはいうものの、今の国の動きを見ていると、本当に大丈夫なのか疑問を持たざるを得ません。  もっと言えば、これだけ税収が高まり、それもピークに達している状況のもと、いいですか、税収がピークに達している状況のもとで、本来はかなりのスピードで通常の県債残高が減少してもいいはずでありますが、発行ベースで少しずつ減少させるのが精いっぱいという状態はもっと心配なのであります。  二つ目は、プライマリーバランスの問題であります。  一般会計において、歳入総額から県債発行収入を差し引いた額と歳出総額から公債費を差し引いた額のバランスをいうのでありますが、愛知県の状況は、平成十五年度をピークにして、十九年度においてもなお黒字となっていません。  平成十五年、十六年当時は、万博、空港が控えておりましたことから、ある程度の赤字はやむを得ませんでしたが、本来であれば、税収の回復、伸びが続いた平成十八、十九年度ぐらいには黒字化されて当然の状況であったと思われます。  二十年度は一時的に黒字化はいたしますものの、財政中期試算では二十二年度以降に再び赤字が見込まれているという点は極めて残念なことであります。  三つ目は、財政力指数についてであります。  一般的には、財政力指数が一を超える場合は不交付団体、逆に一以下だと国の交付税を受ける交付団体となります。愛知県は、平成十七年度の〇・八九八から平成十八年度には一・〇二三と急に一を超え、不交付団体となりました。  こうした結果は、国が平成十六年度に地方交付税を金額ベースで六・五%、臨時財政対策債を含め実質一二%もの交付税削減を図ったこと、そして、少しでも交付税を少なくさせるために基準財政需要額の算定などを見直すなどして、不交付団体をふやしたことによるものと私は想定をいたします。  とにかく、国の都合で地方財政に打撃を与える制度変更が相次ぐ中で、財政力指数が東京都に続いて第二位だといって手放しで喜んではおれない状況なのであります。  そこで質問であります。  税収がほぼピークと想定される現段階においても、県債残高が減らず、なおかつプライマリーバランスの黒字化も一進一退の状況、財政力指数と不交付団体との関係などの分析と受けとめ、加えて、これら各指標改善に向けた今後の対応と考え方を聞いておきたいと思います。  最後、三つ目に入りますが、愛知県財政の今後のあり方についてであります。  一つ目は、税収水準が大きく落ち込んだ場合の対応であります。  県税総額に大きく影響するのは法人二税でありますが、この二十年間のピークは平成二年度の約六千三百七十億円、最低は平成十二年度の三千五百九十億円、直近十九年度見込みは六千二百億円となっております。数字を丸めております。  すなわち、この間に、法人二税の山と谷と山、これを経験いたしております。ここから私どもが学ぶべきことは、山の高さと谷の深さのおよそ三千億円の幅であります。したがって、私たちが税収水準の将来を予測する場合は、この程度の変化は当然発生すべきものと受けとめるわけでありまして、当局も私ども議会の側も、ただ認識するだけではなく、真にそれだけの覚悟を持つということが肝要となります。  さらに言いますと、それだけ上下することを考えるならば、一千億円低下のAランク、二千億円低下のBランク、三千億円低下の激減のCランク、こういうことを前提に考えることは至極当然であり、それらを予想の範囲を超えたという言いわけはできないのであります。したがって、それぞれの危機のランクに合わせた歳出の削減や対処の具体策を準備しておくことが大切であります。  予算をどう組み、何をどのように節減あるいは縮減をしていくのか、県民にも痛みをどう受容してもらうのか、これは平時において一定の考え方をまとめておくべきであります。  そこで質問であります。  税収、とりわけ法人二税が激しく増減する特徴を踏まえ、現状から税収が落ち込んだ場合の対処、そして、今後三千億円の税収減をも想定した課題に真剣に取り組むべきと私は思いますが、それらに対する県当局の考え方を聞いておきます。  二つ目は、毎年の予算編成に当たっての基本的な考え方であります。  全体枠を考慮した副知事の依命通達、各部局の要望、査定、最終的な予算案として、平成二十年度では、未来に向け活力ある愛知づくりという形で仕上がってまいります。これはこれで単年度として当然のことであると思っています。  しかし、大切なことは、さきの項でも述べましたが、長期的なインフラ整備の必要総額の把握や、扶助費、人件費などの趨勢的な高まり、そして、知事選において約束されましたマニフェストの実現費用などにどう考慮していくべきかという点であります。  例を挙げますと、揮発油税の暫定税率に対する議論で陰には隠れておりますが、道路や橋梁、連続立体事業など中長期的に必要な財源総額がどの程度なのか、それらのプライオリティーと各年度の予算配分システムのほとんどが建設部任せになっておりまして、年度年度でどう仕上げていくかということが不明確な点なのであります。したがって、このままだの対応だと、将来における批判に耐えられなくなる可能性があると思っています。  そこで質問であります。  今後の予算づくりに当たりましては、基本である単年度方式に対する意識を中心に、中長期的なニーズを踏まえた財源配分を行っていく仕組みや考え方を今以上により工夫、研究すべきと考えますが、それに対する当局の見解を聞いておきます。  最後は、これからの財政問題への対処であります。  財政破綻した夕張市は、観光投資などで実質五百億円の負債を抱えたことが原因だと言われておりますが、私は直接調べに行っておりますけれども、実は、年間三十億円の大幅な交付金が削減されたということに加えて、炭鉱を閉山するに当たって、その処理投資を五百八十億円すべて市が負わされたということが背景にあります。  また、大阪府のように、二〇〇〇年以前の産業、企業の疲弊によりまして、法人二税の大幅な減収、その後の景気対策、財政再建の取り組みにもかかわらず、財政非常事態を宣言せざるを得なかった状況も皆様方御承知のとおりであります。  このように、財政危機を迎えた背景には、当局の施策はもちろん、議会のチェック能力に問題があるのではないかという厳しい指摘が常にあるということも留意しなければなりません。  まさに、天つばになるということを承知の上で、私自身の十三年間の議員生活の反省という点から率直に言わせていただけるならば、予算要求や配分に対するトーンは私どもは相当高くなるわけでございますが、削減や縮減、節約という局面に遭遇したときにはとたんに気持ちがなえてしまうというのが正直なところでありました。今こそ、それはやっぱりだめなんだということを叱咤していかなければならないと感じております。  いずれにいたしましても、愛知県の財政が夕張市や大阪府のようなつらい目に遭うことがないように、当局はもとより、議会自身も常任委員会あるいは特別委員会などにおいて、従来以上に強力な取り組みをしていくことが必要だと私は考えております。  国の動きに左右されずに、愛知県として従来の枠にとどまらず、大胆な意識改革を行いながら、県当局と議会が切磋琢磨をし、他の都道府県のかがみとなる、さすが愛知と言われるような仕組みと実績をつくり上げていくことが今日の最大の課題であると言えます。  そこで、最後の質問であります。  県当局は、夕張市の財政破綻や大阪府の非常事態宣言をどう受けとめ、財政中期試算との関係を含めて、県当局としての財政健全化に向けての自信の程度、そして今後の取り組みに当たっての議会に対する期待などについてそれぞれ聞きまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 44: ◯総務部長(今井秀明君) 財政問題に関する御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  国の財政政策の変化に対する認識についてでございます。  今回の法人事業税の一部国税化に至る経緯を見ますと、国は、国家財政の再建だけを考え、地方財政に対する責任を放棄しているのではないかとの危機感を持たざるを得ません。三位一体の改革を通じて、地方財政、とりわけ財政力の弱い地方部が厳しい財政状況に追い込まれましたのは、何と言っても、税源移譲とは関係のないところで地方交付税五・一兆円も削減されたことによるものであります。  しかしながら、二十年度地方財政対策におきまして、地方の側が強く求めた地方交付税の復元、充実に対して、国は、国の財源で地方交付税をふやすことは一切手をつけず、法人事業税を一部国税化し、地方の間での税源の奪い合いという形にすりかえ、決着が図られたのであります。  本県は、今回の法人二税の見直し問題について、地方分権に逆行するものであると強く訴えてきたところであります。一方で、現実的な対応として、減収額の実質的な圧縮を国に求めてまいりますが、今回のような理不尽な地方財政制度の見直しに対しては、今後も毅然とした態度で国に主張してまいります。  次に、地方財政健全化指標の導入への対処であります。  将来負担比率など財政健全化を判断するための四つの指標は十九年度決算から適用されます。このうち、特にストックの財政指標として新たに示された将来負担比率の具体的な算定方法につきましては、現時点では国の定める算定基準がまだ確定しておりませんが、県債残高のみならず、地方公社の債務の一部や損失補償を担っている第三セクターの財務状況も指標に影響を与えることになります。  したがいまして、こうした地方公社や第三セクターに経営改善への働きかけを所管部局と連携して行うなど、健全化判断比率の悪化を招かないよう十分留意し、適切な財政運営を行ってまいります。  次に、本県の平均的な税収能力と今後の中長期的な財政見通しについてであります。  税収動向、とりわけ法人二税については、議員御指摘のように、ここ数年、損益分岐点が下がってきておりますことや外形標準課税の導入により、経済変動による影響は以前に比べ若干緩和されてきているものの、依然として、その時々の経済情勢や税制改正によって大きく左右されることは御案内のとおりでございます。  特に近年、経済のグローバル化が進む中で、企業収益は世界経済の影響を大きく受ける構造となっておりますし、税制改正の面からは、外形標準課税の導入や今回の法人事業税の一部国税化など、税収に大きな影響を及ぼす改正などがたびたび行われております。  したがいまして、世界経済情勢が目まぐるしく変化する中、今後、消費税を含む抜本的改革が予定されていることなども考え合わせますと、平均的な税収能力や長期的な税収見通しといったものを客観的に判断し、お示しすることは大変難しいものがあります。  そうしたことから、財政中期試算における税収見通しにつきましては、国の名目経済成長率よりも慎重な伸び率で試算しておりますが、今後、税制の抜本的な改革の動向もにらみながら、より適切な試算方法について研究してまいりたいと考えております。  次に、最近十年間の歳出構造の推移の分析及び今後の扶助費、公債費の見通しについてであります。  まず、最近十年間の歳出構造の推移の分析についてでありますが、扶助費の増加は、介護、医療などにかかる事業費の増や国による制度改正によるものであります。  また、公債費の増は、国の経済対策に呼応した公共事業の実施や、空港、万博の二大事業をなし遂げるために必要とされた社会基盤の整備によるものであります。なお、県税収入が十五年度以降着実に増加していますのは、県内企業の活発な事業活動のおかげでありますが、こうした社会基盤整備もその下支えになっているものと考えております。  次に、今後の扶助費、公債費の見通しについてであります。  扶助費は、中期試算では、過去の実績をもとに年三%の伸びを見込んでおり、引き続き増加が見込まれますので、国における制度見直しの動向を十分注視してまいらねばと考えております。  また、公債費につきましては、二十年度当初予算と同規模の県債発行を続けた場合、これからも三千億円近くで推移する見込みであります。  なお、投資的経費は、今後の社会経済状況の変化を踏まえますと、十年先まで見通すことは困難でありますが、万博終了後は、年三千百億円程度で推移しておりますことから、中期試算では、平成二十年度と同程度を見込んでおります。  今後とも、地域の総合力を向上させる社会基盤整備につきましては、財政構造が硬直化しないよう留意しながら、着実な推進に努めてまいります。  次に、財政指標の分析と改善に向けた対応についてでございます。  県債残高を減少させるためには、県債の新規発行が元金償還を下回るまで抑制する必要があります。しかしながら、当初予算では依然として収支不足が続いておりまして、投資的経費や県税収入の動向から、現時点で元金償還額を下回るまで県債発行額を縮小することは困難でございます。さらに、今回の法人事業税の一部国税化による税収減が二十一年度以降確実に見込まれますので、プライマリーバランスも再び悪化傾向になり、今後の財政運用は非常に厳しいものと見込んでおります。  また、財政力指数と不交付団体との関係についてでございます。  本県は、平成十八年度に財政力指数が一・〇を超え、不交付となりましたが、財源超過額は二百十五億円にすぎませんでした。十九年度も法人二税が対前年一九%という法外な伸び率で見込まれましたことから、約千二百億円の財源超過と算定されましたが、最終予算額に基づく試算では約七百二十億円であります。  さらには、この財源超過額は、地方交付税の一部を臨時財政対策債に振りかえた後の額でありまして、実態としては、交付団体と不交付団体のぎりぎりのところに位置しているのでありまして、財政力指数であらわされるほどの余裕があるわけではないと思っております。  このような厳しい状況ではありますが、プライマリーバランスの黒字を何とか維持し、財政健全化を着実に進めるため、引き続き県債発行の抑制と行財政改革の取り組みを全力で進めてまいりたいと考えております。  次に、税収の急激な減少への対処でありますが、歳入面では、基金の取り崩しなどにより減収を埋めることが一般的であります。しかし、本県の場合は、十年度、十一年度の赤字決算以降、基金への積み立てができる状況にはありませんでした。ようやく十九年度二月補正で基金への積み立て五百七十億円を行いましたが、これは、法人事業税の一部国税化への備えであり、十分な額を確保したとは言えない状況であります。  一方、歳出につきましては、かつて県税収入が約一千億円急減した十、十一年度においては、人件費の削減で約四百億円、公共事業で一〇%、政策的経費で三〇%の削減などで約五百億円の大幅な歳出削減を行い、危機的な状況をしのいできたことも事実であります。  しかしながら、あらかじめ今後三千億円の税収減をも想定した取り組みにつきましては、現時点において将来を見通した上で、それに対応できるような政策に優先順位をつけることはなかなか難しいということを御理解願いたいと存じます。  したがいまして、今後も県民生活に極力影響を及ぼさないことを基本に、行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。  また、財源の状況に応じて積み立てられるときには、可能な限り基金への積み立てを行い、急激な税収減に備えるとともに、航空宇宙産業の振興や高度先端産業の誘致、育成など税源の涵養にも努め、財政基盤を強化してまいりたいと考えております。  次に、今後の予算づくりについての御質問であります。  これまでも、予算編成に当たっては、現在の社会経済情勢の中で、中期的な県民ニーズを踏まえながら事業の精査を行っていたところであります。毎年お示ししております中期試算におきましても、社会経済の状況が目まぐるしく変わる今日、長期的な県民ニーズを見通すことは難しいことから、人件費や扶助費、投資的経費について一定の前提に基づいて向こう三年程度の見直しを明らかにしておりまして、ある程度までは中期的なニーズを示したものとなっております。  今後の予算編成におきましても、将来のニーズをできる限り把握し、効率的な財源配分に努めてまいります。  最後でございますが、財政健全化に向けた自信の程度などについてでございます。  夕張市や大阪府について、それぞれが財政危機に陥った背景には、その地域の社会経済情勢やそれに基づく財政構造の違いがあると考えられますが、夕張市は事業の大幅な見直しを行っておりますし、大阪府も大幅な見直しは避けられない状況にあると聞いております。
     本県も、先ほどお答えしましたように、十年度の財政非常事態宣言以降、懸命に健全化を進めてきたところであります。残念ながら、二十一年度以降は、中期試算でもお示ししたとおり、法人事業税の一部国税化の影響により、一段と厳しい財政運営を余儀なくされるものと考えておりますが、危機的な財政状況に再び陥ることがないよう、引き続き財政健全化に全力で取り組まなければならないとの思いを強くしているところであります。  このため、県議会の皆様に対しては、財政状況をしっかりと御説明し、御意見を伺いながら、行財政改革をさらに推し進め、歳入歳出両面からあらゆる取り組みを進めてまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。  以上でございます。 45: ◯議長青山秋男君) 以上で一般質問を終結いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 46: ◯三十八番(酒井庸行君) 本日はこれをもって散会し、明三月四日は休会とし、三月五日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 47: ◯議長青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 48: ◯議長青山秋男君) 御異議なしと認めます。  明三月四日は休会とし、三月五日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時四十三分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...