愛知県議会 2007-12-01
平成19年12月定例会(第2号) 本文
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月定例会(第2号) 本文 2007-12-05
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 2 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 3 : ◯七十六番(
鈴木孝昌君)
選択 4 :
◯知事(
神田真秋君)
選択 5 :
◯警察本部長(
松尾庄一君)
選択 6 :
◯教育長(
伊藤敏雄君)
選択 7 : ◯三十八番(
酒井庸行君)
選択 8 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 9 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 10 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 11 : ◯三十三番(
高橋正子君)
選択 12 :
◯知事(
神田真秋君)
選択 13 :
◯警察本部長(
松尾庄一君)
選択 14 :
◯教育長(
伊藤敏雄君)
選択 15 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 16 : ◯三十番(
木藤俊郎君)
選択 17 :
◯知事(
神田真秋君)
選択 18 :
◯警察本部長(
松尾庄一君)
選択 19 :
◯教育長(
伊藤敏雄君)
選択 20 :
◯知事(
神田真秋君)
選択 21 : ◯三十七番(
田辺克宏君)
選択 22 :
◯議長(
青山秋男君)
選択 23 :
◯議長(
青山秋男君) ↑
発言者の先頭へ 本文 ↓最初の
ヒットへ (全 0
ヒット) 1: 午前十時一分開議
◯議長(
青山秋男君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 一般質問並びに第百三十三号議案平成十九
年度愛知県一般会計補正予算から第百五十号
議案新川東部流域下水道の指定管理者の指定
についてまで
2:
◯議長(
青山秋男君) 第百三十三号議案平成十九年度愛知県一般会計補正予算から第百五十号議案新川東部流域下水道の指定管理者の指定についてまでを一括議題といたします。
なお、第百三十四号議案職員の自己啓発等休業に関する条例の制定についてのうち職員に関する事項、第百三十五号議案地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について、第百三十六号議案学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例中、第十条(職員の大学院等派遣研修費用の償還に関する条例の一部改正)について、第百三十八号議案愛知県行政機関設置条例の一部を改正する条例中附則第二項(職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正)について、第百三十九号議案職員の給与に関する条例等の一部改正について、以上五件の議案について、地方公務員法第五条第二項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、第百三十四号議案から第百三十六号議案まで及び第百三十八号議案については、妥当なものであると認める旨の回答を、また、第百三十九号議案については、この条例案は本委員会が行った給与勧告を踏まえて給与の改定を行うものであり、指定職給料表適用職員については、国等の改定動向を勘案の上、期末特別手当の改定を見送るものの、その他の職員については給与勧告の趣旨に沿った改定を実施するもので、妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
また、第百三十六号議案学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例中、第七条(愛知県
教育委員会事務処理特例条例の一部改正)について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定により、教育委員会の意見を徴しましたところ、異議ない旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
鈴木孝昌議員。
〔七十六番
鈴木孝昌君登壇〕(拍手)
3: ◯七十六番(
鈴木孝昌君) おはようございます。私は、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について順次質問いたします。
最初の質問は、財政問題についてであります。
まず初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねいたします。
県税収入に大きな影響を及ぼす我が国の景気は、個人消費にやや力強さが欠けるものの、新興国への輸出が順調で、それに伴う生産も増加してきており、引き続き緩やかな回復局面が続いております。
しかしながら、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界経済の先行き不安や、原油を初めとする原材料品の価格高騰、さらには最近の急激な円高など、今後の景気の見通しは楽観を許さない状況にあります。
こうした中、法人二税の税収を左右する企業収益の状況は、九月中間期の決算発表が引き続き増益になった企業も多く、今のところ全体としては好調さを維持しているのではないかと思います。こうした好調な企業収益を背景に、予算額としては過去最高の一兆三千百十六億円を計上している本年度の県税収入についても、増収が期待できるものと思います。
一方、本県の財政状況は、当初予算で基金からの繰入運用による四百億円もの臨時財源対策を行っており、引き続き厳しい状況にあることから、まずは、この財源対策の解消を図る必要があります。
また、自治体の財政健全化の取り組みについては、夕張市の財政破綻を教訓にして、本年六月に地方財政健全化法が成立したところであり、今後は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つの指標により、中長期的な財政運営の健全化を図ることとされております。
この財政健全化法では、議会はこれら四つの指標の報告を受け、チェック機能を十分に果たしていくことが求められております。県議会としても、これまで以上に責任を持って財政の健全化に取り組んでいく必要があります。
そこでお尋ねいたします。
知事は、現在の景気や企業収益の状況などを踏まえ、本年度の県税収入についてどのような見通しをされているのか、お伺いいたします。
さらに、今後の財政運営について、自治体財政健全化法の趣旨も踏まえてどのように考えられておるのか、お尋ねをいたします。
次に、法人二税の偏在是正問題についてお尋ねいたします。
現在、国においては、地方間の財政力格差の縮小を目指して、地方法人二税の見直しによって都市部の税収を地方へ回す議論が進められております。
しかしながら、こうした地方法人二税の見直しは、地域社会の一員である企業や住民に応分の負担を求める地方税の原則を踏みにじるものであり、企業誘致による地方の税源涵養努力や地域活性化の取り組みを無にするものと言わざるを得ません。
そもそも、現在の地方財政の疲弊は、三位一体改革において、税源移譲とは無関係に行われた五兆一千億円にも及ぶ地方交付税の大幅な削減に起因するものであり、まずは、地方交付税の地域間における税収の偏在調整機能を回復させることが必要であります。
さらに言えば、現在の地方交付税の算定そのものが地方の実質の財政需要を的確に反映しているとは限りません。
例えば、県単独の医療費補助は全国ほとんどの県で実施され、住民生活の安全を支える施策として定着しておりますが、現在の交付税算定においては需要額には算入されておりません。交付税の復元・充実を強く求める地方の側としては、こうした地方の財政需要の適切な算定についてもしっかり主張していくべきであります。
また、本県は、当初予算で減債基金などからの繰入運用四百億円を計上しないと予算が組めないような収支不足であるにもかかわらず、地方交付税の不交付団体となっております。一般的な感覚からすればおかしいと思うのでありますが、県としても交付税制度を有効に活用した行財政運営に努める余地がまだあるものと思います。
さて、交付税の復元・充実は地方にとってぜひとも必要な中、最終調整案では暫定的措置として、法人二税のうち法人事業税を都市部から地方へ四千億円程度再配分する方向で調整が進められているようでありますが、仮にこの案が実行された場合、本県の法人事業税は八百億円もの減収になると試算されております。この八百億円という額は、本県の県税収入全体の約六%に当たる大きな規模であり、来年度に一気にこれだけの減収が現実のものとなれば、本県財政の影響ははかり知れず、私どもも強い危機感を抱いております。
先月、我が党県議団と県連所属の国会議員が緊急に集まり、地方法人二税の見直しに断固反対し、地方交付税の復元と充実に向けて一致団結して取り組むことを確認し、党本部を初め関係機関に働きかけを行ったところでありますが、議論の決着は決して余談を許さない状況にあります。
そこで、知事にお尋ねいたします。
もとより、このような法人二税見直し議論に対し、自民党県議団として最後まで断固反対の立場を貫く所存でありますが、仮に八百億円が一気に減収となる場合、県民生活にどのような影響が考えられるのか、また、今後の財政運営にどのような影響が考えられるのか、お伺いをいたします。
質問の第二は、活力と魅力ある地域づくりについてであります。
初めに、道州制の推進に向けた基礎自治体の強化についてお尋ねいたします。
従来の中央集権型の行政システムがうまく機能しなくなった今日、分権型社会への移行による活力ある地域づくりが叫ばれておりますが、道州制の実現は我が国の将来を切り開くかぎであると言っても過言ではありません。
こうしたことから、我が党本部では、先月、道州制の推進体制を強化するため、従来の道州制調査会を総裁直属の道州制推進本部に格上げし、その推進体制を強化するとともに、年度内には第三次中間報告を取りまとめることとしております。
道州制の実現に当たっては、国から道州政府へ大幅な権限、財源が移譲されることと思いますが、それと並行して、これまで県が担ってきた仕事を大幅に市町村に担わせることが必要であります。そのためには、さらなる市町村合併を推進し、受け皿となる市町村の体力を増強していかなければなりません。
本県においては、いわゆる平成の大合併により市町村数が平成十五年の八十八から六十三になっており、来年一月には豊川市と音羽町、御津町が合併することから、六十一市町村となります。
今後とも、県が強いリーダーシップを発揮して、各地域の実情に即した市町村合併を強力に推進していただきたいと存じます。
また、道州制における市町村の果たす役割はこれまで以上に大きくなることからも、市町村が従来にも増して地域のことを自主的、主体的に決定できる環境を整えていかなければなりません。そのためには、今のうちから県から市町村への権限移譲を積極的に推進していく必要があります。
そこでお尋ねいたします。
来るべき道州制を見据え、足腰の強い力のある基礎自治体づくりを進めるためには、県から市町村への権限移譲を推進するとともに、さらなる市町村合併を推し進めることが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、三河山間地域の振興についてお尋ねいたします。
本県の面積の三分の一を占める三河山間地域は、その九〇%を森林が占め、県土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、食糧の供給、さらには県民の憩いの場として重要な公益的機能を有しております。
この地域は合併により、かつての十四町村が六市町村になっておりますが、合併前の旧十四町村の区域について人口の動向を見てみますと、北設楽郡などでは人口は減り続けており、減少率も改善の兆しが見えません。また、六十五歳以上の高齢者の比率を見ても、平成十六年時点で愛知県全体では一六・五%であるのに対して、三河山間地域では二七・三%となっており、特に北設楽郡においては四二・二%と深刻な超高齢化社会となっております。
こうした三河山間地域の状況にかんがみ、県議会においては、平成十四年九月及び平成十八年九月、三河山間地域の振興について決議を行ったところであります。依然としてさまざまな分野で都市部との格差が存在をしております。
この地域の主要産業である農林業においては、担い手の減少、高齢化の進行が著しく、耕作放棄地や手入れの行き届かない森林が年々増加している状況にあり、農林業が果たしている重要な公益的機能の低下が懸念されております。
山間地域は、まとまった農地が少なく、傾斜地が多いなど不利な条件にありますが、夏の涼しい気候や朝夕の温度差を生かした特産物の研究開発を農業総合試験場等において、今後とも積極的に取り組んでいただきたいと存じます。
特に、新品種の開発については、例えば県が民間企業と共同で開発した菊の新品種については、種苗代金が県外の農家に比べて安いなど、県内の農家が有利に栽培できる手だてが講じられており、農家のメリットも大きいことから精力的に取り組んでいくべきであります。
さらに、県を挙げて取り組んでいる三河材の利用促進などを一層積極的に推進し、地域の活性化に資する必要があると考えます。
また、医療分野においては、北設楽郡の場合、これまでは新城市民病院へ相当な時間をかけて病気やけがなどの患者の救急搬送をしておりましたが、現在、新城市民病院は夜間・休日救急が停止となっているため、さらに遠い豊川市民病院や豊橋市民病院へ搬送されております。
こうしたことは、県民の命にかかわる問題であり、ドクターヘリや防災ヘリなどを活用した広域救急搬送の体制整備を早急に確立し、命の格差が生じないよう万全の対策を講ずるべきであります。
こうした三河山間地域の厳しい状況を踏まえ、この地域の活性化を図り、元気な愛知の活力を県内の隅々にまで広げていくには、総合的な山村振興対策が急務であると思います。
そこでお尋ねいたします。
今回の地方機関の見直しで、県は、山村振興推進本部、山村振興室、新城設楽山村振興事務所を設置することを明らかにしていますが、これらの組織を活用し、三河山間地域の今後の振興をどのように進めていかれるか、知事の御所見をお伺いをいたします。
質問の第三は、安心できる健康・福祉社会づくりについてであります。
知事は、マニフェストで安心できる健康・福祉社会づくりを政策の第一の柱とされておりますが、我が党としても、県民の健康と安心できる暮らしを守ることは県政の最重要課題であると認識しておりますので、本日は、こうした観点から問題を二点に絞って質問をさせていただきます。
まず、第一点目は、福祉医療制度についてであります。
福祉医療制度は、障害者や子供などの医療費の自己負担分を県と市町村が二分の一ずつ負担して無料化することで、安心して必要な医療を受けられるようにするものであります。
この本県の福祉医療制度は、昭和四十六年に老人医療制度を始めて以来、四十八年から乳幼児医療制度及び障害者医療制度、五十三年から母子家庭医療制度、そして五十八年からは福祉給付金制度を実施しており、時代を重ねるごとに対象者の拡大や給付を充実させてきました。その結果、現在では全国的にもトップクラスの制度内容と承知しております。
一方、近年の少子・高齢化の急速な進展や、障害者や高齢者に対する社会環境の変化、さらには国における医療制度改革など、福祉を取り巻く状況は急激に変化しており、本県の福祉医療制度も時代に即して見直す時期に来ているのではないのかと考えます。
こうした中、知事は、マニフェストにおいて、福祉医療制度に係る具体的な取り組みとして、子供の医療費の無料化の大幅な拡大や、精神障害者の精神科診療の医療費の無料化を掲げ、県民の多くがこの施策の実現を待ち望んでいることと思います。
ただ、一方、事業の実施主体となる市町村においても多額の支出を伴うため、県は、市町村の財政力などに配慮しながら、県民が等しく恩恵を受けられる持続可能な制度となるようリーダーシップを発揮していくべきではないかと考えております。
そこでお尋ねいたします。
知事は、各市町村とどのように調整をして福祉医療制度の見直しを行っていかれるのか、御所見をお伺いいたします。
第二点目は、医療安全のための相談機能の充実についてであります。
医療は日々進歩しており、新しい医療法が開発され、不治の病も完治する期待が持てるようになってきました。また、病気にかかってもさまざまな発見方法が見つかっており、例えば糖尿病は、なかなか治りにくい口内炎や歯周炎などの口腔の状態から発見されることがあります。また、骨粗鬆症は、病院では超音波診断や専用のエックス線検査で診断されますが、愛知県歯科医師会では、患者さんの歯科のレントゲン写真を活用し、骨粗鬆症の可能性のある方を医療機関に紹介する制度を全国に先駆けて始めております。
こうした新しい取り組みのみならず、医療につきましては、医療機関が患者さんに情報を提供し、本人が十分納得した上で安心して治療を受けてもらうべきであります。
しかし、疑問や不安が残る場合もありますので、気軽に相談できる第三者的な相談体制をしっかり整備しておくことが必要であります。また、相談事例を十分検証し、その結果を医療機関全体にフィードバックすることは、医療現場における安全レベルの向上に役立つものと期待されております。
そこでお尋ねいたします。
医療の高度化、専門化が進んでいく中、医療の安全のためには相談機能の充実が必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、安全で災害に強い地域づくりについてであります。
まず初めに、県営名古屋空港における自衛隊機墜落・炎上事故についてお尋ねいたします。
航空機の事故は、本年三月の高知空港での全日空機の胴体着陸事故や、八月の那覇空港での中華航空機の炎上事故などが記憶に新しいところでありますが、こうした中、去る十月三十一日に県営名古屋空港で自衛隊機の墜落・炎上事故が発生しました。幸い死亡事故には至らなかったものの、県営名古屋空港の周辺は民家が密集しており、今回の事故は極めて重要なものとして受けとめざるを得ません。
空港の安全を阻害する原因には、人為的な要因に基づくもののほか、中部国際空港のウミネコ問題といった自然を相手にするものなどさまざまでありますが、多くの人命にかかわりかねない問題であり、常に最大限の安全対策が求められております。特に、名古屋空港は県営であり、もし事故が発生すれば、県が設置管理者として必要な措置を速やかに講ずる責任がありますので、安全に対する認識をしっかりと持たなければなりません。
知事は、事故の翌日には三菱重工の役員と防衛省の地元責任者に対し、事故原因の早期究明と再発防止などの申し入れを行われるなど素早く対応され、その後も地元への説明や地域の不安解消を強く求めてこられましたが、空港の設置管理者として、今後とも最大限の安全確保対策に努める必要があると存じます。
そこでお尋ねをいたします。
県営名古屋空港で起きました自衛隊機墜落・炎上事故について、知事はどのように受けとめ、どう対処していくおつもりか、御所見をお伺いいたします。
次に、警察署の老朽化対策についてお尋ねいたします。
先般、県有施設の耐震化の状況が発表されましたが、調査対象の二千百六十棟のうち約三割の六百三十六棟は、震度六強程度の地震による倒壊の危険性があると指摘をされました。
この中には警察署二十六棟が含まれておりましたが、警察は、大規模災害が発生したとき、自衛隊や消防署と並び被災者が最も頼りにする存在であります。その活動拠点である警察署が地震で倒壊し、警察官が被災してしまっては、県民の安全確保に多大なる支障を及ぼします。この発表を見た県民の多くは、きっと同じような不安を抱いたことと思います。
また、現在、県内には四十六の警察署がありますが、建設時期が昭和三十年代の老朽化した警察署がまだ多数存在しております。今年度、警察委員会が視察した警察署においては、雨漏りしているような建物もあり、日々の業務への影響を心配する委員の声もありました。
このように、老朽化の激しい警察署も多く存在しており、こうした職場環境が第一線で活躍する警察官の士気の低下につながることを大変危惧いたしております。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
警察署の老朽化対策はどのように取り組んでおられるのか。また、今後、耐震改修計画中の警察署を含め、警察署の整備にどのように対処していくおつもりか、お伺いいたします。
次に、建築確認行政についてお尋ねいたします。
平成十年の建築基準法改正により、それまで行政のみが行ってきた建築確認検査業務が民間に開放され、県を初め特定行政庁は、違反建築物対策や民間の指定確認検査機関の指導監督など、本来行政でしかできない業務に重点を置くこととされました。その後、民間機関の建築確認検査件数が毎年増加し、現在では、本県における民間機関の確認検査件数は全体の九〇%近くを占めるに至っております。
こうした変化に伴って、県における建築確認検査業務を行う建築主事の技術力の維持向上が心配をされております。建築基準法は、もともと難解な法令である上、たびたび改正が行われ、内容をきちんと理解することは大変困難でありますし、建築確認における審査・検査能力の習得には設計や工事監理も含めた長年の業務経験が必要であります。
しかしながら、団塊の世代の大量退職とも相まって、今後、行政における審査・検査能力や民間指定確認検査機関に対する指導監督能力の維持向上が問題になってくるものと思います。
また、今回の建築基準法の改正による建築確認審査の厳格化に伴い、確認申請の補正等がふえ、着工までに要する時間が大幅に増加してきております。こうしたことがマンション等の新築住宅や工場等の建築着工数の減少原因になっているとの指摘もあり、すそ野の広い建築関連業界の業績悪化が経済全体に与える影響を懸念する声もあります。
そこでお尋ねいたします。
こうした厳しい状況にかんがみ、知事は今後どのように建築確認行政を進めていくおつもりか、御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、持続可能な循環型社会づくりについてであります。
本県は、環境万博と言われた愛知万博の成功を受けて、生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10の誘致を目指しておりますが、その名に恥じぬよう、環境先進県づくりに向け、さまざまな課題を乗り越えていかなければなりません。
そこで、まず初めに、広域廃棄物最終処分場についてお尋ねいたします。
本県の廃棄物の状況は、一般廃棄物、産業廃棄物ともにリサイクル率が全国平均を上回っているものの、埋立処分する廃棄物が依然として大量に存在しております。最終処分場については、平成十七年度末現在で、市町村及び一部事務組合の設置する一般廃棄物の処分場が五十七カ所あり、その残余年数は約十二年と言われております。
市町村も努力はしておりますが、処分場の立地に適した場所も少なく、周辺住民の理解を得るために、長期にわたる準備作業も必要となるなど、市町村単独では処分場の確保が困難な状況にあります。
また、産業廃棄物最終処分場に至っては、廃棄物処理法により環境アセスが義務づけられた平成十年度以降、全国的に減少傾向にありますが、特に本県では新規立地が皆無となっており、その設置は非常に困難であります。
さらに、現在、名古屋港南五区あるいは衣浦港ポートアイランドにおいて、第三セクターにより運営されている最終処分場は、いずれも平成二十二年三月までに埋め立てが終了する予定となっております。
こうした状況を勘案すると、県が積極的に関与して広域的な最終処分場を確保し、廃棄物の受け入れを図っていくことが必要であると思います。
県は、本年三月に策定した廃棄物処理計画において、公共の関与による廃棄物処理施設の整備に取り組むことを明記し、平成二十二年度からの供用開始を目指して、衣浦港三号地の埋立用地に広域廃棄物最終処分場を整備することとされました。
こうした公共関与による処分場の立地については、廃棄物の運搬に係る諸問題等を考えますと、一カ所に限らず県内全域のバランスを考慮しながら事業を推進することも考えられます。
東三河地域について言えば、平成七年に改定された三河港港湾計画にも廃棄物処理用地が位置づけられていますし、海面埋立地以外にも、道路事情もよく、将来の候補地となり得る場所もあると思いますので、こうした地域については、県が関係市町村や産業界にリーダーシップを発揮して事業を推進していただきたいと存じます。
しかし、今はまず、衣浦港三号地の計画を進めていくことが本県の廃棄物行政全般にかかわる重要施策であり、ぜひとも不退転の決意で臨んでいただきたいと思います。
この衣浦港三号地の計画は、護岸の建設や処分場の設置、運営について、財団法人愛知臨海環境整備センター、いわゆるアセックに依頼して行うもので、対象区域全体で四十八ヘクタールに及ぶ、まさに大規模事業であります。
既に環境アセスメントの評価書も公告、縦覧されており、二十年度早々の工事着工を目指しておられると聞いておりますが、この事業には非常に多大な経費を投入しなければならず、県のしっかりしたバックアップがなければ、到底一公益法人で対応し切れるものではありません。
そこでお尋ねいたします。
知事は、マニフェストの主要政策の一つに衣浦港三号地の広域最終処分場の整備を掲げておられますが、県としてアセックをどのように支援していかれるのか、基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、あいち臨空新エネルギー研究発電所の今後の活用についてお尋ねをいたします。
原油価格の高騰と地球温暖化対策が世界的な関心事となっている中、石油にかわる新エネルギーの利用と関連技術の開発が今注目されております。
新エネルギーは、太陽光発電のように我が国が世界一のシステム生産量を誇る分野もあれば、燃料電池のように実証実験段階ではありますが、将来、飛躍的に普及する見込みがあるものなどさまざまなものであります。
国においては、新エネルギーに関する革新的技術開発への支援や、導入・普及促進のための施策を積極的に展開しております。
また、本県におきましても、次世代を担う戦略的重点分野の産業として、新エネルギー産業を育成、集積すべきとしており、その具体的な取り組みとして、愛知万博会場で使用し、長久手日本館に送電した新エネルギー発電施設を常滑市に移設し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOの委託事業として、新エネルギーによる発電の実証実験を継続しているところであります。
私も先般、現地の施設を見学しましたが、三種類の燃料電池を初め、さまざまな設備と発電システムを効率的に運用しているエリアは全国的にも珍しく、まさに新エネルギーパークと呼ぶにふさわしい施設でありました。
しかしながら、この実証実験は今年度限りで終了する予定であり、最新技術の詰まった未来の新エネルギー設備をぜひとも活用していただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
新エネルギー分野における次世代産業の育成と集積に向け、技術開発や普及啓発は大変重要なことでありますが、NEDOの実証研究終了後、県としてこの新エネルギー実証研究エリアをどのように活用されるおつもりか、お伺いをいたします。
質問の第六、世界をリードする産業中枢づくりについてであります。
まず初めに、三遠連携推進事業についてお尋ねいたします。
本県の製造品出荷額は、昭和五十二年以来、三十年連続で全国一を続け、日本を代表する物づくりの地域でありますが、今や、地域の特性を生かした経済活動は県域を越えて展開されており、さらなる産業振興を図るためには、他県との連携が不可欠であります。
こうした連携を深めるのに適した地域の一つとして、東三河地域と静岡県の遠州地域や長野県の南信州地域を含めた三遠南信地域が挙げられます。
この地域は、昔から県境を越えて密接なつながりがあり、歴史的、文化的にも関係が深く、人的交流はもとより企業同士の経済交流も盛んであります。特に、豊橋市と隣接する浜松市を中心とした静岡県西遠地域と東三河は、自動車、光技術など高度な物づくり技術の集積があり、平成十八年の製造品出荷額等で見ると、東三河地域が約五兆三千億円、西遠地域が約四兆三千億円の産業規模となっております。また、農業産出額で見ると、東三河地域が約千五百六十八億円で、そのうち田原市が七百二十四億円で全国第一位、豊橋市が四百七十四億円で全国第六位であり、西遠地域は約六百十一億円で、うち浜松市が五百四十億円で全国第四位と全国有数の農業産出額を誇っており、まさに県境を越えて、農業分野、工業分野において連携を図るにふさわしい地域であると思います。
さらに、東三河地域は、日本の中央に位置する地理的優位性と自動車完成車の輸出入量では、世界トップクラスの実績を誇る三河港があり、今後ますます躍進が期待されております。
こうした中、知事は、環伊勢湾地域全体の産業発展を目指して、岐阜、三重、静岡、長野など隣接県のすぐれた産業拠点と連携しながら、環伊勢湾地域における次世代産業クラスターの形成を図ることとされております。その推進に大いに期待しているところであります。
そこでお尋ねいたします。
東三河地域と浜松を中心とした西遠地域との産業分野における広域連携について、知事はどのように取り組まれていかれるおつもりか、お伺いいたします。
次に、三遠南信地域における広域幹線道路網の整備についてお尋ねをいたします。
道路整備については、道路特定財源の一般財源化問題や、揮発油税等の暫定税率が来年三月に期限切れを迎えることなど課題が山積しており、今後の決着に向けた動向が大いに気がかりであります。
こうした中、三遠南信地域における連携を強化し、経済活動を維持発展させるため、広域幹線道路を少しでも早く整備してほしいという地域の思いは切実なものがあります。
現在、三遠地域の活発な経済活動を実質的に支えている広域幹線道路は、東名高速道路と国道一号だけであり、東西方向の第二東名や国道二十三号バイパス、また、南北方向の三遠南信自動車道や東名・第二東名連絡道路は整備の途上であり、それに続く三遠伊勢連絡道路については、構想はあるものの、いまだに計画の具体化には至っておりません。
三遠連携事業を成功に導くためには、道路アクセスの整備促進が必要不可欠であるにもかかわらず、物流が集中する三河港の周辺道路は慢性的に渋滞しており、東名の豊川インターまで長いときには一時間もかかるなど、全国七位の輸出入額を誇る港の道路アクセスとしてはいかにも脆弱であると言わざるを得ません。
このため、三河港から東名高速道路までのアクセス改善が緊急の課題であり、特に国道二十三号バイパスの早期全線供用とともに、混雑する臨海部の四車線化、さらには三遠伊勢連絡道路のうち、いわゆる豊橋三ケ日道路と呼ばれる東名と国道二十三号バイパスを結ぶ区間の整備が早急に必要となってきております。
そこでお尋ねいたします。
知事は、豊橋三ケ日道路を初めとする三遠南信地域における広域的な幹線道路網の整備について、どのように取り組んでいかれるおつもりか、御所見をお伺いいたします。
質問の最後は、教育問題についてであります。
まず初めに、特色ある学校教育の推進についてお尋ねいたします。
現代は、情報技術や交通ネットワークの飛躍的な発展により、人、物、情報の地球規模での交流が急速に進んでおり、とりわけ、産業経済面でのグローバル化の進展は著しいものがあります。また、我が国における在住外国人の数も年々増加するなど、文化の多様化も進んでおります。
こうした中で、学校教育には、我が国の文化や伝統を継承するとともに、他国の文化を理解し尊重する姿勢や国際社会の進展に寄与する態度を身につけさせることが求められております。
一方、産業構造が激しく変化する中で、特に農業や伝統的な地場産業の分野では、後継者の確保が重要な課題となっております。こうした分野では、専門高校の果たす役割が大きくなってきており、魅力と特色ある専門高校づくりが求められております。例えば、渥美農業高校が四角いメロン、いわゆる「カクメロ」をつくって特許を取り、大評判となったことは記憶に新しいところであります。
こうした才能をさらに伸ばし、次世代を担う優秀な農業後継者として育成するためには、専門高校において、より高度な技術、技能を身につけさせるためにも、短大もしくは専門課程を併設することも今後の検討課題ではないでしょうか。
現在、教育委員会では、高等学校に総合学科の設置や普通科コース制の導入など、新しいタイプの高校づくりを積極的に進めており、一昔前とは随分変わったと感じております。こうした取り組みは、生徒の学習意欲を喚起し、進路
選択の幅を広げるなど、多くの成果を上げていると伺っております。
県立高校が二十一世紀を担う人材を育成するためには、これまで以上に校長がリーダーシップを発揮し、学校の特色を打ち出した魅力ある学校づくりを可能とする体制を整える必要があると考えます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
昨年の三月に策定された新しい政策の指針に、より高度な知識・技能の習得や資格の習得ができるスーパーハイスクールの指定を行い、県立高校の特色化をさらに推進していく構想が掲げられておりますが、このスーパーハイスクールとは、どのような理念に基づき、具体的にどのような学校づくりを進めるものであるか、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、総合技術高等学校の設置についてお尋ねいたします。
物づくりの地域として名高い今日の本県産業の隆盛は、先人から培われてきた高い技術力とすぐれた人材育成の場があったからにほかなりません。しかしながら、我が国は少子化・人口減少時代を迎えており、人材不足により、長年培われてきた技術・技能の継承が困難になることが心配されております。
このため、本県産業がさらなる発展を遂げるためには、将来の物づくり産業を担う高度な技術・技能を身につけた人材の育成が不可欠であります。
本県の県立工業高校生は、物づくりに関する競技会で全国優勝するなど、伝統的に高い資質を有しており、最近では、高校レベルでは珍しく、音声で操縦できる二足歩行ロボットを完成させるなど、物づくりに対する意欲も非常に旺盛であります。
こうした中、教育委員会においては、先月、質、量ともに日本一の物づくり技能者を有する本県産業をさらに発展させていくため、工業教育の中核となる総合技術高等学校の構想を発表されたところであります。
我が党といたしましても、若者がその可能性を最大限に引き出す環境を整え、自信と誇りを持って有意義な学校生活を送ってもらえるよう努力してまいりたいと思っておるところであります。
そこでお尋ねいたします。
この総合技術高等学校とは、どのような学校を目指そうとしているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政全般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。知事を初め理事者各位の明快な答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事
神田真秋君登壇〕
4:
◯知事(
神田真秋君) お答えを申し上げます。
最初に、県税収入の見通しと今後の財政運営についてでございます。
まず、県税収入の見通しでございますが、政府の十一月の月例経済報告によりますと、十九年度の経常利益は六年連続の増益が見込まれるなど、これまでのところ、輸出関連企業を中心に総じて好調であります。こうした状況を反映いたしまして、県税収入も順調に推移をいたしておりまして、現時点では、当初予算額を確保した上で、本年度の四百億円の臨時の財源対策を解消し、さらにある程度の上積みが期待できると、そうした見通しであります。
しかしながら、最近の急激な円高、また、一時、一バレル当たり百ドル目前まで上昇いたしました原油高など心配な点がございますので、こうした状況を十分踏まえまして、最終的な判断をしてまいりたいと考えているところでございます。
次に、今後の財政運営についてであります。
国における法人二税の見直し論議の先行きいかんにもよるわけでございますが、基本的には、扶助費や公債費などの義務的経費の増加によりまして、本県財政は二十年度以降も厳しい状況が続くものと考えております。
こうした中で、今回の財政健全化法において、地方債残高や公債費の負担に備えた減債基金の積立額といった将来の負担に関する指標がより重視される状況になってまいりましたので、県債を活用する場合には、その償還額、すなわち公債費が財政構造のさらなる硬直化を招かないように注意を払ってまいる必要がございます。
このため、財源対策にも活用できる減債基金の確保、将来の公債費負担につながる県債の新規発行のバランスに十分留意をし、財政健全化の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、法人二税の偏在是正問題について御質問をいただきました。お答え申し上げます。
これまで、県議会におかれましては、危機感を持って精力的に国などへの関係機関へ要望を行っていただいたところでございまして、改めて深く感謝申し上げます。
私も、政府主催の全国知事会議の場におきまして、福田総理大臣に対し、法人二税の見直しには反対であると強く申し上げてまいりましたし、東京都、大阪府、神奈川県の各知事とも連携をしながら、あらゆる機会をとらえて反対を訴えてきたところでございます。
そこで、御質問の八百億円が一気に減収となった場合の影響についてでございます。八百億円という規模は、平成十九年度、今年度当初予算の内容で例を挙げますと、県独自の施策としての医療費補助や私学助成をすべて合わせた約九百億円、この金額に匹敵をいたします。また、道路や河川整備の単独事業費一千六百億円の約半分にも相当するすさまじい規模の額でございまして、県民の皆様方の生活に多大な影響を与える額であると考えております。
本県の財政は、平成十八年度から地方交付税の不交付団体になったとはいえ、今年度も臨時の財源対策を行っておりまして、ぎりぎりの予算編成を行っているところでございます。また、今年度も公債費などの義務的経費の増加により、引き続き厳しい財政状況が続く見通しでございまして、このため、あいち行革大綱二〇〇五による行財政改革を進め、財政の健全化に向けて一生懸命取り組んでいるところであります。
こうした財政健全化のいわば道半ばのこの時期に八百億円の減収が現実になった場合には、あらゆる分野の施策について見直しを余儀なくされ、真に必要な施策も行政水準を大幅に引き下げざるを得ない状況になるものと思われます。また、この減収額は再び赤字団体に陥りかねない規模であります。
こうしたことからも、国の考えに到底賛同することができないわけでございます。現時点の状況は本県にとって大変厳しい状況でございますが、今後も粘り強く反対を主張してまいりますので、どうか引き続き県議会の皆様方のお力添えをいただきますようよろしくお願いを申し上げます。
次に、道州制の推進に向けた基礎自治体の強化についてでございます。
住民に一番近い市町村に今以上に権限も財源も渡し、そこでさまざまな住民ニーズをダイレクトに受けとめ、しっかりと行政運営をしていくことが極めて大切であると考えております。こうした力強い基礎自治体には、それにふさわしい権限を持つことが必要不可欠であります。
本県では、これまでも市町村の自主的、自律的な行財政運営を拡大すべく、市町村への権限移譲を進めてまいりました。今年度からは、第二期地方分権改革に呼応した県内分権をより一層推進するため、県と市町村の協議の場である県・市町村地方分権推進会議を立ち上げ、さらなる権限移譲に取り組んでいるところでございます。
また、地域が自主的・主体的に進められました市町村合併につきましては、これまでも本県としてできる限りの支援、協力をしてまいったところでございます。
いずれにいたしましても、力強い基礎自治体の確立に向けましては、権限移譲と合併支援を両輪として取り組んでいく必要があると考えておりますので、今後とも一層の努力をしてまいる考えでございます。
続いて、三河山間地域の振興についてお答えを申し上げます。
三河山間地域は、県土の保全、水源涵養など、県全体にとって極めて重要な役割を果たしている一方、深刻な過疎問題に直面をしております。安心・安全な山村の暮らしを実現し、雇用機会の確保や都市との交流による山村の活性化を進め、三河山間地域の振興を図ることは、県政の重要課題の一つと認識をしております。そのため、現地総合窓口として新城設楽山村振興事務所を設置し、地域の実情をよりきめ細かく把握するとともに、現地での即応力も高めてまいります。
また、本庁における専門組織として山村振興室を新設し、新しい施策を立案、推進する機能を大幅に強化をしてまいります。さらに、副知事をトップとする山村振興推進本部を設置し、山村振興を部局の枠を超えた課題として総合的な対策を講じてまいります。
これらの組織を活用し、三河山間地域が直面する諸課題に対応するとともに、将来ビジョンの策定を通じた長期的、計画的な地域づくりもあわせて推進をし、山村振興に力を入れてまいる考えでございます。
次に、福祉医療制度についてお答えを申し上げます。
福祉医療制度につきましては、かねてから実施主体である市町村からその対象者の拡大について強い要望をいただいており、また、少子・高齢化の急速な進展など、時代に即した見直しも必要であります。
そこで、市町村の代表者と何度も協議を重ねてまいりまして、県内全市町村が足並みをそろえて実施できる見直し内容となりましたことから、このたび合意に至ったところでございます。
その内容でございますが、子ども医療費の助成につきましては、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るため、通院は小学校入学前まで、入院は中学校卒業前までと拡大をし、障害者医療費の助成につきましては、新たに精神障害者の方も対象としてまいります。
また、来年四月の国における後期高齢者医療制度の開始に合わせまして、従来の老人医療と福祉給付金の両制度を整理し、寝たきりや認知症高齢者のように真に医療が必要な方を中心に助成する後期高齢者福祉医療費給付制度を新たに創設してまいります。
今回の見直しは、来年四月の実施を目指しておりまして、全国でもトップレベルの福祉医療制度の水準をさらに前進させてまいりたいと考えております。
続いて、医療安全のための相談機能の充実についてでございます。
医療に対する安心・信頼を確保するためにも、相談事業は大切な役割を果たしていると認識をしております。
本県では、平成十五年七月から愛知県医療安全支援センターを県庁内に設置をしておりまして、年間一千五百件を超える医科・歯科医療に関する苦情や相談を受けまして、速やかに中立的な立場から患者や医療機関に助言を行っております。
その中には、診療行為の適否にかかわる相談も多くありますので、医師による医学的判断も行うことができる医師会の苦情相談センターに平成十八年度から委託をし、体制を強化したところでございます。
昨年度は、県の支援センターから紹介した件数も含め八百件を超える相談がございました。これらの事例について、弁護士や学識経験者を交えた検討委員会を開催し、検討を行いますとともに、個々の医療機関を指導するなど、医療に対する信頼の確保に努めております。
今後も、県民の皆様方のニーズにおこたえできるよう、医師会、歯科医師会など医療関係者と十分連携を図りながら、相談機能の充実に努めてまいる考えでございます。
次に、自衛隊機墜落・炎上事故についてお答えを申し上げます。
今回の事故は、一歩間違えれば大惨事につながりかねない大変重大な事故でございまして、私自身、背筋が凍りつくような思いをしたところでございます。加えて、その原因が三菱重工が整備を行っていた自衛隊機の配線ミスとのことでございまして、強い憤りを禁じえないのでございます。
ただ、今回の事故により、県営空港の周辺を初め県民の皆様方に御心配をおかけいたしましたことは、空港設置管理者としておわびを申し上げます。
空港は何より安全の確保が第一でございますので、三菱重工と防衛省に対し事故の重大性を認識した上で、迅速かつ徹底的な原因究明と再発防止に万全を期すとともに、地元市町への説明などにより地域の不安を取り除くことを強く求めているところでございます。
事故原因の解明が進みつつあるわけでございますが、引き続き三菱重工と防衛省に対しましては、事故原因の説明や安全確保、再発防止を厳しく求めていきますとともに、空港の設置管理者として、緊急時対応の再確認やその充実を図るなど、今後とも空港の安全な運営に努めてまいる考えでございます。
続いて、建築確認行政についてでございます。
まず、建築確認のおくれについてでございます。六月の改正建築基準法の施行後、いまだに建築着工件数の落ち込みが続いておりまして、本県経済への影響を大変心配をいたしております。これは、国の運用指針等の整備がおくれたことなどに原因があると考えておりますが、この事態に対し、本県では、問題点や課題を分析し、民間確認検査機関への迅速な業務実施を指導するとともに、国に対し必要な措置を講ずるよう強く要請をしてまいったところでございます。この結果、一部運用の改善や緩和がなされまして、最近では、本県の建築確認は全体として回復の兆しが見られるようになってきております。とはいえ、構造計算の必要な規模の大きな建築物につきましては、依然として停滞が続いておりますので、国に対し一層の運用の改善を求めてまいりますとともに、申請窓口での事前相談の強化、運用基準や構造に関する実務講習、関係機関へのきめ細やかな情報提供などに努めてまいります。さらに、構造設計者の不足も懸念されておりますので、その点、人材の育成にも取り組んでまいります。
また、建築行政の円滑な実施には、建築主事などの技術力の維持向上、あるいは団塊世代からの若手職員への技術継承が重要でございますので、今後も建築確認検査や現場管理の実務研修などの充実強化に努めてまいります。
次は、広域廃棄物最終処分場についてでございます。
廃棄物の適正な処理を確保し、県内産業の発展を支えていく上で最終処分場は不可欠、重要なものでございます。県内の最終処分場の残存容量の逼迫、民間での整備がなかなか困難になっている状況を踏まえ、市町村や産業界からの強い要請を受け、今回の広域的な処分場の計画を進めてきたところでございます。
この事業は、名古屋港南五区において処分場の運営に実績のございますアセックに県が依頼をして行うものでございまして、可能な限りの支援に努めてまいりたいと思っております。
処分場建設費は、排出事業者処理責任の原則のもと、処理料金により賄うという考え方を基本といたしておりますが、県といたしましては、担保になる資産のないアセックが必要な建設資金を調達できるよう、金融機関からの借り入れについて全額の損失補償を行いますとともに、県からも資金の一部を貸し付けるなど、適切な財政支援をしてまいる考えでございます。
続いて、あいち臨空新エネルギー研究発電所の今後の活用という点についてでございます。
新エネルギーは、次世代産業として、また、環境への貢献の高い分野として、物づくり立県、環境先進県を目指す本県にとりまして、その振興にしっかり取り組む必要があると考えております。特に、重点的に振興を図るべき分野といたしましては、太陽・風力エネルギー分野、バイオマス・廃棄物利用分野、そして燃料電池分野などでございます。
このような考え方のもとに、今後、新エネルギー実証研究エリアの活用をしてまいります。具体的には、これまで太陽光など不安定な新エネルギーを使って安定的な電力供給を行うための実証研究をNEDO主体で行ってまいりましたが、今後は県が事業の実施主体となって、現施設の一部を有効活用し、重点分野の技術について多用な実証研究を行うことで産業振興を図ってまいります。
このため、実証研究に意欲のある県内企業等を公募するとともに、研究交流や広報を行い、新エネルギーの実用化を推進してまいります。
具体的な研究テーマといたしましては、太陽の動きを自動的に追いかけることで発電効率を高める追尾集光型太陽電池の実証研究を行いたいと、そうした希望する企業もございます。
このような実証研究エリアの事業につきましては、新エネルギー産業の振興の観点から、その成果や必要性を定期的に検証しながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、三遠地域における連携推進事業についてでございます。
本県は、日本を代表する物づくりの中枢圏域でございますが、隣接県におきましてもさまざまな産業が集積をしており、本県産業の一層のパワーアップを図るためには、県域を超えた産業連携を強化促進していくことが重要であると考えております。
その中で、御質問の東三河地域と西遠地域につきましては、国内外の自動車メーカーが生産・物流拠点を有し、輸送機器関連産業を中心とする産業が集積している地域でございます。
このような既存の産業集積に加えて、この地域では、経済産業省の産業クラスター計画において、医療とか光産業とか、農業と工業の連携などを中心に、さらに高度な産業クラスターを形成すべく、産学行政が共同して広域的な事業が進められているところでございます。
このうち、農業と工業の連携につきましては、東三河地域と西遠地域の共通する特性である先端的な物づくり技術と全国屈指の農業生産力とを結びつけていく農工連携事業として、東三河地域が主導して進めているところでございます。
具体的には、今年度、県の委託事業として両地域の企業などを対象にして、新製品、新技術の開発に向けた企業ニーズの調査あるいは交流事業を実施し、複数の連携プロジェクトの形成を目指しているところでございます。
今後、こうした農工連携のみならず、産業クラスター計画に位置づけられている他の分野におきましても、県域を超えた両地域の産業の広域連携に積極的に取り組んでいく考えでございます。
さて、私からの最後の答弁になるわけでございますが、三遠南信地域における広域幹線道路網の整備についてお答えを申し上げます。
三遠南信地域における県境を越えた連携をしっかりと支えるためには、広域幹線道路ネットワークの早期整備がとても重要であると認識をしております。
まず、この地域の骨格を形成いたします第二東名や三遠南信自動車道、国道二十三号蒲郡・豊橋・豊橋東バイパスの一日も早い供用、さらには豊橋バイパスの四車線化を働きかけてまいりますとともに、県といたしましても、関連する国道と県道の整備に積極的に取り組んでまいる考えでございます。
また、御質問がありました豊橋三ケ日道路の整備ニーズでございますが、非常に高まってきていると認識をいたしておりまして、県としても、関係機関及び地元とともに、その実現に向けて取り組んでまいる考えでございます。
これらの道路整備には安定した財源確保がぜひとも必要であります。道路特定財源が余っているのではないかと、このような議論が今言われておりますけれども、私どもの認識としては、どこに余っているんだろうかというのが率直なところでございます。
今後とも、大変県民からニーズの高い道路整備につきましては、道路特定財源の必要性を強く訴えるとともに、確保に努力をしていきたいと思っておりますので、一層の御支援をよろしくお願いを申し上げます。
以上、答弁といたします。
5:
◯警察本部長(
松尾庄一君) 私からは、鈴木議員の代表質問のうち、警察署の老朽化の問題についてお答えいたします。
県内には四十六の警察署がありますが、御指摘のとおり、多くが愛知県警察発足後の昭和三十年代、四十年代に建設されております。この時代に建てられた施設は、約半数強の二十四警察署となっております。これらは、警察委員会に御視察いただきました田原警察署を初め全体的に老朽化が進み、また、狭隘にもなっております。耐震面でも問題が生じております。
この耐震に関しましては、先般発表された県有施設の耐震化状況の中で、昭和五十六年以前に建てられた警察の四十八施設のうち、耐震整備が必要であると認められたものは、警察本部の庁舎を含め三十九施設でございました。このうち既に十三施設の耐震整備が完了していますが、お示しの二十六の施設につきまして整備を進めていかなければなりません。このうち、本年度、春日井警察署を初め八施設について工事中であり、残りの十八施設については、第二次耐震改修計画において、今後、順次整備を進めてまいります。
こうした中で、特に老朽化や耐震上問題の大きな警察署などの警察施設の整備計画につきましては、管内における現在及び将来の治安情勢の見通しに加え、地域の安全・安心センターとしての機能に着目し、例えば、運転免許行政上の地域住民の利便性の向上なども総合的に勘案して、その優先度を判断して、改築等を含めて検討していきたいと考えております。
いずれにしても、警察署などの警察施設は、治安上及び防災上重要な拠点でありますので、引き続き計画的な整備に尽力していく所存でございます。
6:
◯教育長(
伊藤敏雄君) 教育問題について二点の御質問をいただきました。お答えをいたします。
まず、特色ある学校教育の推進に関しましてスーパーハイスクールについてであります。
議員御指摘のように、県立高校が県民の皆様の期待にこたえ、将来の本県を担う人材を育成していくためには、各学校が主体的に研究課題を掲げ、校長の強いリーダーシップのもと、教職員一丸となって創意工夫を凝らした独自の学校づくりを進め、生徒一人一人の力を伸ばしていくことが大切であると考えております。
そこで、愛知スーパーハイスクールは、こうした理念に基づき、地域社会や大学等と連携をし、国際理解教育や理数教育、あるいは地域の産業にかかわる分野でより専門的な内容を学んだり、スポーツや文化活動で一層の向上を目指すなど、すぐれた取り組みを企画した学校を指定し、さまざまな分野でより特色を発揮できるよう、その活動を支援することによって、県立高校の特色化をさらに推進することを目指すものでございます。
次に、総合技術高等学校についてでございます。
すぐれた人材育成が産業界からも強く求められておりますことから、これにこたえるべく、企業、大学等と連携した実践的な教育を行い、専門的な技術・技能の習得や高度な資格取得などに取り組みたいと考えております。
また、工業高校では初めてとなる専攻科では、企業などで三カ月程度の実習を行う、いわゆるデュアルシステムを取り入れ、実際の生産工程などで活用されている高度な技能を習得するとともに、品質や生産ラインの管理能力なども身につけた現場の牽引役となる人材の育成を目指したいと考えております。
こうした構想のもと、物づくり県にふさわしい高い専門性を持った総合技術高等学校を創設したいと考えているところでございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
7: ◯三十八番(
酒井庸行君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
8:
◯議長(
青山秋男君)
酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
9:
◯議長(
青山秋男君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時二十分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時一分再開
10:
◯議長(
青山秋男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
高橋正子議員。
〔三十三番
高橋正子君登壇〕(拍手)
11: ◯三十三番(
高橋正子君) 私は、民主党愛知県議員団を代表して、愛知県政が抱える幾つかの重要課題について順次質問をさせていただきます。
初めに、法人二税の偏在是正問題についてお尋ねをいたします。
現在、年末の国の平成二十年度予算編成に向けた議論が大詰めを迎えております。その中でも、地域間格差の縮小を目指す観点からの地方法人二税の税収の偏在を是正しようとする動きは、法人二税の税収が県税収入の約四割を占める本県財政に大きな影響をもたらすことが懸念されております。
これまで、国においては、財務省による人口や従業者数などを基準とする法人二税の再配分と、総務省による法人二税と消費税との税源交換の二つの案を軸に議論が進められ、総務省による試算では、本県の税収は八百億円の減収になると示されております。本県の財政状況にこの八百億円という額を重ね合わせてみますと、現在でも四百億円の繰入運用を行って何とか予算編成を行っている状況に、さらに八百億円の減収となれば、たちまち財政運営が立ち行かなくなるのではないかと大きく危惧いたしました。
こうした状況を踏まえ、我が民主党愛知県議員団は、先月初めに、民主党本部役員及び地元選出国会議員並びに関係機関に対し、断固として法人二税の見直しに反対するとともに、地方交付税の復元・充実に向けた働きかけを行ったところであります。しかしながら、昨日の新聞報道によれば、国において、当面法人事業税の一部を再配分する方向で調整に入り、本県は数百億円程度減収となる可能性があるとのことで、状況は極めて深刻であると言わざるを得ません。
今回の偏在是正の議論の発端は、ここ数年の景気の回復により法人二税が他の地域と比べて増収となった本県や東京都のような都市圏の税収を疲弊した地方圏に移そうとするものであります。
そもそも、財政力格差の調整機能を担うのは地方交付税であるはずですが、現在の地方の疲弊は、その交付税が三位一体の改革により平成十六年度から十八年度までの三年間で五・一兆円も削減されたことが原因であり、財政力の弱い地方団体ほど一般財源が減少し、厳しい財政状況に陥ったというものであります。
したがって、全国知事会初め地方六団体も、地方の疲弊による地域間格差の是正のためには、まず最優先に地方交付税を復元させる必要があるとの認識で一致しており、国の二十年度予算編成と一体で進められる地方財政計画の策定に当たっては、真っ先に交付税の復元・充実を求めているところであります。
しかしながら、こうした地方の側の切実な願いにもかかわらず、驚くべきことに、国において議論の中心になっているのは、地域間の財政力格差を地方団体間の税収で調整しようというものであります。果たしてこれが地方分権改革を進める我が国の地方税財政制度のあるべき姿なのでしょうか。
そこで、知事にお伺いをいたします。
現在、議論されている地方税源の偏在是正策は、地方の自立と共生を目指す地方分権改革の流れに反するものではないかと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
次に、医療に対する安心・信頼の確保対策についてお尋ねをいたします。
昨今は、症状や病気、薬に関する情報があふれ、中には医師よりも詳しい説明のできる患者もいて、医療従事者にとっては治療がしにくい状況にもなってきております。患者の医療への要望、期待は殊のほか大きく、思うような治療を受けられなかったと感じたときは苦情となってあらわれます。
平成十五年七月、患者やその家族からの医療相談や苦情を中立的な立場で受け付け、問題解決に向けての取り組みを助言・支援する目的で開設された愛知県医療安全支援センターへは、毎年千五百件を超える相談が寄せられ、その七割が医療への苦情で占めます。さらに、苦情の半数は医療行為や医療内容に関するもので、最初から医療ミスを疑う事例も目立つそうです。同センターでは、医療行為や医療内容などの診療に関する苦情については愛知県医師会に委託し、医師会が専門的な見地から苦情や相談を受け付ける苦情相談センターも開設しており、相談は年間八百件に上っています。
また、医療事故を疑うケースには、名古屋の医療過誤問題研究会が同会所属の弁護士に面談をさせる医療事故相談センターを開設しております。こちらは相談も予約制ということで、現在、申し込みをしてから面談までに一、二カ月かかるそうです。
医療への苦情は、何も今に始まった話ではなく、今までは持って行き場がなく、埋もれてしまっていただけのことです。患者が積極的に医療に対して苦情が言えるのも、医者中心から患者中心の医療へと転換が求められているからにほかなりません。
本年四月に施行された改正医療法は、国民の医療に対する安心・信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を構築するための改正で、医療安全支援センターも制度化されました。単なる医療への相談、苦情の駆け込み寺に終わることなく、より質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を目指して、苦情という患者の声をどのように医療への信頼につなげていくのか、取り組みを促しています。たかが苦情ではないということです。
そこで、医療安全支援センターの果たす役割をどうとらえ、その役割を果たすため、どのような取り組みをされるのか、知事の御所見を伺いたいと思います。
さて、本年四月の改正医療法等では、患者の医療機関
選択支援のための病院、診療所、歯科診療所と薬局の医療機能に関する情報公開を義務化する医療機能情報提供制度もスタートいたしました。この制度の創設によって、本県では、病院、診療所、歯科診療所及び助産所九千件、薬局三千件の計一万二千件の医療機能情報をインターネットで公表できるように準備を進めることとなります。
厚生労働省の通達では、まずは二〇〇八年三月までに、名称や場所、診療科目、診療時間などの基本情報のみの公開を、また、より詳細な情報については二〇〇八年度中に公表するようにと求めています。詳細な情報の公表が始まれば、病院の先進医療の実施や専門医数、対応可能な疾患、治療内容、手術数、そのほかにも治療結果の情報として、死亡率や再入院率などに関する分析の有無など、医療の質にかかわる情報も含め、私たちは全五十六項目にも及ぶ多くの医療内容が
一覧となって入手できることとなります。原則として年一回以上、知事への届け出を義務づけ、名称等の基本的な項目については、変更があったらすぐ更新をしなくてはならないこともあり、情報の質も約束されているわけです。
今、医療に求められるのは、技術向上はもちろんのことですが、こうした患者側にとって開かれた医療、みずからが
選択できる医療ということです。医療安全支援センターも医療機能情報提供制度も、県民には今まで閉鎖的だった医療の分野をオープンにし、風を通すことで医療技術とは別の側面で安心・信頼を確保していく取り組みです。
この二つの取り組みを例に挙げたのも、一番は、県民に利用してもらいやすい体制をつくり、主体的に医療に参加できる環境を整備することが求められるからです。
そこで、二点お尋ねをいたします。
一点目として、医療機能情報提供制度は今までさまざまな制約があり、情報を開示することが難しかった分野です。それが全国規模で医療情報がオープンになっていきます。知事は、この医療情報の開示について、どのようなシステムを構築し、運用していかれるのか、特に配慮される点についてもお伺いいたします。
二点目として、本県として医療の信頼の確保を図るため、県民のためにどのような点に力を入れて取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。
続いて、食の安全・安心についてであります。
相次ぐ老舗、有名ブランドの食品偽装が発覚し、この問題がマスコミで取り上げられない日はありません。食肉加工卸売会社ミートホープの牛肉偽装を皮切りに、身近なところでは、三重県の老舗和菓子メーカー赤福の製造日偽装と売れ残り商品の再使用の発覚、日本マクドナルドの調理日時ラベルの張りかえや賞味期限切れ商品の販売など、本県でも、名古屋コーチンの二割はにせものと日本家禽学会で発表され、実態の把握と名古屋コーチンの信頼回復に向けての調査・検査が進められたのは、多くの県民が知るところであります。消費者の多くは、食品に対して本物かにせものか、安心かそうでないかを確認するすべを持っておりません。基本的には、表示する側を信じるほかにはないのです。
ことし八月の県の消費生活モニター四百人を対象に実施した食の安全・安心に関するアンケート調査では、九七・九%が食の安全に何らかの不安を感じ、五五%が食品表示の偽装に不安と答えております。
本県が平成十四年二月から設置している食品の表示についての情報提供を受けるホットライン食品表示一一〇番へも、偽装表示など不審な食品表示などに関する情報、問い合わせが、ミートホープの偽装問題発覚後の六月から九月で比較すると、前年同期の一・五倍に当たる八十件に達しております。通報総数も十八年度の百十七件を本年度は十月末現在で百四十五件と既に昨年度の総件数を上回っております。
ところで、一連の食品偽装問題発覚のきっかけとなったのは、内部告発だとも言われております。本県の保健所には、ことし四月から十月までに内部告発と思われる通報が計二十六件あったそうです。内容は、販売店から回収された製品や在庫製品、賞味期限が経過した原材料を使用して製品を製造している、あるいは期限表示ラベルを張りかえているなどです。
また、食品表示一一〇番への通報百四十五件のうち、三五・九%に当たる五十二件が調査を必要とする通報で、その中には内部告発と思われる通報も数件含まれているとのことです。
そこで、食品偽装問題についてお尋ねをいたします。
本県でも、食品偽装問題に絡む内部告発と思われる事例が挙がっているということですが、通報は匿名による通報が多く、情報の信憑性が一番問われることとなります。このように、内部告発と思われる通報の多発には、一部の食品事業者のモラルの欠如が背景にあると思われますが、本県として、内部告発と思われる通報を受けた場合の対処、対応をどのようにしているのか、知事にお伺いをいたします。
二点目は、食品の監視体制と検査体制についてお尋ねをいたします。
食品への信頼を失う事件は他人事ではなく、本県でも過去において全国を巻き込む大事件が発生したことを知事は覚えておられますでしょうか。昭和五十三年にはベビーフード事件とも呼ばれた粉末野菜への放射線違法照射事件。そして、昭和六十二年には清涼飲料水への過酸化水素混入事件が発生し、いずれも全国からの製品回収を初め調査終了までには数カ月を要したと聞いております。
特に、過酸化水素混入事件の折には、今後このような事件を二度と発生させないために、全国でも例のない大規模な食品工場のみを監視対象とした専任の食品工場衛生監視班を本庁に新設し、監視のレベルアップに大きな効果を上げたと聞いております。しかし、それほど効果を上げた監視班なのに、なぜ十年ほどで見直され、現在の監視体制になったのでしょう。
そこで、まずは、監視体制についてお伺いをいたします。
本県は、全国でもトップレベルの食品製造出荷県です。今、食品の製造技術は格段の進歩を遂げており、製造機械も工程も、そして使用原材料、表示方法に至るまで非常に複雑化しております。このように、最新技術を駆使した今の製造工程に、現在の監視体制、監視方法では、三重県で発覚した菓子製造業者の違反を発見できない限界があるということはないでしょうか。
そこで、監視のレベルアップに大きな効果を上げたという以前の食品工場衛生監視班を復活させ、さらに強化、拡大した専任監視体制を構築すべきだと私は思いますが、知事はどうお考えになるでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。
次に、食品の検査体制についてお伺いいたします。
現在、食品などの検査は、一宮、半田、衣浦東部、豊川の四保健所と食品衛生検査所で行われており、さらに複雑、高度な検査は衛生研究所がそのすべてを担っているとお聞きいたしました。衛生研究所が本県の食の安心・安全を確保する検査の中核施設であるわけです。この衛生研究所において、各種ウイルスや食中毒細菌、添加物や残留農薬、そして飲料水など、県民の生活に密着した重要な検査や研究が行われています。全国の主要都道府県と比較して体制は十分であると認識しておりますが、重大な健康危機管理事例が発生した場合、現在の体制で即応、対応できるのでしょうか。
監視と検査は車でいう両輪です。食の安全確保を図る上で、監視体制とともに検査体制の内容、強化の必要を感じます。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、建築確認申請についてであります。
二〇〇五年十一月に発覚した一連の構造計算書偽造事件は、姉歯建築設計事務所が構造計算の書類を偽装して審査をごまかし、基準よりもはるかに弱い構造の建物が建てられたことが発端です。審査を行う検査機関や自治体が偽装を見抜けなかったこと、今までの建築確認制度そのものがきちんと運用されていなかったのではないかと波紋も広がりました。
本年六月二十日から耐震偽装などの再発防止を目的に改正建築基準法が施行されました。今回の法改正では、大きく構造計算適合性判定制度の導入、審査期間の延長、指針に基づく厳格な審査の三点が改正され、一定の規模以上の建築物については、第三者の構造計算適合性判定機関が改めて構造計算をチェックする二重構造になったために、審査にも時間がかかるということです。
そして、最も問題だったのが、国の指針に基づく厳格な審査です。今まで審査段階での補正が認められていたのが、軽微なもの以外の補正は認められず、手続は一からやり直さなければなりません。結果的に、確認検査機関の審査が停滞する事態まで起き、設計業者からは厳し過ぎるとの声が続出。この混乱に設計業者は慎重を期して、申請を手控える事態にまで発展したことが、ここ数年、景気が拡大する中でほぼ安定して推移してきた住宅着工に急ブレーキをかけ、日本経済全体に思わぬ副作用をもたらす結果にもなったわけです。
本県が十二月三日に発表した十月の新設住宅着工戸数を見ても六千四百四十二戸と、前年十月と比べて一七・三%の減となっており、九月の四五・四%減と比べると、回復の兆しが見られるものの、依然として四カ月連続で前年を下回っています。このうち、特に高度な構造計算を必要とするマンションなどの共同建ては二千八百四十四戸で、前年十月と比べて三七・三%減と大きく減少していることが目につきます。
では、本県の確認申請件数はどうなっているのでしょうか。本年四月から十月末までの申請件数は二万五千九百八十九件で、前年同期に比べて一二・八%の減、また、確認済み件数については、四月から十月までで二万四千三百八十三件で、対前年同期に比べて一五・五%の減とのことです。
国土交通省は、厳し過ぎると批判が集中した審査の一部緩和の方針を出したことで、申請件数も現在は伸び始め、法改正直後のような混乱はないと本県でも見ておられるようですが、この先、確認申請に課題はないのでしょうか。
本県で第三者の構造計算適合性判定機関に指定された愛知県建築住宅センターでありますが、この判定制度への申請件数は、六月二十日から十一月二十二日までに二百三十件、うち判定作業を終え判定結果を通知した件数は七十六件と全体の三三%と聞いておりますが、順調に判定は行われているのでしょうか。
そこでお尋ねをいたします。
現在、愛知県建築住宅センターには六十人の判定員が配置されており、現状の人員で業務に支障を来すことはないというのが本県の見解です。しかし、今後、確認申請も回復し、二重チェックする構造計算の申請が増加していったとき、判定作業が追いつかない状況に陥るなど、人員も含めて構造計算適合性判定機関としての懸念材料はないのでしょうか。
二点目として、確認申請もひところよりは改善されてきたようだとの世間の感想も聞かれますが、まだ流れが予測できないために建築着工にも慎重な態度がとられているのが実情です。本県での確認申請窓口の実際のところの現状を教えていただくとともに、さらに確認業務の円滑化を図るための課題を知事はどのように見ておられるのか、お伺いをいたします。
次に、非自然死体の死因究明制度についてお尋ねをいたします。
愛知県警が扱った変死体は、平成十八年は五千五百二十七体に上りました。変死体は、医師の立ち会いのもと、警察による検視で死因などを調べることが刑事訴訟法で義務づけられております。検視の目的は、変死体が犯罪に起因するか否かを調査するものであり、この検視制度については、大相撲時津風部屋の力士が急死した事案以降、今まで余り報じられることのなかった日本の検視体制の現状がクローズアップされ、問題点が指摘されています。
検視は、警察本部長から委嘱された検視立ち会い医師と所轄警察署の刑事課員が行いますが、その方法も視覚、触覚などの五感の作用と目視による外見からの検査で死体の状況を見分します。そして、死体周辺の現場状況や死者の生前の生活実態、健康状態などの裏づけ捜査、死体の見分結果、立ち会い医師の意見を総合的に判断することによって、犯罪性があると判断されれば、刑事訴訟法に基づいて司法解剖されます。ちなみに、平成十八年中の愛知県警の扱った変死体のうち、司法解剖が行われたのは百二十五体で、行政解剖を含めた全体の解剖率は二・四%だったそうです。
検視立ち会い医師は、医学的見地から検案はするものの、実際のところは、法医学の専門知識に乏しい開業医などであり、死因の判断に迷う場合もあります。また、刑事課員といっても、やはり法医学的な知識の乏しさと外見からの検視だけでは的確な判断も困難なはずです。こうした死因究明の入り口に当たる検視において、見分する変死体の犯罪性の有無や解剖の必要性を判断するには、やはり限界があることを認めざるを得ないのではないでしょうか。
全国の警察本部には、誤認検視を防止する目的で専門教育を受けた検視官が所属し、慎重な判断が求められる事案には現場に臨場する措置がとられています。平成十八年中に愛知県警が扱った変死体五千五百二十七体のうち、検視官が臨場したのは三百五十体。検視官とは、原則として刑事部門において十年以上の捜査経験を有し、かつ警察大学校の法医専門研究科を終了した検視のスペシャリストだそうです。愛知県警には、現在五名の検視官が配置されていますが、臨場率にして六・三%(全国平均は一一・二%)という低さは全国ワースト四位とのことです。その背景には、増加傾向にある変死体数と比較して、検視官五人体制という人員不足がひびいていると思われます。
このように、検視体制には課題が多いわけですが、変死者の尊厳を守り、死亡原因を把握するための県警の初動対応には重責があります。本県の場合、力士急死事案で得た教訓があるわけですから、検視への初動対応の体制整備にはしっかりと取り組んでいただきたいと思い、以下二点にわたってお尋ねをいたします。
まず、一点目として、日本の検視体制として、法医学的な知識が十分でない医師と警察官による外見を基本にした検視方法では、犯罪を見過ごすおそれがあると言われており、その指摘は的を射ていると思います。日本の検視制度を改善するのであれば別ですが、まずは、検視立ち会い医師と刑事課員の検視技能の向上が課題です。
そこで、本県として、現場で検視を行う両者への検視技能の向上への具体的な取り組みについて、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
二点目として、これだけ犯罪も多種多様、複雑化している現在ですから、検視体制を強化する必要があると考えます。検視体制の強化を図る取り組みがあれば教えていただきたいと思います。
次は、検視後の解剖についての現状をお尋ねしたいと思います。
今、各マスコミはこぞって日本の死因究明体制の不備を報じており、その中に必ず出てくる言葉が行政解剖と監察医制度であります。
行政解剖の歴史は、第二次世界大戦後までさかのぼることとなります。当時、連合軍総司令部(GHQ)が伝染病などの予防を図り、公衆衛生向上の観点から死因を特定するための原因を探すことを目的に、監察医という専門家による検案、解剖が行われるようになったのが制度の始まりです。当初は、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡でこの監察医制度は施行されましたが、現在は、京都、福岡を除く五大都市のみとなっています。
犯罪に関係し、さらに犯罪捜査の的確かつ迅速な遂行を目的とする司法解剖に対して、犯罪には関係せず、公衆衛生上の観点から死因の究明を五つの都市に限り行うことができる行政解剖。この二つの解剖は、性質も目的も全く異にするものです。ただ、今、声が高まっていることは、行政解剖、承諾解剖の準司法解剖的利用です。先ほど述べましたように、現在の死因究明体制では見逃される可能性のある犯罪を行政解剖の過程で発見することができるケースを示唆するからです。伝染病が蔓延する時代でもないのに行政解剖に力点を置く必要はあるのか、監察医制度が新たなる犯罪発見の受け皿的要素もある、監察医制度がない地域ではどうするのかなど、現行の監察医制度そのものに対する見直し、あり方についてさまざまな議論とともに関心も高まっております。
民主党では、今の死因究明体制の不備を抜本的に見直し、国を挙げて犯罪を見逃すことのない体制を構築し、死因究明制度そのものを強化する法案を本年六月に衆議院に提出しておりますが、法案は法案として、今だから私は全国でも数少ない監察医制度を運用する本県の現状を問うてみたいと思うのです。
司法解剖は国費で支出されるのに対して、行政解剖は県費での負担となります。各都道府県には解剖予算があり、監察医制度のある五大都市の平成十九年度の状況を見ますと、東京都は約四億二千八百万円、大阪府は約八千七百万円、兵庫県は約一千八百万円、神奈川県は六百五十万円、そして愛知県はというと四十万三千円です。
では、行政解剖がされた件数はというと、平成十八年度を見ますと、一番は東京都で二千五百体余、神奈川県でも千二百体を超えるのに対し、本県は六体です。ちなみに、一体当たりの解剖費は、東京都のように常勤職員を置くものは別として、大阪府の非常勤日当の六万九百円が最高と承知しておりますが、愛知県の解剖費は一体二万三千円です。死体の検案料八千円を加えても一体当たり三万一千円ということになります。
また、愛知県の監察医業務は、名古屋大学、名古屋市立大学、愛知医科大学などの医学部法医学教室に属する七名の専門医に委嘱しているものの、実質は三名の法医が当たっているとのことです。地味な分野だけに、実際のところは解剖などを担う法医学者不足は深刻であると思います。
そこで、知事にお伺いをいたします。
死因究明体制の不備が指摘される中にあって、本県の監察医が行う行政解剖の現状を踏まえ、今後の課題とあるべき方向性をどのように見出しておられるのでしょうか、今後の展望を含めて見解をお尋ねいたします。
次に、全国学力テストの結果を受けての今後の課題と取り組みについてお伺いをいたします。
文部科学省が小学校六年生と中学校三年生を対象に、ことし四月、四十三年ぶりに実施した全国学力・学習状況調査、通称全国学力テストの結果が十月二十四日に公表されました。全国約三万三千の小中学校、約二百三十万人が参加、本県では、犬山市の小中学校を除く、小学校九百七十二校、中学校四百九校、特別支援学校十二校の計千三百九十三校、延べ十二万九千六百五十九人が参加いたしました。約七十七億円もの費用がかかること、文科省が個々の児童生徒の指導改善に生かすためには、全国一律の全員調査が必要であると強調したのに対し、抽出調査で十分であるとの声も大きかったこと、また、参加する子供たちの個人情報の問題、学校の序列化や過度の競争をあおることのない学力テストの結果公表の方法など、さまざまな問題を抱えての実施となりました。そして、文科省は、九月には結果を公表するとしていたのを約一カ月おくれの十月にようやく発表。
さて、学力テストの本県の結果を、全体の傾向としては小学校よりも中学校のほうが高く、国語よりも算数、数学のほうが高かった。すべての調査において全国の結果とほぼ同様の傾向が見られた。国語、算数、数学とも全国の平均正答率との比較において、A調査「知識」よりもB調査「活用」が高い、と本県教育委員会はまとめています。この結果を踏まえながら、本県としてどのように対応していくのかということが一番の課題です。
本県では、去る七月二日に、学識経験者や学校関係者、市町村教育委員会関係者などを委員に、今回の学力テストの調査結果活用に向けた検証改善委員会を設置しています。そして、十二月中には、各教育委員会や学校が文部科学省から提供された学力テストの電子データを短時間で集計、分析できる愛知県版分析プログラムを開発、配付するとともに、本年度中には、分析結果に基づいた指導方法の改善例を示した学力学習状況充実プランを作成、配付する計画だと伺っております。
問題は、個々の子供の学習改善に今回の学力テストの結果をどれだけ有効に活用されるかであります。本来のテストの目的は、個々の児童生徒の指導改善に生かすことではありますが、実際の教育現場、学校では膨大なデータを前にこれを個々の指導にどう生かしていくのかと戸惑いもあるでしょう。愛知県教育委員会として、この調査結果を詳細に分析し、指導改善にどうつなげるのか、具体的に示さなければならない時点に来ています。
そこで、以下三点についてお尋ねいたします。
一点目として、本県では、文部科学省から各教育委員会や学校に提供された学力テストの電子データを各学校ごとに集計、分析できる愛知県版分析プログラムを十二月中に配付するとのことですが、十二月に配付して、それから集計していては、今後対策におくれを生じることはないでしょうか。おくれを回避するためには、各学校ごとに個々の児童生徒のデータを入力すると、直ちにその学校が今後取り組み、あるいは改善していくべき点が浮き彫りとなる工夫がないと意味はありません。分析プログラムの特徴並びに機能を教えてください。
二点目として、本県の検証改善委員会では、児童生徒の学力向上に向けての方策を示す学力学習状況充実プランを現在作成中とのことですが、気になるのは、そのプランの内容です。もちろん、愛知県の学力テストの結果を分析してつくられるわけですから、プランも愛知らしさである特徴と学校現場での指導や授業の見直しのきっかけになるような工夫が求められます。学力学習状況充実プランの概要と現実問題としてこのプランを各教育委員会並びに学校に対してどのように活用してもらうのか、教育長としてのお考えをお示しください。
三点目として、全国学力テストは来年以降も継続される方針であり、来年四月には二回目の実施が予定されているわけです。約七十七億円の費用を投入した学力テストは、導入されるときも結果が出てからも物議を醸し出しました。テストの結果だけではなく、学力調査の意義と課題をしっかりと検証する必要があります。
今回の全国学力テストは、愛知県の教育を一層高めていく上で、本当に成果を得ることができ、子供の学力向上に結びつくような愛知の今後の課題を見つけることができたのか、教育長の見解をお伺いいたします。
質問の最後は、交通事故死者数全国ワーストワン返上への取り組みについてであります。
十二月に入り、本県として大変気がかりなのは、三年連続交通事故死者数全国ワーストワンを返上できるかということです。昨日の十二月四日までで、本県のことしの交通事故死者の累計は二百六十一人、ワーストワンの北海道は二百七十三人ですので、その差は十二人となっています。
雪のシーズンになると、北海道の交通事故死者は減少傾向にあり、反対に本県の場合は、年末で交通事故も増加する傾向にありますから、果たして現在のワースト二位のままで新年を迎えられるのか、微妙なところになっています。
本県では、ことしこそは三年連続ワーストワンの汚名返上をとこの一年間さまざまな交通安全への取り組みをしてこられました。その結果、ワースト上位に名は連ねるものの、この十一月までの集計では、昨年同期の三百二人と比較して四十四人減少しています。
また、高齢社会の進展に伴い、交通事故死者数のうちで六十五歳以上の高齢者が占める割合が年々高くなっているのが全国的な傾向であり、本県でも高齢者が占める割合は約四割で高い構成率となっております。とはいえ、昨年は百四十二人だった高齢者の死者数は、本年十一月末では百六人で、昨年より二十一人減少しており、これまでの取り組み成果のあらわれであると思います。
本県にとって、二年連続した交通事故死者数全国ワーストワンの返上はことしの懸案だっただけに、今までに発生した交通事故傾向を分析しての抑止対策、そして県民への啓発と一つ一つの取り組みが大きな減少につながったものと思います。
そこでお尋ねをいたします。
結果的に三年連続ワーストワンになったとしても、交通事故死者数は着実に減少しています。そこで、ことし大幅減少していることについて、どのような取り組みが功を奏したものとお考えでしょうか。
また、さらなる減少を目指して、来年はどのようなことに重点を置いて取り組んでいかれるのか、知事と警察本部長、それぞれにお伺いをいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。明確なお答えをいただけますことを期待しております。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
神田真秋君登壇〕
12:
◯知事(
神田真秋君) お答えをいたします。
最初の御質問は、法人二税の偏在是正問題についてでございました。
まず、これまで県議会におかれまして、この問題に対し危機感を持っていただき、精力的に国など関係機関への御要望をいただいておりますことに対し、改めて深く感謝を申し上げます。
さて、御質問の地方分権改革の観点から見た今回の法人二税の見直しについてであります。
現在の地方財政の危機的な状況を立て直すには、地方分権の原点に立ち返り、地方税と地方交付税を一元的に充実させ、地方税財源全体の拡充を求めていくことがとても重要であり、私は正しい方向であると考えております。
また、地方税減の偏在是正は、現行の地方税制の中だけで解決すべき課題ではなく、第二期地方分権改革で取り組む国と地方の役割分担の抜本的な見直しの中で、地方の役割の拡大に合わせた地方税源の拡充の段階においてこそ取り組むべきものだと考えております。
したがいまして、地方分権改革の方向を明確に見定めることができない今この時点で、これまで都道府県の基幹税として地域経済の発展に大きな貢献を果たしてきた法人二税を地方から取り上げるような地方税制の見直しは、断じて容認できるものではございません。
現在の国の議論は、つまるところ、単に都市部から地方への地方税源の移しかえ、これのみによって財政力格差の調整を図ろうとするものであります。これは、これまで三位一体改革で交付税を大幅に削減させて、地方の困窮を招いた国の責任を放棄するものであります。地方税財政制度の根底を危うくするものであって、大変な危機感を持っております。
こうした地方分権の流れに明らかに逆行する議論に対しましては、引き続き断固反対していく所存でありますので、今後ともなお一層の御支援と御協力をお願いを申し上げます。
次に、医療安全支援センターについてお尋ねをいただきました。
医療安全支援センターは、医療に関する相談や研修などを行うことが法律において規定されておりまして、医療の安全を確保するかなめと認識をしております。
本県のセンターには、看護師、薬剤師、事務員の三名の職員を配置し、電話相談のほか、希望に応じて面談にも応ずるなど、患者さんや家族の方々に十分配慮した上で、苦情相談に迅速に対応しております。相談には、第三者の立場で必要に応じ、個々の医療機関への助言を行うことで、医療の安全と信頼を高めることに役立っているものと考えております。
また、昨年度でございますが、医師による医学的判断も行うことができる県医師会の苦情相談センターにも業務を委託し、相談事例につきましては、弁護士や学識経験者を含めた検討委員会を毎月開催をして、その検証を行うとともに、医療機関を指導いたしております。
さらに、結果につきましては、参考事例集としてこれを取りまとめ、広く医療機関に配付をして、医療の安全への取り組みを充実してまいりました。
県といたしましては、相談事業とともに医療安全に関する研修も実施するなど、今後も医療に対する安心、信頼の確保を図ってまいる考えでございます。
続いて、医療情報の開示について御質問をいただきました。
今年度施行されました医療機能情報提供制度の趣旨は、県民の皆様が医療に関する情報を十分に得られ、適切な医療を
選択できるように県が支援するものであります。医療情報はインターネットで公表するとされておりますので、正確な情報を
検索しやすく、簡単に手に入るようなシステムを構築したいと考えております。
本県では、平成十九年度内に、今年度内に、県内医療機関や薬局の情報を愛知県のホームページを利用して、国が示したすべての項目を公表することにしております。この全項目の公表時期は、他県に比べても最も早くなるものと考えているところでございます。
また、インターネットを利用されない方ももちろんたくさんありますので、愛知県医療安全支援センターや県の保健所において、電話等で対応することにいたしているところでございます。
次に、医療の信頼確保方策についてでございます。
医療への信頼を高めるためには、医療機関が患者さんの意思を十分尊重するとともに、患者さんも医療の内容を正しく理解し、納得の上、治療を受けていただく必要があります。
患者さんと医療機関との相互理解を深めるためには、患者さんの声を直接お聞きすることで、その疑問にお答えをしたり、要望を医療機関に反映させる医療安全支援センターや医師会の苦情相談センターの果たす役割は大きいものと考えておりまして、今後もこの体制の充実強化を図ってまいります。
また、患者さんが望む医療を正しく受けるためには、医療機関の正確な情報を必要に応じて簡単に入手できることがとても重要であります。
今回、医療機能情報提供制度が創設されましたが、県では正確な情報を迅速に把握をして、速やかに公表するとともに、今後は県民の皆様方や医療機関の声を反映させるなど、その内容の充実を図り、医療に対する信頼の確保に努めてまいりたいと存じます。
次に、内部告発と思われる通報への対処、対応についてでございます。
食品の表示は、消費者の方々が商品を
選択する際の重要な情報でございます。そして、偽装表示の問題は、多くの県民の皆様方に食の安全に対する不信を招くことになり、重大な問題であると認識をいたしております。
そこで、内部告発と思われる通報につきましては、議員御指摘のとおり、匿名の通報がほとんどでありますが、その内容の真偽を確認することが重要でありますことから、すべての通報に対し、できるだけ速やかに当該施設へ立入調査を実施いたしております。
なお、調査に当たりましては、食品衛生法やJAS法などの関係法令を所管する各部局が連携し、適切に対処するとともに、国の機関とも連絡を密にして対応しているところでございます。
今後とも、通報を受けた場合には、迅速かつ的確な調査を実施し、不適切な事例が確認されましたときには、速やかに改善をさせるとともに、法令遵守の徹底を図りまして、県民の皆様方の食に対する信頼を確保してまいりたいと存じます。
続いて、専任監視体制の構築についてでございます。
食品営業施設の監視ということは、食の安全を確保する上で極めて重要であると考えております。食品工場衛生監視班、これは昭和六十三年に大規模食品工場の監視を専門とする職員三名で本庁直属の組織として配置をしたものでございます。
その後、食品の製造・加工技術の大幅な進歩、あるいは大規模食品工場や大量調理施設の増加に対応する必要性から、まさに議員御指摘のとおり、食品工場衛生監視班の監視技術をさらにレベルアップさせた現在の食品衛生広域監視班を、これは平成九年から順次設置したものであります。
この広域監視班は、高度な専門知識と豊富な経験を有する専任の食品衛生監視員から成り、県内の拠点となる五保健所に四名ずつ計二十名を配置いたしております。
なお、この監視員に対しましては、さまざまな食品製造施設における派遣研修を通じまして、最新の知識や技術を習得させ、より専門的な監視技術の向上に努めております。
次に、検査体制の内容、強化についてであります。
本県の衛生研究所は、アイチウイルスの発見、病原細菌あるいは残留農薬などの検査法を新たに開発するなど、これは全国的にもすぐれた技術を有しておりまして、日ごろから食品検査における中核施設として高度な分析を行っております。
平成二十年度には、この衛生研究所に食品衛生検査所を統合し、科学的な技術力の強化と業務の効率化を図ることによりまして、大規模な健康危機発生時にも速やかに対応できるよう、組織体制を強化することにしております。
また、保健所あるいは食品衛生検査所で行っております残留農薬、遺伝子組みかえ食品、重金属などの高度な検査に必要な分析機器と検査技術者をこの衛生研究所に集約することにいたしております。
今後、高度な分析機器の計画的な整備にあわせ、職員の人材育成に努めまして、新たに求められる検査技術にも対応できるよう、衛生研究所の機能強化をさらに努めてまいりますことによって、食の安全確保に万全を期してまいる所存でございます。
次は、建築確認申請に関連する御質問のうち、申請窓口の現状と課題についてでございます。
六月の建築基準法改正直後は、国の運用指針等の整備がおくれまして、具体的な申請や審査の内容の周知が不十分であったために、申請の手控えや、あるいは確認審査のおくれがございまして、建築着工にも大きな影響を与える結果になっております。
このため、本県では、民間確認検査機関に迅速な業務実施を指導いたしますとともに、国に対しましても必要な措置を講ずるよう強く要請をしてまいりました。その結果、一部運用の改善や緩和がなされまして、最近では、一戸建て住宅など規模の小さなものにつきましては、申請件数も昨年並みに回復してきております。
しかしながら、構造計算適合性判定が必要な規模の大きな建築物につきましては、設計者側の理解がまだ十分でないこと、構造設計者が不足していることなどが課題になっておりまして、残念ながら、依然として建築確認手続の停滞が見受けられるところでございます。
このため、申請窓口での事前相談の強化、運用基準や構造に関する講習会の開催、関係団体へのきめ細やかな情報提供、また、構造設計者の育成などに努めてまいる所存でございます。
なお、構造計算適合性判定機関について、あわせて御質問をいただいたわけでございますが、判定機関として指定をいたしました財団法人愛知県建築住宅センターでは、現在六十人の判定員を確保して必要な体制を整えているところでございますが、年内には新たに十人の判定員の増員を行いまして、七十人体制とする予定でございますので、今後の申請件数の増加に対しても十分対応できるものと考えております。
次は、行政解剖についてのお尋ねでございます。
御質問にもありましたとおり、死体解剖保存法に定める監察医による行政解剖は、戦後間もない時期、衛生環境が不十分な時代に原因不明の死体を解剖することによりまして、伝染病の蔓延などを早期に発見するなどといった、いわゆる公衆衛生上の目的から創設された制度でございます。
しかしながら、現在は、法制定時に比較をいたしまして、医療・衛生環境が飛躍的に改善されてまいりました。また、早い時期から実績がなく、事実上廃止状態でありました京都市や福岡市がその対象から除かれるなど、行政解剖につきましては、愛知県も含め都道府県間に歴史的な経緯や運用の実態に大きな相違が見られます。加えて、この行政解剖と司法解剖や承諾解剖の関係が死因究明制度を複雑なものにしているとの指摘もなされているところでございます。
こうした状況の中で、議員御指摘の法案は、監察医制度を廃止し、全国一律に警察署長のもと解剖制度を一元化することにより、適切な死因究明制度の確保を図る趣旨のものと受けとめております。
このことは、制度の根幹にかかわる議論でございますので、その推移をしっかり見守ってまいりますとともに、今後も法が定める制度の中、行政に求められる役割を適切に果たしてまいりたいと考えております。
私からの最後の答弁ということになりますが、交通事故死者数全国ワースト一位返上への取り組みについてお答えを申し上げます。
県内における交通事故死者数は、前年に比べ大幅な減少となっております。これは、年初から関係諸機関・団体の皆様方と連携をして、高齢者世帯を訪問して反射材を配布いたしましたり、あるいは運転マナーの向上を促すスリーエス運動を推進いたしましたり、さらには企業と連携をした啓発活動などをすることなどによって、県民の皆様方の御協力のもと、さまざまな取り組みをきめ細かく行ってきたその成果であると認識をいたしております。
ここに改めて、関係各位の御尽力、県民の皆様方の御協力に感謝を申し上げたいと存じます。
本年も残り一月を切りました。現在、年末の交通安全県民運動を実施しているわけでございますが、年末の最後の最後までワースト一位返上に向けて、全力を挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。
また、来年は、さらなる減少に向けまして、引き続き反射材の普及促進など、高齢者対策、これを重点に取り組む一方、交通安全施設の整備などを着実に進めてまいる考えでございます。
また、当然のことながら、私自身もあらゆる機会を通じて、県民の皆様方に交通安全をお訴えを申し上げていきたいと考えております。
以上、答弁といたします。
13:
◯警察本部長(
松尾庄一君) 私からは、高橋議員の代表質問のうち、検視と交通死亡事故防止対策につきまして答弁いたします。
まず初めに、検視技能の向上への具体的な取り組みについてでありますが、警察は昼夜を問わず、また三百六十五日死体を取り扱っております。平成十八年中のその数は、県下で五千五百二十七体、一日当たり平均十五体を超える現状にあります。技能向上につきましては、検視業務に従事する警察署の刑事課員を対象に、警察学校での検視実務専科教養、あるいは警察本部で検視講習を実施し、法医学教授や歯科医師などを講師にお招きして、法医学等の知識の習得を行い、技能の向上を図っております。
また、警察官が行う検視に医学的見地から協力をいただく検視立ち会い医師につきましては、愛知県医師会からの推薦を受け、二百二十五名の臨床医に委嘱しているところであります。これらの方を対象に、県医師会が中心となり、検視医研修会が実施されており、法医学知識の再確認とさらなる充実に努めております。
今後とも、検視に従事する警察官や検視立ち会い医師の検視技能の向上に向けた取り組みに努めてまいります。
次に、検視体制の強化についてでありますが、議員お示しのとおり、警察が取り扱う死体について犯罪性の有無を検討する検視官は五名で、警察本部に配置しております。これらの者は、原則として刑事部門における十年以上の捜査経験を有し、かつ警察大学校に入校し、二カ月間医師に同行し、法医学に関する実地研修などを受け、検視技能を習得しております。
こうした検視のプロである検視官によって、刑事課員等に対する教養を実施し、変死体が犯罪によるものか否かを判断できる警察官を育成し、適正な検視業務が行えるよう、すそ野を広げるべく取り組んでいるところであります。
また、変死事案の発生に際しましては、検視官と検視担当刑事警察官が一体となって適正な検視に努めておりますが、検視官が臨場する事案が増加し続けていることもあり、より積極的に検視官の臨場が可能な体制づくりに今後努めてまいりたいと考えております。
次に、交通死亡事故の防止対策についてであります。
ことしは、交通死亡事故の抑止を県警の最重点課題の一つに掲げ、年初からさまざまな対策を講じてまいりました。中でも、昨年死亡事故が多発した路線や交差点における効果的な安全施設の整備と集中的な取り締まり、道路交通法の改正に伴う飲酒運転の根絶に向けた取り組み、さらには議員お示しの高齢者に対する啓発活動など、自治体、県、市町村、関係機関を初めマスコミ等の御協力もいただきながら、重点的に取り組んでまいりました。
こうした各種の取り組みによって、県民の皆様の交通安全に対する意識が高まり、結果として交通死亡事故が減少したものと考えております。
しかし、本年もまだ一月ほどございますので、最後まで全力で取り組んでまいる所存であります。
なお、来年は、ことし効果のあった取り組みをさらに強力に推進してまいりたいと考えており、特に、依然として多発傾向にある高齢者の方の事故防止対策を初め、死亡事故に直結する飲酒運転の根絶対策、交通事故発生時の被害軽減対策として後部座席を含めたシートベルト着用等の徹底を重点的に推進し、交通死亡事故のさらなる減少に向けて、組織の総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
14:
◯教育長(
伊藤敏雄君) 教育に関しまして、全国学力・学習状況調査について三点の御質問をいただきました。お答えをいたします。
まず、分析プログラムについてでありますが、このプログラムは、各教育委員会や学校が結果を容易に分析できるように県独自に開発を進めているものでございます。それぞれの集団の学力や生活習慣などの傾向がわかる機能、学力と生活習慣との関係を知ることができる機能、また、児童生徒の個別の課題とそれに応じた学習指導のポイントを把握することができる機能などが盛り込まれております。
全国学力・学習状況調査の結果について、国からの情報提供がおくれましたが、精力的に開発を進めてきたところでありまして、明後日、この分析プログラムを市町村に配付し、説明会を開催して、有効に活用できるよう周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、学力学習状況充実プランについてでございますが、学力学習状況充実プランは、分析プログラムの活用例や分析から得られた愛知県全体の学力・学習状況の傾向や特徴をもとに、例えば国語科における読解力を高める指導方法など、学力向上に向けての具体的な取り組み例を示すものでございます。
県教育委員会といたしましては、各市町村教育委員会や児童生徒への指導を直接行っている各小中学校が学力や生活習慣などの特徴や課題を把握するとともに、学力学習状況充実プランに示されます学力向上への取り組み例を参考にして、それぞれの課題に沿った具体的な指導方法の改善を図るなど、日々の授業の実践に生かしていただきたいと考えているところでございます。
三点目は、愛知県の教育や学力向上に結びつける上での成果や課題についてであります。
愛知県における教科に関する調査結果は、御質問でも触れていただきましたように、おおむね良好であり、また、学習に対する姿勢や生活習慣などにつきましては、全国とほぼ同様な状況が見られ、これからの指導に生かすための貴重な情報が把握できたものと考えております。
今回の調査は、学力については、国語、算数、数学といった限られた教科での調査でありますが、学習状況については多岐にわたった調査であるため、学力と学習状況の関連など、さらに詳細な分析結果を多数得ることができるものと考えております。
県教育委員会といたしましては、今後、それらの分析をもとに課題を把握し、市町村教育委員会とも連携を密にしながら、学力向上へ向けての取り組みや生活指導面での指導の改善に努めてまいりたいと考えているところでございます。
15:
◯議長(
青山秋男君) 進行いたします。
木藤俊郎議員。
〔三十番
木藤俊郎君登壇〕(拍手)
16: ◯三十番(
木藤俊郎君) 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党愛知県議員団を代表して、生活者重視の視点に立った我が党の基本姿勢に沿って、県政の諸問題について順次お尋ねをいたします。
質問の第一は、法人二税の偏在是正問題についてであります。
この夏の参議院選挙を契機に、さまざまな格差に関する議論が巻き起こっております。私たち地方の行政に携わる者として影響が大きく、その行方に無関心でいられないのは、何といっても法人二税の偏在是正問題であります。
申し上げるまでもなく、愛知県は高度に産業が発展した地域であり、近年では、日本一元気な地域として注目を浴び続けていることは皆様も御承知のとおりであります。
これは、企業、県民の皆様のたゆまぬ御努力のたまものであります。さらに、県当局が戦後復興期から連綿と産業振興に強力に取り組み、また、道路などの公共交通や工業用水道などのインフラ整備を長期的な視点で着実に行ってきたことが現在の愛知の活力を支えていることも事実であります。
こうした中、地方部と都市部の都道府県の法人二税の税収に大きな格差があるとして、その配分を見直すことによって、格差の縮小を目指す動きが盛んになされています。地方間の格差是正は地方間で水平的に行うべきとの財務省案は、全国の都道府県で収入される法人二税全体を納税の有無にかかわりなく、人口や事業所数などにより都道府県間で再配分せよというものであります。
一方、総務省は、法人二税と消費税との税源交換を基本とする案を提案しており、その財源をもって交付税の特別枠をつくるという実質的な水平調整案を示しております。
神田知事は、東京都などと連携し、こうした方法での格差是正には真っ向から反対されておられますし、我々県議会としても、議長を先頭にこの問題に取り組んでいるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
知事は、地方間の水平調整による地方法人二税の見直しを進めている国の動きをどのように評価しているのか、お伺いをいたします。
質問の第二は、知事のマニフェストの進捗状況についてであります。
神田知事の三期目がスタートしてから十カ月がたちました。ちょうど一年前、私は、昨年の十二月
愛知県議会の代表質問におきまして、次の四年間で知事が特に力を入れて取り組みたい、実行したいと考えている政策は何かとお尋ねをいたしました。
知事は、万博、空港の二大事業の成果を受けて、愛知の総合力の向上が大切であるという認識のもとに、少子化対策、障害者の自立支援など、県民の皆様が安心できる福祉政策を中心に、まずは県民の安心・安全に力点を置き、さらに人づくり、とりわけ学校教育、また、知の拠点づくりや国際的イベント・コンベンションの誘致にも力を入れたいと力強く明確な答弁をされました。
知事選挙への立候補に当たっては、こうした考えを具体化したマニフェスト私の約束を作成、公表されました。そして、三期目に就任された直後には、早速、平成十九年度の当初予算の編成に取りかかられ、心の問題に取り組むための相談窓口の充実や三河山間地域の情報基盤づくり、特別支援教育の充実など、県民の期待にこたえるさまざまな事業を積極的に打ち出されました。
また、六月には、マニフェスト工程表ロードマップ二〇八を取りまとめ、今後、この工程表に基づいて進捗状況をしっかりと管理、公表しながら、マニフェストに掲げられた事業を実行していくという姿勢は、手がたく着実に事を進められる神田知事らしいところであります。
そこでお尋ねをいたします。
三期目がスタートしてほぼ十カ月が過ぎたところでありますが、知事は、マニフェストに掲げられた政策の進捗状況についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
質問の第三は、医療対策について二点お伺いをいたします。
まず、一点目は、がん対策についてであります。
我が公明党では、がん対策を重点施策の一つとして位置づけ、積極的に取り組んできております。党を挙げてがん対策に取り組んできた結果、平成十八年六月のがん対策基本法の成立、平成十九年六月のがん対策推進基本計画の閣議決定へとがん対策強化の確かな道筋をつけてまいりました。このがん対策推進基本計画においては、治療の初期段階からの緩和ケアの実施が重点的に取り組むべき課題の一つとされております。
緩和ケアとは、がん患者の肉体的及び精神的な痛みをやわらげ、身体や心のケアをするとともに、家族に対するケアも提供するというものでございます。
また、患者の療養生活の質の維持向上を図るため、緩和ケア病棟だけではなく、一般病棟や住みなれた家庭、地域でも緩和ケアを提供することが重要であるとされております。
本県では、どこに住んでおられても等しく高度ながん医療を受けられる体制を確保するため、がん医療の専門病院としてがん診療連携拠点病院が整備されてまいりました。このがん拠点病院には、医師、看護師、医療心理に携わる方々等から構成される緩和ケアチームの設置が義務づけられており、緩和ケア病棟の患者だけではなく、一般病棟の患者に対しても適切な緩和ケアを提供しております。
県内の緩和ケア病棟については、平成十九年六月には十施設、合計百九十二病床となり、施設の面では提供体制は着実に整備されつつありますが、人材の面では果たして十分と言えるのでしょうか。
がん拠点病院に設置されている緩和ケアチームや緩和ケア病棟においても、専任の医師は一人である場合が多く、他の医師は別の診療科との兼任であると聞いております。また、緩和ケアの専門的知識を持つ看護師なども必ずしもすべての拠点病院に配置されているわけではありません。まして、拠点病院以外の多くの病院では、こうした専門的な知識を持つ医療従事者はほとんど配置されていないというのが実情ではないでしょうか。
また、最近になって大学医学部に緩和ケアの講座が設置されるようになったことからもわかるように、緩和ケアに関する教育はこれまで必ずしも十分に行われてきたわけではありません。実際に、他の診療科と異なり、緩和ケアに関しては、学会による専門医の資格認定は現在のところ行われておりません。したがって、がん医療従事者に対して緩和ケアを指導できる医師はもちろんのこと、専門的知識を持つ医療従事者の育成も十分ではないと言われております。
そこでお尋ねをいたします。
緩和ケアを推進するため、本県として医師や看護師などの緩和ケアを行う医療従事者をどのように育成していかれるのか、お伺いをいたします。
医療問題に関する質問の二点目は、周産期医療に関する問題でございます。
昨年の八月に、奈良県で出産の最中に意識不明になった妊婦さんの緊急転送先がなかなか見つからず、ようやく搬送された大阪府の病院で残念ながら死亡するという事件が発生し、社会に大変大きな不安を与えました。
この事件では、奈良県において、ハイリスク出産などに対する周産期医療体制が十分に整備されていなかったことが大きな要因であったと報じられたところであります。さらに、本年八月には、再度奈良県において、スーパーで買い物中の妊婦さんが異常を来し、救急車が搬送先を探しましたが、受け入れ病院が見つからず、搬送中に死産したという妊婦の救急受け入れに関係する事件が発生をいたしました。
このような事件の発生は大変残念なことであり、また同時に、大きな不安を地域住民に抱かせてしまったのではないかと思うものであります。
この救急搬送の問題については、九月に総務省消防庁などが産科・周産期傷病の救急搬送について緊急実態調査を実施しております。この調査は、平成十六年から平成十八年の三年間の搬送状況を調べているものであります。
このデータをもとに、最初の医療機関で受け入れができなかった率、仮にこれを不応需率と呼びますが、この率を算出してみたところ、本県は一・三八%で全国で十一番目に低い、即ち、よく救急搬送を受け入れているという状況になりました。
ちなみに、出生数の多い都道府県の不応需率を見てみますと、大阪は一〇・二%で全国四十四位、東京都は一二・六%で四十五位、神奈川県は一四・二%で四六位となっており、全国の出生数の多い大都市圏と比較し、本県は大変良好な状況にあります。
このような背景には、本県では、未熟児の出産、多胎分娩などにおける高度な周産期医療への対応のため、平成十年七月以来、名古屋市にあります名古屋第一赤十字病院を総合周産期母子医療センターに指定し、この第一日赤と県内各医療圏で認定された地域周産期母子医療センターを結ぶ周産期医療システムが整備されていることがあるのではないかと思います。
このように、本県では、名古屋第一赤十字病院を初め地域周産期母子医療センター等において、相当頑張っていただいている結果が先ほど申し上げた比較的スムーズな受け入れにつながっているのではないかと思います。
私は、先日、名古屋第一赤十字病院へ出向き、周産期医療の現状を見てまいりました。この第一日赤の母体・胎児集中治療管理室、いわゆるMFICUや、新生児集中治療管理室、いわゆるNICUは、連日の患者さんの受け入れにより、ほぼ満床の状況であることを目の当たりにしてまいりました。
本県の周産期医療システムが医師数、看護師数等もぎりぎりの状態の中にありながら、緊急の患者受け入れを断らないというポリシーを持った病院スタッフの献身的な努力によって支えられていることを痛感したものであります。
県民が安心して妊娠、出産できる環境を確保していくため、何としても本県の周産期医療システムを維持していかなければなりません。
そこで、知事にお伺いをいたします。
本県におけるハイリスク妊婦の周産期医療体制の現状をどのように認識されているのか、また、奈良県の問題などを踏まえ、今後、安心・安全な周産期医療体制に向け、どのような充実を図っていかれるのか、お考えをお尋ねをいたします。
質問の第四は、犯罪抑止対策についてであります。
愛知県では、平成十五年に戦後最高となる約二十二万五千件と十年前の約二倍もの犯罪が発生いたしました。中でも、ひったくりや自動車泥棒、さらには路上強盗等が多発し、治安情勢は極めて憂慮される状況にあったと言えます。
こうした情勢を打破しようと、愛知県警察では、平成十五年暮れに愛知県警察治安回復アクションプランを策定し、治安回復に向けてさまざまな取り組みを始めました。特に、警察官の増員のほか、犯罪を未然に防ごうと街頭での活動を強化しております。
実際、私の地元であります一宮市では、パトロールする警察官の姿をよく見かけるようになりました。署長さんの指揮のもと、昼夜を分かたず、汗を流しながら警察活動に取り組む姿に士気の高さを肌で感じることができ、地域住民にとってはまことに心強い限りであります。治安を維持するため、ひたむきに活動する警察官の姿は、県民が安心して暮らせるよりどころと言っても過言ではありません。
こうした取り組みが結実したと思われますが、県内の犯罪発生件数は、平成十六年以降、着実に減少を続けていると伺っております。さらに、治安の回復基調を一層加速させようと愛知県警察では、組織一丸となって、新たに平成十八年対比で一万件以上減少させることを基本目標とした治安回復アクションプランIIに取り組まれてきました。
このような中で、警察のみならず、地域住民みずからの活動も活発になり、私の地元一宮市でも、十一団体二十五台に上る青色回転灯を使用したパトロール活動が行われるなど、自主防犯活動の輪が広がっております。
まさに、県民、自治体、警察が一体となった活動が繰り広げられているわけであります。
しかしながら、警察等のこうした積極的な取り組みにもかかわらず、本年五月には、長久手町におきまして、けん銃を使用した人質立てこもり事件が発生し、警察官が殉職されるなど、まことに遺憾な出来事が起きております。
さらに、八月には、名古屋市千種区内で帰宅途中の女性が拉致され殺害される事件も発生しております。インターネット上で知り合った見ず知らずの男性同士が共犯者となって凶行に及んだこの事件は、金目当ての愚行の果てでありました。人間として到底許されるものではなく、被害者及び御家族の方の無念さははかり知れないものであります。
このような凶悪事件が身近で連続発生いたしますと、県民の不安感も増大することとなり、せっかく犯罪が減少傾向にある中、体感治安に悪影響を及ぼすのではないかと一抹の不安がないわけではありません。
本年も残すところわずかではありますが、このまま推移すれば、愛知県警察アクションプランIIの基本目標をほぼ達成できるものと期待しております。しかし、県民の皆様方が治安が本当によくなったと実感できるようになるには、今後、街頭における活動の強化や地域の防犯力の向上に向けたさまざまな取り組みを継続して行っていく必要があると思っております。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
本年、犯罪の減少傾向を維持するため、どのような犯罪抑止対策に取り組んでこられたのか、また、今後も犯罪の減少傾向を一層堅調なものにするため、どのような取り組みを実施されるのか、お伺いをいたします。
質問の第五は、あいちの教育に関するアクションプランについてであります。
人口減少・超高齢社会の到来、社会経済のグローバル化や人々の価値観、ライフスタイルの多様化など、社会状況が大きく変化している中で、先ほども述べましたが、ここ数年、本県はずっと日本一元気な県と言われ続けております。この背景には、自動車産業に代表される本県の産業経済の活気や、愛知万博を契機に高まりつつある環境保全への取り組み、NPOやボランティア活動の広まりなどさまざまなものがあると考えておりますが、こうした元気な愛知を持続させ、さらなる飛躍と発展を遂げるために最も大事なことは、将来を担う人づくりであります。
この四月に、教育委員会は、愛知の教育を考える懇談会の最終報告や国における教育改革の動きなどを踏まえつつ、教育を取り巻く現状とさまざまな問題を明らかにしながら、その解決に向け、今後、県が取り組むべき具体的方向を掲げたあいちの教育に関するアクションプランを策定されました。
このプラン全体に流れる基本的考え方に、家庭・地域・学校の協働による教育の推進が掲げられております。教育の原点である家庭で基本的生活習慣や善悪の判断を培い、地域の中で社会性や他人を思いやる心などを養い、学校で確かな学力や豊かな人間性を育てるといったそれぞれの役割と責任を認識し合い、一緒になって将来を担う子供たちを育てていくことを前面に打ち出しております。また、こうした家庭・地域・学校の取り組みを支援する県の取り組みを打ち出しております。
さて、このプランは、目標年度を平成二十二年度においた中期的な計画でありますが、何事も初めが肝心と言われますように、プラン策定後、速やかにプラン推進のための行動を行うことや当初の反響や手ごたえを確認することは、大変重要なことではないかと思っております。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
策定後の半年間、プランの推進に向け、どのような具体的取り組みを行い、その取り組みの結果、手ごたえをどのように感じられているのか、さらに、今後、どのような取り組みを行っていかれるお考えなのか、お伺いをいたします。
質問の第六は、新しい産業の創造についてお尋ねをいたします。
本県の経済の好調さを支えている基盤は、この地域が持つ世界の中でも第一級の物づくりの集積にあります。この物づくりの指標となる工業統計調査結果速報によりますと、平成十八年の愛知県の製造品出荷額等は七年連続の増加となり、四十三兆円を超えて過去最高を更新し、昭和五十二年以来、三十年連続全国一となっております。
これを業種別に見てみますと、構成比では、自動車産業を初めとする輸送機械が全体の半数を超える五一・二%を占めている状況にあるほか、十年前と比較すると、非鉄金属、輸送機械、電気・情報通信機械で四〇%以上増加した一方、構造的に厳しい経営環境にある衣服、繊維などでは五〇%以上減少しているなど、産業分野によって業種間で成長力に大きな格差が見受けられます。
将来の物づくり愛知の持続的な発展を考えますと、成長性の高い次世代産業づくりを行政が強力に推進していくことが求められているところであります。
こうした状況の中、本県では、平成十七年一月に策定した愛知県産業創造計画において、本県の基幹産業である自動車産業を初めとする産業集積や技術集積といった本県の強みを生かしつつ、自動車の進化に伴う関連産業の新展開や将来の成長が期待される産業分野の集積を図っていく必要があるとしております。
具体的には、医薬品、医療機器、再生医療など健康長寿産業を初め、環境・エネルギー産業、ライフ・クオリティ産業、航空宇宙産業の四分野を戦略的重点分野として掲げております。
そして、これらの振興を図るため、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、ITといった三分野の基盤技術の研究開発、事業化などの取り組みを戦略的に展開し、次世代産業クラスターの形成を図るとしております。
私たちに豊かで安らぎと潤いのある生活をもたらし、将来への夢や期待感を抱かせてくれるこれらの次世代産業を振興させていくことは、本県産業の持続的発展のためにも重要な課題であり、長期的な視点で戦略的に推し進めていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
こうした次世代産業に対する振興や育成について、どのような方向で取り組みを進めていかれるお考えなのか、本県の基本的な戦略についてお伺いをいたします。
次に、とりわけ、これらの次世代産業分野のうち、高齢化が進展する中、県民ニーズも強い健康長寿産業と未来への夢につながる航空宇宙産業について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、さらに、こうした取り組みによってどのような具体的成果が上がってきているのか、お聞かせください。
質問の第七は、国際観光の推進についてであります。
平成十九年一月から施行された観光立国推進基本法の規定に基づき、本年六月には、観光立国推進基本計画が閣議決定されたところであります。その中には、我が国の国際競争力の高い魅力ある観光地の形成など、国際観光振興を促進するための環境の整備等について講ずべき施策が定められております。
本県としても、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、観光旅行の促進のための環境整備を一層推進していくことが求められております。
さて、海外から日本へ訪れる旅行者は、このところ、経済の急成長を背景に、中国を初めとする東アジアからの観光客の増大により増加してきております。独立行政法人国際観光振興機構の調査によりますと、訪日外国人旅行者は平成十三年と平成十八年を比較すると、平成十三年の四百七十七万人から平成十八年の七百三十三万人と五年間で五割以上増加しております。とりわけ、中国、韓国からの伸び率は、それぞれ一〇七・四%と八六・七%と他地域と比べ著しい伸びがあります。
本県の状況を見てみますと、同機構の統計資料から算出した平成十八年の外国人観光客は、第一位は中国からで十四万七千人、続いて台湾から十三万人、韓国から十二万九千人となっております。この三国からの観光客だけでも、本県への外国人観光客数の全体の約六割、五七・六%を占めております。
近年、中国を初めとした東アジアの経済発展は著しいものがあり、とりわけ、十三億を超えるこの地域の人口を考えますと、今後も東アジアからの来訪者がかなり期待できるものと思います。
さらに、この中部地域の観光を取り巻く環境をかんがみますと、二〇〇五年の愛知万博の開催により、国際的な知名度は向上いたしました。また、中部国際空港の開港、伊勢湾岸自動車道や東海環状自動車道などの高速道路網の整備により、当地域の広域交通インフラも格段に向上いたしました。
また、来年七月ごろには、東海北陸自動車道が本県から富山県までつながる予定となっております。国際観光を進める上では、こうした知名度の向上を初め、空港や道路等の広域交通インフラが整うことにより、中部地域に点在している観光資源を有効に活用できるネットワークが整ったものと言えます。
そこでお尋ねをいたします。
知事は、海外からの観光客の誘致を図るため、近隣県等と連携した国際観光をどのように推進していくおつもりか、御所見をお伺いをいたします。
質問の第八は、産業廃棄物対策についてであります。
循環型社会の形成は、今世紀の大きな課題であります。この課題を克服するためには、県民、事業者、行政がそれぞれの立場で役割を果たし、廃棄物の排出を抑制し、排出された廃棄物については、極力再使用及び再利用をすることにより、資源循環の推進、いわゆる三Rを推進することであります。
このため、県においては、公共工事の資材調達に当たって、平成十四年に愛知県リサイクル資材評価制度、いわゆるあいくる制度を創設し、再生資材の率先利用に努めていると承知をしております。
また、先導的で効果的なリサイクル施設の整備促進に向けたあいちエコタウンプランや、県内各地域の未利用資源の循環的活用に取り組むゼロエミッション・コミュニティ構想を策定し、全国に先駆けた資源循環型社会形成の施策を推進していることは高く評価をしているところであります。
しかしながら、最近の報道や私のもとに届く情報から考えますと、リサイクルを隠れみのとした産業廃棄物の不適正処理が最近目立ってきているのではないかと懸念をしております。
本県における事例として、フェロシルト問題があります。フェロシルトは、実際には産業廃棄物として適正に処分すべきものであったにもかかわらず、製造会社が意図的に埋め戻し材と偽って出荷し、各地で土地造成等に使用されたことから大きな社会問題になりました。
また、フェロシルト問題とは性格を異にいたしますが、鉄鋼スラグを使用したリサイクル製品の製造の過程で不適正な処理が行われたという事案もありました。鉄鋼スラグは、天然資材とよく似た特性や安定した品質を有しており、長年の研究によりリサイクルの優等生として認められており、道路用路盤材やコンクリート用骨材など各方面で有用な資材として利用されております。
しかし、一部の産業廃棄物処理業者において、有害物質を含むスラグを原料として利用したことから、エージングと言われる養生工程で不適切な管理により、有害物が溶け出して環境を汚染するおそれがあることが判明をいたしました。
県では、当該事業者に改善を命ずるとともに、同様の処理工程を有する他の事業者に立入調査し、適正指導を行ったと聞いております。私も現地を訪れ、地域住民の皆様に不安を与える状況になっていないか直接見てまいりましたが、飛散防止と雨水による溶出防止のためのシートをかぶせるなどの応急的な改善措置は行っておりましたが、やはり近隣住民にとっては完全に不安はぬぐい切れないのではないかと思いました。
産業廃棄物の再生利用を進め、資源の節約を図ることは、循環型社会を形成する上では非常に重要なことではありますが、環境への影響がないよう安心・安全なものとして利用されることが必要であります。安心と思われていたものが実は一部のものに環境汚染のおそれがあったという事例が見られたことは非常に残念なことと思います。
そこでお尋ねいたします。
産業廃棄物の適正な再利用に向けては、優良事業者の育成や監視の徹底など廃棄物処理法に基づく対応は当然でありますが、現行法では、産業廃棄物等の再生資源からつくられる再生品の環境安全性などを事前に確認する仕組みがなく、適正指導が困難となっていることから、より一層の安全性を確保するため、事前に情報を得て適切な指導ができるような抜本的な仕組みを整える必要があると思います。県のお考えをお伺いいたします。
最後の質問は、農業政策、魅力ある農業についてであります。
愛知県の農業は、全国で第五位の生産を誇っておりますが、農業生産に携わっている方々の年齢構成を見ますと、大変高齢化しており、六十五歳以上の人が五五%を占め、十五歳から三十九歳までの若い農業者は、平成七年には二万人いたものが平成十七年には一万一千人まで半減しています。
今後、若者の就農を促し、若い農業者を地域の担い手として育てていかなければ、本県農業の持続的発展もおぼつかないものになります。
農林水産省が高校生を対象に行った農業に対する意識アンケート調査結果によれば、農業はカッコイイかダサイかとの問いには、どちらかといえばそうだも含めて、カッコイイが一四%、ダサイが三四%となっています。また、農業はもうかるかとの問いに対して、もうかるが一六%、もうからないが四二%となっています。
最近の農業は、機械化が進んで重労働ではなくなり、昔と比べて随分スマートなものになっておりますし、また、一千五百万円以上の売り上げがある農家の数も、愛知県は北海道に次いで多くなっています。それに、農業には、自然の中で家族と一緒に仕事ができるとか、みずからの采配で経営ができるなど、サラリーマンにはない魅力があります。
しかし、残念ながら、農業を知らない普通の若者からは、農業は魅力のない産業だと思われているようであります。若者の就農を促進するためには、愛知県の物づくりが盛んな風土を生かして、農業と工業が連携した二十一世紀型とでも言えるような魅力ある農業の技術開発や、若い農業者が友人、知人に胸を張って話すことができるようなしっかりした経営の確立が必要であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
今後、若者にとって魅力ある農業の実現に向けて、どのように取り組まれようとするのか、知事の所見を伺います。
以上、県政各般にわたる諸問題についてお尋ねをしてまいりました。知事初め理事者各位の積極的かつ熱意あふれる答弁を期待いたしまして、私の壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
神田真秋君登壇〕
17:
◯知事(
神田真秋君) お答えをいたします。
初めは、法人二税の偏在是正についてであります。
なお、これまで県議会におかれましては、大変な危機感のもとに精力的に国などの関係機関への要望を行っていただいたところでございまして、改めて深く感謝を申し上げます。
さて、御質問は、地方間の水平調整による法人二税の見直しを進める国の動きに対する評価はどうかという点であります。
まず、法人二税を一括徴収した上で人口や事業所数などにより再配分するという財務省案でありますが、これは地方税の受益と負担の関係、あるいは産業振興策やインフラ整備など、これまでの税源涵養努力を無視する極めて乱暴な議論であると考えております。
また、法人二税と消費税の税源交換により生じた財源で交付税の特別枠をつくるという総務省案でございますが、御指摘のとおり、都市圏の税収を地方に振り向ける実質的に水平調整であることに変わりはありません。一たんこの水平調整を受け入れてしまえば、今後、国は地方財政に対する責任を放棄し、同じことが繰り返されることになりかねないと考えます。また、このような議論で決着すれば、地方財政は活力を失い、都市も地方も疲弊する中で、さらに地域間で税源を奪い合い、地方全体が地盤沈下を起こし、負の連鎖が続くものになります。
したがいまして、国に対し、地方間の水平調整という小手先の手段に頼ることなく、現在の地方財政を危機的な状況に陥れた交付税一・五兆円の削減を責任を持って復元、充実されることを引き続き強く求めてまいります。
次は、マニフェストの進捗状況についてお答えを申し上げます。
私は、マニフェストをまとめるに当たり、万博、空港の二大事業により高まった愛知の総合力をさらに維持拡大するために、まずは足元を固めることが大切であり、県民の皆様方の安心・安全の確保にしっかり取り組むべきだと考えたところでございます。
そして、選挙戦を通じ、そのことを県民の皆様方に強く訴えたところでございますが、選挙後におきましても、さまざまな事件、事故が後を絶たない昨今の社会情勢を見るにつけ、県民の皆様の安心と安全に寄せる強い思いにおこたえをしなければならないと考えているところでございます。
私は、三期目のスタートに合わせ、マニフェストで掲げた二百八の事業を直ちに県の組織としてきちんと受けとめるよう各部局に指示をし、実現に向けた各年度ごとの具体的な取り組みを四年間の実施計画、いわゆるロードマップ二〇八として体系化をし、この六月に公表したところでございます。
この二百八の事業のうち、およそ九割につきましては、具体化に向けまして、十九年度当初予算で措置をしたところでございますが、市町村や関係団体との調整を要する、例えば一般不妊治療や三人目以降の乳幼児の保育料無料化などにつきましては、六月及び九月補正予算で御承認をいただき、事業化へのスタートを切ったところであります。
ロードマップは、まさに目標到達への道筋を示すものでございますので、これに忠実に沿って着実に達成できるよう取り組んでまいる所存でございます。
最近の法人二税問題のように想定外の事態も出てまいりますので、これからも議員の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、知恵を結集して適切な対応を図り、県政の発展に全力を尽くしたいと存じます。
次は、がん患者に対する緩和ケアについてでございます。
がん患者の療養生活の質を維持向上するためには、緩和ケアを行う医療従事者の育成がとても重要であると考えております。そこで、現在策定中の愛知県がん対策推進計画におきまして、緩和ケアの推進をがん医療における重要な柱と位置づけ、それを担う人材の育成に積極的に取り組むことにしております。
まず、緩和ケアの指導者の育成のため、県がんセンターにおいて、現在十一カ所あるがん診療連携拠点病院の緩和ケアに従事する医師を対象とした研修会を今年度中に開催することにしております。この研修を受講した医師が指導者になって、各拠点病院において緩和ケアの専門家を育成するとともに、各地域で開催する研修会の講師となり、がん医療従事者全体に緩和ケアの基礎的な知識を習得していただきたいと考えております。
また、看護師につきましては、今年度から県がんセンターにおいて、がん看護に関する専門的な臨床実務研修を開始したところでございます。
さらに、来年度でございますが、中部地方で初めて県立看護大学に定員三十名の日本看護協会が認定をしましたがん性疼痛看護認定看護師、この教育課程を開設して、すべての拠点病院に少なくとも一名の認定看護師が配置できるよう、緩和ケアの専門的な知識を持つ看護師を育成するなど、緩和ケアに携わる医療従事者の育成にしっかりと取り組んでまいります。
続いて、周産期医療体制についてのお尋ねでございます。
周産期医療につきましては、つい一週間ほど前、全国知事会社会文教常任委員会の委員長として舛添厚生労働大臣と意見交換したところでございます。この問題は、県民の皆様方に安心・安全な医療を提供する上での大きな課題の一つであると認識をいたしております。
本県の周産期医療につきましては、総合周産期母子医療センターと県内十一カ所にわたる地域周産期母子医療センターのネットワークシステムにより対応されているところでございます。そして、関係の産科医師の大変厳しい勤務実態の中、ハイリスク妊婦の受け入れや救急車による緊急入院に大変な御努力をいただくなど、十二分にその機能を発揮されておりまして、今日まで大きな問題もなく運営させていただいているところでございます。
なお、産科医師の確保には各病院とも努力をされておりますものの、時として欠員を生じることもございまして、その場合には、周産期システムの各病院相互の受け入れ協力により対応することにいたしております。
また、最近は、この周産期母子医療センターのNICU等の病床利用率、これが年間平均で九五%とほぼこれは満床状況にございます。このため、周産期医療に関する審議を行う愛知県周産期医療協議会、これを先月の十六日に開催をいたしまして、総合周産期母子医療センターの複数設置について検討を行いましたところ、候補として数カ所の病院が挙がっておりますことから、来年度当初を目途に新たなセンター設置を考えてまいります。
また、NICUにつきましても、今後整備を予定している病院もございますので、積極的に働きかけを行い、県民の皆様方に安心して医療を受けていただける体制をつくってまいります。
次に、新しい産業の創造についてでございます。
まず、次世代産業の振興や育成の基本的な戦略という点でございますが、本県では、愛知県産業創造計画におきまして、競争力のある次世代産業の創造、これを目標の一つに掲げておりまして、その施策展開に当たっては、主に次の三点の取り組みを進めております。
第一に、御指摘のありました成長性の高い四分野につきましては、この地域の産学行政の力を結集すべく、それぞれの分野ごとに産学行政から成る推進組織を立ち上げ、その活動のもとで関係者による情報提供や普及啓発、共同研究など、取り組んでいるところでございます。
第二は、高度先端産業立地促進補助金を次世代産業分野に集中して展開をして、国の内外からの企業誘致を積極的に進めておりますほか、次世代産業分野について中小企業が実施する試作開発を支援するなど、この地域の産業競争力の強化に努めております。
第三は、次世代産業の創出に不可欠な科学技術に裏打ちされた技術革新を進めるため、産学行政連携の強化と拠点づくりを進めてまいります。これは、具体的には、現在、知の拠点づくりとして推進をしているところでございます。
次に、次世代産業に対するこれまでの取り組みと具体的な成果についてという点でございます。
健康長寿産業、この産業分野につきましては、平成十七年十月に設立したあいち健康長寿産業クラスター推進協議会、ここにおいて、三百を超える企業、大学、関係団体相互の交流会、関係製品の展示・販売促進、事業化のための分野別研究会などの取り組みを進めているところでございます。
こうした取り組みのもとに、本県や国の支援制度も活用して、介護施設での実証に基づいた会話ロボットの改良・開発や、あるいはセンサーを組み込んだ手術用の鉗子の試作開発などを初め、約五十の共同研究、試作開発が進められてきておりまして、具体の成果が上がりつつあるプロジェクトもございます。
一方、航空宇宙産業の分野につきましては、本県を初めとするこの地域の航空機生産額が全国シェアの約五割を占めるなど、大変高い集積がございます。この集積をさらに高めるために、中部地域の産学行政が連携して設立をいたしました社団法人中部航空宇宙技術センター、このセンターを中心に調査研究、情報提供、普及啓発などの取り組みを進めているところでございます。
また、本県では、次世代旅客機ボーイング787の機体の一部を生産する二つの工場の建設に補助金を交付し、その立地を促進いたしましたほかに、現在、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAでございますが、ここの飛行研究施設の誘致活動にも、経済界と一緒になり、力を入れて取り組んでいるところでございます。
さらに、十月下旬でございましたが、業界の動向あるいは最先端技術に関する講演会、展示・商談会を行います航空宇宙シンポジウムを開催をいたしまして、中小企業の新規参入を支援いたしております。
いずれにいたしましても、今後とも関係機関の連携のもとに、次世代産業の振興、育成の取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、国際観光の推進についてお答えを申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、この地域では、中国を初めとする東アジアからの観光客は、このところ年を追って目覚ましく増加をしてきておりますし、中部国際空港、各種の高速道路など広域交通インフラは格段に整備が進んでおります。
こうした中、本県では、県境を越えて複数の魅力ある観光地を結びつけていくことが外国人観光客の誘致に効果的であると考えまして、愛知万博を契機とし、平成十七年十月、博覧会が終わってすぐに設立したのが中部広域観光推進協議会といった組織でございます。現在、この組織を軸に近隣県と連携をして国際観光の推進に取り組んでいるところでございます。
例えば、同協議会では、急速な経済成長を遂げておりますこの東アジア地域に的を絞り、ハイレベルミッションの派遣、私も昨年参加をいたしましたが、こうしたミッションの派遣や教育関係者、旅行エージェントなどの招聘、海外で開催される観光展への出展などを力を合わせて実施をしているところでございます。
これらの結果、成果も少しずつ上がっておりまして、昨年は、中部国際空港 広州線の大幅な増便を実現できました。また、ことしは台湾から、これは靴メーカーでございましたけれども、社員旅行約千三百人、また、中国天津市からは教育旅行の中学生が約百二十人、この地域への誘致が成功するなど、着実に成果を上げつつあるところでございます。
また、多数の観光関係者が参加をする二〇〇九年の日中韓観光大臣会合、これをこの地域に誘致すれば、この地域を中国、韓国にPRする大きな機会になると考えまして、本県の提案で中部圏知事会議において誘致することを決めたところでございまして、先月、知事会議として誘致に向け、国に要望活動を行ったところでございます。
これらの取り組みを含め、今後とも一層近隣県との連携を強めながら、国際観光を推進していく所存でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、産業廃棄物の再生利用についてお答えを申し上げます。
天然資源の乏しい我が国におきましては、廃棄物を再生資源として循環利用を進めることは極めて重要だと考えておりますが、最近、フェロシルトなど廃棄物から製造されました再生品に関連する不適切な事案が続いておりますことから、これらに対し新たな対応を図る必要があるものと考えております。
このため、本県では、廃棄物処理法を補完する新たな制度、仕組みとして、再生品を製造する事業者に事前に届け出をしていただき、立入検査や有害性の分析検査を行い、当該再生品の環境安全性を県が審査する全国初となる制度設計について、現在、関係者の意見をお聞きしながら、その検討を進めているところでございます。
こうした制度の構築などにより、再生品の安全性が確保され、リサイクルが一段と円滑に進むようにしてまいりたいと考えているところでございます。
最後のお答えになるわけでございますが、魅力ある農業の実現についてお答えを申し上げます。
魅力ある農業とは、やはり将来に夢を描くことができなければならないと思いますし、それよりも何よりも、他産業に比べて遜色のない所得が安定して得られる農業であることが必要だと認識をいたしております。若者たちの就農を促進していくためにも、こういった農業の実現はぜひとも必要だろうと、そんなふうに考えております。
しかし、農産物価格の低迷、農業資材の高騰など、農業を取り巻く環境、大変厳しい中で、これをやれば農業が直ちに魅力的になるという特効薬、即効薬的なものは残念ながらございませんので、これまで進めてまいりました農産物の低コスト生産、高付加価値化に向けた取り組みをこれからも一つ一つ着実に推進していかなければならないと考えております。
また、こうした取り組みに加えて、従来の農業のイメージを大きく変える最先端のITを活用し、温度や水やりなどを自動的に管理できる技術の研究開発、あるいはみずからの経営の分析はもちろんのこと、市場ニーズや新技術などの動向を敏感にキャッチできるすぐれた経営感覚を持った農業者を育成するための実践的な研修の実施など、さまざまな施策を積み重ねることによって、若者たちにとって少しでも魅力ある農業の実現に今後とも県として努力をしていきたいと考えているところでございます。
以上、私からの答弁といたします。
18:
◯警察本部長(
松尾庄一君) 私からは、木藤議員の代表質問のうち、犯罪抑止対策についてお答えいたします。
本県における刑法犯の認知件数は、議員お示しのとおり、平成十五年に約二十二万五千件と十年前の約二倍となりました。これに対して、警察としては強い危機感を持ち、近い将来、当時の水準まで減少させることを目標にし、そのため、治安回復アクションプランを策定し、街頭犯罪、侵入犯罪のような県民に身近な犯罪にターゲットを絞り、街頭犯罪の取り締まり強化を初めとする種々の対策に取り組んでまいりました。
また、地域の方々や自治体、事業者の皆様におかれても、県民総ぐるみ運動などを通じた防犯意識の啓発活動を積極的に推進し、地域の防犯力向上を図ってきました。
特に、青色回転灯を使用する自主防犯パトロールは、昨年十二月末現在で一千百九十四台と全国トップクラスであり、自主防犯団体数は、平成十五年と比較して、同じく十二月末現在で約十三倍となり、まことに心強く感じているところであります。まさに、こうした三位一体の取り組みが大きな成果につながり、昨年は十五万七千件とピーク時に比べ大きく減少しました。本年もこの方針を継続し、十月末現在、昨年同期に比べ、約一万一千七百件の減少を見ているところであります。
今後も、引き続き関係団体、関係機関と協力しながら、合同パトロール、犯罪情報の提供など、さらなる連携の強化に努めるとともに、防犯設備の設置を促進するなど、犯罪が起きない環境づくりに力を注いで、犯罪の減少傾向を一層確かなものにしてまいりたいと思っております。
以上でございます。
19:
◯教育長(
伊藤敏雄君) 御質問のありましたあいちの教育に関するアクションプランの推進に向けての取り組みについてお答えをいたします。
プラン策定初年度に当たります本年は、まず、関係者へプランの趣旨についての理解と協力をお願いするため、市町村教育委員会や学校、PTA、さらにはNPOや産業労働団体等と意見交換を行ってまいりました。さらに、広報紙などを通じて、家庭・地域・学校の協働による教育の推進を広く県民に訴えてきたところでございます。
また、教育の出発点であります家庭教育の推進に重点を置き、学習・読書などの促進、親子の対話・きずなづくりを視点に置いたノーテレビデー・ノーゲームデーのキャンペーン活動も展開をしてまいりました。
このキャンペーン活動を契機に、市町村や学校で特色ある具体策の展開が見られるなど、その趣旨は各方面にも浸透しつつあると感じているところでございます。
今後におきましても、こうしたテーマを決めてのキャンペーンの展開など、教育関係者はもとより、幅広い県民の理解、協力が得られるような取り組みを推進してまいりたいと考えているところでございます。
20:
◯知事(
神田真秋君) 訂正が一カ所ございます。
先ほど法人二税の偏在是正問題についてお尋ねをいただき、答弁する中で、交付税削減額を五・一兆円と言うべきところを、つい興奮して一・五兆円と答弁をいたしました。訂正しておわびを申し上げます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
21: ◯三十七番(
田辺克宏君) 本日はこれをもって散会し、明十二月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
22:
◯議長(
青山秋男君)
田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
23:
◯議長(
青山秋男君) 御異議なしと認めます。
明十二月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は
文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時十三分散会
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