各警察署の朝礼等において、例えば早めの合図、安全な車間距離の保持、助手席者も安全運転の保持に努めるなど、具体的に指導をしていく。従来も実施してきたことではあるが、公用車運転中の事故が引き続き発生していることは誠に残念なことであり、今後も運転技能認定を厳格に実施するほか、職員一人ひとりに安全運転の意識が浸透するように努めていく。
7: 【
浜崎利生委員】
交通死亡事故ワースト1の返上について伺う。
交通死亡事故の発生状況は、過去10年をさかのぼると平成8年から平成16年までは北海道がワースト1で愛知県は2位か3位であったが、平成17年及び平成18年の1月から8月までの統計を見ると、愛知県はワースト1である。このような状況を受けて「交通事故死『ストップ・ザ・ワースト』ファイナル100日作戦」を展開しているところである。
そこで一つ目の質問は、交通死亡事故の発生状況について年齢別・原因別などの特徴をどのように分析し、またその事故原因や特徴を踏まえて、今後どのような取組を行っていくのか伺う。二つ目は、地域別あるいは幹線道路別の取組を伺う。三つ目は、交通死亡事故ワースト1の返上のためには、私は地域や行政との協働の取組が必要であると思うが、この点について伺う。
8: 【
交通部長】
交通死亡事故情勢とその分析については、昨日現在で244名、昨年比プラス2名でワースト1であり、2位の千葉県とは43名の差がある。事故の主な特徴は、交差点での事故が144人と全体の約60パーセントを占めている。交差点での事故は例年60パーセント程度あり、今年だけの特徴ではない。
次に年齢別では、65歳以上の高齢者の交通事故が多く、既に99人の方が亡くなっており、割合は40.6パーセントである。高齢者の人口比率が17パーセント程度であるので2倍以上の方が亡くなっている状況である。また若者の事故も増加傾向にあり、昨日現在で39名、プラス8名となっている。特に深夜、四輪自動車での単独事故が多い。
地域別では、今年の特徴であるが西三河地区が大変増加している。既に76名の方が亡くなっており、昨年と比べプラス25名と50パーセント増加している。事故が多発しているのは西三河地区と東三河地区であり、尾張地区と名古屋市内は減少傾向にある。西三河地区の増加について分析すると、昨年が50名と非常に少なかったこと、また交通量を調査すると1月から7月までの間、名古屋市内では20か所の交差点のうち1か所で増加していたのに対し、三河地方では10か所の交差点のうち7か所で増加していた。交通量の増加も事故につながっていると分析している。特に高齢者の歩行中の事故、原付運転による事故が増えている。
今後の取組については、「交通事故死『ストップ・ザ・ワースト』ファイナル100日作戦」を9月21日から年末まで100日間行っている。もちろん警察だけではなく県民の皆さん始め各自治体、関係機関挙げて取り組んでいる。取組の重点は飲酒運転の抑止・高齢者対策・薄暮時や夜間の取締りの強化を図っていく。
二点目の地域別取組は、年初から西三河地区での事故が多いことから、5月から延べ3回にわたり本部員を593名動員し、シートベルト作戦、西三河での集団検問に投入している。
また、警察の取締りのほかに交通死亡事故あるいは人身事故の多い現場では、道路管理者とともに現場点検を行い、どこに原因があるのか突き詰める。例えば23号線知立バイパスで片側1車線の道路で正面衝突の事故が2件続いた対策として、センターライン上にポストコーンの設置を検討している。また、今議会の補正予算で国道1号線の三河地区の交差点信号のLED化を提案している。
三点目の質問の地域との協働の取組は、委員指摘のとおり大切であると考えている。交通死亡事故を防止する原点は、ドライバーはもちろんのこと周囲の方一人ひとりが交通安全意識を高めることが大事であると思っている。
このファイナル100日作戦では、知事が緊急メッセージを行い、企業では社長から直接社員へ手紙を出す活動も行っている。新聞・テレビ・ラジオ等でキャンペーンを行い、またテレビ番組で交通事故防止の呼び掛けを実施している。
これから年末に掛けて交通事故が多発する可能性があるので、我々もできる限りの工夫を凝らして県民総ぐるみで対策を行っていきたいと考えている。
9: 【
浜崎利生委員】
交通死亡事故ワースト1の返上に向け、現状をしっかり把握し要因分析を行い、的確な対応・対策をしてほしい。
次に飲酒運転の撲滅活動について伺う。
警察庁が緊急対策として指定した取締強化週間9月12日から18日までの状況が報道されているが、その結果は飲酒運転が4,383件、そのうち愛知県が484件、2位の千葉県の289件を大幅に上回っている。このことは、愛知県には飲酒運転の常習者が他府県よりも多いのではと思わせるのだが、全国と愛知県の状況についてどのようにとらえているのか。
幼い3名の子どもが命を奪われた福岡の事故があった、その後も飲酒運転の交通事故が後を絶たない。飲酒運転の撲滅には個人の自覚が第一であるが、警察の取締りも重要であると考えている。
飲酒運転の撲滅活動をどのように進めていくのか具体的な取組を伺う。また、酒を提供する店・同乗者・飲酒運転のほう助についての取組も合わせて伺う。
10: 【
交通部長】
全国一斉に行った取締りの状況であるが、愛知県が一番多かった。これは、実施した時間の長短があるので一概に比較はできないが、飲酒運転撲滅キャンペーンの最中にこれだけ多くの検挙者が出たということは、運動が浸透していなかったのではと残念に思う。
通常の飲酒運転の取締りで検挙者が多いのは、大阪府、沖縄県、その次に愛知県という順である。しかし、この取締りのときには愛知県が一番多かった。
飲酒運転の程度では、愛知県は呼気lリットル中0.25ミリリットル以上の者が18パーセント、それ以外の者は0.15ミリリットル以上0.25ミリリットル未満であった。他県では0.25ミリリットル以上が45パーセントで、愛知県よりも多かった。
今後の飲酒運転撲滅に対する取組は、委員指摘のとおりドライバーの自覚に尽きるが、警察としては二つのアプローチがあるのではないかと考えている、一つは取締り、もう一つは広報・啓発活動である。
酒を提供する側の飲食店には、過日、飲酒関連業界の5団体を集め啓発活動を行った。また、トラック・バス・タクシー団体にも飲酒運転撲滅の取組を要請した。
取締りは今まで以上に強力にやらなければならないと思っている。ドライバーはもちろんのこと、酒を飲ませる側、ほう助についても厳しく取り締まっていく考えである。現在も繁華街周辺の道路における包囲的な検問、駐車場のある居酒屋や深夜飲食店等でよう撃捜査も考えている。また、本県ではドライバー対策として飲酒運転を疑似体験できるゴーグル等を活用し、飲酒して運転したらどのようになるかということを自覚させる方法も考えている。
飲酒運転撲滅の機運が非常に高まっているので、この機を逃さず取締体制を強化し飲酒運転撲滅に取り組んでいきたい。
11: 【
浜崎利生委員】
治安悪化というイメージはあるが、刑法犯の発生件数は本年に入って減少傾向にある。県内調査での警察署の説明では、防犯パトロールなどの地域の活動が功を奏していると聞いている。
本年の刑法犯の発生状況とその特徴、取組、また地域との連携をどのように進めていくのか。
12: 【
生活安全部長】
刑法犯の発生状況と特徴については、刑法犯の認知件数は8月末現在で10万4,074件、昨年同期比マイナス3万1,082件のマイナス23パーセントである。
発生状況の特徴は、窃盗犯が一番多く減少し、マイナス2万8,681件のマイナス26.8パーセントである。罪種別では、4年連続して全国ワースト1位の自動販売機ねらいが昨年同期比マイナス1万432件で一番多く減少し、率では72.2パーセントの減少、3年連続して全国ワースト1位の自動車盗については、昨年同期比マイナス2,257件でマイナス45.9パーセントと大幅に減少し、ワースト1からワースト3に下がってきている。自動車関連では車上ねらい、部品ねらいと合わせて、自動車関連窃盗3罪種ではマイナス1万693件、マイナス31.9パーセントと大きく減少している。
犯罪の減少については「治安回復アクションプラン」を掲げ、県警の総力を挙げて犯罪の抑止と検挙の両面から取組を行ってきたところであるが、何よりも平成16年の「愛知県安全なまちづくり条例」制定以後、県民の皆様を始めとする様々な犯罪抑止への取組が行われてきたことが、大きな成果を生んでいるのではないかと思っている。県・市町村・事業者・警察が一体となって取組を行ってきた成果が、今ここにきて少しずつ表れてきているのではと考えている。
また、減少はしているものの刑法犯認知件数は10年前の2倍と高い水準にある。街頭犯罪については全国ワースト3という状況にあり、全国的にも子どもを対象とした痛ましい犯罪が発生をするなど、体感治安は改善されたとは言えない厳しい情勢にあると考えている。したがって、今後更に知事部局・市町村・関係団体と緊密な連携のもとに、今年策定した「あいち地域安全緊急3か年戦略」に掲げている4本柱を軸に取組を行っていきたい。
一つ目は防犯意識の高揚、10月11日から20日まで「秋の安全なまちづくり県民運動」が展開されるが、四季の県民運動を通じて県民一人ひとりの防犯意識の高揚に努めていきたい。二つ目の地域の防犯力の向上については、各小学校単位でボランティア団体を設立したいと考えている。そういった自主防犯団体の設立の促進と活動への支援で防犯力の向上を図っていきたい。三つ目の犯罪の起きない生活環境づくりについては、一般行政と警察が主に行うべき対策であるが、警察としては「愛知県警察治安回復アクションプラン」の最終年ということで、更に力を尽くし、多発犯罪や街頭犯罪に重点を置きながら更なる検挙と抑止の取組を行っていきたい。四つ目の子どもの安全確保については、不審者情報の提供・共有を行いながら学校等とも緊密な連携を行い、取り組んでいきたい。こういった施策を着実に推進することで、少しでも早く犯罪の半減を目指して安全県の確立ができるよう、強力な取組をしていきたいと考えている。
13: 【
浜崎利生委員】
今質問した3点については、県民の最大の関心事であると受け止めている。ぜひ、より効果的な活動を展開してほしい。
交通死亡事故・飲酒運転・犯罪の認知件数の全国及び県内の過去数年間の発生状況の資料提供を求める。
14: 【
森井元
志委員】
10月1日の中日新聞に警察官が全国で今後10年の間に10万4,400人、全体の約4割程度が退職していくとの記事があった。また退職見込者数は、今年度が全国で1万300人、ピークが2007年度の1万1,700人とのことである。
治安回復のためには警察官の質、量ともに高めていかなければならないが、本県の退職者見込数を伺う。
15: 【
警務部長】
本県の警察官の退職予定のシミュレーションは全国とほぼ同様の傾向であり、退職者数予想は平成19年度の約680人がピークになる。平成18年度から27年度までの10年間の累計では約5,300人と見込んでいる。この人数については本県の警察官定数が1万3,132人であるので、約4割に相当する数である。
16: 【
森井元
志委員】
新聞によると景気が回復し、雇用環境が良くなってきているので、1999年に22倍だった採用試験の競争倍率が9倍に下がってきているとのことであった。クオリティーをキープするためには競争率は大変大きな要因になると思うが、本県の競争率の推移はどのようになっているのか。
17: 【
警務部長】
本県の警察官採用試験の競争率については平成11年度が13.0倍、その後平成13年度から警察官の増員が本格的に行われ、採用人数が増えたこともあり平成12年以降10倍を下回っている状況にある。第一次試験の受験者数は平成15年度の7,400人余がピークであり、最近の経済状況を反映したものと考えているが、受験者数が減少傾向にあるため競争倍率が低下してきている。平成17年度の競争倍率は5.1倍であった。残念なことに本年度も更に受験者数が減少しており、まだ合格者が確定していないので最終的な競争倍率は出ていないが、更に低下する見込みとなっている。
18: 【
森井元
志委員】
リクルーター制度を行っていると聞いているが、制度の概要と効果、リクルーター制度以外の施策、優秀な人材確保に向けた施策を伺う。
19: 【
警務部長】
リクルーター制度については、本県では平成2年から実施している。制度の概要は、出身大学ごとに若手警察官を指定して、リクルーターが大学で主催される就職セミナーに参加するなどして採用試験への受験勧誘を行っている。現在、県内では八つの大学に20人のリクルーターを指定している。学生にとって大学の先輩は身近なこともあり、先輩から警察の仕事や警察学校での教育訓練の内容などを聞くことができ、リクルーターの効果は大変有意義なものになっていると思う。実際にリクルーターが就職セミナーに参加している大学からは、多くの学生が受験している。
リクルーター以外の施策では、就職を考えている学生に警察官の職務内容をよく知ってもらうことが大切であると考えている。大学の就職セミナーで採用担当者やリクルーターが説明を行っている。東海地方だけでなく関西地区、九州地区にも行って説明を行っている。
また、県警のホームページでも就職を考えている学生向けに警察学校の教育訓練が良く分かるような情報、例えば寮の部屋の写真や先輩からのメッセージなどを掲載している。
更に平成17年度からは警察本部において就職説明会を開催し、採用2・3年の若手警察官やベテラン警察官の生の声で警察の職務を説明している。警察学校の状況もスライドなどで説明している。今後も優秀な人材を確保するため、これらの施策の充実を図っていきたい。
20: 【
森井元
志委員】
様々な施策を講じて優秀な人材を確保することは、本県の治安情勢に直接的にかかわってくる重要なことだと思う。警察にとって優秀な人材とはどのような人材と考えているのか。
21: 【
警務部長】
警察官は、色々な局面において適正で妥当な職務執行を行うことが大切である。そのためには誇りと使命感に裏打ちされた高い倫理観が求められ、また、円満な良識・判断能力・実務能力に基づく強い職務執行能力が求められる。強い使命感や正義感を持っている人物、あるいは能力を身に付けるための基礎的な資質・学力・体力を持った人物が警察官に適した優秀な人材と考えている。最近では人物を良く見るために面接時間を30分から40分に延ばしたり、体力測定の種目を4種目から6種目に増やす対策を講じている。
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