愛知県議会 2006-09-01
平成18年9月定例会(第3号) 本文
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定例会(第3号) 本文 2006-09-26 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 2 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 3 : ◯八番(
神戸洋美君) 選択 4 :
◯健康福祉部健康担当局長(
五十里明君) 選択 5 :
◯農林水産部長(
小出義光君) 選択 6 :
◯健康福祉部長(
小島通君) 選択 7 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 8 : ◯八番(
神戸洋美君) 選択 9 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 10 : ◯二十番(
仲敬助君) 選択 11 :
◯知事政策局長(
宮島寿男君) 選択 12 :
◯県民生活部長(
夏目安孝君) 選択 13 :
◯警察本部長(
山本博司君) 選択 14 :
◯総務部長(
今井秀明君) 選択 15 :
◯総務部人事担当局長(
石川延幸君) 選択 16 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 17 : ◯二十番(
仲敬助君) 選択 18 :
◯知事政策局長(
宮島寿男君) 選択 19 : ◯四十番(
田辺克宏君) 選択 20 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 21 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 22 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 23 : ◯四十四番(鈴木孝昌君) 選択 24 : ◯地域振興部長(渡邉俊司君) 選択 25 : ◯建設部建築担当局長(山北康雄君) 選択 26 : ◯教育長(伊藤敏雄君) 選択 27 : ◯建設部長(藤井則義君) 選択 28 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 29 : ◯四十四番(鈴木孝昌君) 選択 30 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 31 : ◯三十八番(住田宗男君) 選択 32 :
◯県民生活部長(
夏目安孝君) 選択 33 :
◯警察本部長(
山本博司君) 選択 34 :
◯総務部人事担当局長(
石川延幸君) 選択 35 :
◯総務部長(
今井秀明君) 選択 36 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 37 : ◯三十八番(住田宗男君) 選択 38 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 39 :
◯総務部長(
今井秀明君) 選択 40 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 41 : ◯二十七番(鈴木正君) 選択 42 :
◯総務部長(
今井秀明君) 選択 43 :
◯健康福祉部長(
小島通君) 選択 44 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 45 : ◯二十七番(鈴木正君) 選択 46 : ◯三十九番(三浦孝司君) 選択 47 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 48 : ◯副議長(小久保三夫君) 選択 49 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 50 : ◯八十六番(岩田隆喜君) 選択 51 :
◯健康福祉部長(
小島通君) 選択 52 : ◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 選択 53 : ◯建設部建築担当局長(山北康雄君) 選択 54 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 55 : ◯八十六番(岩田隆喜君) 選択 56 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 57 : ◯九番(中野治美君) 選択 58 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 59 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 60 : ◯教育長(伊藤敏雄君) 選択 61 : ◯建設部長(藤井則義君) 選択 62 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 63 : ◯四十番(
田辺克宏君) 選択 64 :
◯議長(
内田康宏君) 選択 65 :
◯議長(
内田康宏君) ↑
発言者の先頭へ 本文 ↓最初の
ヒットへ (全 0
ヒット) 1: 午前十時開議
◯議長(
内田康宏君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 一般質問並びに第百二十三号議案愛知県社
会福祉施設条例等の一部改正についてから第
百六十三号議案愛知県産業労働センターの指
定管理者の指定についてまで及び決算第一号
平成十七年度愛知県一般会計歳入歳出決算か
ら決算第十八号平成十七年度愛知県臨海用地
造成事業会計決算まで
2:
◯議長(
内田康宏君) 第百二十三号議案愛知県社会福祉施設条例等の一部改正についてから第百六十三号議案愛知県産業労働センターの指定管理者の指定についてまで及び決算第一号平成十七年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十八号平成十七年度愛知県臨海用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
神戸洋美議員。
〔八番
神戸洋美君登壇〕(拍手)
3: ◯八番(
神戸洋美君) 通告に従いまして、私から、医療制度、食育、介護予防の三点について質問させていただきます。トップバッターとして、明るくさわやかに務めたいと思いますので、よろしくお願いします。
初めに、現在の医療制度について質問いたします。
昨日、愛・地球博閉幕一周年記念式典が開催されました。開催するまでの多くの難問を克服し、また、開催中は無事に終わるようにと九月二十五日の閉会日をだれより強い思いで待ち続けた神田知事だと思います。本当にお疲れさまでした。
私があの万博で一番印象に残っているのは、三菱未来館の「もしも月がなかったら」です。月がなければ、昼間は八時間しかなく、いつも厚い雲に覆われ、甲殻類のような生物しか誕生せず、人間は存在しなかったというのです。命の神秘さ、今生きていることの不思議、先祖から与えられたこの命を大切に、自分の子や孫へと伝えていかなければと思いました。ところが、その命をつないでいこうと思ってもできない方がいるのです。
最近は、女性の社会進出に伴う晩婚化やその他の社会的要因によって、不妊に悩むカップルが十組に一組はあると言われており、これらの方々には医療機関で不妊治療を受けておられる方も多く見えます。私の後輩にも、幼稚園教諭としての仕事を続けながら、既に二回不妊治療を受け、この秋に三回目を受けるという人がいます。年齢的にも経済的にも限界なので、これが最後の挑戦になると言っていました。この不妊治療のうち、体外受精及び顕微授精といった特定不妊治療については、一回の治療費が三十万から四十万円と高額になり、なおかつ医療保険の適用もないため、経済的にも大きな負担がかかっております。
こうしたことから、平成十六年度から特定不妊治療に要する費用に対し、一年度当たり十万円を上限に助成する制度が設けられたところであります。特定不妊治療は、その治療期間が長期にわたる事例が多いことから、本年度からは助成期間が通算二年から通算五年に延長され、より一層の経済的負担の軽減が図られました。
さらに、本年六月に公表された政府与党の新しい少子化対策についての中においても、子育て支援策として特定不妊治療費助成制度の拡充が掲げられており、最近の新聞報道では、厚生労働省が平成十九年度の概算要求において、現行制度の拡充について検討しているとのことであります。このように、特定不妊治療費助成制度は、少子化対策の中でも経済的負担の軽減を支援するものとして、大変期待されているところであると私は思います。
不妊に悩み、可能性を信じ治療を受け、苦悩の末に妊娠した女性の感激はどれほど大きいものであるか。そして、無事出産を迎え、我が子を胸に抱いた瞬間の喜び、不妊に悩む女性が一人でも多くその喜びを体験されることを願うものであります。
そこでお伺いします。
まず、第一点目として、特定不妊治療における実績について、本県での現在までの助成件数はどの程度になっているのでしょうか。
また、こうした特定不妊治療を行った場合、実際に出産される割合はどのぐらいなのか、お尋ねします。
さらに、特定不妊治療は今後も充実していくことが必要であると思われますが、県の対応についてお伺いします。
さて、次に、今、医療の現場では、医師不足、看護師不足が問題になっています。医師不足につきましては、産科、小児科など特定の診療科、あるいは新城市民病院などにおける特定の地域において特に深刻であると言われており、新聞、テレビ等で多数報道がなされておりますが、看護師の不足は、あらゆる地域や施設で深刻であります。医療現場において看護師は患者さんにとっては身近な存在であり、良質な看護の提供は安心・安全な県民生活に不可欠であることから、看護師の確保対策は重要と考え、質問させていただきます。
病院や診療所以外の介護施設でも看護師募集といった看板や求人広告を見かけますし、看護師が退職したので募集をしているが、なかなか集まらなくて困っているという医療機関の話もよく聞かれます。また、この四月の診療報酬の改定に伴い、病院では、看護職員の配置が手厚い場合には診療報酬上の単価が上昇することになったため、医療機関の間で看護師の奪い合いが生じているという報道もあります。
看護師の需要は、医療の高度化や専門化、医療制度改革の進展に伴う在宅医療の拡充などにより今後も高まる一方であります。県が今後の看護職員確保の基礎資料とするため、昨年末に策定した愛知県看護職員需給見通しによりますと、ことし、平成十八年末に必要とされる看護職員約六万二千人に対し、約四千七百人が不足するという見通しを立てています。五千人近い看護師が不足するということになると、医療現場では人員不足による勤務環境の悪化、ひいては患者さんへの看護の質の低下、安心・安全な医療の確保に支障を来すのではないかと危惧しております。
県は、さきの需給見通しにおいて、看護師不足の一因として、看護需要の大幅な伸びの一方で、少子化の進展に伴う看護師等学校養成所の養成数の減少や退職者の増加などにより供給数が追いつかないためと分析しています。確かに、看護師、准看護師の養成数は、五年前の平成十三年度の約四千百人から、今年度は約三千三百人まで減少したと聞いておりますが、それでも愛知県における養成数は全国でもトップクラスであり、最近の学生は専門職志向が強いことから、看護職を希望する学生が増加することを見越して、今後も新たな養成所の設置の動きもあるように聞いておりますので、一定数の養成は確保されると思われます。
しかしながら、退職者の増加は大きな問題です。さきに述べましたように、医療の高度化、専門化などにより、看護業務がこれまでに比べ複雑かつ多様になっております。特に、現場に入ったばかりの新人看護師が養成施設で学んだ看護知識や看護技術のレベルが年々高度化、専門化する医療現場で要求されるレベルに必ずしも追いつかず、結果として、現場の業務に対応できず、早期に退職する事例がふえていると聞いております。厚生労働省では、新人看護職員の卒後研修のあり方を今後検討するようですが、県としても何らかの対応を検討する必要があるのではないかと考えます。
また、結婚、出産、育児などを契機に現場を離れ、就業していない潜在看護職員が全国には約五十五万人いると言われております。その中には、現場から離れていた期間に進歩した医療現場の急激な変化に気持ちがやや後ろ向きになり、再就職をしたいと思ってもなかなか職場復帰に踏み切れない方が多数見えると聞いております。そういった方に対しては、再就職に向けた再教育を行う研修などの支援を行い、看護師確保に努めるべきではないでしょうか。
さらに、出産、育児と仕事の両立を希望されても、職場の環境整備が整わず、復帰を断念されるケースも多数あると聞いております。病院の看護師においては、夜勤などの勤務が求められ、また、勤務開始時間も不規則になるなど、乳幼児を持つ看護師さんが勤務を続けるためには、保育所などが容易に利用できるといった環境整備が必要と考えます。特に、勤務場所に併設され、利用が容易な病院内保育所への支援は重要な施策と考えられます。
そこでお伺いします。
第二点目として、新人看護師の離職防止対策について、県ではどのように取り組んでみえるのか、退職された看護師の職場復帰に向けてどのような対策を講じてみえるのか、お伺いします。
また、看護師確保につながる病院内保育所への支援について、県ではこれまでどういった支援を行っているのか、お伺いします。
さらに、看護師の確保対策について、県では今後どのように取り組むつもりか、お伺いします。
次に、食育についてお尋ねをいたします。
御承知のように、昨年七月に食育基本法が施行されました。その前文では、「食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである」と言っています。
もちろん、食生活のあり方は、一人一人の生活スタイルや考え方などによるところが大きいわけですが、特に成長過程にある子供たちには、栄養に気をつけ、朝御飯をとるなどのしっかりとした習慣を身につけさせることが必要であると思います。
私は幼稚園の園長をしておりますが、朝から何となく元気のない子供を見かけることがあります。どうしたのと声をかけてみると、どうも朝御飯を食べてこなかったのか、軽いものだけだったのか、とにかくおなかがすいて頭がぼーっとしているようなのです。それぞれ家庭の事情もあるでしょうが、やはり早寝、早起き、朝御飯といった基本的なことができていないと、子供たちの気力や体力などが落ちて、生き生きとした園生活ができません。よく三つ子の魂百までと申しますが、子供のころから栄養バランスのとれた規則正しい食生活を身につけることは、将来の健康づくりにとりましてもとても大事なことだと思います。
さらに、もう一つ、食について心配なことは、食べ物のもとである動物や植物の本来の姿をよく知らない子供が多くなってきているということです。農林水産省には、タマネギを使いたいが、どこまで皮をむいても実が出てこない。不良品ではないかといった笑い話のような問い合わせがあったといいますし、また、畑からイチゴがにょきっと生えてくる絵をかく子供がいるといった報告が寄せられたそうです。
私の園では、子供たちと一緒にサツマイモの栽培をしています。園児のやることですから、植えられた苗はそれこそくちゃくちゃで、私たちが後から全部直さなければなりませんが、苗が育つ様子を知り、雑草も取り、さあ、いよいよとサツマイモを掘るときには、みんな目を輝かせ歓声を上げます。言葉で教えるだけではなく、直接見たり触れたりすることによって、子供たちは、食べ物が動植物であり、その命を自分たちが食べているんだということを体験させることがねらいです。
「いただきます」「ごちそうさま」「もったいない」という言葉は、動植物の命をいただくことや食べ物をつくる人々、あるいは料理をしてくれた人への感謝であり、食べ物を大事にする気持ちのあらわれです。こうした気持ちが子供たちの豊かな人間性をはぐくむことにつながっていくと私は思います。
さて、ここまでは子供たちの食の大切さについて、私の経験を通して感じたことを申し上げましたが、食の大切さは子供たちだけのことではありません。私たちの周りにはさまざまな食品があふれ、食生活の豊かさの一方で、これまでの日本型食生活の洋風化に伴い、米と野菜の消費が減り、肉類や油脂類の消費が増加して、脂肪分のとり過ぎによる肥満や内臓脂肪症候群、いわゆるメタボリックシンドロームが増加し、死亡原因でも生活習慣病が六割を占めるなど、食生活のあり方は健康の保持にとって極めて重要であります。
また、我が国は世界最大の食料輸入国であり、食料自給率が八年連続で四〇%と、主要先進国中最低水準にある中で、推計で年間約二千二百万トンにも上る食品が廃棄されていることは、実にもったいないと言わざるを得ません。
このように、食をめぐるさまざまな課題がある中で、健全な食生活の実践を目指して食育を推進していくことは、県民の健康を守り、本県の活力を維持していく上でとても重要であると考えます。
さらに、健康を守る食育は、生活の基本である家庭が中心になって、県民一人一人が取り組むことが大切だと思っています。かつては、家族がそろって食事をし、父母や祖父母から食べ物の知識や大切さを教わったものです。しかし、三世代同居の世帯がますます減少し、核家族世帯が約六割となっている中で、忙しくて共働きや夜勤などもあることから、家族が一緒に食事をする機会も減っているなど、家庭における食育の機能が低下していると言われております。
もとより、食育は、家庭だけではなく幼稚園や小中学校といった教育現場、さらには地域を挙げて取り組んでいくことが大切であると考えますが、さまざまな食べ物に囲まれ、どのように選択すればよいのか、また、どのように食育を進めればよいのか、必ずしも十分な知識を持ち合わせている人はむしろ少数ではないかと思います。このため、食育推進計画は、具体的な取り組みをできるだけ多く掲げ、県民一人一人や食育の関係者が主体的に取り組むようにしていくことが重要と考えます。
もう一点、食育における農林水産業関係者の役割について触れたいと思います。
食育と聞きますと、多くの人は、栄養バランスに気をつけるとか、朝食をきちんととるとか、食べ物をむだにしないという食べ物を消費する側のことを思い浮かべると思います。もちろん、こうしたことも大変重要ですが、先ほど申し上げましたように、子供たちが農林水産物の生産現場を見たり体験したりすることはとても大事なことです。
また、食べ物を生産している農林水産業の関係者も、安心・安全な食料の供給はもちろんですが、食育を進める上でも自然の恩恵や食に携わる人々の活動への理解を促し、本県農林水産物のPRを図るなどの役割を果たしていくべきであると思います。
そこでお伺いします。
第一点目として、現在、愛知県食育推進会議において食育推進計画の作成が進められておりますが、愛知県における食育を推進するため、どのようなことに重点を置いて取り組もうとしておられるのか、食育の推進方向についての基本的な考え方をお聞かせください。
第二点目は、県民や教育現場、地域などの取り組みをどのように食育推進計画に盛り込もうとされているのか、お伺いします。
第三点目として、食育における農林水産業関係者の役割についてどのように考えてみえるのか、お伺いします。
最後に、介護予防についてお尋ねします。
職業柄、亡くなられた方の最期のお見送りをさせていただく機会が多くあります。かなりの御高齢で、また突然亡くなられた方ですと、参列された方からのこんな会話が耳に入ってきます。あっという間で寂しくなってしまったけど、長いこと寝込まずに家族に迷惑をかけずに逝って幸せだよね。そうそう、いい人は早くお迎えが来るわね。うらやましい。私もあんなふうに逝きたいわね。本当にそうだわね。
ある生命保険会社のアンケートによると、どんな最期が理想ですかという質問に、六四%の人が「ある日、突然死ぬ」と答えているそうです。これは、認知症や寝たきりにならずに終末期を全うしたい、介護や医療費などで家族に負担をかけたくないというぽっくり願望ではないでしょうか。この願望は、平安時代の末法思想として、観音様に誘われ、阿弥陀様のもとにぽっくり行けるという人生最後の御利益を願ったのがぽっくり祈願と言われています。
ちなみに、ぽっくり寺は全国で三十三カ所あり、この愛知県には、昭和区の八事山興正寺、犬山市の寂光院、常滑市の来応寺のぽっくり地蔵と三カ所あります。このぽっくりと同様に、PPK運動というものがあります。長野県飯田の公民館の館長さんの北沢さんが提唱したもので、ぴんぴんころりの略であります。要するに、健康で長寿を保ち、死ぬときにはころりと死ぬことだそうです。例えば高齢になり人間が老けていき、やがて死ぬのは人間の力ではコントロールできません。それを無理にコントロールしようとすると、延命治療だの整形のしわ伸ばしだの、不自然でゆがんだ形になってしまいます。一方、体重や日々の生活態度などは自分でコントロールできるわけで、できるものについては楽しみながらコントロールして、健康な生活をなるべく長く維持していくことがPPK運動の秘訣と北沢さんは言っておられます。
古代においても、ぽっくり逝くことは多くの人が望み、神頼みだったようですが、最近の研究で、老化を早期に発見して正しく対処すれば、運動機能が余り衰えず、いつまでも元気で自分らしい生活を送れるということがわかってきたのです。すべての人がぴんぴんころりというわけにはいかないかもしれませんが、努力をすれば高齢になっても認知症や寝たきりにならず、生涯を自立して暮らすことが可能になってきた、これが介護予防と言われるものです。
さて、日本人の平均寿命は、女性が八十五歳、男性が七十八歳で、世界でもトップクラスです。六十五歳以上の高齢者が全人口の約二〇%以上となり、現在日本人の五人に一人が高齢者です。我が愛知県において六十五歳以上の高齢者は、本年五月末現在百二十四万八千人、二〇一〇年の平成二十二年には百四十七万人になると推計されており、大幅に増加していく見込みであります。
私の町では、朝、夕、高齢者の方が夫婦仲よく散歩をしたり、ジョギングをしたりする方が多く見られるようになりました。ここ最近では、栄養に気をつけ、食品添加物にも注意するなど、これまでとは明らかに意識の違う世代が高齢化してきたことで、心身ともに若々しく、自立して生活できる能力を持った高齢者がふえており、特に六十五歳から七十四歳の前期高齢者と呼ばれる世代は、健康度も極めて高く、社会的にも活躍を続けています。このような健康に対する意識の高い世代は、だれしもが寝たきりにならず、自立して暮らしていくことを望み、介護保険の適用は受けたくないと思っていることでしょう。
例えば六十歳を過ぎると、筋力やバランスの能力、方向機能は急速に下がり、その後も下がり続けます。関節は既に二十歳くらいから老化が始まり、軟骨がすり減って関節周りもかたくなるそうです。これまでは、そのような身体機能低下は老化によるものなので仕方がないと考えられてきました。しかし、実際は、これらの衰えの多くは、もう年だからと無理に体に使わなくなることで体が衰弱すると考えられ、今では廃用症候群とも言われています。
この廃用症候群をそのままにしておくと、寝たきり状態になってしまうことが多いのです。高齢者が介護を必要とすることになった原因の第一位は脳血管疾患、主に脳卒中ですが、二位以下は高齢による衰弱、三位、転倒、骨折、四位は認知症、五位、関節疾患と続き、年とともにあらわれる老化現象が五割を超えるというデータがあります。寝たきりになるのは、疾病の直接の影響というより、けがや衰弱で寝込み、一時的に運動機能が落ちること、その結果、活動の範囲も狭まり、自分から積極的に動く意欲もなくなり、さらに運動機能が低下するという悪循環があるからと考えられ、この悪循環がさらに重度の運動機能の障害につながり、やがて要介護状態になっていきます。
一度寝たきりになってしまうと、家族にも大きな負担がかかります。最近よく耳にする事件に、長期の介護で疲れた息子が母親を殺害したり、寝たきりの高齢者を虐待したりするなど、悲惨な事件が相次いで起こっています。また、介護する人が介護うつという病気になるなど、高齢者がふえるとともに多くの問題もふえてくることが予想されます。
だからこそ、寝たきりにならないように努力することが必要ではないでしょうか。確かに、肉体的な機能は加齢とともにいやでも衰えますが、人間は本人の気持ち次第で復元する力も十分に持っています。長寿の双子、きんさん・ぎんさんとして有名だった成田きんさんが、百歳を超えてから足首におもりをつけトレーニングすることによって、足に筋力をつけることに成功しました。毎日少しずつでもトレーニングを続ければ、間違いなく体力や筋力は強くなり、脳も鍛えることが可能です。
今まで述べてきたように、認知症や寝たきりなどにならず、いつまでも生き生きと自分らしく生きること、それを実現するための手だてが介護予防なのです。すべての高齢者に介護予防を呼びかけていくことも、寝たきりを防ぎ、家族への負担を減らすことになると思います。
さて、介護保険がスタートした二〇〇〇年四月からの要介護認定者数の推移を見てみると、最も増大しているのが要支援・要介護一の軽度者で、要介護五の人が六〇%程度の増加にとどまっているのに比べ、一三八%とふえているのです。これらの軽度者が要介護二、三、四と進まないようにしていくことが将来の重度者を減らすことになるという考え方で、介護保険は、予防重視型システムへの転換などを基本的視点として、昨年、発足以来初めての大幅な見直しが行われ、本年四月から実施されています。
そこでお伺いいたします。
今、高齢者の方がいつまでも元気で生き生きとした生活を送り、認知症や寝たきりなどにならないよう、市町村が行う介護予防事業が大切と考えますが、県内の市町村における介護予防事業の取り組みはどのように行われているのか、また、県は介護予防事業が円滑に進むよう、どのように市町村を支援していくのか、あわせてお尋ねいたします。
以上、医療制度、食育、介護予防について、壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
4:
◯健康福祉部健康担当局長(
五十里明君) 医療制度についてお答えをいたします。
まず、不妊治療についてのお尋ねでございます。
本県の特定不妊治療の助成件数につきましては、制度を開始いたしました平成十六年度は八百七十七件、十七年度は千九十六件、本年度は八月末現在で六百二十一件で、前年同月の四百五十一件に比べて一三八%と大きく伸びておりまして、制度の周知などにより毎年度順調に助成件数が伸びてきております。
また、特定不妊治療により出産される割合についてでございますが、県内の特定不妊治療指定医療機関からは、補助の有無にかかわらず治療した実績について報告をいただいておりまして、そのデータによりますと、平成十六年度は十六の指定医療機関におきまして、千四百四十七名が治療を受けられ、このうち妊娠された方が五百四十九名、三七・九%、出産された方が三百六十一名、二四・九%でございました。
次に、特定不妊治療について、今後の県の対応についてのお尋ねでございますが、不妊に悩む御夫婦への支援は、有効な少子化対策の一つと考えております。国の来年度概算要求では、現行の年額十万円の補助額を年額二十万円に倍増し、所得制限についても緩和を図るなどの検討がされておりますので、本県としても、こうした特定不妊治療への助成を積極的に進めてまいりたいと考えております。
なお、この特定不妊治療は医療保険が適用されないことから、医療保険の適用による負担軽減につきまして、引き続き国に要望してまいります。
次に、看護師の確保対策についてお答えいたします。
まず、新人看護師の離職防止対策についてでございます。
愛知県看護職員需給見通しを策定するに当たり、昨年度、県内医療機関を対象に看護職員の実態調査を実施いたしましたが、その結果、看護職員の退職率が上昇傾向にあり、特に二百床未満の病院において、その傾向が顕著でありました。また、二百床未満の病院の多くが新人看護職員に対する研修体制が未整備であり、専任の研修担当者も整わない状況にありました。
そこで、本県独自の新人看護師の離職防止対策として、病院内教育を支援する職員を今年度から部内に配置し、出張研修を実施しております。この研修については、ことし五月から六月にかけて県内の全病院にアンケート調査を実施いたしましたところ、八十カ所の病院が支援を希望しており、研修内容や研修時期などの準備が整った十三施設から順次出張研修を開始しております。
研修内容は、看護師のメンタルヘルスや救急救命の看護技術など、それぞれの病院で必要とされる研修を実施しており、また、病院内教育プログラムの見直しなどの相談も行っております。
次に、退職された看護師の職場復帰支援策についてでございます。
県では、保健師、看護師を含む看護職の方の就業促進を図るため、平成五年度から愛知県ナースセンターを名古屋市に、平成十五年度から豊橋市にも設置しておりまして、来所やインターネットによる求人、求職の登録、情報の提供、就業のあっせん、各種相談業務を行っており、毎年一千名を超える方が就業されております。
また、平成十五年度から県内での職場復帰を目指す方を対象とした看護職カムバック研修を総合看護専門学校内の看護研修センターで実施いたしております。この研修は、病院実習や技術演習、講義を集中的に行う五日間集中コースと、救急看護などの技術内容などを一日単位で選択できる技術選択コースなどがございます。平成十五年度から十七年度までの三年間の実績でございますが、受講者総数三百三十四名、研修終了後の調査で回答のありました二百四十四名のうち、約三分の二に当たる百六十三名の方が職場に復帰されております。
次に、病院内保育所への支援についてでございます。
病院の看護師は交代制などの勤務となっておりますことから、子供を持つ親として安心して勤務できる環境整備が不可欠であり、病院内保育所の果たす役割は大きいと考えます。その支援についてでございますが、県では、国庫補助制度の対象となります民間病院の院内保育所に対しまして、保育士などの職員の人件費を一部補助しておりますが、それに加え、県独自に国庫補助対象外の小規模な民間病院や市町村立病院、公的病院の院内保育所にも補助を行っております。今年度は、国、県合わせて五十八施設に一億二千三百万円余の補助を予定いたしております。
最後に、今後の取り組みについてでございます。
看護職員需給見通しの結果、看護職員の不足が明らかとなりましたことから、これまで県で実施してまいりました看護対策の三本柱でございます看護職員の養成と資質の向上、看護の心の普及啓発、離職の防止と就業の促進、これを推進する中で、特に離職の防止と就業の促進に重点を置いて、看護師確保に努めてまいりたいと考えております。
まず、離職防止対策についてでございますが、さきにお答えさせていただきました出張研修の研修内容をさらに充実させ、看護師の定着につながるよう取り組んでまいります。
次に、就業促進対策のうち、ナースセンター事業についてでございますが、求人、求職者とのきめ細かなマッチング業務の充実などによりまして、就業者の増加を図りたいと考えております。
また、看護職カムバック研修につきましては、受講希望者の増加に対応できるよう、研修の拡充を図りたいと考えております。
なお、新たな看護師確保対策を検討し、今後の施策に反映させるために、今年度関係団体等の参加をいただきまして、看護職員確保に関する検討会、これを設置いたしております。この検討会での議論も踏まえまして、看護師確保対策を積極的に進めてまいりたいと、このように考えております。
5:
◯農林水産部長(
小出義光君) 食育についてのお尋ねのうち、まず、食育の推進方向についてでございます。
御指摘いただきましたように、食につきましてはさまざまな課題がございますので、本県における食育の推進につきましては、食育推進会議で幅広い視点から検討をいただいているところでございます。この推進会議での議論、意見を踏まえまして、重点的な食育の推進方向といたしましては、まず、バランスのとれた食生活の実践や正しい食習慣を身につけることなどにより、健康な体をつくることを目指してまいりたいと考えております。
また、子供のころに健全な食生活をしたり、農林漁業に関するさまざまな体験をすることは、心の成長に与える影響も大きいものがございますので、こうした豊かな心をはぐくむことを目指す取り組みも進めてまいりたいと考えております。
さらには、食べ残しや食品の廃棄を減らしたり、農林水産業や食品関連事業におきましても、環境に配慮した食料生産を進めるなど、環境に優しい暮らしを築くための取り組みも重要であると考えております。こうしたことを基本に据えて食育を推進してまいりたいと考えております。
次に、県民や教育現場、地域などの取り組みをどのように食育推進計画に盛り込もうとしているのかというお尋ねでございます。
望ましい食生活の実践は、県民一人一人がみずからの課題として認識し、主体的に取り組むことが重要であり、食育推進計画は、その取り組みを支援できるものにしていく必要があると考えております。このため、例えば正しい食習慣を身につける、食事のバランスに気をつける、食べ物の生産現場を見学、体験することなどについて、県民にわかりやすい具体的な取り組みをできるだけ多く計画に盛り込むとともに、世代により食生活などが異なりますことから、乳幼児期から高齢期までのそれぞれの世代に応じて、取り組んでいく内容を示してまいりたいと考えております。
さらに、家庭、学校、職場、地域で取り組んでいただきたいことにつきましても、健康な体、豊かな心、環境に優しい暮らしの視点に立って、具体的な取り組みを盛り込み、県民の皆様にとって、わかりやすく主体的な取り組みの促進につながる計画にしてまいりたいと考えております。
次に、食育における農林水産業関係者の役割についてでございます。
食育において、私たちの命を支えている食べ物が自然の恵みを生かして食糧を生産するという農林水産業によって支えられていることをより多くの県民の皆様に理解していただくことは重要なことでございます。このためには、農林水産業に携わる人々や関係団体などが、県民の皆様に農林水産業に関するさまざまな体験ができる機会を積極的に提供したり、学校給食などでの地場産物の利用や地消地産を推進することなどによって、食育に深くかかわっていくことが大切であると考えております。
また、農林水産業の関係者にとりましても、食育にかかわることによって、生産者と消費者との信頼関係を築き、みずからの活動に誇りと励みを持って取り組む意欲を高め、安全で新鮮な食料の供給や食料自給率の向上などにもつながっていくことが期待されますことから、こうした意味からも、農林水産業関係者が食育に積極的にかかわっていくことが重要であると考えております。
以上です。
6:
◯健康福祉部長(
小島通君) 介護予防についてお答えいたします。
まず、市町村における介護予防事業の取り組みについてでございます。
介護予防事業では、要介護・要支援状態になるおそれが高い高齢者の方を保険者であります市町村が把握をし、この方々に対し、心身の状態の維持、改善を図りますために、介護予防ケアプランを地域包括支援センターで作成することといたしております。このケアプランに基づきまして、運動機能の向上のためのストレッチ、栄養改善に向けた栄養相談、あるいは食べ物をかむ機能や飲み込む機能を向上させるための指導や訓練などを通所または訪問により実施いたしていくこととしております。
本年九月一日現在の取り組みといたしましては、県内六十三市町村のうち五十四の市町村で、要介護・要支援状態になるおそれが高い高齢者の方の把握作業を進めておりまして、そのうち二十八市町村でケアプランの作成に着手いたしております。
また、介護予防を推進してまいりますためには、介護予防に関する知識の普及、啓発を行うことも重要でございまして、市町村では、高齢者の方などを対象にパンフレットの作成、配布あるいは講演会、相談会の開催などに取り組んでいただいているところでございます。
次に、市町村への支援についてでございますが、県では、市町村の実情に応じ、高齢者の生活機能の向上に向けた事業の取り組みが円滑に行われますよう助言いたしますとともに、市町村職員や介護予防に従事する保健師などを対象とした研修会を開催いたしまして、介護予防事業が効果的に行われるよう支援してまいる所存でございます。
以上でございます。
7:
◯知事(
神田真秋君) 不妊治療について、私からもお答えを申し上げます。
子供が欲しいという御夫婦にとりまして、子供ができないことは大変つらいことでございます。不妊治療は、そうした夫婦にとりまして大変重要な役割を果たしております。また、先ほどもお示しがありましたとおり、少子化対策にもこれは資するものでございまして、私どもも注目しております。けれども、不妊治療は大変長い期間がかかるということ、それから肉体的にも精神的にも、それから経済的にも大変大きな負担になる、そんなこともお聞きをいたしているところでございまして、やはり公的な立場でいろいろと御支援を申し上げることが必要だろうと思います。特定不妊治療助成制度、概算要求の中身を見ますと、これの充実が図られる方向であります。このことはぜひとも実現をしてもらいたいものだと思っているところでございます。
ただ、いろいろ専門家の御意見などを聞きますと、この特定不妊治療の前段階、その前段として一般不妊治療があるということでございまして、むしろ、ここで特定不妊治療に行かないように、やはりきちんとした治療が必要だと、そのように聞いているところでございます。
そこで、私どもは、その前段階の一般不妊治療、こういうものに対して、県としてもぜひとも支援をしていかなければならないということで、今、検討しているところでございます。
8: ◯八番(
神戸洋美君) ただいま、それぞれに御答弁をいただきました。私からは二点要望させていただきたいと思います。
先ほど知事がおっしゃったように、女性の至福の喜びは、痛みに耐えて出産し、我が子を初めて胸に抱いた瞬間です。インターネットで不妊治療を受けている方たちのページを見させていただきました。彼女たちは、お互いに励まし合い、希望を持ってつらい治療に耐えています。その治療に耐え、たとえ妊娠したとしても、流産をしてしまうケースも多く、我が子を抱くまでには遠い道のりであり、苦悩の日々はいかばかりかと思います。さまざまな事情により出産を選択しない女性がいる一方で、子供が欲しいと強く願ってもかなえられないつらさ、その人たちの思いにしっかりとこたえてあげたい。
先ほど知事が、特定不妊治療の前の一般不妊治療に力を入れていただけるというお話でした。ぜひより一層の支援をお願いしたいと思います。
さて、人間はこの世に生を受け、限りある時間を精いっぱい過ごし、やがて年老いて最期のときを迎えます。突然の死に遭遇しない限り、やがて自分にも老いがやってきます。
最近、私の周囲の高齢の方々で、わずかな段差や階段などで滑って、まさかの骨折をして長期の入院をされたり、病気やけがで入院し、二、三日動くことができなかっただけで立つことも歩くこともできなくなるなどのさまざまな事例を耳にします。自分ではまだまだ動けると思っていたところが、気がつかないうちに運動機能が落ちていたことに初めて気づかされるのです。
先日、我が地元の春日井市での敬老会において、御夫婦そろって八十歳以上のカップルが二百五十組お見えになるという数字が発表されました。大変おめでたいことですが、それとは逆に、八十八歳の脳梗塞を患う夫が八十七歳の認知症の妻と心中というニュースが新聞に載っておりました。ことしに入って今回で五件目、夫が妻に手をかけ自殺するケースがほとんどだそうです。高齢社会による老老介護で介護者の三割以上が死にたいと思うことがあるという調査結果も出ています。介護が長期に及べば、経済的にも精神的にも負担になります。自分の努力で予防ができるなら、家族に負担をかけないようにという気持ちがあるなら、今から準備をしておくことが大切だと思います。
国立長寿医療センター長の大島先生が、健康寿命(男性七十二・三歳、女性七十七・七歳)までは現役で元気に働いてもらい、お互いに支え合う社会をと提案されています。高齢社会をみんなで笑顔で過ごすことができるように、自分でできることは自分で努力し、家族が支えられる部分は家族にお願いをし、県は各市町村を指導する立場からその役目をしっかり果たしていただくようお願いして、要望を終わります。
9:
◯議長(
内田康宏君) 進行いたします。
仲敬助議員。
〔二十番
仲敬助君登壇〕(拍手)
10: ◯二十番(
仲敬助君) 以下、通告に従いまして、順次質問をしてまいります。
私が初登壇で一般質問を行いましたのは、平成十五年九月二十五日、万博を迎える一年半前の記念日でございました。そのときに申し上げましたことは、神田知事を七万三千人の従業員を抱える大企業、株式会社愛知県庁の社長だと想定させていただき、愛知県づくりはまさに日本の国を支えていくことであり、課題が見えてから動き出す受け身の発想から脱却するためには、自己の責任で能動的に企画し、行動を起こせる組織とすることがとりわけ重要であり、そのためには、知事のリーダーシップのもと、県行政のなすべき役割と目標を明確にして進めていくべきだと提言させていただきました。あの日から四年目に入るわけで、その後の進展も含め、改めて県の取り組み方について、以下質問をしてまいります。
さて、愛知県は十四年ぶりに地方交付税が配分されない不交付団体となりました。本年度当初予算で見込んでいた三百五十億円の地方交付税はゼロとなり、本年度は減税補てん特例交付金で何とか賄えるものの、来年度からはこの特例交付金は三年の経過措置で廃止されます。このことは、財政中期試算には既に盛り込まれているものの、今後は赤字地方債に依存する財政運営となっていきます。
県知事の当面の大きな仕事は、「あいち行革大綱二〇〇五」により行財政改革を着実に進め、平成二十二年度のプライマリーバランスの黒字化を実現させ、県財政の健全化を図ると同時に、将来に向かって県の活力を生み出す施策を展開していくことであり、そのビジョンとして「新しい政策の指針」が策定され、今後はこれを着実に実行していくことであります。
新しい政策の指針には、八つの基本課題と柱となる政策の方向が示されており、二〇一五年には実現したい数値目標を掲げてあるものもありますし、また、数値で表現しにくい政策については、その目標に向かっての取り組み方がある程度は説明されております。今後は、指針の趣旨を十分に受けた個別計画やアクションプランなどが策定し直され、着実に実行されることにより、それらの目標が実現されていくわけです。
ここで第一の質問ですが、ことし七月に正式発行された新しい政策の指針を受けて、これまでの個別計画やアクションプランにはなかった全く新たに取り組むべき政策はあるのか、あるとすればどのようなもので、また、その着手はいつからすべきであると考えておられるのか、重要なものについて、新しい政策の指針を作成した当局にお伺いいたします。
次に、新しい政策の指針の中で、基本課題五の安心・安全で元気な地域づくりとその実現に向けた社会資本の整備についてであります。
この中で、年間約二十万件発生している犯罪の半減を目指して、自主防犯団体を徹底的に支援し、犯罪を許さない社会を実現するために、二〇一五年の目標値として、刑法犯認知件数を半減にすると記載されていることは大変心強く頼もしい限りであります。県警察では、二〇〇三年十二月に愛知県警察治安回復アクションプランを策定し、総力を挙げて治安回復の取り組みを進めている中で、県は、本年の三月に「あいち地域安全緊急三か年戦略」を策定し、二〇〇九年三月までの三カ年で、短期的、集中的に実効性の高い対策を強力に実施しており、県民総ぐるみ運動を展開し、刑法犯認知件数を毎年一万件以上減少させることをその目標としておることは承知しております。
刑法犯認知件数と自主防犯団体数の関係を見てみますと、二〇〇三年から四年、五年と、自主防犯団体数が百三十から五百二十に、さらに七百六十五へとふえるに従い、刑法犯認知件数も二十二万五千件から二十万件へと減ってきており、私自身も地域の安心を目指して、地元では積極的に防犯パトロール活動に参加しております。
このように、自主防犯団体数が増加しますと、刑法犯認知件数が減少する傾向にあるのは確かでありますので、今後とも自主防犯団体をふやしていくことは重要でありますが、一般県民による防犯活動が主体で、今後も十万件もの刑法犯認知件数を減らしていけるものなのかは大変心配になるところであります。
そこで第二の質問です。刑法犯認知件数を半減にするという二〇一五年の数値目標を達成するには、一般県民による防犯活動につけ加え、今まで以上に警察力を駆使した何らかの連携した取り組みも必要であると思います。今のあいち地域安全緊急三か年戦略の延長線上に立った考え方だけで、十年後には刑法犯認知件数半減という目標値が達成できるとする、その考え方についてお伺いします。
また、この目標達成のためには、重点指向した警察活動の強化が不可欠であると考えますが、警察本部長の御所見を伺います。
次に、第三の質問は、基本課題八の分権型地域社会の構築・道州制を視野に入れた広域連携の推進についてであります。
この分野については、二〇一五年に向かっての具体的な数値目標を立てることは非常に難しいこととは思います。しかしながら、県行政としては何ができるのか、何をやるべきであるかは明確にすべきであり、そのためにはできるだけ目標値を設定すべきであると考えます。そうでないと、県としての努力している姿が見えてまいりませんし、フォローしていくこともできません。このことについてどのようにお考えか、当局にお伺いいたします。
次は、指針の進行管理についてであります。指針の的確な進行管理に対して、県としては三つの取り組みを挙げております。
一つ目は、指針に位置づけた政策を着実に推進していくため、毎年度の予算編成において重点的な検討を行い、具体化の推進を図る。
二つ目は、激しく変化する時代の中で新たに取り組むべき課題に対応するため、必要に応じて有識者の参画を得た検討組織を設置し、新たな政策、プロジェクトを発掘する。
そして、三つ目は、指針に示されている政策の進捗状況や新たに取り組むべき課題の把握など、指針のさらなる充実や時代の変化に応じた見直しに活用するためのレポートを毎年作成するなどの説明がなされており、これらについてはよく理解できるところであります。
しかしながら、ここで第四の質問です。今回策定された指針を受けた個別計画やアクションプランは、いつから実行に移されると理解すればいいのか、その取り組み開始時点はいつなのかについてお伺いいたします。というのは、スピードのある県政運営をしていくためには、来年度の予算編成時まで何の施策、事業も実施しないはずはないと思っており、指針が発効された時点から進められる施策もあるのではないかとの思いでお尋ねするものであります。
さて、次に、行政評価制度についてであります。
県では、県民の視点に立った成果重視の県政への転換、効率的で質の高い県政及び県民に対する説明責任を全うすることを目的として、行政評価制度を導入し、施策評価、事務事業評価、公共事業評価を行い、インターネットで公開しております。今回質問するに当たってうれしく思ったことは、私が三年前に質問して以降、県当局はこの行政評価制度の改善に向け努力をしており、その足跡が見てとれることであります。
とはいうものの、県の事務事業の中には、問題の所在をきちんと分析し切れず、何のためにその仕事をするのかも明確になっていないような、つまり、必要だから必要であるといった感じで推進されているものもあると思います。
また、県庁職員は、法律や要綱、通達に基づいて前例踏襲で仕事をしており、一つ一つの仕事の意味を改めて考えることは少なく、役所の仕事はそういうものとして進められてきているかもしれません。
質問に入る前に、仕事に対する取り組みで大変なる努力をしているある自治体を調査してきましたので、その事例を紹介したいと思います。
財政力指数は〇・二一で、四十七都道府県で下から二番目の高知県では、県民とともに「自らの力で歩む高知を目指して」という指針のもと、予算だけでなく人と知恵で仕事をすることに力点を置き、県が直接担うべき業務を四つに分類して、これら以外の業務は外務委託を徹底しようと真剣に取り組んでおられます。
一つは、県の独自性が発揮される業務、二つ目は、管理責任が厳しく問われる業務、三つ目は、未来の県益をリードすることが期待される業務、四つ目は、公平性、公正性が強く求められる業務であります。そして、知事部局の総人員数四千六百九十五人の二七%に当たる千二百六十人役に相当する業務をアウトソーシングするため、知事みずからが先頭に立って取り組み、財政的な緊迫感に欠ける部局長との意見交換や施策内容の見直しに多くの時間を使っているという説明もありました。
ここで重要なことは、発想を変えて今の仕事のやり方を変えることに主眼を置いて、知事さんがその方向に県庁幹部職員の意識を変えようと努力をしていることであります。県庁においてそういう動きがあるからこそ、市町村レベルでも自立を目指した独自の企画が進行しつつあります。
例を申し上げますと、ことし三月の合併でできた人口が一万四千人ほどの黒潮町、これは、高知市から西百キロほどの海岸近くにありますが、最近では、高速道路や本州四国連絡橋を使って、神奈川県や大阪から車でやってくるサーフィン客がふえつつあるとのことです。この現象をとらえ、いっそのこと定住してもらい、人口をふやそう、そして少しでも財政収入につなげようという取り組みを行いつつあります。田舎であり、安い家賃なので、空き家情報を扱って商売をする民間業者はありませんし、そのための職員をふやすという財源はとてもありません。そこで、郵便局にお願いし、空き家の情報提供を手伝ってもらい、あとは役所がまとめ、情報を希望者に提供しています。ただし、空き家情報があっても家を人に貸したくない田舎に住んでいる方々の心情もあり、簡単には話が進まないようですが、移住人口をふやすことを最終目標として、あきらめることなくさまざまな活動をしています。役所の担当者によれば、本来こんな業務は行政の管掌業務にはないし、とても忙しくなったけれども、自分がやらなければ町の人口はふえず、町が寂れていくのでやるんですと話しておりました。まるで、民間会社での仕事に対する取り組み方そのものであると感心いたしました。
この移住促進企画に対して、最近ではインターネットでの問い合わせがふえてきており、既に数人は定住を始めているとのことでありました。今後も毎年十名ほどが定住してくれると、その家族も行き交うようになり、そうすれば、この田舎にもさまざまな都会の知恵の流入が起こり、そこからまた新たな企画が生まれてくるだろうと目を輝かせて話をしてくれたことが印象的でした。
さて、本題の行政評価制度に戻り、お伺いいたします。
職員が本気になるには、首長の役割が大きいと思いますし、首長が行政評価制度の意義を理解し、必要性を職員に訴えることが重要であります。首長が本気でやれば職員も本気になる。首長は、職員が工夫をして仕事し、行政の質を向上させることを期待しているわけですし、前例踏襲の仕事は好きではないと思います。つまり、首長の求める成果が出るような行政評価制度とするには何が必要か、それは首長が簡単にわかるようなシンプルなものにすべきであると考えます。シンプルにすれば、多忙な首長も時には目が通せるわけですし、今後はそういった方向で行政評価制度の改善をしていくべきだと思っています。
少し細かい話ですが、施策を構成している事務事業の評価調書は、財政課と各部局が予算策定時の
ツールとして使っているだけではないかと私は危惧いたしております。財政が厳しい中で、事務事業評価を通じた予算の削減だけが先行してしまうと、担当課の協力を得にくく、事業評価という
ツールが形骸化し、本来の目的である行政の質を上げるということは難しくなってまいります。
ここで第五の質問です。財政課の仕事は、予算の事前のチェックではなく、事後の使い方について行政評価のシステムを使い、改善の跡があるかどうかをチェックするべきと考えますが、今後の行政評価制度をどのような考え方に基づいて定着させようとしているのか、お伺いいたします。
最後に、仕事の進め方についてであります。
一般には、民間会社では、今何が必要かを常に考え、その方向を示すと同時に、人と組織の活性化のために檄を飛ばし、行動できる組織づくりが重要と認識しており、トップによる社員へのメッセージはそうした強い思いがにじみ出るものであります。
さて、インターネットで配信されております知事の発言・寄稿に、ことしの四月三日にとり行われた職員年度始め式でのあいさつ文が掲載されております。この中に、仕事の進め方についての神田知事の思いの一端が述べられておりますので、一部を紹介させていただきます。
皆さん、おはようございます。
中略いたします。
私ども公務員にとりましては、この年度始めがいわばお正月を迎えたような、そんな気になります。特に、こうした節目を迎えますと気持ちが新たになり、ぴりっとした緊張感に包まれるわけであります。恐らく、職員の皆さん方も新たな気持ちできょうの日を迎えていただいたものと思います。
この四月は人事異動の時期でもございます。特に職場を変わられた方々、あるいは職場を変わってはいなくても、上司、同僚、部下、スタッフが変わるという中で、いい緊張感を持って仕事をしていただけるのではないかと思います。特に、私どもの仕事は、とかく惰性に流れがちでありますし、マンネリ化することも時としてあるわけですけれども、こういう年度の大きな節目に、もう一度決意を新たにして仕事に取り組んでいただきたいと思います。
とりわけ、今回の異動では本庁組織の見直しがございましたので、体制も変わりましたし、あるいはそれに伴いまして、人事異動の規模も例年よりも大きくなりました。どうか、そういう中での仕事のスタートでありますので、よろしくお願い申しあげます。なお、この本庁組織の異動などにつきましては、皆さん方に職場の異動やら、あるいは引っ越し作業などでも休みを返上する形でいろいろ御苦労されたと伺っております。本当に御苦労さまでした。ひとつよろしくお願いを申し上げます。
ただ、そういう新たな気持ちにはなるわけですけれども、私どもの職場は、このような形でいわばバトンタッチをする職場でもあります。一年、二年、三年で職場を変わるという中で、中には、重要な懸案事項を持ったまま次の人にバトンタッチをするというケースもあります。そういう中で私どもが心配しますのは、事業がそこで中断したり、大きな支障が出たり、あるいはそれが住民サービスの低下につながったりするということであります。事務の引き継ぎなどは年度末から皆様にお願いしてきたわけでありますけれども、どうか新年度を迎えてからも、そうした円滑な仕事の運営には十分配慮していただきたいと思います。
この後も続きますが、長くなりますので、ここまで読み上げて、最後の質問として神田知事にお伺いいたします。
今読み上げたメッセージ内容をどのように県民の皆さんが感じられるかはそれぞれの個人差があると思います。メッセージ文全部を読んでみても、私には職員の皆さんと同じ目線に立った知事の優しさと職員に対する気遣いは伝わってきますが、トップとして愛知県庁を引っ張っていくという立場での真剣さ、気迫さは残念ながら伝わってまいりません。私は、職員年度始め式がどのような雰囲気で行われるのかについては知識がありませんが、首長の真剣さを職員に伝える絶好の場であろうと想定した上での感想であります。しかしながら、ここで知事が職員の皆さんに伝えたかったことを推測してみますと、今回の大規模な人事異動の中で、ともすれば仕事が個人のノウハウに依存しており、組織的に十分に展開されない部分があり、支障を来しては大変だとの思いから出た御発言であろうと思います。もし、そういった県庁内での課題を知事が認識した上での御発言であったなら、それを解決するためには、御自身としては一体どのようにすべきだと考えておられるのかについてお伺いいたします。
知事並びに理事者各位の簡潔かつ各質問の意に即した的確な答弁をお願いしまして、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
11:
◯知事政策局長(
宮島寿男君) 新しい政策の指針に関しまして、私から三点お答えさせていただきます。
まず、新たに取り組むべき政策についてでございます。
新しい政策の指針で掲げた政策は、時代の大きな転換期の中で全く新たに取り組むべきものもあれば、既にあります個別計画の取り組みについて、時代の変化に対応して見直したもの、さらには、中長期を見据えて今後の方向性を示したもの等、さまざまな取り組みがございます。いずれも、指針の検討を行う中で、新たな観点から位置づけた重要な政策ばかりでございます。また、それらの政策の中には、既に直面しています課題に立ち向かうために、すぐにでも具体的な事業実施に取りかからなければならないものから、中長期的な観点から具体化していくものなど、さまざまなレベルの政策が盛り込まれております。
既に直面しています課題への対応といたしましては、中学生の職場体験により子供の社会性を育成するあいち・出会いと体験の道場や、防犯活動に県民の力を結集する犯罪を半減させる
地域防犯県づくりなどにつきまして、既に具体的に事業を実施しているところでございます。
また、物づくりの技術を創造、発信いたします知の拠点づくりや、大規模な国際会議の誘致などは、その具体化に向けて現在精力的に取り組んでおるところでございます。
さらに、少子化の流れを変える子育て環境づくりにつきましては、少子化に関する条例の制定を掲げ、現在、今年度内の制定を目指しているところでございます。資源循環型社会の形成に向けては、社会全体で廃棄物の最終処分量をゼロに近づけるための取り組みといたしまして、ゼロエミッション・コミュニティの実現を掲げまして、今年度基本構想を策定し、来年度以降実施計画の検討に入るというスケジュールで、現在実現に向けまして、有識者の参加を得た委員会を設けて、鋭意検討を進めているところでございます。
一方、中長期的な取り組みといたしましては、アジア等との新しい関係を目指すアジア等経済連携交流戦略や、隣接県の産業拠点との連携を図りつつ、日本最強の広域産業拠点を目指します環伊勢湾産業創造クラスターの形成などについても、庁内におきまして具体化に向けた検討を今進めているところでございます。
次に、基本課題八、分権型地域社会の構築・道州制を視野に入れた広域連携の推進に係る数値目標についてでございます。
この基本課題につきましては、指針でお示しいたしておるとおり、従来の中央分権型の行政システムが十分機能しなくなっている今日、国と地方との関係を根本的に見直し、分権型の行政システムを確立していくことが求められております。指針で示した政策をしっかりと推進していかなければならないと認識しておるところでございます。
ただ、道州制や広域連携などは県単独でできるものではございませんので、実現に向けましては、国や隣接県との連携、合意形成など、関係者とのさまざまな調整が不可欠でございます。御指摘のように、指針においては目標数値の設定が困難でありましたので、具体的な目標数値は設定してございませんけれども、しかしながら、今後これらの取り組みを推進していく中におきましては、可能なものについてはできる限りの数値目標を設定してまいりたいと、こんなふうに思っておるところでございます。
第三点目は、指針の策定を受けた個別計画等の推進についてでございます。
愛知の地域づくりの全体の姿は、指針と個別計画等が一体となって示されるものでございまして、骨太の方針である指針で示された方向性や課題等は、個別計画等におきまして具体化する必要がございます。このため、あいち地震対策アクションプランの改定やらあいちの教育に関するアクションプランの策定など、十を超える個別計画等の見直しや新たな個別計画等の策定の作業に既に着手しているところでございます。
一方、二十一世紀あいち福祉ビジョンやあいち就業促進プランなど、指針で示した方向と目指している方向が同じで、当面見直す必要がない個別計画等につきましては、さまざまな課題やニーズに柔軟に対応しながら、引き続きこれらの計画に基づきまして、施策、事業を実施しているところでございます。
今後も、指針で示された方向性や課題等を個別計画等でしっかりと受けとめ、必要な施策、事業をスピーディーにかつしっかりと推進していくとともに、社会経済情勢の変化を的確に見きわめながら、絶えず指針の具体化、肉づけに全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
12:
◯県民生活部長(
夏目安孝君) 刑法犯認知件数半減の目標達成の考え方についてのお尋ねをいただきました。
治安回復に関しましては、これまでも愛知県安全なまちづくり条例を制定し、さまざまな取り組みを強化するとともに、警察の治安回復アクションプランに基づく犯罪対策等の強化により成果があらわれてきたものの、犯罪件数は依然高い水準で推移をしてきました。このため、本年を治安回復元年と位置づけるとともに、三月には、県、警察、教育委員会の三者が一体となって三か年戦略を策定し、県民総ぐるみ運動へと拡大し、強力に治安回復を図っていくこととしたものであります。
この三か年戦略では、県民の目線に立って、防犯意識の高揚、地域の防犯力の向上、犯罪が起きない生活環境づくり、子どもの安全確保を四つの柱としており、自主防犯団体の設立促進、活性化はもとよりでございますが、警察の取り組みを含めた街頭犯罪や繁華街対策の強化、児童生徒の見守り活動強化などを盛り込んでおります。
また、県民の皆様を初め事業者団体、地域団体、市町村等がそれぞれの立場から実施すべき取り組み事項、取り組み方向を取りまとめたあいち地域安全県民行動計画を策定しており、三か年戦略と県民行動計画を連動させ、全県挙げての県民総ぐるみ運動を展開しております。こうした全県挙げての県民総ぐるみ運動を継続、定着させることにより、新しい政策の指針で掲げる犯罪半減を達成してまいりたいと考えております。
13:
◯警察本部長(
山本博司君) 刑法犯半減に向けた警察活動のあり方についてお答えをいたします。
この春、策定をされました緊急三か年戦略におきましては、毎年刑法犯を一万件以上減少させるという目標が掲げられております。本年八月末までの刑法犯の認知件数は、前年比マイナス三万一千件、二三%の減少ということになっております。現時点では、毎年一万件以上という目標をとりあえず大幅に上回る減少ぶりということでございます。県民の皆さん総ぐるみの犯罪抑止活動が効果をあらわし始めているものと考えられるわけでございますが、県警といたしましても、平成十六年から取り組んでまいりました治安回復アクションプランに基づく施策、あるいはこの春以降取り組んでまいりました緊急三か年戦略に基づく施策等々、着実に成果は上げつつあるとの感触を持っているところでございます。
しかし、私どもは決して楽観はいたしておりません。ことしを含め、ここ三カ年減少傾向を示しているとはいえ、犯罪の発生は十年前当時に比べれば依然として高水準であります。十年間で半減という目標を視野に、今後さらに着実に犯罪を減少させていくためには、治安確保に最も正面から向き合う私ども警察が犯罪の抑止と検挙にこれまで以上に強力に取り組んでいく必要があると、このように考えております。
まず、抑止の面では、愛知県安全なまちづくり条例の理念を踏まえまして、地域社会の連帯強化の中で、県、県民、事業者、市町村等が一体となった県民総ぐるみの犯罪抑止活動が展開されるように、情報の提供あるいは必要な助言等、警察の立場からの取り組みを強力に推進してまいります。
また、検挙の面では、とりわけ県民の皆さんに大きな不安を与える凶悪犯罪、それから、女性、子供が被害者となる犯罪、身近で多発する街頭犯罪や侵入犯罪、あるいは暴力団や不良来日外国人らによる組織犯罪等々に対して、重点的な取り組みを行ってまいります。
こうした抑止、検挙両面からの活動を通じて、刑法犯認知件数の半減という大きな目標の達成を目指して努力してまいる考えでございます。
以上でございます。
14:
◯総務部長(
今井秀明君) 行政評価制度についてお答えをいたします。
行政評価制度の目的は、事務事業や施策に関しまして、必要性、有効性、効率性の観点から評価を行い、期待される成果を達成したかどうかを検証し、その結果を事務事業に適切に反映させていくことと認識いたしております。制度の導入以来、プラン・ドゥー・チェック・アクションという、いわゆるPDCAと呼ばれるマネジメントサイクルを機能させることによりまして、毎年毎年着実に事務事業の改善や見直しに役立ててまいりました。
また、行政評価制度は、目標管理の手法によって事務事業や施策の成果を検証するものでありまして、こうした作業を行う中で、組織として課題や対応方針を共有することについても大きな役割を果たしております。この制度も本格導入から三年を迎えまして、本年度、各部局のヒアリングなどを行い、より効果的、効率的で活用しやすい制度に改善していく予定でございます。
行政評価制度は、もともと予算を削減するための道具ではなく、事業や施策を形成するための道具としていくべきと認識しておりまして、行政のマネジメントの
ツールとして、庁内の日々の仕事の中でしっかり定着させてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
15:
◯総務部人事担当局長(
石川延幸君) 大規模な人事異動の中で、ともすれば仕事が個人のノウハウに依存しており、組織的に十分に展開されない部分があるのではないかと、こういう点についてお答えを申し上げます。
大きな組織体では、組織と職制をきちんと整理いたしまして、その中で適材を適所に配置することによりまして、組織がより有機的に機能を発揮するというふうに考えております。職員を活性化し、より高度な能力を発揮してもらうためには、定期的な人事異動は欠かせないものでございますけれども、その際の事務引き継ぎは、行政事務の継続性の維持やら、また、県民の皆様に迷惑をかけないためにも、毎年人事異動の内示の際に万全の体制で臨むように指示をいたしているところでございます。
また、管理職を対象にして実施しております人事評価制度におきましても、担当業務の目標、課題などを記載いたしました目標確認シートを、これは毎年度末に作成をいたしまして、異動があったときにはこれを引き継ぐことといたしております。
今後も、引き続ききちんとした事務引き継ぎがなされるように体制を整えてまいりたいと考えております。
16:
◯知事(
神田真秋君) お答えをいたします。
ことしの四月の年度始め式の私のあいさつの一部を引用していただき、今、御指摘いただきましたので、そのことについてお話を申し上げたいと思います。
社会が大変複雑化をしてまいりまして、さまざまな課題がたくさんある中で、県行政におきましても、なかなかルーチンワークというのは少なくなっておりまして、個別、さまざまな事情を十分考慮しながら物事を進めていかなければならない仕事がふえております。人事異動の際に、そうしたものがきちんと継続できるかどうかというのは、やはり年度をまたぐときには大変重要なことでございまして、これは、今年度の初めだけではなく、毎年度職員にはやかましく言っているところでございます。
とりわけ、今年度につきましては、本庁組織が大きく見直しをいたしました。それだけに、人事異動の規模も大きくなりましたし、組織そのものの仕組みも変わりましたので、やはり念を押すことが必要だということで、仕事始め式の中で先ほど引用していただいたようなあいさつをしたところでございます。もちろん、年度の初めの職員に向けてのあいさつでありますので、単に事務引き継ぎのことだけを申し上げているわけではございません。昨年二大事業が終わりまして、今年度何が重要かと、そのように考えれば、昨年の年度末に策定した新しい政策の指針をきちんと理解をし実施することであります。
そこで、先ほど引用していただいた後に、私はそのことを触れております。前段を引用していただきましたので、これは、私もこの機会に申し上げなければならないと思っておりますが。
博覧会の成功体験に浸ってばかりはいられないのであります。常に前を向いて、一歩も二歩も進んでいくことが必要であります。
ちょうどその意味では、昨年度末に新しい政策の指針というものを取りまとめたところであります。この政策の指針は、今後愛知県が進むべき方向を示したものだと思っておりますし、重要な課題についてはほぼ網羅していると思っております。これを確実に実行し前進させることが、私ども愛知県の発展と飛躍につながることは間違いないと思っておるところでございます。どうか職員の皆様方におかれましても、新しい政策の指針の中身を十分理解し、そして、それをそれぞれの職場で生かしていただき、実行していただきたいと思います。
今愛知県は大変元気だ、活力があると言われているわけでありますけれども、私は、この新しい政策の指針を確実に実行することによって、さらにこの元気を持続できる、より現在よりも発展できるものとかたく信じているわけでありますし、愛知にはその力がある、愛知にはその実力があると信じているところでございます。どうか皆さんには、この政策の指針を愛知の方向性として、御自分の中で認識をしていただき、それぞれの職場で頑張っていただきたいと思います。政策の指針は、これから十年にわたるさまざまな事業が掲げられておりますが、どうか大きな目標、大きな志を持っていただきたい。しかし、実際の仕事では足元を眺めながら目線を低くし、謙虚に謙虚に仕事を進めていただきたいと思います。それが私からの皆さんに対するメッセージであります。
このように続いているわけであります。
あわせて、人づくりが大変重要であります。愛知県庁におきましても、二〇〇七年問題が間違いなくやってくるわけでございまして、経験やら技術の継承が大変重要になってまいります。今申し上げました新しい政策の指針のことの次には、いわゆる二〇〇七年問題、職員の経験、技術、能力の継承、そして人づくり、こうしたことも述べております。これはあえてここでは引用いたしません。そのようなことで仕事始め式に臨んだわけであります。
職員の皆さん方は、私の話を聞いて、この新しい政策の指針が県政にとって大変重要だという認識は少しは持っていただいたのではないかと思いますが、今後とも一層その趣旨を徹底し、諸事業がさらにこれから充実するよう努めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
17: ◯二十番(
仲敬助君) 仕事の進め方につきまして、再質問として一件、神田知事にお伺いいたしたいと思います。
知事は、大変にお忙しい立場でございまして、分刻みのスケジュールで動いておることは新聞等々で十分承知しております。しかし、今言われました熱い思い、そういった施策、知事さんの心の中にある仕事が本当にうまくいっているかどうかと、こういった検証というのは、恐らく仕事の現場であり、スタッフの気持ちの中にあるだろうと思っております。そういった特に知事さんの気になることについては、知事は、仕事の第一線で活躍している人たちとどのように接して、どんな形で生の声として、今その施策が課題を持って進んでおるかということは、どんなようなことで情報収集に心がけているのか、その毎日の心がけについてお伺いしたいと思います。
18:
◯知事政策局長(
宮島寿男君) ただいまのお尋ねでございますが、定例的に開催しています部長会議やテーマごとに設定する政策調整会議におきまして、現場の状況や意見を踏まえながら政策判断をしているところでございますが、また、日常的な課題への対応につきましては、局長、次長、担当課長などから直接報告、説明等を受けていただいておるところでございます。現場の意見、状況は、当然各部局長が把握しておることでございますので、部長会議やら政策調整会議などを通じまして、把握していただいておるところでございますが、日程上可能な限り、現地視察の実施あるいは地方機関に出向くなどを今現在していただいております。そうしたことによって、現場の声、現場の状況をみずからも把握していただいておるところでございます。
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19: ◯四十番(
田辺克宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
20:
◯議長(
内田康宏君)
田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
21:
◯議長(
内田康宏君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時三十二分休憩
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午後一時開議
22: ◯副議長(小久保三夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
鈴木孝昌議員。
〔四十四番鈴木孝昌君登壇〕(拍手)
23: ◯四十四番(鈴木孝昌君) 通告に従い、質問をさせていただきます。
先ごろ、法務省から発表された在留外国人統計によれば、平成十七年十二月末現在、本県に在住する外国人はおよそ十九万四千人余であります。東京、大阪に次いで多いという状況でもあります。
在留外国人の県内統計人口比を見ますと、平成一七年末で二・七%であり、全国平均の一・六%を大きく上回っております。製造業の盛んな本県では、業務請負、派遣といった間接雇用の形態による受け入れが進み、本県在住のブラジル人が七万一千人余で全国一であるのを初め、南米地域からの就労を目的とした日系人が多数在住しているのが特徴であります。
少子・高齢化の進展により、我が国は人口減少の時代を迎え、労働力人口が減少すると見込まれる中、フィリピンとの経済連携協定における看護師や介護福祉士の受け入れの合意など、今後、諸外国との経済連携協定交渉を契機に、日本の外国人受け入れが進むのではないかと考えます。
また、愛知万博や中部国際空港の開港をばねに、製造業の好調ぶりに支えられて、この地域の経済は順調に推移しておりますが、こうした流れの中で外国人労働者の流入は続くと思われます。
外国人は、地域経済を支える大きな力となっている一方で、短期・間接雇用の形態など、不安定な労働環境の就労者がさらに増加することが懸念されます。こうした外国人の中には、その居住実態を正確に把握することができないため、市町村においては、住民税すら確保できない場合も多いと聞いております。また、外国人の増加によって、外国人子弟もふえており、教育の現場でもさまざまな問題が生じております。
現行制度のままでは、外国人が多数居住し、長期滞在・定住化の進む自治体では、問題がますます深刻化しかねない情勢にあると考えます。さらには、外国人の増加と長期滞在・定住化の進展とともに、自治体が対応を迫られる外国人居住者のニーズが多様化、複雑化しているため、外国人が集住する市町村にとっては、大きな負担になっているものと思われます。
これらの問題の根底には、国の総合的、体系的な外国人政策が整備されていないという現実があり、行政サービスを住民に直接提供する市町村にそのしわ寄せが来ていると考えられます。
私の地元豊橋では、多数のブラジル人が集住しており、外国人子弟の教育を初めとするさまざまな分野で先進的な取り組みを進めておりますが、一地方都市が対応できるレベルをはるかに超えた状態にあります。
現在、国においては、省庁横断的に外国人政策の見直しの論議を進められていると聞いておりますが、新たな枠組みが早急に整備されることを切に期待するものであります。
そこでお伺いをいたします。
今後、日本人と外国人とがともに安心して暮らせる社会、多文化共生社会の形成はますます重要になってくると思いますが、多文化共生社会づくりの推進に当たり、外国人を取り巻く課題は地方の力だけでは解決できないものであります。国への働きかけを含め、これまで県はどのような取り組みを進めてきたのか、また、今後、多文化共生の推進にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
次に、県営住宅についてお伺いいたします。
私は、昭和十六年十二月の一般質問で、県営住宅における外国人入居者急増に伴う諸問題として三点質問をした中で、今後どのように共生の道をとらえていくのかをお聞きいたしました。まずは、今日までの対応についてお聞かせください。
また、大規模な県営住宅は、地域社会に今までにない社会変化を招くことがありますが、建てかえなどの再整備に当たっては、地域のバランスをとるために、県営住宅にあわせ戸建て住宅の供給など、定住者がふえていく対策もとる必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
次に、多文化共生に係る学校教育の諸課題についてお聞かせください。
さて、愛知県の外国人登録のうち、豊橋市や豊田市、小牧市など集住都市の現状を見てみますと、一校当たりの外国人の占める割合が二〇%に上る学校もあらわれ、教員の負担から教育が困難な学校も出ていると聞いております。
一方、集住都市以外の市町村でも、外国人児童生徒の増加に伴い、一人一人の子供に応じた十分な支援ができなかったり、文化の違いや言葉の壁からトラブルが起きたりという状況があるということも聞いております。
平成十七年度の配置基準の見直しは、五十一人以上の集中校に対して教員加配がなされ、一定の評価はいたしますが、しかしながら、外国人児童生徒数が十名以下で加配のない学校への支援や、外国人児童生徒が百人規模の学校へのさらなる支援など、課題は残されています。
本年四月に公表された国の日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査によりますと、平成十七年九月時点で、本県の小中学校には日本語指導が必要な外国人児童生徒が三千五百四十四人在籍しており、その数は全国最多であり、年々増加しております。県は、外国人児童生徒が多い小中学校には日本語教育適応学級担当教員を特別に配置しております。今年度は百二十一校に百六十九人配置し、日本の生活になれない外国から来た児童生徒が学校生活になじむようにさまざまな努力をされていることは承知をいたしています。
この日本語教育適応学級担当教員の主な仕事は、日本語指導及び適応指導であると聞いていますが、これらの教員は必ずしも外国人児童生徒の母国語や母国の文化や生活習慣について精通している教員ばかりではありません。
そこで、それを補うような日本語とポルトガル語を初めとする外国語を理解し、日本と外国の文化や生活習慣に精通した人材を確保し、配置することが必要であります。
私の地元の豊橋市においては、ポルトガル語ができる相談員7人を市費で採用するなど、学校への支援がなされております。さらには、豊橋市のプレクラスや豊田市のプレスクールのように、ブラジルから来日して間もない子供たちの生活支援を進めている市もあります。こうした取り組みは、子供たちに安心感を与え、日本に適応していく上で成果を上げていると聞いております。
しかし、財政力のない市町村では、独自にそうした語学相談員等を必要数任用することができない状況もあり、県の支援が求められております。
本県は、国際交流大都市圏構想を掲げており、語学相談員の小中学校への派遣は、外国人児童生徒が日本の学校生活にスムーズに適応するための支援になるとともに、日本の子供たちの国際感覚を高める教育にも役立ち、多文化共生社会づくりの礎を築く上で大変重要であると考えております。
そこで、小中学校における外国人児童生徒教育の充実に向けてどのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いをいたします。
また、その次の段階として、外国人児童生徒の中には、将来にわたって日本での生活を希望し、高等学校で学ぶ意欲を持ちながらも、言葉の壁などによりその機会を得られない生徒もおります。外国人の子供たちも日本の子供たちも同様、国際社会に生きる人材として育成していかなければならないことは言うまでもありません。
このように、高等学校で学ぶことを望んでいる外国人の子供たちに対してどのような支援がなされているのか、あわせてお伺いをいたします。
次に、教員の加配基準の見直しと増員についてであります。
現在の加配基準では、日本語支援の必要な外国人児童生徒が十名未満の学校には加配がなく、相談員システムのない市町村においては、受け入れた担任の負担は極めて大きなものになっています。また、相談員のいる市町村でも相談員の立場では対応できないことも多く、正規職員の加配拡大が強く望まれております。今後、県として、学校現場から強い要望のある加配基準の見直しや加配教員の増員についてどのような対応を考えているのか、お伺いいたします。
さきの加配ともかかわる内容でありますが、県教委は、今まで人をふやす方向で対応してきたように聞いております。しかし、多数の外国人児童生徒が在籍するような学校に対しては、人的配置だけでなく、配置する教員の質を考えていく必要があると考えます。
そこで、次に、教員の採用についてであります。
外国人児童生徒の指導につきましては、専門的な知識とともに指導技術が要求をされております。こうした特殊な専門的力量が求められる外国人児童生徒の指導に関しまして、教員採用時に外国人児童生徒の指導経験者やポルトガル語など外国語に堪能な者を優先的に採用するなどの方法も考えられますが、どのように考えているのか、お伺いいたします。
また、教員採用に関しまして、次に、教職員人事権の中核市への移譲についてであります。
本県の中には、豊橋市や豊田市、岡崎市といった中核市があります。人事権が移譲されれば、独自な人事配置が可能になり、外国人児童生徒が多数在籍する豊橋市や豊田市は、独自な人的配置が可能になると考えられます。そうした状況の中で、中核市への人事権の移譲について、本県はどうお考えになっているのか、お聞かせください。
次に、ヒートアイランド対策について質問をいたします。
ここ数年、地球温暖化の影響から毎年毎年暑い夏になっております。そんな中、ことしの夏も大変な猛暑であったと感じているのは私一人ではないと思います。特に、ことしは梅雨入り前から大変暑く、九月に入ってからも残暑が厳しい状況が続き、冷房がきいていない部屋では寝苦しい夜が続きました。
思い起こせば、昨年の夏も暑かったわけでありますが、昨年は大成功に終わった愛知万博の真っ盛りでありましたので、私も、そして多くの人々が万博会場に来て、会場のあちらこちらを歩き回ったものでありました。その愛知万博の閉幕からはや一年が経過した今、すばらしい感動とともに、厳しい暑さの中をひたすら歩き回ったことがきのうのように思い出されます。
とりわけ、会場内の木陰を歩いているときは緑の涼しさを実感し、改めて緑の効果やその大切さを考えさせられました。木陰は、ただ太陽の光を遮るテントの下と違い、樹木の蒸散作用により気温を低下させる効果や、目に入る緑により涼しさを感じさせる効果があるからです。
私たちが生活する都市において、大きな緑といいますと、それぞれの都市公園があります。その敷地の中では、木々が幾重にも重なって深い豊かな森となっており、真夏でもひんやりとした涼しさが感じられます。緑地の中心部とその周辺で五度C近くも温度差がある結果となっています。この点から、都市における大規模な緑地は、ヒートアイランド現象の緩和に大きな役割を果たしていることが明らかであります。
もう一つ、都市の緑として身近なものとしては街路樹があります。ぎらぎら太陽が照りつける夏の暑い日に歩道を歩いていると、自然と街路樹の日陰に身を寄せてしまい、緑のありがたさに感謝してしまうほどです。
その歩道の舗装についてでありますが、最近、雨水を浸透させる環境に優しい舗装として、透水性舗装というすぐれた舗装があります。県におかれても、市街地の歩道の舗装には、この透水性舗装を使い始めたと聞いておりますが、歩道の透水性舗装が普及していることは、街路樹の育成にも、そして都市緑化の推進にも大変よいことであると私は思うわけであります。
一方、都市部では、経済活動や人口の集中による開発が進み、都市の緑はどんどん減っていくわけであります。これは、本県だけでなく全国的な傾向でもあります。
こういった深刻な状況に対して、緑を育てる担い手として、近年、住民、ボランティア、NPOなどが街角や道路、公園などで木や花を植えてまちづくりをする活動が広がっています。特に、我が県においては、社会貢献活動として熱心に緑化活動に取り組む企業がふえており、こうした社会や環境への貢献度を評価するものとして、財団法人都市緑化基金からの第一回の認定式が愛知万博開催中に長久手会場において行われ、全国で十一カ所のうち、本県からは、トヨタフォレスタヒルズ、ソニー幸田工場、ノリタケの森の三カ所が認定をされております。
こうした自主的な緑化活動は、花で彩られた緑豊かな町並みをつくるだけでなく、多様な主体の参加と連携、パートナーシップの形成を促し、やがて豊かさと緑あふれるまちづくりを推進していく上で大きな力になっていると私は考えております。
そこで質問をいたします。
快適で安全な都市生活を送るためには、都市の緑の存在は大変重要であると思われますが、都市緑化のうち特に重要と思われる都市公園の整備について、県としてどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
また、これからの行政は、県民の視点に立って、県民と県とが協働して進めていくことが特に重要であると思われますが、こうした県民協働の視点から今後の都市緑化をどのように取り組んでいこうとしているのか、お尋ねいたします。
また、歩道の透水性舗装をより積極的に進めていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
最後に、県所有の公共施設の駐車場の透水舗装を進める必要があると思われますが、あわせてお答えをいただきたいと思います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
24: ◯地域振興部長(渡邉俊司君) 多文化共生の推進についての御質問のうち、本県のこれまでの取り組みについてのお尋ねでございますが、平成十五年三月に策定いたしました国際化推進プランの中に外国籍県民とともに生きる地域社会づくりを目標の一つとして掲げ、在住外国人はともに地域社会をつくっていく一員であるという視点に立って対応を進めてまいりました。
具体的には、多言語での生活情報提供や生活相談の実施、日常生活について在住外国人の生の声を聞く外国籍県民あいち会議の開催、あるいはNPOなどと連携を図りながら、県民との交流を進める取り組みなどを行ってまいりました。
しかしながら、在住外国人を取り巻く教育、労働、医療、年金などの課題を解決する上で、自治体の力だけでは限界がありますので、多文化共生社会づくりを推進するための総合的な体制整備、制度面の見直しや改善を行うよう、本県として強く国に要望をしております。
また、全国的にも多数の在住外国人が集中いたしております東海三県一市と静岡県、群馬県の五県一市で構成いたしております多文化共生推進協議会で共通の課題について議論をし、この協議会を通じましても、国に強く要望をいたしているところでございます。
次に、多文化共生推進の今後の取り組みについてでございますが、今後この地域が国際交流大都市圏として内外から多くの人々を引きつけ発展を目指していく上で、外国人と日本人がともに安心して暮らせる多文化共生社会を形成していくことが重要でありまして、本県が取り組む戦略的・重点的政策の一つとして、新しい政策の指針に位置づけたところでございます。
この多文化共生に関する取り組みは非常に幅広い分野にわたりますので、NPOや企業、地域住民、市町村などとの連携のもとに進めていく必要があります。現在、学識経験者、地元経済団体関係者などから成ります多文化共生社会づくり推進会議で、多文化共生社会の形成に向けて必要な施策の検討を進めておりまして、この結果を踏まえながら、より効果的な取り組みを推進してまいります。
また、人材育成の面では、生活者としての外国人が抱えております多様な課題に、相談から解決まで一貫した支援を行う人材であります多文化ソーシャルワーカーを育成し、相談・支援体制を充実する方向で準備を進めております。
なお、国の外国人受け入れ方針の明確化やそれに伴う法制度などの整備が、今後多文化共生を推進する上で基本的な前提となりますことから、国の制度にかかわるものにつきましては、引き続き積極的に見直しや改善を要望してまいります。
以上であります。
25: ◯建設部建築担当局長(山北康雄君) 県営住宅における外国人と日本人の共生についてお答えします。
共生を支援するために、従来から、入居する際の説明会におきまして、外国人入居者に対しましては、五カ国語で作成しております入居のしおりにより共同生活のルールを説明するとともに、入居後におきましても、県営住宅ニュースを各戸配布するなど、機会をとらえて日本の生活習慣を周知、啓蒙しているところでございます。
平成十七年度は、新規に外国人共生支援モデル事業を実施したところでございますが、この事業は、外国人居住者が特に多い県営住宅三団地におきまして、ごみ問題や迷惑駐車あるいは生活騒音等のトラブルを解決するとともに、外国人と日本人が理解を深め合い共生できる方策を見い出すために、地域のNPO法人等に委託して取り組んだものでございます。
この事業によりまして、トラブルの軽減方策や外国人と日本人との相互理解を深める見通しを得ることができましたので、この成果を今後外国人が多く居住している県営住宅を中心に広く普及してまいりたいと考えております。
次に、大規模な県営住宅の再整備に当たっての考え方についてでございます。
県営住宅につきましては、これまで昭和三十年代から四十年代にかけての人口急増を背景とし、その受け皿として大規模団地を幾つか建設してまいりました。しかし、これらの団地におきましては、居住者の高齢化や外国人入居者の増加などに伴い、円滑な団地管理や周辺地域との良好な関係が保ちにくくなっているなど、さまざまな問題が顕著に見受けられるようになってきております。
このため、大規模な団地の再整備に当たりましては、地域の実情を勘案しつつ、多様な世帯がバランスよく住むことができるよう、住宅の高層化に伴って生ずる用地の一部を戸建て住宅用地として利活用する取り組みも実施してきております。
今後も、このような施策を推進するとともに、社会福祉施設の導入や地域の利用にも配慮した集会所の整備などを進めることによりまして、良好なコミュニティーの形成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
26: ◯教育長(伊藤敏雄君) 多文化共生に関しまして、学校教育の諸課題についての御質問をいただきました。お答えをいたします。
まず、小中学校におきます外国人児童生徒教育の充実についてでございますが、現在外国人児童生徒が多い学校には、御質問にもありました日本語教育適応学級担当教員を配置いたしております。また、外国人児童生徒が多く在籍する市町村では、独自に相談員や指導員を採用し、日本語指導の補助や生活適応指導、保護者に対する教育相談などに取り組んでおりますが、こうした取り組みが十分でない市町村を補完、支援するため、県教育事務所に語学相談員を配置いたしまして、学校への巡回訪問による相談指導を行っているところであります。
さらに、この語学相談員が講師となりまして、主に日本語教育適応学級担当教員を対象とした研修を行ったり、外国人児童生徒が多く在籍する市町村の指導主事で構成をいたします外国人児童生徒教育連絡協議会を通じて、教材や指導資料の共有化を進めるなど、外国人児童生徒の学習支援に努めているところであります。
今後も、外国人児童生徒への日本語指導や学校への適応指導が円滑に実施できるよう、こうした取り組みを一層推進するなど、市町村教育委員会とも緊密な連携を図りながら、外国人児童生徒教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、外国人児童生徒の高等学校への受け入れでございますが、高等学校で学ぶ意欲のある外国人生徒を支援することは、成熟した多文化共生社会づくりを進める上でも大切なことであると考えております。本県では、平成十四年度から県立豊橋西高校を初め全日制課程三校において、一般入学とは別に外国人生徒選抜を行い、高等学校で学ぶ意欲を持つ外国人生徒の受け入れを図っておりますし、また、定時制課程におきましても、日本語の力が十分には身についていない外国人生徒が多く学んでいるところでございます。
このような言葉の壁を抱える外国人生徒が在籍する県立高等学校には、教育支援員を配置いたしまして、授業や自主学習のサポート、教材等の翻訳、保護者会等における通訳などの支援を行っているところでございます。教育委員会といたしましては、今後も各地域、各高等学校の実情を把握しつつ、教育支援の充実に努め、外国人生徒の学ぶ意欲にこたえてまいりたいと考えております。
次に、日本語教育適応学級担当教員の配置でございますが、本県では、外国人児童生徒が年々増加をしていることもありまして、平成十六年度の百二十三人から現在の百六十九人まで年々増員をしてきたところであります。こうした中、御指摘の在籍児童生徒数十人未満への学校の配置につきましては、平成十七年度から市町村ごとにおける加配の総数の中で、各市町村教育委員会の判断でそれぞれの学校の実情に合わせて柔軟に配置できるようにしたところでございます。
また、日本語教育適応学級担当教員の増員についてでありますが、この配置は国からの加配定数で措置をいたしておりますが、本県では、日本語指導が必要な児童生徒数が全国でも最も多く、さらに増加傾向にありますことから、機会あるごとに国に対し加配定数の増員の要望を行っているところでございます。
なお、今後におきましても、市町村教育委員会との連携を図りながら、さらに国への要望を進めるとともに、学校現場における日本語教育が必要な児童生徒への指導についても、一層の工夫改善を図ってまいりたいと考えております。
次に、教員の採用に関してでございますが、採用選考に当たりましては、受験者の資質能力を多面的に評価し、個性豊かで多様な人材を確保するため、願書には語学等の資格や特技のほか、外国生活等の多様な経験やボランティア活動等の実績を記載する欄も設け、選考の資料として活用をいたしているところでございます。
しかしながら、ポルトガル語を初めとする外国語が堪能で、かつ外国人児童生徒の指導にも精通された受験者はごく少数であるというのが実情でございます。このような状況でありますが、外国人児童生徒の教育の充実には、外国での生活等さまざまな経験を持った方を採用していくことも有効でありますので、例えば青年海外協力隊で活躍している人材の活用等も視野に入れながら、選考方法等について検討してまいりたいと考えております。
また、教員養成を行う大学に対しましても、こうした語学能力を備えた教員を多く養成していただくよう要望をいたしているところでございます。
次に、中核市への人事権の移譲についてでございますが、既に移譲されております教員研修の実施義務と相まって、議員御指摘のとおり、地域の実情に応じた教職員の配置が促進されることから、地方分権の動きの中で望ましい方向であると考えております。
しかし、優秀な人材が都市部に集中するのではないかといった問題も懸念されているところでありますので、移譲に際しましては、広域人事の実施など、地域によって教育格差が生じない制度設計を構築する必要があること、また、組織・財政問題など、さまざまな課題の整理もしていく必要があると思っております。
現在、国におきましても、さまざまな議論が重ねられているところでありますが、本県におきましても、中核市はもとよりのこと、他の市町村教育委員会とも意見交換を行っているところでありまして、こうした状況も踏まえ、課題の対応など必要な措置を国へ要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
27: ◯建設部長(藤井則義君) ヒートアイランド対策としての都市緑化を初めとするお尋ねをいただきました。
初めに、都市公園の整備についてでございます。
御指摘のように、ヒートアイランド現象の緩和など都市環境の改善にとって、緑が持つすぐれた機能が最近特に注目されており、このほかにもレクリエーションの場や生物のすみかとなり、また、都市の防災機能の向上、良好な景観の形成を図ることなど、緑の効用ははかり知れないほど大きなものがございます。
都市公園の整備に当たりましては、そうした緑の持つ多面的な効用を生かすことを念頭に置きながら、県は地域の核となる広域的な公園を、市町村は身近な公園を適正に配置いたしまして、整備に努めておるところでございます。
さらに、県営公園の整備に当たりましては、里山や水辺など、地域の特性を生かした公園づくりに取り組むとともに、計画から運営までさまざまな段階におきまして、県民の皆様の意向調査やワークショップを行うなどして、住民参加型の公園づくりに今後とも積極的に取り組んでまいります。
次に、県民協働の視点からの都市緑化の取り組みについてでございます。
都市緑化の推進には、都市公園の整備に加えて、市街地の大部分を占めます民有地の緑化の取り組みが大きな効果を発揮するものと考えております。県といたしましては、愛知県都市緑化基金により、生け垣設置、屋上緑化などに対します市町村の助成事業を支援することで、県民の皆様が主体となった緑のまちづくりを積極的に推進しているところでございます。
また、新たな取り組みといたしましては、今年度より都市緑化基金から直接市民団体などに苗木や花の苗を提供いたします緑と花のまちづくり事業を始めたところでございます。多くの熱心な園芸愛好家の集まりや婦人会などから応募をいただいておりまして、緑の活動の広がりを実感いたしておるところでございます。
今後は、市町村での都市緑化の取り組みや支援事業の充実を図るなどしまして、県民の皆様の緑化活動の取り組みの輪を広げ、これらの活動と行政とが相互に連携を図ることによりまして、緑豊かな美しい愛知を実現してまいりたいと考えております。
次に、透水性舗装についてのお尋ねでございますが、市街地や官公庁、福祉施設周辺で歩道を新設する場合においては、平成十三年度から透水性舗装といたしてきておりまして、現在までに六十二キロメートルを実施いたしてきております。
また、県有施設の駐車場につきましても、同様に平成十三年度から透水性舗装としておりまして、これまで県営住宅三十五団地、学校、病院など八十施設で実施いたしてきております。
透水性舗装は、地下に雨水が浸透し、地下水の涵養や治水対策にも効果を発揮するものでございまして、街路樹の生育にも好ましいので、今後はこうした舗装を新設する場合に加え、既存の舗装を修繕する機会をとらえまして、可能な限り透水性舗装を実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
28:
◯知事(
神田真秋君) お答えを申し上げます。
多文化共生の推進についてでございます。
本県に在住する外国人の方が最近特に多くなってまいりました。こうした方々は、私どもこの地域の経済活動をしっかりと支えていただいている方でございますし、その点では感謝をしなければならないと思っております。いよいよ少子化、そして人口減少時代に入りますので、ますますこの外国人の皆様方との協働が大切になってくるものと存じます。
けれども、一方で、さまざまな問題が社会の中で起きておりまして、この解決は大変難しい、困難でなかなか答えの出ない問題となっております。
しかし、いずれにしましても、NPO、ボランティア、市町村、他の都道府県、いろんな方々との協力の中で取り組みが必要だと考えておりますが、中でも、経済界の皆様方との連携した取り組みが重要だと思っております。と申しますのも、やっぱり経済界の皆さん方がこうした外国人の方々を雇用しておられるからでございます。
そこで、実は、せんだって開催をされた東海三県一市知事市長会議でございますが、この場において、私ども愛知県から提案をしたわけでございますが、その提案の中身は、こうした外国人労働者の適正な雇用を推進するための新たな取り組みをしようというものでございます。かみ砕いて言いますと、元請があり下請があり孫請があるというような製造メーカーなどの重層的な企業構造がございます。大会社などは、労務管理あるいは雇用体制がしっかりしておりますけれども、やはり問題が起きますのは、下請だとか孫請の場面が比較的多うございます。また、人材派遣業などとの関係でそういう問題も出てまいります。
そこで、そうした企業と私ども行政がよく話し合い、協調しながら憲章をつくり、その憲章に賛同していただき、御理解をいただく企業を募り、また、そういう企業を必要に応じて、例えばインターネットなどで公表したり、あるいは顕彰したり、そういう仕組みをつくることによって、外国人の雇用をより確かなものにしていきたいと、そんなことを考えているわけでございます。提案をいたしまして、各知事、市長からも賛同を得ましたので、これから経済団体、各企業の皆様方とよく話し合いをいたしまして、どういう形がいいのかよく研究して、こうした事業を実際の中で活用していきたいと、そんなことも考えておるところでございます。
いずれにしても、多文化共生は大変重要だと思っておりますので、新しい政策の指針にも位置づけましたが、県政の大きな柱として、これからさまざまな活動に取り組んでいきたいと思っております。
29: ◯四十四番(鈴木孝昌君) それぞれお答えをいただいたわけでありますが、今、知事さんから経済界も含めて多文化の憲章づくりをしたいということでございました。まさに、ぜひともお願いをしたいというのは、先ほど一問目で申し上げましたが、やはり社会変化、そういうことで社会変化だとか、場合によっては、どうしても予算をかけていかなければならないという場面も多いわけでありまして、しかし、県の今の財政状況を見ますと、十分な対応ができていくかというとなかなかにして難しいと思っております。憲章をつくり、場合によっては基金もつくっていただいて、そして、経済界もまじって外国人をより受け入れやすくしていくというようなこともぜひとも努めていただきたいと思っておるわけでありまして、今日、国際結婚もふえてまいりまして、十八組に一組ぐらいはもう既に国際結婚だと言われておる社会でありますし、近い将来、下手をすると十組に一組ぐらいは国際結婚になるんじゃないかと言われておるような多文化ということが現実に共生をしておる社会にもなりつつありますので、そうしたことを考えますと、ぜひともこうした民間も含めた、また、そうしたことでそうした人たちが安心して生活ができていくための予算ということもいかに確保していくかという観点からも、ぜひとも憲章ということも含めて、外国人がどうのこうのというよりも、将来を考えても、当然受け入れていくという姿勢を持って対応していくという時代でありますので、ぜひともお願いをしたいと思っております。
言い忘れましたが、一問目で平成十六年というところを昭和十六年と言ったようでございまして、まだ生まれておりませんので、訂正させていただきたいと思います。
それから、実は、ヒートアイランドの件につきましても、今、県が時間五十ミリ対応の河川整備をやっていただいておるわけでありますが、これも言われて古い話でございまして、まだ当初は、当然農地だとか田んぼ、畑というものがたくさん残っておった時代だと思っております。今日、そうしたものがなくなってもまいりました。そういうことを考えますと、五十ミリというのが本当に対応できておるのかということになると、実質はそうした部分もカウントされてきて五十ミリ対応だというふうに思うわけです。そうしますと、ほとんど舗装されていっちゃっていますので、今日は五十ミリでスタートしたものが実質五十ミリを切っておるということが現実の対応ではないのかなという気がいたします。
そこで、やはり地下水の涵養をしていただいて、街路樹だとかそういうものを守っていただきたいし、同時に、そのことで、地下水の涵養をする中で、地盤沈下ということも、地下水はどうしても企業だとかいろんなところでくみ上げますので、地下水が枯渇してまいりますと、当然地盤沈下を起こしていきます。だから、そうしたことを守るということと、それから同時に、いっときの雨というものが地下浸透することによって、少しでも今目指しておる五十ミリ対応ということに近づけていくということも一方で本気になって取り組んでいかないと、少しの雨で洪水というようなことに近づいていってしまうということも懸念するわけでありまして、ここで一気に申し上げるのも何かと思いますが、本来なら、民間の駐車場も県条例だとかそういうことも将来お考えいただいて、一定の規模の駐車場をつくるに当たっては、透水性のものを使用することというようなこともぜひとも考えに入れながら、民間も含め、まずは率先して行政が対応して、そして民間が始動できるような立場を県としてぜひともおつくりいただきたい。この二つを、今、知事に申し上げた憲章、それから、予算にも将来そうしたことが反映できていくというようなことも、それから、今の地下水の涵養というこの二つを要望して終わります。
30: ◯副議長(小久保三夫君) 進行いたします。
住田宗男議員。
〔三十八番住田宗男君登壇〕(拍手)
31: ◯三十八番(住田宗男君) 通告をいたしました二項目について順次質問をいたします。
最初は、交通安全対策についてお尋ねをいたします。
本県は、昨日までの交通事故死者数の状況から見て、目標である交通事故死者数全国ワーストワンの返上が極めて厳しくなってまいりました。昨年、県内の交通事故死者数は三百五十一人で、十四年ぶりに全国ワーストワンになり、大変不名誉なレッテルを張られました。そのため、本年は、年間死者数を三百四十人以下に抑止すること及びワーストワン返上の二つを目標に掲げて、さまざまな対策を展開してきました。しかし、二十四日までの交通事故死者数は二百三十六名であり、他県が軒並み前年より減少している中で本県は減少しておらず、ワースト二位の千葉県との差は四十一名と大きく開いております。
交通事故死は、被害者にとっては突然の惨事であり、心に受けるショックの大きさ、将来の生活設計が一瞬のうちに破壊され、人生がめちゃくちゃになるなど深い悲しみとともに、加害者に対して許すことのできない大きな恨みを抱くことになります。一方、加害者にとっては、自分だけでなく一家、親戚を巻き込んだ取り返しのつかない事態となるなど、悔やんでも悔やみ切れない大きな傷を負うことになります。
このような悲しいむごい事故をなくすために、県下、各地域、団体、企業、学校などでは、懸命に交通安全活動に取り組んでおります。しかし、残念ながら本県における交通事故死は一向に減少しません。
今月二十一日から始まった秋の交通安全県民運動にあわせ、緊急対策として、交通事故死「ストップ・ザ・ワースト」ファイナル百日作戦と銘打った取り組みが始まったところであります。このキャンペーンでは、県、警察、市町村、関係団体などが連携し、県民総ぐるみで実施することとし、死亡事故全体の四割を占める高齢者対策、中でも薄暮時の事故防止を図るため、外出時の反射材の着用を初め、年末にかけての飲酒の取り締まりなどが重点取り組みとなっており、年初に掲げた交通事故死者数三百四十人以下の達成と、交通事故死者全国ワーストワンの返上が必達目標となっていることは言うまでもありません。
二十二日の代表質問に対する知事、警察本部長の答弁でも、ワーストワンの返上に向けた強い決意が述べられました。しかし、九月も半ばを過ぎた今から年末までにこの目標を達成することは容易なことではありません。年初にこの目標を掲げ、懸命に取り組んでいるにもかかわらず、年初来ワーストワンが続いている状況をかんがみれば、もっと早い時期に非常事態宣言を発し、手を打つべきであったと私は思います。担当部局の目標達成に向けた使命感の薄さ、認識の甘さと対応の遅さを指摘せざるを得ません。
また、今回の交通事故死「ストップ・ザ・ワースト」ファイナル百日作戦の取り組みが真の県民総ぐるみ運動として、県内にくまなく広がり、県民一人一人が認識を新たにして、自分は交通事故を起こさない、交通事故に遭わないという認識を深める運動になり、効果を上げるためには、さらにもう一歩工夫が要るのではないかと私は思います。
ちょっと話は変わりますが、本県では、今年度の最重要取り組みとして、治安回復の取り組みを行っております。この取り組みでは、本年を治安回復元年と位置づけ、年度がかわると同時に知事部局に専任部署を設け、警察、自治体、地域住民、各種団体がお互いに協力し合い、県民総ぐるみできめ細かな対策を行っております。中でも、各警察署と自治体が連携し、各地区へ自主防犯パトロール隊の結成及び活動協力を呼びかけ、運動が地域全体に大きな広がりを見せております。
さらには、約二十億円の予算計上を行い、活動に必要な財政支援を行うことによって、自分たちの地域は自分たちで守るという意識が大きく芽生えたことなどが特徴として挙げられます。このかいあって、現時点で刑法犯の認知件数は、昨年比約二〇%以上減少しているとのことであります。
これらのことから、真の県民総ぐるみ運動とするためには、リーダーシップのとり方、組織づくり、協力体制の構築、活動に必要な財政支援等が大変重要であり、これをうまく機能させることによって運動の効果が上がるということを再認識したわけであります。交通安全運動においても、同じことが言えるのではないでしょうか。
そこで伺います。
今行われている交通安全県民運動は、緊急非常事態のもとでの活動であり、そのためには、県、警察、自治体、地域住民等が連携し、お互いが協力し合い、治安回復の取り組みと同様に、まさに県下総ぐるみの運動になることが大変重要だと思います。運動が上滑りをしないためにどのように周知・広報活動を行うのか、また、一人でも多くの県民に参加、協力してもらうためにどのような体制をつくり上げていこうとしているのか、伺います。
二つ目として、県民総ぐるみ運動にするためには、県民からの要望を真摯に受けとめ、その要望を実現させることも運動の効果を上げる上で極めて重要なことであると思います。
六月議会の一般質問で、信号機の新設に関する質問がありましたが、そのとき、警察本部長は、本年度の設置要望箇所は四百四十カ所であるが、設置の必要性を検討、判断すると、本年度設置箇所は百四十カ所を必要と判断したと答弁されました。私は、これを聞いてがっかりいたしました。交通事故死全国ワーストワン返上を目指す本県の対策として、余りにも要望数との差が大きかったからであります。昨年の交通死亡事故のうち約三〇%が信号機の設置されていない交差点で発生しているにもかかわらず、地域からの切実な要望に対して、設置予定は要望数の三割にも満たない数字になっているからであります。財政状況の厳しさは理解いたしますけれども、全国ワーストワン返上を県民総ぐるみで行おうとしているのであれば、県民の要望をもっと真摯に受けとめ実現させるべきだと思います。
この九月議会には、信号機十二基の新設を含めた交通安全施設の整備費として、一億一千四百万円余の補正予算が提案されておりますが、県民の要望にこたえるにはほど遠い数だと思います。各警察署から県警本部へ上がっている要望箇所は、それぞれの自治体、警察署が地域から上がってきた数多くの要望の中から十分検討、調整をし、絞りに絞った上で要望したものであり、住民の切なる願いを込めた要望箇所ばかりだと私は思います。
そこで伺います。
警察本部は、地域からの要望をどのようにとらえておられるのか、また、今回の補正予算で提案されている信号機はわずか十二基となっておりますが、どのような基準で決めたのか、残りの要望箇所は今後どのようにされるのか、お答えください。
三つ目として、交通事故死者数を減少させるためには、交通取り締まり強化から交通指導強化に重点を置くべきではないかという声を聞きます。悪質な交通違反に対する取り締まりはより強化すべきだと思いますが、一般的な交通取り締まりに大きな労力を使うより、その労力を街頭指導などに振り向けた方が交通死亡事故を減らす上で効果があるのではないかと思われますが、県警本部としての見解を伺います。
四つ目として、八月に福岡市で飲酒運転により幼児3名を死亡させた事故以降、各自治体では、飲酒運転をした職員の懲戒処分基準を強化するなど、厳罰化に向けた動きが活発になっております。本県でも、交通事故・交通法規違反に係る懲戒処分の基準を作成し、五日前の二十一日から施行しております。交通事故死亡者数ワーストワンであり、公務員の飲酒運転が後を絶たない本県としては、遅きに失した感はありますが、公務員が範を示すことは県民運動にとって重要であり、厳罰化を行うことは当然であると考えます。
そこで伺います。
今回作成した本県の基準は、人事院の指針及び最も厳しい基準を施行している都道府県と比較してどのような水準になっているのか、説明ください。
また、この基準は、知事部局に属する職員に適用するとなっておりますが、県の外郭団体、関係団体及び警察においてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。
以上で、交通安全対策に関する質問を終わります。
大きな二つ目の質問は、県財政についてであります。
本県は、平成十八年度の普通交付税については、平成四年度以来十四年ぶりに不交付となりました。これは、交付税算定の基礎となる法人関係税の十八年度見込み額が高い伸びを見込むことなどにより、基準財政収入額が基準財政需要額を上回ることによるものであります。
地方交付税制度は、全国どこに住んでいる人にも標準的な行政サービスを提供できるよう、地方公共団体の財源を保障する国の制度であります。地方交付税は、国が徴収した税金の一部を地方公共団体へつけかえるもので、国税に一定割合を乗じた額を基本に、地方財政計画に基づいて決定されます。
個々の地方公共団体の地方交付税額は、基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた額をもとに決定されます。これが普通交付税と呼ばれるものであります。行政サービスの実施に必要とされる経費が税金収入等の見込み額を下回る団体は不交付団体と呼ばれ、普通交付税は交付されません。
本県は、平成十八年度においてはこれに当てはまることとなり、四十七都道府県の中では、東京と愛知県の二都県が該当することになりました。不交付団体というと、財政状況がよい、あるいはよくなったというようなイメージがありますし、国からの交付金がなくても現状の収入で支出は賄えるはずということにもなります。
では、不交付団体になった本県の財政状況を検証してみたいと思います。
まず、歳入でありますが、本県にとっては、不交付団体になったことにより、平成十八年度の当初予算で三百五十億円を見込んでいた普通交付税はゼロとなり、それだけ歳入が減少することになりました。そのため、三百五十億円の新たな財源確保、または三百五十億円のさらなる行財政改革をしなければならないことになり、厳しい財政運営を強いられることになるわけでありますが、幸いにも、本年度は、国の制度として不交付団体になったことにより、減税補てん特例交付金として四百六十三億円措置されることになりました。それに加え、臨時財政対策債が当初予算額より若干多く決定されたことなどにより、当初予算額と比較して、差し引き九十八億円多く入ってくることになりました。国の制度とはいえ、理屈上すっきりと理解できないところはありますけれども、本県としてはやれやれといったところであります。
しかし、このあめは一時的なものであり、本年措置された減税補てん特例交付金は、平成十九年度にはことしの半分に、平成二十年度には四分の一に、そして平成二十一年度にはゼロとなることが決まっており、来年以降、だんだん厳しい対応が迫られることになります。
加えて、国においては、骨太の方針により大幅な歳出削減を打ち出しており、地方自治体への影響は避けられないと思われます。また、平成十九年度以降の県税額を予測した場合、現状より大幅に増収を見込むことは極めて難しいと言わざるを得ません。法人二税については、当地域において、現在の景気をさらに拡大し、税収を見込むことは至難のわざでありますし、加えて、外形標準課税の導入などもあって、増収の要因を見つけることは難しい状況であります。むしろ、現在の歳入がピーク状態であるととらえておくべきだと私は思います。
次に、歳出について見ますと、最も特徴的なのは、人件費、扶助費、公債費の義務的経費が年々増加し続けていることであります。それぞれの項目別に平成四年度最終予算と平成十八年度当初予算とを比較してみますと、人件費は五・二%の増加、扶助費は七四・二%の増加、公債費は一二二%の増加となっております。これらの義務的経費の歳出に占める割合は、平成四年度最終予算では九千三百十億円で四八・〇%であったものが、平成十八年度は一兆一千七百五十三億円で五三・一%となっており、財政構造は年々硬直化してきております。これらの義務的経費は、今後しばらくはふえることはあっても減ることはないと考えられます。
さらに、今まで経験したことのない人口減少社会への対応、急激に進む高齢化社会における福祉、医療、介護など、さまざまな課題への取り組み、経済、社会のグローバル化、情報化への対応など、地方自治体の果たすべき財政面での役割は増加するものと思われます。
以上、今後予想される県財政について私の考えを述べましたが、県財政を預かる担当部局にお尋ねをいたします。
最初の質問ですが、平成十八年度において普通交付税が不交付団体となったこと、さらに国の「骨太の方針二〇〇六」によれば、二〇一一年度を目標に十一兆から十四兆円の歳出削減を打ち出しておりますが、今後本県財政全般に及ぼす影響をどのようにとらえておられるのか、御所見を伺います。
また、県債の発行をふやさず、これに対応するためには、従来型の予算編成ではなく、ゼロベースからの積み上げ方式を余儀なくされるのではないかと思いますが、予算編成に対する考えを伺います。
二つ目として、本年二月に財政担当部局である総務部より、平成十九年度以降の本県財政の中期試算が公表されましたが、この中期試算への影響はどのようになるとお考えなのか、伺います。
三つ目として、「あいち行革大綱二〇〇五」による財政効果額が健全財政を目指す上で重要になってまいりますが、計画設定から四分の一が経過した現在までの進捗状況、予想効果額及び平成二十二年度における予想効果額はどれくらいになるか、お示しください。
四つ目として、平成十七年度の二月議会で、当時の総務部長は私の質問に対し、平成二十二年度にはプライマリーバランスの黒字化を実現するとお答えになっておりますが、その状況には変わりはないか、お尋ねいたします。
五つ目として、各地方自治体は、従来、地方交付税額の安定的確保に最もこだわってきたところでありますが、これにこだわる限り、地方税への移譲及び充実確保への意欲は弱くなり、地方財政の自立をおくらせることになると思います。
そこで、地方交付税総額の安定的確保をほどほどにして、むしろ、地方税への税源移譲、充実確保にこだわることこそ、地方財政の自立につながる早道ではないかと思います。現在の国と地方自治体との関係における財源六対四、仕事量四対六を早く是正し、地方自治体が自立できるよう本県がリーダーシップをとり、国に対し強く訴えていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
さて、現在、日本は、国、地方自治体で総額一千兆円に迫る莫大な借金を抱えており、危機的状況にあります。本県においても借金がふえ続け、この十年間で約一・六倍になる三兆八千億円の県債残高になりました。国、地方自治体においては、この借金を次世代に先送りするのではなく、本気で構造改革を進め、改善を図ることが最も重要な課題であることは言うまでもありません。しかしながら、現在の国、地方自治体のままで改善を図ることは困難と言わざるを得ません。そのためには、国、地方自治体のあり方を大きく見直さなければならないと思います。
地方自治体においては、総務省の呼びかけで市町村合併が進み、平成十一年三月末の三千二百三十二市町村から千八百十九市町村になり、ほぼ半減をいたしました。
一方で、明治二十一年以来続いている四十七都道府県体制のあり方が問われており、平成十六年三月に第二十八次地方制度調査会が発足し、地方自治に関する検討が行われ、平成十八年二月には都道府県を再編し、地方分権の担い手となり得る新たな地方自治体として道州制の導入が答申をされました。きょう誕生することになる安倍新総理も、道州制導入に三年で道筋をつけたいと発言されております。神田知事におかれても、道州制の導入にはいろいろな場で前向きな発言をされておられますが、詳細な中身の議論には至っていないというのが現状だと思います。
私は、地方自治体の究極の行財政改革は道州制の導入ではないかと考えております。そのためには、国の方針を決める前に県として、国、道州、市町村のあるべき姿をまとめ上げ、国に対して県としての提言をすることが重要だと考えます。この役割を担うリーダー県がまさに愛知県ではないでしょうか。本県の新しい政策の指針の中では、内容については全く触れられておりませんが、早く論議を進めることが必要ではないかと思います。
そこでお尋ねいたします。
本県としては、どんな区割りが最適だと考えているのか。
二つ目、国、道州、市町村の行政事務の分担イメージをどのように考えているのか。
三、税財政制度はどのようにすべきだと考えているのか。
四、道州制の導入においては、本県が全県のリーダーシップをとる役割を担うべきだと思いますが、どのようなお考えでしょうか。
以上、大きく二項目について壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
32:
◯県民生活部長(
夏目安孝君) 交通安全対策についてのお尋ねでございます。
交通事故死「ストップ・ザ・ワースト」ファイナル百日作戦では、警察や市町村、関係諸団体と連携をいたしまして、秋と年末の交通安全県民運動期間中にとどまらず、年末まで県内各地で県民の皆様に交通安全のための広報、啓発に力を注いでまいります。中でも、今回初めての取り組みといたしまして、県職員によります街頭啓発運動を県内各地で行いますのを初め、広報シールを公用車やトラック等のほか、県職員の自家用車にも張りつけたり、全市町村を巡回する交通安全キャラバンも実施してまいります。また、高齢者の事故が多くなっておりますので、その対策として、市町村ごとに老人クラブの代表者を反射材普及大使に委嘱し、夜間の交通事故防止に効果的な反射材の普及活用を図る地域に密着した取り組みも行うこととしております。
また、地域でのファイナル百日作戦の展開に当たっては、市町村との連携のもと、防犯活動にあわせ交通安全の活動も実施していただいております防犯パトロール隊や、町内会、PTA、企業等の皆様方の御協力をしっかり得ながら、県民総ぐるみで実施し、成果を上げてまいりたいと考えております。
以上です。
33:
◯警察本部長(
山本博司君) 交通安全対策につきまして順次お答えを申し上げます。
最初に、信号機の問題でございます。
まず、地域からの要望をどのようにとらえているかというお尋ねがございました。
信号機はもとより交通の安全を確保する上での重要な切り札となるものでございます。このため、信号機の設置を要望する声は、県内各地域の自治体、町内会あるいは学校等々から多数寄せられております。その数は、平成十八年度予算要求時点で四百四十カ所ということでございましたが、そのうちの百四十カ所は十八年度当初予算で手当てをされております。その繰越分にその後に新規に要望が上がってきた箇所をプラスいたしますと、現時点で要望箇所は四百三十三カ所ということになっております。こうした要望は、まさに議員お示しのとおり、交通の安全を願う県民の皆さんの切実な願いそのものでございまして、もとより重く受けとめなければならないものと考えております。
ただ、こうした要望箇所の中には、その場所の地形であるとか、道路の幅員であるとか、あるいは交通量、こういった要素から、現状では信号機の設置にそぐわない、あるいはなじまない、そうした箇所も相当数含まれておるわけでございます。地元の皆さんの熱い思い、それを思えばまことに心苦しいわけでございますが、技術上あるいは必要性の観点から、いわばつけたくてもつけられない、あるいはつけることで安全と円滑のバランスが崩れる、こうした箇所もあるわけでございます。要望箇所と設置箇所の数字の開きは、そうしたことが主な理由であると御理解をいただきたいと思います。
次に、今回の補正予算でお願いした十二基の信号機について、どのような基準で決めたのかということでございます。
十八年度予算要求時点で要望のあった四百四十カ所のうち、設置のための条件が整っていた百四十機、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、当初予算で手当てをいたしております。その後におきまして、これまで問題点ありということで先送りにしていた箇所のうち、そうした問題点がクリアをされて設置条件が整う見通しのついた箇所が幾つか出てまいりました。それが十二カ所でございます。道路改良の見込みが確定して、技術的に信号設置が可能になったというようなことがはっきりしたというようなケースでございます。
折しも、当県では、年初からワーストワンの状態が続いておりまして、大変厳しい交通情勢にあると。このため、こうした条件の新たに整った十二カ所につきまして、速やかに信号機を設置して事故の抑止を期するべきであると、こういった考え方に立ちまして、本来であれば十九年度当初予算で手当てをする予定を前倒しして、今回補正で特にお願いを申し上げているわけでございます。
次に、信号機を設置できない要望箇所の今後の取り扱いということでございます。
信号機を設置できない理由というのが、地形であるとか道路幅員であるとか、そういった技術的なものである場合には、道路管理者と当該道路の改良の見込み等について協議をいたしまして、必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
また、交通量が信号機を必要とするだけの量に達していないと、こういった場合には、信号機以外の方法を検討する必要があります。もとより、交通の安全を確保するための手段といたしましては、信号機の設置のほかに、ガードレールの設置であるとか、あるいは交通規制の見直しであるとか、標識、表示の設置であるとか、さまざまな方法がございます。要望の箇所についてそれぞれに精査をいたしまして、安全確保のために最もふさわしい対応を検討していきたいと考えております。
次に、交通指導と交通取り締まりについてお尋ねがございました。
警察官の交通街頭活動、これは分類的に申し上げれば、検挙を伴う交通取り締まりと伴わない交通指導とに区別されるわけでございます。ただ、現場におきましては、指導と取り締まりというのは、通常、表裏一体、不可分のものとして行われるのが通常でございます。昨年の県内の交通取り締まり件数は約五十四万件ございましたけれども、この数字の背後には、数字としてはあらわれない膨大な量の交通指導活動が行われているということでございます。もとより、取り締まりも指導もそれぞれに意義があるわけでございまして、交通事故を抑止する上でそれぞれに効果がございます。本来、取り締まりを行わなくても、指導だけで交通ルールが守られ、事故が抑止されれば、それは理想と言えるわけでありますが、現実には、福岡の悲惨な飲酒事故を例に出すまでもなく、県内でも無謀な運転、悪質な違反が後を絶ちません。ことし、春日井でタクシーに乗った自衛官の方四人が飲酒暴走車両に衝突され、一度に亡くなるといった事故もございました。車は用い方を誤れば走る凶器となり得る、こうした自覚に乏しい運転者が依然として数多くおります。こうした運転者に対しては、取り締まりによって反省を促すと、その威嚇力によって、再発防止、事故防止を期するということが重要ということでありまして、このため、県警では、交通事故に直結する悪質・危険性の高い違反に重点を指向した取り締まりを実施しているわけでございます。
しかし、一方で、比較的軽易な違反であっても、取り締まりを受けることなく反復していれば、やがて交通ルール軽視の姿勢が身についてしまって、大きな違反、大きな事故につながるおそれも出てまいります。このため、こうした違反に対する取り締まりを緩和して、その分の労力を検挙を伴わない交通指導にシフトするということにつきましては、交通秩序の維持であるとか、あるいは事故抑止の上で真に効果が上がるものとなるかどうか、十分に見きわめた上で行う必要があるものと考えております。
いずれにしても、取り締まりと指導はバランスよく組み合わせて、その効果が極大になるように行っていくべきものと考えております。
最後に、飲酒運転をした職員に対する懲戒処分についてお尋ねがございました。
愛知県並びに愛知県教育委員会におきましては、今般、飲酒運転に係る処分の基準がより厳しい内容のものに見直されたと承知をいたしております。ただ、組織が異なりますことから、その基準は愛知県警察には適用がないということでございます。愛知県警察における懲戒処分の実施につきましては、警察庁が定めた懲戒処分の指針というものがございまして、これに沿って実施をしているところでございます。この警察庁の指針は、警察職員の服務等に関して全国的な斉一性を図る観点から、警察庁において基準を定めているものでございまして、愛知県警といたしまして、警察庁で定めた指針と異なる独自の指針、基準を設けることは当面予定はいたしておりません。
なお、あってはならないことでございますけれども、万万が一、警察職員による飲酒運転があった場合には、これはもとより厳正に処分を実施いたします。また、職員に対しましては、その立場と責任をわきまえて、絶対に飲酒運転を行わないように平素より指導を徹底し、注意を喚起しているところでございますが、今後とも引き続き各種の対策を強力に実施して飲酒運転の絶無を期してまいります。
以上でございます。
34:
◯総務部人事担当局長(
石川延幸君) 知事部局等における交通事故などに関する懲戒処分の基準にかかわってお尋ねがございました。
まず、人事院の指針との相違点についてでございますけれども、主な点について申し上げます。
人事院の指針では、飲酒運転で人身または物損事故を起こした職員の懲戒処分は、情状に応じまして免職から戒告まで幅広い処分を決めておりますけれども、今回の本県の基準では、飲酒運転で事故を起こした場合には、これは、人身、物損を問わず懲戒免職とするものでございます。さらに、これまでの人事院の指針にはございませんでしたけれども、他の職員に飲酒運転を教唆したり、幇助、同乗した職員、これにつきましても懲戒処分の基準を設けたところでございます。
次に、最も厳しい基準を定めております都道府県と本県の基準との比較でございますけれども、飲酒運転で検挙された場合、事故を起こさなくても原則として懲戒免職とする、こういう扱いをしておりますところが、九月一日現在でございますが、五団体ございます。本県の基準では、酒酔い運転の場合は、免職または停職、酒気帯び運転の場合は、免職、停職または減給というふうにしておりますけれども、役職者や過去に飲酒運転で検挙された者などにつきましては、厳しく処分するということにしておりまして、運用の面におきましては、他団体と同等の水準になっていると、こんなふうに思っております。
次に、県関係団体等に対する考え方でございます。
団体に派遣をいたしております県職員の処分につきましては、県と団体とが協議の上、これを行うということにしておりますので、この協議の中で本県の基準を適用してまいりたいと、こんなふうに考えております。
また、団体の固有職員でございますが、当該団体の規定を適用して処分を行うということになりますけれども、県と一体となって交通事故の撲滅に取り組んでいただきたいというふうに考えておりますので、本県の基準を周知いたしまして、当該団体としても本県の基準を参考に対応するように依頼をしたところでございます。
35:
◯総務部長(
今井秀明君) 県財政について何点か御質問をいただきました。順次お答えいたします。
まず、不交付団体や骨太の方針の歳出削減による影響と予算編成に対する考え方についてでございます。
不交付団体になったことにより、今後は県税収入が増加しても交付税が減るということがなく、県税収入の増加が直接県の財政にプラスの影響を与えることとなります。一方で、県税収入が減少する場合にも柔軟に対応できるように、基金からの繰入運用による臨時の財源対策を早期に解消し、基金残高をきちんと確保しておくことが必要と考えております。
また、「骨太の方針二〇〇六」による歳出削減目標のうち、社会保障、人件費、公共投資といった分野は、地方財政においても主要な支出項目であります。これらは、地方財政全体に大きな影響を与える内容でありますので、本県としても、地方の削減ありきとならないよう、今後とも国の動向には十分留意してまいります。
そして、予算編成に当たっては、これまでもゼロから出発して、真に必要とする施策を県民の皆様の立場に立って考え計画するという基本姿勢で臨んできたところでございますが、地方財政を取り巻く状況が厳しさを増しておりますことから、この考え方を再度徹底いたしまして、県が直面する多様な課題に的確に対応できるように予算編成に取り組んでまいります。
次に、財政中期試算への影響についてお答えをいたします。
本年二月に公表いたしました財政中期試算につきましては、地方交付税の総額抑制の動きをある程度盛り込みながら、県税による歳入の伸びを国の名目成長率よりも低く見込むなどとした上で、歳出についても、扶助費について近年の伸び率をもとに上方修正することなどといたしております。
このように、地方財政をめぐる動きを踏まえつつ、できる限り客観的な指標や実績に基づいて機械的に試算することを前提といたしております。今回、議員お示しのように、二月に公表した財政中期試算とは異なり、本年度交付税は不交付となりますが、一方で、減税補てん特例交付金が大幅増となっており、本年度について財政運営上支障はございません。
また、今後の減税補てん特例交付金の減額を踏まえた上で、交付税をゼロとし、臨時財政対策債は十八年度と同額が続くとしてデータを置きかえた場合でございますが、二十二年度までの各年度の歳入合計では、二月に公表しました中期試算とほぼ同水準の額を確保できる見込みでありまして、当面の財政運営に影響はないものと考えております。
しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、骨太の方針による歳出削減により、毎年度の国の予算編成に留意する必要があることや、経済状況や制度改正などで前提条件も変わってまいります。今後とも、毎年度中期試算の前提条件の見直しを行いまして、的確な試算に努めてまいります。
次に、「あいち行革大綱二〇〇五」の効果額についてのお尋ねでございます。
あいち行革大綱二〇〇五では、目標として十七年度から十九年度までの累計で九百億円、そして、十七年度から二十二年度までの累計では二千七百億円の財政効果を目指しております。進捗状況でございますが、平成十八年度までの二年間で、職員定数の削減などの徹底した内部努力によりまして約二百億円、事務事業の見直しなどの選択と集中による施策の見直しにより約二百五十億円、さらに、県有財産の売却などの自主財源の確保によりまして約百十億円の成果を上げておりまして、累計効果額は約五百六十億円となっております。
現時点では計画どおり順調に推移しておりまして、職員定数の削減など効果が累積していくものも多くありますことから、これまでの取り組みを継続していくことによりまして、十九年度までの累計で九百億円、二十二年度までの累計で二千七百億円の目標額とほぼ同程度の効果を上げることが見込めるものと考えております。
今後とも、気を引き締め、目標達成に向けて、あいち行革大綱二〇〇五の徹底による歳出構造の見直しと自主財源の確保に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
次に、プライマリーバランスの黒字化についてでございます。
あいち行革大綱二〇〇五には、総人件費の抑制や事務事業の見直し、それから自主財源の確保など、財政効果に直結する取り組みが盛り込まれておりますので、これらの取り組みを毎年度きちんと実施していくことで、着実に行革効果額を積み上げていくことができると考えております。
行政改革の取り組みは、先ほど申し上げましたとおり、二年間で約五百六十億円を超える成果を上げ、財政健全化についても、県債発行額を二年連続で抑制した結果、基金を使った臨時の財源対策を圧縮し、プライマリーバランスの赤字幅も縮減するなど、着実に成果を上げております。
今後とも、できる限り早期に財政健全化が図られるよう取り組みを進め、平成二十二年度当初予算において、プライマリーバランスの黒字化を計画どおり実現できるように目指してまいります。
次に、地方税への税源移譲についてお答えいたします。
地方分権改革の目指すべき目標であります自立的な行財政運営の確立のためには、十八年度までの改革に引き続き、次のステージとなる第二期改革では、地方税の充実強化が何より重要であると考えております。本県は、全国の地方自治体での議論を先導すべく、過去三度にわたりまして愛知県提案を全国に発信するとともに、地方分権改革への思いを知事みずから新聞に投稿したり、県民の皆様に対しても、全国に先駆けた三位一体改革出前講座を開催するなど、補助金改革と税源移譲の必要性を訴える取り組みを積極的に行ってきたところでございます。
この六月に、地方六団体が共同で地方分権の推進に関する意見書を内閣及び国会に提出いたしましたが、その意見書では、地方消費税を中心とした地方税の充実強化を第一の項目として挙げたところでございます。また、この九月十五日に、地方六団体が共同で政府に提出いたしました地方分権改革推進法の骨子案でも、地方税財源の充実強化を地方分権改革の推進に関する基本方針としてしっかり位置づけるべきであるとしたところでございます。
このように、地方税財源の充実強化につきましては、これまでも地方分権改革の根幹と位置づけ、国に訴えてきたところでありまして、今後とも、全国知事会初め地方六団体との連携を強化して、その実現に取り組んでまいります。
最後に、道州制についても何点か御質問をいただきました。
最初に、道州制の区割りですが、まずは、国と道州の役割分担や道州の権限などを明確にしていくことが先決であると考えております。こうした役割分担等の検討が進む中で、合理的な区割りが明らかになってくるものと考えております。なお、全国知事会におきましても、区割り先行の議論にならないようにというのが一致した意見でございました。
次に、国、道州、市町村の事務分担でありますが、福祉やまちづくりなど、住民や地域に身近な事務については、現在国が実施している事務を含めまして、原則として市町村が行い、道州は、現在の県の事務のうち広域的な事務や、国の地方支分部局の事務などを担うと考えております。その上で、国の事務は、外交、防衛、通貨など、真に国として担うべき事務に限定されるというイメージを持っております。なお、その際、道州は、事務の実施権限だけではなく、広範な自治立法権に基づく企画立案の権限を持つことが重要であります。
また、道州制のもとでの税財政制度についてでございますが、事務の配分に見合った財源が確保されること、それから、地方税を中心とした自主性、自立性の高い制度を構築すること、道州間の財政調整を適切に行う仕組みなどが必要と考えております。
道州制については、さきの全国知事会での議論にも見られますように、各県知事の間にもさまざまな意見がありますが、このように意見が分かれる要因の一つといたしまして、道州制の具体的なメリットがわかりにくいという点があると考えております。このため、道州制のもとでの政策効果を明らかにすることを目指す道州制モデル研究など、全国の議論をリードするような先駆的な研究に努め、広く全国に情報発信するとともに、一方で、都道府県間や経済界との連携や協議にも率先して取り組んでまいる所存でございます。
済みません、先ほど、私、答弁の中で、住民や地域に身近な事務については、現在国がと申し上げましたけれども、県がという誤りでございましたので、訂正させていただきます。
以上でございます。
36:
◯知事(
神田真秋君) 県財政についてお答え申し上げます。
まず初めに、議員お示しの不交付団体になったけれども、大変厳しい状況にあるとの御指摘、これは全く同感でありまして、今議会冒頭の議案説明の中でも、したがって、私はまだまだ半人前であると、そのように申し上げたところでございます。十四年前に比べまして、財政構造の硬直化が進んでおりますので、御指摘のとおり、大変今厳しい状況にあることを十分認識しております。
さて、そこでの御質問でありますが、今後地方税への税源移譲こそ地方行政の自立につながると、こういう御指摘でございます。私どももそのような考え方で、これまで三位一体改革の論議なども臨んでまいりました。三回にわたる愛知県の提案もすべてそこからスタートした考えでございまして、単なる補助金ではひもつきのままになってしまうので、これを地方税に移譲することが何よりも大切だと、そのように言ってきたところでございます。今後もそのような基本的な姿勢におります。
個人住民税への移譲は実現できたわけでありますので、今後はいよいよ消費税から地方消費税への税源移譲を実現させる必要がございます。これを何としてでもかち取るというのが第二ステージでの三位一体の最も重要な眼目になると、そのような認識でおります。
現在、地方分権推進・一括法が議論されておりますので、これの実現を目指して、今申し上げたような地方への税源移譲が具体化するよう、引き続き努力していきたいと思っておるところでございます。
37: ◯三十八番(住田宗男君) 一点質問と、警察本部長に二点ほど私の意見を申し上げて要望にさせていただきたいと思いますが、まず、警察本部長には、今年度要望数は四百四十個上がってきて、信号を取りつけるべきだと判断されたのが百四十という回答をきょうもまたいただいたわけでありますが、そうしますと、三百個はなかなかつかないとか、交通量が少ないとか、あるいは地形が悪いとかいうことの部類に入るところだと思うんですが、私は、ちょっと実際の現場で様子を見ていると、もう少しあるのではないかなという感じと、要望というのは信号という要望になっておりますけれども、やはりそこで事故が起きただとか、あるいはひやっとしただとか、そういうところから地元の警察へ、あるいは市町村へ、何とかつけてほしいという要望を出して、それをまとめて、遠慮しながら県警本部へ出しているわけでありまして、それが四百四十であるわけでありますが、その三百がもうつかないんだよとか、そういうことだよとかいうのではなくて、つかなければ少し勘考して信号がつくようなことをやってもらわないかんでしょうし、信号がつかないならばガードレールをやる、あるいは線を引く、いろんな対策があると思うものですから、それはなかなか難しいと言われるんじゃなくて、交通事故をなくすために、やはり警察もいろんな対策を考えて、ぜひすべて消すような形でお願いしたいということが一点であります。
それから、もう一つは、さっき警察の懲戒処分の基準が、これは国で指針が出ているからというお話でありまして、それなりに理解いたしますが、私は、交通事故取り締まりをやる警察としては処分が甘いと思っています。ぜひ国へ上げてもらって、もっと厳しくするか、あるいは各都道府県の警察がやれるように努力すべきではないかと、こう思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと、こう思います。
それから、質問でありますが、私は質問の中で、道州制についてでありますが、多分、安倍総理になりますと道州制の導入は早まるのではないかと見ております。今いろんな報道がされておりますが、そういう専門の部署を置くとか、そういうことも言われておりますので、そうなったときに、市町村合併のときに我々が、県が指導しろと言ったときに県は、市町村合併は市町村の自主性に任すのが一番大事だというお話だったんです。道州制は我々県が一番の対象になるわけでありますから、県として、やっぱり早目に大筋をまとめて国へ提言をするというぐらいのことをやるのが、この道州ではないかと。そのためのリーダーをとるのが愛知県ではないかという質問を私はいたしましたけれども、それについて、再度、愛知県の立場としてどうあるべきか、御答弁をいただきたいと思います。
38: ◯副議長(小久保三夫君) 答弁時間が経過しておりますので、答弁は簡明に願います。
39:
◯総務部長(
今井秀明君) 道州制につきましては、お示しのとおり、なかなか、まだ全体としてどういう形の道州制がいいのかとか、まだ今いろいろと議論がなされているところでございます。したがいまして、愛知県としましては、道州制のメリット、そういうものをできるだけわかりやすくまとめまして、広く県民の方々に、また、各都道府県の方々にもモデルとしたものをお示ししながら、その機運を高めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
40: ◯副議長(小久保三夫君) 進行いたします。
鈴木正議員。
〔二十七番鈴木正君登壇〕(拍手)
41: ◯二十七番(鈴木正君) お疲れのところではございますが、恐らく私が終わりますと休憩時間になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今日の行政需要、そして課題というのは広範に及んでおると思いまして、先ほど来出ておりますが、財政当局は大変であろうと思っておるところでございます。そうした中で、私は、常々関心を持っております健全財政にかかわる問題、そしてまた、福祉にかかわる問題につきまして、それぞれ一点御質問をさせていただきます。
まず最初に、県債の発行についてでございます。
愛知県における県債の発行について、特に今回は、あいち県民債を中心に幾つかの問題をお伺いしたいと思います。
あいち県民債は、償還期限を五年とし、満期に一括して償還する形で、平成十四年九月に第一回として総額七十億円の発行が行われました。今でこそ類似の商品である五年物の固定金利の個人向け国債が発行されておりますが、当時、超低金利時代に相対的に金利も高く、信用力の高い愛知県が県民の皆様に向けて発行するということで話題になり、即日完売の売れ行きだったということにつきましては、記憶に新しいところでございます。
その後も年二回の定期的な発行を続け、本年度も七月に百五十億円を発行、今後も二月に百五十億円を発行し、合計で三百億円を発行されると聞いております。この結果、本年度末で平成十四年の初回から数えて延べ十回の発行を行うことになり、この間、取扱金融機関も十九社から二十二社に拡大していると聞いております。一回当たりの規模も初回の七十億円から百五十億円に拡大されているところであります。そして、その充当先は、防災対策や愛知万博関連事業、最近では、社会資本の整備、充実に充てられてこられました。
通常の愛知県債、いわゆる市場公募債は、その多くを銀行や機関投資家が購入していることに対して、あいち県民債は、住民参加の市場公募債という名前のとおり、県民の皆さんに身近な社会資本の整備を進めるために、広く、県内に在住または在勤の個人、そして、県内に営業拠点のある法人、団体を購入対象者として発行されているところであります。さらに、充当事業も県民の皆さんになじみのある事業とされてきたところであります。これは、言いかえれば、県が資金調達を通じて県民の皆さんの県政への参加を促す働きや意義を持っているものと考えております。
一方、最近の金融情勢、とりわけ金利の動きに目を転じますと、ことし三月に日銀が量的緩和施策を解除し、さらに、七月にはゼロ金利施策も解除になり、預金金利だけでなく貸出金利も短期のものを中心に徐々に上がってきているところであります。
この七月に募集されたあいち県民債の利率も、初回の平成十四年九月が〇・三二%であったと思いますが、過去最高の一・五二%となったこともありました。この間の地方債の金利上昇を見ますと、十年物といった長期のものより、五年物という短いものの方が上昇が顕著であったと思います。金利上昇は、県債を購入する県民の皆さんにとってはありがたい話ではありますが、一方で、発行する愛知県にとっては、残念ながら利払いの増加、すなわち公債費の増加につながることになります。
さらに申し上げれば、いただいた資料によれば、愛知県の県債残高は、平成十八年度末には平成四年度の約三倍の三兆八千億円を超える見込みとなっております。このことは代表質問の折にもお答えされております。そして、当初予算における新たな県債の発行額は、十五年度の三千八百七十億円をピークに、十六年度は三千五百七億円、十七年度は二千四百九十二億円、十八年度は二千四百七十億円と財政健全化に向けて抑制を続けてこられており、地域の発展のために必要な投資的、つまり、建設事業のような事業の量は確保しながらも、健全財政上から、今後とも県債の発行抑制には取り組んでいかなければならない状況にあります。と同時に、先ほども申し上げましたように、特に短期の金利が上昇していることを考慮し、当局におかれましても、より長期の借り入れにシフトすることが必要であると考えております。
財政当局においても、このような認識のもとに、この七月には愛知県独自で機関投資家向けの二十年債を初めて発行したと聞いております。私は、県債を発行し、資金を調達する立場に立てば、金利上昇局面では長期で固定の借り入れにスライドすることは当然であり、このような県の取り組みは県債管理、ひいては今後の財政運営上もぜひとも必要な対応であると考えるものであります。
以上のことを踏まえて、幾つかの点についてお伺いをいたします。
まず、一点目は、あいち県民債の販売状況についてであります。
あいち県民債の購入対象者は、県内に在住または勤務する個人の方及び県内に営業拠点のある法人、団体とされておりますが、ことしの七月までの延べ九回までの総発行額と、購入者の個人、法人がどのような割合で購入されてきたのかをお伺いしたいと思います。
また、直近の七月における売れ行きについてもお伺いしたいと思います。
次に、二点目でありますが、あいち県民債の十九年度以降の発行についてであります。
財政健全化に向けて新しく発行する県債を抑制している状況のもと、個人向け国債など類似の商品が発売されるなどの状況の変化もあり、そろそろあいち県民債の発行規模を見直すことも検討すべきではないかと考えますが、県の考え方をお伺いいたします。
三点目でございますが、十年を超えるいわゆる超長期債の発行についてであります。
この七月に発行した二十年債について、市場での評価はどのようなものであったのか、また、十九年度以降の発行はどのように考えておられるのか、現状における考え方をお伺いいたします。
以上が大きな一点目の県債の関係でございます。
次に、二点目の二十一世紀あいち福祉ビジョンについてでございます。
本県の福祉総合計画とも言われます二十一世紀あいち福祉ビジョンについてお尋ねをいたします。
近年、福祉を取り巻く環境は大きく変化をしてきておりますが、特に我が国の高齢化の進展の速さは驚きを禁じ得ないものがあります。総人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合を示します高齢化率の推移を見ますと、昭和四十五年に七%を超え、いわゆる高齢化社会となってから、わずか二十年後の平成六年には高齢社会と言われる高齢化率が一四%に達するといった世界にも例を見ないスピードで進んでおります。国の推計によりますと、平成十七年四月一日現在の六十五歳以上の人口は二千五百二十八万人で、高齢化率は一九・八%と五人に一人は高齢者となっております。
本県の高齢化率は、平成十七年四月一日現在、一六・八%と若干全国に比べると低くなっておりますが、三河山間地域等、地域によってはかなり高いものとなっております。
一方、少子化の現状も、一人の女性が生涯に産む子供の数をあらわす合計特殊出生率が、平成十七年には全国で一・二五人と、人口の維持に必要とされる二・〇七人を大幅に下回っております。本県の合計特殊出生率は一・三〇と全国の数値を上回ってはおりますが、全国と同じく少子化の傾向は進んでおります。
また、出生数で見ましても、本県の出生数は第二次ベビーブームの昭和四十八年の十二万五千三百九十五人をピークに減少傾向を示しておりまして、平成十七年では六万七千百十人となっております。
もっとも、ことしの上半期の出生数は、前年に比べ、全国で一万人以上、愛知県でも千人余の増加があったということで、歓迎すべきニュースが流れました。その要因については、今後詳細な分析がされると思いますが、期待的な見方として、さまざまな少子化対策が効果を見せ始めたものであるならば大変喜ばしいことと考えております。ぜひとも、この傾向のまま推移することを願うものであります。
いずれにいたしましても、少子・高齢化社会への対応を初めとする福祉行政は、体系的かつ総合的に進めていく必要があります。
そこで、福祉ビジョンの中身に入りますが、知事は、就任後、二十一世紀初頭における本県の福祉の進むべき方向を示す中長期の福祉総合計画として、新たに平成十三年三月に二十一世紀あいち福祉ビジョンを策定され、その基本目標であります自立と自己実現を支える福祉を目指し、各種事業を積極的に推進してこられたことと認識しているところでございます。
この二十一世紀あいち福祉ビジョンは、計画期間が平成二十二年度までの十年間となっていますが、ビジョンの実効性、具体性を高めるため、さらに福祉環境に対応したローリングプラン形式により、実施計画を別に策定し、事業の適切な進行管理がなされてきております。
平成十三年度からの第一期実施計画、平成十五年度からの第二期実施計画に引き続きまして、本年三月には、新たに、ことし、平成十八年度から二十年度までの三年間を計画期間とした第三期実施計画が策定されたところであります。
私は、県会議員になってからこの議会の場で初めて質問をさせていただいた福祉ビジョンについて、当時の進捗状況や第二期実施計画に関して質問をさせていただいてきました。そして、その質問の中でも触れさせていただきましたが、第一期実施計画から第二期実施計画にかけての五年間には、子ども、障害者、高齢者の三分野を初めとした五つの分野について、主要五十施策八十事業を掲げて、それぞれの目標に向けて進行管理に努められ、着実に事業を推進してこられたこと及び特に多くの事業に、厳しい財政状況の中ではありますが、具体的な数値目標を示し、その達成に向け努力をされてきたことは、本県の福祉施策全体の推進状況を明確にしてきたものとして高く評価をするものでございます。
言いかえるならば、こうした具体的な数値目標が示された実施計画を作成することによりまして、県がどのような方向性を持って福祉施策を行っていくのか、県民の皆さんにわかりやすく御理解をいただけると同時に、計画の実効性を担保するという計画推進にとって最も重要なことが明らかにされていることでございます。
また、いただいた資料によりまして、現在までの各事業の進捗状況を見てみますと、現在までの各事業の内容は、平成十七年度までの第二期実施計画の進捗状況につきましては、数値で進行管理している六十二事業のうち、七割以上に当たる四十五事業が当初の計画の九〇%以上の進捗率となっており、各事業がおおむね順調に推移しているものと受けとめております。
しかしながら、この間、子供、障害者、高齢者、そして、それぞれの分野におきまして、介護保険法やあるいは障害者自立支援法等の改正など、基本施策が変化してまいりました。
子供の分野では、少子化の流れを変えるとして、国、地方公共団体、企業等が一体となった総合的な取り組みを推進するため、平成十五年に次世代育成支援対策推進法が成立し、その基本理念及び目的である次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、かつ育成される社会、そして家庭において、子育ての意義について理解が深められ、かつ子育てに伴う喜びが実感される社会の実現を目指した次世代育成支援対策行動計画が策定をされました。
また、高齢者分野においては、平成十二年四月からスタートした介護保険制度は、平成十七年の介護保険法の改正により、予防重視型の視点に立った大幅な見直しが行われております。
さらには、障害者分野においては、平成十五年四月からノーマライゼーションの理念に基づき、障害のある方がサービスをみずから選択し利用する制度である支援費制度が導入され、平成十八年四月からは、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指した障害者自立支援法が施行されてきました。
この障害者自立支援法により、身体、知的及び精神といった障害の種別にかかわらず障害者施策を一元化し、障害のある方が必要とするサービスなどが計画的に提供されるよう、都道府県及び市町村が生涯福祉計画を策定することとなっているなど、二十一世紀あいち福祉ビジョンのフィールドも大きく変化をしてきております。
そこでお伺いをいたします。
本年三月に策定した第三期実施計画は、このような福祉環境のさまざまな変化の中で難しい検討がされてきたと思いますが、どのように整合を図られたのか、お伺いをいたします。
また、障害者自立支援法の施行にあわせ策定を見送ったと聞いております障害者分野については、今後どのように策定されるおつもりなのかをお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
42:
◯総務部長(
今井秀明君) 県債の発行についての御質問のうち、まず、あいち県民債の販売状況についてお答えいたします。
総発行額につきましては、平成十四年九月に第一回を発売して以来、ことし七月の発行で九回を数え、これまでの発行総額は千百二十億円に達しております。また、購入者につきましては、件数ベースで全体の約九九%に当たる延べ五万二百九十五人、金額ベースでは全体の約九五%に当たる千六十七億円を個人の皆様にお買い求めいただいております。
さらに、直近のことしの七月の売れ行き状況についてでございます。あいち県民債を初めて発行いたしました平成十四年九月には、お示しのとおり即日完売でありましたが、その後、国債に五年満期の固定金利という類似の商品の発売が始まるなど、購入者の選択肢が広まったこともありまして、今回は七日間の募集期間内での完売となっております。
次に、今後のあいち県民債の発行規模を見直すべきではないかとのお尋ねでございますが、県民債の購入を通じて、県民の皆様に県行政へ参加していただくという県民債の持つ意義の重要性は変わらないと考えておりまして、今後とも県民債の発行は継続していきたいと考えております。
一方で、財政健全化に向けて県債そのものの新規発行を抑制している状況であり、また、発行する場合であっても、金利上昇局面では将来の借りかえ時の金利上昇リスクを避けるため、短期から長期の借り入れに移行させていくことが必要であると考えております。このため、今後の発行規模につきましては、現状と同規模あるいは同規模以内で考えております。
今後、販売をお願いしている銀行、信用金庫や証券会社の意見を求めながら、個人向け国債という類似商品の影響も分析した上で、最終的に発行規模を固めてまいりたいと考えております。
最後に、超長期債の発行についてでございます。
ことし七月には、初めての超長期債となります二十年後を償還期日とする満期一括償還の市場公募債を二百億円発行いたしました。発行する前の六月には、いわゆる夕張ショックの影響から、一時地方債全体への厳しい見方が広まっていましたが、発行に当たり、幾つかの大手機関投資家を個別に訪問し、本県の財政状況や行政改革の取り組みを丁寧に説明するなど、投資家との対話を重視する取り組みを行った結果、発売初日に引受金融機関を通じて完売することに至りました。
十九年度以降につきましても、金利変動リスクを避けるために超長期債を継続的に発行するなど、借入年限や借入方法の多様化を進め、少しでも将来の公債費の増加を抑えられるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
43:
◯健康福祉部長(
小島通君) 二十一世紀あいち福祉ビジョンについてお答え申し上げます。
まず、二十一世紀あいち福祉ビジョンと福祉環境の変化との整合性についてのお尋ねでございますが、この福祉ビジョンの計画内容を着実に達成するためには、社会状況の変化に対応しつつ、県民のニーズを的確にとらえ、子供、障害者、高齢者などの分野の各事業を計画的に推進することが必要でございます。
このため、本年三月に策定いたしました第三期実施計画では、まず、子供の分野におきましては、平成十七年三月に策定いたしました本県の次世代育成支援対策行動計画でございます「あいち子育て・子育ち応援プラン」を取り込んでおりまして、例えばその内容として、子育てのためには社会全体で良好な子育て環境を築き上げることが重要でありますことから、家庭、学校、地域など相互の連携を図るため、連携の強化という考え方を盛り込んだ内容となっております。
また、高齢者分野におきましても、平成十七年六月の介護保険法の改正を踏まえて見直しをいたしました本県の介護保険事業支援計画を取り込んだものとなっておりまして、自立支援をより推進する観点から、要介護にならないための新たな予防給付の提供など予防重視型システムへの転換、あるいは認知症やひとり暮らしの高齢者の方が住みなれた地域での生活が継続できるようにするための地域密着型サービスの推進などの内容を盛り込んでおるところでございます。
このように、第三期実施計画は、子供、高齢者、それぞれの分野において、時代の要請に合った新たな課題への対応を図ったところでございます。
次に、第三期実施計画で策定を見送りました障害者分野の策定についてでございます。
障害者分野は、障害者の保健福祉や教育、雇用、就労といった主要な項目について記載するものでございまして、今後の障害者施策を推進する上で大変重要なものであると考えております。今回の障害者分野の策定に当たりましては、障害のある方がそれぞれの地域で自立した生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスの提供体制の確保を目指して、今年度新たに策定いたします障害福祉計画、この内容と整合性を図りながら、平成二十年度までに達成すべき居宅介護や短期入所などの障害福祉サービスの数値目標を盛り込んでまいりたいと考えております。
また、第二期実施計画策定以降の新たな課題、例えば障害児一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導、支援を行う特別支援教育の実施ですとか、あるいは引きこもりなど心の健康に関する問題などについても記載してまいります。
なお、策定手続といたしましては、障害者の方々を初め幅広い関係者が参画いたします愛知県障害者施策推進協議会、こうした場におきまして検討してまいりますほか、パブリックコメントを実施し、いただきました要望、意見等を踏まえ、今年度中に策定をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
44:
◯知事(
神田真秋君) 県債の発行について、私からもお答えを申し上げます。
新たな県債の発行額でございますが、十八年度、本年度当初予算では、一千億円を超える削減を行いました十七年度よりさらに抑制をいたしました。本県にとって喫緊の課題である財政の健全化に向けて、そのような対応を今とっているところでございます。
ところで、こうした県債につきましては、市場公募債がその過半を占めておりますことから、いかに債券市場での愛知県の評価を高め、安定的に、しかも、コストを抑えて資金を調達するかということが大変重要な課題になってまいります。
幸い、先ほどもお話がありました本県が発行した二十年債、これは条件決定をいたします過程で、市場との対話を重視する姿勢を示しました結果、大手の機関投資家からもこの点高い評価を受けたところでございまして、好調な販売を行うことができました。来年以降も大いに発行が期待されているところでございます。
あいち県民債を含めまして県債の発行につきましては、こうした市場との対話、あるいは購入者の動向を十分見きわめる必要がございますので、この点については留意をしながら、調達手段の多様化を進めながら、今後とも適切に発行してまいりたいと考えております。
このようにして、県債はますます市場とのかかわりが深くなってくるわけでございますので、いわば県の財政状況を映す鏡のような役割を果たしております。したがって、愛知県の評価が一層高まりますよう、財政の健全化にも十分努めていきたいと思っております。
45: ◯二十七番(鈴木正君) 県債発行と、それから財政運営につきまして、一言だけ要望してまいりたいと思います。
財政問題でいつも御説明があるわけでございますが本県の収入源につきましては、法人二税、これが相当ウエートを占めておるわけでありまして、これらの法人二税につきましては、経済の動向だとか、あるいは企業収益に直接関係するわけでございますので、これからも大いにその辺に目を向けていただきまして、慎重な財政運営をお願いして要望にかえさせていただきます。どうも大変ありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
46: ◯三十九番(三浦孝司君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
47: ◯副議長(小久保三夫君) 三浦孝司議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
48: ◯副議長(小久保三夫君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後三時十二分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時四十一分開議
49:
◯議長(
内田康宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
岩田隆喜議員。
〔八十六番岩田隆喜君登壇〕(拍手)
50: ◯八十六番(岩田隆喜君) 議長の許可をいただきましたので、以下、本県の少子化対策について質問してまいります。
我が国の出生数は、一九七四年に人口を維持できる水準──これを置換値というそうでありますが──である二・〇七を下回って以来、既に三十年以上を超えて低下傾向が続き、二〇〇三年には一・二九と初めて一・三〇を下回りました。国において、こうした出生率の低下や子供の数が減っていくことを問題として認識し、本格的に少子化対策の取り組みを始めるきっかけとなったのは、一九八九年の合計特殊出生率が一九六六年のひのえうまの出生率一・五八を下回った、いわゆる一・五七ショックからであります。これを契機に、厚生省(現厚生労働省)が中心となって、仕事と子育ての両立支援などの子供を産み育てやすい環境づくりに向けた取り組みがスタートいたしました。
最初の具体的な取り組みは、一九九四年に当時の文部、厚生、労働、建設の四省合意により策定された今後の子育て支援のための施策の基本的方向についてと題するもので、いわゆるエンゼルプランというものであります。これは、子育てを夫婦や家庭だけの問題ととらえるのではなく、国や自治体を初め企業、職場や地域社会を含めた社会全体で子育てを支援していくことを目標としたものであります。これを実施するため、保育所の量的拡大や低年齢児保育、延長保育などの多様な保育サービスの充実、地域子育て支援センターの整備などを図るための緊急保育対策等五か年事業が策定され、一九九九年度を目標年次とする五カ年の整備計画が実行に移されました。
その後、国において、少子化対策推進基本方針が決定され、この中で、少子化の原因として、非婚化、晩婚化の進行などによる未婚率の上昇、また、その背景として、経済が高度成長から安定成長へ移行したこと、女性の社会進出により初婚年齢が高くなったこと、また、雇用における就労形態の多様化などにより、仕事と子育ての両立などの子育てに対する負担感の増大があることなどが指摘されました。また同時に、少子化対策の趣旨は、仕事と子育ての両立などの負担感を緩和、除去し、安心して子育てができるようなさまざまな環境整備を進め、家庭や子育てに夢や希望を持つことができるような社会にしようということにあります。
この基本方針のもとに、次に策定されたのが、いわゆる新エンゼルプランと言われるもので、従来の保育サービス中心の施策から、雇用、母子保健、教育などの事業も加えた一層幅の広い内容となり、二〇〇〇年度から二〇〇四年度までの五カ年計画がまとめられました。
その後、厚生労働省において、男性を含めた働き方の見直しや地域における子育て支援などを中心として、社会全体が一体となって総合的な取り組みを進めていく次世代育成支援に関する当面の取組方針が示され、この方針の中で、家庭や地域の子育て力の低下に対応し、次世代を担う子供を育成する家庭を社会全体で支援することにより、子供が心身ともに健やかに育つための環境づくりの重要性が示されました。これにより、自治体、企業における集中的、計画的な取り組みを促進するため、次世代育成支援対策推進法の制定や児童福祉法の改正などがあり、本県においても、昨年の行動計画「あいち子育て・子育ち応援プラン」の策定により、この少子化対策の取り組みをさらに前進させることになりました。
ところが、国は、本年六月二十日に新しい少子化対策についてを公表いたしました。それによりますと、御案内のとおり、昨年は国が人口動態の統計を取り始めて以来、初めて出生数が死亡数を下回り、総人口が減少に転ずる節目の年となりました。出生数は百六万人、合計特殊出生率は一・二五といずれも過去最低を記録しました。この傾向が続くと、人口減少は加速度的に進行し、二十一世紀半ばには総人口は一億を割り込み、二一〇〇年の総人口は現在の半分以下になると見込まれます。高齢化もさらに進行し、やがて三人に一人が六十五歳以上という極端な少子・高齢社会が継続することになります。
そこで、従来の少子化対策のみでは少子化の流れを変えることができなかったことを深刻に受けとめ、出生率の低下傾向の反転に向け、少子化の背景にある社会意識を問い直し、家族の重要性の再認識を促し、また、若い世代の不安感の原因に総合的に対応するため、少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図っていかなければなりません。
第二次ベビーブーム世代がまだ三十代であるのもあと五年程度であることを考えますと、速やかな対応が求められるところであります。そして、この対策にはさまざまな家族の姿がありますが、家族が子供をはぐくみ、地域社会が家族を支える、そうした社会であってこそ各種支援策が効果を発揮します。国、自治体、企業、地域社会などが連携のもとで少子化に向けた社会全体の意識改革に取り組むことが重要であります。
また、子供と家族を大切にするという視点に立った施策の拡充が大事であります。子育て支援は、単に税の負担を軽減することのみが目的ではなく、親子の関係を良好にし、子育ての喜びを実感できることを通じて、家族機能や家族のきずなを強めることにつながります。また、家事や育児を行うことが極端に制約される職場の働き方を是正し、親子や夫婦がともに過ごす時間をふやすなど、仕事と生活の調和を図ることが必要な施策となってまいります。そして、この新しい少子化対策についての中で、重点的に推進する視点として、以下が挙げられております。
一、子育ては第一義的には家族の責任であるが、子育て家庭を国、地方自治体、企業、地域など、社会全体で支援する。
二、親が働いているいないにかかわらず、すべての子育て家庭を支援するという観点も加えて子育て支援策を強化し、在宅育児や放課後対策を含め、地域の子育て支援を充実する。
三、子供を産み育てる人が就労等において不利益な立場に陥らないよう、仕事と子育ての両立支援の推進や、子育て期の家族が子供と過ごす時間を十分に確保できるように、男性を含めた働き方の見直しを図る。
四、親の経済力が低く、仕事や家庭生活の面でも課題が多い出産前後や乳幼児期において、経済的負担の軽減を含め総合的な対策を講じる。
五、就労期における子供の安全確保に関する抜本的な対応や、出産・子育て期の医療ニーズに対応できる体制の強化に取り組むとともに、特別な支援を要する子供及びその家族への支援を拡充する、であります。
そして、この具体的な施策の主なものとして、一、妊娠中の検診費用の負担軽減、二、不妊治療の公的助成の拡大、三、児童手当制度における乳幼児加算の創設、四、待機児童ゼロ作戦のさらなる推進、五、病児・病後児保育、障害児保育等の拡充、六、行動計画の公表等次世代育成支援対策推進法の改正の検討、七、就学前教育についての保護者負担の軽減策の充実、八、企業の子育て支援の取り組みの推進などが挙げられます。
さて、厚生労働省が八月に発表した人口動態統計の本年一月から六月までの速報によりますと、少子化の流れが幾分改善しているようであります。今年六月に生まれた子供数は九万二千四十七人で、昨年より二千六百三十二人多く、また、五カ月連続で前年同月を上回っており、五カ月連続の増加は二〇〇〇年以来六年ぶりとのことであります。
また、一月から六月までの出生数の合計は五十四万九千二百五十五人で、前年同期より一万千六百十八人の増加となっており、また同時に、一月から六月に結婚したカップルの数は三十六万七千九百六十五組で、前年同期より一万九百三十六組ふえました。この背景には、経済状況の好転により雇用の改善が進み、結婚、出産を促している可能性があるとされております。
さて、そこで具体的な少子化の側面を見てみますと、国立社会保障・人口問題研究所が二〇〇五年に行った結婚と出産に関する全国調査によると、理想とする子供の数が二・四八人であるのに対し、実際に産む予定の子供の数は二・一一人となっており、この理想より実際が少ないのは、本県の平成十六年度第二回県政モニターアンケートにも示されておりますが、子育て、教育にお金がかかり過ぎるを初めとして、高齢出産は嫌、育児の心理的、肉体的負担に耐えられない、仕事に差し支える、健康上の理由、欲しいけれどできないなどが原因のようであります。ただ、この理想の子供の数については、若い世代ほど二人以下でよいと考えている人が多く、現状の人口を維持するのに必要な水準の二・〇七と考え合わせると、今後とも少子化が進んでいく可能性を示唆しているようであります。
さらに、直接的には少子化対策と関係がないと思われるようなところにも出生率低下の原因に深くかかわっている分野があります。労働環境の整備もその一つであり、我が国の時間外労働の割増率はヨーロッパ諸国に比較して低く、このことが正規雇用者の時間外労働をふやし、生活を犠牲にした働き方に結びついていることが指摘されております。また、パート労働者に対する諸制度が正規雇用者と一律にしていないことが非正規雇用者の増加と結びつき、結婚できない人をふやす原因になっているということは看過できない課題であります。
したがって、労働環境を整備し、なおかつ人口減少を緩和する施策としても、女性、高齢者、若年者の労働力人口への参入を促進する方策に知恵を絞る必要があります。
また、子育てしやすい地域づくりという面を考えてみますと、地方分権の推進により各地域の実情に根差した行政の取り組みという視点が重視されるようになり、例えば三世代同居をすることにより働きながら子育てをする女性の負担を軽くすることは事実であり、そうした地域もありますが、必ずしも両親の同居や近居がかなえられるとは限りません。居住環境の面から、むしろ都市部では困難であります。そうした地域特性からファミリーサポートセンターの整備が進められたり、民間レベルでの相互協力を図るシステムが構築されたり、子育て支援のNPOとの協力などの取り組みが展開される必要があります。
そこで質問でありますが、まず初めに、NPOやボランティア、あるいは企業と市町村が連携して子育て支援に取り組む場合に、県がそうした取り組みに対して行う支援策についてでありますが、あいち子育て・子育ち応援プランにかかわる事業のその進捗状況及び支援策について、とりわけ、休日保育の推進、一時保育の促進、地域子育て支援センターの設置の促進についてお示しをください。
また、次世代育成支援対策交付金対象事業のうち、つどいの広場、病後児保育、一時預かり施設型でありますが、ファミリーサポートセンターの設置についてもお示しください。
また、聞くところによりますと、東京都においては、次世代育成支援の環境を整備するために、区市町村が地域の実情に応じて主体的に行う子育てサービス基盤整備に総合的に支援する包括的補助制度として、子育て支援基盤整備包括補助、子育て推進交付金を創設したとのことでありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
また、県は、子供を産み育てることに喜びや意義が感じられる意識の醸成や、子育て世代が安心して働くことのできる環境づくりなどの内容を盛り込み、企業や県民と行政が一体となって少子化対策に取り組む意識を高めるための条例を制定していきたいとのことでありますが、これはどうなっているのでありましょうか。
次に、子育て支援についての企業の取り組みに対する県の対応でありますが、国の新しい少子化対策についての中に、行動計画の公表等次世代育成支援対策推進法の改正の検討という項目で、従業員三百人以下の企業の行動計画策定を推進するとあります。これについて、本県においても昨年度から既に中小企業を訪問し、直接事業主に対して育児休業制度の導入や法に基づく一般事業主行動計画の策定を働きかけておられるところでありますが、例えば行動計画を策定する企業に県が独自に子育て支援企業として認定する制度を考えたり、また、育児に関する制度に積極的に取り組み、一定の成果を上げた中小企業に対しまして、側面からバックアップする何らかの支援策は考えられないものでしょうか。
次に、県営住宅における子育て支援の取り組みについてお尋ねいたします。
子育て世帯の優先入居については、本年二月より取り組みを始められ、また、先般公表されました五つの県営住宅子育て支援モデル事業については、県営住宅の現場でこうした取り組みが始まるのは時宜を得たものと考えるものであります。
そこで、こうした状況を踏まえ、県営住宅における今後の子育て支援の取り組みをどのように進めていくのかをお伺いいたします。
次に、結婚の促進についてでありますが、これも新しい少子化対策についての取り組みの中に、民間の結婚相談事業に関する認証制度の創設として、いわゆるマル適マークのようなものを考えているようでありますが、県としては、市町村と協力して結婚相談事業に取り組むことについてどのように考えておられるのか、お聞きいたします。
最後に、先般の報道によりますと、南知多町の日間賀島で、地元の民間団体が新生児一人に対し五万円の出産祝い金を支給する取り組みを始めたとのことであります。民間の団体がこうした取り組みを行うのは極めて珍しいとのことでありますが、これは、島内において子供がこのまま減ってしまえば、島の発展はないのではないかとの危機感からの取り組みであるようであります。
既に町においては、出産支援として、今年四月から、第三子に五万円、四子以降に十万円の支給を開始しているとのことでありますが、これについて県下の状況はどうなっているのでしょうか、また、県としての対応はどうでしょうか、お伺いをいたします。
以上をもちまして、壇上からの私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
51:
◯健康福祉部長(
小島通君) 本県の少子化対策についてのお尋ねのうち、まず、「あいち子育て・子育ち応援プラン」に掲げた事業の進捗状況についてお答えいたします。
プランの策定年度であります十六年度と本年度実績見込みとを比較した上、二十一年度目標値に対する進捗率を申し上げます。
休日保育の推進については、七カ所が十三カ所にふえ、目標三十五カ所に対し、進捗率は二一%となっております。一時保育の推進については、百二十五カ所が百七十九カ所に増加し、目標百九十七カ所に対し、進捗率は七五%、地域子育て支援センターの設置の促進につきましては、五十七カ所が八十一カ所に増加し、目標百七カ所に対しまして、進捗率は四八%と着実に増加いたしております。
その支援策でありますが、市町村が地域のニーズに応じて市町村計画に掲げたそれぞれの目標値を達成できますよう、これら三事業に対しまして、本年度総額四億三千八百万余円の補助金を予算計上し支援していくことといたしております。
次に、次世代育成支援対策交付金対象事業として掲げた事業についてお答えいたします。
これらの交付金事業につきましては、国から市町村に直接交付されるものでありますので、報告いただいている十七年度実績で申し上げます。
つどいの広場につきましては、ゼロから二十四カ所に増加し、目標四十一カ所に対し、進捗率は五九%、ファミリーサポートセンターにつきましては、二十四カ所が三十カ所になり、目標三十六カ所に対し、進捗率が五〇%と着実に増加いたしております。一方、一時預かり施設型病後児保育につきましては、医療機関との連携を図ることが大変重要でありますが、十七年度におきましては、医療機関の受け入れ態勢が整わなかったことなどから、目標三十カ所に対し六カ所のまま進捗していない状況でございます。
次に、東京都が創設した事業のお尋ねについてでございます。
議員お尋ねの子育て支援基盤整備包括補助につきましては、子育て支援の基盤整備のために本年度創設されたものでございます。また、子育て推進交付金は、平成十七年度までの東京都の各種単独補助金をほぼ同額の交付金にまとめましたもので、いずれも地域の実情に応じて子育て支援事業の推進を図ることを目的とした事業でございまして、平成十八年度総額で百七十五億円の予算規模となっております。
このような豊かな財政を背景とした東京都の制度は、市町村の創意工夫によって独自の取り組みを推進できる内容となっておりまして、その成果については今後の推移を見守ってまいりたいと考えております。
次に、少子化対策の条例のお尋ねについてでございます。
さきの六月議会におきまして、知事から年度内に条例を制定することの表明があったところでございます。そこで、去る九月五日に開催いたしました次世代育成支援有識者会議の意見を踏まえ、条例の基本的な考え方を整理するための愛知県の少子化対策における今後の施策の考え方というものの案を作成いたしました。この案に対する県民の皆様方からの意見を募集するため、パブリックコメントを本日から一カ月間行うことといたしております。県議会を初め県民の皆様方から御意見をいただき、今後の施策の考え方というものをまとめ上げ、それをもとに条例案を作成してまいりたいと考えております。
次に、結婚相談事業に取り組むことについてのお尋ねでございます。
少子化が進行している大きな原因の一つとして、未婚化、晩婚化が指摘されておりまして、結婚を希望する若者に対する何らかの支援は少子化対策として有効であると考えております。しかしながら、結婚相談事業につきましては、民間での取り組みも数多く見られますので、そうした活用も含め、県として何ができるのか、何がふさわしいのかという点を検討してまいりたいと考えております。
最後に、出産祝い金のお尋ねについてお答えいたします。
県内の市町村の事業の実施状況につきましては、名称や支給方法等に多少の相違はありますが、今年度十五の市町村において子供の出産に際して祝い金を支給しておるところでございます。子供が生まれますことは大変喜ばしいことでありますが、それぞれの市町村で地域の実情に合わせ、この種の事業を実施していただければよいのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
52: ◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 子育て支援に関しましての従業員三百人以下の企業の一般事業主行動計画策定についてお答えをいたします。
次世代育成支援対策推進法では、従業員三百人以下の企業の行動計画の届け出が強制ではなく努力義務となっていること、また、仕事と子育てとの両立支援について、中小企業の事業主の理解がいまだ十分でないことから、まことに残念ではございますが、行動計画の策定につきましてはほとんど進んでいない状況でございます。
そのため、本県では、議員お示しのように、本年度も八月までの五カ月間で約七百四十の中小企業を職員が訪問いたしまして、一般事業主行動計画策定の働きかけなどを行っております。
また、仕事と子育てなどとの両立支援に前向きに取り組んでいる企業については、全国に先駆けてファミリー・フレンドリー企業として認証しておりますので、その普及を図るとともに、今後国などと一体となって中小企業などへ積極的に働きかけ、できるだけ多くの事業主に仕事と子育て両立支援の趣旨を御理解いただけるように努めてまいります。
さらに、新年度に向けて、国は、新たな少子化対策として、中小企業に対する助成制度の充実を検討しておりますので、そうした動きも見きわめ、ファミリー・フレンドリー企業の認証制度の充実を含め、効果的な支援策を幅広く検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
53: ◯建設部建築担当局長(山北康雄君) 県営住宅における子育て支援の取り組みについてお答えします。
まず、本年二月に創設いたしました子育て世帯を対象とした優先入居制度につきましては、住宅にお困りの方々に十分活用していただけるよう一層のPRを行ってまいります。また、今年度、県営住宅の集会所や公園を、地域を含めた託児や遊びの場などに活用する県営住宅子育て支援モデル事業を実施しております。現在、五つの団体を選定いたしまして、地域と連携した子育て支援の仕組みづくりの検討を行っているところでありますので、今後この成果をできるだけ多くの団地で活用していきたいと考えております。
さらに、比較的大規模な県営住宅の建てかえに当たりましては、市町村やNPO、民間事業者の皆様方とも連携をいたしまして、託児所などの子育て支援施設の導入をできる限り進めていきたいと考えております。
このような取り組みによりまして、県営住宅が若い世代の方々に安心して子育てができる生活の場となるとともに、地域の子育て支援の場としても活用されますように施策の推進を図ってまいります。
54:
◯知事(
神田真秋君) 少子化対策につきまして、さまざまな角度から御質問、御提言をいただきました。
国も地方もこの少子化対策をいろいろこれまでやってまいりましたが、正直なところ余り有効な手はなかったと、効果は上がっていないというのが率直なところでございまして、これは、私ども行政としてそのように認識をし、反省しなければならないと思っております。そういう中で、ことしに入りまして、この半年間、前年同期よりも増加の傾向が出てまいりました。とはいえ、全国ベースでは、累計でございますけれども、半年間の前年対比で二・三%の増、同じように愛知県の数字を見てみますと三・一%の増、この増加傾向は大変ありがたいわけでございますが、こうした少子化対策の効果なのかどうか、もう少し慎重に見きわめていかなければならないと思っております。
いずれにしても、出生率はまだまだ低いものでございますので、引き続き少子化対策を続けていかなければならないと思っております。
その中で、少子化の大きな原因としては、大きく言って三つ、一つは、未婚化、晩婚化、もう一つは、夫婦の出生力の低下、いま一つは、やはり仕事と子育ての両立と、こんなふうに整理できるのではないかと思います。
未婚化、晩婚化をどうするかということにつきましては、これは、なかなか行政の施策でやるのは難しいことでございますが、例えば結婚を望む若者たちにそうした機会を少しでも提供するということも重要なことでありますので、今後前向きに検討していきたいと思っております。
それから、夫婦の出生力の低下という点でございますが、これは、やはり子育てのさまざまな支援策を講じていくこと、あるいはきょうも御議論がありましたけれども、不妊治療制度などをサポートしていくこと、こんなことが当面必要になってくるのではないかと思っております。
それから、仕事と子育ての両立でありますけれども、負担感を取ってさしあげるということは重要であります。これは、従来からいろいろな方策が講ぜられているわけでございますが、雇用関係の整備ということがやっぱり一番重要なことだろうと思います。引き続き力を入れてまいりたいと思います。
55: ◯八十六番(岩田隆喜君) ただいまそれぞれ御答弁をいただきましたが、一つ御要望を申し上げるわけでありますが、その前に、一つ、労政担当局長にいささか苦言を申し上げたいと思うわけでありますが、ファミリー・フレンドリー企業の拡充ということをおっしゃっていただきましたが、もう既にファミリー・フレンドリー企業を認定するその基準を緩和して、そうした企業をふやしていくということを既に御答弁されておるわけでありますから、この議場においてはさらに一歩進んだ御答弁を期待しておりましたところ、大変残念でございます。
それで、出生率が年々下がり続ける、こうした状況の中で、各都道府県においても軒並み下がっておるわけでありますが、こうした中で、福井県だけが前年比で上昇に転じ、順位も沖縄に続いて二位に伸びたということで、これが話題になりました。したがって、私は、この質問を行うに当たり、福井県のこども・家庭課に事情聴取に行ってまいりました。その中で、これは企業に関する要望につながるわけでありますが、例えば働きながら子育てしやすい職場環境を整備するため、一般事業主行動計画の策定や育児介護休業法の義務規定を超える就業規則等の整備などをしている中小企業に対して奨励金を支給したり、あるいは子育て支援表彰企業として知事が認定した企業には、県の制度融資「中小企業育成資金」、子育て奨励分でありますが、こうしたものを利用した場合に保証料を全額補給するといったこと、あるいは県の入札参加資格審査におけるポイントを上げる評価性などの支援をしているとのことでありました。
本県においても、中小企業がこうした子育て支援策に積極的に取り組んでいけるような施策を展開していただくことを御要望いたしまして、質問を終わります。
56:
◯議長(
内田康宏君) 進行いたします。
中野治美議員。
〔九番中野治美君登壇〕(拍手)
57: ◯九番(中野治美君) 通告いたしました二点につき質問をさせていただきます。
地球規模での温暖化、生態系の破壊などの環境問題が深刻化しております。現在、一日で約百種類もの生物がこの地球上から姿を消しており、このままでは、二十年から三十年後には、地球上の全生物の四分の一が永久に失われてしまうと言われております。愛知県におきましても、森林の伐採などで自然環境が年々悪化しつつあり、愛知県版レッドデータブックに載っている生物たちは危機状況にあります。未来を託した子供たちに負の遺産を残さないように、環境問題は一刻も早く取り組まなければならない課題と言えます。
環境問題の中で、最近特に話題になっているのが、カミツキガメ、イグアナ、オオトカゲ、熱帯魚のガーパイク、外国産ヒラタクワガタなどの外来生物が生息するはずのない日本の各地で見つかっている生態系破壊問題であります。愛知県下におきましても、ことしの夏に瀬戸市でカミツキガメ、豊明市でグリーンイグアナが見つかって、住民を驚かせました。
平成十七年六月一日に施行されました特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、以後、外来生物法と申しますが、その外来生物法で指定されました一部の特定外来生物は、持ち込んだり飼育したりすることができませんが、外来生物の中には、アメリカザリガニ、ミドリガメ、外国産クワガタなど、子供たちに人気のある生物も多く、むやみに規制するより、学校教育の一環として、正しい飼育方法、命の大切さを教える方が情操教育に結びつくと思われます。こうした生態系保護を中心とした環境教育に対する県の取り組みについて質問をさせていただきます。
小学校などの教育機関では、ウサギ、ニワトリ、金魚などの小動物が飼育されて、児童らが交代で世話をしたりする光景が見られます。これだけでも命の大切さを学ぶには十分役立っているとは思いますが、さらに一歩踏み込んで、生まれてくる小さな命の誕生、生態系保護についても学ぶために、子供たちに人気の昆虫飼育を活用した環境教育の検討をされてはいかがでしょうか。
問題視されている外来生物には、哺乳類、爬虫類、魚類などがいますが、大型で飼育に手間がかかり、一方、クワガタ、カブトムシなど身近な昆虫でしたら、それほど大きなスペースもとらず飼うことができます。特に、セガのカードゲーム「ムシキング」のブームで、外国産クワガタムシなどは子供たちに大いに興味を持たれ、スムーズに入っていけるかと思います。
特に、カブトムシ、オオクワガタなどの中には、比較的容易に卵を産ませることができる種類が多く、幼虫、さなぎから成虫に至る完全変態の様子を詳細に観察することが可能です。もちろん、他の昆虫でも飼育、観察は行えますが、不完全変態のバッタなどよりは、さなぎから成虫と姿が劇的に変化するカブトムシ、クワガタムシなどの方が感動が大きいと思います。
多くの子供たちが自然の中で暮らしている生き物に接する機会がほとんどなくなった現在、意識的に生き物に接触させないと、従来、昆虫を採集したりする中で自然に生まれていた命に対する感覚が育ちにくくなっていると思われます。インターネット、パソコンゲームなどIT化が進行するにつれて、命を介したコミュニケーションの頻度が急激に低下しています。子供たちが日常見る生き物は、ほとんどすべてがバーチャルな世界になり、ぬくもりのある生き物に触れる機会はほとんどなくなっています。このことは、生きていることの感覚が育たないまま大人になるということで、最近問題になっているすぐキレて犯罪を犯す青少年を生み出す土壌につながると思います。
カブトムシの産んだ米粒のような卵から白い小さな幼虫が生まれてきて、懸命に生きようと動き始めたり、いびつな形のさなぎから、まだ羽が白く体は赤っぽいみずみずしい成虫が生まれてきたりするシーンは、まさに感動ものであります。こうしたシーンを目の当たりにした子供たちは、命の大切さを身をもって体験することとなり、犬や猫をいじめたり、簡単にナイフで人を刺したりする行動を自然に慎むようになるでしょう。動物を飼育することにより、ストレス社会の中でいやされるアニマルセラピーが話題になっていますが、昆虫を飼育したり観察したりすることもいやしにつながるかと思われます。
こうした飼育の方法を教えることに加えて、地球規模での生態系破壊問題、日本固有の生物と外来生物の雑種の個体発生、外来生物を日本の野に放すことの危険性、外来生物法の内容なども教えれば、さらにグローバルな視点から地球環境問題の大切さを学んでもらうことができます。
愛知県でも、命を大切にする教育研究会を開催されたり、実際にモデルとなる小中学校で具体的な事例に取り組んだりしておられますが、学校現場で働く先生方は、毎日の授業、児童指導、会議、担任としての仕事、PTA関係、教材研究等々の多忙な業務を抱えておられるため、さらに生き物飼育の指導を行うことになりますと、時間的、精神的な負担が極めて大きくなるかもしれません。
そこで、ボランティア活動を展開するNPO法人、引退された教職員、地域に住んでおられる生物マニアらの力をかりる必要があると思われます。愛知県下にも、生態系問題に対応したり、里山の保全活動を実施したりするNPO法人が存在しており、これらの団体と協働して環境教育を実践するのもいいかもしれません。また、団塊の世代の方々の大量退職時代が間もなく到来いたしますが、第一線を引退されたがまだ元気で仕事に意欲を燃やす方々や、環境問題に興味を持たれる高齢者の方々に、環境教育にかかわるという生きがいと雇用の機会を与えることにもつながるかと思います。
実際に、千葉県の習志野市では、昆虫ショップオーナーが地元の小学校、中学校の選択授業などで、昆虫採集、飼育の方法などを教えて、子供たちの情操教育に役立てています。地元の商工会議所と提携して、ショッピングセンターなどで昆虫展示イベント、飼育教室なども開催しておられ、講演依頼が殺到しているそうでありました。こうした一般の方が参加できる教室、イベントも、環境教育実践の場として有効活用できると思います。
我が愛知県でも、プールのヤゴの救出作戦などを実施している学校があり、埼玉県には、蛍養殖を活用した教育を実践した学校があったそうであります。こうした教育現場における環境教育の実践、これに関連する民間活力の導入を検討されるかどうかについてどのように考えておみえになるか、お尋ねをいたします。
さらに、政府は、二〇一〇年開催予定の生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)誘致の準備を進めており、愛知県として名古屋市などと協調して名乗りを挙げています。愛・地球博からちょうど一年がたちましたが、生き物が生息する環境を整えるため、里山の保全、広葉樹林の整備など、根本的な自然保護活動も大切だと思われます。愛知県版レッドデータブックでは、オオクワガタやベッコウトンボなどが絶滅危惧IA類に指定されており、これらが生息する環境の保全が重要な課題と思われます。
特に、大きな河川の河川敷は、生物の生息に適した環境である場合が多く、例を挙げますと、愛知県西部を流れる木曽川流域は水が比較的澄んでいることもあって、多種多様な生物たちの宝庫になっております。この河川敷の柳の立ち枯れの雑木林などが昔からカブトムシ、クワガタ、カミキリムシなどの発生源となっていますが、木曽川公園の整備や遊歩道の整備などで人工的な舗道化などが進んだところがあり、生息環境が圧迫されています。
もちろん、地域住民の方々の快適な生活を支援するための公園整備や、河川のはんらんを防ぐための堤防工事などの公共工事は必要不可欠なものと考えますが、生き物が生息する環境保全も重要な課題と考えますので、こういった工事において、環境への配慮をどのように考えて工事を実践されているのか、御所見をお伺いいたします。
次に、二点目でございます。低地域の排水対策と河川整備についてであります。
昭和三十四年の伊勢湾台風は、ことしで四十七年目を迎えました。そのすさまじいまでの水害の記憶は、多くの人々に歴史の出来事の一こまとして風化されつつあります。
低地域に住んでこられた多くの先人たちは、水との戦いの歴史であったと申しても過言ではありません。これからも水との戦いは終わりなき戦いでもあります。こうした歴史の出来事を再び起こさせないことが次の世代に引き継ぐ私たちの使命でもあります。
尾張の西部地域を南北に流れる日光川は、県下最大の二級河川でありますが、中下流域はそのほとんどが海抜ゼロメートル以下の低地域で、雨水のみならず生活排水までもがポンプによる強制排水を必要としております。そのための排水路やポンプ施設の多くは、地盤沈下対策事業、湛水防除事業による農地政策の一環で排水対策の整備が進められております。
本川である日光川については、昭和二十六年の中小河川改修事業による工事に着工して以来、今日まで営々と改修工事が続けられ、この間に伊勢湾台風復旧事業、高潮対策事業並びに昭和四十九年及び昭和五十一年災害の河川激甚災害対策特別緊急事業などで重点的な治水整備を進めてきたところであります。
そして、日光川支流から日光川本流、いわゆる法河川から法河川へのポンプ排水も、善太川、新堀川、蟹江川、目比川に設置され、蟹江川を除く三排水機場は、農地排水を目的として整備され、運転管理されております。
この地域は、都市化の進展も著しく、この運転管理に対しましては、農業団体のみではなく都市排水としての機能も兼ねており、市、町と協力連携して行われておりますが、経年劣化に伴いまして更新時期を迎えつつあります。
そこで、一点目の質問でありますが、農業団体が管理する排水機場の農地行政と河川行政についてお尋ねをいたします。
排水機場整備計画は、位置、容量、運転方式、財源など諸条件が定められ、おおむね五年程度で事業が完了しております。しかしながら、河川整備はどうでしょうか。一定の事業区間の整備に二十年ないし三十年といった歳月を要する事業も珍しくありません。
私の住んでおります津島市の新堀川では、向島排水機場でポンプ排水し、新堀川と領内川の合流する根高排水機場で再度ポンプ排水をしております。向島排水機場では、ポンプ能力をフル稼働しようにも、新堀川堤防からあふれて半分程度しか使用ができません。また、上流域で湛水しているが根高排水機場に水が来ないからポンプ能力が発揮できない。その間にも維持管理コストは大きくのしかかっております。設置されたポンプ類は耐用年数がおおむね四十年程度と言われており、老朽化が進み、更新時期を迎えようとしておりますが、新堀川の河川改修は大きく進展しておりません。排水機場能力と河川流下能力については、このような状況を見ておりますと、もう少し違った整備があるのではないかと思います。
また、尾西放水路の例を申し上げますと、この事業は日光川、領内川の洪水対策として、洪水の一部をカットして木曽川に排水する施設で、農林所管では、尾西排水路並びに排水機場で毎秒三十五立方メートルにて平成八年度に完成しております。建設部所管では、日光川三号、四号放水路で毎秒五十五立方メートルにて事業中であり、合計で毎秒九十立方メートルとなり、完成いたしますと、上流域は円滑な排水と下流域は負担軽減がなされてまいります。
しかし、このような整備方針につきましても、日光川河口の排水機場のように一体的な取り組みを行えば、建設コスト、管理コストが軽減されるのではないかと思う次第であります。
こうした事例を申し上げましたように、農地と河川はそれぞれの立場において当地域の防災対策を行っていますが、しかしながら、国の制度に沿ってそれぞれの部署が低地域の防災対策に努めておられるわけで、私の先輩議員の言葉をかりれば、防災特区で一体的に行うべきとの意見もあります。
少なくとも、県行政においては、それぞれが親密に連携、協力して、事務事業の推進を図ることが効率的で効果的な行政運営に資すると思われますが、御意見をお尋ねいたします。
二点目といたしましては、河川整備のあり方についてであります。
治水は下流から、利水は上流からが河川改修の基本であることは申し上げるまでもありません。しかしながら、近年では、住民意識の多様性や多くの財源を必要とするなど、遅々として進まない事情から、その地域に合った方策として、流域貯留や浸透施設等も見受けられますが、海抜ゼロメートル以下の当地域では困難な状況であります。
したがって、川幅の拡幅並び堤防のかさ上げが主な改修方法であろうかと思いますが、そのための用地買収の困難性もさることながら、川にかかる道路、鉄道など、橋のかけかえも改修が進まない大きな要因となっております。
二級河川善太川と日光川の合流地点に善太川排水機場があり、現在更新工事が行われておりますが、愛西市と津島市の行政界に愛宕橋がありますが、下流の愛西市は、河川改修も終わって愛宕橋から上流の改修が待たれております。
津島市では浸水しているが、善太川排水機場では愛宕橋がボトルネックとなり、水が来ていないためスムーズな運転が行われないこともあり、排水機場の能力が十分発揮されにくい状況であります。低地域に暮らす住民の願いを十分に理解され、こうしたボトルネックとなっている愛宕橋については優先整備と考えますが、今後の見通しをお尋ねいたします。
低地域の排水対策及び河川整備のあり方について、それぞれの地域、河川の実情等を勘案された今後の取り組みについてお尋ねをし、壇上からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
58:
◯議長(
内田康宏君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
59:
◯議長(
内田康宏君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
60: ◯教育長(伊藤敏雄君) 生き物の保護や飼育を通しての環境教育についての御質問であります。
現在、小中学校におきましては、生活科や理科の学習の中で、成長段階に応じて生き物に触れる体験等を取り入れた系統的な学習に取り組んでおりますし、また、総合的な学習の時間におきましては、八割の小学校、五割の中学校で、外部の専門家の協力も得まして、身近な地域の環境から地球環境の問題まで幅広く環境教育に取り組んでいるところでございます。
議員お示しのヤゴや蛍の飼育を初め、地域の保護団体の協力を得て、ウミガメの生態観察や保護活動に取り組んでいる学校や、漁業・林業関係者、学識者などと連携して、清流にすむ絶滅危惧種ネコギギの保護に取り組んでいる学校など、地域の実情を生かした特色ある環境教育も行っているところでございます。
また、本年度より、学校がNPOや企業、地域の専門家、学識者と協力を図りながら、環境教育などのカリキュラムを開発する授業プログラム開発事業を推進いたしているところでございます。
教育委員会といたしましては、環境教育の実践の中で、身近な生物を守る活動は、命を大切にする心をはぐくむとともに、環境保全について学ぶよい機会と考えておりますので、今後もすぐれた実践例や成果を県内に普及することや、NPOや地域の専門家など民間の力も活用させていただき、環境教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
61: ◯建設部長(藤井則義君) 生態系保護、環境教育のお尋ねのうち、公園整備や河川堤防工事などの公共工事における環境への配慮についてのお尋ねでございます。
公園整備に当たりましては、できる限り造成を避け、既存の池や森を初めとした自然を生かすとともに、伐採した樹木の枝や落ち葉を集めて昆虫のすみかにしたり、園路にチップ材を使用するなど、生物の生息環境の確保にさまざまな工夫をして取り組んでおります。
また、河川整備におきましては、平成三年度から治水との調和を図りつつ多自然型川づくりを実践いたしてきておりまして、これまでに音羽川など百四十河川において、魚類がすみやすく水際の植生が回復しやすい護岸の採用や、水生生物のえさ場や隠れ場となるヨシの保全、再生などをいたしております。
また、工事に際しましても、新川、天白川などの河川におきまして、堤防の表土を再利用することで元の植生の保全を図ったり、しゅんせつ時の水質汚濁防止により、生物への影響軽減にも努めております。
今後とも、公共工事の実施に当たりましては、本来の施設の機能を確保する中で、動植物の生息や生育の場となる自然環境の保全、再生に配慮いたしてまいります。
次に、低地域の排水対策と河川整備についてのお尋ねをいただきました。
初めに、農林水産部と建設部の連携に関しての新堀川と日光川についてでございます。
新堀川につきましては、津島市北部の人家が密集した区域を流れる延長二・二キロメートルの河川でありまして、そのうち、未改修区間六百メートルの整備に向けまして、十七年度より家屋の移転等を伴う用地補償を地域の皆様の御理解をいただきながら精力的に進めているところであります。
今後、順次橋梁改築、河川の川幅の拡幅等を実施し、農林水産部により整備されました排水機場の機能をより一層発揮できるよう早期完成を目指してまいります。
また、日光川から木曽川への放水路につきましても、現在農林水産部で管理している尾西排水路が既に日光川と領内川の上流域の浸水被害の軽減に貢献をいたしているところでございます。建設部では、取り組んでまいってきております木曽川寄りの日光川四号放水路に引き続きまして、それに接続をし、日光川から洪水を受け入れる三号放水路についても、昨年度工事着工し、鋭意工事を進めているところでございます。
日光川放水路の完成後は、尾西排水路と一体的に運用することで、日光川流域における治水効果は大きく向上するものと考えております。農林水産部が進める内水排除等の排水機場の整備と、建設部が進める河川整備については、今後とも治水効果が早期に発揮できるよう、より一層緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
次に、善太川の愛宕橋のかけかえ工事の見通しについてのお尋ねをいただきました。
愛宕橋のかけかえ工事につきましては、本年度用地取得を完了させるよう努めてまいるとともに、橋梁の詳細設計を実施いたしてまいります。愛宕橋のかけかえ工事には、仮橋の設置が必要となりますので、地元の皆様の御理解、御協力を得て、早期着工、早期完成に努めてまいります。また、愛宕橋の上流部の未改修区間一・二キロメートルの整備につきましても、引き続き治水効果がより発揮できるように取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
62:
◯知事(
神田真秋君) 日光川の流域につきましては、都市化が進展をいたしまして、低い地域の中で多くの人々がお住みになり、また資産が集積をしているわけでございますので、地域の皆様方の命と財産を守る上で治水施設の整備は大変重要だと考えております。
きょうは、お示しもございましたように、当地域における治水対策でございますが、農業基盤の整備において実施された排水路あるいは排水機場の整備と、その排水を受け入れる河川の整備が長年にわたりまして連携しながらやってまいったところでございますが、道中、その進捗にどうしても食い違いがある中で、地域の皆様方に御心配をかけたり、御迷惑をかけたりしたこともあったわけでございます。
さて、そういう中で、日光川流域の浸水被害の軽減を図るために、木曽川へ放流する日光川放水路につきましては、平成二十二年までに全力を挙げて完成させてまいりたいと考えているところでございます。尾西排水路と相まちまして、放水処理能力が毎秒三十五トンから九十トンになるということでございますので、この地域、流域の治水安全度が飛躍的に向上するものと考えております。
いずれにいたしましても、低い地域における治水対策は大変重要でありますので、引き続き計画的に進めてまいります。
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63: ◯四十番(
田辺克宏君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
64:
◯議長(
内田康宏君)
田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
65:
◯議長(
内田康宏君) 御異議なしと認めます。
明九月二十七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時四十八分散会
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