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  1. 愛知県議会 1997-09-01
    平成9年9月定例会(第4号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成9年9月定例会(第4号) 本文 1997-09-25 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 74 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 2 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 3 :  ◯三十一番(佐藤博君) 選択 4 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 5 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 6 :  ◯三十一番(佐藤博君) 選択 7 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 8 :  ◯七十二番(塚本久君) 選択 9 :  ◯教育長伊藤廉君) 選択 10 :  ◯商工部長平井敏文君) 選択 11 :  ◯企画部長高橋貞二君) 選択 12 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 13 :  ◯七十二番(塚本久君) 選択 14 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 15 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 16 :  ◯四十四番(小嶋洋一君) 選択 17 :  ◯教育長伊藤廉君) 選択 18 :  ◯民生部長坪井敏之君) 選択 19 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 20 :  ◯四十四番(小嶋洋一君) 選択 21 :  ◯六番(結城秀治君) 選択 22 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 23 :  ◯副議長吉岡しき君) 選択 24 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 25 :  ◯五十番(波形昌洋君) 選択 26 :  ◯民生部長坪井敏之君) 選択 27 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 28 :  ◯五十番(波形昌洋君) 選択 29 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 30 :  ◯三番(杉江秀一君) 選択 31 :  ◯三番(杉江秀一君) 選択 32 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 33 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 34 :  ◯三番(杉江秀一君) 選択 35 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 36 :  ◯九十番(和出徳一君) 選択 37 :  ◯参事(中島靖二君) 選択 38 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 39 :  ◯企画部長高橋貞二君) 選択 40 :  ◯土木部長(伊佐治敏君) 選択 41 :  ◯参事(久留宮泰啓君) 選択 42 :  ◯環境部長(清水正一君) 選択 43 :  ◯警察本部長(漆間巌君) 選択 44 :  ◯教育長伊藤廉君) 選択 45 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 46 :  ◯九十番(和出徳一君) 選択 47 :  ◯参事(中島靖二君) 選択 48 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 49 :  ◯企画部長高橋貞二君) 選択 50 :  ◯五番(青山秋男君) 選択 51 :  ◯五番(青山秋男君) 選択 52 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 53 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 54 :  ◯五番(青山秋男君) 選択 55 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 56 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 57 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 58 :  ◯二十番(秋田政幸君) 選択 59 :  ◯建築部長(山中保教君) 選択 60 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 61 :  ◯土木部長(伊佐治敏君) 選択 62 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 63 :  ◯二十番(秋田政幸君) 選択 64 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 65 :  ◯二十六番(原田信夫君) 選択 66 :  ◯二十六番(原田信夫君) 選択 67 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 68 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 69 :  ◯総務部長河内弘明君) 選択 70 :  ◯参事(中島靖二君) 選択 71 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 72 :  ◯六番(結城秀治君) 選択 73 :  ◯議長(大見志朗君) 選択 74 :  ◯議長(大見志朗君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時二分開議 ◯副議長吉岡しき君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百七号議案平成九年度愛知       県一般会計補正予算から第百四十六号議案公害       審査会の委員の選任についてまで及び決算第一       号平成八年度愛知県県立病院事業会計決算から       決算第六号平成八年度愛知県臨海用地造成事業       会計決算まで 2: ◯副議長吉岡しき君) 第百七号議案平成九年度愛知県一般会計補正予算から第百四十六号議案公害審査会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成八年度愛知県県立病院事業会計決算から決算第六号平成八年度愛知県臨海用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  佐藤博君。     [三十一番佐藤博君登壇](拍手) 3: ◯三十一番(佐藤博君) 三十一番佐藤博であります。通告に従いまして質問いたします。  第二次橋本改造内閣がスタートいたしました。六つの改革を公約し、改革の断行こそ橋本内閣の生命線であります。今回私は、その中の地方分権の受け皿として、市町村合併推進のために、愛知県の取り組み姿勢一点のみについて質問をいたします。  一九九五年五月に地方分権推進法が制定されました。国自体が分権推進を決断したことはまさに画期的なことであり、国も地方もこれを受けて、今、私たちは真剣に、まじめに取り組むべき重要な時期を迎えたものと考えております。  地方分権がなぜ重要な時期を迎えたのか、地方分権推進委員会諸井委員長は次のように指摘しておられます。戦後、国内各地で交通網の整備や福祉、医療の充実などの施策が進められ、豊かな社会が実現されてきました。それを支えた考え方は、日本国民全体に先進国並みのナショナルミニマム、すなわち、国家が保障すべき国民の最低限生活水準を公平に行き渡らせるというものでありました。  これは国が主導するため、街づくりの権限や財源を国に集中させてきました。それがある程度達成され、今後はそれに上乗せしていく地域の整備、活性化、福祉の向上などが求められておりますが、地方の行政需要は多種多様化しており、これまでのような中央集権的な手法で全国を対象に画一的に行ったら膨大なむだばかり生むことになり、それぞれの自治体が地域の実情、住民の意向に沿って実現していく形をとらないと満たせないことになる。国自体もスリムになるような行財政改革が求められている。そこで、国と地方との役割分担を見直し、現在国にある権限や財源を自治体に移したり、地方に対する国の関与をなくす仕組みをつくり、地方の問題を解決していく主体を国から地方に切りかえる必要が出てきたのだ。すなわち、中央支配の排除、地域住民の意思の尊重、地域の特性、個性の尊重による真の地方自治の実現がなされなければなりませんと地方分権が叫ばれている理由を明らかにされています。
     そのために、国から県へ移譲された権限が県から市町村へスムーズに、確実に移譲されるために、市町村の基盤は重要なものとなり、地方分権推進委員会の第二次勧告の中では、市町村合併と広域行政の推進が大きくクローズアップされています。  私は、自分の経験から、地方自治と呼ばれる市町村が末端行政機関と呼ばれることに不快感を抱いてきました。直接住民と接し、最も密着している市町村行政機関こそ、末端ではなく、最先端行政機関として最も重視されなければならないと考えているからであります。  しかしながら、日本の長い歴史の中で、常に「お上」と呼ばれるごとく中央集権政治が続いてきました。それはそれなりに、国土をバランスよく発展させてきた意義は評価されるべきです。しかし、現代に至っては、地方分権推進委員会も指摘し答申しているごとく、最先端の行政機関を時代の要請にこたえ得るべく充実させることが必要であります。  現在では、中央集権組織の中にある市町村にあっては、政令都市は別として、組織的、機能的、財政的、権限的に弱体であり、政策能力にも劣る面が多いのであります。多くの問題点がありますが、これらの実態を正しく把握し、真の地方自治体を育て上げることが二十一世紀に向かっての重要な課題であると考えております。  地方分権を進める中で最も重要であり、最も困難な問題が市町村合併であります。  去る七月三十一日、中日新聞が「どうみる市町村合併 中部九県の首長アンケートから」を大々的に掲載しておりました。大変実情をよく把握している率直な内容であるとつぶさに精読いたしました。内容を要約しますと、市町村合併について、市長の九割は賛成、村長の半数は反対であります。  合併を推進すべきであると答えた首長の賛成理由は、「行財政の効率化を図ることができる」六九・一%、「地方分権が推進できる」二三・八%、また、反対と答えた首長の理由の主なものは、「合併ではなく、市町村は広域的に連携協力する広域行政で対応すべきだ」四三・九%、「住民サービスの低下が心配」四〇・七%。特に小規模の町村では、昭和三十年代の大合併の反省から、都市に吸収合併されてしまったら、中心部のみが栄え、吸収される側の地区の過疎化が一層進み、行政サービスの向上や効率化は実現しなかったと指摘しています。  また、市町村合併は必要であると六七・二%の首長が合併に賛成と答えながらも、実際に進むかとなると、八〇・八%が「難しい」と厳しい現状を示しています。主な理由として、「住民の間に合併の機運が生まれてこない」。また、市町村間の地域性や歴史の違いなどがあり「合併に住民の反発も予想される」という意見もありました。あるいは「合併の中核となる都市がない」「財政力が豊かで切迫していない」。これは愛知県の都市部が中心でした。「合併で議員数が減ることが予想され、議会の了承が得られないと思う」「小規模でも地方交付税措置で行政水準が保障されている」等々と、賛否それぞれに事情あるものの、推進派は分権の受け皿として必要と考えているが、反対派はサービスが低下するとして、特に規模の小さい村は不安をあらわしています。また、首長、議員らがそれぞれ身分にかかわることであり、なかなか難しいというのが事実であります。  国、地方合わせての歳出(事務や事業遂行にかかる支出)は約百三十兆円ぐらいだが、機関委任事務も含め、地方の仕事として実際に支払われているのが三分の二を占めています。ところが、税収の仕組みは、地方が徴収する地方税と国が徴収する国税との割合は一対二と全く逆で、その差額分を国税から補助金、地方交付税として地方に渡している構造になっているから、中央の地方支配の原因になっています。  地方行財政改革は、国の制度面からも進めざるを得ない流れであり、行政コストのほとんどは人口、面積など規模の大小で決まり、最も効果のある行財政改革は市町村の再編であるのは間違いない現状であります。国、地方の財政赤字が五百兆円を超え、国が補助金や地方交付税交付金で地方財政の措置を行うといったこれまでの制度は維持できなくなりつつあります。  一方、市町村合併はなかなか進まない。こうした事情を踏まえて、地方分権推進委員会も第二次勧告の中で次のように示しております。  一番、市町村合併の推進に当たっては、大都市圏、地方中心都市とその周辺地域、過疎地域などの地域の実情に十分配慮した施策を講ずる必要がある。二番、都道府県は広域市町村圏、モデル定住圏、地方生活圏、医療圏、老人保健福祉圏域等を参考にして、当該都道府県内の地域の実態を反映した市町村合併のパターンの提示、先進事例の紹介等合併の推進のために必要な助言、調整等に努めるものとする。この場合、国は必要な指針を策定する。三番目、国は、議員の任期、定数の特例等の措置については必要な見直しを行った上で継続をするとともに、合併により中心地以外の合併地域が寂れる等の懸念に対処するため、例えば合併市町村の出向機関に対する旧市町村の代表の参加など、旧市町村単位を基礎とする組織、または仕組みの導入等、合併対象市町村の活性化方策を検討する。また、地方公共団体は既存の施設等を活用した行政サービスのネットワーク化によるサービス水準の維持、向上を図るものとする。このように合併パターンの提示など、都道府県による助言などを合併誘導促進策として挙げております。  私は一昨年九月議会で、中核市構想について、行政改革、地方分権推進の必要性から、市町村合併を市町村の自主性に任せるとの態度のみに終始することなく、県が積極的に指導し、機運を高めていくべきでないかと質問をいたしました。  総務部長の答弁は、要約すると次のようでありました。現在及び近い将来においてどのような市町村の規模が適正か、地域のあり方について、地方自治の担い手である市町村が地域の実情に基づいて主体的に決定すべきである。合併については、住民の生活や帰属感、愛着感はもとより、関係市町村並びに地方住民の方々の判断と機運が盛り上がってまいりますれば、必要な対応を積極的にやって進めてまいりたいと存じておりますとの答弁でありました。  時間もありませんでしたので、議論を深めませんでしたが、県当局は常に一歩先を見て、正確な資料や情報を提供して世論をリードする心がけが必要ではないでしょうか。  幸いにして、みずから将来の自治体のあるべき姿を研究し、市町村合併の検討を進めているところもあります。愛知県内においては、西三河地方では碧南、刈谷、安城、高浜、知立の五市の商工会議所や商工会が平成六年に碧海市構想検討委員会を発足させ、昨年十二月に推進委員会に切りかえ、五市の青年会議所も勉強会を開き、地元選出の衆議院議員が住民発議制度を念頭に、碧海市推進ネットワークを八月一日に設立されたそうであります。知多半島では、「知多は一つ」の合い言葉で五市五町の合併が論じられてきました。発端は、平成二年知多地区広域行政圏協議会に地元市町の議長らが、来世紀初頭をめどに、統合に向け合意をと答申したことに起因しています。しかし、現段階では住民意識がそこまで至っていないようであります。その他、宝飯一市四町、幡豆西尾一市三町も話題になっています。  愛知県としても、事務レベルで愛知県市町村広域行政研究会が先月八月二十日に発足したようです。現在、市町村では広域行政で対応されている事業も数多くあります。しかし、総論賛成、各論反対に陥りやすい終末処理施設、不快施設等の建設については、場所の選定、地元対策等で困難をきわめており、また、管理者、責任者の交代制による責任の不明確さもあり、対応には限界もあります。現状のままではよくないと考える首長が多いのは事実であります。合併に期待する面がありながら、なかなか合併が進まない現状を打開する効果的な方法として、アンケートで首長は次のような提言をしておられますが、一考すべきであります。  すなわち、「合併する自治体への財政的支援」七四・九%であり、最も多い声であります。続いて、「住民発議があれば合併協議会設置を首長に義務づける」「住民投票で合併協議会設置を問うことができるようにする」「国、県のリーダーシップが必要」「ある程度の規模がないと維持できないような制度をつくり、合併機運を高める」「地方自治体に大幅な権限移譲を行い、現状の自治体では対応できないようにしなければ合併は進まない」「将来にわたって財政優遇措置を約束する」等々であり、まず住民と行政が議論する場をつくることを強く訴え、合併についての議論さえほとんどなされていない現状を批判する意見があったことは印象的であります。  地方分権を推進する上で最も重要なことは、市町村の適正な合併であり、落ちこぼれのないようにすることであります。そこで、こうした市町村の現状、第二次勧告、首長アンケート等の結果を見て、愛知県全域の適正な市町村合併への対応について質問をいたします。  第一番目に、地方分権が進められようとしている中で、市町村の適正な合併の必要性について知事の所見を伺いたいと思います。  二番目、以前の総務部長の答弁のごとく、市町村並びに住民任せの機運が盛り上がれば必要な対応をするというような、県の指導性のない方法で町村合併は進むと考えておられるのか。  三番目、愛知県市町村広域行政研究会が先月二十日に事務レベルで発足したそうであるが、これは具体的にはどのような目的で、どのようなことをされるのか。  四番目、第二次勧告で示しているように、愛知県の自治体はどうあるべきかを調査研究するために、学者や専門家を交えて愛知県全域の適正な規模の市町村合併の指針を作成する必要があるのではなかろうか。これを基本に、議論の基礎、メリット、デメリット等も議論できる正しい情報、資料を提供して、自治体、県民が議論できるようにする必要があると考えるが、どうであろうか。  五番目、本年六月、政府全体で市町村合併を推進することが閣議決定されており、これまで自治省においては、地方債による財政を支援する制度として合併市町村まちづくり事業という合併促進策があったが、先般の新聞報道によると、建設省では九八年度から新たに、仮称地域連携強化支援道路事業が創設されると聞いております。その内容は、複数の自治体が行政区にとらわれず、公共施設を相互に利用し合うことができるような道づくりを支援するものであります。現在、第四次全国総合開発計画の見直し作業が国土庁において進められており、その中で、交流、連携が主要なテーマとして掲げられ、検討が進められております。こうした地域連携を支援する事業が進められれば、将来に向け、市町村合併を促進する基礎づくりにつながっていくものと思われます。道路の例を挙げて述べさせていただきましたが、愛知県としてもいろいろの角度から、独自の合併促進事業を創設することは考えられないでしょうか。  以上、今や市町村合併は避けて通れない重要な問題であります。私は市町村合併の推進に意欲を燃やし、情熱を傾けてまいりたいと考えておりますので、当局の積極的な姿勢を期待して、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯総務部長河内弘明君) 市町村の合併につきましては、増大する市町村の行政需要や社会経済活動の広がり、広域化に対応し、行財政運営の効率化を図る、あるいは地方分権を推進するという観点が強まっている一方、定着意識が増しております現行の市町村と住民との身近な関係を損なうことというような課題もありまして、それぞれの地域にふさわしい形で進むことが必要でありまして、また、それに合った措置を検討していくことが肝要であると考えております。  合併の進まない理由といたしまして、御指摘のありましたアンケート調査におきましても、多くの市町村長が、住民の間に合併の機運が生まれないことや、市町村間の地域的、歴史の違いなどから住民の反発があることなどを挙げられておるわけでございますが、やはり関係市町村及び住民の方々の自主的な判断と機運の盛り上がりが決め手であり、不可欠であると存じます。  こうした機運を盛り上げるためには、政治的、行政的、あるいは財政支援などの措置をすることは有効であると考えられるのでありまして、このことは平成七年の市町村合併の特例に関する法律の一部改正でもある程度措置がなされました。  しかしながら、さらに積極的に市町村合併を促進する観点に立ちまして、第二十五次地方制度調査会におきまして、この九月から各分野におけるさらなる支援策の検討を始められたところであります。県といたしましても、その検討を踏まえながら、県として何をなすべきか、対処できることにつきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、さきに発足させました愛知県市町村広域行政研究会についてでございますけれども、県と市町村がお互いに連携協力して広域行政についての調査研究を行うために設置したものでございます。この研究会におきましては、広域行政の推進に関する啓発活動のほか、市町村合併に関する調査研究、一部事務組合の統合、複合化の推進策や新しい制度である広域連合の活用方法などの広域行政の推進に関しまして、幅広く調査研究を行ってまいりたいと考えております。  次に、市町村合併の指針の作成についてでございます。  御指摘のように、七月八日の地方分権推進委員会の第二次勧告におきまして、国が必要な指針を策定し、これに基づき、県は地域の実情を反映した市町村の合併パターン、先進事例の紹介等に努める方向が示されております。  市町村合併につきましては、地域の持つ背景、形態が多様でありまして、一律的な対応というのは難しい点もあるわけでございますが、先ほどの広域行政研究会に学識経験者なども参加をお願いいたしまして、こうした問題についても研究を深めるとともに、合併を含めました広域行政につきましてのシンポジウムの開催とか啓発パンフレットの作成といった啓発活動に力を入れてまいりたいと考えております。  次に、市町村の合併に対する財政的支援についてでありますけれども、先ほど申しました合併特例法の改正によりまして、合併に伴い行われるまちづくりのための事業に対して、お示しのように地方債とか地方交付税による特例の財政措置がなされるとともに、合併前の各市町村の地方交付税総額が、税額が急激に減少しないように、十年間の激変緩和措置などが講じられたところでございます。  しかし、さらに自主的な合併をより一層支援するために、この二十五次地方制度調査会におきまして、今月から、合併の推進に伴う経費負担に対する財政措置の充実、合併後の市町村建設計画の実施のための財政措置の充実、国庫補助金の重点配分などの検討が鋭意始まったところでございます。  地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、県の役割といたしましては、合併推進のために必要な助言、調整に当たると、このように求められているところでございます。県といたしましては、このような国の財政的支援策についての具体的な検討状況も見きわめまして、また、県内の具体的な合併に向けた動向を勘案しながら、県レベルで対応すべきものについて研究してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。 5: ◯知事鈴木礼治君) 私からもお答えをいたします。  市町村合併でございますが、大変難しい問題でございますけれども、質問にもありましたように、避けて通れないような状況になってきております。ということは、地方分権の議論も盛んになされておりますし、最近の状況から見まして、地方分権の進み方ぐあい、今後の進みぐあいでございますが、このような状況の中において、受け皿論として、市町村が合併をして規模を大きくしないと地方分権の受け皿になり得ないと、こういう議論がありますけれども、これは、分権のための受け皿づくりのために市町村を合併するということは、そもそもの発想が、それが受け皿づくりのために市町村合併をするというわけではないので、しかしながら、そうは言いながら、地方分権がどんどん進みますと受け皿になり得ないではないかと、こういうような議論も出てくるわけでございますので、議論の正しいかどうかはともかく、現実の問題として市町村合併が進まなければならないような状況になってきておると思います。  ずっとこの議論は、市町村合併の議論は続けられておりますけれども、だんだんだんだん、徐々にではありますが、変わってきております。ですから、基本はやっぱり関係の市町村の住民の方々の自主的な判断とか機運の盛り上がり、これが基本になることは変わりはありませんけれども、そうは言いながらも、状況が、徐々にではありますけれども、変わってきておりますので、市町村合併は進んでいくと思います。何はともあれ進んでいくと思いますので、その際のいろんな手だてをしなきゃならぬ。  国も、先ほど総務部長がお答えいたしましたように、いろいろな合併特例の措置を考えておりますけれども、その特例の措置がだんだん進むに従って、住民の感情とか機運も変わってくるでございましょうが、しかしながら、この合併の特例でいかに手当てをいたしましても、そのまた一番変わらないのが住民感情というものでございますので、手厚くしようがしまいが、とにかく合併はせぬぞというような機運がある間は、いかに国あるいは県が支援策、特例策を講じましても、合併には持っていけないだろうと、こんなふうに思いますので、やっぱりいろいろ言っておるようであります、言っておりますが、基本は、地元で合併しようという機運が盛り上がらないことには、これはどうしてもできないと。  かつての市町村合併のときに、一斉に全国的に展開されたときに、諸外国が随分びっくりした次第でございます。日本ではこんなに市町村合併が進むのかと、自分たちの身の回りを考えて、欧米は、特にヨーロッパにおいては、日本でこんなに進むのかといってびっくりした経緯がございますけれども、今度も、今現在はまた合併の議論が沸騰してきておりますが、やっぱりその根底には地元住民の機運の盛り上がりというところが大切でございますので、これについての機運の醸成を図るように、いろいろな資料とかいろいろな勉強、研究はいたしますけれども、その上でなおかつ地元の方々に合併の気持ちがわいてこないことには、市町村合併は押しつけるべきではない。そういう点で無理に、逆に無理に進めた場合に、後でどのようなことになるかということを考えますと、軽々にこれは踏み出すべきではない、こういうふうに考えておりますので、積極のような消極のような話になりましたんですけれども、繰り返すようでありますが、しょせんは地元の機運の盛り上がりと、ここをぜひとも起点に置いて物事を考えてまいりたい、かように存じます。 6: ◯三十一番(佐藤博君) 時間もありませんので、要望にとどめたいと思います。  町村合併の原則はあくまで自治体であり、その住民の意思決定に従って行われることは当然であります。しかし、そうした住民たちが真剣に議論ができるような指針とか情報とか資料とかを提供していくことは、これは当然、今度の第二次勧告の中にでも示されておるように、都道府県も重要な責任があると私は思っております。そういう意味で、ただ住民任せではなくて、積極的にそういうような方向への指導性を大いに発揮していただくように要望をしたいと思っております。私どももそのように努力をしてまいりたいと思います。  以上、要望を申し上げて、質問を終わります。 7: ◯副議長吉岡しき君) 進行いたします。  塚本久君。     [七十二番塚本久君登壇](拍手) 8: ◯七十二番(塚本久君) おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問をしてまいります。  最初に、スポーツ会館の改修計画についてお伺いをいたします。  スポーツを推進するための重要な要素の一つは、よい指導者を多く養成すること、二つ目は、県民の要望にこたえることのできる多くのスポーツ施設が身近に整えていることが挙げられると思います。幸い本県では、平成六年に四十四年ぶり県下全域で開催された第四十九回国民体育大会、わかしゃち国体によって、県はもとより、それぞれの市町村で多くの施設が整えられ、また、これを支えるための指導者やボランティアが養成されました。これらの要素は、生活の中で特に健康の保持増進の大切さが認識される今日、スポーツ活動への意識を高めてきております。また、わかしゃち国体の開催により県民の競技スポーツへの関心が高まりましたが、昨年には、二十一世紀に向け、新たなレクリエーション運動の展開を目指した記念すべき第五十回全国レクリエーション大会や第八回生涯スポーツコンベンションが開催され、生涯スポーツの普及振興はもとより、健康やコミュニケーションに対する関心も大いに高められることにつながりました。スポーツ振興の根幹をなす競技スポーツと生涯スポーツの両領域の大会が間髪を入れず本県で開催されたことは、自由時間の増大と高齢社会の到来の中にあって、今後のスポーツ振興の上でまことに意義深いものであると考えております。  近年、県民のスポーツ活動に対するニーズはますます増大し、高度化、多様化しております。今後、県民がいつでもどこでも気軽に親しむことのできる環境整備を図っていくことは重要であり、県、市町村が連携協力を図り、役割分担を考慮しながら施設整備や指導者養成等を進めることが肝要であると考えます。  本県スポーツ施設のうち、県スポーツ会館や県体育館は、これまで本県スポーツ振興の基盤確立のための施設として大いにその役割を果たしてきたところであります。その中でスポーツ会館は、青少年の健全育成及び県民のスポーツ振興を図ることを目的とし、昭和四十七年五月に、極めて交通利便な名城公園内に開設されました。同施設は、柔道場、剣道場、弓道場、なぎなた道場などの本格的な専用競技場のほか、トレーニングサウナやゴルフ練習場などを備えた、当時としては全国的に有数な複合競技施設として整備がなされました。開設以来今日まで多くの県民の方々に利用され、親しまれてきております。  さて、平成六年のわかしゃち国体に備え、県は名古屋市の港区内に平成五年八月、武道専用競技施設として愛知県武道館を開設されました。このことにより、各武道団体の活動拠点はスポーツ会館から武道館に移り、今日ではスポーツ会館の利用形態が少しずつ変わってきております。例えば、柔道場であった場所はスポーツチャンバラなどの練習に使われ、剣道場であったところはバウンドテニスやタスポニーなどに利用されています。また、スポーツ会館の年間利用人数は、武道館オープン前の平成四年度が年間約十四万六千人に対して、平成八年度では約八万九千人となり、約五万七千人の利用者減となっております。一方、新設された武道館の平成八年度の年間利用者数は約十四万六千人となっており、県武道館がオープンする前のスポーツ会館の利用人数とほぼ同数であることから、武道に関してはスポーツ会館から武道館に利用がうまく引き継がれたと考えます。  一方、名古屋市においては、市のレインボープランに基づき各区にスポーツセンターを建設し、特に北区には、スポーツ会館から約一キロのところに、トレーニング室、ジョギングコース、軽運動室及びスポーツサウナなどの機能を有する黒川スポーツセンターが本年九月の十一日に開設されました。  そこでお尋ねをいたしますが、こうした状況を踏まえ、今後のスポーツ会館の有効活用について早急に利用方法等の方策を打ち出すことが必要と考えますが、どのように対策をとられるつもりか、また、スポーツ会館の改修計画が二年間ストップしていますが、どのような理由によるものか、あわせてお伺いをいたします。  最後に、スポーツ会館が昭和四十七年五月に開設されてから、本県のスポーツ振興の基盤確立のための施設として大いに役割を果たしてきたことは認めます。しかし、時代が変わり、同様の施設がふえ、改修が思うように進まず、そして九月には近隣のライバルの施設がオープンしたところを考えますとき、このままではスポーツ会館が時代に取り残されるような気がいたします。早急にスポーツ会館の今後スポーツ施設としての発想の転換が必要であると考えます。県民が使いやすい施設、いわゆる生涯スポーツの拠点施設として生まれ変わるような会館にすることが大事だと思いますが、御所見をお伺いをいたします。  次に、大規模プロジェクト事業についてお伺いをいたします。  最初に、愛知県瀬戸市で開催される二〇〇五年国際博覧会についてお尋ねをいたします。  去る九月の三日、二〇〇五年国際博覧会愛知万博の主催団体となる財団法人の設立に向けた準備委員会の初会合が開かれました。名称を二〇〇五年日本国際博覧会協会とし、設立発起人代表として豊田章一郎、社団法人経済団体連合会会長が選任をされました。協会の基本財産は三千万円。地方公共団体と経済界の比率は一対一となりました。地方公共団体一千五百万円については、愛知県が七百五十万円、名古屋市が三百五十万円、瀬戸市が百五十万円、豊田市が百万円、春日井市が五十万円、尾張旭市が五十万円、長久手町が二十五万円、藤岡町は二十五万円と決定されました。経済界千五百万円については、地元経済界一千万円のうち、名古屋商工会議所五百万円、社団法人中部経済連合会五百万円、中部経済界等で五百万円となりました。  ところが、先日、名古屋市の松原武久市長の記者会見で、二〇〇五年日本国際博覧会愛知万博の推進母体となる博覧会協会への出資を、愛知県とほぼ二対一の割合になったことと、協会への出資と将来の事業費負担は別問題との認識が明らかにされました。松原市長は、事業費の総額や事業内容がまだはっきりしていない。それより、まず協会の設立を急ぐべきだとして、会場建設費などの負担について、現段階では白紙の状態であることを強調されました。  私はこの会見を聞いて、名古屋市が万博に対して消極的な態度である気がしてなりません。私の理解するところでは、出資について原則二対一であるならば、会場建設費についてもそれ相当の負担を考えてみえるものと思っておりました。会場建設費についてはいまだはっきりしませんが、計画案によりますると一千億円から一千五百億円と試算されております。協会の出資比率と建設費と連動しないという発言は、建設費については二対一以下と考えなければいけません。  仄聞すると、名古屋市は、瀬戸市に建設するものになぜ名古屋市が会場建設費を出さなければならないのか。会場が仮設とすると、六カ月を経過すれば施設を取り壊し、恒久施設にしても、万博の後どのように活用したらよいかを考えると、建設費について名古屋市がそれ相当の負担をすることは厳しいと聞いております。また、万博開催に向けての交通アクセス、とりわけ名古屋市分の建設を考えると、名古屋市も極めて財政的に厳しいものがあるようであります。  そこでお伺いをいたしますが、今回の松原名古屋市長の発言をどのように受けとめてみえるのか、お伺いをいたします。  また、愛知県と名古屋市は今日まで車の両輪のように極めて友好的な関係であったと思いますが、万博の建設事業費の負担割合についてどのように話し合われたのか、また、今後どのように話し合われるおつもりか、お伺いをいたします。また、今後も愛知県と名古屋市は車の両輪のような関係が続けられるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。  次に、中部新空港についてお伺いをいたします。  中部新空港は、二十一世紀初めにパンク状態に陥ると見られる名古屋空港にかわる国内線、国際線の一元化空港として計画をされました。愛知県常滑市沖の伊勢湾に人工島を造成し、二十四時間運航可能な国際ハブ空港を目指すことになっています。第一期では三千五百メートルの滑走路一本などを建設する計画で、運輸省は九八年度政府予算の概算要求に着工費用を盛り込みました。概算要求段階で固まった計画では、総事業費は八千億円で、うち四割を無利子資金で賄う。無利子資金の負担は、国が約二千百二十億円、自治体と民間がそれぞれ約五百三十億円と、負担割合は関西国際空港と同じだが、事業主体には新機軸が打ち出されました。  関空の事業主体は、国も出資した特殊法人でしたが、中部新国際空港には、国は直接出資をしないで、十月に発足する運輸施設整備事業団を経由して間接出資をするだけの株式会社となるそうであります。しかも、資本金約五百五十億円のうち、国の間接出資と愛知県など地元自治体の出資は十億円ずつで、残りの約五百三十億円は経済界が出資すると聞いております。また、経済界からは、民間の経営ノウハウを活用して関空や成田よりも着陸料を安くして、新空港の競争力を高めることで離着陸便の拡大につなげようという構想も出ております。  しかし、民間主導がいざ具体化し始めると、地元経済界からは、国際空港の整備は国家プロジェクトなのだから、国の事業責任をはっきりさせてほしい、また、責任は事業主体への出資比率ではなく、無利子資金の負担割合に応じて分担してほしいという不満の声が噴出してきました。新会社のトップ人事に関しても、鈴木知事や阿部浩平中部経済連合会会長はそろって、社長は官から、会長と副社長は民間からと発言されており、社長には運輸省OBを迎えたい意向を示されました。阿部会長は、国際空港はこれまで官主導でやってきている。中部新空港も基本的な運営は官主導でやってもらいたいと発言してみえます。  民間に空港経営のノウハウが乏しいという事情もありますが、巨額な投資が必要な空港ビジネスは、採算性の不安が大きい上、路線の割り当てなど政府の関与する部分で大きく左右されると言われております。それだけに、政府の関与が乏しくなることに対しては、地元経済界の不安が大きいと言われております。一方、運輸省も、関空並みの着陸料を前提にはじいた新空港の採算性の試算を示して、国が主導権を握る構えを見せていると聞き及んでおります。  そこでお伺いをいたしますが、新空港計画は、国の行財政改革を背景に、新空港を建設運営する新会社、事業主体への民間の出資比率を九割以上とするなど、民間主導が前面に打ち出されたのが特徴でしたが、ここに来て地元の戸惑いが広がってきました。本当に新空港が民間主導で行われるのか、それとも官主導に変更されたのか、お伺いをいたします。  次に、新空港の事業主体の社長に運輸省のOB、いわゆる天下り人事を歓迎する発言がなされております。人事院は天下りに対して規制を強化し、本省庁の局長以上について、その省庁が強い行政権限を持つ民間企業への天下りは、本人のポスト、経験に関係なく認めない方針を示したとあります。  ことしの一月では、関西空港を経営する関西国際空港会社の関連事業への参入に絡む汚職事件で、元運輸事務次官の同社前社長服部経治氏が、関西国際空港株式会社法の収賄容疑で逮捕された件があります。今回、中部新空港の社長に運輸省のOBで検討されてみえますが、この人事は知事が運輸省にお願いしているものか、また、運輸省の方から愛知県に要請があったのか、お伺いをいたします。知事は中央省庁の天下りに対して県民の理解が得られるとお考えか、あわせてお伺いをいたします。  さて、運輸省が関空並みの着陸料を前提にはじいた新空港の採算性の試算を示したと言われますが、中部新空港会議の専門委員の岡田清成城大学教授は、同空港に国際的な競争力を持たせるには、空港本体と関連事業を単一の事業主体が経営し、航空機の着陸料を低く抑えるなど、使い勝手のよい空港とすることが重要と提言されております。新空港については、中国や東アジアの国際空港が競争相手になることから、着陸料を安くして、旅客便ばかりでなく、貨物便の利用率も高めることが課題になると指摘してみえますが、運輸省が考えてみえる関空並みの着陸料で、とても中部新空港はアジアの国際空港と太刀打ちできないと思いまするが、着陸料についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。  最後に、名古屋空港の用地の取得について、さきの本会議の代表質問で、決まってはいないが、県、経済界も入った第三セクターで取得する方向で検討すると、具体的な取得方法や買い取りの時期については言及してみえませんでしたが、ただ、経済界には、県が一括して買い取るのが望ましいという声がありますが、買い取るにしてもかなりのお金が必要と考えますが、大丈夫でしょうか、お伺いをいたします。また、空港周辺二市一町、春日井市、小牧市、豊山町にもそれ相当の協力をしてもらうつもりか、あわせてお伺いをいたします。  以上で第一質問を終わります。(拍手) 9: ◯教育長伊藤廉君) 今後のスポーツ会館の有効活用に関する御質問でございます。  スポーツ会館は、開館後二十五年が経過したこと、また、平成五年に武道機能が県武道館に移ったため、例えば柔道場を多目的ルームに模様がえするなど、施設の利用についても、県民が生涯にわたって気軽に利用できる生涯スポーツの拠点施設として、競技スポーツのための会館とは異なった施設として整備するため、平成七年度には同会館の改修のための基本設計を終了したところでございます。しかしながら、その後、阪神・淡路大震災後、平成七年十二月には建築物の耐震改修の促進に関する法律も施行されたことから、この法律との関連性も含め、現在検討を進めているところでございます。  次に、スポーツ会館の今後のあり方についてでございます。  まず、スポーツ会館の近くにできました名古屋市の黒川スポーツセンターは、近隣の人々のための健康づくりや体力づくりの施設として整備されたものと伺っております。県のスポーツ会館を生涯スポーツの推進を目的とした施設として整備すれば、利便性が高まり、県民の皆様にとっても、各種のスポーツニーズにこたえられるものと考えております。  いずれにいたしましても、平成六年のわかしゃち国体の開催を機に、競技スポーツはもとより、特に県民の生涯スポーツに対する意識も高まっておりますので、交通利便なスポーツ会館に多目的ルームやニュースポーツ広場などを整備することによって、県民の皆様が利用しやすい生涯スポーツの拠点施設にしてまいりたいと考えているところでございます。 10: ◯商工部長平井敏文君) 二〇〇五年日本国際博覧会への出捐金の割合と建設費の負担の割合との関係につきましては、過去日本で行われました幾つかの国際博覧会では、必ずしもその出捐と会場建設費の割合は連動はしておりません。  なお、名古屋市長の御発言は、今後、この協会の発足に伴いまして、会場計画の諸作業と並行して、負担割合の議論を進めていくもので、現時点で最終的な負担割合は決めにくいという趣旨であると理解しております。  会場建設費に対します関係地方公共団体の補助金につきましては、本年度分は、その内容等から暫定的に愛知県が負担することといたしておりますが、この会場建設費に対します関係地方公共団体の補助金の負担のあり方につきましては、来年度の予算編成に向けまして、名古屋市も含めまして、関係方面と鋭意調整することといたしております。 11: ◯企画部長高橋貞二君) 空港問題についてのお尋ねでございますが、新空港につきましては、国家的プロジェクトでありますので、国の主体的な取り組みが求められているのは言うまでもないことでございまして、今回、国は、空港事業の採算性確保に必要な無利子資金約三千二百億円について、その六分の四に当たります約二千百億円余を空港用地の共有という形で担うことで、その姿勢を示されているところでございます。  その一方で、新空港の事業主体につきましては、民間の出資比率が、国、地方自治体に比べ大きくなっておりますが、これは、従来の空港整備に比べ、より民間の活力を積極的に導入するという観点から考えられたものであります。民間のノウハウ等が十分生かされるよう、具体の取り組みにつきましては、今後、民間とも十分相談しながら進めてまいる所存であります。  次に、新空港会社の人事についてでございますが、新空港会社の社長人事につきましては、来春の事業主体設立に向けて早急に固めていく必要があるものと認識しております。新空港の建設段階から運営までの幅広い局面を的確に担っていただく必要がありますので、どのような方が適任なのか、今後、経営能力や空港づくりの経験といった幅広な観点の人選を、国を初め、地域の関係者間で相談していくことになるものと考えておりまして、国、とりわけ運輸省とも早い段階で相談してまいらねばならないと考えているところであります。  次に、中部新国際空港の着陸料についてでございますが、御指摘の関空並みというのは、この八月末に開催された航空審議会の第三回空港整備部会において、採算性の主な前提の一つとして示されたものであります。この採算性は、あくまでも事業化を検討するに当たっての一つの試算でございまして、前提とする着陸料を仮に関空水準と設定したものであります。  具体の着陸料については、将来設立される空港事業主体が決定するものと考えております。新空港につきましては、地域としてはより競争力のある空港とすることを目指しておりまして、利用者にとって魅力があり、また、利便性にすぐれた空港づくりを行うなどして航空需要を取り込むことや、航空収入以外の収入確保の工夫に努めたり、建設費の節減努力などにより空港の競争力を高めるよう努めてまいる所存でございます。  次に、新空港開港後の名古屋空港の用地取得についてでありますが、七月の三県一市と経済界のトップが集まりました会議で、着陸帯以外のゼネラルアビエーション空港として利用する区域につきまして、地元で取得する方向で検討することで意見の一致を見ておりまして、今後、経済界等とも相談をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、用地の取得は新空港開港後と考えられるわけでありまして、今後、名古屋空港のあり方が検討される空港将来構想検討会議での議論をも踏まえながら、取得の範囲や主体、額、その財源等につきまして調整を進めてまいりたいと考えております。  なお、用地取得に係る名古屋空港周辺二市一町のかかわりにつきましては、用地取得への対応が定まっていない状況でありますので、二市一町がどのようにかかわっていくかを含め、これからの検討課題でありますが、今後とも、地元の意向にも配慮しながら検討を進めなければならないと考えているところでございます。  以上でございます。 12: ◯知事鈴木礼治君) 新空港につきましてお答えをいたしますが、これは民間主導か官主導かというような、そういうふうなお尋ねでありましたが、これは別に、官主導とか民間主導とか、そうはっきり決まるわけでもございませんので、とにかく民間の活力を最大限に発揮し得る仕組みにつくり上げると、これはもう間違いないことでございますが、官はそれを全面的にバックアップするというのが現在の仕組みであります。  その一番端的なあらわれが、用地の、空港島の中の用地の共有というようなのは全くその典型的な例でございまして、したがいまして、官主導、民主導といったようなふうな言い方をする必要はないという感じがいたします。  それから、その主導権を握るとか握らないとか、空中戦のような話でございますけれども、それは実際には、主導権云々の問題でなくて、いかにうまく空港を運用していくかと。この空港をいかに、我々から見ましても、また全国的な視野から見ましても、いい空港にしていくかということでございまして、決して争っておるわけではございませんので、御理解をいただきたいと思います。  それから、社長の人事でございますが、新空港をつくる事業会社の社長人事でございますが、これは運輸省と相談したわけでもありませんし、お願いに行ったわけでもありませんし、向こうから頼まれたわけでもありませんが、やっぱりこれ、一番やりやすいのは運輸省筋の人を社長に迎えて、会長には民間、地元の民間から会長をお願いし、副社長にも民間からの経済人を充てておくことが一番スムーズにいくのではないかというような考え方で、こちら側が勝手に言っておることでございますので、これは今後とも十分相談をいたしますが、現在のところ、私どもとしては、社長はやっぱり各般の事情から考えまして運輸省筋から、会長は民間、地元民間人、副社長も同様と、そういうふうに、同様というのは、民間経済人でと、このように考えておりまして、要するに、いかにうまく新しい空港をうまく運用していくかということでございますので、私どもも今後の、着陸料にいたしましても、できるだけ競争力のあるようにしていきたいと思いますから、これにつきましては、例えば航空収入以外の、非航空収入の工夫もこれからしておる次第でございますので、そのような形で採算を有利にして、それから、建設費もできるだけ私どもは、関西空港よりは安く上がるという自信を持っております。それは、海のあの地域の地盤、それから深さ等々を考えまして、競争力のある空港になり得ると、このように考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。 13: ◯七十二番(塚本久君) それでは、第二質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、私が第一質問で大規模プロジェクト事業について質問させていただきました。それは、知事が一生懸命、二〇〇五年の万博の開催と中部新空港の開港に向けて一生懸命御努力をしてみえる。ところが、どうもこの段階に来て、松原市長の発言や、阿部浩平中部経済連合会会長の発言を聞いていますと、万博や新空港が、事業が具体化されるについて、どうも財政的な問題があって、どうも、私に言わせると、急に腰が引けてきたような感じがいたします。そういう点でですね、私はどうも具体化することによって、どうも財源的な問題で、なかなか厳しい状況があろうから、知事が一生懸命おやりになってみえるんですけれども、なかなか皆さんが後についてこないような感じがするような次第でございます。その辺のところ、改めてお伺いをしたいというふうに思っております。  それと、今知事は空港についていろいろと申されました。とにかく使い勝手のいいので安い空港をということを言われました。ところが、どうもいろいろ聞いておりますると、やはり新空港と万博の財源を含めて、事業についての調整というのは極めて、大変失礼な言い方かもしれませんが、規模の小さい中部経済界には大きな負担だと。だから、知事は、官でもない、民でもないと言われましたけれども、恐らく、今議場で聞いてみえる方々は、やはり運輸省のOBをお使いになるということになれば、これは、中部新空港は、これは官が主導だなというふうに、皆さん方が認められるんではないかと思うんです。
     それで実は、今度の新空港の事業主体の社長に運輸省のOBを迎えることについて、知事は非常に好意的であります。ところが、きのう二十四日、磯田壯一郎中部運輸局長が講演で、関西国際空港と同じでいいのかと考える必要がある。会社経営に民間の人、ノウハウを積極的に出してほしいと述べてみえます。で、トップを含め、民間からの積極的な活用を求めて、役人は先例主義で、トータルコストの意識がないなどし、関西国際空港と差別化し、人材面でも民間の積極的な活用を要望しています。これが地元がサポートしているあかしとなると、今後の予算獲得にも有利に働くというふうに指摘をされております。  万博の協会の会長に豊田章一郎さんになっていただくように、中部経済界に私はもっと優秀な人材がいっぱい見えるというふうに思っております。そういう意味において、新空港の事業主体の社長に経済人かあるいは民間人を登用する気があるかないか重ねてお伺いするとともに、今私が申し上げた磯田発言についてどのようにお考えか、改めてお伺いさせていただきます。  以上で第二質問を終わります。 14: ◯知事鈴木礼治君) まず最初おっしゃいました、松原市長や阿部会長、だんだん腰が引けているんではないかという御質問でありますが、そうではありませんので。こういう物事は大体こういうふうになってきますといろんな議論が出てくるんでありまして、決して腰が引けているわけではなくて、むしろ、腰が前へ出てっておって困ることもあるわけでありますので、それはどうぞ御心配なく。ついてこないという言い方は、私一人が走っておるようでございますが、逆でございまして、私も最近になりましては、人の後をついていくのに骨が折れることもございますので、どうぞ御心配なくお願いしたいと思います。  それから、新会社の社長人事のことにつきまして、運輸局長がいろいろおっしゃったの、ああいう意見もあろうかと。そりゃ、運輸局長一生懸命に運輸省をバックアップしていらっしゃるんじゃないかなと。あの人まで一緒になって、運輸省がいいわ運輸省がいいわと言うと、運輸省は、それはそう思っとるのかということで、なかなかいろいろあろうと思いますので。それで、運輸局長があのようにおっしゃるのは無理からぬことと。  しかしながら、実際考えてみまして、先ほど塚本議員も御質問の中でおっしゃいましたが、現在の日本の大きな、小さい空港なら別でございますが、大きい空港でいろいろと諸制度が絡まっておる中で、民間の優秀な人っていったって、それは優秀であっても適当であるかどうかはわからぬと思うんであります。ですから、その辺はわかっとって聞いていらっしゃるんだろうと思いますけれども、なかなかそれは、そう簡単に、民がええぞよとおっしゃいましてもですね、そうかそうか、それじゃだれがええのかとなりますと、これはやっぱりなかなか、今日の我が国の、少なくとも、いいか悪いかは別として、現在の空港のあらゆる制度の入り組みから考えますと、運輸省筋がいいと思うのが、まあこれが普通ではないかと思いますので、それが、そうだから、何もかもうまくいかぬというわけでは決してありませんので、また、土地の共有のような、ああいういい考えもぱっと出るようなことも考えて、これからいきたいと思いますので、どうぞこの点も、官はいかぬ、民はよしと、こういうふうに一方的に私どもも考えるのはいかがなもんかというふうで現在進んでおるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。 15: ◯副議長吉岡しき君) 進行いたします。  小嶋洋一君。     [四十四番小嶋洋一君登壇](拍手) 16: ◯四十四番(小嶋洋一君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問いたします。  まず第一に、学校における喫煙習慣防止教育について質問いたします。  喫煙が健康に与える影響が大きく、本人のみならず、周囲の人々にも受動喫煙によりさまざまな危険性があることは、今や明白なる事実であります。  本年五月、名古屋地方裁判所での副流煙訴訟に証人として出廷された愛知県がんセンター研究所の所長は、たばこの害に有害な化学物質は三百種類を超える。日本では、喫煙に関係した死者は昨年で十万人以上、交通事故死の十倍だと指摘しているのであります。また、WHOの個別調査によれば、日本での平成七年度の死亡者のうち、男性の約一八%、女性の約五%が喫煙が原因であろうとされているのであります。そして、これは単なる健康に関する問題であるばかりでなく、考え方によっては、ダイオキシンをはるかに超え、しかも、身近に日常的に発生している深刻な環境問題でもあります。  喫煙が財政に貢献していることを一種の免罪符のごとく強調する意見もありますが、米国の喫煙訴訟は三千六百億ドル、日本円にして約四十二兆円の巨額で和解したことから類推されますように、喫煙が与える社会的損失はそれをはるかにしのぐ巨額であります。  従来、喫煙習慣は個人の自由意思に基づく嗜好の一つとされてきましたけれども、健康問題であり、環境問題であり、その社会的損失に思いをいたすとき、喫煙防止対策の推進を強く求めたいのであります。  しかし、その取り組むべき領域が余りにも広いこともあり、今回は、喫煙習慣防止対策を学校における未成年者への教育に的を絞って質問いたします。  喫煙問題の解決が遅々として進まない原因の一つは、喫煙習慣がニコチン依存性に基づくことにあります。たばこを吸うことをやめようともしない人、やめようとしてもやめられない人、これらの人々はまさに救いがたいニコチン依存症患者であり、ある意味ではまことにお気の毒な被害者とも言えるのであります。運よく肺がんにならないよう、脳梗塞にならないよう、心筋梗塞にならないよう、肺気腫にならないよう、胃潰瘍にならないよう、その幸運を祈るばかりであります。  今一番大切なことは、未成年者に禁煙教育を徹底し、成年に達しても新たな喫煙者を生み出さないことであります。新たなニコチン依存症患者をつくり出さないことであります。  未成年者の喫煙につきましては、古く、明治三十三年から未成年者喫煙禁止法が施行されており、平成八年度には、喫煙に対しての不良行為少年の補導件数は愛知県内で一万三千九百三十六件と聞いておりますけれども、これは氷山の一角であり、実際の喫煙未成年者ははるかに、はるかに超えた数字であろうと想像できるのであります。  しかし、ただ単に法律に定められているというだけで、児童生徒に禁煙教育はできるものなのでしょうか。十九歳と十一カ月三十日まではだめで、翌日の満二十歳になったら吸ってよいというのでは、説得力がないのではないでしょうか。  平成四年度から、小学校六年生から保健教科書に禁煙教育が登場していると言われておりますけれども、その内容は、たばこはこんなに害があると健康への具体的な影響を教えるものであり、喫煙を非行絡みでチェックされてきた従来のあり方に比べれば大きな前進と言えるのであります。  しかし、健康に害があるのは、程度の差こそあれ、子供も大人も同じなのであります。教師は子供の手本、人のかがみと言われておりますけれども、たばこは害があるから吸わないようにと教える先生がたばこを吸っていては、教育の実が上がるとは思えないのであります。  そこで質問いたします。  学校教育の中で、喫煙習慣防止教育を実効あるものにするためにはどのようにしたらよいのかお尋ねいたします。本当は、愛煙家として知られております小金教育委員長に、たばこを吸う者の立場からの論理をお聞きしたかったのでありますけれども、本日は出席されておりませんので、喫煙習慣の全くない伊藤教育長に、その点も含めて見解を伺いたいと思います。  そして次に、小・中・高校を通じて、学校内での完全禁煙を実行しているのは何校あるのかお尋ねいたします。また、職員室での喫煙の実態についてもお示しいただきたいと思います。  次に、学校における心の問題について質問いたします。  いじめ、登校拒否、さらに神戸の連続児童殺傷事件等を通じて、今日ほど児童生徒の心の問題に関心が寄せられたときはなかったのではないでしょうか。  愛知県におきましても、十二人のこころのアドバイザーを派遣したり、六人のいじめ・登校拒否相談員を配置したり、その対策に取り組んでいただいておりますことは十分承知いたしておりますけれども、こころのアドバイザーとはどんな資格をお持ちの方なのでしょうか。教育委員会の事業概要によれば、精神医学や臨床心理学に精通した者とありますが、精神科医が含まれているのでしょうか。臨床心理士にしましても、心理相談や心理検査がその業務範囲であり、診断に触れることができないのであります。相談はもちろん必要なことでありますけれども、心の病を早期に発見することが最も必要なのであります。  そこでお尋ねいたします。相談の結果、心の病の診療に結びつく例はどれほどあるのでしょうか。学校保健法によれば、就学時及び毎学年、定期的に健康診断を行うことになっており、身体の健康診断だけでなく、精神神経症、その他の精神障害の発見に努めることとされておりますけれども、毎年精神神経症、精神障害の児童生徒は何人くらい発見されているのでしょうか。  そして、心の問題の中には、単なる悩みや困り事だけでなく、精神神経症、精神障害も含まれていることを考えますとき、私は、身体の病気だけでなく、心の病気、精神の病気の早期発見のために、学校医としての精神科医の配置が必要と思われますし、こころのアドバイザーその他の相談にしましても、精神科医との一層の連携が必要と思われますが、現状はどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。  次に、愛知県リハビリテーションセンター構想についてお尋ねをいたします。  県の福祉総合計画である「愛フルプラン」によりますと、平成十二年度の開所予定として、愛知県リハビリテーションセンターの設置構想があります。この基本計画の策定に当たりましては、平成六年度から平成七年度にかけまして、民生部内に基本計画策定検討会議が設置され、実は、私も委員の一人としてこの計画の策定に参画していたところなのであります。  検討会議は、延べ六回の会議と県下リハビリテーション関係病院の患者調査を行い、平成八年二月、本県にもリハビリテーションの専門施設が必要であるとして、その基本計画をまとめ、県に報告したところであります。  その後、県はその報告書をもとに、県としての計画を策定するということを聞いておりますが、平成八年度、平成九年度と事務的な検討はなされているとは思うものの、具体的に県としての設置計画は果たして進んでいるのかどうか、その進捗状況が気になるところであります。  報告書によりますと、設置場所はあいち健康の森が有力な候補地の一つであるという表現でありますし、それから、病床の規模は二百から三百床と随分幅があり、具体的には決まっていなかったと思うのであります。  あいち健康の森は本県のほぼ中央に位置し、鉄道、道路の便に恵まれ、周囲の社会環境、自然環境が良好で、本県における保健、医療、福祉連携の拠点として各種関連施設の整備が進んでおり、私はぜひこのあいち健康の森に設置すべきであると強く希望する者の一人でありますが、ただ一つ、医療計画との関連が気になるのであります。  あいち健康の森の属します知多半島医療圏では、本年八月の医療計画見直しにより、一般病床の必要病床数が三千三百七十床から三千四百九十八床へと百二十八床増加したものの、既存病床数は三千四百八十八床あり、わずかに十床しか不足病床数がないのであります。わずか十床しか余裕のない医療圏の中で、リハビリテーションセンター病院を設置するためにはどうすればよいのでしょうか。  一つには、隣接する国立療養所中部病院の一般病床を削減してもらうことであります。中部病院には、結核病床は別といたしまして、一般病床四百八十二床がありますが、病床利用率は必ずしも一〇〇%ではないと聞いておりますので、これが一番簡単な方法であります。  次に考えられますのは、医療法施行規則第三十条の三十二第一項に定める特定病床の特例であります。しかし、特定病床の特例と認められるのは、知多半島医療圏が整備する必要があるものに限られ、必要最小限にせよということであります。小規模にならざるを得ません。  この特定病床の特例については、私の個人的な解釈ではございません。九月三日、私が厚生省健康政策局指導課を訪問しました際、草野弘和計画係長から示された見解であり、同じ見解を愛知県民生部にも伝えてあるとのことであります。しかも、場合によっては特定病床で増床する分だけ一般病床を削減する必要もあるという厳しいものであります。そして、地域医師会、市町村など関係団体を含めた地域全体の意見として、病床整備の必要性が認められなければならないのであります。全体ということは、一組織の反対があってもいけないというものであります。  したがいまして、特定病床の特例で整備するとすれば、せいぜい二十床程度しか考えられません。しかし、わずか二十床では、病院としての機能が十分に発揮されるとは思われません。また、本県のリハビリテーションセンターの全体構想からいいましても相当な規模が考えられますので、例えば一病棟、あえて言えば二病棟ぐらいで当面はスタートし、その後、第三次医療法改正、さらに、国が現在取り組んでおります医療制度改革の行方、また、次の医療計画の見直しを見詰めつつ、将来、二百から三百床を目指すという計画であれば、現在の法制度の枠組みの中では、私もやむを得ないのかなと理解できるのであります。  そういたしますと、一般病床不足病床圏から病床過剰圏になってしまいますので、窮屈になる一般病床の整備はどうするのか、また、医療施設近代化施設整備補助金を受け取るために病床を二〇%削減しなければならないという問題は依然として残るのであります。  今、本県は中部新国際空港、国際博覧会と華やかなビッグプロジェクトが着々と進んでおりますけれども、リハビリテーションセンターは、県民福祉面でのいわゆるビッグプロジェクトであります。特に、全国的に見ても愛知県は後進県となっておりますので、今の時代につくるとすれば、それなりの特色を持った施設を建設する必要があると思っております。平成十二年はもうすぐであります。設置場所、規模について一日も早く決断が求められますので、リハビリテーション病院、さらに併設が予定されております重度身体障害者更生援護施設の八十名から百名程度と言われております規模につきましても、現時点でのお考えをお示しいただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。(拍手) 17: ◯教育長伊藤廉君) まず、学校教育における喫煙習慣防止教育についてでございます。  近年、小学生の時期から喫煙経験を持つ児童がいること、喫煙行動が心身の発育、発達の著しい児童生徒期の子供たちの健康に与える影響が大きいことなどの理由で、小学校の時期から発達段階に応じました喫煙防止教育を推進しているところでございます。  このため、学校におきましては、教科指導及び特別活動を中心に、小学校では、喫煙が健康に害のあるものだという基本的なことを理解させ、中・高校生におきましては、喫煙の有害性等について理解させることはもとより、正しい判断力や社会のルールはきちんと守る態度を身につけるよう指導しているところでございます。  なお、児童生徒を取り巻く環境が喫煙行動を起こさせる要因になっていることも考えられますので、喫煙防止教育の充実とともに、教育の場における喫煙のあり方に関する検討をするとともに、各家庭に指導の意義と必要性について十分理解を求め、学校と家庭が互いに連携して喫煙防止教育を進めていく必要があると考えております。  次に、学校内での完全禁煙を実行している学校数についてでございますが、県立学校におきましては、現時点で該当する学校は一校でございます。  次に、職員室等で学校内の喫煙の実態についてでございますが、県立学校におきましては、職場における職員の健康の保持増進と快適な職場環境の形成を図るため、愛知県教育委員会喫煙対策実施要領を制定しており、これに基づき、各学校におきまして分煙対策や教職員に対する禁煙についての啓発活動を展開しているところであります。  ちなみに、県立学校におきましては、分煙対策として、九三%の学校におきまして喫煙コーナーあるいは喫煙室を設置しております。また、喫煙に対する取り組みの状況としましては、会議中は禁煙とする学校が九七%、禁煙タイムを設けている学校が九%となっております。さらに、学校内での喫煙マナーについて啓発活動を実施している学校が八八%、禁煙に関する啓発活動を実施している学校が六四%となっております。なお、小中学校におきましては、各市町村教育委員会におきましておのおのの対策が講じられていると理解しておりますが、県立学校のような完全禁煙の状況を初めとしました実態については把握しておりませんので、御理解願います。  次に、学校における心の問題についての質問のうち、こころのアドバイザーによる相談の結果、心の病の診療に結びついた例についてでございます。  こころのアドバイザーが相談を受けたその内容は多岐にわたっており、平成八年度中の相談件数は四千六百五十六件に上っておりまして、そのうち、確実に精神科医に相談したとの報告を受けたのはそのうち八件でございます。  しかしながら、精神科医に相談したかどうか一人一人に確認することは、相談者のプライバシーの問題もあり、大変難しいところであります。私どもとしましては、実際に相談したのはこれよりも多い数になるのではなかろうかなと思っております。  次に、健康診断により発見された精神神経症、精神障害の児童生徒の人数についてでございますが、就学時の健康診断は市町村教育委員会が実施することとなっており、その具体的な内容、結果については、県教育委員会に報告いただくことにはなっておりませんが、そういった精神障害の児童が診断された場合は、市町村教育委員会で的確に対応されているものと考えております。  また、毎学年定期的に行う健康診断については、各学校においてその結果を家庭に周知するとともに、治療につきましても、受診を勧めるなど対応をしているところでございます。結果の集計の際には、精神神経症、精神障害の児童生徒数をその他の疾病として、ヘルニア、言語障害等の他の疾病とあわせて記入しておりますので、精神神経症等に限定した数字は把握しておりません。  しかしながら、心の問題はできるだけ早い時期から適切に対応することがまた本人にとっても非常に重要でございますので、一人一人の子供たちの状況を把握し、早期に専門家の判断を受けるよう、今後努力してまいりたいと思っております。  次に、精神科医の配置についてでございますが、現在、養護学校八校に学校医として精神科医を委嘱しております。それ以外の県立学校につきましては、精神科医を学校医として配置はしておりません。  児童生徒の精神健康問題に対応するためには、専門家である精神科医との連携を強化することが大切と考えておりますので、県下十二区で開催されます愛知県高等学校生徒指導研究会教育相談部事例研究会において精神科医等とカウンセラーから事例研究に対する指導、助言をいただくとともに、個別具体的な事例によって精神科へ受診するよう指示しているところでございます。  また、教員を対象とする各種研修会の講師を精神科医にもお願いしており、カウンセリングなど指導力の向上を図っているところでございます。  相談員と精神科医の連携についてでございますが、県教育委員会が開催しておりますいじめ・登校拒否対策協議会や子供の問題行動等防止連絡会議にこころのアドバイザーの代表と精神科医に委員として参加していただき、具体的な事例をもとに、望ましい指導のあり方について協議が進められていますが、その際、精神科医からの助言を得ているところでございます。  いずれにいたしましても、専門家としての精神科医との連携はますます重要となってきており、今後とも、精神科医、学校相談員、それぞれの連携を図りながら各学校の精神相談活動の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。 18: ◯民生部長坪井敏之君) リハビリテーションセンター構想についてのお尋ねでございますが、「愛フルプラン」の目標に掲げておりますように、現在、これを建設すべく、事務的に検討を進めているところでございます。  まず、建設予定地についてでございますが、検討会議報告書では、あいち健康の森が有力な候補地の一つであるとされておりまして、私どもといたしましても、現時点ではそのように考えているところでございます。  また、病床規模、重度身体障害者更生援護施設の規模につきましては、県全体及び当該医療圏の必要病床数とも関係することや、病院の入院外来収支、職員体制、設備などを総合的に勘案する必要がございますので、今後よく検討してまいりたいと考えております。 19: ◯知事鈴木礼治君) リハビリテーションセンターの整備につきまして私からもお答えいたしますが、これは県として大変重要な福祉施策の一つでございまして、ぜひとも推進をしていかなければならない事業であると考えております。  それで、施設の建設地、それから規模につきましては、基本計画策定検討会議報告書、これを十分に尊重いたしまして、お触れになりましたあいち健康の森での整備を中心に、今後、関係機関等々と十分な調整を図らなければならないと思っております。これは、御質問にありましたように、不足病床数等々につきましていろいろ調整を図らねばならないところがありますので、健康の森、あいち健康の森での整備を中心に、今後、調整を図りながら検討してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、県下の中核的な専門施設として、立派なリハビリテーションセンターをつくってまいりたいと考えております。 20: ◯四十四番(小嶋洋一君) 教育長からいろいろ御答弁いただきましたけれども、実は私は、教師は子供の手本、人のかがみと言われておりますけれども、たばこは害があるから吸わないようにと教える先生がたばこを吸っておっては、教育の実は上がらないではないかと、この辺に対するもうちょっと率直な御答弁をいただきたかったのでありますけれども、この席では多分無理だと思いますので、割愛させていただきます。  それで、要望だけ一つさせていただきます。  ただいま県知事から、愛知県リハビリテーションセンターの設置場所につきましては、あいち健康の森という力強い決意を御表明いただきました。その英断に心から敬意と感謝を表する次第であります。  今後、その実現に至るまでには幾多の難問が予想されますけれども、誠意を持って問題解決に当たっていただき、一日も早く完成していただきますよう、県民福祉の立場からも強く要望して終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 21: ◯六番(結城秀治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     [「賛成」と呼ぶ者あり] 22: ◯副議長吉岡しき君) 結城秀治君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] 23: ◯副議長吉岡しき君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時四十一分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時二分開議 24: ◯議長(大見志朗君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  波形昌洋君。     [五十番波形昌洋君登壇](拍手) 25: ◯五十番(波形昌洋君) 議長のお許しをいただきましたので、さきに通告いたしました介護保険制度について順次御質問いたします。執行部の建設的な御答弁を期待するところであります。  九月、毎年のこととはいえ、この時期は各所で敬老行事が開催され、地域挙げて御長寿を喜び合う諸行事がここかしこで報道されております。  折しも日本は世界一の長寿国であり、男性は七十七・〇一歳、女性は八十三・五九歳となっていることが発表され、さらにこの十一日には、本県では男女とも〇・三〇から〇・四三歳全国平均を上回っているとの発表があり、大いに誇らしく、かつうれしく思った次第であります。  しかし、こうした世界一の長寿国家になったにもかかわらず、現実には国民の多くが老後に不安を感じており、とりわけ、熟年世代とも言われる戦後の団塊の世代におきましては、今、高齢となった両親のお世話を通して医療や介護の諸問題に直面し、さらに迫りくるみずからの将来に対し大きな不安を抱いております。片や高齢者の皆様も、丈夫でいるうちはよいが、心身ともに弱ったときにどうなるのか、一抹の不安を抱えながら毎日を送っている。そんな中での長寿世界一であり、敬老精神と現実のはざまの中で素直に喜ぶことができない、そんな状況が今の社会ではないかと思います。  こうした社会の要請にこたえようと、国においては平成七年七月に社会保障制度審議会から公的介護保険制度創設の勧告を受け、その後各種検討の結果、昨年の第百三十九回臨時国会に介護保険関連三法案を提出し、本年五月二十二日、第百四十回通常国会で同法案を衆議院本会議で可決、その後参議院において継続審議となり、秋の臨時国会でその成立を期そうとしております。  介護保険制度のあるべき姿につきましては、今後の論戦を通して形成していくものであり、私も今後の論戦をしっかり見守っていきたいと思っております。  さて、そうしたことを前提にしつつも、公表されている介護保険制度の実施予定は平成十二年四月一日となっており、あと二年半の時間しかありません。同制度の抱える諸問題について、順次問題点を明らかにしつつお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、行政サイドにおける問題について、五点にわたりお伺いをいたします。  まず初めに、保険者となる市町村の合意がなされていないという点であります。  全国市長会や町村会では了承していると伺っているものの、この介護保険制度導入に伴うさらなる事務負担、例えば被保険者の資格喪失事務、保険料の賦課徴収事務、滞納対策、介護認定審査、サービス給付などでありますが、これらの事務が新たに発生することは市町村にとって大変過酷であります。平成十二年四月一日、在宅施設の介護サービス開始のためには、その半年前の平成十一年十月からの介護認定審査の受け付け開始が予定されており、また、そのためには介護認定審査委員の選任や保険料徴収の諸準備、後ほど述べる市町村介護保険事業計画の策定、県では介護保険事業支援計画の立案など準備事務にも膨大な量があり、その準備にはすぐにでも取り組まなければならないときとなっております。  介護保険事業の準備と開始後の事務量の増大、それに伴う人的支援のあり方など、県としては本制度のスタートに当たってどのようにスケジュールをとらえ、これからの短期間にどのように指導、支援を行う計画なのか、まずお尋ねいたします。  第二に、先ほども触れましたが、市町村ごとに作成する介護保険事業計画は、平成十一年度には作成しなくてはなりません。この計画によって、愛知県としてのサービスの供給量が決まり、さらに全国での介護保険事業の全体像が見えてくると認識しております。  そこでまずお尋ねいたしますが、国からは介護サービスの全国標準的なモデルが示されると伺っておりますが、いつごろ示される見通しなのか、お伺いをいたします。  さらに、その段階で市町村ごとの介護格差が表面化し、被保険者の新たな市町村間での移動や国の定める給付水準の確保が困難であり、介護保険料の引き下げをする市町村が生ずることも懸念されます。県としては、こうした住民移動や保険料格差に対しどのような認識を持ち、どのように市町村間の格差を是正していくお考えなのか、お尋ねいたします。  第三に、本制度の中心となるのは、ケアマネジメントを推進する介護支援専門員であります。この介護支援専門員には、介護支援計画の策定などの中心メンバーとして、広く市町村の介護力強化を推進していく役割が期待されております。
     介護保険制度によりますと、この介護支援専門員は全国で四万から五万人程度が必要とされ、単純計算では一県で一千人程度は必要と言われております。本県においては二千名程度は必要ではないかと思いますが、その資格の位置づけやその養成方法など、いまだに不明であります。医師、歯科医師、薬剤師や看護婦、理学療法士など既存の国家資格を有する者の中から選定するやに伺っておりますが、本県ではこの専門員が何名程度必要であり、今後どのように養成し、その認定はどう進めていくのか、お伺いいたします。  さらに、認定調査においては、各市町村で活動する調査員の養成、研修も重要であります。こうした各市町村調査員への支援について、県はどのように進めていかれるのかもあわせてお尋ねいたします。  第四に、介護認定の標準化についてお尋ねいたします。  要介護か要支援かの認定は、市町村ごと、あるいは市町村から委託を受け県に設置する介護認定審査会の決定となります。その認定審査会には要介護希望者の主治医からの意見と市町村職員などによる日常生活動作に関する調査の結果をもとに認定することとなり、その認定は全国統一した物差しで行うと聞いております。  国からの指定を受け、介護認定の試行をした豊田市などでは、そのケアサービス調査票の二十八項目を見る限り、身体機能の状況調査に主眼が置かれ、介護を希望する者の心の問題や置かれている家庭環境、経済状況は調査項目に取り上げられていない状況であります。また、それをコンピューター処理したものと介護認定審査会の最終認定状況とを比較した介護認定合致率は約七五%であったとのことであります。  そこでお尋ねいたします。要介護者の身体的機能の状況把握については、試行結果でほぼ満足されるものであったと思いますが、精神面や家庭環境などについてはどのように調査し、認定審査会に反映されるおつもりなのか、その方針をお示しいただきたいと思います。  第五に、介護保険制度を統括する組織構想についてお尋ねいたします。  さきの六月議会における質疑で、被保険者の介護保険運営への参加方法についての質問に対し、市町村介護保険事業計画策定委員会や公聴会などの方策の中でそうしたことを検討したいとの答弁がありました。しかし、同計画の策定委員会が定期的、恒常的に開催されるようになるとは思いませんし、ましてや公聴会で被保険者の事業参加が担保されるとは到底思えません。地域全体の介護サービス状況を指導監督し、監視し、その事業の評価をし、さらには介護認定審査委員の任命権や研修事業の実施、介護サービス事業者の選定権やそのサービスに対する勧告権、あるいは介護判定に対する再調査権など、介護保険制度を総括的な立場で評価できる組織、つまり、介護というオーケストラの指揮者が必要ではないかと考える次第であります。  この指揮者を仮に介護保険推進委員会といたしますが、この委員会が市町村ごとに設置され、その構成は、保険者である市町村代表、被保険者代表、介護サービス事業者の代表、介護支援専門員代表などとし、この委員会が地域の介護保険制度に責任を負うような、そんな体制整備が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。当局の御所見をお伺いいたします。  次に、介護者サイドから見た制度に対する問題点について、四点お尋ねいたします。  第一に、介護保険法案では、四十歳以上の国民で医療保険加入者はすべて加入することとなり、選択の余地はありません。社会保険制度としては理解せざるを得ないわけですが、なぜ四十歳以上なのかという問いには明確に答えていません。国からはどのような説明がなされたのかお尋ねいたします。  さらに、本制度では、八十歳以上の後期高齢者や重度の要介護者であっても介護保険料の支払い義務があり、社会全体として高齢者を敬い、その御苦労に対し感謝するという観点、視点が見えてきません。さらに、本制度では、高齢要介護者や虚弱老人、痴呆老人などであっても、介護保険料の滞納者には、一割となっている自己負担分の増額や、受けた介護サービス経費を全額一括払いし、後日償還されるなど、保険料滞納者に対するペナルティーが制度として盛り込まれております。  そこでお尋ねいたします。八十歳以上の後期高齢者については、その保険料を免除し、県と市町村で負担し合うような制度、すなわち介護保険料の公費負担を検討することが必要ではないかという点であります。県では、六十五歳以上で三カ月以上寝たきりの方には、在宅ねたきり老人等福祉手当、月額七千二百円を支給しております。今回の介護保険制度の創設に当たり、この福祉手当のあり方に対する考えと、新たに発生する介護保険料の負担について、県の御所見と英断をお尋ねいたします。  第二に、特別養護老人ホームなどでは、痴呆性老人や寝たきりの被保険者が増加し、問題となっている寝かせきり福祉の拡大につながってしまう危険性が懸念されます。さらに、現在各施設に入所してみえる方たちも、この介護保険制度が導入された後、五年間の猶予期間が過ぎたら介護認定を受けると伺っております。その結果、認定が、介護中度や同軽度となった場合、ケースによっては施設からの退所問題が発生すると思われます。この退所問題に対する方策としては、在宅支援体制の強化しかありません。しかし、在宅三本柱に対する評価でも、ホームヘルプの常勤化の推進や二十四時間体制の整備拡大、ショートステイ事業で発生し始めた待機現象の解消、週二回となっているデイサービスの利用拡大など、多くの問題を抱えていることも現実であります。  そこでお尋ねいたします。特別養護老人ホームなどの施設への入所待機者が数多くいる現状で、寝かせきり介護や施設からの退所問題、さらには在宅三本柱の拡大強化について県としてはどのような御見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。  第三に、要介護認定に対する不服審査は県レベルで行うとのことでありますが、その結論が出るまでに、過去の他の事例から見ても、かなり長い期間がかかっている現状にあります。要介護者にとって、その審査に半年や一年もかかっているのでは、その介護ランクも当然変動していくわけでありますので、より迅速な対応が求められることは申すまでもありません。そのためには、保険者となる市町村レベルでの窓口設置と介護認定審査会での再審査の迅速化が不可欠であり、制度の柔軟な対応が求められますが、いかがお考えでしょうか。  また、市町村における介護サービスの実施状況により、要介護認定の基準が地域事情などにより厳しくなったり、あるいは全国統一基準で介護ランクが認定されても、そのランクに合った介護プランの実施が困難となるおそれなどが懸念されます。  お聞きしたところでは、保険者となる市町村は、介護認定審査会の認定結果に対しては異議を唱えることはできないとのことでありました。しかし問題は、認定に沿った介護サービスの供給体制の整備が整っているかどうかであり、保険あってサービスなしの状態とならないことが制度の根幹でもあります。そうしたことから、もし不足している地域の場合、現在の医療保険制度のように市町村の枠を超えた対応ができるかどうかであります。  現在の措置制度の中では、福祉事務所を窓口に、他市町村の施設へでも入所は可能でありますが、介護保険制度がスタートした場合、保険者である市町村の枠を飛び超えた広域介護体制がとれるようになるのかどうかであります。民活も考慮に入れながら、介護サービス体制の強化について、その御見解を伺います。  第四に、介護者サイドからの最後の質問として、介護保険制度の仕組みに対する御見解をお尋ねいたします。  本制度では、その認定ランク、例えば在宅サービスの場合では六段階に分類され、要介護度1の虚弱であれば月当たりのサービスは単価六万円程度、最重度の要介護度6に認定された場合では二十三万から二十九万円程度の保険単価となる見通しであります。このようにサービスの給付金額にはランクごとに上限が設定されており、サービス単価を超過した部分は自己負担となっております。  医療保険などのように出来高払いであるならば、ある程度の患者負担導入の考え方も理解できますが、その給付額の上限が決められる介護保険制度においてなお一割の自己負担が必要となる制度に対しては大きな疑問を感じております。さらに、本制度では、少しでも自助努力をと思い、健康回復のための努力を積み重ね、あるいは介護サービスを節約しようとしても、この給付金は将来へ繰り越すことはできない仕組みとなっており、また、仮に給付額の一部がその努力の結果として残ったとしても還付されることはありません。すべて使い切ってしまうことが前提となっている制度であります。  そこでお尋ねいたします。県はこのような制度の仕組みに対し、どのような御所見をお持ちなのか。さらに、国に対しどのような意見を伝えているのか、お示しいただきたいと思います。  最後に、総括的に四点にわたりお尋ねいたします。  第一に、本制度の広報周知についてお尋ねいたします。  冒頭触れましたが、本制度は平成十二年四月一日スタートを目標に進んでおり、その最大の変更事項は、措置から保険制度への移行であります。言いかえれば、県民にとっては、従来の措置制度に伴う受け身の福祉から選択できる保険、権利としての福祉への転換であり、その意識改革こそが本制度の骨格であると理解をしております。  こうしたことから、本制度が円滑にスタートするためには、県民の理解と協力を得ること。そのためには、まず介護保険制度の仕組みを理解し、それぞれの地域における福祉サービスの現状認識を十分深めていただくことが何よりも必要であると考えます。県としては、この介護保険制度に対し、どのようにして県民の理解を得、協力を仰ぐ意向なのか、お示しいただきたいと思います。  第二に、介護保険制度の広域運営についてお尋ねいたします。  制度では、市町村及び政令指定都市の区を保険者として制度を組み立てておりますが、脆弱な財政基盤や高齢化が進展している地域など、県として支援をしていかなくてはならない町村があります。そうした地域では、単に人的、財政的な問題に限らず、介護サービスの充実問題についても強いバックアップが必要であり、制度の広域化も重要な選択肢となるのではないかと考えます。  そこでお尋ねいたしますが、介護保険制度の広域運営について県はどのような方針を持ってみえるのか、お尋ねをいたします。さらに、広域化を進めるとするならば、どの程度が適切な規模と考えてみえるのか、お示しをいただきたいと思います。  第三に、介護保険制度の試行についてお尋ねいたします。  さきの質問でも触れましたが、介護認定のケースについては、豊田市などで試行され、おおよその結論が出されております。その後、国は本格的な事業開始に向けたモデル事業の地区指定を各福祉圏に先ごろ行ったと伺っております。県下十四福祉圏、十七町村はどこなのか。その試行の概要と時期、県としてそのかかわりについてお伺いをいたします。  第四に、本県は、平成十二年度を目標とする「愛フルプラン」を推進し、高齢者や障害者、児童の総合福祉施策として、その充実に努めてまいりました。同プランの達成には若干のでこぼこはあるにしても、ほぼ目標どおり進んでいると認識しておりますが、その次の計画が必要な時期となっております。  介護保険制度や障害者プランの策定、エンゼルプランの推進など、それぞれの福祉制度がスタートしてきておりますが、「愛フルプラン」の策定時にはその具体的な姿は見えておらず、まさに福祉の環境が変わってきていると思います。また、財政面から見ても、介護保険制度と障害者、児童福祉は別な基盤の上に立つことになり、福祉の整合性も一層求められていることと思います。  そこでお尋ねいたします。「愛フルプラン」の目標年次が終了する平成十三年度以降の愛知の福祉に対し、どのような方針、展望を持ってみえるのか、新地方計画の策定に当たり、第二の「愛フルプラン」のような総合福祉計画を策定する用意があるのかどうか、お示しをいただきたいと思います。  以上、介護保険制度を中心に質問してまいりました。申し上げるまでもなく、この制度は今後参議院で慎重な審議が予定されており、国民の大きな不安に真摯にこたえていこうとする改革案でもあります。より多くの意見を検討され、よりよい制度が築かれんことを強く求めるとともに、県としても、高齢者の方々に対する健康づくりや予防対策がより重要度を増してくることは申すまでもありません。現在の老人保健法による健康審査目標の見直しや生きがい対策、具体的には、六十五歳までの就労確保や六十五歳以上の方の受け皿づくり、さらには生涯学習の中での健康づくり講座など、より一層の具体的なアクションプログラムの整備が急がれております。  今回の介護保険制度の創設を大きな転機ととらえ、さまざまな角度から各種の福祉を検証し、積極的な対応をされるよう強く要望し、私の第一問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 26: ◯民生部長坪井敏之君) 介護保険に関します諸種の御質問のうち、まず、市町村に対する指導、支援の計画についてでございますが、介護保険制度はいまだ成立しておらず、秋に開催されます臨時国会において審議、成立が目指されております。  このため、介護保険法成立後、政令等により明確化されるまで、その詳細は不明でございますが、導入に向けての準備として、現在わかり得る範囲内で、七月以降、全市町村の担当職員を集め、市町村事務の内容と今後の体制準備等についての説明会を開いたり、県事務所単位での勉強会を開催するなど、必要な情報提供を行っているところでございます。  今後のスケジュールでございますが、市町村においては、平成十年度には介護保険事業計画の策定のためのニーズ調査や必要基盤整備量の推計を、十一年度には介護保険事業計画の策定や介護保険実施に向けた組織の整備、介護保険認定審査会の設置など具体的な諸準備を行うこととなりますので、県といたしましては、その都度必要な指導、支援をしてまいる予定でございます。  次に、全国標準的なモデルについてでございますが、介護保険法案では、厚生大臣は介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定めるものとするとしておりまして、この基本指針につきましては、臨時国会において介護保険法が成立した際、直ちに作成に着手するとの説明を受けておりますので、次の臨時国会で法案が成立すれば、九年度中にその内容が示される予定でございます。  次に、市町村の住民移動や保険料格差についてでありますが、市町村介護保険事業計画が策定されますと、市町村ごとの介護供給量が記載され、介護格差があらわれることにはなりますが、計画にはサービス供給体制の確保策についても記載し、その目標達成を行っていきますので、市町村間の移動といった事態は余り生じないのではないかと認識しております。  しかしながら、そのような状況とならないよう、市町村ごとに格差がなく、だれもが利用できるサービス基盤整備のため、当面は市町村老人保健福祉計画の着実な推進を指導してまいりたいと考えております。  また、給付水準の格差に基づき、保険料に差が生ずることについてでありますが、これは給付水準に比較して高い保険料を被保険者が負担することを回避するための方策でございまして、制度創設に当たり、暫定的に低い給付水準に対応した低額の保険料とするものでありますので、やむを得ない制度であると認識いたしております。  次に、介護支援専門員についてでございますが、具体的な都道府県別の必要数は、人口構成や地域特性を考慮して、その方針が国から示されることとなっております。その詳細は不明でございますので、まだわからないわけでございますが、処理能力等を勘案して、全国でおよそ四万人であると言われておりますので、先ほどお示しのように、本県の人口から推計すると、おおよそ二千人程度と思われるわけでございます。  その養成方法等につきましては、現在国において検討しておるところであり、それが明らかになり次第養成に着手したいと考えておりますが、現在、その養成研修を行う講師となります介護支援専門員指導者の養成を行うなどの準備をしております。  また、市町村調査員の養成や研修等については、いまだ不明でありますが、調査員には、中立的な立場から公正な調査を行うことが求められるため、これにふさわしい研修が必要であると考えておりますので、必要な支援は行ってまいりたいと考えております。  次に、要介護認定に当たり、精神面や家庭環境などをどのように調査、反映するかということについてでございますが、要介護認定に係る調査項目は現在検討中で、これも不確定でございますが、今年度実施いたしますモデル事業における要介護認定のための調査項目では、高齢者の介護の必要性に関する項目に限っておりまして、かかりつけの医師の意見書や特記事項で補足されて、一般的な介護の大きさや要介護者の意欲、住環境等について、要介護認定に反映され得ると思われます。また、経済状況など反映できないものにつきましては、ケアプラン作成に当たって勘案することとなると考えております。  次に、市町村へ介護保険推進委員会を設置したらどうかの御指摘でございますが、介護保険制度が実施されますと、いろいろな問題点が生じてくるものと推測されます。法案そのものにも、法律施行後五年をめどとして検討を行い、見直し等の措置を行うと明記されておりますので、そうした問題点につきましては、その際に検討されることになると考えております。  次に、四十歳以上の者を被保険者とすることについてでございますが、介護保険が対象とする老化に伴う介護ニーズは、高齢期のみならず中高年期においても生じ得ることや、四十歳以降になると、一般に老親の介護が必要となり、家族という立場で介護保険による社会的支援という利益を受ける可能性が高まることから、四十歳以上の者を被保険者とし、社会連帯によって介護を支え合おうとするものでございます。  次に、在宅ねたきり老人等福祉手当のあり方についてでございますが、介護保険制度が創設されますと、いろいろ検討すべき問題が生じてまいりますので、そのあり方につきましては、今後幅広い角度から研究してまいりたいと考えております。  また、八十歳以上の後期高齢者の方の介護保険料負担の支援につきましては、保険という性質上、その恩恵に授かる方が費用を負担することは妥当なことと考えております。  次に、寝かせきり介護についてでございますが、特別養護老人ホームは、痴呆性や寝たきりの高齢者を援護する施設であり、積極的に離床推進を行っておりますので、寝かせきり介護という状況はないものと思われます。さらに、国は介護報酬を算定する際に、直接処遇職員の割合を現在よりもふやすことや、要介護度の改善があった場合の努力の評価についても考えているようでございますので、そのようなことにはならないと考えております。  また、現在入所中の方が介護認定により中度あるいは軽度と判定された場合の施設からの退所問題につきましては、五年の経過措置終了後、本来的には介護保険施設ではなく在宅復帰や養護老人ホーム、ケアハウス等に入所していただくものと認識いたしております。  また、在宅三本柱の拡大強化につきましては、施設からの在宅復帰を進めるためにも、現在、在宅で介護されている方の介護水準の向上のためにも必要であると認識しておりますので、積極的に基盤整備を図ってまいります。  次に、要介護認定に対する不服審査についてでございますが、市町村へ窓口を設置することにつきましては、法案には予定されておりませんが、行政不服審査法では、市町村を経由してもできることとなっておりますので、お尋ねの趣旨は達成できると考えております。  また、不服審査を行うため県に設置する、保険者代表、被保険者代表及び公益代表の三者で構成される介護保険審査会の運営につきましても、要介護認定の不服審査については、公益代表委員のみの合議体で審査を行うことで迅速化が図られる仕組みとなっております。  次に、介護認定審査会での再審査の迅速化につきましては、その再審査事務手続がいまだ不明でありますので、明らかになった時点で柔軟な対応について検討してまいりたいと存じます。  次に、介護保険制度創設後の広域介護体制についてでありますが、どの機関の介護サービスを利用するかは要介護者の選択に任されており、それは市町村区域外のサービスについても同様であります。  次に、介護サービス体制の強化についてでありますが、介護保険制度の円滑な導入のためには、必要かつ十分なサービス基盤の確保が重要であると認識しております。  本県における基盤整備につきましては、今までも老人保健福祉計画に基づきまして、ホームヘルパー等の在宅三本柱や特別養護老人ホームを初めといたします施設の整備を進め、おおむね順調に推移してまいりましたが、今後も引き続き充実に努めてまいりたいと考えております。  なお、国においては、介護保険導入に先立ち、福祉サービス事業の委託先の緩和について検討を進め、民間事業者の参入による介護基盤の拡充を図ろうとしておりますので、こうした動向についても十分に見守ってまいります。  次に、介護保険制度の仕組みについてでございますが、一部負担金につきましては、給付対象利用者と未利用者の負担の公平を図るものであり、妥当な制度であるものではないかと考えております。  また、給付残額が還付されないことにつきましては、要介護度ごとに定められる給付額の算出は、必要な介護サービスの介護報酬額を合算して行われるものでございまして、そのサービスの選択は要介護者にゆだねられており、給付残額が生じたといたしましても、その選択結果によるものでございまして、制度は妥当であると認識しておりまして、このため、この仕組みにつきましては、国に対して特に意見は伝えておりません。  次に、介護保険制度の広報周知についてでございますが、介護保険制度につきましては、保険料の徴収、要介護の認定、受けられる具体的なサービスの内容等につきまして、被保険者となる住民に十分理解していただくことが不可欠でございます。県といたしましては、各市町村への的確な情報提供を行うとともに、介護保険法の成立後、県民に対しまして広く理解と協力が得られるよう、機会をとらえて制度の内容についてお知らせしてまいります。なお、現在までも、可能な範囲でこうした広報活動はやっております。  次に、介護保険制度の広域運営についてでございますが、財政基盤の脆弱な小規模市町村にとりまして、制度の広域化は重要な選択肢になると考えております。介護保険制度を広域運営する場合には、その利点や問題点などにつきましてはまだ不明な点が多いので、御指摘のありました規模等も含めまして、今後検討してまいります。  次に、介護保険制度の試行についてでございますが、モデル事業につきましては、各老人保健福祉圏域で実施する予定で、モデル実施を希望いたしました名古屋市だとか豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市を初めとする十七市町の実施計画を国に協議したところでございます。モデル事業は、要介護認定のための調査を行い、審査判定するものであり、一部の市におきましては、ケアプランまで策定をいたします。その事業は、十一月から十二月にかけて実施、一月末に結果をまとめることとなっております。  県といたしましては、国の内示があり次第モデル地域を指定し、関係市町に事業を委託するとともに、介護認定調査員に対する研修を実施する予定でございます。  十三年度以降の本県の福祉に対する方針、展望についてのお尋ねでございますが、基本的には「愛フルプラン」と同じ視点に立って県民福祉の一層の向上と、より豊かな福祉社会づくりを目指していく必要があると考えております。本県も今後ますます少子・高齢化の進展が予測されており、高年齢者の介護問題がより一層重要な課題となっております。また、社会的要請ともなっております行財政改革等の推進により、福祉の制度や仕組みにも影響が生ずることが想定されるところでございます。  このように福祉を取り巻く諸情勢が大きく変貌しつつありますので、現行「愛フルプラン」のその後の対応につきましては、「愛フルプラン」に与える影響を十分見きわめながら検討をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 27: ◯知事鈴木礼治君) 介護保険、この制度は、老後の最大の不安でございます介護を、今までの家族の問題から社会全体の問題としてとらえまして、これを社会全体で支える新たな仕組みと、こういうことでありまして、従来の措置制度を大きく転換するものでございます。  制度の内容等は、秋に開催されます臨時国会において引き続き審議されます。制度導入に向けて、その時点その時点で準備を行っていかなければならないと思っております。そのため、現在、制度の一番根本になります要介護認定の試行とでもいいましょうか、モデル事業、これを進めること。それから、市町村に対して重要な情報伝達を行っていかなければならないと思っております。  既に平成八年度でも、御承知のとおり豊田市でモデル事業をやっておるわけでありますが、このようにモデル事業を今後進めていきまして、介護保険の円滑な導入に向けまして最大限の努力を図って取り組んでまいりたいと思っております。 28: ◯五十番(波形昌洋君) 余り時間がございませんので、数点要望を申し上げておきたいと思います。  まず一点目でありますが、介護保険制度ということで、まだある意味では、これは保険者──、市町村、まあ行政でございますが──の対局におる被保険者、この被保険者、俗に言うと県民でございますが、多くの県民の皆さんが、具体的な中身、内容というものをほとんど知らないのではないか。こういう言い方を私どもがしてはいけないのかもしれませんが、中身を知らずに今のこの問題がどんどんどんどん進んでいってしまう、そういう怖さがあるわけです。  と申し上げるのは、質問でも申し上げましたように、四十歳以上の者は選択の余地なく、これは強制加入であります。強制という言葉は使わなかったわけでありますが、そういったことが、やはりここに、議場にいらっしゃる方も、ほとんどの方が単純計算すれば月に二千五百円の保険料拠出という格好になるわけであります。もちろん、その拠出方式はいろいろあるわけでありますが、そういった点からいきますと、先ほど御答弁がありましたんですが、やはり機会をとらえてではなくて、機会をつくってより一層のPR、広報をですね、こういう制度ですよということの、ひとつ、周知という言い方も好きじゃありませんが、広報啓発をしていただきたい。制度がわからなければ、意見の言いようもないというのも現実でございますから、ぜひこれはお願いをしたいと思います。  それからもう一点、制度がまだ審議中の中で、保険料をどうしろ、まけろとか、八十歳以上はなしにせいとかいうことは、いささか乱暴であることは承知をしております。しかし、今の医療保険の仕組みを考えてみましても、現在、七十歳以上の高齢者については医療費の無料化であるとか、そういった諸制度があるわけでございます。  そしてもう一つは、社会的入院の解消というのも介護保険制度の大きな柱になっているわけであります。ただ単に社会的入院が介護保険制度に移行しただけであって、実態は全然変わらずに、お金を出すところだけが変わった、そんなことにならないように、これはぜひやっていただきたいですし、同時に、やはり後期高齢者、例えばきんさん、ぎんさんとかですね、百歳以上の方からも一割負担を取るのか、あるいは保険料をもらうのか、こういった問題があるわけであります。これは今すぐ実施は無理にしても、やはりこの制度の流れを見定める中で、これはぜひ知事さんにそういった一つの高齢者に対する敬愛とですね、やはり尊敬の意味合いからも、そういったことをぜひ検討していただきたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 29: ◯議長(大見志朗君) 進行いたします。  杉江秀一君。     [三番杉江秀一君登壇](拍手) 30: ◯三番(杉江秀一君) 三番、杉江秀一でございます。  さて、今回は、愛知の二十一世紀にとりまして極めて重要な課題でございます女性問題について、その一点に絞りまして、あえて男性であります私が取り上げるところでございますが、ここにこの問題のジェンダーフリーなゆえんがあるわけでございます。  さて、今私が使いましたところのジェンダーフリーなる言葉、少々聞きなれない言葉かと存じますが、傍聴席を含めまして執行部の皆様方、あるいは議員の皆様方、一度でもお聞きになった、あるいはお使いになったことのある方、またこの言葉の意味が理解できているお方がいらっしゃいますでしょうか。大変御無礼な言い方でございますが。  さて、このジェンダーフリーとは、ジェンダーフリーなる社会を目指して、このような使い方をいたしますけれども、単なる生物学的な性の違いとは少々異なり、後天的に学習された社会的あるいは文化的な性の違いであります。この性の垣根を取り外すことでございます。あるいはこの性を意識をしない、そうした社会を構築するということでございます。ちょっとややこしいわけでございますけれども、要するにわかりやすく申しますと、今までよく使われてまいりました男女平等社会のことであります。  この男女平等がなぜジェンダーフリーになったのか。それはそれなりの違いと理由があるわけでございますが、ここ十年ほどの社会状況、特に女性を取り巻く経済情勢あるいは社会情勢、大きく変化をしております。特に、高齢化対策より少子化対策に重点を置かなければ日本の未来は危ういとまで言われるほど、一人の女性が一生の間に産む平均子供数をあらわす合計特殊出生率は、平成八年における本県の状況は一・四三であり、史上最低であります。現在の人口を維持するために必要な二・〇八に比べ、かなり低い水準にあります。日本全体の合計特殊出生率は、このまま何もしないでいると、将来一・一程度まで低下していくおそれがあり、どんどん人口が減少し、百年で人口が半減し、日本の人口が五千万人台になるという報告も出ております。  人口減少社会では、まず労働人口が減少する。特に三十歳未満の若年労働者が激減する。貯蓄率も低下をし、同時に投資も抑えられ、当然のごとく国内市場も伸び悩むでしょう。そして日本経済は衰退し、それと同時に、その現役世代の生活水準も低下をし、社会保障などはすべて見直しを迫られ、当然、高齢者の生活保障どころではなくなってしまうわけでございます。     [「それは大変だ」と呼ぶ者あり] 31: ◯三番(杉江秀一君) (続)大変なんです、ええ。  実は、この少子化の問題も、女性問題に大いに関係するのですが、一九八六年、男女雇用機会均等法が施行され、以来この間、バブル景気による人手不足の影響もあり、女性の職場進出が顕著になり、男女の賃金格差も急速に縮小いたしました。  一見よいことのようでございますが、もしも出産を契機に勤めをやめてしまうと、その生活水準は大幅に低下をしてしまうため、生活水準を維持するためには、勤め続けながら子供を育てなければなりません。しかし、家事と違って、子育ては手抜きをするわけにはまいりません。もちろん、男性である父親の育児参加も、制度の改善等もあり、傾向的にはふえてはおりますが、依然として女性である母親の肩に重くのしかかっているのが現状であります。したがって、子育てと仕事の両立の困難さのため、極力子供をつくらない、産まない、こういう結論に達するものと容易に私は推察するわけであります。  ちなみに厚生省では、この少子化の原因を女性の晩婚化とそれに伴う晩産化、また、結婚しない男女の増加による未婚率の上昇、この二点にあると分析をしておりますが、お役所の分析はよくわかりません。  さて、少子化問題はこれくらいにいたしまして、女性を取り巻く社会環境の変化はこれのみにあらず、戦後社会進歩の象徴とされましたが、実は社会の進歩とは何の関係もなかったGHQによる戦後占領政策の一つであります日本人独自の家制度の否定、解体による核家族化の急速な進展や高度情報社会、あるいは国際化の一層の進展などがあります。しかし、これらはすべて我々男性にとりましても、全く同じ条件、状況でございます。  さて、本県のあいち女性プランについてでありますが、御承知のように、平成元年十月に女性行動計画「あいち女性プラン」として策定をされ、実質的な男女平等社会の実現を基本目標に、西暦二〇〇〇年に向けて総合的、計画的に事業を推進されているところであります。その成果の一つとして、愛知県女性総合センター、愛称ウィルあいちが昨年開館をされ、各種事業が展開されており、着実にその実績を上げているものと高く評価をされているところであります。  しかしながら、前述したように、社会状況の著しい変化に対応するため、実質的な男女平等社会の実現のためには、新たな取り組みの必要が生じてきているわけでございます。  ここで、広く国内外の動きに目を向けますと、昭和五十年の国際婦人年とそれに続く国連・婦人の十年、この最終年、昭和六十年にナイロビで開催をされました世界会議におきまして採択をされた西暦二〇〇〇年に向けての婦人の地位向上のための将来戦略、この趣旨を受けまして、国は、男女共同参画社会の形成を目指し、新国内行動計画を昭和六十二年五月に策定をいたしました。そして各地方公共団体の婦人関係施策についての計画の見直しや、女性団体を初め各種の民間諸団体、諸機関、そして男女を問わず、すべての国民の自主的な活動を要請してきたところであります。  また、こうした流れの一環として、平成七年九月に北京で開催をされました第四回世界女性会議では、なお男女間にはさまざまな格差が残っていることが指摘をされ、その解決に向けて、世界じゅうの女性の地位の向上と女性自身が力をつけることを強調いたしました北京宣言及び行動要領が採択をされました。  このような内外の情勢を見るとき、新交流時代を掲げ、愛知万博や中部新国際空港の建設など国際的にも大きく飛躍しようとしている本県にとりまして、男性の視点のみならず、これは私がいつも言っておることですが、女性の視点や感性がぜひ必要であり、二十一世紀に向かっての街づくりや社会そのものにも女性の果たすべき役割は非常に重かつ大であるとともに、性を問わず、国籍や立場を問わず、あらゆる人々があらゆる形で交流し参画する男女共同参画社会を築くことは、以前にも増しまして極めて重要なことであると考えるわけでございます。  さらに、国際的に見まして、我が国では女性の政策方針決定の場への女性の登用が立ちおくれていることが、本年七月に総理府が発表いたしました「男女共同参画白書」におきまして指摘をされておるところでもあります。本県におきましても、各種審議会委員等への女性の登用につきましては、これまで西暦二〇〇〇年までに二〇%の確実な達成を目指しており、また、女性審議委員のいない審議会等の解消に向けて努力をしてきたものであります。
     先日、実は名古屋市と知多五市五町で構成をいたしまするある女性団体の会合が、私の地元であります知多半島で開催をいたされました。そのときの主な討議内容は、各自治体の女性審議委員や管理職等への女性登用率の問題であり、当日は知多事務所の所長代理さんや、あるいは開催地の町長さん等が参加をされ、私ども議員や行政責任者に対しても厳しい意見が出されたところであります。  ちなみに、平成九年六月の各種審議会の女性登用率は、名古屋市が二〇・二九%、これが最高でありまして、知多半島五市五町では、大府市の一九・七四%が最高であります。続いて東浦町の、日高先生のところのですね、一六・二七%とこう続きますが、最低はどことはここでは申しません。  それでは、質問に入ります。  このように、現在本県におきましても、平成元年に策定をされました女性プラン、あと残すところ三年でございますが、この改定に向けまして現在鋭意努力中と伺っております。この改定に当たりましては、男女共同参画社会という人権尊重の理念を社会に深く根づかせ、男と女がともに手をとり合い、男女共同参画社会の構築こそが必要であると思われます。  そこで、質問の第一点でありますが、改定プランの基本的な考え方、さらには審議会等委員への女性の登用率を高め、女性委員のいない審議会等をなくすためにはどのように対策を講じていくのか、改定プランの特徴とあわせてお伺いをいたします。  二点目に、改定をされますプランは、男女共同参画社会の実現を目指すためのガイドラインとなるものと考えられますが、行政と県民がお互いに協調、協力をしていく、その実現に向けて行動し、推進をしていくためには、具体的にどのような取り組みを進めていくのか、お尋ねをいたします。  以上、極めて重要な問題でございますので、関係部局の責任者、あるいは、今後ろを向いておりますが、鈴木知事に直接お答えを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。  壇上におきまして以上でございます。ありがとうございました。(拍手) 32: ◯総務部長河内弘明君) 平成元年に策定いたしましたあいち女性プランにつきましては、二〇〇〇年を目標に取り組みを進めてまいりましたけれども、その後、国内外で新しい動きがいろいろと出てきておりますことは、御指摘いただいたとおりでございます。こうした動きをプランに取り入れるために必要な改定を行うことを目指しまして、平成八年度に、愛知県女性問題懇話会に現プランの見直しについての提言を取りまとめていただきました。  この提言をもとに現プランの改定を目指しているわけでございまして、関係団体や県民の方々に改定の素案をお示しし、御意見、御要望をいただきながら、このあいち女性プランの残された二〇〇〇年までの三年間についてのプラン改定を目指しておるところでございまして、十月には取りまとめたいと考えております。これはもちろん、また将来検討することになる新しいプランにつないでいくものでございます。  改定プランの基本的考え方についてでございますけれども、基本目標を実質的な男女平等社会の実現という従来の目標から、男女共同参画による平等社会の実現とし、さまざまな分野における意思決定の段階から女性が積極的に加わっていく参画を重視していくこととしておりまして、これが今回の改定の大きな特徴として挙げられ、名称も「あいち男女共同参画二〇〇〇年プラン」と、このようにいたしたいと考えております。  この考え方に基づいて施策を推進する上で、一つは、社会的、文化的に形成された性別、ただいまるる御説明いただきましたジェンダー、ジェンダーに敏感な視点を定着していくこと。それから、女性のエンパワーメント、すなわち女性が力を持った存在となること。さらに、対等協力関係を促進する。この三つを諸施策の基本的視点としていきたいと考えております。  また、新たな課題への取り組みといたしまして、女性への暴力の根絶や女性の健康における自己決定権の尊重など、女性の人権尊重を重視してまいらねばと考えております。  次に、審議会等委員の女性の登用についてでございますけれども、女性の意見を社会のあらゆる分野において反映させる上で、男女共同参画社会を実現するために重要なことであると存じます。  国の水準と同様に、西暦二〇〇〇年までに登用率二〇%、女性のいない審議会の解消、この目標を、これは一つの通過目標であると考えておりますが、ぜひとも達成してまいりたいと存じております。  そのためにも、関係部局と目標達成に向けてより一層努力してまいりますとともに、女性の人材養成や女性総合センターにおける人材情報の収集、提供の充実、そういうことに努めてまいりますが、そのベースといたしましては、何よりも女性のエンパワーメントに向けての各分野における一層の努力が必要であるというふうに存ずるところでございます。  次に、プランの推進についてでありますが、このプランが県民すべての意識や行動の指針であるということでありますことから、まずこのプランの考え方や内容を県民の皆様に幅広く御理解をいただいて、自主的な行動の展開に結びつけていただくということが重要でございますので、積極的に啓発活動を行うことが必要であると存じます。  そのためにも、県民の皆様方によりわかりやすく理解していただけるための要約版を作成いたしまして、ことしの十一月には広く県民の皆様に配布できるように準備を進めまして、各団体への幅広い説明などを行うとともに、新聞報道や女性総合センターの広報誌など、さまざまな広報手段を通じて広域的な啓発活動を行ってまいりたいと考えております。  また、庁内におきましては、女性関係行政推進会議を中心に、全庁的により一層緊密に連携をとって進めてまいりたいと考えております。  また、市町村に対しましては、それぞれの個々の推進体制の整備や独自の行動計画策定への支援、さらには人材情報、人材養成などの面から、女性登用推進の支援などに努力をしてまいりたいと考えております。また、女性総合センターにおきましても、プランの趣旨に沿った活動を行ってまいりたい。  いずれにいたしましても、男女共同参画社会の実現は、県民一体となって取り組んでいくことが必要不可欠でありますので、その条件づくり、環境づくりに鋭意努力してまいりたいと考えておるところでございます。 33: ◯知事鈴木礼治君) 平成元年に策定をされましたあいち女性プランの推進に当たりましては、市町村を初め関係機関、団体等におきましてさまざまな取り組みが展開されております。そして、その成果といいますか、その結果、愛知県女性総合センター、ウィルあいちが開館したことでございますが、今回の改定は、国連によります一連の国際会議とか国の二〇〇〇年プランに呼応いたしまして、愛知県女性問題懇話会の提言などに基づきまして実施をするものでございます。  県といたしましては、二十一世紀を見据えました上で、この「あいち男女共同参画二〇〇〇年プラン」、名前ももう「参画」というふうになっておりまして、御承知のように。男女共同参画二〇〇〇年プランの推進によりまして、女性委員の、例えば登用を促進するとかいたしまして、総合的かつ計画的に男女共同参画社会を構築するために一生懸命に取り組んでまいります。 34: ◯三番(杉江秀一君) ただいま、知事さん、そして総務部長からるるお答えをいただきました。  そういった内容で今までどおりやっていただければ結構かと思いますけれども、ちょっと要望を兼ねまして、ちょっと意見でございますが、この男女の問題につきましては、我々日本人の非常に長い歴史の中で、その潜在意識の中で、男はどうしても女性を差別をするとか、そういったものがあるかもしれません。家長制度とかいろんな制度があった中で。そういうメンタルな問題も多いわけですけれども、それを憲法あるいはいろんな法制度の中で、平等であるというふうになっているわけですが、いずれにいたしましても、本県が指導力を発揮をいたされまして、そして県下の各市町村に、愛知県がこれから改定されます「あいち男女共同参画二〇〇〇年プラン」、こういったことの実現を、今までもそうでありましたけれども、これまで以上に御努力をされんことをお願い申し上げます。また、私としても、当然最大なる協力をさせていただくことを申し上げまして、頑張っていただきたいと思います。  以上でございます。 35: ◯議長(大見志朗君) 進行いたします。  和出徳一君。     [九十番和出徳一君登壇](拍手) 36: ◯九十番(和出徳一君) 私は、発言通告に従い、次の四点について質問します。  最初の質問は、地方行革と愛知県行政改革推進計画についてでございます。  橋本内閣は、去る六月、国家的リストラ計画の中心的柱である財政構造改革の推進についてを閣議決定しました。この閣議決定は、各地方公共団体が強い自覚を持って徹底した行財政改革への取り組みを要請していくと強調。その上で、制度的補助金の見直しとその他の補助金の向こう三年間毎年度一割削減を提起しております。この閣議決定は改造内閣においても引き継がれるであろうし、こうして地方行革は住民犠牲の新たな段階に入り、地域住民との矛盾を一層激しくします。  ところで、愛知県は、平成六年十月七日の自治省事務次官通知等を契機に、平成八年から十年までを期間とする行政改革推進計画、つまり、新行革大綱を平成七年十二月に策定しました。  以上を背景に、次の諸点を質問します。  その一つは、愛知県行政改革(三箇年)推進計画の二年にわたる実施状況と評価に対してであります。  私の認識では、平成八年及び九年の両年の事務事業の見直しは、三%減量化は百二十八件、三百十四人相当の事業減、単独事業の縮小・延伸、単独補助金の縮減は六百八十三件。規制緩和、権限移譲では、小型無動力船の所有者の知事への届け出の廃止を初め土地区画整理事務、母子保健事業の一部事務等の市町村への移譲。組織機能の合理化は、二十六保健所体制を十九保健所、五支所体制へ合理化、定員及び給与の適正では、知事部局の百二十五人を削減しております。民間委託は、道路維持補修等二十五業務に及ぶはずであります。  二年にわたるこれらの数字は、現在のところ公表されておりませんが、私の認識におおむね誤りはないでしょうか。また、これらの計画推進の結果の多くは、不評を買っている保健所の統合に象徴されるように、県民サービスを削ることとなっているものが多いと考えますが、所感をお示しいただきたいのでございます。  二つは、地方行革と新行革大綱を推進する最大の口実が、財政危機だからということに対してであります。  平成八年度一般会計決算における県債残高は二兆一千六百三十二億円、平成三年度以来五年間で、実に二倍近い膨らみようであります。平成三年度末の県民一人当たり県債残高が十六万四千円であったものが、平成八年度末には三十一万八千円にもなっております。  これらの数字が示すように、確かに県財政は深刻な事態です。しかし、財政危機だからと言うなら、なぜ財政危機が生まれたのか、その原因の解明と打開こそが先決であります。財政危機に至った原因解明を抜きにした単なる行革の先行は、真の県民本位の財政確立にはなりがたいと言わなければなりません。私は、その主たる原因を次のように考えます。  一、愛知県が地方自治体としての本来の仕事とは無縁の、例えば最近あらわれておるものを挙げるとすれば、中部新国際空港や二〇〇五年国際博覧会など大型開発に血道を上げてきたことによります。事実、鈴木礼治知事は、行革推進計画の扉で、特にこれからの数年間には、中部新国際空港や日本二十一世紀万国博覧会などの大型プロジェクト事業の推進に取り組まなければなりませんと述べていることをもってはかり知ることができます。  二、国の悪政の無抵抗な受け入れが原因であります。本来、国の責任に属する景気浮揚策を肩がわりして、投資的経費中の単独事業は、平成八年度までの五年間に三七%、八百二十億円余の増となっています。これは、推進計画が実行されても、恐らく遠く及ばぬ金額だと考えます。その上、この間の国による補助金カット等を安易に受け入れていることも財政破綻の原因ではないでしょうか。  三、平成九年度当初予算が示すように、県税収入の対前年度伸び率は一四・八%増を見込んでいます。この伸びは、地方財政計画が示す道府県税一六・六%に遠く及んでおりません。工業出荷額三十五兆二千億円、二十年連続日本一の愛知県がこの状態であることは、ごく一部の大企業に力点を置く産業政策の破綻を示すものと考えます。  私は、財政危機の原因は、以上の諸点にあると考えますが、当局の見解を求めるものであります。  三つは、去る六月の閣議決定にかかわって質問します。  閣議は、財政構造改革の推進という口実に、制度的補助金の見直しとその他の補助金の向こう三年間毎年度一割削減を提起しています。これは、国が財政破綻の責任を地方へ転嫁することにほかなりません。県当局はこの提起に対しいかなる見解をお持ちか、質問します。  次の質問は、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインについてであります。  一昨日九月二十三日、ガイドライン見直しの最終報告が出ました。この最終報告は、アメリカ側が周辺事態と認定して国際紛争に軍事介入した場合、日本が無条件に軍事協力をすることにほかならない内容であります。  ところで、去る六月八日、ガイドライン見直しの中間報告が発表された前後から、民間空港、港湾などにおける米軍の傍若無人な寄港等が全国各地で広がり、幾つかの地方自治体から抗議の声が上がっております。そればかりか、米軍艦船が民間の港に寄港した際に、米兵の輸送や燃料の補給などに日本の民間業者が動員されるまでに至っております。  九月九日には長崎県佐世保港に米空母が入港し、米兵五千人を民間会社二社が輸送しています。同じく九月九日、鹿児島港にミサイル駆逐艦が入港、自治体よりも早く民間業者が入港業務の大部分を請け負いました。北海道花咲港では、米海兵隊の弾薬を日通が二十三台の運搬車で輸送したといいます。  日本の中心部に位置し、港や空港があり、新空港計画を持つ愛知県は、これらの事実に注目しなければなりません。これらの状況を背景に、以下、順次質問いたします。  私の調査によりますと、一九九二年から九六年までの五年間で、米軍機による日本国内の民間空港の使用状況は五十二空港に及びます。この五十二空港中、民間空港である名古屋空港の使用は百三十七回、全国第五位に位置します。その上、九六年には実に六十二回、長崎、福岡、奄美に次いで、名古屋空港は全国第四位であったのであります。県当局はこの事態を御存じですか。また、どう対応したか、お示し願いたいのであります。  次に、愛知県には、名古屋港と三河港があります。これまでにこれら二港への米軍艦船の入港があったかどうか。もしあったとすればどう対応したか、質問します。  防衛庁は、新城市本宮山と宝飯郡音羽町の宮路山にIDDN、防衛統合デジタル通信網の基地建設計画を進めております。県のこれまでの対応は、この計画に極めて協力的だと判断しますが、ガイドライン問題から見ても、態度変更が求められていると考えますが、いかがでありましょうか。  この問題の最後は、地方自治体として平和憲法、地方自治の観点から、今回のガイドライン見直しの最終報告は、県民の平和な暮らしにとって歓迎できないし、反対の意思を表明すべきだと思いますが、所信をお示しいただきたいと存じます。  続いて、ごみ、廃棄物問題について質問します。  本年に入ってからの廃棄物をめぐる特徴的な動きは、二月の世界保健機構の発表以来、ごみ焼却とダイオキシンが社会の注目を浴びました。次いで六月、岐阜県御嵩町で産廃処理場建設問題の住民投票が行われ、約八割の住民が反対の意思を表明いたしました。同じく六月、廃棄物処理法が改正になりました。愛知県は八月、環境基本計画を策定しました。  以上に立って、次の諸点を質問します。  まず初めは、一部の産業廃棄物処理業者と発生原因者の目に余る迷惑行為についてであります。  最初に、その代表的事例を一つ挙げることにしましょう。豊橋市老津町波入江五十三、五十四及び五十八番で、株式会社タイリンは、産業廃棄物の最終処分を行っております。しかし、県の許可品目である安定五品目以外に他社からの注射針などの医療廃棄物の搬入を許し、住民から指摘されております。  同じく認めがたいことは、昨年四月三十日、名古屋地方裁判所豊橋支部の、本件土地の使用期限は平成九年八月三十一日であるとの判決を無視して、恥知らずにも、九月二十四日の今日もなおかつ埋め立て作業を続けておるのであります。  同時に、投棄地盤の高さを、隣接する公道と同一の高さとし、覆土を一メートル以上とするとありますが、期限切れの今日も、公道から三メートル余、二メートル程度しか離れていない人家の一階を見おろすほどに積み上げておるのであります。  同社は、去る九月三日以来の県の強力な指導に対しても従おうとしておりません。これでは県はなめられていると言われてもやむを得ないでありましょう。御同意いただきたいのであります。  私の調べたところによりますと、豊橋市内五十一校区中十六校区に処理場が集中し、太平洋岸の南東部方面は産業廃棄物の銀座通りだと言われているほど、中間・最終処分場が合わせて四十一カ所もあり、すべての業者とは申しませんが、少なくない地域で住民に迷惑をかけています。豊橋だけが例外ではありません。我が党県議団の田中久幸議員が指摘してまいりました江南市宮田町本田島の最終処分場問題、幡豆郡一色町における大同建設による産業廃棄物の無許可の堆積など、残念ながら県下各所でトラブルが絶えません。  そこで質問します。  県内での産業廃棄物処理業者数と中間処理施設並びに最終処分場の地域別箇所数を示していただきたいと思います。  最近における産廃に対する苦情の実態、廃棄物処理法違反の態様別検挙状況はどのようになっておりましょうか。また、本年度から県警本部の警察官が環境部廃棄物対策課の職員を併任することにしました。これまでに六カ月が経過しておりますが、その活動の成果の概要を質問いたします。  続いて、処理業許可に当たっての対処、県の産業廃棄物適正処理要綱による対応に甘さが感じられておりますが、いかがでしょうか。要綱の充実と県独自の罰則強化が求められていると思いますが、所信をお尋ねいたします。  排出業者に責任ある対応を求めることについての考え方もお示しいただきたいと存じます。  次に、ダイオキシン対策については、予算案が所管の委員会等の審議にゆだねられるでしょうから、その場に譲り、予算案と直接かかわりのないと思われる学校並びに官公庁のごみ処理について質問します。  県教育委員会は七月三十一日、教育長名をもって、名古屋市教育委員会教育長、各教育事務所長及び各県立学校長あてに、今後、各学校においての分別収集を徹底し、資源ごみのリサイクル等による減量化に努めるとともに、可燃性ごみについても可能な限りごみの回収にゆだねるなど、ごみ焼却処理の抑制、廃止に努めてくださいとの通知を出しています。  それから二カ月が経過しました。全県各学校の焼却処理箇所数の総数と廃止抑制等の進行状況をお示しいただきたいと存じます。同時に、官庁関係の実態と対応状況をあわせ質問いたします。  質問の最後は、藤前干潟と汐川干潟の保全についてであります。  環境庁は本年九月八日、一九八八年から九六年までのシギ、チドリ類の渡来数や渡来種類数の多い湿地の調査を行った結果、全国十三地域を最重要地域として目録を作成しました。この目録によれば、伊勢湾、三河湾地域が最重要地域になっています。その具体的な地点は、庄内川、新川、日光川河口部を含む藤前干潟周辺部と豊橋から渥美郡田原町にかけての汐川干潟等であります。  日本湿地ネットワークが一九九六年の春に行ったシギ、チドリの全国調査で、藤前干潟は、渡来総数が全国百七十カ所中第一位の六千九百二十四羽、その種類数は十六種で、全国第五位でありました。汐川干潟は、渡来総数六千五百二十八羽で全国第二位、種類数は二十四種で全国第三位でありました。藤前、汐川両干潟は、いずれもこの数字が示すように、全国的に見て最も貴重な湿地であり、愛知県が最重要地域目録に登載されたのは当然と申せましょう。  ところで、環境庁によれば、重要渡来十三地域に関係する十八都道県と環境庁において、シギ、チドリ類の渡来地保全のため、最重要渡来地域行政連絡会議を設けることを予定しております。ところが、この連絡会議に臨む愛知県の姿勢が気がかりであります。なぜならば、環境庁による国設鳥獣保護区設定の見直しに当たっての意向確認に対してとった県の対応がそれを示しております。  昨年七月の環境庁自然保護局の県農地林務部あての意向確認について県農地林務部は、藤前干潟に対しては、同年八月六日、関係者からの回答を付して次の意見を送っております。名古屋市環境事業局の意見は、平成九年度後半から二十二年度まで四十六・五ヘクタールの埋め立てを行うので、鳥獣保護区の設定計画箇所として位置づけることは適当でない。県河川課は、新川及び日光川の治水事業の実施に支障を来すと考えると答えました。名古屋港管理組合は、西一区埋め立て事業は実施に向けて手続中であり、港湾計画と環境問題とが未整合の段階で設定を計画すべきではない、等であります。  以上、関係者の回答の上に、県農地林務部は、関係者の同意を得ることはかなり困難な状況であり、区域設定もあわせて関係者と調整を図る必要があると意見を送っております。また、県農地林務部は、汐川干潟に関して、同年九月五日、設定は有意義だが、関係港湾、河川など関係部署との調整が困難との意向を表明したはずであります。  その結果、環境庁自然保護局長は、愛知県知事あてに、昨年十二月十二日、国設鳥獣保護区見直しにおいて、藤前干潟周辺部と汐川干潟は現段階では未設定ではあるが、計画には登載したので調整に留意されたいという意味の通知を出しております。知事はこれを受け取っておるはずであります。集団渡来地の未設定は、全国最重要二十五カ所のうち、愛知県の二カ所と北海道の一部、新潟県及び福岡県など合わせて七カ所にしかすぎません。  そこで私はお尋ねしたいのであります。  県の部局の一部並びに名古屋市など関係市町に自然の保護、保全に対する認識の不十分さを感じますが、所感をお示しいただきたいのであります。  二、自然との共生の理念に立って、関係各所の認識を高める対応が重要だと考えますが、所信をお示しください。  今後開催されるであろう環境庁による重要渡来地域行政連絡会議に臨むに当たって、自然保護、保全への積極的姿勢があるとすれば、その所信を明らかにしていただきたいと存じます。  以上をもって第一問を終わります。多岐にわたっておりますので、簡明、適切な御答弁を期待して終わります。ありがとうございました。(拍手) 37: ◯参事(中島靖二君) 地方行革と愛知県行政改革推進計画についてのお尋ねでございますが、お示しの項目につきましての実施状況はお示しのとおりでございます。  次に、これら合理化が県民サービスを削り、不評を買っているのではないかとのお尋ねでございますが、保健所の統廃合を初めといたします各種合理化につきましては、新行革大綱に基づきまして実施したもので、今後の県の行政運営にとりまして欠かせないものでございまして、究極的にはすべて県民サービスの向上につながるものと考えております。  なお、取り組むべき一つ一つの改善や改革につきましては、さまざまな意見や評価もあろうかと存じますが、新行革大綱は、県民の信頼のもとに、地方公共団体としての使命と役割を適切に果たし、一層の行政サービスの向上に努めていくことを目標としているものでございますので、今後ともその着実な推進によりまして行政運営の改善を図ってまいりたいと考えております。 38: ◯総務部長河内弘明君) 新行革大綱と財政状況についてでありますが、新行革大綱は、財政状況だけの理由から作成されたものではなく、厳しい財政状況のもとでの社会経済の変化や地方分権の流れなど、多様な状況の変化に対応し、時代の要請に応じた行政運営を推進するために、計画的、集中的な行政改革に取り組む必要があると、そのようなことから定められたものでございます。  次に、財政状況でございますが、本県の財政が大変厳しくなっておりますのは、本県の県税収入はこのところ回復傾向にありますものの、平成三年度から四年間連続で県税収入が落ち込むなど、過去に例のない県税収入の低迷が続く中で、行政水準を維持し、向上するための諸経費が増加していることなどから、構造的に財政が困難さを増しているのであり、このような事情は本県にとどまらず、国や類似府県も同様でありまして、御指摘のような理由ではないと認識いたしております。  また、このところの本県の税収状況を見ますと、他府県に比べ順調に推移しており、これまでの産業集積など地域振興諸施策と各方面の御努力の結果と考えております。  次に、財政構造改革は官民の役割分担、国と地方の役割分担、受益と負担のあり方などを踏まえつつ、改革に伴う当面の痛みや困難について国民的な理解と納得を得ながら進められるべきものと考えておりますが、国庫補助金の削減などにつきましては、率直に申しまして、地方にとって極めて厳しいものだと感じております。  いずれにいたしましても、国の歳出削減や制度の改革が、単に国の負担を地方に肩がわりするような方策であってはなりませんし、また、地方も安易に補てんするような対策をとるべきではないと考えておりますので、地方の財政運営に支障が生じないよう、そうした点などにつきまして、本県独自に、あるいは全国知事会などを通じまして、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。 39: ◯企画部長高橋貞二君) 米軍機の名古屋空港使用についてのお尋ねでございますが、米軍機の名古屋空港の使用回数につきましては、運輸省大阪航空局名古屋空港事務所から、平成四年十一回、五年十一回、六年二十五回、七年二十八回、八年六十二回で、過去五年間合計百三十七回と伺っております。  なお、九年についてお聞きしましたところ、一月からこの七月までに四機の飛来にとどまっていることも聞いております。  また、県の対応についてでございますが、米軍の空港使用については国レベルの話でありますので、県としては関与していないところであります。 40: ◯土木部長(伊佐治敏君) 名古屋港及び三河港への米国艦船の入港についてでありますが、各港湾管理者への入港届けによりますと、ここ十年間での実績はありません。  また、こうした場合の対処でございますが、通常、在日米軍司令部から海上保安庁第四管区海上保安本部を通じて照会がありますが、港湾管理者といたしましては、一般船舶の入出港に特に支障がない限り施設を提供することとしております。 41: ◯参事(久留宮泰啓君) 日米防衛協力のための指針問題と愛知県についてのお尋ねのうち、防衛統合ディジタル通信網の整備につきましては、国家の安全保障を確保する観点から、防衛庁が防衛通信の近代化及び自衛隊の指揮通信能力の向上を図るため、昭和六十二年度から全国通信網を計画的に整備しているもので、新城市の本宮山と宝飯郡音羽町の宮路山についても、全国的見地に立って必要な適地に計画され、設置を予定されているものと認識しております。  次に、今回の日米ガイドライン見直しについてでございますが、現在のガイドラインは、昭和五十三年に日米安全保障協議委員会において了承されたものでありまして、最近の国際情勢の変化を踏まえ、我が国の平和と安全を確保する観点から見直しが行われたものであります。  今回の見直しについては、去る六月八日に中間取りまとめが公表され、今回の場でさまざまな議論がなされ、今回、最終報告となったものでございます。
     今後、この最終報告に伴う関係法の整備等が予定されており、国においてさらに議論がされていくものと考えております。本県といたしましては、その動向を関心を持って見守っていきたいと考えております。  以上でございます。 42: ◯環境部長(清水正一君) ごみ廃棄物問題のうち、まず、産業廃棄物の処理業者数でございますが、知事許可の産業廃棄物処理業者は、平成九年三月末で、収集運搬業者、処分業者合わせまして、延べ三千六百五十二業者でございます。また、廃棄物処理法に基づき設置をされました愛知県内の産業廃棄物処理施設は、同じく平成九年三月末で、中間処理施設が延べ九百六施設でございます。最終処分場につきましては二百二十六施設でございまして、このうち、東三河地域で六十三施設、西三河地域で六十六施設、名古屋市を含みます尾張地域で九十七施設となっております。  次に、産業廃棄物の苦情についてでございますが、八年度には百六十九件の苦情が寄せられておりまして、その内訳で主なものといたしまして、野焼きが六十八件、不法投棄、不法埋め立てが四十三件、過剰保管が十九件などとなっております。  こうした苦情の処理に対しましては、保健所の職員等が直ちに現場へ立入指導を行うほか、必要に応じて市町村や県警とも連携をとり、原因者に対する指導を行っているところでございます。  過剰保管や野焼きなどは、こうした指導によりまして解決をいたしますものの、再発する場合も多くございまして、こうした事例につきましては、関係機関と連携を図りながら粘り強い指導をしておりますが、悪質な場合には法的措置をも含めた厳しい指導をしていくこととしております。平成八年度には、立入検査等の結果、廃棄物処理法に基づく改善命令五件、業務停止命令二件のほか、改善勧告など文書指導を二百十七件実施をいたしております。  次に、環境部職員を警察官に併任をした件でございますけれども、不法投棄や野焼き、あるいは過剰保管といった不適正な処理事案が増加をいたしましたとともに、悪質、巧妙化の傾向にあることから、こうした違反事例の早期解決、未然防止を図るために、本年四月一日から廃棄物対策課に警察官一名の派遣を受け入れたところでございます。  こうした結果、廃棄物処理法による検挙の必要性、その時期などについて県警との連携が従来よりさらに密接に図られるようになりましたし、行政職との併任によりまして、改善指導がより実効あるものとなり、不適正事案が迅速かつ的確に解決できるようになってきたと考えております。こうしたことから、廃棄物の処理に対する指導、監視体制の強化がより一層図られるようになったものと考えております。  それから、処理業許可に当たっての対処で、要綱が甘いのではないかという御質問でございますが、本県では従来から、法を補完いたします観点から、産業廃棄物適正処理指導要綱を定めまして、その中で、最終処分場の許可に当たっては地域住民の理解を得るための事前協議制度を設ける、あるいは処分場からの放流水の維持管理基準を強化するなどのことを定めまして、これに従って業者の指導を行ってきたところでございますが、今回の法改正は、こうした要綱で既に実施をいたしております内容も取り入れられたところでございますし、また、今回の法改正によりまして、処理業の許可要件や罰則も強化されたことから、より一層厳しい態度で適正処理に向けた指導ができるものと考えております。  本県といたしましては、今後、廃棄物処理施設の構造・維持管理基準の政省令も告示をされることとなっておりますので、こうした改正を踏まえまして、必要に応じ、産業廃棄物適正処理指導要綱の見直しを検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、排出事業者の責任ある対応についてでございますが、廃棄物処理法によりますれば、排出事業者は、その事業活動に伴う産業廃棄物の処理責任を有しておるということでございまして、発生抑制はもちろんのこと、減量化、資源化するとともに適正な処理に努める責務がございます。  また、今回の法改正によりまして、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストと言われておりますが、その使用が全産業廃棄物に義務づけをされまして、マニフェストに虚偽の記載をした排出事業者は罰則が適用されるなど、事業者処理責任が強化をされたところでございます。事業者に対する法の周知徹底を図るため、今後も講習会の開催や立入検査など、機会あるごとに事業者を指導してまいります。  それから、県庁、各出先を含めてのダイオキシン対策の対応状況でございますが、県有施設の実態としましては、小型ごみ焼却施設が全部で三百五基設置をされておりまして、焼却しているものは紙類が大部分であるというふうに承知をいたしております。  しかしながら、小型ごみ焼却施設によるダイオキシン類発生の可能性が否定をできないわけでございますので、分別収集の一層の徹底を図り、極力ごみの排出を抑制することを基本とし、排出するごみにつきましてはダイオキシン対策がなされております市町村等のごみ焼却施設で処理することが望ましいと考えております。したがいまして、現在、こうした方向で調整を進めているところでございます。  次に、大きい、藤前干潟と汐川干潟の保全についてのお尋ねでございますが、藤前干潟並びに汐川干潟が、シギ、チドリ類を初めとした鳥類の重要な飛来地であるということは、従来からの鳥類に関する各種の調査報告書で認識をされておりましたが、九月八日に環境庁が発表いたしました「シギ・チドリ類の渡来湿地目録」によりましてもこのことが確認をされたわけでございまして、県の各部局並びに関係市町に対しましてもさらに周知を図ってまいりたいと考えております。  そうした自然との共生の認識を高める対応でございますが、持続的な発展が可能な社会を形成するというのが大きな目標でございまして、平成七年の四月に制定をいたしました愛知県環境基本条例の中に自然との共生という理念も既にうたい込まれておりまして、これを受けまして、環境基本計画の中にも大きな計画課題の一つとして取り入れたところでございます。  この計画の策定に当たりましては、全部局が参画をいたしておりますし、また、今後の推進に当たりましては、庁内各部局で構成をいたします環境対策推進会議によって推進をしてまいることといたしております。  さらに、このたび制定をされました環境影響評価法におきましても、生態系の保全などの自然環境を重視した考え方が示されておりまして、公共事業を推進する各部局等におきましても、十分その趣旨を理解いただけるよう周知をしたところでございます。  さらに、市町村につきましても、研修会、連絡会議を開催するなど情報交換に努めておりますが、今後ともより一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。  最後に、環境庁によります行政連絡会議でございますが、十月の中旬にシギ、チドリ類の重要渡来地域を持つ十八の関係都道府県の行政担当者を集めて説明会が開催をされる予定になっております。この会議では、シギ・チドリ類重要渡来地域行政連絡会議の設置、あるいはシギ、チドリ類重要渡来地域等についての説明があることと予定をされておりますので、関係部局ともども出席をいたしまして、こうした会議の動向を踏まえまして、今後も適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。 43: ◯警察本部長(漆間巌君) 廃棄物処理法違反の検挙についてでございますが、本年は、現在までに産業廃棄物事犯七件、一般廃棄物事犯十二件の計十九件を検挙しております。  ちなみに、昨年は年間で産業廃棄物事犯十六件を含む三十二件、一昨年が産業廃棄物事犯十一件を含む三十件であります。  本年の違反内容を見ますと、不法投棄事犯が十七件、無許可収集運搬が二件となっております。  以上でございます。 44: ◯教育長伊藤廉君) 全県各学校の焼却処理箇所総数についてでございます。  本年五月に行いました調査によりますと、県下の公立小・中・高等学校及び特殊教育諸学校合わせて一千五百六十一校に焼却炉がございました。  次に、廃止、抑制等の進行状況についてでございますが、県立学校につきましては、校内の焼却処理を廃止する方針で、現在、ごみの回収及び処理をゆだねる市町村または廃棄物処理業者等との調整などの条件を整備を進めているところでございます。  また、公立小中学校等におきましては、ごみの分別収集及び減量化促進により、ごみの焼却処理の抑制、廃止に努めておりますが、県教育委員会が現在把握しているところでは、既に県下の十七市町村が校内での焼却処理を廃止する方針を打ち出していると承知しております。 45: ◯知事鈴木礼治君) 行政合理化の問題でありますが、民間におきましても、経営改善、リストラを手がけられておりますように、行政といたしましても、常に社会経済情勢の変化に柔軟に対応し、簡素で効率的な運営ができますよう不断の見直しをしなければなりません。  で、県の行政改革を推進するに当たりましては、極力行政サービスの低下を招かないようにすることは当然、もちろんでありますが、一層の行政サービス向上を図ることを基本として取り組んでまいりたい、かように存じます。 46: ◯九十番(和出徳一君) あと三分間、私に与えられた時間がございます。最大限再質問をしたいと思います。  行革関連で質問します。  県の新行革大綱の二ヵ年の進行に対する私の認識に誤りがないと御答弁いただきました。残されたあと一年間を見直すためにも、詳細な二ヵ年の実績結果を発表すべきだと思いますが、発表するとすればいつごろになるでしょうか。  次に、政府による制度的補助金の見直し等は極めて残念な、極めてとはおっしゃらなかったが、大変困ることであるという意味の答弁をされました。あらゆる機会をとらえて国へ物を申すことが必要だと考えますが、決意のほどをお示しください。  ガイドラインの関連につきましては、アメリカ軍機が民間空港である名古屋空港に寄港している事実を、私の挙げた数字全部認められました。新空港建設、一元化問題の中でかかる事態の発生があってはなりません。強力な対応が求められておると思いますが、所信をお示しいただきたいのであります。  ごみ問題に関しましては、今後の推移をじっと見守りたいと存じます。  藤前干潟周辺と汐川干潟につきましては、昨年十二月十二日付、環境庁自然保護局長の知事あて通知によりますと、県における第八次鳥獣保護事業計画の作業は、国設鳥獣保護区との調整に留意してほしいとあります。  県として、近い将来、未設定になっておるこの二つの干潟について何とかなくすべきだと考えますが、その御努力をなさる御意思があるかどうか、お尋ねします。  以上、再質問しましたが、答弁の中には肯定しがたい多くの問題が決して少なくございません。それらの問題につきましては今後の機会に譲ることとし、以上をもって私の発言を終わります。 47: ◯参事(中島靖二君) 愛知県の行政改革推進計画につきましては、毎年度公表をすることといたしておりまして、本年度におきましても、昨年と同様、この十月の上旬、中旬をめどに公表をすることにいたしております。 48: ◯総務部長河内弘明君) 補助金の問題等につきまして、必要と考えられることにつきましては、いろいろな機会をとらえて国へ働きかけてまいりたいと考えております。 49: ◯企画部長高橋貞二君) 先ほど答弁しましたとおり、米軍機の空港を使用することにつきましては、国レベルの話でありますので、県としては関与してないところであります。いずれにいたしましても、今後の事態の推移を見守りながら対応していきたいと思っております。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 50: ◯五番(青山秋男君) 暫時休憩されたいという動議を……。     [九十番和出徳一議員、「議長、議事進行、議事進行」と発言] 51: ◯五番(青山秋男君) (続)提出いたします。     [「賛成」と呼ぶ者あり]     [九十番和出徳一議員、「議長、議事進行」と発言] 52: ◯議長(大見志朗君) 答弁漏れはありませんか。     [九十番和出徳一議員「議長、答弁漏れがあるんだ、答弁漏れが」と発言] 53: ◯議長(大見志朗君) 青山秋男君。 54: ◯五番(青山秋男君) 議事進行をかける猶予を与えました。私はそれを、時間を置いて議事進行をかけさせていただきましたので、よろしくお計らいをいただきたいと思います。 55: ◯議長(大見志朗君) 青山秋男君の動議のとおり決しまして御異義ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり] 56: ◯議長(大見志朗君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後三時一分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時五十二分開議 57: ◯議長(大見志朗君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  秋田政幸君。     [二十番秋田政幸君登壇](拍手) 58: ◯二十番(秋田政幸君) 議長のお許しをいただき、二点にわたりまして質問をいたします。  まず第一問目は、本議会に提案されております県営住宅条例の一部改正案に関連して、公営住宅法改正に伴う本県の対応についてお尋ねいたします。  昭和二十六年に制定されました公営住宅法に基づく公営住宅制度は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定と、さらには居住水準の向上に極めて大きな役割を果たしてまいりました。本県では、平成八年度末で約六万戸の県営住宅を有し、市町村営住宅約八万戸を合わせて、県全体では十四万戸の公営住宅が存在しております。  平成五年の住宅統計調査では、県下の居住世帯のある住宅総数は約二百十五万戸でありますので、全世帯の約六・五%の方々が公営住宅に居住していることになります。しかしながら、法制定以来四十数年を経て、公営住宅を取り巻く昨今の状況は、新設住宅の土地取得費や建設工事費の上昇に伴う家賃の高額化、その一方で、入居者の高齢化に伴う家賃負担能力の低下等さまざまな問題を生じております。二十一世紀を間近に控えた現在、急速な高齢化など大きく変化する社会経済情勢に対応し、高齢化や障害者等、真に住宅に困窮する者に対して良好な居住環境を整えた公営住宅の的確な活用を図っていくことがより一層必要となってまいります。  このような観点から、昨年、公営住宅法の抜本的な改正が行われたことは御承知のとおりであります。改正法では、本格的な長寿社会の到来に備え、高齢化等、真に住宅に困窮する者の居住の安定を図っていくため、まず、現行の第一種、第二種の種別区分を廃止し、入居収入基準を一本化しております。その上、五十歳以上の高齢者予備軍を含めた高齢者あるいは身体障害者等については、事業主体の裁量で政令の定める上限まで引き上げることができるとされております。  また、家賃制度におきましても、現行の建設工事費や土地取得費をもとに家賃限度額を算定し、その範囲内で家賃を決定するいわゆる原価方式から、新制度では、入居者の収入に基づく適正家賃負担額と住宅から受ける便益とを組み合わせた形で毎年度入居者ごとに家賃を決定する、いわゆる応能応益家賃制度に改正されております。この結果、入居者の収入の変動に応じたきめ細かな家賃設定が可能となったわけであります。  この新家賃制度におきましては、基本的に、国の定める算定式によって家賃を決定することになりますが、法令上、事業主体がその裁量で個々の住宅の存する区域の状況や当該住宅の設備等を勘案して一・〇から〇・七の範囲内で設定することができる利便性係数が認められております。さらに今回の改正では、公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲で、建設大臣の承認を得て既設の公営住宅の入居収入基準を上回る所得のある中堅所得者等を入居させることができる、いわゆるみなし特定公共賃貸住宅制度が創設されております。改正法の適用につきましては平成七年度建設以前の既設住宅については平成十年四月一日とされており、全面的な法適用は来年度となります。  以上のような法令の改正内容を受け、今回の条例改正案が提案されていると思います。その内容についてお尋ねをいたします。  まず第一点は、この家賃制度の大改正に伴い、県営住宅入居者の方々の家賃負担額はどのように変動していくのか。  第二に、これに関連して、本県では家賃算定上利便性係数はどのように設定されるのか。また、現行の福祉世帯や低額所得世帯の方々のための家賃の減免制度は存続されていくのか、それぞれお尋ねをいたします。  第三に、高齢者あるいは障害者の方々への配慮として、政令で定める入居収入基準の引き上げをどのように設定されるのか。また、このような入居者資格の改正や家賃制度の改正によって将来的に入居者の階層がかなり偏り、団地の良好なコミュニティーの形成に支障を来すおそれが生じないとも限りません。住宅団地活性化の面から対応策を考えてみえるのか、お尋ねをいたします。  最後に、これら公営住宅制度の改正、そして本県特有の問題として、県営住宅の空き家が年々増加している現況を踏まえて、今後、公営住宅である県営住宅と特定優良賃貸住宅との役割分担を明確にしつつ、県営住宅の建設にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。  次に、二問目といたしまして、風水害対策についてお尋ねをいたします。  明日九月二十六日は、本県に未曾有の被害をもたらした伊勢湾台風の災害から三十八年目の日であります。三十八年もの長い歳月がたったものの、私を初め、まだ多くの方々が忘れ得ぬ大惨事でありました。阪神・淡路大震災を契機に、とかく地震対策ばかりが注目を集めているところでありますが、過去に災害対策基本法の法律が設定されるきっかけとなった伊勢湾台風災害や四七豪雨災害など風水害の災害履歴を持つこの地域にとっては、忘れられないのが風水害対策であります。  日本の国土は山が多く、平野が少なく、河川の勾配が急であるため、元来、水害や土石流災害などが発生しやすい地形となっております。全国的に、伊勢湾台風を契機に砂防ダムの建設や河川、海岸堤防の改修など基盤整備事業が行われ、以前に比べれば、こうした整備は格段の進歩でありますが、一方では、近年、都市への人口集中に伴い、都市周辺の田畑などの低地や丘陵地まで広範囲にわたって開発が進み、遊水池としての機能を持っていたところが宅地に取ってかわられ、時間雨量が数十ミリの雨にもかかわらず、浸水被害やがけ崩れ、家屋の倒壊などの災害が発生しております。近年の特徴であるいわゆる都市型災害と言うべき新たな災害を招いている現況であります。  ことしは、六月に台風が二個も本土に上陸するなど、異常気象と言われておりますが、本県におきましても、六月二十日に豊橋市に上陸した台風七号は、三河地方を中心に強い風雨をもたらし、また、その後の梅雨前線の停滞により総雨量が相当の量に達し、がけ崩れなどの土砂災害が数多く発生したところであります。また、さきの九月十四日から十五日の休日にかけ、台風十九号に伴う秋雨前線が活発化したことによって、十五日未明から午前中にかけて強い雨が降り、一色町では総雨量二百四十二ミリ、知立市では二百二十八ミリ、安城市では二百十七ミリとなり、特に安城市では一時間に最大五十六ミリの豪雨を記録しました。  このような状況の中で、関係市町村は災害対策本部を設置し、警戒に当たったわけでありますが、西三河南部を中心に、床上浸水二十八棟、床下浸水四百三十棟、計約四百六十棟が浸水し、知立市や刈谷市、高浜市では計二十二世帯、七十二人の方々が一時自主的に避難されたと聞き及んでおります。被害者の方々は、水が減り始めますと、とりあえずほっとした、今後の雨が心配だといった報道もあったわけであります。  今回この浸水被害は、近年の都市型災害の典型とも言えるもので、幾つかの原因を指摘できるものであります。この地域は上流域が台地状となっており、そこに市街地が進展し、洪水の流出増の原因にもなっております。あわせて、最近では宅地開発が地盤が低い地域へと進んでおり、水害の危険性が内在している傾向もあります。  浸水の原因として考えられるものは、一部河川にかかる橋によって河川の川幅がネックとなっていることや、河川そのものの水を流す能力の不足による溢水、また、河川沿いの低地にある水路の排水不良等面的な整備のおくれによる溢水、はんらんが発生したものと思われます。西三河地方などで地盤が低い地域の河川は、今回の浸水だけでなく、平成三年の尾張、西三河にわたる一万六千五百棟に上る浸水被害など、過去にもたび重なる被害が発生しておりまして、県内の低地の河川についての改修はまだまだおくれていると判断せざるを得ません。  また、土砂災害については、今回の台風十九号による豪雨のために、鹿児島県では裏山が崩壊し、人家が埋まり、三名の方がお亡くなりになりました。また、宮崎県でも同様、一名の方が犠牲になったという大変な惨事の現場をテレビニュースで見たものであります。  このように、ことしに入って全国的に大きな土砂災害が数多く発生しております。五月十日に秋田県鹿角市の熊沢川の土石流災害では、的確な対応で事前に避難をし、幸いにも人的被害はなかったものの、温泉宿などに多大な被害をもたらしました。七月十日には梅雨前線による集中豪雨で、鹿児島県出水市針原川において発生した土石流災害で二十一名のとうとい人命を失っております。また、神戸市では、がけ崩れによる被害者も出ておるところであります。  本県では、冒頭申し上げました昭和四十七年七月の西三河山間部の小原村、藤岡村を中心とする災害では、土砂災害等により六十八名の死者、行方不明者を出しており、平成元年九月の旭町を中心とした災害でも、土石流災害により犠牲者を出しております。こうした痛ましい災害は忘れることはできません。  本県は、三河山間部を初め土砂災害などが発生しやすい地形、地質を抱えていると聞いております。災害は、時間、場所を選びません。昼夜を分かたずやってくるわけでありまして、防災体制に万全を期するためには、県の各機関が協力をして各種情報を周知し、関係防災機関に速やかに伝達をする必要があると思います。  防災の基本は、まず人間の命、体を守ること、そして財産を守ることであります。台風、豪雨等はとめることはできませんが、それに備え、万全の対策を講じることによって被害を最小限にすることはできるものであります。  そこで、以下数点についてお尋ねをいたします。  まず、ことしに入って県下における台風、豪雨等による被害状況はどうであったか。また、公共土木施設の被害はどうであったかをお尋ねいたします。  次に、県下に土砂災害危険箇所はどれぐらいあり、その対策はどのようになっているのか。また、整備状況はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。  さらに、本県でも中小河川のはんらんによる浸水被害が多数発生しておりますが、河川災害対策についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。  最後に、災害の発生に備え、県は避難誘導措置を含めどのような体制をとっているのか、お尋ねをいたします。  以上、二点にわたり質問をいたしました。知事初め関係部長の積極的な御答弁をいただきますようお願いいたします。(拍手) 59: ◯建築部長(山中保教君) 公営住宅法の改正に伴います本県の対応につきましてでございます。  まず最初に、このたびの改正に伴いまして、県営住宅入居者の家賃負担額の変動についてでございますが、現段階の試算では、入居者全体のおおむね過半数の世帯の家賃負担額は低下するものと推定をいたしております。  次に、利便性係数の設定方法あるいは福祉、低所得減免制度についてでございますが、新家賃設定のための利便性係数の設定方法につきましては、他の都府県と同様、原則として同一市町村内におきます住宅相互間の立地条件の格差等を係数化をいたしまして設定をいたすことといたしております。  また、福祉世帯や低額所得世帯のための家賃の減免制度につきましては、新家賃制度との整合性を図りつつ、制度を存続させてまいりたいと思っております。  それから次に、高齢者等についての入居収入基準の特例的な設定、あるいはこのことと関連をいたしまして、将来の団地の活性化に向けての対応についてでございます。  高齢者等の方々のための入居収入基準の特例措置に関しましては、政令で定めます上限といたすところでございます。  それから、高齢化の進展に対応いたします団地活性化のための方策といたしましては、みなし特定公共賃貸住宅制度、条例上は特定普通県営住宅と規定しておりますが、この制度を導入をいたしまして、今後幅広く活用することによって、若年世帯等多様な階層の入居を可能といたしますとともに、既設団地の建てかえ事業に際しましては、良好なコミュニティーの形成という観点から、公営住宅のみならず、他の公的住宅の導入を図ってまいりたいと思っております。
     それから、今後の県営住宅の建設につきましての基本的な考え方でございますが、これにつきましては、既設県営住宅の建てかえを中心に、需要動向を十分に勘案をいたしまして、公営住宅である県営住宅等、中堅所得者向けの特別県営住宅を適切に組み合わせて供給をしてまいりたいと思っております。  また、その際には、必要に応じまして住宅の再配置でございますとか、あるいは建てかえ時には一部公社の分譲住宅を導入するなど、団地規模の適正化等も図ってまいりたいというふうに思っております。  さらに、高齢社会に向けまして適切に対応していきますために、市町村の福祉部局と連携をいたしまして、シルバーハウジング事業や既設住宅の高齢者向け改善事業をより一層推進をいたしまして、高齢者等に住みよい県営住宅の整備に努力をしてまいりたいと思っております。 60: ◯総務部長河内弘明君) ことしこれまでの県下の風水害の被害状況でございますけれども、公共施設被害が出ました主なものといたしましては、六月二十日の台風第七号では、住家の一部損壊等八棟、道路、河川、海岸等の被害合わせまして二十七カ所で、被害総額は、土木施設を中心に十五億五千万余円であります。  また、七月九日から十四日にかけての七月梅雨前線豪雨では、名古屋市内、東海市などで床下浸水十五棟、県下各地でがけ崩れ、道路等の被害百十六カ所で、土木や農林水産業施設等の被害総額は四億五千万円余でございます。  それから、九月十五日の台風十九号の被害につきましてでありますが、西三河を中心に九市一町において、住家被害といたしまして床上浸水二十八棟、床下浸水四百三十棟、がけ崩れ三カ所、道路、河川被害三十四カ所であります。被害総額につきましては、住家関係は把握できませんけれども、土木施設を中心に約八億円ぐらいと推定されるところでございます。  次に、県の災害に対する体制でございますけれども、防災計画の定めるところによりまして、災害対策本部を設置し、被害状況の収集、応急対策活動の決定及び防災関係機関相互の連絡調整等を実施することになっておりまして、それら諸活動を迅速に行うために、職員の非常配備体制を整えております。  例えば、大雨洪水注意報が発令された場合、直ちに第一次非常配備体制をとりまして、本庁、地方機関を合わせまして約百名が勤務につきます。また、大雨、洪水、暴風雨等の警報が発令された場合、これは第二次非常配備体制をとりまして、災害対策本部を設置いたしますが、まず第一段階といたしまして、準備体制で約二百三十名、相当規模の災害が発生するおそれがあるときは警戒体制に移行し、約千五百名の職員が警戒及び応急対策のための勤務につくことになっております。さらに、伊勢湾台風のような激甚災害時においては、第三次非常配備体制をとりまして、二万八千余名の職員を動員することになっております。  なお、勤務時間外につきましては、配備指令を一斉伝達するシステム、マルチアンサーシステムでございますけれども、これを活用して非常呼集をいたします。  それから、災害時におきまして人の被害を軽減するためには早目に避難することが必要でございますが、避難の勧告、指示につきましては、現地の現状を一番よく把握できる市町村長が行うこととなりますので、市町村に対しまして気象予警報の迅速な伝達とあわせまして、避難警戒体制の強化を強く呼びかけ、指導をいたしているところでございます。  過去の災害の経験則に学びまして、最近では住民の自主避難が早目に行われる。市町村におきましても、これにこたえて、市町村地域防災計画で事前に指定されております避難所を早目に開くなどの対策を講じているところでございまして、引き続き台風や大雨などに際しまして、時期を逸することのないように、必要に応じた避難誘導措置をとるよう十分な指導を進めてまいりたいと考えております。  今後とも、防災関係機関の緊密な連携のもとに、災害対策が的確かつ円滑に行える体制づくりに努めてまいりたいと考えております。 61: ◯土木部長(伊佐治敏君) 公共土木施設としての災害でございますが、平成九年の災害は、今回の台風十九号関連を含め、四回の異常気象により発生しました。河川、道路等の公共土木施設の被害は八十一件、被害額十六億七千万円でございます。  この被害の主なものは、中小河川の堤防の決壊、河川の消波ブロックの飛散、道路の路側決壊等でございます。このうち、九月十四日から十五日にかけての台風十九号に伴う秋雨前線の降雨による被害は、西三河地方を中心に、現時点で中小河川の堤防の決壊など三十二件、四億六千三百万円でございます。これらの被害につきましては、災害査定を受けまして、確定した後、早期復旧に努めてまいります。  次に、土砂災害危険箇所でございます。大きく三つに分かれまして、土石流危険渓流、地すべり危険箇所、そして急傾斜地崩壊危険箇所がございます。その危険度の高いものから低いもの合わせまして、本県には約三千四百カ所ございます。  まず、土石流危険渓流でございますが、千百八十四渓流把握しております。現在、砂防ダムが一基以上設置されているのは百八十五渓流でありまして、土砂整備率と申しますが、整備率が二〇%でございます。現在、二十六渓流で砂防ダムを建設中であります。また、今年度を初年度とする第九次治水事業五箇年計画におきまして、十三年度までに五十渓流に砂防ダムを完成し、土砂整備率を二五%に上げる目標としております。  次に、地すべり危険箇所は三十カ所把握しております。このうち、地すべり防止区域として二十一カ所を指定し、現在、十五カ所は集水井等対策工事が完了し、第九次治水事業五箇年計画でさらに二カ所を完了する予定であります。  次に、急傾斜地崩壊危険箇所、これは施設の整備を要する箇所といたしまして千九百十五カ所把握しておりまして、八年度末までに四百九十四カ所が急傾斜地崩壊危険区域として指定済みであり、このうち三百七十五カ所は擁壁工等の対策工事が完了し、整備率は二〇%でございます。さらに、現在八十九カ所が施行中であります。  なお、来年度を初年度とする第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画を、現在、国において策定中でありますが、この計画により、十四年度までに四十四カ所を完了する予定であり、本県の整備率は二二%になる見込みであります。  また、これらの対策工事には多大な経費と期間を要するために、土砂災害危険箇所マップの配布並びに表示板の設置、地域住民の参加による斜面懇談会の開催等によりまして、地域住民への防災知識の普及、危険箇所の周知徹底を図っております。  さらに、市町村の行う警戒、避難の支援として雨量情報などを提供するテレメーター雨量計設置など、情報基盤の整備を今年度から十二年度を目標に進めております。  次に、最後に、河川災害対策でございます。  国庫補助事業、県単独事業及び法人事業税の超過課税による事業等によりまして改修を鋭意進めさせていただいております。  また、県下の平野部及び丘陵地を中心に都市化が進展し、流域の保水、遊水機能の低下を招いております。  そうした中で、平成三年九月、尾張、西三河の水害や今回の西三河を中心とした水害も発生しました。こうした被害を未然に防止するため、河川改修につきましては、主要区間千三百キロメーターに対しまして時間雨量五十ミリ対応の改修を当面の計画としており、これに対する現在の整備率が四四%でございます。これを二十一世紀初頭には五〇%以上に引き上げることを目標にしております。特に、浸水被害の多い低平地の河川につきましては、内水管理者と調整をしながら、今後とも河川改修を進めてまいります。  また、河道の整備のみでは時間がかかる場合、効果を早くあらわすためには、遊水池等を設置するなどの総合的な対策も講じてまいりたいと存じております。  以上でございます。 62: ◯知事鈴木礼治君) 公営住宅制度の改正についてお答えいたしますが、この改正に伴いまして、家賃の設定の仕組みも大変大きく変更されます。  福祉世帯や低額所得世帯、低額所得世帯の方々のための県営住宅家賃の減額制度、今やっておりますが、これはこれからも継続してまいります。  それから、現在、県営住宅にお住まいの方々の居住の安定に十分配慮をして、来るべき高齢社会の到来に備えまして、建てかえの推進、それから高齢者向けの改善事業等に積極的に取り組みまして、県民全体の貴重な財産でございます県営住宅を今後より一層有効に活用してまいりたいと、かように考えます。 63: ◯二十番(秋田政幸君) それぞれ知事初め関係部長から的確なる御答弁をいただきましたので、二問目は要望とさせていただきたいと思います。  県営住宅については、ぜひとも今後計画的に、県民のニーズに合致した内容のもの、そしてまた県全域からのバランスのとれた位置への配置、そういったことを考慮して、計画的に建設をしていただきたいというふうに思います。  二番目の防災対策に対しましては、鋭意、ただいま御報告をいただきましたとおりに整備がされつつあるわけでありますが、計画的にぜひとも実施をこれからも続けていただきたいと思います。  特に、災害時の避難勧告指示でありますけれども、より早く、よく適切に行わなければなりません。そして、今の御報告のとおりに、各市町村長が判断をされるところでありますけれども、災害は一定のパターンはなく、ケース・バイ・ケース、いろんな複雑な要素が絡み合って災害が発生してくるわけであります。果たして各地域で、安全で確実な避難の指示、誘導がなされているのか、あるいは避難場所が各地それぞれ地域における箇所数の問題が確実に確保されておるのか、あるいは質的なものがどうであるのか。これら判断するときに、一つは心配なところがあるわけであります。今後一層強固な県の御指導を、各市町村にもさらに一層の積極的な指導体制をおとりいただきたい。  こんな要望をさせていただきまして、質問を終了いたします。 64: ◯議長(大見志朗君) 進行いたします。  原田信夫君。     [二十六番原田信夫君登壇](拍手) 65: ◯二十六番(原田信夫君) 冒頭に一言お礼を申し上げたいというふうに思います。  昨年の六月議会におきまして、統計資料室の改善を求めましたところ、先ごろ、自治センターの二階に立派に仕上げていただきましたことを、関係者当局に感謝をまず申し上げておきたいと思います。  本題に入ります。  まず最初に、地方分権と政府の行政改革についてであります。  今日の地方分権の動きは、ただ単に中央財政の歳出削減の延長線上にとどまらず、中央、地方を通じたリエンジニアリング、すなわち、仕事のやり方を親と子の関係から兄弟あるいは共同体へと切りかえる抜本的なもので、変革でございます。注視しておりました地方分権推進委員会の第二次の勧告は、補助金の一部廃止に加えまして、法定外普通税の許可制度の廃止や、法定外目的税の創設など若干の改善は見られております。  しかし、地方が最も熱い視線を当てておりました国庫補助金や地方交付税交付金など、税源の地方への移譲は、国と地方の役割分担を踏まえ、中・長期的な税源配分のあり方を今後検討するということで見送られております。地方サイドの期待にこたえられる内容にはなっておりません。  私は、国が外交や防衛などの基幹部分を担って、地方自治体が社会情勢や生活様式の変化に合わせ、地域住民のニーズにこたえることが求められている現状や、地方分権に伴い、地方がそれにふさわしい自主的な財源や権限を持つべきだと考えております。  それには、少なくても現在の国七、地方三という名目財源配分を、補助金や地方交付税交付金などで約三十六兆円、これは九七年度国の予算でございますけれども、これが地方に還元されているという実態を踏まえて、最低でも名目比率を逆転させることが不可欠だと私は思っております。現在の税の配分体系の特徴といたしまして、規模が小さく、財政力の弱い市町村ほど補助金や交付金が厚く、産業の振興を図るなどして自前で税財源を高めている自治体ほどそれが薄いというのが実態でございます。  また、税制面でも、真に財源が必要であれば、超過課税制度の範囲内で税収をふやす道はありますが、実際にそれを地方が行使をするということは非常に難しいという実情があります。  これらに対して、首長に対するマスコミのアンケート調査結果などを見ますと、補助金や交付金に対する意見が大きく分かれる原因となっておりまして、地方分権をしっかり地方が受けとめるための基礎的条件としての弱さを露呈しているのが実態でございます。  そこで質問します。第二次勧告における地方税などの充実確保に対する評価と、国と地方の税財源の確保、配分に対する基本的な考え方をまず聞いておきたいと思います。  次に、政府の行政改革会議の中間報告についてでございます。  九月三日に政府の行政改革会議の中間報告が発表されました。この報告では、この国の形の再構築、簡素、効率的、透明な政府の実現を理念としております。また、具体的な内容を見ますと、中央の変化を地方がただ漫然と見ているだけでは、これから先到底おぼつかない。この変化を受けとめるだけの体制準備はもとより、組織の簡素化や効率的な運営が焦眉の急となっております。  第一には、省庁再編との関係で、縦割り行政の弊害、各部間の調整システムなど、従来型の問題を克服する組織体制のあり方です。目的別の大くくりの省庁再編は、地方行政にどうインパクトを与え、何がどう変化していくかなどを的確に把握する必要があります。また、これは本県の総務部を初め、十一部一直轄の知事部局に加えまして、教育委員会、公安委員会などの行政機構の中での組織単位の見直しを初め、各部がそれぞれが持つ企画立案、業務実行、調整機能の整理など、本県の効率的な事務推進にどうこれが活用可能なのかの検討が求められるわけでございます。  第二には、行政が直接手をつけねばならない仕事と、民間などへの委託や外注化などのアウトソーシングについてでございます。  高齢化社会を迎えまして、各種の福祉事業など県が行うべき業務は年を追って拡大をしておりまして、そうした業務の増への対処は、片方で合理化を行いながらという、いわゆるスクラップ・アンド・ビルトが基本です。また、新しく発生する業務や施設の運営管理は、公社や協会などの関係団体に、そこからさらに民間に委託する方式が一般的でございます。私は、今後もこうした対応がますます増加することから、その基本的な考え方の整理が今後必要になってくるというふうに思っております。  第三には、独立行政法人の制度設計で示されておりますけれども、事業や業務を運営する場合の目標と結果を明確にするルール、評価基準づくり、さらには自立性や自発性を高めるための仕組み、すなわち刺激、インセンティブ機能、これの導入などでございます。  行政サービスや公共事業の成果を数値化して行政のむだを省く試みが、茨城県やお隣の三重県などで実施されております。とりわけ三重県では、投下した予算の効果を示す事業評価制度を九七年度から取り入れまして、予算の節約はもとより、前例踏襲に流されない客観的な判断基準としても使っております。加えてもっと注目すべきは、単年度の使い切り予算をやめて、それぞれの部局で節約した分は所属部門でそれを使っていく方式を取り入れております。縦割り予算を横軸にして、文化、情報、環境など二十三の事業別分類を縦軸にして、マトリックスで見ていく方式も取り入れられております。したがって、こうした考え方やシステムを独立行政法人に限らず、愛知県の行政にもしっかり組み込んでいくことが大切ではないかと考えております。  そこで質問いたします。政府の行政改革会議の中間報告の柱の一つであります業務の外注化、事業や業務の運営のルールや評価基準などについての考え方を聞いておきたいと思います。  次に、大きな二つ目の質問に移ります。  愛知県の行革、小さな行政で効果的なサービスの実現に向けまして、第一には、仕事の合理化と職員の削減についてでございます。財政を硬直化させる義務的経費、とりわけ歳出の三分の一を占めます人件費の問題でございます。  ここ十年間で国家公務員は二万人、一・七%、それから都道府県職員は三万人、一・八%の減になっております。また、同様の状態で計算した本県の場合は、千六百六十二人、二・一%の減。県が出資、職員を派遣、業務の委託などを考慮した関係団体三十八の職員数の数を含めても一・九%の減と、国や他の都道府県との比較においては、愛知県の場合は過去三回の合理化が功を奏し、まさにその努力の結果があらわれているということは大いに評価しておかなきゃならないことでございます。  しかしながら、今後、本県が財政面からの制約が強まるもとで、大きなプロジェクトの推進に多大な費用を要するなどの観点からいたしますと、人員削減を初め、もっともっと努力していかなければならないことは確かでございます。  昭和五十年以降、これまで県の合理化は四回にわたって行われております。昭和五十一年度三%、五十五年度二%の一律削減方式、それから五十七年度と平成八年度は、それぞれ五%、三%の事務量削減という目標方式をとってきております。一律削減から事務量の減に重点を置いた直近二回のやり方は一歩前進と言えますが、合理化を進める基本が仕事の量、質、それと人との関係にあることからいたしますれば、本質的には一律と余り変わりがないと私は思います。  本当に合理化を推し進めるためには、事務事業の質、量はもちろんのことでございますけれども、人的パワーなどが正確に把握され、それを推進する職員に理解、納得されねばならないと私は思っております。その作業は、現状の組織体制ではとてもできるものではないし、多くを望むことは困難だと思います。したがって、私は、財政部に、財政部門に匹敵するくらいの調査能力や強い権限を持った部署が必要なのではないかと、このように考えているところでございます。  また、合理化はどのような仕事の方法が効果的で重複が避けられるのか。何が一番利用者、住民にとって喜ばれるのか、こういう問題などが現場から自然にわき上がってくるのが理想的であります。その意味では、昭和六十二年度、六百三十四件ありました改善提案が、ここ二年間は四百件そこその状態で推移をしておるわけでございまして、これに加えて、自主改善運動のサークルも、これは五十程度でずっと推移いたしているという実態からすれば、私は、やや物足りないという気をしております。こうした活動にもっともっと力を入れて、積極的にこれらが機能する仕組みをつくることが大事なんだろうと、このように思っております。  この十年間に採用した県職員は、昭和六十年に大卒、短大卒が八一%、高卒一九%でしたが、平成八年にはこれが九三%対七%で、圧倒的に前者が多くなっておりまして、知識や教養などに一段と磨きがかけられた、ポテンシャルでは申し分のない有為な人材を採用いたしております。     [「それはわからぬ」と呼ぶ者あり] 66: ◯二十六番(原田信夫君) (続)大丈夫です。年齢構成にいたしましても、民間企業がうらやむほど、中・長期的にも極めて理想的な形を維持しております。こうした職員が持つパワーを長期的に担保できるということは非常に大きな財産と言えます。  そこで質問いたします。合理化の目標並びに計画の設定と、それを具体的に推進する強い権限を持つなどの組織体制のあり方。それから、具体的な改善活動のこれまでの実績、今後の支援体制などについての県当局の考え方を聞いておきたいと思います。  第二には、合理化を成功させる風土づくりについてであります。  立派な合理化計画を効果的に実施、実現できるかどうかは、最後にそれを実践する人にかかっているということはさきに述べましたが、口で言うほど簡単ではないことだけは確かであります。合理化は、みずからの仕事をきつくして、果てはみずからの雇用すらも危うくすると職員が本気で思ったり、ただ単に財政の要請や公務員だから、こういう理由だけでは、とてもじゃないがやれるものではないというふうに思っております。  すなわち、事務の整理、集約化などが労働時間や個々の負荷を軽減し、仕事の高度化、あるいはスパンの拡大は、みずからの責任と権限が増し、そこに充実感が生まれてくる。もっと言えば、価値ある仕事、すなわち社会的役割を自覚できるような形にしていかなければいけないと私は思っております。  また、行政という村社会を称してよく言われますのは、採算を考慮しない、横並びで競争をしない、前例踏襲で新しい挑戦はしないということです。こうした批判がそのまま改革すべき風土として挙げられるわけでございますけれども、長年にわたり営々と積み重ねてきた実績や組織体制のもとで培われた風土を批判され、急に変えるべきだ、あるいは変われとか言われましても、すぐにはできるものではないと私は思っております。  それには、合理化の必要性や計画内容を内部のミーティングや話し合い、研修の積み重ね、さらには上下関係の厳しい職制機構で意見が出にくいならば、労働組合と当局側が公式、非公式に意見交換をするなど、相当な時間をかけての努力が重要となります。計画書には基本的な考え方や目標、取り組みの進め方などが記載されておりますが、決まったものを義務として行うという、極めて淡々とした印象を受けます。  その中で唯一、勤務条件に関連する事項で、職員団体とも十分に話し合うという箇所が目につきましたけれども、私には、これを進めるに当たって最も重要な点の配慮が欠けているのではないか、このように受けとめております。  もっと言えば、民間企業などがこうした合理化を行う場合には、気の遠くなるような時間を話し合いに費やし、かつ研修などには相当な財源をも消費していることも認識すべきだと思っております。急がば回れです。もっともっとそうした時間や機会をつくる努力が私は大切だと思っております。  さて、質問です。内部での話し合いや研修などに時間をかけながら合理化推進に向けました県庁の風土づくりの必要性、さらには今後の進め方に対する考え方を聞いておきたいと思います。  第三には、納得的な合理化を実現する条件についてでございます。  人が納得的に動く、働くには、人事管理と処遇がどれだけ整備されているかによります。それにインパクトを与える動きとしては、縦割りから横の連携が重視されること、簡単かつ単純な業務は先々減少していくこと、それから、電子機器がますます整備促進されること、それから、組織のフラット化が進むことなどが考えられます。また、本県の役職構成における課長、課長補佐、主査の中間管理層の中膨れ、上ずり、こういうことに加えて、住民の近くでの早期決定が求められること。それから、責任と権限の現場への移行などの変化があります。  これらを納得的に実施していくには、あるいは対応していくためには、こうした変化に合わせた人のローテーションや適正配置など、いわゆる適切な人の配置や昇進などの人事管理が大切になります。今までそれなりに機能してまいりました人事管理や処遇制度でありましても、その前提条件に大きな変化が生じ、今後もそれが加速されていくことなどを考えますれば、見直すべき点は少なくないものと私は考えております。  一方、人の処遇などの問題でございます。今の処遇システムは、年次管理を基準に置きながら、役職や給与が決められているのが実態です。一生懸命努力する者とそうでない者との扱いは、役職昇進とそれによる自動的な給与水準の変化のみと言っても過言ではありません。年功序列体系の、賃金体系の地方公務員給与に成績考課を入れ込む余地はわずかであります。しかも、そのわずかな部分もほとんど活用されていないというのが実情です。積極的に仕事を企画し実践しても、それが十分に評価されず、成功してもねたまれ、しかも失敗のリスクだけは大きいということになれば、どうしても職員の持つ優秀な力を、結局は引き出し得ないというふうに思っております。  まずは、原資は人事委員会の決定を踏まえつつ、月例給与、賞与などに成績考課を積極的に導入すべきであり、二つには、よい環境でよりよい行政サービスを発揮してもらうために、職員の働く場所や一息入れるスペースなどの確保、各種電子機器の整備などで労働環境を改善することも大切です。  三つには、行革に協力してコストを下げて得られた一定の成果の措置の仕方です。民間なら、その成果は企業の設備投資へのオン、それから従業員の処遇改善、さらには株主への還元といった形にその財源は回ります。県だって同じだと思っております。成果は県民、職員、県行政でそれぞれ適正に配分できる制度や運用を考えて堂々と実施すればいいと私は思っております。  すなわち、節約できた成果を、これは一つの例でございますけれども、三等分し、県民に還元するという意味では一般会計に三分の一、それから各部局には、事業費の繰り越しとして自由裁量に任せるのが三分の一、残りの三分の一は、職員のボーナスやそういうものに上積みをしていくぐらいのインセンティブがあっても私はいいというふうに思っております。  そこで質問いたします。合理化を納得的に推進するための今後の人事配置や役職制度のあり方、給与、期末手当などへの成績考課の導入、合理化成果の還元方法などについて、県当局の考え方を聞いておきます。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 67: ◯議長(大見志朗君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] 68: ◯議長(大見志朗君) 御異議なしと認めます。  よって、時間は延長することに決定いたしました。 69: ◯総務部長河内弘明君) 地方分権と地方税財源のあり方についてでございますけれども、地方分権を実現していくためには、その裏づけとなります地方税財源の充実が必要不可欠でございます。  地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小する必要性、あるいは国から地方への事務移譲が行われた場合には、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源を確保していくことなどが記述されておりまして、分権に伴う財源措置の重要性はある程度認識されているものの、その具体的内容が示されなかったことは不十分でありまして、今後に大きな課題を残しておるというふうに思います。  本県といたしましては、勧告の趣旨に沿って地方税財源の充実が具体的に、かつ着実に推進されるよう、引き続き国に強く働きかけてまいらなければならないというふうに存じております。  また、国と地方の税財源の配分に対する基本的な考え方についてでございますけれども、本来、地方自治の立場からは、地方公共団体の行政活動に要する経費の財源は、その地域の地方税収入によって調達されることが望ましいわけでございます。  しかしながら、地域ごとの経済力には格差がございまして、税源が偏在している現状から、行政水準の地域格差を是正するために、国税の一定割合を地方交付税として配分することによりまして、地方公共団体間の財源調整を行うことや、国庫補助金により一定の行政水準を確保することは、ある程度はやむを得ないと、そのように考えておるところでございます。  一方、地方交付税や国庫補助金には、税源の涵養など地域振興の努力とか地方の自主性を損なう側面もありますので、今後の方向といたしましては、地方分権を推進し、地方の自主性、自立性を高めていく観点から、地方の根幹的な収入であります地方税を実態に合わせながらより一層充実させていくことが望ましく、そうした方向での制度改正を期待し、また働きかけてまいりたいと考えております。  次に、業務の外注化、事業や事務の運営のルールや評価基準などの考え方についてでございますけれども、これを予算編成の視点で見ますと、本県では従来から愛知県予算編成方式要綱、これによりまして、事業の立案をゼロから出発して計画して見積もっていくことを基本姿勢とするゼロベース予算を基調として行っております。具体的には、各部局における予算編成と事業計画の立案に当たりましては、部局内における個々の事業の優先度や緊急度、期待できる事業効果、さらには目標の達成度や過去の事業実績から見た事業効果を検証しました行政活動計画書を作成いたしまして、ニーズに合った事業選択を行うよう努力をいたしているところでございます。  そして、各部局にまたがります、例えばあいち8か年福祉戦略、産業空洞化防止対策あるいは地震対策、三河湾浄化対策などのそういった共通の行政課題につきましては、予算編成の段階では各部局間の事業を横断的、体系的に検討する作業を行っておりまして、調整を図っているところでございます。  また、経済性や効率性の観点から、民間の活力を積極的に活用することとしており、可能な限り民間委託を行うとともに、県の関係団体への委託につきましても的確に行うように、そのように努力をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、予算編成におきましては、今後とも、常に種々工夫をしてまいりまして、最小の費用で最大の効果が上がるよう一層努力してまいらねばと存じております。  なお、国の行政改革会議の中間報告で打ち出されました独立行政法人での業務の外注化や業務運営ルール、評価基準などにつきましては、行政改革を推進する上で大変重要な問題となっております。この審議検討の動向に大きな関心を持って見守ってまいり、いろいろ勉強もいたしまして、生かせるところは生かしてまいらねばと考えておるところでございます。
    70: ◯参事(中島靖二君) まず、合理化の目標と計画の設定についてのお尋ねでございますが、本県におきましては、毎年度取り組むべき行政合理化計画の策定に当たりましては、事務事業を直接担当いたしております個々各課室の職員の発想をもとにいたしまして部局案をまとめておりますので、その意味では、幅広く職員の意見を踏まえた目標や計画設定を行っておると言えるのではないかと存じます。  次に、組織体制のあり方についてでございますが、本県の合理化への取り組みは、部局の合理化案をもとにいたしまして、十分な庁内調整を行った上で、議会にも参加していただいております行政合理化推進会議にお諮りし、その意見を踏まえて、庁内の関係部局長等で構成いたしております行政改革推進本部で決定をし、実施をいたしておるところでございます。したがいまして、こうした推進体制によりまして、計画は十分実効性あるものとなっておると承知しておりますので、現在のところ、改めて新たな組織を設置する必要はないものと考えております。  次に、具体的な改善活動の実績についてのお尋ねでございますが、お示しの毎年度、私の改善提案募集、自主改善運動などを実施しております。  このうち、私の改善提案募集は、平成五年度から過去四年間に延べ千六百六十九件の提案がございまして、このうち、例えで申しますと、契約事務に関する集計統計作業の電算化とか、浄水場での常時毒物監視装置の開発等六百六十八件が既に実施を見ておりまして、実際に事務の改善に効果を上げておるところでございます。  また、自主改善運動でございますが、昭和六十年度から延べ五百八十一サークルが改善活動に取り組んでおりまして、それぞれの所属におきまして、例えば案内表示板の整備とか、職場環境の整備等、県民サービスの向上や事務の効率化、簡素化に効果を上げておるところでございます。  次に、今後の支援体制についてでございますが、さまざまな機会を活用いたしまして、改善効果の発表の場の拡大を図るとともに、これは部局レベルでの職場の改善活動を推進するために設置をいたしております部局事務改善推進委員会の活性化を図るなどによりまして、職員の自主的な改善活動への支援に努めてまいりたいと存じます。  次に、合理化の推進に向けての県庁の風土づくりと今後の進め方についてでございますが、お示しのとおり、必要にして効果的な合理化を実現するためには、職員一人一人の理解と参加意識が不可欠であると存じます。したがいまして、今後におきましては、さらに職員の合理化への意欲の高揚と参加を促すために、取り組むべき合理化計画の職員への周知徹底を一層図るとともに、自治研修所で実施をいたしております各種の研修や職場での研修を通じまして、職員の合理化意識の高揚に一層努めてまいりたいと考えておるところでございます。  次に、納得的な合理化を実現する条件のうち、合理化を推進するための今後の人事配置や役職制度のあり方についてでございますが、御指摘のように、行政の合理化に積極的に取り組み、適切に対応できる職員を育成し、適材適所に配置していくことが必要でございます。  しかしながら、人事管理のあり方につきましては、今日まで長年培ってまいりました職員配置の基本的な方針や役職制度等の人事管理システムを一朝一夕に直ちに変革させることは困難でありますが、時代の要請に合った新たな人事管理制度のあり方につきましては、今後最優先に取り組んでいかなければならない課題として検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、成績考課の導入につきましては、さきに出されました人事院勧告の中でも、職員の勤労意欲や労使関係の安定に配慮しつつ、個人の能力と実績を重視した給与制度への転換を進めていく必要性が打ち出されております。したがいまして、今後は国の検討状況や他府県の動向等にも十分注目してまいりたいと存じます。  次に、合理化成果の職員への還元についてでありますが、申し上げるまでもございませんが、地方公共団体は最小の経費で最大の効果を上げ、常に組織及び運営の合理化に努めていくことが基本となっております。したがいまして、合理化による成果につきましては、まず住民福祉や行政サービスの向上に振り向けていくことが基本でございますので、職員に対しましては、表彰等の方法により評価することが適当ではなかろうかと理解しておりますので、よろしくお願いをいたします。  以上でございます。 71: ◯知事鈴木礼治君) 地方分権についての御質問でございますが、この地方分権の推進にとりまして、地方税財源の充実確保、これが大きな柱でございまして、本県ではこれまでにも国へ働きかけてまいりましたが、なかなかこれはてきぱきと進みません。ですから、今後も積極的に働きかけてまいりますが、税財源の再配分といいますか、これが一番大事な要素ではないかと、このように思います。  それから、行革会議の中間報告でございますけれども、国の行政改革は、当然でありますけれども、県の行革にも重大な影響があります。したがいまして、特に今回、国の推移を十分に見守ってまいりまして、本県の行政改革の検討にも当然反映させてまいらねばならぬと、かように考えております。  それから、行政改革についてでございますが、議員御指摘のとおり、地についたきめの細かい合理化を確実に進めていくためには、職員一人一人の参加意識とそれから取り組み、これが何よりも大切と存じます。そうした意味におきまして、本県におきまして、これまで職員からの積み上げ方式によります合理化案の作成、あるいは職員の創意工夫を引き出すための自主改善運動や改善提案を実施してまいりました。  今後におきましても、さらにそうした職員の合理化への参加意識の向上や取り組みを助長するための努力を、今後も気をつけて十分に努力を重ねてまいりたいと、かように存じます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 72: ◯六番(結城秀治君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     [「賛成」と呼ぶ者あり] 73: ◯議長(大見志朗君) 結城秀治君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] 74: ◯議長(大見志朗君) 御異議なしと認めます。  明九月二十六日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時七分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...