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  1. 愛知県議会 1992-06-01
    平成4年6月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成4年6月定例会(第3号) 本文 1992-06-25 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 62 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 2 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 3 :  ◯二十四番(木村隆秀君) 選択 4 :  ◯企画部長河内弘明君) 選択 5 :  ◯総務部長青山英次君) 選択 6 :  ◯商工部長市川南君) 選択 7 :  ◯土木部長蛇川雄司君) 選択 8 :  ◯衛生部長小澤和郎君) 選択 9 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 10 :  ◯二十四番(木村隆秀君) 選択 11 :  ◯衛生部長小澤和郎君) 選択 12 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 13 :  ◯一番(河瀬敏春君) 選択 14 :  ◯商工部長市川南君) 選択 15 :  ◯総務部長青山英次君) 選択 16 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 17 :  ◯一番(河瀬敏春君) 選択 18 :  ◯五番(酒井義弘君) 選択 19 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 20 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 21 :  ◯副議長石川紀一君) 選択 22 :  ◯三番(結城秀治君) 選択 23 :  ◯土木部長蛇川雄司君) 選択 24 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 25 :  ◯副議長石川紀一君) 選択 26 :  ◯三十番(小林収君) 選択 27 :  ◯企業庁長(徳安武君) 選択 28 :  ◯企画部長河内弘明君) 選択 29 :  ◯土木部長蛇川雄司君) 選択 30 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 31 :  ◯三十番(小林収君) 選択 32 :  ◯企業庁長(徳安武君) 選択 33 :  ◯土木部長蛇川雄司君) 選択 34 :  ◯副議長石川紀一君) 選択 35 :  ◯十二番(鬼頭英一君) 選択 36 :  ◯建築部長(島崎勉君) 選択 37 :  ◯総務部長青山英次君) 選択 38 :  ◯衛生部長小澤和郎君) 選択 39 :  ◯教育長(野村光宏君) 選択 40 :  ◯労働部長(下方幸夫君) 選択 41 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 42 :  ◯十二番(鬼頭英一君) 選択 43 :  ◯六番(柴田紘一君) 選択 44 :  ◯副議長石川紀一君) 選択 45 :  ◯副議長石川紀一君) 選択 46 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 47 :  ◯四十九番(石田芳弘君) 選択 48 :  ◯企画部長河内弘明君) 選択 49 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 50 :  ◯四十九番(石田芳弘君) 選択 51 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 52 :  ◯七十五番(青木宏之君) 選択 53 :  ◯企画部長河内弘明君) 選択 54 :  ◯農地林務部長(本田正行君) 選択 55 :  ◯農業水産部長(溝口治平君) 選択 56 :  ◯土木部長蛇川雄司君) 選択 57 :  ◯教育長(野村光宏君) 選択 58 :  ◯知事鈴木礼治君) 選択 59 :  ◯七十五番(青木宏之君) 選択 60 :  ◯五番(酒井義弘君) 選択 61 :  ◯議長小田悦雄君) 選択 62 :  ◯議長小田悦雄君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時十三分開議 ◯議長小田悦雄君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百九号議案職員の勤務時間、       休日、休暇等に関する条例及び県の休日に関す       る条例の一部改正についてから第百二十二号議       案公安委員会の委員の選任についてまで 2: ◯議長小田悦雄君) 第百九号議案職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例及び県の休日に関する条例の一部改正についてから第百二十二号議案公安委員会の委員の選任についてまでを一括議題といたします。  直ちに一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  木村隆秀君。     〔二十四番木村隆秀君登壇〕(拍手) 3: ◯二十四番(木村隆秀君) 通告に従いまして、順次質問をしてまいります。  まず初めに、あいち学術研究開発ゾーン構想についてお尋ねをいたします。  私は昭和六十年二月議会において、名古屋東部から豊田にかけての丘陵地帯に、筑波や京阪奈に匹敵する研究学園都市づくりを計画し、二十一世紀に向かい活力ある愛知の基盤づくりの必要性について質問しました。その後、本県を中心とする名古屋圏は、第四次全国総合開発計画において、世界的な産業技術の中枢圏域に位置づけられ、本県におきましては、これまでに高度に集積された技術資源をもとに、二十一世紀に向けて世界的な産業技術拠点へ飛躍を図るために、ファインセラミックスセンターの整備や豊橋におけるサイエンスクリエイト21計画等、各種プロジェクトを推進するとともに、昭和六十三年よりあいち学術研究開発ゾーンを設け、我が国を代表する新たな学術研究開発の場として整備していく構想が打ち立てられ、二十一世紀の科学技術と産業、経済をリードする頭脳集積地域を目指して、次世代科学技術コンプレックス構想、学際・業際融合交流拠点整備構想、国際研究交流推進構想、産業文化ネットワーク構想、高感度・快適居住都市整備構想の五つの将来構想を設定して、その実現に向け、各方面で研究、整備が進められております。  また、世界が第三次技術革新の大きなうねりの中で、本県は昭和六十三年、グローバルテクノフロント愛知を目指す愛知県工業技術振興計画を策定し、この計画の中で提案のあった革新的な技術シーズを創出し、既存産業の高度化、新産業の創生など、地域経済の新たな展開を目指し、本県を中心とするこの地域で取り組むべきフロンティア技術分野の課題について研究を行うとともに、世界的な基盤技術研究所の設立を促進するための具体的なシステムづくりを検討するため、平成元年十二月、早川名古屋大学学長を会長に、経済団体、科学技術振興団体、大学、行政機関の代表等で構成されるあいちフロンティア技術推進会議が発足しました。  その間、高度化、多様化する中小企業の技術ニーズに積極的に対応していくために、公設試験研究機関の機能強化を初め、三県一の企業、産業界、行政機関から成る中部航空宇宙産業技術振興協議会の設立など一定の成果を上げておりますが、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。  現在本県は、昭和五十二年以降十四年連続工業出荷額全国一位、全国の一〇%を占める工業県でありますが、研究開発機能は全国試験研究機関名鑑によりますと、民間企業の研究所数は全国の五・六%にすぎず、必ずしも十分な状況ではありません。県企業庁が造成した日進研究開発団地に日本電装、マキタ、メイテックの研究所が立地するなど活発な動きが見られる一方で、県内主要企業であるマザックのつくば研究学園都市、アイシン精機のフランスのソフィアアンティポリスへの設置等、県外への立地も見られるのであります。  今後、本県が産業技術首都として発展していくためには、地域特性である高度な産業技術の蓄積を生かし、次世代の産業基盤となるフロンティア技術の創出を図らなければなりません。そのためには、研究開発機能を高めていくことが重要となってくるのであります。
     平成二年十二月、早川名古屋大学学長が座長を務め、県下の理・工・医学部を持つ十二大学の学長を中心とする科学技術に関する懇談会から、この地域の学術研究開発機能の高度化に向け、大学間を中心に、産・学・行政間も含めた交流、協力の仕組みづくりと、その受け皿となる複合的研究交流拠点施設の整備が必要との提言がなされました。  また、平成三年三月には、あいちフロンティア技術推進会議から、フロンティア技術創出のための新しい研究の仕組みづくりと複合的研究交流拠点施設の設置、そして、それらを核とした事業展開を行う国際的な産業科学創出の中核推進機関の設立が必要と提言がなされました。  これらの二つの提言は、科学技術交流センター構想として一体化され、平成三年度、その基本構想が策定されたところであります。本年度予算には、科学技術振興予算として六千二百万円が計上され、研究交流、共同研究活動にかかわる調査研究や科学技術交流センターの基本計画策定のための各種調査等が行われております。  そこでお尋ねいたします。  科学技術交流センター構想は、産業技術首都の形成に向けた極めて重要なプロジェクトであると存じますが、本年度予定している基本計画策定の仕組み及びスケジュールについて、まず第一にお尋ねいたします。  質問の第二点目は、科学技術交流センターの事業主体についてであります。  他方自治体が関与する学術研究交流施設は、つくば研究支援センターを初め、各地で整備計画が相次いで具体化しておりますが、その事業主体は株式会社方式の第三セクターが多いようであり、例えば神奈川サイエンスパークは約六百五十億円、京都リサーチパークは七百億円程度と、本県の芸術文化センターに匹敵する大規模なものが既に他県では整備され、また、関西文化学術研究都市では中核施設として、けいはんなプラザが現在整備中でありますが、本県の科学技術交流センターの場合、本年三月に取りまとめられた基本構想では、県が中心となって建設し、行政、民間の出捐による財団が運営していく方式が提案されております。基本構想における事業主体に関するこうした提案を県としてどのように受けとめ、具体化していこうとしてみえるのか、お伺いいたします。  そして第三点目は、このような学術研究開発機能の充実には、優秀な研究人材の確保が大前提となるのであります。研究者が研究しやすい環境整備は、単に研究機能の充実だけでは不十分であると思います。身近なところで絵画を鑑賞できたり、運動を行うことができる住みよい環境も必要ではないでしょうか。そうした点について、科学技術交流センター構想ではどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。  第四点目は、名古屋東部地域では、万博誘致が決定しますと開催地となりますが、万博開催に先行して整備される科学技術交流センターと万博との関連についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  第五点目は、あいち学術研究開発ゾーン内に県立大学が移転しますが、県立大学整備に当たり、この地域の研究開発機能強化に寄与できる整備を進めるべきと思いますけれども、どのように整備されるお考えか、お伺いいたします。  質問の最後として、第六点目は、二十一世紀へ向かい、あいち学術研究開発ゾーン構想を推進するのは、知事がよくお話しされておられるように、我が県が二十一世紀も産業の発展した地域として経済力をつけ、福祉向上を図るためだと考えます。現在、我が県の産業、工業を支えているのは、中小企業の力が大きいと思います。この科学技術交流センターが県下の中小企業にとって有益なものとするために、どのような方策を考えておられるのか、お伺いいたします。  次に、県営都市公園についてお尋ねをいたします。  我が国の公園制度は、明治六年の太政官布告以来百余年の歴史があります。その後の公園整備により、公園の数及び面積が増加し、それに伴い、公園の管理も複雑化してきたため、昭和三十一年、全国の都市公園の管理を統一する管理法として、都市公園法が制定されました。  以来、都市公園の計画、整備等は県と市町村が主体的に行ってきましたが、国、県、市町村がそれぞれの役割を分担するという方策をより明確に打ち出すべきであるという考え方のもと、昭和五十一年に二十年ぶりに都市公園法が改正され、国、県、市町村が都市公園の系統的整備に対する役割を分担し合うこととされました。これにより、全県的な観点から設置される広域公園、全市的な観点から設置される都市基幹公園、市民の身の回りに設置される住区基幹公園というように、都市公園の系統的な整備に関する制度が整ったのであります。  また、第五次都市公園等整備五カ年計画によりますと、大規模公園については広域的な休息、観賞、運動等の需要に対処するため、広域公園にあっては、数都市にわたる区域を対象とし、特に緊要度の高いものを緊急に整備するものとする。この場合においては民間資金の積極的活用を図るものとするとあります。  以上から、県営公園は全県的観点で数都市にわたる区域を対象とし整備することが大切であると考えます。また、愛知県二十一世紀計画によりますと、現在の県営公園の二〇〇〇年整備目標に対する達成率は五五%であり、大幅な整備拡大に向け、あいち健康の森公園や新規広域公園の事業化を推進し、既存県営公園においては、県民のニーズに合わせた老朽化施設の改築等が必要であり、整備を進めるとのことであります。  通常、公園事業に要する費用を算定する場合、整備後の維持管理の費用は含まないことが多く、公園事業に関する国庫補助についても、用地取得及び整備を対象としているため、既存公園の大規模改修が難しいのであります。  しかし、都市公園を快適で安全に利用するためには、既存公園についても適正な維持管理と効果的な再整備を進めることが必要であると考えます。殊に、高齢化や週休二日制の進む中で、私たちのライフスタイルが急速に変化しつつある現在、都市公園の施設も新しいニーズに対応していくべきものと考えます。  都市公園法が制定された昭和三十年代より改正された昭和五十年代初めは、経済の高度成長に代表されるように、物質的な豊かさを求める時代でありました。また、昨今までのバブル経済と言われる好景気により、私たちは安らぎのある快適な生活を求めるようになり、会社より家庭、賃金よりも家族との触れ合いを求め、休暇の増加を望むようになってきました。休日には家族とともに、太陽のさんさんと照りつける緑いっぱいの空間でのんびりと過ごしたいと考える県民のニーズにこたえるためには、県営都市公園のあり方について考えることが必要であると思います。  そこで、県営公園の整備についてお尋ねいたします。  県営公園は全県的観点からの整備が必要であると考えますが、県下の県営公園の位置づけ、整備計画及び改修計画についてどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、大高緑地交通公園を中心に、大高緑地公園についてお伺いいたします。  昭和三十年代後半から四十年代前半にかけて、経済の高度成長とともに、交通量の増大等により交通事故が増加し、第一次交通戦争と言われる状況の中、児童に交通知識及び交通道徳を体得させ、児童の交通安全を図り、ひいては将来の交通事情の緩和と交通事故撲滅のために万全を期すため交通公園が建設され、昭和四十一年十月に開園をしました。  開園当初の昭和四十四年度には五百二十九団体、八万六千七百三十四人の利用者があった交通教室は、平成三年度には三十団体、二千二百四十人と利用者が激減しております。昭和六十二年以降、本県の交通死亡者数は増加の一途をたどり、第二次交通戦争と言われる今日、また、全国ワーストワンの本県の現状を考えるとき、その対策として、信号機の増設等交通安全施設整備のハード面のみでは解決できないのではないでしょうか。交通安全思想の普及等ソフト面での取り組みも必要であると考えます。  そこで、平成三年度の遠足──社会見学の目的地調査によりますと、名古屋市内の小学校二百六十校千五百六十学年のうち百五十学年、その他の地区七十四学年の県内の小学生が社会見学等で大高緑地公園を訪れております。できればこの児童に大高緑地交通公園を利用してもらい、交通安全について、遊びを通じ学習できるように施設の整備を進めていく必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  これまでに展望台等個々の整備について議論されておりますが、全県的観点で、他をまねることなく、大高緑地交通公園を交通の教養施設として再整備すべきであると考えますが、県当局の御所見をお伺いいたします。  また、交通教養施設としての再整備に当たっては、土木部のみではなく、交通問題に取り組んでいる交通対策室や警察本部、また利用する側である教育委員会等関係部局とも連携を持って、整備について検討すべきであると考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。  次に、老人訪問看護制度についてお伺いをいたします。  我が国では、二十一世紀に向けて、世界に類を見ない速度で人口の高齢化が進展しており、厚生省の「老人福祉のてびき」によりますと、平成十二年度には全国で寝たきりのお年寄りが約百万人、在宅の痴呆性のお年寄りが百十二万人程度も見込まれております。このような疾病や負傷等により寝たきり状態の、看護が必要なお年寄りの方々が安心し、生きがいを持って暮らせるためには、自分の身の回りのことは自分自身で行うことができるように、理学療法や作業療法によりその機能を回復させるとともに、家族及び外部からの支援により、住みなれた地域社会や家庭で療養できるようにしてあげることは大変重要であると考えておりますが、幸い、老人保健法の改正により老人訪問看護制度が創設され、平成四年四月一日より施行されました。  この制度は、病状をよく知っている主治医の指示に基づいて、訪問看護ステーションの看護婦等が寝たきりのお年寄りの家庭を訪問して、病状の観察、拭清、洗髪、褥瘡の処置、体位交換、カテーテル等の管理、リハビリテーション、食事、排せつの介助、家族の介護指導等を行うものであります。この制度により、在宅の寝たきりのお年寄りが訪問看護サービスを受ける機会が拡大し、住みなれた家庭において家族の介護を受け、快適な在宅療養ができるようになり、生活の質に配慮した在宅医療の推進が見られるようになりました。  本県の平成元年看護職員需給計画調査によりますと、訪問看護は、病院で四百七十六施設のうち九十二施設、一九・三%、診療所二千四施設のうち百七十施設、八・五%で実施されております。また、平成六年には病院百三十施設、二七・三%、診療所二百五十七施設、一二・八%が実施することを予定していると回答しており、医療機関における訪問看護の実施意欲が高まりつつあるという調査結果が出ております。  また、本県におきましては、昭和六十一年度から老人等在宅看護推進事業として、病院からの訪問看護モデル事業を実施するなど、法改正以前よりこの訪問看護についての研究等がなされており、評価するものであります。  今回の法改正により位置づけられた老人訪間看護制度は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人及び厚生大臣が定める者、公的医療機関の開設者、地域の医師会、看護協会等のうち、以下のような一定の基準により、知事の指定を受けた者が実施することができるのであります。つまり、この老人訪問看護制度により訪問看護ステーションの事業を行うには、人員基準と運営基準とがあり、人員基準では、常勤換算で二・五人以上の保健婦、看護婦・看護士、准看護婦・准看護士を配置し、専従の管理者を置くことになっております。そして、その管理者は、原則として必要な知識、技能を有した保健婦または看護婦、看護士となっております。また運営基準では、管理的事項、設備、備品、手続的事項や利用料その他の事項から成る基準があります。  そこで、人員基準で、一日四時間勤務するパートタイマー型の人を〇・五人の常勤と換算することができるのであり、常勤一人と一日四時間勤務するパートタイマー型の人が三人いれば基準を満たすこととなり、子育て等でパートタイマー型の勤務を希望する看護婦等も訪問看護サービスの担い手となることができるということにつながります。そうしますと、常勤勤務は難しいけれども、看護婦として働くことを希望している人たちが、自分の自由になる時間を積極的に活用することも可能となり、本県におきましても、看護婦確保対策で再就職の促進を立て、取り組んでおられますが、看護婦不足も幾らか緩和されるのではないでしょうか。  そして、安心できる、質のよい訪問看護のためには、再就業しやすい環境づくりとともに、専門的知識、技能のリフレッシュのための講習等が必要になってくると考えられます。そこで、本県では現在、未就業看護職員の調査、登録、未就業看護職員のための講習会、求人、求職に関する相談と指導及び紹介、あっせん等の事業を行っているナースバンクをナースセンターに改組充実し、機能強化に努められるようでありますが、現在の看護研修会館のナースバンクではそれらの事業に十分対応できるか、いささか不安であります。  私は、ナースセンターをより広いスペースが確保でき、県民の方々が利用しやすい交通の便のよいところに移転拡充し、老人訪問看護ステーションに関する相談、情報提供等を本格的に行うとともに、県下の看護業務に関する総合的な窓口として整備すべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、老人訪問看護ステーションの事業の運営に当たっては、市町村等の保健医療福祉サービスとの連携に努めなければなりませんし、また、このサービスは主治医の老人訪問看護指示書に基づき適切に行わなければならないことから、看護婦等は主治医と密接な連携を図らなければならないことになっております。このように、老人訪問看護ステーションは他機関との連携を図ることが極めて重要であります。そのためには、まず、指示書を出す主治医の関係する団体である医師会、訪問看護の担い手である看護婦等の関係する団体である看護協会、そして訪問看護を受けるお年寄りの意見を反映するために、福祉関係者との間でこの連携を図ることのできる方法を考え、さらにこのすばらしい制度がよりよく機能するために、その方策を、市町村を初め関係する機関や、この制度を利用するお年寄りにも広く伝えるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  以上で私の第一問を終わります。(拍手) 4: ◯企画部長河内弘明君) 科学技術交流センター構想についてでございますけれども、これにつきましては、本年三月、このセンターの設置目的や必要な機能、それから施設構成など基本的事項につきまして、基本事項のあり方を明らかにする基本構想を、産・学・行政の関係者の参画を得た基本構想委員会において策定され、取りまとめていただいたところでございます。  引き続き、平成四年度から基本計画作成を進めてまいりますが、そのスケジュールといたしまして、現在、基本計画の基本的な事項につきまして事務的な検討を重ねているところでございます。そうした検討成果をベースに、八月ごろをめどに、計画策定の委員会を発足させ、基本計画の本格的な策定作業に入ってまいりたいと存じております。  次に、事業主体のあり方についてでございますけれども、基本構想策定委員会からは、センターの諸活動を実施する運営面については行政と産業界が中心となり、大学等の協力を得ながら新しい財団をつくる。それからまた、施設の建設面については県が中心となり整備していくことが望ましいとの提言を受けておるところでございます。  この種の施設につきましては、御指摘のように、他県では株式会社方式の第三セクターで整備しているところも多いわけでございますけれども、本県の科学技術交流センターにあっては、あいち学術研究開発ゾーンの中核的、先導的施設として必要な規模をしっかり確保していきたいと考えており、このため、この委員会から示された方式は一つの有力な方向と考えており、今後の基本計画の作成の中でさらに検討を深めてまいりたいと考えております。  それから次に、研究人材の確保に関連しまして、生活環境整備も重要であるということは御指摘のとおりだと存じます。特に、この科学技術交流センターの立地を予定しております万博候補地区一帯は、先般公表させていただきました万博候補地区整備構想調査におきまして、学術研究機能だけではなく、居住や文化、レクリエーション、サービスなどの都市機能を整備し、さまざまな交流が繰り広げられるとともに、生活面でも先進的な取り組みや魅力ある地域づくりを目指した交流未来都市の形成、その方向を打ち出させていただいております。科学技術交流センターをそうした地域整備を進める中に位置づけることによりまして、研究者の方々にも理想的な環境を提供していけるのではないかというふうに考えております。  さらに、この科学技術交流センターと万博との関係でございます。  まず、地域整備の関連で申し上げますと、このセンターは、万博の開催を一つの通過点として、万博候補地区一帯で進められる新しい町づくりの先導的施設としての性格を持ち、万博候補地区一帯をあいち学術研究開発ゾーンの中核地域として整備していく上での牽引役を担うものとして考えていきたいというふうに存ずるところでございます。  また機能面でも、このセンターは交流の中から世界水準の新しい科学技術を創出していくことを目指しておるわけでございますので、この理念は、「技術・文化・交流」という万博のテーマにも合致するものと認識いたしておりまして、こうした点を踏まえまして、万博に先行して整備を目指すこのセンターの交流活動が万博のテーマに沿った情報発信の先行的な取り組みになることを期待してまいりたいと存じておるところでございます。  以上でございます。 5: ◯総務部長青山英次君) あいち学術研究開発ゾーン内に整備を予定しております県立大学の移転整備計画についてでございますが、去る三月に基本構想を策定しました。その主な内容は、社会の急激な情報化、国際化などに対応するため情報科学部を新設するほか、ドイツ学科、中国学科、日本文化学科を設置するとともに、国際比較文化研究科などの大学院を新設し、三学部十二学科、大学院二研究科の大学に整備再編し、平成十年にあいち学術研究開発ゾーン構想の中核地区であります長久手町に移転開学する計画でございます。  特に、その計画の中でも、情報科学部や大学院などの新設は、本県の科学技術等の振興を目的とするあいち学術研究開発ゾーンの構想の推進にも大きく貢献するものと考えております。したがいまして、今後、県立大学の移転整備計画を具体化させてまいります際には、学術研究開発ゾーン構想との関連に十分配慮しながら、計画を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 6: ◯商工部長市川南君) 科学技術交流センターにつきまして、県下の中小企業にとっても有益のものとするために、どのような方策を考えているかというお尋ねでございますけれども、県下の中小企業の技術向上のためには、本県では、商工部関係の六技術センターを中心といたしまして、研究や依頼試験を行いますとともに、技術指導とか巡回指導を通じて中小企業への技術移転に努めてまいったわけでございますが、最近におきます新素材、エレクトロニクス、バイオ、超先端加工分野など新しい分野の技術の台頭と、それと同時に、技術の融合化とか科学と技術の相互作用などと言われるような大規模な技術革新のうねりが、中小企業の事業分野にも、場合によっては企業の存否を左右しかねないほどの大きな影響を与えることになっているわけでございます。  この新しいトレンドに対応するために、中小企業者におきましても、日ごろから技術革新の流れを的確に把握をし、異分野の交流を進め、また新技術分野の開拓を推進することなどが大変重要になってきているわけでございます。県といたしましても、大型の研究開発プロジェクトを各技術センターで進めますとともに、工業技術センター内に開発交流支援棟を建設をし、新しい技術開発や異業種交流の促進を図るなど、中小企業者に対する技術支援を加速しておるわけでございます。  このような大きな技術環境の変化があるわけでございますので、科学技術交流センター交流活動の中でも、先端技術志向のある中堅中小企業の方々にも積極的に参画していただけるような仕組みづくりを考える必要があると存じます。また同時に、工業技術センターの開発交流支援棟の活動と科学技術交流センターの活動が相互に有機的な連携がとれるような仕組みを、基本計画策定の過程でも十分配慮していく必要があると考えております。 7: ◯土木部長蛇川雄司君) 県営公園についてお答えいたします。  県営の都市公園につきましては、現在、県下で九カ所、面積にいたしまして三百六十二ヘクタールを供用しております。愛知県二十一世紀計画では、二十一世紀初頭までに一人当たり都市公園面積を倍増させる目標を持っておりまして、県といたしましても、このうち、広域的な利用を考えた公園の整備が役割かと考えております。  このため、事業中の公園の整備を進める一方、平成三年度からは、知多地区で新たにあいち健康の森公園に事業着手したほか、東三河地域に新規の都市公園の設置を目指すなど、県営公園の適正な配置と整備に努めているところでございます。  また、既存の県営都市公園の改修についてでございますが、早くから整備してまいりました公園施設の中には、老朽化した施設も見受けられますので、施設の改修計画につきましては、県民の多様なニーズをよく把握いたしまして、安らぎと快適な公園として望ましい再整備を進めるとともに、多くの県民の皆様の利便を図ってまいりたいと存じます。  次に、大高緑地の交通公園についてでございますが、この公園は、昭和四十年、児童に交通知識及び交通道徳を体得させる目的で設置いたしまして、長く交通安全教育に貢献してまいりましたが、昨今、身近に市町村の交通公園等の類似した施設が設置されたり、また、学校教育等の中で交通知識や交通道徳を体得する機会がふえてきたことなどによりまして、この公園も新たな交通公園としてのあり方、役割についての見直しが必要になってまいりました。このため、県といたしましては、平成三年度から行っております実態調査を踏まえた上で、関係部局との十分な連携を図りながら、再整備を検討してまいりたいと考えております。 8: ◯衛生部長小澤和郎君) ナースセンターについてのお尋ねでございますが、御指摘がございましたように、本年度からナースバンク事業をナースセンターとして、新たな事業を加えて改組充実することとしております。  当面は、研修会場等も備えました現在の場所で運営をしながら、看護協会の他の事業と切り離すことなく、移動相談、あるいは各地区支部での活動を強化することによって、利用者に御不便をおかけしないよう配慮していきたいと考えております。  しかしながら、ナースセンターには、訪問看護等の看護に関しての研修、病院等の看護婦確保推進に対する援助など、看護婦確保のための幅広い事業を行っていくことが期待されております。今年度、その機能強化について調査検討することとしております。その中で、ただいまの御意見を踏まえたありようを考えてまいりたいと存じます。  次に、訪問看護ステーションでございます。  御指摘のありましたように、保健、医療、福祉のそれぞれのサービスが総合的に提供されるような連携が大切であると考えております。本県では従来から、県レベルでは保健医療福祉調整推進会議を設置するなど、それぞれの段階で協議の場を設けております。この老人訪問看護サービスの提供につきましても、地域におきましては、保健医療福祉関係者によります保健所の保健医療福祉サービス調整推進会議、市町村の高齢者サービス調整チームなどが機能することによりまして、訪問看護ステーションの運営が円滑にされるよう図られております。  県といたしましても、今後とも、こうした協議の場を通じまして、老人訪問看護ステーションの設立、運営が、地域の理解と協力のもとに行われるよう働きかけていきたいと存じております。 9: ◯知事鈴木礼治君) あいち学術研究開発ゾーン、これにつきまして私からもお答えをいたしたいと思いますが、この研究開発ゾーンは、二十世紀中にも精力的にやらねばなりませんが、二十一世紀に入ってからも、これはますます積極的に取り組んでいかなければならない研究開発ゾーンであると、このように考えております。  と申しますのは、産業技術の首都として、私どもの愛知県はやっていくわけでありますが、その中核になりますゾーンが必要でございます。その学術研究開発ゾーンが名古屋の東の方から北部にわたりますあの地域でございます。これの目下のところ、たくさんありますが、このあいち学術研究開発ゾーンの現在のところの一番の目玉の施設と申しますか、事業と申しますか、それが科学技術交流センターであります。ですから、これは場所としては、おおむね万博の会場ないしはそのすぐそばということになります。これは、土地を取得する関係もありまして、今、研究、検討中でございますが、いずれにいたしましても、万博会場近辺に科学技術交流センターの場所をこれから定めまして、そこに交流センターをつくっていくということであります。これはいろいろと有識者からのアドバイスを得まして、これをやるわけでございますが、これは産・学・官、すべてが一緒になって取り組んでいくべきものであると考えております。これがいわゆる開発研究ゾーンの、あいち学術研究開発ゾーンの、またその中核になる施設でありますので、ぜひともこれは立派なものにしたいと。そして、全国、世界からも第一線級の頭脳が集まっていただくにふさわしいものにしなきゃならぬと。  それには、やはりその施設そのものも、当然意を配らなければなりませんけれども、その周りの環境が、そういう頭脳的な方々の集まるにふさわしい環境を持つようなすばらしいところにしなければなりません。そしてまた、そこへ到達するための、名古屋あるいはその他の地域から、あらゆる地域から当該地域へ行きます交通条件、これをそろえなければならないと思っております。幸い、これは東海環状がやがてできてまいりますし、第二東名をその東海環状が受けますし、それから、こちらの方からは瀬戸、グリーンロードの上を、グリーンロードを拡幅しますが、その上に、名古屋瀬戸道路をつくりますし、それから、HSSTの完成を待ちまして、完成というのは実験の完成を待ちまして、できるだけ早くあれを通したいと、実用に供したいと思っております。  そのように交通を便利にする。そうしますと、あの地域の町づくりにつきましても、これは都市構築でありますけれども、頭脳労働者──と言っては、頭脳労働ばかりではありませんが、学者やその他、もろもろの方々が集まるにふさわしい地域に相なるということで考えております。したがって、あの全体の地域全体は、万博会場を中心といたしまして、万博予定地の会場、万博会場予定地を中心といたしまして八つの地区に分けて研究をいたしておりますが、およその面積は二千ヘクタールになります。八つの地区のおよその面積は二千ヘクタールになりますので、非常に広大な地域が、あの科学技術交流センターをめぐりまして、あの地域が大いにこれから整備、充実する地域でありますので、繰り返すようでありますが、その真ん中に科学技術交流センターができますので、ぜひともこれは立派なものにしたいと、かように考えております。  それからもう一つ、ナースセンターでありますが、ナースセンターは、今ありますナースバンク、このナースバンクではいささかちょっと規模が小さいので、これを改組充実いたしまして、ナースセンターを、御趣旨のあったように、御質問の御趣旨にあったように、整備充実する必要がこざいます。したがって、まだ今のところは、場所が決まっておりませんけれども、ナースセンターの整備充実はぜひとも図らねばならぬと、かように考えております。 10: ◯二十四番(木村隆秀君) 一点だけ、再質問させていただきたいと思います。老人訪問看護制度についてであります。  この制度は、先ほども申しましたように、人口の高齢化が進展する中で、介護、看護を必要とするお年寄りの方の数が増加するということが予想され、そのような方々に在宅で療養してもらうこと、そしてまた一方では、離職している看護婦の方々の再就業の促進を図ることが大きな目的であると考えられます。  本県は、本年度予算、当初予算の中で、昨年度比二三・五%という大幅な増でもって看護婦確保対策に取り組んでおられるわけでありますけれども、既に訪問看護ステーション事業の支援策として、東京都では、事業開設費の二分の一──最高限度額一千万円でありますけれども──の補助を出すとかということを本年度予算に計上しておりますし、また大阪府では、大阪府福祉基金が事務所の備品購入費用の二分の一、最高限度額百万円でありますけれども、補助を出すという、そういう事業をもう既に展開をしているのであります。  本県も、この老人訪問看護制度が、本来の目的の一つであります看護婦の再就業につながるように、きめ細やかな方策をとるべきだと私は考えるのでありますけれども、衛生部長の御答弁を求めたいと思います。 11: ◯衛生部長小澤和郎君) ただいまの訪問看護ステーションに対する援助の御質問でございます。  御指摘がございましたように、確かに未就業看護婦の活用を図るためには、この訪問看護ステーションは大変重要な場であると考えております。このように看護婦が自主的に訪問看護事業を実施するというような場合にはどのような援助ができるか、愛知県看護協会など関係団体と相談をしながら検討を進めたいと考えております。 12: ◯議長小田悦雄君) 進行いたします。  河瀬敏春君。     〔一番河瀬敏春君登壇〕(拍手) 13: ◯一番(河瀬敏春君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、日米特許戦争について質問をいたします。  最近、ショッキングな報道がなされました。すなわち、「やばいぞ日本 日米特許戦争で日本が敗れる日」、あるいは「アメリカの特許戦略 ねらわれる日本企業」というタイトルのもと、最近続発している裁判事件を通じて、特許の恐ろしさを切実に訴えているものであります。  まず、これら特許をめぐる事件について、幾つかの真相に迫ってみましょう。  第一のケースとして、八〇年代の最大ヒット商品として伝説化しているミノルタのAF一眼レフカメラα─七〇〇〇が米国ハネウエル社の特許を侵害し、百六十五億円を支払い和解するという、実質的な敗訴和解事件があります。この重みは、利益率を一五%として千百七億円もの売り上げが必要であります。  実は、この和解事件にはいろんな意味が含まれております。まず、現在係争中のキャノン、旭光学ほかのカメラメーカー六社への悪影響が懸念されるということであります。  では、なぜミノルタが和解したのかということでありますが、莫大な訴訟費用と時間のかかる裁判事情と、それに伴う企業イメージの悪化を考え、勝てるかもしれないが、ライセンス使用権も含め、和解の道を選んだのではないかと想像されることであります。しかし一方では、ミノルタが徹底抗戦すれば、仮に敗訴しても、和解金は安くなったはずで、ミノルタは悪例を残したと、厳しい見解も一方であります。  さらにハネウエル社は、スチールカメラのほか、ビデオカメラまでも本件特許を侵害しているとして訴訟を準備しており、これが実際に行われると大変な事態へと発展していくことは、火を見るより明らかであります。  次に、第二のケースとして、日本セガインタープライズ社対米国ジャン・コイル氏の場合を紹介しましょう。  コイル氏の特許の内容は、音声が変わると、それに反応して映像が変わるもので、セガは十分それを承知の上で、音声を変えても、または切っても映像は変わらず、侵害していないと断定をいたしました。コイル氏の出願前にその特許を無効にし得る、また限定解釈に追いやる証拠調べを徹底的に敢行しましたが、発見できませんでした。これについてロサンゼルス連邦地裁は四月十日、セガの故意侵害を認め、四十三億五千万円の支払い命令判決を下しました。セガは一度は控訴はしたものの、過去の例を見て、争っても不利と判断し、去る五月十三日、コイル氏に約五十七億円を支払うことで和解をしております。なお、本ケースにおいて、任天堂は陪審制度の不安と差しとめ判決を恐れ、四億円で既に判決前に和解をしております。  さらに第三のケースとしては、一九八一年、米国リファックス社は、個人から買った液晶時計の点滅の原理特許をもとに、日本の全時計メーカー、時計販売店、使用企業合わせて三百五十社へ警告状を出し、日本各企業は事件の拡大を恐れ、百億円で和解したというものであります。  これら、私どもが公の報道で知り得るものは氷山の一角でありまして、訴訟に発展する前に警告状をもらった段階で、和解または有償ライセンスで涙をのんだケースは多々知れず、背筋の寒い思いがいたします。  では、なぜこんなに日本企業がやり玉に上がるのでしょうか。基本的及び構造的観点からは、特許システムと裁判システムの日米間の相違の二点が考えられます。  まず、日本は特許庁へ先に出願した者に優先権を与える先願主義をとり、一方米国は、先に発明した者に優先権を与える先発明主義をとっているので、日本メーカーが米国特許を調査して、その出願日から判断し、侵害しないとして製品化していたところ、当該発明者が、実はその特許は五年前に自分が完成していたと名のり出て、審査によってはその言い分が認められ、侵害になってしまうのであります。  次に、均等論、すなわちイクイバレントと言われるアメリカ独特の権利解釈論が挙げられます。これは、構造が若干違っていても、置きかえの容易性、機能及び効果の同一性並びに当時の技術水準が勘案され、特に米国基本特許の改良はすべて特許侵害となり、日本の場合はほとんどこれに当たると、米国特許関係者は述べています。  しかし、最も困るのは、米国が技術的には素人、例えば先生、ウエーター、家政婦、交換士等の十二名の陪審員による合議制で判決され、特にセガケースでは、二名の人が百分率を知らない素人が入っていたことも報告されており、日本にとっては、特に日本バッシング風潮のさなかにあっては、心情的にも米国サイドに立たれてしまう可能性大ということであります。  その上に、厄介な法律がレーガン大統領によって制定されたことが挙げられます。すなわち、恐怖の一九八八年米国包括通商法であります。  まず、そのうちの米国関税法三三七条の改正により、一つには、米国での製法特許を米国外で使用して製造された製品の米国への輸入は侵害行為となりました。それから、米国国際貿易委員会(ITC)への提訴要件が緩和され、必ずしも法律専門家の鑑定を待たずに、例えばダンピング、知的所有権の侵害の疑いがあれば、直ちに輸入差しとめが可能となり、外国企業にとって極めて不利となったのであります。すなわち、米国内への不正な輸入行為があれば、裁判所での訴訟とは別扱いで、領海での水際作戦で輸入禁止命令が出るというものであります。  次に、米国通商法スペシャル三〇一条の制定が挙げられます。米国通商代表部(USTR)、例のヒルズ代表の管轄でございますが、例えば知的所有権に対し、米国対各国間で協議がなされ、米国側の主張に対し、改善、障壁の撤廃、和解が成立しないと報復措置が発動され、既に日本に対しては十五項目の批判点が提示され、監視国(ウオッチングカントリー)と認定され、発展途上国とともに十七カ国の中に位置づけられております。  ここで、特許の怖さに触れますと、特許侵害という判決が確定いたしますと、製造、販売、使用、貸し渡し、展示、輸入などの行為がすべて差しとめられ、莫大な損害賠償請求額の支払い、そして謝罪広告が義務づけられるといった致命的な痛手をこうむることになります。それに加え、訴訟費用は、仮に被告として勝訴しても、裁判に要する公的費用は少なく、これは原告負担でございますが、莫大な弁護士費用及び訴訟準備費用等は、原告、被告双方痛み分けで戻ってきません。また、これは日本の裁判ケースですが、別途、本案訴訟と同時、または単独に断行の仮処分の請求ができ、裁判長が侵害とみなし、かつ証拠隠滅または逃亡の恐れがあるときは、わずかな時間で、緊急性、密行性のもとに、ある日突然、予告なしに執行吏による強行差しとめが敢行されます。  さらに幾つかの恐怖のケースを紹介しましょう。  第四のケースとして、私自身も名古屋地裁で五年間、イギリス某社と被告の立場で、針むしろの上で争い、一九八五年五月二十日に完全勝訴をかち取ったものの、失った莫大な訴訟費用は戻ることもなく、原告からの謝罪もなく、全くのやられ損でした。ただし、唯一の救いは、裁判地が名古屋であったことが私どもに有利に作用したと思っております。
     続いて、私が最も報告したい第五の実例を紹介します。  長野県松本に本社を構えており、従業員五百人で、電気かみそりの回転刃を全日本の四〇%をつくっている泉精機が、米国フィリップス社から訴えられたのであります。この会社でつくられている刃と刃との間隔が不均等な製品が、フィリップス社の特許を侵害したということで百万円を支払ったものであります。額こそ少ないものの、つぎ込んだ費用は年間利益に相当する六億円で、米国裁判所から四十項目にわたる、トラック二杯分の十四万ページもの書類提示を求められ、米国弁護士二十人以上を使い、証人尋問ディポジションは毎日九時から十八時まで、相手の弁護士から九週間にも及ぶ大変なものでありました。  ここで問題なのは、泉精機がフィリップス社の特許の存在を知らなかったことと、十分な調査期間があったにもかかわらず特許調査をしなかったことが故意侵害を構成するとして、陪審員の心証を悪くしたことが決定的な敗訴につながったことであります。  私は、この事実を声を大にして訴えたい。その理由は、県下にこの種の会社が多数存在し、再発を恐れるからであります。  まだまだあります。  第六のケースとして、TI社は半導体のキルビー基本特許で富士通と係争中、そして、東芝から十年間にわたり百億円の使用料を得て、一挙に赤字を黒字に変えたと言われており、さらに毎年五百億円の日本からの特許使用料の収入を見込んでいるというものであります。  また、第七のケースとして、マイコンの米国基本特許を一九七一年インテル社が取得し、一九八八年まで有効と業界関係者は思っていたところ、突然、ギルバートハイアット氏が、「私か先発明者だ」と名のり出て、その申請が認められ、一九九〇年に特許は成立し、二〇〇七年まで有効で、現在世界じゅうの各企業と交渉中というものであります。  さらに、第八及び第九のケースとして、GMは未来の車のアイデア特許を取得し、またAT&T社は数学的解析法及び設計から製造までコンピューター管理をするアイデア特許を取得し、その基本禁止権の範囲は極めて広く、技術レベルも高いため、将来、日本の製品及び技術が米国で実施されると侵害となってしまうというものであります。  以上、最近の日米特許戦争の主要ケース、特許の怖さ、日米間の法的相違などについて紹介しましたが、では、どうしたら特許戦争回避及び戦争に勝てるのかについて触れてみましょう。  国際的には、国連の中に世界知的所有権協会(WIPO)、国際貿易開発会議(UNCTAD)があり、知的所有権問題の討議、特許ハーモナイゼーション、技術移転行動基準の策定等を担当しており、また、関税と貿易に関する一般協定(GATT)において、障壁、紛争の協議、調整、解決が行われ、さらには多国間協議─クラブフィフティーン及び日米欧三極特許庁首脳会議などで、日米欧十五カ国の産業界のトップ及び特許庁首脳による各国間の問題の指摘、提案、解決を定期的に行っておりますが、実際には、各国の歩調は容易にはそろわず、特に米国は、コモンローにより長年にわたって判決によって積み上げてきた法体制を譲ろうとはせず、今なお天動説を唱えている印象すら受けます。  そこで、短期、中期的には、そんな現状と将来予測から、国、県及び地方自治体と民間とが協力して対米及び世界特許戦争に対して、我が国、我が県が未来永劫にわたって勝ち抜いていくための緻密な計画と不断の努力と勇気ある実行が求められております。具体的には、米国は日本が金持ちで訴訟に弱いことを見抜いており、それをはね返す努力が望まれ、また、日本が物をつくる技術を大切にすることに対し、米国では独創的なアイデアを大切にする点が大きく相違しており、異文化及び国民性の衝突を避けなければなりません。  そこで、まず第一に、米国の技術開発の仕組み及び方法をよく研究し、特許法をよく学び、訴訟へのプロセス、要領、技術、ノーハウを習得する。第二に、容易に和解せず、複数の優秀な民間、中立の立場にあります米国弁護士の勝訴鑑定書が得られれば、徹底抗戦の上、勝訴判決をかち取り、米国の原告が日本の被告に裁判で与えたトリプルダメージ、すなわち裁判費用の三倍の金額を原告から回収し、訴訟にも強いことを立証する。第三に、業界間での情報交換の活性化を図り、日本企業間の障壁を取り除き、業界でスクラムを組んで事に当たる。第四に、対抗できる優秀な特許を取っておき、クロスライセンスに持ち込む。第五に、行政、企業の特許管理の充実と連携の強化を図る。  そして長期的には、欧米のように日本の発明に対する発想の転換を図る必要があります。すなわち、欧米ではホワイ型発想で、日本はハウツードウ型発想という違いがあります。日本では、どうしたら鳥は空を飛ぶことができるのか、また、魚はどうしたら泳ぐことができるのかと結果系に直結し過ぎますが、欧米では、なぜ鳥は空を飛ぶのか、なぜ魚は水中を泳ぐのかといった要因系から出発し、なぜなぜ問答をするから原点からの発想ができ、したがって、飛行機が発明され、動力船及び潜水艦が発明されたのであります。  皆さん、小学生時代の理科室の発明年表に掲げられていた大発明家たちの顔写真を思い出してください。日本人が何人いましたか。要するに、日本の研究所、企業はハウツードウ型を追求して、基礎研究への投資と情熱が少なく、売り上げに直結する応用研究に力を入れています。その結果として、改良発明考案は多数出ましても、基本発明が誕生しない体質で固まっております。基本発明に高額なロイヤルティーを支払い、改良発明で付加価値をつけて経済大国が実現したのであって、決して真の技術立国、大国とは胸を張って言えません。  現在では、一九七〇年から八〇年代の基本特許が米国で開花し、ヒルズ代表は、それらにより六百億ドル、十五兆円の収入を見込んでいると言明しています。  また、昨年、ソ連邦が解体し、東西ドイツが統合し、近未来、ロシア共和国がEC統合と融合して大きな超国家組織が成立したとすると、米国の矢は東南アジアの中でも日本と韓国に向けられ、特に韓国は、USTRより優先監視国として、中国、台湾などとともに八カ国の制裁対象の国に挙げられており、日本は東南アジアの代表ではなく、あらゆる障害を乗り越えて、世界の技術立国に成長していかねばならず、そのためには、ホワイ型の発想で基礎研究のターゲットをしっかりと定め、地道かつ長期にわたって辛抱強く実行して基本特許を取得することと、あわせてハウツードウ型の発想で従来どおり改良特許を取得していくことを両立させていくことが、真の技術立国として世界に君臨していく重要なキーポイントであります。  そこで、以下質問をいたします。  まず第一に、特許に関する県の行政は、リーダーシップという観点に立ってどんな役割を担当され、どんな施策を講じられていますか。また、他県に比較して、どのような水準にあると判断されておられるか、お伺いします。  また第二に、現時点で泉精機のような中堅及びそれ以下の中小企業に対しては、どういう援助及び支援をされているのか、お伺いします。  第三に、昨年の九月議会でも指摘いたしましたが、大阪府立の夕陽丘図書館に相当する愛知県図書館を、特に米国の特許明細書を優先して、少なくとも日、米、英、独、仏ぐらいの先進国公報類を中堅及び中小企業の人々でも見やすく、利用しやすく、手間のかからない、そして疲れない形態に整備していただきたいが、具体的な対策について、風雲急を告げているところを勘案して、本質問は極めて重要につき、重ねてお尋ねいたします。  第四に、他人の特許を買って、それをもとに、金持ちで訴訟に弱い日本企業を相手に、訴訟を専門にしている特許ブローカーからの警告及び訴訟について、県が特に中堅及び中小企業から相談を受けたら、どうされますか。  第五に、これだけ特許戦争が激化してきますと、訴訟社会にふなれな日本人は、その対応に困惑します。そこで、商工会議所等に多数の相談窓口と高度な専門指導員の配備について強化充実を図っていただき、頻度はできるだけ多く講習会、講演会、座談会等を開催していただきたいが、本提案についてどう考えられますか。  第六に、日米特許戦争への対策等を先ほどいろいろ示しましたが、それに対する御見解を賜りたく存じます。  最後に、国も米国からの特許攻勢を重要視いたしまして、ことしの秋にも、特許庁の審査基準を欧米並みに、基本特許を取得できるように改める旨動き出しました。これには、パリ同盟条約加入国には、内外国人平等の原則があって、日本人も取りやすくなると同時に、今まで米国人が取れなかった日本特許も取得できるようになり、もろ刃のやいばになりかねませんが、真のねらいは、改良技術を重要視してきた日本企業に、基礎研究へのシフトを促進させることにあります。  そこで、知事を先頭にして、産・学・官のトップで、例えば愛知産業サミットを組織し、県、国、世界の二十一世紀の産業の将来展望と開発の方向及び指針等について話し合っていただき、基礎研究への布石として機能させるように、前向きかつ大胆に取り組んでいただきたいと思いますが、本提案について知事の回答をお願いいたします。  今、米国、そしてECは、二十一世紀に向けて、超高度で正確無比なあのスペースシャトル、ミサイル、原子力潜水艦、超音速ジェット機等の超一級の技術レベルをベースに、人類の平和と幸せの名目のもと、日夜知恵を絞り、資源と底力に物を言わせ、日本のみならず、特許による世界制覇をねらっています。前述のように、六月六日付の某紙の一面トップに、国も日本の審査基準まで改めて、日米特許戦争に歯どめをかけようと躍起になっています。でも、過去の分は、ヒルズ代表が述べているように米国先行主導の立場は変わらず、当分、受け身の状態が続きますし、取り返しのつかない状態にならねばよいがと危惧するところであります。  果たして日本は再度戦争孤児として取り残されないか、知事初め理事者各位の前向きで、かつ当を得た御答弁を期待し、質問を終わります。(拍手) 14: ◯商工部長市川南君) 最初に、特許に関連をいたしました県の行政がどのようになっているかについてでございますが、おおまかに申しますと、第一に中小企業への発明奨励、第二に特許相談への対応、第三に特許情報提供の三つに分けることができるかと存じます。  第一の発明奨励につきましては、商工部工業振興課に技術指導担当二名を配置をいたしておりまして、技術指導の一環といたしまして、発明奨励の立場から、発明協会愛知県支部とも協力をいたしまして、愛知発明表彰、特許等講習への助成、創意工夫功労者、注目発明などの推薦の事業を行っております。  第二に、中小企業向けの特許相談への対応についてでございますけれども、県の中小企業総合指導所におきまして中小企業相談窓口を開設をいたしておりまして、二名の弁理士の方を相談員として委嘱しております。毎週二回、特許に関する相談に応じております。  第三の、特許情報提供についてでございますけれども、発明協会支部は特許相談窓口を設置をしておりまして、特許情報の紹介業務を行っているわけでございますけれども、県は平成二年度におきまして電子出願端末機の設置に対しまして補助を行っております。本年度は、CD-ROM、コンパクトディスクによる電子出願公報の読み取り機器装置に対しまして補助を行うことといたしております。  次に、他県の特許関連の行政との比較において、当県の水準はどういうことになっているかという御質問でございますけれども、中小企業などへの特許情報提供あるいは特許相談への対応という意味におきましては、他県に問い合わせて、私どもが把握をしている限りで申しますと、遜色のない対応をしていると考えております。  次に特許紛争、第二点目の特許紛争対策に関しまして、県の中小企業施策がどうなっているかということでございます。  先ほど御説明を申し上げました県の中小企業総合指導所に設置をいたしております相談窓口では、委嘱した弁理士が相談を受けておるわけでございます。また、先ほど触れましたように、名古屋商工会議所内の発明協会支部におきましても特許相談窓口が設置されております。また、県内の商工会議所の中で十にわたる商工会議所が専門相談窓口を設置をいたしておりまして、いずれも特許紛争を含めました特許相談を受けることができるようになっているわけでございます。  続きまして、いわゆる特許ブローカーによる意図的な特許訴訟が仕掛けられたというようなケースへの対応について、中小企業からの相談があった場合、どうするかということでございます。  特許に関します個々の紛争は、先ほど議員御指摘のように、企業経営の根幹に及ぶような重大な問題ともなるわけでございますので、最終的にはそれぞれの当事者間で解決をしていただかなければならない問題と考えているわけでございますけれども、問題の所在や紛争解決に向けての手だてなどにつきまして、第一義的な御相談に乗らせていただくということで、先ほど申しました各相談窓口をごあっせんをいたしまして、そこを端緒としまして、個々の企業におかれまして事後の本格的な紛争解決への糸口を見出していただくと、これを期待をいたしているものでございます。  次に、商工会議所などの相談窓口の充実、あるいは講習会等を頻繁に開催してはということでございます。  まず、特許相談窓口についてでございますけれども、平成三年度におきます県内の各相談窓口の利用状況を見ますと、最も利用頻度が高い発明協会愛知県支部におきましては、月曜日から金曜日までの毎日、十名の弁理士がローテーションを組んで対応いたしております。年間五百五十四件の相談件数となっているわけでございます。また、県の中小企業総合指導所の相談窓口におきましては、週二回、二名の弁理士で対応しておりますけれども、年間四十一件の相談件数となっております。その他、十商工会議所におきます相談件数は年間百五十一件となっているわけでございまして、以上申し上げましたような利用実績から見ますと、現状、必ずしも相談窓口の逼迫という状況にはなっていないと考えているわけでございますけれども、議員御指摘のような非常に厳しい環境にもありますので、今後、こうした相談窓口の利用促進、これをですね、特許相談窓口へ相談するというようなことにつきまして的確な広報活動を行ってまいりたいと考えております。  次に、講習会等についてでございますけれども、発明協会の愛知県支部あるいは商工会議所などで、中小企業者などを対象といたしました特許関連の講習会、講演会が開催されておりまして、平成三年度はこれら合計をいたしますと三十二回の開催実績となっております。御指摘のような特許をめぐる国際的な厳しい環境の中でありますので、今後とも、中部通産局、商工会議所あるいは発明協会支部などと連携をして、こうした講習会等が活発に企画開催されるように働きかけてまいりたいと考えております。  また、日米特許紛争への、議員お示しの対応策についてどう考えるかということでございます。  日増しに緊張を増している特許紛争でもございますので、国におきましても、特許庁等関係機関が真剣に検討しているところと聞いておるわけでございますが、先ほど議員から御提案のありました諸点について、非常に貴重な御意見であると考えますので、中部通産局や相談窓口を開設をいたしております商工会議所などにも御提案の趣旨を伝えたいと考えております。  次に、日米特許紛争とも関連をいたしまして、基礎研究シフトを進めるべきではないかという御指摘でございます。  幅広い研究交流を通じまして新しい科学技術を創出をする。科学技術振興の諸活動を推進をし、これをもって基礎研究を盛んにし、シーズを生み出してくると、こういうねらいを持ちまして、産業界、大学、県内の研究者はもとより、広く国内、さらには国際的研究者間の研究交流を活発に行ったり、あるいは共同研究を組織化するなど、幅広い科学技術の交流の拠点となります科学技術交流センターにつきまして、この設置をし、またそれの事業を行うということで、産・官・学の関係者から成る委員会に検討をお願いをいたしまして、平成四年度に基本計画を策定をするということにしているわけでございますので、策定後できるだけ早い時期にこの構想が実現できるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 15: ◯総務部長青山英次君) 愛知県図書館におきます外国特許資料の整備についてでございますが、大阪府立夕陽丘図書館は、特許庁の資料が設置されていることによりまして豊富な資料を保管しておりますが、愛知県図書館は、一部を除き、独自に購入し、県民の皆さんに御利用いただいております。このうち、アメリカ、イギリス、ドイツ三国の特許につきましては、資料提供の迅速化などを図るため、特許番号順のマイクロフィルムで提供しております。さらに、特に利用ニーズの高いアメリカ特許につきましては、技術分類別の索引などを用意して便宜を図っております。  今後、大阪府夕陽丘図書館のように特許庁の資料寄託が受けられるように、国に働きかけていく所存であります。また、近年、国内外におきまして特許情報のコンパクトディスク化が急速に進みつつありますので、その状況を的確に把握しながら対応してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、利用者の方々のニーズを十分に踏まえまして、利用しやすく、充実した資料提供に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 16: ◯知事鈴木礼治君) 知的所有権の問題を御指摘になりましたですが、日本がこれから新しい産業を育てて、世界に向けて情報発信をしていくという状態から見ますと、極めて重要な課題であると考えております。  そこで、この地域におきましても、そのような新しい情勢に対応しまして、特許の管理の考え方、こういったものをPRをすること、それから窓口相談を充実してまいりたいと思います。これは、中部通産局や商工会議所と十分連絡をとりまして、私どももこの窓口相談を充実してまいりたいと、かように考えます。 17: ◯一番(河瀬敏春君) 各質問に対しまして御答弁、大変ありがとうございました。  質問中、他県の状況についてお尋ねいたしましたが、例えば広島におきましては、情報基盤の整備、すなわち情報産業の振興、情報化の意義の普及啓発、情報ノーハウの保護等に積極的に今取り組んでおられます。また、山口県では、情報関連企業の集積を促進する頭脳立地構想を推進する等、情報発信・受信機能の強化充実に力を入れておられます。  そこで、本県は技術立県として他都道府県に絶対負けることはできません。さらには、デュポンの社長が言っておりますように、我々の開発のターゲットは未来であり、宇宙であると言明しております。このような超一流企業を抱えた米国からの怒濤のごとき特許攻勢に対して、「どんと来い米国」と言えるように、県の特許行政を万全の体制にしていただくことを切に要望して、終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━ 18: ◯五番(酒井義弘君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長小田悦雄君) 酒井義弘君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 20: ◯議長小田悦雄君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時三分開議 21: ◯副議長石川紀一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  結城秀治君。     〔三番結城秀治君登壇〕(拍手) 22: ◯三番(結城秀治君) まず、名古屋環状二号線についてお伺いします。  環状二号線は、名古屋都市圏の骨格となる主要幹線道路であります。この道路の整備は、当地域の発展に欠くことができないものと認識しているところであります。幸い、北回り区間は東名阪自動車道として着々と整備が進んでおり、三重県方面から清洲町を経て、春日井まで高速ネットで供用され、この地域の方々は大変便利になったと思われるのであります。さらに、名古屋インターチェンジまで来年の春につながると聞いており、期待しているところであります。また、西南部区間も平面二車線が来年春に供用され、南北幹線軸として地域交通の利便に寄与しているところであります。  しかし、東南部から南部区間を見ますと、私も地元ということで現地をよく知っておりますが、道路予定部分がかなりあいておりながら、工事の方はなかなか始まる気配がありません。名古屋の東部は南北幹線道路が弱く、環状二号線の整備にかける期待は極めて大きいところです。側道部分の一部開通でも、交通緩和における役割は大なるものがあります。特に緑区内では、名鉄線で南北が分断されており、南北幹線軸となる二号環状線の整備、側道部分の開通ですら大きな意味を持つものであります。名古屋港の海上部は、伊勢湾岸道路として、橋梁の工事に着手していると聞いておりますが、これを含め、環状二号線全体が一つの輪としてつながることが、名古屋圏の道路網として極めて重要であると思われます。  そこでお尋ねいたします。  名古屋環状二号線東南部、南部区間の今後の整備方針と、名港海上部の事業状況をお伺いいたします。  次に、都市公園行政につき伺います。  午前中に、我が党の木村議員の質問にもありましたが、公園行政には今日、さまざまな角度から、その機能や施設の充実、さらに、公園そのものの基本的なあり方にも光を当てられておるところです。その役割に対しても、さまざまな期待が寄せられているところであります。憩いの場所として、スポーツ・レクリエーションの場所、イベントなど、各種行事、さらに自然環境を守る緑地として、中には雨水などの調節機能や、大地震、火災等の広域避難場所として、さらには観光レジャーの目的地としてなどなど、少し考えても非常に多くのことが望まれています。  もとより、公園には、その大きさによって、また設立の趣旨により、個々の特性もあり、営造物公園、地域性公園に大別され、営造物公園については、都市公園法により設置及び管理の基準が定められているところであります。  私は、公園行政の、また公園の説明をする気は毛頭ありません。公園行政を例にとり若干の指摘をし、お尋ねをいたしたいのであります。  知事が、二十一世紀に向け三大プロジェクトを発表し、「八福」など、福祉大県に向けて前進させ、この愛知を活力あるものとして、そしてその中で福祉の向上に努められるとの姿勢を示されています。私は、それを大きく評価し、その実現に向けて微力を尽くすものでありますが、ともすれば忘れがちになる既存の施設をもっと見直し、再利用、再活用すれば、県民にとり、大きな意味での生活向上に資するものが県内には多くあると思われます。それら施設は土地買収の費用も要らず、利用、活用方法次第で、飛躍的にその機能を上げることができると考えます。  その一例として、私の地元、県営大高緑地を取り上げ、お伺いいたしたいのであります。  昭和十五年に、名古屋都市計画緑地として計画された大高緑地は、昭和二十七年六月九日に事業認可を受け、徐々に工事が進み、三十八年四月二十日、都市公園として告示、供用を開始した県営公園であります。そのとき同時に、建設管理組織として愛知県都市公園事務所が設置され、本格的な整備に入ったと聞いているところであります。四十一年には交通公園の供用が開始、四十二年には明治百年記念公園として、全国十カ所のうちの一つとして採択され、整備の強化が図られたところであります。四十三年に展望台開設、四十四年に休憩センター開設、四十五年に野球場三面供用開始、四十六年に水泳場、五十二年にテニス場六面、五十四年にテニス場八面増設と、今日まで、現在ある主要施設の整備がなされてまいりました。  まさに、都市公園等整備緊急措置法でいう、大規模公園の広域公園として整備を目指し、当初の計画としては十分な機能を果たすものと期待され、その県民に対するアピールは、昭和四十年代から昭和五十年代までは強烈なものがあったと思われます。  私もよく現地に参るわけでありますが、本当に駐車場も広く、園内の道路の幅もまずまずであります。残念なのは、その通路が、手入れが十分とは言えません。草が茂ったり、側溝が壊れておったり、トイレもくみ取り式の昔懐かしいものであります。落書きも多く、手洗いの水も出ないところもあります。水泳場の大きなプールも夏のみの利用で、利用しない間の管理も本当に大変だなと実感させられるものです。展望台は今、立入禁止となっておって、グラウンドもフェンスが破れていたり、また他の球場と比べますと、施設面でまことに見劣りのする状況であります。まさに、設置以来三十年の歳月を感じさせるものであります。  おのおのの施設の修繕をしながら、例えれば、だましだまし利用していると言えます。利用される地元の方々に言わせれば、「昔はよく行って利用したけれど、古くなった」、または、「夕方ぐらいになると怖いというイメージがある」と異口同音に言われます。要するに、利用が少しずつ悪くなっているということであります。  事実、公園内で売店を経営している大高緑地観光協会のの決算を見ますと、昭和六十二年売上高九千八十二万一千六百六十円から、平成三年売上高七千五百七万二千三百十五円と、五年間で千五百八十万も落ち込んできております。毎年売上高が減少しているところであります。このことからも、利用が減少傾向にあるというふうに言えると考えます。  さらに、地元の方々の意見として、公園内に調整池などの設置を、昨年の十八号台風の被害の思いもありまして、大高緑地の広大な土地に降る雨が、ストレートに地元の二本の川に流れ込んでいる現況に不安を感じ、大水などへの配慮も欲しいという声も上がっております。こんな施設の現況であります。  また、いろいろな地元の声も上がっているところでありますが、大高緑地は公園計画面積百二十・九ヘクタールと広大であります。これは、名古屋、豊明、蟹江町、七宝町、大治町、美和町、甚目寺町、西枇杷島町、新川町、清洲町、春日町、西春町、師勝町、豊山町、長久手、日進、東郷町、これら市町の全体の公園の面積千二百九十・〇三ヘクタールの、実に大高緑地一カ所で十分の一の面積があるのです。  立地といえば、名鉄本線左京山駅から鳴海口まで徒歩約五分。公園北側は国道一号線に接し、東側は大きく二号環状線に接します。湾岸道路では、車で五、六分ぐらいの位置に大高インターが予定されております。また、JR大高駅の南東に新駅の構想が出ており、実現すれば、大高口まで徒歩十分ぐらいのところになると予定されています。まさに、交通の要衝に立地すると言っても過言ではありません。まことに県民にとって重要かつ貴重な財産であると言わざるを得ません。私も、国の方針、また県の施策の中で、新しく公園をつくり整備していくことは必要なことと認識しております。しかし、既設の公園の計画見直しも大変重要なことと考えます。  広域公園は、例えれば公園の大規模なデパートであります。品ぞろえが二、三十年前と大して変わらないデパートに行って、楽しく買い物ができるといえるでしょうか。時代は大きくさま変わりをし、国際化や高齢化、労働時間の短縮と、そしてまた週休二日制の浸透の進む中で、豊かな暮らし、質の高いサービスが要求される生活大国の実現が叫ばれている現在、今こそ広域公園の存在意義とその質が問われています。  以上のことから、お尋ねをいたします。  県当局としては、二十一世紀に向けて高齢化、国際化、余暇時間の増加と余暇施設の高級化が進む中でニーズは変化しており、公園施設利用の現状、周辺の交通アクセス、環境の変化も考え合わせ、より多くの県民に利用され、県の看板と言える公園に再生させるため、公園の施設、ハード面と、利用、ソフト面について、部分的ではなく、全体的かつ機能面、施設面での配置整備など、根本的かつ全面的に、二十一世紀中の利用にたえるべく、見直す必要があると考えますが、県の御所見を伺います。  さらに、主要施設が設置三十年を迎える年も近づいております。公園開設三十周年となる来年を期に、本格的な調査に着手すべきと考えますが、そのお考えがあるかも伺います。  大高緑地公園は、その広大な面積からいっても、重要な施設であり、特に名古屋市内においてかけがえのない公園であります。まさに県の看板であります。名古屋市内の鶴舞公園などと比べても、遜色のないものにしたいと考えるのは私一人ではありません。現在ある施設の改修、改善にとらわれることなく、その存在をどう位置づけ、どう利用し、どういうものをつくったらよいか、考え行うことは、まさに県民、市民に対する県行政の責務であると考えます。  ポリシーがあり、二十一世紀を見通した公園とし、愛知県の公園の代表として、大高緑地公園があまねく全国にその名が響くぐらいの公園に再生されることを期待し、前段にも触れましたが、前向きの行政を進める中で、これまでも既設の県の施設の見直しを進められたところでありますけれども、より総合的に有効利用を図るとの観点に立ち、県民の、生活大県愛知が実感できる施策を展開するとの方向での県当局の答弁を求め、質問を終わります。(拍手) 23: ◯土木部長蛇川雄司君) まず、名古屋環状二号線についてでございますが、この道路は、名古屋高速道路と一体となりまして自動車専用道路網を構成する重要な道路でございます。国を初め、県並び関係市町村と一体になりまして進捗に努めているところでございます。  お話のございましたように、北回りの名古屋インターまでは東名阪自動車道として来年の春には供用いたしますが、御質問の、名東区の上社から緑区大高町の国道二十三号線に至る、いわゆる東部、東南部区間につきましては、一番大事な専用部の事業主体がまだ決まっておりませんので、現在策定中の来年度から始まります第十一次道路整備五箇年計画の中で整備方針が出されるよう、国に強く働きかけてまいりたいと思っているところでございます。  また、国道二十三号から東海を経て飛島村に至る、いわゆる南部区間でございますが、これは伊勢湾岸道路として事業中であり、現在、名港中央大橋及び東大橋の下部工工事にかかっており、順調に進んでおるところでございます。この区間は、平成八年度ごろには供用される予定でございます。  次に、大高緑地についてでございますが、大高緑地は、県民の週末の憩いの場、緑に囲まれた健全なレクリエーションの場として整備を進め、県民に親しまれてまいりました。さらに、公園を取り巻く市街化の進展、余暇時間の増加、レクリエーションの多様化等の社会環境の変化を考えてみますと、市街地における緑地としての存在は、以前にも増して重要な意義を持つものとなっておりますので、現在我々が進めております計画の検討を進める中で、今進めております交通公園等の施設の見直しに当たりましては、県民に喜ばれるよう、当公園全体の将来のあるべき姿を考えながら計画を取りまとめてまいりたいと考えております。  以上でございます。 24: ◯知事鈴木礼治君) 大高緑地公園につきまして、私からもお答えしたいと思いますが、今現在、平成三年度で若干の調査、それから平成四年度でも調査をやっておりますが、御指摘がありましたように、まず全体が古くなっておるということ、これはそのとおりであります。それから、あのそばを二環が通りますので、御承知のように。二環が通りますと、今、入り口は、御承知のような、線路の方からの一方だけでございますが、ああいった交通の状況というのも変えなきゃならぬだろうというふうに思っております。  したがいまして、あの公園全体を、交通公園の問題もありますけれども、もちろんそれもそうでございますが、全体を御指摘のように、これは本格的な調査を、もうことし、平成四年度ですが、平成五年度に本格的な調査をやりまして、そして、確かに古くて閉ざしてある施設もありますから、そういったもの全体を見直しまして、あれだけの面積を擁する、しかもあれだけの立地条件のある公園はほかにはそうないわけでありますから、幸い、あれがもう我が物になっておるわけでありますから。あれを買収にかかってどうのこうのということになりますと、大変なことでございますけれども、現在の大高緑地も当方のものでございますので、あれを本格的な調査をやりまして、御指摘のような、それこそ二十一世紀にたえ得るような公園に持っていきたいと、かように考えております。 25: ◯副議長石川紀一君) 進行いたします。  小林収君。
        〔三十番小林収君登壇〕(拍手) 26: ◯三十番(小林収君) 通告いたしてあります二点について、質問をさせていただきます。  第一点は、長良川河口ぜき問題についてでありますが、この問題につきましては、これまでもたびたび我が党の議員から、その必要性への疑義と環境破壊の危険性を指摘する質問が重ねられてきたところでありますが、この四月、建設省と水資源公団とは、長良川河口ぜきに関する追加調査報告書と、同技術報告を相次いで公表しました。残念ながら、今の環境庁は、これらの報告を待っていたかのように建設続行へのゴーサインを出し、建設省側も、これでせき完成までの障害はなくなったかのような態度です。  しかし、これらの報告書も、既にかしわぐま議員が代表質問で指摘したように、調査の公表や結論の根拠づけなどでさまざまな問題点を含んでおり、せきの必要性に対する私たちの疑問に明快に答えるものではありません。そこで、代表質問との重複を避け、とりわけ県行政に直接関係する問題に重点を置きつつ、質問をさせていただきます。  まず第一は、今年度の県の当初予算に五千万円の調査費が盛り込まれた長良導水事業についてであります。  この事業は、長良川河口ぜきの完成と同時に、愛知県の水道用水として最大毎秒二・八六トンを取水し、三重県長島町から本県の弥富町を経て、飛島村の既設の筏川取水場まで導水し、知多半島方面に給水しようとするものです。河口ぜきからの取水事業を具体化したのは本事業だけでありまして、その緊急性について担当課は、「現在、犬山頭首工から取水している毎秒〇・七三九トンと、馬飼頭首工からの一・五一八トンが不安定な暫定水利権によるものであるから、これを切りかえて給水の安定化を図りたい」と説明しています。この件につきましては、前回の議会で大松沢議員が指摘したように、暫定水利権とはいっても、これまで何の支障もなく給水してこれた権利をみずから放棄して、わざわざ百八十億円も要する事業をしようとするのは、長良川河口ぜきの利水上の必要性の根拠を無理やりにつくり出そうとする施策としか思われませんが、それはさておき、具体的に質問いたします。  まず、この事業の実施によって本県が放棄する暫定水利権、毎秒二・二五七トンの水は、その後どのように使われるのでしょうか。恐らく、河川維持用水として下流の水量を豊かにすることになると思われますが、それだけの維持用水を必要とする漁業、あるいは景観上の問題がこれまで指摘されてきたのでしょうか。事業の緊急性との関連において、明確にお答えください。  次に、名古屋臨海工業用水道との関係についてお尋ねします。  これまた、既に大松沢議員が指摘したように、工業用水日量二十万トンの導水事業が、農業用水と兼用の木曽川用水幹線水路として筏川取水場付近まで完成し、昭和五十四年度から給水可能な状態になっておりますが、水の買い手がないために、現在は水道用水がこの水路を借用して馬飼頭首工からの水を送っています。長良導水事業による取水量は日量二十四万トン強ですから、日量二十万トンの工業用水は全く宙に浮くことになります。  そこで、将来、工業用水の需要が発生するまでの間、この二十万トンもいわゆる無効放流され続けることになるのかお伺いすると同時に、昨今の水需要の趨勢を考えれば、水利権を工業用水から水道用水に転換させる方法で、暫定水利権を解消する努力がなされてしかるべきであったと思いますが、そのような努力をされた経緯があるのかないのか、あわせてお伺いいたします。  二点目に、県下の最近の水需要の動向についてお尋ねします。  まず、立場の違いを超えて一致できる事実を指摘すれば、一九七三年の石油ショック以降、減少を続けた工業用水需要は、工業製品出荷額の急激な伸びにもかかわらず、一九八〇年代から今日に至るまでほぼ横ばいで推移しております。一方、水道用水需要は、同じく一九七三年以降、長い間、ほぼ人口増に見合った程度の微増で推移してきましたが、ここ二、三年、やや増加率が大きくなっていると言えると思います。  問題は、この水道用水の、近年の増加傾向をどう評価するかで立場が分かれます。つまり、わかりやすく端的に言えば、家庭における水需要の増加を文明化の進展と歓迎し、需要にこたえ得る水資源開発に向かうのか、それとも水資源を限りあるものと考えて、水浪費型社会の到来は人間のわがままの表現であるととらえて、節水を真剣に提案するかの、二つの道であります。  そこで、まず県政の施策として、基本的にどの道をとられる方針なのかをお伺いし、あわせて、最近の水道用水需要の増加傾向の原因をどのように分析されているのか、お示しください。  この傾向は全国的な傾向であるとはいえ、昨年の六月議会で私が名古屋と福岡等を例に挙げて指摘しましたように、人口一人当たりの水使用量は、各地、各都市においてばらばらで、同じ政令都市においても大きな差がありますし、本県の各都市における水使用量が、全国的に見て低い状態にあるとは決して言えません。したがって、本県の水行政においても、増加率を抑制する方策は十分考えられると思いますので、明確な答弁をお願いします。  次に、水道用水の需要は、人口の増加とともに増加する性質を持っていますが、その人口の増加が二〇一〇年代には頭打ちになることも、今では常識になりつつあります。とすれば、県民生活に直結する水の需給関係に真剣に頭を悩まさねばならないのは、せいぜいここ二十五年の間のことにすぎません。この間は、一方で節水努力をすれば、工業用水の水利権の借用などで十分乗り切っていけるというのが私の持論ですが、それはさておき、企画担当者が二言目に口にする「超長期的な水資源の確保」という概念は、果たして現実的な有効性があるのでしょうか。二十年、三十年を見通してという大義名分で、苦労をして水資源開発を重ねた結果、それらが完成した暁に、開発負担費のツケをどうするかで、後代の人間が大激論をすることになる危険性の方が大きいように思われてなりません。この観点からも、二十一世紀計画の水需給予測は根本的な見直しをする必要があると考えますが、いかがでしょうか。  三点目は、今述べました開発負担費のツケの問題、つまり、長良川河口ぜきの事業費の、本県の負担分とその支払い方法についてであります。  この件についてのこれまでの当局の公式見解を整理して、結論部分だけを言いますと、総事業費を一千五百億円として、国庫補助金を除くと、県負担金は、治水で六十二億、上水で七十九億、工水で百八十七億の計三百二十八億円となり、支払い方法は、治水部分はその性質上、一般会計から支出し、既に一部履行されております。上水は、一トン当たり十五円の開発費となるが、これは県水全体の値上げで対応するため、値上げ幅はもっと小さな額になり、工水は、工業用水会計に元利償還金毎年二十五億円を二十三年計上していかねばならないが、当面売れる当てがないため、一般会計から二十三億円ずつ繰り入れてもらうことになるというもので、さらに加えて、河口ぜきの事業費とは別に、木曽三川水源地域対策基金として三十三億余円の本県負担額が明らかにされています。  ところが、これらの数値は、いずれも極めてあいまいなものばかりです。まず、総事業費の一千五百億円は一九八五年価格による積算であり、完成時に幾らになるかははっきりしていませんし、三重県が放棄したと伝えられる工水毎秒二トン分をどこが肩がわりするかも明確ではありません。さらに、せきから水使用者までの導水事業費が計算されているのか。それぞれの事業費に対する利息分はどう計算されているのか。せき完成後の維持管理費の負担割合はどうなるのか等々、不明確なことばかりです。国や県が明確な数字の根拠を示しませんから、事業費に関する憶測は広がるばかりで、事業に反対する立場に立つ研究者からは、せき建設費と維持管理費を含めると、愛知県負担分一千二十六億円とか、上水、工水の導水事業費を加えて、それらの起債の元利合計まで含めれば、三県と名古屋の総負担額は累積一兆五千億円になるとの試算まで出されております。これらの数字を「むちゃなもの」と一笑に付すのは簡単ですが、その原因をつくっているのが、国と県のあいまいな態度なのですから、笑い事では済まされません。  そこでお伺いいたします。  まず、三重県が放棄したと伝えられる工水毎秒二トン分の行方はいまだにあいまいなままでしょうか。本県の態度を明確にしてください。  次に、総事業費の金額についても、今なおあいまいなままでしょうか。県として、はっきりさせるためのどのような努力をされてきたのか、お伺いをいたします。  最後に、これまで示された数値について、一々根拠を尋ねていたのでは質問の切りがなくなりますので、次のように質問をいたします。  一つ、事業費の算出については、建設省自体の態度があいまいなままですから、幾つかのケース・スタディーが考えられると思います。そこで、せき建設の総事業費について、最小と最大の二つのケースについて、それぞれの根拠を示しながら数字を明らかにしてください。  二つ、本県の上水と工水の導水事業費を加えた場合に、本県負担分は幾らになるか。二つのケースについて、それぞれの根拠を示しながら数字を明らかにしてください。  三つ、これらの事業費に起債の元利合計を加えた場合に、本県の累計負担額は幾らになるか。二つのケースについて、それぞれの根拠を示しながら明らかにしてください。  四つ、これらの負担額の償還方法について、一般会計、水道事業会計、工業用水事業会計とに分けて、償還年次と金額を明らかにしてください。その場合、水道用水と工業用水の値上げはそれぞれ幾らになるかも、二つのケースについて根拠を示しながら明らかにしてください。  この項の最後の質問として、かしわぐま議員も触れられた「追加環境調査報告書」についてお尋ねします。  この報告書に対する日本自然保護協会などの疑問は、新聞報道で知る限り二点あります。その一つは、水質に関するクロロフィルaの測定において、その数値が高かった昨年の八月十二日から二十七日までの間の測定が欠落しており、基礎データが欠落したシミュレーションは意味がないという指摘であり、二つ目は、カジカ類の調査などで、せきのある木曽川とせきのない長良川との比較をせずに、長良川では心配ないと結論づけているのは、何の根拠にもならないという点です。素人考えで判断すれば、これらの報告書をめぐる対立を解消するのは簡単でして、県が、疑問を呈している自然保護協会とやり方について相談しつつ、調査を継続すれば済むことのように思われます。  そこでまず、この「追加環境調査報告書」について、県は、環境部などの職員を動員してその信憑性について独自の分析検討をしたことがあるのかお尋ねし、次に、社会的に評価が対立している現状を踏まえて、県独自で追加調査をする用意はないのか、お尋ねいたします。  「ひたすら建設省を信用しています」というような、頭を他人に預けたような主体性のない答弁ではないことを期待して、この項の質問を終わります。  二つ目は、境川流域下水道問題への対応についてであります。  境川流域下水道終末処理場の土地収用採決の取り消しを求める訴訟の第一審が、来る七月二十四日、原告である渡辺教穂反対同盟委員長の最終陳述をもって結審され、半年ないし一年後には判決の言い渡しが予想されます。県の収用委員会での審理も含めれば、足かけ十三年に及ぶ法的な場での争いでありました。そして、このたびの私の質問の結論を先取りして言えば、県は判決の言い渡しを待たずに、県が主導権をとる形で反対同盟との和解を成立させるべきであるということであります。  私がこう主張する理由は、大きく三点にわたります。  第一点は、厳しい裁判途中でありながら、平成元年四月一日に、境川流域下水道の一部供用開始ができた意味についてであります。  昭和五十年代の後半期には、境川流域下水道の昭和六十四年、つまり平成元年の供用開始は県土木部の至上命令のようでありました。しかし、県が強制収用をし、裁判の対象となっている通称A地区は、周りを、地元農民を共有者とする遊水地で囲まれており、その地下を横断しないことには下水管と処理場との接続は不可能でした。その共有者の中に、反対同盟の農民すべてが含まれていることは言うまでもありません。困惑した県当局は、反対同盟に対して、再三にわたって遊水地への埋設の同意を求めましたが、その過程で、「どうしても同意が得られなければ、下がり松川の堤防を縦断して埋設する」と言い出しました。堤防を縦断した下水道の埋設が河川法上可能か否かは知りませんが、当時の下水道課部内では、それ以外に方法はないとの結論に達したようであります。こうした県の苦渋を見て、反対同盟の側でも、「将来に禍根を残すような土木工事をやらせるよりは」という考えから、昭和六十年九月四日、当時の大橋土木部長と渡辺委員長との間で一つの確認書が締結されました。この確認書には、角岡刈谷市長と他の二つの市民グループの代表者とともに、私も反対同盟を支援する境川流域の連絡会議の事務局を代表し、立会人として署名をしております。  刈谷市民会館を会場としたその調印式は、拍手一つも沸かない、極めて寒々としたものであったと記憶しております。つまり、その確認書は一つの到達点ではなく、今後、県と反対同盟が努力をして相互の信頼関係を築いていこうとする出発点にすぎなかったのです。  確認書は四項目から成っていますが、その二項目目で、反対同盟が下水管渠の共有地への地下埋設を容認したことによって、境川流域下水道の供用開始が可能になったのです。その代償として県は、第三項目目で、終末処理場の供用開始前に、工場排水の取り扱い、汚泥の処分等について反対同盟と協議する。また、おおむね五年ごとに都市計画に関する調査を実施し、必要に応じて計画の見直しを行うものとする。なお、見直しに当たっては、事前に反対同盟と協議することを約束しております。  事実、この確認書を受けて、県は反対同盟と精力的な話し合いに入り、昭和六十一年四月三十日の裁判所の和解勧告もあって、一時は、未買収地の代替地の場所や最終的な処理場面積の交渉にまで進みました。この間には、地元刈谷選出の岡本県議の調停への大変な御努力があったことを、敬意をあらわしつつ指摘しておきたいと思います。  ところが、供用開始が現実のものになろうとするにつれて、県は交渉に深入りしようとしなくなり、供用開始がされるや否や、下水道課長らの交代とともに、手のひらを返したように、第三項目によって既に事実上合意した事項まで撤回し、和解ムードを大切にされようとした岡本県議の調停努力も尊重せず、裁判所にも和解を断念させてしまったのです。したがって、昭和六十年九月四日の確認書の精神を復活するのは県の義務であると考えます。  第二点は、判決を待つことは、県にとってメンツを保つ以外の何のメリットもないことであります。たとえ、県の期待どおりの判決があったとしても、それはいわゆるA地区だけの問題にすぎません。  なぜなら、処理場全体面積三十二・三ヘクタールのうち、A地区は約九ヘクタールにすぎず、残りのB地区二十三ヘクタールの中には、今なお未買収農地二・七ヘクタールが点在し、その上、B地区は遊水地あるいは水路という形での二・六ヘクタールの共有地に取り巻かれているからであります。したがって、県が進めている幹線管渠工事が進捗し流入汚水量が増加して、A地区内だけの増設では対応できなくなった場合に、現在の県のかたくなな態度では、再びB地区に対して収用法を適用して、行政代執行をせざるを得ないことになります。「法律どおりにやるから余計なことを言うな」と言われればそれまでですが、今こそ、県が努力をして反対同盟との信頼関係を回復して、B地区に土地改良事業などを導入して、未買収農地や共有地の円満な移転を求め、処理場用地の整備を図ることの方が、境川流域下水道の早期完成のために得策であることは言うまでもありません。  また、無為に判決を待つことには、主文で勝訴し、判決理由の中で、裁判所から都市計画決定の手法について何がしかの瑕疵を指摘された場合には、主文勝訴であるがゆえに県側からは控訴もできないという、県にメンツ上のデメリットをもたらす危険性も潜んでいることを、この際、指摘しておきたいと思います。  第三点は、話し合いによる和解の実現可能性の問題であります。  この問題について、和解による早期解決を図れという指摘は、去る二月議会で武田等議員からもされましたが、土木部長の答弁は、「基本的な事項について相互の合意に至っていない」というものであり、昨年の土木建築委員会での私の質問に対しても同様の答弁を繰り返されました。果たしてそうでしょうか。  土地問題に踏み込む前に、反対同盟がさきの確認書、第三項前段に基づいて合意を求めているのは、工場排水の合理的な排除の問題と処理場の公害防止協定の運用に関する問題の二点であります。工場排水については、一、有害物質を取り扱う工場の工場排水。二、公共用水域に排出可能な処理水質の工場排水。三、その他公共用水域に排出することが合理的な工場排水を、それぞれ受け入れないことの明文化を求めていますが、県は、下水道法上の規定を繰り返し主張しているばかりです。  そもそも、これら三種類の排水は、県がさきに境川流域下水道計画の大幅変更をした際の縦覧文書に、はっきりと「計画汚水量の算定から除外します」と記載されているものばかりであります。したがって、和解を目指して県と反対同盟との話し合いが繰り返し持たれているころには、こんなことが合意の障害になろうとは、両者とも予想だにしておりませんでした。  また、公害防止協定の運用に関する問題について、反対同盟が求めているのは、五条川左岸流域下水道浄化センターの公害防止協定と実質を同じくする住民関与にすぎません。これまた、県が協定の当事者となった先例を持っているのですから、実行できないはずがありません。確かに境川の場合、反対同盟が地元住民のすべてを包摂しているわけではありませんから、地域住民の代表者の選出において、五条川のように簡明にはいかないかもしれませんが、住民関与の精神を尊重する立場を堅持して、刈谷を含む地元諸団体と協議すれば、角を突き合わせる問題とは思えません。  以上のように、どの角度から考えても、この問題は和解によって早期解決するのが県の施策上も得策であり、県の姿勢いかんで、既にその条件は整っていると考えます。  そこで、三点の質問をいたします。  その一は、あの成田空港の用地問題でも、運輸省は行政代執行はしないことを明言して話し合いに入っております。県としてもまず、判決の内容のいかんにかかわらず、B地区に対する行政代執行はしないことを宣言して、反対同盟との誠意を持った和解交渉に入るべきだと考えますが、県当局の決意を明らかにしてほしいと思います。  その二は、昭和六十年九月四日の確認書から、既に七年を迎えようとしています。この間、反対同盟は既に第二項目の履行を完了をしております。県としては、その代償としての第三項目の履行をしたと言い切れるのか。計画見直しのためのいかなる努力をされたのか、答弁を求めます。  その三は、和解という作業は、本来、当事者双方が譲歩して、足して二で割ったような結論を模索するものだと思います。この間、反対同盟の主張は、当初の「各市町村ごとの独自の処理場を」という原則からすれば、大きく譲歩してきたと思います。ところが、県は、法律上の建前論を繰り返すばかりで、実質的には一歩たりとも譲歩してこなかったように思われてなりません。この間に、反対同盟の信頼を得るために、県自身として譲歩したと考えている事柄があれば、御説明願いたいと思います。  以上、誠意を持った答弁を期待して、第一問を終わります。(拍手) 27: ◯企業庁長(徳安武君) 長良川河口ぜき問題に関連します企業庁担当部分について、お答えをさせていただきます。  まず、現在、愛知用水地域の水道用水の水源として確保しております暫定取水、秒当たり二・二五七トンでございますが、これは、味噌川ダムや長良川河口ぜきなどの新規水源の施設の開発がおくれておりますところによります水道用水の不足を解消するために、緊急避難的な措置として認められておるものでございまして、新規水源施設が完成いたしますと、解消されるものでございます。  この暫定取水は、あくまでも維持流量等に影響のない範囲で、木曽川の豊水時にのみ取水をできるという、極めて不安定なものでございまして、新規の水源施設が完成しました後は、安定した水源に切りかえるというようなことになってまいります。  したがいまして、暫定取水権がダム取水権という形に変わりますと、渇水時にはダムから水が放流されまして、そこから取水ができます。豊水時には、ダムから特に放流がされないものですから──豊水時ですから、そこから水をいただきますので、従来どおりだということでございます。  それから、名古屋臨海工業用の水道の需要が発生するまでの間、無効放流されるのかということが言われました。例の、一日当たり二十万トンの水のことでございますが、この工業用水の水源は岩屋ダムに依存しておりまして、需要が発生するまでの間はダムに温存されておるわけでございまして、渇水の軽減など、利水の安定度の向上につながっているものと考えております。  また、工業用水から水道用水への水源の転換でございますが、この工業用水水源は、名古屋臨海地域における工業用水需要に対応するために確保されているものでございまして、将来、同地域あるいはその周辺地域において需要の発生が見込まれますことから、水源の転換は考えておらないところでございます。  それから、事業費の関係でございます。  せきの建設の総事業費として現在示されておりますのは、御案内のとおりの千五百億円でございます。その、せきの建設事業費に導水事業費を加えた場合につきまして、上水と工水の、それぞれ分けての本県の負担額はどうなるのかということでございますが、この千五百億円をもとにいたしまして試算をいたしますと、まず、水道事業が負担する額は、国庫補助金を差し引きまして約七十九億円であります。また、導水事業費は約百八十億円でありますので、国庫補助金を差し引きまして、その負担額は約百二十億円でありますから、水道事業の負担する額は、合計で百九十九億円でございます。工業用水につきましては、現時点では、事業化をいたしておりませんので、導水事業費は定まっておりません。  それから、事業負担額に起債の利息を加えた負担額についてでございますが、負担額はそのほとんど、せき完成後に、事業主体でございます水資源開発公団に、二十数年にわたって負担をしてまいります。それに係る利息計算はときどきによって変動するものでございますし、また、水資源開発公団から、将来の償還をしていく、負担をしていく場合の利率、示されておりません。そういうようなことで、確たる計算もしにくいわけでございますが、水道事業では、およそ、事業負担額、先ほど申しました百九十九億円の二倍強の額になるのではないかというぐあいに想定をいたしております。  それから、その負担額の償還方法についてのことでございます。また、値上げのことについてどうなるのかということでございます。  負担額の償還方法等についてでございますけれども、現時点では、余りにも不確定な要素がたくさんございまして、なかなか確たることは言いにくいわけでございますが、何にいたしましても、水道事業におきましては、水資源開発公団に対しまして、元利均等で一年当たりおおむね二十億円程度の償還をすることになると想定しております。水道料金への影響でございますが、現時点では不確定要素が余りにも多くございまして、営業化する時点にならなければ算出が難しい状況でございますので、御理解を賜りたいと存じます。工業用水についても同じ趣旨でございます。  以上でございます。 28: ◯企画部長河内弘明君) 水需要の対応についてどのような道をとるかというお尋ねでございますけれども、本県は、水が有限で貴重な資源であるとの認識のもとに、水利用合理化など節水対策の推進、節水思想の普及に積極的に取り組んでいるところでございます。また一方、県民生活の、その時代その時代に応じた利便性の確保、あるいは生活様式の変化、さらには都市の拡大、そういうものにこたえていくために必要な、水需要の増加に適切に対応していくことも重要な課題であると存じておりまして、二者択一というよりも、両々相まって水需要への対応策に取り組んでまいらねばと存じております。  次に、最近の水道用水需要の増加傾向の原因についてでございますけれども、給水人口の着実な増加のほか、下水道の普及、あるいは世帯の細分化の進展による、例えば一人当たりふろ用水量の増加とか自家用ふろの普及、また都市の発展、充実等に伴う都市活動用水の増加などが主な原因であろうと考えております。  次に、水需要予測の見直しについてでございますけれども、本県の今後の水需要は、それぞれの用途におきまして確実に増加していくものと考えておりまして、そしてまた、近年頻発しております渇水時の安定給水の面からも、水資源の確保は必要なものと考えておるところでございます。  一方、水資源の確保は、適地も少なく、そのほとんどを他県に依存している状況でございまして、ダムの建設までに、最近の例ですと、ほとんど三十年近くを要しておるわけでございまして、水資源の開発の特性といたしまして、ダムの完成時にはいっとき余裕が生ずるものでありますけれども、長期的な視点に立った水需給のもとに先行的な開発が必要であると、このように存じております。こうしたことから、平成元年三月作成の、この愛知県二十一世紀計画で、平成二十二年までの長期的見通しを持ちつつ、平成十二年を目標とする計画を立てているところでございまして、この見通しで対応してまいりたいと存じております。  それから、三重県転用工業用水の問題についてでございますけれども、この転用工業用水につきましては、昭和六十二年に、国の関係省庁の調整、それと三県一の協議の上、本県地域に受け入れることといたしましたが、その負担額、負担方法については、事業完了までに決定することとなっており、現時点では財源負担をいたしておりません。  さらに、河口ぜきの追加環境調査報告書についてでございますけれども、通常、環境影響評価につきましては、事業主体が実施することとなっております。この追加環境調査につきましても、主務省である建設省が環境庁と調整を図り、学識経験者の指導を得て、調査の実施、取りまとめを行ったものであります。この調査の結果については、環境庁から、「環境保全のための対策が示されており、対策の適切な実施により、環境への著しい影響は避けられる」という見解が公表されており、私どもも、調査結果について建設省から説明を受け、信頼に足るものと考えております。こうしたことから、県が独自の追加調査をするといったことは今考えておりませんので、御了解を賜りたいと存じます。  以上でございます。 29: ◯土木部長蛇川雄司君) 境川流域下水道についての、第一点目の和解についての御質問でございますが、平成三年四月以降におきましても、反対同盟の代表の方々と誠意を持って話し合いを進めてきたつもりでございますが、いまだ合意に至っておりません。しかしながら、今後とも法令に違反しない範囲で、引き続き誠意を持って話し合いを進めてまいりたいと考えております。  二点目の、確認書の第三項目の履行についてでございますが、供用開始に先立ち、工場排水の取り扱い等につきまして、反対同盟の方々に御説明申し上げたところであります。また、昭和六十年以降につきましては、都市計画法に基づく計画の基礎調査を五年ごとに行っておりますが、その結果からは、大幅な計画の見直しをするような状況に至っておりません。今後におきましても、引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。  次に三点目の、県の譲歩についてでございますが、昭和五十九年三月に、計画汚水量約九十七万トンを約四十七万トンに削減し、終末処理場用地面積約四十八ヘクタールを約三十二ヘクタールに縮小するなど、大幅な都市計画の変更を行っておりますが、その内容は、結果的に反対同盟の方々の主張に沿ったものだと理解しております。  以上でございます。 30: ◯知事鈴木礼治君) 長良川河口ぜき問題にお答えいたしますが、この御質問にありましたように、水は限りのある貴重な資源でありまして、極力節水に心がけていくことが必要であると考えております。同時に、比較的水資源にこの地域は恵まれておりますので、その特性を生かしながら、県民の快適性、利便性の確保もこれまた重要であろうと考えております。  木曽川水系のように、大部分がよその県の中にありまして、水利権者が錯綜しておるところにおきましては、関係県、協調のもとに水資源開発を進めていくことが不可欠であると、かように考えております。 31: ◯三十番(小林収君) 再質問させていただきます。  第一点の河口ぜき問題につきましては、意見の対立しているところの議論は省略いたします。  一つだけですが、事業費に対する県の負担金の問題でありますが、これは当然のことながら、この議場にいる人間が負担するわけじゃなくて、最終的には県民が、税金とかあるいは水の料金という格好で負担をするわけですね。そういうことに考えますと、当然、早い時期にですね、県民の皆さんに、「これだけの負担を求めて、こういう施設をつくるんだ」と、こういうことが、できるだけはっきりした格好で説明されるのが当然のことだろうと思います。  例えばですね、今の数字は全部、総事業費一千五百億円の想定で答弁があったと思うんですが、神奈川県の例えば宮ケ瀬ダムというダムでは、一九八六年に総額二千四百億というふうに言われた事業費が、ことしの三月にですね。三千百八十億、約一・三倍に修正されたというような事例もあるわけですね。そういう事例なんか、もとにしながら、いろんな研究者がいろんな数字を発表しているわけですから、そこら辺をきちっと県の方がですね、「最大でも、ここら辺にとまります。最大でも、県民の皆さんにこれだけ負担していただきます。だからつくります」と、そういう議論があって、これはしかるべきだと思うんですが、答弁者、だれか知りませんが、そういう公共事業の進め方について、県民負担との兼ね合いでどういうけじめをつけるのか、そこら辺の答弁をお願いをいたしたいというふうに思います。  それから境川の問題ですが、私は土木部長の答弁を聞いてびっくりいたしました。行政代執行のことに何も触れていないですね、おたくの答弁は。それでですね、今まで一遍確認書までいって、それをぶち壊したというような過程、それを含めたときに、まず一番大事な答弁をしないというのはどういうことですか。あの全国的に有名になった成田ですらですね、運輸省が「代執行をしない」と言って交渉に入ったんですね。愛知県は、一歩も二歩もおくれているでしょう、その態度は。そこのところを、原則をはっきりしていただきたいと思います。  まあ、本会議場で固有名詞を挙げるべきじゃありませんが、あの確認書にいったときにですね、おたくの先輩である石川功という、当時の土木課長はですね、本当に奔走されてですね、あそこへ持っていかれたんですね。それを終われば知らぬ顔。法律だけ振りかざして同盟に応対しているのが今までの過程じゃないですか。しばらくして、拡張しようと思ってできなかったら、また同じように頭下げて、そのとき回るんですか。きちっとした土木部の見解をもう一遍お伺いしておきたいと思います。  以上です。 32: ◯企業庁長(徳安武君) 御指摘のとおり、事業費に対する将来の償還の負担は、利用者の負担、あるいはまた県民の税金という貴重なものでございますから、その意味におきまして、確たる数字をできるだけきっちり示していくということ、大事だと思いますけれども、水資源開発公団との間で、先ほども申しましたように、まだ、こうなる、ああなるということもきっちりしておりませんし、一方的にこちらであれやこれやとですね、やってしまうのも、かえってまた問題もあろうということで、先ほどのような答弁にさせていただいた次第でございます。御理解を賜りたいと存じます。 33: ◯土木部長蛇川雄司君) 行政代執行のことでございますが、十分話し合いをいたしまして、不幸な行政代執行がもうないように、最善の努力をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。 34: ◯副議長石川紀一君) 進行いたします。  鬼頭英一君。     〔十二番鬼頭英一君登壇〕(拍手) 35: ◯十二番(鬼頭英一君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。  質問の最初に、知事に、愛知の今後の位置づけについてお尋ねいたしておきます。  愛知県という名称は、明治五年に「名古屋県」から「愛知県」へと改称されたものであり、現在の名古屋が尾張愛知郡にあったことから、現在の「愛知」となったと伺っております。「尾張愛知郡」の名は、最も古くは「続日本紀」に見られ、愛知とは、もと「アユチ」と言い、「日本書紀」「万葉集」では、年号の年という字と、魚という字と、市場のと、この三文字で「年魚」等と記されております。  この「アユチ」の語源としては、大別して二つの説があり、一つは、「アユチ」の「アユ」とは「わき出ずる」の意で、「アユチ」とはわき水に富むところを意味する説と、もう一つは、「アユチ」の「チ」は風を意味し、「めでたいものをもたらす風」の意であります。後説については、古くから「アユの風」との呼称があり、つまり「アユチ」とは「遠い海のかなたから幸いを運び来る風」との意味があるとされ、民俗学者の柳田国男氏もこの説をとっています。「幸の風」、また「わき出ずる水」といった深い意義を持つ愛知の県民であることに、私は誇り高いものを感ずるのでございます。  特に愛知の地は、九州から北海道へと日本を概観するとき、地理的に中心の位置にあり、まことに重要な存在であることは論をまちません。このように、県の名称の由来から見ても、常に愛知県が先駆的な役割を果たし、その範を示し、県内の市町村へはもちろんのこと、日本各地、また世界各国に向けて幸の風を送り続ける使命があると思いますが、知事は、いかなる分野、いかなる視点に立って、幸の風を送り続ける決意に立たれているか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県営住宅の管理、特に修繕に関して質問をいたします。  県営住宅の管理は、他の県有施設の管理と異なり、人が常時生活する拠点を管理するものであるため、その管理は複雑多岐にわたっており、管理に従事される方々の御苦労は並み大抵のものではないと推察いたすところであります。五万九千戸近い戸数の住宅の管理に関係されておられる皆様の日々の御労苦に対し、深く敬意を表するものであります。その上に立って、以下、順次質問をいたします。  質問の第一点は、県営住宅の修繕計画についてであります。  県営住宅も、新築の新しいうちは、入居されている方々は何ら修繕の必要性を感じることはないのでありますが、五年、十年と年数を経てまいりますと、どうしても台所や浴室、トイレといった、いわゆる水回りを中心とした場所に傷みが出て、これらの修繕が入居者にとって切実な問題となってまいります。
     公営住宅法第十五条で、「事業主体は、公営住宅の家屋の壁、基礎、土台、柱、はり、屋根及び階段、並びに給水施設、排水施設、電気施設、その他の建設省令で定める附帯施設について修繕する必要が生じたときは、遅滞なく修繕しなければならない。ただし、入居者の責に帰すべき事由によって修繕する必要が生じたときはこの限りでない」と、規定され、事業主体に修繕の義務を課しております。  この修繕義務を受けて、本県では、昭和五十三年度を初めの一期として「県営住宅計画修繕五か年計画」を策定され、既設の県営住宅を計画的に修繕を実施していることは承知いたしております。また、本年度は「第三次県営住宅計画修繕五か年計画」の最終年度に当たり、来年度から始まる「第四次計画」の策定作業に入っておられるとのことであります。  県営住宅は県下の各地に存在し、海に近い団地もあれば、地盤の悪い場所に立地している団地もあります。また、同時期に建設された住宅でも、建設工法等の相違により、県営住宅の老朽化の度合いが違ってくるのが当然であろうと思われます。  このように地域的条件等が違う住宅の修繕計画を、建設年度に合わせて、一定の耐用年数に従って、画一的、機械的に修繕計画を策定されているのではないかと思われますので、そのあたりの実態を踏まえ、どのように既設の県営住宅の修繕計画を策定されるのか、お伺いをいたします。  次に、質問の第二点目は、一般修繕に関する修繕費の費用負担区分についてであります。  愛知県県営住宅条例第十一条及び県と入居者との間で締結する県営住宅賃貸借契約書により、修繕費等の入居者の費用負担義務が明記されておりますが、入居者の方々から私のところへ、「どのような修繕が県でやってもらえるのか」、また、「どのような修繕は入居者が行うのか」といった相談が数多く寄せられているのであります。県は、これらの費用区分を明確にした冊子を管理人さんに渡してあるとのことでありますが、現実の問題として、入居者の方は戸惑っておられるのが実情ではなかろうかと思います。  そこで、一つの提案として、内容をわかりやすくするためにも、漫画等によるQアンドAのリーフレットを作成し、各戸に配布したらどうかと考えますが、いかがお考えか、お伺いいたします。  最後に、三点目の質問でございますが、これは一点目の質問の計画修繕に関連するものであります。入居者にとって、県で実施する計画修繕に対しては強い期侍と関心を持っております。このため、計画修繕の計画策定に当たっては、入居者の生の声を反映させるためにアンケートを実施すべきであると思われます。  県営住宅の全戸を対象にアンケートを実施するとなると膨大な作業と経費を要するため、各管理事務所ごとの地区別や、建設年度別に各団地を抽出してアンケートを実施することによって、入居者が共通して要望している修繕項目や修繕箇所が把握できるものと考えます。そういった意味から、このような抽出アンケートの実施を要望するものですが、いかがでしょうか。  次に、救急業務の高度化についてお伺いいたします。  本県の、平成三年における救急出動件数は約十三万八千件にも達し、四分に一件、救急車の出動があるといった統計が示すように、救急業務は、地域住民の安全を確保する上で不可欠な行政サービスとして定着いたしております。しかしながら、最近の交通事故の増加や高齢化の進展、疾病構造の変化などにより、救急現場や搬送途上における心肺機能が停止状態になる重症患者が一層増加することが予測されております。  従来より、我が国の救急現場及び搬送途上における応急処置には、医師が関与することが少なく、救急隊員の懸命の心肺蘇生処理にもかかわらず、社会復帰した者の割合は、欧米諸国と比べ大変低いことが指摘をされてまいりました。こうした救命率の向上に対する世論の高まりを背景に、救急隊員の行うことのできる応急処置の拡大と救急救命士制度が昨年の八月創設されたところであります。  この制度は、救急隊員が百十五時間の教育を受けることにより、従来から行っていた、手を用いた心臓マッサージなどの応急処置に加え、血圧計による血圧測定や聴診器による心音、呼吸音の聴取、心電図伝送など九項目にわたり、新たに応急処置ができるようになったことに加え、救急救命士の資格を有する者が医師の指示のもとに、心肺停止状況に陥った傷病者に対して行う半自動式除細動器による除細動、リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液、食道閉鎖式エアウエイを用いた気道確保など、三項目について救急救命処置が行えるようになったものであります。  この救急救命士は、救急隊員の場合、厚生大臣の認可した救急救命士養成所において八百三十五時間の教育訓練を受け、救急救命士の受験資格が付与されるといったもので、ことしの五月に第一回の合格者が発表されました。全国の合格者は三千百七十七名で、合格率七三・九%の中、救急隊員の方はほとんどの人が合格するといった立派な成績をおさめられており、日ごろお世話になっている救急隊の皆さんの努力に、心から頭の下がる思いでいっぱいであります。  救急救命士法が施行され、まだ一年足らずでもあり、県下市町消防機関の救急隊に救急救命士の資格を持った救急隊員がくまなく乗車できるまでには、まだまだかなりの時間と関係方面の協力が必要と思われますが、県民の命にかかわることでもあり、それぞれ一日も早い実施が強く望まれるところでありますので、以下四点につきましてお尋ねいたします。  質問の第一点は、救急救命士の早期養成は当面する最も重要な課題であると考えますが、県はこの問題についてどのように対処されて市町村を指導されるのか、お伺いをいたします。あわせて、五月二十二日に第一回の救急救命士試験合格者が発表されましたが、本県の合格者数及びその職業別内容をお示しください。  質問の第二点は、救急隊員が行うことのできる応急処置が拡大されたことに伴い、県下の救急業務の高度化を進めるため、県としてどのように取り組んでいくお考えか、お伺いをいたします。  質問の第三点は、救命率の向上については、救急車到着前の数分間に関しては、その場にいる一般の人たちが心肺蘇生法を行える体制になっていれば一層向上すると考えられます。その意味で、救急蘇生法の一般市民への普及に関してどのように考えておられるか、お伺いいたします。また、高等学校の教育の場においても、社会人として有すべき資質の一つとして、救急救命の意義の理解や具体的な応急処置法の習得が必要と思われますが、教育委員会としてはどのように考えておられるか、教育長にお尋ねいたします。  質問の第四点は、救急救命士の処遇に関して、本年一月に全国消防長会名により、「救急業務高度化に係る自治省消防庁の対応について」通知が出されておりますが、この中に、救命士出動手当の創設を予定し、平成四年度地方財政計画に計上する予定であるとなっておりますが、この件に関し、現状はどのようになっているのかお示しください。  以上、当面する救急対策について、私ども県民のかけがえのないとうとい命にかかわる問題でありますので、県当局の前向きの答弁をお願いするものでございます。  最後に、脊髄損傷者を含む障害者の雇用促進についてお伺いいたします。  本年は、障害者の「完全参加と平等」をテーマに、国連が提唱しております「国連・障害者の十年」の最終年に当たりまして、障害者問題についての社会的な関心が高まっておりますが、障害者の社会参加の指標とも言うべき実雇用率は、本県の場合一・四二%と、全国平均の一・三二%を上回っておりますものの、いわゆる障害者雇用促進法で定める法定雇用率の一・六%を下回っており、重度障害者を中心に、雇用の改善にはいまだおくれが見られるところであります。  このように、障害者の雇用が改善されない要因しては、企業側に起因するもののほか、障害者にとって、駅舎やバスの乗降設備にいまだ不備なものが多いなど、社会環境に起因するものも多く存在しており、こうしたことが、とりわけ交通事故や労働災害、あるいは病気が原因によるところの脊髄損傷によって車いす生活となった人たちの雇用の場を一層狭めているものと思われます。  障害者がその能力を十分に発揮し、健常者とともに社会経済活動に参加いたしまして、働く喜びや生きがいを見出していくというノーマライゼーションの理念に沿った社会を実現するためにも、こうした人たちの働く場の確保が極めて重要であると考えられますので、特に、車いすを使用しなければ移動ができない脊髄損傷者を含めました障害者の雇用対策を今後どのように進めていかれるか、お伺いいたします。  また、近年、技術革新の進展や産業構造の変化に伴いまして、企業の雇用ニーズも大きく変化しているところでありまして、障害者の雇用を促進する一つの方策といたしまして、障害者の障害の程度や能力に応じた職業訓練の実施による技術付与が重要であると考えますが、本県ではどのような対応をされておられるのか、お伺いいたします。  以上、県当局の心ある答弁を切に期待をいたしまして、第一問を終わります。(拍手) 36: ◯建築部長(島崎勉君) 第一点目の、県営住宅の修繕計画についてでございますが、住宅を良好な状態に保つことを目的に、計画修繕策定のためのプロジェクトチームを設けまして、五年ごとに全団地の実態調査を行っております。  そうして、修繕項目ごとの基準サイクル表というものがございまして、これに基づきまして、団地の建設年度や地域等の立地条件の違い等による老朽化を勘案して、計画を策定しているところでございます。なお、修繕の基準サイクル期間内でありましても、老朽の激しいものにつきましては修繕計画の中に組み入れるように配慮いたしております。  次に、修繕の費用区分を明確にしたりリーフレットの作成についてでございますが、入居者の方々には、県営住宅に入居されるときに配布しております「入居者のしおり」ですとか、県営住宅賃貸借契約書に入居者の費用負担について明記し、御承知いただいているところでございます。  しかしながら、年数の経過等によりまして、これらが紛失等により利用されていないケースもあるかと考えられます。そこで一つの方法といたしまして、県から年三回程度全戸に配布しております「愛知県営住宅通信」というものがございまして、この広報紙を活用いたしまして、定期的に入居者の方々に対しまして周知を図ることを検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、アンケートを計画修繕策定に反映させるべきではないかということでございますが、現在、県営住宅の入居者を対象にいたしました入居者アンケート調査を三年に一回、抽出方式によりまして実施しているところでございます。そこで、御要望の趣旨を踏まえまして、このアンケート調査の中に、修繕に関する項目の充実を検討してまいりたいというふうに考えております。 37: ◯総務部長青山英次君) 救急救命士の養成についてでございますが、その資格取得には高度な医学的知識が要求されまして、そのための教育訓練は、多くの医療機関や講師の方の協力が必要であります。このため、救急隊員を対象といたしまして、救急救命士の受験資格を得るための新たな教育機関として、財団法人救急振興財団を都道府県共同の出捐によりまして昨年五月に設立されたところでございます。  財団の教育計画といたしましては、平成四年度百二十名、五年度二百六十名、六年度以降は各四百名にと増員されることとなっておりまして、本県といたしましては、県下の百七十六隊すべてに乗務できる体制が早期にできるよう、今後も財団に対しまして、定員増等、教育計画の充実強化を強く要望してまいるとともに、市町村に対しましては、救急隊員への救急救命士の教育について、一人でも多くの資格取得ができるよう指導してまいりたいと存じます。  次に、救急業務の高度化の推進についてでございますが、自治省消防庁では昨年八月に、救急隊員の行う応急処置等の基準の一部改正を行いまして、九項目にわたり救急隊員の応急処置の拡大を図ったところであります。この業務が行える隊員は、救急に関し百十五時間の追加教育を受けることが前提となっておりますことから、本県の消防学校におきまして平成三年度に救急II課程を設置し、四十名を教育し、四年度は八十名を教育する計画でありまして、今後なお一層、その充実に努めてまいりたいと存じております。  拡大された応急処置を行うための高規格救急車並びに高度救命の資機材の配布促進を図るために、本年度から単独補助制度を設けていただきまして、市町村の救急業務が円滑に行われるように努めているところでございます。  次に、救急救命士の出動手当につきましては、応急処置の水準の高さや責任の重大性から、他の消防職員の手当との均衡等を配慮する意向も踏まえ、四年度地方財政計画におきまして、一般の救急隊員の出動手当の約二倍強に当たります五百十円が計上されまして、その処遇の改善について対応が図られているところでございます。本県といたしましては、この国の指導に基づき、救急救命士の救急活動については同様な改善がそれぞれ図られますよう、関係消防本部に指導を行っているところでございます。  以上であります。 38: ◯衛生部長小澤和郎君) 救急救命士の合格者でございますが、試験は去る四月十九日、全国八カ所の会場で実施されました。県内に在住する合格者は二百四十二名でございました。合格者の職業別内容は、救急隊員が全体の九%で二十一名、看護婦、看護士が九一%の二百二十一名となっております。  また、心肺蘇生法の一般市民への普及についてでございますが、御指摘のように、心肺停止後三、四分以内の心肺蘇生法等の応急処置を行うことは救命率の向上に大変有効でございます。一般市民への心肺蘇生法の普及は、そういう意味で大変重要なことでございますので、本県では昭和五十八年度から、九月九日の救急の日を含む救急医療週間中に「救急医療推進大会」を開催いたしまして、その中で心肺蘇生法の実技指導を行っております。  さらに、今年度から、新たに県下二十六の全保健所において、地域の方々を対象に心肺蘇生法の実技を含む救急法の講習会を開催いたしまして、普及を図ることとしております。  また、愛知県医師会におきましても、本年は七月十四日に露橋のスポーツセンターで、一般県民を対象に救急蘇生法普及大会を開催し、心肺蘇生法の実技指導を実施することとしておりまして、今後、広く県民にこの心肺蘇生法の定着をさせていきたいと考えております。 39: ◯教育長(野村光宏君) 高等学校における救急救命に関する対応でございますが、平成六年度から実施予定の学習指導要領において、科目保健の中に、新たに応急処置の単元が設けられ、高等学校教育の中で学習させることになっております。  本県といたしましては、救急救命の重要性にかんがみまして、平成元年度から、教職員を対象といたしまして心肺蘇生法実施講習会を実施をしてきたところでございます。今回の学習指導要領の改定に伴い、新たに平成三年度から三カ年計画でもちまして、保健体育科のすべての教諭を対象といたしまして応急処置法研修会を開催をして、救急救命の意義を初めとして、心臓マッサージや人工呼吸法等を実習をさせ、指導力の向上を図っております。  また、本年度から、応急処置のための訓練人形を県立高等学校へ計画的に配置をいたしまして、生徒の救急救命法等の理解と習得ができるように努めているところでございます。 40: ◯労働部長(下方幸夫君) お答えいたします。  まず最初に、障害者の雇用対策についてでございますが、本県といたしましては、法定雇用率未達成企業の指導や集団見合い方式による選考会の実施。あるいは、より適合性の高い求人の開拓などの諸施策を推進いたしまして、障害者の雇用促進を図っているところでございます。  中でも、脊髄損傷者につきましては、車いすを使用していることなどによりまして通勤の困難な方が多く、そのために、せっかく高度な技術を持っておられながら、就職を断念せざるを得ないケースがあります。さきの国会におきまして、いわゆる障害者雇用促進法が一部改正されまして、重度の障害を持つ短時間労働者及び在宅勤務者を援助する方についても助成措置の対象となりましたので、通勤が困難な重度の障害者などにつきましてさらに雇用の道が広げられることになりました。この制度を積極的に活用いたしまして、雇用の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、障害者に対する職業訓練についてでございますが、本県の障害者に対する職業訓練につきましては、愛知障害者職業訓練校におきまして、障害者の職業能力や身体的機能に適応した職種につきまして、知識や技能を付与するための職業訓練を実施しているところであります。  御指摘のとおり、技術革新の進展等に伴いまして、企業の求められる労働力のニーズが多様化、高度化する一方で、障害者であります訓練生は、車いすを使用する方が増加するなど、重度化する傾向にあります。このため、企業の雇用ニーズに対応した訓練科目の設定や訓練方式の改善、コンピューターシステムを初めとする先端機器の導入などを行いまして、訓練終了後の就職の促進を図ってきたところであります。  また、一般の県立高等技術専門校におきましても、訓練が可能な障害者につきましては積極的な受け入れをしているところでありますが、さらに、現在北区に移転改築中でございますが、名古屋高等技術専門校におきましては、エレベーター、自動ドア、あるいは身体障害者用トイレなどを設置いたしまして、車いすを使用される方にも利用できるような整備を進めておりますので、可能な限り受け入れてまいりたいと考えております。  以上でございます。 41: ◯知事鈴木礼治君) 今後の愛知県、愛知をどのような位置づけで考えていくかと、こういう私に対します御質問にお答えいたしますが、愛知県は全国、世界の中で、力強く発展できる地域づくり、地域にしていかなければならないと。それは、全国的に見ましても、この地域がちょうど日本列島の真ん中にありますし、そうして、従来からの物づくりに得意なこの地域。いろいろ考えまして、国の方におきます四全総、第四次の全国総合開発計画におきましても、産業技術の中枢圏域と、こう言っておりますが、それを国が言ったからでなくて、言われなくたって、この地域はもともとそうなんであります。  そしてあれは、もとより私どもも望んでおるところでございますし、地域におきまする競争におきまして勝たねばなりませんし、また、私どものところがそういう形で敗れた場合にだれも補償はしてくれません。我々が、我々で守らねばならぬこの地域でありますから、その地域は、何といいましても、交通体系の整備を整える必要がございます。その場合、空港、道路、鉄道、海運もございますが、そのような交通条件を整備いたしますと、非常にこの地域の交流が深まります。格段とこの地域がそういう点ですぐれてまいりますと、全国はもとより、世界の人も物も情報も集まってくるようになります。また、そういうふうにしなければなりません。  そういうふうな状態にいたしまして、この地域の繁栄をを図れば、当然、この地域に住まう住民の、県民の皆様の豊かな暮らしが必ず実現すると。そういうところで、この地域の発展、それは県民の発展と、こういうことで、今後私どもは、今申しましたような地域づくりに、積極的に力強く、これからの行動をそういう方向へ向けていかなければならないと、このように考えております。 42: ◯十二番(鬼頭英一君) ただいま、知事の決意、御所見を伺って大変心強く思ったわけでございますが、県民のためにさらに知恵をわき出していただいて、力強く幸の風を送り続けていただきたいとお願いするものでございます。  県営住宅管理については、それぞれ前向きの答弁をいただけたと思っておりますが、人々は、経済、社会の目覚ましい発展の中でも、日常生活の中で、とりわけ住まいについては、常に快適であり、ゆとりや潤いのある生活空間等を求めるといった、多種多様なニーズが生まれております。県営住宅管理についても、そのニーズの一つ一つにすべてこたえていくのは、予算の関係もあって、大変大きな困難を伴うといたしましても、今住民が、何に困って、何を求めているのか。その心に、一歩でも迫っていこうとするサービス精神が大切だと思います。その意味で、お答えいただきました修繕プロジェクトの編成、また、わかりやすいQアンドA、そしてアンケートの内容充実、こういった諸活動に心から期待をいたします。よろしくお願いをいたします。  救急業務については、言うまでもなく、救急医療は医療機関に行くまでの時間が勝負であります。現在、我が国では、平均十五分間で現場から医療機関まで患者は搬送されています。救急車両という狭い空間での処置でもあり、搭載できる機器や薬剤も限定をされております。わずか十五分から二十分の時間に、蘇生へ向けて全力を傾けておられる救急隊の皆様の姿は、思い浮かべるだけで頭が下がります。どうか、こういった方々に手厚い処遇、また、さまざまな配慮をお願いしたいと思います。また、高規格車等の誕生も待ち望まれておりまして、今後も一層の車両充実、拡大、御尽力いただきますようにお願いをいたします。  障害者雇用促進についてのお答えでございますが、重度身体障害者であります短時間労働者が助成金支給の業務の対象になったと、非常に朗報だと喜んでおります。在宅勤務者にとりましても、またその家族にとりましても、一筋の光が差し込んだという思いでもございます。どうか県当局におきましても、こういった方々にどうか目こぼしのないように、この制度が隅々にまで行き届きますよう配慮をお願いをいたします。  以上、種々、要望といたしまして、質問を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━ 43: ◯六番(柴田紘一君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 44: ◯副議長石川紀一君) 柴田紘一君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 45: ◯副議長石川紀一君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十三分開議 46: ◯議長小田悦雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  石田芳弘君。     〔四十九番石田芳弘君登壇〕(拍手) 47: ◯四十九番(石田芳弘君) 通告に従って質問いたします。  鈴木知事は、御就任されてからことしで十年目を迎えられます。知事の話は、いつも論旨が簡潔で明瞭、県民にとって大変わかりやすいと、かねがね私は勉強させていただいているところでございます。例の三点セットプラスワンなどは、十年後の愛知県政を具体的なイメージとしてとらえやすく、一言で知事の思想を理解することができます。もう一つ、最近とみにお使いになる「県政究極の目標は社会福祉の向上である」と、この表現も何となくごろがよく、いわゆる人口に膾炙しやすい表現だと思います。  ところが、この県政究極の目標は福祉であるという言葉は、もう少し正確に知事と県民との間にコンセンサスを得ておかないと、どうも誤謬が広がっていってしまうような気がいたしますので、きょうは、この県政究極の目標について御質問を申し上げます。  昨年六月、ちょうど一年前の定例県議会で、社会党の今井議員の質問に対する知事の答弁の中に、この県政最高の理念は福祉であるというお考えがありました。まず、今井議員がどういう質問をされ、知事がどう答弁されたかを振り返ってみます。少々長目ですが、これがきょうの質問のキーになりますから、お願いいたします。  今井議員の質問です。  二十一世紀に向けた県政についての知事の基本姿勢について質問をいたします。統一地方選挙後初めての定例県議会ですので、これからの四年間の議会の初めに当たり、行政の長であります知事に、二十一世紀に向けた行政の基本姿勢について伺いたいと思いますが、知事は、中部新国際空港を初めとする交通基盤整備や、二十一世紀万国博覧会の開催などのプロジェクトを着実に推し進め、地域の力を高めた上で、活動力に満ちた長寿社会、心豊かな地域づくりに一層力を注ぐこと。そのため、福祉、健康対策の充実、教育や文化の振興、生活環境の整備などを積極的に進め、幅広い県民の向上に努めると、おおむねこのような意見を表明され、本県は二十一世紀に向けて、基礎固めという時期を迎えているとの認識を示されています。  つまり、県政の活性化を図り、力強い経済力と財政力を確保することにより、究極の目的としての福祉の充実を目指すこととし、大規模プロジェクトの推進に取り組むというものと受け取っておるのですが、まず、究極の目的である福祉とは、どんな状態を言われるのか。これが今井議員質問です。  これに対して知事の答弁が、次のようです。  基本姿勢につきまして、究極の目的である福祉と言っておるが、どういうことかと、どういう意味かと、こういうことでありますが、また言葉をかえて言いますと、私の考えておりますこの究極の目的は福祉でございますという、その言葉をかえて言いますと、すべての行政が結局県民福祉の充実、向上に収れんしていく、こういうことであります。ややもいたしますと、福祉という言葉が狭くとられがちでございますけれども、もともと福祉という言葉は英語のウェルフェアからきておるんだというふうに聞いておりますが、これは満足のいく暮らしといったような意味だというふうにも聞いております。  それはともかく、県民福祉の向上とは、ハンディキャップのある方々への社会全体での手厚い取り組みを行うことでございまして、県民一人一人が生きがいを感じ、そして豊かに安心して暮らすことのできる地域づくりと、こういうふうに思っております。これが知事の答弁です。  ここで、今井議員の使っておられる福祉という概念は、いわゆる社会福祉行政のことです。それに答える知事の答弁は、英語のウェルフェアという言葉をお使いになって、それは広い意味での幸せということぐらいかなと思ったら、「ハンディキャップのある方々への社会全体での手厚い取り組みを行うこと」と、狭い意味での、いわゆる福祉行政をも肯定しておられます。  そしてさらに、この知事の答弁を受けて、ことし二月の定例県議会で、今井議員から、再度福祉に関して次のような質問がありました。  福祉行政について伺います。「あいち八か年福祉戦略」の策定が、県の新年度の目玉事業の一つとして注目されております。──ちょっと中略させてもらいます──この「八福」と省略される事業内容の評価は別にしまして、「八福」を発表された知事の福祉への思いを評価したいと思います。  私が、昨年六月定例議会における代表質問で、大型プロジェクトの推進などの県政の活性化を図る諸施策と同時に、福祉を柱にした二大理念の行政が不可欠と提案したことに対し、知事は、県政最高の理念は福祉の充実の一点であると答弁されました。これが今井議員の質問です。  この二人のやりとりでわかることは、今井議員は、県政究極の理念は福祉であるという知事の答弁を、社会福祉行政に限定して理解されていることです。それは、社会党の県政綱領「二十一世紀・福祉社会、ここ愛知から築こう」とも一致するテーマです。そしてその延長線上に、今年度の目玉事業である「あいち八か年福祉戦略」の評価が出てきているのです。つまり、県政の究極の目標と「あいち八か年福祉戦略」とが結びついてしまう、そうともとれる質疑の展開でございます。  「誤謬は、その根を言語におろしているときほど打ち破りがたいことはない」、これはイギリスの法学者ベンサムの言葉です。まず、満足のいく暮らしといった意味の福祉と、それから行政上のいわゆる社会福祉とは、厳密に区別しておかねばなりません。知事のおっしゃるウェルフェアは、ハピネスの同義語だと辞書にあります。もしその意味だとしたら、それはそれで県政究極の理念として、私は異議を唱えるものではありません。  「経営の神様」と言われた松下幸之助氏は、自分の企業経営の理念をPHPと表現しました。ピース・アンド・ハピネス・スルー・プロスペリティー──繁栄を通しての平和と幸福──この繁栄を通してと、こういうところが洞察のある考え方だと、私は思います。このPHPの思想は、今や一企業の枠を超えて、すぐれた思想として、文化の創造や教育の分野にも、世界じゅうの自由主義経済国の人々に影響を及ぼしています。知事のおっしゃる三点セットプラスワンと福祉との関係は、この松下幸之助氏のPHPの意味のような気もします。もしそうならば、そのときには私は、福祉という言葉を別の言葉に置きかえ、表現していただきたいと要望いたします。  ところが一方、県政究極の理念たる福祉が、社会福祉行政のことであり、これから展開される「あいち八か年福祉戦略」が県政究極の目標となってしまうようなニュアンスも否定できませんので、以下、私はその考え方に対し、率直に批判を申し上げさしていただきたいと存じます。  ベルリンの壁が取り除かれ、ドイツは自由経済の国として統一されました。ソ連邦も消滅し、自由主義国家対社会主義国家の、いわゆる世界の冷戦構造がなくなりました。フランシス・フクヤマは、著書「歴史の終わり」で、人類の幸福追求の思想は、リベラルな民主主義が社会主義に打ちかったと述べております。ソ連邦が崩壊し、社会主義が破綻したというとらえ方がされたとき、学者や評論家がいろいろコメントしましたが、あるマルキストがこんな意味のことを述べておられるのが私の興味を引きました。「自由主義の方が社会主義よりしたたかということでしょうか。例えば、福祉という考え方など、自由主義体制にはなかったのですが、左の陣営が盛んに言うと、それをそっくり取り入れ、自家薬籠中のものとしてしまった。そこが自由主義の強いところかな」と。  我が国で福祉を政策の最重点に置き、積極的に発言してきたのは左翼イデオロギーであったということを、まず認識せねばならないと思います。そのイデオロギーのもとに、かつて東京都知事になった美濃部さん、そして横浜市長の飛鳥田さんらを初めとするいわゆる革新自治体の首長は、異口同音に福祉行政を自治体の究極の目標に掲げ、結果は膨大な赤字財政を抱え崩壊していったことは、既に事実の証明するところであります。  社会主義に関する解説は山ほどありますが、私はつまるところ、社会主義的思考とは、要するに、富の再配分に尽きると思います。持てるものをなくし、その富を万人平等に再配分しようとしたところから、ロシア革命や中国革命が起きた。そして、官僚統制経済の国家となったわけです。そしてこの社会主義を標榜する国々は、また現在、祖国を捨て、外国へ亡命したい人々が後を絶たないのも事実であります。  それと逆に、日本やアメリカを代表とする自由主義国は、一言で言うならば、富をつくり出すことに力を注いでいます。そしてそれは、消費者主権の自由経済を生みました。自由主義経済の国々は、内部にいろいろ矛盾や問題は抱えてはいますが、世界じゅうからたくさんの人々が移住したがっている。言いかえるならば、現在世界で繁栄している国々は、富を再配分することより、富をつくり出すことに熱心な国々であります。  福祉という言葉の響きは実に美しい。ヒューマニズムと慈愛に満ち満ちている。社会正義にあふれた魅力がある。が、福祉の思想というものは、基本的には富の再配分、官僚統制経済の思想であります。  福祉を政策として国が興亡した例は、また、イギリスの労働党と保守党の政治に見ることができます。十九世紀、世界に君臨したイギリスは、労働党が政権をとり、大きな政府が国民を「揺りかごから墓場まで」の面倒を見る。そういうキャッチフレーズの福祉国家を目指してから、EC諸国の中で最も経済の落ち込んだ国になってしまいました。いわゆる世に言う英国病です。自助の精神、自分の力で人生を切り開いていくというバイタリティーを失い、政府に頼る、人に頼る、他力本願が国を覆い、自立自助の精神を忘れてしまったゆえに、英国は没落していったのです。  そしてその英国病を立て直したのが、御存じサッチャーさんです。サッチャーさんは演説の名人です。自民党県連にサッチャーさんの演説のビデオがたくさんありますので、私も数本見ましたが、サッチャーさんの名演説の中に次のような言葉があります。「その人が自分でできることを、また自分でやるべきことをその人にかわってやってあげても、恒久的な助けにはならない」、自立自助、勤勉の精神にあふれた言葉であります。  絶えず政権が交代することで、二大政党政治の理想みたいに考えられている英国で、ことしの選挙にメージャー首相率いる保守党が四連勝し、政権を維持いたしました。これも、完全に福祉政策を看板としてきた労働党政権への決別のあかしであります。  たしか知事は、福祉の視察にスウェーデンへいらっしゃいました。スウェーデンは、長らく福祉先進国の模範としてもれはやされた国でした。ところが御承知のように、昨年の九月、総選挙で、スウェーデン国民は、福祉政策を推し進めてきた社民党に「ノー」という結果が出たわけであります。選挙直後の報道を読むと、各紙とも、つまずいた福祉政策という論調で埋まっています。  福祉こそ究極の理念と大上段に構えることへの疑問は、外国の例を引き合いに出すまでもなく、私のごく身近なところにもあります。一宮の市長として五期務められた森鉐太郎さんとは、私も個人的に大変親しくしていただいた間柄です。あの森さんは、知事も御承知のように、足が御不自由で、つえを使われる、いわゆる身障者でした。会合で一緒になり、隣に座ったことがありました。お立ちになるとき、私は手を差し出し、補助しようとしたことがあります。そのとき市長は、私の手を遮って、きっとした口調でおっしゃいました。「自分で立てるからほっといてください。特別扱いされたくないのです」。一宮が福祉をないがしろにしている町だなどという評価は、私は寡聞にして存じません。森さんは、優しさの中に、秋霜烈日のごとき一面のあった名市長であります。
     ハンディを負った人々に対するいたわりの気持ちは、人間としてごく自然な感情です。ですから、そういった援助は、強者の理論でこれ見よがしにやるものではありません。できるだけ静かに、こっそりとするのが、真の人間の優しさだと私は思います。ハンディを背負った人々に手を差し伸べる行政が県政究極の目標だなどと声を大にして大げさに押し売りすることに、私は、選挙目当てのプロパガンダのような、品性のない政治を感じずにはおれません。  ここで、私の申し上げたいことを一度要約します。もし福祉のみが県政究極の目標であるとしたら、愛知の繁栄を築く経済振興の諸政策や、社会資本を充実する三点セットや、新しい知恵や文化を創造していく万博の夢や、あるいは教育、治安など、県政の諸政策は一体どういう意味を持つのでしょうか。六百五十万県民のトップに立っておられる知事が、絶えず「県政究極の理念は福祉である」とおっしゃることによって、公共事業を拡大し、ダイナミックに社会資本を充実したり、次々と技術革新をし、自由競争をする企業が豊かに繁栄することが、福祉より何かしら重要性が薄く、下風に立つような意味にとれませんか。県政究極の理念は福祉であるというこの表現には、福祉と福祉以外の分野との結びつきが極めて不明確であります。いわば、どこかの総理大臣と一緒、言語明瞭、意味不明瞭であります。  ところで、最近の新聞で知ったことですが、ことしまた我が国の貿易黒字が増大してきたようです。政府は、貿易摩擦解消のため、いろいろな手を使って苦労していますが、我が国の輸出はふえる一方、そしてそれに伴って、金融力もずば抜けて世界一です。その秘密はどこにあるのか。それは、ほかでもありません。我が国の技術力以外の何物でもありません。  アメリカは多くの仕事をつくったが、生活水準は下がり続けている。それは、新しい仕事の多くはサービス業であるために、失業を減らすのにはよくても、国民の生活水準を高くするには十分でない。製造業における技術革新が、真に生活水準を高める。日本の力も、この一点にかかっている。アメリカのバーンスタインは、「YEN」という著書の中で、恐怖にも似た警戒心を込めて、日本の経済力を語っています。技術でおくれてしまえば、福祉も優雅な生活もへったくれもないことは、さきに例を出したイギリスが証明してくれています。技術で勝つことが、富むことや、ひいては福祉の原点であります。  我が県は、産業技術の首都です。言ってみれば、我が県のメーカーの技術力が外貨を稼ぎ、我が国を富ませ、そして我が県を富ませ、結果、我が県の福祉レベルを引き上げてきたのです。  鈴木県知事には、全国、いや世界じゅうのどの知事にもまねのできない、この産業技術の革新にこそ、究極の価値と意思を与えていただきたいのです。そのとき、人類の歴史の中で、間違いもなく愛知の産業技術力は、新しい歴史の扉を開いていくでしょう。  そろそろ結論にしたいと存じます。  冒頭私は、知事は御就任され、ことしで十年目を迎えられたと申し上げました。その十年間に先立って、役人としての長い経験を踏まえ、今、政治家として、愛知県政のリーダーシップを発揮しておられるわけであります。  政治家と役人との違いは何か。私はそれは、将来に対しての発想があるかないかだと思います。未来社会から伝わってくる波長を的確に受信する感性を持った人が本当の政治家であります。政治家が未来社会への的確な目標さえつくれば、あとは役人がそれを仕上げていけるのです。  愛知県民のすべてにわかりやすく、二十一世紀のビジョンは三点セットプラスワンを打ち出された鈴木知事には、政治家としての感性の卓抜さを感じておりました私も、県政究極の目標は福祉であるという知事の思想を聞いて、正直言って戸惑っております。過去の歴史の中に、福祉を究極の目標とした国家や自治体がどういう行き詰まりを見せたかを、最近余りにも多く知らされ過ぎたからであります。  県政究極の目標について、鈴木哲学をお聞かせいただきたく存じ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 48: ◯企画部長河内弘明君) 知事への御質問でございますけれども、一言答弁をさせていただきます。  私どもといたしまして、知事が提唱されております県政究極の県民福祉向上につきましては、広く総合的な意味というふうにとらえておるところでございまして、県民、そして次代、将来の県民が物心両面にわたる豊かさを持ち、将来に明るい希望が持てるような、活力ある地域社会を築くこと、おおよそそのようなふうに理解をいたしておるところでございまして、これは二十一世紀計画が総合的な地域づくりの中で目指すところでもあると、このように存じておるところでございます。  以上でございます。 49: ◯知事鈴木礼治君) お答えをいたしたいと思いますが、県政究極の目標は県民福祉の向上にあると、私は言ってまいりましたし、今も言っております。  これは、実は優先順位の問題を申し上げておるのではございません。これは結局、県政究極といったところをよくごらんいただきたいと思うんですが、この県政究極というところにみそがあるわけでございまして、この究極というのは、県政は、いろんなことをいっぱいやっておると。間口も広く、本当にいろんなことをやっておるけれども、結局究極、とどのつまり収れんしていくところは、県政究極の目標は、結局県民福祉の向上というところへ収れんをしていくんだと、こういうことが言いたかったわけであります。  ですから、このことは決して今石田議員に言われて申し上げているんじゃなくて、かねがね申し上げておりましたように、ずっと前の議会でも申し上げたことございます。福祉の問題は、これは民生部、衛生部がやっておるだけではございませんということを、本会議でお答えした覚えがございます。これは、土木部長も、土木部も、建築部もそれぞれに、あるいは農水部、農地林務部、ほかの各部も福祉の事業をやっておりますと、こういうことを申し上げたわけであります。ただ民生部と衛生部の予算だけを合計いたしまして、それが多いからこの県の福祉は多いとかいうような議論は、非常に当を得ておりませんということを申しました。  例えて申しますと、土木部の砂防課が、あるいは河川課が河川を守る仕事をやっておりますが、あれは土木費であります。土木費でありますけれども、その土木費を執行することによって、川のはんらんを防ぐ、地域の住民を洪水から守る、これはもう福祉そのものであります。ですから、そういった面では、土木部も福祉をやっておるんであります。土木費が多いと、いかにも産業優先というような、判でついたような言い方はまずいと私は思いまして、土木費も福祉をやっておりますと。  ですから、あらゆる県のいろんな仕事は、究極とどのつまり収れんしていくところは、地域に住まいますところの、愛知県に住まいますところの住民の方々の福祉の向上になっていくんだと、こういうことを申し上げておるわけであります。  したがいまして、私が申し上げております三点セットプラスワンで、万博でいろいろ交通体系の整備の集大成を図っていきたいと。そこで、この万博でもって、その三点セットをより効果的に仕上げていけば、そこでまた新しい活力がこの地域にわいてくると。これは力の問題でありまして、産業経済のみならず、それを契機にいたしまして、文化にも、あるいはまたこの辺の、この地域の教育にも、教育文化、あらゆる方面に波及する。その波及する結果、究極県民がより豊かに、より活力のある、物心両面にわたるすばらしいレベルの生活がエンジョイできるではないかと、こういうことでありまして、県政究極の目標はと言ったのは、優先順位で、福祉が先か土木が先かと、こういうことではないのでありまして、あらゆる面が県民福祉の、より豊かな、より力強い生活、豊かさにつながっていくと、そういう意味で、私は、県政究極の目標は県民福祉の向上ということでありまして、決して福祉と並列に並べる何物かがあって、それが先かこれが先かと、そういう議論を展開したつもりではございません。  それから、「八福」についての、一言私も申し上げておきたいと思うんでありますが、この「八福」は、例えば、今の戦略的なリーディング事業などは、例えば空港などは非常にわかりやすいわけであります。本当はわかりにくいんでありますけれども、新空港と言うとわかりやすいわけであります。  ところが、福祉の、狭い意味で申します、私が言います、今から言います福祉は狭い範囲でありますが、間違いないように言いますと、民生部のやっております福祉、衛生部のやっておりますような福祉は、非常に細々したことが多いわけであります。そして中には、非常によその県と比べて、すぐれているものもありますが、よその県がさらにすぐれておるものもあります。そうしますと、よそと比較しまして、本県がよそほどでないと、そこんところだけをとらまえて、愛知の民生部はすべて低いレベルにあると、こういうふうな感覚を、ややもいたしますと持たれがちなのが、この福祉の理解の仕方でございます。それはまことにぐあいが悪いと、まことに情けない、せっかくの実態が理解してもらえないと、こういう恨みつらみがございますので、それで、現在の状態を、まず現在の状態を、我々のやっておる──民生部、衛生部でありますが、広い福祉とは別の、また狭い意味での福祉の、民生部、衛生部のやっております福祉の現在の状況はどうなのかと。でこぼこがあります。それを正確に、私どもがまず現状を認識し、そしてさらに伸ばすべきものは伸ばす、直すべきものは直す。そして二十世紀中に、我々は多少無理をしてでも、民生部、衛生部の行っております狭い意味での福祉をここまで持っていかなきゃならぬと、そういう意味での八か年福祉戦略を、ちょうどこの二十世紀中があと八年でございますので、そこで、八か年福祉戦略を、まず私どもはつくり上げて、それに向かって努力をすると、こういうことでございまして、この八か年福祉というのは、「八福」というのは、比較的三点セットがわかりやすく、理解が行き届きやすいのに比べまして、民生部、衛生部の方はわかりにくいわけでありますので、これを三点セットほど、三点セットと同様ぐらいに御理解が行き渡るような、つまり見えやすい民生部、見えやすい衛生部であらねばならぬと思いまして、これを八か年と言ったわけでございまして、これが、八か年福祉が一つの大きな目標とか、そういう、これと比べて土木は、それじゃええのかとか、そういうことでは決してございませんので、今ちょっと私も、いろいろと御指摘をいただきましたが、私の言ってきておるところ、それから思っておるところ、これを申し上げた次第でございます。 50: ◯四十九番(石田芳弘君) 今の知事の御説明を聞いて、県民福祉という言葉はよくわかりましたんですが、これだけ説明しないとよくわからない、誤解が生じるということを私は申し上げたいのでありまして、というのは、先ほど申し上げましたが、八か年福祉戦略というところで福祉という単語が出てくる。ですから、わかりにくいわけです。  ですから、先ほど申し上げましたが、県政の究極の目標は県民福祉であるの福祉は、大体福祉というのは、私は役所用語じゃないかと思っておりますが、その言葉を、別の言葉を使ったら、それだけ広く、長く説明しなくても、普通の人にぱっと理解できるような気がするんですが、一度──ここで御答弁は求めません。私はそういうふうに感じて仕方がありません。せっかくすばらしい、いろいろお話しいただいた考え方が、福祉という、県民福祉の福祉という言葉を使うことによって紛らわしくなっておると、こういうことを思うわけでして、知事の言われる優先順位ということは、私は全然問題にしておりません。  ですから、日本語にはもっとわかりやすい、豊かさだとか、幸福だとか、幸せという言葉があるわけですから、もう少し一般的な言葉を使っていただいた方がいいんじゃないかと、こんなことを感じ、思いました。  それからもう一つやっぱり、私はそもそも、要望ですから、回答は要りませんけれど、この質問をしてみようかなと思ったのは、今井議員のおっしゃった質問に対して、ぴしゃっとあのときお答えいただければ、私こんな疑問は持ちません。その意味で、政治というのは、ある程度対立しておった方がわかりやすいわけでございまして、見る側に立つと。四党相乗りの同床異夢の上に知事さん立っていらっしゃいますから、なかなか難しいわけですが、やっぱりある程度きちっと言うべきことは言う。そうしないと、鈴木県政というのが、みんな均等にいくことによって、せっかくの県知事のいろんな考え方が、よりわかりにくくなってしまうのではないかと危惧いたしまして、御要望にとどめさせていただきます。 51: ◯議長小田悦雄君) 進行いたします。  青木宏之君。     〔七十五番青木宏之君登壇〕(拍手) 52: ◯七十五番(青木宏之君) まず初めに、名古屋空港周辺にかかわる問題についてお尋ねをいたします。  最近の名古屋空港の航空路線は、国内線、国際線ともに新設、増便が相次ぎ、特に国際線につきましては週百六十七便と、五年前に比べて便数で約三・七倍、利用旅客では約三倍となっております。こうした名古屋空港の活況は、この地域の人的、経済的な交流、あるいは国際化の進展を示すものであり、世界に開かれた魅力ある愛知づくりを目指す愛知県にとりましては、まことに喜ばしいことであると存じます。  しかしながら、こうした航空路線の新増設は、当然、離発着航空機の数が年間で、五年前に比べ、民間航空機で一・四倍と増加し、最近は騒音の低い航空機が導入されてきたとはいえ、周辺住民の方々にとっては、何かと気になるところではないかと存じます。  こうした状況の中で、国、県におかれましては、住宅防音工事を初め、学習等供用施設の設置補助、あるいは環境整備事業など、数多くの周辺対策を行ってみえるところであります。そうした中ではありますが、過日、小牧市長が市議会で、空港周辺市町村へ配分される航空機燃料譲与税が毎年減少している。こうした状況の中では、今後の航空路線の新増設については認めがたいと発言され、加えて市議会も、このほど増便反対決議を採択し、にわかに地元周辺の空気は険悪化しております。  航空機燃料譲与税は、国内線の航空機が消費する燃料について課税されるものであり、国際線航空機については、国際慣行により課税されないこととなっているため、増便が続く名古屋空港の場合、増便の多くは国際線であり、一方、国内線航空機は、低騒音機の導入が進んだことなどにより、航空機燃料譲与税の積算数値が低くなった結果、この譲与税の減となったとのことでありますが、現実には離発着する航空機は増加しておりますので、周辺住民の方々にとっては、市長の発言及び市議会決議に見られるように、なかなか割り切れないものがあると思われるのであります。  名古屋空港のように、特に市街地に近接した空港にあっては、きめ細かな周辺対策を行い、関係自治体、住民及び空港がともに共存しながら発展していく必要があり、そのための方途について、さらに一層の工夫、努力が必要と考えられるところであります。  そこでお尋ねいたしますが、名古屋空港における当面の国内線、国際線の新増設の状況、また、今後の新増設について、県としてどのように考えておられるのか、まずお聞かせください。  次に、国内線のみを対象とする航空機燃料譲与税の現在の仕組みは理解しますが、国際線が急増する中で、周辺対策に苦慮してみえる周辺自治体に対して、この譲与税にかわる何らかの財源補てんの方途はないものかについて、県はどのように考え、対応されるお気持ちがあるのか、お聞かせいただきたいと存じます。  また、周辺対策の充実でありますが、先ほども申しましたように、国、県におかれては、いろいろな周辺対策を行ってみえるわけでありますが、その現状と、さらに一層の充実に向けどのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いいたします。  次に、身近な自然のある県土づくりに関する諸問題について、以下、順次お尋ねいたしてまいります。  この質問の発想のきっかけは、極めて素朴で、単純なことであります。それは、大分以前から感じていたことでありますが、皆さんもそうだろうと思うんですけれども、このごろ、トンボやチョウチョウやバッタなどを見かけることが少なくなったなという私の印象であります。そういう印象を抱いたすぐその後で頭に浮かんでくることは、まあそりゃ、これだけ都市化が進展したり、消毒や除草のために農薬があちらこちらで使用されれば、当然それらの虫も生き残れないはずだから、しようがないかなということでした。人間生活のためには、トンボやチョウチョウやバッタたちに、ある程度犠牲になってもらわなければ仕方がないのかなという思いでありました。  ところが、ほんの最近、それもここ半年そこそこだと思いますが、まさに私にとって衝撃的な感動を覚えさせる現象があらわれてきたのであります。加えて、同様な趣旨のテレビ番組を見る機会を得たのでありました。  初めに、私に衝撃的な感動を与えた事例について述べさせていただきます。  私は、ゴルフが大好きであります。キャリアも二十年になろうとしております。ゴルフ場においてプレーすること自体も当然楽しみに思うのですが、それのみならず、きれいな空気を胸いっぱい吸い、木々の緑や色とりどりの草花に目を休め、そして鳥や虫の鳴き声に耳を傾ける、そんなことが私のリフレッシュに大いに役立つのであります。多分ゴルフをされるほとんどの方々も、同じ思いを抱かれていると思います。  いつごろまでかははっきりした記憶がありませんが、かつてはゴルフ場でも、春になればモンシロチョウが乱舞し、夏には、土手にふと腰かけるとトノサマバッタやハタオリバッタがぴょんぴょん跳びはね、秋ともなれば赤トンボの大集団があたりを赤く染め上げる。そんな光景がごく当たり前であったし、私のような無風流者の目にも、季節をより楽しく感じさせてくれたのでありました。  ところが、ここ数年来、とんとそれらの姿を見かけることがなくなってしまったのであります。トンボやチョウチョウやバッタばかりでなく、アリも、マリムシもテントウムシも芋虫も、ゲジゲジも何もかも、虫という虫の姿が消えてなくなってしまったのであります。前に述べましたように、そういう状態を見て寂しさは禁じ得ないけれども、やむを得ないのかな。しかし、何とかしてもとのように戻れないものかなという程度で、ぶつぶつ自問自答することが続いてきていたのであります。  ところが、本当にごくごく最近、「あれ、アリがいるぞ」、「あれ、マリムシがいるぞ」、「あっ、モンシロチョウだ」、「何とオニヤンマが飛んでいる」という、久しく感じたことのない驚きを味わうことが出てきたのであります。つい先日も、私がパットをしようとしたときに、パットラインの──十メートルぐらいありましたかね、パットラインの大体真ん中あたりにですね、何やらもぞもぞ動いているものがありました。何だろうと思って見ますと、何と芋虫だったんです。びっくりするやらうれしくなるやら、早速大事に手にとって、近くの木にそっと置いてやったことでありました。  これらの現象は、ゴルフ場で使用する農薬の量、質ともの規制制限によるものであることは疑う余地がないと思われます。確かに、ゴルフ場によってばらつきはありますが、フェアウエーに芝生以外の雑草が見られるところも出てきております。最近、水質汚染などの問題で、ゴルフ場の農薬規制が厳しくされるようになったが、本当にその効果は、何か特別の検査をするまでもなく、こうして目に見えてあらわれてきたのだなと思ったのであります。  ついでに、ゴルフ場の管理のことについて少々触れますが、私の考えでは、グリーンはですね、グリーンは雑草があってはいけません。雑草のないきれいなメンテナンスが望まれますけれども、グリーン以外のところは、雑草が少々あっても、刈ってさえあれば、一向にプレーには差し支えないのであります。  私は、ネパールのカトマンズでプレーしたことがあります。が、そこはグリーンのみはまあまあ手入れしてありましたが、あとのところは全く自然のままというありさまで、本当に発祥時のゴルフとはこういうものかなという、大変私にとりまして楽しい思い出を、むしろつくることができたくらいであります。そこまで極端でなくても、農薬をまきからかして管理する必要は絶対にないということを、この際、声を大にして関係者に訴えておきたいと思います。先般マスコミで大きく取り上げていただいたゴルフ大好き人間の私が言うのですから、間違いありません。  折しも去る六月二十日の新聞に、「ゴルフ場の農薬削減は限界か」という見出しの記事が出ておりましたが、とんでもないことだと思います。いずれにいたしましても、とにかく、ほんの少しだけれども、これまで姿を見られなかった虫たちがゴルフ場によみがえってきたことは喜ばしい限りであり、さらに一層関係者の御努力を強く願うものであります。  そこで、ゴルフ場ばかりでなく、私たちの日常生活の中で、篤とお目にかかれなくなったこれらの昆虫は、何らかの方策をとってやれば、再び身近な自然としてよみがえるのではないかと思い、いろんな人にこの話をしてみたところ、まだ多くのことはわかりませんが、例えばモンシロチョウは、キャベツがあれば簡単に産卵をしてふえるとか、アゲハチョウのたぐいは、同じくかんきつ類の樹木があれば、あっと言う間にふえてしまうということを聞きまして、何だそういうことか。緑があればふえるのではなくて、そういう虫の種類によって、必要なものがあればふえるし、それらがなければ、他の緑が幾らあってもだめだということを知ったのであります。だから、それぞれの虫の生態に適合した諸条件を人間が意識的につくり出してやれば、全部とはいかないまでも、相当数の昆虫をよみがえらせることができるのではないかということがわかったのであり、今までの私と違って、今後に明るい光を見出した思いがしたのであります。  さて、もとに戻って、今度はテレビ番組のことについて触れさせていただきます。それは、トンボについてのものであります。  トンボというのは、基本的には行動半径が非常に狭くて、その半径以内に浅瀬のきれいな水がないと、その先へは行動が広がらないのだそうでして、その水さえ切れ目なく続いておれば、どこまでも飛んでいくのだそうです。そこで、そういう条件を都会の中でも人工的につくってやれば、トンボがよみがえるということについての実験を扱った番組でした。結果は大成功でした。私は、それを見て本当に感激したのであります。  そして昨日、家へ帰って夕刊を見て、またびっくり。全く知らなかったのでありますが、何と私の地元の守山区の方が、トンボを自然繁殖させるために、御自宅の庭をトンボの生態系に合うように、池を中心にして大改造されて、見事に幼虫であるヤゴを誕生させられたとの内容が掲載されていたのです。これなら、ゴルフ場どころか、名古屋の栄のど真ん中でも、トンボのおしゃれな姿を日常的に見ることができるのではなかろうかと思ったからであります。この本会議場の中ですいすいと飛んでいるシオカラトンボの姿さえ連想いたします。「あっ、知事さんの頭にギンヤンマがとまった」なんて、ちょっといい光景ではありませんか。  話を本題に戻します。私は、このようなことで、姿を消しつつあるトンボやチョウチョウやバッタ、その他の昆虫類が、日常的な私たちの生活の中で、昔のように私たち人間を楽しませてくれる存在であり続けてほしいという一念から、そして前に触れたように、それらをよみがえらせることがそれほど困難なことではないという明るい見通しを抱きながら、それでは、我らが愛知県政の中において、この問題はいかに位置づけられているのであろうかと思い、改めて第六次地方計画たる愛知県二十一世紀計画を読み返してみたのであります。  結論としての端的な印象は、まず、その計画書の中に、一言隻句もトンボ、チョウチョウ、バッタなどの文字も、昆虫という文句も見当たらなかったということと、写真や插絵の中にも、どこにもその姿かたちを見ることができなかったという、私にとってまことに残念なものでありました。ただ、好意的に解釈すれば、例えば、豊かな自然という表現があるとすれば、その中に当然、昆虫類が私たち人間の身近にいるということを前提としているのであろうと思えば、思えないこともないかもしれません。  いずれにしても、以下、この二十一世紀計画の中の記載に基づいて、今まで述べてきました観点から、関係する各方面にわたってのお尋ねをいたしてまいります。  まず第一に、私の言わんとしております身近な自然のある県土づくりということについて、同趣旨であろうと思われる記載が、二十一世紀計画書の中に、漠然ながらもあちらこちらに見受けられるのでありますが、例えば、関係ある主要プロジェクトの一つとして、「あいち潤い空間形成プラン」があります。しかし、そこにもトンボ、チョウチョウ、バッタ、あるいは昆虫という文句は全然出てきておらないのであります。が、我が愛知は、私の言うような意味での県土づくりをしていこうとしているのかどうか。この二十一世紀計画ではそういうことも含まれているんだろうというふうに、私は好意的に理解するわけでありますけれども、その辺のところを、この際明確にお答えをいただきたいのであります。要するに、身近な自然のある県土づくりを、我が愛知県は二十一世紀に向けて目指していくのかどうかをお示しいただきたいのであります。  次に、前述いたしましたゴルフ場の農薬問題についてお尋ねいたしますが、新聞記事のように、本当に農薬の使用削減が限度に達したと見ておられるのか、それとも、私が主張したように、ゴルフ場というもののあり方を考えれば、もっともっと削減が可能と考えられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  また、これまでは主として水質との関係でこの農薬問題がとらえられてきた嫌いなきにしもあらずと思われますが、それとあわせて、私の言うように、虫などの生き物との関係で今後この問題をとらえて、規制、指導していくお考えはないか、お伺いをいたします。  加えて、道路や公園整備、あるいは一般家庭をも含めた、全県下における農薬使用全般につきましては、どのような配慮や指導がなされているのか、今後の方針とあわせてお示しいただきたいと思います。  三番目のお尋ねは、チョウのところで触れましたように、たとえ緑を県土にあふれさせても、それぞれの種類の虫に適合した植栽でなければ、すなわち生き物を念頭に置いた緑化施策でなければならないということについてお尋ねいたします。  今までも県土緑化については鋭意取り組んでこられたところでありますし、二十一世紀計画でも、例えば公園面積を策定時の倍にするとされており、それはそれでまことに結構なことと存じますが、いかんせん、そこにはチョウチョウやトンボやバッタなどの昆虫類のことについては考慮されていないのではないかと思われますが、その点いかがでございましょうか。  国の方では、たしか昨年度、すなわち平成三年度から、公園整備については生き物を念頭に置くように、とのすばらしい方針が打ち出されたと聞いておりますが、県当局としては、それを受け、今後この緑化事業推進に当たってどう取り組んでいかれるおつもりか、お示しいただきたいと存じます。  四番目のお尋ねは、トンボに関してでありますが、トンボをふやすためには、トンボの生態に即した環境条件づくりが留意されなければなりません。それは、前に述べましたテレビ番組での実験結果からして、それほど困難なことでもないような気がいたします。ちょっとした行政当局の施策や、県民の協力でよみがえらせることが可能ではないかと思います。  最近、水辺環境整備事業が推進され出しておりますが、これもチョウチョウにおける植栽と同じように、トンボの生態を考慮した事業推進でないと、幾ら立派な整備をしてみても、トンボはよみがえらないのであります。多分、今までの当局のお考えの中には、トンボなどのことについての考慮はされていなかったのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。ぜひ今後のこの種の事業推進に当たっては、生き物の生態を念頭に置いて計画実施されたいと存じますが、この点についての当局の今後の方針をお示しいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、このような今まさに失われんとしている身近な自然を取り戻すためには、あらゆる分野の行政当局はもちろん、老若男女を問わず、国民がひとしく、まずは身近な自然ということについて関心を抱くとともに、昆虫や鳥類や植物などの、いわゆる生態に関する知識を身につけることが最も大切であり、その上で不断の努力を継続していくことが肝要であろうと存じます。  そこで五番目にお尋ねすることは、市町村を含めた行政当局の理解と意欲の向上並びに県民への啓発、二、特に幼児、児童に対する身近な自然に関しての教育について、それぞれ関係当局の今後の方針を明らかにしていただきたいということであります。  あわせて、三、特に提案を含めお尋ねしたいことは、できればこの種の取り組みは、県、市町村、民間などすべての県民にかかわることでありますので、県行政機構の外郭団体を組織して、専門的に事業展開をしてはいかがかと存じますが、これについてのお考えをお聞かせください。  今まで農地林務部自然保護課が担当されて、身近な自然を楽しもうとの趣旨で、自然観察指導員の養成や、自然観察会などを開催されたり、ボランティアの活動援助をされたりしてこられたことでありますが、この際、さらに一歩も二歩も踏み出されて、身近な自然を新たに県土全域につくり出すという大方針を明確に打ち立てられ、着実に実行されんことを切望する次第であります。これについての方針、お考えもお示しください。  大気汚染、水質汚染などの環境問題と同じく、従来の私たち人間の愚かな行為によって失われんとしている身近な自然の回復というこの命題は、我が愛知二十一世紀への県土づくりという観点からしても、必要欠くべからざる政策視点であると存じます。  トンボやチョウチョウやバッタなどがこの世から、あるいは我が県土から消滅してしまっても、別段県民生活が困るということはないでしょう。しかし、このほど閉会した国会で成立した新法、すなわち、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存法という、うれしいには違いないけれども、何とも悲しいような、法律に象徴されるがごとき事態は、私たちの日常生活から一つ一つ潤いがもぎ取られていくような、本当に寂しい事態と思わざるを得ないのであります。子供時代、いつでもどこでも接することができ、観賞し、戯れることができたトンボやチョウチョウやバッタをもう一度私たちの身近に取り戻したい、そんな素朴で単純な私の気持ちを込め、以上、お尋ねをした次第であります。  知事初め理事者各位の明確な答弁を求め、以上をもちまして私の第一問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 53: ◯企画部長河内弘明君) 名古屋空港についての御質問でございますが、まず、当面の航空路線の新増設についてでございますけれども、国内線では、七月中に日本航空の鹿児島線、それから日本エアシステムの青森線が新設されると聞いております。また、国際線につきましては、八月上旬から日本航空による北京線、また、この四月から開設されております英国航空のロンドン線が、この夏から週一便が二便になると、そのように伺っております。  こうした国内、国際線の新増便につきまして、今日のような国際化が進展する中におきまして、世界の各国や国内各地と交流の手段として数多くの路線が地域の理解の中で開かれていくことは、この地域の発展、将来にとって望ましいことと考えておるところでございます。  このためには、空港周辺の住民の方々や自治体の理解が得られるようなさまざまな取り組みが必要と考えておりまして、県といたしましても、今後とも国と十分連携をとりながら、諸対策の充実に図めてまいりたいと考えております。  次に、燃料譲与税に関してでございますけれども、周辺自治体や住民の方々にとりまして、国内線のみを対象として国から交付されるこの燃料譲与税の仕組み、その仕組みそのものについてはわかるものの、現状の国際線を含めた航空機の増加の中では割り切れない、そういう心情や状況は理解できるところでございます。  県といたしましても、こうした名古屋空港の実情を国へ説明しながら、お尋ねのございました譲与税を補てんする他によい措置はないものかなどにつきまして、国とも相談し、必要に応じ、要請もしてまいりたいと考えております。  次に、周辺対策についてでございますけれども、御質問の中で提示していただきましたような対策を含め、従来から、国、県、名古屋空港周辺環境対策協力会などの団体によるいろいろな対策が講じられてきておりますが、特に、平成四年度からは、国の対策といたしまして、空港に近隣している移転補償跡地におきまして、水に親しむ開放型の公園をつくるエアフロントアオシス整備事業が全国に先駆けて実施されることを初めとしまして、また、県といたしましても、民家防音工事に伴う、いわゆるエアコンの機能回復工事について、住民基本負担額の軽減などを実施いたし、また、県単独の地域環境整備事業の大幅増額なども行っているところでございます。  そしてまたこの四年度から、周辺地域が空港とともに発展するため、いわゆる「臨空の町づくり」を目標に、今後の土地利用のあり方を探る名古屋空港周辺警備構想調査を、県と周辺の市町と共同で実施することとし、現在、その準備も進めているところでございます。  いずれにいたしましても、名古屋空港はこの地域の空の玄関として活性化していくことが県勢発展の大きな要因であると存じておりますが、あわせて空港周辺の発展、それから住民の方々の生活環境の向上も重要な課題でありますので、周辺の方々の御要望などを十分承りながら、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 54: ◯農地林務部長(本田正行君) 身近な自然のある県土づくりについての御質問にお答えいたします。  まず、二十一世紀計画の中における位置づけでございます。  二十一世紀計画におきましては、県土ビジョンの中で、水と緑に恵まれた潤いのある安全な県土づくりを掲げております。この中では、地域の開発と調和をとりながら貴重な自然を保全するとともに、野鳥や昆虫などの生息も考慮した身近な自然についても、自然が有する潜在的価値をより高めていくことといたしております。  このため、二十一世紀計画を推進する重要プロジェクトの一つに、「あいち潤い空間形成プラン」を掲げ、地域の特性を生かしながら、身近な公園、緑地、樹林地の保全や、また、水路、ため池等を活用した水辺空間の整備などを図ることといたしております。  次に、水辺環境整備のうち、農業水利施設を利用いたしました事業について御説明申し上げますと、この事業は、ため池や農業用水路の周辺において、県営水環境整備事業を実施するものでございます。また、この事業の中では、親水護岸、せせらぎ水路、それから植栽を初め、魚巣ブロックなどの生態系保全施設をも実施できることとなっております。したがいまして、自然生態系保護の専門家を含みます学識経験者の助言、指導などを得ながら、今後ともこの事業の積極的な推進を図ってまいりたいと存じております。  次に、市町村などの理解と県民の啓発についてでございます。  身近な自然を取り戻すためには、地域に住みます人々が、みずから自発的に行動されることが大切でございます。最近ではゲンジボタル、ヒメボタルなどの地道な保護活動の事例があり、大変好ましいことであると考えております。  このような地域のボランティア活動を促すためには、市町村等の果たす役割が非常に重要でございます。このため県といたしましては、市町村、学校、地域の自然観察指導員等に対しまして、毎年身近な自然観察のための手引書──三千部でございますが、作成して配布し、啓発に努めているところでございます。  また、一般県民の皆様方に対しましては、自然観察会、これは年六回行っておりますが、また探鳥会を通じて、一般募集し、開催いたしております。また、地域にありますすぐれた自然を紹介する小冊子、「愛知の自然ウオッチング」──これは六千部でございますが──を作成して、小・中・高校に配るとともに、県民サービスコーナーを通じて配布するなどいたしておるところでございます。今後におきましても、積極的な啓発活動を行ってまいりたいと考えております。  次に、専門的な事業展開をする組織についてでございます。  現在、県で委嘱しております自然環境保全指導員が百名、それから民間の自然観察指導員が三百五十名、の方々によって、自然保護の普及啓発等に、地域に根差した、きめ細かな活動を続けていただいております。今後、これらの活動がさらに活発となるよう支援してまいりたいと考えております。  次に、身近な自然を県土全域につくり出す方針についてでございますが、本県といたしましては、平成元年度に、愛知県緑化基本計画を策定いたしております。この中では、緑をふやし、守る、広める、の三本の柱を核といたしまして、県土の緑化を積極的に推進し、昆虫などの野生生物の良好な生息環境の創造にも努めていくこととしております。  また、県民の皆様が身近な自然に触れ、自然の仕組みなどを学ぶことにより、自然の大切さを知り、昆虫などを含めた自然界との共生の必要性を認識することは極めて大事なことであるということから、自然観察会等の実施、自然観察指導員の養成、さらには美しい環境づくりの推進など、各種の自然保護思想の普及啓発事業を行っているところでございます。  今後におきましても、このような普及啓発活動の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 55: ◯農業水産部長(溝口治平君) ゴルフ場の農薬問題につきましては、平成元年度に制定しました県の指導要綱に基づきまして、ゴルフ場への立入調査、農薬適正使用講習会の開催等、各種の指導、啓蒙を図っておりますが、特に、農薬使用量につきましては、必要最小限にとどめると、こういうことを重点目標といたしておりまして、平成三年度の県下の農薬使用量は、十八ホール当たりの成分量で六百九十五・四キログラムであります。これを昭和六十三年度と比べますと、約五〇%に減少しており、これは農薬削減の意識の向上、実践が大きな要因であろうと考えております。  また、平成二年度と比べますと一〇〇%の横ばいにとどまりましたが、これは削減が相当程度進行したことと、秋の長雨により、病害の発生が多かったことによるものと推察いたしております。  いずれにいたしましても、農薬の使用量はその年の気象条件による病害虫の発生状況や、ゴルフ場の立地条件により左右されるところが大きいが、今後につきましては、芝生病害虫等の効率的な防除体系の確立、性フェロモン剤、天敵などの導入、さらには御指摘の良好な自然環境を重視することによる芝生等の管理レベルに対する人々の認識の変化などによりまして、農薬の使用量はさらに削減されるものと期待いたしております。  次に、昆虫の生育に配慮したゴルフ場での農薬規制についてでありますが、平成元年四月に制定いたしました県の指導要綱等に基づき、水生昆虫、それから魚介類等の水産動植物の被害の発生や、公共用水域の水質汚濁を未然に防止し、環境の保全を図る観点に立って、農薬使用量の削減や、低毒性農薬の使用を推進いたしているところであります。その結果、魚毒性の最も高い水質汚濁性農薬については使用しないことにいたしております。
     また、昭和六十三年度に、ゴルフ場の農薬調査を開始して以来、年々その成果もあらわれており、平成三年度の実績では、人畜毒性別では、毒性の最も低い普通物が八四・九%、魚毒性──魚の毒性別では、毒性の比較的低いA類及びB類の農薬が九五・四%を占めるに至っております。  最後に、公園、家庭等を含めた全般的な農薬使用の指導についてでありますが、昭和四十六年に農薬取締法が改正されまして、自然環境への影響も配慮した低毒性農薬の使用推進が法の精神として盛り込まれ、自然環境等に影響を及ぼすようなことがないよう、その使用を最小限にとどめる配慮がなされているところであります。  したがって、県といたしましては、こうした観点から、農薬が適正に使用されるよう、農薬の販売業者や使用者等を対象に、農薬適正使用講習会を開催したり、病害虫防除基準を作成、配布して、農薬の的確な散布や適正な保管管理の周知徹底に努めております。  また、道路や公園など非農耕地の農薬使用につきましても、各関係機関に対しまして、環境等への影響を十分配慮して、毒性の低い農薬の使用や飛散防止を図るよう指導いたしているところでございます。  いずれにいたしましても、農薬の削減及び適正使用は非常に重要でございますので、今後とも農薬の販売者、使用者、道路等の管理者などに、幅広くかつ積極的に、その啓発徹底に努めてまいりたいと存じております。 56: ◯土木部長蛇川雄司君) まず、緑化施策についてでございますが、都市公園にはいろいろな種類の公園がございますが、従来から良好な自然環境を有する樹林地や水辺につきまして、その保全を極力図ることにより、昆虫を初めとする動植物の生息に配慮してきたところでございます。  今回、建設省の新規施策としまして、都市住民の自然との触れ合いの場をつくることを目的としました、自然ふれあいモデル地区事業が創設されたところでありますので、都市公園の整備に当たりましては、本事業を活用するなど、身近な自然に配慮した公園整備に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、水辺環境整備についてでございますが、近年、県民の御要望にこたえるために、水辺環境の整備に取り組み始めたところでございますが、人と生物に優しい川づくりとして、親水機能の考慮と川の生態系保全が大切であると考えております。  そこで、生き物に優しい河川工法の一つとして、多自然型河川工法の採用について勉強を始めたところでございます。この工法は、建設省も推進しているところでございますが、治水との技術的整合の面で難しいとか、あるいは土地が多く必要なことなど多くの問題点があり、全国的にもまだ試行的段階ではございますが、可能なところから、少しでも工夫いたしまして、実施してまいりたいと存じております。  以上でございます。 57: ◯教育長(野村光宏君) 幼児、児童に対する身近な自然に関しての教育についてでありますが、幼稚園では、平成二年度に改訂をされました幼稚園教育要領によって、特に環境を通して行う教育が重視をされており、自然と触れ合う中で、さまざまなことに興味や関心を持ち、それを生活の中に取り入れていくことが大切にされております。  また、小学校では、本年度から新しい教科として生活科が設けられ、この生活科や社会科、理科を中心として、身近な自然とのかかわりに関心を持ち、自分の生活について考えさせるとともに、生活上必要な技能や、自然を愛する心情を養うことが強調をされております。このことは、今まさに新しい教育の方向を示すものであるわけでございます。  今後は、こうした動向を受けまして、身近な自然を対象とする具体的な活動や、体験を通した保育や学習を一層充実させてまいりたいと存じます。 58: ◯知事鈴木礼治君) 名古屋空港につきまして、私からもお答えいたしたいと思います。  この名古屋空港は、当地域の空の玄関でございまして、経済の活性化、国際化を進める上で、国内線、国際線とも、条件が許される限り、路線の新増設はぜひとも望ましい、お願いをしたいと、かように思っています。  しかしながら、これも周辺地域との調和が大事でございますので、引き続きまして、周辺対策につきまして地域の御要望を十分承りまして、もちろん国とも連携をとりながら、その充実に向けまして努力をしてまいりたいと、かように存じております。 59: ◯七十五番(青木宏之君) いろいろたくさんお尋ねしたことがあるわけですけれども、要は、これら身近な自然ということにつきましてのことですけれども、要は、おわかりいただいていると思いますけれども、目に見えた状態、いわゆる景観と言われますが、そういう景観が、確かに立派になっていったな、デザイン性もすぐれているなと、あるいは緑も多いな、水辺もあるなということであっても、やはりそこに飛んでおるトンボとかチョウチョウとかバッタとか、そういうものがなければ、いわば画竜点睛を欠くというか、あるいは仏つくって魂入れずというか、そんなたぐいでありまして、例えば、私ども年をとったら、絵か俳句かなんかを楽しみたいと思うんでありますけれども、そうしますと、緑や水や、きれいなものはかいても、そこにチョウチョウやトンボがかけない、あるいは句を詠むことができないということでは、非常に潤いがないと、寂しいなということに尽きるわけでありまして、これは目に見えるものでありますので、愛知県の中で、県土の中で、もう五年たち十年たったら、この辺もトンボがいるな、チョウチョウがいるなと、これは目に見えますから、結果が出ますから、期待しております。よろしくお願いします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━ 60: ◯五番(酒井義弘君) 本日はこれをもって散会し、明六月二十六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 61: ◯議長小田悦雄君) 酒井義弘君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 62: ◯議長小田悦雄君) 御異議なしと認めます。  明六月二十六日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時五十四分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...