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  1. 岐阜県議会 2024-02-01
    03月07日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 6年  2月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                   令和六年三月七日(木)午前十時開議 第一 議第一号から議第七十二号まで 第二 県議第一号 第三 請願第十八号から請願第二十二号まで 第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第七十二号まで 一 日程第二 県議第一号 一 日程第三 請願第十八号から請願第二十二号まで 一 日程第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   木村千秋君      二番   判治康信君      三番   平野恭子君      五番   今井瑠々君      六番   牧田秀憲君      七番   黒田芳弘君      八番   森 治久君      九番   山内房壽君      十番   森 益基君     十一番   小川祐輝君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   平野祐也君     十六番   所 竜也君     十七番   今井政嘉君     十八番   藤本恵司君     十九番   安井 忠君     二十番   恩田佳幸君    二十一番   若井敦子君    二十二番   広瀬 修君    二十三番   布俣正也君    二十四番   酒向 薫君    二十五番   野村美穂君    二十六番   水野吉近君    二十七番   国枝慎太郎君    二十八番   長屋光征君    二十九番   高殿 尚君     三十番   田中勝士君    三十一番   加藤大博君    三十二番   松岡正人君    三十三番   小原 尚君    三十四番   水野正敏君    三十五番   野島征夫君    三十六番   渡辺嘉山君    三十七番   伊藤正博君    三十八番   川上哲也君    三十九番   伊藤秀光君     四十番   平岩正光君    四十一番   佐藤武彦君    四十三番   森 正弘君    四十四番   村下貴夫君    四十五番   尾藤義昭君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山田 恭 総務課長         桂川義彦 議事調査課長       若野 明 議事調査課管理調整監   森 信輔 同   課長補佐     市橋ますみ 同   係長       佐藤由子 同   主査       水野 恵 同   主査       遠藤俊輔 同   主査       古藤綾乃 同   主査       横田直道…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        矢本哲也君 総務部長事務代理     平野孝之君 清流の国推進部長     長尾安博君 危機管理部長       内木 禎君 環境生活部県民文化局長  篭橋智基君 健康福祉部長       丹藤昌治君 商工労働部長       三木文平君 観光国際部長       丸山 淳君 農政部長         足立葉子君 林政部長         久松一男君 県土整備部長       野崎眞司君 都市建築部長       藤井忠直君 都市建築部都市公園・交通局長              舟久保 敏君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        大濱健志君…………………………………………………………………………………………… △三月七日午前十時開議 ○議長(野島征夫君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第一から日程第三までを一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十四番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 それでは、議長より発言の許可をいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。 質問に入ります前に、改めまして、一月一日に発災をいたしました能登半島地震によりお亡くなりになりました皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。今なお多くの方が避難所生活を強いられているということでございまして、一日も早い復興が進みますことを心より祈念いたします。 それでは、順次通告に従い質問をさせていただきます。 初めに、今回提案されました令和六年度予算案について知事にお伺いいたします。 昨年十二月二十一日、岐阜県議会公明党として、古田知事に令和六年度予算について百六十七件の要望をさせていただきました。知事のほうで内容について御精査をいただきまして、全ての項目について推進すると御回答いただきました。大変にありがとうございます。 具体的には、今回の予算案の中に産業人材の確保を図るための奨学金の返済支援制度の創設や、物価高騰等の影響を受ける県内事業者への支援、中小・小規模事業者の賃金上昇に向けた支援など反映していただいたことをうれしく思っております。 一方で、本県の財政状況について、令和六年度当初予算編成方針に以下のように記しています。本県の景気は、生産活動、個人消費ともに緩やかな持ち直しが続いているところである。また、七月の内閣府の試算によれば、来年度の税収については増収が見込まれているものの、海外景気の下振れや物価上昇、金融市場の変動等の影響を注視していく必要があるなど楽観視はできないと。 本県の財政状況は楽観視できる状況ではありませんが、県民が求める必要な施策については進めていくべきであり、そのためには財源確保策が不可欠であります。特に国予算の活用や、国による地方財政措置を踏まえた県事業の充実については積極的に行っていただきたいと思います。 一例を紹介いたしますと、国では地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策、ソフト事業を実施できるよう、地方財政計画の一般行政経費(単独事業)を一千億円増額する方針を示しています。また、普通交付税の算定に当たり地方団体が実施するこども・子育て政策の全体像を示し、こども・子育て政策に係る基準財政需要額の算定をより的確なものとするため、新たな算定費目、こども子育て費(仮称)を創設するとのことであります。 言うまでもなく、少子化対策は継続した取組が重要であり、地方財政措置を踏まえた財源の確保策を十分に行った上で、県民ニーズに応える政策を進めていただきたいと思います。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 めり張りのある令和六年度当初予算案を策定するに当たり、財源の確保についてどのような意を用いたかお聞かせください。 以上で一回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 令和六年度予算編成に関して、財源の確保について、どのような工夫をしてきたかということでございますが、まず御案内のように、県の財政は社会保障関係経費、公債費の増加、社会資本の老朽化対応など構造的な課題を抱えております。そうした中にあっても、能登半島地震の被害状況を踏まえた県土と危機管理体制の強化、将来を担う子供や若者、産業への投資、物価高騰など困難な状況にある生活者や事業者への支援、暮らしの安全・安心確保、一段と加速する人口減少・少子高齢化への対応、「清流の国ぎふ」の魅力向上と発信などの政策課題にしっかりと対応していく必要があるわけでございます。 このため、新年度予算案の編成に当たりましては、必要な財源の確保に極力意を用いてまいりました。 第一に、こども・子育て政策における財源確保についてでございますが、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略、これを踏まえて国が創設・拡充した補助金を活用して、保育所等における子供のプライバシー保護を図るためのパーティションや固定カメラの設置などの設備整備支援、児童養護施設を退所した児童などの自立を支援する拠点の設置などに取り組んでまいります。 また、御指摘のとおり、地方財政計画では、地域の実情に応じた地方独自のこども・子育て政策を実施できるよう、算定費目にこども子育て費が創設され、これに財政措置が拡充されております。これを踏まえて県では、今年度から実施している第二子以降の出産祝い金などに加えて、来年度からは私立高校などの授業料軽減支援に係る所得制限を緩和するなど少子化対策を強化することとしております。 第二に、地方創生やDXなどの政策課題に充当可能なデジタル田園都市国家構想交付金の活用でございます。この交付金につきましては、本県への今年度交付額十六億円ということで、全国第一位でありました。新年度につきましても事業の独自性、重要性を訴えつつ増額して申請することとしておりまして、十九億円を計上しているところでございます。 第三に、国で新たに措置された補助金の活用であります。国では、新興感染症への対応力強化や、GIGAスクール構想の推進などを図ることとしておりまして、本県としてもこれを踏まえて、県と医療措置協定を締結した医療機関に対する病床確保や、発熱外来等に対応する設備整備への支援、公立小・中学校などの児童・生徒が使用している情報端末の更新などに取り組もうと思っております。 また、令和六年度以降に実施予定でありました道路、河川などの県土強靱化対策畜産研究所養豚養鶏研究部の大規模豚舎の整備、県有施設のLED化など約二百六十億円の事業を今年度に前倒しして計上するということで、国の補正予算で追加措置された交付金、さらには交付税措置が有利な県債を活用するということにしております。 このほか税以外の実質財源の獲得として、利用見込みのない職員宿舎跡地などの県有財産の売却、県公式ホームページへのバナー広告の掲載、貸付金の債権回収の強化などに引き続いて取り組むこととしておりまして、新年度では五億円の歳入を見込んでおります。 以上、当初予算案での取組を申し上げましたが、このほかにも個人や企業からのふるさと納税のさらなる拡大、クラウドファンディングの活用などに取り組むとともに、引き続き事業見直しの徹底など歳出削減にも取り組んでまいります。 ○議長(野島征夫君) 十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕 ◆十四番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、令和六年能登半島地震を受けての本県の取組につきまして、四点お伺いをいたします。 今回の能登半島地震発災後から、本県からは、県と全市町村から警察、消防、医療、行政職員など多種多様な各種人材が派遣され、活動をしていただいております。改めまして、被災地支援に当たっている方々に心から感謝を申し上げたいと思います。 また、昨日の知事の答弁にもございましたが、被災地で活躍された方々が活動状況や現場での課題など報告をされています。今後の本県における取組にぜひ生かしていただきたいと思います。 その中で、今回は住家被害調査員について確認をさせていただきます。 本県は、石川県中能登町と輪島市を重点支援されている中で、被害が比較的少なかった中能登町では住宅再建に向けた罹災証明書の発行に当たられたとお伺いいたしました。被災された住民の方が罹災証明書を早期に受け取るには、住家の被害認定調査が必要となります。この調査は、地震や風水害等の自然災害により被害のあった住宅について、内閣府の定める災害の被害認定基準等に基づき、全壊、半壊等の被害の程度を認定する調査です。東日本大震災や熊本地震では、住家被害認定調査に多くの人員や時間が必要となり、罹災証明書の発行に遅れが生じたことが課題となりました。 私自身、こうした課題を踏まえ、令和二年第一回定例会の一般質問で、県での家屋被害認定士制度の取組について質問をさせていただきました。その後、本県では、令和四年度から住家被害調査員育成制度を創設され取組を進めておられます。そして今回は、本県が実施している住家被害調査員育成制度により育成された人材が被災地で活躍されたと伺い、うれしく思っております。 一方で、本県で大規模災害が発生した場合を考えると、まだ調査員の人員が十分確保できていないとのことですし、また市町村によっても人員にばらつきがあるとも伺いました。ぜひさらなる取組をお願いしたいと思います。 そこで、危機管理部長にお伺いをいたします。 今後、住家被害調査員のさらなる拡充が重要と考えますが、お考えをお聞かせください。 今回の能登半島地震において、被災者のニーズを掌握することの難しさとその重要性について報告があったと伺いました。 そこで現在、国が進める災害ケースマネジメントの取組が重要であると考えました。災害ケースマネジメントは、自治体が弁護士や保健師、建築士、民間団体などと連携し、被災者一人一人の悩みやニーズを戸別訪問して聞き取ることで、適切な支援につなげて生活再建を後押しする取組です。 被災者の中には、行政の窓口に行くことが難しかったり、各種支援制度の情報が届かなかったりするケースがあり、そうした方をきめ細かくサポートすることが重要です。実際に東日本大震災や熊本地震の被災地などでも実施されてきました。その特徴として、世帯ではなく個人を対象にする、アウトリーチで申請主義を克服する、住宅から就労・福祉まで総合的・計画的に支援する、多職種、官民連携で支援を行うといった点が挙げられます。 国は昨年五月末、国や自治体の災害対応の基礎となる防災基本計画を修正し、初めて災害ケースマネジメントの整備促進を明記しましたが、災害ケースマネジメントを導入している自治体はまだ少なく、被災経験の少ない自治体にとっては、平時からどのような準備をすればいいのか想定しづらいという課題がありました。 そこで国は、昨年三月、災害ケースマネジメントの普及に向けた自治体用の手引を作成し、発災直後から生活再建へと至る段階ごとの対応方法を具体的に示すとともに、東日本大震災の仙台市や岩手県盛岡市、西日本豪雨の岡山県倉敷市などの実例を紹介しております。 本県においても、昨年末、内閣府、愛知県と合同で勉強会が開催され、私もオンラインで参加をさせていただきました。大阪公立大学大学院の菅野准教授は、災害ケースマネジメントは災害時に特化してはいけない。災害時に生活再建に困難を極める被災者は、平時からもケアを必要としている場合が多く、そうした方々に平時からケアをしている人が災害時にもケアができるようになることが望ましい。日頃からの備えが非常時にも役立つフェーズフリー、局面によらないフリーという言葉が防災分野で提唱されていますが、私は社会保障のフェーズフリーを提唱している。平時から地域共生社会構築の取組の中に災害ケースマネジメントのような被災者支援も想定し、準備しておくことが大事になると指摘をしており、平時からの準備が重要と考えます。 そこで、危機管理部長にお尋ねをいたします。 県内市町村における災害ケースマネジメントの普及に向け、どのように取り組まれるかお聞かせください。 続きまして、市町村の受援計画の策定促進についてお伺いします。 飯塚智規氏が二〇二二年三月に「市町村に求められる新たな防災体制=受援体制の登場とその課題」と公表した論文を参考にしながら、この課題についてお話しをさせていただきます。 市町村は、災害対策基本法において防災に関する対策を実施する責務を有し、災害応急対策、応急措置、つまり発災直後の災害対応を実施する義務を背負っております。しかし、二〇一一年の東日本大震災では、壊滅的被害を受けた被災市町村が災害応急対策の責務を果たすことができないという現実が突きつけられました。そのため、三・一一以降、被災市町村を支援するための体制や方策が練られてきました。その後の二〇一六年の熊本地震では、国や地方自治体による支援が東日本大震災の反省を踏まえ、迅速に実施され、被災市町村を助けたことが評価をされました。 しかし、その結果、新たに発生した課題が、被災市町村が他の行政機関からの支援を受けるための体制の整備、つまり受援体制の構築です。 受援体制とは、他の自治体からの応援職員を受け入れることで、災害対応を行う上で十分な職員数を確保し、また災害対応の全体を見て首長や災害対策本部に助言を行うことができる人材を受け入れることで、適切な災害対応の指揮が執れる体制のことを指します。 しかしながら、市町村では受援計画を策定するために必要な力が十分でない場合もあります。県は、自らの災害対応業務のために体制整備や研修、訓練を行うのはもちろんのこと、体制の整備が遅れている市町村やノウハウを身につけていない市町村に対して積極的に指導や助言を行っていく必要があります。県の職員を市町村に派遣し、共同で計画案を作成したり訓練を企画して実施したりする、そして点検、改善も行うといった取組も考えられます。支援と受援の合致は、県と市町村がおのおので取り組むのではなく協働で取り組むことで達成されるものです。協働とは、同じ目的のために力を合わせて働くことであり、これに係る各主体の関係は対等であります。支援と受援を合致させるという目的のため、平時から県と市町村の協働の取組の成果が非常時においても発揮されることが期待されます。 そこで、危機管理部長にお尋ねをいたします。 本県における市町村の受援計画の策定状況と、早期策定に向けた取組についてお聞かせください。 続いて、木造住宅の耐震化の取組についてお尋ねをいたします。 この課題につきましては、平成二十八年熊本地震の発災直後にもお尋ねをいたしました。 そのときの古田知事の答弁は、「本県における住宅の耐震化率は、平成二十五年時点で全国の八二%に比べて七八%と若干下回っている。これには建築基準法の耐震基準が強化された昭和五十六年以前に建てられた古い木造住宅の割合が、全国の一八%に比べ、二八%と高い水準になっていることも影響しているのではないかと考えられる。県として耐震化をさらに進めるため、新たに各種団体、企業等と連携した説明会の開催、具体的な耐震改修工事の実施事例の紹介などさらなる啓発に努めていく。また、増加する耐震化に対する県民ニーズに応えるために、岐阜県木造住宅耐震相談士を新たに追加養成し、県民の方々により身近な専門家にいつでも相談できる環境づくりを市町村と共に進めていく」このように答弁をいただきました。 耐震化率は五年ごとに数値が公表されているとのことで、平成三十年の数値では、県の数値は引き上がっているものの、まだ全国平均には届いていないとも伺っております。また、近年はコロナ禍ということもあり、耐震診断の申込みも減少傾向にあると伺いました。 ぎふ防災・減災副センター長の能島岐阜大学教授は、能登半島地震で倒壊した建物が多かったことについて、建物倒壊を招きやすい一、二秒ほどの周期帯の揺れであったことに加え、被災地の高齢化率が高く、耐震化されていない建物が多かったことが原因であろうと分析をしております。また、岐阜県内ほぼ全域で大きな地震に備える必要性は高いと強調し、具体的には、命を守るためには家屋の倒壊は絶対に避けなければならないとし、特に一九八一年の建築基準法改正以前の建物は要注意、県の補助制度もあるので耐震診断を受け、必要であれば補修、補強を行ってほしいと呼びかけておられます。 そこで、都市建築部長にお尋ねをいたします。 平成二十八年熊本地震以降の本県における木造住宅の耐震化に向けた取組の内容と今後の取組についてお聞かせください。 以上で二回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 三点御質問をいただきました。 初めに、住家被害調査員育成制度の取組についてお答えします。 県では一昨年から、市町村職員向けに罹災証明書の発行に係る住家被害調査員育成研修を実施しており、これまで百三十八人に受講をいただきました。 今般、石川県中能登町に対し、被災地への初となる調査員の派遣を行い、今日までに修了者を含め百二十二人が四千件を超える家屋調査の一部に携わりました。派遣した職員からは、岐阜県で同様の災害が発生したら調査員が不足するといった指摘を受けており、県と県内全ての市町村を挙げて、より多くの調査員を育成する必要があると考えております。 このため、来年度からは、年間二百人の調査員の育成を目指して研修の規模と内容を拡充してまいります。その中で、被災地で活動した職員に経験から得られた知識や課題を共有いただくことも予定しております。また今後、県内の市町村や他県で大規模な災害が発生した際にも、積極的に応援職員を派遣して、被災市町村における罹災証明書発行の迅速化と職員の負担軽減に努めるとともに、現場での経験を通じて本県と県内市町村職員のさらなるスキルアップを図ってまいります。 次に、災害ケースマネジメントの普及に向けた取組についてお答えします。 災害時に被災者一人一人の被災状況や生活状況を把握し、課題の解消に向けた継続的な支援を行う災害ケースマネジメントについては、昨年三月に内閣府が手引を策定しております。 県としては、災害ケースマネジメントを新たな被災者支援の仕組みとして、まず、今月中に改定する岐阜県地域防災計画に位置づけてまいります。また、その内容の理解を深めるため、県及び市町村職員を対象に研修会を開催いたします。その上で、庁内で環境生活部、健康福祉部、商工労働部、都市建築部など関係部局との連携を深めるとともに、市町村や関係者との平時からの連携体制を構築してまいります。 具体的には、本年四月をめどに県や市町村、弁護士会、臨床心理士会、医師会、社会福祉協議会、NPOなどの関係団体で構成する協議会を設置し、他県事例も参考としながら、県、市町村、関係者間での支援の在り方について議論してまいります。 最後に、市町村の受援計画の策定促進についてお答えします。 災害時に発生する膨大な業務に行政機能が低下した被災市町村だけで対応することは困難であり、外部からの応援を迅速、的確に受け入れ、情報共有や各種調整を行うための体制や受援対象業務を明らかにした受援計画をあらかじめ定めておくことは不可欠です。 今回の能登半島地震においても、応援職員の受入れに混乱が生じた例があったため、改めて受援計画の必要性を実感したところです。 県では、市町村に対して受援計画のひな形をお示しし、策定を促してきたところであり、現在までに三十九の市町村で策定が完了しており、残る三市町についても年度内に策定を終える見込みです。また今回の地震においては、県内全ての市町村から多くの職員を被災地に派遣いただいております。 既に受援計画を策定した市町村においても、実際になされた災害対応や、被災自治体での業務に従事された職員の意見も参考に、災害発生時に計画に定める受援体制が適切に機能するかを確認いただき、受援計画の見直しに取り組むよう促してまいります。 ○議長(野島征夫君) 都市建築部長 藤井忠直君。    〔都市建築部長 藤井忠直君登壇〕 ◎都市建築部長(藤井忠直君) 木造住宅の耐震化の取組についてお答えいたします。 県では、平成二十年度から木造住宅の耐震診断を無料とし、耐震改修への補助も行ってまいりました。また、熊本地震を契機に、改修工事の補助金の上限額の引上げとともに、各戸訪問や耐震改修の事例集の作成など県民への啓発も強化してまいりました。 しかしながら、耐震診断は熊本地震直後に一時的に増加したものの減少傾向が続いていることに加え、改修工事に至っては耐震診断件数の二割以下にとどまっており、結果、県内の耐震化率は八三%と全国平均を下回っております。 県としては、住宅の耐震化は引き続き重要な取組であると認識しており、能登半島地震の被災状況を踏まえ、来年度当初予算案に今年度の五割増となる事業費を計上いたしました。加えて、今回の地震以降、県民からの問合せも増加しております。今後、木造住宅の耐震改修が進むよう市町村等と連携し、古い住宅が密集した地区を中心に各戸訪問を行うとともに、特に診断後、改修工事が未実施の方に対し、個別の呼びかけを行ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕
    ◆十四番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 それでは、最後の三分割目として、県民の皆様からいただいた声を基にしながら四点質問をさせていただきたいと思います。 一点目に、小児発達障がい医療における初診待機の改善に向けた取組についてお尋ねをいたします。 岐阜市在住の小学生のお子さんを持つ保護者の方からお話を伺いました。お子さんの発達の遅れについて医療機関を受診するよう促されたとのことでありまして、病院に問合せをしましたが、予約が六か月先まで取れないという回答であったということで、その間の子供のことが心配であるといったことでございました。 実際に発達障がいのお子さんを診察している岐阜県立希望が丘こども医療福祉センターにおいても、ホームページの案内を確認させていただきますと、「小児科発達障がいの初診予約日は、お申込み後、おおむね半年先の御案内となります。児童精神科の初診予約日は、お申込み後、おおむね二か月から三か月先の御案内となります」との記述があります。 平成二十七年の再整備以来、丁寧な診察と実績により、多くの方が受診を希望されており、地域の医療機関よりも希望が丘こども医療福祉センターなど大きな病院のほうが安心と思われる方も多いようです。担当課と意見交換させていただいた折には、センターでも再整備以来、医師の確保等を行っていただき、受診件数は大きく増加していると伺いましたが、一方で、それ以上の多くの受診希望者がいらっしゃることで待機時間が長くなっていると伺いました。 また、希望が丘こども医療福祉センターや大きな病院以外にも対応できる医療機関も増えているとのことですけれども、受診希望者だけでなく、各市町村の担当部門においても情報を理解していただき、適切な情報提供を行っていただくことも重要であると考えます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 小児の発達障がい医療の初診待機の改善に向け、どのように取り組まれるのかお聞かせください。 二点目に、ヘルスキーパーの拡大に向けた取組についてお尋ねをいたします。 昨年十月二十三日に、岐阜県立岐阜盲学校理療科生徒による県庁舎内での理療施術実習及び理療科職員の方による体験マッサージ会が実施されました。私もたまたま機会をいただきまして、理療科職員の方のマッサージを体験させていただきました。大変に凝りがひどいということで、定期的にマッサージしたほうがいいですよというアドバイスをいただいたところです。 その後、盲学校の生徒の方とお話をする機会があり、ヘルスキーパーという言葉を初めて伺い、今後、県内での拡大に期待していることをお伺いしました。早速勉強させていただいたところ、日本視覚障害ヘルスキーパー協会のホームページによりますと、ヘルスキーパーとは、企業内理療師のことで、あんまマッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の国家資格を取得した方が企業、団体等に雇用され、その従業員等を対象に施術等を行うことを通じて、業務中に生じた疲労やその他の症状を取り除き、業務の能率向上と従業員の健康増進に役立てることを目的とするものとのことです。 企業で働く方にとって、リストラの不安、仕事の高密度化などから心と体に多大なストレスを感じ、それが積み重なって疾病を引き起こす例も少なくありません。特に職場における情報機器の普及に伴い、長時間にわたるパソコンの操作から来る眼精疲労、首、肩、腕、腰などの凝りや痛みなどを訴える方が増えており、これらの治療にマッサージは大変効果的だと言われています。 また、企業としては、法定雇用率の達成を目指し、障がい者の雇用と定着に努めることが求められています。これらの状況を踏まえ、企業内にマッサージ施設を設けることは、職員の健康管理、疲労回復、疾病の予防、メンタルヘルスの観点と障がい者雇用の促進を図れるなど多くの効果が期待されております。 平成二十三年十二月、国立障害者リハビリテーションセンターは、ヘルスキーパーの導入を企画されようとする企業を支援するため、視覚障害者雇用の拡大を目指して「ヘルスキーパー制度導入のための手引書~総務・人事担当者へのマニュアル~」を改訂いたしました。 現在、全国の盲学校の卒業生の就職先の一つとして拡大が期待されており、自治体によってはヘルスキーパーを紹介するページを設けて取組を進めておられます。ぜひ本県においても進めていただければと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 県内企業のヘルスキーパー雇用の拡大に向け、どのように取り組まれるかお聞かせください。 三点目に、県営住宅の共益費の集金に係る負担軽減の取組についてお伺いをいたします。 この点につきましても、令和元年第四回定例会において質問させていただきました。 改めまして、当時の質問を少し抜粋いたしますと、公営住宅において独居高齢者等の世帯が増える中で課題となっていますのが自治会など地域役員の活動です。成り手がいない中、共益費の回収が大変であると御相談を受けました。公営住宅法第二十条において、家賃等以外の金品徴収等の禁止が定められていますが、法の逐条解説によれば、共益費や駐車場などの共同施設についての費用を徴収することまでは禁止しているものではないと解されています。事実、大阪府や高知県で条例、規則等の整備を行った上で、家賃等に併せて徴収しています。こうした事例も参考にしながら、本県としても取組を進めるべきではないか、このように質問させていただきました。 当時の都市建築部長の答弁では、県営住宅における共益費は、共同施設の維持管理のため、入居者が徴収することを基本としている。しかしながら、入居者が各住戸を訪問して集めることが入居者の負担となり困難となる場合には、県及び県営住宅を管理している住宅供給公社において相談を受け、外部委託を行うなど適切な対応を検討していくとの答弁でした。 その後、一部の県営住宅では外部委託を行うなど取組が進みましたが、近年さらに自治会活動が困難になっている状況です。具体的に聞いたお話では、居住者間トラブルが発生し、共益費の集金が困難になっている事例があるとのことであります。また、自治会を解散することになって、今後の共益費の集金が困難となっているという例もあると伺いました。さらに、外部委託を受注している会社に新規の案件を御相談したところ、新たな案件は受注しない方針という回答であったとも伺いました。今後、県営住宅に新たな居住者の受入れを進めていく上でも、こうした課題について取組を進めるべきと考えます。 そこで、都市建築部長にお尋ねをいたします。 県営住宅において、共益費の集金に伴う入居者の負担軽減を図るため、県としてどのように取り組まれるかお聞かせください。 最後に、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の拡充についてお伺いをいたします。 東海地方で初めての公立の学びの多様化学校として、令和三年四月に開校した岐阜市立草潤中学校が大変に好評です。これまでの学校のシステムに合わせることに疑問を感じ、不登校を経験した生徒のありのままを受け入れ、個に応じたケアや学習環境の中で心身の安定を取り戻しつつ、新たな自分の可能性を見いだすことを目指すことを基本的な考え方として、「学校らしくない学校」を掲げておられます。私も昨年視察をさせていただきましたが、驚きの連続でありました。 草潤中学校の定員は三学年で四十人。登校頻度は、毎日、ICTを活用した在宅学習、週数日登校と在宅学習の組合せから選びます。一週間の時間割、担任の教師を選ぶこともでき、服装、持ち物の規則はありません。全ての授業はオンラインで生配信、学校に行かなくても学ぶことができます。セルフデザインという科目では、絵を描いたり楽器を演奏したり、興味あることに取り組める。大きなソファーや縫いぐるみを置く部屋、ハンモックやテントのある図書室など安心して過ごせるように工夫をしております。 初年度の卒業生全員が高校に進学するなどの成果を上げ、注目されております。岐阜市内はもちろんのこと、岐阜市以外からもぜひお子さんを通わせてあげたい、また自分の地域でもできてほしいといった声が上がっております。学校関係者と意見交換させていただいた折には、受入れ拡大にはさらなる人員も必要になるということでありました。県教育委員会でも可能な限り支援をお願いしたいと思います。 また、新たな動きとして、飛騨地域で学びの多様化学級開設の動きがあるとも伺いました。学校開設はハードルが高い中で工夫して学級が開設されることは、学生が少ない地域でも設置が検討できる可能性も広がり、より多くの県民のニーズに応えられるのではないかと期待をしております。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 学びの多様化学校に期待する県民ニーズに応えるため、今後どのように取り組まれるかお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴、大変にありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 小児の発達障がい医療における初診待機の改善に向けた取組についてお答えを申し上げます。 希望が丘こども医療福祉センターでは、平成二十七年の再整備以降、児童精神科の常設化や医師の増員により、昨年度の年間初診人数が五百五十九人と、再整備前に比べ約二・七倍に増加しています。 さらに、発達障がいを診療可能な県内の六十五医療機関をリスト化し、発達障がいを疑うきっかけとなることが多い乳幼児健診などの場で活用できるよう市町村に提供するほか、県ホームページでも広く周知してまいりました。 しかしながら、センターでは受診希望者も再整備前の二百六十一人から昨年度は五百九十六人と約二・三倍に増加していることから、結果的に現在の受診待機期間は、小児科が約六か月、児童精神科が約三か月と長期にわたっています。 今後は、受診待機期間の改善に向け、市町村や療育・相談機関を対象に研修を行い、センターと他の医療機関との役割分担について改めて周知をするほか、受診者の理解を得ながら、センターから地域の医療機関につなぐことなどにより受診の分散化を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) ヘルスキーパーの雇用拡大に向けた取組についてお答えします。 ヘルスキーパーは、従業員の健康増進や業務能率の向上のため、企業に雇用された「あんまマッサージ指圧師」などの免許を持った方であり、その普及により視覚障がい者の雇用の拡大につながるものと考えております。 しかしながら、現在、全国的には大企業を中心に雇用事例はあるものの、県内企業での事例は確認されておりません。 そこで、まずは既に取り組まれている雇用事例の調査・研究を進めてまいります。その上で、県障がい者雇用企業支援センターがホームページで公開している雇用事例にヘルスキーパーの事例を加えるとともに、企業から障がい者雇用の相談があった場合に紹介するなど企業への周知を図ってまいります。 また、岐阜盲学校と連携して、県内企業におけるヘルスキーパー体験会の開催を働きかけてまいります。 ○議長(野島征夫君) 都市建築部長 藤井忠直君。    〔都市建築部長 藤井忠直君登壇〕 ◎都市建築部長(藤井忠直君) 県営住宅の共益費の集金に係る負担軽減の取組についてお答えいたします。 共益費は、階段や集会所など入居者の共同利用に係る光熱水費等であり、多くの県営住宅では自治会による戸別訪問などにより集金されています。 しかし、一部の住宅では入居者の高齢化などにより自治会役員の成り手が不足し、自治会での集金が困難になっているとの相談も寄せられております。こうした際には、自治会による外部委託を助言してまいりましたが、手数料の負担増や事業者が新規案件を受けてくれないとの理由で断念されるケースも見受けられます。 一方、議員御指摘の県が共益費を集金する仕組みについては、少なくとも七都府県で導入事例があり、一つの対応策であると認識しております。しかし、導入に当たっては、入居者が県に支払う手数料の水準や、滞納が生じた場合の不足分を誰が負担するか、共益費の範囲や金額をどう設定するかなど慎重に検討する必要があります。 このため、他の自治体での事例も参考に、共益費の集金に係る負担軽減に向けた検討を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 学びの多様化学校の拡充についてお答えします。 不登校児童・生徒は、この一年で県内において二二%増え、過去最多となっており、憂慮すべき状況だと捉えております。 そこで、現在上程中の第四次教育振興基本計画の策定に当たって、県内の学びの多様化学校の西濃学園理事長と、草潤中学校のある岐阜市の教育長を策定委員とし、不登校の初期対応の重要性、児童・生徒の状況に応じた多様な学びの環境の保障について御意見をいただきました。そのため、当計画に相談相手となるスクールカウンセラー、スクール相談員の重点配置と、居場所となる校内教育支援センターの設置促進などの取組を位置づけたところです。 また、市町村の新たな動きとしましては、令和六年四月に議員御紹介の飛騨地域に加え、北方町においても学びの多様化学級が開設される予定です。 今後、市町村教育委員会が学びの多様化学校の新たな開設や受入れ体制の拡充を検討する際には、設置促進に係る国の補助事業について周知するとともに、申請の手続や教育課程などに関する相談、助言、人的配置により可能な限りの支援を行ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 八番 森 治久君。    〔八番 森 治久君登壇〕(拍手) ◆八番(森治久君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、これより通告に従い、三項目質問をさせていただきます。 それではまず初めに、地域交通を支える運転手不足の状況と今後の対応についてお伺いいたします。 バスやタクシーといった公共交通。最近その数が減って不便になったと感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 国土交通省が二〇二三年一月に実施した国民意識調査によると、公共交通の利便性に「満足していない」と答えた人の割合は約四割となっています。運転手不足を背景とするバス路線の廃止や減便が相次いでおり、国土交通省の交通政策白書によると、二〇二一年度は全国の路線バス事業の九四%が赤字、二〇一〇年度以降に廃止されたバス路線は、全国で一万五千三百三十二キロを超えています。 こうした廃止や減便の状況は大都市圏でも起こっており、大阪府南部の富田林市など四つの市町村を中心に運行している金剛バスが、運転手の不足を理由に昨年十二月二十日に路線バス事業を廃止されたことがニュースなどでも取り上げられました。 社会インフラであるバス業界の運転手不足が深刻化している中、業界団体の日本バス協会が二〇二三年九月に発表した試算によると、二〇二一年度のバス運転手の十一万六千人が二〇三〇年度は九万三千人に減る見込みで、現在の路線を維持した場合には三万六千人の運転手が不足するとしています。 三年ものコロナ禍の人流制限で赤字体質の地域公共交通は経営的にも甚大な被害を受け、現在は回復途上にありますが、回復してもコロナ禍前の一、二割の減収が予想されている上に、運転手不足という深刻な問題が業界を襲い、路線維持や便数確保が難しくなっています。 そして、運転手不足にさらに拍車をかけるとされているのが二〇二四年問題です。二〇二四年、本年四月より働き方改革関連法の施行に伴う労働時間に関する制度変更が予定されており、この運転手不足が深刻なときに加え、運転手の労働環境を改善するために、本年四月から労働規制が強化され、バスの運転手の年間労働時間の上限が三千三百時間に引き下げられるほか、退勤から次の出勤までの休息時間は今より長く確保することが求められています。 また、タクシーも同様であり、全国の五千社余りが加盟する全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、全国のタクシー会社で働く運転手の数は、新型コロナの影響や高齢化による離職が相次ぎ、個人タクシーを除くドライバーの数は二〇二三年三月末の時点で二十三万千九百三十八人で、新型コロナ禍前の四年前の二〇一九年三月末と比較すると五万九千五百七十八人、率にして二〇・四%減少しているそうです。 また、帝国データバンクが二〇二三年十一月に発表した全国タクシー・ハイヤー業界動向調査によると、過去十年間の従業員数が判明した二〇二三年八月時点の二千四百二十八社のうち、従業員が減少した企業が地方都市を中心に六九・七%に当たる千六百九十一社に達したことが分かりました。減少の度合いは、二から五割未満が三六・七%、二割未満が一八・五%、五割以上が一四・五%で三百五十二社に上っています。 一社当たりの従業員数は、二〇一三年当時の六十六人から二〇二三年は五十二人になり、二〇二二年の損益状況も赤字企業が四六・七%で、増益の四三・一%を上回り、コロナ禍当時の二〇二〇年は八〇・九%が赤字でしたが、その後は損益も徐々に回復している状況です。しかし、従業員数は年々減少の一途をたどり、人員を削減しても赤字体質から抜け出せない企業が多いことをうかがわせます。 全国ハイヤー・タクシー連合会の集計によると、二〇二三年八月末の全国のタクシー乗務員数と充足率で岐阜県は乗務員数千五百七十二人、充足率は七四・五%、充足率順位は全国六十エリア中四十九位で、直近三か月で三十四人のドライバーが減少しています。 コロナ禍以降は移動制限の緩和や観光回復による利用増が急速に高まっており、料金の値上げに踏み切った企業も多いものの、転職・離職したドライバーら従業員が戻ってこない上、若手の穴埋めも困難なことから、稼働率が下がっている企業も多いようです。 コロナ禍が落ち着き、インバウンドの復活などによりにぎわいが戻ってきた京都をはじめ、本県の飛騨高山や下呂でもタクシーがつかまりにくくなっているようです。こうした状況を踏まえ、本県では地域交通を支える運転手を確保しようと、乗合バス事業者が従業員の大型二種免許取得に要する講習経費を最大二十五万円補助する事業を行っています。また、隣県長野県では、県外から移住して県内で勤務するバス運転手に移住支援金、最大五十万円を支給する事業が令和六年度からスタートするそうです。 さらに、運転手不足への反転攻勢として、桑名市では、大型運転免許を持つ消防士が六十歳で定年退職する際、本人が希望すれば三重交通のバス運転手として転籍を可能とする協定が二〇二三年十月に締結されました。三重交通としては、運転手不足を補うことが狙いで、同時に桑名市では、消防士が定年以降引き続き働きたいと考える人たちに、バス運転手という形で働く場を提供できることになります。バスの運転に必要な大型二種免許は、三重交通が取得をサポートし、一年ごとの契約更新ですが、最長七十二歳まで勤務することができます。 この仕組みは全国的にも注目されており、今後様々な行政との連携が生まれていく可能性がありそうだと考えます。そして一方では、人手不足解消の切り札として期待されている自動運転の実証実験が行われていますが、実証実験中の事故が相次いでおり、実用化までの道のりは遠いと考えます。 また、政府では、既に海外では定着している一般ドライバーが自家用車に有料で利用者を乗せるライドシェア導入の検討がされているようですが、これについても事故が起きた際の責任問題や、ドライバーの質が担保されるような制度設計を行う必要があり、導入には時間がかかると思います。 岐阜県議会においては、令和四年十二月十五日付で、誰もが暮らしやすい地域づくりに向けて、地域公共交通を維持、確保、活性化するため、確実な予算確保及び財政支援措置の拡充を強く要望する旨の地域公共交通への支援の強化を求める意見書を国へ提出させていただいています。加えて、滋賀県では、公共交通を整備するために交通税を導入することが全国で初めて検討されている状況もあります。 岐阜県は、一世帯当たりの自家用乗用車の保有台数は全国第八位となっていますが、学生や高齢者の皆さんにとっては、地域交通はなくてはならない移動手段であります。 そこで、都市公園・交通局長にお尋ねいたします。 本県のバス・タクシーといった地域交通を支える運転手不足の状況はどのようになっているのか。また県として、こうした運転手不足の状況をどのように捉えており、今後どのように対応していかれるのかお尋ねいたします。 次に、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正等を踏まえた市町村への支援についてお伺いいたします。 空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、令和五年十二月十三日に施行されました。この背景には、近年の空き家の増加と、今後も増加が予想されることがあります。 特に注目すべき改正点は四点です。 一点目に、所有者の責務として空き家の適切な管理とともに、自治体の施策に協力する努力義務が追加されました。 二点目に、適切な管理が行われていない空き家を管理不全空き家として、周囲に悪影響を及ぼす特定空家になる前の段階から、市町村から所有者等に対し、適切な管理についての指導や勧告ができることとされました。 三点目に、市町村が空家等活用促進区域及び空家等活用促進指針を定め、接道規制や用途規制の合理化等の措置を講じるとともに、所有者に対しても指針に合った空き家の活用を要請することが可能になりました。例えば住宅しか建てられない地域の空き家を店舗や飲食施設など経済的、社会的活動の促進のために活用できるようになりました。 四点目に、空き家の活用拡大と管理の確保に向け、空き家の活用等に積極的に取り組むNPO法人等を市町村が空家等管理活用支援法人と指定することができるようになりました。 これにより、市町村が専門団体と連携し、所有者等からの相談対応や住民への啓発に取り組むことが期待されます。また、各市町村の空き家バンクを通じた空き家の流通促進も期待されます。これまでにも危険な空き家の解消に積極的に努めてきた市町村や民間団体と連携して利活用に取り組んでいる市町村がありますが、今後はこれらの取組がさらに加速していくことが期待されます。 以上の法改正が施行された直後の一月一日、能登半島地震が発生し、過疎化や高齢化が深刻な地域で多くの空き家が倒壊したと報道されています。県内においても、高齢化や過疎化が深刻な地域があります。また、都市部においても倒壊した空き家が住民避難や救急搬送のための道路を塞いだり、隣家への被害を拡大させることが危惧されます。一方、空き家の解体や利活用のための改修は空き家の所有者等が行うため、公的補助制度による費用負担の軽減が不可欠であります。 県では、県空家対策支援補助金により、補助制度を設ける市町村への財政支援を行っていますが、補助対象となる空き家は市町村が定めるため、除却には補助金を交付するが、利活用は補助対象外という市町村もあります。 また、他県では、地域再生の観点から、自治体だけではなく、より地域住民に近い立場でのコーディネーター役としてノウハウを蓄積した非営利団体と連携して取り組むため、地域再生法に基づく地域再生推進法人として古民家再生関連団体を指定し、空き家の発生抑制や利活用促進に向けた住教育のほか、空き家対策セミナーや相談業務などが行われている事例も見られます。使える空き家を有効活用することは、危険な空き家の発生予防、資源の有効活用、地域の活性化など様々なメリットがあります。県内全体で空き家対策を早急に進めるためには、県内全ての地域で空き家の除却と利活用の両方の補助制度を利用することが必要です。 そこで、都市建築部長にお尋ねいたします。 空家等対策の推進に関する特別措置法の改正や、能登半島地震を踏まえ、県内全ての市町村で空き家対策が進むよう、県はどのように市町村を支援されていかれるのかお尋ねいたします。 最後に、児童・生徒への睡眠教育及び不登校との相関についてお伺いをいたします。 子供に睡眠の大切さを教える睡眠教育、略して眠育に取り組む小・中学校が広がっています。 眠育とは、睡眠の仕組みや眠りの持つ力など、睡眠についての正しい知識と習慣を身につけるための教育のことをいいます。社会情勢などの急激な変化は子供の生活に影響を与えており、子供の睡眠時間は減少傾向にあり、睡眠不足は生活習慣の乱れにつながり、子供の心身に大きな影響を与えることが分かっています。 新型コロナウイルス禍で生活リズムを崩した子供が増え、心身の健康増進を図るために眠育が注目されており、早寝する児童や生徒が増えたケースもあり、生活習慣の改善や不登校の減少といった効果が期待されています。 もともと眠育は、二〇〇〇年代後半に岐阜県飛騨市や福井県若狭町などで始まり、新潟県三条市や長野県小諸市など各地で導入が広がりました。二〇〇七年に福井県若狭町の小学校で学校関係者らが不登校予防として行ったのが始まりとされ、夜更かしする児童が減り、五年後進学した中学で調査すると、不登校の生徒は減少したそうです。 また、福岡県春日市は、生活習慣を改善し、不登校の減少につなげようと二〇一九年度から小・中学校で眠育を始め、変化が現れつつあり、市内四小学校への調査で、二〇二一年度は平日午後十時以前に就寝する児童が七五%となり、二〇一九年度より十五ポイント増加し、小学校で不登校ぎみだった子供が生活リズムを立て直し、中学校に通えるようになった例もあります。 眠育がより注目されるようになったのがコロナ禍でした。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限で在宅時間やインターネット利用が増え、子供の睡眠や生活リズムに乱れが生じ、国立成育医療研究センターの二〇二〇年秋の調査では、就寝時間がコロナ前に比べ「遅くなった」「不規則になった」との回答が小学校高学年、中学生ともに計三割を超えたそうです。 小児科医の三池輝久熊本大名誉教授によると、睡眠不足は心身の成長への影響が大きく、慢性化すると脳の発達や免疫機能に障がいが生じ、コミュニケーション能力が落ちて対人関係に影響が及ぶとし、睡眠は重要であるにもかかわらず、大切さを学ぶ機会が少ないと指摘されています。 眠育に取り組む教育現場からは、「授業を通じて早寝を意識する生徒は多いが、必ずしも行動に結びついていない。親もスマホなどを夜間に長時間操作しないなど家庭の取組が不可欠だ」と、学校の指導だけでは改善に限界があるとの声が出ていますが、まずは子供たちの睡眠への意識の向上と生活習慣の改善を図り、心身の健康を増進させるため、学校で眠育に取り組んではどうかと考えます。 不登校の児童・生徒の数は、文部科学省の調査によると、全国の小・中学校で二〇二二年度は二十九万人超となり、前年度から二割以上増え、二年連続で二十万人を超えています。理由としては、「無気力、不安」五一・八%が最も多く、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」一一・四%が続いています。ちなみに、岐阜県の小・中学校の不登校の児童・生徒の数は、二〇二一年度四千三百七十一人、二〇二二年度五千二百五十五人で二割以上増えています。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 県教育委員会として、児童・生徒の眠育と不登校との相関をどのように捉えておられるのか、また睡眠の大切さをどのように児童・生徒に教えていかれるのか、教育長に御所見をお伺いいたします。 以上で全ての一般質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 都市公園・交通局長 舟久保 敏君。    〔都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君登壇〕 ◎都市建築部都市公園・交通局長(舟久保敏君) 地域交通を支える運転手不足の状況と今後の対応についての御質問にお答えいたします。 県内のバス運転手につきましては、事業者からの聞き取りによりますと、令和四年度末時点で必要人数に対し平均約一割が不足、県内のタクシー運転手につきましても、中部運輸局の統計によりますと、令和三年度末時点で車両台数に対し約一割程度が不足しており、県としましてもこれら運転手の確保が課題であると考えております。 このため、バスにつきましては、県において、議員の御質問にもありましたとおり、大型二種免許取得費に対する支援を実施しております。また、タクシーにつきましては、今年度より国において二種免許取得費や運転手を確保するための広報費等に対する支援が行われております。 加えて、来年度からは、県におきまして、バスの運行管理業務を効率化できる機器の導入費を支援し、運転手が運行業務に専念できるようにするとともに、バスやタクシーの運転手の確保に向けた就職促進フェアを開催することを予定しています。 今後とも、運転手不足の状況を踏まえつつ、県として必要な支援を検討してまいります。 ○議長(野島征夫君) 都市建築部長 藤井忠直君。    〔都市建築部長 藤井忠直君登壇〕 ◎都市建築部長(藤井忠直君) 空家等対策の推進に関する特別措置法の改正等を踏まえた市町村への支援についてお答えいたします。 県内では、現在、四十市町村が県空家対策支援補助金を活用した補助制度を設けています。しかし、うち十市町では空き家の利活用か、除却のいずれか一方しか補助対象となっていません。また、残る二町では、補助制度そのものが設けられておりません。 こうした中で発生した能登半島地震における多くの空き家の倒壊を踏まえると、不要となった空き家の除却を引き続き促進する必要があります。また、昨年十二月に施行された改正法では、空き家の活用拡大と管理の確保に係る市町村の権限が強化されました。 このため、空き家の利活用や除却に向けて、まずは市町に対して補助制度の創設または拡充を働きかけてまいります。 加えて、市町村による空家等活用促進区域や、空家等管理活用支援法人の指定に向け、空き家を生かしたまちづくりや民間団体との連携の好事例を県空家等対策協議会で共有いたします。 これらの取組を通じ、県内での空き家の解消が進むよう、県として市町村を支援してまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 児童・生徒への睡眠教育及び不登校との相関についてお答えをします。 令和四年度文部科学省の問題行動調査によると、不登校の主な原因は、無気力・不安と生活リズムの乱れが多いものの、複数の要因が関係しており、要因の特定は難しいと考えております。しかし、生活のリズム、すなわち規則正しい生活習慣を保つ上で、適切な時刻に適切な時間の睡眠を取ることは、児童・生徒にとって心と体の調子を整えることにつながるものと考えます。 例えばアメリカの国立睡眠財団によると、十四歳から十七歳の望ましい睡眠時間は八から十時間であるのに対し、日本の中学生の約七割強が八時間未満の睡眠時間と短い傾向にあります。 そうした中、飛騨市では、児童・生徒が家族と一緒に自らの生活を見直し、就寝前にはスマートフォンなどのメディアに触れないなど、よりよい睡眠につながることが実感できる取組を行っております。 県教育委員会としましても、文部科学省作成の睡眠リズムを整えるための啓発資料にある睡眠チェックシートなどを活用し、自らの睡眠の改善方法を考えることで心身の健康を保持できるように指導してまいります。 ○議長(野島征夫君) 十一番 小川祐輝君。    〔十一番 小川祐輝君登壇〕(拍手) ◆十一番(小川祐輝君) 議長の許可をいただきましたので、順次質問に移りたいと思いますが、質問に入る前に、本年一月一日に発生いたしました能登半島地震におきまして被災されました皆様に、お悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思います。また、岐阜県をはじめ、市内、各市町村、また各種団体、ボランティア等、現地に行って活動されている皆様に感謝申し上げるとともに、また一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。 それでは、順次質問を始めさせていただきたいと思います。 通告に従いまして二項目、三点について質問をさせていただきます。 初めに、障がいのある方への災害時の支援について、二点質問させていただきます。 阪神大震災、東日本大震災、熊本地震、そして今回の能登半島地震と日本では立て続けに大きな地震が起きています。本県においても、近い将来、南海トラフ地震、県内活断層による内陸直下地震な大きな災害の発生が懸念されており、こうした災害が発生した際に対応できるように準備をしていく必要があります。 昨日、県政自民クラブの代表質問で岩井先生が、令和六年能登半島地震を踏まえた本県の震災対策について質問されました。その答弁で、知事が「明日は我が身どころか、今日の我が身の心構えで震災対策の強化充実が必要である」とおっしゃっていたのが印象的で、今後の岐阜県の震災対策の力強さを感じました。 今回の私の質問では、震災対策の中でも、特に障がいのある方への災害時の支援に焦点を当てて質問させていただきます。 二〇一一年に起こった東日本大震災では、障害者手帳を持った方の死亡率が一般の方に比べ二倍であったというデータがあります。その要因は様々ありますが、二〇二一年にNHKが実施したアンケートでは、「この数年で災害で被害を受けたり怖い思いをしたことがある」と答えた障がいのある方に、そのとき避難できましたかと尋ねたところ、「避難しなかった、できなかった」との答えが三分の二を占めていたことが分かりました。その背景には、一人で状況判断ができない、移動手段がない、必要な医療や福祉サービスが受けられない、差別や偏見がある等の理由があるようです。 実際に熊本地震では、ある避難所へやってきた車椅子の方が、ここは階段ばかりだからと断られたり、発達障がいで自閉症があり、水の配給の列に並べない子供の分を求めた親に、平等ですからと水をもらえなかったり、迷惑をかけるからと避難所を追い出されたりといったことがあったとのことです。 災害が起こったときに、障がいのある方やその御家族が必要な情報が得られず、状況判断ができないことで家にとどまったり、必要な支援が受けられないのではないかという不安や迷惑がかかるからという理由で自宅で過ごすことがないよう、必要な情報を得て安心して避難所に行けるようにしていく必要があると考えます。 これらを踏まえ、まずは一般避難所における支援の充実について質問をさせていただきます。 市町村が指定する避難所には、一般避難所と福祉避難所があります。福祉避難所は、一般避難所では生活に支障のある要配慮者を受け入れる避難所で、災害時に身を寄せ、必要なケアや相談を受けられるよう市区町村が基準を満たす施設を指定したり、協定を結んで確保しています。しかし、大規模災害が起きた場合には対応が困難になることが考えられます。 実際に、能登半島地震の被災地では、配慮が必要な障がいのある方や高齢者らを受け入れる福祉避難所の立ち上げが難航しております。奥能登の四市町である輪島市、珠洲市、穴水町、そして能登町では、地震の前に全部で四十一か所の福祉避難所が指定されていましたが、このうち地震後に開設できたのは九か所でした。建物が地震で損壊したり、職員が被災して勤務できなくなったりしたことが主な理由で、事前に指定されていた避難所の四分の一以下でしか対応できていないという状況でした。そのため、地震発生から一か月以上がたっても障がいや高齢のために支援が必要であっても一般避難所や自宅で生活を続けている人も多く、症状の悪化や孤立などが懸念されています。 このように、大規模災害の場合、全ての要配慮者への対応は困難になることが想定されます。こういったことから、京都府では、一般避難所をユニバーサルデザインにするための指針として、福祉避難コーナー設置ガイドラインがいち早く作成され、先進事例として取り上げられました。ここから多くの都道府県で、一般避難所での福祉避難コーナーの設置がマニュアル等に記載されるようになりました。 一方で、このマニュアルに記載されるだけでは実行に移すことは難しく、一般避難所での障がいのある方などへの対応を想定した体制づくりまではなかなか構築できていない状態です。能登半島地震で一般避難所で従事している相談支援専門員の女性は、思ったような対応ができず、災害時に避難が難しかったり、意思のやり取りが難しかったりする障がいのある人をどう支援するのか、あらかじめ体制づくりをしておくことが必要だったと悔しそうな表情で話していました。 このようなことからも、県でも避難所の設置主体である市町村に対し、実際に災害が起こったときに一般避難所で障がいのある方などへ対応ができるように事前に体制づくりを支援していくことや、意思のやり取りが難しい方を支援していくための資機材や、障がいの特徴を共有できるようなツールを作成し、避難所で支援が必要な方へ対応ができるようにする必要があると考えます。 配付しています資料一を御覧ください。 例えば愛知県大府市では、災害用コミュニケーションボードを作成しており、これを印刷して知的障がい、自閉症等の方、外国人、言葉の分からない、話せない、発音がはっきりしない方と絵記号を指さして必要なコミュニケーションができるようにしております。配付資料は一部ではありますが、このコミュニケーションボードを使うことで、被災状況や必要な支援なども把握することができます。 次に、資料二を御覧ください。 徳島県では、発達障がいのある方の防災ハンドブックを作成し、当事者や支援者がどのように行動したらいいのかが分かりやすく記載してあります。 裏面を御覧ください。 左上に防災カードと書いてありますが、障がいのある方の特性を理解し、支援しやすくするために使えるツールである情報シートが作成されています。このシートには、どうしたら落ち着くのか、困ったときのサインはどのように出すのか、やってはいけないことは何か、感覚の特徴は何かなど、ふだんは家族しか分からない、どういう特徴があり、それにどう対応したらいいかという情報を共有していただき、避難所での支援につなげるものとして作成されています。 以上を踏まえて、危機管理部長にお尋ねいたします。 実際に災害が起こったときに、一般避難所において障がいのある方に対応できるよう、どのような支援の充実を図っていくのか、県のお考えを伺います。 次に、障がい別の情報発信について質問させていただきます。 能登半島地震が起こった際に、障がいのある方へ向けた情報を素早く分かりやすく発信していたのは民間企業でした。例えば知的障がいのある作家さんのアートデータを管理し、BtoC、BtoBと様々な形で展開し、知的障がいのイメージを変えることに挑戦している株式会社ヘラルボニーという会社では、「障害者を消さない」というハッシュタグと一緒に障がいを持った方への情報をいち早く発信していました。これは、東日本大震災の際に、何人もの障がいのある人が避難所から追放され、半壊した自宅へ帰還する状況になり、避難所から障がい者が消えたということが起こったことから、今回の能登半島地震ではこういったことをなくすという目的で発信されました。 災害時の変化に困り、苦しむ人々に向けて適切で信頼ある情報を提供し、異なる人々とのコミュニケーションを促進できたら守ることのできる命もあるかもしれないという趣旨で、障がいのある方に向けて自治体が使っている信頼性の高いツールや避難所情報などが分かりやすくまとめられ、発信されていました。 こういった民間企業の取組を見ると、改めて障がいのある方にとってどういう情報が必要とされていて、届きやすくするためにしなくてはいけないのは何かということを考えさせられます。また、本来であれば、被災時に適切で信頼ある情報を伝えることができるのは、やはり公的な機関ではないかと考えています。 岐阜県での災害時の障がい者に向けた情報発信を見ると、市町村をはじめ、支援に関わる方に向けて六十ページにわたる災害時要配慮者支援マニュアルを作成しており、平時の備えや発災時の対応に加え、視覚障がい者、聴覚障がい者、発達障がい者などの区分でどのような特徴があり、どのような支援が必要なのかが記載してあります。これは、自助・共助・公助の公助としてどういう対応をするのかが詳しく丁寧に記載されている一方で、自助として、障がいのある方やその御家族が被災時にどういう行動を取ったらよいのか、また共助として、避難所にいる方が同じ避難所にいる障がいのある方に向けてどのように支援をしていったらよいのかという視点で見ると、情報が多く、難解で理解するのに時間がかかるため、情報が届きづらそうです。 例えばNHKのサイトでは、災害時障がい者のためのサイトがあり、避難所の情報や、障がい別に、事前準備や被災時にどのような行動を取ればよいのか、どのような支援が必要なのかなど、必要な情報が分かりやすくまとめてあります。 このように、災害発生時に混乱した中で素早く行動に移すためには、障がいを持った方に対し、特性に応じて適切で必要な情報が分かりやすく素早く届く工夫をすべきだと考えています。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 災害が起こった際に、障がいのある方が必要な情報を素早く得て行動できるように、障がい別に分かりやすい情報を発信すべきだと考えますが、県のお考えを伺います。 次に、安全・安心なまちづくりのための防犯カメラ等の活用について質問させていただきます。 昨今、激甚災害の発生や刑法犯認知件数の増加が見られる中、県民が安全に安心して暮らしていけるまちづくりを行う上で、防犯カメラは有効なアイテムの一つだと考えます。以前は、金融機関など限られた場所にしか防犯カメラは設置されていませんでしたが、飲食店やスーパー、コンビニの店舗など様々な場所で目にするようになり、今では家庭でも導入するケースが増えているようです。 防犯カメラは、現場の状態を二十四時間、リアルタイムで把握することができるとともに、過去の画像を繰返し確認することも可能です。犯罪捜査においては、防犯カメラの映像データが犯行の状況や犯人像、事件関係者の足取りなどの確認、画像データを公開しての追跡捜査等、様々な場面で活用されており、令和三年八月、東京都内の地下鉄構内において、通行中の男性が硫酸様の液体をかけられ重傷を負う事件や、令和四年九月、新潟県内において高齢者が警察官をかたる男にキャッシュカードをだまし取られた特殊詐欺事件等々、映像データの活用が重要事件被疑者の検挙にも役立っています。 これまで県警は、地域の防犯意識の高揚及び自主防犯活動の活性化を図り、犯罪の起きにくい社会づくりを推進するため、令和三年から四年の二年間、地域住民により構成される自主組織や事業者を対象に、新たに設置する防犯カメラの初期費用に対し、一団体につき上限五十万、補助対象経費の二分の一以内を補助していました。その効果により、現在では県内に設置される防犯カメラは約三万六千基となり、日々、住民の安全・安心のために目を光らせております。 この防犯カメラの設置効果は、犯罪の未然防止や発生時だけにとどまりません。本年一月一日には能登半島地震が発生し、現在、全力で復旧、復興が行われていますが、一月三十一日までに住民が避難中で不在の住居や休業中の店舗などへの空き巣、避難所での置き引きなど窃盗事件が三十件、ほかにも器物損壊や女性へのわいせつなど地震の被害に関連して合わせて三十五件の犯罪が確認されています。 その中で、警察庁は、防犯カメラ約千台を確保し、避難所や街頭などの必要な場所に順次設置することで災害に便乗する空き巣や置き引きなどの卑劣な犯罪を抑止し、被災地の治安を守るための取組を行っているところでございます。また、災害発生直後から防犯カメラにより被災地の状況の確認ができれば、より効果的かつ迅速な災害警備活動が可能となるのではないでしょうか。 このように、防犯カメラは、犯罪発生時の的確な対応や犯罪そのものの防止に役立っており、また災害発生時には被災地における警備活動に役立つなど、治安の安定に極めて有効なものとなっているのです。 さて一方で、道路においても台風や豪雪など異常気象時や災害発生時における道路状況の把握等のために、橋梁やトンネル、冠水が懸念される箇所などを対象に、県管理分として百八十五基のカメラが設置されております。こちらはあくまで道路の維持管理のために設置されたものですが、防犯カメラと同様に、犯人の足取りの特定や、路上で発生する犯罪の捜査などに活用でき、また災害時に役立てることができるのではないでしょうか。 これらの道路に設置されたカメラと防犯カメラを合わせると、県内にはとても多くのカメラが設置されていることになりますが、現在、警察がこれらの映像データを確認するには、必要な手続を踏むと数日を要する場合もあると聞いており、スムーズな利活用ができるとは言い切れません。県民がより安全・安心に暮らすことができるまちづくりのためには、私は犯罪発生時においても災害発生時においても、これらのカメラをスムーズに利活用できるようにすべきではないかと考えています。 そこで、安全・安心なまちづくりのために、県内に設置されている防犯カメラ等の活用に関してどのように関係機関と連携していくのか、警察本部長としてのお考えを伺います。 以上、二項目について質問をさせていただきましたが、災害時に障がいのある方が避難所からいなくなることがないよう適切な情報を得て、安心して避難所で過ごせるようにしていただきたいと思いますし、また災害時や犯罪発生時に関係機関が連携し、防犯カメラ等の活用がスムーズにできる体制をぜひ構築していただきたいというふうに思います。 明確な答弁をお願い申し上げまして、私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 一般避難所における支援の充実についてお答えします。 施設や職員の被災により、福祉避難所が十分に機能を果たせない場合があることから、一般避難所においても障がいのある方ができる限り安心して過ごせる環境を整える必要があります。 このため、県では、避難所運営ガイドラインにおいて、居住スペースの指定や専用トイレ・通路の確保、健康面や生活上の悩みへの相談窓口設置といった内容を市町村にお示しをしております。 今後は、市町村職員を対象に、障がい者団体の参画の下、実際の避難所においてガイドラインでお示ししている内容の実施手順を確認する研修を実施してまいります。 また、本年度から、障がいのある方などに配慮したモデル避難所を整備する市町村に対し、必要な資機材の導入経費を支援しております。障がいのある方や関係団体、福祉部局の参画の下、議員から御紹介いただいた他の自治体での事例も参考に、避難所における支援の充実策を検討いただくよう市町村の取組を促してまいります。 ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 障がいのある方への災害時の支援における障がい別の情報発信についてお答え申し上げます。 県では、障がい者総合支援プランに基づき、市町村に対して避難行動要支援者名簿の作成や、名簿情報に基づく避難支援体制の構築を働きかけております。また、各市町村等に向けて策定した災害時要配慮者支援マニュアルでは、避難所における要配慮者への情報提供等について示しておりますが、能登半島地震の状況を踏まえ、これらの内容のさらなる充実を図る必要があると考えております。 そのため、県で行政サービス全般に向けて作成した障がいのある方への配慮マニュアルを踏まえつつ、障がい者団体にも意見を伺いながら、障がい者や支援者が災害時に速やかに行動できるよう、危機管理部とともに情報発信の在り方を検討してまいります。 あわせて、障がい特性に応じた災害への準備や、災害時に受けられる支援について整理し、分かりやすくホームページに掲載するとともに、様々な手段、媒体による発信を検討してまいります。 加えて、そうした情報発信が市町村からもなされるよう、災害時要配慮者支援マニュアルに盛り込んでまいります。 ○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。    〔警察本部長 大濱健志君登壇〕 ◎警察本部長(大濱健志君) 安全・安心なまちづくりのための防犯カメラ等の活用についてお答えいたします。 防犯カメラは、犯罪の未然防止のみならず、犯罪発生時の的確な対応のためにも有用であり、安全・安心なまちづくりを推進する上で極めて有効なものでございます。また、このたびの能登半島地震では、被災地の安全確保と被災者の不安解消を図る目的で防犯カメラが設置、活用されているところでございます。 議員から御提案のございました災害発生時等におけるカメラ画像のスムーズな活用につきましては、警察といたしましても、発災後の被害実態や道路状況の把握に極めて有効であり、その後の救出・救助活動、緊急交通路の確保、災害に便乗した犯罪の抑止、検挙等に非常に役立つということが見込まれております。 一方において、警察において災害発生時等にカメラ画像をスムーズに活用するためには、平時からそれらの画像を保有する自治体等と連携し、その活用方法等をあらかじめ検討しておく必要がございます。そこで、県警察といたしましては、今回議員の御提案をいただきましたことを前向きに検討することといたしまして、有事の際におけるカメラ画像の活用方法等について、関係機関と事前協議を行うなどして連携をより一層密にしてまいりたいと考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) ここでしばらく休憩いたします。 △午前十一時四十三分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十五番 平野祐也君。    〔十五番 平野祐也君登壇〕(拍手) ◆十五番(平野祐也君) 皆さん、こんにちは。 今回は、大きく四点。まず最初は二点につきまして、知事に御質問をしたいと思います。 最初に、スマホで完結する行政サービスについてお伺いします。 二〇二一年に日本においてデジタル庁が発足しました。国や地方行政のDXの推進を目的としております。設立当初に、皆さんも記憶にあるかと思いますが、判この廃止を訴えて大きな注目を集めましたが、今もその取組は進んでおります。そうした中で、現在、国が進めているのが、アナログ規制というものの廃止についてです。 具体的には、目視、実地監査、定期検査・点検、常駐・専任、対面講習、書面掲示、往訪閲覧・縦覧といったものです。国においては、四万以上ある法律の中からこれらを抜き出して、令和六年六月までに一括見直しプランを進めているところです。例えば現在、橋梁の定期点検などでドローンの活用が進んでおります。もともとこちらの点検については目視が必要とされておりましたが、ドローンによるコスト削減、作業効率の向上が見込まれる分野であり、普及が進もうとしております。新しい技術があっても、法令によって目視が求められ続ける限り、たとえコストが増えて非効率であっても、法令違反をしないために現状維持が続きます。 こうした状況を打破すべく、現在、国による一斉見直しが進もうとしております。そうなると、残ってくるのが地方行政です。岐阜県においては、デジタル推進局が旗を振って、令和五年八月にDX推進本部にてアナログ規制の点検・見直しを行い、公表しております。 こちら、お配りの資料一を御覧ください。 この内容を見てみると、アナログ規制の点検対象は、岐阜県において九百九十九件、そのうち国の法令による規制が四百五十九件、岐阜県の条例等による規制が五百四十件となります。この五百四十件のうち、現在、継続検討対象となっている百七件の理由としては、国等の動向を注視しつつ所管部局において検討を継続することとなっております。また、現時点で技術が追いつかず規制目的を担保するデジタル技術が不明確なものについては、国から示されるテクノロジーマップなどを活用して検討することになっております。 そういった意味で、アナログ規制について、実は現状対応できるものについては全て対応を行っているというような状況になります。一つ疑問なのは、これだけアナログ規制への対応が進んでいるのに、二〇二一年の岐阜県知事選挙において公約に掲げられた「スマホで完結する行政サービスの実現」を皆さん、具体的に実感できていますでしょうか。 当時の公約を振り返ってみます。スマホで完結する行政サービスの実現。これまでの県庁窓口に来て書類に捺印して手数料を納めるといった手続の在り方を抜本的に見直すとともに、県庁職員の働き方も新たな日常に対応する形で聖域なしに見直す。あわせて、市町村や企業等あらゆる分野におけるDXの推進を支援していく。私自身、令和二年の十二月に岐阜県の収入証紙の廃止について質問を行いましたが、現時点で全体で七十九ある県独自の収入証紙の手続の中で、七手続が現状、決済の多様化が済んでおりますが、ほかについてはまだまだ進んでいるとは言えません。この証紙に関しては、全国的に見ても、七府県が廃止、八県が廃止予定、二十二都道府県が廃止を検討中と、私が質問した四年前から比べると、全国で廃止の方向で既に大幅にかじが切られております。新型コロナウイルスが五類へと変更されて日常が戻ってきた一年となりますけれども、デジタル化の波は止まりません。スマホで完結する行政サービスについては、国もアナログ規制の見直しやマイナンバーカードの充実を図る中で、市町村も対応を求められております。そうした意味では、岐阜県においても県民が実感できる形で不断のデジタル化を進んでいく必要があります。 いまだに書類を提出するためだけに県庁に来たという方も多くいらっしゃいます。判この廃止の議論のときもそうでしたが、現在、押印を求められる機会は本当に少なくなりました。それによって便利になったことはあっても、不便になったと思われる方はいらっしゃるでしょうか。非常に小さな事例ですが、こうした積み重ねが日本を豊かにしていくと信じて、地方行政のDX化を推進していただきたいと思います。 そこで、知事にお伺いします。 公約に掲げたDXの推進について、特に県民の実感として大きなスマホで完結する行政サービスの進捗度合いとともに、現在の課題と新技術の実装に向けての取組について御教示ください。 地方こそ人手不足や課題先進地としてデジタル化の恩恵を最も受ける地域です。マイナンバーカードを使えばコンビニで身分証明書類が受け取れることなんかは、市役所が遠いエリアや共働き世代にとっては非常に便利です。行政サービスの充実は、県民にとって県政に求める一丁目一番地であると考えますので、ぜひとも取組の加速をお願いします。 続きまして、二点目、長良川におけるニジマス流出についてお伺いをいたします。 皆様、御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、二月に降った雨の影響で岐阜市の長良川が増水し、長良川に設置されていた釣堀からおよそ三千匹のニジマスが川に流出されました。この釣堀は、鵜飼いのない冬の観光地誘客を目的として、二月一日から三月三十一日までの期間限定で設けられたものです。設置場所は、岐阜市の鵜飼いの観覧船乗り場のすぐ近くであり、川を石積みの堤防や網で囲い、ニジマス約一万匹以上を放流しておりました。開業してから七百人余りが釣りを楽しんでいましたが、二月十九日の増水による流出を受けて二月二十日より休業し、二月二十九日に今季の営業再開を断念しております。 ニジマスは、御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとはレインボートラウトという名前で、北米原産のサケ科の魚で、明治期に輸入され、釣堀などで産業利用されてきた一方、魚食性が強く、これは魚を食べるということです、魚食性が強く、水域によってはほかの在来種との交雑の懸念もあることから、二〇一五年、環境省と農林水産省は産業管理外来種に指定し、これ以上の分布を拡大しないよう逸出防止などの対策を求めています。 こちら、資料二を御覧ください。 なお、この産業管理外来種とは、産業または公益性において重要で、代替性がなく、その利用に当たっては適切な管理が求められている外来種であります。 まさに二月二十七日に長良川で初めて稚アユの遡上が観測されております。今回のニジマスの流出を受けて、生態系への影響を懸念する声が全国各地から寄せられております。 今回の釣堀設置については、国の許可の下、実施しているものでありますが、ニジマスを漁業権魚種に指定するかについては岐阜県内水面漁場管理委員会にて議論されており、県として漁業権魚種にニジマスを追加することを認可しております。しかし、当時の議事録を見ると、ニジマスが恐らくアユの稚魚を食べるという話や、開放系の水域への放流はリスクがある、閉鎖水域でできないか、ニジマスを拡大しても漁協の間で取り合いが起こるだけではないか、今の若者は環境意識が高く外来魚利用に対する嫌悪感が高いなど、影響について懸念する声が上がっておりました。 そうした議論を経て、閉鎖水域の特定漁場で行うこと、利用者にニジマスが外来種であることを周知し放流させないことなどの、議論を経て許可をするに至っております。 ニジマスについては、外来種ではあるものの産業管理外来種と規定されており、放流することは違法ではありません。また、流出したとしても何か処罰があるわけでもありません。ニジマスは、皆さん御存じのとおり、バーベキューや釣りで人気であり、利用方法によって集客効果があることもよく分かります。ニジマスの釣堀が悪いのではなく、手法や場所の問題であると考えます。 今回の問題を受けて真っ先に浮かんだことは、岐阜県を挙げて「清流長良川の鮎」を守るために、コクチバスの駆除を行いながら、一方で、アユの稚魚を食べる可能性があるニジマスの大量流出を防げなかったことです。 平成二十七年に「清流長良川の鮎」が世界農業遺産として認定されました。世界農業遺産とは、その土地の環境を生かした伝統的な農林水産業や、生物多様性が守られた土地利用、農村文化や農村景観などが一体となり、維持・保全が図られている世界的に重要な地域を後世に引き継ぐことを目的とされております。世界農業遺産として生物多様性を守り、維持・保全する重要な長良川、また清流の象徴であるアユについて、県民みんなで守っていこうとしている中で、ニジマスを漁業権魚種として許可を出すことにも違和感を覚える県民もおります。 こうした流出事故が起きると、知事を筆頭に、地元自治体、漁協関係者、皆様で築き上げてきた長良川ブランド、清流の鮎ブランドが傷ついてしまうように感じます。 今回の釣堀の設置の経緯として、地元の漁協が観光客や釣り人を増やすことを考えることは当然だとしても、生態系への影響や懸念点を岐阜県全体として一旦止まって考えられなかったかということが問題であると考えます。 本来、外来種の管轄は環境生活部でありますが、産業管理外来種であるニジマスの漁業権魚種指定の議論については、事務局である農政部内だけで完結をしております。生態系や全体最適のためにコントロールタワーが必要であるという質問を昨年九月議会の一般質問において私が行ったところなんですけれども、相変わらず機能していないという現状においては、今後もこうした事例が起こると考えております。 なお、平成二十五年に広島大学などの研究グループが公表した論文において、全国の全ての一級河川において約六百万人のデータを解析し、その結果、生物多様性が高い河川においては、釣りや水辺での遊びなどのレジャー利用を増加させるということを発見しております。岐阜県においても、二〇〇八年に国の生物多様性基本法が制定され、二〇一一年七月に「生物多様性ぎふ戦略」を打ち出しました。 こちら、資料三を御覧ください。 こうした事例が生じたことによって、この戦略について改めて機能させるために、新たなコントロールタワー機能の追加を含めて改定を検討すべきであると考えます。 今回のニジマスの流出が岐阜県の生物多様性の象徴である長良川で起きてしまったことは、世界農業遺産の認定にも影響が出ないとは言えない大きな話であると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 今回のニジマス流出までの経緯の検証、また今後の生態系リスクに対するコントロールタワーとしての機能強化に向けた岐阜県の体制整備及び生物多様性ぎふ戦略の改定についてどのようにお考えでしょうか。 生態系の維持や生物多様性というのは、短期的に見ると誰かが得をするというものではなく、失ってからでしかありがたみに気づかないものです。河川の産業利用や観光客誘致という観点も当然必要であり、否定するものではありませんが、岐阜県は日本の中でも多様な生態系が維持されている希少な場所となっております。法律に違反しているかではなく、オール岐阜での生態系リスクへの対応、長良川ブランドの維持という観点で、今後の生態系リスク低減のために、知事の前向きな答弁をよろしくお願いします。 ここで、一回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 二点、お尋ねがございました。 まず、いわゆるスマホで完結する行政サービスについてでありますが、御案内のように、行政手続をオンライン化することは、スマートフォンでいつでもどこでも行政手続を行うことが可能なものでありまして、DXで生活を豊かに・安心に・便利にというスローガンの下で進めております本県におきましては、大変重要な取組の一つであると認識しておりまして、令和四年三月に県のDX推進計画を策定し進めてきた次第であります。 具体的には、約二千七百ある許認可等の申請手続を令和七年度末までにオンライン化するという目標を掲げて、これまでその七割強に当たる約二千の手続についてはオンライン化を完了しております。 例えば昨年度、県図書館の資料の利用予約では、約二万六千件の申込みのうちの六割、入札の参加資格審査では、約九千件の申請のうち九割が既にオンラインで行われております。また、現在実施されている令和六年度県立高等学校入学者選抜では、受付から入学考査料の納付、受検票の発行、合格通知までをオンラインで完結できるウェブ出願システムを導入し、約一万三千人の受検生が利用しております。 さらに先月からは、例年一万八千件ある県税の納税証明書の交付申請をオンラインで可能ということにいたしました。来年度には、県と参画希望のあった市町の公共施設について、施設の空き状況確認から予約、決済までの手続をオンラインで可能とする予約管理システムを構築してまいります。 これらの手続は全てスマートフォンで可能となっております。 なお、御指摘の収入証紙による手数料納付につきましては、既に収入証紙と併用してオンライン納付も可能となる条例改正も行いました。その結果、御指摘にありましたように、七つの手続でこれが可能となっておりますが、令和七年度末までには残り七十二手続の全てを可能にいたしたいというふうに思っております。 他方で、オンライン化をスムーズに進めるためには、様々な課題もございます。例えばより効果的なオンライン化を実現するためには、単に紙の処理をデータに置き換えるだけではなく、制度も含め、事務そのものを抜本的に見直す必要があります。このため、添付資料のできる限りの削減や事務の自動化など、業務プロセスの見直しに引き続き取り組んでまいります。 また、オンライン化に必要なデジタル技術やサービスを積極的に導入していく必要があるわけであります。このため、大容量データのやり取りが可能なクラウドストレージサービスの導入や、電子申請基盤へのキャッシュレス決済機能の搭載などを進めてきたところでございます。 こうした取組も進めながら、残り七百手続のオンライン化につきましても、令和七年度末までに全て完了させるということでやっていきたいと思っております。 そのほかに御指摘がありましたとおり、デジタル技術の進展には極めて早いものがございます。例えば生成AIやデータの不正・改ざんを防ぐブロックチェーンなどの新しい技術も急速に発展・普及してきております。そうした技術の実装を検討・検証していくことも重要であります。本県では、例えば生成AIについて、国内外での議論の動向や有識者・専門家の御意見を踏まえながら、全庁展開に向けた試験利用を実施しているところでございます。 このように、今後も新たな技術・サービスの動向を注視しつつ、民間のノウハウも取り入れながら、デジタル化のメリットを県民の皆様に実感いただけるように取り組んでまいりたいと思います。 次に、先般のニジマス流出に関するお尋ねがございました。 北米原産のニジマスでありますが、大正十年に長良川と揖斐川で初めて放流されて以来、百年以上にわたって広く県内で漁業の重要な対象種として継続的に放流をされてきております。現在、県では、県内三十三漁協のうち、申請のあった二十二の漁協に対して、漁業法に基づきニジマスの漁業権の免許を与え、このうち十の漁協に管理釣り場の設置を認可しております。 今回、新たにニジマスの漁業権を申請した長良川漁協につきましても、漁業法の規定にのっとり手続を進めてまいりました。まず長良川漁協からの要望を受けた漁場計画案について、内水面漁場管理委員会からは、昨年九月に公聴会を経て「異議なし」との答申をいただいております。これに基づいて、十一月には、長良川漁協から県に対して漁業権の免許申請並びに同漁協の遊漁規則及び漁業権行使規則の認可申請がございました。そして、県としては十二月に内水面漁場管理委員会からこれについても「異議なし」という答申をいただいて、本年一月一日付で漁業権の免許並びに管理釣り場の設置の認可をしたところであります。その後、長良川漁協は、国から河川法に基づく河川の占用許可を受け、二月一日に管理釣り場をオープンいたしました。しかし、二月十九日に降雨と融雪による増水で川の水位が網や盛土を越えて、ニジマスの一部が施設外に流出したわけであります。この事態を受けて、長良川漁協は今シーズンの管理釣り場の営業を中止するとともに、全ての施設を撤去いたしました。長良川漁協としては、この開設に当たっていろいろと工夫もされ、御苦労もされてこられたわけでありますが、それだけに誠に残念な事態になったわけであります。 以上、今回の経緯を申し上げましたが、今回の件につきましては、まずは管理釣り場の施設の運営・管理の問題が上げられます。あわせて、ニジマスの管理釣り場が鵜飼い観覧船の乗船場に接して開設され、そこに流出事案が発生したこと自体、世界農業遺産として認定されている清流長良川ブランドのイメージダウンにつながることが危惧されます。このため、県といたしましては、まずは今回の流出事案の発生原因を明らかにするため、過去の水位データに基づいた場所の適否と流出防止施設の妥当性、増水時の危機管理体制などを検証した上で再発防止策を取りまとめ、県内の他の管理釣り場に対しても指導監督を徹底してまいります。 また、県の体制といたしましては、生物多様性を含め幅広い観点から対応していけるよう、漁業法を所管する農政と共に生物多様性を所管する環境生活を中心に、清流、文化、観光など県庁内関係部局間で情報を共有するとともに、関係者からの意見聴取を行う方向で検討してまいります。そして、その過程で、御指摘の生物多様性ぎふ戦略上の取扱いについても検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十五番 平野祐也君。    〔十五番 平野祐也君登壇〕 ◆十五番(平野祐也君) 御答弁いただきましてありがとうございました。 続きまして、三点目、災害時の初動情報収集や物資輸送における新技術の活用と実装について、危機管理部長にお伺いをさせていただきます。 二〇二四年の元旦に能登半島地震が発生いたしました。今回の地震において被災された方にお見舞い申し上げるとともに、亡くなった方にお悔やみを申し上げます。 今回の地震については、発生したのがお正月ということや孤立集落が多数生まれたこともあり、被害の全容が解明されるまでに多くの時間を費やしました。今回の地震への対応を検証することは、まだ復興段階であり難しいとは思いますが、岐阜県において同様の事態が起こったときの想定は、平時にどれだけ行ってもし尽くせないと思います。 災害時の対応に関しても、過去の震災時と比較すると新しい技術がたくさん出てきております。例えば東日本大震災のときは、ドローン等の新技術が今ほど普及していませんでしたが、現在では日本各地でドローンが普及している状況です。孤立集落への物資輸送や道路の状況把握など、もっと早く情報収集ができたのではないかといった新たな視点で災害対応を検討できるようになっております。 岐阜県も道路が寸断されると孤立するおそれがある地域が六百三十九地域あるとされております。今回の地震において、道路状況が分からず物資輸送や救助の困難さが増したというニュースも多く目にしました。岐阜県においては、元日の地震を受けて、県内においても震度四以上を記録した地点が多かったことから、主要地方道や国道、高速道路について、土木事務所や建設業協会が県内を点検し、一両日中に被害がなかったことが確認されております。しかし、もしも道路が寸断されており、向こう側の状況が分からないという場合に、果たしてどのように情報を収集するのでしょうか。例えばドローン、最近では悪路走破性の高い四輪バギーなどが自治体や消防、自衛隊において導入されておりますが、これを災害が起きたときに瞬時に飛ばせる、また操作できるような状況にあるかどうかが重要であり、持っているだけでは意味がありません。 また、今回のようにお正月に災害が発生した場合、そもそも職員の皆さんが帰省して現地にいない場合も想定されます。今回の地震においては、指定避難場所である小学校に行くにも、道路が分断されて、地域の公民館に避難しているケースも多くあったと聞いています。そうした想定外の状況を素早く把握することは、自治体が災害発生時に最初に取り組むべきことではないかと思います。 岐阜県においても民間企業や団体と災害協定を結んでいますが、現地に住んでいる民間人や職員も被災者である中、本当にマニュアルどおり役割を果たせるのか、考えないといけません。 また、仮に冬に発生した場合は雪や天候状況に左右される可能性も大いにあり、ヘリコプターを飛ばせないという状況も想定されます。そうした状況において、ドローンやバギーなど実践で本当に使えるのか実験を行うことや、訓練において民間企業や現地の住民と協力した災害情報収集訓練が必要だと思います。 例えば各自治体において、ドローンの免許を持っている方の情報を収集して災害時に協力を求めることや、物資輸送、初期情報収集のために、県内で実際に道路の上や民家の上を飛ばしてみるなど、今まさにこうした新技術を実用化して検証する段階に来ていると思います。 岐阜県において、災害時の新技術を実証実験する特区のような場所を設定して、訓練を行うことも必要ではないかと考えます。 また、災害時には七十二時間の壁という言葉があります。何よりも人命に関わることは、災害の初動段階において、状況を把握し適切に国や自衛隊の救助を求めることが自治体の役割であると思います。 そこで、危機管理部長にお伺いします。 災害時において、岐阜県として、ドローン等の新技術をどのように活用し、災害時の初動情報収集業務や物資輸送に実装していくか、お考えを伺います。 日進月歩で技術が進んでいる中で、これだけ備えたから大丈夫という世界ではないことは、今回の災害でも痛感させられました。誰がお正月の元旦に地震が起こると想像することができたでしょうか。今後、岐阜県で同様のことが起こったときにしっかりと使える技術や考え得る想定を事前に行っておくことを求めて、こちらは危機管理部長に質問とさせていただきます。 最後に、四点目、森林信託の現状と今後の取組方針について、林政部長にお伺いします。 皆さん、森林信託という言葉は御存じでしょうか。二〇二四年一月に愛知県が豊かな森林資源を有する東三河地方において、所有者が点在する森林を効果的に活用し、収益を上げる森林信託制度の導入を検討するとの報道がありました。そもそも信託とは、自分の財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って運用・管理してもらう制度であります。 こちら、資料四を御覧ください。 この信託のスキームを林業経営に適用したのが森林信託であります。二〇二〇年八月に日本で初めて信託法に基づく森林信託を始めたのが三井住友信託銀行と、岡山県にある西粟倉村であります。この西粟倉村は、人口約千五百人、約六百世帯の林業を基幹産業とする村であります。こうした中で、この西粟倉村において信託対象となった森林は、現在、この村には住んでおらず、また自分自身で森林管理もしておらず、今後、相続などが発生した場合、自分の子供も林業を担う可能性が低い人たち、そしてかつ先祖代々の山であり処分するわけにはいかないという方の山林でした。この森林所有者から森林を受託し、林業経営を地元の林業事業体に任せ、そこで得た施業収益から経費などを差し引き、残りを元の森林所有者に配当する仕組みであります。 この仕組みのメリットは幾つかあります。まずは放置林や相続による細分化を抑えることができることです。結果として、林業事業体にも施業地の集約による効率的林業経営が可能となります。また、森林所有者に相続が発生した場合、受益者の変更手続だけで完了します。この場合、受益者が複数となっても、この森林財産自体は信託銀行の名義なので、林業事業体にとっても契約などを再締結する必要がありません。さらに、この受益者の管理は信託銀行が行うので、相続発生時に登記手続漏れが起きないというメリットもあります。 一方で、デメリットとしては、信託による経費が発生することが挙げられます。適切な財産管理をビジネスとして行う以上、信託報酬を受け取ることになり、収益から信託報酬を含めた経費を差し引いた残りが配当となります。 こうしてメリットを見てみると、森林信託がもっと日本中で普及するような気もしますが、実現に当たっては大きな課題が存在しています。 一つ目は、財産を特定しなければいけないという問題です。山に存在する立木の全てを調査し、データを取得し、山の経済的価値の正確な把握が必要となります。 二つ目は、木を植えてから伐採するまで何十年もかかるので、収益実現まで費用が先行する期間が長いという問題です。西粟倉村の場合は、現在、間伐が中心であり、販売代金が入ってくるのはまだまだ先というステージです。 そこで信託銀行は、委託者においては、林業事業体から伐採の権利対価を定期的に受け取って、その一方、本当に伐採をするときには伐採の収益の一部のみを分配することにして、お互いのキャッシュフローの安定化を図っております。 こうした森林信託について、時代の波が変わることによって今後大きく成長していく可能性があると考えています。 一つ目は、温室効果ガス削減のための環境意識の高まり、二つ目は、今後、相続の問題が多数発生し、どう取り扱っていいか分からない都心部の方たちが、遠くの森林組合よりも身近な信託銀行に任せたほうがいいと考える可能性があること、三つ目は、投資対象として森林信託が積極的に選ばれるかもしれないということです。 近年ではESG投資が世界的に拡大しており、持続可能な木材資源を生産している森林が投資先となってくることが背景にもあります。なお、このESG投資というのは、利回りだけではなく環境や社会に配慮した事業に投資をするという流れであります。 現在、アメリカにおいては、三つの森林リート、このリートというのは不動産投資信託のことですけれども、三つの森林リートがあり、合計で約七百七十万ヘクタールの森林を所有しております。米国のこの不動産投資信託の平均配当利回りは四・五九%であり、森林リートの平均利回りは三・〇八%と下回っておりますけれども、投資の資金が集まっている状況であります。 日本において、今後、山林が投資対象となれば、今放置されている林が宝の山になる可能性もあり、また、日本の国産材活用や災害対策にも資するのではないかと考えております。 今すぐこの岐阜県で森林信託を行うことのハードルは高いと考えますが、信託法に限らない森林信託の歴史をひもとくと、実はこの岐阜県の事例が多く登場するほど、既にこの岐阜県においては森林信託についての課題や現状について蓄積されたノウハウがあると考えております。今後、日本で森林信託が増えるとするのであれば、森林県である岐阜県としてその可能性を高めるために積極的に取り組み、日本の林業を引っ張っていくことを考える必要があると思います。 森林は多数の所有者に分かれていることもあり、民間だけでの取組には拡大に限界があります。行政として、官民連携で森林の所有や管理手法を共に研究していく必要があると考えます。 そこで、林政部長にお伺いします。 森林信託の実現に向けて、日本の林業課題先進地の岐阜県として、今後どのように取り組んでいくのか、現状の課題と今後の取組方針について御教示ください。 山林を宝の山に変えるために、今現在、取り組まないといけないことが山積しておりますが、我々の子供や孫の世代から森林が負の遺産と言われることがないよう、宝の山になる可能性があるものについては全力で取り組む必要があると考えております。 前向きな検討をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 災害時の初動情報収集や物資輸送における新技術の活用と実装についてお答えをします。 本県では、各圏域の県事務所や各土木事務所、農林事務所に災害時の情報収集に活用できるドローン二十七台を配備し、これを活用して日頃から訓練を行っております。今回の能登半島地震においても、被害状況の確認のためドローンが活用されたものと承知しております。 県事務所に配備しているドローンについては、来年度、新たな機体に更新する予定であり、引き続き災害対応や訓練に活用してまいります。 このほか、衛星通信スターリンクなどの新技術についても民間事業者との情報交換の場を設け、具体的な活用方策を検討してまいります。 また、今回の地震では輪島市内でドローンにより孤立地域への医薬品輸送が行われたところです。本県においても、孤立地域が発生した場合に備え、ドローンを活用した災害時の支援物資輸送や、県が実施する物資輸送訓練などでの連携について、民間事業者との協定締結を近く具体化してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕 ◎林政部長(久松一男君) 森林信託の現状と今後の取組方針についてお答えします。 本県には、規模が零細な個人の森林所有者が多いことが効率的な林業経営を阻害する要因の一つとなっています。森林信託制度は、所有と経営を分離することでまとまりのある森林を長期間にわたり安定して管理できる有効な手法と考え、令和三年度に金融機関や学識経験者等で構成する研究会を設置し調査を進めています。 森林信託を実施するには、森林の財産価値を特定するための境界確定と立木評価が必要な上、毎年度、一定の信託費用を要するなどの課題があります。よって、境界が不明な森林が多く不定期の木材販売収入しかない現状では、全国的に導入が進んでいません。 このため、デジタル技術を活用した新たな財産評価手法や生物多様性の保全といった様々な森林の機能の経済価値化に関する研究を進め、本県での導入の可能性について引き続き調査をしてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十番 森 益基君。    〔十番 森 益基君登壇〕(拍手) ◆十番(森益基君) 皆さん、こんにちは。十番 森 益基です。 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。 今回は、四項目を農政部長と林政部長にお尋ねをしてまいります。 初めに、農政部長にお伺いをいたします。 中山間地域におけるスマート農業の推進について伺います。 第二百十一回国会に提出された令和四年度の食料・農業・農村の動向、いわゆる農業白書には、以下のような記述があります。農業の現場では、ロボットやAI、IoTなどの先端技術や農業データを活用し、農業の生産性向上などを図るスマート農業の取組が広がりを見せています。スマート農業は、担い手の減少、高齢化や労働力不足に対応するとともに、化学肥料や化学農薬の削減など環境負荷低減に役立ち、みどり戦略実現の鍵となるものです。 農林水産省は、スマート農業技術を実際の生産現場に導入してその経営改善の効果を明らかにするため、令和元年、二〇一九年度から全国二百十七地区でスマート農業の実証プロジェクトを展開しています。これまでの実証の成果として、生産者間でデータを共有することで、産地全体で収量が向上し、経営の改善につながった事例が見られるほか、労働時間の削減効果なども確認されています。 一方、生産現場では、省力化技術へのニーズが高まっているものの、手間のかかる野菜・果実の収穫作業においては、スマート農業技術の開発が不十分であることや、農業機器の導入コストを回収するためには一定規模の稼働面積を確保することなど、課題も明らかになっています。 このような動きの中で、本県岐阜県の状況を申し上げるならば、昨年、令和五年末に岐阜県と県農業普及事業推進協議会の共催による研究セミナーが開催され、特に圃場条件が不利な水田へのスマート農機導入による省力化効果や、中山間地域に適した土地利用型スマート農業の推進について、大変興味深い報告がなされました。中山間地域では、農業従事者の担い手不足、高齢化が進んでおり、圃場条件も小区画農地が多く、遅々として機械化が進まないのが現状であります。 私の地元である恵那地域では、中山間農業研究所をはじめ関係機関などの連携の下で支援体制を確立し、スマート農機の導入に際し技術や現地検証などを何度も重ねてまいりました。その結果、令和四年度末には三十三経営体でアシストトラクター、リモコン草刈機、防除ドローンなど合わせて六十四台の農機を導入することができたと伺っております。 この先も中山間地域での農業経営を安定化させていくためには、農機の導入費用を補助する制度や個人・企業などとの間で活用可能なものを売買や貸し借りする近年の消費スタイル、シェアリングエコノミーの利用など、一層の支援や取組が必要と考えます。 そこで、農政部長にお伺いをいたします。 スマート農業の推進に当たり、条件不利地域である中山間地域において、今後どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお伺いいたします。 次に、本県における飼料用米の作付現況と、特認品種を含む飼料用米の生産振興について伺います。 令和二年三月三十一日に閣議決定された食料・農業・農村基本計画の中で、飼料用米については、地域に応じた省力・多収栽培技術の確立、普及を通じた生産コストの低減を実現するとともに、耕畜連携の推進、飼料用米を給餌、餌として与えた畜産物のブランド化に取り組み、近年の飼料用米の作付の動向を踏まえ生産拡大を進めることとし、生産と実需、実際の需要の複数年契約による長期安定的な取引の拡大などを推進すると発表されています。 全国的な主食用米の需給環境や飼料用米の主食用品種を対象とした交付金の段階的引下げなどから見ても、今後は飼料用米の多収品種の作付を増やさざるを得ない環境にあると推測されます。 昨年、令和五年十一月、農林水産省が発表した飼料用米をめぐる情勢では、令和四年産の主食用米の作付面積が、前年実績から四・〇%、五万二千ヘクタール減少したのに対し、逆に飼料用米は二万六千ヘクタール拡大し、過去最高の十四万二千ヘクタールとなったと明記されています。 また、多収品種については、需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領において、一つは、国の委託試験などによって飼料等の用途向けとして育成され子実の収量が多いことが認定された品種、現在は二十一品種、いま一つは、一般的な品種と比べて子実の収量が多く、当該都道府県内で主に主食用以外の用途向けとして生産されているもので、全国的にも主要な主食用品種でないもののうち、知事の申請に基づき地方農政局長などが認定した品種、これを特認品種といいますが、この二つに二区分化されています。 これらの飼料用米に取り組むことで受けられる助成、水田活用の直接支払交付金が段階的に引き下げられていくことも踏まえ、農政部長にお伺いをいたします。 本県における飼料用米の作付の現況と、特認品種を含む飼料用米の生産振興について、お考えをお伺いいたします。 これまで農政部長にお伺いした二項目、スマート農業の推進と飼料用米の活用は、本県農業の未来に大きく影響する要素だと思われます。オール岐阜体制で本県農業の発展に資する施策を進めていかれるようお願いをしておきます。 続いて、林政部長にお伺いをいたします。 本題に入る前に、昨年度、令和四年度に御決定いただいたぎふ木遊館のサテライト施設が地元中津川市付知町に、この夏に開館できるように現在、順調に工事が進められていることを御報告し、お礼を申し上げたいと存じます。ありがとうございました。 さて、この先の質問は、木の国・山の国、岐阜県独自の制度・政策などについての二項目であります。 最初に、国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度、J-クレジット制度を補完する岐阜県独自の森林由来のカーボンクレジット制度であるG-クレジット制度についてお伺いをいたします。本件は昨日も質問がなされていましたが、視点を変えて伺いますのでよろしくお願いをいたします。 まず、J-クレジット制度について簡単に申し上げますと、企業などが省エネルギー機器の導入や再生可能エネルギーの利用による環境経営などによりCO2などの温室効果ガスを削減・吸収する取組を行うことで、その削減・吸収した量をクレジットとして国が認証する制度であります。このクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなどに活用することができます。なお、本制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度を発展的に統合した制度で、国により運営されています。 温室効果ガスの排出削減または吸収量の増加につながる代表的な取組としては、前述の省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの導入などに加え、森林管理が挙げられます。J-クレジットの創出者はクレジットを売却することができ、この販売収入を関連の事業費に充当できるメリットがあります。一方で、クレジットを購入する企業などは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセット、アセット事業などのほか環境貢献企業としてのPRや、地球温暖化対策の推進に関する法律、略称、温対法、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換などに関する法律、略称、省エネ法の報告への活用のメリットがあります。 岐阜県独自のG-クレジット制度は、国が運営するJ-クレジット制度の優れている点を取り入れ、当該制度では対象とならない森林、これは県内の約三割に当たる森林経営計画が策定されていない二十三万三千ヘクタールの森林を対象として、クレジットの取引を通してさらなる森林整備につなげるものであります。 昨年の十二月定例会冒頭で、古田知事は、十一月一日よりスタートしたG-クレジット制度は、本県の豊富な森林による二酸化炭素吸収量をクレジットとして取引できるよう県が認証するもので、クレジットの取引による収益を森林所有者が林業事業者へ還元する取組は、地方公共団体としては全国初の制度です。クレジットを購入する企業にとっては、企業価値の向上やカーボン・オフセットの取組が進められるとともに、森林所有者や林業事業者においては、取引における収益が還元されることで森林整備につながることが期待されますと発言されました。 いよいよ最初のクレジット認証が行われる予定となっていますが、スタート時点前から準備を進めてこられました林政部をはじめ関係皆様には敬意を表する次第であります。 ちなみに、私の地元中津川市の加子母森林組合では、J-クレジット、そして中津川市は川上丸野地内の市有林においてG-クレジットの認証を受けるべく現在準備を進めています。 プロジェクトの登録ができますと、その翌年から森林の成長量を検証し、クレジットの認証・売買が可能となるわけでありますが、クレジットの取引は、売手、林業事業者と、買手、企業などの相対取引となります。繰り返しになりますが、G-クレジット活用のメリットを申し上げますと、買手、購入者は、岐阜県地球温暖化防止及び気候変動適応基本条例に基づく温室効果ガス排出削減実績の報告、カーボン・オフセットでの活用などのほか、地域貢献、CSR(企業の社会的責任)により森林保全活動を後押しするなど、環境貢献企業として企業イメージをPRできます。一方、売手は、販売収益を山元に還元し、森林整備に充当することができます。 ここで、事前に配付させていただきました議場配付資料を御覧ください。 昨年、十一月一日にスタートしたG-クレジット制度の内容が記してあるPRパンフレットであります。これまで申し上げたとおり、表面には、制度の目的、クレジットの創出の意義及び購入の意義が記してあります。裏面には、クレジットの認証・発行までの流れの説明が記してあります。こうした流れの中で、今後のクレジット取引には相当の営業努力が必要だと思われます。昨年末に開催した我が自民クラブ所属の二期生、一期生の勉強会において、県内事業所にG-クレジットを積極的に購入いただける仕組みづくりを検討すべきであるという今後の販売促進に関する意見が多く出されました。こうした購入に対する動機づけのほか、岐阜県独自の制度であるG-クレジットの販売促進を図るためには、クレジットそのものの信頼性をどのように確保するかという視点が必要ではないでしょうか。民間企業が販売するクレジットは、その信頼性に対する疑念・疑惑から新たな販売を中止し事業撤退されたものもあると聞き及んでいます。 そこで、林政部長にお伺いをいたします。 G-クレジットの販売促進にはクレジットの信頼性を確保することが必要不可欠と考えますが、どのように信頼性を確保していかれるのか、お考えをお伺いいたします。 最後に、「ぎふ森の体験博覧会(もりはく)(仮称)」の開催に向けた検討状況と、これを契機とした森林サービス産業の振興についてお伺いをいたします。 昨年十一月、茨城県で開催された全国育樹祭の「全国緑の少年団活動発表大会」において、緑化推進機構主催の「全国緑の少年団表彰」で「みどりの奨励賞」を受賞した私の地元、中津川市立付知南小学校みどりの少年団の報道をされた発表の一部を御紹介いたします。私たちの住む付知町は、江戸時代、幕府の直轄地として多くの木材を搬出してきました。伊勢神宮の式年遷宮で「三ツ緒伐り」という古式の伐採方法によりヒノキを切り出す美林があり、御神木の里としても知られています。そうした歴史や環境から、三十五年続く植樹や、森林教室を行ってきました。私たちは、森とつながる活動で、木の大切さ、森の大切さ、人の優しさや協力の大切さをすごく感じてきました。だからこそ、これまでに受け継いできた木の文化を宝物と思って未来へ引き継いでいきます。この発表から、森林を守り育てる活動が次世代を担う子供たちに引き継がれていると強く感じたところであります。 このように森林を守り育てる活動が続けられていますが、一方で、人々の価値観やライフスタイルの変化により森林空間を積極的に活用したいという期待が高まり、近年、森林へのニーズは多様化しています。そうした時流の中で、昨年、令和五年一月に、県や市町村などの行政機関、自然体験活動などの事業者、林業、木材産業者などが参加するぎふ森のある暮らし推進協議会が設立されました。県単位でまとまった森林サービス産業の協議会が立ち上がったのは全国初のことであります。山村地域の新たな雇用や収入機会を創出し、山村の振興を図ることを目的とした当該推進協議会の会員交流の中で、県内での森林空間への取組を一体に進めるイベントの開催についての意見が上がり、県が先頭に立って、今秋、「ぎふ森の体験博覧会(もりはく)(仮称)」を計画されたと、さきに報道がなされました。 前述のとおり、当該協議会の設立も全国初であり、また、今回の「(仮称)もりはく」も、森林サービス産業に関するイベントとして他県に類を見ず、全国で初の試みとなります。博覧会の内容や現在実施されている森林空間サービス産業の取組を一体的に全国に発信することで、観光誘客への相乗効果も期待できますし、博覧会を契機として、それ以降も産業として定着できれば地域の雇用や収入増にもつながると考えます。 本県は、今夏、清流の国ぎふ総文二〇二四、秋には国民文化祭「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四、そして三年に一度開催される国際陶磁器フェスティバル美濃‘24と数多くの催物が予定されています。さらに、「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四併催行事として、県産材の魅力を発信するイベントが岐阜市内で開催予定であるとも承知をいたしております。 さきに述べた「(仮称)もりはく」は、イベントのエリアを限定せず、県内全域で進められる事業を一体的に情報発信することで誘客を図るもので、開催期間も二か月とロングランでの仕掛けだと伺っております。まさに「木の国・山の国」岐阜を前述の国民文化祭をはじめ、県内各地で予定されているイベントに御参加いただいた多くの皆様にも体験・実感していただけるチャンスだと考えます。 また、これを契機として、より充実した山村振興策として森林サービス産業の振興が図られていくものと大いに期待をするところであります。 そこで、林政部長にお伺いをいたします。 「ぎふ森の体験博覧会(もりはく)(仮称)」の開催に向けた検討状況と、これを契機とした今後の森林サービス産業の振興について、お考えをお伺いいたします。 私の地元付知町では、五月三日、四日の両日、森林と書いて「もり」と読む、第三十四回「森林(もり)の市」が計画されています。豊かな森林空間を健康、観光、教育などの多様な分野で活用することで、山村地域の新たな雇用や収入機会を創出できるものと考えます。全国に先駆けた有効的な施策をこれからも講じていただくようお願いを申し上げ、一般質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 二項目、御質問いただきました。 まず、中山間地域におけるスマート農業の推進についてお答えいたします。 これまで中山間地域において、スマート農業機械の貸出しや実演を積極的に行い機械導入を進めてきましたが、初期投資が大きい、IoT技術を使った機械操作に不安があるといった理由で導入に踏み切れない農家も数多くいらっしゃいます。 このため、機械導入の支援に加え、県農林事務所、市町村、農協などで組織する地域スマート農業推進協議会において、導入に踏み切れない農家同士をマッチングし、機械の使用日程などの計画づくりを支援することでシェアリングを促進し、農家の経営負担を軽減してまいります。 また、IoT技術を活用できるオペレーターの育成も急務であることから、中核となる担い手を中心に、スマートフォンなどの情報端末による機械設定や操作を学ぶ研修会を開催してまいります。 このほか、夏秋トマトなど施設野菜の収益向上には栽培環境データに基づく生産管理が重要であり、新たにハウス内の環境をモニタリングできる機器の導入を支援してまいります。 次に、本県における飼料用米の作付現況と、特認品種を含む飼料用米の生産振興についてお答えいたします。 飼料用米の作付面積は、平成二十六年に交付金の上限額が引き上げられたことにより、令和四年には引上げ前に比べ約五倍となる三千七百十二ヘクタールまで拡大しました。一方、国は、食料安全保障の観点から、飼料用米の安定的な確保に向け、収穫量の多い品種への切替えを促進することとしております。これを受け、県としては、より多収で生産者にとって作りやすい品種での生産を推進してまいりたいと考えております。このうち、国が飼料向け専用に開発した品種は、茎が太く収穫作業に手間がかかり、扱いにくいといった生産者の声があることから、県としては、収穫量が多く、これまでと同等の交付金が得られる特認品種の導入を推進してまいります。 このため、既に全国的に開発されている品種の中から、本県の気候に合い、多収で病害虫に強い品種を生産者団体の意見を踏まえながら選定し、県試験場や生産現場で実証を行い、特認品種に位置づけて生産を拡大してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕 ◎林政部長(久松一男君) 二点、御質問いただきました。 初めに、G-クレジット制度の信頼性確保についてお答えします。 G-クレジット制度は、信頼性を確保するため、クレジット認証における五つの国際的品質基準に則して制度設計をしています。第一に、県が補助事業の検査により確認することで、間伐など二酸化炭素を吸収する施業が確実に実施されたことを証明します。第二に、国のJ-クレジット制度の算定方法を採用し、吸収量を定量化します。第三に、森林所有者と一定期間、森林として維持する覚書を締結し、吸収した森林の継続性を確保します。第四に、外部機関が審査を行い、学識経験者等で構成する運営認証委員会で確認することで、独立した第三者による検証を行います。第五に、国制度とは、対象となる森林を明確に区分し、吸収量の二重計上を防止します。 加えて今後は、クレジットの所有者情報や取引、活用の状況などをリアルタイムで確認できるシステムを新たに構築し、クレジットの厳格な管理と取引の透明性を図ってまいります。 次に、「ぎふ森の体験博覧会(もりはく)(仮称)」の開催に向けた検討状況と、これを契機とした森林サービス産業の振興についてお答えをします。 昨年一月、ぎふ森のある暮らし推進協議会が発足し、現在、五十者ほどの会員が森林空間を活用した魅力的な体験を提供していますが、個々の会員は小規模で、発信力に課題があるのが現状です。 このため、一定期間内に会員が県内各地で集中的に体験会を実施する「(仮称)ぎふ森の体験博覧会」、略称「もりはく」を開催することで、スケールメリットを生かした情報を発信し、県内外から多くの誘客を促すとともに、会員個々の認知度を高めてまいります。 現在、協議会では、アクティビティー、クラフト、学びなど様々なカテゴリーの体験の募集や、個々の体験をブラッシュアップするための研修会の開催などの検討が進められており、県としても、体験に必要な施設整備などに対し新たに支援を講じてまいります。 「もりはく」には、旅行代理店や健康に関心のある企業などを招き、多彩な森の体験を視察いただくことで、継続的な体験ツアーの造成や福利厚生などへの活用を促してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 七番 黒田芳弘君。    〔七番 黒田芳弘君登壇〕(拍手) ◆七番(黒田芳弘君) 議長から発言の許可をいただきましたので、通告に従い、大きく三項目、四点について質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。 まず初めに、ドローン活用の課題と今後の取組について質問いたします。 近年、ドローンの普及が驚異的な勢いで進んでいます。日本では、二〇一五年がドローン元年と呼ばれ、企業や政府が積極的に様々な分野に取り入れ始めた年であります。その普及ぶりは、空の産業革命とまで称され、あらゆる業界から注目を集め、今や私たちの生活や社会において欠かせないインフラの一つとなっています。 私が初めてドローンに触れたのは、本巣市議会議員時代の二〇一六年に秋田県仙北市で行われた視察研修でした。仙北市では、二〇一五年に国家戦略特区に認定され、ドローンを活用した地域課題の解決に取り組まれていました。この特区制度は、ビジネスを展開しやすい環境を整えるために規制緩和や税制面の優遇を行う制度です。仙北市でいえば、電波法や航空法などによる規制を緩和することで、ドローンの技術革新やビジネス展開を促進するものであります。仙北市の広大な面積の約八割が林野で、さらにその約六割が国有林であることから、市の大半を占めるこの国の持ち物をビジネスに活用するという考えの下、特区制度を活用し、実証実験や飛行訓練所としてドローン飛行エリアを設置しています。この視察研修では、市役所の方から発せられる言葉の一つ一つからドローンの明るい未来が感じられ、ドローンを活用したビジネスが世界中で急速に拡大していくことを強く感じるとともに、ドローンに興味を持ったきっかけとなりました。 当時の視察研修から約八年が経過しましたが、今では、民間研究所が発表した調査結果によりますと、二〇二三年度の市場規模は三千八百二十八億円に拡大し、二〇二八年度には九千三百四十億円に達すると見込まれています。この市場規模の拡大、急成長の起爆剤とも考えられるのが、二〇二二年十二月の改正航空法の施行によるドローンの有人機体での目視外飛行、いわゆるレベル四の解禁であります。これにより、人がいる市街地や住宅街でも操縦者が目視することなくドローンを飛ばせるようになりました。より遠く、離れた場所までドローンで荷物を輸送したり、市街地にあるインフラ設備の点検をしたり、観光では、以前ではあり得なかった視点での映像や、人間が到達困難な場所の撮影が実現するなど新たな活用が可能となりました。 最近のドローンの活躍事例としては、能登半島地震における被害状況の調査などが記憶に新しいかと思います。現場では、石川県輪島市の孤立した地域に、ドローンを活用し、医薬品や発電機、重機に使う軽油などの支援物資が配送され、新たな災害時の物流手段として国内初の試みが行われました。また、ソフトバンクが輪島市の一部エリアで、空中でドローンを浮かべ、半径数キロの通信エリアを提供したことも話題となりました。かつては空撮が主な用途でしたが、今や農林水産業、建築業、土木、物流、セキュリティー、エンターテインメント、測量など幅広い分野で活用が期待されるドローンでありますが、多くの課題も残っています。 例えば二〇二二年十二月五日からは、国による操縦者技能証明制度が始まりましたが、パイロットの育成には時間と費用を必要とします。さらに、かなりの頻度で改正されるドローン関係法令に関する知識の習得や、機体自体の操縦時間が短い、悪天候に弱い、通信状況に左右されやすいなどといった性能やまだまだ高価であることなども課題として挙げられます。 しかし、その将来性や市場規模を踏まえると、ドローンビジネスの未来は非常に明るいと言えます。国の支援体制も毎年のように拡充が図られています。国は、産業用ドローン購入に活用できる補助金として、小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金、事業再構築補助金など多くの補助メニューを用意しており、ドローンビジネスに挑戦する企業を後押ししています。本県においても、ドローンの活用拡大に向け、ドローンビジネスの総合的推進、開発・製造支援など七つのプロジェクトを岐阜県ドローン開発・製造・活用方針として取りまとめ、様々な取組が展開されています。 また、約一年前の二〇二三年一月に、本県では、ドローンの開発や製造、活用にチャレンジする企業を支援するため岐阜県ドローンビジネス推進研究会を立ち上げられました。この研究会では、幅広いテーマで勉強会を開催するとともに、ドローン製造企業と県内企業とのマッチングやドローンを活用した先進事例の視察を行うなど、ドローンビジネスに関する支援を行っています。初年度となる令和五年度は、東京大学特任教授を招いた「ドローン・空飛ぶクルマの技術・開発状況と今後の展望」と題したセミナーの開催や、ヤマハ発動機株式会社の無人ヘリコプター、ドローンの開発と活用事例について先進事例の視察を行うなどの活動が行われました。空を見ると配達中のドローンが目に映る、注文した商品が三十分もしないうちにドローン便で届く、そんな夢のような日常がもうすぐ現実となるかもしれません。ドローンによって私たちの未来はどのように変化していくのでしょうか、その可能性を考えるだけで期待に胸が膨らみます。 本県の取組が、日本、いや世界にイノベーションを巻き起こす可能性があると私は思います。令和六年度以降もこの研究会の活動が本県のドローン活用拡大に不可欠な役割を果たし、ますます頼りにされる存在になることを願い、期待を込めて、商工労働部長にお伺いをいたします。 岐阜県ドローンビジネス推進研究会が発足して約一年が経過しましたが、現状の課題と、それを踏まえたドローンの活用拡大に向け、今後、研究会がどのように取り組んでいくのか御答弁をお願いします。 次に、伝統芸能の次世代への継承について質問いたします。 伝統芸能の継承は、本県に限らず、全国的な課題となっています。伝統芸能は、その地に住む人たちの協力と経済負担に依存していることから、子供や若者の減少と高齢化によって、伝統芸能を従来のまま持続・継承することが困難になっています。二〇一一年の東日本大震災後には、復興に向け、祭りや伝統芸能を通じた地域振興活動への意欲の高まり、機運の盛り上がりがあったようですが、大都市圏への人口集中と少子高齢化の波は、伝統芸能など個性を持った地域文化の継続を直撃しており、現在、各地で深刻な問題を引き起こしています。 例えば日本を代表するとも言える愛知県奥三河の「花祭」や、長野県飯田市の「遠山の霜月祭り」などでも参加者が減少し、祭りの中止や休止が相次いでいます。また、二〇二二年十一月にはユネスコ無形文化遺産に「風流踊」が登録されましたが、鹿児島県の「市来の七夕踊」のように、国の重要無形民俗文化財に指定されていながら、後継者不足のために従来の形での継承が難しいということで、ユネスコへの提案には加わらなかったケースもありました。 今回、このテーマを取り上げるに当たり、県議会図書室を利用させていただき、本県の伝統芸能、特に地芝居の歴史について調べてまいりました。昭和四十六年に岐阜県が行った農村舞台の実態調査では、現存数、廃絶数の合計数が全国最多の二百六十四棟も存在することが判明し、特に旧恵那郡地方は八十五棟という多さで、全国屈指の地芝居の盛んな地域でありました。 現在、県内各地で地芝居が上演されていますが、その多くの保存会が会員の高齢化、後継者不足、資金調達、専門的な指導者不足などの課題を抱えており、伝承・保存に向けて多大な努力とエネルギーが注がれ、ようやく今日まで維持しているのが現状であります。地芝居のうち、文楽・能については、平成七年に岐阜県域の文楽保存会と能・狂言保存会によって岐阜県文楽・能保存振興協議会が設立されました。平成八年からは、岐阜県文楽・能大会が各関係市町の持ち回りで毎年会場を変えて開催されるようになりました。現在、所属する団体は、大井文楽、半原操り人形浄瑠璃、室原文楽、恵那文楽、真桑文楽、付知町翁舞、能郷の能・狂言の七つの保存会であります。このうち二つの保存会は、地元本巣市にあります国指定重要無形民俗文化財の保持団体であります。これらの保存会の状況について、御紹介をいたします。 一つ目、能郷の能・狂言でございますが、これは、毎年四月十三日に本巣市根尾地区の白山神社で演じられますが、四百年以上にわたり口伝によって引き継がれてきた演目です。現在は、能方と狂言方の計十四人が活動しています。最近の公演では、地元出身の大学院生や岐阜市在住の親子が参加し、地域外の子供たちも能・狂言に触れる機会を設けることで、次世代への伝承につながる取組を行っています。 次に、真桑文楽ですが、毎年三月に本巣市本郷地区の氏神物部神社で上演される郷土芸能で、毎年八月には市民向けの公演が行われています。後継者の育成のため、真正中学校の文楽同好会が三十年以上活動を続けており、真桑小学校ではクラブ活動として文楽を学ぶ機会を設けています。 ほかにも、県指定重要無形民俗文化財の長屋神社の祭礼行事には、地元の小・中学生や高校生、大学生が参加し、祭りを支えてくれています。 本巣市では、こうした無形民俗文化財に対して、国指定、県指定、市指定に関わらず、保存会に毎年活動費として補助金を支出し、伝統芸能の継承を支援しつつ、後継者を育成する取組を行っています。 また、国指定重要有形民俗文化財である真桑の人形舞台の修理には、令和三年度、四年度に修理費の半分を文化庁からの補助金で賄い、残りの半分は所有者となっている市が負担しています。 昨年十月二十九日、「岐阜県文楽・能大会ようろう二〇二三」が養老町で開催され、私も出席させていただきました。関係者の方々からは、後継者や資金調達などの多くの課題があり、国や県からの支援を求める声が多く聞かれ、伝承の危機に直面していることを痛感した次第であります。会場に集まった地元の保存会の皆さんからは、大変な苦労はあるが、決して自分たちの代で終わらせることなく後世へ引き継いでいきたいという強い思いが伝わってきました。 ここ数年は、コロナの影響で練習や公演が制限されていました。地域の貴重な伝統芸能が失われないよう、後継者の育成や魅力の発信、記録、保存などに対して国や自治体の支援が必要です。各地域の伝統芸能が有するそれぞれの踊りや衣装、舞台には、長い時間をかけて育まれてきた文化や習慣が息づいています。これからもこれらを後世へ伝えていくため、県議会議員として今後も積極的に関わる機会を持ちたいと思っています。 今年は「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四及び清流の国ぎふ総文二〇二四が開催される記念の年であります。この機に県内の伝統的な文化・芸能を守り、次世代に継承するために今後、県として各地域の保存会等が抱える課題に対し、どのように取り組んでいくのか、県民文化局長にお伺いをいたします。 次に、西美濃夢源回廊の観光振興と市町が取り組む観光事業への支援について質問をいたします。 岐阜県の西美濃地方に位置する揖斐川町、大野町、池田町、本巣市、神戸町、大垣市は、観光ルート「西美濃夢源回廊」の確立や観光振興による活性化を図るため、協議会を組織し活動を続けています。 この地域は、揖斐川と根尾川の水源域に位置し、流域の豊かな水と伊吹山地の豊かな緑に恵まれた美しい地域であります。春には根尾淡墨桜や揖斐二度ザクラ、霞間ヶ渓の桜が咲き誇り、夏には清流を眺めながらのアユ釣りや、ヤナ、キャンプなどの川遊び、秋には特産の富有柿や谷汲山華厳寺、両界山横蔵寺の紅葉、冬には数多くの温泉など四季折々の魅力があります。さらに、谷汲門前町、大垣の湧き水など多彩な観光資源を持ち、地域の活性化を図る上で多くの可能性を秘めています。 協議会の取組として、この観光ルートの魅力を一層高め、より多くの方に訪ねていただくために、歴史的景観、美しい自然、そして魅力的な食文化を生かした施策を実施しています。具体的には、春には桜のトンネルが参道を覆う谷汲山華厳寺や樹齢千五百年を超える淡墨桜など、桜の名所や自然をキャラバン隊で各方面へPRしています。同じように、秋には紅葉スポットとして、大垣市の古刹、円興寺や神戸町の日吉神社、樽見鉄道沿線、そして両界山横蔵寺や霞間ヶ渓公園のライトアップなどをPRしています。また、JR福井駅を出発点として、徳山ダムや温泉、道の駅など西美濃を巡るバスツアーや、「西美濃再来る(サイクル)天国」として、サイクリストが訪れたくなるまちづくりを推進しています。西美濃夢源回廊エリアの恵まれた観光資源や美しい景観は、サイクルツーリズムを推進する上で最適な環境となっており、官民を問わず注目されているところであります。 こうした中、西美濃夢源回廊につながる冠山峠道路が昨年十一月十九日に開通しました。報道によると、開通して二か月が経過した冠山峠道路の影響により、例年なら季節柄、閑散期となる地域ですが、道路や道の駅では人や車の往来が継続して多く、雪解けの春を見据え、関係者はさらなる誘客に向けて魅力の創出に努めていると紹介されていました。 また、岐阜県側の道の駅「星のふる里ふじはし」では、客数が昨年十一月に比べ一・五倍、十二月には昨年の二倍を超え、大変なにぎわいとなっています。さらに、待望の東海環状自動車道西回りルートの山県インターチェンジから大野神戸インターチェンジが令和六年度中に開通予定です。これで県内全域が開通、さらに令和八年度には三重県ともつながり、いよいよ東海環状自動車道が全線開通となり、隣県との交流が最大化します。これにより、揖斐川町を起点として二市四町を周遊するこの観光ルート、西美濃夢源回廊エリアに訪れる観光客が飛躍的に増加するのではないかと大変な期待を寄せています。この状況を一時的なもので終わらせることなく、県内外問わず、観光客が訪れる観光地、選ばれる観光エリアとして定着させることが大切であると考えます。 そこで、観光国際部長にお伺いします。 西美濃夢源回廊の観光振興に向けた取組と、当該地域の市町が進める観光事業への支援について、今後どのように進めていくのか御答弁をお願いします。 最後の質問、西美濃夢源回廊の道路整備についてに移ります。 先ほど御紹介しました冠山峠道路の開通と東海環状自動車道西回りルートの開通により、近隣県から本県へ人を呼び込む体制が整うことになります。では、訪れた方々に快適な旅を約束する西美濃夢源回廊エリアの道路整備の状況はどうでしょうか。西美濃夢源回廊協議会では、大野町長を会長として、副会長の本巣市長、揖斐川町長、池田町長、神戸町長、大垣市長、さらに県議会からは顧問として猫田議員をはじめ、国枝議員、所議員、私を含めた四人で、県土整備部をはじめ関係部局へ要望活動を行っております。昨年も六月二十一日に要望活動を行いましたが、地域の可能性を最大限に引き出し、西美濃夢源回廊の基盤となる道路整備について、継続事業については早期完成を、新規事業については早期事業化を図られますようお願いをしたところであります。 この西美濃夢源回廊を構成する道路には、いわゆる交通の難所と呼ばれる区間が幾つか存在いたします。例えば私の地元本巣市から揖斐川町に通ずる県道藤橋・根尾線や揖斐川町の山東・本巣線、春日・揖斐川線などは道路線形が悪く、大型バスの通行が困難な箇所が幾つか残っている状況ですし、冠山峠道路に直結する揖斐川町の国道三百三号さえも、一部区間では大型バスが快適に通行するにはもう少し改良が進めばと思う箇所もあります。 エリアに隣接する高規格道路が開通し、観光客を呼び込み、観光振興による地域振興を図る上で、こうした道路状況が観光バスやマイクロバス利用の観光客の来訪の支障となり、また、トラックによる物資の流通面においても障害となっている可能性もあるかと思うと残念でなりません。 西美濃地域に多くの方が繰り返し、そして少しでも長く滞在していただくためには、構成市町をつなぐ基幹道路、また基幹道路と点在する地域資源を結ぶ道路整備が不可欠であります。そして、この回廊を構成する路線には緊急輸送道路も含まれており、これらの道路整備は有事の際には人命救助や救援物資輸送に一層効果を発揮するなど地域の防災力向上にもつながります。 冠山峠道路、東海環状など広域な道路ネットワークの整備が進む今こそ、豊富な観光資源を有する西美濃夢源回廊の周遊ルートの基盤整備が不可欠であると考えますが、現在進めている箇所も含め、今後の進め方について県土整備部長にお伺いをいたします。 以上で私の一般質問は終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) ドローン活用の課題と、今後の取組についてお答えします。 現在、県ドローンビジネス推進研究会には、企業や市町村など百二十一者が参画し、セミナーや先進事例視察、技術開発や実証実験など製造面での支援を中心に実施してきました。その結果、例えばモーター制御装置や軽量ブレードの開発が進んだほか、ドローン配送や高高度における実証実験から得られた知見が運行システムや機体の開発に生かされています。 このように、ドローンを開発・製造する企業においては一定の成果が見られていますが、一方で、ドローンの有用性が十分に認知されておらず、その活用が進んでおりません。 そのため、来年度は、ドローンの活用を考える方が空撮や測量などのドローンサービスを行う県内企業を簡単に探し、商談までできるマッチングサイトを整備し、活用を促進してまいります。また、二〇二四年問題対応の一環として、ドローンを活用したスマート物流の実証事業にも取り組み、ドローンの社会実装を一層進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 県民文化局長 篭橋智基君。    〔環境生活部県民文化局長 篭橋智基君登壇〕 ◎環境生活部県民文化局長(篭橋智基君) 伝統芸能の次世代への継承についてお答えいたします。 県では、伝統芸能への支援として、これまで舞台公演の記録作成や用具の修理補助、地芝居保存協議会が行う伝承教室等の開催支援、地芝居大国ぎふWEBミュージアムによるイベント情報の掲載など、保存・伝承・発信の取組を一体的に実施してまいりました。一方、国が今年度実施しました調査では、県内で対象となりました三十団体のうち、約七割が後継者の不足、若年参加者の減少を課題と回答しております。また、本県が昨年度開催いたしました無形文化遺産シンポジウムでも、後継者の問題が浮き彫りになったところでございます。 そこで先月、県において初めて県内のユネスコ無形文化遺産保存団体との意見交換会を開催いたしました。そこでは、後継者不足への対応として、他へ転出された方や地元企業への参加の働きかけなど具体的な事例紹介がなされました。今後はまず、こうした保存団体間同士の意見交換会の開催や専門家派遣などによる他県を含めた取組事例の紹介等の支援を実施してまいります。 あわせて、各保存団体のニーズを丁寧に酌み取りながら、市町村と連携をした支援の在り方についても検討を進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 観光国際部長 丸山 淳君。    〔観光国際部長 丸山 淳君登壇〕 ◎観光国際部長(丸山淳君) 西美濃夢源回廊の観光振興と市町が取り組む観光事業への支援についてお答えいたします。 県では、従来から西美濃夢源回廊協議会が行う様々な取組に対して財政的支援を行ってまいりました。このたびの冠山峠道路の開通効果などをエリア全体に継続的に取り込むためには、地域資源の魅力と認知度の向上とともに、マイカー利用者の周遊を促す仕掛けづくりなど協議会によるさらなる取組の強化が不可欠と考えております。 そのため、県としましても、協議会事業の企画段階から実行まで、必要な助言・サポートを行うと同時に、市町が個々に取り組む固有の資源の磨き上げを支援してまいります。 あわせて、北陸や関西方面からのメディアの招聘、高速道路サービスエリアでの観光PRなど協議会と共に誘客プロモーションを展開し、認知度向上と継続的な集客につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 県土整備部長 野崎眞司君。    〔県土整備部長 野崎眞司君登壇〕 ◎県土整備部長(野崎眞司君) 西美濃夢源回廊の道路整備についてお答えいたします。 昨年十一月の冠山峠道路の開通により、観光面はもちろん、防災面においても福井県とのつながりが一層強くなっております。加えて、東海環状自動車道の全線開通を間近に控え、西美濃地域の道路ネットワークの重要性がますます高まっております。 こうした中、能登半島地震では道路が各地で寸断し、応急活動が妨げられる事態が発生したことから、改めて道路整備による防災・減災対策を加速させることが必要であると認識したところであります。 こうした状況を踏まえ、西美濃夢源回廊に位置づけられた路線については、まずは現在整備中の緊急輸送道路や各インターチェンジへのアクセス道路となる国道三百三号の鉄嶺トンネルや岐阜・巣南・大野線、本庄・揖斐川線、赤坂・垂井線及び屋井・黒野線などの道路改良工事を重点的に進め、早期完成を目指してまいります。 引き続きその他の路線も含め、観光・防災の両面で大きな役割を果たす西美濃夢源回廊の道路整備に計画的に取り組んでまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後二時四十一分散会 ……………………………………………………………………………………………...