令和 5年 12月 定例会(第5回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第三号) 令和五年十二月十四日(木)午前十時開議 第一 議第百二号から議第百二十六号まで 第二 請願第十号から請願第十七号まで 第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第百二号から議第百二十六号まで 一 日程第二 請願第十号から請願第十七号まで 一 日程第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十五人 一番 木村千秋君 二番 判治康信君 三番 平野恭子君 五番 今井瑠々君 六番 牧田秀憲君 七番 黒田芳弘君 八番 森 治久君 九番 山内房壽君 十番 森 益基君 十一番 小川祐輝君 十二番 中川裕子君 十三番 伊藤英生君 十四番 澄川寿之君 十五番 平野祐也君 十六番 所 竜也君 十七番 今井政嘉君 十八番 藤本恵司君 十九番 安井 忠君 二十番 恩田佳幸君 二十一番 若井敦子君 二十二番 広瀬 修君 二十三番 布俣正也君 二十四番 酒向 薫君 二十五番 野村美穂君 二十六番 水野吉近君 二十七番 国枝慎太郎君 二十八番 長屋光征君 二十九番 高殿 尚君 三十番 田中勝士君 三十一番 加藤大博君 三十二番 松岡正人君 三十三番 小原 尚君 三十四番 水野正敏君 三十五番 野島征夫君 三十六番 渡辺嘉山君 三十七番 伊藤正博君 三十八番 川上哲也君 三十九番 伊藤秀光君 四十一番 佐藤武彦君 四十三番 森 正弘君 四十四番 村下貴夫君 四十五番 尾藤義昭君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君
△欠席議員 一人 四十番 平岩正光君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 山田 恭 総務課長 桂川義彦 議事調査課長 若野 明
議事調査課管理調整監 森 信輔 同 課長補佐 市橋ますみ 同 課長補佐 市川達也 同 係長 佐藤由子 同 主査 水野 恵 同 主査 遠藤俊輔 同 主査 古藤綾乃……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 大森康宏君 副知事 河合孝憲君 会計管理者 矢本哲也君
総務部長事務代理 平野孝之君 清流の国推進部長 長尾安博君 危機管理部長 内木 禎君 環境生活部長 渡辺正信君 健康福祉部長 丹藤昌治君
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君 商工労働部長 三木文平君 教育長 堀 貴雄君 警察本部長 大濱健志君…………………………………………………………………………………………… 十二月十四日午前十時開議
○議長(野島征夫君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十六番 水野吉近君。 〔二十六番 水野吉近君登壇〕(拍手)
◆二十六番(水野吉近君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、
岐阜県議会公明党を代表し、大きく五点にわたり質問をさせていただきます。 初めに、県内中小企業への
物価高騰対策支援と賃上げ支援についてお伺いします。 政府は十一月二日に、デフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定しました。具体的には、一、物価高から国民生活を守る、二、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現するなど、大きく五本の柱で構成されています。 総合経済対策では、経済の現状認識として、現在の低物価・低賃金・低成長に象徴される
コストカット型経済から三十年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスを迎えており、また足元では設備投資に続き物価や賃金が上昇し、賃金と物価が好循環する新たなステージへの光が差しつつあり、このチャンスを生かし、物価上昇を乗り越える構造的な賃上げと脱炭素やデジタルなどの攻めの投資の拡大によって、消費と投資の力強い循環につなげていくとしています。 まず総合経済対策の一つ目の柱、物価高対策としては、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円、計四万円の定額減税を行うとともに、地方公共団体が地域の実情に応じて柔軟に活用できる
重点支援地方交付金を増額し、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者に迅速に支援を届けるため、一世帯当たり七万円を給付することとされております。 また、ガソリンや灯油などの燃料油価格の激変緩和措置については、年末から二〇二四年四月末まで延長し、また継続している電気・ガス料金の激変緩和措置についても、二〇二四年春まで継続することとされています。 さらに
推奨事業メニューとして、生活者には小・中学校等における学校給食費等の支援等を、事業者にはエネルギー価格や食料品価格の高騰に対する支援等を行うとしています。
重点支援地方交付金の増額は総額一・六兆円で、低所得世帯への支援枠として一・一兆円。
推奨事業メニューとして〇・五兆円となっており、本県には計四十七億七百三十九万九千円が交付予定となっています。 こうした中、
岐阜県議会公明党は十一月十日に緊急要望を県に提出させていただき、困難な状況にある生活者や事業者をしっかりと支える観点から、LPガス料金の負担軽減や県経済を支える中小企業に対して、直面する物価高を乗り越え経営体力を高めるため、引き続き迅速かつ適切な物価高騰対策に向けた取組を進めていただきたいと訴えました。 次に、総合経済対策の二つ目の柱である、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げについて、政府は物価上昇を超える賃上げを持続的なものとするため、中堅・中小企業に対し、価格転嫁、人手不足対応、生産性向上への支援を行うとしています。 中堅・中小企業が賃上げできる環境整備について、中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、原材料費・
エネルギーコスト上昇分の全額転嫁を目指し、価格転嫁対策を推進するとされております。これを受けて、十一月二十九日には、内閣官房と公正取引委員会から、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針が公表されましたが、当該指針には発注者側は転嫁に関する取組方針を経営トップの関与の下に決定・運用するとともに、受注者側との定期的な協議の場を設けること、また受注者側が準備する根拠資料は、その負担とならないよう、賃上げに関する公表資料を用いることが盛り込まれています。 一方、十一月二十八日に中小企業庁が公表した調査の速報値によると、コスト上昇分について二〇・七%もの企業が「全く価格転嫁できない・減額された」と回答しています。 政府が総合経済対策を策定するに当たり、公明党は十月十三日に中小企業等の
賃上げトータル応援プランを発表し、労務費の適切な価格転嫁のための指針の策定・公表及び徹底、発注側大企業の交渉・転嫁の実施状況を毎年公表すること、組合員と取引関係にある事業者と中小企業組合が団体協約を結ぶことによって、製品やサービスの最低価格を取り決めることができる団体協約の積極的な活用促進を政府に求めてきました。 価格転嫁を通じて、中小企業が持続的に賃上げできる環境をつくり出せるかが鍵となるため、策定された指針が真に実効性のあるものとなることを期待したいと思います。 また、指針の内容はもとより、受注者側と発注者側が同じ共通認識に立って真摯に協議が行われ、価格転嫁につながる取組が必要です。そのため、策定された指針の普及促進や具体的な交渉の進め方に関する研修の開催、さらには受注側が交渉に用いる公表資料の情報提供など、県にも中小企業の価格転嫁を後押しする支援策を講じていただきたいと思います。 そこで、県内中小企業への
物価高騰対策支援と中小企業の賃上げ支援についてどのように取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、深刻さを増す人手不足への対策についてお伺いします。 働き方改革の一環で残業時間の規制が強化されることに伴い、人手不足が深刻化すると見られるのが二〇二四年問題です。物流への影響が大きいとされる自動車運転業のほか、建設業と医師も二〇二四年四月に残業時間の上限規制が適用されます。これにより、物流では具体的な対応を行わなかった場合、二〇二四年度には約一四%、二〇三〇年度には約三四%の輸送能力が不足すると予想されています。また建設業では工期の遅れや事業費の増大、医療では手術待ち期間の長期化などが懸念されています。 また、
リクルートワークス研究所が今年三月に公表した「未来予測二〇四〇」と題した予測では、団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二〇四〇年には、地方を中心に慢性的な労働力不足に陥り、その数は一千百万人に上るとのショッキングな内容が注目を集めています。 その内容を簡潔に御紹介すると、労働の需要と供給が二〇四〇年に向けてどのように変化していくのかを分析・予測したものであり、労働需要は二〇四二年まで高齢者人口が減少しないと推計されていることから、ほぼ横ばいで推移し、これに対して労働供給は現役世代が急減するため二〇二七年頃から急激に減少していき、需要と供給の両面から試算した労働力の不足分は七年後の二〇三〇年には約三百四十一万人となり、二〇四〇年には約一千百万人まで拡大するとのことです。 特に、先ほど御紹介した医療、物流、建設のほかにも、介護といった
生活維持サービスへの労働供給が手薄になることで、私たちの生活に支障を来しかねないと警鐘を鳴らしています。 さらに本予測では都道府県別の予測も公表されており、岐阜県は二〇三〇年には
労働需給ギャップが約十一万人発生し、不足率は九・八%、さらに二〇四〇年には
労働需給ギャップが約二十九万人発生し、不足率は二五・四%にまで拡大するとされています。本予測によると、大部分の都道府県の労働供給不足のパターンは二〇三〇年の不足率は一桁台であり、供給制約は限定的と考えられますが、二〇四〇年の不足率は約二〇から三〇%となり、二〇三〇年から二〇四〇年にかけて急速に供給不足が顕在化するとされています。 一方で、この未来予測の中では四つの解決策が提案されています。一点目として、徹底的な機械化・自動化、二点目として、ボランティア、趣味といった多様な活動を通じて誰かの困り事を助ける取組の促進、三点目として、現役世代のように働くことは難しくても清掃作業などの負荷の低い仕事の機会を拡大するシニアの小さな活動の推進、最後に四点目として、無駄な業務を削減する効率化です。 中でも、一点目の徹底的な機械化・自動化は急務だと思います。未来予測では徹底的な仕事の自動化をしなければ、
生活維持サービスが提供されなくなるとされ、将来的には人工知能(AI)やロボットを含めて労働力と捉える重要性を訴えています。今後はコスト面の課題を含めて、自動化技術の浸透を早める取組の強化が求められます。 また、政府の総合経済対策の中にも、人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援が盛り込まれています。人手不足に悩む中小企業・小規模事業者のため、省人化・省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性がある支援を新たに実施するとともに、事業の実情に合わせた生産プロセスの効率化・高度化を支援するとしています。具体的には経済産業省は業務の省力化につながるAIやロボットなどの導入を後押しする新たな支援策として、今年度の補正予算案に一千億円を盛り込んでいます。こうした国の動きに合わせ、県としても現在進めている取組の加速化・実装化、企業間格差の是正、あるいは情報発信が急務ではないかと思います。 そして、もう一つの課題が外国人材の受入れです。十月十三日の出入国在留管理庁の発表によると、在留外国人は六月末時点で約三百二十二万人となり、過去最多を更新しました。日本の労働力として期待が大きい外国人材の受入れは、今後ますます重要になります。 国立社会保障・
人口問題研究所国際関係部長 是川氏によれば、かつては送り出し国・受入れ国間の所得格差が国際移動を発生させると考えられてきましたが、最近では送り出し国の所得水準上昇によって移動能力や豊かな生活への意欲が高まり、国際移動を発生させることが明らかになってきました。日本の背中が見えてきた他のアジア諸国にとっては、日本は現実的な選択肢になっており、アジアの経済成長は当面の間、日本への国際移動を増やす結果になり、日本は今や国際移動の主要な目的地として選ばれる国になっていると指摘しています。 このような中、外国人労働者の受入れの在り方を検討する政府の有識者会議は、技能実習を廃止し、人材確保・育成を目的とした新制度、育成就労を創設する最終報告をまとめました。人手不足に対応するため、三年を目安に外国人労働者を即戦力の特定技能水準に育成し中長期的な就労を促し、同じ分野で職場を変える転籍は同じ職場に一年を超えて勤め、日本語能力試験で最も易しいN5レベルと技能検定の合格を要件として認める内容です。これを踏まえて、来年の通常国会への関連法案提出を目指すとされています。 一方で、転籍について地方の受入れ企業には、入国時の渡航費用や日本語教育費用を負担した人材が賃金水準の高い都市部に流出する懸念があるため、自由な転籍は割に合わないとの意見もあります。 私は、新制度への見直しに合わせ、外国人材の地方定着を促す地方自治体独自の取組を国が支援することも重要であると思います。見直しに当たっては地方を重視した制度設計にするよう知事会などを通じて国に求めるべきではないでしょうか。さらには、日本語教育の充実や住宅確保などの支援も必要です。外国人材を人手不足を補う都合のよい労働力として見ずに、地域社会を担う人材として育てる姿勢が重要になってくると思います。 そこで、本県の人手不足対策の現状と課題、今後の取組の方向性についてどのようにお考えか、知事にお伺いします。 ここで一回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) おはようございます。 二点お尋ねがございました。 まず、県内中小企業への
物価高騰対策支援と賃上げ支援についてでございます。
物価高騰対策支援につきましては、今年五月の臨時会で補正予算を措置いたしまして、国の支援の対象外とされていた特別高圧電力を契約する中小企業やLPガスを利用する事業所などに対し、電力・ガス価格高騰の負担軽減を図っております。これらの支援は九月分までを対象としておりましたが、その後も電力価格等が高止まりしていることから、来年三月分まで支援を継続してまいります。あわせて、中小企業の
エネルギーコスト削減や脱炭素化に向けて、エネルギー効率の高い設備へ更新する事業者や、自家消費型の太陽光発電を導入する事業者を支援いたします。 次に、賃上げへの支援についてでありますが、
全国商工会連合会が八月に実施した調査では、価格転嫁ができている事業者ほど賃上げを実施しているという傾向が示されております。一方、県の企業ヒアリングでは、全てが値上がりし価格転嫁が追いつかない、転嫁が認められるのは要求の半分程度といった依然として厳しい声を多く伺っております。 こうした状況を踏まえ、県では今年七月に親事業者との取引適正化の推進と人件費である労務費を適切に価格転嫁できる環境の整備を国に要望いたしました。これに対して、議員御指摘のありましたように、先月末に国において、労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針が取りまとめられたところでございます。 本県では、今年十月に労使双方の主要関係七団体に対して、コスト上昇分について適切な価格転嫁を促すとともに、企業間取引の適正化によるサプライチェーン全体の共存共栄を目指す
パートナーシップ構築宣言に取り組むよう働きかけを行ってきております。十一月末現在で六百三十七社が宣言を発しておりまして、さらにこれを増やしていくよう周知してまいります。県としても、宣言企業に対しましては、年明けから県制度融資の最も低い利率を適用するとともに、冒頭に申し上げましたエネルギー効率の高い設備の導入補助金に加点措置を設けるなどにより、後押しをしてまいります。 そして、年明けにも経済・雇用再生会議を開催し、労使双方から県内の経済・雇用情勢、とりわけ賃上げに関する現状と取組について意見交換するとともに、労使官一体となった取組を推進してまいります。加えて、県内十八か所に設置されている中小企業の経営相談窓口において、個別ケースについてきめ細かく対応してまいります。 なお、
県産業経済振興センターに依頼いたしまして、十二月一日時点での賃上げに関する特別調査を実施したところでございます。その結果も参考にしつつ、丁寧に分析をし、来年度当初予算に必要な対策を盛り込んでまいります。 次に、深刻さを増す人手不足への対策についてでございます。 現在、コロナ禍で控えられていた企業の人材採用意欲が戻ってきておりまして、人手不足感が急速に高まっております。とりわけ物流、製造、建設、介護などの専門職種の求職者が極端に少なく、需給のミスマッチが生じております。御指摘のとおり、まさにこれから二〇二四年問題に突入するということになるわけであります。加えて、本県におきましては大学進学者の八割が県外に進学し、そのUターン就職率は三割にとどまるなど、若者の県外流出が続いております。このように、人手不足は喫緊の課題となっておりまして、県としても産業界や教育機関と連携し、全力で取組を強化してまいります。 まず第一に、人手不足感の高まりに対しまして、働き手を直ちに増やすことは困難でありますことから、まず企業の省力化・省人化を加速してまいります。このため
DX推進コンソーシアムを中心に、業務の自動化、生産性向上、技術革新を目指す取組を支援しております。さらに、こうした企業の優良事例の横展開を図り、県内企業に広げてまいります。 例えば現在岐阜モデルとして構築を進めておりますデジタルインボイスシステム、これを利用することによりまして、経理業務で七ないし八割の時間短縮が期待されております。今後、業種を問わず広くこれを県内企業へ積極的に普及してまいります。また、新たな役割を加え再編した
テクノプラザものづくり支援センターでは、技術革新に取り組むものづくり産業やスタートアップへの支援を強化するとともに、デジタル人材の育成を支援してまいります。 第二は、新たな労働力の確保でございます。まず、外国人材につきましては大幅な制度改正が予定されており、今後はより生活面でのサポートを充実し、定着を促していく必要がございます。そのため、いわば外国籍の岐阜県民ということで、難しい言葉を外国人が理解しやすいように言い換えた、いわゆる「やさしい日本語」のさらなる普及を市町村と連携して行うとともに、県の
外国人雇用相談窓口に専門家を配置して、住宅確保や地域との共生など様々な生活問題の解決に向けて伴走支援をしてまいります。 また、フルタイム勤務や通勤が困難な方には、超短時間労働や在宅勤務などによる就労機会の拡大を企業に対して提案してまいります。こうした多様な働き方を進めることで、障がい者、女性、高齢者など様々な潜在的労働力を活用してまいります。 第三は、若者の県外流出への対策であります。例えば今年五月にリニューアルした岐阜駅直結のジンチャレでは、夜間や休日も一部オープンしましたところ、県外に通学・通勤している人の利用が大幅に増えております。今後とも、夜間・休日の就職・転職相談や企業との小規模座談会を拡充してまいります。また、現在、県内企業と連携して
奨学金返還支援制度の創設について検討を進めており、これを若者の県内就職を促す新たな動機づけとしてまいります。
○議長(野島征夫君) 二十六番 水野吉近君。 〔二十六番 水野吉近君登壇〕
◆二十六番(水野吉近君) 御答弁ありがとうございました。 次に、認知症基本法の理念を反映した認知症施策の推進についてお伺いします。 認知症施策の推進は待ったなしの課題です。二〇二五年には六十五歳以上の五人に一人、約七百万人が認知症になると推計され、誰しも無関係ではいられない状況です。一方で、認知症は特別なことではなく、過度に恐れる必要もありません。 今年六月に認知症基本法が制定されましたが、その理念は認知症になっても安心して暮らし、活躍できる共生社会の実現です。その際、当事者や家族の意思を尊重したサービスや支援策を推進していく視点は欠かせません。 例えば東京都町田市のデイサービス施設では、認知症の通所者の意見を聞いた上で、自動車販売店での洗車などの仕事を提供し、企業から謝礼も支払われており、当事者が生きがいを感じながら地域と関われる環境を提供しています。専門家の間では、認知症には特別なサービスが必要だとの見方が強いですが、当事者の声を聞くと、特別扱いしないで欲しい、同じ人間として支援を受けて生きていきたいとの声が少なくありません。当事者の視点を通じて既存のサービスを点検する必要があると思います。 認知症基本法では、内閣に首相を本部長とする
認知症施策推進本部を設置し、国に
施策推進基本計画の策定を義務づけています。策定に当たっては、認知症の人や家族らで構成する関係者会議の意見を踏まえることとしています。 なお、国の基本計画は来年以降の基本法施行後に策定されることとなるため、努力義務となる都道府県の施策推進計画は、来年度以降検討されることとなります。 本県においては、認知症施策の方向性を定めた計画として第八期岐阜県高齢者安心計画があります。計画期間は令和三年度から令和五年度までの三か年となっており、現在見直し作業が進められていますが、さきに述べたとおり、認知症基本法における国の
施策推進基本計画の策定は来年度以降となるため、
次期高齢者安心計画の実施がスタートした後に、県の
認知症施策推進計画の策定を検討することとなります。 今の高齢者安心計画では、認知症施策の推進として本人・家族への支援と地域づくりを掲げ、認知症の方の家族の意見を施策に取り入れていくとしていますが、認知症基本法が制定されたことを受けて、基本理念を踏まえた施策の検討が必要になってくるのではないでしょうか。そして、県においても認知症施策を決定する際は、当事者の意見を聞き、施策の検討過程に参画していく仕組みを高齢者安心計画に位置づける必要があると思います。 そこで、認知症基本法の理念を踏まえた認知症施策の推進に向け今後どのように取り組むのか、健康福祉部長にお伺いをします。 次に、視覚障がい者への情報伝達手段「音声コードUni-Voice」の利用促進についてお伺いをします。 お手元に、文化芸術共創プログラムのリーフレットを配付いたしました。(資料を示す)これはテキストデータを二次元コード化したもので、無償の専用アプリを利用してスマートフォン、以下スマホといいます、このカメラをかざすと記載の内容を音声で聞くことができるものです。よく見ると、音声コードの横に半円の切り欠きがありますが、これは視覚障がい者の方が触ることで音声コードの位置を把握するためのものです。最近のスマホは音声を参考に画面操作ができるようになっており、スマホ画面全域がカメラ撮影領域なので、簡単に音声コードの読み取りが可能になっています。標準の十八ミリ角の音声コードには約八百文字の文字情報が入ります。音声コードを作成するソフトは、NPO法人日本視覚障がい情報普及支援協会が自治体や公益社団法人に無償貸与しており、公的機関でも導入しやすくなっています。既に電気・ガス・水道の検針票や投票所入場券の封筒、ねんきん定期便などに印刷・利用されています。 公明党は本年三月、参議院予算委員会で音声コードのさらなる普及促進について取り上げ、岸田総理から関係省庁や地方公共団体と連携の下、音声コードの普及をはじめ先進的な事例、積極的な横展開をするように努力する旨の答弁がありました。また、今月の岐阜市議会一般質問でも、音声コードUni-Voiceの導入が取り上げられ、当局から前向きな答弁があったと伺っており、今後県内市町村に広がることが期待されます。 障がいのある方に対する合理的配慮の提供について定めた障害者差別解消法のほか、二〇二二年五月に施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法においても、障がいのある方が障がいのない方と同一内容の情報を、可能な限り同一時点において取得できるようにすることが求められている中で、この音声コードはまさに有効な手段となります。 そのほかにも既存のホームページの情報を利用して音声コードUni-Voiceつきの別サイトを自動作成し、ワンクリックでホームページ上の内容を読み上げる耳で聴くWeb作成システムや、GPSで現在地を自動認識し、今いる地域や周辺地域の気象情報、ハザードマップなどのリスク情報を自動で読み上げる耳で聴くハザードマップなどが提供されるなど新たな取組が広がっています。 本県においても、先ほど御紹介したパンフレットをはじめ、岐阜県障がい者福祉の手引の一部のページに音声コードをつけるなど、目の不自由な方への情報伝達支援に取り組んでいます。 今後はこの取組を拡充し、県の各種機関から県民などに直接配られる印刷物などに音声コードUni-Voiceをつけることや、住民に身近な市町村に対しても県から活用を促すなどの取組をお願いしたいと思います。 そこで、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーシヨン施策推進法においては、視覚障がいのある方への情報伝達支援への対応が求められていますが、県機関での音声コードの活用状況とさらなる活用についてどのようにお考えなのか、健康福祉部長にお伺いします。 次に、県内企業就職者を対象とした奨学金返還支援についてお伺いします。 企業などが社員の奨学金を肩代わりする返還支援について、令和三年第三回と第四回の定例会で、我が会派の澄川議員が質問をしています。その後、令和四年度からは市町村が
奨学金返還支援制度を創設した場合、その費用の一部を特別交付税措置する際の措置率が引き上げられました。 また、さきの臨時国会では、総理から「奨学金の代理返還について、今後税制上のメリットなども含めて改めて周知し、全国での利用拡大に努める」との答弁があるなど、政府もより一層力を入れており、昨年六月時点で返還支援制度を実施する自治体は三十六都府県六百十五市町村に上り、採用する企業もこの二年もの間に約十倍に増えています。 さらに岐阜県教育委員会では来年度から小・中学校の教諭として働く人を対象に、総額百四十四万円を上限に償還金の返還を支援する制度を設けましたが、これにより小学校教員の志願者倍率が五年ぶりに上昇するなど、制度の効果が現れています。
奨学金返還支援制度は社員と企業の双方にとってメリットがあります。その理由は、従来返還を支援する企業の多くは社員の給与に上乗せしていたため、その分の所得税や住民税などが生じていました。この返還支援制度を使えば、日本学生支援機構などの奨学金貸与機関に直接返還されることから、社員の課税額が減り、企業も損金算入できることから、法人税を減らすことができます。 総務省が策定した奨学金を活用した若者の地方定着促進要綱によりますと、都道府県が
奨学金返還支援制度を創設する場合の財源は、県や県内企業が資金を拠出し基金を設置するものであり、その負担割合は地元産業界等と協議を行うなど、地域の実情に応じて定めることとなります。また、市町村は県の制度を利用して県と合同で取り組むこともできます。さらに県が出捐した分は様々な要件はありますが、国から特別交付税措置を受けることができます。 本県教育委員会の取組により、小学校教員の志願者の増加に効果が現れたことを県内の企業に対して情報提供していただき、奨学金返還支援を通じて県内企業の人材確保につなげ、若者の県内就職が一層促進されることを期待したいと思います。また、この制度により奨学金返還に苦しんでいる若者の負担を軽減するとともに、地方創生の観点からも若者の地方定着を促す取組になることを願うものです。 そこで、県内企業就職者を対象とした
奨学金返還支援制度の検討状況について、商工労働部長にお伺いします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。 〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕
◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 認知症基本法の理念を反映した認知症施策の推進についてお答えを申し上げます。 本年六月に公布された共生社会の実現を推進するための認知症基本法において、国は基本計画を策定し、県は国の基本計画を踏まえ、あらかじめ認知症の方及びその御家族等の意見を聞いて、
認知症施策推進計画を策定するよう努めることとされております。 県では、老人福祉法に基づく老人福祉計画及び介護保険法に基づく介護保険事業支援計画を一体的に策定した岐阜県高齢者安心計画において、認知症施策の推進を柱の一つに掲げており、今後
認知症施策推進計画も県高齢者安心計画の一部として策定してまいります。 ただ、現時点では国の基本計画が示されていない一方で、県高齢者安心計画は今年度末に終期を迎えるため、まずは同計画の改定について、認知症の当事者や関係者の御意見をいただきながら、認知症基本法の趣旨を踏まえた計画となるよう作業を進めています。今後、国の基本計画が示された時点で改めて検討を行い、必要に応じて県高齢者安心計画の見直しを行ってまいります。 次に、視覚障がい者への情報伝達手段、音声コードUni-Voiceの利用促進についてお答え申し上げます。 県では、視覚障がいのある方への情報発信ツールの一つである音声コードUni-Voiceについて、視覚情報のためのユニバーサルデザインガイドブックを作成し、普及啓発に努めております。また、毎年県の全所属に設置した障がい者差別解消推進員への研修において、音声コードの周知を図っております。 具体的な活用事例として、健康福祉部では岐阜県障がい者福祉の手引等の冊子をはじめ、ぎふ清流おもいやり駐車場やあんまマッサージ指圧の施術所等に対する
物価高騰対策支援金の制度案内に掲載しております。他部局においても、中部国際空港利用促進協議会が主催するセントレア空の絵コンテストや、来年本県で開催する「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四のチラシ等で活用されています。 今後は、県の各所属における取組をさらに広げていくため、音声コードの有効性や活用方法の周知を図るとともに、市町村にも活用を働きかけるなど、さらなる普及推進に努めてまいります。
○議長(野島征夫君) 商工労働部長 三木文平君。 〔商工労働部長 三木文平君登壇〕
◎商工労働部長(三木文平君) 県内企業就職者を対象とした奨学金返還支援について御質問いただきました。 人手不足が深刻化し、今後も労働人口が減少していく中で、県内企業の人材確保は重要な課題です。そのため、現在若者の県内就職を促す新たな動機づけとして、
奨学金返還支援制度の創設に向け検討を進めております。この制度は、県内企業に就職し一定期間就労した際に、学生が借りた奨学金の返済を県と就職先の企業が連携して支援するものです。 これまでに、制度内容について県内企業の御意見を伺いながら検討を進めてまいりました。九月の企業アンケートでは約七割の企業が「制度に関心がある」と回答しており、制度の骨格について多くの賛同を得ているところです。現在は企業からの御意見を踏まえ、特に中小企業に手厚く支援できるよう制度の詳細を詰めております。 今後は、次回の定例会に関係条例を上程し、その上で来年度から企業と学生の募集を開始してまいりたいと考えております。
○議長(野島征夫君) 三十八番 川上哲也君。 〔三十八番 川上哲也君登壇〕(拍手)
◆三十八番(川上哲也君) 通告に従い質問させていただきますが、今回最初は、災害救助法の迅速な適用と活用など、市町村の災害対応力アップについてであります。 今年も災害が多く発生した年でありました。地震は石川県の能登半島、そして水害はこの岐阜県内においてはさほど大きい被害はなかったものの、私が支援活動で出かけたところだけでも、埼玉県越谷市、石川県津幡町、富山県高岡市と小矢部市、京都府綾部市と福知山市、千葉県長南町、そして茨城県高萩市。そのほかにも全国的には秋田県であるとか九州であるとか、本当に多くの地域で被害が出ております。 そういった様々な被災地の中で、今年行った先で、これはちょっとどうかなというふうに思うところがありました。それはどういったことかといいますと、ほかの地域よりも被害が大きいのに災害救助法が適用されていない。災害救助法は当然被害が大きい地域にはかかるんですが、それに比べてこの地域は大きいのにかかっていないというところがありました。そのために、被災地ではいろんな部分、被災者に対する支援、それも遅れ遅れになっており、自治体の住民からも大ブーイングが起きていたということがありました。一般的に災害救助法が適用されますと、避難所への支援、そして食料とか飲物の支援、あと仮設住宅、そういったものの支援がなされます。しかし、それができていなかった。 災害救助法、過去の例でいいますと、例えば平成二十九年の九州北部豪雨災害。これは皆様御存じのとおり福岡県朝倉市で大きな被害が発生をしていました。上流から大量の土砂、大量の大木、三十メートル級の大木が朝倉市の杷木という地域に流れ込んでいました。消防団が手作業で必死に行方不明者捜索をされていました。その消防団のほうから、私たちのほうにこんな相談がありました。この大木、そこから人を見つけるのは大変だと、この大木を重機でどけてくれないか、そういう相談がありました。ところが、当時私たちが持って入っていた重機は、建設関係の方は御存じかと思いますが、コンマ二サイズでありましたので、朝倉市役所に対して災害救助法を使えば大きな重機もレンタルできるので、それでやったらどうかというふうに提案をさせていただきました。即座にオーケーが出て、大きな重機を借りて、コンマ七クラスの大きな重機でありますが、あとロングアームのものも入れて、自衛隊であるとか消防であるとか警察であるとか、そういった方の手作業の作業をサポートしました。 ただ、この場合、その重機のレンタル費用は国と県が半分ずつ後で戻して、それをまた県の二分の一の負担も国からある程度返ってくるというのが災害救助法であります。また、この災害救助法が適用されることによって、そのほかの国のいろんな支援策、それも災害救助法が適用されることによって決まる、いわゆるトリガーとなる法律でもあります。 ところが、今回質問で取り上げさせていただく自治体においては、それが適用されていなかった。ほかの自治体よりも被害が大きいのに適用されていないところがありました。なぜ適用されていないのかということを調べてみましたら、内閣府からは災害救助法を適用しませんか、それが必要ですよということを再三にわたって連絡していたのに、その自治体側が断ってしまった。当然のことながら、災害救助法というのは被災自治体が助けてくれということを言わないと適用になりません。県もその自治体に対して適用についてアドバイスをしようと思っていたんですが、それがなかなかうまくいかなかったということでありました。 じゃあ、岐阜県はどうかと。実はその災害救助法が適用されなかった自治体が被災した時点で、この岐阜県においても災害救助法について詳しく知らなかった自治体が多くありました。どういうことかといいますと、災害救助法って皆様が思ってみえるのは、大きな被害ほどその適用になる。つまり、全壊家屋がどれだけある、半壊家屋がどれだけあるということで、その積み上げで適用になるというのが一般的。これは一号基準から三号基準といいます。 それに加えて、最近増えてきたのはどういうものかというと、災害が発生し、生命・身体への危害またはそのおそれが生じた場合による適用も可能であるとされております。どういうことかといいますと、災害が起きた後での適用だけではなくて、そのおそれがある。つまり、台風とかですと、来るとき、まさに近づいてきたときの適用、それが加わっております。それが四号基準であります。最近はこれが増えて、四号基準がほとんどになってきました。今年の災害のうち、今お話しさせていただいている自治体のほかに、本当に僅かなんですけど、数か所だけが一号基準の適用、そのほかは全て四号基準の適用。つまり、おそれがある時点での適用となっております。 このことについて、やはり今後、岐阜県においてもしっかりと対策を行い、すぐ適用をされるような、迅速に適用されるような形にしていかなければなりません。岐阜県ではどうかということを防災課に確認しましたら、今その周知を図っているということでお答えがありました。実際にどうかということで市町村のほうへ確認しましても、やはり四号基準の適用についてはあまり知られていないというのが現状であります。 それと、四号基準の適用以外にも防災担当者が専門職となっていないところ、あるいは年度替わりの担当者が代わったすぐの被害、例えば今年の最初、埼玉県越谷での災害は五月、六月あたりの災害であります。年度初めは対応力をなかなか上げることができないというのが現状であります。そういったことを改善しなければならない。昔は、特に水害というと秋というイメージがありました。ところが、最近は六月頃から発生しているため、年度初めから災害救助法の適用を含め、どのように対応力を高めていくかが課題となっております。 そこで、危機管理部長、災害救助法の迅速な適用を含め、市町村において年度初めからどなたが担当になっても災害対応が適切に進められるようにするため、県としてどのように取り組まれるのかお答えを願います。 次は、災害救助法を活用した宿泊施設の避難所としての利用についてであります。 前の質問にも関連しますが、災害救助法が適用されることによって、避難所の運用についても支援が受けられることがあります。以前、東日本大震災で東北へすぐ出かけて支援活動をしたわけなんですが、そのときに現地の避難所のすぐ表側にトラックを止めて、その地域の支援活動を続けていたわけでありますが、トラックの中で寝泊まりをしていたことがありました。三月だったのでかなり寒かったもんですから、夜になって冷えてくると歯ががちがちというようなことを抑えられないというようなときもありました。見るに見かねて、その避難所の責任者の方が中へ入って寝たらどうか、この中は暖かいよということでおっしゃっていただいたんですが、中へ入ってみると、その避難所の中は富士山の山小屋のような状態。かなり狭い。一畳で二人寝ているというような状態。さすがにちょっと遠慮してトラックへ戻ったということもあったんですが、そんなように避難所は非常に厳しい面もあります。 最近岐阜県内でも改善が進んでおりますが、昨今の災害、令和二年の災害でも本当に狭かったという声もありました。そういった状態で改善をどのように進めていくのか。昨今、関東では自治体同士が連携して大規模災害が発生したとき、被災された方をホテルや旅館を使ってお互いに受け入れる、そういった協定を結んだところがあります。これは高齢者が主な対象で、災害関連死を防ぐのが目的だとのことでもあります。このケースは高齢者対象でありますが、要配慮者やその御家族、お子さん連れの御家族など、避難所への避難をちゅうちょされる、そういった方もありますし、そういった方はできれば個室、あるいは個室に準じたようなところのほうが避難しやすいと思ってみえる方は少なくないのも事実であります。ということは、例えば宿泊施設であってもホテルとかの個室だけではなくて、簡易宿所というところであっても個室に近いような、ある程度プライバシーが守られる、そういったところであればそういったお子さん連れの方、高齢者を連れた方、いろんな形でいろんなことで避難をちゅうちょされる方でも避難しやすくなるというのが現実であります。 避難所は、災害救助法が適用される以前のタイミング、台風でしたら台風が接近する前に設置されることが多いものの、その時点では災害救助法が適用されるかどうか分からない段階で、お金がかかる宿泊施設が避難所として使用されることは今のところほとんどありません。 ところが、実際に災害が発生し、それを受けて災害救助法が適用された場合で、避難所が不足する、あるいは避難の長期化が見込まれる際には、内閣府との協議は必要となりますが、宿泊施設を借り上げて、避難所として運用することが可能となります。つまり、学校や公民館などだけではなくて、ホテルや旅館などの宿泊施設についても、一定の範囲内で支援を受けながら被災地域の方、あるいは被災の危険性が高い地域の方へ提供することができることになっております。ということは、お子さん連れなど避難をちゅうちょする方も避難しやすくなりますし、今はやっているインフルエンザ、そういった感染が広がる時期については、お年寄りの避難についても安心度が高まります。そして、宿泊施設を避難所として利用される方が増えることは、避難所本体、通常の避難所、学校とか公民館であるとか、その避難所に避難する方を減らすことにもつながるために、避難所の環境を改善することも可能となるなど、様々なメリットがあります。これは大広間を使うだけではなくて、個室を使うことも可能であります。 もちろん、課題がないわけではありません。ハイシーズンの客室稼働率が高い時期をどうするかなどの問題もありますが、ホテルや旅館だけでなく、宿泊施設全てを対象に提供可能なところを募っておけば、それもある程度解消されるのではないかと考えますし、避難所と比べたら、たとえ先ほど申し上げた簡易宿所であっても避難しやすくなるところが多くなると考えます。 そこで、危機管理部長、様々な理由で避難所へ避難することをちゅうちょしてしまう方も避難しやすくなるように、市町村による宿泊施設の避難所利用を拡大できるよう、県としてどのように取り組んでいくかお答え願います。 次に、災害時の避難情報の発信についてでありますが、避難方法の改善については、以前も次のような一般質問を行いました。 水害では、災害が発生する前に全ての方が避難を終了していれば、失う命をゼロにすることができます。これは当然、当たり前の話であります。しかし、水害が近づいてくるときは、自分がどの程度危険な状態か、それを把握できない方もありますし、特に台風が切迫している、本当に近づいてごく近くまで来ているときなんかは、自分が危険な状態なのかどうかも分からない。その上に焦ってしまって避難することよりも、例えば物のほうへ目が行ってしまう。もう水が迫ってきているのに非常持ち出し袋を取りに行って避難することが遅れてしまったという方も少なくありません。避難ということが第一優先に考えられない方も多く見えます。そういったことをお話しさせていただいたんですが、それ以降に行われている防災士養成講座で、その先生方に質問をしました。避難するアクションを起こすスタートの時点はどこなのか。レベル三、高齢者等避難、その時点でのアクション開始なのか、レベル四、避難勧告、避難指示、そういった時点でのアクション開始なのかということで質問してみますと、なかなか防災士養成講座の先生方の間でも意見が違っております。レベル四では遅過ぎる、レベル三では早過ぎるとか、いろんな意見が出ております。結局県内でまとまっていないというのも事実であります。 そこで、今年の災害はどうだったかといいますと、振り返ってみますとレベル四の発信がされたときには、既に土砂崩れが起こっていた。もしかして、その時点でそこに人家があれば、たまたま人家がなかったから今年はよかったんですが、人家があれば人家がやられてしまっていたということもありました。レベル四の避難に対する発信が各自治体で、市町村で適切にできれば問題ないのかもしれません。でも、各自治体に聞いてみますと、それは難しい。レベル三、これは出せる。だけどレベル四、本当にこのタイミングは難しいんだということを多くの自治体で言われます。じゃあ、どうするのか。レベル四では災害が起こってしまうかもしれない。ですから、レベル三、高齢者等避難でいかにアクションを起こしていただくかが重要となってきます。 そこで防災課のほうに対して、危機管理部のほうに対して、レベル三の段階で高齢者等避難、自分は避難しなくてもいいんだというふうに思っていただく方がすごく多いんですが、そこである程度アクションを起こしてもらう。つまり自分が危険なところにいたらそこから出る、それ以降は危険なところへ行かない。自分の今いるところがどういう状態なのかをそれぞれに考えていただく。考えていただくということは非常に重要であって、まずそこからスタートしなければならないんだということで提案をさせていただきます。 県もそれに対してお応えいただき、この夏からレベル三の段階での発信、自分のいるところはどうなのか、それを確認して危険だったら出る、危険なところは入らない。その発信をしていただいているのでありますが、問題はその先。多くの方が受けているのは県からの発信じゃなくて、市町村からの避難情報の発信を受けているのが現実である。そうしたら、県が私のところはやっていますだけではなくて、いかに市町村にその発信を広めていくかがこれから重要になっていきます。 そこで、危機管理部長、レベル四での避難開始では遅いと思われる事例が少なくないことからも、レベル三、高齢者等避難が発令された際に、県内の自治体全てにおいて、避難の遅れを防ぎ命を守るための避難情報を発信するよう改善していかなければならないと考えておりますが、これについてどのように進めていくかお答え願います。 最後に、ラーケーションについて質問させていただきますが、このラーケーションとは、ラーニング、学習と、バケーション、休暇を組み合わせた言葉で、休日に自己研さんのために時間を割くことを意味します。 御存じの方も多いと思いますが、先日、愛知県のラーケーション事業が始まりました。これは休み方改革の一環として、保護者の休暇に合わせて子供が学校外で活動できる仕組みとして創設されたものであります。どういうものかというと、愛知県内の公立学校に通う子供たちが、保護者とともに学校外で様々な体験、学びを自ら考え、企画し、実行するというもので、今年度は二学期から二日間、来年度は通年で一学期から三学期になりますのでその間で三日間、校外での自主活動を行うことで、登校しなくてもこの場合は欠席扱いとならないといったものであります。 このラーケーションに対しては、現時点では賛成が約六割、その賛成意見としては、大人だと当たり前のように家族との時間を大切にしようとか、そういったことを言われるが、子供だと学校以外の時間があまり尊重されていないのは本当に不思議だとか、あるいは児童・生徒が学校を休んで家族で旅行に行くのはよくないと考えている教員は多い。それを変えていくきっかけになるなどがあり、ふだん子供と一緒に出かけたりすることができない方にとっては好評なようであります。 さて、岐阜県内の御家庭の状況はどうでしょうか。例えば、観光産業や飲食などのサービス系にお勤めの場合、土・日はほとんど出勤、人によっては必ず出勤となる方も多く、お子さんとは一緒に遊びに行ったことはほとんどないという方も少なくないようであります。 例えば観光産業に携わっている家庭では、親と子供がなかなか休みを合わせることができないという声をよく耳にしますし、私自身も実家が土産物のお菓子を製造、卸をしておりましたので、父親とのドライブはそのお菓子の配達ばかりであったのを覚えております。 親と子が同じ日に休みを取り、一緒に楽しみ、あるいは一緒に学び、親と子の絆を深めることは、そのお子さんが心豊かに成長するための糧になるとも言われております。子供たちが保護者と共に学校外で様々な体験、学びを自ら考え、企画し、実行するという経験は非常に意義あるものであり、保護者にとっても子供たちのそうした姿、頑張る姿をじかに見る機会を持つこと、これもとても大切なことであります。 愛知県と同じやり方をしろと言っているわけではなくて、親と子が同じ日に休みを取れる、そして一緒に楽しみ、学ぶことができる、それをしやすい仕組みをつくることが必要であると考えております。例えば、これは希望する御家庭のみになると思いますが、希望する御家庭では、親と同じ日に学校を休んで一緒に楽しめる日を持つことができ、その日は欠席扱いにならない。もちろんそれを希望されない方も当然あります。勉強第一だからそんな休みは不要と思われる御家庭もあると思いますので、休まなければならないということではなくて、あくまでも希望制で、休みを取りたい御家庭は休むことができるという制度をつくってはいかがかと思っております。 そこで教育長にお尋ねしますが、親と子が同じ日に休みを取り、一緒に楽しみ、一緒に学ぶことができるラーケーションの取組、これによって子供たちの心の成長を促すだけではなく、親と子の絆を深めるなど、教育面でも様々な効果が得られると考えておりますが、これについてどのようにお考えかお答え願います。 以上、大きく二点、防災面と教育面について質問させていただきましたが、前向きな回答を期待し質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君) 危機管理部長 内木 禎君。 〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕
◎危機管理部長(内木禎君) 三点御質問をいただきました。 初めに、災害救助法の迅速な適用と市町村における災害対応力向上に向けた県の取組についてお答えします。 県では、避難情報の発令などを担う市町村が災害時に適切に対応できるよう、年度当初、市町村職員を対象に、情報収集や連携の在り方等について研修を実施しておりますが、今後はこれをさらに実際の災害に即した実践的な内容へと充実させてまいります。 具体的には、本県において近年頻発している土砂災害警戒情報の発表や、河川水位が氾濫危険水位に到達するなどの状況を想定します。その上で、それぞれの想定ごとに、情報収集と伝達、迅速な避難情報の発令、人命救助を第一とした関係機関との調整といった対応について、しっかりと確認いただけるものとしてまいります。 また、全国知事会からの提言を受け、本年八月、内閣府から災害対策本部の設置に加えて、住家被害の蓋然性、避難生活の継続がある場合には、災害救助法の四号基準の適用を積極的に検討すべきとの通知が示され、市町村にもその旨周知をしているところであります。発災時には市町村と緊密な連携の下、被害情報を正確に収集し、災害救助法の適用について迅速かつ的確に判断してまいります。 次に、市町村による宿泊施設の避難所としての利用拡大に向けた県の取組についてお答えします。 感染症への対応に伴う避難所の収容定員の減少や、高齢者、障がい者、妊産婦等の配慮が必要な方々の介護やプライバシー確保といった面から、個室が必要となるなど宿泊施設を避難所として確保することが有効な方策となっております。 県では、これまで市町村に対し宿泊施設の避難所としての利用を働きかけてきた結果、現在十六の市町村が個別の宿泊施設、地域の旅館組合や観光協会との間で協定の締結に至っており、こうした取組を一層進めていく必要があります。 このため、実際に協定を締結した市町村が宿泊施設と調整した内容や締結の手順、避難者の受入れ方法などに加え、避難所が不足した場合などの災害救助法による宿泊費の支援も盛り込んだ協定締結の手引を年度内に取りまとめ、市町村に提供してまいります。あわせて、県内の宿泊事業者や観光関連団体に対し、宿泊施設の避難所利用について、区域内に宿泊施設が存在しない場合の広域的な対応も含め、あらかじめ市町村ごとに協定を締結しておく必要性について理解を求めるなど、市町村の取組を支援してまいります。 最後に、避難の遅れを防ぎ、命を守るための避難情報の発信についてお答えします。 内閣府のガイドラインによりますと、高齢者等避難が発令をされた場合には、高齢者等以外の方々も必要に応じて、ふだんの行動を見合わせ始め、避難の準備などを行うことが望ましいとされております。 県ではこれをさらに具体化し、高齢者等避難の発令時には、全ての方を対象に高齢者等以外の方も必要に応じて自主的に避難するタイミングである、今いる場所の危険性を確認し、土砂崩れや浸水の危険がある場所には近づかないといった情報を、LINEを活用して配信しております。 こうした情報発信に加え、地域でお住まいの住民の方々に避難情報をお伝えする市町村に対し、防災行政無線やSNSなどでの情報発信の際に活用できる具体的なメッセージを年内にお示しし、早めの避難行動を促す市町村の取組を支援してまいります。 また、市町村長を対象とした災害対応研修や、市町村担当課長会議などの機会を捉え、引き続き早めの避難行動につながる具体的な情報の伝達を市町村に促してまいります。
○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) ラーケーションの教育面での効果についてお答えをいたします。 私としても、親と子が触れ合い、互いの絆を深めることは重要であり、親子がそろって学校外での体験活動を行うことを通じて、同じ時間と経験を共有し、喜びや感動を分かち合い、親と子で意見を語り合ったりすることで、子供の心の安定と成長につながるというふうには考えております。 愛知県の取組では、子供が学校を休んで、親と子が一緒に過ごす日を持ち、その日を欠席扱いとしないとのことですが、通常欠席扱いとしないのは、法定の感染症や忌引等の場合のみとされているところです。そもそも学校には全ての児童・生徒に学習の機会を保障する必要があり、そのため、個々の児童・生徒が自由に休暇を取得できる状況では、おのおのの児童・生徒への補充を十分に手当てできるかどうかが学校にとっては大きな課題になってまいります。 県教育委員会としましては、このような点を十分に踏まえつつ、現在実施中の愛知県における状況について情報収集し、この取組について研究してまいります。
○議長(野島征夫君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕(拍手)
◆二十八番(長屋光征君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は大きく四項目五点について二分割で質問をさせていただきます。 初めに、eスポーツの活用促進について、清流の国推進部長に二点お伺いをいたします。 まず、メモリアルセンターを活用したeスポーツの大会誘致・イベントの開催とインターネット環境の整備についてお尋ねをいたします。 今年九月から十月にかけて中国で開催された第十九回アジア競技大会では、eスポーツが正式競技として採択され、この大会で初めてeスポーツの選手が正式なメダルを獲得できるようになりました。近年、eスポーツの市場は、スマートフォンの普及拡大やインターネットの通信環境の高速化、大会やイベントの発展・定着、ゲームの
実況配信等による関連ビジネスの拡大、プロスポーツチームの参入、異業種スポンサーの増加などの要因により、右肩上がりで拡大をしています。 一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、二〇二〇年に約六十八億円であった市場規模が、二〇二五年には約百八十億円になると予想され、五年間で約二・六倍の大きな成長率が見込まれています。また、eスポーツのファン数、これは試合の観戦や動画視聴経験者、地上波番組等の関連放送の視聴経験者を指していますが、二〇二〇年に約六百八十六万人であったものが、二〇二五年には約一千二百三万人と、およそ一・八倍の増加が予測されており、日本のeスポーツファンが大幅に増えていくことも見込まれています。 eスポーツの国際大会としては、先ほど述べたアジア競技大会のほか、国際eスポーツ連盟が主催をする世界大会として、IeSFワールドeスポーツチャンピオンシップが二〇〇九年から毎年開催されており、今年は第十五回大会がルーマニアで開催され、日本からも二名の代表選手が出場をしています。また、今年六月には、国際オリンピック委員会が主催する初の対面でのeスポーツの世界大会、オリンピックeスポーツシリーズがシンガポールで開催され、日本を含め六十四の国と地域から百人以上の選手が参加しています。 また、国内でもeスポーツの全国大会が増えてきており、二〇一九年には国体の文化プログラムとして初めて茨城県で全国都道府県対抗eスポーツ選手権が開催され、昨年の栃木大会では予選を含め延べ五十万人を超える選手が参加をしています。このほかにもeスポーツの甲子園と称される全国高校対抗eスポーツ大会ステージゼロが、先ほどの国体と同じく二〇一九年から開催をされています。昨年の第四回大会では、大会のライブ配信総視聴者数は約一千万人を記録しました。また、今年の第五回大会には、過去最多の七千三十一名の高校生がエントリーをしており、リーグ・オブ・レジェンド部門では県立岐阜商業高校のEDP部eスポーツ部門の生徒が準優勝をしています。 こうした中、県内でも次々とeスポーツの大会やイベントが開催されるようになってきました。私の地元の岐阜市のマーサ21では、昨年十二月に県内初の常設のeスポーツ施設が設置され、リアルタイムバトル将棋や国体文化プログラム全国都道府県対抗eスポーツ選手権の岐阜県予選や決勝大会のパブリックビューイングなどのイベントや大会が定期的に開催をされています。また、十月には「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四のプレイベントとして、県教育文化財団などが主催する清流の国ぎふeスポーツフェスFOCUS東海学生選手権が、ぎふ清流文化プラザで開催されました。会場では県内外の約四百人が観戦をし、大型スクリーンにゲーム画面が映し出され、実況もあり大変な盛り上がりを見せていました。 このようにeスポーツの大会が増えていく中で、eスポーツを積極的に取り入れている自治体もあります。富山県では、県内のeスポーツ競技団体や地元テレビ局と実行委員会をつくり、Toyama Gamers Dayという北陸最大のeスポーツイベントを開催しています。二〇一九年に高岡テクノドームで開催されたこのイベントでは、目標人数二千人をはるかに上回る約三千人が来場し、メイン会場でのオンラインゲーム対戦やVR・AR技術を使用した体験ブースが設けられ、また開催市の市長らによるゲーム対戦などが行われました。このイベントは各種メディアにも取り上げられ、また参加者などによるSNSでの情報発信を通じて、富山の新たな魅力が全国に広まったと評価をされています。さらに、同県では今年度から新規事業としてeスポーツ関係人口創出事業補助金を立ち上げ、県内で実施されるeスポーツイベントの開催を通じて、eスポーツプレーヤー等の県外からの集客を目指す県内各地域の取組を支援することとしており、さらなるeスポーツの普及、促進に取り組んでいます。 県では、スポーツイベントの誘致やスポーツ大会の開催支援に取り組んでいますが、eスポーツの大会やイベントは多くの参加者を呼び込めるだけでなく、SNSや動画の視聴により、日本全国、また世界に対して注目を集めることができる魅力あるコンテンツです。そのためeスポーツの会場もぎふ清流文化プラザだけではなく、メモリアルセンターの「で愛ドーム」などのより収容人数の多い施設を活用し、岐阜県でeスポーツの全国規模の大会が開催されれば、大きな経済効果、交流人口の拡大などが見込めると考えています。 また、今は通常の競技スポーツにおいても大会の動画配信などが行われており、eスポーツに限らずメモリアルセンターのインターネット環境の整備を進めていくことも必要だと感じています。三年後の二〇二六年には、愛知県でアジア競技大会が開催され、引き続きeスポーツが正式競技として決定しており、今後ますます国内において、eスポーツに対する関心、注目が高まっていくと推測をされます。 そこで、清流の国推進部長にお伺いをいたします。 eスポーツを通じて、岐阜県の魅力発信、地域経済の活性化、交流人口の拡大等を図るため、県としてメモリアルセンターを活用したeスポーツの全国規模の大会誘致やイベントの開催に積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。また、同施設のインターネット環境の現状と今後の整備計画についてお聞かせをいただきたいと思います。 次に、県の施策におけるeスポーツの活用についてお伺いをいたします。 先ほど述べたように、eスポーツには大きな経済効果が期待されていますが、その一方で、eスポーツの持つ多様性について着目されています。eスポーツのイメージは、まだまだ若者がやるテレビゲームという印象が強いと思われますが、eスポーツには、年齢、性別、障がい、国籍などの垣根がありません。子供からお年寄りの方まで男女関係なく、障がいによる身体的なハンディキャップを超えて、誰もが参加でき、共生社会やダイバーシティ社会の実現に大きく寄与することができるツールです。 例えばパラスポーツとしての活用や、eスポーツを通じた障がい者との交流の機会の拡大、高齢者の健康づくりや認知症予防、リハビリテーションへの活用、観光資源と連携したイベントの開催、多世代交流の創出、地域コミュニティーの活性化、eスポーツを通じた国際交流など、様々な社会貢献活動への活用が考えられ、行政においてもこれまでの取組や新たな課題にeスポーツを取り入れることで、さらなる効果、新たな成果が期待できる可能性があります。 この一例として、今年七月に夏の交通安全県民運動に合わせて、マーサ21において仮想現実空間でパトカーの運転を体験する民間企業のeスタジアム主催のイベントが県と県警の後援で開催をされました。このイベントには私も企画段階から参加をさせてもらっていましたが、警察本部と岐阜北警察署の全面協力の下、ドライビングシミュレーターで県警仕様のパトカーの安全走行体験ができるもので、ブースには行列ができるほど多くの子供たちでにぎわっていました。また、その隣には岐阜県警の御尽力もあって、ゲーム内で使用をしている実際の同一車種のパトカーや白バイも展示されて、交通安全教室なども併せて開催されました。新たな試みのこのイベントは、事前の周知期間がほとんどなかったにもかかわらず、千人を超える非常に多くの皆さん方が会場に来場していただきました。 このように多くの来場者が訪れた理由としては、交通安全の啓発イベントにeスポーツを取り入れたことによって、マーサに買物に来られた家族連れの方や子供たちが楽しそうに思って立ち寄ってくれたことが大きな要因であると考えられ、多くの方々に交通安全の意識を高めてもらうという目標の手段として、eスポーツが生かされたと言ってもよい啓発になったと感じています。それと同時に、私自身がその会場で障がいを持つ高齢者の方から、ドライビングシミュレーターを使った後に、こういった企画をしてくれてうれしかったですと。どうしてですかと伺ったら、その方は障がいもあったわけですが、免許を返納され運転ができなくなったと。一方で、その場所でハンドルを握り、同じようにアクセル、ブレーキを使ってかなりリアルな運転体験ができたということで感謝をされていたのが私自身は印象的でありましたし、うれしく思っています。 県では、今年度からeスポーツを活用した介護予防事業を新たに立ち上げ、県内市町村が行う介護予防教室等においてeスポーツを導入した体験教室をモデル的に開催し、より幅広い高齢者の参加を促すことで、介護予防の取組を推進するとしています。このような取組はまだまだ一例にすぎず、先ほど述べたように様々な行政の施策分野においてeスポーツの活用が考えられ、アイデア次第ではこれまでにない効果が期待できると考えています。 そこで、清流の国推進部長にお伺いをいたします。 県の各分野の施策において、eスポーツの活用によりさらなる効果や新たな成果が期待できる取組を促進するため、清流の国推進部が主体となり各部局に対してeスポーツの活用事例の情報提供や実施方法の相談支援などを積極的に行っていくべきではないかと考えますが、県の考えを聞かせていただきたいと思います。 ここで一回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 清流の国推進部長 長尾安博君。 〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕
◎清流の国推進部長(長尾安博君) eスポーツについて二点御質問いただきました。 まず、メモリアルセンターを活用したeスポーツの大会誘致・イベントの開催とインターネット環境の整備についてお答えいたします。 eスポーツについては、ぎふ清流文化プラザにおいて、昨年度、清流の国ぎふeスポーツフェスを、今年度はFOCUS東海学生選手権を開催いたしました。来年度も「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四の中でeスポーツフェスティバルの開催を予定いたしています。また、昨年の全国将棋サミットや本年四月の清流ハーフマラソンでも、eスポーツを活用した催しを行いました。今後、岐阜メモリアルセンター等でのeスポーツの大会やイベントについては、関係団体の御意見も伺いながら検討してまいります。 次に、岐阜メモリアルセンターのインターネット環境については、スポーツ大会の動画配信等に必要なWi-Fiの整備を競技団体のニーズを踏まえて進めております。既に武道館など四施設で完了し、で愛ドームなど残る七施設でも順次進めてまいります。eスポーツに必要なインターネット環境は、イベントの開催方法、規模等により異なることや、機器の仮設により対応することも可能であることから、常設の必要性も含め、その内容を検討してまいります。 次に、県の施策におけるeスポーツの活用についてお答えいたします。 県では先ほど答弁した事例以外にも、御紹介もありましたが、健康福祉部では、本年十月から地域の介護予防教室において、パズルゲーム等を高齢者に体験いただく取組を開始しており、年度内に計十二回実施する予定です。 警察本部では、ドライブシミュレーターを用いてパトカーをバーチャル上で運転することで、安全走行の疑似体験を行う交通安全啓発イベントを民間企業と連携して実施をいたしました。 また、県が各種スポーツ大会の開催を支援するスポーツ振興まちづくり補助金の対象にも、今年度からeスポーツを追加いたしております。 県や市町村の施策にeスポーツがより一層活用されるよう、清流の国推進部において、行政分野での活用事例を収集した上で、庁内各部局や市町村に情報提供し、積極的な活用を促してまいります。また、技術的な相談の依頼があれば、ぎふDX支援センターも活用しながら事業化につながるよう支援してまいります。
○議長(野島征夫君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕
◆二十八番(長屋光征君) 御答弁ありがとうございました。 次に、青色防犯パトロール専用車両の自動車税種別割の減免について、
総務部長事務代理にお伺いをいたします。 皆さんも青色回転灯をつけて防犯活動を行っている車、いわゆる青パトを町なかで見かけたことがあるかと思います。これは、子供の見守りを含め様々な犯罪が県民の生活に不安を与える中、地域の安全は地域の手で守るという考え方の下、地域での積極的な安全活動に取り組む自治会などの防犯ボランティア団体の皆さんが防犯パトロール活動の一つとして行っているもので、平成十六年から始まっています。この青色回転灯は夜間でもよく目立ち、地域の防犯意識を高めるとともに、不審者に対して警戒感を与え、地域の安全、犯罪抑止に大きく貢献をしています。 この青色回転灯を自動車へ装着するには、事前に地元警察署へ相談し、青パトに乗る方全員が青色防犯パトロール講習を受講する必要があります。また、警察署へ申請書類を提出し、警察本部から証明書、標章、パトロール実施者証の交付を受ける必要があります。また、パトロール車両に青色回転灯を装着するには、陸運局で手続をしなければならないようになっています。 こうした防犯活動を行っている県内の防犯ボランティア団体は、昨年十二月末現在で千二百三十団体あり、その構成員数は約六万五千人となっています。このうち、青パトによる防犯パトロールを行っている団体は百四団体で、その車両台数は合計で二百六台となっています。 私の地元岐阜市では、この青パトでの防犯パトロール活動が地域の安全に大きな効果があると考え、青色回転灯の支給、活動時に必要な「パトロール中」の表示と団体名を記載したマグネットシートの支給、警察署及び地方運輸局への申請の手続のサポートといった支援を行っています。また、この青パトの専用車両が軽自動車である場合は、青パトの証明書の交付を受けている車両に対して、軽自動車税種別割の市税が減免されることとなっています。 こうした状況の中、先日地元の自治会の方から、青パト専用車の自動車税種別割の減免について相談を受けました。事情をお聞きすると、自治会で宝くじの助成事業により防犯パトロール用の自動車をもらい受けたが、軽自動車であれば市の軽自動車税種別割の減免を受けられるものの、今回提供を受けた車が普通車両であったため、県税の自動車税種別割の税金がかかってしまうという話でありました。 この宝くじの助成事業による車両の提供に関しては、受け手側が車両を選択することができないようになっているとのことで、地域の安全のための青パト防犯活動に取り組もうとする自治会に対し、通常と同じ県税負担が発生してしまうという現状を知りました。地域の安全、犯罪抑止に大きく貢献をしている青パト活動を県としてもさらに後押ししていく必要があり、防犯活動への金銭的負担を少しでも減らす対策を講じていくべきだと強く感じています。 そこで、
総務部長事務代理にお伺いをいたします。 地域の防犯活動に大きく貢献をしている青色防犯パトロール専用車両について、県税の自動車税種別割を減免し、防犯ボランティアの活動を支援していくべきであると考えますが、県の考えについてお伺いをしたいと思います。 次に、県職員に対する過剰な電話相談やカスタマーハラスメントに相当する電話への組織的な対策について、
総務部長事務代理にお伺いをいたします。 十月上旬の新聞やテレビの報道などで、秋田県で小屋に居座った熊の親子三頭を地元の猟友会が駆除したことに対して、県の担当課に対して鳴りやまないほどの多くの抗議電話が寄せられたとの報道がありました。電話の内容は「駆除される熊がかわいそう」と駆除に反対する内容がほとんどで、県外在住者からの電話が多く、これに対して秋田県の佐竹知事は、電話の多くは氏名を名のることもなく、駆除に対する批判を一方的に話すものだとして、記者会見で「これに付き合っていると仕事ができない。これ業務妨害です」と述べられていました。また、同県の担当者は、全国の中でも秋田県は人の生活圏と熊の行動範囲が近い。秋田県に住む方や同じ東北の方は事情を分かってくれているが、県外の、特に西日本などの遠い地域から電話をしてくる方は、こうした事情を全く御存じない。人の命を第一に守っているということを理解してほしいと話されていました。さらに、こうした報道の中で専門家は、執拗な電話はカスタマーハラスメントであり、言葉の暴力。堂々と電話を切っていいルールをつくるべきだと述べられていました。 カスタマーハラスメントとは、厚生労働省によれば、顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものと定義されています。 また、厚生労働大臣が定めるパワーハラスメントの防止に関する指針においては、事業主は、顧客等からの著しい迷惑行為によって雇用する労働者の就業環境が害されないよう、相談対応の体制や被害者への配慮のための取組、ハラスメント防止のための取組を行うことが望ましいとされています。 先日、私が所用で県庁のある課を訪れた際にも、昼休み中にもかかわらず若い職員の方が食事も取らず長時間にわたって電話対応をされており、終わった後に話を聞いてみると、県外の方からの電話で、県として答えられないような質問を長時間にわたって何度も繰り返され、また以前から何度もかかってきているとのことでありました。ほとんどの職員の皆さん、特に電話に出られることの多い若い職員の皆さんは、電話の内容がどのようなことであっても丁寧に対応されており、このような過剰な電話相談と思えるような電話に対しても、自分から電話を打ち切ったり、相手が納得しないまま電話を切ることはなかなか難しいのではないかと感じています。 電話の内容が明らかな脅迫や恫喝、暴言、県への不当な要求と判断されるようなものであれば、県が作成している外部からの不法・不当な働きかけへの対応方針などにより、危機管理事案として組織で対応されることとなるかと思いますが、しかし明確にはそうとは言い切れないようなもの、例えば県として答えようがない話を長時間されるもの、自分の主張だけを何度も繰り返されるもの、既に回答をしているのに何度も電話をかけてくるもの、また県外の方からの電話で、県内の事情を知らないにもかかわらず一方的に批判をされるようなものについても、その程度によっては職員への迷惑行為、業務妨害に当たると考えます。こうした危機管理事案には該当しないまでも、職員への過剰な電話相談やカスタマーハラスメントに相当すると考えられるようなケースの電話に対して、組織としてさらなる対策が必要であると考えます。 そこで、
総務部長事務代理にお伺いをいたします。 過剰な電話相談やカスタマーハラスメントに相当する電話から職員を守り、組織として電話による迷惑行為、業務妨害に適切に対応するため、県としてマニュアルの作成や研修等の実施に取り組むべきであると考えますが、現状と今後の対策についてお伺いをしたいと思います。 最後に、市町村の高齢者補聴器購入助成制度への支援について、健康福祉部長にお伺いをいたします。 この質問は以前の議会でも取り上げられていますが、少し観点を変えて私のほうから質問をさせていただきたいと思います。 高齢になるにつれ、特別な原因がないにもかかわらず、耳が聞こえにくくなる症状を加齢性難聴といいます。この加齢性難聴は誰でも起こり得る可能性があり、一般的には五十歳頃から始まり、六十五歳を超えると急に増加をすると言われています。その割合は、六十歳代前半では五人から十人に一人、六十歳代後半では三人に一人、七十五歳以上になると七割以上との報告もあります。 この加齢性難聴で考えられる影響として、外出先で周りの音が聞こえないために事故などに遭いやすかったり、災害を知らせる警報に気づかなかったりするなどの危険性があります。また、難聴が続くと認知症のリスクが高まるという研究結果、議会でのお話もありました。 さらに、難聴の方は人の声が聞き取りにくくなることによって、コミュニケーションに支障を来し、孤独・孤立しやすい傾向にあります。総務省の調査によれば、全国の独り暮らしの高齢者数は男女共に増加傾向にあり、令和二年には男性約二百三十一万人、女性約四百四十一万人となっています。今後も独り暮らしの高齢者数は増加傾向が続き、令和二十二年には男性約三百五十六万人、女性約五百四十万人となることが予想されており、独り暮らしの難聴の高齢者が地域における孤独・孤立の問題を抱えるケースもさらに増えていくものと考えられます。 現状では、身体障害者福祉法において両耳の聴力レベルがそれぞれ七十デシベル以上の方など、聴覚機能に重度の障がいがある方を身体障がい者として、補装具費支給制度による補聴器の購入経費の支給がありますが、身体障害者手帳の対象とならない軽・中等度の難聴の場合は、この支給制度の対象外となっています。補聴器の価格は、その形状や機能によって様々で、一般に小型で高性能となれば価格が上昇する傾向にあり、数万円のものから五十万円台のものもあります。 一般社団法人日本補聴器工業会が二〇二二年に調査をしたデータによると、補聴器購入者の一台当たりの費用相場は十万円から三十万円となっており、決して安いものではありません。このため、県内の市町村では、聴力の低下により日常生活に支障があるものの身体障害者手帳の対象とならない高齢者の外出時、災害時などの安全を確保するため、またコミュニケーション手段の確保により積極的な社会参加を促すため、高山市、関市、飛騨市、海津市、岐南町、輪之内町、白川村の七つの市町村が独自の制度を立ち上げ、高齢者への補聴器購入費用に対する四万円から五万円程度の助成を行っています。 こうした市町村の取組は、聴力の低下により日常生活に支障を来している高齢者を守り、閉じこもりを予防して社会参加への意欲向上を図ろうとするものであり、高齢者の豊かな生活を守っていくために、大変有意義なものであると考えています。耳が聞こえにくい高齢者が補聴器を積極的につけることによって、必要な音が聞こえ、会話がしやすくなること、つまり高齢者の暮らしの安全・安心が守られ、孤独や孤立を防ぐことにつながっていくことは、市町村の取組が広がってきていることを見ても明らかであります。 また、今年四月の国会の内閣委員会においても、国務大臣ははっきりと高齢者の加齢性難聴者はコミュニケーションに支障が生じやすく、こうした方が孤独・孤立の問題を抱えることがない環境づくりが大事であり、そのためには地方自治体の役割が重要だと述べられています。科学的な検証を待つまでもなく、県として市町村の高齢者を守る取組を支援していくべきではないでしょうか。 そこで、健康福祉部長にお伺いをいたします。 高齢者の暮らしの安全と安心を守り、孤立・孤独を防いで積極的な社会参加を促すため、県として市町村の補聴器購入助成制度への支援を行い、市町村の取組を後押ししていくべきだと考えますが、県の考えについてお伺いをしたいと思います。 以上で私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君)
総務部長事務代理 平野孝之君。 〔
総務部長事務代理 平野孝之君登壇〕
◎
総務部長事務代理(平野孝之君) 二点御質問いただきました。 初めに、青色防犯パトロール専用車両の自動車税種別割の減免についてお答えをいたします。 税の減免の制度化に当たっては、補助金など他の政策的な選択肢も念頭に、公益性や税負担の公平性などの観点から慎重な検討が必要です。御指摘の自動車税種別割の減免については、現在は災害被害者や障がい者に対する場合などに対象を限定しております。 青色防犯パトロール実施団体を含む防犯ボランティアに対しましては、これまで腕章、ベストの支給などを行ってきておりますが、制度を所管する県警本部からは、青パト実施団体から税の減免を求める意見が寄せられていると伺っております。 青パト車については自主防犯パトロールを適正に行うことを前提に、県警本部長の証明により使用が認められているものであり、一定の公益性があると考えられます。一方で、青パト車の中には青色回転灯の脱着が可能であるなど日常生活での使用も想定されるものがあります。今後、車両の使用実態等も踏まえ、自動車税種別割の減免の可否について検討してまいります。 次に、県職員に対する過剰な電話相談やカスタマーハラスメントに相当する電話への組織的な対応についてお答えをいたします。 県に寄せられる様々な相談や苦情は、県民ニーズを把握する貴重な情報源であるとともに、県民とのトラブルを未然に防ぐ手がかりにもなることから、職員がまずは相手のお話をお聞きし、誠実に対応しなければなりません。一方で、担当する業務の範囲や程度を超えて不合理な要求を繰り返す電話相談や、人格を否定するような発言がなされる苦情電話もあり、職員がその対応に負担を感じている実態があります。 このようなカスタマーハラスメントに相当すると思しき相談や苦情の電話に対しましては、対応に当たった職員一人に負担を背負わせることがあってはならないと思います。このため、その内容や対応方法を組織で共有することを徹底するとともに、県職員コンプライアンスハンドブックに電話対応時に役立つ対応例を具体的に明記するなど、職員を守り、県の円滑な業務執行に支障を生じさせない効果的な対策を検討してまいります。
○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。 〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕
◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 市町村の高齢者補聴器購入助成制度の支援につきましてお答えを申し上げます。 中等度の加齢性難聴者への支援については、認知症予防や介護予防につながる可能性があり、現在、国で研究が続けられています。これまで県では国の研究の動向を注視するとともに、他県の取組事例の情報収集のほか、医療団体や市町村との意見交換を進めてきましたが、いまだ科学的な検証による明確な因果関係は示されていないと承知しております。 なお、補助制度を導入済みの市町村からは「社会参加への支援につながっている」との意見がある一方で、未導入の市町村からは「住民からの相談・要望がない」「難聴と認知機能との関係は確立しているとは言えないのではないか」という意見も挙げられているところでございます。 今後、これらの意見や国の研究結果を踏まえ、補助制度創設の要否を判断してまいります。あわせて、加齢性難聴は全国共通の課題であることから、国による公的な補助制度を創設するよう、引き続き要望してまいります。
○議長(野島征夫君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕
◆二十八番(長屋光征君) 簡潔に三点だけ
総務部長事務代理と健康福祉部長にお伺いをしたいと思います。
総務部長事務代理には青パトのほうの支援についてですけれども、私自身も脱着可能なものとそうじゃないものは理解をしています。脱着可能は
総務部長事務代理が言われるとおりで、実際使ったかどうかというのがなかなか難しい判断になると思うんですが、現実として装着をしてしまっているものというのはしっかりと防犯パトロールに使っていると、そういったものが分かるのであれば検討していただくのは大変ありがたいわけでありますが、早急に新しい年度になっていくわけですから、しっかりとそこの部分を岐阜県警と共に検討していけないのか、前向きに速やかにできないのかというのが最初の一点目。 そして、もう一点のカスタマーハラスメントのほうも、現実にそういったことが我々の県庁舎であったりだとか、出先機関であると思うんですね。マニュアルの作成も僕は早急にやっていくべきだと思うんですよ、しっかりと。今現実、この瞬間もひょっとしたら県庁の職員さんたちはいろんな電話を受けているかもしれないと。そう考えると、そちらのほうもすぐにでもつくってやるべきじゃないかなと思うんですが、もう一度スケジュール感も含めて教えてください。 最後に、健康福祉部長、補聴器の助成制度について御答弁は理解をしましたが、私は今回あくまでも認知症の観点で聞いているわけではないんですね。ではなくて、コミュニケーション能力が明らかに落ちてしまっているんではないかと。それに伴って今の健康福祉部長の答弁の中でも、導入している市町村からは必要ではないかと、効果的にできているではないかという意見があるんであれば、まずはそちらから支援をしていくべきではないかと。どのぐらいの額かどうかは別としても、そういったことを研究の結果を待つんではなくて、どんどんどんどんそういった方が増えていくんであれば、しっかりとやっているところに対して対応していくべきじゃないかというふうに思うんですが、そちらの導入している市町村に対しての支援をいま一度お聞かせいただきたいと思います。
○議長(野島征夫君)
総務部長事務代理 平野孝之君。 〔
総務部長事務代理 平野孝之君登壇〕
◎
総務部長事務代理(平野孝之君) 二点再質問いただきました。 まず、一点目の青色防犯パトロール専用車両の件でございます。 先ほども御答弁申し上げましたとおり、この青パト車につきましては一定の公益性があると考えております。したがいまして、専用車両の捉え方を速やかに明確にして、できるだけ早く結論が出るように検討していきたいと思っております。 続きまして、カスタマーハラスメントについてでございます。 こちらにつきましても、現場におきまして非常に負担を感じている職員がおるというのは事実でございますので、他県等の事例なども速やかに収集しまして、その取扱いについて、できる限り明確にできるよう速やかに検討してまいりたいと思います。
○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。 〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕
◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 市町村の高齢者補聴器購入助成制度の支援につきまして再質問いただきました。 先ほど私の答弁で申し上げたとおり、補聴器をつけることで、社会参加の促進、認知症予防にどの程度効果があるのかといったことは、まだ科学的根拠が示されていないという状況であることは承知をしております。そのため、やはり市町村などと議論を深めながら、国の研究の動向を見極める必要があると考えています。もちろん、答弁で最初にお答えしたとおり、全国共通のこうした課題であることから、国に対して公的な補助制度創設を引き続き要望してまいりたいと思っております。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) ここで、しばらく休憩いたします。
△午前十一時五十五分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三十一番 加藤大博君。 〔三十一番 加藤大博君登壇〕(拍手)
◆三十一番(加藤大博君) 議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い、当初予算における公共事業費の確保、県営可茂工業用水道の料金設定について、それぞれ知事のお考えを伺いたいと思います。 まずは当初予算における公共事業費の確保についてです。 少子高齢化の急速な進展は、私たちの地域のみならず、日本社会全体に大きな変化をもたらそうとしています。とりわけ人口の減少と高齢者の増加は、コンパクトでより効率的な社会構造への変革を半ば強制しているように感じます。しかしながら、安易に単純な縮小化を選択することも正しい判断とは言えないように思います。 岐阜県の総面積は、一万六百二十一キロ平方メートルで全国七位です。可住地面積は二〇・八%で全国四十五位。濃尾平野の北端に位置する一部の都市部を除き、山間部の盆地などに点在した集落によってまちや都市が形成されてきました。このことが地域ごとの多様な文化や地場産業の発展につながり、多様性のある岐阜県らしさをつくり出してきました。 一方で、広大な県土に点在する集落をまちとして機能させるためには、道路網をはじめとするインフラを欠くことができません。その結果として、ほかの都道府県と比較しても多くのインフラを整備し、維持管理していく必要が生じています。 実際、岐阜県が管理する道路施設だけでも、管理延長が全国十一位となる四千百四十キロ、橋梁数も十五メートル以上のものが千六百三十四橋で全国二位、二メートル以上の橋梁でも四千三百三十橋と全国で三位の管理数を誇り、トンネル延長については全国一位です。 しかも、こうした既存の道路や橋梁、トンネルなどの交通インフラや県民生活の安全と安心を守るための砂防施設や治山施設、河川構造物に至るまで、様々な基盤インフラの多くが建設から五十年前後経過しています。いまだ十分なインフラ整備がなされていない中、また限られた予算の中で既存施設の維持管理費が増大していくことで、十分な維持管理や必要な施設整備を行うことができるのか懸念されます。 例えば地域から寄せられる要望は、高規格道路を整備してほしいというようなものばかりではありません。路肩の草刈り、路側線や規制線の引き直し、あるいは穴が空いた路面の補修など、安心して生活を継続していく上で最低限の整備をしっかり行ってほしいというものがその多くを占めるようになっています。 現地の土木事務所は、事情が許す範囲でその要望に応えようと努力していると感じています。では、なぜこのような要望が多く聞かれるのか。単純に維持管理予算が足りず、県民の期待に応えるだけの業務が既に難しくなりつつあることの表れではないでしょうか。そして、この維持管理が必要なのは道路だけでなく、橋や護岸などの河川構造物、災害から生活を守るための砂防施設や治山施設など多岐にわたります。 また、岐阜県はいまだ必要十分なインフラが整備されているという状況ではありません。維持管理にとどまらず、県の活力を高めるために産業を育成し、それぞれの地域文化や伝統をつないでいくために、道路に限らず必要とされる様々なインフラを今後もしっかりと整備をしていかなくてはなりません。 来年、令和六年には岐阜県で第四十八回全国高等学校総合文化祭、第三十九回国民文化祭、第二十四回全国障害者芸術・文化祭が開催されます。それぞれの地域で育まれた多様な伝統・文化を国内外に発信する貴重な機会であり、次世代に継承していくための大きなポイントになるのではと感じています。 地域で育まれた伝統や文化を次世代へ継承していくためには、何よりもそれぞれの地域において活力を維持していくことが求められます。その活力の原点は、安心して暮らしていくことができるということにほかなりません。人が安心して暮らしていくためには様々な要素があります。例えば病院や学校であったり、飲食店が充実していること、あるいは治安のよしあしであったりと多岐にわたります。それぞれの置かれた立場によっても変わってくるかもしれません。 しかし、今や日本国全体が急速な少子高齢化という大きな課題に直面しています。少子化の進行による人口減少と高齢化の進展による生産年齢人口の減少は、とりわけ地域に大きな影を落としています。結果、一つの地域で安心や安全をしっかりと担保することが難しい状況が散見されるようになってきました。 コンパクトシティーは一つの理想型かもしれませんが、岐阜県のような地域特性を持ち、また伝統や文化を次世代につなぎたいと望むのであれば、それぞれの地域が有機的につながり、足りないものを補い合うことができるようにする必要があると考えます。 そのためには、市街地や主要な集落を結ぶ主要地方道をはじめとする県道や様々なインフラの整備、維持管理を決しておろそかにすることはできません。また、少子高齢化社会が進展する中で、今後も生活環境の維持や災害防除、食料、木材などの原材料の供給など、地域が果たしてきた多面的な役割を可能な限り果たしていくためには、一層効率的に田畑や山林などの管理を行っていくための基盤整備を進めていく必要もあります。 また、公共交通機関ではなくマイカーに依存する岐阜県においては、生活基盤がより広域になることは、高齢化が進む地域においては大きな課題です。各市町村も公共交通網の維持に尽力し、岐阜県も支援を行っているところですが、利便性の担保が難しいことなどから成果は厳しいように思います。ならばと、現在開発が進む自動運転に期待を寄せようにも、そうした技術が必要とされる地域ほど、現在の道路整備事情では厳しい現実があります。路側線や規制線すら消えて見えなくなってしまっているなど、技術導入に必要な基本的な環境すら整っていません。また、路面状況も良好とは言えず、そもそも車両が安全に通行できる状態の道路が十分に整備されていない現状があります。 岐阜県では、交通インフラと言えば、依然として道路網に依存せざるを得ない状況にありますが、国土交通省が公表している道路整備率は五四・九%で、全国三十四位と決して高い水準で整備が進んでいるわけではありません。 ここ十年間の公共事業費の予算額の推移を見ると、財政難により抑制されていた公共事業費が徐々に以前の水準に回復しつつあるように見えますが、特に近年では、当初予算ベースにおいては事業費が低く抑えられ、国の交付金等を活用した補正予算によって事業費を確保しているように思われます。 総額が確保されればよいという意見もあるかもしれませんが、交付金による補正予算では対応できない事業などもあり、何より当初予算によってそれぞれの地域における事業規模にめどが立たないことには、事業を受注する建設事業者をはじめ、関係者は人材や機材への投資を行うことが難しくなります。それは結果として地域の防災力の低下につながり、県民の安全と安心を毀損することになるのではないでしょうか。 現実に、全国各地で中小の建設事業者の廃業や倒産が増加傾向にあります。特に岐阜県のように、広く災害リスクの高い地域が点在する県土を適正に維持するという意味では、災害対応などに当たる建設事業者が各地域にしっかりと根差しながら健全に育成されることが必要だと考えます。しかしながら、現状ではそうしたことが難しい状況にあるのではないかと感じています。 安定した財政を維持することで、将来に迷惑をかけないようにするのが責任だとの発言を聞きました。現在、最低限の維持管理がされなくなりつつあるインフラの状況は、県民に迷惑をかけることになってはいないのでしょうか。必要な投資を先延ばしにした結果、不利益を被るのは、結局のところ県民であることを心に留めておかなくてはならないと思います。行き過ぎた過剰な投資はもとより望むものではありませんが、必要な場所、適切な時期にしっかりと予算を確保することは、将来の県民に対する責任だと考えます。 既存の基盤インフラを維持していくための費用は今後も増加していくと考えられます。しかし、現状は既に十分な維持管理を行うことができない状況にあるように感じます。また、価値観が多様化し、変化の激しい社会状況の中にあって、岐阜県が活力を持って発展していくためには、新たな社会課題にも速やかに対応し、将来を見越した投資も必要と考えます。そのような投資によって、地域の伝統や文化を支える人々、安全を担う建設事業者などが希望と安心感を持って地域の発展に貢献できるようにすることは、県行政の大きな役割だと確信します。 そこで知事に伺います。 今後、公共事業費の需要が一層増大していくことが想定される中で、事業費の総額確保は最大の課題ですが、地域課題に適切に対応していくためには、補正予算による事業費の確保にとどまらず、当初予算においても、整備を着実に推進していくための事業費を確保していくことが必要であると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 次に、県営可茂工業用水道の料金設定についてお尋ねします。 県東部に位置する東濃地域と可茂地域は地下水源に乏しい地域であり、水の安定的供給は古くからの重要課題でした。そのため岐阜県では、東濃地域及び可茂地域の七市四町に水の安定供給を行うための岐阜東部上水道用水供給事業と、可茂地域における工業開発を支援するために整備された可茂工業用水道事業の二つの事業を行っています。 まず岐阜東部上水道用水供給事業は、東濃地域を給水対象とする東濃上水道用水供給事業と、可茂地域を給水対象とする可茂上水道用水供給事業の二事業が創設されたことが始まりです。これは経済の高度成長や都市の拡大により、それまで各市町で個別に行われていた水道事業が新たな水需要増に対応することが困難となり、県が東濃・可茂地域の将来にわたる水の安定供給を望む地域の要望に応えた結果でした。 昭和四十六年に建設が開始され、両上水道用水供給事業の建設が完了した昭和五十一年度から給水が開始されています。その後、東濃・可茂地域の都市化の進展に伴い、給水区域の拡張並びに水道施設の整備拡充を順次実施し、水源供給系統の多重化による危機管理の充実と、東濃西部地域における水需要増加への合理的対処のため、平成十六年には両事業を統合して岐阜東部上水道用水供給事業となりました。 なお、給水規模は、創設当時の六市四町の約二十八万人から、現在では、七市四町の約五十万人の生活用水を供給するまでに至っています。 市町で独自の水源を新たに確保することが困難など、東濃・可茂地域は古くから水源不足に悩まされてきた地域であったことなどが理由としてあるにせよ、昭和四十年代というかなり早い時期に水道事業の広域化、施設の集約化に努めてきたことは注目に値します。 可茂地域では、条件有利地域である岐阜市や関市の一部地域などと比較して、この岐阜東部上水道の水道料金について殊さらに高いと指摘を受ける機会が多いのですが、早い段階から取り組んできた広域化等の取組の成果として、水道事業を行う上での条件不利地域にもかかわらず、全国的に比較してみても高い水準とは言えません。また、様々な事業体で安定的な水供給事業の継続に警鐘が鳴らされる中にあって、岐阜東部上水道用水供給事業においては、そのような不安は聞かれません。このことに関しては、先人の炯眼と判断に感謝するほかはないと感じます。 次に、可茂工業用水道事業は、既存企業の発展並びに東海環状自動車道の開通による企業立地の増加に伴い、増大することが見込まれた水需要に応え、産業の振興に貢献することを目的に、可茂地域の美濃加茂市、坂祝町、川辺町の一市二町へ給水するため、平成七年度に補助事業採択を受け整備が進められ、平成八年より給水を開始しています。その後、逐次給水区域内の工業団地整備に合わせた管路の拡張やポンプ施設の整備等による管路延長など、地域の工業用水需要に応えてきました。 このように、可茂工業用水道は、可茂地域、とりわけ美濃加茂市、坂祝町、川辺町における工業用水の要となるものです。加えて平成十五年からは公園などへの雑用水の供給を行うなど、水資源及び施設の有効活用や事業経営の向上にも努めています。 しかしながら、可茂工業用水道の料金設定は、近隣の愛知県や三重県と比較すると、基本料金では愛知県の約二倍、三重県の約三倍と高くなっており、全国的にもかなり高い水準にあります。折しも物価高騰など経済情勢が厳しい中で、地元の企業からも固定費など値下げを求める声があることも理解できるところです。 こうした中、さきの九月定例会に提出された決算書によると、県営可茂工業用水道事業の当年度純利益は約二千六百万円、また未処分利益剰余金の年度末残高が約五千七百万円と経営状況は順調とのことです。新たな大規模投資を行うなど、長期収支に大きな影響を及ぼす要素がないことが一つの条件になるのかもしれませんが、地域経済や雇用等に貢献してきた受水者への支援という観点、また長期間にわたり多量の可茂工業用水道の利用を継続し、工業用水道事業の安定化に協力いただいた受水者への利益還元という点でも、料金の見直しについて検討すべきではないかと考えます。 そこで知事にお尋ねします。 安定的な水道供給を前提とした県営可茂工業用水道の料金設定について、知事はどのようにお考えかお伺いをいたします。 質問は以上です。知事の答弁に期待し、発言を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 二点お尋ねがございました。 まず、当初予算における公共事業費の確保についてでございますが、御指摘いただきましたように、本県にとりまして、道路ネットワークの新設・改良、河川改修などの防災・減災対策をはじめとして、インフラ施設の整備や維持管理は、地域の活力向上、県民の安全・安心の確保につながる重要な取組であります。このため、これまでも着実に推進してきたところでございます。こうした中で、公共事業に係る当初予算額でありますが、行財政改革アクションプラン実施後の平成二十五年度以降、増加傾向にございました。 一方で、令和二年度、国補正で思い切った国土強靱化対策が盛り込まれました。以来、本県では、内容的に有利な国補正を活用した補正予算と次年度の当初予算を一体的に編成して、県にとって必要な事業を極力執行していく、いわゆる十五か月予算の考えを取り入れてきております。この点については、国もしばしば十五か月予算に言及しております。 今、内容的に有利というふうに申し上げましたが、県債の充当率が一般の公共事業であれば九〇%であるのに対し、補正予算における国土強靱化対策の実施に伴う県負担額については一〇〇%充当することが可能であります。さらに、県債償還に係る交付税算入率についても、通常二〇%であるものが五〇%に引き上げられておるわけであります。令和三年度以降の予算編成におきましては、このような考え方の下で、公共事業トータルの事業量をおおむね継続、確保してきた次第であります。 国においては、今年七月に国土強靱化基本計画を改定し、今後とも国土強靱化を積極的に推進する方針であります。したがって、県も引き続きこれに呼応して、国補正予算も活用しながら公共事業全体を推進してまいりたいと思っております。このような考えの下で、当初予算に計上する事業規模でありますが、補正予算、県債発行による財政負担、さらには財政状況全体も考慮しながら、バランスある予算配分となるよう編成作業の中でしっかりと検討していきたいと考えております。 なお、インフラ施設に係る維持管理予算が必ずしも十分でないという御指摘もございましたが、本年度の公共事業予算のうち、維持管理予算は約二割でございます。このレベルは、ここ数年ほぼ同程度ということで推移しているわけでございます。 次に、県営可茂工業用水道の料金設定でございますが、県では、平成八年から美濃加茂市や坂祝町において工業用水の供給を行っております。その契約事業所数は、事業開始時の三事業所から、現時点で十三事業所まで増加しております。 これらの地域では、平成十七年に東海環状自動車道東回り区間が開通するなど交通利便性が高まっており、美濃加茂市の蜂屋台工業団地や中蜂屋工業団地をはじめとした一帯に企業進出が相次いでおります。工業用水は産業の血液であり、地域経済の発展に不可欠な社会インフラであると認識しております。 こうした中、さらなる企業誘致の呼び水とするため、県では、これまで二回にわたり経営の健全性にも留意しながら工業用水道料金の引下げを行ってきております。具体的には、平成二十七年度から大口契約料金の適用を開始するとともに、二十九年度には料金単価の一律十一円の引下げを行っております。この結果、契約水量は、料金見直し前の平成二十六年度と比較して約四〇%の増加と順調に推移しております。 一方、地方公営企業として料金収入による独立採算で事業を行うためには、経営の安定性の確保が大前提になります。この点について、県では、工業用水道事業の経営基盤の強化と財政マネジメント向上の観点から、今後十年間の設備投資に関する見通しと、それを賄う財源を試算した岐阜県可茂工業用水道事業経営戦略を令和元年度に策定いたしました。以来、これを踏まえた経営を進めてきておるわけであります。 さらに、本年十月には新たに一社と大口契約を締結し、契約事業所数、契約水量はともに過去最高を記録したことから、このたび収支の再試算を行いました。その結果、具体的には今後十年間の収入は十億二千万円程度、支出は八億八千万円程度を見込んでおり、収支差として一億四千万円程度を確保できる見通しとなりました。これを踏まえて検討を行ったところ、現行料金から五円程度の引下げが可能ではないかというふうに考えております。 昨今の長引く物価高騰など、経済を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。こうした点にも配慮し、来年度から県営可茂工業用水道の料金引下げを実施したいというふうに考えております。このため、令和六年第一回定例会への関連議案上程に向け準備を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十番 恩田佳幸君。 〔二十番 恩田佳幸君登壇〕(拍手)
◆二十番(恩田佳幸君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に沿って四点質問させていただきます。 一点目に、児童発達支援センターの機能強化や巡回支援専門員の整備のための支援についてお尋ねをいたします。 令和四年六月に改正された児童福祉法により、地域における発達支援、特に市町村が実施する児童発達支援センターが中核的役割を担うことが明確化され、巡回支援専門員等の整備により、保育所等に対する訪問支援を強化することが求められています。 そこで、地域全体で発達支援を求める児童に提供する支援の質を高め、障がい者などへの地域社会への参加、包容の推進、つまりインクルージョンの推進に向けた児童発達支援センターの機能強化や巡回支援専門員の整備のための支援についてお尋ねをさせていただきます。 文部科学省が二〇二二年に公立小・中学生と高校生、約八万八千五百人を抽出し、学習や対人関係で困難を抱える子供の人数を医学的な診断基準を参考にした質問項目に担任教員らが答える形で調査した結果、知的発達に遅れはないものの、学習または行動面で著しい困難を示し、注意欠陥多動性障害、いわゆるADHDなど発達障がいの可能性があると推定された小・中学生は八・八%で、前回の二〇一二年の調査六・五%より多くなっています。この八・八%は全国の公立小・中学校で推計すると七十万人を超える人数ともなります。 年々療育や発達支援を必要とする児童・生徒が増加する中で、どの地域で暮らす子供たちでも、どのような環境で育つ子供たちでも、今必要なサービスを適切に提供して、就学や進学をする際に個々が理想とする未来を選択できる環境を整えていくことは、我々が実現していかなければならない使命でもあります。 対象児童が増加する中で、各市町村においてどのようなサービスがどの程度必要なのかは、障害児福祉計画において定めることとなっており、サービスを必要としている方が適切なサービスを受けられるよう取り組んでいます。しかし、現状として、地域によっては当該計画において、例えば放課後等デイサービスは令和五年度の見込みを満たしている一方で、保育所等訪問支援は、令和五年度の見込みを満たしていないという状況であります。 今回の児童福祉法の改正で強化がうたわれている巡回支援専門員整備の強化では、自治体が整備した巡回支援専門員が保育所や放課後児童クラブ等の巡回を実施し、発達支援が必要か気になる段階から地域全体で支援を行うための体制整備を図り、発達障がい児等の支援の充実、家族への支援を行い、専門的な知見に基づき、児童が通う地域のそれぞれの施設内での児童への支援力強化を図っていくものであります。 特に、このたびの法改正により、支援体制の強化をしていく方針となっている児童発達支援センターについては、県内の自治体で六市にしか設置がされていません。また、もう一つの強化項目であります巡回支援専門員整備がありますが、巡回支援専門員の整備を実施している市町村は九市町にとどまっています。 どの地域でもそれぞれの児童の状況に応じた適切な支援を実施していく必要がありますが、特に規模の小さい基礎自治体では、専門的な人材の確保や専門的な人材の育成は非常に困難な現状でもあります。こうした中、市町村の取組を支援していく県の役割も大きくなるとともに、その役割も位置づけられたところであります。今は少し課題を抱えたり、やりたいと思えることが十分にできない状況の子供たちも、早期に適切な支援を行う、今少し支援を行うことにより、子供たちの将来の選択肢は大きく変わる可能性があります。 どの地域でも適切な児童の支援を行い、地域のインクルージョンの推進をしていくためには、各市町村は児童発達支援センターの整備や強化、そして巡回支援専門員の整備のために、国が財政的な支援を行う地域障害児支援体制強化事業を活用し、体制の推進を図っていく必要があり、県はこれを支援していくことが必要であります。 岐阜県は、今年度第三期岐阜県障がい者総合支援プランの改定年度でもあります。児童福祉法の改正により地域における発達支援の強化が求められる中で、プランの中に児童発達支援センターの機能強化や巡回支援専門員の整備などを位置づけ、市町村が実施する取組を支援していくべきと考えます。 そこで健康福祉部長にお尋ねをいたします。 地域全体の障がい児支援体制の強化、インクルージョンの推進をするためには、児童発達支援センターの中核機能としての強化や巡回支援専門員の整備が今後重要だと考えます。こうした体制の強化について、県としてどのように支援をしていかれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、親子関係の再構築支援の推進についてお尋ねをいたします。 令和四年六月の児童福祉法の改正により、県による親子関係の再構築支援の推進が求められています。まずは親子関係の再構築と児童福祉法の改正の趣旨を簡単に説明させていただきます。 親子関係の再構築とは、虐待等により傷ついた親子関係の再構築を図るため、家族の状況や課題等に応じて子供や親、家族、親族等に対して行われる総合的な支援であり、都道府県等が推進役となり、児童相談所と市町村や施設等の関係機関、民間団体等の多様な主体が共同して、重層的、複合的、継続的な支援を行える体制を構築していくこととされています。県が親子関係の再構築支援体制を適切に行えるよう、支援メニューの充実や支援体制の強化を図るため、新たな補助制度の創設もされました。 親子関係の再構築は、虐待が確認されて子ども相談センターでの保護や児童養護施設等の入所後の支援のみだけではありません。例えば出産後の経済的な理由やネグレクト等の精神的な課題、あるいは出産と同時に母親が亡くなり、父親や家族だけでは現段階では育てることが困難な養育上の課題など、乳児院や児童養護施設や養育里親に預けられるケースなどもあります。その後、家族が抱える課題が解決した後の親子関係の再構築もこの対象となります。 実際に児童養護施設や乳児院に入所する児童等の入所理由は、虐待が約五割、その他の養育上の要因が約三割と、虐待以外での親子関係の再構築支援も取組を強化していく必要があります。 これまでも親子関係の再構築については、児童福祉法で子ども相談センターの児童福祉司等が要保護児童の保護者へ指導を行うことが位置づけられており、児童虐待防止法では、虐待を行った保護者への指導について、親子の再統合に配慮することが求められております。 岐阜県では、社会的養育推進計画の中に親子関係の再構築は明記されていないものの、児童虐待保護者等カウンセリング事業や、保護者支援プログラム等資格取得支援事業などを実施していただいています。そのほか、児童養護施設を退所する児童の進学、就職の際に行う住居費や生活費などの貸付け、児童虐待の再発防止のための専門的なプログラムに基づく保護者への支援など、具体的な支援策を実施していただいているところと認識しています。 このたびの児童福祉法の改正により、親子関係の再構築の支援体制を強化していくため、国では親子関係再構築のための新体制強化に関するガイドラインの策定に向けて素案の概要が示されたところでもあります。 国の来年度の予算要求によると、親子再統合支援事業として、親子関係再構築支援員の配置や支援が困難なケースに対して、精神科医等の外部機関から助言指導を受けることのできるスーパーバイズの導入や、児童相談所等の職員の資格取得を支援する保護者支援プログラム等資格取得支援事業、親子関係再構築民間団体育成事業などがあり、県の取組を支援していく様々な事業が示されています。 また、具体的な取組として親子再統合支援事業では、令和五年度保護者指導・カウンセリング強化事業等が実施され、このたびの国の補正予算でも対策を強化していくための予算が可決されるとともに、令和六年度も事業内容と概算要求額等も示されてきたところであります。 令和三年九月議会におきまして、親子関係の再構築について、当時は家族の再統合として質問させていただきました。社会的養育推進計画には、家庭養育優先原則がうたわれておりますが、家族の再統合に向けた支援については明確に記載されているわけではないので、各種支援策を計画に位置づけることを検討していきますとの御答弁を当時いただきました。 来年度、岐阜県社会的養育推進計画の改定年度でもあり、国の法改正や厚生労働省やこども家庭庁でも親子関係の再構築に向けた社会的養育推進のための強化が進む今だからこそ、親子関係の再構築に向けた具体的な取組を岐阜県社会的養育推進計画に位置づけるべきと考え、本質問をさせていただきました。 どのような環境で育つ子供たちでも、幸せで安心した未来に希望が持てる社会を築いていくとともに、諸課題が解決した後に子供本人が希望する場合は、産みの親と再び良好な関係を構築し、当たり前の幸せが実感できる環境を整えていくのは私たちの責務でもあります。 実際に出産直後に母親が亡くなり、生まれたばかりのお子さんを抱える御親族の方が、今後のお子さんについて御相談に来られました。結果的に里親の方に育てていただくことになりました。言わずもがな、里親の方々の皆さんや児童養護施設の方々の多大なる御尽力や、また取組によって、多くの子供たちの未来が守られております。里親や児童養護施設、親子関係の再構築も含めて、子供自身が未来を選択できる機会をつくるべきと考えます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねをいたします。 児童福祉法の改正により、県による親子関係の再構築支援の推進が求められています。この親子関係再構築支援の強化について、岐阜県社会的養育推進計画への位置づけと、親子再統合支援事業を活用した取組の推進について御所見をお尋ねいたします。 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組の促進についてお尋ねをいたします。 先月三十日に国連気候変動枠組条約第二十八回締約国会議(COP28)が開幕し、昨日閉幕をいたしました。世界気象機関(WMO)は、開幕日に今年十月末までの世界の平均気温は、産業革命の前と比べておよそ一・四度上昇しており、一年間の平均気温が観測史上最高になる見込みだとする予測を発表いたしました。さらに、海の温暖化や氷河の融解なども進んだことから、二〇一三年から十年間の海面上昇の速さが、一九九三年から十年間の二倍になっているとも報告がされております。 国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、今年七月に温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来たと最大限の表現で危機感を表しています。脱炭素の取組は待ったなしの現状であります。今を生きる我々が今まで以上に対策を講じ、さらに加速させていかなければなりません。そのためには、県民の皆様と、また企業の方々が脱炭素を我が事として認識し、より主体的に参画していくことが重要だと考えます。 そこで、まず県民の皆様の主体的な取組の参画について御提案をさせていただきます。 令和五年十一月に内閣府が公表した気候変動に関する世論調査によると、「二酸化炭素などの排出を減らす取組について」との質問に対して、「取り組みたい」と回答した人は九〇・二%と多くの人が取り組みたいと考えています。逆に「あまり取り組みたくない」「全く取り組みたくない」と答えた人に取り組みたくない理由を聞いた結果、「地球温暖化対策にどれだけ効果があるか分からないから」と答えた人が四七・五%いました。 また、十一月九日に開催されました「清流の国ぎふ」SDGs推進フォーラム二〇二三で出た質問でも、自分たちが行っている一つ一つの身近なSDGsの取組が、国連で議論されているゴールの達成率にどのように寄与しているのかなかなか実感が持てません。どのように考えればよいのでしょうかという質問もありました。 確かに自分の取組がどれだけ効果があるのかが分からないと取組を始めないと思いますし、これだけの人が分からないと言っていることから、脱炭素に向けて何らかの行動を起こしている人も、自分の行動がどれだけの効果につながっているのか、十分に理解されていない可能性もあります。 また、省エネ家電を選ぶことで電気代が何割削減と言われても、省エネの効果は分かりますが、どれだけ自分の行動が脱炭素に貢献しているのかイメージは湧きません。結果として脱炭素につながっていることにはなりますが、取組の効果や貢献度が分からなければ長続きはしないでしょうし、先ほど申し上げたように、そもそも取組に参加しない人も出てくるのではないかと思います。 そこで、商品選択等をより具体的に促す事例として一例を申し上げますと、デカボスコアという新たな取組があります。デカボスコアのデカボは、脱炭素を意味するディカーボナイゼーションからの由来で、三井物産と提携するスウェーデンのフィンテック企業ドコノミーなどが二酸化炭素排出量可視化ツールを用いて、従来の商品やサービスと比べて削減率を示すものであります。 温室効果ガスに貢献する商品を表示する仕組みとしては、国が主導し、平成二十一年に始まったカーボンフットプリントという二酸化炭素の排出量を表示する仕組みがありますが、このデカボスコアは二酸化炭素の排出量の削減率を示すという点で新しい試みであります。これは、消費者にセール品の価格や食品のカロリーと同じように何%オフの形式で表示することで、消費者にとっても非常に分かりやすいと言われております。 人は効果が分かりやすいと興味を持ち、選択し、継続できるものではないでしょうか。県民の皆様に主体的に参画してもらうために、取組の効果を実感できる仕組み、つまり取組効果の見える化が不可欠であると考えます。 次に、企業の取組の拡大に対する提案ですが、各企業はこれまでも省エネルギー設備の導入や効率的な運用など、脱炭素につながる取組を進めていただいていますが、これをさらに加速させていくような取組が必要だと考えます。 企業にとっては、これまでの取組の中でどの程度の効果が得られているのかは把握をしておられると考えられますが、これまで以上に何に取り組めばよいのかが分からないといった声や、取り組んでいることは取引先や市場からどのような評価を受けるのか、どうやってアピールをしていくのかも分からないといった声も伺うことがあります。 脱炭素の取組を評価する制度といたしましては、世界共通の基準で評価され、既に多数の日本企業が参画をしているSBTやRE100などの取組があります。そのうちのSBTについて御紹介しますと、企業が自ら設定する温室効果ガスの排出削減目標で毎年四・二%以上の削減を目安として、五年から十年先の目標を設定し、認定を受けるものであります。 削減目標は非常に高いものとなっている一方で、気候変動問題に関する国際的な枠組みでありますパリ協定が求める水準と整合していることから、市場などに分かりやすくアピールすることができます。国がSBTの認定を受けた企業にアンケートを行ったところ、SBTの認定を受けたことで五五%の企業が競争力をもたらした、七九%の企業がブランドの評価が向上しているとの結果も出ています。 このSBTの認定を受けることはハードルが高いものでありますが、中小企業向けのやや目標設定の基準が緩やかな中小企業版のSBTも用意されており、県内からも複数の企業が認定を受けているところであります。 しかし、SBTの認定を受けるまでにはいかなくても、脱炭素に対する先進的な取組を行っている企業は確実に存在していると考えます。認定を受けている企業は日本全国で六百社余りあることから、そのような企業が大多数ではないでしょうか。そのような企業の取組を評価し、他の企業の模範として横展開を図っていくことで、評価された企業のモチベーションを上げることが期待されるだけでなく、それ以外のより多くの企業の取組へと拡大していくことが期待されることから、こうした取組こそ、脱炭素社会実現に向けた力強いエンジンとなるのではないかと考えます。 そこで環境生活部長にお尋ねをいたします。 脱炭素社会の実現に向け、県民による取組の効果の見える化と、企業による取組の評価と横展開が主体的な取組を促すために重要と考えますが、御所見をお尋ねいたします。 最後に、ニホンザルの個体数調整捕獲による被害防止の推進についてお尋ねをいたします。 昨今の野生鳥獣の被害が深刻化し、熊や鹿、イノシシ、ニホンザルなどの対策の必要性を訴えるのは、今や山間部や中山間地域ばかりだけではありません。今回の質問では、今年度第二種特定鳥獣管理計画にニホンザルが追加され、本格的にニホンザルの対策を進めていただいている中で、私の地元山県市で先行して行われている個体数調整捕獲による被害防止の推進についてお尋ねをいたします。 野生鳥獣の被害は大きく区分すれば、農作物や自然環境への被害と、人への直接的な危害を加える二区分に分かれます。ニホンザルの農作物への被害は横ばいであるものの、鳥獣による農作物被害全体の一六%を占め、さらに近年、山間部だけでなく町なかにも出没してきており、人への被害が発生することも危惧されております。 そこで本質問では、環境省ガイドラインに沿った第二種特定鳥獣管理計画に定められている生活環境被害や人身被害などのおそれのあるレベル四以上の対策について提案をさせていただきます。 令和四年に生息域の調査をした結果、ニホンザルは山間地及び中山間地域にとどまることなく市街地でも発見され、さらに被害の発生も確認されています。私の地元山県市でもニホンザルが市街地に出没しており、その対策を講じているところでもあります。ちなみに今日の朝も出ましたし、昨日も出没していました。 ここで、今実施している山県市での取組について簡単に紹介をさせていただきます。 昨年十二月にニホンザル対策の第一人者であります兵庫県立大学の山端直人氏にお越しをいただき、ニホンザルの対策について講義及び現地での対策指導を行っていただきました。 東海農政局管内では初めてとなる鳥獣被害防止総合支援事業を活用して、大型のおりわなにて継続的に餌づけを実施し、群れの一定頭数を一度に捕獲する対策でありました。実際に三か月間の餌づけを実施した結果、ニホンザルがおりわなの中で安心して一時間以上くつろぐような場面や、餌づけをした餌を選別しながら食べるなど、そういった場面も確認され、最終的には一度に十三頭を捕獲することに成功しました。 この地域には一群れに五十頭から七十頭のニホンザルが出没していましたが、昨年の取組により今年度の被害はほぼ確認されることはありませんでした。この事業では継続的な餌づけに地域住民の皆様に御協力をいただきました。この取組を効果的に実施していくためには、地域住民の皆様の主体的な参画も必要となります。 山端直人教授のこれまでの研究で、ニホンザルの対策は群れ単位で実施していく必要があるため、個々の猟友会の方々や関係者の方々が捕獲していただき、捕獲頭数が一定数確認できたとしても、地域での被害が減少するのは限定的との見解でしたが、今回の取組は非常に参考になるものでありました。 この取組のほかにも、令和三年第一回定例会にて、ニホンザルに係る第二種特定鳥獣管理計画の策定と個体数調整捕獲の実施について提案をさせていただき、今年度から山県市で個体数調整捕獲を実施していただいているところであります。 今までは農作物等の被害発生抑止を目的とした被害防止捕獲を行っていたのですが、これは畑等に来るニホンザルを捕獲するもので、増加する個体数そのものを減らす目的ではないことから、被害防止は限定的でありました。しかし、個体数調整捕獲は目標個体数を決めて捕獲等を実施するものであります。つまり基本的には農作物被害が申告された地域のみ、農作物を守るために畑等に来るニホンザルの捕獲を行う守りの取組から、個体数調整捕獲を行うことにより、積極的に頭数を減らす攻めの取組に移行することとなります。 県内にニホンザルは二十二自治体に百六十の群れ、そして推計で約四千頭から五千五百頭が生息していると確認されています。ニホンザルの被害などは、今後も増加していくことは明らかであります。農作物への被害や人的被害も発生するおそれがあるニホンザルの対策を行うことは、喫緊の課題でもあります。 冒頭でもお話をいたしましたが、第二種特定鳥獣管理計画にニホンザルが追加され、本格的にニホンザルの対策を進めていかれると思いますが、今山県市で行われている個体数調整捕獲を特に被害の多い地域において実施し、ニホンザルの被害防止を図っていただきたいと考えます。 そこで環境生活部長にお尋ねをいたします。 ニホンザルの被害が広がる中、特に被害の多い地域において個体数調整捕獲による被害防止を推進すべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。 以上で私の四点の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。 〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕
◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 児童発達支援センターの機能強化や巡回支援専門員の整備のための支援についてお答えを申し上げます。 障がいのあるお子さんに対しては、各地域において早期発見と適切な支援につなげる体制の整備が必要です。しかしながら、現在のところ、児童発達支援センターの設置は六市、巡回支援専門員の配置は九市町にとどまっています。 こうした中、来年度施行される改正児童福祉法において、児童発達支援センターが支援の中核的役割を担うこととされ、センターの整備や機能強化、巡回支援体制の構築が図られることとなりました。県としては、市町村に対し、国の財政支援の積極的な活用によるセンターの整備や巡回支援体制の構築を働きかけてまいります。 加えてセンターの機能強化に向け、障がい児支援の実務に精通するアドバイザーを市町村に派遣するとともに、障がい児とその家族へのサポートや、保育所等への巡回支援を担う人材育成研修を実施するなど、支援体制の充実を図ってまいります。また、これらの取組については、次期障がい者総合支援プランに位置づけて推進することとしております。
○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 親子関係の再構築支援の推進についてお答えいたします。 児童虐待相談の増加に伴い、親が子供との良好な関係を再構築できないケースも増加しており、また施設などから家庭に戻ったものの、虐待が再発する事案が全国的に問題となるなど、親子関係再構築に向けた支援の充実がますます重要となっています。 親子関係を再構築していくためには、親の養育方法や家庭環境を改善していくことが必要となります。このため、暴言や暴力によらない子育ての実践的指導や、施設や市町村と連携して家庭環境の改善を図るなどの支援を行っています。また、子供に対しても親と一緒に暮らせない場合を含め、親への思いを整理し、自己を肯定し、将来親となるときに適切な親のイメージを持てることまで視野に入れた支援が必要となります。そのため、傷ついた心のケアや生い立ちについて一緒に振り返りを行うなどの支援をしています。 今後は親子関係再構築支援について、社会的養育推進計画に位置づけた上で支援の強化を検討してまいります。
○副議長(田中勝士君) 環境生活部長 渡辺正信君。 〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕
◎環境生活部長(渡辺正信君) 二点御質問いただきました。 まず、脱炭素社会の実現に向けた県民と企業の主体的な取組の促進についてお答えいたします。 まず県民向けには、小まめな消灯など毎日の生活の中で取り組める二十項目の省エネ行動を自らチェックすることで、温室効果ガスの削減量を計算できるウェブサイトを来月開設し、自らの取組状況と岐阜県の脱炭素化への貢献度を見える化してまいります。 次に、事業者向けには、岐阜県温室効果ガス排出削減計画等評価制度に基づき、三百三十五事業者について令和四年度から三か年の排出量削減に関する計画を評価し、優れた事業者名を公表しました。優れた事業者は、県制度融資で脱炭素に係る事業資金を低利で借りられるメリットをアピールしながら、セミナーや専門家派遣等によりこの制度への参画を促すとともに、排出削減に関する先進事例や効果などの横展開も図っているところです。 令和七年度には三か年の取組実績を評価・公表することとしておりますが、有識者からの御意見を踏まえ、特に優れた事業者への表彰等を行うなど、さらなる同評価制度への参画促進と横展開について検討してまいります。 次に、ニホンザルの個体数調整捕獲による被害防止の推進についてお答えいたします。 ニホンザルは基本的に群れで行動する動物であるため、その管理に当たっては群れの状況に応じた計画的な捕獲を進め、群れの加害性を低下させることが重要であります。 そのため、県では、本年三月に策定した第二種特定鳥獣管理計画に基づき、特に農作物や生活環境へ被害を及ぼす加害レベル四以上の二十六の群れについて、令和九年度末までに令和四年度末時点の個体数千四百二十頭を半減させることを目標に、計画的に個体数の適正化を図る個体数調整捕獲に取り組むこととしております。 今年度は目標達成に向けた効果的な捕獲を進めるため、これらの群れを対象に行動特性を分析するGPS調査を進めるとともに、それらが最も多く生息する山県市においてモデル的に捕獲に取り組んでおります。 今後はこれらの取組で得られた成果を基に、加害レベル四以上の群れが生息する十一の市と町に個体数調整捕獲の実施範囲を拡大することを検討してまいります。
○副議長(田中勝士君) 十八番 藤本恵司君。 〔十八番 藤本恵司君登壇〕(拍手)
◆十八番(藤本恵司君) 皆さん、こんにちは。 議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い、今回は岐阜県消防操法大会についてと、防災教育フェアについての二点を危機管理部長に質問いたします。 まず、岐阜県消防操法大会について伺います。 消防団は本業を持ちながら、自分たちのまちは自分たちで守るという郷土愛護精神に基づき、地域の安全と安心を守るために活躍している人たちが集まる非常備の消防機関の一つとしてほとんどの市町村に設置され、消防団員は権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員に位置づけられています。 一方、団員は他に本業を持ちながら自らの意思に基づく参加、すなわちボランティアという性格も有しています。このため、消防団員の確保が難しくなっていると考えられます。 消防団員は消防、防災に関する知識や技術を習得し、火災発生時における消火活動、地震や風水害といった大規模災害発生時における救助・救出活動、警戒巡視、避難誘導、災害防御活動などに従事し、地域住民の生命や財産を守るために活躍しています。また、平常時においても、訓練のほか応急手当の普及指導、特別警戒、広報活動などに従事し、地域における消防力、防災力の向上において重要な役割を担っています。 消防団員は災害発生時に即時に対応して地域の安全を守るという任務を的確に果たすため、知識・技能の習得はもとより、危険な災害現場における安全確保のためにも、日頃から適切な教育訓練を受けておくことが必要であります。 このように、消防団は、地域における消防・防災の一翼を担う中核的存在として、地域住民の安全・安心を守るための消防団という変わらない使命感で献身的な活躍をされています。頻発する災害への対応も考えれば、初動対応や被災住民のサポートなどを含め、その役割はますます大きくなり幅も広がっています。このような状況に対応するため、日々の教育訓練が必要でありますが、その教育訓練の内容や操法大会の在り方を今後考えていくべきではないでしょうか。 私自身も平成四年四月に入団し、令和二年三月に退団するまで二十八年間羽島市消防団員として在籍させていただきました。既に十数年前になりますが、第六十一回岐阜県消防操法大会が羽島市での開催で、地元消防協会長として大会運営にも携わりました。 まず羽島市で本当に受けることができるのか。会場の場所の選定、駐車場の問題、人員の問題、しかし一番の問題は金銭的なところでした。市から予算を出していただけるのか、まずは概算予算の設定をしました。しかし、会場の選定が二転三転し、なかなか進まず苦労したのを覚えています。 県内各地から羽島市に来ていただくので不備があってはなりません。また、駐車場が近くになければバスによる送迎もしなければなりません。県内より数千人の方が来るので、近隣住民の方に迷惑にならないよう配慮をいたしました。また、羽島市開催の会場は土のグラウンドで、少し土壌改良した程度でアスファルト舗装はしませんでした。そのため、大会当日の天気が心配で、数日前から天気予報が気になって仕方ありませんでした。 このような苦労をして大変でしたが、県内各地からこの羽島市においでくださり羽島を知っていただけたこと、また総務省消防庁、日本消防協会から御来賓をお迎えし、意見交流ができたことはとてもよかったと思います。 さて、消防操法とは、消防団の訓練の一つであり基本的な操作の習得を目指すための手順であり、小型可搬ポンプ操法とポンプ車操法があります。設置された防火水槽から給水し、火点とする標的に目がけて放水する一連の動作です。 この消防操法の訓練を通して、機械器具等の取扱いはもとより、安全管理や団体的規律行動を習得することが大切だと思われます。操法は消火活動の基礎を身につけるための訓練であり、その技術力の高さを競い、ひいては消防団全体の技術の向上を図ることが本来の操法大会の趣旨だと思います。 現在、操法大会に関しては様々な議論がされています。放水動作の速さや正確さを競う操法大会の内容見直しという目先の論点だけで終わらせず、持続可能で地域の声や実情に応じた役割を果たす消防団の実現につなげるべきではないかと考えます。操法大会を過度に意識した訓練が中心となるとともに、操法大会での行動様式が実際の火災現場の実情と合わず、形式的なものとなっていることも課題となると思います。 今年八月六日日曜日、消防感謝祭第七十二回岐阜県消防操法大会が岐阜県消防学校において開催されました。今回の大会は、岐阜県、岐阜県消防協会、美濃市など関係者による実行委員会の協議により大会を運営されたと聞いています。そして、この大会を開催するに当たり様々な問題点があり、それらを解決し運営されたと思います。 昨年度までの操法大会は、会場を県内五圏域で持ち回りで開催され、圏域内の地方消防協会が中心となり運営をされていました。そのため、開催地の地方消防協会は会場整備や設営の負担が増大となり、県と県協会からの負担金だけでは到底追いつかず、その負担は開催地の市町村に降りかかってきました。この問題はこのように持ち回りで開催している中で、開催地に負担がかかっていたことにあります。このようなことの解決策として、今回県消防学校での開催となったと思われます。 そこで危機管理部長にお尋ねいたします。 消防感謝祭第七十二回岐阜県消防操法大会は、関係者と様々な見直しをして開催したと聞いておりますが、大会運営を行った県として、結果をどのように捉えているのか、また来年度以後、どのように取り組んでいくのか御答弁をお願いいたします。 次に、防災教育フェアについてお聞きします。 防災教育は学校や地域のみならず、様々な機会を通じてそれぞれが暮らす地域の災害、社会の特性や防災科学技術等についての知識を備え、減災のために事前に必要な準備をする能力。自然災害から身を守り、被災した場合でも、その後の生活を乗り切る能力。進んで他の人々や地域の安全を支えることができる能力。災害から復興を成し遂げ、安全・安心な社会を構築する能力といった生きる力を涵養し、能動的に防災に対応することのできる人材を育成するために行われるものであります。この人材育成のために、防災教育の受け手側である児童・生徒や地域住民に対する教育内容、方法の充実や教育に携わる人材等の育成などに取り組んでいくことが必要となります。 取組を進めていくに当たり、特に自然災害に対する正しい理解を進めるため、大学や研究機関等が有する防災科学技術の研究成果等を社会的知見との関わりを視座に置きつつ、活用していくための取組等を積極的に推進することを基本とします。 また、児童・生徒や地域住民の防災への関心を高めるとともに、自治体、企業等の防災意識を涵養することにより、社会全体で防災を学ぶことへの動機づけを図る。また、学校の教職員や地域防災リーダー等のうち、防災教育に関心の低い層に対して防災教育の重要性について気づいてもらい、防災教育に携わるきっかけづくりをするとともに、実際に取り組んでいる層に対して、その取組の充実強化、それに係る負担の軽減のための方策を講じることにより、継続的な取組を進めるための魅力づくりをする。これらの活動を通じて、県民全体の防災への自発的・能動的な取組を促すことが重要と考えます。 我が国は自然災害と共に暮らしてきた経験や教訓を基に、暮らしを守るために先人が残した知恵や工夫の集積である災害文化ともいうべき知識を築いています。このため、防災教育支援を通じて防災のノウハウや対応策のみならず、災害文化に最新の知見を反映し、現在の科学技術と融合させながら持続的に発展させ浸透を図る。また、自然現象を災害の面からのみ捉えるのではなく、併せてその恵みについての理解を深めることにより、自然と共生する能力を有する人材の育成をしなければなりません。 本年八月二十六日、二十七日に、広域防災センターで「親子で学ぼう防災教育フェア」が開催されました。私もさきにお話しした思いを持ちながら、二十七日の午後、視察をさせていただきました。この防災教育フェアは昨年から開催されているということで、地震体験、煙が蔓延している中での脱出体験、放水体験など様々な体験が親子でできるフェアでした。 放水体験では、各務原市消防団のポンプ車から消防団員の指導の下、子供たちも実際に放水の体験をしていました。また、子供用の消防の活動服を着ての撮影や防災に関するクイズなども行われていました。休日にもかかわらず多数の各務原市消防団員にもお手伝いをいただきました。また、職員の参加者への対応もよく、参加者は常に笑顔であったと思います。 そのような中で、一番の人気は防災ヘリ「若鮎Ⅰ」が実際に飛来してきたことです。防災ヘリが近づいてくると爆音と風で少し大変でしたが、着陸後は実物のヘリコプターを目にし、隊員から説明を聞いたり、記念撮影したりして参加者は大変喜んでいました。 参加者に防災教育フェアについて話を聞いたところ、「このような体験をすることで家族で備えをしなくてはいけないと感じた」や「親子で学ぶよいきっかけとなった」「将来消防士になりたい」など、参加した方は非常に満足しているようでした。 このような御意見から、命を守る県民運動の一環で開催されている防災教育フェアなどの行事が広く県民に浸透し、自らが防災について考えてもらうきっかけにつながればと感じます。また、先ほどフェアに参加した子供から、消防士になりたいといった感想もありましたが、自助を学ぶ機会だけでなく、将来の職業につながる教育も必要ではないでしょうか。 今回の防災教育フェアでは、消防ポンプ車による放水体験もありました。災害発生時に消防がどのような活動をしているのか、警察は、自衛隊はといったそれぞれの機関がどのような活動をしているのかといったことを教えていくことが大事であり、その結果、参加していただいた子供たちが、将来、消防や警察、自衛隊、また消防団に入っていただくきっかけになればよいと思います。 しかし、老朽化した広域防災センターで防災教育を行うには、部屋のキャパシティーの関係もあり、一日に約八十名しか参加できません。これを土・日の二日間で開催しても、百六十名という人数しか対応できません。これは少ないのではないでしょうか。可能であればもっと参加人数を増やす対策を考えていただきたいと切に願います。 例えば先ほど質問させていただいた消防操法大会には、参加する消防団員だけでなく、団員の家族も来て応援されています。同時開催すれば、こういった方にも防災教育フェアを通して自助を学んでいただきながら、消防団が地域を守っている姿も学ぶことができれば一石二鳥となるのではと考えます。 そこで危機管理部長にお尋ねいたします。 広域防災センターで開催された「親子で学ぼう防災教育フェア」のさらなる充実について、今後どのように取り組んでいくのか、御答弁をお願いいたします。 これで今回の質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 危機管理部長 内木 禎君。 〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕
◎危機管理部長(内木禎君) 二点御質問をいただきました。 初めに、消防感謝祭第七十二回岐阜県消防操法大会の結果と今後の取組についてお答えします。 県消防操法大会は、開催市町村が会場を提供する負担が大きいという課題があったことから、本年は、県、県消防協会、美濃市から成る実行委員会を組織し、県消防学校で八月に開催いたしました。 大会に先立ち、会場となるグラウンドをアスファルト舗装したほか、消防学校の施設設備や周辺県有施設の駐車場の活用など運営方法の抜本的な見直しにより、昨年度と比べ経費は約五割、運営スタッフは約三割低減できました。今回得られたノウハウを引き継ぎ、来年以降も県消防学校で会場を固定化して開催してまいります。 一方で、最高気温が三十六度を超える中での熱中症リスクに加え、団員の御家族や来場者が少ないという課題があったため、来年度からは開催時期を気温が低下した十月第四日曜日に変更いたします。また、操法だけでなく、災害時の捜索救助や避難誘導といった地域防災力の要である消防団の活動を紹介する企画を具体化し、大会をライブ配信するなど、大会の充実に向け検討してまいります。 次に、広域防災センターにおける「親子で学ぼう防災教育フェア」のさらなる充実についてお答えします。 防災教育フェアについては、より多くの方に参加いただくための仕組みや工夫が必要であると考えております。このため、今後は広域防災センターに隣接する消防学校の校舎なども活用し、体験プログラムを充実することで、一日に参加いただける方の数を二倍に増やしてまいります。 具体的には、地震体験車を活用した体験コーナーの増設や、校舎でのQRコードを活用した防災クイズラリー、災害・避難カードの作成講座、防災グッズの展示、実演などを検討しております。また、こうした内容の充実を図った上で、夏休み期間での開催に加え、十月の県消防操法大会にも併せて開催してまいります。 さらに、多くの人が集まる大型商業施設や庁舎前のぎふ結のもりにおいても、消防や警察、自衛隊などの関係機関、防災関連企業にも協力いただきながら、災害時の各機関の役割や活動に対する理解を深めるなど、県民の防災意識の向上につながる防災教育フェアの開催についても、その具体化に向け検討を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 二番 判治康信君。 〔二番 判治康信君登壇〕(拍手)
◆二番(判治康信君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして、大きくは三項目、四点についてお尋ねいたします。 それではまず、福祉人材の確保、資質向上について二点お伺いいたします。 最初に、就職者数の増加に向けた取組についてお伺いいたします。 福祉分野の人材不足は全国どこでもあることかと思いますが、岐阜県においても、例えば介護人材では二〇二五年には約四千四百人不足すると見込まれており、実際の介護現場においても、人材不足は喫緊の課題であります。また、障がい福祉サービスの利用者は年々増加傾向にあり、相談支援やサービス提供の担い手不足も深刻であります。高齢者や障がい者の増加は福祉サービスの需要を高め、これに伴い、福祉人材への需要が急増しています。 しかしながら、福祉の仕事は、専門教育と訓練の機会の不足や社会的認識の低さといった複雑な要因による人材不足に直面しています。また、福祉分野で働く職員は転職者が多いことや、就職者の約六割が就職後三年未満で辞職してしまうという傾向があります。さらに福祉の現場は賃金や労働時間などの課題もありますが、一つ一つ解決していくことが必要になります。 福祉の仕事は専門的な知識や技能、さらに経験が必要です。これは継続的な学習により成長の機会となることも意味し、専門的な教育や訓練を受けることで自分の技術を磨き、より効果的なケアを提供することができるようになり、介助等が必要な人々の生活を支援することで、大きな達成感と充実感がもたらされていると感じます。これは、同時に福祉の仕事が社会にとっていかに重要でやりがいのある仕事であるかを示していると考えます。 さて、岐阜県では、岐阜県福祉人材総合支援センターにおいて、ホームページなどで県民に対して福祉の仕事を分かりやすく紹介されていると思います。また、福祉の仕事に就きたい方や既に働いている方の相談を受けたり、就労等に向けた支援が行われています。 こうした中、令和四年度は求人数六千三百七十一人に対し、求職者六百九十五人、実際に採用に至ったのは百四十七人とお伺いいたしました。この求職者六百九十五人と採用に至った百四十七人の差、約五百五十人の方は、採用に至らなかったものの、少しでも興味を持ち、就業に向けて行動に移した方々かと思います。この中から少しでも多くの方を採用に結びつけることが有効であるのではないかと考えます。 そこで福祉の仕事をもっと身近に知っていただき就職に結びつけるため、県内外を問わず就職活動をしている学生や転職を考えている方に対し、就職フェアなどを通じ、もっと広く岐阜県の福祉の現場で働くことの意義やすばらしさなど、福祉の仕事をPRしていく必要があると考えます。 そこで健康福祉部長にお伺いします。 福祉人材の不足が見られる中、福祉人材総合支援センターが展開する職業紹介において、求職者と求人者のマッチング率の向上や県内各地や近隣県で行われる就職フェアなどの出展など、さらなる求人活動が必要と考えますが、福祉人材の就職者数の増加に向け、どのように取り組むのかをお尋ねします。 次に、二点目として障がい福祉サービスの人材確保、資質向上に向けた取組についてお伺いします。 障がい福祉サービスを担う事業所は、障がいを持つ子供や大人に対して、生活スキルのトレーニング、職業訓練、社会参加の支援を行い、また日常生活の介助が必要な方に対して支援を行うなど、主に障がいを持つ方々の社会的自立を促進するためにあります。したがって、障がい福祉サービス事業所における職員の役割は、障がいを持つ人々が自立し、社会的に活躍できるよう多面的な支援を行うことです。 障がい福祉サービスの種類により異なりますが、個別の支援計画の作成と管理、日常生活スキルのトレーニング、職業訓練、社会参加の支援のほか、心理的・感情的サポート、健康管理とリハビリテーションの支援などを行います。また、利用者の家族に対する相談支援やサポート、ほかの専門家や機関との連携にも重要な役割を担っています。職員の方には利用者お一人お一人の能力を引き出し、社会の一員として充実した生活を送るための支えとなることが求められております。 また、昨今のニュースで取り上げられているように、障がい福祉サービス事業所で発生している暴力などの不適切な対応は、職員の資質向上の必要性を示唆しております。職員が十分な研修を受けておらず、障がい者のケアに必要な専門知識や技術、倫理観を欠いている場合、不適切な対応につながるリスクが高まります。その解決のためには、職員に対し専門的な研修を継続して行い、心理的及び身体的な健康をサポートする体制を整えることが、これらの事件の予防と障がい者の安全なケアにつながると考えます。 先日、私の下に、障がい福祉サービスに取り組む事業者の方が人材確保の厳しさを訴えつつも、利用者の方へのサービス提供に当たり、よい人材を確保し、さらに人材の資質向上を通してサービス向上を目指していきたいとお話しされました。この方はこうした課題や目標に対し、自ら積極的に取り組まれるとともに、同じ思いを持つ事業者の方々で情報を共有し、業界全体で環境改善や人材の資質向上を図ろうと行動しておられます。 そこで健康福祉部長にお伺いします。 介護職員の人材確保や資質向上に向けた支援では、職員の研修受講や事業者等が行う研修開催、さらには職場以外への研修受講の際の代替職員の確保への支援なども行われていますが、障がい福祉サービスに携わる人材確保、資質向上に向け、今後どのように取り組むのかをお尋ねします。 次に、二項目めとして、県立多治見病院の看護職員の確保、離職防止に向けた取組についてお伺いをいたします。 県立多治見病院の看護職員の確保及び離職防止については、本年第一回定例会で、当時県民クラブの高木議員が質問されておりますが、来年令和六年四月に新中央診療棟の開設が迫っており、早急に取り組まなければならない課題と考えて質問させていただきます。 県立多治見病院は、東濃・可茂地域における第三次救急病院であり、岐阜県の医療や健康政策の拠点として重要な役割を果たしている病院であります。最近の県立多治見病院を見てみますと、ほかの医療機関と同様に看護職員不足が深刻さを増しています。もともと一定程度の離職はあると思いますが、例年五十名ぐらいの看護職員が離職しており、その人員をカバーするだけの新規・中途採用者が確保できないと伺っております。 いよいよ来春に新中央診療棟が開設される中、地域の基幹病院として病床の縮小など、医療提供体制を見直すことは避けなければならないと考えております。人の命に関わる病院として、看護職員の人材確保は喫緊の課題であり、質の高い医療サービスを提供し、患者に最善のケアを提供するために不可欠であり、継続的な研修、働きやすい環境の整備、適切な労働条件、メンタルヘルスのサポートなどが重要になります。 医療の現場は少々特殊な事情があり、年齢や立場、専門分野、目的が異なる者同士が限られたタイミングで信頼関係を構築し、さらに正確な情報共有や円滑なチームワークの形成、特に緊急時の対応ではハイレベルなコミュニケーションが求められます。ただ、裏を返せば、そのコミュニケーションさえスムーズにいけば、いろいろな部分で問題解決につながり、離職防止にもつながるのではないかと考えます。 先日、院内の職員研修会として「一人一人が快適に働ける風通しのよい職場とは」と題し、研修会が行われ、私も参加させていただきましたが、数多くの職員の方が参加しており、そこで働く職員の方々から、自分たちの病院をよりよくしていこうという思いが伝わってまいりました。 また、本年八月頃に私の自宅にも折り込まれておりましたが、新聞広告として県立多治見病院の看護師、助産師の経験者を募集する折り込み広告が配布されておりました。常勤・非常勤も含め五十名程度募集と記されており、その中で就職準備資金貸付制度が紹介されていました。 就職準備資金貸付制度は、県立多治見病院において常勤の看護師や助産師として勤務しようとする方に五十万円を貸付け、三年間勤務した場合は返還を免除するというもので、九月以降、採用者四名のうち二名がこの貸付制度を申請されたと伺っております。こうした制度を活用しつつ、あらゆる手法で看護職員を募集してほしいと思います。 そこで健康福祉部長にお伺いいたします。 県立多治見病院は、東濃圏域をはじめとする県民の安心・安全のために三次救急病院としてしっかりと役目を果たすことが不可欠であるものの、以前から看護職員不足が問題となっており、さらに新中央診療棟の開設を控えている中で、看護職員のさらなる確保、離職防止に向けて取組を強化すべきと考えますが、どのように取り組むのかお尋ねします。 次に、三項目めとして、救急電話相談の利用状況と周知啓発についてお伺いいたします。 先日、夜に体調が悪くなり病院を受診した方から、診察を受けるまで一、二時間待たされて困った。何とかならないかと相談がありました。その方は夜間ということもあり、救急病院に行かれたそうです。当日の混雑状況や当直医師の配置などは定かではありませんが、ほかの病院でも少なからずこのような事態は起きているのではないかと考えます。 私自身も経験がありますが、子供の急な発熱や発疹など、様子を見たほうがいいのか、救急で病院に行ったほうがいいのか悩み、よく分からないまま救急病院に行った記憶があります。実際に病院に行ったかは別にして、こうしたことは私に限らず多くの保護者は経験したことかと思います。 岐阜県では、子供の急な病気やけがの際に、家庭での対処方法や医療機関を受診すべきかどうかを相談できる小児救急電話相談「#八〇〇〇」が整備されています。利用した保護者の方から、「看護師の方が丁寧な対応で優しかった」「医療関係者の助言が聞けて安心した」といった声が私のところへも届いてきております。 また、インターネット上で最寄りの救急医療機関の情報が得られる岐阜県救急・災害医療情報システム、通称ぎふ救急ネットを使えば、在宅当番医、歯科在宅当番医などの情報も得ることができ、救急医療機関に関する情報が入手しやすくなってきていると感じております。 こうした中、岐阜県では、本年十月より救急安心センターぎふ「#七一一九」が全市町村で利用できるようになりました。この事業は看護師等による二十四時間体制で急病やけがの際に迅速にアドバイスを提供し、適切な対応が促進されます。仮に救急医療機関の受診が必要ない場合はほかの医療機関が紹介されます。これにより緊急を要するケースに医療資源を集中させることができ、また効率的な治療が可能となり、医療機関の負担軽減にもつながります。救急安心センターぎふは病院の過剰な混雑を防ぐとともに、地域医療システムの効率化を促進し、医療提供の質を保持する効果があると考えます。 このことから、救急安心センターぎふの存在と利用方法を広く知らせることは、岐阜県民の健康と安全を守る上で非常に重要なことだと思っております。それぞれに連携しながらも違う役割を担っている小児救急電話相談とぎふ救急ネット、そして救急安心センターぎふですが、特に今回、スタートしたばかりで知らない人もいると思われる救急安心センターぎふについて、スピード感を持って周知をしてほしいと思います。既に猛威を振るっているインフルエンザや、まだ不安を残す新型コロナウイルス感染症をはじめ、家族が迷った場合の支えとなる救急安心センターぎふの普及が広く県民に対し、多くの利点をもたらすと考えます。 そこで健康福祉部長にお伺いいたします。 本年十月一日から新たにスタートした救急電話相談、救急安心センターぎふ「#七一一九」を広く全県民にスピード感を持って周知すべきではないかと考えますが、これまでの利用状況と今後の周知啓発の取組についてお尋ねします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。 〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕
◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 大きく三項目、四点御質問をいただきました。 まずは福祉人材の確保と資質向上についてのうち、就職者数の増加に向けた取組についてお答えを申し上げます。 県では、福祉人材確保の拠点施設として県福祉人材総合支援センターを設置し、様々な施策を展開しています。令和四年度には、キャリア支援専門員による無料職業紹介により百六名の採用につながったほか、各圏域において、事業者が求職者と直接面談して福祉の仕事やその魅力を伝える「福祉のお仕事フェア」を開催し、四十一名の就職に至っています。さらには、県外で大学生を対象とした就職説明会も開催しています。また、子供や若者たちに福祉の仕事の魅力を伝えるため、県内の中学、高校、大学を訪問し、啓発活動を行っております。 こうした取組をさらに強化するため、今後は市町村が開催する就職フェアにおいても、多くの事業者が参加できるよう市町村と事業者の双方に働きかけ、マッチングの場の拡大に努めてまいります。一方、職場を紹介したものの、就職に至らなかったケースについては、求職者へのアンケートなどにより原因を分析し、今後の活動に生かしてまいります。 次に、障がい福祉サービスの人材確保、資質向上に向けた取組についてお答え申し上げます。 県では障がい福祉サービスの人材不足に対して、「確保」「育成」に加えて「定着」の三つの観点から施策を展開しています。 まず「確保」としては、先ほど答弁申し上げました人材確保策に加え、SNSを活用して福祉の仕事のイメージアップを図るための情報発信なども行っております。 次に、「育成」として、相談支援専門員等の資格取得のための研修や強度行動障がいのある方の特性を理解し、状況に応じた適切な支援を行うための研修など、キャリアアップや資質向上に向けた取組を進めています。 最後の「定着」では、風通しのよい職場環境づくりのほか、今年度からは職員の賃金改善に向け、サービス報酬の処遇改善加算等の取得を目指す事業者向けの研修を実施しております。また、職員の負担軽減や業務効率化のため、ICT機器や介護ロボットの導入を推進しております。今後も現場のニーズを捉えたきめ細やかな支援に取り組んでまいります。 次に、大きく二項目め、県立多治見病院の看護職員の確保、離職防止に向けた取組についてお答えを申し上げます。 県立多治見病院における看護職員の離職率は、ここ三年ほど全国平均並みの約一〇%に上昇しており、かつ退職者数に見合う新規採用ができず、職員数が減少傾向にあります。このため、病院では今年度から看護職員の早期確保に向けた採用試験の日程前倒しのほか、九月から就職準備資金貸付額を十万円から五十万円に増額するなど順次対策を講じております。加えて来年度からは、病院で一定期間勤務すると返還免除となる修学資金についても、月額三万円から五万円に増額すると伺っています。 また、処遇改善策として、今年度新たに導入した夜間看護割増手当や、看護師業務の他職種へのタスクシフトといった離職防止対策の効果が徐々に現れており、病院からは新人を含め退職希望者の減少が見込まれるとともに、現場職員からは新人への指導等にゆとりが持てるようになったという前向きな意見もあったと聞いております。設立団体である県としても、引き続き病院のこうした取組をサポートしてまいります。 最後に、救急電話相談の利用状況と周知啓発についてお答え申し上げます。 救急安心センターぎふ「#七一一九」は、救急要請をちゅうちょしている隠れた重症者の発見のほか、適正な救急車の利用及び救急医療機関の受診を目的とする事業です。本年九月までは岐阜市消防本部において管内四市一町で実施されていましたが、十月一日から全市町村と県が実施主体となり、県下全域での運用を開始いたしました。 十月の相談件数は一千八百九十九件、うち救急車を呼ぶよう誘導した件数は百三十四件でした。開始直後の一か月の数字ではありますが、急な病気やけがになられた方の救命措置や不安の解消につながったものと考えております。 一方、今般の運用拡大により対象となる人口は約四倍となりましたが、相談件数は従来実施していた四市一町が四三%を占めており、県全体への周知が課題です。このため、今後も県下全域でポスターやカードの作成、配布、商業施設での店内放送、市町村広報誌への掲載など、各種広報媒体による周知を繰り返すことで県民への浸透を図ってまいります。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後二時四十八分散会 ……………………………………………………………………………………………...