• "女性管理職"(1/2)
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  1. 岐阜県議会 2023-12-01
    12月13日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 5年 12月 定例会(第5回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第二号)                 令和五年十二月十三日(水)午前十時開議 第一 議第百二号から議第百二十六号まで 第二 請願第十号から請願第十七号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第百二号から議第百二十六号まで 一 日程第二 請願第十号から請願第十七号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   木村千秋君      二番   判治康信君      三番   平野恭子君      五番   今井瑠々君      六番   牧田秀憲君      七番   黒田芳弘君      八番   森 治久君      九番   山内房壽君      十番   森 益基君     十一番   小川祐輝君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   平野祐也君     十六番   所 竜也君     十七番   今井政嘉君     十八番   藤本恵司君     十九番   安井 忠君     二十番   恩田佳幸君    二十一番   若井敦子君    二十二番   広瀬 修君    二十三番   布俣正也君    二十四番   酒向 薫君    二十五番   野村美穂君    二十六番   水野吉近君    二十七番   国枝慎太郎君    二十八番   長屋光征君    二十九番   高殿 尚君     三十番   田中勝士君    三十一番   加藤大博君    三十二番   松岡正人君    三十三番   小原 尚君    三十四番   水野正敏君    三十五番   野島征夫君    三十六番   渡辺嘉山君    三十七番   伊藤正博君    三十八番   川上哲也君    三十九番   伊藤秀光君    四十一番   佐藤武彦君    四十三番   森 正弘君    四十四番   村下貴夫君    四十五番   尾藤義昭君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君 △欠席議員 一人     四十番   平岩正光君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山田 恭 総務課長         桂川義彦 議事調査課長       若野 明 議事調査課管理調整監   森 信輔 同   課長補佐     市橋ますみ 同   課長補佐     西 直人 同   課長補佐     市川達也 同   係長       佐藤由子 同   主査       水野 恵 同   主査       横田直道…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        矢本哲也君 総務部長事務代理     平野孝之君 清流の国推進部長     長尾安博君 清流の国推進部デジタル推進局長              市橋貴仁君 環境生活部長       渡辺正信君 健康福祉部長       丹藤昌治君 健康福祉部子ども・女性局長              村田嘉子君 商工労働部長       三木文平君 観光国際部長       丸山 淳君 農政部長         足立葉子君 林政部長         久松一男君 県土整備部長       野崎眞司君 都市建築部長       藤井忠直君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        大濱健志君…………………………………………………………………………………………… △十二月十三日午前十時開議 ○議長(野島征夫君) おはようございます。ただいまから、本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 請願書の受理について 請願第十号 「老朽原発の運転を見直す意見書」の提出を求める請願書ほか七件の請願書を受理しました。 職員に関する条例に対する意見について 人事委員会委員長から、令和五年十二月十二日付をもって、議第百十号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例等の一部を改正する条例については、異議がない旨の回答がありました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十三番 小原 尚君。    〔三十三番 小原 尚君登壇〕(拍手) ◆三十三番(小原尚君) 皆さん、おはようございます。 今朝、県庁へ向かう途中、ラジオでやっておったんですが、ウクライナでは小さい子供たちが地雷に手を触れて、何かおもちゃのような形の地雷が今はあるそうで、それで大けがをしたり亡くなったり、一方、中東ガザでも多くの子供たちが犠牲になっている、一刻も早く世界に平和が来るといいなという思いで参りました。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、県政自民クラブを代表し、通告に従い、県政の諸課題について順次質問をさせていただきます。 初めに、行財政運営について、二点お伺いします。 まず、来年度の予算編成についてお伺いします。 現在、日本経済は歴史的転換点に立っていると言われています。 バブル崩壊後の三十年間、我が国ではコストカット優先の経済が続いてきましたが、三年間のコロナ禍を乗り越え、三十年ぶりの三・五八%の賃上げ、過去最大規模の設備投資、三十年ぶりの株価水準など、前向きの動きが見られ、税収も増加しております。 しかし、その一方で、長引く物価高騰により国民生活や社会経済活動は多大な影響を受けています。加えて、世界的な金融引締めによる下振れリスクを踏まえると、経済の先行きは必ずしも楽観視できない状況にあります。 社会も大きく変化しています。人口減少は進み続け、特に生産年齢人口の減少により、あらゆる分野で担い手不足が深刻化しています。 一方で、AI、IoT、ロボットなど、デジタル技術の進歩は著しく、デジタルの力を活用した社会変革が期待されています。 こうした状況の中、国においては、物価高対策などを盛り込んだ経済対策を決定し、先日、その裏づけとなる補正予算が成立したところであり、県においても、これに呼応した補正予算案を本定例会開会日に上程されたところであります。 また、昨年度改定された「清流の国ぎふ」創生総合戦略に基づき、深刻化する少子化や人材不足への対応、防災・減災・国土強靱化対策のほか、デジタルトランスフォーメーションの推進、「脱炭素社会ぎふ」の実現といった直面する重要な政策課題にも引き続き着実に対応していかなければなりません。 さらに、社会保障費や公債費の増大といった歳出の構造的な課題への対応も必要です。日銀の政策修正で長期金利は上昇傾向にあり、今後の金利の動向によっては公債費がさらに増加することも見込まれることから、規律ある財政運営も求められています。 こうした中、いよいよ来年度は古田知事の五期目の任期の最終年度となります。 そこで、今後、佳境を迎えることになる来年度の当初予算編成では、どのような点に重点を置き、どういった方針で臨まれるのか、知事にお伺いします。 また、地方自治体の来年度予算に大きな影響を及ぼす令和六年度地方財政収支の仮試算では、地方の一般財源総額について令和五年度地方財政計画の水準を下回らない水準を確保するとされ、令和五年度を六千億円上回る六十五兆七千億円とされています。 そのうち、地方税等は七千億円増加の四十六兆二千億円を見込んでいますが、物価上昇や世界の景気後退懸念の影響で先行きは見通せません。 そこで、当初予算編成に当たって前提となる一般財源の見通しに関して、今年度の県税収入の見通しと来年度の県税収入及び地方交付税の交付額の見込みについて、総務部長事務代理にお伺いをいたします。 次に、新県庁舎における県政についてお伺いします。 本年一月四日、新県庁舎が開庁し、間もなく一年となります。 県産の木材、タイル、美濃和紙など、県産材・県産品が随所に使われた庁舎には、開庁当初から県民をはじめ国内外から多くの方が訪れ、今も見学者が絶えません。 ふだん、一般の方が県庁舎を訪れる機会があまりないこともあり、県政は県民にとって遠い存在だと言われることもありますが、新県庁舎が県民であふれている光景を見ると、県民に身近な県政に一歩近づいたのではないかと感じています。と同時に、私自身も微力ながら県政を少しでも分かりやすく県民にお伝えできるよう、さらに努力してまいりたいと考えております。 さて、新県庁舎に備わる新たな機能については、令和四年六月定例会における我が県政自民クラブの田中議員からの質問に対し、知事からは、新県庁舎は「県民の暮らしを守る」「地域の魅力を発信する」「環境負荷やライフサイクルコストを低減させる」という三つの観点を考慮して機能整備を行うと答弁がありました。 この三つの観点から、具体的には、例えば災害対策の中枢拠点として通常の一・五倍の耐震性を確保したほか、「清流の国ぎふ」のショーウインドーとして、一階にはGALLERY GIFUを設置しています。また、温室効果ガス排出量の削減のため、照明全般のLED化などの取組を行っています。 さらに、こうした機能整備とともに、知事は移転を機に人心一新、仕事の進め方や働き方を改めて点検し、より質の高い行政サービスの提供を目指すとも発言されています。 こうした知事の思いの下、新県庁舎は整備され、新たな県政が運営されてきたわけですが、スタートから一年が経過しようとする今、その県政は知事の思い描いた姿となり、より質の高い行政サービスを提供できているのか振り返るべき時期が来ていると考えます。 そこで、この一年間、新県庁舎の機能と特徴をどのように活用し、どのような成果があったのか。また、そこで働く職員の仕事の進め方や働き方がどのように改善されたのかを知事にお伺いいたします。 次に、県幹部によるパワハラ事案についてお伺いします。 先日、県のハラスメント防止対策の責任者を務める幹部職員が、部下に対してパワハラ行為を行い処分されました。しかも、職員組合とハラスメント防止対策も含めた団体交渉を行っている場で行われたとお聞きし、大変驚いています。県庁内部ではパワハラ行為が日常的に行われており、感覚が麻痺してしまっているのではないかと大変心配をいたします。 今回の事案は、たまたま職員組合の面前で行われたため発覚しましたが、人事権を持った所属長やそれ以上の幹部職員による行為の相談や通報はとても勇気が必要なことであるため、声を上げることができず、泣き寝入りしている職員がほかにも大勢いるのではないかと心配をしています。 ハラスメントは、県内部だけの問題にとどまりません。県と県民との関係は、信頼関係で成り立っています。ハラスメントが頻発するような人権意識の低い組織だと県民に判断された場合、円滑な県の行政運営にも支障が生じかねない、非常に大きな問題であります。 県では、これまでパワハラ事案が発生するたびに、ハラスメント防止研修の充実や多様な相談窓口の設置など、様々な対策が取られてきましたが、繰り返しパワハラ事案が発生している現状を見ると、そうした対策だけでなく根本的に現在のパワハラ防止体制を見直す必要があると考えます。 現在、県ではパワハラ発生時の相談対応や事実関係の調査等は各部の主管課の管理職や人事課職員が行っているとお聞きしていますが、ほかにも多くの業務を抱えている中、迅速かつ的確に対応できないのではないかと心配されます。 パワハラ防止には、まずは風通しのよい組織風土・体制づくり、次に相談や通報しやすい環境整備、そして発生時における背景を含めた的確な調査と毅然とした処分を踏まえた再発防止策の徹底という、それぞれの段階における対策をしっかりと行うことが必要だと言われております。 教育委員会では、かつて郡上特別支援学校の講師自死事案を受け、未然防止から発生後の対応までを一元的に行う組織を創設したと聞いていますが、知事部局においても同様の組織を創設し、専門的な知見の下、迅速、的確、公平・公正に対応できる体制を整えるべきだと考えます。 パワハラには、上司が行うものだけではなく同僚や部下が行う、いわゆる逆パワハラというものが存在します。 さらに、パワハラだけでなく、セクハラや通称マタハラと呼ばれる妊娠・出産、育児等に関するハラスメントなども問題になっており、そうした多様で複雑なハラスメントへの対応が必要な時代となっています。 そこで、対策の責任者がパワハラで処分されるという現状に対する知事の認識を改めてお伺いするとともに、パワハラをはじめとするハラスメントの未然防止から発生後の対応までを一元的に行う組織の創設を含め、再発防止にどのように取り組んでいかれるかをお伺いします。 ここで、一回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 三点、御質問がございました。 まず、来年度当初予算編成についての考え方でございます。 御案内のように、本年度は五月の新型コロナの五類移行を踏まえて、コロナ禍によりダメージを受けた社会経済の回復・再生・転換への対策や、進行し続ける人口減少社会からの脱却に向けた対策を中心に取り組んでまいりました。また、足元の光熱費や食材費などの上昇を踏まえ、物価高騰対策にも取り組んでおります。 そこで、来年度は、「清流の国ぎふ」の新たな未来を創る政策を広く展開させていくべきときであるというふうに考えております。 まず第一に、持続可能な社会・経済の構築でございます。 経営環境が厳しい中で高騰する原材料を自社生産に切り替えるなど、低コスト化に取り組む小規模事業者への支援や、新たな生産技術の開発支援など、産業活力の創出につながる取組を推進してまいります。 また、再生可能エネルギーの導入支援やG-クレジットの本格的な流通を進めるなど、脱炭素社会の実現に取り組むほか、企業間商取引を効率化するデジタルインボイスの導入支援や介護事業所におけるICT技術の導入に向けた相談対応、専門家派遣などをワンストップで支援する拠点の設置など、あらゆる分野でのDXの推進に取り組んでまいります。 さらに、新型コロナの経験を踏まえ、新たな感染症に備えた保健・医療体制の見直し強化を進めるとともに、運輸業や建設業などで残業時間の上限規制が適用されることによるいわゆる二〇二四年問題への対応、県土の強靱化など、県民が安心して暮らせる社会基盤づくりを進めてまいります。 第二は、「清流の国ぎふ」の魅力の創造と発信でございます。 インバウンドなど観光需要が回復しつつある中、観光消費額のさらなる拡大に向け、客単価のアップにつながるサービス向上など高付加価値化を支援するとともに、リニア開業に向けて交通ネットワークの充実に合わせた新たな観光資源を発掘することにより、都市圏からの誘客を進めてまいります。 また、観光とともに県産品の輸出拡大などに合わせた、観光・食・モノの三位一体での海外展開の強化や、国際陶磁器フェスティバル美濃の開催に合わせた海外企業との人材交流なども進めてまいります。 さらに、「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四と清流の国ぎふ総文二〇二四を開催する来年度は文化イヤーとなります。両大会の開催とともに、本県を代表する伝統芸能である地芝居公演やエンジン〇三in岐阜の開催などを通じ、青少年から全世代へと文化芸術活動の流れをつくるとともに、清流文化を発信してまいります。 第三に、未来に向けた人材への投資でございます。 今般、国において示されたこども未来戦略案の内容も踏まえながら、人口減少社会からの脱却に向け、結婚や出産を望む若い世代や子育て世帯へのきめ細かな支援や、保育士の確保、離職防止対策など、子育てを支える方々の視点に立った対策を講じてまいります。 また、コロナ禍を経て高まった地方回帰の機運を生かし、人材を県内に呼び込み定着してもらうため、県内企業との連携により県内企業に就職する若者への奨学金返還支援制度を創設することなどを検討してまいります。 一方で、本県の財政は、社会保障関係経費や公債費、社会資本の老朽化への対応など、構造的な課題があるほか、後ほど答弁がありますが、来年度の税収見通しについても楽観できる状況ではございません。 このため、重要な政策課題への対応と持続的な財政運営の双方を心がけた、めり張りのある予算編成を行ってまいりたいと思っております。 次に、約一年たとうとしておりますが、この新庁舎の機能と、それからその特徴をどう生かしていくかということでの現状について、御紹介いただいた三つの観点に沿ってお答え申し上げたいと思います。 第一の、県民の暮らしを守るという観点では、災害情報集約センター本部員会議室、備蓄倉庫などを集約した危機管理フロアにおいて、開庁以来、大雨や台風の発生に伴い災害対策本部員会議を八回開催したほか、地震や原子力災害などを想定した訓練を計六回実施しております。 このフロアには、これまで分散して対応に当たっていた職員などが最大五百名同時に集結できるようになりました。これにより、例えば本年一月に実施した大規模地震を想定した図上訓練では、県職員と自衛隊、ライフライン事業者などの関係機関の要員が参集し、刻々と変化する状況に応じて対策の立案や実行に係る連携をスムーズに行うことができ、参加した関係機関から高い評価をいただいております。 第二の地域の魅力を発信するという観点では、一階のGALLERY GIFUにおいて県内各地の伝統工芸品や地場産品といった「ぎふブランド」のほか、空宙博などの県有施設の魅力などを順次紹介しております。 また、最大五百人収容可能なミナモホールは、新型コロナ・シンポジウムや清流の国ぎふ女性の活躍推進フォーラムなど、県の重要政策を発信する場として活用しており、現在、稼働率は九割を超えております。 加えて、岐阜の山々や町並みを一望できる二十階の清流ロビーでは、ドイツや中国といった海外訪問団との交流事業や優良工事施工者表彰式なども行っているところであります。 十月に開催した岐阜県農業フェスティバルにおきましては、県庁舎に加えてぎふ結のもりやOKBぎふ清流アリーナを一体的に活用したことで、二日間で二十万を超える方々に御来場いただきました。 第三の環境負荷やライフサイクルコストの低減という観点では、照明全般のLED化、断熱・遮蔽性能の高い窓ガラスの採用、太陽光発電や地中熱の活用、使用電力の三割を再生可能エネルギー由来とすることなどにより、面積当たりの二酸化炭素排出量を約四二%削減しております。また、水の使用量についても、面積当たり二五・四%削減しているところでございます。 次に、職員の仕事の進め方、働き方についてお答えいたします。 新県庁舎では、所属ごとの仕切りをなくしオープンフロア化したことや、係長以下の職員の配置を業務内容に応じて柔軟に変更できるレイアウトとしたことで、職員間のコミュニケーションや所属間の連携が深まり、より円滑に事務を進めることができるようになったとの声を聞いております。 また、執務机や椅子などの備品を管財課で、印刷用紙や封筒といった消耗品を出納管理課でそれぞれ一元管理することにより、所属ごとの調達や在庫保管・補充といった負担が軽減されました。さらに、認証機能付のコピー機を配置し、どのフロアのコピー機でも印刷が可能となったことで、事務の効率化も進んでおります。 加えて、職員から寄せられる様々な声を、毎月各部局主管課で構成する連絡調整会議において検討しております。これにより、例えば出勤時間帯のエレベーターの混雑緩和対策時差出勤職員を考慮した早期空調運転など、改善を図ったところであります。 年明けには開庁から一年を経過することから、よりきめ細かく職員の声を把握するため、改めてアンケートを実施し、働きやすい環境づくりにより一層努めてまいりたいと考えております。 三番目に、パワハラ事案発生に対する現状認識とハラスメント防止対策の強化についてでございます。 まずもって、職場におけるハラスメントは、申し上げるまでもなく個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為であり、周りの職員も含めた職場環境を著しく悪化させ、あってはならない行為であります。 本県では、平成二十九年十月に職場環境を悪化させる行為の防止及び対応に関する指針とその運用要領を定めております。この下で、ハラスメント防止に関する職員研修の実施や職員面談時のエントリーシート、メールによる相談窓口などを設け、取組を進めてまいりました。 そうした中で起きた今回の事案は、ハラスメント防止の事務方の最高責任者である総務部長が自らパワーハラスメントを行ったということで、私自身、大変重大な問題であると受け止めております。このような事案を再び発生させることがないよう、ハラスメント防止対策の見直しと強化・徹底が急務であると考えております。 そのため、再発防止に向けた取組として、直ちに大きく二つの観点から対策を強化することとし、これらを指針及び運用要領にも明示してまいります。 まず第一に、組織を挙げての体制の強化であります。 まず、ハラスメントの根絶に向けた全庁的な推進体制として、私をトップに両副知事、各部長で構成するハラスメント防止対策本部を新たに設置し、全庁的にハラスメント防止対策の徹底を図ってまいります。 また、各部においても、部長をトップとして本庁及び現地機関の所属長で構成する対策部会を設置し、定期的に部内における個別事例の共有のほか、相談への対応や指導など具体的な対応を行ってまいります。 次に、事案の早期把握、早期対処につなげるため、相談体制を拡充いたします。 現在は、人事課や各部局の主管課等に窓口を設置しておりますが、県の組織内にあることを理由に相談をためらう事例も想定されます。このため、新たに外部の専門家による相談窓口を設置し、より相談しやすい環境を一層整えてまいります。 さらに、現在、ハラスメント事案に対しては、各部局の主管課と連携しながら人事課で対応しております。しかしながら、今後、研修の企画から相談対応、事案の調査、処分に至る一連のこの関連業務につきましては、より迅速かつ専門的に対応するため、ハラスメント防止対策を一元的に行う専門部署を新たに設置してまいります。 第二に、ハラスメントに関する研修体系を見直すことで、職員の意識向上を図ってまいります。 まず、部内全体を指導する立場にある部次長級職員に対する研修について、これまでは昇任時にのみ実施しておりましたが、今後は全ての部次長級職員を対象に、毎年実施してまいります。 新規採用や昇任を機に行う階層別研修では、ハラスメントに関する基本的な知識や相談窓口などの周知に加え、今後、具体的な事案に係るケーススタディーを行うなど、研修時間を拡大し内容を充実してまいります。 さらに、毎年全ての職員を対象に動画を活用した研修を行うとともに、職員一人一人の認識を深め、確実に定着するよう、毎月、自らの言動がハラスメントに該当していないか、設問形式による自己点検を行うことで職員の自覚を促してまいります。 ○議長(野島征夫君) 総務部長事務代理 平野孝之君。    〔総務部長事務代理 平野孝之君登壇〕 ◎総務部長事務代理(平野孝之君) 今年度の県税収入の見通しと来年度の県税収入及び地方交付税の交付額の見込みについてお答えをいたします。 まず今年度の県税収入につきましては、法人二税が製造業を中心に減収しているものの、個人県民税などその他の税目を含めると、全体としては前年度と同程度の水準で推移しております。 また、来年度につきましては、引き続き物価上昇、為替変動などによる影響に留意する必要があり、先行きは楽観できる状況ではありません。加えて、国の総合経済対策において実施されることとなっております個人県民税の減税やその他の税制改正の影響もあり、見通しは不透明な状況でございます。 次に、来年度の地方交付税の交付額につきましては、国の概算要求において、一般財源総額は今年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされておりますが、具体的には今後年末にかけて国の地方財政対策において決定されていくことになっております。 このため、県税収入、地方交付税交付額のいずれにおきましても、引き続き国の動向や経済情勢などを注視しつつ、来年度当初予算編成に向けて適切に見込んでまいります。 ○議長(野島征夫君) 三十三番 小原 尚君。    〔三十三番 小原 尚君登壇〕 ◆三十三番(小原尚君) 答弁をいただき、ありがとうございました。 次に、大きく二項目め、魅力と活力あふれる岐阜県づくりとして、四点お伺いいたします。 まず、大阪・関西万博を見据えた取組についてお伺いします。 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、令和七年四月十三日から開催される大阪・関西万博開幕まで五百日を切りました。万博会場には世界各国から新技術と文化が集結し、開催期間中、国内外から二千八百万人以上が来場し、経済効果は二兆円を超えると推計されています。 折しも、開幕直前の令和六年度には、東海環状自動車道の山県インターチェンジから大野神戸インターチェンジ間が開通予定となっています。これにより県内各地と関西地方がますます近くなることから、関西圏との連携を強化する絶好の機会が到来しております。 この機会を捉え、万博を見据えて関西圏や近隣県と連携した広域周遊観光の推進や、本県の食・モノの関西圏への販路拡大を一層進めていただきたいと思います。 また、知事は、中部圏知事会議で来年本県で開催される「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四と清流の国ぎふ総文二〇二四の盛り上がりを万博につないでいくという観点で、文化面からも万博へのアプローチを積極的にやっていきたいとの方針を示されています。 ぜひ万博会場において本県の多様な魅力を国内外の方々に知っていただき、本県への観光誘客や地域の産業・文化の振興につなげていただきたいと思います。 そこで、万博を見据えて、あるいは万博会場において本県の魅力をどのように発信し、地域の活性化につなげていくのか、知事にお伺いいたします。 次に、全国都市緑化ぎふフェアについてお伺いをいたします。 万博開幕十日後の令和七年四月二十三日から、本県では、全国都市緑化ぎふフェアがぎふワールド・ローズガーデンなど、県内七か所を会場として五十四日間開催されます。 全国都市緑化フェアは、昭和五十八年から毎年、全国各地で開催されている花と緑の祭典で、本県では初めての開催となります。県では、平成二十八年十月に策定した岐阜県都市公園活性化基本戦略に続き、令和三年三月には新・基本戦略を策定し、六つの県営都市公園を岐阜の魅力を国内外に発信する玄関口として位置づけ、本県の自然、文化、伝統産業、食、県産品など、様々な地域資源とつなぎ、周遊性をさらに向上させる拠点とすべく取組を進めておられます。 全国都市緑化ぎふフェアは、このような戦略に基づき、これまで磨き上げてきた県営都市公園を土台として花・緑に親しんでいただくことをきっかけに、本県の自然と共生した暮らしを国内外に発信するものとして開催されます。 ぎふフェアの大きな特徴の一つは、その会場の大きさです。 今年度、フェアが開催された仙台市をはじめ、例年、メイン会場は一か所ですが、ぎふフェアでは、美濃地域にある六つの県営都市公園、具体的にはぎふワールド・ローズガーデン、ぎふ清流里山公園、養老公園、世界淡水魚園、岐阜県百年公園、各務原公園という六か所に、観光客に人気がある飛騨地域も会場に加えた県内七か所を会場としてオール岐阜で開催されます。 そのため、特定の会場に来場者が偏ってしまうことなく、いかにして県内に点在する会場をつなぎ合わせ、様々な地域資源と連携し交流・周遊につなげていくのかという視点が大事であると考えます。 そこで、これまで磨き上げてきた本県の県営都市公園の魅力を生かし、どのようなフェアをつくり上げていくのか、知事にお伺いいたします。 次に、岐阜高島屋の閉店を踏まえた県都岐阜市の中心市街地の活性化についてお伺いをいたします。 本年十月、岐阜市柳ケ瀬地区にある岐阜高島屋が来年七月末で閉店することが発表されました。県内唯一の百貨店である岐阜高島屋が閉店すると、全国で四県目の百貨店がない都道府県となります。 岐阜高島屋周辺では、今年三月の柳ケ瀬グラッスル35のオープンや金公園の再整備により親子連れが集まるなど、新たな人の流れやにぎわいが生じてきています。そのような中、柳ケ瀬のにぎわいの中心にある岐阜高島屋が閉店することは、岐阜市の中心市街地の活性化に大きな影響があると思います。 中心市街地の活性化は市街地を有する全ての市町村の課題ですが、とりわけ県都である岐阜市の中心市街地は県全体の活力の象徴とも言え、県民が自分の県に対して持つイメージや、国内外の訪問客が抱く岐阜県の印象に大きな影響を与える県全体の課題でもあります。 県内から百貨店がなくなることを受けて、知事は定例会見で「百貨店を営む方々が、岐阜の商圏を積極的に出ようという地域だと見ておられないことの表れだろう。地域の活力や魅力増進など、いろんな意味で地域を挙げて考えていくべきことはある」との所感を述べられています。 そこで、岐阜高島屋の閉店を踏まえ、岐阜県の顔でもある県都岐阜市の中心市街地の活性化に県としてどのように関わっていかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、岐阜県DX推進コンソーシアムの支援状況についてお伺いします。 県では、本年四月に産業界のデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXへの機運を捉え、これまでの岐阜県IoTコンソーシアムを改組し、岐阜県DX推進コンソーシアムを設立し、企業における新たなビジネスモデルの創設やデジタル技術活用の裾野拡大などの促進に取り組まれています。 産業界を取り巻く社会経済環境は、人口減少・少子高齢化の影響で全国的にあらゆる業界で人手が不足しています。 その中でも、本県は今年十月の有効求人倍率が一・五九倍と全国で三番目に高い数値となるなど、人手不足が深刻な状況です。 また、日本の経済成長率は低くとどまっており、国際通貨基金は、本年十月、今年の日本のGDPがドルベースで世界三位から四位に転落し、ドイツに逆転されるとの見通しを示しました。こうした状況にあるからこそ、地域の経済や社会を守るため、デジタルの力を借りて業務を効率化し、生産性を上げて企業の成長につなげていくことの重要性が増しています。 一方で、県と県中小企業団体中央会が行った県内企業を対象にしたアンケート調査によると、県内の中小企業の一六%が業務のデジタル化を取り組んでおらず、今後も予定なしと回答されています。そうした企業にもデジタル化のメリットを理解してもらえるよう、引き続き支援していくことも必要だと考えます。 そこで、岐阜県DX推進コンソーシアムの支援状況について、商工労働部長にお伺いいたします。 ここで、二回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕
    ◎知事(古田肇君) 三点、お尋ねがございました。 まず、大阪・関西万博を見据えた取組ということでございます。 「愛・地球博」以来、二十年振りに我が国で開催される大阪・関西万博は、御指摘にありましたとおり「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとしておりまして、コロナ禍を乗り越えた人類がその英知を結集し、未来を語り合う場になるというふうに期待されておるわけであります。 この万博はかねてから申し上げておりますとおり、オールジャパンで取り組んでこそ成功するものであり、各自治体にとっても世界に魅力を強力に発信し、人々に足を運んでもらう絶好の機会となります。当県としても、この機会を大いに活用したいと考えておる次第であります。 このため、これまでもJR大阪駅構内での県産品の販売、大阪市内でのレストラン・シェフを対象とした県産農畜水産物の試食会、訪日客向けの旅行商品の造成に向けた航空会社との連携などを進めてまいりました。 また、先月には万博参加国と地域が継続的に国際交流を推進するための国のモデル事業、これに本県とフランス、岐阜市と中国、恵那市とポーランド、八百津町とリトアニアの四つの事業が採択されております。 また、万博協会から会期中における自治体参加催事への参加案内があり、先月、本県としてもこれに応募をしたところでございます。 御案内のとおり、来年度は本県にとって文化イヤーであり、そのレガシーを翌年度の万博へと引き継いでいくことを基本としたいというふうに考えております。具体的には、「地芝居大国ぎふ」の地歌舞伎等の伝統芸能の公演、ユネスコ無形文化遺産に登録された郡上踊・寒水の掛踊の体験、祭、古戦場、伝統技術の紹介などが挙げられます。今後、ステージイベント、展示、バーチャル映像など企画の具体化を進めてまいります。 加えて、国のほうでは万博関連として文化資源の磨き上げのための補助金、デジタル田園都市国家構想交付金の万博枠などの支援メニューも用意されますので、これらも積極的に活用してまいります。 次に、第四十二回全国都市緑化ぎふフェアについてのお尋ねがございました。 本県では、都市公園活性化基本戦略に基づいて、各公園の特徴に見合った施設整備や地元食材を使ったメニュー開発など、ハード・ソフト両面にわたる戦略的な取組をここ数年間進めてまいりました。これに対して、一昨年、「第四十一回緑の都市賞」国土交通大臣賞という形で、国からは高く御評価をいただいたところであります。 こうした取組を踏まえて、本年八月に策定した第四十二回全国都市緑化ぎふフェアの基本計画では、「「清流の国ぎふ」から広げる自然と共生した暮らし」をテーマに、六つの県営都市公園に飛騨の大自然を加えた七つの会場を舞台としてスケールの大きなフェアをつくり上げていく方針を示したところでございます。 まず第一に、岐阜の花や緑を楽しめる特設ガーデンの設置、農産物を収穫し味わうプログラム、自然素材を用いた工芸体験講座などにより、来場者に花や緑のある暮らしの豊かさ、すばらしさを実感していただきます。 第二に、企業や各種団体と連携し、緑やオープンスペースを活用した心身の健康づくりや希少生物のすみ場所づくりなどを行い、自然と共生したウエルビーイングな社会の創造につなげてまいります。 第三に、花壇づくりや園内の枯れ枝や落ち葉を利用したオブジェの製作などを通じて、花・緑を守り育てる次世代の担い手の育成を図ります。 第四に、会場と県内各地をつなぐ周遊企画や、体験型、参加型のプログラムを展開し、新たな交流を生み出してまいります。 さらに、海外のインフルエンサーによる情報発信や、同時期に開催される大阪・関西万博、世界バラ会議福山大会の来訪者の誘致など、インバウンドの獲得にも努めてまいります。 三つ目が、岐阜高島屋の閉店を踏まえた今後の中心市街地の活性化ということでお尋ねがございました。 県内唯一の百貨店であります岐阜高島屋には、四十六年間にわたり、県都岐阜市のにぎわいの一翼を担っていただきました。 また、平成三十年には、岐阜市、岐阜商工会議所、岐阜高島屋と県の四者で地域活性化に関する包括連携協定を締結いたしました。これにより、県としては戦国武将やぎふ女のすぐれものフェアの開催、岐阜高島屋を活用したふるさと納税返礼品の提供、ぎふっこカード、消防団員・水防団員カードの優遇など、岐阜高島屋との連携を進めてきております。 その岐阜高島屋が岐阜から撤退することは商店街の振興や地域の活性化などに大きなブレーキとなり、大変残念に思っております。 今後、閉店に伴い、従業員の再雇用、建物の取扱い、跡地の利用といった様々な課題が生じてまいります。これらについては、今後、岐阜高島屋と土地・建物のオーナーである岐阜土地興業株式会社との間で協議が進められると承知しておりまして、両者の協議が円滑に進むようフォローしてまいります。 こうした中、地元関係者の方々が集まり、今後の商店街づくりに向けた勉強会を開催されるというふうに報じられております。今後、様々な場において岐阜高島屋閉店後の地域活性化策について議論が進むものと思われます。県としても、これに協力してまいりたいと思っております。 既に、岐阜市では岐阜駅周辺から柳ケ瀬、市役所周辺までの中心市街地の活性化に向けた取組が進められております。この春の柳ケ瀬グラッスルのオープン、金神社のリニューアルに続いて、今後は長崎屋跡地の再整備が計画されております。 県としても、JR岐阜駅前の駅北中央東地区及び西地区再開発事業を支援するとともに、名鉄高架化事業など、社会インフラ整備を進めているところであります。 また、木育ワークショップ「WoodGO!!」など、柳ケ瀬の活性化イベントを引き続き支援するとともに、十二回目を迎える高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンや、来年のエンジン〇三in岐阜などの開催を通じて、町なかのにぎわいを創出してまいります。 今後とも、岐阜市をはじめ関係者の方々とともに今回の事態を乗り越えて、県都岐阜市の活性化に尽力してまいります。 ○議長(野島征夫君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) 岐阜県DX推進コンソーシアムの支援状況についてお答えします。 本年四月に設立したコンソーシアムでは、セミナーや研修会、県内外の先進事例視察など、DXの普及啓発活動を進めております。これまでに、延べ六百人を超える参加をいただいております。 また、DXにより生産性向上、技術革新を目指す実証事業やモデル事業への補助を大幅に拡充し、十四事業、六十二者を支援しております。例えば地域物流の二〇二四年問題への対応、デジタルインボイスの活用といった先駆的な取組を進めており、成功事例の輩出とその横展開を目指してまいります。 さらに、DX成功事例を調査分析する研究会を設置し、その成功要因の分析結果を活用した社内のDX推進リーダー養成研修も行っております。 こうした活動により、コンソーシアムの会員数は前身のIoTコンソーシアムから二割以上増加しており、支援の裾野は確実に広がっていると認識しております。 今後も、より多くの事業者がデジタル化の効果を理解し、第一歩を踏み出せるよう、コンソーシアムの取組を通じてDX成功事例を分かりやすく紹介してまいります。 ○議長(野島征夫君) 三十三番 小原 尚君。    〔三十三番 小原 尚君登壇〕 ◆三十三番(小原尚君) ありがとうございました。 次に、大きく三項目め、農林業の活性化として、三点お伺いします。 まずドイツ・ロッテンブルク林業大学との連携を契機とした林業・木材産業の振興についてお伺いします。 岐阜県とドイツ・バーデン・ヴュルテンベルク州は、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現を目指し、エネルギー分野及び森林・林業分野における交流・協力関係を深化・拡大するため、平成二十五年五月にエネルギー及び森林・林業に関する覚書を締結しました。 その翌年には、森林・林業分野の交流・協力関係を築いていくために、県立森林文化アカデミーと同州のロッテンブルク林業大学との間で覚書を交わし、以来、両国間の人的交流・学術交流は今年で九年目を迎えています。森林文化アカデミーに端を発した交流ですが、今では産学官連携を進める岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアムによるドイツの先進的技術の移入、共同研究や商品開発等へと発展してまいりました。 令和二年七月に、森林文化アカデミー内に森林総合教育センターmorinosがオープンした際には同州からも来賓をお招きする予定でしたが、新型コロナの影響で中止となるなど、ここ数年は思うような交流ができない時期が続いたとお聞きしています。 しかし、新型コロナが五類に移行し、本年十月には同州のペーター・ハウク食糧・農村地域・消費者保護省大臣をはじめ、大学関係者、林業事業者による視察団がmorinosや県内の原木市場等を視察されるなど、交流を深めたところであります。 今後は、大学連携のみならず企業間連携をより一層進めて次のステージに移行することが、林業振興のためには重要であり、新たな販路拡大の取組としていかに輸出などの事業につなげていくかが課題であります。 そのために、まずは来年大学連携の十周年を機に、本県から企業も含めた視察団の訪独から始めるのもよいと考えます。 そこで、ドイツ・ロッテンブルク林業大学とのこれまでの交流・協力を踏まえ、今後の林業・木材産業の振興をどのように進めていかれるのか、林政部長にお伺いいたします。 次に、花卉振興について、二点お伺いします。 まず、清流の国ぎふ花き振興計画に基づく取組についてお伺いします。 本県では、議員提案により、平成二十六年十月に全国初となる岐阜県花きの振興に関する条例を制定いたしました。そして、その理念を具現化するため、平成二十七年十一月に清流の国ぎふ花き振興計画を策定し、県民の健康で心豊かな生活の確保と美しい郷土づくりの実現に向けて花卉の振興に取り組まれてきました。 しかし、人口減少や高齢化に伴う市場規模の縮小、生産・流通コストの増加等に加え、コロナ禍による卒業式やイベント等の中止、縮小に伴う需要減少により、花卉生産の経営環境は一層厳しさを増しました。 こうしたことを踏まえ、県は令和三年三月に第二期花き振興計画を策定し、花卉文化の振興や園芸福祉の推進など、五本柱に基づいて各種事業を展開されているところであります。 こうした中で、本年五月には、新型コロナが五類に移行し、各種イベントが復調傾向にあります。また、第二期計画の最終年度に当たる令和七年度には、先ほど申し上げたとおり、花と緑の祭典である全国都市緑化ぎふフェアが開催され、本県の花卉や花卉文化の魅力を国内外に発信する好機が訪れます。 一方で、燃油価格は高止まりを続けており、加えて物流の二〇二四年問題の影響による流通コストのさらなる上昇により花卉生産の経営が一段と圧迫されることが懸念されています。 そこで、現行計画に基づく取組によるこれまでの成果と課題、そして課題解決に向けた取組の方向性を農政部長にお伺いします。 次に、清流の国ぎふ花と緑の振興センターの取組についてお伺いします。 花卉産業を支える県内の生産者は平成十二年の一千三百五十九戸から減少し、令和元年には四百十九戸と、七割も減少しています。花卉の経営環境が厳しい中、高品質の花卉を生産するだけではなく、マーケティングに基づいてニーズに合わせた商品づくりやサービスを提供し利益を上げることができる、経営力の高い担い手の育成が急務になっています。 そのため、県は令和四年四月に花卉の担い手育成と花卉産業振興の拠点として、県農業技術センター内に清流の国ぎふ花と緑の振興センターを設置されました。同センターでは、経営感覚に優れた担い手を育成するため、経営管理能力や花卉の栽培技術力の向上を目指し、各種研修を実施されています。 また、同センターでは、観光業や住宅産業など、異業種を含む産学金官で構成するぎふ花と緑の振興コンソーシアムの事務局も担当されています。同コンソーシアムは、コンソーシアム会員を主体とするワーキンググループを設置し、新商品や新サービスなどの開発に取り組み、新たな花卉の需要創出と活用促進を図っておられます。 そこで、農政部長にお伺いいたします。 清流の国ぎふ花と緑の振興センターが設置されてから一年半が経過しました。同センターのこれまでの取組状況と今後の展開をお聞かせください。 次に、岐阜県野生動物管理推進センターの取組についてお伺いします。 イノシシ、鹿、猿等の野生鳥獣による農林業への被害は減少傾向ではあるものの、依然として深刻であります。県内の野生鳥獣による農作物被害額は、令和三年度で約二億一千万円、獣の食害や皮剥ぎなどによる森林被害面積は、約二百八十六ヘクタールになっています。 野生鳥獣による農業被害は農家の営農意欲を減退させ、耕作放棄地の増加をもたらしています。また、森林被害は再造林や適切な森林整備の実施に支障を及ぼし、森林所有者の林業経営意欲を低下させています。 さらに、今年度は熊による人身被害が過去最悪のペースで発生しており、県内でも七人が被害に遭われています。 こうした状況の中、食料生産の場として重要な役割を果たしている中山間地域の農業や国土保全、水源涵養、木材供給などの多面的機能を有する豊かな森を守るため、そして人々の平穏な暮らしを守るため、鳥獣害対策の重要性が一層増しております。 県では、野生鳥獣による農林業被害や生活環境被害、生態系被害の低減を目的に、令和四年四月に岐阜大学と共同で岐阜県野生動物管理推進センターを設置されました。 同センターでは、AIやICT技術を活用して野生動物の生息状況調査や行動解析を進め、その科学的データを基に市町村と連携して、より効果的な被害対策に取り組まれています。 そこで、環境生活部長にお伺いします。 岐阜県野生動物管理推進センターが設置されてから一年半が経過しました。同センターにおけるこれまでの取組状況と今後の展開をお聞かせください。 ここで、三回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕 ◎林政部長(久松一男君) ドイツ・ロッテンブルク林業大学との連携を契機とした林業・木材産業の振興についてお答えします。 森林文化アカデミーでは、ロッテンブルク林業大学との交流を契機に、狩猟学といった新たなカリキュラムの導入、国際学会における木造建築に関する共同論文の発表、さらには森林総合教育の拠点となるmorinosを整備し全県的に展開するなど、教育交流で成果を上げています。 また、県内林業関係者が高性能な獣害防止資材や林業機械を輸入、販売するなど、欧州の優れた技術の導入を進めてまいりました。 コロナ禍を経て、本年十月にドイツから視察団が来県され、銘木市場や製品展示場を視察された際、欧州にはない多様な樹種を使用した木製品が高く評価されました。 そこで今後は、これまでの教育交流、技術導入に加え、県産木製品の輸出など、ビジネス面での交流を進めていきたいと考えています。このため、まずは交流のあるドイツを足がかりに、木目が美しくデザイン性が優れたテーブルや椅子など、付加価値の高い製品の欧州への輸出に向けて調査を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 二点、お尋ねいただきました。 まず、清流の国ぎふ花き振興計画の成果と課題、課題解決に向けた取組の方向性についてお答えいたします。 これまで、花き振興計画に基づき、花卉の生産拡大と需要拡大に向け、生産者と共に取組を進めてきました。 生産の拡大では、花と緑の振興センターを設置し、生産者の栽培技術と経営力の向上を図るとともに、農業技術センターでは九つのオリジナル品種を育成し、産地形成を進めてきました。 また、需要拡大に向けては、住宅展示場などでの花のある暮らしを提案するイベントに加え、小・中学校での花育教室には年間約二千名が参加するなど、花文化の定着を図ってきました。 しかしながら、コロナ禍とその後の景気の低迷により消費は右肩下がりであり、花の産出額は減少傾向にあります。 このため、空きハウスの活用を促すとともに、開花時期を調節する技術研修に取り組むなど、安定した花の供給体制を整え、生産拡大を図ってまいります。 さらに、清流の国ぎふ文化祭や全国都市緑化ぎふフェアなどの開催を起爆剤として県民参加の花飾り機運を高め、需要の回復を図ってまいります。 続きまして、清流の国ぎふ花と緑の振興センターの取組状況と今後の展開についてお答えいたします。 振興センターでは、品種育成や環境制御などの栽培技術とともに、経営手法や労務管理など、経営力の強化に向けた研修を実施し、これまでに延べ二百名を超える生産者が受講しております。 また、コンソーシアムでは、七十九の企業や団体が参画し、おのおのの得意とする技術や知見を生かし、花の香りやエキスを抽出したスキンケア商品、フレーバーティーなど七アイテムを商品化しています。 一方、生産者からは、今後はさらに市場で高く評価される商品づくりやネットを活用した新たな販路開拓に取り組みたいといった声が寄せられています。 このため、花持ちがよくボリューム感のある商品づくり、ネットショップなどの直接販売への参入に向けた研修カリキュラムを拡充してまいります。 あわせて、モニター調査によるマーケット・インの商品づくり、ターゲットに合わせた販売戦略の視点から取組を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 岐阜県野生動物管理推進センターの取組状況と今後の展開についてお答えいたします。 岐阜大学と共同設置した県野生動物管理推進センターでは、野生動物の被害対策を進めるシンクタンクとして、調査・研究や人材育成、県民への普及啓発等に取り組んでおります。 具体的には、県内百か所に設置した自動撮影カメラによるニホンジカやイノシシ、熊などの野生動物の生息状況調査や、伊吹山の食害防止に向けたGPSによるニホンジカの行動追跡調査を行っております。 また、市町村へのイノシシ対策などの技術指導や被害防止研修による人材育成、さらには熊や猿等に関する講座やシンポジウムの開催による県民への普及啓発などに取り組んでおります。 今後は、こうした取組に加え、AIを活用した撮影データの解析や動画撮影を組み合わせることによる生息状況調査の精度向上など、新たな調査手法の導入も検討し、地域の実情に合わせた効果的な捕獲など被害対策の推進につなげてまいります。 ○議長(野島征夫君) 三十三番 小原 尚君。    〔三十三番 小原 尚君登壇〕 ◆三十三番(小原尚君) それぞれ答弁ありがとうございました。 次に、大きく四項目め、安全・安心・強靱な地域づくりとして、五点お伺いします。 まず、県土の強靱化についてお伺いします。 本県は変化に富んだ複雑な地形を有し、その自然から多くの恵みを受けてきた一方で、古来、あまたの自然災害に見舞われてきました。 また、近年、気候変動の影響により豪雨が頻発化しています。さらに、大規模地震の切迫性が高まる一方、インフラの老朽化が進んでいます。 こうした危機に打ち勝つためには、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に防災・減災、県土強靱化の取組を進めていくことが重要であります。 県では、国土強靱化基本法に基づき、平成二十七年三月、全国に先駆けて岐阜県強靱化計画を策定し、続いて令和二年三月には国の国土強靱化基本計画の見直し内容や本県での災害経験等も加味して第二期県強靱化計画を策定し、どんな自然災害が起こっても機能不全に陥らず、いつまでも元気であり続ける強靱な岐阜県をつくり上げるため、各分野で取組を推進されてきました。 ここで、少し古い話になりますが、私の地元である可児市と御嵩町の話をさせていただきます。 平成二十二年十月、御嵩町の住宅地で亜炭鉱廃坑による大規模な地盤の陥没が発生をし、家屋の傾斜・破損等を含む大きな被害が発生したときには、古田知事の尽力により迅速に被害の復旧をしていただきました。 また、同年七月、豪雨により可児川が氾濫し甚大な被害が発生した際は、河道掘削や築堤護岸工事等を速やかに実施していただいたことにより、翌年、台風十五号の豪雨の際には家屋等へ浸水被害を防止することができました。百三十年に一回の雨が二年連続で降ったわけであります。二回目のときは早い対応で被害を出すことはございませんでした。改めて感謝を申し上げます。 今紹介した事案は一例にすぎませんが、豚熱、鳥インフルエンザ、新型コロナへの対応を含め、危機事案に対する知事の卓越した手腕は誰もが評価しているものと思います。 こうした事案の中でも、自然災害について、五期目の最終年度となる来年度に、知事がどのように県土の強靱化に取り組まれるか、また国においては、本年七月、五年ぶりに新たに国土強靱化基本計画が改定されたところであり、次期の岐阜県強靱化計画をどのようなものにするかについても大いに関心を持っております。 そこで、第二期岐阜県強靱化計画の策定から三年半が経過し、その進捗状況や国土強靱化基本計画の改定を踏まえ、今後どのように本県の強靱化に取り組まれるのか、知事にお伺いをいたします。 次に、今後の亜炭鉱廃坑対策についてお伺いをいたします。 旧亜炭採掘地域である中津川市、瑞浪市、可児市及び御嵩町の三市一町では亜炭鉱廃坑が存在しており、現在も年間数件の陥没被害が発生しています。 特に御嵩町では、地下に空洞があると推測される箇所の約六割が宅地であり、南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、地元の住民の皆さんは大きな不安を抱えています。そのため、近年、御嵩町では国土強靱化の観点から、空洞を埋め戻すための大規模な予防対策事業が実施されています。 現在の事業は、令和三年三月に南海トラフ巨大地震に備えた亜炭鉱跡対策事業として国と県により約八十億円の巨額の基金を創設して予算を確保し、令和六年度末を期限として御嵩町内の地下空洞調査及び予防対策工事が進められています。その結果、地上から三十メートル以内の浅い箇所に地下空洞がある町内の宅地についておよそ半分を埋め戻すことができると見られており、予算確保等に御尽力いただいた古田知事をはじめ、事業に関わっていただいた全ての皆様に感謝を申し上げます。 しかし、地元住民の安全・安心のために、残り半分の地下空洞の埋め戻しを着実に進めていただくことが必要であります。その際は、やはり巨額な事業費をどのように確保するかということが大きな課題となってまいります。 そこで、現在の事業の課題を踏まえつつ、予算確保を含め、今後の亜炭鉱廃坑対策をどのように進めていかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、土砂災害対策についてお伺いいたします。 気候変動の影響により、国内の水害や土砂災害発生件数は増加傾向にあります。 特に、土砂災害については今年度も各地で甚大な被害が発生しており、国土交通省の資料によると、全国では今年十一月末時点で千四百五十件発生し、死者は八名となっています。 本県では、幸いにも近年土砂災害による人的被害は発生していませんが、平成三十年七月豪雨や令和二年七月豪雨、令和三年八月の大雨では、飛騨地域、東濃地域を中心に土砂災害が発生しています。 こうした中、県では土砂災害防止法に基づき土砂災害のおそれのある区域を調査し、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定してきており、昨年度末時点で一万七千百六十九区域の土砂災害警戒区域の指定を行っています。 これら全ての箇所について砂防堰堤の整備などによるハード対策を早急に行うことは困難であり、優先順位をつけて整備を進める必要があります。 また、土砂災害による人的被害を少しでも軽減していくためには、ハード対策だけでなく、人命を守るためのソフト対策も必要であり、例えば土砂災害が起きる可能性が高まっている状況を正確かつ分かりやすい情報で市町村や住民に伝え、避難に役立てていただくことが重要であります。 さらに、最近の土砂災害の被害を見てみますと、豪雨時に斜面崩壊や土石流によって大量の土砂が谷より下流の河道で堆積することにより河床上昇・河道埋塞が引き起こされ、土砂と泥水が氾濫する土砂・洪水氾濫の被害が全国各地で発生しています。 平成二十九年の九州北部豪雨や平成三十年七月豪雨では、大量の土砂と合わせて大量の流木が発生・流下し、被害を拡大させている事例が見られ、こうした被害も軽減させる取組が必要と考えます。 そこで、土砂災害対策の進捗状況と昨今の土砂災害による被害を踏まえた今後の取組について、県土整備部長にお伺いします。 次に、将来の食料安定供給に向けた取組についてお伺いします。 世界的な人口急増や新興国の経済成長などにより、食料需要の増加が見込まれていることに加え、気候変動等により農産物の不作が発生し、食料供給に影響を及ぼす可能性があり、世界の食料需給は中長期的には逼迫することが懸念されています。 さらに、ロシアのウクライナ侵攻により小麦や肥料等の輸出が停滞するという事態が実際に発生し、食料確保を輸入に依存することのリスクを多くの方が実感したのではないでしょうか。 一方で、我が国のカロリーベース食料自給率は三八%と先進国の中で最低水準であり、食料安全保障の強化が喫緊の課題であります。 そのため、不測の事態への対応の強化に加え、平時から輸入に依存しない国内農業生産の増大を基本とし、食料安定供給の確保を図っていくことが一層重要となります。 そうした中、我が国では農業従事者の高齢化が進み、担い手の減少が進むとともに中山間地域を中心に耕作放棄地が増加するなど、深刻な問題が山積しています。 こうしたことを踏まえ、国では今年九月、農政の根幹とも言える食料・農業・農村基本法の見直しに関する最終取りまとめを決定し、来年春の通常国会に改正案を提出する方針を示しています。 この中では、国際情勢や気候変動による農業生産にとって不安定な状況下においても、将来にわたって平時から全ての国民に対して安定的に食料供給を図れるよう、新品種や新技術の開発等による生産性の向上や、効率的かつ安定的な農業経営の育成などを進めていくこととされています。 県においても、県民の命を守り抜くという観点から、県民に対する食料の安定供給に向けた取組を一層強化すべきだと考えております。 そこで、このような国の動きを踏まえ、県として将来の食料安定供給に向けどのような取組を進めていかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、刑法犯罪の増加の要因と対策について、お伺いします。 県内の刑法犯罪が大きく増加しています。 県警の発表によると、本年十一月末の刑法犯の認知件数は一万八百七件で、前年同期と比べ二一・八%増加しています。特に、窃盗犯の認知件数は大きく増加し、総数は七千百四十一件で二八・三%増加しています。 また、ニセ電話詐欺をはじめとする詐欺の認知件数の増加も目立っており、総数は九百三十三件で、三六・二%増加しています。それに対して、刑法犯の検挙状況は五・三ポイント低下の四一・九%の検挙率となっております。 これまで、県内の刑法犯認知件数は官民一体となった総合的な犯罪対策が効果を上げたほか、人口減少など様々な社会情勢の変化を背景として長らく減少傾向が続き、令和三年にはピーク時である平成十四年の約五分の一まで減少しました。県警をはじめとした関係者の皆様のたゆまぬ努力に敬意を表します。 しかし、残念ながら昨年は十一年ぶりに刑法犯認知件数が増加に転じ、今年もこのまま行けば昨年を上回り、二年連続で増加することになります。 県警におかれては、県民の安全・安心を確保するため、増加の背景に何があるのかをしっかりと分析し、適切な対策を取ることにより、ここで増加傾向に歯止めをかけていただきたいと考えております。 そこで、犯罪情勢に関する現状認識と考えられる増加の要因及びその対策について、警察本部長にお伺いをいたします。 ここで、四回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 三点、御質問がございました。 御答弁に先立ちまして、先ほどの私の答弁で若干修正をさせていただきます。 「金神社」のリニューアルと申し上げましたが、「金公園」のリニューアルでございますので、訂正させていただきます。 もう一つ、高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンですが、来年は「十二回目」ではなしに「十三回目」を迎えるということでございます。 まず、自然災害に備えた県土の強靱化についてであります。 本県では、想定外の常態化とも言える近年の自然災害を踏まえて、岐阜県強靱化計画五か年計画に基づいて国土保全、都市・住宅・土地利用、メンテナンス・老朽化対策、ライフライン・情報通信など、幅広い分野で施策を推し進めております。このところの全国各地で相次ぐ気象災害、さらには南海トラフ地震など、切迫する大規模地震災害を念頭に、「明日は我が身」どころか「今日は我が身」の心構えで強靱化の取組を一層強化していく必要があると考えております。 岐阜県強靱化計画策定後三年半を経過いたしましたが、計画において設定した百十六ある指標のうち、達成済みの指標が全体の三二%、またこの達成済みの指標も含めた進捗率七五%以上となっている指標が全体の五四%ということでございます。 具体的に御紹介しますと、達成済みの主なものとして、新五流域総合治水対策プランによる河川改修の延長、災害拠点病院の耐震化率、BCP策定を支援した事業所数、避難所運営マニュアルの策定市町村数などが挙げられます。 また、進捗率七五%以上の主なものとして、洪水ハザードマップを改定した市町村の割合、高齢者や障がい者など、要配慮者利用施設における避難確保計画の策定率、県営水道基幹管路の耐震適合率などが挙げられます。 このほか、一部の対策の効果が直ちに発揮されたケースとして、例えば平成三十年七月豪雨で被災した津保川では現在進めている緊急河川改修で川幅を広げたことにより、今年八月の台風第七号においては水位を約〇・六メートル低下させ、ぎりぎりのところで浸水被害を防ぐことができました。 一方、避難所運営に当たる指導者数、県広域防災センターの来館者数など、指標の達成のためにさらなる努力が必要となっているものもございます。来年度は、現行計画の最終年度として、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。 また、今年七月には国土強靱化基本計画が改定され、デジタル技術の活用や地域防災力の強化が新たな施策の柱とされております。 本県としても、令和七年度からの次期計画の策定作業に入りますが、こうした国の方針に沿って必要となる施策も盛り込んでまいります。この策定作業の第一段階として、まずは今年度内をめどに起きてはならない最悪の事態を回避するための施策について現状と課題を分析・評価する、いわゆる脆弱性評価といったものに着手をいたします。その結果を基に、来年度早々には私をトップとする推進本部を設置し、岐阜県強靱化計画の改定に向け幅広く御意見を伺うとともに、市町村とも連携しスピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。 次に、今後の亜炭鉱廃坑対策でございます。 御案内のように、県内では亜炭鉱廃坑に起因した陥没被害が現在も続いております。今年度は、御嵩町内の三件を含む六件の被害が発生しております。 これらの被害に対しては、昨年度、国の新たな支援を受けて造成した約一億七千万円の基金を活用し、復旧に当たっているところであります。 また、御嵩町では、こうした復旧事業に加え、内閣官房、経済産業省、国土交通省などの御協力をいただきつつ、南海トラフ巨大地震の発生に備えて空洞を充填する予防事業にも取り組んでおります。 これまで、平成二十六年三月から住宅が密集する、あるいは避難所となる公共施設が存在するなど、優先度が高い地区を対象に対策を進めてまいりました。 同時に、実施に当たっては、亜炭鉱採掘時についての十分な資料が存在しないため、空洞内を正しく把握するボーリング調査に時間と経費を要するといった課題がございます。このため、空洞内の調査手法の検討、新しい充填工法の採用など、事業の効率化と工事費の抑制を図りつつ予防事業を進めてまいりました。 これにより、現在の第三期対策工事の期限となる令和七年三月末までに、総額二百億円を投入して、約百五ヘクタールで充填工事を完了する見込みとなっております。この結果、優先度が高い地区約百七十九ヘクタールの六割に達することになるわけであります。 今後、さらに南海トラフ巨大地震の発生による災害に備えるため、また近年頻発化する集中豪雨による被害にも備えるためには、残る四割の地区についても速やかに対策を講じていくことが不可欠であります。そのため、令和七年度以降の予防事業の実施に向けて、国との間で実施方法、財源確保などについて着実に協議を進めてまいります。 三番目が、将来の食料安定供給に向けた取組でございます。 世界的な異常気象、国際情勢に伴う食料生産・供給の不安定化、世界人口の増加に伴う食料需要の増加、国内の人口減少・高齢化に伴う国内市場の縮小など、食料・農業を取り巻く情勢は大きく変化しております。 このため、国では、昨年九月に食料・農業・農村基本法の改正を見据えた見直し作業に着手し、さらに十二月には食料安全保障強化政策大綱がまとめられました。そして、国内資源の活用への転換、過度な海外依存からの脱却などが重点対策として位置づけられました。 今後、国では令和六年度中に基本法を改正するとともに、新たな食料・農業・農村基本計画を示すことになっております。 これらを受けて、本県では、本年三月、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しにおいて、食料安全保障の強化を重点施策として追加いたしました。そして、令和七年度を目標年度として、大きく以下に申し上げる三つの観点から取組を進めてまいります。 まず第一は、海外からの国内生産への転換であります。 まず、約九割を輸入に依存しております麦、大豆について申し上げますと、麦は順調に生産拡大が進んでおります。その一方で、大豆は収量が伸び悩んでおります。このため、先進技術の導入を支援し、大豆生産量を現状の一・四倍に拡大してまいりたいと考えております。 また、小麦粉の代用品となる米粉用米や加工用米への転換を進め、その作付面積を二倍に拡大してまいります。 次に、原料のほとんどを輸入に依存している化学肥料の削減に向けて、堆肥を肥料として活用する技術の開発に取り組むほか、家畜用飼料の増産に必要な機械の導入を支援してまいります。 また、県が開発した高温に強い米「清流のめぐみ」の生産現場への普及、トマトやイチゴなどの高温対策技術の開発を進め、気候変動に対応してまいります。 第二に、食料供給の維持・拡大に向けて、まずは県産農畜水産物を県民へお届けする地産地消県民運動を強力に展開してまいります。あわせて、全国知事会プロジェクトチームの活動と連携しつつ、国外での需要拡大を図ってまいります。 第三に、これらを支える人材の育成と基盤整備を進めてまいります。 このため、県内十九の就農研修拠点における技術・知識の習得支援を拡充するとともに、薬剤散布用ドローンや自動運転トラクターなど、省力化につながるスマート農業技術の導入を進めてまいります。これにより、現在の二倍となる一千経営体の実現を目指して、担い手育成を図ってまいります。 また、各地域において目指すべき農地利用の姿を明確にした地域計画の策定を支援し、担い手のための農地の集積や集約化を図るとともに、農地の大区画化など基盤整備を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 県土整備部長 野崎眞司君。    〔県土整備部長 野崎眞司君登壇〕 ◎県土整備部長(野崎眞司君) 土砂災害対策の進捗状況と今後の取組についてお答えいたします。 本県の土砂災害対策は、八山系砂防総合整備計画を進捗に応じて見直しを行いつつ、整備目標を定め、計画的に進めております。中でも、土砂災害特別警戒区域内の防災上配慮を要する方が利用する施設などへの対策を優先し、実施してまいりました。 これにより、社会福祉施設や学校など、要配慮者利用施設への対策は令和五年度末目標の三十七か所全てで着手済みであります。また、避難所への対策は、令和十年度末目標の百三十一か所のうち約九割の百二十二か所で着手し、目標が達成できる見込みです。 また、現在、土砂災害警戒区域の見直しとともに、土砂と洪水が重なり被害が拡大するおそれのある流域の抽出作業を進めております。さらに、土砂災害警戒情報の精度向上に向け、近年の降雨や災害発生データを基に発表基準の見直しに着手したところです。 こうした上で、策定から五年となる現八山系砂防総合整備計画について、最新の災害の知見も踏まえた見直しを進めており、学識経験者などに意見を伺い、今年度中に改定を行ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。    〔警察本部長 大濱健志君登壇〕 ◎警察本部長(大濱健志君) 刑法犯罪の増加の要因と対策についてお答えいたします。 本県の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が平成十五年以降減少傾向にあり、最近二年は一万件を下回り、ピーク時の約五分の一となるなど、指標面では着実に改善してきたところでございます。 しかしながら、本年に入りまして刑法犯認知件数は前年比で大幅に増加し、中でも県民の方々に不安を与える空き巣をはじめとした侵入窃盗、ニセ電話詐欺や日常生活の身近なところで発生する自転車盗などの増加が目立っており、警戒感を強めているところでございます。 犯罪増加の要因は様々な要素があることから一概に申し上げることは困難でありますが、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化などによる人流の増加が一定程度影響しているものと考えております。 対策といたしましては、犯罪の発生状況を踏まえまして、制服警察官による見せる活動、自転車盗が多発する駐輪場やニセ電話詐欺被害の対象となりやすい高齢者が利用する施設における広報啓発などの抑止活動を強化するとともに、侵入窃盗やニセ電話詐欺などが発生した場合には、緻密かつ迅速な追跡捜査による検挙活動を徹底しております。 県警察といたしましては、今後、先端技術の活用などによる犯罪情報分析の高度化などにも取り組みまして、増加傾向にある犯罪に歯止めをかけ、引き続き県民の皆様の安全と安心をしっかりと確保してまいります。 ○議長(野島征夫君) 三十三番 小原 尚君。    〔三十三番 小原 尚君登壇〕 ◆三十三番(小原尚君) 答弁、それぞれ本当にありがとうございました。 最後に、「清流の国ぎふ」を支える人づくりとして、四点お伺いします。 まず、農林業分野の担い手育成についてお伺いします。 食料の安定供給に向けた県内農業の再興や、本県が誇る森林・林業の活性化のため、何より必要なのは農林業分野の担い手となる人であります。 県では、農林業分野の担い手を育成するため、三つの県立教育機関を設置されています。具体的には、森林・林業・木材産業分野を担う人材の育成を行う森林文化アカデミー、花と緑の業界で活躍できる人材を育成する国際園芸アカデミー、農業の担い手を育成する農業大学校であります。 三校は、少子高齢化による学生数の減少や育成した人材の県外への流出といった課題に対応するため、平成三十一年三月に県立農林系アカデミー・農業大学校運営向上プランを策定されました。 このプランに基づき、三校では、社会情勢の変化にも対応でき、実践的に活躍できる人材を育成する、三校が個別の取組においてそれぞれ特徴を磨き上げるとともに、相乗効果を発揮するために連携強化を図る、AI、IoT、ロボット技術によるSociety五・〇の実現、SDGsの達成など、国を挙げた目標を踏まえながら取り組むという三つの方向性の下、学校の魅力発信、社会の変化に対応した学校づくり、就職・就農支援の強化に取り組んでこられました。 しかし、人口減少・少子高齢化が進む中、農林業分野の担い手不足も深刻さを増しております。 そこで、農政部長と林政部長にそれぞれお伺いいたします。 森林文化アカデミー、国際園芸アカデミー、農業大学校における担い手育成の今後の取組をお聞かせください。 次に、県営住宅を活用した子育て世帯に対する住宅支援の強化についてお伺いいたします。 少子化は、我が国が直面する最大の課題であります。 昨年一年間に生まれた子供の数は約七十七万人となり、統計が開始された一八九九年以来、最低の数字となりました。しかも、少子化のスピードが加速しており、この傾向が続けば二〇六〇年近くには五十万人を割り込んでしまうことが予想されています。 こうした急速な少子化に歯止めをかけなければ、我が国の社会・経済システムを維持することが困難になりますが、少子化トレンドを反転させるラストチャンスは若年人口の急激な減少が始まる二〇三〇年までだと言われています。 少子化が進む要因には様々ありますが、国の出生動向基本調査によると、夫婦に尋ねた理想の子供数を持てない理由の一つとして、若い世代を中心に「家が狭いから」が挙げられております。また、子育て支援の現場からも子育て世帯の居住環境の改善を求める声が上がっています。 このため、子育てに優しい住まいの拡充を目指し、国が今年六月に策定したこども未来戦略方針に、公営住宅における子育て世帯の優先入居など、子育て世帯に対する住宅支援の強化が盛り込まれました。 本県の県営住宅は老朽化が進んでいることもあり、空き部屋が増加しております。県としても、そうした部屋を子育て世帯のニーズに沿った居住環境に改善するなど、県営住宅を活用し子育て世帯に対する住宅支援を強化すべきではないでしょうか。 そこで、県営住宅を活用し子育て世帯に対する住宅支援をどのように強化していかれるのか、都市建築部長にお伺いをいたします。 最後に、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取組の強化についてお伺いいたします。 文部科学省は、本年十月四日、令和四年度問題行動・不登校調査の結果を公表しました。 今回の調査においては、小・中学校の不登校児童・生徒数、そのうち、学校内外で相談・指導等を受けていない児童・生徒数がそれぞれ約三十万人、約十一万四千人に上り、過去最多となっていること、またいじめ重大事態の発生件数も九百二十三件と過去最多となり、さらにそのうち約四割が、事前にいじめとして認知されていなかったことなど、極めて憂慮する状況であることが明らかになりました。 こうした状況を踏まえ、文部科学省は同月十七日、不登校・いじめ緊急対策パッケージを取りまとめ、都道府県教育委員会及び都道府県に通知をいたしました。 そこで、本県における不登校対策といじめ防止対策について順に質問をさせていただきます。 まず、不登校対策についてお伺いいたします。 問題行動・不登校調査によると、令和四年度における県内小・中学生の不登校は五千二百五十五人と七年連続で増加し、本県においても過去最多を更新しました。 また、高校生の不登校も三五・三%増加し、八百五十五人となっています。 不登校になる理由は様々ですが、まずは不登校傾向にある子供たちや不登校状態にある子供たちの心のケアを丁寧に行っていただくと同時に、子供たちと同じくらい思い悩んでいる保護者の方たちをしっかりと支援していただきたいと思います。 また、不登校の問題は子供たちの心を癒やすだけでは解決しません。子供たちは、不登校による勉強の遅れに悩み、自分の将来に不安を抱えています。心が癒え、前を向き始めた子供たちが自分に合った形で勉強することができるよう、多様な学びの機会の確保が求められています。 国の緊急対策等について、不登校の児童・生徒全ての学びの場の確保、心の小さなSOSの早期発見、安心して学べる学校づくり等が列挙されています。 そこで、悩みを抱える児童・生徒を早期に見つけ出して早期に支援するとともに、学校に行けない児童・生徒や保護者の意思を十分に尊重しつつ多様な学びの場を確保するなど、彼らの学びをどのように保障していくのか教育長にお伺いいたします。 次に、いじめ防止対策についてお伺いします。 滋賀県大津市の男子中学生がいじめを苦に自殺した事件をきっかけに成立したいじめ防止対策推進法が施行されてから、九月二十八日で十年が経過しました。しかし、深刻ないじめは後を絶たず、実効性のある取組が今求められています。 問題行動・不登校調査によると、令和四年度における県内の小・中学校と高校、特別支援学校でのいじめの認知件数は前年度より四・七%増の六千九百六十二件で、三年ぶりに増加しました。このうち、いじめにより身体的被害や長期欠席などが生じた重大事態は二十二件発生しています。また、暴力行為の発生件数は、二一・五%増の二千七百三十二件でありました。 新聞報道によると、小・中学校でいじめにつながる暴力行為の件数が大きく増えているのに対し、いじめ認知件数の伸びは低かったことから、県教育委員会は、コロナ禍前の令和元年度より認知件数が少ない。見逃されているものがあるのではないかと危惧していると分析されています。 私も、例えば友達同士でじゃれているだけだと判断されてしまうなど、見逃され、放置されたいじめが多数潜んでいるのではないかと懸念しています。 いじめは、被害を受けた子供たちの学ぶ意欲や生きる気力を奪い、心に一生癒やせない大きな傷を残します。そして、不登校の一因になるとともに、最悪の場合、自ら死を選ぶほどに追い詰められる子供たちが現実にいます。 そうしたつらい思いをしている子供たちを救い出すため、いじめはどの子供にも、どの学校でも起こり得るものであるという認識の下、学校ぐるみでいじめで悩んでいる子供たちを積極的に見つけ出し、早期に支援する取組を一層強化していただきたいと思います。 そこで、いじめの認知件数の現状をどのように認識されているのか、そして早期にいじめを発見し、対応するためにどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いします。 以上、未来を担う子供たちが将来に希望を持つことができる社会をつくるため、前向きな答弁を期待し、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 国際園芸アカデミー及び農業大学校における担い手育成の今後の取組についてお答えいたします。 国際園芸アカデミーでは、全ての学生が商品企画や会社経営を学ぶ一方で、それぞれの進路に合わせて科目を選ぶ実習中心のカリキュラムにより即戦力となる人材の育成に努めてまいりました。来年度には、ぎふワールド・ローズガーデン内に仕入れから販売まで一貫した授業ができるサテライト施設を開設し、実践教育のフィールドとして、高い職業意識とコミュニケーション能力を身につけた人材を育成してまいります。 一方、農業大学校では、農業経営に必要な専門的知識・技術の習得を目的として、約九十年の長きにわたり本県農業の担い手を育成してきました。今後は、スマート農業技術を活用した高度な栽培管理、家畜伝染病を防ぐ高度な飼養衛生管理、GAPの認証取得など、本県農畜産業が抱える課題への対応と対策の推進に向けて指導的役割を担う人材を輩出してまいります。 ○議長(野島征夫君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕 ◎林政部長(久松一男君) 森林文化アカデミーにおける担い手育成の今後の取組についてお答えします。 森林文化アカデミーでは、現地現物主義を基本に市町村や企業と連携し、地域に必要とされる人材の育成に努めてまいりました。加えて、ドイツ・ロッテンブルク林業大学との共同学習や留学など、国際的で視野の広い人材の育成にも注力しているところです。これにより、市町村から木育施設の基本設計の協力依頼をいただくなど、学生の評価が高まり、本校のブランド力は向上してまいりました。 近年は、県内外から定員を上回る志願者があり、また多くの県内企業から求人をいただくことで、現場技術者を養成する森と木のエンジニア科の卒業者の七、八割が県内で就職しております。 今後は、産学官連携による森林技術開発・普及コンソーシアムの会員企業や協定先の市町村との連携授業をさらに充実してまいります。また、林業への就業を支援する森のジョブステーションぎふとの連携を強化し、より企業ニーズを踏まえたカリキュラムの編成や就業相談体制の強化を図ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 都市建築部長 藤井忠直君。    〔都市建築部長 藤井忠直君登壇〕 ◎都市建築部長(藤井忠直君) 県営住宅を活用した子育て世帯に対する住宅支援の強化についてお答えいたします。 県では、子育て世帯に対する住宅確保の支援として、これまでに中学生以下の子を養育する世帯や多子世帯、新婚世帯を対象に入居できる所得基準を緩和するとともに、独り親世帯も含めて優先入居の対象とするなど、取組を進めてまいりました。 一方、県営住宅の約半数は築五十年を超えるなど老朽化が進み、間取りについても現代のライフスタイルに見合っていないなどの理由から入居率が低下しています。 特に、入居世帯の高齢化に伴い、一階や二階への入居を希望される傾向にあることから、三階以上の高層階では空き部屋が多いことが課題となっております。このため、三階以上の空き部屋を活用した改修プランについて、県内女子大学の建築系学生から、子育て世帯に優しい住まいをコンセプトに間取りや内装の提案をいただき、十月に開催したぎふ住宅フェア二〇二三において来場者に紹介いただいたところです。 今後、提案を基に設計を進め、来年度にはモデル的に二つの団地において改修を行うなど、居住環境の向上を図ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点、御質問がありました。 初めに、不登校対策についてお答えをいたします。 不登校児童・生徒に対し、教職員、保護者、地域の方々が共感的な理解の姿勢を持ち、信頼関係をつくり上げる、そうした過程が社会性や人間性を育て、結果として社会的自立につながると考えております。また、学校においては、何より児童・生徒にとって学校が安全・安心な居場所となるための魅力ある学校づくりと、分かりやすい授業の工夫が不登校児童・生徒の対応の基本となります。 不登校児童・生徒への対応は、その状況に応じて適時適切な指導も重要となります。 未然防止においては、早期の発見に向け、児童・生徒の相談する力の向上と、それに気づく学校の体制づくりのため、SOSの出し方に関する教育とその受け止め方に関する教員の研修を行ってまいります。 また、従来の学校に居場所を持てない児童・生徒については、いつでも対応できる相談員がいる、教室とは異なる空間を持つ校内の教育支援センターの拡大に取り組んでまいります。さらに、自宅や別室と教室をオンラインでつなぎ、授業や学級の様子を視聴できるようにするなど、ICTを活用した支援の充実にも取り組んでまいります。 次に、いじめの認知件数の現状に対する認識といじめの早期発見に向けた対応についてお答えをいたします。 令和四年度は、従来の教育活動がおおむね可能になり、暴力行為の発生件数はコロナ禍前と同程度になりました。しかし、かつて一万件以上あったいじめの認知件数は、約四千件減少いたしました。しかし、この結果は決して安心できるものではないというふうに認識をしております。 このため、県としましては、これまで本県が大切にしてきた軽微ないじめも見逃さず認知するという姿勢の下、例えば児童・生徒の行為をいじめかもしれないという認識を持って捉えることや、表面的な言動に隠れた感情に思いをはせるなど、教職員一人一人のいじめに対する感度を上げることが不可欠だというふうに考えております。 また、学級担任だけでなく、より多くの教職員が児童・生徒と接し、多面的に様子を見ることで得られた気づきを素早く学校全体で共有することに加え、いじめアンケート実施後には速やかに複数人で回答をチェックすることも重要だというふうに考えております。 さらに、本人だけではなく保護者からも相談しやすい体制をすることによっていじめの早期発見につなげてまいりたいと考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) ここで、しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十六分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十五番 野村美穂君。    〔二十五番 野村美穂君登壇〕(拍手) ◆二十五番(野村美穂君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、県民クラブを代表し、大きく十七項目、五分割して質問いたします。 最初に、県政運営について、三点、知事に質問いたします。 一点目は、物価高対策についてお尋ねします。 どんどんと物の値段が上がっています。原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービス、電気、ガスなど、幅広い分野で値上げの動きが広がっています。十二月に入ってからの値上げは六百二十八品目が予定され、年明け以降も約五百品目と当面は鈍化しそうです。しかし、二〇二三年の一年間で見ると、累計三万二千百八十九品目と昨年より約六千四百品目増加しています。私たちの負担感はかなり増しているため、買い控えの動きも続きそうです。 総務省が発表した十月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いて、前の年の同じ月に比べて二・九%上昇しました。伸び率は四か月ぶりの拡大をしています。この伸び率は、九月の二・八%から〇・一ポイント上がり、二か月連続の二%台となりました。前年同月比でプラスとなるのは二十六か月連続で、日銀が物価目標としている二%を上回る高い水準が続いています。また、生鮮食品とエネルギーを除いた指数は四%上昇していて、四%台の上昇は七か月連続となります。また、帝国データバンクの調査によると、二〇二三年度四月から九月までの上半期の物価高を起因とする倒産は三百三十四件、前年同期比一七三・七%増で、前年同期の二・七倍に急増しています。ゼロゼロ融資の返済開始や人件費が上昇する中、エネルギーや資材、原材料の価格高騰が追い打ちをかけ、企業の収益は一段と厳しさを増していると言われています。物価高は、県民に大きな負担を与えています。 そこで、知事にお尋ねします。 重点支援交付金を受け、編成した物価高対策の狙いについてお尋ねします。 次に、令和六年度予算編成に当たっての財源の確保策についてお尋ねします。 今年の五月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが五類へ移行し、社会、経済はコロナ禍前とは違う新たなステージに入りました。県においても、来年度は「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四などの開催を通じた本県の文化芸術活動の発信、新たな清流文化の創造、観光・食・モノ、三位一体での海外戦略の展開、人口減少社会脱却に向けた少子化対策などの充実、DXの推進、脱炭素社会の実現などの重要な施策に加えて、先ほどお話しした物価高対策などを積極的に対応していく必要があります。 一方で、税収の見通しについては、物価上昇や金融市場の変動の影響など、経済情勢が不透明で決して楽観視できません。また、社会保障関係経費や公債費の増大など、歳出の構造的な課題に対応していく必要があります。様々な財政需要に対応していくためには、それに見合った財源が必要となることは言うまでもありません。限りある財源の中、長引く物価高対策など、直面する課題は県財政を圧迫しかねない大きな懸念材料です。これらに対し、健全な財政運営を維持していくためには、国の補助金や交付金など有利な財源を積極的に活用していく必要があります。 そこで、知事にお尋ねします。来年度の当初予算の編成に当たり、様々な財政需要に対応しつつ、健全な財政運営を維持していくため、国の補助金など、国から有利な財源を獲得する取組について、どのように対応していかれるのでしょうか。 次に、クラウドファンディングに対する認識と今後の活用についてお尋ねします。 今年大きな話題となったのが国立科学博物館のクラウドファンディングです。資金不足などで五百万点以上に上る標本の維持が難しいということで開始したクラウドファンディングでは、目標額として設定した一億円を大幅に上回る九億円以上が延べ約五万五千五百六十人の支援者から集まりました。この金額は、国内で行われたクラウドファンディングでは過去最高額の金額となるそうです。 クラウドファンディングとは、不特定多数の人がインターネット等を通じて、ほかの人々や会社、各種団体に資金提供などを行うことを指す言葉です。明確な定義があるわけではなく、様々な解釈がありますが、一般的には、何かを実現したいというプロジェクトを立ち上げた人や会社に対して、不特定多数の人が寄附・購入・金融といった形で金銭的に支援をし、発案者はそれで得た金銭を使ってプロジェクトを実現していくというようなイメージで定着しています。 クラウドファンディングは、民間だけではなく、公的機関でも行われています。また、ガバメントクラウドファンディングと言われる、寄附がふるさと納税の対象となる自治体が行うクラウドファンディングも多く行われています。クラウドファンディングの活用の利点は、寄附者は事業に賛同して寄附を行い、さらに寄附金の使い道が特定されているので、お金の使い道が見える化できる点があると思います。また、限られた財源や国からの補助だけではなし得なかったプロジェクトなども、クラウドファンディングで支援金を募れば、スピーディーに目標達成することも可能となることも考えられます。 ここで野村構想ですが、私はクラウドファンディングでライチョウの保護活動やライチョウ舎を造りたいと思っています。岐阜県の鳥であるライチョウですが、岐阜県には北アルプスや御嶽山に生息しているのみで、ライチョウを見ることはほとんどできません。しかし、富山県は、富山市ファミリーパークにライチョウ舎があり、ライチョウを見ることができます。実際にライチョウを見てもらい、ライチョウのかわいさを知ってもらうことがライチョウの保護活動につながると思いますし、このような活動にクラウドファンディングが活用できないかと考えているところです。 さて、このクラウドファンディングですが、県においては令和二年に「ストップ新型コロナ!がんばろう岐阜」と銘打って、ふるさと納税を活用した医療関係者支援のためのクラウドファンディングを行った以降は活用していないと伺いました。他県などにおいては、子ども食堂やフードバンクといった食料支援や高齢者、障がい者、子供患者、犯罪被害者の支援などに活用されています。岐阜県でもぜひ積極的に有効活用をしていただきたいと思います。 そこで、知事にお尋ねします。県として、クラウドファンディングの有用性をどのように認識し、今後どのように活用していかれるのか、お尋ねします。 ここで一回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 三点御質問ございました。 まず、物価高対策の狙いということでございますが、足元の物価状況を岐阜市の消費者物価指数により御説明いたしますと、令和二年を一〇〇とした本年度上半期の平均では、電気代が一〇六・二、食料品が一一〇・七となっております。それから、エネルギー庁の資料をベースに算定しておりますが、本県のガソリン代についてみますと一二六・七ということで、依然として高い水準にございます。 こうした中、国において、物価高騰対策などを柱とした総合経済対策とその補正予算が先日成立したところでございます。この補正予算では、地域の実情に応じた物価高騰対策を講じられるよう、地方公共団体向けの重点支援交付金が計上されております。本県では、この交付金を最大限に活用し、今議会に提出した補正予算案に五十六億円を超える物価高騰対策を盛り込んでおります。これにより、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の方々に対して、きめ細かく支援を行うこととしております。 まず、本年五月に上半期分を計上した光熱費や食材費などの支援について、五月補正後の物価水準を踏まえて、改めて補助単価を見直しつつ、来年三月まで延長することといたします。具体的には、LPガス使用世帯及び特別高圧契約の中小企業などに対する料金支援、また医療機関、福祉施設、私立学校などに対する電気代、食材費、スクールバス燃料費の支援などを延長してまいります。加えて、物価高騰の長期化に備えて、エネルギーコストの低減に取り組む事業者への支援として、医療機関、福祉施設、中小企業者などを対象に、省エネ設備の導入を支援してまいります。 このほか、価格が高止まりしている化学肥料から、堆肥など安定供給可能な地域資源の活用に転換する農業者を対象に、必要な施設、設備の導入支援を行ってまいります。 また、コロナ禍以降、子ども食堂など食料支援を行う団体が増加しておりますが、これらの団体に食料品を輸送するフードバンクに対して、高騰した燃料費を新たに支援いたします。 次に、来年度予算編成に当たっての財源確保の問題でございます。 新型コロナウイルス感染症、物価高騰、国土の強靱化など全国的な課題への対策はもとより、人口減少を克服し、地域の活性化に向けた県独自の取組を推進するに当たりましては、国からの有利な財源を獲得していくことが極めて重要でございます。このため、これまでも本県が実施する事業の独自性、緊急性、重要性などを国に対して申し上げ、財源の獲得に努めてきたところでございます。 特に本県では、地方創生に資する取組に幅広く充当できるデジタル田園都市国家構想交付金を積極的に活用することとしております。その結果、例えば今年度における本県の交付金活用額十六億円は、全国第一位の規模になっております。 また、今回補正予算に計上した県有施設のLED化事業では、国による交付金を追加で確保し、後年度に予定していた事業の前倒し実施に活用することしております。 そのほか、道路や河川などの強靱化対策では、先日成立した国補正予算において重点的に配分されるよう、緊急性、重要性の高い事業について要望を行うなど、所要の財源の獲得に努めております。 さらに、新型コロナ対策につきましては、令和元年度からこれまでに総額四千九百七十九億円の予算を計上しておりますけれども、その約八割について、緊急包括支援交付金や地方創生臨時交付金を活用してまいりました。また、本年度の物価高騰対策につきましては、本議会に上程した追加の対策を含めて、総額百三十二億円を計上しておりますが、その九割強について臨時交付金を活用しております。 以上のように、県においては、国からの有利な財源を十分活用するよう努めているところでありますが、国においては、地方公共団体が活用できる財源についてしっかりと確保していただくことが重要でございます。このため、これまで国に対し、全国知事会などを通じて様々働きかけを行っているほか、私自身も国に出向き、本県の事業推進に必要な財源の確保について要請を行ってきておるところでございます。 これから年末に向けて国の予算編成が佳境を迎えますが、その動向を注視しつつ、本県で活用可能な国庫支出金については、積極的に情報収集を行いながら、その獲得に努めてまいります。 三番目は、クラウドファンディングについてでございます。 クラウドファンディングについては、目標金額、募集期間などを定めて、特定のプロジェクトや事業に対して寄附金を募るものであります。議員御案内のとおり、本県におきましても、令和二年度にコロナ対策に従事する医療関係者の方々への支援事業について実施した実績がございます。クラウドファンディングは、こうした財源確保の面だけではなく、寄附金を募ることを通じて、県が取り組むプロジェクトの明確化及びこれらへの参加意識の高まり、ひいては県政へのPRにもつながるメリットがあるというふうに考えております。 同時に、これを推進するに当たっては、検討すべき課題もございます。まず事業の企画立案においては、大勢の方から共感や賛同を得られるよう、事業の重要性はもとより、緊急性、広域性、県民の参加などをしっかりと見極めて選定していくことが重要でございます。その上で、県外の方も含め、多くの方に県として目指すところや取組の内容を十分に御理解いただくことが重要であり、効果的かつ広域的な広報も展開していく必要があろうかと思っております。 また、自治体が行うクラウドファンディングでは、個人や法人が自治体に寄附をした場合に税額控除が受けられるふるさと納税制度が適用されることに注意すべきであります。といいますのは、県内に居住する方が県に寄附されますと、県の寄附金収入が増加するわけでありますが、その方の居住市町村の税収が減少するという課題もございます。こうしたことから、県外に居住する本県出身者、さらには広く県外の方々から多くの寄附をいただけるよう進めていくことも重要でございます。 今後、こうした課題を踏まえつつ、クラウドファンディングによる財源確保が効果的と見込まれる事業を見極めて、その実施を検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二十五番 野村美穂君。    〔二十五番 野村美穂君登壇〕 ◆二十五番(野村美穂君) 次に、県民の安全・安心を守る取組について、四点お尋ねします。 まず、弾道ミサイル発射を踏まえた県民保護の取組について、知事にお尋ねします。 ここ数年、北朝鮮はかつてないほど高い頻度で弾道ミサイルを繰り返し発射し、日本及び国際社会の平和と安全を脅かしています。今年の八月の防衛省の発表によると、昨年一年間で射程が約五千五百キロ以上にも及ぶ大陸間弾道ミサイルを含め、少なくとも五十九発のミサイルが計三十一回にわたり北朝鮮から発射されており、このうち二回は、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する、または日本の領土・領海の上空を通過する可能性があるとして、Jアラートによるミサイル情報の伝達が行われています。 また、今年に入ってからも、既に複数回Jアラートによるミサイル情報の伝達が行われています。五月三十一日の早朝、北朝鮮が沖縄県の方向に弾道ミサイル技術を使用した軍事偵察衛星の打ち上げを行ったことで、沖縄県内の公共交通機関も一時運転を見合わせるなど、住民の生活や暮らしに影響が出ることとなりました。 さらに、八月二十四日にも、同様の軍事偵察衛星の打ち上げを行っています。このとき、Jアラートによるミサイル情報の対象となった沖縄県の住民の方を対象にアンケート調査が行われました。実際に避難等を行った方は、回答者の約一六%にとどまっており、避難行動に対する意識形成はまだ十分にされていないことが分かりました。 直近では、十一月二十一日の深夜に、北朝鮮は事前に通告していた期間よりも前に、軍事偵察衛星の打ち上げを強行しました。その際に打ち上げた軍事偵察衛星について、地球周回軌道に進入したと発表するとともに、早期に複数の軍事偵察衛星を追加で打ち上げることも表明しています。そのため、今後、弾道ミサイル等の発射が再び強行される可能性は十分に考えられ、ここ岐阜県において不測の事態が発生することも否定できません。 県においては、弾道ミサイル発射を想定した訓練の実施や避難施設の指定など、弾道ミサイル等から県民を保護するための様々な取組を進められ、私の地元の大垣市にあるソフトピアジャパンでも、国、県、市の共同による住民避難訓練を実施し、施設周辺の地域の方や施設の利用者の方が、Jアラートの訓練用音声を聞いた上で、身を守る行動を実践されたと伺っています。 しかし、依然として予断を許さない状況が続いていることから、不測の事態に備え、住民への周知も含めたさらなる取組が必要であると考えます。 そこで、知事にお尋ねします。 県において、弾道ミサイルの発射から県民を保護するため、これまでどのように取り組んできたのか、また今後どのように取組を進めていくのか、お尋ねします。 次に、家畜伝染病発生防止への対策と発生時の対応について、農政部長にお尋ねします。 皆さんは、今年の三月の卵一パックの値段を覚えていらっしゃいますでしょうか。三百円を超えていました。あのときは、買うときに一家族一パックという制限もありました。また、卵の高騰で、飲食店でも卵料理の提供を中止するなど、多方面に影響がありました。 この卵の値上がりは、ウクライナ情勢などにより鳥の餌となる配合飼料や光熱費が上昇し、卵の価格は上昇傾向にあったものの、高病原性鳥インフルエンザ、以降は鳥インフルとします。その過去最大規模の感染拡大が追い打ちをかけたと言われています。 昨年は十月末から鳥インフルが続発し、今年の四月までに八十四件発生し、約千七百七十一万羽が殺処分され、卵を産む採卵鶏では、国内で飼育されている採卵鶏の一割に相当する規模が殺処分されています。今年も、十月四日に北海道で見つかったハシブトガラスの死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。その後、十二月十一日現在で、野鳥は五十件を超える感染が確認されています。ようやく卵の値段が落ち着いてきたと思った矢先に、佐賀県、茨城県、埼玉県、鹿児島県の農場で鳥インフルエンザが検出されています。 本県においても、十二月五日に、海津市内の飼養施設で飼っていた鷹が高病原性鳥インフルエンザに感染していることが判明しました。幸いなことに、同施設内の鶏などは簡易検査で陰性ということでしたが、鳥インフルの危険が近くまで迫っていることを実感しました。本格的に鳥インフルの季節がやってきました。しっかりとした防疫対策を行っていく必要があります。 また、鳥インフル以外にも注意をしなければならないのが豚熱です。 岐阜県では、令和元年十月に豚へのワクチン接種を開始して以降、この四年間、県内の農場では豚熱の発生はなく、飼養頭数も豚熱発生前の水準まで回復しました。しかし、全国では、野生イノシシへの感染が三十四都府県にまで拡大しています。豚への感染も七月には兵庫県で発生し、八月には、九州では初めて佐賀県の農場で発生しました。さらに、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限が撤廃され、アフリカ豚熱の国内侵入リスクが高まっていることにも注意をする必要があります。 鳥インフルをはじめ家畜伝染病が発生をしてしまうと、当然畜産農家は、育ててきた鳥や豚などを殺処分することとなり、大きなダメージを受けることとなりますが、さらに供給量が減ることにより、畜産農家だけでなく、私たち消費者にも大きな影響を与えます。飼料価格やエネルギーコスト高騰の影響での価格の上昇は、畜産農家が生活していくための適正価格でもあるので、上乗せされることは致し方ないことです。 しかし、家畜伝染病の発生を未然に防ぎ、家畜伝染病の発生による価格への影響を最小限に抑えていただきたいと思います。 そこで、農政部長にお尋ねします。 家畜伝染病の発生を防ぐためにどのような取組を行い、また発生してしまった場合どのような対応をしていくのか、お尋ねします。 次に、全国的に人的被害が発生している熊対策の現状と今後の取組について、環境生活部長にお尋ねします。 今年は、全国的に熊による被害が多く発生しています。議会開会日には、知事からも岐阜県の熊対策について御説明いただきました。特に、都市域に侵入するアーバンベアというワードがニュースなどをにぎわしています。 環境省は、熊によってけがや死亡するなど、被害を受けた人が今年の四月末から十一月末時点での速報値が二百十二人に上ったと発表しました。統計を開始した二〇〇六年以降で、既に十月末時点で過去最多となっていましたが、十一月末以降もさらに被害が拡大した結果となりました。 当県においても、今年度の熊の出没は十一月末で六百二十三件と、既に昨年度の二倍以上で、人身被害も七件が確認されています。私は、特に恵那市のガソリンスタンドで小熊が置物の上に登ったりして、最後は窓から外に出ていくニュースを見たときには、町なかでも熊が出没するのかと驚いたのと同時に、人的被害がなかったことにほっとしました。 人里に熊が現れるようになった要因としては、農山村の衰退とも言われています。働き手の都市への流出で人口は激減し、農地や林地は放置され、熊の暮らす奥山と人里の間にあった緩衝ゾーンが奥山の領域に化し、熊は茂る草むらや間伐されずに密生する樹木に身を隠して、人里に接近できるようになりました。 さらに、今年は餌のドングリの凶作が人里に現れる原因だとも言われています。熊の生息域が広がり、以前はいなかった場所でも熊に遭遇する危険があり、さらに我々が住むエリアに熊が侵入してくる危険性も高まっています。 熊が人里に下りてくる理由の一つである餌不足は、猛暑の影響があったと言われています、地球温暖化の影響で猛暑が例年続いているので、来年も猛暑となる可能性があり、そうなれば今年と同様に餌不足になり、人里に熊が出没する可能性は非常に高くなるのではないかと考えます。 当然、県としても、県民に対して熊に遭遇しない、遭遇した際の対応などの啓発や熊がまちに入ってこない対策を行われてきたと思いますが、来年度も熊の出没が予想される中、さらに対策を進めていく必要があると思います。 そこで、環境生活部長にお尋ねします。 県における熊対策の現状と今後の取組についてお伺いします。 次に、万引き対策について、警察本部長と健康福祉部長にお尋ねします。 万引きの発生件数は、二〇一二年から二〇二二年にかけて減少傾向にありますが、株式会社野村総合研究所が経済産業省へ宛てた二〇一八年の報告書では、年間の万引き被害総額を六千五百七十四億円と推計しています。これは、決して少ないとは言えない額です。このような万引き被害は、企業にとっては死活問題、さらには社会全体に様々な影響を及ぼす問題と言っても過言ではありません。 このような被害額以外にも、被害に遭った店舗は、被害の確認、警察からの事情聴取など、多くの時間と人が取られてしまい、数字に表れない大きな損失を被ることとなります。万引き防止をしていくためには、万引きをさせない環境づくり、高齢者の再犯防止、クレプトマニアへの対策の三点が重要になるのではないかと考えます。 まず、万引きをさせない環境づくりについてから説明します。やはり防犯意識が高い店舗などでは、万引きはやりにくいと思います。令和二年にレジ袋が有料化され、エコバッグの使用が増えたため、最近の万引きはエコバッグに精算前の商品を入れ、そのまま精算をせずに店を出ていく手口が増えたそうです。また、セルフレジの普及により、商品をスキャンせずに持ち帰るという手口も増えているそうです。 このように、万引きの手口が変化しても、システムや設備のハード面と従業員の意識、行動のソフト面、両面での万引きをさせない環境づくりが大切です。現状は、各店舗が独自で万引き対策を行っていますが、防犯力を向上させていくためには、警察が持っている防犯の知見を民間に展開することが必要だと思います。例えば防犯カメラの設置場所についての指導や最新の手口などを積極的に伝えていくことが重要です。また、民間の防犯意識を向上させ、協働して万引き防止に当たることも必要だと思います。そのために、官民が連携したネットワークづくりが必要と考えます。 そこで、警察本部長にお尋ねします。 万引きを防止していくためには、官民が協力して取り組んでいかなければなりませんが、万引き防止のための官民連携ネットワークの構築についてのお考えをお伺いします。 次に、高齢者の再犯防止、クレプトマニアへの対策について説明します。 万引きによる検挙者の約四割が六十五歳以上の高齢者で、その半数以上が再犯者と言われています。万引きをする理由は、困窮だけではなく、孤立もあると言われています。このような高齢者の再犯者には、再犯をさせないように、収入を確保するための就職のあっせんや孤独から脱却させるなどの福祉的なアプローチにより防ぐことができるのではないでしょうか。県から適切な支援の手をそのような方に届けていくことが、最終的には万引き防止策となると思います。 また、再犯者の中には、クレプトマニア、窃盗症と言われる万引きに依存する方もいます。厚生労働省は、世界保健機関(WHO)の基準に従い、窃盗症を精神疾患に分類していますが、十分な調査をしていませんので、患者数は把握できていません。さらに、本人もクレプトマニアであるという自覚がなく、適切な医療機関を受診しないこともあります。 クレプトマニアの方は、自らの意思では万引きを止められない依存症に類する病気です。ですので、店舗で万引きが見つかり、警察に検挙されようともまた万引きを繰り返してしまいます。しかし、適切な医療を受けることにより完治することも可能と言われています。つまり、適切な医療につなげれば、再犯をさせないことにつながります。それが大切です。 そこで、健康福祉部長に二点お尋ねします。 一点目は、高齢者の再犯を防止するための福祉的アプローチについて、二点目は、依存症に類するクレプトマニアについて、県の認識と対策についてお伺いします。 ここで二回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私からは、弾道ミサイル発射を踏まえた県民保護の取組についてお答え申し上げます。 御案内のように、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が頻発しておりまして、今年に入ってから少なくとも十六回の発射が繰り返されております。これを受けて、本県としては、今年四月に臨時会議を開催し、県議会議長をはじめ市町村長、警察や自衛隊などの関係機関と共に、県庁内外の体制や関係機関との緊密な連携体制をいま一度確認、徹底いたしました。 私からは、市町村長の皆さんに対しまして、住民への避難の呼びかけを迅速、確実に行える体制や手順の確認、それらをまとめた初動対処マニュアルの速やかな作成、身を守る行動を実践いただく住民避難訓練の実施などをお願い申し上げたところであります。 加えて、今年八月には、五圏域それぞれに一つずつ、五つの市町で対策本部を設置し、同一の訓練シナリオによって同時進行で国民保護訓練を実施いたしました。その際、その他の市町村も評価者として参加することで、一連の流れを共有しております。 このほか、緊急一時避難施設の確保にも積極的に取り組んでおります。これまでに千六百三十二施設を指定するとともに、さらなる追加の指定に向けて、県内施設の一斉点検を実施しているところでございます。 また、初動対処マニュアルにつきましては、全ての市町村で整備が進みました。 さらに、住民避難訓練につきましても、これまでに四十市町村、八十三地域で実施されておりまして、残る二市町村でも年内の実施が予定されております。 今後、まずは一斉点検の結果を踏まえて、より身近な場所に少しでも多くの緊急一時避難施設を確保できるよう、指定可能な公共施設はもちろんでありますが、これに加えて災害応援協定を締結している企業の店舗をはじめとした民間施設の指定も進めてまいります。 また、大垣市で実施いたしました住民避難訓練では、住民の方々から、訓練に参加して初めて避難の仕方が分かったと、緊急一時避難施設を知らなかったとの声も聞かれました。いざというとき、どう行動いただくかについて、さらなる周知が必要であることを痛感しております。 このため、Jアラート作動時にのみ行っていたSNSやホームページでの情報発信を、先月末からでありますが、毎月定期的に実施する取組をスタートしております。 さらに、今後は実際の訓練動画も併せて配信してまいります。 加えて、緊急一時避難施設を活用したより多くの地域の住民避難訓練や県職員による出前トークなどにも、市町村と共に積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 家畜伝染病発生防止への取組と発生時の対応についてお答えいたします。 高病原性鳥インフルエンザや豚熱など、家畜伝染病の発生を防ぐには、農場内にウイルスを侵入させないことが要となります。 このため、農家に対し、飼養衛生管理基準の徹底を指導するとともに、適時農場の一斉消毒を行っています。また、農場周辺のウイルスを減らすため、ため池への野鳥飛来防止対策、野生イノシシの捕獲強化と経口ワクチンの散布など、ウイルスを媒介する野生動物への対策を進めております。 さらに、万が一の発生に備えて、岐阜地域と飛騨地域に病性鑑定の検査施設と防疫資材庫を設置するなど、防疫体制の強化を図っております。あわせて、市町村、生産者団体などと連携した防疫演習を実施し、速やかな対応を行ってまいります。 また、国から鳥インフルエンザの流行時期を前に、農場を分割して管理することで殺処分となる家畜を少なくする手法が示されました。このため、今後はこうした分割管理の運営方法や必要な設備の整備などについて指導、支援を行ってまいります。 ○副議長(田中勝士君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 熊対策の現状と今後の取組についてお答えいたします。 県では、熊による被害が多発している状況を踏まえ、十月に警戒情報を発令して注意喚起を強化したほか、専門家や猟友会、県警、市町村から成る対策会議を開催しました。会議では、被害防止対策の強化を求めるとともに、餌不足等により冬眠に入る時期が遅れるおそれがあることから、引き続き警戒するよう呼びかけたところです。また、十月下旬から十一月上旬に熊の出没が多い県内五十七か所において緊急点検を実施し、隠れ場所となる草むらや誘引物となる果樹が放置されているなどの改善点が確認されました。 これらの課題を踏まえ、人と熊の生活圏を明確にし、すみ分けを行うゾーニングを着実に進める必要があることから、まずは市町村や住民向けの研修会を開催し、その必要性とノウハウの普及を図ってまいります。その上で、下草刈りや山際の樹木の伐採等による緩衝帯の整備や電気柵の設置などに係る支援を行い、ゾーニングを促進してまいります。また、いわゆるアーバンベアの対策に向け、市街地に出没する個体の識別調査の実施を検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 警察本部長 大濱健志君。    〔警察本部長 大濱健志君登壇〕 ◎警察本部長(大濱健志君) 万引き対策に係る警察と企業との官民ネットワークの構築についてお答えいたします。 県下の万引きの認知件数は、令和四年中が千二百件であり、平成十六年のピーク時と比べると約四割まで減少しているものの、本年十一月末の段階で、既に昨年の認知件数を上回っているほか、刑法犯認知件数に占める万引きの認知件数の割合も高い水準にあるため、社会を挙げた万引き防止対策が重要であると考えております。 中でも、議員から御指摘のございました万引き防止のためのネットワークの構築や警察が有する防犯情報の提供は、非常に効果的な取組であると認識しております。これまでに構築したドラッグストア万引き防止ネットワークや公益財団法人岐阜県防犯協会が主催する岐阜県コンビニエンスストア防犯連絡協議会との連携などを通じまして、万引きをさせない店舗づくりとして、最新の手口や発生状況のほか、従業員による声かけ、死角のない商品展示、防犯カメラの設置などに関する情報提供や防犯指導等を行っているところでございます。 県警察では、引き続き防犯ネットワークの構築やタイムリーな情報提供に努めるとともに、万引き被害の対象となる店舗への防犯指導や制服警察官の立ち寄りなどを含め、総合的な対策を講ずることにより、万引きをさせない社会づくりを推進してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 高齢者の再犯防止への福祉的アプローチについてとクレプトマニアに対する認識と対策について、続けてお答えを申し上げます。 万引きの再犯防止については、その動機や形態に応じ、福祉と医療、二つのアプローチによる対策を講じているところです。まず福祉的アプローチとして、県では、罪を犯した高齢者や障がい者に対して、本人のニーズに合わせた支援を行う県地域生活定着支援センターを社会福祉法人に委託し設置しております。同センターでは、保護観察所や検察庁などと連携し、万引きをした高齢者を生活困窮者自立支援機関につなぎ、自立に向けた就労支援を行うほか、状況に応じて、生活保護費の受給や老人ホームの入所手続等を支援しております。 さらに、本年九月から新たに県内六か所に自立更生者相談窓口を設置し、保護観察を終了した方などが社会から孤立し、一人で問題を抱え込むことがないよう、就労や住居、生活困窮など、一人一人の悩みに寄り添った相談支援を開始しました。 今後もこれらの支援に丁寧に取り組み、高齢者による万引き防止を推進してまいります。 次に、医療的アプローチです。 クレプトマニアは、窃盗による緊張感や達成感の衝動を抑えられず、再犯を繰り返してしまう依存症に類する精神疾患であり、専門的な相談と治療が必要です。 県では、様々な依存症の回復に向け、県精神保健福祉センター及び各務原病院を依存症相談拠点に、また各務原病院を治療拠点とし、依存症相談員の配置や医療スタッフへの研修を行っております。 一方、患者の視点では、自身の依存症への気づきが難しいことや差別、偏見を恐れて相談や治療につながりにくいことが課題です。 そのため、今後は、刑務所、警察、県地域生活定着支援センター等に、相談窓口や治療機関を掲載したリーフレットを新たに配布し、症状が疑われる方に活用いただくことで、適切な相談、治療につながるよう支援を強化してまいります。また、精神科医療機関、支援団体、警察等で構成する岐阜県依存症地域支援連携会議でも、事例やその対応を共有するなど、連携体制の強化に取り組んでまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二十五番 野村美穂君。    〔二十五番 野村美穂君登壇〕 ◆二十五番(野村美穂君) 次に、県民の命と健康を支える取組について、三点お尋ねします。 まず、かかりつけ薬局の普及に向けた現状と今後の取組について、健康福祉部長にお尋ねします。 私が大垣市薬剤師会の会合に出席した際、大垣市では、水都大垣セルフケア・トライアルと銘打ち、生活や健康に関する指標をICTを用いて収集し、薬剤師による月一回の指導を通じて、指標の改善や行動変容につなげようという研究が実施されたことを伺いました。この研究の内容は、参加者には健康指導の測定機器として、クラウドに結果を保存できる血圧計や食事内容や栄養の摂取状況を推定するスマートフォンのアプリなどを用意し、生活者に貸与して測定、記録してもらいます。クラウドに保存されたデータは薬局でも閲覧でき、月一回来局して行う生活者への指導では、共有したデータに基づくアドバイスができるというものです。 この取組は、かかりつけ薬局の活用例の一つです。このような取組が県下全域に展開できればよいのではないかと考えております。 さて、かかりつけ薬局とは、薬に関していつでも気軽に相談できる薬局のことで、薬剤師が患者さんの健康状態を継続的に把握し、薬の管理や服薬指導を行うことができます。かかりつけ薬局を一つ決めておくことで、複数の医療機関で受診している場合でも、かかりつけ薬局による薬の重複や飲み合わせのチェック、副作用の確認などができるため、より安心して薬を使用することができます。しかし、残念ながら、かかりつけ薬局に関して普及しているとは言い難いのが現状だと思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 県におけるかかりつけ薬局の普及に向けた現状と今後の取組についてお尋ねします。 次に、帯状疱疹の疾患啓発について、健康福祉部長にお尋ねします。 帯状疱疹とは、体内に潜んでいる水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。小児期等に水痘にかかると、生涯にわたって水痘・帯状疱疹ウイルスが体内に潜伏し、加齢、疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると再び活性化し、帯状疱疹として発症します。成人の九割以上が水痘・帯状疱疹ウイルスを保有し、五十歳以上になると発症率が高くなり、八十歳までに約三人に一人が発症すると推定されています。帯状疱疹を発症した方の約二割が、三か月以上痛みが続く帯状疱疹後神経痛になると言われています。帯状疱疹になりにくい体づくりのためには、食事のバランスに気をつける、睡眠をきちんと取るなどの規則正しい生活習慣、適度に体を動かすことなどが大切です。 また、帯状疱疹は、ワクチンで予防できると言われています。帯状疱疹の発症や重症化予防には、ワクチン接種が高い効果を発揮することが確認されていますが、国では、帯状疱疹ワクチンについて、平成二十八年六月から予防接種法に基づく定期接種化の検討を行っていますが、いまだ結論には至っておらず、国による公費負担はありません。 一方で、地方自治体による独自の助成制度については、財政状況に大きく左右されるため、制度を設けている地方自治体は全国でも限られており、高額な接種費用が自己負担となることから、接種を諦める方も少なくないと伺っています。 当然ワクチンですので、副反応などのリスクはあると思いますが、帯状疱疹は、発症した場合には、仕事を休んだり、最悪の場合は後遺症が残り、生活にも悪影響を与えます。五十歳以上のハイリスクの人たちには、正しい知識を持って、自らの意思でワクチンを接種するなどの対応をしていく必要があります。 そのためには、正しい知識を県民に啓発していく必要があります。例えば愛知県のホームページでは、帯状疱疹についてとして、原因や予防方法、自治体の助成状況や窓口を紹介しています。その中で、ワクチンの予防効果も説明しています。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 帯状疱疹について、しっかりと疾患啓発を行っていくべきと考えますが、県のお考えを伺います。 次に、プレコンセプションケアの重要性に関する認識と今後の取組方針について、子ども・女性局長にお尋ねします。 皆さんは、プレコンセプションケアという言葉を御存じでしょうか。これは、プレは何々の前の、コンセプションは受精、懐妊という意味で、プレコンセプションケアは妊娠前の健康管理という意味で、世界保健機関は二〇一二年に、妊娠前の女性とカップルに、医学的、行動学的、社会的な保健介入を行うことと定義しています。 なぜ、プレコンセプションケアが必要なのでしょうか。日本では、医療の発展によって、妊婦死亡率や周産期死亡率は劇的に減りました。しかし、女性が持つリスク因子が原因とされる先天異常、低出生体重児は減っていません。リスク因子としては、痩せや肥満、喫煙、持病、高齢などが考えられており、これらに該当する女性が妊娠した場合、流産、早産、二千五百グラム未満の低出生体重児、先天異常などの発生頻度は通常よりも高くなります。妊娠に気づいてからのリスク因子のケアを始めるのでは遅いのです。女性には、妊娠前から自身の健康状態やリスク因子を把握して、早めにケアを始めてもらうことが大切です。 また、持病などによって妊娠が難しい人も、プレコンセプションケアによって妊娠の道を探ることができるのです。プレコンセプションケアは、近々妊娠したいと考えている女性だけでなく、女性の健康を支えるパートナーや家族にも知っていただきたいことです。妊娠前から気をつけたい健康管理ということで、体重管理、食事、睡眠、喫煙、飲酒、感染症などの注意喚起をすることと、不妊症、不育症について教育を行います。妊娠前にリスクを減らし、健やかな妊娠、出産、さらには生まれてくる赤ちゃんの健康につながります。思春期の若者への健康教育や女性とカップルが将来の妊娠や出産等について正しい知識を習得し、人生設計を若いうちから意識してもらうための取組をすることは非常に重要だと考えます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねします。 プレコンセプションケアの重要性に関する認識と今後の取組方針についてお尋ねします。 ここで三回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) かかりつけ薬局の普及に向けた現状と今後の取組についてお答え申し上げます。 薬局には、医薬品の供給のみならず、服薬情報の一元的な把握や健康相談への対応、在宅患者への訪問指導など、身近な存在であるかかりつけ薬局の機能を持つことが期待されております。 このため、県では、県薬剤師会等と連携して、服薬情報の一元管理を推進するとともに、薬局薬剤師が相談者の健康状態に応じて対応する健康サポート技能の習得に向けた研修を行っています。 また、在宅医療に必要な知識や技術が習得できるよう、講義形式の研修を実施してきましたが、令和三年度からは、在宅経験の豊富な薬剤師に同行する実践的な研修を実施しています。 この結果、令和五年三月現在、県全体で約千件の薬局のうち、健康相談に対応できる薬剤師の配置薬局は三百四十八件、在宅訪問を継続実施する薬局は三百五十五件と着実に増加しています。 こうした取組に加え、県民を対象とした講習会や県ホームページ等において、かかりつけ薬局の役割や機能について周知を図るなど、かかりつけ薬局のさらなる普及・定着を推進してまいります。 次に、帯状疱疹の疾患啓発についてお答えを申し上げます。 帯状疱疹は、中高年層を中心に多くの方に発症の可能性があり、重症化することもある疾患です。一方で、早期治療により高い効果が得られるほか、ワクチン接種により発症や重症化の予防が可能であることから、現在県内十七市町村で独自のワクチン接種費用の助成が行われています。 県民に対して、こうした正しい知識やワクチン接種に関する情報を周知し、理解を深めていくことが重要であると考えられるため、まずは議員御指摘の他県の取組も参考にしながら、帯状疱疹の症状や治療方法のほか、ワクチンの効果や助成制度等の情報を県ホームページ等で発信してまいります。 なお、県としては、帯状疱疹ワクチンについては、予防接種法に基づく定期接種化が望ましいと考えており、引き続き、国に対して早急に定期接種化が図られるよう要望してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) プレコンセプションケアの重要性に関する認識と今後の取組方針についてお答えいたします。 若い方が将来を考えながら自らの心身の健康と向き合うプレコンセプションケアは、女性が健やかな妊娠・出産期を過ごして、生まれた子供がより健康となるだけでなく、男女が共に健康で豊かな人生を送るためにも重要であると意識しております。 県では、各保健所に設置する妊娠・出産に関する相談窓口において、健康面のケアの重要性について助言を行っております。 今後は、これに加え、特に若い世代に対する周知啓発を行ってまいります。例えば中学・高校生向けに配付しているライフデザイン啓発冊子の妊娠・出産に関する記述にその視点を盛り込むとともに、県内大学と連携して出前講座を開催し、若い世代が理解を深め、自ら行動できるよう支援してまいります。 さらに、県内の保健師などが活用できる指導プログラムを作成し、それを活用することにより、広くプレコンセプションケアの普及を図ってまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二十五番 野村美穂君。    〔二十五番 野村美穂君登壇〕 ◆二十五番(野村美穂君) 次に、子供たちの明るい未来を守る取組について、三点質問いたします。 まず、校内教育支援センターの成果と今後の展開について、教育長にお尋ねします。 文部科学省の調査では、全国の小・中学校で、二〇二二年度に三十日以上欠席した不登校の児童・生徒は、過去最多の二十九万九千四十八人となり、十年連続の増加となっています。不登校は、三十万人弱の児童・生徒だけの問題ではなく、その保護者や家族も課題を抱えているということをここで改めて皆さんにお伝えしたいと思います。コロナ禍で学校行事などが中止となる間に、人間関係が希薄になってしまったことや、スマホやオンラインゲームに費やす時間が増え、生活リズムが崩れてしまったことが不登校が増えた理由だと言われています。 私が心配をしているのは、不登校の小・中学生のうち、約四割に当たる十一万四千二百十七人が学校内外で専門家らの相談や支援を受けられていなかったことです。学びからも人間関係からも阻害されれば、子供の未来の可能性が失われかねません。不登校の子供たちにも様々なタイプがあります。別室なら登校できる子もいれば、家から全く出られない子もいます。初期の段階で小さなSOSに気づくことが重要であり、子供一人一人にしっかり向き合えるための体制を整えていくことが重要になっていきます。 昨年の十二月議会で、私が不登校に対する取組について教育長にお尋ねしたところ、校内の居場所づくりなどを検討するとの答弁をいただきました。本年度から、教育委員会では、不登校児童・生徒への支援強化策として、早期の段階で個別の学習支援や相談支援を受けられる校内教育支援センターほっとプレイスを県立高等学校に整備し、また校内教育支援センターを整備する市町村を支援しています。 校内教育支援センターは、登校はできてもクラスになじめない子やフリースクールなどに通い、学校に登校できるようになった子がクラスに戻るまでの校内の居場所です。毎日の時間割は、原則本人による自己決定をして、通常クラスの授業をオンラインで配信していますが、それを視聴するかどうかも本人の意思で決めるなど、本人が自立していくための取組を行いつつ、一人一人の児童・生徒の抱える課題や将来に対する不安などに応じるサポート体制などが整備されています。 そこで、教育長にお尋ねします。 校内教育支援センターを設置した成果と今後の展開についてお尋ねします。 次に、少年たちのたまり場対策について、警察本部長にお尋ねします。 JR岐阜駅前の黄金に輝く信長像の下が今少年たちのたまり場になっていると報道がありました。確かに今年の夏頃にJR岐阜駅前に行った際には、多くの少年たちが信長像の下に集まっていました。少年たちの間では、信長像下を「ノブ下」と言っているそうです。報道によると、ノブ下では、週末になると少年たち十数人が集まり、音楽を流したり大声で話をしたりしているとのことです。ただ集まるだけならいいのですが、たばこを吸ったり、飲酒したり、中にはけんかなどで通報されたりする人もいるそうです。 ノブ下には、特に地元とか同じ学校といったつながりではなく、交流サイトで知り合った高校生を中心に集まりが形づけられたとのことです。交流サイトで集まる形は、全国的に問題となった新宿歌舞伎町の広場や路地裏にある「トー横」と同じです。 トー横では、居場所のない少年少女たちが交流サイトなどを利用して集まり、未成年者による売春、傷害事件、医薬品を含めた薬物の横行などの違法行為等が平然と行われているようです。ノブ下については、警察などの活動によって、集まる少年たちも減り、落ち着いていると聞いています。しかし、以前たまっていた少年たちはどこへ行ってしまったのでしょうか。ひょっとしたら、ほかの場所に移動しただけかもしれません。 また、少年たちのたまり場はノブ下だけではなく、私の地元の大垣駅北口などにもあると聞いていますし、県内にはほかにも少年たちのたまり場はあると思います。ノブ下も落ち着いたと言われていますが、高校生などの世代が変われば、交通の便のよいノブ下に新たな少年たちが集まってくる可能性もあります。そういったたまり場に対する対策が遅くなれば、先ほどお話ししたようなトー横のように、飲酒やけんか、オーバードーズにつながる医薬品や違法薬物の取引などが深刻化していく可能性があります。少年たちの逃げ場となり、そして犯罪の温床となる可能性は十分にあります。 そこで、警察本部長にお尋ねします。 ノブ下をはじめとする少年たちのたまり場対策についてお尋ねします。 次に、安全な通学路を確保するためのこれまでの取組と、教諭への社会基盤メンテナンスサポーターの拡大を含めた今後の取組について、県土整備部長にお尋ねします。 本年十一月十四日、北海道札幌市で走行中の軽自動車のタイヤが外れ、歩道を父親と姉と歩いていた女の子に当たり、意識不明の重体になるという痛ましい事故が発生しました。こうした事故はほんの一例にすぎませんが、いまだ道路において子供たちが巻き込まれる交通事故が全国各地で後を絶ちません。 警察庁によりますと、児童の交通事故による死者及び重傷者数は、平成三十年から令和四年までの過去五年間で三千七百十四人に上り、そのうち登下校の歩行中に発生した交通事故による死者及び重傷者数は、七百六十六人と全体の約二〇%を占めています。この数字は、死者及び重傷者が出た事故だけの統計で、軽症、あるいはけががなかった事故、中学生以上の子供たちは含まれていないため、実際にはもっと多くの児童が事故の当事者となっていると思われます。 本県においても、平成三十年から令和四年までの五年間で、小学校の児童六十二人が登下校中の人身事故に遭遇しているそうです。令和三年六月には、千葉県八街市において、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、五名が死傷する痛ましい交通事故が発生しました。 現在、県では、この事故を受けて実施した通学路合同点検に基づき、警察による安全教育や学校関係者による見守り活動などのソフト対策の強化と、併せて実施する交通安全対策を計画的かつ集中的に実施されていますが、子供たちが犠牲になる交通事故がなくなるよう、引き続き努力していただきたいと思います。 こうした中、先日、高山市在住の友人から私に情報提供がありました。それは、九月二日の岐阜新聞飛騨国版において「道路点検、教員に委嘱へ」と題し、道路の点検をボランティアで実施していただく社会基盤メンテナンスサポーター、通称MSを高山市内の小学校の教諭らに委嘱し、さらなる通学路の安全を確保する取組を始めたということが報じられたという内容でした。 MSとは、県民参加の無償のボランティア活動により、地域の道路を地域で見守る制度として平成二十一年度から開始され、令和五年四月一日現在で千四百七十八名の方々が活動されています。私は、以前よりこのMSには大変興味を持っており、令和三年第四回定例会において、サポーターからの報告のデジタル化について質問し、県土整備部長からは、スマートフォンなどを活用した報告システムの構築を進めているとの答弁をいただき、現在では報告システムの運用により効率的に情報を収集できると伺っています。来年、私もMSとなってその一翼を担わせていただき、また地域の声を形に、地域の声を循環できるMSになりたいと考えております。 話は戻りますが、先ほど紹介した小学校の教諭の方々にMSを委嘱した取組は、大変重要だと感じています。教諭の方々がMSとなり、道路管理者の目線で通学路を点検することで、今まで危険だと感じなかったガードレールなどの交通安全施設が未設置な箇所や舗装の段差、側溝のがたつきなどにいち早く気づくことができ、また気づいた危険な箇所は、道路管理者へのホットライン通報により、早期の危険箇所の解消につながります。 また、MSになった教諭の方々が中心となって、保護者にMSのノウハウを伝えることで生まれる効果もあると思います。例えば日々の見守り活動の際に、通学路に潜む危険にいち早く気づき、それを児童等に伝えることで、安全教育の強化にもつながるのではないでしょうか。 一番必要なのは、運転手に対する安全教育なのですが、これ以上子供たちを犠牲にしないためにも、事故が起きるその前に、私たちができることを考えなければならないと思います。 そこで、県土整備部長にお尋ねします。 安全な通学路を確保するためのこれまでの取組と、県内の教諭の方々にMSとなっていただく今回の取組を拡大すべきと考えますが、それも含め、今後どのように取り組まれるのでしょうか。 ここで四回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 校内教育支援センターの成果と今後の展開についてお答えをいたします。 岐阜県の公立学校における校内教育支援センターの設置状況は、現在小・中学校が五四%、高校が六四%となっております。高校においては、当センターが設置されている全ての学校に配置した教員とは異なるスクール相談員が生徒に関わりながら支援をしております。部屋も過ごしやすい家具の整備などに工夫をしているところです。 また、ある中学校では、教室に入れなかった生徒が当センターにおいて教室からのオンライン授業を受けたり、教員から分からないところを教えてもらったりして、現在では教室で授業が受けられるようになったという例も聞いております。 県教育委員会としましては、小・中学校における当センターの設置や運用について、今年度市町村の好事例や当センターの運営のノウハウを紹介するガイドブックを作成し、県内での当センターの設置の拡大と質を高めるよう取り組んでおります。また、県立高校においても、小・中学校と同様の成果を得ておりますので、今後は六十三校全ての高校での設置を目指してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 警察本部長 大濱健志君。    〔警察本部長 大濱健志君登壇〕 ◎警察本部長(大濱健志君) 少年たちのたまり場対策についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、全国的に繁華街や歓楽街における非行の程度が進んだ少年らによる交友などが課題とされているところ、県警察におきましても、積極的な声かけなどによる非行少年などの早期発見に努めているところでございます。そのような中、本年に入り、JR岐阜駅北口やJR大垣駅北口における少年蝟集等に関する通報が相次いだため、多くの警察官を動員いたしまして、街頭補導を行ったり、路上での迷惑行為を繰り返していた少年グループを検挙、補導したりした結果、同所における少年の迷惑行為等に関する通報は減少傾向にございます。 しかしながら、今後、新たな場所が非行少年のたまり場になる可能性もございますし、またこれらの少年が抱える問題は、関係機関等と連携した取組なしには解決されません。 県警察といたしましては、あらゆる警察活動を通じた実態把握や街頭補導活動等を行うとともに、継続補導等による立ち直り支援や居場所づくり活動、施設管理者への働きかけなどを行うことを通じまして、少年の健全育成とたまり場対策を適切に進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 県土整備部長 野崎眞司君。    〔県土整備部長 野崎眞司君登壇〕 ◎県土整備部長(野崎眞司君) 安全な通学路を確保するためのこれまでの取組と社会基盤メンテナンスサポーターの拡大についてお答えいたします。 まず、平成二十四年に実施した通学路の緊急点検で危険とされた県管理道路の三百八十三か所については、全て安全対策を完了しています。現在は、平成二十六年度までに策定した市町村ごとの通学路交通安全プログラムに基づき計画的に対策を進めております。 また、令和三年の千葉県での事故を受け、幹線道路の抜け道になる箇所など、新たな視点で点検した結果、県管理道路で二百七十三の危険箇所が確認されました。これらについては、現在、令和八年度末の完了を目指して対策を進めており、昨年度末までに約八割の二百十一か所で対策が完了しております。 こうした中、高山市の十九名の小学校教諭に社会基盤メンテナンスサポーターを委嘱し、危険箇所の早期発見とスマートフォンなどによる通報体制を整えたところでございます。 引き続き、県内の小・中学校関係者へメンテナンスサポーターを拡大するなど、より多くの視点で通学路のきめ細かな点検を進めるとともに、市町村や警察などと連携し、安全対策を進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二十五番 野村美穂君。    〔二十五番 野村美穂君登壇〕 ◆二十五番(野村美穂君) 最後に、地域経済を振興し、安定した雇用を創出するための取組について、四点お尋ねします。 最初の地域経済を振興し、安定した雇用に対する取組として、最低賃金をはじめとした労働に関するルールの周知について、商工労働部長にお尋ねします。 二〇二三年十月以降、地域別最低賃金が全国加重平均で千四円となりました。岐阜県でも九百五十円と令和四年の九百十円から四十円の大幅アップとなりました。最低賃金とは、法的に保障された働いて受け取る賃金の最低額で、時給で換算されます。小さな商店や企業から大企業まで、事業の規模に関わらず、全ての労働者に適用されるもので、パートやアルバイト、外国人労働者等も含まれます。最低賃金は、働く人の生活を保障するために必要な賃金を底支えするセーフティーネットの役割を担っています。 この最低賃金について、若者たちは気にしているでしょうか。高校を卒業し、働き始める人、また大学生になりバイトを始める人にとって、最低賃金をはじめとする労働に関するルールを正しく理解している人は少数だと思います。例えば大企業では二〇二〇年四月から、中小企業でも二〇二一年四月より適用となった同一労働同一賃金により、正社員、アルバイトといった雇用形態の別で一律に処遇を分けることができなくなっています。しかし、学生というだけで無条件に時給を低く設定する、正社員には通勤費が支給されるが、アルバイトには支給されない等の取扱いがいまだにあるそうです。 このような不合理な格差に違法な場合があることを学生はどれだけ知っているのでしょうか。バイトだけではありません。今後は、労働者として働く方が多いと思いますが、労働者としての最低限の知識を得なければ、多くの不利益を被る可能性があります。しかも、それが本当に不利益なのかどうかも分からず働き続けることになるのではないでしょうか。不利益を受けないように、正しい知識を特に若い世代に啓発をしていかなければなりません。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。 特に学生など若い世代に対して、最低賃金をはじめとした労働に関するルールの周知に取り組むべきだと考えますが、県のこれからの取組についてお尋ねします。 次に、カスタマーハラスメント対策促進のための県の取組について、商工労働部長にお尋ねします。 令和三年六月定例会で、カスタマーハラスメントをしない消費者となる視点を取り入れた消費者教育について質問をしました。その際、労働者の視点に立った対策で、悪質クレーム対策のよりどころとなる基準の策定が必要だということも提案させていただきました。 その後、令和四年二月に、厚生労働省がカスタマーハラスメント対策企業マニュアルなどを作成しました。そこには、カスタマーハラスメントとは、顧客等からのクレーム、言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、対応が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により労働者の就業環境が害されるものとされています。 一時期は、動画投稿サイトなどにも、コンビニエンスストアやスーパーの店員に対して土下座を要求したりする動画が出ていました。最近はあまり見かけませんが、犯罪になるようなものを見かけないだけで、企業には数多くのカスハラと言われる悪質クレームがいまだに多くあります。 令和四年、日本労働組合総連合会がカスタマーハラスメントに対する意識や実態を把握するために調査を行ったところ、直近三年でカスタマーハラスメントを受けたことがある担当者は六七・五%に上り、内容としては、暴言が五五・三%、説教など権威的な態度が四六・七%となり、パワーハラスメントを受けたことにより生活に影響があったと七六・四%の方が回答をし、その内容として、出勤が憂鬱になった、心身に不調を来したと回答をしています。また、カスハラへの対応に関する研修の対策が取られている企業は僅か二一・七%で、多くの企業で行われていない事実が明らかになりました。 民間会社である株式会社エス・ピー・ネットワークも今年の実態調査を行っていますが、直近一年でカスハラを受けたことがあるとの回答が六四・五%と、日本労働組合総連合が令和四年に実施した結果とほとんど変わりありませんでした。特に問題なのは、カスハラ対策の方針がない企業が五五・三%、マニュアルのない企業が六八・一%、さらにカスハラ対応の研修を実施しているのは一割未満となっていることです。企業は、カスタマーハラスメントに対して従業員を守る対応が求められる中、実際は対応されていない実態が明らかになりました。 ハラスメントが存在する職場で働くと、周囲の従業員に悪影響を与えます。周囲の従業員の勤労意欲を低下させ、またモラルを低下させ、職場の生産性を低下させてしまうということになります。結果として離職者が増加し、ますます生産性が下がってしまいます。負のループです。県として、労働者を守る観点からも、しっかりと企業がマニュアルや講習を行うように啓発をしていっていただきたいと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。企業におけるカスタマーハラスメント対策を促進するために、県としてどのように取り組まれるのでしょうか。 次に、ジェンダーギャップ解消に向けた取組の成果と課題、今後の取組方針について、子ども・女性局長にお尋ねします。 平成二十七年の第三回定例会において、岐阜県におけるジェンダーギャップについて質問をさせていただきました。その際、当時は、平成二十六年の改選までは女性議員は私一人だったのですが、改選後に三人に増えましたと話していますが、今回の改選では女性議員は四人から六人に増え、県政史上最多の人数となりました。そうは言っても一三%とまだまだ少ない人数ですが、確実に女性議員が増えていることは、大変喜ばしいことだと思います。 さて、その当時から日本のジェンダーギャップは解消されたのでしょうか。世界経済フォーラムが二〇一四年に発表したジェンダーギャップ指数は、百四十二か国中、日本は百四位でした。今年発表されたランキングでは、百四十六か国中、百二十五位と過去最低の順位となっています。分野別で見ると、政治の分野が世界最低クラスの百三十八位となっており、政治の分野が特に男女の格差が埋まっていません。私が質問した当時から変わっていない現状が浮き彫りになりました。 では、岐阜県に目を向けてみます。地域からジェンダー平等研究会が今年三月八日の国際女性デーに合わせ公表した二〇二三年の都道府県版ジェンダー・ギャップ指数における全国的な順位は、政治では二十九位、行政では十位、教育では十六位、経済は三十七位と、特に経済分野が非常に悪い結果でした。余談ではありますが、岐阜県の社長に占める女性の割合は五・八%で、全国四十七位となっていることが影響しているかもしれません。 世界経済フォーラムの報告書では、ジェンダーパリティーというジェンダー公正は、世界的に見て、コロナ禍以前の水準に回復しているが、進展のペースは鈍化していると指摘しています。また、このペースでは、ジェンダーギャップをなくすには百三十一年かかり、世界全体での男女平等の達成は二一五四年になるだろうと警鐘を鳴らしています。現在の速度ではジェンダーギャップ解消には程遠く、私たちの次の、そのまた次の世代にならないと、ジェンダー平等が達成されないことになります。そんな先の未来まで、私たちは待っていられませんし、生きていません。ジェンダー平等の実現は喫緊の課題であり、そのために行政や民間企業だけではなく、私たち自身の意識や行動を変えていく必要があります。 例えば一つの提案ですが、岐阜県において、ジェンダーギャップ解消を担当するのは子ども・女性局です。当然、ジェンダーギャップ解消を担当する方がいらっしゃると思います。この担当の方をジェンダーギャップ担当監としてはいかがでしょうか。岐阜県がジェンダーギャップ解消に向けて、本腰を入れている姿勢を示すことができると思います。野村構想的には、来年四月から、ジェンダーギャップ解消を専門的に取り組む部署が設置されることを願っています。当然担当室や担当監をつくっても、簡単に解消されるものではないということは重々承知しています。 しかし、県の姿勢を示して、さらなるリーダーシップを発揮していくことは非常に重要です。岐阜県ではいろいろな取組を行ってきました。その結果として、先ほどもお話ししましたが、行政分野では全国十位、教育分野では十六位と、全国の上位に入っています。しかし、この結果に満足することなく、さらに取組を加速していく必要があると思います。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねします。 県として取り組んできたジェンダーギャップ解消の取組の成果と課題、今後の取組方針についてお尋ねします。 最後に、県有施設を活用した観光誘客の拡大に向けた取組について、観光国際部長にお尋ねします。 岐阜県は、県博物館、県美術館、現代陶芸美術館といった文化、芸術を楽しめる施設をはじめ、航空と宇宙の展示を兼ね備えた国内唯一の専門博物館である岐阜かかみがはら航空宇宙博物館、世界最大級を誇るバラ園、ぎふワールド・ローズガーデンなど六つの県営都市公園、清流長良川を体感できる清流長良川あゆパーク、ぎふ木育の拠点であるぎふ木遊館、そして岐阜関ケ原古戦場記念館などなど、多彩で魅力的な施設がたくさんあります。それぞれの施設では、企画展やイベントの開催、情報発信などの様々な取組が行われ、多くの集客を得ていることは承知しています。 しかし、これをさらに一歩前へ進めて、近隣地域にとどまらず、県外も含め、より多くの方々に訪れていただけるよう、観光活用していく必要があるのではないかと思っています。その理由は、昨年度所属していた魅力度向上対策特別委員会にあります。また、県営都市公園活性化基本戦略で、県営都市公園を観光資源として位置づけると明記されていることも理由の一つです。 各県有施設の所管担当部局は、県庁内各部局に分かれています。それぞれの施設が単体で、いわゆる点でのPRになりがちで、観光誘客の視点を持った面でのPRがまだ弱いという印象があります。 例えば何年か前に岐阜県博物館へライチョウ展を見に行ったときのことです。博物館からの帰りに、カフェ的な休憩する場所があったらいいのにと思いました。そのカフェは、カフェを目的にして来ていただくもよしですし、そこには博物館のミュージアムショップのようなお店や、岐阜のお土産も買うことができたり、今度は博物館に行ってみようと思わせることができれば、なおよいのではないかと思います。さらに、ライチョウ展開催中に、岐阜県図書館でライチョウにまつわる本の紹介や博物館への誘導など、各施設が連携してイベントを実施すれば、相乗効果が生まれるのではないかと思っています。 そこで、今年度から部に昇格した観光国際部が各部局の横の連携を強化するために、横串を通し、観光資源としての活用、また面でのPRを推進していくことで、県内の誘客拡大につなげていくとよいのではないかと思います。コロナ禍を経て、今後さらなるインバウンド客の増加など、観光需要はますます高まることが期待される中、ぜひとも魅力的な県有施設を十分に活用し、誘客拡大に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、観光国際部長にお尋ねします。 県有施設を活用した観光誘客の拡大に向け、今後どのように取り組まれるのでしょうか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) 二点御質問いただきました。 まず、最低賃金をはじめとした労働に関するルールの周知についてお答えします。 近年物価高騰下において実質賃金が低下している中、働く経験の少ない若者が雇用形態に関わらず、その知識不足から不当に低い賃金で雇用されることはあってはならないことであります。 これまで県では、最低賃金の改正の都度、県や市町村ホームページなどの広報を通じて周知に努めてまいりました。特に若い世代に向けては、最低賃金など、働く上でのルールをまとめたリーフレットを毎年作成し、県内全ての高校三年生に配布しております。今年度からは、給与が最低賃金を下回っていないかのチェック欄とその際の相談窓口などについて、リーフレットに追記いたします。 また、今後は、早い段階からの周知を進めるため、学年を問わず、県内高校生全員にリーフレットを配布し、授業等で活用いただくよう各学校に依頼してまいります。 あわせて、県内企業の労働組合の方々と最低賃金など、労働に関するルールの実情について意見交換を行い、その意見を踏まえつつ、若者への効果的な周知につなげてまいります。 次に、カスタマーハラスメント対策促進のための県の取組についてお答えします。 カスタマーハラスメントは、労働者に精神的・肉体的な苦痛を与えるものであり、事業主が適切に対策に取り組むことは、労働者を守るために大変重要であると認識しております。 しかし、企業による取組は緒に就いたばかりであり、多くの企業で十分な対応がされていないのが現状です。 このため、県としても、まずは県ホームページにカスタマーハラスメントに関する専用ページを新たに設け、対策の重要性とともに、対策マニュアルや相談窓口を掲載し、企業の主体的な対応を促してまいります。また、先ほど申し上げた労働組合との意見交換の場などにおいて、企業現場の事例と対策の実態を把握してまいります。 そして、これらの具体的事例を専用ホームページに掲載するとともに、企業支援に取り組む「ジンサポ!ぎふ」の個別相談や企業向けセミナーの場など、様々な機会を通じて周知し、企業のカスタマーハラスメント対策の策定につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) ジェンダーギャップ解消に向けた取組成果と課題、今後の取組方針についてお答えいたします。 県では、これまで職員の採用や管理職への登用、審議会委員の選任などにおける女性比率の引上げなど、行政や教育の分野における女性の参画を着実に拡大してきました。 経済分野では、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定を通じて、女性の活躍を推進しています。認定企業では、パート従業員を子供の成長に合わせて正社員に登用する等の取組が行われており、認定四年後の状況を確認したところ、女性の正規雇用比率は六三%となっています。しかしながら、県全体の女性の正規雇用比率は三八%と、全国平均の四二%よりも低い状況です。 また、製造業の就業者割合が高いという産業構造の要因もあり、女性管理職比率が依然として低いことなどが相まって、男女間の賃金格差が存在しております。 現在、第五次男女共同参画計画の策定を進めており、女性の継続就業やキャリアアップ支援、女性管理職登用拡大に向けた取組など、引き続きジェンダーギャップの解消に取り組んでまいります。 ○副議長(田中勝士君) 観光国際部長 丸山 淳君。    〔観光国際部長 丸山 淳君登壇〕 ◎観光国際部長(丸山淳君) 県有施設を活用した観光誘客の拡大に向けた取組についてお答えします。 県営都市公園や博物館等の県有施設には、県民はもとより近県からも多くの集客があり、県の観光ウェブサイト等で随時情報発信しております。 来年は、「清流の国ぎふ」文化祭等の開催を控え、全国からより多くの来訪者が見込まれます。これを機に、各施設で広く観光客を迎えるための魅力の向上と体制づくりを進めるとともに、各施設のイベント情報を観光プロモーションにつなげ、さらなる観光誘客に取り組んでまいります。 そこで、来年一月から、各施設との連携会議をスタートさせ、幅広い客層を対象にした催しの事例等を共有するとともに、来訪者の移動データの分析に基づく効果的なPRなど、デジタルマーケティングの手法による誘客拡大を促してまいります。 加えて、県の観光キャラバンや季刊誌等で施設と周辺の観光資源を一体的にPRし、広く足を運んでいただくことで周遊観光の促進につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二十九番 高殿 尚君。    〔二十九番 高殿 尚君登壇〕(拍手) ◆二十九番(高殿尚君) 通告に従い、早速三項目について質問をさせていただきます。 日本全国、各県、各地域では、規模や内容は違えど、農林水産業、商工業、観光業など、その地域ならではの主要な産業を有しており、地域独自のなりわいが地域経済を支えています。私は、八月に神奈川県三浦市を訪れ、海業として知られる産業が地元経済に与える影響や新たな高付加価値化の創造について学んでまいりました。 海業、海山の海に産業の業と書き、ウミギョウと呼びますが、聞きなじみのない言葉かもしれませんので、簡単に説明させていただきます。水産庁の資料によれば、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であって、国内からの多様なニーズに応えることにより、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるものと記されていますが、もともとは昭和六十年に三浦市の時の市長が提唱した言葉です。 当時、漁業には、高齢化や担い手不足など厳しい課題があったことから、この状況を打破し、漁業を進化させるためには、レジャーと連携するなど新しいアプローチが必要だとの強い思いから、海業は生まれました。その三浦市では、海業は、沿岸、沖合、遠洋漁業や養殖業等の漁業だけではなく、農業、観光業、飲食をはじめとする商業、さらに海洋教育や食の安全教育等に横串を刺して、地域資源の価値や魅力を活用したり新たに掘り起こすことで、三浦エリア全体のなりわいを創造していく取組の総称とされています。 三浦市は、海業発祥のまちと銘打って、新たな高付加価値を創造し、これまで発展を遂げてまいりました。三浦市を含む全国の漁業地域は、全国平均よりも速いペースで人口減少と高齢化が進行しています。こうした中、海業への期待は特に大きく、農業、漁業、観光業など、主要産業の活性化を通じて地域の活力向上を図り、消費の拡大や新たな観光客の獲得、地元での雇用機会の提供、さらには所得の増大などが期待されています。 本県は海なし県でありますので、三浦市を本県に置き換えて考えてみますと、海に代わる潤沢な資源はもちろん森林、漁業は林業と言えます。そして、海業があるならば、山業もありだと思います。さらに、「清流の国ぎふ」という切り口では、川業もありだと思います。山、川、海がつながってこそ、木の国・山の国と「清流の国ぎふ」はつながります。 山業という言葉はまだ全国的に浸透していませんが、森林、林業分野においては海業と考え方を同じくするものとして、森林サービス産業が大変注目を集めており、森林、林業の概念ががらりと変わるような取組、プロジェクトが全国で誕生しています。この概念は、豊かな森林空間を健康、観光、教育など様々な分野で活用し、新たな産業を生み出すことを目指して、平成三十一年二月に林野庁と国土緑化推進機構から提唱されたもので、森林や林業が様々な分野とコラボレーションすることにより、今までにない多彩なプログラムで、新しい産業や雇用の創出につなげていくものです。 森林サービス産業の具体例を申し上げれば切りがありませんが、例えば近年グランピング、森フェス、森林セラピー、森林浴など、これまでにない森林空間のアクティビティーやリトリートが増加し、その多様性が広がっています。これらの活動は、従来のアウトドア、レジャーの範疇を超え、都市部で行われていた様々な活動が、自然共生の志向の高まりに伴い、新たな潮流として森に注目が集まっています。 森林サービス産業は、これまでの木材を供給する従来の林業から、森林資源をさらに活用し、健康・医療・福祉、観光・旅行・娯楽、教育・学習支援等の分野と連携すること、そして様々な新しいサービスを創造し提供することで、持続可能な森林保全と山村の地域振興を可能とするものです。まさに森林には、今後大きな市場を生み出すポテンシャルがあると思います。都市と森の結びつきが強まり、新たな価値と魅力が地域で生まれることは、経済が円滑に循環し、関係人口の拡大や二地域居住、移住の促進にもつながります。こうした未来を形成する鍵として、新たな成長産業としての期待が高まっているのが森林サービス産業であり、山業であると考えます。 県では、今年の六月から、この森林サービス産業の支援を本格的にスタートさせており、県単位で一つとなる森林サービス産業の協議会を全国初で発足させておりますが、現在は、アウトドア用品販売店から森林組合、建設、造園、キャンプ場、アパレルまで、多種多様な業界のメンバーが百五十ほど参画する協議会となっています。今年度から、起業、新規事業の立ち上げや森林を活用したプログラム開発など、森林サービス産業の課題解決のためのプランナーの派遣事業が開始されました。 大きく動き始めた本県の森林サービス産業でありますが、森林、林業は時間軸が長く、息の長い取組を、百年先を見据えて着実に進めていく必要があります。八割を山が占める森林大国岐阜県は、その山々と共に木の国・山の国と称され、全国第二位の森林率を誇り、清流の国である岐阜は、清流の源流が広がる地でもあります。木の国である岐阜県の家具産業は、その職人技がたくみの技として称賛されています。そして、山の国である岐阜県は、中部山岳国立公園や北アルプス、白山連峰などの山岳観光地でもあり、その中でも高山市と松本市が県境を越えて協力し、乗鞍・上高地エリアを世界水準の山岳観光地に育て上げる松本高山Big Bridge構想が進行中です。さらに、清流の国ぎふの清流は、源流の地である森林エリアから生み出されるものです。 林野庁が提唱する森林サービス産業に、こうした本県ならではの取組、特色、持ち味を掛け合わせ、全国に誇る木の国・山の国の山業発祥の県として、本県から全国に発信していくとともに、百年先を見据えた新しい産業として、他業種の関係者と連携していく必要性があると思います。 そこで、林政部長にお伺いいたします。 本県の新たな雇用や収入、関係人口を生み出す森林サービス産業を発展させていくための現在の対応状況と今後の方向性についてお伺いをいたします。 次に、飛騨牛の持続可能な生産のための取組について質問を続けます。 岐阜県が誇るブランド牛、飛騨牛は、全国和牛能力共進会第八回大会の平成十四年、第九回大会の平成十九年でも最優秀枝肉賞を連続受賞した岐阜県が、国内外に誇る最高級黒毛和牛です。この飛騨牛は、県内四十二市町村の全てでふるさと納税の返礼品の一つとして、牛肉や食事券といった形でラインナップされており、主要産地は飛騨地域であるものの、岐阜ブランドとして県内全域の経済効果は計り知れないと思います。 また、岐阜県、特に飛騨地域は、多くの海外観光客が訪れ、訪れる目的の一つでもあるおいしい飛騨牛を堪能され、世界の方々からも高い評価を得るとともに、世界への輸出も拡大し、飛騨牛の名とその味が世界に広がっています。 先ほど紹介した全国和牛能力共進会、以降は全共と申し上げますが、昨年開催された第十二回全共鹿児島大会では、出品者、生産者団体、農業団体及び行政機関一同の努力、協力により、最高賞である内閣総理大臣賞こそ逃しましたが、改良並びに出品対策の成果を全国に示すことができ、種牛区と肉牛区の両方で前回大会を上回る好成績を収めました。私も鹿児島大会の視察とともに、現地で県出品牛の応援をさせていただきましたが、このほか今大会では、就農応援隊の支援を受けた次代の担い手にと期待する県内の農業高校、農業大学校の学生らが会場を訪れ、県を代表する出品者の飼育管理技術を学んだり、全国トップレベルの牛を間近で見る絶好の機会となりました。 鹿児島大会の幕引きを受け、次回開催地である北海道大会への期待が高まる中、鹿児島大会を振り返り、大会の成果と課題を県出品対策委員会にお伺いしましたので、その一部を紹介いたします。 まず成果として、種牛では、地域内によい牛がいることを確認、共有できた。こだわってきた品位・資質が評価され、上位入賞ができた。また、肥育素牛では、受精卵を活用して高能力の子牛が多数生産できた。無駄な脂が少なく、良質な育成ができた。さらに、肥育では、飛騨牛らしさを表現できたとのことです。 しかしながら、これらの成果に反して新たな課題も浮き彫りになりました。具体的には、改良成果の検証の場である全共に向けた目標、取組が不透明であった。地域によって取組に対する差があった。各組織の人員減により他組織に業務が偏る部分があった。県内の改良組合等から成る地域組織と県組織である出品対策委員会との連携が取れていない部分もあったとのことです。 課題の一部を紹介させていただきましたが、関係者の方々と意見交換をする中で、私なりに総合的な視点で成果と課題を捉え分析してみますと、生産者、関係者に対して全共を契機とした共通の目標設定が不可欠であり、それに対する着実な取組を明確にすることが必要であると感じました。 既に発表されているとおり、次の大会は令和九年に北海道、そしてその次の第十四回大会は令和十四年に岐阜県において開催されることが正式に決定しています。岐阜県では、今後関連する団体と協力して実行委員会を組織し、大会の内容や会場候補地などの検討を進める予定だと伺っております。 四月には戦略会議が開催され、和牛日本一の奪還を目指し、四年後の北海道大会に向けて、鹿児島大会の反省や教訓を生かしながら、三つの基本方針が決定されました。鹿児島大会の取組はそのまま継続しながら、肉量を増加する飼料設計の見直し及び給餌指導、そして次代の担い手のサポート体制の充実、最後に長距離輸送対策の実施であります。このように、北海道大会への大枠の方針が決定いたしましたが、九年後の岐阜大会も視野に入れて、中長期のアクションプランも必要なのではと考えます。 私は、これまで一般質問において、何度か飛騨牛をテーマに取り上げておりますが、平成二十七年十二月定例会では、県産品の販路拡大が進む中での飛騨牛の生産体制の強化について質問をしました。質問では、畜産業のプロセスをトンネルに例え、飛騨牛の安定生産が入り口、生産過程や育成に必要な時間がトンネルの内部、販路拡大は出口の部分と説明してきましたが、入り口が確立されなければ出口もなく、むしろ入り口の重要性を認識することで優れた出口が生まれます。優れた出口をつくるための牛づくりには、まずはいい牛をつくるための優れた人づくり施策が欠かせません。 また、平成二十九年六月定例会では、飛騨牛生産農家の育成及び飛騨牛生産振興対策の今後について質問し、国や県、JA、県畜産協会、県肉用牛協会などの役割分担や運営主体の明確化と農業革新支援専門員の増員、繁殖センターと研修センターが一体化した拠点整備、さらに新規就農者だけではなく、生産農家の技術力向上も重要な課題であると訴えました。九年後の岐阜県大会が決まった今だからこそ改めて強く訴えますが、本県の畜産業の振興には、持続可能な飛騨牛の生産が不可欠で、さらに言えば、そのための牛づくりと人づくりにかかっていると思います。 現在、世界水準の衛生環境の整備も進み、先ほど申し上げました飛騨牛の出口の部分として海外への輸出が拡大し、二〇一二年の約二トンから二〇二二年には約八十トンに増加し、約四十倍に達しました。より一層、飛騨牛ブランドの向上を図るには、さらなる高付加価値化が必要となってきます。 一方で、人口減少、少子高齢化等に伴う畜産業の担い手が減少しています。農水省畜産局企画課の資料によると、全国の肉用牛の新規就農者は、二〇一八年の二百三十四人から二〇二二年には百七十七人に減少し、離脱農家は、二〇一八年の千三百九十四戸から二〇二二年には千五百四十戸に増加しました。全国的に見ても、農畜産農家の減少傾向には歯止めがかからず、他産業とともに後継者の確保が深刻な状況です。持続可能な飛騨牛の生産には、牛づくりと人づくりの二つが息を合わせてこそだと考えます。これは、これまでも、これからも不変のキーワードだと確信しています。 今定例会では、直近の支援対策の一つとして、家畜産業における物価高、家畜飼料の高騰への支援としての関係予算が上程されておりますが、将来にわたり良質な牛の数を持続的に生産し続ける道は開かれているでしょうか。そして、その道を切り開く人づくりはどうでしょうか。飛騨牛は、長い歴史の中で着実に磨き上げられた世界に誇るブランドです。岐阜県を代表するブランドであり、飛騨牛のブランド力は、農畜産業と食、農業と観光業の付加価値を高めるものです。 最後にもう一度、全共に向けた話題に戻します。岐阜県として、将来の畜産業を見据えながら、どういった目標設定をしていくのか。さらに、各組織の役割分担、生産者、出品者へのサポート体制も整理した上で、十年先を見据えたアクションプラン、またその先をも見据えたアクションプランも早急に明確にすべきだと考えます。 そこで、全共北海道大会、その先の岐阜大会へも視野に入れた継続的な取組に加え、その先も持続可能な生産につなげていくため、飛騨牛の優れた特徴を継承する牛づくりと飛騨牛の改良を担う人づくりについて、県としてどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いをいたします。 最後に、三つ目の質問として、県庁業務へのデジタル技術の活用による、成果と今後の取組についてお尋ねをいたします。 行政のデジタル化については、令和二年の新型コロナウイルス感染症の流行以降、議場で何人もの議員から取組状況や進捗状況に関する質問がなされてきました。令和二年には、岩井議員から今後の行政運営の一つの切り口として、行政のデジタル化の加速に向けた取組について焦点を当て、また令和三年には、平岩議員からDXの推進計画の策定に向けたこれまでの議論の過程と今後の進め方について、さらに令和五年第一回定例会には、野島議員よりDXに向けた取組状況と今後の展開についてなど、これまでに多くの質問が行われました。 新県庁舎に業務機能が移転して約一年が経過しようとしています。知事は、折に触れ、新しい県庁舎そのものを「清流の国ぎふ」のショーウィンドーとして、県産品等のPRの場、そして県庁は県民のために仕事をする場と発言され、新県庁舎を契機に仕事の進め方や働き方を改めて点検し、より質の高い行政サービスの提供を目指していくと強く意思表示をされていました。 岐阜県が幅広い分野でDXを推進する中で、この質問は、行政サービスの向上につながる県庁業務におけるDXに的を絞り、これまでの成果や今後の取組について質問をさせていただきます。 県庁の業務については、県民の皆様に見えにくい部分であるだけに、今回の質問や答弁を通じ、どのように県庁内での業務効率化が進められ、行政サービスの改革がどう進んできたか、県職員の働き方がどのように変わってきたか、どう変わっていくのかを県民の皆様が知る機会になればとも思います。 本県のDXでありますが、令和四年三月に策定された県デジタル・トランスフォーメーション推進計画に基づき、着実な進展を遂げています。現在、計画のアクションプランとなる百十三の分野別プロジェクトが進行中で、各プロジェクトでは分野ごとに現状と課題を整理し、目指す姿を描き、それに向けた具体的な取り組むべき政策、施策が示されています。 行政のデジタル化に限れば、行政手続のオンライン化、業務最適化、職員の働き方改革、県職員デジタル人材の育成・確保、デジタル・ディバイド対策、セキュリティーといった大きく五つのプロジェクトが進行中であります。本年八月に開催された県DX推進本部では、推進計画の実施状況報告が行われ、各分野で設定された成果指標の進捗は非常に良好であり、具体的には、オンライン化をする行政手続は二〇二二年度末で千九百八十二の手続に達し、内部のオンライン会議、ペーパーレス会議の実施率は五四・七%まで向上しています。 また、新県庁舎への移転に伴い、オンライン会議、ペーパーレス会議の積極的な推進、高機能複合機の導入により業務効率化が加速していると報告がされました。具体的な数値を申し上げると、移転後の二月から六月までと前年同期を比較した暫定値で、新型コロナの影響が大きかった健康福祉部を除いた数値ではありますが、コピー用紙が約一〇%削減され、年間効果は経費が約三百一万円節減、これに伴うCO2排出量も約六・五トンの減少が見込まれています。また、印刷に伴う待ち時間が約二十二%減少し、これによる人員の年間効果は、約二・三人量で約千六百三十八万円の削減効果が見込まれています。年が明ければ、新県庁舎への移転から二年目を迎えます。これにより、プロジェクトの進捗について、数値による前年との比較を正確に行うことが可能ではないかと考えております。 こうした本県の行政分野におけるDXでございますが、全国でも高い評価を受けています。総務省が二〇二三年五月に公表した地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査等を時事総合研究所が独自方式で点数化しており、全国自治体行政サービス改革度ランキング二〇二三として公表しています。これによれば、一位の新潟県に続き、岐阜県の順位は、同率で九県が並ぶ上位グループの第二位、これは、総務省が重視する業務改善の取組、人材育成の推進、業務の標準化などDXを含む行政改革の取組が満遍なく推進されている傾向であると評価されています。 さて、こうした中で、令和六年度当初予算編成方針においても、基本的な取組方針の中で、DX推進が重要な政策課題の一つとして盛り込まれています。来年度以降も行政のDXが着実に推進されることを期待しています。県DX推進計画においては、行政手続のオンライン化、業務の最適化、職員の働き方改革、県職員デジタル人材の育成、確保、市町村のDX支援などを推進していくこととされておりますが、今後、次に向けた取組を明確にすべきだと考えます。 今年の夏、行政機関のDXの先進地である横須賀市の取組を視察してまいりました。横須賀市がデジタル・ガバメントを推進する背景には、特に人口減少問題が挙げられます。これまで以上に限られた税収などの財源や職員の人員、人材の中で行政運営をしていく必要があることから、デジタル・ガバメント推進方針が策定され、行政サービスのスマート化、行政事務の効率化など四つの柱を中心に据え、様々な取組を展開されてきました。 その結果、生み出された時間や労力等の資源は、職員という人間にしかできない仕事に充て、そこに人を配属し、行政サービスの向上や新たに何かを生み出す仕事、人と人とのコミュニケーションを必要とする仕事、高度な知識やスキルを必要とする部署への人事の配置が優先的にできるようになったと説明をしていただきました。 県行政の業務は、内部の事務処理、部局間の連携はもちろんのこと、税、医療、福祉に関する申請・届出受理や市町村や民間企業との連絡による事務や指導など非常に多岐にわたります。県庁業務の効率化は県民の皆様に見えにくく、理解されにくい側面がありますが、その効果は県民の皆様に還元され、行政サービスの品質向上に必ず結びついていると考えられます。 そこで、持続可能な行政運営に向け、デジタル技術の活用による県庁業務の効率化に関するこれまでの具体的な成果と今後どのように取組を進めていくのか、デジタル推進局長にお尋ねをいたします。 以上三点、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕 ◎林政部長(久松一男君) 森林サービス産業の発展のための対応状況と今後の方向性についてお答えします。 森林サービス産業は、森林空間を多彩な分野で活用し、雇用と収入を生み出すもので、山業と軌を一にするものと考えております。 本年一月に、推進母体となるぎふ森のある暮らし推進協議会を立ち上げ、現在百五十二者の参画の下で、国内外の先進事例を紹介するセミナーやプランナーの派遣などに取り組んでおります。これを機に、会員同士が連携し、林道をマウンテンバイクで走る体験イベント、登山アプリと連携した低山を周遊するトレイル整備、スキー場跡地を活用したマウンテンリゾート構想など、新たな取組が進みつつあります。 今後は、こうした動きを加速するとともに、これらの事業が各地域でのなりわいとして確立することが重要であります。このため、一月には林野庁長官を招いた特別セミナー、二月には観光分野を手始めに、異業種交流会を開催してまいります。また、魅力あるサービスの事業化に向け、ソフト、ハード両面から支援するとともに、誘客に向けた効果的なプロモーションを展開してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 飛騨牛の持続可能な生産のための取組についてお答えいたします。 飛騨牛ブランドの発展に向け、まず牛づくりでは、県畜産研究所において、鹿児島大会で培ったゲノム育種価を活用し、飛騨牛らしさを引き継ぐ雄牛づくりに継続して取り組みます。また、繁殖農家の優良な遺伝子を持つ雌牛の育成を支援してまいります。この雌牛の改良には、和牛改良組合の活動が重要でありますが、これまで組合がなかった県南部で若い生産者による組合設立の機運が高まっており、県としても早期実現に向け支援してまいります。 次に、人づくりでは、全農、全国和牛登録協会などと連携し、県やJAの畜産職員を対象に、座学に加え、現場での実務研修を行い、豊富な知識や指導力を持ち合わせた人材を育成することで、県内くまなくサポートできる体制を強化してまいります。 こうした取組を継続していくことで、まずは四年後の北海道大会を勝ち抜き、今後はさらに九年後の岐阜大会以降も視野に、来年度にはさらなる飛騨牛の改良と、これを持続的に生産する担い手の確保に向けた中長期的な取組方針について、関係者と十分に意見交換を行いながら取りまとめてまいります。 ○副議長(田中勝士君) デジタル推進局長 市橋貴仁君。    〔清流の国推進部デジタル推進局長 市橋貴仁君登壇〕 ◎清流の国推進部デジタル推進局長(市橋貴仁君) デジタル技術の活用による県業務の効率化に関する効果と今後の取組についてお答えします。 デジタル技術の活用による業務の効率化は、職員の負担軽減はもとより、県民サービスの向上にも資するとの考えの下、県DX推進計画に位置づけて様々な取組を進めているところです。例えば令和三年度から、申請件数が多い入札参加資格の審査の申請など二十八手続について、申請データと業務システムとのデータ連携や申請フォームへのエラーチェック機能の実装など、業務の見直しを行い、年間約九千三百時間の業務量の削減を見込んでおります。 さらに、平成三十年度から、職員の通勤手当の審査など定型的な十八業務について、事務自動化、いわゆるRPAを導入し、年間約三千百時間の業務量を削減いたしました。 また、業務の効率化に向けては、こうしたデジタル技術を活用する職員のリテラシーが重要となるため、今年度から、デジタルに関する職員研修の講座数を一・六倍に充実させたところです。来年度は、これらに加え、電子決裁機能を搭載した新たな文書管理システムを導入するほか、電子契約を全庁に拡大してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時十七分散会 ……………………………………………………………………………………………...