• "消火器訓練"(/)
ツイート シェア
  1. 岐阜県議会 2023-09-01
    09月28日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 5年  9月 定例会(第4回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                 令和五年九月二十八日(木)午前十時開議 第一 議第七十号から議第百号まで 第二 請願第五号から請願第九号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第七十号から議第百号まで 一 日程第二 請願第五号から請願第九号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   木村千秋君      二番   判治康信君      三番   平野恭子君      五番   今井瑠々君      六番   牧田秀憲君      七番   黒田芳弘君      八番   森 治久君      九番   山内房壽君      十番   森 益基君     十一番   小川祐輝君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   平野祐也君     十六番   所 竜也君     十七番   今井政嘉君     十八番   藤本恵司君     十九番   安井 忠君     二十番   恩田佳幸君    二十一番   若井敦子君    二十二番   広瀬 修君    二十三番   布俣正也君    二十四番   酒向 薫君    二十五番   野村美穂君    二十六番   水野吉近君    二十七番   国枝慎太郎君    二十八番   長屋光征君    二十九番   高殿 尚君     三十番   田中勝士君    三十一番   加藤大博君    三十二番   松岡正人君    三十三番   小原 尚君    三十四番   水野正敏君    三十五番   野島征夫君    三十六番   渡辺嘉山君    三十七番   伊藤正博君    三十八番   川上哲也君    三十九番   伊藤秀光君     四十番   平岩正光君    四十一番   佐藤武彦君    四十三番   森 正弘君    四十四番   村下貴夫君    四十五番   尾藤義昭君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山田 恭 総務課長         桂川義彦 議事調査課長       若野 明 議事調査課管理調整監   森 信輔 同   課長補佐     中川雅洋 同   課長補佐     市川達也 同   係長       佐藤由子 同   主査       水野 恵 同   主査       遠藤俊輔 同   主査       古藤綾乃…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        矢本哲也君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 危機管理部長       内木 禎君 環境生活部長       渡辺正信君 健康福祉部長       丹藤昌治君 健康福祉部子ども・女性局長              村田嘉子君 商工労働部長       三木文平君 農政部長         足立葉子君 県土整備部長       野崎眞司君 都市建築部都市公園・交通局長              舟久保 敏君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        大濱健志君…………………………………………………………………………………………… △九月二十八日午前十時開議 ○議長(野島征夫君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十四番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。本日は、通告に従い大きく五項目について二分割でお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 近年、河川の決壊や越水被害などの水害が全国的に発生しております。特に本年は台風による被害が多く、台風六号では沖縄県・鹿児島県、七号では京都府・兵庫県・鳥取県、十三号では千葉県・福島県など日本列島各地で被害が発生をしております。本県におきましても、台風七号により床上・床下浸水、道路被害、農業・林業被害が発生している状況です。改めまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 知事もよくおっしゃっておられますが、今日は我が身との思いで防災・減災対策に取り組んでいく必要があります。そこで、今日は本県における風水害対策について二点お尋ねしたいと思います。 まず初めに、本県における河川整備についてです。 岐阜県は、標高三千メートル級の山々から海抜ゼロメートルの水郷地帯まで変化に富んだ豊かな自然を有し、古くから飛山濃水の地と称されていますが、厳しい自然条件、地形であるがゆえに、長年にわたり水害に苦しんでいる地でもあります。 こうした水害に対し、平成十九年に県内の主要な五つの流域について、ハード・ソフトの対応策として、岐阜県新五流域総合治水対策プランを取りまとめ、対策を進めてまいりました。しかしながら、その後、全国的に一時間百ミリを超す短期的・局地的豪雨が頻発し、県内においても、平成二十二年の七・一五豪雨、平成二十三年の台風十五号による水害が発生、平成二十六年八月十六日から十八日の豪雨では、高山観測所において、平成二十三年に記録した八月における観測史上最大の日降水量百二十一・五ミリの約二倍となる二百三十二ミリの豪雨となり、百年を超す観測史上の記録を僅か三年で更新し、甚大な被害をもたらしました。 また、東日本大震災をはじめ、九州北部豪雨災害など、策定時には想定していなかった様々な事象についてきめ細やかな対策を講じていく必要が生じ、従来からの治水対策に加え、新たに堤防の緊急点検に基づく対策や河川構造物の耐震化、長寿命化等の維持管理の観点などを追加した新五流域総合治水対策プラン改定版を平成二十六年に発表し、現在取組を進めています。 こうした取組や過去幾多の水害を踏まえ実施してきた治水事業等が効果を発揮し、壊滅的な被害は防いでいると考えております。しかしながら、近年さらに雨の降り方が変わってきており、県民の方からも不安の声は尽きません。 こうした中、国は流域治水を推進しています。本年六月の県土強靱化インフラ整備対策特別委員会におきまして、木曽川上流河川事務所の副所長さんから流域治水についてヒアリングをさせていただいた際に、国は従来の河川整備は過去被害が発生した内容を踏まえ進めていましたが、気候変動による降雨量の増加や潮位の上昇などを考慮した対策を進めていくとのことでした。 また、令和三年に九本の法律が、いわゆる流域治水関連法として改正されました。流域治水関連法は、流域治水の実効性を高めるために整備されたものであり、例えば水防法の改正では、中小河川における洪水等のリスク情報の空白域を解消するために、洪水浸水想定区域図を作成しなければならない河川が拡大されました。これまで、本県が管理する河川においては、全四百二十二河川のうち長良川やその大きな支川など二十五河川が洪水浸水想定区域図の作成対象でしたが、法改正によりその対象がこれまでの約十六倍となる三百八十八河川になったと聞いております。これは、県が管理する河川の約九割に当たります。このような国の動きは、中小河川における水害への危機感が高まっているとも考えられ、今後こうした中小河川を管理する県の治水対策が重要になってくるのではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いしたいと思います。 新五流域総合治水対策プランが今年度末で短期目標期間である十年を迎える中、流域治水の実効性を高めていく国の動向を受け、本県におけるこれまでの取組と今後の河川整備の方向性をどのように定めていくのかお考えをお聞かせください。 続きまして、岐阜県広域防災センターの活用についてお尋ねしたいと思います。 先ほど風水害対策について取り上げましたけれども、ハード対策には限りがあり、ソフト対策を充実させ、最後は県民の皆様に命を守る行動を取っていただくことが一番の対策であると考えております。 そうした中、八月末に岐阜県議会公明党として岐阜県広域防災センターを視察させていただきました。広域防災センターは、防災知識の普及向上や防災用資機材の備蓄等を目的として昭和五十七年に開設された岐阜県の施設であり、地震体験、消火器訓練、避難所体験や備蓄館、濃煙迷路、そして見学フロアではパネル展示が行われております。 中でも、地震体験につきましては、室内に設置された振動台が前後、左右、上下に複雑に揺れ、最大震度七の地震が体験できます。体験可能な地震として、濃尾地震、関東大震災、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震など実際に発生した地震から、南海トラフ地震など今後想定される地震も体験することができます。私どもも実際に体験しましたが、今から揺れると分かっていても、あまりの揺れに身の危険を感じ、改めて地震の恐ろしさを痛感いたしました。ぜひ、多くの県民の皆様に御活用いただきたいと思っております。その後、消火器訓練の様子や備蓄館、避難所体験と回らせていただき、防災に関する認識を高めることができたと感じております。 一方で、課題も感じました。特に強く感じたことは、今回取り上げさせていただいております近年多発する風水害への対策に関する展示内容をさらに充実するべきではないかということです。施設そのものも古くなっており、機能性の面からも限界があるようですが、風水害が頻発化する中、防災の知識を得る機会を充実させることは、県民の皆様が命を守る行動を取っていただく上で大変に重要だと考えます。多くの県民の皆様に災害の危険性を正しく知っていただく機会を確保することが、県民の皆様の命を守ることに直結すると思います。 そこで、危機管理部長にお尋ねをいたします。 岐阜県広域防災センターのさらなる活用に向け、風水害対策の学習機能の充実についてお考えをお聞かせください。 続きまして、「やさしい日本語」のさらなる活用について、二点お尋ねをいたします。 現在、本県に外国人の方がどれくらいいらっしゃるか御存じでしょうか。近年の推移を確認しますと、平成三十年末当時の県内の在留外国人数は五万五千二百五人でした。その後、令和に入り、新型コロナウイルス感染症の流行などの影響か、県内の在留外国人の数は、令和二年・三年と減少しています。しかし、コロナ禍を経て、令和四年末、その数は六千人ほど増え、過去最高となる六万二千七百十人を記録しているとのことです。 岐阜県は、世界的に注目される観光地を抱えており、いわゆるインバウンド訪日外国人が多く訪れるほか、県内産業は外国籍の労働者や技能実習生の方々に支えられている部分があり、その数は今後ますます増加することが予想されるところです。いわゆる多文化共生を実現するには、県民にとっても来県される外国人の方にとっても、ぜひお互いがリスペクトし合ってプラスになるような交流を持たれることが望ましい形だと考えております。 こうした観点から、令和三年九月議会にて、当時の第三期岐阜県多文化共生推進基本方針が最終年度となっていることを踏まえ、今後も外国人県民の方にも本県において御活躍していただくことが重要として、方針改定の考えを古田知事に伺いました。その後、令和四年三月に、第四期岐阜県外国人材活躍・多文化共生推進基本方針が示されました。基本目標として、県内の在住外国人を地域社会を構成する外国人県民として認識し、県民がお互いの文化や考え方を尊重しながら、円滑にコミュニケーションを図ることにより、全ての県民が働きやすく、暮らしやすい地域社会(多文化共生社会)の実現を目指すとし、施策の方向性として大きく四点挙げられております。 その具体的な取組の一つとして、県・市町村の行政担当者を対象に研修会を開催し、行政窓口における「やさしい日本語」の普及を促進しますとあります。「やさしい日本語」の活用につきましては、平成三十年九月議会で取り上げさせていただきました。当時は、外国人観光客の増加に伴う災害情報発信の観点から質問させていただきました。 改めまして、「やさしい日本語」とは、簡易な表現を用いる、文の構造を簡単にする、漢字に振り仮名を振るなどして、子供や日本語に不慣れな外国人の方にも分かりやすくした日本語です。その後、活用が広がっております。 時事通信社の記事によりますと、大垣市では人工知能(AI)を活用し、市のホームページの文章に振り仮名をつけるなど、外国人や児童らにとって読みやすくする取組を開始しております。あらゆる人が災害時などでも適切に情報を得られるようにする。ホームページの「やさしい日本語」ボタンを押すと、振り仮名つきの文章に変更できるようになっております。また、「国籍」を「国籍(どの国の人か)」に、「議論」を「話し合い」に変換するなど、難しい日本語をAIが解説したり言い換えたりしています。市まちづくり推進課の担当者は、日本語に不安がある人でもホームページの文章を簡単に読めるようにすることで、誰もが安心して暮らせる多文化共生社会の推進につなげたいと話しているとのことです。 本県におきましても、ぎふ土砂災害警戒情報ポータルは「やさしい日本語」を選択することができますが、さらなる活用が進むことで多くの外国人県民の皆様の安心が広がるのではないかと考えます。災害情報だけでなく、例えば県民に身近な自動車税などの周知の際に活用していくことも考えられると思います。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねをいたします。 「やさしい日本語」の県内でのさらなる普及促進に向けてどのように取り組まれるかお聞かせください。 続きまして、同じく「やさしい日本語」の活用につきまして、警察本部長にもお伺いしたいと思います。 先ほどの質問でも申し上げましたとおり、外国人の方が増えていく中で懸念されることは、言語や文化、習慣の違いによってトラブルに発展するケースであり、特に言語の壁は大きいのではないかと感じております。言葉が分からない、伝わらないことによって、犯罪やトラブルに巻き込まれて被害に遭ったり、いつの間にか犯罪の片棒を担がされてしまうようなことがあってはなりません。コミュニケーションの大切さは言わずもがな、警察として日本語を母国語としない外国人の方への対応に的確に取り組んでいくことは、将来の岐阜県、日本を語る上で重要なことだと考えております。 平成三十年の九月議会では、警察本部長訪日外国人の方の増加が見込まれる中でどのように取り組んでいくのかとお伺いした際に、多言語化対応について、通訳人の確保や翻訳機の整備について御回答をいただきました。 一方で、「やさしい日本語」の活用は警察にも広がりを見せております。日本語を母国語としない外国人の方との関わりにおいて、今回取り上げている「やさしい日本語」は、実に有効な手段の一つと考えます。 さきにも申し上げたとおり、岐阜県には六万人を超える在留外国人の方が居住していますが、法令や交通ルールなど正しく理解していただくことが重要です。 例えば、交通に関する単語「右折する」「直進する」とあります。もちろん理解していただける外国人の方もいらっしゃるかと思いますが、「右に曲がる」「真っすぐ進む」と言い換えるだけで分かりやすくなるのではないでしょうか。同様に、「衝突する」は「ぶつかる」、「避難する」は「逃げる」、「拾得物」は「落とし物」などなど、警察でも「やさしい日本語」を活用することが在留外国人の方に安全と安心感を与え、ひいては岐阜県の良好な治安を体感できる社会環境を構築することができると考えます。何より、外国人の方と適切なコミュニケーションが取れることで、警察への信頼感も増すのではないでしょうか。 また、情報発信においても有効だと思います。他県の一例ではございますが、茨城県警や群馬県警では、外国人にも伝わりやすい「やさしい日本語」を使った公式フェイスブックページを開設して、振り仮名や絵文字、記号も使って、犯罪や交通事故を起こさないように分かりやすく訴えています。いろいろな活用が期待できる「やさしい日本語」をぜひ警察でもさらに利活用してほしいと願うところであります。 そこで、警察本部長にお尋ねをいたします。 県警察における「やさしい日本語」に関する取組状況について、御答弁をお願いいたします。 以上で一回目の質問を終わります。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 河川整備の状況についてのお尋ねがございました。 議員から御指摘ありましたように、昨今の気候変動の影響による集中豪雨の増加で、全国的に水災害が激甚化・頻発化する中で、本県でもここ五年で三度の大きな災害に見舞われております。また、先月の台風七号では、本県から遠ざかった後に激しい降水帯、いわゆるアウターバンドにより記録的短時間大雨情報や土砂災害警戒情報が発表され、家屋の浸水や護岸の損壊等が発生いたしました。こうした度重なる災害に備えるため、流域のあらゆる関係者が協働してハード・ソフト両面から事前防災対策に取り組む流域治水を進めていく必要があるわけであります。 過去に幾度も大災害を経験した本県では、流域治水の考え方をいち早く取り入れ、平成十九年には県内五流域の治水対策の方向性と、その具体的な内容をまとめた岐阜県新五流域総合治水対策プランを策定いたしました。このプランでは、河川改修やダム等の整備を効果的に組み合わせた総合的なハード対策と、洪水時の避難行動に資する河川情報の提供など、被害を軽減するためのソフト対策を併せて定めております。 また、平成二十六年には、東日本大震災等の堤防被害を踏まえた河川整備や、笹子トンネル天井板落下事故を踏まえた水門や排水機場等老朽化対策を加える改定を行っております。 一方、国のほうでは、気候変動による水災害リスクの増大に備えるため、令和二年度末に流域治水プロジェクトを取りまとめております。この中で、例えば危機管理型水位計の設置が位置づけられましたが、本県では先んじて平成三十年七月豪雨を教訓に設置を進め、その数は現在四百八基と全国トップクラスでございます。 さらに、令和三年に水防法が改正され、洪水浸水想定区域図の作成対象が中小河川にまで拡大されましたが、本県では既に作成していた独自の水害リスクを示した図を活用し、対象三百八十八河川のうち、九五%に当たる三百七十の河川で作成を終えております。 そこで、現行の岐阜県新五流域総合治水対策プランでありますが、その策定から十年が経過しておりますし、策定時には想定していなかった様々な新たな課題も見えてきているところから、それらを明らかにし、対策を進める必要があります。 第一に、現状において、流域ごとに河川整備の達成度に差が見られ、堤防の耐震対策の進捗の度合いにも課題がございます。 第二に、貯留機能のある土地に盛土を行う際の事前届出制度など、流域治水関連法により新たに制度化された土地利用規制についても、新プランに盛り込む必要があります。 第三に、ダムを活用した小水力発電など脱炭素に向けた対応や、ICTを活用した建設工事などDXの推進も求められております。 このように新たな課題に対応していくため、来年度中に新プランを策定するべく、この八月から有識者や市町村長等で構成する治水対策に関する委員会を五つの流域ごとに開催し、意見を伺っているところでございます。 ○議長(野島征夫君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 岐阜県広域防災センターのさらなる活用についてお答えします。 センターの風水害に関する常設展示については、パネル中心となっていることが課題でありますが、昨年からは夏休み期間中に防災教育フェアを開催し、降雨体験や河川の増水による浸水シミュレーションを親子で体験いただく取組も実施しているところであります。 一方で、来場者からは、もっと映像やゲームで学びたいなどの声があるほか、有識者からは、風水害への備えだけでなく、避難のタイミングや方法も学べるとよいといった意見をいただいております。 このため、まずは年内を目途に、大型映像モニターを導入するとともに、県で作成した風水害の恐ろしさを実際にどう備え行動すべきかを学べる動画のコンテンツを充実いたします。あわせて、一人一人がいつどう避難するのかを整理する災害・避難カードの作成を体験できるコーナーも設置いたします。 さらに、来場者や有識者の意見をお聞きしながら、デジタル技術を活用したゲームやクイズで学べるコンテンツの導入など、学習内容の充実に向けて、引き続き検討を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 清流の国推進部長 長尾安博君。    〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕 ◎清流の国推進部長(長尾安博君) 「やさしい日本語」の普及促進についてお答えをいたします。 県ではこれまで、災害時の情報提供や意思疎通において、「やさしい日本語」を活用してきました。また、国の調査によると、約八割の外国人が理解できることから「やさしい日本語」が有効とされております。これらを踏まえ、令和三年度に策定した外国人材活躍・多文化共生推進基本方針に「やさしい日本語」の普及促進を盛り込み、今年度までに行政の窓口職員、警察職員、保健師など約三百六十人に対し、研修を実施してきました。 今後は、特定技能制度等の見直しに伴う外国人県民の増加が見込まれ、「やさしい日本語」の重要性はさらに増すものと考えられます。 このため、県の取組について、ここからは「やさしい日本語」でお話ししますと、一つ目、岐阜県のホームページで「やさしい日本語」で読むことができるページを増やします。二つ目、外国人と一緒に働く会社の人に「やさしい日本語」を教えます。三つ目、「やさしい日本語」を勉強したい役所や会社の人を応援します。この三つで、「やさしい日本語」が使える人を増やします。 ○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。    〔警察本部長 大濱健志君登壇〕 ◎警察本部長(大濱健志君) 県警察における「やさしい日本語」に関する取組状況についてお答えいたします。 県警察では、訪日・在留外国人の方を犯罪の被害者にも加害者にもさせないための総合対策を策定いたしまして、今年度から国際捜査課に専従体制を構築するなどいたしまして、各種施策を推進しているところでございますが、中でも「やさしい日本語」の活用は重要かつ有用であると認識しております。 具体的な取組といたしましては、日本語を母国語とされない方であっても円滑な手続ができるよう、各種届出書の記載例や関係者への通知文を「やさしい日本語」で作成したり、事件・事故や災害から身を守るためのチラシやリーフレットを「やさしい日本語」で作成したり、また英語、タガログ語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語などでもこうしたチラシやリーフレットを作成しております。今後は、これらの資料のSNSによる情報発信についても検討してまいりたいと考えております。 また、全ての警察職員に「やさしい日本語」の重要性を認識させ、必要なスキルを身につけさせるため、関係機関・団体と連携した研修会の開催、加茂警察署や可児警察署に配置している外国籍を有する専門職員による教育や研修、外国人の方が集まる各種イベントへの参加などの取組も行っております。 議員御指摘のとおり、今後も訪日・在留外国人の方の数が増加することが見込まれるところ、県警察におきましては、他県の先進的な取組も参考にしつつ、外国人の方の安全・安心の確保に向けて、「やさしい日本語」に関する取組をより一層強化してまいります。 ○議長(野島征夫君) 十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕
    ◆十四番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、三点目といたしまして、県民サービス向上に向けた職員研修の充実についてお伺いしたいと思います。 皆様は、ユニバーサルマナーという言葉を聞かれたことはありますでしょうか。ユニバーサルマナーとは、ユニバーサルマナー検定を運営する株式会社ミライロが提唱する言葉です。株式会社ミライロ、以下ミライロと呼ばせていただきますけれども、この取組につきましては、以前にもミライロIDの活用について質問させていただいたことがございました。 ミライロの代表取締役社長は垣内俊哉さん、幼少期を本県中津川市で過ごされた方であります。垣内さん自身も骨形成不全症、簡単に説明しますと、骨が弱く折れやすいという病気をお持ちで、いわゆる障がい者の方であります。そして、ユニバーサルマナーについて次のように紹介をしております。 「高齢者や障害者、ベビーカー利用者、外国人など、多様な方々を街で見かける現代。私たちにとって、“自分とは違う誰かの視点に立ち行動すること”は特別な対応ではなく、「こころづかい」の一つです。多様な方々へ向き合うためのマインドとアクション。それを私たちは「ユニバーサルマナー」と名づけました。ハード(設備)を変えることができなくても、私たち一人ひとりの「ハート」は今すぐ変えることができます。自分とは違う誰かのことを考えられる社会。困っている人がいたら行動し、助け合える社会。皆が安心して、心から楽しく過ごせる社会。私たちは皆さんと共に、そんな社会を実現したいと考えています。」と記載されております。 私自身、御紹介を受けまして、先日ユニバーサルマナー検定三級をオンラインで受講させていただきました。ユニバーサルマナー検定三級は、高齢者や障がい者への基本的な向き合い方やお声がけ方法を学ぶ導入のための講座であります。「ユニバーサルマナーとは」「人と人との違いを考えよう」「どんな人がどんなことに困っているのか」「代表的なお声がけ方法」など基本的な内容に加え、多様な方々への心理状況を考えるワークを行います。 実際に受講し、障がいのある当事者の講師の方からお話を伺い、さらに聞くだけの講習とは違い、双方向で意見を出し合う機会もあり、大変に勉強になりました。障がいのある方、体に不自由な方といっても助けてほしいことはそれぞれであり、声がけの在り方や見守りの重要性なども学ばせていただきました。ぜひ、県職員の皆様、県のイベントに携わる方にもこうした内容を知っていただき、お役立ていただければうれしく思います。 全国の自治体でも活用が始まっており、茨城県笠間市では、職員四十七名がユニバーサルマナー検定三級を取得されました。福岡市では、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、誰もが思いやりを持ち、全ての人にやさしいまち「ユニバーサル都市・福岡」の実現を目指しており、自治体オリジナル講座「福岡版ユニバーサルマナー検定」を実施されております。 本県では、今後、清流の国ぎふ総文二〇二四、「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四、ねんりんピック岐阜二〇二五等の開催が予定されており、御高齢の方や障がいのある方が御来県する機会が増加する見込みでもあり、そういった方々にも岐阜をしっかりと楽しんでいただきたいと思っております。そのためにも、まずは県職員の方から、ユニバーサルマナーの考え方を学ぶ機会を取り入れるなど検討いただけないかと思っております。 そこで、総務部長にお尋ねをいたします。 県民サービスのさらなる向上のため、自分とは違う誰かの視点に立ち行動するというユニバーサルマナーの考え方を取り入れるなど、職員研修の充実を図るべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 続きまして、保育現場に寄り添った保育士の確保に向けた取組についてお伺いをいたします。 全国の保育施設などで子供が死亡や大けがを負う重大な事故の発生が過去最多を更新いたしました。こうした事態を深刻に受け止め、子供の安全を第一とした対策を強めねばなりません。 こども家庭庁は、八月一日、二〇二二年に全国の保育所や幼稚園、放課後児童クラブなどで起きた事故が前年より百十四件増え、二千四百六十一件に上ったと発表しました。集計は、死亡事故と治療に要する期間が三十日以上の負傷や病気を伴う重篤な事故について第一報をまとめたものであり、一歩手前のヒヤリハットも含めると、件数はさらに増えると考えられます。 事故が増える背景には、保育現場の余裕のなさが指摘されております。特に保育士の方は、業務負担の重さの割に賃金が低く、慢性的な人手不足に陥っているのが現状です。苛酷な労働環境が虐待など不適切な保育につながるおそれもあり、再発防止策の徹底と併せて保育士の処遇改善を急ぎ、人手不足を解消する必要があります。 そうした中、今年六月に政府が決定をしましたこども未来戦略方針では、配置基準について、保育士一人当たり一歳児は六人から五人に、四、五歳児は三十人から二十五人に見直すとともに、保育士のさらなる処遇改善を検討する方針が示されました。さらに、こども誰でも通園制度、仮称でございますが、こちらの創設も記載され、こども誰でも通園制度とは、親御さんが働いていなくても時間単位等で保育園を利用できる新たな通園制度です。全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対し、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を強化するとしております。 こうした取組に期待する一方で、不安もあります。先ほど申し上げたとおり、従来から保育士の不足という課題がありながら、新たな受入れをすることができるのかという課題です。実際に、県内の保育現場に伺いお話を聞かせていただきましたが、保育サービスを充実させるためにも保育士さんの確保が重要な課題であり、現場は悩んでいるとのことでした。サービスの提供充実のためには、保育士確保の取組が欠かせないと考えます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねをいたします。 保育のニーズがさらに高まることが予想される中で、保育現場に寄り添った保育士確保の取組が必要だと考えますが、お考えをお伺いします。 最後に、教職員の多忙化解消に向けた取組についてお伺いします。 岐阜県教育委員会は、多くの方に教員採用試験を受験してもらおうと、今年から小・中学校の教員採用試験の合格者のうち、成績が上位で、七年以上県内で教員として勤務するなど条件を満たした四十人を対象に、奨学金の返済を総額百四十四万円まで支援する制度を設けました。 七月二十二日から行われた岐阜県の教員採用試験において、小学校の教員の志願者倍率は二・四六倍と五年ぶりに上昇し、中学校の教員も三・七六倍と去年より上昇したとのことです。本県の教員採用試験の志願者倍率が上がったと伺い、うれしく思っております。 一方で、八月に岐阜県教育委員会が公表した県内の教員養成課程を有する七大学における教育学部または教職課程を履修した大学四年生を対象に行った岐阜県の教職魅力化のための大学生調査の中で、学校教員とならなかった学生への質問によりますと、教職を選択しなかった理由として、教員に必要な様々なスキルに対する不安や休日出勤や長時間労働のイメージ、職務に対して待遇が十分でないなどのマイナスイメージがあるとのことでした。県としては、働きやすい職場づくりを進めるとともに、公務員としての待遇のよさをアピールするとしており、働きやすい職場づくりのため、さらなる教職員の多忙化解消の取組を進めることが重要だと感じております。 そうした中、私は七月に山梨県を訪問し、山梨県教育委員会の文書を削減した取組を調査させていただきました。山梨県教育委員会は、今年度から市町村教育委員会や学校現場へ送る文書を半減させる取組を始められました。学校現場に送付される文書は、年間千五百枚以上に上るため、事務負担を軽減することで、教育の質向上を図ることが目的です。 国や各種団体からの通知を県教育委員会が精査し、「送付しない」「市町村教委に留め置く」などと分類し、共有の必要があるもののみ、要点をまとめた文面とともにグループウエアや校務支援システムで学校現場に送信をしております。 今後、国が行う調査やアンケートは、学校基本調査など法律に基づくものや、いじめ調査など児童・生徒の命に関わるもの以外、県や市町村教育委員会が分かる範囲で回答し、教員が対応する文書の数を減らし、県による調査やアンケートは必要性や方法を見直し、政策立案が目的の場合は必要最低限で実施、可能なものは標本抽出で行います。毎年定例的に行っている調査などは、二、三年に一回などに頻度を下げるようにするとのことでした。加えて、業務用チャット「Teams」のアンケート機能など、情報通信技術を全面的に活用し、教員が手軽に参加できるようにし、学校現場に送付される文書はこれまで紙で配付されていたものを原則データで提供していくそうです。 実際に五月から六月の取組で、県教育委員会からの送付文書を、小・中学校では昨年と比べ半分以上削減し、県立学校についてもおよそ半分まで削減することができたとのことでした。これはあくまで一例でありますけれども、本県におきましても、現場の教職員の皆様が余裕を持って児童・生徒に接する体制を整えられるよう、不断の努力が求められると考えます。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 本県における教職員の多忙化解消の取組についてのお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 総務部長 尾鼻 智君。    〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎総務部長(尾鼻智君) 県民サービス向上のための職員研修の充実についてお答えいたします。 県職員には、公務員としてふさわしい言動はもとより、多様な立場の方々に対する理解と適切な対応が求められます。このため、基本的な接遇を身につける研修・障がいのある方と共に働く際の配慮を学ぶ研修など、キャリアや業務内容に応じた研修を適宜行っています。また、昇任時などの機会を捉え、全ての職員に対して、人権についての理解を深めるための研修も行っているところです。 御紹介いただきました高齢者、障がいのある方など多様な視点に立ち、理解し、適切に行動するというユニバーサルマナーの考え方は、職員の接遇マナーの向上のみならず、当事者の目線に立った政策の立案及び実施にもつながるものと考えております。 こうしたことから、例えばユニバーサルマナーの考え方を踏まえた研修を障がいのある方を講師に招いて行うことを検討するなど、県民サービスの向上につながる研修を充実させてまいります。 ○議長(野島征夫君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 保育現場に寄り添った保育士確保に向けた取組についてお答えいたします。 保育の仕事は、子供の心身の健やかな発達を見守り、社会性の基礎を育む、やりがいと魅力にあふれたものと認識しております。一方で、保育の多様化への対応などにより、保育士の負担は増加し、その負担感から人材確保には苦慮しているのが現状です。 このため、県では保育士の負担軽減につながる取組として、給食の配膳などの補助的業務を行う人材の雇用や業務のICT化等に取り組む事業所に対する補助金の支給、業務の効率化のノウハウ等を学ぶ研修会の開催などを行っております。また、保育士・保育所支援センターにおいて、相談員が現役保育士の困り事を丁寧にお聞きし、助言を行っております。 さらに、保育人材確保の取組として、潜在保育士の就職相談や希望する施設とのマッチング、中高生に対する保育士養成校などの体験見学会、資格取得に向けた修学資金の支援を実施するとともに、ラジオ等を通じた保育の仕事の魅力発信を行っており、今後も保育現場に寄り添った取組を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 教職員の多忙化解消に向けた取組についてお答えします。 教職員の業務負担の軽減を図るため、令和元年度以降、県教育委員会から学校に対して行う調査の廃止・統合とともに、その回数や項目、時期など百五十二の見直しを行ったところです。また、児童・生徒向けの作品募集の案内を一覧にまとめて学校に送るなど、学校における取扱い文書を削減してまいりました。 今年度は、この見直しから一定期間を経過しているため、改めて調査等の実施状況や通知などの数を精査し、さらなる負担軽減に取り組んでいるところです。また、併せてデジタル技術を活用した業務の効率化としましては、新たにクラウド上のシステムに県教育委員会と学校との共有フォルダを作成して、教職員が県から発出された文書を必要なときに検索して即座に取り出せる、そうした仕組みをつくるほか、今年度末の高等学校入学者選抜の採点業務に入試用デジタル採点システムを新たに導入いたします。 引き続き、様々な角度から教職員の働き方改革に取り組むことで、教職員の多忙化の解消を図ってまいります。 ○議長(野島征夫君) 四十六番 玉田和浩君。    〔四十六番 玉田和浩君登壇〕(拍手) ◆四十六番(玉田和浩君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、大きく三項目について質問させていただきます。 まず初めに、コクチバスの完全駆除につきまして知事にお伺いいたします。 アユやアマゴの天敵でありますコクチバスにつきましては、本年五月に美濃市内の長良川本川において初確認されました。さきの令和五年第三回定例会において、我が党の伊藤秀光議員からも質問がされたところでありますが、その後、非常に残念なことでありますけれども、七月には郡上市内の西坂ため池で繁殖が確認され、さらには本川への流出の可能性までも判明いたしました。そして、八月には遊漁者から穂積大橋付近で釣ったというコクチバスが県漁業協同組合連合会に持ち込まれました。さらにこの遊漁者から、長良川河口堰から岐阜市内にかけて広く生息しているとの驚くべき情報が寄せられたところであります。その後も、複数の県民の方から、岐阜市内でのコクチバスの目撃情報などが寄せられております。なお、この遊漁者からの情報に基づき調査した美濃市内のため池、天池においても生息が確認されております。 また、九月五日には、長良川のみならず笠松町内の木曽川において、下流域で初確認とされたコクチバスの稚魚が捕獲されております。稚魚であるため、木曽川下流部で繁殖していないかどうか本当に非常に心配しているところであります。また、昨日の新聞報道にもありましたとおり、川辺ダムにもコクチバスの生息が確認されました。 現在、県においては、長良川流域の全百七十三か所のため池、ダムを対象に、環境DNA分析をされ、また貴重な生息情報が得られることにもなる買取り制度の周知やマスコミ報道等で注目されていることがあり、県民から多くの目撃情報が寄せられております。その結果、県内での生息の確認がさらに広がることも覚悟せざるを得ません。 そして、生息が広がる先にはどんな未来が待っているかというと、八月二十八日に開催されました農林委員会において説明がありましたが、コクチバス被害に悩む他県の例は、本当にそれは恐ろしい未来を映す鏡でございました。 まず、長野県の上小漁業協同組合では千曲川を漁場に持ち、かつては長良川と同様にアユの友釣りで有名な河川でございましたが、しかし平成十二年にコクチバスが確認され、その後十六年たった平成二十八年になって、アユの友釣りで、おとりアユやかかった野アユがコクチバスに捕食されて、仕掛けが切られる被害が多数報告され、現在ではほとんど友釣り遊漁者がいなくなってしまったとのことであります。アユの日釣り券の販売数も、平成二十三年には三千七百八十五枚あったものが、令和四年には六百六十一枚に減少、漁業協同組合へのアユの集荷量は、平成十七年には三千六百五十キログラムあったものが、平成三十年以降はゼロとなってしまいました。 また、同じく長野県の天竜川に漁場を持つ天竜川漁業協同組合では、平成十五年にコクチバスが初確認、九年後の平成二十四年になって、さきの千曲川と同様、アユの友釣りでコクチバスに仕掛けが切られる被害が多発し、ほとんど友釣りの遊漁者はいなくなってしまったとのことであります。アユの日釣り券の販売数も、平成十四年には三千百三十六枚あったものが、令和四年には四十四枚に激減しております。 さらに、先日の九月十一日、CBCテレビでコクチバスの脅威にさらされている川として、お隣の三重県の櫛田川が報道されました。その内容は、コクチバスの初確認が八年前、それが昨年度は卵も含め、一万個体ものコクチバスが発見され、現在では投網を打つと簡単にコクチバスが捕獲されるほど増えてしまったとのことであります。この櫛田川でも、アユを食べてしまう深刻な食害とともに、アユの友釣りをしていると、コクチバスに仕掛けが切られる被害がクローズアップされておりました。 これらの実例から分かることは、まずコクチバスに仕掛けを切られることを嫌がって、アユの友釣り遊漁者が減ってしまうということであります。県内漁協では、遊漁者が払う遊漁料を主な原資として放流アユで漁場が維持されておりますから、コクチバスによって友釣り遊漁者が来なくなるということは放流アユがなくなるということでありまして、アユの食害と合わせて、アユの漁場は一気に減少に向かうということであります。 教訓として、千曲川では初確認から十六年たち、深刻な漁業被害の報告、あるいは天竜川では九年たって被害の報告、二例とも被害が分かった頃にはもう手後れとなっております。また、櫛田川では初確認から八年でコクチバスが何と一万個体まで増えてしまっております。 コクチバスは毎年ねずみ算式に個体数を増やしてしまいます。よって、個体数が増えて被害が顕在化してからでは遅いのであります。つまり、同じ轍を踏まないようにするためには、初確認されたこの段階で駆除に向けてできることを全力で取り組むことが、今を生きる我々の未来の世代に対する責務であると思っております。 このため、県漁業協同組合連合会としましては、傘下の漁業協同組合と連携し、県から支援を受けて今年度からコクチバスの買取り制度を始めました。キロ二千円で買い取っております。全国でも最高値で買っております。そのおかげで、四か月で八百六十キロが駆除できたところであります。 また、長良川流域に漁場を持つ七つの漁業協同組合では、郡上市の西坂ため池からコクチバスが本川へ流出した可能性があるため、流域の組合員が総力を挙げて、網漁、あるいは電気ショッカーなどで駆除しております。来年の春の産卵時期には、産卵床のパトロールも開始し、大切なアユや渓流魚の漁場を守っていく決意で頑張っております。 さらに、今月十四日、私が部会長を務めております流域の漁業協同組合などがメンバーとなっております世界農業遺産「清流長良川の鮎」推進協議会の長良川鮎資源・管理増殖部会では、滋賀県から電気ショッカーボートをお借りし、長良大橋付近の五キロ区間でその有効性の検証を行いました。 その結果としては、お手元に資料を配付させていただいておりますが(資料を示す)、電気ショッカーボートは狙ったポイントにいる魚は高い確率で捕獲が可能であります。かつボートでの移動でありますから、コクチバスがいそうなポイント、あるいは陸から離れたところでもボートで行けますから、効率的に駆除ができます。約四時間で特定外来生物であるオオクチバス十匹を捕獲できました。今回、コクチバスは捕獲されませんでした。また捕獲した在来のほかの魚は元気に元に戻って泳いでいく姿も見ました。大変環境負荷の少ない駆除方法であるとも言えます。 岐阜市から長良川河口堰までの間、約五十キロありますが、現在コクチバスが生息していたとしたら、どうやって駆除していいか悩んでおりましたが、電気ショッカーボートを使えば効率的な駆除が可能であることが分かりました。また、既に定着し、繁殖を重ねている木曽川水系の岩屋ダム、あるいは川辺ダム、また揖斐川中流域も広範囲にわたり生息する状況であるため、これを導入すれば一気に駆除が進むのではと期待ができるところであります。このため、駆除の切り札として可能な限り早く、できれば来年の産卵が始まる春前までに、県においてこの電気ショッカーボートを導入すべきだと強く思っているところであります。 全国的には、河川に一度コクチバスが入ってしまったら、完全に駆除に成功した実例はないと伺っております。ならば、我が「清流の国ぎふ」で前例のない挑戦に初めて成功し、全国に模範を示す絶好の機会と考えます。コクチバスは、被害が出てからでは手後れであります。生息が拡大していない初期の段階で、少なくとも今年初めて確認された現時点の河川内での確認が少ない長良川ならば、徹底した対策により完全駆除ができる可能性があると信じております。 「清流長良川の鮎」は、皆様も御承知のとおり、世界中に七十八地域ある世界農業遺産の中で、唯一河川漁業(里川)として認定を受けております。つまり、私は世界一の河川漁業であると思っており、完全駆除に成功し、世界一である我が岐阜県の威信とプライドを示そうではありませんか。 お手元に、釣り人などへのコクチバスの目撃・捕獲、密放流禁止に関する啓発チラシを配付させていただきました。(資料を示す)このチラシを皆様方に配付させていただきましたので、ぜひ皆さん方の事務所にもこれを貼っていただいて、この啓発活動にお力添えいただきたいと思います。 そこで、一番強調していただきたいのは何かというと、コクチバスを密放流した場合は、最高で個人の場合は三年以下の懲役、もしくは三百万円以下の罰金、法人の場合は一億円以下の罰金が科せられると、これを強調してもらいたい。今回の事件も、密放流された人はこういう罰則を知っておられて放流したのか、知らずにして放流したか分かりません。でありますから、こういういうことをしっかりと啓発することによって、防除にもなるということでありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。ここに私の資料と書いてありますが、これはめくれますから、めくって事務所に貼っていただきますようよろしくお願いしたいと思います。 アユは清流しかすめません。コクチバスからアユを守るということは清流を守るということであります。 そこで、知事さんにお伺いします。 コクチバスの駆除に対し、様々な御努力をいただいておりますが、いま一度「清流の国ぎふ」を子々孫々まで守るためにも、御決意のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。 次に、近代養蜂発祥の地「岐阜県」の復活について、農政部長に二点お伺いします。 皆さんも御存じかと思いますが、三月八日は蜜蜂の日、八月三日は蜂蜜の日とされています。我が岐阜県は近代養蜂の発祥の地と言われております。なぜ岐阜県がと思い、歴史を振り返ってみますと、かつて岐阜県は全国でもトップクラスの養蜂県であり、明治四十三年四月に、第一回全国養蜂家大会が開催されたのも岐阜県です。県の花はレンゲ、ゲンゲとも言いますけれども、至るところに蜜源であるレンゲの花が咲き、良質な蜂蜜が取れていました。岐阜の地は、南は九州から北は北海道までの中間地点でありますので、鉄道による移動養蜂の中継地として養蜂家が多く集まり、蜂蜜や養蜂資材の取引が盛んに行われ、最新の情報が入手できる、こうしたことから日本における近代養蜂の発祥の地と言われており、現在でも過去より件数が減少しておりますけれども、多くの養蜂家や養蜂業者、問屋が事業を行っておられます。 また、近代養蜂の先駆者の人たちの御努力もありました。昆虫学者である名和 靖さん、ギフチョウの発見者でありますけれども、明治十年十二月、初めて我が国にセイヨウミツバチが導入された背景の下、明治中期、昆虫の一つとして蜜蜂に関心を持ち、研究を始められ、明治二十九年に昆虫研究所を設立され、明治四十二年に二代目名和梅吉氏と共に、大日本養蜂会を設立され、技術的な養蜂指導をされました。また、渡辺 寛氏は、明治三十三年に渡辺養蜂場を創業し、養蜂の専業化に取り組まれました。 岐阜市本町で材木商を営んでおられました秋田屋本店の六代目中村源次郎氏は、明治二十年に養蜂部を設置し、良質な秋田杉で巣箱を作り、養蜂器具の製造を始め、巣箱も名和昆虫研究所に相談し、我が国の気候風土に合ったセイヨウミツバチの飼育にふさわしい巣箱を提供することに努め、養蜂器具の製作、開発、蜜蜂の巣のもととなる巣礎の製作も行い、現在日本ではほぼ全ての巣礎製造を行っておられます。このように先駆者の人たちの努力のおかげで養蜂が発展してきました。 蜜蜂の役割とは何かといえば、蜜蜂は蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉、蜜ろう、蜂針といった六つの生産物を私たちに恵みとして与えてくれておりますが、花粉交配としても大きく貢献しております。令和四年十一月に農林水産省がまとめた「養蜂をめぐる情勢」によれば、令和三年の蜂蜜及び蜜蜂産品の国内生産額は推定八十三億円、このうち花粉交配用蜜蜂は約二十九億円と約三五%を占めております。また、日本の農業生産において、作物栽培における受粉の経済貢献額は六千七百億円と推計され、このうちセイヨウミツバチによる貢献額は千八百億円とも言われ、私たちが毎日食べている野菜や果物の多くは蜜蜂の受粉によって成り立っております。 県下の養蜂の環境状態は、昭和三十年頃は、岐阜県のレンゲ栽培面積が一万一千四百二十ヘクタールとしてレンゲ王国を誇っており、平成十一年でもレンゲ植栽面積は半分に減りましたけれども、五千二百五ヘクタールとそれでも全国一位を占めておりました。田んぼの緑肥として栽培されていましたが、化学肥料の台頭で現在では全国的に減少し、岐阜県の平成三十年のレンゲの作付面積は約千ヘクタールと大きく減少しております。 また、現在まかれているレンゲの種は中国産の輸入で、ほぼ百%中国産と言われています。古来の日本のレンゲ種子の発掘をぜひしてもらいたいと思っております。 また、トチノキは飛騨を代表する樹木でしたが、多くが伐採され、林業政策により杉やヒノキが植栽されました。御母衣ダムを中心としましたトチ山では、トチ蜂蜜が大量に取れましたが、現在では消滅しております。トチ蜂蜜は、レンゲ蜂蜜に準ずる大変おいしい蜂蜜であり、蜜源としてのトチノキの有用性を見直す必要があります。 このような環境を変えていくには、養蜂振興の一つとして、美濃地方には田んぼにはレンゲを増やし、飛騨地方にはトチノキやアカシア、キハダなどの植栽を進め、蜜源の植物を増やすことによって、おいしい蜂蜜を採取し、また花粉交配により野菜や果物の生産を上げ、食料自給率を向上させることができます。さらに、有機農業が見直される中、レンゲは化学肥料の代わりとして活用することができます。 蜜蜂は、申し上げたとおり、蜂蜜等の生産物を恵みとして私たちに与えてくれておりますが、花粉交配、ポリネーションとしても大きく貢献しております。県下では、柳津のイチゴ、本巣の柿など、ポリネーションが利用されております。これからも、ポリネーションの認知度を上げ、有用性を発信し広める必要があります。 植栽に杉やヒノキに代わって、蜜源植物を採択し、蜜蜂の活動を支援し、蜜蜂が植物へ訪花することで受粉を促し、緑を生み出し、地域の生物多様性に貢献していくことは、次世代に豊かな自然環境を引き継いでいくことにもつながります。 また、さきにも申し上げましたが、杉やヒノキに代わって、トチノキ、アカシア、キハダなどは根がしっかりと地下に張りますから、山崩れの防止にもなります。 ここで今、岐阜県で取れる蜂の蜂蜜を持ってきました。(資料を示す)これはレンゲ、大変きれいな色です。それからトチ、それからこれはアカシア、それからこれは百花蜜、これはシナ、シナといったらこれは菩提樹の花です。これはソバ、キハダはちょっと持ってき忘れたけど、七種類ある。本当においしいんです。日本の蜂蜜の大体九〇%以上は輸入ですかね。そのうち六四、五%は中国産。その味と、我が岐阜県で取れる蜂蜜と比べると雲泥の差、こっちは本当においしい。一遍暇があったら試してみてください。それだけ高くても売れる、そういう我が岐阜県の誇りとする蜂蜜であります。 一方、人類の健康と地球環境に貢献する養蜂でありますが、昨今の気候変動や農薬の影響により蜂病が増え、蜂病は蜂の病気です。さらにダニによる被害も甚大となっております。養蜂における病気につきましては、獣医師が携わっておりますが、獣医学を学べる学校、これは東海四県で岐阜大学しかありません。近代養蜂発祥の地、岐阜県こそ産学官で蜂病対策に取り組むことで創薬を開発すれば、世界の養蜂家に供給でき、県の産業として大きな利益をもたらす可能性もあります。 以上申し上げ、農政部長に二点お伺いします。まず一点は先ほど申し上げましたが、美濃地方を中心とした県の花レンゲの復活についてのお考え、飛騨地方のトチノキ、アカシア、キハダなどの植栽についてのお考え、二点目は今申し上げましたが、東海四県で唯一獣医学科がある岐阜大学などとの産学官連携による蜂病対策についてのお考えをお聞かせください。 最後に、定時制・通信制の高等学校の学びのセーフティーネットの構築と学びの再チャレンジの推進の現状について、教育長にお伺いいたします。 昭和二十三年、就業等のために全日制高等学校に進学できない青年に後期中等教育の機会を提供するため、高等学校定時制・通信制課程が設立され、今年で七十五年目を迎えました。発足以来、高等教育の普及と教育の機会均等の理念を実現する上で大きな役割を果たしてきた定通教育でありますが、経済・社会等の変化に伴い、その役割は大きく転換してきております。 近年、定時制・通信制課程には、中学校までの不登校経験者、健康不安など特別な支援を必要とする生徒、外国にルーツを持つ生徒や社会人など多様な入学動機や学習歴を持つ生徒が多く入学しており、現在の定時制・通信制課程は、発足当初とは異なった対応が求められております。 このような状況の中、本県では、平成三十一年三月にふるさとに誇りを持ち、「清流の国ぎふ」を担う子供たちの育成を基本的な考え方とする第三次岐阜県教育ビジョンが策定され、基本方針の一つとして、多様な学びを支援する教育体制の充実を掲げ、その実現のための目標の一つとして、学びのセーフティーネットの構築と学びの再チャレンジの推進を設定し、県教育委員会において取り組んでおられます。 現在の岐阜県の定時制・通信制の高等学校の状況ですが、定時制課程を持つ県立高等学校が九校あり、そのうちの二校が通信制課程を併置しております。県立以外では、市立の定時制高等学校が二校、私立の通信制高等学校が六校あります。 学校基本調査によりますと、令和二年三月、三年三月、四年三月の県内中学校、義務教育学校の卒業者は一万八千人強で、三年間ほぼ変わらず推移している中で、高等学校の定時制への進学者は四百十人、三百十八人、三百六人と減少しています。それに対しまして、通信制の進学者は九百三十二、千九十七、千二百二十と増加していますが、県立高等学校の通信制への進学者数は大きく変化していないことから、私立の通信制高等学校への進学者が増加していると言えます。 令和五年度高等学校入学者選抜の第一次選抜において、県立高等学校の夜間定時制の倍率は〇・四一倍でありました。夜間定時制の倍率が低い中で、加茂高等学校の定時制だけは一・三三倍でありました。その理由としては、加茂高等学校定時制の生徒の七割近くが外国にルーツを持つ生徒で、同じ国や同じコミュニティーの生徒が多いことや、外国人児童生徒適応指導員による支援が受けられることなどが考えられます。一方で、昼間に通う華陽フロンティア高等学校の一部は一・三〇倍、東濃フロンティア高等学校の一部は一・〇八倍で、昼間に通う定時制には、一定のニーズがあると言えるのではないでしょうか。 このことに対しまして、華陽フロンティア高等学校の先生にお伺いしましたところ、様々な支援を必要とする生徒が増えており、中学校のとき不登校だった生徒や外国にルーツを持つ生徒の割合が高いとのことでありました。また、夜間定時制は、授業が終わるのが二十一時過ぎなので、夜に通学することに不安のある生徒が多く、昼間に通う定時制に希望者が集まるのではないかとのことでありました。 通信制については、詳しく知っている方は少ないと思いますので、その仕組みについて、華陽フロンティア高等学校を例に説明しますと、通信制の課程は、大まかにいいますと、授業や面接指導を行うスクーリング、それから報告課題のレポートを提出、あるいは定期試験の三つを行い、単位を修得します。スクーリングは日曜日に行われ、年間三十回あります。日曜日に出席できなかった生徒は、火曜日に同じ内容のスクーリングが行われますので、そちらに出席します。学校に登校するのは、週に一日です。授業を受けたら、その内容のレポートに取り組み提出します。それを繰り返します。華陽フロンティア高等学校は、前期と後期の二学期制で、それぞれの学期末に定期試験が実施されます。卒業するためには、七十四単位以上の修得が必要です。通信制のレポートというと、郵便で提出するというイメージがあるかもしれませんが、最近ではタブレットやスマートフォンを使ったインターネットでの提出が多くなっているそうであります。 通信制高校の先生にお伺いしたところ、通信制の特徴の一つに転入及び編入学者が多いことが挙げられるそうです。華陽フロンティア高等学校の例では、令和二年、三年、四年の三月に高等学校入学者選抜を受け入学した新入生がそれぞれ四十六、六十六、六十人であるのに対して、その年の転入及び編入学者はそれぞれ五十二、七十一、七十二人になっています。華陽フロンティア高等学校の通信制は、学年が上がるに従ってクラスメイトの数が増えていくそうであります。 県立の高等学校の通信制は、高等学校の入学者選抜の入学考査料がゼロ円、入学金は五百円、授業料は一単位につき三百十円で、一年間で総額一万円以下であります。全ての金額が全日制や定時制、私学の通信制と比べて低く設定されています。また、通信制の入学者選抜は、全日制、定時制の第二次選抜の合格発表後でも出願できるような日程になっております。 最初に申し上げましたが、定時制・通信制課程には、中学校までの不登校経験者、健康不安など特別な支援を必要とする者、外国にルーツを持つ者や社会人など多様な入学動機や学習歴を持つ者、さらには経済的理由による者や他の高校からの転入及び編入学者が多く入学しております。このような状況から定時制・通信制の高等学校は、学びのセーフティーネットや学びの再チャレンジの学校と呼ばれています。県教育委員会では、それらの生徒に対するために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクール相談員、地域創生キャリアプランナー、特別支援教育支援員、外国人児童生徒適応指導員などを配置して予算をつけていただいておりますが、しかし定時制・通信制の先生からは、対象生徒の数が多いので配置人数や派遣回数を増やしてほしい、また生徒が在校している夜間の時間帯に勤務してもらえる人がなかなか見つからないなどの声が聞こえてきます。 そこで、教育長さんにお尋ねしますけれども、第三次岐阜県教育ビジョンの基本方針の一つとして、多様な学びを支援する教育体制の充実を掲げ、その実現のための目標の一つとして、学びのセーフティーネットの構築と学びの再チャレンジの推進を設定されていますが、定時制・通信制の高等学校の現在の状況をどのように捉えておいででしょうか。そして、今後これらの学校の生徒に対してどのような支援が必要であるとお考えか、お聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) コクチバスの完全駆除に向けた決意を問うということでございました。決意はもとより、対策についてもお答えを申し上げたいと思います。 「清流」は本県のアイデンティティーであり、魅力の源でございます。その清流のシンボルであるアユの生息環境を守ることこそ、「清流の国ぎふ」づくりの要であり、あらゆる手段を尽くしてコクチバスの完全駆除に取り組んでまいる覚悟であります。 このため、本年五月に世界農業遺産のアユがすむ長良川の本川でコクチバスが初確認されて以降、最大限の危機感を持って、県水産研究所を中心に対策に取り組んできております。 長良川での完全駆除に向けましては、まずはその生息実態の正確な把握が第一となります。現在、環境DNA分析を実施する体制を整え、定点モニタリングを行うとともに、長良川流域の全てのため池とダム百七十三か所で調査を進めております。また、ドローンを活用し、十七か所のコクチバスの繁殖候補地を調査いたしました。 また、釣り人が釣ったコクチバスは漁協に買い取ってもらうこととしており、漁協組合員が捕獲した場合などと併せて、コクチバスの生息情報が水産研究所に広く集まる体制としております。今後、これら生息状況を踏まえて、冬に川の深いところに集まる習性を利用した網漁や、繁殖地周辺での集中駆除に向けて、漁協と協力しながら進めてまいります。 また、ため池につきましては、管理者である市町村等による水抜きを実施し、速やかに駆除を行ってまいります。現在、生息が確認されている西坂ため池と天池については、それぞれ郡上市と美濃市において、年内での水抜きによる駆除に向け、準備を進められております。 県としても、今月十四日、滋賀県からお借りして行った実証試験でその有効性が確立された電気ショッカーボート、これを切り札というふうに議員もおっしゃっておられましたが、これを二艇速やかに購入することといたしました。そして、来年の春の繁殖期前までに長良川全域で駆除を行うことといたします。また、議員からも御提案がございましたが、電気ショッカーボートの導入により、ほぼ全ての生息場所へアクセスが可能となり、広範囲にわたって効率的に駆除することで、完全駆除に向け大きく前進するものと期待しております。 あわせて、密放流を防止する対策も重要であります。このため、看板、ポスター、SNSなどでの啓発を進めます。また、コクチバスの生息地からの持ち出しや密放流を見かけた場合に、速やかに警察に通報する河川監視員向け対応マニュアルを作成し、より多くの目で監視する体制を強化いたします。これらの対策は、揖斐川や岩屋ダムを含む木曽川など他の河川でも同様に取り組んでまいります。 こうした一連の取組をコクチバス駆除総合対策として近々に取りまとめ、漁協、市町村など関係機関と一丸となって、全力を挙げて完全駆除に取り組んでまいります。そして、アユやアマゴなど渓流魚がすむ豊かな「清流の国ぎふ」を未来につないでまいりたいと思います。 ○議長(野島征夫君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 近代養蜂発祥の地「岐阜県」復活について、二点御質問をいただきました。 一つ目、美濃地方を中心とした県の花レンゲの復活と飛騨地方のトチノキなどの植栽についてお答えいたします。 これまで県では、養蜂農家に対し、レンゲの種子や植栽用の樹木の苗代への支援を行い、蜜源の確保を図ってまいりました。近年、化学肥料の台頭によりレンゲの栽培面積は減少していますが、有機農業をはじめとしたみどりの食料システム戦略において、レンゲは地力増進作物として期待されており、産地交付金なども活用し、レンゲ栽培の導入を進めてまいります。あわせて、養蜂農家やJAなど関係機関と連携し、作付時期の遅い飼料用米などの水田でモデル的にレンゲ栽培に取り組み、さらなる面積拡大につなげてまいります。 また、植栽については、毎年度県養蜂組合連合会が蜜源となる樹木の植栽を各地で実施されております。県としても、飛騨地方において県有林などの県有地のほか、市町村とも連携し、植栽候補地の調査を行い、飛騨を代表する樹木であるトチノキをはじめとした地域の気候に適した樹木の植栽を進めてまいります。 続きまして、二つ目、産学官連携による蜂病対策についてお答えいたします。 蜂病の中でも腐蛆病は、幼虫が細菌に感染することで死亡し、養蜂業に甚大な被害を与えます。このため、県家畜保健衛生所が検査とともに発生時における焼却処分、消毒の指導を行っておりますが、この腐蛆病の事前の発生予防が最優先の課題と考えております。 これまで家畜保健衛生所では、養蜂家や岐阜大学との勉強会を開催し、蜜蜂の生態や飼育環境、感染症についての知見を蓄積してまいりました。また、腐蛆病の病原菌の分布状況を把握するため、養蜂家の協力を得て、県内百か所のサンプルの収集に着手したところです。 今後、サンプルを収集した巣箱周辺の環境などを調査するほか、岐阜大学と連携して、県内で採取・確認された病原菌の分類や遺伝子解析などを進め、腐蛆病の発症メカニズムを解明し、病気の発生予防につながる飼育方法などを提案していきたいと考えております。また、他の蜂病の予防などについても同様に産学官連携の下で対策を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 定時制・通信制の高等学校の現状と今後の支援についてお答えします。 議員御指摘のように、様々な支援を必要とする生徒が多く在籍する定時制の高校において、現在、他者との関わりを学ぶワークショップの実施や、外国人が多く在籍する学校での通訳などの役割を果たす支援員の配置など、ただいま議員から御紹介のあった様々な支援を行っているところです。 また、一例ですが、定時制・通信制が置かれている華陽フロンティア高校の現在建て替え中の校舎ですが、ここではこうした生徒に配慮した教室の配置のほか、生徒の居場所となる空間やカウンセリングルームなどを他の学校よりも多く配置した設計となっております。今後は、さらに教員ではない身近な相談相手となるスクール相談員を、定時制・通信制課程において拡充配置できるよう努めるとともに、外部講師による社会での実践力を養う講座の開設や、働きながら学ぶ経済的に困難な生徒に対する定時制・通信制課程修学奨励費の運用の見直しなど、生徒が抱える様々な困難への手だてについて十分に検討を重ねた上で、きめ細かな支援を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 八番 森 治久君。    〔八番 森 治久君登壇〕(拍手) ◆八番(森治久君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、これより通告に従い、大きく三項目四点について御質問をさせていただきます。 まず初めに、熱中症対策について、以下二点についてお伺いいたします。 一点目に、日常生活における熱中症対策の現状と今後の取組について、二点目に、学校における熱中症対策ガイドラインの策定と空調設備等の設置について、以上二点です。 秋分の日も過ぎ、随分と暑さも和らいでまいりましたが、今年の夏はこれまで経験したことのない猛暑となりました。世界的な猛暑を受けて使われ始めた地球沸騰化という言葉。世界気象機関(WMO)などが、二〇二三年七月は世界の平均気温が観測史上で最高の月となる見込みだと発表し、それを裏づける科学的な公式データを発表しました。これを受け、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は記者会見で、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来したと危機感を訴え、地球沸騰化という言葉は瞬く間に世界中に広まり、共感や驚きの声が上がりました。 世界気象機関(WMO)によると、七月の世界の平均気温は十二万年ぶりの暑さだったそうです。日本でも、七月後半以降の記録的な猛暑について、気象庁の異常気象分析検討会は、太平洋高気圧の張り出しが強まったことに加え、持続的な温暖化の影響があったとする見解を示し、会長の中村 尚東大教授は記者会見で、今年の暑さは歴代と比較して圧倒的に気温が高い、夏全体で見ても異常だったと述べました。 気象庁によると、七月は平均気温が平年を一・九一度上回り、統計開始以降で最高を記録し、七月十六日から八月二十三日の間に全国九百十五の観測点のうち百六地点で過去最高を記録しました。岐阜県内でも最高気温三十五度以上の猛暑日が昨年と比べて大幅に増え、岐阜地方気象台によると、岐阜市の八月の猛暑日は昨年の七日に対し、今年は二十八日までに十六日もあったそうです。 記録的な暑さの影響で、熱中症患者の救急搬送も増えており、県消防課によると、七月に搬送された人は昨年に比べて四五・七%増の六百九十二人、八月は二十七日時点で八〇・三%増の五百四十八人となり、いずれも大幅に増えています。熱中症による国内の死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間千人を超える年が頻発しています。地球温暖化が進行すれば、極端な高温リスクも増加することが見込まれ、熱中症による被害がさらに拡大するおそれがあります。 国では、これまで熱中症による死者数を年間千人以下に抑えるとする目標を掲げていましたが、法律に基づかないものであったため、熱中症対策の一層の強化を図るための改正気候変動適応法が本年四月に成立いたしました。これを受け、本年五月、おおむね五年間で平均年間死者数を現状から半減するとの目標を掲げて熱中症対策実行計画を取りまとめ、来年、令和六年の春頃の全面施行に向けて準備を進めているところです。 熱中症対策実行計画の中では、都道府県は国と連携しつつ、熱中症対策のための庁内体制を整備し、その区域内の市町村が行う熱中症対策に関する事務または業務の実施を助け、広域的な熱中症対策を推進するよう努めると記載されており、地域における熱中症対策は一部の部局のみならず、地方公共団体内の多くの部局が連携して対策を進めていくことが必要であるとし、国や自治体などの基本的な役割と施策が明確化されています。 具体的な施策として、国の役割として、予防行動のための普及啓発や情報提供、福祉関連団体などを通じた高齢者ら熱中症弱者の見守り強化、学校やスポーツ施設へのエアコン設置支援、また市町村の役割としては、クーリングシェルター(避難所)を確保などがあります。 これまで本県においても、熱中症予防の普及啓発や注意喚起を行うなど対策に取り組まれてきたことと思いますが、今後は高齢者等の熱中症弱者へのさらなる対策、災害時における熱中症対策、学校における熱中症対策、労働者に関する熱中症対策などなど、取組は幅広く、全庁的に進める必要があると考えます。 そこで、一点目として、健康福祉部長にお伺いいたします。 命の危険を感じる酷暑が常態化する中で、来夏に向けて熱中症対策をさらに進めるべきと考えますが、日常生活における熱中症対策の現状と今後の取組について健康福祉部長にお尋ねいたします。 二点目は、教育長にお伺いいたします。 七月二十八日、山形県米沢市で、部活動から帰宅途中の中学一年生の女子生徒が路上で倒れているのが見つかり救急搬送されましたが、熱中症と見られる症状で死亡しました。運動部に所属するこの女子生徒は、この日、朝八時半から部活動に参加していました。練習時間は、当初午前十一時までの約二時間半の予定でしたが、気温が上昇しそうなことから、顧問の教諭が約一時間早く切り上げることを決定し、さらに練習の間は二十分から二十五分ごとに約十分の休憩を挟み、水分補給を行っていたそうです。この日の同市の最高気温は三十五・五度だったそうです。 女子生徒が熱中症の疑いで死亡したことを受け、文部科学省は学校での熱中症対策の徹底を求める事務連絡を全国の教育委員会などに出し、改めて危機管理マニュアルなどであらかじめ部活動を行うかどうかの基準を決めておくこと、部活動実施の判断には、気象庁や環境省が注意を呼びかけるために出す熱中症警戒アラートや、気温や湿度から算出する暑さ指数を活用すること、帽子の着用や水分補給などを推奨しています。 また、文部科学省は二〇二一年に、夏場に三十五度以上の猛暑が続くなど熱中症リスクが高まっている状況を受け、暑さ指数の活用などを盛り込んだ学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを公表しましたが、同年に気象庁などが実施した調査では、全国千二百教育委員会のうち、ガイドラインを作成済みと回答したのは二割にとどまっているとされています。 日本スポーツ協会では、暑さ指数が一定の数値を上回れば運動は原則中止といった指針を設けてきましたが、米沢市教育委員会によると、市の小・中学校熱中症対応ガイドラインには、暑さ指数による現況把握が必要と明記してあったものの、女子中学生の部活中に暑さ指数の計測は行われていませんでした。 近隣自治体に目を向けると、名古屋市教育委員会は、名古屋市において七月十八日の予想最高気温が三十八度になったことを受け、市内の小・中学校などに体育の授業を中止するよう通達いたしました。 また、三重県では、一見勝之知事が七月三十一日の定例記者会見で、最近の気象は異常、猛暑でわざわざ部活動をする必要があるのかと述べ、新たな基準を決める必要性に言及し、その四日後に三重県教育委員会は、体育の授業や部活動などの場所で、暑さ指数が三十一度以上の場合、これまで運動は原則中止としていたものを、例外なく中止するよう求める通知を県立学校に出し、市町にも共有し、熱中症による事故防止へより踏み込んだ対応を求めました。 さらに、石川県の馳 浩知事は、七月二十七日に行われた高校野球石川県大会の決勝について、この暑い中、午後零時半の開始はおかしいと疑問を呈し、高校野球の生徒諸君が頑張っているという美談で終わらせてはならないと強調しながら、健康の観点から配慮があってもよいとして、試合開始を午前八時にするなど時間を早めることを提案しています。 さて、文部科学省が昨年九月二十八日に公表した空調設備設置率の調査結果によると、普通教室の設置率は高くなっていますが、特別教室や体育館などの設置率は年々上がっているものの、依然低い状況です。とりわけ体育館などは、生徒たちが使うときも大切ですが、災害時には避難所として使われることを考えると早急の対応が必要であると思います。空調設備がない体育館などでの授業や部活動、行事などで使用する際には、気軽に水分補給ができるウオータークーラーやウオーターサーバーの設置も有効ではないかと考えます。 熱中症予防に欠かせないのは、小まめな水分補給。小・中学校では、子供たちは水筒を持参していますが、夏の暑い時期は下校時間までに空っぽになり、学校の水道水を水筒に補給するしかありません。私の家でもそうですが、夏の水道水はぬるくて温水のようです。異常な夏の暑さから子供たちを熱中症から守るために、冷たくておいしい水を小まめに水分補給ができる環境を整えることが必要ではないでしょうか。 そこで、二点目として、教育長にお伺いいたします。 子供たちの大切な命を守るという観点から、学校教育活動等における熱中症対策をしっかりと考えていく必要があると考えますが、本県及び県内市町村の部活動を含めた熱中症対策ガイドラインの策定や、県内小・中学校の体育館などの空調設備とウオータークーラー等の設置を進めることについてのお考えを教育長にお尋ねいたします。 次に、無人駅の安全確保等への県の関与に関する所見についてお伺いいたします。 JR東海は、今年一月、東海道本線(名古屋から米原間)と中央本線の計十駅、県内では西岐阜、穂積、垂井、関ケ原の四駅を対象に、常駐駅員を置かず案内センター(名古屋)から遠隔で対応するお客様サポートサービスを新たに導入すると発表し、来年二月頃からサービスを始めると予定しています。 導入駅では、常駐駅員はいなくなりますが、近距離券売機の隣にモニター付インターホンや切符などを確認する券面確認台を新設し、案内センターと通信で結んで遠隔で対応し、改札内インターホンには御案内タッチパネルと呼ぶ機器を新設し、タッチパネル上のメニューで精算などの案内が行えるようにするとしています。さらに、安全面でも駅にセキュリティーカメラやスピーカーなどを設置し、案内センターで遠隔確認して案内放送や声かけなどを行うとしています。 一方で、現地対応が必要な場合もあるため、西岐阜駅と関ケ原駅に係員を置き、近隣駅を巡回して対応するとしており、一月の定例会見でJR東海の金子 慎社長は、駅員を無配置にしても新しいシステムで営業が継続できる、むしろサービスは向上すると語られたそうです。 国土交通省の調査によると、二〇二〇年三月末の時点で全国のJRや私鉄などの九千四百六十五ある鉄道駅のうち、四八・二%に当たる四千五百六十四駅が無人駅であり、約二十年間で一割増えています。 無人駅が増えたのはなぜでしょうか。コロナ禍による影響や人口減少、都市への人口集中による過疎化など、様々な要因が重なって、駅の無人化が進んでいる現状があります。 無人駅と聞くと、辺り一面が畑だったり、人家がまばらな場所といった過疎地のローカル線の駅を思い浮かべるかもしれませんが、ICカード乗車券の普及や鉄道事業者側の経費削減といった都合も加わり、近年では大都市圏でも比較的多く見られるようになってきました。 無人駅になれば、これまでよりもサービスが低下することは否めません。例えば、急病のときなどは駅員がいなければすぐに対応はできません。また、券売機の故障など機械のトラブルに対応できないことも想定できますし、ベビーカーを使用しているときに助けが欲しくても助けてもらえないといったこともあるかもしれません。中でも、最も影響を受けるのは、列車の乗り降りに介助が必要な人、障がいのある人たちです。 大きく分けると、二つの影響があると思います。安全面、もう一つは利便性です。 まず、安全面については、特に視覚障がいのある人に大きな影響があります。視覚障がい者にとって、駅のホームは欄干のない橋や柵のない絶壁といった形で例えられますが、日本視覚障害者団体連合によると、視覚障がい者のおよそ四割がホームからの転落を経験しているそうです。駅員不在に不安を抱く人が少なくないのも当然ではないでしょうか。 鉄道各社は、無人駅にインターホンを設置して遠隔操作したり、必要なら職員を派遣したりして対応するとしていますが、そもそもインターホンがどこにあるか視覚障がいのある方には分からないのではないでしょうか。視覚障がい者の安全確保には、駅に人がいることが大事であり、そのために事前連絡は必要なことだと思います。ただ、この事前連絡を求められるのは利便性を大きく低下させます。障がい者からは、鉄道を使うための介助に事前連絡が必要な駅があるのは差別ではないかとの声もあります。 無人駅の運用をめぐっては、司法の場でも係争中で、車椅子利用者らが二〇二〇年以降、憲法が保障する移動の自由を侵害されたとして、損害賠償を求めて大分地裁に相次いで提訴、また二〇二二年にJR津久見駅で視覚障がい者が線路上で列車にはねられ死亡した事故を受け、新たに安全性を争点に加え提訴されています。 このように、無人駅がある地域からはサービスの低下や利便性、安全性を懸念する声が上がっており、特に車椅子の人や視覚・聴覚障がいがある人から、券売機や改札の位置が分からない、点字ブロックが整備されていない場合、声かけが必要などの意見が国に寄せられています。これらを受け、国は駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインを策定し、無人駅での環境整備や地域との連携など取組を進めていくよう、鉄道事業者に示しています。 私は、毎週月曜日と金曜日の朝七時から八時までの一時間、地元のJR穂積駅で街頭活動を行わせていただいております。JR穂積駅は、一日の利用者数が岐阜県で五番目に多い駅で、国土交通省のデータによると二〇一九年の乗降客数は一万八千六百八十七人で、JR東海の停車駅の中でも上位にあります。日々の活動の中で、私は通勤・通学・通院などで駅を御利用される方の中に、何人もの障がいをお持ちの方や御高齢の方、小学校へ通う小さなお子さんたちをお見かけいたします。もし、このまま穂積駅が無人化になったらと思うと、とても心配でなりません。ぜひ、鉄道事業者には、利用者の減少などで経営体制の見直しが迫られ、駅の無人化がやむを得ない場合でも、可能な限り全ての人が不便なく鉄道を利用できるよう、無人駅の運営をどう進めていくのか検討をさらに続けていただきたいと願います。 そこで、都市公園・交通局長にお伺いいたします。 無人駅の増加は、列車を利用するのにサポートが必要な障がい者等にとって生活に直結する問題です。国は、鉄道事業者が講じるべき対策についてガイドラインを取りまとめたところですが、県や市町村も適切な対策が講じられるよう、連携、後押しをしていくべきではないかと考えます。無人駅の安全と利便性の確保について、県としてどのように関与していかれるのか、都市公園・交通局長の御所見をお尋ねいたします。 最後に、子ども相談センター等におけるアドボケイトの必要性の認識と養成・確保についてお伺いいたします。 近年、児童相談所が保護を解除し、家庭に戻った被虐待児が犠牲になるケースが相次いだことなどを受け、児童相談所に保護された子供たちの処遇を決める際に、本人の意向聴取を義務づける改正児童福祉法が来年四月に施行されます。 都道府県には、意見表明がしやすい環境づくりを努力義務とし、こども家庭庁では児童相談所などで意見表明支援員「アドボケイト」の導入を促すモデル事業を実施しています。子供の中にはうまく話せない子供もいて、弱い立場に立たされ、意見が反映されないこともあります。親などの虐待から保護された経験のある人は、保護された後も自分の意見を伝えることが難しいことがあり、その解決の糸口となるのが、子供の意見を伝える支援をしたり代弁をしたりするアドボケイトです。 三重県では、二〇二二年度から民間団体の養成講座を受けたアドボケイト四人が二か所の一時保護所を巡回するなどし、先行して多くの自治体などが取り組んでいますが、必要な資格や技術の規定はなく、民間団体では認定制度を創設する動きもあります。 岐阜県でも二〇二二年度より、法務局の人権擁護委員による一時保護所の訪問をはじめ、アドボケイト制度研修会などの取組を続けながら、今後の枠組みを検討されていると伺っています。 アドボケイトは独立した立場で、一時保護所などにいる子供たちの声を聞き、関係者に伝える橋渡し役を担う大切な存在であり、子供たちの立場に立って、言わば子供のマイクとなって周りの大人に意見を伝えるという仕組みですが、私は児童虐待や親の不在などにより施設などで暮らす子供たちの意思を尊重し、保障するための仕組みを確立するためにはとても重要になると考えます。 そこで、子ども・女性局長にお伺いいたします。 来年の施行に向けて、本県の児童相談所である子ども相談センター等におけるアドボケイトの必要性をどのように認識しておられるのか、またアドボケイトの養成・確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 以上で全ての質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 日常生活における熱中症対策の現状と今後の取組についてお答え申し上げます。 熱中症対策に当たっては、暑さを避ける、小まめに水分を補給するなどといった熱中症に対する正しい知識を県民一人一人に持っていただき、予防につなげていくことが重要です。このため、県では熱中症予防に関する情報を市町村と共有するとともに、SNSを活用して広く県民に発信するなど広報・啓発に努めてきたところです。 こうした中、本年五月に国が新たに策定した熱中症対策実行計画では、都道府県の役割として、市町村が行う熱中症対策をサポートし、広域的な対策の推進に努める旨が明記されました。十月には国から具体的な説明がなされる予定です。 熱中症は、子供から高齢者まで全ての県民の生命や健康に直結する問題であり、関係する分野も、教育、スポーツ、福祉など多岐にわたっております。今後、国の動向を注視しつつ、関係部局が連携して対策を推進してまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 学校における熱中症対策ガイドラインの策定と空調設備等の設置についてお答えをします。 学校の熱中症対策については、令和三年度に、県において熱中症対策ガイドラインを策定しており、例えば教育活動を行う際には暑さ指数を測定し、その状況に応じて活動の中止、時間の短縮、休憩時間の設定などをきめ細かに検討している状況です。これを受けて、県内全ての市町村教育委員会においても同様に、県のガイドラインを活用したり、独自のものを策定するなど対応している状況です。 こうした中、体育館にエアコンを設置している県内の公立小・中学校は、五百二十六校中六十五校で、その全ては地域の避難所に指定されています。国は、補助制度など財政支援措置を設けて体育館のエアコン設置を促進しており、県としても、その情報提供や円滑な申請等のための助言により、市町村を支援していきたいというふうに考えております。 また、ウオータークーラーの設置については、小学校で二〇%、中学校で二四%となっていますが、昨今の感染症対策の視点から、水筒を持参する児童・生徒が多いことなどを踏まえると、児童・生徒が学校にいる間の水分補給の方法を改めて考え直し、その設置について今後検討を進めるものだと考えております。 ○議長(野島征夫君) 都市公園・交通局長 舟久保 敏君。    〔都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君登壇〕 ◎都市建築部都市公園・交通局長(舟久保敏君) 無人駅の安全確保等への県の関与に関する所見についてお答えいたします。 JR東海は、令和六年二月を目途に、県内の四駅を新たに無人化する一方で、御質問にもありました駅利用者の安全性と利便性を確保するための各種取組を開始する予定であると聞いております。 鉄道事業者が駅の無人化を行う際には、国から障がい者等の安全性・利便性を確保するために実施することが望ましい事項について具体的な目安を示したガイドラインが発出されており、その内容を最大限尊重することが求められております。 県としましては、鉄道事業者の経営判断により、やむを得ず無人化する場合、ガイドラインを踏まえた取組に努めていただくことが基本であると考えております。そのため、JR東海の取組の動向を注視しつつ、無人化の開始に当たり、駅利用者に対して十分な事前周知とその代替となる取組の丁寧な説明を行うとともに、その後も駅利用者の声をよくお聞きして取組を進めていただくよう、JR東海に求めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 子ども相談センター等におけるアドボケイトの必要性の認識と養成・確保についてお答えいたします。 子ども相談センターでは、従来から職員が子供の意見を聞き、その意向を尊重しながら援助の方針を決定しているところです。加えて、子供に対して、いつでも自分の意見や意向を表明する権利があることや、子ども相談センター以外の相談先があることについても説明しています。 その上で、子供が本当の気持ちを話すことをためらったり、うまく話せない場合も考えられるため、第三者であるアドボケイトが子供に対して意見や考えを表明できるようサポートするという仕組みは、より子供に寄り添った支援を行う上で重要だと考えています。このため、本県においても昨年度から試行的に一時保護所において人権擁護委員がアドボケイトとして子供に意見や意向を聞き、援助の方針の決定や一時保護所の環境改善などに生かしているところです。 来年度からのアドボケイトの本格導入に向けて、これまでの取組を踏まえ、検討を進めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) しばらく休憩いたします。 △午後零時休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三番 平野恭子君。    〔三番 平野恭子君登壇〕(拍手) ◆三番(平野恭子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は四項目について質問させていただきます。 まず初めに、女性が希望する仕事を増やすという観点も含め、創薬・製薬業の研究所などの企業誘致について質問いたします。 岐阜県は、これまでワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定による県内企業における働きやすい環境の整備、女性が企画・開発した商品を認定し、販路拡大につなげるぎふ女のすぐれものなど、様々な施策によって女性活躍を後押ししてきました。また、県庁自身も、女性活躍のモデルとして先頭に立って取り組んでいただいており、例えば女性管理職の登用については、今年度当初で二二%と全国二位、男性職員の育休取得率も七割を超え、全国第一位です。男性育休については、長期にわたる育休取得率も高く、実質が伴った形での男性の育児参加を進めていただいていると考えております。 しかしながら、深刻な構造的な問題があります。それは女性の人口流出です。令和四年度は、令和三年度と比べ一万五千百十一人の減、うち女性は七千八百五十一人の減と、男性より六百人程度女性の減少が大きくなっていますが、問題はその内訳です。二十から二十四歳の女性は九百人近い転出超過、二十五から二十九歳の女性は五百人を超える転出超過です。二十代女性の転出は、同年代の男性の二・五倍にも上ります。もちろん結婚等のライフイベントでの転居は頭に入れておかなければなりませんが、女性に岐阜にとどまってもらえる、就職時に岐阜に帰ってきて、県内で就業してもらえる環境をつくっていかなければならないのではないでしょうか。もちろん、男女を問わずUIターンを支援する奨学金制度などがありますが、ここでは産業構造から考えてみたいと思います。 岐阜県は、自動車関連産業をはじめ製造業に強みを持つ県です。実際に、令和二年の国勢調査によると、岐阜県の女性の製造業への就業率は一八・二%と、全国平均の一一・五%を大きく上回り、生産工程に携わる女性も一三・九%と、全国平均八・九%を大きく上回っています。その一方で、事務職、研究職などへの就業割合が全国平均を下回ることとなっています。 ここで、女性の就業先として、女性比率が高くなり得る産業の誘致、人材の育成など、結果として女性の活躍を後押しするような産業面からの取組は考えられないのでしょうか。例えば創薬・製薬業の特に研究所や関連した企業などの誘致です。薬剤師は女性比率が非常に高い職種で、その男女比率は二対一で女性が多くなっています。また、女性研究者の割合は、総務省が令和二年に行った科学技術研究調査によると、工学で六・九%、理学で一四・九%の一方、薬学では二九・〇%とほぼ三割で、もちろんこれで満足してはいけませんが、ほかの学問分野から見ても高い割合となっています。こうしたデータから、薬学は女性活躍の素地がある学問と言えます。 本県には、岐阜市立の岐阜薬科大学が立地しています。岐阜薬科大学は、国公立大学の中で唯一大学院薬学研究科を有する薬学単科の大学であり、二〇一七年度入学者から六年制の薬学科に統一するとともに、医学薬学コース、創薬育薬コースを新たに設置した非常にハイレベルな大学です。大学本部、大学院と隣接する国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学との間には、連合創薬医療情報研究科も設置されております。 令和八年度に東海環状自動車道が全面開通することにより、(仮称)岐阜インターチェンジの供用開始も令和六年度中に控えております。そして、このインターチェンジ周辺に二つの大学が立地しているのです。このような環境は、創薬・製薬業の県内誘致に当たり、大きなアドバンテージとなり得ると考えます。 なお、本県は、岐阜市とも岐阜大学とも極めて良好な関係を築いておりますが、その関係性を生かし、女性研究者の育成、県内定着に向け、連携を深めていってほしいと思います。こうした県内の優位性をPRし、女性の県内定着と、これから大きな成長産業となり得る創薬・製薬業の積極的な誘致を一緒に考えていくことはできないでしょうか。 そこで、商工労働部長に伺います。 専門性の高い女性研究者の県内定着には、例えば創薬・製薬業といった研究所などの企業誘致を積極的に行うことが有効ではないかと考えますが、県の考え及び取組方針について伺います。 二つ目は、県立の障がい福祉施設の再整備に向けた方針について伺います。 現在、県内には、県立の施設として、障がい者支援施設、特別養護老人ホーム、児童養護施設、障がい児入所施設等、様々な福祉施設があります。これらの施設の共通点としては、利用者、入所者に対して、看護、介護など様々なサポートが必要となるということです。こうしたサポート等を提供するためには、看護や介護職員など人的な手当はもちろん、利用者、入所者に合わせた施設の整備がされていることも必要です。 実際、関市にある障がい者支援施設のひまわりの丘では、平成二十九年度から昨年度までに施設のリニューアルが行われ、現在は岐阜県の障がい福祉の中核としての役割を果たしています。一方で、県立のみどり荘、陽光園、三光園、幸報苑などの施設は、建物や施設の老朽化が進み、様々な問題を抱えています。 先日、県立の障がい者支援施設であるみどり荘を視察させていただきました。みどり荘は、昭和五十六年四月に開設された施設で、築四十二年にもなります。開設当初は、利用者の自立と社会活動の援助を行う施設として短期の入所者も想定されていたものの、現在は入所者の高齢化が進み、長期の入所者も増え、こうした状況の変化に老朽化した施設が対応し切れなくなっています。 現場を見させていただき感じた問題点を挙げさせていただきます。まず、浴室や洗面所は老朽化が進み、階段や通路、浴室などに手すりがなく、バリアフリー化への対応が遅れているのが現状です。また、利用者が火災報知器を間違えて押してしまうといった問題も何度も起きていて、これも誤操作防止のカバーなどが整備されていれば改善できることでありました。生活環境については、四人が八畳程度と非常に狭い空間で生活をしており、プライベートな空間がないことから、入居者同士のいさかいも起こっているとのことでした。以前あった農園も廃止されていて、その跡地が未利用のままでした。そこで収穫された農作物を地域の皆様に販売をし、収益を上げ、交流も深めていたとのことですが、現状では人員が足りないことに加え、入居者の高齢化も進み、みどり荘での運営管理は負担が重く難しいと聞いております。こうした趣味、スポーツ、運動など、楽しく活動できる環境の整備も、入居者の心のケアのためには必要です。また、介護の現場での人員不足が問題となっている中、施設の環境を整備することで、そこで働いている職員の皆さんの負担も軽減できます。 障がい者施設の中には、設置されてから長い年月が過ぎ、その役割なども大きく変わっていく中で、設備の更新が追いつかず、現在の国基準を満たさなくなった施設、入居者のニーズにマッチしない施設が多くあります。利用者、入居者の皆さんが安心して利用できる、安心して暮らせる環境、そして職員の皆さんがやりがいを持ち働くことができる環境づくりのためにも、施設の改修、環境の整備を県としても推し進めていくべきだと考えます。 そこで、健康福祉部長に質問いたします。 施設の老朽化や現状のニーズとのミスマッチの解消のための整備なども含めて、これらの問題を解決するために、県立の障がい福祉施設の再整備について、県としてどのようにお考えか、お伺いいたします。 三つ目として、災害時小児周産期リエゾンに関する課題と今後の対応についてお伺いします。 現在、南海トラフ地震への対応や頻発する水害などにより、防災対策は非常に重要な課題であります。その中で、災害時における医療コーディネート体制の構築は喫緊の課題であり、一般質問では二回にわたり取り上げさせていただいております。令和三年九月議会においては、災害時小児周産期リエゾンへの対応について、当時の健康福祉部長から、その役割や活動内容を改めて検討し、位置づけの明確化を進めておりますとの答弁をいただきました。また、国の研修受講者の意見も幅広く伺いながら、災害医療に関する県全体の枠組みの中で、リエゾンが機能する体制を整えてまいりますとの前向きな答弁をいただきました。これを受けて、令和四年に、国の研修受講者から県の非常勤地方公務員である岐阜県リエゾンとしての任命がなされることとなりました。 また、令和四年六月議会においては、当時の健康福祉部長から、医療活動チームの派遣や患者搬送に係る調整等、小児、周産期を含む災害時の保健医療活動の総合調整が円滑に行われるよう、新たな体制の下で訓練を実施してまいりますとの答弁をいただきました。これを受けて、令和五年一月十八日に実施された岐阜県緊急対策チーム図上訓練には、初めてリエゾンの三名が訓練に参加、また令和五年二月四日に実施された災害医療コーディネート研修にもリエゾンが複数名参加するなど、令和四年度については、任命とともに既存の県の訓練にリエゾンも加わるといった新たな取組が前進いたしました。 一方、リエゾンらは県からそれぞれ任命されているものの、横のつながりが希薄であり、いざ発災したとしても誰がリエゾンなのか顔も分からず、初動態勢としてうまく機能するのか不安が残るのが現状です。国のリエゾン講習の内容も、講習が始まった平成二十八年度と今では大きく異なっているとも耳にしており、初期に受講したリエゾンがそのときの知識のままで活動できる状態ではなくなっていると考えます。 本来であれば、毎年の災害事情に応じて変化していく災害医療に関わる研修も踏まえて、リエゾン任命者である県も知識を新たにしたり、情報を共有したり、課題を議論して、より実働可能な組織とするような場を提供する必要があるはずです。今年度においては、国が主体となって行うDMAT技能維持研修内へのリエゾンの派遣、同じく国が主体となって行うリエゾン講習への新規人員の研修派遣、緊急対策チーム図上訓練へのリエゾンの参加を予定されているとのことですが、令和四年度に任命された岐阜県リエゾンが求める意見集約の場、知識向上の場、岐阜県リエゾンによる県独自の集合型研修会の実施が行われていません。このような現場の専門家からの意見は極めて重要であり、県が主体的に取り組むべきことではないでしょうか。 また、これを進めるに当たっては、リエゾンの中でも特に国との連携が密である現場のリエゾンを中心として組織を構築していく必要があると考えます。備えあれど、なお憂いあり。これは災害時小児周産期リエゾン講習で語られる言葉です。現場のリエゾンからは、体制を整えるだけでなく、協議や訓練を重ねて問題点を把握し、実情に沿った改善を積み重ねていく必要があるとの声が上がっています。 リエゾンは、大規模災害時に、妊産婦、小児、障がい児など、最も弱い立場にある人たちを医療の専門職としてコーディネートする役割を担っており、県行政の大きな味方となってくれるチームであるはずです。彼らが求めていることについて真摯に耳を傾け、取組を強化していく必要があると考えます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 リエゾン体制を整え始めてから訓練などを実施されていますが、現在のリエゾンに関する課題と今後の対応についてどのようにお考えか、お聞かせください。 最後に、児童・生徒の水難事故防止に向けた取組についてお尋ねいたします。 警察庁のまとめによると、今年七月と八月の全国の水難事故は四百五十三件で、都道府県別では東京の三十一件が最多、ついで岐阜二十八件、神奈川二十七件でありました。県外の方も含まれていますが、岐阜二十八件のうち四件が中学生以下の子供による事故であり、一名がお亡くなりになりました。また、平成二十五年から令和四年までの過去十年間では、十五人の子供が水難事故により命を落としています。こうした事故は全国で起こっており、今年七月には、福岡県の小学生三人が近所の川に遊びに行き、溺れる事故があるなど、児童・生徒が河川で命を落とす事例が後を絶たないことから、まず学校において、川の危険性や自分の命を守るすべを学ぶことが大切であると考えます。 子供の水難事故が全国で相次ぐ中、香川県では、ライフジャケットを民間と協力してそろえ、無償で学校へ貸し出し、救命胴衣を用いた授業を支援しています。また、群馬県でも同様の取組が行われているとのことです。早くから救命胴衣に慣れ親しむことで、必要性を実感してもらい、普及につなげるのが狙いということですが、この取組には全国の自治体から問合せが相次いでいるといいます。学校の水泳の授業で、服を着たまま水に落ちたときの状況を経験するための着衣水泳の授業は、私の娘も体験をしており、実際に経験することで、どのくらい服が重くなったのか分かってよかったと話しておりました。しかし、救命胴衣を用いた授業が行われているということは、ほとんど聞いておりません。香川県でこのような取組が始まったのは、やはり水難事故がきっかけであったといいます。本県では、「清流の国ぎふ」を地域ブランドとしてこれまで取り組んできたところですが、本県に生まれ育った子供たちがその清流で命を落とすような悲しい出来事は、何としても防がなければなりません。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 本県において、水難事故で児童・生徒が命を落とす事案が後を絶たない状況を踏まえ、教育現場としてどのような取組を行っていくのか、お聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) 創薬・製薬業の研究所などの企業誘致についてお答えします。 県では、医薬品関連産業を成長産業と位置づけ、企業誘致に取り組んでいます。研究所の県内移転に向けた補助制度では、東京二十三区内からの移転の場合に、全国トップクラスの総額十億円の支援を行うこととしております。加えて、関連工場の立地に対しては、補助要件の緩和、不動産取得税の軽減を行っています。現在、岐阜大学の生命科学系と岐阜薬科大学では、これらの分野での育成が行われ、多くの学生が創薬・製薬企業に就職しております。こうした学生の受皿となるよう、関連企業、研究所の誘致に一層努めてまいります。 あわせて、学生に県内就職を促す取組も重要です。このため、岐阜大学教授と県内企業との交流事業を行っており、今年度は新たに生命科学系の教授に加わっていただきました。今後は、岐阜薬科大学との連携も進めていきたいと考えております。これらの取組を進めることで、専門性の高い女性の県内定着につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 県立の障がい福祉施設の再整備に向けた方針につきまして、お答えを申し上げます。 県立の障がい福祉施設は、かつては十一の入所施設がありましたが、多くが昭和から平成初期に整備されたものであり、施設の老朽化への対応や機能の見直しが必要な状況でした。このうち四施設については、県福祉事業団へ移譲する中で再整備や大規模修繕を行い、現在県立の施設は七つとなっています。これらの県立施設では、随時空調の更新やトイレの洋式化などを行い、機能維持や環境改善に努めていますが、みどり荘については、老朽化に加え、居室や廊下が狭いといった構造上の問題もあります。また、入所から地域での生活への移行を進める国の方針の下に在宅サービスが充実する中、県立の入所施設の役割を見直す必要も生じています。このため、施設の再整備に向けては、老朽化に加え、入所者の高齢化や重度化、ニーズの変化も踏まえつつ、県が担う役割などを整理した上で、関係者の御意見も伺いつつ、施設の在り方を含めた再整備の方向性を検討してまいります。 続きまして、災害時小児周産期リエゾンに関する課題と今後の対応につきまして、お答え申し上げます。 県では、昨年八月までに二十一名の医師や助産師を災害時小児周産期リエゾンとして任命し、県災害対策本部医療救護チームのメンバーとして位置づけました。実際の災害発生時にこのチームを有効に機能させるため、本年一月に新県庁舎で行われた県災害対策本部の図上訓練には、災害時小児周産期リエゾンの三名にも参加いただきました。また、三月には、同じく医療救護チームのメンバーである災害医療コーディネーターや岐阜DMATを含めた関係者で構成する県災害医療連絡会議を立ち上げたところです。 引き続き、メンバー相互に顔が見える関係を強化し、医療救護チームが円滑に機能するよう連絡会議を定期的に開催するとともに、年内にもリエゾンの意見交換会を開催し、現場での経験に基づいた具体的な御意見を伺うなど、相互の意思疎通を図ってまいります。また、いただいた御意見を生かして、より実践的な訓練を実施し、本県の災害医療体制の実効性を高めるよう努めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 児童・生徒の水難事故防止に向けた取組についてお答えします。 県教育委員会では、毎年ゴールデンウイーク前に国土交通省が作成している川での安全な過ごし方を学ぶ教材を各学校に紹介し、児童・生徒に対する水難事故防止の啓発を促しているところです。また、夏休み前には、県の河川課作成のチラシを配布し、川特有の危険性や水難事故防止について保護者向けにも啓発をしているところです。さらに、県内の河川で水難事故が起こるたびに、学校を通して注意喚起を今まで行ってまいりました。 今後は、全ての学校の管理職を対象とした安全講習会において、子供だけで川に近づかないことやライフジャケットの着用など事故防止対策の徹底を図り、児童・生徒への安全教育につなげるとともに、保護者にも懇談会等で直接依頼してまいります。 さらに、服を着たまま川で水難事故に遭った場合の対処方法として、議員から紹介もありました多くの学校で行っている着衣水泳に加え、関係課と連携し、児童・生徒が実際にライフジャケットを手にして学び、自分の命は自分で守る、そういったことの一助となる取組も検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕(拍手) ◆十三番(伊藤英生君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、三点について質問したいと思います。よろしくお願いいたします。 一点目は、市販薬のオーバードーズの現状と対策について、健康福祉部長と、そして教育長にお尋ねいたします。 オーバードーズとは過剰服薬のことであり、処方箋なしで購入できる市販薬を大量に短時間で服用することにより救急車で救急搬送される事例が、首都圏で二〇一八年には三十二人だったものが二〇二〇年には七十五人へと二・三倍に増えたとの報道があるなど、社会問題となっております。オーバードーズをする理由は様々あると思われますが、本来の薬効とは別のハイになるため、気分を変えるため等の効果を期待している向きがあり、町なかで若者たちがオーバードーズによって意識が混濁している様子を面白おかしく撮影し、こうした動画をSNSにアップしている状況を頻繁に目にするようになりました。乱用の対象となっている市販薬は、せき止め、風邪薬、痛み止め、抗アレルギー薬、カフェイン製剤など比較的身近な市販薬で、インターネットの購入も可能なものです。 ここに衝撃的な調査結果があります。国立精神・神経医療研究センターによる薬物使用と生活に関する全国高校生調査二〇二一によりますと、この一年間にあなたは市販のせき止め薬や風邪薬を乱用目的で使用した経験がありますかとの問いに対し、「ある」と答えた高校生が約六十人に一人に上るとのことでございます。この調査を実施した国立精神・神経医療研究センターにおいて、精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長を務める嶋根卓也さんの論文「青少年はなぜ薬物に手を出すのか」によりますと、人々が薬物を使う理由として、気持ちよくなりたい、パフォーマンスを上げたい、みんな使っているからと様々な理由が挙げられていますが、最も注目すべき点は気分を変えたいという理由であり、非常に軽い気持ちで行っている傾向がある点です。これは私見ですが、かつてのシンナー、十年ほど前の脱法ハーブ、そして現在は市販薬のオーバードーズと、まさに手を変え品を変えという状況であり、また二〇一四年六月に一般用医薬品のインターネット販売の解禁をされたことにより、市販薬が手に入りやすくなったことから事態が深刻化している可能性があります。本県の状況が気になります。 そこで、健康福祉部長と教育長にお尋ねいたします。 まず一点目は、健康福祉部長にお尋ねいたします。 市販薬のオーバードーズの現状をどのように認識していますでしょうか。また、市販薬の乱用を未然に防止するための県の対策についてお聞かせください。 次に、二点目も同じく健康福祉部長にお尋ねいたします。 市販薬のオーバードーズにより救急搬送された方を適切な依存症治療につなげるための県内医療機関との連携はどのように行っておりますでしょうか。 最後に、三点目は教育長にお尋ねいたします。 現在、学習指導要領に基づき、保健体育の授業において薬物乱用について学習する時間が設けられておりますが、薬物乱用の中でも、特に手に入りやすい市販薬のオーバードーズの危険性を学ぶ必要があると考えます。まずは生徒を指導する教員等の指導者に対し、その危険性を学ぶ研修が必要だと考えますが、県教育委員会としてどのような取組をしていくお考えかお聞かせください。 続きまして、独り親に対する県の取組について、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 先日、ある父子家庭の父親から御相談がありました。その方は、思春期の娘さんを育てながら、仕事に家事にと忙殺されており、やや疲れている御様子でした。相談内容は多岐にわたりましたが、私なりにそしゃくさせてもらうと、男が弱音を吐くのは恥ずかしいということから来る行政へ相談することへのためらいやメンタルの不調といった課題であると受け止めました。 県では、独り親への支援として、岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターで、就労、自立支援に限らず、養育費の相談から生活に関する相談まで幅広く独り親の困り事に寄り添った相談支援を行っております。 平成三十年度の県による調査の結果、岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターなどの公的支援制度については、母子家庭に比べ父子家庭の方が多く認知している状況です。一方、令和二年国勢調査では、岐阜県内の独り親世帯全体に占める父子世帯数の割合は一五・六%であるのに対し、岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターへの父子家庭からの相談件数の割合は、独り親家庭全体の二・一%にとどまっており、少ない状況です。制度を認知しているにもかかわらず、実際に相談しないという状況ですが、父子家庭の方が母子家庭の方より困り感が少ないのか、相談したいと思う支援内容がないと思っているのか等、そこには様々な理由があると思われます。 独り親家庭への支援は、母子家庭に対する支援のイメージが強く、まして男性が、父親が相談するのは恥ずかしいなど、周りの目を気にして父子家庭の方が気軽に相談できない状況もあるのではないかと考えます。せっかく岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターにおいて、就労や自立支援に限らず、独り親からの様々な困り事に対応していただいているのであれば、より多くの独り親がもっと気軽に活用してもらいたいと思うところです。 そこで、相談対応を行う岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターにおいては、もともと男性が相談するイメージがない方もいるということも考慮いただきながら、就労や自立支援だけでなく、男性が相談したいような生活全般の悩みについても相談できることを積極的に周知していただきたいと思います。 また、私が話を聞いた父子家庭の父親は、メンタルに不調を抱えており、相当思い悩んでいるようでございました。このように父子家庭に限らず、独り親家庭は様々なストレスを抱えていることが考えられます。県ひとり親家庭等自立支援計画に記載されている経済支援、子育て支援及び生活支援、就労支援、養育費の確保支援に加え、心の支援も必要になってくると考えます。 独り親家庭は地域とのつながりが薄く、孤立しがちなイメージがございます。また、先ほどの父子家庭からの相談件数が少ないことにも関係しますが、こういった支援があることが分かれば、父子家庭からの相談も増えるのではないかと思うところです。 そこで、以下二点について、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 一点目、岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターについて、父子家庭の方も気軽に相談できるような広報や啓発が必要と考えますが、県として今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 二つ目、独り親が抱える心の悩みについて、県ではどのような取組を行っているのか、お聞かせください。 以上で一回目の質問を終わります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 市販薬のオーバードーズについてお尋ねをいただきました。 まずは、県の現状認識と対策につきましてお答えを申し上げます。 昨年度実施された国立専門機関における実態調査によると、近年薬物による精神疾患症例のうち、市販薬によるものが増加しており、特に十代では六割を超えています。県が設置する薬物相談窓口においても、昨年度は市販薬の乱用に関する相談が約四分の一を占めており、乱用防止の取組の重要性が高まっております。 現在、乱用のおそれがある解熱鎮痛剤などの販売には、ネット販売も含めて、数量制限や他店での購入の有無の確認が必要であり、若年者が購入する場合には、氏名、年齢の確認も必要としています。県では、これらの遵守状況について、保健所の立入検査等により確認、指導を行うとともに、薬剤師等への研修を実施するなど周知徹底を行っているところです。また、中高生を対象とした薬物乱用防止出前講座において、麻薬等の違法薬物に加え、市販薬のオーバードーズの危険性についての啓発を行っており、引き続き関係機関とも連携して市販薬の乱用防止に取り組んでまいります。 続いて、救急搬送後に適切な依存症治療につなげるための医療機関との連携につきまして、お答えを申し上げます。 県では、薬物依存を含めた依存症の専門的な治療が受けられるよう、平成二十九年度に専門医療機関として大垣病院を、治療拠点機関として各務原病院をそれぞれ指定いたしました。また、令和二年度には、依存症の治療機関や民間支援団体等から成る岐阜県依存症地域支援連絡会議を設置し、その中に薬物依存等を専門とするアルコール・薬物分科会を設けるなど、関係者間の連携を図っているところです。 一方で、市販薬のオーバードーズについては、これらの会議で特段の対応が議論されたことはありませんでしたが、全国的に増加傾向にあることから、救急搬送の増加を想定し、連携会議に新たに救急外来のスタッフにも参画いただき、患者を依存症の治療機関へと的確につなぐ連携体制を強化してまいります。あわせて、救急外来に相談窓口や治療機関を明記したリーフレットを新たに配置し、スタッフと患者の双方に周知を図るなど、市販薬の依存症の方を適切な治療につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) オーバードーズについて、生徒を指導する教員への研修についてお答えします。 まず、保健体育を担当する全ての中学校、高校の教員が三年ないし四年ごとに受講する教育課程に関する講習会では、保健の授業で取り扱う薬物乱用防止の中で、生徒がたやすく入手できる市販薬への依存やその乱用に関する予防教育についてもテーマとして取り上げてまいります。また、毎年実際に生徒を前にして授業をしながら行う教員向けの講習会においても、薬に関する教育の専門家を模範授業者として招き、市販薬乱用の最新情報やその危険性、児童・生徒への効果的な指導方法について研修も行ってまいります。さらに、保健体育の教員だけでなく、養護教諭など、心の悩みを抱える児童・生徒の相談窓口となる教職員を対象にした研修の中でも、オーバードーズに関する正しい知識や相談時の適切な対応について学ぶ機会も設けてまいります。 教職員がオーバードーズに対する理解を深め、指導することで、児童・生徒が市販薬の乱用や依存に陥らないよう今後も努めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 独り親に対する県の取組について、二点御質問いただきました。 初めに、父子家庭も岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターを気軽に利用できるようにするための取組についてお答えいたします。 本県では、独り親世帯のうち父子世帯は約一割ですが、父子は、親や兄弟などと同居している割合や収入が母子より高くなっています。これらは父子家庭からの相談が少ない要因の一つと考えられますが、それを踏まえても、御指摘のとおり父子家庭からの相談は少ないと感じています。今後は、センターが父子家庭も気軽に相談できる場であると思ってもらえるよう、ホームページやリーフレット、チラシ等を作成する際には、父子家庭の利用も可能であることを分かりやすく記載するとともに、色使いや使用するイラスト等に配慮してまいります。あわせて、センターでは、就業、自立支援だけでなく、生活全般に係る相談にも幅広く対応していることについても、直接の窓口である市町村と連携しながら周知してまいります。 次に、独り親の心の悩みに対する県の取組についてお答えいたします。 ひとり親センターに寄せられる相談は、養育費、離婚、面会交流、子育てなど幅広く、その数は毎年増加しております。子供が不登校になり今後の生活が不安であるとか、仕事のストレスを誰にも相談できず悩んでいるといったものもあり、その中には心の悩みが含まれる場合があります。こうした相談のうち、本人が希望される場合は、県精神保健福祉センターなど専門の窓口を案内しております。また、ひとり親センターでは、様々な分野の専門家に直接相談できる機会を設けており、法律や家計管理等の専門家に加え、臨床心理士を配置しているところです。 独り親の心の安定は、家庭の安定にとって重要と考えており、今後、独り親の心の悩みに対するよりよい支援の在り方について、関係機関や独り親を支援する団体からの意見を伺いながら検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕 ◆十三番(伊藤英生君) ありがとうございました。 最後に、市町村の地域学校協働活動推進員の配置促進に向けた県の取組について、環境生活部長にお尋ねいたします。 地域学校協働活動推進員という新しい役職が二〇一七年に設けられました。この役職の目的は、地域の人々と学校との情報を共有し、地域の人々が学校と協力して活動を行うことを助けることです。具体的には、地域の人々を育てる活動や地元の学習、防災訓練、登下校の見回りなどの活動が含まれます。これらの活動は、学校だけでなく社会教育施設でも行われます。そのため、これらの活動は、学校教育だけでなく、保護者や地域住民の学びや生きがいづくりも含んでいます。 地域学校協働活動推進員は、教育委員会から委嘱されることにより法的な位置づけとその役割が明確化されました。文科省は、地域学校協働活動推進員に対して、次のような役割を期待しています。地域や学校の実情に応じた地域学校協働活動の企画・立案、学校や地域住民、企業、団体、機関との連絡・調整、地域ボランティアの募集・確保、地域学校協働本部の事務処理・経費処理、地域住民への情報提供・助言・活動促進等でございます。これらはこれまで各学校が担ってきた役割であり、地域学校協働活動推進員がこれらの役割を主体的に担うことで協働活動が充実し、また学校の働き方改革にも寄与することが期待されています。そのため、地域学校協働活動推進員を委嘱する際には、教育委員会がその処遇や役割等を明確にし、文書化することが適切だと考えられます。 もう一つ、学校と地域の連携、協働のための仕組みとして、コミュニティ・スクールがあります。コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置した学校のことをいいます。学校運営に参画し、校長が作成した学校方針を承認したり、意見を述べたりして、共に学校をつくっていくという役目を担っております。その学校運営協議会のメンバーに地域学校協働活動推進員を委員として配置することは、協働活動を円滑かつ効果的に実施されるためにも非常に重要なことであると考えます。なぜなら、文部科学省は、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部を両輪とした協働体制を描いており、地域学校協働活動推進員はその両方の主要なメンバーとして存在し、学校と地域をつなぐハブの役割を求めているからです。 本県の状況を見てみますと、都道府県別全学校種におけるコミュニティ・スクールの導入率は、全国平均が四二・九%にあるのに対し、本県は七六・七%と大きく上回っているにもかかわらず、地域学校協働本部の整備率を比較すると、全国平均が五七・九%であるのに対し、本県は四七・〇%とやや低くなっております。あわせて、都道府県別の地域学校協働活動推進員の配置状況を見ると、地域学校協働活動推進員や地域コーディネーター等を配置している自治体の割合は、全国平均八六・五%であるのに対し、本県は七六・六%とやや低くなっております。本県内において、地域学校協働本部を設置しながら地域学校協働活動推進員を配置していない自治体は幾つかあり、本来地域と学校が車の両輪となって進めていくことが期待されるコミュニティ・スクールの制度が学校主導で設置が進められている向きが見てとれます。 地域学校協働活動推進員の配置は、地域学校協働活動の充実という観点から見て有意義であり、その配置拡充の必要性は増していると考えます。そのためには、地域学校協働活動推進員を地域から見つけ出し、物的、財政的支援や能力開発を含む人的支援を提供することが不可欠です。具体的には、消耗品や交通費の適正な支給、活動への報酬の提供、権限と責任の明確化などが必要です。また、期待する役割を明示したハンドブック等の作成やメンバー間での情報交換の場所提供も重要です。しかし、これら全てを各学校だけで対応することは困難です。県は、学校と地域の橋渡し役となる地域学校協働活動推進員の掘り起こしをサポートしていく必要があると思います。 なお、これは私見ですが、現在岐阜県内におきましても、コミュニティ・スクールの設置が文科省の努力義務方針に沿って進められておりますが、我が国において、コミュニティ・スクールの定義が学校運営協議会を設置することと同義であり、その実態は従来からある学校評議会等を衣替えして学校運営協議会とする形で進められていることに、本来の地域が学校運営に関わっていくという趣旨から外れ、外形的な体裁を整えることに教職員の労力を使っているかのように私からは見えます。教職員の負担軽減の面からも、地域学校協働活動推進員の配置が進められることが望ましいと考えます。 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。 市町村において、地域学校協働活動推進員の配置が進むよう、県が今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 以上で私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 市町村における地域学校協働活動推進員の配置促進に向けた県の取組についてお答えいたします。 地域学校協働活動推進員は、地域と学校をつなぐコーディネーターとして重要な役割を担うと考えております。しかしながら、議員御指摘のとおり、本県では、未配置や担い手不足の市町村があり、推進員が十分に配置されているとは言えないと認識しております。そのため、今後は、推進員の活動内容や熱意などを掲載したハンドブックを作成し、県民への普及啓発、理解促進を図ることで、協働活動への参加を促し、推進員候補者のさらなる発掘につなげてまいります。 こうした取組などにより発掘した候補者に対しては、岐阜大学と共同設置したぎふ地域学校協働活動センターにおいて、優良事例や地域住民の参画手法などを学ぶ育成研修を実施してまいります。また、地域学校協働活動推進員が不足している市町村に対しては、センター職員が直接出向き、活動の意義、有用性を理解していただくことで配置を促進してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十五番 平野祐也君。    〔十五番 平野祐也君登壇〕(拍手) ◆十五番(平野祐也君) 皆さん、こんにちは。 議長のお許しを得ましたので、事前の通告に従い、大きく三点について御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 まず最初に、私の地元、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館とル・ブルジェ航空宇宙博物館との連携方針及び他の海外連携博物館との今後の取組方針について、商工労働部長にお伺いしたいと思います。 先日、八月末に、フランスにあるル・ブルジェ航空宇宙博物館に知事に同行する形で訪問をさせていただきました。ル・ブルジェ航空宇宙博物館は、ヨーロッパを代表する世界屈指の航空宇宙博物館となります。皆様、お手元の資料一を御覧ください。(資料を示す)こちらがル・ブルジェ航空宇宙博物館の写真となります。こちらに載っておりますけれども、このル・ブルジェ航空宇宙博物館、フランスの国立博物館ですけれども、この超音速旅客機コンコルドをはじめとする約四百機の航空機の展示や、天空にそびえるアリアンロケット、衛星の実物大模型など、宇宙関連の資料も圧巻の品ぞろえとなっております。 そもそも今回の訪問は、各務原市にある岐阜かかみがはら航空宇宙博物館、通称、空宙博が二〇一八年十月にこのル・ブルジェ航空宇宙博物館と連携を結び、このたび五年の協定期限を迎えるため、その協定の延長や今後の協力関係について議論を行ったものです。現在、まさに航空宇宙博物館において、日本とフランスの航空史について、気球やヘリコプターといった航空機の始まりからフランス航空教育団や日本とフランス両国をつなぐ飛行への挑戦といったつながり、現代、未来へつながる歴史を比較しながら、解説パネルで紹介する企画展が開催されております。 そもそも各務原市の航空宇宙産業の発展については、百年以上前の一九一九年、大正八年にフランス航空教育団が来日し、当時の各務原飛行場で技術指導を受けたことから始まったなど、フランスとこの岐阜県はとても深い関係にありました。空宙博と海外の博物館との連携については、アメリカのスミソニアン航空宇宙博物館を皮切りとして、フランスのル・ブルジェ航空宇宙博物館と続き、現在は海外の主要な博物館六か所と連携をしております。コロナ禍で海外博物館との直接の接点が薄くなった点もあると思いますが、今後も魅力のある博物館として、さらには世界に誇れる航空宇宙博物館となるべく、連携を深めていってほしいと考えております。 そこで、商工労働部長にお伺いをいたします。 来る十月二十五日に連携協定の期限を迎えるル・ブルジェ航空宇宙博物館との今後の連携方針及び海外博物館との今後の海外戦略や取組方針について、御教示をお願いいたします。現在、空宙博で開催中の企画展もそうですけれども、連携を結んだだけではなく、双方の博物館の魅力や価値を互いに高め合える、そんな連携にしていってほしいと思っております。 続きまして、大きく二項目め、「清流の国ぎふ」としての河川の特定外来生物駆除への対応について、環境生活部長にお伺いをいたします。 午前中に、我が県政自民クラブの玉田県議より知事宛てに、コクチバスの完全駆除に向けた熱い質問をしていただいておりますけれども、そもそもこの特定外来生物というものについて、近年メディアの影響等もあり関心が高まっていると思います。まさに午前中のコクチバス、有名なところでいうとオオクチバス、コクチバスとか、こういったブラックバス全般については、特定外来生物というものに指定をされておりまして、こういったものについては、生態系を守る取組として駆除を進めております。 今回のコクチバスについては、その旺盛な食欲や繁殖力から、世界に誇る長良川の鮎への影響が懸念されるため、農政部を含めて県を挙げて駆除に取り組んでおりますけれども、実際見てみると、長い歴史の中で、既に日本にすみ着いてしまっている外来生物も多くあるのが実情であります。皆さん、この外来生物と聞いたときに最初に思い浮かべる非常にポピュラーなものとして挙げられるのが、アメリカザリガニとかミシシッピアカミミガメだと思います。ただ、この二つの種類については、実はこの二〇二三年六月まで、こういった指定には全く入っていなかった生物になります。 資料二を御覧ください。(資料を示す) こちら資料二、条件付外来生物規制の概要と書いてありますけれども、実はこの外来生物の代表格であるアメリカザリガニとミシシッピアカミミガメについては、二〇二三年六月から国の法律が改正されて、初めて条件付特定外来生物になりました。このアカミミガメとアメリカザリガニは、ともに飼育者がとても多い生き物であり、単に特定外来生物に指定して飼育を禁止してしまうと、手続が面倒などの理由から野外へ放す飼育者が増えると予想され、かえって生態系への被害を生じるおそれがあるため、一部適用除外とする条件付特定外来生物となっております。この条件付というところですけれども、ここの資料にあるとおり、一般家庭等での飼育や友達に無償であげるなどは引き続き可能でありますけれども、販売、頒布、購入、輸入、野外への放出等については、原則として通常の特定外来生物と同様の規制がかかります。 こうした状況下で、実はこの二〇二三年六月から、兵庫県神戸市においては、ミシシッピアカミミガメを五匹捕獲した環境団体に対して一万円を支払うといった独自の特定外来生物駆除に関する取組を始めております。この特定外来種の駆除活動は、先ほどのコクチバスの話もそうですけれども、これから非常に根気の要る活動であり、こうした行政支援や行政としての姿勢のPRは非常に重要であり、サポート体制の構築が必要であると考えております。 また、この九月四日に、世界中の科学者が参加する生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォームにおいて、動植物の絶滅事例の約六割が侵略的外来種が要因だったとの報告書が初めて公表をされました。また、この侵略的外来種による経済的な損失は、世界で約六十二兆円と言われており、今後増加が予想をされております。今回のコクチバスにおいても、県、漁協、民間の連携で今後駆除を行っていくものの、そもそもの特定外来種について、清流を守るために部署横断的に県民に啓発や環境維持を行っていく必要があると考えております。特に、この岐阜県については、清流の国とうたっているだけあり、友釣り、渓流釣りなど、全国的に聖地、メッカであり、特定外来種を駆除して在来種や自然を守ることは、アウトドア産業や観光戦略としても位置づけられると考えております。 また、河川環境楽園や木曽三川公園など、河川について知ることができる場所があるというのもこの岐阜県の大きなメリットであり、県民にもっと河川の現状を身近に感じてもらう必要があると考えます。県内において、河川で、例えば外来種駆除を行っている著名なユーチューバーとコラボをしてシンポジウムを開催するなど、外来種の駆除から岐阜の魅力をさらに発見、発信につなげていく取組をするのも面白いと思います。また、この地域の子供にも、身近な河川で起きている問題を知ってもらうことは、ふるさと教育や地域への愛着にもつながってくると思います。 そこで、環境生活部長にお伺いします。 「清流の国ぎふ」ブランドを今後も維持、発信していくためには、特定外来生物全体の対応方針を含めて、県と市町村、民間、有識者、各種団体と連携をしていく必要があります。今回のコクチバスの駆除に関しても、水産物の被害が懸念されることから農政部が駆除を担当しているなど、環境生活部との役割分担の境界がよく分からないというのも事実であります。 そこでお伺いします。特定外来生物に関して、市町村や県の関連施設、教育分野とも連携して駆除に向けて動くため、岐阜県がコントロールタワー機能やリーダーシップを発揮する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。今回の長良川のコクチバス発生を契機として関心が高まっている今だからこそ、日本を代表する「清流の国ぎふ」として、発信や取組の強化を願い、前向きな答弁をお願いしたいと思います。 続きまして、大きく三点目、有機フッ素化合物PFOS・PFOAに関する国への要望について、健康福祉部長にお伺いしたいと思います。 昨日、地元の松岡県議から環境生活部長に対しても質問がありましたが、このPFOS・PFOAに関して、七月に大きくニュースで取り上げられましたけれども、各務原市が供給する水道水に有機フッ素化合物のPFOS・PFOAの濃度が国の暫定目標値を超えていたことが判明をしました。この有機フッ素化合物のPFOSとPFOAは、令和二年に国が水質管理目標設定項目に追加をしていて、一リットル当たり五十ナノグラムという暫定的な目標値を定めております。なお、各務原市の水道水における水源地の数値は、最大で百三十ナノグラムとなっておりました。 先日、県と市で合同で実施した周辺井戸水の調査においても、四十四か所の中で十三か所が目標値を超えており、飲用井戸として使用している十一か所については、不安があれば浄水器の使用や上水道への接続を案内している状況であります。今後、県と市で連携し、さらに範囲を拡大して井戸水の調査を行う予定であります。 そこで、こちら資料三を御覧ください。(資料を示す) このPFOS・PFOAに関する位置づけというものであります。そもそもPFOS・PFOAが水質管理目標設定項目と指定されておりますが、この水質管理目標設定項目とは、水質基準とする必要はないとされ、または毒性評価等の関係上、水質基準とすることは見送られたものの、一般環境中で検出されている項目、使用量が多く、今後水道水中でも検出される可能性がある項目など、水道水質管理上留意すべきとして関係者の注意を喚起するためのカテゴリーであると定義をされております。この資料三でいうと、左側の三角のピラミッドの二項目めですね。一番上が水質基準、その下が水質管理目標設定項目となっております。 水道法で規定をされている水質基準については、水道事業者に対して、遵守義務、検査義務が課せられておりますけれども、PFOS・PFOAを含む水質管理目標設定項目については努力義務であり、岐阜県内を含めて、日本全国で検査されていないところが多くあるのも事実であります。WHOを含めて世界中で目標値を設定する動きはあるものの、明確な規制を課す動きは、アメリカで現在進んでおりますけれども、国によって目標基準もばらばらであるのが現状であります。 お配りした資料のこちらの右側を御覧ください。 本年六月に開催された厚生労働省の令和五年度第一回水質基準逐次改正検討会において、PFOS・PFOAの今後の対応方針が議論をされております。そこで出た話としては、今後も毒性評価情報の収集、検出状況の把握を進めるとともに、WHO、米国EPA等における動向及び食品安全委員会における検討も踏まえて、引き続き本検討会専門家会議でPFOS及びPFOAの取扱いについて検討するとされております。 今回のこのPFOS・PFOAの目標値超えの状況を受けて、各務原市においては、市で公立小・中学校や幼稚園、保育園等に、県では高等学校二校に、合わせて約五十施設に対して約七百個の浄水器を設置しております。さらに、三井水源地にある曝気槽と呼ばれる水道設備への活性炭の設置を八月から進めており、その後、多額の費用をかけて新たな浄水施設もこれから建設をする予定となっております。 現在、国において、自治体の水道施設に関する補助金は、水道水源開発等施設整備費国庫補助金と生活基盤施設耐震化等交付金の二つがありますけれども、いずれも各務原市はその採択基準を満たしておらず、今回の各務原市の施設整備には適用することができません。今後、このPFOS・PFOAが水道法上の水質基準となるかどうか分かりませんけれども、現状努力義務とされるこの水質管理目標設定項目について、自治体等の水道事業者のみの負担で対応していくことは、今後限界が出てくることは明確であります。 そこで、健康福祉部長にお伺いします。 今後、国に対して、PFOS・PFOAの除去対応への補助や、そもそも定まっていないPFOS・PFOAの毒性評価を定めていくことを早急に県として要望すべきと考えますが、御答弁をお願いします。 今回、この水について、水は人間にとって欠かせないからこそ、不安や風評被害も多くなります。こうした新しい規制分野に関しては、しっかりとした科学的見地にのっとって国として対応をしていく必要があると考えております。実際に各務原市においては、スーパーで一時期ペットボトルの水がなくなるなど、本当に影響が大きいものとなります。一方で、法律上の水質基準に定義がされておらず、補助も出ない中で、自治体負担のみで改修を行うという状況は非常に厳しいものがある現状に鑑み、県としての要望をお願いして今回の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館とル・ブルジェ航空宇宙博物館との連携及びほかの海外博物館との今後の取組についてお答えします。 まず、ル・ブルジェ航空宇宙博物館との連携につきましては、さきの訪問で、十月に五年の期限を迎える協定を更新することで合意しました。そして、日欧共同で進められている水星探査プロジェクト等の共同企画展の開催を提案し、同意を得たところです。また、先方からは、専門人材の交流について提案がありました。今後もこうした交流を進め、博物館の魅力、価値の向上を図ってまいります。 また、空宙博と連携するほかの海外の五つの博物館とは、これまで展示物の共用や共同企画展の実施など、人類の航空宇宙への挑戦という共通のキーワードで連携を進めてまいりました。今回のル・ブルジェ航空宇宙博物館との取組を先駆けとして、常田新館長の下、連携を深めてまいります。これら博物館との連携に加えて、今後とも目まぐるしく進化する世界の航空宇宙の動向を注視するとともに、世界各国の博物館での先駆的な取組など広く情報を集めながら、世界につながる空宙博としての魅力向上につなげてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 「清流の国ぎふ」としての今後の特定外来生物への対応についてお答えいたします。 特定外来生物への対応として、本年五月に長良川でも生息が確認されたコクチバスについては、水産業被害防止の観点もあることから、農政部と共に漁協や県警などの関係機関と連携し、密放流防止のためのパトロールや防除などに取り組んでおります。また、アルゼンチンアリやオオキンケイギクなどについては、市町村の防除計画の策定支援や防除活動への補助を行っております。 このたび、外来生物法で都道府県が防除主体に位置づけられたことから、県として、庁内部局、市町村、関係機関などの役割や特定外来生物の種別ごとの防除体制、手法などを示した対応方針を定め、これに基づき、本県における被害防止のための取組を推進してまいります。また、シンポジウムの開催や子供などを対象とした体験型の環境学習プログラムの実施、教育委員会との連携による環境教育などを通じ、特定外来生物に関する県民の知識と理解の増進を図ってまいります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 有機フッ素化合物、PFOS・PFOAに関する国への要望についてお答え申し上げます。 安全で質の高い水道を確保することは、県民の安全・安心にとって極めて重要です。水道事業者が行う水道施設の整備に関しては、国が財政的な支援を行っており、PFOS及びPFOAの除去施設の整備についてもその対象とされています。しかしながら、こうした補助には採択基準があり、財政指標である資本単価が安く、給水人口が一定の規模以上である各務原市は、現行制度では採択されない状況にございます。県では、これまでも補助対象の拡充等を国に要望してきましたが、今後は、各務原市の改善策や財政負担の状況をよく確認し、必要に応じ補助制度の柔軟な運用について国に働きかけてまいります。 また、現在国において、PFOS及びPFOAの毒性評価や水質目標値の取扱いが検討されております。その結果は、水道施設の維持管理や整備計画にも影響するものであることから、国に対し検討を加速するとともに、検討状況についても随時情報提供するよう求めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 五番 今井瑠々君。    〔五番 今井瑠々君登壇〕(拍手) ◆五番(今井瑠々君) 新人議員ではございますが、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。 それでは発言の許可をいただきましたので、通告に従い、二点お伺いさせていただきます。 まず初めに、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく県の基本計画の策定において、新たに検討すべき施策の方向性等についてお伺いいたします。 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、以下、困難女性支援法は、売春防止法を法的根拠としてきた婦人保護事業が近年多様化、複雑化、複合化することにより、女性をめぐる課題への対応が難しくなり、婦人保護事業を売春防止法から切り離し、官民一体となって困難な問題を抱えている女性たちの自立を支援する新しい制度が必要などの指摘を受け、令和四年五月に成立しました。この法律は、来年度からの施行に向けて、都道府県に対して基本計画を策定することを義務づけています。 もともと困難女性支援法が成立する以前の婦人保護事業は、昭和三十一年に制定された売春防止法を根拠に、同法律で定める要保護女子(性行、または環境に照らして売春を行うおそれのある女子)を対象としており、保護更生を図る事業として始まりました。その後、平成十三年にDV防止法、平成二十五年にストーカー規制法の被害者、性暴力、性犯罪被害や人身取引被害者、家庭関係破綻や生活困窮などの様々な問題を抱えている女性たちについても、婦人保護事業の対象としながら運用されてきました。 しかし、女性は、全ての世代において非正規雇用の労働者の割合が高いことや、母子世帯のお母さんの平均年間就労収入が近年改善傾向にあるものの、依然として厳しい状況にあるなど、社会における男女の置かれた違い、状況の違いを背景として、貧困など生活上の困窮に陥りやすい状況にあります。さらに、こうした経済的な側面のみならず、予期せぬ妊娠により不安を抱えた若年妊婦や女性特有の身体的、精神的な困難に陥るケースなど、女性をめぐる課題はさらに複雑化、多様化しています。 このような状況の中で、困難女性支援法では、困難な問題を抱える女性の定義を性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性、その他様々な事情により日常生活、または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性、そしてそのおそれのある女性と定めています。そして、こうした困難な問題を抱える女性を支援する施策を推進し、人権が尊重されるとともに、女性が安心してかつ自立して暮らせる社会の実現に寄与することがこの法律の目的とされています。 また、この法律の第三条には、基本理念が三つ掲げられています。一つ目は、女性の抱える問題が多様化するとともに、先ほど申し上げたように複合化、複雑化していることを踏まえて、困難な問題を抱える女性の意思が尊重されながら、抱えている状況に応じた最適な支援を受けられるようにすることにより、心身の健康の回復のための援助、自立して生活をするための援助など、多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること、二つ目は、困難な問題を抱える女性への支援が関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく実施されるようにすること、三つ目は、人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすることです。つまり売春防止法では、売春をするおそれのある女子に対する補導・保護更生が目的であったのに対し、困難女性支援法では、女性の福祉、人権の尊重や擁護、男女平等といった視点が明確に規定されています。 私は、この基本理念の中で、二つ目の関係機関及び民間団体の協働が困難な問題を抱える女性に対する支援に実効性を持たせるためには最も重要なことであると考えます。実際、県内の女性支援に携わるNPO団体にお話を伺ったところ、相談に来る方の相談内容には様々なケースがあり、どこに相談したらいいのか分からないという声や、行政の相談窓口ではハードルが高く感じたり、気軽に相談しづらいという声が多いそうです。そのため、気軽に相談できるオンライン窓口や女性が気軽に立ち寄って休憩や交流、相談ができる居場所づくりなど、相談のハードルを下げて早期に支援団体とつながる仕組みづくりや婦人保護施設の時代に合った運用面の見直しなどが必要であると御意見をいただきました。 こういった課題を解決するために、民間団体と協働の上、アウトリーチ、すなわち様々な形で必要な人に必要なサービスと情報を届けること、これを踏まえた相談体制の整備により、相談をしっかりと受け止めた上で適切な支援につなぎ、切れ目のない支援を実施すること、多様な困難に直面する女性に寄り添う支援に携わる人材を育成、確保すること、市町村に対して民間団体と各種施策・体制間を連携し、県内全体に困難女性に対する支援が行き届くように働きかけることが真に困難女性支援に資することができると考えます。 当県では、この基本計画を配偶者からの暴力防止及び保護に関する基本計画、いわゆるDV防止計画と一体的なものとして策定すると伺っています。二つの計画の背景には、若年層への啓発が必要、地域によって受けられる支援にばらつきがある、民間支援団体との連携が必要など同一の課題があり、女性を保護し自立させるという点では共通しています。そのため、支援すべき女性の保護活動などを効果的に実施するために、計画を一体化させるというのは理解できるところです。 しかし、一方で、DV被害は配偶者からの暴力などの被害に遭った女性が警察や行政機関を頼って逃げ込んでくる場合や、相談を基に保護し、自立を支援していくことが基本なのに対して、困難女性支援は、そうした従来の方法だけではなく、自分が支援の対象となっていることが分かっていらっしゃらない方や困難を感じていても支援を求めることができない女性が多くいること、そしてそれらの女性を見つけ出し、支援していくことが求められるという違いがあります。こういったDV被害とそのほかの女性相談に関する課題では対応が異なる側面があり、計画を一体化するに当たり検討すべき課題は多くあると思います。しっかりと県内の女性支援の現状を把握した上で、課題をしっかりと洗い出して検討していただき、真に困難を抱える女性を支援できる計画を策定していただきたいと思います。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねします。 県では、これまでもDV被害者支援に取り組んでこられましたが、困難女性支援法の施行により策定が求められている県の基本計画において、困難女性の現状を踏まえ、今後新たに検討すべき施策の方向性にはどのようなものがあり、どのように取組内容を検討していくのでしょうか、御回答をよろしくお願いいたします。 続きまして、県立看護専門学校の設備及び学びの質を担保するための取組について質問いたします。 この質問は、私の地元である多治見市の県立多治見看護専門学校と岐阜市の衛生専門学校を視察し、関係者の方からお話を聞いたことがきっかけとなります。両専門学校ともに、高校を卒業したばかりで看護職員を志している若者や、一度社会人を経験した上で看護職員を目指す方も含めて、三年間で卒業を目指し、座学と実習を繰り返し、日々励んでいらっしゃいました。先生方、学校関係者も全力で学生を支え、きめ細やかな指導を行っていらっしゃいました。 岐阜県内には県立看護専門学校が三校ある中で、衛生専門学校は昭和二十九年四月に岐阜県立高等看護学院看護婦三年課程として設立、昭和六十一年に現在の校舎に移転し、築五十五年目であり、多治見看護専門学校は昭和四十九年に設立し、築四十九年と、いずれも非常に古い建物となっています。実際、多治見看護専門学校では、校舎内の様子も経年劣化による老朽化が顕著なことに加え、学生や学校関係者からトイレが古くて狭いため不便さを感じたり、壁紙がはがれている箇所が多いなど、設備面での問題があるという意見を多くいただきました。 また、学習面に関しても、医療用シミュレーターと言われる等身大の人形などについてもかなり古いものを使用していたり、図書館の書籍も古いものが多く、十分な学習環境とは言えない状況になっていることが見受けられました。また、学生からは、二棟ある学校施設のうち、片方だけWi-Fiが入りにくく、学習に支障が出ているなどの意見もありました。実習機材も実際の病院では使われていないものもあり、実習先の病院で行うとおりの練習ができないとの声も伺いました。 衛生専門学校も、多治見看護専門学校に比べれば改修などがされておりましたが、実際はWi-Fi環境があるものの、複数台が一斉に使用するとつながりにくくなることや、令和二年度に県から学生用パソコン、タブレットが配付されたものの、一人一台ではないとの状況でした。また、多治見看護専門学校も衛生看護学校も同様に演習用の教材が老朽化しており、グループワークなどを行う新カリキュラムに対応するには、教室や実習室も手狭に感じました。今回は、下呂看護専門学校には行っておりませんが、下呂看護専門学校も校舎、寄宿舎は昭和五十九年の築三十九年と古い建物で、学習環境もほかの二校と同様の環境であると伺っています。 こうした中で、当県の看護職員不足は深刻化しており、人口十万人当たりの看護職員を圏域別で見ると、岐阜圏域及び飛騨圏域は全国平均よりも多い一方で、ほかの圏域は全国平均を下回っており、中濃圏域が最も少ない状況にあります。看護職員需給分科会の推計によると、就業中の全ての看護職員において、一か月における超過勤務時間が十時間以内、一年当たりの有給休暇取得十日以上が達成された場合における令和七年の需要数は二万七千四人、これに対し供給数は二万六千百七十二人と、八百三十二人不足すると言われています。さらに、今後少子高齢化が急速に進行し、二〇二五年にはいわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者となることから、それに伴い、慢性疾患や認知症を抱える高齢者の増加、健康格差の増大などにより看護職員の需要はさらなる増加が見込まれます。 このように看護職員の不足が問題視される中で、県内では二十七校で看護職員の養成が行われており、令和五年三月の卒業生は千四百三十名、令和五年四月現在の学生総定員数は千五百七十名となっています。そのうち、県立看護専門学校の三校の学生総定員数は四百三十名で、令和五年には百十三名の学生が卒業し、八七・二%の学生が岐阜県の医療機関に就職しています。つまり、県立看護専門学校の卒業生は岐阜県の看護を支える貴重な人材となっており、地域に果たす役割は大きなものとなっています。しかし、いずれの看護学校も入学希望者が減少、定員割れをしている現状です。看護系大学の増加により、看護職員を目指す学生が専門学校よりも大学進学を選択する傾向が続けば、本県の看護師不足はより一層悪化していくおそれがあります。 先ほどもお話ししましたが、県立看護専門学校の卒業生の県内定着率は高く、卒業生の約九割が県内で就職している状況であり、県内の看護師不足を解消する方法の一つとして、県立看護専門学校の入学者を増やし、確保していくことが重要であると考えます。そのためには、今すぐ建て替えてほしいということは難しいとしても、設備面の改修と学びの質の充実が必要であると考えます。さらに、教育の質の面では、グループワークやデジタル教材を活用した授業が増えていく中で、それぞれの看護学校に差分なく専門的な教育内容の変化に対応した教材を利用できるようにするなど、デジタルトランスフォーメーション化にも取り組んでいく必要があると考えます。 国も、地域医療を支える看護学校への支援として、厚生労働省の令和六年度看護関係予算概算要求の中にも、新たな取組として看護師等養成所や看護現場におけるDX化を推進するため、看護師等養成所や病院、訪問看護ステーション等によるICT機器の円滑な導入などの支援やその効果検証等の実施に必要な経費に対する支援が含まれています。繰り返しになりますが、県立看護専門学校の生徒の約九割は岐阜県の医療を支える看護師となる貴重な人材です。その看護師の卵たちが、少しでもよい教育環境で学生生活を送れるようにしていただきたいと思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 地域医療を支える看護職員を養成する岐阜県立の看護専門学校の維持管理において、老朽化による建て替え前までに、どのように設備面に関して改修を行っていくのか、また教材等のリニューアルなど、専門的な学びの質を担保していくためにどのような取組を行っていくお考えがあるのか、お伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく県基本計画の策定において、新たに検討すべき施策の方向性等についてお答えいたします。 新たに策定する計画においては、支援を必要とする方により確実に支援が届く体制づくりを施策の方向性として盛り込む必要があると考えています。このため、まずはより気軽に安心して相談してもらえるよう、メールやオンライン面談による相談、SNS等での情報発信、身近な市町村の相談機能強化などに取り組んでまいります。加えて、早期に相談支援につながる仕組みづくりとして、対象女性が集まりやすい場所に出向き、支援対象者を把握するといったアウトリーチ手法の導入を検討してまいります。あわせて、適切な支援を届けるため、関係職員の専門的な知識の取得や資質向上に向けた研修などに取り組んでまいります。 これらを効果的に進めるため、民間団体や関係機関と意見を交換し、計画に反映させた上で、取組の推進に当たっても民間団体などと協働してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 県立看護専門学校の設備及び学びの質を担保するための取組につきまして、お答え申し上げます。 老朽化が進む県立看護専門学校については、岐阜県県有建物長寿命化計画に基づき、学生・教員の双方が安全かつ円滑に学校を利用できるよう、計画的に施設の維持管理を進めています。このうち、設備面では、快適な学習環境を確保するため、空調や給排水などの設備の更新を順次進めているところです。加えて、学生や教員の意向にも耳を傾け、衛生専門学校では学生用休憩室のリニューアルを、下呂看専ではトイレを洋式化したほか、多治見看専では今年度、体調不良時に利用する休養室のバリアフリー化を実施し、来年度以降にはトイレの改修を検討しています。 他方、専門的な学びの質の担保に向けては、学習用タブレットの配備と合わせてWi-Fi環境の整備のほか、技術教育に用いる筋肉注射のシミュレーションモデルや新生児の全身観察ができるモデル人形などの教材も順次更新を進めているところです。今後ともこうした取組を通じ、学生や教員はもとより、将来看護の道を志す方にも魅力的な学校となるよう努めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 一番 木村千秋君。    〔一番 木村千秋君登壇〕(拍手) ◆一番(木村千秋君) ただいま議長のお許しを得ましたので、通告に基づきまして一般質問を始めさせていただきます。大きく三点でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず初めに、一点目といたしまして、女性が抱える健康課題に対する取組と企業への働きかけについてお尋ねをいたします。 女性に限らず、誰もが活躍できる社会にしていくのは当然のことではありますが、人口の約半数を占める女性の労働力が向上しつつある中で、ライフステージごとに訪れる女性の健康課題について真っすぐ向き合ってこそ、就労継続、ひいては女性が活躍する社会がかなうのではと考えます。 こうした中、今年六月に閣議決定されました女性版骨太の方針二〇二三において、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現に向けて、事業主健診の充実や生理休暇制度の普及促進など、生涯にわたる健康への支援を講じることが表明されました。その後、八月には、厚生労働大臣から、更年期障がいなど女性の健康上の問題に関する研究治療を推進するため、司令塔役となるナショナルセンターを創設する方針の表明がありました。また、古田知事からは、令和五年の第一回定例会におきまして、女性の活躍と子育てを社会で支える環境の整備に取り組まれると大変心強い御表明があったところであります。女性の活躍推進が表面的なものとならないように、以下、具体的な事例を挙げつつ、お話を進めてまいりたいと思います。 女性の健康課題、更年期症状に加え、症状が重く日常生活に支障を来す更年期障がいについて、これまでは圧倒的に情報量の不足や個人差や言いづらさ、解決の窓口の周知不足、利用のしづらさなどでなかなか理解と支援が進みませんでした。このため、正しい情報を入手し、理解して活用する能力、ヘルスリテラシーを岐阜県全体で高めていくため、様々な取組が必要であります。 かくいう私も経験者でありまして、ホットフラッシュと言われる、急に肩の辺りから上部が熱くなり、後頭部に大量の汗をかくという代表的な更年期症状や二か月以上止まらない生理、いわゆる不正出血などの症状により、漢方薬の服用からホルモン注射、飲み薬によるホルモン補充療法とあらゆる治療を続けてまいりました。最初はどこでお話をしたらよいのか、どのような相談機関があり、さらにその先はどこへつなげていただいて、どう解決できるのか分からないと感じました。 私は、町議会議員の経験者であったことから、これまでに更年期症状等による様々な御相談をお受けしてまいりましたので、今ではどこにおつなぎできるかを知ることができておりますが、まだ御存じないという方もいらっしゃるようでありますので、ここで御紹介させていただきたいと思います。 岐阜県では、これまでに各保健所内に岐阜県女性健康支援センターを設置し、相談窓口を設け、県内の医療機関等と連携しながら相談に応じていただいておりました。具体的には、保健所の代表電話にかけ、女性健康支援センターへつないでくださいと伝えて、電話がつながったら相談がスタートします。受付時間は、平日の午前九時から午後五時までとなっております。まずは電話で、その後、必要に応じて面談となるようであります。 一方、先進県の事例では、医療や相談体制を強化した更年期障がい医療拠点病院と地域拠点病院を指定し、医療拠点病院では重症患者の診断、治療や人材育成等を行い、また地域拠点病院では、患者が相談しやすい窓口の設置や病院間で症例の情報共有等を行うとされております。このほか、女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス、例えば健康相談アプリなどを扱うフェムテック業者と連携して理解を深めるセミナーなどを開催されている自治体もあるようでございます。 女性の健康相談となると、妊娠、出産についての御相談対応が前面に出ており、もちろん重要なことでありますので最優先で周知する必要があると感じる一方で、更年期となると、その言いづらさや何十年と生理痛を何とか耐えてきた経験から我慢をしてしまいがちで、声を拾い上げてもらいにくいものとなっているのが現状ではないでしょうか。当然のことながら個人差もあり、先述のように生理のときに現れる症状とは全く違う症状も現れますが、体験談や具体的例を挙げてまでは、何となく触れてはならない空気感もあってか、あまり周知されてこなかったように感じます。女性の健康課題、特に更年期症状等には触れられることなく、むしろタブー視されてきた感があるのではないでしょうか。 ここで少し御紹介をさせていただきたいのは、総務省が行った労働力調査によりますと、令和二年の日本における雇用者数が約六千万人で、そのうち女性は約二千七百万人、岐阜県では、国勢調査によりますが、総数が約八十四万人で、そのうち女性は約三十九万人。女性の雇用者数は年々増加傾向にありまして、女性の割合は四六・四%で、半数に迫る勢いであります。今や岐阜県の女性労働者の平均年齢は、私と同じ四十代、まさしく更年期症状等が現れやすい年代です。この年代の女性が抱える健康課題の一つが、繰り返し申し述べております更年期症状等です。職場や地域、家庭ですら声が上げづらかったことで、身近な方々でも理解が進んでいないため支援がされず、ひいては労働力の低下や地域力の低下を招いていたように思います。女性の就労継続を支援するためにも、御家庭や地域はもちろんのこと、職場での理解を十分に推し進める必要があります。 女性が社会に出たとき、仕事と家庭の両立という言葉にプレッシャーを感じる方は少なくないと思います。体の不調がありながら、仕事も家庭のことも頑張らなくちゃいけない、そんな状況で一体いつ体を休めることができるのでしょうか。特に私自身がこうした経験をしたことによってお伝えできる範囲は広がったように思いますが、ほかにも同じような悩みやつらさ、痛みをお抱えになられている多くの働く女性、または働きたい女性がきっとこの岐阜県にいらっしゃるのではと思います。岐阜県議会において、女性議員が増えたことの重みをしっかりと受け止め、岐阜県はどこよりも女性の健康課題を理解し、その支援の拡充に努める岐阜県であってほしいと願い、この質問に至っております。 御存じの方も多いかと思いますが、岐阜県はワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業認定などに積極的に取り組まれておりますが、企業内でこうした更年期症状等、女性が抱える健康課題に関して理解を深める取組を積極的に行っていることも評価項目として具体的に掲げていただけると、より一層理解が深まり、協力体制が整うのではないでしょうか。ライフステージごとに健康に関する様々な症状が現れたとしても、安心して働くことができる環境が岐阜県内の企業に充実していれば、特に流出傾向にある働き盛りの女性の流出を抑制できる一手になるのではないかと思います。 また、更年期症状等にどう向き合ってきたか、職場環境はどうであったか、どんな課題があると感じたかなど、経験を伝える場なども設けていただき、例えばミナモホールで女性の健康課題にやさしく寄り添う岐阜県、フェムテックGIFUなどと題して、専門家などをお招きした普及啓発セミナーなどを開催し、一人で抱えなくても大丈夫というメッセージをここ岐阜県から広く伝え、必要な場合は相談から治療へ、さらには今後は専門性の高い機関へとつなげられる展開が大切と考えます。なかなか言えなかった女性の健康課題について、一番身近な市町村や企業にもあらゆる場面を通じて周知を徹底していただきたいと思います。 我慢が当たり前ではありません。せっかく設置されている相談窓口が使いづらいものであってはなりません。一人で抱え込まずに、相談の窓口から始まる初めの一歩として、オール岐阜で取り組んでいただきたいと存じます。これからも女性の社会進出をスムーズに進め、誰もが活躍しやすい岐阜県にしていくには、言葉だけではなく、御家庭や地域、さらには職場で御実感のいただけるような向き合い方を今こそ進め、深い理解と心からのお支えを願うものであります。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねをいたします。 御家庭、地域、職場を含め、オール岐阜で最優先に取り組む課題として、ライフステージに合わせて女性が活躍するために、女性が抱える健康課題、特に更年期症状等に対して岐阜県としての取組についてどのようであるのか、また企業への働きかけはどのようにされているのか、お尋ねをいたします。 続きまして、二点目といたしまして、地域バスの運行と新たなモビリティーサービスの導入に対する支援についてお尋ねいたします。 高齢化が進む中、運転免許証の自主返納などによりまして、車の運転ができない御高齢の方や買物、あるいは病院への通院等が困難になった地域にお住まいの方々の移動手段など、いわゆる市町村が行う地域バスの充実については、当然のことながら地域の実情に合わせて市町村が担うものであります。しかしながら、こうしたことをより充実させなければならない市町村の財政面はとても厳しく、車両維持や路線の拡充、運転手の確保など、単独で維持していくには困難を極め、早急な対策が必要となっております。県民の移動手段の自由が不安視されるこの頃におきまして、地域バスの利用方法等の周知が限定的であり、徹底されていないと感じる部分もあることから、地域の方々が使いたくても使うことができない、市町村側としては使っていただきたくても住民に使っていただけないといった課題を抱えているのも現状であります。ありとあらゆる努力を続ける市町村が抱える課題に、県として寄り添っていく必要性は今後さらに高まると予想されます。 岐阜県においては、道路運送法上の許可や登録を受けた自主運行バスであることなど、一定の条件を定めながら全国でトップクラスの補助を行っていただいております。引き続き、県におかれましては、地域バスの市町村への支援を進めていただきたいと思います。 また、県民の足の安定的な確保に向けては、スマートフォンなどを活用して利用者の利便性の向上を図るといった新たなモビリティーサービスの導入等により、さらなる移動の利便性の向上や地域公共交通の維持、活性化を図ることが考えられます。これにより、御高齢の方々にもやさしくて分かりやすく、また利用者の選択肢が増え、鉄道やバスにとどまらず、タクシーなどとも連携の取れた安心して利用のできる地域公共交通となっていくよう願うばかりであります。 そこで、都市公園・交通局長にお尋ねをいたします。 地域バスの運行と新たなモビリティーサービスの導入に対する支援について、岐阜県のお考えをお聞かせください。 そして、最後の三点目です。 県におけます除雪対策、県における除雪の取組と市町村との連携についてをお尋ねいたします。 近年、短期間の集中的な大雪によりまして大規模な車両滞留が発生し、長時間車内で待機することによる健康被害の発生や道路網の寸断による住民生活や経済活動の麻痺など、災害とも言えるような事態が発生しております。令和三年十二月末の大雪の際には、私の地元であります不破郡、特に関ケ原町内におきまして、観測史上一位となる大雪により地域住民の生活に大きな支障となったことを今でも鮮明に覚えております。このような積雪時でも円滑な道路交通の確保は重要であり、それには地域にお住まいの皆様の御理解と御協力はもちろんのこと、国、県、市町村など関係機関が連携し、対応すべきであると思います。 一方、近年、除雪業者の減少や熟練したオペレーターの高齢化、民間保有の除雪機械への高い依存度などから、将来的な除雪体制の弱体化が懸念されています。県では、大雪時におきましても早期に通行の確保を図るため、これまでにも様々な取組を進めていただいておりますが、こうした課題や昨今の大雪を踏まえると、除雪の取組をさらに進めていただく必要があると考えます。 また、住民の方々からは、家の前から幹線道路へ出るまでの市町村道の除雪を早くしてほしい、なぜ道路によって差があるのかといった声が私のところにも届いております。市町村においては、管理する道路延長が長い上に財政状況が大変厳しく、除雪機械の購入も簡単ではありません。加えて、昨今の燃料費の高騰など、除雪に関する市町村を取り巻く環境は一層厳しくなっています。このため、県におかれては、各市町村が抱える課題やニーズなどを踏まえ、市町村との連携を進めていただきたいと思います。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。 地域を取り巻く課題を踏まえた県における除雪の取組と市町村との連携についてお尋ねをし、私、木村千秋の質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 女性が抱える健康課題に対する取組と企業への働きかけについて、お答えいたします。 県では、更年期を含む女性特有の健康問題に関する相談窓口として、各保健所に女性健康支援センターを設置し、保健師等が相談に応じるほか、女性の健康に関する情報を掲載したリーフレットの配布やSNSを活用した情報発信などを実施しております。各市町村においても、住民からの相談対応や広報紙への女性の健康に関する記事の掲載、骨粗鬆症検診などを行っており、県も全県的な取組となるよう助言を行っているところです。 また、働く女性の増加に伴い、女性特有の健康問題に関する企業の理解促進も急務と認識しております。県内企業の中には、有給の生理休暇制度や体調に応じた柔軟な働き方を認める制度を導入している事例があり、県では、こうした取組を岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定に当たり評価しております。今後も、県内企業における女性の健康問題に配慮した取組を促すことで、女性の活躍を後押ししてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 都市公園・交通局長 舟久保 敏君。    〔都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君登壇〕 ◎都市建築部都市公園・交通局長(舟久保敏君) 地域バスの運行と新たなモビリティーサービスの導入に対する支援についての御質問にお答えいたします。 県では、市町村自主運行バスは、車を運転できない高齢者や学生等にとって重要な移動手段であることから、これを守っていくことが大切であると考えております。このため、バスの運行を継続するための費用に対して支援を行っているところです。 また、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入については、運行の効率化や利用者の利便性の向上、ひいては経営改善に有効な手段であると考えております。このため、スマートフォン等により目的地までの最適な経路の検索を可能とするデジタル情報の整備や、キャッシュレス決済の導入等の取組に対して支援を行っているところです。引き続き、こうした支援により、地域公共交通の維持、活性化を図ってまいります。 ○副議長(田中勝士君) 県土整備部長 野崎眞司君。    〔県土整備部長 野崎眞司君登壇〕 ◎県土整備部長(野崎眞司君) 県における除雪の取組と市町村との連携について、お答えいたします。 除雪事業の強化に向けて、平成二十六年度からは、県保有の除雪機械を令和六年度までに約三倍となる百五十五台に増強するよう計画的に進めております。今年度には、新たに九台を追加配備し、百五十台となる見込みであります。加えて、除排雪作業の拠点となる除雪基地をこれまで県内各地に三十四か所整備してまいりましたが、新たに関ケ原町と下呂市地内の二か所で年内の運用を目指し、建設を進めております。 市町村との連携については、現在、県と関ケ原町など七市町村で、管理区分にとらわれず相互に乗り入れすることで一体的に除雪する体制を整え、迅速かつ効率的な除雪に努めております。今後も、降雪シーズン前の十月に開催する除雪会議を通じて、市町村が抱える課題やニーズを把握し、支援につながる連携策を検討するとともに、国、NEXCO中日本、県警察などの関係機関と連携を強化し、大雪時の市町村道への車の流入抑制を図るなど、冬季の円滑な通行確保に取り組んでまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時八分散会...