• "県政推進"(/)
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  1. 岐阜県議会 2023-09-01
    09月29日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 5年  9月 定例会(第4回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第四号)                 令和五年九月二十九日(金)午前十時開議 第一 議第七十号から議第百号まで 第二 請願第五号から請願第九号まで 第三 一般質問 第四 県議第十五号…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第七十号から議第百号まで 一 日程第二 請願第五号から請願第九号まで 一 日程第三 一般質問 一 日程第四 県議第十五号…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   木村千秋君      二番   判治康信君      三番   平野恭子君      五番   今井瑠々君      六番   牧田秀憲君      七番   黒田芳弘君      八番   森 治久君      九番   山内房壽君      十番   森 益基君     十一番   小川祐輝君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   平野祐也君     十六番   所 竜也君     十七番   今井政嘉君     十八番   藤本恵司君     十九番   安井 忠君     二十番   恩田佳幸君    二十一番   若井敦子君    二十二番   広瀬 修君    二十三番   布俣正也君    二十四番   酒向 薫君    二十六番   水野吉近君    二十七番   国枝慎太郎君    二十八番   長屋光征君    二十九番   高殿 尚君     三十番   田中勝士君    三十一番   加藤大博君    三十二番   松岡正人君    三十三番   小原 尚君    三十四番   水野正敏君    三十五番   野島征夫君    三十六番   渡辺嘉山君    三十七番   伊藤正博君    三十八番   川上哲也君    三十九番   伊藤秀光君     四十番   平岩正光君    四十一番   佐藤武彦君    四十三番   森 正弘君    四十四番   村下貴夫君    四十五番   尾藤義昭君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君 △欠席議員 一人    二十五番   野村美穂君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山田 恭 総務課長         桂川義彦 議事調査課長       若野 明 議事調査課管理調整監   森 信輔 同   課長補佐     槙田朝之 同   課長補佐     市橋ますみ 同   係長       佐藤由子 同   主査       水野 恵 同   主査       横田直道 同   主査       古藤綾乃…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        矢本哲也君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 環境生活部長       渡辺正信君 健康福祉部長       丹藤昌治君 商工労働部長       三木文平君 観光国際部長       丸山 淳君 農政部長         足立葉子君 林政部長         久松一男君 都市建築部長       藤井忠直君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        大濱健志君…………………………………………………………………………………………… △九月二十九日午前十時開議 ○議長(野島征夫君) おはようございます。 ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 発案書の提出について 議員から、本日付をもって、お手元に配付のとおり、県議第十五号 決算特別委員会の設置についての提出がありました。以上であります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十九番 高殿 尚君。    〔二十九番 高殿 尚君登壇〕(拍手) ◆二十九番(高殿尚君) 皆さん、おはようございます。 通告に従い、早速、二項目について質問をさせていただきます。 県政自民クラブ、水野県議から、次年度当初予算編成に向けた課題と対応方針について代表質問がありましたが、私からの一つ目の質問は、角度を変えて、令和六年度以降の当初予算編成方針に関して質問をさせていただきます。 本年度、令和五年度当初予算案は、第八波がようやく縮小に転じ、第九波到来に備える時期の中での発表でありました。この当初予算案は、そんな時期の今年の二月八日に発表があり、第一回定例会において県議会としても審議を重ね、五類移行の決定前の三月十六日に議決されたものです。 振り返りますと、コロナ禍に対峙した令和三年度、四年度当初予算は、県民の生命を守るウイズコロナ施策を最重要に位置づけながらも、疲弊した経済の再生に向けたアフターコロナ施策にも十分に配慮したものでありました。 こうした中、令和五年度当初予算は、先行きが不透明な第九波の到来への備えにも万全を期していかなければならない時期での予算編成であったことから、継続して必要なコロナ対策予算も残しつつも、社会経済の回復、再生、転換と、人口減少社会からの脱却を掲げ、様々な政策課題に対応した当初予算となっています。その後、コロナ感染症が五類に移行したことを踏まえ、予算上、感染抑止等への配慮を残しつつも、コロナ関連予算の減額補正の予算案が今議会に上程されています。 本年度上半期は、経済回復、再生の一つである観光産業の回復は、描いたとおりの事業展開でインバウンドのV字回復、国内観光の本格的な回復が着実に進んでおり、成果や効果が上がっていることに一定の評価をしています。一方で、物価高騰などからの本格的回復、さらには強靱な地域づくりに向けた予算化、事業化についてはまだ十分な実感が得られてないように感じています。 また、新型コロナとの厳しい闘いが続いた三年間、これまでにない頻度や規模で追加の補正予算が組まれるとともに、専決処分もありましたが、令和六年度当初予算編成はコロナ前の当初予算編成に戻ることになろうかと思います。次年度は、平常時モードに近い予算編成になることから、今年の三月に改定された「清流の国ぎふ」創生総合戦略を軸に、より一層積極的に政策課題に取り組む予算が編成されることを大いに期待しているところです。 当初予算編成は、夏に総務省が公表する地方財政収支の仮試算や概算要求の内容、内閣府の中長期の経済財政に関する試算など様々な情報を収集、分析しながら進められていくことになります。本年十月以降に、各担当部局から総務部に対して予算要求がされていくわけですが、ここで極めて重要となるのが当初予算編成方針になります。 この当初予算編成方針は、先ほど申し上げた国からの情報や県の財政状況を総合的に考慮し、県の当初予算編成の考え方を示すもので、主要な政策目標や施策の実施に必要な予算を適切に配分するための指針です。 例えば、昨年度の令和五年度当初予算編成方針を例に挙げますと、具体的な予算編成の視点・ポイントとして、重要政策予算予算要求基準の遵守、事務事業見直しの反映など十四項目にわたり予算要求のポイントが示されています。例年十月頃に総務部から示される予算編成方針に基づき、各部局が予算要求をしていくわけですから、大変重要なものになります。また、他県においても、こうした方針を作成した上で予算要求を受け付ける体制を取っており、限られた予算で最大限の効果や成果を生む予算を編成していくためにも、こうした編成方針の策定は当然の姿だと思います。 冒頭に申し上げましたが、ここ数年、命を守るための予算として、新型コロナウイルス感染症対策を重要政策として位置づけ、予算を傾けてきましたが、来年度、令和六年度は我が県の飛躍を支え、多岐にわたる新規事業の予算が各部局より要求されていくと私は予想しています。 特に私が注目しているものが、岐阜県と市町村が一体となり、オール岐阜で連携し地域の活力をボトムアップしていく事業です。オール岐阜でコロナを乗り越えた今、次はオール岐阜でアフターコロナに向け社会経済回復、再生、さらなる地域振興を進めていく事業に大きな期待を寄せています。 例えば、一年後に迫った「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四や、二年後の令和七年に開催されるねんりんピックなど、市町村との緊密な連携なくして成功は望めないビッグプロジェクトが続きます。また、日々の安全・安心の県土強靱化への予算化や事業等へもコロナの前のように展開されていくと思いますし、新型コロナ感染症を契機に一年前倒しをして改定された「清流の国ぎふ」創生総合戦略の達成に向けて、県内市町村と連携し多彩な事業が展開されていくと思います。 私の一つ目の質問のポイントはここからです。 先ほど当初予算編成方針の重要性と市町村との連携事業の期待について説明しましたが、特に私が焦点を当てるポイントは、岐阜県には当初予算編成方針に市町村との連携に関する記述がないことです。岐阜県の当初予算編成方針には、予算要求に当たり関係者等の調整に関して次のように記されています。既存事業の縮減を行う場合には、各事業を一律減額するのではなく、事業の廃止、休止による抜本的な見直しに努めること。また、その場合においては、関係者や関係団体との意思疎通を十分に行うこと。また、新規事業については、新設された国事業への対応等の真に必要な事業に厳選し、安易な既存事業による事業等は要求を慎むこととされています。 これまでも、当然、県と関係市町村とは事前に十分に調整を行っているとは思いますが、本県の編成方針には市町村との連携、情報の共有、十分な調整等といった内容の記述はありません。新規事業、継続事業ともに、市町村と連携が必要な事業、特に市町村の財政負担が生じるような連携事業を計画する際には、当初予算の要求前に県担当課と関係市町村とが情報共有を図り、事前に連携、調整が必要不可欠です。 ここで、近隣県の当初予算編成方針の中で、市町村との連携に関する記述を紹介いたします。 三重県の当初予算編成方針では、事業に伴う市町との連携といった項目の中で、市町村負担を伴う新規事業等については、当該市町の財政状況等とともに密接に関連するため、事業の計画に当たっては、事前に地域連携部市町村行財政課の意見を十分に聞き取るとともに、関係市町村と十分、連携・調整の上、予算要求をすることとされています。 また、長野県の当初予算編成方針では、特に留意すべき事項といった項目の中で、予算に関する情報を県民や市町村、関係団体等と共有し、説明責任を果たすよう留意する。また、経費負担の変更を伴うものについては、市町村等と十分な調整を行うなど適切な対応に努めるとされています。 このように隣県と比較しても、本県の当初予算編成方針は、市町村への情報提供や連携、費用負担に関する記述が不十分に感じられます。新たな事業や事業の見直しについては、既に予算編成方針が示される前から各部局において様々な検討や準備が進められていると思います。特に、市町村の負担が伴うものについては、そうした段階から必要な情報共有や十分な連携、調整が必要であることは言うまでもありません。 予算編成方針においても、これを明確にすることでより一層徹底され、令和六年度の着実な事業展開につながるのではないかと思います。 そこで、総務部長にお伺いをいたします。 いよいよ本格化する令和六年度の予算編成作業を前に、市町村と連携が必要な事業について、情報共有や調整をした上で予算要求をすることを予算編成方針でも明確にしてはいかがと考えますが、お考えをお尋ねいたします。 次に、宿泊業の高付加価値化に向けた支援について、質問を続けます。 県の重要産業の一つである宿泊業は、本県の地域経済を支える柱となっています。この産業が持続的な成長を続けるためには、私はコロナ前から継続的に続く人材不足の解消とともに、新たな高付加価値化による消費額増加の二つを戦略的に取り組む必要があると思っています。 さきの県政自民クラブの代表質問においても、人手不足が特に著しい宿泊業の人材確保について取り上げておられますが、私の質問は少し観点を変えて、宿泊業が人手不足という逆境の中にあっても、経営を持続・安定化させるべく高付加価値化により収益性を高める取組の重要性を訴えるものであります。 まず全国都道府県の中の岐阜県の位置づけを紹介いたします。アンケートによる都道府県のランキングで一喜一憂をすべきではありませんが、ブランド総合研究所が実施した都道府県の魅力度ランキングでは、岐阜県の順位は直近の二〇二二年は三十四位となっています。全国の市町村のランキングでは、下呂市の五十三位をトップに、高山市は前年の百五位から六十四位、白川村は前年の九十八位から六十八位と飛騨地域が大きく順位を伸ばしています。 この調査は、都道府県の魅力度に加えて、認知度、情報接触度、居住意欲度、観光意欲度といった項目について調査を行っており、魅力度の高い自治体では、ほかの評価項目でも評価が高い傾向が見られます。魅力度が高い要因は、真心の籠もったおもてなしや、地域ならではの素材を使った料理、良質な温泉等、宿泊した際の評価がそのまま都道府県や自治体の評価になっているとも思います。 私は、岐阜県がこれまで積み上げてきたブランド力に新たな高付加価値をつけることで、より一層魅力度が増して岐阜県を旅先に選んでいただけると期待をしていますし、各自治体もそれぞれ新たな高付加価値を見いだすことでトータルとして岐阜県の魅力度がアップし、さらに地域の存在価値も高めることができると思っています。 高付加価値化については、近年、観光庁の政策でもこれを目的とした事業が増加していますが、特に中小規模の事業者の割合が多く生産性の低さが指摘される観光産業では、多くの経営者が高付加価値化の重要性を理解しているものの、その具体的なアプローチについて悩んでいる方が非常に多い状況です。 なぜ高付加価値化が重要なのでしょうか。それは人口減少社会において、国内旅行需要の縮小と働き手の不足は避けては通れない状況や課題になっているからです。さらに、物価の高騰も深刻な問題です。観光産業を持続的に発展させるためには、少ない労力で高い利益を上げる仕組みを築く必要があり、それが高付加価値化なのです。 付加価値とは、商品やサービスに付け加えられた独自の価値を指します。この独自の価値を高め、顧客に伝えることで売上げと利益を伸ばすことが可能となります。つまり、これまでのように観光客の数だけではなく、これまで以上に質に焦点を当て、一人当たりの消費額を増やす戦略が欠かせません。 高付加価値化の手法については様々な方法がありますが、その一つが一回の取引における単価を引き上げることです。価格を高くしても、購入意欲を引き出せなければ効果はありませんので、お部屋、お料理、お風呂、おもてなしといったサービスに独自の価値を提供し、宿泊客に高い価値を感じてもらい、それに見合う料金を払ってもらうことです。 さらに進んだ取組として、観光庁では高付加価値旅行者に対して「ウリ」「ヤド」「ヒト」「コネ」のそれぞれの分野に係る施策の推進にも取り組んでいます。 「売り」とは、高付加価値旅行者のニーズを満たす滞在価値、「宿」「人」とは、地方への送客、ガイド、ホスピタリティー、「コネ」とは、海外高付加価値とのネットワーク、効果的な情報発信、さらに「足」、これは交通機関や道路整備やネットワークであると思います。 これらの観点から、観光庁では地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりアクションプランを取りまとめ、国内十一のモデル観光地を集中的に支援しており、その一つに松本・高山エリアが選定されています。 冒頭にも申し上げたように、私はこれからの宿泊業は、人材不足の解消と高付加価値化による消費額増加が鍵を握っていると思います。人材不足については、これまでの一般質問や様々な報道等でも紹介されていますが、最近の例を挙げると、二〇二五年には、高山市内の宿泊施設の客室数が現在の三千八百室から、新規参入計画のあるホテルも増え五千室に増えると予想されており、今後求人数が増えることが必至となっております。現状の人材不足がまずは解消されない限り、五千室を稼働することは難しく、おもてなし力の低下や魅力度・満足度の低下にもつながります。 こうした状況を踏まえ、私の地元飛騨高山旅館ホテル協同組合では、部門ごとに労働者の数や不足人数を定期的にアンケート調査し現状を把握しており、業界としても本腰を入れて人手不足の解消に取り組もうとする動きが進んでいます。息の長い取組となりますが、人材不足の解消に向けた取組を着実に進めることで、増加を続けるであろう観光客をしっかりと受け止める体制を整え、そして高付加価値化による消費額増加に向けて観光客の個別ニーズに対応した高品質なサービスを提供していくことが宿泊業の飛躍的な成長につながるのだと思います。 現在、国を挙げて高付加価値な観光コンテンツ造成体験プログラムづくりが推奨されております。この高付加価値化の取組は、体験プログラムだけにとどまらず、個々の宿泊施設においても必要なものではないでしょうか。DXを活用し、生産性向上や働き方改革を進めるとともに、様々な工夫を凝らして業務効率化、人材確保が進められるでしょう。 ただ、人口減少の中、全国各地で、またあらゆる業種で人手が足らないという状況は今後も続いていくのではないでしょうか。そうした前提の下、いわゆるおもてなしの接客や、その宿ならではの食事、くつろぎ方、遊び方など、高付加価値のサービス提供によりリピーターの増加も期待できます。人手不足の中、満室稼働ができない状態にあるからこそ、簡単ではないでしょうが一泊当たりの消費単価を上げることで、限られた部屋数でもコロナ前の消費水準に戻すことが可能となるのではないでしょうか。 そこで、観光国際部長にお尋ねいたします。 宿泊業の持続可能な経営のためには、その高付加価値化が重要ではないかと考えますが、その実現に向けてどのように支援していかれるのかをお尋ねいたします。 以上二点、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 総務部長 尾鼻 智君。    〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎総務部長(尾鼻智君) おはようございます。 当初予算編成方針における市町村との連携について、お答えいたします。 県の政策や施策を進める上で、市町村や各種団体など関係者との調整や情報を共有すること、これは当然のことであります。しかしながら、このところ、これらが十分になされていないと感ずる場面があります。 私からは、御質問に沿って予算に関連して答弁させていただきますが、本来、関係者との連携は予算要求時に限らず調査、立案、実行といった県政推進の各段階において意識しなければならないことです。 特に、多様化する行政ニーズに的確かつ効率的に対応していくためには、住民により身近な存在である市町村との連携は不可欠であります。このことを全職員が改めて強く認識し、業務に当たる必要があります。その上で、来年度の予算編成方針においても市町村など関係者との連携、調整、情報共有について明示してまいりたいと考えております。 ○議長(野島征夫君) 観光国際部長 丸山 淳君。    〔観光国際部長 丸山 淳君登壇〕 ◎観光国際部長(丸山淳君) 宿泊業の高付加価値化に向けた支援について、お答えいたします。 コロナ禍で大きな打撃を受け、また昨今の人手不足に直面する宿泊業の業績回復には、高付加価値化の取組が不可欠であります。 現在、宿泊業におけるデジタル技術の導入による業務効率化など、生産性向上に向けた取組への支援を進めておりますが、同時に客単価のアップにつながるサービスの向上など、高付加価値化への支援が必要だと考えております。 例えば、全国の成功事例をテーマに実際に取組を進める事業者等を講師に招いた研修会や、専門家による個別相談会の開催により、宿泊施設の取組を促すことが考えられます。また、宿泊施設の品質や持続可能な取組に対する国内外の第三者認証や、観光庁によるバリアフリー対応等に積極的な施設を対象とする心のバリアフリー認定の取得なども有効と考えます。 今後も、引き続き事業者のニーズを丁寧に伺いつつ、宿泊業の高付加価値化、ひいては持続可能な産業への変革に向け効果的な支援策を検討してまいります。 ○議長(野島征夫君) 七番 黒田芳弘君。    〔七番 黒田芳弘君登壇〕(拍手) ◆七番(黒田芳弘君) 新人議員でございますが、質問の機会をいただき誠にありがとうございます。 議長から発言の許可をいただきましたので、通告に従い大きく二項目、三点について林政部長に質問をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 まず初めに、市町村が進める森林管理に対する支援について質問いたします。 我が県の森林面積は、令和三年度版岐阜県森林・林業統計書によると県土の八一%を占めており、全国第五位の森林面積を有しております。 森林資源は、林業、木材産業として我が県に豊かさをもたらすのみならず、大雨、台風などの風水害を最小限に抑えるとともに、大気中の二酸化炭素を吸収するなどカーボンニュートラルの実現にも資するものであり、林業政策は本県にとって重要な施策の一つと考えております。 こうした中、平成三十年五月に森林経営管理法が可決、成立し、平成三十一年四月から森林経営管理制度がスタートしました。この制度では、森林所有者に対し適切な森林の経営管理を促すための市町村の責務が明確にされ、森林所有者自らが森林を経営管理できない場合は、市町村が森林の経営管理の委託を受け、経営に適した森林は林業経営者に再委託を行います。一方で、経営に適さない森林については、市町村が直接管理することで、災害防止や地球温暖化防止など森林の公益的機能を高め、森林の活性化と適切な管理の両立を目指すものであります。 この制度で市町村が森林管理を行う場合、まず初めに所有者確認、次に森林管理の意向調査、次に現地調査、境界確定を行い、経営管理権集積計画を策定し、ようやく間伐等の実施といった手順で進められることになります。 制度のスタートから四年以上が経過した今、森林経営、森林管理に携わる方々から話を聞くと、岐阜県の地籍調査実施率は全国平均に比べ著しく低く、森林経営計画の策定時、境界確定に時間とコストがかかる。森林の所有にメリットを感じていない所有者も多く理解が得られない。このままでいいから放っておいてほしいという所有者も多い。記名共有となっている土地について、未相続などで一名でも所有者を特定できない場合、その筆丸ごと森林整備ができないというように、森林整備が思うように進まないといった声が現場からは聞かれます。 また、私の地元本巣市においても、森林経営管理制度の推進に当たり、全体計画を立て積極的に取組を進めています。本巣市では、意向調査候補を三千四百六十ヘクタールの森林に絞り込み、意向調査の計画を立てたとして、この調査だけで二十年以上を要することになるそうであります。 また、林業に携わる方々と繰り返し意見交換をする中で浮かび上がった森林整備が進まない原因の大きな理由の一つ目は、所有者の特定や境界確定が困難であることです。そもそも令和五年版森林・林業白書によると、日本の森林面積の五七%は私有林で、その多くが所有者や境界が不明確となっています。その主な理由として、保有しているが自分の山がどこだか分からない、高齢や遠隔地のため立会ができない、境界の確定には費用がかかる、隣接する所有者が分からない、相続登記が適正に行われず所有者不明となっている、地籍調査が進んでいないなど様々な理由があります。 令和五年六月の国土交通省の発表によれば、令和四年度末の林地の地籍調査実施状況は四六%にとどまっており、各都道府県別での地籍調査進捗率が八〇%以上の都道府県は十県しかありません。特に、東海三県では進捗率は二〇%以下と大変遅れています。中でも、山村部では高齢化や過疎化が進み、離村する土地所有者も増加しているため、所有者探索が極めて困難であるとしています。 二つ目に、所有者に経営意欲や管理意識がないことであります。主な理由は、相続したが遠隔地に住んでいるので興味がない、森林を所有していることにメリットがない、高齢者は自分の代で終わりにしたいなどであり、このため積極的に手放したいとまではいかなくても所有しているだけの森林が多くなります。 以上、大きく所有者の特定や境界確定が困難であることと、所有者に経営意欲や管理意識がないことの二点御紹介しましたが、立地、山地の地形など林業が難しい森林についてはともかく、経営が可能と思われる森林についても、所有者不明等の理由で放置され、所有者に施業の意向確認にさえ行き着かない状態は残念でなりませんし、多数の支援を求める声が聞かれました。 こうした中、令和三年四月に、民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が成立し、来年の令和六年四月一日より相続登記の申請が義務化されます。 これは過去の相続にも適用され、土地の所有者不明問題の解決策へ期待が持てます。これを契機に、森林所有者の意向を把握し森林整備の推進が図られるよう、来年に迫った法施行のタイミングを生かし手を打つべきときであると思いますし、市町村も効率的な手法を模索しております。 令和六年四月からの相続登記の申請の義務化により一歩前進ではありますが、それだけでは足りません。市町村が把握する森林所有者情報と登記の義務化とを有効活用することにより森林所有者の特定、森林整備の意向等が進むことを期待しています。 例えば森林経営管理制度に基づかない手法として、市町村へ提出される森林の土地の所有者届出書により所有者の意向確認と情報開示の同意を求め、データベース化した所有者情報などを県で一元管理し公開することで、所有者と林業事業者とのマッチングが進み、森林管理の効率化が図られるのではないかと思います。 さて、森林経営管理制度は手入れの行き届いていない森林について、市町村が森林所有者から経営管理の委託を受け、管理、整備することとなっていますが、そのためには森林所有者の特定、意向確認、さらには経営管理権集積計画を策定する必要があります。しかしながら、多くの市町村は林務担当職員や林業の専門知識のある職員が不足するなど対応に苦慮している現状があります。 そこで質問に入ります。 市町村が森林経営管理制度に基づいて森林の管理、整備を進めていくため、県はどのように支援していくのか、林政部長にお尋ねをいたします。 次に、二点目、角度を変えまして、県外への販路拡大に向けた取組についてでありますが、森林の歴史を振り返ると、戦中と戦後には過度な木材伐採が行われ、その結果、山地と川が荒廃しました。山林の木材を切り過ぎたことが山の保水力の低下を招き、土砂災害の原因となりました。戦後、木材需要の増加を見越して、国は拡大造林政策を採用し、天然林を針葉樹や人工林に置き換え、需要に対応しようとしました。多くの山林所有者も将来的に利益を得られると期待し、この政策に協力しました。 しかし、後に外国からの木材輸入が自由化され、木材価格が下落したことで国内の林業は衰退し、中山間地域から都心部へ若者の流出が増加しました。さらに、木材の価値が低下したため、適切な森林管理や間伐が行われず、災害のリスクが高まりました。最近では、環境への影響からCO2削減が注目され、また木材価格の上昇、ウッドショックにより林業の転機が迫っていると感じています。 本県の県産材需要量に目を向けますと、第四期岐阜県森林づくり基本計画によれば、令和二年の四十二万五千立方メートルから令和八年には六十万六千立方メートル、約一・四倍に増加する見込みであります。 令和八年の岐阜県内の品質別需要量の割合は、A・B材が合わせて四九%、二十九万六千立方メートルに対し、C・D材は五一%、三十一万立方メートルとなり、国が示す目標値と比較するとA材需要は七%低いのに対し、D材は逆に一七%高くなっています。これはC・D材を燃料とする木質バイオマス発電所について、令和五年から八年にかけて新たに岐阜県土岐市、神戸町、美濃加茂市、郡上市において四施設が稼働する予定となっており、バイオマス燃料の増加によるところが大きな要因として挙げられます。 木質バイオマス発電は森林資源の有効活用であり、地球環境に優しく地域産業の活性化、森林の保全・整備、環境保全、雇用の創出など、地域における経済循環の構築等に大きな波及効果を持っており、貴重な国産のエネルギー源として期待されています。国産木質バイオマス燃料材の調達に当たっては、既存用途への影響を最小限に努めることなどから、未利用材を利用する発電については、計画段階で事前に地域における供給可能性について都道府県等と調整することとなっています。 環境面で優れ、森林整備の推進、山村地域の活性化にも貢献する木質バイオマス発電の稼働を順調に続けるためには、その燃料となるC・D材を含めた未利用材を安定的に供給していくことが求められています。発電に使用される燃料材は、通常C・D材と呼ばれ、建築用の丸太の生産過程から得られる曲がり材や枝、そして葉などです。これらの材料の供給量はA・B材と呼ばれる建築用材の生産量に直結しており、特に近年は建築用材の需要と供給の変動による影響が大きくなっています。 林業の原点に立ち返れば、木材本来の建築用材としてのA・B材の需要が拡大し、その結果としてC・D材が確保されるバランスの取れた状態が理想的であり、まずはA・B材の需要拡大が必要となります。A・B材の主要な用途は建築用材でありますが、県内の住宅着工戸数を見ると、令和三年の一万一千三百六十四戸に比べ令和四年は一万九百四十五戸の三・七%減と減少傾向にあります。また、野村総合研究所の発表によると、全国では二〇二二年度の新設住宅着工戸数八十六万戸に対して二〇三〇年には七十四万戸、二〇四〇年には五十五万戸に減少する見込みで、大幅な回復は期待できない現状にあります。 そのような中、A・B材の需要拡大を図るには、県内はもとより首都圏や関西圏など国内のより大きな市場に目を向けていく必要があると考えられます。 そこで質問に入りますが、A・B材の需要拡大をするために、県外への県産材の販路拡大を今後どのように取り組んでいくのか、お考えを林政部長にお尋ねいたします。 最後の質問、木質バイオマス燃料としての供給に向けた取組についてに移ります。 先ほど申し上げたとおり、本県では、令和八年までに新たに四施設の木質バイオマス発電所の稼働が予定されていますが、全国では令和五年三月末現在、再生可能エネルギー固定価格買取制度の計画認定を受けた発電施設は四百七十四か所の認定が有効であり、このうち二百十九か所で稼働しています。このうち主に未利用木材を使用する発電施設は二百七十九か所の認定が有効であり、このうち百二十一か所で稼働しています。 今後も、全国的に新たな木質バイオマス発電所が計画されていく見込みですが、その一方で、今年の八月には、塩尻市で稼働していた発電所に対して燃料を供給していた企業が経営破綻し、民事再生法の適用を申請しました。長野県がこの施設に対して二十三億円余りを支援していたとの報道もあり、年間十八万立方メートルもの木材を必要とする計画が適正だったのかどうかとの指摘もあります。ほかにも、二〇二二年十二月には、兵庫県の朝来バイオマス発電所が停止をしております。さらに、茨城県宮の郷バイオマス発電所でも燃料の確保が困難として稼働を停止する事態となっています。これらは内陸部に位置する発電所で、その燃料は国産材の未利用材に限られていますが、搬出困難な山の中にあることもあって年々遠距離となっており、未利用材の調達コストの高騰が原因のようであります。 再生可能エネルギーの一角を占める木質バイオマス発電でありますが、カーボンニュートラルで化石燃料由来のCO2を出さないとされていることから木材を燃料にする発電への注目が増していますが、完成したバイオマス発電所を稼働できない、稼働を止める事態が各地で発生しています。 また、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会が今年一月、全国のバイオマス発電所に行ったアンケートでは、回答のあった施設の四割近くが計画どおりに稼働できないとし、要因として最も多かったのが燃料不足としています。稼働停止へ追い打ちをかけたのは、燃料向けの木材不足によるコストの上昇だと言えますし、本県においても木質バイオマス発電所の燃料となるC・D材の需要の増加に対応できないことが危惧されます。 台風や雪害による災害や、虫による被害、鹿や熊による獣害を受けた森林など、A・B材がほとんど取れなくなった森林は、今後も林業経営として成り立つ可能性が低いと考えられることから、放置されたままとなっている現状も踏まえ、これを機に採算が取れない森林については積極的に伐採し、C・D材として搬出することでバイオマス燃料の量的な不足への当面の対応策となるのではと考えます。ただし、C・D材は価格が安いため、木材の伐採の搬出に係る経費を考えると採算が合わないことが多く、さらに伐採後の着実な再造林を進めていくためには県の支援が必要です。 現在、国が花粉症対策として杉の植え替えなどに対する支援策を検討されているため、県は国の動向をいち早くつかみ、国の制度も活用しながら支援策を検討することはできないかと考えます。そうすれば、採算の取れない森林においても主伐、再造林が進み、林業経営を行うことができる森林への再生が進むのではないかと思われます。 そこで質問に入りますが、林業経営が成り立たない森林の皆伐を進め、バイオマス燃料として供給していくためにどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 以上三点、林政部長にお尋ねをいたします。 これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(野島征夫君) 林政部長 久松一男君。    〔林政部長 久松一男君登壇〕
    ◎林政部長(久松一男君) 三点御質問をいただきました。 初めに、市町村が進める森林管理に対する支援についてお答えします。 森林経営管理制度の推進に当たり、市町村では専門的な知識を有する人材が不足しており、現場では所有者が不明で境界が不明確な森林が多いという課題があります。このため、市町村を支援する地域森林管理支援センターを設置し、担当者の理解度や業務の段階に応じた研修会とともに、市町村からの要望に応じて地域森林監理士を派遣し、所有者への意向調査など実務への支援を行っています。さらに、今年度からは所有者の特定や境界確定などの事案に対して弁護士、土地家屋調査士等の専門家に随時相談できる体制を整えております。 これにより、制度開始から四年で全ての市町村が意向調査に着手しましたが、所有者の特定などに手間や時間がかかることから、昨年度の間伐面積は目標の七割に当たる五百七十七ヘクタールにとどまっています。今後、相続登記の申請義務化により所有者の特定が進むと見込まれることから、この機に境界の明確化をさらに進めるための方策について市町村とともに検討をしてまいります。 次に、県外への販路拡大に向けた取組についてお答えします。 平成二十七年度から県内工務店が県外で建てる県産材住宅を支援しており、これまで八年間で二百四十四棟が建設されました。また、製材加工施設の整備など県産材製品の供給体制を強化してきた結果、大手工務店等からの受注が増え、県外の工務店が建設する県産材住宅は年間九百棟と全体の半数を占めるまでになっています。 こうした需要は主に愛知県を中心とする中京圏であり、今後は住宅のみならず、非住宅を含め建築需要が旺盛な首都圏、関西圏に販路を拡大させてまいります。具体的には、建築用木材の流通の要となるプレカット工場や、東京オリ・パラ物件など大型公共施設で木材納入実績のある商社と連携し、その営業担当者などに現地の販売コンシェルジュとして活動いただきます。そして、設計者や建築事業者に対し、ブランド材である東濃桧の柱をはじめフローリングや壁板、家具など幅広い県産材製品の活用を提案することで新たな需要先の確保につなげてまいります。 最後に、木質バイオマス燃料としての供給に向けた取組についてお答えします。 過去五年間の県内の森林被害は、気象災が約千三百ヘクタール、病虫獣害が約三千六百ヘクタールに上ります。被害に遭った森林の公益的機能の低下を防ぐため、令和元年度から伐採から再造林までを一貫して実施する経費を支援していますが、この四年間で約四十ヘクタールにとどまっています。整備の推進には、搬出される低質材の利用先の確保と採算性を両立させることが課題です。 こうした中、令和六年度の国の概算要求において、新たな花粉症対策として杉人工林の伐採、植え替えへの支援や所有者への協力金の支給などが盛り込まれたところです。 こうした国の動向を注視しつつ、被害森林の整備を加速化し、低質材の搬出量を拡大するとともに、バイオマス発電施設に安定的に供給されるよう事業者間の調整を進めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 十二番 中川裕子君。    〔十二番 中川裕子君登壇〕 ◆十二番(中川裕子君) それでは、日本共産党の代表質問を行います。 まず初めに、物価高騰の影響を受ける医療機関、社会福祉施設等への支援についてです。 長引く物価高騰により値上げが追いつかないという厳しい状況が続いています。特に深刻なのは、値上げができず経営努力で収入を上げることもできない社会福祉施設や医療機関、またカンパや補助金のみで運営している子ども食堂など県民への支援の活動です。 子ども食堂では、希望者が昨年の二倍近くに増えているそうです。子ども食堂を必要としている子供たちが増えているということですが、あらゆる食材が値上がりしてメニューを考えるにも限界が来ているとの声が届いています。現状に合わせた補助金制度の見直しなど支援が必要だと思います。 また、介護施設などでは、現在の介護報酬が今の物価高騰を前提としたものになっていないため、必要経費の値上がりで非常に苦しい状況になっているとのことです。こうした介護施設をはじめ保育所などの社会福祉施設や医療機関は、事業の特性上、サービス内容を削ったり変更することも、経営努力で収益を上げるということもできません。 県では、昨年十二月議会において、光熱費の高騰に対応するため、医療機関、高齢者・障がい者施設、保育施設等に対しおよそ十八億円の補正予算を組み、交付金として支援を行っております。現在もなお光熱費にとどまらず、あらゆる物価高騰が長引いている以上、こうしたきめ細かい支援はさらに重要になってくるのではないでしょうか。 国においては、この秋に物価高騰対策を盛り込んだ経済対策や地方自治体への追加の交付金も検討されているようですが、既に現場からは厳しいとの声が届いており、国の動きを待たず早急に県として対策をする必要があります。 現在、県有施設整備等基金には物価高騰にも活用可能な枠がおよそ五十七億円、また不測の事態に備えた財政調整基金はおよそ百七十五億円が積み立てられているとのことです。これらの基金の活用も視野に検討する必要があるのではないでしょうか。 そこで、知事に質問いたします。 昨年度、医療機関、社会福祉施設等への支援金を実施しましたが、状況は変わらず物価高騰の影響が続いています。第二次の支援金、検討できないでしょうか。 続いて、有機フッ素化合物PFAS問題について、質問いたします。 一昨日の松岡議員、昨日の平野議員、地元選出のお二人の質問と重複する部分があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。 PFASとは、泡消火剤、撥水剤として利用されてきたPFOS、テフロン加工などのフッ素樹脂製造などで使用されてきたPFOAを含む総称であり、ほぼ分解されない永遠の化学物質とも呼ばれているものです。発がん性、胎児や子供の発育など、様々な健康への影響が指摘され、ストックホルム条約でそれぞれ廃絶、使用、製造の禁止が決められております。 日本においては、二〇二一年までにPFOS・PFOAの製造、輸入を禁止しましたが、禁止前に製造、販売されたものについては使用が禁止となっておらず、PFOSについて環境省は在庫量の調査を現在行っているという段階です。 岐阜県では、各務原市三井水源地の井戸において、国の暫定目標値を大きく超える数値が水道水や地下水から検出されたのは御案内のとおりであります。また、報道によりますと、二〇二一年度の防衛省の調査で、航空自衛隊岐阜基地の消火用水槽から暫定目標値の三百八十倍に当たる濃度が検出されていたとのことです。その後、基地敷地内でも、各務原市の要請に応え調査がされているとのことです。 日本で初めてPFAS問題が明らかになったのは、大阪府のダイキン工業周辺です。このダイキン工業周辺では、土壌から高濃度の数値が検出、そこで取れた作物と、それを食べた住民の血液から高濃度のPFOAが検出されております。ダイキンは二〇一五年には既にこれらの使用を中止していますが、土壌に残留したPFOAが地下水を汚染し続けているのかもと指摘されております。 このように、これまでの事例から考えると影響が長引く、続く可能性があり、まずは早急な水道水の浄化を優先するとともに、地下水や河川だけでなく土壌調査や住民の血液検査、健康調査をきめ細かく行い汚染の状況を全体像として把握し、問題を明らかにしていく必要があると考えます。 そこで四点伺います。 県内の市町村の対応は様々ですが、県が確認するまで水質調査がされていなかった、または調査した多くの自治体で結果が公表されていなかった、基準超過が住民に知らされていなかったなど、国の通知から見ると適切とは思えない対応があったようです。 一点目、知事にお聞きします。 県内自治体の状況を受けた県の姿勢について、お考えをお答えください。 二点目です。こちらも知事に質問いたします。 現在、県と市において全容把握に取り組んでいるとのことなので、実態把握のための国への要望についてです。基地内の土壌調査をくまなく行い、情報を公開することで全容が把握できると思います。各務原市は防衛省に対し調査の要請を行っていますが、しっかり全容把握を進めるためにも、県も各務原市と足並みをそろえて要望すべきではないでしょうか。 三点目、水道水浄化のための財政支援についてです。 水道事業会計内で浄化対策を行えば、それは将来的に水道料金に跳ね返ることになります。 健康福祉部長にお聞きします。 昨日の御答弁にあったように、水道水の浄化のために活用できる国の水道施設整備補助金は、各務原市は対象外とのことです。国に対し、補助要件の緩和とともに、PFAS除却のための新たな補助金制度、補助金創設を要望すべきと考えます。また、県でも支援すべきではないでしょうか。お答えください。 四点目、住民への血液検査の実施について、こちらも健康福祉部長にお聞きします。 日常的に飲料水として使用されていた住民からは、血液検査の実施を求める声が出ております。今回、岐阜市にあるみどり病院が大学の研究機関と連携し百人規模の血液検査を実施すると発表し、募集を始められました。しかし、予算や病院の体制にも限界があるため、本来は国や行政がしっかり取り組んでほしいともおっしゃっておられます。 また、豊山町では、血液検査とともに医療機関が医療面での健康相談を実施しており、こういった取組は血中濃度の高い方の健康被害を予防するという観点で非常に重要であると思います。 そこでお聞きいたします。こうした取組を進める民間と情報共有するとともに、県も連携していただきたいと思います。また、血液検査実施を国へ要望するとともに、県としても検査実施などの取組、できないでしょうか、お答えください。 続きまして、気候変動適応法改正に伴うクーリングシェルター設置などの取組について、健康福祉部長に伺います。 前提として、災害級猛暑の発生リスクを高めている気候危機の打開に、まずは国も県も真剣に取り組むべきですが、同時に熱中症対策は命に関わる問題だという危機感を持って、予防にも取り組む事態が来ているという点で質問いたします。 この夏、岐阜県では熱中症や熱中症疑いで救急搬送された方が九月二十七日時点の速報値で一千六百六十六人に上りました。全国では、熱中症による救急搬送が年間数万人超え、死者は年間一千人という水準であり、まさに災害級です。 今後はこの熱中症リスクがさらに上昇すると予測され、政府は、本年五月に熱中症対策実行計画を閣議決定しています。適切な予防や対処が実施されれば死亡や重症化を防ぐことができるとし、熱中症は全ての世代の国民の生命や生活に直結する深刻な問題であると位置づけております。 そこで健康福祉部長に伺います。 来年春に全面施行となる改正気候変動適応法では、地方自治体の役割として熱中症特別警戒情報の通知や伝達、庁内の体制整備に加え、冷房がある施設を指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターとして市町村長が指定し、熱中症警戒情報の発表中に一般に開放するなどの取組が示されました。熱中症リスクの高い高齢者、障がい者、乳幼児が適切に身を守ることができる環境をつくるためには、部局横断的な取組をするとともに、肝腎のクーリングシェルターが身近な場にあること、物理的にも心理的にもアクセスしやすいことが求められ、行政にとどまらず民間事業者も巻き込んだ仕組みが必要だと思います。 しかし、実施に前向きな市町村であっても、人員配置や所要コストなど検討すべき課題があるため、全県的な取組になるよう県も連携して取り組んでほしいと思います。そのため、大本である県の地球温暖化防止・気候変動適応計画の補強をし、全県的、部局横断的に対応することを強く求めます。 そこで、一点目です。 クーリングシェルター設置は地方自治体の判断となっていますが、命に関わる重大な問題として考えるべきです。県の対応方針をお聞きします。 二点目です。 県も含め、県内全ての自治体で多数の公共施設を開放する取組を展開するべきと思いますが、どのような体制でどのように取り組むか、お聞きします。 二点、健康福祉部長に質問いたします。 続きまして、国民健康保険事業について、こちらも健康福祉部長に質問いたします。 国民健康保険は、もともと市町村の事業でしたが平成三十年度より県単位化され、新たに事業主体として県も加わりました。県は、市町村が県に納める納付金の設定と、市町村への交付金の拠出、市町村は保険料の賦課徴収というふうに役割が分担されてきました。 今の制度となり六年が経過しますが、低所得者が多いにもかかわらず、保険料はほかの健康保険に比べ高いという構造的な問題は依然として解消されておりません。県単位化とともに、それまで市町村が保険料を納めるために実施してきた一般会計からの法定外の繰入れは、岐阜県国保運営方針のもとで、削減すべきとされてきました。国からの財政支援は実施されましたが、今、加入者の実態から見るとまだまだ少ないのが実感です。 厚労省がまとめた国民健康保険実態調査によりますと、岐阜県における加入世帯、平均所得は百四十三万円余ですが、それに対し世帯当たりの保険料調定額は幾らかというと十四万七千円余、所得の一割以上を占めています。非常に高い負担になっていることがこの数字からも明らかです。 市町村ごとに保険料収納率の目標が設定されていますが、この状況からも分かるように、保険料の支払いは容易ではなく、払いたくてもどうしても払えないという状況が広がっているのが実情です。さらに、県単位化による激変緩和策は今年度で終了するため、保険料の負担は軽減どころかさらに厳しいものになることが危惧されます。 もう一つの視点として、ほかの健康保険、協会けんぽと国保との保険料の比較、これを同じところに住んで同じ家族構成、そして同じ収入でどれほど差が生じているかについても申し上げます。ちなみに、ここでの保険料、国民健康保険料は全国統一の算定基準による都道府県標準保険料率、均等割のみというものを使用し、岐阜県の場合で試算しました。 例えば県内に住む二十代、一人暮らし、給与年収百八十万円の場合、協会けんぽに加入しているとおよそ八万八千二百円ですが、国保だと十三万三千五百円、およそ一・五倍の差が生じます。三十代の夫婦、小学生二人、給与年収四百万円の場合で計算しますと、協会けんぽはおよそ十九万六千円ですが、国保だとおよそ四十六万七千七百円、こちらは何と約二・四倍になっています。同じサービスでありながら、同じ収入でありながら、同じところに住みながら加入する健康保険が異なるだけでここまで差が生じています。 そこで四点、健康福祉部長に質問します。 一点目です。 このように協会けんぽとほかの保険と比較すると、国保は保険料が高くなっています。低収入の方が多いにもかかわらず相変わらず高い保険料であり、加入者からは高過ぎて苦しいという声が聞こえます。県の認識をお聞きします。 続きまして、新たな運営方針の影響と県における保険料引下げへの取組について伺います。 現在、来年度からの国保運営方針を策定中ですが、そこでは保険料率の統一化が掲げられており、今年度までに市町村と合意形成を目指すというところです。保険料率統一化については、平成二十九年時に医療費水準の高い市町村から低い市町村への負担の転嫁が生じ、医療費水準の低い市町村において保険料水準の急激な上昇を招きかねないと、県、国民健康保険運営協議会から答申があり統一化が見送られてきた経緯があります。 今回、令和十一年度までに段階的に統一化が進められる検討がされているようですが、そうなるとあまり医療費を使っていない市町村の保険料が引き上げられることになります。実際に、飛騨市では段階的に保険料が引き上げられるとの説明が既にされているようです。統一化が根本的な問題解決につながらないことが明らかです。 そこで二点目です。 この認識と保険料引下げをどう取り組むか、県のお考えをお聞きします。 三点目として、新たな運営方針における市町村独自の減免制度の取扱いについてお聞きします。 例えば、岐阜市では平成二十五年度より、多人数世帯を対象に独自の減免制度を実施してきました。住民の運動に加え、加入世帯の実情を間近で見ている市町村ならではの工夫や配慮、政策的判断で実施されてきた経緯が県内にも多数ありましたが、その数は減ってきていると感じます。しかし、市町村の判断を尊重するのが住民自治の基本であると考えます。 そこでお聞きします。 自主的にこうした減免制度などをつくっている市町村について、新たな運営方針ではこうした独自の取組はどうなるのでしょうか、お考えを伺います。 四点目です。保険料引下げのための国の要望について。 これまで全国知事会において、国庫負担の拡充を要望されてきましたが、抜本的な改善は見られません。保険料引下げのための財政支援について、今まで以上に強く国に要望すべきと思います。お考えをお聞かせください。 最後に、教員の未配置問題について、教育長に質問します。 二〇二一年度当初時点で、小学校、中学校、高校、特別支援学校で二千五百五十八人の教員不足が起きていることが文科省の調査で明らかになりました。未配置の場合は、現場で対応せざるを得ず、教員の過密労働がさらに悪化するというだけでなく、これはどうしても子供たちへのしわ寄せが起きることが懸念されます。本日、お手元に配付されている陳情にもあるように、現場からは改善を求める声が上がっております。 そこで、教育長に二点お聞きします。 一点目、県内の実態及び問題意識についてです。 教員未配置に関する県内の実態をお聞きします。また、未配置の状況に対しどのように対応され、県教育委員会としてどのようにこの問題、受け止めておられるでしょうか。 二点目です。未配置解消に向けた取組についてです。 未配置の解消のため、小学校で担任を持たないフリーの教員を増やす、正規での採用を増やすなど、配置や採用計画の見直しを行う必要があるのではないでしょうか。また、これは全国的な問題であり、国に対しても必要な支援を求めるべきと考えます。教育長のお考えを伺います。 以上、大きく五点について質問いたします。よろしくお願いします。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 三点御質問がございました。 まず物価高騰の影響を受ける医療機関、社会福祉施設等への支援についてでございます。 本県では、ロシアのウクライナ侵攻等を契機とする原油価格や物価の高騰に対し、これまで国からの交付金を最大限活用し、厳しい環境に置かれた事業者や生活者の皆さんを支援してまいりました。医療機関や社会福祉施設等に対しては、本年九月までの光熱費や食材費の高騰分を支援してきたところでございます。 あわせて、医療機関における診療報酬や社会福祉施設における介護報酬等は国が定める公定価格であり、これらの施設では物価高騰によるコストの増加分を価格に転嫁することができないという構造的な問題を抱えております。そうしたことから、報酬改定等による一元的な対応ついて、全国知事会を通じて国に対して要望してきております。 直近のデータである本年八月の消費者物価指数を見てみますと、全国では前年同月比三・一%の上昇、本県の基準値である岐阜市においては前年同月比三・〇%の上昇ということになっております。生鮮食料品を除く食料は上昇が続いておりますけれども、エネルギー価格全体は下落しておりまして、電気、ガス料金の負担軽減策による押し下げ効果が一定程度表れているというふうに評価されております。 こうした中、国においては本年九月末を期限としていたガソリンをはじめとする燃料価格の激変緩和措置について、年末まで延長するとともに電気、都市ガス料金の支援も継続することを決定いたしました。 さらに、今週火曜日、岸田総理大臣から、十月中を目途に新たな経済対策を取りまとめるよう指示がなされたところであります。その五つの柱の一番目に、足元の急激な物価高から国民生活を守るとの対策を掲げ、厳しい状況にある生活者、事業者の方々を引き続きしっかりと支えるための措置として、物価高対策のための重点支援地方交付金の追加などについて検討してまいりますというふうに言っておられます。 県といたしましては、まずはこうした国の動向を注視しつつ、本県における課題を見定めた上で対応を検討してまいります。 加えて、報酬改定等による国の一元的な対応について、引き続き国に対して働きかけてまいります。 次に、有機フッ素化合物について、二点御質問がございました。 まず水質検査と住民への結果公表に係る県の基本姿勢についてということでございます。 水道法では、五十一項目の水質基準を定めて、水道事業者に検査の実施と基準の遵守を義務づけております。この水質基準を補完するものとして、厚生労働省の通知で水質管理目標設定項目が定められております。 この水道水質管理目標設定項目につきましては、検査の実施や結果の公表は義務ではないものの、水質基準に準じた検査の実施に努め、水質管理に活用すること、検査結果については毒性評価等の関連情報と併せて公表し、関係者の注意喚起等に努めることが求められております。 PFOS及びPFOAにつきましては、海外における飲料水の目標値の設定状況や国内での検出事例を踏まえ、令和二年四月に新たにこの水質管理目標設定項目に追加されたところでございます。 本年七月の他県におけるPFOS及びPFOAに関する動きを踏まえて、県内市町村の状況を確認しましたところ、自己水源を持つ三十四市町村のうち十三市町において検査を実施しており、そのうち各務原市につきましては、暫定目標値を超過しているにもかかわらずその事実が公表されていないことが判明いたしました。また、その他の十二市町については、暫定目標値の超過はなかったものの、この時点で検査結果を公表している市は二市のみでありました。 県としては、こうした実態は大変遺憾なことであるというふうに認識しております。このため、まず各務原市に対しては直ちに立入検査を行った上で、検査結果の公表、住民への丁寧な説明、低減措置の実施を行うよう求めました。市からは、数日後に検査結果の公表がなされたところであります。加えて、七月末には検査の実施及び公表について、県内全市町村に対して国の通知を踏まえた適切な対応を行うよう文書で通知をしたところでございます。 その結果、残り二十一市町村のうち十六市町において、PFOS及びPFOAの検査が実施されております。いずれも目標値の超過がないことが確認されております。残る五町村は今年度中に検査を実施する予定であります。なお、検査を実施したにもかかわらず、昨日までに検査結果を公表していないのは五つの市町でありますが、速やかな公表を促してまいりたいと思っております。 そもそも安全で質の高い水道を確保することは、県民の皆様の安全・安心にとって極めて重要であり、水道事業者においては、法に規定された水質基準の遵守はもとより、水質管理目標設定項目についても目標数値を下回る水質を確保することが望ましいと考えております。 したがって、県といたしましては、PFOS及びPFOAを含む水質管理目標設定項目の検査について、国の通知に基づき検査とその結果の公表が適切に行われ、安全・安心な水が供給されるよう市町村に対し指導、助言してまいります。 次に、実態把握のための土壌調査についての国への要望ということでのお尋ねがございました。 県では、各務原市の三井水源地において暫定目標値を超過するPFOS及びPFOAが検出されたことを受け、国が定めた対応の手引に基づき、市と連携して周辺井戸の水質調査を実施し、汚染範囲の把握に取り組んでいるところでございます。 まずは三井水源地の取水井から半径五百メートル範囲の井戸四十四本を調査し、十三本の井戸で暫定目標値の超過が確認されました。これを受けて、超過が確認された井戸からさらに半径五百メートルの範囲の井戸について、現在追加調査を行っているところでございます。 また、昨日公表されました各務原市が実施した市内全域の観測井戸九十五本の水質調査によりますと、五本の井戸で暫定目標値の超過が確認されたところであります。これについても、市と連携し追加調査を実施してまいります。 これらの調査に加え、今後県において超過が確認された井戸周辺の河川、用水路の水質検査も行い、汚染範囲の特定を図ってまいります。 このような取組を行う中で、必要があれば市と連携し国に対する基地内での土壌調査の要請についても検討してまいります。 ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 有機フッ素化合物PFAS問題についてのお尋ねに関し、水道水浄化のための財政支援について、お答えをいたします。 水道事業者が行う水道施設の整備については、企業会計で行われており、本来水道事業者が料金収入等の自己財源で行うべきものですが、施設の耐震化や高度な浄水処理施設の整備に対しては国が財政的な支援を行っており、PFOS及びPFOAの除去施設の整備についてもその対象とされています。 しかしながら、こうした補助には採択基準があり、財政指標である資本単価が安く給水人口が一定の規模以上である各務原市は現行制度では採択されないことから、各務原市の改善策の状況や財政負担の規模をよく確認し、必要に応じ補助制度の柔軟な運用について県としても国へ働きかけてまいります。 なお、各務原市に対しては、一日も早く暫定目標値を下回る水が供給されるよう引き続き指導を行ってまいります。 次に、住民への血液検査の実施について、お答えいたします。 環境省が設置するPFASに対する総合戦略検討専門家会議が本年七月に取りまとめた「PFASに関する今後の対応の方向性」では、地域での血中濃度調査の実施について、血中濃度のみを測定しても健康影響を把握することができない現状であるとされています。 また、そのQ&A集では、国内においてPFOS・PFOAの摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されていないとされています。 こうした状況を踏まえ、現時点で県において血液検査を実施する予定はありませんが、他県の状況や民間の独自の取組状況を注視しつつ、国に対し毒性評価の検討の加速を求めてまいります。 また、気候変動適応法改正に伴うクーリングシェルター設置等の取組についてお尋ねがありました。 県の対応方針について、また全県的な展開と実施体制について、二点御質問をいただきましたが、一括してお答えをいたします。 地球温暖化の進行によって極端な高温リスクが増加し、熱中症による被害は今後さらに拡大するおそれがあります。こうした中、より一層の危機感を持って熱中症対策を推進していく必要があることから、本年四月に気候変動適応法が改正され、新たにエアコンにより暑さを避けることができるクーリングシェルターが位置づけられました。クーリングシェルターは市町村長が指定することができるものとされており、現在、国においてクーリングシェルターの基準や手引の検討が進められているところです。 飛騨地方でも最高気温が三十五度を超すなど、全県的に暑い本県としては、国の検討結果を踏まえクーリングシェルターが適切に確保されるよう、市町村に助言を行うなど必要な対応を検討してまいります。 また、国民健康保険事業について四点お尋ねがありました。 まずは保険料に対する認識について、お答えいたします。 県としては、特定健診受診率の向上や糖尿病性腎症の重症化予防などに取り組み、県民の健康づくりを促進し、国民健康保険を含めた医療保険の医療費適正化に努めております。 国民健康保険は他の医療保険と比べて加入者が比較的高齢であり、一人当たりの医療費も高額ですが、一人当たりの平均所得が低いため、所得に占める保険料が相対的に高くなる傾向にあります。 このため、保険料の負担を減らすための様々な措置がなされていますが、こうした措置を行ってもなお負担が重いという構造的な問題があり、国の責任において制度設計がなされるべきものと認識しております。 次に、新たな運営方針の影響と県における保険料引下げの取組について、お答えします。 国民健康保険の保険料水準の統一の目的は、県単位で医療費水準を保険料に反映させることで保険料の変動の抑制を図るとともに、県内のどこに住んでいても同じ負担で同じ給付を受けられるようにすることにあります。 県としては、保険料の軽減に向け、まずは県民の健康づくりの推進、特定健診受診率の向上、後発医薬品の使用促進など医療コストの削減につながる取組を進めてまいります。 あわせて、国に対し、さらなる財政支援の拡充を求めるとともに、低所得者や未就学児に対する保険料の軽減措置を着実に行ってまいります。 次に、新たな運営方針における市町村独自の減免制度の取扱いについて、お答えします。 市町村による保険料の減免は、災害や失業等により生活が著しく困難となった方、またはこれに準ずると認められる方を対象に、申請に基づき個々の事情を勘案して行う制度として、市町村の判断で条例の定めるところにより実施することが可能です。 現在、県で保険料水準を統一すべく検討を進めていますが、新たな運営方針下においても減免制度の取扱いが変わることはありません。 最後に、保険料引下げのための国への要望について、お答えします。 国民健康保険加入者の平均年齢の上昇や、医療の高度化による一人当たり医療費の増加などにより、今後も保険料の上昇傾向は避けられない見込みです。 このため、県としては加入者の負担軽減の観点から、国に対し国保制度改革時に国が確約した財政支援の拡充について確実に履行するとともに、財政安定化基金の増額、国定率負担の引上げ等、様々な財政支援の方策を講じるよう全国知事会等を通じて引き続き要望してまいります。 また、子供の均等割保険料の軽減については、対象となる子供の範囲が未就学児に限定され、その軽減割合も五割にとどまるため、対象年齢及び軽減割合の引上げについても引き続き要望してまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) まず初めに、教員の未配置問題、県内の実態及び問題意識について、お答えをいたします。 本県の今年五月一日現在における教員未配置の状況ですが、小学校が二十一人、中学校が六人、高等学校が二十六人、特別支援学校が五人となっております。その主な理由ですが、少人数学級の拡充、特別支援学級の増加、高校における単位制の増加などによって、少子化で子供の数が減っているにもかかわらず必要な教員数が減っていないこと、さらにかつて大量に採用したベテラン教員の退職に伴って採用した若手の教員が産休や育休を取得する時期を迎えており、その代替となる教員が見つからないことなどが挙げられます。そうしたことで必要な教員が現在確保できない状況にあるというふうに受け止めております。 県教育委員会としては、この状況を非常に重く受け止めており、教員のOB、さらには教員免許を持っている方に講師への登録を働きかけるなど、取組を行っているところです。 また、教員不足が発生している学校においては、学級担任を担当していない、いわゆるフリーの教員が代わりに授業を行ったり、また常勤の講師が見つからない場合は、やむを得ず非常勤の講師を任用するなど、子供たちの学びに影響が生じないよう、それぞれ状況に応じた対応を行っているところです。 次に、未配置解消に向けた取組についてお答えをします。 先ほど申し上げたように、未配置が生じている学校においては、学級担任を担当していないフリーの教員がその穴埋めをするところですが、このフリーの教員を増やすことは未配置の解消はもとより、子供たちの教育環境の充実には非常に有効であると考えております。そのため、各学校に一定数のフリーの教員が配置できるよう現在進めているところです。 一方、教員の採用においては様々な要素、例えば児童・生徒や学校の数の変化、教員全体の年齢構成、退職者や再任用者の数などを見越して決定する必要があります。さらには、特別支援学級の増加や定年延長など、国の教員定数をめぐる政策の方向性を踏まえながら毎年度必要な採用数を決定しているところです。 教員不足の対策については、現在国の中央教育審議会において、働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実を一体的に進める方向で議論が進められており、その議論の方向性を注視する必要があると考えております。教員定数は国の法律に基づいて算定されるものでありますから、今後も国に対してフリーの教員を含め必要な定数を増やすように要望してまいります。 ○議長(野島征夫君) 十二番 中川裕子君。    〔十二番 中川裕子君登壇〕 ◆十二番(中川裕子君) 御答弁いただきましたので、改めて再度、幾つか質問をさせていただきます。 まず初めに、PFAS問題について、実態把握のための国への要望について再度知事に伺います。 今お答えがあったように、必要があれば基地内の土壌調査についても要請していくというお答えがありましたけれども、実際にもう各務原市のほうでは必要があるということで要請をして、今二か所でしたか、井戸水の調査が行われているということです。 先ほど私も申し上げましたけれども、大阪での事例などを考えると、むしろもう必要性を考えるというよりは、必要があるのではないかと思います。その認識について伺います。 特に、今回この件については最初、検査の公表、検査の実施について県の姿勢がとても重要で、これがあってこの問題が明らかになり、そういう意味では住民の皆さんにとって非常にありがたい、とてもよかった対応だったと思います。ぜひこれが分かった以上は、面で把握するためにも、むしろもう必要性があると判断をしていただきたい、その要請をしていだたきたいと思います。 2点目として、水道水浄化のための財政支援について、健康福祉部長に再度伺います。 これも必要があれば引き続き国に対して要望していくということですけれども、現在この水源地の切替えというのはまだまだこれから先のことで、まずは当面浄化するというのが各務原市では必要になってきます。そうなると、継続的に費用負担が発生するということです。この間、国の整備補助金については一般的な要件緩和というのは国に対して要望されておりましたが、この件を踏まえた要望、これは私は必要があるのではないか。むしろ水源の切替えがすぐにできない岐阜県だからこそ、やるべきではないかと思います。 今回の件を踏まえた要望、これを財政支援についてされるかどうか再度お答えください。財政支援が必要ではないかと思いますが、その認識と財政支援について伺います。 その次の質問についても再度伺います。 住民への血液検査の実施について、こちらも健康福祉部長に伺います。 いまだに健康への影響というのは不明確だということで、今回血液検査については検討していないということですが、むしろ不明確だからこそ血液検査が必要なのではないでしょうか。この間、様々な国の補助金を使った疫学調査でも知見が明らかになりつつあります。そういうときだからこそ、血液検査を県としても行う必要があると思います。 再度、この認識と実施について伺います。 続きまして、健康保険事業について一点、健康福祉部長に、二点目で伺いました新たな運営方針の影響と県における保険料の引下げへの取組について伺います。 先ほどの答弁で、統一化の狙いは、県内どこに住んでいても同じ負担にする、医療費の水準をまずは統一して、それを県民全員が負担していくというのが狙いだとおっしゃいました。 そうであるならば、県内どこに住んでいても同じサービスが受けられるように、協会けんぽとの差、これも重く受け止めるべきではないでしょうか。そういう意味では、県内どこに住んでいても同じ負担にする狙いがあるのであれば、保険料の引下げというのは確実に県として取り組む必要があると思います。 先ほどのお答えでは、引下げということについては触れられませんでしたので、この点について伺います。 最後に、教育長に、教員の未配置問題について、御答弁ありがとうございました。一点質問をいたします。 現在、この出ている未配置のところについて様々な対応をされている。さらには、OBの方や免許を持っている方の採用も進めているということでしたが、伺うと、フリーの教員や、または教頭先生などが対応すると。教頭先生というのは、そもそもほかに仕事がありつつ担任ということになりますので、それが学校全体の運営についてなかなか目が行き届かなくなってしまうのではないか。そういう意味では限界がある。そこを大変苦労されているのではないかと答弁を聞いて思いました。 そこで伺いますが、国に対しての要望ももちろんなんですが、県として正規の採用、これは見直していく必要があるんじゃないかと思います。未配置のところに、非常勤や常勤の方が入るというのがなかなか見つからないというのは、現場の大変さを分かっているからなかなかOBの方が見つからなかったりとか、そういう問題があります。それが今働いている教員の皆さんへのしわ寄せになって、また希望者が減ってしまうという悪循環になってしまっていると感じます。 先ほどのお答えで、子供の数は減っているけど必要な教員は減っていないということですので、正規の採用についても検討いただけないか、お答えを伺います。 ○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 土壌中のPFOS及びPFOAについてでありますが、水環境における水質の暫定目標値のような基準値が土壌には設定されておりません。したがって、土壌調査をどうやって、出た結果をどう評価するかということ自身が既に大変困難な状況にあるということでございます。 とはいえ、こうした状況ではありますけれども、先ほど申し上げましたようにまず水環境から入って汚染範囲の特定を進めていく中で、必要があれば基地内の土壌調査についても各務原市と共に要請をするということも検討していきたいというのが私どもの立場であります。 それから、この場合につきましては、各務原市と私どもとは立場は全く足並みをそろえてやるということで、共通であります。 それから、各務原市は既に、この土壌調査について国に要望しているではないかという話がございましたけれども、各務原市が基地に対して要望したのは、井戸水の調査をさせてほしいということでありまして、これは昨日発表されました九十五本の内数として基地内の井戸水の調査も行われたということでございまして、各務原市が土壌調査についてまで国に要請をしたというふうには私どもは承知しておりません。 それから三番目に、御参考までに、知事会のほうでもいろいろ議論をしておりまして、この土壌につきましては、とにかく知見の集約を今いろいろと国でやっているわけでありますけれども、これを加速化してほしいということを言っておりますが、心は土壌汚染について調査の方法、評価の在り方、それから汚染除去対策の具体的方法に至るまで土壌汚染対策全体として知見を集め、かつ方法を示していただきたいと、こういう要望をこの七月に出しております。私どももそういう意味で、知事会でも議論をさせていただいておるところでございます。 ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 有機フッ素化合物PFASの問題につきまして、水道水浄化のための財政支援について、県として財政支援しないのかというお尋ねでございました。 水道施設の整備につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、既存の国庫補助制度がございますが、現状で各務原市は採択基準を満たさないため、市の改善策の状況や財政負担の規模を確認した上で、必要に応じ補助制度の柔軟な運用について国へ働きかけてまいります。 また、血液検査の実施についてお尋ねがございました。 現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康被害が個人に生じるかといったことは明らかになっていません。このため、国に対して、まずは毒性評価の検討の加速を求めてまいります。 また、国民健康保険事業について、県で保険料を軽減すべきでないかというお尋ねでございました。 国保財政を安定的に運営するためには、国民健康保険が一会計年度単位で行う短期保険であることに鑑み、原則として必要な支出を保険料や国庫負担金、納付金などにより賄うことにより国保特別会計において収支が均衡していることが重要とされております。 したがって、県として保険料全体を一律に引き下げるために法定外の一般会計繰入れを行うことは考えておりませんが、国に対し定率負担の引上げ等の財政支援を行うよう要望を続けてまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 再質問にお答えします。 先ほど来言っておりますフリーの教員、私としてはフリーという言葉だと何も仕事をしていないみたいに思われますのであまり使いたくないんですが、ここで言うフリーの教員というのは、小学校はほとんどの教員が学級担任を持っていますので、学級担任を持たない教員をフリーの教員というふうにここでは言いたいと思いますが、ではその教員が何をやっているのかと申しますと、教務主任ですとか生徒指導の専任、そうした担当をしているわけです。もちろん教頭は教頭としての仕事をしています。 教育委員会としましては、国全体もそうなんですけれども、学校全体をサポートするために、教員ではないスクール・サポート・スタッフや業務支援員などを配置しているところですが、いずれにせよこうした学級担任を持たない教員が小学校においては非常に重要であるということをまずは認識しております。 そうした中、採用を増やすべきではないのかという御質問ですが、当然若い教員を採用すれば三十年以上その雇用を県としては続けないといけないわけです。そうしたことを考えますと、やみくもに採用するわけではなく、先ほどの繰り返しになりますが、年齢バランスに大きな隔たりが起こらないように、さらにはまさに今年度末に起こります定年延長、そうしたような状況を踏まえながら現在採用を進めているところです。 ○議長(野島征夫君) 十二番 中川裕子君。    〔十二番 中川裕子君登壇〕 ◆十二番(中川裕子君) 二点、再度質問をいたします。 先ほど知事から各務原市の要望の内容を御説明いただきましたが、私も土壌調査というわけではなく、各務原市としては、面でまずは状況を把握したいということで井戸水の調査を要望され、それで今回調査に至ったということです。そういう意味では、面での調査というのが必要なのとともに、住民への健康状況についても、これも全容を把握するのが県の役割だと思います。 その点で、再度、健康福祉部長にこの住民への血液検査の実施について伺います。 今のお答えは、国のほうでまずは研究を進めてということでしたけれども、実際今、疫学研究で様々な報告がされていまして、発がん性についてだけでなく、生まれた子供の体重が小さいという点では多くの研究でこれは一致しているということであります。 それで、私としてはやっぱり民間が血中濃度の検査をして、それで血中濃度に異常があった場合、そのままでいいのかという問題も出てくると思います。異常があって、そこから健康被害というのを予防するという取組こそ、行政が率先してやる必要があると思います。早期の対応であったり重症化予防の観点から見て、これは県としても取り組むべきではないでしょうか。 そのためにも、その大本となる血液検査が必要ですし、民間がやっている検査について連携をしていく、予防原則に立って連携をしていく必要があると思います。 現在、国の動向を注視というところで終わりましたが、県民の問題です。ですので、県としてどう動くかについてお答えをいただきたいと思います。 続きまして、教員の未配置問題について、御答弁をいただきました。 おっしゃるように、正規採用すると三十年これから採用しないといけないと。要するに、恐らく財政負担がこの先もかかるというお話なのかなとも思うんですが、ただこの間、この問題というのは状況が改善しているわけではなく、三年間だけの数字を見ておりますが、それでも現場としてはむしろ悪化しているのではないかというのが実感だと言われています。 少子化を見越して、さらなる少人数学級の要求は今高いですから、計画的に進めることなど、手厚い教育とセットで正規雇用というのを増やしていく、さらにはそのためにも国の国庫負担割合、これは改善しないと、手厚くする以上やはり正規の教員の方が必要になりますので、国への要望というのももう一歩踏み込んでお願いしたいと思います。その点についても伺います。よろしくお願いします。 ○議長(野島征夫君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 再度御質問をいただきました。血液検査の実施につきましてお答えを申し上げます。 現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについて明らかとなっておりません。このため、血液検査に財政支援を講じることは現時点では困難であり、県としては国に対して引き続き毒性評価の検討の加速を求めてまいります。 ○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 国への要望のことについて質問がありましたので、お答えをいたします。 教員の未配置問題については、私も議員と同様、これは岐阜県だけの問題ではなく全国的な課題だと思っておりますので、国への要望は有効だというふうに考えております。 そういった点で、現在国に対して県教育委員会として行っている要望は、教員の定数の改善、さらには調整額の見直し、給与体系の見直し、業務改善のための全体の体制の整備など、そうしたことを要求しているところです。 そうした中、一番最初にも申し上げたように、この教員の定数の改善というのは子供に直結する大きな問題ですので、先ほどの繰り返しになりますが、教員の採用を取り巻くいろいろな課題だとか諸問題がございますが、まずは子供目線でこの定数改善を一番の要求だというふうにして今後も引き続き国に要望してまいりますので、御理解のほどをよろしくお願いいたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(野島征夫君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十三分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十六番 所 竜也君。    〔十六番 所 竜也君登壇〕(拍手) ◆十六番(所竜也君) 皆さん、こんにちは。 一般質問三日目、午後からでございますけれども、張り切ってまいりますのでよろしくお願いします。 議長より発言のお許しをいただきましたので、私からは二点、環境生活部長、教育長に質問をさせていただきます。 岐阜県では、野生鳥獣などによる農作物の被害防止や対策について、十年以上前から献身的に取り組んでいただいております。野生鳥獣(イノシシ、鹿、猿、その他鳥獣)の農作物の被害額は、平成二十二年度で四億八千三百三十六万円でありましたが、令和三年度は二億一千百九十七万円と十数年余りで半減をしています。 また、ニホンジカの対策については、十数年余りで捕獲頭数が県全体で増加をしています。平成二十二年度(二〇一〇年度)は五千百九十八頭の捕獲実績がありましたが、令和四年度(二〇二二年度)は一万九千八百七十一頭の捕獲実績が報告されています。これは、平成二十三年三月に、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第七条の二に基づき、ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画を策定し、岐阜県内に生息するニホンジカについて、科学的かつ計画的な管理を実施してきた成果だと思います。 過去には、ニホンジカは明治から昭和初期にかけて全国で乱獲され、個体数の減少、分布域の縮小といった危機的な状況に陥りましたが、昭和二十三年から、雌鹿の非狩猟獣化や雄鹿の捕獲頭数制限などの保護施策が取られてきました。こうした保護施策や拡大造林施策による大規模な新植地の増大、森林の回復により鹿の個体数が増加をし、分布域が拡大をしました。これは個人的な考えですが、近年の温暖化により、数十年ほど前に比べて山間部の降雪や積雪が減少して、ニホンジカが越冬し、生息環境が厳しくなくなり、真冬の生存率も高くなってきたのではないかと思います。 こうした背景によって、ニホンジカが増加してきたものと考えられますが、十数年前よりニホンジカが人の生活圏内に侵出してきたことに伴い、中山間地域の農作物の被害が増加をし始め、自動車や鉄道との衝突事故の発生、ミズバショウなどの群落が荒らされる事例の発生、鹿の摂食による森林下層植生の衰退に起因する土壌侵食、樹木の剥皮被害などの様々な被害や生態系への影響が生じていました。 こうしたことから、ニホンジカの管理計画を策定し、個体群の安定的な維持、生態系への影響軽減、農林業・生活環境などへの被害軽減を目的として、鹿と人の共存関係の構築に取り組んできました。 県でのこうした取組として、ニホンジカの捕獲頭数が増加して成果が上がった要因としては、平成二十四年度(二〇一二年度)より開始された野生生物保護管理事業の市町村で実施される個体数調整を目的としたニホンジカの捕獲事業の成果が大きいと思います。狩猟期に行う捕獲と被害防止を目的とした有害捕獲もありますが、管理捕獲の個体数調整捕獲の割合が大きくなってきています。 このニホンジカの個体数調整捕獲事業は、清流の国ぎふ森林・環境税を財源としており、捕獲報償費として、ニホンジカ一頭当たり一万五千円が捕獲者に支払われます。この事業が始まった平成二十四年度は、県下で千三百六十二頭捕獲をされています。 昨年、令和四年度は、六千八百十二頭がこの個体数調整捕獲事業で捕獲をされています。揖斐川町、本巣市、郡上市などが最も捕獲数の割合が多くなっていますが、ちなみに私の地元揖斐川町では、令和二年度で県内捕獲数五千九百三十五頭に対し千三百四十一頭で二二・六%、令和三年度で県内捕獲数六千六百二十七頭に対し一千四百八十五頭で二二・四%、令和四年度で県内捕獲数六千八百十二頭に対し千五百六十四頭で二三%となっています。 揖斐川町では、近年より、ニホンジカから地域や農地を守る目的が捕獲活動を始める動機ではあると思いますが、個体数調整捕獲事業に参加する意欲もあって、わな猟の狩猟免許を取得して、新たにニホンジカの捕獲活動を行う方々も増えてきています。私の近所の方で、寺田なるとしさん、五十歳は、夏場は田んぼなど農地の草刈りを専門とした仕事をしていますが、冬場の十二月から二月の三か月で毎年二百頭以上を捕獲しています。 また、年配の農業従事者の方が、四、五人のグループで協力し捕獲活動を行っておりますし、会社や本業の就労前に早朝から捕獲活動をされる方も見えます。こうした方々の捕獲活動によって、揖斐川町ではニホンジカの高い捕獲数があるものと思いますが、揖斐川町のニホンジカの捕獲数の高さから、一見ニホンジカの被害が減少しているのではないかと思われますが、広い面積の揖斐川町では、地域によって個体数調整捕獲事業に従事する狩猟者の活動に大きな差が生じています。狩猟従事者が多くいる地域では、ニホンジカの個体数調整捕獲事業によって捕獲圧が高く、ニホンジカによる被害が少ないところもあります。しかし、地域に狩猟者が少ない、また不在の地域ではニホンジカによる被害が深刻なところもあります。 配付資料一を参照してください。地図には、揖斐郡の狩猟従事者の所在地を地図上にプロットしています。赤色の点が多い地域は、狩猟従事者がいるので捕獲圧が高い傾向ですが、点のないところは狩猟者が不在で、個体数調整捕獲事業による捕獲活動が行われていないため、ニホンジカの被害が深刻となっています。 例えば揖斐川町春日地区笹又地域です。ここは高齢者の方々がお住まいですが、狩猟される方が不在で、この地域までは揖斐川町の中心部から車で片道三十分以上かかるため、他の地域から日々の狩猟活動を行う方も少ないと思います。 こうした事情により、ニホンジカの捕獲圧が低く、農作物被害はもとより森林の植生、天然の薬草や自然植物の減少の危機にあります。そして、ここ笹又地域は、滋賀県境の伊吹山に連なっております。伊吹山は、滋賀県米原市、関ケ原町、揖斐川町にまたがる標高千三百七十七メーターの日本百名山の一つです。伊吹山は希少な自然植物も生息していますが、ここもニホンジカによる食害で大きな影響を受けています。地域の方々から、伊吹山から揖斐川町春日地区笹又地域にかけて、高山植物や草木や薬草が山に生息するニホンジカに食べ尽くされる裸地化が問題になっていると聞きました。 そこで今年の五月三十一日に、私と揖斐農林事務所、揖斐川町役場、岐阜大学森部准教授とで現地を視察し、確認に行ってきました。配付資料二の一を御覧ください。当日撮影をした写真ですが、伊吹山ドライブウェイの裸地化した山で、数頭の草木を食べるニホンジカが確認をされました。資料二の二以降も御覧ください。二〇一五年八月の写真と二〇二三年六月の写真を比較して見ていただければ、ここ数年で、伊吹山の裸地化がニホンジカの影響により深刻化しているのがお分かりいただけると思います。伊吹山を見上げる麓の笹又地域には農地もありますが、畑には無数の鹿の足跡が確認でき、多くのニホンジカが、この辺りに生息していることが予想できました。 そして、関ケ原町にある伊吹山ドライブウェイの運営会社、日本自動車道株式会社によると、ニホンジカの食害は観光面にも影響し、九合目までのドライブウェイ利用者は、二〇一〇年で推定二十八万人ありましたが、植物や花畑が荒らされるなどの影響もあり、二〇二二年には二十一万人に減ったとのことです。 また、滋賀県側では、今年七月、大雨による土砂崩れが発生をしました。これは鹿による草木を食い荒らされる食害で、山の保水力が低下したことも原因の一つであると見られています。伊吹山は、石灰質の多い地質のため裸地化で山の保水力が一気に下がってしまい、大雨により土砂崩れが鹿の食害で引き起こされたとされています。滋賀県も伊吹山のニホンジカによる食害の影響を問題視しており、対策を進めるとしています。 こうした地域のニホンジカの食害による山の裸地化や農林業被害発生地での捕獲を積極的に進める必要があると思いますが、狩猟従事者不在によって、捕獲体制の整わない地域や滋賀県など県境をまたぐ地域、捕獲困難な地域などでのニホンジカの捕獲を積極的に推進して、捕獲圧を高めながら、ニホンジカの生息数・密度の低減を図らなくてはならないと思います。 そこで環境生活部長にお尋ねをします。ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画により、個体数調整のための方策などを進められておられますが、環境保全のためのニホンジカの対策について、県の考えをお聞かせください。 次に、高校生の部活動についてのお話をさせていただきます。 今年の八月六日に、第百五回全国高校野球選手権記念大会が開催をされました。観客数の制限や声出し応援の規制もなく、新型コロナウイルス感染前の風景が戻り、全国代表校による熱戦が繰り広げられました。 そして、神奈川県代表の慶應義塾高校が優勝しました。私も、決勝の慶應対仙台育英の試合をテレビで観戦をしていました。そのとき気になったのが、慶應の選手は皆髪型が長髪で、仙台育英は長年定番とされていた丸刈りでした。 高校球児といえば丸刈りの印象ですが、チームの強さと丸刈りはあまり関係がない印象を持ちましたが、今大会の四十九代表校のうち優勝した慶應、茨城土浦日大、北北海道のクラーク記念国際、静岡浜松開誠館、京都立命館宇治、香川英明、そしてメジャーリーグで活躍をするロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手出身校の岩手花巻東の七校が丸刈りではありません。そして準々決勝では、八強のうち三校が丸刈りでない高校でした。 日本高校野球連盟は、今年六月、全国加盟校三千八百十八校を対象に、五年に一度の実態調査の結果を公表し、三千七百八十八校が回答した結果、部員の丸刈りを決めているのは千校二六・四%で、全体の四分の一にとどまりました。二〇一三年度の調査は七九・四%が丸刈りで、五年前の二〇一八年も七六・八%でした。この五年間に高校球児の脱丸刈りが進んだと思います。 私の次男も県立高校二年生で野球をしていますが、丸刈りではありません。夏の大会前に気合を入れるために子供に丸刈りを勧めましたが、今は丸刈りの高校は少なく、強豪校も頭髪が自由な高校があると言われて、丸刈りをしませんでした。 今年、甲子園で優勝した慶應の森林貴彦監督は、高校野球といえば坊主頭が主流、そこから飛び出るのは嫌だなと考えてしまう同調圧力、昔から坊主頭が当たり前なのだから、それでいいとした旧態依然とした習わしに倣っただけの思考停止、そちらのほうが罪深いと思う。主従関係で従属することの印象も捉えられる部分もあって、そうした点でも好ましくない印象を持っている。ミスをした、チームのルールを破った、そうした選手に対して、坊主頭を罰として強制する文化も早く無くさなければならない状況の一つだと話しております。そして、高校球児という呼び名はおかしくないかと語り、なぜ野球だけ児童の「児」を使うのか。子供扱いをするからトップダウンの習慣ができ、自発的に考えられなくなるのではと感じる。髪型は自由、練習でも試合でも、選手に考えさせるメンタル強化に重きを置き、頭髪の話題一つを取っても、指導者が思考停止で何かを押しつけてしまうことは、選手の主体性を奪う行為だと言っています。森林監督は、選手に自分で考える楽しさを知る価値を伝え、野球を通じて独立自尊の人材を育成するとしています。 そして、県内の大垣商業高校は、二〇二〇年から球児の丸刈りをやめ、髪型を自由にしています。監督が髪型にこだわるよりも、野球を楽しんでほしいと考え、選手側に提案をして決断をしたとしています。丸刈りが嫌で高校では野球をやらない子もいる、もったいないと指摘し、髪型に関係なく、多くの子供たちが大好きな野球にのめり込めるようになればいいと話しています。本来部活動というものは、生徒が楽しく自主性を持って取り組める環境が大切なことではないかと感じました。 令和四年十一月には、静岡県聖光学院で部活動の在り方について、生徒たちが考える全国部活動サミットが開催されました。同校有志の呼びかけで東京や北海道、広島などから十校以上が参加し、それぞれが考える理想の部活動について話し合われました。「部員間で意見が分かれたらどうするのか」「多数決で単純に決めずに、みんなで納得するまで話し合う」など、野球部やサッカー部、ラグビー部、バスケットボール部、剣道部など様々な部活動に所属する生徒たちによって、活発なやり取りが繰り広げられました。それぞれの発表を通じて参加した生徒は、「意見交換で視野が広がった」「主体性は部活だけでなく、どの社会でも必要なこと」「自分たちは部活を通じて大事なことを実践している」と気づいたりしていました。 こうした中で、生徒の主体性に重点を置き、長い間常識としてきた高校球児の脱丸刈りや過去の慣習の見直し、指導者の考え方の変化など、部活動を通じた教育に大きな変化が出てきたものと思います。そこで、高校部活動を通じて、主体性を持った生徒を育成していくための考えを教育長にお尋ねをいたします。 少子化の中で、これからの子供たちや生徒がより個性豊かに育ってほしいと願い、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 環境保全のためのニホンジカ対策についてお答えいたします。 揖斐川町春日地区笹又の伊吹山ドライブウェイ周辺では、急峻な山岳地形などにより十分な捕獲が進まないことから、ニホンジカによる採食で植生が衰退し、荒廃が進行しております。 県としては、ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画に基づき、その捕獲に取り組んでおります。令和四年度は、県全体で約二万頭、揖斐川町においては約三千五百頭のニホンジカを捕獲したところですが、議員御指摘のとおり、捕獲圧を一層高める取組が必要であります。 具体的には、生息状況調査による分布の把握及びGPSを用いた行動調査に基づき、効果的な捕獲手法を構築してまいります。また、揖斐川町と連携し、囲いわなの遠隔監視などのICTを活用した捕獲システムを導入するなど、山岳部における効率的な捕獲の実施を検討してまいります。 さらに、広域的な捕獲の実施に向けて、滋賀県と協議を行ってまいります。 ○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 高校部活動における生徒たちの主体性を持った取組についてお答えをします。 日本高等学校野球連盟が今年実施した調査によると、本県においても、部員が頭髪を丸刈りとしている学校の割合は二八%であり、近年顕著な低下傾向が見られているところです。これは、当たり前に疑問を持ち、部の顧問と共に生徒が主体性を持って自ら考えるようになった一つの表れだと受け止めております。 こうした取組に加え、生徒自身が課題に応じた練習メニューを考えたり、ICTを用いてフォームや練習結果を分析することで自分自身やチームの成長を実感し、技能面や精神面の向上につなげている事例もあります。また、県外のラグビーの強豪校の例なのですが、生徒と指導者が一緒になって相手のチームを分析し、練習時間の大幅短縮とともに練習内容を見直しても、なお好成績を収め続けている例もあります。 部活動の指導方法には様々な考えがあることは承知しておりますが、こうした事例も紹介しつつ、部の顧問向けの研修会において、生徒が自ら考えることの大切さに気づくことで、成長を促す取組が重要な視点になることを今後も伝えてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 十一番 小川祐輝君。    〔十一番 小川祐輝君登壇〕(拍手) ◆十一番(小川祐輝君) 議長の許可をいただきましたので、通告に従いまして、一般質問を始めさせていただきます。 特に今日は、知事に質問させていただけるということでして、気合を入れて一般質問させていただきたいというふうに思います。 今回、私の一般質問は、サーキュラーエコノミーの推進について、古田知事に質問させていただきます。 皆さん、サーキュラーエコノミーという言葉を聞いたことがありますでしょうか。まずは、この説明をしたいと思います。お手元の配付資料を御覧ください。 リニアエコノミー、リサイクリングエコノミー、サーキュラーエコノミー、発想の違いと書いてある配付資料になります。 この資料は、三つの経済モデルを表したものではありますが、まずは一番左のリニアエコノミーと書いてあるところから御覧いただけると幸いです。 上から、原材料が製品になり、消費され、廃棄物となるという意味です。簡単に言うと、今までは資源を取って物を作り、使って捨てるというモデルでした。しかし、産業革命以降、世界中で浸透した大量生産・大量廃棄型のビジネスモデルでは資源が需要に追いつかなくなり、さらには資源の枯渇や環境汚染の深刻化といったことが問題となっています。 これらを防ぎ、持続的な社会を実現するために必要とされている仕組みが、資料の一番右側にあるサーキュラーエコノミー、循環経済と訳されますが、御覧のとおり廃棄物の文字がありません。 捨てることを前提としないサーキュラーエコノミーに廃棄物の文字はなく、この右側の図のように、原材料を循環的に活用し、植物などの再生可能資源を使うサーキュラーエコノミーに転換していくことが必要になってきます。 日本では循環型社会、3R、リデュース、リユース、リサイクルといった言葉に聞きなじみがあるかと思いますが、これは図の中央のリサイクリングエコノミーに位置づけられており、廃棄物を出すことが前提とされているのかいないのかが大きな違いです。繰り返しになりますが、廃棄物を出さないことを前提としているのがサーキュラーエコノミーです。 サーキュラーエコノミーの廃棄物を出さないことを前提としたビジネスモデルで分かりやすいのが、このiPadを製造しているアップル社の取組でございます。アップル社では、二〇三〇年までにサプライチェーンと全製品を一〇〇%カーボンニュートラルにすることを目標に掲げており、将来全ての製品と容器包装に一〇〇%再生可能なリサイクル材を使用すること、廃棄物ゼロも目指しています。つまり、このiPadが使えなくなっても廃棄物にはならず、資源として新たな製品に生まれ変わるのです。 こうした取組のように、世界的に見ると短期的利益と物質的豊かさの追求から脱却し、資源の消費を抑えつつ、有効活用しながら、付加価値の最大化を図る経済システムであるサーキュラーエコノミーという考え方が急速に広まっています。サーキュラーエコノミーに大きな注目が集まるのは、世界的に有名なコンサルティングファームであるアクセンチュアやマッキンゼー等の調査により、サーキュラーエコノミーが環境負荷の軽減だけではなく、新たな経済効果や雇用創出をもたらし、これまでにないビジネスモデルをつくり上げるための大きな機会だと判明しているからです。 例えば二〇一五年十二月には、EUの法案や政策を実行する機関である欧州委員会が、新たな戦略としてサーキュラー・エコノミー・パッケージを採択しており、この中では、二〇三〇年までに自治体による廃棄物の六五%をリサイクルするなど、幾つかの具体的な数値目標が掲げられています。特に、EUでは、国際競争力の向上や持続可能な経済成長、新規雇用創出など期待されることから、サーキュラーエコノミーの実現を経済成長戦略の一つとして位置づけています。つまり、環境問題を解決しつつ、経済成長も同時に行っていく政策が取られています。 八月末に、私は山内房壽議員と今井瑠々議員と共に、経済の成熟度、外交関係、資源依存など、日本と類似点が多いオランダへ視察へ行かせていただきました。視察目的は二つあり、一つは世界でも進んでいるサーキュラーエコノミーの取組を視察することで、もう一つは、サーキュラーエコノミー系企業を含むスタートアップエコシステムの視察です。 アムステルダムの空港に到着すると、すぐに目に入ってきたのは「UP TO DO GOOD」というサステーナブルな商品しか取り扱わないお土産屋さんでした。そこには、使用済みのペットボトルを使った衣料品であったり、携帯電話に使われていた金属で作られた装飾品など、多くのサステーナブル商品が販売されていました。サービスや商品そのものに魅力を感じた利用者が副次的に社会課題について知り、その企業の取組に共感し、ファンになるという構造もあります。 また、空港の天井のライトは、ヘルスケアで有名なフィリップス社のLighting as a Serviceというビジネスモデルを利用しているという説明をしていただきました。これは、照明機器を購入するのではなく、フィリップス社が定額で提供するLED照明の管理及び保守をサービス利用するものです。このビジネスモデルは定額であるため、多額の設備投資を回避するのに役立ちますし、フィリップス社はデータに基づいて最も効率がいいライティングを見つけ省エネを実現、LED照明等も確実に回収、リサイクルすることで廃棄物の抑制にもなります。さらに、LED照明自体をより長く使えるような研究開発にもインセンティブが働き、廃棄する照明が減ることにつながっているそうです。また、フィリップス社に関しては、サーキュラーエコノミー事業だけで既に全体収益の一五%を占めるほどの成長を見せており、まさに環境問題解決と経済成長を両立している例だと思います。 例をさらに続けたいと思います。 ほかにも、世界初の水上酪農場フローティングファームでは、その名のとおり、水に浮かぶ酪農場で牛を育てています。そもそも農場を水上に造るという発想に驚くばかりですが、餌は廃棄される食料等から作られ、ふん尿は肥料として使われるなど、気候変動、大気汚染、水質汚染など、多くの影響を与えていると言われている畜産分野にも、このようなシステムが取り入れられつつあります。 さらに、デルフト工科大学のthe green villageというラボは、国の規制に縛られずに実験ができる場所ですが、ここではエネルギーシステム、気候変動、サステーナビリティーという三つのテーマで実験が行われていました。水素エネルギーの研究、太陽光パネルをビルの外壁に設置する実験、オフグリッドと呼ばれる送電線網につなげない電力の自給自足の実験など、多岐にわたるプロジェクトが進められていました。 例えば、サーキュラーエコノミーに関するものとしては、太陽光パネルの研究が進行しており、通常パネルは、二十年ほどで劣化してしまうため電力供給の安定性を損なうことから、パネルなどの廃棄物の増加が懸念されています。しかし、ここでは壊れた部分のみを交換・修理する技術やパネルの長期的な利用を可能にする研究が進められていました。 現地のほうからは、新型コロナウイルス感染症の落ち着きもあり、海外渡航が増える中で、日本企業によるオランダへのサーキュラーエコノミーの視察が大変盛況であるとお聞きをしました。私もその一人でありまして、あらゆるところでサーキュラーエコノミーを前提とした社会が形成されつつあるオランダを旅立つ際には、何とか岐阜県にこうした取組を落とし込めないだろうかと機内で思いを巡らせて帰国しました。 ここで、サーキュラーエコノミー関連市場に目を向けますと、アクセンチュアの予測では、国内外での大幅な拡大が見込まれており、世界全体では二〇三〇年に四・五兆ドル、二〇五〇年に二十五兆ドルに拡大するとしています。また、日本国内では、二〇二〇年に五十兆円だったサーキュラーエコノミー関連市場を二〇三〇年に八十兆円、二〇五〇年に百二十兆円に拡大することが予測されています。 日本の経済産業省では、今年の三月に成長志向型の資源自立経済戦略を策定し、同戦略の実現に向けて、岸田首相が九月に、産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップの立ち上げを発表、十二日からは、自治体、大学、企業・業界団体などを対象に参画する会員の募集が開始されています。今後は、二〇三〇年、二〇五〇年を見据えたロードマップの策定や循環に必要になる製品・素材の情報、循環実態の可視化を進めるため、二〇二五年をめどに、データの流通を促すサーキュラーエコノミー情報流通プラットフォームを立ち上げることを目指すとされています。 地方もサーキュラーエコノミーの加速に向けて動き始めており、埼玉県では、本年六月に資源の効率的・循環的な利用に取り組む県内企業を支援することを目指し、ワンストップの支援拠点サーキュラーエコノミー推進センター埼玉を開所しました。また、県内中小企業等が連携して取り組むサーキュラーエコノミー型のビジネスの創出に係る経費に対して、本年度から補助率三分の二以内、上限七百五十万円の補助金制度を創設し、サーキュラーエコノミーへの移行に向け、挑戦する企業を後押ししています。 隣の愛知県では、二〇二二年から十年間の計画であるあいちサーキュラーエコノミー推進プランを策定しており、推進プランとして打ち出すことで、事業者、経済団体、金融機関、大学、行政など、多様な主体と連携しながら、プラスチックや太陽光パネルなどを循環利用するモデル事業の展開や循環ビジネスの振興などを通して、サーキュラーエコノミーへの転換を進めようと政策的な意思表示をしています。 また、サーキュラーエコノミーは、持続可能な成長を目指すSDGsの達成に向けて、重要なアプローチ方法であると注目されています。例えば、目標十二「つくる責任、つかう責任」はまさにそのとおりでありまして、サーキュラーエコノミーの持続可能な方法で生産し、責任を持って消費するといった考え方は、SDGsの目標達成のために不可欠なものであると思います。 このように、世界の潮流を現地で体感し、国や地方の動き、SDGsとの関係性に注目すると、このサーキュラーエコノミーに無限の可能性を感じずにはいられません。サーキュラーエコノミーの鍵は、資源として活用し続け、廃棄物を出さないビジネスモデルや政策の仕組みづくりにあると思います。サーキュラーエコノミーというモデルで、廃棄物を出さない仕組みを企業のビジネスモデルに当てはめ見直すことで、新たなビジネスモデルを創出したり、岐阜県が現在取り組んでいる政策に当てはめ直すことで、新たな仕組みができると考えております。 冒頭から申し上げたとおり、私たちの生活に根差す原材料の調達から、製品化、利用、廃棄の一方通行の経済であったリニアエコノミーから脱却し、資源の効率的な利用によるサーキュラーエコノミーの推進が重要です。 既にオランダをはじめとしたEU諸国では、環境と経済の好循環を生み出すサーキュラーエコノミーの浸透、定着に向けた新たなビジネスや付加価値を創出する取組を支援する政策が打ち出されています。また国も動き出しています。 他県においても、サーキュラーエコノミーに関する推進計画の策定や産学官による推進組織の構築など、サーキュラーエコノミー型のビジネス創出を支援しており、今後、本県においても同様の取組が必要であると考えています。 そこで知事にお伺いします。 社会経済の回復・再生・転換と脱炭素社会の実現を進める県政においても、経済成長と環境問題の解決を両立させるサーキュラーエコノミーを推進していく必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。御答弁をお願いします。 日本の伝統的な価値観であるもったいない精神を大切にする日本人にとって、サーキュラーエコノミーは相性がよく、今後、資源循環型のビジネスが急速に成長する可能性が高いと考えています。県政運営のかじ取りを進める上でも大切な視点となると思いますので、前向きな答弁をお願いいたしまして、私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) サーキュラーエコノミーについてのお尋ねでございます。 大変重要な御指摘をいただきました。 もう御質問の中にも答えが入っているという、そんな感もしましたが、このサーキュラーエコノミーは、社会経済活動のあらゆる段階において、資源の効率的・循環的な利用を図りながら付加価値の最大化を図るものであり、日本語では「循環経済」というふうに訳されております。 従来の3R、リデュース、リユース、リサイクルは、主として廃棄物処理政策の延長線上で推進してきたのに対して、この循環経済は3Rの推進にとどまらず、製品の供給網や消費スタイルまで徹底的に見直し、社会経済のシステムを再設計する発展戦略であるということができます。 本県でも、現行の地球温暖化防止・気候変動適応計画において、循環経済を重点分野の一つに位置づけております。 こうした循環経済を目指す県及び企業の取組といたしましては、従来から、古紙、土木資材等の再生製品を県リサイクル認定製品として認定し、利用を促しております。 また、県の試験研究機関において、再生プラスチックの用途拡大のため、リサイクル材料の強度などを向上させる技術開発の実施のほか、美濃焼生産者に対し陶土の枯渇を防ぐため、不用となった食器を回収して粉砕し、陶土に混ぜてリサイクル食器を製造するいわゆる「Re-食器」の開発・普及を継続的に支援しております。 さらに、県内企業におきましては、事業者から使用済パレットなどを回収するシステムを構築し、新たなパレットに再生する事業を行っております。 そして、これらの様々な取組を社会経済全体のシステム転換へとつなげていくことが重要であります。さらに、このような社会経済システムを再設計する発展戦略として循環経済を構築していくためには、生産者、消費者双方に対し、より一層取組への主体的な参加を促す政策も必要であります。 そのため、生産者に対しましては、環境負荷の低減に資する製品の開発や生産に取り組むよう促し、幅広い分野で循環性の高いビジネスモデルへの転換・発展を図ってまいります。具体的には、循環モデルの構築を進める企業などに支援するとともに、県の試験研究機関等において、資源循環型の新商品開発につながる技術支援を一層推進してまいります。 また、消費者に対しては、循環経済の重要性やモデル事例等を紹介することで、行動やライフスタイルの転換を促してまいりたいと思っております。 そして、県としてこうした取組を明らかにするために、地球温暖化防止・気候変動適応計画に具体策を追記するとともに、成長戦略の観点から、経済・雇用再生戦略にも盛り込んでまいります。 ○副議長(田中勝士君) 六番 牧田秀憲君。    〔六番 牧田秀憲君登壇〕(拍手) ◆六番(牧田秀憲君) それでは、議長のお許しをいただきましたので、二項目について質問させていただきます。 今回、新人議員五名が質問させていただき、この機会を与えていただきました。深く感謝するとともに質問させていただきます。 県民のがん先進医療受診推進のための支援について質問させていただきます。 今後、日本人にとってますます重要となるがん治療について。 二〇二三年、新たに厚生労働省から、第四期がん対策推進基本計画が公表されました。以降、基本計画と省略させていただきます。 この基本計画によれば、一九八一年以降、日本における死因の第一位はがんであり、二〇二一年には、年間で約三十八万人ががんで命を落としています。割合にすると、日本人の約三人に一人ががんで亡くなり、約二人に一人が生涯のうちに何らかのがんに罹患するという現状であり、日本人の命と健康にとって大きな課題となっています。 また、我が国においては、人口減少や少子高齢化社会が到来しており、今後さらに持続可能、かつ質の高いがん対策を行っていくためには、より一層の取組を進めることが重要になっています。 こうした背景から、基本計画では、誰もがいつでも、どこにいても、様々ながんの病態に応じた安心かつ納得できるがん医療や支援を受け、尊厳を持って暮らしていくことができるがん対策の推進をすること、さらに、こうしたがん対策を全ての国民と共に進めていくことが重要であるという考えの下で、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すを全体目標としています。 そのような状況の中で、今後のがん研究により、がん医療に係る医薬品、医療機器及び医療技術の開発を加速させるとともに、それらの速やかな医療実装が求められています。 現在、先進医療については、医療における国民の選択肢を広げ、利便性を向上するという観点から、保険外併用療養費制度の中で実施されています。基本計画の中においても、がん患者が十分な情報を得て治療を選択でき、新たながん医療に係る技術の実装を推進することにより、がん医療の進歩を享受できることを目指しています。 一方で、先進医療は最先端の技術を用いて行うものであり、相応の設備や環境が必要となります。そのため先進医療を受けられる医療機関は少なく、費用も高額になりやすいのが実情です。しかし、従来の治療方法と比べ、高度の技術を駆使した先進医療は、これまで治療が難しいとされてきた病気への高い有用性が期待できます。治療の選択肢が増えれば、より効果的かつ個別のニーズに合った治療法を選択できるようになります。 今年の八月に厚生環境委員会での県内視察において、県内で初となる陽子線がん治療センターを視察してまいりました。中部国際医療センター内に開設される日本初となる陽子線治療装置プロビームを導入したがん治療センターであります。 現在、がんの治療は、外科的手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の三つを中心として行われています。がんの治療では、これらの中から治療法を選択する場合や、これらの治療法を効果的に組み合わせた集学的治療をする場合などがあります。この中で、放射線療法の一つに陽子線治療があり、先進医療として認められた治療法の一つであります。 陽子線は、良好な線量集中性という特徴を持っております。放射線療法の中でエックス線というものがあります。体の表面に近いところで放射線が強く、病巣に届くまでに減弱し、病巣の後ろのほうまでも止まらずに突き抜けていきます。このため、がん以外の正常組織にまで影響を与えることになります。これに対し、陽子線は、任意の深さにおいて線量のピークが得られる特性を持っており、体の表面に近いところでは弱く、病巣で急激に強くなり病巣の後ろで止まるため、正常組織への影響が最小限に抑えられて、効果的な治療ができるという優れた性質があります。 このような優れた性質を持つ陽子線治療は、治療に伴う痛みがなく、体の機能と形態を損なわないなどの特徴から、治療として社会生活の両立や治療後の社会復帰に支障を来しにくい、生活の質、クオリティー・オブ・ライフに優れた治療法と言えます。 現在、がん患者の約三人に一人は二十代から六十代であり、仕事を持ちながら通院している方が多くいます。また、国の平成三十年度患者体験調査報告書によると、がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の一九・八%、そのうち初回の治療までに退職・廃業した人は全体の五六・八%と非常に高い数値となっております。少子高齢化により生産年齢人口が減少していく中、仕事とがん治療の両立は今後ますます重要になってきます。陽子線治療は通院での治療が行えることから、仕事を続けながら治療を行うことが可能です。 中部国際医療センターでも、仕事とがん治療の両立を進めるため、仕事前後の時間で通院治療が行えるよう早朝七時から夜二十時まで治療が行える体制の整備を進めています。 また、体への負担が少ない治療法であるため、手術の負担に耐えられない高齢者に対しても治療が可能であり、従来のエックス線では治療が難しいがんに対しても効果があります。さらに、これまでは病巣が重要器官に近く、手術が困難であった症例にも適応ができる治療法であります。 以上においても、先進医療の一つである陽子線治療は、今後のがん治療において非常に有効なものとなると思います。 しかし、やはりがんをはじめ先進医療を受ける際のネックは、先ほども述べたように対応できる医療機関が少ないことと、高額な費用の負担だと思われます。 当県においては、岐阜県地域医療構想において、五圏域それぞれバランスの取れた医療・介護サービスの提供体制の構築が進められていますが、先進医療については、特定の圏域でしか提供できないと考えられるため、その病院に通うために長距離の移動を要する方が発生し、その交通費の負担は大きいものと考えられます。先進医療の受診推進には、これらの費用の負担軽減が必要ではないでしょうか。 そこで、他県では、がんの先進医療受診を推進するための支援を行っている事例があります。 福井県では、陽子線がん治療を受ける方の経済的負担を軽減し、より多くの方に治療を受けやすくするため、福井県陽子線がん治療センターでの治療費や通院の際の交通費の一部を助成し、また治療資金の借入れに対する利子補給を行っております。 長野県では、県内でがんの先進医療を受ける予定のある方のがん先進医療費の専用ローンに対する利子補給を行っています。 そこで健康福祉部長にお伺いいたします。 国の基本計画における誰一人取り残さないがん対策を推進し、県民の健康な暮らしを実現するためにも、県民がひとしくがんの先進医療の恩恵を享受でき、がん患者やその家族等が住み慣れた地域社会で生活をしていく中で治療を受けられる環境づくりのため、岐阜県としてもがん先進医療の受診推進に向けた支援が検討できないでしょうか、お伺いします。 続いて、二項目めであります。 医療観光について、見解及び今後の対応についてお伺いいたします。 医療目的の渡航は、医療観光、医療ツーリズム、あるいはメディカルツーリズムと呼ばれ、新たな観光コンテンツとなると期待され、国においても推進に向けた取組が行われております。 厚生労働省は、観光庁と連携して、日本の優れた医療と地域の観光資源を組み合わせた滞在プランの提供などにより、海外からの外国人受入れを推進することを目指しており、地域の取組の支援や今後のさらなる発展に向けた取組を行っていくところでございます。 今年度も厚生労働省では、観光庁と連携して、地域の医療・観光資源を活用した外国人受入れ推進のための調査・実証事業を実施しています。 この事業では、医療と観光の連携及び新たな滞在プランの造成・提供等により、訪日外国人の受入れ推進及び訪日外国人旅行消費額増加に向けたモデル実証事業を行う地域を募り、推進地域に採択された場合、厚生労働省が委託をする支援事業者が地域における取組に伴走支援を行うものであります。 日本の優れた医療サービスと地域の特色を生かした観光要素を組み合わせた滞在プランを提供し、海外からの外国人受入れを推進することは、地方誘客や旅行消費額の拡大を進めるとともに、諸外国の国民の健康寿命の延伸に貢献しつつ、日本の医療技術・サービスのさらなる充実に資する可能性があります。 日本政府観光局によると、六月の訪日外国人数は、コロナ前の二〇一九年同月の七割の水準を回復したとのことです。昨年十月の水際対策緩和を契機に、訪日外国人数は順調な回復を続けていますが、まだ一〇〇%には届いておりません。国においても県においても、医療観光がインバウンド回復のきっかけになる可能性を秘めているのではないでしょうか。 一方、岐阜県に目を向けると、県内では、何百年も前から脈々と受け継がれてきた自然や伝統、文化、たくみの技といったほかにはない宝が至るところに輝きを放っています。観光資源の宝庫である岐阜県で、これら観光と医療を組み合わせることで無数の魅力的なプランが生まれることが期待されています。 皆さんも御存じのとおり、県では、今年六月にGIFUサステイナブル・ツーリズムフォーラムを開催し、その中で、昨年六月に設けた新認定制度であり、世界から選ばれた持続可能な観光地づくりを目指すプログラム「NEXT GIFU HERITAGE~岐阜未来遺産~」の認定式が行われました。 その認定第一号に、下呂市小坂町の「飛騨小坂~自然のめぐみを体験、滝めぐり、湯めぐり~」と恵那市岩村町の「恵那岩村の山城・城下町と農村景観めぐり」が選ばれました。これらは医療観光の広義な形、ウエルネスツーリズムとして組み合わせるのに適した観光資源の一つだと言えます。 もう一つ、医療観光の広義な形、ウエルネスツーリズムに適したものとして、ドイツのクアオルトを紹介いたします。 クアオルトとは、ドイツ語でクア(治療・療養、保養のための滞在)とオルト(場所・地域)という言葉が合わさった言葉で、療養地という意味だそうです。このクアオルトは、国が認定した特別な地域で、治癒、緩和、予防に効果のある自然の治療薬の療養要素で、医療保険が適用される地域であります。入院・通院様々ですが、最長三週間滞在して治療をするようですが、現在は治療客だけではなく、自費で健康づくりに活用する人が八割以上を占めており、その意味では、療養地というより健康保養地の性格が強くなっているそうです。 このクアオルトで活用されている気候性地形療法の手法やコースの基準を基本として、日本の自然環境や気候に適合され、路面の傾斜や変化、安全対策などに配慮した運動指導をクアオルト健康ウオーキングといい、県内においても岐阜市、関市、美濃加茂市、飛騨市、白川村などで活用されています。クアオルトで心筋梗塞、狭心症のリハビリ、高血圧症、骨粗鬆症などのための運動療法として行われているウオーキングを基に考察された健康づくりのためのウオーキングです。これらも医療観光の一つのくくりとして組み合わせるのに効果的ではないでしょうか。 そこで観光国際部長にお伺いいたします。 医療観光は、岐阜県においても、アフターコロナにおけるインバウンドの回復に有効なコンテンツの一つと考えますが、医療観光についての県の見解と今後の対応についてどのようにお考えでしょうか。 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 県民のがん先進医療受診推進のための支援につきましてお答え申し上げます。 県ではこれまで、県内のどこに居住していても標準的ながんの専門医療を受けられる体制を目指し、県内全圏域に、計八か所のがん診療連携拠点病院を整備してまいりました。 他方、先進医療は標準的な医療技術ではないため、医療保険の適用外となっていますが、一定の有効性及び安全性を国の先進医療会議で認められた高度な医療技術であり、基準を満たした医療機関において、保険診療との併用ができることとなっております。 陽子線治療は、こうした先進医療として認められており、通常の放射線治療に比べて体への負担が少ないという利点がありますが、一方で、対象とするがん種や実施可能な医療機関が限られ、費用が高額といった課題もあります。 今般、陽子線治療センターの開設により、県内のがん治療の選択肢が広がることから、まずは県民の陽子線治療のニーズを把握するとともに、他県における受診支援の取組事例を調査するなど、県としてどのような対応ができるのか検討してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 観光国際部長 丸山 淳君。    〔観光国際部長 丸山 淳君登壇〕 ◎観光国際部長(丸山淳君) 医療観光についての見解及び今後の対応についてお答えいたします。 本県では、心身の健康を広義に捉え、自然や温泉、ウオーキングやトレッキングなど、ウエルネスツーリズムの推進に取り組んでまいりました。今後、観光産業の回復の鍵となるインバウンドについては、その主流である個人旅行者を中心に誘客を図っていく上で、ウエルネスの要素を踏まえた特別な体験を通じ、本県の魅力を発信していくことが重要と考えております。 そのため、豊かな自然を体験できる温泉と小坂の滝めぐりをはじめ、本県ならではの地域資源を生かした観光コンテンツを市町村や地域の事業者と開発し、世界にPRしているところです。 医療観光についても、こうしたコンテンツの一つになり得るものと考えております。 そのため、まずはその受皿となる医療機関のハード・ソフト両面による体制づくりが重要となることから、健康福祉部とも連携し、県内医療機関の取組や国などの動向を注視してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 二番 判治康信君。    〔二番 判治康信君登壇〕(拍手) ◆二番(判治康信君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、これより人生初めての一般質問を通告に基づきまして、大きくは三項目、四点についてお尋ねいたします。 それでは、まず最初に、在宅の医療的ケア児等が利用できる医療型短期入所事業所等の確保・支援策についてお伺いいたします。 医療技術や医療機器の急速な進歩に伴い、在宅での生活を選ぶ方々の中には、呼吸管理やたん吸引、経管栄養などの医療的ケアが必要な方々が増えてきました。多くの地域で、このような医療的ケアを必要とする方々への支援の重要性が高まってきており、これまで岐阜県でも様々な取組をされてこられたと思います。 医療的ケアを必要とする方々は、重症心身障がい児・者や脊髄性筋萎縮症をはじめとする運動ニューロン疾患患者などで、個別のニーズに応えることはもちろん、その方を日々支えている御家族へのサポートも不可欠です。 ここ数年で、医療的ケア児等の介護を担う家族の心身の健康を保つための一時的な休息、レスパイトと呼ばれるサービスの重要性が認識され、利用を望む声が増えてきました。 これは、短期入所や日中一時支援など、一時的に介護の負担を減少させるためのサービスであり、非常に有効です。しかし、残念ながら、そのようなサービスを提供する医療機関や福祉事業所はまだまだ不足しており、市町村によっては、短期入所施設の数にばらつきがあるという声も届いております。 レスパイトサービスの重要性をもう少し深掘りをすると、介護は二十四時間三百六十五日の継続的な仕事であり、感情的・身体的な負担が大きく、このような状況下でのレスパイトは、介護者の精神的健康を維持する上で非常に有益です。実際に、このサービスを利用することで、介護者のストレスや疲労からの回復を図ることができ、結果として、よりよい介護につながると介護者である御家族から聞いております。 また、福祉事業者の方からも、私のところに現在実施している通常の報酬に加え、受入れの実績に応じて空床確保や事業運営に必要な経費を上乗せする在宅医療的ケア児等短期入所等支援事業費補助金の継続実施を要望する声も届いており、これまでの間、この支援がレスパイトサービスの安定的な提供に有効であったと認識しています。 このような実情を踏まえると、県として、在宅の医療的ケア児等とその御家族、既にサービス提供されている事業者、さらにまだサービスの提供に至っていない事業者等の声を聞きながら、短期入所等の提供ができる医療機関や福祉事業所の数を増やしサポートしていくことが、それらのサービスの質の向上や市町村の格差解消につながるのではないでしょうか。 そこで健康福祉部長へお伺いをいたします。 県として、介護を担う家族のレスパイトのため、在宅の医療的ケア児等が短期入所や日中一時支援を利用できるよう医療型短期入所事業所、福祉施設事業所をどのように増やし、サポートしていくのかお聞かせください。 次に、二項目めとして、外国人材の住宅確保について二点お伺いいたします。 最初に、岐阜県中小企業総合人材確保センターにおける外国人材の住宅確保に関する課題への認識と対応についてお伺いいたします。 少子高齢化の影響を深刻に受けているのは、私たちの地域において注目すべき問題点の一つです。 この問題は、多岐にわたる面で影響を及ぼしており、特に労働力人口の減少として表れることから、岐阜県の経済に大きな課題をもたらしています。 少子高齢化が進行する中で、岐阜県の企業や産業は継続的な労働力供給を求めています。しかし、県内の労働力だけでは、この需要に応えることが難しいのが現状です。このような背景から、岐阜県の経済を持続的に成長させるためには、外国からの才能と力を取り入れる必要が高まっています。 特に、農業や製造業といった労働集約型の産業においては、外国人材の受入れが欠かせません。これは、県内の企業が国内外に競争力を維持し、さらには強化するための戦略としての重要な役割を果たしています。 外国人材の受入れによって、企業は生産量や売上げの向上を実現することが期待できるだけでなく、新しい技術や知識の導入、多様な文化背景を持つ従業員からの新しい視点やアイデアの提供など、多岐にわたる経済効果が期待されます。 私自身、中小企業で働いていた前職の経験からも感じましたが、多くの中小企業の方々が外国人材の雇用に前向きである一方、実際の採用過程で様々な問題に直面しています。 その中でも、外国人材の住居の問題は特に深刻です。外国人材を雇用する際には、受入先の企業や団体が適切な住宅環境を提供する必要があります。これが実現しづらい場合が多いのです。アパートの管理者の意向や通勤距離、文化的な違いなどを考慮すると、住居の確保は一筋縄ではいかないことが多いのです。 例えばアパートの管理者が、生活習慣の違いなどから生じるトラブルを避けるために外国人の入居に消極的である場合や、通勤距離が長過ぎるために外国人材が住むことが難しい場合など、実際のところ非常に厳しい問題が多いです。その結果、企業が外国人材の雇用を断念せざるを得なくなるケースも少なくありません。 住居の確保のための具体的な施策としては、例えば県や産業団体が中心となって外国人材専用の住宅施設を整備する。また、不動産関連企業とアパート管理者との連携を強化することなどが考えられ、地域住民との理解を深めるためにも、自治会等への働きかけも必要になります。県、産業団体、不動産関係企業、自治体などが力を合わせ、今後増えてくるであろう外国人材の住宅確保に関する問題に取り組む必要があるのではないでしょうか。 こうした中、岐阜県では、岐阜県中小企業総合人材確保センターを設置し、外国人雇用に関して相談窓口やセミナーの開催、ホームページなどで実際に外国人材が活躍する企業紹介を発信され、また外国人材を雇用している企業へのヒアリングなども行っていると伺っています。 外国人材の受入れに関し、九月十七日の中日新聞の一面に、四十七都道府県と一千七百四十一市区町村が対象のアンケートに回答した首長の八六%、特に、岐阜県などの十六道県では、九〇%以上の首長が外国人材の受入れを必要と回答したとの掲載もあり、外国人材の受入れに向けた取組が一層必要であると考えられ、県内の中小企業からも外国人材の雇用に関する課題解決に対して期待されているところです。 そこで、一点目の質問を商工労働部長にお伺いいたします。 今後、外国人材の受入れがますます進むと思われますが、岐阜県中小企業総合人材確保センターにおいて、外国人の活用を検討している企業や既に外国人材を活用している企業の外国人材の住宅確保に関する課題への認識と対応について、お尋ねいたします。 次に、二点目として、セーフティーネット登録住宅の周知とさらなる確保に向けた取組についてお伺いいたします。 平成二十九年十月二十五日に、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律が施行され、新たな住宅セーフティーネット制度が開始されました。 本制度は、高齢者、障がい者、所得の低い方など、住宅の確保に配慮が必要な方である住宅確保要配慮者に対して、民間の空き家・空き室を活用し、住宅セーフティーネット機能を強化する制度であり、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、登録住宅の改修に対する経済的支援及び住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援の三つの対策が柱となっています。 外国人も、同法の施行規則に定める住宅確保要配慮者として位置づけされており、住宅の貸主が要配慮者の入居に配慮し入居を拒まないとして、登録窓口である県、政令指定都市または中核市に登録された住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅、いわゆるセーフティーネット登録住宅は、外国人材の入居先として選択肢の一つになっております。 岐阜県としても、令和四年三月に一部変更とした岐阜県住生活基本計画の中に、セーフティーネット登録住宅の活用の推進ということで、市町村や不動産関係団体等を通じて民間賃貸住宅の貸主に対し、登録制度の周知等を記されており、現在でも取組が行われていると思います。 令和五年九月十九日現在、セーフティーネット住宅情報提供システムにおいて、岐阜県全体での登録数は二千七百二十四棟、一万七千四百六十一戸あります。入居対象者の範囲は貸主が定められることとされていますが、そのうち入居時の審査はあるものの、外国人を入居対象者の範囲として定めている件数は、二千七百十二棟、一万七千三百五十六戸あり、ほぼ外国人を入居対象としています。裏を返せば、このセーフティーネット登録住宅が増えれば、住宅確保要配慮者の居住先の選択肢が増えるほか、外国人を入居対象可能とする住宅登録数も増えると予測され、外国人材の入居先を探す企業にとっては有益な情報になると考えます。また、私の住む多治見市では、登録数が九十五棟、六百八十一戸ありますが、空き室は三棟三戸のみで非常に少なく、県全体でも空き室は百九十五棟、二百七十三戸にとどまっており、県内各地で登録住宅が増えることも望まれます。 そこで都市建築部長にお伺いいたします。 外国人を含めた住宅確保要配慮者のためのセーフティーネット登録住宅の周知や登録住宅のさらなる確保により、県内各地で外国人材を受け入れしやすくなると思いますが、どのように取組を推進されるのかお尋ねします。 次に、三項目めとして、ヘレンド社と県、地域が連携した陶磁器産業の振興についてお伺いいたします。 先般八月二十九日から九月五日まで、フランス、ポーランド、ハンガリーへと私自身初めてとなる海外視察を行いました。九月二日には、岐阜県とヘレンド社との友好協力に関する覚書に基づく、ヘレンド磁器博物館における美濃焼展オープニングセレモニーに私も参加させていただき、美濃焼展を観覧してまいりました。何度見ても高い技術と芸術性を感じるヘレンド社の作品に感銘を受けております。 二〇二一年秋に、岐阜県と同社が友好協力の覚書を結んだことがきっかけとなり、これまで交流事業として、私の地元であります多治見市のセラミックパークMINOで開催された国際陶磁器フェスティバル美濃‘21において、美濃焼とハンガリーの名窯ヘレンドと銘打ったヘレンド特別展が開かれました。今回は、第二弾として、美濃焼の多様性をキーコンセプトとした美濃焼展がヘレンド磁器博物館にて開催されており、欧州において初の展示会が開催されたことで、美濃焼の転機になるかもしれないと感じております。 あわせて、来年十月に開催される国際陶磁器フェスティバル美濃‘24の新会長として古田知事が就任されたことで、より一層美濃焼が国内外へ広まるのではないかと、私の地元、多治見からも大きな期待が寄せられております。 当フェスティバルで開催される第十三回国際陶磁器展美濃・国際陶磁器コンペティションの作品募集では、本年二月より募集を開始していますが、実行委員会からも多くの方が応募され、来年一月の締切りまで応募者数も増えていくと話を聞いております。 国際陶磁器フェスティバル美濃は、日本の伝統的な美濃焼の魅力を世界に伝える重要なイベントです。このフェスティバルでは、古くからの伝統技法と現代の革新的な技術が融合した作品が展示され、その独特の美しさや深みを感じることができます。また、国際交流の場として、多くの外国の方から参加者や来訪者が集まり、異文化間の理解や新しい発想の交換が活発に行われ、陶磁器産業の持続的な発展を目指し、環境や資源の保護にも配慮された活動が展開されることに期待を寄せられています。 そこで商工労働部長にお伺いいたします。 国際陶磁器フェスティバル美濃‘24の開催に向けて準備が進められる中、今回の欧州渡航を経て、ヘレンド社と県、そして地域が連携して、どのように陶磁器産業の振興に取り組まれるのかお尋ねします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 健康福祉部長 丹藤昌治君。    〔健康福祉部長 丹藤昌治君登壇〕 ◎健康福祉部長(丹藤昌治君) 在宅の医療的ケア児等が利用できる医療型短期入所事業所等の確保・支援策についてお答えを申し上げます。 医療的ケア児等の短期入所や日中一時支援においては、たんの吸引や経管栄養などに対応できる担い手の不足と、手厚い人員配置が必要となるための採算面の不安の二点が大きな課題です。 このため、県では、平成二十六年度以降、看護師や介護職員向けの専門研修を実施するとともに、医療的ケア児等を受け入れる際の人件費などの経費に対する県独自の補助制度を設け、事業所をサポートしてまいりました。 その結果、例えば医療型短期入所事業所については、平成二十五年度の十一か所から令和四年度は二十六か所へと着実に増加していますが、一方で、その半数が岐阜圏域に集中しております。 今後は、地域偏在の解消という観点も踏まえつつ、引き続き受皿が少ない圏域の医療機関や福祉施設に対する集中的な働きかけなどにより、受入先となる事業所の拡充に努めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 商工労働部長 三木文平君。    〔商工労働部長 三木文平君登壇〕 ◎商工労働部長(三木文平君) 二点御質問いただきました。 まず、岐阜県中小企業総合人材確保センターにおける外国人材の住宅確保に関する課題への認識と対応についてお答えします。 中小企業総合人材確保センターでは、相談窓口等を通じて、「外国人材の雇用を検討したが住居問題もあり一旦見送った」「技能実習生を受け入れていたが住居などの問題で中止した」といった声を伺っております。人手不足や少子高齢化が深刻化する中、外国人材の活用は重要であり、その雇用に向けては、住宅の確保が課題の一つとして認識しております。 外国人材を雇用している企業とのヒアリングでは、賃貸住宅を一棟全て借り上げて社宅としたり、職場と近接した住宅が確保できない場合には、通勤や買物のための送迎や自転車の貸与を行ったりするなど、独自の取組をお聞きしております。 今後は、外国人材の活用を検討している企業のニーズを丁寧に把握するとともに、住宅確保に向けた取組事例をより広く収集し提供するなど、市町村などと連携して取り組んでまいります。 次に、ヘレンド社と県、地域が連携した陶磁器産業の振興についてお答えします。 県内の陶磁器産業は、人口減少や海外製品の台頭による内需減少、海外市場での低い競争力といった課題に直面しており、生産が伸び悩んでいます。こうした中で、各国のセレブたちに愛されてきたヘレンド社との交流は、美濃焼の高付加価値化・多様化、新商品開発、海外展開へとつながるものと考えております。 今回のヘレンドにおける美濃焼展では、来場者から高い評価をいただき、現地のメディアにも報道され、手応えを感じました。今後も互いに協力してPRを行い、海外展開につなげてまいります。 また、人材交流も開始し、今年度は県内の窯元の方がヘレンド社で商品開発や製造現場を学び、来年度は、ヘレンド社から国際陶磁器フェスティバル美濃の会期中に数か月間の滞在の上、美濃焼を学んでいただきます。こうした交流は製造技術はもとより、製品の背景にある文化や価値観を理解することにつながります。新たな技術や発想による美濃焼のさらなる魅力、価値の向上に向け、交流を進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 都市建築部長 藤井忠直君。    〔都市建築部長 藤井忠直君登壇〕 ◎都市建築部長(藤井忠直君) セーフティーネット登録住宅の周知とさらなる確保に向けた取組についてお答えいたします。 低所得者や高齢者、障がい者、外国人など、様々な事情から住宅確保に配慮を必要とする方々に対し、県では、民間賃貸住宅を活用したセーフティーネット登録住宅の普及を図っております。 具体的には、不動産、福祉などの関係団体や行政等、四十九の団体や機関で岐阜県居住支援協議会を構成し、セーフティーネット登録住宅に関する各種制度や構成団体による支援内容を共有するとともに、住宅オーナーに対するガイドブックの作成、配布、県ホームページでの情報提供などの取組を進めてきました。この結果、本県人口千人当たりの登録住宅戸数は、全国平均の七戸を上回る九戸となっております。 登録住宅のさらなる確保に向け、不動産事業者やオーナーが登録に当たって支障となっている点や、外国人を含めた住宅確保要配慮者のニーズを丁寧に把握してまいります。加えて、ガイドブックの見直しやホームページ掲載情報の充実を図るとともに、関係団体や市町村などと連携し、登録に向けた働きかけを強化してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 四十七番 岩井豊太郎君。    〔四十七番 岩井豊太郎君登壇〕(拍手) ◆四十七番(岩井豊太郎君) 議会も最終日、多くの方が質問されましたが、最後の登板になりましたので、私も大きく二点質問させていただきまして、前向きな答弁を期待して、ただいまから質問を始めさせていただきたいと思います。 まず今回は、生成AIを活用したDXの推進についてということで、二項目。 まず、行政における生成AIの活用について、古田知事に質問させていただきます。 国立社会保障・人口問題研究所が、二〇二三年四月二十六日に公表しました長期的な日本の人口を予測した将来推計人口によりますと、日本の人口は、二〇五六年に一億人を割るということが言われております。 これまでも人手不足の対応として、人工知能(AI)やロボットが活用され、人手不足を補ってきましたが、少子高齢化により人口が減少していく中で、企業、行政、社会のあらゆる分野において、急速な改革や変化が求められております。 こうした中、近年対話型生成AIが注目を集めております。中でも、アメリカのオープンAI社が二〇二二年十一月に無料公開いたしましたChatGPTは、質問に答え、自然な言葉で文章を生成でき、僅か二か月で全世界で利用者が一億人に達したとも言われております。 そこで、今後私たちは、この技術とどのように付き合っていけばいいのでしょうか。 私は、八月二十五日に開催されました「清流の国ぎふDX公開講座~生成AIがもたらす未来~」を聴講いたしました。講師の先生は、岐阜大学工学部教授で岐阜大学人工知能研究推進センター、センター長の加藤邦人教授でありました。 当日は、生成AI、特にChatGPTについての解説のほか、それに関連する三つのテーマについての講演をいただきました。私にとって大変興味のあるテーマで、説明も分かりやすく有意義な勉強会であり、講演後、早速後輩の県議からChatGPTの使い方を教えてもらいました。 この講演の中で、特に関心を持ちましたのは、従来のAIは、基本的に各種データの分析や予測を得意とするのに対し、ChatGPTは人間の指示に従ってコンテンツをつくり出す生成AIであるという点であります。 さらに、ChatGPTの最大の特徴は、日本語、英語、フランス語のような人が生まれながらに使う自然言語、つまり人間の言語で命令することができるという点であります。人間の言葉を聞いて、人間の言葉で返事をしてくれる機械ではありますが、知性を持ったり、思考したりするわけではありません。 人間の活動のほぼ全域に関わる言語を扱うChatGPTのインパクトは、これまでのAIの中でも段違いであり、その活用によって非常に強大な変化が起こるのではないかと感じました。 昨年公開されて、まだ一年ほどしか経過していないにもかかわらず、既に世界中で一億人以上の人がChatGPTを使っている。これは、世の中がそのような時代の変わる方向に一気に動いているということだと思います。 また、社会の中で、今後どのようにChatGPTが活用されていくかは、私はAIにより時代が大きく変わるチャンスであると、そのようにも感じました。この点について、研修の講師である加藤教授も、企業も国も、手をこまねいている場合ではないとハッパをかけておられました。 令和五年三月二十日の日経ビジネスのインタビューで、東京大学大学院の松尾教授が、日本には課題を上げて何か分かったような気になり、実際には行動しないという空気が蔓延していると感じます。それでは意味がなく、黎明期の技術に課題があるのは当たり前で、こうした課題はすぐに乗り越えていくものだとおっしゃっておられました。私もそのとおりだと思いました。 マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、ChatGPT-4の発表の後、「AIの時代が始まった」と題するブログを更新する中で、産業界全体がこの技術を中心に方向転換を迫られると書いておられました。 私は、ChatGPTをはじめとする生成AIの革新的技術は、既に社会に放たれており、この革新的な技術が新たな産業革命になり、これからの文明の利器になるか脅威になるかは、利用する我々次第だと思います。 ここで、生成AIをめぐる国内の動きを紹介しますと、政府は今年九月八日に、事業者向けのガイドラインの骨子案を示しました。この骨子案には、人権侵害や犯罪などを助長する可能性の高いAIを提供したり、利用したりしてはならないことが責務として明記されています。政府は、この骨子案を基に今後も有識者を交えた議論を続け、年内には正式なガイドラインとしてまとめていく方針とのことです。 また、一部新聞報道によりますと、政府の二〇二四年度予算で、各省庁によるAI関連の概算要求額が合計で一千六百四十億円になり、二〇二三年度当初予算比で四四%増となり、AI予算を一気に増額し、開発強化や利用促進につなげたい考えのようであります。 また、他の都道府県に目を向けますと、最近、東京都庁が生成AIの活用に取り組んでいることを知り、早速インターネットで調べました。 東京都では、今年四月に、デジタルサービス局内に検討プロジェクトチームを設置し、文章生成AIの利活用について議論を重ね、八月からは、文章生成AIを共通デジタルツールとして全局に導入することとして、東京都職員に向けた文章生成AI利活用ガイドラインが策定されています。 ChatGPTをはじめとする文章生成AIは、行政の業務の在り方を大きく変革する可能性を秘めている一方、様々なリスクも指摘されております。このため、行政の業務での活用に当たり期待する効果を得るためには、その特性をよく理解し、正しく利用することが重要であります。 こうした点を踏まえ、東京都では、文章生成AIに関する利用上のルールを定めるとともに、効果的な活用事例を掲載し、職員が新しい技術を正しく使いこなすことで行政サービスの質を高め、都政のクオリティー・オブ・サービス向上へとつなげていくことを目的として、ガイドラインを作成したとのことであります。 東京都の例はあくまで参考でございますが、生成AIをうまく行政に取り入れ、チェック機能を働かせて仕事を行うことで、時間短縮による仕事の効率化が期待されることから、本県も独自のガイドライン、ルールを作成して、業務の効率化に取り組んでいただきたいと思います。 そこで知事にお伺いいたします。 今後の本県の行政分野における生成AIの活用に向けた知事のお考えをお伺いしたいと思います。 次に、教育分野における生成AIの活用について教育長にお尋ねします。 ChatGPTをはじめとする生成AIを教育現場で活用することに関して、現状ではリスクが多くて、拙速ではないかという心配の声を聞いております。 この問題に関して、本年七月に文部科学省から各都道府県教育委員会に対して、初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインについて通知があり、暫定的なものではありますが、生成AIの教育利用につき一定の考え方が国から示されたところです。 このガイドラインの中で、文部科学省は、生成AIを使いこなす力を意識的に育てる姿勢が重要と強調し、一方で、生成AIは発展途上で日進月歩であり、多大な利便性の半面、個人情報の流出等、様々な懸念も指摘されており、児童・生徒の発達の段階を十分に考慮する必要があるとして、基本的な考え方として、限定的な利用から始めることが適切とされていると聞いております。 また、本県の教育委員会としても、分かりやすい質問形式の内容で、小・中学生や高校生の対話型生成AIの利用についてというリーフレットを作成し、保護者向けに配付していることは承知しております。 そこで教育長にお尋ねいたします。 国から示されたガイドラインを踏まえ、今後、本県の教育分野において生成AIをどのように活用していかれるお考えかお聞かせ願いたいと思います。 次に、持続可能な本県の酪農振興に関して、二点農政部長にお伺いいたします。 まず、岐阜県産の牛乳・乳製品の普及と消費拡大についてお尋ねいたします。 私は、このたびの一般質問に当たり、本県の酪農家の皆さんから、昨今の世界的な物価高騰の影響による配合飼料の高騰、乾燥牧草輸入価格の高騰、その他電気、燃料などの経費の高騰など、厳しい環境に置かれている実情をお聞きいたしました。 酪農の経営が健全に行われているかどうかは、配合飼料や牧草の価格、光熱水費、人件費などの生産コストの観点と乳価の動向、生産と消費の需給のバランス、販売動向などから、適正な利益を出すことができるかどうかという収益性の観点から捉えていく必要があると思います。 そこで生産、販売の両面から、最近の酪農の動向について述べてみますと、酪農を営む中で生乳一キログラム当たりの生産コストは、飼料価格の低下に伴う流通飼料費の減少等により二十七年度に減少したものの、二十九年度以降は初妊牛、これは初めて妊娠した牛のことでございますが、この価格の高騰に伴う乳牛償却費の上昇等により、生産コストは増加傾向で推移をいたしました。その後、令和三年度には、配合飼料をはじめとした飼料費の高騰等により、生産コストは増加をいたしました。 このような状況を踏まえ、昨年十一月には、種類別に飲用牛乳と発酵乳で一キログラム当たり十円、今年四月には学校給食用牛乳で一キログラム当たり十二円、加工乳で一キログラム当たり十円、それぞれ乳価の値上げがなされました。また、八月には、飲用牛乳と発酵乳で一キログラム当たり十円が追加で値上げされており、さらに学校給食用牛乳についても、令和六年四月より、一キログラム当たり十円以上の値上げが予定されているというところであります。 このように、乳価の値上げが続いておりますが、今年八月からの乳価の値上げ分が酪農家に入るのは九月末になるということでありまして、現在、生乳一キログラム当たりの生産コストは百三十円以上かかっているのに対して、八月に入った七月分の乳価は一キログラム当たり百三十円以下ですので、いまだに赤字経営の状態であり、九月末になってようやく約一年半ぶりに黒字になる見込みだということでございます。 このような状況ですので、酪農家にとって、生乳の生産コストが急騰した時期の経営の穴を埋めるには、まだ数年かかる見込みですが、ここに来て追い打ちをかけるように、今年の夏の長期にわたる猛暑の影響により、一頭当たりの搾乳量が激減しており、酪農家の経営環境はさらに厳しさを増しております。 ここで、本県における酪農の厳しい現状について述べてみますと、本県の酪農家は、令和二年から五年の四年間に十九戸が離農され、本年二月一日現在、七十七戸で約四千五百頭が飼育されております。 次に、近年の牛乳の消費動向について述べてみますと、コロナ禍による巣籠もり需要により、量販店での牛乳の販売は増加した一方で、コロナの蔓延防止対策による学校休業等の影響により、学校給食用の牛乳の供給が止まるなど、集団飲用は大きく減少しました。 また、特にウクライナ侵攻以降、諸物価高騰による生活防衛意識の高まりもあり、牛乳の消費は低迷しています。それに加えて、乳価の値上がりに伴い市場価格も上昇し、消費低迷に拍車がかかっており、乳牛の飼育と生産された生乳の需給を取り巻く環境は、大変厳しい状況にあると聞いております。 少し話は変わりますが、今年九月十八日の敬老の日の前の厚労省の発表によりますと、本年九月一日現在、百歳以上の方は全国で九万二千百三十九人、本県では一千五百二十一人おられます。誰でも百歳になれて百歳が珍しくない時代でありますが、百歳以上になられる方は、当然日頃から食生活など健康に留意しておられます。 酪農の厳しい現状を踏まえて、岐阜県酪農農業協同組合では、酪農全体で岐阜県産の牛乳・乳製品の普及、消費拡大に取り組んでおられます。御存じのとおり、牛乳・乳製品は非常に栄養バランスに優れた食品であり、学校給食等でも広く提供されております。老若男女を問わず、できるだけ多くの県民の皆様にぜひ岐阜県産の牛乳・乳製品を消費していただくこと、これがまさに県民の健康増進であり、地産地消であると考えます。 日本では二〇〇七年、日本酪農乳業協会、現在では一般社団法人Jミルクですが、六月一日を牛乳の日及び六月を牛乳月間と定めております。これに併せて、本県においても牛乳・乳製品の消費拡大に向け、様々な取組を実施していただいているところでございますが、今後できるだけ多くの方に岐阜県産の牛乳・乳製品を消費していただきたいと思っております。 こうした取組を通じて、県民の皆様に岐阜県産の牛乳・乳製品を活用していただき、健康長寿社会の実現、さらに日本一長寿県を目指していただきたいと思います。 そこで農政部長に、岐阜県産の牛乳・乳製品の普及と消費拡大に向けて、今後どのように取り組まれるか御見解をお尋ねいたします。 最後に、酪農ヘルパー制度の利用拡大について、農政部長にお尋ねしたいと思います。 これは、皆さんのお手元にこの資料がありますので、(資料を示す)これを見ながら聞いていただきたいと思います。 お手元の資料を見てお分かりのように、畜産の中でも酪農は乳を搾るという搾乳の仕事があり、一人当たりの年間平均労働時間で比較してみますと、酪農の年間平均労働時間は二千五十七時間となっております。肉用牛の一千六百八十五時間、養豚の一千六百七十七時間、製造業は一千八百三十八時間と比べて、酪農経営は他の産業より労働時間が長い状況であります。近年、働き方改革という言葉をよく耳にしますが、持続可能な酪農を目指す上で、酪農家のための働き方改革について取り組む必要があると思います。 そこで、酪農を持続的に経営し、若い後継者の酪農経営に対する就農意欲の向上につなげるために、働き方改革として労働負担の軽減に向け、飼養方式の改善、機械化、あるいは外部化等の取組を推進するという三つの改善策が示されております。 この三つの改善を取り組む上で、特に家族経営の酪農家にとっては、費用の面からも検討しなければなりません。 そこで、国が示している労働負担の軽減に向けた国の支援策として、一つ、畜産経営体生産性向上対策、二つ目として、酪農労働省力化推進施設等緊急整備対策事業、三つ目として、育成の外部化の実現に向けた支援策、四つ目として、酪農ヘルパーの利用拡大、この四つの支援策が示されております。 このうち省力化機械の導入支援や公共牧場における乳用種導入支援は、既に県において支援をされておりますが、そこでこの四つの支援策の中で、家族経営をしておられる酪農経営の方の要望は、国の支援策にある酪農ヘルパー制度の充実であり、今後もヘルパー制度を利用しやすいよう酪農家の負担軽減をしてほしいということであります。 このたび、同様のお願いを県に対しても要望をしておられます。 そこで酪農ヘルパー制度の利用拡大について、今後どのように取り組んでいただけるか、農政部長にお考えをお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 行政における生成AIの活用について御質問がございました。 まず、AIという言葉が歴史に初めて現れましたのが、ダートマス大学に集まったコンピューター科学者たちが「人間が抱える問題を解き、自身を改善していける機械」といったことで議論をした一九五六年と言われております。 以来、何度か起きたITブームの中で、最近で言えば5G、IoT、第四次産業革命といった言葉とともに、AIは私どもの耳になじんだものとなってきております。 このAIに関しましては、自らどんどん学習していくことで、いずれAIが人類の頭脳を追い越すことになるといった、いわゆるシンギュラリティーの議論があります。一方で、いや、計算能力はともかく読解力や人間の持つ感情に関しては、AIが人間を凌駕することはないという意見もございます。 もっと身近なレベルとしては、AIが人に取って代わるので職を失う人が多く出ると指摘がある一方で、単純業務をAIに任せることで、人はより生産的な業務に注力できるという議論もあります。このように、AIの功罪論議は相半ばといった感があるわけであります。 そうした中で、その機能が急速に発展・浸透しつつある生成AIにつきましては、人口減少、少子高齢化が進む社会において、生産性を向上し、社会を変革させる可能性のある新しい技術として、県としても大いに注目しているところであります。 その活用に向けましては、今年五月のG7広島サミットにおいて、国際ルールづくりに向けた枠組み広島AIプロセスが創設されたほか、国においても有識者や関係閣僚から成るAI戦略会議や、関係省庁の実務者級によるAI戦略チームが設置されております。そして、AIの統合的なガイドラインの策定が進められるなど、議論が行われている渦中にあるわけであります。 そうした議論の中で、行政分野における生成AIについて申し上げますと、様々な企画段階におけるアイデア出し、挨拶原稿やメールの下書きといった文案作成、会議録などの要約、翻訳、プログラム作成など活用可能であり、業務の効率化や生産性の向上に資する有効なツールとして期待されるわけであります。 一方で、これまでにない新しいかつ急激に広がっている技術であるがゆえに、入力・生成された情報の正確性・信頼性、入力された情報のセキュリティー、著作権の扱いの整理など、既存のルールや対応が追いついていないこともあり、様々なリスクも指摘されております。 そのため、県におきましても、既に六月にデジタル推進局を中心に、各部局主管課による庁内連絡会議を立ち上げ、生成AIに関する情報共有と業務での利活用に向けた議論を進めているところであります。 これまでに開催されてきた庁内連絡会議では、全く新しい技術であり、活用の可能性を感じるという議論もありますし、生成AIにたたき台を作成させ、職員が肉づけをすることで、業務の質が向上するという議論もあります。また、業務の合理化、省力化につながりぜひ活用したいと、このような積極的な意見があった一方で、生成AIは業務を補助するツールにすぎず、情報の取捨選択が重要になる、生成AIを使いこなすためのルールづくりが必要であるといった意見も出ております。 こうした議論や意見を踏まえて、来年一月から、まずは各部局主管課及びデジタル推進局の職員を対象に生成AIを試験的に導入し、効果や課題について検証してまいりたいと思っております。 これに先立って、年内をめどに有識者や専門家の御意見も伺いながら、職員が業務で生成AIを利用するに当たっての留意すべき事項、所属長の事前承認などの手続などを定めた暫定的なガイドラインを策定してまいります。 ○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 教育分野における生成AIの活用についてお答えをします。 県教育委員会では、教育における生成AIの利用について、七月に文部科学省から示された暫定的なガイドラインを市町村教育委員会や各県立学校に周知をしたところです。加えて、議員御指摘の保護者向けのリーフレットについては、夏休みの宿題や自由研究等で児童・生徒が生成AIを利用することを念頭に作成し、夏休み前に周知、配布したところです。 生成AIは日々急速に発展、普及しており、教育の分野でも後れを取ることなく対応していく必要があります。県教育委員会では、今年度既に二回教員向けの大学教授による研修会を実施、今後企業の専門家による研修も予定をしており、市町村教育委員会でも同様の研修を実施しているところもあります。また、学校においても、既に英作文の推敲や比較検討に生成AIを活用している例もございます。さらに、今後は学校教育におけるリスクや教育効果を研究、検証する実証実践例を重ねるなど、スピード感を持って生成AIの安全かつ効果的な活用に向けた取組を進めてまいります。 ○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。    〔農政部長 足立葉子君登壇〕 ◎農政部長(足立葉子君) 持続可能な酪農振興について、二点御質問をいただきました。 最初に、岐阜県産牛乳・乳製品の普及と消費拡大についてお答えいたします。 これまで県では、県酪農農業協同組合連合会と連携し、父の日に「牛乳(ちち)を送ろうキャンペーン」や様々なイベントでの県内産牛乳の無料配布、また子供の農場体験を通じた酪農への理解の醸成など、消費拡大に努めてきたところです。 一方で、牛乳の消費は低迷が続いており、今後の乳価の値上げにより、さらに消費の減退につながることが危惧されます。 こうした状況を踏まえ、新たな需要を喚起するため、とりわけ給食で牛乳を飲まなくなった世代に向け、改めて牛乳・乳製品が健康的な食生活に大きく貢献することを強くPRしてまいります。 例えば、牛乳月間の六月には「職場で牛乳飲もう運動」、忘年会や歓送迎会の時期には「お酒の前に一杯の牛乳運動」などを展開し、地産地消県民運動の一環としてSNSやメールマガジン等も活用し、広くアピールするとともに、県庁舎の来庁者や県職員にも呼びかけてまいります。 続きまして、酪農ヘルパー制度の利用拡大についてお答えいたします。 酪農ヘルパー制度は、朝夕二回の搾乳作業が欠かせない酪農家の休日の確保や、病気やけがの際に酪農家の要望に応じて作業を代行する国の制度で、現在県内には五つの組合があり、十一名のヘルパーが日々作業支援を行っております。その利用に当たっては、ヘルパーの人件費や消耗品費等に係る経費を酪農家が負担しています。 しかし、近年は飼料・資材等の高騰などによる経営の不安もあり、酪農家がヘルパー制度を利用することをためらう状況が見受けられます。 このため、県としても、働き方改革につながるヘルパー制度を酪農家が安心して利用できるよう酪農家の意見やニーズを丁寧に伺いながら、負担軽減に向けた支援策を検討してまいります。 あわせて、国に対しては、農場への移動にかかる経費の補助要件や病気やけがの際の利用要件の緩和など、地域や酪農家の実情に応じた酪農ヘルパー事業の拡充を要望してまいります。 ○副議長(田中勝士君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、議第七十三号から議第八十六号まで、議第九十八号から議第百号までを除き、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田中勝士君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、議第七十三号から議第八十六号まで、議第九十八号から議第百号までを除き、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は十月四日までに終了し、議長に報告願います。 △令和五年第四回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表 委員会名付託案件総務委員会◯ 議第七十号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係、債務負担行為補正中総務委員会関係及び地方債補正 ◯ 議第八十七号 ◯ 議第九十六号 ◯ 請願第九号企画経済委員会◯ 議第七十号のうち歳出予算補正中企画経済委員会関係及び債務負担行為補正中企画経済委員会関係 ◯ 議第八十八号 ◯ 議第九十号厚生環境委員会◯ 議第七十号のうち歳出予算補正中厚生環境委員会関係 ◯ 議第七十一号及び議第七十二号 ◯ 議第八十九号 ◯ 請願第五号から請願第八号まで農林委員会◯ 議第七十号のうち歳出予算補正中農林委員会関係、繰越明許費中農林委員会関係及び債務負担行為補正中農林委員会関係 ◯ 議第九十五号土木委員会◯ 議第七十号のうち歳出予算補正中土木委員会関係、繰越明許費中土木委員会関係及び債務負担行為補正中土木委員会関係 ◯ 議第九十一号から議第九十四号まで ◯ 議第九十七号教育警察委員会◯ 議第七十号のうち歳出予算補正中教育警察委員会関係及び債務負担行為補正中教育警察委員会関係…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 日程第四を議題といたします。 お諮りいたします。ただいま議題といたしました県議第十五号 決算特別委員会の設置についてを直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田中勝士君) 御異議なしと認めます。よって、本案を直ちに採決することに決定いたしました。 ただいまから県議第十五号を採決いたします。 お諮りいたします。本案を原案のとおり決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田中勝士君) 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会委員の選任については、岐阜県議会委員会条例第六条第一項の規定により、お手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田中勝士君) 御異議なしと認めます。よって、決算特別委員会委員は、お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。     特別委員名簿委員会名氏名決算特別委員会   伊藤正博      渡辺嘉山      佐藤武彦    平岩正光      小原 尚      松岡正人    加藤大博      水野吉近      長屋光征    中川裕子      恩田佳幸      山内房壽    森 治久      平野祐也      小川祐輝    森 益基…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から十月四日までの五日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田中勝士君) 御異議なしと認めます。よって、明日から十月四日までの五日間、休会とすることに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 十月五日は午前十時までに御参集願います。 十月五日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時十二分散会 ……………………………………………………………………………………………...