令和 5年 6月 定例会(第3回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第三号) 令和五年六月二十九日(木)午前十時開議 第一 議第五十八号から議第六十九号まで 第二 請願第一号から請願第四号まで 第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第五十八号から議第六十九号まで 一 日程第二 請願第一号から請願第四号まで 一 日程第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十六人 一番 木村千秋君 二番 判治康信君 三番 平野恭子君 五番 今井瑠々君 六番 牧田秀憲君 七番 黒田芳弘君 八番 森 治久君 九番 山内房壽君 十番 森 益基君 十一番 小川祐輝君 十二番 中川裕子君 十三番 伊藤英生君 十四番 澄川寿之君 十五番 平野祐也君 十六番 所 竜也君 十七番 今井政嘉君 十八番 藤本恵司君 十九番 安井 忠君 二十番 恩田佳幸君 二十一番 若井敦子君 二十二番 広瀬 修君 二十三番 布俣正也君 二十四番 酒向 薫君 二十五番 野村美穂君 二十六番 水野吉近君 二十七番 国枝慎太郎君 二十八番 長屋光征君 二十九番 高殿 尚君 三十番 田中勝士君 三十一番 加藤大博君 三十二番 松岡正人君 三十三番 小原 尚君 三十四番 水野正敏君 三十五番 野島征夫君 三十六番 川上哲也君 三十七番 渡辺嘉山君 三十八番 伊藤正博君 三十九番 伊藤秀光君 四十番 平岩正光君 四十一番 佐藤武彦君 四十三番 森 正弘君 四十四番 村下貴夫君 四十五番 尾藤義昭君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 山田 恭 総務課長 桂川義彦
議事調査課長 若野 明
議事調査課管理調整監 森 信輔 同 課長補佐 市橋ますみ 同 課長補佐 市川達也 同 係長 佐藤由子 同 主査 水野 恵 同 主査 遠藤俊輔 同 主査 古藤綾乃……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 大森康宏君 副知事 河合孝憲君
会計管理者 矢本哲也君 総務部長 尾鼻 智君 清流の国推進部長 長尾安博君
危機管理部長 内木 禎君
健康福祉部長 堀 裕行君
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君
商工労働部長 三木文平君 林政部長 久松一男君
都市建築部長 藤井忠直君
都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君 教育長 堀 貴雄君 警察本部長 大濱健志君……………………………………………………………………………………………
△六月二十九日午前十時開議
○議長(野島征夫君) 皆様、おはようございます。 ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十六番 水野吉近君。 〔二十六番 水野吉近君登壇〕(拍手)
◆二十六番(水野吉近君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、
岐阜県議会公明党を代表し、二分割六項目についてお伺いいたします。 初めに、国の
こども未来戦略方針を踏まえた本県の
少子化対策の取組方針についてお伺いいたします。 公明党は六月一日に岸田総理に対し、骨太の方針(
経済財政運営と改革の基本方針)に対する提言を行いました。物価高に負けない持続的な賃上げの実現をするため、
女性デジタル人材の育成支援や幼児教育から高等教育までの教育負担の軽減、
奨学金返還の負担軽減など人への投資の強化や、今後の経済成長に向け、脱炭素化に効果が高い水素の
サプライチェーン(供給網)の構築や拠点整備、太陽光など
再生可能エネルギーや省エネ投資を促進すること、さらには5Gなど
デジタル社会の基盤整備、防災・減災、国土強靱化五か年
加速化対策の推進とその後の継続的、安定的な取組、さらには中小企業の事業再構築や
生産性向上支援、観光立国の復活への推進等を訴えました。この内容は、今月閣議決定された骨太の方針に多く盛り込まれました。 また、政府は六月十三日に
こども未来戦略方針を閣議決定し、この内容は骨太の方針にも反映されています。
こども未来戦略方針については、公明党が昨年十一月に
子育て応援トータルプランを発表。このプランを基に今後三年間を集中期間とし、この間に実施すべき事項をパッケージとして取りまとめることなど、数回にわたり政府に提言を重ねました。 六月十三日に閣議決定された
こども未来戦略方針の中身は、児童手当について所得制限を撤廃し、支給対象を現在の中学生までから高校生までに拡充。第三子以降への加算も高校生まで広げた上で、支給額を三万円に倍増させる。就労要件を問わず、時間単位の保育所利用を可能とするこども誰でも通園制度に関しては、本格実施を見据え、二十四年度からモデル事業を拡充。
育児休業給付率の引上げ、高等教育費の負担軽減、出産費用の保険適用の検討や
子育て世帯の住宅取得への支援にも取り組むとしています。
少子化対策は、若年人口が急激に減少する二〇三〇年代に入るまでが
ラストチャンスであり、今後三年間で集中的に取り組まれます。 こうした国の動きに先駆けて、本県の令和五年度当初予算事業では、自然増に向けた取組として思い切った
少子化対策、
子育て支援策が推進されています。具体的には、第二子以降の出生児への十万円の祝い金の支給、
不妊治療費の
自己負担分の支援、高等学校への進学等を控えた中学三年生への三万円の準備金の支給、県外学生等への
Uターン奨学金の貸与月額の三万円から六万円への倍増などです。 私は、本県がさらなる
少子化対策を推進するに当たり思うことは、一つ目に、
少子化対策の強化に当たり、地方の果たす役割も大きいことから、自治体が地域の実情に応じて自らの創意工夫により行う独自の取組に必要な地方財源を十分に確保すること。 二つ目に、若い世代が
希望どおり結婚、子育てをし、また
希望そのものを引き上げるには、特に地方における若い世代の持続的な所得向上が必要であること。 三つ目に、今後保育の質及び量にわたる需要が高まることから、保育所や保育人材の確保に向けた取組を強化すること。 四つ目に、今年度から教育委員会が制度を開始する、採用された新教員が抱える奨学金の一部補助や代理返還の仕組みを企業などにも広げることにより、大学進学に際し、学生、監護者ともに安心して奨学金を借りられるようにすることなどが重要ではないかと考えています。 今後、
子育て支援などの
少子化対策は、財源を確保しつつ、国を挙げて一層推進されることとなります。 そこで、政府の
こども未来戦略方針の動きを踏まえ、県として今後二、三年の積極的な
少子化対策をどのように考えるのか、また
少子化対策を強化するために必要な財源を確保するため、国に何を求めていくのかについて、知事にお伺いをします。 次に、来年度からを計画期間とする第五期岐阜
県地域福祉支援計画の改定方針についてお伺いします。 現在の第四期岐阜
県地域福祉支援計画は、二〇一九年度から二〇二三年度までを計画期間とし、今年度で期間満了を迎えます。
社会福祉法第百八条の規定に基づき策定され、五年ごとに見直しが行われてきました。岐阜県
高齢者安心計画など他の
福祉関係計画とも関係し、市町村の
地域福祉推進を支援するため
ガイドラインとしても位置づけられています。 第四期計画では、地域福祉を取り巻く状況として、人口減少・
少子化高齢化の進行、小家族化の進行と単独世帯の増加、担い手の人材不足などが挙げられていますが、これらの懸念材料はこの五年でより速いスピードで進んでいます。 特にここ二、三年のコロナ禍が
地域福祉施策に与えた影響は大きく、外出やイベントなどの行動制限が長きにわたって行われたことで、住民同士のつながりがより希薄になっています。また、
社会経済活動が制限されたことで売上げが減少したり職を失ったりしたことで、生活に困窮し、孤独・孤立に陥る方が増え、その対策が求められています。また、民生委員や
ボランティア等の地域福祉の担い手不足、高齢化による後継者不足も課題です。計画の見直しに当たっては、こうしたコロナ禍の影響を踏まえ、これらにどのように対処していくかが求められてくると思います。 私がここ最近で耳にするようになった生活課題は、買物に行くことが困難になっている高齢者が増えていることです。自ら店舗に足を運んで買物をすることが難しくなった人や近隣のスーパーが閉店して不便になった方も少なくありません。政府は、スーパーやコンビニなどの店舗までの直線距離が五百メートル以上あり、かつ自動車を利用できない六十五歳以上の人口を
食料品アクセス困難人口と定義しています。この数は増加傾向にあり、直近二〇一五年の推計では、全国の高齢者の四分の一に相当する八百二十五万人近くに上るとされています。東京、名古屋、大阪の三大都市圏でも増加が顕著になっています。これは都市部と言われる私の地元、岐阜市でも例外ではありません。 これまでの買物支援は、
地域ボランティアによる買物への同行支援、
移動販売事業者へ移動経費を補助することによる買物支援、介護保険での訪問介護による食事の介助など、様々な取組が行われてきましたが、最近では
ショッピングリハビリと呼ばれる新たな事業が一部の市や町で始まっています。
ショッピングリハビリとは、高齢者への
運動機能訓練や
認知機能訓練を商業施設での買物を通じて提供する
通所介護プログラムのことで、
フレイル状態にある高齢者を自宅から商業施設まで送迎し、健康体操、歩行練習、そして買物を通じて自宅の冷蔵庫の中身の想起、品物の選別や金銭の支払い、店員とのコミュニケーションなど、それぞれの活動を身体・認知機能を高められるプログラムとして提供するものです。 この事業は、市町村が実施主体となる
介護サービスの総合事業に市町村の判断で位置づけることが必要になりますが、採用する市町村は徐々に増えているとのことです。 第五期岐阜
県地域福祉支援計画の改定では、買物支援など
公的支援制度が対象としないような新たな
地域生活課題への対応にも取り組んでいただきたいと思います。 さきに述べたように、コロナ禍で生活に困窮したり、社会との接点が減り、孤独・孤立に陥る方が増え、その対策が求められています。 県では、これまでも
生活困窮者支援や自殺対策、ひきこもり支援など、各分野において孤独・孤立対策に取り組んできましたが、令和三年度には県独自の孤独・孤立対策として、分野横断的な
庁内連携会議の設置や
県ホームページに
相談窓口一覧の掲載を行いました。 また、令和四年度には
生活困窮者の相談体制や
自殺予防対策の充実・強化、孤独・孤立を深める女性やコロナ禍の不安を抱える妊産婦等への新たな支援、孤独・孤立を深める方々への
官民連携支援などを開始しました。さらに、今年度には
ヤングケアラーへの支援強化などを行うとのことです。 昨年十二月には、県内十六歳以上の個人を対象に孤独・孤立に関する調査を実施。孤独を何かしら感じている人の割合は四七・三%で、失業中や派遣社員、年収百万円未満の方に孤独感が高いことなどが分かりました。この結果を今後の施策に生かしていくと伺っています。 また、国会では、コロナ禍で顕在化・深刻化した孤独や孤立の問題に対し、その予防と当事者や家族らへの適切な支援を総合的に推進するための孤独・
孤立対策推進法が五月三十一日に成立いたしました。この法律では、地方自治体に対し、支援団体を含む官民が必要な連携・協働を図るための
地域協議会を設ける努力義務を課しています。 第四条には、
地方公共団体の責務として、孤独・孤立対策に関し、国及び他の
地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内における当事者等の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとあります。 私は、法の基本理念にのっとり、孤独・孤立対策を第五期岐阜
県地域福祉支援計画にも盛り込み、支援活動を行うNPO法人など、支える側への支援充実にも配慮しながら取り組む必要があると思います。 以上、地域福祉の動向・課題や要望を申し上げました。 そこで、来年度からを計画期間とする第五期岐阜
県地域福祉支援計画の改定について、どのような方針で取り組むのか、知事にお伺いをします。 以上で第一回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) おはようございます。 二点、お尋ねがございました。 まず国の
こども未来戦略方針を踏まえた本県の
少子化対策についてということでございます。 先日国が公表しました
人口動態統計におきましては、令和四年の本県の出生数は一万一千百二十四人でございました。令和三年に比べ約六百人減少し、この十年で見ますと三割減ということでございます。 また、一人の女性が生涯に産む子供の数に相当する
合計特殊出生率は一・三六と、前年から〇・〇四ポイント、この十年で〇・〇九ポイント低下しております。 出生数減少の背景には、婚姻数の減少などの要因もありますが、
女性人口そのものの減少もあります。特に十代後半から三十代の女性は、本県では十年前から約二割、六万一千人減少し、二十一万人というふうになっております。出生数が年々減少していることのほかに、この世代は進学や就職、結婚などを理由とする
県外転出者が多く、十年間で二万六千人の
県外転出超過という社会減の影響も大きくなっておりまして、対策が待ったなしの状況にございます。これは全国の多くの地方が抱える課題でもございます。 こうした中、政府が
こども未来戦略方針を決定されました。 まず子育てに係る
経済的支援の強化や若い世代の所得向上ということで、児童手当の
所得制限撤廃や支給期間の延長、出産費用への保険適用、
給付型奨学金の対象拡充などが示されております。 また、全ての子供・
子育て世帯を対象とする支援の拡充ということで、就労要件を問わず保育所を利用できる、仮称でありますが、こども誰でも通園制度の創設、保育所などにおける
職員配置基準の改善に取り組むとされております。 さらには、三番目に共働き・共育ての推進ということで、両親ともに育児休業を取得した場合の
育児休業給付率の引上げなどが示されております。 申すまでもなく、
少子化対策は国と地方が車の両輪となって進めていく必要があります。国が担う全国一律の対応に対し、地方ではその実情に応じたきめ細かな対策が求められます。本県としましても、重点課題として
人口減少社会からの脱却を掲げ、
少子化対策による自然増と、県内に人を呼び込み、定着してもらう社会増の双方について、市町村とも連携しつつ、取組の強化を進めてまいります。 まず自然増につきましては、出会いから子育てまで
ライフステージに応じた切れ目のない支援を展開することとし、結婚を望む方向けの交流会の開催や
不妊治療費の
自己負担分への支援などを行うこととしております。また、国などの支援が十分に行き届いていない部分について、今の財源の中で可能な施策として、第二子以降のお子さんへの十万円の祝い金や中学三年生への
就学等準備金三万円の支給など、
子育て世帯への支援策を講じたところであります。 同時に、社会増に向けた取組として、人材を県内に呼び込み、定着してもらうため、本県の魅力の発信や働く場の創出支援、あるいは
移住定住支援に取り組んでまいります。また、
県内小・中学校の
新規採用教員に対する
奨学金返還支援制度を創設したほか、さらには県内企業に就職した若者への奨学金の返還支援についても経済界と連携して検討を進めているところであります。 今後は、国の
加速化プランの具体化を見据えながら、さらにきめ細かに、スピード感を持って、できる限りの対策を講じてまいりたいと考えております。 こうした機動的な
少子化対策の推進力である財源確保につきましては、県として、また全国知事会を通じて、これまでも国に要望してまいりました。 しかしながら、このたびの国の戦略方針においては、財源確保を目的とした増税を行わないなどの基本骨格が示されたのみであり、具体化は来年の通常国会への法案提出に先送りされております。地方財源につきましては、国の
加速化プランにおきましては検討するとされており、現時点で具体的に示されたものはございません。このため、国には地方の創意と工夫を支える財源を安定的に確保していただくよう、引き続き強く求めてまいります。 次に、第五期岐阜
県地域福祉支援計画の改定方針についてのお尋ねがございました。 この
県地域福祉支援計画でございますが、
社会福祉法におきまして、県が広域的な見地から市町村の地域福祉を支援するために策定するというものでございます。 今年度終期を迎える第四期計画では、誰もが参加・協働し、安心して暮らせる
地域づくりを基本理念として、具体的には地域における分野横断的な支援体制の整備、市町村の
地域福祉推進に対する支援などを計画の柱としております。 こうした中、近年、いろいろと御指摘もいただきましたが、孤独・孤立問題、ひきこもりの方と親が共に高齢化する八〇五〇問題、子供が家族の世話などを日常的に行う
ヤングケアラー、十分な教育を受けられない子供の貧困、配偶者やパートナーなどによるDVなど、新たな福祉課題が次々と生じてきております。こうした課題は、今後、複雑化・複合化し、支援を必要とされる方も増加していくことが想定されます。 その一方で、少子化の進行により、福祉分野における担い手不足が深刻化しております。また、単身世帯の増加やコロナ禍の影響、特にソーシャルディスタンシング、人と距離を取るといったような行動、態度などにより、人と人との関係性が希薄化し、地域のつながりが一段と弱体化していくことが懸念されております。 こうした社会情勢の変化を背景に、令和二年には
社会福祉法が改正され、市町村において分野を問わず住民の相談を受け止め、地域社会とつなげるための重層的な支援体制の整備に努める旨が盛り込まれております。 また、さきの国会では、御指摘もありましたが、孤独・
孤立対策推進法が成立し、孤独・孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い人と人とのつながりが生まれる社会を目指すため、関係機関の連携・協働の促進、相談支援の推進、
地域協議会の設置などが求められております。 以上を踏まえて、県の第五期計画に向けての方針としては、まず既存の制度や分野の壁を超えた包括的な支援体制の整備や
地域生活課題の解決に取り組む市町村への支援を中心に進めてまいります。 御指摘にもありましたが、地域で活動している団体やNPO法人などによる
買物弱者支援や
居場所づくりなどを推進する住民主体の
地域づくりに向けた環境の整備も進めてまいります。 さらには、誰もが安全・快適に生活できる福祉のまちづくり、福祉人材の確保・育成、
福祉サービスの質の向上にも取り組んでまいります。 以上の基本的な方向で、今年度中の計画策定に向け、県議会、有識者、関係の皆様、さらには広く県民の皆様から丁寧に御意見を伺いながら作業を進めてまいります。
○議長(野島征夫君) 二十六番 水野吉近君。 〔二十六番 水野吉近君登壇〕
◆二十六番(水野吉近君) 御答弁ありがとうございました。 次に、
中学校部活動における
外部指導者や新たな
地域クラブ活動と学校との連携や情報共有についてお伺いいたします。 岐阜県
中学校部活動及び新たな
地域クラブ活動の在り方等に関する総合的な
ガイドライン--以下、
県ガイドラインといいます--は、国が令和五年度から三か年を
改革推進期間と位置づけ、令和七年度末までには休日の部活動を地域に移行する方針を示したことを受け、昨年度、関係団体の代表者や有識者で構成する岐阜県
中学校部活動の
在り方検討会を開催し、議論を重ね、令和五年三月に策定されたもので、
学校部活動及び新たな
地域クラブ活動における学校と地域の連携の在り方や運営・指導について配慮すべき基本的な事項、留意点を整理したものです。
県ガイドラインは、中学校の部活動及び新たな
地域クラブ活動を主な対象とし、基本方針として
学校部活動も新たな
地域クラブ活動も生徒の生きる力を育成するともに、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資する運営・指導に徹することにより、生徒の個性や能力の伸長を図る活動であるとうたわれています。 また、新たな
地域クラブ活動は、社会教育の一環として学校と地域との連携・協働によって整備するクラブで、
学校部活動の教育的意義を継承・発展させながら行うものであるため、学校との連携は不可欠で、定期的な情報共有・連絡調整を行うこととされています。
学校部活動においては、教育活動の一環として、生徒の生きる力を育成し、豊かな学校生活を実現させる役割があるとされ、自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成するとともに、自己の力の確認、努力による達成感、充実感をもたらすことを目指しています。 私は、先日、中学校のソフトテニスの部活動で
外部指導者をされている方と
県ガイドラインについて意見交換をする機会がありました。そこで出された意見として、基本方針には生徒の生きる力がうたわれ、
学校部活動には自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成する役割があるとされている。そのためには、部活動を通じて生徒がどのように取り組み、成長したかという経過を学校側が知り、認めてあげることが大事だが、新たな
地域クラブ活動を含めた
外部指導者と学校がもっと連携し、情報共有を十分に行う必要があるのではないか。 大会で優勝することなど目に見える成果のみが重視されるのではなく、結果を残せなかったが、それまでの経過がどうだったのかを指導者が学校側に伝え、生徒の頑張りを教員が聞き取り、把握し、生徒が部活動をやってよかった、成長できたと実感できる仕組みが必要なのではないかとのことでした。全くの同感であります。 私は、今後移行される新たな
地域クラブにおいても、国は
学習指導要領に明記し、学校教育における位置づけを明確にする必要があるとも感じました。 そこで、
県ガイドラインで示した
学校部活動も新たな
地域クラブ活動も生徒の生きる力を育成し、生徒の個性や能力の伸長を図る活動であるとの基本方針を実現するため、
外部指導者や新たな
地域クラブ活動と学校との連携や情報共有について、どのようなお考えなのか教育長にお伺いをします。 次に、自動車産業の電動化への対応に向けた県内自動車関連事業者の現状と今後の支援についてお伺いをします。 電気自動車--以下、EVといいます--は、今や夢の乗り物から現実の移動手段として、各自動車メーカーもしのぎを削って研究・開発に力を注いでいます。ガソリンや軽油などの燃料を使わない、電気を動力源とするEVは脱炭素に有効な手段としても注目され、世界中で普及が進んでおり、日本政府も二〇三五年までに乗用車の新車販売で電動化一〇〇%を実現するという方針を打ち出しています。 EV化によって、エンジンはモーターに、燃料は電池に変わることで、部品点数がエンジン車の三万点から約二万点に減少するなど、産業構造が大きく変わり、特に自動車製造業に関わる事業者の多い岐阜県においては、その影響は多大なものになります。 令和五年三月に策定された岐阜県経済・雇用再生戦略では、六つのプロジェクトの中の一、新たな産業活力の創出の主な取組として、大変革を迎える自動車産業の電動化対応への支援を掲げています。百年に一度と言われる大変革を迎える自動車産業に対し、EV市場への新規参入や保有技術を生かした新分野への展開を支援するなど、各企業の状況に応じた取組を推進し、四つの支援策を推進しています。 私には、自動車産業の電動化対応の支援に当たり、様々な疑問があります。例えば燃料一つでも水素による燃料電池やリチウム電池に代わる全固体電池があり、刻々と技術や市場のニーズが変化する中、事業者をどう支援していくのか。そうした変化のスピードに企業は対応できるのか。また、EV市場に参入しない自動車関連事業者をどう支援するのか。逆に、EV市場に参入する場合、企業が持つ基幹技術はEV車にも応用できるのか。技術開発支援は十分にできるのかなどです。 既にこうした声は支援策に反映していると思いますが、自動車産業の大変革期を迎え、県内の事業者がピンチをチャンスに変えることができる支援をお願いします。特に技術開発の支援は重要です。県の関係機関の支援を総動員していただきたいと思います。 そこで、大変革を迎える自動車産業の電動化対応に当たり、県内自動車関連事業者の現状をどのように捉え、今後どのように支援していくのか、
商工労働部長にお伺いをします。 次に、警察安全相談「#九一一〇」番の対応状況と有効活用についてお伺いします。 警察では、犯罪の未然防止や生活上の安全に関する相談を受理するための総合的な窓口を開設し、相談を受け付けています。最寄りの警察署にある相談窓口に直接出向かずに電話で相談したい場合は、警察相談専用電話「#九一一〇」番を開設しています。 「#九一一〇」番は、全国どこからでも電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる全国共通の電話番号で、携帯電話からも利用可能です。一一〇番は緊急の事件・事故等を受け付ける緊急通報用電話であり、不急の相談が一一〇番に寄せられると、事件・事故等の緊急通報に対する警察の対応を遅らせるなど、結果として人の生命、身体等の保護に支障を生じさせるおそれがあります。「#九一一〇」番は緊急の対応が必要でない相談事案として設けられています。 警察活動の令和四年の歩みをまとめた報告書によれば、昨年の安全相談受理件数は四万二千五百六十七件であり、過去五年間では大きな変動は見られません。なお、一一〇番有効受理件数は十一万八千五百六十八件で、安全相談件数はこの約三分の一強に当たります。 相談の内訳を見ると、家庭・職場・近隣関係が全体の一六・五%で最も多く、次いで迷惑行為が一三・八%と続いています。また、これよりも多いのがその他で全体の二六・一%ですが、内容は環境問題、交通規制関係、高齢者・障がい者虐待や土地の境界線に関する問題、借金返済に関する問題など、項目に分類できない多種多様な相談が寄せられていることが分かります。 「#九一一〇」番の概要は以上ですが、問題は相談したらどうなるのか、相談に対してどのような対応をしているかが重要です。相談者は、緊急ではないものの、身の回りの危険や不安に対し、解決あるいは改善の方法を求めて電話をされてくると思います。私の元にもこうした相談は寄せられますが、具体的にどのように対処、行動すればいいかをアドバイスしたり、所轄の警察署に引き継いだりするなど、相談者の安心につながる丁寧な対応を期待したいと思います。 そこで、警察安全相談「#九一一〇」番の対応状況と、「#九一一〇」番の有効活用に向け、どのように取り組まれているのかについて、警察本部長にお伺いします。 次に、コロナ禍で生活に困窮した人を対象にした生活福祉資金の特例貸付けの返済をめぐる対応についてお伺いします。 コロナ禍で生活に困窮した人を対象にした生活福祉資金、緊急小口資金と総合支援資金がありますが、この特例貸付けについては、今年一月から返済が順次始まっています。これをめぐって厚生労働省は新たに住民税非課税世帯などの免除要件に該当しなくても免除を行うことができる場合についての取扱いを定め、五月八日付で各自治体に事務連絡を発出しました。 特例貸付けは、二〇二〇年三月から申請受付が始まり、二〇二二年九月末に終了。都道府県社会福祉協議会を実施主体、市町村社会福祉協議会を窓口とし、生活費として保証人不要・無利子で最大二百万円まで借りることができました。返済期間は最長十年です。 厚労省によれば、今年一月に返済時期を迎えたが、二月末時点で実際に返済できているのは二四%にとどまっているとのことです。これまでは返済が難しい場合は猶予や毎月の返済額を減らす少額返済も設けられてきました。 五月八日付事務連絡(別添)によると、猶予を経ても返済が困難な理由が解消されない、就労や増収、家計改善などによる生活再建が見込めないと判断できる人に対しては、まずは相談支援や定期的な見守り支援を行うよう求めています。それでもなお返済が見通せない場合、今回新たに相談・支援を行ってきた市町村社会福祉協議会または自立相談支援機関の意見書を踏まえ、都道府県社会福祉協議会が償還免除を行うことができることとされています。 この「それでもなお返済が見通せない場合」という条件設定や判断は、窓口担当者や市町村社協によってばらつきが出ることが考えられ、コロナ禍で特例貸付けを決定する場合にも、判断のばらつきについて私にも相談が寄せられてきました。県においては、柔軟かつ市町村社協など関係機関による運用にばらつきが出ないようにしていただきたいと思います。 そこで、県社協の判断で免除できることになった生活福祉資金の特例貸付けの返済について、運用にばらつきが出ないよう、どのように取り組んでいくのか、
健康福祉部長にお伺いをします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君)
中学校部活動における
外部指導者や新たな
地域クラブ活動と学校との連携や情報共有についてお答えします。 中学校の休日の部活動については、今年度から三年間かけて段階的に
地域クラブ活動へ移行することを目標に取り組んでおります。 そうした中、今年度は二十四の市町が、国の部活動地域移行等に向けた実証事業を活用し、地域移行後の責任主体の明確化を含む体制整備や指導者の確保、平日の部活動と休日の
地域クラブ活動との連携等について、具体的な検討や取組を進めているところです。 生徒にとってみれば、平日と休日とで指導者が異なるため、部活動の顧問と
地域クラブ活動の指導者が生徒の活動状況を共有し、平日と休日を通じて一貫した指導を行うことが特に大切であると考えております。 県内では、部活動の顧問と
地域クラブ活動の指導者とが、指導内容や課題、生徒の成長ぶりなどを記入できる引継用紙を用いて、連携して指導に当たっている好事例もあります。 県教育委員会としては、様々な会議や研修会等で、こうした好事例を紹介しながら一貫した指導の重要性を伝え、部活動と
地域クラブ活動との連携の確保に今後も努めてまいります。
○議長(野島征夫君)
商工労働部長 三木文平君。 〔
商工労働部長 三木文平君登壇〕
◎
商工労働部長(三木文平君) 自動車産業の電動化への対応に向けた県内自動車関連事業者の現状と今後の支援についてお答えいたします。 昨年実施した調査によれば、電動化への対応を目指す企業もあれば、自動車以外の分野への進出を目指す企業もあり、企業の持つ技術などに応じて方向性は様々です。このため、各企業の状況に応じたきめ細やかな支援をしてまいります。 まず中小企業団体中央会に開設した相談窓口では、専門家が各社の技術や今後の方向性について、訪問の上、御相談に乗り、御要望に応じて、事業計画策定に至るまでを伴走支援しています。 また、電動化対応の製品開発を目指す企業向けに、次世代電池など最新の技術動向や市場に関する研究会、自動車メーカーを講師に招いたセミナーを開催いたします。さらに、産業技術総合センターにおいて、電動化向けの軽量かつ強度の高い製品を製造する技術の開発や企業が製品試験の際に使用する設備の充実を行います。 加えて、新分野進出を目指す企業向けに、自動車関連技術の異分野展開の支援実績を持つ専門家によるワークショップを開催してまいります。
○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) 警察安全相談「#九一一〇」番の対応状況と有効活用に向けた取組についてお答えいたします。 「#九一一〇」番は、全国統一番号の警察相談専用電話でございます。発信すれば直ちに管轄する警察本部に接続され、県警察におきましては、警察安全相談室等を窓口といたしまして、二十四時間三百六十五日体制で対応しております。県警察では、「#九一一〇」番に通報されるものも含めまして、日々様々な相談を受け付けております。 受理した相談内容に応じまして関係警察署等と情報共有をしており、必要に応じて現場へ警察官を派遣して、相談者に対しまして専門的な助言を行ったり、他の専門機関を紹介したり、あるいはその相手方に警告などの措置を講じまして、相談者の危険や不安の解消を図っております。相談内容やその対応状況はオンラインシステムで管理されており、警察署長等の幹部や関係する部門にもリアルタイムで情報を共有いたしまして、組織的・継続的な対応を徹底しております。 議員御指摘のとおり、警察に相談に来られる方は、様々な不安や心配の解決を求めて相談されております。県警察といたしましては、相談者の気持ちに寄り添って対応することが重要であると認識しております。 今後とも相談者へのより丁寧な対応を徹底するとともに、「#九一一〇」番をさらに活用していただけるよう、デジタルサイネージ、これは電子掲示板のことでありますが、こういった媒体の活用や家庭、事業所に対する防犯指導を通じた、より一層きめ細やかな広報活動を行いまして、さらなる周知徹底にしっかりと取り組んでまいります。
○議長(野島征夫君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) コロナ禍で生活に困窮した人を対象にした生活福祉資金の特例貸付けの返済をめぐる対応についてお答えします。 今回、国から示された新たな償還免除の取扱いは、償還猶予中の借受人が、市町村社会福祉協議会などの支援機関による生活再建支援を受けてもなお償還が困難な場合に、これら支援機関が作成する意見書を基に貸付け元の県社会福祉協議会が償還免除を行うものです。免除を可能とする具体の参考事例は、今後国から示されることとなっています。 制度の運用に際しては、個別の案件ごとに取扱いの差が生じないよう、国の参考事例を県社会福祉協議会に示すとともに、同協議会が償還免除の判断に迷う場合に、必要に応じて国に確認するなど、統一的な対応が行えるようサポートしてまいります。 また、意見書を作成する支援機関に対して、先般、県社会福祉協議会と連携して説明会を開催したほか、同協議会において、国や県内の参考事例の提供や意見書作成の相談に対応してまいります。 今後も借受人の個々の状況を踏まえた支援を行いつつ、適正な償還免除の決定が行われるよう、制度の運用を図ってまいります。
○議長(野島征夫君) 二十五番 野村美穂君。 〔二十五番 野村美穂君登壇〕(拍手)
◆二十五番(野村美穂君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく四点、二分割で質問いたします。 まず初めに、パートナーシップ制度の導入について、知事にお尋ねします。 私は、パートナーシップ制度の導入について、令和二年十二月の第五回定例会においても知事に質問させていただきました。時期的には、ちょうどお隣の三重県が中部地方で初めてパートナーシップ制度の導入を表明されたときで、その後、三重県は令和三年九月に導入されました。その当時、都道府県でパートナーシップ制度を導入していたのは、三重県のほかには茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県の四府県のみでした。 それから二年半ほどが経過した現在、パートナーシップ制度を導入している都道府県は全国で十二都府県となっています。中部地方でも今年の三月から富山県と静岡県で導入されました。岐阜県内でも関市と海津市の二市で既に導入されており、パートナーシップ制度を導入する自治体は増えてきています。 パートナーシップ制度は、自治体が同性カップルなどを公的に認めて、証明書を発行する制度です。この証明書には法的な効力はないため、戸籍や住民票の記載は変わりません。しかし、公営住宅への入居申込み、病院での面会・緊急連絡先の指定、住宅購入時の共同ローンの契約、携帯電話の家族割などに利用できるようになります。 同性カップルは、法律上、夫婦や家族ではないため、私たちが当たり前にできていることができません。例えば相手が事故や急病で病院に運ばれても家族とみなされず、付添いや面会を断られるおそれもあり、他人ではなく、パートナーであることを証明するのも簡単ではありません。パートナーシップ制度は、私たちが当たり前にできている事柄のうちの一部をできるようにするだけなのです。そのことで、私たちの生活に何か影響が出るわけではありません。私たちの生活は何も変わらないのです。 今年二月の首相秘書官の性的少数者などをめぐって「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」という発言がありました。偏見に基づく公人の発言は後を絶たず、残念としか言いようがありません。 六月一日付の中日新聞に、瑞穂市在住の六十代の性的少数者の方が、性的指向や性自認に悩みを抱える人たちのために支援団体を立ち上げたという記事が掲載されていました。この記事によれば、家族にも打ち明けないまま結婚を経験して、お子さんやお孫さんにも恵まれた中で、還暦を過ぎてから、このままでいいのかという思いが強まって、自らが当事者であることを明かし、当事者の声を伝えようと様々な人に会うようになったそうです。 多分、なぜ六十歳になってからカミングアウトされたのかと疑問に感じる方もあるでしょうが、この方からすれば、還暦を超えるまで自分自身を偽り、葛藤や悩みがある中、本当の自分というものを真剣に考えられた末の結論だったのだろうと推測されます。 このように一大決心をしたカミングアウト以来、会った方から、当事者の方に初めて会いましたと言われることがあるそうで、この方は、当事者は本当のことを言えないだけで、既に会ったことはあるはずと複雑な気持ちになるとありました。周りからの偏見もある中で、声を出すことはなかなか勇気が要ることだとは思いますが、当事者が声を出さないと伝わらないとして、この活動を続けていかれるそうです。 岐阜県人権施策推進指針の中では、性的指向や性自認を理由とする偏見や差別をなくそうとしています。法的・制度的にいない、あるいは見えない存在としている限り、不平等や人権侵害が解消されることはないのではないかと思います。誰一人取り残さないと受け入れる姿勢が大切で、そのメッセージの発信が重要です。これは持続可能な開発目標SDGsの合い言葉でもあります。SDGsでは、ジェンダー平等を実現しよう、全ての人に健康と福祉を、人や国の不平等をなくそうという目標が掲げられています。本県でもこうした目標に積極的に取り組んでいく姿勢も必要です。 同性パートナーシップ制度は、必要ないという同性カップルに無理強いする制度ではありません。ましてや、そっとしておいてほしいという同性カップルをあぶり出すための制度でもありません。当事者である愛する二人に法律婚に代わる手段を認めるだけです。異質なもの、つまりこれまでにない新しいものを受け入れ難いと同性パートナーシップ制度に反対する人の多くは、とても一般的な反応をされる方だと思います。ひょっとしたら自分の身や家族に何が起こるのかもしれないと心配をされるのは当然です。しかし、当事者である愛する二人に法律婚に代わる手段を認めるだけです。 知事は、前回の私の一般質問に対して、今後、多様な性に関する懇話会の下に、市町村その他の関係機関に参加していただく部会を設け、パートナーシップ制度に関わる先行事例やこれまでの本県の対応などの検証などを行いつつ、その導入の在り方について議論を深めたいと答弁されました。 今月十三日には第四回多様な性に関する懇話会が開催され、パートナーシップ制度について議論されたと伺っております。パートナーシップ制度の導入は異性間では認められているのに同性間では認められていないという格差を少しでも解消して、県が同性カップルなどに寄り添う姿勢を示すという意味で、大きな意義があると思います。 そこで、知事にお尋ねします。 先日、パートナーシップ制度に係る多様な性に関する懇話会が開催されたと伺っておりますが、そこで出た意見を踏まえて、本県におけるパートナーシップ制度の導入について、どのようにお考えでしょうか。 ここで一回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) パートナーシップ制度の導入についてのお尋ねがございました。 この制度につきましては、本県におきましては、有識者や性的少数者の当事者などから成る多様な性に関する懇話会の下に、令和三年二月にワーキンググループを設置し、検討を進めてまいりました。 ワーキンググループでは、既に制度を導入している自治体の状況について調査するとともに、制度の対象者の範囲や宣誓の手続、制度利用者へ提供するサービスなど様々な課題について議論を深めてまいりました。そして、本年五月に制度についての考え方を取りまとめたところであります。 その上で、今月十三日には、上部組織であります多様な性に関する懇話会を開催し、ワーキンググループの考え方を聴取したところであります。 その際、懇話会の委員からは、制度について地域での理解を広げていただき、多くの人に利用してもらえるようにしてほしいといった御意見や、一部の企業では、パートナーの子供に係る看護休暇の付与など福利厚生の改善も進んでおり、制度の導入・普及により、こうした企業を増やしていくべきといった積極的な御要望もいただいております。 県としては、こうした御意見を踏まえ、公営住宅への入居、医療機関における治療方針の説明、保険金の受け取りなど、日常生活を送る上で必要とされるサービスをパートナーシップ制度の下で希望する方が適切に受けられるよう、市町村や民間事業者との調整を速やかに進めてまいります。その上で、具体的な制度案を取りまとめ、パブリックコメントなどで幅広く御意見を伺う予定であります。 そして、このような手順を経て、最終的な結論を得たいと考えております。
○議長(野島征夫君) 二十五番 野村美穂君。 〔二十五番 野村美穂君登壇〕
◆二十五番(野村美穂君) 知事さん、御答弁ありがとうございました。 続いて、ぎふマリッジサポートセンターの機能強化について、子ども・女性局長にお尋ねします。 先日、出生数と
合計特殊出生率の速報値が報道され、国全体の出生数が初めて八十万人を割ったことが明らかになりました。
合計特殊出生率は、二〇〇五年と並ぶ過去最低の一・二六でした。 一方で、出生動向基本調査では、「いずれ結婚をするつもり」と回答した未婚者が、男性では約八一%、女性では約八四%と、いずれ結婚をしたいと考えている方が一定数いることが分かっています。 いずれ結婚したいと考えている男女に対する出会いの支援、婚活支援は、
少子化対策の入り口となるもので、ここをおろそかにしては
合計特殊出生率の上昇は目指せないものと考えます。ただ、結婚すれば必ず
合計特殊出生率が上がるというわけではなく、出会い以前の問題として経済的な不安への対応などの解決すべき課題もあり、並行して進めていかなければなりません。 県では、平成二十七年にぎふマリッジサポートセンターを立ち上げ、これまでに三百七十組が御結婚されたと伺っています。大きな成果です。 第四次岐阜県
少子化対策基本計画では、令和六年度末までに四百五十組の成婚者数を目指して事業展開されています。二年間で八十組です。ここで私が課題だと感じるのは、なぜ二年後の令和六年度末に合計の成婚者数を掲げて目標設定をしているのかという点です。私は、結婚を希望する方が一人でも多く結婚できるような環境を整えるためには、一年間や毎月の成婚者数の具体的な目標数値を立て、それに至らなかった場合は原因を調査し、改善していく必要があるのではないかと思います。 さらに、この目標に向けて、成婚者数を増やしていくためには、出会いの相手となる会員数の増加も大切ではないでしょうか。目標となる指標に会員の男女比を七対三から六対四にするという目標はありますが、会員数についての目標値がありません。成婚目標を達成するためには、それなりのマッチング数、それなりのイベント数、それなりの会員数が必要であると考えます。県が行う事業であっても、マッチング率に着目して会員数の増加に取り組むことが必要ではないかと思います。 若い世代の方々は、結婚はまだ遠い将来のことと捉えている方も多いかと思いますが、一人でも多くの方が結婚に至る出会いを得ることができるように、若い世代へのアプローチを含め、利用者の拡大を進めていただきたいと思います。 また、どのような相談が寄せられているのかを的確に把握して、相談者の方に寄り添った事業展開をしていく必要があるのではないかと考えます。 出会いの機会があっても、交際や結婚に至らないケースが多いとも聞きます。合う合わないという相性があるため、やむを得ない問題はありますが、少しのフォローでうまくいく可能性があるのであれば、利用者に寄り添ったきめ細やかな相談対応をしていく必要があるのではないでしょうか。それが結果として成婚数につながっていくのではないかと考えます。 これに加え、ぎふマリッジサポートセンターの事業をさらによいものとするために、利用者の意見を取り入れるべきと考えます。 例えば、ぎふマリッジサポートセンターの会員は、毎年たくさんの方が入会される一方、退会される方もいらっしゃいます。退会理由は成婚、職場婚、民間サービスへの切替え、婚活に疲れたなど様々とのことですが、より詳細に退会原因を分析することで、利用者のニーズに沿った事業を実施していくことができるのではないでしょうか。利用者がどのようなことで足踏みをしているのか、どのような支援を望んでいるのかということに耳を傾けることで、県が行う事業がよりよいものになると思います。 この事業は委託によって展開されています。よりよい事業とするためには、県の募集要項はもちろんですが、プロポーザルで委託業者を選定する時点から、提案された事業内容と評価員の視点が利用者ニーズに沿っているのかどうかを見直す必要もあると考えます。 民間企業の婚活サービスではなく、県が運営する安心感と利用料が要らないというメリットを求めてマリッジサポートセンターを利用される方の結婚したいという望みがかなえられるような事業展開をしていただきたいと考えています。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねします。 マリッジサポートセンターでは、結婚したいと思っている一人でも多くの方を結婚に導くために、利用者目線の支援を含む機能強化が必要と考えますが、今後どのように事業を展開されるのでしょうか。 三点目です。男性の性被害者への支援等について、子ども・女性局長、教育長、警察本部長にそれぞれお尋ねします。 今年三月、イギリスBBCが、ある芸能事務所の元所属タレントが性被害を受けていたという番組を発信したことをきっかけに、被害を訴える声が相次ぎました。 これまでにも度々男子児童・生徒の性被害の事件や男性の性被害についての報道はされていますが、今回の報道によって、性被害に遭うのは女性だけではないことが社会全体に認知されたのではないかと思います。これまでは女性の性暴力被害者支援を取り上げてきましたが、今回は男性の性被害者支援について取り上げたいと思います。 二年前のことになりますが、令和三年六月二十四日、「クローズアップ現代+(プラス)」で男性の性被害について放送されたことを御存じでしょうか。番組では、性被害に遭った男性にウェブ上でアンケートを行い、放送後の六月末までに二百九十二人から回答があったようです。インターネット上のアンケートではありますが、男性の性被害の実態を伝える資料として、今回御紹介させていただきます。 このアンケートによりますと、「衣服の上から体を触られた」「性器・胸などを露出させられた」「無理やり指や性器・器具などを挿入された」など、様々な被害を受けたことが明らかになっています。 また、被害内容についての自由記述では、「被害とは言えないと思うが」「大した被害ではないけれど」など、前置きを添えている人が目立ったようです。これは、その程度に関わらず、同意のない性的な行為は全て性暴力であるということが十分に知られていないためではないでしょうか。 被害の程度によらず、また男性であるか女性であるかに関わらず、同意のない性的な行為は全て性暴力であるということを私たちはいま一度強く認識しなくてはならないと思います。 次に、このアンケートで注目したいのは、被害に遭ったときの年齢と加害者との関係です。 被害に遭ったときの年齢については、過半数が「未成年」と回答していました。これは警察庁の令和四年犯罪統計資料からも明らかです。この統計によれば、男性への強制わいせつや強制性交の認知件数のうち、二十歳未満に対する被害は、強制わいせつは約七八%、強制性交は約六八%と、特に多いことが分かっています。こうした子供、二十歳未満に対する被害が多いのは女性も変わりありません。 このように子供たちが性被害に遭っているという現実を踏まえて、子供の被害をなくすために何ができるのか、いま一度真摯に考える必要があるのではないでしょうか。 また、加害者との関係では、約五七%が「知っている人」、約四〇%が「全く知らない人」と答えており、被害者にとって日頃から関わりを持っている人からの被害が一番多いということは衝撃的です。 内閣府が令和三年度に実施した十六歳から二十四歳の若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケートでも、加害者は「学校の先生」「先輩」「クラブ活動の指導者」といった学校の関係者が最も多く、次いで「全く知らない人」「SNSなどインターネット上で知り合った人」となっており、被害者の近くにいる人が加害者となっている実態がうかがえます。 そして、男性の被害者にとって、加害者は男性ばかりではありません。冒頭で申し上げた芸能事務所の問題では、上位の立場にある男性から下位の立場に当たる男性への性被害でしたが、女性から男性への性被害も決して無視ができないものです。また、いじめの一環として性被害に遭うということもあるといいます。 現在、全国にワンストップ支援センターが設置されており、性犯罪・性暴力について相談ができるようになっています。しかしながら、自分の性被害について、誰かに話すことができる方ばかりではありません。御自分が遭われた性被害について、思い出すことがつらい方もいらっしゃいます。ですから、社会に認知されていない被害が実際にはもっとあるのではないかと思います。 ウェブアンケートでも、六六・四%が「どこにも誰にも相談しない」と答えています。その理由として最も多かったのが「恥ずかしくて誰にも言えなかった」(八十四人)ということです。次いで「相談しても無駄だと思ったから」(七十四人)、「どこに(誰に)相談してよいのか分からなかった」(六十人)など、相談すること自体への諦めや、被害に遭った人に必要な相談先の情報提供が不足していた場合もあるようです。 また、「男性の性被害を誰も信じないだろうと思ったから」(五十一人)、「相談することは、男らしくないと思ったから」(二十六人)など、男性が被害者になるわけがない、男性なら抵抗できるはずだという無意識の思い込みが相談の障害になった人もいます。 加えて、さきに上げた内閣府のアンケートでは、「そのときは自分に何が起こっているのか分からなかった」「性教育を受けてから、あるいは大人になってから自分の身に起こっていたことを理解した」という方もいらっしゃいました。 このアンケートで回答されたことは、あってはならないことです。決して人数の多い少ないで判断をしないでいただきたいと思います。 自分が性被害に遭ったと声を上げることは大変勇気の要る行為です。特に男性の場合は、被害を第三者に打ち明けにくかったり、被害を被害として認識するまでに長い時間がかかったり、これまで社会全体に認知されているとは言えませんでした。 しかし、ようやく本年度、厚生労働省が男性・男児の性暴力被害に特化した実態調査に乗り出すことが明らかになりました。この調査により、男性への性被害の実態が明らかになることと思います。実態が明らかになり次第速やかな対策が求められます。 私は、性被害への対策で最も重要なのは加害者をつくらないことだと思っています。けれども、残念ながらその対策は十分であるとは言い難く、万が一性被害に遭われた際に、自分が被害者であると相談でき、そして必要な支援を受けることができるように社会全体で取り組んでいく必要があります。 そこで、まず一点目は、子ども・女性局長にお尋ねします。 県では、男性被害者に対し、どのような支援を行っているのでしょうか。 また、相談窓口をさらに多くの方に知っていただくため、今後どのように取り組まれるのでしょうか。 二点目は、教育長にお尋ねします。 男子児童・生徒を含め、性被害を受けた子供たちが悩みを抱え込まず、相談できる体制づくりとして、教育現場ではどのような取組をされているのでしょうか。 さらに、学校の先生が加害者とならないようにするために、どのような取組をされているのでしょうか。 三点目は、警察本部長にお尋ねします。 警察では、男性の性被害に対して、どのような認識をされ、性被害を認知された後にどのような対応をされているのでしょうか。 最後に、飼い主のいない猫を減らすための取組について、二点、
健康福祉部長にお尋ねします。 まず一点目、地域猫活動を促すための支援についてお尋ねします。 令和三年十一月の定例会において、地域猫の相談窓口の設置を含めたさくらねこ、地域猫の広報活動をどのように展開するのか、また公益財団法人どうぶつ基金が行う無料不妊手術事業を活用すべく、市町村に対してどのように取り組まれるのかについてお尋ねをしました。 改めて御説明をしますと、さくらねことは、飼い主のいない猫を捕獲して不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻した印として耳先を桜の花びらのようにV字カットした猫のことをいいます。さくらねこを含めた避妊・去勢済みの猫がさらに地域で管理されている場合は地域猫と呼ばれます。 令和元年六月の動物愛護法改正により、飼い主に犬及び猫の繁殖制限が義務化されました。けれども、飼い主のいない猫の繁殖制限についてはどうでしょうか。 動物愛護に関する関心が高まっていることはいいことですが、適正な飼育管理ができない状況下において、おなかをすかせた猫がかわいそうと、飼い主がいるかいないか分からないのに野良猫に餌をあげてしまうことで、結果的に野良猫が増え過ぎ、地域で問題になっています。これは、動物愛護と殺処分ゼロが間違った理解をされていることが原因なのではないかと考えます。 美濃市にある県動物愛護センターでは、地域猫活動支援事業を実施し、地域猫活動を推進しています。現在、地域では個人や団体がボランティアで保護猫活動をして、その事業を支えています。その保護猫ボランティアさんからは、事業実施に当たっては、地元の合意形成の上で自治会が申請する必要があるため、その地域の自治会長と面識があるわけでもなく、どなたなのかを把握されているわけではないボランティアさんから地域への働きかけはなかなか厳しく難しいものがあると伺っています。 また、不妊・去勢手術を行うためにセンターへの搬入が必要であることが、実施のハードルになっているとも伺っています。 現在、大垣市では猫の避妊・去勢手術に対する補助制度を実施していますが、この事業の申請手続には、実施前と後の二回、市役所に赴く必要があり、オンライン申請ができるようになればボランティアの負担軽減になるのではないかという御意見も伺っています。補助制度は、ないよりはあったほうがいいのですが、猫の不妊・去勢手術をしようとするとボランティアさんの持ち出しがあることには変わりありません。さらに、病気にかかっている猫であれば治療費も負担されているようです。 それを解消し、ボランティアの負担を軽減する方法として、どうぶつ基金が提供する行政枠チケットを活用する方法がありますが、県内四十二市町村で登録されているのは七市町村であり、まだまだ活用が進んでいるとは言えません。もし仮に登録が県内の全市町村に拡大したとしても、不妊・去勢手術の協力動物病院が少ないという課題もあるようです。 そこで、
健康福祉部長にお尋ねします。 地域猫活動をさらに促すためには、動物愛護と殺処分ゼロに対する正しい理解が必要です。県として、今後どのような啓発に取り組まれるのでしょうか。また、どうぶつ基金が行う不妊・去勢手術の行政枠チケットの活用を促すべく、市町村に対してどのように取り組まれるのでしょうか。 二点目は、子猫のミルクボランティアの成果と今後の課題についてお尋ねします。 先ほど、飼い主のいない猫を増やさない取組や対策が必要であると申し上げましたが、保健所に収容された猫の大部分が飼い主のいない猫です。全国の保健所に収容され、殺処分される猫の半分近くが離乳前の子猫であるとも聞きます。 こうした子猫の命を助けるため、岐阜県でも令和四年から、離乳前の子猫をミルクボランティアに預けて御家庭で育てていただき、その後県から新しい飼い主に譲渡する、子猫のミルクボランティア育成事業を始められました。なぜミルクボランティアが必要であるかというと、離乳前の子猫は三時間から四時間置きに授乳や排せつなどの補助が必要であり、保健所では十分な世話ができないためです。 こうした取組は全国で徐々に広がっており、今後も広がっていくと考えられます。岐阜県においても引き続きミルクボランティアの取組を進めていただきつつ、大切なことなのでもう一度、飼い主のいない猫を増やさない取組を加速させていただきたいと思います。 そこで、
健康福祉部長にお尋ねします。 ミルクボランティアのこれまでの成果と今後の課題についてお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 二点、御質問をいただきました。 初めに、ぎふマリッジサポートセンターの機能強化についてお答えいたします。 県では、昨年度実施した利用者アンケート結果を基に、出会いの機会の創出、出会いを結婚に結びつける取組の実施、若年層の会員数の増加の三点に重点を置き、事業を展開しております。 まず結婚を望む人の新たな出会いを創出するため、楽しみながらお見合いできるイベントや若年従業員を対象に異業種交流会を開催し、センター会員にも参加を呼びかけるとともにイベント後も継続的に支援を行ってまいります。 また、出会いが結婚に結びつくよう、会員向けに実施するセミナーの内容をコミュニケーションや身だしなみはもとより、自己分析やライフデザインなどにも広げ、年間を通じて開催し、結婚に向けた知識、ノウハウが得られるよう支援してまいります。 さらに、若年層の会員数増加に向け、新たに作成するPR動画やインターネット広告により、実際のイベントや相談対応の様子などを紹介し、公的な結婚支援の安心感をお伝えするなど、引き続き利用者の視点に立った事業展開に努めてまいります。 次に、男性の性被害に対する県の取組についてお答えいたします。 性暴力被害者の支援では、被害に遭った方が自分を責めたり、一人で悩みを抱えたりせず、速やかに相談や適切なケアを受けていただくことが必要です。 本県では、ぎふ性暴力被害者支援センターが、二十四時間三百六十五日、性別を問わず相談に対応しており、専門機関と連携し、医療やカウンセリング、法律相談などの支援をワンストップで行っています。 センターでは、男性相談員が対応する相談日を月二回設けているほか、従来の電話、面接、メールに加え、令和三年度からは若年層の利用が多いSNSでも相談が受けられるようにしています。 また、県内の中学・高校の全ての生徒にセンターを紹介するリーフレットを毎年配布し、その中で望まない性的な行為は相手が誰でもどんな場合も性暴力であることや男性も性暴力被害に遭う可能性があること、被害に遭ったらなるべく早く信頼できる大人に相談することなどを周知しているところです。 今後も被害に遭われた方に寄り添った支援を行うとともに、特に若年層に向けて周知に努めてまいります。
○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 教育現場における性被害への対応についてお答えします。 県教育委員会では、男子児童・生徒を含め、性被害を受けた子供たちが悩みを相談できるよう、全ての公立中学校区と高校にスクールカウンセラー、スクール相談員などを配置しております。 また、より相談しやすい窓口として、中高生SNS相談や子供SOSダイヤル等、相談体制の充実に取り組んでおります。 加えて、全ての公立中学校と高校で、つらいときに苦しいときには助けを求めてもよいことを伝えた上で、誰にどう助けを求めるかを学ぶSOSの出し方に関する教育を実施しております。 今後は、教育相談担当者の研修会等の機会を通して、性暴力を防ぐための取組や現状を周知するほか、相談窓口や、同意のない性行為は性暴力であることと男性も性被害者になり得ることを示したリーフレットを作成し、相談しやすい環境づくりを進めてまいります。 さらに、教員等による性暴力を防ぐため、犯罪心理学の専門家による研修やチェックシートを活用した服務規律の点検を実施しており、今後も引き続き未然防止に取り組んでまいります。
○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) 男性の性被害に対する認識と被害者支援を含む認知後の対応についてお答えいたします。 性犯罪は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、被害者に深刻な影響を及ぼしますが、これは被害者が男性であるか女性であるかに関係はございません。 県警察におきましては、この点を踏まえまして、性犯罪は被害が潜在化することが多く、また捜査活動により被害者に大きな精神的負担を与えることがあることや、また被害者の気持ちに寄り添って配慮して対応することの重要性について、全ての職員に対して、あらゆる機会を通じて広く指導・教育を行っております。 警察に性犯罪の被害の届出や相談がなされた場合には、被害届を直ちに受理いたします。また、被害者から事情聴取を行うに当たりまして、同性の取調官を希望するのか、異性の取調官を希望するのかをまずお伺いいたしまして、希望する性別の取調官による事情聴取を行ったり、あるいは性被害の実情を詳しく理解している専門の医師による診断を行ったりするなど、被害者のプライバシー保護や二次的被害防止に配慮した捜査活動を強力に推進しているところでございます。 さらに、捜査活動に並行いたしまして、臨床心理士によるカウンセリングなどの精神的被害の回復支援や診察、検査等の費用を公費で負担する
経済的支援を行うとともに、自治体をはじめといたしまして、被害者支援団体などと緊密な連携を図り、被害者の気持ちに寄り添った諸対策を推進しております。 今後とも、男性を含めました性犯罪被害者の気持ちに最大限配慮した適切な対応をしっかりと進めてまいります。
○議長(野島征夫君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) 飼い主のいない猫を減らすための取組について、二点、御質問をいただきました。 まず地域猫活動を促すための支援についてお答えします。 飼い主のいない猫を減らすためには、何よりもむやみに増やさないという県民意識の醸成が重要です。特に飼い主のいない猫に不妊・去勢手術をしないまま餌を与えると、猫が増えてしまうため、餌やりのルール等について
県ホームページで周知しております。 さらに、本年三月には、市町村を通じ、地域猫活動の主体となる自治会に、その活動を知っていただくためのリーフレットを配布し、猫の適正な管理を働きかけました。 今後は、餌やりのルールなどについて、新たに市町村広報紙やフリーペーパーへも掲載するほか、SNSの活用などを通じて広報強化に努めてまいります。 また、不妊・去勢手術については、県動物愛護センターの手術頭数は年間百頭台である一方、どうぶつ基金行政枠の活用件数は、令和二年度の運用開始以降伸び続け、令和四年度末で五百九頭と多くを占めており、猫の増加抑制に重要な役割を果たしています。 今後は、地域猫活動をさらに推進するとともに、基金行政枠未活用の自治体に対し、引き続き積極的な活用を促してまいります。 次に、ミルクボランティアの成果と課題についてお答えします。 猫の殺処分を減らすためには、飼い主のいない猫を増やさないことが最も重要ですが、一方で保健所には毎年一定数の猫が収容されており、その譲渡を進めていくことも必要です。 具体的には、毎年千四百頭前後の猫が収容され、うち五百頭前後が離乳前の子猫です。この中の三百頭前後は譲渡されるものの、二百頭前後はやむを得ず殺処分せざるを得ない状況です。このため、県では子猫が離乳するまでの間、飼育いただくミルクボランティア事業を令和四年度に導入し、十六名の方に計四十二頭を飼育いただき、このうち生育した三十四頭を譲渡いたしました。 他方、現在の登録者数は三十六名にとどまっており、地域偏在も大きいことから、各圏域に一定数ボランティアを確保することが必要です。また、登録者の中には子猫の飼育経験のない方もいらっしゃるため、安心して子猫を預かっていただける環境づくりも必要です。 今後、市町村や動物愛護団体等を通じ、ボランティアを幅広く募集するとともに、飼育未経験者向けの研修会を開催してまいります。
○議長(野島征夫君) 二十一番 若井敦子君。 〔二十一番 若井敦子君登壇〕(拍手)
◆二十一番(若井敦子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は二項目につきまして、順次質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに、大規模地震発生に備えた長良川緊急用河川敷道路の活用について、
危機管理部長にお伺いいたします。 私たちの住む日本は、地震大国と呼ばれ、日本の国土面積は世界の僅か〇・二五%にすぎませんが、マグニチュード六以上の地震発生回数は世界の約二割と極めて高い割合を占めています。 また、世界には約千五百の活火山があると言われている中で、本県が有する五つの活火山を含め、日本には世界の七%に当たる活火山が集中しています。 活断層については、全国で約二千か所あると言われている中で、県内には約百か所の活断層があることから、私たちの住む岐阜県は、活断層がずれることで発生する地震、いわゆる内陸直下型地震が発生する危険性が高いと言われています。 この内陸直下型地震は、震源が浅いことから人の生活圏に近くなる可能性が高く、平成七年に発生した阪神淡路大震災や平成二十八年に発生した熊本地震のように、一般的に大きな被害が出やすいとされています。 今年五月には、石川県能登地方で最大震度六強や最大震度五強、千葉県南部では最大震度五強を観測するなど、最大震度五弱以上の強い揺れを伴う地震が全国五か所の震源地で六回観測されており、いつどこで大規模地震が発生しても不思議ではなく、日頃から震災被害を減らすための事前対策や避難の心構えが重要となります。 政府の地震調査委員会では、発生の危険性が叫ばれている南海トラフ地震については、マグニチュード八から九クラスの地震が今後三十年以内に発生する確率を七〇%から八〇%と公表していることから、南海トラフ地震への備えが必要であることは言うまでもありません。 加えて、注意しなければならないことは、南海トラフ地震などの海溝型地震による震災被害と、先ほど述べました内陸直下型地震による震災被害とを比較すると、被害規模は内陸直下型地震のほうが大きくなると予測されていることです。 本県の調査によりますと、県内に内陸直下型地震が発生した場合、最大の被害をもたらすのは揖斐川や武儀川から成る濃尾断層帯によるものとのことで、現時点での想定では、地震規模は岐阜市、山県市、関市、美濃市で震度七、そしてその周辺においては震度六強とのことです。また、県内の死者数は約三千七百人、全壊家屋は約七万七千棟に上ると被害を予測しています。 国や県においても地震に対する様々な調査分析が行われてはいますが、現在の科学では地震の発生時期や場所・規模を的確に予測することは困難であり、もし震災被害を受けたとしても、人命や人々の暮らしが失われることのないよう、また
社会経済活動への影響を最小限にとどめることができるよう、大規模地震に備えたハード面・ソフト面の一体的な災害対策の推進が重要となります。 このような背景から、本県においては、災害対策基本法に基づき組織された岐阜県防災会議において、県民の生命や財産を地震災害から守り、被害を最小限に軽減し、公共の福祉を図ることなどを目的として、岐阜県地域防災計画(地震対策計画)を策定しています。 この計画の中の緊急輸送網の整備では、大規模地震発生時は、道路交通に支障が生じる場合が多く、ネットワーク機能の回復を迅速に行うことが極めて重要であり、震災発生後の緊急輸送の確保の観点から、緊急用河川敷道路などを含め、道路種別に関係なく代替性を考慮した有効なネットワークを構築するなど、緊急輸送道路ネットワークの重要性と、その確保の必要性を明記しています。 この代替性の高い道路として期待されている緊急用河川敷道路は、これまで県内には整備されていませんでしたが、完成すれば第一号となる長良川緊急用河川敷道路の整備が現在国によって進められています。 ここで長良川緊急用河川敷道路について説明をさせていただきます。 この長良川緊急用河川敷道路とは、一般の国道や県道とは異なり、大規模地震などで被災した際に、被災者の救護活動や被災地の復旧、そして支援物資の輸送などに活用することを目的として、国土交通省が整備を進めている河川敷道路の一つであり、長良川左岸の岐阜市忠節橋付近から令和元年に整備された羽島市の長良川防災船着場までを結ぶ二十キロメートルを超える長さの道路を指します。 この道路が整備されることで、大規模地震発生時に国道や県道が破損し機能が低下したとしても、救急搬送の速達性による人命救助や搬送病院の選択肢の拡大、そして広域連携による活動ルートの確保が可能となり、発生の危険性が叫ばれている内陸直下型地震への備えにつながるものであります。 また、被災者の生活維持のためには、必要な支援物資を避難所へ迅速に届けることが重要であることは言うまでもありませんが、国が
地方公共団体からの要請を待たずに支援物資を被災地に届ける、いわゆるプッシュ型支援を実施した場合、県として支援物資を円滑に受け入れることができる体制づくりと、広域防災拠点から被災地へ速やかに輸送できる体制づくりの構築が求められている中において、この道路が担う役割は大きなものがあると考えます。 もし被災によって陸路による物資輸送が困難になったとしても、陸路の代替として長良川防災船着場へ河川から船舶で支援物資を搬入することができれば、この長良川緊急用河川敷道路を活用することで被災地への迅速で確実な輸送が可能となります。 このように、この道路は水路と陸路の結節点である長良川防災船着場と県の広域防災拠点を結ぶ動脈としての機能を併せ持っています。 過去に発生した大規模災害において、支援物資が避難所に届かない状況を指すラストワンマイル輸送の問題が顕著となりましたが、広域防災拠点からまずは被災地へと速やかに輸送できる体制づくりを市町村や関係機関と連携を取りながら早期に確立をすることは、ラストワンマイル輸送以前に取り組まなければならない問題であると考えます。 これまで長良川緊急用河川敷道路の重要性について述べてまいりましたが、現在のところ、長良川と荒田川が合流する辺りの岐阜市日置江と、長良川と境川が合流する辺りの羽島市福寿町の二か所において未整備となっており、全ルートがつながっていない現状です。 道路はつながってこそ本来持つ機能を発揮できるものであり、いつ何どき大規模地震が発生してもおかしくないと言われる中において、長良川緊急用河川敷道路の完成は、県民の生命と暮らしを守るだけでなく、迅速な災害復旧に資するものであることから、一日も早い全ルートの開通を期待いたします。 そして、道路完成を見据え、震災被害から県民の生命と暮らしを守るために長良川緊急用河川敷道路をどう活用していくかなどを具体的に検討していくことが不可欠であると考えます。 ここで初めの質問です。 県内で初めて整備される長良川緊急用河川敷道路について、大規模地震発生に備え、災害時において確実にその機能を発揮することができるよう、市町村や関係機関と連携を取っていくことが不可欠と考えますが、県ではどのような取組を行っていかれるのか、
危機管理部長に御所見をお伺いいたします。 続きまして、地域のにぎわいを創出するまちづくりの推進について、
都市建築部長にお伺いいたします。 近年、世界では都市部に人口が集中する都市化が驚異的なペースで進行しています。 国連が二〇一八年に公表した推計によると、世界人口における都市化の割合は、一九五〇年では約三〇%にすぎなかったものが、現在では約五五%まで増加し、さらに二〇五〇年には六八%に達すると推測されています。 この世界的な都市化により様々な経済成長を遂げる一方で、貧困や社会的格差、環境問題などによる、これらの都市化問題が発生しており、これらの問題を改善するための取組が必要であることから、二〇一五年に国連が採択したSDGs持続可能な開発目標の十七項目の一つにも住み続けられるまちづくりが掲げられており、今では持続可能なまちづくりは世界共通の課題となっています。 国内でも同様に都市化が進行しており、地方から流出した人口が東京をはじめとする首都圏に集中する、その一方で、地方都市は急激な人口減少や少子高齢化が深刻化し、地域経済の衰退化や産業の担い手不足、地域コミュニティーの崩壊などによって、さらに過疎化が進行するのではないかと危惧されています。 このような背景から、国では持続可能なまちづくりを目指し、平成二十六年に都市再生特別措置法、また地域公共交通活性化再生法の一部改正をそれぞれ施行し、コンパクトシティー+(プラス)ネットワークという市街化整備の方針を打ち出しました。これは、拡散する市街地のコンパクト化を進め、公共交通と一体となったまちづくりを推進することにより、サービス産業の生産性の向上や行政サービスの効率化などを図るというものです。 その後、都市再生の取組をさらに進化させ、にぎわいあふれるまちなかづくりを目指し、道路空間を車中心から人中心へと再構築し、沿道と路上を一体的に利活用する考え方が国によって示され、令和二年度には「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりを推進するまちなかウオーカブル推進事業が創設されました。 現在、県内各地でもにぎわいを創出する取組が進められております。今日は、その一例として岐阜市の取組を御紹介させていただきます。 今年四月、岐阜市は中心市街地の道路空間の将来イメージを冊子にまとめ発表されました。お手元に配付をさせていただきました「居心地が良く歩きたくなる岐阜市のまちなか」、こちらの冊子がそれになります。岐阜市では、これまで県を含む有識者や市民などで構成する岐阜市中心市街地道路空間利活用懇談会で協議を重ね、市民アンケートを踏まえた意見がこの冊子の中にまとめられています。 現在、JR岐阜駅から岐阜公園にかけてのセンターゾーンでは再開発事業が進んでおり、三月には再開発ビル、柳ケ瀬グラッスル35が完成いたしました。そして、隣接の金公園もリニューアルオープンしております。また、二〇二八年にはJR岐阜駅前にツインタワーが完成する予定となっています。 一方、岐阜市の調査によりますと、この中心市街地の交通量は減少傾向にあるとのことで、これまでの車中心とした道路の使い方を見直して、道路空間をまちづくりに活用して、魅力ある中心市街地づくりを進めていくとしています。この冊子の中では、長良橋通り、金華橋通り、柳ケ瀬エリアの通り、駅~玉宮~柳ケ瀬の通り、それぞれの道路空間の将来の方向性が具体的に描かれています。 かつてはにぎわいを見せていた岐阜市の中心市街地ですが、基幹産業であった繊維産業の衰退とともに定住人口が減少し、商店街はシャッター通り化し、空き店舗が点在するなど、閑散とした実情です。 この地域は岐阜県の顔とも言うべき県都であることから、この冊子に描かれている将来イメージの実現は本県の魅力創出にもつながるものであると考えます。これらは岐阜市が主体となって整備する事業ではありますが、県や関係機関との連携なくして実現できるものではなく、引き続きお力添えを賜りますよう私からもよろしくお願いを申し上げます。 この岐阜市以外にも、昨年末に多治見駅南地区においては、市街地再開発事業が完成したことにより新たなにぎわいを見せているとのことですが、これらの市街地再開発事業は、地域のにぎわいを創出するものとして期待される一方、全国には事業が破綻した事例もあり、成功事例ばかりではないということも念頭に置く必要があります。 例えば佐賀市では、中心市街地の再開発により開業した商業施設が、僅か三年で運営会社が倒産し、巨大な空き家が市の中心部に長らく存在するという異常な状態となりました。また、岡山県津山市でも、中心市街地活性化のため大型複合施設を完成させましたが、まちの規模にそぐわない身の丈を超えた巨大な再開発ビルの建設であったため、結果的に地権者などが大きな損失を被る事態となっています。そのほかにも、青森市や秋田市などでも同様に再開発事業が破綻しています。これらの事例に共通することは、需要や採算性の見込みが甘かったことやリスクマネジメントが徹底されていなかったことなどが挙げられます。 いずれの事例も空洞化が進む町なかの活性化を目指し実施されたはずの事業でしたが、結果的に地方の負担が増加し、その負担は市民が負い続けなければならないなど、まちづくりのつもりが、活性化どころか地方衰退の原因の一つになり得る危険性を併せ持っています。 このように、地域のにぎわいを創出するための再開発事業を含むまちづくりは、方向性や見込みを誤ったりするとかえって逆効果を招くなどの難しい点もあり、たとえ事業主体が市町村であったとしても、県としても何らかの対応が求められるのではないでしょうか。 そこで、最後の質問です。 地域のにぎわいを創出することは、県にとって望ましいことであると考えますが、県内各市町村が進める地域のにぎわいを創出するまちづくりの推進について、県としてどのように対応していかれるのか、
都市建築部長に御所見をお伺いいたします。 目指すまちづくりの在り方とは、たとえ身の丈に合ったまちづくりが求められるとはいえ、夢のない将来ビジョンは語るに足らず、そのまちで暮らす姿を想像し、胸高鳴るようなものでなくては魅力がありません。まちづくりは人づくりであると言われていますが、地域住民が主体となったまちづくりこそ、人口減少、少子高齢化を乗り越えていける持続可能なまちをつくっていくんだと思います。時代に即したまちづくりの推進で、県内にあふれんばかりのにぎわいと活力が創出されることを願い、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君)
危機管理部長 内木 禎君。 〔
危機管理部長 内木 禎君登壇〕
◎
危機管理部長(内木禎君) 大規模地震発生に備えた長良川緊急用河川敷道路の活用についてお答えします。 中部地方整備局が整備を進める長良川緊急用河川敷道路は、本年八月頃に全線が開通する見込みとお聞きしており、羽島市の防災船着場から岐阜市の忠節橋付近までが最短ルートでつながります。 地震発生時、この道路を活用することで、迅速に広域防災拠点である岐阜メモリアルセンターまで支援物資を輸送できることや、西濃や中濃圏域につながる道路と併せて活用することで、広域での物資輸送が効率的・効果的に実施できるものと期待されます。 このため、まずは県地域防災計画に定める緊急輸送道路の指定に向け、中部地方整備局や関係市町、自衛隊等の関係機関と協議を進めてまいります。 さらに、この道路を活用した物資輸送訓練についても併せて調整してまいります。具体的には、大規模地震により県南部の道路網が寸断された想定の下、国や他県から船舶で運ばれた支援物資を防災船着場で陸揚げし、岐阜メモリアルセンターまで輸送する流れを確認するなど、今後その実施方法について検討を深めてまいります。
○議長(野島征夫君)
都市建築部長 藤井忠直君。 〔
都市建築部長 藤井忠直君登壇〕
◎
都市建築部長(藤井忠直君) 地域のにぎわいを創出するまちづくりの推進についてお答えいたします。 本格的な
人口減少社会において、居住機能や医療、福祉、商業などの都市機能を集約し、生活利便性や行政サービスの維持向上を図るコンパクトなまちづくりが全国各地で取り組まれております。 県内では、こうしたまちづくりの一環として国が推進する立地適正化計画が八つの市で策定されました。また、計画が策定された市では、地域のにぎわいを創出するため、議員御指摘のとおり、市街地再開発ビルや「居心地が良く歩きたくなる」歩道、広場などの整備が進んでおります。 こうした取組には、主体となる市町村と住民や事業者、まちづくり団体など関係者との連携が不可欠です。このため、社会実験などを通じて関係者の理解を得ながら、地域が目指す将来像を共有し、段階的に事業を進めることが重要であると認識しております。 県としては、引き続き国と共に市街地再開発事業への補助を行うほか、支援制度や先進事例等の情報提供等に加え、関係者との合意形成や連携体制の構築を促してまいります。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) しばらく休憩いたします。
△午後零時二分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十一番 小川祐輝君。 〔十一番 小川祐輝君登壇〕(拍手)
◆十一番(小川祐輝君) 議長の許可をいただきましたので、通告に従い二項目、三点について質問させていただきます。 今回私の一般質問の一項目めは、本年三月に全面改定いたしました第二次岐阜県リニア中央新幹線活用戦略に新たに追加された森のまちづくり構想について、そして二項目めの質問は、アフターコロナにおける民生委員の役割と県の支援について質問をさせていただきたいと思います。 まず初めに、森のまちづくり構想の推進について、現在の状況と今後の方向性及び連携体制の構築について伺います。 リニア中央新幹線の開業効果を県内に最大限に波及させ、岐阜県の
地域づくりを戦略的に進めていくため、平成二十六年三月に岐阜県リニア中央新幹線活用戦略が策定されました。本年三月には策定から九年が経過し、社会情勢の大きな変化が見られたことを踏まえ、前戦略を全面改定した第二次岐阜県リニア中央新幹線活用戦略が策定されました。社会情勢の大きな変化というのは、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした都市部の人口集中のリスクや災害が起きた際のリスクの分散のためであったり、働き方改革によるテレワークが推進されていることで、場所を選ばずに働ける環境が整いつつあることから、地方分散の機運が高まっていることです。 また、国連サミットで採択された二〇三〇年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際指標であるSDGsの推進なども挙げられます。また、このような変化に加え、地域の豊かな自然、歴史、文化を踏まえ、魅力を再構築し、多様なニーズに応じたあらゆる暮らし方と経済活動を可能にする大都市圏を形成するという新たな国土形成計画も検討をされています。こういった社会情勢の変化や国が示す目指す姿というのは、豊かな自然、歴史、文化を持つ岐阜県にとって大きなチャンスであり、このチャンスをしっかりとつかまなければなりません。 このような背景の中で、活用戦略の策定がなされ、新たに森のまちづくり構想の記載がなされました。森のまちづくりとは、豊かな自然環境や伝統、文化等を十分に生かしながら、クリエーティブな人材を呼び込み、イノベーションが生まれやすい
地域づくりであり、豊かな自然に囲まれたストレスフリーな環境の整備による研究機関等の企業誘致、従事者の移住・定住の促進及びアカデミックな中核施設との産学官の連携の推進や(仮称)森の中のスタートアップ拠点についても記載されています。 この森のまちづくり構想については、
人口減少社会を乗り越え、持続可能なまちとなるようなよい循環を生み出す未来像として非常に期待しています。例えば岐阜県の人口減少課題となっている若い女性の転出の理由の一つに、働きたいと思える職業がないことで名古屋市等に転出してしまうことが挙げられています。確かに岐阜県は、工場等の企業誘致には成功していますが、職業選択の多様性を確保するという点ではさらなる可能性を探らなくてはいけないと考えています。そういった中で、研究施設、本社機能を持った企業誘致やクリエーティブ人材が集まるような地域になることで、岐阜県でも職業の選択肢が増え、転出しなくても生まれ育った地域で働けるといういい循環が生まれてくると考えています。 一方で、構想を具体化していく中で、尻すぼみにならないかが懸念事項であります。構想を形にする際には、想定できることと想定できないことがあり、想定しづらいことの中に、構想を実現するための重要な要素があることが多いのではと考えています。世の中の変化が速くなってきており、最適解はどんどん変化していく中で、柔軟性も持ちながら構想の実現へ向け試行錯誤を繰り返していっていただきたいと考え、現在されている議論と方向性について現状を伺いたいと考えています。 もう一点、この森のまちづくり構想の実現には、構想を共有し、可能性を広げるためのあらゆる連携体制の構築が必要不可欠であると考えています。例えば森のまちづくり構想の中にある(仮称)森の中のスタートアップ拠点などに関しては、県庁内では商工労働部との連携が必要であるし、誘致を目指す市町村との連携も欠かせません。また、どこから誘致するかという点では、リニア中央新幹線が開業することで、この地域が首都圏になることからも、世界でも有数のスタートアップ拠点である東京都などと連携し、岐阜県の自然豊かな住みやすい、ストレスフリーな環境での起業の選択肢を提示することも必要ではないかと考えています。このように、森のまちづくり構想の実現には、県庁内の部局横断した体制の構築が必要であるとともに、各市町村、民間団体等との連携、さらには県を超えた連携体制の構築が必要であると考えています。 以上を踏まえ、都市公園・交通局長に伺います。 森のまちづくり構想において、現在どのようなことが議論されており、今後の方向性はどのように進めていくか、また推進するための連携体制をどのように構築していくのか伺いたいと思います。 続いて、二点目の森のまちづくり構想の実現可能性を探るための事業の実施について質問させていただきます。 改めて、森のまちづくり構想は非常に大きな構想であり、岐阜県がこれを実行するんだと旗を立てたことは、地域の未来にとって大きく期待できる姿を示したと思います。次に大切になってくるのは、森のまちづくり構想を実現するために、誰がどういうスタートを切っていくのかということです。県が中心となって実現に向けて動いていくのはもちろん、市町村や民間団体等が構想の実現可能性を探るための挑戦、ここでは構想を実現できるかどうか探るのではなくて、構想実現のために何ができるかを探ることをしていく事業が必要ではないかと考えています。 例えば県の起業家へのヒアリングでは、スタートアップ事業の推進に協力的なキーパーソンの確保や地域課題を解決するスタートアップ企業の呼び込みが必要であるとの指摘がありました。リニア中央新幹線が開業する前に、キーパーソンとなり得る人材と共に事業をつくったり、スタートアップ企業の経営者との人間関係をつくり、どのようなニーズがあるかを聞き、環境を整えていくことなども考えられます。この段階になると、先ほども述べましたが、具体化していく中で急に構想が小さくなっていく可能性があり、これは避けなければなりません。初めは試行錯誤の挑戦であるが、この挑戦の一つ一つが次第につながっていき、思いがけない化学反応が起き、さらに連鎖して大きく広がっていき、構想が実現するというような動きに結びつけていかなければならないと考えています。 このような広がりを見せており、森のまちづくり構想の参考になりそうなモデルが徳島県神山町ではないかと考え、視察をしてまいりました。神山町は、徳島市内から車で約四十分行ったところにある自然豊かな町で、昭和三十年に二万人いた人口が現在は五千人を切っており、高齢化率も五〇%を超えているという現状があります。この現状とは反対に、神山町には都会から若者が次々に移り住んでいき、ウェブデザイナーやコンピューターグラフィックスのエンジニア、アーティスト、料理人、職人など、クリエーティブな職業の若者が移住してきます。また、ITベンチャーが次々と進出し、東京や大阪から来てサテライトオフィスを構えたり、本社を置く会社もあります。 それに加え、本年四月には、日本で十九年ぶりにできた高専が開校しました。神山まるごと高専という学校で、テクノロジーとデザインと起業家精神を学び、卒業時に生徒の四〇%が起業することを目指しています。また、年間二百万円かかる学費は基本無償で、これは名立たる企業から寄附を百億円集め、これを原資として運用することで毎年五億円を学費として充てることで実現しており、試験の倍率は何と九倍を超えたということです。この学校の創業者で理事長は、上場企業のSansan株式会社CEOの寺田親弘氏です。寺田氏と神山町の関係は、二〇一〇年に第一号のサテライトオフィスとしてオフィスを開いたことが始まりで縁がつながり、高専の開校まで結びついたのです。これがまさに思いがけない化学反応が起き、さらに連鎖して大きく広がっていった例ではないかと考えています。 こういった動きの元となった初めのスタートは、神山町で移住促進やIT企業誘致を一手に担っている地元のNPO法人グリーンバレーの大南信也氏です。何もない田舎だったアメリカのシリコンバレーがIT企業発祥の地となったように、何かが生まれるクリエーティブな町にしたいという構想があり、半導体の原料になるシリコンはないが、緑ならたくさんあるということで、グリーンバレーという名前になったそうです。初めは、サテライトオフィスの誘致などは想定になく、国際交流の事業から始まり、アーティストを呼び寄せる事業、この事業のアーティスト支援から移住者支援、企業誘致などどんどんつながりが連鎖し、宿を造ったり、サテライトオフィスを造ったりと、新たな事業が次々に生まれてきました。 この神山町のケースは、運がよかったからできたとかの言葉で簡単に片づけられるものではなく、クリエーティブな町にしたいという構想を実現するためにまずはスタートを切り、試行錯誤し続けたことで思いがけない化学反応が起き、連鎖して広がった結果であると考えています。岐阜県の森のまちづくり構想も同様に進めていくべきではないかと考えています。 また、この構想の実現に向け、スタートをいち早く切ることも大切であると考えます。リニア中央新幹線の中間駅の他県の戦略にも似たようなものがあります。つまり、リニア中央新幹線の開業を迎えたときには、既にこの地域間競争の結果はある程度決まってしまうことが想定されることからも、早く動き出したところが優位となります。 このように構想の実現に向け、県や市町村、民間団体等がいち早くスタートを切るため、構想実現に向け、何ができるのかを探っていくための事業を行うことが必要だと考えます。そして、この事業を通してキーパーソンなどとの出会いや企業誘致等のモデルケースができたり、思いがけない化学反応を生み、連鎖していくことで、構想の実現に向かっていくことが必要ではないでしょうか。 そこで、都市公園・交通局長に伺います。 森のまちづくり構想の実現可能性を探るための事業を行う必要があると考えるが、県の所見を伺います。 次に、アフターコロナにおける民生委員の役割と県の支援について質問させていただきます。 民生委員は、民生委員法に基づいて、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員です。また、全ての民生委員は、児童福祉法によって児童委員も兼ねています。任期は三年であり、ボランティアとして活動をされております。活動内容としては、高齢者や障がい者のいる世帯、児童、妊産婦、母子家庭などの状況を家庭訪問や地域での情報収集を行い把握すること、ニーズに応じた福祉・サービスなどの情報提供や支援が必要な方の様々な相談に応じ助言をすること、時には児童の登下校時の声かけやパトロール活動をすることなど、精力的に活動が行われております。また、令和元年度に実施したひきこもり調査においては、地域の事情をよく知っている民生委員の皆様だからこそできた調査であり、まさに民生委員の皆様には、地域と行政をつなぐ大切な役割を担っていただいております。 この民生委員の定数については、市町村の意見を聞き、県の条例で定めることとなっており、現在、岐阜県では三千六百七十人が定数として定められています。また、組織としては、県内で百九十九の地区民生委員・児童委員協議会、以下、民児協と言わせていただきますが、この地区民児協、そして市町村単位ごとの組織である市町村民児協や県内の全ての民児協が所属している岐阜県民児協で活動をされています。 コロナ禍では、人と人の関係性が弱くなったこと、高齢者世帯の増加、不登校児童・生徒の増加、虐待件数の高止まりなど地域の課題は複雑化しており、民生委員さんの役割も多岐にわたり重くなっていると認識しています。こうした地域課題の増加に加え、岐阜県の委嘱率は、ほかの都道府県と比べ高いほうであるとは聞いていますが、慢性的な成り手不足や、コロナ禍で活動や研修等がなかなかできていなかったことで、経験が豊富な民生委員さんが少なくなってきているとの話もいただきました。改めて、アフターコロナでの民生委員の皆様の役割を再認識し、県の様々な支援が必要であると考えています。 また、財政的な支援についても考える必要があります。 まずは、岐阜県民児協への支援についてです。岐阜県民児協は、主に民生委員さんへの国の情報共有や各地区での事例共有を独自にやっていたり、県から委託を受けてテーマに沿った研修会を行っています。コロナ前には、自主財源を削って研修を行っていたことに加え、コロナの影響で多人数での研修が難しくなることで費用が上がったり、コロナ禍では研修を思いどおりに実施できなかったこともあり、民生委員さんの研修の必要性が高まってきている中で、県の支援が必要となってきます。 もう一つが地区民児協への支援についてです。瑞浪市の民児協の総会に参加させていただいたときに、県からの負担金が減ったということを民生委員さんから伺いました。そのときに、なぜボランティアで行っているのに県からの負担金が減らされなければならないのかという意見を伺いました。よくよく聞いてみると、減らされた負担金が欲しいという意味よりも、自分たちがボランティアで一生懸命地域のためにしている仕事の価値が認められていないのではないかという思いのほうが強いように私は受け取りました。 この話を受け、予算の仕組みを県の担当者に伺いました。国において、民生委員活動に係る経費については、地方交付税措置が講じられ、地区民生委員協議会活動推進費は一か所当たり年額二十五万円が措置されています。この国からの交付金を県が独自の配分方法で各市町村民児協に交付するとのことでした。各都道府県での配付方法はばらばらで、地方交付税算定基礎単価である二十五万円をそのまま配分する方法もあれば、各地区民児協の規模に応じ均等割と人数割に分けて配分する方法もあり、岐阜県の場合は後者の配分方法でした。各地区民児協への県からの負担金が減った理由は、岐阜県への地方交付税措置額が変わらない中で、岐阜県の民生委員定数が十五名増加したことから人数割の金額が増加し、各地区民児協への均等割部分が減ってしまったということでした。 確かに、令和二年に地方交付税算定基礎単価が増額され、県も民生委員を支えるために負担金額を上げており、活動に対する御理解と御支援をいただいているということはよく分かっています。しかし、定数が増えたから各地区民児協の負担金を下げるということについては、アフターコロナで役割が増加する中で、再度検討し直す必要があるのではないでしょうか。 以上を踏まえ、
健康福祉部長に伺います。 コロナ禍を経て地域課題が複雑化している中で、県は民生委員の役割をどのように捉えているか、また民生委員に対する支援についてどのように考えているか伺いたいと思います。 以上二項目、森のまちづくり構想の実現について、そしてアフターコロナにおける民生委員の役割、そして県の支援について二点お伺いさせていただきます。明確な答弁をお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 都市公園・交通局長 舟久保 敏君。 〔
都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君登壇〕
◎
都市建築部都市公園・交通局長(舟久保敏君) 森のまちづくり構想の推進に関する御質問にお答えいたします。 まず現在の状況と今後の方向性及び連携体制の構築についてでございますが、森のまちづくりの実現に向けては、活用戦略を踏まえて、大きく四つの取組を進めることとしています。まずリニア岐阜県駅とその周辺に長大な高架構造物が計画されている中、専門家や地元市と共に地域景観に配慮した駅舎外観、乗換えの利便性や将来の交通手段の普及を見越した可変性のある駅周辺整備など、本県の考えを反映させるためのデザイン案を検討しています。 次に、地元経済界や教育関係者などと共に、短期的にはリニア関連や地元ものづくり企業が求める人材供給、中長期的には地域課題を自ら解決できる人材育成を図るための方策を検討しています。残り二つの東美濃の森林や伝統文化を生かした創造性あふれるまちづくり、防災や環境に配慮した安全・安心なまちづくりについては、クリエーティブ人材の呼び込みや開発と規制のバランスの取れた持続可能な
地域づくりの検討が必要と考えており、今後庁内外の関係者と共に順次議論を進めてまいります。 次に、森のまちづくり構想の実現可能性を探るための事業の実施についてでございますが、森のまちづくりの中心となる東美濃地域は、交通利便性をはじめ、内陸地の強固な地盤、リニア開業による大都市圏からの時間短縮などの地域優位性を背景に、近年研究開発部門などの移転実績が出ております。また、令和三年度の本県への移住者数の約三割をこの地域が占めています。引き続き、新次元の地方分散の流れを踏まえ、商工労働部や清流の国推進部と連携して、サテライトオフィスの誘致や定着促進、若者や子育て世代を中心とした移住・定住の推進を図ってまいります。 また、活用戦略を踏まえ、森のまちづくりを進めていく上で、新たなビジネスモデルを構築するスタートアップ事業を推進する人材の呼び込みや産学官連携による支援、地域の特性に応じた秩序ある開発や環境に配慮した経済活動としての経済のグリーン化の推進などについて、庁内関係部局、さらには市町村や経済界と協力しながら取組の具体化を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) アフターコロナにおける民生委員の役割と県の支援についてお答えします。 民生委員の皆様には、地域住民の生活上の様々な相談に応じ、適切なサービスや支援窓口につなぐ役割に加え、高齢者や障がい者世帯の見守り、また近年では、孤独・孤立や
ヤングケアラーなど、新たな問題にも御対応いただくなど、その存在は地域福祉を支える大変重要なものと認識しております。そのため、県では、個々の委員活動を支えるために設置されている県内百九十九の民生委員・児童委員協議会に対して、委員間で情報共有を行うための会議や先進地視察などの活動費を交付しています。 この活動費に係る地方交付税措置は、御指摘のとおり、令和二年度に一協議会当たり二十三万円から二十五万円へ二万円増額されましたが、県では市町村等からの要望を踏まえて、同じく令和二年度に活動費の総額を約三千三百万円から約五千万円へと五〇%増額しました。この結果、現在中部九県でトップの静岡県とほぼ同水準の支援水準となっています。 県としましては、今後も市町村や民生委員・児童委員協議会の御意見を伺いながら、民生委員が地域で活動しやすい環境づくりに努めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 三十二番 松岡正人君。 〔三十二番 松岡正人君登壇〕(拍手)
◆三十二番(松岡正人君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従って二項目、四点について質問をさせていただきます。 初めの項目として、まちづくりDXについて質問をいたします。 DX、デジタルトランスフォーメーションという言葉は、新型コロナウイルス感染症感染拡大以降、急速に普及した言葉の一つで、今や誰もが毎日のように見聞きする言葉となりました。その意味合いとしては、進化したデジタル技術を活用し、ビジネスだけではなく、人々の生活をよりよい状態へ変革するというものです。本県においても、昨年三月に岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画を策定し、誰一人取り残されない
デジタル社会を基本理念に掲げ、テーマごとに目指す姿や主な施策を取りまとめています。 広い県土面積を有し、特色ある産業や文化・歴史を持つ市町村により構成される本県においては、システムの標準化やデジタル活用によって地域課題を明確にして、そして解決し、それぞれの地域での生活を豊かに・安心に・便利にする、そういうことが望まれています。具体的には、データを活用したまちづくり、デジタル技術による防災、交通安全対策強化などが始まっており、私が昨年九月議会の一般質問で取り上げた公共交通の利用促進に向けたMaaSの実現のためにも、DXは必要不可欠なものとなっています。 ここで、まちづくり、特に交通安全に関するDXの事例を紹介します。その一つは、先日も幾つかの新聞で報じられていましたが、岐阜市におけるDXによる通学路の安全確保のための取組です。その内容は、損害保険会社系列の民間会社が開発したプログラムを活用しながら、自治体、地域住民、警察等の参加の下で、通学路の安全を向上させるためのワークショップを実施するというものです。活用されたプログラムというのは、携帯電話会社の人流データ、警察庁の過去の事故のデータ、それに加えて損害保険会社契約者のドライブレコーダーによる危険情報をAI処理した情報を地図に落とし込むことで、道路や交差点のリスクを数値化、可視化するというシステムです。 同じプログラムを活用している奈良県においては、対象地域全域のリスクを俯瞰して可視化し、地域の中で特に問題がある高リスク箇所を抽出、さらにリスク要因の分析を行った上で、ゾーン設定や道路対策など、具体的かつ現実的な対策も提言されているそうです。これらの取組は、データに基づく政策立案、対策が行われるDXの先進事例であると思います。ぜひとも本県としても、県内市町村と連携しながら、それぞれの地域の実情に応じた様々な分野でのDX施策を展開してほしいと思います。 もう一つ、本県が取り組むデータ活用の先進事例として、県域統合型地理情報システム、いわゆるGISが挙げられます。このGISは、岐阜県が全国に先駆けて平成十八年度から運用を開始し、当初から県と県内全市町村が一つのシステムを共同利用しています。それ以前には、部署ごと、あるいは市町村ごとに整備されていたシステムを統合し、県と市町村が協力して基盤となる地図データの製作、更新を行うことで、地理空間情報を全県で共有活用できるというシステムです。 このGIS上で様々な地図情報をオープンデータとして提供しており、先般もまちづくりの基礎となる都市計画基礎調査情報がオープンデータ化されたと聞いております。防災や観光、まちづくりなど幅広い分野で活用されており、こうした取組が評価され、総務省が発表したデータを基に日本経済新聞が分析した本年二月十一日の同紙記事によると、本県のGISの活用度は茨城県に次いで全国第二位という評価を得ています。 私は、まちづくりDXに関して、県と市町村行政の連携や県の支援について、さらなる取組強化の必要性を感じています。 そこで、まず一点目として
都市建築部長にお尋ねいたします。 データを活用したまちづくりの現状と今後の取組について、御答弁をお願いいたします。 次に、まちづくりDXに関連する二点目の質問に入ります。 申し上げるまでもなく、DXを推進するに当たっては、デジタル技術の進展は極めて速いので、これにしっかり対応していかなければなりません。先ほど御紹介したGISは、平面の地図情報、つまり二次元データですが、国土交通省では、二〇二〇年度からまちづくりDXの重要な取組のテーマの一つとして、プロジェクトPLATEAUと称する実世界の都市を仮想的な世界に再現する3D都市モデルの整備を進めています。プロジェクトPLATEAUは、配付資料一にあるように、既存データから日本全国の3D都市モデルを生成し、オープンデータとして流通させて、さらにそれを活用することで、政策や民間市場のサービスの企画、開発等につなげるなど、データの作成と利用の両輪で進められているプロジェクトです。持続可能で、誰もが住みやすく、参加可能な社会づくり、官民の多様な領域でのデータ活用が進展し、まちづくり、防災、カーボンニュートラルなどの社会課題の解決につながることが期待されています。 昨年十二月二十三日に閣議決定したデジタル田園都市国家構想総合戦略の中で、3D都市モデルの整備として、国土交通省は二〇二七年度までに基礎自治体の約三分の一に当たる五百都市での3D都市モデルの導入を目指しており、最先端技術の開発等に向けたさらなる環境整備を図ることとされております。二〇二一年度には全国五十六都市、二〇二二年度には全国で七十一都市、そして現在は全国百二十七都市で3D都市モデルのオープンデータ化が完了しており、そのうち岐阜県内のPLATEAU整備市町村は、岐阜市、美濃加茂市の二市のみとなっています。 また、資料一の裏面にありますように、県単位では、東京都、埼玉県、静岡県、広島県で導入が進んでおり、全ての市町村への導入を予定している県もあるようです。市町村ごとに3D都市モデルを構築することで、先進的な民間企業のプログラムやデータを取り込むことが重要であり、そのためにも県のバックアップが必要だと感じています。 本日の午前中、若井議員から岐阜市の事例紹介がありましたが、このPLATEAUを使っての都市計画やまちづくり、そしてさらには防災や避難支援、地域活性化や観光、環境やエネルギー、そして公共交通の活性化や利用促進、交通安全や防犯、民間
サービス創出支援、その上、あらゆる分野における
地方公共団体の課題解決、または新たな価値創造に積極的に活用すべきであると考えます。国交省では、PLATEAUの早期導入を後押しするために、配付資料一の二枚目にあるように、今年度新たに都市空間情報デジタル基盤構築支援事業に、早期実装タイプとして、国の補助率十分の十、上限一千万円の定額補助制度を創設しています。国交省は積極的に事業を推進しようとしていますが、多くの県内市町村では、PLATEAUに対する認識も薄く取組が遅れており、市町村間で相当な格差があるように感じます。 PLATEAUによって構築された3D都市モデルは、仮想空間と現実空間を融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指すSociety五・〇のデジタル基盤になると期待されています。そうだとすれば、近い将来、3D都市モデルを導入した地域と導入していない地域では、当該地域の住民や所在企業に大きな格差が生じることも懸念されます。岐阜県としても、都市空間情報デジタル基盤構築支援事業の補助金を市町村が活用できるように支援するべきだと思います。 そこで、
都市建築部長にお尋ねいたします。 国交省が推進しているPLATEAUに対する県の認識及び市町村における導入に向けた支援について、御答弁をお願いいたします。 次に、大きく二項目めとして、生活道路の安全向上策について質問いたします。 全国における人身交通事故発生件数は年々減少していますが、このうち車道幅員五・五メートル未満の道路における交通事故発生件数の減少率は鈍化しており、全交通事故発生件数に占める割合は横ばいで推移しています。昨年の状態別の交通事故死傷者数を見ると、幅員五・五メートル未満道路における歩行者、自転車乗用中の死傷者が占める割合は、幅員五・五メートル以上道路の約一・八倍でした。生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策の一つとして、二〇一一年九月からゾーン30が始まりました。これは、区域、つまりゾーンを定めて時速三十キロの速度規制を実施するとともに、必要に応じてその他安全対策を組み合わせ、ゾーン内における車の走行速度や通り抜けを抑制するというものです。 交通安全対策の多くは道路、つまり線によって、もしくは交差点、クロスする点によって問題解消に主眼を置いて行われています。これに対してゾーン、一定の区域で行う対策は、幹線道路等で囲まれた住居地域全体の交通規制や安全対策を実施することで、その地域の人々が車から脅かされることなく、安心して生活できる区域、つまりゾーンをつくることを狙いとしています。二〇二一年八月からは、さらなる生活道路の安全向上のために、警察と道路管理者が連携してゾーン30プラスという新たな取組も始まり、全国的に整備が進められています。 資料二を御覧ください。 ゾーン30プラスとは、警察による時速三十キロの速度規制等にプラスして、道路管理者が狭さくやスラローム等の物理的デバイスの適切な組合せにより交通安全対策を講じ、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間を整備する区域のことをいいます。 具体的な取組としては、最高速度規制のほか、交通実態に応じて区域内における大型車両通行禁止、一方通行等の各種交通規制を実施するとともに、ハンプやスムーズ横断歩道など速度低減技術も組み合わせるなどして、交通安全の向上を図っています。ハンプとは、道路の路面に設けられた凸状の部分のことです。通過車両を一時的に押し上げるもので、ドライバーが速度を落とすことで、歩行者、自転車の安全な通行を確保することを狙っています。また、スムーズ横断歩道とは、速度抑制効果の高いハンプと横断歩道を組み合わせた物理的デバイスで、ゾーン内の横断歩道に設置することで、速度抑制やドライバーが横断歩道上の子供を見つけやすくなるといった効果も期待されています。 資料二の裏面を御覧いただくと、本県においては、昨年度末でゾーン30が九十二件、ゾーン30プラスが五件整備されています。一方で、全国の整備状況は、ゾーン30が四千二百八十八件、ゾーン30プラスが六十六件なので、本県は全国的に見て、ゾーン30プラスの整備に積極的に取り組んでいることが分かります。国土交通省及び警察庁によると、ゾーン30プラス整備計画を策定したエリアは、二〇二三年三月末現在、全国で百二十二地区となり、うち本県は六か所で整備計画が策定されています。 私の地元各務原市においては、地域のボランティアの皆様によって、小学生の登下校の安全を支えていただく見まもり隊という組織があります。この見まもり隊の方々から、横断歩道や標識、防護柵、そしてゾーン30プラスの設置の要望などを受けることがしばしばあります。各務原市は、ゾーン30及びゾーン30プラスともに、いち早く取り組んできた経緯もあります。最近伺うゾーン30プラスの整備要望については、今までのゾーン30の設置に比べて実現に向けたハードルが高いと感じることから、今回質問に取り上げました。 物理的デバイスの導入には、当該地域住民の皆様の理解と同意が必要です。その同意取付けを誰が主体的に行うかなど調整が難しいために、ゾーン30プラスがスムーズに導入できない実情があるようです。また、ゾーンの整備は、市町村ごとに進捗にばらつきがあります。さらに、交通安全対策に関する認識の差だけではなく、物理的デバイスの設置費用をどうするかなどの問題もあると思います。 一方で、生活道路でありながら、速度超過をするドライバーがまだまだ多いのも事実です。特に主要道路の抜け道になっている生活道路における速度超過は事故を誘発し、そしてさらに大きな事故に至る要因となります。その対策の一つとして、二〇一六年頃から使用されている可搬式オービスの活用が効果的だと思います。 資料三を御覧ください。 可搬式オービスの特徴は、とにかく小型で、速度を計測するレーダー照射器と違反車両を撮影するカメラ、撮影の際に発光するフラッシュを搭載したシンプルな形状となっています。大がかりな取付けスペースが要らないことから、電柱や道路標識の近くに簡単に設置できると伺っています。最近では、バッテリーを内蔵した独立型の小型オービスもあって、本体にタイヤがついて自走可能で設置できることから、移動設置も可能となっているようです。岐阜県警では、現在この可搬式オービスを五台保有していると伺っていますが、さきに紹介した幅員五・五メートル未満道路での事故が多いことを鑑みて、可搬式オービスの台数増加と、これを活用した取締りの強化が事故の抑止につながると見込まれます。 生活道路の安全向上のために、ゾーン30はもちろん、ゾーン30プラスの整備について、今後も積極的に増やしていってほしいと思います。その実現のためには、警察と道路管理者である県や市町村、住民、PTAなどの連携とそれぞれの役割の明確化が必要だと思います。導入成功事例の紹介や危険箇所検証による整備の必要性や妥当性の分析など、整備に関するスキームを確立していただくことを望みます。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。 ゾーン30プラスの整備を進めるに当たっての課題と方策についてどのようにお考えでしょうか。また、ゾーン30からゾーン30プラスへの拡充までの対策として、生活道路での速度取締りの強化についてのお考えと方針を御答弁お願いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君)
都市建築部長 藤井忠直君。 〔
都市建築部長 藤井忠直君登壇〕
◎
都市建築部長(藤井忠直君) まちづくりのDXについて、二点御質問いただきました。 初めに、データを活用したまちづくりの現状と今後の取組についてお答えいたします。 県では、平成二十七年度にオープンデータカタログサイトで都市計画区域内の人口や面積などを公開したほか、令和四年度からは、産業別従業者数や現況の土地利用などの都市計画基礎調査結果をオープンデータ化いたしました。加えて、市町村向けに無料で利用できる分析ソフトQGISの操作や都市データ分析方法のマニュアルを整備するとともに、研修会を開催するなど、データ活用のスキル向上にも取り組んでいるところでございます。 一方、複雑化、多様化する都市の課題を的確に把握し、持続可能なまちづくりを進めるためには、市町村が保有するデータについてもオープンデータ化が進むことが重要です。このため、今後は、市町村による都市データのオープンデータ化に向けた研修を行うとともに、職員のさらなるスキル向上に向け、都市の課題に応じたデータの分析方法や事例紹介をするなど、職員が自らデータを分析し、まちづくり課題の抽出や政策立案を担えるよう研修内容を充実させてまいります。 次に、国土交通省の推進するPLATEAUに対する県の認識及び市町村での導入に向けた支援についてお答えいたします。 議員御指摘のPLATEAUは、3Dで都市を再現することで精密なシミュレーションを可能にし、都市課題に対応したまちづくりを分かりやすく見える化するツールです。ただし、導入には、維持管理や更新を含め、多額の費用がかかるほか、市町村からは具体的な活用方法のイメージが湧かないといった意見も伺っております。 一方、県内で既に導入された二市からは、様々なシミュレーションが可能なため、地域住民や関係者のニーズを踏まえたまちづくりの計画を立案できるといった声もお聞きしております。 県といたしましては、住民参加によるまちづくりや都市の抱えるリスク分析などの観点からも、まちづくりの主体である市町村での導入が有効であると認識しております。このため、今後、他の市町村でもより前向きに導入の検討が進められるよう、改めて国の補助事業を紹介するほか、活用自治体による先行事例の発表会や国の担当者を招いての操作体験など、様々な機会を通じて働きかけを行ってまいります。
○副議長(田中勝士君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) 生活道路の安全向上策について、二点お尋ねがございました。 まず、ゾーン30プラスの設置を進めるに当たっての課題と方策についてお答えいたします。 県警察では、住宅街などの生活道路における交通安全対策の一つといたしまして、ゾーン30プラスの整備を推進しております。これは、まず一定のエリアを定めまして、そのエリア内の最高速度を時速三十キロに規制するとともに、道路の表面に立体的な段差のような凸状のなだらかな隆起をつけることで、車両の速度を物理的に抑制するものでございます。こうした整備には、地域住民の方々の生活上の影響にも最大限配慮しながら検討を行う必要がございます。 県警察では、今後とも引き続き道路管理者とも密接に連携いたしまして、地域住民の方々の御理解も頂戴しながら、ゾーン30プラスの整備を推進してまいります。 次に、生活道路での速度違反取締りの強化についての考え方と方針についてお答えいたします。 速度違反の取締りにつきましては、交通事故の発生状況や地域住民の方々からの要望を踏まえまして、重点的に取締りを行う場所、時間帯を速度取締り指針として県警ホームページなどで明らかにした上で、取締りを徹底しております。特に通勤・通学時間帯の速度違反につきましては、交通事故の危険性も高まりますので、通行車両の速度抑制のための集中取締りを強力に推進しております。 今後とも、狭い生活道路でも取締りができる小型で持ち運びも簡単な可搬式速度違反自動取締装置を活用した取締りのほか、パトロールによる制服警察官の姿を見せる活動などの対策をより一層徹底することにより、地域の交通実態を踏まえた交通安全対策を強力に推進してまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕(拍手)
◆二十八番(長屋光征君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は大きく三点、四項目について順次質問をさせていただきます。 五月八日から新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ五類感染症に位置づけられました。令和二年一月に国内で最初の感染者が確認され、国内では三年四か月で累計約三千三百八十二万人が感染をしています。また、県内では、令和二年二月に最初の感染者が確認されてから、今年五月七日までに累計約五十四万八千二百五十二人が感染し、単純計算で県民の四人に一人が感染をいたしました。また、県内で一千百二十八人の方が亡くなられておられます。長きにわたったコロナとの闘いは大きな転換期を迎え、最近ではマスクを外している人の姿を多く見かけるようになり、これまで自粛してきた祭りやイベント等も開催され、まちの飲食店や観光客のにぎわいも戻りつつあります。 しかしながら、コロナとの闘いはまだ終わったわけではなく、県においても独自の取組として県リアルタイム感染症サーベイランスシステムを活用して感染動向の分析を行っていますが、一医療機関当たりの新規患者数は増加傾向にあります。今後も引き続き効果的な換気や手洗い、高リスク者を感染させないための配慮など、感染対策の継続に取り組んでいく必要があります。 このように日常生活が戻りつつある中ではありますが、今もなおコロナに感染したことによる後遺症に苦しまれている方がいらっしゃいます。WHOでは、罹患後症状、いわゆる後遺症について、新型コロナウイルスに感染した人に見られ、少なくとも二か月以上継続し、またほかの疾患による症状として説明がつかないもの、通常は新型コロナウイルス感染症の発症から三か月たった時点にも見られると定義しています。後遺症には様々な症状があり、倦怠感や息切れ、睡眠障がいや頭痛、嗅覚や味覚の障がい、また頭に霧がかかったような状態となり集中力が低下するブレーンフォグの症状を抱える方もいらっしゃいます。 新型コロナに罹患をし、入院された方を対象に実施した厚労省の研究事業では、入院時の重症度が高かった方、治療中に人工呼吸器管理を要した方、女性、四十一歳から六十四歳の中年者において罹患後の症状を訴える割合が高かったと報告されています。多くの方は、時間の経過とともに症状が改善するとされる中で、長引く症状に悩んでいる方もいることが現状となっています。 また、昨年十二月二十一日の新聞に掲載された県内で後遺症外来を開設している岐阜大学医学部附属病院のデータ分析によれば、専門外来が開設された令和三年十一月から昨年十二月までの受診者百十六人の患者の感染時の症状を調査した結果、倦怠感が最多で七十二人、頭痛が二十七人、不眠が二十四人と続き、一、二か月で通院で改善する人から一年近く通院を続ける人までおり、治療期間は人によって様々となっています。 こうした後遺症の症状について、厚労省では実態や病気の容体を明らかにするための研究を行っており、コロナが人体に与える影響の怖さについてはいまだ明らかになっていません。こうしたことから、県では、後遺症が疑われる場合、かかりつけの医療機関に相談するよう呼びかけていますが、かかりつけ医がいなかったり、かかりつけ医の専門と患者の症状が合わないケースも多いことから、今年二月に後遺症に対応している県内百六十六の医療機関の一覧をホームページで公開し、活用を呼びかけています。 その後、多くの医療機関で準備が進み、国も将来の流行に備え、五月八日から後遺症の患者を診療した場合の診療報酬を加算しており、六月六日時点で二百八十一の医療機関となり、一・七倍まで増加をしています。また、相談先に迷う場合は、新型コロナウイルス感染症に係る健康相談窓口として、県の総合健康相談窓口や各地域の保健所の相談窓口を勧めています。 一方、国では、昨年七月にコロナの罹患後症状を生じる者への自治体における取組の調査結果をまとめており、都道府県、政令指定都市、中核市等の百五十七の自治体にアンケートを行い、各自治体において後遺症患者が医療につながる取組を促進するための資料として公表しています。アンケート結果によれば、罹患後症状に関する実態調査を実施した自治体は二十三団体あり、後遺症による社会生活への影響も踏まえ、医療機関や関係団体等との情報共有、県民への周知、また後遺症に苦しむ方を円滑に医療へつなげられるよう、相談体制のさらなる充実、さらに医師会と連携して研修会を開催するなど、医療機関の対応力向上や診療を行う医療機関のさらなる拡充を図っています。 そこで一点目、岐阜県においても、新型コロナウイルス後遺症に悩む方、苦しまれている方の実態を把握し、そうした実態を踏まえた上で、県民や医療機関に対して必要な支援を行っていく必要があると考えますが、どのようにお考えか、
健康福祉部長にお伺いをいたします。 次に、新型コロナウイルスワクチンの長期的な副反応と思われる症状のある方の把握と対応についてお伺いをいたします。 七〇・六%、これは本県でコロナワクチンを三回目まで接種をした方の接種率です。新型コロナとの闘いに大きな転換期を迎えられたことに、ワクチンの存在が大きな役目を果たしたことは、私を含め多くの方が認めるところだと思います。一方で、今回私が二つの質問をしようと思った理由は大きく二つあります。一つは、私のSNSに、コロナによって日常が一変をし、今なお苦しんでおられる方から悲痛なメッセージをいただいたことや、私の知人でワクチン接種後に手に水膨れのようなものができ、潰れては水膨れができるのを繰り返す症状に苦しんでいる方が身近にいること、また後ほど御紹介しますが、事実をしっかり伝える必要があるとの思いで書籍を出されたCBCテレビの大石アナウンサーの本に共感をし、県内でも苦しんでいる方が見え、支援をしていかなければならないと思ったからであります。 新型コロナが猛威を振るい始めた頃は、感染の波が高まるたびに緊急事態宣言が発令をされ、ワクチンさえ開発されればこの脅威も終わりを迎えると、私もその一人ですが、ワクチンの早期開発に未来への希望を感じた方も多かったのではないかと思います。一般にワクチンの開発は、基礎的な研究、安全性、毒性などを調査する非臨床試験、患者などが服用して試す臨床試験の大きく三つのステップで進められていき、その中で候補物質の探索、有効性、安全性の確認、品質を担保しつつ大量生産が可能かどうかの確認などを行う必要があり、開発には一般的には数年単位での期間がかかります。 日本では、まずファイザー社のワクチン、これはパンデミックに対応するため、異例の早さで開発、治験、製造されたワクチンでしたが、このワクチンが令和三年二月十四日に薬事承認され、同月十七日から接種が開始をされました。その後、モデルナ、アストラゼネカなども接種の対象となっています。こうしたワクチンについては、自己負担なしで打てる予防接種法の特例臨時接種が来年三月まで一年間延長されたため、接種に当たっては引き続き無料となっています。 さて、こうした状況下にある新型コロナウイルスワクチンですが、ワクチンには接種によって得られる利益とともに、副反応が付き物だと言われております。体内で免疫ができる過程で発熱、接種部位の発赤、腫れなどの比較的よく見られる軽い副反応や極めてまれに起こる脳炎や神経障がいなど、健康被害と考えられる副反応があります。軽い症状の副反応であれば数日以内に回復していきますが、コロナウイルス感染後の後遺症とも類似するような形で、接種後数週間たっても継続し続ける原因不明の頭痛や筋肉痛、無気力感など、様々な症状が現れるケースがメディア等でも紹介されています。 昨年九月十五日の岐阜新聞記事によれば、可児市の五十九歳の女性が一回目のワクチン接種をしてから、僅か五分後に手足のしびれ、速まる鼓動、息ができないほどの倦怠感に襲われ、すぐ近くの総合病院で検査と点滴を受けられたが、歩くこともできない状況だったそうであります。その後、かかりつけ医や複数の総合病院を回りましたが、結果はいずれも原因不明と診断されました。接種から八日目、すがる思いで知人の病院長に相談したところ、新型コロナワクチン接種後副反応と診断され、即入院となられたそうです。この女性は、ワクチン接種から一年たっても体に力が入らず、つえを使って歩く生活が続いており、歩くときの状態はトランポリンの上に乗っているような感覚と表現され、ワクチン接種直後に起きた体の異変に長く苦しんでおられます。 このように、ワクチンの副反応によって長く苦しんでおられる皆さんのことについて、先ほど述べたCBCテレビの大石アナウンサーが、出どころがはっきりしているデータと御自身の取材を交えた「新型コロナワクチンの光と影」という一冊の本にまとめられています。大石アナウンサーは、自分も含めたマスコミもワクチン接種を推奨してきた立場として、ワクチン接種によって苦しんでいる人たちがいることを正しく伝えていく必要があるとの思いで、ユーチューブや書籍にして発信されております。ぜひ皆さんも機会があれば、多くの皆さんがワクチン接種後に様々な状況で苦しんでいることを知っていただく上でも、御一読をいただければと思います。 さて、こうした症状とワクチン接種との因果関係については、市町村を窓口とする国の予防接種後健康被害救済制度により、予防接種、感染症、法律等の外部専門家により構成される疾病・障害認定審査会で因果関係を判断する審査が行われるため、その関連性の有無については慎重に取り扱う必要があります。しかしながら、接種後の長引く症状を含む副反応を疑う症状について調査を求める声の高まりを受け、今年二月に厚労省が研究班を立ち上げて、実態調査と調査結果を公表しています。調査結果では、接種後の副反応が疑われる症状を診察する全国約四百七十の医療機関のうち、協力の同意が得られ、担当医師から回答があった十六の医療機関を受診した百十九人の症例を対象としており、発熱が最多の二十八人、疼痛、倦怠感、頭痛、関節痛などの症状がありました。この調査の研究班は、症状とワクチン接種の間の因果関係を検証することはできないとしながらも、症状が長引く事例を可能な限り個別の事例単位で調査をしていくことが必要であるとしています。 また、名古屋市においても、今年三月二十七日にワクチンの長期的な副反応と思われる症状で受診された方の症例集をホームページに掲載しており、市の専用の相談窓口から協力医療機関に案内した約七百人の症例のうち、協力の得られた九医療機関の二十症例をまとめています。その調査結果によれば、主な症状として、しびれ、次いで倦怠感、筋肉痛、関節痛、精神症状がありました。 なお、こちらも国と同様に、ワクチンとこれらの症状との因果関係を認めたものではありませんが、今後もさらなる症例を集めて、臨床の場においてより使いやすい治療の参考となる症例集としていくこととしています。 さらに県内では、今月一日の新聞記事に、各務原市において国の予防接種後健康被害救済制度への申請に係る文書費用について、五万円を上限に市独自で支援をする助成制度が新たに予定されており、国の救済制度を利用しやすくするような取組も始まっています。 そこで、二点目として、岐阜県においても、こうしたワクチンの長期的な副反応と思われる症状の実態を把握し、県民や医療機関への情報提供、適切な治療や救済制度へつなげるための相談体制の強化、市町村への取組への支援が必要であると考えますが、どのようにお考えか、
健康福祉部長にお伺いをいたします。 先ほど御紹介した大石アナウンサーの本にも書いてありますが、ワクチンの長期副反応に悩まされている皆さんは、それまでの日常から副反応に苦しむ日常と、毎回かかる多額の医療費、場合によっては家のリフォーム代、工事代など、経済的な負担も大変多くのしかかっているのが現状です。 昨日の知事答弁において、コロナ禍においてオール岐阜で取り組んできた旨の答弁がありました。県全体は知事がリーダーシップを、そして現場や職員さんたちの細かい対応は、私は
健康福祉部長の堀部長が対応されてこられたと思います。堀部長は、東京から岐阜に来られてから、ほとんどの時間をコロナで対応していただいて、プライベートの時間もないほど頑張っていただいてきたと私は思っています。大変感謝しております。だからこそ、新しいコロナとの共存する時代において、誰しもが安心できる救済制度の確立もオール岐阜で取り組むことが必要だと考えますので、皆さんが明るく希望が持てるような御答弁をお願いいたします。 次に、医療コンテナの導入について質問させていただきます。 皆さんは医療コンテナというものを御存じでしょうか。私も最近まで知りませんでしたが、この岐阜県選出の古屋圭司先生から御紹介をいただいて、内閣官房国土強靱化準備室が今年三月に作成した医療コンテナの活用に関する手引を引用して医療コンテナについて紹介をさせていただきます。皆さん方の机上には資料を配付しております。 医療コンテナとは、コンテナ等の中に医療資機材を搭載することで医療機能を運搬可能にする医療モジュールの一種として位置づけられて、現場において組立て・設置を行う設置型と車輪と一体のトレーラーシャーシ型である移動型に大きく分けられています。また、医療コンテナは、医療資機材の運搬に用いるだけでなく、コンテナ内で医療行為が行えるものでもあります。この医療コンテナの特徴としては、現場での建設や機器の設置、接続等の工程を省略することができることから、医療機能を素早く立ち上げ展開することが可能になっています。また、プレハブやテントと比較しても、気密性、隔離性、清潔性など多く利点を有し、コンテナ内で診察や検査、けがの処置など診療機能に対応します。 この医療コンテナの具体的な活用方法としては大きく三つ考えられます。まず一つ目が平時における活用として、僻地等において巡回診療を行う場合の移動診療施設として、医療機器を搭載した巡回診療車に代わり必要なモジュールを搭載した医療コンテナを活用することで、より高度な診療、健診等が可能となり、そのため遠くまで出かけなければ専門的な医療が受けられないような人口がまばらな地域の方々でも、身近で高度な診療が受けられるようになります。 また、特に大規模なイベントや行事のほか、医療機関が近隣にない場所でのイベントを実施する場合の一時救護所等として活用することが考えられます。山梨県の例では、昨年の夏山シーズン中、富士山の五合目に診療室や医師用の部屋、レントゲン室や心電図を測る機械等を備えた医療コンテナを設置し、登山者などのけがや病気に対応する救護体制の強化を図っています。 二つ目に、今後の感染症危機における活用として、隔離性に優れている医療コンテナは、病院の院内感染の予防を図る上でも有効であることから、今般の新型コロナ対応において、複数の病院において発熱外来やPCR検査室等の目的で導入されており、県内では松波総合病院や朝日大学病院で発熱外来を行う医療コンテナが導入されたとの報道がありました。 最後の三つ目は、災害時における活用です。医療コンテナは、これまで東日本大震災や熊本地震、平成三十年の西日本豪雨などの大規模災害時に現地で医療体制の確保等に活用されています。災害時の具体的な活用方法として想定されるのは、病院への搬送や治療優先順位を判断するトリアージや診察、検査、小外科手術、助産救護、透析などであり、災害時に急増する医療ニーズに対し、様々な医療行為の適用可能性や優位性があるものだと考えられます。 こうした医療コンテナの災害時における活用は、今月十六日に閣議決定された
経済財政運営と改革の基本方針二〇二三においても、医療コンテナの活用等による医療継続性確保が盛り込まれています。また、昨年七月に厚労省のワーキンググループが作成した第八次医療計画策定に向けた災害医療についての中でも、医療コンテナの災害時等における活用が盛り込まれており、国においても災害医療への積極的な活用の検討が進められており、今後各自治体においてもこうした動きが広がっていくものと思われます。 これまで述べたように、医療コンテナは多様なケースに対応した医療支援を可能とするのと同時に、一時的な医療施設の需要に応じて展開や撤収が容易であり、地域の医療インフラの補完、感染拡大時の二次感染リスクの軽減、大規模災害時の緊急医療支援活動などへの活用が期待をされています。 そこで、
健康福祉部長に三点目の御質問でございます。 県においても、県内の医療提供体制の強化のため、様々な事態やニーズに迅速かつ柔軟に対応できる医療コンテナについて、次期保健医療計画も見据えて、その活用策を積極的に検討し、県内への導入を進めるべきだと考えますが、どのようにお考えかお伺いをさせていただいて、一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
○副議長(田中勝士君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) 三点御質問をいただきました。 まず新型コロナウイルス感染症の後遺症患者の把握と対応についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症については症状が様々であるほか、いまだその原因やメカニズムなどについて不明な点が多く、治療方法が確立されていないのが現状です。このため、県では、新型コロナの総合健康相談窓口において、まずはかかりつけ医等の受診を案内するとともに、かかりつけ医等では、岐阜大学附属病院の後遺症専門外来との連携により、適切な医療が提供できるよう対応いただいております。さらに、今年二月には、後遺症の診療に協力いただける医療機関を調査し、二百八十一医療機関を公表するなど、必要な方を医療につなげることができる環境を充実させてまいりました。ただし、こうした医療機関における診療の実態については、これまで必ずしも把握していなかったことから、今後後遺症患者の診療の状況や課題等を把握するための調査を実施してまいります。その結果を踏まえ、県としてさらに取り組むべき事項がないか検討してまいります。 次に、新型コロナウイルスワクチンの長期的な副反応と思われる症状の把握と対応についてお答えします。 予防接種による健康被害の発生状況に関する調査は、予防接種法により国の責務とされており、厚生労働省が全国の医療機関の協力を得て実施したワクチン接種後、長期にわたって持続する症状に関する実態調査の第一報が四月に公表されたところです。この調査については、今後詳細な数値等について、引き続き分析の上、第二報として報告される予定であり、県ではその結果を踏まえ、県民や医療機関に対し適切に情報提供してまいります。 次に、副反応と思われる症状のある方への相談体制について、県では、看護師が常駐するコールセンターを設け、かかりつけ医等への受診や必要に応じて県内七か所の中核的な病院の診療窓口を案内するほか、健康被害救済制度の説明も行っています。接種主体である市町村でも、接種券発送時に県の相談窓口や健康被害救済制度等に関する情報を同封いただくことにより住民に周知いただいております。今後も市町村と緊密に連携しながら、分かりやすい広報資料の提供など、必要な支援を実施してまいります。 最後に、医療コンテナの導入についてお答えします。 医療コンテナは、気密性、隔離性を有し、運搬も可能であることから、例えば災害時には、被災した医療機関の機能の補完といった活用が、また感染症流行時には他の患者と隔離した診療の実施といった活用が考えられます。実際に、新型コロナの対応において県内の病院でも発熱外来に活用されましたが、他の患者との接触による院内感染が懸念される中で、医療コンテナでの診療は有効であったとの報告を受けております。一方で、導入に当たっては、初期費用に加え、運用や保守管理に係る費用の確保が課題です。また、移動には大型トラックが必要となるほか、設置場所の確保も課題となってまいります。医療コンテナの活用については、次期保健医療計画の策定に当たり、国が示す指針において、災害時における活用に言及していることを踏まえ、計画の策定を進める中でその有用性や課題も念頭に置き、当県での活用について検討してまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕
◆二十八番(長屋光征君) 次に、大きく三項目めとして、知事に農業フェスティバルの開催についてお伺いをしたいと思います。 六月七日の新聞報道にもありましたが、コロナ感染拡大の落ち着きと県庁新庁舎の建設が完了したこともあり、県の農業フェスティバルが四年ぶりに開催をされることとなりました。この開催の知らせに、私も含め多くの県民の方々がまた一つ日常の楽しみが戻ってきた喜びを感じ、実りの秋の到来が待ち遠しくなる思いになったのではないかと思います。この農業フェスティバルは、地域特産物や加工食品の消費拡大等を通じて、本県農業の一層の活性化を図るため、県や県農業協同組合中央会などの団体でつくる実行委員会が主催をする県下最大級の食と農のイベントとなっています。四年前の令和元年の開催時は、二日間で十八万三千人が訪れており、岐阜県農業の紹介や県内各地域の農産物や特産品の販売、スマート農業のPR、また世界農業遺産に登録された地域の特色ある農産物を紹介する世界農業遺産マルシェや豚熱と闘う畜産農家を応援する県産豚肉のPRなどが行われ、来場者の方々に本県農業の魅力を知っていただき、農産物や特産品を味わっていただくためのまたとない機会となりました。 さて、前回の開催から四年間を振り返ってみると、これまでのコロナ禍により農家の皆さんは大きな痛手を負ってきました。コロナの感染が広がり始めた令和二年二月には、学校の全国一斉臨時休校が行われ、給食の食材のキャンセルにより、野菜や牛乳などが計画的に栽培、製造される中で消費や転売もままならず、その被害額は相当なものでありました。また、度重なる緊急事態宣言による飲食店の営業自粛、様々なイベントの中止やインバウンドの激減等の影響による外食需要の低下、さらにはウクライナ情勢に伴う輸入原料や肥料、飼料、燃油等の生産資材の国際価格の高騰もあり、農業の経営は大変厳しい環境下に置かれ、今もなおその状況は続いてます。 農林水産省が今年五月に公表した令和四年度食料・農業・農村白書によれば、日本政策金融公庫が今年一月に実施した調査において、景気がよいと感じている経営体の割合から景気が悪いと感じている経営体の割合を差し引いた農業景況DIが前年から九・五ポイント低下し、マイナス三九・一ポイントとなっており、平成八年の調査開始以来最低値となっています。また、同白書に記載されている東京商工リサーチが今年一月に公表した調査によれば、令和四年における農業分野の企業倒産は七十五件であり、過去十年間で二番目に高い水準となっています。こうした状況を経て開催される農業フェスティバルは、会場に訪れる県民だけではなく、会場でPRや販売を行う農業関係者の皆さんにとっても、コロナ禍からの脱却、未来への再始動の象徴となるものであり、本県農業の発展のために新たな意義が加わっていると感じています。 また、新たな県庁舎を県民に知っていただく機会でもあります。二十階の展望台はもとより、ぎふ結のもりや整備した周辺駐車場、道路等をうまく活用し、新たなアイデアを加えてよりよいものとしていただきたいと思っています。さらに、開催に当たっては、やはり県内農業のより一層の活性化を図るため、今まで以上に地産地消にこだわっていただくと同時に、来場者はもとより全ての県民の皆さんに地産地消の大切さや地元の農畜水産物に愛着と誇りを持っていただけるようなフェスティバルを目指していただきたいと考えております。例えば今後、県内飲食店にも波及をしていくように、食材が県内産のものを何%利用しているかが分かるように表示をしたフードメニューの提供や県産品にこだわった新たな岐阜県スイーツの開発など、四年分の鬱憤を晴らすように思い切ってやっていただきたいと思います。もちろん県外や状況によっては、海外の皆様も来場される可能性がありますので、そういった皆様にも岐阜県の誇れる県産品をPRする機会にもしていただけるとよいのではないかと思います。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 コロナ禍を経て四年ぶり、また新庁舎周辺整備後初となる農業フェスティバルの開催に当たって、知事の思いや意気込み、また新庁舎等を活用した会場運営や地産地消をPRするための取組についてお伺いをいたします。 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 農業フェスティバルの開催についてでございますが、御案内のように三十年以上の歴史を重ねてまいりまして、前回の令和元年には二日間で約十八万人御来場いただきました。まさに県下最大の食と農のイベントということになっております。その後、コロナ禍で開催中止を余儀なくされましたが、この間、食と農を取り巻く社会情勢は大きく変化しております。 すなわちコロナ禍を機に、地産地消や田園回帰の潮流が高まり、また国際情勢の激変に伴い、肥料、飼料、資機材などの価格高騰に見舞われ、食料安全保障強化への動きが一段と高まりました。このような中で、四年ぶりとなる今回の農業フェスティバルでは、「持続可能な食と農を目指して、人と農と食をつなぐ」をテーマに掲げ、食料が県民に安定的に届けられるよう、県農業を応援する機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。このため、出展者と来場者をつなぎ、これまで以上に地産地消を意識していただく機会としたいというふうに思っております。 そこで、出展者の皆様には、県産食材の使用はもちろんのこと、販売ブースでの情報発信を出展の条件として、例えば各ブースに設置したQRコードから、来場者が出展者や出展品目の情報にアクセスするよう促してまいりたいと思います。また、来場者の皆様には、多くの県産食材の魅力を体感していただくとともに、その生産者との触れ合いを通じて、県産農畜水産物に愛着を感じていただきたいと思います。そして、例えば地産地消ぎふ応援団に加入していただくことなどを考えております。 あわせて、このフェスティバルを農福連携に対する県民の理解を深める場としたいと考えております。今回は新たに私が会長を務める農福連携都道府県ネットワークと連携し、県内はもとより全国の農福商品の販売や活動PRを行う全国農福連携マルシェの初開催を予定いたしております。加えて、花飾り体験や県産花卉の展示即売など、花と緑の魅力を体感できるフラワーフェスティバルといった新たな催事も企画してまいります。そして、会場としては、ぎふ清流アリーナに加えて、ぎふ結のもり、新県庁舎二十階の清流ロビーなど、新庁舎及びその周辺全体を活用して、活気あふれるフェスティバルにしたいと考えております。 以上、申し上げたような新たな農業フェスティバルにぜひとも多くの皆様に足を運んでいただきたいと思います。
○副議長(田中勝士君) 二十八番 長屋光征君。 〔二十八番 長屋光征君登壇〕
◆二十八番(長屋光征君) 知事、前向きな御答弁ありがとうございました。 私は、
健康福祉部長にワクチンの副反応に対しての再質問をさせていただきたいと思います。
健康福祉部長の答弁、ごもっともと言われればごもっともの御答弁だと感じたわけでありますが、私が質問の中でも述べたように、今現実でやはり苦しんでおられる皆さん方がお見えになるわけであります。確かに国の責務だという部分はあると思います。一方で、県民の中には苦しんでいる人がいる、そして将来に希望が持てない皆さん方がいるわけであります。だからこそ、各務原市のように市独自で少しでも協力ができないかという思いで、各務原市なんかはそういった予算を組んでやっていくわけであります。私の質問の中には、市町村の取組への支援、その各務原市の取組を含めた市町村がそういったことをやっていこうとしたときに、県の財政的な支援が私はあってもいいんじゃないかというふうに思い、質問をさせていただいたんですが、それに対しての答弁もなかなか聞くことができませんでした。 改めて再質問でありますが、市町村への取組への具体的な支援の在り方であったり、もう少し丁寧に、やはり先ほどの答弁では副反応に悩まれている皆さん方がどうしていただけるのかが分からないと思いますので、もう少し具体的に御答弁をいただければと思います。
○副議長(田中勝士君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) ワクチンの長期的な副反応への対応について再質問をいただきました。 まずワクチン接種後に長期的な副反応に苦しまれていらっしゃる方がいるというのは御指摘のとおりでございます。先ほどもお答え申し上げましたけれども、県としては相談窓口を設けるですとか、県内での中核的な医療機関への受診等を案内するなどの取組を行っております。御質問いただきました市町村への支援ということになりますけれども、市町村が予防接種の主体というふうになってございますので、接種をいただくときに接種券を発送していただくというのを市町村からやっていただいております。そうした際に、県の相談窓口も併せて御案内をさせていただくですとか、健康被害が生じた際の救済窓口、救済制度に関する情報などについても同封いただくというようなことの後押しをさせていただいているということでございます。 先ほど各務原市の取組についても御紹介をいただきましたけれども、それぞれの市町村では、予防接種を実施する中で生じた様々な課題について、地域の実情に応じて必要と判断した支援を独自に行っているというふうに考えておりますけれども、なかなかこれを直接県が財政的に支援するということは難しいわけでありますけれども、困られている方がきちんと相談をする体制ができ、また受診がしっかりとでき、また被害救済が必要な方についてしっかり申請ができるような周知ということを県としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○副議長(田中勝士君) 十番 森 益基君。 〔十番 森 益基君登壇〕(拍手)
◆十番(森益基君) 十番 森 益基です。どうぞよろしくお願いいたします。 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。 今回は、花粉発生源対策に向けた苗木生産の推進についてとスマート林業の進捗と普及に向けた今後の取組についての二項目について質問をいたします。 最初に、花粉発生源対策に向けた苗木生産の推進についてお伺いをいたします。 本年五月三十日、国において花粉症に関する関係閣僚会議が開催され、六月十六日には骨太の方針として花粉症対策が閣議決定されました。その中で、花粉発生源に対する対策として、発生源となる杉の人工林を切って、花粉の少ない苗木などによる植え替えを進めるという方針が決定されたところであります。具体的な目標としては、杉人工林の伐採を約五万ヘクタールから十年後には約七万ヘクタールにまで増加させるとともに、植え替えなどを推進し、花粉の発生源となる杉人工林の減少スピードを約二倍にすること、また花粉の少ない苗木の生産を拡大し、十年後には花粉の少ない杉苗木の生産割合を全体の九割以上に引き上げることといたしております。 今さらなぜ花粉症対策なのか、そう思われるかもしれませんが、皆さんも御存じのとおり、花粉症は国民病とも言われており、今や日本国民の約四割の方が杉やヒノキから飛散する花粉によって罹患されていると推測されています。ある民間の調査によれば、花粉症による経済損失は、一日に二千二百十五億円とも言われ、その影響はとても無視できるものではありません。これまで我が国では、戦時中や戦後の過度な伐採により荒廃した山地の復旧や高度経済成長期における木材需要に応えるため、成長の早い杉やヒノキの造林が進められてきました。これらの人工林は、木材資源であると同時に、国土の保全や地球温暖化の防止、水源の涵養などの役割を担っています。 そして今では、日本の国土面積の約七割を森林面積が占め、そのうちの約四割が人工林となっています。さらに、この人口林のうち、約七割に当たる、四百四十四万ヘクタールが杉、約二百六十万ヘクタールがヒノキで占められています。本県の状況は、令和三年版岐阜県森林林業統計書によれば、県内の人工林のうち、三二%に当たる十二万ヘクタールが杉、五四%に当たる二十一万ヘクタールがヒノキと、ヒノキ人工林の面積が杉人工林の面積を大きく上回っています。これは、高知県に続き全国で二番目の広さであり、岐阜県の特徴といってよいものであります。 林野庁長官により都道府県知事宛てに通知された杉花粉発生源対策推進指針、令和五年三月三十日付、第二百七十九号の第二項には、ヒノキについても花粉の少ない森林への転換等を進めていくことが重要であり、その推進に当たっては本方針を参考に取り組むものとするとの記述もあり、ヒノキ人工林が多い本県においては、杉と同様の対応策を講じていくことになるものと推察されます。 さて、改めて申し上げるまでもありませんが、人工林を切って、その後に植栽するこの一連の作業を主伐・再造林といいます。これについては、第四期岐阜県森林づくり基本計画に基づき、その施策を進めていくことになると思いますが、再造林に必要な苗木の確保などについて、国の花粉発生源対策を踏まえた検討がこの先必要になると考えます。杉やヒノキの花粉は花粉症の主な原因であるため、花粉の飛散量を減らしていくことが必要でありますが、杉やヒノキ自体は持続的な森林資源の循環利用のために重要な造林樹種であることに変わりありません。花粉症はなくしたい、でも、杉やヒノキは日本の林業に絶対欠かすことができないということであります。 このような課題を解決するために、花粉が少ない杉やヒノキの品種が開発され、そこから花粉の少ない苗木が作られていきます。花粉症対策に役立つ苗木とは何かといいますと、雄花をほとんどつけない少花粉品種や雄花はつけるものの、花粉を全く作らない無花粉品種などがこれに当たります。国立研究開発法人森林研究・整備機構や都道府県などが連携し、これまでも様々な研究開発が進められてまいりました。岐阜県においては、県の東濃桧採種園など、三か所の育種場で杉やヒノキの苗木生産に必要な種子を生産しており、その種子を購入した苗木生産者により杉やヒノキの苗木が生産され、それらが山に植えられております。 少花粉杉の種子については、郡上にあります白鳥林木育種事業地で平成二十年度に少花粉杉の採種園を造成し、平成二十三年から種子の生産が開始されました。一方、苗木生産者に対する支援として、ビニールハウスや散水施設等の生産基盤施設整備への支援を実施しているほか、下呂林木育種事業地では、民間事業者が岐阜樹木育苗センターとして優れた生産技術を生かし、平成二十九年度からは植栽作業の効率化が可能なコンテナ苗の生産を開始しています。 以上のように、本県においても、苗木の生産に必要な種子の生産や苗木生産者に対する支援が行われてはおりますが、これまで申し上げたとおり、国が花粉発生源対策を大きく進めるに当たっては、花粉の少ない杉苗木の需要が想定以上に増えると推測されます。また、国は、杉人工林を対象として花粉発生源対策を進めるようでありますが、前述のとおり、岐阜県では杉人工林よりヒノキ人工林の面積のほうが多く、ヒノキ花粉症に罹患している県民の方が相当数いることを踏まえれば、本県では杉人工林だけではなく、ヒノキ人工林についても切って、花粉の少ない苗木に植え替えを進めていくことが必要であります。ただし、植え替えに際しては、東濃桧の持つ木目の美しさと香りのよさ、強度の高さといった特徴が失われることがないよう、材質には十分配慮して進める必要があるということは言うまでもありません。 そこで、林政部長にお尋ねをいたします。 岐阜県として花粉の少ない杉、ヒノキの苗木生産について、現状を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、お考えをお伺いいたします。 続いて、林業作業の軽減化と効率化を図るため、スマート林業の進捗と普及に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。 林野庁においては、令和元年度より本格的にスマート林業について、その取組が始まりました。本県においても、令和二年四月に森林整備課と美濃市にある森林文化アカデミーにスマート林業推進係が新設され、主に林業のデジタル化、新技術の普及、造林・育林作業の機械化、無人化、そして林業を安全で働きやすく、魅力ある職場に改善、これらについて、コロナ禍の大変な時期にもかかわらず、これまで様々な取組が続けられてこられました。一例を御紹介すれば、令和二年度初年度実績として、林業のデジタル化、新技術の普及では、ドローン操作研修会、パイロット養成講習会、ドローン画像解析研修会などの開催、令和三年度にはGNSS測量普及研修会、枝打ちロボット実演会、令和四年度では路網設計支援ソフト研修会、ドローンを森林整備事業に活用する研修会、無人ヘリによる森林計測説明会などの開催が挙げられます。 また、造林・育林作業の機械化、無人化では、令和二年度にドローンによる資材運搬及び薬剤散布の見学研修会開催、令和三年度にはリモコン草刈機の傾斜地における走行能力試験の実施など、果敢な挑戦を繰り返してみえました。中でも、全国に先駆けて、携帯電話の圏外で通信を可能にすることや伐採時の安全確認のためのデジタルトランシーバーシステムを中部森林管理局の発表会で紹介されたことは、林業を安全で働きやすく魅力ある職場に改善していくための特筆すべき事項であったと思います。 一方、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や、花粉症対策として前段でも質問しました伐採と再造林による森林の若返り、花粉の少ない苗木への植え替えの期待が高まっています。しかし、少子高齢化社会において、あらゆる分野で人手不足が課題となる中、森林技術者数の大幅な増加は見込みづらい状況であり、主伐・再造林が計画どおり進まない上に、その後の下刈り、除伐などの保育作業に支障が生ずるおそれがあります。 私の地元林業事業体の代表者は、「伐って、使って、植える」の百年先の森林づくりのために、この先、森林技術者を確保、定着させていくためには、重い道具や苗木を背負って山を登るなどの重労働を少しでも軽減していくことを考えていかなくては駄目だと思う。チェーンソーや燃料をはじめ、重い道具も苗木もドローンで搬送できるようになれば、作業の軽減化は無論、作業効率も俄然よくなるのにと提起され、そうとは分かっていても、ドローンを個々で購入するには高額過ぎるし、日進月歩を続けるドローンは、今の機械がすぐさま古くなってしまう。自分たちが有効的に使えるとしたらリース制度しかないと思うと続けられました。 現在民間企業がオペレーターとともにドローン機器をリースするサービスを提供しているようでありますが、国産木材価格はウッドショック前の価格に戻りつつあるものの、リース代を考えるとやはり採算が取れず割高になってしまう。ドローンを活用したい、スマート林業に取り組みたい、そう考えていても、とても環境が整っていかないと苦悩されていました。ここまで、地元の訴えを紹介させていただきましたが、県内にはこのように、スマート林業に取り組みたいと考えながらも取り組むことができていない林業事業体がほかにもあるのではないでしょうか。 そこで、林政部長にお伺いをいたします。 森林技術者の大幅な増加が見込めない中で、木材の安定供給や森林整備を適切に行うためには、林業作業の軽減化と効率化につながるスマート林業のさらなる推進が必要と考えます。本県におけるスマート林業の進捗状況と普及に向けた今後の取組について、お考えをお伺いいたします。 最後に、苗木の生産は一日、二日でできるものではなく、種子から山に植栽するまでには数年の歳月が必要になります。そして、今ある杉やヒノキの人工林の伐採を進めなくては、新たに苗木を植えることができません。伐採を進めるためには木材の需要がなくてはなりません。だからこそ、住宅に加えて商業施設や公共建築物の木造化などを進め、木材の需要と供給のバランスを図っていただきたいと思います。木の国・山の国オール岐阜体制で森林事業の振興をより強力に推進されるようお願いを申し上げ、私の一般質問を締めくくります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。 〔林政部長 久松一男君登壇〕
◎林政部長(久松一男君) 二点御質問をいただきました。 初めに、花粉発生源対策に向けた苗木生産の推進についてお答えします。 県では、平成二十三年度から少花粉杉の種子の生産を始め、その後も増産を図り、令和六年度には年間十五キログラムを生産する見込みです。これは、苗木にすると十五万本となり、昨年の県内の苗木需要量の約五割に相当します。今般示された国の対策に基づき、十年後の杉の伐採量を現在の一・四倍とし、植栽する苗木の九割を少花粉にしたと仮定すると、必要となる種子は少なくとも年間約三十八キログラムと試算されます。この量に対応するためには、採種園の相応の拡大が必要となることから、今後は国の動向を注視しつつ再整備を検討してまいります。 一方、ヒノキについては、国の対策の対象外でありますが、本県の主要な樹種であり、花粉の発生源であることから、県として対策に取り組む必要があると考えております。このため、現在保有する少花粉ヒノキの品種について、東濃桧としての材質の検証などを踏まえた上で、種子を供給できるよう取り組んでまいります。 次に、スマート林業の進捗と普及に向けた今後の取組についてお答えします。 スマート林業の推進に向け、新技術に関する研修会の開催やICT機器等の導入を支援してまいりました。その結果、県内百四十九事業者のうち、二十一者が調査用ドローン、三十一者が衛星による測量システムを導入しております。また、県が公開している高精度の森林情報マップは、作業道の計画作成などに多くの事業者が利用しており、調査・測量分野での省力化が進んでいるものと考えます。 一方、現場作業の分野では、傾斜が急で障害物がある森林の特性から実用化が進んでいませんが、地形の制約を受けない資材運搬用ドローンについては、三者が導入しているところです。 今年度は、同様に地形の制約を受けず、かつ省力化や安全性の向上が期待できるケーブルを使用した最新の集材機械の実証試験や研修会を開催してまいります。 引き続き最新技術に触れる機会を提供するとともに、事業者の意見を伺いながら、例えば最新の機械を試験運用する委託経費などへの支援についても検討し、より一層の普及を図ってまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十四番 酒向 薫君。 〔二十四番 酒向 薫君登壇〕(拍手)
◆二十四番(酒向薫君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い大きく二項目、三点について質問させていただきます。 訳ありまして、五年ぶりに一般質問をさせていただきます。大変緊張いたしております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 まず最初に、県営都市公園の魅力向上と情報発信についてお尋ねをいたします。 本県は、平成二十八年十月に岐阜県都市公園活性化基本戦略を策定し、県営都市公園のポテンシャルを最大限に活用し、観光振興や地域活性化に貢献することを目指し、様々な取組を実施してきました。戦略の対象となった花フェスタ記念公園、現在の名称は、ぎふワールド・ローズガーデンになります。それからぎふ清流里山公園、養老公園、世界淡水魚園の四つの公園は、県外からの来園者が多く、観光資源として大変ポテンシャルが高い公園であるものの、コロナ感染の発生などで入園者の減少、施設の老朽化などの問題もあり、五年間にわたり戦略に基づいた施策を実行し、公園の活性化を図ってきました。 公園は、観光振興や地域の活性化に大きな役割を果たす重要な資源であり、戦略を策定し、県営都市公園の活性化に取り組んできたことはすばらしい取組だと思います。その結果、入園者が増加になったということは大変喜ばしいことだと思っております。特に令和元年度には、県営都市公園の入園者数が七百万人を超え、本県の観光入り込み客数全体の約一五%を占めるまでに成長したことは驚くべきことだと思います。 こうした大きな成果に甘えることなく、平成二十八年度から令和二年度までの五年間の事業を検証し、次の五年間、令和三年度から七年度まで展望し策定されたものが、新・岐阜県都市公園活性化基本戦略であります。この新戦略は、大きく五つの柱で様々な施策が展開されています。具体的には、一つ目に岐阜のゲートウエーとしての機能強化、二つ目に安全・安心な空間・サービスの提供、そして三つ目に成功体験の横展開による自走型運営の確立、四つ目にプロモーションの強化、最後に五つ目として社会的貢献の推進が求められております。公園の魅力を向上させるための取組を他の県営都市公園にも展開し、より一層誘客効果を図ることとし、さらに地域の発展と活性化に寄与する公園施設や、アフターコロナの新たな取組を通じて新しい社会や生活スタイルに対応した公園づくりを目指すとされています。 私は、ほかの県営都市公園への横展開を強化し、相乗的な効果を狙うというアプローチを興味深く感じております。これは、公園を点ではなく、線としてつなぐ必要があると思います。例えば岐阜県中央に位置する中濃地域で、私の地元関市の岐阜県百年公園、お隣の美濃加茂市のぎふ清流里山公園、可児市のぎふワールド・ローズガーデンなどを一日で満喫する県営公園の周遊など、いろいろ工夫を凝らしたプログラムをつくることが誘客の大きな要因にもなるのではないかと思っております。 また、知恵と工夫を凝らした具体的な取組に期待するとともに、新戦略において設定している入園者数、園内売上げなどの七つの指標について、関係する部局と協力しながら、指標の達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。県営都市公園はそれぞれに基本コンセプトを設けており、その具体化に向けて、地域の特性やニーズに合わせた施策を実施し、新しい社会や生活スタイルに対応する公園づくりを推進することは、地域全体の魅力向上にもつながると思います。 新戦略では、冒頭に申し上げました四つの公園に加えまして、私の地元関市の岐阜県百年公園とか各務原公園にもコンセプトが設定されましたので、この新戦略の進歩には大変注目するところでございます。私の地元関市の岐阜県百年公園は、緑豊かな空間で心身の健康を育むというコンセプトの下で、ジョギングや健康づくりやリラクゼーションのための環境整備、自然の中のアウトドア体験や遊具の充実を図ることとなっております。百年公園は小動物がたくさん生息し、ハナショウブが咲き、紅葉が園内を彩る四季折々の大変風光明媚な公園であります。幼児、児童・生徒たちの自然観察や高齢者の健康づくり、絵画、俳句、写真などの美術、芸術を恒例にした憩いの場所、にぎわいの場所として広く県民に利用していただきたいと思います。 このように魅力あふれる公園ではありますが、過去には駐車場料金を徴収していたこともあり、入場者数が伸び悩んでいる時期がございました。私は、関市において公園の駐車場料金を徴収するにはふさわしくないと考えました。駐車場料金徴収金額は年間一千万円ほどの大きなものがありましたが、これを思い切って無償化にすべきだと提唱を申し上げました。こうしたことから、駐車料金を八年前から無償化にすることにより、入園者獲得のために様々な取組を続けた結果、令和四年度は駐車料金徴収時と比べて約二倍の約五十四万人の入場者を集めるまでの公園に成長しました。ぜひとも一過性で終わらない様々なイベントを百年公園で開催してほしいと思っております。 令和五年度は、新戦略の策定から二年が経過し、折り返しの年となります。私は、先ほど御紹介しました新戦略の五つの柱の中でも、岐阜のゲートウエーとしての機能強化が今後の公園運営において特に重要になっていくものだと考えております。新戦略では、このゲートウエーとしての機能強化について、周遊の拠点、食の拠点、野外活動の拠点の三つの観点から、「清流の国ぎふ」を体験できる玄関口にふさわしい県営都市公園に向けて、また地域の誇りとなる一層魅力的な県営都市公園へと発展させていくためには、多角的な視点からいろんな議論を深めながら、施策を進めていくことが大変重要であると考えております。 そこで、都市公園・交通局長にお伺いをいたします。 県営都市公園の魅力向上のため、県内各地への周遊の拠点、県産品を活用した食の拠点、広い園内を活用した野外活動の拠点、この三つの役割の強化などをどのように進め、また県内外に幅広く知っていただくためには、どのような発信をしていくのか、御答弁をお願い申し上げます。 次に、岐阜県
少子化対策基本計画に基づく
子育て支援についてお尋ねをいたします。 午前中、
子育て支援の質問に対しまして、古田知事からは、国と地方が車の両輪となってスピード感を加えて取り組むと力強い発言がありました。ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。 厚生労働省の発表では、二〇二二年の
合計特殊出生率が過去最低の一・二六となり、出生数は七十七万七百四十七人で、一八九九年の統計開始以来、初の八十万人を割り込みました。出生率、出生数ともに七年連続マイナス、未婚化、晩婚化に加え、新型コロナウイルス感染拡大による出産控えも影響し、少子化が加速をしております。本県の状況はというと、「清流の国ぎふ」創生総合戦略の成果指標として
合計特殊出生率を設定しており、二〇三〇年の目標値は一・八〇としているものの、二〇二二年には一・三六、二〇一八年から四年連続で低下しています。 その背景には、総合戦略の実績報告において、出生数が死亡数を下回る自然減、さらに主に二十代から三十代の若者が流出し、本県への転入者が転出者を下回る社会減の双方による人口減少であると分析されております。具体的な数値を申し上げますと、統計課が発表している令和三年十月一日から令和四年九月三十日までの
人口動態統計調査によれば、自然減として一万三千七百三十人、社会減として一千三百八十一人と人口減少に拍車がかかっている状況であります。 また、令和四年十月一日現在の人口は約百九十五万人で、これは二〇〇五年から十八年連続減少になっています。 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、少子化の大きな要因は未婚者の増加だと言えます。五十歳までに一度も結婚したことない割合、五十歳時未婚率では二〇二〇年時点では男性が約二八%、女性は約一八%、三十年間では男性は約五倍、女性は約四倍になっています。さらに、結婚持続期間が十五年から十九年の初婚同士の夫婦の平均出生子供数を示す完結出生児数は、一九七〇年から二〇〇二年まで二・二人前後で安定的に推移していましたが、二〇〇五年から減少傾向となり、二〇二一年には一・九〇と過去最低となりました。 こうした統計結果が日本の深刻な少子化を物語っている状況の中で、全国に目を向けますと、例えば山梨で六月九日に山梨県人口減少危機突破宣言を県民に向け発表されました。その主な内容は、人口減少のトレンドを回復局面に転じさせるには今が正念場である。本年を人口減少危機突破元年として、出生率回復に向けた抜本的・集中的取組のスタートとして、行政は先頭に立つことはもちろんでありますが、県民を含め、オール山梨で総力を尽くして、この危機を回復、突破しようというものであります。また、岩手県では、冒頭に申し上げた六月二日の厚生労働省の発表で、
合計特殊出生率が一・二一、出生数が五千七百八十八人と過去最低を記録したことを受け、知事を本部長とする人口問題対策本部会議を開き、現状と今後の取組について議論を進めているようであります。令和五年度当初予算では百六十三億という巨額な予算を計上して、主に結婚の充実支援と若年層の雇用環境の改善、女性の労働環境改善を集中的に強化するとのことであります。 こうした中、岸田首相は、二〇三〇年までを少子化傾向を反転できるかどうかの
ラストチャンスだと位置づけ、異次元の
少子化対策を掲げております。まだ内容は具体化されておりませんが、児童手当拡充をはじめ、親も含めたケアが求められ、安心できる環境こそが必要であり、保育施設の数を増やすばかりではなく、質の充実が一番求められているところであります。 統計値や他県、国の動きを御紹介してきましたが、現代社会において、少子化問題は深刻さを増すばかりであります。こうした状況を打開し、社会の持続的な発展を図るためには、私は
少子化対策の中でも
子育て支援が極めて重要な要素だと考えております。私は、子育ての中心は基本的には保護者であり、またその家族であると考えております。国が掲げる女性が活躍できる社会や働き方改革などを考えるには、自助ばかりでなく、共助、公助など、子育てに関わらない人々も含め全世代型
子育て支援対策を必ず講じる必要があると考えております。 子育て世代の中心にある方々からは、共働きだと子供と触れ合う時間がない、欲しいのはお金ではなくて人手だ、社会で子育てを支援するところまではまだ至っていない、お金だけではなく自分の時間が減ってしまうなど、皆さん様々な悩みを抱えておられます。こういったものを解決しない限り、一人、二人子供さんをもうけてもらうというのは、難しいのが現状ではないかなと思っております。 本県においては、平成十九年三月に、少子化の問題に地域で主体的に取り組む必要があるとの認識に立ち、安心して子どもを生み育てることができる岐阜県づくり条例を制定しておりますが、同年十二月には、当該条例に基づき、岐阜県
少子化対策基本計画を定め、現在は第四次計画として
少子化対策、
子育て支援策に取り組んでいただいております。 今、岐阜県の本気度が試されています。そこで、今回は保護者の方々が安心して子育てができるための具体的な支援策に絞ってお尋ねをいたします。 社会全体で子育てを支え合うことは重要ではありますが、岐阜県
少子化対策基本計画に基づき、今年度どのような
子育て支援に取り組まれるのか、子ども・女性局長にお伺いをいたします。 三つ目でございます。 病児・病後児保育に対する支援についてお尋ねいたします。 私の質問とジャストタイミングで、この六月一日に、岐阜新聞の県内版に「病児病後児保育二十四時間対応、美濃市八月から受入れ」との見出しで、私の選挙区である美濃市の取組が掲載されました。この二十四時間対応の取組は県下で第一号であります。さすが武藤鉄弘市長だと私は感銘を受けました。このように県民にとって、市民にとって、抽象論ではなく、具体的にいち早く方策を打ち出すことが県民、市民にとって最大、重要なことであります。 市長いわく、安心して子育てができる環境にするために改善したいという思いがあった、市民からは今までのように前日までの予約は難しい、早朝や夜間に利用したい、高学年も受け入れてほしいとの要望があったとのことであります。その内容は、利用時間は朝八時から午後六時まで、対象児童も生後六か月から小学六年生まで引き上げられました。聞くところによりますと、一人一日、親さんの負担は二千円ぐらいだということになっております。これは、当日申込みも可能だということでございます。 最近、私のところには、出産後、再就職された親御さんからこんな御意見があります。子供の体調が悪いけど、仕事が休めなくて困っている。何回も何回も休むと職場の皆さんに御迷惑になる。こういう話が多々あります。大きな企業であればたくさんの従業員がお見えになります。岐阜県は中小企業、特に小規模になりますと、やはり何人かの方で対応しているわけではありませんので、一人欠勤されるとその負担が重くなる。そしてそれが親御さんについては、すごく精神的に負担になるということであります。病児・病後児の受入れ体制が整っておらず、再就職された中で約三割の方が一年あまりで退職をされているということを聞いております。私は、病児・病後児保育事業の充実は
子育て支援の一丁目一番地で、喫緊の課題であると思っております。 病児・病後児保育の充実のためには、病児・病後児保育に従事する担い手の確保が重要と考えますが、市町村のみでの努力では、保育士、看護師を含めました担当者を集めるのは、十分に確保することが大変困難であります。その結果、開店休業状態の施設もあると伺っております。病児・病後児保育の実施主体は各市町村ではありますが、各市町村において、病児・病後児保育の取組が推進されるよう、県主導で保育士、看護師の確保と、近隣市町村での広域連携をすべきであると考えております。 そこで、子ども・女性局長にお伺いいたします。 病児・病後児保育については、具体的にどのような支援を行っていくのか、また市町村に対して強い要望があります、こういった担い手の確保、これは喫緊の問題だと思います。このことをどのような方法をもって取り組まれるのかお尋ねをいたしたいと思います。 以上をもって、私の質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 都市公園・交通局長 舟久保 敏君。 〔
都市建築部都市公園・交通局長 舟久保 敏君登壇〕
◎
都市建築部都市公園・交通局長(舟久保敏君) 県営都市公園の魅力向上と情報発信についての御質問にお答えいたします。 六つの県営都市公園は、県内各地への周遊の拠点としての機能を果たすため、周辺施設や公共交通機関と連携した双方の利用促進を図っております。また、園内では、デジタルサイネージを活用した周辺観光情報を提供しております。また、県産品の食の拠点として、キッチンカーで県産食材を用いた食を提供するほか、柿や梨、園内で育てた食用バラを活用した新メニューの開発、さらに農産物を栽培し食べる体験プログラムの充実を図っております。さらに、周遊路でのランニングイベントや芝生広場でのヨガ体験など、心身の健康づくりのための屋外活動の拠点として、多くの方に御利用いただけるように取り組んでおります。 加えて、例えば百年公園における早朝開園やアスレチックの企業研修利用など、新たなニーズへの対応も進めております。また、県営都市公園の様々な魅力を県内外の方に知っていただくため、SNSや各種媒体による広報に加え、令和七年度に開催を予定している全国都市緑化ぎふフェアを機会とした情報発信の強化を図ってまいります。
○副議長(田中勝士君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 県の
子育て支援策について、二点御質問をいただきました。 初めに、岐阜県
少子化対策基本計画に基づく
子育て支援策についてお答えいたします。 県では、計画に基づき、妊娠、出産、子育てまでの各
ライフステージに応じた切れ目のない支援の強化に取り組んでおります。まず、妊婦や乳幼児期の子育て家庭が安心して出産、子育てできるよう、保健師等による面談や継続的な情報発信を通じ、必要な支援につなぐ伴走型相談支援の充実を図ってまいります。また、子育て世代からの子育てにお金がかかり過ぎるといった御意見や、国などの支援が十分に行き届いていない部分への支援に対応するため、第二子以降出生児への祝い金、中学三年生への
就学等準備金を支給し、新たな
経済的支援も実施してまいります。 さらに、安心して子供を預けられる受皿づくりを推進します。例えば保育所や放課後児童クラブの整備等への財政支援を行うほか、一時預かりやファミリー・サポート・センター等、多様な
子育て支援サービスが充実されるよう市町村に求めてまいります。加えて、学生等の保育現場見学会や就職マッチング支援、職員向けの研修会等を実施し、人材の育成、確保や質の向上も図ってまいります。 次に、病児・病後児保育に対する支援についてお答えいたします。 病児・病後児保育は、現在三十市町村の五十六施設で実施されており、市町村間の広域連携によるサービス提供を含めると、四十市町村でサービスが受けられる体制となっています。病児・病後児保育は、保護者が安心して子育てと仕事を両立するために有効であり、必要なときに必要なサービスを受けられる体制づくりが求められていると認識しております。 そこで、まず病児・病後児保育に携わる人材を確保するため、県が実施する従事者向け研修の受講対象者を、今年度からは現在働いていない、いわゆる潜在保育士や潜在看護師にも広げてまいります。また、病児・病後児保育を実施していない二市町村に対し、事業実施を求めていくとともに、受入定員の不足が見られる市町村に対しては、施設整備や運営経費に係る補助金の積極的な活用を働きかけてまいります。加えて、広域連携によるサービス提供を望む市町村に対しては、近隣市町村や医療機関、保育所等の関係機関と調整ができるよう県が橋渡ししてまいります。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後三時二十三分散会 ……………………………………………………………………………………………...